厚生委員会速記録第五号

平成十三年三月二十一日(水曜日)
   午後一時三分開議
 出席委員 十二名
委員長野村 友子君
副委員長近藤やよい君
副委員長和田 宗春君
理事曽根はじめ君
理事石井 義修君
理事矢部  一君
樺山 卓司君
藤田 愛子君
小松 恭子君
曽雌 久義君
古賀 俊昭君
松本 文明君

 欠席委員 なし

 出席説明員
高齢者施策推進室福祉局長高齢者施策推進室長兼務前川 燿男君
高齢政策部長金内 善健君
介護保険室長吉川 和夫君
保健福祉部長若林 統治君
施設事業部長反町 純夫君
高齢施設企画担当部長笠原  保君

本日の会議に付した事件
 高齢者施策推進室関係
  予算の調査(質疑)
  ・第一号議案 平成十三年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 高齢者施策推進室所管分
  付託議案の審査(質疑)
  ・第七十四号議案 東京都立養護老人ホーム条例の一部を改正する条例
  報告事項(質疑)
  ・「東京都福祉改革プラン」について

○野村委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、高齢者施策推進室関係の予算調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 これより高齢者施策推進室関係に入ります。
 予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、平成十三年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、高齢者施策推進室所管分、第七十四号議案、東京都立養護老人ホーム条例の一部を改正する条例及び報告事項「東京都福祉改革推進プラン」についてを一括して議題といたします。
 本案及び報告事項につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 要求資料について理事者の説明を求めます。

○金内高齢政策部長 過日の委員会でご要求のありました資料につきまして、厚生委員会要求資料としてまとめ、お手元に配布させていただきましたので、ご説明申し上げます。
 表紙の次のページの目次をごらんください。
 ご要求の資料は、1、高齢者の福祉サービスに要する経費(一人当たりの経費)など七件でございます。
 一ページをお開きください。高齢者一人に要する福祉サービスの経費と利用者負担等を、サービスの内容ごとにそれぞれまとめたものでございます。
 二ページをお開きください。介護保険における保険料及び利用料の減免等を独自に実施、検討している区市町村をまとめたものでございます。
 三ページをごらんください。介護保険料の普通徴収の収納率と初回納期月について、区市町村別にお示ししたものでございます。
 四ページをお開きください。養護老人ホームの運営方式の相違を、委託方式と使用許可方式とでそれぞれ比較したものでございます。
 五ページをごらんください。むさしの園と伊豆山老人ホームの在籍者数を、平成八年度から平成十二年度までそれぞれまとめたものでございます。
 六ページをお開きください。住宅のバリアフリー化事業の平成十二年度実施状況を区市町村別にお示ししたものでございます。
 七ページをごらんください。痴呆性高齢者グループホームと痴呆性高齢者デイホームの設置状況につきましてそれぞれまとめたものでございます。
 以上、簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○野村委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び報告事項に対する質疑を行います。
 ご発言を願います。

○近藤委員 介護保険について何点か伺います。
 三月四日付の朝日新聞に、全国市町村に対する介護保険に関するアンケートというものが載っておりまして、こういったマスコミ、その他の機関が独自に実施するアンケートについては、自分たちの考え方なり意見なりを具体的に証明するために誘導的なアンケートもあるように聞いておりますけれども、今回のアンケートについては、読ませていただいて、大変興味深く何点か指摘がされていたわけです。
 介護保険が実施されて、以前より、措置の時代よりも施設サービスが利用しやすくなったために、措置の時代よりもさらに特養を初めとする施設サービス、入りたいといっても、待機をしなければならない者の数または期間が以前よりも長くなっているというような指摘があったわけですけれども、措置の時代に比べて、介護保険が導入された後、施設サービスが利用しやすくなったというのはどういう点で、何がどういうふうに変わったので利用しやすくなったんでしょうか、確認のために伺います。

○若林保健福祉部長 特別養護老人ホームを例にご説明させていただきたいと思います。
 措置制度、これまでの制度でございますが、措置制度では、入所を希望した後、区市町村の入所判定委員会の判定を受けることが必要でございました。介護保険制度に変わりましてからは、要介護度が一以上で希望すれば、入所ができることになったわけでございます。
 それから、費用負担の問題でございますが、措置制度では応能負担となっており、高齢者本人及び扶養義務者それぞれの収入に応じて負担額が決定されておりまして、家族の収入によっては、月二十万円以上の負担をしていただいた事例もございます。一方、介護保険制度では、介護費用の一割、要介護度によって異なるわけでございますが、介護費用の一割と食費の合計で自己負担がおおむね六万円程度となり、措置制度と比べて低額になってきているということでございます。
 従前と変わらないのでございますが、在宅に比べて手厚い介護体制が用意されているということでございます。

○近藤委員 今、在宅の時代には判定委員会の判定があったということでございますけれども、措置時代の判定委員会の判定の基準とされた項目は、どういったものがあったんでしょうか。

○若林保健福祉部長 特別養護老人ホームへ入所する場合には、福祉事務所へ入所申請を出すわけでございますが、その場合に、厚生省の指導を受けてでございますが、通知に基づきまして、福祉事務所の中に老人福祉指導主事、それから保健所長、医師、さらには施設の代表、こういった方々を構成員とする入所判定委員会を設けているところでございます。
 その委員会では三つの審査をしているところでございます。一つは健康状態、もう一つが日常生活動作の状況、それから精神の状況、こういった三点から基準を設けて判定をしているところでございます。
 健康状態につきましては、特別養護老人ホームという施設へ入所するわけでございますので、入院治療を必要とするような方、あるいは伝染性の疾患がある方、そういう方については、健康状態という点から適当ではないという判断をされるわけでございます。
 それから、日常生活動作の状況でございますが、これにつきましては五つの項目がございまして、歩行、排せつ、食事、入浴、衣類の着脱、こういった点から、ご本人の、自分でできるのか、一部介助を必要とするのか、全部の介助を必要とするのか、こういう点から、判断をするわけでございます。その場合に、判定委員会では、先ほど申し上げた、全部の介助をする、そういったものが一つ以上は必ずなければいけない、それから一部介助が二項目以上なければいけない、そういう視点からこの部分はチェックをするわけでございます。
 それから、精神の状況につきましては、問題行動があって施設入所が適当ではないという場合に対象から外れる、こういったことで、入所判定委員会では、その基準に基づいて判定をしてきたところでございます。

○近藤委員 もう一点確認させていただきますと、今あくまでも現在形でおっしゃったので、誤解があるといけませんけれども、これは当時の措置時代のお話でございますが、あきがある、とにかく希望した方が全部入れるような状況では、そういった優先順位ということは必要ないのかもわかりませんけれども、措置時代からも特養は何年待ちというようなことが常識でございましたので、判定委員会では、重い方と軽い方、今三つの基本的な判断基準があるというお話でしたけれども、その中で判断基準を三つとった場合に、重い方と、どちらかといえば軽い方、優先順位を決めて施設の入所というものが当時は行われていたんでしょうか。それとも、とにかく基準に合っていれば待機者としてずっと待っている。入所できる順番には優劣--優劣というふうに申し上げますのは、あくまでも身体的な今の三つの基準の重い方が先に入るというような判断は、当時からなかったんでしょうか。

○若林保健福祉部長 福祉事務所におきましては、基本的には、入所申請があったごとに入所判定の会議を開いて希望者リストをつくって、そこであきが出た場合に、順に従いまして通知をしていたところでございますけれども、ただ、希望者の中には、家庭で、例えば介護者が急に亡くなって、もう生活ができないという非常事態が発生したような場合には、その事情を十分お聞きした上で、施設と連絡をとって入所をさせるという手続はしていたところでございます。

○近藤委員 今おっしゃった例は極端な例としても、介護する人が突然いなくなったというような状況が、今介護保険が施行後のこの状況で起こったときに、そういった非常事態が考慮されて、例えば待機者リストの一番下に載っている方を優先的に入所させるようなことが現在の制度では可能なんでしょうか。それとも、実際そういうことが起こったときに、実際問題としてそういうことをしている区市町村が現在あるんでしょうか。

○若林保健福祉部長 介護保険制度のもとでの特養ホームの入所でございますが、新しい制度のもとでは、利用者と施設との契約で入所していただくという仕組みに変わりました。ただ、今先生ご指摘のような方につきましては、施設へ入所申請すると同時に、区市町村の窓口の方にも依頼が出てくるんではないかというふうに推測します。そういう場合には、施設の方でも、家庭の状況をお聞きした上で、緊急度を施設の方にお伝えして配慮をしていただくような、そういう手続といいますか、配慮をしているんではないかというふうに思っております。

○近藤委員 今おっしゃったのが極端な例だったものですから、そこまでいってだれも介護する人がいないというような状況では、ある程度そういった現場でやりとりがされるのかもしれませんけれども、基本的にはそういったものが一切ない。本人の身体的状況ですとか、家族構成ですとか、住居の状況といったものは一切加味されないで、要介護一であっても五であっても、同じように同等に見て、施設に入りたい人を順番に入所させていくというのが現在の介護保険の制度の基本であるということは、この認識で間違いありませんよね。

○若林保健福祉部長 介護保険制度のもとでは、先ほど答弁申し上げましたけれども、利用者と施設との契約という形になりますので、その契約に従って入所していただくという仕組みでございます。
   〔「答えになっていない」と呼ぶ者あり〕

○近藤委員 答えになっていないというようなお話もございましたけれども、私が伺いたいのは、その仕組みのことを申し上げているのじゃなくて、本人の個人的な、今申し上げた身体的な状況、そして家族構成等のことは一切加味されない、ただ単に要介護度一以上、支援でもあれですけれども、それ以上の方だったらば一律に、施設サービスを受けたいと希望する方は、申し込んだ順番に、ある程度の今申し上げたような状況が加味されることなしに、順番としてただ単に入所するという制度であるという理解で間違いはないですねということを伺ったんです。

○若林保健福祉部長 ただいまの答弁に少し補足して説明させていただきます。
 区市町村が介護保険の保険者になりますので、地域の特養ホームに対しまして、特養ホームが新たな入所契約を行うという場合には、先生ご指摘のような、真に入所を必要とする方に十分配慮をするよう要請することは、介護保険制度を円滑に運営していくという観点からも必要であるというふうに考えております。そういう視点に立ちまして、多くの区市町村が特養ホーム等への働きかけ等の取り組みを行っているところでございます。

○近藤委員 答えがちょっと飛んでしまったので、各区市町村がそれぞれ統一的な見解を持たないで、各ホーム、施設に要望してしまったら、同じような状況であっても、足立区では入れないけれども、荒川区では入れるかもしれないというふうなことが起こり得るわけですよね。
 今申し上げましたのは、この介護保険制度が入ってから、以前の措置制度よりも施設に入所しやすい、幅が広がったということで、今までよりもさらに待機をしなければならない、施設に対しての需要が高まっているのではないかというのがこのアンケートの一つの柱であったわけですけれども、介護保険が入って、さらに今まで以上に施設に対する需要がふえたというようなこのアンケートの結果を、都としてはこれをお認めになるのか、そのことをまず伺います。

○若林保健福祉部長 介護保険制度では、先ほど来答弁申し上げていますように、入所者と施設の契約で申し込みをするということでございますが、費用負担の点におきましても、また手続の点につきましても、利用しやすくなっているという事実がございまして、そういう意味では、先生ご指摘の、希望者も多くなっているという話は区の方から聞いております。

○近藤委員 介護保険が入ったときには、在宅介護を基本理念と考えるというふうに私は説明を受けていたわけですけれども、実際に制度が入りましたら、それとは逆の方向に、施設サービスの方に今人気が集まっている、集中しているという反対の状況になっているわけです。施設に入りたい方全員にサービスが提供できればいいわけですけれども、措置の時代よりさらに保険料を払っている現在の方が入りづらくなっているということを考えましたときに、まず、それぞれの個々の状況に応じて優先順位の高い方から入れていただくということを、それも同じ基本的な基準を設けるなり何なりして区市町村を指導していくということも一つの考え方として大事かというふうに思います。
 ただ、要介護度一という状況でも、体が大変健康であって、ぼけが進んでいるといっては失礼ですけれども、それが強い場合には、現在の認定の制度では、要介護一、二という非常にレベルの低いところにしか認定されないというような事実もあるので、ただ単に一だから資格がない、五だから資格があるということを私は申し上げているのではなくて、もう少し実情に即して、これから介護保険の認定そのものにもメスが入るというふうなお話も聞いておりますけれども、それまでの措置として、都がある程度広域的な観点から区市町村へ統一的な見解を出して、優先的に、症状の重い方、または介護する人がいるかいないか、またはそういったスペースがあるのかないのかといったような個々の条件を勘案した上で、ある程度施設の整備が整う--いつになったら整うかわかりませんけれども、それまでの一時的な措置としても、区市町村を指導する必要があるんじゃないかと思いますけれども、これについてのご見解を伺います。

○吉川介護保険室長 先ほど来保健福祉部長が答弁しております、ちょっとなぞっていいますが、先生おっしゃるように、施設サービスについてかなり希望者が殺到しているというのは私どもも聞いております。今先生おっしゃった、本来的に施設サービスがそのご老人というか高齢者にとって一番適しているのかどうか、先生おっしゃったように、在宅重視の理念が介護保険の基本的な理念でございますので、できるだけそういうふうに在宅で継続すべきなんですけれども、いろいろな身体状況だとか家族状況だとかいうことで、施設に向かう場合でも、例えばケアマネジャー等々のケアコンファレンスの中でそういう判断がされた場合に、施設に結びつくことが一番望ましいというふうに考えております。
 ですので、先生がおっしゃった、区市町村を指導というところにつきましては、介護保険制度は契約が原則ですから、そういう意味では希望すれば全員予約できるわけですから、その中でどういうふうに一番--限られた施設サービスの中にお年寄りに入っていただくかというような形については、今後検討していきたいというふうに考えております。

○近藤委員 結局、施設に入れば二十四時間ケアが受けられる。在宅であれば、同じ要介護度であって、フルにサービスを金額目いっぱい使っても、二十四時間の継続したケアは今の状況の中では難しいという中で、特養に入る。施設に入ると、在宅で見るよりも格安である。少なくとも同じお金を払うんだったらば、二十四時間見てもらえる方が在宅で見るより楽じゃないかというような中で施設に流れているというのも、一つ流れとしてあるというふうに思いますと、同じお金を払いながら、施設で受けられるサービスと在宅で受けられるサービスに今全く違いがあるわけです。
 それはどういうところから出てくるかというと、在宅では、受けられるサービスにしかお金がかからないにもかかわらず、施設に入っていれば、施設にいる、つまり賃貸料というか、そこにいる、ホテルにステイするためのいわゆる家賃部分もその保険料の中に含まれてしまうという中で、目に見えない完全な違いがあるというふうに思います。
 私は、別に施設に入ったから、その分保険料を高くしろとか一割負担を考え直せとかということまで申し上げているわけではありませんけれども、そこに歴然とある不公平感については、都はどのような考え、認識をお持ちなんでしょうか。

○金内高齢政策部長 委員ご指摘のとおり、在宅と施設とでは、住宅費あるいは光熱水費、食費等の負担について取り扱いが異なることは事実でございます。これらをいわゆるホテルコストというふうに呼んでおりますけれども、この負担のあり方につきましては、都において、利用者の立場あるいは補助のあり方等全般につきまして検討し、国へ制度改善を積極的に提案していきたいというふうに考えております。
 ちなみに国におきましても、十二月の行政改革推進本部規制改革委員会におきまして見解が出されまして、これは厚生関係ではないんですけれども、規制緩和の関係ですが、低所得者に配慮しつつ、現在の特別養護老人ホーム等への介護報酬に含まれているホテルコストについて見直しを検討すべきとしているところでございます。

○近藤委員 今、見直しを検討しているというお話もございましたけれども、平成十三年度の推進室の予算の中で実態調査をかけていくということが上がっておりました。実態調査というのは、まず目的もなく調査するということもないと思いますけれども、この実際行おうとしている調査の中で、どんな結果を出したい、どのようなことを調査したいというような、調査に当たっての、その調査からどういう結果をあぶり出したいのかという都側の考え方、それをちょっとご説明いただきたいと思います。

○金内高齢政策部長 十三年度に予算要求をしております、予算案に載っております実態調査は、十四年度に改定を予定しております高齢者保健福祉計画、この保健福祉計画は介護保険事業支援計画を兼ねておりますけれども、この計画の基礎データを収集するために行うものでございます。
 先ほど来問題になっております特養のニーズにつきましてでございますけれども、介護保険制度の導入によりまして、入所希望者の実数が、正確なニーズの把握が困難になっているという状況がございますので、都として広域的観点からこれらのニーズ調査、例えば私どもで進めようとしておりますケアリビングだとかあるいは在宅関係も含めまして、ニーズ調査を行う予定でございます。
 ただ、本来、保険者でございます区市町村がその辺は責任を持って地域ごとにやるものでございますので、保険者である区市町村と私どもが広域的な観点から調整を図りまして、都域全体の必要数を把握していく考えでございます。

○近藤委員 今のご答弁ですと、この実態調査というのは、主に施設サービス、サービスの需要に関する数というようなところに基本的なものを置くように今聞き取れたんですけれども、厚生省でも平成十二年の四月にサービスの利用状況について調査を行っていますし、全国老人クラブ連合会でも平成十二年四月にも同じような調査を行っているということですから、再度同じような調査を、やはりその結果が正しかったというようなことだけが最終的に結論として出てくるのでは何の意味もないというふうに思いますので、ある程度政策的な誘導性--恣意的な調査というのは問題があると思いますけれども、きちんと政策にそれが反映されるような形での調査をぜひお願いしたいというふうに思います。
 それと、とにもかくにも保険料を払った今の方が施設に入れないというような逆転現象が起こっている。足立区で現場に聞きますと、三年待ち、四年待ちがざらだということなので、今現在入る必要がなくても、順番が回ってくるころには必要になってくるだろうということで、あらかじめ予定をして今入れている。順番が回ってきたときには、まだそれほど必要がないので、次の方に渡しますというようなことがあって、実際に施設入所を必要としている数の実数がつかめないというような部のお話も聞いたりしますと、大分混乱しているなというような気がいたします。
 とにもかくにも、お金を払っているにもかかわらず、以前よりも入りづらくなったということは、地元の方の一致した意見です。ですから、実数を把握していただいた上で、数が上方に修正されて、さらにある程度の施設サービスの整備が進んでいけばありがたいなと思うと同時に、ただ、それは一朝一夕にすぐに待機者ゼロというところまで整備が進むということはまず無理ですし、幾ら建てても、それだけ希望者がふえるという実態もある中で、今推進室の方でこの状況を少し緩和するために考えていらっしゃるのが、いわゆる介護つき住宅のケアリビングというような包括的な考え方だと思いますけれども、これをどのように重点的に整備していくのか、推進室の考えを伺います。

○金内高齢政策部長 特別養護老人ホームの現状につきましては、委員からご指摘のあったとおりでございまして、本来、特養というのは手厚い介護を旨としております。そこにふさわしい方が入っているかどうかという問題はあるわけでございまして、住まい、介護、この多様性をこれから追求して、都民の方のニーズに合ったサービスを展開していく必要があるということで、私どもといたしましては、NPOあるいは民間事業者等、多様な事業主体が参入促進されるよう、例えば補助のあり方であるとか、あるいはサービス水準をどのぐらいにしたらいいかというようなことを検討いたしまして、ケアリビングの整備を重点的に図ってまいりたいと考えております。

○近藤委員 いろいろな実施主体がケアリビングを設置するようにというようなお話だと思うんですけれども、とにもかくにもNPOにしても民間事業者にしても、資金が足りない、場所を確保することに困難性があるということなので、そんなところがなるべく設置が進むような補助のあり方を模索していただきたいということと同時に、最終的にもう一度要望としていわせていただきますけれども、とにかく待機していらっしゃる方が多いというのが現実なので、その中でもなるべく、状態が重いということは一般的ないい方ですけれども、真に介護サービスを必要として、施設でのサービスを必要としていらっしゃる方を見きわめるための基準というようなものをつくっていただいて、過渡的な措置かもわかりませんけれども、そういった方がなるべく優先的に施設に入れるような動きがとれるように各区市町村に指導していただきたいというふうに思いますけれども、最後にどなたに伺ったらよろしいんでしょうか。

○吉川介護保険室長 先ほどと繰り返しになりますけれども、今先生おっしゃっていただいたように、真に施設サービスが必要な方が施設に入れるような方策について、先生、基準というふうにおっしゃいましたけれども、基準まで直ちにできるかどうかはともかく、保険者の職員と一緒に検討してまいりたいと思います。

○小松委員 まず最初に、介護保険について一点だけ伺っておきます。
 実は、私のところに、以前東村山市に住んでいて、一年ほど前に所沢市に転居された方からこんな手紙をいただいて訴えられました。大変長いので、その趣旨のところだけを読みますと、このたび、父母の介護保険の申請手続を所沢市に申請し、二人とも要支援の認定をいただき、早速、市の指定する居宅介護支援事業者と介護支援契約を結ぶ運びとなりました。その契約の中に健康診断書の提出を求められ、そして病院で健康診断を受けた。それができたので取りに行ったら、それは国民健康保険証老人医療受給者証が使えない、一般扱いで、実費二人で三万二千四百八十八円を病院より請求された、そういうことなんですね。
 わずかな年金で生計を立て、面倒を見てくれる家族もない。あげくの果ては、動けなくなれば、結局介護保険を利用して介護を受けなければならない。そうした中で保険外の実費、自己負担は、余りにも矛盾し、ひどいものでないかという、こうした訴えなわけです。
 そこで、介護保険に必要とされる健康診断、または健康診断書を出すわけですけれども、そのときの費用についての指導はどうなっているのでしょうか。

○吉川介護保険室長 介護サービスを使うときの診断書の件でございますが、厚生省では、昨年の十一月十六日の全国担当課長会議で、お尋ねの、サービスを利用する前の健康診断書の扱いについて、案という形で提示がございました。
 その内容は、利用を申し込まれた方々の負担軽減の観点から、施設サービスであるとか在宅サービスについて診断書が必要な場合もあるけれども、事業者が利用申込者の健康状態を把握する上で、サービス担当者会議におきます情報の共有化、これはいわゆるケアコンファレンスでの情報の共有化でございますけれども、それが一つ、もう一点は、居宅療養管理指導というサービスがございますが、これによります主治医からの医学的な情報提供というような仕組みが既にございますので、これらの制度の活用に努めることが望ましいという旨の案が提示されました。
 今後、東京都におきましては、この趣旨も踏まえて、国から正式な通知をいただいたら、保険者なり事業者を指導していきたいというふうに考えております。

