委員長 | 野村 友子君 |
副委員長 | 和田 宗春君 |
理事 | 曽根はじめ君 |
理事 | 石井 義修君 |
理事 | 矢部 一君 |
樺山 卓司君 | |
藤田 愛子君 | |
小松 恭子君 | |
曽雌 久義君 | |
古賀 俊昭君 | |
松本 文明君 |
欠席委員 一名
出席説明員福祉局 | 局長高齢者施策推進室長兼務 | 前川 燿男君 |
次長 | 藤堂 義弘君 | |
総務部長 | 上條 弘人君 | |
地域福祉推進部長 | 小山 園子君 | |
生活福祉部長 | 岡本 宏之君 | |
山谷対策室長 | 上野 純宏君 | |
子ども家庭部長 | 福永 富夫君 | |
障害福祉部長 | 谷川 健次君 | |
国民健康保険部長 | 井出 勝也君 | |
企画担当部長 | 村山 寛司君 | |
連絡調整担当部長 | 中村 憲司君 | |
高齢者施策推進室 | 福祉局長高齢者施策推進室長兼務 | 前川 燿男君 |
高齢政策部長 | 金内 善健君 | |
介護保険室長 | 吉川 和夫君 | |
保健福祉部長 | 若林 統治君 | |
施設事業部長 | 反町 純夫君 | |
高齢施設企画担当部長 | 笠原 保君 |
本日の会議に付した事件
陳情の取り下げについて
福祉局関係
第一回定例会提出予定案件について(説明)
・平成十三年度東京都一般会計予算中、福祉局所管分
・平成十三年度東京都母子福祉貸付資金会計予算
・平成十三年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
・平成十二年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、福祉局所管分
・東京都保育士試験手数料条例の一部を改正する条例
・東京都児童福祉施設条例の一部を改正する条例
・東京都身体障害者更生援護施設条例の一部を改正する条例
・東京都社会事業学校条例を廃止する条例
・東京都高等保育学院条例を廃止する条例
・東京都保育士修学資金貸付条例を廃止する条例
報告事項(説明)
・「東京都福祉改革推進プラン」について
請願の審査
(1)一二第五八号 「(仮称)子どもの権利条例」の制定に関する請願
高齢者施策推進室関係
第一回定例会提出予定案件について(説明)
・平成十三年度東京都一般会計予算中、高齢者施策推進室所管分
・平成十二年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、高齢者施策推進室所管分
・東京都立養護老人ホーム条例の一部を改正する条例
○野村委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
初めに、傍聴人の数についてお諮りいたします。
本委員会室の定員は二十名でありますが、傍聴希望者が定員以上でありましたので、さらに二十八名追加したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○野村委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○野村委員長 次に、陳情の取り下げについて申し上げます。
一二第五一号、東京都精神障害者都営交通乗車証条例の制定に関する陳情及び一二第五二号、精神障害者都営交通無料乗車券発行事業に関する陳情につきましては、二月八日付をもって、それぞれ議長より取り下げを許可した旨、通知がありました。ご了承をお願いいたします。
○野村委員長 次に、会期中の委員会日程について申し上げます。
理事会での協議の結果、お手元配布の日程とすることを申し合わせいたしました。ご了承をお願いいたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、初めに、福祉局関係の第一回定例会に提出を予定されております案件及び報告事項の説明聴取並びに請願の審査、次に、高齢者施策推進室関係の第一回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取を行います。
なお、提出予定案件及び報告事項につきましては、本日は説明を聴取し、資料要求を行うことにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いたいと思います。ご了承をお願いいたします。
これより福祉局関係に入ります。
初めに、第一回定例会に提出を予定しております案件について、理事者の説明を求めます。
○前川福祉局長 平成十三年第一回東京都議会定例会に提出を予定しております議案の概要につきまして、お手元に配布させていただいております資料に基づきましてご説明申し上げます。
まず平成十三年度予算案についてご説明いたします。
平成十三年度東京都予算案は、財政再建推進プランの着実な実行を図ることにより、財政構造改革を確実に進める中、首都東京の再生を目指す予算として編成されました。
福祉局といたしましては、これに基づきまして、平成十三年度予算を、福祉施策の抜本的見直しの成果を生かして、二十一世紀を展望した新しい福祉をつくり上げるための予算、福祉改革を本格的にスタートさせる予算と位置づけました。
福祉改革は、福祉サービスの提供の仕組みを、利用者本位の新しい開かれた福祉のシステムに変えていくことを目指しております。これは、戦後半世紀にわたり続いてきたこれまでのシステムが、社会経済の成熟化に伴う福祉ニーズの多様化、高度化や、高齢化に伴う福祉ニーズの増大に対応することが困難となっているとの認識のもとに、その抜本的改革を志向するものでございます。このため、昨年十二月、福祉改革推進プランを策定いたしましたが、平成十三年度予算は、このプランを事業として具体化するものでございます。
編成に当たりましては、限られた財源を最大限有効に活用して、行政がコントロールする福祉から利用者本位の開かれた福祉への転換を着実に進めていくため、子育て環境の整備、障害者の自立生活への支援、サービス選択の仕組みづくりと新しい福祉を支える基盤づくりに努めました。
この結果、福祉局所管の平成十三年度一般会計歳出予算は、二千九百五十五億四千二百万円で、前年度に比べ五十七億三千七百万円、二・〇%の増となっております。
また、福祉局は、一般会計のほか、母子福祉貸付資金会計及び心身障害者扶養年金会計の二つの特別会計を所管いたしております。これらを合算した歳出予算の総額は、三千三十九億五千八百万円となります。
なお、平成十三年四月一日より福祉局と高齢者施策推進室は組織統合し、いわば新福祉局として一体となって福祉行政を推進していくこととなります。この結果、新しい福祉局所管の一般会計歳出予算は、五千六百六十三億一千五百万円、前年度に比べ二百三十三億六千三百万円、四・三%の増となります。また、二つの特別会計を合算した歳出予算の総額は、五千七百四十七億三千百万円となります。
以下、予算案の主な内容につきましてご説明申し上げます。
第一は、子育て環境の整備でございます。
女性の社会進出や保護者の就労形態の多様化などにより、仕事と子育ての両立を支援するための保育サービスの拡充が必要となっています。このため、大都市の多様な保育ニーズに柔軟に対応することを目的に、東京都独自の基準による認証保育所を創設いたします。
また、零歳児保育対策や延長保育事業補助を拡充するとともに、家庭福祉員について、連携保育所による支援体制を整備し、一層の充実に努めてまいります。
次に、少子化の一層の進行、地域や家庭の養育機能の低下など、子どもと家庭を取り巻く環境が大きく変化する中で、地域における子育て支援の拠点となる子ども家庭支援センター事業を拡大するとともに、家庭を訪問する方法による一時保育事業の実施等により、子ども家庭在宅サービス事業補助を充実いたします。
学童クラブ運営費助成事業につきまして、午後六時以降開設する学童クラブや小規模クラブへの補助を実施いたします。
また、子どもの健やかな成長を支援するため、乳幼児医療費助成事業の対象を、小学校就学前の児童まで引き上げることといたしました。
さらに、児童虐待の早期発見、迅速かつ的確な対応を図るため、地域における関係機関の連携のあり方を確立させる児童虐待防止ネットワーク事業を実施いたします。
第二は、障害者の自立生活への支援でございます。
平成十五年度から障害福祉分野に支援費支給方式が導入されることを展望し、各種施策の充実を図っていくことが必要となっております。このため、まず待機者の大幅な減少と障害者の生活と活動の場を拡大することを目指し、設置者負担に対する特別補助等の緊急措置を三カ年行う心身障害者施設緊急整備三カ年計画を実施いたします。
次に、障害を持つ方々が、住み慣れた地域の中で自分のライフスタイルに合った住まい方を選べるよう、知的障害者の地域における居住の場を提供し、自立生活を援護、指導する知的障害者生活寮事業や、重度の知的障害者のための重度生活寮事業を大幅に拡大するとともに、自立生活に向けた生活訓練を一定の期間行う体験型生活寮モデル事業を実施いたします。また、重度の身体障害者が地域生活を安心して送れるよう、介助等のサービス提供を行う重度身体障害者グループホーム運営費補助を拡充し、本格実施いたします。
障害者の地域における主体的な自立生活を支援するため、心身障害者(児)ホームヘルプサービス事業につきまして、対象世帯の拡大を図ります。
また、在宅の障害者に対し、総合的な相談や各種の情報提供等を行う障害者地域自立生活支援センター事業に加え、知的障害児の療育相談等に対する専門的相談支援体制の充実を図るため、知的障害児等相談支援事業を実施するほか、障害者ケアマネジメント体制推進事業を着実に進めてまいります。
さらに、障害者が必要な援助を受けながら就労を実現できるよう、就労支援と生活支援を一体的に提供する区市町村障害者就労援助モデル事業を拡大するとともに、国の小規模社会福祉法人設立の規制緩和を受け、小規模法内通所授産施設への補助を実施し、小規模な通所授産事業の法内施設への移行を進め、事業運営の安定化と継続性の確保を図ります。
第三は、サービス選択の仕組みづくりと新しい福祉を支える基盤づくりでございます。
利用者がそれぞれの生活実態に合わせて必要な福祉サービスを利用できる、利用者本位の開かれた福祉システムを推進していく上では、利用者のサービス選択を可能とする仕組みと基盤をつくることが不可欠であります。このため、区市町村が地域の実情に応じて地域福祉の基盤整備を図り、福祉改革を推進していくことを支援する福祉改革推進事業を拡充するとともに、地域福祉推進事業補助の充実に努めてまいります。
また、利用者が安心して、みずから主体的にサービスを選択できる仕組みづくりを推進していくため、指定事業者の情報を利用者に提供する事業者情報提供の仕組みづくりや、苦情対応事業、知的障害者等の判断能力が不十分な方の日常生活やサービス利用を支援する契約支援の仕組みの構築に着手するとともに、在宅サービスを中心とする第三者評価の具体的実施方法を検討する第三者サービス評価事業の充実を図ってまいります。
さらに、多様な事業者が参入し、利用者指向のサービス向上を図ることを促進するため、サービスの各種基準や苦情対応などの指針等をまとめた事業者向けガイドラインの検討、策定や、NPOやボランティア等の運営基盤の強化や安定的な運営の確保のため、団体運営のノウハウを提供できる人材派遣等の支援を行う民間福祉活動団体自立支援事業、社会福祉法人の経営体質の強化、改革を図ることを支援する社会福祉法人経営改革推進事業を実施いたします。
だれにも優しいまち東京を実現するため、バリアフリー化緊急整備として、区市町村における福祉のまちづくりの推進を支援する福祉のまちづくり地域支援事業や、だれにも乗りおりしやすいバス整備事業、鉄道駅エレベーター等整備事業を大幅に拡充するなど、バリアフリー化のための環境を飛躍的に整備してまいります。
また、実践力のある人材の養成を目的とする東京都社会福祉総合学院を平成十三年四月に開設するとともに、区市町村ホームヘルパー養成講習事業や、介護支援専門員の養成を引き続き進め、人材養成を図ってまいります。
このほか、社会福祉法人や区市町村が設置する社会福祉施設の整備に対し、限られた財源を重点的に配分して助成を行うなど、その増設整備に努めてまいります。
以上、平成十三年度予算案の主な内容をご説明申し上げました。
次に、平成十二年度補正予算についてご説明申し上げます。
一般会計歳出予算の補正でございまして、三宅島等災害救助経費、国の補正予算に基づく事業の実施及び国庫支出金返納金等に要する経費を補正するものでございます。
続きまして、条例案七件につきまして、概要をご説明申し上げます。
まず、東京都保育士試験手数料条例の一部を改正する条例でございます。
地方公共団体の手数料の標準に関する政令の改正を受け、都として保育士試験手数料の額を改定するものでございます。
次に、東京都児童福祉施設条例の一部を改正する条例につきましては、児童福祉法の改正に伴う規定整備を行うものでございます。
次に、東京都身体障害者更生援護施設条例の一部を改正する条例でございます。
障害者福祉事業に係る社会情勢の変化に伴いまして、東京都大谷田就労支援ホームを廃止するため、規定を整備をするものでございます。
次に、東京都社会事業学校条例を廃止する条例及び東京都高等保育学院条例を廃止する条例でございます。
福祉人材養成機関等の充実や、児童福祉事業に係る社会情勢の変化に伴いまして、東京都社会事業学校及び東京都高等保育学院を廃止するものでございます。
次に、東京都保育士修学資金貸付条例を廃止する条例でございます。
東京都保育士修学資金の貸付件数の減少に伴いまして、本制度を廃止するものでございます。
次に、東京都公益質屋施設の処分に関する条例を廃止する条例でございます。
特別区に無償譲与した公益質屋施設の財産処分が終了したため、本条例を廃止するものでございます。
以上、平成十三年度予算案、平成十二年度補正予算案及び条例案につきましてご説明申し上げました。
詳細につきましては、総務部長からご説明申し上げますので、よろしくご審議のほどお願いいたします。
○上條総務部長 平成十三年度予算案並びに平成十二年度補正予算案、並びに条例案につきましてご説明申し上げます。
なお、先ほど局長が申し上げましたとおり、平成十三年四月一日より、福祉局と高齢者施策推進室を組織統合し、新たに福祉局として事業を推進していくこととなります。このため、お手元の資料、平成十三年度当初予算事業別概要につきましても、統合したものを作成したところであり、この資料に基づきまして、それぞれの局で現在所管している予算案についてご説明をさせていただきます。
それでは、表紙の次のページ、目次をお開き願います。
一ページから九ページまでは総括表となっております。次の一〇ページから八二ページまでが、現在福祉局所管の予算案の各事項となっております。さらに八三ページから最後の一〇六ページまでが、現高齢者施策推進室所管の予算案の各事項となっております。
私からは、新福祉局及び現福祉局の総括表並びに現福祉局所管の予算案の各事項につきましてご説明をさせていただきます。
三ページをお開き願います。このページは、新福祉局の一般会計総括表でございます。
まず左側の(1)の歳入予算は、歳入合計一千百十六億三千六百六十六万九千円で、前年度予算に比べ八十三億六千七百三十四万九千円の増となっております。
次に、右側の(2)、歳出予算でございますが、7、福祉費の合計は五千六百二億二千七百万円で、前年度予算に比べ二百三十三億五百万円の増額となっております。これに、18、諸支出金を加えた局歳出予算の合計は五千六百六十三億一千五百万円で、伸び率は四・三%となっております。
以下、左側の(3)には一般財源充当額を、(4)には債務負担行為限度額をそれぞれ計上してございます。
次の四ページをお開き願います。このページは、新福祉局の所管する二つの特別会計の総括表と予算総額を記載してございます。
まず左側の1-2、母子福祉貸付資金会計でございます。(2)、歳出予算は、貸付費として四十三億八千七百万円でございます。また、右側の1-3、心身障害者扶養年金会計につきましては、(2)、歳出予算として、扶養年金費四十億二千九百万円を計上してございます。1-4、新福祉局予算総額は、これらの特別会計と一般会計とを合計したもので、歳出合計では五千七百四十七億三千百万円となり、この歳出予算から二つの特別会計への繰出金を控除した歳出の純計は、括弧で表示してありますように、五千七百三十四億一千三百八十八万八千円となります。
六ページをお開き願います。このページは、現福祉局の一般会計総括表でございます。
まず左側(1)、歳入予算では、歳入合計四百八十五億四千三百二十四万五千円で、前年度の予算に比べ八千八百四十二万六千円の増となっております。
次に右側の(2)、歳出予算でございますが、7、福祉費の合計は二千九百五十三億九千二百万円で、前年度予算に比べ五十七億三千七百万円の増額となります。これに18、諸支出金を加えた局の合計は二千九百五十五億四千二百万円で、伸び率は二・〇%となっております。
以下、(3)には一般財源充当額を、(4)には債務負担行為限度額をそれぞれ計上してございます。
次の七ページをお開き願います。このページは、現福祉局の所管する二つの特別会計の総括表と予算総額を記載してございます。
内容につきましては、先ほど新福祉局の総括表でご説明したものと重複しておりますので、省略をさせていただきます。
一番下の段、2-4、現福祉局予算総額は、これらの特別会計と一般会計を合計したもので、歳出合計では三千三十九億五千八百万円となります。
以上、総括的にご説明申し上げましたが、以下、現福祉局一般会計から、各事項を追って順次ご説明させていただきます。
なお、新規事業など主要なものを重点的にご説明させていただきたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
それでは一二ページをお開き願います。まず事項1、局事業の管理でございますが、局事業の一般管理事務に従事する職員の給料、諸手当等及び管理事務費、福祉改革推進に要する経費などでございます。
以下、各項において事業の管理という項目が出てまいりますが、これらは、事業ごとの職員の人件費が主な内容でございます。
概要欄6、福祉改革推進事業は、福祉改革推進のため、区市町村が地域の実情に応じて地域福祉の基盤整備を図ることを支援する包括補助制度でございます。補助総額を十億円増額し、四十億円を計上しております。
7、第三者サービス評価事業は、在宅福祉を中心とする福祉サービスについて、第三者による評価の具体的実施方法を検討し、その仕組みを構築するものでございます。
8、福祉改革推進に向けた事業者支援等ですが、これは、福祉改革を推進していくに当たって、事業者などが利用者本位のサービス提供や事業等を円滑に行えるよう、各種の支援を実施するものでございます。
次に一三ページをごらん願います。ここからは、地域福祉の推進に要する経費を計上してございます。
一四ページをごらん願います。事項3は、社会福祉施設等の指導検査に要する経費を計上してございます。
概要欄2、事業者情報提供の仕組みづくりでございますが、利用者みずからの判断で適切なサービスや事業者を選択できるよう、指定事業者に関する必要な情報等を提供する仕組みの検討を行います。
一五ページをごらん願います。このページから一九ページにかけましては、地域福祉事業の振興でございます。
次の一六ページをお開き願います。概要欄9、民間福祉活動団体(NPO等)自立支援事業でございますが、NPOやボランティア団体等が福祉サービスの供給主体として自立し、かつ安定的な運営を確保できるよう、運営のノウハウ提供のための人材を派遣するなどの支援を行うものでございます。
一七ページをごらん願います。概要欄11、福祉のまちづくりの推進でございます。
だれもが身近な地域の中で自由に行動できるバリアフリーの環境整備を推進するため、バリアフリー化緊急整備といたしまして、補助条件のレベルアップを図っております。
まず(1)、福祉のまちづくり地域支援事業補助でございますが、〔3〕、面的整備によるバリアフリー化推進事業につきましては、平成十三年度に事業計画を策定した区市町村について、補助基準額を一億円から一億五千万円に大幅に増額することとしております。二十一区市町村の実施を予定しております。
一八ページをお開き願います。(2)、だれにも乗りおりしやすいバスの整備事業助成でございます。
高齢者や障害者等の社会参加の促進などを図るため、ノンステップバス等の導入に要する経費を民間バス事業者に対して助成するものでございます。助成予定台数を百四十台から二百五十台に大幅に増加させることとしております。
一九ページをごらん願います。14、苦情対応事業でございます。
サービス利用者の相談や苦情に適切に対応する仕組みを区市町村を中心に構築するため、連絡調整を図る運営適正化委員会を設置いたします。また、苦情対応の指針となる苦情対応マニュアルを策定することとしております。
二〇ページをお開き願います。このページから次のページにかけましては、福祉人材の養成確保でございます。
区市町村が実施する訪問介護員の養成講習事業に対して補助するとともに、福祉人材開発センターにおいては、(2)のウ、介護支援専門員の養成を行い、介護保険制度の円滑な運営に向け、人材の養成を行ってまいります。
次の二一ページをごらん願います。概要欄(5)、社会福祉総合学院の運営費補助でございます。
平成十三年四月に開設を予定しております社会福祉総合学院の運営に要する経費を補助するものでございます。
次の二二ページからは、生活福祉事業の管理に要する経費を計上してございます。
二三ページから二四ページにかけましては、生活福祉資金貸付事業の概要を記載してございます。
二四ページをお開き願います。概要欄7、災害援護資金貸付金でございます。
これは、三宅島火山活動及び新島・神津島近海地震災害に伴う災害援護資金の貸し付けに要する経費及び借り受け者の金利負担の軽減を図るための利子補給に要する経費を計上するものでございます。
次の二五ページから二六ページにかけましては、生活保護費等に要する経費を計上してございます。
二六ページをお開き願います。概要欄5、路上生活者緊急一時保護事業でございます。
路上生活者を一時的に保護し、宿所、食事の提供、生活相談を行うとともに、以後の処遇の振り分けを行いまして、それぞれの実情に応じた早期の社会復帰を支援するものでございます。
次の二七ページには旧軍人等の援護に要する経費を、二八ページ及び二九ページには山谷対策事業に要する経費をそれぞれ計上してございます。
