委員長 | 曽雌 久義君 |
副委員長 | 野田 和男君 |
副委員長 | 吉田 信夫君 |
理事 | 河西のぶみ君 |
理事 | 古賀 俊昭君 |
理事 | 佐藤 裕彦君 |
東村 邦浩君 | |
山加 朱美君 | |
柿沢 未途君 | |
萩生田光一君 | |
山口 文江君 | |
小松 恭子君 | |
樋口ゆうこ君 | |
野村 有信君 |
欠席委員 なし
出席説明員衛生局 | 局長 | 今村 皓一君 |
技監 | 荻野 忠君 | |
総務部長 | 櫻井 巖君 | |
企画担当部長 | 齋藤 進君 | |
健康推進部長 | 長岡 常雄君 | |
生活環境部長 | 河津 英彦君 | |
医療計画部長 | 奥田 匠君 | |
医療福祉部長 | 金田麻里子君 | |
薬務部長 | 大屋 喜重君 | |
病院事業部長 | 押元 洋君 | |
健康づくり施策調整担当部長 | 菊地 輝雄君 | |
病院企画担当部長 | 大塚 孝一君 | |
参事 | 木村 豊彦君 | |
参事 | 梶山 純一君 |
本日の会議に付した事件
衛生局関係
報告事項(説明・質疑)
・牛海綿状脳症(いわゆる狂牛病)に対する今後の取り組みについて
事務事業について(質疑)
報告事項(質疑)
・都立病院改革会議報告について
・牛海綿状脳症(いわゆる狂牛病)に対する取り組みについて
○曽雌委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
初めに、傍聴人の数についてお諮りいたします。
本委員会室の定員は二十名でありますが、傍聴希望者が定員以上でございますので、さらに十名を追加したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○曽雌委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○曽雌委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、衛生局関係の報告事項の聴取並びに事務事業及び報告事項に対する質疑を行います。
これより衛生局関係に入ります。
初めに、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
○河津生活環境部長 牛海綿状脳症、いわゆる狂牛病に対する今後の取り組みについてご報告を申し上げます。
本件につきましては、さきの十月二日の当委員会において報告をさせていただきましたが、その後の経過と今後の対応につきまして改めてご報告をいたします。
なお、お手元には資料として、牛海綿状脳症(いわゆる狂牛病)に対する今後の取り組みについてというものをお配りしております。
報告資料の一ページをご参照いただきたいと存じます。左下の欄に、都が行った対策とありまして、ちょうどその下欄ですけれども、所管局の名称を入れております。そこをごらんいただきたいんですけれども、生産段階は産業労働局が中心となります。中央卸売市場は、と畜場管理者として対処いたしますが、いわゆる狂牛病対策全体にわたっては、衛生局が、食品衛生の確保を図る立場から対応してまいります。
さて、十月十一日夜半、厚生労働省から東京都に対し、十月十日に厚生労働省の技術研修の検体として提供した、中央卸売市場食肉市場でと畜解体した牛の延髄のうち、一検体から、スクリーニング検査のエライザ法により陽性反応が検出されたとの連絡がありました。検出の結果は、十日と十一日の二回にわたり同様であったとのことでした。都は、直ちに緊急対策として、食肉市場から食肉の流通を停止するなどの措置をとりました。
その後、十二日深夜になり、厚生労働省から、確定診断であるウエスタンブロット法による検査の結果、陰性が判明したとの旨連絡がありましたので、都はさきの措置を解除いたしました。
衛生局では、明後日、十月十八日から都内のと畜場に入荷するすべての牛に対し、スクリーニング検査を実施いたしますが、と畜検査における個体管理の確実な実施など、正確で迅速な検査に遺漏がないよう万全の準備を行ってまいります。
検査は、厚生労働省の指定した、比較的検査時間が短く、大量の検体を処理するのに適しているエライザ法により行い、検査結果が陽性となった場合には、帯広畜産大学に検体を送付し、確定診断を行うことになりますが、結果が判明するまでの間、この牛の枝肉、内臓等は、他の牛と明確に分離保管すること、及び陽性の判定が出た場合は速やかに焼却処分することを指導していきます。
なお、脳、脊髄、眼球、回腸遠位部の特定危険部位については、先月二十五日から、と畜場で解体するすべての牛から除去、焼却する処理を行っており、スクリーニング検査開始後も引き続き実施してまいります。
これらにより、十八日以降、都内のと畜場から出荷される食肉等については、すべて安全性の確認がなされることになります。
次に、加工、流通段階での安全性を確保するための対策ですが、食品等につきましては、先月二十八日より、飲食店や食品製造業者等に対し、都内に流通する国内産牛の特定危険部位の使用販売の中止と焼却を行うよう指導する、緊急立入監視指導を実施してきました。
その結果でございますが、十月十日までに飲食店営業一万五千六百五十九軒、食肉販売・処理業四千五百三十六軒、食肉関連製造業等四百二十六軒、合わせて二万六百二十一軒の監視指導を行いました。
その中で、国内産牛の特定危険部位またはその混入の疑いのある食品を取り扱っていた施設は三軒で、その内訳は、脊髄が一軒、一キログラム、回腸遠位部が二軒で五百十キログラムでした。これらの食肉処理業者は、自主的に使用、販売を中止し、保管していたものですが、焼却処分するよう指導したところでございます。
なお、焼却処分については、確実に実施するため、廃棄物処理担当局と連携を図っております。
さらに、厚生労働省の通知に基づき、特定危険部位を含むおそれのある牛由来原材料を使用して製造または加工された食品の安全性を確保するため、食品関係営業団体に対し、みずから点検し、その結果を保健所に報告するよう指導するとともに、特定危険部位の使用または混入が認められた場合には、原材料の変更、当該食品の販売の中止と自主回収等を指導しております。
なお、監視指導に当たり、営業者が行うこれらの点検が円滑に進むよう、保健所等の指導内容を具体的に示した指導要領を作成し、指導の徹底に努めております。
次に、医薬品等でございますが、厚生労働省では十月二日、国内産の牛等由来原料について、原則としてその使用を禁止しました。そこで、医薬品等における牛等由来原料に関する自主点検を実施してきましたが、十月十日までに二千五百五業者を対象に調査し、これまで回答のあった二千四百七業者のうち二千三百六十八業者、約九八%が自主点検を完了しました。このうち、三百九十七業者が牛等由来原料を使用していました。この三百九十七業者のうち、九月末で把握していた三百二十業者について、全国で初めて緊急立入調査を実施いたしました。
その結果、これまでに使用禁止部位等を使用した原料で、禁止以前に製造していた業者のうち、現在も市場に流通している製品があると申し出のあった十業者に対し、当該製品の自主回収を直ちに指示したところでございます。
これら営業者への指導に加え、都民に牛海綿状脳症に対する正しい知識と現状での安全対策について正確な情報提供を行うため、衛生局では十月十一日、狂牛病QアンドAなど牛海綿状脳症に関するホームページを開設いたしました。
今後の対応でございますが、衛生局では十月十八日より、芝浦食肉衛生検査所において、都内のと畜場に入荷する牛すべてを対象に、スクリーニング検査の実施に必要な体制を整備いたします。
あわせて、十月末までに、すべての牛等由来原料を使用している医薬品の製造・輸入販売業者、食肉処理業及び食肉関連製造業への緊急立入調査や指導を終了させることといたします。
以上により、当面の牛海綿状脳症に対する東京都の安全確保体制は一応整うことになりますが、引き続き衛生局では、都民の健康と食品、医薬品の安全を確保するため、と畜場や飲食店等に対する監視指導を徹底するなど、危機管理の視点から万全の措置をとっていくことを申し上げて、報告を終わります。
○曽雌委員長 報告は終わりました。
本件に対する質疑は、次に行います事務事業等に対する質疑とあわせて行いますので、ご了承願います。
次に、事務事業及び報告事項に対する質疑を一括して行います。
本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料につきまして理事者の説明を求めます。
○櫻井総務部長 さきの九月十七日の本委員会におきましてご要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
それでは、お手元配布の厚生委員会要求資料をごらん願います。
資料は、目次にございますように、1の都立病院の医業収益に占める個室使用料及びその他保険外収益から、26の都内で処分された犬、猫の数まででございます。
恐れ入ります、一ページをお開き願います。都立病院の医業収益に占める個室使用料及びその他保険外収益でございます。
平成十二年度の都立病院における医業収益、個室使用料及びその他保険外収益について、それぞれの決算額と医業収益に占める割合を記載してございます。
次に、二ページをお開き願います。都内の病院における特別の療養環境に係る病床の利用料金、いわゆる差額ベッド料の状況でございます。
都内の病院と都立病院について、特別の療養環境に係る病床の利用料金、いわゆる差額ベッド料の金額階層別の病床数と全体に占める割合を記載してございます。
次に、三ページをごらん願います。都立清瀬小児病院及び都立八王子小児病院に関する地元自治体からの要望、要請についてでございます。
都立清瀬小児病院及び八王子小児病院に関する地元自治体からの要望、要請について、要望、要請のあった日付、要望・要請者及びその要旨をそれぞれ記載してございます。
次に、四ページをお開き願います。各都立病院における医師、看護要員等の超過勤務実績でございます。
平成十年度から十二年度までの、各都立病院ごとの医師、看護要員及び事務職員の一人当たりの平均月間超過勤務時間数を記載してございます。
次に、五ページをごらん願います。東京都保健所の専門職員定数の推移でございます。
東京都保健所における平成四年度から平成十三年度までの十年間の、各年四月一日現在の職種別の専門職員定数を記載してございます。
次に、六ページをお開き願います。今後の都保健所の在り方検討会の検討経過でございます。
今後の都保健所の在り方検討会について、その設置目的、設置年月及び検討経過を記載してございます。
次に、七ページをごらん願います。二次保健医療圏別保健所所管区域の人口でございます。
二次保健医療圏別の各保健所所管区域について、平成九年及び平成十三年のそれぞれ一月一日現在の人口を記載してございます。
次に、八ページをごらん願います。精神障害者保健福祉手帳所持者等の推移でございます。
平成八年度から平成十二年度まで五年間の、各年度末現在の精神障害者保健福祉手帳所持者数と精神障害者都営交通乗車証発行数を記載してございます。
次に、九ページをごらん願います。精神障害者共同作業所の施設数及び都補助額でございます。
平成九年度から十三年度までの精神障害者共同作業所の施設数と都の補助額を記載してございます。なお、十三年度は予算額となっております。
次に、一〇ページをお開き願います。各都立病院の収支状況の推移でございます。
一〇ページから一二ページにかけまして、平成九年度から十一年度までの各都立病院の収支状況を、収益と費用の科目別に分けて記載してございます。
次に、一三ページをごらん願います。二次保健医療圏別出生数及び小児科標榜医療施設数でございます。
二次保健医療圏ごとの平成十二年の一年間の出生数と、平成十一年十月一日現在の小児科を標榜する医療施設数を、病院及び一般診療所別にそれぞれ記載してございます。
次に、一四ページをお開き願います。区市町村別出生数の推移でございます。
平成八年から平成十二年まで五年間の各区市町村別の出生数を記載してございます。
次に、一五ページをごらん願います。区市町村別産科、産婦人科及び小児科医師数でございます。
平成十年十二月三十一日現在の各区市町村別の産科、産婦人科及び小児科の医師数を記載してございます。
恐れ入ります、一六ページをお開き願います。区市町村別産科、産婦人科及び小児科を標榜する医療施設数でございます。
平成十一年十月一日現在の各区市町村別の産科、産婦人科及び小児科を標榜する医療施設数を、病院及び一般診療所別にそれぞれ記載してございます。
次に、一七ページをごらん願います。周産期母子医療センターの現況でございます。
周産期母子医療センターについて、所在地、医療機関別に平成十三年八月末現在のNICU、新生児集中治療管理室の病床数を記載してございます。
恐れ入ります、次に、一八ページをお開き願います。都立八王子小児病院のドクターカー配備に至る経緯と運行実績でございます。
八王子小児病院のドクターカーについて、その配備に至る経緯、配置状況及び運行実績をそれぞれ記載してございます。
次に、一九ページをごらん願います。都内の年齢区分別医師数でございます。
平成十年十二月三十一日現在の都内の年齢区分別の医師数と、そのうちの小児科医師数及びその割合をそれぞれ記載してございます。
次に、二〇ページをお開き願います。都立清瀬小児病院及び八王子小児病院における十六歳以上の患者の状況でございます。
(1)の患者数は、都立清瀬小児病院及び八王子小児病院における平成十三年九月二十一日現在の入院、外来患者数、及びそのうち十六歳以上の患者数とその割合を記載してございます。(2)の治療例は、清瀬小児病院及び八王子小児病院における十六歳以上の患者の治療例を示したものでございます。
恐れ入ります。二一ページをごらん願います。花粉抑制に関する調査研究でございます。
産業労働局の資料により、項目別にその研究内容を記載してございます。
次に、二二ページをお開き願います。花粉症の治療法開発に関する研究でございます。
衛生局が大学に委託している花粉症の治療法開発に関する研究について、実施年度別にその研究内容の概要を記載してございます。
次に、二三ページをごらん願います。アトピー性疾患治療の基礎研究でございます。
財団法人東京都医学研究機構で実施しているアトピー性疾患治療の基礎研究について、平成八年度から十二年度までの研究実績と、十三年度以降の事業計画について記載してございます。
恐れ入ります、二四ページをお開き願います。平成十一年度包括外部監査の実施状況でございます。
平成十一年度に実施されました東京都の経営する病院管理に関する包括外部監査について、監査の期間、対象、監査の結果及び公表、監査の結果に基づき講じた措置の状況及びその公表の状況について記載してございます。
次に、二五ページをごらん願います。都立清瀬小児病院等の施設概要でございます。
清瀬小児病院、八王子小児病院、梅ケ丘病院及び府中病院の四病院について、敷地面積及び主要な建物の施設概要を記載してございます。
次に、二六ページをお開き願います。都内で飼われている動物の種類及び猫の推定個体数でございます。
(1)の犬につきましては、平成十三年三月末現在の狂犬病予防法に基づく登録数を記載してございます。(2)の特定動物につきましては、動物の種類別に、平成十三年九月一日現在の動物個体登録数を記載してございます。(3)の猫につきましては、平成十年二月から同年五月までに実施しましたアンケート結果及び現地調査に基づいた推定個体数を記載してございます。
次に、二七ページをごらん願います。都内で保護された動物の種類及びその数でございます。
平成二年度、七年度、十二年度の都内で保護された動物の数と、そのうち飼い主が判明した数を動物の種類別に記載してございます。
最後に、二八ページをお開き願います。都内で処分された犬、猫の数でございます。
平成二年度、七年度、十二年度の犬、猫の致死処分数を記載してございます。
以上、簡単ではございますが、ご要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○曽雌委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含め、先ほど聴取いたしました報告事項に対する質疑とあわせて本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○佐藤委員 きょうは、委員長を除く全委員の発言が予定されているようでありますので、手短に質問させていただいて、適切な答弁をお願いしたい、こう思うわけでありますが、四つの大きな柱で質問したいと思います。一つは、先ほどご報告がありました狂牛病の問題、もう一つが炭疽菌の問題、次は動物の個体識別の問題、そして最後に、たばこの問題についてお伺いしたいと思います。
最初に、牛海綿状脳症の問題、いわゆる狂牛病の発生が我が国で初めて確認されて一カ月近くたつんでしょうか、国がその場しのぎに小出しに情報を出すものですから、都民の間には、牛肉、そして牛肉の関連食品というのか、牛肉を使った食品等への不安がアレルギー的に広がっているのは事実であります。
衛生局の取り組みについて伺おうと思ったんですが、先ほどご報告をいただいた、狂牛病に対する東京都の安全確保対策ということで概要は理解してよろしゅうございますね。--じゃ、これは飛ばします。
不安解消に役立つ、こういうことだろうと思うんですが、そうはいっても、先週末のてんまつを見ても、珍しく東京都は早く対応したなと思った。衛生局は頑張って大したものだなと思った。極めてクロに近いグレーの狂牛病の牛が見つかったというので発表されて、対応策を急ごう、こうされていたわけですが、国へ持っていったらシロだった、こういうことになっちゃいまして、なかなか不安解消にはほど遠いような現状で週明けを迎えてしまった、こういうことだろうと思うんです。
衛生局は、九月末ぐらいから、先ほどのお話のように、牛の脳、脊髄、目玉、小腸の一部、いわゆる特定危険部位と呼ばれるところの肉の使用及び販売の中止、そして焼却を指導しているということでありますけれども、これで本当に都内に流通している牛肉を初めとする食肉の安全が確保できると考えていいんでしょうか。
○河津生活環境部長 ただいま流通、消費段階において安全が大丈夫かというお話だったかと思いますけれども、衛生局では九月二十八日から、食肉を取り扱っている飲食店、食肉関係製造業とか食肉処理業等へ立入指導をしておりまして、約二万軒の中で三軒あったわけですけれども、その方たちは、わかっていて保留していただいた、こういうことでございまして、使おうとしていたわけではなかったわけですが、そこのところを私どもの監視員が行って、特別区の職員もおりますけれども、それで特定部位を廃棄、焼却させたということでございます。
それで、今月末までには、いわゆる流通、消費団体の各業者のところはすべて立ち入るということを考えておりますので、それが終われば一通り完了する。さらに、十八日以降は全国的に、検査の上安全であるという検印が押されたものだけが国内に出回りますので、少なくとも国内の牛については、すべて安全なものが出回るというふうに考えてよろしいかと思います。
○佐藤委員 なるべく早く立ち入り等を済ませていただいて、安全だということを内外にアピールしてもらいたいなと思います。
都民の皆さんが不安を抱く一つの理由が、わかりやすくて、リアルタイムで信頼できる情報がなかなか手に入りにくい、こういうことだろうと思うんですね。今回、衛生局が局のホームページに狂牛病に関するQアンドAを載せた、こういうことなんですが、今後はこのホームページをさらに拡充していただいて、まさに適時適切といいましょうか、狂牛病に関する最新の情報を提供することを心がけていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○河津生活環境部長 ただいま先生からご指摘のありましたように、なかなかこれに関する情報がわかりづらいというご意見が都民の方からもたくさん寄せられておりまして、衛生局としても一刻も早く、できるだけわかりやすいものを、しかも、最新の情報を入れて立ち上げたいと考えておりました。少し手間取りましたけれども、十月十一日に立ち上がりまして、今は日々更新しておりますので、今回の検査法も、エライザ法というのはどういう検査法なのかとか、この後、仮に陽性だった場合には帯広畜産大学に持っていくわけですけれども、そういう関係がどうかということも絵入りで、今載せております。
そんなことで、まだ少しわかりづらいというところがあるかもしれませんけれども、都民の方のご意見を伺いながら、どんどん更新していくつもりでございますので、我々の努力もお酌み取りいただいて、できるだけ都民の方にご安心いただけるようにしていきたいと思います。
○佐藤委員 ここしばらく、皆さん、不眠不休で頑張っておられるということに対しては、心から敬意を表したいと思いますけれども、まさに牛肉関連産業といいましょうか、そういった食肉関連の業界は、存亡の危機といっても過言ではないぐらいの状況だろうと思うんですね。先週末も、よく行く焼き肉屋さんに行きましたら、お客がいない。私は、毎日牛肉を食べて頑張っていますけどね。ステーキ屋さんだってがらがらだし、そういった直接精肉を扱う以外の飲食店にも非常に大きな影響が出ているということをご理解いただいて、一刻も早く安全宣言を出していただくように要望させていただきたいと思います。局長に聞こうと思ったけど、結構です。
次の問題に移りますが、炭疽菌の話。
先ほどもお昼のニュースでやっておりましたけれども、アメリカで、炭疽菌を郵便で送りつけるということがまた発生しておりまして、死亡者も出ているという状況もあります。犯人はまだ判明していないとはいいながらも、恐らくあのテロリストの連中がやっているんでしょう。こんなことをいうと、うちに来ちゃ困るけれども、そういう状況ではないかと思います。アメリカの厚生長官は、炭疽菌の郵送自体がテロ行為だと非難したということがいわれておりますが、世界貿易センターのテロ事件や国際情勢もあって、アメリカの国民の中には、炭疽菌に対する、あるいは細菌といいましょうか、そういった生物兵器といいましょうか、そういったものに関する不安が広がっているのは事実だろうと思うんです。
我が国でも、かつてオウム真理教が炭疽菌をばらまこうとしたというようなこともあったわけでありますけれども、東京都におきましても、こういった卑劣な事件を想定した対策措置が必要であると思いますけれども、まず、日本の国で、素人に簡単に炭疽菌というのは手に入るものなのかどうか聞きたいですね。それから、炭疽菌というのは、どういう病気を初期症状的には起こして、どうなっていくのかということをお伺いしたい。それから、東京都内あるいは全国でも結構なんですが、炭疽菌による患者、感染者、あるいは死亡者の例というのはどのぐらいあるのか、それをちょっと教えていただきたい。
○金田医療福祉部長 炭疽菌についてのお尋ねでございますが、まず、炭疽菌が一般の方に容易に手に入るのかということでございますけれども、一般的には、炭疽菌は炭疽という病気にかかった動物とか、人から分離されますが、国内で炭疽にかかった動物がもしいるとすれば、その動物につきましては、家畜伝染病予防法で厳重な対応が行われております。また、さらに炭疽菌については、同じ家畜伝染病予防法により、検疫などの管理も義務づけられていますので、一般の入手は困難と考えております。
それから、炭疽菌というのはどういう病気を起こすのかということでございますけれども、一つは、正常な皮膚ではなくて、少し傷のついたような皮膚に炭疽菌がつきますと、そこから潰瘍を起こす皮膚炭疽、それから、炭疽菌を吸い込みますと肺の炎症が起こる肺の炭疽、それから、炭疽菌に汚染された食べ物などを食べることによって起こり、腸炎を起こす腸炭疽などがございます。皮膚炭疽の場合、または肺炭疽とか腸炭疽でも、初期の場合は抗生物質によって完全に治癒いたします。しかし、肺炭疽や腸炭疽が進行し、全身症状が出た場合には、抗生物質でも治療は困難となります。
また、全国、都内でどのぐらい起きているかということでございますけれども、発生例につきましては、全国では一九七〇年代に九名、一九八〇年代に二名、また、一九九〇年代に四名の届け出患者がございまして、国内でも少数の患者の発生が続いております。都内では一九九四年、平成六年に八十歳以上の男性が一名、炭疽として届け出されております。
亡くなった方でございますが、死亡につきましては、全国でも一九八三年、昭和五十八年に一例届け出があるのみで、それ以降は死亡の届け出はございません。
○佐藤委員 今のお答えによりますと、発症例といいますか、患者さんの数も非常に少ないということでありますので、炭疽菌による発熱や何かというのはなかなか見分けにくい、ドクターだってなかなかわからない場面が出てくるんじゃないか、私はそう思うんですね。
もし都内において炭疽菌や何かの異常な感染症の発生があった場合、危機的な管理といいましょうか、どういう対応をされるのか、それを伺いたいと思います。
○金田医療福祉部長 都内において患者さんが出たとき、あるいは異常な感染症の発生があった場合、どうするかということでございますけれども、東京都では、常に都内における感染症の発生状況を把握し、随時、原因の調査や対策等を実施しております。また、都内の十病院を感染症指定医療機関として指定し、感染症の専門的な医療を提供する体制を確保するとともに、非常の場合の医薬品の備蓄体制を整備しております。
今回の米国におけるような感染症の異常な発生があった場合には、健康危機管理マニュアルなどに基づきまして、国や関係機関と共同しながら直ちに調査を開始し、その原因を解明していく。また、患者に対しましては、感染症指定医療機関等を中心に専門的な医療を提供するようになっております。
さらに、感染症の調査結果や治療に関する情報などを都民に的確に提供し、医療機関などにおいて治療に役立てるなど、都民の安全確保に万全を期しております。
○佐藤委員 ひとつしっかり安全確保をしていただきたい、こう思います。都民の皆さんが安心して日々暮らしていくためには、今後とも異常な感染者の発生を迅速に把握して、行政が適切に、かつ早い対応をするということが何よりも重要だろうと私は思います。
今回の出来事をきっかけに、これは狂牛病の件もそうだと思うんですけれども、東京都における危機管理体制、衛生局における危機管理体制というものを、より一層強化していただきたいと思いますが、局長、ご決意をひとつお願いします。
○今村衛生局長 未知への恐怖に対する不安からパニックを起こすことが一番問題があるということでございまして、狂牛病についても、炭疽菌についても、まずは不安を取り除くことが先決でございまして、そのためには正確、迅速な情報提供が必要であろうし、また、万全な行政側の対応が必要であろうと考えておりまして、こういうことに向けまして最大限の努力をしてまいると考えております。
○佐藤委員 一転して和やかな話になりますが、次の動物の個体識別の話をさせていただきます。
おととしでしょうか、新動物愛護法が制定されました。動物というものが、物から、生きているもの、命あるものというふうに変わって、人と動物の共生という観点から、飼い主の所有者責任というのが明記されたわけですね。飼い主の所有者の責任というのは、動物の所有者が明確になって初めて問えるものだろうと私は思いますが、責任を全うすることというのはどのように考えますか。
○河津生活環境部長 ただいま、飼い主の責任を全うするということについてでございますけれども、これは昨年、改正された法が施行されたわけですが、動物の所有者というのは、命ある動物の飼い主として、動物が自分の所有するものであることを明らかにしておくように努める旨の規定が設けられております。
飼い主が簡単に自分の動物を捨ててしまうということでなくて、一度飼ったからには責任を持って飼い続けなければいけない。そういう意味で、自己の所有であることを明示することによりまして、逸走した場合、逃げ出した場合には、飼い主発見の促進とか動物の遺棄の防止を図る、こういう観点で法律が設けられたんですけれども、とことん飼い主が責任を持ち続ける、これが大事であるということだと考えております。
○佐藤委員 そういうことなんだけれども、数字を見ますと、平成十一年度の数字ですが、捨てられちゃったとか、逃げちゃったとかということで処分された犬、猫が、全国で四十二万頭いるというんですね。そのうち、犬が十四万五千、猫が二十七万四千でありますけど、その中で、個体が識別されて、飼い主のもとに帰ることができた動物はわずか二万頭だと。残りは飼い主のもとへ帰れないまま、あるいは意図的に捨てられたまま処分されちゃった。処分といえば聞こえはいいけど、殺されちゃったわけですね。これは、特に猫が多いんですね。資料を見てわかるんですけれども、一万匹保護されて、十七匹しか飼い主がわからない、こういう状況にあるわけであります。
ところが、先ほどの新動物愛護法では、動物の所有者は、動物が自己の所有にかかわるものであることを明らかにするための措置を講ずるよう努めると書いてあるんですね。このためにも、個体識別ということが非常に大事な問題になってくるだろうと私は思いますけれども、どういう方法を講じたらいいと基本的にお考えになっているか、伺います。
○河津生活環境部長 個体識別につきましては、犬の場合ははっきりしておりまして、狂犬病予防法がございますので、飼い主は登録鑑札と狂犬病予防注射済票を犬に装着していく義務がございます。それ以外の動物につきましては、実態としては、首輪とか足輪などに飼い主の住所とか氏名を書いているということが一般的でございますけれども、最近では、マイクロチップというものを動物の首の後ろに埋め込むようでございますけれども、そういう方法も登場してきているということがございまして、そういうこともこれからは視野に入れていかなければいけないかなというふうに考えているところでございます。
○佐藤委員 今、鑑札という話が出たんですが、東京都の獣医師会の調査では、対象が三千四百頭のうち、一七・八%しか鑑札がついていないというんですね。犬の登録をしてあるものに限っても、二〇・三%しか鑑札がついていない。品川なんか特にひどくて、九%しかついていないんです。考えたら、うちの犬もついていなかった、こういう恥ずかしい話があるんですが、大変申しわけないと思っていますけれども……。
要するに、犬以外では全く個体の識別ができていないということなんですね。先ほど数字も申し上げたように、とにかく猫が一万匹保護されて、十七匹しか飼い主がわからない。しかも、都内には推定で百十六万匹、猫がいる。こういう状況の中でありまして、資料の数字を見ましても、もう少し一歩進んだ個体識別ということを考えていかなくちゃいけないんじゃないかと私は思っておりますが、いかがお考えになっているか。
それから、十月一日からインターネットで収容されたというのか、捕まえたというのか、保護されたというのかあれですが、犬、猫について情報を東京都が流し始めた、こういうことなんですが、約二週間たっているわけですけれども、これまでどのぐらいアクセスがあったのか、どのぐらい飼い主が判明したのか、わかれば教えていただきたいと思います。
○河津生活環境部長 ただいま二点ございまして、もう一歩進んだ個体識別ということでございますが、これは幾つかの条件整備が必要かと思いますけれども、先ほど申し上げましたマイクロチップの導入ということが一つあろうかと思います。
それから、この十月一日から東京都が始めましたインターネットによるサービスですけれども、これは動物保護相談センターに保護、収容されました飼い主不明の動物につきまして、画像入りといいましょうか、写真を撮りまして、犬とか猫の写真を載せたホームページでの情報提供を始めております。これは十月一日の開始から、昨日十五日までですが、アクセスの数でいきますと、四万三千二百八十九件でございます。ただ、これは一人の人が幾つもアクセスいたしますので、実数にいたしますと、それでも三千九百人の方がそれを検索しておられます。そういう意味で、都民の注目の高さというものがうかがえるように思っております。
○佐藤委員 ひとつそういった新しい考え方も活用していただきたいと思います。
次に、野生の動物の問題なんですが、絶滅寸前の野生動物の保護というものが大変大事な問題だと思いますけれども、種の保存でありますとか、あるいは生態系の把握の問題、自然環境保全という目的を達成するためにも、野生動物の個体識別ということも必要になってくるんじゃないだろうか。特に、野生動物の販売については、鳥や何かも含めまして、ワシントン条約で輸入が禁止されているものがたくさんあるわけですね。または鳥獣保護法とか、天然記念物であるなどの遵守義務を犯しているものも多々見受けられるようであります。こういった場合においても、個体識別ということなしに、こういう目標を達成することはできないだろうと私は思いますが、この野生動物の問題についてはどうお考えになるのか。
さらに、資料もいただきましたけど、危険動物、あるいは特定動物においても、最近、東京都にも猿がうろうろしているなんていう話もありましたけれども、所有者責任を問うための個体識別というのは非常に重要だと思いますが、その辺はいかがお考えになりますか。
○河津生活環境部長 マイクロチップというのは、個体識別に大変有効な手段と考えておりますけれども、野生動物とか特定動物等の、人間にとって、使い方によって危険性のある動物ということで、猿とか、ワニとか、ヘビとかいうものが入るわけですけれども、そういうことについてということで、これはマイクロチップがうまく挿入できればいいんですけれども、野生動物はなかなかおとなしくしていないものですから、職員の方もどうやってチップを埋め込むかという安全上の問題もございますし、それから、データベースをどういうふうにつくり上げるかとか、そういう意味で、検討をしなければならない問題がさまざまにあろうかというふうに考えております。
