委員長 | 野村 友子君 |
副委員長 | 近藤やよい君 |
副委員長 | 和田 宗春君 |
理事 | 曽根はじめ君 |
理事 | 石井 義修君 |
理事 | 矢部 一君 |
樺山 卓司君 | |
藤田 愛子君 | |
小松 恭子君 | |
曽雌 久義君 | |
古賀 俊昭君 | |
松本 文明君 |
欠席委員 なし
出席説明員福祉局 | 局長高齢者施策推進室長兼務 | 前川 燿男君 |
次長 | 藤堂 義弘君 | |
総務部長 | 上條 弘人君 | |
地域福祉推進部長 | 小山 園子君 | |
生活福祉部長 | 岡本 宏之君 | |
山谷対策室長 | 上野 純宏君 | |
子ども家庭部長 | 福永 富夫君 | |
障害福祉部長 | 谷川 健次君 | |
国民健康保険部長 | 井出 勝也君 | |
企画担当部長 | 村山 寛司君 | |
連絡調整担当部長 | 中村 憲司君 |
本日の会議に付した事件
福祉局関係
事務事業について(質疑)
○野村委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
初めに、傍聴人の数についてお諮りいたします。
当委員会室の定員は二十名でありますが、傍聴希望者が定員以上でありますので、さらに十名追加したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○野村委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○野村委員長 次に、委員の所属変更について申し上げます。
議長から、十一月十七日付をもって、佐藤裕彦議員が本委員会から総務委員会へ所属変更になり、新たに樺山卓司議員が総務委員会から本委員会に所属変更になった旨の通知がありましたので、ご報告いたします。
この際、樺山卓司委員をご紹介いたします。
○樺山委員 樺山でございます。
どうぞよろしくお願いいたします。
○野村委員長 なお、議席につきましては、ただいまご着席のとおりといたしますので、ご了承願います。
○野村委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉局関係の事務事業に対する質疑を行います。
これより福祉局関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
要求資料について理事者の説明を求めます。
○上條総務部長 過日の委員会でご要求のございました資料につきまして、お手元の厚生委員会資料によりご説明させていただきます。
表紙の次のページ、目次をお開き願います。資料の一覧表でございまして、その次のページにわたり、全部で二十二項目となっております。
それでは、順を追ってご説明申し上げます。
まず、一ページをお開き願います。地域福祉振興事業における三事業の補助実績でございます。
平成十一年度における有償家事援助サービス、毎日食事サービス、ミニキャブ運行システムの件数及びその補助額について記載してございます。
次に、二ページをお開き願います。鉄道駅エレベーター等整備事業実績状況でございます。
事業開始の平成八年度から平成十一年度までの実績について記載してございます。
次に、三ページをごらん願います。訪問介護員養成研修の課程を修了した者の数でございます。
平成三年度から平成十一年度までの、一級課程から三級課程についての養成研修の修了者数について記載してございます。
次に、四ページをお開き願います。平成十年度ホームヘルパー登録者数及び派遣状況でございます。
平成十年度末日現在における高齢者ホームヘルパー及び心身障害者児ホームヘルパーの登録者数と、平成十年度中における派遣延べ回数についてそれぞれ記載してございます。
次に、右の五ページには、過去十年間の心身障害者児ホームヘルパー登録者数の推移について記載してございます。
次に、六ページをお開き願います。生活保護の申請件数及び却下件数の推移について、過去十年間の推移をそれぞれお示ししてございます。
次に、七ページ、八ページをごらん願います。生活保護被保護人員の推移と保護率の推移でございます。
年度月平均の数値を、区市町村別に、平成二年度から平成十一年度までの十年間についてそれぞれ記載してございます。
次に、九ページをごらん願います。二十三区内における路上生活者の概数でございます。
毎年八月に実施している二十三区内の路上生活者概数調査の過去五年間についての調査結果について記載してございます。
次に、一〇ページをお開き願います。平成十二年十月一日現在の区市町村における乳幼児医療費助成事業の実施状況でございます。
助成対象年齢と所得制限について、(1)に区部の状況を、次の一一ページには、(2)といたしまして市町村の状況をそれぞれ記載してございます。
次に、一二ページをお開き願います。保育所規制緩和の主な改正内容でございますが、設置主体、定員及び不動産の貸与について、改正前後の内容を記載してございます。
次に、一三ページをごらん願います。平成十二年度に新たに認可した保育所について記載してございます。
平成十二年四月一日から十一月一日までに認可した保育所の施設数、定員及び年齢別取扱人員についてまとめたものでございます。
次に、一四ページをお開き願います。保育所入所待機児童数の推移でございます。
区部と市町村部別に、平成八年度から平成十二年度までの、四月一日及び十月一日現在の年齢別の保育所待機児童数を記載してございます。
次に、一五ページをごらん願います。児童養護施設の施設数、定員及び新規入所措置児童数の推移でございます。
施設数及び定員につきましては、三月一日現在の状況を、新規入所措置児童数につきましては、当該年度中に新たに入所措置した児童数を、平成二年度から平成十一年度までの十年間について記載してございます。
次に、一六ページをお開き願います。児童虐待ケースマネジメント事業実施状況でございます。
平成八年度から事業を開始いたしました児童虐待対策委員会等の開催回数について記載してございます。
次に、右の一七ページをごらん願います。児童相談所における児童虐待相談処理状況の推移でございます。
都内の児童相談所に寄せられた相談のうち、児童虐待に関するものとして処理された件数についてまとめたものでございます。
次に、一八ページをお開き願います。緊急地域雇用特別基金事業における子育てスタッフ養成研修事業の実施状況でございます。
民間団体に委託して平成十一年度に実施した各種研修事業の状況でございます。
次に、一九ページをごらん願います。知的障害者生活寮の概要でございます。
また、次のページには、知的障害者生活寮の設置状況について、区市町村ごとに施設の設置数及び定員について記載してございます。
次に、二一ページをごらん願います。都外における障害者児の施設数及び定員についてでございます。
知的障害者更生施設、知的障害児施設及び身体障害者療護施設の施設数及び定員について記載してございます。
次に、二二ページをお開き願います。重度視覚障害者ガイドヘルパーの具体的利用事例でございます。
区市町村等から派遣されたガイドヘルパーの具体的な業務について、事例をまとめたものでございます。
次に、二三ページをごらん願います。国民健康保険における被保険者資格証明書、短期被保険者証及び被保険者証未交付の状況でございます。
このページには特別区の状況について、次の二四ページには市町村の状況について、平成七年度、九年度及び十一年度の推移を記載してございます。
以上、要求のございました資料につきましてご説明申し上げました。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○野村委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めて、これより事務事業に対する質疑を行います。
発言を願います。
○近藤委員 何点か伺います。
まず最初に、新聞等にも記事が載ったわけですけれども、これ、読売新聞の十一月七日の記事ですけれども、東京都の方がいわゆる独自の認証保育園というものを、これから平成十三年度に向けて立ち上げていくというような記事が載っておりまして、それに関連して何点か伺います。
今まで、認可、無認可と保育園があったわけですけれども、なぜまた、今、東京都が独自に認証保育園という新しい制度を立ち上げることになったのか、その制度の創設に当たっての目的をまず伺いたいと思います。
○福永子ども家庭部長 認証保育所制度の目的でございますけれども、大都市東京では、女性の就労形態が変わってきていることに伴いまして、保育ニーズも多様化しております。これらに柔軟に対応していくために、東京都独自の基準による新しい大都市型保育所を設けることが必要だと考えております。
特に勤労者の要望の強い、通勤途上でも送り迎えができる、送り迎えに便利な駅前保育を積極的に推進してまいりたいと考えております。
また、認可保育所とあわせまして、保育サービスを必要とする人が、子どもを安心して預けることができる保育環境の整備を図っていくことが重要だと考えているところでございます。
○近藤委員 今、ご答弁の中に、大都市型の保育所というお話もございましたけれども、今現在の制度では、どんなニーズに実際こたえたくてもこたえられないのか、その辺のところを伺いたいと思います。
○福永子ども家庭部長 女性の就労形態等が大変多様化しておりまして、乳幼児保育でありますとか、特に途中入所あるいは延長保育等の需要に対しまして、必ずしも現在の認可保育所が十分な対応ができていない現状にもございます。
○近藤委員 就労形態の多様化に必ずしも対応できていないというようなお話もございましたけれども、私立と公立、二通りあると思うんです。その就労形態の多様化、つまり、延長保育または夜間保育、休日保育といったことだと思いますけれども、それぞれの実施状況についてお答え願いたいと思います。
○福永子ども家庭部長 延長保育の実施率でございますけれども、平成十一年度のデータによりますれば、私立の保育所は二百六十六カ所で、実施率が四六・七%でございます。公立の保育所は二百六十カ所で、実施率が二五・七%ということでございます。
○近藤委員 今、延長保育のことだけ数字が出たわけですけれども、私立だと四六・七%ですか、公立だと二五・七%。大分、私立と公立で、延長保育の実施状況に差があるように感じるんですけれども、この辺の理由というのはどうなんでしょうか。
○福永子ども家庭部長 公立の保育所におきましては、公務員ということもございまして、区の中で、労働組合等の合意も得る必要があると考えております。
○近藤委員 申しわけありません、ちょっと最後の部分が聞き取れなかったんですけれども、労働組合の何とおっしゃったんでしょうか。部長、済みません、ちょっと声が小さくて聞き取れなかったんです。
○福永子ども家庭部長 組合等との合意を得る必要があろうかというふうに考えております。
○近藤委員 組合等の合意を得る必要があるというお話でございましたけれども、今、部長がおっしゃったように、女性の就労形態の多様化によって、少なくとも延長保育というのは、どの保育園でも実施していただかなければ、働く女性にとっては大変負担な状況にあると思うんですけれども、今のところ、状況を見ますと、私立保育園にお願いしながら延長保育の実施が行われているような状況である--数字的に見ればですね。
労働組合の合意が必要であるということでございますけれども、労働組合の方は、女性の就労形態の多様化というような実態については、ご理解いただけないんでしょうか。
○福永子ども家庭部長 延長保育の必要性については、それなりのご理解はされているかと思います。
○近藤委員 理解がされているにもかかわらず、延長保育の実施が私立に比べて大分低いというようなことは、どこが理由なんでしょうか。
○福永子ども家庭部長 延長保育に当たりましては、勤務のローテーションであるとか、あるいは人員の配置の問題だとか、そういったこともあるというふうに聞いております。
○近藤委員 そうしますと、公立の保育園で、延長を初めとする、女性のさまざまな就労形態の多様化に、つまり、ニーズに合うような保育がなかなか進んでいかないという中で、この認証保育園というのは、そういったすき間を埋めていくといいますか、公立保育園での延長保育ですとか休日保育といったような保育がなかなか進んでいかない現状を前にして、それを打開していく一つの解決策という位置づけというふうに考えさせていただいてよろしいんでしょうか。
○福永子ども家庭部長 認証保育所は、保育サービスを必要とする人が子どもを安心して預けることができるように、待機児の特に多い低年齢保育や需要の高い延長保育を義務づけるなど、保育ニーズに的確に対応し、また、ベビーホテルに頼らざるを得ない人や、二重保育をせざるを得ない人たちのニーズにこたえ、母親が安心して働き続けられるように、子育ての経済的、心理的負担の軽減を図ろうとする制度でございます。
○近藤委員 少し具体的に伺いますけれども、実際にさまざまな就労形態があるという中で、この東京都の独自の認証制度ということについては、どういう保育を重点的に、この認証保育園の中で行っていくというような方向性が出ているんでしょうか。
○福永子ども家庭部長 今後、制度の概要を固めることになりますけれども、その際、サービスの内容としては、現在、二時間以上の延長保育を実施すること、ゼロ歳児保育を実施すること、認証保育所のうち、定員二十名以上のA型の認証保育所につきましては、定員の五割以上はゼロ歳から二歳児までの低年齢児を対象とすることなどを考えております。
○近藤委員 今、部長のお話からA型というお言葉が出ましたけれども、どうも伺っているところによりますと、この認証保育の中にはA型とB型という二通りのタイプがあるようですので、私は、今回、A型のタイプについて具体的に何点か伺っていきたいと思っております。
これ、新聞記事の中の文面でございますけれども、都が公認する認証保育所は、認可保育所より基準を緩やかにした上でということがございますけれども、都が行いますこの認証保育所と、今までの認可保育所、基準が緩和されるということですけれども、具体的にどういう点で今までより基準が緩和されるんでしょうか。
○福永子ども家庭部長 認可保育所につきましても、国の規制緩和を受けまして、認可基準を国基準ということにしたわけでございますけれども、認証保育所につきましては、国の認可基準でございます人的配置基準でありますとか面積基準につきまして、現行の基準を一部緩和していきたいというふうに考えております。
○近藤委員 今、現行の基準を一部緩和するというふうにおっしゃいましたけれども、現行のどういった基準を一部緩和していくんでしょうか。具体的に何点かお願いします。
○福永子ども家庭部長 認可保育所の施設基準でございますけれども、ゼロ・一歳につきましては一人当たり三・三平米以上ということでございます。認証保育所のA型につきまして、標準の基準といたしましては、同じく一人当たり三・三平米以上ということでございますけれども、弾力化基準によりまして、二・五平米以上にまで弾力化を考えております。
また、人的な配置基準でございますけれども、常勤の保育士の割合、認可保育所につきましては八割ということでございますけれども、現在、A型につきましては、これを若干緩和していきたいというふうに考えております。
また、有資格者の割合につきましても、認可保育所は十割ということでございますけれども、認証保育所のA型についても、これを若干緩和していきたいというふうに考えております。
○近藤委員 今、三・三平米を二・五平米にというお話がございましたけれども、人的なところは、八割を若干緩和すると。若干とおっしゃいましたけれども、この具体的な数字についてはまだ煮詰まっていないというふうにとらえさせていただいてよろしいんでしょうか。
○福永子ども家庭部長 現在検討しているところでございまして、年度内には固めていきたいというふうに考えております。
○近藤委員 今までも、認可保育所といいますと、いわゆる個人の方が経営なさることが多かったと思うんですけれども、この東京都の今回の認証保育所の場合には、経営主体を一体どういうところに考えていらっしゃるのか、その辺のところをちょっと伺いたいんです。
○福永子ども家庭部長 設置主体につきましては、社会福祉法人、学校法人、宗教法人、民間事業者等、特に問いませんけれども、経営努力といいますか、そういったものを発揮できるのは、民間事業者が中心になろうかというふうに考えております。
○近藤委員 今、民間事業者というお話が出ましたけれども、今まで、いわゆる認可保育園の場合には、保育料については応能負担の考え方だと思いますけれども、これから、今おっしゃった民間、この認証保育所の場合には、民間が入ってくるということになりますと、保育料は、上限は国基準ということで八万円ですか、ということがあるかと思うんですけれども、いわゆる応益負担の考え方というふうになるのではないかと思います。
片や認可保育園については応能負担、そしてこの都がこれから新しく立ち上げられます認証保育園については、保育料については、私の個人の見解ですけれども、応益負担的な考え方ではないかというふうに思います。
同じ保育行政の中にあっても、全く違う保育料の考え方が出てくる。まさしく利用者がそれぞれの選択によって保育所を選んでいくというような、二十一世紀型のそういう選択肢がふえていくということが、東京都の一つの政策かなというふうに思いますけれども、この大きな保育行政の中にあって、今回、東京都が新たに出されております認証保育所の位置づけというものは、どういう形で既存の保育行政の中に組み込んでいかれるおつもりなのか、それの大きなくくり、枠組みのようなものをお答えいただきたいと思います。
○福永子ども家庭部長 認証保育所は、認可保育所に準じた施設規模あるいは人員配置ということで、民間事業者等が参入した場合に、経営努力といいますか、適正な負担で多様なニーズにこたえていけるというふうな保育所を考えておりますので、認可保育所を補完するものといいますか、認可外の保育所ではありますけれども、極めて認可保育所に近い保育レベルで、なおかつ多様な保育ニーズにこたえていこうという新しい制度だと考えております。
○近藤委員 認可保育所を補完するというお話が出まして、認可保育園の国基準を幾らか緩和するというお話が出ました。緩和するという話が出ますと、今までの保育のレベル、質的にも、量的なことも含めて、今までのレベルは維持できるのかというお話が必ず出るかと思うんですけれども、その辺のところをきちんと行政としてチェックできる制度というのは、この認証保育園の中にはあるんでしょうか。
○福永子ども家庭部長 認証保育所につきましては、面積基準や職員配置基準などの運営の基本につきましては、事業者が、認可保育所の国基準をベースといたしまして、それに準じた形でございますけれども、経営努力を発揮し、弾力的な運営ができるように、一部緩和することを想定しております。
また、多様なサービス事業者が参入いたしまして、保育ニーズに的確に対応することによって、利用者本位のサービスのレベルアップが促進されるものと考えております。
保育所の運営につきまして、安心して子どもを預けられるよう、都と、実施主体でございます区市町村がともに指導を行うことによって、サービス水準を確保できるというふうに考えております。
○近藤委員 今、部長の方から、経営努力という言葉が出ましたけれども、いわゆる今までの福祉や保育という考え方の中では、企業の経営努力という考え方というのは、水と油の考え方だったような気がするわけです。ですから、経営努力も結構なんですけれども、その前に、今、私が申し上げた、国基準を緩和した状況の中で、無認可保育園で子どもの虐待の問題なんかも表ざたになりましたけれども、実際問題、きちんとした--最低限というと語弊がありますけれども、今キープされているような保育のレベルが、今後とも、この認証保育園で、国基準を緩和した後も、必ずキープされているというようなことを、行政の中で立ち入って調査をするだけの制度、きちんと担保できるだけの制度というものをこの中に組み込んでいく、もしくは組み込んでいるというような状況があるんでしょうか。もう一度その点をお尋ねします。
○福永子ども家庭部長 先ほども、運営につきましては、都と区市町村がともに指導を行っていくというふうにお答えしましたけれども、それ以外には、保育事業者につきまして、情報の提供ということを求めまして、財務内容でありますとか保育内容等についても情報を公開していただいて、利用者の選択によって監視をしていただくというふうに考えております。
○近藤委員 では、具体的に伺いますけれども、平成十三年度に向かって、この認証保育所について、福祉局として予算要望はどの程度の金額になさっているんでしょうか。
○村山企画担当部長 十三年度予算要求といたしまして、私どもとしては、十二億五千万ほど要求いたしているところでございます。
○近藤委員 きょう私はA型について伺っているわけですけれども、この認証保育所の制度については、部長がおっしゃったように、A型、B型両方あるわけで、十二億五千万円という金額は、A型、B型合わせた金額ということでよろしいんでしょうか。
○村山企画担当部長 そのとおりでございます。
○近藤委員 では、具体的に、A型、B型に分けて、それぞれ何カ所ずつ幾らというような具体的な予算の配分について、今ご答弁願えますでしょうか。
○村山企画担当部長 箇所数につきましては、A型が十カ所、B型につきましては百カ所程度を予定しているところでございます。
細かい数字の積み上げは、要求段階ですので、現在のところでは詳しくは申し上げられないところでございます。
○近藤委員 これは十三年度の予算ですので、こういった記事が新聞等に載りますと、各区市町村は、自分のところでもこの認証保育所を立ち上げたいというようなご希望があるところもあるんじゃないかというふうに思うんですけれども、具体的な補助基準ですとか、今までの無認可の保育所に対する補助と比べて、どういうふうにこの認証保育所の補助の制度が違うのかといったところがはっきりしませんと、やりたくても手が挙げられないというのが実情ではないかと思うんです。
まず伺うのは、従来の無認可保育所、つまり、無認可の中でも、都が補助をしている、その枠の制度と、今回の認証保育所の制度、どこがどういうふうに補助の制度が違うのか、ちょっとお尋ねしたいと思います。
○福永子ども家庭部長 今まで、無認可の保育所で都が助成しておりますのは、認可外の保育室と家庭福祉員でございますけれども、保育のレベルといいますか、人的配置基準でありますとか面積基準等が、認可保育所に比べまして下回る水準でございますので、助成の額についても、認可保育所のレベルを下回る助成をしているところでございます。
認証保育所につきましては、国の認可基準に準じた基準ということでございますので、それに準じた額の助成を予定しております。
○近藤委員 私が伺いたかったのは、従来の補助制度ですと、いわゆるハードのところには、無認可の場合、補助が出なかったのではないかと思うんです。ただ、この認証の場合には、施設面にも補助が出るというようなことで、区市町村としては、無認可の中でこういう補助をつけようと思っていたところが、こういった新しい制度ができて、施設面にも補助が出るというようなことで、無認可よりもこの制度を選択して、こちらで行こうというようなところがあるように聞いていますけれども、それについてはいかがですか。
○福永子ども家庭部長 施設整備でございますけれども、認証保育所のうち、A型で、特に駅前保育所につきましては、イニシアルコストといたしまして、施設の改装経費等について助成を考えているところでございます。
○近藤委員 済みません。細かい話になって恐縮なんですけれども、基本的な補助の体系、例えば運営経費がどういう割合で、区市町村と都の持ち出しがどのくらいになるのか、また、イニシアルコストはどの程度都が持ってくださるのかといったようなことも含めて--区市町村でも、ちょうど来年度に向けての予算要求の佳境に入っている時期ですので、こういった新聞記事で、新しい事業を平成十三年度から立ち上げますよということを都がおっしゃっても、具体的な補助制度のことに触れていただかないと、区市町村にしても予算の取りようがないというふうに、嘆きの声が聞こえてくるわけです。
せっかく東京都が来年に向けての目玉の事業として立ち上げている事業ですから、さっき、A型については十カ所というお話がございましたけれども、なるべく十カ所すべてで実施をしていただきたいということを考えますと、都としても、この補助の具体的な内容、金額等も含めて、早急に区市町村に示さなければならないというふうに思いますけれども、その辺の準備の状況というのはどうなっているでしょうか。
○村山企画担当部長 実は、あした、区市町村に対して、福祉局の来年度予算要求の中身について説明をさせていただく予定でございます。その際、認証保育所制度についてもご説明をさせていただこうかというふうに思っておりますが、要求段階でございますので、さっき先生にご指摘いただいたような十分なご説明ができるかどうかについては、今のところまだあれでございますけれども、精いっぱい、今の段階で申し上げられることについては、明日説明させていただきたいと思っております。
○近藤委員 国制度を緩和するということについて、どの程度緩和になるか等も含めて、まだ細かいところは出ていないということで、現場にとりましてはいろいろ不安はあるかと思いますけれども、特に待機児が多い区市町村については、この事業をどうしても立ち上げたいというふうに思っているところも多いと思いますので、なるべく早い段階で、明日、細かい補助の制度まで出るかどうかわからないというお話も出ましたけれども、なるべく前向きに検討している区市町村の足を引っ張ることがないように、早い段階で制度の枠組みというものをお示しいただきたいということを、一つ要望させていただいて、次のがんばろう東京福祉包括制度について、簡単に何点か伺っておきます。
この包括制度については、それぞれの区市町村が、独自の考え方で、本当に自分の地域に必要な施策を立ち上げるということで、意味があるというふうに私も考えております。何度となく質疑されたことですけれども、一応、本年の取り組み状況について簡単にご説明いただきたいと思います。
○村山企画担当部長 この事業は、ことしの新規事業でございまして、第一回定例会でご議決をいただきました後に、五月に区市町村で説明会を行いました。
この事業は新しい補助事業で、区市町村にいろいろ企画を立てていただくというような、今までになかった補助でございますので、六月は、各区市町村ごとにヒアリングを行いまして、それを踏まえていろいろプランを立てていただいたということでございます。
それを踏まえて、七月に、九月補正を行う区市町村があるということで、早く内示をというようなご要望もございましたので、七月、八月と、第一次内示をすることにいたしまして、四十八区市町村、三百七十六事業、二十二億ほどを第一次内示というふうにさせていただいたところでございます。
その後、九月には、準備が整ったほかの自治体のために、第二次内示ということでいたしまして、現在、全体三十億のうちの九四%に当たる二十八億二千万ほどを、もう既に内示を済ませておりまして、それぞれ執行いただいているところでございます。
○近藤委員 今、平成十二年度、本年度のことについて伺ったわけですけれども、来年度に向けて、九月に各区市町村のヒアリングが行われたというようなことを聞いております。各区市町村から出てきた、ヒアリングの時点での大まかな金額で結構ですけれども、来年度の要望の金額はどの程度だったんでしょうか。
○村山企画担当部長 ことしはスタートが遅かったという点が反省点でございましたので、今、先生ご指摘のように、八月下旬から九月上旬にかけて、ほぼ一カ月にわたりまして、来年度に向けたヒアリングを実施いたしました。五十二区市町村について、それぞれ行わせていただきまして、補助希望額を伺ったわけでございますが、現時点におきましては、既に、ことしの予算額三十億円を超える三十一億円が希望額として集計されているところでございます。
○近藤委員 既にもう現在のところで、ことしの予算額を超える要望があるというお話がございましたけれども、福祉局としては、この包括事業、平成十二年度から始まったばかりですけれども、もう九月の段階で予算額を超えるというお話がございましたが、これに向けて、この辺で切ってしまうのか、それとも、まだ九月の段階ですから、これから年度末に向けて、さらに各区市町村からの要望も上がってくるのではないかと想像するわけですけれども、この辺について局としてはどういうふうな対応をなさるおつもりでいらっしゃるんですか。
○村山企画担当部長 本事業、こういういい方が適切かどうかわかりませんけれども、区市町村に非常に好評でございまして、先ほどお話にございましたような状況もございますので、今後とも、各区市町村からお申し出があれば、受け付けながら、できるだけ我々としては、十三年度においてご要望にこたえさせていただきたいというふうに思っておりまして、今度の十三年度の予算要求におきましても、十二年度の三十億円を五億上回る三十五億円ほどを要求させていただいているところでございます。
○近藤委員 三十五億というお話でございましたけれども、逆に、九月の段階で予定を上回るだけの要望が来ているということでございますので、三十五億程度でいいのかというような気持ちもいたします。
これも、包括補助という形の中で、地方分権が進んで、それぞれの地域の中で本当に必要な施策を入れていくという、新しい福祉の流れの東京都の一つの基本的なというか、二十一世紀に向かっての新たな流れですので、三十五億というような消極的なことをおっしゃらずに、さらに、少なくとも要望のある--今、松本先生、大きくうなずいていらっしゃって、大変力強く私は思っているわけでございますけれども、要望のあるところについては、なるべくつけられるだけの予算はつけていただくというような積極的な対応をしていただきたいと思いますし、それにつきましては、精いっぱい、各会派で応援をしていきたいというふうに思いますので、その辺のところについては、もう少し細かくご指導をいただければというふうに思いますので、ぜひよろしくお願いして、私の質問を終わります。
○小松委員 それではまず、保育関係の質疑からお願いしたいと思います。
今や出生率は過去最低といわれており、特に東京に至りましては、九九年度は一・〇三人と、九八年の一・〇五人をさらに〇・〇二ポイント低くしているわけです。
こうした少子化傾向が続いているにもかかわらず、一方、保育所では待機児がふえているということ、これは、保育所の整備などが、少子化などを含めて少子化対策が不十分なために、出生率が上向きにならないという悪循環が続いているといっても過言ではないでしょう。いずれにしましても、保育所、とりわけ乳児の保育所整備が急がれるわけです。
そこで、まずお伺いしますが、待機児の実態とその解消策です。一定、資料もいただいておりますので、それらも使ってご説明いただきたいと思います。
○福永子ども家庭部長 待機児の状況でございますが、東京都全体で見た場合、保育所の定員は入所申込児童数を上回っておりまして、本年四月現在で、定員のあきは約八千人ありますが、待機児は七千七百二十五人となっております。
また、平成十一年四月では七千三百九十一人、平成十一年十月では一万二千二百十三人ですが、待機児のうち、保育室や家庭福祉員で保育を受けている児童数を除いた実質的な待機児童数では、平成十二年四月一日は六千六百五十五人、平成十一年四月は六千三百六十五人、平成十一年十月では九千七百八十二人でございます。
待機児が発生する理由といたしましては、地域別の保育需要と供給とのアンバランスによるもの、年齢別受け入れ枠と需要との不一致によるもの、延長保育の実施等保育サービス内容に格差があるもの、保育方針や取り組み内容等により特定の保育所を選考するなど、保護者側の理由によるもの等が挙げられます。
都といたしましては、待機児を解消し、利用しやすい保育所とするためには、地域需要に合わせた定員数、年齢別取扱構成の見直しの促進、延長保育、ゼロ歳児保育を初め、ニーズに応じたサービスの充実、定員の弾力化の推進、認可外の保育室、家庭福祉員の活用等の取り組みを行い、実施主体の区市町村に対して支援してまいります。
○小松委員 結局は、待機児がつくられていくというのは、これは親がつくったわけでも、保育者がつくったわけでもない、要するに、少子化だからと、小手先といっては失礼かもしれませんが、そうしたやり方で今までしのいできたと。この行政の失敗というか、こういうものだったと思うんですけれども、今こそ、やはり高い水準にある東京での保育、とにかく保育園をたくさんつくること、多様なニーズにマッチした保育園をつくることなわけですね。
それで、そうした待機解消のために、今いろいろいわれましたが、ちょっと今気になっているのは、解消の一つとして、保育の規制緩和という話が出てきております。
この保育の規制緩和について何点か伺いたいと思いますが、厚生省がことしの三月--これまで通達を出しております、いわゆる国の規制緩和でありますが、この内容を確認したいと思います。
○福永子ども家庭部長 規制緩和の概要ですが、第一は、設置主体制限の緩和でございます。これまで社会福祉法人に限定されていた保育所の設置主体を、民間事業者等に拡大するものでございます。
第二は、定員要件の緩和でございます。保育所の定員要件を、三十人以上から二十人以上に引き下げるものでございます。
第三は、施設自己所有規制の見直しでございまして、これまでの不動産の自己所有規制を見直し、土地、建物等の賃貸方式を認めるものでございます。
○小松委員 まず国の規制緩和を伺ったわけですので、お答えはそれで結構ですが、そうしますと、今回のこの規制緩和で、社会福祉法人以外の者にも保育所の設置を認可するとしたわけですが、これは、厚生省が、一九六三年以来、一貫して、私人の行う保育所の設置、経営は社会福祉法人が行うものであることと限定し続けてきたわけですね。
それは何でかといいますと、この目的に書いてあります、保育事業の公共性、純粋性及び永続性を確保し、事業の健全なる進展を図る、このことにあったのではないでしょうか。
今回の規制緩和、これとの整合性をどう考えておられますか--考えたらいいのかということになりますか、新しい通達のもとに、厚生省はこの観点を放棄したというか変えてしまったというのか、その辺のとらえ方をお伺いしたいと思います。
○福永子ども家庭部長 国は、今回の認可保育所の設置主体の制限の撤廃は、最低基準を満たす認可保育所をつくりやすくし、待機児童の解消等の課題に各地方公共団体が柔軟に対応できるようにする観点から行うものであるとしております。
社会福祉法人以外の者が設置する保育所につきましても、児童の適切な処遇が確保されるよう、児童福祉施設最低基準の遵守義務等、児童福祉法上の規制が同様に課されるものであり、整合性はとれていると考えております。
○小松委員 確かに法律上は、社会福祉法人に限らず、だれでも保育所を設置できる、この法律をよく読みますと。これは昔からそうなんですよ。にもかかわらず、東京都は、先ほど申し上げましたように、私人の行う保育所の設置、経営は社会福祉法人の行うものという、ここを限定して、これに非常にこだわってきたんです。これが一体何だったのかということを、今ここでしっかりと、これ以上聞きませんから、しっかりとこの辺をとらえていただきたいし、やはりその意味では、国が何をいわんとしているのかということでも、私たちは考えていかなければならないんじゃないかというふうに思うんです。
そこで、新しい通達のもとでは、営利企業も、保育所の設置、認可を得ることができるということですね。営利企業が経営者であっても、認可保育所である限り、区市町村は保育の実施を委託できますし、委託費が払われるわけです。この委託費は、委託された事務以外のために用いることはできないわけですね。したがって、企業が、この公金である委託費からは利潤を上げることはできないはずなんです。
そこで、この営利企業が経営する保育所に、区市町村は補助金を支出できるのでしょうか。補助金の基本的な考え方を伺いたいと思います。