○小松委員 確かに国の案という形で見解が示されておるようですけれども、これはあくまで見解であって、通知ではない。国へ通知を早く出すよう要請するわけですけれども、それと同時に、都として独自に区市町村や事業者に通知することはできないかということです。
 こうした案が出されている。これは通知が出たらということですが、ここにも、手紙にも書かれておりますが、国の見解を示している指針があったんだ。しかし、それがいまだ県から市町村へ、さらにサービス提供事業者に周知徹底されていないということで、この中に健康診断書の提出を強制できない、または提供事業者はサービス利用を拒否できない、また事業者が安易に健康診断書の提出を求められない、そして市町村等において健康診断及び健康診断書作成にかかわる費用の肩がわりや補助をしてもらえる、そういうことを全部この方は調べて、そういうことが徹底されていないということなんですけれども、この方は埼玉県にも何回も足を運びまして粘り強く訴えた結果、埼玉県では独自に県から各市町村に通知を出して指導したということなんですね。そして、市が事業者に通知を出して、一定の改善がここでなされたということなんです。
 このお手紙をいただいたのは、昨年の暮れも迫ったところですが、もう既にそういうことが県ではやられているということなんですね。そういった観点から、確かに通知を待ってというお気持ちもわかりますけれども、やはり都はいつも都独自で、石原知事がよくいう、東京都から国を変えていくではありませんけれども、ぜひこの通知一つを出す、行く末はもう案が指針として見解が出されているわけですから、そういうことができないのかということをもう一度お尋ねしたいと思います。

○吉川介護保険室長 先ほどの説明で若干不十分だったと思いますが、私どもは、十一月十六日のその全国課長会議が終了して、直ちに都内六十三区市町村の保険者、担当者に対して、同厚生省の案は周知してございます。
 それから、先生がおっしゃっている所沢の事例ということですが、私どもは、現時点では、例えば都内の保険者からとか都民から、健康診断書の具体的なそのような苦情といいますか、ご意見というのは聞いてはおりません。

○小松委員 確かに私のところに訴えられたのは所沢の市民からなんですが、実は私は本当に残念なことに--週刊誌で載ったんですね、この問題は大きく取り上げられて。その週刊誌、回し読みしているうちにちょっと今手元になくてお示しすることができないんですが、やはり全国的には大きな問題になっている。ただ、東京の中では余り聞かれないということなので、だからいいということではなく、そういうこともあるかもしれない。そういう意味では、ぜひこれに対する都独自の取り組み、これらを求めておきたいと思います。
 そして、次ですが、私の住む東村山市にむさしの園という軽費老人ホームがありますが、昨年の暮れ、突然利用者に、平成十六年度の末に廃園、こういう説明があって、高齢者の利用の方々は大変動揺している。そこで、きょうはこのむさしの園の廃園問題について伺ってまいりたいと思います。
 まず、このむさしの園といわれる軽費老人ホームとは何なのでしょうか。その目的、位置づけ、役割などを伺いたいと思います。

○若林保健福祉部長 軽費老人ホームにつきましては、老人福祉法に規定がございまして、無料または低額な料金で老人を入所させ、食事の提供その他日常生活上必要な便宜を供与することを目的とする施設でございます。A型、B型、介護利用型の新たな軽費老人ホームとしてのケアハウス、この三種類があるわけでございます。

○小松委員 確かに老人福祉法にはそのように定義づけられておることは承知しております。
 この軽費老人ホーム、「養育院百二十年史」ですか、あれは大変立派なものができておりまして、大変私も参考にさせていただいておりますが、ここには貴重な文がありますので、少し紹介させていただきます。
 途中からですね。「既に養護老人ホーム入所者の三割を占める環境上の理由による入所者、あるいは軽易な仕事にはついているが住宅に困っている者、家族関係、住宅事情などで別居しなくてはならない者等の老人に対し、住宅性の強い軽費老人ホームB型を毎年市街地分散方式により建設整備する。軽費老人ホームB型は住宅政策の貧困さから、主として住宅事情により施設に入所してきた老人を地域社会にひきとめ、地域社会の資源を活用して施設収容処遇のもつ個性の没却を防ぎ真に自主性のある生活を老人に確保しようとするものである。」確かにこれは、いっているときは大分前なんです。
 「こうして軽費老人ホームは完全個室制をとる点で老人ホームの本命と位置づけられ、将来は「養護」「軽費」の区別を最終的には撤廃することを目標に計画が立てられたのであった。」ということで、国もこの軽費老人ホームを新しい形として評価をしてということで、とても一時評価をされたものですね。
 そこで、都としては、この軽費老人ホームのあり方について今後どうしようとされるのでしょうか。

○若林保健福祉部長 東京都は、東京都福祉改革推進プランに基づきまして、今後、高齢者の多様なニーズとその地域の特性を踏まえまして、介護利用型の軽費老人ホーム、いわゆるケアハウス、それからシルバーピア、グループホーム等、家庭と入所施設の中間的性格を持ついわゆるケアリビングを拡充していくこととしております。

○小松委員 確かに今までの軽費老人ホームにかわって、ケアハウスが出てきた。しかし、このケアハウスとてまだまだ数が圧倒的に足りないのではないでしょうか。特に東京都はこのケアハウス、少ないですね。それで、先ほど出てきたように、ケアリビングという、福祉改革プランの中にもありますけれども、特に多摩地域には少ない。ケアハウスの二十三区及び多摩の状況を伺います。

○若林保健福祉部長 平成十二年度末のケアハウスの完成見込み数でございますが、区部は十一カ所六百四十二人、市町村部は三カ所六十六人でございます。

○小松委員 多摩はたったの三カ所六十六人と、区部の十分の一です。そういう意味では、軽費もまだまだ存在価値があるということになるのではないでしょうか。
 そこで、むさしの園なんですが、現在の利用状況はどうなっているでしょうか。現員、年齢構成、介護度、認定者数、収入状況、利用料などなどについてお伺いしたいと思います。

○反町施設事業部長 むさしの園の利用者の現況でございますが、これは平成十三年一月一日現在でございますけれども、現員が百三十三名、内訳は、男性十五名、女性百十八名でございます。
 年齢構成は、最低が六十六歳、最高が百歳、平均八十一・八歳でございます。構成でございますが、六十代が四名、三%、七十代が四十二名、三一・六%、八十代が七十一名、五三・四%、九十代以上が十六人、一二・〇%でございます。
 介護度、受けている方の数でございますが、要支援の方が三名、要介護一が十二名、要介護三が一名の合計十六名でございます。
 収入状況でございますが、これは平成十三年二月一日現在でございますけれども、住民税の非課税者が百二十九名、九八・五%で大半でございます。それから、住民税均等割の課税者が一人、それから所得税七千三百円以下が一人となってございます。
 利用料の状況でございますが、最高額が七万八千三百二十円、最低額が二万九千二百五十円、平均額は四万七千六百八十八円となってございます。

○小松委員 平均八十一・八歳、八十以上の超高齢者が全体の六五%、半分以上なわけですね。九十代以上も一割以上いらっしゃる。しかし、介護度認定者数から見ますと、ほとんどの方がお元気で自立しておられる、そういうことがわかったわけですが、それでは、この園の入退所状況はどうなっているのでしょうか。その理由も含めて、この五年間ぐらいの数字をお伺いいたします。

○反町施設事業部長 平成八年度から十二年度までの五年間の退所状況でございますが、八年度が十七名、九年度が十九名、十年度が二十一名、十一年度が十七名、十二年度が二月末現在で十七名の合わせて九十一名でございます。
 主な退所先でございますが、保証人引き取りが三十七名、特別養護老人ホームが九名、病院八名、自活七名などでございまして、そのほかには亡くなった方が二十七名いらっしゃいます。
 また、入所につきましては、平成八年度九名、平成九年度十六名、十年度七名の合計三十二名となってございます。
 入所の方の経路は、居宅からがほとんどでございます。

○小松委員 この五年間で入所者が三十二名に対し、退所が九十一名、そういうことになりますと、六十名近くの空き室があるということでしょうか。

○反町施設事業部長 むさしの園の定員数は二百十名でございます。平成十三年三月十四日現在で現員数は百二十七名でございまして、居室百九十室のうち、空き部屋は六十七室、内訳といたしましては、一人部屋が五十一室、二人部屋が十六室でございます。

○小松委員 そうすると、六十七室も空き部屋があるということは、管理運営上からいっても大変なことになるのではないでしょうか。先ほどの利用料が一人平均月四万七千六百八十八円ということを伺いましたので、私計算をしてみました。一年間で一人平均五十七万二千二百五十六円、それが六十七人ですから、三千八百三十四万一千百五十二円、今一年でですよ。これを五年間、それぞれプラスマイナスを、先ほど七人とか三人とか出してくださったので計算してみました。私の試算では一億三百万六千八十円、これが本来だったら、満室であるならば入ってくる収入になるわけですね。ですから、マイナスになっているわけです。この数字は間違いないでしょうか。もし間違っていれば指摘してください。これ、民間の大家さんでは考えられないことですよね。
 今の間違いないかということと同時に、入所希望者もこの間どうなっていたのか教えてください。

○反町施設事業部長 先ほどの空き部屋による利用料の減収の問題でございますけれども、現実に利用者の収入状況によって利用料が異なるわけでございまして、正確には申し上げることはできません。ただし、先ほど先生おっしゃいましたように、平均単価の四万七千六百八十八円を用いますと、現在の空き部屋の状況から考えて、単価を掛け合わせた場合には、およそその程度の数字になるかと思います。
 ただし、収入が入ってないかわりに、措置費の方もかかりませんので、職員費もかかりませんので、その辺の損得については現在はっきりはしておりません。
 入所希望者の関係でございますけれども、先ほど十二年度の例で申し上げますと、入所に関する問い合わせが百五十一件、それから見学が二十七件ございましたけれども、結果的には入所申し込みには至ってございません。

○小松委員 この間、百五十一件の問い合わせがある。そして二十七件の施設見学があった。しかし、入所希望につながらない。その理由は確認できないということですが、これはどういうことが推測できるんでしょうか。百五十一件の問い合わせに何と答えていたのでしょうか。

○反町施設事業部長 施設見学と入所希望のつながりについては、先生おっしゃるとおり確認してございません。あえて推測で申し上げますならば、個室が十四・五八平米から十六・六五平米、二人部屋が十九・四平米と、最近のものに比べ狭いということでございます。それから、もう一点、施設が老朽化しているということで、現在の高齢者のニーズには合っていないのではないかということが推測されます。

○小松委員 そうおっしゃいますが、私もここに調査に行きました。すぐに入居できるような部屋もありました。聞いたところでは、入所希望者に対して、入所歓迎ではなく、むしろあれこれ施設の不備があるよということで、それでも入所されるならというそういう対応をされたという方を何人か聞いております。これは、事実、東村山の市議会でも、空き部屋があるのに、入所者希望もあるのに、なぜ入所させないのかという質問が出たというくらいです。
 確かに老朽化はあるわけですけれども、あけておくぐらいなら、たとえ少々手を入れても、入所させるべきだったのではないでしょうか。確かに私が先ほど試算しました五年間での一億三百万、これがそのまま都に入ってプラスになるものとは思いません、もちろん必要管理費などありますから。しかし、それでもこれだけの部屋をあけておく、このマイナスは大変な損失ではないでしょうか。
 先ほど伺ったのでは、特に十一年、十二年度はゼロですね。今回の廃止は十一年の前から決まっていたんでしょうか。いつごろから検討していたのでしょうか。

○反町施設事業部長 むさしの園の廃止問題でございますけれども、都庁改革アクションプランの策定経過におきまして、平成十二年の春ごろに総務局とのやりとりがございまして、それでむさしの園のあり方について見直しを行ってきたところでございます。

○小松委員 都庁改革アクションプランの策定過程で十二年の春ごろということですが、それでは、少なくとも十一年度のゼロは、廃園も何も決まっていないのに、入所努力をしなかったということになりはしませんか。十二年度も、まだ春ということですから、そうすると、その前までですね。この五年間だけでも百五十一件もの問い合わせもあったんだから、積極入所の努力をしていたら、こんな数字にならないはずではないでしょうか。
 これは、今都営住宅の倍率が非常に高いわけですね。住宅の要望が非常に強いわけです。きちっと積極的に入るようにやったら、入らないはずがないと思うんですね。先ほども申し上げましたけれども、老朽化といっても、入れない状態じゃないということは私も現地を見てわかっております。この辺はいかがでしょうか。

○反町施設事業部長 むさしの園の入所停止につきましては、平成十二年の十二月に都庁改革アクションプランを発表した時点で記載されたものでございます。ですから、それ以前において入所停止の措置を行ったことはございません。
 入所させるための営業努力でございますけれども、局で発刊しております「社会福祉の手引」あるいは老人保健施設一覧あるいはパンフレット等にも記載してございますように、他の施設と同様に都民に周知してございます。

○小松委員 いや、本当にぜひ入っていただきたい、お困りの方はという姿勢が貫かれていたら、こんなにはならなかったということを指摘しておきます。
 そこで、利用者に十六年度末を目途に廃園、こういうふうに説明をしたということですが、事実でしょうか。

○反町施設事業部長 平成十二年の十二月に、都庁改革アクションプランの公表に際しまして、利用者に対する説明会を開催いたしました。その席におきまして、平成十六年度末を目途に廃止すると説明してございます。

○小松委員 十六年度末に廃止するじゃなくて、目途ということですね。しかし、これを最初に聞いた高齢者の方、四年後の廃園ということが頭にさっとめぐり、どんなに驚いたでしょうか。どんなに動揺されたでしょうか。利用者の最初の反応をどう受けとめていらっしゃいますか。

○反町施設事業部長 当初の説明会以降、利用者からは、移転先等に関し多くの質問をいただいております。そのため、説明会の開催や個別相談の実施等により理解を得るように努めてございます。

○小松委員 最初の驚きはそんなものではないんです。ここに一利用者から石原知事あての手紙がありますので、私のところにも、知事にこういう手紙を出したというのがありますので、長いので、ほんの一部さわりだけを紹介させていただきます。
 当園を、大病、再起不可能になるまではついの住みかと覚悟して、福祉保護下に年を重ねてきましたので、まさに驚天動地の思いにて唖然自失いたしました、こう書いているんですね。四年以内に他施設に入所の確たる見通しはなく、しかし、一人として見捨てることは絶対にしないと繰り返すばかりで、私ども一同は一層不安が募りました。
 さらに、保証人を呼んでのその質疑のことが書いてあります。そこでは、保証人の質疑を要約すればということで、努力目標ばかりで具体策が皆無、都のアクションプランなるものの全貌が見えないので考えようがない、閉鎖が決定事項として上意下達に命令されている、納得できない、以上の疑念に対して回答がない。園側も五里霧中、閉鎖は白紙に戻してほしい、我々の声がどこまで都政に届くのか、むさしの園はぜひとも存続させてほしい--いっぱいありますけれども、そんなことが書かれております。
 さらに、今回の施策は都庁内だけの下意上達であり、外部の、現場にいる私どもには上意下達にほかならず、まして受け入れ体制も不備不明のまま、弱き困窮老人から切り捨てるとは余りなる無責任ではございませんかというように、綿々とこれが書かれております。
 そして、私どもは十年後は生存者はほんの一握りではないか。これは十年前健在だった人があらかた消えて、今は三名から五名しかいない。老人は死んでください、国のためといわなくたって、高齢者の多い当園は自然にそうなります。さらにこの寒中は驚天動地のショックから病人続出、元気そうに見える人々も、痛む足腰をかばいながらゆっくりゆっくり食堂へ急ぐ姿には、一年前とは違う悲壮な気配が漂っています。老衰して思考力も衰え、途方に暮れる高齢者の人、また、中高年の保証人もご存じのとおり核家族時代では、老人が割り込む暇もないのでございます。何とか助けてほしいと、最後また書いてあるんですけれども、そういうような切々たる手紙、これはきっと石原知事あてに出したということですから、皆さんもごらんになっていらっしゃるのではないでしょうか。
 そしてさらに、別の方々からも、私のところにも昨年暮れ利用者から電話がありまして、ふだん落ちつかれている皆さんもその動揺を隠し切れない。むさしの園に出入りしている薬局のご主人から、むさしの園のお年寄りが、私に白い粉薬をくれないか、もう死にたいなど大分取り乱している、何とかしてあげてと訴えがあったということです。
 一体十六年度末廃園は、いつ、どこで、だれが決めたんでしょうか。

○反町施設事業部長 むさしの園につきましては、利用者一人一人に合った適切な移転先の確保や調整にかかる期間等勘案し、先ほど申し上げました都庁改革アクションプランの策定の過程におきまして、室内で調整を図りながら、十六年度末を目途として廃止するものとしたものでございます。

○小松委員 そうしますと、廃園決定と同時にその時期も決めたということになるのでしょうか。

○反町施設事業部長 先ほど申し上げましたとおり、過程におきまして、十六年度末を目途にということで決定したものでございます。

○小松委員 十六年度末というのはさっき聞いたんですよ。その十六年度末を決めたのは、むさしの園を廃園するよということと同時だったのか、それとも、廃園するよというのは、先ほど去年の春ごろから廃園の方向を出したということですけれども、それと同時に出したのか、それとも一応廃園の方向でいこう、そしてその後十六年度になったのか。
 と申しますのは、厚生委員で私も地元の議員であるわけですけれども、利用者から電話がかかるまで全く私も存じませんでした。廃園は都庁改革アクションプランで知って、時期など局に問い合わせようとしていた矢先だったものですから、もう少しそこをシビアにお答えいただきたいと思います。

○反町施設事業部長 先ほど申し上げましたとおり、都庁改革アクションプランの策定過程におきまして、室内で調整を図りながら十六年度末ということとしたものでございます。

○金内高齢政策部長 先生ご存じのとおり、都庁改革アクションプランにおきましては、新規入所を停止し、入所者について他の施設への転所など、十分な対応を行った上で廃止するというふうに書かれております。廃止時期については明示されておりません。
 私どもといたしましては、入所者について他の施設への転所がどのぐらいかかるかという事務的な詰めが必要でございますので、その目途を十六年度末というところに置いたものでございます。

○小松委員 そうすると、今のお答えからしますと、あくまでも十六年度末は、そうしたいろいろ手配があると、目途であって、ここが決定ではないんだ、そういうことですね。そう解釈してよろしいですね。

○金内高齢政策部長 都庁改革アクションプランに書かれてございますとおり、入所者がいらっしゃいますので、他の施設への転所など、これを十分にやった上でということで、十六年度末を目途にそれらの事務を進めるということを決定したものでございます。

○小松委員 何回聞いても同じ答えしか返ってこないので、目途だということで、そこを何が何でも、何としてもそこでやってしまうということではないんだという解釈をしておきます。
 そして、現在まで利用者への対応をどう進めてこられているのでしょうか。そして今後の進め方はどうされようとしているのでしょうか。

○反町施設事業部長 先ほども申し上げましたとおり、平成十二年十二月に都庁改革アクションプランが発表された同日に利用者説明会を開きまして、その後も、先ほど先生ご指摘ありました、保証人への説明を含めて数回にわたって説明会を開催しているところでございます。その後、移転先等に対する情報提供をしていくとともに、相談窓口を設けまして、一人一人にきめ細かく対応しているところでございます。
 なお、移転先につきましては、利用者の希望ですとか身体状況、経済状況等を踏まえながら、利用者一人一人に合った適切な移転先を確保していくこととしております。

○小松委員 そして、具体的には、保証人の引き取りを含めて、施設なんかも考えているのでしょうか。

○反町施設事業部長 利用者の移転先につきましては、具体的には、身内の方など保証人の引き取りを含めまして、特別養護老人ホーム、養護老人ホーム、シルバーピア、ケアハウスなどを考えてございます。その辺につきましては、利用者の意向を踏まえながら、身体状況、経済状況等踏まえて適切な対応をしていきたいというふうに考えております。

○小松委員 今幾つかの施設が対象ということで列挙されましたが、例えば特養対象の方は先ほどの数字でも少ないので、また、廃園とは関係なく、必要な方への特養入所ということは今まででもされてきておりますので、これは別としまして、要するに自立されている方々には、養護、ケアハウスなどがあるとのことだと思うんですけれども、先ほどの手紙にあるように、この園をついの住みかとして幸せに暮らしてこられたわけですね。
 自治会もあり、サークル活動もある。一方では、個室でプライバシーもしっかり守られて、静かに、しかし、積極的な毎日を過ごされておられる方々です。こうした方々に、とにかくこれから住むところは養護だ、ケアハウスだと一方的にいわれても、納得もしかねるし、不安もつきまとうのは当然のことと思います。
 養護などへの強制あっせんなど絶対あってはならないと思いますが、大体、養護老人ホームの待機者も多いはずですが、今その待機者は何人でしょうか。

○若林保健福祉部長 現在、養護老人ホームは三十四カ所ございますが、十二月末現在で待機者は、区市町村からの報告を受けた数字でございますが、二千三百四十六名でございます。

○小松委員 二千人以上もの待機者がいる養護老人ホームに、百人以上ものむさしの園を最優先させたら、ほかの待機者はさらに待たされることになるわけですね。特にむさしの園の方は個室生活が長いわけで、今さらここで相部屋ということもなかろうと思うんです。個室となると、さらにその門は狭き門ということになります。
 一方、ケアハウスは、さっきのご答弁のように、多摩には六カ所しかない。このケアハウス、低所得者の方にとっては、利用料や管理料合わせますと軽費よりも高く、だれでも入所できるというものではないようです。十六年度末、これが先にありきで、養護やケアハウスなどへの入所はすべきではないでしょうし、大体無理ではなかろうかと思うのですが、いかがでしょうか。

○反町施設事業部長 現在、むさしの園の利用者につきまして意向調査をやっている最中でございまして、まだその結果がまとまっておりませんので、何名の方がケアハウスあるいは養護老人ホームを希望されているか、ちょっと把握できておりません。
 先ほど申し上げましたように、十六年度末を目途に適切な対応をしていきたいというふうに考えております。

○小松委員 今はそれしか答えがないんでしょうかね。でも、この方々、賄いつきがあれば、自立に近い生活ができる人々ですね。この方々に、より介護のため重い人が多い養護に移れというのは、一面では酷な話ともいえるのではないでしょうか。これは本当に真剣に考えていただきたい。
 ところで、このむさしの園の廃園ということをおっしゃっていますけれども、この跡をどう考えていらっしゃるのですか。

○反町施設事業部長 跡地の利用計画でございますが、現在のところまだ考えておりません。

○小松委員 これから後もどうなるか、計画も考えていない、そのまま、ただ廃止だけする、だから出ていけ、こういうのはおかしいのではないかと思うんです。
 今もう一つの立場から、このむさしの園の利用者はすべて東村山市民であって、他の施設に移る場合も、市としての負担も出てくるわけですね。その負担がどのくらいかということは、今お聞きしてもきっと見当つかれないと思うんですけれども、ある市の方が、これ全部もし今やったとしたら八億円かかるということをおっしゃっているんです。この根拠はわかりませんが、そういったことからしても、当然都の責任は出てくると思うのですが、市との協議がなされているやに聞きますが、どうなっているのでしょうか。

