委員長 | 曽雌 久義君 |
副委員長 | 野田 和男君 |
副委員長 | 吉田 信夫君 |
理事 | 河西のぶみ君 |
理事 | 古賀 俊昭君 |
理事 | 佐藤 裕彦君 |
東村 邦浩君 | |
山加 朱美君 | |
柿沢 未途君 | |
萩生田光一君 | |
山口 文江君 | |
小松 恭子君 | |
樋口ゆうこ君 |
欠席委員 一名
出席説明員福祉局 | 局長 | 前川 燿男君 |
次長 | 藤堂 義弘君 | |
総務部長 | 上條 弘人君 | |
生活福祉部長 | 上野 純宏君 | |
高齢者部長 | 若林 統治君 | |
子ども家庭部長 | 笠原 保君 | |
障害福祉部長 | 高橋 義人君 | |
保険部長 | 吉川 和夫君 | |
企画担当部長 | 村山 寛司君 | |
施設調整担当部長 | 反町 純夫君 | |
参事 | 有留 武司君 | |
参事 | 菅原 眞廣君 |
本日の会議に付した事件
福祉局関係
報告事項(説明・質疑)
・児童虐待の実態について
・介護保険サービスに係る生計困難者への利用者負担額軽減措置に関する都制度の実施について
事務事業について(質疑)
○曽雌委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉局関係の報告事項の聴取及び事務事業に対する質疑を行います。
これより福祉局関係に入ります。
初めに、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
○上條総務部長 お手元に報告事項に関する二つの資料、児童虐待の実態、A4一枚の資料、介護保険サービスに係る生計困難者への利用者負担額軽減措置に関する都制度の実施についてを配布させていただきました。
いずれも、本年の第一回定例会を初め、都議会でさまざまなご議論をいただいた経過を踏まえて、このたび都として取りまとめ、発表をいたしたもので、この場をおかりして報告させていただきます。
まず、今月の五日に発表いたしました児童虐待の実態についてでございます。
本書は、都内児童相談所が昨年度対応した児童虐待相談の全事例、千九百四十件について、個別の記録に当たり、関与した職員の聞き取りも行うなど、データの機械的分析だけでなく、実際の現場の感覚や判断を踏まえて分析に努めた、全国で初めてのものでございます。
今回の分析により、虐待につながる要因は経済的な困難のウエートが最も高く、これが孤立などの要因と複雑に関連していることや、虐待を受けてもなお、その親と同居したいと思っている子どもが、そうでない子どもより多いことなど、子どもや親、家庭のさまざまな特徴が明らかになりました。
一方、これまでよくいわれていたことが必ずしも妥当しないことなど、新たな実態もわかりました。例えば、虐待を受けた経験のある親は自分の子どもに虐待を行いやすい、いわゆる虐待の世代間連鎖というものがあるといわれてきましたが、今回の分析では顕著な傾向は認められませんでした。
また、望まれずに出生した子は虐待を受けやすいといわれていることや、女性の社会進出による家庭の養育力の低下が児童虐待に結びつくといった見方についても、必ずしも妥当しないことがわかりました。
このほか、内容は多岐にわたりますので、詳細は省略させていただきます。後ほどごらんいただければ幸いでございます。
次に、介護保険サービスに係る生計困難者への利用者負担額軽減措置に関する都制度の実施についてでございます。
本制度につきましては、ことしの第一回定例会の予算特別委員会において、国の特別対策の活用促進に向け、対象サービスや事業主体などについて幾つかのご提案をいただきました。これを踏まえて、先月の第三回定例会において、私どもの局長から、平成十四年一月から実施する方針で現在準備を進めており、今後、早急に具体的な実施案を取りまとめたいと答弁させていただき、昨日、実施案を取りまとめました。これは、都道府県として初めての区市町村支援策となるものでございます。
お手元の資料をごらん願います。
まず、1の目的でございます。
この制度は、国の特別対策である社会福祉法人等による生計困難者に対する介護保険サービスに係る利用者負担額減免措置事業について改善を行い、より公平で利用しやすい制度とすることを目的とするものでございます。
2の実施主体は、区市町村でございます。
3の対象サービスにつきましては、資料のとおり、四サービスを九サービスへと拡大することといたしました。
次に、4の事業主体でございますが、介護保険サービスを提供するすべての事業者に拡大することといたします。
5の公費による助成でございますが、すべての軽減額について、その半額を公費により助成することといたしました。
次に、6の対象となる利用者負担額につきましては、本来、すべての者がみずから負担すべき食事負担及び日常生活費負担については、本制度の対象から除外し、介護費負担のみを対象とすることといたしました。
7の対象者につきましては、都として資料に記載の基準を示すことといたしました。
8の利用者への軽減割合につきましては、二分の一の割合で統一いたしたいと存じます。
最後に、開始時期と終了時期でございます。本制度は、来年の一月から開始することとし、国の特別対策そのものが臨時的措置であることなどを踏まえ、平成十六年度末をもって終了することにいたします。
なお、都が今回実施する内容を国の特別対策に取り込むよう、今後、国に対して働きかけてまいります。
報告事項につきましては以上でございます。
○曽雌委員長 報告は終わりました。
本件に対する質疑は、次に行います事務事業に対する質疑と一括して行いますので、ご了承願います。
次に、事務事業に対する質疑を行います。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料につきまして理事者の説明を求めます。
○上條総務部長 過日の委員会でご要求のございました資料につきまして、お手元の厚生委員会資料により、ご説明をさせていただきます。
表紙の次のページ、目次をお開き願います。資料の一覧でございまして、全部で二十二項目となっております。
それでは、順を追って説明させていただきます。
まず、一ページをお開き願います。だれにも乗りおりしやすいバス整備事業の状況でございます。平成十年度からの予算規模及び補助実績を記載してございます。
次に、二ページをお開き願います。高齢者いきいき事業の実施状況でございます。二ページには、平成十二年度における各事業ごとの実施状況を、三ページには、主な取り組み事例を記載してございます。
次に、四ページをお開き願います。シルバーパスの区市町村別交付数でございます。平成十一年度及び平成十二年度十一カ月分の区市町村別の交付数と、右下にございますように、費用負担額ごとの交付数を記載してございます。
五ページには、政令指定都市における高齢者への交通助成制度として、各都市の交通助成制度の事業名、事業内容などについて記載してございます。
次に、六ページをお開き願います。痴呆性高齢者グループホームの設置状況として、都内に設置されている各グループホームの名称、所在地などについて記載してございます。
七ページは、介護保険サービス提供事業者の指定状況でございます。介護保険の各サービスについて、事業主体ごとの指定状況を記載してございます。
次に、八ページをお開き願います。介護保険サービス提供事業者の指導検査の実績でございます。各サービスについて、平成十二年度の実地指導及び書面指導の実績を記載してございます。
九ページは、保育所入所待機児童数及び乳幼児人口の十年間の推移でございます。平成四年度から十三年度までの待機児童数と乳幼児人口を記載してございます。
次に、一〇ページをお開き願います。民間保育所への企業参入の状況として、認可年月日ごとに施設の定員及び年齢別取扱人員を記載してございます。
一一ページは、認証保育所の状況でございます。(1)に現在までの開設状況を、(2)に平成十三年九月十二日現在の各保育園の保育料及び職員数を記載してございます。
次に、一二ページをお開き願います。保育所創設数及び増改築数、それに伴う増加定員数の推移として、平成八年度から十二年度までの箇所数と人数を記載してございます。
一三ページには、認可保育所数の推移として、昭和四十五年度から平成十三年度までの箇所数を記載してございます。
次に、一四ページをお開き願います。児童相談所における内容別相談件数及び児童福祉司数の推移でございます。平成三年度から十二年度までの内容別相談受理件数及び児童福祉司の定数を記載してございます。
一五ページには、全国情緒障害児短期治療施設一覧として、各施設名、所在地などを記載してございます。
次に、一六ページをお開き願います。東京都女性相談センターの内容別相談件数及び処理状況として、平成十一年度と平成十二年度の相談及び処理件数を記載してございます。
一七ページには、重度心身障害者手当の受給者数について、平成十二年七月及び平成十三年五月の人数を記載してございます。
次に、一八ページをお開き願います。東京都老人医療費助成制度医療証の月別交付枚数として、平成十二年四月から十三年七月までの各月の交付枚数を記載してございます。
一九ページは、高齢者医療費助成制度の実施状況でございます。各政令指定都市が実施する高齢者医療費助成制度の対象者及び所得制限等について記載してございます。
次に、二〇ページをお開き願います。心身障害者医療費助成制度の対象者数について、平成十二年八月及び十三年五月の人数を記載してございます。
二一ページには、介護保険における保険料及び利用料の減免等を独自に実施、検討している区市町村でございます。上段には、低所得者についての保険料減免等を実施または検討している区市町村を、国の原則の範囲内と範囲外の別で記載してございます。また、下段には、特別対策以外での利用料の減免を実施または検討している区市町村を記載してございます。
次に、二二ページをお開き願います。介護保険における保険料及び利用料の減免等を独自に実施している政令指定都市として、上段に、低所得者についての保険料減免等を実施している都市を、下段に、特別対策以外での利用料の軽減を実施している都市を記載してございます。
最後に、二三ページをごらん願います。区市町村別介護保険料普通徴収収納率として、平成十二年度の各区市町村ごとの収納率を記載してございます。
以上、要求のございました資料につきましてご説明申し上げました。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○曽雌委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含め、先ほど聴取いたしました報告事項に対する質疑とあわせて、本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○山加委員 私は、大江戸線でこの都庁まで参りますけれども、地上からホームまでバリアフリーでという交通局のポスターが今、非常に印象的でございます。真に利用者の目線に立った実のあるバリアフリーをこの東京からぜひ実現しなくてはならないと、心からそう思っております。
まず、バリアフリーについて質問いたします。
昨年十二月に作成された東京都福祉改革推進プランにおいては、バリアフリー化緊急整備事業が戦略プロジェクトとなっております。バリアフリーといいますと、障害者、そして高齢者だけのものというような一般的な考え方がございますけれども、人は生まれて、そしてだれもが年をとってまいります。少子高齢時代を迎えて、まさに自分自身も年を老いるということは人生の条理であります。そして、できるならば、だれもが生まれてから年を重ねてその人生を閉じるまで、健康で事故もなく、本当に障害という言葉とは無縁の生き方をしたい、だれもがそう願っていると思います。けれども、人生の途中で突然の事故、突然の病によって障害を持つということは、決して人ごとではございません。あすは我が身でございます。
そんな中で、やはりだれにでも役に立つ、そしてだれもが安心して町の中で生活できる、そんな意味でのバリアフリーのとらえ方を、これから二十一世紀は、していかなければならないと思います。
それとともに、東京都が一体どこにバリアフリー化を実現したのか、都民の方が、どこにエレベーターがあり、そして自分自身が行動するときに、どこを通ったら便利に目的地まで安心してたどり着くことができるか、それを知っていただく、知らせておくことも非常に大切なことだと思います。
福祉局は、ことしの三月に「バリアフリーマップ東京」を作成いたしました。私も拝見して手元にございますが、主要な駅ごとにエレベーターやエスカレーターの場所が記載されており、大変役立つものと評価しているところです。
そこで質問いたします。この「バリアフリーマップ東京」は、何部作成され、どのようなところに配布されているのでしょうか。また、作成に当たり、どのくらいの予算をかけ、かけた総予算に対するその効果はどのくらいあったのか、環境はどんなものなのか、お伺いいたします。
○上野生活福祉部長 ご紹介のありました「バリアフリーマップ東京」は、高齢者や障害者など、すべての方々が公共交通機関の円滑な利用促進のために、広域的な見地から、都内の主要な鉄道駅を中心といたしまして、都で調査をして作成したものでございます。二千部作成いたしまして、区市町村及び障害者団体を初め、身体障害者更正援護施設や老人福祉施設などに無償配布いたしましたほか、都民情報ルームで有償頒布しております。
また、主要な内容につきましては、福祉局のホームページにも掲載しているところでございます。都民情報ルームでの有償頒布では、好調な売れ行きであると聞いておりまして、ご好評をいただいているものと思っております。
なお、作成に要しました経費は、調査費と印刷経費などを合わせまして一千百四十三万円でございました。十分好評をいただいておりまして、効果を上げているものと考えております。
○山加委員 好調な売れ行きであり、好評を得ているということでありますから、さらに内容が濃いものにしていただかなければならないと思います。そして、この「バリアフリーマップ東京」でございますが、表紙を開きますと、まず、初めにとありまして、中ほどに、このバリアフリーマップ東京は、福祉のまちづくりの観点から、都内の利用頻度の高い主要ターミナル駅を中心に、駅構内のバリアフリー情報を提供し、社会参加や日常生活に役立てていただこうと作成いたしました、とあります。
本当の意味で、高齢者や障害者の方が公共交通機関を利用して行動する場合、家を出てから目的地まで安全かつ安心をもって、いかに短い距離で目的地までたどり着くことができるかということが非常に大切になってくると思います。
このバリアフリーマップ、非常に役立つものと思いますが、中を拝見いたしますと、部分的な位置関係はございますけれども、例えばエレベーターやエスカレーターの設置場所のほかに、乗りかえて便利な乗車案内、目的地に迷わず行ける出口案内など、全体の流れがわかる情報があると、さらによいものになると思いますが、いかがでしょうか。
○上野生活福祉部長 ただいま委員のご指摘なさいましたとおり、バリアフリーの推進のためには、きめ細かな情報提供を行うことが大変重要であると認識しております。
こうした取り組みにつきましては、特定の地域や路線ではございますが、既に区市町村や事業者などで、より詳しいマップを作成している例がございます。都におきましては、さらに利用者にとりまして利便性の高いマップができますよう、区市町村を支援いたしますほか、事業者などと緊密な連携を図りまして、よりよい情報提供が行えるように努めてまいりたいと存じます。
○山加委員 答弁のとおり、区市町村や事業者が情報提供を行うことも重要ですけれども、このマップも、例えば地図のそばに、駅の西口から改札に入ると、どのあたりにエレベーターがあるかという、そんな文章が少しついておりますと、さらによいものになるような気がいたします。
この先、このマップを改定することもあると思います。その際には、ぜひ検討していただきたいと思います。よりよいものをつくるために、一家に一冊欲しくなるような、そして、本棚の飾りとなっても意味がありません。実際に使いこなすことができるような実用性のあるものに変えていただきたいと思います。
次に、障害認定について幾つか質問させていただきます。
国の社会福祉基礎構造改革が進む中、行政が一方的に決定するサービスから、利用者志向の開かれた福祉へ、多様な事業者の参加による競い合いの促進、だれもが身近な地域で社会参加が可能となる基礎の整備など、石原都政において、国に先駆け、東京都福祉改革推進プランに基づくさまざまな改革に取り組んでいることを評価いたします。
これからは、社会的弱者であるからといって、いつも同じように保護、優遇されるだけでは、社会の一員としての責任感や自立への意欲は育っていかないと思います。逆に、本当に必要としている人に必要なサービスを提供できる仕組みづくりとか、地域のニーズに即した重点的な財源配分が必要と思います。福祉施策をより公平に、かつ効率的に推進することも忘れてはならない重要な視点だと思います。
障害者の福祉を例にとれば、それぞれの障害程度によって、活用、利用できる制度が異なるのは当然のことです。健常者も障害者も、ともに社会を支える一員として、また一都民として、それぞれの立場と能力に応じた役割を担う必要があると思います。
さて、東京都の手帳所持者は三十六万三千人であり、手帳の等級は一級から六級に区分されていますが、東京都がこの身体障害者の手帳を交付するに当たっての等級認定の手続は一体どのようになっているのか、お伺いいたします。
○高橋障害福祉部長 身体障害者手帳は、各種福祉サービスを利用しようとする身体障害者本人の意思に基づきまして取得されるものでございます。したがいまして、手帳取得は障害者本人、児童の場合には、その保護者の申請に基づきまして認定の手続が開始されることとなります。
認定の手続は、まず申請者が、東京都知事が指定する指定医の身体障害者診断書及び意見書を申請書とともに、その所在地の福祉事務所に提出することから開始されます。そして、その所在地の福祉事務所を経由いたしまして、東京都心身障害者福祉センターで審査し、法別表が指定する等級に該当しているとき認定されます。そして次に、手帳を印刷作成の後、最後に福祉事務所に送付され、窓口で交付されるわけでございます。
以上が手続の流れでございます。
○山加委員 今、指定医の診断書と意見書及び心身障害福祉センターにおける審査というお答えでしたけれども、指定医の診断書による等級とセンターにおける審査が異なる場合もあると思います。その場合はいかがでしょうか。
○高橋障害福祉部長 指定医の身体障害者診断書と心身障害者福祉センターの審査結果が異なる場合には、東京都社会福祉審議会身体障害者福祉分科会審査部会の意見を聞きまして等級を決定するということになっております。
○山加委員 等級判定は正確を期していることはわかりましたが、障害の程度は治療や訓練を行うことにより、軽減する場合があると思います。障害には更正医療が適用され、例えば、視覚障害者が眼内レンズ挿入術により視力が回復したり、肢体不自由者が理学療法や作業療法などのリハビリテーションにより歩行能力が向上する可能性があると思います。
さて、障害が重くなって障害の再認定を申請するということはよく聞きますが、その逆の障害が軽くなった場合、再認定の申請は現在どうなっているのでしょうか、お願いいたします。
○高橋障害福祉部長 身体障害者手帳を持っておられる方が、障害程度が軽くなったことにより実施する再認定の場合におきましても、本人の申請に基づいて行われるということでございます。
○山加委員 本人からの申請ということですけれども、再認定が義務づけられていなければ、本人から申請する例は非常に少ないのではないでしょうか。障害の程度が軽くなった場合に、再認定の申請をせずに、気がつかないという場合もあると思いますが、そのままの等級で、これまでと同じ福祉サービスを享受できることはおかしいのではないでしょうか。お考えと対応について聞かせてください。
○高橋障害福祉部長 近年の医学や機能回復訓練の目覚ましい進歩によりまして、手帳の交付時に比べまして、障害程度に大きな変化が認められる事例も少なくないと考えております。
したがいまして、身体障害者手帳の交付時に、一定期間経過後に再認定を必要とする方に対しましては、再認定を受けるべき旨を知らせる必要があると認識しております。
○山加委員 今まで、再認定を必要とする方に対して再認定を知らせたという事例はあるのでしょうか。
○高橋障害福祉部長 身体障害者手帳の交付時には、その手帳の中に、再認定の必要がある場合には申請してくださいということが明定してございますけれども、今までの事例としては、行政側の判断として必要とされる場合というのは、ほとんどないと考えております。
○山加委員 では、都が障害の再認定を実施するといっても、障害が固定化し、実施する必要のない人にもすべて実施するというのでは、非効率的でむだになってしまうと思いますけれども、具体的に、どのように再認定の対象者を絞り込んで実施しているのでしょうか。
○高橋障害福祉部長 障害のある方が、発育によりその障害の程度が変化したり、あるいはまた、医療や機能回復訓練等を受けることによりまして、障害の状態が変化することが予想される場合のみを考えております。身体障害者手帳を所持する方すべてに再認定が必要であるとは考えておりません。
○山加委員 ぜひ適正に実施していただきたいと思います。手帳の等級を障害程度に即して正確にするとともに、もう一つは、できるだけ早く正確になった等級の手帳を所持することが必要です。
そこでお伺いいたしますが、新規申請も含めて、障害者が区市の福祉事務所の窓口に手帳を申請してから何日後に手帳が手に入るのでしょうか。
○高橋障害福祉部長 身体障害者手帳交付の標準処理期間につきましては、窓口事務に係る標準処理期間に関する要綱というのがございまして、それによりまして二十一日と定めております。現在、おおむねその期間内でご本人に交付いたしております。
○山加委員 手帳の申請者は、都の指定医に診断書を書いてもらい、その上で区市の窓口に申請をし、二十一日かかるというのは、都民感覚からいっても、余りにも遅すぎると思います。手帳が収得されなければ適用にならない更正医療を、一日も早く受けたい方もいらっしゃると思います。福祉部長、どうでしょうか。
○高橋障害福祉部長 現在、国が示しております標準処理期間は六十日でございます。東京都におきましては、平成十年十月に、利用者の立場に立った見直しを行いまして、事務の効率化を図ることによりまして、それまでの三十日から二十一日へと短縮を図ったところでございます。
しかし、身障手帳の申請及び交付は、区市町村を窓口としている事務でございますために、処理にこの程度の時間を要する場合があることはやむを得ないと考えてはおりますが、標準処理期間の中でできる限り早く申請者へ交付が行われるよう、今後とも努力してまいりたいと思います。
○山加委員 手帳というのは、私も四級の障害手帳を手にしておりますけれども、例えば二十一日かかって自分の手元までその手帳が参りましても、実際その手帳をもって受けることのできるサービスというのは、手帳があるだけでは受けることができません。
実際、私は四級ですから、公営の都立公園とか、そういうところでの無料駐車はできますけれども、実際に大江戸線に乗ってそのサービスを受ける、また、高速道路に乗ってその回数券のサービスを受ける、さまざま等級によってそのサービスの過程はすべて違うわけでございますけれども、そのサービスを受けるために、その手帳の中身を自分自身にとっていかに便利にするかということになりますと、手帳が手元に参りましてから、さらに一カ月、二カ月とかかることが、今、現実でございます。
さらに、その手帳というのは、福祉局もしくは交通局に行かなければならない場合もあります。私は、町の中のバリアフリーはもちろんですけれども、その局の壁を越えて、使う方がいかに便利で、そしてスピーディーにそのサービスを受けることができるかということを考えた場合には、局のバリアフリー化を考えていただきませんと、本当に真に必要なサービス、バリアフリーにはならないのではないかと思っております。