○福永子ども家庭部長 認可保育所につきましては、職員の配置基準や面積基準など国の最低基準に従って認可された保育所に対しましては、設置主体を問わず、運営費の負担金及び国庫補助金を支出することとしております。
○小松委員 それでは、補助金交付、これには公益上の必要が認められるからだと。
ところで、今回の通達、運営費については、保育所運営のために用いる経費であるという基本原則を変えていないようですが、運営費の概念が大幅に拡大されたと聞くわけですが、どのように変わったのでしょうか。また、運営費の算出方法は従来と変わったのでしょうか。
○福永子ども家庭部長 保育所運営費の運用でございますけれども、適切な施設運営が確保されていることを前提といたしまして、弾力的運用が認められたものでございます。
保育所運営費の使用の範囲は、人件費、管理費、事業費と各区分に定められておりますけれども、一定要件がすべて満たされた場合に当たっては、各区分にかかわらず、充当することができるというふうにされたわけでございます。
さらに、児童福祉施設の最低基準の遵守、人件費の運用が適正であることなど、一定の要件すべてを満たす保育所は、長期に安定した施設経営を確保するための経費を積立預金に積み立てることができるとされました。
また、延長保育、一時保育、乳児保育、休日保育のいずれかを実施する保育所にあっては、同じく児童福祉施設の最低基準の遵守、人件費の運用が適正であることなど要件すべてを満たせば、民間施設給与等改善費、いわゆる民改費に相当する範囲で、同一の設置者が設置する保育所のために、保育所の土地または建物の賃借料にも充てることができるというふうにされたわけでございます。
○小松委員 今の話を聞くと、大変な運営費の概念の拡大だと思うんですが、これは、都がそういう解釈をしているのか、それとも、国の方から今のような形でいわれているのか。今、そのまま国がこういっているんだよと受け取ってしまっていいのか、それとも、都の解釈として今のような解釈をしているというのか、ちょっとそれを確認したいと思います。
○福永子ども家庭部長 今回の規制緩和につきましては、国の方針でございますけれども、都におきましても、待機児解消等の課題に対しまして、区市町村が柔軟に対応できるようにするという観点から、認可基準についても国基準としたものでございまして、都においても、それを受けて整合性を図ったということでございます。
○小松委員 国はそういっているけど、都はこういうふうに解釈するよということですね。
そうしますと、今の経費は、保育所運営費として認められなかったものまで入っているわけですね。運営費が変質するという第一歩になる可能性があると見てもいいんじゃないでしょうか。
運営費の算出の方法が従来と同じというのですから、この使途を大幅に拡大して、管理費部分で新規の支出費目を認めた結果、これまでの支出費目の支出が縮小されはしないでしょうか。すなわち、事業費や人件費が減らされていって、管理費でふやす、こういった方向が大変懸念されるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○福永子ども家庭部長 今までの認可保育所の運営費につきましては、それぞれの費目ごとに事細かに規制がされておりまして、保育所において、創意工夫でありますとか経営努力といったものは全く反映されないような仕組みでございましたけれども、今回の規制緩和を受けまして、保育所による創意工夫等によって、それぞれ必要な資金を積み立てたり、あるいは土地や建物の賃借料にも充てるという形でございまして、あくまで保育所の経費という中での充当というふうに聞いております。
○小松委員 大変心配なんですけど、具体的に、東京でも、江戸川、板橋、これから東村山と、こうした企業参入の保育園ができつつあるんですね。
私が聞いたところでは、板橋のベビーホテルが、十月三十一日に認可をとって、十一月一日には開所したと。こんな安易なやり方というのでしょうか、前日認可をとって翌日開所したなんていう、私は余り聞いたことがないんですけど、こういうことができるのでしょうか。
○福永子ども家庭部長 お尋ねの板橋区におきます株式会社立の保育所でございますけれども、実施主体でございます板橋区では、待機児解消のため年度途中の定員の弾力化を図っても、なお不足するということでございまして、今回の株式会社立の保育所の設置申請がなされまして、認可の要件を満たしておりますので、認可したところでございます。
○小松委員 これからは、そうすると、駅前ベビーホテルが認可されていくなどということが起きていくということなのでしょうか。非常に懸念するわけです。
東村山にも、企業の保育園が認可申請をし始めているわけですけれども、ここなどは、例えば住民などにも説明会はしておりますけれども、この保育園の平面図を見た保母さんが、えっ、これが認可保育園ともうびっくりしまして、そして、それこそ保母さんたちの力で、この設計図、ここはせめてというようなことで修正させたというとんでもない実態があったり、また、まず最初に立派に置いたのは、ホールにでっかいテレビ--保育園でテレビというのは、余り必要ないんですよね、質の高い保育をやっていれば。何であれだけ大きなテレビをあの大きなホールに置いたかという、そういうとても心配な保育園ができてくるということに対して、東京都は今後、どういう形で対応されていくのでしょうか。
○福永子ども家庭部長 保育所の認可につきましては、施設の最低基準を満たしているということでございますれば、認可をするということでございます。
○小松委員 そうですね。そうやって、机の上では確かにそのとおりだと思います。
怖いのは、この利潤追求の企業経営で、利潤が追求されなければ撤退する、こういうことが考えられないでしょうか。それで、それらはどういう対応をされるのでしょうか。
○福永子ども家庭部長 認可保育所の創設については、実施主体でございます区市町村が、保育所の待機児童数を初め地域の保育需要の分析及び推計を踏まえ、保育計画を立てた上で認可申請を行うものでございまして、ご心配のような問題は生じないと考えております。
○小松委員 介護保険のときにもこういう論議がありまして、そういうことは決してないと。今後は、こういう企業がお互いに競争し合ってということがあったわけですが、介護保険はまだ半年ですね。もう既に撤退した事業者がいるわけです。それは、やはり企業ですから、利潤が上がらなければ撤退するんですよ。
福永部長がそうやって、本当にそういうまじめな態度でやられる企業の保育だったら頑張るかもしれませんけれども、今の保育のこの企業参入というのは、利潤追求を目的とする企業が何のために保育園をやるのかなと、その辺が一つあるわけで、先ほどから伺っておりますと、それは、ちゃんとプールもできるんだ、人件費だけじゃなくて、こっちにも使えるんだと、そういうところが非常に気になるわけなんですけれども、これらについて、私どもしっかり見詰めていかなくてはならないと同時に、この規制緩和の保育園で、これで認可保育園が足りるとしたら、これは大きな間違いだよということを、一つきちっと指摘しておきたいと思います。
そして、今回さらに問題なのは、この国の規制緩和と一緒に、もう一つ、都が、今までの都基準から国基準へ認可基準を引き下げてきたわけですね。この規制緩和の最も大きな問題というのが、国基準への引き下げ、これにあるのではないかというふうに思うんですけれども、この中身について伺います。
○福永子ども家庭部長 規制緩和に基づきます今回の都の措置でございますけれども、国における規制緩和を受けまして、事業参入への条件を認める認可条件といたしまして、多様な主体の参入を図る観点から、認可の基準については国基準としたところでございまして、民間事業者等に、都が独自に厳しい基準を課すということについては、規制強化につながるということから、国基準にしたわけでございます。
○小松委員 規制強化につながる。私、この保育園での規制緩和とか規制強化とか、規制という言葉自体が非常におかしいと思うんですね。規制というよりも、それは本当に、ここまで保育はなくてはならないよという規制ではなくて、それは高める基準だという、高い保育をする基準じゃないんですか。
ここでちょっと伺いますけれども、この国基準というのは、いつ決まったものでしょうか。
○福永子ども家庭部長 規制緩和につきましては、本年の三月三十一日でございます。
○小松委員 違う違う、国基準。--済みません、私のいい方が悪かったのでしょうか。規制緩和ではなくて、今、東京都が基準を決めている、これは都加算ですね。国基準がありますが、この国基準というのはいつ決められたものでしょうか。おわかりでしょうか。
○福永子ども家庭部長 先ほど申し上げましたように、国の規制緩和によって国の基準が変わりましたので、今の基準というのは、ことしの四月からということでございます。
○小松委員 いい方が悪かったようですね。私が申し上げましたのは、今、都加算をしていますね。ですから、今の国基準というのは、これは四月からじゃないんですよ。そういう表はちゃんとあるはずなんだけれども……。
一覧表がありましたでしょう。例えば平米数は、東京都は五平米ですけれども、国は三・三、ゼロ歳児については、東京都は看護婦や保健婦を置くけれども、それは、置くのが望ましいといっているけど必置制ではないとか、それから人員配置では、ゼロは三対一ですけれども、一歳児については、東京都は五対一だけど六対一とかありますね。調理員については、東京都は百人について三人だけれども、国は百五十人まで二人だとか、栄養士もいいとか、そういう国基準がありますでしょう、この四月に変わったものではなくて。
四月に変わったのは、国基準というより国の規制緩和ですよね。だから、昔からあるこの国基準、これはもともといつごろ決まったのですか。
○福永子ども家庭部長 委員のお尋ねは、たしか都基準といいますか都加算ということで、調理員でありますとか、先ほどのあれでいいますと、一番古いのは、昭和三十八年に暖房費の加算がされたという経緯がございます。
○小松委員 ここで、そのことが主要な問題ではありませんので--これが決められたのは、私も今ここで何年といい切れませんけれども、一九六二年とか、もっと前かなという感じもします。たしかそのぐらいで、そして、都加算ができたのが一九七一、二年から七〇年代ですね。それで、都加算がどんどん出てきたのではないかと思うんです。
ですから、この国基準というのは、部長もそのぐらい頭にないように、今決まったものではないんですよ。もう三十年、四十年という中で、ずっとこの国基準は変わらないんですね、その当時と。これだけ情勢が変化して、いろいろなものが変わっても、国基準は変わっていないんですよ。都基準は、その後、よりよい保育を求めながら変わってきたものなんですね。それを私の方から申し上げたいと思います。
ですから、何を申し上げたいかといいますと、余りにも低過ぎた国基準じゃなかったのかと。それにきちっと対応したのが都基準じゃなかったのでしょうかと。それを今回、都の加算をこうやって国基準にしていくということは、三十年、四十年前に戻すことになりはしませんかということを申し上げているんです。
これを少し具体的に申し上げますと、先ほど申しましたように、例えば、ゼロ歳児がいても、看護婦は別につけないからといって、だめよということにはならないと。匍匐室も調乳室もない、栄養士もいなければ、調理員も百五十名まで二名という、都基準とは余りにも格差が大き過ぎるわけです。
これを一つ一つやっていると大変ですから、今、一つだけ例を挙げて、例えば、その看護婦や保健婦が、ゼロ歳児保育にとってどんなに大切かと。これは、ゼロ歳児保育だけでなく、保育園にとって本当に大切なんだということを、保育士さん方が声をそろえて、また、お母さん方もそれを望んでいられるというのを私はお聞きしました。
ゼロ歳児というのは、熱が上がったり、熱性けいれんの子が多い。子どもの健康状態が今非常に悪くなっていると。こういうときに、保育士がもし慌てたとしても、看護婦にいつもきちっと対応してもらえるんだ、だから看護婦というのは、ゼロ歳児だけではなくて、保育園の中で必要ですと。
例えば、一日をとってみますと、看護婦は、朝の視診ですね。そして、一人一人の子どもを見て、きょう外に出られる子はだれ、プールに入れる子は、普通食を食べられる子は、アレルギーはどういうという一日の過ごし方を判断して決めるわけですね。健康状態をチェックする、ここから始まるというんですよ。栄養士と話し合って、献立も決めていく。一人一人について、大変きめ細かな保育ができているということですね。脊椎検査だとか発音検査だとか、科学的データも常に看護婦がとっていると。
ですから、産休明けで看護婦がいなければ、これは大変なことになる。たとえ救急処置ができるもしほかの人がいたとしても、看護婦は、きちっとそれをプロとして持っている。事故があったとしても、救急車が来るまでには五分以上はかかる。その間の処置が大事なんだということを考えますと、本当に看護婦というのは大切な役なんです。
私も昔、無認可保育園をやりながら、今度は私立の保育園にしたときに、そこに、十カ月の子どもで、何か毎日熱を出す、おかしいと。医者に連れて行ったら、風邪ですよといわれる。でもそのときに、うちの方は保健婦だったんですけれども、保健婦が、ただの風邪ではない、大きな病院できちんと診てもらいなさいと毎日見ながらいって、大きな病院に行ったら肝臓がんだったんですね。それは、手術をしてもしなくてもフィフティーフィフティー。手術にかけたんですけれども、助かって、今、そのお子さんというか、その方は、もう三人の立派なお母さんです。もしあのときに、あの保健婦さんがいらっしゃらなければ、恐らくあの子の命、なかったんじゃないかなというふうに思うわけです。
それほど看護婦とか保健婦というのは、保育園にとって大変大切な役。これを、国基準ということで、いてもいなくてもいいよなどとやってしまう。これは、このこと一つとっても大変な問題だというふうに思いますけれども、こういうことに対してどう認識しておられますか。
○福永子ども家庭部長 都におきましては、社会福祉法人が運営する保育所におきまして、都の補助基準を満たせば、新規の施設を含めまして補助対象とするということでございます。
○小松委員 全然答えになっていないんですよ。何のために私一生懸命時間を割いて--これでもかこれでもかというつもりはないですけれども、これだけ看護婦さんは大切なんだよ、これをどう認識しているんですかというのに、今のお答えは何ですか。部長さんもお子さんを育てられたんじゃないんですか。保育園にはやらなくて、余りわからない--でも、幾ら新しくても、やっぱりこういう今の東京の保育園の看護婦一つとっても、この大きな大切な力というのをしっかり見詰めていただきたいと思うんですけれども、いかがですか。
○福永子ども家庭部長 国におきましては、安全な乳児保育を実施するためにも、必置ではございませんけれども、保健婦または看護婦を配置することが望ましいとしております。
また、都におきましても、先ほどご答弁申し上げたとおり、社会福祉法人が運営する保育所につきましては、ゼロ歳児保育で看護婦が従来どおり配置されていれば、都加算の対象とするということでございます。
○小松委員 そういうことで、こうした保育園に対して、国基準、まして企業参入、こういうダブルの形で、保育の質が落ちざるを得ないのではないかというふうに思うわけですよ。これを私がここで質問しても、落ちますとはいわないよね、恐らく。いや、それはきちんとやっていきますというお答えが来るんじゃないかと思うので、これはもう、そうどんなにいわれても落ちていくんですよね。
そして、実際に、さっきおっしゃっていましたけど、定員の弾力化でも、保育がよくなるはずはないんです。厚生省も、これをよしとしているのではなく、緊急避難的なものなわけですから、自治体の責任でということにはなっているわけですので、この辺をきちんととらえていただきたい。
今、看護婦の世界ではクオリティー・オブ・ライフといわれているように、保育の分野でも、保育の質が大きな課題となっているわけです。国基準、企業参入で、果たして質の高い保育が期待できるか、これは、はっきり否です。ここでは、保育の質などという言葉も死語になりはしないか、大いに心配されるところである、このことを指摘しておきたいと思います。
そして、先ほど認証保育所のことが質問に出ましたので、これも幾つかお聞きしておきたいと思います。
先ほどのご答弁を聞いていますと、一番多く使われた言葉が、何と経営努力--経営努力だったんです。私、保育の話を聞いていたら、保育士さんの本当の努力、また経営の方の経営努力というよりは、質を高める内容の問題、こういうのが出てくるのかと思いましたら、経営努力というそこだけで、経営努力を発揮できるのは民間事業者だと。これは、悪いいい方をしたら、安上がり保育ができるということではないのでしょうか。
私の住んでおります東村山なんですけれども、ここでの認可保育所の役割は、今から既に三十年前に、もう障害児保育を始めて、そして特例保育、そのときはまだなかったんですけれども、時間延長保育を始めて、そのためにきちんと保母さんをつけて、その運動をして、その中で子どもたちがすくすくと育ちました。
ですから、例えば、細かいことですけれども、食器一つにしても、プラスチックは使わない。全部一緒になるような、お皿一つで済むようなものは使わない。陶器を使って、これは落とせば割れる。やはり子どもは、食器を落としたら割れるんだよ、そして、御飯は御飯、おかずはおかずと一品ずつ並べる、これが日本の食じゃないかということで、こだわっておられました。
そういう中で、ゼロ歳児も九人いても、冬の間お休みしないという、毎日、保育士さんの努力によって、風邪を引く子もいないという、そうした保育を続けてきた。これからこの保育所が、今建てかえつつありますけれども、これでもし、認可が国基準ですとかいうことになったらどうなんだろうと、お母さん方も、それから保育士さんも大変心配されています。そういうことですので、認証保育の前に、そのことをしっかり申し上げておきたい。
そして、さらに、この認可が、認証保育所のレベルにシフトしていく心配はないのかなとすごく気になりましたけど、いかがでしょうか。
○福永子ども家庭部長 多様なニーズに的確にこたえ、待機児を解消していくためには、認可保育所のサービスの充実や定員の弾力化などを進めることが必要なのは当然でございます。
しかしながら、今日の認可保育所の実態によりますと、大都市特有の多様なニーズにこたえられない面があるのも事実でございます。
今回の認証保育所の創設は、こうした多様なニーズにこたえようとするものでございまして、多くの働く女性の要望に即したものと考えております。
○小松委員 非常に矛盾していますね。認可だと多様なニーズにこたえられないものがあって、認証保育所だと多様なニーズにこたえられるのですか。これは納得いきませんね。
先に行きますけど、この認証保育所は、先ほど補完的役割といいましたけれども、緊急避難的なものといういい方はできませんか。
○福永子ども家庭部長 先ほどご答弁申し上げましたように、認証保育所につきましては、途中入所でありますとか、あるいは二時間の延長保育の義務づけでありますとか、そういった現在の待機児解消のために、あるいは多様な保育ニーズに柔軟に対応していくという観点から創設するものでございます。
○小松委員 はっきりわかりませんでしたけれども、あくまでもこれは認可保育所とは違うんだということを--一つお願いしたいのは、例えば待機児の解消は認可保育によるんだということがいえないのでしょうか。
すなわち、今は、無認可保育所に子どもを預けていても、その翌年、認可保育所なり公立保育園に行けるんですね。申し込めるんです。むしろ無認可に預けていたお子さんの方が優先されるというような傾向もあるわけですけれども、これはどうなのでしょうね。認可への希望はできるのか。すなわち、待機児の扱いにするのかどうかということをお聞きしたいと思います。
○福永子ども家庭部長 待機児童の保護者の状況でございますけれどもフルタイムの勤労者の方が一九%、短時間の常勤の労働者の方、あるいはパートタイマーの方が四〇%、求職活動中の方が三六%等ということでございまして、必ずしも、待機されている方が翌年度申し込まれても、定員に余裕がない場合については、短時間労働者でありますとか求職活動中の方については、入所できないケースがございます。
○小松委員 そういうことをお聞きしたんではないんですね。この認証保育所に入れていたら、いわゆる待機児童扱いになるのかと。そういう扱いになれば、公立や認可保育所に申し込んでも入れますね。わかりますか。要するに、この認証保育所というのは、保育料は今の都基準の保育料にならないわけでしょう。そうすると、あくまでも今でいうならば無認可に近い方ですよね。だからやはり待機児扱いになっていくんではないかと。
児童福祉法、前は二十四条のただし書きがありましたけれども、今、これがたしかなくなっていると思うんですね。そういう意味で、この待機児の解消は認可による、これはもう法的原則があるということを、ここで明確にお答えいただきたいと思うんです。
○福永子ども家庭部長 国におきましては、保育所に入所の申し込みをして、入所要件には該当しておりますけれども、入所できずに待機しているものを待機児童といっております。一定の基準を満たして、都と区市町村が補助している保育所や家庭福祉員の利用者について、都では公的助成を行っておりますので、都の方では、実質的な待機児童という形で、それを除いた形で先ほど来説明しているとおりでございます。
○小松委員 おかしいじゃないですか。私は、厚生委員会の資料に待機児の一覧表を出してくださいと申し上げましたところ、この中には、待機児の一覧表が一四ページにあるんですね。保育所入所待機児童数の推移というのが書かれておりますね。これは、ここに書いてあるように、括弧内はということでしょう。実際の数字は、国が扱っている数字は、保育室や家庭福祉員で保育を受けている児童数というのも、国はこれを法的に待機児とみなしているわけですよ。東京都はいつからこれを除いちゃって--ちゃんとだから、こうやって資料を出しているじゃないですか。今の答弁、おかしいんじゃないですか。今まであちこちで、待機児童といわれたら、そういう形でお答えになっていたんですか。
○福永子ども家庭部長 国におきましては、保育室や家庭福祉員等で保育をしておりましても、申請をすれば、待機児の扱いとして、選考の対象になるということでございます。
○小松委員 そういうことでしょう。だから、四月時点、十月時点でいう、いわゆるこの待機児というのは、無認可の数というのは待機児の中に入っているということで、確認でよろしいですね。首を縦に振っていただければ、それで結構です。
その次ですが、この待機児解消という言葉のもとに、かつて東京にもありました別枠保育園、本当に昔ありました。こうした保育園を生み出さないためにも、行政の責任を明確にしていただきたいわけです。睡眠時間を除いて一日の半分以上を保育園で過ごす子どもたちにとりましては、保育園はまさに生活の場そのものであり、成長の場でもあるわけです。と同時に、若い働く父母にとりましては、安心して働ける就労保障の場でもあるわけです。
少子化を含めまして、最近の子どもたちを取り巻く情勢は大きく変化し、親も子も、そして保育者も、それぞれ大変厳しい状況下に置かれております。そうした中での保育園の役割はすこぶる大切であるわけですが、この保育園の今日的役割に対する東京都の基本的な理念を伺いたいと思います。
○前川福祉局長 先ほど来議論をいただいておりますが、私どもは、現在の保育行政の一番の問題は、保育の質の確保が十分でないということだと考えております。具体的にはどういうことかと申しますと、例えば、実際に保育所に子どもを預ける場合に、保育所に子どもを預ける親が、保育時間であるとか保育内容であるとか、あるいは保育所の場所であるとか、それを自由に選択できるかというと、これはできないわけであります。保育所のサービスの水準についても、これは選択できないわけであります。これは、これまで行政主導の、いわばお仕着せ型の規格的な保育サービスをやってきた、ここに根本的な原因があると私どもは考えております。
こういういわば行政と社会福祉法人だけの世界を開放して、もっと開けたものにしていく。具体的には、いろんな事業主体をふやして、それによって、今東京の子どもが必要としている保育サービスの質と内容を確保していく、これが今私どもが考えている認証保育所制度の根本的なねらいであります。その辺については、残念ながらいささか見解が違うようでありますけれども、私どもは、こういう発想で、東京の保育の充実に向けて全力を挙げてやっていきたいと考えております。
○小松委員 いささかの認識の違い--いや、いささかどころではありませんね、天と地の違いがあるように感じましたけれどもね。行政のお仕着せとおっしゃったでしょう。そうですか。私は、やはり今まで行政が措置制度で、そして東京都では、全国の水準を本当にトップに持っていきながら、都加算をしたり公私格差是正をしたりということで、大変高いレベルの保育をしてきた、今日的役割を果たしてきたのが東京の保育園の保育だろうというふうに思うわけです。
そういう意味で、今までやってきている東京都の保育、保育園のこのあり方、これに対しての都の所見、認識、見解というのでしょうか、どなたにお答えいただけますか。
○前川福祉局長 私どもは、これまでの保育行政が間違っていたとは申しておりません。それは、これまでの時代の中で、東京のいわば父兄の保育需要にこたえるという意味では、大きな役割を果たしたと思っております。ただ、今時代が変わってきているわけであります。要するに、今必要なのは、東京の保育の質の問題であります。保育所というのは、いわば行政のためにあるわけでもなければ、社会福祉法人のためでもなければ、子どものためにあり、働く父母のためにあるわけであります。その願いにこたえるための保育サービスを適切に提供していく、これが、これから私どもに必要な、いわば行政の責務であろうと思っております。そのために望まれる保育行政のシステムをつくっていく、それは私どもの役割であります。
○小松委員 今でやめておこうと思ったんですが、東京の保育の質の問題、これは一致するんですよ。まさにそうなんです。その質の問題が、今最高なところにあると。これよりもっとよければいいんですけれども、今、局長さんや東京都が考えているこの東京都の保育園、保育所、認証制度もそう、それから規制緩和もそう、これで果たして質が上がるんですかと。多様なニーズにこたえるということが、こうやって規制緩和をすることなんですか。都の基準を引き下げて、長い間本当にぶら下げてきたこの国の基準に引き下げることなんでしょうか。決してそうではないと。
今大切なのは、この親の要望という、安心して子どもたちを預けられる保育所、これが質的にも量的にも確保されなければならない。これは、保育者と父母、そして行政が、この東京都ですよ、皆さんもそうだったでしょう、守り続けてまいりました東京の保育を後退させることなく発展させていくことを--もうお答えはいいです、強く求めて、この保育問題を終わりにしたいと思います。
あと一点は、障害者福祉の問題です。
ことしの一定で決められました障害者児の手当や医療費助成の見直しは、この四月から六十五歳以上の新規対象者を除外し、所得制限が強化されたり、新たに導入されたりで、対象者に大きな影響を与えております。この影響額をどの程度と見ているのか。
また、例えば、医療費助成、九九年、二〇〇〇年、それから来年二〇〇一年、これで約六十億の減額になるように私見ているんですが、これでよろしいんでしょうか。この中身はどうなんでしょうか。
○谷川障害福祉部長 医療費助成でございますけれども、平成十一年度が二百三十三億円、十二年度が二百三億円、十三年度が約百四十一億円でございます。これは、平成十二年九月一日の制度改正による影響を反映したものでございます。重度手当は、十一年度が七十六億、十二年度が同じく七十六億、十三年度が七十億でございます。福祉手当につきましては、十一年度六十四億、十二年度六十六億、十三年度六十五億、平成十二年八月一日の制度改正による影響でございます。ただし、重度手当の所得制限の導入につきましては、経過措置を講じていることから、平成十二年度予算には影響は出てございません。
○小松委員 ありがとうございました。やはり大変な減額の対象になっているわけですけれども、これら見直しの対象になった人ですね、推計でもわかりましたら、お願いしたいと思います。
○谷川障害福祉部長 医療制度の九月の改正の影響につきましては、推計値で申し上げますと、旧制度の対象者十四万五千四百人のうち、入院時の食事代のみの負担となる方は八万一千六百人で五六%、老人保健法の負担と同じ負担となる方が五万七千五百人で約四〇%、三つ目として、所得基準により通常の医療保険制度が適用になる方は六千三百人で約四%でございます。
重度心身障害者手当につきましては、三カ月以上の入院で九月末に資格喪失になる方は七百二十二名でございます。その他は、推計で申し上げますと、新規六十五歳以上で対象外になる方は、約二百名でございます。所得制限を超過された方につきましては、今年度は経過措置で従来どおり六万円の手当が支給されておりますので、影響はございません。
心身障害者福祉手当につきましても推計で申し上げます。区部は財調で措置されておりますので、市町村分になりますが、所得基準の適正化によるもの千六百人、新規六十五歳以上で対象外になる方につきましては、約七百人と推計してございます。
○小松委員 全都のこの大きな人口からすれば、ほんの一部といわれるかもしれませんけれども、大変な方々が見直しによって大変な負担を負うていらっしゃる。これからさらにその負担が大きくなろうとしていらっしゃいます。私は、何人もこういう方々から訴えられましたが、一人、二人、ご紹介いたします。
Aさんは、ひとり親で、三人のお子さんのお母さんですが、そのうちお二人が障害者です。お二人のうち一人は重度で一級です。もう一人の下のお子さんもIQ三度か四度、ちょっと忘れました。小さいお子さんたちですけれども、お母さんが公務員であるということで、今度の見直しのすべて対象になってしまわれました。これから、今は六万円はまだありますけれども、これもだんだん切られていく。そして、今まだ病気はしないけれども、これで病気でもしたらどうしよう。私も今は元気だからいいけれども、実際に、朝、お二人の障害者のお子さんを別々なところに送らなければならない。それを送っていくのに、自分一人ではできないから、近所の人にほんの少しのお礼をしながら頼んでいく。帰りもそうだと。自分は仕事が本当に厳しいけどやめられないと。もちろんそうですよね。だから本当に人より余分にお金がかかる。
車も乗れないから、その子どもをどこかに連れていこうと思ったら、常にタクシーを使わなければらない。確かに福祉タクシーの券はあるけど、そんなもの、もう全然間に合わない。一体私はこれからどうしていこう。そして、重度のお子さんをどこかの施設に預けたいということで、せんだっても、その施設の判定会議がありました、たった一人応募されるということで--ところが、たくさんいらして、それに入れなかったということで、東京都も、本当に施設もない、足りないということで、こうしたお母さんの嘆き。
またBさんは、十八歳のダウン症のお子さんをお持ちで、この方は両親そろっていらっしゃって、やはりこの方もご主人の収入でオーバーしてしまいました。オーバーしたからそれだけ収入があるだろうというけど、実はダウン症のお子さんは、このダウン症というのは、心臓に欠陥がある方が多いんですね。ダウン症でもこれは一種一級です。大変重度です。心臓に欠陥があって、杏林病院まで毎月行かなければならない。もちろんそのときにはタクシーを頼まなければならない。自分も働きたいけれども、この子がいるので到底働けない。こういう子であるために、何かダウン症というのは、鼻が低くて、そして耳鼻科に通わないとならないんですって。それから内臓にも疾患があるということで、とにかく医者代だけで大変と。
早速、九月からだけれども、ちょっと風邪を引いただけで、この間六千何がし払ってきた。このほかに大学に行っているお兄ちゃんがいて、その子にもお金がかかる。まだ今は本格的じゃないけれども、これでまたすべてこの手当が切られ、医療費を本格的に払うようになってきたら、一体我が家はどうなるんだろう、こうおっしゃっていました。それでも、まだうちはいい方なんだ、もっと大変な人がある。
例えば双子で障害になると--やはり一卵性だと、お二人障害児になってしまう。二人障害児でも、この児童育成手当は親にということですから、一人分しか見てくれない。そういうことで、挙げれば切りがないんですけれども、本当に大変な負担を強いられている方々です。こうした方々のやはり実態をどうつかんでいらっしゃるか。無理だとしたら、今後どういう形で--実態をつかんでいただきたいんですね。そういうことで、これは質問も兼ねながらお願いなんですけれども、どうでしょうね、この実態をつかむというところで。
○谷川障害福祉部長 ただいまいろんなケースをお話しいただいたわけですけれども、この手当あるいは医療制度のみで東京都の福祉が成り立っているというふうに我々は考えているわけではございません。障害に応じて自立できる、社会的に自立できる、社会参加できる、その方策を総合的に考えていく中での今回の改正だと我々は認識してございます。
○小松委員 私も、もちろんそうだと、すべてが手当だと思いません。しかし、この手当があったからこそ今までやってこれた。中には、そういうお子さんであるがために、もっと安いところのマンションとかアパートにいてもよかったのを、病院の近く、学校の近くにわざわざ引っ越してきた。この近所にはそんな安いところもなかったと。そういうことも聞かされるわけですから、こういう方々は、私たちが考えられないほどそういう思いをしていらっしゃる。
それを助けていたのが、東京のこの手当だったり、医療費助成だったりしているわけですから、これは大変なことと。ぜひ実態をつかんでいただいて--だから実態調査ですね。実態を調査していただいて、これらに対して何らかの対応ができないかということを、これは強く求めておきたいと思います。
そして、さらに今、きのうきょう、国会ではあのような騒ぎでしたけれども、国の老健法が改定、私は改悪といいたいんですけれども、されようとしております。これによりますと、七十歳以上のお年寄りが、まあ一割の定率ということがいわれておりますけれども、もしこうなった場合の影響の規模はどうなっていくのか、これらは対象者にどう見込まれていくのか、心身障害者医療費助成制度に連動させられていくのか、その辺お答えいただきたいと思います。
○谷川障害福祉部長 老人保健法等の一部改正につきましては、現在、国会で審議されてございますけれども、主な内容は、外来一部負担金及び入院時の食事代の額の改正でございます。外来一部負担金につきましては、通院一日につき五百三十円であったものが、診療所では、月四回まででございますけれども、一日八百円の定額制、あるいは上限月三千円の定率一割でございます。それから、病院では、病床数に応じた上限額、二百床以上と二百床未満に分けてございまして、それぞれ五千円、三千円の一割の負担となってございます。入院につきましては、一日千二百円だったものが、一月の上限額を三万七千二百円とする定率一割負担でございます。また、入院時の食事代の負担につきましては、二十円引き上げられて七百八十円となるところでございます。
そこで、心身障害者医療費助成制度の対象者の自己負担につきましては、都条例の規定により、老人保健法に準じた負担をいただくことになりますが、都では、条例で本制度の対象者の八割を占める低所得者につきましては、入院時の食事代の負担のみと負担を軽減しているため、負担増は若干であると考えてございます。
○小松委員 確かに入院時の入院給食だけというのは、それでも大変助かるわけですけれども、この制度というのは、やはり多く病院にかかった人が大変なんですよね。元気な人は、一割であろうと何であろうと関係ないわけですから。ですから、障害者というのは、またとても病気にかかりやすいということで、何らかの対応を求めていきたいというふうに思っております。