○反町施設事業部長 地元市でございます東村山市に対しましては、アクションプラン発表の当日以降、説明に参っておりまして、本年二月に至りまして、都と市の間で課長級によります協議会を設け、協議を進めているところでございます。

○小松委員 市との協議も十分していただきたいということですが、いずれにしても、まずは十六年度廃園というのは見直すべきではないでしょうか。先ほど、あくまでも目途だとおっしゃっておりますから、これはいろいろなものがうまくいかなかったら、その先も仕方ない--私は仕方なくないけれども、そちらはね。延びることもあるんだよという、そういうニュアンスもあるのかなというふうに受け取りましたが、いずれにしましても、ここでは全然代案もない。例えば老朽棟だ、だから順々に建てかえる、こんなやり方もあったりするわけですけれども、いろいろなやり方がある。それらを考えて、それらを検討することで、追い出すことだけをするというのではなく、ぜひそうしていただきたいというふうに最後に思いますが、これは室長ですね、最後お答えいただきたいと思います。

○前川高齢者施策推進室長 先ほど来、特養であるとか、また今は軽費についていろいろ議論いただいているわけですが、私ども当然必要な施設は十分都内で整備をしていきたい。その場合に、新たな視点として、いわば住宅、住まいとケアとの組み合わせをどうしていったらいいかということを少し抜本的に考えたいと思っております。
 福祉改革推進プランに基づいて、それはきちんとやらせていただくことを前提に申し上げますと、このむさしの園につきましては、現在の利用者とも十分お一人お一人話し合いをしながら、かつ移転先もきちんと確保した上で、一応十六年度末を目途に既定方針で進めていきたいというふうに思っております。

○小松委員 もう多くは語りません。人間にとって住まいは人権といわれます。一方的なお年寄りの追い出しにはならないということを強く要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

○曽雌委員 介護保険のことについて幾つかの角度からご質問が出ておりますけれども、私も、介護保険絡みで、介護支援専門員の件についてまず幾つかお聞きしておきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 介護サービスの質をどうやって確保していくかということは、介護保険を順調に運営し、また介護保険に対する理解を高めていく上においては非常に重要だと思っておりますけれども、そういう意味では、この介護支援専門員という人たちの置かれている立場というものが非常に重要になってきますので、きょうはそういうことでまずこの介護支援専門員のことについて伺いたいと思います。
 まず最初に伺いたいのは、介護支援専門員についていろいろな議論があります。介護支援専門員の方からのいろいろな意見もあれば、また、この介護支援専門員、ケアマネジャーの方たちにいろいろとアドバイスをもらいながらやっておられる、介護サービスを受けておられる介護の本人なり家族なり、いろいろな人たちがいろいろな意見を持っているわけですけれども、現在、この介護支援専門員が抱えている課題というのは何なんだというふうにお聞きをしましたらば、端的にどういったものが挙げられるでしょうか。

○吉川介護保険室長 介護支援専門員、都内では一万五千名が資格を取っておりまして、四千名が実業についている状態でございますが、大変新しくつくられた資格ということで、資質のばらつきがあるという状況の中で、課題としては三点に整理できるかなというふうに思っております。
 第一は、給付管理などの過重な業務負担があること、第二に、利用者の介護ニーズを客観的に把握、分析した上での効果的なケアプランの作成、それから、見守りなどの一連のケアマネジメントプロセスが十分に実行されていないこと、第三に、利用者である都民の方々に各介護サービスの内容が十分に理解されていないため、介護サービス提供事業者と利用者との調整役を担いますこの介護支援専門員の負担が大きくなっているというような課題の三つであるというふうに認識しております。

○曽雌委員 大まかに分けてその三つかということで今答弁いただきましたけれども、では、そういった課題解消をするために、国の方ではどういうことをやろうとしておられるのか、またしているのか、それについて状況をお聞かせいただきたいと思います。

○吉川介護保険室長 国におきましては、昨年の七月二十六日に支援会議を設置いたしまして、介護支援専門員の健全な育成を図って、その活動を支援していくということにしてございます。現在までこの支援会議は三回開催されたというふうに聞いております。
 この中では、今申し上げた健全な育成という観点から、現任研修の充実などの方策について総合的に検討しているようでございます。
 一方、私ども地方自治体に対しては、支援体制の整備を図るよう呼びかけを受けているところでございます。

○曽雌委員 各地方自治体においても支援体制を整備するようにということの国からの呼びかけがあるということで今お話がありましたけれども、それでは、そういったことを受けて、東京以外の道府県での取り組みの状況であるとか、また、いわゆる介護保険の運営主体者、保険者であります区市町村がどういった取り組みをしておられるのかということについてお聞きしたいと思います。

○吉川介護保険室長 まず第一点目の、他の道府県での取り組みでございます。三つございます。介護支援専門員の方々による研究協議会という、私どもは間もなくそれを立ち上げようとしておりますが、協議会を設置しているのは二十四府県ございます。第二に、専門員の業務の実態調査、これにつきましては、群馬県であるとか北海道でなされているというふうに聞いております。第三点目は、ケアプランを指導、研修するチームを福井県などで設置したというふうに聞いております。これが他の道府県の取り組みであります。
 それから、都内の区市町村の取り組みとしては、武蔵野市では連絡協議会の設置やケース検討会などが実施されております。

○曽雌委員 道府県の取り組み、さらに都内区市町村の取り組みについてお話しいただきましたけれども、特に都内の区市町村の取り組みというのはほとんどまだ進んでいない。ということは、逆にいえば、東京都の取り組み自身がまだまだ進んでいないがゆえに、区市町村の取り組みも進まないのかなという気もするわけでございますけれども、ともあれ、幸いにもといいますか、遅かったかどうか知りませんが、十三年度の東京都の予算案を見させていただきますと、ケアサポート体制の構築という項目が予算案の中に入っております。
 このケアサポート体制の構築というのは、具体的に何をやろうとしているのかということについて簡潔にご説明をいただきたいと思います。

○吉川介護保険室長 ケアサポート体制の概要でございます。大きく三つございます。
 第一に、国の呼びかけもございまして、私ども東京都におきましても、介護支援専門員の支援会議を、今週の土曜日、二十四日に設置する予定でございまして、介護支援専門員に関する支援策を総合的に検討してまいります。
 第二に、同じく二十四日の土曜日に、介護支援専門員みずからがみずからの視点で議論、検討する場として、先ほども申し上げましたが、介護支援専門員研究協議会が設置されますので、それに対する支援を行っていきたいというふうに考えております。
 第三には、具体的な手法として、一つは、他県でもやっております介護支援専門員の実態調査、それから指導研修チームの編成と派遣、第三に介護サービス利用学習会の講師の養成などをやっていきたいと思っております。
 最後に一点だけ足しますと、利用者の介護保険制度の理解という観点で、高齢者の方々の理解が深まるよう、介護サービスの利用の手引きを現在作成しているところでございます。

○曽雌委員 今のご答弁の内容等について、三月三日ぐらいだったですか、一般紙でもかなり関心を持っていただいて、介護支援専門員の研究会をつくることと、東京都の支援組織を設立するということの報道がありまして、これは大きな役割をこれから持ってくるのではないのかなというふうに私は思っています。
 そういう意味では、東京都が区市町村をしっかりと支援をしていくということは大事なことでございますので、そういう視点に立った上でこれから全国を先導していくことができるように、ぜひ東京都のこの介護支援専門員支援会議というものを、二十四日に立ち上げるということでございますけれども、しっかりと協議をしていただいて、そして行政面での課題は何なのか、さらには専門員の活動をどうやって支援をすればいいのかということについて徹底した議論を進めていただきたいというふうに思っています。
 こういう取り組みがあって非常にいいことなんでありますが、一方では、残念ながら、去年十二月に出された、東京都の国民健康保険団体連合会が、月例調査と苦情事例から見た東京都における介護サービスの苦情相談白書というものを発表しておりますけれども、この国保連の白書を見させていただきますと、介護支援専門員の、高齢者ご本人なり、また家族からいろいろと意見が寄せられています。介護支援専門員の方たちが家族に対して説明不足であるとか、また本人に対して対応の仕方がよくないとか、マナーの問題が悪いとか、いろいろな苦情が寄せられているわけでございますけれども、ただ、一方では、ケアマネジャーはケアマネジャーの方としても、やはりいろいろなご意見を持っておられることも載っているわけで、ですから、どちらの意見だけをどうこうと取り上げるのも難しいんだと思いますけれども、ただ、この白書を見る限りにおいては、いろいろな問題が、私たちが想像していた以上に存在していることだけは明らかになってきているわけでございます。
 そういった問題を考えていくと、介護支援専門員の資質の向上をどうやって図っていくかということが一つは大事な観点だと思いますし、介護支援専門員の最も本来的な職務でありますケアマネジメント能力の向上をどうやって図っていくのか、そのための研修というものについても充実をしていかなきゃならないのではないかというふうに思っております。
 そこで、そうしたことも踏まえて、都では研修もしていただいたというふうに聞いておりますけれども、研修を実施していく上での課題としてはどんなものがあるというふうに整理をしておられるでしょうか。

○吉川介護保険室長 介護支援専門員の現任研修、今年度初めてということで、十四回行うこととして現在進んでおります。
 その中で研修実施上の課題として三点私ども認識しておりまして、第一に、研修を行うために必要なケアプラン事例、これは十分まだ収集分析されていないということが一点。二点目は、介護支援専門員は大変新しい職種であるため、この支援専門員を指導できる講師が現段階ではなかなか育っておりませんで、数も十分に確保できていないというような状況でございます。第三が、ケーススタディーやケアコンファレンスに関する研修での指導方法がまだ確立されていないことでございまして、これらの点につきましては、国でもこの研修の検討会を今開催しているところでございます。

○曽雌委員 ケアマネジャーの方たちは、みずからの使命というものをしっかりと自覚しておられていて、少しでも介護サービスが必要な高齢者の方たち並びにご家族の方たちに対して、自分たちの持てる能力を発揮して、いい仕事をしたいというふうに頑張っているんでしょうけれども、そのための資質の向上を図るために現任研修にも参加をしていくとなっている。しかし、一方では、研修をしていく課題が、今お話がありましたように、幾つも残ったままになっているということがありますので、ここのところはきちっと検討していただいて、研修の成果がしっかりと上がるようにしていただかなくてはならないんじゃないかと思っています。
 もう一つは、介護支援専門員の介護報酬が低いという声もよく出てきます。ケアマネジャーの方たちとお話をしていますと、自分たちも責任を持ってみずからの思いを持って一生懸命取り組んでいる。現実には仕事をしていく中においてはいろいろな壁にぶつかっているけれども、その一つが介護報酬が低いことなんだという話もあります。
 これは、先ほど冒頭にお話がありましたように、一万五千人くらいの方たちが有資格者、資格を持っているにもかかわらず、実際に仕事に従事しているのは四千人の方しかいらっしゃらないということは、そういうものにも反映されているのかなと。ですから、もともと資格は持っているけれども、いろいろな事情があって仕事についていない人もいらっしゃるかもしれませんけれども、しかし、一回やってみようということで、その資格を生かして仕事に従事してみたけれども、とてもこれでは続けていくことができないということで離れてしまっている人もいらっしゃるんだというふうに思うんですね。
 そういうことを考えますと、私たちに寄せられているこのケアマネジャーの方たちの介護報酬が低いという声も、現実としては現場の中にはかなりあるようでございますけれども、その実態がまずどうなっているのかということが一つと、そのための取り組みとして当面どのようなものが必要というふうに東京都の方では考えておられるのか、お示しいただきたいというふうに思います。

○吉川介護保険室長 介護支援専門員の介護報酬でございますが、高齢者一人一月当たりで申し上げますと、要介護度別に金額が異なっておりまして、要支援の場合は六千五百円、要介護一から二の場合は七千二百円、要介護三、四、五の場合は八千四百円というのが介護報酬でございます。
 それから、この介護報酬についての取り組みでございますけれども、この介護支援専門員に対する報酬については、現状の重い業務負担に比べて低いという意見が多々あることは私どもも承知してございます。そこで、先ほども申し上げました業務実態の調査の結果なども踏まえまして、間もなく設置いたします支援会議などで検討していただきたいというふうに考えております。

○曽雌委員 それから、先ほどの答弁の中に、介護サービスの利用に関するパンフレットもつくっているということを聞いておりまして、これらはやはり介護保険のことを理解していただく上においては非常に重要なものだというふうに思っていますので、できるだけ利用者の立場に立ったわかりやすいものとしてつくり上げていただきたいというふうにこの際お願いしておきたいと思っています。
 そこで、次にお聞きしたいのは、先ほどのご答弁の中にありましたけれども、介護保険の出前講座というようなことで、介護サービス利用学習会の講師養成をするというようなことも考えているというのも出ていましたけれども、これらを考えたときに、現在は元気で介護保険の世話にはならないでも大丈夫だということで頑張っている高齢者の方たちがいらっしゃいますけれども、そういう方たち、自分は高齢者であっても介護サービスを受けなくても頑張っていけるという方たちは、逆に今のうちにそういった介護保険のことについてしっかりと勉強していただくということも、介護保険の制度、いろいろな問題点について勉強するということは大きな意味があるというふうに思いますけれども、この点についてはどのような取り組みを考えておられるでしょうか。

○吉川介護保険室長 すべての元気な高齢者の方々がみずから介護保険について理解を深めまして、万が一介護が必要になった場合に、適切に介護サービスを利用されるということは極めて重要であるというふうに認識しております。そういう意味で、介護サービス利用学習会という事業を新たに十三年度予算で審議いただいているわけですが、この利用学習会では、元気な高齢者の方々の中でご希望される方を、まず講師という形で養成させていただいて、講師として養成された方々につきましては、高齢者いきいき事業、これは包括事業でございますが、それを活用しまして、区市町村の方で介護サービス利用学習会などを地域で展開していただければ、高齢者がみずから介護保険について十分学んでいただけるというふうに思っております。

○曽雌委員 介護保険をスムーズに進めていくために、介護支援専門員、ケアマネジャーが果たすべき役割というのは大きいということは、私たち一人一人も理解ができているわけでございますけれども、改めて伺っていきたいことは、介護支援専門員の役割とは一体何なのかということを明確にしておくべきことではないだろうかというふうに思っています。
 その役割というものが十分に果たされていくのであるならば、高齢者ケアの質の向上の面においても大きな成果が出てくるんだと思いますけれども、どのような具体的な効果がもたらされるのかということについて、改めて確認を含めてお聞きしておきたいというふうに思っております。

○吉川介護保険室長 介護支援専門員が本来的に求められている役割を果たしますと、私どもとしては自立支援に向けた利用者への質の高いサービスの提供が可能になると考えております。その意味で、介護支援専門員の役割、幾つかございますけれども、三つに整理して申し上げますと、一つは、効果的なケアプランの作成など、ケアマネジメントの実施であるというふうに考えます。もう一つは、介護サービス提供事業者、介護保険施設などの紹介や要介護認定申請の代行などの便宜供与の業務、これが第二でございます。第三は、ケアプランに位置づけたサービスに関する利用者の方々からの苦情の処理というようなものが三つ目かなというふうに認識してございます。

○曽雌委員 では、介護保険の問題の最後にしますけれども、室長に基本的な考え方をお聞きしておきたいと思っていますが、この介護支援専門員に対する支援策というものをしっかりととっていくということは、先ほど来申し上げておりますけれども、介護保険をよりスムーズに、そして本当に介護が必要になった方たちがしっかりと介護サービスを受けながら頑張っていける体制をつくる上においては非常に重要な役割を占めているというふうに思っていますけれども、介護支援専門員に対する支援策について東京都としてどう考えているのか、これからどうしようとしておられるのかということについて、室長のご見解を聞いておきたいというふうに思います。

○前川高齢者施策推進室長 ただいま曽雌委員から種々ご指摘ございましたが、私どもも、この介護支援専門員は、介護保険制度の中で極めて重要な役割を担っていると考えております。しかしながら、これも先ほど答弁をいたしましたが、制度発足後間もないこともありまして、幾つかの課題を抱えております。したがって、この介護保険制度が本当に定着をするためには、介護支援専門員に対する支援体制を整備して、こうした課題に対応することが、緊急かつ重要な課題となっていると認識いたしております。
 ただいま介護保険室長からもるるご答弁申し上げましたが、都といたしましては、新年度予算において、例えば先ほど申し上げたこの二十四日に予定をしている支援会議あるいは研究協議会、こういったものを設置するとか、さらには実態調査等を実施するとか、さまざまな事業を計画化いたしております。
 こうした事業を通じて国への提言等も行い、全国に先駆けて総合的な支援に積極的に取り組んでいきたい、こう考えております。

○曽雌委員 次に、痴呆性高齢者のグループホームについて幾つかお聞きしていきたいというふうに思っております。
 痴呆のある高齢者ご自身がみずから生活を仲間と一緒にしていくことによって、痴呆の進行を遅らせることもできるというようなことで、いわゆる痴呆性高齢者のグループホームというのは非常に注目をされているわけでございます。そこで、この痴呆性高齢者のグループホームを整備していくに当たって幾つか確認したいことがございますので、質問いたしますけれども、まず一つは、整備費の助成についてでございます。
 私たち公明党は、当事業の重要性ということについてかねがね主張いたしまして、平成十年度からその設置促進を要望してきました。その要望をもとに、東京都は独自にいろいろと対応していただいていますけれども、例えば、当時、国の整備基準を見てみますと、特養ホームなどの施設との併設型でなければ、この痴呆性高齢者グループホーム事業は補助を認めないということになっていましたけれども、東京都の場合は、東京都独自に補助事業で、単独の設置についても支援をしますよというようなことで前向きに対応してきていただいています。
 特に東京におきましては、施設の隣地に用地を確保せいといったって、なかなか確保はできないという難しい状況にある一方、職員寮であるとか住宅でかなり空き部屋も多くなってきていることを考えますと、東京都だからできた施策だということでは非常に評価ができると思っております。
 そういう状況の中で、きょうお出しいただいた資料を見ますと、グループホームは十四カ所、そして百三十七人の定員ということで現在運営されているということが報告されておりますけれども、このうち、東京都の単独事業が五カ所であるというふうにも聞いております。さらに東京都の方が五カ所整備中だというふうに聞いておりますけれども、こういったことをもとにして伺っておきたいことは、まず、東京都が先行して取り組みをしてきました東京都独自のやり方、単独設置型についてということで進めてきましたけれども、国の方も、十三年度の予算案において、整備費助成の対象にされたというふうに聞いておりますけれども、このあたりは情報としてどこまでつかんでおられるでしょうか。

○若林保健福祉部長 グループホームに対する整備費補助でございますが、二点ございまして、先生ご指摘のとおり、これまで都が単独型という形で補助していたグループホームにつきましても、平成十二年度の補正予算で国庫の補助対象に認めてもらったところでございますが、さらに十三年度につきましては、対象者、対象法人として、これまで区市町村、社会福祉法人、医療法人ということで限られていたんですけれども、新たにNPO法人、東京都がこれまで補助対象としてきたNPO法人等も国庫補助の対象となるということを聞いているところでございます。

○曽雌委員 東京都が先行的に進めてきたものが、今のお話ですと、十二年度の補正予算並びに十三年度予算の中で、具体的に国の方が取り入れをしてくれたということですから、これはこれで非常に東京都の戦い、東京都の要望が通ったという面ではよかったと思いますけれども、それでは、今まで実施してきました東京都の施策というものは、すべて国の制度の中に入ってしまっていくのかどうなのかということは一点確認しておきたいと思っていますが、東京都の役割というものは、そうなったときにどんなふうに変わっていくんでしょうか。

○若林保健福祉部長 東京都としましては、これまでもグループホームを積極的に整備を進めてきたところでございますが、国が補助要件を改善しまして、東京都が実施してきたものを繰り入れていただくということは非常に大事なことだというふうに思いますけれども、東京都としましては、さらに整備を促進していくという視点から、NPO法人等の場合、どうしても既存住宅を借り上げてグループホームに改修するという場合が多いわけでございまして、こうした事業につきましては引き続き補助対象として、国は建物の所有権があるということを条件にしておりますけれども、都としては借り上げのものにつきましても補助対象としていくということで、東京都の役割を果たしていきたいというふうに思っております。

○曽雌委員 土地も建物も所有権を有するというのは、かなり厄介というか大変な状況だというふうに思いますので、こういう方式でいった場合には、NPO法人がやっていくというのはかなり困難をきわめてしまう部分もあると思います。建物について賃借権での整備が可能になるように、ぜひ東京都の方から国に対して強く働きかけをしていく必要があるのではないかと思っていますので、ぜひこれは機会を見て国の方に要望をしておいていただきたいというふうに思っています。
 次に、運営についてお聞きしたいと思っていますけれども、グループホームでの高齢者の生活というのは、特別養護老人ホームの中に入所して、ああいう大きな施設の中で生活をするというのとは根本的に違うのだと思っています。例えば特養ホームなどでは多くの施設が相部屋になっていて、それまでの生活で自分自身が大切にしてきた物も、かなりのものを整理しなければならないという部分があるんだと思うんですね。思い出の品物があるとか、例えばおばあちゃんであれば、おじいちゃんとのいろいろな思い出の品物もある。だけれども、そういったものを持っていくのもかなり制約があって、どうしても持っていけないということになってしまうとか、それから、おふろに入ったり食事をするについても、一定のスケジュールのもとで何時からですよというようなことになってくるわけですから、かなり制約されている部分もあるのかと思っています。
 しかし、一方、グループホームですと、その辺はかなり自由にできる部分があるんだというふうに思っていますけれども、入居した人たちは、各自好きな時間帯で食事をとったり、おふろも比較的自由に入れるんだと思いますし、居室は原則として個室だというふうに聞いておりますのでね。居室は、単に寝るだけの空間ではなくて、お年寄りの方にとっては、鏡台であるとかたんすだとか仏壇だとか、それまで自分が生活をしてきたときに使っていた思い出の品々をそこへ持ち込んで、今まで生活したものを、そこの場所に新たに生活空間を再現していくことができるという部分があるんだというふうに思っています。
 グループホームでは、入居者は、自分たちで食事をつくったり洗濯したりすることが一般的だというふうにお聞きしておりますので、こういう作業を通して人からほめられて、自分の果たすべき役割、自分は何をやらなきゃならないのかということの目的感、そういったものを持ちながら、お互いに感謝をし認め合いながら、ともどもにグループで生活ができるという面がある。そういうものがあるからこそ、痴呆の進みぐあいを抑えていくこともできるということになるのかなというふうに思っています。
 介護保険が始まったことによって、民間の株式会社も同事業に参入が可能になったということでございますけれども、グループホームを開設したいというふうに思っている事業者の方たちのご意見の中には、こういうグループホームの特性については、新しい事業でもあるので、よく理解し切れない部分が正直いってあるんだと。だから、開設をしたいなというふうに思ってはいるんだけれども、果たしてどうなのかなということでご心配している方もいらっしゃって、たくさんの開設希望の方たちから相談も恐らく都の方にも来ているのではないかというふうに思っていますけれども、そういう事業者に対して、東京都としてはどのような指導をしておられるのかお伺いしておきたいというふうに思っております。