○佐藤委員 今、たまたま検討という話が出たんですが、そういった個体識別に対する検討委員会みたいなものを立ち上げてもらって、前向きに考えてもらいたいなと私は思っています。
ちょっと観点を変えますが、三宅島が全島避難をしましてから十三カ月過ぎたわけであります。一年を過ぎたわけでありますけれども、島から、ペットを中心に動物たちも都内に避難してきているわけですね。このことについては、東京都あるいは三宅村、動物救護本部が三者協定をされて、日野市に救援センターを設置して救援活動をやられているところでありますが、行政が積極的に災害時の動物救護にかかわって支援しているという画期的なケースであります。これは高く評価しますし、また、各方面からも大変に評判がいいところであります。
ところが、今回の災害というのは、火山ですから、ゆっくり災害が襲ってきた。ある意味では、予測できた中で災害が起こってきたわけでありますが、ということは、動物たちの所有者の特定が簡単に行えるような状況下の中で、保護あるいは収容された、こういうことだと思うんですね。
ところが、これはあんまり考えたくないことでありますけれども、例えば、東京を中心として関東大震災クラスの地震が発生した場合に、これは想像でしかありませんけれども、恐らく何十万頭というペットといいましょうか、コンパニオンアニマルといわれるものが収容施設に保護される状況になってくるだろうと思うんですね。これらの被災動物の飼い主の引き取り、あるいは里親を探したりとか、けがの治療時の飼い主の承諾、あるいは死んじゃった場合の確認とか埋葬ということについては、個体識別が非常に大事なポイントになってくるんじゃないだろうか。
似たような質問になりますけど、こういった災害時の動物保護対策の個体識別ということについては、どういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
○河津生活環境部長 今、先生に具体的にお話をいただいたとおりだと思います。大混乱のときに、しかも、動物も家族の一員でございましょうから、探すとか、あるいは飼い主がわからなくなったままうろうろしているとか、あるいは傷ついた動物、さまざまあろうかと思います。そういう意味では、こういう制度ができますれば、それが一番有効な手段であるというふうには思っております。
○佐藤委員 マイクロチップの話になるんですが、先般、新聞を見ましたら、都市基盤整備公団が江東区にペット共生住宅というのをつくるそうであります。その中で飼われる猫については、飼い主や何かのデータを記録したマイクロチップの埋め込みを義務化する、こう発表しているんですね。
都営住宅におけるペット、コンパニオンアニマルの飼育については、現在、都営住宅内動物飼育に関する検討委員会というのがあるそうですが、そこで最後の詰めをやっていらっしゃる最中だということでありますが、そのためにも、いろいろな意味で、集合住宅で、自治会を中心とせざるを得ないかもわかりませんけれども、ペット飼育に関するルールづくりが必要不可欠になってくる、それには、所有者の責任というのが明確化されることが要求されてくるだろうと。責任を問う場合には、また繰り返しになっちゃいますけど、個体識別が徹底していなければどうしようもないことなんですね。それはうちの猫じゃありませんといえば、それまでですから、個体識別が非常に大事になってくるわけであります。
例えばルールづくりの中では、飼育頭数の制限であるとか、敷地内で野良猫、野良犬なんかにえさをやっちゃいかぬとか、そういうルールづくりもしなきゃならない中で、容易に個体識別というものができるような体制をとらなきゃならぬだろうと思いますが、今申し上げた都市整備公団のように、マイクロチップというものを明確に打ち出していくということが非常に大事なことになってくると思いますが、その辺はいかがお考えになりますか。
○河津生活環境部長 個体識別についてマイクロチップが大変有効である、こういうことはご指摘のとおりだと考えております。今後の問題点として、そういう意味でどう進めるかということにつきましては、データベースとか、その後の管理をだれが主体となってやるか、こういう体制づくりとか、マイクロチップを装着したものの読み取り機が適切に作動しないと全然わからない、これは登録されていない犬だ、あるいは猫だで終わってしまうこともございますので、機器の開発とか、そういったことがいろいろ課題になってこようかと思います。
○佐藤委員 そろそろやめますけれども、日本動物愛護協会、あるいは日本動物福祉協会、日本愛玩動物協会、日本動物保護管理協会、こんなにたくさん動物関係の公益団体があるそうですけれども、この公益四団体が立ち上げました動物愛護推進協議会の目的事業で、これまで私が質問してきました、個体識別に関してはマイクロチップによるものが最優先であるというような問題提起をしていることもあります。新動物愛護法というのは環境省の所管でありますけれども、これらの施行については地方自治体の努力にゆだねる、こういうことになっておりますので、東京都所管である東京都獣医師会も、他の愛護団体と連携をしながら、マイクロチップの導入について積極的に取り組まれておるところであります。
ただ、幾らマイクロチップを普及させたって、今、部長がちょっと触れられたけれども、データを読み取ることができなければ何にもならないわけであります。つまり、例えば都内の動物保護相談センターというのがありますね、そこにアーチ型のリーダーを設置するとか、ハンディータイプもあるそうですけれども、そういったマイクロチップの情報を読み取るような設備を常設していただいて、前向きに取り組んでいただきたい、こう思っておりますが、その点についてどうお考えになるか。そして、仮に相談センターに設置する場合に、予算的にどのぐらいかかるのか、わかれば教えていただきたいと思います。
○河津生活環境部長 ただいまのシステムができ上がりますには、できる限り、都内であれば広いところで、さまざまなところに読み取り機があって読み取れる、それから、一カ所でしっかりとデータベースを持ってということになろうかと思います。そういう意味で、動物保護相談センターでは、そういう体制を--今、民間団体が動いているのは承知しておりますので、そういう動向を見守りながら、適切に今後対応を図ってまいりたいと考えております。
費用の点ですけれども、読み取るだけであれば、ハンディータイプは三万円というふうに聞いております。ただ、動物がおとなしくしているかどうかとか、その辺のテクニックがあるというふうにも聞いております。輪っかを置くというんでしょうか、ある部分を通して、通るだけで読み取れるというものは五十万ぐらいと聞いております。ですから、読み取り機を置くだけであればそれぐらいの予算でございますが、そのほか、チップを埋め込むために幾らとか、そのために仮に会員になるのであるならば、そのための手数料のようなものもほかにあろうかと思いますし、幾つか検討することはあろうかと思います。
○佐藤委員 今、いろいろな問題があるということでありますので、ひとつ検討委員会等も立ち上げていただいて、積極的にこの問題について取り組んで、悲惨な犬、猫を少しでも減らしていただきたい、このように要望をさせていただきまして、最後のたばこの話に移りたいと思います。
またかといわれるかもしれないんですが、毎回聞いて大変申しわけないんですが、たばこと健康の因果関係についてお聞きしたいなと、こう思っています。
健康プラン21、それが出るんですね。その中で、たばこと発がんの問題についてある程度触れられる、こういうことなんですが、どんな表現になるのか、ちょっと教えていただきたいなと思います。
○長岡健康推進部長 東京都健康推進プラン21は、国の健康日本21の地方計画として、現在策定に向けて最終的な調整作業を行っているところでございます。この中で、肺がんと喫煙の因果関係につきましては、喫煙者が吸い込む煙はもとより、周囲の人が吸い込む受動喫煙によっても肺がんなどの発症のリスクは高まるという、これまでの疫学調査の結果を盛り込む予定としております。
○佐藤委員 今、受動喫煙という話が出まして、私も実は、たばこを横で吸われちゃうとせきが出たり、目がしょぼしょぼしちゃったり、見かけによらずデリケートなものですから、そういうことで苦しんでいる一人であるわけでありますが、たばこというのは、まさに嗜好品ですね。嗜好品でありますから、吸う吸わないは、まさに個人の自由でありますし、あるけれども、実際に他人の吐いたたばこの煙でせきが出る、たんが出る、目が痛い、症状が出る人がたくさんいるわけであります。たばこを吸う人でも、人の吐いた煙は嫌だ、こういう人が多いわけですね。
今、新幹線なんか、喫煙車はたばこがもうもうだから、たばこを吸う人でも乗るのは嫌だ、こういうような状況にあるわけでありまして、歩行中の喫煙なんてもってのほかでありますけれども、やっぱりたばこを吸う人のマナーが悪いんですね。私の事務所の前はバス停がありますけれども、バスが行っちゃった後、たばこの吸い殻ばかり。そういうことで、愛煙家の皆さんは、自分自身でたばこを吸える場所をますます狭めているといってもいい過ぎでないような状況だろうと私は思うんですね。
ですから、吸っていい場所、いけない場所、吸うことを遠慮する場所、すなわち分煙をもっとしっかりしてもらいたいと思っております。お吸いになってがんになるのは勝手ですから、私は構わないと思いますけれども、分煙していただいて、正しい喫煙マナーを徹底していただきたい。
この問題をいいますと、必ずたばこ税のことがいわれるんですよ。おれたちは体を張ってたばこを吸っているんだ、こういう意見がよく出る。確かに区市町村部を合わせると、東京都全体で、昨年は千三百八十二億円のたばこ税が入っているんですね。やっぱり千三百億というのはでかいね、金額的には非常に大きい。品川区でも、恐らく二十億から三十億ぐらいのたばこ税が入っているわけであります。でかいけれども、本当に都民の健康にたばこが害があるというのであれば、愛煙家のかすりを取るようなせこいことをしないで、税金なんか要らないというぐらいの気持ちを持って、分煙をしていただく、たばこ対策に力を入れていただいて、正々堂々とたばこを吸える場所をつくっていただく。そうすれば、たばこを吸う方の権利も守られるし、あるいは、たばこで生計を立てている皆さん方も胸を張って、その方々にたばこを売れるだろうと思うのです。
今、喫煙というのが何か後ろ暗いような方向になってきた。そういうことではなくて、吸えるものはきちっと吸っていただいて、吸わないところではご遠慮していただくというような制度を、もっときちっと確立していただく。そういうことについて力を入れていただきたい、こう思いますが、いかがでございましょうか。
○長岡健康推進部長 東京都は、平成九年五月に作成いたしました東京都分煙ガイドラインに基づきまして、ポスター、ステッカー及びリーフレットの配布を行っておりまして、公共の場所や職場の分煙化を推進しているところでございます。今後とも、それぞれの場で自主的に分煙化が推進できるよう働きかけてまいります。
○佐藤委員 吸う人、吸わない人、双方の権利がしっかりと守られていくように、よろしくお願いしたいと思います。
以上で私の質問を終わります。
○樋口委員 私は、小児科医療に大変関心があります。今、小児科が大変減少しております。ここの資料にもあるように、見せていただきましたら、小児科を標榜している病院は、何と九〇年から九九年、その間十年間で、都内では二四%も少なくなっていて、減少率は、都内の人口のそれよりも五ポイントも大きくなっています。小児科の医師は減少しております。資料でもありましたけれども、このままでは小児科のお医者様はいらっしゃらなくなってしまうんじゃないか、そんな危機感がひしひしと伝わってまいります。
小児科のお医者様は減少し、高齢化しています。平成十年度の調べですけれども、一般の医師の平均年齢が四十七・二歳、それに対して小児科は五十六・九歳、そんなに差があって、五十歳以上の方が何と六〇%以上を占めている、そういう形になりました。調べさせていただきました。
一方、ゼロ歳から十四歳までの一般診療医療費は八万四千円に対して、七十五歳以上の方は九・何倍、七十六万二千九百円なんです。小児科の医療というのは、手間と時間がかかり、また、医業報酬が他科の先生に比べて半分以下という、時間外診療も大変多くて、お医者様そのもののなり手が非常に少なくなってきているように思います。今や、小児科は、厚生労働省の医療費抑制政策以来、不採算部門として激減し続けており、現場の医師は慢性的な長時間勤務を強いられています。小児科医の過労死、自殺までありました。
さて、そこでなんですけれども、平成十二年九月十四日、東京都救急医療対策協議会から、東京都における今後の小児救急医療体制のあり方の報告が出されました。この報告書が指摘しているように、小児医療の充実を図るためには、診療報酬制度の抜本的な改善と小児救急医療のカリキュラムの整備充実により、小児科医師の養成、確保を図ることが重要であると考えられます。激減する小児科医師、そして小児科の医療機関について、東京都の取り組み、対策はあるのか、また、国の取り組み状況についてお伺いをさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○奥田医療計画部長 小児医療についてのお尋ねでございますが、小児科を担当する医師あるいは医療機関の確保のためには、基本的には、その医師の計画的な養成と診療報酬の改善が必要というふうに考えまして、国にもその旨要望しているところでございます。
それから、都内には、小児科医師の不足を克服するために、複数の小児科の診療所のドクターが協力して救急診療に当たっている、そのような工夫を凝らしている例もございます。これらの先駆的な取り組みを参考といたしまして、ことしから小児初期救急医療体制整備支援事業を開始いたしました。この事業の推進を通じまして、都としての支援策のあり方を検討してまいりたいと考えております。
それから、国の状況はどうなっているんだというお尋ねでございますが、小児救急医療拠点病院運営事業という事業を新たに来年創設するという方向で、そのほか幾つかの施策を概算要求している状況でございます。
○樋口委員 現場の小児科は、慢性的な人手不足と激務であります。また、小児科の先生というのは女性のドクターが大変多くていらっしゃいます。四〇%から五〇%というのが女性のドクターで占められているんですけれども、こんな激務の状態では、子育てと仕事を両立しようと思っている女性のドクターの方は、小児科をあきらめてしまうんじゃないか、そんなことがとても心配であります。
ことしの十月、今月に入ってからも、大岡山にあります東急病院の小児科がなくなりました。そしてまた、母子保健院も廃止となります。そして、清瀬も八王子も梅ケ丘も、この議会ではお話しするべきではないかもわからないんですけれども、東京都共済組合の青山病院も、その小児科が今消えようとしております。都が職員の給与を出しているということで、少し公に近いような病院ですら、こういった形で小児科が消えていく。その実情を見るに、幼い子どもを持つ母親の視点としても、このままではいけないという思いがひしひしと伝わってきております。
社会保障における所得配分の大変少ない世代に生まれ育つこの子どもたちにとって、どちらかというと、強い立場ではない、弱い立場である子どもたちにしわ寄せが来るようなことがないように、ぜひぜひしていただきたいと思っております。
そこで、東京都における今後の小児救急医療体制のあり方、その報告に基づいて、東京都は今年度から小児救急モデル事業を始めており、ことし三カ所、来年もう三カ所、計六カ所予定されていますが、今の時点でまだ二カ所だけです。見通しがあるのかどうか、お聞きしたいと思います。また、日によって変わってしまう小児科の輪番制度ではなく、だれでもわかりやすい、あそこに行けば必ずやっているというような固定施設による救急医療体制を、入院を必要としないお子さんでも、整備を図ることが望ましいと思いますが、どう思われますか、お答えいただけませんでしょうか。お願いします。
○奥田医療計画部長 小児初期救急医療体制整備支援事業でございますが、ただいまお話にございましたとおり、既に練馬と葛飾の二カ所で開始しております。残り一地区でございますが、現在、事業を立ち上げるために関係機関の合意形成に向けて協議しているということで、いずれにいたしましても、引き続き計画の達成に向けて努力してまいる所存でございます。
それから、都民にわかりやすくて、利用しやすい初期救急ということになりますと、ご指摘のとおり、身近な地域で固定施設で実施されることが望ましいということになろうと、私どもも考えてございます。都は、区市町村が実施いたします休日夜間急患センターの施設等の整備に対しまして、その経費の補助をしているところですが、固定施設がまだ設置されてないという区市町村もあるのも事実でございますので、今後とも、その支援に力を入れていきたいというふうに考えてございます。
○樋口委員 単なる目標設定だけではなくて、きちっとこの数値目標をなし遂げていただきたいと、心からお願い申し上げます。
さて、核家族化、少子化、そして共働きの家庭がふえる中で、育児に対する不安が大変増しております。救急患者が増加している。それからもわかるように、つまり、子育ての知識や体験が伝わる機会が乏しい、そのために、どうしていいのかわからなくて、お医者様に飛び込むこともあります。私は、固定施設で初期救急、あるいは二次救急を行ってほしいとは思いますが、せっかくでしたら、医療行為だけではなく、病院に行こうか行くまいか、その状態のときにでも、電話で相談でき、またはインターネットを使って、初期の医療保健相談を二十四時間行えるような体制も必要だと、私は思っております。
例えば、子どもが泣き出した、熱がある、どうしたらいいんだろう、母親としてはおろおろしてしまいます。汗をかいている、発疹はない、いろいろと母親は母親なりに考えていくと思います。お電話したときに、口は乾いているかとか、冷やすときに、どこの場所を冷やしたら一番効果的だとか、そういったことも教えながら、また、もしかすると、背中の中の髪の毛一本のためにむずがゆくて泣いているのもかもしれない、赤ちゃんの場合はそういうこともあるんです。
ですから、そういったアドバイスをしながら、そこの家から、非常に心配であったときに一番適切なところを紹介できるような、そういった血の通った医療相談を二十四時間受けられるような体制が、小児科にとっても、小児にとっても、とても必要なのではないでしょうか。
核家族化の中では、子どものことが心配で、だれかに相談したり、診ていただきたいと思うものです。私は、衛生局の分野だけではなく、家庭支援センターや保育園や幼稚園、小学校など、東京都のもろもろの機関が連携して、子育ての不安解消と、そして負担の軽減を図っていくべきだと考えております。次世代を担う子どもたちを健全に育成することは、親はもとより、社会の大きな責務だと思います。縦割り行政を超えて、よく考えていただきたいと願いつつ、次の質問に移らさせていただきます。
マジックマッシュルームというものをご存じでいらっしゃいましょうか。マジックマッシュルームというのはキノコの一種でして、原産国がアメリカとか、タイとか、東南アジアが多いところなんですけれども、そのマジックマッシュルームというのは幻覚剤が含まれております。幻覚剤によっていろいろと幻覚作用を起こすんですが、そのマジックマッシュルームが鑑賞用として今売られております。例えば、都庁のすぐそばの新宿だ、赤坂だ、六本木だ、そういった繁華街でも、袋に入って、ちょうどエノキが干からびたような形なんですけれども、そういったものがほんの数本入って、二千円とか、三千円とか、またインターネットでは、何グラム幾ら、大体グラム当たり二百円から、高いものですと三千円ぐらいのものが今あります。そのマジックマッシュルームは、飲み物とか、食べ物とか、そういうものに入れるようなことまで、インターネットでは指導しているようでございますけれども、これは脱法ドラッグといわれるものです。
ついこの間、記憶に新しいところでは、俳優がマジックマッシュルームを食べて救急車で運ばれたというテレビ報道がありました。しかし、彼は翌日からしっかりと報道機関の中に出て、普通に、何のとがめもなく生活を送っているという形です。つまり、所持していても、また購入しても、これは合法的であって、植物ですから、麻薬でも何でもないから、何の規制もないのです。しかしながら、この中のシロシビン、シロシンという成分は、先ほどもお話しさせていただいたように、幻覚作用があります。そういったものをこのまま放置していいんだろうか。私は、年ごろの娘を持っておりまして、その娘のことも考えますと、大丈夫だろうかと思ってしまいます。
ある方から聞きました。美術のときは、より創作意欲が出るように、このマジックマッシュルームを口の中に入れるんだと、そんな話まで学校の中に出てきているんです。
法制化されるということですけれども、このマジックマッシュルームを代表とする脱法ドラッグに対する東京都の現状認識、そして、見解及び啓発を具体的にお聞かせいただけませんでしょうか。よろしくお願いします。
○大屋薬務部長 マジックマッシュルームを含めましたいわゆる脱法ドラッグにつきましては、ご指摘のように乱用が広がっており、憂慮すべき状態にあるというふうに認識しております。このため、都では脱法ドラッグの買い上げと成分検査を行いまして、違法性が判明した場合には、販売停止あるいは回収を指示し、店頭からの排除に努めております。また、今年度から警視庁あるいは関係省庁等と連絡会を設置いたしまして、脱法ドラッグの監視の強化を図っているところでございます。
また、あわせて、青少年層を対象にした啓発事業や、ホームページに危険性情報の掲載を行うなどして、薬物乱用防止の普及啓発に取り組んでいるところでございます。
○樋口委員 ぜひ青少年のためにも、こういった脱法ドラッグを取り締まるような形、規制するような形をとっていただきたいと心から願っております。
さて、私たちの住む日本は世界一の長寿国となりました。一方、多くの国民、都民の皆さんは健康に対する関心が非常に高くなっています。そのような中で、まちの薬局、薬店の果たす社会的な役割も重要になってきていると私は思います。
まず初めに、国の医療行政の施策の中で医薬分業の推進が挙げられると思います。この医薬分業をなぜ推進するのか、また、東京都の現在の分業率と、今後の--今後といっても二十年、三十年というスパンではなくて、今後の推移はどのようになっているのか、あわせて衛生局のご見解をお尋ね申し上げます。
○大屋薬務部長 医薬分業につきましては、医師、歯科医師と薬剤師がそれぞれの専門知識を発揮することによりまして、医薬品の有効かつ安全な使用を確保し、医療の質的向上を図るために推進しているものでございます。そして、そのメリットでございますが、薬剤の重複投与や相互作用による副作用を未然に防止し、患者が服用いたします薬剤につきまして、適切な情報提供が受けられるというふうなメリットがございます。
また、お尋ねの東京都内の分業率でございますが、日本薬剤師会の調べで、平成十二年度で五三・三%ということになっております。毎年これは四ポイントずつ伸びておりますので、当面この傾向は続くのではないかと認識しております。
○樋口委員 薬事法では、薬剤師の専門業務は薬剤と規定されていますが、今後、分業率の高まりで薬剤師の不足が問題になってくると予測されます。処方せんというのは、普通の薬局では、院外薬局では一日当たり四十枚という規定があります。昨年一年間で、処方せんだけで四百七十万枚増加しました。一人の薬剤師さんが年間可能な調剤枚数というのは、現薬事法及び現状から推定しますと、年一万枚ぐらいだと思います。つまり、これだけでも、昨年よりも四百七十人多く薬剤師が必要になってくるという現状です。そうしますと、いわゆる薬店、つまり一般販売業のことなんですけれども、そういったところに従事される薬剤師さんは、ますます不足していくと思われます。
しかし、医薬品という安全性が求められるものに対して、都民や患者さんへの情報提供は大変重要だと思うのですが、都としてのご見解をお教えいただけませんでしょうか。
○大屋薬務部長 医薬品につきましては、有効性とその安全性は不可分であるということから、適正使用につきまして、患者に積極的に情報提供をしていくことが必要となっております。このため、薬の効能、使い方、副作用などにつきまして、薬局や薬店の窓口で薬剤師が服薬指導などを行うことが重要であるというふうに考えております。
○樋口委員 一番最初に述べさせていただいたように、薬剤師さんが不足しているという現状の中で、日本チェーンドラッグ協会というものがあります。そこが進めているヘルスケアアドバイザーという制度というものを私は聞いたことがあります。これは、実際業務に携わり、豊富な経験と知識のある店員さんが厳しい試験に合格されて、都民や患者の皆さんに対して、的確な医薬品を初め、料理や生活習慣などの情報をアドバイスしていただけるというものなんです。
例えば、皆様方が風邪薬を買いに行ったときに、こうした方がいい、どんなものを食べた方がいいとか、諸注意をいただきますよね。そういったことなんです。そういったアドバイスをいただけるもの、ぜひ東京都もこのような現実的な解決策について前向きなご検討をお願いしたいと思います。
ことし七月、小泉内閣の規制緩和の一環として、内閣府の総合規制改革会議によって、ある答申が出されました。その中に、来年、平成十四年度から一般薬の全面販売自由化によって、管理薬剤師の届け出及び管理が不要になるということです。つまり、普通の小売屋さんでお薬が何でも買えるということ、そういったことをシミュレーションされていらっしゃるんです。
きょうまで一生懸命、東京都として薬事行政を通じ、都民の医薬品に対する安全性確保に対するご努力が、一夜にして水の泡と散ってしまうような国の動きに対して、ぜひ東京都もこの問題にもっとご関心を持って、国に対して働きかけをしていただきたいと思います。現実の実態に照らし、また、少子高齢化時代をにらみ、安全性と利便性を求められている、東京都がほかの道府県のモデルになるような、これまでの枠組みにとらわれず、新しい仕組みや新しい方法を考えていただきたいと心から願っております。
次の質問に入らせていただきます。狂牛病のことです。
私にとって、狂牛病というのは、何度も何度もフィルムが回り、牛が立てなくなったあの状態を見ていると、本当に日本は大丈夫だろうかと、いつもいつも思っておりました。狂牛病の発表は、第二の薬害エイズのような問題に発展しなければいいがと感じた方は、多数いらっしゃるのではないでしょうか。初めのBSE感染をした牛の発見後、東京都の対処の仕方が国よりも先行したことは、私自身もとても誇りに思っております。しかし、今回は、二頭目かと思われたBSEの牛は陰性とされましたが、危険部位がどの牛から採取されたのか記録されていなかった、そのことに対して、危機管理意識が希薄だったのではないだろうか、そう思ってしまうのは私一人でしょうか。
また、英国の狂牛病の報告以来、国から都への報告及び指導はどのようになされていて、今日現在まで、都としてどのように対応してきたのだろうか、そんな考えが私に芽生えました。そこで、昨年十二月から狂牛病が発生するまでの間のことを調べさせていただきました。
九九年十二月、厚生省中央薬事審議会、イギリスに滞在していた方の献血を禁止しました。これは二〇〇〇年二月、実施されております。そして、昨年十一月、ドイツで狂牛病が起こりました。そのときには保健大臣と農相がおやめになられました。そして去年十二月、厚生省の医薬品安全局は、発症国の牛由来原料の使用を禁止しました。そして、その月の二十一日、肉骨粉、牛由来の肉、臓器の輸入全面禁止になりました。そしてことしの一月一日、肉骨粉や牛由来の肉、臓器の禁輸措置。
そういった形でいろいろとあるんですけれども、そこの中で注目したいことは、二月二十六日から三月九日まで、BSEに関する専門研修実習が東京都でなされています。これは、北海道に行って研修をされていらっしゃったかのように聞いています。狂牛病が日本にあるかないかのときに、いち早くそういった措置をされたということに対しては、先見の明があったというふうに思った方がよろしいんでしょうか。
そして、ことし三月ですけれども、厚生省は、フランス、アイルランド、ドイツ、スイス、スペイン、ポルトガルに滞在していた方の献血を禁止しております。
そして、四月にはEU委員会から、日本は狂牛病リスクレベル三の報告書をもらっています。
それから、五月十二日、農水省は九三年から二〇〇〇年までの八年間、生きた牛、肉骨粉など、国内に輸入したリスクを試算しましたら、肉骨粉で換算して十キロというものが試算されました。五月三十一日には、ヤコブ病が百人を超えました。これはイギリスです。六月には、チェコにはまた狂牛病が発見されました。
六月十八日、農水省は、熊沢英昭事務次官、記者会見、EU委員会の警告を全面的に否定した。
そして、八月、農水省、永村武美畜産部長、国際獣疫事務局が、牛乳は安全だというふうな報告がありました。
こういったことから考えまして、そういったことに対して、つまり、狂牛病が起こるべくして起こり、既に国から都へと予想される問題に対して、事前に何らかの情報通達があったのではないかと疑いたくなるような動きに思えてなりません。わからない部分がたくさんあります。先ほど佐藤理事も、大変不透明な部分がたくさんあるということを再三再四おっしゃっていました。さまざまなうわさや憶測が飛び交い、不安が高まっている。風評被害で--これも佐藤さんがおっしゃったことだと思いますが、風評被害で大打撃を受けている業種もある、補償も早急に考えていかなくてはならないんじゃないだろうか、そういったこともおっしゃっていました。情報を開示することによって、危険を知り、積極的に安全性を知らしめる、私も佐藤理事と同じ思いであります。(笑声)
知事がおっしゃっていらっしゃいました。よらしむべし知らしむべらかず、そのようなことがないように、情報公開にどのように対処していくかということをぜひお考えいただきたいと思います。
本当は情報公開についてお尋ねしたかったんですけれども、河津生活環境部長にお話しいただきましたので、割愛させていただいて、牛由来製品というのは、私たちの生活に大変密着したものばかりです。だからこそ、何が安全なのかということを私たちは知らなくてはならないと思います。
例えば、ちょっと参考までに申し上げますと、ソーセージとかハム、また、ブイヨンとか、ビーフエキス、コラーゲン、ゼラチン、また、お好きなビールだとか、レバーペースト、マーガリン、シーズニング、スナック菓子、アイスクリーム、マシュマロ、プディング。医薬品においては、止血剤、外傷性ショック処置剤、ヘモグロビン・カルシウム強化剤、コラーゲン、人工血管もそうです。また、手術用の糸もコラーゲンの糸だと聞いています。ホルモン剤。プラセンタエキス、要するに化粧品のたぐいです。生活用品では、石けん、また、歯磨き粉、印画紙、にかわ、接着剤--写真用のもの。いかに牛由来製品が多いかということが、私は調べさせていただいて、改めて怖くなりました。
BSE感染牛発生以来、不安が高まる中、さまざまな憶測やうわさが先行しています。例えば、肉骨粉はレンダリング業者によって加熱、加圧処理されるんですけれども、中には加圧しない業者もあると聞き、その所在も明らかになりません。どうか、憶測とかうわさとかが暴走しないように、情報公開をこれからも発信していただきたいと思います。
もうすぐ三十分になります。ニューヨークのテロ災害で傷ついた方々を勇気づける元消防士が、テレビでこのようなことをおっしゃっていました。人々の愛と政府と神を信じなさいと。信じることのできるような政府であってほしいと、心から思います。
先ほど、冒頭で局長からご報告をいただいたように、医薬品は、昨年十二月の時点で、狂牛病発生及びハイリスク国の原料と危険部位は使用しないことになりましたが、我が国も狂牛病発生国として、今後、国内産原料を使用していく業者に対してどのような具体的な指導を行っていくのか、そのことをお教えいただけませんでしょうか。よろしくお願いいたします。
○大屋薬務部長 今回の国内での狂牛病発生を受けまして、厚生省から通達がございます。その中におきまして、日本産の牛等由来原料を医薬品等に使用していないかどうかを自主検査する、また、している場合については早急にその原料を切りかえるというふうなことの指示を受けておりますので、それに基づいて緊急監視をし、そういった安全な医薬品が供給されるように都としては万全を尽くしております。
○樋口委員 ありがとうございました。
○東村委員 さわやかな演説の後、少々厳しい質問をさせていただきたいと思います。
私の方からは牛海綿状脳症、いわゆる狂牛病対策と都立病院改革について質問させていただきたいと思います。
まず初めに、牛海綿状脳症、いわゆる狂牛病対策でございます。
去る十月十日、東京都中央卸売市場の食肉市場におきまして、と畜解体した牛のうち、狂牛病の疑いのある牛が一頭発見されるという衝撃的な事件が発生いたしました。検体の確定検査が陰性だったということは、不幸中の幸いではなかったかと思います。