実際に手元に手帳が来て、その手帳をすぐに受け取ることができる、そしてそのサービスをその手帳一つで、もうすべて完了できるような、そこまでの意味のある、実のある福祉手帳にしていただきたいと思っております。
健常者も障害者も、ともに社会を支える一員として、また一都民として、それぞれの立場と能力に応じた役割を担う必要があると思います。しかし、あすは我が身と思っていても、実際に痛みを伴わなければ、頭でわかっていても完全に理解をすることは難しいことです。障害者施策の推進には、都民の理解を得るための啓発活動は欠かせないと思います。知ってもらうこと、そして理解をしてもらうこと、そして行動してもらうこと、ぜひ事業所管部におかれましては、障害者施策に対する都民の理解を得るための効果的なPR、そして事業の効果的推進を心からお願いしておきたいと思います。
質問を終わります。
○樋口委員 都議会一期目の樋口ゆうこと申します。
さて、都議会厚生委員会の福祉局の質問に入る前に、都議会に入って私なりに感じたことを少し述べさせていただきます。
ここに議員バッジがあります。議員バッジを初めて手にしましたとき、私を応援してくださったさまざまな方々の思いがこのバッジに込められているんだ、そう思いまして、じっくりと見させていただきました。そして、ふと後ろ側を見ますと、USAの文字。えっ、なぜ、私がとても驚いたことの一つです。問い合わせたところ、表側が日本製、裏側がアメリカ製というお答えが返ってきました。企画やパテントなど、さまざまな要因があるのかもしれませんが、障害者の福祉作業所などを使うことができないものかと私は思っております。
二十世紀、私たちは物質的な豊かさを求めてまいりました。企業戦士、受験戦争、そんな言葉が物語るかのように、私たちは形のあるものを求めて、戦い続けてきたといっても過言ではないかと思います。その結果、確かに私たちの生活は豊かになり、物があふれています。しかし、それが本当の幸せに結びついているでしょうか。開発という名のもとに消えていった緑や自然。安心して口の中に入れることのできた食べ物、そしてお互いが支え合った地域のコミュニティ、そんなものがいつの間にか消えてしまいました。
そして、何よりも私たち自身の心が変わりました。思いやりだとか感謝だとか、そんなものが薄れていって、自己中心的な風潮が広がり、それが今日のいじめや児童虐待や家庭内暴力、ひいては凶悪犯罪にまでつながっているかのように思えてなりません。これからは心の時代、一人一人の心が社会を動かす時代、高齢者の方も、お子さんも、ご病気をお持ちの方も、そしてお体の不自由な方も、女性も男性も、お互いに尊重し合って、お互いに認め合ってともに生きていくという共生の時代だと思います。
いよいよ平成十三年度十月十三日、長年の女性たちの思いが実り、配偶者暴力防止及び被害者の保護に関する法律、いわゆるDV法が施行されます。そして、配偶者暴力相談支援センターについては、来年度の四月からのスタートとなります。新しい時代に、国際的にも大きな大きな問題とされる女性に対する暴力の根絶に向けて、力強い第一歩だと思います。
しかしながら、その実施には余りにも大きな課題が山積していると思います。東京都においても、被害者支援とDV防止のための具体的な施策が明らかにされておりません。大きな不安を抱かざるを得ません。法の趣旨が皆様方に広く浸透し、そしてすべての個人が尊重され、安心して生活ができるような社会に向けて、私も一助になりたいと思います。
DV法の施行についてお伺いさせていただきたいと思います。
DV法の第二条によりますと、地方公共団体の責務として、「配偶者からの暴力を防止し、被害者を保護する責務を有する。」と規定していますが、東京都として、DV対策についてどのようなことを実施する予定なのか、まず確認させていただきたいと思います。お願いします。
○笠原子ども家庭部長 東京都は、これまでも夫婦や男女間、あるいは職場や近隣関係における問題などにつきまして、女性をめぐるさまざまな問題で保護や援助の手を求める女性に対しまして、女性相談センターなどが生活全般にわたる相談、あるいは指導、援助のための対策を実施してまいりました。ドメスチックバイオレンス法についても、こうしたこれまでの都が幅広く行ってきた女性保護諸施策の中で、夫の暴力からの相談、あるいは緊急一時保護、それから自立に向けた支援などにつきまして適切に対応してきております。
今般、ドメスチックバイオレンス法が施行されるわけでございますが、都が今後担っていくべき役割につきましても、こうしたこれまでの取り組みの実績の上に立ちまして、基本的なこれまでの枠組み体制を維持しながら、法に定められました配偶者暴力相談支援センター機能を、福祉局の女性相談センターと生活文化局のウィメンズプラザが担いまして的確に対応してまいりたい、こういうふうに考えてございます。
○樋口委員 生活文化局の女性財団との相談と福祉局の女性相談センターでの一時保護ということでございますが、例えば、相談者は配偶者の暴力から耐え切れなくなって、悩み抜いて、ようやくの思いで相談する、そういった方々がまず相談するのは知人であったり、また、交番であったり、市区町村の窓口であったりすると思います。しかし、相談者が女性財団や女性相談センター、そんなものを知っているでしょうか。
また、例えば、私が夫の暴力に耐え切れず交番に駆け込んだ場合、相談を受けて、本当にしかるべき窓口につないでくれるでしょうか。きょうは遅いから、ひとまず家に帰ってあした出直していらっしゃい、そういわれることはないでしょうか。これは一つの例えではございますが、こういった関係機関との十分な連携が必要であると考えておりますが、東京都の現在の取り組み方、取り組み状況についてお伺いをさせていただきたいと思います。
○笠原子ども家庭部長 これまでも、夫からの暴力被害者が、福祉事務所などの区市町村の窓口に相談あるいは緊急保護、こういったものを求めて訪れた場合につきましては、福祉事務所の婦人相談員が対応いたしまして、一時保護が必要、こういうふうに判断すれば、直ちに女性相談センターと連絡をとり合いまして対応できるように、十分な協力体制をとってまいったわけでございます。また、夜間、休日等につきまして、緊急に一時保護が必要な場合につきましては、警察等から直接女性相談センターへの連絡ができる体制をとってございます。
○樋口委員 相談者は、心身とも傷ついています。小さなお子さん連れや外国人の方もいらっしゃるかもわかりません。被害者が安心して相談することのできるような環境、身の危険やプライバシーが十分守られるような配慮をとっていただきたいと願っております。
また、相談の入り口だけではなく、相談を受けた以降の行政の適切な連携を求めております。例えば、被害者が保護命令を裁判所に申し立てる場合、申し立て書の記載書類に警察や女性センターに相談した記載がない場合は、公証人役場で供述書をとって、それを添付しなければならないとあるのですが、公証人役場、それが東京都に一体どれだけあり、どれほど知られているんでしょうか。余り一般的ではないのではないでしょうか。法の周知をより一層行うことはもちろんのこと、被害者に対する情報提供をさまざまな形で発信していただきたいと思います。
法律では、裁判所への申し立ては、警察、女性センターからが想定されていますが、例えば、福祉事務所からの保護命令についても、行政内部でスムーズに処理し、相談者本人をたらい回しにするようなことがあってはならないと考えておりますが、そのあたりの連携強化について見解を伺いたいと思います。
○笠原子ども家庭部長 ただいま先生のお話にございましたとおり、残念ながら新しいドメスチックバイオレンス法では、被害者が裁判所への保護命令の申し立てを行うに当たりまして、福祉事務所の職員が相談等の事実認定をする場合の証明は認められていないというふうになってございます。
しかしながら、福祉事務所で相談をしたドメスチックバイオレンスの被害者が、保護命令の申し立てに当たりまして円滑な事務手続ができるように、配偶者暴力相談支援センターあるいは警察等、そういったところにつなぐなど関係機関の連携を図りまして、夫からの暴力の被害者への適切な支援に努めてまいりたい、こういうふうに考えてございます。
○樋口委員 DV法の第五条では、「都道府県は、婦人保護施設において被害者の保護を行うことができる。」と規定しています。保護を行うシェルターの安全性、つまり警備を強化していただかなければならないのですが、私は、保護というのは、一時保護にとどまるだけでは不十分であると考えています。現在のように、原則二週間の一時保護だけでは、逃げてきたわけなんですから、生活の基盤もなく、また再び配偶者のもとに戻らざるを得なくなってしまうおそれも多く考えられます。
私は、DV対策には、当然自立支援が必要であると考えていますが、東京都の認識はいかがなものでしょうか。
○笠原子ども家庭部長 夫からの暴力の被害者が一時保護施設などを退所した後、地域の中で安定した生活が送れるようにするためには、先生お話しのように、自立に向けた支援が大変重要であるというふうに私どもも認識いたしております。このために、女性相談センターでは一時保護した女性に対しまして、保護期間中におきまして福祉事務所と連携を図りながら、入所者一人一人の個々の実情に即して相談に応じ、就労先あるいは落ちつき先を探すこと、さらには医療面でのケアを受けること、こういったことを行って自立に向けたきめ細かな対応を図っていく、こういう実情にございます。
○樋口委員 現在、東京都内にある民間シェルターでは、DVの被害者などに対する一時保護事業及び自立支援に向けたさまざまな取り組みが行われています。DV法第二十六条では、地方公共団体は、DV被害者の保護を図るための活動を行う民間団体に対し、必要な援助を行うよう努めるものとするとなっています。東京都のこのような民間団体に対する現在の補助実態と民間団体の活動内容について、ご答弁をお願い申し上げます。
○笠原子ども家庭部長 民間団体に対します補助につきましては、二事業ございます。一つは、婦人保護施設入所者等の社会復帰を図るための事業運営費補助を行う要保護女子自立促進事業、それからもう一つは、外国人女性の緊急保護の事業運営費補助を行う外国人女性緊急保護事業の二つでございます。
民間団体の活動状況についてでございますけれども、民間団体につきましては、それぞれが団体みずからの考えに基づきまして、夫からの暴力被害者等に対する相談あるいは保護、それから自立支援のための活動をやっておるわけでございます。そしてまた、事業規模、取り組み内容もさまざまでございます。しかしながら、施設の所在地、こういったものを非公開にするなど、DV被害者を加害者から保護するための一定のシェルター機能、こういったものは果たしておるだろう、こういうふうに認識いたしております。
○樋口委員 民間団体の活動に対して、その実績をご理解していただいておりますことに少し安心をいたしました。現在行っている補助金の維持はもちろんのこと、一層拡充していただきたい。そして、配偶者暴力相談支援センター及び関連部局と民間団体が、連携、協力、研修を恒常的に、かつ、継続的に行っていただきたいと願っております。傷つき、まさに身も心もぼろぼろになった被害者は助けを求めています。生活文化局のテリトリーであろうが、福祉局のテリトリーであろうが、その当事者は考えて門をたたくでしょうか。そしてその被害者を受けとめようと、現場の方々は必死になって、時にはみずからの身も危険にさらしながら頑張っていただいています。
一昨日、警察の広報にDVの情報が載せられていました。これです。命だとか心だとか、当たり前に大切なものが今、ないがしろになっている時代です。新しいDV法の周知を、そして被害者への情報提供を、紙や音声、フィルム、映画など、あらゆる媒体を使って行い、法の趣旨が生かされ、女性に対する暴力根絶に真に効力のあるものにするために、適切な十分な予算をとっていただきたいと心から強く強く要望を申し上げます。
さて、次の質問に移らせていただきます。
女性の社会進出を支える保育の問題について質問させていただきます。仕事と子育てを両立したいという女性がふえ、今や保育サービスは、以前のような限られた女性のためだけのものではなく、一般化した普遍的なサービスとして、都民から要望が広く寄せられている行政サービスになっています。
特に東京のような大都市は、通勤時間も長く、また就労形態も多様なことから、保育ニーズも、大都市特有の状況として多様化、高度化が進んでいます。送り迎えに便利な駅前で預かってくれる保育所が欲しい、もう少し遅くまで預かってくれたら無理なく仕事と子育てが両立できるのに、あるいは、土曜、日曜勤務の場合でも預かってくれる場所がないかしらなどと、働く女性から切実な声を聞きます。こうした中、東京都が今年度から独自に創設した認証保育所制度は、こうした大都市特有の保育ニーズに柔軟にこたえるべき新しいシステムとして期待できます。
さきの本会議で、十月一日までに、A、B型合わせて都内に十四カ所が開設予定ということでしたが、都民の期待の大きさに比べれば、強力な普及促進が必要だと思われます。
そこでまず、特に要望の高い駅前型を基本としたA型の認証保育所の今年度の開設見込みの状況について、お答えいただけませんでしょうか。
○笠原子ども家庭部長 本年度、計画上は十カ所を予定してございます。しかしながら、今先生お話しございましたように、東京都がこの新たな制度を打ち出していこう--都民からの反響が大変大きいものがございまして、私ども、当初想像した以上の反響でございます。こうした状況を踏まえまして、事業の実施主体でございます区市町村、あるいは事業者も、この事業に積極的に取り組んでいこうということで、大変意気込みを持って臨んでおります。
そうしたことから、平成十三年十月現在では、既に認証保育所A型は七カ所開設しておりまして、また、その利用状況も大変盛況でございます。今後も、年度内に相当数の申請が予定されるわけでございます。その数は、当初計画数を大幅に上回るというふうに見通しておりまして、東京都といたしましては、こうした状況を踏まえ、当初の計画を前倒しで対応していく、こういうふうに考えております。
○樋口委員 力強いご答弁をありがとうございました。現に今、私は四歳の子どもを持つ母親です。働く女性の一人として力強く感じられました。
認証保育所の数は、都の保育全体で見ればまだ小さい存在ですが、知事が認証保育所第一号のオープンセレモニーであいさつされたとおり、質の高いサービスを提供する認証保育所の存在が、都内千六百カ所に及んで、認可保育所へのよりよい意味での刺激となり、東京の保育全体を利用者本位のサービスに転換するムーブメントが起こることが望まれております。
なぜならば、公立、私立を含め、認可保育所のサービスアップが起こらなければ、大部分の子どもが認可保育所に通う状況下の中で、たとえ認証保育所がどんなにサービス水準が高くても、全体で見れば、ごく一部の都民が高いサービスを受けるだけにすぎないからです。認証保育所とのサービス競争が起き、多くの子どもたちが通う認可保育所のサービス向上の動きが始まらなければならないと思うのです。
そこで確認させていただきます。利用者からの要望の強い延長保育の実施率は、認可保育所全体でどの程度になっているのか、時系列的にお答えください。また、少しずつ改善され、実施している保育園もふえているということですけれども、認証保育所のセールスポイントである十三時間保育、すなわち二時間の延長保育を行っている認可保育所はどの程度あるのか、数と率をお答えください。
○笠原子ども家庭部長 延長保育の実施率でございますけれども、過去五年間で見ますと、平成八年度は二二・五%、平成九年度は二六・五%、平成十年度は三二・二%、平成十一年度は三三・二%、平成十二年度は、前年度より一〇ポイント増の四三・八%となってございます。平成十二年度の実施率を五年前の平成八年と比べますと、約二倍に増加しております。しかし、実施率はまだ半数に満たない、こういう状況でございます。
また、二時間以上の延長保育を実施している保育所でございますが、都内に約千六百カ所ある保育所のうち、平成十二年度においてはわずか十三カ所にすぎませんで、そのうち私立は実に〇・八%でございます。
○樋口委員 お答えいただきましてありがとうございました。しかし、これでは、東京の働く女性が無理なく仕事と子育てを両立するということは大変難しいわけです。いつも職場の同僚に気兼ねをしながら保育所にお迎えに行かなければなりません。
もう一つ、就労形態も多様化が進んでおり、休日保育のニーズも高まっているわけですが、認可保育所の休日保育の実施についてお答えいただけませんでしょうか。
○笠原子ども家庭部長 日曜、祝日等の保育事業に対応いたします休日保育事業の実施状況でございますが、この事業は平成十二年度から事業開始されたものでございまして、昨年度は四カ所の認可保育所で実施されました。今年度は、現在七カ所で実施してございます。
○樋口委員 延長保育同様、心細い限りのお答えです。大都市東京の保育の実態が極めておくれている状況が明らかになりました。東京の保育の屋台骨を支える認可保育所のサービス向上なくしては、声なき多くの働く女性の声を、不満を解消することはできません。本来、サービス業であれば事業者が競い合い、評判のよいところにお客さんが集まるわけなんですが、そういった利用者志向のサービス競争を促していくことが、こういった状況を改善するのには不可欠だと考えております。
保育サービスの充実向上が早急に望まれますが、本来、父親でも母親でも、保育園の送り迎えはもちろんのこと、望むならば子育てのできる環境、つまり子どもが生まれるから、育児をしたいから、子どもが病気だから、そんな場合でも子どもに手を差し伸べることのできる、例えば、仕事上の人間関係や職場の同僚に気兼ねのないような社会システムでなくてはならないと思っています。しかし、残念ながら、まだまだ諸外国に立ちおくれているのが現状であります。
男女平等参画社会の実現のためには、まずは女性の社会進出を支えるためのシステムの整備が不可欠であり、仕事と子育ての両立をサポートする保育は、その大きなテーマの一つだと思います。何としてもこの東京から、大都市特有のニーズに的確にこたえることのできるような保育システムを構築していただきたいと願い、私の質問、最後になりますが、最後に局長の決意をお聞かせいただきたいと願っております。
○前川福祉局長 これまで認可保育所というのは、東京都が率先してつくってまいりまして、いろんな意味で都民のための保育ニーズにこたえてきたと私どもは評価をしております。しかしながら、現状を見ますと、今ご質問の中でも明らかになりましたように、ゼロ歳児保育であるとか、延長保育であるとか、立地の利便性であるとか、現時点になると、やはり都民の多様なニーズに十分こたえ切れていない、それが現状であろうと思っております。
そうしますと、なぜそうなのか、それに対して我々行政はどうすべきなのか、いろいろ検討したんですが、結論としては、やはり保育事業に多様な事業者を参入させて、今お話もありましたように、競い合いをやってもらう、そして、それを通じて良質なサービスを提供してもらう、それが肝心であるというふうに判断をしたわけでございます。
今回の認証保育所制度は、そういう経緯で創設をしたものでありまして、今後、私どもは二つの方向で考えていきたいと。一つは、今の答弁にもありましたように、認証保育所についてさらに積極的に普及を図っていきたい。それからもう一点は、やはり認可保育所についても、こういう状況の中で頑張ってもらおう、サービスの向上について頑張ってもらおうと。こういう両面を東京都として支援をしていって、これを通じて、大都市のいわばモデルとなるべき保育システムをこの東京からつくっていきたい、こう考えております。
○東村委員 先ほどご説明がありましたが、昨日東京都は、国の特別対策として、低所得者対策の、社会福祉法人等による生計困難者に対する介護保険サービスにかかわる利用者負担額減免措置事業を活用した、都道府県として初めての市区町村支援策を発表されました。特に、公明党が従来から提案してきた対象サービスの拡大は、国の制度に比べて、在宅重視の観点から、他の訪問通所系サービスまで拡大したことにより、総合的、一体的な介護サービスの提供が促進できることになりました。
さらに、国の制度としてなかなか活用できなかった事業者への公費助成も、すべての軽減額を事業者と公費で折半することによって、制度化へと大きく実用化が進んだと思われます。
また、事業主体を全事業者に拡大し、すべての場合において公的助成をすることにより、競い合いの条件整備を促進したことや、他のさまざまな取り組みとの公平性の観点から、対象となる利用者負担額を整理したことなど、福祉局の多大なる尽力の跡がうかがえ、感謝を申し上げたいと思います。
さて、介護保険制度になってから、特別養護老人ホームへの入所申込者が急増しております。そこで、実態の把握とそれに対応する質問を行いたいと思います。
まず、介護保険が始まる前のいわゆる措置時代の入所申込者の状況、そして介護保険制度になってからの入所申込者の状況についてお伺いしたいと思います。
○若林高齢者部長 措置制度のもとで区市町村が把握した待機者数を取りまとめたものを、東京都は把握しておりました。十二年三月時点でございますが、入所待機者数が九千六百六十四名でございます。
介護保険制度になってからの状況でございますが、利用者は特別養護老人ホームへ直接申し込むようになりましたので、区市町村においては、手続上からも、また介護の必要度の面からも、措置制度下のような入所申込者を把握することは困難となっております。したがいまして、東京都全体での把握も困難になっております。
○東村委員 今後の介護保険制度の安定した運営を確保するためには、やはりきちんとした実態を把握して、対応策を講じることが求められると思います。そこで、東京都の対応策について伺いたいと思います。
○若林高齢者部長 介護保険制度の実施に伴い、いわゆる待機者の概念はなくなりましたが、介護保険サービスの必要量の把握は、保険者である区市町村の役割となっております。したがいまして、特別養護老人ホーム入所希望者数や必要施設数の把握につきましても、引き続いて区市町村が把握することになります。都といたしましても、広域的な立場から、区市町村と協力してニーズ調査を実施することとしております。
既に、十月から調査を開始したところでございます。
○東村委員 その調査についてですが、さらに、具体的にどのように調査していくのかについてお伺いしたいと思います。
○若林高齢者部長 二つ考えております。
一つは、特養ホーム入所申込者に関する調査でございます。具体的には、人数、要介護度、本人の状況、申し込みの理由、また、いつ入所したいのか、さらには在宅生活を継続するための条件、こういったものを特養ホーム入所申込者に関して調査をしたいというふうに考えております。
もう一点、特養ホームに入所しておられる方々の実態調査でございます。入所理由、在宅生活に復帰するための条件等を把握したいと考えております。
○東村委員 確かに、入所申込者の単なる実数だけではなく、その置かれている状況について把握することは大変に重要だと考えています。なぜなら、現在、特別養護老人ホームへの入所申込者の中には、今すぐの入所希望というよりは、むしろ何年か先の入所に備えた予約的な入所希望者がかなり存在するとも聞いております。単に入所申込者の数だけが多いということのみをもって、特別養護老人ホームの整備の必要数が高いと判断するのは適切ではないと考えておりますが、ただ、現に、今すぐ入所を希望する人も多数いるわけでございます。これらの特別養護老人ホーム入所希望者への対応を図るためにも、一層の整備促進を図っていくべきではないか、このように考えております。東京都の見解をお伺いしたいと思います。
○若林高齢者部長 東京都は、これまで特別養護老人ホームにつきましては、都独自の用地費の助成を実施するなど、大都市の特性に配慮しながら、整備に向けて最大限の努力を積み重ねてまいりました。福祉改革推進プランに基づきまして、引き続き特別養護老人ホームを整備するとともに、高齢者が地域の中で必要なサービスを自由に選択できるよう、在宅施設サービスの充実を図っていきたいと考えております。
○東村委員 次に、最近、児童虐待など子どもの命や人権が侵害される事件が頻発しております。こうした問題について何点か質問したいと思います。
最初に、認可外保育施設の指導監督についてお伺いしたいと思います。