○若林保健福祉部長 東京都では、新たに事業を開始したいという希望をしている方々に対しましては、「痴呆性高齢者グループホーム開設の手引」を既に作成してありますので、これに基づきまして、グループホームの理念、日常生活の支援の方法、それから緊急時の対応、こういったことなどを説明しまして、事業者が利用者本位の適切なグループホームの運営に努められるよう指導しているところでございます。

○曽雌委員 ともあれ、グループホームは、これから新しい事業ですから、どんどんどんどんふえていかなきゃならないし、また、ふやしてほしいというのが都民の願いだというふうに思っていますので、グループの数がふえていくことは非常に歓迎すべきですけれども、数がふえたけれども、サービスの質が悪かったというのでは困るわけであります。
 そこで、この項の最後のことですが、質の確保ということについて伺っておきたいと思っていますが、運営基準などでは、区市町村が第一次的に定期的なチェックを行うことができるというふうになっておりますけれども、まだまだその認識は非常に薄いのではないかと思っています。東京都は、区市町村への指導については、この部分どのように実施をしておられるのでしょうか。

○若林保健福祉部長 痴呆性グループホームの質の確保は大変重要なことであるというふうに認識しております。どうしても小規模でありまして、事業が外部に見えにくく、利用者保護の必要性も求められているところでございます。東京都では昨年十二月に、区市町村担当者連絡会を開催しまして、区市町村はグループホームを定期または随時に訪問し、適切にサービスが提供されているかどうかを調査し、指導するよう徹底したところでございます。引き続き、区市町村と十分に連携をとりまして、サービスの質の確保に努めてまいりたいというふうに思っております。
 また、都の包括補助事業であるいきいき事業の先駆的事業として、グループホームの質の向上という項目がございますので、十二年度に取り組んでいる六区市の事業結果を早期に報告書にまとめまして、事業者や区市町村にその成果を広げてまいりたいというふうに考えております。

○曽雌委員 区市町村に対して、東京都の方から、今いわれたようにしっかりと指導していただくことも大変大事なことですけれども、もっと大事なことというのは、事業者自身がいかに質の向上、確保のために頑張れるかだというふうに思うんですね。
 そういう面で、質の確保を図っていく上では、従事する職員の資質向上というものが当然求められてくるわけでございますけれども、東京都は、それでは事業者に対してどのような指導を今日まで行っているでしょうか。

○若林保健福祉部長 平成十二年度でございますが、痴呆性高齢者グループホーム職員研修を新たに実施しまして、グループホームの運営管理やケアプランの作成などについての研修を行い、従事者の資質向上を支援しているところでございます。これまでということと、今後でございますけれども、十三年度からは、都が行う痴呆介護実習実務者研修、グループホームの管理者は、東京都が行うこの研修の受講が義務づけられることになりますので、受講していただくように指導していきたいというふうに考えております。

○曽雌委員 研修については、優先的にグループホームの従事職員に対して行っていただくということで、先ほどわかりましたけれども、それぞれのグループホームがどのような運営体制をとっているのか、運営の基本方針はどういう方針になっているのか、また、今述べた研修の受講状況を初めといたしまして、職員の体制であるとか利用料金だとか、そういったものを広く都民に情報公開されていなければ、利用しようとする方の都民にとりましては非常に不便なものになってしまいますし、先ほど一部閉鎖的な部分もあるといっていましたけれども、そういうことをしっかりやっていかないと、都民の理解を得られることは難しくなると思っています。
 そういう面で、都民がグループホームを選択するときに参考になるものがきちっとなければならないと思います。そのためには、運営状況をガラス張りにしていくことであったり、また、グループホームの質の確保の上でこういうことをやっていますよというようなことを明確に都民の前に明らかにしていく、そうしていくことによって事業者の責任が明らかになりますし、質の高いサービスの提供というものもできてくるわけでありますから、そういう意味での競い合いの原理といいますか、お互いに競い合って、質のいいものをつくり上げていくということを考えれば、情報公開についてもしっかりとした取り組みが必要だと思っていますけれども、東京都としては、この情報公開についてはどのようなお考えを持っておられるでしょうか。

○若林保健福祉部長 東京都では、従来から東京都介護サービス情報システムというのを設置しまして、グループホームだけではないんですけれども、介護サービスを提供する事業者の協力のもとに、情報をインターネットによって都民に提供してきているところでございます。これは、グループホームも同様の情報を提供していただいているところでございます。
 新たに国は、十三年度から、グループホームを運営する事業者に対し、管理者等の資格、研修の履修状況、利用者の負担など、都や区市町村、サービス利用者等に情報提供することを義務づけたところでございます。
 このように国が新たな情報公開の規定を整備したところでございますので、都としましても、都民が安心してグループホームを利用できるように、区市町村、事業者とも十分連携をとりまして、より一層の情報公開を進めていきたいというふうに考えているところでございます。

○曽雌委員 最後に意見だけにしますが、痴呆性高齢者のグループホームの設置状況の資料をいただいたときに、十四カ所設置されていますけれども、実は残念ながら私の住んでいる大田区の中には--大田区という名前は出てこないわけでありますけれども、大田区も実は取り組みを今いろいろとしていただいておりまして、来年度には痴呆性高齢者のグループホーム事業がいよいよスタートするところまで来ています。それだけに地元の関心も高いわけでありまして、どういうものができるんだろうか、一つできたことによって、そこの中で痴呆の高齢者の方たちがどういう成果が上がったのかということを見れば、ますますこの痴呆性高齢者のグループホームをつくってほしいという期待が大きくなってくるのではないかというふうに私は思っています。
 そういう面で、グループホームを必要としている高齢者がいつでも利用できるように、また、きちんとしたサービス提供が受けられるようにしていくためには、先ほど来お話しさせていただきましたけれども、東京都と区市町村とサービス事業者が連携をしっかりととっていただいて、サービス体制の整備を進めていかなければならないというふうに思っていますので、ぜひこの点にも意を用いていただいて、関係者間との協議、連携をしっかりと図っていただけるようにこの際お願いしておきたいと思いますので、よろしくお願いします。

○野村委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後二時五十分休憩

   午後三時七分開議

○野村委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○和田委員 ひとり暮らし高齢者と入居身元保証人制度についてお伺いします。
 これは事務事業の説明のときにも新事業として説明されていました。もとより国のレベルでもそうでありますが、二〇〇〇年で高齢者率が一七%で、二〇一五年になって二五%になります。なおかつ、数にすると一千万人ふえるというわけでありますから、おおむね東京都民に近い高齢者が二〇〇〇年から二〇一五年の間にふえるという、そういう極端な高齢化が進むわけです。そうなりますれば、当然いろいろな方がお年寄りの時期を迎えるわけでありまして、ご夫婦で迎える方もいらっしゃるでしょうし、単身で迎える方もいる。家を持っていらっしゃる方もいるし、持ち家じゃない方もいらっしゃる。
 いろいろな変化の中で長寿社会、高齢社会が構成されていくわけでありますが、私が関心を持っているのは、ひとり暮らし高齢者の身元保証ということです。とりわけ昨今は婚姻率が下がってきたりしまして、ひとりで積極的に人生を自分なりに生きていくという方もいるわけであります。また、場合によっては離婚、死別ということもありますが、少なくとも人生どちらかが何秒か何時間か何日か先にいなくなることが当然のことでありますから、その時期が長ければ長いほど、高齢者のひとり住まいということを行政的にも受けとめていかなきゃならないだろうと思っています。
 東京都で六十五歳以上の比率が、近年、この五年ぐらいどう変わってきたかということを調べてみますと、これは平成八年で二十四万二千七百十人、九年で二十五万三千百五十人、十年で二十六万四千五百七十一人、十一年で二十七万五千九百四十、今年度、十二年では二十八万六千百七十一人ということで、平均毎年一万人プラスアルファの人がふえてきているという数字が東京都レベルでも出てきています。今この十二年では、二十九万人近い方がひとり暮らしの高齢者で私どもと一緒に生活をしているというわけでありますから、相当な率でありまして、おおむね一六%ぐらいの方がひとり暮らしをしているということに数字上はなっているわけです。
 そこで、今東京都は、十二年の事業概要にもご紹介申し上げたとおり、この身元保証を何とか制度化しようということで、この前の私の質問には、十二年度中、もう間もなく十二年度中に終わってしまうような、この三月中に検討委員会の考え方が出されるということでありますから、相当煮詰まってきていると思うんです。しかし、東京に先立つこと、五区六市では、既にこの種のことの施策を打っているようでありますが、それについて、部長になりますか、ご答弁をお願いします。

○若林保健福祉部長 ひとり暮らし高齢者等の身元保証人制度の実施状況ということでお答えさせていただきたいというふうに思いますけれども、ご指摘のとおり、五区六市が単独事業として実施しているところでございます。
 内容的なものを主なものをちょっと申し上げますと、大田区では、滞納家賃保証ということで、これまで十二件実施しているところでございます。十二名の現時点での加入者でございますけれども、おられます。それから板橋区では、借家人賠償保険、滞納家賃保証、加えて緊急通報支援システム、こういったものを事業の内容に加えまして、板橋区では現在加入者が三件、あと三多摩の方では府中市でございますけれども、滞納家賃保証あるいは火災保険加入ということで六人の方が現在加入中、こういう実績でございます。

○和田委員 今、若林部長から、板橋の三件と府中の六件が出たんですが、私も港区を調査しました。港区は、これはゼロなんです。しかし、制度のスタートは平成六年からやっているのでありますが、ここのところへ来てゼロですということでした。私が係の人にどうしてですかと聞きましたら、港区の場合には、区長が保証人になるというスタートを切っているんです。これは、地方自治法上、区長が公益にかかわる部分については保証人になれるけれども、個人の保証というのは公益といえないだろう、したがって、これは自治法違反の可能性もあるというようなことで、港区の方では、事実上今制度はあるんですけれども、それを動かしていないという答えが返ってきました。
 これはもう基本に立ち返った問題でありますけれども、区長が保証人になっている限り、これは自治法違反になるかもしれないというので動かしていない、そういう区もあります。したがって、港区はゼロ。
 それから調布もゼロです。それから日野もゼロです。清瀬もゼロというふうに僕は調査してあるのでありますけれども、要するに、制度そのものが大事だなと思うのでありますけれども、それぞれいろいろ欠陥があって、今ある制度そのものはそれほど稼動していないということがいえます。府中の場合にも、市民福祉公社などで平成九年に開始しているのでありますけれども、やはり六件という実績はありますが、これが多いとは決していえないというふうに答えておりますが、総じて港のゼロだとか調布、日野、清瀬のゼロというような、六市の中でも四市がゼロというようなあっせん率の理由というのは、どういうところにあるとお考えなんでしょうか。

○若林保健福祉部長 各区市が単独の事業として立ち上げているところでございますが、全般的に利用実績が伸びていないというのを総括的に整理してみますと、二つありまして、利用者側から、対象者の要件が非常に厳しいのではないか、利用しにくいのではないかという意見がございます。例えば住宅の取り壊しにより転居を求められ、住宅に困窮していること、そういう要件をつけたり、あるいは二親等以内の親族がいないこと、こういった要件をつけられてしまうと、利用しにくいということがあります。
 それから、今度は大家さんの側、住宅を貸す側からの、制度の内容が必ずしも十分ではないのではないかという指摘があるわけでございます。具体的に申し上げますと、入居の際の身元保証だけでは、例えば亡くなられた場合の葬儀だとか家財等の片づけとか、そういったことをだれがやるんだということで対応できていない、こういうような指摘もいただいているところでございます。

○和田委員 五区六市は、早いところは平成六年ぐらいからスタートして、実験的というか、試験的にこの制度に踏み込んだのですが、今、若林部長のご答弁のとおり、利用者の側の方にも制約がある、それから貸し出す側の大家さんの方にも制度そのものに不備があるということで、お互いに大きな制度はいいけれども、具体的な保証の段階、あるいはそれを自分が利用しようという段階では制約があるということで、そういう条件は、名目はいいんだけれども、実際には機能しないということで、ほぼこれは制度的には冬眠状態といっていいのではないか、府中などの例を一つの例外にして、ほかはもう制度的には動いていないのではないかというようにいわざるを得ないと思うんです。
 それらを踏まえて、五区六市のほかに、例えば入居支援制度というのはほかにどんなものが現在あるのかということをお尋ねいたします。

○若林保健福祉部長 財団法人東京都防災・建築まちづくりセンターというところで入居支援制度を実施しているところでございます。平成七年度から事業を実施しておりますけれども、これも、先ほどお話がありました板橋区や大田区、そういう区と連携をとりながら実施している関係で、先ほど申し上げました数字といいますか、加入者が非常に少ないところでございます。
 制度の内容としましても、先ほどご答弁申し上げました家賃保証であるとか、借家人賠償保険であるとか、あるいは緊急通報支援制度とか、こういったものがその内容になっているわけでございます。やはり大家さんの側から見ると、この制度では利用状況は伸びない、利用しにくいという指摘があるというふうに聞いております。

○和田委員 一方で、二十九万人近い、東京都の中で高齢者のひとり暮らしの方がいらっしゃる。そういう方々のために居住保証をしようということで、各自治体や、あるいは先ほどの防災・建築まちづくりセンターなどのように、こういう制度を用意しても、実績が一名とかあるいは五名だとかというようなことで、随分乖離しているなという気がするんです。
 その意味で、多分高齢者のひとり暮らしの方のためにつくられた制度が、各地方自治体にもありセンターにもあるんだけれども、そこを本当の意味で動かしていくためにどういう改変というか、改めをしなければならないのかというのを、今真剣に考えていかなければならないと思うんですね。
 今、東京都が、十二年、立ち返って、ひとり暮らし高齢者等の入居身元保証人制度をつくりますよということで検討されているやに聞いています。私どもの手元にもその検討委員会のメンバー十四人の方のリストがあります。中には、弁護士の方、大学の先生、あるいは火災海上保険の役員の方、あるいは不動産の関係、さらに保証株式会社だとか、共同住宅の人だとか、各自治体の方もいますけれども、そういう、今若林部長が答弁いただいた各自治体の経験も、それからセンターの経験も、全部動かない理由を熟知した方々十四名で、今年度中に一つの東京都の新しい高齢者ひとり暮らしの方々の身元保証制度をつくろうと、提言しようということで動いているわけでありますが、この方向というのは今どの程度に進んでいらっしゃるんでしょうか。

○若林保健福祉部長 ただいま先生からお話がありましたように、学識経験者、それから関係団体の方々、自治体の方々をメンバーとする検討委員会を設置しまして、現在そのあり方を検討して、今月末までに何とかまとめたいということで作業を進めているところでございます。
 そのまとめの方向でございますけれども、失火時や家賃滞納時の保証を必要とするのではないかという点が一点。それから、入居者の緊急時の対応、先ほどご説明申し上げましたけれども、病気であったり、あるいは亡くなられたりしたときに、提携した民間サービスやシルバー人材センター等による在宅支援サービスの提供をどういうふうにしたらできるだろうか、そういうような保証の部分とかサービス、提供する機関をどういうふうに設置できるのだろうか、そういうことでの議論を今深めてまとめようとしているところでございます。

○和田委員 確かに労働経済用語だとこれはミスマッチというんでしょうか、こちら側の要求度とこちらの要求度は違うので、つながらないというような状態が、平成六年からずっと、早い自治体でも六年ぐらいから始めているようでありますが、全く意図したところに落ちつかないで今日まで来た中で、東京都がそういう矛盾を解消できるような制度を、今提言待ちというところまで詰まっているようであります。
 ただ、先ほど来部長の答弁もありましたし、私も申し上げましたけれども、要するに、貸すときだけの保証じゃなくて、その方の病気や入院やあるいは死亡とか、そういう不時のときにどう保証してくれるかというのが、余り大家さんの側の方の要求を満たしてない。それから、借りる側の方の高齢者ひとり暮らしの方々にとってみれば、余りに借りる際に、こういう条件、こういう条件、こういう条件とあるために、そこまで到達しないうちにあきらめてしまうというようなことから、実際の拒否される率よりも、その加入に意気込んで行くところの前段階で回れ右してしまって断念する方が多いように私は思うんです。
 そういう意味では、今部長の答弁の、今年度中に出てくるという東京都の検討委員会の結果というのは、私は注目していきたいというふうに思っています。
 住宅の問題でいえば、今通常国会に、高齢者の居住の安定確保に関する法律案という形でこれが出されています。これも、都民、国民は別にして、同じようなことを考えているわけでありますが、東京都と国の今の通常国会提案の法案とは、どういうふうな特徴があって、差があるんでしょうか。

○若林保健福祉部長 国におきましては、高齢者の居住の安定確保に関する法律案を現在国会で審議中でございます。内容的には、バリアフリーであるとか、住宅のハードな部分の整備とあわせて、ソフトな部分としまして、身元保証に関連しましては、登録された住宅に関しては家賃滞納時の債務保証をどういうふうにしていくか、あるいは終身建物貸借制度をどのように創設していくか、こういったことを内容とする法律案であるというふうに聞いております。

○和田委員 ここと全く違う福祉局のときに私は議論させていただいたんですが、心身障害者の方々の扶養年金の問題を取り上げました。それは東京都は昭和四十四年からスタートさせました。ところが、国は翌年の四十五年から同じようなことをスタートさせた。今東京都も財政が厳しい折でありますから、それをどうするかという問題も含めて、十三年度中に、五年経過したら再検討するという前の石川福祉局長のときの答弁もあったりして、ちょうど平成八年だったものですから、十三年が五年経過した年になるもので、それを検討するということを答弁いただきましたが、それと同じように、類似の制度を東京都がもしもつくって、国と重複するというか、わかりにくいというか、そういう制度の二の舞になりはしないのかなという気もするんです。
 ですから、私のその危惧を払拭するような形で、いや、国は国で、今部長答弁された、登録された住宅に関して家賃滞納時の債務保証をしますよとか、あるいは終身建物賃貸制度の創設によって不安を解消しますよというようなことは、それはいいんですが、しかし、これから出されるであろう東京都の方針、考え方が国と全く同じだったときに、四十四年、四十五年にできた心身障害者の方の扶養年金と同じ轍を踏むのではないかという私の危惧は、払拭できますか。

○若林保健福祉部長 現在、まとめの方向でいろいろ検討しているところでございますが、国の身元保証関連でちょっと申し上げますと、国はかなり狭く整理をしようとしているようでして、登録された住宅に関して家賃滞納時の債務保証をしていくんだということで、私どもの方としては、もう少し範囲を広げた形で検討を今してきているところでございます。まとめの方向はまだきちんとご報告できる段階ではありませんけれども、国の動き等も十分視野に入れながら検討しているところでございます。

○和田委員 国よりも広い範囲でということでありますから、部長答弁を信じたいと思って、国とは違う、ひとり暮らし高齢者のそういう住宅事情にこたえられるような制度に、お答え--若林部長じゃなくて、その考え方を、答申がそう出てくるかなというふうに思いますが、具体的にはそれを待ちたいと思うんですけれども、ただ、この概要の説明のところに、実施主体が都となっているんですね。実施主体は東京都と説明がされています。
 ということは、その制度全体を東京都が責任を持って動かしますよと、そういうあらわれなんですか、これは。これですよ、この概要の三〇ページの一番下、実施主体が東京都となっています。

○金内高齢政策部長 事業概要の紹介だと思いますけれども、この実施主体、東京都というのは、検討の実施主体が東京都だということでございます。

○和田委員 ということは、考え方、フィロソフィーというのは東京都がつくって、実際に動かすのは市区町村という考え方でよろしいですか。

○若林保健福祉部長 実施主体は、区市町村を含めた、広く団体に対応していただくという仕組みになっております。

○和田委員 当初このアイデアは、地域福祉財団が考えたように聞いているんですね。それが、統廃合の結果、制度改正のために消滅したというところで、高齢者の方で考え始めているというふうに聞いてはいるんですが、そういうことはありますか。

○若林保健福祉部長 そういうことはありません。

○和田委員 財政が厳しいからというようなことで、もちろんそれは大義になると思うのでありますけれども、一つ一つの制度をつくったり提案するというときに、繰り返しますが、国と二重行政のような形になることは極力避けなければいけないというふうに思います。
 今回のことも、考えはいいんだけれども、かつて地方自治体や、あるいはセンターなどがやっても、余りご要望と合致した形で成果が上がっていなかった。それを、テーマとしてはいい政策なのだからこれは取り入れようということは、私も賛成でありますし、推進したいのでありますけれども、結果として、国なりと重複して、一番対象となるひとり暮らしの高齢者の方に戸惑いや不安なり何なり出てくることは避けなきゃならないことでありますから、そういう意味で、今私は聞いているわけです。
 この制度そのものが、もしも提案されて、これから先のことになりますけれども、今年度末に出てくると。そうした、次の手順はどうされますか。市区町村の方に、こんなメニューがありますからどうぞお使いくださいというふうに紹介で終わるのか、あるいは、そこに、あるところ、付加的な、財源的なものをつけて、インセンティブをつけていくというような形になるのか。ただ単なる研究発表で終わるのか、それとも推進するためのエンジンをつけて提案するのかという考え方です。

○若林保健福祉部長 先ほど先生もご紹介ありましたけれども、この検討委員会のメンバーには、学識経験者のほかに、実務に携わる方々も多数ご参加いただいているところでございます。そういう方々の実践を視野に入れたまとめを出していただけるのかなというふうに考えておりますので、それを踏まえまして、特に大きな課題になっております、ひとり暮らしの高齢者の方々等へのサービスの提供をどういうふうに実践していくかというところに着目しながら、実践に向けて、まとめをいただいた後でございますけれども、新年度に、都庁内あるいは区市町村とも、具体化に向けての検討をしていきたいというふうに考えているところでございます。