二番目には、この障害者施策と介護保険との関連でお伺いしたいんですが、そのまず第一番目には、六十五歳以上の障害者が、介護保険になったおかげで、介護保険のサービスしか受けられなくなって、実際にはそれ以外のサービスを自費で払ってきた、私の周りにそういう訴えをされている方もいらっしゃいました。実際は、三月二十四日ですか、厚生省からの通達で、障害者施策も受けられるはずだと思いますが、中身をお答えください。
○谷川障害福祉部長 障害者施策と介護保険に共通するサービスは、原則として介護保険から受けることとなってございます。例えば、ホームヘルプサービスについては、六十五歳以上の障害者は、介護保険の保険給付としてサービスを受けることとなってございます。しかしながら、全身性障害者について、社会生活の継続性を確保する観点から、介護保険の保険給付ではサービスが不足すると区市町村が認めた場合には、引き続き障害者施策から不足する部分のサービスを提供することができるようになってございます。
また、コミュニケーション援助等の固有のニーズに基づくサービスが一般的に必要と認められている聴覚障害者、視覚障害者、内部障害者あるいは知的障害者については、介護保険の要介護認定の結果、非該当あるいは該当にかかわらず、区市町村が特に必要があると認めた場合には、引き続き障害者施策から必要なサービスを受けることができる、このようになってございます。
○小松委員 今お聞きしておりますと、区市町村が認めるときはという言葉が何度か出てきておりましたが、具体的に、区市町村のだれが何を基準に判断するんでしょうか。
○谷川障害福祉部長 具体的には、区市町村の障害福祉主幹課において判断し、認定していくものと考えてございます。
○小松委員 そうしますと、区市町村によって判断は異なることになるのではないでしょうか。この通達というのは厚生省から受けたわけですが、東京都が受けてから、区市町村のどこに出して決定されていますか。
○谷川障害福祉部長 介護保険制度と障害者施策との適用関係、これらについては厚生省から各種通知が参っておるわけですけれども、これにつきましては、区市町村の障害福祉主幹課長あてに送付し、障害者への通知をお願いしているという状況でございます。
また、区市町村の障害福祉主幹課長会あるいは実務担当者に対する説明会の機会を通じまして、常に周知を図っているというふうに考えてございます。
○小松委員 ですから、区市町村の窓口に障害者ワーカーという形で位置づけられているところはスムーズにいくんですね。実際は、六十五歳以上の方は、介護保険の方、高齢の方に行ってしまうと、これがなかなか連動されてこない。こうした障害者ワーカーというような位置づけ、対応ができている区市町村は少ないというふうに思うんですけれども、今これらの対応、区市町村の実態、ご存じでしょうか。
○谷川障害福祉部長 各自治体ごとに、先生おっしゃった障害者ワーカーがどうなっているかというのは十分知っておりません。ただ、身体障害者福祉司は、障害者福祉法に基づきまして、各区市の実情に応じて、係長級の職員を各自治体とも任用している、このようには認識しております。
○小松委員 東京都も大変お忙しいと思うんですけれども、この介護保険についても、障害者施策についても、都として、今は分権によって同等になったとはいうものの、指導の責任がありますので、ぜひそうした実態を把握していただきたい。
もう一つ大事なことは、ケアマネジャーがこの通達内容をしっかり身につけているかどうなのかということなんですけれども、ここに対する徹底というのは、これは介護保険室ということになるかもしれませんけど、たまたま幸か不幸か、幸ですか、前川局長が両方兼ねてもいらっしゃいますので、この障害者におけるというところでお伺いしたいと思います。
○前川福祉局長 介護保険制度のかなめをなすのはケアマネジャーでございまして、ケアマネジャーに対して行政の現行施策の周知徹底を図るというのは、これは当然のことでございます。私ども、現在も努力しておりますけれども、特に来年度に向けまして、ケアマネジャーの役割に対する支援といいますか、そういったものを考えておりますので、その中でも徹底していきたいと思っております。
○小松委員 そうですね。ぜひ徹底していただきたいんですが、ただ心配は、民間のケアマネジャーですと、やはりみずからのサービスに取り込みたくなるというのは、これは情けですよね。例えば、一つの例として、テレビと洗濯機が買いたいとある電気屋さんに来たと。その電気屋さんが、うちではテレビ買いなよ、だけどお隣でとか、あの電気屋さんで電気洗濯機買ってあげなという、こういうことはいわないで、やはりテレビも電気洗濯機もうちで買ってくださいといいたくなりますから、それと同じように、介護保険でという、民間のマネジャーだとそういうことになる。やはり介護保険でということになりますと、障害者にとっては費用負担が多くなるわけですから、その辺をケアマネジャーと、できたら身障ワーカーがきちっとタイアップできるような、そういう指導をぜひしていただきたいと思います。
そこで、確認したいんですが、この通達をよく見ますと、全身性障害者がホームヘルプサービスを受けるときは、介護保険で基準額の五割以上利用していれば、後は障害者施策から必要なサービスを提供することができると確認してよろしいですね。
○谷川障害福祉部長 今のご質問ですけれども、国からの通知を読ませていただきたいというふうに思います。というのは、さまざまな条件がついておりますので、漏れるといけないと思いまして、読ませていただきます。
ホームヘルプサービスにおいては、介護保険法の保険給付に比べてより濃密なサービスが必要であると認められる全身性障害者(両上肢、両下肢のいずれにも障害が認められる肢体不自由一級の者及びこれと同等のサービスが必要であると市町村が認める者)については、社会生活の継続性を確保する観点から、介護保険では対応できない部分について引き続き障害者施策から必要なサービスを提供することができることとする。なお、本措置については、〔1〕、介護保険の一週間当たりの訪問通所サービス区分の支給限度基準額まで介護保険のサービスを受ける場合であって、かつ介護保険の訪問介護、これは訪問ヘルプサービスでございますけれども、訪問介護を〔1〕の基準額のおおむね五割以上利用する場合に対象とするものとする、このように厚生省からの通知が来てございます。
○小松委員 厚生省はどうしてこんな難しいいい方をするんでしょうね。聞いていても、非常によく読み込まないとわからない。でも、実際にはそういうことでよろしいというふうに確認します。
また、コミュニケーション援助等の固有のニーズに基づくサービス、これは社会参加ですけれども、これには、先ほどもありましたように、聴覚、視覚、知的障害、内部障害者、まあだれでもといったらあれですけれども、市町村が認めれば、サービスを求めることができるということですよね。
○谷川障害福祉部長 この点についても、厚生省からの通知が来ているわけですけれども、ただいま委員がおっしゃった内容でほぼ間違いないというふうに考えております。
○小松委員 ほぼとおっしゃらないで、間違いないとおっしゃってください。
何で今こんなわかり切ったやりとりをするかといいますと、中身が余りにも障害者の方に知られていないんです。障害者運動をされている団体の方などは、比較的そういう仲間からお聞きして、よくご存じのようです。しかし、余り障害者、そういう周りとの関係がない方が、本当に知らないで、うっかり何万というお金を払っちゃったとか、サービスを受けられないで我慢しているとか、そういう実態があるわけですね。
私、あちこちの区のワーカーにお聞きしたりしていましたら、大変忙しいのもあるけれども、やっぱり区役所、市役所というのは申請主義なんですね。保健所のようにみずから行くわけではないので、来れば親切にみんな教えてあげている。しかし、自分から出かけていってというようなことをやっていない。そのために情報提供が非常に徹底されていないということがありますので、ぜひ情報提供をしっかりとしていただきたいと思います。
もう一つ、この通達の最後に、パンフレットの通達がありますけれども、そこに研修未受講のヘルパーについてというのがあります。これは、まさに今、障害者に対するホームヘルパーですね、介護保険になりまして、資格がないときちんとしたヘルパーとして認定されないということでございますが、実際には、この方々、もう長い間障害者の方と非常にコミュニケーションもできて、しっかりとヘルパーができている。
この通達では、こういう方々を、速やかに所要の研修を修了して、介護保険の訪問介護員などとなれるよう必要な対応をすることを条件として、平成十二年度に限りということで、国庫補助の対象にして九五%出すということですけど、これを、ことしだけで、来年切っちゃうというのはちょっと無理だと。ぜひ十三年、十四年も続けられるようにということが一点。
そして、今までこうやって対面でヘルパーをやられてきた方々に、皆さんと同じように一律に五十時間ですか、そういう講習を受けなくても、研修を受けなくても済むようなやり方ですね、それから金銭的にもそうです。そうしたものを、きょうはもう質問しません、ぜひ厚生省の方にも強く要望していただきたいということをお願いさせていただきたいと思います。
次に、補装具の問題についてですけれども、介護保険制度になりまして、介護保険利用の障害者の補装具がレンタルになったわけですけれども、どうしてレンタルになったんでしょう。
○谷川障害福祉部長 介護保険制度では、福祉用具のうち、腰かけ便座、特殊尿器等特定福祉用具については給付で行きます。車いす等その他福祉用具については貸与となってございます。また、その理由についてでございますけれども、明確には、現在国の方は発表していない、このように所管の方から聞いてございます。
○小松委員 明確に聞いていないという、国も明らかにしていないというようなおかしな話で、ぜひ、それならばやはりこれはレンタルではなく、この補装具、特に車いすなどについては、今までのオーダーメードでしていただきたいと。
なぜかといいますと、やはり車いすというのは、特に体に合わないと大変なんですね。やっぱりレンタルにしたために--同じ障害者でも、細いやせた方もいらっしゃれば、私のようにという人もいらっしゃいますし、というように、それに一応合わせたいろんなサイズがあるのでしょうけれども、また手の力の弱さですとか、いろいろあるわけですので、不満の声が大変大きいわけですね。ぜひそういう形にできないのかということです。
○谷川障害福祉部長 介護保険制度では、既製品の車いすを身体状況に合わせ調整していくと、このようになってございます。しかしながら、身体の状況によりまして、既製品では対応ができない、このように市町村が認めた場合には、身体障害者福祉法に基づいて、補装具としての給付が身体障害者更生相談所の判定依頼に基づいて、それが可能になってきてございます。身体障害者更生相談所が、身体障害者の障害の状況によりまして、オーダーメードの車いすが必要であると、このように判定した場合には、区市町村は、補装具としてオーダーメードの車いすを給付する、このようになってございます。
○小松委員 そういうことなんですね。でも、レディーメードでもよいと判定されましても、体に合わなかったり、納得がいかなかったりすることが多いんですよ。同じ車いすでも、大変卑近な例ですけれども、本当に自分ではもう動かせない、特養なんかにいらっしゃる方で、常に後ろから人の手を借りないと車いすを動かせない人と、それからまた、この間のパラリンピックなんかすごいですね。ああいう方々でも、六十五歳になったって、その辺を私たちが歩いたりするよりよっぽど速くきっと歩くんじゃないかと思うんですよね。それでも、あなたはレンタルですよといわれたんでは大変です。
また、今、電動車いすがありますね。あれは、今はオーダーで使っているけど、あなたはもうレンタルですといわれて、急に今度は手動になった、これでは大変です。こういった体の一部として使っている車いすなどは、自分の体に合うように身につけられるよう、ぜひ国に要請すると同時に、できたら、それまで都単でもやれないことはないと思いますけど、努力していただきたいと要望しておきます。
最後に、障害者が地域でも生活していける支援ということで、生活寮やグループホーム、これらについて伺います。
成人を迎えた障害者、または親亡き後、障害者が地域の中で健常者とともに生活し続けられるためには、ケアつきの住宅提供が大変重要であるわけです。それが知的障害者の生活寮だったり、グループホームだったりすると思います。東京都は、これからこれに相当力を入れるということですが、そこで伺うんですが、生活寮の概要、設置状況、資料でいただいている分もありますけれども、これらと、このうち国のグループホームに指定されているものをお聞かせ願いたいと思います。
○谷川障害福祉部長 ことしの七月一日現在の状況でございますけれども、生活寮、都内に百六十八寮、八百三人の定員を持ってございます。このうち、今、委員おっしゃいました国制度のグループホームに指定されているものは、七十五寮、定員で三百三十二人でございます。
○小松委員 大分長い間見てきますとふえてはいるんですけれども、まだまだ量的にも不足しているんではないかと思うんです。待機者、希望者、この実態をつかんでいらっしゃるでしょうか。
○谷川障害福祉部長 これも、七月一日現在、各区市の状況を調査したところでございますが、その報告によりますと、約三百八十人程度だと認識しております。
○小松委員 ぜひこうした方々が早く希望の生活寮に入れるようにということを望むわけですが、今度新しく体験型生活寮、これを設置されるということですが、どんなものか、内容をお聞かせ願いたいと思います。
○谷川障害福祉部長 体験型生活寮とは、これまでの生活寮と異なりまして、入居期限を定め、指導員等を配置し、身近な地域における生活訓練を行いながら、地元区市町村や施設等と連携し、入居者の自立支援を行うことを目的としているものでございます。また、退寮者を中心に、地域生活を営む障害者の生活支援を行っていくことで、地域支援の核としても整備するものでございます。
十三年度において、このような体験型生活寮をモデル設置するとともに、区市や社会福祉法人等を含めた検討会において、モデル事業の検証、生活寮における地域支援のあり方などについて検討を行っていく予定でございます。
○小松委員 ぜひこうした体験型生活寮、これはモデル的だということですけれども、さらにたくさんの設置をお願いしたいと思うんです。
ただ、ここで一つ私お聞きしたいのは、こうした生活寮の寮母ですとか指導員、ここではやはり、例えば今国なんかは、四人で一つの生活寮などというのがあるようで、そこに寮母さん一人なんですね。寮母さんの動きを、私も近所、比較的、東村山は生活寮が多いものですから、よく見るんですが、ほとんど二十四時間拘束、決して二十四時間拘束しろということにはなっていないけど、結果的にはやっぱり夜遅くまでになっちゃう。朝もということで、土日は帰ることになっているけれども、ぐあいが悪かったり、残りたいという子がいたりということで、本当にお休みのないお仕事をされているんですね。
こうした寮母や指導員さんの、複数配置とまではいいません、四人に二人つけろとまでもいわないけれども、法事があったらぱっとかわれる、寮母さんも有給や年休がきちっととれる、そういった体制というのはできないんでしょうか。
○谷川障害福祉部長 今、委員おっしゃいましたように、国制度のグループでは、四人から七人までで世話人一人と、こういう基準になってございます。都においては、居住者四人につき世話人一人という基準でございますけれども、五人以上であれば、人件費が加算されていくという仕組みにしてございます。また、重度の生活寮については、居住者四人の場合については世話人三人というふうに、都の基準としては考えてございます。
ただ、今先生おっしゃいましたように、世話人の休日などに代休の職員を雇い上げる経費については、東京都といたしましては委託料に算入してございまして、運営主体において代替職員を確保するための経費は見ていると考えてございます。
○小松委員 委託料ということですけれども、例えば具体的に名前を出していいかどうか、育成会のように大変大きなバックですと、そういうことも公募でできるけれど、個人的に委託を受けていらっしゃる方などが、非常にこれが厳しいわけですね。その辺をぜひ改良していただきたいとお願いしたいのと、もう一つは、この寮母さんの身分保障ですね。健康保険もなければ、何らの社会保険もない、社会保障もないということです。ぜひ最低の身分保障、これはやはり労働基準法からいっても、この身分保障はきちっと、社会保障はすべきだというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○谷川障害福祉部長 世話人の身分保障の問題でございますけれども、世話人の身分といたしましては、原則としてグループホームを運営する社会福祉法人等と契約を結んだ私人であると認識してございまして、社会福祉法人の職員である場合もございます。契約方法、退職金の支給を初めとする身分保障については、東京都といたしましては、社会福祉法人の自主性にお任せしていきたいと、このように考えてございます。
○小松委員 やはり、これについても、個人的な委託とか、小さなところへ委託とか、その辺の問題になろうかと思いますので、その辺は、委託するときにやはり身分保障の問題も俎上にのせてということで、今後検討していただきたいことをお願いしたいと思います。
私が申し上げた時間、あと五分になってしまいましたので、急ぎますが、生活寮の整備です。将来計画ということでは、緊急整備三カ年計画というのがとりあえずあるということですが、これらを含めまして、こうした生活寮が今後もっともっと必要になるという観点からお聞かせ願いたいと思います。
○谷川障害福祉部長 生活寮は、地域で自立して生活を送ろうとする知的障害者の居住の場として重要な役割を担っておりまして、その整備は大きな課題である、このように考えてございます。このため、生活寮の定員につきましては、福祉改革ビジョンにより、平成十六年までに千八百十五人分、このうち重度生活寮二百人分を考えてございます。
また、福祉局といたしましては、心身障害者施設緊急整備三カ年計画によりまして生活寮の設置促進を図っていくことを考えてございます。
なお、整備につきましては、区や市の計画、全体の配置状況、地域の障害者の需要などを勘案しながら、できるだけ効率的に進めてまいりたいと考えてございます。平成十二年九月現在、生活寮の定員数は八百十一名でございます。
○小松委員 生活寮のこの整備は、本当に腰を入れてやっていただきたいというお願いをしておきたいと思います。
最後に、この生活寮も含めまして、区市町村移管される事業がいろいろあるわけですけれども、この生活寮はそれが二〇〇三年ですね。ですから、あと二年半ぐらいあるなんて思っていると、すぐなってしまいますので、それに向けての準備とか、区市町村との合意をお聞かせ願いたいと思うんです。
と申しますのは、とても不安に思っていらっしゃるのが、この寮母さんたちは、これで区市町村に移管されて、本当にこの区で、この市で、私たちのこの生活寮、大丈夫なのかしらと。財政、厳しい、厳しいといっているけど、心配しておられます。ぜひこれらをお聞かせ願いまして、これで私の質問を終わらせていただきます。最後にそれを聞かせてください。
○谷川障害福祉部長 国制度のグループホームは、指定権限を区市町村に移譲する方向と私どもも聞いてございます。それに伴いまして、都の生活寮も、指定権限移譲に向けまして、区市町村と緊密な連絡をとりながら着実に準備を進めてまいりたい、このように考えてございます。
○曽雌委員 それでは、認可外保育の充実ということで、私も質問したいというふうに思っております。
既にご案内のとおり、少子高齢社会が進展しておりまして、そういう中にあって子育て環境をいかに整えていくかということは、今後の東京都政の重要なテーマになってきているわけでございます。
その中にありまして、中でも多様化する保育のニーズに対してどのようにこたえていくか、また、このニーズに対していかに柔軟な対応をしていくかということが、今求められているのではないかというふうに私は思っております。
そこで、今日まで柔軟な対応をしてきております認可外保育制度の今後のあり方ということについて考えてみたい、こんな思いがありますので、何点かご質問をしたいというふうに思っております。
まず、女性の社会進出というものが非常に一般化してまいりまして、さらにそれに伴って就労形態も大変に多様化してきております。そうしたことを考えれば、当然、保育サービスに対するニーズはますます多様化してきているわけでございますけれども、中でも延長保育に対するニーズは、通勤時間が長いといった東京の特殊性といいますか、大都市の特殊性もあるわけでありますから、大変に根強い、ぜひ延長保育をしてほしいというニーズはあるというふうに思っております。
東京都が昨年発表しました「データでみる東京の保育」、これを見させていただきましても、いわゆる延長保育を希望している人がかなりいらっしゃって、ゼロ歳児ですと四四・四%、一歳から二歳児ですと三六・九%、三歳から五歳児ですと三三・一%ということで、全体平均で三四・六%のお子さんを保育園に預けているお父さん、お母さん方のご希望としては、ぜひ延長保育をしてほしいということが出ているわけでございます。
そこでお聞きしたいのは、まず現状のデータを詳しくこの保育の中で示していますけれども、これまで、いわゆる延長保育の希望があるにもかかわらず、実際に、延長保育の実施率はどの辺まで来ているのかということが一つ気になりますので、まずその延長保育の実施率の伸びの状況についてご説明いただきたいと思います。
○福永子ども家庭部長 延長保育の実施率の推移についてでございますけれども、八〇年代は、公立保育所、私立保育所、いずれも一〇%未満でございました。九〇年代に入りまして、私立の実施率が増加し、公立を大きく上回り、平成十一年度、私立保育所の実施率は四六・七%、公立保育所は二五・七%、合わせまして三三・二%となってございます。
○曽雌委員 今、八〇年代と九〇年代ということでご説明がありまして、八〇年代と九〇年代を比べますと、ご答弁ありましたけれども、私立についてはかなり伸びているということであります。公立の方も伸びていることはいるんでしょうけれども、こんな伸びでいいのかというのが一つ気になりますけれども、直近の状況はどのようになっておりますでしょうか。例えば、去年、十一年度とか、ことし、十二年度についてはどの辺まで行ったかというようなことを、もしつかんでいましたら、お願いします。
○福永子ども家庭部長 直近の状況ということで、平成十二年度のデータにつきまして、国の補助申請数によりますと、私立は三百二十二保育所、実施率が五六・三%、公立保育所は三百六十二カ所、実施率が三五・八%、合計で六百八十四保育所、実施率が四三・二%でございます。
○曽雌委員 私立とか公立でそれぞれ延長保育が進んできているデータを今お示しいただいたんですが、その中にあって、特に特異な--特異なというのは、特別に取り組みがすばらしいとか、そうでないところといういい方は失礼ですけれども、何か特色的なことでご説明いただくことはありますでしょうか。
○福永子ども家庭部長 今年度に至りまして一〇ポイント伸びておる原因としては、三十分の延長保育という要素があろうかと思います。
○曽雌委員 私が聞くところによりますと、東京二十三区の中の品川区の公立の保育園では、今年度から全保育園でこの延長保育を実施しておるというふうに情報としては聞いておりますけれども、これは確かでしょうか。
○福永子ども家庭部長 どうも失礼しました。品川区では、今年度からの実施率でございますけれども、四十四保育所のうち、四十二保育所で実施しているというふうに聞いております。
○曽雌委員 四十四からある保育園の中で四十二というと、ほぼ一〇〇%に近い形でやっていますよね。そういうふうに非常に取り組んでいるところもあって、それで全体のデータをとってみると、公立の場合には実施率が三六%となってくると。かなり区市町村によってでこぼこがあるのかなというふうに気になっているんです。先ほどもある方のご質問の中に、いわゆるなかなか延長保育が進まない理由は何なんだというようなことのやりとりがあったというふうに記憶していますけれども、改めて確認させていただきますが、公立の保育園で延長保育がなかなか進まない理由というのは、どんなことが挙げられますか。
○福永子ども家庭部長 公立の保育所において延長保育が進まない理由でございますけれども、先ほどご答弁しましたように、やはり勤務のローテーションの問題でありますとか、いろんな人員配置等の問題で、組合との合意を得るのになかなか時間を要するということでございます。
○曽雌委員 相手があることですから、よくわかるんですね、そのことはね。だけれども、現実問題として、品川区のように非常に進んでいるところもある。当然ここも同じような課題を抱えておったんだと思うんですよ。だけれども、それはそれぞれ保育所で働いている職員の方たちと、それから実際に延長保育を進めていこうという区の当事者の方たちとのいろんな話し合いの中で、お互いいろんな協議もしながら、いろんな問題点もあったんでしょうけれども、その問題点をどうやってクリアしながら、多様な保育ニーズで延長保育をしてほしいという希望に対してどうこたえるかということで、相当の恐らく議論がある中でやってきたんだと思うんですよね。
ですから、こういうふうに進んでいるところもあるんですから、例えばそこがどういう形で、どういう問題をどのようにクリアしながら実施をしているのかと。また、実施したことによってどういうメリットがあったのかとか、当然そういったことについては、都の方としてもそれを精査されて、都としては、恐らく延長保育を進めていきたいという考えを持っているはずですから、であるならば、そういう品川なら品川の例等も参考にしながら、関係の他の区市町村にもそうしたもののデータとかやりとりの内容なんかについても参考としていろいろと情報を提供していただいて、やはりたくさんの方たちが望んでいる延長保育を進めていくという取り組みをしっかりとすべきではないのかなというふうに思っています。
それは、さっき申し上げたように、相手がありますから、一方的にやれということをいっているんではなくて、一方で都民のニーズとして、延長保育をしてほしいというニーズがある以上は、それにはこたえていく。なぜそういうニーズがあるかというと、先ほど申し上げたように、女性の社会進出というものもあるし、就労形態の状況もあるし、通勤時間が長い問題とか、いろいろな問題がある中にあって、それぞれ延長保育をしてほしいという声があるというのは、それはそれで当然のことだというふうに思います。
一方では、そこで仕事をしておられる職員の方たちのいろんなご意見もあろうと思います。それを、私は何も片方のことをどうこうせいというんじゃなくて、現実に進んでいるところもあるんだから、そういう例を参考にしながら、東京全体としてこの延長保育が進むような努力をしてほしいというふうに思うんです。この点についてはどうでしょう。
○福永子ども家庭部長 ただいま品川の例を参考に、東京都全体でできるだけ多くの区市町村が延長保育を推進するようにというお話でございましたけれども、私どもといたしましても、できるだけ多くの区市町村が延長保育に取り組んでいただけるように、今後とも努力してまいりたいと考えております。
○曽雌委員 よろしくお願いいたします。国の基準に基づく認可保育所では、制度や運営が余り弾力的でないことなどによりまして、こうしたたくさんの方たちの多様なニーズがあるにもかかわらず、なかなか十分にこたえ切れていない現状があるわけで、私は非常に残念でありますし、早くこの部分は、今、部長からもご答弁ありましたけれども、解消できるように、これは公立だけじゃなくて、私立も含めて取り組んでいただきたいというふうに思っております。
こうした現状の中で、東京都の認可外保育サービスというのがあります。このサービスの制度として保育室の制度がありますけれども、この保育室はもともと午後七時までの保育というものを基準としている、基本としているわけでありますから、いわば延長保育の実施率となれば、一〇〇%だというふうにいっていいんだと思っております。既存の認可保育所だけではなかなか解決できなかったきめ細かい保育ニーズに対して、柔軟な運営でこたえながら、待機児の解消にも大きく役立っているというふうに私は受けとめております。
そこで、ちょっとお聞きしたいのは、東京都の中にある保育所の数のことなんですが、認可保育所の数、それから無認可の保育所の数、それぞれの定員、さらにそれらの保育所に対して、東京都として補助金がどの程度渡っているのかということについてご説明いただきたいというふうに思います。
○福永子ども家庭部長 保育所の数でございますけれども、公立が千十二カ所、私立が五百七十二カ所、合わせまして千五百八十四カ所でございます。定員でございますけれども、十二年四月の直近の状況で申し上げますと、合わせまして十五万二千九百八十三人でございます。
予算については、時間を若干いただきたいと思います。
○曽雌委員 認可の保育園と認可されていない保育園との仕分けは出ますか。
○福永子ども家庭部長 無認可の保育室でございますけれども、十一年六月一日現在という数字でございますけれども、二百五十五カ所で、定員が三千五百五十四人でございます。
○曽雌委員 予算の方は、出なければ後でいいですよ。後で教えてください。
現在では、先ほども議論があったんですが、約四千人を超える子どもさんたちが保育所に預けられているわけですけれども、いわゆるさっき延長保育の実施率は一〇〇%だというふうに私申し上げました。保育室制度というのがあって、四千人ぐらいの子どもが保育室で頑張っているわけですけれども、東京の保育サービスの一翼を担ってきたということは、これは非常に紛れもない事実で、私はよかったというふうに思っております。
そういうことを受けて、先ほどもお話が出ていましたけれども、福祉局は、今回、十三年度の予算要求の中で、この認可外の保育分野に新しい認証保育所という制度を導入しようということで方針が固まったということで、新聞報道等にもなったわけでありますけれども、これについて、大都市東京の特性にこたえるための新しい発想と積極的に受けとめる声も大きいわけでございます。しかし、一方では、この中でいっているA型、B型という内容がありますけれども、特にこのB型と呼ばれている制度につきましては、現行の保育室制度との関係などについて、若干の不安があるということでの声も私たちのところに寄せられているわけでございます。
そこで、東京都が今考えている認証保育所の制度の概要について、先ほど制度創立の目的についてはご答弁がありましたから、それは結構なんですが、そこの部分を省いていただいて結構ですから、概要についてご説明をいただきたいと思います。
○福永子ども家庭部長 まず、認証保育所の種類でございますけれども、民間事業者の運営による都市型の駅前保育所を念頭に置きましたA型と、現行の保育室からのレベルアップを念頭に置いたB型の二種類がございます。
規模でございますけれども、A型が定員が二十人から百二十人、B型につきましては六人から二十九人ということでございまして、いずれもゼロ歳児保育及び二時間以上の延長保育を実施することを義務づけることとしております。
○曽雌委員 規模の設定について今お話しいただきましたけれども、それらの答弁からうかがい知るところでは、新しい認証保育制度のB型は、現行の保育室のレベルアップのために創設された制度であるというふうに私は受けとめております。
この制度を創設することによりまして、保育室制度が廃止されてしまう、あるいは補助額がカットされてしまうのではないかという、こういったような心配の声を上げている方たちもいらっしゃるわけでございますけれども、このあたりの不安に対して、やはり明確に東京都のお考えというものをお示ししておいた方がよろしいんではないかと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
○福永子ども家庭部長 認証保育所制度の創設によりまして、現在の保育室制度を廃止することはございません。しかし、東京都全体の認可外保育のレベルアップのために、できる限り新しい認証保育所制度のB型に移行していただきたいというふうに考えているところでございます。
○曽雌委員 保育室制度そのものをなくすことはないということで答弁がありました。現行の保育室から新しい認証保育所B型に移行するということを期待しているんだということでございますけれども、移行すると、利用者や事業者にとって、どのような影響だとかメリットがあるのかということが気になるところでございます。
大事なことは、先ほど来、やりとりの中で、局長もご答弁していましたけど、やはり保育所にお子さんを預けるわけですから、預ける側のお父さんやお母さん方、またその保育所で生活をする子どもたちの、そういう立場に立った考え方が大事になってきますので、そういう面で、都の方がいろいろと考えていただくことについては、それはそれでいいんですけれども、問題は、その利用する者と、それから事業者にとってどんな影響、またメリットがあるのかなということが気になっていますので、その点を簡潔にご説明いただきたいと思います。
○福永子ども家庭部長 認証保育所へ移行するメリットでございますが、利用者にとりましては、職員配置や面積基準などが認可保育所の基準に準じたものになるということでございまして、保育環境のレベルアップが図られるわけでございます。
また、事業者にとりましては、移行に伴いまして、都や区市町村からの助成額が基本的に増加するものと想定しているところでございます。また、都の認証を取得することにより、社会的な信用度もアップするものと考えているところでございます。
○曽雌委員 これ、行く行くでいいんで検討しておいてもらいたいんですけれども、今申し上げましたように、東京都の認証保育所ということで認証を取ることによって、先ほど部長は社会的な信用度がアップするというふうにいっておられましたけれども、この認証制度で認証された保育園がどこなのかということを明確にしてあげることも、一つは大事なのかというふうに思うんですよ。
事業者の方にとっては、東京都の認証をいただきましたということが一つは明確になることと、それから、利用する側の方にしても、ああ、この保育園は東京都の認証を取っている保育所なんだということがわかれば、お互いにいろいろな面でプラスになると思いますから、例えばステッカーがいいのか、パネルか何かがいいのか、ちょっとデザイン的にも何か考えてあげていただいて、この制度を進めるときに、認証されたところについてはそういったものを掲示してあげて、事業者にとっても、また利用者にとってもメリットが出てくるように、しっかりとPRしてあげた方がいいんじゃないかなと思っています。
これはお答えは要りませんので、私の希望としていっておきますので、考えておいてもらいたいと思います。
それで、このことにちょっと関連して、一つ二つだけ聞いておきたいことがあるんですが、東京都が出した、この「データでみる東京の保育」の中で、これはもう既に皆さん方もごらんになっておられると思いますけれども、高まる保育需要にこたえるためにということで、どういうふうなことをどういうふうにこたえたらいいかということで、その中に四点入っているわけです。地域需要に合わせた定員数、年齢別受入枠の確保とか、すべての園が需要に応じたサービスを提供、幼稚園、学校の余裕教室の活用、保育室、家庭保育員の活用と入っています。
この中で、待機児童の発生状況の例をもとに対応策の例を挙げたものですといって、AからEまで発生状況の例が載っています。ここで、私も含めて、ほかの方もそうだと思うんですけど、たくさんの方からよく出てくる声が、高年齢児はあきがあり、低年齢児は満員の地域ということがあるんですね。今、保育園の場合は、子どもが減ってきている。だけれども、一方では保育ニーズがふえてきて、なかなか入れないという問題もある。ところが、ゼロ歳から三歳ぐらいまでについては、かなりいっぱいなんだけれども、四、五歳児になるとあいてきているという、こういう保育園というのがあるんですよね。
