厚生委員会速記録第四号

平成十三年三月十九日(月曜日)
   午後一時七分開議
 出席委員 十二名
委員長野村 友子君
副委員長近藤やよい君
副委員長和田 宗春君
理事曽根はじめ君
理事石井 義修君
理事矢部  一君
樺山 卓司君
藤田 愛子君
小松 恭子君
曽雌 久義君
古賀 俊昭君
松本 文明君

 欠席委員 なし

 出席説明員
福祉局局長高齢者施策推進室長兼務前川 燿男君
次長藤堂 義弘君
総務部長上條 弘人君
地域福祉推進部長小山 園子君
生活福祉部長岡本 宏之君
山谷対策室長上野 純宏君
子ども家庭部長福永 富夫君
障害福祉部長谷川 健次君
国民健康保険部長井出 勝也君
企画担当部長村山 寛司君
連絡調整担当部長中村 憲司君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 陳情の取り下げについて
 福祉局関係
  予算の調査(質疑)
  ・第一号議案 平成十三年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 福祉局所管分
  ・第五号議案 平成十三年度東京都母子福祉貸付資金会計予算
  ・第六号議案 平成十三年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
  付託議案の審査(質疑)
  ・第六十七号議案 東京都保育士試験手数料条例の一部を改正する条例
  ・第六十八号議案 東京都児童福祉施設条例の一部を改正する条例
  ・第六十九号議案 東京都身体障害者更生援護施設条例の一部を改正する条例
  ・第七十号議案 東京都社会事業学校条例を廃止する条例
  ・第七十一号議案 東京都高等保育学院条例を廃止する条例
  ・第七十二号議案 東京都保育士修学資金貸付条例を廃止する条例
  ・第七十三号議案 東京都公益質屋施設の処分に関する条例を廃止する条例
  報告事項(質疑)
  ・「東京都福祉改革推進プラン」について

○野村委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 初めに、傍聴人の数についてお諮りいたします。
 当委員会室の定員は二十名でありますが、傍聴希望者が定員以上でありますので、さらに十名追加したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○野村委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○野村委員長 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書三件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件につきましては、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○野村委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○野村委員長 次に、陳情の取り下げについて申し上げます。
 一三第六号、社会福祉事業施設の設置反対に関する陳情及び一三第九号、第二種社会福祉事業施設への宿泊所の設置反対に関する陳情につきましては、三月五日付をもって議長より取り下げを許可した旨通知がありました。ご了承を願います。

○野村委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉局関係の予算調査及び付託議案の審査、並びに報告事項に対する質疑を行います。
 この際、予算の調査について申し上げます。
 平成十三年度予算につきましては、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
 公文の写しは、お手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成十三年三月十六日
東京都議会議長 渋谷 守生
厚生委員長 野村 友子殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、三月十六日付で予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
     記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月二十三日(金)午後五時

(別紙1)
厚生委員会
第一号議案 平成十三年度東京都一般会計予算中
歳出
債務負担行為 厚生委員会所管分
第五号議案 平成十三年度東京都母子福祉貸付資金会計予算
第六号議案 平成十三年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
第二十号議案 平成十三年度東京都病院会計予算

(別紙2省略)

○野村委員長 これより福祉局関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査並びに報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、平成十三年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、福祉局所管分、第五号議案、第六号議案、第六十七号議案から第七十三号議案まで、及び報告事項「東京都福祉改革推進プラン」についてを一括して議題といたします。
 本案及び報告事項につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 要求資料について、理事者の説明を求めます。

○上條総務部長 過日の委員会でご要求のございました資料につきまして、お手元の厚生委員会資料によりご説明をさせていただきます。
 表紙の次のページの目次をお開き願います。資料の一覧表でございまして、その次のページにわたり、全部で二十一項目となっております。
 それでは、順を追ってご説明申し上げます。
 まず、一ページをごらん願います。東京都一般会計歳出予算における「保健と福祉」の予算の推移でございます。
 平成四年度から十三年度までの東京都一般会計予算総額及び保健と福祉の予算額、並びに一般会計に占める保健と福祉の予算額の構成比などをお示ししてございます。
 次に、二ページをお開き願います。福祉サービスに要する一人当たりの経費でございます。
 福祉局が所管する医療費助成及び手当などの福祉サービスにつきまして、サービス内容、一人当たりに要する経費、及び利用者負担等をお示ししてございます。
 二ページに障害者福祉サービスを、三ページに子ども・ひとり親家庭福祉サービスにつきまして記載してございます。
 次に、四ページをお開き願います。福祉改革推進プランにおけるバリアフリー化緊急整備事業の現状及び今後の計画でございます。
 福祉のまちづくり地域支援事業外三事業につきまして、その内容、事業の状況、及び今後の計画について記載してございます。
 なお、今後の計画は、東京都福祉改革推進プランによるものでございます。
 次に、五ページをごらん願います。東京都社会事業学校の卒業生数の推移でございます。
 昭和二十五年の設立から平成十一年度までの卒業生の総数と、過去五年間の推移を記載してございます。
 次に、六ページをお開き願います。社会福祉主事任用資格取得の概要でございます。
 社会福祉法に定めのあるもののうち、大学等において厚生労働大臣の指定する社会福祉に関する科目を三科目以上修めて卒業した者と、厚生労働大臣の指定する養成機関、または講習会の課程を終了した者の例について記載してございます。
 次に、七ページをごらん願います。都内の保育士養成所の定員数の推移でございます。
 平成三年度から十二年度までにおける四月一日現在の保育士養成所の定員数の推移を、都立と私立とに分けて記載してございます。
 次に、八ページをお開き願います。保育士修学資金貸し付けの実績でございます。
 資金の貸付実績につきまして、新規と継続の別に、平成三年度から十二年度までの推移を、都立と私立別にそれぞれ記載してございます。
 次に、九ページをごらん願います。公益質屋の店舗数及び貸付状況でございます。
 公益質屋法が廃止された平成十二年度までの過去五年間における公益質屋数、貸付口数及び貸付金額について記載してございます。
 次に、一〇ページをお開き願います。二十三区内における路上生活者の概数でございます。
 平成十二年八月に実施しました二十三区内の路上生活者概数調査の各区別の調査結果について記載してございます。
 次に、一一ページをごらん願います。区市町村におけるゼロ歳児保育等の実施状況でございます。
 この表は、脚注に記載してありますように、ゼロ歳児保育及び休日保育については平成十三年二月一日現在の実施状況を、延長保育については平成十二年度の国庫補助協議数を、障害児保育につきましては十一年度中の実績につきまして、次の一二ページにわたり、それぞれ区市町村別に記載してございます。
 なお、一三ページには、東京都福祉改革推進プランにおける実施計画を事業ごとに記載してございます。
 次に、一四ページをお開き願います。子ども家庭支援センターの実施状況でございます。
 (1)では、平成十三年二月現在開設している子ども家庭支援センターの実施状況を、(2)では、東京都福祉改革推進プランにおける都の実施状況を記載してございます。
 次に、一五ページをごらん願います。病後児保育事業の実施状況でございます。
 (1)では、平成十二年三月一日現在の病後児保育事業の実施箇所数及び実施場所を、(2)では、東京都福祉改革推進プランにおける都の実施計画を記載してございます。
 次に、一六ページをお開き願います。保育所創設数及び増改築数、それに伴う増加定員数の推移でございます。
 それぞれにつきまして、平成七年度から十一年度の内容を記載してございます。
 次に、一七ページをごらん願います。認可保育所への企業参入状況でございます。
 平成十三年二月一日現在認可されている株式会社立の保育所二カ所について、定員及び年齢別取扱人員を記載してございます。
 次に、一八ページをお開き願います。児童相談所における児童虐待相談処理状況等の推移でございます。
 都内の児童相談所に寄せられた相談のうち、児童虐待に関するものとして処理された件数についてまとめたものでございます。
 なお、表の下欄に全国の児童虐待相談処理件数を、参考といたしまして、全国件数に占める都の相談件数の割合を記載してございます。
 次に、一九ページをごらん願います。児童養護施設入所状況の推移でございます。
 各年度の定員、在籍数及び入所率を、都立と民間の別に、平成八年度から十二年度までについて記載してございます。
 なお、八年度から十一年度は三月一日現在、十二年度は一月一日現在の数としてございます。
 次に、二〇ページをお開き願います。児童会館の事業及び職員数を、平成十二年度及び十三年度について記載してございます。
 次に、二一ページをごらん願います。区市町村における心身障害者福祉手当の加算の状況の変化でございます。
 区市町村独自の手当額の上乗せ、対象者の拡大及び所得制限の実施状況について記載してございます。
 次に、二二ページをお開き願います。小規模作業所の法内化に伴う国と地方の財政負担の変化でございます。
 都が単独で補助を行う小規模作業所と、それが法内化した場合について、国、都及び市町村の補助の負担割合をそれぞれ示してございます。
 次に、二三ページをごらん願います。大谷田就労支援ホームの概要及び実績でございます。
 設置主体、事業内容及び入所者数の推移等につきまして記載してございます。
 最後に、二四ページをお開き願います。障害者福祉会館の事業及び職員数を、平成十二年度及び十三年度について記載してございます。
 以上、ご要求のございました資料につきましてご説明申し上げました。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○野村委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び報告事項に対する質疑を行います。
 ご発言を願います。

○近藤委員 福祉改革の大きな流れ、特に障害者の福祉が、平成十五年度から措置から契約へということはよくいわれているわけですけれども、今回、その関連で予算特別委員会の中で質問をさせていただいたときに、理事者からのご説明の中に、支援費支給方式という言葉が出てまいりまして、私、初めてこの言葉にそのとき触れたものですから、措置から契約へというものの具体的な制度だというふうに思いますけれども、支援費支給方式について説明をしてください。

○村山企画担当部長 支援費支給方式は、これまで、行政が行政処分という形で障害者サービスを決定した措置制度というのは今もあるわけでございますけれども、これを改めまして、障害者がサービスを選択し、サービスの利用者とサービスを提供する事業者とが対等の関係に立って契約を結び、それに基づいてサービスを利用するという新しい制度でございます。
 具体的には、サービスを希望する方は、まず、あらかじめ都道府県知事が指定事業者、指定施設を決めておきまして、その指定された事業者等への利用の申し込みをいたします。同時に、市町村に対して支援費の支給申請というのをするわけでございます。その上で、あらかじめ決定された範囲内で契約をしてサービスを利用した場合には、利用料全体の額から利用者の負担額分を除いた額を市町村から支給されるわけでございます。ただ、ご本人に支給されるという、本来はそういう形でございますけれども、事業者が本人にかわって代理受領をするというシステムになってございます。
 本人あるいは扶養義務者の方は、事業者に対しまして、自分の負担分、自己負担分のみを支払うというような形で、サービスと負担の支払いがなされていくというような形になります。
 平成十二年の社会福祉法によりまして、身体障害者、知的障害者の施設サービスあるいは在宅サービスなどにつきまして、十五年の四月からこの方式を適用することが決定されております。

○近藤委員 新しい制度になるわけですから、今ぱっと説明を聞いたからといって、すぐ一〇〇%理解できるかというと、なかなか難しいかと思いますが、税か保険かという基本的な差はあっても、障害者版の介護保険といった趣がないわけでもありません。ただ、今まで無料でというかお金を払わないで受けられていたサービスが、今後も、十五年以後も受けられるのかというような個々のご心配は多々あるかと思います。
 きょうはそこの議論に踏み込みませんけれども、そういった実際にサービスを受ける方に極力精神的な不安を与えないように、きちんと制度の移行については説明をしていってほしいと思うと同時に、今理事者の答弁の中に、施設の利用者と事業者とが対等の関係に立ってというお話がございましたけれども、これは大変難しいことだというふうに思います。
 特に今の介護保険の中でも、面倒を見てもらっているというような中で、文句をつけたらばその施設から出されてしまうんじゃないかというような中で、正直申し上げて、なかなかそういった利用者の不満ですとか要望といったものが表に出てこないといった現実もあると思いますので、ぜひともこの新しい制度のもとでは、おっしゃるように、利用者と事業者とが対等の関係になれるような幾つか施策を打ってほしいというふうに思いますので、その点については後で触れさせていただきます。
 また、介護保険のように、さまざまなサービスの供給主体、提供主体がこの障害者の福祉の中にも入ってくるということで、特に今まで障害者の関係の事業をしていなかったようないろいろな団体もこの事業の中に参入してくるというふうに考えられますが、そういったことを考えると、ある程度の混乱も予想されるのではないかというふうに思っております。
 こういった新しいサービスを提供する事業者の参入ということを踏まえて、都はどのような方策を打たれるおつもりなのでしょうか。

○村山企画担当部長 確かに障害者の分野に契約制度が導入されるということになりますと、今は、特に社会福祉法人が主たる事業者というわけでございますが、それ以外の事業者が参入してくる可能性がもちろんあるわけでございますし、同時に、いろいろなサービス供給主体に参入していただいてこそ利用者の選択の幅が広がるというものでもございまして、それ自体は歓迎すべきことだというふうに思っております。
 同時に、今ご指摘がございましたように、そういう介護とかあるいは対人サービスというようなことですと、福祉の分野になれていないような事業者が入ってくる場合の対応ということについても十分留意をしておかなければ、またいろいろなトラブルというようなことも起きる可能性もあるというのはご指摘のとおりでございまして、その辺が、これからの私ども都としての役割の一つかなというふうに考えてございます。
 とりわけ障害者の分野の場合ですと、他の業種の事業者の参入というのが、これまでも、なかなか制度的にも入りづらいというようなこともございまして、なかったということもございますので、特にその辺は注意しなければいけないというふうに考えてございます。
 そのため、その辺の参入する際の留意点あるいは条件を行政として整備することによりまして、行政として、事業、サービスに一定のレベルの質を備えられるような事業者ガイドラインというようなものをつくるべく、現在検討していこうという状況にございます。

○近藤委員 選択の幅が広がり、サービスの量や質が十分確保されることが一番ですから、余り強い縛りをかけてしまうことによってそれが阻害されてしまうとなると問題があると思います。
 今お答えくださいましたガイドラインの設定ということでございますけれども、これからということですので、詳しい内容等については、まだ今伺っても出てこないかもしれませんけれども、もう少し、このガイドラインに盛り込みたい内容、こういうことを盛り込んでいくのだということが今出ていれば、そのところについてお答えを願いたいと思います。

○村山企画担当部長 これからということでございまして、中身については、まだ十分こういうものというふうに申し上げにくいところがあるわけでございますけれども、消費者である利用者が、多くの場合、ハンディキャップを持っているという特性もございます。事業者がこの辺の特性をちゃんと踏まえて、利用者保護という観点で仕事をしていただくような形での誘導というのが大事だろうというふうに思っております。
 そのため、今、私どもがこれから検討する際の一つの柱として考えてございますのは、このガイドラインにおきましては、サービスの質の確保のための方策というのが一つ、それから、利用者保護のための具体的な方策、利用者がサービスを選択するのに役立つような情報の提供、職員のスキルアップといいましょうか、研修の手法というようなものを、事業者が自分でとるべきものという形で、都として誘導指針というようなものの形で盛り込んでいければと、かように考えてございます。
 このガイドラインは、平成十五年における、先ほど申し上げました障害者分野における契約制度への移行に備えているということがございますので、早急に検討を進めているわけでございますけれども、今ご指摘の点などを踏まえながら今後検討を進めていきたい、かように考えてございます。

○近藤委員 このガイドラインが、あくまでも利用者保護の一つの方策として、一つの指針とできるような内容にしていただけたら、大変ありがたいと思っております。
 これから、サービス評価のことについてもちょっと触れさせていただきますけれども、このガイドラインをどの程度事業者が遵守しているのかといったことは、公に公表される内容と考えてよろしいんでしょうか。

○村山企画担当部長 その辺が、なかなか今後のガイドラインというものの実効性を高めていく上での一つの課題だというふうに思っておりまして、例えば事業者を都道府県知事が指定をするわけでございますが、その指定をする際に、そういうガイドラインに定められた項目についてどういうふうに対応しているのかというようなことをちゃんと提出してもらうとか、あるいは、それについて世の中に対して公表するとかというようなことも、いろいろアイデアとしては今でもあるわけでございますけれども、その辺が、どういうふうにしたら制度としてちゃんと事業者に守っていただけるような仕組みになるのかというのは、これからの検討の中で考えていきたいと考えてございます。

○近藤委員 多分、介護保険に準じますと、今回の制度でも、指定事業者を指定するのは区市町村になるのかなというふうに思います。そうしますと、事業者の指定の前にガイドラインがもちろん決まっていて、各事業者にそれを示して、各事業者は、それに合わせて自分たちでガイドラインに沿った事業の見直しを図ったり、そちらの方向に事業を向けていくといったことの後に指定事業者というふうな段取りでいかないと、結局区市町村は、指定事業者を指定する場合に、そのガイドラインを利用できないということになります。
 そこのところは今詰めている段階だというふうにおっしゃいましたけれども、区市町村が指定事業者を指定する際の一つの大きな判断材料とできるようにガイドラインをつくらなければ、何の意味もない、メリットもないというように思いますので、ぜひとも時期に合わせてガイドラインが策定されて、各事業者に周知徹底できるようにつくっていっていただきたいというふうに思って、これは、一つ要望として申し上げておきたいというふうに思います。
 それとまた、今回、一つの利用者の保護という観点ですけれども、障害者の方、特に知的障害者の方ということになりますと、なかなかみずから事業者を選定して、自分で契約をするということに困難なところが出てくるかと思いますけれども、その面についての、成年後見制度というようなこともございますけれども、都は、どのようにこの点について対応されるおつもりなのでしょうか。

○村山企画担当部長 利用者が安心して自分でサービスを選ぶ、あるいは利用するというためには、今申し上げましたような、事業者が、自分の方で利用者保護のためのいろいろな手段、方策を講じていくということが大切なわけでございますけれども、同時に、障害者などのハンディキャップを持った方が福祉サービスをちゃんと利用するためには、利用者保護のための別途の仕組みというものをちゃんとつくっていく、その仕組みの中に事業者をちゃんとビルトインしていくというようなことがあわせて必要なんだろうというふうに思っております。
 そのために、サービス利用の際に生じた苦情に適切に対応する、いわゆる苦情対応の仕組みであるとか、あるいは利用者がサービスを選ぶ際に必要な、サービスの質についての、第三者による客観的なサービスの質の評価をするサービス評価制度であるとか、あるいは、そういうような情報が障害者などにもちゃんと利用しやすいような総合的な情報提供の仕組みづくりというようなことが必要になろうかと思います。
 あわせまして、今お話にございましたような、知的障害者など判断能力の十分でない方が契約を結ぶ際の支援の仕組みというようなことも、やはり大事なことだというふうに思っております。
 この制度といたしましては、今、先生がお話しになりました成年後見制度という仕組みと--ご指摘の趣旨は、サービス利用援助事業との関係についてちゃんと説明しろというご趣旨のご質問かと思うわけでございますけれども、サービス利用援助事業という二つの制度がございます。違いを一言で、根っこのところの議論としていえば、成年後見制度は、精神上の障害によって判断能力が不十分であるために、契約等の法律行為の意思決定が困難というような方々につきまして、後見人等がその判断能力を補うということで、後見人等が、いわばかわってみずから契約などを行うという制度でございます。
 それに対しまして福祉サービス利用援助事業の場合には、判断能力が不十分で、かつ、その不十分さが軽度であるというような方を想定いたしまして、その方が福祉サービスを利用する際の援助を行う。逆にいうと、いわばお手伝いをするということで、その場合には、そのご本人がなされた契約というのは、あくまでご本人のなした行為というふうにみなされるという点で、この二つの制度は大分異なるというようなことがあろうかと思います。
 その結果が、例えば全く意思決定能力がない人も成年後見制度の場合には含まれるわけですけれども、福祉サービス利用援助事業の場合には、判断能力が不十分な人は含まれるけれども、全く判断能力がないとみなされるような方については含まれないということであるとか、関与するのが、成年後見制度の場合ですと裁判所が関与するのに対しまして、福祉サービス利用援助事業の場合には、生活支援員というような援助者が対応するというようなことで、その辺の仕組みが全体として大分異なったものになっているということでございます。
 ご説明としては以上でございます。

○近藤委員 部長のご説明の前段で、客観的にサービスの質を評価するサービス評価制度についてちょっと触れられたわけなんですけれども、予特でも、古賀委員がこれについてちょっと触れたということもございますけれども、いろいろな施設、いろいろなサービスについて、サービスの評価制度というものが今広がっているというふうに認識していますけれども、これについて、サービスの評価の対象は、これからどの程度広げていくおつもりなのでしょうか。

○村山企画担当部長 今のご質問でございますけれども、サービス評価の対象ということでございますけれども、サービス評価は、先ほど申し上げたとおり、利用者による選択の際の情報という意味と、事業者によるサービスの向上という二つの面があるわけでございますので、可能な限り広い福祉の分野でこのサービス評価事業というものを実施することが望ましいというふうに考えてございます。
 他方、この制度というのは、建前として、各事業者が自主的に第三者の評価を自分で受けるんだというようなことが基本になってございますので、各事業者の自主性ということがございまして、その辺に、制度の実効性を確保するためにどうすればいいかということが一つ課題となるという面もございまして、この辺のところをどういうふうにクリアしながら、可能な限り広い福祉分野でこの制度をちゃんと定着、根づかせられるだろうかということで、現在、外部の委員の先生方にもお願いして検討会を設置して、諸課題を検討しているところでございます。
 今、試行などもやっているわけですけれども、十二年度、今年度につきましては、保育サービス、認可保育所ですけれども、それから障害の在宅サービス、通所授産であるとかホームヘルプサービスなどを対象に、実際にどういうふうに可能なのか、あるいはどういうふうに効果的なのかということについて、六つの区市で試行を実施しているところでございます。
 ですから、今後、その辺の検討、具体的なトライアルを通じながら、どういうふうにしたら広い分野でやれるかということにつきまして努力していきたい、かように考えているのが現在の状況でございます。

○近藤委員 今、十二年度でモデル実施をしているというお話がございまして、特に保育サービスについて実施しているのが、民間の保育園だけだというお話も聞いております。一つ確認しておきたいんですけれども、将来的に評価制度が実施された場合に、対象となる施設を民間に限るということをここでフォールドしてしまうという趣旨ではないというふうに確認させていただいてよろしいでしょうか。
 もう少し平らにいうと、公立の施設も、将来的にはこの評価制度の対象に含めるというふうな方向性だということでよろしいのでしょうか。

○村山企画担当部長 そういう方向で今後制度をつくり上げていきたいと思っております。

○近藤委員 もう少しサービスの評価制度について伺いますけれども、この評価を実施する主体について伺います。
 どの機関が、どういった機関がというふうに申し上げた方がいいのかもしれませんが、このサービスの評価を実施するのでしょうか。

○村山企画担当部長 将来的には、あるべき姿といたしましては、信頼性の高い評価機関が民間にたくさんあって、いろいろな個性的なといいましょうか、主体的な評価手法を用いて客観的なサービス評価を実施していただくというのを目指しているわけでございます。
 そのためには、評価の手法につきましても、民間の多様な評価機関が独自に決めていってほしいと思っているわけですけれども、ただ、福祉の分野は、ご承知のとおり、長く公の直接的なコントロールの世界になじんできているというふうな事情もございまして、第三者が評価をする、あるいは第三者に評価をされるということについて、必ずしも事業者の中に、そういう作風といいましょうか、風土がないという状況もございますし、その結果、現時点において、明確に評価機関というのが存在しているというふうにはなっていないというのが現状でございます。
 評価手法についても、確立するのはこれからという状況でございまして、どういうふうにこの辺の評価機関を育てていくのか、あるいは評価項目というものをちゃんとつくっていくのかというようなことが現在の課題でございまして、今後、その辺についてよく研究しながら、評価機関の育成支援というところから仕事を始めなければいけないというのが現段階でございます。

○近藤委員 全くまだ暗中模索の段階ですから、これ以上詳しいことを伺ってもとは思いますけれども、その評価機関というのは、例えば営利団体とか民間、NPOというようなことすらも今決まっていないということの中で、評価機関が、第三者の機関としてきちんと中立公正な立場にあるということが担保されないと--身内のような評価機関が、自分の知り合いのところの事業者をよく評価するというようなことがないわけでもないということになりますと、この評価機関はきちんと中立公正な機関だということを担保する第三者機関がもう一つ必要なような気もしますけれども、それについてはいかがでしょうか。

○村山企画担当部長 そこのところがなかなか難しいところでございまして、確かに民間で評価機関があればいいんですけれども、レストランなんかだと、そういうのはいわば商売になりますから、いっぱい出てくるわけですよね。しかしながら、今、都内に福祉施設というのは大体三千ぐらいありまして、二十五万人ぐらいの方がいらっしゃるわけですね。あと、在宅サービス、高齢関係だけで五千ぐらいの事業所があるということでございますけれども、それにしても、そのくらいの量ということになると、それで飯を食っていけるような事業として育っていけるかというと、なかなかそういう世界というわけでも余りないのかなと。
 そういう意味では、NPOとかあるいはコンサルタント業者が、経営の改善と一緒に評価をするとか、そういうような形のものを期待していくということになろうと思うんですが、その場合に、今、先生からご指摘をいただきましたように、客観性というか能力といいましょうか、あるいは立場といいましょうか、そういうものについて、一定のオーソライズといいましょうか、公証といいましょうか、そういうものがないと、利用者の方として、あそこの評価をちゃんと信じていいのかどうかというようなことについてご不安もあり得るというふうなこともあろうかと思います。
 そういう意味では、そういう評価機関に対する認証制度みたいなもの、ここの評価機関だったら大丈夫ですよというようなことを世の中に対してお示しするような制度をつくっていく必要があるんだろうなというふうに考えているところでございます。