○和田委員 先ほど来、私は否定的なことを申し上げたんじゃなくて、このアイデアなり政策には賛成をしているわけでありますけれども、やる以上は、さきに申し上げた扶養年金のような二の舞を踏まないように、整理整とんした形でスタートしてほしいと。そのことが、二十九万人いらっしゃるというひとり暮らしの高齢者の方々の、全部じゃありませんけれども、中にはお持ちの住居不安というものを解消していく大きなプレゼントになると私は思っているものですから、そのことを強く申し上げているんです。
 それで、さきにご紹介申し上げたとおり、年に一万数千人の方々がふえてきて、十三年度も多分そうなると思うんでありますけれども、そういう方々の中で住居に不安を持つ方というのは、国の調査を見ても随分多いんですね。それから、貸してもらえないんじゃないだろうかと。それは、不動産を持っている会社の方も、高齢者には貸さないよ、貸したくないなという気持ちは、相当国の世論調査でも挙がっています。また、高齢者の方も貸してもらえないんじゃないかという不安が両方まだあるわけですね。
 それを、国の今度の法案がもしも通れば、国も解消しなきゃならなくなるでしょうし、東京都の方も、二十九万のひとり暮らしの高齢者の方々に、東京都もこういうメニューがあるので、国と比較してよければ使ってほしいということで、それは東京都が主体というんじゃなくて、地方自治体になるのか、あるいは第三セクターになるのかわかりませんけれども、そういう形で動かしていく必要があるものでありますから、これはできるだけ早くスタートすべきだと。いうならば、ハードの問題じゃなくて、ソフトの完成さえできれば、これはすぐに売りに出せる商品と同じだと私は思うんです。
 ついては、急げばいいというわけじゃありませんけれども、十三年度ぐらいに、十二年度にその案は出るといっていましたけれども、十三年度のできるだけ早い時期に、関係する部局なり、あるいは自治体なり諸団体と話し合いを詰めて、製品として都民の前に売りに出せる、売りに出すというか、出すところまで部長の方でご覚悟を決めていらっしゃるかどうかお伺いいたします。

○若林保健福祉部長 先生ご指摘のとおり、ひとり暮らし高齢者の身元保証、住宅確保というのは、東京都だけの課題ではなくて、全国的な課題でございます。ですから、国においても、法律案の審議を今されているところでございます。
 そういう部分につきましては、国の法律案、法律になり、具体的な策が示されれば、それはそれとして東京都としても受けとめていくと。そうでない、対象にならない部分、独自の部分を、このまとめをいただいた上で検討していきたいというふうに思っているところでございます。
 ですから、国の方がどういうふうに動いてくるかというのも、検討に当たっての重要な要素になるというふうに考えているところでございます。

○和田委員 先に、国は登録された住宅に関してという制約を設けているんですね。だから、その制約を取り除いて東京都が幅広くやるだけでも、都民の方は相当安心してこの制度を歓迎してもらえるかなと思うのであります。
 ですから、国と整合するところは整合する。それから、国とは違って、自治体、東京都であればこそ出せる長所、いいところは積極的に打ち出して、それこそ石原さんは国と勝負しようというぐらいなあれでありますから、国と東京都の制度を比較して、やっぱり東京都の方がいいよというふうな、そういう凌駕する形での施策の選択を都民に与えられるように努力をお願いして、私の質問を終わります。

○藤田委員 私も、何点かについてお伺いさせていただきたいと思います。
 介護保険については、前回の事務事業の中でも、おおむね混乱もなく順調に運営されており、都民の理解も着実に深まっているというふうにいわれたわけでありますけれども、実際にはなかなかそういっておりませんで、介護保険料を払っているんだからといって、非常に元気な方が私にも何かしてもらえることがあるんじゃないかしらというようなことを多々お聞きするわけでございます。
 私も、市民の運動の中で、東京で七百人ほどの方に、介護保険が始まる前と始まった後五年間の定点調査、いわゆる同じ方七百人にその前後でお話を伺うというようなアンケート調査のメンバーの一人としてかかわっておりますけれども、それが、先週の土曜日と日曜日にNHKの中でも放送されておりました。
 私は、実際には六人の方の調査を受け持っておりますけれども、杉並の中で五十人のメンバーにお願いしているんですが、それこそ、今どんどん減りつつあるというような状況の中でいろいろ見えてくるものがありますので、これを土台に五年後の見直しの中で提言ができるようにというようなことでやっているわけであります。
 それと同様なことが、東京都のこの新年度の予算の中で、東京の介護保険を育む会というようなことで、今、公募の委員も含めて選出をし、そして、東京から介護保険に対しての新たな提言を積極的に検討していく会にしたいというようなことをおっしゃっていらっしゃるわけでありますけれども、実際には、介護保険の施設の一つである介護療養型医療施設の整備ということで、本会議の中でも、容積率に関する特別の措置ということが、都市計画局長からの前向きな発言もありました。
 何しろ東京の中では、地方と違うような形で、いろいろ施設の問題も、それからヘルパーの問題も、それぞれの家庭に置かれている介護の状況もやはり違う面がありますので、この育む会を含めて、積極的に新たな提言を検討していくべきと考えますけれども、まず、室長に、どのような提言をなさっていくのか、決意も含めて、お伺いしたいと思っています。

○前川高齢者施策推進室長 これは介護保険制度に限らないわけでありますが、私どもは、福祉全般について、東京の特性に合った、本当の意味での利用者本位といいますか、それをぜひ実現をしたいと考えているわけであります。
 介護保険も同様でありますが、先ほどそれほど順調でもないというご指摘もありましたけれども、ただ、区市町村の方々であるとか、あるいは現場の事業者の皆さんであるとか、あるいはケアマネジャーの方々であるとか、大変なご尽力をいただいて、私どもは、制度発足初年度にしては、それなりに頑張っていただいているなというふうに考えております。
 ただ、これはそのままでいいという意味では毛頭ありませんので、今ご指摘もありましたが、基盤整備のおくれであるとか、あるいは先ほどご議論があった介護支援専門員への支援であるとか、いろいろな問題があるだろうと思います。
 それにつきまして、これも今ご意見がありましたが、東京の介護保険を育む会を新年度早々にも設置をして、介護保険制度が都民にとってよりわかりやすく使いやすいものとなるように、積極的に取り組みたいと。五年後の見直しを待たずに、できるだけ早急に改善案を取りまとめて、必要に応じて国に対して提案をするとか、あるいは私どもがみずから実施をするとか、そういうふうにして前向きにやっていきたいと考えております。

○藤田委員 まさに走りながら制度を整えていくというような状況があることはわかっておりますし、それから、よく吉川部長とも話をするんですが、実際には、要するに二〇一五年、いわゆるピークになるのは、団塊の世代が六十五歳になったそのころからだと思いますから、そのときに間に合わないような制度では困るわけで、今の高齢者の方々には、もういきなりこういうことが入りますので、非常に厳しい状況は多々あるというふうに思いますけれども、そこへ向かって、準備段階できちっと提言をしていくということが大事だというふうに思っております。
 それから、介護保険制度では、保険と医療と福祉のサービスの一元化、いわゆる社会的入院も含めまして、医療の方に非常に重きがなされていたものを、何とか福祉の方の場面で、予算的にもといいますか、経済的にもそれを少し肩がわりをする、そして社会でみんなで見ていこうというようなことが大変大きな目標にあったというふうに思います。
 そういうことを考えますときには、医療という専門的な立場から、主治医の意見書というのが、要介護認定の場面においても、判定手続においても、極めて重要な役割を果たしているというふうに思います。これは、実は、痴呆性の高齢者に対してコンピューターの判定が非常に低く出るというような状況をカバーするためにも、ここのところが重要でありますし、それから、要介護認定で職員が出かけていきますと、お年寄りが、毅然として、何もできないのに全部できるというような状況の発言をなさるというようなことも含めて、日ごろから見ていらっしゃるお医者さん、主治医の意見書というのが非常に重要になるかと思っています。
 現在、この主治医といいますか医師の方々に十分理解していただくために、今年度から主治医研修というのも行われているというふうに伺っておりますけれども、その実施の状況、それから、研修の中で指摘された課題などがありましたら、お知らせいただきたいと思います。

○吉川介護保険室長 今年度から新たに実施いたしました主治医研修では、主治医の役割や主治医意見書の具体的な記入方法などにつきまして経験豊かな医師から講義をしていただきまして、この一月から三月までの間に六回、これは六回とも土曜日でございましたが、延べ人数で約五百五十名の医師の方々にご参加いただいて、実施したところでございます。
 研修の中では、介護支援専門員から被保険者に関する担当者連絡会、いわゆるケアコンファレンスでございますけれども、このケアコンファレンスの開催の呼びかけがほとんど主治医の方にないというふうなご意見であるとか、それから、主治医意見書、極めて重要な役割を担っておりますが、この意見書の書式について、主治医の中に大変高齢の先生方もおいでになるということで、どうも文字が小さくて見にくいよと、記入しにくいというふうな、大変細かいといえば細かいんですが、具体的なご意見も出されたところでございます。

○藤田委員 医師の方々は、医療の現場でということで、福祉の部分にも参加するというのがなかなか難しいような状況がこれまではあったわけでありますけれども、今お話のあったケアコンファレンスの実践の場でこの連携が深まるというのが非常に重要であるというふうに思うわけです。そういう場面をつくっていくということがこれから重要なことになってくると思いますけれども、介護支援専門員、ケアマネジャーとの連携が非常に重要であるというふうに思うわけです。
 実際にどんなことが行われているのかをお尋ねしたいんですが、もう一点、いわゆる北欧などでは、施設におきましては、医者がリーダーではなくて、そこに、施設長というのは大体福祉の関係の方で、そして、お医者さんがこの人はもう大丈夫だ、自宅に帰れるというようないい方をしても、絶対、最後の施設長、福祉の関連の方がオーケーを出さない限りは無理だというような、それくらい福祉の方々がきちっと見ているというような状況があるわけですけれども、実際には、先ほど他の議員からのお話がありましたように、ケアマネジャーの役割というのは、ケアマネジメント、それから便宜供与、苦情処理というところにとどまっているわけです。
 ケアマネジャーがそれ自身をやるかどうかは別にしても、もう少し在宅の部分で、そういうリーダーになり得る人たちを養成もしていく必要もあろうかと思いますし、そういう立場になる人がきちっといるというようなことがこれからは求められてくるのではないかと思いますけれども、その二点についてお尋ねします。

○吉川介護保険室長 介護支援専門員と医師との連携といいますか、それから、施設内でいうと施設側の経営者といいますか、そことの連携というお話だったと思います。
 介護支援専門員との関係でいいますと、介護支援専門員というのは、高齢者ご本人の介護サービス計画の作成を担当する、調整するという役割を担っておりまして、かかりつけ医師というのは、主治医というのは、日ごろからご本人の健康状態を十分熟知されている立場ということでございますので、この間の連携が十分に図られるということは、高齢者ご本人の介護を要する状態に応じた適切なサービスが提供されるという意味で極めて重要だというふうに認識しておりますが、残念ながら、そのケアコンファレンスもまだ十分に行われていないとか、それから交流も果たされていないというふうなことがございます。
 施設側との--先生お話もございました。施設経営者と介護支援専門員もしくは主治医との関係でいいましても、介護支援専門員というのは、いわゆる在宅系の介護支援専門員でいえば、施設の中にはタッチできない。それから、医師の立場からいうと、施設には非常勤医師がいて、かかりつけ医師というのは基本的にそこへは介入しないというようなこともあるのかと思います。
 そういう意味では、施設サービスの方々、それから在宅サービスにかかわっている介護支援専門員なり主治医、かかりつけ医師等との、私どもの立場からいわせていただければ、できるだけ相互が交流するというようなことを図っていくことは大事だなというふうには感じております。

○藤田委員 ごめんなさい。ちょっといい方が悪かったのかもしれません。施設の中では、北欧のあれでは、医者が中心ではなくて、福祉の関係の人が中心だよと。それから、施設の、それを在宅という場面で見たら、今役割としてはケアマネジャーはそういう役割じゃないけれども、いずれそういうことができるようなリーダーをつくっていかないと、なかなかそこの福祉と医療の連携がつけられないんじゃないのというふうに申し上げましたので、ぜひその辺も頭の中に入れておいていただければ幸いでございます。
 それから、専門の委員会を設置して、いわゆる医者だけではなくて、かかりつけ歯科医の意見書活用モデル事業というようなのもやっていらっしゃるというふうにいわれているわけです。実際には、食べるということに興味がなくなってしまうと、本当に生きていく力がなくなってしまいます。そして、このかむということによって、脳に働きが、命令が行くんでしょうかね。
 そういうことで、まず、食べるということがとても大事だ。そのためには、八〇二〇運動というのがありましたけれども、要するに八十歳のときに二十本の歯が残っていると、こういうことが本当にしっかりとみんなの中にあれば大分違うと思うんですけれども、なかなかそうはいっていない。食べられないということで大変痴呆が進んでくるというようなこともあるわけでございますので、今お話をしたかかりつけ歯科医意見書活用モデル事業というのをちょっと教えていただきたいと思います。

○吉川介護保険室長 先ほどちょっと的確な答弁ができないで申しわけありませんでした。私どもが答弁した趣旨は、日本の介護保険制度では、やはりリーダーは介護支援専門員になっていくんだろうというふうに、サービスの調整をするのは介護支援専門員というふうに位置づけられておりますので、そういう意味で、十分支援していきたいというふうに思っております。
 それから、今先生からお話のあったかかりつけ歯科医意見書活用モデル事業でございますが、厚生省も、八〇二〇運動というのでしょうか、八十歳でも二十本の歯というようなことでございますが、先生ご指摘のとおり、幾ら高齢になっても、食べるということでちゃんと栄養をとるということは極めて大事だということから、この事業は、要介護認定に当たって、主治医意見書、これは制度上ある意見書でございますが、これに加えまして、かかりつけ歯科医意見書をモデル的に添付させることによりまして、要介護認定にどのような影響を与えることができるのか、また、このかかりつけ歯科医意見書に記載されました意見を、要介護認定後の、例えば歯科診療、歯の治療などで活用することによって高齢者の口腔状態がどのように向上できるのか検証する事業でございます。
 このため、保険者である区市町村の課長級職員に加えまして、学識経験者、医師、歯科医師、福祉施設の経営者などから成る検討委員会を設置して、現在検討を進めているものでございます。

○藤田委員 今のメンバーの中で、学識経験者、それから区市の課長さん、それから、医師、歯科医師、福祉施設の経営者というような状況がありましたので、連携の第一歩というふうに思っています。
 それから、私、地域の薬の関係の会に行きましたときに、これは東京都の薬剤師会でも出しているのですが、「介護に役立つくすりのはなし」というようなのがあります。それから、これが「美お味いしく食事してますか」というので、歯科医師会で、いわゆる高齢になったときに口腔ケアをこんなふうにしましょうというような、そんなパンフレットやチラシがあるわけですけれども、どうでしょうか、皆さん方はなかなか目に触れないんじゃないかなというふうに思うんです。
 私も、中身を見ますと、大変申しわけないけれども、そんなに大層なことは書いてないんですが、ただ、高齢になりましたときにというか、お薬をたくさんもらうんですが、実は、もう私治ったわというので大抵捨ててしまうとか、あるいは、私のいただいたお薬はよく効いたわよというのでお隣の人に差し上げてしまったりとか、それから、溶連菌で実はここのところがはれてしまって、しかし、本当は溶連菌というのは、一週間たっておさまっても、もう一週間きっちり飲まなければまた出てきてしまう、そういうような状況なのにもかかわらず、落ちついたからというのでもうやめてしまうとか、勝手に判断をしてくれてしまうというところで、ある意味では医師の皆さんも、それから薬を処方する方も、非常に困っていることがたくさんあるわけなんです。
 それもこれも含めまして、やはり今お話ししたようなチラシや冊子というものをぜひアピールしなければいけないかと思っていますけれども、それについてはどんなふうなことになりますでしょうか。

○吉川介護保険室長 ただいま先生が手にされましたパンフレットは、私ども高齢者施策推進室の方で薬剤師会の協力をいただいてつくったものでございますが、確かに、介護保険と口腔ケアもしくは薬との関係について関連づけてわかりやすく解説したパンフレットの作成というのは余りされてこなかったと思います。そういう意味で、医療サービスに関する専門的な立場からのアドバイスを含めたパンフレットを作成しまして、高齢者の自立支援に向けて周知していくということは極めて大事だと思っておりますので、今後とも関係団体と連携を図っていきたいというふうに思っております。

○藤田委員 今お話のありました介護保険制度での医療サービスというところで、居宅療養管理指導というものがあるわけですけれども、そこのところについてお尋ねしたいのと同時に、これも含めて、こういうサービスがあるよというのを広く周知をしていく必要があると思いますけれども、そのことについてお尋ねをいたします。

○吉川介護保険室長 居宅療養管理指導というのは、在宅十二サービスの中の一つでございまして、医師、歯科医師、薬剤師などが要介護または要支援である利用者の自宅を訪問されまして、心身の状況や生活環境などを踏まえて、療養上の健康管理、本人や家族への保健指導を行うサービスでございまして、このサービスを、利用者である高齢者や家族の方々にわかりやすく、利用手続も含めまして解説することは極めて意義があるというふうに考えております。
 先ほど曽雌先生にも答弁させていただいた中で、介護サービスの利用の手引というのがございましたけれども、そのパンフレットを今現在作成しておりまして、その一環として、ただいま先生からご指摘のあった居宅療養管理指導についても今後検討していきたいというふうに考えております。

○藤田委員 次に、九十歳、独居、そして、この方の要介護認定が自立だったというときに、実はこの方は、それまではデイセンター、そして配食サービスを受けていらしたのですけれども、介護保険の中では自立というふうになってしまいますと、何もサービスがないわけです。
 そういう状況のときに、地域で、小さな団体でリハなどをやっているグループや、あるいは小さなデイをやっているグループが、あるいは配食をやっている人たちがこういうところをカバーしない限りは、やはり介護保険も、それすらも立ち行かなくなってしまう、高齢者にとって本当に必要なサービスが必要なところに行かないのではないかというようなことがお話としてありました。
 それで、いわゆる介護保険の周りの事業ということになろうかと思いますけれども、事務事業のときにもお話をさせていただいたんですが、要するに、介護予防・生活支援事業というようなものが国の施策としてあるように聞いておりますけれども、実際に区市町村の取り組み状況、それから、事業によってはいろいろばらつきがあるようにも聞いておりますけれども、現在の状況を教えていただきたいと思います。

○若林保健福祉部長 平成十二年度の介護予防・生活支援事業につきましては、六十区市町村が取り組んでいるところでございます。生きがいデイであるとか、軽度生活援助事業、配食サービス事業は非常に多くの区市町村が取り組んでおりますけれども、一方で、介護予防事業につきましては、必ずしも取り組みが進んでいるとはいえない状況にあります。具体的には、転倒骨折予防教室につきましては八区市町村、それから痴呆予防介護事業については九区市町村、こういった実態であります。

○藤田委員 どうして進んでいないのかということなんですが、どんなことが考えられますでしょうか。

○若林保健福祉部長 介護予防・生活支援事業につきましては、介護保険が始まったとき、つまり平成十二年度から始まった事業でございますけれども、国から事業実施要綱とか補助金の交付要綱とか、そういった通知類がおくれて来たということから、区市町村には事業開始についての徹底が十分できなかったということでございます。
 また、事業の中でも、生活支援事業は位置づけが変わっただけでありますけれども、介護予防事業につきましては、新たな事業として実施されたところであります。さらには、こういう事業に先行しまして、区市町村におきましては、機能訓練とか健康相談とか訪問指導などのいわゆるヘルス六事業も既に先行して実施しているわけでございまして、そういった事業との調整というのも時間を必要としたのではないかというふうに聞いております。

○藤田委員 それでは、うまく取り組んで、実践をしている区市町村の例をちょっと教えていただきたいと思います。

○若林保健福祉部長 板橋区の例でちょっとご説明させていただきたいというふうに思います。
 一般区民向けに介護予防に関する意識啓発を行うために、介護体験講座、介護基礎講座等を実施して、転倒骨折予防教室、これを通じて効果を上げているという報告をいただいています。
 二点目としまして、地域での介護予防に関する高齢者支援活動をはぐくむために、リーダーの養成講座を実施しております。これは地域住民グループの支援活動事業という中に入っているわけですけれども、保健の分野と福祉の分野が一体となって展開している事業でございます。

○藤田委員 名前だけ聞くと、これで本当に介護保険の周りの事業として、例えば転倒骨折予防事業が、果たして先ほどお話しした九十歳、独居、自立の人を支えられるのかどうかということになると、なかなか難しいかなというふうにも思うわけです。
 もちろん、その前にお話をいただいた生活支援の方では、配食サービスやデイ、ミニデイというようなことをやっていらっしゃるというふうに伺っておりますけれども、実はこれは福祉局の関連にもなろうかと思うのですけれども、これまで東京都は地域福祉財団を通して、それぞれ地域の中で必要なサービスを市民みずからがつくり出していく、そういうような企業に対して、もちろんNPOなんという法人が通る前の話ですけれども、そういうところに援助をして、そういう本当に必要なニーズを生み出すところに補助金を与えていたという例があります。
 これが、実は平成十四年まで、介護保険が始まってからしばらく様子を見るということで、十四年まではそれを出しましょうということになっていますが、監理団体の統廃合の中で、今回地域福祉財団も統合されるという中で、この事業も終了というようなことがいわれているわけでありまして、これと、今お話があった国からの生活支援事業を含めて、今後区市町村がどういう取り組みをしていくのかというのは、整理をしなければいけない大きな課題になろうかというふうに思うわけです。
 これを高齢の方にお尋ねしても、室長は同じでいらっしゃいますから、ぜひしっかりと聞いておいていただきたいのですけれども、ここの部分をどうしていくか、実際にこういう団体をつぶすのかどうか、つぶさないで、やはり多様な供給主体として残していきたいというならば、ここをどうしていくのか、整理をまずしなければいけないというふうに思いますし、これまで順調に大きく育ててきたこういう団体を、介護保険が始まったからといってやめさせていってしまうということになると、そのほかのこういう支援事業ができなくなってしまうという状況になると思いますので、この点についてはぜひ配慮を願いたいというふうに思います。
 それから、社会福祉法人の税制優遇といいますか、それと、NPO法人ではどういうふうになっているのかということもあわせて、これは主税局も含めてだと思いますけれども、どんなふうにしていくのかということ、あるいは、国に税制の中で問題提起をしていくということを含めていっていただきたいわけでありますけれども、一年間、どんな状況の中で--いいNPOなのか悪いNPOなのか見きわめたいというような話もありましたけれども、やはりここも同様に十分な働きをして、社会福祉法人と同様の活動をしているところが、ここの税制では--調べていただいたんですが、なかなか資料が出ない。それで、予算額で、生活文化局の方から挙げてもらいましたところ、ざっと計算しただけで四億ぐらいの、社会福祉法人とは別に税金を納めているというふうな状況になっていますから、もしこれを同等にすれば、さらに地域福祉を広げるという大きな力になるわけでありますので、ぜひこのNPOの税制改正についても、東京都の方から、これは特に東京の福祉を担う大きな力になっているはずでありますので、その点についても十分ご検討いただけたらというふうに思っております。
 以上です。