この中に指摘されていますけれども、一つの地域の中においても、いっぱいになっちゃう保育園もあれば、そうでない保育園もあるというようなことがあるんですが、特にちょっとここで確認させてもらいたいのは、Cの部分のさっき読み上げたところ、三歳以上の需要が多かった時代の定員設定をベースに受入枠を定めているために、低年齢児童の受入枠が少なく、乳児室の面積が小さいと。それで、対応策の例、年齢別の受入枠の見直しを進め、必要に応じて乳児室の拡大等を行う、こういうふうに書いてあるんですよね。
こういうのが載っているんですけれども、現実には、こういった問題は、具体的にどこの場所でどういうふうに改善されたのかなんていうのは、私たちはわからないんです。それで、保育園に子どもさんをお預けしたいというお父さん、お母さん方の声として、こういうのが出てくるんですね。ゼロ歳、一歳、二歳、いわゆる低年齢児はなかなか入れないんだけれども、四、五歳児があいているんだったら、何とかならないんですかと。一つの園の中で定員の受入枠を変えることはできないのか。
それは、一方では、職員の配置基準、保育士さんの配置基準というのがありまして、ご案内のとおり、保育所の設置認可等の事務取扱要綱というのが、これは昭和二十三年十二月にできたんだそうですが、この中でもやはり定員の弾力化の問題なんかについてもうたっておりますし、それから、職員の配置基準のことについても、ゼロ歳児については、ご案内だと思いますが、おおむね三人に一人以上とか、一歳から二歳児については六人に一人以上、三歳児ですと二十人に一人、四歳以上ですと三十人に一人とか、こういう保育士さんの配置基準もある。
こういう問題もあるんで、なかなか難しいことも、それなりに私は理解できるんですよね。できるんですけれども、現場で、保育園に、ゼロ歳児、一歳児等の小さい、低年齢のお子さんを抱えたお父さん、お母さん方にしてみると、なかなか入れない。なのに、一方こうなっている。なぜなんだということがあるわけですよね。
現実に、こういったことが「データでみる東京の保育」の中でも指摘もされて、当然、皆さん方もこういった実態があることも十分わかった上で、例として挙げているわけだというふうに私は思っていますので、これらについてどんなふうに、例えばやってきたのか、やろうとしているのか、やはり待っている都民の方たちにきちっと説明できるようなものがなくちゃいけないんじゃないかと思うんですよ。どうでしょう、この辺のことは。
○福永子ども家庭部長 区によりましてでございますけれども、高年齢児の保育所についてはあきがあるにもかかわらず、低年齢児の方は待機児が出ているという状況でございますが、一つには、そういった保育所の物理的なスペースを、改築とか改修とかいう形で、面積をそれに対応したものにしていただくということと、もう一つは、職員の配置基準を、年齢によって異なりますので、そこら辺の措置をしていただくということになろうかと思いますけれども、これが、はっきりいいますと、必ずしも柔軟にといいますか、スムーズになかなか進んでいないということでございますが、建物の改築でありますとか、そういった契機によりまして、できるだけ低年齢児の定数を多くしていただくというふうなことで進めているところでございます。
○曽雌委員 何か具体的にこうなりましたというようなことが、私たちも目に見えてわかるような形で改善がなされることを待っていたいんですが、これは、東京都がというよりも、区市でやるんでしょうけれども、当然、東京都の方から、何ができるかということも含めて、応援することも考えないと、区市にだけただやれやれといったって、区市だってなかなか現状厳しいと思いますから、何かその方策を考えた方がいいんじゃないかと思うんですよ。
それは、現状に一番見合って、弾力的に、しかも、限られた施設なりスペースを有効に活用して、保育園に子供を預けたいというお父さんやお母さん方の希望をかなえていくという方法として、やはりこういう指摘があったことを--決してないがしろにしたとは私いいません。いろいろと考えておられるでしょうけれども、やっぱり区市に対して、いろいろと話を持っていくけれども、東京都としても、何か研究をするなり、一つの方策なりを考えられて、こういう形で区市に対して応援もしますからというようなことを考えた上で、区市に対して改善方を要望してもらいたいなと思うんですけれども、これについてはどうでしょうか。
○福永子ども家庭部長 現在、保育所の情報等については、インターネットによって情報サービス等を行って、各保育所のあき情報その他、提供しているところでございます。
今、先生の方から、できるだけ具体的に目に見える形でということをご提案いただきましたので、今後は、そこら辺のことを踏まえまして、さらに積極的に対応してまいりたいというふうに考えております。
○曽雌委員 最後にしますけれども、この認証保育制度について、私は、基本的には、東京都が今回この制度を創設しようということについては、期待もし、またこの制度がいい方向できちっと進むように見守っていきたいということで、そういう観点に立ってお話ししたいと思いますが、現行の保育室制度は、ご案内のとおり、平成九年の制度改正によりまして、面積基準などのレベルアップが実施されると同時に、助成制度も、三歳未満児特化に改められる。一部に経営上厳しくなってくるという問題も生じてはいるかもしれませんけれども、新たな認証保育制度への移行を図っていくことによって、助成額の改善も行われ、さらに東京都のお墨つきも上げられるということになるわけでありますので、そういった意味で、先ほど部長からもご答弁ございましたけれども、事業者にとっても、また利用する側の人たちにとっても、大変に明るいニュースであるというふうにいっても決して過言ではないというふうに思っております。
この新しい認証保育制度については、まだ予算要求の段階でありますし、先ほど部長のご答弁では、あした、区市の担当課長ですか、そこでご説明するというようなことでご答弁ありました。どちらにしても、制度の詳細については、そこでご説明もし、また関係区市の方たちの意見も聞きながらだと思うんですが、今後、検討課題ということになってくるというふうに思っておりますけれども、ぜひとも現行の保育室制度との整合性、並びに保育室の経営者やそこにお子さんを預けておられる方々への配慮という点について、十分に留意をしていただきたいというふうに思っております。
認可保育所が、さまざまな要因によりまして延長保育が進まないなどの課題を包含している現在、認可外の保育制度に対する都民の期待というものはますます大きくなってくるというふうに思っております。そうした意味において、今回の東京都が創設を検討しておられる認証保育所制度というものについては、時宜を得た英断だというふうに思っております。
そこで、最後に局長に決意を伺っておきたいと思っておりますが、先ほど来、多様な保育ニーズの受け皿となっている認可外保育に対して議論してきましたけれども、この認可外保育に対する施策の充実を、当然のこととして図っていただかなければならないというふうに思っております。この点について局長の決意を伺って、質問を終わりたいと思います。
○前川福祉局長 先ほど来お話がありましたが、現行の認可保育所は、当然、区市町村なり社会福祉法人の方々も努力をされているんですけれども、ご指摘のとおり、なかなか制度的な硬直性があると。その制度的な硬直性に対応して、これを埋めるために、例えばお話しの保育室は、年度途中の子どもの受け入れであるとか、産休明け時等のゼロ歳児の受け入れであるとか、あるいは延長保育とか、いろんなサービスを提供して重要な役割を果たしてきたわけであります。
しかしながら、一方で、この保育室については、やはりどうしてもその施設設備あるいはサービス内容について、やや見劣りがするという点は否めないわけであります。この両方を踏まえて、私どもは、やはり都民が本当に必要としている保育サービスの質の充実にこたえたい、そういう観点から、今回、認証保育所制度の創設を提案し、予算要求をしているわけであります。ご議論があった認証保育所のB型は、そういう意味では、まさにこの保育室のレベルアップを図っていきたいということで創設を考えているわけであります。
今、るるご指摘がありましたが、現実に保育室に入っているお子さん、あるいはお母さん方、お父さん方の声にこたえられますように、区市町村とも協力をしながら、この新しい事業をぜひとも成功させて、認可保育所事業とも相まって都民の声にこたえていきたい、こう決意をしております。
○野村委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
午後三時四十九分休憩
午後四時四分開議
○野村委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言をお願いします。
○和田委員 交通バリアフリー法と福祉のまちづくりについての関連性をお伺いいたしたいと思うんです。
交通バリアフリー法は、今月十五日から施行されておりまして、本格的な高齢社会が到来する二十一世紀を目前に控えて、高齢者が利用するというか、使用する駅、道路にエレベーターやエスカレーターを設置したり、乗りおりの楽な低床型バスを導入したりして、交通機関におけるバリアフリーを達成しようということで、この法律が施行されているわけであります。
例えば、国の一つのデータでありますけれども、一日に乗りおりするお客さん、乗降客数が五千人以上、高低差が五メートル以上ある駅のエレベーターの設置率というのは、平成十二年三月末時点でありますけれども、全国レベルでは三七・五%という率になっています。それに付随して、乗合バスの場合、ワンステップレベルのスロープつきバスとノンステップバスを合わせたいわゆる低床バスの整備率というのは、平成十一年でわずかに三・六%、ノンステップバスは一・四%というふうになっているわけです。
駅については、今申し上げたとおり三七・五という数字、これは全国レベルでありますから、低い高いという評価はいろいろあると思うんですが、バスの場合の三・六とか一・四%というのは、ほとんどまだ整備されていないといってもいいくらいに低い率だといわざるを得ません。国レベルでありますけれども、こういうことにかんがみて、国の法律の中で、二〇一〇年までに、今からちょうど十年ぐらいまでの間に、鉄道利用者の九割が障害のない、いうならばバリアフリー化された駅を使えるようにしたいということに目標を定めて、施行されています。
バスについても、先ほどの三・六とか一・四という低い数字を脱却して、十年から十五年の間ですべて低床バスに代替する、切りかえていくという、こういう中長期的なバリアフリー計画が十一月十五日から施行されたわけであります。
私は、これは確かにすばらしいなと思うわけでありますけれども、一方、我が東京では、どんな工夫を、今まで、交通に限らずバリアフリーをやってきたかなと調べてみますと、意外に早い時期からこの種の施策に手を染めているんです。昭和六十三年には、全国に先駆けて福祉のまちづくり整備指針というのをもうつくっていました。平成五年三月には、東京都の建築安全条例などを改正して、建物を中心にした福祉のまちづくりに積極的に取り組んできているという軌跡が見られるわけであります。
一方、自治体の方も、平成四年には、大阪府や兵庫県で福祉のまちづくり条例というものを、これは名前だけがそういうような形で出発をしております。東京都議会においても、平成七年三月議会で東京都福祉のまちづくり条例というのが提案され、全会一致でこれは可決されて今日に来ているということなのです。
したがいまして、交通バリアフリー法の今月十五日からの施行ということに我々は拍手すると同時に、翻って、地方自治体の我が東京のバリアフリー施策の過去の歴史を見たときに、それほど国におくれていない、いうなら、もっとリードしているぞという、そういう自負心もないわけではないのです。
さて、そこでなのでありますが、今、私が申し上げた国のレベル、あるいはさかのぼって東京都のバリアフリー化における施策というのがあるわけでありますけれども、端的にいって、今回のバリアフリー法と平成七年からの東京都福祉のまちづくり条例とどこが違うというふうに表明されるんでありましょうか。
○小山地域福祉推進部長 東京都の福祉のまちづくり条例は、高齢者、障害者、これらの人々を含むすべての人々が社会参加できるよう、やさしいまち東京の実現を目的としております。条例が対象とする施設等は、建築物、道路、公園、公共交通施設等のほか、車両、福祉用具等の物品にまで及んでいるところでございます。
一方、今般施行されました国の交通バリアフリー法では、駅舎等の旅客施設、車両のバリアフリー化と、駅等を中心とした一定の地区における高齢者、身体障害者等の移動の利便性並びに安全性の向上が目標とされ、対象となる施設等は、公共交通施設とその周辺地区及び車両等ということになっております。
○和田委員 法律の名前どおり、交通を中心にした障害をなくそうという法律でありますから、今のご答弁のとおりで、私は、法律の理解、解釈は全く間違っていないし、そのとおりだと思っているんです。
ただ、私ども都議会あるいは東京が進めてきたバリアフリー法の元祖というか、それは、平成七年に既にもう一部自分たちの手の及ばない範囲であるJR、昔でいう国鉄ですけれども、そういうところについては及び腰であったにしても、それ以外の、例えば点字の問題とか、そういうところは手を染めてきているということを、私は改めて理解をしたわけなのです。
東京というふうに視点を合わせてみますと、先ほど全国でのエレベーター設置率が三七・五%ということを申し上げましたけれども、東京都の、JRも含め、私鉄も含めた駅のエレベーターにしても、あるいはエスカレーターでもいいんですけれども、バリアフリー化というのは、現在、総体で何駅あって、何駅バリアフリー化が実現されているのか、ご承知であれば、ご報告をお願いいたします。
○小山地域福祉推進部長 東京都内の駅のバリアフリー化についてのお尋ねの件でございますが、平成十一年度末の時点で、都営交通を含みます都内の駅六百六十五駅のうち、三百八十二駅にエレベーターもしくはエスカレーターが設置されておりまして、その設置率は六割弱となっております。
○和田委員 これも今、私どもの身近な駅でも、JRでありますけれども、エスカレーターなどを設置している進行形のところもありますから、今ご報告のその六〇%にちょっと足りないというような数字は、間もなく七〇%とかというような数字になるだろうと思うんです。とりわけ、国のこのバリアフリー法の制定があらかじめ予定されたということもあって、関係当局は相当意気込んで、これに沿った形で、法の趣旨に沿った形で改善をしているようでありますから、これは順次、その都度その都度、この達成率については、私ども勉強させていただきたいと思いますので、当局も情報の収集を怠りなきようにお願いいたしたいと思うんです。
さて、このバリアフリー法は、目指すところは、市区町村が基本構想をつくって、それに基づいて、周辺道路ですとか駅広だとか信号機等々の交通を中心にしたバリアフリー化をしていこうということになっているんですが、東京都におけるこの交通バリアフリー法における役割と市区町村の関係、またその市区町村をどのように東京都は支援をしていくのかということについてお伺いいたします。
○小山地域福祉推進部長 交通バリアフリー法におきます都道府県の役割は、国の施策に準じまして、この移動円滑化を促進するためのハード、ソフト両面の必要な措置を講ずることとされております。都道府県は、また一方、道路管理者や公安委員会の立場で、歩道の拡幅、路面の構造等の改善、あるいは放置自転車等、その他の取り締まり等の強化を図るといった特定事業を行うとされているところでございます。
一方、この法律では、区市町村が、駅などの公共交通施設を中心とした一定の地区を重点整備地区として基本構想を策定し、周辺の道路や駅前広場、信号機等のバリアフリー化を一体的に推進することができるとされております。区市町村がこのような面的なバリアフリー化を進めるために基本構想を策定する場合といたしましては、都としても、その要望を踏まえまして、関係各局連携して協力をしていきたいと考えております。
○和田委員 資料要求をさせていただいて、ページでいうと、2というんでしょうか、そこに鉄道駅エレベーター等整備事業実績状況というのがあります。平成八年度が二駅、九年度が七駅、十年度が六駅、平成十一年度が七駅、こういうふうに実績が載っているんですね。この事業実績というのは、平成七年にできたその制度を受けて、八年度から実施されているわけでありますけれども、この施策と、今でき上がってきている交通バリアフリー法の施策との整合性というんでしょうか、かみ合わせ、どういうようにお考えになっているんでしょうか。
○小山地域福祉推進部長 東京都では、今、副委員長ご指摘のとおり、国に先駆けましてエレベーター等を整備してきたところでございますが、今回のバリアフリー法の施行によりまして、その一部が国に認知されたというふうに理解をしているところでございます。今後も、区市町村からの要望を踏まえて対応してまいりたいと考えております。
○和田委員 この都独自の先駆的な鉄道駅エレベーター等整備事業というのは、端的にいうと、総事業の四分の一を都が負担し、四分の一を地元の市区町村が負担をするという、そういう仕掛けでここまで、特に七駅、六駅、七駅というふうにコンスタントな形で事業実施をしてきているところなんです。これはこれとして、これからも継続していくことだろうと思うんでありますが、国との整合性の中では、より積極的にこれを活用していくことで、まだ六〇%弱だというフリー化率というものを、できるだけ早く、短期日に七〇%、八〇%にしてほしいというふうに思っているわけでありますので、この事業実績を私ども大変評価をするわけでありますけれども、ますます次年度以降、十二年度の実績もありますけれども、十三年度以降も積み上げてほしいということを申し上げておきたいと思います。
私は、きょう、たまたまなのですが、車いすに乗って、五階の自分たちの会派の控室からエレベーターでおりて、議会棟から駅まで行ってみました。二階にある議会局の車いすを借用して行ったんですが、そのときいろんなことがわかりました。例えば、車いすに乗ってみると、我々のこの幅とはちょっと違いますから、ドアを半開きにしておくと、自分のこいでいる車いすのへりのところにドアの片隅が当たって、手が何か傷つくんじゃないかなという、そういう一種の恐れのようなものを乗っていて感じました。
それから、スロープになってくると、とめればいいんだろうけれども、その感覚が鈍いものですから、何となくぶつかっちゃうとか、右左に行くのに、極端に右に曲がり過ぎたり、行かなくて真っすぐ行っちゃったりと。もとより二、三十分しか乗らないんですから、なれないのは当たり前なんですけれども、そういう状態を経験して帰ってきました。
私、そのとき思ったのは、都議会棟の駅の方から真っすぐ上がってくる、右側にはスロープがあるんですね。ところが、一回エレベーターをおりて、都庁の広場の方から回ろうとすると、そこには表示も何もないんですね。ですから、知っている人はわかるんでしょう。だけど、僕ら試験的に乗って、スロープのことなど余り意識しない人間は、広場からどういうふうに近道で駅に行こうかなといったときに、表示が何もないものですから、聞くか、あるいは自分の今までの経験で行くかしかないもので、車いすの方々は、なれた情報で、その種のことをつかんでいるから、一々表示は要らないのかもしれませんけれども、だけど、一回車いすに座って、歩行者の立場から車いすの立場に変わってみると、先ほど申し上げた道路幅の狭さ、あるいはスロープが、車いすに乗ってみると、なだらかだと思えるものが急に思えるとか、そういう体験があるわけでありますので、これは都庁舎を中心にした、とりあえずそのエリアだけでも、車いすの方に、ここには車いす用のトイレがありますよとか、あるいは車いす用のスロープがありますよというように、外側に向かって、屋外で示すような努力が必要なのかなと思うんです。
スキーでけがなんかをすれば、健常な人でも、けがをした瞬間、車いすの利用をすることがありますから、何も生まれついての方とか、残念ながら病気の方以外にも、車いすを利用する方々は、高齢者も含めて、これからあるわけでありますから、健常な視点じゃなくて、そういう方々から見たときに、戸惑ったり、あるいは迷ったりせずにスムーズに都庁に出入りできるような、そういう気持ちをぜひ外側にあらわしてほしいなというふうに思うのであります。
都庁周辺の精神的な、心理的なバリアフリーというのをどういうふうにお考えになっていますでしょうか。
○小山地域福祉推進部長 車いす用のエレベーターですとか点字の表示、あるいはだれでもトイレ、こういったものの整備が進んでおりますが、今、副委員長ご指摘のとおり、そのことがあると、わかりやすいところに表示がされているということは、大変重要なことだと思っておりますので、その辺を整備してまいりたいと思います。
現在、福祉局では、特にニーズの高い、都内の主要なターミナル駅とその周辺につきまして、今おっしゃられたバリアフリー化の状況ですとか、少々遠回りでもエレベーターがあるとか、そういった情報をバリアフリーマップとして印刷物にでもいたしまして、情報提供したいと、そのような準備を進めているところでございます。
また、都内の駅の中にかかわりますバリアフリー化の情報化につきましては、運輸省の関連団体ですとか鉄道事業者とも協力をいたしまして、インターネットなどでわかりやすく情報提供をしていくことによって、バリアフリー化が一層進むものと考えております。
○和田委員 バリアフリーマップの作成と、それから公表というのは、ぜひこれは急いでほしいんですが、今年度ぐらいには可能性があるのかなと思って期待しております。これは、ちょっとお答えください。
それと、もう一点は、ついでに西口のバス乗り場のところまで行ってみたんですね。それで、バス乗り場へ上がっていくのには階段しかないんです。バス乗り場を間違えたからといって、次のバス乗り場に移ろうとすると、そのときには車いすでは横断できないんですよね。そんな不便があって、もう一回抱えられながら階段をおりて、次の乗り口まで上がらなきゃならないというような不便もあるので、交通量が多いから、そこのところ、テクニック的には難しいかもしれないけれども、横にバスの路線の乗りかえができるようにもしも工夫されれば、随分と新宿駅のバリアフリー化も進むのかなと思うんです。
まず、駅に独自のエレベーターがないというようなこと、あるいはバスの間の横断ができないというようなことなどは、都庁が所在する首都東京の顔といえる新宿では何か寂しいような気がするんでありますけれども、バリアフリーマップの件、それから新宿駅のエレベーター、あるいはエスカレーターでもいいんですが、そういうものの設置と、それからバスの間の横断というのかな、それのフリー化についてのお答えをいただきたいと思います。
○小山地域福祉推進部長 新宿駅内外の階段ですとかバスの停留所の移動の問題につきましては、あの道路面を管理しております建設局にぜひ伝えてまいりたいというふうに思っております。
福祉局ですぐできることといたしましては、このマップの問題--苦労して上がっていただいて、それが間違いでないように、バスの行き先と乗り場について情報提供していけるように、年度内にできるように頑張ってまいりたいと思っております。
○和田委員 マップをぜひ、僕のように抱えられておりたりするのは大変なものですから。僕は政務調査会の仲間にやってもらったので楽でしたけれども、実際の人はもっと大変だと思いますので、疑似体験じゃなくて、本当の人の身になってみると、マップはぜひ、できるだけ詳しい情報が載ったマップをお願いしたい。それも近日にお願いしたいと思います。
次は、子どもの虐待の問題です。
これも資料をちょうだいしております。確認をさせていただくのでありますけれども、一六ページと一七ページに資料があります。一六ページは、東京都の児童福祉審議会の権利擁護部会において対応しているというふうな注釈がありますから、これは多分東京都のデータでしょう。一七ページの方は、(注)、数値は厚生省報告例によるとなっていますので、これは国の数字なのか、あるいは東京都の数字かちょっとわからないので、これの確認をまずお願いします。
○福永子ども家庭部長 一七ページの数字は、東京都の数字でございます。
○和田委員 先般、十一月十五日に、児童委員、民生委員の大会が文京区のシビックホールでありました。厚生委員の仲間はみんなお呼ばれしたと思うんでありますけれども、その際に、東京都民生委員、児童委員活動実績とその事例第十七集というのをいただきまして、その一〇四ページを読むと、児童福祉分野の中で、児童虐待ということがレポートされているんです。
長文によるもので、細かなことは避けますが、ただ、内容的にはこうなんですね。父親は年齢不詳だと。母親は三十一歳。長男が十一歳、小学校五年生、母の連れ子となっています。長女A子八歳、小学校三年生、父の連れ子。二女四歳、愛の手帳あり、二人の子。こうなっていますね。
この児童虐待の内容はどういうふうになっているかといいますと、母親が父親の連れ子である長女A子を虐待しているケースだと。現在もまだ解決に至っていないが、学校、児童館、児童相談所と話し合い、定期的に児童相談所でカウンセリングを受けるために通所している。児童相談所では、遊びを通して心理状況等を調べてもらっている。また、母親に対してもカウンセリングを行っているということで、原稿用紙十枚ぐらいのボリュームのものが、ここに細かく書いてあるんです。
こういう事例に児童委員の方々が積極的に関与して、相談に乗ったり、解決に努力をしているというレポートがここにありました。大会の式典までだけだったのでありますけれども、私たち、出て、数多くの児童・民生委員の方々が奮闘されている状態に圧倒されたわけであります。そういう方々が、今、現場で、私どもの地元のところで、児童虐待とも、これだけとは限りませんけれども、格闘されているということなのです。
そこで、たまたま児童虐待法が二十日から施行されているわけです。発展途上国などでは、人の体、人身の売買はもとより--それは労働力として、それから臓器提供を前提にした児童の売り買いというものがまだ平然と行われているということが、国連の報告などでも当然のように出てきているわけであります。幸いなことに、我が国ではそのようなことはないというふうにいわれておりますけれども、ただ、児童虐待というのが、ここの今確認した東京都の事例で見ましても、平成七年で三百九十件だったものが、平成十一年では実に千百七十九件、このような多きに五年の間に上っているんですね。
これは、数字とすると東京都のものなのでありますけれども、国のレベルでの数字、あるいはこの三百九十件から千百七十九件に至るまでの、この五カ年間の特徴的な東京都の児童虐待の内容について、ご報告できるものがあれば、ぜひお願いいたしたいと思います。
○福永子ども家庭部長 まず、国の虐待の相談件数の数字でございますけれども、平成十年度は六千九百三十二件、平成十一年度は一万一千六百三十一件ということでございます。
それから、東京都の虐待の傾向でございますけれども、直近の状況で申し上げますと、本年四月から十月という数字がございますので、そちらで申し上げますと、やはり身体的虐待というのが五五%、次に保護の怠慢あるいは拒否というものが二五%ということでございます。主な虐待者といたしましては、実母が五九%、実父が二四%ということでございます。
それから、相談に至る経路でございますけれども、近隣の知人等が最も多くて二九%です。家族からの相談というのが続いて一九%という状況でございます。
○和田委員 この児童虐待の原因というのは、医学的な側面もあるし、社会経済的な側面もありますから、一概にはこの委員会になじむかどうかわかりませんけれども、福永さんはどういうふうにこの数字の激増をご理解されていますか。
○福永子ども家庭部長 数字がふえているのは、やはりマスコミ報道等によりまして、児童虐待等への関心が高まったということも大きな要因かと思います。また、児童虐待が生じる原因と考えられますのは、現代社会のあり方、あるいは家族のあり方という問題がある一方で、経済的な不安とか、夫婦の不和でありますとか、育児の負担といった個人的な条件がそろったときに虐待を生じるおそれがあるというふうなことが指摘をされております。
○和田委員 これを抑止する、防止するということができるかどうか、大変難しいのであります。というのは、一種のこれは、横文字は嫌ですが、家庭内暴力で、ドメスチックバイオレンスとかいうことの子ども版のようなものでありますから、余り表に出ない。表に出るときには、相当に社会的に認知というか、知覚されるだけの、外側に向かっての声なり音なりが出てこなければわからないわけです。傷ついて、顔にけがをして歩くとか何かしない限りはですね。だから、これはもう、僕はいわゆる虐待というよりも犯罪といった方がわかりやすいんだろうと思うんですよ。これは、どういうわけか虐待という法律用語でありますから、今これで続けてまいりますけれども、これを抑止する、防止するのにはどんなことが、原因を今お答えいただきましたけれども、どういうすべが考えられるんでしょうか。
○福永子ども家庭部長 虐待につながる子育て不安などに対しまして、身近なところで気軽に相談できる子育て支援体制といたしまして、子ども家庭支援センターを地域の中核に、総合的な対応を行いまして、保育所や児童館など、子育ての相談や啓発を行う子育て広場等の事業を展開しているところでございます。このほか、虐待を生じやすいハイリスクな家族に対しまして、カウンセリングなどを含めまして、再発防止を含めた施策も重要であるというふうに認識しているところでございます。
○和田委員 ここで児童相談所の活躍というか、防止策への参加が期待されると思うんです。東京都には相談所は十一カ所でしたよね。これが一番前に出て頑張っていただく機能というか、組織だろうと思うんでありますけれども、児童相談所の取り組みの具体的な事例というのがあれば教えていただきたいんです。
○福永子ども家庭部長 東京都では、児童相談所で、児童虐待に対しまして、平成六年度から積極的に取り組んできたところでございます。関係機関、児童相談所の職員、医療機関への各マニュアルの作成を初め、ポスター、リーフレットの作成など啓発活動に努めますとともに、平成八年度からは児童虐待ケースマネジメント事業を開始し、関係機関との連携、困難事例への対応の仕組みを構築してまいりました。
また、本年度に入りまして、児童相談センターに虐待対策課を設置し、各児童相談所に児童虐待対応協力員を設置し、五月からは土曜日の開庁も行っているところでございます。
○和田委員 そのように福永さんのところで努力されても、この四月から十月までの数字を見ても、相当にふえてきている。ましてや身体に対する虐待が五〇%を超えているという報告があるわけなのです。これは、あくまでも後始末の虐待の件数でありますから、本当はその虐待が起こらないように、政策的には意を用いなきゃならないのでありますけれども、児童相談所、それから関係機関というのは、どういうふうに連携をさせることで有機的な問題発生抑止というか、防止を、もしもするとすれば、防止になるんでしょうか。
○福永子ども家庭部長 平成八年度から、地域との具体的連携方法やネットワークづくりの推進を図るため、各児童相談所が所管する区市町村の福祉事務所、教育委員会、児童委員、医師などから成る児童虐待防止連絡会議を設置しております。また、子ども家庭支援センターとの連絡会を実施し、学校関係者等との地区連絡協議会の開催など、さまざまな機会を設け、連携に努めているところでございます。
○和田委員 大変に残念な法律なんですね、この児童虐待防止等に関する法律というのは。ちょっと見ると、児童虐待は、お他人さんがAさんのお子さん、Bさんのお子さんを殴ったりけったりするのかなと思うと、そうではなくて、この児童虐待の防止等に関する法律では、第二条で、この法律において、児童虐待とは、保護者--親権を行う者、未成年後見人その他の者で児童を現に監護するもの、いわゆる保護者ですね、が、その児童に対し、次に掲げる行為をすることとなっていて、児童の身体に外傷が生じ、または生じるおそれのある暴行を加えること。自分が、保護者がですよ。保護者が、端的にいえば、自分の子どもにわいせつな行為をすること、または児童をしてわいせつな行為をさせること。自分の子どもに、自分の子どもの心身の正常な発達を妨げるような著しい減食、または長時間の放置その他の、保護者としての、親としての監護を著しく怠ること。あと四項目めがあるんですが、保護者が自分の子どもに外傷を生じ、わいせつ行為をする、食を与えない、長時間放置をするという、これを法律で規制しようというのが、この二十日から施行された児童虐待の防止等に関する法律なんですね。
この法律の、今申し上げた四項目ある目的を当然ご承知なんですが、お知りになって、担当の福永さんはどういうふうにこの法律を考えますか。
○福永子ども家庭部長 これまでも、児童福祉法等の解釈とか通知といったようなところで、今、法律の中で述べられているようなことが解釈という形でやられてきたわけでございますけれども、近年、激増する児童虐待に対する対処ということで、議員立法でそういう法律が通ったということでございまして、児童相談所が、親子分離とか、そういった法的措置等をとることによって子どもの虐待を防止するという法的な裏づけを、法律によって与えられているというふうに考えているところでございます。
○和田委員 この法律では、端的にいえば、親権とか何か難しいことじゃなく、両親なり保護者が自分の子どもに四項目にわたるような、そういうある意味では暴力的なことをやることを禁ずるというふうになっているんです。その際に、市区町村や都も含めた自治体の責務というか、務めが書いてありましたよね、この法律には。何を要求していますか、この法律は自治体に。
○福永子ども家庭部長 第四条に、国及び地方公共団体の責務という規定がございますが、ちょっと読み上げさせていただきますと、「国及び地方公共団体は、児童虐待の早期発見及び児童虐待を受けた児童の迅速かつ適切な保護を行うため、関係機関及び民間団体の連携の強化その他児童虐待の防止等のために必要な体制の整備に努めるものとする。」、第二項といたしまして--よろしゅうございますか。
○和田委員 結構です。別に知識を確かめているんじゃなくて、この法律は、極めて我が国に恥辱的な法律をうちの国会は決めたと思っているからいっているんです。自分の子どもに外傷を負わせたり、わいせつ行為をしたり、長時間ご飯を与えなかったり、放置したり、最後は児童に著しい心理的外傷を与える、トラウマのようなことですけれども、そういうことを与える行為を保護者に禁じているんですね、この法律というのは。ここまで我が国は親子の関係も崩れ、それから父親なり母親なり、保護者そのものの親としてのそういう機能、子どもを育児していく機能というものが、もう完全に麻痺して衰退してしまっている。この件数が、また今、分析の仕方によっても違うけれども、激増してきているということですね。
市販されている本の中に「親業」という本があります。ある女性が書いた、しばらく前の古い本ですが、親の業、親の仕事の業ですね。それを本にしなければならないくらいに、親としての務めが、我が国では、世界的にもそうかもしれませんけど、もう機能しなくなってきて、法律で、父親よ、母親よ、子どもにこういうことをしちゃだめですよということを決めて、なおかつ地方自治体がそれを監視しなさい、知ったら、それをちゃんと是正するだけの努力を自治体がしなきゃだめですよと、こういうふうになってしまえば、家庭、家族機能というのは全くとろけてしまって、融解してしまって、すべて自治体なり、すべてお他人さんが家族を見たり、あるいは子どもを見る、両親を見る、そういう国に今なってしまったということがこの法律の根底にあるわけで、これを定めなければ国はおさまらないというところにまで親子関係は全くばらばらになってしまったというふうに思うんです。
さてそこで、このようにもう末期的な形になった我が国の親子関係なり、児童のありようを救済するために、私どもが学校のときには、官憲などといっていましたが、警察権力の介入などということは、学園内には入れるべきではないなどということをいって抵抗したことがあるんでありますけれども、この法律の中で、親が子どもを虐待したときに、警察の介入はあり得るんでしょうか、どうですか。
