厚生委員会速記録第十八号

平成十三年十二月十四日(金曜日)
   午後一時三分開議
 出席委員 十四名
委員長曽雌 久義君
副委員長野田 和男君
副委員長吉田 信夫君
理事河西のぶみ君
理事古賀 俊昭君
理事佐藤 裕彦君
東村 邦浩君
山加 朱美君
柿沢 未途君
萩生田光一君
山口 文江君
小松 恭子君
樋口ゆうこ君
野村 有信君

 欠席委員 なし

 出席説明員
衛生局局長今村 皓一君
技監荻野  忠君
総務部長櫻井  巖君
企画担当部長齋藤  進君
健康推進部長長岡 常雄君
生活環境部長河津 英彦君
医療計画部長奥田  匠君
医療福祉部長金田麻里子君
薬務部長大屋 喜重君
病院事業部長押元  洋君
健康づくり施策調整担当部長菊地 輝雄君
病院企画担当部長大塚 孝一君
参事木村 豊彦君
参事梶山 純一君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 衛生局関係
  付託議案の審査(質疑)
  ・第百七十九号議案 東京都立総合精神保健福祉センター及び東京都立精神保健福祉センター条例及び東京都地方精神保健福祉審議会条例の一部を改正する条例

○曽雌委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり意見書二件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○曽雌委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○曽雌委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、衛生局関係の付託議案の審査を行います。
 これより衛生局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百七十九号議案、東京都立総合精神保健福祉センター及び東京都立精神保健福祉センター条例及び東京都地方精神保健福祉審議会条例の一部を改正する条例を議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○山加委員 私は、精神障害者の保健福祉施策の充実についての観点から質問をいたします。
 精神障害者保健福祉手帳の所持者の推移というのは、平成七年度三千四百十六名であったものが、平成十二年度、昨年度までですが、一万六千九百三十二名、五年で約五倍近くの数字で増加をたどっているわけでございます。精神保健福祉をめぐる問題点は、精神障害者の増加、そして、引き続き長期入院の傾向に変化がないということ、家族の高齢化、単身生活精神障害者の増加という現実に対して、現行制度では十分に対応できないなど、たくさんの問題がございます。
 私たちは、現代社会、日々暮らしの中で、家庭内そして学校内、会社内、地域社会の中、至るところでストレスを伴う時代に入りました。まさに、その精神障害の数を減らす、その増加を減らすということは、早期発見をし、そしてその早期発見をした中で信頼できる判定、対応があれば、その障害等級を下げることも可能と思います。そのためにも、二十一世紀、今まで以上にその施策の充実が強く求められると思います。
 今回提出された条例案は、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律等の一部を改正する法律が来年四月から施行されることに伴い、これに関連する条例の一部を改正するものであるとの説明がございました。これにより、大きく分けて精神医療審査会及び地方精神保健福祉審議会に係る事務が精神保健福祉センターで行われることとなるわけですが、そこで伺いたいと思います。
 これらの事務がセンターで一元的に行われることとなったのは、どのような理由からなのか、そしてまた、これ以外にも移管する事務があるのでしょうか、伺います。

○金田医療福祉部長 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律が改正された趣旨でございますが、まず、精神医療審査会についてでありますが、措置入院にかかわる患者からの退院請求や処遇改善請求等を審査するものであり、より一層、その独立性と中立公正な審査の確保を図る必要があること、また、現在、地方精神保健福祉審議会で、通院医療費の公費負担や精神障害者保健福祉手帳の申請に対する審査を行っておりますが、非常勤の委員で構成される審議会で、このような恒常的な事務を行うことは非効率であることから、改正が図られました。
 このため、都としても、精神障害者の保健福祉施策の一層の充実を図るため、これらの事務を精神保健福祉センターに移すこととし、このほか、小児精神障害者入院医療費助成に関する審査事務についても、今回移管される事務と密接な関連があり、一体的に実施することによって住民サービスの充実を図ることとなるとの観点から、あわせてその事務を移すことを予定しております。

○山加委員 今回の事務の移管について、行政の立場からは、精神保健福祉センターの専門性、効率性の観点から適当であると考えますが、一方、担当する部署が変わることは、都民などの利用者にとってはどのようなメリットがあるのか、お聞かせください。

○金田医療福祉部長 精神保健福祉センターは、医師、心理職などの専門職員が配置され、精神保健及び精神障害者福祉に関する知識の普及や、心の問題に関する相談等を行っております。このセンターが専門性を発揮し、各種審査の判定、調整にかかわることにより、審査の迅速化や判定の公正性の向上に大きく資するものと考えております。
 また、地域精神保健福祉におけるセンターの位置づけが一層重要なものとなることから、地域で暮らす精神障害者にとっても、一層信頼され、また、大きな支えとなることが期待できます。

○山加委員 専門性を有する精神保健福祉センターに事務が移管されることで、その機能を有効活用することにより、行政、都民の双方にとってメリットがあり、精神保健福祉施策のより一層の充実が図られることは、今の答弁で十分理解をいたしました。
 そこで、その実現のために、精神保健福祉センターにおける実施体制を十分に確保し、円滑な事業の実施をと考えますが、いかがでしょうか。

