厚生委員会速記録第二十一号

平成十二年十二月十三日(水曜日)
   午後一時九分開議
 出席委員 十一名
委員長野村 友子君
副委員長近藤やよい君
副委員長和田 宗春君
理事曽根はじめ君
理事石井 義修君
樺山 卓司君
藤田 愛子君
小松 恭子君
曽雌 久義君
古賀 俊昭君
松本 文明君

 欠席委員 一名

 出席説明員
福祉局局長高齢者施策推進室長兼務前川 燿男君
総務部長上條 弘人君
高齢者施策推進室福祉局長高齢者施策推進室長兼務前川 燿男君
高齢政策部長金内 善健君
衛生局局長今村 皓一君
総務部長櫻井  巖君

本日の会議に付した事件
 意見書、決議について
 付託議案の審査(決定)
 ・第二百七十八号議案 平成十二年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、債務負担行為 厚生委員会所管分
 ・第二百九十号議案 東京都環境衛生適正化審議会条例の一部を改正する条例
 ・第二百九十一号議案 東京都動物の保護及び管理に関する条例の一部を改正する条例
 ・第三百十二号議案 心身障害者の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例
 ・第三百十三号議案 老人の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例
 請願陳情の継続審査について
 特定事件の継続調査について

○野村委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 初めに、意見書、決議について申し上げます。
 さきに理事会にご一任いただきました意見書、決議中、お手元配布の一件の意見書につきましては調整がついた旨、そのほか一件の意見書、一件の決議につきましては調整がつかなかった旨、それぞれ議長に報告すべきであるとの結論になりました。ご了承をお願いいたします。
 案文の朗読は省略いたします。

障害者福祉施策の推進に関する意見書
 平成七年十二月に、国は「障害者プラン ノーマライゼーション七か年戦略」を策定し、障害者施策の計画的な推進を図ってきたところである。
 しかし、都においては、知的障害者更生施設や身体障害者療護施設の待機者が合わせて常時一千名を超える状況にあるが、用地取得が困難なこと等から、これら社会福祉施設の整備が進んでいない。
 また、施設入所者や家族のもとで生活をしている障害者が、地域で自立して生活していくためには、居住の場を整備していくことが求められている。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、障害者施策の充実に向けて、以下の項目を実現するよう強く要請する。
一 ホームヘルプサービス事業などの介護サービスを始めとする、各種在宅福祉施策を拡充すること。また、障害者の社会参加を促進するための施策を拡充すること。
二 どんなに重い障害を持つ人も地域での生活が継続できるよう、多様な居住の場の整備を図るための財政措置を講じること。特に、グループホームの計画的な整備が図られるよう、実態に応じた補助対象規模の拡大等に努めること。
三 障害者(児)施設の充実として、多様化しているニーズに対応するため、居住条件の改善や多様な目的機能を持った施設の制度化を図ること。特に、小規模作業所等の法定施設への移行が一層促進されるよう、補助対象規模の拡大を始め、対象施設の要件緩和や補助内容の改善を図ること。
 以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
  平成十二年十二月 日
東京都議会議長 渋谷 守生
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
厚生大臣
自治大臣 あて

○野村委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、付託議案の審査並びに閉会中における請願陳情並びに特定事件の継続審査及び調査の申し出の決定を行います。
 これより付託議案の審査を行います。
 第二百七十八号議案、平成十二年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、債務負担行為、厚生委員会所管分、第二百九十号議案、第二百九十一号議案、第三百十二号議案及び第三百十三号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に質疑を終了いたしております。
 この際、本案に対し発言の申し出がありますので、これを許します。