○松本委員 一ページの資料をつくっていただきました。感謝をいたします。前川室長には一昨日のときの質問とダブろうかと思いますけれども、よろしくお願いいたします。
 こういう資料は、どういう形で、東京都民あるいはサービスをいただいている方々に、これだけお金がかかっていますよということを説明されているかどうか、コストの周知についてはどういう対応になっているのか、ご説明をいただきたいと思います。

○金内高齢政策部長 介護保険につきましては、新しい制度でございますので、パンフレットだとか、あるいは「介護保険ニュース」--パンフレットは、このようなパンフレットですね。あるいは「介護保険ニュース」というのは、私ども手づくりでいつもつくっているこういう色つきのものでございますけれども、こういう中で、保険財政における保険料と税負担の割合、あるいは介護サービスごとの報酬額、あるいは在宅で受けるサービスの支給限度額、これらを紹介しているところでございます。
 また、最近、我々介護保険以外ちょっとやっていないのでございますけれども、グリーンペーパーの中で、コストはどのぐらいかかっているかとか、あるいは「広報東京都」を利用して、見直し事業についてのコストの問題、あるいは東京都予算案の概要の中で、施設整備についてこのようなコストがかかっているというようなことをやらせていただいておりました。

○松本委員 具体的に伺いますけれども、この中で、例えば施設、特別養護老人ホーム、三百三十八万五千十円かかっている、こういう資料をちょうだいいたしました。その中の自己負担というのが、原則一割負担ということでございます。この一割負担ということでございますが、人それぞれ、サービスを受ける人によって、お納めいただく金額もまた別になっているんだろうと思います。
 その人から必要なお支払いをちょうだいする請求書、あるいはまた、それに付随して発行される請求書の内容の中に、それぞれ個別に、お宅のサービスについてはこれだけ都民税、国税、あるいは区民税、市民税といったものが入っております、したがって、介護保険制度の中でそのうちの一割をあなたに負担を願うわけでありますと、こういったような説明というのは、それぞれについて、個別について発行されているのかどうか、これが第一点。
 それから、一番わかりやすいシルバーパスについてでありますけれども、一人に要する経費が二万五百十円かかっておりますと。千円で発行されている方々のパス、千円で受け取る方々に、あなたが千円でお受け取りになりますこのシルバーパスは、コストが二万五百十円なんですよ、都民税で負担をしているんですよということがわかるような印刷になっているのかどうか、お答えください。

○吉川介護保険室長 介護保険サービスを利用した場合の経費負担、例えば、先生が例で使われた特養でございますけれども、三百三十八万五千十円だとすれば、当然一割でございますので三十三万八千五百一円ということで、税金がどのぐらいという割合は、これまでできるだけPRはしてまいりました。
 ただ、先生がおっしゃったご趣旨は、年額で三百三十八万というふうな利用をされた場合に、保険料の部分、それから公費の部分が幾らというような具体額でPRしているかということでございますと、私どもの方では、大変申しわけないんですが、割合まではPRしていますが、実額ではやったことはございません。

○若林保健福祉部長 シルバーパスにつきまして、二万五百十円の負担をしていただいている方につきましては、シルバーパスのところに二万五百十円というのを記載しているところでございまして、あと、これまで五千円及び千円につきましては、先生がおっしゃるような、どのような負担をされているかということを表示はしておりません。

○松本委員 ここに、経費ということなんですが、この経費は、税によって賄われているわけですよね。シルバーパスについては、これは全部都民税だと認識をしているんですが、間違いないですか。

○若林保健福祉部長 シルバーパス事業につきましては、東京都の独自の事業としてバス協会に補助をしているところでございまして、東京都の都民の税金を使って実施している事業でございます。

○松本委員 私たちは、この四年間、情報公開に努めてまいりました。そして、また行政側に対しても、情報を存分に提供しなさい、また、あわせて、説明責任ということを声高にいわれた時代でありました。説明責任を果たすことによって--この説明責任というのは、都民の皆さんから預かった税を、いってみれば議会が了解を与える中で皆様方が勝手に使っていると、こういう話ですから、都民が知らないうちに使っているということであります。だから、やっぱり都民の税をどう使っていますよということについては、できる得る限りそれぞれの納税者に対して懇切丁寧な説明責任があると思っているわけであります。
 その中で、サービスを受ける方々が、このサービスはむだだとか、かけている経費の割にサービスが悪いとか、そういう厳しいご批判をいただく中で、効率的な都政運営をやりたい、こういう思いが強くあるわけですね。特にシルバーパスについていえば、松ちゃん、今までただでくれるからただだと思っていたよ、二万幾らもかかってるのと、こういうふうな驚きを持って聞かれるお年寄りの方もたくさんいらっしゃるわけですね。そういう観点からいくと、もう少しきちっと、税金がこれだけ投入をされているんだということは、説明責任の中で避けては通れないと思うんですね。
 ですから、最近知事が、新しい組織再編の中で、スピードということをいわれました。コストということをいわれました。検証ということをいわれました。まず、スピードからいうと、僕が要求して、三年たってもまだ実現していない。全然スピード感覚ないですね。コストというのは、皆さんが考えるコストではなくて、納税者が考えるコストなんですよね。納税者が。このサービスが必要だ、これだけお金をかけるべきだ、あるいはこのサービスはもっと安くてもっと効率的にできるはずだと。これは納税者にコスト感覚を持ってもらわなくちゃいけない。そのコストをわかりやすく説明する責任がある、こう思うんですよね。改めて室長、ご意見を。

○前川高齢者施策推進室長 一昨日の委員会で、福祉局について一回お答えをしたわけですけれども、あれからまたいろいろ頭の中で反すうを実はしたわけですが、率直に申し上げて、私どもが目指している福祉改革というのは、今おっしゃったような意味で、給付と負担との連関を明確にしていくと。それを都民に明らかにわかってもらうということは、重大な柱だろうというふうに考えます。
 したがいまして、具体的にどうするかはこれから検討しますが、これから福祉改革を進めていく中で、現在の福祉局、それから現在の高齢室の事業につきまして、できるだけ今ご指摘の方向になるように、具体的に前向きに検討していきたいと思います。

○松本委員 次に、特別養護老人ホームの一人に要する経費ということに対して、具体的に伺います。
 お示しいただいた資料には、年間三百三十八万五千十円と、こういう資料をちょうだいいたしました。私の手元に、平成十一年の十月に出された主計部の資料がございまして、これは「広報東京都」、新聞折り込みの中に発表された資料であります。その当時、特別養護老人ホームの入所者一人当たりの経費として、九年度実績が都民に示されております。それによりますと、六百六十六万円ということになっております。きょうお示しいただいた資料がいつの実績に基づくのかわかりませんけれども、少なくとも、十年、十一年、十二年、この三年間に約五〇%カットされている、こういう数字になっているわけですね。
 この一人に要する経費が五〇%カットされて、なおかつ特別養護老人ホームのサービスが減らないで、そして、老人ホームに入りたいという要望がぐんと強くなっている。これは実に画期的な経費節減が行われた、数字の上から見るとすばらしいことだ、こう思うわけでございますが、ここまでご努力をいただいた内容について、わかりやすくご説明をいただきたい。

○金内高齢政策部長 今回のこの資料、厚生委員会の要求資料としてお出しいたしました特別養護老人ホームについては、介護報酬をもとにして計算したものでございます。一方、「広報東京都」、これはグリーンペーパーにも同じものが載っていますけれども、都立、都営の特別養護老人ホームにこれだけかかっているという数字でございまして、当時は六百六十六万かかっておりました。それで、現在、特別養護老人ホームも含めまして介護保険に移行いたしましたので、なるべく介護報酬に近づけるよう努力をしているところでございます。

○松本委員 都民が見たときに、特別養護老人ホーム入所者一人当たりの経費というのと、今回私がお願いして出していただいた資料と、部長がいわれた、それでは、いまだに都立の特別養護老人ホームは一人当たり六百六十万かかっていて、介護保険でやっているのは--都立の特別養護老人ホームは介護保険によらないでやっているのか、あるいは、私立といったって、これは社会福祉法人立もあれば、医療法人立もあれば、いろいろあるんだろうと思うんですけれども、法人立によってコストは違う、サービスは同じだということであれば、どういうことなのか、もうちょっとわかりやすく説明してくれなければだめですよ。

○金内高齢政策部長 こちらの方の数字、月一人当たり五十五万五千円、これは全経費を定員で割ったものでございまして、これだけかかっているという平成九年度の実績で出したものでございます。(松本委員「だから、一年でやったら、同じ一年で比べなければだめだよ。おれが求めたのは一年だから」と呼ぶ)ですから、これを十二倍いたしますと、一人当たりは、先ほどいった六百六十六万になります。
 で、介護保険が導入されたのは平成十二年度でございます。民間の社会福祉法人におきましても、例えば特養の都加算であるとか、公私格差是正等について努力をお願いいたしました。今、経営支援ということはございますけれども、原則として、この介護報酬をもとにして経営をしていただいております。逆にいえば、一割の利用者負担を除きますと、残りは保険と公費で半分ずつ、この三百三十八万のうち、持っているということでございます。
 一方で、都立施設については、九年の数字はこれでございますけれども、介護保険が導入されるということがございましたので、介護保険の基準に合わせまして、人員だとか、あるいは体制、それらを整備いたしまして、なるべく介護報酬でできるように今努めているところでございます。

○松本委員 では、伺いますが、部長、都立の特別養護老人ホームというのは、一人当たり経費はどれくらいかかっているんですか。

○反町施設事業部長 先ほどの要介護度三というのと若干違いますけれども、都立の場合、四とか五とか重い方が多いわけでございますけれども、平成十三年度予算の特別養護老人ホームの関係、都立の関係からいいますと、一人当たりの経費につきましては、六百四万三千九百二十一円かかってございます。

○松本委員 都立が六百四万かかって、そして、このお示しいただいた特別養護老人ホーム三百三十八万五千十円というのは、都立もその平均値を上げるのに貢献しているんですか、貢献していないんですか。都立の数字も入って計算しているんですか、入らないで計算しているんですか。

○金内高齢政策部長 今回の資料のうちの三百三十八万五千十円というのは、介護報酬だけで施設経営をした場合の一人当たりの経費でございます。都立のものにつきましては、このほかに、先ほどいいました六百数万ありますので、それが公費として余分に出ているということでございます。また、民間の特養等につきましては、現在経営支援事業を行っておりますが、それについてもここには含まれておりません。

○松本委員 どうも都民にわかりにくい説明になっていますね。介護報酬だけでやると三百三十八万五千十円。サービスを受ける側は、変わらないんだったら、全部介護報酬だけでやってくれたらいいんですよ。だから、介護報酬だけで三百三十八万五千十円でできるものが、何で六百四万円もかかるんですか。

○金内高齢政策部長 都立施設につきましては、先ほど来申し上げておりますけれども、介護保険の前からそういう状態がございましたので、今、介護保険の体制に合わせるようにいろいろ努力をしているところでございます。
 ただ、一点申し上げたいのは、公務員でございまして、給料等につきましては先生方ご存じのとおりの状況でございますので、それが大きく寄与しているものと私は考えております。

○松本委員 もう一点だけ質問しますけれども、その三百三十八万五千十円に、いろいろな補助事業が組み合わされているということであれば、それを足し算すれば、これは数字としてはもうちょっと大きくなってくるのかなというふうに思うんですよ。だけど、都立の方が六百幾らかかっているという話になりますと、部長のいわれた人件費、給与がちょっと高いということだけが原因なのかどうかと。僕は、必ずしもそうでもないような気がするんですよね。
 だけど、税で、同じサービスを受けるんだったら、全く変わらないものだったら、高いサービスをつけられたくないですよね、納税者としても、サービスを受ける側としても。ぜひ、その点の改善については、強く、そういう意味で、コスト感覚を持って、スピード感覚を持って、検証感覚を持って臨んでいただきたいと思います。
 次に伺うんですけれども、特別養護老人ホーム、かつて介護保険になる前に、私は、いつになったら待っている人がいなくなって、希望したらすぐ入れるんですかといったら、たしか十三年だったか十五年だったか覚えていませんけれども、待機者ゼロを目指して頑張りますと、待機者は本当になくなるんですか、なくなりませんと、こういうような答弁をいただいた記憶があるんですけれども、計画からいくと、いつまでになっていますか。

○若林保健福祉部長 私どもの計画では、平成十六年度を目標にしております。

○松本委員 十六年になりましたら、特別養護老人ホーム待機者ゼロと、これを期待いたしておきます。
 ところで、特別養護老人ホームと老人保健施設と介護療養型医療施設と、デイサービス施設ですか、グループホーム、それからシルバーピア、たしか養護老人ホームの中にも軽費老人ホームも含めていろいろあったと思うんですが、どうもそれぞれの目的というのが、その分割が、どうしてそんなに施設の名前をたったかたったか分けなくちゃいけないのかというのがよくわからないんですが、そこら辺、ちょっとわかるように説明していただきたい。

○金内高齢政策部長 先ほどお話をいたしましたケアリビングの関係でお話しいたしますが、例えばシルバーピアですと、これは見守り程度のケアが必要だということで種類が分かれております。それから、ケアハウスになりますと、特養ほど厚いケアじゃないんですが、ある程度のケアができる態勢の住まいになっております。それから、特養の方はもう少し厚いケアができる態勢になっております。それぞれニーズが違いますので、それぞれに応じて計画を立てて整備をしているところでございます。

○松本委員 例えば、シルバーピアと養護老人ホームというのがありますよね。一人で生活のできる人、しかしお年寄りで身寄りがないという方の場合、シルバーピアへ入っても、養護老人ホームに入っても、同じだろうと思うんですよね、入る方の立場からいうと。ただし、設備が新しければ、シルバーピアの方がプライバシーが守られていいはずなんですよね。そうであれば、養護老人ホームなんかは、軽費老人ホームだとかそういうのはやめちゃって、シルバーピアの方に一元化して努力しちゃった方がいいような気がするんですが、どんなものでしょうか。

○金内高齢政策部長 養護老人ホームにつきましては、シルバーピアやケアハウスと違いまして、かなり歴史のある施設でございます。
 役割につきましては、現在の役割は、この設立当初の役割と大分変わってきております。これを検証する必要があります。そのほかに、今先生がおっしゃったような、シルバーピアあるいはケアハウス、これらとどう役割分担をしていくのか、補助の基準をどうしていったらいいのか、対象者をどうすべきか、これについては、ケアリビング、あるいは規制緩和等の補助のあり方の中で十分に検討し、十三年度に行いますニーズ調査に反映させていきたいと考えております。

○松本委員 例えば、予算をどう組み立てていくかという問題もあるだろうし、国の制度をどう使ってくるかという問題もあるだろうし、いろいろな今までの事情があるものだから、いろいろな施設をそのままつくらなきゃいかぬということがあるだろうと思うんですよ。だけど、特別養護老人ホームに入っている人と介護療養型医療施設に入っている人と、病状というか、明らかな違いというのがあるんだったら、ちょっと説明してください。

○吉川介護保険室長 先生がおっしゃっている介護保険上の施設サービス三種類の中の、特別養護老人ホームと介護療養型医療施設、確かに、私も現場へ行きますと、先生おっしゃるように、お年寄りの状態がどう違うんだろうかというような、厳格な意味で、私正直にいって医学的にも素人ですのであれでございますが、ただ、説明というのでしょうか、医師に伺いますと、やはり特別養護老人ホームというのは、寝たきりの状態になって、医学的なケアが余り必要でない、どちらかというと介護療養型医療施設というのは、寝たきりみたいな状態なんだけれども医学的なケアが必要だというふうには聞いておりますし、現実、そういう方もおりました。

○松本委員 部長、それは理屈なんですよ。老人保健施設というのは、社会に復帰するための中間施設なんですよ。自立した生活をする、社会に帰るための施設なんですよ。
 では伺いますが、老人保健施設の中からちゃんと社会に帰った人が、今何%なんですか。老人保健施設を卒業して、介護療養型医療施設に入る人の方が圧倒的に多いんじゃないんですか。実態はどうなっているんでしょうか。

○吉川介護保険室長 大変申しわけございません。先生がおっしゃった意味の老人保健施設は、確かに中間施設というか、復帰を目指す施設ですが、率については承知しておりません。
 先ほどちょっと言葉が足りませんでしたが、先生がおっしゃっている意味の介護保険の施設サービス三施設についても、施設の一元化という議論は、先生がおっしゃっているように、入っている方々の状態がもう似ているではないかというような議論で、国においてもそういう議論があることは十分承知はしております。ただ、先ほど私がいったのは、一応それぞれ、介護保険法にまとまりましたけれども、もとの法が老人福祉法であるとか医療法だという中で、医療ケアが多い方がというふうな意味で申し上げただけでございます。

○松本委員 この三施設を含めて、今僕は本当にいら立たしい思いを持っているわけなんですけれども、六十五歳を過ぎて、お年寄り、まあ高齢者の仲間入りをして、病院に一年間入院したら、その人の自己負担は幾らになりますか。

○吉川介護保険室長 その方の所得状況によっても異なりますけれども、いわゆる介護サービスを受けたことに伴う利用者負担一割部分、先ほどの特別養護老人ホームの例でいえば、年額が三百三十八万ですから、一割部分ということで三十三万八千円が利用者負担、プラス、先生ご案内のとおり、特別養護老人ホームに入りますと、食事負担というものが……(松本委員 「いや、病院に入ったとき、入院したとき」と呼ぶ)病院ですか。病院であれば、ちょっと訂正して申し上げますが、介護療養型医療施設が介護保険上の病院的な施設ですので、そちらで申し上げれば、先生の方の資料に出させていただいたように、年額でいうと四百六十三万が総額のところを、利用者負担はやはり一割でございますので、四十六万がご本人の負担、プラス食事負担がございまして、さらに、例えばシャンプー代であるとかいう日常生活費の負担が、これは正確に調査したものはありませんけれども、私どもが推計しているのは、大体月に一万円程度は日常生活費がかかっているかなというふうに思っております。

○松本委員 その下の、医療、老人保健制度というのがありますよね。介護でかかわっていくのか、この医療でかかわっていくのかという問題はあるんだろうと思うんですよ。しかし、お年寄りだから、幾ら高い病院に入ろうとも、ある一定の限度があると承知をしているんですよ。
 そうすると、一年間、一番払う人でも、大体限度額で計算をすると、どれぐらい払えば安心して入院をしていられるのか。それは、介護保険だって、医療だって、どっちでもいいんですよ、入る方は。説明してください。

○吉川介護保険室長 利用者負担につきましては、いわゆる月額で上限額というのが設定されておりまして、原則の額でいいますと三万七千二百円。で、食事代が、先ほどいいました方々でいうと七百八十円で、三十日だというふうに計算しますと、二万三千四百円。日常生活費について一万円というふうに計算しますと、七万円になるかなと。これは暗算でございますので間違えているかもしれませんが、七万円が月額だとすれば、その十二倍でございますので、八十四万程度かというふうに考えております。

○若林保健福祉部長 病院に入院した場合の本人負担の年額でございますけれども、一カ月の老人保健ということで、上限額が三万七千二百円ということから、四十四万六千四百円、それから、食費の部分の負担がございますので、二十八万八百円でございます。今急いで計算したところ、そういう数字でございます。

○松本委員 今、若林部長の説明によりますと、お年寄りが入院をしますと、年間八十万円余というお話です。それから、後の説明になりますと、七万だから、八十四万という話なんですね。だけど、僕の知る限りでは、そんなに安く入院している人なんか一人もいないですよ。
 普通、お年寄りが病院に入ります。三カ月で出ていってくださいと、こういわれる。どこか世話してくれとお願いをする。で、いろんな方が世話してくれて、ここがいいですよと。うちに帰すわけにいかないという、いわゆる社会的入院ということになるのでしょうか、お預かりをいただいているところで、月に十六万円以下というのは聞いたことがない。実際には二十万円前後かかっていますよ。
 皆さん、高齢者施策推進室に席を置きながら、そういう実態をだれも知らないんですか。知らないはずないと思うんです。ちゃんと答えてください。

○若林保健福祉部長 説明が不十分で申しわけありませんでした。診療報酬にかかわる部分をただいま答弁で申し上げましたけれども、診療報酬に含まれないもので本人負担ということの中には、特別な食事を提供した場合の本人負担、あるいはその他本人が固有の経費としての日常の生活費を負担する場合、さらには、施設サービスとは直接関係ないんですけれども、利用する場合、例えば、部屋でテレビを見てその電気代を負担するとかという別な経費、こういったもの、それから、個室代といいますか差額ベッド代、こういったものが本人の負担に含まれるものでございます。

○松本委員 特別な食事といわれたけれども、それは、入った患者さんが、樺山先生のように(笑声)特別な食事を用意せいと、帝国ホテルから持ってこいというような話だったら、それはわかる。だけれども、そうじゃなくて、普通の人が入っている場合、自分の判断で特別な食事なんか注文していると僕なんか聞いたことがない。病院から提供される食事を黙っていただいている。そうでしょう。だから、テレビを見るといったって、生活保護の中だって、テレビを見ちゃ生活保護の対象にならないなんという話、聞いたことがない、今どき。経済大国日本で、テレビを見ちゃいけないなんて、ぜいたくだなんて、そんな話聞いたことがないですよ。そうでしょう。
 だから、こういう本人が負担をしなきゃならぬ費用というのは、これはどういうことになって--考え方として、ここのところはもうしようがないの。医療保険でも面倒見てもらえない、介護保険でも面倒見てもらえない、で、本人負担が二十万円前後はしようがない、こういう認識なの。部長、そこのところをちょっと。

○若林保健福祉部長 ただいま答弁申し上げましたのは、事例として、項目として申し上げたところでございまして、私どもとしましては、制度的に本人に負担を求めてはいけない項目につきましては、検査の中で、現場に行きまして、きちっきちっと、相手方の説明を受けて、改善を必要とするものについては改善を求めるということで実施してきているところでございます。