三〇ページをお開き願います。ここからは、子ども家庭福祉に要する経費を計上してございます。
子ども及び女性福祉事業の管理でございます。
概要欄2の(3)、児童福祉施設等サービス評価事業でございますが、児童福祉施設においてサービス点検調整委員会を設置して、第三者による評価事業を実施し、入所者の権利擁護と施設のサービス向上を図るものでございます。
次の三一ページをごらん願います。このページから四一ページにかけまして、子ども家庭の福祉増進でございます。
次の三二ページをごらん願います。2の児童手当の支給でございますが、このたび、国が子育て支援策として所得基準の引き上げを行うこととしたのに伴い、所要の経費を計上しております。
三四ページをお開き願います。5の乳幼児医療費助成事業補助でございます。
乳幼児の保健の向上と健やかな育成を支援するため、助成対象者を、五歳未満から義務教育就学前に引き上げることといたします。
なお、本制度は、児童手当の所得基準を準用していることから、対象者数の増加は、年齢拡大のほか、先ほどご説明いたしました児童手当の所得基準の引き上げに伴うものも含んでございます。
6の子ども家庭支援センター事業補助でございますが、各区市町村に子ども家庭支援センターを設置し、総合的な子育て支援システムを構築するものでございます。実施箇所を六カ所ふやし、二十九カ所に拡充いたします。
三五ページをごらん願います。7、子ども家庭在宅サービス事業補助でございます。一時保育については、施設で実施するものに加え、児童の自宅に訪問して実施する訪問型を導入する等、事業の拡充を図ってまいります。
次に三六ページをお開き願います。9、学童クラブ運営費補助でございます。
学童クラブの時間延長を促進するため、午後六時以降も開設する学童クラブに対して加算補助を行うほか、小規模クラブに対する補助を行い、事業の充実を図ってまいります。
三七ページをごらん願います。16、ひとり親家庭ホームヘルプサービス事業補助でございます。
ホームヘルパーを派遣するサービスを行う区市町村に対して補助を行うものでございます。
三九ページから四〇ページにかけまして、女性福祉資金の貸し付けの概要を記載してございますので、ごらんいただきたいと存じます。
次に四二ページをお開き願います。児童相談所の運営に要する経費でございます。
概要欄の児童相談所の経費の中には、児童虐待対策の充実として、地域における関係機関の連携のあり方を確立させる児童虐待防止ネットワーク事業の経費及び児童虐待を行った保護者に対して効果的なカウンセリングを行うための経費を計上してございます。
また2、付設一時保護所には、被虐待児に対する心のケアを充実するため、心理療法担当職員を配置するための経費を計上してございます。
四三ページをごらん願います。このページから四八ページにかけましては、児童福祉施設等の運営に要する経費でございます。
概要欄の3、管理委託施設及び次の四四ページの4、民間施設等には、母子生活支援施設及び児童養護施設の入所者の処遇改善を図るため、心的外傷に対するケアを行うための心理療法担当職員等を配置するための経費を計上してございます。
次の四五ページをごらん願います。6、保育事業に要する経費でございます。
まず(1)、零歳児保育対策でございます。
出産後比較的早い時期に職場に復帰する女性がふえ、低年齢児の保育ニーズが増大していることから、零歳児定員を百三十五人ふやし、一万一千四十五人といたします。
次の四六ページをお開き願います。(3)、延長保育事業補助でございます。
十一時間の開所時間を超えて延長保育を実施する保育所に対して補助をするものでございます。
四七ページをごらん願います。(11)、認証保育所でございます。
大都市における多様な保育ニーズに対応するため、大都市の特性に合わせた都独自の基準による認証保育所を創設することとし、運営費補助を行うほか、駅前に設置するものについては、開設準備経費の補助を行うことといたします。
次の四八ページをお開き願います。イ、家庭福祉員助成でございます。
三歳未満児の保育ニーズの増大に対応するため、規模の拡大を図るほか、連携保育所を活用して家庭福祉員の支援体制を整備することといたします。
四九ページをごらん願います。女性相談センター及び婦人保護施設の運営並びに女性の福祉増進に要する経費を計上してございます。
五〇ページをお開き願います。ここからは、心身障害者福祉に要する経費を計上してございます。
心身障害者福祉事業の管理等に要する経費でございます。概要欄3の区市町村障害者就労援助モデル事業は、障害者が必要な援助を受けながら就労を実現し、職業生活を継続できるよう、区市町村が就労支援と生活支援を一体的に提供する事業に対して補助を行うもので、十カ所で実施することとしております。
五一ページをごらん願います。このページから六二ページにかけましては、心身障害者(児)の福祉増進に要する経費でございます。
重度心身障害者手当の支給、心身障害者福祉手当の支給、次の五二ページに、心身障害者(児)医療費の助成などについて計上してございます。
五三ページをごらん願います。5の(1)、心身障害者(児)ホームヘルプサービス事業補助は、派遣世帯を拡大するとともに、二十四時間巡回型ホームヘルプサービスにつきましても、一層充実しております。
五四ページをお開き願います。6、障害者地域自立生活支援センター運営費補助は、障害者やその家族のさまざまなニーズに的確に対応し、必要なサービスが提供できるよう、総合的な相談とサービスの調整を行うものでございます。
10、知的障害児等相談支援事業は、在宅の知的障害児の地域での生活を支えるため、療育相談など専門的な相談支援体制の充実を図っていくものでございまして、二カ所で実施してまいります。
五五ページをお開き願います。12の(1)、重度視覚障害者ガイドヘルパー派遣事業補助及び(2)の中軽度知的障害者ガイドヘルパー派遣事業補助は、重度視覚障害者及び中軽度の知的障害者が外出する際にガイドヘルパーが付き添うこと等により、社会参加を支援するものでございます。
(3)、盲聾者通訳派遣事業は、在宅の盲聾者に対して通訳、外出支援、介助等を行う者を派遣することにより、盲聾者の生活の安定と社会的自立の促進を図るものでございます。
五六ページをお開き願います。13、重度視覚障害者ガイドヘルパー養成研修事業は、重度の視覚障害者の外出時の介護等に必要な知識や技能を有するガイドヘルパーの養成を図るものでございます。
五七ページをお開き願います。17、心身障害者(児)緊急保護事業につきましては、施設委託及び市町村による在宅保護の充実を図りました。
18、在宅身体障害者ショートステイ事業補助につきましても、拡充を図っております。
20、重度身体障害者グループホーム運営費補助は、重度の身体障害者が地域生活を営めるよう、介助等のサービスを提供するグループホームに援助するもので、三カ所増の四カ所で本格実施することとしております。
五八ページをお開き願います。27、小規模通所授産施設運営費補助は、国の小規模社会福祉法人設立に関する規制緩和を受け、小規模通所授産事業を法内施設へ移行させ、事業運営の安定化と継続性を図るものでございます。十七カ所で実施してまいります。
五九ページをお開き願います。30、知的障害者生活寮運営費補助等でございますが、規模を百八十四人増とするなど充実を図っております。また、重度の知的障害者を対象とする、(2)、重度生活寮運営費補助につきましても、十カ所から二十カ所へ拡大してまいります。
31、体験型生活寮モデル事業は、知的障害者の身近な地域における自立生活を支援するため、指導員を配置し、知的障害者の自立生活に向けた生活訓練を実施するもので、二カ所で実施してまいります。
32、身体障害者デイサービス事業補助につきましては、現行の一カ所当たり単価による運営費補助方式から、利用人員一人当たり単価による事業費補助方式に変更してまいります。
次の六〇ページから六一ページにかけまして、心身障害者(児)福祉事業を、それぞれの障害別に記載してございます。
次に六二ページをお開き願います。45、心身障害者扶養年金会計への繰出金などを記載してございます。
六三ページをごらん願います。心身障害者福祉センター等の運営に要する経費でございます。
次の六四ページから六七ページにかけましては、心身障害者施設の運営等に要する経費でございます。
六七ページをお開き願います。概要欄7、心身障害者(児)施設設置に係る用地費貸付事業でございます。
心身障害者通所施設等の都内設置を促進するため、社会福祉法人に対して用地取得資金を貸し付け、その償還金を特別助成する事業でございます。
なお、心身障害者施設緊急整備三カ年計画の実施に伴いまして、特別に貸付率の引き上げ及び対象施設等の拡大を図ることとしております。
六八ページをごらん願います。このページには、国民健康保険事業の管理及び指導検査等に要する経費を計上しております。
次の六九ページには、特別区、市町村及び国保組合に対する補助に要する経費並びに東京都国民健康保険団体連合会に対する補助等を記載してございます。
次に七一ページをお開き願います。このページから七三ページにかけましては、民間社会福祉施設等の整備助成に要する経費を計上しております。
概要欄の1、心身障害者(児)施設整備費補助でございますが、この中には、心身障害者施設緊急整備三カ年計画の初年度分として、六十九カ所に対する設置者負担分への特別補助を含め計上してございます。
七三ページをお開き願います。概要欄5、鉄道駅エレベーター等整備費補助でごさいます。事業者が駅舎にエレベーター等を整備する場合に、都と区市町村が共同して補助を行い、その整備を促進するもので、バリアフリー化緊急整備といたしまして、補助要件の緩和を行うとともに、五駅増の二十三駅の設置を予定しております。
七四ページをお開き願います。精算の結果、受入額が超過した国庫支出金の返納に要する経費を計上しております。
次に七五ページから七六ページにかけましては、一般会計の合計でございます。ごらんいただきたいと存じます。
次の七七ページからは、特別会計でございます。
七八ページをお開き願います。本会計は、母子及び寡婦福祉法に基づく母子福祉資金の貸し付けに要する経費を計上しております。貸付内容につきましては、このページから八〇ページにかけまして記載してございます。
次に八二ページをお開き願います。心身障害者扶養年金会計でございます。
東京都心身障害者扶養年金条例に基づく年金の給付などに要する経費を計上してございます。
以上で、現福祉局分の平成十三年度予算案について説明を終わらせていただきます。
続きまして、平成十二年度補正予算案についてご説明を申し上げます。
お手元の資料、平成十二年度補正予算概要をごらんいただきたいと存じます。
今回の補正予算案は、三宅島等災害救助に要する経費及び生活保護費など、義務的経費等の不足に要する経費、国の補正予算に対応して実施する事業に要する経費等を補正するものでございます。
一ページをお開き願います。このページは一般会計の総括表でございます。
左側(1)の歳入予算は、8、国庫支出金に六億九千五十九万九千円を補正し、歳入合計が四百九十四億六千三百八十九万三千円となります。
次に右側の(2)、歳出予算は、それぞれ7、福祉費に九十九億六千六百十三万五千円を、18、諸支出金に十四億三千九百七十三万八千円を、総額で百十四億五百八十七万三千円を補正し、歳出合計が三千二十一億九千二百八十万四千円となります。
次に、左下の(3)、一般財源充当額でございますが、百七億一千五百二十七万四千円増となります。
次に二ページには、生活保護受給者の増に伴う生活保護費の都負担金の所要額を、また三ページには、十二月補正予算に引き続き、三宅島火山活動及び新島・神津島近海地震等に係る災害救助に要する経費を計上しております。
四ページをお開き願います。このページには、乳幼児医療費助成事業等子ども家庭の福祉増進に要する経費を、続いて五ページには、保育所運営費都負担金に要する所要額をそれぞれ計上しております。いずれも義務的経費等の不足に要する経費でございます。
六ページをお開き願います。心身障害者(児)の福祉増進でございますが、これは、国の補正予算に対応し、在宅の障害者の情報バリアフリーを促進するため、施設に情報機器を整備するものでございます。
七ページをお開き願います。国民健康保険事業の助成でございます。
これは、特別区における新たな国民健康保険制度を定着させ、保険者の自立的運営を早期に実現させるために行う特例措置に要する経費でございます。
次の八ページには、精算の結果、受け入れが超過した国庫支出金の返納に要する経費を計上しております。
以上が平成十二年度補正予算案の概要でございます。
続きまして、条例案につきましてご説明をさせていただきます。
お手元の平成十三年第一回東京都議会定例会議案をごらんいただきたいと存じます。
表紙の次のページ、目次をお開き願います。今回ご審議をお願いいたします議案は、全部で七件でございます。それでは、順を追ってご説明を申し上げます。
まず一ページをお開き願います。東京都保育士試験手数料条例の一部を改正する条例でございます。
都の保育士試験手数料につきましては、地方公共団体の手数料の標準に関する政令に定められます標準手数料によっているところでございますが、今回、同政令の改正を受け、都として、保育士試験手数料の額八千七百円を八千九百円に改定するものでございます。
条例の新旧対照表につきましては、二ページに記載してございます。
なお、この条例は、平成十三年四月一日から施行することといたしております。
次に三ページをごらん願います。東京都児童福祉施設条例の一部を改正する条例でございます。
社会福祉の増進のための社会福祉事業法等の一部を改正する等の法律の施行によります児童福祉法の改正に伴いまして、母子生活支援施設の入所方式が、本年四月より、措置制度から行政との契約方式に変わることに対応するため、規定を整備するものでございます。
条例の新旧対照表を四ページに記載してございます。
この条例は、平成十三年四月一日から施行することといたしております。
次に五ページをお開き願います。東京都身体障害者更生援護施設条例の一部を改正する条例でございます。
六ページの新旧対照表をごらん願います。障害者福祉事業に係る社会情勢の変化に対応し、新たな施設形態として活用するため、東京都大谷田就労支援ホームを廃止し、条例別表中、身体障害者授産施設の部、東京都大谷田就労支援ホームの項を削るものでございます。
なお、この条例は、十三年四月一日から施行することとしております。
次に七ページをごらん願います。東京都社会事業学校条例を廃止する条例でございます。
社会福祉総合学院の開設を初め、福祉人材養成機関等の充実に伴いまして、東京都社会事業学校を廃止するものでございます。
参考といたしまして、現行条例を八ページに記載してございます。
なお、この条例は、平成十三年四月一日から施行することといたしております。
次に九ページをごらん願います。東京都高等保育学院条例を廃止する条例でございます。
民間の保育士養成施設の充実など、児童福祉事業に係る社会情勢の変化に伴い、東京都高等保育学院を廃止するものでございます。
参考といたしまして、現行の条例を一〇ページ及び一一ページに記載してございます。
なお、この条例は、平成十三年四月一日から施行することとしております。
次に一三ページをお開き願います。東京都保育士修学資金貸付条例を廃止する条例でございます。
本制度は、都内保育士養成所に在学する者で、将来、児童福祉施設等において児童の保護に従事しようとする人に対して修学資金を貸し付けるものでございます。この資金の貸付件数が減少していることや、他にも類似する貸付制度があることなどから、本制度を廃止するものでございます。
参考といたしまして、現行条例を一四ページから一六ページに記載してございます。
この条例は、平成十三年四月一日から施行することとしております。
次に一七ページをお開き願います。東京都公益質屋施設の処分に関する条例を廃止する条例でございます。
公益質屋法の廃止により公益質屋がすべて廃止され、都が無償譲与した財産の処分も終了したため、本条例を廃止するものでございます。
参考といたしまして、一八ページに現行条例を記載してございます。
なお、この条例は、公布の日から施行することといたしております。
以上で提出議案の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○野村委員長 説明は終わりました。
次に、理事者より東京都福祉改革推進プランについて報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
○村山企画担当部長 それでは、お手元の資料、東京都福祉改革推進プランについて説明させていただきます。
このプランは、去る十二月二十五日に発表したものでございまして、その目的とするところは、利用者がそれぞれの生活実態に合わせて必要なサービスをみずから選択、利用できる、利用者指向の開かれた福祉を実現する福祉改革を実行するため、都が目指す新しい福祉の理念と展望を示すとともに、改革を推進するための戦略と具体的な取り組みを明らかにするものでございます。
初めに、本文三ページをお開きいただきたいと思います。目次で全体の構成をごらんいただきたいと存じます。
本プランは、ⅠからⅤまでの五部構成になっておりまして、Ⅰで福祉改革の基本方向、Ⅲで本プランの考え方を示した上で、Ⅲ以降で具体的内容を記しております。Ⅲの改革プランでは、改革Ⅰから改革Ⅴまで改革の五つの柱を立てまして、Ⅳにおいて、この改革を確実に推進するための行政自身の改革方針を明らかにしております。あわせて、これらの改革プランを推進していくための8つの戦略を、それぞれ柱ごとに掲げてございます。そして最後にⅤ、分野別事業プランとして、主要事業につきまして、五カ年の事業計画を分野別に取りまとめているという構成になってございます。
七ページをお開きいただきたいと思います。このページから一一ページまでが、Ⅰ、福祉改革の基本方向でございまして、敗戦以降、日本の福祉がたどってきた歴史を振り返り、その間の変化と今日の課題について整理をいたしております。
第1から次のページの第2では、戦後の福祉が、敗戦によって極めて厳しい生活困窮状況に陥った国民の生活を立て直すために始まったものであること、その結果、対象が低所得層に限定されるとともに、行政の強いコントロールのもとに運用される行政主導型の仕組みとなったこと、そして、この仕組みにより、高度経済成長などに伴う税収の増を基礎として、短期間のうちに相当高水準の福祉水準を築いたことなどを述べております。
八ページの第3から一〇ページにかけましては、その後、社会経済の成熟化や高齢化が進むに伴い、福祉ニーズが多様化、高度化し、量的にも増大する中にあって、従前の行政主導のシステムでは十分対応できなくなるという矛盾が表面化し、いわば制度疲労による限界が見えてきた状況について述べております。
一〇ページをお開きいただきますと、このページから一一ページにかけまして、第5といたしまして、利用者指向の新しい開かれた福祉の実現に向けた福祉改革の取り組みについて述べております。
ここでは、従前の措置制度の長所及び問題点を整理した上で、今後の進むべき方向を一一ページに〔1〕から〔7〕として示し、利用者が契約によりみずからの責任でサービスを選択、適切な負担によって利用するとともに、多様な提供主体によりきめ細かなサービスが利用できること、同時に、過度の競争などにより利用者被害が起こらない仕組み、判断能力が不十分な方のための仕組み、そして低所得層への配慮があることなどが実現される必要があることを述べ、これらにより、二十一世紀の成熟した社会にふさわしい福祉システムへ転換していくことを提起しております。
次に一五ページをお開きいただきたいと思います。Ⅲ、福祉改革推進プランの考え方でございます。
ページ中ほどにございますとおり、このプランは、3つのキーワードをベースに、福祉の新しいシステムへの転換への取り組みを実行することとしております。キーワードの第一は選択でありまして、利用者が必要なサービスを選択できるようにするためには、サービスの質と量を十分確保するとともに、だれもが安心して利用できる仕組みを構築することの重要性を指摘しております。
次の一六ページをおめくりいただきますと、第二のキーワード、競い合いについて、利用者指向のサービスのレベルアップが図られるよう、多様な事業者の参入を促進し、活発な競い合いが行われるようにすることの重要性について述べております。
第三のキーワードは地域でございまして、区市町村の主体的な取り組みを支援し、身近な地域でサービスが提供される基盤をつくっていくこととしております。
ページ中ほどにございますとおり、計画期間は平成十六年度までの五年間として、この間に、下から二行目にございますとおり、五千二百億円を上回る財源を、福祉改革の実現のため、各種施策に集中投入することとしております。
二〇ページをお開き願います。ここから、それぞれ改革の柱ごとに現状と問題点を整理いたしまして、そのための改革を推進していくための戦略、その戦略を先導的に進める全部で十二の戦略プロジェクトなどを示しております。
まず改革Ⅰは、利用者が選択するために必要なサービスの質と量の確保でございます。
そのためには、右側の二一ページの上の方にございますように、利用者が、それぞれの生活スタイルに合わせて、自分のニーズに合ったサービスが選択できるよう、新しい形のサービスメニューを開発することなどが不可欠であります。
プランでは、こうした方向を前進させるための戦略プロジェクトとして、利用者指向のサービスの充実を図るために、まず子どもの分野において、大都市における多様なニーズにこたえる新しいスタイルの駅前保育所を展開することといたしまして、新しい都独自の制度として認証保育所制度の創設を提起しております。
ページの下の方には、「ここが変わる!」ということで、この制度によってどういう点がよくなるのかを、図表によって具体的に示させていただいております。
また、次の二二ページでは、障害者福祉の分野について、障害者が多様な暮らしを選択できるように、インフラ整備を行うための緊急整備三カ年計画事業を、右側の二三ページには、高齢者福祉の分野について、ケアハウスやグループホーム等、高齢者のための多様な介護つき住まいを整備するケアリビング事業を、それぞれ戦略プロジェクトとして、図表も含めて示しております。
このような形で、以下、順次プランの内容を示しております。
少し飛んでいただきまして、三〇ページをお開きいただきたいと思います。このページから三四ページにかけましては、改革Ⅲ、利用者が安心して選択できるための仕組みづくりでございます。