我が党は、さきの第三回定例会の代表質問で、都民の不安を解消し、風評被害が起きないようにするため、正確な情報をぜひとも提供してもらいたい、このように都に要請いたしました。これに対して、早速、東京都は公式ホームページで、狂牛病QアンドAを二十二項目にわたり詳細に掲載されました。大変評価いたしております。中には、きょう手元に持っているんですが、十九番目に、疑われる症状があった場合にどこの病院に行けばいいんですかという、かなり突っ込んだところまで記載されております。
ただ、一点だけお願いしたいことがございます。それは、パソコンを扱えないという人が、実はかなりいるわけでございます。この人たちのために、ホームページだけじゃなくて、いろいろな情報伝達手段を使って、東京都はもっと情報を開示していかなきゃいけない。ホームページだけでよしとするのではなく、もっとほかの手段を使うべきだ。例えば東京都には、すばらしいMXテレビというのがございます。ここで、どんどん情報を公開する手段なんかも一つの手ではないか、このように考えておるわけでございます。ぜひとも東京都の見解を伺いたいと思います。
○河津生活環境部長 ただいま情報アクセスの問題をご質問いただきました。都民への情報伝達といたしましては、ホームページだけでよしとするな、こういうご意見でございます。ホームページも大変数が多くて、四万五千二百八十件、十月十一日から十五日の五日間でアクセスがございまして、一万九千八百七人という方が見ておられます。もちろん、これだけではなくて、これまでも産業労働局と中央卸売市場と三局での防疫会議、これも十二日まで、十二報までプレス発表をその都度しております。
そういうこともやっておりますが、今申し上げましたもののほかに、保健所等の広報紙とか、窓口での相談対応、また、今お話のありましたMXテレビによる東京都提供番組など、目的に応じた手段を用いることによりまして、できるだけ都民の方の隅々まで情報が届くように、ニーズに対応するように、正確で迅速な情報提供を行っていかなければならないと考えております。
○東村委員 できるだけ速やかに行っていただきたい、このように思っております。
また、狂牛病の発生原因は、実は輸入された肉骨粉であるといわれておりますが、ただ、正確な発症ルートは今のところ解明されておりません。今後は生産から流通、そして消費の、各段階におけるトータル的な安全確保体制づくりが不可欠であると考えております。
そこで、伺いたいと思います。今後は、と畜場から集荷される食肉の安全は確保されるという、先ほどの説明でよくわかりました。河津生活環境部長も若干触れられておりました。都民は、過去に集荷された狂牛病の牛の脳、脊髄、これらの危険部位を原料とした加工食品等があるのではないか、こういう不安を抱いているわけでございます。ぜひともこうした点について、もっと詳しく、具体的にどのような対策を考えているのか説明をしていただければと思います。
○河津生活環境部長 現在のところでは、既に出回っているものにつきましては、各メーカーに、それぞれ原料等を調べるように通知を出しておりまして、それについては保健所に報告をせよということになっております。それでは、保健所がどういうふうに対応するかということにつきましては、立ち入りの方は指導要領をつくりましたけれども、それぞれの報告についてもしっかり、もちろん虚偽の報告があるとは思いませんけれども、正確に聞き取るようにして、対策をしっかり考えていきたいと考えております。
○東村委員 狂牛病の発生の防止と、都民の健康と安全を守るため、ぜひともこれらの対策を早急に行っていただきたい、このように願っております。
次に、都立病院改革会議に関連して、何点か伺いたいと思います。
まず、都立病院改革の意義について改めて伺いたいと思います。簡潔で結構です。
○押元病院事業部長 都立病院改革の意義でございますが、医療を取り巻きます環境の変化を踏まえまして、都立病院が担うべき役割を見直し、これに応じた再編整備等を行うことによりまして、都民に対する総体としての医療サービスの向上を図るものでございます。
○東村委員 今、病院事業部長から、総体として医療サービスの向上を図ることが医療改革の意義である、こうおっしゃられました。
それでは、具体的に伺いたいと思います。私の地元の八王子小児病院は統廃合されて、府中に小児総合医療センターが建設されるんじゃないかということで、八王子小児病院を利用している方々は、今、大変に困っております。なぜ今、八王子小児病院、そして清瀬小児病院を府中に統合するのでしょうか、お伺いします。
○押元病院事業部長 都立病院改革会議の報告では、小児総合医療センターにつきまして、小児医療の現状を踏まえまして、限られた医療資源の有効活用という観点から、清瀬小児病院、八王子小児病院及び梅ケ丘病院を統合いたしまして、小児医療に関し、心から体に至る総合的で高度専門的な医療を提供いたします小児医療の拠点として整備すべきものとされております。
小児総合医療センターは、小児医療と成人対象の医療との密接な連携、あるいは周産期医療におけるハイリスク分娩などのフォロー体制を確保するために、広域基幹病院としての府中病院に隣接して設置すべきものとされております。
○東村委員 今、周産期医療におけるハイリスク分娩等のフォロー体制を確保するためと、このような答弁がございました。そもそも八王子小児病院は、将来、都の畜産試験場跡地に移転して、そこに周産期医療部門を設置し、拡充していくという方針だったのではないでしょうか。なぜ短期間にこのような方針が覆ったのか、これについてお伺いしたいと思います。
○押元病院事業部長 少子高齢化の進展や、あるいは都民の医療ニーズの増大、多様化に的確に対応し、都民が安心して受診できるような医療の提供を行うために、都立病院のあり方を不断に見直す必要がございます。このことを踏まえまして、都立病院改革会議では都立病院の果たすべき役割を改めて整理いたしまして、都立病院全体についてのあり方や再編整備を議論していただいたものでございます。
その結果、小児病院の単独施設としての移転案は、小児科医師の減少といった全国的な小児医療にかかわります問題や、周産期医療、成人後の対応など小児専門病院の課題の解決にはつながらず、合理的ではないという提言が報告書でなされたものでございます。
○東村委員 確かに病院改革会議の結論は、それなりの理屈があるとは思いますが、この結論は、これまでの衛生局の方針を百八十度転換してきたんじゃないかということ、また、地元の意向を全く無視したものであるんじゃないかということは、市民が声を大にしていっているわけでございます。これについてはどうなんでしょうか。
○押元病院事業部長 都立病院改革会議の場では、かなりの時間をかけまして、従前の小児医療の専門施設としての八王子市内移転案もあわせて検討していただいたものでございます。しかしながら、改革会議の委員の皆様からは、この考え方では、小児科医師の減少といった全国的な小児医療にかかわります問題や、周産期医療、あるいは成人後の対応といった小児専門病院の課題の解決につながらず、合理的でないというご意見が多数を占めまして、このような結論になったものでございます。
なお、報告書では、あわせて、八王子小児病院がこれまで地域で実態として果たしてきた地域医療機能につきまして、地元の自治体や、あるいは地域の医療機関との役割分担などを踏まえまして、地域医療確保の観点から支援策について配慮する必要があるとされているところでございます。
○東村委員 くどいようですが、確かに病院改革会議の方向性というのはわかるんです。ただ、私がいったのは、これまでの経過を全く無視したものじゃないですか、こういうことをいっているわけでございます。衛生局長、どうでしょうか。
○今村衛生局長 ただいま病院事業部長もご説明を申し上げましたが、今回の都立病院改革会議では、都立病院を取り巻く社会経済状況の変化等を踏まえまして、真に行政が担うべき医療は何かということを原点にまでさかのぼって議論を重ねた結果、総体として医療サービスの向上のために、都民の期待にこたえることのできる都立病院のあるべき姿を明らかにしていただきたいと考えておる次第でございます。都としては、この報告内容を尊重しまして、都民に対する医療サービスの向上という座標をしっかりと堅持いたしまして、その着実な実現を図っていかなければならないと考えております。
ただ、統廃合にかかわる地元自治体、特に八王子市民のこれまでのご期待というものに、今後マスタープランを策定するに当たって、沿えないような結果が生じるかもわかりませんけれども、その部分につきましては、先ほど事業部長がお答え申し上げたとおり、地域医療を、我々も加わって、しっかりと確保するという観点から検討してまいりたい、こう思っております。
○東村委員 なかなか話が平行線になりそうなんですが、ちょっと観点を変えたいと思います。
病院改革会議の報告が出た後、利用している人たち、そして地元住民から、東京都にどのような声が届いているんでしょうか。
○大塚病院企画担当部長 地元の皆様、特にお子さんをお持ちの方や、現在小児病院で受診している方々から、お手紙、お電話などによりまして、八王子小児病院がなくなるのはとても不安である、あるいは八王子市内で存続してほしいなどの声が寄せられております。
○東村委員 私は、先日、都立八王子小児病院の存続、拡充整備を求める親の会の皆様が集められた一万四千七百八十五名の署名の紹介議員として、代表のお母さん方と一緒に、石原知事あての要望書を携え、衛生局長のもとに参りました。わずか二週間でこれだけの数が集まったということは、多くの市民の方が同じような思いじゃないかと私は思うわけでございます。八王子小児病院にかかっている子どもたちの親は、大変不安になっております。この皆さんの声を聞いて、どのようにお感じになったのか、答弁を願いたいと思います。
○大塚病院企画担当部長 それぞれの患者さんたちの切実な実情を直接お伺いしました。大変なご苦労をなされていると感じました。今後は、こうした方々の実情も考慮した上で、患者さんが身近な地域で安心して適切な医療を受けられるよう、さまざまな取り組みを行うとともに、一方では、小児総合医療センターを拠点とする都内の小児医療全体のレベルアップも視野に入れて、よりよい医療の確保に努めていかなければならないと考えております。
○東村委員 確かに小児全体の医療のレベルアップ、これも大事なんですが、今、そのサービスを受けている、治療を受けている人たちのことを思えば、私は、きょう、何点か具体的な例を申し上げたいと思うんです。
例えば、十分、十五分のうちに駆けつけないと幼い命が奪われてしまう、そういう子どもたちを抱えているお母さん方がいます。わざわざそのために八王子小児病院の近くに越していらっしゃった、こういう話をじかに聞きました。この方たちに向かって、私は、じゃ、府中に行ってくださいなんていうことはいえません。これらのお父さん、お母さんの切なる願いに東京都はどうこたえるのか、ぜひとも話を聞きたいと思います。
○大塚病院企画担当部長 八王子小児病院が移転することとなった場合には、現に八王子小児病院にかかっている患者さんについて、新たな小児総合医療センターにおいても引き続き対応することはもとより、個別に、地域の中で対応可能な医療機関の確保に努めるなど、万全を期してまいりたいと考えております。
○東村委員 今おっしゃった、万全を期していく、どうかこの言葉を忘れないでくださいね。都は、病院改革会議で高度医療、いわゆる三次医療をやっていくと述べられております。先ほど述べた十五分以内に行かなきゃいけないというのは、まさに心臓や脳、呼吸器等の疾患の子どもたちの在宅医療でございます。これはまさに三次医療になるんです。さらに、ほかにも八王子小児病院を挙げれば、NICUやドクターカー、これなんかも三次医療になってくると思います。その機能が、まさに多摩西南部の地域からなくなっていこうとしているわけです。
これについて、この穴をだれがどう埋めるのか、東京都はこの責任についてどうするのか、お話を伺いたいと思います。
○大塚病院企画担当部長 高度な医療機能につきましては、新たに統合して設置すべきとされました小児総合医療センターにおいて集中して担うことが、限られた医療資源の活用という面からも効果的であり、医療の質の向上にもつながると報告書ではされております。今後は、小児総合医療センターを小児の高度専門医療の拠点として、大学病院や地域の医療機関等と密接な連携を図ることによりまして、都立病院の役割として、三次医療に対する都民のニーズに的確にこたえていきたいと考えております。
○東村委員 的確にこたえていくのではなくて、ぜひとも全面的に責任を負う、この思いに立っていただければと思います。医療は患者のためにあり、患者の利益を最優先して行う、これこそが都立病院の理念であると、八王子小児病院が病院改革会議に上げた報告書に書かれてありました。
八王子並びに多摩西南部地域の子どもたちが、従来にも増して濃密なる小児医療を受けることができるよう、この体制の整備を都として努力していくべきである、それが真の病院改革ではないでしょうか。衛生局長の決意を伺いたいと思います。
○今村衛生局長 東村委員から大変厳しいご指摘を賜りましたけれども、何度も申し上げましたが、都立病院改革会議の報告は、単なる都立病院の再編整備にとどまらず、都の医療行政全般の中で、都立病院の位置づけを改めて明確にしていただいたものと我々は考えおります。
今後、都立病院改革を実現するに当たっては、ご指摘のとおり、患者中心の医療を目指して、小児医療の確保など地域住民が安心できる医療体制をあわせて構築していくことによりまして、八王子並びに多摩西南部地域も含めまして、都民全体の医療サービスの向上を図ってまいる所存でございます。
○東村委員 局長が今おっしゃっていました、患者中心の医療を目指し、地域住民が安心して医療を受けることができるような体制を構築していく、どうかこれは言葉だけではなくて、本当に肝に銘じて、命に刻んでいただいて、真の都立病院改革を行っていただきたい。
心よりそう念願して、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
○小松委員 私は、今質疑がありましたが、病院改革会議の問題と保健所問題、大きくは二点について質疑させていただきます。
まず、病院改革会議報告書について、小児専門病院の廃止問題中心に伺いたいと思います。
今、少子化が進む中で、また核家族化が進行する中で、小児を取り巻くさまざまな社会情勢、医療情勢も大きく変わっております。こうした中で、小児医療の果たす役割、そして現状認識について、まず伺いたいと思います。
○梶山参事 小児医療についてのお尋ねでございますが、少子化や核家族化の進行など、また、共働き家庭が増加するなど社会環境が大きく変化しております。こうした中で、安心して子どもを産み育てるために、小児医療、特に小児救急医療を充実することは、都政の重要な課題の一つであると認識しております。
○小松委員 小児医療の果たす役割ですね、これと反比例して、少子化で、小児科医院などが経営難に陥ったり、小児科が激減している。その高齢化も目立ってきております。小児科医師を目指す医学生も激減していると。人手が要る割には採算がとれない。こうした小児医療だからこそ、都立病院の果たす役割が大きいと思われます。
報告書は、これら現状認識をしながらも、結論として小児病院の廃止を提案するなど、大変矛盾しているのではないかと思われますが、いかがでしょうか。
○押元病院事業部長 都立病院改革会議の報告におきましては、小児医療を取り巻く現状を踏まえた上で、都として小児医療の充実を図るためには、小児の心から体に至る総合的で、高度専門的な医療を提供する小児総合医療センターを整備する必要があると提案しているところでございます。都民に対する総体としての小児医療サービスの向上につなげることができるということでございまして、両者は矛盾するものではないと考えております。
○小松委員 「都政新報」の八月三十一日付に、「現場の医師に聞く」という座談会での医師の発言がありますので、少し紹介させていただきたいと思います。
「三多摩には三百五十万人という大きな県一つ分の人口があるわけで、一つの施設で地域から送られてくる重症の患者さんを一手に引き受けるのは、物理的に無理ではないか。」このほかにも、別の医師ですね。「ある一定の人口単位にはそれほど遠くない医療機関がどうしても必要だ。小児総合医療センターを退院したとしても、地元に受け皿となる小児科が存在するかどうかが大きな問題になる。」また、「特に、小児医療については分散化が必要だ。」「経営的に非効率的であっても、地域にとっては大事な医療。」「やはり地域は置き去りにされている」「重点医療だから統合するというのは、考え方が単純過ぎる。」「民間でも公立でも、小児救急が破綻している例は少なくない。その一方で、清瀬にしろ八王子にしろ、小児科の患者がどんどんふえてきている。」などなど、現場の医師四人の方々が、これは全部都立病院です、それぞれ疑問を投げかけているんです。
小児総合医療センターを整備することに反対しているものでは決してありません。八王子と清瀬の小児専門病院を廃止しないでほしい、こういっているのです。
そして、もう一つは、清瀬小児病院または八王子小児病院から意見交換に向けたレポートとして出されている中に、例えば、ここ数年、周辺医療施設の小児科からの撤退等により初期救急医療の需要が拡大しているとか、または、小児救急医療は地域性が強く、救急医療に重点を置いた小児医療施設が少なくとも多摩西南部(八王子市)及び多摩北部、清瀬市に必要であり、人的資源の有効活用等の面で、小児総合病院施設の分院として配置するのがということで、小児総合医療センターを府中に置くことに反対する意見じゃなくても、こうやって、分院が必要だと。私は、意見を少し異にします。しかし、こういっているんです。
そして、最終的には、大体、崩壊の危機に瀕している小児医療だと。今や高度専門的な小児医療及び小児救急医療を最優先の行政的医療分野に位置づけ、公的部門の直接供給及び民間部門への思い切った支援策が不可欠であるといわざるを得ないと、このレポート、私は今ここで紹介しましたけど、皆さん方は既に頭の中にこびりついていると思うんですが、このようにいっているわけですね。
すなわち、こうした小児専門病院がいかに大切か、これだけだんだんと小児医療が破綻する中で、この両小児病院を廃止しないでほしいという、先ほど東村委員さんのお話、質問の中にもありました。地元の住民の方々の意見も含めて、きっとお聞きになっていらっしゃると思います。再度、所見を伺いたいと思います。
○押元病院事業部長 都立病院改革会議の報告が七月十三日に発表されまして以来、地元の自治体や、あるいは患者のご家族、その他関係者の皆様から、八王子小児病院、それから清瀬小児病院等につきまして、都立病院改革会議で報告された結果について、その実現を図ることについて、さまざまなご意見をいただいているところでございます。
ただ、ただいま先生からもご紹介がありましたけれども、小児病院、清瀬、八王子が取り扱っております救急の八割程度は、いわゆる初期救急という形でございまして、極めて地域性の強い医療でございます。この地域性の強い医療を、どうやって八王子小児病院、清瀬小児病院の統合という問題に絡めて、地域に支障のないような形で、だれもが安心してかかれるような地域の医療体制を構築していくかどうかということが、私どもに示された課題であるというふうに考えております。
この点につきまして、私どもとしては、地域の皆さんや自治体のご意見もさまざまにいただいておりますので、こういったご意見もよくお聞きしながら、また、地元の医療機関ともよくお話し合いをしながら、あるいはお願いをしながら、地域の医療体制の確保に万全の体制で取り組んでいきたいと考えております。
○小松委員 地域に支障がないように、まさしく私もその立場から申しているから同じなんです。
それでは、具体的に伺いたいと思います。まず、八王子小児病院、ここは、先ほどから出ておりますように、NICUの整備が大変おくれている多摩での大切な地域周産期母子医療センターとして位置づけられているわけです。現在、多摩には三カ所のNICU、八王子と清瀬と杏林大ですか、あるわけですけど、これがもし府中に移転してしまえば、清瀬も一緒に移転してしまうということですから、NICUは府中と三鷹に集中して、多摩西南部や、また、西部、北部などにこうしたNICUが一カ所もなくなってしまうということですね。
この配置は、極めて妥当性を欠くものではないか、これで地域に支障がないようにといえるんでしょうか、市民の大きな不安や不満がまずここにあるわけです。この地域におけるNICUの確保はどのようにお考えになっていらっしゃるんでしょうか。
○長岡健康推進部長 東京都のNICUの整備目標は、全体計画で二百床でございますが、これは都全域で設定したものでございます。今後とも整備目標に向け、周産期医療の充実に努めてまいります。
○小松委員 全都で二百床を目標にしていると。それはそれとして結構ですけど、しかし、都内二十三区では分散化されて配置されておりましても、多摩では、今申しましたように、万が一これで八王子と清瀬がなくなっちゃえば、府中、三鷹地域だけになってしまうんじゃないかと申し上げているわけです。これで周産期医療の充実に努めているなど、到底認めるわけにはいかないわけです。
今、八王子で、私も見させていただきましたが、大変老朽化した施設の中で、本当にすばらしい立派な周産期医療が実施されているわけですね。周産期医療の充実というなら、まず、この地域にただ一つの八王子小児を残すこと、これを廃止しないという、このことではないんでしょうか。
○長岡健康推進部長 新生児医療につきましては、必ずしもNICUの資格を取っていない医療機関で、多摩西部あるいは南部地域において、新生児医療対応が可能な医療機関がございます。こういった医療機関と連携をとりながら、新生児医療に対応していきたいと考えております。
○小松委員 そういう形をとるといいながら、実際に私のところに入ってくるのは、八王子の九床でも間に合わなくて、大塚病院まで行かなくてはならなかったとか、都内まで長い時間運ばれていったというようなケースがいっぱいあるわけですね。ですから、この地域に支障ないようにとおっしゃるなら、八王子を何もつぶすことないんですよ。これはやりとりしてもあれですから……。
これまでの都の方針では、先ほどお話が出ましたように、多摩地域の周産期医療センターとしての都立畜産試験場跡地に移転、整備、拡充を図る、こうした位置づけがされていたのではなかったんでしょうかね。先ほどは、なぜ府中キャンパスへの移転になったのかというところでは、ここで八王子市民に沿えない結果が生じるかもしれないけれども、皆さんのご理解を得ながらのようなお返事がありましたけど、全くそれには合理性が見られない。地元市や住民が納得していないのに、この八王子から府中に持っていってしまう、そして、せっかくそのためにとってある試験場跡地には小児病院をつくらない。ここじゃなくたって、もっとアクセスがいいところがあるなら、別にいいですよ。しかし、実際すぐ更地があるわけじゃないんですか。
ここに十月十一日付の「都政新聞」があります。ここにはこのように、(発言する者あり)そうですね、よく出てきますので。ここでも、八王子小児の移転改築は「小児医療がきわめて少ない三多摩西南部に対する都の配慮であり、」このようにいっているわけですね。
一方では、都立八王子小児病院の存続、拡充、整備についてということで、十月二日に八王子の市長さんを初め、近隣の九市町村のそれぞれトップの方々がそろってお見えになって、こうした要請書を持って提出されたと思うんです。そこには、地域住民の生命、健康に深くかかわりのある基本方針を、わずか一年余りという短期間に百八十度転換するということは、地域行政に大きな混乱を引き起こし、結果として、当地域における唯一の小児三次医療施設を失うこととなり、当該都民の医療面におけるさらなる格差、負担を強いるものであり、地元市町村として断じて容認できないものであります、こう書いているわけですね。全然納得していないわけですよ。
こういうことに対して、この新聞でも、「八王子市や西多摩の市町村では、従来より都の基本方針を前提に各地域の医療計画を策定してきている。したがって、今回の八王子小児病院の府中病院隣接地への移転は、こうした地域医療システムを根底からくつがえすものであり、認めることができないのは当然である。」こういっているんですね。「都は『マスタープラン』の策定に当たっては移転計画を白紙に戻し、地元自治体の要請に沿った形で再検討すべきである。」私、全く同感なんです。マスタープランの策定で、地元自治体の要請にこたえるべく再検討すべきことを強く求めます。
これは求めるということで、次の質問を行いたいと思います。次は、清瀬も申し上げたいからです。
清瀬小児は、日本でトップレベルの小児の腎移植や、国内唯一の性の分化障害医療を初め、小児専門病院として多くの診療科を標榜し、五十年以上もこの清瀬に根づいて、子どもたちにとってはかけがえのない重要な施設となっております。この清瀬小児が、この地からなくなってしまう、到底考えられません。地域住民にとっても深刻な問題です。都としてこれをどうとらえていらっしゃるのでしょうか。
○大塚病院企画担当部長 清瀬小児病院が担っているご指摘の高次の医療機能につきましては、限られた医療資源の有効活用という観点から、先ほど来申し上げてございますように、小児総合医療センターに統合していくというのが、都立病院改革会議の提案でございます。その上で、小児医療の拠点となる小児総合医療センターと地域の医療機関との密接な連携によりまして、都民に対する総体としての医療サービスの向上を目指していくという考え方でございます。
なお、清瀬小児病院がこれまで地域において実態として担ってきた地域医療機能につきましては、地元自治体、あるいは地域の医療機関との役割分担に基づきまして、その確保を図っていきたいと考えております。
○小松委員 とんでもないと思います。もう一つ、ついでですから、先にお伺いしてしまいます。
この清瀬小児病院には、久留米養護学校の分教室が設置されておりますが、移転するとなると、養護学校はどうなってしまうのか。さらには、清瀬養護学校が近くにあって、密接な関係を持ち、大変頼りにされていると。清瀬も大変心配されているということですが、これらについてはいかがでしょうか。
○大塚病院企画担当部長 治療のために入院せざるを得ないお子さんの患者に対しまして、教育の場を提供することは、子供の成長を助けていくために極めて重要であると考えております。
このため、都立病院の再編整備におきまして、都立小児病院の移転統合を行う場合には、従来同様、分教室を併設するよう教育庁と調整してまいります。また、清瀬養護学校の実情につきましても考慮した上で、患者さんが身近な地域で安心して適切な医療を引き続き受けられるよう取り組んでまいります。
○小松委員 言葉だけ--言葉って非常にいいですよね、何でもいえますね。安心してとか、実態がなくても。そういうのをリップサービスというんでしょうか。それは非常に大きなことなんですね。
先ほども申しましたとおり、府中につくるかどうかは別にしましても、多摩に小児医療センターをつくること自体を反対しているものではないわけです。何回も申し上げるように、清瀬や八王子をなくすなといっているわけです。地域の医療機関との連携、役割分担、こうおっしゃっていますけれども、清瀬が、例えば八王子が、この小児専門病院があったからこそ、できたんじゃないでしょうか。その大もと、母体になるものをなくして、地元自治体や地域の医療機関との役割分担に基づき連携を強めるなどとおっしゃっても、絵そらごとになるのではないでしょうかね。だからこそ、清瀬もみずから廃止に対して反対の意を表明して、市民に呼びかけているんです。
これを見ていただきたいと思います。これは「市報きよせ」十月十五日号です。特集をしております。大きな字で、一面を使って、「施設存続は市民の願い 都立清瀬小児病院」と、大変な特集です。そして、清瀬小児病院の成り立ち、現在の小児病院の運営理念、一方、都立病院改革会議の報告、ここまで非常に第三者的に書いております。そして、市及び市議会等として存続を要望というところで、市長や市議会がこんな行動を起こしてきたということを、全部ここに報道しております。
驚くのは、市長や市議会の要望書を都知事に提出したことだけでなく、「一方、市民の皆さんもこの問題には非常に関心が高く、『清瀬小児病院を守る会』や『清瀬私立幼稚園協会』などで、都議会に対する陳情のための署名運動が繰り広げられており、さらに多くの方の賛同を得るために引き続き六万人を目標として署名活動が進められています。」これは市報ですよ、ここまで書かざるを得なかった。ここまで清瀬小児の存続を願っている清瀬市なんです。
そして、さらに、地域医療にも貢献している清瀬小児病院ということで、ここで、貢献の度合いを書いて、一年間一万二千件を超える救急の患者を受け入れている点も強調しております。そして、「私たちにとって一番心強いことは自分たちの生活している身近な場所に、いざというときに必ず診てくれる病院があるということです。特に小児医療の分野では、緊急時に対応してくれる病院は限られてしまいます。そのような意味でも清瀬小児病院は、私たちの生活に欠かすことのできない施設として大きな存在なのです。」そして、最後に、「様々な機会をとらえて清瀬小児病院の存続を東京都に求めていきます。皆さんもこれを機に、空気の良い緑豊かなこの清瀬の地に小児病院のあることの意義を改めて考えていただきたいと思います。」と、市民にまで呼びかけているんですね。ここまで要望があるし、八王子も先ほど申し上げました、こうした大変な要求が次々と出されておりますが……。
そこで、報告書の府中病院隣接地の移転について伺いたいと思います。ここで皆さんの共通認識にしたいために、私は、府中病院のキャンパス、これをパネルで持ってまいりました。府中病院はこれですから、これが府中療育センター、ここが旧根岸病院跡地、ここに行くわけですね。ところが、ここに行くわけですけれども、ここは今更地になって、じゃ、ここにすぽっと病院がすぐに、清瀬小児が建てられるか、そうではないんですね。府中病院も、ここにある府中療育センターも大変老朽化して、いっときも早く建てかえをしてほしいと、療育センターの保護者の方々もおっしゃっていました。この場所は、この建てかえのための種地で購入したはずです。ですから、これからどこをどう動かして、どうやって清瀬小児を、いつの時点で入れていくか、いろいろな検討がされなければならないと思うんですね。
そうするわけですから、これらの施設の今後の計画とその整合性がきちっと図られていないといけないと思うんですけど、これらについてはいかがなものなんでしょうか、現時点での状況をお知らせいただきたいと思います。
○大塚病院企画担当部長 小児総合医療センターの建設に当たりましては、府中キャンパス内におきまして、ソフト、ハード両面で、ご指摘の既存施設との円滑な交流が可能となるよう、今後、キャンパス全体の施設配置の見直しを行っていくつもりです。その際には、府中病院を初めとする既存施設の老朽化の度合いや、都立病院改革会議報告で示されました医療機能を踏まえながら、今後策定するマスタープランの中で、府中キャンパス内の都立病院の建設計画につきましても明らかにしていくこととなります。
○小松委員 そうですね、きっとそういうお答えがあると思ったんですが、だからこそ、ここについては完成まで相当時間がかかるんじゃないか、うっかりすると十年近くもかかってしまうんじゃないか、そんなふうに思うんですけれども、違ったら、そんなことないよ、すぐにできるよと後でおっしゃっていただければ結構ですが、清瀬や八王子の老朽化、狭隘化、これは十年なんて到底待てないんです。急を要するんですね。
ですから、先ほど申し上げた、八王子については既に位置づけられている畜産試験場跡地、そのほかでもいいんですけど、とにかく今はここは更地になってあるわけですから。そして清瀬も、その気になれば、例えば共済清瀬病院ですか、あそこが来年三月で閉院されるということで跡地になるわけですけど、そこを使うとか、現地での改築は十分可能なわけです。いつになるかわからない小児総合医療センターの建設とは切り離して、病院の改築によります拡充整備に早急にかかるべきと思いますが、いかがでしょうか。
○大塚病院企画担当部長 再編整備のスケジュールにつきましては、年内に策定するマスタープランの中で明らかにしていきたいと考えてございます。なお、移転統合までの間、両小児病院の医療サービスの提供には支障のないよう、必要な改修を行っていくこととなります。
○小松委員 支障のないようとおっしゃいますけど、根本的に狭隘化して、また老朽化していく、そんなものを継ぎはぎ、継ぎはぎとする。老朽化も、それではきちっと対応できないし、狭隘化にはもちろん対応できません。小児病院だからって、狭くていいわけはないんですね。逆に欲しいんですよ。子どもの後ろには必ず親が一人、うっかりすると二人だったり、家族でついてきたり、お姉ちゃん、お兄ちゃんもというようなことがあったりして、大人の病院よりもむしろ広くとらなければならない部分もたくさんあるわけです、ベッドだけは別としましても。ですから、そういうものを根本的に変えるにも、改築が必要だろうというふうに見るわけです。
再編整備のスケジュールというのは、両小児廃止前提の再編整備ですから、そこにしがみついていないで、今、世論は、地域住民も地元市も、そしてマスコミまで、小児の廃止はいかがなものかと疑問を投げかけているわけです。
例えばということで、具体的に少し伺いたいと思いますが、報告書が七月十三日に発表されてから、ここでは小児病院の廃止に対して、地元自治体、市議会、住民から、先ほどもありましたように、たくさんの要望が出たということですけれども、もし数的にこういうものがいえるのなら、その中身も、先ほどは随分簡単なお話でしたが、もう一歩踏み込んだお答えを願いたいと思います。