いわゆるベビーホテルと呼ばれる認可外施設については、都市部における保育需要の高まりから、どんどんその数が増加しております。認可外保育施設は、夜間保育や時間単位の一時預かりが可能なことから、保護者の多様なニーズにこたえることができ、その反面、経営者が営利を追求する余り、劣悪な施設運営が見られるところもございます。
本年三月に、池袋のちびっこ園というベビーホテルで、子どもが死亡するという不幸な事故がありました。実は、私の地元の八王子にも同一経営者の施設がございまして、地元のお母さん方から強い不安の声が上がったことを今もって記憶しております。
この問題は、経営者が逮捕されるという刑事事件となり、ちびっこ園に対しては、東京都により何回かの指導検査が行われてきたと聞いております。そこで、この件について何点か質問したいと思います。
ちびっこ園に対する都のこれまでの対応状況及び施設の現状がどうなっているのか、これについてお伺いしたいと思います。
○笠原子ども家庭部長 ちびっこ園に対しましては、本年三月の死亡事故発生以来、都内全園に対しまして、十四施設でございますけれども、緊急の立入調査を実施いたしました。その結果、管理上の責任体制に重大な欠陥がある施設が一施設、また、保育従事者数や有資格者数が基準以下の施設、あるいは保育室の面積が基準に満たない施設、これが多数見られました。その後の立入調査でも、あらかじめ立入調査当日に資料の提出を提示したにもかかわりませず、すべての園が提出を拒否したり、調査関係資料が一切園にないという主張によりまして、閲覧すらできなかった施設があるなど、都の調査に対しまして極めて非協力な姿勢に終始したわけでございます。
東京都といたしましては、こうした会社側の、保育事業者としての適格性を欠く、こういった営利本位の姿勢に対しまして、毅然とした態度で臨むことといたしまして、都として、要綱は昭和五十七年にできたわけでございますけれども、その要綱ができて以来初めて、施設の設置者に対しまして、施設の閉鎖命令も視野に入れました改善勧告を六月に行いまして、改善を強く指導いたしたところでございます。
こうした東京都の強い指導によりまして、ちびっこ園十四施設のうち、改善の見込みが立たない一施設は七月末に自主閉鎖いたしました。その他の施設につきましては、その後も継続して立入調査を行いまして、厳正な指導を今続けてございます。
その結果、都の指導基準を遵守した経営を行う旨、都に対しまして約束いたしまして、現在は都の指導基準を満たした運営内容を行ってございます。
○東村委員 確かに、ちびっこ園に対して東京都が厳しく指導してきたということは今よくわかりました。都内に多数あるこうした認可外保育施設に対しては、何といっても保護者が安心して子どもを預けられるよう、今後も、より一層指導監督を厳正に行っていただきたい、そのように考えます。
本年五月三十日に、厚生委員会におきまして、我が党の曽雌議員の質問に対し、子ども家庭部長は、認可外保育施設に対し指導監督要綱の見直しを図る、こういうご答弁をされています。そこで、その後の検討状況についてお伺いしたいと思います。
まず、見直しの基本的な視点は何か、また、どのようなことを目指しているのか、これについてご説明願いたいと思います。
○笠原子ども家庭部長 今回の見直しは、調査の実施や調査の結果に基づきまして改善指導などを行うに際しまして、その位置づけの明確化、それから実施方法や内容の具体化、さらには処分手続の明確、迅速化を図るなど、これまでよりも迅速で実効性のある指導監督が行えるよう、指導監督要綱の全面的な見直しを検討するものでございます。
そのことによりまして、認可外保育施設全体を適正な水準に誘導していくとともに、その一方で、劣悪な施設に対しましては、事業の停止も含む厳格な対応を図っていきたいと考えてございます。
○東村委員 そうした視点から、具体的にどのように改正をしていくのか、非常にこれが重要になってくると考えます。今回の具体的な改正のポイント、さらに、いつ改正をするのかについてお伺いしたいと思います。
○笠原子ども家庭部長 主な改正点として、四点ほど申し上げたいと思います。
一点は、問題のある施設に対しましては、事業の停止命令、施設の閉鎖命令を含む、より強い指導を行えるようにしたいということでございます。
二点目といたしまして、改善勧告をする際の基準、手続を要綱で明確にいたしまして、実効性のある対応がより迅速に行えるようにしたいということでございます。
三点目といたしまして、立入調査結果を含めた各施設の運営状況について、ホームページにおいて情報提供を行い、利用者が施設を選択する際の参考といたしたい。あるいは施設の改善への取り組みを促進させる、こういうことを考えてございます。
四点目といたしまして、区市町村等の関係機関との連携を一層強化して、実態の把握に努める、こういった四点が主な改正のポイントというふうに考えてございます。
それから、いわゆる届け出制についてでございますけれども、今回の要綱改正におきまして、実効性のある指導監督を行えるような観点から検討いたしたいと考えてございます。
改正の時期についてでございますが、現在、各項目の最後の詰めを行ってございまして、それが終了次第、十一月ごろを目途に発表いたしたい、こういうふうに考えてございます。
○東村委員 都は、確かに認可保育園制度、認証保育所制度など、全国の先駆けとなる保育のシステムを構築してこられました。これらの認可外保育施設についても、的確に指導し、そして、ぜひとも都が全国のパイオニアとなって取り組んでいただけるように強く求めるものでございます。
次に、児童虐待についてご質問します。
去る十月五日、福祉局では「児童虐待の実態」というタイトルで、昨年度児童相談所が対応したすべての虐待相談事例を分析した児童虐待白書を発表しました。全国で初めてこのような詳細な白書を作成したことについては、高く評価をするものであります。
ところで、児童虐待の実態については、これまでも厚生労働省や、さらに自治体、民間機関などにおいてさまざまな調査が行われてきました。そこでお伺いしたいのですが、今回東京都が児童虐待白書作成に際して行った実態調査や分析は、これまでさまざまな機関が行ってきたものに比べてどのような特色があるのか、ご説明願いたいと思います。
○笠原子ども家庭部長 特色として二点挙げられると思います。
第一点でございますが、今回の調査は、都内十一カ所の児童相談所で取り扱った平成十二年度の千九百四十件、このすべての事例につきまして、児童票、面接記録票等の膨大な量の原本に直接当たって調査をした、こういう量的な側面がいえるかと思います。
第二点目といたしまして、質的な側面がございます。これまでいろいろなところで行われてまいりました調査はほとんど、どちらかというと親側を中心に調査をしておるわけでございます。これに対しまして今回の調査は、子どもの気持ちや家族の状況など、ここまで範囲を広げ、踏み込んで、多面的な調査を行ったということでございます。
また、分析に当たりましては、先ほど説明がございましたように、実際の事例に当たりました児童相談所長、児童福祉司、あるいは心理職員などの現場の職員の参加を得まして、児童票などの書類からはなかなか読み取れない部分に対しまして、実際の対応に当たっての判断、あるいは現場の感覚、こういったものを取り入れながら分析を行ったというところでございます。
○東村委員 確かに、質、量ともにこれまでにないような詳細な分析を行ったところですが、その中で、これまで声高にいわれてきました児童虐待の世代間連鎖、このような児童虐待の起こる要因等について新たな結果も示されている、これは非常に評価をしております。白書の分析の結果、特に明らかになった特徴として、どのようなことがあるのか、ご説明願えればと思います。
○笠原子ども家庭部長 児童相談所への虐待通報件数は急激にふえておるわけでございます。これは、養育水準の高まりと、子育てに対する関心の強まりを背景とした虐待の掘り起こしによるところが大きいということが、この調査結果からわかりました。
それから、虐待の行われる要因としては、これまで、親子の生育歴や虐待の世代間連鎖、あるいは、望まれずに生まれた子に対しましては虐待へとつながりやすいといわれてきたわけでございます。しかし、今回の調査では、いずれも決定的な要因でないことが明らかになりました。今回の調査において明確に裏づけられたことは、虐待は、経済的な困難を背景といたしまして、夫婦間の問題、個人の精神的な問題、こういったさまざまなものが複雑に絡み合って、複合的な要因によって生ずるということがわかったということでございます。
このように、実際の事例を詳細に分析することによって、虐待を取り巻くさまざまな実態というものが初めて明らかにされた、こういうふうに考えております。
○東村委員 確かに虐待が発生する要因については、社会的要因が多々ございます。そこで重要なことは、今回作成した児童虐待白書を踏まえて、今後、児童虐待の問題にどう対応していくかという点でございます。今回の児童虐待白書では、その最終章の「実態分析を終えて」に何点か問題提起が行われており、私も興味深く読ませていただきました。
その一つとして、児童虐待防止には、地域の機関や施設などと児童相談所とが緊密な連携を持ち、ネットワークを構築して、問題対応や家庭への支援に当たることの重要性を指摘しております。ネットワークの構築について、市町村の対応力の強化策を含め、都としてどのような方策を考えているのか、お伺いしたいと思います。
○笠原子ども家庭部長 児童虐待につきましては、福祉保健医療あるいは教育、警察等の関係機関が、地域の中で一体となって総合的に取り組んでいくことが必要だというふうに認識いたしております。
東京都では、こうした観点から、児童相談所の機能強化に努めるとともに、予防や早期発見などに重要な役割を果たす区市町村などとの連携も図ってまいりました。
また、区市町村が、みずからこうした虐待問題への対応力を高めていくことが重要であるという考え方を踏まえまして、区市町村が子ども家庭支援センターを設置促進することを支援してきております。
この十月一日現在で、都内で既に二十四カ所が開設済みでございます。今後、全区市町村への設置促進が図れるよう支援していく予定でございます。
○東村委員 白書の中で、虐待を認めて援助を求めている母親が多いというような指摘もございました。胸を突かれる思いがしました。児童虐待というと、ともすれば新聞報道に見られるような重大な虐待問題ばかりが連想され、その対応策についても、親子分離の必要性などが取り上げられる場合が多いのですが、私は、親子分離は一時的、緊急的な対応にすぎず、分離をした後がむしろ重要であると考えます。そうした意味で、虐待を予防するための親子支援とともに、親子分離した後の親子再統合に向けた取り組みを進めていかなければならないと考えております。
これまで、親への援助、特に親子再統合に向けた取り組みは非常におくれているのではないかと感じておりますが、都としては、この親子再統合に向けたケアについてどのように取り組んでいくつもりなのか、見解を伺いたいと思います。
○笠原子ども家庭部長 親子の再統合につきましては、児童福祉司による親に対する養育技術についてのアドバイス、それから心理職員による子どもの精神的なケアなどを行って、親と子が一日も早く関係修復が図れますように、家庭への支援をこれまで行ってきたわけでございます。
また、今年度からは、児童相談所に精神科医を配置いたしまして、医療面での親のカウンセリング、あるいは治療を実施してございます。今後、さらに幅広く、親と子の両方を含めた親子の再統合への支援の方策について検討してまいりたいと思っております。
○東村委員 また、児童虐待に対しては、何といっても、立入調査権や施設への措置権限など法的権限を持つ児童相談所が、迅速かつ的確な対応を行うことが重要だとも考えております。先日も、昨年七月に幼い我が子を虐待死させた親が逮捕されるという事件が報道されました。今回のこうした事件を見ても、児童相談所みずからの対応力を一層高めることが何といっても急務ではないだろうか、このように考えております。都としての見解をお伺いしたいと考えます。
○笠原子ども家庭部長 これまでも児童虐待への対応につきましては、全国に先駆けまして、虐待対策課の設置や、虐待対応協力員の配置などによる困難事例への措置的な対応の強化を初めといたしまして、緊急的な対応のための土曜開庁などを実施してまいりました。また、児童問題に意欲を持つ職員の庁内公募なども講じてまいったわけでございます。
今後、こうしたこれまでの対応に加えまして、さらに研修等の充実により、個々の児童福祉職員の資質の向上を図るとともに、児童福祉司あるいは心理職員、さらには児童精神科医等が緊密な連携を図りながら対応を行うことなど、児童虐待問題に対する機動的、措置的な対応力の向上に努めてまいりたいと思っております。
○東村委員 児童虐待問題への対応は、まさに今おっしゃったように待ったなしの状況にあると考えております。
最後に、これら児童虐待問題に取り組む福祉局長の決意をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
○前川福祉局長 児童の虐待が大きな社会問題となっておりまして、今お話もありましたが、実の親が子どもを殺すといったような痛ましい事例も後を断たないわけでございます。
私ども、かねてから、こういった事態に対して、具体的で実効性のある対策を講じるにはどうしたらいいかと考えてきたわけですが、そうした観点から、これまでも全国に先駆けて、虐待対策課の設置であるとか、児相の土曜開庁等もやってきたんですが、今回の虐待白書もその一環でございます。
そこで今後は、この白書で明らかになった問題に即しながら、具体的な対策を講じてまいりたい。例えば今回の白書で、当たり前といえば当たり前なんですが、虐待の背景としては、古典的ないわば貧困、あるいは社会的な孤立を背景として、これに両親の不和とか、親としての未成熟が重なる、そういったことが問題であるということが浮き彫りになっております。
そこで、今後の方向としては、一つは、児童相談所を根本的に機能を強化していきたい。今回の重要施策でも挙げておりますが、児童相談所の改革を大きな課題として取り組みたい。もう一点は、部長も答弁申し上げましたが、区市町村と連携しながら地域でネットワークをつくっていく、これを具体化をしていきたい。こういう二点で、ぜひ全国のモデルとなるような取り組みをしていきたい、こう考えております。
○小松委員 まず第一番目は、都立病院、医療センターについてです。
都立病院関係につきましては、病院改革会議の報告、来る十月十六日の衛生局質疑のところで行いますので、今回は、同じ都立の病院でありながら福祉局所管にあります二つの老人医療センターについて質疑を行いたいと思います。
板橋と東村山にある両医療センターは、ともに、最近まで養育院といわれておりました中に、老人ホームや特養ホームなどと併設された老人専門病院で、日本で三つしかないという老人専門の総合病院のうちの二つの病院であるわけです。
今回の病院改革会議は、この貴重な都立病院を統廃合や民営化しようというのですから、患者や住民の反対の声が起きるのは当然ではないでしょうか。何とか今のまま存続させてほしい、こういう住民の願いにこたえる立場から、何点か質問したいと思います。
まず第一に、この両医療センターの設置目的、その意義について伺いたいと思います。
○反町施設調整担当部長 老人医療センターについてでございますが、老人医療センターは、主として六十五歳以上の都民を対象に高度専門医療を提供しております。
当初は養育院の附属病院として発足しましたが、その後、高齢化の進展とともに、構内の高齢者施設ばかりでなく、地域の福祉施設や一般医療機関とも連携を図りながら、我が国の高齢者医療の先駆的、モデル的な役割を担ってまいりました。
○小松委員 大変舌足らずではありますけれども、私も、これは今から十五、六年前だったと思うのですが、東村山に多摩老人医療センターを創設させるときに、都は何といっていたかといいますと、市や市議会へ、多摩に一カ所もない老人の専門病院を創設していくんだ、そして、病院内では三位一体の施設として、また、地域に開放された老人の専門病院として、我が国の高齢者医療の先導的役割を担うためだと説かれ、私たち市民、市議会、それぞれ納得、受け入れたのであります。
そこで伺うわけですけれども、両病院が、高齢者福祉施設の中にあるというより、高齢者施設敷地内に併設させた福祉局所管の唯一の病院であることの意味を改めて伺いたいと思います。
○反町施設調整担当部長 老人医療センターは、構内の老人ホームやナーシングホーム利用者の健康管理と医療を担うとともに、各施設との連携のもとに、高齢者に対する総合的なサービスを提供することを目的に設立されたものでございます。
また、老人医療センターは、養育院の附属施設として発足したという経緯に加えまして、高齢者医療が福祉施設や福祉サービス機関、あるいは福祉施策との関係が深いという独自の性格を有することから、福祉局所管の病院となっているものでございます。
○小松委員 そうですね。
さて、それでは次に、この病院の対象者である高齢者の病態や疾患には、一般成人とは異なる特徴があって、これに対応した医療やケアが必要といわれておりますが、この点についてどうとらえていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
○反町施設調整担当部長 高齢者の疾患の特徴でございますが、複数の疾患を持つことが多く、精神機能の低下を伴いやすいこと、高齢者特有の痴呆、尿失禁、転倒等の病態がございまして、日常生活上の機能障害を起こしやすいこと、さらに、免疫機能が低下をしており、疾患が治りにくいことなどが挙げられます。
このため、高齢者の医療におきましては、患者の自立機能障害を防止し、生活の質、QOLの維持向上を最終目的とすべきでございまして、単なる疾患の診断と治療だけではなく、チーム医療に基づいた全人的、包括的な医療が必要だと考えております。
○小松委員 そうですね。これは九七年、折茂院長が就任あいさつでもいっておられるのを私、読んだことがあるのですが、非常にすばらしいあいさつだと思いましたので、ここで改めて紹介をさせていただきたいと思います。
高齢者医療のあるべき姿は、単なる臓器別の疾患の診断や治療ではなく、高齢者のQOLを第一義に考えた、全人的な包括的医療を行うことにあります。そのためには、第一に、従来の縦割り医療から脱却して、包括的な横割り医療体制をつくることが重要です。高齢者は、疾患をあわせ持っていることが多いため、専門分化した医療体制では適切な対応が困難であることから、医師とコメディカルが協力して行うチーム医療体制を充実させる必要があります。第二に、地域医療機関との連携体制を確立することが必要です。
このような立場から、医療センターでは、大変すばらしい実践がされていると伺っておりますが、内容をお聞かせください。
○反町施設調整担当部長 老人医療センターは日本最初の高齢者専門病院でございまして、高齢者医療につきまして総合的チーム医療を行うという考えのもとに、全人的、包括的医療や高度専門医療を実施するなど、先駆的、モデル的に取り組んでまいりました。
具体的には、患者の日常生活動作、ADLでございますけれども、それから精神機能、社会的状況の三つを総合的に評価し、包括的な医療を行っております。さらには、地域の高齢者の健康は地域で守るという理念のもとに、地域の医療機関や福祉施設などとの連携の強化にも努めてきたところでございます。
○小松委員 こうやって伺ってまいりますと、時間があれば、これをもう少し詳しくお聞きしたいんですが、今おっしゃられた答弁を顧みましても、老人医療センターが、これからの高齢化社会に向けて、いかに高齢者医療の先端の役を果たしてきたか、そしてまた、地域住民を中心にした都内の高齢者の安心度になっているかということが明らかになってきたわけですが、こうした老人の治療目的の専門病院が必要であり、こうした病院が日本に三つしか、それも東京にしかない、もっとふやす必要があると。
例えば、医学者の和田秀樹氏は、その著書の中で訴えております。こうした病院は、望まれながらも数が少ないのは、まさに不採算部門だからということであって、公立、直営だからこそ、継続、発展し得てきたところが多くあるのではないのでしょうかと。
これを、今なぜ民営化し--多摩老は一般病院化し、板橋のセンターは豊島病院に統合するなど、到底納得できないものであります。民営化することで、現在の老人医療センターの水準は一体守り切れるでしょうか。
さらにもう一つは、都立医療センターは差額ベッドの徴収がない、こういうことでも高齢者から安心して入院できると大きく評価されているわけですね。他の都立病院が一定の差額ベッドを徴収する中で、なぜ老人医療センターが徴収してこなかったのか、ここで明らかにしていただきたいと思います。
○反町施設調整担当部長 今回の都立病院改革会議の報告は、高齢者医療の充実と民間への普及拡大を目指しているものと考えております。今後、具体的にはマスタープラン等の策定の中で検討していくことになりますが、老人医療センターが民営化された場合には、民間の豊富なノウハウを活用した質の高い医療サービスの提供が可能となります。また、弾力的、効率的な運営による新たな医療ニーズへの迅速的確な対応が期待できるものでございます。
さらに、運営事業者の決定に当たりましては、公募等により、質の高い医療サービス等を提供する優良な法人を選定するとともに、運営に際しても、使用許可条件等を設け、指導監督することなどにより、高齢者医療の水準の確保、充実が図ることができると考えております。
また、現在の老人医療センターが差額ベッド料を取っていない理由でございますけれども、現在の老人医療センターでは個室の数が少なく、治療上の必要から使用していること、また、バス、トイレ等が整備されていないことなど、施設整備上の理由から差額ベッドを徴収していないものでございます。
○小松委員 何点もあるわけですけれども、まず一つ、最後の差額ベッド、これはその理由というのは、まさに老人病院を福祉施設として福祉局が所管する福祉的な立場に立ったからこそ、差額ベッドを徴収してこなかったのではないんですか。差額ベッド料を徴収する設備になっていないなどとおっしゃっていますけれども、もし本気で老人から差額ベッド料も徴収するんだとやれば、最初からそういう施設も備えてきたでしょうし、途中からでもこれができたはずではありませんか。これは、まさに東京都の福祉的行政理念に基づいたものとして私は評価しているのですが、そうではなかったのでしょうか。こうした差額ベッド一つとりましても、民営化されれば、途端に患者の負担として大きくのしかかってくるのではないでしょうか。
先ほど、民営化された利点があるんだとおっしゃられましたけれども、どんなに指導監督されたり検討されても、民間と都立では、入院したときには保険外徴収がふえるのは当たり前ではないでしょうか。いかがでしょうか。
○反町施設調整担当部長 民営化された後の具体的な運営内容につきましては、今後検討するべき課題があると考えております。しかしながら、受益者負担につきましては、法令の範囲内であれば、運営主体や方式にかかわらず、適切な負担が求められるものでございまして、民営化後においてもこのような考え方で運営されるものと考えております。
○小松委員 何回も聞こうとは思いませんが、民営化されて、都立と同じ負担では--都立は一般財源から支出しているから、赤字だ、不採算だといいながらも、それを守ってきているんですね。特に福祉局の病院は、民営化されれば患者の負担がふえるというのは、多くの方がおっしゃっていることです。
ある方は、こうおっしゃっておりました。「夫は脳内出血で倒れて、五ケ月目から多摩老人医療センターで週二回、四十分位のリハビリを受けていました。それが生きる励みになり、想像以上の回復を見せてくれました。営利を目的としない公立の病院だからこそ、患者の立場に立った丹念なリハビリが受けられたと思っています。民間への委託は、絶対阻止してください。」こうした意見がたくさん寄せられているわけですよね。
私は、どんなに部長がおっしゃろうとも、民営化したときの患者負担、それからその医療内容、これが今のすばらしい都立以上になるとは思えないということを、ここで断言しておきたいと思います。