三一ページからは、戦略3として、利用者が選択に必要なサービスの内容や評価などの情報に的確にアクセスできるようにする仕組みづくりについて、三三ページからは、利用者がさまざまなサービスから最も効果的なものを安心して選べるようにするためのサービス評価制度や契約支援の仕組みづくりについて、これらを進めるための戦略プロジェクトの内容とともに示させていただいております。
三六ページをお開きいただきたいと思います。このページから三九ページにかけましては、改革Ⅲ、利用者指向のサービス実現のための競い合いの促進でございます。
右側の三七ページ以降、戦略5といたしまして、株式会社やNPOなど多様な供給主体の参入促進や社会福祉法人の経営改革などを進め、サービス競争を促進することなどにより、サービスのレベルアップを図ることを提起いたしております。
四二ページをお開きいただきたいと思います。このぺージから四五ページにかけましては、改革Ⅳ、地域の力と特性を生かした身近なサービスの提供でございます。
右側の四三ページ以降、戦略6といたしまして、高齢者元気倍増作戦やバリアフリー化緊急整備事業など、戦略プロジェクトを示し、身近な地域の中で生き生きと生活できるための施策展開を提起しております。
四八ページをお開きいただきたいと思います。改革Ⅴ、社会の変化に合わせた一歩先の福祉の構想でございます。
今日、少子高齢化の進展する中にありまして、生活スタイルも多様化する一方、雇用環境の変化による終身雇用体系の揺らぎや、いわゆるフリーターの増大等、就労形態の多様化も進んでおります。
右側四九ページの中ほどにございますように、こうした社会全体の変化を把握し、新しい東京の暮らしを明らかにするとともに、次の五〇ページ以降にございますとおり、児童虐待や路上生活者の増加などの問題への対応や、大都市東京における高齢者介護サービスのあり方についての検討も進めていくこととしております。
五四ページをお開きいただきたいと思います。ここからは、福祉改革の確実な推進のために、行政自身の仕組みを変えていくことを提起しております。
東京都や都の外郭団体のあり方を、改革の流れに即して改革してまいりますと同時に、新しい福祉への転換におきましては、利用者に身近な区市町村の果たす役割がこれまで以上に重要なものとなりますので、都の支援のあり方も、これにふさわしく変えていくということで、右側の五五ページにございますとおり、包括補助制度の充実を図り、区市町村の主体的な取り組みを応援していくこととしております。
五七ページから五八ページには、今まで述べてまいりましたプランを、折り込みの体系図の形でまとめております。
そして六一ページをお開きいただきますと、ここから七〇ページが分野別事業プランでございます。
戦略プロジェクトを含む主要事業につきまして、分野別に五カ年の事業計画を取りまとめてございます。ごらんいただきたいと存じます。
以上、雑駁ではございますが、東京都福祉改革推進プランについて説明申し上げました。
当局といたしましては、このプランに基づき、区市町村と緊密に連携しながら、二十一世紀にふさわしい新しい福祉の実現を目指しまして、四月から一つの局となります高齢者施策推進室と一体となって、一層の努力をしてまいる決意でございます。ご理解とご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
以上でございます。
○野村委員長 報告は終わりました。
この際、先ほどの第一回定例会提出予定案件、及びただいまの報告事項に対して資料要求のある方は、発言願います。
○曽雌委員 五点お願いしたいと思います。
一点目が予算の推移なんですが、保健福祉という枠の中での予算の推移、この十年間どうだったかということで、金額と伸び率と一般会計に占めている構成比をお出しいただきたいと思います。
二点目が、零歳児保育、延長保育、障害児保育、休日保育等拡充していただくことになっておりますが、現行、区市町村別の実施状況と今後の計画、今後の計画は東京全体のことだと思いますので、お出しいただきたいと思います。
三点目が、子ども家庭支援センター及び病後児保育事業の実施状況と計画について、これも区市町村別にお願いしたいと思います。
次が乳幼児の医療費助成事業のことでございますが、この事業創設までの経過、並びに事業内容が毎年度でそれぞれ拡充されてきておりますけれども、その拡充されてきた内容がわかるもの、並びに対象者がどのようにふえてきたかということでの対象者の数、さらに東京都内区市町村における乳幼児医療費助成事業の実施状況についてお示しいただきたいと思います。
最後ですが、バリアフリー化のための環境整備ということが大きなテーマになっておりますけれども、この現状と事業別整備状況並びに計画についてお示しいただきたいと思います。
以上です。
○石井委員 児童虐待の状況がわかるものです。一つは、近年の児童虐待の実数です。二番目は、その原因の分析、どう現状では分析しているのか。また、他の自治体での対応、それから外国の対策です。
以上、お願いします。
○小松委員 まず議案関係では、社会事業学校のこれまでの実績をできるだけ具体的に。また、これにかわるべき事業についてわかるもの。
二番目に、都内の保育士養成機関の定員数、公立、民間などに分けて十年分お願いします。
三つ目に、保育士修学資金貸付条例の実績を十年分お願いします。
四番目に、就労支援ホームの概要と実績です。
五番目に、都内の公益質屋の実績についてお願いします。
大きな二番目として、補正予算関係では、生活保護受給者の、この間の世帯主年齢別推移を五年分お願いします。
それから予算関係では、障害者医療費助成見直しの影響人数、影響額です。成人、未成年に分けて、完全に制度除外になった者、老健法適用になった者、その他に分けてください。
次に、障害者福祉手当見直しの影響人数、影響額です。やはり成人、未成年に分けてください。
次に、障害者福祉手当に対する区市町村の上乗せ事業の見直し状況についてです。
次に、ひとり親家庭医療費助成見直しの影響人数、影響額についてお願いします。
次に、保育所の新設や改修による定員増の実績、十年分です。
次に、認可保育所への企業参入状況です。同じく認証保育所A型、B型の設置要綱、また企業参入の見込みをお願いします。
次は、児童養護施設の入所状況を、都立と民間でお願いいたします。
次に、都内のホームレスの人数を、区市町村別にお願いします。
次に、小規模作業所の法人化に伴う国と地元自治体との財政負担の変化の資料、わかるものです。
次に、障害者福祉会館の事業と職員配置について、十二年度と十三年度の比較でお願いします。
予算の最後が、児童会館について、事業と職員配置、十二年度、十三年度の比較でお願いします。
最後に福祉改革推進プラン関係では、分野別事業計画の事業費と増額分、千八百億円の内訳、来年度予算案の計上額をお願いいたします。
以上です。
○松本委員 デイサービスを受ける方々、都民一人当たり大体どれくらいかかるのか、零歳児保育一人当たりに税がどれくらい投下されるのか、こういったサービスを受ける方々がどういうふうな税の受け方になるのかというのがわかる資料を整えてください。
○野村委員長 ただいま曽雌委員、石井理事、小松委員、松本委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○野村委員長 異議なしと認めます。理事者においては、要求されました委員と調整の上、提出をお願いいたします。
○野村委員長 これより請願の審査を行います。
請願一二第五八号を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○福永子ども家庭部長 子どもの権利条例につきましてご説明させていただきます。
請願一二第五八号は、東京都子どもの権利条例を実現する会代表染谷益美さん外九万五千五百十八人の方々から提出されたものでございます。
その内容は、1、都の児童福祉審議会及び青少年問題協議会が提言した(仮称)子どもの権利条例の制定を積極的に進めるとともに、総合的な施策の推進を行うこと、2、条例の制定に当たっては、子どもの権利条約にある子どもの意見表明権や社会参加の権利に沿って、子どもの参加を進めることというものでございます。
子どもの権利条例の制定についてでございますけれども、子どもの権利擁護、権利保障をどうとらえ、どう進めていくかにつきましては、多様な意見がございまして、慎重に考慮していく必要があると考えております。
今後とも、東京の子どもの置かれている状況を幅広い視点からとらえまして、慎重に検討してまいりますとともに、子どもが健やかに育つ環境づくりを総合的に推進してまいる所存でございます。
以上で説明を終わらせていただきます。
○野村委員長 説明は終わりました。
本件について発言をお願いいたします。
○小松委員 それでは、質疑を行わせていただきます。
一九八九年に国連で子どもの権利条約が採択され、日本で発効されてから七年もたとうとしておりますが、条約が効果的に実施されているとは大変いいがたいわけです。国の法整備も、一応、児童虐待防止法ができたわけですけれども、子どもを取り巻く情勢は、条約が求める方向とはまるで逆の方向に進んでいるかに見えます。
今、子どもらの遊び場は失われ、環境破壊や食品汚染で、子どもの健康破壊は深刻です。また、子どものいじめや虐待など、基本的な人権侵害も大変な状況下にあるわけです。
文部省の調査を見ますと、都内のいじめは、発生件数六千件を超えるピーク時の一九八八年ごろ、これよりは下降線をたどっているとはいうものの、まだまだ四百件は下らない状況です。虐待に至っては、増加の一途をたどり、都の児童相談所における相談受理件数だけでも、九二年の百六十に対し、九八年には六百件を超しております。これらは具体的に公になった数字で、実際はこの何倍ものいじめや虐待の実態があるともいわれております。
一方、中高生など少年の凶悪な犯罪も多くなっております。衝撃的な事件が後を絶ちません。まさに大人社会の反映であり、大人の、また社会の、行政の責任が問われるのではないでしょうか。
こんな中、都でも、子どもの権利条約の有効な実施を求めて、児童福祉審議会や青少年問題協議会で答申が出され、議会でも、都知事が、九八年第三回定例会の本会議で子どもの権利条例の制定を明言され、その後、一定の動きも見られたわけです。
そこでまずお伺いしたいのは、現時点での子どもの権利条約の、条例制定に対します都の基本的な考え方、姿勢を、はっきりご答弁願いたいと思います。
○福永子ども家庭部長 先ほどの説明と重複いたしますけれども、子どもの権利条例の制定についてでございますけれども、子どもの権利擁護、権利保障をどうとらえ、どう進めていくかにつきましては、関係各局等でいろいろ検討いたしましたけれども、子どもの権利につきましては、さまざまな意見がございまして、必ずしも都民としてのコンセンサスが得られていないという状況でございますので、慎重に検討していく必要があるというふうに考えているところでございます。
今後とも、東京の子どもの置かれています状況をさらに幅広い視点からとらえまして、さらに深く検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○小松委員 九八年のご答弁のときには、例えばその中には、子どもの権利保障を一層推進してまいりますためには、ご指摘のような条例の制定が一番有効であろうかというふうに私も考えております、これは知事答弁です。この条例制定に当たりましてはと、ずっといろいろ内容をおっしゃって、最後に、このために、来年度早々に専門家による検討に着手し、広く関係機関や都民の意見を伺いながら、平成十二年度の条例制定を目指してまいりたいと考えておりますと、非常に明快です。平成十二年度の条例を目指してまいりたいと、期限を切って明言しておられるわけです。
そして、事実、この知事の発言を裏付けるものとしましては、この年、六月でしょうか、子どもの権利擁護システム検討委員会が設置され、知事発言の直前には報告書が提出されているわけです。その後、子どもの権利擁護委員会など設置もしているわけです。
しかし、二〇〇〇年度も終わろうという今、いまだに進展が見られない。そこで、改めまして、この条例に伴います今日までの経緯、その進捗状況を伺います。
○福永子ども家庭部長 これまで、第三者的機関でございます子どもの権利擁護委員会というのを十年十一月に設置をいたしまして、子どもの権利侵害に対する救済につきましての試行を重ねているところでございますが、試行を重ねるとともに、関係四局で十一年の七月から、子どもの権利条例の研究会という中で検討を行ってまいりまして、実務者レベルで条例を検討するに当たりましての諸課題について検討を進めてまいりまして、先ほどご答弁申し上げましたような形で、子どもの権利につきましては、さまざまな立場からさまざまな考え方等が出されているという状況でございますので、さらに現在進めております子どもの権利擁護委員会での試行をさらに続行いたしまして、その検証を踏まえた上で、さらに深く検討してまいりたいというふうに考えているのが現状でございます。
○小松委員 ちょっと大事なところなので、少し分解しながら伺っていきたいんですが、まず一つ、子どもの権利擁護システム委員会がありましたね。これは、読んでみますと、子どもの権利擁護の視点に立った対応の仕組みについて検討するために設置されたと、こうあるわけです。
それでは、この委員会では何がどう検討されたのか、報告の内容にも触れて具体的にお答えいただきたいと思います。
○福永子ども家庭部長 子どもの権利擁護システム検討委員会でございますが、子どもの権利擁護システムを円滑に実施するために、試行のあり方等について検討いたしまして、試行の方法及び内容等が提言をされまして、それを受けまして、第三者機関の役割を果たす子どもの権利委員会が設置をされたわけでございます。
その中で、子どもの権利委員会につきましては、審議決定機関として、子どもの権利擁護会議を置くとともに、子どもの権利擁護専門員と電話相談員をスタッフとして配置をいたしまして、あわせてSOS電話を設置するというふうな内容でございます。
○小松委員 そうしますと、この子どもの権利擁護システム委員会から、その次は第三者機関としての子どもの権利擁護委員会に移って、そこでやられていると。今、電話相談などがいわれましたけれども、その中での論議、この条例制定化に向けたような論議というのは全然なされていないと。その論議の中身をお聞かせください。
○福永子ども家庭部長 具体的な子どもの侵害につきまして、電話相談員が電話を受けまして、その中でさらに専門員等に取り次ぐ必要があるものにつきましては、いじめとか虐待等で取り次ぐ必要があるものについて、具体的な救済等について、子ども擁護の専門員に取り次いで、そちらの方でいろいろと調査をしたり、勧告をしたりという作業を行っているところでございます。
○小松委員 本当はもっともっとその中身、もう少し伺いたいんですが、どうもよく見えないんです。
それではもう一つ、先ほど私も申し上げた児童福祉審議会も、九八年の七月三十日に、新たな子どもの権利保障の仕組みづくりについて、こういう意見具申をしているわけです。この中には、条例の制定ということで、子どもの権利保障を一層強力に推進していくためには、都民みずからが子どもの権利の大切さを認識するとともに、子どもの権利侵害があった場合は、第三者機関が権利擁護に向けての具体的な調整を図る措置などを講じるために、子どもの権利に関する条例の制定が有効であると、はっきりこのように意見具申をしているわけです。
そして、さらには、条例の制定に当たっては次の事項が重要ということで、第一、第二、第三ということで、もうはっきり具体的に提起をされているわけです。
また、その後の一九九九年には、これは福祉局ではありませんけど、第二十三期の東京都青少年問題協議会が答申を出しております。これには、子どもの権利条約を生かす東京プログラムと題しております。ここにも条例制定の必要性がうたわれており、その内容まで具体的な提案がされているわけです。
こうした児童福祉審議会や青少年問題協議会の意見具申や答申、これをどう受けとめていらっしゃるのか、明確にお答え願いたいと思います。
○福永子ども家庭部長 委員ご指摘のとおり、平成十年七月に、児童福祉審議会から、子どもの権利保障を推進するための第三者機関の設置とか、子どもの権利擁護を保障する条例の制定等の提言がなされたわけでございます。この意見具申を踏まえまして、先ほど申し上げましたように、東京都児童センターにおきまして子どもの権利擁護委員会を設置いたしまして、子どもからの直接の訴えに対応するフリーダイヤルによる電話相談と、弁護士とか福祉分野の専門家から成ります権利擁護の専門員による相談援助活動を試行的に行っているところでございます。
それとともに、平成十一年の七月から、庁内におきまして、福祉局と生活文化局、教育庁、それに総務局の関係四局の事務レベルでの、条例についてのさまざまな角度からの問題点、あるいはそういった研究、整理をしたところでございまして、その中では、先ほど来申し上げているとおり、さまざまな子どもの権利、特に生存権的な権利ではなくて、社会参加でありますとか、それから権利行使の主体としての子どもの権利といいますか、意見表明権、参加権等の権利等につきまして、責任の問題とか、さまざまな角度から、なかなかコンセンサスが得られていないという状況でございますので、さらに今後、幅広い視点から深く検討していく必要があるということでございます。
○小松委員 私が一番お聞きしたいのは--いいんですよ、今そんなこともやっていると。だけど、この児福審でも青少協の答申でも、みんな条例制定をしなさい、した方が有効ですよ、条例制定がいいといっている、そのことについて私はどう受けとめておられるんですかと今お聞きしたんですけれども、いろいろ、あれもやって、これもやって、こうしてああしてと聞くんだけれど、ちっともその条例制定という基本的なところのお答えがないんです。
その受けとめ方というところで、もう一回、条例制定をこんなにいっているんだよ、答申でも意見具申でも、これに対してどう受けとめているのという、そのことです。
○福永子ども家庭部長 児童福祉審議会の意見具申で条例制定という提言をどう受けとめているかということでございますけれども、意見具申につきましては、貴重なご意見をいただきましたということで、今後、都としても、東京における子どもの現況等を幅広くとらえまして、さらに深く検討してまいりたいというふうに考えております。
○小松委員 反対ではないと、賛成だと。しかし、深く深くって、深く深く入るということが、どうしてそれが制定に向けての行動や作業にならないのかなと、非常に気になるところで、じゃあもう一つ、一歩深くがお好きのようですから、深く進めてみまして、今のお話の中に、内部研究会というのがありましたね。
そうすると、今、子どもの権利条例研究会報告書というのがあるわけですけれど、私もこれを読ませていただいたんですが、これが昨年の九月にできまして、これは子どもの権利に関する条例の制定状況ということで、この目的には、こんなふうに書いてあるんです。子どもの権利保障、権利擁護を推進していくための条例のあり方を検討するために、さっきおっしゃった四局、ここから検討したと。条例のあり方を検討しているんですよ。
ところが、これのまとめの最後になりますと、今後、都として総合的な子どもの権利擁護、権利保障施策を推進していくためには、国の動向や他の自治体の取り組み状況を注視するとともに、当面試行中の子どもの権利擁護委員会の効果等を検証しながら、実態を踏まえた権利擁護、権利保障の仕組みづくりについて検討を続けていく必要がある。条例のこと、全然なくなっちゃっているんです。条例のあり方研究だったわけでしょう。だったら、最後の終わりには、条例についてはと、一言あっていいんです。三つあるんですけど、今、最後の最後を読んだんですけど、全然なくなっちゃっているんですね、これは。
私は、これを、条例制定に対する非常に都の後退姿勢だと。トーンダウンしたんだというふうに見るわけですけど、いかがでしょう。仕組みづくりを検討し続けて、どうするのか、そこが見えない。ご答弁いただきたいと思います。
○福永子ども家庭部長 都道府県レベルでの条例の検討ということもございますので、初めてのことということがございます。その中で、先ほど来申し上げているように、子どもの権利につきましては、子どもが生活する場でございます家庭であるとか学校であるとか、児童養護施設でありますとか地域社会など、さまざまな場で、特に子どもの意見表明権等を行使する場合について、何が子どもの最善の利益になるのか、あるいは子どもの責任とか大人の責任はどうなるのかといったことで、さまざまな立場からさまざまな議論が生じるということでございまして、子どもの責任に対して、また社会的責任を負うのは当然であるという意見もございますし、そういった子どもの責任は、権利行使を初めから抑制するような責任の規定では意味がないというふうな意見もございまして、やはり権利についての全国的なコンセンサス、特に都内におきまして、さまざまなそういった都民的コンセンサスは得られていないという状況でございますので、さらに慎重に今後も検討していく必要があるということでございます。
○小松委員 コンセンサスが得られていない。コンセンサスが得られていない中で、この請願は九万人以上の方が署名をされて、今、都民の皆さん、大きな運動になっている。コンセンサスが得られていないのは局内だけなんですか。
児童福祉審議会も、青少年問題協議会ですか、ここも、コンセンサスを持って、ちゃんと条例制定が一番有効だよ、大切だよといっているわけです。本当にこれ、今までのをお伺いしていても、その辺がちっとも見えてこないんです。
もう一つ例を挙げますと、ここに十二年度の福祉局予算の説明書があります。事業名、子どもの権利擁護システムの整備というのが二千五百万円あるんですね、今年度予算で。ここの中に、第三者機関を中核とする子どもの権利擁護システムを整備するため、子どもの権利擁護委員会において試行的に実施検証を行うとともに、子どもの権利条例の制定に向けての検討を行う。はっきり今年度予算でいっているんですよ。条例の制定に向けての検討ですよ。この予算を出すときに、コンセンサスがない、コンセンサスがないと今おっしゃいましたけど、そんな段階でこれやったんですか。
この予算の執行はもうあと一カ月で終わりですね。何をやってきたのか。そしてまた、条例制定に向けての検討は具体的に何をやっているのか。コンセンサスがないというお答えだけではもう済まない状況になっていると思いますが、いかがでしょうか。