○近藤委員 私は、当初、この評価制度というものは、行政がお金を出して行って、利用者に対して情報を提供していく制度なのかなというふうに考えていたわけなんですけれども、いろいろお話を伺って勉強させていただいているうちに、サービスを提供する事業者が、みずからお金を払って第三者機関に頼んで自分たちの事業を評価してもらってそれを利用者に公表するという制度だということ、誤解をしていたというふうに、今回初めて認識を新たにさせていただいたんです。
 そうしますと、自分でお金を出して事業者が自分の悪い情報を公表していくかということもございますので、評価機関が独自に評価方法等を模索するというのも結構ですけれども、利用者がぱっとその情報を見たときに、各事業者を共通して比較できるような最低限の項目がないといけないのかなというふうに思います。
 それと、さっきおっしゃってくださったガイドラインを絡めて、この事業者は、東京都が出しているガイドラインをどの程度遵守しているのかということ、そして、今申し上げた、最低限各事業者に共通の項目、サービスの利用者が事業者を選定するに当たって共通に優劣を比較できるような項目というものは、ある程度都の中で煮詰めていっていただきたいというふうに思います。
 それと同時に、お金を出しても事業者がこの評価制度を受けるんだというふうに施策が誘導されていくためには、いかにこの評価といったものがサービス利用者に利用されるか、この評価基準を判断材料として、私はこのサービスを使う、この事業者を使うというふうに取捨選択、自然淘汰が進むような形の中でこの評価制度が回っていって、理想的な話ですけれども、回っていって初めて--お金を出してまで評価のシステムに乗っていかないと、自分たちの事業が立ち行かないというところに至って初めて、事業者が前向きに自分の事業を改善したり、この評価制度を積極的に取り入れていこうというふうになっていくと思います。
 多分インターネット等のルートを通じて、この評価制度、評価の内容を公表するというふうにお考えかと思いますが、障害者の方たちが端末をすべてのお宅で持っていらっしゃるというふうにも思えませんので、なるべくすべての人たちが、広く、薄くでも結構ですけれども、この情報にアクセスできるような、インターネット以外も含めて、せっかくつくる制度ですから、利用者が利用しやすい方法も考えていただきたいと思います。
 要望も含めて、最後に部長のご意見を伺って、質問を終わります。

○村山企画担当部長 その辺の評価機関についてやっていく場合に、一つは、認証するという行為が、さっきお答え申し上げたようなことが必要になると同時に、ご指摘いただきましたけれども、個性を出していただくのはいいんですけれども、ある程度ベースとなる共通の評価項目というか、スタンダードというのがやはりある程度あった方がいいというようなことで、例えば設備であるとか環境であるとか、サービスの質、運営体制のようなことをちゃんと整理をしなければいけないなという問題意識を持って、その辺を今やっているところでございます。
 もう一つ、それをちゃんと利用者に提供するということでございますけれども、それについても、なかなか利用者が、全部あっちこっち自分で情報を集めるということも難しいわけでございますし、また仮にできたとしても、単発の情報であると、それを比較考量することもできないというようなこともありますので、その辺の情報をちゃんと整理をして、わかりやすい形で出していくというふうなことをやっていく必要があるというふうに考えてございます。
 それを、ちゃんと利用者あるいは利用者のサービスをコーディネートするようなケアマネジャーの方々に届くような形で情報提供の仕組みを使っていきたいということで、現在、そういう情報の整理と、それをやっていくということで、今回の福祉改革推進プランでも、福祉ITネットワークの構築というような一つの計画を打ち出しているわけですけれども、その辺に依拠しながら今後進めていきたいというふうに思っておりますし、とりあえず十三年度は、現在都が持っております社会福祉施設の法人関係の施設の情報を、福祉局のホームページの方に提供していきたいと。
 今保育所の情報はあるんですけれども、それ以外の社会福祉法人の施設の情報がございませんので、それを早急にホームページの方に載せていきたいというふうな形を一つ根っこにしまして、今後、もうちょっと総合的な情報提供について具体化していきたいと考えてございます。

○小松委員 まず、児童養護施設問題について質問させていただきます。
 今、虐待問題が大きく取りざたされております。本日いただきました資料の一八ページにも、児童相談所における児童虐待相談処理状況の推移が載っておりますけれども、これを見ただけでも、平成七年度から平成十一年度、この五年間で、処理件数は三百九十から一千百七十九と三倍強、また、児童虐待相談の処理件数は二千七百二十二から一万一千六百三十一と、まさに四倍強になっているわけです。
 こうした中、親の虐待を受けた児童が、児童相談所の指導で児童養護施設に入所する例がふえているといわれております。すなわち、児童福祉法にある児童養護施設への入所利用の大きな割合を、この虐待という理由が占めるようになってきたといわれております。ですから、親などの虐待で心身ともに深い傷を負った児童が、最後の心のいやしどころとして求める施設の任務は大変重いわけです。これら児童を温かく迎え、その傷をいやすまでには、多くの月日を要すると思われます。
 こんなとき、先日、こんな新聞記事を見ました。ここにコピーしてございますが、「バイト辞めた園生『食事なし』」、「公費支給の小遣いをカット」、「青梅の児童養護施設 都異例の立ち入り」、毎日の二月二十七日です。また、翌日の東京新聞では、「少年に食事与えず?」、「青梅の児童養護施設 都が立ち入り調査」、また、同じ日の朝日では、「青梅の養護施設に都が立ち入り調査 虐待防止法施行初めて」と、三紙にわたる新聞社の取材を受けての新聞報道でございます。大変深いショックを受けました。
 そこで、この事件に関して何点かお伺いしたいと思います。
 新聞には「都 異例の立ち入り」このように書いてございます。今回の立ち入りに至るまでの事実経過、また、立ち入り後現在に至るまでの経過、都の指導について伺いたいと存じます。

○福永子ども家庭部長 平成十二年十二月二十二日に、児童相談センターなど関係機関に、児童虐待防止法第六条に基づく通告がございました。また、同日、今井城学園の職員から調査の依頼がございました。
 このため、都におきましては、十二月二十八日と平成十三年の二月十四日でございますけれども、二度にわたる現地調査を行いまして、それに基づく指導を行ったところでございます。現在は、改善計画書の提出を求めているところでございまして、事実確認を含め、それに基づき適切な対応をしてまいりたいと考えております。

○小松委員 この新聞には、東京都青梅市の児童養護施設今井城学園が、園生に食事を与えなかったり、公費から支給される小遣い金を勝手にカットしたりした疑いのあることが二十七日わかった。都などは、懲戒権乱用の疑いがあるとして、児童虐待防止法などに基づき立入調査したとありますけれども、それでは、立入調査の結果、何がわかったのでしょうか。この新聞記事は事実だったのでしょうか。

○福永子ども家庭部長 私どもが立入調査をしたのは、児童福祉法第四十六条による、最低基準を維持するため、児童福祉施設の設置者、長に対しまして必要な報告を求めるとともに、関係者に対する質問及び立入調査が認められるという条項に基づく立入調査でございます。
 お小遣いでございますけれども、平成十二年四月より、通告どおり減額が実施されていたということでございますが、都といたしましては、補助金上しかるべき処遇費が算定されているにもかかわらず、補助金の削減によって経費削減をせざるを得ないかのような理由づけで小遣いを減額するということは大変問題であるということで、また、仮に減額分を他の行事に充当したと、臨海の行事に小遣いの減額も充当したというご説明がございましたが、そういったことについて職員や児童に対して十分説明をされていないということは、手続として不適切であったということで、指導を行ったところでございます。
 また、食事の付与でございますけれども、子どもが食事を食べていないことについては確認できましたけれども、食事を与えていないということについては、確認はできておりません。
 子どもの証言によりますと、最低でも一週間は食事を取りに行っていない期間があったということでございますけれども、都といたしましては、食事を取りに来なかったときに、本人の健康状況の確認など必要な対応がされていないということが推測される状況でございましたので、注意喚起の必要があるというふうに判断をいたしまして、指導したところでございます。

○小松委員 小遣いはこのとおりだと。しかし、今のお話では--ここに「少年に食事与えず?」とか、例えば東京の二月二十八日には、「少年は昨年十二月十日から約一週間、園で調理する食事をとらなかった」とか、三紙とも食事については触れているわけですけれども、食べていないことは明らか。だけれども、与えたか与えないかは明らかでないということなんでしょうか。
 とても小さなことですけれども、大変大きなことだと思うんですね。と申しますのは、家庭と違って、こういうところにおいての食事というのは、自分から勝手に、我が家のように、冷蔵後から出して食べたりすることはないわけです。食事そのものが、生命を保障する大変基本的な問題でありますので、この辺では食事が--ここには、一週間食べなかったということですが、実際には、私も園に行っていろいろ伺ったりしておりますけれども、食事を上げないという、与えないという張り紙までしてあったというふうに聞いております。
 そして、その張り紙を撮った証拠写真を私も手にしております。何々と名前が書いてあります。バイトの面接決まるまで食事はなしです--みんなの見えるところにこういうものが張ってあります。これ一つが大変な問題ではないかと思いますが、その認識も伺いたいと思います。

○福永子ども家庭部長 食事の付与の件ですけれども、先ほど申し上げましたように、子どもが食事を食べていないという事実は把握しておりますけれども、与えていないということについては、私どもの方では確認はとれていないということで、園の方では、食事を厨房の方でつくって置いてあるということでございまして、それを子どもの方が取りに行かなかったということでございますので、その辺の私どもの確認については、与えていないということは、必ずしも確認は十分できていないということでございます。

○小松委員 ところで、こうした行為に対して、厚生省から平成十年の二月に通知が出されていると思われますが、この通知はどういうものでしょうか。

○福永子ども家庭部長 懲戒に係る権限の乱用に当たる行為ということで、厚生省の通知でございますけれども、殴る、ける等、直接児童の身体に侵害を加える行為や、合理的な範囲を超えて長時間一定の姿勢をとることを求めることなど、八項目について具体的に例示したものでございます。

○小松委員 今は、具体的な殴る、けるのような例を出されましたけれども、そこには、食事を与えないこと、児童の年齢及び健康状態から見て必要と考えられる睡眠時間を与えないこと、適切な休息時間を与えずに長時間作業を継続させること、施設を退所させる旨おどかすこと、性的な嫌がらせをすること、当該児童を無視することなどの行為が挙げられると。部長がおっしゃっていただかなかったので、私が読み上げさせていただきました。
 はっきり書いてあるわけですね、このように。先ほどのような行為は、そうした乱用権禁止の最低基準違反に当たらないんでしょうか。

○福永子ども家庭部長 食事を与えていないということが事実確認できれば、ただいまのような通知の中で、食事を与えないという形の懲戒権の乱用ということに該当するわけでございますけれども、私どもの調査では、そこのところが、与えていないということについての事実の確認というのが、完全にはとれていないという状況でございます。

○小松委員 食事については、ここで部長と私が、与える与えないといっても、両方とも現場を見ているわけでないので、これ以上はやりませんけれども、ただ、例えばそういうことがあったという通告があったわけですね。この通告というのは、その現場を知る人でなければできないような通告であったと思うんです。子どものそういう状況を見て、いたたまれない、そして通告をしたと思うんですね。ですから、ぜひそこのところをしっかり調査していただきたいと思います。
 ただ、食事だけではないわけですね。先ほど申し上げた張り紙ということでは、ここにもありましたように、精神的な、心理的な嫌がらせとか虐待に当たるものもいけないとありますけれども、私も何枚かこの写真をいただいてきました。謹慎について、対象の名前がはっきり三人出ております。そして理由は、ライターを店から盗んだから、火遊びを室内でしたから、処罰は外出禁止、テレビ禁止、三階へ行くのも禁止というように、はっきりとこれが見えるところに、大衆の場というか、子どもたちの間で見える場所に張られていた。
 または、幼児部屋への入室は職員以外全員禁止とか、これはともかくとしまして、具体的に名前が出て、そして、あなたはこういうことをやった、だからこういう処罰。これは、はっきりいって、その子に対して、そういうことをやったんだよ、こうやってみんなに知らせることで、あんた恥ずかしいだろう、もう今後しないようにということが含まれていたとしても、辱めを与えるということでは、決して許されない行為と思います。
 それから、いろいろ聞いております。退所をおどかす、ここに、施設を退所させる旨おどかす、こういうことがあったようです。私、これを聞いて非常に胸が痛みました。こうやってひどい仕打ちを受けながらも、退所させるぞというおどかしがきくというんですね。それほど彼らにとって、今までのところ、もう帰るところがない、こういうことはいっているわけですから、そうしたことや、無視する、または高校は都立だけしか行かせない、このように私も職員などから聞いております。
 もう一つ、職員の退職が非常に早い、そうした問題はどういうふうに考えるのかということもあります。児童養護施設における職員というのは、学校の教師以上の関係、すなわち、親がわりではないでしょうか。親の養育が十分でないから、困難だから、児童養護施設に入所させる。この親がわりの職員が、しょっちゅうかわってしまったり、急にかわったり、これは児童へ大きな影響を与えるのではないでしょうか。
 この園では、職員の退職が大変多いと聞くわけですけれども、先ほどの答えとあわせて、今年度の退職者も何人か伺いたいと思います。

○福永子ども家庭部長 処罰書の件でございますけれども、掲示された処罰書の中で、子どものプライバシーにかかわる内容があったということが大変強く推測される状況でございましたので、注意喚起する必要があると判断をいたしまして、指導したものでございます。
 それから食事につきましても、都としては、食事を取りに来なかったということでございますが、取りに来なかったときに、本人の健康状況の確認など必要な対応がされていないと推測される状況がございましたので、注意喚起の必要があると判断をいたしまして、指導したところでございます。
 それから、今井城学園で今年度中に退職した職員の件でございますけれども、都として把握しているのは、九名の職員でございます。

○小松委員 指導したということですけれども、もちろん指導はしてほしいんです。私は、そうした園側の行為というか大人の行為が、乱用権禁止の最低基準違反に当たらないかどうかということを確認したいと思います。
 それから、さっきの九人というのは、今年度九人ですね。何人中の九人なんでしょうか。

○福永子ども家庭部長 総職員は十七名中ということでございます。
 それから、懲戒権の乱用そのものに当たるということよりは、乱用について相当疑わしいといいますか、そういったこともございますので、強く改善の指導を行っているところでございます。

○小松委員 十七名中九名というのは、半分以上じゃないですか。それも、私は過去からさかのぼって聞いたわけではないんです。今年度で間違いないわけですね。今年度に九名の職員が退職したわけですね。一々もういいです。後で、もし反論があればしてください、時間がもったいないので。
 職員がいかにその施設--これは児童養護施設と限りません、保育園でもそうです、幼稚園でもそうです、職員がいかに退職が多いかということは、その施設が本当にいい施設といえるかどうか、働きやすい、子どもにとってはまた本当に居心地のいい施設かどうか、疑われてもいたし方ないのではないかと思われます。この辺の認識もお伺いしたい。
 それから、違反に当たるのではないかということではどうでしょうか。私は、当たるのじゃないかというふうに思っているのですが、いや、あなたがいうのは違う、いろいろとそのおそれはあるけれども、当たらないんだ、いや、当たる可能性があって、これからも調査していくんだと、その辺をはっきりとお答えいただきたいと思います。

○福永子ども家庭部長 職員の方を訂正させていただきます。総職員数は、非常勤職員が六名おりますので、二十三名ということでございます。それから、退職した九名のうち、常勤の職員は五名で、非常勤の職員は四名ということでございますので、二十三名中九名ということでございます。
 それから、労使間の問題ということにつきましては、労使間で自主的に決めていかれるべきものであるというふうに判断しておりますけれども、労使間におけるそういった紛争が、ここで生活をしている子どもたちの処遇面での影響が出るということがないように指導を行っているというところでございます。
 それから、懲戒権の乱用ということでございますけれども、先ほどの食事の件、それから処罰書の件、そういった件につきましては、私どもの方といたしましては、注意を喚起するといいますか、懲戒権の乱用そのものかどうかは十分事実確認等ができていないという状況もございますが、そういったことがいろいろな形で問題があるといいますか、そういう状況でございますので、注意喚起する必要があるという形で指導を行ったということでございます。

○小松委員 大変しつこくて申しわけないんですけれども、大変重要なところなので。懲戒権については、まだ確認がされていない--これからも調査をして、そのことを明確にしていく気があるのでしょうか、お答えいただきたいと思います。
 それから、労使問題については、先ほどおっしゃったように、まさにこの労使の紛争等が子どもに影響しては決してならないということでは、重く受けとめていただきたいと思います。

○福永子ども家庭部長 事実の確認でございますけれども、現時点ではそういった事実は確認はできていないということでございますので、今後、そういった調査等で事実が確認できた場合は、それに基づきましてしかるべき措置をとっていきたいというふうに考えております。

○小松委員 大変重要な問題なんですが、神奈川県で過去に、鎌倉保育園ですか、ここが勧告を受けておりますね。この内容はどういうものだったでしょうか。

○福永子ども家庭部長 鎌倉保育園の事件でございますけれども、入所児童に対する体罰が行われていたということが認められたなど、子どもに対する人権侵害等がございまして、神奈川県では、鎌倉保育園に対しまして、施設の運営及び処遇の改善等について、平成十一年九月八日に勧告を行ったということでございます。

○小松委員 私、なぜ神奈川県の例を出したかといいますと、これは、具体的な殴る、けるがあったようですけれども、先ほどから繰り返しているように、具体的な肉体的な苦痛を与えなくても、まさに同じようなことがここで行われている、このことをきちっと受けとめていただきたいと思います。
 そして、東京都も、今回、立入調査は非常に早かったと思うんですね。十二月二十二日に受けて、二十八日に入った、素早い対応ということでは評価をしたいと思います。
 都も、改善計画の提出を園に求めたと思いますが、これが不十分だったとか聞くわけですけれども、これは、何が不十分で、今どうなっているのでしょうか。

○福永子ども家庭部長 改善計画書については、まだ受理をしておりませんので、その内容については申し上げられないわけでございますけれども、事実確認等をきちんとした上で、不適切な運営を改善するように強く求めまして、改善計画書の提出を指導しているところでございます。

○小松委員 一回改善計画書を出してもらったんだけれども、結局は不十分だったから受けられなかったということで、これからまた、来週には--来週じゃない、もう今週です、先週、私行ってきました、来週には出すんだというのを園の側からも聞いているんですよ。どういうことが不十分だったのでしょうか。

○福永子ども家庭部長 正式には改善計画書は受理をしておりませんけれども、途中で、事実確認等がきちんと園の方でされていない部分があったというふうな形もございましたので、そこら辺の形について、きちんと書くようにという形で改善計画書の提出を指導しているということでございます。

○小松委員 そうでしょうね。もっともっと本当は聞きたいんですけれども、まだまだ質問がありますので、ぜひこれは、改善計画書をきちっと出させるということもそうですが、こうした事件が二度と起こらないようにするためにも、都の厳しい対応が求められると思いますけれども、もう一回、きちっとお答えいただきたいと思います。

○福永子ども家庭部長 今井城学園に対しましては、現在、改善計画書の提出を求めているわけでございますが、改善計画書の受理後、その後の運営につきまして、改善状況の確認を行うなど、必要な改善指導を行っていきたいというふうに考えております。

○小松委員 今の質疑を通じても、重大な問題があって、都も認めていることが明らかになったわけです。今、必要な改善の指導とおっしゃいましたけれども、単なるそれだけではなく、勧告を踏まえた厳しい対応が求められてよいのではないかと思われますが、いかがでしょうか。

○福永子ども家庭部長 現在、園の方では改善計画書を作成しておりまして、それを都といたしましては受理いたしまして、その内容につきまして、今後、その後の園の運営につきまして改善の状況等を十分確認した上で、必要な改善指導を行っていきたいというふうに考えております。

○小松委員 同じような答えなので、平行線になるのは大変残念ですが、ここで職員からの声が届いておりますので、読み上げます。たび重なる調査が行われても、結局何も変わらなかったら、あるいは一時的な形式的変化のみの結果であったら、一番傷つくのは子どもたちだということ、そして、大人不信をこれ以上経験させられたら、子どもたちは本当に救われませんと切々と訴えておられました。
 こうした声を重く受けとめて、勧告を含めた対応をきつく求めておきたいと思います。
 次に、これまた大変悲しい事故の話ですが、株式会社ちびっこ園池袋西の乳児死亡事故についてです。
 去る三月十六日、豊島区のベビーホテルちびっこ園で、四カ月の乳児が八カ月児に押しつぶされて亡くなりました。一つのベッドに二人寝かせていたという考えられない事故です。余りにも痛ましいものです。
 そこで、この事故について何点か伺います。
 まず、この事故を起こしたちびっこ園とはどんな施設なのか、そして、この事実経過を伺いたいと思います。

○福永子ども家庭部長 ちびっこ園池袋西における事件ということでございますけれども、平成十三年三月十五日の夕方五時ごろに、同じベッドで寝ていた二人の乳児のうち、四カ月の男児の異常に職員が気づきまして、男児は救急車で病院に搬送されたわけでございますが、翌日十六日の午前三時四十五分に死亡が確認されたというふうに聞いております。
 ベビーホテルちびっこ園というのは、富山市に本部がありますチェーンのベビーホテルというふうなことでございます。

○小松委員 今、ちびっこ園の概要とか経過とか一応お伺いしたんですが、それだけでは不十分なんですが、もう少し調べておられませんか。どうしてもないなら、私の方で確認していきたいと思いますが、ぜひ部長の方からお願いいたします。

○福永子ども家庭部長 ちびっこ園ですが、都内では十四カ所のチェーンがございます。本部は富山県の富山市にございまして、都外には四十九カ所、千葉、神奈川、埼玉、仙台、大阪ほか沖縄まで、全国六十三カ所で展開しているベビーホテルのチェーンでございます。
 児童数でございますけれども、これはちびっこ園の池袋西ということでございますが、月決めの契約児童数は六十三名ということでございまして、内訳は、ゼロ歳児が八名、一、二歳児が二十五名、三歳児が九名、四歳以上が二十一名ということでございまして、当日の児童数は五十六名ということでございます。
 職員数は、常勤職員が六名ということで、非常勤職員は一名ということでございます。
 当日の勤務者でございますけれども、常勤職員が四名でございまして、非常勤職員が一名でございます。

○小松委員 今一ついわれませんでしたけれども、ここは二十四時間オープンが目玉ですね。二十四時間オープンで、六十三名の児童に六名の常勤者、これでは、まず職員体制が全く不十分ではないでしょうか。その上、一時預かりもしていると。事実、この事故当時も、一時預かりが五名ほどいたというふうに聞いております。これでは、いつ事故が起きてもおかしくない。
 二十四時間で、非常勤を入れて七名で、うち資格者二名ということは、常勤職員不足の中で、無資格者のみの時間帯もできるはずですね。職員の勤務体制をもう少し詳しく伺いたいと思います。また、事故時間帯に施設長は在園だったのかも含めてお願いいたします。

○福永子ども家庭部長 職員の勤務体制ですが、先ほど申し上げましたように、常勤が六名でございまして、そのうち有資格者が二名ということ、このほか非常勤職員が一名ということでございますが、この施設の契約児童数から必要な職員数というのは、常勤職員が八名で、うち有資格者の職員数が三名必要ということでございます。

○小松委員 必要職員数は、常勤八名、必要有資格者三名ということですが、ここで論議すると時間がないのでやめますけれども、これは、あくまでも日中の六十三名の職員体制ですよ。ここは二十四時間の一日オープンですから、これでは全く足りないわけですね。ですから、先ほど申し上げたように、本当に無資格者だけでいる時間が--有資格者二人ですから、二十四時間を二人で割って十二時間というわけにいかないわけですから、きっとそんな時間帯もあるだろうと。こういう体制がとんでもないと。
 さらに、聞くところでは、二十歳未満のアルバイトがいるとかいうこともあります。また、しょっちゅう職員がかわるとかも聞いておりますが、職員の勤務年数も伺いたいと思います。

○福永子ども家庭部長 職員の勤務年数でございますけれども、立入調査では、職員の数、常勤、非常勤の別、氏名、資格の有無、健康診断、検便の実施状況等の調査を行っておりまして、職員の勤続年数等については、今後把握していきたいというふうに考えております。