さらに、医療センターは、構内の医療、福祉、研究の連携を見事に行い、老人ホームや特養などの三位一体の取り組みを自負してこられたはずです。もっとも最近は、この三位一体が崩れ始めているんですが、一方、地域との連携もしっかり築き上げてきていると聞いております。こうした連携が、板橋では豊島病院に統合し、多摩老が小児科を開設して総合病院化する、これで保てるとおっしゃるのでしょうか。
○反町施設調整担当部長 老人医療センターは、これまでも構内の各施設はもとより、地域の福祉施設、福祉サービス機関との連携を図ってまいりました。今後の高齢化の進展を見据え、高齢者医療を一層充実発展させるためには、医療、福祉、研究の連携が不可欠でございます。そのため、民営化あるいは統合化された場合におきましても、福祉施設等と協定書を取り交わすなど、一層の連携に努めてまいりたいと思います。
○小松委員 どんな連携や協定を提携したとしても、これで住民が納得できるものとは思われません。地元医師会などとの話し合い、これも進められているんでしょうか、意見を賜っているんでしょうか。
特に板橋の豊島病院への統合は、一プラス一が二になるのではなく、これではお互いの機能が縮小されてしまうのではないでしょうか。今、板橋老人医療センターには七百床のベッドがあり、それから豊島病院は三百六十数床のベッドがあるわけですけれども、こうした関係はどう確保されていくんでしょうか。
○反町施設調整担当部長 病院改革会議の報告書におきましては、統合後の高齢者医療センター併設地域病院の診療規模につきましては、高齢者医療及び地域医療の機能を総合的に担える体制を確保する必要があると記載されてございます。
具体的には、今後、マスタープランや実施計画を策定する中で検討してまいりたいと思います。
○小松委員 どう確保されていくんでしょうかということで、それが確保されるのが大変苦しいから、今後のマスタープランということになったんだと思いますけれども、これはどんなに豊島のところにもう少しベッドをふやしたとしたって、せいぜい五百ぐらいでしょう。七百と三百幾つ足せば、千を超えるんですね。これが確保されて、現在のままなんです。ベッドの数すらも確保されていかない。
さらに、両センターとも、二次救急医療の指定やエイズ医療の指定病院となっておりますし、多摩老は災害時の医療の指定病院ともなっているなど、大切な役割を担ってきているわけです。
事実、例えばこれは平成九年というから、こんなの古いよといわれるかもしれませんが、しかし、高齢者福祉・医療の複合施設運営検討委員会、改革会議の前ですけれども、ここでも、高齢者専門の病院では高度専門医療と並行してということで、きちっとリハビリの問題とか、それからデイホスピタルによる在宅高齢者の心身機能、能力の維持向上に努めていく必要があるとか、または災害時における地域の医療活動の拠点として整備の必要があると提起しているわけですね。そして、事実それをやってきている。それを今、壊していくとしかいいようがありません。要は、今ある機能を存分に発揮し続け、高齢者医療のモデルとして直営で残すべきだということを強く要望しておきます。
私、今ここに、養育院一〇〇年史を編集された長崎純心大学教授の一番ケ瀬康子先生、私の恩師でもありますが、ここで見事に語っておられますので、この言葉をもって、老人医療センターへの質問の最後にしたいと思います。こう書かれております。
「かつて東京都養育院は、研究所も附置し、医療と福祉現場と密着した研究成果を出し、国内でもまた国際的にも注目されていた。東京都は、研究所の財団化にひきつづき、今回老人専門病院(老人医療センター)の民営化を打ち出し、やがて福祉の諸施設も分離して民営化を目論でいる。完全に解体の方向にあるようだ。このことによって、日本の高齢者の保健医療の質及び積極的な研究は、大きく立ち後れることになるであろう。アジアの高齢化さらに世界の高齢化が進むなかで、養育院の長く努力を続けてきた歴史と実績を無視し、すべて無に帰すような在り方は、文化を否定し、歴史を無視した暴挙といえよう。どこの国でも一〇〇年以上続いた病院や、施設がその内実は現代化されながらも、名称、あるいは建物等については、その都市の記念または文化財としてのこされている。今回のように、一二九年も続いた養育院の名前も実体もすべて破棄し、解体するような在り方は、余りにも文化的に無謀きわまる方向である。」と。
養育院一〇〇年史編者の一番ケ瀬先生がおっしゃっていることを最後に申し上げて、何としても高齢者医療のモデルとしての直営でということをお願いしながら、次に進みたいと思います。
次は、保育所関連の問題です。
先日、前川局長は、我が党の吉田議員の代表質問に対し、保育所の待機者というのはミスマッチだというような回答をされております。それでは、現に国や都が発表しております待機児数は一体何でしょうか。待機児とは一体何なのか、そのとらえ方について伺いたいと思います。
○笠原子ども家庭部長 待機児の概念でございますが、これは、入所要件に該当いたしまして入所申し込みをしたけれども、入所できない、これが待機児の概念でございます。
○小松委員 ということは、これはミスマッチではなく、今、待機児が実際にいるわけですよ。そして、百歩譲って、もしこのミスマッチ論、これを私は全部そういうことがないとはいいません、そういう理由もあるかもしれない。それを認めても、ゼロから二歳児、乳児の待機児、ではこれをどうとらえ、どう解消されようとしているのでしょうか。
○笠原子ども家庭部長 私どもの待機児の考え方でございますが、まず現在の入所児童数、それと総定員の現状はどうなのかということをお話し申し上げたいと思います。
この四月一日現在で、入所児童数は十四万七千八百八十五人でございます。これに対します総定員は、十五万四千六百四十八人でございまして、総定員を入所児童数が大きく下回っております。数にして六千七百六十三人おるわけでございます。こういった考え方に基づきまして、本会議の答弁で局長は、一つは、地域的な保育所の偏在がある、それから年齢別のミスマッチがある、それから希望に合わないなどの需要と供給のミスマッチによる待機児が出ている、こういうふうにいっているわけでございます。
では、待機解消をどうしたらいいんだということでございますけれども、二つの側面があるんだろうと思います。一つは、これは保育の実施主体である区市町村がどう対応するかということだろうというふうに思います。特に需要の多いゼロ、一歳児、これの受け入れ枠をどう拡大していくのか、それから定員の弾力化など、地域の実情に即した対応をどうしていくのかということだろうと思います。
それから、もう一つの側面は、やはり運営事業者である保育所自身、これが変わっていかなきゃならぬだろうと思っております。そういった意味では、利用者ニーズの高いゼロ歳児保育あるいは長時間保育、こういったサービスに積極的に取り組んでいく姿勢、それが大切ではないか。これによって待機児童が解消する、そういうふうに思っております。ただ、その前提には、やはり事業者自身が創意工夫をしてサービスを競い合う中で、利用者の選択が可能になる、そういった保育サービスの実現が必要だろうと思っております。
○小松委員 このミスマッチ論、そしてまたゼロから一、二という乳児の待機児ですね、これがあるということは現認のごとくです。しかし、今それに対しての対応が、保育所の事業者自身ということをおっしゃいましたけれども、実際には、例えば先ほど資料を出していただきましたが、この資料の中でも、保育所の設置状況が、乳幼児人口に対して待機児童数、これを見たり、もう一つは、保育所の創設、増改築、それに伴う増加定員数の推移、認可保育所数の推移を見ますと、子どもの数は一定、ふえたり減ったりしているけれども、保育所にお子さんを上げたい、要するに待機児童数はこの数からいいますと倍になっておりますね。乳幼児人口はふえたり減ったりしております。少し減っておりますけれども、決してうんと減ってはいない。働く女性をとったら、きっとさらにふえているでしょう。
そうした中で、保育所が一向にふえていない。認可保育所数の推移、昭和四十五年から平成十三年まで出していただき、ありがとうございました。これを見ますと、千五百八十八カ所というのは、昭和五十八年度当初の、この辺の数字です。今から十七、八年前の数字が依然としてある。待機児は倍あるんです。この辺ですね。ところが、一方で保育所の創設数、増加定員数を見ますと、平成十年度にぐっとふえております。何なのかと見てみますと、これは、まさに国が特例でこの施設に対しての補助を出したという、こうやればふえるんだということですね。ですから、事業者自身のせいにするだけでなく、これは国がそのものをすることが大事、それに対して東京都もそれらの支援をすることが大事だということを申し上げたいと思います。
そして、事実、国は来年度の予算要求で、厚生労働省が保育所の待機児ゼロ作戦の推進に三百四十三億円を計上し、特に保育所の受け入れ児童数の増大として三百二十二億円、そこには待機児童ゼロ作戦を推進するため、保育所受け入れ児童数を五万人ふやす、特に需要の多い低年齢児、ゼロから二歳児の受け入れ増加を図る、また、これに対応した施設整備を行う、このように書かれております。これから見ますと、大体国の一割が都としても、五千人です。こうした国の具体的な数字に対し、都はどうとらえて、どうされようとしているのか。
○笠原子ども家庭部長 待機児童解消の考え方、これはやはり全国一律ではないだろうというふうに思います。大都市東京では、東京なりの考え方があるし、ニーズもあるし、特性もあるだろうと思っております。
では、東京の特性は何なのかといいますと、やはりゼロ歳児保育をしてもらいたい、あるいは、駅前の便利なところで子どもの送り迎えができるような保育所が欲しい、さらには、残業があっても遅くまで預けられる、そういった長時間保育をしている保育所が欲しい、そういった利用者のニーズが大都市特性の特徴だろうと思います。そういった特徴にこたえない限り、やはり待機児問題というのは解決していかない。
したがって、私どもとしては、一つはそこをどう意識を変えていくのか。ある意味では、現在の認可保育所がそういうことにこたえていない、その意識も含めて変えていく必要があるんだろうと。したがって、それを、ただ設置の数だけでつくっていけば待機児問題が解決する、こういう考えは東京都としてはとっていないということでございますので、国は国の考え方があるでしょうが、東京都は東京都の考え方で対応している、これが私どもの待機児解消の対応方策でございます。
○小松委員 すれ違いますから、余り長くはできませんけれども、少なくとも人数がゼロから二歳までは大変足りないんですね。待機児が多いんですよ。さっきもおっしゃったように、実際の保育所の中は、あいているところもある。ゼロ、一、二があいているところというのはないんです。今、その資料を私も手元に持ってこなかったんですけれども、あいているのは四、五歳児なんですよ。事実、ゼロ、一、二というのは--ゼロは一施設において大体六人とか九人とか、とるのが少ないんです。ですから、それに合わせて一歳児も十人とか、せめて十五人というのは多いところですね。二歳児もそうです。三歳以上になると二十人とかね。完全に子どもの数はずっといるわけですから、仕事を持たれている方はみんな、産休が明けたらもとに戻りたい。たとえ一年の育休があっても、その後は戻るということになれば、絶対数が足りないんですよ。そこをどうするかということが大事なのではないでしょうかと申し上げているんです。
まして、ちょうど今回は、国が十四年から十六年の三カ年で十五万人の受け入れ児童数の増を打ち出しております。こうしたこともかんがみて、都がこれに対応するためにも、保育所整備計画を立てる必要があるのではないでしょうか。改革推進プランには、残念ながら保育所設置の数値目標だけは空白になっておりました。ですから、そのためにも、まずは潜在的な待機児調査を実施すべきと思いますが、いかがでしょうか。保育所の整備計画とあわせてお答えいただきたいと思います。
○笠原子ども家庭部長 整備計画につきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。利用者ニーズがどの程度、先ほど申し上げましたような事項についてあるかと。そういう意味では、数はあくまで施設数ではなくて、待機している、利用したいという児童の数だろうというふうに思っております。
それから、実態調査の問題でございますが、区市町村は住民の保育ニーズを実は常時受け付けておるわけでございまして、それから一方で、保育情報というものを提供しております。こうした住民の保育ニーズの把握の上に立って、事業の実施主体である区市町村が地域の実情に沿った保育計画をつくっておるわけでございます。
したがいまして、私ども東京都がそういったものの上にさらに調査をするということは考えていないというふうに答えさせていただきたいと思います。
○小松委員 そうしますと、もう各区市町村でやられているからわかっていると。きょう、ここでとは申し上げません。ぜひ、その区市町村から得た資料を、後ほどで結構です、いただきたいと思います。
私は、その潜在的な待機児も含めての調査をしていただきたい。東京都が直接にやれなんて申しておりません。もちろん区市町村を通して、そうした潜在的な待機児も含めての調査が必要なのではないですかということと、各区市町村が行う、そうした保育所整備計画の上に立ってというのでしょうか、その基本というのでしょうか、東京都の計画が必要ではないかということですので、それをいってもまた平行線になるといけませんので、これはぜひ要望しておきたいと思います。
事実、さっき申し上げたように、認可保育園の建設に対する財政支援を平成十年度のようにやれば、こうやって、十倍近くですよね、平成十年度の増加定員数というのは。平成九年度が五十九人、平成十一年度が六十九人、平成十二年度は五百八十六人の増加があったわけですから、これを私は申し上げたいと思います。
さて、認可外保育所の認可への促進支援策、これを拡充することも大切ではないでしょうか。国予算は、来年度予算一・三億円といいますが、都もこれに上乗せして支援策を求めるものです。
○笠原子ども家庭部長 先ほど来お話し申し上げているとおり、保育サービスのあるべき姿、これは事業者が創意工夫を凝らし、競い合いの中で大都市特有のさまざまな保育ニーズにこたえながら、利用者本意のサービスができるようになることが必要であるというふうに考えております。私どもといたしましては、こうした目指すべき基本方向の流れに沿いまして、認可外保育施設が認証保育所へいくように誘導を行っておるわけでございます。
そういった観点から、認可についてもどうだということでございますが、そうしたニーズにこたえられない今の認可保育所を、そういう形で誘導していくという考えはないというふうに思っております。
○小松委員 ないといわれちゃいますと、それをさらに持てということは、大変難しい話になってまいりますので、本当に残念に思いますが、もう一つ、認証というのは、決して待機児解消ではないと都もおっしゃっているし、児童福祉法に基づくものではないんです。児童福祉法第二十四条に基づく保育所は、やはり認可保育所であるわけですし、また、ただし書きにおいても、むしろ保育室ならば、これは東京都が今までずっとやってきておりましたけれども、これを今、国にということもいっておりますけれども、だからこそ認可保育所に誘導するような支援策が必要だということを、重ねて申し上げておきたいと思います。
その次は、ちびっこ園及びベビーホテルについてお伺いしたいと思います。
先ほどの質問がありましたので、重複しないように伺ってまいりたいと思いますが、豊島区池袋の無認可保育施設ちびっこ園池袋西で、四カ月の乳児が窒息した事件の発生から、約七カ月がたったわけですけれども、そして今、富山市の経営母体であるちびっこ園本部の社長らが、業務上過失致死容疑で逮捕、起訴される事態に発展した今回の事件というのは、保育環境の整備が立ちおくれている社会の実態を改めて浮き彫りにしたと。九月十一日の読売新聞にも、これらが載せられております。
私が前回質問して以降の経過と実態、都の対応を伺いたいと思うわけですが、先ほど東村議員さんのお答えに大分ありましたので、もし補足することがありましたら、お答えいただきたいと思います。
○笠原子ども家庭部長 基本的には、東村先生にお答えしたとおりでございます。ちびっこ園に対しましては、本年三月の事故発生以来、都内全園に対しまして緊急の立入調査を実施したわけでございます。
先生ご案内のとおり、施設に対しましては、五月末までに改善報告を出せということで指導してまいりました。改善が図れなかったために、都として初めて、施設の設置者に対しまして、施設の閉鎖命令も視野に入れました改善勧告を六月に行い、改善を強く指導してきたということでございます。
こういった強い指導によりまして、ちびっこ園全十四園のうち、改善の見込みの立たない施設については、先ほどお話ししましたように七月末で閉鎖いたしました。そのほかについても、ただいま厳正な指導を続けておるわけでございますが、ちびっこ園の方は、都の指導基準を重視した経営を行う旨、都に対して約束をいたしておりまして、現在は都の指導基準を満たした運営をいたしておるというふうに考えております。
○小松委員 都の基準を満たしているということですが、この読売新聞の九月十一日号から、「東京チルドレン 小さないのち ずさんな保育」ということで連載されております。
その中の一、二ご紹介したいんですが、「十数人の子供が昼寝している保育室の奥から鼻をつく異臭が漂う。入り口のカウンターに立った都福祉局の女性職員は思わず顔をゆがめた。」ということで、ちびっこ園西葛西で都の立入調査の状況が書かれております。「約二十人の乳幼児のほとんどが一日十時間近くを過ごす保育室。その隣の一室に汚れた紙おむつや空き缶、生ごみなどを詰め込んだビニール袋が五、六個も積み上げられていた。保育室のベッドや本箱にはほこりが積もり、布団カバーは薄茶色に変わっていた。カーテンもない。」しかし、「保育者には悪びれる様子もなかった。調査は抜き打ちではなく、一週間前に通告されていた。それだけに、女性職員のショックは大きかった。」こうしたことが書かれております。
そして、さらには、今度は別の保育所ですね。これは池袋西です。このちびっこ園では、「十畳ほどの乳児室には、九台のベッドに寝ていた十二人以外」--九台のベッドに十二人ですよ、これ以外に「二十五人近くの子供たちが入れられ、ベッドの下の狭い床で遊んでいた。自分でミルクを飲めない子供には、職員が抱いて授乳させるのではなく、隣に寝かせたぬいぐるみにほ乳瓶を置き、子供にくわえさせる方法が取られていたという。」
このお子さんを亡くされた方、北条さんは、高見沢弁護士らと示談書案を書きながら、「子供を金もうけの道具として扱ってきたから、この事件は起こるべくして起きた」、このようにおっしゃっているわけです。
こうした事実は、これは確認するまでもなく本当だろうと思うのですが、もし異論があれば、この読売新聞のこれは違うよというならおっしゃっていただいて結構なんですが、余りにも利益至上主義。そして、九台のベッドに十二人を寝かせ、二十五人近くの子供たちがその下で遊んでいた。こういうことも含めて、今は変わっているのでしょうか。
○笠原子ども家庭部長 ただいま先生からお話がありました西葛西園でございますが、七月末をもって閉鎖したというのは、ただいま読売新聞に出ていた西葛西園でございます。
それから、その他の十四施設、これはその後、繰り返し強い指導を行いました。その結果、その新聞に書かれているような事実は現在はない、こういうふうにお話し申し上げたいと思います。
○小松委員 それなら結構なんですけれども、ここには、池袋の事故後だって園の体質は何も変わっていない、女性保育士は嘆くというふうに書かれておりますので、心配しております。さらに厳しい指導をお願いしたいと思うわけですけれども、国と都の調査というのは、このちびっこ園だけではなく、全都におけるベビーホテルの調査をなさったようですね。その結果は出されておりますか、ちびっこ園だけでしたか、あらゆるベビーホテルをやられたのか、ちょっとその辺、教えてください。
○笠原子ども家庭部長 国の調査の方でございますが、ちびっこ園については、全国にいっぱい散らばってございます。その全国の所在する各都道府県を通して、国が集計をして、それを調査結果にまとめて報告した、こういうことでございます。
○小松委員 はい、わかりました。
そして今、国が児童福祉法の改正で、認可外保育施設の届け出制を打ち出しているわけです。これを見ますと、認可外保育施設についての届け出ということでは、設置者は、事業開始日から一カ月以内に施設名、その他の事項を都道府県知事に届けなければならないものとするということで、児童福祉法の一部を改正する法律案の要綱案が出されております。
先ほど東村議員に対しまして、実効ある届け出制とするための検討をしたい、十一月ごろを目途にしたいということでしたけれども、この国の法律または要綱案、これらとの関係でこれを見ているのですか。東京都としては、この届け出制については、もう一歩踏み込んだお答えをいただきたいと思います。
○笠原子ども家庭部長 私ども、聞いている限りでは、国の法律改正、児童福祉法の改正は議員立法によって行うというふうに聞いております。私どもの認可保育施設の指導監督要綱の改正でございますが、これは、そういったものの前に、ことしの三月末に国の方から指針が出されまして、そういった指針に基づきまして、それに加えることの東京都独自の視点、こういったものを加えながら内容の改正を図っているというところでございます。
○小松委員 ぜひこうした届け出制とすること、または、こうした都内におけるベビーホテルを初めとした認可外保育施設に対しての指導や監督をしていただくことで、もう二度とあの悲劇が起こらない、その立場から全力でやっていただきたいということをお願いしておきます。
次に、児童虐待問題についてでございます。
今回、先ほどお話がありました児童虐待の実態、これは各紙が一斉に報道して評価しておりますように、全国初めての自治体による虐待白書として貴重なものだと思われるわけでございます。一年間で千九百四十事例という相談件数、この多さにも驚きましたが、挙げられた事例のむごさ、私も読む中でいたたまれなくなった気持ちでした。こんな仕打ちを人間が、まして大人が、まして自分の子になぜ、この思いでいっぱいです。あってはならないことなわけです。今回の分析結果を生かして、今後の対応策をしっかり立てていただきたいということを、まず申し上げておきたいと思います。
そこで伺いますが、まず第一に大切なのが、この白書にもありますように、早期発見の取り組みであり、この中にも、そのための情報の一元化や集中化がいわれているわけですけれども、これらへの具体策、どう考えられているのでしょうか。
○笠原子ども家庭部長 調査結果の中では、近隣住民あるいは保育所や学校など、日常的に子どもと接する機会の多い機関、これが虐待を発見する割合が非常に高かった、そういう結果になってございます。
虐待の早期発見のためには、こうした人々や機関が日ごろから虐待について、一つは理解と関心を深める、そして、子どもや保護者の状態を的確に把握しておく、これが大切だろう、重要だろうというふうに思っております。
このように、早期発見のかぎを握るのは地域である、こういう考え方に立ちまして、児童相談所とこれらの人々や機関が連携を強めながら、虐待の早期発見と早期対応に取り組んでいく、こういうふうに考えております。
○小松委員 確かにそれはそうですが、やはりそれだけではなく、いつも区市町村ということをおっしゃって、そのとおりなんですが、しかし、例えば子ども家庭支援センターの設置に対して都の支援策がしっかりあれば、また一つ違ってくるのではないかということも思います。
情報の集中化、一元化ということを申し上げましたけれども、例えば、子ども家庭支援センターへの支援というようなことはどのように考えていらっしゃいますでしょうか。
○笠原子ども家庭部長 先生、先ほどの届け出制のことでちょっと補足してお話をさせていただきたいと思います。