○福永子ども家庭部長 十二年度予算での執行の状況でございますけれども、先ほど来答弁しております、第三者的機関でございます子どもの権利擁護委員会等の試行、あるいは子どもの権利条例の研究会の中での外部の先生方等の意見を聞いたというふうなことで執行しているところでございます。
○小松委員 私、非常に頭が悪いようで、非常にわかりにくいですね、部長のお答えはね。(「よくわかるよ」と呼ぶ者あり)さすが頭いいですね。いや、今のお話では、試行的に実施検証を行うということはわかりましたよ、権利擁護委員会において。だけど、この条例制定に向けての取り組み、作業というのが全然聞かれないんです。それで、事実、来年度の予算は、今ここで審議するところではありませんけれど、参考までに申し上げますと、ここに明記されていたのが、これ、来年度予算になりますと、子どもの権利擁護システムの整備ということで、第三者機関を中核とする子どもの権利擁護システムの整備について、試行的に実施検証を行うとともに、子どもの権利擁護についての検討を行うと、変わっちゃっているんですよ。条例制定、全然ないんです。もう、来年度からはこれを凍結していこうとされているのでしょうかね、これから。今後です。来年度なんていって、予算審議みたいになっちゃうから、これから、今後です。
しばらくは条例制定というのは凍結してやっていこうということですか。
○前川福祉局長 これまでの経過でございますが、まずお話がありましたように、確かに児童福祉審議会の意見具申があったのは事実でございます。ただ、現在の目で見ますと、率直にいって、やや理念的、抽象的ではないかと。我々は、これは子どもだけではなくて、当然大人もそうでありますけれども、東京の、広い意味での都民の、広い意味での子どもの権利をきちんと保障していくためには、具体的な問題について具体的な解決を図ること、これは当然基本であろうというふうに考えております。そういう意味では、現在の目で見ると、これまでのいわゆる子どもの権利に関する議論は、やや抽象的、理念的に過ぎると思っております。
これを実現するためには、まず、東京の子どもの実態が一体どういうことになっているのか。例えば発展途上国と比べれば、これは明らかに違うわけでありますし、それから権利と義務との関係、権利と責任との関係は一体何なのか。また、仮にそういう条例をつくるとすれば、どういう具体的な内容をもって、どういう具体的な手続で、どういう具体的な解決が図られるのか、これをきちんと押さえなくちゃいけないわけであります。
さらにまた、児福審の意見具申等があった時点から比べますと、その後、かなりの状況変化が起きているわけであります。例えば平成十二年については、児童虐待の防止等に関する法律ができるとか、私どもの福祉局でも、児童の虐待対策課を児童センターに設置をするとか、こういった対策も行ってきたわけであります。
こういういろんな経緯、現実を踏まえて、私どもは総合的に判断をしていきたい。そして何よりも、さっき申し上げたような具体的な問題解決に向けての、地に足のついた議論をしていきたい、こう考えております。
○小松委員 そうですね、具体的に進めていただきたいんですよ。
じゃあ、具体的にとおっしゃいましたので、一つの例、例えば川崎市といいますと、東京都とは大分違う。また都府県と市レベルと、幾ら政令といっても違いますけれど、それでも川崎市では全国に先駆けて行っておりますから、近所ですから、その例を挙げさせていただきますと、この制定の仕方は住民参加なんです。それも、子どもが参画しての条例づくりがされたというんですが、これこそまさに具体的だと思うんですけれど、その辺のプロセスの把握はされているでしょうか。
○福永子ども家庭部長 平成十年九月に、川崎市長が、川崎市子どもの権利条例検討連絡会議に、(仮称)川崎市子ども権利条例案の策定について諮問をいたしまして、平成十二年六月に、川崎市における子どもの権利保障を目指して、川崎市子どもの権利に関する条例の策定に当たってを答申されたわけでございます。昨年の十二月二十一日に、これを受けまして川崎市子どもの権利に関する条例が成立をいたしまして、本年四月からの施行というふうに聞いております。
○小松委員 途中の少々の問題はいいでしょう。とにかく子どもも参加してできているんです。どうでしょう、東京都でも、一番今、その矛盾の中にある東京都、東京の子どもたち、都民含めて、みんなで論議するということはできませんかね。これは局長にお聞きした方がいいのかな。(前川福祉局長、福永子ども家庭部長発言を求む)いや、ちょっとお待ちくださいね。両方で手を挙げてもらおうと、お答えは一人でまずやっていただいて。
要するに、先ほどからお聞きしていると、コンセンサス云々といっても、局内でのコンセンサスをまだ得ていないという感じもある。局内だけでやっていたんじゃ--それは大事ですよ。でも、そこだけじゃだめなんです。先ほどの局長のお答えでも、これは幅広く、理念的じゃなく、具体的なところで進めていきたい--いいですね。具体的なところで進めていきましょうよ。都民も参加して、みんなでまず論議する、そこへ一歩足を踏み出す、大変遅れちゃったけど、これからでもやっていきましょうということでは、局長の最後、余り長くやってもといわれていますので、あと、たくさんいらっしゃいますので、その決意をお願いしたいと思うんです。
〔「急ぎたかったら、議員提出議案で出せばいいじゃない」よ呼ぶ者あり〕
○前川福祉局長 先ほど申し上げましたが、これまでの議論の状況を見ますと、これは、私ども局内でのコンセンサスとおっしゃっておられますけど、局内のコンセンサスは明快にあるのでありますが、そうではなくて、社会的に見てまだコンセンサスがない。例えば、子どものしつけと、あるいは教育を受ける義務、そういったものと権利と一体どう整合させるのか、そういったことについてさえも、社会的にいろんな意見があるわけであります。恐らく都議会でご議論いただいても、大きく議論が分かれるであろうと私は考えております。
そういう中で、例えば形式的に子どもを参加させ--これについても一体どういう意味があるのか。子ども自身が本当に自分の意見をきちんといえる存在であれば、これはもう子どもでないのであります。そういった点についても、きちんと我々は考えていかなくちゃいけない。その辺の総合的な判断、慎重な判断、全社会的な判断は、当然我々は必要であるというふうに考えています。
○小松委員 最後、意見だけいわせてください。議案提案権を使っての条例もいいですけれど、都議会でも、昨年の二定で、九九年度一般会計決算認定に当たっての審査報告書の意見としまして、決算特別委員会が、これは少数意見ではないんですよ、きちっと出されているのです。その中には、条例制定に向けてということで言葉があります。信用していただくためにちょっと読みましょう。子どもの権利条約の趣旨に沿った子どもの権利条例を制定し、子どもの権利を守る第三者機関の設置を図られたい。これが都議会の昨年の決算委員会の認定に当たっての意見なんです。もう議会としても条例制定を求めているんです。ですから、請願項目にあるように、いっときも早い条例制定に向けての作業を急ぎ、みんなで早く論議していきましょう。と同時に、総合的な子どもの施策の推進を行うべきと思います。
今までのご答弁を伺っていても、なぜ今ここで条例制定の取り組みが急にトーンダウンしたのか、理解に大変苦しむところです。確かにいろいろな問題点や課題はあるでしょう。でも、今のように局内だけで何かやっていても、前に進まないのではないですか。まずは都民参加で、もちろん当事者の子どもも参加させる仕組みをつくり、論じるところから始めようではありませんか。
先日、多重人格というテレビを見ました。十五歳の少女が、幼いときの父親からの虐待の後遺症で三十七人の人格を持ち、次々と変わっていく。彼女をしっかり守っていた妹まで多重人格になり、家庭崩壊寸前のやり切れないドキュメントでした。その夜はしばらく眠れませんでした。また、昨日の夕刊には、電気代が払えず、とめられて、ろうそくで受験勉強していた中学の三年生が焼死したという痛ましい事故がありました。余りにも子どもの人権が、命が粗末にされ過ぎてはいないでしょうか。
条例が制定されたからといって、それだけでこれらのこうした事故や事件がなくなるとは思いませんが、少なくとも、この世に生を受けたすべての子どもたちが、その人権が、命が大切にされ、一人一人が権利と責任を自覚しながら自立していける保障をしていく、この仕組みづくり、施策を、大人の責任としてやっていこうではありませんか。
東京から国を変えていこうという知事ならば、他県に先駆けて学び、育ち合える条例制定に向けて努力すべきです。九万人以上の署名をつけたこの請願の趣旨を全面的に生かして採択すべきことを申し上げて、私の質疑を終わります。
○野村委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
午後二時五十八分休憩
午後三時十分開議
○野村委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言をお願いします。
○藤田委員 それでは、私も何点か、これまでにもこの子どもの権利条例についてはいろいろお話をさせていただいておりますけれども、今の重複を避けながら議論を進めていきたいと思っています。
まず、今のお話の中を聞きますと、子どもの権利とは何か、そして権利が侵害されているのかどうか、そして、救済をするためには何をしていくのか、このことが一番柱になってくるのだというふうに思うわけです。それで、実際に今、福永さんのお話にありました現在の状況というところで、子どもの権利擁護、権利保障をどうとらえて、どう進めていくかについては多様な意見があり、慎重に考慮する必要がある。多様な意見があるのは、一千二百万人もいれば当たり前なわけです。どの政策をつくっていくにも、多様な意見があるに決まっているわけなんです。でも、そのときに、じゃあ東京都として、この子どものことをどういうふうに考えていくのか、これが何よりも大事なことだというふうに思うわけです。
で、実際には、子どもはこれまで保護の対象であり、そして子どもというのは意見はいえないもの、あるいは今、だんだんいわゆるマイノリティー化をしていっている。昔のように、我々のころのように、学生であれば、よしあしは別にして、大学闘争までやっていくような、そういうような状況があったのが、何か知らないけど、子どもが声を出していくという機会がすべて奪われてしまっているような、そういう状況のときに、じゃあもう一度考え直してみようよとなったときに、子どもの権利条約が批准をされた。日本はそれを批准したということは、これに基づいてきちっと問題解決をしていこうということを世界に向かって約束をしたわけです。
約束をしたから、じゃあ、その約束に基づいて、それぞれの自治体が何をやるべきなのかということをそれぞれ考えて、そして東京都は、まさに生活都市東京の創造ということで、生活都市構想は、いわゆる議会で決めなくてもいい状況になっていますから、重点計画の中で予算をつけて決めていくということになって、そしてこの改訂重点計画、十年の十一月の分にも、この条例をつくっていこうということは、まさにこの中に入っているわけです。この改訂重点計画の八六ページに書いてあります。子どもの権利条例の制定、都民の意見を聴取して制定をしていこうというふうに書いてあるわけです。
それで、今、お話ししましたような子どもの権利というものについて、この中で考えているというか、条約の中、あるいは東京都が子どもの権利とは何かということを、どんなふうにとらえているかをお尋ねしたいと思います。
○福永子ども家庭部長 児福審の中で、子どもの権利を三つに分類をしているわけでございまして、第一に生命生存、尊厳性を侵害されない権利というのがございます。二番目には、個性的な発達が保障される権利ということでございまして、三番目が意見表明権、参加権という三つでございまして、第一番目の生存権的なもの、あるいは二番目の個性的な発達の権利というものについては、全く我々としても異論はないわけでございまして、これについてはもうほとんど皆さんの中でもコンセンサスがあるというふうに我々も考えておりますけれども、三番目の意見表明権、参加権につきましては、子どもは、やはり年齢によって、それぞれ発達や成熟度によっていろんな内容が異なってくるということでございますし、権利と責任との関係もいろいろあるということでございます。
また、子どもの権利の内容等につきましては、社会的、文化的、慣習的な相違等もあるというようなことで、なかなかその辺についてはいろいろな考えがございますので、それについてはさらに慎重に検討していく必要があるというふうに考えているところでございます。
○藤田委員 先ほど局長は、意見がいえればもう子どもじゃないというようなお話をなさったんですけれども、子どもと大人、いわゆる憲法の中で、日本の中では二十歳からというふうになっていますから、それは選挙権を行使されるということで大人と子どもというふうになっているのでしょうけれども、しかし、あしたから大人になるわけではなくて、そこは徐々に、どういうふうに責任を持った行動ができる大人になっていくか、あるいはならせていく、私たちが、大人がそこを、一緒にですけれども、教育をともにしていくのかというところが一番今問題だというふうに思っているわけです。
そうしたときに、例えば、具体的にいいますと、私は杉並ですが、中高生のための児童館をつくろうということになりました。そしてその中で、私たちの生活者ネットワークも、グループで、大人と子ども一緒になって児童館の絵まで描いてみたんですが、実は余りの違いに、当たり前といえば当たり前なんですが、びっくりしました。というのは、大人がつくったものは、いわゆるありとあらゆるものを考慮したために、どこにでもあるようなコミュニティセンターのような形になった。子どもたちは、じゃあどういう絵を描いたかというと、自分たちのためにつくってくれるんだったら、こういうものをつくりたいんだという、非常にシンプルなものができたわけです。そして、実際に私たちは、これではやはり大人と子どもの考え方は大分違うなということで、子どものための施設をつくるんであれば、子どもの意見をきちっと入れようということで、絵をかくところから子どもの参加権を保障して、そして建設委員会にも実際に子どもが入ってもらうということを保障したわけです。
そして現在は、これが運営にまで子どもたちの参加をぜひやってほしいということで、実際に運営委員会を中高生で立ち上げて、これはやっています。
そういうことで、私は何もあしたから大人ということではなくて、そこに至るまでのプロセスをどういうふうにつくって、場を保障していくか、これがやはり一番今足りない部分だというふうに思っているわけです。そうしますと、やはり今おっしゃった意見表明が問題である、あるいは参加権が問題であるというのは、この場づくりが私は余りにもなさ過ぎるんだというふうに思っているわけです。
そういうことを考えたときには、あした大人になるわけじゃなければ、そうやって子どもたちが参加をしていくというのは、意見の違いはあれ、そこには必ず責任も伴ってくるわけですから、ここで東京都が、じゃあ、子どもたちに対してそういう参加を促して意見表明をさせる場をつくろうか、つくるまいかという、ここが問題なんだというふうに私は思うんですけど、その辺はいかがでしょう。
○前川福祉局長 先ほど発言した行きがかり上、申し上げます。
杉並の児童館は、私も実は視察をさせていただいて、拝見して、特に高校生等が中心になって、具体的な運営について、極めておもしろいアイデアを出してやっていると関心いたしました。そういう意味での子どもの意見を聞く、これは当たり前であろうと私は考えております。それについては全く異論がない。
ただ問題は、それをどこまで一般化できるかということであろうと思うんです。先ほど申し上げたのは、子どもが意見をいうのは、それはそういう意味で聞くのは当然でありますけれども、少なくとも大人がいう場合とは明らかに違うであろうと。例えば、私ども、昔からよくことわざでもいいますけれども、かわいい子には旅をさせろとか、要するに、場合によっては、子どもが嫌がってでも、子どもに対して試練を与えなくちゃいけない義務が、我々大人にはあると思うのであります。そういう場合についてもやはり我々は反面で考えなくちゃいけない。その辺を全体的に考慮をして、じゃあどういう場面について子どもを参加させるか、それを具体的に考えるべきであろうというのが私どもの考えであります。
○藤田委員 もちろん、それでいいんだと思います。どういうルールをつくっていくかは、それはともに考えればいいことであって、大人だけがルールを決めていくわけではないと思います。実際に学校の中で、じゃあ、何をしなさい、かにをしなさい、走るな、何をするな、廊下は静かに歩きなさい、それは、だれにどういう迷惑がかかるからということも含めて子どもたちがみずから決めなければ、何回やったってやるわけです。そういうことを考えたときに、じゃあ、実際のルールづくりは大人だけがやることですかと、私はそこがやっぱり違うんじゃないのかなと思うんです。
高校生になったときに、もう既に大人に移行する準備を始めなければ、今のように、いつまでたっても、それのよしあしは別としても、パラサイトシングルとしてなかなか自立ができない。昔であれば、例えば、大学に入ったらほぼ下宿をして、そしてその中で大人への準備を進めるということが十分ありましたけれども、今、二時間、三時間かかっても自宅の方が居心地がいい、全部お料理はできている、洗濯もできている、部屋もそうじがされているというような中で、帰ってくるだけ、寝に帰るだけ、勉強するだけ、遊ぶだけというようなことがずっと積もり積もっていることが、やっぱり大きな私は社会損失だというふうに思うわけです。大人になり切れない。そして子どもに権利を与えるということは、すなわちは、未来の大人が、人権を持った大人がきちっと育っていくかどうかということだというふうに思っているわけです。
それで、先ほど、子どもの実態がどうあるべきかということをおっしゃいましたけれども、実際に権利が侵害されているかどうかということなんですが、例えばいじめ、それから不登校、中途退学、それから虐待というようなことで、数字が、例えばこの九七年の子どもの権利条例が提起されたときと現在と、どのような状況になっておりますでしょうか。
○福永子ども家庭部長 学校における、まず中途退学者の推移ということでございますけれども、平成七年から十一年までの数字がございますが、平成七年につきましては、合計人数で申し上げますと、七千七百十三人、平成八年度が八千九十二人、平成九年度が七千七百五十九人、平成十年度が七千四百二人、平成十一年度が六千七百八十七人で、やや低減傾向にございます。
それから、いじめの発生件数でございますけれども、小中高で申し上げますと、平成七年度、小学校二千百二十七件、中学校が二千二百二十五件、高校が百八十七件ということでございますが、平成八年度は、小学校が二千三百七十二件、中学校が二千百八十九件、高校が百八十九件、平成九年度はやや減ってきまして、小学校千六百四十五件、中学校千七百二十一件、高校が百三十五件、平成十年度が、小学校が千二百七件、中学校が千四百八十五件、高校が九十九件、平成十一年度が、小学校七百三十五件、中学校が千百八十五件、高等学校が八十七件という数字が教育庁の方からいただいている数字でございます。
それから、不登校の生徒でございますが、これは平成三年度から数字をいただいておりまして、平成十一年度までふえてきてございます。平成三年度で申し上げますと、小学校が、これは児童生徒の数でございますが、千四百六十名、中学校が四千四百六人でございますが、年々ふえてきまして、直近の平成十一年度で申し上げますと、小学生が二千三百二十六人で、中学生が七千八百二人という形でふえてきてございます。
それから、体罰ではないかという形で問題にされた事件等の件数及び学校数という数字を、これも教育庁からいただいておりますけれども、平成六年度が、小中高、あるいは養護学校等合わせまして百二十八件でございます。平成七年度が百五十一件、平成八年度が百十三、平成九年度九十九、平成十年度百件、平成十一年度九十七件ということでございます。
○藤田委員 実際に、いじめですとか不登校というようなことが大きな問題なのであるということで、ここの請願の趣旨の中にも、理由の中に書かれております。そして、児童相談所における虐待の相談数は、まさにさらにそれを輪をかけまして、福祉局からいただいているのだと、平成七年度で三百九十件が、平成十一年度で千百七十九件というようなふえ方なわけです。もちろんこれは法律もできました。顕在化をしてきたということもありましょうけれども、やはり非常に子どもたちが生きにくくなっている、あるいは子育てがしにくくなっているということで、やはりここは権利の侵害というように、実際には、先ほどお話しになりました子どもの権利ということから考えれば、生存権、発達権が脅かされているということになろうかと思います。
私は、この中で、やはり救済するために何をしていくのかということで、もちろん条例が何ができるかということが非常に難しいとはいいつつも、この児福審の意見具申の中でも、条例の制定に当たって、いわゆる都民みずからが子どもの権利の大切さを認識するとともにというところがありまして、やはりここが、大人の考え方を変えていくことが、この条例にとっては大きな一つの目標になろうかというふうに思うわけです。
それで、実際に今、最初にお話ししたように、権利が何で侵害されているのかどうかということ、今のお話では、侵害されているという事実があるんだということ、そうしたら、じゃあ、救済のために何をするかということに最終的にはなるわけですので、現在、SOS電話を初めとして権利擁護委員会が動いているわけですが、この権利擁護委員会の中で実際に私が聞いているところで、第一号の問題がなかなか解決が進まなかったという事例があったというふうに聞いていますけれども、どんな状況だったのかをお示しいただきたいと思っています。
○福永子ども家庭部長 ちょっと時間をください。--手元の資料で、これが第一号かどうか、私全く自信ございませんけれども、友達とのけんかがきっかけで仲間外れにされ、いじめが始まり孤立させられている。学校に行き渋るようになったという小学校高学年の女性の方についての相談がお母さんからあったというふうに、これには書いてございます。
○藤田委員 その権利擁護委員会の弁護士さんの方からもちょっとお話を伺ったのですけれども、実はそのSOS電話は児童相談所に今設置をされていますので、そしてなおかつ福祉局ということが窓口になっているために、なかなか学校というところに調査、勧告はできないというような状況があって、その中で最終まできちっとした答えが得られなかったという話を伺っています。