○小松委員 残念ですね、職員の勤務年数を聞いていただければはっきりすると思います。一年未満がほとんどだっていうんですよ。それで、二十歳未満のアルバイトもいる。そして、全体の数が非常に少ない。これでは本当に、繰り返しますけれども、事故がいつ起きてもおかしくないではありませんか。
 大体、一つのベッドに二人を寝かせるということだって、常識で考えられませんね。そのお子さんが四カ月と八カ月ですよ。四カ月といえば、もうそろそろ寝返りを打つ。八カ月といえば、普通のお子さんなら、くるくる寝返りを打ちます。その二人のお子さんを一緒のベッドに、たとえ狭くても、百歩譲っても、間に仕切りを置く、その仕切りさえ置かないで一緒に寝かせる--当たり前じゃないですか。余りにもひどい。失われた命は戻ってこないということでは、大変残念ですというか、怒りを禁じ得ません。
 大体この園については、豊島区でも、また豊島区の我が党区議団も大変憂慮しておりました。そして都も、過去にも指導、改善をさせてきていると聞きますが、今までに、いつ、どのような指導をして改善を求めてきたのでしょうか、そして、その後の変化はどうなのでしょうか。

○福永子ども家庭部長 昨年の十月三日に立入調査を行いまして、その結果、保育従事者不足等の問題点がありましたので、口頭で改善指導を行いました。さらに、十二月二十二日に、局長名で、施設設置者に対しまして、文書指摘事項等についての調査結果を通知いたしまして、改善状況の報告を指示したところでございます。
 その後、園の方からは、本年の二月十四日に改善状況報告が届きましたけれども、改善に努めるという内容でございまして、今回の特別の立入調査では、保育従事者の不足等についての改善は認められなかったということでございます。

○小松委員 指導してきたとおっしゃいますが、結果としては、こういう事故を防ぐことができなかったわけですね。幾ら認められない--最悪の事態を招いたこの教訓を引き出す必要があると思われますが、なぜその指導が現実の事態を変えることができなかったのか、もう一度お願いいたします。

○福永子ども家庭部長 児童福祉法五十九条に基づきまして、無認可の特にベビーホテル等については、立入調査をして指導監督しているわけでございますが、法的には、児童福祉審議会の意見具申によりまして、閉鎖だとかいうことも法律上はございますけれども、そういった事例は、今までは、例の神奈川県の大和市の中で、ああいう事件の中で一件あったということでございまして、私どもといたしましては、指導監督要綱というものに基づいて、そういった指導監督あるいは文書指摘等の指導をやっているところでございます。
 今回、厚生労働省の方では、特に問題が多いベビーホテル等につきまして、現行の認可外保育施設の指導基準の見直しという作業もやっているということでございますので、都といたしましても、指導監督要綱等の改正について検討していきたいというふうに考えております。

○小松委員 今までも、無認可については、毎年、指導、検査をしている、これから指導要綱の改善もしていく、それは結構ですが、改善まできちっとさせる。先ほど出ておりました第三者評価、こうしたものを含めた具体的な改善策が必要ではないかと思われます。
 この際ちょっと申し上げておきますが、このちびっこ園というのは、過去にも労基法違反などがあって、全国福祉保育労からも、国や都あてに要望が出されているわけです。私、たくさんある中でほんの一つ紹介します。
 看板に偽り、余りにひどい保育の実態と、中の方が訴えております。生後五十日から学童まで、二十四時間年中無休、完全給食、ミルク、おむつ、離乳食すべて完備、一人一人の個性を重視した保育内容、こううたい文句があるというけれどもといって、仕出し弁当を何人かに盛り分ける給食、離乳食も、弁当をおじやにして食べさせるだけ、牛乳の特別料金を注文しない子は麦茶で我慢するしかありません、野菜や果物はほとんどなく、キャベツの千切り一つまみ、リンゴ一個を十等分に分ける、午睡用の布団はあるが、干す場所もなく、本部に何回も頼んで、やっと半年に一度の布団乾燥に出す。赤ちゃんは日光浴や外気浴もできず、ベッドに寝かせっ放し、ミルクを与えおむつをかえるのがやっとで、初めは泣いていた子も、あきらめて泣かなくなってしまう。深夜帰宅、昼間寝て、夕方登園する子どもたち、人間として健康に育つ権利が奪われている子どもたちに、児童福祉法は、子どもの権利条約は、行政の責任はどこへいってしまったのか、と結んでおられます。
 また、先日のこの事故に対しまして、お迎えのお父さんお母さんに新聞記者が取材をしている。こう答えております。国とか行政がカバーしていないことが一番の問題だと思う、これはあるお母さんです。また、あるお母さんは、夜の勤めなので預けざるを得ない、子どもには、何かあったらすぐにいいなさいといつもいっている、大きいチェーンなので安心していたんだけれども、こんなことがあるなんて大変心配だ。また、ある方は、行政の管理責任も大きい、怒りを隠せないという、いろいろなインタビューが載っておりますが、このように、起こるべくして起こった事故といわれても仕方のないようなこの事故ではありますが、もう二度とこんな事故を起こさないためにも、園に対する営業停止も含む厳しい対応が求められると思いますが、所見はいかがでしょうか。

○福永子ども家庭部長 問題が多いベビーホテル等で特に悪質な場合には、法律でも事業停止あるいは閉鎖命令といったこともできるわけでございますが、そういった点も踏まえまして、今後、さらに悪質な施設については厳正に対処してまいりたいというふうに考えております。

○小松委員 確かに、今後悪質なところは--先回りしていっていただいたので、それはそれで結構なんですが、私がお伺いしたのは、今事故を起こした--ベビーホテルすべてが悪いということもいっていないんですよ。今事故を起こして、まして赤ちゃんの命が失われてしまった。それも、本当に不慮の事故というよりは、先ほどから申しているように、一つのベッドに二人寝かせているとか、そういう、この園に対しての対応はどうされるのですかということなんです。もう一回お答えください。

○福永子ども家庭部長 当該施設につきまして、現在、施設からの状況報告を求めておりますけれども、そういった報告も受けました上で厳正に対応していきたいと考えております。事業停止とか事業閉鎖等も含めまして、特に悪質なケースということに認定できれば、厳正に対応していきたいというふうに考えております。

○小松委員 ぜひ、今のお言葉をきちっと受けとめたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 ただ、この問題は、そこで後のを聞こうと思ったら、さっきいってくださったんだけれども、この園だけでは確かにないんです。そして、この豊島区では、いみじくも四園の認可保育園の閉園があったと。決して一緒にするわけでもないんですけれども、やはりこういうところに預けるというのは、先ほどのお母さんの声にもあったように、預けるところがない、仕方なく預ける、そういう方が多いわけです。これは今、全都、全国的な問題であると思います。少なくとも東京都においては、都内に数多くあるベビーホテルのこの実態、これの全容を都民の前に明らかにするべきだと思います。
 そのためにも、毎年やられておりますこの調査だけではなくて、ベビーホテルの利用児童数、また、ベビーホテルを利用している理由なども含めて、全体像がわかる調査を求めるわけですが、いかがでしょうか。

○福永子ども家庭部長 ベビーホテルについては、都としては、そういった施設を認めているということではございませんで、事実上営業行為として営業されているというものについて、児童福祉法上の観点から指導基準を設けまして、児童の安全や衛生の確保の観点から必要最低限の基準を設け、それについて指導監督しているということでございますので、ベビーホテルそのものについての必要性というふうな観点から立入調査をしているということではございません。

○小松委員 私は今、こういったベビーホテルの、何でベビーホテルに子どもを預けているのか、こういう理由も含めて、全体像がわかるような調査をしていただけないかとお願いしたんですが、その答えはどうでしょう。

○前川福祉局長 今、るるご指摘がございましたが、私どもは、こういう形でベビーホテルを放置しておいていいとは毛頭思っていないわけであります。したがいまして、今回認証保育所制度を発足させるのも、十三年度百カ所予定しておりますが、これについても、やはりそういうベビーホテルも含めた、いわば法の枠外に放置されている保育事業について、きちんとやっていきたいという問題意識のあらわれでございます。それが一点。
 二点目に、現在の都がやっている指導監督要綱がそれでいいかどうかということにつきましても、先ほど部長から申し上げましたが、都として独自に何かできないか検討していきたいと思っています。
 あわせて、指導、検査もやっておりますので、その一環として、全容についても把握をしていきたいと考えております。

○小松委員 認証についてはこの後やりますので。
 乳児保育というのが、だれでも簡単にやっていいものではない、重い仕事であるということが改めて明らかになったわけです。ぜひ実態調査で全体像を明確にして、その対応を求めたいと思いますし、どの子も大切にされ、すくすく育つ、また、親も安心して働ける、職員も生きがいを持って働ける、こうした保育所づくりに行政も全力を尽くしていただくことをお願いいたしまして、次の、今ありました認証保育所について質問させていただきます。
 認証保育所については、昨年の事務事業の質疑の際も何点か伺ったわけですが、我が党は、駅前に保育園をつくったり、保育室のレベルアップのために工夫をすることを、反対というわけではありません。しかし、今日の認証保育は、その全容がまだ明らかになっていない。いよいよ来年度、この四月以降出発という、この二〇〇一年度を直前にしまして、まだ要綱も示されなく、一体どうなっているのか、こうした不安の声も聞かれます。
 要綱は今年度末に作成という前回の答弁を得ているわけですが、できたのでしょうか。作成中なら、いつできるのでしょうか。そして、スタートはいつになるのでしょうか。今、手を挙げている区市があれば、その状況、対応などあわせて伺います。

○福永子ども家庭部長 認証保育所の要綱でございますけれども、現在、詳細についていろいろ検討しておりまして、年度末に向けて作成中でございまして、四月には要綱を送付する予定でございます。
 それから、どれぐらいの区市町村が手を挙げているのかということでございますけれども、区市町村の関心は大変高く、多くの区市町村から問い合わせが来ている状況でございます。既に足立区と中野区の二区については、十三年度の当初予算に組んでいただいているということでございます。多くの区市町村が可能な限り認証保育所の開設に取り組むよう努力してまいりたいと考えております。

○小松委員 本当に大至急要綱を手にしたいと思うんですが、それでは、伺っていくしかないですね。
 まず、A型、B型があるわけなので、A型の駅前保育所という、この駅前というのはどういうことでしょうか。

○福永子ども家庭部長 駅前の定義でございますけれども、先ほど申し上げましたように、細部についてはまだ決定をしておりませんで、駅から徒歩何分とか、あるいは何百メートルということについては、まだ最終的な決定をしていないということでございます。

○小松委員 そうすると、駅から徒歩何分とか、何百メートルとか、そういう数字であらわすという解釈をしてよろしいですね。決めていないというなら、その辺は、これもやはり柔軟な形で大至急決めていただきたいと思います。
 また、駅前A型の設置主体はどちらでしょうか。駅前という概念を含めて。

○福永子ども家庭部長 認証保育所A型の設置主体でございますけれども、多様なサービス事業者の参入を予定しておりまして、社会福祉法人、NPO法人、宗教法人、学校法人、株式会社等、多様な設置主体を認めていくという方針でございます。

○小松委員 そうすると、NPO法人、個人は、基準をクリアしていれば認めるのですね、どうでしょうか。

○福永子ども家庭部長 NPO法人につきましても、基準をクリアしていれば認めていく方針でございます。
 個人につきましては、認証保育所のB型の方を予定しております。
 失礼しました。多様な事業者の参入ということで、個人というのは現実的には余りないというふうに考えておりましたのであれですが、個人であっても、資格要件等を満たしておれば、参入を認めていくということでございます。

○小松委員 そうでないと、多様なというところは当てはまりませんよね。わかりました。
 さて、認証B型の補助基準額はどういうことになりますでしょうか。また、保護者の負担割合、保育料はどのぐらいになるのでしょうか。

○福永子ども家庭部長 認証保育所B型の補助基準額の考え方でございますけれども、国の保育単価の考えに準じまして都と区市町村で助成をしていくということでございまして、二分の一をそれぞれ半分ずつといいますか、都が四分の一、区が四分の一、残る二分の一が保護者負担という助成の考え方でございます。
 また、保育料につきましては、それぞれ直接契約という形になりますので、そういった地域の実情等によりまして、現在の保育システムもそうでございますけれども、そういった中で、地域の利用者のニーズとかいろいろな状況を踏まえて決定されていくというふうに考えております。

○小松委員 保護者の負担割合は二分の一ということになりますと、例えば今までの保育室は、三分の一、三分の一、三分の一ということで、保護者の負担も三分の一だったわけですね。保育料の面で二分の一ということになれば、今までよりも多くなるということですか。

○福永子ども家庭部長 今申し上げましたのは、補助金算定上の考え方ということで、二分の一の利用者負担がなければコスト的に運営できないというふうなものではございませんで、保育料につきましては自由設定ということでございますが、そういった中で、上限を認証の場合は設けまして、国基準の費用徴収基準額の上限ということで、三歳未満児は八万円、三歳以上児につきましては七万七千円というのが上限でございます。
 ただ、現実の保育料ということになりますと、保育水準がレベルアップするということがございますので、そういったレベルアップに見込まれるコスト増がございますけれども、それに見合った都及び区市町村からの補助額も増額をしているということでございます。
 それから、保育料そのものも、もちろん自由設定ということでございますし、余り規制がございませんから、経営者の創意工夫とか経営努力とかいうものを発揮する仕組みになってございますし、直接契約制ということで、より利用者のニーズが反映していくという仕組みでございますので、保護者の負担というものは適正なものになるというふうに考えているところでございます。

○小松委員 そうすると、運営費の二分の一とはいうけれども、運営費がこれだけかかった、この二分の一は保護者負担じゃなくちゃいけないのよと、会計監査じゃないけれども、そういう監査をする、そういうことじゃないということですね。
 そうしますと、その辺はまだ助かるんですが、気になるのは、保育料が、これは十一時間といいながらも、二時間の延長を条件としていますね、過去の説明では。ということになりますと、保育料というのがこの十一時間分なのか十三時間なのか、すなわち、延長は二時間、これをどう見るかということです。

○福永子ども家庭部長 認証保育所は、十三時間という今ご質問がございましたけれども、十一時間プラス二時間ということで十三時間の開所を基本としておりまして、認可保育所のような十一時間プラス二時間という発想ではなく、ニーズに応じた対応を図っていくということでございますので、現実には、その十三時間の中で八時間であれば、延長保育ということには該当しないわけでございます。
 現在、詳細については検討している段階でございますけれども、仮に八時間を超えた延長保育ということになった場合についても、延長保育料の額等につきましては、東京都が決めるということではなく、市場原理の中で適正な水準になるというふうに考えているところでございます。

○小松委員 八時間というのが出ておりましたけれども、基本は八時間なんですか。そうすると、この補助基準額というのは、十一時間に対して、十三時間に対して--今八時間なんて言葉が出てきましたので、私の認識がまだよくわからないというか、その辺はどうなんでしょうか。

○福永子ども家庭部長 失礼しました、今詳細についてまだ検討中のところでございましてあれでございますけれども、基本については、延長保育料につきましては、東京都の方でそれについては助成をして、幾らということを決めるということではなく、延長保育料の考え方につきましては、直接契約という中で、市場原理の中で適正な水準に決めていただくということでございます。何時から何時が延長保育という考え方が、認可の保育所とは考え方が一応違う方向で詰めているということでございます。

○小松委員 そうすると、基本は八時間として、それの延長になる園もある、十一時間として二時間延長するところもある、十三時間を条件だからするところもある、そういう形になるのでしょうか、ちょっとまだよく理解しがたいんですが。

○福永子ども家庭部長 最終的にまだ基本の上限の八万円の保育料の考え方については、今現在、詳細について詰めているという状況でございます。

○小松委員 ますますわからないのは、額だけ決まっていて、それが八時間なのか十一時間なのか十三時間なのか、それはちょっとおかしいんじゃないですか。何かちっとも納得できませんね。
〔松本委員、「十三時間で八万円ですっていっちゃえよ」と呼ぶ〕

○福永子ども家庭部長 十三時間というのは開所の時間ということで、認証保育所が例えば朝八時から夜八時まであけるとかいう時間でございまして、現実の利用者の方は、朝早く預けられる方もいらっしゃいますし、やや時間遅く預けて夕方にお迎えに来られる方もいらっしゃるということで、そこら辺は非常に柔軟な制度として考えているわけでございまして、延長時間の考え方も、そういった形で柔軟な考え方ができるような方向で今いろいろ考えているということでございます。

○小松委員 余り繰り返したくないんだけれども、ちょっと大事なのでね。お母さん方にとっては、保育料が幾らかというのはすごく重大な問題なんですよ。今の八万円よりは--いいですか、部長、八万円が上限だというその八万というのは、今、松本委員の方から、十三時間で八万円っていっちゃえよなんてあったんですけれども、そういう考えでよろしいんでしょうか。

○福永子ども家庭部長 開所時間は、さっきから申し上げていますように、十三時間という中でございます。ところが、現実に預けられる方は、例えば朝早くから預けられて早くに迎えに来られる方もいらっしゃれば、早くから遅くまで……。

○小松委員 それはわかるから、八万円はどこだっていっているの。八万円の算出根拠。

○福永子ども家庭部長 八万円の算出根拠については、今まだ正式な決定をしておりませんので、ちょっとここで何時間ということは申し上げられません。

○小松委員 では、八万円という算出根拠は何ですか、もう一回。国基準というけれども、そうすると、国基準といったら、これはまた一つ保育時間もあるんですよ。その辺、八万円の根拠を教えてくださいよ。

○村山企画担当部長 今のお話は、この認証保育所の弾力性という問題点にかかわって非常に根本的な問題でございまして、今回、私どもが認可保育所と違う形での認証保育所をつくったというその発想の中には、弾力性というものがあるわけです。それが、制度設計で一つ非常に難しい問題でも同時にあるわけでございますけれども、十三時間開所という、まずオープンしている時間を決めました。
 今までの認可保育所ですと、その園ごとに何時から何時という一つのコアタイムをつくっていて、そこから延長時間が出てくる。そうすると、お母さん方の預けたい時間との関係での延長ではなくて、当然のことながら、コアタイムとの関係での延長というものが生じてくるわけでございます。園ごとにぴしっと決まっているわけですから。
 そういうやり方ですと、なかなかニーズにうまく対応できない。むしろこっちの方がいいという人もいるし、午後だけの人もいるかもしれない。そうすると、午後だけ預けられる方は、すぐに例えば七時とか八時とかというところから出ちゃいますから、すぐ延長にばんといっちゃうと。そうじゃなくて、朝から預けている人は、同じ時間預けても全然延長にならないというのは本当にいいのかというようなことがあって、そういう中で、十三時間開所という考え方を一つセットしてあります。
 そのときに、じゃ延長時間のコアタイムのところを、動くコアタイムをどこにセットするのかというのが非常に難しいというところで、我々は今、正直申し上げて頭を痛めているところでございまして、一番ニーズに合って、かつ料金の負担にもなるべくならないようなセットの仕方をどうすればいいのか。
 そうなってくると、今までの考え方ですと、一日単位でいつも延長時間というのがあったわけですけれども、それ自体も、一日単位というふうに考えないで、一月単位で累積で時間として考えていった方がむしろニーズに合うのかとか、いろいろその辺を、十三時間開所という中でどういうふうに料金を設定していけばいいのか、コアタイムをどこにセットしていけばいいのかということも含めて、八時間なのか十一時間なのかという議論よりもっと前の段階で、どういうシステムにするのが一番預けられる親御さんに負担が少なくて、かつ運営が弾力的でニーズに合うようなやり方をやるかというのを、今鋭意、口角泡を飛ばし議論をしているところでございますので、もう少しお時間をいただきたいということでございます。

○小松委員 今わかったのは、コアタイムが動くということだけはわかりましたよ、中心のところが。だけれども、実際には、八万円の限度というのが、その開所時間十三時間で八万円なのか、そのコアタイムで八万円なのか、その辺は今明らかになっていなかったんですけれども、しつこいようですが、済みません、ちゃんと答えてよ、何回もいうの嫌だから。もったいないから。
〔「お母さんにとって一番大事なところが、何で決まってないんだよ」と呼ぶ者あり〕

○村山企画担当部長 なかなか難しいんです。(笑声)なかなか難しいんですが……(小松委員「難しいって、八万という数字出したんでしょう」と呼ぶ)いや、出していません。だから、国の考え方に立つと八時間ということになっちゃうんですね。そうすると、お話のように、どうしても延長時間が延びてくるわけですよね。開所時間が多くなれば多くなるほど、延長時間は多くなるわけですね。そこで、そうじゃない考え方、十一時間を一つコアタイムのベースに置くという考え方もあるわけですよね。その辺についても、そういうふうにすれば、全体としては相当に延長時間の割合というのは低くなりますから、ニーズにこたえることに伴う負荷が小さくなるということがありますので、我々としては、十一時間にする方がニーズに合っているんだろうなというふうには思っています。
 思っていますけれども、それと、全体としての経営としての成り立ちの問題などもありますので、いま少し検討させていただきたいと思っておりますので(「八万円てどこから出てきたの」と呼ぶ者あり)国の基準からいくと、八万円は……(松本委員「三歳児で……」と呼ぶ)松本先生に答えてもいいんですか。(小松委員「私の聞いていることと同じだから、答えて」と呼ぶ)ですから、八万円というのは、今、国基準で上限でセットされているのが八万円なわけですよね。ですから、我々としても、今回の料金設定の際に、完全に自由ということになると、いろいろご不安もありましょうから、国基準でいわれているところの八万円の上限は、そこは絶対額として決めましょうと、コアタイムについてですね。(小松委員「コアタイムで」と呼ぶ)もちろんそうです。そういうふうにセットした上で議論をしましょうというふうに申し上げているわけです。それをどういうふうにセットするのかということについては考える。
 ただ、その場合に、十一時間をセットしていった方が、お父さんお母さんのご負担という面では適正なのかなというふうには考えておりますが、それが実際に運営の全体のコストとの関係で、ランニングベースでうまくいくのかなということをちゃんと検証しないと、これは事業としてちゃんと乗っていきませんので、もうしばらくお時間をかしていただいて検討させていただきたいということで、よろしくお願いします。

○小松委員 これについては、これだけ確認しておきますけれども、そうすると、要するに十三時間開所で十三時間預けた場合は、八万円を超えるときもあり得るということですね。そういうことでしょう。

○村山企画担当部長 今の認可保育所でも、延長保育をやれば、当然付加的なご出費というのはあるわけでございまして、その点については、認証保育所の場合でも、延長保育をやれば、アディショナルなご負担をいただくことは当然かと思っております。

○小松委員 次へ進みます。
 とにかく今聞いていますと、四月からできるだけ早い時期にスタートといいながら、まだ本当に皆目わかっていない。今ここで伺っていても、そこら辺の意思統一もまだ十分できていないということでは、これは働く親にとっては、今の状況を見たら、保育料を払えなくなりますよ。何だ、あんなことで保育料って決まるのかと。ちょっとしっかりしていただきたいと思います。
 では、この辺は飛ばしまして、こんなことで時間をとるつもりはなかったんですけれども……。
 その次は、なぜA型だけゼロ歳から五歳なんですか。逆にいえば、なぜB型に三歳以上は認められないのでしょうか。

○福永子ども家庭部長 小規模で家庭的な保育を特色とするB型の認証保育所につきましては、低年齢児の待機児童の多い中、ゼロ歳から二歳を対象として運営している現行の保育室からのレベルアップということで考えているところでございます。

○小松委員 それだって、A型はゼロ歳から五歳でしょう。五歳までやったっていいんじゃないですか。

○福永子ども家庭部長 B型については、六人から三十人未満ということで、現行の保育室制度をさらに充実して、職員の配置基準でありますとか面積基準等をレベルアップした中で、認証保育所のB型という名称といった形で、助成についても、区と都の助成額も増額をしていくというレベルアップ事業というふうに考えているところでございます。

○小松委員 十分納得できないわけですけれども、これは、今回はゼロ、一、二ということですけれども、A型がゼロ-五だったら、Bだってゼロ-五でいいじゃないかという、その辺はぜひ要望しておきます。
 今、保育室をB型に移行ということをおっしゃいましたけれども、B型は、〇一年度は百カ所というふうにおっしゃっていますけれども、これ、どう決めていかれるのでしょうか。また、B型に移行したときの経過措置というのはどういうふうにされていくのでしょうか。

○福永子ども家庭部長 B型への移行の件でございますけれども、B型への移行を希望する保育室につきましては、基本的に、区市町村と協議をしながら移行できるものというふうに考えているわけでございます。
 また、B型に移行する場合の経過措置でございますけれども、B型に移行を希望するところにつきましては、面積基準あるいは職員の配置基準等を満たした上で区市町村に申請をしていただきまして、都の審査を経まして、認証保育所B型という形で順次移行していくということでございます。

○小松委員 きょうはそのぐらいにして。
 そうやってやっていくわけですけれども、認証ができることで、また残っていく保育室があるわけですね。その残っている保育室の補助金についていえば、先ほどいった三歳以上児が対象外になると。でも、実態は三歳以上児が残ってしまうと思うんですが、この辺はどう見ているのでしょうか。そして、これらへの対応というのはどう考えておられるのでしょうか。

○福永子ども家庭部長 先ほどの答弁の繰り返しになりますけれども、基本的には、現在の保育室につきましては、福祉改革推進プランでも約三百ぐらいをB型で予定しておりまして、順次B型へ移行していただくということで、平成十三年度については、一応百カ所を目途として移行をお願いしているということでございます。
 保育室全体の動向を踏まえまして、現行の保育室につきましては、適正な補助を行いながら、順次B型の方に誘導していきたいというふうに考えているところでございます。