○福永子ども家庭部長 虐待のおそれがある場合、あるいは虐待のケースにつきまして、立入調査権というのがございますが、立入調査をするに当たりまして、警察官の援助などを得るという規定がございます。
○和田委員 この法律を読むと、親が自分の子どもを自分で引き取りたいといっても、その権利、いわゆる親権を、瞬間的にあなたは親とは認めるけれども、子どもを引き取っちゃだめだ、子どもをあなたに渡さないという、そういう権利も相談所なり警察の方にあるというふうに私は見ているんですが、いかがですか。
○福永子ども家庭部長 警察の援助がかかわりますのは、立入調査もしくは一時保護等のケースで、必要がある場合は援助を求めることができるという規定が第十条にございます。
○和田委員 警察に限らず、子どもの親御さんが来たと。児童相談所に保護されていると。私の子どもだから返してくださといったときに、相談所が、いや、あなたのお子さんとしては認めるし、あなたを親御さんとしては認めるけれども、今あなたのお子さんをあなたに返すわけにはいかない、児童相談所にとどめておくということも、幾ら親が親の権利を主張しても、それはだめだということが可能だというふうにはなっていませんかというんです。
○福永子ども家庭部長 第十二条に、面会または通信の制限という規定がございまして、ただいまご指摘のように、保護者に対する指導勧告ということでございまして、面会等を強制した場合も、当該児童との面会もしくは通信を制限することができるという規定がございます。
○和田委員 これほどまでに、我々親族から見ると、屈辱的に、自分の子どもにも会えない、自分の子どもも引き取れない、抱き取れないということが、この法律には極めて端的に書かれているんですね。ここまで子どもを虐待する、先ほど申し上げた四項目のようなことでいじめたり、虐待する親が世上ふえてきてしまったということを受けて、この法律があると私どもは考えるわけでありますから、氷山の一角という言葉どおり、この法律のすれすれのところまでの虐待はあちらこちらにある。それを未然になくすために、先ほど申し上げた民生委員さんや児童委員さんたちが努力をしている。一万人近い方々が都内にいるわけでありますけれども、頑張っているわけなのです。
さて、そこで、この屈辱的な法律が二十日から施行されたわけですけれども、さらにもっと屈辱的なことは、第九条の第二項にこううたっているんです。「前項の規定による児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する職員の立入り及び調査又は質問は、児童福祉法第二十九条の規定による児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する吏員の立入り及び調査又は質問とみなして、同法第六十二条第一号の規定を適用する。」
そこで、第六十二条第一号の規定を適用したら、どういうふうになるんでしょうか。
○福永子ども家庭部長 職務妨害等に関する罰則の規定でございまして、二十万円以下の罰金に処するという規定でございます。
○和田委員 児童福祉法第六十二条第一号には、こう書いてあるんですね。「正当の理由がないのに、第二十九条の規定による児童委員若しくは児童の福祉に関する事務に従事する吏員の職務の執行を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又はその質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、又は児童に答弁をさせず、若しくは虚偽の答弁をさせた者。」。「次の各号のいずれかに該当する者は、二十万円以下の罰金に処する。」と、こうなっているのが第六十二条の第一号なんです。
我々親族は、このような屈辱的な法律を定められた上に、なおかつ場合によっては法的なところ、二十万円以下の罰金まで納めざるを得ないというところまで来ているんですね。警察官の援助も求めていいよ、それから自分の子どもも自分で抱き取れない。第三者のところに預けざるを得ないというような、そういうところにまで陥っているのが、この法律の想定しているところなんです。
私は、ここまで来て、次はもう時間があれですから申し上げませんけれども、申し上げたいことは、この適用は、児童というのは十八歳未満なのね。だから、十七歳までを児童としてこの法律では想定しているわけですけれども、高校生としていいでしょう。問題は、父親なり両親が、なぜこの四項目にわたる虐待に走るのか。この正常な気持ちじゃわからない、身体の外傷、暴行、わいせつ行為、わいせつ行為をさせる、あるいは減食、長時間の放置、さらに心理的な外傷を与えるというようなことを、我々では考えられないことが親子の中で行われているというのが、これほどの件数があるということなのです。
先ほど、親業などということを申し上げましたけれども、これは起こった後の後始末の施策じゃなくて、起こる前に手を打つべき施策ではないのかなというふうに思うんでありますが、福永さんがどのようにお考えか、まずお伺いします。
○福永子ども家庭部長 身体的虐待等、そういった死に至るようなケースもございますが、家庭自体が病理的な状態になっていると申しますか、そういった中で、父親ないし母親が何らかの障害、あるいはそういった病気といいますか、病的なハイリスクの家系について、そういった現象が起きているというふうに考えております。
○和田委員 これは、心の東京革命で、一方、福祉とは関係ないんですが、教育の場面で我々は心を痛めていることを解決しようということで今やっていますけれども、根が深い問題だなと。この法律が、ただ、二十日に施行されたよ、うれしいというんじゃなくて、まさに、繰り返しますが、屈辱的な法律を、我々は二十世紀の最後のこのときに国から与えられなければ、親子関係も維持できないということになってしまったのかなという、そういうざんきの思いを私はしているわけでありまして、あえてきょうはこの問題を取り上げさせていただきました。
次に、三点目になりますが、子ども家庭福祉に関して伺いたいと思うんです。
ここでは、子どもの権利保障施策ということで、今、私が申し上げた虐待、子どもの権利侵害がうたわれているわけです。そこで、都は、第三者機関的な役割を担う子どもの権利擁護委員会というのをつくって、試行しているんです。これはいつできて、いつ本当は終わるべきで、今どうなっているのか、お伺いいたします。
○福永子ども家庭部長 子どもの権利擁護委員会でございますけれども、第三者的立場から子どもの訴えを直接受けとめる機関として、平成十年十一月に児童相談センターに設置したものでございます。現在、こうした機関の有効性を検証するために、試行的に実施をしているものでございます。
現在までの状況を見ますと、学校や施設などでの対応とか、関係機関との役割分担など、なお検討すべき種々の課題がございますので、当面、試行を継続していくつもりでございます。
○和田委員 当面、試行するというんですが、行政にしては珍しく、際限なくやるようなふうにもとれるし、ことし一年、あるいは来年一年でやめるようにとれるようなあいまいなご答弁と受けとめざるを得ないんですが、施行はいつごろをめどにというか、どういう行政効果があったときに、それを試行じゃなく、本当のものにするのか、あるいはやめるのかというようなめども立たないんでしょうか。
○福永子ども家庭部長 現在、権利擁護委員会での事例は、やはり区市町村の小中学校での事例等が大変多うございまして、そういったところとの関係のあり方でありますとか、そういった、なおいろいろと関係機関との、どういう形で連携をしていくかとかいう課題がございますので、来年度の予算要求でもしているところでございます。
○和田委員 じゃあ十三年度でもまだ試行を続けると。十年度から、十年十一月からですから、慎重にというか、消極的にというか、そういう受け取り方も含めて続けられるのかなと思いますので、それはその成り行きを見たいと思うんです。
さて、その子どもの権利擁護委員会が中心となって、相談機関がネットワークしている子どもの権利擁護システムというのが、この事業概要説明の中に書いてありますが、これはどんなことを行ってきて、どういう成果が上がっているんでしょうか。
○福永子ども家庭部長 今のお尋ねは、子どもの権利擁護システム委員会のことでございますか。(「はい、そうです」と呼ぶ者あり)子どもの権利擁護システム委員会というのは、虐待やいじめなどによる子どもの権利への侵害に対しまして、児童福祉審議会の専門部会の審議経過等を踏まえまして、子どもの権利擁護の視点に立った対応の仕組みについて検討するために設置をされたものでございまして、子どもの権利擁護システムを円滑に実施するための試行システムのあり方等について検討を行い、福祉局長への報告を行ったところでございます。
開催回数は十回でございますが、平成十一年度末に廃止をいたしまして、システムの試行の検証につきましては、子どもの権利擁護委員会の方が引き継いで行っているという状況でございます。
○和田委員 大体、子ども家庭福祉に関する周辺環境はわかりました。私は、平成十年第三回定例会の本会議質問の中で、子どもの権利条例の制定を急いだらどうですかという質問を当時の青島知事にしているんです。ご承知だと思うんですね。そのときの知事答弁、だれかご記憶の方、お答えいただけますか。
○福永子ども家庭部長 平成十年第三回定例会の和田議員に対する青島知事の答弁でございますけれども、読み上げさせていただきます。
「それから、子どもの権利に関する条例についてご言及がございました。子どもの権利保障を一層推進してまいりますためには、ご指摘のような条例の制定が一番有効であろうかというふうに私も考えております。この条例制定に当たりましては、既存の関係法令との調整を図ってまいりますとともに、その内容が、子どもを含めたすべての都民に理解されるようにしてまいることが重要であると考えております。このため、来年度早々に専門家による検討に着手し、広く関係機関や都民の意見を伺いながら、平成十二年度の条例制定を目指してまいりたいと考えております。」という答弁でございます。
○和田委員 平成十二年度中の制定をというふうに青島都知事がそこで言明をされていました。くしくも、今、私が取り上げた第三者機関とかネットワークなどというのは、平成十年第三回定例会のこの質問を受けた後に、これは九月でしたから、十月か十一月に手際よくつくられた組織なんですね。したがいまして、その環境づくりで、私が先ほど申し上げた意味というのは、十二年度中の条例制定に向けて、こういう委員会もつくりましょう、こういうネットワークもつくりましょう、それで実施に向けての準備工作をしましょうということで今日まで来たというふうに私は思っているんです。それは、論理的に正しい考え方だと思うんです。
さて、そこで、もう平成十二年度もあと五カ月ぐらいで終わっちゃうところに来ているんです。当局は、知事も変わりましたが、この青島都知事が言明している十二年度中の条例制定について、今時点、どういう姿勢と思いでいらっしゃるのか、お伺いいたしたいと思います。
○福永子ども家庭部長 子どもの権利条例の制定は、都道府県としては初めての試みでありまして、また、子どもの権利を守る第三者機関を設置した場合、既存の機関との連携を含め、どのような活動内容となるかを検討するため、子どもの権利擁護委員会を設置し、子どもからの電話相談や権利擁護専門員などの活動を試行的に行っているところでございます。
今後は、当面は子どもの権利擁護委員会の試行を継続していくとともに、東京の子どもの置かれている状況を幅広い視点からとらえ、慎重に検討してまいりたいと考えております。
○和田委員 福永さんは、多分そういうふうにお答えになるだろうと思うんです。僕は、十年のときのあの意気込みがだんだんなえてきちゃって、余り上昇気流に乗っていないように思うんです。また、たまたま委員会がそこでなかったものですから、きょう、不可思議な状態になっているなというようなことで、改めてこのことを取りざたしたわけでありますけども、一たん行政が、どういう立場で--今、退職されたかは別にしても、そのときの最高権威者である知事が、日時を切って、きちっとそこまでやりましょうといった、この種の行政責任、発言責任というものは、永続性、継続性のあるものだと私は思っているんですね。
そこで、前川局長にお伺いしたいのでありますけれども、いろいろな環境変化はあるかもしれない。しかし、私が申し上げた児童虐待の法定化の問題も含め、子どもが理不尽な扱いをされてきているぞ、そんなことじゃだめだぞということで、国が法律を決めるところまで、それも親の暴力を戒めるための法律をつくらざるを得ないところまで国が陥ってしまったという、そういう局面において、やはり子どもの認められるべき人権、権利というものはしっかり支えていく、そういう一つの旗印としても、この子どもの権利条例というのは、私は東京都が他の自治体に先駆けて大きく旗を掲げていくべき重大な施策だというふうに思うんです。
それについて、さきに申し上げた児童虐待の問題も含めて、局長のご答弁をまちたいと思います。
○前川福祉局長 子どもの権利条例でございますが、私どもは、これはもう改めて申すまでもなく、子どもの権利、基本的な人権が守られる、そういう社会をつくらなくちゃいけないということでは全く異論ございません。
ただ、問題は、恐らく青島知事が答弁されたときよりも問題認識が深まってきたのは、子どもの権利とは一体何か、それを具体的に保障していくには、どういった条件が必要で、どういったシステムをつくるべきか、それをやはりきちんと考えるべきだろうということであろうと思います。
先ほど委員のご指摘もありましたが、例えば子どもの状況を見ても、人身売買が平然と行われるような発展途上国と東京では、全く百八十度、子どもの置かれている状況は違うわけであります。極端にいいますと、東京の場合には、ある意味では過保護、過管理といいますか、そういった状況にあるのではなかろうかと思います。そうすると、そういう東京の具体的な状況に即して、子どもの権利を守っていくのは一体どういうことなのか、子どもには、当然権利だけではなくて、教育を受ける義務もあれば、あるいはしつけを受ける義務もあるわけであります。その辺を全体をどう考えるのか、それを具体的に考えていきたいというのが、私どもの今の立場でございます。
○和田委員 権利のみ、それから義務のみではなくて、やはり日本国憲法の定めている我々の国民の一つの納税の義務も含め、権利主張と同時に義務も履行しなさいという、そういう近代憲法のもとで我々は市民生活を営んでいるわけでありますから、今、前川局長のおっしゃっているとおり、私も異論はないです。
ただ、受けとめ方によって、何か雰囲気が後ずさりしているんじゃないのか。いろんな環境を整えて、できるだけ前向きにというか、積極的に子どもの権利条例などを定めていこうというんじゃなくて、何か後ろに下がっているような雰囲気に見えるものだから、十年の本会議質問をした人間として残念だなという気持ちでやりました。
それから、もう一つの要素として、心の東京革命のことを申し上げました。これなども、やっぱり権利義務をしっかり、それは、子どもも都民も含めて、自覚をしてもらうという機会だろうと思っています。それは、先ほど、両親が二十万円の罰金を子どもに暴力を加えて受けるような、そういう恥辱的な法律までできるような時代の中で、子どもも自覚してもらう、親も自覚してもらう、他人さんも自覚してもらう、社会全体が自覚をし、みんなが明るく住みよいまちをつくっていくという雰囲気に持っていくためにも、私は、子どもの権利条例というのは、慎重な審査もいいんですが、やはりある場面ではきちっと決断をして進むべき一つの東京都の姿勢かなと思うものでありますから、そのことだけを申し上げ、またいつの機会か、前川局長あるいは石原知事ともこのような議論をしていきたいと思っています。
終わります。
○藤田委員 福祉の基礎構造改革の中で、措置から契約、選択できるものに変わっていくときに、サービスの多様な供給主体があることが必須条件だというふうに思うわけですけれども、そのためには、まさに行政と市民、NPOといいますか、それの協働、パートナーシップが重要であるというような視点から質問をしていきたいと思っています。
まず初めに、高齢者や障害のある方々にとっての災害時の助け合いというようなことについてお話をお伺いしていきたいと思っています。
実は、私たち、政治団体として、若い方々にどんなふうに政治に対して興味を持っていただこうかということで、政策ゼミというものを持っておりまして、その中の学生さんが、今、社会福祉大学の四年生でしょうか、実はもう一級のヘルパーの資格を持って、地域で既にNPOの中で介護保険のヘルパーとしても働いていらっしゃる方なんですが、障害者等の、災害が起きたときにどんな避難体制ができているのかというようなことをぜひ質問してほしいというようなことがありまして、この問題については、まずそれを伺いたいというふうに思っています。
今、障害者等の災害要支援者に対して、災害時の対応のために、都あるいは市区町村はどんなふうな取り組みをしているのでしょうか。
○小山地域福祉推進部長 障害者や寝たきりの高齢者等、災害が発生したときに、情報を的確に判断し、自力で避難することが困難な災害要援護者、これらの人々に対する対策は、基本的には基礎的自治体であります区市町村が第一義的責任と役割を果たすこととなっており、都は、広域的な視点から、区市町村に対しまして必要な支援などを行っているところでございます。
この広域的な視点からの支援の一環といたしまして、東京都では、区市町村がこれらの災害要援護者対策を体系的に進め、災害時に円滑な業務を行う上で参考となるよう、災害要援護者への災害対策推進のための指針というものを本年一月に作成いたしまして、区市町村の災害対策づくりに働きかけているところでございます。
○藤田委員 実際に阪神の震災など、それから、今回の三宅島の災害というようなことの中でも、災害の中での要援護者の把握が非常に困難であったというふうに思っています。淡路島のときには、淡路島は本当に小さな中で、集落の中で、あそこにお年寄りが寝ている、あそこの方はどうだというのが非常に把握がしやすい状況にあったわけですけれども、大都会の中で、また東京という大都市の特性として、お隣は全然わからないというような状況がいろいろあるわけですけれども、障害者の所在や安否を確認して適切な援助を迅速に行うということが、まず発災したときに必要なことだと思います。
それで、そういう障害者の所在、その他の状況をどうやって把握していくかということなんですが、今までも消防庁などにはその事例があるというふうに聞いておりますけれども、今回、プライバシーに配慮してというのがいろいろいわれるんですけれども、障害者、高齢者等の所在の把握の状況を教えていただきたいと思います。
○小山地域福祉推進部長 ご指摘のとおり、日ごろから、障害のある方等の災害要援護者の方の所在と、必要とする援助の内容をあらかじめ把握しておくことは大変重要であると認識しております。
先ほど申し上げました指針の第一章は、日ごろの備えということで、災害要援護者の所在の把握という項目を掲げまして、事前把握の方法として四つの方法を参考として示しているところでございます。
まず、一つは、プライバシー等に配慮しながら、行政内部で把握している既存情報を活用する。二つ目が、行政が新たにこの災害対策のために情報を収集し、把握をする。三点目は、障害者や寝たきりの高齢者等、災害要援護者の方からの自己申告に基づきまして、所在と必要な援助をあらかじめ登録をするという方法。四点目といたしまして、町会や自治会等、地域住民の方々が自主的に調査をして情報を把握する、こういった四つの方法をお示ししたところでございます。
○藤田委員 私も、町会の中で、いわゆるリーダーたちは、もうその方々が、ある意味では、災害が起きたときには背負っていかなきゃいけないような高齢者の方々が多いので、少し若い人たちが考えたいというので、まちづくりマップなどをつくりまして、どこにそういう障害者がおいでになるかというようなこと、あるいは高齢者がおいでになるかというのは、お隣の人はどういう状況であるかというのは、近くの人が一番よくわかっているという、先ほどおっしゃった地域住民が自主的に把握をしているというのがよいのだと思いますけれども、なかなかそこが、今の状況の中では、すべての東京の中でできないというようなことがあるのだと思うんですが、例えば杉並区では、私のところですけれども、登録しましょう、高齢者や障害のある人、災害時地域の助け合いネットワークということで、こんな報告書が、チラシができています。
事業の内容は、六十五歳以上で心身に障害を持つ人や、障害のため外出が困難な人を対象として、本人が支援を希望する場合、住所、氏名、救援時に配慮しなくてはならない身体の状況など区に登録してくださいというふうになっているんですね。それで、登録した人については、民生委員がふだんから声をかけるほかに、近隣の住民も注意してもらうようにというような呼びかけになっているわけです。
実際には、こういうことが、非常に今いい体制ができたなというふうに思うんですが、実は、地域の方で、八十歳以上の三姉妹で三人だけで暮らしているんですが、民生委員の方がお訪ねになっても、非常に身体的な状況が悪いというのは地域の方もわかっているんですけど、私もそういうお声を聞いたので、民生委員の方にご連絡をして、どうか状況を尋ねてくださいと申し上げたんですが、いえ、何も結構ですというような状況の中で、介護保険の申請も何もしていらっしゃらないというような状況が、まだまだ地域の中ではあるんですね。
そういうことで、こういうことがあるんですが、実際には、東京都全体に対してこういう制度をさらに広めていくのかどうか、その辺をお尋ねしたいと思います。
○小山地域福祉推進部長 今ご紹介のありました、障害者等の方々があらかじめ情報を登録して、その情報を地域の民生委員さん等が共有していて、いざ災害というときに適切、迅速な救助を行うということでは、大変有効な制度であると考えております。
しかしながら、なかなか進まないのも現実でございますので、これらの先駆的な取り組み、あるいはまた、ほかの地域でございますが、おんぶ作戦と称しまして、近隣の方々が、自力で避難することが困難な人々を、あらかじめ援助協力者を定めておきまして、おんぶして避難をさせようといったような取り組みをしているところもございます。
今後、区市町村の災害対策の取り組み状況なども調査をいたしまして、今ご紹介のありました杉並の事例や、こういったおんぶ作戦等の先進事例を各区へ情報提供いたしまして、区市町村がそれぞれの地域の実情に応じた災害要援護者対策に積極的に取り組むよう、機会あるごとにPRをしてまいりたいというふうに考えております。
○藤田委員 それで、プラス、この学生さんがちょっとこういう提案をというようなことであるんですが、その方は単身世帯の集合住宅に住んでいらっしゃるようですけれども、そこでは、民生委員さんや何かだけでなくて、不動産屋さんですとか大家さんですとか、そういうところとのかかわり、そしてその方々が積極的にどういうふうにしていくのかというようなことを、それもネットワークづくりですけれども、ぜひ進めてもらえないかというような話がありましたので、ぜひその点も含めてPRをしていただきたいというふうに思っています。
それでは、ガイドヘルパーについてお尋ねをしたいと思います。
これは、事務事業概要の中の六一ページにありますが、移動手段の確保という中で書いてあります。そして、実際には重度視覚障害者ガイドヘルパー派遣事業補助ということで、平成元年に事業を開始しているわけですけれども、これは国制度になっているんですが、その下に、新規事業として、中軽度知的障害者ガイドヘルパー派遣事業補助ということが書かれております。
この事業の詳細と実績について、どんなふうになっているか、そして、このヘルパーさんの資格や、一人当たりの一日の上限使用時間などがありましたら、教えていただきたいと思います。
○谷川障害福祉部長 知的障害者ガイドヘルパー派遣事業でございますけども、これは、知的障害者が、外出時において、本人支援を目的としたガイドヘルパーを派遣いたしまして、状況に応じた適切な援助を行わせる、そのことによって社会参加の促進を図る、これを目的とした事業でございまして、派遣対象者といたしましては、都内に居住する十八歳以上の在宅の中軽度の知的障害者でございます。
派遣の内容といたしましては、区市町村、福祉事務所等の公的機関あるいは医療機関に赴くなど、社会生活上外出が必要なとき。二番目としては、余暇活動と社会参加促進の観点から外出をするときで、そういう場合に適切な付き添いが得られないということを条件にして、ガイドヘルパーを派遣している事業でございます。
おっしゃるガイドヘルパーの手当でございますけども、これは一時間当たり九百八十円という形でやってございます。
それから、本人の費用負担は、所得階層により六階層にそれぞれ区分してございまして、無料の階層から九百四十円の階層までということになってございまして、本来これは区市町村が事業実施主体ということで、東京都はそれに対して四分の一補助している、国が二分の一入っている、そういう事業でございます。
○藤田委員 済みません、一つだけ。ヘルパーの資格というものはどんなふうになっておりますか。
○谷川障害福祉部長 ヘルパーには一級から三級まであるわけでございますけれども、この事業については特別に指定はございません。
○藤田委員 実際に、この重度視覚障害者のガイドヘルパーが国事業であった。そして、東京都は、この事業にさらに膨らませてといいますか、新規事業として進めているわけですけれども、この中軽度の知的障害者のガイドヘルパーについては、どういうニーズを持ってといいますか、施策を進める、こういうことをやってほしいというような、そういう状況を見てといいますか、どの辺からの声でこの事業ができたのでしょうか。
○谷川障害福祉部長 さまざまな需要の中で事業を実施してきたわけでございますが、特に親の会からの需要が強かったというふうに聞いてございます。
○藤田委員 実は、このガイドヘルパーについて、地域といいますか、杉並の中でもそういうご要請がたくさんあるのですけれども、これは今、障害者ということですので、その方が十八歳以上でしたよね。実は、十八歳以下のいわゆる小学生の、普通学級へ通いたいというような方々に、どういうふうにその介助をしていくかというような問題がいろいろ今挙がっています。
実際には、私の地域の方も、てんかんの症状をお持ちなのですが、少し知的障害がありますけれども、てんかんの症状は夜しか起こらないので、学校に行っている間はまず起こらない。小学校一年生で、もう八カ月ぐらい過ぎているわけですが、今まで一度も、昼間はもちろんないし、夜もないんですけれども、それこそ親は全部ついていかなくちゃいけない。下にお子さんがいらっしゃいますので、そのお子さんの行事があるときには子供は休ませなさいというような中で、その学校に通っているんですが、そういうような方々や、あるいは障害、少し程度が重くても、でも普通学級へ行きたいというような方々が、このガイドヘルパー制度を、少し多様な活用の方法として、いわゆる学校の介助員といいますか、そういうことに広げることができないかというようなことを今模索をしていらっしゃいます。
実際に、この十一月六日に文部省の二十一世紀の特殊教育のあり方に関する調査研究協力者会議が、障害のある児童生徒の教育のあり方の中間報告のまとめというのを出しています。その状況はご存じでいらっしゃいますか。--局が違うといいますか、実際には皆さん方のところは厚生省なので、そうなってしまうんですが、実は文部省は、介助員や、それから施設改修をして、いわゆるインクルージョン、統合教育を進めていくことを始めようじゃないかというものが、今回のこの中間の報告なんですね。
そうしたときに、今お話ししたようなガイドヘルパーというような形でこの介助員制度が使えないのかどうかということなんですが、もちろん今は新規で、ことしやり始めたばかりですので、なかなかそこは難しいんですけれども、例えば品川区では、これが大分前から実際に介助員制度が始まっているのですけれども、この品川区の小中学校の介助員制度の内容などはご存じでいらっしゃいますでしょうか。
○谷川障害福祉部長 品川区で実施している知的障害児の通学の付き添いサービスでございますけども、これは、品川区の社会福祉協議会が、さわやかサービスという名称で、平成四年九月から有償の在宅福祉サービスとして行っている事業だというふうに認識しております。
具体的には、家事援助を行う登録したボランティアの方と、登録した利用者との間の取り持ちをするというんですか、コーディネートをして需給の関係を調整していっている。現在では七件ぐらいの利用実績があると、このように伺っております。
○藤田委員 今お話しいただいたように、実際に福祉の分野と文部省の分野といいますか、教育の分野でうまく連携をしながら、このガイドヘルパー、介助員が有効にできています。
実際には、国の施策などというような状況ではないので、品川区が予算をつけて、身障学級経費としてそれを出しているんですけれども、今回のこういう新規の事業に、さらにやはり地域の要請といいますか、今は十八歳以上ですけれども、こういうガイドヘルプ事業をもう少し柔軟な形で使うというようなことについてはいかがでございましょうか。
○谷川障害福祉部長 この中軽度知的障害者の事業は、今年度から始めたばかりでございますけれども、在宅知的障害者本人の外出を容易にしたいと、こういうふうなことによって自立と社会参加だと、本人支援をあくまでも目的にしている事業でございまして、児童の通学への付き添いについては、現在、制度の対象とはしていないと先ほどお答えしたとおりでございますけども、知的障害児の通学介助を含めた家庭への支援については、実施主体の区市が、母親等の声を聞きながら実施している現状があるわけでございますけども、東京都としては、いずれにいたしましても今後の研究課題にさせていただきたいと考えております。
○藤田委員 そうしますと、例えばこれを有効にいろいろな形で使うというのは、なかなか現状では難しいということですか。
○谷川障害福祉部長 今お答えさせていただいたとおり、この事業は本人の支援を中心にしているということで、家族支援ではない、そこに制度の大きな目的の違いがございますので、この事業を拡大していくということは現時点では考えておりませんので、今後の研究課題にさせていただきたい、このように申し上げたわけでございます。
○藤田委員 親の援助というよりは、私はそれは本人だと思っておりますので、ぜひ研究をしていただきたいというふうに思います。
それから、地域福祉振興事業についてお尋ねをしたいと思います。
これももう何年も前からと申しますか、事あるごとにいっておりますので、ほとんど耳が痛くなるような状況かもしれませんけれども、実際にはこの地域福祉振興事業の支援策をいただいて、地域のいわゆるNPOのグループが、地域福祉の、行政ではなかなかできないところまでの事業を、サービスを展開してきました。
そして、今は三事業について、三事業は、先ほどの資料をいただいた中に、どの程度お金が、そして時間がということが書いてありますけれども、三事業は、有償家事援助サービスと毎日食事サービスとミニキャブの運行システムがあるわけですけれども、実際に一番身近なところでやりましょうということで、市区町村が受けてくれるようにというような話の中で、この三事業は、地域福祉振興財団の援助はなしにしましょうというような提案が都から区市町村に行われています。
しかし、なかなか、いわゆる都の補助は非常に大きな額ですので、地域とすると、たくさんの、例えば世田谷ですとどのぐらいでしょうか、件数がとても多い中で金額も大きくなっていますので、これをすべて区の事業にしていくには難しい。それから、私どもの区でも、あなた方は勝手におやりになったんだから、地域福祉に寄与しているとは思うけれども、自分たちで考えなさいというような状況の中で、今、非常に不安定な状況になっています。
この三事業の見直しということで、現在の状況を、まず、どんなふうになっているかをお尋ねしたいと思います。
○小山地域福祉推進部長 地域福祉振興事業の見直しの状況でございますが、この事業は昭和六十三年度より実施しておりますが、その過程で、今お話のありました地域でかかわりを持って実施することがふさわしい事業である有償家事援助等三事業につきましては、区市町村が主体的に実施できるような見直しを行ってきております。
既にこの三事業の新たに事業をする分につきましては、地域福祉推進事業によりまして区市町村が実施しているところでございます。この三事業で、既に地域福祉振興事業の助成を受けているいわゆる継続分についても、新規分と同様に区市町村の主体的な実施ができますよう、区市町村と協議を継続しているところでございます。
○藤田委員 先ほどお話ししましたように、区が担ってほしいというふうにいった途端に、区はなかなか難しいというような状況をそれぞれの団体にも話をしているんですけれども、都と区市町村との協議ということで、現在までの進捗状況、それから、なかなか、初めは十年までという話で、これを切るぞという話になっていました。しかし、介護保険が始まるまではちょっと様子を見てほしいということで十二年になりました。そして、それを最終、介護保険が始まって、地域が一応安定するまでということで、十四年ということで、今、協議を最終そこまででやっていこうというふうにしているんですが、なかなかそこまでに、結局何年もたって協議が合意に至っていないようなんですけれども、どんなふうになっているのか、原因などありましたら、教えていただきたいと思います。
○小山地域福祉推進部長 地域振興事業のうちの三事業を区市町村主体で実施できるようにという見直しの件につきましては、平成八年度から区市町村と協議を開始いたしまして、限られた地域でかかわりを持って実施するのにふさわしいこの三事業については、区市町村が主体的に実施する事業であると、そういう性格づけについては、区市町村とも基本的に合意をいただいているところでございまして、先ほども申し上げましたように、新規分については、市町村の方は平成九年度から、特別区の方は平成十年度から、地域福祉推進事業として区市町村で実施していただき、それに対して都は補助をしているところでございます。
継続分については、これまでいろいろな協議の過程がございまして、平成十一年度に区市町村ごとに事業の採択計画を立てていただくことや、財政負担につきましても、平成十四年までの経過措置等を整理いたしまして協議に入ったところでございますが、引き続き協議ということになっております。
協議が続いている理由といたしましては、区市町村の後年度負担の問題や、民間団体への補助のあり方についてのご意見などがあるというふうに認識しております。
○藤田委員 最後におっしゃいました、いわゆる民間団体への補助のあり方というようなことで、福祉局本体がなかなかそれは難しいということで、振興財団の方でこれを補助していったという経緯があったと思いますし、そのときには借り手がいなくて、どんどんどんどん、どんなものでも構わない、そして、なおかつ立ち上がり資金ということで、本当は二年までというふうになっていたのを、構わずどんどん使ってほしいというので、経営費補助みたいになってしまったという、ある意味では東京都のやり方も、変な温情をかけたがために打ち切れなくなってしまったというところがあると思うんです。
ことしの四月にいわゆる介護保険が始まったわけですけれども、この振興事業の補助を受けているところも、NPOですので、居宅支援事業者というふうになって、それからまた、区独自、市独自での事業者にもなっていますので、ある意味では介護保険からの事業収入がふえていたりしますので、ぜひ今回、状況がいろいろ変わってきていると思いますので、状況把握といいますか、実態調査をしていただきたいと思うのですけど、いかがでございましょうか。
○小山地域福祉推進部長 区市町村との協議の過程でも、区市町村の側から、先ほど申し上げた協議がなかなか進捗しない理由の中の一つに、介護保険が施行された後の動向などについて、まだよく状況がということもございましたので、ご指摘の点も踏まえまして、地域福祉振興事業につきまして、区市町村協議が少しでも進展しますように努力をしてまいりたいというふうに思っております。