ということは、私は、やはり権利救済の部分が総合的なものでなければ、やはり子どもたちの問題は解決しない。今は、児童福祉、あるいは生活文化局の中では青少年問題、そして教育庁の中で学校というふうに全部縦割りになってしまっているところを、どんなふうにそれを総合的に考えていくのかということで、やはりこれは一つの条例としてつくっていくことが有効なのではないかというふうに考えているわけです。
これについて、私は、今のこの請願者が、九万人を超えている方々が、子どもたちのことを、そしてマイノリティーにさせないために、あるいはまた段階的に子どもが大人になっていく権利をきちっと持っているのだということを提起していっているものだというふうに思っています。
ですから、ここの部分では、ぜひ救済の措置、そして総合的な縦割り行政のないところでの条例の制定を強く望んでいるものでございます。
以上です。
○和田委員 さきにしばしば出ましたが、平成十年の第三回定例会の本会議で、当時の青島知事に本会議質問を子どもの権利条例絡みでし、平成十二年度中の条例制定をしますという答弁を得たのは、不承私、和田であります。したがって、私は今複雑な気持ちで、あのときの青島知事の最高権能者の発言は、その後二年たちましたけど、どこに消えたのか。そして、言葉として使いたくないけれども、あのときの知事答弁は、食言、言葉を食べる食言であったのかなという、大変悄然とした気持ちで今ここに立っていることをまず表明させていただいて、質問に入ります。
私は、なぜ、児福審だとか青少協の一定の方向が出ながら、また、最高権能者の知事の十二年度中に制定しますという答弁を得ながら、ここに来て、福永さんにしても前川さんにしても、全く方向舵を失った、まさにアメリカの潜水艦のようにぐっと変な方に行っちゃっているのはどういうわけなのかというふうに、大変疑問を持っているんです。
そこで、私は仮説を立ててみたいと思うんです。今、福永さんの答弁の中で、四局でいわゆる寄り合ってこのことを検討しているとおっしゃっていました。その四局というのはどことどことどこでしたか。
○福永子ども家庭部長 福祉局と生活文化局と教育庁と総務局でございます。
○和田委員 生文と教育庁と福祉と総務ということで、わかりました。
そこで、前川局長にまた、失礼ですが、どうして今日まで知事答弁が頓挫をして、激しい言葉でいえば、食言のような形で、議会答弁が生かされずに今日まで来たのかということを、もう一回済みません、お答えください。
○前川福祉局長 まず前提として申し上げますが、東京の子どもの権利が尊重され、子どもがきちんと愛護されて、また発達をする、それから必要に応じていろんな場面に参画をしていくと。これについては、恐らくご出席の委員の皆様方も我々行政の方も異論がないと、同じだろうと思います。ただ、問題は、一つは具体的な中身であります。どういう場面を設定して、どういうことを想定して条例をつくっていくのか。
残念ながら、先般の児童福祉審議会の意見具申は、そういう意味ではまことに抽象的、観念的な内容であったと私どもは現在考えております。これを条例化するためには、それこそ、単にいわば精神規定的なものだったら、それはすぐできますけれども、それだと果たして何の意味があるのかと。それではなくて、当初申し上げましたように、私ども、やはり東京の子どもの福祉を推進するためには、直面する具体的な問題を具体的に解決することが大事だと考えているのであります。
そういう観点から、この、いわゆる子どもの権利一般の話ではなくて、少なくとも先般の児童福祉審議会から意見具申のあった、そういう内容の条例の制定についてはいかがなものかなと、慎重に検討した方がいいというふうに考えている次第でございます。
○和田委員 要するに、児童福祉審議会が答申をして、条例を制定する根拠にはまだまだおぼつかないということの答弁だと私思うんです。しかし、そうかなと。私はそこから仮説に入るんですが、今までお答えを聞いている、それは、福永さんにしても前川さんの答弁は、今、先ほど四局の構成団体で条例を検討しているというところの大部分、中身は、教育長レベルの、教育長の答弁とほぼ類似をして、教育長の、教育委員会で質疑をしている子どもの権利条例と同じような答弁を私は聞いているように思っているんです。
ということは、福祉局のサイドでの答弁ではなくて、たまたま子どもの権利条例が、一にかかって厚生委員会という所管にあるから今こういうふうにやっているんで、答弁の中身的には、教育委員会の教育長、教育の長が答えるような問答を各委員との間に聞いているなというように私は思っている。
そこでなんですが、なぜ児福審にしても青少協にしても、積極的な答弁を、それぞれ答申なり具申を出しながら、知事もしっかりした答弁をしながら、ここに福永さんにしても前川さんにしても具体性がないと。もっと具体性のある中身でなければ、精神的なものを決めてもしようがないから、今まだ躊躇しているんだという、そういうことでしたよね。躊躇させる根源というのは、僕、仮説の一つは、意見表明権とか参加権というのは、まだ子どもには無理だというところで決めかねているんじゃないんですか。もう一回確認したいんです。
○福永子ども家庭部長 子どもの権利、特に意見表明権とか参加権につきましては、子どもの責任、あるいは大人の責任とかいった形、あるいは年齢によるもの、あるいは成熟度によるものというふうな形で、さまざまな見解があり、議論があるということでございますので、そういったものを、具体的に今、子どもの権利侵害というものにつきましては、第三者的な機関でございます権利擁護委員会の試行というもので重ねてやっているわけでございまして、そういったものの中で、学校でのいろいろな侵害の問題であるとか、あるいは虐待の問題であるとか、いじめの問題であるとか、いろんな具体的事例を積み重ねることによりまして、子どもの権利を具体的に救うにはどうしたらいいかということでございまして、初めに条例ありきというふうなことではなくて、やはりそういったものを具体的に積み重ねて、議論を深めていって、子どもの権利を守っていきたいというふうに考えているところでございます。
○和田委員 総論じゃなく、私が聞いているのは、意見表明権と参加権を保障するような、そういう条例を決めるのには、まだ子どもが、東京の子どもは未成熟であるゆえに決めないんだというふうにおっしゃりたいのかということをいっているんです。
○前川福祉局長 東京の子どもが未成熟だからと、そういうことではなくて、私どもは、今お話があったように、確かに意見表明権とか参加権をどういう場面でどう具体的に位置づけるかというのもまだはっきりしていないというのも事実だと思っています。それだけではなくて、全体に意見具申の中身が、子どもの権利が、じゃあ、東京でどういうふうに具体的に侵害されているのか。例えば先ほど藤田委員のご発言にもありましたが、最近の子どもが自分の意見もいえないと。これは、ある意味では子どもも意見をいう場が奪われているということも確かにあるかもしれませんけれども、他面から見れば、これは過保護の行き過ぎという面もあるのではなかろうかと私どもは考えています。そうすると、そういったところを相対的にどうとらえていくのかと。そういう、そもそもの点を踏まえて議論が不十分であるというふうに考えているわけであります。
○和田委員 どんどんどんどん、青島知事の答弁から、今この答弁を聞いているときも、どんどんどんどん後退していくのがわかるような気がして大変残念なんです。
私は、知事の答弁を含め、二つの諮問機関といってもいいでしょう、それが積極的な答弁を出しながら、ここへ来て消極的になっているというのは、例えば所沢高等学校とか、例えば国立二小の問題とか、そういう具体的な、今、前川さんがおっしゃった、具体的に目に見えるところでいろいろな問題がある、そういうことが頭のどこかにありませんか、前川さん。
○前川福祉局長 私どもは、この問題を政治的には考えておりません。明確に申し上げますが。そうではなくて、私どもは、これは、この問題に限らず、行政というのは、大変僭越ないい方をしますと、空疎な美辞麗句の羅列で満足してはいけないと思っております。観念的な言葉の、いわば精神的な、何といいましょうか、文章をつくったら、それで問題は解決したというふうに考えるのは錯覚であります。私どもは、あくまでも社会的な現実を具体的に改革をしたい、そのために必要な条例をつくりたいと考えております。
○和田委員 さて、じゃあ、つくっている過程というのを教えてくださいよ。今、自信を持って美辞麗句はだめだと、具体的に手づくりでこつこつやっているんだ、汗流しているんだ、手にまめしてつくっているんだというんだったら、今どこまで行っているか、教えてくださいよ。
○福永子ども家庭部長 具体的な検討ということでは、先ほど来申し上げていますように、現在試行中でございます子どもの権利擁護委員会というのがございまして、その中で、子どもの権利に関する具体的な相談とか援助機能というのを果たしているわけでございます。ただ、その中で、現在、子どもの権利擁護の専門員が実際に調査に着手したものについてはまだ百件程度ということで、データ的にも不足をしておりますし、その主な権利侵害の実例としては、やはり基礎的な自治体でございます区市町村の教育委員会等との事件といいますか、そういった事例が多いということで、そういったところはやはり都とは独立の機関でございますので、そういった関係機関の協力を得るといいますか、連携をするというか、そういった、いかに連携をするかというふうな課題も残っているわけでございまして、そういった形で、やはり引き続き試行を継続してまいりまして、そういった残された課題等について十分に検証していく必要があるというふうに考えているところでございます。
○和田委員 少なくとも当時都知事であった青島さんが、平成十二年度中に条例制定しますと、これは三月とは決まっていないんですよ。十二年度中ですから、去年の四定でもよかったし、去年の三定でもよかったんですが、少なくとも年度はもうあとこの議会しかありませんから、あと一カ月しかありません。それを受けて、その知事答弁をきちっと実行するべく努力されたわけですよね。努力されてきた結果が、しばしばおっしゃるいろんな委員会なり組織で今検討していて、そこにお任せしているということであって、具体的に聞いているんだから、目に見える形で何年後にできるとか、あるいはこの平成十三年度中に素案のようなものを、中間答申でもいいです、あるいは条例に先立つまとめでもいいですから、出せるとお答えできませんか。(発言する者あり)ちゃかさないで。まじめに聞いているんだから。
○福永子ども家庭部長 先ほど来、繰り返しの答弁になると思いますけれども、子どもの権利に関する条例を検討するに当たりましては、子どもの権利についてはさまざまな考え方がございまして、さらに権利と責任とは表裏一体であるということでございまして、子どもの責任についてもあわせて検討する必要があるということでございます。
また、第三者機関を知事の附属機関として条例で設置した場合、その権限は都の機関にのみ及ぶということでございまして、区市町村でございますとか、あるいは民間に対しましては直接にその権限が及ばないなど、法律的な側面からの課題もございます。したがいまして、今後、当面は子どもの権利擁護委員会の試行をさらに継続をいたしまして、その効果や問題点等について十分検証していく必要があるというふうに考えてございますので、ちょっと時期の明示等については、まだ今後検討していくということでございます。
○和田委員 石原都政になって、あらゆる行政が、いわゆるベンチマークスも引っくるめて、目に見える、時間的に、それから数字的にあらわすようになっているんです。なぜ子どもの権利条例だけがまだまだ先、五年先順延になるかわからないような形で先延ばしにするだけの要件があるんですか。
それと、ここに川崎子どもの権利に関する条例を持っています。これはたびたび出ていますが、四月一日から施行されるんですが、前川局長、これ、ごらんになりましたよね。お読みになっている、なっていない、どちらですか。
○前川福祉局長 川崎市のものは、まだ私、具体的には読んでおりません。
○和田委員 ここにあるので、今届けたいんですけれども、そんな変なジェスチャーは嫌なものですから、ここで私は--後で差し上げますけど、これを、じゃあ、福永さん、お読みになったんですか、あなたは。
○福永子ども家庭部長 さっと一読はしたつもりですが、余り頭には完全に入っていないと思っております。
○和田委員 七章四十条弱から成っているものです。これをじゃあ、批判してくださいよ、福永さん。どこが具体的じゃなくて、どこがこの川崎の、もう四月からこれ施行されるんですからね。川崎の子どもたちは、この条例で日々生活するわけだ。あなたはこれを評価するのか、批判するのか。
○福永子ども家庭部長 川崎市は政令指定都市ということで、東京都とは性格も違いますし、川崎市なりの、そういった小中学校を含めまして、いろんな過去の、いろんな経緯がございますので、やはり地方自治体、地方分権の時代でございますので、川崎市は川崎市なりのそういった条例をおつくりになったということでございますので、私どもとしては、川崎市さんに、特段それについて東京都としてとやかくいうような問題ではないというふうに考えております。
○和田委員 少なくとも名称は子どもの権利条例と、俗にいえば読みかえられるものをつくっているわけですよ、川崎市が。そこを、自分たちは大都市である、向こうは小都市であるから参考にならぬというがごとき、ざっと目を通したとか、前川局長に至っては読んでいないということでありますけど、そういう勉強不足でいいんですか。
これを読んで、こんなのとんでもないですよと、責任と義務が表裏一体になっていないじゃないですかと、はっきりこれを論評してくださいよ。こういうものをもって具体的にあなた方が作業しているということをいうんであるなら、私はいいですよ。もう四月から施行されるものを読みもしない、前川さんは読んでいないんだけど、通読しただけで、どうしてこの場に臨めるんですか。私はちゃんとこれ読んで臨んでいるんですよ。別にあなたに通告したわけじゃないけれども、少なくとも東京都の子どもの権利条例を論ずるんだったら、先進的な川崎はどうなっているかぐらいは勉強しても当たり前じゃないですか。福永さん、答えてください。
○福永子ども家庭部長 川崎市は、都でいえば区市町村と同じで、基礎的自治体、大都市ではありますけれども、そういった小中学校等も直接所管をしておりますし、条例の所管につきましても、教育委員会の所管ということを聞いておりますし、川崎市は独自のそういったオンブズマン的な救済のそういったものもございますというふうに聞いておりまして、この条例の中では、そういった被害の救済等については、附則で今後にゆだねているというふうに伺っているところでございます。
○和田委員 地方分権の時代だとか、小なりといえどもきらりと光るような地方自治体の運用をやっている町はいっぱいあるんです。それが、うちは大きいし、川崎市は小さいから参考にならないとか、そんなものじゃないと思うんだな。もっと謙虚に、東京といえども、小さな町だって立派なことをやっていれば、まねればいいじゃないですか。僕ら視察に行きますよ、市区町村にどんどん、都会議員だって。国会議員だって行っているんです。思い上がっているんじゃないんですか、少し。
要するに、私が申し上げたいことは、本気で取り組む意思があるのかどうか、前川局長にしても、福永さんにしても。なんか時間をずらして、それこそ、私は邪推を入れて済みませんが、所沢高校だとか国立二小のように、それは政治問題じゃないんですよ。子どものありようとして、そういうふうに意見表明や、あるいは参加を保障することによって、ますますそれが惹起するんじゃないか、そういうことを危惧して後ずさりしているように私は思えてならないんです。
だって、青島知事から、今年度中に、この三月までに条例化しますというように答弁をとって、これはいいな、東京はいいなと思ってわくわくしていたら、何てことはない、だんだんだんだん先行き絶望になっちゃって、結局は年度内につくれないんでしょう。それほど知事の答弁というのは軽いものなんですか、前川局長。
○前川福祉局長 さきの知事のときにそういうご答弁があったのは事実でありますし、私ども十分承知をいたしております。ただ、るる申し上げてきましたとおり、私どものこの問題に対する認識も、それなりに進化をしたつもりでございます。現実の東京の子どもの実態をまず押さえて、その上で、どういう形でそういう意味での権利侵害があるのか、それをきちんと押さえた上で具体的な問題解決を図っていくと。そういう点について、私ども、川崎市さんを含めて全国のほかの自治体については人後に落ちない行政をやるように努力をしているつもりであります。
先ほど福祉改革推進プランについて担当部長からご説明を申し上げましたけれども、私どもは、あくまでも全国に少なくとも先駆ける形で東京の福祉行政を展開して、具体的に子どもの権利が、例えば保育所も含めて、現実に守られる社会をつくっていきたいと。そのための具体的、実践的なプランをつくり、行政をしていきたいと。
残念ながら、何度も申し上げましたとおり、児童福祉審議会の意見具申で示された、少なくともその中で示された権利条例の方向というのは、極めて抽象的であり、理念的であると。これはまだ今の段階では条例化するには足りないというように考えております。
○和田委員 条例にするところまで未成熟だというのはわかりました。じゃあ、いつまでに前川局長はつくりたい、つくるというふうに決意をされているんですか。環境が整うまでじっと座って待っているんですか。みずから川崎を勉強したり、ほかの町、あるいは外国でもいいですけど、そういうものを研究したりして、我々とこういうふうに、いや、あなたのいっている川崎なんか甘っちょろくて、我々今都の仲間がつくっている方が権利義務しっかり裏打ちされたもので、こんなものですよと、対案を出してくださいよ。
川崎のものも読みもしないで、しかし、しっかりやっているんだといったって、そんなの、幕の向こう側で作業しているといったって、我々見えなきゃ、信用できないじゃないですか。いつまでにつくる努力をするでもいいですから、いってください。
○前川福祉局長 私どもは、これは断言をいたしますが、東京の子どもの福祉行政についても全力を挙げてやっていく。今までとはある意味では全く違った形で改革も進めて、内容を充実していきたいと考えております。そのための予算の増についても、これまでとは違った抜本的な増を図ったつもりであります。
ただ、それを具体的に条例という形でやった方がいいのかどうか。少なくとも先般の児童福祉審議会の意見具申の形ではこれはなじまないと。そうすると、仮に条例化するとすれば、まず子どもの実態も押さえ、それから権利侵害の実態も押さえて考えたいということであります。それを今の時点で何年後ということは、まことに恐縮ですが、申し上げることは困難であります。
○和田委員 都知事は年度を区切って十二年度というふうに、だから、前川さんが好きだったか嫌いだったかどうかは知りませんよ、青島さんは。それは当時、あなたの上司としていたわけだ。彼が意思表示をした。十二年度中にやりましょうと、議会に、みんなの前で天下に約束したわけです。それを我々は信頼して、なるだろう、なるだろうと思ってきた。いろいろ事情があって、今は都知事じゃないけれどもね。それを受けて作業をするべき、前川さんも含めて福永さんは、それをやる公務員としての義務が生じているんじゃなかったんですか。
それで、もしも後退してだめだというんだったら、いつごろまでにつくる努力目標を立てますというようなことを示さなきゃ、十二年度中につくるという青島さんの意思が死んじゃっているんです。「いし」というのは、死んだ方じゃなくて、気持ちですよ。それがそこで絶えてしまうわけじゃないですか。行政の一貫性からするなら、そこは貫かなきゃ。いつごろまでにやるか、どちらでもいいですから、答えてください。
○福永子ども家庭部長 何度も繰り返しになりますけれども、いつまでにということについては現段階では申し上げられませんけれども、先ほど来申し上げているとおり、都道府県でそういった条例をつくった例はございませんで、実際の子どもの権利の侵害の実例は、やはり区市町村の小中学校の例が一番多いというふうに申し上げておりますが、そういった第三者的機関で、知事の附属機関として仮に条例でそういったものを設置した場合は、その権限はやはり都の施設、都の機関にしか及ばないということもございまして、そういった区市町村や民間に対してはどういった側面から--法律的な課題があって、どういうふうにしていけばいいのかということについては、やはり今後の連携のあり方だとか、いろんな形での検討が必要でございますので、私どもとしては、当面は子どもの権利擁護委員会での試行を継続いたしまして、その効果や問題点等を十分検証していった上で議論を深めていきたいというふうに考えているところでございます。
○和田委員 あなたの方はいいですよ、時間は無尽蔵にあるんだから。私どもの方は、ある一定のいい交わした時間を留保しているから。私だって、百回あなたが立ったら、私も百回同じことをいいたいんだ。あなたがいい答弁をするまでおれは絶対引かないよって。だけど、お仲間との約束があるから、質問に制約を受ける。私どもが圧倒的に不利な状況をしょっているから、いつも中途半端、尻切れトンボで終わっちゃうんで、あなた方はそこでもって救われるわけだけども、それは絶対に違うんであって、いいですか、我々はもう一回議会で、選挙で勝ち残らせてきてもらって、もう一回やりますから、徹底的に。でなければ、あなた方は楽過ぎるよ、少し。もっと苦労してくださいよ、作業してくださいよ。汗かいて、手にまめして。
我々は、この議論をするためにどれほど資料を集めたり、仲間に聞いたり、直接市町村に行ったりしているか。前川さんに至ってはこれ読んでいないというんだから、川崎市。福永さんは通り一遍読んだだけだというんだから、それではかみ合うわけがないじゃないですか。東京都というものの限界があっても、ある意味では東京都が率先して子どもの権利条例をきちっと定めていく、そういうことの信念と覚悟がなきゃ、動いてこないでしょう。
最後に前川局長に、私の本当に心からの叫びだけれども、きちっと近い将来に必ずある、これをつくらないんだったらつくらない理由、つくるんだったらきちっとつくるという態度表明ができる、そういう意思表示をぜひお願いしたいと思うんです。