○大塚病院企画担当部長 七月十三日の報告書の発表の後の時点でございますが、先ほど委員会要求資料でお示ししましたように、地元自治体である十四の市町村長から三回、及び九の市町村議会から十回の要望書、意見書を受けてございます。また、住民団体からの要望書などにつきましては、十三の団体からいただいております。
この中には、八王子小児病院の存続を求める代表者の方のお言葉によりますと、九万七千人といわれる署名を添えた八王子市立保育園協会などのものや、同様に一万四千人余りの署名の都立八王子小児病院の存続、拡充整備を求める親の会のものがございます。また、住民からのメールや封書は二十八通でございます。このほか、電話でのご意見等も伺っております。
都立病院が、地元住民を初め都民の厚い信頼を得ていることを改めて認識したところでございます。今後、地元自治体や地域の医療機関との役割分担などを踏まえながら、密接な医療連携の中で、地域住民が安心できる医療提供体制を確保していきたいと考えております。
○小松委員 今のご答弁からしましても、清瀬を残してほしい、八王子を残してほしい、こういうものだったと、ほとんどそうだったと思われますが、私のところにもたくさんの要望のお便りが、または電話などが寄せられております。そのほとんどは、今ここからこの清瀬や八王子をなくされたら、自分の子どもは生きていけなくなっちゃうと、大変切実なものがたくさんあります。
そして、私もびっくりしました。例えば都立八王子小児病院の存続のお願いというのが、患者保護者有志の方で先ほど見えられましたが、私の全く知らない病気がたくさん書かれております。数えてみましたら、六十幾つか、八十幾つか、物すごい数ですね。本当にこうした子どもたちが家族とともに自宅で暮らせるのは、八王子小児病院があるからだ、また、清瀬があるからだと。このことの重みをとらえなくてはならないと思うのです。
そして、今、信頼を大変大きく受けているというお話がありましたけど、信頼を受けているのは、今、清瀬があって、清瀬に対してです。この信頼の深さを、みずからずたずたにしていこうとしてしまっているのが現状ではないでしょうか。これが府中に行ってしまったら、まさに東京都に対する信頼はなくなってしまいますよ。自治体みずからが市民に存続を訴える、先ほども市報でご紹介しましたが、こんなことはかつてなかったことです。
清瀬や八王子から訴えられた、これをどう受けとめているかということは、先ほどからのお答えで何回も伺っておりますけれども、それでは、マスタープランで再検討する気がないのか、再度伺ってまいりたいと思います。
○押元病院事業部長 小児病院の単独施設としての移転案あるいは改築案は、先ほども申し上げたところでございますが、全国的な小児科をめぐるいろいろな問題、それから眼科とか、耳鼻科とか、他科との連携、それから、お子さんが成人した後の対応など、現在、小児科をめぐるさまざまな難しい課題がございますが、こういった課題の解決にはつながらないというのが、都立病院改革会議の報告書でございます。限られた医療資源の活用という面でも限界がございますし、合理的でないという提言がなされたものでございます。
私どもは、知事が、都立病院改革会議の報告書を尊重する、立派な報告書であるということで高く評価したということがございますので、現在マスタープランで検討中でございますけれども、その間にいただきました地元の自治体とか、あるいは住民の皆さんのそういった声なども私ども十分伺いまして、マスタープランをどういうふうにしていくかということの参考にしてまいりたいと思っております。
○小松委員 地元自治体や皆さんのご意見を伺う、そのことが、ここを残してくれということなんですよ。そして、これらは、二つの病院、あと、母子保健院なんかもありますけれども、これを残していてはだめだみたいな、府中に行けば全部解決していくみたいな、そうなんですか。こういう感覚では全く、あれほど先ほどから--きっとこれから萩生田さんも質問されるでしょうけれども、地元の八王子の先生方、また、清瀬は私もすぐ隣ですし、私の子もかつて大変お世話になりましたから、みんな必死で訴えている。全然そういうのが伝わらないじゃないですか。
「都政新報」をよく出すなといわれたんですけれど、ここには、地元自治体の要望こそ最大限に尊重されるべきだと。どうですか、地元自治体のご要望を伺いながらといって、全然聞いていないんですよ。八王子も清瀬も、その周辺も納得していない。だからこそ、ああやって要望書を持ってくる。市報に出す。これからも頑張るって、市民にこうやって訴えるんですよ。その気持ちをとらえていただかないとだめだと思います。
ここでお聞きしても平行線になると思いますので、私は、何としても両小児を存続させる、このことを重ねて強く求めたいと思いますし、そして、最後に、私のところにたくさん来た中から、大変感動したのがありますので、一つ読ませていただいて、次の質問に行きたいと思います。
我が家の障害を持つ四歳の長男は医療的ケアが不可欠で、八王子小児病院のおかげで何とか在宅で家族一緒に暮らしている。毎日外来の待合室はあふれている。しかし、それがなくなってしまうと、一体どうなってしまうんだろう。小児総合医療センターは、高度医療が可能ないい施設になるだろうが、三つの小児病院であふれている全員を引き受けられるとはとても思えない。八王子から府中までは約二十キロ、通院時間がふえるのは当然、外来ではどれほど待たされることか。ばらばらのものが一つになってよりよいものになるからよいという論理は、健康な人の論理だ。都知事は、記者会見で、地元の反発を一々聞いてはいられない、全体としてよくなればいいんだと発言して、首相の言葉を引いて、改革、改造を連呼しておられた。しかし、八王子小児病院がなくなって一番困るのは、今現在八王子小児病院に入院、通院している子どもたちだ。いろいろな形で将来を持っている子どもたちだ。子どもに痛みを強いるのが改革だろうか。命に値段がつけられますか。自分の子どもが発作で苦しんでいるときに、よりよい医療ができるからといって、病院が遠くなってもしようがないと、賛成する親がどこの世界にいるでしょうか。改革とは目先のことではなく、将来に投資することではないでしょうか。
清瀬も、八王子も、母子保健院も決して決して消してはならない。最後にこれを強く求め、訴えまして、次は保健所問題について質問してまいりたいと思います。
この保健所問題については、この一年間で何回か質疑を行ってきておりまして、保健所が住民にとって公衆衛生の守り手として大切な役割を果たしてきていること、そして、最も数多くの専門職を抱えた行政機関としてその力を存分に発揮してきたことなど、共通の認識だと思うわけです。ところが、この保健所を、九七年度に一挙に、十七保健所、十四保健相談所から十二保健所に縮小、統廃合してしまい、したがって、いただいた資料でも、九年度において、医師や保健婦、レントゲン技師など専門職員が人数が減っております。
保健所がなくなったところの市民からは、保健所が遠くなった、気軽に相談に行きづらくなった、こういう苦情も聞かれます。一方、保健婦の訪問活動など、対人活動も大変減っています。住民にとってのメリットとは一体何でしょうか。当の皆さん方は、どのように総括されておるのか。住民にとって何らかのメリットがあったといえるのか、お聞かせ願いたいと思います。
○櫻井総務部長 平成九年度に、今おっしゃったように保健所の再編を行ったわけですけれども、これは母子保健事業が市町村に移管されたことによりまして、保健所の住民の直接サービスの事務が大半なくなったということでもって、そういうようなことを行ったわけでございます。私どもとしましては、市町村が、住民に身近な保健サービスの実施主体としてその後定着し、確実に力を備えてきている、このように考えております。
したがって、健康相談、母子保健、成人保健などのサービスを市町村が一体的に提供することになったということで、住民にとっては大きなメリットがあったものと理解しております。
○小松委員 今のご答弁は、保健所がその業務を市町村に移譲した母子保健その他の中身でありまして、十七カ所が十二カ所に減っちゃったメリットではないんじゃないんですか。保健所の数が減ったことによる住民のメリットはあったんですか、こうお聞きしているわけです。
○櫻井総務部長 今申し上げましたように、保健所の対人保健サービスの事務の大半を占めておりました母子保健事務が市町村の事務となったことから、保健所の仕事をもう一度点検した結果としまして、十七保健所、十四保健相談所を十二保健所に再編整備した、そういうことでございます。
○小松委員 どんなに伺っても、保健所の数が減ったことで、住民がこんなにメリットを受けた、そういうお答えはいただけないのではないかと思います。
ところが、昨年発表されました衛生局アクションプランⅢでは、この保健所を来年度から新基幹型と地域保健所に分けて、二〇〇三年度以降で新基幹型の五カ所にしていく方向を出して、その後の都庁改革ビジョンでは、多摩地域の保健所については十三年度中にそのあり方を検討する、このようにあるわけです。
そこで伺うわけですが、今、その検討状況、どうなっているのでしょうか、また、どのようなことが検討されてきているのでしょうか。
○櫻井総務部長 都保健所のあり方につきましては、平成十二年二月に設置しました今後の都保健所の在り方検討会において、これまで約八十回の検討を重ねてきまして、都保健所の将来像、利用者サービスの向上策及び都保健所業務の再構築などについて検討し、現在、多摩地域の保健サービスの再構築を図る視点から、最終的な取りまとめの段階に至っているものでございます。
○小松委員 八十回も会議をされてきていたようですけれども、あくまで庁内の会議であって、その中身は全く今まで知らされていない。なぜ庁内だけなんでしょうか。先ほど論じました病院改革会議ですら、医者や学者、自治体の長も入っているわけです。なぜ外部からの委員を入れて検討されなかったんですか。最終的な取りまとめの段階とおっしゃっておりますが、最終報告は、市長会などに出されるめどというのはいつなのでしょうか。
○櫻井総務部長 都保健所の検討に当たりましては、保健所の職員を広く集めまして、いろいろな意見を集約しながら検討を進めてきたところでございます。
なお、市町村長との関係でございますけれども、先ほど申し上げましたように、現在、最終的な取りまとめの段階に来ているところでございまして、なるべく早く市町村の方にも話を申し上げていきたいというふうに予定しております。
○小松委員 最終報告、いつですかとお伺いしてもお答えいただけないんですが、もうあるんじゃないですか。
ところで、昨年八月発表の衛生局アクションプランⅢによりますと、二〇〇三年度以降、二次保健医療圏に一カ所の新基幹型保健所とすることとしているわけですね。これでは、管轄区域がさらに広域化して遠くなる住民、より多くの人口を抱えることによるサービスの低下になりはしませんか。なぜ医療圏一カ所なんでしょうか。
○櫻井総務部長 これまでの都保健所の検討におきまして、都保健所は、今後、広域的、専門的、技術的機能の充実強化を図ることが適当であるというようなことで、検討を進めてきたところでございます。また、一方、平成十二年三月の国の基本方針によりますと、都道府県保健所は二次保健医療圏を基本区域として設置することが望ましい、こういうようなこともございます。
そういうようなことでございまして、都としましては、これまでかかりつけ医政策や地域医療システム化推進事業など、さまざまな施策を保健医療圏を単位として推進してきているところでございます。そういうことから、新基幹型保健所につきましても、二次保健医療圏ごとに置くことが望ましい、そのように考えたところでございます。
○小松委員 確かに昨年三月の国の基本指針には、二次医療圏一保健所が基本とされているということがあるわけですけれども、この指針を見ますと、ただし、現行の医療圏が必ずしも保健サービスを提供する体制の確保を図る趣旨で設定されていないことから、二次医療圏の人口または面積が、平均的な二次医療圏の人口または面積を著しく超える場合には、地域の特性を踏まえつつ、複数の保健所を設置できることを考慮することということは書かれているわけですよ。法律のいい回しは非常にわかりにくくて、一回聞いたのではわからないような感じなんですけど。
要するに、人口三十万人以上の市は保健所政令市への移行を検討するという一項からしましても、全国の二次医療圏の基本人口というのは、大体三十万じゃないかといわれているわけですね。だから、そういうことから見ても、せめて三十万人以上に一カ所の保健所が必要なんじゃないか、これは百歩譲ってもですよ。そうしますと、二十三区は、人口のばらつきがあるんですけれども、それでも八百万人口で二十四カ所ですから、一カ所当たり三十三万人、それに比べて多摩は、ちょうど十二カ所で三十一万人で、今の保健所が必要だったわけですよ。
そういう意味で、必要ということなら、多摩の十二カ所というのは、二次医療圏からしても最低だったのではないか、いかがでしょうか。
○櫻井総務部長 今、保健所の所管人口との関係でご質問いただいたんですけれども、基本的に特別区の保健所と都の保健所というのは、その性格を異にしておりまして、都の保健所は、あくまでも名のとおり都道府県の保健所、区の方は、特例でもって、保健所設置市として区ごとに置くというふうに、あらかじめ枠を決められた保健所ということで、必ずしも人口比較で見るというのが適切かどうかということはあろうかと思います。
なお、都の保健医療圏との関係でございますけれども、先生が人口のお話をされましたけれども、著しく人口及び面積等を超える場合というのは、厚生省の考えではおおむね二倍程度というふうに理解されておりまして、そういう観点から見ましても、私どもとしましては、多摩地域の保健所を保健医療圏ごとに置くということについては、この方針に沿っているものと理解しております。
○小松委員 これ以上やりませんけど、二倍としても、多摩南部が九十万、北部は六十六万なんですね。そういう意味では、せめて十二カ所欲しかったと。
ところで、アクションプランでは、来年度から新基幹型保健所五カ所、地域型保健所七カ所とすることとしておりますが、地域型保健所は二〇〇三年度以降はどのようになるんですか。
○櫻井総務部長 ご質問にありましたように、十四年度から基幹型保健所五カ所と地域型保健所七カ所にすることを予定しておりますけれども、この地域型保健所七カ所のうち、八王子、町田につきましては、今後、市と協議しながら保健所設置市としての保健所にしていきたいということで協議していきますけれども、残りについては十五年度以降廃止する予定でございます。
○小松委員 廃止ということでは大変です。今、十五年度以降廃止ということでしたね。そうしますと、廃止される保健所と基幹保健所として残る保健所の名前を明らかにしてください。
○櫻井総務部長 具体的な保健所の設置につきましては、先ほどご答弁申し上げましたように、最終的な調整の段階であり、現在お答えすることは困難と考えております。
○小松委員 既に、来年度から基幹型、地域型に分ける予定をしていると。予算要求も行っている中で、まして既に今十月です。なぜ現時点で明らかにできないんですか。
○櫻井総務部長 平成十四年度に、基幹型保健所五カ所と地域型保健所七カ所にすることを予定しておりますけれども、地域型保健所につきましては、先ほど申し上げましたように、十五年以降、今後、市町村との協議等も含めながら検討する中で、その扱いを決めていくということになるわけですけれども、現在では最終的な取りまとめの段階でございまして、現時点でいまだ最終決定をしていない、こういうことでございます。
そういうような中で、近い時期に発表できるように、私どもとしては精力的に検討を進めていきたいというふうに考えております。
○小松委員 近い時期、いつか聞きたいけど、時間がない中で、こちらから申し上げます。
実は、私も幾つかの市から伺ったんです。そうしましたら、今月に入ってから、部長さん、あなたを先頭に各市を訪ねていらっしゃるではありませんか。それぞれ、あなたの市は基幹型だ、あなたの市は地域保健所ということで協力してほしいと。それも十五年度から、二〇〇三年度からですね、新基幹型体制にしたい。
そうしますと、私、調べましたら、基幹型保健所というのは、西多摩では多摩川保健所、南多摩では、八王子と町田が政令になりますから南多摩保健所、北多摩西部では多摩立川保健所、北多摩南部では府中小金井保健所、北多摩北部では多摩小平保健所、間違いありませんね。
○櫻井総務部長 先ほどご答弁申し上げましたように、現在、最終的な取りまとめの段階でございまして、現時点では、いまだ最終決定はしてございません。
○小松委員 間違いないと思うんですね。
それでは、今度、新基幹型になる保健所というのは、どんなもので、どんな業務を行うんですか。
○櫻井総務部長 新基幹型保健所の業務でございますけれども、健康相談、母子保健及び成人保健等に加え、平成十四年度から精神保健に関する事務の一部が市町村に移譲されるなど、保健所がこれまで行っておりました対人保健サービスの多くが市町村で実施されることになります。一方、都の保健所では、精神保健に関する専門相談、結核や感染症の予防、食品営業許可、健康危機管理、企画調整機能及び市町村への支援など、広域的、専門的、技術的機能を充実させていきたいというふうに考えております。
○小松委員 では、現在、都の保健所で実施しております小規模の企業検診、障害者の検診やCR車による検診、これはどうなっていくんでしょうか。
○櫻井総務部長 現在、都の保健所で実施しております小規模企業検診、障害者検診につきましては効率的な検診方法を検討し、今後とも引き続き実施してまいります。また、十一年度からモデル事業として実施しておりましたCR車による検診につきましては、十三年度まで試行を行うこととしており、今後、これまでの検診実績や費用対効果等を踏まえ、検討をしてまいります。
○小松委員 保健所には、医師、保健婦、栄養士など、数多くの専門職種の職員が必要と考えられますし、現にいるわけですが、こうした専門職員を減らしていくことはしないように要望しておきたいと思います。
さらに、来年度から精神関係など分権による法定移譲されるものや、条例移譲などありますけれども、その内容を伺ってと思いましたが、時間がないので結構です。同時に、内容は、名前は結構ですから、市長会や町村長会との合意は得られているのか。また、今後市町村への事務移譲を予定しているものについて、もし明らかにできるなら、していただきたい。
○櫻井総務部長 今、ご質問ございましたように、市町村の方と事務移譲について協議を進めてきておりまして、十四年度には特例条例による事務移譲について合意ができるものということでもって、現在、既に町村からは合意を得られております。市長会についても近く合意が得られる見通しでございます。
なお、その後、事務移譲を予定しているものがあるかというようなことでございますけれども、都としましては、住民に身近な事務で市町村が実施することが望ましい事務、他の事業と一体的に実施することによって住民の方々の利便性が向上し、効率的、効果的な施策展開が期待できるもの、あるいは地域特性を生かして、そういう工夫をすることが望ましい事業などについて、市町村に移譲することが望ましいということで、今後、市町村の方と協議を詰めてまいりたいというふうに考えております。
○小松委員 市町村への事務移譲では、あと一つ、どうしてもお聞きしておきたいのは、市町村がこれに対しての財政が大変だ、ノウハウを持たないから、それも大変だと。財政支援と人的支援、ぜひお願いしたいといっていますけど、これはいかがでしょうか。
○櫻井総務部長 これまで市町村との事務移譲の協議の中で、今、先生がおっしゃいましたように、市町村の方から人的支援、財政的支援についてお話をいただいております。これまでの協議の中で、そういうものについて、都としましてもできる限りの対応をしていこうということで、法改正に基づく事務移譲については地方交付税交付金で措置される、あるいは、都の特例条例による任意移譲につきましては、地財法に基づく特例交付金でもって財政措置をするということで検討を進めております。
また、市町村への事務移譲が円滑に行われますよう、平成十三年度にこれらの事務に関するマニュアルを作成して、保健所が中心となって、市町村の職員に支援するための研修を実施するなどしております。また、保健婦の市町村への出張等について人的支援を行っているということでございます。
○小松委員 最後に、村山大和保健所です。今年度予算で凍結になりました村山大和保健所、ここで改めて、この保健所建設のために要した費用を伺います。
○櫻井総務部長 村山大和保健所の建設に要した費用でございますけれども、これまでに用地取得に約九億五千万円、調査、実施設計に約七百万円で、合計九億五千七百万円を要しております。
○小松委員 九億五千七百万円近くも費やしたこの保健所建設について、何回も質疑してまいりましたけれども、ここ二、三回は、早期建設に向けて努力するという局長のお言葉があったわけですね。ことし五月末の当委員会でもそうおっしゃっております。ここで再び同じ質問をいたしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○今村衛生局長 村山大和保健所の建設につきましては、地元自治体の協力を得て建設用地を確保しまして、しかも、実施設計も終了していることなどから、早期建設に向けて努力しますと答弁をしてきたところでございますが、その間の財政状況は好転しておらず、また、そういう意味では努力については時間切れになりつつございます。
その間、在り方検討会の報告がこれあり、身近な事務はより身近な自治体へということで我々も考えておりまして、今後は二次保健医療圏に一カ所の新基幹型保健所の整備をお願いしていこうとしておるところでございます。
○曽雌委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕
○曽雌委員長 速記を起こしてください。
○小松委員 そうしますと、五月三十日だか三十一日に早期建設を伺っているんですよ、あのときは、財政事情というのはいいと思ったんですか。何にも変わっていないでしょう。あのときの答弁というのは、うそをついたということになるんですか。五月ですから、六、七、八、九、十、五カ月、まだ半年もたっていないんですよ。
○今村衛生局長 正確に申し上げますと、村山大和保健所の建設については、財政状況等からその建設を見送っているところであるがということでございまして、財政状況については、その時点も今も変わってはございません。
○小松委員 そうしますと、この村山大和保健所というのは、先ほど名前を挙げました、十五年度から廃止といったその中に入っているんじゃないんですか。ということは、今、時間切れになりましたとおっしゃいましたね。(「なりつつある」と呼ぶ者あり)時間切れになりつつある、そのことは、もしこれが基幹保健所になるんだったら、そういう言葉じゃないんですよ。時間切れになりつつあるというのは、廃止になる保健所だから、そういう言葉が出てくるんですよ。そうでしょう。実際に、これは本当に住民や議会をばかにしているんですよ。東大和には議会にも報告をし、また、住民にも説明をし、市長は九月の初めの段階に住民が尋ねても、いや、私は早期建設を信じておりますと。何といって、市長に、住民に謝るんですか。うそをついたことになるじゃないですか。最後、どうしても、これでストップさせるわけにはいきません。お願いします。
○今村衛生局長 村山大和保健所の建設に当たりましては、地元自治体から大変多大な協力を得てきたことは事実でございまして、今後、これまでの経過等を含めまして、実りのある地域保健体制を実現するために、地元自治体の理解を得られるよう、最大限の努力をしてまいります。
○曽雌委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
午後四時一分休憩
午後四時十分開議
○曽雌委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○山口委員 病院事業について、何点かお伺いいたします。
日本医療機能評価機構による病院機能評価制度が始まってから、四年余りがたちました。現在、日本には九千余りの病院があるといわれています。しかし、この機能評価認定病院は約五百カ所で、全体の十分の一の状況です。今後は制度のあり方や評価項目も、社会環境の変化とともに見直され、充実が図られると聞いております。さらに、この認定病院がふえることとともに、医療の質とサービスの向上に期待するところです。
厚生労働省は、医療レベルアップを目的に、救急救命センターを対象とした評価結果を公表しています。また、新聞紙上にも、先月下旬に機能評価認定病院の報告がなされていました。
そこで、都立病院においては、患者の自己決定に合わせた情報提供の改善に向け、公表を前提とした検討がどのようになされているのか、お伺いいたします。
○押元病院事業部長 財団法人日本医療機能評価機構によります病院機能評価についてでございますけれども、これまで都立病院のうち七つの病院が審査を受けまして、そのすべてが認定基準を達成しているという評価を受けております。この結果を病院内に認定証として掲示いたしましたり、各病院のインターネットのホームページに掲載しているところでございますが、今後は、作成してまいります病院のパンフレットに認定を受けたことを掲載するなど、より積極的に公表してまいりたいと考えております。
○山口委員 今、医療機関に関しては、医療ミス等において、都民の方たちも病院の選択に対しては困っている状況もあるかと思います。先ほど東村委員もおっしゃいましたように、IT弱者といわれますインターネット等に弱い方たちのためにも、さまざまな形での情報提供を期待しております。
次に、東京都は、救急医療を担う病院を初めとして、都内の病院に対して病院機能評価を受審するよう積極的な働きかけを行う必要があると考えますが、見解をお伺いいたします。
○奥田医療計画部長 病院機能評価制度につきましては、適切で質の高い医療の確保を目指す各病院の努力を促すことになりますので、都といたしましても、この評価を病院が積極的に受審していくべきものと考えております。このため、平成十二年度から受審促進のための助成を実施しておりまして、その結果、現在では都内の認定病院は五十一病院ということになってございます。
今後とも、受審を促進するための事業の充実に努めまして、救急を初めとする多くの病院の認定取得を図ってまいりたいと考えております。
○山口委員 次に、患者の権利章典についてですが、今後の課題として、患者の権利に関する諸課題の中に、患者に医療行為に関する理解能力が欠如している場合や、患者の意思の確認が困難な場合の代理人の選任権等について、医療上の代理人を定めておく制度として、法律による制度化を検討していくことが望ましいとあります。今後、法の整備など国への働きかけも含め、どのように検討されているのか、見解を伺います。
○押元病院事業部長 ご指摘のありました都立病院倫理委員会の報告でございますけれども、医療上の代理人制度につきましては、都単独で判断していくものではなく、法律による制度化の是非も含めて、国レベルでの検討を待つべきであるとの趣旨で、一つの問題提起をしていただいたものと受けとめております。
なお、医療上の代理人制度は、個人の権利の根幹に触れる問題でございますために、都としましては、行政として判断する以前に、まず、社会的な論議が十分に尽くされることが必要であると考えております。
○山口委員 次に、特に小児救急医療についてですけれども、先ほど来、樋口委員、小松委員の方からもお話がありましたので、私の方は少し省かせていただきます。ただ、先ほどの答弁の中に、小児初期救急医療体制整備支援事業を、現在、葛飾と練馬の二カ所でモデル的に開始したところであると伺っておりますが、今年度は三事業が予定であったということで、そういったことへの自治体への働きかけとか、実際に三事業がすぐに開始されなかったという点で、自治体への働きかけ等の問題を明確にして、さらに進めていく必要があるのではないか、また、医師会の理解も深めて協力体制をとる必要があるかと思いますが、その点についての見解をお伺いいたします。
○奥田医療計画部長 ただいまお話のございましたとおり、多くの関係者がございます。十分事前に調整いたしまして、いい事業がスタートできるように努力してまいる所存でございます。
○山口委員 今後とも、こういった小児の救急医療体制には、東京都もぜひ積極的に推進していただきたいと思います。
また、先ほど来、これも何度か出ておりますので、これ以上の答弁は望めないのかと思いますが、清瀬小児病院内の長期入院児童を対象とした都立久留米養護学校清瀬分教室、さらに八王子の小児病院でも、八王子市立第七小学校及び第七中学校の院内学級、梅ケ丘病院では、院内に都立青鳥養護学校の分教室が設定されています。先ほども少し答弁がございましたが、その辺について再度、整備体制についてお伺いいたします。
○大塚病院企画担当部長 治療のために入院せざるを得ない小児の患者に対しまして教育の場を提供することは、子供の成長を支援していくために極めて重要であると考えております。このため、都立病院の再編整備におきまして、都立小児病院の移転統合を行う場合には、分教室が併設できるよう、関係機関と調整してまいります。
○山口委員 ぜひ子どもたちの教育権が失われることのないよう、考慮して進めていただきたいと思います。(「まず病気を治すことだ」と呼ぶ者あり)教育権というのは、病児でもきちんとあると思います。
次に、これも再三出ております小児病院の移転問題ですが、八王子小児病院には特に療育外来というのがございます。緊急性を要する子ども、あるいは一般の小児科の対応が大変難しい重篤な障害を持ったお子さんたちのためにも、ぜひとも必要な医療機関かと思っています。先ほども八割程度は初期医療にということですが、確かに数としてはわずかではありますが、少なくともそういった重篤な障害を持った方たちのためにこそ、行政が支援していくことだと思っております。マスタープランの中では、答申をそのまま受けるのではなく、ぜひこういった状況をきちんと踏まえて事に当たっていただきたいということを要望して、この質問はカットさせていただきます。
次に、狂牛病についてですが、これも先ほど来、再三出ております。そして、東京都の方からも、先ほど丁寧な回答がありました。そこで、私の方からは、今後、こういった事態に備えてのリスク評価と、これからはリスクコミュニケーションが求められると考えますが、東京都は都民の不安などを含め、都民の意見を率直に聞くべく、適切で安心できる情報をどのように考えていらっしゃるのか、伺います。
○河津生活環境部長 牛海綿状脳症に関しまして、牛の部位によって、人に対するリスクというのは大きく異なっているわけでございます。そういう意味では、リスクに応じた対応が必要になるというふうに考えておりまして、そういう立場に立ちまして、都はOIEという国際獣疫事務局であるとか、あるいはWHO、世界保健機構が示している感染リスクの高い部位としている脳、脊髄、眼球等について、国に先駆けて、と畜段階で除去を行ってきたわけでございます。
今、ご指摘のありましたように、まだ不確かな部分もいろいろあるわけですけれども、現状でわかっている部分、よい部分も悪い部分も含めて、それをできるだけ客観的にお伝えする、こういうリスクコミュニケーションも大事だと考えておりますので、十月十一日に牛海綿状脳症に関するホームページを立ち上げたところでございまして、先ほど申し上げましたけれども、今、たくさんの方からアクセスをいただいているというところでございます。
○山口委員 この件に関しては、日夜ご尽力をされている職員の方々には大変頭の下がる思いですが、今後ともぜひ、情報公開も含めてきちんとした対応がされることを希望いたします。
それから、樋口委員からも出ました特定危険部位を原料としている加工食品、医薬品、さらに、この委員会には女性も比較的多いので、化粧品等大変気になる部分なんですが、先ほどの答弁の中には、企業にも、きちんと検査をし、その旨保健所へも報告するような指導がなされているという答弁がありましたけれども、消費者が実際、自分が今食べているそういった加工食品、あるいは、例えば栄養補助食品とか使っている化粧品、そういったことへの消費者への対応はどのようになされるのでしょうか、お尋ねいたします。
○河津生活環境部長 先ほど申し上げましたけれども、調査をそれぞれかけておりまして、自主的に調べて、事業者もみずから公表するようにと、こういう指導をしております。それから、私どもの方も報告を受けますので、それにつきましては、行政の方も公表していきたいというふうに考えております。ですから、行政も公表するし、それぞれの取り扱っている事業者も公表する、こういう仕組みになっていこうかと思います。
○山口委員 また、国の指示によるものだけでなくて、都独自としてどのような検査対応をしたのか、再度お伺いいたします。
○河津生活環境部長 都としては、国に先駆けて始めたということになりますので、先駆けてそれぞれ流通市場についても入りました。それから、都としての特性といいますのは、保健所に対しても指導要領をつくりまして、どういう形で具体的にそういうことの監視指導をするかということが実践できるようにしたところは、都の特徴であろうというふうに思います。
○山口委員 ありがとうございました。