○藤田委員 私も、地域の中でいろいろなNPOが動いているのは、もう十分承知をしているんですが、その方々は、例えば身近な団体でも、月で一千五百万円ほどの事業高になっているということで、運営も少し楽になってきたんだけれども、実はそれは介護保険の事業がもう五〇%を超えているということで、地域福祉をどういうふうに考えるかというときに、行政の下請けにはなりたくないというような意識もある意味ではあるんですね。
もっと自分たちが主体的に、地域福祉をどういうふうにつくっていくのかということでやろうとしている団体がたくさんあるわけで、それは今まで行政が九時-五時の世界で、こうでなくちゃ、ああでなくちゃいけないという決まりの中でやってきたものを--住民のニーズに合ったところで住民参加型の福祉というのはつくってきたはずですので、これからもぜひNPOを応援するというような形の中でこれをやっていただきたいというふうに思っています。
それから、子育て家庭支援センターのことについて何点かお尋ねしたいと思っています。
事務事業概要の三三ページにありますが、子ども家庭支援センター事業が平成七年に事業開始というふうに書いてあります。それで、ここには子ども、家庭に関する総合相談というようなことが書いてあるわけですが、実はその下の児童相談所にも、実は子どもと家庭にかかわる問題というふうに書いてありまして、この子ども家庭支援センター事業が平成七年に開始をされたその経緯と、児相との役割といいますか、分担はどんなふうになっておりますでしょうか。
○福永子ども家庭部長 子ども家庭支援センターの経緯でございますけれども、東京都児童福祉審議会から、平成六年八月に、地域における子ども家庭支援システムの構築とその推進に向けての意見具申をいただきまして、平成七年度に施策化したものでございます。
それから、児童相談所と子ども家庭支援センターとの役割分担の件でございますけれども、児童相談所は、虐待のケースを初めとする困難なケース等、専門的な相談を中心に対応しているところでございます。
子ども家庭支援センターにつきましては、区市町村が地域の身近な総合相談の窓口として、関係機関と連携しながら、子どもと家庭を支援していく第一義的な相談機関というふうに役割分担をしているところでございます。
○藤田委員 子ども家庭部から、いわゆる児童相談所と子ども家庭支援センターとの関係、それから、ネットワークをどんなふうにしているかというようなことを資料としていただいたんですが、実際には、市区町村の子ども家庭支援センターが真ん中にあって、それぞれ教育相談やら、保健所やら、ファミリーサポートやら、あるいは幼稚園、小学校、主任児童委員、民生委員、それから母子相談員というようにネットワークの仕組みが書いてありまして、児童相談所がその一つということになっているんですが、実は、この連携といいますか、そこが、地域の中にあって、子ども家庭支援センターにいろいろ相談に行った場合に、何かあっても、児童相談所が、たかだかその中の一つのポジションであって、非常に連携が悪いといいますか、連携ができていないんじゃないかというようなお声をたくさん聞くのですけれども、今の連携の状況について、どんなふうに行っているかをお尋ねしたいと思います。
○福永子ども家庭部長 子ども家庭支援センターでは、相談内容に応じまして、関係機関と連携して相談に応じておりまして、児童相談所もその重要な連携先になっているというふうに認識しているところでございます。
平成十一年度からは、子ども家庭支援センターと児童相談所との定期的な連絡会を開催し、具体的な相談事例を通して、今後の連携のあり方等についての検討も行っているところでございます。
○藤田委員 いただいた資料の中で、東京都児童相談機関連絡協議会というのがありました。それから、児童委員、児童相談所、学校等の関係機関には地区連絡協議会というのがありました。その中で、協議会が開催されているのはといえば、年一回と書いてあります。実際には、公開講座をやって、三百四十人ほどが参加をしているというようなことが書いてあります。もう一つの児童委員やら相談所というようなところでは、活動内容として、連携といっても、地区が八十地区、参加者四千四百九十名ということで、一回五百六十人、これは一回やったのかどうかわかりませんけれども、そういうような中での連携というふうに読めるんですけれども、実際には、今おっしゃったようなことでいいんでしょうか。連携というのは、年に一回とか、そういうことなんでしょうか。
○福永子ども家庭部長 ただいま申し上げました子ども家庭支援センターと児童相談所の定期的な連絡会というのは、月に一回のペースで実施しているところでございます。
○藤田委員 そうすると、ネットワークの中での協議会ということじゃなくて、子ども家庭支援センターと児相だけのということになりましょうか。
それでは、子ども家庭支援センターの設置の状況なんですけれども、今年度は二十三カ所というふうに「東京の社会福祉」の二〇〇〇年版の中に出ていましたけれども、二十三カ所になるということでいいんですか。
○福永子ども家庭部長 平成十二年度は、予算上二十三カ所見込んでおりますけれども、現在、平成十二年十月末では十七カ所でございます。
○藤田委員 これが始まったのが平成七年ですね。もう五年たっているわけですけれども、まだ十七カ所ということなんですが、設置が進まないということで、区市町村の認識はどんなふうになっていますでしょうか。
○福永子ども家庭部長 子どもの相談分野における区市町村の取り組みの認識には大きな差が生じており、子ども家庭支援センターが設置されていない地域もございます。
今後、子ども家庭支援センターの設置を進めるとともに、子どもの問題に区市町村が積極的に取り組んでいただけるよう理解を深めていくことが極めて重要であると考えております。
○藤田委員 児福審の中で、子ども家庭支援センターが非常に有効であるというふうにされているわけですけれども、取り組みが少ない、あるいは取り組んでいかないというのは、ある意味では、その地域の中で本当に必要と思っているのかなというふうにも思うわけなんです。新たにまたそういうものをつくる必要があるのかどうかということを、きっと考えているんじゃないかと思うんです。
実は私は、この件に関して、ネットワークがなかなかうまくできないということで、「月刊福祉」か何かに出ていたんだと思いますけれども、大阪府の状況を視察してきました。その中で、大阪府の、これは子ども家庭センターというふうにいっておりますけれども、児相が名前を変えて、子ども家庭センターになっているんです。実は、児相が、今まで、いわゆる全部事後といいますか、何か事が起きたときに対処をするということでしか施策をやっていなかったのを、前面に出て、そして児相という名前をやめて子ども家庭センターになり、その中は、地域、家庭支援のところ、健全育成、母子相談というように分けて、そして地域育成課のところで市町村との連携を図っていくというようなことで、こちらから視察に行きましたので、非常に自負をしておりました。
地域の中で、児相は、困難なケースといっても、電話相談や何かでも直接東京都の児童相談所にはいろいろかかってくるわけですし、どうぞというふうにいわれているわけなんですけれども、実際には市区町村はなかなか設置が進まない、児相と子ども家庭支援センターとのネットワーキングがなかなかできないというようなことで、もう一度、この現状をどんなふうに考えていらっしゃるかをお尋ねしたいと思います。
○福永子ども家庭部長 東大阪市では、市の福祉事務所に設置をされました家庭児童相談室が積極的な取り組みをしており、ここを管轄する府の児童相談所が、こことの連携を活発に進めているというふうに聞いております。こうした方法は、連携の進め方の一つの有効な方法と考えます。
しかしながら、都といたしましては、児童福祉審議会からの答申をいただいており、区市町村が設置し、身近な地域で相談に応じる子ども家庭支援センターを中心に、児童相談所を初めとする関係機関との連携の仕組みを構築してまいりたいと考えているところでございます。
○藤田委員 児福審の中でそういう提言を出していったということで、きちっとやっていきたいということでありますが、地域の中にいますと、そこが非常に見えにくい。子どもはあるいは家庭は、どこへ相談をしたらいいのかというのがとっても見えにくい状況にあります。そして、じゃ、だれがリーダーシップをとるのかといったときにも、なかなか難しい状況があるというふうに、地域の中におりますと見えますので、ぜひその点のネットワークの機能が十分に発揮され、そして役割分担が明確になるような関係づくりを進めていただきたいと思います。
先ほどからお話がありましたいわゆる虐待などについても、非常に難しいケースは児相だというようなことが、児相の見学のときにもいわれておりましたけれども、一個人が相談に行ったときには、これが非常に難しいケースなのか、易しいケースなのかということではなくて、本当に自分自身がこういうことを相談したいんだというのが、どこへ行っても一度で事足りるような、そんなネットワークをつくっていただきたいというふうに思っています。
最後に、今もお話がありましたけれども、児福審の中でそういう方向性を出されているというようなことがありましたので、政策決定過程というようなことについてちょっとお話をさせていただきたいと思っています。
福祉局が新たな施策をつくっていく、あるいはいろいろな障害者団体からの、先ほどもありましたように要請があるというようなときに、どんなふうにその施策を決定していくのか、決定の仕組みをまずお尋ねしたいと思います。
○前川福祉局長 政策を決定すると申しますのは、これは最終的には予算をつけていただいて、議会で当然議決をいただかなくちゃできないわけであります。ただ、その過程で、例えば私どもの福祉局なりで立案する過程では、当然ながら、いろいろな地域の団体から要望を受ける場合もありますし、直接個々の方からお話を承る場合もありますし、また、私どもの中で、具体的に今までの経験を踏まえて発案していく場合もありますし、場合によっては、知事から指示がある場合も--これは余りないわけでありますけれども、あるかもしれませんし、そういった総合的ないろいろな場面で考えていくことであろうと思っております。
○藤田委員 例えば、今の子ども家庭支援センターの話でいえば、児童福祉審議会ということの中で決定をしましたというふうにありますけれども、福祉局には、こういうような意思決定をしていく審議会、協議会というのは幾つぐらいあるんでしょうか。
○村山企画担当部長 福祉局におきましては、社会福祉審議会、児童福祉審議会、それに障害者の方の推進協、その三つが大きなものとしてあろうかと思います。
○藤田委員 それでは、その審議会の人選というのはどなたが決定されるんでしょうか。
○上條総務部長 審議会によってさまざまでございますけれども、局長が決定する場合もございますし、知事が決定する場合もございます。
○藤田委員 ということは、福祉局の方々が審議会の人選は責任を持ってしていくということでいいですか。
○上條総務部長 まず、福祉局の中で原案を作成し、それぞれの意思決定を経ていくということになります。
○藤田委員 決定したことを変更するときというような、施策をやめようとかというようなことはありますか。
○村山企画担当部長 施策の変更につきましては、いろいろご意見を伺った上で、私どもで最終的には原案をつくらせていただいた上で、議会にお諮りした上で決定させていただいております。
○藤田委員 行政の継続性ということがいつもいつもいわれるわけですけれども、知事がかわっても、行政の継続性というものはあるんでしょうか。
○前川福祉局長 東京は、当然ですが、議会制民主主義をとっておりまして、知事がおかわりになれば、例えば重要な基幹的な政策について知事の方針が反映する、これは民主主義の当然のシステムであろうと思います。経常的な業務については、当然ながら行政の安定性、継続性ということも、これまた重要であろうと思います。
○藤田委員 何か判じ物のようなことを申し上げましたけれども、もう一つ聞きたいんですが、生活都市構想は議会の中で決定をしていくんだと思うんですが、実施計画になると、そこはまた行政の状況になるかと思います。先ほど来お話があった中で、生活都市構想の中で、不登校や虐待、いじめなんていう子どもの問題が非常に大きな社会問題となったということで、今年度中に子どもの権利条例をつくるということを、私はあの中で都民に約束したんだと思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。
○前川福祉局長 生活都市構想は、恐縮ですが、今手元になくて明言できませんけれども、前の青島知事が、先ほど和田委員もお話がありましたように、議会で答弁されたのは事実でございます。
○藤田委員 先ほど局長も、子どもを取り巻く状況といいますか、その中で、さらに深く議論をしなければいけないことが起きたというふうにいっていらっしゃいましたけれども、とするならば、例えば先ほどお話しした審議会で決定したというか、方向性を示されたことが--多分、青少年問題協議会の中でも総合条例をつくったらいいというふうにもいわれていたと思います。それから、児福審の中では、いわゆる第三者機関としてのオンブズマンをつくったらよいのではないかということがいわれておりまして、そして権利擁護委員会、権利擁護システム、その中でSOS電話が実施をされる。これは三年前の第三回定例会で、公明党の代表質問の中で明らかにされたものだというふうに思っています。
私は、先ほどお話しの子ども施策の中にもありましたけれども、こういう審議会で決定していったことは、どちらかといえば、行政の方々が割合に強固にお守りになっているというふうに思うんですね。例えば私が傍聴した中では、この間は、ひとり親家庭のことについても、こういう方向性というのを出されていました。そして、それについて、今回もこの事務事業の中に実に反映をされてくるというようなことになっているわけです。
ですから、そういう意味では、私は、現在の東京の子どもたちをめぐる状況のことを考えたときに、これが大きな方向性を示したものだというふうに思います。だとすれば、何か今そこでつまずいているということであれば、これは全庁的にいろいろなことを考えなかったから、途中でひっかかっちゃったんじゃないんでしょうか。ちょっとその辺についてお答えいただきたいと思います。
○前川福祉局長 児福審の意見具申というものをどう受けとめるかですが、これはおっしゃったとおり、最大限に尊重すべきでありますけれども、意見具申はあくまで意見具申でありまして、これを最終的にどう具体化するか、あるいは採用するかどうかは、知事以下の行政の責任、あるいはまた議会とご相談しての問題だろうというふうに考えております。
○藤田委員 もちろんそうだと思います。ただ、子どもの権利条例のことについては、生文局の青少年問題協議会の中でも総合的なものをつくりなさいということで、実際には、生文局と教育庁と福祉局、そしてあと、政策報道と総務局が入っての研究会も立ち上げ、その中で、さらにどういうふうにしていこうかということが実際に研究もされ、その研究報告も出ているわけですけれども、ここで少し拙速に、ただ条例、じゃあ目玉は何なんだ、SOS電話というようにぽんぽんといったところで、もう一回立ちどまったときに、本当にこれで何ができるのというようなことでストップしてしまっている状況なんですけれども、私たちはここで、もっと大きな目で見れば、東京から発信をしていく。そして、未来を担う、次世代を担う子どもたちの問題は非常に重要であるし、今、国でもそのことが大きな問題になっているわけです。
私は、子どもの人権、権利というものは、未来の大人の権利でもあると思いますし、この権利条例、先ほどもご質問がありましたけれども、少し後退しているかなというような状況が見られると思いますので、これからさらに問題解決に向けていろいろやらなければいけないことはわかっておりますけれども、ぜひ大きな課題として、福祉局が今、権利擁護担当の課も持っておりますけれども、それをさらに全庁的に進めて、この問題の解決に当たっていただきたいと思います。
以上で終わります。
○古賀委員 私は、耳の不自由な人、聴覚障害者への施策についてお尋ねをいたします。
聴覚障害のある方が自分の住みなれた地域で自立した生活を送るためには、いろいろな困難や苦労が伴うわけであります。それを克服するためには、本人の懸命な努力や、もちろん周囲の理解、協力、また公的な支援というものが不可欠であるわけです。
そこでまず、東京都内に聴覚障害者の方が何人いらっしゃるのか、また東京都はこれらの聴覚障害者に対してどのような福祉サービスを行っているのか、お尋ねいたします。
○谷川障害福祉部長 十二年三月三十一日現在で、聴覚障害者への身体障害者手帳の交付者数は三万五千三百九十二人でございます。
都は、これらの聴覚障害者に対しまして、入所による社会的更生に必要な訓練を行うための施設といたしまして、聴覚障害者生活支援センターを設置してございます。また、手話通訳者、要訳筆記者の派遣やコミュニケーション機器の貸し出しなどのサービスを行っておると同時に、在宅の聴覚障害者に対しましては、ホームヘルパーの派遣、手話、要約筆記、電話応対等のコミュニケーションの介助を行っているところでございます。
○古賀委員 都内には今、答弁にありましたように、約三万五千人いらっしゃるわけですね。東京都は、今紹介がありましたように、これらの皆さんに対して多種多様な福祉サービスの充実に努めてきたことは、私ども承知をしております。しかし、聴覚障害者の日々の生活において、ちょっとした手助けをしてもらえれば、便利で大変助かるということが幾つかあるというふうに思うわけです。
聴覚障害者は、視覚障害者や肢体不自由者と違いまして、一見したところ、健聴者と変わりがありませんので、日常の生活の不便さを一般の方に理解してもらうことがなかなか難しいという特性が一つあるというふうに思います。そのため、耳が不自由である人に耳がわりになる代替の工夫が行われれば、日常の苦労や不安がかなり改善されるということになるわけで、そういう期待ができるわけです。
私は、去る九月二十四日に、日野市レクリエーション協会が主催し、日野市福祉レクリエーション研究会が主管をいたします「生きがいづくり」福祉セミナーというものに参加をいたしました。これは、聴導犬というものを紹介する実演等がありまして、そういう会でありました。場所は、日野の、たしか中央福祉センターだったと思います。隣に別な施設もありますが、福祉センターで行われました。
ここに参加をいたしまして、いろいろなことを私学びました。例えば、目覚まし時計が鳴っている場合、これを教えてくれるわけです。この聴導犬が家にいれば大変助かるということがよくわかりました。
そこで、東京都は、今聴導犬というものをどう理解しておられるか、お答えください。
○谷川障害福祉部長 委員お話しの聴導犬は、一九七五年にアメリカで初めて開発された、このように聞いております。今おっしゃいましたように、聴力を失った人へ生活の中のさまざまな音を知らせる仕事をする犬だと。具体的には、目の不自由な人を助ける盲導犬のように、聴力障害の人のために耳がわりとなる仕事をしている、そのようなことを目的とされて訓練されている犬だというふうに了解しております。
○古賀委員 今ご説明のとおり、聴導犬というのは、聴覚に障害のある方の日常生活に大変役立つということは論を待たないと思うのです。私も、先ほど触れました福祉セミナーで活躍をしている実際の姿を見て、文句なしにそれを実感したわけです。
今説明がありましたほかにも、ファクスが届いたらファクスまで案内したり、ファクス用紙を運んだり、それから、赤ちゃんがいる家庭では、赤ちゃんの泣き声がしますと、主人にそれを知らせて案内することもできるわけです。また、電話が鳴れば、もちろん呼び出し音を訓練によって記憶いたしますから、それを知らせる。それから、銀行や郵便局等で名前を呼ばれますと、それを主人に知らせてくれる。
道路上では、後ろから車や自転車が来ましても、健聴者が歩いているというふうに運転者は思うわけですけれども、ご本人はわからないわけですので、警笛とか自転車のベルが鳴れば、それをまた教えるということなんです。
今、ご説明では、アメリカで開発されたということですけれども、現在、日本には聴導犬というのは何頭ぐらいいるというふうに掌握しておられるんでしょうか。
○谷川障害福祉部長 我が国では、現在、聴導犬の実態は十分に把握されておりません。ただし、聴導犬の数、全国で十頭程度ではないかというふうに聞いております。
○古賀委員 正確な統計等はありませんので、いろいろ出されております資料や新聞記事等を見ますと、十頭程度ということで間違っていないと思います。
そこで、この聴導犬を育てるためには、犬を訓練しなければいけないわけですね。現在、聴導犬の訓練にはどういった組織とか団体、あるいはそれは民間機関なのか公的な機関なのか、また訓練をする訓練士、こういう資格はどうなっているのか。ついでに、もう一つお聞きいたしますけれども、これはただではできないわけで、聴導犬一頭育てるにはどの程度の費用がかかるのか、その期間はどうなのか、どの程度の期間を必要とするのか、その点もしおわかりでしたら、お答えください。
○谷川障害福祉部長 ただいまのご質問も、正確には把握しておりませんが、今、民間の組織が全国で三カ所程度あると聞いてございまして、その民間組織ごとに、見習いとして一定期間勤めた後に、訓練士と称しているというふうに聞いております。
それから、三点目のご質問の聴導犬の育成費用は、一頭につき約八十万円程度ではないか。また、訓練に要する期間は、犬の大きさと種類等々にもよりますが、おおむね半年から一年程度と非常に幅があるものだというふうに聞いております。
○古賀委員 実際にまだ、聴導犬というのは一般には余り知られておりませんし、普及もしていないわけです。十頭程度ですから、普及しようもないわけですけれども、全くその存在が知られていないわけではありませんので、国においても何がしかの検討をしているのかもわからない。そういった情報はお持ちでしょうか、どうですか。
○谷川障害福祉部長 国において、十二年六月に、肢体不自由者が使用するといいますか、利用する介助犬を検討する検討会がございまして、この検討会に都の私どもの職員が一人入っておりまして、その中で、聴導犬についての話題は出てきたことがあるというふうに聞いておりますけれども、現時点で国が検討しているというふうには認識はしておりません。
以上のような状況でございます。
○古賀委員 まだ国の方でも聴導犬についての関心はほとんどないといっていい状態だと思うんです。
ところで、先輩格として、私たちは歴史と実績を持っている盲導犬はよく承知をしているわけです。この盲導犬とよく比較をされるというふうに、私もそのセミナーで聞きました。現在、盲導犬についてはどういう活動の実態があるのかということ、これは大体わかりますけれども、ちょっと触れていただいて、盲導犬に対しては東京都はどのような支援を行っているのか、都を含む公的な支援の仕組みがあると思いますので、簡単で結構ですから、それを説明してください。
○谷川障害福祉部長 全国に盲導犬が八百五十頭ぐらいいるというのははっきりしておるわけでございますが、そのうち、六十七頭が東京都の中で使われているということでございますけれども、東京都といたしましては、アイメイト協会という団体に育成をお願いしておりまして、十二年度予算で申し上げますと、一千七百万程度の事業委託をしているところでございます。
盲導犬自体は、全国に八団体ございまして、そこで育成されているわけですけれども、東京都には、たしかそのうちの二団体が存在している、このように理解しております。
○古賀委員 盲導犬の場合は、今お話しのように、聴導犬以上に長いいろいろな経過があって、きちんと公的な援助の仕組みや都の応援ということが行われているわけで、これに一度に近づけるということは、まだまだ歴史を刻まなければ、時間を要する問題だと思いますので、一気にはそこまでいかないということはよくわかりますけれども、できればそういう方向を私は目指していくべきだろうというふうに思っているわけです。
盲導犬と違いまして、聴導犬の場合は、これからの事業ということになるわけですね。アメリカの例をいろいろ見てみますと、聴導犬は、オレンジの首輪と引きひもをつけて、障害者と一緒に町を歩くような仕組みになっている。また、盲導犬と同じように、公共機関や乗り物、ホテルなどへの出入りも自由に行える。そういう州法によって保護されているというふうに聞きました。これから耳の不自由な高齢者の皆さんも多くなってくるということも予想されるわけですので、そういう高齢者に対しても、これは一つの朗報になるのではないかというふうに思うわけです。
質問としては、きょうは簡単にさわりだけにしておきますけれども、聴導犬について、国はいまだ理解やその役割についての認識は十分でないようでありますけれども、私は、東京都として、聴導犬について、すぐに公的制度を導入して検討しますという答弁は、ここではいきなりお聞きしても無理だと思いますけれども、公的な援助や支援というものの道を開いていくために、少なくとも前向きの姿勢で研究していくべきだというふうに考えるわけですが、その点いかがでしょうか。
○谷川障害福祉部長 先ほどご答弁したように、全国で十頭程度いるといわれている聴導犬でございまして、まだ正式な調査も行われていないという中で、古賀委員のご指摘のとおり、聴覚障害者が住みなれた地域で引き続き自立した生活を送れるというためには、非常に重要な点であるというふうに認識はしてございます。
今後につきまして、財政的支援をしろというお話もございましたけれども、支援の可能性を含めまして、聴導犬についての検討を国に強く要望することができればと、このように思っておりますけれども、東京都といたしましても調査研究はしていく必要がある、このように考えております。
○古賀委員 もう質問ではありませんけれども、ちょっと理解を深めていただければと思いますので、もう少し発言をさせていただきます。
私が参加しました「生きがいづくり」福祉セミナーを主催したレクリエーション協会に私も加盟しておりますけれども、ここでお話をし、なおかつ聴導犬の実演をしました、鎌倉で活動しております、聴導犬育成の会という会の事務局長の松田治子さんという方のお話やらを聞いたわけです。
余りにも見事にワンちゃんが演技するものですから、つい一般参加者は拍手をするわけですね。そうすると、拍手はしちゃいけないということを教わりました。拍手というのは、聴導犬が主人に呼ばれたというふうに勘違いしてしまう。だから、手話でよく使います、拍手に当たるきらきら星をやってくださいということで、やたら拍手喝采、我々が一般に行うような動作は禁物だということも学びました。
そういった活動をやっている松田さんのお話は、聞くところによりますと、ことし三月に、NHKテレビで、首都圏いきいきネットワークでも取り上げて、紹介をされております。
それから、これはまた別のグループ、団体になりますが、今月の三日には、府中市で、ロータリークラブ主催による、聴導犬の普及を目指す、英国からの専門家を招いての講演会も開かれたということです。
それから、徐々に社会のいわゆる認知度は高まっておりまして、現在、飛行機に搭乗が認められている盲導犬と同じような取り扱いが既に可能になっているんですね。航空各社の約款改正によって、同乗できる動物、今までは盲導犬となっていたんですけれども、これを盲導犬類ということに改めました。それによって、飛行機には、貨物の方ではなくて、乗客と一緒に聴導犬が搭乗できるというふうに既に改善をされているわけです。
しかし、まだ市民権を十分に得ていないために、ホテルとか食堂、さらにはJR、飛行機よりも、ふだん我々が利用する電車、汽車等には、まだ非常に難しい問題が残されているということです。
そういった聴覚障害者を取り巻く環境を向上、改善させる、充実させる余地はまだまだ多いというふうに思いますので、その一環として、聴導犬の普及と育成ということに、ぜひこれからも東京都--先ほど前向きの答弁があったというように思いますので、いろいろ資料も用意してきたんですけれども、きょうはさわりだけにしておきまして、この程度で終わりにいたします。答弁が引き続いて行政側において実行、生かされるように期待をして、終わります。
○野村委員長 この際、議事の都合によりおおむね十分間休憩いたします。
午後六時二十分休憩
午後六時三十五分開議
○野村委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言をお願いします。
○曽根委員 私からは、まず初めに、児童虐待の問題と、それと関連して児童養護施設の問題について何点か質問します。
先ほど来何人かの委員さんも取り上げておられましたので、現状の認識についてのところは多少省略しますが、全国的にも昨年度初めて一万件を超えるという虐待の相談があったそうで、東京都の傾向としてはどういう傾向にあるのか、簡潔にお願いします。
○福永子ども家庭部長 児童虐待は全国的にも急増しておりますが、都におきましては、平成十一年度、相談処理件数が千百七十九件で、十年前に比較いたしますと八・八倍、対前年比では一・七倍と増加しております。
○曽根委員 先ほど、急増している要因について、マスコミ等で最近取り上げられるようになり、問題が表面化してきたというふうな指摘もありましたが、もちろん、そういうこともあると思うんですけれども、同時に、この相談の十年間でのふえ方は、単に眠っていた問題が今起きてきたというだけではなく、この十年間の社会の変化も反映しているというふうに先ほどもご答弁がありましたので、ここは別にしつこくやるつもりはないですが、今後、これは減るということはちょっと考えにくく、逆に、急増かどうかはともかくとしても、ふえていくだろうというふうに予想せざるを得ないと思うんですが、いかがでしょうか。
○福永子ども家庭部長 最近、通告が大幅に増加している背景には、マスコミ報道等により、児童虐待への関心が高まっている面もあると考えております。児童虐待防止法施行後の取り扱いにつきましては、こうした点も踏まえまして、長期的な傾向を十分見きわめながら対応していきたいと考えております。
○曽根委員 何かはっきりした認識はないんですけれども、ちょうどきのうが施行日なので、主な新聞などで、社説その他で児童虐待防止法の施行に当たっての主張が載っておりましたが、いずれも、今後この相談がふえるというふうに考えざるを得ない、それに対応して行政の責任がかなり厳しく問われるぞということを指摘しているわけですね。
私は毎日新聞をとっているんですけれども、昨日付の子どもの虐待ということでの社説が、「児童相談所を充実させよ」というのがタイトルなんです。
この児童虐待並びに児童相談の分野というのは、今、福祉全体では措置から契約へというふうにいわれていますが、私たちは、それに対して、分野ごとにいろいろ違うんだということを申し上げているし、単純な契約への移行というのは当たっていないと思っていますが、とりわけ、虐待問題など子育て支援の深刻な実態にどう対応するかという問題は、契約への時代の流れなどということとは最も事態が縁遠い分野だと思うんです。つまり、措置制度という形で当然残していかなければならないし、行政の責任が重く問われているということだと思います。
そこでお聞きしたいんですけれども、まず、虐待の相談があったときに、児相が発見、掘り起こしをやる、相談に当たるという中で、どうしても親の了解を得られなくても緊急に子どもさんを保護しなければならない事態がある。先ほど和田委員からも、こういう深刻な事態だという話がありましたけれども、そういうケースというのはどれぐらいあって、今どういう傾向になっているんでしょうか。
○福永子ども家庭部長 児童虐待の中で、特に身体的な虐待は、親がしつけを主張する事例がほとんどでございますが、統計は特にとってございません。
○曽根委員 私、こういう問題は、傾向を見るためにはきちんと統計としてとらなければならないし、児童相談所がきちんと把握すれば、親の了解を得られなくても、保護しなければならないケースというのははっきりしているわけですから、区別して統計をとるべきだと思うんですが、今後はそういう実態についてきちんと押さえていくということでよろしいでしょうか。
〔「そんな数字合わせだけやっても意味ないよ。統計マニアみたいなことをやっても意味ないよ」と呼ぶ者あり〕
○福永子ども家庭部長 虐待が著しいものにつきましては、児童福祉法三十三条による児童相談所長の権限で、親子分離をし、一時保護を行っているわけでございます。また、診断の結果、施設入所が適当な事例につきましては、保護者の承諾を得まして、施設への入所措置をしております。保護者の承諾が得られないケースにつきましては、家庭裁判所の申し立ての審判によりまして、承認を得た上で、施設入所の措置を行っているところでございます。
統計につきましては、今後検討してまいりたいと思います。
○曽根委員 これは実態を押さえなければ……。今、統計マニアだという話がありましたけれども、実態を押さえないで行政の手だては打てませんからね。虐待防止、対策課をつくったわけですから、そういう点でも、体制を整備したのにふさわしい、行政としての責任ある実態把握をしてもらいたいと思います。これは要望しておきます。
それで、子どもさんを保護したときに、児童相談センターも含めた一時保護所に入ることがあるわけですが、これが最近、満杯状態じゃないかというふうにいわれているんですが、実態はどうなっているでしょうか。
○福永子ども家庭部長 平成十一年度の一時保護所全体の入所でございますが、新規の入所児童数が千三百九十名で、延べの処遇児童数が三万五千三百四人で、入所率は七五・四%となっております。
○曽根委員 延べの入所が七五・四%だというふうに今おっしゃいましたが、これが、本年度に入ってから、現状で見ると、ほとんどあきがない状態になっているというふうにお聞きしているんですが、そういう実態ではありませんか。
○福永子ども家庭部長 平成十二年九月の状況でございますが、九一・六%でございます。
○曽根委員 私、九一・六%、まだ一〇〇%まで八・四%あるじゃないかと、素人的考えで思っていたんですけれども、先日、七月末に、前の厚生委員会のメンバーで相談センターを視察しまして、それから石神井学園にも行ったんですけれども、そこの職員の方にお聞きしたら、児童相談センターは一時保護ですから、やっぱり不安定な状態で入ってくる。ですから、二人部屋でも二人入れられない場合がある。つまり、子どもさんが心理的に不安定で、一緒に一つの部屋で暮らさせることができない場合があると。そういうケースがあるので、運用上、九一・六%という事態は、もう満杯、これ以上もう無理だという状態、もしくは若干定数オーバーぐらいのかげんで入っているというふうに見ざるを得ない事態だと思うのです。
これは私だけがそういっているんじゃなくて、十一月八日付の読売新聞で、虐待の相談が非常にふえているという中で、都の児童相談センターの田城課長さんが、児童虐待防止法が今月施行されると、駆け込む子どもがさらに増えるのではと頭を悩ませていると。本来施設に入るはずの子どもが、十数人も一時保護所に三か月以上滞留する異常事態が起こっているというふうに取材記事を載せているので、これは恐らく田城課長さんに聞いたんでしょうね。だから、現場は大変だなというふうに思いました。
それで、一時保護所、今、センターを入れて五カ所ですか、これはやっぱり拡充する必要があるんじゃないですか。幾つか施設もまだあると思うんですね、活用すれば。これについてはいかがでしょうか。
○福永子ども家庭部長 一時保護所につきましては、児童虐待防止法施行後の今後の状況を踏まえまして、長期的な傾向も十分踏まえた上で、適切に対応していきたいというふうに考えております。
○曽根委員 動向を踏まえて、緊急に必要ならば手を打っていただきたいということを申し上げておきます。