○前川福祉局長 私どもは、東京の福祉というもの、これは、福祉に限らず、広い意味での教育も含めてでありますけれども、これを飛躍的に発展をさせたいと。そのために今最大限の努力を始めたつもりでございます。計画も含め、予算も含め、実践も含めて。そのために本当に子どもの権利条例が必要なのかどうか、それが問題の、ご質問の趣旨であろうと私は理解をしております。
したがって、それは条例という形でつくるのがいいかどうかも含めて、これは私ども、やはり行政に当たる者の責任として検討させていただきたい、そう考えております。
○和田委員 私は、つくること前提で今論理展開してきているんですよ。約束をほごにされて、食言とまで私はいっている。あなた方を侮辱しているんだからね、私は。あなた方は食言しているんですよ。知事の約束を、あなた方は食言だ、食っちゃっているんだから。うそつきなんだから、皆さん方は。恥ずかしいと思ったら努力してくださいよ、こっちも努力しているんだから。
以上、終わります。
○矢部委員 基本的なことを幾つかお尋ねしたいと思うんです。
平成元年に国連で採択されて、平成六年に日本は批准をしたわけです。それで、お聞きいたしますと、真ん中ぐらい、百番目ぐらいのところのようでございますけれども、その日本が批准をした背景というか、その後の中でどんなことを描いて、国としての方向性というんでしょうか、その辺、基本的に批准をした段階で、日本の政府なり、どう考えていたのかというようなところがわかっていましたらば、お教えいただけますか。
○福永子ども家庭部長 国連で児童の権利に関する条約を批准、決議されたのは平成元年の十一月二日で、発効になったのは平成二年の九月二日ということで、それが日本で平成六年の四月二十二日に条約を批准したということでございますけれども、これについては、生活文化局の方がこの当時所管ということで、私どもとしては、その辺の経緯についての資料というのはちょっと手持ちにありません。恐縮でございます。
○矢部委員 四局にわたるというんですけども、結局、この委員会に付託されるべき案件なのかどうかということも、もう一面あるかなというふうに思います。しかし、四局の中で調整しているわけでしょうから、全然わからないということはないでしょうし、わからないままに取り組みをしていたらば、よけい変な方向へ行ってしまうんではないかと、極めて不安になります。
アメリカは何か批准していないんだそうですね。その辺のことも含めてどんなことなのか、あるいはほかの国はどうなっているのか、わかりましたらお願いします。
○福永子ども家庭部長 条約を批准していない国は、アメリカとソマリアの二カ国というふうに聞いておりまして、国連加盟の国及び地域が百九十一ということでございます。このうち批准していないのはアメリカとソマリアということでございまして、日本は百五十八番目の国ということでございます。
なぜアメリカが批准しないのかということについては、公表はされておりません。
失礼しました。日本政府は平成六年四月に児童の権利に関する条約を批准したわけでございますが、この条約は、児童の権利の尊重及び保護の促進を目的とするもので、基本的人権の尊重を柱とした我が国の憲法とも軌を一にするということでございますので、条約上の義務を履行するに当たりまして、国内法の整備とか、あるいは国内の立法政策等は特に必要はないということが政府の見解でございます。
○矢部委員 地球上の国はいろんな状況がありますが、進んでいる、おくれているといういい方は、同じ地球の中で、同じ人類でいうべきではないと思うんですけれども、やはりその成熟の度合いが違うのは現実だろうと思うんです。いろんなことがある中で、国連で採択をされて、日本も批准をしたと。日本はバブルのころのことでございますし、またこの社会経済情勢も随分今とは違うときではあるかというふうに思いますが、そういう中で、子どもの状況についての、難民等も含めて悲惨な状況というのは、特にニュース等でも放映をされ、地球の中でもこんなにも差があるのかというようなことを思ったわけです。そういうことに対して批准をするということは大変大事なことで、そういう中で地球上の子どもが不用意に死に至るというようなことがなくなっていくということが、本来の趣旨であったろうと思うんです。
そういう中で、いろいろそれぞれありますけれども、権利と義務という話になってくると、どうも憲法、あるいは法律のレベルの話かなという感じを持ちまして、私は、本来的には国として法律で決めるべきことなんではないかなというような基本的な認識をしているんですが、どういうふうに考えていらっしゃるのか。
あるいは、これ、福祉局ですけども、先ほどありましたけれども、川崎市、そのほかに箕面市、あるいは川西市ですか、三つの市が条例をつくっていますけれども、いずれも教育委員会所管になっているようでございますね。それは中身すべて承知しているわけではありませんけれども、虐待やいじめやというようなことが大変クローズアップされてきたこととリンクしているのかなと思ったりもいたします。それを、児童福祉審議会で議論をしているということが前提にあって、今回の請願の中にもそのことを触れられているものですから、当厚生委員会に付託をされているということになるんですが、それだけでいいのかどうかというのは、大変これも論の分かれるところだろうという気もいたしております。
そういう中で議論を進めるわけですから、おのずと限界もあるかなと思いながらも、基本線のところ、本来あるべき姿ということで考えたときに、局長、どうですか。
○前川福祉局長 ご質問の趣旨が、いわゆる福祉の領域だけではなくて、教育とか健全育成とか、いろんなものを含めて総合的に子どもの問題については対応すべきであると、まさにおっしゃるとおりであろうと、私どもも考えております。
そういう意味でも、先ほど来議論がありました、条例をつくるにいたしましても、それは狭い意味での福祉だけではなくて、もっと広く、総合的な視点で取り組むことも必要であろうと考えます。
○矢部委員 私もそう思うんですね。そうだとするならば、条例をつくって--先ほど藤田委員のお話しのようなこと、問題点、私も同感なんですが、それらの問題がこの条例をつくって解決をするということが描けるならば、こんなにすばらしいことはないなと。それこそ伝家の宝刀のような感じなんですが、条例をつくったからそうともいい切れないだろうという気もいたします。
それよりも中身ということの方が大事な部分もあるわけですし、石原知事は心の東京革命を唱えて、東京都の所管の中ではこれは政策報道室ということになるわけですけども、基本的な自分の青年時代のことも振り返りながら、相当思い入れがあってこしらえた政策というか、方向なわけです。そういう意味では、知事がかわったということは大きな要素であることは間違いないなというふうに思っているんですが、なかなか答えにくいんでしょうけども、これはやっぱり整理しないと、ずっと引きずっているわけにもいかぬのじゃないかという気もいたしますが、いかがでございますか。
○前川福祉局長 これは、特別にこの問題についてああしろこうしろとか、そういった指示をいただいているわけでは当然ございませんけれども、一般論として申し上げますが、私ども、直接選挙による知事の選出、それから議会制民主主義をあわせてとっているわけですけれども、そういう中で、東京の都民の意思として知事が交代した場合には、それに伴って当然政治的に重要な問題については、意見の変更なり路線の転換があるのは、これは当然であろうというふうに考えております。
○矢部委員 大統領制ですから、知事がかわれば、基本的な考え方が、それこそ百八十度ぐらい変わることもあり得るんだろうと思っております。それと同時に、法律がつくられたわけですね。児童虐待防止法が制定をされたのが平成十二年の五月ですか、十一月から施行されているわけですけれども、そうした背景もあります。それは虐待がすべてではないでしょうけども、特にこのところ、いろんなそのことに関するニュース、報道が多くあり、少子化だといわれている日本の世の中で、その大事な、それこそ国の宝ともいうべき子どもを虐待して、それを殺してしまうなんていうような現実があるということは、とても許せないことだと私は思っております。
そういう中で、それをなくしていくのには、縛りをかければいいというものでもないんでしょうけれども、条例でそれがすべて解決できるものなのか、あるいはその前の、もっと前の根本のモラルというのか、あるいは逆にいえば、それこそ心の東京革命に近いのかもしれませんが、親が親になれていないのではないかという部分もありまして、これは大変議論していくと、どこまでいっていいのかというのは困ってしまうところでございますが、そういう大局の面から子どもの権利を保障する、これは当然のことなんですけれども、あすの日本をしょっていく日本国民を育てる、つくるということで考えたときに、あんまりこういうニュースばっかりあると、それこそ子どもをつくることそのものが嫌になっちゃうような状況ではないかというふうに思えてならぬのです。だから、何か方向が、余りそこばっかり絞っていくと、逆にそういう空気が強くなってしまうというような感じを持っておるところでございます。
基本的に、この委員会に付託をされて、この場でこうして議論をしておりますが、福祉局がとらえる以上は、もとになる法律は児童福祉法でしょうね。その前提だけで考えられるのかどうかということをお聞かせいただきたいと思います。
○福永子ども家庭部長 福祉局の子ども家庭部の根拠法令といたしましては、児童福祉法ということでございますけれども、この子どもの権利条例につきましては、先ほど来ご説明していますとおり、関係が教育委員会とか生活文化局とか総務局とか、広くかかわるということで、合同の四局で、いろいろなレベルで検討してまいったということでございます。
それから、私どもとしては、とりあえず、初めに条例ありきということよりも、さっきから申し上げていますように、例えば児童虐待等の権利侵害につきましては、法律等が五月に通過して十一月に施行になったんですけど、四月の段階で、国に先駆けまして、児童相談センターに虐待対策課を設置したり、あるいは各児童相談所にも児童虐待の対応協力員を設置したり、それから五月からは土曜日を開庁したり、そういった形で施策の充実強化を図っておりますし、区市町村の子育て支援ということでは、子ども家庭支援センター等の設置について積極的に進めているという状況でございます。
○矢部委員 これ以上お尋ねしても、私の中には限界があるかなというふうに思っておりますが、現実、まだ減っていないという事実は事実としてあるわけですから、それに対しての福祉局としての考え、あるいは先ほどもありましたけれども、児童相談所だけでは、学校との連携の問題が、どうしても縦割りの役所の機構の中ではあるというようなこともあります。そうしたことは超えていかなくちゃならぬのだろうと思うんです。そういう意味では、だからこのことに関してというか、子どもの権利をきちっと保障するという意味で、まずは庁内、それぞれ横の連携をとっているんでしょうけれども、具体的な形の変化に、福祉局と高齢施策が一緒になる、新しい福祉局になるというのをお聞きしましたけれども、それだけでなくて、子どもという観点に立ったときに、それこそ二十一世紀、伸び伸びとすばらしい日本人がふえるような東京都の仕組みをつくるような努力もぜひ中でしていただきたいなというふうに思っておる次第でございます。
最後に、総括を局長にお尋ねして、終わりたいと思います。
○前川福祉局長 今、矢部理事からお話がありましたように、この問題は、狭い意味での福祉だけの問題ではないということ、それからまた、正確にやはり実態を押さえなくちゃいけないということだろうと思います。そういう意味で、これから、私どもとしましては、この福祉改革推進プランにも実は入れておいたんですが、少子高齢化の進行の中で、これから後、福祉行政、トータルをどう展開していくべきかということを考えていきたいというふうに思っております。
そういう議論の場も具体的につくっていきたいと思っておりますけれど、そういう中で、今お話があったような子どもの問題、子どもの権利保障の問題についても、もっと広い視点から、自由な視点で考えていきたいというふうに考えております。
○曽雌委員 たくさんの方から議論がありましたので、かなり議論は出尽くしているかと思いますけれども、私どもの立場も踏まえて、一、二、確認ということで伺っておきたいというふうに思っています。
先ほどお話がありましたように、平成十年の七月三十日に東京都の児童福祉審議会、いわゆる児福審が、新たな子どもの権利保障の仕組みづくりについてということの方向を出したということから始まって、いろいろと議論が進んでいるわけですが、平成十年の第三回都議会定例会で、我が党の五十嵐正議員が代表質問に立たせていただいて、いわゆる児福審の答申を受けて幾つか提言をさせていただいているわけでございますけれども、先ほどお話がありましたように、我が国においても、子どもの権利条約が発効して六年余経過を既にしているということと、その間、児童虐待であるとかいじめの問題など、事例は後を断たない、たくさんの人たちがそういったものを早くなくしたいという思いを持っているにもかかわらず、なかなか後を断たないで、最近では、私たちが想像し得なかったような事例が起きてしまっているという、非常に悲しい実態になっていることも事実だというように思っています。
そう考えたときに、権利保障の仕組みを確立していくということは焦眉の急であるということは、ここにいらっしゃるそれぞれの議員の方々というよりも、理事者の皆さん方も同じお考えだというように思うわけでございます。
そこで伺っておきたいことは、先ほど来、いろいろと議論のやりとりでありますけれども、ちょっとはっきりしないんですが、いわゆる権利擁護システムを実効あるものにしていくためにはどうするかという、それは、私たちの考え方の中には、条例というしっかりした基礎の上に立ってシステムを築いていくことが必要なんではないかというのがあります。そのためにも、早期にこの子どもの権利を守るための条例制定が必要ではないかということを、平成十年の第三回定例会で代表質問で取り上げさせていただいて、知事からも答弁をいただいているわけでございますけれども、先ほど来、担当部長、局長からもお話しあるのを聞いていますと、必ずしも条例制定にこだわるわけではなくてというようなことも出ているんですが、多くの都民の中には、やはりきちっとした条例というものをつくり上げた上で、そういうシステムの上で対応してもらいたいという声もたくさんあるわけであります。
重ねて確認ですけれども、この条例制定の必要性ということについては否定をしているのか、それとも、今後いろいろと検討していく中で、条例制定も視野に入れながら、福祉局としては、関係の、先ほど来出ましたけれども、生活文化局であるとか、さらには総務局、教育庁、そういう関係のところとの協議をしていくんだと思いますけれども、基本的にどういう考え方で協議を重ねていただいているのか。
また、権利擁護の試行ということで、システムを試行していただいていますけど、こういうものも継続をしていくんだというふうに先ほど部長も答弁しておられましたけれども、そういうものをもろもろやっていくに当たって、基本的に全く条例化は考えないで進めていくということなのか、いろいろと検討していく中で、条例制定というものを視野に入れながら、どういう方向がいいかということを考えていくのかということについてはどうなのか、ちょっとお示しいただきたい。
○前川福祉局長 ご質問の趣旨は、今回の請願につきましては、これは、さきの児童福祉審議会が提言をした子どもの権利条例を制定しろという請願でございます。これにつきましては、私どもは、先ほど来お答え申し上げておりますとおり、そういう形でのそのままの条例化というのはいかがなものかと。少なくともそれは困難であるというふうに考えております。ただ、今ご指摘がありましたように、子どもの問題は、やはりトータルに広い視野から、かつある意味で自由な視点からとらえて、その検討を進めていって、その結果として何らかのやはり条例が必要であるということになれば、それは制定するのにやぶさかではございません。
○曽雌委員 確かにこの請願の中では、児福審の答申を受けて云々となっていますから、それで行くとということで、局長の答弁もそれはそれでわかるんですが、確かにいわれるように、児福審の答申は、先ほど来何回も出てきていますけれども、大変に抽象的であるとか、非常に観念的であるとか理念的であるとか、そういう中でいろいろと状況は変わっているので、検討も必要なんだということもいっておられますけれども、私が思うのは、やっぱり条例制定をもしもするとなれば、既存の関係法令との調整をしなければならない部分だって恐らくあるんだと思いますし、それから、子どもを含めたすべての都民の理解が得られるようなものにしなければ、一部の人だけが満足していても、大多数の都民が満足できないような内容では、実際つくったところで、あんまり実効は上がらないんじゃないかという気もします。
そういう面で、先ほど来のお話では、東京都は専門家による検討に着手をしているということでありますけれども、そういうところでいろいろと試行もしながらやっているけれども、何が問題で、何が論点になって、その問題をどういうふうに解決しようとしているのかとか、そういうようなことがなかなか都民の中に見えてきていない部分もある。それは出せない部分もあるのかもしれませんけど、大半が出ていない。そうなると、やっぱりどうなったんだろうかな、東京都はやる気がないのかなとか、そういう話になってしまうんだと思いますが、どういうことがいわゆる論点になっているのか。
先ほど局長からも一、二その例は挙がったというふうに私は受けとめさせていただいていますけれども、どういうことがひっかかりになって、どこをどういうふうにしようとしているのか、その検討がどうされているのかについて明らかにしていただきたいというように思います。
○福永子ども家庭部長 権利擁護委員会で子どもの権利侵害についての試行を重ねているわけでございますけれども、そういった権利擁護の委員会の中で、専門員の方につながったというか、受け付けられたデータが非常に不足をしておって、なかなかその具体的な事例というのが、先ほど来申し上げていますように、区市町村立の小学校や中学校でのいろいろないじめであるとか、いろんな問題が大変多いということもございますし、都立の高校とか都立の施設だけであれば、また違った形で都の条例が即そのまま具体的な権利救済という形でつながるのかどうか、そこら辺がはっきりするのですけれども、そこら辺になりますと、教育委員会というのは、それ自体が第三者的機関ということで、行政委員会ということでございますから、知事部局との、そういったところの第三者的機関が、直ちに教育委員会の方に介入するというわけにもまいりませんので、そういった形では、連携とか関係機関との調整とかいうことが法律的にはどういうふうにしたらいいのかとか、そこら辺の課題が、なかなか現実問題になりますと、非常にいろいろと解決すべき課題があるということで、そこら辺についてさらにどういった連携の仕方が一番よろしいのかということも含めまして検討しているということでございます。
○曽雌委員 先ほど請願の審議に入るときに、局の方から現況についての説明がありましたけれども、その中で、東京の子どもが置かれている状況を幅広い視点からとらえて慎重に検討していくとともに、子どもが健やかに育つ環境づくりを総合的に推進するというようにいっておられました。これはもうみんなの願いであって、これに対して異論を挟む余地は全く僕はないというふうに思います。ですから、問題は、それらについて、先ほど来議論がありましたけれども、決して私は局の方がやっていないとか、怠慢だとかはいいたくないし、思っておりません。一所懸命やっておられるんだと思いますよ、職員だって。いろんな仕事がある中で、このことについても一所懸命やっている。
ならば、そのやっていることがやっているなりに都民の前にもっともっと見えるようにしていくことが大事だと思うんです。そうしないと、やっぱり人間というのは、見えないところでやっていますと、何をやっているんだかわからないというようなことで疑心暗鬼になってきますから、そうじゃなくて、現況、こういうことでやっているんですと。
それで、先ほど来話がありましたように、必ずしも条例制定することが子どもにとっていいのかどうなのか、いや、一方では、条例も制定しながら、健やかに子どもが育つ環境をつくっていくことがいいのかどうなのか、そういうことも含めて検討されるという冒頭の私の質問の中でお答えていただいていますから、そこはよく理解できますけども、そういう子育て、子どもが健やかに育つ環境をつくっていくために、総合的にどうやって取り組むんだ、そういうようなことについても、もっともっと具体的に都民の前に明らかにしていただいて、都民の理解を得ながら、こうした問題というのは進めていくべきではないのかなというふうに私は思うんですけども、このあたりはどんなふうにお考えになっていますか。
○前川福祉局長 一つは、先ほど矢部理事のご質問にもお答えいたしましたが、そういう問題について広い視点で議論をする場、もちろんこの問題だけではありませんけれども、この問題も含めて議論する場を来年度つくっていきたいと。
もう一つは、私ども今考えておりますのは、東京の子どもの実態、置かれている実態、これは、ともすればいじめであるとか虐待であるとか、いろいろなマスコミ的なとらえ方と、マスコミ的な、我々に問題認識はありますけれども、本当にどうかというのはなかなか難しいわけであります。その辺について、いわば東京の子どもの白書といいますか、そういうものをつくっていきたいなと。当面、児童虐待については、来年度において検討していきたいというふうに考えております。それを第一段として、いろいろ、まず実態を押さえていきたいというふうに考えているわけであります。
○曽雌委員 要望だけにしますけれども、ぜひ、条例化をするかどうかということは、別の問題といいますか、していただきたいという声もたくさんあるし、正直私もそういう思いは持っていますけれども、いろんな議論をしていく中で、そういうやり方というか、そういう考え方もしなきゃならないのかなという部分もあろうかなと思っています。
どちらにしても、主役は、社会の中を構成している子どもたちのためにどうするかということにしなきゃならないということですから、その点をしっかりと視野に置いていただいて、先ほど局長からは、来年度、子ども白書的なものもつくり上げて、東京の子どもの実態がどうなっているかということについてもよく精査をした上でということもお話しいただきましたので、それらをきちっとやっていただけるように、私どもとしてはお願いをしておきたいと思っています。