最後に、異常プリオンは、かなりの高度焼却処理をしなければ原型を残すといわれています。焼却灰などの処理や、土壌や水などへの環境汚染は万全であるとはいい切れない状況ではないでしょうか。その点からいうと、未解明な部分が多々あり、将来への不安もあります。環境汚染は、やがては私たち人間に返ってくることは、既に何度か経験しております。時間がかかっても、国に調査研究を働きかけるとともに、東京都においても、未然防止の観点から、リスクコミュニケーションを含め、万全の体制を図っていただきたいと強く要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○柿沢委員 私は、前の質問をされた方々と重なる部分もあるんですが、狂牛病の問題と炭疽菌の問題、二つを質問いたします。かなりの部分重なりますので、ぱっぱっとやろうと思います。
国内で初の狂牛病に感染した牛が見つかって以来、大きな不安が広がっています。ヨーロッパでは何年も前から大きな問題になっていたにもかかわらず、日本は大丈夫ということで、十分な検査体制など対策をとってこなかった国の責任が大きいのは、いうまでもありません。
十八日からは、出荷されるすべての牛を対象に検査を行う全頭検査の体制が全国で整うということです。東京都内でも、十八日から全頭検査がスタートすることになっております。検査の方法も、これまでのプリオニクス検査から、より高感度のエライザ法という方式に切りかえるということになっています。ただ、今度のエライザ法というのは、この間のケースを見てもわかるとおり、どうも感度がよ過ぎて、陰性の牛まで陽性と一たん判定してしまうケースがかなり出るということのようです。狂牛病の疑いが少しでもあれば、絶対にその牛を市場に出してはいけないということを考えれば、より感度の高い検査方法をとるということは、私は正しいことだと思います。その点には私自身、異論はありません。
ただ、出荷された牛を全頭、これから検査するとなると、芝浦でいえば、二百頭とか三百頭、四百頭という検査を一日当たりしていかなければいけない。しかも、新しい検査方式をそこでは導入しなければいけない。本当に検査体制は大丈夫なのという疑問がわいてくるわけでございます。
しかも、今度から採用されるエライザ法というのは、なれない人がやると誤判定の可能性が高くなるということでもありますし、検査方法を習得した人が、果たしてそれだけの人数いるのかどうか。また、エライザ法の検査には四時間ぐらいかかるということを聞いておりますけれども、検査に時間がかかって、流通に支障を来さないのかどうか、数々の疑問が浮かんでくるわけでございます。
そこで、ご質問いたします。十八日からの全頭検査スタートを目前に控えて、東京都の検査体制は万全なんでしょうか、ご答弁ください。
○河津生活環境部長 都の検査体制でございますけれども、食肉市場の方は一日三百八十頭の予想をしております。その中で、検査員が今四十三名おりますけれども、その中の六名が今、国の研修に出て習得しております。六名ということですけれども、もちろん報告研修を行いますので、それぞれエライザ法のマニュアルに従って、どこがポイントであるかということを教えて、内部研修をやっているところでございます。器材等は全部そろっておりますので、あと、国を経由してキットが入りますのが十六日、本日でしょうか、ですから、本来はあしたからでも万全の体制がとれるということになっているわけでございます。
それから、職員につきましても、立ち上がりのところで、いろいろとまごつくこともあろうということもありまして、他の職場から応援も出して、そういう応援体制を組むということもしております。
それから、時間でございますが、五、六時間かかりますけれども、その日のうちにエライザ法は結果が出ますので、怪しければ、その日のうちに確保して、別に冷蔵で保管しておくということになりますので、残りは翌朝が競りになりますから、これは従来どおり、その日のうちに結果が出れば、危ないものだけ分けて、安全なものだけ検印を押して競りにかかるということで、流通に関する支障は出てまいりません。
そういうことで、都としては万全の体制でやる、こういうことを自信を持って申し上げたいと思います。
○柿沢委員 都としては、万全の体制を自信を持ってやると。万全、自信という二つの言葉が出てきましたので、安心できるだろうというふうに思いますが、狂牛病に関しては、そのほかにもいろいろ取りざたされる問題があります。牛の解体時における背割りに危険があるという指摘がございます。
日本の食肉処理場では、牛の体から内臓等を取り除いた後に、背骨に沿って電動のこぎりを使って二つに切断する、これが背割りという方法なわけですが、その方法をとっております。ただ、この背割りだと、狂牛病のもととなる異常プリオンが多く蓄積しております脊髄--脊髄は、脳とか眼球、回腸などとともに特定危険部位とされているわけですけれども、その脊髄を傷つけることになる。飛び散った脊髄の一部が肉に付着する、汚染が広がる、そんな可能性、危険性が専門家から指摘されているところでございます。現に狂牛病が大量発生したイギリスでは、九五年に背割りという方法による解体を禁止している。フランスやスペインでは、来年一月からは背割り解体の前に脊髄を吸引する、そういう装置を設置することを義務づけるということになっているそうです。
こうしたリスクの伴う背割りという解体方法は、なるべく早期にやめるか、食肉部分を汚染しないよう改善措置をとるべきだというふうに思いますけれども、都として、と畜時における衛生上の対応について、今後どのような策を講じていくのか、お聞かせいただきたいと思います。
○河津生活環境部長 ただいま先生のおっしゃられましたように、背割りといいますのは、ちょうど頭とひづめを取って、皮を取りまして、残りの胴体と足がついているわけですが、ちょうど真ん中からきれいに電動のこで切り分けるということになりまして、それが二つの枝肉に分かれて競りにかけられる、こういう仕組みになります。
背骨の中には脊髄が入っているわけでございますが、我々が聞いておりますところでは、柔軟組織ではあるけれども、かなりしっかりした組織であって、飛び散るとか、流れ出すとかいうものではないようでございます。現在、国の指導に基づきまして、背割りの場合には、背割りに使用した器具の洗浄、電動のこも一回一回洗っております。それから、枝肉につきましても、それぞれ肉を洗いまして、さらに流れていく先でも、ジェット噴射のようなものでまた洗うという形をとって、入念にはやっております。
それから、骨の中の脊髄でございますが、これも完全に除去して焼却することになっておりますので、今、検査員が一頭ごとに全部きれいになっているかどうかを確認しているということでございます。
なお、先生のおっしゃられましたような外国の動き等は聞いているわけでございますけれども、仮に国がそういうことを方針として将来出すような場合には、また、関係者と十分検討していくということになろうと思いますが、現時点では十分な体制をとっているというつもりでおります。
○柿沢委員 狂牛病について、これだけ社会に大きな不安が広がってしまったのは、狂牛病は日本には起こらないという前提に立って、検査体制の整備などを怠ってきた国に問題があるのはいうまでもありません、繰り返しになりますが。しかし、だからといって、国が悪い、国が悪いというばかりで、人々の不安が解消するわけではないですから、特に芝浦の食肉市場は、全国のと畜牛の一〇%を扱っているということですし、都としても万全の体制を国に先んじてでも講じていただきたいということをお願いして、この質問を終わりにしたいと思います。
次に、これもまた繰り返しになってしまいますが、佐藤理事、お聞きですけれども、炭疽菌の対策を私もちょっとご質問したいと思っております。これも都民の今の大きな関心事でございますので。
アメリカのフロリダ州の新聞社に炭疽菌の粉が郵便物で送られて、一人が死亡するということが起こりました。その後もNBCとか、きょうの報道を見ていますと、上院の院内総務の事務所にまで、炭疽菌の粉が入ったと見られる郵便物が送られているということがわかりまして、炭疽菌の感染者は全米で十数人ということになっております。FBIでも、炭疽菌を使った、いわゆるバイオテロとして捜査をしているところです。炭疽菌を使ったバイオテロといえば、これも繰り返しになりますけれども、かつてオウム真理教は、私の地元である江東区の亀戸の道場で炭疽菌をばらまこうとしたり、ボツリヌス菌の散布を試みたというような実例がありますので、全く他人事では済まされないわけです。
今のところ、日本では、炭疽菌の粉末を郵便物で送りつけるような同様な事件は起きていませんけれども、アメリカでは死者が出ていますし、炭疽菌が肺に感染すると、ほぼ死亡率一〇〇%というようなことも報道されておりますので、日本でも非常に大きな不安と動揺が広がっているというのが現実ではないかと思います。中でも、東京はそのターゲットになる可能性が十分に考えられるだけに、都民の不安はなおさらだというふうに思います。
ただし、炭疽菌については、その治療法や対策が十分に知られていないという部分が、不安を助長している面もあると思うんです。そこで、炭疽菌について都の対策を改めてお伺いしたいと思います。万が一、炭疽菌の感染者が出た場合、都ではどのような対応をするのか、具体的にお聞かせください。
○金田医療福祉部長 炭疽菌の患者が出た場合に、具体的にどのような対応をするのかということでございますが、炭疽菌による患者を診断した医師は、感染症法に基づいて最寄りの保健所に届け出ることになっております。これを受けまして、東京都では直ちに国や関係機関と共同して調査を開始し、感染源や感染経路の特定など炭疽菌感染の原因の解明に当たります。また、情報提供や医療の確保などを通じて、都民の安全確保には万全を期していきたいと思っております。
○柿沢委員 原因解明に全力をというようなお話もありましたけれども、なった場合、どうなるかということをお伺いしたいと思うんです。報道によると、厚生労働省が九日に設置したテロ対策本部の初会合で、炭疽菌のワクチンが国内では入手困難であるというような報告があったというふうに報道されております。そもそも日本は、諸外国と比べて、生物兵器テロ、NBCテロといったものに対する対応がおくれているというのを新聞、雑誌などでたびたびいわれますので、ワクチンがないというような報道に接すると、私も不安に思いますし、恐らく読者の皆さんはなおさらそうなんじゃないかと思います。
炭疽菌のワクチンがないという状態で、ちゃんと治療ができるんでしょうか。炭疽菌の感染者が出た場合、都内の治療は十分に確保できるのかどうか、お聞かせいただければと存じます。
○金田医療福祉部長 日本国内には炭疽菌のワクチンはございませんが、炭疽菌には通常の抗生物質が有効でございまして、特別な薬を大量に確保する必要はございません。また、発病予防につきましては、ワクチンは必ずしも必要でなく、抗生物質の予防内服で十分な発病防止効果があります。さらに、人から人への感染はございませんので、一般の医療機関でも炭疽患者の受け入れは可能であります。
このように、炭疽につきましては通常の診療で対応可能であることから、仮に都内において今回の米国程度の発生があっても、十分な診療体制が確保できると考えております。
○柿沢委員 よくわかりました。バイオテロに関しては、炭疽菌だけでなく、ボツリヌス菌とか、天然痘ウイルスとか、さまざまな病原体が使われる可能性があると聞きます。そうしたテロが起こらないようにする、それは警察なんかの仕事でしょうけれども、万が一、不幸にしてそうした被害が生じてしまった場合、万全の治療体制が組めるということも、都民の不安を解消することにつながるだろうと思います。
テロリストのねらいは、社会を混乱に陥れる、パニックに陥れる、それ自体がねらいなわけですから、東京都としても不安がいたずらに広がらないように、今のような情報は十分に都民に提供する、そして、対策を十分に進めていっていただきたいと要望して、質問を終わりたいと思います。
以上、狂牛病と炭疽菌という今の都民の二大関心事について質問いたしまして、終わります。
○野村委員 私は、都立病院改革についてお伺いいたしたいと思います。
まず、いただいた資料の三ページの都立八王子小児病院に関する地元自治体からの要望、要請で、八王子に周産期医療センターを早期に整備されたいという要望が、私どもの西多摩の市町村のみから出ております。あと、八王子。八王子小児病院の周辺の自治体の立川、昭島、日野、町田、これらの市から、ぜひ設置をしてほしいという同じような要望が出ていないのが不思議なのでございますが、どういうわけでございましょうか。
○押元病院事業部長 ただいま野村先生ご指摘のとおり、立川、昭島、町田、日野各市におかれましては、私ども、ご要望いただいていないわけでございますが、その理由については、直接各市にお問い合わせをしたわけではございませんけれども、今お話のありました各市は、中には、みずから市立病院を運営されているところなんかもございます。また、それぞれの市では、市民の地域医療の確保について、さまざまな取り組みをされているというふうに私ども認識をしております。そのようなことから、地域医療に対する認識の違いがあるものと理解をいたしております。
○野村委員 この要望は、八王子の関係者が西多摩の市町村に呼びかけて、ぜひつき合ってくれという形で、おつき合いの上で要望を出したようなのでございますが、西多摩の四市三町一村は、すべてみずから公立病院を持っております。
先日、青梅市立総合病院の星院長に会いまして、青梅市立総合病院も、国指定ではないけど、みずからNICUを設置していると。かつて八王子小児病院に、私どもも努力してドクターカーを設置いたしましたが、青梅市立総合病院の小児科の患者さんが八王子小児病院に行くケースと、八王子小児病院から青梅市立総合病院に駆け込むケースと、二つのケースがあるそうで、八王子小児病院から青梅に来る方が多いんだそうでございます。本来、八王子小児病院が基幹的な小児医療の機能を持っているべきで、ドクターカーもあるんだけれども、どうも私ども田舎の病院の方が頼りがいがあるようでございまして、そんな関係に今あるようでございます。
そういった中で、八王子市は周辺市を巻き込んで存続運動をやっておりますが、五十三万人の人口を擁する自治体が、みずからの市民のために、市民の医療を責任を持って果たす、そういった意識が果たしてあるのかどうかですね。しかも、八王子市内には東京医大、東海大学がございまして、多分、大学に八王子市も補助金をお出しになっていると思いますが、八王子小児病院に代替する、それ以上の高いレベル、機能を持った大学病院が近い将来来るわけでございまして、八王子市としては、その辺に市民の健康を担う責任を依存したらいかがかなと、私は勝手ながら、僣越でございますが、八王子市に注文をつけたいのでございますが、いかがなものでございましょうか。
○押元病院事業部長 先ほど来の各先生のご質問の中で、八王子小児病院の果たしてきた地域医療、あるいは清瀬についても同様でございますけれども、それぞれの小児病院が地域において果たしてきた役割というようなものを大変重視しておられまして、私どもも、その信頼の厚いことに非常にありがたい思いをしているわけでございます。
八王子小児病院にいたしましても、あるいは清瀬小児病院にいたしましても、初期救急は、先ほども申し上げましたが、八割近くに上っております。そういう意味では、本来、都立病院の役割としております高度専門的な医療というものが、割合としては低くなっているというような状況がございます。
これを、府中病院という総合的な成人の病院に隣接する形で、心から体まで総合的にお子さんを診る、小児総合医療センターの方に統合するということでございますけれども、その果たしてきた地域医療につきましては、決して私ども、その後は地域でということで突き放しているということではなくて、今、野村先生のお話にございましたように、東海大学が近い将来オープンいたします。また、東京医大の医療センターもございます。また、地域の医療機関もそれぞれございますので、そういった医療機関によくご相談し、お願いを申し上げながら、また、地元の八王子市ともよくご相談申し上げながら、地域の皆様が安心してかかれる小児医療の体制というものを構築してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○野村委員 それぞれの自治体が、自治体によっては小規模、しかも財政力が弱いにもかかわらず、地域の医療を責任を持って公立病院で運営しているところが多々あるわけでございまして、都内の市町村立病院の運営状況はどうなっているのか、承りたいと思います。
なお、公立病院の病院運営費補助、かつては一ベッド百三十五万円までいったんですが、現在はおおむね百二十万程度。私どもの青梅市立総合病院も、昨年救命救急センターを整備しまして、わずか十四万人の人口ですが、六百床の病院を持っております。三次救命救急センターも持っております。これに九十五億かけました。東京都の病院整備費は二五%でございまして、残りは、非常に財政状況が厳しい中、起債を起こして自治体が出しているわけでございまして、これが三多摩の市町村立病院の実情でございます。
私から先に実情を語っちゃうと答弁が出てこないのでございますが、ひとつその辺の状況、また、みずから担っている市町村の数をお教えいただきたいと思いますと同時に、八王子のように人口が五十万を超える自治体で病院を持っていないところはどこなのか、八王子も含めて、ちょっとお聞かせいただきたい。
○梶山参事 区市町村立病院についてのお尋ねでございますが、都内には現在、市町村が運営している病院が九病院ほどございます。その内訳は、市立病院が四、町立病院が二、一部事務組合立病院が三病院でございます。
なお、一部事務組合を構成している市町村は十市三町一村であり、これらを合計すると、十四市五町一村が病院の運営を行っております。
また、人口五十万人以上の市町村で直営の病院を持ってございませんのは、全国で八王子市と相模原市でございます。
○野村委員 うっかりしていまして、八王子選出の先生が目の前にいらっしゃるので……。(笑声)理屈の上での議論なので、お許しをいただきたいと思います。
都立病院の再編整備に当たりまして、仮に自治体が病院経営に意欲を示した場合、都立病院の移管を求めてくるというような意欲のお示しがあった場合、東京都としては必要な支援を行うことができるのか、承りたいと思います。
○齋藤企画担当部長 地域医療を適切に確保する観点から、現在も、都は市町村立の病院に対しまして施設整備費等の補助を行っているところでございますが、今後、お話のように、仮に地元自治体が病院経営に意欲を示し、都立病院の移管を求めてきた場合には、地元自治体と協議を行っていく中で、地元自治体にかかる負担や、その病院の担う医療機能なども考慮しながら、局として、さまざまな視点から必要な支援策について検討していきたいと考えております。
○野村委員 私も、青梅総合病院の救命救急センターの整備で大分苦労しまして、財政が厳しい折でございますが、ぜひ今後、そういった支援体制、より手厚い支援をご考慮いただきたいと思ってございます。都立病院の総合病院が一床当たり五百万円程度、一般会計から補助金が出ているといわれている中で、公立病院は苦労しながら、一床当たり運営費補助がわずかに百二十万円、整備費の交付率が二五%。都立病院改革に当たりまして、地方自治体が地域病院としてみずから担う場合は、その辺、現状の都立病院との補助の格差を、中間値でもいいから、穴埋めするような工夫をぜひご考慮いただきたいと思います。
次に、今後、都立病院改革の報告を行政計画にしていく場合、こうした自治体の意向をどのように酌んでいただけるのか、お聞かせ願いたいと思います。
○押元病院事業部長 病院経営に対します地元自治体の意欲が示されれば、私どもといたしましては、前向きに受けとめまして、十分協議してまいりたいと存じます。マスタープランにつきましては、年内を目途に策定いたしまして、再編整備のスケジュールなどを示していく予定でございますけれども、住民の身近な地域医療を確保していくということは、本来、住民に身近な自治体である区市町村の役割であり、また、マスタープランの中でも、こうした考え方を反映させてまいりたいと思っております。
○野村委員 東京都の保健医療計画では、住民に身近な地域医療の確保については、基礎的自治体である区市町村が主体的な取り組みをしなさいと、そううたわれているわけでございます。
そこで、お聞きしたいのでございますが、仮に将来、区立病院化が実現された場合、都区財政調整制度の上では、今後どのような議論が展開されていくのか、ひとつ局長のご見解をいただきたいと思います。
○今村衛生局長 以前、私が行政部長をやっておりましたので、そういう観点からお聞きになったんだと思いますけれども、都区財政調整制度は、都と区及び区相互間の財政均衡を図るという観点から設けられている制度でございまして、これは総務局が所管しております。
ご指摘のように、仮に区立病院が設置された場合には、大変結構なお話でございますから、都区財政調整の中で、現行制度の中ではストレートに適用するということは非常に難しゅうございますが、都と区の役割分担や財源のあり方などについて検討されるよう、関係局と最大限協力してまいりたいと考えております。
○野村委員 今回の都立病院改革会議報告書にご参加いただいた委員の先生方は、医療の専門家なり、あるいは都民の代表であったり、マスコミの方であり、あくまでも外部委員の皆さんでございまして、マスタープランをつくる上では、当然、衛生局の皆さん、福祉局の皆さん、また、我々都議会の意見、これを酌み取る中で行政計画にしていただきたいと思うのでございます。
そういった中で、特に今回の報告書の中で、地域病院の今後のあり方が、すべて民営化の方向に行っているわけでございますが、仮にも区立がその地域病院を継承したいというときは、非常に尊重すべき選択肢だと僕は思うのでございます。残念ながら、外部委員の先生方の選択肢の中に区立病院化という選択肢が出てこなかった。これは、都政の歴史の上でも、そんなことはあり得ない常識であったでしょうから、そういうアイデアも出なかったんだと思いますが、これから二十三区は、清掃事業の移管を含めて、より基礎的自治体の方向で進むわけでございまして、東京都としては、全体的な広域行政を担う自治体として、三多摩の基礎的自治体と二十三区が同じ水平面で、それぞれ自治体が努力していく、それを広域的な自治体として東京都が面倒を見ていく、そういう構図になっていくわけでございまして、決して二十三区が区立病院を持つことが非常識でない時代に入りつつあるわけでございます。
各区の関係者におかれましても、そのような意欲をぜひ示していただきたいと同時に、聞くところによると、ある都立病院が位置する区の区長さんが、今回、都立病院を自区で継承したいと意欲を示して、今研究中ということも聞いておりますので、ぜひその辺の取り組みについてご支援をいただきたいと同時に、先ほど八王子市を例に出して大変申しわけなかったのでございますが、八王子市に限らず、地域医療を各基礎的自治体が担うような、そのような意欲を示していただくように、東京都からも適切な支援、指導をお願いいたしたいと思います。つきましては、再度、局長のご決意をいただきたいと思います。
○今村衛生局長 公立病院の見直しが全国的に話題となっている中で、この報告は都立病院が担うべき役割やその経営形態を明確にするなど、いち早く東京から全国へ発信する、公立病院改革の新しい形を示していただいたものと考えております。
ただいまご指摘のありました地元自治体を含めて、自前で病院をやりたいというような手が挙がりましたら、今度のマスタープランに間に合うかどうかわかりませんけれども、将来、マスタープランをローリングするなり、あるいは計画を見直すなりしながら、財政支援等考えながら地元自治体に協力してまいりたいと考えております。マスタープランは年度内に策定いたしますけれども、具体的な再編整備のスケジュール等明確にした上で、早期の改革の実現を図ってまいりたい、こう考えております。
○河西委員 都立病院改革会議報告書に関連して、私も質問させていただきますが、いろいろな角度から質問がきょうなされまして、かなりダブっております。時間の関係もありまして、重複を避けて、別の観点から何点かご質問させていただきたいと思います。
この報告書を拝見いたしまして、その後の地元自治体からの要請、関係団体あるいは患者さんたちの生の声など聞いてまいりました。特に、小児病院につきましては、清瀬、八王子両小児病院も視察をさせていただきまして、また、八王子市で小児病院に隣接してデイサービスを行っている、こあらくらぶ等の視察等、直接皆さんからご意見を聞くという行動をとってきょうに至っておりますけれども、きょうのご質問を伺って、ご答弁の中で、私どもが持っている疑問について、すとんと落ちない点があるということをまず申し上げたいと思うんです。
昨年の九月諮問をされた会議が、七月に答申を出すわけですけれども、十二月、年内にマスタープランをつくるという今回の改革のスケジュールそのものが、私は、かなりテンポの速い作業だなという印象を持ちました。改革の中身を見ますと、東京の医療そのものが今後どうなるのかという視点も前提に置きながらつくられているので、もう少し時間をかけて、関係者からの十分な意見反映とか、都立病院の財産の持ち主であります都民の意見なども広くお聞きしながらマスタープランをつくり上げていくという、こういう時間的な余裕も少し欲しかったかなというのが感想でございます。
そういう感想の上に立ちまして、具体的なご質問に入らせていただきますが、都立病院は、東京の医療全体の一部にすぎないというふうに思っています。東京の医療の全体像を踏まえた上で、東京の医療全体がどうあるべきか、ここのところを冒頭、まずお伺いしておきたいと思います。
○齋藤企画担当部長 東京には数多くの診療所や病院が整備され、また、大学病院のような高度な先進医療機関も集積しております。また一方、少子高齢化の急速な進行や疾病構造の変化など、都民を取り巻く医療環境は大きく変化してきております。こうした中で、今後とも都民のニーズに的確に対応していくためには、限りある医療資源をより有効に活用していくことが必要であると認識しているところでございます。
このため都は、国、都、区市町村並びに民間医療機関がそれぞれその役割分担のもと、密接な連携を図りながら、都民に対して、より質の高い医療サービスを三百六十五日二十四時間、適切に提供することを目指しているところでございます。
東京都保健医療計画の改定に際しましても、引き続き医療提供体制の充実に努めてまいりたいと考えております。
○河西委員 わかりました。
今、東京の医療全体の中で、今後どうあるべきかという導入部をお話しいただきましたが、それでは、その中で都立病院がどのような役割を担うのかということについてのご見解をいただきたいんですが、この報告書の中でも、行政的医療という言葉で語られていますけれども、改めてお願い申し上げます。
○押元病院事業部長 東京の医療全体の中で、都立病院がいかなる役割を担うべきかということでございますけれども、今、先生ご指摘のように、都立病院改革会議の報告では、都立病院の役割を新たに行政的医療としておりまして、一般の医療機関では対応が難しい医療を主として担うべきであるとされているところでございます。東京の医療全体の中で、都立病院はこうした行政的医療を担っていくことによりまして、他の医療機関との密接な連携を通じて、質の高い医療を提供し、都民に対する総体としての医療サービスの充実強化を目指していくべきだというふうに考えております。
○河西委員 わかりました。
今回の報告を目にした都民の中から、いろいろな不安、心配があるんですが、その一つで、一般医療機関での対応が困難な、今おっしゃられた行政的医療を主として担うセンター的機能病院、これはその機能を強化する余りに、総合診療基盤が縮小されるのではないか、一般の都民から遠い存在になってしまうのではないかという心配がございますが、これについてはどのようなご認識をお持ちでしょうか。
○押元病院事業部長 一般的医療機関での対応が困難な行政的医療が、都立病院の主として担う役割ということでございますけれども、こうしたいわゆる高度専門医療も、総合診療基盤のすそ野に支えられて初めて提供が可能になるものでございます。さらに、センター的機能病院は、他の都立病院との間はもとよりでございますけれども、国公立病院、あるいは民間の医療機関と密接に連携をいたしますことから、質の高い医療を都民に公平に提供することが可能になるというふうに考えております。
したがいまして、一般都民から遠い存在になるというふうには考えておりません。
○河西委員 それでは、次に、小児病院の統廃合について若干お聞きしておきたいと思います。
きょうの議論の中で、多くの心配、それから懸念なども大分解消はされましたけれども、今の八王子、清瀬両小児病院がなくなることに対する、本当にそれで今までのサービスがほかのものにとってかわれるのかどうかということの担保が、まだはっきりといただけなかったという印象を持っているんです。
それで、端的に質問申し上げますが、八王子小児病院は南多摩の医療圏、清瀬小児病院は北多摩北部の医療圏で、それぞれ中核的な施設となっております。これらの小児病院が移転すると、地域が担う初期医療との連携システムの崩壊につながるという不安の声がありますけれども、具体的にどのように対処されていくのか。きょう、幾つかヒントになるようなご答弁がありましたが、重複するかと思いますけれども、改めてご答弁をお願いいたします。
○大塚病院企画担当部長 都立病院改革会議の報告書の中では、二つの小児病院の移転統合に当たりましては、両院がこれまで実態として果たしてきた地域医療機能につきまして、地元自治体や地域の医療機関との役割分担などを踏まえて、地域医療の確保に配慮する必要があるとしてございます。
今後、改革を実現するに当たりましては、報告書の提言を十分に受けとめ、地域医療の確保に向けて、地元自治体、地域の医療機関との役割分担を踏まえながら、関係機関と十分協議を重ねるなどして、地域住民が安心して身近な地域で適切な医療が受けられる医療提供体制を確保していきたいと考えております。
○河西委員 一般的なお答えだったなという気がいたしますが、きょうのやりとりの中で、少し見えてきました。先ほどの野村委員のご指摘ですとか、そのほかの委員の皆さんのご質問の中から、例えば清瀬の場合は、多摩老人医療センターの中に小児科を設けるからというお答えがあったり、八王子については、新規にできます病院に小児科を設置していただくようにお願いするとか、あるいは地元自治体で意欲があれば、病院の経営主体を変更してやっていただくとか、いろいろあるというふうに思います。それも、地元の自治体、あるいは関係者との十分な協議ということで進めていただきたいと思いますけれども……。
もう一つ、具体的に東村委員からもありましたでしょうか、今、実際に例えば八王子に通っていらっしゃる患者さんたちが、緊急にぐあいが悪くなったり、どうしても町場の診療所、あるいは病院、医院で受けてもらえないような重篤な症状が発生したときに、頼りにしている八王子小児病院が移転することによって、さっきちょっと申し上げましたが、こあらくらぶの皆さんにお会いして、ここでの通所デイサービスの実態のお話を聞いてきました。
そうしましたら、病院の近くに引っ越しをされてきている人が何人もいらっしゃるんですね。それは、病院の近くに住まわれるということで安心を担保されているんですが、それが府中に移ってしまうことによって、もう一度引っ越しは無理だという声とか、こういう不安なりについても具体的に答えていくという基本的な姿勢を--それは個人の問題だから、自分でやりなさいということでは、十分納得が得られないだろうというふうに思います。そういう具体的な配慮という言葉の中に隠されている、地元の自治体、関係者に対する支援策については、本当に十分過ぎるほど十分な、親切な対応、誠実な対応をぜひお願いしておきたいと思います。
次に移りますけれども、梅ケ丘病院の移転の問題です。区部の小児精神の外来、相談、援助機能を大塚病院に設置するとしておりますけれども、これらの機能移転だけで区部の小児精神医療、支障はないのだろうかと思いますが、これについてご認識を伺います。
○大塚病院企画担当部長 都立病院改革会議が提案してございます再編整備は、基本的にそれぞれの都立病院に医療機能を集約した上で、都立病院間のネットワークを充実強化することによりまして、全都を対象として、より質の高い医療を提供しようというものでございます。
ご指摘の梅ケ丘病院の移転に伴う区部の小児精神医療につきましては、これまで梅ケ丘病院が区部において担ってきた医療機能を考慮いたしまして、外来、相談、援助機能を大塚病院に新たに設置しようとするものでございます。
なお、入院部分などの機能につきましては、小児総合医療センターとの密接な医療連携を図ることによりまして、医療サービスに低下を来さないように配慮していくつもりでございます。
○河西委員 それでは、会議の報告書、最終答申を受けて、今度はマスタープランを行政がつくっていくわけですが、このマスタープラン、基本計画は年内につくるということになっています。その後、どういう形でこのプランを実現させていくのかということなんですが、現時点でスケジュールをお持ちでしたら、お聞かせいただきたいと思います。
○押元病院事業部長 今、ご指摘のございました都立病院再編整備のマスタープランでございますけれども、この内容は、再編整備の基本的なスケジュールとか、各病院の医療機能、改革を推進するに当たっての体制の強化策など、都立病院改革実現に向けての具体的な道筋を明らかにするものということで、現在策定中でございます。