それから、さらに一時保護所から児童養護施設に入る場合がかなり多いわけですが、そこがいっぱいなために一時保護所で滞留しているというふうにこの読売の記事にも書いてあるし、実態もかなりそういう傾向が強いというふうにお聞きしているんですが、都内の児童養護施設の定員の充足状況は、一番新しい最新のデータでいうと、どれぐらいまで入っているんでしょうか。
○福永子ども家庭部長 児童養護施設の入所状況でございますが、入所のピークである三月一日現在で比較いたしますと、平成九年度が二千八百人、入所率九二・四%、平成十年度が二千七百九十九人、九四・三%、平成十一年度が二千八百九人、九五・七%と、おおむね二千八百人前後で推移しております。
○曽根委員 九〇%台ですから、一時保護所と同様に、運用上はほとんど一〇〇%状態というふうにいっていいんじゃないかと思うんですね。
しかも、その定数というのが、たしかこの春でしたよね、都外施設宇佐美など二カ所廃止していますので、定数も下がっている、そして充足率は上がっているということでいうと、こういう事態のときに、何で定数を減らし、施設を減らすのかという疑問は当然起こってくると思うんです。
それと、三月段階でいっぱいになって、四月からまた卒業があるので減りますよというお話を現場の方から聞いたんですが、こういう施設の場合は、リアルタイムであき状況をつかんでいないと、子どもさんを一たん一時保護して、それから施設はどこがあいているだろうかと--絶えずその月の入所状況をつかんでおく必要があると思うんですが、そういう形できちっとつかまれるようになっているんでしょうか。
○福永子ども家庭部長 一応、毎月の状況については、把握できるものについては把握してございます。
○曽根委員 今月一日についてはどういう状況になっておりますか。
○福永子ども家庭部長 済みません。平成十二年九月一日現在の数字が手元にございますので、十二年九月一日現在では、二千七百四十五人でございます。
○曽根委員 リアルタイムでつかまなければならないのに、最新のというと九月になってしまうというのは、ちょっとあれだと思うんですよ。そこも含めて、やっぱりリアルタイムで、今の月はどうなのかというのをつかむ必要があると思うんです。
それから、今の数字、もしもっと新しいのがあれば、その充足状況が何%なのか、あきはどれぐらいなのか。
○福永子ども家庭部長 失礼いたしました。十一月一日現在でございますが、二千七百九十名でございます。入所率は、今計算します。
○曽根委員 じゃ、入所率は後でお答えいただきたいんですが、ほとんど一〇〇%近いと思うんですよ。定数は二千八百人ぐらいですね。
実際に、運用上、どうしても定数を入れられない場合もあり得ますから、この先、新しく一時保護所なりセンターから養護施設に送ろうと思っても、もう十一月の段階で送れない。子どもさんは、来年の三月までは、よほどのことがない限り、大体卒業までは出ないわけですから。したがって、これは膠着状態になっているわけですよ。
私、年度途中ではありますけれども、相談が急増している、この年度の後半にどれぐらい相談が伸びてくるかわからない、一時保護所も満杯、養護施設も今運用上いっぱいというときには、緊急に使える施設は使って、やっぱり受け入れる体制をつくるしかないと思うんですよ。そういう緊急措置というのは、私はあっていいと思うんです。
例えば、石神井学園をこの間見に行きましたけれども、今、実際に寮には使っていないけれども、前に使っていた部屋が、学習室だったかな、たしか一部屋あったんですよ。前は寮として子どもさんが入っていたんだけれども、今はふだんは余り使わないような形になっていたんです。こういう施設は探せばあると思うんですよ。特に都立の場合は余裕がありますから、まだ民間に比べて。こういうものをあけて少し手を入れれば、受け入れ体制が広げられるわけですから、緊急な手当ても必要なんじゃないでしょうか。いかがですか。
○福永子ども家庭部長 済みません。十一月の入所率ですが、九六・四%でございます。ただ、七月から十一月まで、ずっと二千七百人台で推移をしてございます。
今後の児童養護施設の定員の確保ということでございますけれども、必要に応じて適切な対応をとりながら、今後の入所動向を見守ってまいりたいというふうに考えておりますが、なおどうしても一時的、緊急的な対応の措置が必要ということになれば、他県への割愛でありますとか、施設規模に余裕のある施設への超過定員の導入等も考えております。
○曽根委員 私、これは公平を保つために民間の福祉法人の方から聞いたので、都立の施設の方の意見もあると思いますが、超過定員という場合に、民間にしわ寄せがいくということがままあるということを聞いたので、そういうことのないようにお願いしたいんですよ。
私、石神井学園に行ったけれども、民間じゃこうはいきませんよと、その施設の職員の方がいっているんだから。緑はあるし、子どもさんは虫かごを持って虫とりに走り回っているし、施設的にも余裕があるし、広さもあるんですね。こういうところで、東京都が責任を持ってちゃんと受け入れ体制をつくってほしいということをいっておきます。
それから、対症療法的に、とにかく子どもさんを保護するだけで済むかというと、そういうことにはならないんで、相談に来る段階でのケアといいますか、そういうことを考えていく必要があります。
そのことに行く前に、これは基本問題になりますけれども、この春、私、厚生委員長をやっていて、宇佐美とどこだったかな、二カ所、条例廃止を可決したわけです。それから、今、衛生局の所管ですが、成東の児童保健院、これも法律的には児童養護施設ということで、平成十四年度末に廃止すると。こちらは今、六十人近く子供が入っているわけです。
成東の廃止については、先日、衛生局の質疑のときにも私いいましたが、検討委員会の中で、これは福祉局の所管の養護施設の方にお願いせざるを得ないということになっているわけですが、養護施設の側からは、いや、今はもう満杯状態なんで、簡単に一遍に受け入れはできませんよ、分割してしか受け入れられませんよというのが、検討委員会の中でも発言で載っているんですよ。
ですから、こういう状態のときに、今まで二施設を廃止したこれ自体が、やっぱり私はミスリードだと思うんですよ。今日のような、虐待問題を中心に急速に相談がふえてくるという事態を予測できなかった甘さがあったわけで、これは厳しく反省をして、これは衛生局所管なんですけれども、成東については、廃止を見合わせて、一たん凍結して再検討ということで、福祉局からもお願いする、要望するということはすべきじゃないでしょうか。
○福永子ども家庭部長 旧虚弱児施設は、病院部門を併設し、評価を受けてきたところですが、一定の役割を既に果たされたものといたしまして、児童福祉法の一部改正がなされたところでございます。これを踏まえまして、衛生局では、総合的に見て廃止が妥当と判断したと聞いております。
○曽根委員 私、成東も見てきたんですが、繰り返しませんが、あそこも立派な施設があるんです。ちょっと手を入れなければならないところもありますが、活用すれば、今、非常に緊急事態の中で、これも有効な施設で、使えるはずです。このことは指摘をしておきたいと思うのです。
それで、相談のときに、今まで私もずっと事態がどうなっているのかよくわからなかったんで、最近わかってきたんですが、親の了解を得ないで子供さんを保護しなければならないという事態の場合、その親御さん方のケアはだれがやるのか。子どもさんは、一定の年齢が来れば、もしくは落ちつけば、家庭に戻すというのが建前になっているわけでしょう。戻す家庭が、親が虐待をもうやらないという状態にだれが導いていくのか、この権限や責任というのはどこにあるんですか。
○福永子ども家庭部長 親に対するケアのことでございますが、児童相談所における保護者指導はもとよりでございますが、地域においても、児童相談所の児童虐待ケースマネジメント事業を通して培ってきた関係機関と連携し、保護者を支援しているところでございます。
しかし、強制分離等により、児童相談所に対して拒否的な保護者に対しましては、児童虐待防止センター等の民間団体と連携をして、保護者の支援を行ってまいりたいと考えております。
○曽根委員 私は、今の制度に大きな矛盾があると思うのは、深刻なケースほど親の了解を得ていたのでは間に合わないんで、やむを得ず子どもさんを保護することがある。そうすると、親との関係では、行政は敵対関係になっちゃうわけですね、心理的にも。その親に対して、幾ら行政側が手を差し伸べても、当分の間は理解は得られないという関係が、こういう深刻なケースの場合、圧倒的に多いわけです。
そこで、今お話のあったように、民間団体の協力を得るというようなことが行われているわけですが、私は、本来だったら、行政が保護をする段階で、親との関係でもっと綿密な対応をする必要があるし、それから、民間団体の協力を得ながらも、東京都として、行政として、全体に責任を持てるシステムをどうつくるかということについて、やっぱり研究していく必要があると思うんです。
その点で、今度、親に対する、保護者に対するケアの問題で、児童虐待防止センターと協定を結んで、協力を一層強めようというふうになったようなんですが、その内容について教えてください。
○福永子ども家庭部長 児童相談所と児童虐待防止センターの協定書の締結でございますけれども、児童相談所と防止センターが、個別具体的な児童虐待のケースの解決のために、相互の密接な協力関係が不可欠であるとの認識に立ちまして、お互いの立場や役割を尊重した上で積極的に連携を進めていくために、協定を結んだものでございます。
○曽根委員 児童虐待防止センターというのは、実は私たちは、民主党さんや生活者ネットワークさんと一緒に要望をお聞きする機会があったわけです。そのときに、秋山さんという代表の方がおっしゃっていたんですが、とにかく全部自前で、電話代だけでもばかにならないし、ほとんどみんなボランティアで、大変な思いでやっている、家賃だってなかなか払えないというお話でした。
私は、東京都が、今、行政ではなかなか手の届かない保護者に対するケアをやっていく上で、経験やノウハウで、そういう虐待防止センターと連携して協力を得なければならないとするならば、当然ながら、このセンターに対する一定の援助はあってしかるべきじゃないかと思うんですが、そういうことは検討しているんでしょうか。
○福永子ども家庭部長 児童虐待に対しましては、児童相談所のみならず、保健所、福祉事務所、子ども家庭支援センター、民間団体などさまざまな機関が連携しながら、かかわりを持っていくことが必要だと考えております。引き続き連携の強化に努めてまいりたいというふうに考えております。
○曽根委員 この協定についての資料をいただいたんですが、民間団体ですけれども、防止センターに年間四千件の相談があるそうですね。都内でここしかないわけです、こういうノウハウを積み上げているところは。ですから、ほかにもいろいろな協力関係はあるでしょうが、少なくとも、東京都の虐待防止対策のかなめの一つの事業として、協力関係を結び、協定も結んだんですから、せめて、例えば事務所や電話代などの、一定の委託なり補助なりの考え方を検討すべきじゃないでしょうか。そういう可能性はありますか。
○福永子ども家庭部長 繰り返しになりますけれども、民間団体である子どもの虐待防止センターとの連携につきましては、強化を図る形で努めてまいりたいというふうに考えております。
○曽根委員 具体的に、連携の強化の中で、運営も大変厳しいというふうに私たちも要望を聞いておりますし、東京都も恐らく聞いているでしょうから、虐待防止センターに対する都として可能な支援をお願いしておきたいと思うのです。
一方で、虐待問題が深刻化する前に解決を図るためには、都内の各地域で、そういう深刻化する可能性がある家庭をいかに早く発見して、いろいろなつながりの中で対策が打てるようになれるかどうかということが大事だと思うのです。これはプライバシー問題がありますから、それから、親は親権を持っていると先ほど和田委員がおっしゃったとおりで、なかなか大きなバリアもあって、難しい課題ですけれども、そこに踏み込んでいかないと、深刻化したら対症療法しかないということになってしまったのではまずいということで、全国を見れば、いろいろな取り組みが今されているわけですね。
東京都として、親に対するケア、子どもさんに対する保護、それぞれは今体制を一生懸命とりつつある、またとってきたと思うんですが、今後、そうした地域での、虐待まで至らなくても、子育てで悩んでいるお母さんや、そういう方々の悩みの相談に早いうちに乗れるような体制、それから、早いうちに行政の方で把握して一定の援助のできる体制、そういうものをつくっていく必要があると思うんですが、そういう点で、東京都としては今後どういうふうな方向を目指していくんでしょうか。
○福永子ども家庭部長 子育てに対する不安などに対しましては、身近なところで気軽に相談できる子育て支援体制といたしまして、保育所や児童館などでの子育ての相談や啓発を行う子育て広場事業がございます。それに、子ども家庭支援センターでの、地域の中核としての総合的な相談機能がございます。
○曽根委員 私、児童福祉審議会に委員として昨年から出させていただいていまして、非常にそこで認識が深まったんですが、こういった相談を受けて、東京じゅうを走り回っている方が、一人一人は大変な思いをして仕事をしているんですが、人数が少ないんですね。やっぱり、こういう専門の知識を持ち、経験を持っている方を育てていかなければならない。どういうところで育てていくのか、それから、どういうところを拠点にしてそういう方が仕事をしやすいようにしていくのかということで、今、仕事としてファミリーソーシャルワーカーというものを育てていこうじゃないか、こういう話が出ておりまして、私はそういう努力が今こそ必要だというふうに思うのです。
孤立しているお母さんやお父さんの、今の核家族化の中での悩みにこたえていけるような体制、児童福祉審議会の中では、子ども家庭支援センターをベースにしてモデル的にでも立ち上げてみようと、そういう事業を提案されていたんですが、東京都としては、来年度どういうふうに考えているんでしょうか。
○福永子ども家庭部長 現在、東京都の児童福祉審議会で審議をしていただいているわけでございますけれども、地域の中で自立可能になるような家族全体を支援するファミリーソーシャルワークにつきまして、モデル事業として、三鷹市と新宿区をモデルにモデル事業を展開しているところでございまして、十三年度には答申がいただけるものというふうに考えております。
○曽根委員 まだ二つの区市ですけれども、ここでどれだけの深刻な事態が本当にあるのか、単なるマスコミで今盛んにいわれているだけなのか、この実態をきちっとつかみながら、そういう問題の解決に当たり、その成果を東京全体に返していくという努力をぜひやっていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
あわせて、これは要望にしておきますが、子ども家庭支援センターに対する東京都の補助が、専従者を一人置けばもう目いっぱいという極めて少ない補助でやってきているわけで、力を入れているところは、区が上乗せし、市が上乗せしていますが、区や市によってばらばらだということもありますので、子ども家庭支援センター事業に対する都の支援を抜本的に強化するようお願いしたいと思います。
二つ目の問題として、これは福祉局の仕事だということでお聞きするんですが、介護保険がスタートした中で、いわばお年寄りと介護サービスをつなげるかなめの仕事であるケアマネジャーの仕事について、その養成についてお聞きしたいと思うのです。
資格試験も何回か行われまして、かなりの人数が資格を取得したわけですけれども、実際に仕事が始まってみると、実働割合が低いというふうにいわれており、ケアプランの作成など立ち上がりの時期は大変だ、しかし、後、プランができて介護サービスがスタートすれば、少し楽になるかというふうな話もあったんですが、実際は、毎月、毎月のサービス給付管理で、これも大変ということで、現場からは悲鳴に近い声が上がっております。
そこで、東京でのケアマネジャーの仕事の実態、それから必要な都の支援は何か、この点について幾つか簡潔に聞きたいと思うんですが、まず、今、都内で、ケアマネジャーの有資格者、そして都がつかんでいる範囲での実働数はどれぐらいでしょうか。
○小山地域福祉推進部長 介護支援専門員、いわゆるケアマネジャーについてでございますが、この資格は、保健、医療、福祉等の分野での実務経験等、一定の要件を備えた者が試験を受験いたしまして、合格した後、実務研修を修了することによって資格を取得いたします。
この実務研修修了者は、平成十二年八月三十一日現在、都内に一万一千七百六十六人となっております。
これらの介護支援専門員の実働状況についてでございますが、平成十二年九月から十月にかけまして、福祉局におきまして、この介護支援専門員実務研修修了者の中から、無作為抽出により千人について調査を行いました。この調査で、介護支援専門員として実務についているかどうかということを調査したわけでございますが、既についている、あるいはこれからつくことが内定しているということで、約四割の方がそのように回答されております。
したがいまして、先ほどの有資格者から、現在、都内では、おおむね四千八百名程度のケアマネジャーが実務についていると推計しております。
○曽根委員 四千八百人の実働のケアマネジャーの方が、厚生省の出した基準によると、大体、一人五十人のお年寄り、サービス利用者をケアマネジメントすると、一人七千円ぐらいの収入ということで、三十万円台の収入もマネジャーは得られるし、それぐらいなら何とか見られるんじゃないかというのが、厚生省の当初の見通しだったようなんですが、実際に実働している方々は、平均何人ぐらいのお年寄りのケアプランを立てて、管理をしているんでしょうか。
○小山地域福祉推進部長 都内の介護支援専門員一人当たりの担当件数の実態につきましては、現在、高齢者施策推進室において調査を行っておりますが、集計中と聞いております。
先ほど申し上げました福祉局が実施した調査から推計いたしますと、介護支援専門員一人当たりの一カ月平均の居宅サービス計画等の作成件数は、二十七・八件でございました。
○曽根委員 単純にいいますと、厚生省の出した基準から見ておおよそ半分ですから、これはケアマネジャーとしての仕事による月の収入が二十万円いかないわけですよ、平均すれば。つまり、大体、スーパーマーケットなどでのパート労働、週に二、三十時間ぐらい、三十時間以上働くと、パートじゃなくて常勤扱いになるわけですが、三十時間労働のパートさんぐらいの収入なんです。したがって、仕事の中身は極めて専門性の高い、しかも、お年寄りのいわば健康や命を預かっている仕事であるにもかかわらず、勤労者としては非常に低い収入に甘んじなければならないというのが東京都の現実の姿なんですね。だれも、持てるんだったら、五十ケースぐらい持って、五十人ぐらいの方のプランを立てて、収入だってたくさん入れたいわけですけれども、できないからこそ、今、二十七・八人という数字があると思うんです。
そこで、これは制度の問題があるので、制度の改善ということについては高齢者推進室にお聞きするしかないんですが、少なくとも、苦労して安い収入で頑張っているケアマネジャーを東京都として支援するために、まず情報不足を補うことや、自分が一生懸命頑張っていて、なかなかほかのケアマネジャーとの交流や仕事の経験の情報交換ができにくいということを助けてあげられるような研修をやっていく必要があると思うんですが、東京都としてのそういう計画はどうでしょうか。
○小山地域福祉推進部長 介護支援専門員の業務に関する課題といたしましては、介護保険制度がこの四月から始まったこともありますし、また、介護支援専門員の業務範囲が多岐にわたることから、居宅サービス計画の立案あるいは給付管理業務、請求事務など実務を行う上での個別業務の習熟度が十分でない、このような問題があると認識をしております。
したがいまして、介護支援専門員が実務を行う上での個別業務の習熟度が向上するように、今年度から、介護支援専門員として実際に実務に携わっている方を対象として、現任研修を実施することとしております。
○曽根委員 これから行うということなので、まず、実際に仕事をしている方々に希望をとって、曜日とか時間とか、どういう時間なら研修に来られるのか、それから、希望者はどれぐらいいるのか、正確に把握して、それに対応した量と質を構えてやってほしいと思うんですが、いかがでしょうか。
○小山地域福祉推進部長 この居宅介護支援専門員の現任研修につきましては、過日、これらのケアマネジャーが所属しております指定居宅介護支援事業所並びに介護保険福祉施設等に対しまして、研修の開催と、所属する介護支援専門員への周知を依頼したところでございますが、その結果、二千七百八十名の受講希望者がございました。
現在、これらの受講希望者のすべての方が今年度じゅうに受講できるように、準備を進めているところでございます。
この現任訓練は、前期と後期に分けまして、前期のプログラムでは、介護保険制度施行後の動向や給付事務等の最新情報を集中講義の形で提供します。それから、後期のプログラムでは、実際のケアプランの作成の演習を中心に組み立てているところでございます。この前期と後期の研修を、期間を離すような対応をとっております。
前期の部分につきましては、四回、四コマと申しましょうか、それから後期の二日間の研修につきましては、十一コマを用意してございまして、受講希望者の方の希望に沿えるような配慮をしているところでございます。
○曽根委員 中身なんですけれども、いろいろな悩みがあるらしいんですね。私の聞いているのでは、大きくは特に二つの問題があって、一つは、障害を持っているお年寄りの場合に、先ほど小松議員からも質問がありましたけれども、障害者としてのサービスと介護保険としてのサービスをどうやって組み合わせていくかというのは非常に難しい問題で、どうしても民間のケアマネジャーは自分の事業の中でやりたがるというような話がちょっとあったんですが、やっぱり、お年寄りにとって一番必要で適切なサービスは何かという立場に立っていかに仕事ができるようにするかということ、ここのところの内容、そういう悩みにこたえられるようなものにしてほしい。
もう一つは、サービスの量は介護認定度によって確保できるんだけれども、ご本人の経済力または家族の経済力によって、サービスが全部は受けられないと。とにかく、簡単にいえば、うちは一万円しか払えないので、その中でサービスを考えてくれというふうにいわれるケースが非常に多いというんですね。これは本当に払えない場合もあるし、介護サービスについての理解が必ずしも十分でない場合もあります。
そういう場合は、このお年寄りにとって、例えば週二回から三回来るべきリハビリのケアの人が、週一回になったのでは、寝たきりは治りませんよ。週二回、三回と来て初めて、起き上がり、表に出られるようになるんですということも含めて、本当にお年寄りにとって何が必要なのかということを話さなければならない場面もあると思うんですよ。必要な負担は、今の制度では、家族に負担をかけることになるけれども、本人に負担をかけることになるけれども、それをやらなければ、お年寄りの寝たきりは治らないというふうにあえていわなければならないときもあるでしょう。私たちは負担を減らすべきだと考えていますが……。
そういう現実にぶつかっている問題に中身としてもこたえられるものにしてもらいたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○小山地域福祉推進部長 先ほど申し上げました現任研修の特に後期のプログラムは、大変対象者が多いのでございますが、現場で直面している具体的問題に対応できる応用力がつくように、演習ということを重視しておりまして、一グループ十名にリーダーをつけ、四十人で一クラスでクラスリーダーをつけるというような体制にいたしまして、まず、あらかじめ用意した代表的なケースについて、受講生一人一人がケアプランを作成し、それをグループ討議にかけ、リーダーの助言を得、またクラスで討議するというようなセッションを繰り返しまして、演習で取り扱う事例数は限られますが、個人研究、グループ討議等を通じて、今お話しのあったような応用力、それからケアプラン作成能力が向上するような研修を実施する予定でおります。
○曽根委員 非常に忙しい中で、時間を割いて参加するケアマネジャーの方々が、やっぱり行ってよかった、東京都はさすがだというふうにいっていただけるような研修になるように願っております。
終わります。
○石井委員 福祉局の事務事業に関連をしてお尋ねしたいと思います。
先日、私は、今日の福祉の再構築についていろいろ質問をいたしました。そして、東京都や、また私たち各政党が、厳しい財源の中で、今後の超高齢化社会にどう軟着陸していくのか、さまざまな福祉ニーズがある中で、そうした福祉ニーズに的確にこたえながら、よりよい高齢化社会をつくっていくためにはどうしたらいいのかというようなお話をいたしました。そして、共産党の皆さんが今東京全体で配布している、福祉が切り下げられるというチラシに書いてあることは、私たちが今考えている方向と違うのではないかということを申し上げたわけであります。
そしたら、共産党の赤旗に、公明党の都議が石原都政の福祉切り捨て賛美発言ということで、非常に大きく、久しぶりに書いていただきました。
私は、何も石原都政を賛美しているわけでもないし、福祉の再構築が福祉の切り捨てである、また石原知事そのものに追随、全くそのとおり一〇〇%追随するものではないわけでございます。
そこで、赤旗が、毎度おなじみの非常に巧妙に書いているわけですが、東京都の福祉予算はマイナス三・二、この数字はそのとおりであります。〇・八%増というけれども、福祉予算はマイナス三・二だ、成り立たない数字のごまかしといっているんですね。非常に巧妙に、あたかも福祉が切り捨てられたんだというようなことがここに書いてあるわけです。
そこで、福祉局にお尋ねをいたしますが、十二年度の福祉予算と東京都全体の予算との比較、それから、福祉保健の占める割合等々から見て、この福祉切り捨てという表現が正しいのかどうか、事実なのかどうか、まずお尋ねをいたします。
○村山企画担当部長 平成十二年度予算におきます福祉局及び高齢者施策推進室を合算した予算についての数字は、先ほどおっしゃったとおりでございますけれども、東京都の全体の一般会計の伸び率ということになりますと、四・九%の減、特に私どもの局の事業と横並びで見るべき一般歳出につきましては、九・六%の減ということでございますので、そういう意味では、非常に厳しい財政状況のもとで、三・二%減というところでとどまったということは、むしろ、状況の中では、私どもとしては相当頑張った予算だというふうに理解をさせていただいております。
その結果、一般会計に占めます保健と福祉の予算のシェアというのは、過去最大の一一・五%ということでございますので、そういう意味でも、十二年度予算というのは、福祉改革の初年度の年ということで、積極的な予算だというふうに私どもとしては理解しているところでございます。
○石井委員 それから、福祉と保健に占める割合が一一・五だ。全体が九・六%というマイナスという中で、確かに福祉局関連予算が三・二ということでありましたけれども、よりマイナスが少ないということでは、他局に比べれば、これは非常に前進をしているというんですか、よりマイナスが少ない。しかも、予算全体に占める割合がふえているということは、これは切り捨てだということはできないと思います。
十一年度と十二年度を比較して、全体予算に占める福祉の割合はいかがでしょうか。
○村山企画担当部長 十一年度予算におきます福祉と保健の全体に占める割合は一一・三ポイントでございまして、先ほど申し上げた一一・五ポイントというのは、十二年度におきましては、率においても上昇しているということになろうかと思います。
○石井委員 それから、福祉の全体的な再構築ということですから、確かに、十二年度そのものは、全体の見直しという中でマイナスになったかもしれないけれども、単年度だけで再構築ができるわけではないわけでありますから、例えば今後十三年、十四年、その再構築した効果というものは、後年度により大きな形で及ぼしてくると思いますけれども、十三年度段階では、それぞれ各局が要求している数字と比べて、福祉関連予算はどうなんでしょうか。
○村山企画担当部長 十三年度要求ベースの、私ども福祉局の前年度予算対比の伸び率は一・七%でございまして、ついでに高齢室についても申し上げますと、高齢室は七・八%でございまして、両方合わせた合計の伸び率はプラス四・六%ということになってございます。一般会計全体の一般歳出の増減率は三角の〇・五%減ということでございますので、全体の中で、事業局、事業をやっている局の中においては、わずか都市計画局を入れて三局だけがプラスというような予算の中においては、私ども福祉局は、高齢室と合わせまして、極めて積極的な予算要求をした、かように考えているところでございます。
○石井委員 前川局長にお尋ねしたいんですけれども、東京都の福祉関連予算が、前年度、今年度、そして来年度、こういう予算編成の中で、また予算執行の中で、都全体の予算に占める占有率といいますか、そうしたことをバロメーターとすれば、明らかに都の福祉は前進している、切り捨てという表現は適切ではない、正しくない、事実と違う、こう思いますが、いかがですか。
○前川福祉局長 先日もお話し申し上げたと思うんですが、私どもは、切り捨てという批判については、大変心外であると申し上げております。
それは、二点ございますが、一点は、我々は、何度かお話し申し上げたとおり、本当の意味で豊かな福祉をつくっていきたい、そういう意味での福祉改革を本格的にやっていきたい。それは、昨年度から始め、十二年度ある程度方向を出したわけですけれども、十三年度以降さらに本格的にやっていきたいというのが第一点でございます。あわせて、ただそれは、満遍なくといいますか、ばらまきをやるのではなくて、必要なスクラップ・アンド・ビルドをやるというか、限られた財源を重点的に配分していきたい、こういう二点で積極的に福祉の充実に取り組んでいくつもりでございます。
○石井委員 今、私たちはなぜ福祉の再構築をしていくのか。それは、さまざまな福祉施策ができた時代、これはむしろ私たち公明党が積極的に進めた背景があります。昭和四十年代中ごろの生産人口と六十五歳以上の高齢者の対比は、大体十四人で一人の高齢者を支えていた。ところが、現在は四・七人で一人の高齢者を支える。あと十五年たちますと、平成二十七年には、二・六人で一人のお年寄りを支えなければならないという、超高齢化社会というバックグラウンドがある。
そういうことを考えたときに、共産党がいうように、何でもただで、何でも福祉に携わる公務員をふやせということをいい続ければ、かつての旧ソ連のように、かつての革新自治体のように、財政難で崩壊してしまうことは目に見えている。私たちはそんな無責任なことはできない。したがって、今、私たちは、これを再構築していくことは時代の要請であるし、これは最も大事なことだ、このように考えるわけであります。
このツケを若い方々に押しつけることはできない。共産党の考え方は誤りであるということを、まず明確に申し上げたいと思います。
そこで、共産党が同じく切り捨てだといっている障害者医療費助成についてお伺いいたします。
障害者医療費の助成、確かに弱い方々は守らなければいけない、私たち公明党も全く同感であります。そこでお尋ねしたいんですけれども、今回の障害者医療の見直しに関連して、低所得の方々に対してはどういう配慮をしたのか。
○谷川障害福祉部長 改正されました心身障害者医療費助成制度において、住民税非課税の低所得の方は、入院、通院の自己負担を免除し、入院時の食事代の負担だけになってございます。
また、国の考え方と異なりまして、所得を世帯でとらえるのではなく、障害者個人でとらえる制度にしてございます。
さらに、重症難病患者の方など重度障害の方には、それぞれの医療費助成制度により、自己負担がないようになってございます。
○石井委員 それから、今回、この医療費助成によって、適用除外、対象除外になる方々に対しての救済策は大事だと思いますけれども、どういう対応をしているんでしょうか。
○谷川障害福祉部長 昨年十一月に策定されました福祉改革ビジョンによりまして、緊急性、必要性の高い住宅サービスを中心とする福祉サービスの充実を図っていくということを考えてございまして、在宅サービスの充実といたしましては、心身障害者ホームヘルプサービスの充実、特に滞在型に加えまして、二十四時間の巡回型ホームヘルプサービスの充実を図ったところでございます。あるいはショートステイの充実、デイサービス事業の充実、その他生活寮、重度生活寮等の充実、グループホームの事業の開始等々、総合的な福祉の構築を考えて除外者対策を図っている、このように考えてございます。
○石井委員 それから、見直しをした財源は、障害者の方々に対してどういう新たな施策の展開をしているのか、お尋ねします。
○村山企画担当部長 ただいま障害福祉部長からお答え申し上げましたとおり、十二年度における福祉施策の見直しの成果を生かしまして、心身障害者のホームヘルプサービスの充実、特に二十四時間巡回型ホームヘルプサービスを初めとするさまざまな在宅サービス、それから、生活寮等の住の部分での生活の場の充実等々の施策を講じているところでございます。
それらを含めまして、十二年度の医療費、手当の見直しの結果、現在の十三年度予算要求のベースで、そこでいわば生じた財源の総額は百十億円程度というふうになるわけでございます。
これらを活用いたしまして、十二年度における、ただいま申し上げましたような施策の新たな展開に加えまして、十三年度におきましても、さまざまな新しい充実施策を講じました結果、福祉改革にかかわる施策展開に要する支出といたしましては、平成十一年度に比べまして、十三年度要求ベースで参りますと、新たに百五十億円程度の財源を投入したというような形で、私どもとしては福祉局として予算要求をいたしておるところでございます。
これは、ひとえに、十二年度における施策の見直しの成果を、新たな福祉施策の充実のために役立てていこうという基本的な考え方に基づくものでございます。
○石井委員 そうしたさまざまな施策を充実し、見直しをした財源を超える新たな展開もしている。数字的にも施策的にも明らかであります。そうすると、このチラシで書いてある、福祉が切り下げられるという記述は、事実ではないわけですね。
○村山企画担当部長 今回の施策見直しは、先ほど委員からもお話がございましたとおり、昭和四十年代以降の、さまざまな国における制度の充実あるいは介護保険制度を初めとする状況の変化などを踏まえまして、国の施策が極めておくれている時代に始まってまいりました私ども東京都における施策について、制度間の整合性であるとか、あるいは負担の公平などの観点から見直しをして、限りある資源を緊急性、必要性の高い施策に重点的に配分して新たな施策展開を図ろう、こういうことで行ったわけでございます。
そういうことから、ただいま申し上げましたとおり、十二年度予算及び十三年度予算要求におきましても、さまざまな施策の展開を図っているところでございまして、十三年度からは福祉改革を本格的にスタートさせるということで、積極的な展開を図ろうとしているわけでございます。
したがいまして、今回の私どもの福祉施策の見直しを含みます福祉改革を福祉の切り捨てという批判は、全く当たらないものと考えております。
また、見直しの内容におきましても、制度の存続を前提といたしまして、先ほど来申し上げておりますように、負担の公平等の観点から、公平な制度を目指して行ったということでございまして、低所得者への配慮も十分行っているものでございまして、この面でも福祉の切り捨てという批判は当たらないものと考えてございます。
○石井委員 全く当たらないということですね。
議会制民主主義ですから、それぞれ政党が政策を競い合う、そしてその実績を競い合う、批判し合う、これは自由であります。だけれども、そこにはおのずとルールというんですか、ありもしないことをつくり上げて、そして批判するというやり方は、私は正しくないと思います。