それで私は終わります。
○石井委員 私たち公明党は、先ほどからお話のありました平成十年九月十七日の都議会の本会議で、イの一番にこの条例制定を求めた立場から質問をいたします。また、公明党は、昨年の国会におきまして、児童虐待防止法、あわせてストーカー防止法、またお金がないために裁判ができない、そういう方々を守るための法律扶助等々、人権を守る活動をやっていると思うのであります。
そういう立場からまずお尋ねいたしますけれども、きのう、ヤングのお母さんから、若いお母さんから、子どもが幼稚園に行っている、その前後のお母さんから、僕は墨田区なんですけれども、子どもに食事を与えない親がかなりいるというんですね。子どもには与えない親がいると。そういうお子さんが登校拒否だとかなっていると。子ども家庭支援センターも墨田区にないわけだけれども、子どもの家庭支援センターは、そうした虐待なんですけど、そういう子どもを守るためにどういう役割を果たしているのか、まずお尋ねします。
○福永子ども家庭部長 子ども家庭支援センターは、基礎的自治体でございます区市町村に設置をしていただいていまして、子どもに関する子育ての悩みとか、あらゆる総合相談窓口ということで設置をするということで、今整備促進を進めているものでございます。
○石井委員 それは、東京都が財政支援して、各区市が進められるんですか。
○福永子ども家庭部長 都の単独事業ということで、区市に助成をしているということでございます。
○石井委員 墨田区にも早くつくっていただきたいんですが、いかがですか。
○福永子ども家庭部長 私の方からも逆にお願いしたいぐらいで、できるだけ早く、十六年までに全部の区市町村につくりたいということで、今鋭意進めているところでございます。
○石井委員 そこでお尋ねしますけど、先ほど和田副委員長が川崎の条例のお話をしましたよね。川崎の条例が、どういう点がよくて、どういう点がまずいのか、お尋ねをします。
○福永子ども家庭部長 川崎市は、総合条例型という条例ということで我々情報を得ておりますけれども、川崎市の条例所管組織は教育委員会ということで、川崎市は基礎的な自治体ということで、川崎市の教育委員会の小中学校及び私立の高校もあるかもしれませんけれども、そういった教育委員会の所管でのいろんな子どもの、虐待の問題、いじめの問題であるとか、いろんな問題に、やはり市として直接救済の措置もあるというふうなことで、川崎市としてはそれなりの歴史的経緯もあるということで、そういった条例ができているということでございます。
何が問題かというのは、私どもは、川崎市のことでございますので、ちょっとここでは……。
○石井委員 それは、川崎に対して申しわけないからいえないのか、よく読んでいないからいえないのか、お尋ねをします。
○福永子ども家庭部長 内容についてつぶさに検討しておりませんので……。
先ほど申し上げましたように、総合条例ということで、実際の被害の救済等については附則にゆだねているということでございまして、理念的な条例というふうに我々は考えているところでございます。
○石井委員 やはり担当部長だからね、もし私が福永部長なら、僕は川崎市に行きますよ。それで、どういう経過でこの条例が制定されたのか、関係団体とどういう話し合いをして、実際につくってみて、どういう齟齬があるのか、またどういう点を改善したらいいのか。やはり何でも東京都は、全国で一番最初に都道府県レベルでは条例をつくったり、法整備をしているわけだから、担当部長である限りは、先ほどの和田副委員長に対する答弁は非常に不親切だよね、申しわけないけどね。僕は福永さんに昔からお世話になって、こんなことをいっちゃ申しわけないけれども、不親切だよね。
こんな大勢のお母さん方が見えているんだから、もっと胸を張って、いや、川崎の条例は余りにも理念的であって、実際にどれだけ児童虐待が防止され、また不登校やいじめが防止されるのか、具体的に実効がどこまで上がるのか、これはいささかわからないと思いますよというぐらいの答弁をするならともかくとして、市町村と同じレベルだから答弁するに値しないみたいな、そういういい方は、僕は非常に失礼じゃないかなと思うんです。
私は、さっき和田副委員長からも見せていただいて、ずっと見てみたんだけれども、かなりやっぱり理念的ですよね。ですから、果たして実際この条例が制定されて、私がさっきいったような、子どもに食事を与えないような親が、各小学校--墨田区には小学校は三十校あるんだけども、必ず一人や二人いるっていうんです。そういう子どもさんたちがいろんなトラブルを起こしている。そういう実際のトラブルを起こしている事実があって、それが条例制定されれば、じゃあ、そういうトラブルは解決するのかといえば、これは条例制定とあわせて具体的な実効がなければ、この請願の中にも、第二番目には総合的な対策とうたわれているわけだから、条例制定とあわせて具体的な、総合的な対策があって初めてその根拠法令としての条例が生きてくるわけでありますから、やっぱり東京都としては、公明党の代表質問に答えて平成十二年度までにつくるといったわけだから、やっぱりその努力を福永部長は少なくともしなきゃいけないんじゃないですか。
関係四局と連携をとっているというのなら、教育庁を初めとする関係局と、坂本竜馬になって、そうして調整をしながらやっていく。また、他の川崎にも行く、事例を勉強しながら。それが僕は担当部長の役目じゃないかと思うんだよね。そういう情熱のほとばしりが出てこないもの、さっきまでの委員会を見ているとね。非常に歯がゆい思いであります。
そこでお尋ねしたいんですが、条例制定はやるんですか、やらないんですか。
○福永子ども家庭部長 全く繰り返しで申しわけございませんけれども、都といたしましては、第三者的機関としての、子どもから直接の訴えを受けとめている機関でございます子どもの権利擁護委員会での試行というのを行っておりまして、その試行をもう少し検証いたしまして、この機関での実際の子どもの侵害に対する有効性をさらに検証してまいりたいというふうに考えておりまして、そういった中で、東京の子どもの置かれている実際の状況につきまして、幅広い視点からとらえて検討していきたいというふうに考えてございます。
○石井委員 そこで、条例制定はやるわけですよね。やるけれども、先ほど局長からも答弁があったように、一つはやっぱり実態の把握をする必要があると。そのために、先ほどの白書もつくるというお話もあって、これは非常に大事なことだと思うし、実態の把握をする、実態そのものはまだまだ未解明ですからね。未解明なままではどうしようもないわけですから、やっぱり早急に実態を把握をする。そうしたさまざまな実態、事例に対してどう対策をとっていくのか。そのために白書をつくるわけですけれども、どういう対応をしていくのか。その対応に対して、東京都だけじゃ、先ほど部長からお話がありましたようにできないわけだから、関係区市町村とか関係NPOとか、そういう方々とも連携をとりながら、より実効性のある児童虐待、また不登校、いじめ等の対策をしなきゃいけないわけですよね。
この川崎の条例を見ても、例えば虐待からの救済及びその回復という、その条項の中に、市は、虐待の早期発見、及び虐待を受けた子どもの迅速かつ適切な救済及びその回復のために、関係団体との連携を図り、その支援に努めるものとすると、こう書いてあるんです。関係団体というのは、行政である市や町村、川崎は区ですか、等も連携しなきゃいけないわけだから、やっぱり条例をつくるためには、そうした一つ一つの積み上げをして初めて条例制定ができるわけだからね。だから、なぜできないのかというその答弁の中に、そのためには関係者との連携が必要なんですと、そのための調整が必要がなんですと、もっと具体的にいわなきゃだめですよ、具体的に。ただコンセンサスが得られていないというだけでは、聞いている皆さんも不安なんです。東京都は果たして何をやっているのかと。
先ほど村山部長からお話がありましたように、今後五年間で、東京都は福祉改革推進プランということで、五年で五千二百億も投じて、子育て対策、また障害者対策、高齢者対策をやろうとしている。その少なくとも三分の一以上は子育て対策にお金を使おうとしているし、児童虐待防止を含めた子育て対策を東京都はやろうとしている。いい仕事をやろうとしているわけだから、そういうことはもっと声を大にして、誇りを持っていわないと、やっぱり皆さんは安心しないと思うんです。
そこで、したがって、そうした条例制定に至るプロセスがあるわけだよね。そのプロセスを早急に把握をして、少なくともいつまでに条例制定しますということを、この三月のこれから始まる議会か何かで、公明党はもう一回質問しますから、明確にいっていただきたいと思うんです。明確に。どうでしょう。
○前川福祉局長 先ほど曽雌委員のご質問にお答え申し上げましたが、この請願として出されているのは、繰り返しになりますが、児童福祉審議会の提言、意見具申をした、仮称子どもの権利条例をそのまま制定をしろということであります。それにつきましては、私ども、今の時点では、さてどうかなと、いささか危惧を持っている次第でございます。
ただ、先ほどもお話し申し上げましたとおり、東京の子どもを健全に育成していくことをさらに積極的に進めていきたいと。そのためには総合的な対策が必要であるということは十分認識しておりますし、それから、いろんな関係機関、都だけではなくて、区市町村、警察、消防等も含めて、いろんな関係機関と連携をして総合的な取り組みをしなくちゃいけないということも十分わかっております。ですから、そういう問題についてのきちんとした議論も積み重ねて、その上で、具体的な解決に至る、それが可能な条例ができるのであれば、それについては取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○石井委員 この請願文を読むと、中身は四つに分かれていると思うんです。第一番目は、子どもの権利条例の制定を進めてほしい。二番目には、総合的な施策の推進に当たっていただきたいと。これは今東京都がやっている。三番目は、子どもの権利条約にある子どもの意見表明権、四番目は、子どもの社会参加を進めると、この四つに分かれると思うんですけれども、ともかく一言でいえば、今日のさまざまな児童に関するトラブルを解決するために、その方途として、その根拠法令としての条例をつくっていただきたいというのが、僕はお母さん方の趣旨じゃないかと思うんです。
だから、社会参加権がどうだとか、権利に対する義務はどうだとかって、あんまりへ理屈をいわないで、中身の問題として、そうしたさまざまな子どもの虐待、登校拒否、いじめ等を解決するための、その根拠法令としての条例をつくっていただきたいということだと私たちも解釈をして、やっぱり早急に条件整備を進めるべきだということを表明して、終わります。
○松本委員 何点か基本的なことを伺います。
さっき矢部委員が質問をされておりました、子どもの権利条約、国連の採択の意味というものについて、地球上の子どもたちが置かれた環境が非常に過酷なものである、日本の場合と違うんではないだろうか、そんな話がありました。我が国においても、テレビで見てみますと、わずか数十年前の話でありますが、子どもの人身売買は現実のものとしてあったようでございますし、口減らしと称して子どもの命が奪われた、こんな事件も、そういう地方もあったようであります。今、そういうことは、我が国においてはないわけであります。
しかし、福祉局関連でいえば、先ほどの委員の質問にも出ておりました、中学三年生がろうそくで勉強しなくちゃいけなかった。これはもう明らかに子どもの権利が侵害をされている実例であります。もちろん東京ではありませんけどね。それから千葉でしたか、埼玉でしたか、ガスも電気もとめられちゃって、子どもが餓死したのか凍死したのか、母子家庭の中で死んでいったという事実が、つい去年、おととしあったわけであります。もう明らかに子どもの権利の侵害はあったわけでありますが、東京においては、こういう事例は、福祉局の担当分野だと思うわけでございますが、起こり得るか起こり得ないか、答えてください。
○福永子ども家庭部長 児童虐待につきましては、通告件数が非常にふえているということで、児童相談センターを初め各児童相談所では、即時の対応ということで対応しておるわけでございますけれども、すべてのものが通報されているということではございませんので、子どもの置かれているいろんな状況がございますので、そういった可能性が全くないということはいい切れないというふうに考えております。
○松本委員 東京ではそういうことは全くないように、早急にしてください。要望しておきます。
それから、今、川崎市子どもの権利に関する条例というのを見せていただきまして、その中で、こういうことがちゃんと議論を、その勉強会の中でされているのかどうかということを教えてほしいんです。人間として大切な子どもの権利というのが第二章に書かれております。その中に、ありのままの自分でいる権利というのが書かれております。子どもは、ありのままの自分でいることができる。そのためには、主として次に掲げる権利が保障されなければならない。個性や他の者との違いが認められ、人格が尊重されること。わかる。だけど、自分の考えや信仰を持つこと、秘密が侵されないこと、自分に関する情報が不当に収集され、または利用されないこと、子どもであることをもって不当な取扱いを受けないこと、安心できる場所で自分を休ませ、及び余暇を持つことが、この条例では子どもの権利として認められております。
これは、子どもの権利の概念として、一般論として認められるべき概念だと思いますか。
○福永子ども家庭部長 この中に、いわゆる宗教的な問題であること、例えば思想的な問題等がございますけれども、そういったものは、やはり子どもの発達年齢とかいろんなものによってそれぞれ異なってくるわけでございますので、いろいろ議論があるところでございます。
○松本委員 自分を豊かにし、力づけられる権利というのがここに載っている。遊ぶこと、学ぶこと、文化芸術活動に参加をすること、役立つ情報を得ること、幸福を追求すること、これが子どもの権利として載っている。権利概念として妥当だと思いますか。
○福永子ども家庭部長 条例でわざわざこういうことを記載する必要があるかどうかということについては、いささか疑問があるというふうに考えております。
○松本委員 私がいっているのはそういうことじゃないんです。例えば現実問題として、今、小学校で登校拒否児童になっちゃいますよね。中学校でもそうなんですが、これ、義務教育なんです。ところが、一年間通わなかった子どもが--例えば二年生で登校拒否になっちゃった。一年間学校に行かないんですよ。それでも自動的に三年生に現実にはなるんです。そうすると、六年間のうち、小学校の義務教育、二年しか学校に行っていませんよという子どもに、卒業証書が与えられるんです。で、中学、一カ月しか行かなかった子、籍さえ置いていれば、三年たつと自動的に卒業されるんです。卒業証書を渡される。じゃあ、卒業した子どもが、もう一回小学校五年生の課程から勉強したいから受け入れてくれといったら、受け入れてもらえないんです。どこかで権利がおかしなことになっている、こう思うんです。
子どもの学ぶ権利がおかしくなっているのか、それとも、子どもが行きたくないという自由、自分の権利を行使した結果なんだからしようがないと、こういう判断なのか。今、東京都は、子どもの権利に対してどういう判断を持っていられるのか、勉強会での詰めをちょっとご披露いただきたい。
○福永子ども家庭部長 不登校の小中学生が進級するということ、それは、文部行政といいますか、教育委員会の問題だということで、そのこと自体について、私の方としてもここではコメントはちょっとできませんけれども、そういった問題を含めまして、子どもの意見表明権とか、あるいはいろんなものに対する参加権等については、いろいろと議論を関係四局でして、いろんな意見があるという形で、なかなか一つの意見に要約できるという状態には必ずしもいかなかったということでございます。
○松本委員 全然答えになっていないよ。前川局長、わかりやすく説明してください。
○前川福祉局長 私ども、関係局の研究会をつくって勉強してきたわけでありますけれども、その中でも、子どもの権利と責任ということは明記をされております。例えば、子ども自身が、子どもの責任に関して意見表明権を初め市民的権利を行使したことに対し、社会的責任を伴うのは当然であるとする意見がある。権利と責任は表裏一体であり、他者の権利を侵害しないことや、権利行使に伴う社会的責任の自覚とを検討する必要があるというものであります。
○松本委員 いろんな権利があるんですけど、子どもに登校を拒否する権利というのはあるんですかないんですか。
○前川福祉局長 これは一般論で申し上げますけれども、子どもは、当然のことながら教育を受ける権利もあるし義務もあると私どもは考えております。
○松本委員 そうしますと、現実問題として、子どもを育てるために登校拒否も容認せざるを得ないという社会環境というのはあるわけですが、基本的に子どもが登校を拒否する権利を東京都が認めない、子どもが学校へ行く義務があるということにすると、川崎でいうところの、自分に関することを決める権利ですね、自分に関することを年齢と成熟に応じて決める権利、休暇を取る権利も、子どもに対しては東京都は認めていないけれども、川崎の条例では認められている、こういうことなんですよね。
あと一つ聞きたいんですが、子どもに、あなた、ピアノの塾に行きなさい、勉強しなさい、こういう権利はお母さんにありますか。それとも、子どもは、親にいわれたときに、自分はそんなところへ行きたくない、勉強したくない、こういう権利が子どもにあると思いますか。
○福永子ども家庭部長 家庭でのしつけといいますか、教育の問題だと……。(「子どもの権利の問題だよ、権利条例の」と呼ぶ者あり)子どもの権利というよりは、親の--逆にいうと、学校に行く義務ということで義務教育ということだというふうに我々は理解をしております。(「塾の話だよ」と呼ぶ者あり)
塾についても、まだ子どもというのはやはり親の監護権にあるわけでございますので、発達段階その他、それによりまして……。(「答弁になっていないよ、部長」と呼ぶ者あり)
子どもの意見といいますか、そういったものが、すべて責任と裏腹になって、権利には義務が表裏一体だというようなこともございますので、子どもの権利があるということで一〇〇%それを認めるというわけにはいかないというふうに考えております。
○松本委員 ちょっと答弁がよくわからないんですけど、さっき局長の答弁の中で何回か出てきたと思うんですが、子どもの権利ということでの権利に対する概念がいろいろあって、コンセンサスがとれていないんだ、したがって、条例を早急につくることが難しいんだ、こういうようなお話があったように僕は思うんです。
それで、今度の請願を出された九万数千人の署名された方々は、子どものためになることだったら、内容がどうでもいいという話で署名をされているんだろうと思う。結果として子どものためになるんだったら、それにこしたことはないと、こういう強い思いで署名をされているんだろうと思うんです。
ところが、そういう条例の中で、自分の考えや信仰を持つことまで子どもの権利として認められるということになると、オウムから子どもを取り返すときに、親はどういう権利を持って対抗するのか、そういう問題が出てくると僕は思うんです。命が守られ、尊重されることというのは当然の話だ。しかし、子どもが遊ぶ権利、学ぶ権利、文化芸術活動に参加する権利というのを主張し出したら、親がそれを教育する権利との狭間の中でおかしな話になっちゃうんじゃないかと、僕は心配するんです。
そういう話を、局長、日本には、都立大学を含めてあると思うんだけど、駅弁大学といわれるほどの大学に教育学部というのが物すごくたくさんある。そこで教育論を教えている学者さんというのはいっぱいいる。教育評論家なんていうのは星の数ほどいますよ。哲学者だってたくさんいる。法学者だってたくさんいる。そういう人たちの中で、代表的な子どもの権利に対する意見というのは、こういう考え方とこういう考え方とこういう考え方がありますよと、幾つかの事例をきちっと出して、こういう考え方に立てばこういう条例案になるし、こういう考え方に立てばこういう条例案になるよ、どっちがいいと思いますかという提案だったらわかる。そこでまだ悩んでいますというのならまだわかる。ただ、きょうの質疑を聞いていると、そういう努力をされていないように聞こえるから、みんな怒っちゃうんですよね。
局長、そこまでやりますといってください。条例をつくれとはいわない。とりあえずそこまで。
○前川福祉局長 大変私ども言葉足らずで恐縮でありますが、先ほど来、児童福祉審議会の意見具申が抽象的である、観念的であると申し上げました。具体的に、また権利について責任との関係、義務との関係も全然明らかではないということ、それから、もう一つ、やや私ども危惧を持っておりますのは、子どもを考える場合に、権利という形だけで条例をつくるのがいいのかどうか、それについても、恐らくいろんな意見があることであろうと思います。
ですから、今、松本委員ご指摘があった点を踏まえて、やはりきちんと問題を具体的に考えたいというのは、そういった点も踏まえて整理をしたいということでございます。
○松本委員 マザー・テレサさんという方が、あなたはどうしてこういう職業を--親に勧められてなったんですか、自分で進んでこういう職業を選ばれましたかと。貧困と結婚をしたとおっしゃった有名な方でありますけれども、その方が、親にいわれたことは、自分がやりたいことをやってはいけない、自分がなりたいものになろうなんて考えてはいけない。それは自分のわがままです。神のおぼしめしに従って、神の命に従って生き方を選びなさいと、こういう指導を受けたというんです。(「全然松本さんらしくない」と呼ぶ者あり)いやいや、それは実況中継をしているんだから。僕がいっているわけじゃない。マザー・テレサさんがインタビューに答えてそうおっしゃっている。
そういう考え方と、子どもの遊ぶ権利を認め、子どもの自分の休暇をとる権利を認め、子どもが参加をする権利を認め、子どもの発言を尊重すると、こう書いてある。それは、ケース・バイ・ケースによって、子どもの発言を重視しなきゃいかぬ部分はある。さっきの児童館のお話のように。東京都議会でも子ども議会というのをやった。本会議場へ来て、委員会室へ来てもらってやった。子どもが参加をする舞台をつくらなくちゃいかぬというのもわかる。しかし、それが権利として一般論として認められたときに、今の親というのは自分の子どもに対してどう責任を持てばいいのか、責任の持ちようを含めてきちっと提起しなきゃ、東京がつくった条例案は、このケースの場合どうしたらいいんですかというのは、各市区町村の教育委員会からの問い合わせもあれば、現実の問題としてすぐ行政の現場で混乱を来すから、きちっと統一した見解を、それぞれの権利、それぞれの条例案について説明ができるような条例案にならなくちゃいかんのだろうと思います。