現時点でのスケジュールというご質問でございますけれども、現時点では、まだスケジュールのところまで最終的に固め切っておりません。マスタープラン策定後の段取りでございますけれども、再編整備のスケジュールに基づきまして、それぞれの病院について再編整備に向けての具体的な検討を行った上で、計画的に再編整備を進めていきたい、こういうふうに考えております。
○河西委員 そうしますと、きょうの質疑でもございましたが、今度の改革を全部終了--もし予定どおりいくとしても、かなりの期間が費やされなければいけないし、そのために必要な財政負担の問題も、民主党のさきの定例会代表質問でも、経費の負担の問題、財政負担の問題もお尋ねしましたけれども、まだお答えいただける段階ではないということでお答えいただいておりませんが、現時点でも、マスタープランができ上がらないと、その後の具体的な、統合を初めとした今回の改革案が実現しないんだろう、そこまでいかないんだろうと思いますが、こういうふうに考えてよろしいのでしょうか。マスタープランをおつくりになって、その後、予算を伴いますから、財政的な措置も考え合わせて、できるところからやっていくと。
例えば、具体的に三つの小児病院の統廃合をまずやっていく、それについては府中の都立病院の方も手をつけなければいけない。この辺をまず進めるにはどうするかという、それぞれの整備の基本計画になるんでしょうか、実施計画になるんでしょうか、マスタープランをつくった上で、個別の再編整備に向けたプランをつくって、財政措置をして、それでスタートしていくと。そういうふうに認識すればよろしいのですね。それだけちょっと確認させていただきたい。
○押元病院事業部長 再編整備についてでございますけれども、できるところからというお話もございましたけれども、都立病院改革会議の報告書の精神に基づきまして、各都立病院の老朽化の度合いとか、都民の医療ニーズの切迫性等、いろいろな要素を考えながら整備計画を立てていきまして、その整備計画に基づいて財政計画を立て、それで進めていく、現実のものとしていく、こういう段取りになろうかと思います。
マスタープランというのは、あくまで大枠を示すものでございますから、マスタープランの中で、それぞれの病院について医療機能の細かなところまで、果たして盛り込むことができるものかどうかというのは、まだ私ども見えていないところがございますけれども、いずれにしましても、マスタープランに引き続いて、それぞれの病院についての基本的な計画というものを、マスタープランで示した大枠にのっとって計画を立てて、再編整備を具体的に進めていく、こういう道筋になろうかと思っております。
○河西委員 わかりました。
そうしますと、先ほどの局長のご答弁でも、マスタープランのローリングなり見直しも、必要によってはマスタープランをつくった後でもあり得るということと、個別の整備についての具体的な財政措置も含めた、マスタープランだと実施計画になるのか、ちょっと言葉は別ですが、具体的な機能まで盛り込んだ計画づくりというのが進んでいくんだろうというふうに思います。ただ、それなりの時間が必要だ、長期間要するということを頭に置いて、最後に、要望に近いんだろうと思いますけれども、都立病院の再編整備案について、都民から、あるいは関係者から声がいろいろ寄せられております。それで、都民合意をどう図っていくのかということが、私はとても重要だと思っております。
東京都では、情報公開条例をお持ちですし、その中で情報の提供、情報の公開、ございます。情報の提供につきましても、計画の中間時点での市民への情報提供ということも条文の中に盛り込まれておりまして、改革会議の最終答申は七月にいただいておりますけれども、私は、過去のことですから、終わったことですから、今さらどうということはないんですが、こういう審議会で報告をまとめられるときにも、中間報告をされて、それで、ご意見を聞いて最終報告をするという、これはどこの基礎自治体でもそういう参加のあり方というのを実践してきているところです。
ぜひそういう機会をつくっていただきたかったなという感想を申し上げ、今後に生かすために、都民合意をどう図るかというところで、ぜひ積極的な姿勢をとっていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○押元病院事業部長 今回の都立病院改革会議の報告でございますが、七月十三日に報告がなされておりますけれども、ことし二月に、それまでの検討経過をまとめまして、小委員会の方から、いわゆる親会議の方に報告がなされておりまして、そちらの方で、都立病院のこれから担っていくべき医療を行政的医療という形で明らかにしてきたところでございますが、ご指摘のとおり、都立病院改革会議の報告につきましては、地元自治体や都民の皆様方から、さまざまなご意見、あるいはご要望をちょうだいしております。
今後、改革を着実に進めていくためには、マスタープランの策定後も、その内容をさまざまな機会を通じて、議会を初め都民の皆様にも明らかにしていくとともに、都民に対する総体としての医療サービスの向上という改革の目的や、都立病院が東京の医療の中で果たすべき役割について十分ご説明を行い、関係者の皆さんの理解を得ていく必要があるというふうに考えております。その上で、地元自治体、あるいは地域の医療機関との役割分担を踏まえながら、関係機関とも十分協議を重ねるなどいたしまして、地域住民が安心してかかれる医療提供体制を確保していきたいと考えているところでございます。
○河西委員 わかりました。
都立病院改革につきましては、先ほどもちょっと触れましたけれども、財政負担があります。老朽化しているところは建てかえなければいけませんし、統廃合にもお金がかかります、あるいは公社化する、民営化するということで、一体補助がどうなるのかという問題とか、財政がどうなのかということで、メリット、デメリットというのもおかしいでしょうけど、どこが浮いて、どこに新たな負担をしなければいけないか、それも都民にとっては大変大きな関心事でございますので、財政負担の面からも、きちんとした情報提供をしていただきたい。その上で、都民が判断できる材料提供、説明責任を果たしていただきたいということを要望して、終わります。
○吉田委員 私は、牛海綿状脳症、そしてリハビリテーションについて、それぞれ二、三簡潔に質問させていただきまして、都立病院改革報告について質疑をさせていただきます。
牛海綿状脳症については、もうかなり質疑がありました。ダブる点は省きます。冒頭、皆さん方のこの間の、本当に日夜分かたぬご努力に対して心から敬意を表したいと思います。
さまざまな課題がありますが、今一番力を入れて取り組まなければならないのは、十八日からのスクリーニング、これが本当に万全な形で行われるかどうかということが、一つの重点だと思います。私は、それだけの体制が本当にとれるのかということで心配いたしましたけれども、先ほどのご答弁でもありましたが、常時いらっしゃると畜検査員の人だけじゃなくて、必要な増強もとってスタートしたいということでありましたので、ぜひ万全の体制で進めていただきたい。
ただ、一点、心配なのは、かなり危険を伴う検査ということになれば、検査所、あるいはと畜場も含めてですけれども、その点での安全管理そのものを、衛生局としても細心の努力を払う必要があるかと思うんですが、杞憂かもしれませんが、この点はどうなんでしょうか。
○河津生活環境部長 安全対策ということでございますけれども、牛海綿状脳症のプリオンを食するということが一番危険なわけでございますので、いわゆる空気感染とか、皮膚からということではございませんので、そういうものでは、他の感染症とはまた違ったものがあろうかと思います。
ただ、そうは申しましても、国が示した検査法に従いまして、マニュアルどおりきちんとやっていくわけですが、国も安全キャビネットといいまして、箱の中に手だけ入れて検査をする、こういうことも推奨しておりますので、十分そういったことも配慮して検査を行っていきたいというふうに考えております。
○吉田委員 次に、ちょっとお教えいただきたいんですけれども、今回、最終的にはシロということになりましたが、疑似陽性がスクリーニングの結果出たと。この場合には、かなり幅広い反応を示すものだということを後から我々も知ったものですから、納得したわけですけれども、そういうことがわからなければ、疑似陽性、即これは危険ということにもなりますから、この点について正確を期す必要があると思うんですね。
今回の疑似陽性については、そもそもスクリーニングという制度そのものが、かなり幅広く出るという結果だったのか、それとも検査の技術的な、初歩的な段階によってそういう結果になったのか、今後、疑似陽性が出る確率といいますか、それはどの程度の幅であるのか、その辺、もし明らかにできればしていただきたいと思いますし、そういう可能性についても、これからさまざまな広報の中では、このスクリーニングというのはこれだけの一定の幅があるんだというようなことも、事前に広報する必要があるかと思うんですが、その点いかがでしょうか。
○河津生活環境部長 まず、今回の結果につきましては、国の全国研修の中の一環でございましたけれども、ただ、原因が何であったかにつきましては、国からは何の説明もございませんので、今のところ、どういうことであるかという解明はできていないわけでございます。検査そのものは、感度はいいやり方をとっております。これは当然、人がやる検査でもございます。ただ、我々の方も、習熟度ということはあるかもしれませんけれども、いわゆる食肉検査所におきましても、職員が、一回陽性ということが出た場合には、必ずもう一度ダブルで検査して、それでもなおかつ陽性の場合には、これは徹夜してでもやりまして、それから帯広に送る、こういうつもりでおります。
確率につきましては、現時点では国からは何の知見も示されておりませんので、学術論文の中にはあるかもしれませんけど、我々はわからないわけでございます。今後実践していく中で、そういうものは検証されていくかもしれませんけれども、現時点では何とも申し上げられない。そのためにダブルで、スクリーニングの検査と、さらに確認する検査、この二つを合わせて確定する、こういう方法をとっているということでございます。
○吉田委員 続いて、スクリーニングで、もし疑似陽性が出た場合の対応なんですが、精密検査は、今もお話がありましたが、すべて帯広畜産大学に送ると。これは国の責任の仕事になりますね。そうすると、東京都だけではなくて、全国で帯広畜産大学に集中するということになれば、果たして対応し切れるのかというようなこともあります。しかも、潜伏期間を考えれば、かなり長期にわたってこういう作業をするということになれば、帯広畜産大学だけじゃなくて、国へも働きかけて、何らかの形で東京なりにでも、そういう検査の場を設けるというようなことも、今後の課題としてはあるのではないかなというのが一点。
もう一つ、スクリーニングで疑似陽性が出た場合の公表の仕方なんですが、東京都は、最終精密検査の結果でなければ発表しないといい、厚生省の場合には、報告があれば疑似陽性で発表するという、若干そこは食い違いが見えるようなんですが、統一的にはどういうふうに理解したらいいのか、あわせて。
○河津生活環境部長 二点ございまして、一点の帯広だけでというものでございますが、確定診断の場合には、かなりの経験と習熟度が必要だと思います。そういう意味で、すぐにできるかどうかという部分は、都としては何とも申し上げられませんけれども、今のところ国は帯広でやるといっておりますので、きちんとやるように、国にも要望していきたいと思います。
もう一点でございますが、私どもは、十月十二日の先週の金曜日でございますけれども、大騒ぎしているときに、午後、国で全国課長会がございまして、全国課長会の報告、これは後で私どもは伺っておりますけれども、その中で厚生労働省の説明では、スクリーニング検査の結果では公表せず、その後の精密検査の結果が出てから公表する方針であるという説明を受けてまいったようでございます。その後、国からは正式な通知とか連絡は、今の時点では何もないというのが現状でございます。
○吉田委員 ぜひご努力をお願いしたいと思います。
次に、リハビリテーションについてなんですけれども、高齢化の進行に伴って、保健衛生の分野の中で、リハビリテーションの持つ役割、また、高齢者の方だけじゃなく、都民の方の期待は非常に高いものがあると思います。
私も、以前、厚生委員会にいたときに何回か、この問題について質問させていただきました。また、例えば兵庫県の場合は、県立のリハビリセンターの支援センターを、非常にすばらしい施設を持っているだけじゃなくて、二次医療圏ごとに地域リハを推進するための支援体制もつくられていると。我が党としても、こういう形で地域リハビリの促進を求めてきたわけでありますが、リハビリテーションの協議会もつくられて、検討が進められていると聞いておりますが、こうした東京都レベルはもちろん、二次医療圏ごとの推進体制の検討や具体化というものはどのようになっていらっしゃるのか、ご答弁をお願いいたします。
○梶山参事 リハビリテーションについてのお尋ねでございますが、リハビリテーション医療においては、リハビリテーションを実施する施設間の連携や、さまざまな職種間の連携が必要であると認識しております。このため、昨年七月に、先生ご指摘の東京都リハビリテーション協議会を設置し、地域における連携体制や従事者の資質向上のための具体的方策について、検討していただいているところでございます。
また、本年二月、この協議会はリハビリテーションの実態を把握するために、その担い手である病院や施設に対し、アンケート調査を行い、現在取りまとめを行っておるところでございます。今後、この協議会での検討結果を踏まえ、地域におけるリハビリテーションの充実方策について検討してまいりたいと考えてございます。
○吉田委員 ぜひ前向きにご努力をお願いしたいと思います。
それでは、都立病院改革の報告書に移らせていただきますが、最初に、高齢者医療と都立病院の役割についてです。
都立病院のあり方を検討する上では、当然のことですが、まず、医療をめぐる状況の変化や都民ニーズがどういう方向に進んでいるのか、そういう動向に対応して都立病院の役割というものも検討されるのは当然だと思います。その一つが、高齢化の進行です。報告書の冒頭で、医療を取り巻く環境の変化の中で、(1)として、少子高齢化の急速な進行ということに着眼しております。
そこで伺いますが、環境変化の第一に、少子化と同時に高齢化の進行を挙げているわけですが、この高齢化の急速な進行というのは、医療の上でどのような課題を提起していると認識しているのか、まず基本的なお考えをご答弁ください。
○押元病院事業部長 報告書では、先生ご指摘のとおり、少子高齢化の急速な進行、とりわけて高齢化ということでございますけれども、高齢化が都立病院における医療に与える影響ということについてでございます。
老人医療センターで行っております高齢者医療を、全人的、包括的医療をその特徴とするというふうに報告書では位置づけておりますけれども、これを、迫り来る高齢化といいますか、急速に進行する高齢化の中で、今後の高齢化の急速な進行に備えて、速やかに老人医療センターで行っております高齢者医療を普及拡大する必要がある、こういうふうに位置づけをしているところでございます。
○吉田委員 私の考えたものとちょっと別な形のお答えになったんですが、お医者さんの方々、目の前にいらっしゃって恐縮ですけれども、高齢化というのは、ただ高齢者の数が多くなるというだけではなくて、それに伴うさまざまな新たな高齢者独特の疾病の発生とか、重複した形での発生だとか、同時に、その中で、ただ長寿というだけではなくて、いかに生活の質を高めるための医療の努力をするかだとか、さまざまな新たな今日的な課題が、医療全体にとっても、その中で都立病院に対しても提起をされているんじゃないかというふうに私は思います。そういう意味で、高齢者医療における都立病院の果たす役割というのは、これまで以上に大きなものがあるのではないかなと思います。
ところが、非常に不思議なことは、これまでも都立病院の、行政的医療という言葉が今回使われましたが、少なくとも都立病院が担う医療の中に高齢者医療というものは位置づけられて、実態としてあったと思います。しかも、今回の行政的医療をどういうふうに枠組みをとるかという検討の中でも、中間まとめまでは、少なくともその中に高齢者医療ということが位置づけられていたというふうに、小委員会の報告などで承知をしておりますが、これから高齢化が進展し、さまざまな新たな課題が出る中で、逆に、行政的医療の中から高齢者の医療はなぜ外されたのか、ご答弁をお願いいたします。
○押元病院事業部長 先生ご指摘のとおり、経過報告におきましては、老人医療センターがこれまで果たしてきた役割を踏まえつつ、高齢者医療が今後ますます重要になってくるという観点から、行政的な医療として位置づけられていたところでございます。
しかしながら、その後、会議での議論が深まるに従い、高齢者医療は、高齢化の急速な進行に備えて、速やかに普及拡大することが必要であるというふうにされたものでございます。
さらに、江東区の新砂で、いわゆる公設民営方式で高齢者専門病院が開設を予定するなど、民間の医療機関による高齢者医療への対応が可能な状況になりつつあることから、できるだけ多くの医療機関において、積極的にこの高齢者医療に取り組んでいくべきだ、それが望ましいというふうにされまして、行政医療から外して、必ずしも都立病院だけで行うものではないというふうにされたところでございます。
○吉田委員 私は、普及拡大という点でも、新たに新砂に公設民営のものができるという点でも、ただそのことをもって、基本的な出発点に当たる行政医療の中に何をいい続けるかということから高齢者医療を外すということは、説明にはならないと思うんですね。
しかも、後で専門家の方々のご意見についてもご答弁願いたいと思いますが、都民自身のニーズにどう対応するかということを、この報告書を受けてのマスタープラン、行政計画を立てる上でも一つの前提にすべきだと思うんです。報告書を作成する過程の中でも、都民モニター、世論調査などが生かされたというふうに聞いておりますが、こうしたそのために行った世論調査の中でも、都民から、高齢者医療の分野での東京都に対する直接的な期待というのは非常に強かったというのが私の印象なんですが、その点、どのようなご判断なんでしょうか。
○押元病院事業部長 都民の都立病院に期待する役割の中で、高齢者医療に対する期待が大きいということは、アンケート等に見られるとおりでございますけれども、その高齢者医療をできる限り都民に普及するためには、従来、老人医療センターで培ってまいりましたいろいろな実績を広く一般に普及して、可能な限り、民間の病院も含めた都内の医療機関全体で進めていくということが、そういった都民の期待にこたえる道だというふうに、委員の皆さんのご判断があったものと理解しております。
○吉田委員 私の方から紹介させていただきますけれども、皆さんが行った世論調査で、都内で充実させるべき医療分野の第三番目が高齢者医療で、四五・三%、医療全体の中でも充実させてほしいというのが高齢者医療なんですね。その高齢者医療をどこが主体になって担うべきかという次の設問に対しては、第一位が公立病院なんですね。ですから、単に高齢者医療に対する期待が高いだけではなく、それをぜひ公立病院で担ってほしい、都立で担ってほしい、そういう意見が出されているわけです。
また、都立病院で取り組んでいる医療分野の必要性ということについても、一位、生活習慣、二位、難病、そして三位、高齢者医療と。こういう高齢者医療、そして、その中での都立病院が果たす役割に対する都民の期待に正面からこたえることこそ、私は求められているというふうに思います。ところが、この報告書では、老人医療センターを豊島病院と統合し、民営化するということが出されております。
既に福祉局の質疑の中でも、高齢者医療センターの役割について、同僚の小松委員からも説明がありました。また、この報告書の中でも、この間の果たしてきた役割として、高齢者の高度専門医療を行うモデル病院として運営されていると。そして、先ほどもお話がありましたが、高齢者の生活の質を第一義的に考えた全人的、包括的医療を行う、CGAを取り入れた総合的なチーム医療を進めていくと。
ですから、普及拡大していくことは結構なんですけれども、これから高齢化の進行の中で、さまざまな高齢者医療の分野でますます新たな課題が出てくるときに、より専門的、高度センター的機関というものは、東京都がきちんと担っていくというのが、私は当然だと思うんですね。
それで、改めてお聞きしますけれども、なぜ高齢者医療センターを都立から外されるのかということをもう一度お伺いします。
○押元病院事業部長 都立病院改革会議の報告書では、老人医療センターがこれまで果たしてきた役割を非常に高く評価しております。その役割も踏まえつつ、高齢者医療が今後ますます重要になってくるというところから、それを高齢化の急速な進行に備えて、速やかに普及拡大する必要があるという判断に議論が向いた、こういうことだというふうに理解をしております。
老人医療センターを民営化することによりまして、老人医療センターで培ってきた高齢者医療が普及拡大される。また、民営化された後も、老人医療センターで果たしてきた役割について、その機能が発揮できないということではなくて、むしろ、それをより以上に発揮できるようにしていこうという考え方があったものというふうに理解しております。
○吉田委員 報告を今さら覆すことはできませんから、それこそ行政計画に向けて私は発言しているわけですけれども、普及拡大は結構なんですよ。しかし、そのことと、高齢者医療の今後のさまざまな解明もし、また臨床的な努力もされなければならない、普及するための一層の専門的、センター的役割というものは東京都が担うという点での責任は、何ら解消されないのではないかということを改めて述べておきたいと思うんです。
しかも、最終結論はそうなりましたけれども、実は専門家の中でも、かなりこの点では意見があったというふうに承知しておりますけれども、小委員会の中でも、都立として残すべきだという議論があったんじゃないんですか。
○押元病院事業部長 都立病院改革会議の委員の皆様は各分野の専門家でいらっしゃいますので、それぞれお立場、あるいはお考えもさまざまでございます。そういった皆様がいろいろと議論を戦わされた結果として、こういう結論になったというふうに理解しております。そのプロセスの中では、いろいろな議論が戦わされましたし、私ども事務局もその議論に参加しまして、かなり激しいやりとりをしたこともございます。ただ、そういったプロセスを経た上で、最終的に会議としてこの報告書を知事に答申した、こういうことだと理解しております。
○吉田委員 私も小委員会のメモを読ませていただきましたけれども、せっかくそういう議論がありながら、なぜこの結論になったのかという、一番肝心のところが理解できないというのが率直な状況であります。
いずれにしても、その過程の中では、これだけ意見が違うんだから、また、迷いがあるんだから、現状で残していこうというような意見まで、委員長代理から出されたというようなことも聞き及んでおります。したがって、改めて行政計画をつくるに当たっては、まさに少子高齢化の進行ということを入り口でうたっておきながら、行政的医療から外すという、かなり根本的な問題ですから、ぜひ、改めてこの問題について検討をしていただきたいと思うんです。
しかも、非常に不思議だなというふうに思うのは、例えば、これを是とするわけじゃ決してありませんが、大久保あるいは荏原などは地域病院という位置づけにし、これもかなり乱暴だと思いますが、医療公社に委託すると。民営化については、極めて将来的課題という位置づけに報告書がなっている。にもかかわらず、他方、高齢者の方は直ちに民営化するというふうにされたのは、一体どういう検討があってなんでしょうか。
○押元病院事業部長 大久保病院と荏原病院でございますけれども、この両病院は地域医療支援病院を目指すこととされております。このために、地域医療支援病院運営のノウハウを持っております東京都保健医療公社の方に移管して、将来的には地域医療のシステム化の進ちょく状況に合わせて民営化する、こういう結論になったものと理解しております。
一方、老人医療センターでございますけれども、先ほど来申し上げておりますように、老人医療センターの行ってきた高齢者医療を、高齢化の急速な進行に備えて、速やかに普及拡大を図る必要があるというふうに委員の皆様の結論が出ましたので、その早急な対応が必要であるということで、直接の民営化が提言されたものと理解しております。
○吉田委員 先ほどから速やかな普及拡大と繰り返しいわれていますけれども、民営化することと普及拡大が、理論的に考えてどういうふうにつながるのかということは、全く説明がないと思うんですよ。しかも、老人医療センターが老朽化し、いずれにしても、建てかえが目前となっている建てかえの財政負担をどういうふうに処理するのかということが、そこの背景にあるというような話もいわれております。
そうだとするならば、本当に本来の高齢者医療をまじめに考えなければならないときに、そういう形で民営化が早急に進められるというふうなことがあってはならないと思いますし、この問題の結論として、行政計画の検討に当たっては、高齢化の進行、さまざまな疾病をめぐる新たな行政的、医療的課題がある中で、改めてもう一度、私は再検討していただきたいということを述べておきます。
次に、都立病院改革の二つ目で、先ほど来、既に議論がありますが、地域医療の問題です。
今回の報告書を読みますと、それぞれの範疇に分けた上でもそうですけれども、地域医療、プライマリーケアから都立病院が後退すると。撤退といったらいい過ぎかもしれませんけれども、部分的にはそういうものもありますが、印象をぬぐえません。都立病院が、都立としての高度専門性の分野を担うというのは当然のことだと思うんです。しかし、現実に東京の置かれたさまざまな基盤整備の到達点の中で、また、都立という公的責任からしても、身近なところで安心してかかれる医療機関という現実的な役割も、決してこれを切り捨てるということはできないと思うんですね。
そこで、現状について確認をさせていただきますが、都立病院の外来患者の中で、紹介状を持ってこられる患者の比率というのはどのぐらいなのか。さらに、もしわかれば、一次医療といいますか、プライマリーの患者さんというのはどのぐらいの比率なのか、わかる範囲で結構ですから、ご答弁ください。
○押元病院事業部長 まず、プライマリーかどうかということは、診断して、その結果でなければわかりません。統計もとってございませんので、恐縮でございますが、わかりかねるということでございます。
それから、いわゆる民間の医療機関の紹介の率、患者さんが紹介状を持ってこられる率ということでございますけれども、病院によってかなりの違いがございまして、五〇%近くに達している、ある意味では地域の医療機関と連携が非常にうまくいって、紹介率がかなり高い病院もございますし、二〇%ぐらいのところでなんなんとしている病院もございます。平均として、平成十二年度で全都立病院、これは小児、精神も含めましてございますが、紹介率は三八・一%という数字になっております。
○吉田委員 だから、ひっくり返していいますと、いろいろなでこぼこはあるでしょうが、六割ぐらいの方々が、紹介状なしでも都立病院で診療を受けることができているという現状があると思うんですね。この現状というものは、それぞれいろいろな建前のいい方はあるかと思いますが、実際に都立病院が果たしている役割だと思うんです。
それと、公社化が提起されています、例えば大久保病院の場合ですけれども、救急患者の中で、位置的な要因が主であるかもしれませんが、いわゆるホームレス、路上生活者とか、または外国人が多いということが指摘されているわけですが、実態はどのようにご認識されているんでしょうか。
○押元病院事業部長 患者さんが外国人であるとか、あるいはホームレスの方であるとかというような統計はとっておりません。それは患者さんにそれぞれの性格づけをすることになりますので、恐縮でございますが、そういう統計数字はないということでご理解いただきたいと思います。ただ、確かに置かれた位置的な特性によりまして、そういった患者さんが多いというような特徴は病院ごとにございます。
○吉田委員 別に区別と差別をしているわけじゃなくて、小委員会でのやりとりを見ますと、そういう旨のことがいわれている。路上生活者、外国人というようないい方でいわれているので、あえて質問させていただきました。
また、今度の検討に当たって、各都立病院から意見交換に向けたレポートというものが出されておりますけれども、例えば都立駒込病院の場合も、駒込病院の特徴として次のように書かれています。
当院の患者層の特徴として、低所得者や高齢者など社会的弱者が比較的多いことが挙げられますというふうに述べて、これらの患者層も含め、すべての患者に可能な限り安い費用で最高の治療を行い、かつ、発病から手術などの治療、そして、不幸にして再発した際にも最後まで一貫して責任を持つという努力をしているんだというふうに、駒込病院のレポートは書かれておりますが、特に公立公設の病院として、生活困窮な方も含めて、安心してかかれる医療機関としての都立病院の役割というものは、これからもますます大きくなっていくのではないのかなと思います。
しかも、そもそも東京発の医療改革は、三百六十五日二十四時間安心ということを都民に提起し、患者中心の医療ということも打ち出しております。
また、つい最近出された患者中心の医療という立場から、都立病院の患者権利章典というものも出されて、疾病や国籍、宗教等の差別を受けることなく、だれもが安心して受けることができるし、また、そういう医療を行わなきゃならないということを宣言しているわけですから、こうしたものが行政計画の検討の中でも当然貫かれなければならないと思うわけです。
ただ、当たり前だというふうに思われるかもしれませんが、例えば大久保病院や荏原病院は医療公社委託ということが検討されているわけですが、医療公社で運営されている東部地域病院、この場合の紹介率というのはどれぐらいの数ですか。
○奥田医療計画部長 正確な数字はここに持ってきておりませんが、いずれにしても、地域医療支援病院ということで条件をクリアしておりますので、八〇%は上回っているということになろうかと思います。
○吉田委員 私は、ほぼ一〇〇%に近い、しかも完全予約制というようなことも聞いております。違いがあったら修正していただければいいんですけれども--いやいや、別に質問したわけじゃない、違いがあったらということですから。だから、例えばそういう完全予約制、あるいは事実上一〇〇%紹介状がなければということになれば、現実に気軽に病院に行って医療を受けようとしても、そこで受けられないというような事態が生まれてはならないということを私は心配して、あえてこういうことを発言しているわけです。
しかも、公社化、さらに民営化ということがいわれていますが、既に議論のとおり、いわゆる民間の場合の差額ベッドというものが財政的な負担になって、それだけにこそ、安心してかかれるという点での都立病院に対する期待もあるんだと。そういう意味で、ぜひ引き続き、地域の中で都民の方々が安心してかかれるという現実的な都立病院の役割も、大いに発揮していただきたいということを述べておきます。
次に、財政問題について一言二言、質問させていただきますけれども、よく都立病院が五百億近い赤字、あるいは補助金を五百億も投入している、だから何とかしなければならないんだというような、非常に大ざっぱ、悪くいえば乱暴ないわれ方があるわけですけれども、五百億近い赤字というのは、本来ならば東京都が当然責任を持たなければならない、例えば、負担すべき当然の費用も含めて一緒くたに議論しているものではないかなというふうに思うんですが、これは皆さん方としてはどのような見解でしょうか。
○曽雌委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕
○曽雌委員長 速記を起こしてください。
○奥田医療計画部長 恐れ入ります、九八%ということです。
○大塚病院企画担当部長 五百億円というのは、恐らく平成十二年度の一般会計補助金の五百八億円に相当する金額ということだろうと思います。都立病院の収支につきましては、おっしゃるとおり、一般会計補助金につきましては、公営企業法十七条の二に定める負担金として扱われる部分がほとんどであろうと考えております。したがいまして、ご指摘のように、赤字としてとらえるのは必ずしも当たらないというのが私どもの態度でございます。
しかしながら、これは価値観の問題でございますが、本来、自治体病院は極力補助金に頼らない効率的な経営をするべきであるというようなご意見の方から、赤字という用語を使う場合も、都立病院改革会議の議論の中ではありました。
○吉田委員 私がいおうかなと思ったことをいわれたわけですけれども、価値観といういわれ方がありましたが、今度の改革会議の検討の中で、五百億を初めから負担金--本来の責任がその中にどれだけか、今説明ありませんでしたけれども、あることを捨象して、五百億の赤字があるんだから、これを何とかするために、どう都立病院を改革するのかというふうな議論をされている嫌いが現実的にあるんですね。第三回全体会議で公式に発表されていますけれども、この会議そのものが、年間五百億に上る都立病院の赤字をどうやって解消していくのかということで議論がされている。これは、本来の都立病院としてのあり方検討の上では、これは価値観の問題かもしれませんが、ゆがめる議論になりはしないのかということを改めて指摘をしておきたいと思うんです。