前回の委員会でもいいましたけれども、共産党が、この春、都営住宅減免制度の見直し、廃止になるというチラシを東京じゅうで配った。これは予算委員会でも大きな問題になりました。東京都の住宅局は、二十五万戸の都営住宅に住んでいらっしゃる皆様お一人お一人に、ご注意、今回の都営住宅家賃免除制度の見直しについては、事実と異なるビラが配布されております。特に免除については、あたかも廃止するかのようなビラがありますが、八ページでご説明したように、災害などによる生活困窮の場合には、新たに免除を受けることができるとともに、これまで免除を受けていた方も、一定の要件のもとに免除が継続されますという正しい広報をやりました。
したがって、福祉局としても、ぜひとも、そうしたいいかげんな、事実と違うビラが配布されているということを、福祉局のホームページ、または福祉局の持っている広報誌、または東京都のMXテレビを初めとするあらゆる媒体で、正しい広報をしていただきたい。いかがでしょうか。
○上條総務部長 施策の内容を都民に対して正確に情報提供するのは行政の責務であると認識しております。福祉施策の新たな展開に伴う今後の東京都の福祉施策の方向につきましても、本年四月に七十万部のリーフレットを作成し、配布するとともに、広報東京都や福祉局の情報誌「社会福祉」に特集記事を掲載するなど、さまざまな機会をとらえて都民の周知に努めているところでございます。
また、福祉局のホームページで情報発信するとともに、電子メールを活用し、幅広く都民の声に耳を傾けるなど、あらゆる媒体を利用し、広報の充実を図っております。
今後とも、必要な情報が確実に都民に届くよう、きめ細かな広報に努めてまいります。
○石井委員 局長、今はITの時代ですから、福祉局もインターネットがあると思うんですけれども、インターネットできちんと広報していただきたい。いかがでしょうか。
○前川福祉局長 我々福祉局もホームページを持っておりますので、それを使って情報発信をするとか、電子メール等を活用するとか、努力をしてまいりたいと存じます。
○石井委員 この厳しい財政状況の中で、さまざまな社会経済状況を考えながら、いかに弱い方々を守っていくのか、私たちも真剣に考えて、その財源を生み出すためのさまざまな行政改革をやったり、行政の皆さんと話をしたり、各政党の皆さんと話し合いをしたり、まさに血のにじむ努力を私たちはしているわけであります。
共産党の皆さんは、のんきな父さんであります。何でもかんでも反対して、財源獲得のための努力も何にもしないで、行政改革には全く反対をして、今まで共産党は行政改革ということを一度もいわない。そのようなことが許されていいわけないわけであります。
そこで、次にお尋ねをいたします。きょうは認証保育園の話がありますから、私は、この認証保育については--従来の公的な保育園と無認可保育園とあるわけであります。確かに、無認可保育園でさまざまな問題が起きているということは事実であります。しかしながら、一方で、公立の保育園は、延長保育はやらない、夜間保育はやらない、組合が何だかんだ理屈をくっつけて反対をしている。この間、これはテレビでも大きな問題になりました。その先頭に立っているのが共産党であります。それは事実です。
そういう状況の中で、公的な保育園がやらないならば、公立の保育園がやらないならば、やはり民間の方々にお願いをするしかない。ただし、いいかげんなことがあってはいけませんから、子どもさんたちの命を守る問題でありますから、きちんとした対応をしながら、さっき一部話がありましたけれども、看護婦さんとか、そういうさまざまな対応をしながら、民間の力も使いながら、ご協力をいただきながら、駅前保育だとかさまざまなタイプの保育園をつくっていくことは、少子化対策の中で非常に重要である。したがって、今回の認証保育園ということは、一つの方向として私はあるべき姿だと思います。
その認証保育園に関連して、実はこういうチラシが小金井市でまかれているわけであります。東京の保育園がピンチ、さらにそこには、東京の保育園がピンチだけじゃなくて、先ほどの東京のさまざまな福祉の削減のことも書かれていて、石原都政の主な福祉切り捨てというので、シルバーパスとか、老人医療の助成とか、老人福祉手当とか、重度心身障害者手当とか、こういうチラシが、保問協、保育園問題協議会、共産党系のフロント団体といわれている団体が配布している。しかもこれは(「戦前みたいな言葉を使わないでくれよ。何がフロント団体なんだよ」と呼ぶ者あり)じゃ、前衛団体。
実はこれが、小金井市立の保育園の先生から、保育園の中で、十一月の学校行事の父母会でこの説明があり、各クラスの委員に配布をされ、また署名簿とチラシがそれぞれのクラスの子どもたちの棚に入れられる。また、十一月十四日と十一月十八日、小金井の駅前で、何も知らない父母の皆さんが、こういう不安に駆り立てられて署名運動をやっているという事実があるわけなんです。
運動をやるのは自由であります。しかしながら、公立の保育園で、公職にあるべき先生が、特定政党の宣伝の先走りをするようなことは論外であるし、これは実施主体である小金井市の問題ですから、ここではそのことはいいませんけれども(発言する者あり)そこで、ここにこういうことが書いてある。
東京都は、保育所の認可設置の基準を変え、営利を目的とする株式会社などの参入を認め、運営に当たり、国基準の保育か都基準かは各区市町村で決めてよいとし、実質的に保育水準の後退を認めようとしています。これは東京都の保育に対する責任を放棄したものでありますと書いてありますけれども、東京都は責任を放棄したのでしょうか。
○福永子ども家庭部長 今回、都では、国の規制緩和を受けまして、緩和したわけでございますが、国基準に緩和したのは認可の基準でございます。社会福祉法人が運営する保育所が都の補助基準を満たせば、都の単独加算の補助制度の対象となるわけでございますので、何ら基準を放棄したとか責任を放棄したということではございません。
○石井委員 東京都が保育に対して責任を放棄しているわけじゃないんですよね。放棄していないにもかかわらず、放棄しているんだと。時間がないから、余り細かいことは読みませんけれども、東京都は放棄しているんだと、そうやって恐怖感をあおり立てて、さらにシルバーパスがどうだとか、老人医療がどうだとか、保育とは関係のないことも一緒くたにして、特定政党の勢力拡大に使われているという事実があるわけであります。
実は昨年、こういうことがあった。やっぱりこれも保育問題。緊急事態発生、東京のすべての保育園で二人の保母がいなくなる。これは目黒区の保問協。共産党の当時の候補者が先頭を切って、保育園でこのチラシを配っていた。これは目黒区議会で大問題になりまして、目黒区として、それぞれの、たしか十三ある公立保育園で、このようないいかげんなチラシが配られています、惑わされないでくださいといって、正式な広報を目黒区がやったと実は聞いております。共産党の議員は、ちなみに、三人落っこったそうです、統一地方選挙で。
したがって、やはり正しい広報をしていくことが大事です。いかに批判しても構わないですよ。批判し合うことは大事だ。私たちも批判は率直に受け入れる。だけど、事実でないことがあたかも事実であるがごとく宣伝されることは、フェアじゃない。したがって、東京都として、こうしたいいかげんな宣伝がなされているということに対しては、きちんとした東京都の広報をすべきじゃないか。重ねて前川局長にお尋ねいたします。
○前川福祉局長 今ご指摘があったチラシは、私は見ておりませんが、今ご説明があったように、東京都が保育行政の水準を切り下げる、そういう指摘がそのビラでなされているとすれば、それは全く事実に反すると申し上げたいと思います。
それについては、私どもとしても、これから福祉改革推進プランをつくるとか、また予算が発表になるとか、また議会があるとか、いろいろなプロセスがあるわけですが、それも通じて、それからまた局としても、いろいろな場面を通じて、正確な事実の伝達、広報に努めてまいりたい、こう考えております。
○石井委員 私は絶対人の悪口はいわない主義であります。しかしながら、いわれたらいい返す、当然我々に与えられた使命であります。
実は品川の保育園で、公立保育園の運営についてさまざまな課題があるわけであります。次回に譲りたいと思いますけれども、いずれにいたしましても、東京都の福祉局も、また高齢者施策推進室も、また私たちも、この財政状況の厳しい中で、さまざまな経済社会情勢の中で、超高齢化社会にソフトランディングしていく福祉施策を考えていこうと、お互いに力を合わせながらやっているわけであります。
したがって、こうしたいいかげんな宣伝についてはきちんと対応していくことが大事だということを申し上げて、終わります。
○矢部委員 時間も押していますから、手短に基本的なことをお聞かせいただきたいと思います。
ことしの四月から地方分権一括法が施行されて、それに伴って、機関委任事務が基本的に廃止をされて、福祉局にかかわる事務の多くが機関委任事務だったかと思いますが、法定受託事務へと移行したわけですね。そのことがどういうふうに福祉局に影響しているのか、あらわれているのか、まずお聞かせいただきたいと思います。
○村山企画担当部長 従来ですと、機関委任ということで、非常に手続的には簡易な方法でお仕事をお願いしておったわけでございますけれども、今回のそういう法律の改正に伴いまして、一つ一つの事務について特例条例を定めて、それに基づいて一つ一つお願いをしていく、それに伴う事務交付金などについても交付をするというような形で、いわばけじめをつけた仕事のお願いの仕方をしているというふうに変わってきたかなと思っております。
○矢部委員 そういうことだろうとは思うんです。先ほどもやりとりがありましたけれども、国の基準がある、あるいは都の上乗せがある、都加算というようないい方をしたり、法律で全部定めて、そういう中で、例えば施設建設費等々からかんがみても、当然のごとく超過負担があるわけですね。
そういう違いがあるわけですけれども、今回、私は、機関委任事務が廃止をされて、法定受託事務になったとはいえ、そういう中では、そうした基本的な考え方というのも当然改められていくものであるというふうに確信をしていたんですが、その辺は全然変わっていない、そのままのようでございます。途中といえば途中なんでしょうが、これがこれからどういうふうに動いていくのか。
要は、上乗せをしなければいけない、上乗せをして初めて一丁前だとするならば、本来は国の法律の決め方が間違っているんだということであろうし、あるいは地域差によるものであるならば、これは地域ごとに決めればいいことでありますから、それぞれ割り振られた地方ごとに決めていけばいいということになるんだろうと思っているんですね。その辺を整理していかないと、超過負担なのか、上乗せをしているのか、横出しをしたり、いろいろなことをしているようですけれども、そういうものが本来あるべき姿はどうあるべきなのかということも含めて、お答えをいただきたいんです。
○村山企画担当部長 今、理事ご指摘の点というのは、今回の分権の流れの中で、最も問題な箇所であろうというふうに思っております。今回で、先ほどご指摘いただいたような法定受託事務というような形で、制度的には一見権限については整理をされたというような形をとっているわけでございますけれども、財源の面については、いわば全く棚上げの議論の中で今回の措置がなされたということで、実質的なところでは、非常に矛盾を抱えたままの形でのスタートという形になってございます。
この点につきましては、もちろん、個別のことについての議論もこれからしていかなければならないとは思っておりますけれども、総括的に、国と地方のあり方について、財源も含めた根本的な議論がなされるべきであろうというふうに考えてございます。
○矢部委員 そこで、一つお尋ねをしておきたいのは、今の財政的な裏づけがなされていないということですが、そのことについて、東京都としてというか、福祉局としては、一番かかわりのある事務が多くあるでしょうし、負担も多いんでしょうから、どういうふうに国へ働きかけをしているんでしょうか。
○村山企画担当部長 東京都では、夏と冬にそれぞれ、国に対して、東京都からの提案要求という形で出させていただいておりまして、その中で、社会福祉関係について、福祉局、高齢室ともども、その辺の権限の問題、財源の問題、それから、ご指摘の超過負担といいましょうか、個別事業についての財源付与の不確実性といいましょうか、問題性などについて、一つ一つ、細かい事業も含めまして、大きな問題も含めまして、それぞれ要求しているところでございます。
○矢部委員 基本的なことでお尋ねしましたので、そういう姿勢で臨んでいきたいと思いますけれども、またそのことも後ほどお聞かせいただくようになるかなと思いますが、例えば福祉局の事務事業概要の八〇ページ、八一ページの福祉局の沿革というところでございます。
これは先に申し上げておきたいと思うんですが、一昨年、この委員会におりますときに、少子化と高齢化というのは別問題だということを再三主張させていただきまして、また福祉局も理解をいただいたと思っておりますが、八〇ページの下から六行目のところと八一ページの上から四行目のところに、少子化と高齢化というのがワンフレーズで表現されておりまして、これは何とかご訂正をいただきたいと思っております。
昭和十八年に、都制の施行に伴って民生局として発足して、そして二十一年、生活保護法が制定されて、民生事務所ができたりというようなこと、あるいは二十二年に児童福祉法ができて、それに取り組みをされてきたというようなこと、戦後のいろいろな混乱期から今日までの大変な時代を支えてこられたと思っておりますし、また、日本においての生活保護にしても、ここまでするのかというくらいに手厚くされていると私は基本的に思っております。
福祉行政そのものは、余りやり過ぎてしまいますと、意欲をなくしてしまうというものもありますから、人間としての尊厳を維持しながら、また意欲を盛り立てながらという、その兼ね合いが、バランスが微妙に難しいところをされていることだろうというふうに思っておる次第でございます。
そういう中で、先ほどの地方分権一括法等々との兼ね合いもあることだろうと思うんですが、福祉について新たな展開を作成したり、また福祉改革ビジョンが策定をされたり、今年中に出るんですか、福祉改革推進プラン、できるならば、これは十二月の議会の前に出してほしいなというふうに思っておりますが、こういう一連の動きをもって、福祉局が、これからの時代の変わり目というか、二十世紀から二十一世紀に変わるこのときに、福祉はこうあるべきというプランをつくっていこうとしているわけです。
もう一面、昭和二十年代から今日までの中は、どんどん子どもがふえて、それこそ団塊の世代なんていうのがあって、松本先生も私なんかもそういう世代ですね。曽雌先生もそう、古賀先生もそうですが、その世代がしゃにむに働いて今日が成り立っていたというふうに思います。
しかし、今度は、その世代が高齢化をするときが大変な重荷になるわけでございますから、ただ数字だけをにらんだって、まともに今までと同じペースで、同じような仕組みでやっていけば、幾ら増税をしても成り立たないというようなことにしか見えないわけですね。それが結果として、国民年金も掛けるのをやめようなんていうような動きになってしまったり、違う方向に進んでしまっているというふうに私は思っております。
こういうことを繰り返している限り、福祉は必ず破綻をしてしまう。そういう中で、それをさせないがためにというか、方向をシフトチェンジするというようなことでいろいろなプランが出てきているわけでございます。この中でも、行政が決定する福祉から、都民みずからが選択し利用する福祉へと、こういっておりますが、これらのことをどういうふうに描いていけるのか。
要は、言葉としては動いていって、いろいろなことがある、またインターネットでも表現はされていますけれども、それを見ている範囲において、都民が将来に希望をまだ持てていないというふうに思うんです。希望を持てるようにするというのは、いうのは簡単で、現実は大変なことかもしれませんが、それが描ける世の中にしなければ、だれも協力はしてくれないというふうに思っておる次第でございまして、大変基本、根幹にかかわる問題でございますが、現状をお教えいただきたいと思います。
○前川福祉局長 今、矢部理事から福祉局の歴史についてもお話がございましたが、この八一ページの半ばぐらいに、昭和四十四年九月にコミュニティケアの進展についての答申が提出されたというのが載っております。私ごとで恐縮ですが、私が都に入りましたのが四十六年で、民生局に入ったわけでございますが、当時は、正直申しまして、コミュニティケアといっても、いわば言葉だけといいますか、そういったのが実感であったと思います。
現在を見ますと、介護保険制度を見ましても、とにもかくにも、これだけの数のケアマネジャーがいて、これだけの地域支援があって、それなりの福祉施策を展開できると、これは当然都民の努力、それから議会のご支援等があってできたわけですが、こういう今までの福祉行政の蓄積を踏まえて、これからは、先ほど申しましたが、今までとは違った形で、言葉だけではなくて、本当の意味で豊かな福祉社会をつくっていかなくちゃいけない。
ただ、それは、ばらまきではなくて、当然、応分の負担はしていただくし、それから、税金だけではなくて、互助というか、支え合いといいますか、そういった精神を基本としながら、企業等の新しい事業主体の参画も求めて、いろいろな競い合いを実現しながら、そういう中で、今申しましたようなことが実現していければというふうに願っております。
○矢部委員 局長からお答えをいただいたら、もうその先を申し上げる必要もないのかもしれません。先ほど来、IT化のお話もありますけれども、結局、ここで、それこそ思い切ってやらなければいけないときでありましょうし、それをしていかなければ将来がないということでございましょうし、それを改革と称するならば、そのことをしっかりと都民に説明をしなければならぬというふうに思っているんですね。それが見えるようにしなければなりませんし、いいも悪いも、実情も含めて、そして協力要請をするというようなことも込めて、大いにしていかなければならぬというふうに思っております。
それをしていけば、必ず理解をされる都民は多くいるというふうに思いますし、それが今見えないというところが、大変ストレスにもなっているというふうにも思います。
なかなか難しいことではございますが、今日まで、それこそ福祉局の皆様を初めとし、東京都挙げて、基本的には多くの職員が一生懸命取り組んでいるというふうに思っております。それを大いにPRをしていただきたい。PRというんじゃないな、正確に伝えて、正確に訴えていただきたいというふうに思います。
○松本委員 済みません。予定以外の質問が出てまいりました。
福永部長、とりあえず、保育園と幼稚園の違いを教えてください。
○福永子ども家庭部長 保育所は、児童福祉法に基づく児童福祉施設という位置づけでございまして、所管は厚生省ということでございます。幼稚園につきましては、学校教育法に基づく学校ということで、所管は文部省でございます。
目的につきましては、保育所は、日々、保護者の委託を受けて、保育に欠けるその乳児及び幼児を保育することを目的とする施設でございます。幼稚園は、幼児を保育し、適当な環境を与え、その心身の発達を助長することを目的とする施設でございます。
○松本委員 部長、今の答弁を、幼稚園なり保育園の父兄会でお母さん方に聞かせたときには、まずほとんどの人はわからないと思うんだね。だから、もうちょっとわかるような、そういう行政にすべきなんだろうなと、こう僕は思うわけ。
保育園に行かせなくちゃいけない、あるいは幼稚園に行かせなくちゃいけない--それは僕は昭和二十四年生まれですよ。だけど、僕の同級生というのは、幼稚園に一年行っている子が半分もいなかったかもしれない。それが今は、ほとんどの子どもが、ほとんど一〇〇%幼稚園に行かせなくちゃいけないという話になってきた。
お母さん方が子どもを保育園に預けなくちゃいけなくなったというのは、一体どういう社会的な状況の変化なのか。そこら辺をどういうふうにつかまえていらっしゃるのか。できたら、生まれた子どもは自分の手元で育てたいなと思っているお母さんがいるかもしれないし、いらっしゃると思うの。そういうような意識調査とか、そういうのはやられたことがあるんですか、教えてください。
○福永子ども家庭部長 意識調査等は特に行っておりませんけれども、核家族化の進行でありますとか、女性の社会的な就労への進出ということで、保育園への需要が高まっているということで、保育所の整備を進めてきたということでございます。
○松本委員 もうちょっと保育園と幼稚園の意義というのを、幼稚園だったら教育庁ということであれば、東京都には教育委員という立派な方々がいらっしゃる。だけど、そういう人たちの意見というのは都民にほとんど伝わっていない。保育園の意義についても、本来、保育園というのはどういうことを目的として設置をされていて、どうなっているのかという考え方ぐらいは、ちゃんとわかりやすい資料をつくってお母さん方に配られるということは、大切なことだと思うんです。
そこで伺うんですが、公立の保育所で園児一人当たりかかっている費用をちょっと教えてください。
○福永子ども家庭部長 保育コストの状況でございますけれども、一人当たり月額で申し上げますと、年齢別に申し上げますと、ゼロ歳児につきましては、三十二万九十四円プラスアルファということでございます。一歳児は十四万七百四十七円プラスアルファ、二歳児が十二万五千六百九十七円プラスアルファ、三歳児が七万一千七十七円プラスアルファ、四歳児以上が六万三千五百四十七円プラスアルファということでございます。
○松本委員 それは、さっきも議論に出ておりました株式会社がやった場合、あるいは私立がやった場合、公立の場合と比較したら、どういうふうな数字になってきますか。月計算でもいいんだけれども、年計算でやってくれるともっとわかりやすい。
○福永子ども家庭部長 済みません。手元にちょっと資料がございませんのであれですが、公立の方がコストが高いというふうに認識しているところでございます。
○松本委員 公立の方がコストが高いというのは、公立の方がサービスがいいからコストが高いんですか、それとも安い分だけサービスが悪いということなのか、そこら辺どう認識されているのか、教えてください。
○福永子ども家庭部長 保育士の年齢構成でありますとか給与体系等が、公立の場合は、年功序列と申しますか、公務員の給与体系ということもございまして、年齢が上がるに従って、人件費等の保育コストが非常に高いというのが主たる要因だと思います。
○松本委員 そうであれば、同じサービスをできるだけ安いコストで提供するというのが必要なことだと思うんですね。同じサービス、いいサービスだったら、安いコストでやるのが当たり前の話だと僕は思うんですね。
平成十一年十二月一日発行の「広報東京都」によりますと、公立保育所、ゼロ歳児一人当たり三百九十万円かかっている。そのうち、公費負担が一人当たり三百六十四万円です。そこで伺いたいんですけれども、保育園にゼロ歳児保育をやられているお母さん方の平均年収というのは、大体どれくらいだと思っていらっしゃいますか。
○福永子ども家庭部長 大変申しわけございませんが、手元にそういうデータはございませんので。
○松本委員 私は、保育園にゼロ歳児を預けたいというお母さん方のご要望を聞く機会がよくあります。その方々は、本当は自分のところで子供を育てたいんだけれども、家庭の、だんなの収入が少ないから、やっぱり共働きをしなくちゃいけないんですよ、こういいながら、パートに出たり、いろいろ苦労されている。そういう方々は、収入なんか三百九十万円も手取りで取っていらっしゃらない。また、三百九十万円もそのお母さんは必要ないのかもしれない。それはお金はたくさんあった方がいいに決まっているけれども、もし年間百万円助けてもらえるんだったら、三百九十万円も税金を使ってもらうような保育所には、自分の子どもは預けたくない、こう思っているお母さん方も少なくないと思うんですけれども、そこら辺に対する考え方はどういうふうに思っていらっしゃるのか、部長、ちょっと教えてください。
○福永子ども家庭部長 ただいまご指摘いただいていますように、保育所、特に公立保育所については、一人当たりの保育コストが非常に多くかかっているということは事実でございます。そういった中で、負担の方が応能的負担ということになってございますので、実質的には公的な負担が大変大きいというのは事実でございます。
そこら辺につきましては、そういった情報を公開していって、あとは都民の皆様方がそれについてご判断いただくという形になろうかと思います。
○松本委員 先ほど局長の答弁にもありましたように、福祉というのは、どういうサービスを求めていらっしゃるかという多様な要望、ニーズに対して、多様な形で提供される必要があるんだろう、こう思うんですよ。
例えば、自分のところで、寝たきり、介護が必要な方が、自分の家庭の中にある日突然出てきた。子どもの世話をやっていられない。だけれども、朝から晩まで預かってくれというんじゃない、一日二時間でいいから子どもの面倒を見てくれませんか、三時間だけでいいから見てくれませんか、一週に一回でいいから見てくれませんか、こういうようなニーズに対して、諸外国においてはベビーシッターといったような制度があると聞いているんですけれども、そういう多様なニーズに対して、福祉局はどう取り組もうとされているのか、ちょっと教えてほしいんですよ。
○福永子ども家庭部長 ただいま一時保育のご指摘がございましたけれども、そういった多様なニーズに対しまして、来年度から創設を予定しております認証保育所等で、そういったニーズを受けとめてまいりたいというふうに考えております。
○松本委員 基本的に、お金がたくさんある豊かな人、日本は世界第二位の経済大国だ、こういわれているんですよね。豊かな資産があって、収入がある人、そういう方々であっても、ひとりで寝たきりになっちゃいますと、お金があってもどうにもならないよという世界が、日本の今の社会状況なんだろうと思う。
そういうサービスを買いたいという方々が、サービスを選んで受けられるようにというのが、今の介護保険制度のスタートによって、そういうような企業というんでしょうか、要望にこたえるといういろいろなシステムが今芽生えようとしているんですね。だから、保育園においても、そういうような制度をしっかりとこれから--全部東京都が引き受けて、公立で引き受け、お金は一律でというような話ではなくて、銀行をつぶして九億円も退職金をもらっちゃうというような人たちのお孫さんだったら、やっぱりしっかりそのコストはもらっていいと僕は思うんですよ。そういうようなシステムをしっかり立ち上げてほしいということを部長に要望しておきたいと思うんです。
何段階かに分かれるんでしょうけれども、お金のある人とない人の、ない人の非常に悲惨な状態の福祉を物すごくクローズアップされることによって、資産があったり、お金があったりする人たちへのサービスが一緒に底上げされちゃうというか、一緒に上がっていっちゃうというような状況があったと思う。やっぱり、障害があっても何があっても、きちっとコストを払う資力があって、そういう社会的責任を果たしていこうとされる方々の方が私は多いと思うんです。そういう人たちに遠慮をしない福祉施策をぜひきちっと展開してほしいし、福祉の見直しの根底にはそういう考え方がしっかり流れている、こう思うんですが、最後に、局長、ちょっと答えてください。
○前川福祉局長 福祉の見直し、先ほど申しましたように、本当の意味で豊かにしていきたいということでありますが、それは、今、松本委員がおっしゃったように、この社会を構成する市民なり都民というものが、やっぱり、気概を持って自分の足で立って、そして自立をしていく。それは健常者であれ、障害者であれ、高齢者であれ、みんな同じであろうと思います。そういういわば自立した市民によって支えられる社会、福祉といいますか、そういうものを目指して努力をしていきたいと思います。
今回の福祉改革の目的とするところは、そういう社会を実現するためにどういう行政システムを採用したらよいか、福祉サービスシステムを採用したらよいか、それを考えていきたい、こう考えております。
○松本委員 質問は以上にとどめますけれども、委員長にぜひお考えいただきたいんですが、当委員会は一時に始まりまして、今、八時二十分であります。三時半か四時ごろの休憩と夕方の休憩と、この二回しか休憩をとられていない。理事者の皆さんはずっと座りっ放しです。夕食も出てこない。こういうような質疑のあり方というのは--やっぱり、熱意の中で行われるわけですから、五時に終わるべきものが五時半になった、六時になったというのはいいと思うんですよ。しかし、これだけ、八時二十分まで拘束するというようなことであれば、理事会をその日のうちに開くんじゃなくて、それだけのものを詰めるんだからという質疑の重要性も含めて、きちっと時間をとって開いていただく。
これが日常的な委員会運営では、僕は東京都議会として恥ずかしいと思いますので、委員長に強くその点を要望しておきます。
以上で終わります。
○曽根委員 関連。簡潔に何点かお聞きします。
石井理事の先ほどの質問に関連してなんですが、最初に、先日の委員会のことをちょっとお話があったので、一つだけお聞きしておきたいんですが、先日、高齢者施策推進室のときに、石井委員が、福祉保健予算についてどうなっているんだというふうにお聞きしたら、部長さんが立って、高齢室については、ことし一・八%伸びていますというお答えがあったんです。きょうは、企画部長さんが、福祉保健合計で三・二%というお話がありました。
それで、私、お聞きしたいのは、福祉局の予算については、昨年からことしどうなっているんですか。
○村山企画担当部長 十三-十二のことですか、十二-十一のことですか。
○曽根委員 昨年からことし。
○村山企画担当部長 まず申し上げたいのは、先ほど三・二%という数字を申し上げたのは、石井理事の質問の中で、赤旗を引用されて三・二%という数字をおっしゃったので、それをフォローしたまででございます。
福祉局の予算につきましては、十二年度と十一年度の対比においては、六・六%の減ということになってございます。先ほどのお話のように、高齢者施策推進室では、一・八ではなくて、〇・八%の増でございますので、合計すると、三・二%の減ということになっているということを申し上げたわけでございます。
その際、あわせて、十二年度の東京都全体の一般歳出の増減率は九・六%の減である。そういう中で、私どもとしては、厳しい財政状況の中で、かつ施策見直しをしつつ、全体から見れば、相対的には低い減少率で抑えた結果、東京都全体の予算の中に占める割合は一一・五%ということで、過去最高の水準に達したということをご説明したまででございます。
○曽根委員 余り長々答弁する必要はありません。簡潔に答えてください。
それからもう一つ、私たちは切り下げの問題を徹底的に批判してきたわけですが、この間指摘してきましたマル福、シルバーパス、老人福祉手当、障害者の医療費助成、重度手当、障害者福祉手当、それから特養の都加算、児童育成手当等々、いわゆる十事業といわれているものですが、これの見直しは今年度開始されたんですが、何年度まで続いていて、最終的にその影響額はどれぐらいになるんですか。
○村山企画担当部長 福祉局の施策の見直しにつきましては、十二年度において、基本的には全体として実施をする。ただ、一部、重度障害者手当については、六万円、四万円、二万円、ゼロという経過措置がございますけれども、基本的には今年一年で平年度化をしますので、先ほど申し上げた数値が、平年度化の数値ということでございます。
高齢室につきましては、大分長期間にわたって経過措置が続きますけれども、いずれにしても、私の所管ではないので、お答えは差し控えさせていただきます。
○曽根委員 全体で一千億円規模になります。七年後です。マル福がずっと削減されていきますので。ですから、ことしは初年度であって、切り下げは今後も続くという過程の中にあるという中での予算額だということをまず申し上げておきたい。私たちが切り捨てだといっているのは、このことであります。
それから、先ほど、我が党が何でも無料にすべきだといっているというふうな話がありましたが、我が党は、福祉に関して何でも無料にすべきだというふうにいったことがありますか。
○村山企画担当部長 存じません。
○曽根委員 これは子どもでもわかる話ですが、保育料は、現に保育料として取っているわけで、私たちが無料にすべきだ、無料を守るべきだといっているのは、敬老乗車証として始まったシルバーパスのように、本来、お年寄りの社会参加のために、だれもが気軽に交通機関に乗っていただけるための施策のようなものは、無料として残しておくべきだといっているわけであります。
それから、先ほど、障害者の施策については切り捨てではないというようなお話がちょっとあったんですが、私は、今年度の主要事業のこれを見ていたんですが、心身障害者児福祉対策の予算が、これによれば、昨年度四百六十八億から、ことし四百三十五億何がしということで、三角の三十二億六千六百万円なんですが、これ以外に、何か障害者施策について別のとらえ方もあるんでしょうか。
○村山企画担当部長 先ほど来のお話の中で、障害者福祉施策について切り捨てではないというふうに申し上げたのは、全体として、私どもといたしましては、まず、今回の施策の見直しについての目的がどこにあるのか、それは、新しい施策展開のための一つの財源を生み出すというためにやっているんだ。その結果、十二年度においても、先ほど障害福祉部長からもご説明申し上げましたとおり、二十四時間巡回型ホームヘルパーなどの新規施策を十二年度から行い、かつ、十三年度要求では、現在、心身障害者福祉施設の整備三カ年計画というふうなものを要求として打ち出して、これから本格的な福祉改革をスタートさせようというために今努力をしているところでございまして、その点において、切り捨てのための見直しを行っているわけではないということをお話し申し上げたわけでございます。
また、あわせて、施策の見直しそのものの中身についても、再三再四申し上げてきましたとおり、低所得者について十分な配慮をした上で行っているものでございまして、その点でも、福祉切り捨てというようなご批判は当たらないのではないか、かように申し上げたものでございます。
○曽根委員 最後です。意見を申し上げます。
まず、予算については、昨年からことしにかけて、多分、障害者対策は、私の持っている資料では減っていると思うんです。だからといって、それだけで切り下げだというふうに私たちはいっていないのは、さっきもいったとおりなんです。中身の問題です。
障害者施策は、新しく包括補助の中にも入っているでしょうし、ホームヘルパーなども充実をさせるというふうにいってきましたので、大いにやってもらいたい。それは結構です。しかし、それを理由にして、今まで障害者の命と暮らしを支えてきた、マル障を初めとする制度をなくしたり削減したりすることは許されないというのが私たちの立場であり、そのことを切り下げだといっているわけです。
それから、財源がないじゃないか、共産党は財源については余り苦労していないじゃないかというようなお話があったので……。
来年度にかけて増収になります銀行課税を初めとして、私たちが提案をした中身であります。二年前の財政委員会で、古館議員から、外形標準課税を導入するのであれば、中小企業には絶対かけてはならないが、大銀行やゼネコンなどは支払い能力を持っているんだから、ちゃんと取れるところから取れということを申し上げているわけです。
減債基金の積み立てとか、用地会計の見直しとか、私たちの提案が今年度予算に生かされており、来年度も増収見込みも出てきているということは事実ですので、これは申し上げて、終わります。
○野村委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
事務事業に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○野村委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で福祉局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後八時二十九分散会
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