私どもは、届け出制については、今回の要綱を改正する中で、実効性のある指導を図っていくためにはどうしたらいいか、そういう観点から検討している、こういう趣旨でお答えしたということでご理解を賜りたいというふうに思います。
子ども家庭支援センターの整備の件でございますが、平成十三年の十月一日現在で、これまで都内に既に二十四カ所開設済みでございます。私どもといたしましては、今後、全区市町村への設置促進が図られるように支援していく、こういう予定でございます。
○小松委員 ぜひ、早急にこれを早めていただきたいと思います。
今のは早期発見ですね。もう一つ大切なのは、被虐待児の心のケアですが、これについてはどのように認識され、この対応はどうされていくでしょうか。
○笠原子ども家庭部長 虐待を受けた子ども、あるいは親に対しましては、児童相談所の児童福祉司によるいろんなアドバイスあるいはカウンセリング、こういったものをやっております。
また、心理職員の子どもへの精神的なケアなども行っておりまして、親と子を含めまして、今後こういったケア等に対しまして、引き続き取り組んでまいりたいというふうに思っております。
○小松委員 そこをもう少し具体的にお答えいただきたかったんですが、それではこちらから申し上げましょう。
例えば、資料にも出していただきましたけれども、全国情緒障害児短期治療施設一覧、この中には公設であれ、私立であれ、東京都には一つもないんですね。よく情短といいますけれども、この情短に対してのあり方、都道府県に対して厚生省が方針を示していると思われますが、これらを含めて、この情短に対する態度なども伺ってまいりたいと思います。
○笠原子ども家庭部長 情短施設でございますが、さまざまな情緒障害を持つ児童に対しまして、短期間、治療を伴う処遇を行うことを目的として運営されているものでございます。しかしながら、現実には短期で治療を行うことは困難でございまして、多くは中学校卒業時に家庭に引き取られるまで、長期にわたって入院している実態だというふうに聞いております。
東京都におきましては、情緒障害的傾向のある児童に対しましては、児童相談センターの治療指導課で宿泊及び通所による治療を行うほか、平成十一年度より、児童養護施設に対して心理職員を配置いたしまして、被虐待児童に対する心理療法等を実施するなどの実効性のある対応に努めてまいったわけでございます。
多くの情緒障害傾向のある児童に対する有効な手法のためには、こうした通所相談の実施や、施設での心理療法の実施とそれに対するバックアップ、これが大切だろうと考えておりまして、東京都としては、今後ともこういう体制の中で対応してまいるということで、情緒障害児短期治療施設については、整備するという考えはないというふうに思っております。
○小松委員 情短を整備する考えはなくて、児相や養護施設の中でということでしたけど、それでは、先ほどいただいた資料でも、十年間で相談件数が十五倍にも伸びている。伸びているといういい方は嫌ですね、ふえているという中で、その児童相談所や養護施設の対応がどのようになってきているか。
先ほど、この心理的なケアをされる方を養護施設にも置いたと。しかし、これは国の基準では、恐らく十人以上でないと心理担当の方は置けないんじゃないでしょうか。しかし、今は十人なんていう数字ではなく、一人でも二人でも、やはりこうしたケアが必要だというときには置けるような、そこまで徹底されれば、私はこれでもいいと思うのですけれども、その辺はいかがなものでしょうか。
もうこれもそろそろ最後にしておきたいので、ぜひそれを最後に聞いて、次、もう一つだけ質問がありますから、子どもがその子らしく生きるためには、親子を援助し、親の守り育てる力を高めることが必要ですというこの最後の言葉、これに対しての考えも含めてお答えいただきたいと思います。
○笠原子ども家庭部長 先生お話しのとおり、十人以上の虐待児を擁している施設については、平成十一年度から心理療法士を配置いたしまして、被虐待児童等の情緒障害児への治療等を行っております。
それから、十三年度からは、主任指導員がローテーションから外れまして専属で被虐待児への対応が行えるような、直接処遇要員確保のための経費が認められまして、必要な人員は確保されているのではないかというふうに思っております。
また、各施設には嘱託医も配置されておりまして、児童の状況に応じて地域の医療機関や専門機関への通院等とあわせて、情緒障害児への対応についてきめ細かく対応していきたいと思っております。
○小松委員 それでは、大変申しわけありません、最後の最後になりました。障害者施策について、一点だけ伺いたいと思います。
社会福祉の基礎構造改革によりまして、障害者関連施策についても、二〇〇三年度から利用者契約制度になり、対象サービスに支援費制度が取り入れられることはご案内のとおりです。これら制度は、今後の障害者施策に、また、その障害者の生活に大きく影響しますので、後日時間をとって質疑をしたいと思いますが、本日は、まだ国の意向が最終決定されていないところで、グループホームなどにおけます援護の実施者についてのみ一点だけ伺います。
今回、このグループホームにおける援護の実施者として、グループホームの所在する市町村が行うとされておりますが、現在は出身地の市町村で行っております。このため、グループホームの利用や新たな設置に大きな混乱が生ずるおそれが考えられるのではないでしょうか。
私の調べたところでは、例えば葛飾区は十九施設で、百二人の利用者がいらっしゃるわけです。しかし、このうち他の区市の方が六十八人もいらっしゃって、一方、葛飾区民が他の区市の施設を利用しているのは十一人ですから、もし今回居住地主義がとられれば、差し引き五十七人の他区市の人の分を葛飾区が持たなければならない、こうなるわけです。
この計算でいきますと、大田区は三十九人、東村山では二十人持たなければならない。逆に、足立区は九施設あって、四十一人の利用がありますが、このうち三十二人は同区民、他の区市民は九名、一方、他区市の施設を利用している人は三十三人もいるため、二十四名が他の区市にお世話になっていることになるわけです。
こういう形で見ますと、世田谷区は十九人が他の区市を利用、青梅市に至っては同市内に一施設もないため、すべて他の区市の施設を利用している、十人おりますが、そういうことです。
このように、施設のアンバラ、偏在がある中で居住地主義をとるならば、これ以上の施設設置を拒むようにならないとも限りません。事実、既にこうした理由で生活寮などの新設を渋っている区市もあるやに聞いているのです。
そこでお伺いすることは一点、この実態をどう把握されているかということとあわせて、今までどおり出身地主義にすべきことを国に要請することを求めますが、所見を伺います。
○高橋障害福祉部長 十五年四月に予定されております支援費制度の移行について、その中での援護の実施機関にかかわるご質問だと思いますが、いわゆる生活寮にかかわる支援費及び実施機関のあり方の問題については、私自身も現在、同様な問題があると認識し、承知しているところでございます。
ただ、現在、実態はといいましても、今の時点におきましては、基本的に区市町村が援護の実施主体になるというところから、その区市から、今後の取り組みを含めて、まだトータルな形で明確な要望等が上がってきていないという状況にございます。
しかし、東京都といたしましては、都の立場で区市町村をフォローしながら、今後、その取り組みを積極的に支援していきたいというのが現在の状況でございます。
○小松委員 これでやめようと思ったんですが、今のお答えで、区市町村が援護の設置主体でありますからこそ、こういう問題が起きて、既に生活寮はこの十五年を見て、国の様子を見て、ここでは設置を見合わせたいといって、実際に設置ができないでいるところもあるわけです。ですから、今のようなお願いをしたのであって、そして、区市町村からないといいますけれども、既に障害者団体などからはあるのではないでしょうか。
これ以上、お答えを求めようとは思いませんので、これは国が決まっちゃってからではなく、決まる前にぜひ、そうした混乱が起きるから出身地主義にしてほしい。これは特養も同じですよね。運動があって、やっと特養は出身地主義になったということですから、これもやはり出身地主義にしてほしいということで、私の質問を終わりたいと思います。
○曽雌委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩をいたします。
午後三時二十六分休憩
午後三時三十八分開議
○曽雌委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
先ほどの小松委員の質問に対する答弁漏れがございますので、答弁を求めます。
○高橋障害福祉部長 先ほど小松先生にお答えした中で、少し答弁漏れといいますか、いい足りない部分がございましたので、訂正をさせていただきたいと思います。
お話の内容につきまして、私自身も問題意識を持っております。しかし、施設と居住地でございますグループホーム、生活寮との違いもありまして、ここの部分等については検討しなければいけないと考えているわけでございます。
いずれにしましても、生活寮等を整備促進していく東京都の立場といたしましては、今後とも区市町村を支援していきたい、こういう考えでございます。よろしくお願いいたします。
○曽雌委員長 質疑を続行いたします。
発言を願います。
○山口委員 介護保険制度のことについて、何点かお尋ねしたいと思います。
介護保険は、契約、自己決定が福祉の分野に取り入れられ、だれもが避けては通れない高齢社会の一員として、お互いに支え合う社会をはぐくむためには、人任せにするのではなく、みずからの意思表示が重要となります。自己選択、決定を保障するためには、あらゆる場面での情報提供、サービス等、人材の質の確保、自立能力の尊重と支援、苦情処理等問題の解決、人権擁護システムづくりがまだまだ不十分です。介護保険は、被保険者である市民の参画が必須条件であり、制度を育てながらの検証、見直しが重要と考えています。
そこでまず、在宅の基幹サービスであるホームヘルプ事業について伺います。
利用者からの苦情で一番多いのは、ホームヘルパーの質に関することと聞いています。それは利用者にとって必要であり、また一番頼りにされているからです。利用者の立場に立ち、本来の自立支援として、よりよいサービス提供が行われるためには、ホームヘルパーの質の向上が大切であり、継続的なフォローアップ研修が不可欠であると考えます。
そのためには、この研修を実施するリーダーの育成研修が必要であると考えますが、いかがでしょうか。
○上野生活福祉部長 在宅サービスの中核的なサービスでございます訪問介護サービスの担い手といたしまして、訪問介護員の資質の向上は、ご指摘のとおり重要な課題でございます。
個々の福祉人材の養成や資質の向上は、基本的には事業者がみずからの責任で行うべきものと考えておりますが、東京都といたしましては、現場の中核となる人材の資質の向上を目的といたしまして、訪問介護事業所に置かれておりますサービス提供事業者などを対象に研修を実施してまいりました。
今後とも、事業者との役割分担を踏まえつつ、政策課題として、重要かつ緊急に必要な研修につきましては積極的に取り組んでまいりたいと存じます。
○山口委員 次に、在宅を支えるに当たっては、利用者の生活習慣や生活環境の違いに応じて、細やかな配慮をしながら生活全般をサポートすることが大切です。しかし、多様な価値観を持つ利用者への対応はマニュアル化しにくく、独特の難しさがあります。
そこで、家事援助が正当に評価されていない現行の報酬単価の見直しの必要について、東京都の見解を伺います。
○吉川保険部長 訪問介護の介護報酬についてでございまして、家事援助につきましては、先生ご案内のとおり、特別区の例で申し上げれば、一時間未満の例でいえば千六百四十円、それに対して身体介護は四千三百九円でございますから、今先生のお話の中での単価差というのでしょうか、そういう実態がここに出ているのかなと思いますが、訪問介護の介護報酬については、その点も含めて、それから身体介護と家事援助以外にも複合型というのがございまして、これらをすべて一本化すべきではないかとか、いろいろなご意見があるのが現状でございます。
そこで現在、国におきましては、この介護報酬の改定に向けまして、おおむね二十事業者から一事業者を選びまして、経営概況調査というのを実施することになっております。この結果を踏まえまして、今月から検討が開始されると聞いております社会保障審議会の介護給付費分科会で、十五年度にも予定されております介護報酬の改定に向けて議論がされるというふうに聞いております。
○山口委員 ぜひ、東京都でも国の方に積極的に働きかけていただきたいと思います。
次に、介護支援専門員のことについて伺います。
この介護支援専門員も、資質の向上のための養成も重要な課題と思います。東京都の現任の介護支援専門員への研修がどのように行われているのか伺います。
○上野生活福祉部長 介護保険制度の円滑な運営を図ります上で、制度のかなめとなります介護支援専門員が、その本来の機能を十分発揮していくことが重要でございます。そのために、現任研修を通じた資質の向上が求められているところでございます。
平成十二年十月に東京都が行いました調査では、介護支援専門員の従事者として推定される人数は、四千八百人程度でございました。そして、現任研修には十二年度は約二千六百人が参加されました。
研修内容といたしましては、職務上必要な知識や技術の付与など、資質の向上を目的として、グループワーク形式による事例研究や討議などを実施したところでございます。
今後とも、受講生の職種や幅の広さを考慮した研修内容や、受講の促進などに工夫をしてまいりたいと考えております。
○山口委員 現任のケアマネジャー従事者が約四千八百人といわれている中で、実際の受講者も約二千六百人という現状ということですが、今後、ケアマネジャーの質のさらなる向上のために、養成の機会をふやすとともに、東京都としてもより一層総合的な支援を図っていくことが必要であるかと考えますが、いかがでしょうか。
○吉川保険部長 介護支援専門員が、先生もおっしゃいましたように本来の役割を十分に果たすためには、養成の機会を多くする、そして資質の向上を図るというのは、極めて重要であるというふうに思っております。
これまでも、先ほど答弁がございましたように研修は行ってきたところですが、この九月に国において、これまで大変注目しておりました介護支援専門員現任研修・専門研修のあり方研究委員会というところで報告書をまとめました。方向性として、現場でのリアルな研修を採用すべきだということで、さまざまな職種から成っているケアマネジャーの不得意分野、これを補足していこうというような着眼点を持った報告書でございますが、こういうものが出されましたので、この報告書なども踏まえまして、今後、実技の習得などを中心とした実践的な研修に努めていきたいと思っております。
○山口委員 また、利用者の立場にたったケアプランを作成するためには、ケアカンファレンスの開催が必要かと思います。しかし、実際には、現場ではこういったサービス担当者会議の開催が非常に少ないと聞いています。必ず開催できるような環境の整備と、また別途、単価報酬を予算化できないものでしょうか、お考えを伺います。
○吉川保険部長 ケアカンファレンスについてでございますが、これも先生がおっしゃったとおり、私がある区のケアマネジャーにアンケートをかけたら、約二割ぐらいしかケアカンファレンスは行われていないというふうな数字は聞いております。そういう意味で、利用者本位の適切なケアプラン策定のためには、ご指摘のとおり、ケアカンファレンスというのは極めて重要であると思っております。
ただ、ケアカンファレンスを開催するについて、今課題とされているのは、多忙な関係者の方々、医師であるとかヘルパーであるとか、それからご家族も含めて、一堂に会していただくという意味でいうと、物理的、時間的に困難性があって余り開催されていないのではないかというふうにも思っております。
都においては、東京都介護支援専門員の支援会議というのを既に立ち上げておりますので、ご提言の内容を踏まえまして、ケアカンファレンスの実施率の向上に向けて引き続き議論していきたいと思います。
なお、一点だけ補足させてもらいたいのですが、ケアカンファレンスをいかに実施するかという中で、できればITを活用できないかということで、これは国の厚生労働省の支援もいただきながら、十三、十四年度二年度で、介護IT活用モデル事業というのに今取り組んでおりまして、インターネットを活用した、例えばケアカンファレンス支援システムみたいなものが研究開発できないかというふうに取り組んでいるところでございます。
○山口委員 ぜひ、先駆的な取り組みとして実施されていくことを願います。
もう一点、介護支援専門員から、現場では判断に迷ったときの相談先がないという声を聞きます。本来は保険者である区市町村がきめ細やかに相談を行うべきとは思いますが、区市町村の体制にもばらつきがあります。広域的な視点から、まず、東京都に相談窓口を開設するお考えがあるのでしょうか、お伺いいたします。
○吉川保険部長 介護支援専門員の方々が日常の業務の中で、困難事例の対応に苦慮されたとき、相談先がないとか孤立しているということは、実は十二年度に私どもの職場でも、そういう相談員の方々の苦情に対応した事例がございますので、承知しております。
現在、東京都が設置支援ということで、この三月二十四日だったんですが、設置されました。これは、介護支援専門員の研究協議会という介護支援専門員みずからがつくった協議会がございますが、十三年度になりまして、この研究協議会が、自主的に仲間の相談業務に対応しようということで取り組んでいただいているところであります。
そのような実践の中から、例えば相談体制をつくる上で、スーパーバイザーという相談を受けていただく人材、それをどういうふうに確保するとか、それから、精神障害であるとか痴呆の専門機関とどういうふうに連携をとっていくかというような課題が明らかになってきております。
国におきましては、来年度の概算要求の中で、ケアマネジメントリーダー活動支援事業というのを今、財務省の方へ要求中でございまして、この中には、ケアマネジメントリーダー等相談窓口設置事業というのがメニューの一つとして入っておりまして、都としても、この事業の活用について検討していきたいというふうに考えております。
○山口委員 ありがとうございました。
次に、痴呆性高齢者グループホームについて伺います。
東京都は、在宅と施設の中間的なケアリビングの範疇にグループホームを位置づけ、補助金が予算化されています。十三年度は、指標である四百三十六人を達成するという実績は大変評価いたしますが、高齢者人口の比率から見て、特に二十三区は不足しているのが現状です。
また、多様な事業者の参加も推進していますが、十三年度、NPOの参加はたったの一事業所のみです。地域の中には、自分たちで立ち上げたいという市民活動の芽もありますが、思うようにはいきません。建設や改修費等の初期コストがかかり、現行の補助費ではできないというのが、その大きな理由だと思います。
特別養護老人ホームのように、建設費も運営コストもかかる大型施設より、家庭的で、より在宅に近いグループホームが今後ますます望まれることからも、設置促進を図るべきではないでしょうか、お伺いいたします。
○若林高齢者部長 NPO法人に対する痴呆性高齢者グループホームの整備費補助についてでございますが、東京都は、国庫補助の対象外であったNPO法人に対しまして独自に補助を実施してまいりました。
都の先駆的な取り組みを受けまして、国は平成十三年度から、今年度からでございますが、NPO法人も国庫補助の対象としたところでございますが、なお、既存建物を改修して痴呆性高齢者グループホームをつくる場合には、この対象から除外されております。東京都は、引き続いて単独で補助を実施しているところでございます。
今後とも、より多くのNPO法人が痴呆性高齢者グループホーム事業に参入できるよう、引き続いて努力をしていきたいというふうに考えております。
○山口委員 最後に、東京都福祉改革推進プランの取り組みにも示されている、選択、競い合い、地域、この三つのキーワードは着実に地域の中でも広がりを見せています。特に、高齢者や障害者の在宅を支えるための仕組みとして、NPOの活動が活発になっていますが、その経営基盤は大変厳しいものがあります。介護保険制度にも参入し、在宅サービス事業者の六%をNPOが担っている現状があります。
しかし、指定事業者になるためには、当然のことながら基準をクリアしなければなりません。事務所の確保、常勤の配置、さらに繁雑な事務をこなすためのスタッフの増員等、報酬単価だけでは成り立たないのが現状です。社会保障も、常勤者のみがやっと、現場を担っているホームヘルパーには何ら保障がなされていません。介護予防にもつながるこの大切な家事援助サービスの担い手としても、NPOは大きな地域の力となっています。
もちろん、自助努力も不可欠です。今までのように、補助金を既得権とするようなことには異論を感じますが、福祉の担い手としてのNPOの体制づくりを支援する必要があると考えます。身近な地域社会から市民の活動や多様なサービスが発信されていくことで、より豊かな地域社会がはぐくまれるものであると考えています。ぜひ基礎自治体と連携し、東京都としての支援を強く要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○柿沢委員 私は、認証保育所のスタートに絡みまして、保育のコストパフォーマンスという面からご質問をしたいと思います。
八月一日に、働く女性の期待を集めた認証保育所の第一号が開設されました。民間の経営戦争を生かして、延長保育や休日保育などの都市型の保育サービスを提供する都独自の新しいシステムとして、私も評価するところでございます。
サービスの内容やレベルが非常に注目を集めておりますが、私はコストパフォーマンスという側面から着目して、この認証保育所制度と認可保育所制度の比較をちょっとしてみたいというふうに思っております。
私自身、1/2の会という名前のとおり、税金半分、役人半分、議員も半分というような話をしておりますので、やはり余り税金を使わずに質の高い保育ができれば、それが一番いいことだという観点からご質問をしたいと思っております。
まず最初の質問ですが、委員会の資料にもございますとおり、認証保育所A型のA保育園というところがありますけれども、保育料、ゼロ歳で五万八千五百円ということになっております。ほかは六万円、七万八千七百円等々ございますけれども、このA保育園について、これに対応する公的な補助金の金額、幾らになるかということをまずお伺いしたいと思っております。
○笠原子ども家庭部長 ゼロ歳児でお答えさせていただきたいと思います。都と区市町村の補助額、一人当たりの月額でいいますと、十二万三千二百四十円でございます。
○柿沢委員 そうすると、保護者負担と合わせて、大体一人十八万二千円ということになると思いますが、認可保育所の場合、区市町村ごとに単独の助成制度があって一概にはいえないというふうに思いますけれども、ベースとなる国の制度と都の制度合わせて、どの程度の公的支援が認可保育所に対して行われているか、同じくゼロ歳児の場合でお答えください。
○笠原子ども家庭部長 都内、地域によって多少異なりますので、一概には申し上げられません。ということで、特別区所在の定員百人の社会福祉法人立の認可保育所モデルということでお話をさせていただきますと、平成十三年度予算をベースにして試算いたしますと、公的助成金と保護者負担を合わせまして、ゼロ歳児一人当たり三十万一千円になるというふうに試算してございます。
○柿沢委員 ベースとなる国の制度と都の制度の補助、これだけで三十万円を超えるということでございます。ざっといえば、認証保育所の大体一・七倍、倍といってもいいかもしれません、区市町村の独自の補助金が乗る場合がございますので。そういう意味では、認証保育所と認可保育所を比べると、倍のコストが大体かかっているというふうにいっていいのかもしれません。
逆に、コストが低く抑えられている分、認証保育所には、実は保育のレベルが低いのではないかという危惧の声がございます。サービスレベルに直結する保育士の配置基準などは、認可保育所と比べてどうなっているか、このことをお伺いしたいと思います。