○小松委員 そう簡単には移行できないんですよね。大体が二平米から二・五平米になるわけですから、スペースの基準に合わない人は、結局は人数を減らさなくちゃならないとか、いろいろ難しいことがあるんですね。そうしますと、認証ができることで、残る保育所は非常に先細りという感が否めません。一方で保育の規制緩和といいながら、保育室だけは規制強化というのは納得しがたいわけですけれども、これは、きょうは意見だけにしておきます。
 今後は、認可、認証、保育室、こういう三種類できるわけですが、認証による都の法的責任というのは、どういうふうに出てくるのでしょうか。

○福永子ども家庭部長 認証保育所制度の認証というのは、法律に基づいたものではございませんが、一定の基準を満たした上で都が認証いたしまして、都と区市町村でサービスの水準を確保するように指導監督していくということでございます。

○小松委員 そうすると、公的な責任というのは、非常に認可と違って弱くなるということになるのでしょうか。また、認可は、保育所の保育指針というものに沿った保育内容が基本とされまして毎日の保育計画を立てることとされているわけですね。ところが、認証保育の内容、これはちょっとまだ見えないんですが、どのように設定し、その内容どおり実施されることがどのように保障されるのでしょうか。

○福永子ども家庭部長 認証保育所につきましても、認可保育所と同様の、保育所の保育指針に準じた保育内容というものを基本といたしまして、その内容につきましては、当然契約の中で織り込まれるべき事項でございまして、事業者による利用者への情報提供とか、あるいは区市町村よる情報公開、さらには第三者によるサービス評価等の対象とするというふうなことで、その保育内容については保障されるものというふうに考えているところでございます。

○小松委員 さらに、この指導、検査等の内容が無認可施設とどう違ってくるのでしょうか、また、認可施設とどう違ってくるのでしょうか。

○福永子ども家庭部長 指導マニュアルを都において作成いたしまして、都が実施するベビーホテル等の立入調査や認可保育所の指導、検査とは異なりまして、区市町村とともに指導監督していきたいというふうに考えております。

○小松委員 認証保育所の保育内容の質の最終的な確保に対し、都はどう責任を持つのか、それはまた施設の責任になるのか、どうなんでしょうか。

○福永子ども家庭部長 認証保育所は、東京都が認証する以上、都が作成した指導マニュアルによりまして、認証保育所の適正基準やサービス水準を確保いたします。また、利用者との直接契約ということでございますので、保育内容や質の確保は、利用者の選択により、事業者同士が競争を通じましてさらに質の向上が図られるというふうに考えているところでございます。

○小松委員 参考のために、人員配置、保育のスペースの都基準と国基準の違いをもう一回問いたいと思います。

○福永子ども家庭部長 詳細につきましては現在検討中でございますが、人員配置や面積基準等は、認可保育所の国基準に準じて一定水準を確保いたしまして、その上で、さらに企業努力が生かせるように弾力的な運用を可能としていきたいというふうに考えているところでございます。

○小松委員 今、なぜそんなことをお聞きしたかといいますと、最後に、よい保育施設の選び方十カ条、これが、昨年十二月に厚生省の児童家庭局保育課から出されておりますね。この中には、例えば保育する人の様子を見て、保育する人の数が十分か聞いてみましょう、人手は十分足りていますか、こういうことがたくさん書いてあります。保育する人が笑顔で子どもたちに接していますか、赤ちゃんも大きい子どもも一緒に多人数を保育している状態は危険です、赤ちゃんがゆっくりお昼寝できるかどうか施設を見ましょう、外遊びをしているかどうかよく聞いてみましょう等々という十カ条が書かれているわけです。
 これは、当然のことといえば当然ではあるわけですけれども、大切な基準であるわけですね。そういう意味では、実際は、先ほどのベビーホテルではありませんが、人員もスペースも、今おっしゃったように都基準から国基準へ、国基準から認証保育所へとだんだん易きに流れていくのではないか、この心配が非常に高まってきております。
 長年にわたって築いてきました東京の保育水準を崩すことがないように、都加算の認可保育所をしっかり位置づけていくことが大切と思いますが、最後に、これらを含めての今後のあり方を、局長によろしくお願いいたします。

○前川福祉局長 るるご議論いただきましたが、認証保育所制度は、東京という大都市、ここでいろいろ働く、もちろん男性、女性が子どもを持って育てていく、その場合に、大都市特有の保育ニーズといいましょうか、長時間保育も含め、ゼロ歳児保育も含め、それに弾力的に対応していくという制度でございます。
 したがいまして、弾力的に対応していくために、多様な事業者の参入を認めるし、施設、職員の基準についても、ある程度の弾力的性は認めていきたいと思っております。ただ、それは野放図という意味では毛頭ありませんので、当然のことながら、都としてのきちんとした指導基準、最低基準を決めて、それを厳守させるということはちゃんとやっていきたいというふうに考えております。

○野村委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後三時四分休憩

   午後三時十七分開議

○野村委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○曽雌委員 本定例会は、十三年度の予算案に対する質疑、特にこの厚生委員会におきましても、都民生活に深いかかわりのある福祉についての議論を展開しているわけでございますが、その中にありまして、私も少しお時間をいただいて、二、三ご質問を進めていきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 まず初めにお伺いしたいのは、先般、予算特別委員会が開会されましたけれども、予算特別委員会で、我が党は、知的障害者の親亡き後対策についてということで質問を展開させていただきました。その際、福祉局では、福祉改革推進プランに基づいて緊急整備三カ年計画をつくりまして、このことによって、入所施設であるとか通所の施設、生活寮など、これらの施設を三カ年間で二百カ所の整備を進めていくということが、計画の中で明らかになっているわけでございます。
 そこで、この二百カ所を三カ年で整備をしていくことについては、当然区市町村の協力もいただきながらやっていくわけでございますが、知的障害者等を抱えたお父さんやお母さん方の反響というものは非常に大きなものがありまして、本当に東京都がそこまでやってくださるのだろうか、やってくれるとしたらば、本当に親たちにとってはありがたいことだということの声が寄せられておりますので、そうしたことを踏まえた上で、幾つか、この緊急整備三カ年計画の具体的な展開内容についてお聞きしていきたいというふうに思っております。
 まずお聞きしたいのは、知的障害者入所施設の現状でございますけれども、この施設が現在幾つあって、そこに入っておられる知的障害者の数は何人になっているのか、新しいデータをつかんでおられましたらば、まずお示しいただきたいというふうに思います。

○谷川障害福祉部長 知的障害者の入所施設、直近で十三年三月一日でございますけれども、施設数が七十六カ所、定員は五千六百四十二名でございます。
 この内訳でございますけれども、都内における施設数は三十五カ所、定員は二千三百八十七名、都外における施設数が四十一カ所で、定員は三千二百五十五名となってございます。

○曽雌委員 現行、そのように進めていただいていますけれども、数も足りないということもあるし、当然ニーズも高まっているわけですから、施設整備を進めていただくわけでございますけれども、一方、待機しておられる障害を持った方たちは何人ぐらいいらっしゃるのかということが一つ気になります。
 待機者の数と、また障害の程度といいますか、重度であるか軽度であるということも含めて、その辺の内訳をもしつかんでおられましたらば、お示しいただきたいと思います。

○谷川障害福祉部長 現在とらえている数値が、十二年十月末でございますけれども、知的障害者の入所施設の待機者は千百四十七名でございます。そのうちの三分の二に当たる七百七十四名が重度者でございます。また、残りの三分の一に当たります三百七十三名が、中軽度者という構成になってございます。

○曽雌委員 待機者の中で、今、三分の二の方たちは重度の方だというふうにご答弁がありましたけれども、冒頭申し上げましたように、親亡き後のことを心配しておられるお父さんやお母さん方の期待とあわせて問題なのは、この緊急整備三カ年計画において、入所施設がどのように具体的に整備をされていくのかということが一つと、整備されたことによって、先ほど部長からご答弁ありました、十二年の十月末現在だといわれている一千百四十七人の待機者の方たちが、本当に待機者問題というのは解消されるのかどうなのかということがやはり関心事になってくるわけでございますが、この辺については、どのような考え方に基づいて緊急整備三カ年計画を立てられて、立てたことによって待機者問題が解消されるというふうに都の方は踏んでおられるのかどうか、ここについてご説明いただきたいというふうに思います。

○谷川障害福祉部長 知的障害者の入所施設は、緊急整備三カ年計画で十三カ所を整備したいと。これによりまして、約六百人近い入所定員の枠を確保してまいりたい、このように考えております。こうした入所施設整備とあわせまして、居住の場でございます生活寮等の整備もあわせて進めていきたいと思っておりまして、これらによって待機者はほぼ解消できるものだというふうに考えております。

○曽雌委員 数字の上からいきますと千百四十七人が今待機をしておられて、これから六百人近い入所定員を確保することができるということになるわけでありますけれども、この間、若干待機者の状況の変化というようなことでプラスマイナスがあるのだとは思いますけれども、一般的に数字で見る限りにおいては、千百四十七人の待機者に対して、これから三カ年かけて十三カ所整備をしていただいて、六百人近い入所定員が確保されたとしても、施設入所だけで足りるわけではないというふうに当然なるわけですよね。
 それで、今部長のいわれるのは、入所施設の整備だけではなくて、居住の場である生活寮等の整備も含めてやるということですから、当然この二つをあわせて進めていただかなければ、待機者ゼロにはできないということになりますので、そこにさらに知恵を絞っていただかないといけないのではないかというふうに思っています。
 そこで、一番最初にご質問しましたときに、知的障害者の現在の入所施設は七十六カ所あるけれども、この中で都内にある施設は三十五カ所で、都外にある施設は四十一カ所ということでしたから、比率で見ますと、都外にあるのが五四%からになるわけです。なぜこういうふうになっているかというと、やはり地価が高いという都市部、東京におきましては、施設建設をしていきたいという気持ちがあっても、用地を確保して、そこに建物を建てるということの困難性というものが今までかなりあったのではないか。それが邪魔をしたというのは変ですけれども、困難さをきわめてきたために、なかなか東京都内に施設建設ができなかったというものもあったのかなというふうに私は思っています。
 そういう状況というのは、今でも、東京の地価は下がったとはいっても、まだまだやはり他の都市と比べますと地価は高いわけでありますから、施設建設用地を確保するということの困難性というものは今でも残っているというふうに思っています。
 そう考えたときに、用地取得時の助成の拡充というようなことも一方考えていかなければ、施設建設を進めたいという思いがあっても、なかなかそれが進められないということで、そうなってくると、緊急整備三カ年計画では目標を達成することが難しくなってくるというようなことにもならざるを得ないのではないかと思っております。
 例えば、先ほど申し上げたように、用地取得費の助成拡充ということなども一つは視点に入れながら、具体的にどのような特例措置を都の方としては考えていただけるのか、ここをやはり明確にしておく必要があるのではないかと思っていますが、この点はいかがでしょうか。

○谷川障害福祉部長 ただいま委員ご指摘のとおり、私どもも、都内の施設整備が進まない大きな要因の一つとして、用地確保の困難性があると考えてございます。
 このため、福祉改革推進プランに基づきます緊急整備三カ年計画におきましては、社会福祉法人が用地を取得する場合の貸付率を、三分の二から四分の三に引き上げる特例措置を講じてまいりたい、このように考えてございます。

○曽雌委員 ですから、この辺もしっかりと、社会福祉法人等にも、機会あるごとに貸付率を引き上げていくことの特例措置についてはPRをしておいていただきたいと思っていますが、土地助成の充実をしていただくことについては、私としても多として認めさせていただきますけれども、それ以外に、また何か方法を考えないといけないのではないかと思っています。
 例えば、今東京の中でも、特に二十三区の中では、子どもさんの数が減ってきたというようなこともありまして、小中学校の統廃合というような問題がかなりの区で起きてきているというふうに思うんですね。この統廃合することについては、またいろいろなご意見があって、長年自分が通った学校であるとか、また、自分の両親が通った学校だとかいろいろな思いがありますと、統廃合する必要性については認めつつも、なかなか自分の関係した学校がなくなってしまうことに対しては、一つも二つも意見をいいたいんだという方がいらっしゃることは事実だと思いますけれども、現実問題としては、これからも小中学校等の統廃合が進んでくるというふうに私は思います。
 そうなったときに、例えばですけれども、小中学校の跡地を活用して、そこの場所にこうした用地を確保させていただく中で緊急整備三カ年計画を進めていくということも一つの促進策ではないのかなというふうな気が私はしておりますけれども、このような考え方については、福祉局ではどのようにお考えになっておられるでしょうか。

○谷川障害福祉部長 委員ご指摘のとおり、まさしく学校跡地を利用するというのは、小中学校の統廃合の動きの中でこれを積極的に進めていきたい一つのチャンスだというふうに我々はとらえております。ただいま区市に積極的に働きかけを行っておりまして、現在、二、三の区では、具体化の動きがやや出てきているという状況にございます。
 また、土地助成以外に、学校用地の促進と、もう一方では特別養護老人ホームとの併設を考えてございます。この場合にも、特別養護老人ホーム並みに併設する場合には、補助単価を引き上げていくと、こういうふうなさまざまな手法を用いて施設の充実に努めていきたい、このように考えているところでございます。

○曽雌委員 先ほどご質問した中で、いわゆる知的障害者の入所施設の待機者数についてお聞きしましたけれども、ここでは、三分の二の七百七十四人が重度の方であって、残りの三分の一の三百七十三人が中軽度の方だということでのご答弁をいただきましたけれども、その際に、福祉局の方としても、施設入所だけではなくて、これからは、地域居住の場も検討していく必要があるというふうにご答弁をしておられました。
 そこで、生活寮であるとか重度の生活寮の現状はどのようになっているのかということが気になりますので、寮の数と、また、それぞれの寮の利用者の数はどのようになっているのかということでお示しいただきたいと思います。

○谷川障害福祉部長 ことしの三月一日現在の数字で申し上げますと、生活寮と重度生活寮合わせまして百八十一寮、利用定員が八百六十五名でございます。内訳といたしまして、生活寮が百七十七寮、利用定員八百四十二名、重度生活寮が四寮で、利用定員が二十三名という状況でございます。

○曽雌委員 それでは、福祉改革推進プランの中で、この生活寮と重度の生活寮についてはどのように整備をしていこうというふうに示されているのか、ご説明いただきたいというふうに思います。

○谷川障害福祉部長 福祉改革推進プランに基づいて、十三年度からの三カ年間において、生活寮については五百十四名、重度生活寮については百二十名の定員規模の増を予定し、計画しているところでございます。

○曽雌委員 先ほど来申し上げていますように、待機者の三分の二が重度だということでお話があるわけでありますから、重度の待機者が多いということを考えていくならば、一般の生活寮においても重度の方たちの受け入れをしていくということも考えていかなければ、状況の改善はできないのではないかというふうに思っています。
 そこで、生活寮に重度の方が入寮している場合には、世話人体制というものを充実して、そこの場所を重度生活寮に転換するということも一つの方法ではないのかというふうに私は思っておりますけれども、これらの考え方についてご検討しておられるのか、また、検討していないのあれば検討していただきたいのでありますが、現状はどのような話を進めておられるのか、お示しいただきたいというふうに思います。

○谷川障害福祉部長 委員ご指摘の趣旨は、我々も非常に大事な要素だというふうに考えてございまして、今後、重度生活寮の整備促進をしていく中で、生活寮と重度生活寮が柔軟に対応できる方法を検討し、また計画していきたい、このように思っております。

○曽雌委員 この項の最後の質問にしますが、過日の予算特別委員会で、前川局長は、我が党の同僚議員の質問に対して、こう答弁をしておられました。親亡き後の不安を解消していくということは、福祉施策の最重要課題であるというふうに考えています。こういうふうに大変に心強い答弁をしてくださっているわけでございますけれども、親亡き後の不安の解消のためには、こうした入所施設整備を図っていくということとあわせて、障害者の多様な生活の場というものを拡充していくということも、一方、進めていかなければいけないというふうに思っております。
 これにあわせまして、親御さんの元気なうちに、身近な地域で自立をしていくための生活訓練を体験させていく、体験していただく場所を提供していく、こういうことも、一方では大変に大切な施策になっているのではないかというふうに私は考えておりますけれども、そのための方策についてどのようなお考えを持っておられるのか、ご説明をいただきたいと考えております。

○谷川障害福祉部長 入所施設の整備とあわせまして、生活寮や重度生活寮の拡充を図り、一方で、障害者を抱える親御さんが安心して暮らしていけるような、身近な地域において自立生活のための訓練の場が重要であるということは、委員ご指摘のとおりでございます。
 そこで、平成十三年度におきまして、新規に体験型生活寮をモデル実施することを考えてございます。この体験型生活寮は、個々の利用者に応じた自立支援プログラムを策定し、生活寮やアパート等を使って、地域で自立生活できるよう、気軽に体験できる環境を整えまして、その中で訓練を行おうとするものでございます。
 こうした施策の充実によりまして、障害者を抱える親御さんの不安を少しでも解消できれば、このように考えてございます。

○曽雌委員 これは、私だけでなくて、厚生委員会に所属している人たち、みんな同じようにたくさんの方たちからこういう要望をいただいていると思うんですけれども、やっぱりお父さん、お母さんにしてみれば、障害を持ったお子さんを抱えておられて大変ご苦労しながら、一生懸命子どもさんを介護しながら頑張っておられますけれども、一般的にいえば自分の方が先に年をとるわけですから、自分が子どもの介護をすることよりも自分自身が介護されなければならないような時代がやってくる。そうなったときにどうしようかということと、それから、一般的にいえば、やはり子どもさんより先にお父さんやお母さん方の方が命は終わるわけでありますから、そう考えると、やっぱり親亡き後対策について何とかしてほしいというのが、大きな大きな障害を持った方たちのご意見ではないかと思うんですね。
 そういう面で、僕は、非常に地味な政策かもしれませんけれども、やはり東京の福祉というのは、そういうところに、かゆいところに本当に手が届くぐらいに、なかなか大きな部分での議論はなされない部分にもしっかりと光を当てて都民の生活を守っていくということが、東京都に課せられた福祉の大きな課題だというふうに思っています。
 今端的に幾つかお聞きしましたけれども、そういったものをもとにして、東京の障害者の親亡き後対策がこれだけ前進をしたということを早く関係者の方たちにも教えてあげることができるように、また、東京が進めていくことによって、全国の自治体にこれを広げていくことも十分私は可能だというふうに思っていますので、東京都に課せられた責任というものは大変に大きいわけでありますから、ぜひ間断なくこの施策の展開をしていっていただきたい、このように要望しておきたいと思っております。
 それから、先ほど来、認証保育所制度の問題についての議論がありましたけれども、これについては、実は昨年の十一月だったでしょうか、当厚生委員会におきましても、東京都が十三年度の予算の検討をしている段階において、認証保育制度をスタートさせる云々というようなことの新聞報道等があったことも受けまして、当委員会でかなりの議論がなされてきましたし、きょうも何人かの先生方から議論がありましたので、重複は避けて、一、二お聞きしておきたいと思っておりますけれども、認証保育制度の創設そのものについては、反対者がいるのかどうか私わかりませんけれども、私は、これは非常にいい制度だと思っています。いろいろと細部にわたって検討しなければならないことはあるでしょう、そこはそこできちっと検討しながら、現在のゼロ歳から三歳未満の保育園の待機者をゼロにしていくという闘いをしていく意味においては、やはり一つの方策として認証保育制度を進めていくということは、大きな意味があるというふうに私は思っております。
 そこで、私が伺いたいのは、新聞報道があったこと、さらには、十三年度の予算の中におきましてもこのことが具体化してきたことによって、現在無認可の保育所を経営しておられる設置者の方たち、さらには民間の方たちの中で、先ほど出ましたけれども、NPOの方たちの中にも、ぜひこの保育園の問題について今後取り組んでみたいと思って--この東京都の認証保育制度について関心を持っている方が相当いらっしゃいます。
 私どものところにも、そういうことでいろいろ問い合わせがありますけれども、問題は、現在無認可でやっている保育園の経営者の方が区の方にいろいろと相談に行く。東京都でこういうふうにいっているけれども、どうなんだろうか、私のところもぜひこの認証保育制度を活用してB型の保育園として頑張っていきたいんだ、こういうふうに区の方へ相談に行きましても、区の方は、いや、まだ東京都の方から細かい話が来ていないものですからわかりませんと、こういう話になってしまって、実際には意欲を持っている方たちたくさんいらっしゃるんだけれども、なかなか一歩踏み出すことができないでいるというのが現場の声なのではないのかと実は思っています。
 そういう面で、先ほど来、部長のお話では、検討しているさなかであって云々というような話なんで、ここでどうなんだといってもなかなか難しい答えになるんでしょうけれども、先ほど来お話がありましたように、足立区と中野区ですか、この二つの区では、十三年度の予算の中に既にこの認証保育制度をスタートさせていくための予算を組み込んでいるというようなことの話もありましたけれども、そこまでいかなくても、かなり関心を持っている区はありますし、また、そこに問い合わせをしているところがたくさんございますので、早くこの制度に乗っていけるように、詳細についての発表を心がけないといけないのではないかと思うんですね。
 そういう面で、待っている方たちもたくさんいらっしゃいますから、いつごろこの詳細についての発表ができるのか、改めてご答弁いただきたいというふうに思っています。

○福永子ども家庭部長 認証保育所の詳細について定めます要綱でございますけれども、三月の年度末には案を策定いたしまして、四月のできるだけ早い時期に各区の方に送付をしていきたいというふうに考えているところでございます。

○曽雌委員 三月の年度末までにはまとめて、四月には要綱を各区にということですね。そうすると、それよりももっと早くする方法として、例えば事務的に--当然それは関係の区市町村の担当者の方たちが、東京都が考えている認証保育制度について十分熟知してくださっていないと、実際にこの制度を使いたいという方たちが相談に行くのは、東京都の部長のところへ来るのではなくて、区市町村で恐らく対応するんでしょう。そうなると、そこの方たちが十分そのことについて熟知しておられないと、また誤った状況が起きてしまう、混乱が生じてしまう。私たちとしては、できるだけ早くこの制度はスタートさせていただきたいわけです。
 そう考えると、三月いっぱいに要綱をつくり上げて、四月になったら要綱を送付して云々では、そこでまた、関係の区市町村の職員の方たちにご説明する時間にしばらく要してしまう。そうすると、またおくれてしまうということになるので、例えばですけれども、もうちょっと頑張っていただいて、三月中に区市町村の担当の職員の方には、都の考えている要綱についての考え方についてヒアリングできるならきちっとヒアリングをしていただいて、そして、四月に要綱発表なり広報というようなことにできないのかどうなのかと思いますが、どうでしょうか。

○福永子ども家庭部長 今委員ご提案のとおり、できるだけ早い時期に、そういった認証保育所の要綱の案というか、案の段階で、実務者レベルについての説明会というか、そういうものをということでございますが、私どもの方も前向きに検討させていただきまして、三月中には、実務者レベルの段階での、要綱の案の段階での実務的な説明をやらせていただきたいというふうに考えております。

○曽雌委員 それで、次の段階なんですが、要綱が関係区市の方に送付されました、内容が明らかになりました、さあ、自分のところも今度認証を受けて、都の認証保育制度を活用して頑張ろうというふうになってきたときに、それぞれの保育園、今無認可の保育園になっているところがここに変わる場合もあるし、新たに民間の方たちが参入してくださってつくっていく場合もあるんでしょうけれども、やっぱりできるだけ早く体制を整えていただきたいと思っていますが、そのためには、例えば申請の受け付けとか、決定に至るまではどのぐらいかかるのかとか、そんなものまである程度詰まっているんですか。そこもまだまだ検討段階なんですか。
 今例えば部長がいわれたみたいに、三月いっぱいに前倒しして、案なら案の段階で実務者に対してご説明していただける、四月になったら要綱を発表しますよといってくださるなら、そこはそこでいいんですが、さらに一歩進めた上で、実質的にこの制度をスムーズにスタートさせていくために具体的なスケジュールが詰まっているのかどうなのか、どうなんでしょうか。

○福永子ども家庭部長 現在、新規の駅前のA型の認証保育所等で当初予算に計上していただいている区等から、できれば七月初旬にはオープンしたいというふうなご要望もいただいていますので、それに間に合うような形で、内装工事等もすべてしてオープンできるようなスケジュールで逆算をして、四月から実務的な流れをつくっていきたいというふうに考えているところでございます。

○曽雌委員 それから、この認証保育所制度の議論をしていく中にあって、一部の企業が参入することによって営利が優先されてしまって、保育の質の低下が起きるのではないだろうか、こういう心配があるんだというようなことのご意見が時々出てまいりますけれども、これについては、例えば資料の中の14で、認可保育所の企業参入状況というのが出ていますね、一七ページで。十二年十月一日と十一月一日にそれぞれ一つずつ施設がオープンして、定員、二つの施設で八十四名ということで企業参入されたというようなことが報告されていますけれども、これからこういうことがどんどんふえてくるわけですよね。
 しかし、問題なのは、ひっかかりがあるとするならば、営利が目的にされてしまったのでは、全くもうけがないのもいいのかどうかは議論はあると思いますけれども、やはり大事なことというのは、保育に欠けてしまっている子どもさんたちに対していかに良質な保育を提供するかということの大事な大事な目標があるわけですから、一般にいわれるような、一部にいわれるような、企業参入によって保育の質の低下が起きてしまうんだなんていうことになると、何のための認証保育制度かわからなくなってきますので、こういうことがないようにするために、しっかりとした体制整備も図っておく必要があるのではないかというふうに私は考えておりますけれども、この点についてはどのようなお考えを持って今検討なされているんでしょうか。