最後に、既にさまざまな議論もありましたけれども、いずれにしても、これから行政計画を示していくということがあります。我々の中にもいろいろな意見がありますけれども、こうした議論はもちろんのこと、都立病院が現実に所在している、とりわけ自治体の方々及び住民の方々、さらに冒頭、私が問題を出しました例えば高齢者医療、果たして都立を外していいのかどうかというようなことは、引き続き大いに専門家の意見も聞いて、真に都民の期待にこたえるような形にしていただきたいということを切望するわけですけれども、局長、いかがでしょうか。
○今村衛生局長 都立病院の再編整備によりまして、その医療機能を整理するとともに、明確な役割分担のもとに他の医療機関と密接に連携することで、都民のニーズに的確に対応していきたい、こう考えております。また、より質の高い医療を提供することが可能になると我々は考えております。
さらに、職員の意識改革を図りながら、インフォームド・コンセントや医療安全対策の充実、ITの活用等を図ることにより、患者サービスのより一層の向上につながり、また、効率的な経営につながるものと考えております。
このように、都立病院の再編整備を初めとする都立病院改革は、都民に対する総体としての医療サービスの充実強化を目指すものでありまして、東京発医療改革の核にふさわしいものと我々は確信しております。
○曽雌委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
午後六時休憩
午後六時十分開議
○曽雌委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○萩生田委員 それでは、本来でしたら、事務事業全般にわたりご質疑をしたいところなんですけれども、限りある時間ですから、病院改革会議、しかも、小児病院の件について本日はお伺いしたいと思います。
医療を取り巻く環境の変化や都立病院の役割分担に着目して、ある意味では聖域とされてきた都立病院の分野に大きくメスを入れたことは、今まで安穏としてきた都立病院関係者、あるいは甘えのあった利用者である都民にとっても、センセーショナルな報告であり、都の役割や機能を明確にする極めて貴重な機会と考えます。
私も、その必要性は認識しております。都立病院改革に臨んだ知事の姿勢も高く評価するわけですが、この報告は、あくまで専門的知識をお持ちのドクター、あるいは学識経験者、都民の代表の皆さん二十名で構成された、その委員の皆さんの提言であり、必ずしも、それぞれの地域の医療事情、あるいはまた地域の歴史的な経過に精通した皆さんが議論を行ったわけじゃないわけでございまして、申し上げるまでもなく、東京都の最終決定ではないはずであります。当局は、当然答申を重く受けとめながらも、しかしながら、答申どおりには済まない、さまざまな背景や歴史的な経過、地域事情を考えて、調整しながら、都独自の改革案につくり上げていかなくてはならないはずであります。
しかし、知事の記者会見、あるいは先ほど来の質疑に対する答弁をお聞きしておりますと、答申イコール都の決定と、都民の誤解を招くような言動が多く見受けられます。私は、都民の代表である議会の提案や意見にきちんと耳を傾け、あるいはさまざまな地域事情をもう一度確認することが、今、衛生局に求められている仕事でありまして、この改革の指針を、実態にかんがみてどういう問題があるのか、あるいは地域性と照らして何が問題かをそれぞれ精査することが、今一番求められていることと思います。
そこで、特に小児病院については、今まで幾つもの検討会等が持たれ、その都度、今回の会議と同様に一定の方針が示されてきたわけですが、平成七年十一月に中間報告、平成九年五月に最終報告がなされた、都立病産院小児医療検討委員会とは百八十度異なる報告がなされました。
そこで、お伺いいたしますけれども、これら検討会の答申、報告は、今回の病院改革会議の中でどのように生かされているのか、整合性は図られてきたのかをお尋ねいたします。また、今回の都立病院改革会議の報告を、衛生局としてはどのような感想を持って受けとめているか、まずお尋ねいたします。
○押元病院事業部長 従来、都の内部的あるいは外部の識者なども交えてのさまざまな検討会あるいは審議会といったものが、どういうふうに都立病院改革会議の中に生かされているかというお尋ねでございますけれども、こういった審議会あるいは検討会の内容、それから、その結論等につきましては、都立病院改革会議の中で、私どもの方から委員の皆様には詳しくご説明をしているところでございます。また、その要約については資料としてもお渡ししておりますので、委員の皆様方は、そういった過去の検討経過の上に立って今回の議論をなされ、結論をお出しになったものというふうに理解をしております。
また、そういった経過を踏まえての衛生局としての感想でございますけれども、今回の都立病院改革会議でございますけれども、これは小児病院も含めましたすべての都立病院につきまして、その果たすべき役割ですとか、あるいは再編整備などについて検討するということで、知事の諮問機関として発足をしたものでございます。
私ども衛生局といたしましては、この報告が、都立病院が今後担っていく役割、あるいは経営形態を明確にしていただくなど、公立病院改革の新しい形を示していただいたものと考えております。また、報告で示された再編整備によりまして、都民に対する総体としての医療サービスの充実強化につながるものというふうに考えているところでございます。
○萩生田委員 報告では、驚くことに、八王子小児病院と清瀬小児病院及び梅ケ丘病院を統合して、小児総合医療センターとして、府中病院の隣接地に移転すべきと提言されております。私も、センター的機能を持った、高度専門医療に対応できる新たな小児病院を建設することは大賛成でありますけれども、しかし、八王子小児病院につきましては、先ほど申し上げましたとおり、検討会の中で報告を受け、平成九年六月六日、東京都の衛生局より連絡を受け、八王子市の東浅川町、旧都立畜産試験場浅川分場跡地へ移転拡充する旨、決定を見たものであります。
また、OBになりましたけれども、公明党の白井都議、あるいは自民党の黒須都議によっても、たびたび都議会の一般質問で、この件につきましては進ちょく状況の確認がなされ、その都度、都議会本会議場で明確に当該地への移転決定を衛生局長が答弁しております。東京都としての最終決定は既になされたというふうに私は認識しておりました。
都の決定では、当該地の南側、高台部分約一万五千七百平米を使う、周産期医療の充実を図り、現在の九十ベッドを百五十ベッドにふやし、産科や婦人科を併設する、NICUも増床するというものでありました。あわせて、看護宿舎で四千平米の土地を、隣接地を活用したいと。また、平成六年には、都営住宅を約五百五十戸建設したいという都住宅局の計画案もあり、これらとの整合性も図ってまいりたい、こういう報告が当時なされました。平成九年度中に土地の測量を終わらせ、十年には基本計画、十一年には基本設計、十二年度中に実施設計を図り、十三年度から工事を始め、十五年には新天地での新しい小児病院としてオープンしたいというのが、東京都から当該地である八王子市に報告された内容であります。
八王子市は、その東京都の報告を受けまして、この当該地が、市の長期計画の中で文化の森構想の位置づけをされている場所であり、将来的には美術館や博物館を建設する予定地でありましたので、緊急に政策会議を開き、医療施設の必要性と都の決断を尊重して、文化の森構想の見直しを決定しました。それを受け、また、市議会の承認を取りつけ、平成九年八月二十七日、八王子市議会の厚生水道の常任委員会、続く九月の病院対策特別委員会にそれぞれ報告をした経緯がございます。
東京都の方針に沿って地域医療計画の見直しの必要が発生しましたので、八王子市も新規に開設する新しい小児病院に合わせて、新たな医療計画の検討に入りました。新規に開設する東海大学病院にも、当初は産科や小児科の診療科目は加えたくないという病院側の意向もございましたけれども、平成十五年度以降、東京都が三次診療について対応できる新しい周産期センターをつくるからという前提で、当時の病院対策特別委員長、これは私のことでありますけれども、私が東海大学に、そのことを条件に産科と小児科の初期からの併設をぜひしてもらいたい、こういうお願いをして、開設の準備をしているのが今日の経緯でございます。
すなわち、東京都の決定を受けて、八王子を初め多摩の西部地区の各自治体は、既にそれぞれの地域の医療計画を変更し、そして受け皿づくりの準備をしているわけですから、ここへ来て単なる変更では済まないと思います。このような重要案件が、地元の関係自治体との調整なしに変更されることがあるとするならば、各自治体は何を信じて地域の医療計画を策定すればよいというのでしょうか。私は、地域の医療システムを根底から覆す、到底理解できない今回の報告といわざるを得ません。
確認の意味でお伺いしますが、八王子小児病院は、既に東京都として、その移転用地を旧畜産試験場浅川分場跡地に決定しているはずでございますけれども、この移転決定に至った経緯及び移転決定に係る地元自治体への対応についてお尋ねしたいと思います。
○押元病院事業部長 八王子小児病院の浅川への移転決定に至った経緯ということでございますけれども、平成七年十一月に、都立病産院小児医療検討委員会の中間報告におきまして、八王子小児病院については、現在の土地では敷地が狭隘なため、適地を確保し、改築を進めることが望ましいとの提言がなされました。
この報告に基づき、局内で検討をいたしました結果、土地の形、あるいは広さ、交通アクセス、土地の価格、所有形態などを総合的に勘案いたしまして、平成九年六月に、旧都立畜産試験場浅川分場跡地にその移転先を決定いたしまして、地元自治体である八王子市にその旨をご連絡したところでございます。
○萩生田委員 そのご連絡というのは、各自治体はどう受けとめたらいいんでしょうかね。とりあえずそうなったのか。私は、最終決定を東京都がしたというふうにお尋ねしたはずなんですけれども、これはあくまで、平成九年の段階では東京都の最終決定だったはずなんです。とりあえず東浅川に移転するというんじゃなくて、東京都としては、東浅川に移すということを最終的に決定したんだと思うんですね。
これは、平成九年の四定の黒須議員、今日の八王子市長さんでありますけれども、一般質問がございまして、衛生局長はこのように答弁していますね。次に、八王子小児病院の整備計画ですが、移転用地については、本年六月--これは平成九年のことであります--八王子市内の旧都立畜産試験場浅川分場跡地に決定したところです。今後、八王子小児病院の在り方検討委員会の検討結果及びご指摘の趣旨を踏まえて整備計画を策定するよう努めてまいりますという、当時の局長がこういう答弁をしているんです。
私は、都議会議員になってわずか数カ月ですから、これから長い都議会議員生活の中で、改めてお伺いしておきたいんですけど、衛生局長の都議会の本会議場での答弁というのはどういう重みがあるのか、今村局長、教えていただけますか。
○今村衛生局長 当時の経過、つまびらかではございませんけれども、当時の中間報告で述べたことを決定したというのは、恐らく衛生局内での決定であったのかと思います。首脳部会議、あるいは政策会議にかけて、東京都の方針として決定したということではないのではないかと思いますけれども、いかがでございましょうか。
○萩生田委員 都議会の本会議場で、各局がそれぞれの思いでお答えするのが東京都議会なんでしょうかね。私はそうじゃないと思うんです。衛生局長がご答弁されたって、これは東京都の決定事項ですよ。それだけ局長というのは重い責任があるんだと、私は思いますよ。だったら、今の局長だったら、この検討会だって、局に入ってきた検討なんだから、とりあえず局の中で温めておいて、いろいろもんだらいいじゃないですか、あくまで局に来た答申なわけですから。
私は、その辺が、各自治体が今回非常に不信感を持ってしまった大きな要因だというふうに思うんです。今回、病院改革会議の答申の中にも、一八ページに、「同一市内で移転改築することを検討してきた経緯がある。」と書いてあるんですよ。経緯じゃないでしょう、決定したんでしょう、東京都は。その辺のことをちゃんと検討会の委員の皆さんに説明してないのじゃないんですか。あるいは、次の一九ページには、「現在、単独の施設としての移転案がある」なんて書いてあるんですよ。移転案じゃないでしょう、移転計画でしょう。決定したんじゃないですか、東京都は。だとするならば、それをもって、病院改革会議の皆さんに検討していただくべきだったと私は思うんですよ。
この皆さんは、確かに二十名のそれぞれ識者の皆さんですよ。ですけれど、多摩の、例えば交通事情とか、まちの生い立ちなんていうのはご存じないと思いますね。そういう中で、視察をしています、あるいは意見交換をしていますと。だけど、移転を決定した浅川の土地には、だれも行ってないじゃないですか。東京都が決定した移転場所を、だれも見てないじゃないですか。それをもって、改革会議の答申だといって、なぜ新たな案が出てくるんですか。私、その辺は手落ちだと思うんですよ。こういった点を踏まえて、もう少し考えていただきたいというふうに思うんです。
それで、今回、七月に答申が出て、十二月にはマスタープランをつくるという超スピード、石原知事の求めるスピードに合わせて衛生局もご努力されていることは敬意を表したいと思います。しかし、平成九年に八王子市内での移転拡充が決定してから今日まで、衛生局は一体どんな努力をしてくれたんですか、なぜ三年も四年も進まなかったことが、今度は数カ月で進むんですか、その辺を詳しくご説明願います。
○押元病院事業部長 八王子小児病院の移転計画の実現に向けての努力ということについてのお尋ねでございますけれども、平成十一年七月に、都立八王子小児病院の在り方検討委員会におきまして、今後の整備に当たっての基本的な考え方が示されたところでございます。これを受けまして、平成十二年二月に局内に都立八王子小児病院建設検討委員会を設置し、改築の基本構想について検討を開始したところでございますけれども、都立病院改革会議が発足いたしましたので、その検討をとりあえず停止して、委員の皆様方に、現在までの経緯を含めまして詳しくご説明をしたところでございます。
○萩生田委員 平成十年には、都内で初めてドクターカーが八王子小児病院に配備されました。運行式には、私も市議会を代表して出席しましたけれども、当時は既に東浅川への移転が決定しておりましたが、しかし、病院が充実されてもなお、多摩地域の小児医療、あるいはNICUの実態をかんがみますと、区部に比べると著しく劣る多摩地域の新生児のための救急医療を補完するために八王子に配備をされた旨、運行除幕式ではそういうごあいさつがございました。すなわち、多摩の西部地区には病院があったとしても、なお危険であるということを東京都が十分に認識していた大きなあかしが、今日のドクターカーだと思うんです。
そこで、お尋ねしたいんですけれども、なぜドクターカーを八王子病院に整備することになったのか、その経過をお尋ねしたいと思います。また、仮にドクターカーが八王子小児病院に配備されていなかったとすれば、多摩地域の周産期医療にどのような影響があったと想定されますか、お尋ねいたします。
○長岡健康推進部長 平成九年四月にまとめられました東京都母子医療体制検討委員会の最終報告の中で、ドクターカーの必要性が盛り込まれました。その報告を受け、先生が先ほど申されましたように、十年二月に新生児救急搬送用のドクターカーを都立八王子小児病院に配置し、運行を開始したところでございます。
また、周産期医療は緊急性の高いものが多く、短期間のうちに適切な処置を行うことが必要でございます。そのために、区部に比べてNICUの整備がおくれている状況にございました多摩地域では、新生児救急搬送用のドクターカーは、これまで大変重要な役割を果たしてきたと考えております。
○萩生田委員 NICUの整備がおくれている多摩地区には必要だったという認識を持ってドクターカーが配備されているわけですね。そうしますと、先ほどの小松委員の質問と若干違うわけですよ。東京都全体でNICUは二百床の整備計画があるけれども、医療圏ごとの計画はない、こういうご答弁がございましたね。現在、百七十七のNICUがございますけれども、多摩地区にはわずか三病院二十七ベッド、百五十ベッドはすべて二十三区ですよ。ですけれども、医療圏は関係ないんだということになりますと、府中でも、新宿でも、どこでもいっぱいあれば、それで東京都民が全部救われるかというと、そうじゃないと思うんですね。まさしくNICUが必要な患者というのは、体力のない新生児の皆さんですから、当然、病院までの距離が短い方がいいに決まっているわけです。そのことを考えると、東京都全体で二百ベッドも整備計画があるんだとすれば、やっぱり医療圏といいますか、地域ごとに拠点をつくっていく必要が都の責任としてあるんじゃないかというふうに私は思うんです。
そこで、今後の地域事情についてちょっと触れていきたいと思うんですけれども、東京都住宅局がつくりました平成十二年度の東京都の住宅白書を見ますと、これから先、若年世代の皆さんが新生活を始められる環境にある地域というのはどこかというと、圧倒的に多摩西部地区というふうに明確につづられているんです。あるいは、国の国土交通省の検討結果によって、年収の五倍以内で買えるマンションや家を求めますと、東京駅から約四十キロ圏内、すなわち西八王子の駅周辺より西じゃないと、若年世代は家が買えないということが、ちゃんと東京都の調査で出ているんですね。
ということは、これから先、若年世代の皆さんが生活をし、新しい子どもたちの命が生まれる場所はどこかといったら、多摩の西部地区なんですよ。確かに都心の再開発で、いろいろなマンション計画もあります。だけど、一億を超えるマンションに新婚夫婦が入れる、住めるという環境にある人は余りいないと思うんですね。それを考えると、三LDKで、例えば中古住宅だったら一千万円台、あるいは四DKで二千万円前半で新築が買えるというと、どうしても多摩地区に新生活の場所を求めなきゃならないのが、今日の都民の住宅事情なんですよ。こういうことも考えていかなきゃいけないんじゃないですか。(「そんなに安いの」と呼ぶ者あり)安いんですよ。ですから、品川や新宿じゃ、とても考えられないわけですね。
私は、そういう背景からして、これからの小児がふえていく傾向にある多摩西部地区、報告のとおり、八王子小児病院を小児総合医療センターとして府中キャンパスに統合してしまうということになりますと、小児医療の需要増が見込まれる南多摩医療圏、あるいは西多摩医療圏、北多摩西医療圏は、NICUがゼロになってしまう。先ほど、小松委員からも同じ指摘がありました。この点について、東京都としては心配してないんでしょうか、大丈夫なんでしょうか、お尋ねしたいと思います。
○長岡健康推進部長 東京都のNICUの全体整備目標は二百床でございます。これは、先ほど申し上げましたように都全域で設定したものでございまして、二次保健医療圏内に設定したものではございません。しかしながら、多摩地域におけるNICUの整備状況を踏まえまして、平成十二年度から周産期母子医療センターと、NICUにはなっておりませんけれども、新生児医療に対応可能な十二の医療機関との連携強化を図るために、多摩地域周産期医療連携強化事業を開始しておりまして、今後とも多摩地域におきます周産期医療体制の整備に努めてまいります。
○萩生田委員 理想としては、民間の病院等々をうまく連結して、新生児診療に対応できるような医療体系をつくりたいという、そういう東京都の理想は私もわかるんです。だけど、先ほど、まだ明るいうちに樋口委員が質問しましたけれども、その中で、明らかに小児科医が減っているわけですよ。東京都内において小児科を標榜する先生方が減っているわけです。しかも、今いらっしゃるのは、おおむね五十歳代以上の人、すなわち六十代や七十代の皆さんで、二十代や三十代、これからの東京の地域医療を抱える中には、小児科医を志す先生は残念ながらいないんです。それには、先ほどお話があった保険制度の問題もあるでしょう、あるいは薬価基準の問題もあるでしょう。すなわち、どんなにかねや太鼓でたたいたって、小児科をやりますよという地域の先生がいないわけだから、いないところで、どうやってそういう穴埋めをしていくのかなと、私は心配でならないのであります。
現実問題としまして、八王子小児病院の近隣には、先ほどどなたかの質疑でもありましたように、既に長期の療養のために家ごと引っ越してきた、家族ごと引っ越してきて、この病院に外来で通っている、そういうお子さんもいらっしゃいます。あるいはまた、その人たちをサポートするための組織もできています。あるいは、長期の入院が必要な患者に対しては、八王子市の教育委員会とも連携しながら院内学級の併設をして、病院内で勉強がおくれることのないように、地元自治体としてそういうバックアップもしてまいりました。
そういうさまざまな今までの歴史的な経過を考え、あるいは地域事情を考えますと、ただ単に地域のエゴとして、今まで八王子にあったんだから、よそへ行っちゃ嫌だという、こういう議論じゃないんですよ。府中につくってもらうなら、大賛成。東京都は大きな高度医療に対応できる病院をつくるべきですよ。しかし、だからといって、八王子小児病院を閉めてしまって、何も心配ないんです、安全なんですということにはならないと思うんですよ。
多摩地区は、三けたの国道、全部片側一車線ですよ。片側が込んでいたら、救急車がどんなにサイレンを鳴らしたって、追い越しができないんですよ。幹線都道は、みんな片側一車線じゃないですか。そういう実態を考えて、例えば西多摩の人たちが府中病院まで、どんなに救急車で飛ばしたって、大変ですよ。ですから、そういう多摩の実態というのをもう一回、衛生局は冷静に考えていただきたいと思うんです。
私は、八王子市議会議員としては、この病院が八王子市内で移転拡充すると約束したんだから、つくるのが当たり前だと、今、さまざまな要望書が出ている皆さんの気持ちと全く同じでした。しかし、今度、都議会の場で、これからの東京都のバランスある小児診療を考えれば、センター的機能は八王子の西につくるべきじゃなかった。その判断に誤りがあったと思うんですよ。あえて申し上げれば、八王子じゃなくてよかったと思います。しかし、だからといって、八王子から病院をなくすという、こういう議論にはならないはずでありますから、その辺、もう一度冷静に受けとめていただきたい。
そういった八王子の抱えるさまざまな特殊事情、背景というものを、当局としてはどのように受けとめているのか、お尋ねしたいと思います。
○大塚病院企画担当部長 八王子小児病院が、さまざまな障害を持ち、医療的ケアを必要とする方々にとって重要な役割を果たしていることは承知してございます。今後は、こうした方々の実情も考慮した上で、患者さんが身近な地域で安心して適切な医療を受けられるよう、さまざまな取り組みを行うとともに、一方で都民全体の医療サービスの向上も視野に入れて、よりよい医療の確保に努めていかなければならない、これが東京都の責任だと考えております。
○萩生田委員 ところで、都立病院の移転統合についても、先ほど来いろいろな議論がありましたので、ちょっと重複しますけど、清瀬さんも大変お困りでいらっしゃいます。八王子病院あるいは清瀬病院、これは清瀬市、八王子市というんじゃなくて、もう一度確認の意味でお尋ねしますけれども、それぞれの自治体からどのような要望が上がっているか、確認の意味でお答えください。
○大塚病院企画担当部長 都立病院が、地元住民を初め都民の厚い信頼を得ていることを改めて認識いたしました。移転統合の対象となる都立小児病院が、これまで実態として担ってきた地域医療につきましては、地元自治体や地域の医療機関との役割分担を踏まえながら、密接な医療連携の中で、地域住民が安心できる医療提供体制を確保していきたいと考えてございます。
○萩生田委員 都立病院改革会議の報告の中では、地域医療はまさに区市町村の役割という、こういうお示しがございます。先ほど我が党の野村先生からも、東京都のことは当てにしないで、自分のまちで頑張った方がいいというエールをいただいたわけですけれども、私は、それぞれの自治体の成り立ち、生い立ちって違うと思うんですよ。五十万以上の都市だから、公立病院を持っていないから地域医療に不熱心だといわれるかといえば、そうじゃなくて、私どもの八王子市は、知恵を絞って、いたずらに背伸びをして公立病院をつくるんじゃなくて、医療の専門的な学校にお願いして、そして、準公的な役割を果たしているという実績があるわけですね。それぞれ、土地を市が無償提供したり、年間の救急救命ベッドの確保料として委託料を払ったり、あるいは高度精密機械の購入費の補助をしたりという、さまざまな努力をしているわけですよ。
じゃ、公立病院を持っていれば地域医療に熱心で、持っていなければ不熱心、こういうのが東京都衛生局の見解なんですか。私、それをちょっと確認したいと思うんです。東京都が目指している各自治体の地域医療の責任というのは、一体どういうものだというふうにお考えですか。
○奥田医療計画部長 地域医療についてのお尋ねでございますが、都内の各医療機関が機能分担し、連携し、効率的な医療提供体制を確立するということを目指して、現在取り組みを進めておるわけでございますが、この中で、基礎的自治体である区市町村には、診療所等が行うプライマリーケアから一般的な入院医療までの住民に身近な医療の確保や、その仕組みづくりについて主体的な取り組みを期待しているところでございます。
○萩生田委員 公立病院を持っていなくたって、地域医療は地域医療で、各自治体で特色ある対応をすれば、それでよろしいんじゃないですかね。決して私は甘えでいっているんじゃないんですよ。もし東京都が、公立病院を持つことが地域医療としての大きな役目だとおっしゃるのなら、そういう指導を市にするべきですよ。だけど、形が違うやり方をしているわけですから、その点は、独自の地域医療計画案として、東京都がもう少し精査してあげる必要があるんじゃないか。
さっきの野村先生の答弁、どうしてああいう答弁になったかわかりませんけど、五十万以上の都市で公立病院を持っていないのは八王子と相模原だけだといわれると、何か八王子と相模原が不熱心なような、そういう印象を受けますよね。だけど、生い立ちが違うんです。八王子市は、七町村の合併によってでき上がったまちで、面積も山手線の三倍あるんですよ。あるいは、西多摩というのは二十三区と同じ面積があるんです。(「選挙が大変だね」と呼ぶ者あり)大変ですよ。
そして、多摩ニュータウン事業を初め、国や東京都の住宅政策をもろに引き受けて、そして人口増に、今までまちづくりで一生懸命追いかけてきたんですよ。ゆっくりゆっくりふえてきたまちとは違うんですよ。全然違うんですよ。一年間に十校も小学校をつくる自治体が東京都でありますか。そういう努力を、うちのまちはしてきたんですよ。上位計画を受け入れて、その努力をしてきた結果、五十万の人口を抱えたから、気がついてみたら、確かに公立病院を持っていなかった。だから、八王子さん、不熱心だよって、こういう議論には、私はならないというふうに思います。ぜひその点は踏まえて、今後検討していただきたいと思います。
残念ながら限られた時間ですので……。
私は、今回の病院改革会議の答申を受けて、むだのない効率的な医療を目指して、都立病院そのものがきちんとした改革を推進していくことには、全く異論はございません。また、地域医療についても、一般的な医療については確かに地元自治体が負うべきだと思いますから、これらについては当然地元との調整を今後していただきたいというふうに思います。
あるいはまた、子どもたちのための新しい総合的な病院を府中につくること、そのことも私は決して異論はございません。しかし、小児科医が減少するなど危機的な状況にある小児診療というのは、単に役割分担に基づいて地元自治体に任せれば、それで済むというものではないと思うんです。東京都として、地域の小児医療の確保に向けて一定の責任を持つべきだということを考えます。
そこで、お尋ねしますけれども、現在東京都が進めているマスタープランの策定、急ピッチで十二月中につくりたいというご答弁がございました。安易に八王子小児病院や清瀬小児病院の移転統合を決めるのではなくて、これまでの質疑の中でも明らかになった、さまざまな歴史的な経過、あるいは今日抱えているそれぞれのまちの特殊事情、これらをしっかりと踏まえて、地域医療の確保に向けて地元自治体と十分協議をして、調整を図っていくことを盛り込むべきではないかというふうに思いますけれども、衛生局長の答弁を求めます。
○今村衛生局長 今、萩生田委員からいろいろな歴史的経過、あるいは地元の事情等々含めまして、大変厳しいご指摘を受けながら、部長答弁がございました。
当初の計画、これは決定と申しておりましたけれども、当初の計画が今のところよりもさらに西に行くという、センター機能を西に持っていってしまうというようなことが、ボタンのかけ違いだったのかなという気がいたしてはおりますけれども、いずれにしましても、今後、都立小児病院の検討に当たりましては、プライマリーケアを八割も補完してきたという八王子小児病院や清瀬小児病院、これまで担ってきている地域医療機能をどのように継続していくかというのが一番の重要な問題となってくることは、私たちも十分に認識しております。
このために、新しい小児総合医療センターと地域の病院、診療所との医療連携システムをこれまで以上に強化していくことはもとより、ご指摘のように、地域医療の確保に向けまして、まだ小児総合医療センターができるまでは間がありますので、地元自治体と協議、調整を十分行っていかなければならないと私たちは考えております。マスタープラン作成に当たっても、ただいまご指摘の点を踏まえまして、こうした点について盛り込んでいく必要があると考えております。
○萩生田委員 もう質問はしませんけれども、今、局長から前向きな答弁をいただきました。私は、再三申し上げますけれども、既存の病院がなくなることがけしからんというような、そういう単純的な、地域エゴ的な発想じゃないんですよ。今まで八王子小児病院が担ってきた多摩西部地区の地域医療の実態を、もう一回精査してもらいたいんですね。八王子市民はもちろんですけれども、西多摩の皆さんも、救急で、あるいはドクターカーで搬送されてきます。あの病院がなくなってしまったらどうなるのかということを冷静に考えていただきたいというふうに思うんです。
それから、さまざまなまちの特殊事情というのがあります。例えば、私どものまちには公立病院がございませんけれども、医療刑務所なんていうのがあるんですよ。あっても、だれも使えないです。あるいは、十一を超える精神病院。東京の二十三区で病んだ皆さんが、みんな八王子でリフレッシュして、元気になって、また地域や職場に戻るんですよ。八王子市は貴重な緑の保全をしたりしていますよ、その人たちのために。あるいは、十七を超える特養老人ホーム。二十三区の皆さん、みんな引き受けていますよ。あるいは、八つを超える老健施設。四つの……(「墓地」と呼ぶ者あり)そうなんです、墓地は五十万基を超えるんですよ。
東京のどこかになきゃならないものを、それぞれのまちが役割分担で引き受けているわけですから、それをもって、公立病院がないからとか、小児病院がなくなったら、あとは八王子が自分でやってくれとか、こういう議論じゃなくて、東京という一つの大きなまちの中でのそれぞれの役割分担というのを明確にしていただいて、私も、必要があれば幾らでも地元に強くいう用意がございますので、こんな点を最後にお願いして、質問を終わりたいと思います。
○古賀委員 それでは、衛生局の事務事業と報告事項について質問いたします。都立病院改革と花粉症対策について伺います。
まず、都立病院改革についてです。私のまちは日野市、日野市総合病院がございます。公立病院があるわけです。今、建てかえ事業をやっておりまして、来年の六月一日に開業する予定になっています。従来、百六十二床の小さな病院でありましたけれども、今度は三百床に増床する。今、大体形も見えてまいりました。三カ年の工事計画ですけれども、従来十二診療科でございましたけれども、今度は十六に診療科をふやす。市民の期待にこたえる、つまり医療充実のために、日野のまちの場合にも、大変厳しい憂慮すべき財政状況の中ではありますけれども、努力をしているということです。三十年間にわたってこれから起債の償還を行っていくわけです。建設工事費だけでも百十四億円、その九五%を起債で賄っているわけです。これを返していくわけですけれども、東京都がこれに支援を行っていく。東京都との連携の中で、そういった医療施設の充実に取り組んでいるわけですので、日野市は日野市で努力をしているという現状があります。ですから、東京都の都立病院が現状のままでいいということにはならないと思いますし、都立病院の改革の議論が出てくるということは当然のことです。
先ほど赤字の問題、一般会計からの補助金のことがちょっと指摘されました。大体、日野市の年間予算分を都立病院の赤字分として、東京都の場合、一般会計から持ち出しているわけです。現状の都民の医療を担ってきたという面での評価はもちろんあるわけでありますけれども、都立病院の健康診断を行いますと、重篤の状態にあるという前提を我々は忘れてはならないというふうに思うわけです。