○笠原子ども家庭部長 職員の配置基準、それから施設の基準、これは認可保育所と基本的に同じでございます。また、認証保育所の特徴を生かすために、都独自の基準といたしまして、職員配置については、認可保育所は常勤職員を八割に対しまして、認証保育所は常勤職員が六割、それから一人当たりの児童保育面積につきましては、ゼロ、一歳児の基本面積は三・三平方メートルあるのに対しまして、年度途中に定員を超えて受け入れる場合は二・五平米まで緩和してございます。
○柿沢委員 認可保育所と全く同じということではないと思いますが、基本的に配置基準は、認可保育所とほぼ同等というふうに考えられるところであって、コストが低いからといって、コストと同様に保育レベルが半分だということではないといえると思います。
いうまでもないことですが、民間の企業では、多様な就労形態や賃金体系を工夫しながらコストを抑えようと頑張っているわけですから、既存の都内の認可保育所の賃金体系も抑えていくべきであるというのが私の基本的な考えですけれども、認可保育所の賃金体系、現在一般的にどのようなものになっているか、お伺いしたいと思います。
○笠原子ども家庭部長 都内千五百八十八カ所が、十三年四月一日現在の認可保育所の数でございます。このうち、六割強の千七カ所は公立保育所でございます。したがいまして、職員は基本的には公務員である。その賃金体系は、年功序列型の賃金体系になってございます。
また、私立の保育所におきましても、給与体系は施設で個々に定められますけれども、これまでの経緯等から、公務員の給与体系に近いものとなっているのが一般的だろうというふうに思っております。
○柿沢委員 今、ご答弁いただきましたとおり、認可保育所の賃金体系というのは、公務員の年功序列型の賃金体系に準拠しているということでございます。このあたりに認証保育所と認可保育所のコストパフォーマンスの違い、その差が生じる原因があるように思われます。
コストが多くかかったとしても、その分、サービス内容が認可保育所の方が進んでいる、あるいはレベルが高いということであれば納得もいくのでしょうけれども、残念なことに、コストが余計にかかっている認可保育所は、先ほどの樋口委員のご質問にもありましたとおり、延長保育も休日保育も実施率が極めて低く、保護者のニーズに十分こたえられているというふうにはいえないというのが現状だと思います。これでは、納税者の納得は得られないわけで、認可保育所の高コストの体質を改革して、コストパフォーマンスを上げるということが不可欠であると私は考えております。
そういう意味でいいますと、三鷹市で、この四月から公立保育所をベネッセに委託して、その運営費を公立の認可保育園、公務員保育士による直営と比較して、運営コストをほぼ半分に下げたという事例が新聞報道でも見られるところでございます。私が見た朝日新聞の記事では、三鷹市が運営した場合の試算は一億七千万円だったのに、ベネッセの見積もりは七千九百万円ということで、これはもう半分以下ということでございます。
これだけコストパフォーマンスの高い認証保育所や企業委託の認可保育所、こうしたことをとらえて、安かろう悪かろうということをいわれましたり、あるいは公的関与が薄まることで、さまざまな危惧の声を投げかける方々もいらっしゃいますけれども、今の認可保育所の実情を考えますと、公的補助システムのぬるま湯に安穏とつかって、サービス向上やコストの削減の努力をしようとしない既存の保育所を、あるいは擁護する声にこれはなってしまうのではないかというふうに思いますので、私自身は、認証保育所あるいは公立保育園の民間委託ということを積極的に進めていただきたいと思います。
財政が厳しい中、認可保育所のコストパフォーマンスを引き上げる、また、同じ予算でより質の高い保育所の運営を可能にすることが望まれています。そのため、今後、多様な保育所同士のサービス競争を促し、競い合いによる東京の保育総体の改革、都民の期待にこたえられる保育のシステムづくりが望まれていると思いますが、この質問の最後として、局長のご所見をお伺いしたいと思います。
○前川福祉局長 現行の保育システムが、これまでるるご議論いただきましたように、都民の需要に十分こたえられないと。例えば、長時間保育であるとかゼロ歳児保育、あるいは立地の利便性等で十分にこたえられない。これは、私どもの見方では、やはり供給サイドに問題があるということだろうと思います。
今ご指摘がありましたように、コストパフォーマンスの問題も含めて、さまざまな要因があって、都民の需要に柔軟に対応できないというところが問題であろうと思います。したがって、これを突破するためには、先ほどもご答弁申し上げましたが、保育事業に多様な事業者を参入させて、その創意工夫を促して、競い合いの中で利用者本位のサービスを充実させる、これが重要であろうと思います。
私どもが、このたび独自の認証保育所制度を創設したのも、こうした理由でございまして、都としては、今後、こういう新しい認証保育所制度の普及に積極的に取り組む区市町村を支援する、一方でこういう努力をするとともに、他方で認可保育所自身の自己改革をも求めながら、ご指摘がありましたように、都民の期待にこたえる保育サービスシステムの確立を目指して全力を尽くしてまいります。
○柿沢委員 ありがとうございました。
次の質問に移りたいと思います。次の質問は、高齢者の外出支援についてでございます。
介護保険制度、中でも在宅介護の本来の趣旨は何でしょうか。私は、やはり自分の家で暮らしたいという人々の素朴な思いをかなえることだというふうに思っています。そういう人が、施設でなく、病院でもなく、自分の家で生活をする、それを支援する。それが在宅介護の基本的な意義ではないかと思います。
しかし、これまで介護保険制度は、在宅の要介護者が外出をするんだということを余り想定していなかったように、私には見えます。移送サービスが現在も介護保険の対象外であるということも、一つのそのあらわれではないかと私は考えております。
しかし、実態は、お年寄りの皆さんはみんな外に出かけたいというふうに思っているはずなんです。病院に行くだけではなくて、買い物に行く、墓参りに行く、映画を見たい、家に縛りつけるのではなくて、お年寄りが地域で、家庭で元気に暮らせる。まさにクオリティー・オブ・ライフ、QOLが向上するというのは、そういう生活が実現してこそではないかというふうに思います。
現に、移送サービスへの利用者のニーズは、やはり高いというふうに見受けられます。東京ハンディキャブ連絡会という民間団体がありますけれども、そちらの調査によりますと、お年寄りの移送サービスをしているNPOあるいはボランティアの民間団体、今や全国で千五百の団体を数え、一万人が利用しているということでございます。
また、ホームヘルパーの資格を取ったタクシーの運転手が、介護保険の対象内で移送サービスを提供する介護タクシーというのも生まれました。二年前に第一号が誕生したばかりですけれども、今や二百二十六の事業者が参入しております。運輸省、厚生省、いずれも旧名称ですけれども、ここまで定着するまでは相当なあつれきがあったようですが、介護保険制度が全く想定していなかった、こうした介護タクシーというような事業者の登場は、自由で気軽に外出できる、そして安価な移送サービスに、いかにニーズが高いかということのあらわれではないかというふうに思います。
一方、欧米では、ドア・ツー・ドア、ベッド・ツー・ベッドの移送サービスが公的輸送の一つとして位置づけられています。アメリカやスウェーデンでは、公共交通機関あるいは自治体に、こうした移送サービスの提供を義務づける法律が存在するというほどでございます。
一方、この日本、また東京に目を転じまして、私もそうした観点から、お年寄りの方、要介護者の皆様のクオリティー・オブ・ライフを確保して、また、元気で生き生きとした生活を送っていただくために、タクシーなど高齢者が気軽に利用できる移送サービスが必要であるというふうに思いますが、現在、高齢者が外出したいときに利用できるサービスとして、どのようなものがあるか、まずはお聞きしたいと思います。
○若林高齢者部長 各区市町村におきましては、地域の実情に応じまして、さまざまな高齢者外出支援サービスを行っております。お話のありましたように、例えば車いすに乗ったまま利用できるリフトつきタクシーや、介助員を配置したタクシーの運行などを実施しているところでございます。
東京都は、国の介護予防・生活支援事業というのがございますけれども、この事業によりまして、こうした区市町村の取り組みを支援しているところでございます。
○柿沢委員 わかりました。地域で安価に、リーズナブルにこうしたサービスを利用するには、やはり区市町村の存在というのが重要になってくるだろうというふうに思います。体の不自由な高齢者の足となるサービスを区市町村が提供していくこと、これは非常に大事なことではないかと思います。
いわゆる介護予防・生活支援事業というのがありますけれども、区市町村が、タクシーなどを活用しながら、高齢者が気軽に利用できるサービスを提供した場合に補助をするということでありますけれども、現在、この事業をどのぐらいの区市町村が実施しているのかということについてお伺いしたいと思います。
○若林高齢者部長 十二年度につきましては、二十五の区市町村で実施していたところでございますが、十三年度につきましては、四十五区市町村で実施する予定でございます。そのうち、タクシーを活用してサービスを提供しているのは六区市でございます。
○柿沢委員 今のご答弁のとおり、多くの区市町村で外出支援サービス、移送サービスを実施しているようでありますけれども、まだまだ高齢者が利用したいときに随時に、気軽に外出できるというサービスにはなっていないのではないかというふうに思います。申し込みも、一週間前に申し込んでほしいとか、月単位、週単位の利用回数に制限がある、あるいは移送サービスの事業者に道路運送法上の白タクの問題がつきまとう等、まだまだこうした整備が未整備であるという部分も残っていると思います。
今後、さらにサービス内容を、また利用しやすさを向上していくために、いろんな取り組みが求められるというふうに思いますが、その前提として、区市町村が実施しているサービスの内容や利用方法、現状をお伺いできればと思います。
○若林高齢者部長 多くの区市町村では、生きがいデイサービスセンターといいますか、生きがいデイサービスを利用する際の送迎支援サービスという形で実施しております。
なお、タクシーを活用した先駆的な事例では、江東区のリフトつき福祉タクシー事業というのがございまして、高齢者等が車いすに乗ったまま希望する場所へ外出できるサービスというのを行っているところでございます。
○柿沢委員 江東区の事例を紹介していただきましてありがとうございました。区市町村としても、いろいろ工夫してサービスを実施しているとは思いますけれども、まだまだサービスの供給量も含めて、体制としては未成熟だというふうに思います。
現に、出かけたいという要介護者、お年寄りの皆さんはたくさんいるわけですから、もっとサービスの供給量をふやして、高齢者にとって、より利用しやすいサービスとするために、タクシーの活用ということを考えていただきたいと思っております。
台数、また供給体制の面からいって、民間のタクシー会社を積極的に利用する、活用するということによって、こうした利用者のニーズにこたえられる部分は多々あろうかというふうに思いますので、そういったことをお考えいただくことをこちらとしてご提案をしたいと思いますが、ご意見を伺いたいと思います。
○若林高齢者部長 お話のありました、タクシーなど既存の社会資源を活用して高齢者の外出支援サービスを提供することは、非常に有効な方法であるというふうに考えております。都としましては、地域のニーズに応じた区市町村のこうした取り組みを尊重しながら、今後とも、先ほどお話がありましたけれども、介護予防・生活支援事業による財政支援、それから先駆的な事業の事例の紹介など、必要な支援を行っていきたいと考えております。
○柿沢委員 私の質問の最後に、要介護者が、とにかく外に出歩くものなんだという当然の前提に立って、今後の移送サービス等々における施策を進めていただきたいという要望を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○河西委員 それでは、二問につきまして質問させていただきます。
最初に、介護保険制度の運営に関する問題です。
介護保険制度が実施されまして既に一年半経過したところでございますが、東京都の役割について、幾つかありますけれども、その中で、私は利用者からするとかなり大きな役割だというふうに認識していますが、サービス提供事業者の指定の問題がございます。
今回要求をさせていただきました資料によりますと、平成十三年の九月一日現在で、居宅介護支援事業所が千八百九十件、居宅サービス事業所が三千三百九件、介護老人福祉施設、特養ホームが三百十九施設、介護老人保健施設が百二施設、介護療養型の医療施設が八十八施設、在宅施設合わせて五千七百八事業所という数字をお出しいただいております。
このような事業所に対しまして、介護サービスの質の確保を図るために行う指導検査、これも都の大きな役割の一つであろうかと思います。
まず、この指定及び指導検査等につきまして実態をお聞きするわけですけれども、指導検査に臨む基本的な考え方、方法、そして主な検査項目についてお伺い申し上げます。
○若林高齢者部長 東京都は、介護保険法に基づきまして、介護サービス事業者に対しまして指導検査を実施しておりますが、その際の基本的な考え方としまして、運営基準、これは国の省令で定める基準がございますけれども、運営基準を守っていただく、それから利用者本位のサービスを提供していただく、保険給付をきちっとやっていただくなどの観点から、指導助言に重点を置いて指導検査を実施しております。
方法としましては、直接現地へ赴いて行う実地指導、それから書面指導、事業者に集まっていただいて説明、講習等を行う集団的な指導、こういったものでやっております。
検査項目としましては、今申し上げましたけれども、利用者サービスを確保する、向上させるということから、例えば身体拘束の禁止を徹底していただく、身体拘束をしないということを徹底していただく、あるいは利用者との契約で事業が始まっておりますので、きちっと適正な契約を締結していただく、それから、介護報酬を請求するに当たっては適正な処理をしていただく、こういった視点で検査をしているところでございます。
○河西委員 介護保険の時代的な意義といいますか、これについては私から申し上げるまでもないと思いますが、私は、基本的にこれまでの措置制度における介護の実態から、選択、契約という、利用者がみずから選択ができる制度に、保険制度という形で切りかえてきた意義は大きく評価しているところなんです。
けれども、一方では、例えばサービスメニューの提供にしましても、ハード、ソフト含めて、目標値は六割ということに設定された上での事業計画がつくられ、実際にはそれが運営されているわけですので、まだまだ基盤整備、ハード、ソフト含めてやらなければいけないという大きな使命があると思います。その中で、限られた条件の中でも保険料を払い、利用料も負担して、そしてサービスを利用する利用者からしますと、本当にサービス提供事業者が確かなものかどうかというのは、最大の関心事の一つといってもいいというふうに私は思っています。
そこで今、基本的な考え方、方法等をお伺いしたわけですけれども、実際にスタートいたしましてから一年半たって、昨年一年間、具体的な指導検査をおやりになったと思います。その実績と具体的な指導内容等について、概要で結構ですのでお尋ねいたします。
○若林高齢者部長 指導検査の実績につきまして、十三年度年度途中も含めますけれども、ご説明させていただきます。
十二年度は、八百一事業者に実施いたしました。十三年度につきましては、七月末までの集計でございますが、百五十四事業者に実施したところでございます。
指導の内容としまして、特に、文書により改善指導を行ったということについてご説明いたしますと、十二年度は四百八十七事業者でございます。そのうち、介護報酬の自主的な返還、介護報酬の請求に誤りがあったということで、自主的に返還していただくというのが百二十事業者ございました。
十三年度につきましては、これも七月末まででございますが、百三十七事業者に対して文書による改善指導を行っております。介護報酬の自主的な返還は、そのうち二十三事業者でございます。
特に、検査の結果、法に反するという事業者につきましては、事業者の指定の取り消しを行ったところでございます。居宅介護支援事業者につきましては一件、訪問介護事業者につきましては一件、合わせて二件、指定の取り消しを行ったところでございます。
○河西委員 ありがとうございました。
一年半の期間の中での具体的な改善指導等の報告をいただきました。今、ご答弁の最後にありました指定の取り消しに関して、もう少し具体的にお伺いをしたいと思うのですが、ことしの四月下旬の新聞紙上で、二千五百万円不正受給、あるいは介護報酬を架空請求、指定取り消しへという記事が出ておりまして、これは東京都内で一事業者で二件ということだろうというふうに思います。
これにつきまして、やはり悪質なケースとして、きちっと実態を把握して、必要な処分をし、再発予防ということでの取り組みが必要だと思いますので、その概要についてまずお伺いをしたいと思います。
○若林高齢者部長 ただいまご答弁申し上げました指定の取り消しでございますが、居宅介護支援事業者の取り消しは五月十五日付でございます。居宅介護支援事業者、ケアプランをつくる事業者でございます。それから、訪問介護、ヘルパー派遣事業者でございますが、四月二十七日付でございます。一事業者でございますが、指定取り消しとしては二件でございます。
取り消しの理由としましては、共通でございまして、介護報酬の架空の請求と、それから過大な請求ということを理由にしております。合計約二千五百八十万円を不正に受領していたということでございまして、私どもしましては、指定取り消し処分を行うと同時に、介護支援専門員、ケアマネジャーでございますが、介護専門員の名簿から登録の抹消を行ったところでございます。これは五月十五日付でございます。
不正請求を行ったわけでございますので、返還の問題が出てまいります。保険者からの返還命令額は、約三千六百万円でございました。これは二千五百八十万円と申し上げました不正請求額に一・四倍の課徴金をかけたものでございます。現在返還していただいているわけですけれども、現時点では約千六百万円返還されているというふうに報告を受けております。
○河西委員 こういう事件が頻発するようでは、本当に安心してこの制度を利用できないということになりますので、再発防止のために、この取り消し処分に関連してどのような対策を講じたのか、東京都としての対策をお聞かせいただければありがたいと思います。
○若林高齢者部長 私どもとしましては、今回の取り消し処分に当たりまして、三つの対応をしたところでございます。
一つは、都内すべての居宅介護支援事業者と訪問介護事業者に対しまして、処分の内容及び注意喚起を文書で通知をいたしました。あわせて、事業者連絡会、その事業者の連絡会がございますので、そういった場を通じまして強く指導をしたところでございます。これが、事業者に対する私どもの指導でございます。
それから、保険者である全区市町村に対しましても、同様に処分の内容を文書で通知をいたしました。あわせて、区市町村担当の部長会等で説明して事業者指導をお願いしたところでございます。
三番目としまして、こうした事実を、東京都公報に処分内容を公示するとともに、私どもが管理をしております東京都介護サービス情報のホームページの中に掲載したところでございます。
○河西委員 今後も制度を悪用した事業者が出てくる可能性は、残念ながらあるというふうに思います。東京都として、介護サービスの事業提供者の質の確保、向上について具体的な取り組みが必要だと思いますが、どのようにこの質の向上を図っていこうとお考えなのか、お伺いをいたします。
○若林高齢者部長 ご指摘のとおり、これからは、指導検査により、適切な事業者指導というのは大変重要になってくるというふうに思っております。そういう認識を持っております。事業者指導を適切に行うとともに、こうした事業者自身が事業者情報を開示をするように働きかけていきたい。それから、第三者によるサービス評価、そういった仕組みづくりをしていきたい。さらに、相談、苦情がありましたときに適切な対応を図っていけるようにしていきたい、こんなふうに考えているところでございます。
○河西委員 介護保険の幾つか特徴がありますけれども、今までの公的な介護サービスの提供ということを超えて、民間の力もかりていこうと。その民間の中でも、いわゆる企業もあれば、NPOもあれば、さまざまな民間の活力を活用していこうということでスタートしているのが一つの特徴かと思いますが、こういうケースが出てきますと、ほら見たことかと、介護保険の成立に消極的な方々から、あるいは、もとの措置に戻すべきだという主張の方々から、私は的を外れていると思いますが、そういう批判も出るということにつながってくるかと思います。ぜひ質の向上ということを、何よりも利用者が安心してサービスの提供が受けられるようなその質の向上のために、一層のご努力をいただきたいというふうに思います。
もちろん事業者は、法でも決められているように、例えば施設におきましても、施設内で苦情の担当の窓口を設置するとか、あるいは、まだ介護保険がスタートする前でしたけれども、全国で幾つか、みずからオンブズ制度を採用して、客観的な評価を得るという努力をされている事業者もあったわけです。東京都では、この間の事業概要の中でも、平成十二年度から事業開始ということで、十一年度から検討が始まっていると思うんですけれども、第三者によるサービス評価について、少し具体的に検討の経過等、今後の見通しも含めてお伺いをしたいというふうに思っています。
サービスの最低基準を遵守するために、行政が指導監督をきちんとやることはもちろんですけれども、本当の意味で、利用者本位の福祉、介護サービスの提供を実現していくためには、事業者が、これはいい意味で切磋琢磨して、競い合って、質の高いサービスを提供する、このことが何よりも今求められていると思います。
競争という言葉は、私、ちょっとなじまなくて、子育てですとか、福祉ですとか、人を相手にする事業の場合、競争というのは、まだちょっと違和感があるという方が多いと思います。それを競い合いというふうに置きかえて、果たして中身はどう違うのかという問題はあるかと思いますが、やはりいい意味での競い合いというのは必要だろうというふうに、私自身も認識をするところですが、そのためにも、そういうことを通して、利用者に質の高いサービスを提供するということに努力をすると。
そういう中で、どうしても第三者の客観的な評価ということが、利用者からすれば、今は求められているというふうに思います。福祉サービスにおきまして、こうした評価の仕組み、そしてその仕組みを広く利用者に情報公開をしていく、情報提供していくということ、そういう中で、本当の意味の選択、そして選択に基づく契約ということが成立してくるだろうと思います。
先ほど申し上げました、十一年度から検討を始めて十二年度事業スタートというふうにこの概要の中にもございますが、福祉局で既にお始めになっています検討、現在どのような検討状況にあるのか、まずお伺いをしたいと思います。
○村山企画担当部長 福祉サービスに対する第三者による評価システムをつくる上で、私ども、大きく三つほど課題があろうかというふうに思っております。
一つは、まず評価の項目の選定の仕方とか、あるいは評価手法の確立といった技術的な課題がございます。それから二番目に、評価機関そのものを育成するという課題がございます。三番目に、この制度は各事業者が自主的に行っていただくということを前提としておりますので、その辺の実効性の確保という問題がございます。
これらの課題に対応するため、今お話しいただいたように、十一年度から始めているわけでございますが、昨年度、十二年度は、評価手法確立のために、七つのサービスを対象といたしまして、利用者サイドのサービスへの評価につきまして、利用者調査というような手法を用いて検証する試行事業を行いました。