○福永子ども家庭部長 保育の質の低下についての懸念ということでお尋ねでございますけれども、保育の内容につきましては、一定の水準を確保するために、認可保育所に準じた施設の面積でありますとか、あるいは職員の配置基準等を義務づけをいたしまして、そういった内容につきまして、都と区市町村の方で指導していくということでございます。また、事業者みずからそういった情報の公開をしていただく、また、区市町村の方からも情報公開をすると同時に、第三者によるサービス評価等の制度化に当たりましても、認証保育所もその対象としていくということでございます。

○曽雌委員 それから、先ほど来の議論の中で出ていましたので確認しますけれども、いわゆるA型という、駅前に設置するものを基本としてつくっていくというA型の部分については、株式会社であるとか個人などの民間事業者が、定員規模二百人から百二十人ですか、これぐらいの範囲の中でやろうということになっていて、十三年度には十カ所予定しているということで聞いております。またB型については、設置主体を個人として、定員の規模は六人から二十九人ぐらいということになっていて、十三年度で百カ所予定しているというふうに聞いておりますけれども、今東京都の中で無認可の保育所といわれているのが幾つぐらいあるのかなというので、聞いてみたところが、二百五十五ぐらいあるとか私は聞いているんですが、その数が正しいかどうかということが一つ。
 それから、二百五十五ある無認可の保育所の中で、今回十三年度にB型ということで百カ所を予定しているというのは、二百五十五の中の百なのか、それとも、当然新規に参入してくるものもありますから、そうでなくて、そういうものを含めた上での百だというふうに私は理解はしておりますけれども、そのあたりをどのように見ているのかと思っています。
 それで、A型、B型それぞれ、A型については十カ所、B型については百カ所予定しているということですが、十三年度については、その予定に対してどれぐらいのめどが立っているのかというような部分がちょっと気になっているんですが、このあたりはつかんでおりますでしょうか。

○福永子ども家庭部長 今、施設の数が二百五十五カ所というのがございましたけれども、私どもで今つかんでいるのは、二百六十九という数字でございます。それを平成十三年度につきまして百カ所、B型ということで予定しているわけでございますが、これは、新規にB型ということで創設されるものも含めまして百カ所という感じで考えておりまして、福祉改革推進プランの中では三百カ所程度、すべて移っていただいて、さらに新規に創設をしていただいても、新規の創設も含めて三百カ所という形で、順次段階的に移行していただきたいというふうに考えているところでございます。

○曽雌委員 今のお答えですと、現行は無認可で頑張っていただいている保育所についても、いろいろと状況についてご説明をしながら、東京都の新たな基準に合致していただけるように、都でも応援できることは応援するんだと思いますけれども、そういうことをしながら、すべていわゆる認証保育制度を活用したB型に移行していただきたい、こういう目標を持って三百カ所立てているというふうに受けとめてよろしいのかどうなのかが一つ。
 それから、十四年度以降の計画なんですが、こういうものについては、推進プランの中では具体的にどういうふうに明記しておられるのかなということで確認させていただきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。

○福永子ども家庭部長 大変失礼いたしました。福祉改革推進プランの中で、都市型の保育所については計画箇所が掲載してございますけれども、B型については掲載してございませんが、さっき申し上げましたように、現在ございます二百六十九カ所が順次移行できるような方向でいろいろと検討していきたいというふうに考えております。
 そのためには、設置者の方からできるだけ区市町村の方にご相談をいただいて、区市町村の方を通してご申請していただきたいというふうに考えておりますので、私どもとしても、やはりB型の認証保育所の方が保育水準の質もレベルアップしているということで、そういうこともございますので、区市町村の方にもできるだけそういった形でご理解がいただけるように、説明会等を通じて、区市町村の方にもそういう働きかけをしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

○曽雌委員 先ほど、どなたかの議員さんの質問にもあったというふうに覚えていますけれども、そうはいっても、全部が全部、東京都が望むようにB型に移行したいというわけにはいかない部分だってあるんだと思う。現実に今、小規模の保育所、無認可の保育所の中で懸命に頑張っておられていて、そこで子どもさんを保育していただいているお父さんやお母さん方、さらには施設を経営している方たちのいろんなご意見の中には、やっぱり私たちの小規模な保育所は保育所としてのいろいろな特色、今までやってきたもののよさ、そういったものを守りながら現行進めていきたいんだという意見も、一方ではあることはあるんですよね。恐らくもう部長のところにはそういうご意見は届いているというふうに思います。
 ですから、その辺も含めて、何が何でもと、そんなことはしないと思いますけれども、よくその趣旨なりも説明しながら、それから、それぞれの保育所が置かれている現状、立場があるわけでしょうから、そういうことについても、よく都の方から指導といいますか、アドバイスをしてあげていただく中で、良質な保育環境というものを守っていくための移行というものが進められていってもいいのではないかと思っていますので、その点についての考え方についてもひとつお聞きしておきたいというふうに思っております。

○福永子ども家庭部長 済みません、先ほど福祉改革推進プランということで三百カ所ということを申し上げましたけれども、平成十三年度の東京都の予算案の概要のところで、平成十六年度までに三百カ所の設置ということを発表しているところでございます。
 それから、認証保育所の、保育室から認証保育所のB型への移行については、私どもとしては、そういった誘導という形でしておりますけれども、それを強制するといいますか、そういうことではございませんで、やはり現状の保育室の方でやっていかれるという方につきましては、保育室制度を廃止するというわけではございませんので、そういった中で、現状のままやっていただける方も、それはそれで考慮していきたいけれども、将来的にはやはりそれだけレベルアップにつながるということがありまして、できるだけ区市町村等を通しまして、将来的には、できるだけ早くB型の方に移っていただければというふうに考えているところでございます。

○曽雌委員 B型については、十六年度までに三百カ所ということで順次移行を図っていくということでございますけれども、大事なことは、これは冒頭申し上げましたけれども、やはり区市町村の協力なくしては進めることができない事業ですから、この認証保育制度の円滑な実施をしていくために、いかに今後とも区市町村との関係をしっかりと保ちながら連携を図っていくかということが大事だと思うんですね。
 そういう面で、制度が始まるときというのは、失礼になるかもしれませんけれども、東京都も一生懸命ですから、懇切丁寧に物すごく事細かに説明もするでしょうし、それを受ける方の区市町村も、全く初めてのことであれば、大変な意気込みの中でいろいろと意見交換もしておられると思う。しかし、これは一回限りではなくて、先ほどお話ありましたように、十六年度までに三百カ所ということで順次移行していかなければならないことですから、そうであるならば、当然区市町村との協議も一回きりということはないと思いますけれども、やはり適宜意見交換の場もしっかりと持っていただいて、しかも、東京都が考えていることと区市町村の受けとめ方にもしも差があるようなことがあってしまうと、現場は混乱をしますので、そういうことがないように、しっかりとした指針というんですか、マニュアルみたいなものをつくり上げるなりして、区市町村の協力を仰いでいくという体制をつくってはどうかというふうに思いますが、この点についてはどのようなお考えをお持ちでしょうか。

○福永子ども家庭部長 認証保育所制度は、事業の実施主体というのは区市町村でございますので、私どもも、区市町村の理解と協力がなければこの事業は進まないというふうに考えているところでございますので、できるだけ区市町村の意見を聞く場といいますか、そういった場を今まで以上にたくさん設けまして、いろんな区市町村の理解と協力を得ながら事業を推進してまいりたいというふうに考えているところでございます。

○曽雌委員 この問題で最後にお聞きしますけれども、問題は、この制度の周知徹底をどういうふうに図っていくかということも一つ大事なことですので、先ほどご答弁いただいたこととあわせて、さらにこの制度の周知徹底についてどう図っていくかということについてのお考えをお示しください。
 もう一つ、これは、昨年の十一月にこの委員会で議論しましたときに、私お願いしておいたんですが、認証を受けた認証保育所に対しては、ステッカーでも何でもいいんですが、何かデザインされたもので認証マークみたいなものをつくり上げることはできませんかというふうにお話しさせていただきました。
 そのことによって、都民の方たちの中にも区民の方たちの中にも、ああ、この保育所は認証保育制度を活用した認証マークを持っている保育園なんだなということがわかりますから、そのことによって安心感ということも出てくるでしょうし、また、都民の中に認証保育制度というものを周知徹底していく、わかっていただくという意味でも、こういった認証マークをつくっていくことも一つの方法なのかなというふうに思って、去年十一月にお話をさせていただきましたけれども、これらについてはどんなご検討をしてくださっているのかということもあわせて、二点ご答弁いただきたいと思います。

○福永子ども家庭部長 この認証保育制度の周知ということでございますけれども、民間事業者等に対しましては、区市町村を通じまして周知を図るとともに、施設の利用者といいますか、利用予定者も含めまして、利用者につきましては、区市町村を通じて周知をすると同時に、都の方におきましても、制度の周知に努めてまいりたいというふうに考えております。
 また、認証マークという、十一月の委員会の方でもご提案いただいた件でございますけれども、先生のご意見を踏まえまして、前向きに検討してまいるところでございます。

○曽雌委員 あと、私の方から児童虐待のことで幾つかお聞きしておきたいと思っておりますが、本会議で我が党の同僚議員から質問させていただいた中で、児童虐待についての白書をつくっていく云々ということでのご答弁をいただいたところでございます。
 そこで、三つほどまとめてお聞きしておきますけれども、いわゆる児童虐待が、いろんなことをいわれてはいるんですけれども、実際に児童虐待の実態についてどうなっているというのも、公的な調査があるのかどうなのかと考えたときには、新聞報道とかいろんなのを見ていましても、大体推定だとか、こうであろうとか、そういう部分での報道なり、また東京都の場合での議論をしていきましても、私の受けとめ方としては、必ずしも実態の把握が十分なされているとは思えないわけです。
 そこで、公的な調査があるのかどうなのかということが一つ。
 二つ目が、本会議でご答弁いただいた、虐待白書をつくるということについて、どんなものをつくろうというふうに想定をしながらご答弁いただいたのかということが二つ目。
 三つ目に、十三年度の早い時期には虐待白書を発表したいということでご答弁がございましたけれども、この十三年度の早い時期というのはいつごろを考えておられるのか、この三つについてまずお答えいただきたいというふうに思います。

○福永子ども家庭部長 児童虐待についての公的な調査はあるのかというのが第一点目でございますけれども、公的な調査とはいえないかもしれませんけれども、平成九年の三月に全国の児童相談所長会の行った実態調査がございますけれども、実態の把握としては必ずしも十分なものではないというふうに考えているところでございます。
 また、今回どんなものをつくろうとしているのかというのが二点目でございますけれども、全国の約一割を占める東京の児童虐待の相談の処理でございますけれども、そういった東京の児童相談所が受けました相談を分析いたしまして、家庭の問題あるいは児童の状況などから、虐待を生む要因などについても検証してまいりたいと考えているところでございます。また、保健所でございますとか子ども家庭支援センターなどの関係機関の情報の活用についても検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
 また、三点目の、十三年度の早い時期というのはいつごろかというお尋ねでございますけれども、上半期には何とか出したいという予定でございます。
 また、児相のデータをまとめた中間のまとめ的なものを、六月をめどにお示ししたいというふうに考えているところでございます。

○曽雌委員 二つ目にお聞きしたいのは、仮に親子の間で親が子どもに対して虐待をしてしまう、これも、虐待をしようと思ってやっているのではなくて、中には優しさの余りとか、自分は愛情と思っていたことが、実際にはそうではなくて虐待になってしまって、幼い子どもの命がなくなってしまうとか、精神的な苦痛を与えてしまうとか、いろいろなことがあるわけでありますけれども、虐待があっても、やはり基本的には、私は、可能な限り子どもというのは自分の親元で育てていかなければならないんじゃないかと思うんですね。
 生活ができる、そういう状況をつくっていくための支援策をやはり東京都は考えていかなければならないというふうに思っておりますけれども、そこで二点お聞きしたいのは、現在、親に対する指導というものはどのように行っているのかということが一つあります。
 二つ目は、我が党の同僚議員の質問に対しまして、児童相談所で神経科医の支援のもとに親への指導を充実していきたい、こういうことでご答弁をいただきましたけれども、この内容についてもう少しご説明をいただきたいというふうに思っております。

○福永子ども家庭部長 親に対する指導でございますけれども、現在、児童相談所で、親あるいは子に対する、親と子に対する指導を行っておりますけれども、このほか、親に対する指導を行っております保健所がございますが、そういった保健所、あるいは地域で子育てを支援しております子ども家庭支援センター、あるいは親に対する指導についてのノウハウを持っております民間団体などと連携をして行っているところでございます。
 また、二点目の、児童相談所で精神科医の支援のもとに親の指導を充実していくという内容でございますけれども、これまでも、児童相談センターにいる専任の精神科医の助言を受けまして、親への指導を心理職などが行っておりますけれども、新たに、各児童相談所に、治療指導計画や専門的な助言を行う精神科医を医師会との連携によりまして確保いたしまして、効果的な家庭再統合に向けたケアを行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

○曽雌委員 親に対する指導の一環として、今部長からのご答弁の中に、子ども家庭支援センター等もということが出ていましたけれども、いただいた資料なんかを見ましても、実際には子ども家庭支援センターの実施状況というのは、資料によりますと、まだ十七カ所しか実はないわけですよね。今後、実施計画では、十六年度に向けて六十二カ所までふやしていこうということで計画を立てていただいておりますけれども、こういうことも加味しますと、やはり子ども家庭支援センターの設置というものも一方は急いでいただかなければなりませんし、さらには、民間の方たちでかなりすばらしいノウハウを持った方たちもいらっしゃるわけでありますから、ご答弁にありましたけれども、そうした民間団体の方たちのご協力もいただきながら、しっかりと親に対する指導というものも行っていただきたいということを、この際要望しておきたいと思っています。
 それで、次に伺いたいのは、虐待を受けた児童が、心の傷をいやしまして、さらに親との生活ができるようにしていくということが非常に大事だというふうに思っておりますけれども、親子分離されてしまった児童の心のケアをどう進めていくかということもしっかりと取り組んでいかなければ、いうはやすく、なかなか実際には事を進められないという難しさが私はあろうかと思う。
 一回離れてしまった気持ち、やはり虐待を受けたことで、親に対するいろんな思いがもとへ戻せるというのは簡単にはいかない話だと思いますので、それだけにやはり児童の心のケアが重要だと思っていますけれども、子どもの心のケアについては、現在どのように行っておられるのかということが一つと、それから、新年度の予算では、児童の心のケアについて十分意を用いて予算化をされたというふうに聞いておりますけれども、この辺についてはどのようにしようとしておられるのか、予算上の中身についてご説明をいただきたいと思います。

○福永子ども家庭部長 子どもの心のケアの現状でございますけれども、心理職員の指導、それに児童相談センターの精神科医の指導を含む通所、宿泊指導など、在宅での治療、指導を行うとともに、一時保護の期間中におきましても、福祉職あるいは心理職の指導を行っているところでございます。
 また、虐待児を一定の数以上受け入れている児童養護施設におきまして、非常勤の心理職を配置して、心のケアを行っているというところでございます。
 また、十三年度の新年度予算では、心のケアのためにどのようなことをやっているかということで、その内容でございますけれども、特に親子が分離された児童につきまして、心のケアを継続的にきめ細かく行えますように、一時保護所に非常勤の心理職員を増配置いたしますとともに、常勤の心理職員とも連携をいたしまして、一時保護所の児童のケアを強化いたしますとともに、民間の児童養護施設に指導職員を増配置いたしまして、主任指導員が通常の勤務のローテーションから外れて、虐待を受けた児童の指導に専任的に当たれるようにしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

○曽雌委員 虐待の問題については、いろいろな機会に議論もされてきましたし、またこれからも議論する機会があると思いますので、最後にしたいと思いますけれども、とにもかくにも、この虐待問題に対しましては、親子双方に対して、継続的にまた総合的に対応していくということをやっていかなければ、成果を上げることはできないのではないかと思っています。
 とりわけ、地域における関係機関の強固な連携の仕組みというものが不可欠だというふうにもいわれておりますけれども、この点について、今東京都ではどのような対応を行っておられるのか、また、強固な連携の仕組みづくりに向けてどのようなことをやろうとしておられるのか、あわせてご答弁をいただいて、質問を終わりたいと思いますので、よろしくお願いします。

○福永子ども家庭部長 現在の虐待問題に対する親子双方に関しての総合的な支援ということでございますが、児童相談所を中心にいたしまして、児童虐待防止連絡会議等を区市町村ごとに開催をいたしますなど、そういった連携を図っているところでございます。
 また、十三年度の予算の内容でございますけれども、児童虐待への対応につきましては、ご指摘のように、地域における連携の仕組みが大変重要でございます。そういった地域連携の核となる子ども家庭支援センター、現在十七カ所ということでございますけれども、この設置を促進いたしますとともに、地域における連携の仕組みを実践的に構築いたします児童虐待防止ネットワーク事業というものを、都の事業といたしまして、区市の方に委託をするということで事業を行いまして、モデルとなる連携の仕組みづくりをしてまいりまして、それを十四年度以降にさらに他の区市町村等にも広めていきたいというふうに考えているところでございます。

○和田委員 私からは、東京都の心身障害者扶養年金関係の質問をまずしたいと思います。
 この議会にも、第六号議案で、歳入歳出の扶養年金会計そのものが四十億二千九百万という形で提案をされて、本委員会にかかっているわけでありますが、それに関連をしてお尋ねしたいと思います。
 ご承知のとおり、今お話がありましたが、心身障害者の方々が、お父さんやお母さんが亡くなった後どういうふうに生活をしていくのかというようなものについて、今曽雌委員がお話しになりました。私は、財政的といいましょうか、経済的な問題をどういうふうに行政なり公が保障していくかという角度で、この心身障害者扶養年金について触れたいと思うんです。
 事の起こりは、既に昭和四十四年に東京都が制度発足して、残念なことに、四十五年、一年後に、国が後追いする形で同種類の制度が都民、国民の前に出されまして、それがいまだに統合も調整もされずに二本立てでずっと来ている、そういうことであります。
 ただ、対象とする障害者の方々については、東京都の方が少し枠が広いわけでありますし、それにかかわる掛金につきましても、国と都はもちろん違っているわけであります。したがって、同じ障害者の方は、国を選ぶか東京都を選ぶかという、その選択は障害者の方々に任されていると思うんですが、どちらにしても大変わかりにくい形で心身障害者の方々の前に都の制度と国の制度があるというのが実態でございます。
 私は、これを、東京都の方は、国とも相計らいながら一本化の方向を模索されたのかなとつくづく思うんですけれども、それについて過去の議事録なんかを見ますと、いろいろ、掛金の問題ですとかあるいは制度全体の中身の問題から、調整、統合できなかったという経緯を聞いてはいるんです。
 ここで、もう一回振り返って、今日時点でどういうことがポイントで、国と都の二元化で、対象は同じ心身障害者の方にもかかわらず存続しているのかということを、改めてお答えいただきたいと思います。

○谷川障害福祉部長 ただいまご指摘いただきましたように、障害の程度が国制度と都の制度とは違う。それと、年金を掛ける期間の問題等々制度が違いまして、今ご指摘いただきましたように、国制度との統合は一時模索したようでございますが、その問題はいまだ解決してございません。国との統合、さまざまな扶養年金の制度の今後の考え方はあるんですけれども、一つの選択肢ではございますが、昔議論した問題がいまだ解決していないというのが現状でございます。

○和田委員 このまま併存させることで、都民や心障者の方々が、本当に老後を不安なく、あるところを当てにした形での年金で生きていけるのかなということであります。それこそ、年金などについては、各事業者年金などが統合したり、ダイナミックに動き始めているときでありますから、この問題は古くて長いという答弁がありましたけれども、いつかは越えなければならない、あるいはいつかは一本化しなければならない問題だというふうに私は思うんです。
 そこで、平成十年に平均二・七倍ぐらいの掛金の改正というか改定があって、それを境に、資料とすると、それまで平成九年まで加入者数は二万五千二百三十人で受給者総数が八千三百十七人、ここは余り関係ないと思うんですが、二万五千の九年度から、十年度は二万三千八百人に減ります。それから十一年度はさらに二万三千五十六人というふうに逓減傾向を、この掛金の二・七倍のアップを軸にしてずっと下り坂になってしまっているんです。このことは、掛金の増額ということが原因と見ていいのでしょうか、あるいは社会的なほかの現象があると見ていいんでしょうか。

○谷川障害福祉部長 ご指摘のとおり、加入者数は年々落ちてきているわけでございますけれども、これの分析に対しましては、八年度にこの扶養年金の財政分析をしまして、十三年度に入りまして、この財政をどうするかという分析を新たに開始したいと思ってございますので、その中で、今後の制度のあり方というものを含めまして検討していきたい、このように考えております。

○和田委員 十三年度に向けて、この制度が、一本化も含め、それこそ見直しというんでしょうか、そういうことも含めて将来的に展望を開かせるということでありますから、それはそれで期待したいと思うんです。
 ただ、私は、ここに平成九年の東京都心身障害者扶養年金制度の今後のあり方に関する答申というのを持っているんですね。そのときにもう既に財政悪化の原因という分析をしておりまして、加入者の掛金を保険数理上の適正掛金よりも著しく低額に抑えてずっと来たということの反動が財政悪化の一つの要因ですよと。それから、加入者の掛金と適正掛金との差額を、発足時からずっと昭和五十三年九月までの間は都費で負担してこなかったというようなことなども含めて、六、七項目の要因を分析して、九年時点に出しているんですね。それから十年の料金改正に至っているという歩みなんですが、今ここに来て、この九年の予測を超えた形で十三年度さらに悪化の形でいくのか、あるいはこれを継続する形で安定する、制度を維持するためにこれから検討していくのか、その辺の方向はいかがなものなんでしょうか。

○谷川障害福祉部長 扶養年金の置かれている環境は、今理事ご指摘のとおりでございますけれども、我々としては、扶養年金の安定的運用を今後も続けていくという観点からの財務分析、財務調査をしていきたい、このように考えてございます。

○和田委員 それで、十年の厚生委員会の会議録を見ますと、当時の石川福祉局長は、五年ごとに--当時十年とすると、今度は五年になるんだから十五年かもしれませんが、五年ごとに、原則五年程度に一遍はきちっと再計算というものをやってまいりたいというふうにいっております。
 ただ、そのときに、石川福祉局長はこういう前提を置いているんですよ。「当然、当厚生委員会にもそうした状況をきちっとご報告をして、そして、ご負担をいただくもの、あるいは公的に投入するもの、そうしたことを鮮明にしていくことが、むしろこの制度を安定的に行う上での一番のかぎだろうと思います」と。おっしゃったとおり、安定的に維持をすることを前提で、ではどういうふうにこの制度を改善していくかということが前提だと思いますから、この制度をなくするというんじゃなくて、安定させていく、そういう視点で今ご答弁いただいたと思いますから、その安定を前提にしながらどういう改正をしていくかというのがこの十三年度の議論の焦点だということで、もう一回確認させてください。

○谷川障害福祉部長 さきの局長の答弁で、五年に一回見直しをかけていくというのは、八年に財務調査をしておりまして、ちょうど五年後が十三年度に当たります。その中で、今理事の申された方向に向けて調査をしていく、このように考えてございます。

○和田委員 私のところにEメールが届いていまして、ある身障の方なんです。四十一歳の方です。男性でした。この方は、東京都の心身障害者扶養年金掛金の引き下げのお願いだと、一方的に僕にいってきました。まずその前提として、都民の、特に障害の皆様方の中には、扶養年金の存在すらご存じない方が多くいらっしゃるのです、PRにご尽力いただきたくお願いしたい、入る方が多ければ多いほど財政事情はよくなると思いますので、この点に力を入れてほしいというような、個人的に私にそういう要望を持ってきた方がいるんです。
 私ここで確認をしておきたいことは、これは任意加入ですよね。したがって、私のところにEメールを寄せた四十一歳の男性の方の指摘のとおり、加入者がどんどんふえてきて、それも若い人がふえてきて多く加入人口がふえることによって、今我々が危惧している財政の危機というものを克服することは可能だというふうに考えていいですか。

○谷川障害福祉部長 これも今後の課題になってくるかもしれませんけれども、この扶養年金の加入期間というのは二十年でございまして、二十年たつと、あとは年金が発生するまで待つ。国の方は、二十歳かつ六十五歳までという掛け期間が非常に長い。ですから、単純に新規加入者がふえれば財政的に安定していくというものではなくて、その辺が非常に難しい面がございまして、その辺も踏まえまして検討はしていかなくちゃいけない、こう思っております。