決算資料を見ますと、病床利用率は、十二年度、普通病床で九三・六%。病床利用率は大変高いんですけれども、しかし、人件費比率は異常に高い。この都立病院改革の資料にも出ておりますけれども、自治体病院の平均は、医業収益に占める割合は五七・五%でありますけれども、東京都の場合は、下がったとはいえ、まだ約七四%、非常に高いわけです。ですから、病床利用率が高い割に、収支状況は実際は非常に悪くなっている。つまり、健康状態がすぐれないという状況が今の都立病院の状態であるということを、まず我々は知らなければならない。それに給与費の比率も高い。
それから、他会計からの繰入金の問題、先ほど触れましたね、約五百億近く。十二年度で四百四十四億あるわけです。これは従来、病院会計全体の大体半分近かったんですけれども、やっとここで三三%、三割以上を占めているわけです。これは、公営企業法によって運営されている都立病院は、公営企業としての実態を備えていないということですね。つまり、独立採算を柱としなければならない公営企業法で定められた会計規則や基本原則が成り立っていない病院が、現在の都立病院。つまり、公営企業とはいえ、公営企業でない現状にあるということを、我々はまず知らなければならないわけです。
都民のための病院になっているという面は、確かにあります。そういうものを担ってきた。しかし、実態は、都立病院の職員のための都立病院であったり、美濃部都知事時代の、いわゆる緑のおばさん的な職員がまだたくさんいるということです。これが、今の都立病院の経営状態を非常に悪くしている。
しかし、都立病院の決算書を見ますと、非常にうまくできているといいますか、実際は繰入金が大変多いわけですから、一般会計がお手伝いしているわけですから、黒字になっていますということになるわけです。しかし、三分の一以上を他の会計のお世話にならなければ成り立たない実態というものを、我々は直視しなければならないということです。
ですから、職員組合のための病院であってはならないし、職員のための病院であってはならない。都民のための病院にどう脱皮していくかというところの視点があれば、今回の都立病院改革会議がまとめたこの報告書は、大いに吟味するに値するものを含んでいるというふうに私は思います。そういう視点で何点か、概括的なことをお尋ねしたいと思います。
まず、ことしの七月に都立病院改革会議の報告書が出されました。私どもの日野市長も、公立病院を経営しているということから、東京都の市長会を代表して、この委員を務めました。その報告書が今回、石原知事に七月に出されたわけです。
現在、我が国では小泉首相のもとで、聖域なき構造改革、改革という大合唱が起こっていますけれども、現実に、この改革を具体的な計画として示すというものが、まだほとんど出てきていないわけです。総合的な議論はありますけれども、各論になると、特殊法人の改革に見られるがごとく、なかなか具体策が見えてこない。こういったときに、ある程度の時間を使って検討を重ねて、都立病院が担うべき医療機能や再編整備の考え方について、根源にさかのぼって積極果敢に取り組んだ都立病院改革会議の報告書は、私は、先ほど申し上げましたように、大いにしんしゃくするに値するものがあるというふうに考えています。
とりわけ、清瀬小児病院、八王子小児病院、梅ケ丘病院の三病院の移転統合を行い、小児医療に関しまして、心から身体に至る総合的な高度専門医療を提供する、全国にも例のない小児総合医療センターを設置すること、これはどなたが考えても評価できるものではないかと私は思うわけです。
それから、高齢者医療、もはや都立病院だけやっているという時代ではないわけです。民営化に積極的に取り組んでいく。そして、都民に広くすそ野を広げて、都全体に高齢者医療を拡大していくという積極的な発想、そして、豊島病院と老人医療センターを統合民営化することなどは、従来の枠にとらわれない、画期的な都立病院の再編整備の考え方であるというふうに私は思います。
都民が安心して質の高い医療が受けられるように、都立病院を改革していく上で、この報告書の内容は大変貴重なものであります。むしろ、今後、この報告書の理念を一つずつ実現していくために、職員の皆さんには、これまで以上の構想力、決断力というものが求められているわけです。肝心なことは、この報告を受けた後に、行政としていかに内容を具体化していくか、そのことが医療サービスの向上につながっていくわけでありますので、年内にまとめられる基本計画は具体的にどのようなものとする考えなのか、その点をお答えください。
○押元病院事業部長 年内に作成を予定しておりますマスタープランでございますけれども、都立病院改革会議の報告の内容を十分に尊重しながら、都立病院改革実現の指針となるものということで、策定を今進めているところでございます。
マスタープランの内容でございますけれども、都立病院再編整備の基本的なスケジュールや、あるいは統合民営化が示されております病院については、そのスケジュール、それから各病院におきます医療機能、それから、病院事業を所管する単独の局としての、仮称でございますが、病院局のあり方といったような、改革を推進するに当たっての体制の強化策などもあわせて盛り込みまして、都立病院改革実現に向けての具体的な道筋を明らかにしてまいりたいと考えているところでございます。
○古賀委員 基本計画に基づいて、今後、都立病院の具体的な再編整備に着手されていくということになるわけです。今、いろいろ議論がありましたけれども、なかなか改革というのは--人間は本来保守的なものなんですよ、守旧的といいますか、いろいろ改革に抵抗する勢力というのは常にある。そういうものを乗り越えていくのが、一つの我々の役割でもあるというふうに思うわけです。
地域の小児医療の確保について不安の声が上がっているというのは、私も認めます。しかし、都立病院の改革の目的は、あくまで都民に対する総体としての医療サービスを向上させるという点にあるわけでありまして、都立病院の再編整備は、総体として医療サービスの向上につながるということでありますので、それがなければ意味がないわけです。それを具体的にひとつ説明してください。どういう点で総体的に向上するのか、その説明をされた方が、議論は前に進むと私は思います。
○押元病院事業部長 都立病院の再編整備によりまして、各病院ごとに重複しました医療機能を整理してセンター的な医療機能を高めることによりまして、都民ニーズに的確に対応した、より質の高い医療を公平に提供してまいりますとともに、他の医療機関との明確な役割分担のもとに、都立病院間はもとより、国公立病院とか大学病院、地域の医療機関、そういったところと密接に連携をすることで、患者さんが身近な地域で安心して適切な医療を受けられる、都民に対する総体としての医療サービスの向上が可能になると考えているところでございます。(「抽象的な話ばかりなんだよ」と呼ぶ者あり)
○古賀委員 現段階では、抽象的な答弁にならざるを得ないと思います。そういう考え方は、これからできるだけ広報をやっていくというか、きちんと説明してもらいたいと思うわけです。
再編整備した場合、直営となってくる広域基幹病院、それからセンター的機能病院というのは、主として不採算医療というものを担うことになるわけです。民間医療機関では実施が困難な不採算医療、これは都立病院としての役割だけではなくて、都として医療行政そのものを都が考えていくということが必要になってまいります。そのような不採算医療を実施する場合に、公営企業法、先ほど申し上げましたね、公営企業法では負担区分をきちんと決めています。一般会計による適切な負担が、当然そこで生じてくるわけです。
病院会計の経理におきましては、現在、この決算書を見ますと、一般会計補助金という科目で、一般会計から一括して繰り入れているわけです。この都立病院改革会議の報告書では、経営責任というものをはっきりさせる、そのために財政ルールの見直しを行って、負担と補助--公営企業法で決まっていることですよ、これを明確に区分しなさいということを指摘しています。今までしていないんですよ、公営企業法が守られていない。これは、改革会議が指摘するのは当然のことです。この考え方は、私は委員会等で何度もいってきたんですね、負担と補助を明確に区分すると。
不採算医療、高度医療、こういったものをやっているから、一般会計から持ち出しが多い、赤字になるんだという議論がよくあります。これは全く素人というか、わかってない人の議論で、それは負担金で出して、赤字とは数えませんよというのが公営企業法に書いてあるわけです。そこをごちゃまぜの議論が行われている。だから、負担と補助を明確に区分する必要があるということを、私は再三指摘したわけです。これは、手順をこれからどう踏んでいきますか。
○大塚病院企画担当部長 一般会計補助金の負担区分の明確化の問題でございますが、ご指摘のように、古賀理事からは、本委員会等の場におきまして再三ご指摘をいただいている問題でございます。病院事業の経営責任の明確化や自律的経営の強化を図る上で、重要な要素であると認識してございます。
都立病院改革会議でも、地方公営企業法の原点に立ち返って議論され、負担と補助に明確に区分して経理することによって、経営責任を明らかにし、新しい都立病院の役割にふさわしい負担区分とすることが提言されております。
この報告の提案を今後実現していくためには、会計処理の継続性、あるいは、ほかの公営企業会計の会計処理との整合性の確保などの課題がございますが、関係局と早急に調整を進め、現在策定中のマスタープランにおきまして具体化の方向を示していきたいと考えてございます。
○古賀委員 地方公営企業法で、負担金として出すのは十七条の二で決められているわけですね。ですから、これは公的な立場で、どうしても行政がやらなければいけない、一般会計と公営企業ときちんと分けて、一般会計から出さなければならないものについては、負担金として出しなさいということが決められているわけです。これを東京都の場合は全部、該当するのが補助金ですよということで、いきなり十七条の三へ持ってきているわけですね。補助金という名称で出すお金は、よほどのことがない限り出してはいけないお金ということが公営企業法に書いてあるわけですから、先ほどのご答弁のように、これから、これに備えて他の公営企業との整合性もあるということですので、やっていただけると。ぜひお願いしたいと思うんです。
これは、財政支出のあり方を握っているといいますか、考え方を左右している財務局にも大きな責任があるわけですね。この辺をひとつしっかり、こういう改革会議の報告が出た段階で、しかも指摘されているわけですから、早急に--年度もこれからかわっていきます、新しい十四年度の予算編成もこれから始まっていくわけですので、それをぜひ実現されるように強く希望しておきます。二度とこういう質問をやらなくていいようにお願いいたします。
それから、これも私がいろいろ指摘していることなんですけれども、都立病院経営基盤を強化していくためには、経営分析、人間でいえば健康診断、これをやらなきゃいけないわけです。総務省が関係いたします公立病院経営問題研究会が作成しています経営指標による詳細な検討をするように、私はずっと求めてきました。その中で、他の公立病院との比較、経営状況の診断を行う上で、病院の主たる経営活動を示す最も基本的な指標、重要な指標の一つとして、自己収支比率というのを都立病院はずっと使ってきたんですけれども、私は、医業費用に占める医業収益の割合を示す医業収支比率というものを使うべきだということを、これも何回もいってきたんです。
都立病院の改革を今後進めていく上で、医業収支比率、できれば九〇%以上--稼ぐお金より使うお金が多いというのは不健全ですよね、本当は一〇〇%を超えて初めて健康状態となるんですけど、いろいろそうもいっていられないということで、九〇%以上が理想的だというふうにいわれています。これを使って、きちんと都立病院の健康診断をこれから行えるようにやっていくべきだ、導入すべきだというふうに思いますけれども、毎回同じ質問をしていますけれども、いかがでしょうか。
○大塚病院企画担当部長 都立病院では、これまで各病院の経営状況をあらわす経営指標といたしまして、自己収支比率を用いまして具体的な目標を設定し、経営改善に取り組んでまいりました。ご指摘の医業収支比率につきましては、これまで他の自治体病院の経営指標との比較などに活用してきています。今回発表した平成十二年度東京都病院会計決算説明資料からは、自己収支比率とあわせて、ご指摘の医業収支比率も表示することといたしました。
ご指摘の趣旨に沿って、今後は、一般会計補助金の計上区分に係る財政ルールの見直しを進めつつ、自治体病院や民間病院との経営比較を行う重要な経営指標の一つとして活用していきたいと考えております。
○古賀委員 他の公立病院との比較で、これが採用されれば、容易にそれができるわけですから、ぜひお願いいたします。
病院改革会議も、資料がなかったのか、自己収支比率で他の自治体病院と比較しているんですね。自己収支比率でやっても、六七・五%。本当は一〇〇%を超えるのが健康状態なんです。都立病院は非常に健康状態が悪いということがわかるわけです。今後、医業収支比率を活用されることを求めておきます。
それから、都立病院の状況については、外部監査からも、経営状況についてはいろいろ指摘を受けているんですね。平成十一年度の包括外部監査の監査テーマとして、都立病院の経営管理が取り上げられております。
今回、私が要求した資料にもございますけれども、包括外部監査法人の指摘及び意見に対して、衛生局関係では四十四件の改善措置がとられたことが報告されております。そのうちの四件が一部改善措置済みとなっております。この四件とも指摘事項でありません。意見という区分に当たるものでありますが、一般会計補助金の繰り出し基準、あるいは算定方法の一層の明確化、それから精緻化、細かくやるということですね、人件費の見直し、合理的で効率的な病院運営を進めていくという、都立病院改革に引き継がれるべき課題が残されているというふうに私は思います。この包括外部監査結果の一部改善措置として残っている課題については、今後どう対応するのか、いかがでしょうか。
○押元病院事業部長 平成十一年度の包括外部監査でございますが、都として初めて外部の公認会計士等により行われました専門的な監査で、その結果といたしまして、ご指摘のあった事項について直ちに改善措置を講じたところでございますが、一部改善措置済みとしている事項が四つございまして、第一に、一般会計補助金の繰り出し基準及び補助金算定方法の明確化、精緻化に関すること、第二としまして、常勤医師数の削減の方策に関すること、第三としまして、看護要員の月額給与単価の適正化に関すること、第四といたしまして、事務職員の月額給与単価の適正化に関すること、以上四件でございます。
いずれも、東京都の財政運営上の仕組みでございますとか、あるいは人事・給与制度等の制約によりまして、直ちに改めることが困難なものばかりでございます。今回の都立病院改革会議の報告を十分に踏まえまして、今後、財政ルールの見直しとか、あるいは地方公営企業法の全部適用への移行の検討を進めていく中で、残された課題について引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
○古賀委員 いわゆる経理の専門家ですね、公認会計士から見て指摘されたところは、なかなかすぐに手をつけられない。つまり、ここが本当の宿痾なんですよ。これをやらなきゃいけない。私が先ほどいいましたように、緑のおばさんがたくさんいる病院がまだ残っているということなんですね。これをぜひやってもらいたいと思います。
だから、都立病院に対して一般会計から五百億近くのお金が出ているというのは、こういうところの手直し、見直しを行っていかなければ、その削減は難しいですよということなんですよ。高度医療をやっているから赤字になるみたいな、これは完全に間違いであって、うそなんですよ。社会保険診療でちゃんと対応するわけですから、高度医療をやったからといって赤字になるわけは絶対ないわけで、そういった素人を惑わすような議論が時折聞かれる。外部監査の指摘事項を、しっかり、きちんと今後対応してもらいたいというふうにお願いをしておきます。
今後、より一層の東京都の医療サービスの向上を図っていくために、都民にわかりやすい経営指標を使って、どんどん情報を出してもらいたいと思います。それから、基本計画で改革会議の報告が早期実現に向けてその道筋が明らかになるよう、期待を申し上げて、この質問を終わります。
次に、花粉症について伺います。私も花粉症の患者の一人ですので、患者代表のつもりでお聞きいたします。
杉の生産地よりも、都市部に花粉症が多いというふうにいわれています。それから、ディーゼル車の排ガスなどの影響も指摘をされているわけでありまして、花粉の飛散する季節になりますと、マスクをつけた人たちをたくさん見かける。これは、どなたがお考えになっても異様な光景だと思います。これは、私だけではなくて、都市問題の一つではないかというふうに認識しているわけです。
平成八年の都の調査でも、都民の五人に一人が花粉症、現在はさらにこれを上回る状況にあると思います。本会議の代表質問で、我が党の幹事長も指摘いたしました、花粉症患者の増加は看過できないと。これだけ多くの都民を悩ませている病でありながら、決定的な治療法がない。薬局に行っても、なかなかいい薬が、対症療法はありますけれども、これというのはないわけです。対応策はマスクをかけるか、眼鏡をかけるかという、これが唯一の防御策ということでは、何とも心細いわけです。
都は、これまで花粉症の治療法の開発に取り組んできているわけでありますけれども、現在はどの程度まで進んでいるというふうに、私ども患者は考えたらいいのか。いかがでしょうか。
○河津生活環境部長 都では、花粉症の根本的な治療法である減感作療法につきまして、通常用いられてきた皮下注射による方法にかわり、より患者の負担が少なく、有用性が高いと考えられます、舌下投与による治療法の開発研究を外部の大学に委託してきております。動物実験、ヒト口腔粘膜を用いた実験を経まして、ダニ抗原エキスによるアレルギー性鼻炎患者に対する臨床実験で、その有効性を確認いたしました。現在は、それらの知見をもとに、スギ抗原エキスを用いたスギ花粉患者に対する臨床試験を行っている段階でございます。
○古賀委員 順次研究は進んでいるということで、経口腔減感作療法という耳なれない言葉を聞きました。私も、減感作の注射のをやったんですけど、全然効かなかったんですね。都が今開発しようとしている治療法は、患者にとってどういう利点があるというふうに考えたらいいのか、それから実用化はどうなのか。どうでしょう。
○河津生活環境部長 花粉症の減感作療法として通常用いられている、抗原を皮下注射する治療法は、週二回程度の通院治療が必要でございますけれども、現在手がけております研究は、スギ抗原を口の粘膜を通して吸収させるという舌下投与による治療法でございますので、これが開発できれば、家庭での投与も可能になります。これまでの注射による方法では、通常三、四年といわれておりますけれども、長期の通院が必要でございますし、しかも、成功率が六割というようなことも聞かれております。
そんなことから、花粉症患者にとりましては、通院の負担とか、注射による痛みといったものが大幅に軽減できるわけでございますので、そういうメリットがあると思います。実際の治療に用いられますには、製品化のためのさまざまなステップがございますので、いましばらく時間がかかるものと考えておりますが、実現に向けて努力をしてまいります。
○古賀委員 確かに新薬の開発というと、副作用でいろいろな薬害があってもいけませんから、十年二十年かかるということは承知しています。短期間でこれができるというふうには考えておりませんけれども、早期実現に向けて期待していますので、お願いいたします。
ところで、東京都は同じアレルギー性疾患でありますアトピー性疾患の治療についても、基礎研究を進めてきました。これも何度か質問いたしましたけれども、この研究成果というものは花粉症治療に使えないのか、活用できないのか。私、素人ですので、使えそうな気もするんですけど、いかがでしょうか。
○河津生活環境部長 都は、平成八年度から財団法人東京都医学研究機構において、アトピー性疾患治療の基礎研究を行い、これまで世界で初めてアレルギーマウスの作成に成功するなど、成果を上げてまいりました。この研究成果を活用して、今年度からスギ花粉アレルギーモデルマウスの作成に取り組んでおります。今後、作成したモデルマウスを使って、花粉症発症のメカニズムを解明する基礎的研究を進めていく予定になっております。
○古賀委員 花粉症がどういう仕組みで発症するかというのは、わからない部分もあるわけですけれども、ディーゼル車の排出ガスの影響が大きいということもいわれているわけです。花粉症対策は、ディーゼル車対策と相まって取り組むべき課題であるというふうに私は考えるわけです。東京都は今年度、ディーゼル車排出ガスの花粉症への影響について調査を行うというふうに、予算審議等の場でも聞いておりましたけれども、細かいことは私わかりません、具体的にどのような調査なのか、教えてください。
○河津生活環境部長 今回の調査は、ディーゼル車排出ガスと花粉症の関係解明を図ることにより、花粉症予防対策及びディーゼル車対策に資することを目的としております。疫学調査を中心に、花粉症発症メカニズム調査やディーゼル車排出ガス関連調査をあわせて行いまして、平成十四年度に総合的な解析をする予定でございます。
なお、疫学調査におきましては、都民一万人を対象とするアンケート調査や患者調査、それから環境調査に加え、都民が実際に花粉やディーゼル排出ガスにどれだけさらされているかを測定する器具を実際に背負って歩いていただきますが、そういうことを測定する個人暴露量調査も行う予定でございます。(古賀委員「これからやるんですか」と呼ぶ)今年度いたします。
○古賀委員 他の道府県ではやっていないというふうに思うんですね。東京都がこの調査をやるということは、大いに注目していいと思います。ぜひ結果を早く示してもらいたいと思います。
都内の杉の木は約五千万本あるというふうにいわれているんですね。春先、東京の山から飛び出す花粉の量は二万トンということです。日の出町にあります東京都の林業試験場におきまして、スギ花粉を少なくする技術が開発されました。バレイショとかタマネギの萌芽を抑制するマレイン酸水溶液を杉の苗の幹に注入する実験によって得られた成果であります。しかし、この方法によって五千万本やるというのは大変なことで、実際は難しい。幹に萌芽抑制剤を注入するといっても、追いつく量ではないわけです。花粉の少ない品種の苗を配ったとしても、それをこれから広めたとしても、これまた気の長い話で、苦しんでいる人をすぐに助けるということにはなかなかつながっていかない。
東京都に、いろいろ試験はやってもらっています。そういうことも進んでいるけれども、花粉症の患者に対して、これからは何をやっていくか、それをひとつお答え願いたいと思います。
○河津生活環境部長 花粉症患者にとりまして、治療と同時に、花粉というアレルゲンから回避するための方法も重要でございます。そのため、花粉回避につながる、よりきめ細かな情報を提供するシステムの構築を、首都圏再生緊急五カ年十兆円プロジェクトの中で国に提案しておりますが、衛生局も今後、新たな花粉予防情報システムを国に先行して整備したいと考えております。
○古賀委員 国の動きも、当然、私も関心を持っていますけれども、図体がでかいだけに動きが鈍いんですね。都が先導的に実施していくことに期待を寄せています。国に先駆けた積極的な取り組みを期待しておりますし、早く都民に対して朗報をもたらしてくださるように、今お答えになったことの成果、展開というものをぜひお願いしておきたいというふうに思います。
花粉症も文明病の一つだと思うんですね、ディーゼル車も人がつくったものですし。そういうことで、人間の知恵も浅いなというふうに思います。先ほど狂牛病のやりとりがありましたけれども、狂牛病の感染源というのは肉骨粉、先ほどお話がありました。これをまぜた飼料を牛が食べた結果であるということを、私は初めて知ったんですね。私は、牛は牧場とか野原で、草食動物ですから、草を食べていると思っていました。そういう光景しかないんですけれども、実際は共食いですよね。牛の骨や肉を粉にしたやつを牛に食べさせているわけですから、草食動物に共食いをさせて、あげくの果てに人間が今いろいろな恐怖におびえている。自然の摂理を踏みにじると、こういうしっぺ返しを受けるという、人間に対する警鐘であるというような気がするんですよ。
この花粉症についても、いろいろ原因がありますけれども、そういう文明的な視点も持ちながら、対症療法的に終わることは、かえって根本的な治療を遠ざけるというふうに思いますので、ぜひそういった立場や視点も忘れずに、今後、成果を求めて努力をお願いしたいと思います。
以上です。
○山加委員 私も、都立病院改革会議の報告と、今後策定予定の都立病院改革マスタープラン等に関して質問をさせていただきます。
全国の自治体立病院は、国の医療制度改革の動きや病院経営の大幅な赤字の中で、これからの自治体立病院のあり方を模索しています。その中にあって、東京発医療改革の核として、全国の自治体に先駆け、これからの都立病院のあり方が示されたわけでございますが、内容は小手先の手直しではなく、思い切った再編整備を提案するなど、新たな都立病院の創造を目指すものであり、知事を先頭とする改革の意気込みを高く評価いたします。しかし、これから作成するマスタープランの中で、各地元自治体や関係団体などと十分に協議を行い、二十一世紀、まさに新しい時代にふさわしい改革が着実に実を結ぶことを心から願います。
そして、きょうもさまざまな角度からこの問題について質疑がございましたけれども、さらに具体的に何点かお尋ねしたいと思いますが、私は、練馬区でございます。私の地元である練馬区では、区内に公的医療機関が存在せずに、また、大規模といえる病院は、区が誘致した日本大学光が丘病院のみであります。人口は六十七万人を有する練馬区でございますが、十万人当たりの病床数は約二百六十床、都内平均の三分の一以下、お隣板橋区と比較いたしますと、六分の一程度となっておりまして、都内の中でも大変な医療過疎の状況にある区もあるわけでございます。
そのために、練馬区民は、豊島病院と老人医療センターに対しては、近くにある都立病院として大きな信頼を寄せてまいりました。この二つの大きな病院の統合民営化が打ち出されたわけですから、今後、どのような病院になるのか、心配の声を聞きます。また、区内の医療関係者からは、豊島病院が取り組んできた、まさに都の行政的医療ともいえる精神科救急、ターミナルケア、感染症医療など、これから二十一世紀、ますます大きく必要とされるであろう、そんな行政的医療といえるものが近くからなくなってしまうことへの不安の声も、当然上がっております。
さて、そんな中、区でも一生懸命病院計画を立てているところもあるわけでございます。そこで、練馬区の新病院計画についてお尋ねしたいと思います。
ご案内のとおり、病床と大規模病院の不足に対応するため、区の最重点施策として新病院の整備に取り組んできたわけでございますが、練馬区民からいたしますと、都内の病床、病院の偏在が解消されないままに都立病院が再編されていくことに強い危惧があります。本来であれば、都立病院を区内に整備してほしいというのが、そもそも区民の願いでございますが、それがかなわない中で、区長が先頭に立って長年にわたり整備に向けて努力を続けていることに、私は強く感銘し、都にも支援を要求していきたいと考えております。
区は、誘致方式により新病院の整備を図る方針と聞いております。昨今の医療を取り巻く厳しい環境からは、誘致する候補が極めて限られており、運営主体を誘致するための条件、つまり、区が施設整備などにどの程度の補助を行うかが固まらないと聞いております。そこで、先ほど野村先生からの質疑、そして答弁の中で、区が病院を整備する場合の都の補助制度はあるのかということで、たしか区が区立病院を整備する場合の都の補助制度はないということでしたけれども、病院事業は都の役割とされ、その財源についても区には配分されない仕組みとするならば、都立病院改革の流れからは、このような仕組みを変えていくべきではないかと考えますけれども、この辺はいかがでしょうか。
○奥田医療計画部長 ただいまお話をいただきましたように、区が区立病院を整備する場合の都の補助制度でございますが、現在のところございません。民間病院に対しましては、医療機能の整備を誘導するということで、現在でもさまざまな補助を行っているということで、もし民間病院を誘致するというようなことであれば、これらの補助制度を支援という形でもって実施していくということになるわけでございます。
いずれにいたしましても、練馬区が計画しております病院の運営形態あるいは機能を見きわめた上で、都財政の危機的状況もございますが、衛生局としても、どのような支援策があるか検討していくということになろうと思っております。
○山加委員 済みません。もう一度、都は練馬区の病院整備計画をどのように受けとめているのか、伺わせていただきたいと思います。
○奥田医療計画部長 地域医療の確保を行うために、区が中心となって積極的な取り組みを行うということにつきましては、保健医療行政を担います衛生局といたしましても、大変望ましいことだというふうに考えてございます。
○山加委員 区が整備しようとしている新病院は、小児科などの救急医療に重点的に取り組むとともに、地域医療の中心的な役割を果たす病院であり、運営主体には公共性の高い団体を誘致する方針とのことであります。これは、都の病院改革の方向にも合致するものであり、都立病院の再編整備に対応して、地域医療を基礎的自治体が担っていこうとする動きであるとも受けとめられます。
医療圏内の病床の偏在是正や、現在の大きな課題でもあります小児救急医療体制の整備などの点から、区が新病院を整備できるように、都としてはあらゆる点から、でき得る限りの支援を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。
○奥田医療計画部長 先ほどご説明いたしましたとおり、区の計画している病院の運営形態とか機能等を見きわめた上で、衛生局としてもどのような支援策があるか、検討してまいります。
○山加委員 区の病院計画が計画どおり実現できますように、一層の区への支援をお願いしたいと思います。そして、時間もないことですから、都民が安心して納得できる改革をぜひ実現できるように期待し、また、それを強く要望して質問を終わります。
ありがとうございました。
○野田委員 十三年度の衛生局の主要新規事業の中の一つといたしまして、この五月、衛生局内に、医師、保健婦、薬剤師等により、医療全般に関する相談を受ける患者の声の相談窓口が開設されました。これは、都民と医療機関との信頼関係を築く上で、大変よい取り組みだと思っております。
そこで、お伺いしますが、現在までの窓口の相談件数とか、相談内容の傾向及び相談者の反応はどうなっているのか、そして、相談内容について局としてどのような問題があると感じているのか、今後、医療を提供する側と医療を受ける側の意識のギャップを埋めるために、関係者がひざを突き合わせて考えていくことが重要と思いますが、東京都としてどのように対応していくのか、お伺いいたします。
○梶山参事 患者の声相談窓口についてのお尋ねでございますが、まず、相談窓口に寄せられた件数は、五月の開始から九月末までの実績で四千八百八十件、一日平均四十七件でございます。
相談内容は、医療機関の対応に関する苦情や要望が全体の約四割を、ご自身やご家族の健康問題に関する相談が全体の約三割を占めてございます。
また、相談を行っている職員の印象ではございますが、相談者の約九割の方々が納得をされていると判断しております。
また、医療内容への不安や不満、診療報酬や病気、薬に対する疑問など、数多くの相談ケースの背景にあるのは、医療提供者と患者や家族との間のコミュニケーション、いわゆるインフォームド・コンセントの問題ではないかと考えてございます。
また、最後のご質問でございますが、患者の声相談窓口を広く都民の方々にご利用いただくことや、迅速に個別ケースの問題解決に当たることはもちろん、ご指摘のように、医療の提供側と医療を受ける側とが一堂に会し、意見を交換することは非常に重要であると考えております。このため、こうした患者中心の医療を実現するための具体的な検討をさせていただきたいと考えております。
○野田委員 患者の声の相談窓口は、東京都が全国に先駆けて実施した画期的な事業であると認識しております。ここで集められた声を、いろいろな形で東京発医療改革に生かしてこそ、その意義が確固たるものになるわけでございます。医療を提供する側と医療を受ける側が、医療に関するさまざまな内容について、ひざ詰めでの議論を深められるような場を設けるなど、さまざまな取り組みをこれから推進し、患者中心の医療という実感を都民が持てるような東京発医療改革を推進していただきたいと思います。
以上、要望して終わります。
○曽雌委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
事務事業及び報告事項に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○曽雌委員長 異議なしと認め、事務事業及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で衛生局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後七時三十二分散会
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