○金田医療福祉部長 精神保健福祉センターが精神保健福祉に関する中核的機関としての機能を発揮できるよう、事務移管に当たっては、その業務量に基づき所要人員を確保し、事業の円滑な実施に努めていきたいと思っております。

○山加委員 ぜひ都民の立場に立って、弱者の立場に立って、これからも精神障害者の保健福祉施策のなお一層の充実を希望いたします。
 ありがとうございました。

○小松委員 私も、何点か質疑させていただきます。
 今回の法の施行によりまして、医療審査会など法定三事業が精神保健福祉センターに移管されるわけですが、そこでまずお伺いしたいのは、この医療審査会の内容ですね、そしてまた、ここ三カ年における実績について伺いたいと思います。
 さらに、三カ年の実績ということでは、他の二つの事業、通院医療費認定患者数と手帳認定者数もお願いいたします。

○金田医療福祉部長 精神医療審査会の事務でございますけれども、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に規定されておりまして、精神病院入院中の者、またはその保護者などから退院請求や処遇改善請求があったとき、その入院または処遇が適当であるかについて審査を行うこと、また、精神病院管理者からの措置入院及び医療保護入院の定期病状報告等に関して審査を行うことであります。
 また、精神医療審査会における過去三年間の実績でございますが、医療審査会の中の退院請求審査の数を申し上げますと、平成十年度は六十一件、平成十一年度は七十四件、平成十二年度は七十九件となっております。
 また、それ以外に今回移管されます事務ということで、通院医療費公費負担認定件数でございますが、平成十年度は二万三千二百七十五件、平成十一年度は五万五千九百十五件、平成十二年度は三万三千三十件となっております。
 また、精神障害者保健福祉手帳認定件数でございますが、平成十年度は六千四百十三件、平成十一年度は八千二十九件、平成十二年度は九千四百五十七件となっております。

○小松委員 その中の医療審査会につきましては、ことしの八月十八日の毎日新聞で独自の調査結果を発表しております。この報道によりますれば、全国の都道府県と政令市の五十九カ所の精神医療審査会の退院・処遇改善請求、三年間で、これが三千八百九十件、また、入院患者の定期病状報告などの書類審査は四十八万五千百三十一件、このうち、何らかの改善があったのは二百七十七件だと。そして、改善が一件もなかったのが十五道県と三政令市で、一方、改善が最も多かったのが福岡の七十四件をトップに、兵庫の十二件まで県名が公表されております。十八カ所で改善ゼロ、九八年から二〇〇〇年度、地域格差大きくということで報道されておりますが、そこには次のように書かれております。
 改善件数が最も多い福岡県では、九三年から、精神医療施設内に入院中であればだれでも無料で弁護士にアクセスできる当番弁護士制度を実施している、このため、三年間の退院・処遇改善審査件数が多く、患者が権利を行使する機会が保障されていることが審査会の活性化を促す一因になっている、このように報道されているわけですけれども、それでは東京のこの改善内容、どうなっているでしょうか。

○金田医療福祉部長 東京都の精神医療審査会での結果でございますけれども、審査結果、細かい内容は公表してございませんが、入院形態への移行が必要な場合も含め、その審査の結果について、知事は請求者に通知しております。
 都としては、今後も一層審査の適正化を図っていきたいと思っております。

○小松委員 数字をいっていただけないようですが、この新聞からしましても、ゼロ件にも入っていないし、十二件以上というのが県名が公表されているんですが、それにも名前が挙がっていませんので、その間であろうということは想像できるわけですけれども、人口においても、精神障害者の数においても全国一である東京都の中では、やはり手帳の認定患者も非常にふえております、先ほどお伺いした中で。それから公費の負担認定件数も、この三年間で、先ほどいわれましたのを足しますと延べ十一万を超える数の中で、十一件以下の改善数が果たして妥当なのかどうかということがあるわけです。
 人によりますと、都の精神病院に対する人権指導は行き届いているということも聞くわけで、その努力を大変評価もするわけです。しかし、審査件数が大阪府の四百八件と比べても、今のを足しますと三年間で二百十四件ですね、大変少ないという気がします。患者の権利行使の機会の保障への努力を求めたいと思います。
 十一年六月の法改正でも、精神医療審査会の機能強化がうたわれておりまして、委員数制限の撤廃、廃止や帳簿書類の提出命令等が追加されておりますが、具体的に、都ではどのような機能強化をされたのでしょうか。

○金田医療福祉部長 平成十一年の法改正では、精神病院の入院患者の人権に配慮した処遇の確保を図る観点から、精神医療審査会の事務局を、執行機関である知事の担当課から精神保健福祉センターに移し、審査機関の独立性を図ること、精神医療審査会の報告聴取権限として、従来の関係者からの意見聴取権限に加え、診療録等関係書類の提出を求める権限が追加されるとともに、委員数の制限が撤廃されました。