○和田委員 その辺がかぎだろうと思うんです。
 それから、二十年納めたからといって受給権が発生するわけじゃなくて、保護者が亡くなったところで初めて受給権が発生するということでありますから、長寿社会になって、二十年納めたからといっても、お父様や保護者がずっとご存命であれば、その方の三万ないし四万の年金はおりないということでございます。したがって、そういう長寿社会に適合した形で、なおかつ、国と比較して少し制度として遺漏感があるようなところについて補完をするような形で、十三年度、先ほど申し上げたとおり、安定的な形で維持する方向で検討をお願いしたいということを要望しておきます。
 次は、権利擁護の関係に触れたいと思うんです。
 これは、地域福祉権利擁護事業という形のものです。純粋的に、法的には、先ほど来出ましたが、成年後見制度などできちっと、意思表示が余りはっきりされない方には、財産管理に関する契約などを結んで、弁護士あるいは裁判というような司法が介入しながら、一定のこれからの保障をしていく。
 今私が申し上げようとしている地域福祉権利擁護事業というのは、どちらかというと福祉に的を絞って、まだご自分の価値観なり意思表示ができる方を対象にしたもので、間に立つ方も、介助支援員というような方がその意思を代弁するという形になっているわけです。これは、東京都の方もあるいは市区町村の方も相当宣伝をし始めてはいるんですが、まだまだ、その宣伝の仕方が薄いのか関心がないのかわかりませんけれども、このようなきれいなリーフレットを出してはいますけれども、まだ地域の中に定着しているとはいえません。
 この原因をまずどのようにお考えになっているか、初めにお伺いいたします。

○小山地域福祉推進部長 地域福祉権利擁護事業についてお答えいたします。
 この事業は、判断能力が十分でない痴呆性高齢者や知的障害者、精神障害者の方等に対しまして、福祉サービスの利用に当たっての支援を行う事業でございます。福祉サービスの措置から利用への動きの中で、サービス利用者の権利保護の観点から、介護保険が始まる前、平成十一年の十月から、全国の都道府県社会福祉協議会を実施主体として事業が始まったところでございます。
 この事業が十分まだ定着をしていないのではないかというご質問でございますが、この事業の実施主体は、大きな実施主体は都道府県の社協でございます。その都道府県社協が実施主体となり、その窓口業務ですとか相談業務、そういったことの一部を区市町村社協あるいはそのほかの団体に委託をできるという仕組みになっております。
 今のところ、区市町村の社協に寄せられております相談等は、平成十二年度ですと、三千五百件余りに達しておりますが、この事業にのっとって契約として成立をして援助事業が始まっているケースについては、平成十三年二月末現在で四十七件ということになっております。
 十分ではないという、相談件数が十分でないという面と、この相談件数において契約に結びついたものが十分でないという二つのご意見があろうかと思いますが、まず第一点目は、大きく申し上げまして、この制度の普及が、今副委員長ご指摘のとおり、十分浸透していないというところがございます。と申しますのは、これまでの福祉サービスの相談というのは、どちらかといいますと、ほとんどの方が福祉事務所に出向いていって相談をする、あるいは福祉事務所の方から出向いてきて措置をするというような形で行われてきておりましたので、契約によって福祉サービスを利用するという制度改正について、利用者の方の理解がなかなか得にくいというところがございます。
 それから、この事業につきましては、サービスの利用者本人というよりは、むしろその周辺におられる方、例えばホームヘルパーさんですとか訪問看護婦さんあるいは親族の方、そういった方々にこの制度をご理解いただくことが、これからの課題ではないかと思っております。
 それから、相談件数に応じて契約の件数が少ないという点につきましては、実は、これは、まず相談の窓口の区市町村社協で相談を受けてから、基幹的社協の専門員が出向いて利用をされたいという方にご説明するのでありますが、ご本人が判断能力が十分でないということもございまして、このサービスを受けることによって利用計画を立てる、そして、利用計画を立ててそれを利用していく上では利用料が必要であるということをご説明してご理解いただくまでに、何度も出向き意思を確認するというふうに、非常に時間がかかる面がございます。
 それから、普及もいき、それから本人のご理解も得るとして、三点目は、やはり相談の窓口と、実際に契約支援の、利用支援の計画をつくり、後フォローする基幹的社協が離れておりまして、非常に広域的に行われているということも、普及していかない一因ではないかと考えております。
 長くなりまして失礼しました。

○和田委員 今小山部長お話しのとおり、契約という概念が一つ横たわっているんですね。この契約という概念は、これからの日本あるいは東京の福祉の大きなかぎの言葉というふうに私は思っているんです。例えば介護保険ももちろん契約ですし、平成十五年の四月から障害者の分野でも契約というふうになって、次から次に契約が出てくる。
 今までの福祉というのは、どちらかというと、温かみ、善意、温情のような形で、行政が訪ねていっていかがですかという形で、一方的なもの、あるいはクライアントの方からすれば、一方的に苦情をいいに来る、助けてもらいたいというそういう悲鳴を上げるということでありましたが、契約という概念をそこに挟んでくると、どうしても、今までの日本人の福祉のかかわりの中での違った分野、違った世界をそこからかいま見なければならないということがために、ためらいがあったり、かた苦しいとか、これでは少し冷たいとか、しゃくし定規だとかいうような概念をよく私も聞きます。介護保険でもよくそういうことを聞きます。
 そんなことをこの権利擁護の事業はまずやろうということでありますから、当然、成功率というんでしょうか、三千五百の相談があるんだけれども、四十七件の契約だと。しかしながら、どう見ても、三千五百相談を受けるんだけれども、契約までいくのは四十七というその差が、三百五十で四十七ならわかるんですが、三千五百件の相談で四十七件しか契約を結ばない。これは、今私が申し上げている契約という概念が余りわからずに、ただ相談には行きますよ、しかし、その後の契約についてはちょっと足踏みするな、もう少しいろいろなことを考えなければいけないなということで、相談件数から比較すると、極端に契約件数が少なくなっているなというふうに思うんです。
 特に知的障害、身体障害の方々は、自分で自分の価値観を正確に話されたり、正確に表現することはふなれな方が多いわけでありますから、また、金銭感覚だとか権利だとかが絡んできますから、それを飛び越えていくためには、どういう苦労といいましょうか、どういう努力といいましょうか、工夫といいましょうか、それをお考えになっているか、お答えいただきたいと思います。

○小山地域福祉推進部長 この事業はまだ始まったところでございます。工夫をいろいろしているところでございますが、まずは、区市町村の社協にご相談があったときに、必ず基幹社協の方につなぎますが、実務の実態を申し上げますと、基幹社協は、そういうご相談を受けますと、あらかじめ、インテークと申しまして、区市町村社協で受けたご家族の関係ですとかご本人の要望ですとか、そういったことをまずベースにいたしまして、ご本人だけではなく、関係者の方の陪席もお願いして、まずその家庭に出向きまして、いろいろインタビューをいたします。
 それも、単刀直入に、この権利擁護事業を使いますかどうですかというようなお尋ね方をすれば、決してその方はお話に乗ってこられませんので、まず、一般的な日常生活のことからいろいろお話をしながら、その方の判断能力がどの程度のものなのか、あるいはどういう生活上の不安とか希望を持っているかということを、ケースワークの理論を使いながらよくお尋ねいたします。
 そして、陪席のお方には、ご本人がお答えになるまでは決してお話しいただかないように、インタビュー、これは一時間からちょっとかかりますが、それを経た上で、本当のご本人の希望、それから必要なサービスということを、また改めて関係者と相談をいたします。それも一回では契約に持ち込みませんで、パンフレットをそのご家庭に置いてまいりまして、こういうサービスを利用すると、安心して必要なホームヘルパーさんにも来てもらえるし、その支払いについても代行してもらえますという事業説明を書いたパンフレットを置いて、また改めて、おおむね一週間後ですか、一週間後に出向いて、また確認をいたします。その一週間でうまくお話がまとまるということも実はまれでございまして、やはり逡巡をされます。
 したがいまして、この事業の中にはいろいろサービスがございますが、こういった相談、それから、簡単な申し込み代行とかそういった部分と、今申し上げました預金通帳を預けたり日常の預金の受け払いあるいは支払いですか、そういった、日常的なものとはいえ、金銭の支出を伴うようなものとは分けて、まず最初は、サービスの利用支援の部分だけ仮契約をしていただく。
 そのように慎重に、また十分説明をしながら進めてまいりますので、契約だから右から左へご自分の責任で判こを押すようにと、そういうことではなく、契約をすることそのものを支援しております。
 ご本人が納得した上で、サービスを利用しようという気持ちになっていただくように、時間をかけてこれから工夫してやっていくように、区市町村の方にはお願いしたいと思っております。

○和田委員 今部長がいわれたとおり、福祉サービスと日常的金銭サービスとか、利用料も一時間千円とか二千五百円とかとランクが分かれておりまして、これを理解するのも難しいかなと思うんです。ただ、先ほど申し上げた契約という概念でこの制度を見ませんと、全く意味がありませんから、つらくても、この契約という概念を理解していただくように工夫をお願いしたいと思うんです。
 先ほど小山部長の方からたびたび基幹社協、基幹社協と出てきます。基幹は「基」の「幹」と書く「基幹」なんですが、どこの町にも社会福祉協議会はあるんですけれども、その社会福祉協議会全部がこれの委託箇所になっているわけではありません。
 例えば私の北区は、文京区と組んで、基幹社協に北区がなっています。ですから、もしも文京区民の人が、この種の相談で、金銭なりお世話やきサービスで相談に文京区に行くのはいいんですが、最終的に契約を結ぶのは北区に行かなきゃだめだ、そういう仕組みです。
 ですから、三多摩でいえば、東久留米と清瀬と東村山のこの広いエリアの中で、相談は清瀬でも東久留米でもいいんですけれども、契約をしたり具体的な話というのは、東村山に東久留米の人も清瀬の人も行かなきゃだめだ。こういう基幹、もとになるそういう社協というのを位置づけして、都内、島しょも入れて二十八カ所になっていますが、こういう距離があるものですから、身近な相談を、お年寄り、まして体の不自由な人も中にまじっていますが、文京区から私どもの北区の方にわざわざ来て相談するのはというふうに思うのは当然だろうと思うんです。
 そこで、この種の福祉の相談というのは、どちらかというときめ細かくやらなければいけませんし、なおかつ契約という少し乾いた、ドライなそういう概念を挟む以上、もう少し身近な市区町村に、基幹社協というふうにいわずに、この種の相談窓口を設定していく必要があるのじゃないかと思うんです。
 ただ、国の国庫補助事業でありまして、人口五十万で一カ所ぐらいの枠を上はおろしてきているのは承知しておりますが、さきにお聞きしたとおり、三千五百の相談のうち、契約に結びついたのは四十七というような実情の中で、国の国庫補助事業だからということで、そのまま唯々諾々としていていいのかどうなのかという疑問は残ると思うんですが、その基幹社協という制度そのものを、このまま考えていらっしゃるかどうか、お願いいたします。

○小山地域福祉推進部長 本事業につきましては、地域の実情に応じた事業の実施が大変必要だと思っております。このことにつきましては、国の制度の決め方が、事業の実施主体について区市町村が関与しないようになっておりますので、制度の弾力的な運用について、国に対して提案をしているところでございます。
 また、こういう状況ではございますが、この事業の性格から、区市町村の中には、この事業の重要性にかんがみて、先駆的な取り組みを始めている区市町村も出てきております。独自に、その取り組みに対しましては、福祉改革推進事業を支援しているところでもございますので、今後も、区市町村の積極的な取り組みを支援してまいりたいと考えております。

○和田委員 今の小山部長の答弁は、国の紋切り型の,人口五十万で一カ所よという、今、東京都が採用している二十八カ所の基幹社協の制度とは違った踏み込んだ形だと思うんですが、もっと積極的に、東京都は、そういう希望があるところには援助、補助の手を出しますよというふうな形で少し背中を押してあげるような、そういう姿勢はおとりになれないでしょうか。

○小山地域福祉推進部長 区市町村の説明会等を通じまして、折に触れ、また機会を得て、この事業の重要性と区市町村の取り組みについて協議をしているところでございます。これからもしてまいりたいと思っております。

○和田委員 次に、福祉改革推進プランにかかわるバリアフリーの問題をお尋ねしたいと思うんです。
 事業概要の中にもありましたとおり、鉄道駅のエレベーター化の整備、それから福祉のまちづくり地域支援事業、だれでも乗りおりしやすいバス整備事業、最後にリフトつきタクシーの整備事業等、まちを中心に移動するそういう方々が、障害なく、障壁なく動けるような、そういう一体化したプランを東京都がつくっているということは、大変私どもも評価をしているところなんです。これを面的に整備をしていく、どこかの、この四つの事業のうちどれかだけが単独でというんじゃなくて、横につながっていくことによって初めて、このバリアフリーという形の価値が上がってくるかなと思うんです。
 私は、卑近な例で恐縮ですが、私どもの地元を例にして、少し東京都のバリアフリー化緊急整備の問題とつなぎ合わせていきたいと思うんですが、私どもの北区では、東十条という駅があるんですけれども、そこに、JRですとかエコム財団などと手を組みながら、エレベーター設置事業を今考えています。
 これについて東京都の方はどういう現況認識をされているか、まずお伺いしたいと思うんです。

○小山地域福祉推進部長 東十条駅のエレベーター等整備事業につきましては、北区の方から、平成十三年度に調査設計を行う、そして十三年度は改札内のエスカレーターの整備、平成十四年度は改札外の既存の施設を撤去する、そして十五年度に改札外のエレベーター、エスカレーター設置完了でこの十条駅のバリアフリー化を行いたい、そのようなご相談を受けているところでございます。

○和田委員 さきに申し上げたとおり、エレベーター一基だけではなくて、今あそこに大きな病院も幾つかあります。それから保育園もあります、小学校もあります、商店街もあります。そういう公設のもの、あるいは医療のようなものが随分集まっているところだけに、面的にここは整備しなければ、ただエレベーターだけのバリアフリーだけでは、よさが生かされないだろう、こう思うものなんです。
 福祉のまちづくり事業というのが一方であるわけでありますから、これとの関連で、より積極的な取り組みを区と都が実現できないだろうかというふうに思うのでありますが、いかがでしょうか。

○小山地域福祉推進部長 東十条駅及び駅周辺の地区につきましては、平成十三年度からいわゆる東京都の福祉のまちづくり地域支援事業を実施したいというようなことで、北区の方から具体的なご相談をいただいております。今後、北区からの要望を踏まえまして、調整し、対応してまいりたいと思っております。

○藤田委員 私も何点かお尋ねいたしたいと思います。
 今バリアフリーの話がございましたけれども、交通バリアフリー法が十一月十五日に施行されて、その二日前でしょうか、私も杉並の区内、阿佐ヶ谷駅を中心にバリアフリーについての点検をやらせていただいたんです。なぜ阿佐ヶ谷駅かというと、東京都のモデルとして、ここは福祉のまちづくり条例の中でモデル事業として行われたところでしたので、どんなふうに実践がされているのか、あるいは改善点はどうなのかというようなことを、半径五百メーター以内のところで歩かせていただきましたが、なかなか難しい状況にもありました。
 ノンステップバスの、こう引っ張り出すんですけれども、車いすを乗せるために、はい、どうぞといったんですけれども、なかなか出ないというような状況がありましたり、それから、阿佐ヶ谷駅では、構造上エレベーターがつかないというふうにいわれているんですけれども、果たしてそうなのかなと、これもちょっと疑問があったりもしましたけれども、このことで、交通バリアフリー法では、区市町村が基本構想を策定することができるというふうにされておりますけれども、まず、このときの都道府県の役割についてお尋ねしたいと思います。

○小山地域福祉推進部長 バリアフリー法では、区市町村の策定する基本構想につきまして、市町村の発意と主体性を大変重視しているところでございます。この法律では、区市町村は、主体的にその基本構想を策定した後、都道府県並びに主務大臣に届け出るように、そういう規定になっております。都道府県は、その区市町村が策定する基本構想の写しの送付を受けたときに必要な助言等を行うこととされております。
 しかしながら、都におきましては、区市町村から基本構想策定のための、策定以前の事前相談の段階から、都市計画局が中心になりまして、関係各局が連携をいたしまして、必要な支援、相談体制等を整備しているところでございます。
 福祉局といたしましても、福祉のまちづくりを進めるという観点から、必要な助言を行っているところでございます。

○藤田委員 この区市町村の基本構想を策定したいというようなことが、もう既にどこか区市から上がっていますでしょうか。そして、そこについては、どんなことをこれから支援できる、実現することができるようなことになっておりますでしょうか。

○小山地域福祉推進部長 バリアフリー法に基づきます区市町村の基本計画につきましては、今水面下でいろいろとお話は来ておりますが、正式に東京都の方にご相談があるというケースは、まだ調整中ということでございまして、これからでございます。

○藤田委員 事務事業概要のときに、交通バリアフリー法で区市町村が基本構想を策定するというようなことになっているけれども、福祉のまちづくり条例との関係はどんなふうになっているのかというお話を伺いましたら、東京都はさほど、このバリアフリー法の中でこれから何かしようというのは、もう既にカバーされてしまっているので、これについては特段何か目新しいことはないんだというようなお話があったんですけれども、このバリアフリー法の基本構想と福祉のまちづくり条例に関して、もう一度その関係性をお尋ねいたしたいと思っています。

○小山地域福祉推進部長 まず、交通バリアフリー法でございますが、これは、高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の利便性、安全性の向上を図るということが目的でございます。したがいまして、法律の対象とする事項は、公共交通機関並びに旅客施設及び旅客施設を中心とした一定の地域ということになっております。
 一方、福祉のまちづくり条例は、高齢者、障害者等が自由に行動し社会参加ができるよう、円滑に利用できる都内の施設の整備とサービスの向上を図るということが目的でございまして、条例が対象とする施設は、駅舎も含みますが、それに限らず、建築物、道路、公園といった広範囲に及んでおります。また、それ以外に、福祉用具といった細かい方向にも条例は及んでいるところでございます。

○藤田委員 ということは、バリアフリー法が、公共交通機関ということで、その駅、五千人の乗降客があるところというふうにいわれていますから、例えばJRなんかですとほとんどそれが入ってしまうわけですけれども、その周辺を福祉のまちづくり条例の中でカバーをしていくというふうになっているわけですけれども、そういうことに関していえば、基本構想を策定するに当たって、都は財政支援的なことができるのかどうか、私はすべきだというふうに思っていますけれども、いかがでしょうか。

○小山地域福祉推進部長 東京都は、平成十年度から福祉のまちづくり地域支援事業を始めまして、区市町村が行う地域の調査ですとか点検活動、あるいは住民参加による合意形成づくり、それから普及啓発といったこと、それから具体的なバリアフリー化事業というものをセットで進めまして、区市町村における福祉のまちづくりの起爆剤と申しますか、起点としたいという、こういう事業を始めております。
 東京都といたしましては、今後も、福祉のまちづくりから、こういった区市町村が行う地域支援事業は取り組んで支援してまいりますが、区市町村が行います交通バリアフリー法に基づいた基本構想を策定する場合には、こちらの方は、地方交付税が算定されているというふうに聞いているところでございます。

○藤田委員 今のお話によると、東京都はそのために特別な財政支援を行わないというようなことの意味かと思いますけれども、実際にバリアフリー法で計画を立てなさいと。計画を立てなさいということは、すなわち、それをバリアフリーにしなさいということなわけですから、では、お金はというふうになりますと、なかなかそこに、地方交付税の中で算定されているといったときに、東京都の中でどうなのかなと思うと、すべてがそういうふうになっていないわけですから、そんなことを考えましたときには、国へまず要望する必要があると思いますけれども、その辺はいかがでしょうか。

○小山地域福祉推進部長 東京都は、福祉のまちづくり条例に基づきまして、福祉のまちづくり地域支援事業をやっております。平成十年度に開始しましたときには、手を挙げてくださる市町村は少のうございましたが、最近徐々にふえてきております。
 今後とも、区市町村のバリアフリー化は、地域支援事業によりまして支援をしていきたいと思っております。

○藤田委員 もちろんわかるわけですね。だから、この計画を国がやれということは、すなわち、そこに財政支援をした方が本来だといいわけですよね。東京都のものでもちろんやれる場合にはそれでもいいわけですけれども、国へ私はきっちりと要望していくということが必要かなというふうに思うんですが、もう一度ちょっとお願いいたします。

○小山地域福祉推進部長 先ほど区市町村の地域計画につきまして申し上げましたが、交通バリアフリー法に基づいた基本構想を策定する場合には、その部分は地方交付税の算定が行われております。しかしながら、実際に、バスですとか鉄道の駅ですとか、そういったハードのものにつきましては、それぞれ事業が国で考えられております。例えば交通結節点改善運動ですとか、歩行者空間ネットワーク整備事業ですとか、そういった個別事業が計画されておりますので、それを組み合わせて地域のバリアフリー化を進めるというのが、国の方の進め方だというふうに理解をしております。

○藤田委員 わかりました、といいますか、ぜひ、できるものであるというふうにはしていますけれども、やるのであれば、交付税の算定が行われ、不交付団体の部分でありますから、やはりそこのところは国に対してもきっちりと要望していってほしいなというふうに思っています。
 それから、知的障害者の生活寮について先ほどお話がありましたけれども、実は、都の生活寮百八十一園があって、そのうち、だんだん国のグループホーム化といいますか、そういうふうに変えていきたい、また、それと、東京都も生活寮を今までどおりのをつくっていきたいというようなお話がありましたけれども、実際には、制度的な違いで運営費の違いがあるんだということ、それで、東京都は、グループホーム化を国の制度に移行していって、ある意味では少し金額の差を肩がわりしてもらいたいような、そういうような意向があるような雰囲気にとれるんですけれども、ちょっとその辺のことを、どんなふうになっているのか、お尋ねしたいと思っています。

○谷川障害福祉部長 国制度のグループホームは、利用者四人の場合には一人当たり六万五千九百円、こういうふうに決まっておりまして、これを国と区市が二分の一ずつ持ってございます。東京都の生活寮の運営費の基準は、一人当たり月額八万九千円というふうにしております。これは、都と区市それぞれ二分の一ずつ負担していくということになります。
 今、委員おっしゃいました都の生活寮が国のグループホームの指定を受けた場合は、国の六万九千円の半額は取り入れまして、その残りの部分を都と区市が二分の一ずつ持っている、こういう形で委託料の運営をやってございます。運営費の運営をやっております。

○藤田委員 ということは、グループホームに移行しても、そこの生活寮の一人当たりの金額は、持ち出しがあったり、寮の持ち出しとかいうようなことはないというふうに考えていいんですか。

○谷川障害福祉部長 今委員がご質問ございました一人当たりの八万九千円というものは、生活寮においては必ず水準は確保されてございます。国のグループホームの場合には、八万九千円に満たない部分、二万三千百円は区市町村の分担でやっている、そういうことでございます。

○藤田委員 それから、家庭から生活寮に入る際には、生活寮が非常に少ないですから、偏在をしているというようなこともあって、利用者の委託料は家庭のある原籍地の市区町村が払うのか、あるいは生活寮のある居住地のところで支払うのかというようなことが非常に問題になっているというか、それぞれ自分のところに押しつけられてというような人もいますので、ちょっとその辺の問題について、現在どんなことになっているか教えてください。

○谷川障害福祉部長 この生活寮の委託料につきましては、利用者の保護者の住所地の区市がそれぞれ支払うということになってございまして、今ご質問ございました家庭のあった原籍地を基準にして行っている、そういうことでございます。

○藤田委員 例えば都外に出られるような方もいらっしゃるわけですよね。そんなときはどんなふうになっていますでしょうか。

○谷川障害福祉部長 都外に出られた場合は、都外の施設を利用していただくという原則がございます。ただ、東京都としては利用を拒んではございません。ただし、利用者が、あるいは園から見た場合に、東京都が上乗せ加算をしてございますので、その分、他県の方が国制度の六万九千円だけでやっておりますと、施設に入る運営費が若干減ってくる、そういう問題は含んでございます。

○藤田委員 生活寮は居住の場であるのだから、生活寮に入った場合は、居住の住民となって、そこにある居住地が委託料を支払った方がいいんじゃないのというような話ももちろんあるんですけれども、ただ、それもこれも、要するに生活寮の数が少ないということが非常に大きな問題だというふうに思っているわけです。
 私は、もちろん原籍主義というか、親のいらっしゃるところが委託をするということがいいというふうに思っているわけですけれども、今回東京都は、本年一月から生活寮の運営主体にNPO法人を加えましたけれども、重度生活寮の運営主体にもNPO法人を参加させることができるんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○谷川障害福祉部長 先ほど六万九千円と申しましたが、済みません、六万五千九百円の間違いです。どうも済みませんでした。
 ただいまの質問でございますけれども、今委員ご指摘の、ことしの一月からNPO法人の生活寮の運営を可能にしたわけですけれども、重度の生活寮についてどうしていくかということにつきましては、一般生活寮に対してNPO法人にお願いしてどのような問題があるか、その部分を検証した後で、全重度生活寮についても導入を検討してまいりたい、現時点でそのように考えてございます。

○藤田委員 実は、このNPO法人の生活寮ということに対して、地域の方々はすごく期待をしていて、雨後のタケノコのごとくこれができ上がるんじゃないかというようなことを予想というか、そういう感じなんですけれども、実際にはどのくらい許可をされていますか。