○松本委員 部長さんの給与が幾らか知りませんけれども、僕なんかの場合、都議会議員の歳費百七万円だと聞いていますよ。そこから五%カットだ。だけど、手取りは、多いと思われるかどうか知らないけれども、六十万強ぐらいですよ。そうですよね、皆さん。大差はないと思う。その中から、おやじとおふくろが二人介護が必要になったといった場合は、四十万差っ引かれるという話になるんですよ。そうでしょう。一人だって、二十万差っ引かれるという話ですよ。
 僕は、都議会議員の歳費、収入のレベルがそんなに低い方だと思わない。そうであれば、一般の皆さんが、こういう介護保険の枠外、医療保険の枠外というところで二十万弱の費用を負担しなきゃいけないなんというのは不届き千万な話だと思う。
 僕たちは、普通、国民健康保険に入っていれば、かかる医療費の三割負担すれば安心して医療にかかれる国だと、こう信じていた。どうもそうではないらしい。そこら辺のことを--ここでもまた説明責任を果たしていない。親が、女房が、夫がそういう状況になって初めてこんなに高い出費がかかるのかというのが、今の都民の感覚なんですよ。
 どうしてここら辺をきちっと調査して説明できないのか。早急に来年度、十三年度予算の中できちっとやりますということをちょっといってください。

○金内高齢政策部長 同じような施設で、医療保険のものと介護保険のものがあります。一番いい例が療養型病床群でございます。それで、医療保険の療養型病床群と介護保険の療養型病床群については、介護保険、医療保険の適用がそれぞれ違います。保険の仕組みといいますか、対象になるもの、あるいは保険外になって利用者負担になるもの、これがそごがございます。これについては、保険の問題でございますので、国の方に是正を働きかけていきたい。
 そうでないと、医療型の療養型病床群、それから介護型の療養型病床群への、医療型の病床群から介護型病床群への転換が進まないもとにもなっておりますので、それについては国に働きかけてまいりたいと思っております。

○松本委員 金内部長、そういうまどろっこしい答弁じゃだめなんだよ。寝たきりの人がテレビを見たっていいじゃないの。一々金なんか取るなよ。ちゃんと医療保険の中に請求してもらったらいい。介護保険の中で請求してもらったらいい。そうでしょう。その人のわがままによって出てくるものだったらしようがないじゃない。でも、この国は、介護保険と国民健康保険できちっと割安の、安心して医療にかかれると、かかれるんだよと看板かけているんだから。石原知事だって、二十四時間の安全と、こういっているんだから。そうでしょう。
 それだったら、きちっと、介護保険の中でも医療保険制度の中でもいい。こういうわけのわからぬ金がかかるなんというのをほっぽっておいて、生活が苦しくなるのは当たり前の話なんだから。だから、こういうことをきちっとやらないから、共産党にぐずぐずいわれるんだ。(笑声)だから、そこら辺をびしっとやりますと、室長、答弁。

○前川高齢者施策推進室長 松本先生のご質問であると大変答えにくいわけでありますが、正直申し上げて、医療費の問題を、ただ、あえて申し上げたいんですが、高齢者の医療費について、老人保健法があって老人保健制度があって、一方で介護保険法をつくって介護保険制度をつくったと。その中で一番の問題は、恐らく医療保険制度をどうしていくのか、高齢者の医療負担をどうしていくのかという議論だろうと思います。
 実態として、先生のおっしゃった議論はよくわかるんですが、ただ一方で、総額としての医療費を国民経済から見てどうやって抑えていかなくちゃいけないかと、そういう問題があるのも事実だろうと思います。
 ですから、そこで、応分の負担は当然していただくというのが基本的な発想であろうと。ただ、その応分の負担が適正なのかどうなのか、あるいは医療保険外の負担がいろいろあるわけですが、それが、そういう形で放置していいのかどうか、その辺については私どもも検討するし、また、国についても、しかるべき形で物を申していきたいというふうに考えております。

○松本委員 結構です。

○曽根委員 今の松本委員の質問、原理的なところは全く同感で、本当に家族の中に病人が出るととんでもないことになるという、みんな痛切な思いを持っているものですから、本当にぐずぐずいいたくないんですけれども、やっぱりこれからいろいろ質問をさせていただきたいと思います。
 一つは、介護保険問題で、我が会派は、前々から、都内、特に身近な区市町村のところで介護保険の矛盾がどうしてもしわ寄せされると。保険者である区市町村が、利用者である高齢者の実態、保険料がなかなか払えない、利用料が高くてサービスが利用できないという実情を踏まえて、やむを得ず減免制度などに取り組まざるを得ないと。また、積極的に取り組んでいる自治体もどんどん出てきているという中で、あとは、これまで、制度が順調であり、保険料、利用料それぞれ、いわば低所得者対策もとれているので特に必要ないというふうなお答えがあったわけですが、この間、この議会に入ってからは、例えば社会福祉法人の特別対策について、都も何らかの支援を考えるというようなお話もありました。
 それで、改めて、そういう社会福祉法人を通じての、国の制度でありますけれども、特別対策について都も何らかの支援が必要だというふうになるとすれば、これは事業の中の一部ですから、介護保険制度を利用している、また利用したいと思っている都民全体により広く適用されるには、各区市町村が取り組むべき、また取り組んでいる減額もしくは免額制度などについて、東京都が一定の基準をつくって応援をするというのが一番普遍的になるわけですよ。
 そういう点で、保険料、利用料の減免制度に対する支援は、やっぱりもう少し工夫して取り組んでいくということが改めて必要なんじゃないかと思うんですが、この点について、区市町村の取り組みについての評価と、また、都の今後の支援の検討という点でのお答えをいただきたい。

○吉川介護保険室長 介護保険制度においては、すべての被保険者が公平に保険料を負担するとともに、利用者が費用の一部を負担することが、共同連帯の理念に立脚した介護保険制度の健全かつ円滑な運営のために不可欠であると認識しております。このことから、保険者において、高齢者が保険料を全く支払わないこととしたり、減免分を一般財源から補てんしたり、収入のみに着目いたしまして一律に減免措置を講じることは問題があると認識しております。
 なお、既に先生もご案内のとおり、制度上、所得に応じた保険料設定方式の仕組みが設けられているほか、保険料率などの弾力化も可能とされておりまして、区市町村がこれらの措置を活用することは有意義と考えております。
 一方、利用者負担でございますが、利用者負担も、制度上、既に著しく高額とならないための高額介護サービス費の仕組みが設けられておりまして、その中では、低所得者についてさらに上限額が引き下げられておりまして、さらに、特別対策としても減免が可能とされております。
 保険者である区市町村が、介護保険制度の根幹は堅持しつつ、真に必要な場合に工夫を凝らし、これらの措置を活用することは有意義であるというふうに考えております。

○曽根委員 まあ、かなり--以前は、保険料についての減免は本来の根幹に抵触するというようなお話もあったわけですが……。
 川崎市、これは保険者ですが、川崎市は政令都市でかなり大きな人口を抱えていると。ここで保険料の減額制度に取り組む際に、厚生省とかなりやりとりがあった。去年の四月からスタートした。政令都市で一番早かったと思うんですよ。そのときに、やっぱり厚生省のアドバイスがかなり厳しくあって、とにかく一律削減はだめよと、それから保険財政の中でやらなければだめと、一般財源をつぎ込んではいけないなどのいろいろな注文がついたんだけれども、それをいわばクリアした形での減額制度をスタートさせることができたわけで、これが、今政令都市四市ぐらいに広がっている制度の大体共通したものになっているわけです。
 こういう取り組みも始まっており、全国の中でも、かなりの自治体のところで減額ないし免額の制度が始まっているわけですから、東京都も、これは区市町村によって全くばらばらという現状から、もう少し統一的なものになるような取り組みをぜひお願いしておきたいと思います。
 それから、我が党は、施設で、特養も非常に足りない話とか希望がふえている話はこの間も私したんですが、ショートステイについても、まず、施設が全国最下位であること、それから、介護の認定、介護度によって利用日数に制限があったりして--介護保険が始まる前は、北区なんかでいいますと、二カ月ぐらい預かってくれるミドルステイというのがあったんですよ。それがもう全然できないわけですよね。二カ月も預かったら、要介護度五ぐらいの人ぐらいしか利用ができないわけです。
 というようなことで、大変利用もしにくい、数も足りないということで、この制度をやっぱり改善していく必要があるんじゃないかというふうに思っているんですが、今度予算の中で介護一一九番ですか、緊急ショートステイという取り組みを始めるようなんですが、どれぐらいの規模で、どういう場合に利用できるのか、ちょっと制度について説明をお願いしたいと思います。

○反町施設事業部長 高齢者緊急ショートステイ事業でございますが、高齢者が在宅で安心して暮らしていくには、介護者が急病で入院した場合などに、要介護者を二十四時間いつでも受け入れ、介護するシステムが必要でございます。このような都民のニーズにこたえるべく、高齢者緊急ショートステイ事業を実施するものでございます。
 当面は都立ナーシングホーム二カ所でモデル的に実施するものでございまして、合わせて七床程度で、平均一週間程度で、年間にしますと、およそ五百人程度の受け入れを想定してございます。

○曽根委員 七床ということなので、確かに東京都の取り組みとしては、これはもう必要不可欠だと思うんです。というのは、本当に介護している側が倒れたときに、緊急に要介護で寝たきりの方をどう対処するのかということは、これは緊急対応を問われますので、こういうベッドがないと大変だということは確かだと思います。
 ただ、ケアマネジャーなどの方に話を聞きますと、何か一定説明がケアマネジャーなどにはされたようなんですけれども、まだ使いにくいんじゃないかと。幾つかいっていました。一つは、ベッド数が限られていると。それから、都内で二カ所だけ、板橋と東村山の二カ所だけであること。それから、現場で消防署の方の救急などの判断が必要だというふうなことがあるらしいと。これは、ちょっと確かかどうかわかりません。もし間違っていたら、お答えいただきたいんですが。
 それから、結局預かるということになった場合は、ケアプランを変更しなきゃならないと。もしこのケアプランの利用限度額に、まあ達しているということは余りないでしょうけれども、ぎりぎりまで来ているという月末などの場合に、それを超えることはできないわけで、やっぱり別枠で利用できれば一番いいですねという話がありました。
 都立で始めるので、場所や数の限定はやむを得ない、もっと広げていけばいいと思うんですが、制度として、私も、やっぱり緊急の場合であるだけに、その人がどの程度介護保険のサービスを利用しているかに関係なく、必要なときには必要な日数預かれるだけの、何か別枠のものが必要じゃないかというふうに思うんですが、そういうお考えはないでしょうか。

○反町施設事業部長 緊急ショートステイ事業は、介護保険制度を活用した事業でございまして、利用料を介護保険給付限度額の別枠で設けることは、現在のところ想定してございません。

○曽根委員 今、介護保険の枠内で、その月々なんでしょうね、ショートステイのサービスの利用限度の枠内だというお話なんですが、そのこともできれば改善をお願いしたいと、これは要望にとどめます。
 それから、ショートステイ全体についても、このショートステイというのは、要介護度によって利用日数なんかも違いますけれども、本来のあり方として、本人の状態がどうかということだけではなく、むしろ家族が介護休暇をとりたいとか、さっきあったような、家族が倒れたとかそういった場合に、それに必要な日数というのが出てくると思うんですよ。
 そういう面からいうと、最初からこのケアプランの中に入れていくのもなかなか難しいことですし、それから、本人の状態いかんでもって日数の制限があるというのも、ちょっと本来の趣旨から違うのかなと。もう少し実際に必要な方に必要なだけショートステイの利用ができるような制度に、これは国の制度の問題だとは思いますけれども、改善が必要じゃないかと。その点で、できれば国に対してもそういった実情も働きかけていく必要があるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○吉川介護保険室長 先生のご指摘はショートステイの使い勝手の点だと思いますけれども、この点につきましては、昨年の十月三十一日の国の医療保険福祉審議会の答申を経まして、これまでショートステイサービスについては、訪問通所サービスとは別に、先生がおっしゃられたような日数で別管理をしていたわけですけれども、一本化するということで改善が図られるということを決められて、これは十四年一月一日からということになっております。それから、十三年一月一日、この一月一日からも、既に行われている振りかえの拡大ということも措置されたところでございます。

○曽根委員 一定の改善の努力はされているとは思うんですが、これもあくまでサービス利用限度額の枠内でしょうから、それを超えることはできないという点は、根本問題はまだ残ると思うんです。
 現場の話を聞きますと、北区なんかでも足りないんですよね。ですから、家族がいざというときのために利用したいからと思って待っていたのでは、全然入らないわけですね、必要なときになっても。二カ月、三カ月先にならないと予約が入らないという状況ですから。ですから、ケアマネジャーは、その先々の月のところにどうやってショートステイの日数を確保するか、これがケアマネジャーの腕の見せどころだというふうにいわれるぐらい、確保が大変なんだそうです。
 ですから、休む必要がなかろうがあろうが、その月になったら、その日数が確保されればそこで預かってもらうというふうなやり方しか今はできないということらしいので、これは何とか、例えばですけれども、住宅改造の場合には、介護保険の対象者であっても、介護保険の中の二十万と、外からの国の包括補助による足し前ができる制度があるので、そういったものが必要な性格を持っているんじゃないかというふうに--課長さんのところで首を振っている人がいますけれども、これは、実態からすると、そういう融通をきかせる制度にしないと、いつまでたっても使いにくい、数も足りない、だから利用が進まないということの悪循環を繰り返してしまうんじゃないかと思うので、ぜひ改善方策をお願いしたいと思うんです。
 それから、これは介護保険の中の話ではないんですけれども、介護保険で自立と判定された方が介護保険のお世話にならないように、むしろ元気に長生きができるようにするための自立支援の事業として、国の方での包括補助では生きがい活動支援ですか、それから、東京都の包括補助でいきいき事業というのを始めているわけですが、国の包括補助を使って、例えば、北区の桐ケ丘団地という大きな都営団地がありますが、その中にデイホームがあって、これは十年ぐらいの歴史がありますけれども、介護保険が始まって、その介護保険の外の自立支援事業として行ったわけです。
 ところが、ここで大きな問題は、この自立支援事業が、介護保険における利用料の一割負担の原則とバランスをとらなければならないということで、今までは食事代程度でよかったものが、一割負担というのが入ってきたわけです。具体的にいいますと、桐ケ丘デイホームでは、今までは、食事代三百五十円ということで気軽に参加できるものだったのが、今度は食事代が四百円になり、プラス利用料として四百円、一回八百円になったんです。八百円といったら、千円未満なんだから安いじゃないかと思うかもしれませんが、週に二回、月にずっと通うと、月に六千円ぐらいになっちゃうわけです。それで、利用が実際激減しちゃったんですね、介護保険が始まってから。
 ですから、私は、こういうのは、お金の負担をかけると--いわば、どうしても行かなきゃならない施設じゃないんですよね、お年寄りが元気で暮らすための生きがい活動ですから。それで、できるだけ負担はかけるべきじゃないということで、減額すべきだというふうに主張していたんですが、ようやくこの四月から、北区も減額制度をつくることになりました。
 東京都としてもぜひ、保険制度の中のことも減額は必要ですが、自立支援事業についてもまた減額せざるを得ないという区市町村の実情がありますし、それから、もっとほかの面でも東京都がいろいろ支援をしていくということが必要だと思いますが、いかがでしょうか。

○若林保健福祉部長 国の介護予防・生きがい活動支援事業の実施要綱によりますと、区市町村は、介護保険の対象サービスの利用料との均衡を考慮しつつ、食材料費の実費等を定め、利用者がこれを負担すると規定されており、利用料については、一割程度の負担をすることが基本となっております。その上で、低所得者等への利用料の減額につきましては、介護保険制度を勘案して、区市町村が独自に定めるものというふうにされているところでございます。
 いきいき事業につきましてのお尋ねがございましたけれども、いきいき事業につきましては、介護保険制度と介護予防・生活支援事業など他の補助制度で補助を受けていないということを条件として、高齢者の生きがい活動や介護予防に資する独自事業については補助対象としているところでございます。
 区市町村が、地域特性を踏まえてさまざまな創意工夫をすることは、いきいき事業の趣旨でございます。

○曽根委員 それで、国の制度が、そういう意味では原則がそのようになっていますから、減額という措置をとらない限りは、大体一割程度ということで負担がかかるわけですね。
 桐ケ丘デイホームも、利用を促進するための減額制度を区独自につくったと。これはその努力だと思うんです。その上で、さらに、同じ事業に都の別の補助をつけることは今できないというお話がありましたが、例えば、ここのデイホームの厨房を利用して配食サービスを別個に事業として立ち上げるというようなことは大いに工夫できるんじゃないかというふうに考えておられました。
 そうした場合は、この東京都のいきいき事業について、別の事業として申請をし、自立高齢者に対するサービスとして、区独自のやり方でやっていくことはできるんでしょう。どうですか。

○若林保健福祉部長 ただいま答弁申し上げましたとおり、いきいき事業は、他の制度を受けていないということが前提になります。ですから、今先生のお話のありました事業が重複していないかどうか、それを申請に基づいて確認した上で判断をしていきたいというふうに思っております。

○曽根委員 工夫の仕方によっては別事業として申請もできるようですから、ぜひ、そういう点では--こうした活動はいろいろ区市町村によって違いが出てくるし、地域の特性もあると思うんですよ。そういう点では、今まで取り組んでいるものですぐれた経験を蓄積しているところ、しかしそういう運動がたまたまなかったところ、活動がなかったところ、いろんな、こっちのいいところは取り入れていくというようなことが必要かと思うので、こうしたいきいき事業などについても、また生きがい事業についても、よいものの交流、普及に努めるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

○若林保健福祉部長 福祉改革を確実に推進していくためには、区市町村がみずからの発想に基づき、地域の中で積極的に取り組んでいただくことが何としても必要であるというふうに考えております。
 都としても、特色ある取り組みを積極的に支援していく方針でありまして、この三月には、今年度の各区市町村の先進的な取り組み事例を紹介する事例集を発行することとしております。また、四月以降、成果発表会も予定しているところでございます。

○曽根委員 次に、東京都の養護老人ホームであります伊豆山老人ホームの廃止計画について質問したいと思うんです。これは、二月の特別委員会でも我が党の大山委員が質問しましたけれども、その場合は相手が高齢室じゃなかったものですから、具体的に聞けなかったことが何点かありますので……。
 特に、この老人ホーム、かなり歴史が古いわけですよね。なぜ今廃止なのかということで、まず最初に、廃止をしなければならないとされた理由、それから、いつまでに廃止をするつもりなのか、今そこに、老人ホームに住んでいる方の処遇はどうするのかについて、基本的な点をお聞きしておきます。

○反町施設事業部長 伊豆山老人ホームの廃止理由でございますが、養護老人ホームにつきましては、在宅サービスはもとより、施設サービスにつきましても、身近な地域でサービスを受けられることが望ましいということでございますが、伊豆山老人ホームにつきましては、都外に設置されてございます。現在の施設は昭和五十年に建てられておりまして、施設が老朽化してございます。施設の維持管理費がかさんでございます。利用者は熱海市の住民となっておりまして、介護保険給付が必要となった場合、保険者である熱海市の負担増となるため、市の方から対応が要請されてございます。さらに、市内唯一の総合病院でございます国立熱海病院が廃止が予定されておりまして、診療科目の縮小が行われるなど、利用サービスが低下してございます。
 以上のことを総合的に勘案し、利用者に十分なサービスの提供ができないと判断し、廃止するものでございます。廃止は十四年度末を予定してございます。さらに、利用者につきましては、本年十一月に開設を予定してございます潮見老人ホームに移転を予定してございます。

○曽根委員 都外施設であることはもちろんなんですが、しかし、ここに住んでいる方は長くそこになじんで暮らしており、特に都外だからどうしても不自由という方は、そういう話は全く、私たち住んでいる方にもお話を聞きましたが、出ていませんし、老朽化というのは、建物自体がまだ三十年たっていませんし、しかも、何年か前に全室エアコンが入って、極めて快適な状況で、何でこれが老朽化なんだろうなという状況であります。それで、結局財政的な理由をもとにして廃止するんじゃないかというふうに現地の方もおっしゃっていました。
 熱海市との関係で利用者サービスに支障が生じるというのも、例えば、ここを廃止して、その後の施設をでは熱海市がどうするのかというようなことを考えれば、財政負担としては、そっちの方が地元自治体としては大変だと思うんですよ。私は、そういう点では、この施設は、東京都として責任を持って大事にするのが本来の筋じゃないかと思うんです。
 それは、いきさつからいっても、これはお聞きしておきたいんです。この熱海市の伊豆山になぜ都立の養護老人ホームができたのか、どういういきさつがあったのか、お聞きします。

○反町施設事業部長 伊豆山老人ホームが熱海市に設立されました経緯でございますけれども、昭和二十六年に、熱海市に在住しておられます岩間甲斐之助さんという方がおられまして、その方のご厚意によりまして、現在の土地約一万坪でございますけれども、無償譲渡されたものでございます。寄附された方は東京都立の養老施設を設置することを望んでいたこともあり、当該土地の使用目的について、寄附者、東京都知事、熱海市長の三者で、養老施設の用地とすることで覚書を交わしてございます。
 その後、昭和二十七年八月一日に東京都伊豆山老人ホームを開設したものでございます。

○曽根委員 岩間さんという方ですよね。今お答えにあったと思うんですけれども、よく聞き取れなかったんですが、その方が、養老施設として土地を無償で寄附したいという大変奇特な方で、昭和二十六年当時ですから、温泉の出るこのすばらしい土地をよく思い切ったなと思いますが、そのときになぜ東京都を選んだかというふうに、私ちょっと養育院の歴史の方で調べたら、東京都が、当時養育院というのがあって、戦前から非常に養老施設、養老事業については歴史もあり、当時としてはレベルも高いと、それで、東京都がいいだろうということで、熱海市長、東京都知事、それで岩間さんと三者で覚書を交わし、市議会でも議決をしたという話ですよね。それで、そういう施設を東京都の都合でということで廃止するのは、この点でもいかがなものかと思うんです。
 特にこれは養護老人ホームですから、今後の養護老人ホーム、さっき役割が変わってきたという話がありましたが、では、東京都として、養護老人ホームは、ここの方は潮見にという話ですけれども、では、全体として、東京都の養護老人ホーム、これからどれぐらいつくっていくのか、そして、一方で、養護老人ホームを待っている方はどれぐらいの規模でいるのでしょうか。

○金内高齢政策部長 先ほどもお答えしましたとおり、養護老人ホームの役割は、社会経済状況の大きな変化を背景といたしまして、制度発足当初と大きく変化しております。
 養護老人ホームの定員をふやせというお話でございますけれども、その問題につきましては、現在、養護老人ホームがどういうような役割を果たすべきか、あるいは、ケアリビングなど新たな高齢者の住まいとの役割分担、これらを踏まえた整理が必要と認識しております。現在、鋭意検討中でございます。
 なお、伊豆山あるいは潮見等の個々の施設については、施設や地域の実情を踏まえて、具体的な対応をしているところでございます。

○若林保健福祉部長 養護老人ホームの待機者についてのお尋ねがありましたが、先ほども答弁申し上げましたけれども、区市町村からの報告をいただいたものを集計したところでは、二千三百四十六名、十二月末現在でございます。