○古賀委員 私は、国会での健康保険法等の一部を改正する法律の成立に伴いまして本定例会に追加提出されました、第三百十三号議案、老人の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例等について意見を申し上げます。
 さきの第百五十臨時国会において、健康保険法や老人保健法など医療保険制度関連法案が成立し、来年、平成十三年一月一日から施行される運びとなりました。これは、平成十四年度中の抜本改革に向けた第一歩と位置づけられるものであります。
 ところで、先日、厚生委員会の事務事業説明に際し、高齢者施策推進室から説明を受けた際の資料を見てみました。その資料によりますと、東京都が老人医療費助成制度を創設いたしました昭和四十五年の日本人の平均寿命と平成十一年を比較しますと、男性が八歳、女性が十歳も寿命が延びております。もっと具体的に申し上げますと、男は六十九歳から七十七歳に、女は七十四歳から八十四歳へと延びているわけです。これは、国、地方を通しての医療厚生行政の一つの成果と見ることができると思います。
 例えば、寿命が十歳延びるということは、一年三百六十五日掛ける十年、つまり、三千六百五十日その人にとって生活する時間がふえることであり、大変これは喜ばしいことであります。
 これを医療の面で見てみますと、外来でお医者さんに通う高齢者は、一人当たり平均で月二・九回、つまり約三回、これは、十日に一回診てもらうという統計がありますので、単純に計算をしてみますと、十年間で三百六十五回ということになるわけであります。この回数は、ともかく診療を受ける機会が間違いなく多くなったということになるわけです。
 また、平均寿命が伸びるということは、高齢者人口がふえることでありますから、これも当委員会の資料から引用いたしますと、東京では、昭和四十五年は六十五歳以上の高齢者が約五十九万人、平成十二年は約百八十二万人と、約三倍となっております。
 このように、平均寿命が伸びることによって診療を受ける機会が増加し、また高齢者の数が三倍にふえるということは、必然的に高齢者の医療費の増大をもたらすということになります。結果、高齢者の医療費を支援するために、サラリーマン等が加入する健康保険組合等の拠出金が増大をして、財政が窮地に追い込まれているという現状もあるわけです。
 高齢化社会は、高齢者が長寿を喜び、そして高齢期を自分らしく生きるとともに、社会的に必要なコストについても負担を分かち合う社会であります。今回、七十歳以上の高齢者に一割の定率の自己負担を求めることは、受けたサービスに応じて負担をしていただくということでありまして、コスト意識を高めることにもつながり、抜本改革に向けた第一歩とされるゆえんだろうと思います。これは、定率とはいえ、一カ月当たりの支払い上限を設定しております。それも医療機関の規模による変更という工夫もなされているわけであります。
 高齢者は一律に弱者であるという考え方を転換して、負担能力のある高齢者には応分の負担を求めるということは、新しい時代の、つまり、次の時代の社会保障を展望するに当たって、欠くことのできない視点であります。社会保障においては、負担なくして給付はあり得ず、金のなる木や打ち出の小づちはないわけでありまして、お金は天から降ってこないのであります。
 これに対して、対案を示さないまま、いたずらに国民、都民の不安をあおって反対を唱える日本共産党は、まさに木を見て森を見ずの例えのごとく、政党として国民の期待にこたえることができないのであります。
 我々は、お年寄りが安心して医療が受けられるための仕組みをつくらなければなりません。国会において、与党としての責任を果たすべく、今回待ったなしの医療保険制度の財政状況にかんがみて、抜本改革への第一歩として、医療保険制度関連法案に賛成をしているのであります。
 老人保健法の趣旨は今回の改正でも変わるところがなく、それに準拠している今回の東京都の老人医療費の助成に関する条例の規定の整備は、極めて適当と考えます。
 次に、これは全く私の個人の意見でありますけれども、昨日の東京都動物の保護及び管理に関する条例の一部を改正する条例、第二百九十一号議案について、ちょっと所見を申し上げておきたいと思います。
 私は、きのうのいろいろな皆さんの議論を聞いておりまして、動物は、果たして人間に飼われた方が、飼育された方が幸せなのかどうかということをちょっと考えました。頭をよぎりました。
 その中で、公費を助成して、避妊や去勢の手術を促進すべきだという意見も出されていたわけでありますけれども、私は、人間の都合によって動物の生殖機能を奪うということは、本当に許されるのかどうかということを考えざるを得ないのです。動物の繁殖能力を奪って、人間の都合によって動物にしわ寄せを与えるというのは、人間の甚だ身勝手な考え方ではないかというふうに思うわけです。
 きのうは、動物は人間最大の友人であるという言葉もあったと思いますし、いやしになっているという言葉もありました。命を大切にするということでは当然のことだろうと思いますけれども、命を継承していく、受け継いでいくための動物の機能を、人間の都合で、かわいいからといって奪い去ることが動物のためになるとは、私は到底考えられないのであります。
 本会議で、石原慎太郎知事は、ホーキング博士の言を引いて、地球上の生物以外に、宇宙には二百万個以上の高等動物のプラネットがあるだろうという話を紹介しておられました。人間より強い生物があらわれて、人間の機能を奪う、生命継承の機能を奪うということがもし起これば、我々はどう思うでしょう。そういった基本的な視点を、私は、こういう条例の審議に当たって一つ考えてみることもむだでないというふうに思うわけです。
 人間がすべて正しい、至上のものである、最高の価値であるという人間主義の考え方は、近代を風靡しているわけでありますけれども、一つ宇宙的視点に立てば、人間以外の生命の存在も考えられる以上、人間の持っている価値観のみをもって、地球上の生物に対してあたかも哀れみを与えるかのごとき視点でこれに判断を加えていくということは、私は疑問を感じます。
 あらゆる生命に対する人間の倫理観の問題として私は考えるべきであって、ただ単に、動物を保護する、愛護するという視点だけで、いとも簡単にそういった去勢等の手術、避妊手術を行うということが許されるのかという基本に立ち返った考えも、こういう議論の際にはあってしかるべきではないかというふうに思うわけです。
 つまり、最悪の状態を避けるために、次善の策としてそういう動物に対する対応も時には許されるのかもわかりませんけれども、人間の傲慢さや不遜さのあらわれであるということも一面ではいえるわけでありまして、住民の要望、都民の声があるからといって、それが生命あるいは生命の尊厳に対する十分な議論を踏まえた意見で果たしてあるのかどうか、そういうことも、行政側において、あるときにはお考えいただきたいというふうに思うわけです。
 第二百九十一号議案については、私の個人的見解を述べさせていただきました。
 以上です。