○谷川障害福祉部長 ことしの一月一日に正式にスタートしたわけでございますけれども、現時点では数カ所の引き合いは来てございます。ただ、それについて、NPO法人、手を挙げればすべてよろしいというわけじゃなくて、利用者を重点に考えていかなければならないので、いろいろ検討はしておりますけれども、その検討の結果、積極的に進めてまいりたい、こう思ってございます。

○藤田委員 それから、障害者の施設その他は、これまで、子どもたちの施設という、人数的な問題からいって、同じようにそれぞれの市区町村にあったという状況ではなくて、やはりそれが点在をしていたということがありましたので、都の役割というふうにこれまでは考えられていたんですけれども、なるべく市区町村の身近なところでというふうに変わってきたわけですけれども、今後も大きな役割を私は持っていると思いますけれども、これから市区町村にサービスなども含めて移行していくときの都の役割について、お尋ねしたいと思います。

○谷川障害福祉部長 将来的には区市町村の役割がどんどんふえていきますけれども、ただ、それだけでいいとは決して思っておりませんで、問題が発生した場合、区市町村といかに利用者の情報を共有し合って問題を解決していくか、いずれにいたしましても、当然都の役割、ランニングコスト、運営費コストの問題等、都の役割はいささかも減るものではない、このように思ってございます。

○藤田委員 予算特別委員会の中で、虐待を含めて児童相談所の問題を取り上げさせていただきました。そのときに私は、これは事務事業の中でもお話をしたんですけれども、いわゆる総合機能を発揮するような状況が--これまでどうしても児童相談所といえば子どものことが中心でありましたから、そこに、虐待の場合には必ずケアということでは、親に対してのケアも必要であるということで、総合機能ということをお話しさせていただいたわけです。
 実際に、例えばDVの話をしても、幾らシェルターをつくっても、申しわけないけれども、男性が暴力を振るうそちらを何とかしなければ、幾らたっても数は減らないわけですので、それと同様に、子どもの虐待をどういうふうにするかといえば、やはりそこに、危害を与える親のケアがきちっとなされなければならないということで、この間の予算特別委員会の中でも、総合的な機能をというお話をさせていただいたわけです。
 それで、東京都は、児童福祉審議会の意見具申の中で、東京の場合には、児相が中心ではなくて、子ども家庭支援センターをつくっていくんだと。そして、それが平成七年度から始まったわけでありますけれども、平成十二年度までの中で、実施数というのが十七カ所というふうに聞いております。ここがどんどんでき上がってというような意識の中ではあったんですけれども、ある意味では数が予定箇所に足りていないということですけれども、なかなか設置が進まない理由について、まずお尋ねしたいと思います。

○福永子ども家庭部長 子ども家庭支援センターは、区市町村における子育て支援の中核ということで、関係機関の連携を図りながら、子どもに関する問題について相談を行うとともに、在宅のサービス等を提供していくということで、都の方では設置促進に努めているわけでございます。平成十二年度が十七カ所ということでございますけれども、今までは、どちらかといいますと、子どもと家庭の問題についての区市町村の理解度といいますか、そういったものがやはり保育所でありますとか児童館でありますとか、そういったところにウエートがいっていたという部分がございますけれども、最近、いろんな形で子どもと家庭に関する問題が、児童虐待等の問題も発生している感じでございまして、そういった相談窓口等を積極的に区の方でも役割を担っていくという動きもございますので、十二年度から、都の方の包括補助等のそういったものも支援策ということでやっていることでございますので、平成十六年度にはすべての区市町村に設置できるという方向で、十三年度からはかなり大幅に設置進むものというふうに考えているところでございます。

○藤田委員 子ども家庭支援センターがないと、例えばこの中のメニューにあります相談とか在宅サービスは提供できていないんですか、あるいはできているんですか。

○福永子ども家庭部長 子ども家庭支援センターがなくても、子ども家庭の在宅サービス等は区の方から直接できるわけでございますけれども、いわゆるコーディネート機能といいますか、そういったコーディネート機能を子ども家庭支援センターが担っているというところはございますので、その辺のところは、ないところについてはできないという現状でございます。

○藤田委員 子育てひろばとかあるいは子育てセンターというふうにいわれているところがあるわけですけれども、この事業は具体的にどんなことをしていますでしょうか。

○福永子ども家庭部長 子育てセンターというのは、子育てひろばということで、古い名前ということでございまして、子育てひろばにつきましては、保育所でありますとか児童館に併設をいたしまして、いわゆる子育てに関する相談機能ということでありますとか、あるいは子育てのグループ等についてグループ化を図っていただくとか、そういったことで、第一次的な、地域における育児相談を含めました子育て相談の窓口ということでございます。

○藤田委員 これの設置状況はどんなふうになっていますか。

○福永子ども家庭部長 子育てひろばの設置状況でございますけれども、平成十二年度の実績ということでございますが、二十区十六市二町で四百二十八カ所ということでございます。

○藤田委員 実際に考えてみますと、この意見具申の中には、子育てセンターが一カ所、それに対して五カ所ぐらいの割合で子育てひろばをつくったらというような意見具申がありましたけれども、実は、いろいろなところの、ファミリー・サポート・センター、子ども家庭支援センターの状況などを聞きますと、やはり相談機能がほとんどで、実際には、このメニューになっているトワイライトとかショートステイとか一時保育などなかなか進んでいないという状況にあるわけですけれども、例えば、今回新しいもので産褥期のヘルパー事業というのは、私も非常によい事業だと思っていますが、区の中でも提案してまいりましたけれども、この事業はどういうふうにやって決めたんでしょうか。

○福永子ども家庭部長 在宅サービス等につきましては、実施主体でございます区市町村が柔軟に事業ができるようにということで、区市町村からの事業に対する要望等も踏まえまして、できるだけ弾力的にということで、平成十三年度からは、産褥期ヘルパーの訪問型、一時保育サービス、あるいはショートステイ等における派遣型の創設といった形で、できるだけ弾力的なサービスの提供方法等について区市町村を支援していく立場で対応しているというところでございます。

○藤田委員 先ほど包括的な事業をというお話がありましたけれども、どんなふうにそれがなっているのかをちょっとお尋ねしたいと思います。

○福永子ども家庭部長 子ども家庭支援センターは、いろいろな施設併設型等でも設置が可能でございますので、そういった複合施設等で子ども家庭支援センター等を設置する場合、そういったハード面の整備費等も必要になるということもございますので、包括補助等を活用していただいて設置をしていただくということでございます。

○藤田委員 わかりました。実は、予特の中でもお話しさせていただいたんですが、実際には、お母さんたちの希望といいますか、子育ての仲間がいない、それから子どもの遊び友達がいないというようなことで、そういう意味では、場がないというのが一番大きな今の子育てのきつい状況にあるのかなというふうに思います。実際に私たちが子育てをしたころからすれば、妊娠をして出産をすれば親の意識が持てるというような状況ではないというのが、現在の状況のようであります。
 そうしたときに、実は、例えばプレパパ・アンド・ママ、赤ちゃんを見にきませんかというような、そういう事業を、いろんなことをそれぞれの自治体でやっているんですけれども、どういうことかというと、妊娠をした、しかし、実際にとにかく赤ちゃんをさわったことがない、見たことがない、こういう方々が多いから、非常にそこが、自分のところで子どもが生まれてしまうとどうしたらいんだろう、それこそテレビの宣伝の中に出てくる、うちの赤ちゃんはおしっこが青いのじゃないけれども、大丈夫なんだろうかと、こういうばかなことが笑い話じゃなくて出てきてしまうということなので、実際には、例えば七カ月、九カ月ぐらいの方々が、プレママ・アンド・パパですね、その方が、保育所なり、それから地域のゼロ歳児の赤ちゃんがいるところで実際に実体験をするというような、こんなことがあったらいいかとか、あるいは笑い話じゃなくてそういう状況になっていることを認識していただきたいのです。
 そしてまた、中学生、高校生が保育所に行って、本当に弟というか、そういう状況の中で小さい子を見るというような、そういういろんなアイデアは出てくるんだと思うんですが、先ほど包括というふうにお尋ねしたのは、このメニューの中に、いわゆるショートステイだとかトワイライトとか一時保育、それから産褥期ヘルパーというふうにここではなっていますけれども、もう少し子育て在宅サービス事業をもうちょっと地域の中でやるということであれば、今介護保険の中では包括メニューがもう当たり前のようになってきていますけれども、もう少しこういういろんなことができる、それを実践をする、子育てひろばのところもそうだと思いますけれども、こういう包括メニューというものをどんどん自由に使ってくださいというようなことができるような、そんな仕組みを私はつくったらいいのかなというふうに思っているんですけれども、いかがでしょうか。

○福永子ども家庭部長 先ほどもご答弁申し上げましたけれども、子ども家庭の在宅サービスにつきましては、利用者のニーズというものに合ったような形で、区市町村が実施主体ということでございますので、できるだけ区市町村のご要望に応じる形で、あらゆるメニューを用意して、できるだけそういったメニューの中からサービスを選択していただけるようにということで今までやってきておりますので、引き続き、その辺につきましては、区市町村の方からそういったご要望がございますので、そういったものを在宅サービスメニューの中に加えられるものは加えていきたいというふうに考えているところでございます。

○藤田委員 子ども家庭支援センターの機能として、いわゆるケースマネジメントだというふうに書いてあるわけですけれども、こういうときにどれだけニーズを把握することができるかということがやはり一番大きな問題になってこようかと思いますし、それから、どんどん社会が変わってきてしまっているといいますか、そこが大きなポイントになろうかと思います。常に見直しをしながら、一番今求められているのが何かということをぜひ確認をしていただきながらやっていただきたいというふうに思います。
 それから、福祉改革推進プランでございますけれども、私は、これからの、今お話ししたように、それこそニーズがどんどん変わってきているというところで、分権型の多様な市民ニーズを把握していく、そしてそれにこたえていくためには、やはりここでいわれていることは、まさにそうだと思うんです。しかし、ここには、選択をしていってくださいといったときに、選択できるだけの量と、それから、そこが本当に自分のニーズに合ったところかどうかということがチェックできる仕組みがないとならないわけですから、やはりそこには評価制度、そして苦情処理ということが確実に与えられなければいけない。
 そして、そこにはもう一つ、例えば保育のことでいえば、この意見具申の中にもまず最初に出てくるんですけれども、やはりそこは、権利保障ということが私は確実に述べられていなければいけない。子どもを中心に、例えば先ほど豊島区のベビーホテルの話がありましたけれども、子どもを預かるという、子どもの保育をするというのは、人間を育てるということでありますから、幾らベビーホテルで、そして企業の考え方を持ってくるにしても、やはりここは子どもがまず第一、最優先の原則を考えなければ、こういうことは幾ら推進プランの中でいいことをいっても、最終的にはそこが立ち行かなくなってしまうということになると思いますので、この権利保障についても、ぜひとも、もうしつこいぐらい何回もいっておりますけれども、もう一回ここのところは考えていただきたいというふうに思います。
 以上です。

○松本委員 済みません、簡単に何点か質問させていただきます。
 二ページと三ページ、福祉サービスに要する一人当たりの経費、子ども経費にかかわる資料、丁寧につくっていただきまして、大変ありがたく思います。
 そこで伺うのでありますが、ここに載せていただいたような資料というのは、ほかにはどこで見ることができるんでしょうか。

○村山企画担当部長 なかなかここまで網羅的にはなっていないんですけれども、今回の十三年度の東京都の予算案の概要全体の中で、巻末のところでその一部が引用されているという形でごらんいただけると思います。

○松本委員 ここに出ている、一人に要する経費というのがあります。この経費というのはすべて都民税なんでしょうか。国税や区民税というのはどういうふうにこの中に入っているのか、ご説明をいただきたいと思うんです。

○村山企画担当部長 これは、一人に要する経費全体でございますので、国から来るお金も、区市町村分の負担も、都の負担ももとより入っておりますし、それぞれの利用者の負担も入っている、こういう経費でございます。

○松本委員 わかりやすく一つだけ、この中から例をとらせていただきます。
 ゼロ歳児一人のお子さんの年間にかかる経費が三百六十一万三千円、そして利用者負担が五十六万三千円ということになっております。これ差し引いた三百五万円というのが税によって負担されている、こういうことなんだろうと思うんですが、三百五万円の中身というのはわからないんですか。区民税も都民税も国税も全部ミックスされていますよというだけで、大体割合的にはこの程度ですよというのもわからないんですか。

○村山企画担当部長 これは全体としての経費を割っておりますので、あれなんですけれども、実はこの中には、国の基準で計算されている分と、それに都が乗せている部分が一つあります。それから、国の基準で区が負担すべきものというふうに決まっているんですけれども、区が独自に条例で利用料をダウンしちゃって、減らしちゃっている部分があって、その分を区が自分で負担している部分がありまして、非常に複雑な結果を、全体をばさっと割っているものでございまして、なかなか、この分の数字を今すぐにはちょっとお答えできないんですけれども、改めて出させていただければと思います。

○松本委員 例えば障害児福祉手当とか児童育成手当といったようなものにつきましては、割り算をして出てきている数字ではなくて、手当として渡す分の数字が出ているのだろうと思うんですが、これはすべて都民税で賄われている数字ですか。

○村山企画担当部長 児童育成手当については都の単独事業でございますので、これはすべて都税、都民の税金でございます。児童扶養手当と児童手当については、それぞれ国庫事業でございますので、一部国のお金も入っているというものでございます。

○松本委員 例えば心身障害者(児)医療費の助成という欄を見ますと、一人に要する経費が年間で十二万八千九百円、こういうふうになっております。これは、医療を受けた人それぞれによって違う数字になってくるだろうと思うわけでございますが、利用者負担をされる場合には、利用者には、税が幾らで、そのうちのあなたの負担分はこれだけですから、これだけお納めくださいというような請求書になっておるんでしょうか、教えてください。

○谷川障害福祉部長 現時点ではなってございません。費用の区別は、それぞれ計算されたものは本人にはお渡ししてございません。

○松本委員 保育所ですね、これ、定員百人、特別区モデルということですから、区立保育所のケースだろうと思うんです。年間五十六万三千円というのが利用者負担になっております。お母さん方に、自分の負担額、父兄の方に請求書を出して納付していただくという形なんでしょうけれども、その納付書の中には、全体で税を含めて三百六十一万三千円かかる中で、この分が税負担で、あなたの負担額はこれだけですから、これだけお納めくださいというような納付通知になっているんでしょうか、お答えください。

○福永子ども家庭部長 保育料の請求といいますか、それは階層区分がありまして、階層区分があなたは第何区分で、保育料は幾らになりますという形になってございます。

○松本委員 階層区分があってもなくても、そのお子さんお一人に対して税がどれだけ投入されていて、そのうちのどれだけが利用者負担になっているんですよというようなことが、都民に、あるいはご父兄にわかるような形になっているかどうかということをお尋ねしている。わかりやすく答えてください。

○福永子ども家庭部長 全体の保育コストが総額が幾らで、そのうちあなたの保育料が幾らという形でわかるようにはなってございません。

○松本委員 私は、この問題に対して何年も前からお願いしてありまして、東京都の行う事業というのは、納税者の皆さんが納めていただいた税によって運営されているわけですね。ですから、税の使い方が、どういうふうに使っているのかというのが、サービスを受ける側にきちっとわからなくちゃいけない。税を納めている人、納税者が納得いただくような税の使われ方をしていますよということですね。そういうことをやってくれといっているんだけれども、そうしたことができない理由について、局長、ご答弁願います。

○前川福祉局長 今、松本委員からお話がありました趣旨は、例えば高齢者の場合をとっていいますと、介護保険は明快なわけですね。全体のコストがあって、そのうち一割が利用者負担、残りの半分を保険料と税で見る。保険料もご負担いただくのはわかっていますから。そういう意味でいうと、まさに介護保険というのは、おっしゃったような意味で、給付と負担との関係を明快にした制度だろうと思うんです。
 残念ながら、ほかの場合には、障害者、子どもの場合にはまだ措置制度が残っておりますので、今おっしゃったように負担は負担と、つまり、負担能力に応じた負担であって、コストはコストで行政がトータルで見るというシステムになっているわけですね。
 我々が今、福祉改革推進プランで目指しているのは、一挙にそこまでいくかどうかは別として、今おっしゃったように給付と負担の関係をはっきりしたい、それを通じて、利用者本位の社会をつくっていきたい、そうするためにはどうしたらいいかということをいろいろ工夫しているところでございます。

○松本委員 私は、例えば納税者の立場というのは、とりもなおさずサービスを受ける立場なんですね。ゼロ歳児保育、保育園をつくることに僕は反対じゃない、賛成です。賛成ですけれども、自分の子どもに税金を三百五万円、一年間かけてもらっているんだという感覚がご父兄の方になければ--五十六万三千円だけで全部ができちゃっているという錯覚を持っていらっしゃるお母さん方が圧倒的に多いんですね。
 例えばここに、医療で補装具、一人に要する経費が年間十万九百円なんですよ。これは利用者負担はゼロですから、全額なんですよ。そうしますと、区役所へ行って車いす貸してくださいと持ってくるわけですよね。持ってくるというか、区役所の方でお世話いただいて車いすが来る、ありがたいなと感謝して使われる。でも、壊れたときに、いや、ただで借りているんだから自分で直さなきゃいかぬ、こう思われるかもしれない。しかし、これは税でやっていることなんですから、税金でやっていることなんですから、遠慮なく利用者は、この車いすはもうちょっと新しいのを持ってこいとか、そういうことを事業者にいえるはずなんですよね。そういうことが全然出ていない。
 石原知事がこの間示されたアクションプランⅠの中では、大きな柱が三つあったと思います。スピードとコストと検証という話ですね。近藤先生の質問にあったように、検証というのはだれがやるんだといったら、サービスを受けている人たちが、自分たち、サービスを受けている方がどれだけ満足するか、こういう話なんだろうと思うんですよ。かけたコストが、例えばゼロ歳児保育で年間五十六万三千円のこれがサービスだなと思えば、安上がりだなと、こう思われるはずなんです。ところが、三百六十一万三千円のコストをかけているんだったら、もっといいサービスでなきゃ納得できない、こう思われるかもしれない。サービスを受ける側が検証する費用としても、かかるコストは明快に示すべきだと僕は思うんです。そうでなければ検証ができないですよ。
 東京都の施策全般にわたっていえることは、こういうサービスを進めますよと、こういうんですよ。サービスをただで受ける方はどんどん上げてくれという話になるんだけれども、受ける方は、ただじゃなくて、自分が払っている税金の中からそのサービスをやる価値があるかどうかという選択をしてもらわなくちゃいけない時代だと思うからいうんですよ。だから、こういうようなことを、どんどん、サービスを受けている方あるいは都民に、機会あるごとにこれだけの皆さんの税金かけているんですよということをもっともっと理解をしてもらうように努めるべきだと僕は思うんですが、その熱意が全く欠けている、この三年間で。
 この間、小学校へ行っているお母さんに、小学生一人当たり年間税金幾らぐらいかかっていると思いますかと聞いたら、ご理解いただいている方はゼロだった、三十人の会合で。ゼロですよ、税金が幾らかかっているかわかっている人はゼロ。それで、小学校の先生の給与を国と東京都で払っているんですよ、えっ、区立の小学校の先生の給与を、何で中野区は一銭も払ってないんですか、こういう質問さえ出てくる始末だ。
 こういう中で、納税者と税を使う立場の関係というのは、これでは、行政改革やるといったって、役所の中のマスターベーションにすぎない。納税者が参加をしてやるから、ちゃんとした行政、民主主義、地方分権、自分たちの政府であり、自分たちがやっている、そういう自分たちが参加して組み上げた都政なんだ、こういう実感がわいてくる。ところが、全然税の使われ方がわかっていなくて、制度がわかっていなくてということでは困る。局長、どうですか、もうちょっときちっと。

○前川福祉局長 私どもは、松本委員が指摘されたことを前提として先ほどお話をしました。問題は二つあると思います。
 一つは、先ほどお話ししたように、介護保険の場合には、比較的自分が払っている--例えば特養でも何でもいいですけれども、施設を利用する場合に利用料を払うわけです、たとえ生保を受けている人であっても。そうすると、それから推しはかって全体のコストは幾らかかるというのはわかるわけですよね。
 ところが、残念ながら、今の児童とか障害者の場合にはわからないわけです。というのは、サービスに要するコストはコストで、国なり都道府県なり区市町村が支弁をして、負担は負担で、これは全く別の世界で、負担能力に応じてということになっているわけです。ほとんどの場合はかなり低い負担で抑えられている。ですから、私ども今考えているのは、一つは、そういう関係を少し明確にしていきたい。そのためには、福祉改革推進プランで、例えば高齢者の施設、障害者の事業についてどういうシステムにしたらいいかを考えたいというのが一つです。
 もう一つは、これはPRの問題で、先ほど企画担当部長からもお答えしましたが、例えば予算の発表等の場合には、これまでも、できるだけ一人当たりコストを出すようにしてはいるんです。ただ、おっしゃるように不十分だろうと思います。ですから、その辺を、今おっしゃったような視点も含めて、これからどうしたらいいのかというのは、私ども十分受けとめさせていただいて、研究させていただきたいと思います。

○松本委員 質問を終わります。

○曽根委員 私からは、重度の障害児の問題、それから障害者福祉会館並びに児童会館の問題などについて質問したいと思います。
 その前にちょっと、今議論がありました福祉に係る全体の費用、そこにどの分野にどれだけの費用がかかっており、個人の自己負担がどういう割合なのか、それは税のいわば分配として正しいのかどうか、これは本当に都民の方にも大いに知っていただいて、今福祉の問題がありましたけれども、公共事業も含めて、大いにやるべきだと私たちは思っております。どこの分野に本当に税金をかけるのが国民、都民にとって必要なのかということですよね。その点については大いにやるべきだ。
 ただ、局長がお答えになったことで私ちょっと気になるのは、介護保険制度というのは、今までは能力に応じて負担をするという原則を、能力があろうがなかろうが一割負担ということで、その部分では負担のかけ方は非常にわかりやすくなったけれども、負担能力のない低所得者にとっては残酷な制度になりました。ですから、制度がわかりやすくなることと、利用する本人にとってそれが安心できる制度になることとは別ものですから、その点はやはりきちんと見きわめていかなければならないと思います。
 ところで、今のお話で、自己負担が幾らかということをぎゅうぎゅう詰めていくと本当に大変なことになる分野というのが重度障害児の分野です。確かに一人の子どもを支えるために、命を支えるために、場合によっては何百万ものお金もかけている分野です。しかし、それでも命の重さ、生きていることの意義深さということは、一昨年石原知事も本会議で答弁の中でおっしゃいましたが、必要な場合には公費をつぎ込まなければならないときがあるわけです。
 私は、先日、予算特別委員会、三月十五日の委員会で、障害者団体の方が行った千三百十五名のアンケートをもとにしながら、知事に、そこで切々と上がっている声についてのご感想を聞きました。知事の答弁の中で、確かに個別には、私がそのとき紹介したような深刻な例もあるだろうと。しかし、そういう事実があったとしても、大きな制度全体は動かないんだという答えがありました。
 そして、行政というのは、森も木も見なければならない。知事の好きな言葉でいえば、バーズビュー、鳥の視点と、インセクトビュー、虫の視点と両方が必要なんだという答えもありました。ですから、森全体を見て行う行政の角度と、当然ながら、本当に個別の救済もしくは対策が必要なごく少数の方に対する対策というのは、当然あってしかるべきなんだという趣旨だと私は受けとめたいと思うんです。
 同時に、前川局長の答弁の中に、私たちが実態調査しろというふうにいって、なかなか今までやろうとしていなかったんですが、重度障害児の、それも最重度ですか、三号該当の四百九十名の部分については、恐らく書類で調査したんだと思うんですが、どういう制度の割合になっているのかと、適用、不適用についての割合を紹介していただきました。
 その中でやはりと思ったのは、重度手当とマル障両方が対象外になる方が、最重度の障害児の中で二二・二%いると。ここには国の特別障害者手当が出ているんだよというふうに局長はおっしゃいましたが、それは前から出ているんです。しかし、新たに、その方々にはマル障も外され、重度手当もなくなっていくということになることは間違いない事実であって、その点では、障害者団体の方々が行ったアンケート調査というのは、ずばり問題の中心点をやはり提起していると思います。
 それで、先ほどの知事の答弁の観点に立てば、大きな障害者福祉全体としてはこうだという方向が出されていて、それは変わらないよというふうに知事も答弁しました。これについては、私たちまだ物をいいたいと思いますが、少なくとも知事のいった、木を見る、もしくは虫の視点に立って本当に細かい問題を見ていく、そういう行政の視点があるならば、このマル障も重度手当も、ついでにいえば障害者福祉手当、子どもの場合の障害児の育成手当も全部外されてしまうという、限られてはいるけれども必ずいるこの人たちに対する対策をどうするのかという問題は、改めて考えてしかるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