○曽根委員 金内部長等のお話を踏まえれば、はっきりいって、東京都は二千三百四十六名の希望者に責任を持って供給するというふうにはならないですよね、これは。本当に供給しますか。この方々に対しては供給するというふうにならないでしょう。あり方については検討していくわけですよね。養護老人ホームが、これからはその方の直接希望にこたえるのか、それとも、それにかわる施設をつくっていってそれにこたえるのか、これは検討中なんですよね。
 そうなりますと、少なくとも今ある養護老人ホームは、そういう意味では希望者にこたえる唯一の道ということになるわけですよ。それが潮見に今回できる。この潮見についても、私、いきさつがあると思うんですが、潮見のこの建設というのは、どういういきさつがあったものですか。

○反町施設事業部長 潮見老人ホームについてでございますが、板橋老人ホームが昭和三十九年の建設で、老朽化し、また狭隘化していることから、利用者の居住環境の向上とあわせて、地域性や規模の適正化などの観点を踏まえまして、分散改築をする必要がございます。潮見老人ホームは、この板橋老人ホームの分散改築の三番目の施設として建設を進めているものでございまして、平成十三年十一月に開設を予定してございます。

○曽根委員 つまり、潮見についても、全く新しく建設されるものではなくて、板橋の養護老人ホームの分散改築という形をとっているわけで、全体としては、養護老人ホームはふやしていないわけですね。
 ですから、その潮見が貴重な、新しくできる養護老人ホームでありますが、ここに全部伊豆山の方を、今八十九名か九十名か、資料がありましたが、入れてしまうと。養護老人ホームというのは、例えば山谷の方ですね、そういう方々を収容したり、それから、ホームレス問題がこれからどんどん取り組まなければならないという方向も出されている中で、更生施設を経て養護老人ホームに迎え入れるということが今まではやられてきた。それはどうするのか、受け皿は。潮見というのは、ちょうど更生施設があるところなんですよね。そういうことも恐らく東京都は考えてきたところもあるんじゃないかなと私は思うんです。それが、伊豆山からこっちへ入れてしまうと。
 養護老人ホームのあり方を検討するというのは、それはそれとして、やってはならないということはないと思いますよ。それは、本当に今の時代にふさわしい養護老人ホームなのか、それともケアリビングという形がもっといいものになるのか、それは検討を大いにしたいと思うんですよ。
 しかし、ケアリビング、ケアハウスでさえまだ全体でわずかしかできていないのに、二千三百人待っていると。その受け皿がはっきりしないのに、現に今住んでいて、しかも、老朽化といっても、まだ三十年たっていない建物を廃止してしまうというのは、やっぱりもう少し検討の余地があるんじゃないかということを申し上げておきたいと思うんです。
 全体として、都外の施設について、東京都は今どんどん整理をしようという方向だと思いますが、私は、将来、高齢者が人口の四分の一になっていくだろうと、これはもう間違いなくそうなると思いますが、東京都が持っている施設を、どういう形にしろ、活用していくという道はいろいろあると思うんですよ。何でも直営がいいというふうに我々もいっていないんですよ。いろんな形があり得ると思うんです。しかし、手放してしまって、廃止してしまったら、これはもう利用できないわけで、やっぱり都民の貴重な財産の一つとしていろいろ検討していくべきじゃないかということを申し上げて、私の質問を終わります。

○石井委員 先ほど松本委員からもお話がありましたけれども、シルバーパスのコストはどのぐらいかかるのか、お尋ねをいたします。

○若林保健福祉部長 シルバーパスのコストについてのお尋ねでございますが、二万五百十円でございます。

○石井委員 そのシルバーパスが、二万五百十円都民の皆さんの税金を使っているんですよということを、それによってこのシルバーパスを使う方々が肩身が狭くなったりすることがあってはいけないけれども、やはりそういうコスト意識を、都民の皆さん、利用者の方々に知ってもらうことは重要じゃないかと思いますが、いかがですか。(「バスの運転手が知らないから、ただで乗ってきやがったというんだよ。問題なんだよ、あれは」「それはかわいそうだな」と呼ぶ者あり)

○若林保健福祉部長 今年度、シルバーパスの更新、十月から一斉更新をしたところでございますが、そのシルバーパスの中に、二万五百十円という金額を入れたところでございます。また、ほかの千円のパス、五千円のパスにつきましても、同じように金額を入れてお渡ししているところでございます。

○石井委員 ただ単に金額を入れるというんじゃなくて、これだけの皆さんの税金のコストがかかっているんですよと、そういう意味での明示をきちっとすべきだと思うんですが、どうですか。

○若林保健福祉部長 先ほども松本先生に答弁申し上げましたけれども、現在のシルバーパスの表示の中には、そういう形での、コストという形では表示をしてございません。次期交付に向けてぜひ検討してまいりたいというふうに思います。

○石井委員 それから、今ちょっとお話がありましたけれども、シルバーパスを使ってバスに乗った場合、運転手さんが白い目で見るというんだよね。これは気の毒な話で、(「そうだ、とんでもないよ」と呼ぶ者あり)それはとんでもないことで、やっぱりありがとうございましたと、どうであれ。今日までこのすばらしい日本、東京をつくるために命をかけて頑張ってきていただいた方々なんだから、やっぱりそれに対する尊敬の念を持って、たとえ無料であったって、今までさんざん命をかけてやってきたわけだから、これはありがとうございますぐらいのことはいうことを徹底すべきだと思うんですが、いかがですか。

○若林保健福祉部長 今回の見直しに当たりまして、シルバーパス事業をバス協会の事業とするということで、事業を見直した意義も、バス協会の創意工夫及びサービス向上ということを意図する部分がございますので、私どもとしましては、事業移行後も、バス協会におきまして、関係者に集まっていただきまして、今先生ご指摘のようなことも、いろいろバス会社の代表にはお話ししているところでございます。

○石井委員 よろしくお願いします。
 ところで、日本共産党の「しんぶん赤旗」に、こういうシルバーパスに関連する記事が、報道がなされているわけであります。多分この間のうちの谷口さんの予算委員会の質問に関連してではないかと思いますけれども、「事実を偽る公明党の『ウソ』攻撃」と。それから、同じように、これは町田市で、公約違反の悪政推進した自民・公明、加担した民主の責任が問われていると。(「民主も入っているのか」と呼ぶ者あり)民主も入っている。前回の都議選で、町田選出の都議(自民・公明・民主)は、シルバーパスについて、現行どおり存続や障害者まで拡充を公約にしていましたと。石原都政は昨年、都民が築いたシルバーパス制度など無料だった福祉制度を全面有料化等々ですね。これに賛成した自民・公明、加担した民主の責任は重大ですと。
 ということで、共産党を除くすべての政党を、オール与党として批判をしているわけであります。
 そこでお尋ねいたしますけれども、もしこのシルバーパスを、従来どおり、共産党がいうように何でもただでやれ、何でも無料にしろというやり方でやったならば、今後このシルバーパスの予算というのはどうなるのか。例えば、平成十五年、また、今後十年後どうなるのか、お尋ねします。

○若林保健福祉部長 これまでの事業をそのまま見直しをしないで継続した場合の、バス事業者に対する東京都の補償額の推計でございますけれども、十五年度が約百八十六億円、二十二年度が約二百三十六億円というふうに推計したところでございます。

○石井委員 今後、さらに百八十億、二百三十六億と。この何でもただという--ただにこしたことはないわけだけれども、限られた財源でさまざまなことをしなければならない。若い世代にツケを回すことはできないわけですからね。もしこのままシルバーパスを続けていったら、東京の福祉はどうなるんですかね。前川室長、いかがでしょうか。

○前川高齢者施策推進室長 私どもは、今、福祉改革推進プランを推進していこうというふうに考えているわけでございますが、この福祉改革推進プランは、五年間で五千二百億円ほど投入をしてやっていこうという極めて積極的な計画を組んだわけでございます。これが可能になりましたのは、今ご指摘があったシルバーパス等も含めまして、いわゆる経済的給付事業の見直しをさせていただいたと。それでできた財源を活用して、この計画が可能になったというふうに考えております。
 でありますから、この見直しをしなかったとすれば、財政負担が過大となるということももちろんですが、あわせて、私どもが目指している、新しい福祉の方向を目指す計画の策定も事実上困難であったろうというふうに考えております。

○石井委員 新たな福祉の展開が困難になるということは、非常に重大な問題ですよね。都民生活に与える影響が非常に大きくなるということですよね。
 ところで、この事務手数料千円をいただきましたよね。そのいただいた千円はどう使っているのか、重ねてお尋ねをいたします。

○若林保健福祉部長 区市町村が実施するコミュニティバスの導入、移送手段の確保、高齢者の社会参加の仕組みづくりなどの事業への補助、また、就労の確保としまして、パスの発行業務をシルバー人材センターの会員にお願いしたところでございますけれども、高齢者の社会参加促進のための施策を新たに実施したところでございます。

○石井委員 そういう新たな展開がなされているわけですよね。福祉切り捨てどころか、冷たく切り捨てどころか、その財源を他に転用するならば切り捨てということをいわれてもやむを得ないかもしれないけれども、むしろ、高齢者施策を中心に新たな施策の展開がなされている。共産党は、そうした新たな展開がなされていることについては何ら言及することなく、ただ単に無料化がなくなったということ一点だけをもって、議会のすべての政党を、また行政側の努力を、一方的に批判しているわけですよね。
 そうした新たな展開がなされているということをやっぱり都民の皆様に広く広報すべきじゃないですか。いいかげんな、都民の皆さんに不安をあおるような宣伝だけが先行して、一生懸命いい仕事をやっているのに、そのことは知られていないと。もっともっとしっかりPRすべきだと思いますが、いかがですか。

○金内高齢政策部長 高齢者施策の新たな展開につきましては、高齢者施策推進室としてさまざまなPRの取り組みを実施してまいりました。昨年の四月から五月にかけましては、都民向けリーフレット、我々高齢福祉の独自のリーフレットでございますが、これを七十万部配布をしております。また「東京の社会福祉」あるいは高齢者福祉推進プラン二〇〇〇の中でも取り上げておりますし、ホームページ、あるいはラジオ、テレビ番組でも周知を図りました。
 今後とも、例えば、先生ごらんになったかと思いますが、新しい福祉をということで、福祉改革の意義を新聞広告に出したり、あるいはポスターにしたりして、積極的に新たな施策、新しい東京の福祉を都民に伝えていきたいというふうに思います。

○石井委員 だから、例えばバスとか地下鉄の中にも、確かに千円はいただいたけれども、その千円をいただくことによって、コミュニティバスの導入ということで、十四区市町村で十五の事業の新たなコミュニティバスの展開が図れたんですよ、千円をいただきましたから、NPOによる移送手段の拡充がなされたんですよ、また、それによって、シルバー人材センターの方が一万六千五百人の雇用がなされたんですよということを、車内づり広告とか、そういうところでやってくださいよ。そうすれば、共産党のそうした切り捨てだとか冷たいとか、千円をいただいたことが全面有料化ということがいかに天下の物笑いになるか、明確になると思うんですよ。いかがですか。

○若林保健福祉部長 事業を所管する部といたしまして、新しい施策につきましては、私どもとしましても、積極的に都民の皆さんにご理解いただけるようなPRを工夫していきたいというふうに思っております。

○石井委員 それで、私たちの認識は、確かに石原知事は、当初、財源が足らないから聖域なく福祉も医療も教育もカットすると。そのメニューの中にはシルバーパスも入っていた。当初ならばかなり大幅に削減されるところであった。しかしながら、私たち議会側が頑張って、一つは、何回も、幾たびとなく申し入れを行い、そして、その財源獲得のための行政改革も徹底的に行い--その行政改革を共産党は全くやらない、二十年間全くやってこなかったけれども、私たち議会側は全力でやってきた。
 そうしたバックグラウンドもあって、知事の聖域なく見直すメニューの中のシルバーパスの継続が図られ、なおかつ、当初事務手数料も六千円であったものが千円という形で、もう何段となく、議会側の努力と行政側のちょうちょうはっしのぎりぎりの交渉の中で、今日こうやって落ちついてきたわけですよね。そういう議会の努力というものを共産党は全くやってこなかった。財源を獲得する行政改革ということは全くやってこなかった。やってこないけれども、それで、何か新たな福祉施策ができれば、みんな私たちがやったんだ、できないのはみんなオール与党が悪いんだと、そんなことは通っていいわけがないわけであります。
 最後に室長にお尋ねいたしますけれども、こうした経過からして、冷たいとか福祉切り捨てだとか、そういう批判は全く当たらないと思いますが、前川室長、いかがですか。

○前川高齢者施策推進室長 これまで、高齢者もそうですが、いわゆる福祉施策は、国の社会保障制度が不十分であった昭和四十年代にその骨格を固めて、基本的構造を変えずに事業展開してきたわけでございます。
 しかし、この間、国においても、年金、医療など社会保障制度が充実をいたしましたし、また、都民のニーズは、昔に比べればはるかに高度化、複雑化しているわけでございます。先ほどの先般の見直しは、こうした変化を踏まえて、利用者本位の新しい福祉を構築していく福祉改革の方向に沿って実施をしたものであり、福祉改革の一環をなすものと我々は考えております。
 したがって、この福祉の施策見直しが、財源配分の点から、あるいは施策展開の点から見ても、福祉切り捨てとする批判は全く当たらないと考えております。

○石井委員 福祉切り捨ての批判は全く当たらないという室長の答弁がありました。私は、人の悪口はいわないけれども、共産党が公明党に対して「しんぶん赤旗」でこのように報道したので、私は、みずからの党の社会的責任を守るために、明確にいわせていただきました。いわれたことはいい返す。
 以上で終わります。

○曽根委員 一言だけ。
 一つだけ、シルバーパスの問題に限ってお話があったので、私もシルバーパスの問題だけ聞きますけれども、前も資料をお願いしたので覚えていらっしゃると思うんですが、政令指定都市の中で、シルバーパスと同じ敬老の意味での乗車証を発行している政令都市は、たしか一つを除いて大体発行していると思うんですが、この間、有料化したりしたところはあるんですか。

○若林保健福祉部長 今ちょうど年度の変わる時期でございまして、新年度に向けての予算要求を各政令市でもやっているところでございまして、正確には私どもまだ把握しておりません。

○曽根委員 そんな、あるわけありませんよ。大体お年寄りに、たとえ千円ででも、お金を払わなきゃあげませんよという考え方が、私は敬老の精神じゃないといっているんですよ。気楽に乗ってもらおうと思う方が、本当に命をかけて日本を戦後支えてきたお年寄りに対する態度じゃないかと。こんな当たり前のことで、それで、そのための財源が大変になるとか、そういっている前に、全国の自治体に倣って東京都も頑張るべきだということを申し上げて、終わります。

○矢部委員 大変エキサイトしているところでございますけれども、時間も押しておりますから、端的にお聞かせいただきたいと思うんですが、介護保険法が施行されて一年たつわけでございますが、その中で、いろいろ検証はされているんでしょうけれども、具体的に見えてきません。民間放送局等々が調査をされたりしているようなこともあるようですけれども……。
 その、一年たってどうなのか。先ほどお話がありましたように、在宅介護が逆に少なくなってというようなことはマイナス方向でしょうし、私どものところでも、今まで病院だったところが突然クリニックに変わってしまったりとか、いろんなことの影響が出ております。また、この機にビジネスにしようと思っていたところも撤退したというようなお話があったり、いろんなことが聞こえてはまいりますけれども、介護保険が施行されて、国民にとって、都民にとって、どうプラスなのかマイナスなのか、その検証というか、どう考えていらっしゃるのか、お聞かせいただきたいと思います。

○吉川介護保険室長 介護保険制度の現状での評価、これまで、本会議でも、知事なり、私どもの前川室長の方から答弁させていただいているように、おおむね順調というふうには申し上げておりますが、ただ、正直なところを申し上げますと、介護保険制度は、四月から発足しまして、一番ポイントとなる負担と給付の関係でいえば、保険料の全額徴収がされておりません。そういう意味では、ことしの十月から初めて保険料の全額徴収だということでもございますので、私どもとしては、この三月に入ってもう一周年ということで、かなり報道機関からも評価ということで出ておりまして、その中での課題はきちっと解決していくべきだと思いますが、もうちょっと長い目というんでしょうか、やはり十月の全額徴収等も踏まえて、きちっと冷静なデータ分析とかアンケート調査とかして、判断していきたいというふうに考えております。

○矢部委員 そういう中で、予算づけはされているわけですよね。私が仄聞というか聞いているところによりますと、十二年度と十三年度、随分考え方が変わってきているやに聞いておりますが、そういうことはありませんか。

○吉川介護保険室長 予算上で大きく二つあるかと思いますが、一つは、介護給付費という一番根幹となる財源のところは、初年度は十一カ月分で計上しましたから、それが一カ月分多くなって、十二カ月分でやっております。
 もう一つは、制度を立ち上げてみて、やはり早急に取り組むべきだということで、先ほど室長も介護支援専門員に対するケアサポートのお話をさせていただきましたけれども、主要な課題について取り組んでいこうということで、新たな事業を幾つか要求させていただいたところでございます。

○矢部委員 新たな事業を幾つかはいいんですが、実施主体が区市町村ということになるわけですけれども、東京都との関係の中で、全体を見据え、また、国との考え方のすり合わせ等々は東京都がするしかないんだろうと思うんです。そういう観点で見たときに、それぞれ区市町村が独自にやっているといえばやっているのかもしれませんが、介護保険に変わったために、さっきのバリアフリーの改造事業なんかもありましたけれども、都独自でやっていたときは相当のところまでできたのが、介護保険にこれが置きかわると、現実できないとかいうようなことも起きてきておりますよね。
 そういうようなことをすべて積み重ねていったときに、都民にとってプラスなのかマイナスなのか。その負担が、今までがよかったのか悪かったのかということもあるんでしょうけれども、よかったものまでなくなっちゃっているものもありはしないかなという気がしたり、あるいは、それぞれの施設を運営する側からすると、今までとはちょっと予算の組み立てが変わってきて、十三年度、実際運営できるんだろうかというような悩みを抱えているところもあるようですが、そういうことについては察知はされていませんか。

○若林保健福祉部長 特別養護老人ホームを一つ例として答弁申し上げますと、介護保険制度に移行して、介護報酬で経営していただくということで、特養ホームの代表者には十分ご説明して、その経営していただくに当たっては、経営努力をまずしていただくんだと。それで、いろいろな場面で見直しをしていただいて、あわせてサービス向上に努めていただくんだということで、繰り返し繰り返しご説明してまいりました。
 私どもとしては、申し上げるだけじゃなくて、全員研修という形で、直接処遇職員だけは、どうしてもローテーションの関係で参加できませんでしたから、十三年度に繰り越してやりますけれども、いずれにしましても、職員の意識改革によるサービス向上ということでお願いをして、その後の特別養護老人ホームの代表との協議の中でも、非常にそういった意義はあったという報告をいただいているところでございます。

○矢部委員 意義がなくちゃ困っちゃうんですけれども、現実面といたしましては、実際の仕事のほかに、いろいろ手続関係の事務だとか--事務というのか、事務所がやればいいのかもしれませんが、それと同時に、国保連合会に対しての請求事務だとか、普通考えられない、今までとは違う、過渡期だからかもしれませんが、大変な手続、事務に割かれる時間が多いというようなことも聞いております。コンピューター化していて、このソフトを使わなきゃだめだとかというような指定があったりとか、両方の側に、新たなことだから大変さがあるんでしょうけれども、必ずしもスムーズにいっていないというようなことを聞いております。
 なおかつ、介護等々サービスを提供する側からすると、ある程度の規模があれば成り立つんでしょうけれども、小規模なところは、そういう事務をだれがするかというと、みんな自分たちがしなくちゃいけないというところにおいては、結局のところ、そんなことまでしているんではやめるしかないかなというようなことで大分撤退もあるようですが、全体のそうした動きというのはまだつかめていませんか。

○吉川介護保険室長 介護報酬の審査、支払いの手続の面で申し上げれば、昨年の五月から五カ月間は概算払いということで、国保連のシステム、大分トラブりましたので……。ただ、おかげさまで大分鎮静化をしてきております。
 一方、介護保険は、医療保険とは違いまして、介護報酬の請求をできるだけ電送でやれと、いわゆる磁気媒体化してやるようにというふうに厚生省は呼びかけておりまして、その意味では、東京もおかげさまでやっといわゆる紙の請求が二割を切ったというふうな状態になってきておりまして、総体的には落ちついてきたかなと。さらに落ちつくように努力するとともに、先生がおっしゃった、中小の事業者の方々のいわゆる情報リテラシーというんでしょうか、そういった面での習得ができるような支援も働きかけていきたいというふうには思っております。

○矢部委員 今の最後の部分についてはぜひ積極的にお願いしたいと思っておりますし、コンピューターを導入していないところ等々については、それはまた別の、労働経済局になるのでしょうけれども、等々との連携も含めて、できる支援ならばぜひしてあげていただきたいなというふうに思っております。
 いずれにしましても、介護保険が始まって、これからが本格的というか、十三年度は特に本格的になるわけですが、そういう中で、よかれと思って始めたことが、結果としてよくないということでは困ることですし、在宅介護というのが本来一番理想的な姿なんだとすれば、それがさらにふえる方向に進むような誘導をしていかなきゃならぬというふうに思っております。
 なおかつ、これは大変なことでしょうけれども、時代が変わってきたのかもしれませんが、つい五年ぐらい前だったと思います、私のところに相談があって、それは、入浴介助を受けたいけれども、隣近所の世間体があって、そんなみっともないことできないなんていっていらした方もいらっしゃいました。
 今はそうではなくて、制度としてできているんですから、大いにご活躍いただくのもいいことでございますけれども、逆にいえば、在宅で親御さんを面倒見ているということが、このうちはすごいんだと、すばらしいんだということがだれにもわかるように、それはそれだけ、もう一面苦労も伴っているんだということが、預けちゃって預けきりじゃわからないわけですから、ぜひそれは表現を、表現というか、されるような方向にならなくちゃならぬというふうに私は思っております。
 負担ということからすると、だれが負担するのかがありますけれども、施設の側からすると、入所はされた、現実的にほとんど見舞いにも来ないというようなこともあって、患者さんがちょっと用事があるといっていますよなんというと慌ててどっと家族が集まるというようなことでは、やはりこの日本の本来あった家族制度というものがおかしくなってしまうというふうに思っておりまして、そうしたことのないような、本来あるべき姿というのをきちっと見据えて、そういう方向にぜひ誘導していただきますようにお願い申し上げる次第でございます。

○野村委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び報告事項に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○野村委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で高齢者施策推進室関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時四十二分散会

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