○曽根委員 日本共産党を代表して、第三百十二号議案、第三百十三号議案に反対の立場から意見表明を行います。
 この二つの議案は、いずれも国の老健法の改定に連動させて、老人医療費助成・マル福の対象者、及び障害者医療費助成・マル障対象者の一部について、医療費の自己負担を、一割を基本に定率制に変えるなどの変更を行うものです。これにより、通院でも一・五倍、入院の場合、数倍に医療費の負担がはね上がることが予測されます。
 医療保険法の改定は、これまで、老人医療費無料制度時代、さらに、有料化されてからも長く守られてきた高齢者の医療費負担の定額制を定率制に変えるもので、多くが慢性疾患などを抱え、定期的に通院しなければならなかったり、入院の機会が多くなる高齢者にとって、上限が設けられているとはいえ、かかった疾病とその治療によって、自己負担がどこまでふえるかわからないという耐えがたい苦しみを与えることになり、これまでの負担額引き上げより一層の受診抑制が起きることが予測されるものです。収入が限られている大部分の高齢者にとって、背負い切れない負担を押しつけるものとして、断じて認められません。
 たまたま本日の毎日新聞に、東大和市の六十九歳のパーキンソン病の男性からの、今回の医療費改定が、難病などにとっては手痛い打撃だとの投書が載っていました。それは、入院しなくても月一回通院し、現在五百三十円のところ、今度の改定で、大病院であれば、診療、薬剤費合わせて約五万一千円の一割の五千円に上がるからです。この病気では、薬は高価だが一回も欠かせず、通院先は大病院に大体限られており、改定で負担が六から十倍になるとしています。そして、この方は、病気のために職も失い、不本意ながらの年金生活、貯金も大きく取り崩したし、低金利にも泣く、こんな非情な政治に義憤を抑えられないと結んでいます。
 大病院に通院せざるを得ない事情は、障害者も同じです。こうした声を押し切って改悪された老健法に、マル福、マル障を連動させる都の条例案は、断じて認められません。
 健康保険財政の赤字の解決は、国の公共事業の見直しの中で、国保への補助率を大幅に引き上げることや、高すぎる薬価の見直しで十分に可能であることは、我が党が繰り返し指摘しているとおりです。
 さらに、都の場合は、マル福制度は、今年度から廃止に向けての削減が始まっており、辛うじて制度適用が残された六十五歳以上の対象者に追い打ちとなる点でも、高齢者に対する都の冷たい仕打ちとして許しがたいものです。
 しかも、障害者に対するマル障については、もともと国の老健法と連動させる根拠がないにもかかわらず、都が今年度から制度対象者の所得制限を厳しくしたと同時に、残った対象者についても、非課税者以外は老健法連動としたために、今回の法の改悪で一割負担がかかってしまうものです。当面、連動させないと決断した新潟県や愛知県の例を見ても、都の姿勢には全く道理がありません。健常者に比べて罹病率のはるかに高い障害者に対する医療費のさらなる負担増の押しつけは、まさに障害者の命の重みを軽んじるものとして、都の福祉行政に大きな汚点を残すものです。
 したがって、両議案に反対であることを表明し、意見とします。

○野村委員長 発言は終わりました。
 これより採決を行います。
 初めに、第三百十二号議案び第三百十三号議案を一括して採決いたします。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、いずれも原案のとおり決定することに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○野村委員長 起立多数と認めます。よって、第三百十二号議案及び第三百十三号議案は、いずれも原案のとおり決定いたしました。
 次に、第二百七十八号議案、平成十二年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、債務負担行為、厚生委員会所管分、第二百九十号議案及び第二百九十一号議案を一括して採決いたします。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも原案のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○野村委員長 異議なしと認めます。よって、第二百七十八号議案、平成十二年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、債務負担行為、厚生委員会所管分、第二百九十号議案及び第二百九十一号議案は、いずれも原案のとおり決定いたしました。
 以上で付託議案の審査を終わります。

○野村委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
 本日までに決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○野村委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○野村委員長 この際、所管三局を代表いたしまして、前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務から発言を求められておりますので、これを許します。

○前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 お許しをいただきまして、当委員会所管三局を代表いたしまして、一言お礼のごあいさつを申し上げます。
 委員長、副委員長を初め委員の皆様方には、本定例会にご提案申し上げました各議案につきまして、慎重かつ熱心なご審議を賜り、まことにありがとうございました。
 ご審議の過程でいただきました貴重なご意見、ご要望につきましては、十分尊重させていただきまして、今後の保健医療福祉行政における事務事業の執行に万全を期してまいる所存でございます。今後とも、一層のご指導、ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
 簡単ではございますが、これをもちましてお礼のあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。

○野村委員長 発言は終わりました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時二十七分散会

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