そういう条例案の提案をできるだけ早い機会にお待ちして、質問を終わります。
○野村委員長 ほかにご発言はございませんか。--この際、議事の都合により、暫時休憩をいたします。
午後四時五十二分休憩
午後五時五分開議
○野村委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
請願一二第五八号の審査を続行いたします。
ご発言のある方は、ご発言をお願いすることにいたします。
○矢部委員 きょう、付託をされて初めて質疑を行わせていただきました。そういう中で、いろいろ質疑の中でも申し上げましたが、当厚生委員会福祉局との中だけでは限界を感じているような部分も多くあります。あるいは教育庁の考えもお聞かせいただきたいなという部分もあるなということを痛感いたしました。
条例の制定につきましては、先ほど松本委員からもご発言がありましたように、前向きに臨んでいるところでございますけれども、きょうの時点では、この委員会として結論を出すにはちょっと限界があるという判断でございまして、我が会派といたしましては、保留の扱いをさせていただきたいというふうに思っております。
○曽根委員 日本共産党都議団としては、先ほど小松委員から質疑をしたとおりで、きょうの委員会でも、請願されている皆さんの趣旨を生かして採択はできるというふうに思いますけれども、東京都の姿勢については、やはりまだまだきょうの質疑でも、何といいますか、本音が出ていないというか、このままじゃ、議会は結論を出しても、東京都は本当にやってくれるのかという疑問は残ります。
したがって、改めて議会として、文教委員会がもし必要な舞台であれば、そこも含めた合同の審査もやり方としてあるんじゃないかと。これは異例なことですけれども、そういうことも含めて、今後も議論を大いにやろうということで、保留という結論には私たちは従いたいと思います。
○石井委員 公明党を代表して一言意見を申し上げます。
先ほどデータが示されましたように、児童に対する虐待、不登校、いじめ等々は、年々その数が増加しているわけであります。しかしながら、それに対する具体的な実態の解明、また対応をどうするのか、行政と民間とはどう役割分担していくのか等々、まだ定まっていないわけであります。一日も早くこの条例制定ができるように、都議会の中で公明党はイの一番にこの条例制定を主張してきた立場として、条例制定の条件整備、実態の把握、総合的な対策ができるように早急にやっていただきたいということで、これはしかも福祉局だけではなくて、むしろかなり教育庁の方に比重がかかっている部分もありますので、生活文化局、関係各局と早急に連携をとって、また区市町村との連携も必要でありますから、条例制定に向けて条件整備をしていただきたい。
とりあえず保留ということにいたします。
○和田委員 都議会民主党を代表しての意見の開陳にさせていただきたいと思います。
私どもは、本日、採択を強く、さきの質疑の中で主張してまいりました。しかしながら、まだ理事者の方にも、他局との調整、あるいは福祉局そのものの煮詰め、あるいはほかの団体との協議などに、まだ完成されたものがないというふうにも思います。したがいまして、私どもが例示申し上げた川崎の例ですとか、あるいは川西の事例など細かく精査をされる中で、また他の委員もおっしゃった、他局との調整もしながら、きちっとした条例制定を強く求めてまいりたいと思います。
本日は、取り扱い上、他の会派の皆さんとともに、保留という形で、残念ではありますけれども、そういう姿勢を表明いたします。
○藤田委員 生活者ネットワークを代表しまして、意見を表明させていただきます。
先ほどもお話ししましたように、子どもの権利とは何か、それから侵害がどんなふうになっているのか、そして救済をするために何をしていくのかということでは、私は子どもの権利条例が有効であるというふうに思いますので、この請願はぜひ趣旨採択というふうに思っておりましたけれども、皆さんの意向もありまして、保留という立場をとりますが、やはり子どもの権利は何かということを、もう少し局の中、あるいは他局とも含めて、先ほどは生存権、発育権、そして意見表明、参加権ということをおっしゃいましたけれども、この中身を、子どもが権利の主体であるということを、もう一度きちっと、条約と照らし合わせて、しっかりともう一回勉強していただきたいなというふうに思っております。
本日は保留とさせていただきます。
○野村委員長 発言は終わりましたので、お諮りいたします。
本件は保留とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○野村委員長 異議なしと認めます。よって、請願一二第五八号は保留と決定いたしました。
以上で請願の審査を終わります。
以上で福祉局関係を終わります。
○野村委員長 これより高齢者施策推進室関係に入ります。
初めに、第一回定例会に提出を予定しております案件について、理事者の説明を求めます。
○前川高齢者施策推進室長 平成十三年第一回東京都議会定例会に提出を予定しております高齢者施策推進室所管の議案の概要についてご説明申し上げます。
ご審議をお願いいたします議案は、平成十三年度当初予算案一件、平成十二年度補正予算案一件及び条例案一件の計三件でございます。
初めに、平成十三年度当初予算案についてご説明申し上げます。
平成十三年度東京都予算案は、先ほど福祉局についてもご説明申し上げましたが、財政構造改革を確実に進める中、首都東京の再生を目指す予算と位置づけられて編成されております。
高齢者施策推進室といたしましては、福祉局と同様に、このような予算編成方針を踏まえ、厳しい財政状況の中にあっても、今後急速に進展することが見込まれる高齢社会への備えをより一層確かなものとするため、積極的な予算編成に努め、平成十三年度予算を、福祉改革を本格的に推進する予算として位置づけたところでございます。
具体的には、昨年十二月にお示し申し上げた福祉改革推進プランを実行することを基本に据え、介護保険制度を円滑に実施するための施策、介護サービス基盤の整備、高齢者の自立生活支援や健康の維持増進、社会参加の促進などの施策を積極的に展開し、利用者本位の開かれた福祉の実現を目指してまいります。
高齢者施策推進室所管の平成十三年度一般会計歳出予算は二千七百七億七千三百万円で、前年度に比べ百七十六億二千六百万円、七・〇%の増となっております。
予算案の主要な事業につきましては、以下、記述をしてございますので、省略をさせていただきまして、項目だけを申し上げます。
第一は、介護保険制度の運営でございます。第二は、介護サービス基盤の整備でございます。第三は、痴呆性高齢者対策でございます。第四は、地域における日常生活の支援や活動的な社会生活の支援でございます。第五は、都立高齢者施設の運営等でございます。
以上、極めて概括的でございますけれども、平成十三年度当初予算案についてご説明申し上げました。
次に、平成十二年度補正予算案についてご説明申し上げます。
今回ご審議をお願いいたします補正予算案は、老人医療費(国制度)の助成、介護保険特別対策事業及び痴呆介護情報ネットワーク整備事業に要する経費として五十八億一千六百万円、介護予防拠点整備事業に対する補助金として十億七千万円、合わせて六十八億八千六百万円を計上いたしました。
このうち、痴呆介護情報ネットワーク整備事業と介護予防拠点整備事業については、国の平成十二年度補正予算に計上された事業で、年度内に事業が完了しないことが見込まれるため、平成十三年度への繰越手続をあわせて行うものでございます。
また、現在建設を進めている潮見老人ホームについても、年度内の竣工の見通しが立たなくなったことから、工期を平成十三年度までに延ばし、建設に伴う工事費等十一億七千六百万円について繰越手続を行うものでございます。
なお、開設につきましては、平成十三年十一月を予定しております。
次に、条例案についてご説明申し上げます。
今回ご審議いただく条例案は一件でございまして、東京都立養護老人ホーム条例の一部を改正する条例でございます。
現行の条例では、施設の運営方法について、都の直営及び社会福祉法人への管理運営委託を想定したものとなっております。しかし、先ほど補正予算案でも説明いたしました潮見老人ホームにつきましては、社会福祉法人が都から使用許可を受けて施設を運営する公設民営方式を採用するため、必要な規定を整備するものでございます。
以上が、第一回定例会に提出を予定しております議案の概要でございます。
詳細につきましては、引き続き高齢政策部長によりご説明申し上げます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○金内高齢政策部長 それでは、引き続きまして、平成十三年度当初予算案、平成十二年度補正予算案及び条例案についてご説明申し上げます。
初めに、平成十三年度当初予算案についてご説明申し上げます。
お手元の資料、平成十三年度当初予算事業別概要をごらんいただきたいと存じます。
最初に九ぺージをお開きください。現高齢者施策推進室予算の総括表でございます。
まず、左側の(1)、歳入予算は、歳入合計六百三十億九千三百四十二万余円で、前年度予算額に比べ八十二億七千八百九十二万余円の増となっております。
次に、右側の(2)、歳出予算は、歳出合計二千七百七億七千三百万円で、前年度予算額に比べ百七十六億二千六百万円、七・〇%の増となっております。
左下の(3)には一般財源充当額を、右下の(4)には債務負担行為限度額をそれぞれ記載しております。
次に、飛びますが、八五ぺージをお開きください。
このぺージから一〇六ぺージまでが現高齢者施策推進室予算の事業別概要で、左側から、番号、事項、本年度予算額、前年度予算額、増減、概要の順に記載しております。
まず、高齢福祉事業の管理ですが、高齢者施策推進室の職員の給料、諸手当及び管理事務に要する経費で、本年度予算額欄の歳出の項に記載してありますとおり、百八十億五千九百万円を計上しております。
八六ぺージをお開きください。介護保険制度の運営ですが、介護保険給付に要する経費等で、本年度予算額欄の歳出の項に記載してありますとおり、五百二十三億三百万円を計上しております。
八七ぺージをごらんください。概要欄2の(1)、東京の介護保険を育む会(仮称)の設置は、事業名の前に〔新〕と表示しておりますが、これは十三年度の新規事業をあらわしたもので、東京の介護保険制度の課題とその改善方法について、都民、事業者、学識経験者等が広く意見交換を行える場を設置するものでございます。
(4)、介護支援専門員への支援では、介護保険制度のかなめとなる介護支援専門員に対する支援策を総合的に検討、推進するとともに、IT(情報技術)を活用したモデル事業を実施いたします。
八八ぺージをお開きください。このぺージから九四ぺージまでは高齢者の福祉増進でございまして、本年度予算額欄の歳出の項に記載してありますとおり、一千三十四億七千五百万円を計上しております。
2の高齢者いきいき事業については、十三年度は大幅に拡充し、区市町村が地域の実情に応じたサービスを主体的に選択し、展開できるよう支援いたします。
九〇ぺージをお開きください。(4)、高齢者元気倍増作戦は、十三年度新たに実施するもので、元気高齢者の社会参加のきっかけとなるホームぺージの作成などに取り組んでまいります。
九一ぺージをごらんください。6の(1)、シルバーピア整備、運営等では、四百三十九カ所、八千七百二十八戸の運営等に要する経費を計上しております。
九二ぺージをお開きください。7の(1)、身体拘束ゼロ運動の展開は、施設等における身体拘束を廃止するために、幅広い取り組みを推進するものでございます。
8の(3)、高齢者福祉サービスの必要量の実態調査は、高齢者保健福祉計画の改定等に向けて、サービスの必要量等を把握するものでございます。
また、8の(4)、高齢者施設等への民間参入に関する検討は、サービスの質と量の確保を図るため、規制緩和を含め、多様な事業者の参入促進策等を検討するものでございます。
九五ぺージをお開きください。このぺージから九六ぺージにかけましては、高齢福祉施設の運営で、民間施設の運営費補助や直営施設の運営等に要する経費として、本年度予算額欄の歳出の項にございますとおり、百四十一億三千三百万円を計上しております。
九六ぺージをお開きください。4の法人用施設は、公設民営方式を採用する潮見老人ホームに要する経費でございます。
九七ぺージをごらんください。介護保険施設の運営ですが、板橋ナーシングホーム及び東村山ナーシングホームの運営に要する経費として、本年度予算額欄の歳出の項に記載してありますとおり、十八億二千五百万円を計上してございます。
3の緊急ショートステイ(介護一一九番)は、在宅で介護している方が急病等で倒れた場合に、介護されている方を緊急に受け入れるものでございます。
九八ぺージをお開きください。医療センターの運営等でございますが、老人医療センター、多摩老人医療センターの運営及び高齢者福祉・医療の複合施設の開設準備に要する経費として、本年度予算額欄の歳出の項に記載してありますとおり、百十六億一千八百万円を計上しております。
九九ぺージをごらんください。看護専門学校の運営ですが、板橋看護専門学校の運営に要する経費として、一億九千九百六十一万余円を計上しております。
一〇〇ぺージをお開きください。財団法人東京都老人総合研究所への助成でございますが、運営に要する経費として二十六億九千八百三十八万余円を計上しております。
一〇一ぺージをごらんください。高齢保健福祉施設の整備で、推進室所管の都立施設の整備に要する経費として、百九十七億千百万円を計上しております。
概要欄の2、高齢者福祉・医療の複合施設の建設は、高齢者専門病院の建設工事に要する経費等を計上するものでございます。
一〇二ぺージをお開きください。このぺージから一〇四ぺージにかけましては、高齢保健福祉施設の整備助成で、民間高齢福祉施設等の整備助成に要する経費として四百八億一千三百万円を計上しております。
まず、概要欄の1の(1)、特別養護老人ホーム整備費補助ですが、十六カ所、一千百八十六人分を新規に整備することとしております。
一〇三ぺージをごらんください。(6)、痴呆性高齢者グループホーム整備費補助、(8)、ケアハウス整備費補助、(9)、高齢者生活福祉センター整備費補助などによりまして、介護つき住まいであるケアリビングの拡充を図ってまいります。(10)、高齢者在宅サービスセンター緊急整備支援事業は、サービスの向上と利用者数の増加を目的といたしまして施設及び設備を改修する場合に、経費を補助するものでございます。
一〇四ぺージをお開きください。2の老人保健施設の整備は、十七カ所、一千七百八十七床を新規に整備することとしております。
最後に一〇六ぺージをお開きください。このぺージには、現高齢者施策推進室の予算の合計を記載しております。
以上で、平成十三年度当初予算案の説明を終わらせていただきます。
引き続きまして、平成十二年度補正予算案についてご説明申し上げます。お手元の平成十二年度補正予算概要をごらんいただきたいと存じます。
一ぺージをお開きください。補正予算の総括表でございます。
左側の(1)、歳入予算は、補正予算額欄に記載してありますとおり、国庫支出金に二十八億八千八百万円を計上しております。他の科目についての増減はございません。
また、右側の(2)、歳出予算は、補正予算額欄に記載してありますとおり、高齢福祉費に五十八億一千六百万円、施設整備費に一〇億七千万円、合わせまして六十八億八千六百万円を計上しております。
左側の(3)、一般財源充当額には、歳出予算の合計と歳入予算の合計との差し引き、三十九億九千八百万円を計上しております。
右下の(4)、債務負担行為には、増減はございません。
左下の(5)、繰越明許費ですが、今回の補正予算に計上する事業のうち、年度内に事業が完了しないことが見込まれる事業などにつきまして、十三年度へ繰り越すため、二十八億六千九百万円を計上しております。
二ぺージの事業別概要をお開きください。このぺージと次の三ぺージが歳入歳出補正予算事業別概要で、左側から、番号、事項、既定予算額、補正予算額、計、概要の順に記載しております。
まず、高齢者の福祉増進でございますが、老人医療費(国制度)の助成など三事業につきまして、補正予算額欄に記載してありますとおり、五十八億一千六百万円を計上しております。
1の老人医療費(国制度)の助成は、老人保健法に基づきます東京都負担分につきまして、既定予算に不足が生ずることが見込まれることから、三十四億円を計上しております。
2の介護保険特別対策事業は、国の介護保険法の円滑な実施のための特別対策の一環として平成十二年四月から実施されることとなったもので、当初予算に計上できなかったことから、十七億九千三百万円を計上しております。
3の痴呆介護情報ネットワーク整備事業は、高齢者痴呆介護研究センターが、痴呆介護研究、研修を円滑に実施するための情報ネットワークの整備事業に対し、助成するものでございます。
なお、本事業は、国の平成十二年度補正予算に計上されたもので、国の全額補助事業でございます。
三ぺージをお開きください。高齢保健福祉施設の整備助成で、区市町村が行う介護予防拠点に係る基盤整備事業に対し補助を行うもので、補正予算額欄の歳出の項に記載してありますとおり、十億七千万円を計上しております。
なお、本事業も国の平成十二年度補正予算に計上されたもので、国の全額補助事業でございます。
四ぺージの繰越明許費補正予算総括表をお開きください。左側から、番号、事業名、既定予算額、補正予算額、計、概要の順に記載しております。
補正予算額欄の合計欄に記載してありますとおり、痴呆介護情報ネットワーク整備など三事業合わせまして、二十八億六千九百万円を計上しております。
1の痴呆介護情報ネットワーク整備と3の高齢保健福祉施設整備助成については、国の平成十二年度補正予算に計上された事業で、年度内に事業が完了しないことが見込まれるため、十三年度に歳出額全額を繰り越すものでございます。
2の高齢保健福祉施設整備は、現在建設を進めております潮見老人ホームの整備で、年度内の竣工の見通しが立たなくなったことから、工期を平成十三年度までに延ばし、建設に伴う工事費等、十一億七千六百万円を繰り越すものでございます。
以上で、平成十二年度補正予算案についての説明を終わらせていただきます。
続きまして、条例案についてご説明申し上げます。
先ほど室長からもご説明申し上げましたとおり、今回ご審議をお願いいたします条例案は、東京都立養護老人ホーム条例の一部を改正する条例一件でございます。
今回の条例改正の理由でございますが、先ほど説明いたしました潮見老人ホームについて、社会福祉法人が都の使用許可を受けて施設を運営する公設民営方式を採用することから、必要な規定を整備するものでございます。
改正の主な内容を説明させていただきます。お手元にお配りしてございます平成十三年第一回東京都議会定例会議案をごらんください。
一ぺージをお開きください。中ほどをごらんください。まず第一に、条例の名称を変更いたします。
使用許可を受けた社会福祉法人が自主運営する施設を加えるため、条例の名称を、東京都立養護老人ホーム条例から、東京都養護老人ホーム条例に変更いたします。
第二に、法人用施設の設置を明示いたします。
二ぺージの第一条第二号に記載してありますとおり、社会福祉法人が使用許可を受けて自主運営する施設を法人用施設として設置し、名称及び位置を加えるものでございます。
名称及び位置につきましては、五ぺージから六ぺージにかけて記載しております。
二ぺージの中ほどにお戻りいただきたいと存じます。第三に、法人用施設の使用に関する関係規定を整備いたします。
この二ぺージから五ぺージにかけまして、法人用施設の使用手続の規定及び施設の使用料、使用者の責務、立入検査等の規定を記載しております。
なお、本条例の施行日は、四月一日を予定しております。
以上をもちまして、簡単ではございますが、提出議案の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○野村委員長 説明は終わりました。
この際、資料要求のある方は発言を願います。
○曽根委員 何点かお願いします。
まず養護老人ホームで、今までの委託方式から、今回、公設民営方式に変わって、何が違ってくるのか、対照表をお願いします。
二つ目に、介護保険の特別対策事業の利用実績をお願いします。
三つ目、老人医療費助成、国制度の実績、三年分をお願いします。
それから、介護予防拠点整備事業及び痴呆介護情報ネットワーク整備事業、これ、概要をお願いします。
介護保険の保険料、利用料で、何らかの減免を実施または予定している区市町村の一覧をお願いします。
介護保険の特別徴収の対象者のうちの滞納者数をお願いします。
むさしの園、伊豆山老人ホームの入所状況をお願いします。
最後に、高齢者の住宅改造事業の各区市町村の実施状況。
以上です。
○曽雌委員 四点お願いします。
一点目が、介護保険の低所得者特別対策の実施状況を、区市町村別にお願いします。
二点目、高齢者いきいき事業の補助内容とその実施状況で、十二年度の状況と十三年度の計画が示せるものがありましたら、お願いいたします。
三点目が、痴呆性高齢者のグループホーム及びデイホームの整備状況。
四点目、先ほどと重複しますが、痴呆介護情報ネットワーク整備事業につきまして、概要をわかりやすく説明をいただきたいと思います。
○松本委員 サービスを受ける都民一人当たりのコストのわかる資料をつくってください。
○石井委員 包括補助金の実施状況をお願いします。
○野村委員長 ただいま曽根理事、曽雌委員、松本委員、石井理事から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○野村委員長 異議なしと認めます。理事者においては、要求されました委員と調整の上、提出をお願いいたします。
以上で高齢者施策推進室関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会といたします。
午後五時三十五分散会
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