○村山企画担当部長 インセクトビューとバーズビューというお話なんですけれども、それは両々相まって全体としての制度なり行政なりを構成するんだろうというふうに思うわけですね。したがいまして、今の全体としてのお話として、バーズビューとしての今回の施策の見直しの全体像についての考え方をどう置くのかということが、まず問われるのではないかというふうに考えております。
 せんだって以来たびたびお話し申し上げておりますように、昭和四十年代には国の社会保障政策が非常に不十分だった。そういう状態の中で始めた都のいろんな施策、それが、昭和五十年代、六十年代に来て相当国の方の施策が進んできた状況の中で、都として本来果たすべき役割はどこなんだろうかということで、在宅サービスあるいは施設サービスも含めてですけれども、サービスそのものの充実にシフトしていこうというのが、今回の基本的な福祉改革のベースになる考え方でございます。そのベースになる考え方に基づいて、今回施策の見直しをしたわけでございます。
 その際、その基本的な、いわば木と森の関係でいえば、森についての考えについてどういうふうにするのかということ抜きに木をどうするんだというご議論は、いささか偏っているのではないかというふうに、私としてはまず感じるところでございます。
 あわせて、木の問題についても、基本的には制度全体の中でどういうふうに処理されるべきかということが議論されなければならないわけでございまして、生活保護制度あるいは医療に対するさまざまな保険制度そのものの中で、個別の問題についても基本的には対応されていかなければならないというふうに考えております。
 そういう観点に立ちますと、先般、予算特別委員会で局長からご答弁申し上げましたように、先ほど申し上げたように、国のいろんな制度の進展の中で、高額療養費制度等もございまして、そういう中で、基本的に、現在のいろいろな個別の問題についても、それらの制度の中でカバーされているというような認識のもとに、私ども今回の見直しについてご提案申し上げ、昨年度におきまして、議会のご了解をいただいた上で現在実施させていただいているということでございますので、全体として、私どもは、森と木のその観点から申し上げても、合理的でかつ正当な施策の見直しをやらせていただいている、かように考えているところでございます。

○曽根委員 まず第一に、全体の施策で、考え方として、重度障害者に限っているマル障、さらにさらに狭い、全体で一万人しかいない重度手当の受給者、こういうところに対する施策と他のいろんな分野の政策とが、公平性や何かの観点で十分に負担ができるし、公平でもあるというふうにしているというのが全体的な視点ですよね。そういう観点でいっても、やっぱり私は、今回行われた各分野の施策を比べてみますと、かなり大きなアンバランスが生まれているというのは事実だと思うんです。
 例えば子どもさんの分野でいえば、マル乳が今度基準が引き上げられましたよね、引き上げられますよね、ことしの十月から。これが大体五百万円近くの所得、五百七十万ぐらいですか、所得水準が上がることになるわけですよ。中身も、入院給食費以外は無料になりますよね。もともとは全部無料だったので、入院給食費以外は無料だと。重度障害児を持っているマル障、一般のマル乳に比べて、どっちが負担が大変かというのは、いろいろ比べようがあるでしょうが、重度の障害児の方が一般的にいえば大変ですよ。
 しかし、その制度の所得基準が、今まではかなり高かったのが、ずっと下がって、マル乳と逆転したわけですよね。所得基準でいうと四百六十二万一千円。百万円も乳幼児医療費助成よりも下がっちゃった。まさに去年から比べると逆転になる。しかも、中身も、入院給食費だけではなくて、一割負担ですよね、ほとんどの方が。マル障が受けられても一割負担、老健法連動ですから。入院給食費のみ有料という方は、非課税者のみですよね、今度の制度。やはり一般施策といいますか、幅広く乳幼児、小学校入学前の子どもさんに適用する制度よりも、重度障害児に対する障害児の施策の方が所得基準も低いし、中身も悪いというのは、これは何じゃということは指摘しておきたい。
 それから、全体はそういう形で問題があるのと同時に、それでは、この間前川さんがいろいろ四百九十人の中を分析して、いや、この部分は、制度は外されるけれども所得は割と高いんだと。それはそういう方もいるでしょう。しかし、では、四百九十人のうち二つの制度が外される二二・二%の方のすべてが、本当に年収九百万円以上の裕福な家庭ばかりなのか。これは、もしそうだとしても、単なる偶然であって、その中に所得階層はいろいろある可能性は十分にあるわけです。
 これは生活保護云々のレベルじゃなくて、何しろ一般サラリーマンぐらいの給料の部分で、切れるか切れないかという話をしているわけですが、そういう制度と別もので、いわば普通のサラリーマンで普通の家庭だったら何とかやっていける収入なんだけれども、重度障害児を抱えてお母さんは働けない、お父さん一人で稼いでいる家庭において、年間百万円以上の負担増が生まれてくるという問題についてどうなのだと我々は問題提起をしているわけで、そういう、小さいけれども重大な視点、少数だけれども大変な影響を受ける世帯があり得る、あるということをやっぱり見なければならないということは申し上げておきたいんです。
 それで、私、こういうことがずっと続いていくと、この間紹介もしたように、何カ月か、半年か一年間何とか耐えてきた。しかし、二年、三年、子どもさんが成人してしまえば、本人の収入で基準がかかりますから、それはもう大体大丈夫なんですね。成人するまでは、親の収入に障害者本人の収入がそのまま適用されちゃうので苦しいわけです。延々と続くと思うと気が遠くなるという声がたくさん上がっている。それで、だったらもう施設にお願いするしかないというふうな声が聞こえるわけですよ。
 単純に比較してみたいんですけれども、在宅の障害児の方が一カ月入院する場合と、重度障害児の施設に入っていて親が負担しなければならない経費と、一カ月分で比較するとどういうふうになりますか。

○谷川障害福祉部長 在宅の障害児がどのくらいの医療費の負担が生じるかについては、一概に計算することはできないわけですけれども、医療費助成の対象とならない場合、平成十一年度の心身障害者医療費助成の実績から推計しますと、外来で月九千円という計算をしてございます。
 また、入院した場合のケースでいいますと、月百万で年間一千二百万かかった場合には、月四万五千五百円の医療費がかかるだろう。また、入所している子どもたちについては、トータルとして、施設運営費全体の中でそこの医療費を持ちますので、その対比は、その施設入所者に幾らかかっているかという数字自体が抽出できませんので、対比は困難な状況でございます。

○曽根委員 まず一つは、障害児の入院の場合月百万ぐらいと、これは結構かかるわけですよね、重度障害児の場合。百万を超えることだって大いにあるわけですよね、医療費全体として見れば。そうすると、最高限度額にぶつかる。今、限度額というのは単純じゃないらしいですね。今度の一月の改定で限度額もなくなったわけですね、一応。六万三千幾らだったのがなくなって、それもだんだん定率で上がるようになったらしいんですが、今お話のあったのは四万五千円ですか、これは通年で入院した場合のあれですよね。私が聞いているように、一カ月ぐらいの入院という場合には、もうちょっと高いんじゃないかと思うんですよ。私の計算では大体十一万円ぐらいだと思うんです。
 それから、重度障害児の施設、例えば知的障害者の施設では、月に、これは親の負担がはっきりわかりますから、二万五千円ぐらいと聞いているんですが、これは間違いですか。

○谷川障害福祉部長 扶養三人の世帯で、一人が重度障害者であって、前年の年収が六百五十万と仮定した場合でございますけれども、この場合ですと、今委員おっしゃったとおり、一月の費用負担は二万三千九百円程度になると思っております。

○曽根委員 つまり、児童福祉施設ですから、措置制度ですよね。だから、親の所得によって応能負担ですよ。さっき複雑な制度というふうに話があったものですけれども。
 しかし、そのおかげで、この場合マル障が外されて、すぐ上の収入階層、年収が六百五十万、所得でいえば四百六十万ちょっと超えたぐらいの階層の方は、重度障害児の我が子を施設に預ければ、月二万三千九百円ぐらいの負担で済む。しかし、在宅で抱えていると、仮に一カ月入院した場合の医療費は、私、十万円ぐらい超えると思うんですよ、一カ月間だと。
 それで、元気であればいいですよ、障害を抱えていても元気であれば。しかし、不定期に発作を起こしたりして入退院を繰り返すということは、往々にして障害児の場合あるわけで、そういうときには、例えば一カ月、二カ月、そのときには、月にかかっている費用は十数万というようなことになった場合、在宅と施設に入っている場合とで、相当なやはり負担の違いが出てくる。それでも、我が子は自分のそばで一緒に暮らしながら育てたいというふうに、お母さん方、お父さん方が頑張ってやってきた。それを支えてきたのが医療助成であり、それから重度手当だと思うんです。
 それが外されていく。重度手当は在宅の方中心ですから、そういう点でいうと、やはり負担にたえ切れなくなって施設をお願いしたいという声が、在宅で育てていくことにもうたえ切れないという声が出てきても、お金の面でやむを得ない面もあるのかなというふうに思わざるを得ないんです。もちろんそれでも頑張っていく人は頑張っていくと思うんですが、こういうのでいいのかなというふうに思います。この点は、ぜひ検討をお願いしたい。
 それから、この問題の最後にちょっと指摘だけしておきたいんですが、先日私が取り上げました障害者団体のアンケートについて、局長の答弁で、けちをつけるつもりはないが、信頼性はいかがかという答弁がありました。これについて、さっき聞いてみましたら、障害者と家族の生活と権利を守る都民連絡会という団体の会長名で、前川局長あてに抗議文がきょう出されたそうで、ここで委員会やっている最中で、後で見ていただけばいいと思うんですけれども。
 こういう調査は本来福祉局が行うべきもので、自分たちは、都が実態を調べることを再三要求したけれども、都は今日まで本格的な調査を行っていないと。だから、都民団体、自分たちが行った調査には限界があるかもしれないが、障害児の幸せを願い、ともに運動を進めてきたお母さん、お父さんたちの声は正確にあらわしたつもりだ、ここに書かれた一つ一つの声に耳を傾け、現実に三つの制度が同時に打ち切られる家族が百十二世帯もあることをこのデータで明らかにしたわけだから、真摯に受けとめてほしいというふうに書いてあります。後でよく読んでいただいて、受けとめていただきたいと思います。
 次に、障害者福祉会館について何点か質問します。
 障害者福祉会館について、これまで何年かにわたって、民間委託もしくは民営化になるんじゃないかとかいろいろなことがいわれてきて、利用している団体の方々にも、委託先を探しているというようなことが局から説明があったりしていました。大変な不安が広がっていました。今回、来年度については直営で行くというふうになったようですが、一方で、会館の職員が半分近く減らされると、八名ですか、ということが方針として出されたわけですね。
 これによって、今まで会館が行ってきたいろんな事業、もちろん集会室を貸し出すというようなこともありますが、独自に事業を行ってきたわけですね、職員が、東京都が直営で責任を持ってやってきた。これについて、本当に維持できるのかという心配の声が上がっていますし、これは当然だと思うんです。何しろ職員が半分ぐらいになっちゃうんですから。それで、障害者の方々が今実際に利用している会館事業をきちっと守っていく保障が、この職員配置できるのかどうか、お聞きします。

○谷川障害福祉部長 理事おっしゃいますとおり、定数十六を定数八名に、現在定数査定がなされたわけでございますけれども、十二年度と十三年度の中身、事業については、優先順位の高いもの、そうでないもの、あるいはまた区市町村の充実によって行われているもの等々によって、それに見合うといいますか、事業を見直した結果が十六名から八名になったということで、会館の運営はやっていける、このように考えております。

○曽根委員 会館の運営はやっていけるというお話なんですが、それは貸し館事業としてはやれるでしょうよ。しかし、例えば中途失聴者、生まれて以降に耳が聞こえなくなった方、そういう方に対しての手話講習会など、こういうものはほかでやっていないわけですよね。ここしかやっていない事業なんです。そういうものまで、この八名ですか七名ですか、この職員で到底回し切れないんじゃないかという心配があるわけですよ。ほかにもいっぱい事業ありますよ。そういったものについては、本当にやり続けることはできるんでしょうか。

○谷川障害福祉部長 今おっしゃいました中途失聴者の事業であるとか、あるいは喉頭摘出者の事業、これは非常に人数、利用者が多いわけでございますけれども、これは福祉部の事業として十三年度実施していくことを考えてございます。

○曽根委員 福祉部というか、障害福祉部ですよね。
 それで、私思うんですけれども、今まで、昭和五十年開館ですから、もう三十年近い歴史を持っている。直営で頑張ってきて、もちろん、いろいろな形はこれからあり得ると思いますよ。しかし、直営でやってきて、何かまずいことが出てきた、これではもういろんな障害者の利用要求にこたえられないというのならともかく、かなりいろいろと皆さんのところに役に立つ事業もやってきて、それ自体に何か大きな欠陥でもあって行き詰まっているというのならともかく、そうじゃないのに民間委託の話が出たり民営化の話が出てくる。
 しかも、直営は守られたんだけれども、人数が減らされて、人数が減ったために、事業がその会館職員だけで維持できないから、では、障害福祉部でやりますと。だったら、何で会館の現場の職員でやれるような体制を厚くできないのかというのは、利用者としてはもっともな疑問だと思うんです。
 もちろんその背景には、予算当局からもいろいろいわれているでしょうし、福祉局さんが苦労しているのはよく知っていますから、これ以上はいいませんけれども、やっぱり現場の職員をちゃんと十分確保してやるのが一番いいに決まっているんです、これは。続けるんだったらですよ、会館事業を。ということで、やっぱりこれは現場に手厚く職員を置いてもらいたいということを申し上げておきたいと思う。
 もう一つ、今後のことでいっても、今のままの事業だけ維持していけばいいというふうにはならないと思うんです。障害者の種類やいろんな特殊な疾病の問題など、どんどん広がってきているわけで、最近でいえばエイズの問題もあります。薬害エイズの団体なども、あの障害者福祉会館を利用して、いわば細々と活動していた活動が維持されてきたからこそ、最近になって厚生省のあの書類が出てきて、にわかに社会的に大きな役割を果たすことができるようになったというふうに聞いています。
 ですから、これからも、全都的に集まらなければなかなか交流も活動もできない、少数また大変深刻な状態の障害者の団体のために、会館事業を維持、充実させていくということが必要だと思うんですが、いかがでしょうか。

○谷川障害福祉部長 理事おっしゃいますように、利用者数が年間二十一万人を超えるような利用ですけれども、そのうちのほとんどが貸し館の利用者でございまして、なおかつ、その貸し館を利用している者たちは、ボランティア団体二百が登録してございまして、実際に活動しているのは百三十七でございますけれども、これらのボランティアの人たちが自主的にさまざまな、手話講習会であるとか障害者の同じサークルのピアカウンセリングであるとか、従来行政でやってきた部分に対しても、貸し館の利用者のグループの中でそういうような事業をしてきている。
 もう一つは、開館が昭和五十年ですけれども、そのときの福祉センター的なものは二十三区内に五カ所しかなかった。現在では三十九カ所にふえている。そういう状況の中で、事業の軽重を見ながら今回見直しをしていったわけでございます。

○曽根委員 もちろん各地域で集まって交流する必要があるものもいっぱいあるから、各地域にセンターができるということは非常にいいことですよ。同時に、広域的自治体としての東京都の会館の役割は当然あるわけで、私は、そういう意味で、これから新しくいろいろな活動が起きてくる、そのまず出発点といいますか、地域で始まる前に、やっぱり東京で集まって、そこからまた地域に帰っていくというような出発点としても、会館の役割は極めて重要ですので、そこをぜひ押さえてもらいたいと思います。
 それからもう一つ、障害者団体から強く要望が出ております、これまで三十年近い団体の活動を支えてきた会館が持っている資料、これは、普通の図書館などにはない、団体が出しているさまざまなニュースや発行物、定期刊行物などのそうした資料というのは、ここにしかないものがたくさんあるわけですよね。ぜひ今後も充実させると同時に、活用、保存に力を入れるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○谷川障害福祉部長 仕事柄、障害者の方あるいは障害者団体の方と接触する機会が、私、多いわけですけれども、その中で障害者会館についていわれることは、ただいまの理事おっしゃいました資料をきちんと保存してほしいというのは、直接私も要求を聞いておりますし、現場も見まして、貴重な資料、長い間の障害者の方々の運動の歴史等々、貴重なものがたくさんあるというのは重々承知しておりますので、それに対する保管は万全を期していきたい、このように考えております。

○曽根委員 よろしくお願いします。
 次に、児童会館についてお聞きしたいんですが、ここも、昨年の春、一回、民間委託か民営化か条例案が出かかって、私たちに一回説明が来たんですが、取り下げになった。どうなるのかと思っていたら、来年度は直営で行くと。しかし、やっぱり職員は減らすという方針が出ました。職員は何人から何人、常勤、非常勤それぞれ何人ぐらい減らすのか。
 そうすると、ちょっと時間があれですので簡潔にいきますけれども、五階建て、屋上と地下も含めると七つのフロアでそれぞれ違う事業をやっていて、年間、大人と子ども合わせて、これ見てびっくりしたんですが、百二万人という百万人を超える利用があるわけですよね。これを、その減らした人数で支え切れるのかどうかというのが大変心配なんですが、その点についてはいかがでしょうか。

○福永子ども家庭部長 児童会館の職員の件でございますけれども、管理部門につきましては、十二年度は管理係、奉仕係と合わせまして常勤職員七人でございますが、十三年度は、再雇用職員の活用あるいは業務の一部委託等によりまして、四人で行います。また、事業部門につきましては、十二年度は常勤職員十二人でございますけれども、専門性のある非常勤職員を十三人から二十三人に大幅に増員することによりまして、十三年度は五人で事業やフロア運営を行うものでございます。
 また、フロアが屋上を含めて七つございますけれども、そういったところの運営方針といいますか、フロアの運営のあり方でございますけれども、フロアの運営につきましては、基本的に専門性のある非常勤職員を中心に運営する方針でございます。また、効果的な事業実施のために、屋上の運動のひろば、五階の図書ひろば、二階ののびのびひろばにつきましては、業務を委託するということでございます。

○曽根委員 年間百万人を超える利用者で、そして、土日になると本当にすごい、ごった返すといっては悪いんですけれども、物すごい利用だそうですね。夏休みも多いと、利用が。木工教室は、ただで材料をいろいろ出してくれて工作がいろいろできるということで、夏休みも本当に利用が多くて、職員の方てんてこ舞いだそうです。
 それが、事業部門が今十二人、各フロア大体二人ずつぐらい張りつけていられたのが、今度五人ですから、管理部門を除くと、事業部門は本当に各フロアに一人も置けないという状態で、子どもたちの安全や利便を守れるのかなというのが大変心配だということは申し上げておきたい。
 特に、この会館のもう一つの役割として、子ども相談室というのがあるんですね。ここも、児童相談センターで受けている子どもの相談、子どもに関する相談に比べて、数は少ないですけれども、それの五分の一ぐらいの、年間二千数百件の電話相談が来ていると。それも、東京都だけじゃなくて地方からも来るらしいんですが、相当児童会館が名前が有名だということもあって、そこに、子どもたち自身もあるんですけれども、お母さんたちの子育て相談も入ってくる。
 年間二千数百件というと、大体一日十件ぐらいは来ているわけですから、結構相談としては、受け付けの窓口として重要な役割を果たしていると思うんですが、ここも何かもう非常勤も置けないということで、どこかの団体で引き受けてくれるところがあれば場所だけ貸しますという話らしいんですが、私は、せめて引き受け手が--やっぱり東京都が直接的に持ってもらいたいということが第一と、引き受け手も決まらないのに三月いっぱいで職員を外してしまう、電話も、切ってしまうか留守番電話にするかわかりませんが、それはちょっと余りじゃないか、年間二千五百件も相談があるのに。
 何とかつなげてもらたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○福永子ども家庭部長 子ども相談につきましては、十二年度で終了ということでございまして、フロア開放事業ということに移行いたしまして、NPOとの連携の推進ということで公募いたしましたところ、現在複数の団体から応募がございまして、選定の手続を行っているという状況でございます。

○曽根委員 そうすると、本当に四月から、複数の団体が出ているということであれば、閉鎖することなく相談を受ける仕事は継続はできるということは間違いないんですか。

○福永子ども家庭部長 都の直営ではなくて、NPOの団体等、応募がある団体の中から選定をして、選定をされたところが実施をするということでございます。

○曽根委員 私、先日現場も見せてもらって、会館の館長さんにお会いしたときには、まだ確実に四月からあそこを使ってやってくれるという団体は決まっていませんという、これは館長さんから直接お聞きしたので、そういう話でした。したがって、私は、空白が生まれる可能性はあると思うんですよ。そういうことがないように、少なくとも電話相談が継続できるようにするのが、これまでこれだけの実績を上げてきた東京都の責任ですから、ぜひその点は努力をしていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

○石井委員 今日まで、前川局長を先頭に、福祉局の職員の皆さん、また高齢者施策推進室の皆さんとも、また衛生局等とも関連しながら、福祉改革プランを策定いたしました。限られた財源を有効に生かしながら、また、限られた財源の中で、二十一世紀の少子高齢社会、また体に障害を持つ方々に対する福祉施策等々、この改革プランを見ると、従来懸念されていた、また石原知事がいっていた、聖域なく福祉を切るんだという石原知事の当初の考え方とは逆に、むしろこの三つの部門についてはかなり前向きな施策の展開がなされている。今後五年間で五千二百億円を投入してこうした施策を展開していこうということが盛り込まれております。私は、これを作成した福祉局のご努力を高く評価したいと思います。
 東京都は、この二十年にわたって徹底的な行政改革を行ってまいりました。行革というのは、ただ単に職員を減らすとか給料を減らすというだけではなくて、行政が行うべき仕事、また民間でできる仕事を明確に立て分けて、民間でできる仕事は大いに民間にやってもらうということが大事だと思います。先ほど松本委員からもコスト意識という話がありましたけれども、これは非常に大事な視点であります。行政評価とも絡みますけれども、やはりそうした一つ一つの住民サービスにどのぐらいのコストがかかっているのかということを明確にしていくことは大事だと思います。
 私は、一点だけお尋ねしたいんですが、この福祉改革推進プランの中で、高齢者元気倍増作戦というのがありますね。具体的にどういうことをやろうとしているのか、お尋ねいたします。

○前川福祉局長 お尋ねの内容が高齢者施策室の関係なものですから、私の方からお答え申し上げます。
 これは、福祉改革推進プランの中での重要な柱の一つでございますが、ちょっと今うろ覚えで申しますけれども、一つは、元気でNet事業といっていたと思うんですが、高齢者の方が社会参加をするときに、どういう社会参加の場があるのか、またどこへ行ったらいいのか、そういったのをインターネットで検索できるようなシステムをつくって、区市町村とも協力をしながら、広く都内全域をカバーするシステムをつくっていきたい、それが一つでございます。
 また、シニアパスポートといっておりますが、これは身分証明機能、要するに今高齢者の方々が、なかなか、これは私どもも最初は気がつかなかったんですが、ちょっとまちへ行って、自分のいわばアイデンティティーを証明するものというのは意外とないんですね。運転免許証を持っていればそうなんですけれども、それ以外ほとんどない。それであれば、むしろ積極的にそういうものを都がつくってさしあげて、かつそれが、例えば都立の施設とか区市町村の施設とかを使う場合に、高齢者であることを証明できるわけですから、それで簡便に利用できるようにしたらどうかという、そういう問題意識のものをやっております。
 また、このほかにも、当然ですが、高齢者元気倍増作戦そのものではありませんが、バリアフリー化を進めていく。バリアフリー化の緊急整備事業をやっていきますけれども、これは、それ自体が段差の解消とか駅のエスカレーター、エレベーターの設置等を通じて高齢者の方々の社会参加を促進することになる、こう考えております。

○石井委員 最後に、子育て対策として、認証保育制度を生かしながら、駅前保育所、さまざまな保育ニーズに合った保育対策を進めていこう、また障害者については、親亡き後の対策として、向こう三年間で二百カ所の施設をつくり、三千人の方々の通所施設をつくっていこう、また高齢者対策、非常にすばらしい内容ができたと思います。
 ただし、さまざまに今回見直しをされる弱い方々のことも十分考えながら、都としては、関係する住民の方々はもちろんのこと、都民の皆さんにこの福祉改革推進プランの中身を大いにPRをして、東京都としてはこういう前向きに考えているんですよということを、東京都の広報紙、またホームページ等々、あらゆるメディアを使って徹底的にPRをして、都民の方々が安心できるような、そういう福祉施策のさらなる展開をすべきではないかと思いますが、その点を確認いたします。

○上條総務部長 ただいま理事からお話がございましたように、現在、都では福祉改革を推進しております。利用する都民が選ぶ、利用者指向の開かれた福祉を目指しておりまして、その主人公である都民に対して正確な情報を提供し、理解をいただくことは、非常に重要なことであるというふうに考えております。
 東京都では、昨年十二月の福祉改革プランの発表以来、ホームページへのプランの全文掲載、それから、一月には福祉局広報紙に特集を掲載しております。また二月に入りまして、新聞折り込み等を通じまして、都内全戸に配布される「広報東京都」で特集を掲載しております。また、二月下旬には三つの東京都提供テレビ番組で特集を放映、それから、三月には六種類の新聞紙上でプランの新聞広告を実施するなど、福祉改革の都民広報に努めてきたところでございます。
 これからは、都民向けのわかりやすいパンフレットを作成し、それから車内広告、ポスターなどいろんな広報媒体を活用しながら、一層都民へのPRに努めていく所存でございます。

○野村委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び報告事項に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○野村委員長 異議なしと認め、本案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で福祉局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後六時十一分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る