今年度は、検討するサービスの種類を十二にふやしますとともに、今度は利用者サイドとあわせまして、事業者のサイドから見て、サービス提供のプロセスをなどを評価する事業評価についても、手法あるいは評価項目の検討を行っているところでございます。
同時に、評価機関を育成、支援する方策、あるいは評価機関が行う評価の信頼性の確保の方法、さらには、今ご指摘もございましたが、評価結果の情報の公表といった、そういうシステム全体が円滑に機能するためのトータルな仕組みづくりについても、あわせて検討を行っているのが現在の状況でございます。
○河西委員 それでは、十五年度本格実施ということで進められているようですが、どのような具体的なスケジュールをお持ちなのか、お知らせいただきたいと思います。
○村山企画担当部長 そのため、来年度でございますが、来年度はサービスの対象をさらに拡大をするとともに、これまで十一年度以来やってきましたさまざまな試みの成果をもとにいたしまして、事業者がどのようにサービス評価を行うのが一番有効なのか、あるいは、利用者側にとって必要な情報はどのように提供できるのかといったことも含めて検証するために、一度評価システム全体を、テストランといいましょうか、実際動かしていきたいなというふうに考えてございます。
あわせまして、本年度、先ほど申し上げたような検討を踏まえまして、多様な評価機関の評価の質を確保するための評価機関を認証するというような制度、あるいは評価をする人への研修、それから、利用者や事業者に対する評価情報の提供といった全体のシステムを支える事業についても実施の段階に入っていきたい、かように考えてございます。
○河西委員 わかりました。
私ども、サービスを選択する場合、あるいは、ほかの消費者行動でも同じなんですけれども、何が本物で、何が自分にとって欲しいものなのかということを選び取るときに、一つは口コミですとか、利用者同士での評判ですとか、こういうものが割と頼りになるのです。私は、それも非常に大切だと思いますが、やっぱり今作業されているような、いってみれば少しシステマチックなものとか、それから項目にしても、かなり科学的なといいますか、客観性を持ったものとか、それから、もし認証機関ができたら、その認証機関でやっていただいたものについては、だれでも信頼が持てるものだとか、そういうものがやっぱり必要だろうというふうに思うんです。
ただ、利用者からしますと、利用者の満足度とか、それから実際にサービス提供する従事者の労働条件の問題とか、そこら辺も大変気になるところで、これまでの検討を聞きましたら、消費者の満足度調査なども十分にやられているように報告を受けていますので、少し安心なんですけれども、やっぱりサービスの当事者といわれる利用者と具体的なサービス提供者、従事者の思いとか感覚、ノウハウなども盛り込めるような、しかも客観性のある、そんな第三者の評価システムということで、つくり上げていっていただきたいと思っています。
先ほども申し上げましたけれども、事業者のいい意味での切磋琢磨、競い合いという、このことが、ひいては利用者にとってもプラスになる、質の向上につながるというふうに私も思いますので、なるべく早くこのシステムを構築して、実際に制度を活用する、普及に向けてぜひ強力に取り組んでいっていただきたいと思いますけれども、局長の決意を最後にお伺いしておきたいと思います。
○前川福祉局長 私ども、今、福祉改革を全力を挙げて進めているわけでありますが、その目標というのは、るるお話ありましたが、地域の中で、利用者がみずから必要なサービスを選択、利用できるようにするということであろうと思っております。
そのためには、これもご指摘ありましたように、利用者自身が安心してサービスを選択できる、利用者保護の新しい仕組みを構築することが不可欠である。お話しの第三者による客観的なサービス評価のシステムは、その重要な一環であろうと思っております。
そしてまた、これも先生自身、余り競争という言葉をお好きでないとおっしゃいましたけれども、多様な事業者が、今おっしゃったように切磋琢磨しながらサービスをよくしていく、それを実現する上でも、サービス評価というのは機能するものというふうに考えております。
こうした二つの観点で、私ども、先ほど部長からも答弁がありましたように、都独自の新しい第三者評価システムの構築に向け、既に実務的な準備を進めておりまして、今後、平成十五年度からの本格実施に向け、積極的に取り組んでまいります。
○河西委員 わかりました。ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。
最後にちょっと、きょうご説明いただきました低所得者の介護保険の利用料減免の話で一点だけ。
内容は、さっきのご説明でわかりました。ただ、国の特別対策と異なって、東京都の独自な内容を盛り込まれておりまして、基礎自治体では、保険者である市町村の意向もまだ把握しておりませんし、今まで福祉法人といわれていた例えば社協等の、若干お話を聞きましたけれども、社会福祉法人のご意見なども聞いておりませんが、私は、介護保険で、基本的にはこの利用料の減免は制度を定着させて、よりよい制度に育てていくということでは、今必要かなという認識を持っています。
ただ、ややもすると低所得者対策ということで、利用料にとどまらない、保険料の減免までどっと広がる--既に採用しているところがあるわけですけれども、そこにまで行くということは、私は制度の根幹を揺るがすことにつながっていくというふうに思いますので、今回の利用料減免の制度を、国に倣ったとはいえ、東京都が導入するに当たって、そこら辺の基本的な介護保険制度の骨格を揺るがすような保険料の減免にまで行く、こういうことがあるかないかというところだけ確認をさせていただいて、質問を終わりたいと思うんです。
○吉川保険部長 介護保険制度での利用者負担は、介護サービスを利用する方とされない方との公平性、それから、サービス利用者の方のコスト意識の喚起という観点でつくられた制度でございます。
今回の東京都のこの制度の実施につきましては、先生おっしゃったような意味で、この原点を踏まえつつ、ただ、国が平成十一年に特別対策という形でとったものの一つである社会福祉法人等による施策について、都内で全く活用されてこなかったということから、工夫をいたしまして、できるだけ特別対策の中で活用できるようにやったものでございますので、利用者負担については、最初に申し上げたような原点を踏まえて対応していくことが極めて肝要だというふうに思っております。
○吉田委員 私は、三点、項目的には質問させていただきます。
一つは、認証保育における環境と安全の問題について、二つ目は、福祉施策の見直しによって進められましたシルバーパスやマル福の問題について、さらに三つ目に、介護保険の問題についてであります。
初めに、認証保育の環境と安全の問題ですけれども、保育の問題が随分活発な議論がありましたが、私は、やはり保育の質、成長期の乳幼児にとってどういう保育が求められているのかということが、今真剣に考えられる必要があるんではないのかなと思っております。
認証保育について、私、代表質問で取り上げましたけれども、その中でもいいましたが、保育所待機児の緊急の受け皿や、あるいは一時保育などの役割を果たし得るというふうに考えております。ただ、実際に第一号の認証保育を見たわけですけれども、環境や安全という点で見た場合に、乳幼児の長期入所施設としては、率直にいって疑問を感じたというのが、私の問題提起であります。
知事は、事業者は社会福祉法人ですけれども、私企業だという答弁をされたり、窓が高いという問題提起に対して、窓は低いといわれたり、いろいろ混乱した答弁が、率直にいってありました。
そこで、改めて確認いたしますけれども、第一号の認証保育所は、知事は、定員の三倍の申し込みがあり、選択に苦労しているという旨のお話があったわけですが、五十四人の定員に対して、現時点で入所児は何名に至っているのか、まずお答えください。
○笠原子ども家庭部長 定員に対する現在の入所状況ということでございますが、十月十日時点でいいますと、二十二名でございます。ただ、このほかにいろいろと、一時保育によってここを利用している方も十八名ほど、これは九月末現在でございますが、おります。
○吉田委員 私の承知しているところでは、知事が三倍というふうにいわれた数は、実は開設時から今日に至る二カ月間の問い合わせ等の総数だと聞いております。
実際に見て、また直接見学をされた方の話も聞きましたけれども、やはり希望を持って見学をしたり、問い合わせをした方はいらっしゃるわけです。しかし、置かれた位置、あるいは設備ということから、本当に安心して預けることをためらっている方が、少なからずいらっしゃるというのが現実なんです。
なかなか信じがたい面もあるかと思いますが、この第一号の認証保育所は、駅ビルではなくて、駅ビルに隣接をした駐車場棟という駐車場ビルの一室の中にあるわけですよね。しかも、保育室は五階にあって、園庭は、その駐車場棟の七階にある屋上を園庭として使っているという、極めて、これまで率直にいって例がない施設だと思うんです。
こうしたことが、もし、いいじゃないか、いいじゃないかということで進められていったときに、認証保育をつくり、認めた東京都として、本当に子供の安全あるいは健康、こういう点で大丈夫なのかということが、やはりきちんと、これまで以上にも増して点検をされることが必要ではないのかという意味で、この場で私は問題提起をさせていただいております。
それで、率直にいって、保育所の設置についていろんな規定があるんですが、当初、例えば駐車場棟の中だとか、あるいは五階とか七階ということは、多分、余り事前に想定されなかったことではないかと思うんですが、そういう巨大な駐車場棟の中に、都内の認可保育園で保育室を設けているという例はあるんでしょうか。
○笠原子ども家庭部長 その前に、ただいまご質問に対する答弁で、五十四名の中の二十二名が現在入っているということでお話し申し上げました。ただ、この保育所は、新たに、全く新しい形でつくった保育所でございまして、そういった意味で、現在こういう形で二十二名であるから、これは環境のせいで人が少ないということにはならないわけでございまして、先生にお話し申し上げたとおり、三百名以上の多くの問い合わせがございました。そういうことからいえば、経営者も、今後将来的に安心してここで保育をし、そのためにたくさんの利用者が利用できる、そういう意向を示してございます。
それから、駐車場の中ではないかというお話でございますが、これは駐車場とは隣接しているけれども、きちんと分離した管理棟スペースを実は隣につくっておりまして、それを有効活用して、その管理棟の中で保育所をつくる、そういうことでございます。
それから、駅前という立地条件を生かして、十分環境にも配慮した、そういう保育所になってございます。大都市というのは、立地上いろんな制約条件があるわけでございます。東京都の認可保育園におきましても、東京都の大都市としての立地上の制約条件、こういったものを考えまして、現在、駅前のテナントビル等の一角を使用している例が最近ふえている、こういうふうに考えておりまして、認証保育所であるから条件が悪いということは、これは当たらないだろうというふうに思います。
○吉田委員 答弁は簡潔にということだったんですけれども、私は、駐車場棟の中に保育所を設置をしている例が--駐車場棟ですよ、駐車場の中になんて、私、もちろんいっているわけじゃないんだから。駐車場棟の中に保育所が設置をされている例がありますか。もう一度確認します。
○笠原子ども家庭部長 駐車場の中にといいますと、そういった事例は全くあり得ないというふうに思います。
○吉田委員 まじめに答えてよ。駐車場棟といっているんだから。駐車場の中になんて、いってないでしょう。--じゃ、ないということですよね。
私は、やっぱり安全や環境の問題というものは、こういう極めて新しいケースが始まるときというのは、徹底的な検証をするというのが行政としての責任だと思うんですよ。
じゃ、あわせてお聞きいたしますけれども、五階に保育室があるという例は都内にありますか。
○笠原子ども家庭部長 五階という階の特定というお話がございましたが、五階ということであれば、五階に置いてあるけれども、実質的に五階にはいろんな管理スペース、そして四階に保育所があるというものは二カ所ございます。
○吉田委員 ですから、五階に保育室があるというのも、今回が初めてのケースなんですよ。もし火災等が発生したときに、ゼロ歳児をどれだけの体制で、どうやって避難をさせるのかということは、まじめに検討しなければならないことなんです。
私は、そういうことについてきちんと議論をすべきだということを、この場で皆さん方に改めて、貴重な先例ということにするからには、やはり検討していただきたい。ましてや厚生省のお役人が、おさい銭を上げて帰るなどというような浮かれたいい方ではなくて、私は冷静な議論をしていただきたいということ、この点を求めて次の質疑に移りたいと思います。
二つ目に、福祉の見直しあるいは福祉改革の名前で、シルバーパスの全面有料化、そしてマル福の段階的な廃止、老人福祉手当の段階的廃止が進められて一年余が経過いたしました。まだ経過措置ですから、完全に廃止をされたわけではありません。しかし、既に段階的切り下げの経過の中でも、この一年余の中で、実際の深刻な影響というものはあらわれていると。
したがって、そういう中で復活を求める署名も十一万、都庁に寄せられていますが、そういうことを、陳腐などという言葉で片づけるのではなくて、一年余の経過の上に立ってどうだったのかということの検討が、私は、議会としても、また局としても求められているというふうに思うわけです。
まず、シルバーパスについてですけれども、私たちは、全面有料化するということは、利用者の減少、ひいては社会参加の後退になりかねないのではないかという危惧の念を表明いたしました。それに対して、当時は高齢者施策推進室ですか、減少にはならない、後退はしないという旨の答弁があったかと思うのですが、これは十二年度の数が、きょうの要求資料で改めて交付数が出ていますけれども、皆さん方が想定した交付数と、実際の十二年度の交付数、これはどういう開きが、おおむね自分たちの予想どおりだった、それともそうでなかったのか、まずその評価、事実をご説明ください。
○若林高齢者部長 シルバーパスについてのお尋ねでございますが、私どもとしては、これまで区市町村においてシルバーパスが発行されていたときの状況から見て、おおむね予測し得る範囲であったというふうに考えております。
○吉田委員 私も改めて古い資料を見直してみましたけれども、平成十二年三月に高齢者施策推進室が厚生委員会に出した資料の中で、シルバーパスの利用者が、推計で十二年度どのくらいになるのかという数が出されています。その利用者の推計数、皆さん方が推計した数ですが、トータルで八十六万二千人という数です。きょう本委員会に出されているトータルの数は、約七十四万六千人ということですから、事実上、十万以上の開きが生まれている。
その中でも、例えば千円の方々を、当初皆さん方の推定では、十二年度、七十三万一千人ということを推計されていますが、きょうの資料では、十二年度、千円のパスを利用を受けた方は五十七万人と、これだけの開きが、それがおおむね妥当というふうにいうのかどうかは、いろんな判断があるかもしれませんけれども、数としては、やはりこれだけあるわけですよ。先ほど外出促進というお話がありましたけれども、そういう現実的な数の後退が生まれているということを、まず明らかに確認する必要があるのではないかと思うのですね。
しかし、これは十二年度の数です。問題は、今、十三年度の集中的な更新が終わりましたけれども、十三年度の集中更新の状況というものはどうなんでしょうか、それが少しふえる方向に転換したのか、どのように判断をされていますか。
○若林高齢者部長 先ほど先生、当初の推計値と十二年の推計値の千円パスのお話をされましたけれども、私どもとしては、千円のパスの実績が推計値より減少した理由としましては、これまでの無料パスといいますのは、郵送や、民生委員により配布をするということで、それを地域での窓口発行ということに改めたことによりまして、真にパスを利用する意思のある方がパスの発行を受けたということで、これまでも私ども、さきに答弁申し上げましたけれども、区市町村で発行しているときにも、必要のない方にも渡っている事例がありますという報告をいただいていたものですから、そういう予測の範囲であるというふうに申し上げたわけでございます。
それで、千円パスの中で、実は所得の--無料パスを受けていた方の中に……
○吉田委員 私は、十三年度の数をどう見ていますかと聞いたんだけど……。
○若林高齢者部長 ちょっと答えさせていただきます。五千円の方に移行した数もございますので、そういう意味では推計の範囲であったと。
それから、お尋ねの十三年度の推計値でございますが、これにつきましては、ことしの九月三日から九月三十日まで交付事務を、全都的に四百四十カ所を超える場所で利用する方に発行したわけでございます。そうした事業所からの報告を今集計しているところでございまして、集計にはおおむね一カ月以上かかりますので、現時点では推計値は出ておりません。
○吉田委員 集中更新といっても、九月の中でも、集中的に一週間なり、更新手続を市役所、区役所などを提供してされているわけですよね。
私、杉並区から、各バス事業者からの報告を集計していただきまして、杉並区における九月の集中更新の数を聞かせていただきましたが、杉並区の場合は、昨年の集中更新で三万四百五十五、これがことし九月の集中更新で二万七千二百二十一と。中でも、やはり大きな影響が出ているのが、五千円から一万円に変わった方々ですね。これは昨年の四月の時点の数、杉並は五千円のパスを持っていらっしゃった方が六千七百六十一人、これが集中更新という限られた場ですけれども、四千二百四十八人という事態があるわけですね。やはり確実に減少傾向が続いているというのが率直な事実だと思うのです。
多くの高齢者が引き続き活用ということを、繰り返しさまざまな答弁でいわれていますけれども、そういいつつ、確実に利用者が後退をしている。本来ならば、高齢者人口はふえているわけですから、無条件で少なくともふえるなり、多少減ったとしても、平行線ということはあり得るわけですが、そういう事態があると思うんです。
しかも、十分にご理解をいただいておりますということも、何回か答弁の中でありました。しかし、本会議でも紹介しましたが、東京新聞には、理解どころか、シルバーパス驚きの値上げという見出しで、高齢者の方が、五千円から一万円の値上げに対して、世の中はデフレだというのに超インフレじゃないかという、怒りと驚きの投書が寄せられているということも現実なんですよね。そういうことを、私たちはきちっと直視していくことが求められているということを提起しておきたいと思うのです。
次に、マル福の段階的廃止の問題であります。
私たちは、このマル福の段階的廃止についても、やはり受診抑制が起きるのではないかという危惧の念を、繰り返し、さまざまなデータに基づいて指摘をしてまいりました。しかし、第二回定例会で我が党の代表質問、受診抑制が起きないといえるのかという質問に対して、知事も局長も、必要な医療は確保されておりますという旨の答弁がありました。
お聞きしますが、何をもって必要な医療は確保されているというふうに判断されているんでしょうか。
○吉川保険部長 必要な医療が確保されている、その根拠は何かというお尋ねでございます。
この点につきましては、これまでも繰り返しご説明してきたところでございますが、制度改正によりまして、マル福の対象外となられた方については、現在加入されている医療保険によって、負担が変わることなく給付が受けられております。
とりわけ低所得者の方につきましては、医療保険制度の中では大変多くの配慮の施策がございまして、幾つか申し上げますと、一つは高額療養費の自己負担限度額でございますが、通例の六万三千六百円が三万五千四百円まで下げられております。それから、食事代につきましては、一般が七百八十円のところが六百五十円、それから国民健康保険の世界では、ご案内のとおり保険料の減額付加制度ということでございまして、特別区の場合であれば、均等割については七割または五割の減額というような多くの施策が講じられております。
なお、福祉局の事業としては、ただいま申し上げたような医療保険制度の制度とは別に、無利子での生活福祉資金貸付事業、また、老人医療費貸付資金補助事業などを実施しているところでございます。
○吉田委員 三割負担だけれども、ちゃんと低所得者に対する配慮があるんだということを答弁されましたけれども、それでは年金生活の高齢者の場合に対応できないから、マル福という制度をつくってきたわけです。しかも、結局、必要な医療は確保されているといっても、受診抑制などの現状が生まれているのか、いないのかという具体的な現場での聞き取り調査その他、そういう判断じゃないわけですよね。ただ低所得者制度がありますというだけなんですよ。
私は、もちろんすべてを調べ尽くせるわけじゃありませんが、杉並区内だけじゃなくて、診療所を何件か調べました。これはもちろんマル福だけではありません。ことし一月一日のマル老の一割負担への移行も合わせて、例えば六十五歳以上の年齢の方々での、受診人数は減りませんが、回数が確実に減っているというのが、診療所の方からの共通したお話でした。私は、これは事実だと思うんです。
それで、しかもマル福を待っていて、結局マル福が先送りされたという方々からも話を聞きましたけれども、私自身が改めて認識を新たにしたのは、私も今、ちょっと風邪ぎみなんですけれども、年一回あるいは二回、風邪を引いて医療費というならば、まだ軽いんですよ。
問題は、六十五歳以上の方々の中に、やっぱり慢性疾患が重複して出てくるケースが、少なからずいらっしゃるわけです。例えば糖尿、高血圧、そういう場合には定期的な通院、定期的な検査、場合によっては年何回かの非常に高額の検査あるいは入院と。したがって、そういう慢性疾患の場合には、確実に、例えば月二万、二万五千円かかる。そういう人たちに、このマル福の段階的廃止というものが非常に大きなしわ寄せを与えているなということを、僕は改めて痛感したんですよね。
それで、低所得者対策があるからということをいわれましたけれども、例えば毎月二万かかるという場合、一年間で大変な額になるわけです。そういう毎月二万かかる方に対して、何らかの低所得者対策、軽減策はありますか。
○吉川保険部長 ただいま先生がおっしゃったのは、いわゆる自己負担が毎月二万といった場合に、配慮策があるかということでしょうか。
○吉田委員 そうです。
○吉川保険部長 二万円であれば、先ほど申し上げた高額療養費の、いわゆる国民全員が対象となっている医療保険の一般ルールで、毎月三万五千四百円までは自己負担というふうになっているわけです、それ以下の方ですから。なおかつ、先生の条件がよくわかりませんが、低所得者の方で、国民健康保険であれば、先ほどいったようなルールが適用されるわけですから、先生がおっしゃったルールで直ちにどうだといわれても、ちょっと即答はいたしかねます。
○吉田委員 ですから、先ほどの高額療養費の上限は一カ月三万五千四百円でしょう。ところが、それ以下を続けるわけですよ。一回飛び出せば、それはそれで三万四千円以下で抑えられますけれども、それ以下の、そこまで届かないことが毎月毎月確実に、三割負担で検査、医療費、外来費用という形で続いてきたときに、いわば通わない限り、その方の場合には生き続けることができないという点で、しわ寄せが寄せられていることを、私は痛感いたしました。たとえ低所得者に対する制度があったとしても、これでは救えないんですよということを、ぜひ皆さん方に知っていただきたいということが、私がいいたいことなんです。
知事自身、第一回定例会の質疑で、私どもとのやりとりの中で、こういうふうにお答えになりました。ゆがみ、ひずみも部分的にあるでしょう、それに耐えられない高齢者がいないと私もいいませんよということをいわれているわけですよね。
そういう慢性疾患を抱えた方のところに、マル福の段階的廃止は、まさにゆがみとひずみというものを与えているんじゃないか。それだったら、これにどう対応するんですか。