○小松委員 委員数の制限撤廃によって、東京都は二十人ぐらいになっているわけですね。
 ところで、今回の法改正では、精神保健福祉センターの機能の強化も合わせて、三事業がセンターに事務移管されることになったわけですが、法改正による東京都でのセンターは、どのように位置づけてきたのでしょうか。

○金田医療福祉部長 現在の精神保健福祉に関する普及啓発や相談業務等に、新たに専門性を生かした各種審査の判定、調整業務が加わることで、精神保健福祉に関する中核的機関とセンターがなりまして、より重要な役割を果たすことになります。
 また、精神障害者に係る専門的な機能が付加されることから、地域で暮らす精神障害者にとっても、一層信頼され、また大きな支えになることが期待できます。

○小松委員 精神保健福祉センターは、いわゆるソフトな機関であるわけですが、精神医療審査会の事務が移ることによりまして、また、精神病院に対する指導監督の強化ということも入ってきているわけですね。そういうことで、精神病院への立入調査などが必要な場合、こうした権限行使はどこが行っていくのでしょうか。

○金田医療福祉部長 法律上、適正を欠くなどの疑いがある精神病院に対する立入調査等は、執行機関である知事の権限となっており、精神医療審査会の業務ではありません。
 したがって、立入調査などは、引き続き局の担当課が実施してまいります。

○小松委員 そうですね、立入調査は、知事の権限のもとでしっかりやっていただきたいと思います。
 ところで、条例案では、移管事務は法定三事業とされているわけですが、先ほどのお答えにもありましたように、東京では、都単の小児精神障害者の入院医療費助成に関する事務も移管されるはずですね。
 そうしますと、これらを合わせますと大変な事務量になると思われますが、先ほどのお答えでは、移管に当たって必要な人員を考えている、体制を考えているということでございましたが、具体的な人員の数を聞かないとわからないわけですけれども、この辺の人員体制はどういうふうにお考えでしょうか。

○金田医療福祉部長 移管される事務につきましては、特定の職員が専任で処理しているものではなく、明確に人数を出すことは困難でございますが、精神保健福祉センターへの移管に当たりましては、移管事務の業務量に基づき、必要な人員を確保したいと考えております。

○小松委員 必要な人員を確保というのは当然なことであるわけですけれども、今、予算編成中でもあるので、これ以上は数字を聞くことはしませんが、ここでは、現場職員の要望もしっかり受けとめながら、本当に必要な人員確保を求めておきたいと思います。既に今やられている中でも、再雇用の方なども大分いらっしゃるようですけれども、これらの事業がますます量を増していって大変だという現場の声なども聞いておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 また、事務移管に当たっては、人員確保とともに場所の問題も大きいわけですけれども、執務室の確保というのはどう考えていらっしゃるのでしょうか。

○金田医療福祉部長 執務室でございますが、精神保健福祉センターと調整を行い、必要なスペースを確保していきます。

○小松委員 もちろん必要なスペースを確保していただくのは当然ですが、今あるセンター、中総といわれる中部総合センターも、また多摩も、下谷はちょっとあれですけれども、いずれも四事業事務を行う場所がとれるかというと、大変疑問なわけです。現場からは増築などの要望は出ていないのでしょうか、また、増築などの考えというのはないのでしょうか。

○金田医療福祉部長 執務の場所を確保するに当たりましては、内部スペースの活用なども含め、調整を図ってまいりました。
 なお、職員組合からは、既存の事業執行に支障が生じる場合には、執務室を増築することという趣旨の要望が出されておりました。

○小松委員 今回の事務移管は、事務をする執務室と同時に、医療審査会などが、特に東京の場合には何班かに分かれていて、週一回程度はやっているということになりますと、非常に会議室も使うし、事務量も多いと。一方では、今のセンターの事業に差しさわりが出ても困るわけですね。増築なども視野に入れて、センターとまず十分協議をして、必要なスペースを、今あるセンター事業の障害にならないよう確保することを求めておきたいと思います。
 精神保健福祉センターは、都民からの相談のほかに、例えば中総などではデイケアや援護寮など事業を実施しているわけですけれども、今回の法定三事業と都単の一事業の移管によって、こうした既存の大切な事業に対する影響はないのでしょうね、いかがでしょうか。

○金田医療福祉部長 精神保健福祉センターが、今後とも精神保健福祉に関する総合的技術センターとして、地域精神保健福祉活動の中核としての役割を担えるよう、また、既存の事業に影響がないよう、適切な措置を講じてまいりたいと考えております。

○小松委員 ぜひよろしくお願いします。現在、センターのあり方研が年内にも最終報告を出されるやに伺っておりますので、それを待つわけですけれども、今後のあり方も含めまして、現センターの既存の事業の拡充を求めると同時に、なかなか進展しません東部センターの設置促進を図りながら、法改正による精神障害者の保健福祉が名実ともに充実することを求めまして、私の質疑を終わらせていただきます。

○曽雌委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○曽雌委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で衛生局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時二十六分散会

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