○吉川保険部長 二点お答えしますが、先生のおっしゃっている例が、先ほど申し上げたように、ちょっと全体がよくわかりませんが、仮に生活が本当に困窮されていて、どうしても慢性疾患というか、お受けになりたいということであれば、生保をぜひお受けいただきたい。
それから、もう一点お答えしたいのは、実は九月末に公表された、例の厚生労働省の医療制度改革試案の三割、ちょっとだけ触れさせていただきますが、あの案の中で、高齢者の方々については、これからは三割負担の年齢を上げていくという案も出ている中でございますから、今先生が、負担が重い、重いとおっしゃっている意味でいえば、東京都はマル福をまだ経過措置でやっているわけですから、軽いというふうに認識しております。
○吉田委員 さて、それで今部長がいわれた国の問題です。これは、もうその上に国がということになれば、余計大変だというのが率直な状況だと思うんです。ただ、厚生労働省案は、出されてはおりますけれども、さまざまな意見もありまして、まだ確定しておりませんが、厚生労働省案でいうと、七十歳から七十四歳はマル老を打ち切って二割負担にしていこうかというようなことがいわれております。
東京都は、国の来年度予算に対する、従来予算要望、今、予算提案ですか、提案という文言を使われておりますけれども、医療改革というものに対して、必要な医療サービスを国民だれもが受けられるようにしなければならない、そして、低所得者に十分配慮する必要があるということを文言として、国への提案として書かれていますが、こうした厚生労働省、国の動向に対して、都としてはどういうふうに対応していこうとしているのか、お答えをお願いいたします。
○吉川保険部長 医療保険制度についての国への提案要求につきましては、これまでも要望をしてきたところでございます。その中で幾つか挙げれば、できるだけ国民に具体的な改革案の全体像を示せであるとか、それから、地方財政の現状が大変逼迫しておりますので、その点を考慮して十分な財政措置を行えというような要望をしてきましたが、今回、九月末に公表されました厚生労働省の改革試案については、たたき台というふうな位置づけでございまして、正直申し上げまして、つい昨日かおとといの新聞報道で、政府の中でも、厚生労働省の案に対して、大変批判的な意見もあったということもございますし、私どもとしては、まだ具体的に受け取りかねるというか、考え方ばかりでございますので、実施案の中身が見えません。そういう意味では、今後、国の議論の帰趨を慎重に見きわめて判断していきたいというふうに思っております。
○吉田委員 国に、先ほど東京都として、必要な医療サービス、国民だれもが受けられるということと、低所得者に十分配慮することということを既に文書で出しておりますけれども、ぜひこれを堅持して、国に対して、やっぱりいうべきことはいうという努力をしていただきたいということを述べておきます。
次に、三つ目のテーマであります介護保険であります。
初めに、利用料、保険料、いろんな議論がありますが、減免あるいは軽減の問題について取り上げさせていただきます。
利用料軽減のために、都としての支援策がようやく報告をされました。さまざま厚生労働省との関係でご苦労もあったかと思いますが、ご苦労さまでございました。我が党は、介護保険にかかわる最重要課題として、保険料、利用料の減免の必要性というものを訴え、そのために、都として区市町村に支援すべきであるということを申し述べてきました。そういう意味では、貴重な第一歩であるというふうに思っております。
ただ、昨日、先ほども説明がありましたけれども、より本当に実効性のある、都民の皆さんに役立つものにしていただきたいという観点から、せっかくの機会ですから、若干イロハの質問もあるかと思いますが、質問をさせていただきます。
まず、その一つが事業者負担の問題です。東京の場合には、この国制度が実行されなかったことの一つは、事業者にとって重い負担があるということが原因の一つだと思うのですね。本制度は、利用料を軽減する一部を事業者が負担するということが前提になっております。したがって、事業者が意欲を持って取り組むことなしに、この制度は実現はしないという関係だと思うんです。
今回の都の制度では若干軽減されましたが、事業者がこの減免分、すなわち五%を軽減する分の半分ですから、給付費の二・五%になりますね、を負担しなければこれが進まないということになるわけです。
二・五%で、果たして事業者がうんというかなという若干の危惧もあるわけですが、この事業者負担を二・五%というふうに設定した理由といいますか、これが限界なんだというような判断かもしれませんが、そこはどうなのかということと、これは区市町村事業ですけれども、もし、例えば区市町村がもうちょっと上乗せをして、事業者負担をもうちょっと減らそうというような形でこれを使いたいという場合には、どうぞやってくださいというようなスタンスになるのかどうかを、まず教えてください。
○吉川保険部長 二点のお尋ねでございまして、一点目のことにつきましては、先ほどもご答弁申し上げましたが、介護保険制度における利用者負担というのは、利用される方とされない方との公平性と、コスト意識の喚起ということでございますので、私どもとしては、国の要綱の中では、二分の一から免除まで、要は五%から一〇%全部まけるまでいいよというルールでございますが、私どもとしては、利用者負担について、全く負担なしとすることにつきましては、これは一種、言葉をかえていいますと、モラルハザードも起きるのではないか。
九割が保険給付が出ていて、一割だけ納めなさいと。その一割について、全く自己負担なしということになれば、利用される方が、全くただで介護サービスを使うということになるわけですから、そこまで行く必要はないだろうという判断でございまして、ですから、一〇%のうちの五%で統一的に判断をした結果でございます。
それから、二点目の事業者の負担分の二・五の部分について、区市町村の方が独自に乗っけた場合はどうするんだというお話だった……
○吉田委員 いや、違う。二・五が、まず最初はなぜ二・五なのかという話なんです。
○吉川保険部長 なぜ二・五というのは、今申し上げた、都が一〇%の五%まで軽減するといったわけでございますので、国のルールが、そもそもその二分の一が社会福祉法人の負担というふうになっていますから、そこを使っただけでございます。ですから、五の二・五でございます。
○吉田委員 じゃ、二つ目。
○吉川保険部長 その点につきましては、私どもとしては、この制度はあくまで国の特別対策の考え方のもとで考えた制度でございますので、事業者が負担をするという前提でございますから、仮に今先生がおっしゃった点が、事業者の二・五について、丸々区市町村の方で出すから、そこの負担はなしでいいよということについては、私どものルール以外の問題だというふうに思っております。
○吉田委員 問題は利用者が本当にどれだけ立ち上がるかどうかということが、この制度のいわば根幹、前提だという意味から質問させていただきました。だから、別に区市町村が丸々持つというんじゃなくて、もうちょっとでも持とうかみたいなことが出たときに、それは国のルール違反だからだめよというのか、それを東京都としては容認するのかということをお聞きした次第です。
次に、対象者の問題です。
既にご承知のとおり、区市町村は、利用料の軽減あるいは減免について、さまざまな取り組みがされています。したがって、現場はかなり複雑な形になるんじゃないのかなというふうに思います。
今回の提案は、対象者の所得制限は、収入基準、一人で年収百二十万というふうに伺い、二人の場合にはプラス五十万というふうに聞いていますけれども、いろいろな資料を見ますと、既に実施している区市町村の利用料軽減制度の場合には、二人世帯で、収入基準の上限が二百三十一万円というような例が非常に多く見られるわけですけれども、そういうものとの整合性みたいなものはご検討されなかったのか、なぜ百二十万というものを設定されたのか、そこをちょっとご説明願いたいのです。
○吉川保険部長 対象者の基準収入額のお尋ねでございまして、私ども、先生がおっしゃったような意味で、ほかの制度はるる見させていただきました。
ただ、この対象者の基準については、一つの考え方の前提として、国の特別対策のもともとの考え方が、低所得者の範囲のとらえ方について、いわゆる第一号被保険者の実際サービスを利用されている方のうち一割程度というふうに考えれば、都内でいいますと、認定を受けている方が約二十一万人でございますので、やはり一割以内で考えていくべきだろうというふうに、そこはそこで考えました。
もう一方、先生のおっしゃった収入額のいろいろな基準については、本当に千差万別でございました、他県の例だとか見ましたけれども。そういう意味では、私どもの方としては、例えば国民生活基礎調査であるとか、東京都でやっている調査のデータであるとかに基づきまして百二十万、それから、今いった二人世帯の場合だったら百二十万プラス五十万という線で、最初に申し上げた一割という範囲内で低所得者の範囲を設定することは合理的だというふうに考えた次第でございます。
○吉田委員 もう一つそれに関連して、収入と同時に資産を見るということが、国の制度としてもこれは避けられない形に、仕組みとしてあることは私も承知しております。それで今回の場合は、その資産は収入基準額の二分の一と。したがって、百二十万円に対して半分ですから、六十万円以上の預金があった場合には、対象から外れますよというのが仕組みになっていますよね。
ただ、これは極めて俗世間的な話になりますけれども、やはり自分のお葬式代ぐらい貯金を確保するのは、高齢者の方々の心情からすれば当然だというような俗っぽい見方から発しても、六十万という預金上限額というのは、ちょっと厳し過ぎるのではないかという意見を持つわけですけれども、これはどんな判断をされたのか。これも区市町村が、もしこれをちょっと緩和したいみたいなことは受け入れ得るものなのかどうかも、あわせてご答弁ください。
○吉川保険部長 預貯金の額でございますが、これも私どもとしては、先ほど申し上げたような国民生活基礎調査であるとか、いろいろなデータをもとに算出いたしたところでございます。
なぜ二分の一かということでございますが、預貯金額が大変おありになる方が、果たしてこういう減免の対象者としてふさわしいかといえば、やっぱりそれはふさわしくないということでございまして、緊急時に準備金というんでしょうか、蓄えとしてあるにしても、年収百二十万でいえば、半年分の六十万程度までは一定の合理性があるかなというふうに判断した次第でございます。
先生の最後にお尋ねになった、例えば区が、うちで決めたそういう基準について緩めてやるということであれば、それは都のルールを超えてやられるわけですから、独自でやられるというような形に……
○吉田委員 それは対象から外しますよ、外れますよと。
○吉川保険部長 ということになると思います。
○吉田委員 この問題の最後に、先ほどもちょっと触れましたが、皆さんもご承知のとおり、区は既に独自の利用料軽減あるいは減免、例えば武蔵野市なんかは、ホームヘルプについては新規も三%ということをやっていますが、都の制度とそれを両方並立してやって構わないものなのかどうかということについても、念のためにご答弁をお願いします。
○吉川保険部長 その点は、基本的な今回の都制度の骨格は公表させていただいたわけですが、区市町村の利用者負担の軽減策の内容も十分見て、先ほどのお尋ねとの関係もありますが、あくまで国の特別対策なり、うちの制度の枠内であるんだということであれば、検討してみたいなというふうに思っております。
○吉田委員 この問題、スタートをするときですから、私も、これでもちょっと抑えたつもりで発言しているんですけれども、やはり区市町村等からもいろいろご意見もあるし、また事業者からもご意見があるかと思うんですが、もし改善できるような点があったら、ぜひ改善しつつ、本当に有効に生かされるという努力をしていただきたいというふうに思うわけであります。
続いて、保険料の減免あるいは軽減の問題について、先ほどから意見がありましたが、私はちょっといわせていただきます。
十月から全額徴収ということになって、事実上、形の上では二倍に引き上げるということで、杉並でも千二百四十五件の問い合わせがあるということで、高齢者の方々から大変な意見が寄せられていることは、ここにいる皆さん方共通の認識だと思うんです。
同時に、そういう中で、全国の自治体でこの十月に向けて、それまでは保険料の軽減措置をとらなかったけれども、軽減措置をとるという新たな努力も始まっているということも、私たちはやはり注目に値することだと思うんです。
それで、資料を見させていただきますと、政令都市で保険料軽減をやっている市は三市ということになっていますが、私の承知している限りでは、この十月実施に向けて、もっとふえたというふうに承知しているんですが、多分資料作成の時期との関係で、三市しか挙がってなかったと思うんですが、最新の状況を把握されていたら、政令市での保険料減免あるいは保険料軽減実施市について紹介してください。
○吉川保険部長 十月から実施を始めた政令市は、委員会資料にございます川崎、大阪、神戸に加えまして、仙台、千葉、京都、広島、この四市でございます。
○吉田委員 そうすると、資料の三市プラス四市で七市になりまして、政令市の半分を超えるところが、いろんな議論があったとしても、現実にされているということは見る必要があると思うのです。
それで、政令市、例えば資料にある大阪ないし神戸では、どういう趣旨で保険料の軽減をされているのか、どんな人を対象としているのか、承知している事実を説明していただきたいのですが。
○吉川保険部長 保険料の軽減制度は大変複雑でございますが、できるだけ簡潔にご説明したいと思います。
大阪市の場合は、いわゆる住民税非課税世帯の方を対象にしまして、例えばひとり暮らしの方でしたら、年収で九十六万というのが基準でございまして、かつ、扶養を受けていないなどの条件がございます。
大阪市さんの場合は、そういう対象者につきまして、減免のルールとしては、保険料の第一段階にある方については、これは基準額の〇・五、要は二分の一の方でございますけれども、その〇・五の方については〇・三七五にするという措置でございます。それから第二段階の方は、基準額の〇・七五が本来の保険料でございますが、これが〇・三七五になるルールでございます。
それから、神戸市さんの場合は、世帯全員の前年の、これは所得の表記になっておりますが、第一段階の方でいえば六十万以下、第二段階の方でいえば百二十万以下、また扶養がない、扶養を得ていないとか、そのようなルールがございます。
神戸市の減免のルールは、第一段階または第二段階で収入が、収入というのは先ほどの所得のことでございますが、六十万以下の方でしたらば、ちょっとややこしいんですが、第一段階の方は、本来が〇・五のところが〇・二五、第二段階の方は、本来が〇・七五のところが〇・二五というふうになります。それから、第二段階で所得が百二十万以下の方、これについては本来が〇・七五のところが〇・五というふうに、ちょっと複雑ですが……。
○吉田委員 いささか説明が、非常にきちんと厳密な説明でしたので、わかりにくい方もいらっしゃるかもしれませんが、要するに、東京都は今まで低所得者対策としては、保険料が五段階に分かれているじゃないか、それによって対応できるからという説明だったわけですね。
しかし、若干の違いはありますけれども、この政令都市では、五段階で分かれてはいるけれども、やはりそれでも、五段階だけでは解消できない措置を必要とする方々がいらっしゃるんだという認識と判断があると思うんです。
私、大阪の方で直接電話して聞いて、本当に感心したことは、一段階、二段階の方の中にも、生活保護は受けていないけれども、生活保護並み、あるいは生活保護以下の収入の方がいらっしゃる。生活保護を受けていれば、それで対応できるけれども、その人たちのやっぱり考えがあるわけですから、私は生活保護を受けたくないという方もいらっしゃるわけですよ。そういう方々に着目して支援をしなきゃならないというのが、こういう制度をつくった理由だというふうに聞きました。
当然、東京にも第一段階、第二段階の方々の中に、生活保護の基準以下の収入の方々がいらっしゃるのが事実だと思うのですが、そういう認識と対応というものはどんなふうにお考えでしょうか。
○吉川保険部長 恐れ入りますが、委員会資料の二二ページに、ただいま吉田副委員長が触れられている保険料減免、川崎、大阪、神戸は載っておりますが、あくまでこの三市とも、(注2)ございます国の原則、保険料の全額免除を行わない、それから収入のみに着目した一律減免を行わない、それから保険料減免分に対する一般財源の繰り入れを行わない、こういう三原則を守った中で、政令市というのは保険者さんでございますので、保険者の判断と責任で行った措置が、私が先ほど紹介した内容でございます。
ですので、どういう認識を持っているかということでございますが、私ども東京都としては、あくまで介護保険というのは、いつも申し上げておりますが、負担と給付の関係が明確な社会保険としての仕組みで、すべての被保険者が公平に保険料を負担するということが大原則で、あくまで法律、政令等のルールの中でまずは対応すべきである、きちっと対応すべきである、それは強く思います。
仮に保険者の独自の判断と責任で行うにしても、先ほどの二二ページの資料にあるように、三原則の枠内で行うべきであるというふうに思っておりまして、先ほど先生がシルバーパスのところで東京新聞をお使いになりましたので、私もちょっと読売新聞を使いますが、十月一日に本来額徴収に入ったときに、読売新聞に、安易な減免は理念に反するんだ、場当たり的な対応は無責任だという社説がございましたので、念のため申し添えます。
○吉田委員 私は保険制度そのものを否定もしませんし、また、この場で三原則の可否について議論するわけじゃありません。現実に政令市の中で、五段階に所得基準を区切っていたとしても、一段階なり第二段階で、極めて収入の困窮な方々がいらっしゃることに注目をした制度として実施しているわけですよ。
しかも、さらにいわせていただきますが、皆さん方は、それは保険者だ、保険者だということをいいますけれども、先ほどのやりとりをさせていただいた利用料軽減措置だって、保険者である区市町村に対する支援を、東京都としてやろうじゃないかという新たな一歩を踏み出しているわけですから、同じものが、なぜ保険料の中で考えられないのか。しかも、保険料のあの対象者というのは、明らかに生活困窮者という一つの方々がいらっしゃることに着目をした軽減制度をスタートするわけですから、そっちは注目しますが、保険料は注目しませんということは、私は、いずれにしても、東京都としては整合性がないことになるんじゃないかということを、これをいうとまた長くなりますから、指摘をさせていただきます。
最後に、私、本当はもうちょっとやろうかなと思いまして、実は杉並区内のケアマネジャーの方々から、いろんな意見、要望を聞きました。先ほど山口委員からも紹介がありましたけれども、ケアマネジャーの方々は、本当に限られた介護報酬の中で、介護保険以外のさまざまな苦情も含めて相談に乗らなきゃならないというようなご努力もありますし、大変な実務にも忙殺されるという点では、ぜひケアマネジャーの方々に対する支援策を強めていただきたい。
同時に、やはり何が悩みとして出されるかといえば、サービスを提供したいんだけれども、特養にしても、ショートステイは杉並だけだというふうに、ある人にちょっといわれたんですけれども、ショートステイも足らないと。二カ月前に、朝九時に電話をしても、もう通じない。通じたら、もういっぱいですといって断られるという意味で、選択できる介護保険といいながら、選択しようと思ったら、そのサービスがないというはざまの中で、ケアマネジャーの方々が大変苦労されているというのが一点です。
それともう一つは、やはり一〇〇%利用限度額まで使わせてあげたいけれども、その人の収入からすれば、一〇〇%の限度額までサービスを組むことができない中で、どうやって少しでもプラスアルファの努力をするのかというのが二つ目です。
三つ目は、これは介護保険外ですけれども、先ほども話がありましたが、例えば移送ですね。ショートステイに運んでいくにしても、大変なお金がかかる。ちょっとした外出支援をしようとしても、お金がかかる。
もう一つは、介護保険外のサービスで、ケアマネジャーの方々から共通して非常に出されたのは食事です。要支援に近いような方々の食事支援というものは、介護保険のサービスとしてありませんけれども、自治体としてやっていますが、そういうようなことについても、やはり介護保険以外のことも含めて、もっと力を入れてほしいという要望が出されました。
いえば切りがないほどの要望がありますけれども、そうしたことを、先ほどの質疑ともダブる点がありますから、答弁は求めませんが、ぜひ大いに努力をしていただきたいということを求めまして、私の質疑を終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。
○古賀委員 東京都の病院改革会議に関して、先ほど質疑があり、なおかつ、今もいろいろやりとりがありましたけれども、東京都の高齢者医療や高齢者福祉が、何かひずみがあるとか、ゆがみがあるというような指摘、(「知事がいったんだ、そうやって」と呼ぶ者あり)いやいや、そういう指摘を、今、盛んに行っておられましたけれども、東京都の病院改革会議の報告を受けて、これから病院改革が進められていくわけですね。
その中には、福祉局所管の二つの病院、高齢者専門病院が含まれているわけですけれども、この報告を見ますと、経営の形態等は、将来民営化も考えるということから、そのことをとらえて、あたかも東京都の高齢者医療、高齢者福祉が後退しているかのごとき、的外れの指摘やいいがかりに似た議論が今あったわけですけれども、私は決してそうではないと思うんですが、局長はいかがお考えですか。
○前川福祉局長 東京都の高齢者医療の問題でありますが、私どもの認識と今後の取り組みの考えを申し上げたいと思います。
一つは、都の高齢者医療に対する現在の認識でありますが、私どもは、老人医療センターは、先ほど話もありましたが、全人的、包括的医療、こういったことを含めて、我が国の高齢者医療のいわば先駆的、モデル的な役割を担ってきたと考えております。
ただ、今後の急速な高齢化に対応するためには、老人医療センターが取り組んできた高齢者医療を、さらに一層充実し、普及拡大を図っていくことが求められている、それが現状であろうというふうに認識をしております。
しからば、今後具体的にどう取り組むかですが、一つは、実は来年オープンしますけれども、現在、江東区で高齢者の専門病院を建設をしております。これは関連の福祉施設も一緒につくっているんですが、既に事業者も決まっております。こういった新しい拠点をつくっていく。それからもう一点、先ほど議論があった板橋区の老人医療センターについても、新しい段階へ発展をさせたいということでございます。
今、古賀先生からご質問があった、今回の病院改革会議の提言の中で、老人医療センターについて、一つは民営化を図る、それからもう一点は、豊島との統合、豊島へではなくて豊島との統合ですが、こういう提言があったんですけれども、これについては、私たちは、こうした対応をとることによって、これまで職員が現場で蓄積をしてきたいろんな知識、ノウハウを生かしながら、高齢者医療のさらなる充実、発展を図れというご提言であると受けとめております。こういうご提言を具体化するために、今後とも全力を尽くしていきたいというふうに考えております。
○曽雌委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
報告事項及び事務事業に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○曽雌委員長 異議なしと認め、報告事項及び事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で福祉局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後五時三十三分散会
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