委員長 | 野村 友子君 |
副委員長 | 近藤やよい君 |
副委員長 | 和田 宗春君 |
理事 | 曽根はじめ君 |
理事 | 石井 義修君 |
理事 | 矢部 一君 |
藤田 愛子君 | |
小松 恭子君 | |
曽雌 久義君 | |
古賀 俊昭君 | |
松本 文明君 | |
佐藤 裕彦君 |
欠席委員 なし
出席説明員高齢者施策推進室 | 福祉局長高齢者施策推進室長兼務 | 前川 燿男君 |
高齢政策部長 | 金内 善健君 | |
介護保険室長 | 吉川 和夫君 | |
保健福祉部長 | 若林 統治君 | |
施設事業部長 | 反町 純夫君 | |
高齢施設企画担当部長 | 笠原 保君 |
本日の会議に付した事件
高齢者施策推進室関係
事務事業について(質疑)
○野村委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、高齢者施策推進室関係の事務事業に対する質疑を行います。
これより高齢者施策推進室関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
要求資料について理事者の説明を求めます。
○金内高齢政策部長 過日の委員会でご要求のありました資料につきまして、厚生委員会要求資料としてまとめ、お手元に配布させていただきましたので、ご説明申し上げます。
表紙の次のページの目次をごらんください。ご要求の資料は、1、介護保険における在宅サービスの支給限度基準額に対する利用状況など二十五件でございます。
それでは、一ページをお開きください。介護保険における在宅サービスの支給限度基準額に対する利用状況でございます。
在宅サービスの平均利用単位数、支給限度基準額、利用率を、要介護度ごとにそれぞれまとめたものでございます。
二ページをお開きください。特別対策における減額措置対象者数でございます。
特別対策において減額措置の対象となるホームヘルプサービスの利用者数を区市町村別にまとめたものでございます。
三ページをごらんください。介護保険における保険料及び利用料の減免等を実施、検討している区市町村でございます。
独自に減免等を実施している区市町村を、保険料と利用料と二つに分けましてそれぞれ記載したものでございます。
四ページをお開きください。短期入所生活介護(ショートステイ)利用状況の推移でございます。
ショートステイの利用状況の推移を、実施施設数、ベッド数、利用延べ日数ごとに、平成七年度から平成十二年度までまとめたものでございます。
五ページをごらんください。デイサービス施設の定員状況につきまして、平成十年度と平成十二年度の利用定員を記載したものでございます。
六ページをお開きください。公的ヘルパー事業の実施状況につきまして、区部、多摩部、島しょ部、それぞれまとめたものでございます。
七ページをごらんください。介護保険給付における区市町村特別給付を実施している区市町村でございます。
特別給付を行っております区市町村とその内容につきまして記載したものでございます。
八ページをお開きください。特別養護老人ホームに対する補助の推移でございます。
特養ホームに対する施設運営費都加算と職員給与公私格差是正の決算額合計につきまして、平成八年度から平成十二年度までの五年間の実績等をまとめたものでございます。
九ページをごらんください。特別養護老人ホーム待機者の推移でございます。
特養ホームの待機者数を、区部、市部、町村部ごとに、平成七年度から平成十一年度までの五年間の推移をまとめたものでございます。
一〇ページをお開きください。高齢者在宅サービスセンターへの運営費補助の内容(平成十一年度)について、国基準と都加算等に分けまして、補助額と補助率とをまとめたものでございます。
一一ページをごらんください。高齢者いきいき事業実施予定状況でございます。
都の包括補助制度でございます高齢者いきいき事業につきまして、事業ごとに平成十二年九月一日現在実施予定のある区市町村数をまとめたものでございます。
一二ページをお開きください。介護予防・生活支援事業実施予定状況でございます。
国の包括補助制度であります介護予防・生活支援事業につきまして、事業別に実施予定の区市町村数をまとめたものでございます。
一三ページをごらんください。住宅改造助成制度の比較でございます。
住宅改造助成制度は、平成十二年四月から、介護保険制度における居宅介護住宅改修費等と高齢者いきいき事業のメニューの一つである住宅バリアフリー化事業の二つがございます。その二事業と、平成十一年度までの事業の内容をそれぞれまとめたものでございます。
一四ページをお開きください。痴呆性高齢者グループホームの設置状況について、所在地ごとに名称、定員、設置主体をまとめたものでございます。
一五ページをごらんください。シルバーパスの区市町村別交付数(一斉更新時)でございます。
シルバーパスの一斉更新時におきます交付数を、区市町村別に、平成十一年度と十二年度で記載したものでございます。
なお、参考といたしまして、右下に十月分及び九、十月分の合計を記載してございます。
一六ページをお開きください。高齢者への交通助成制度実施状況(政令指定都市)について、事業名、事業内容等をまとめたものでございます。
一七ページをごらんください。東京都老人医療費助成制度マル福医療証の月別交付枚数でございます。
平成十一年四月から平成十二年八月までのマル福医療証の交付枚数を月別にまとめたものでございます。
一八ページをお開きください。高齢者医療費助成制度の実施状況(政令指定都市)につきまして、対象者、所得制限等をまとめたものでございます。
一九ページは、養護老人ホームの個室の割合についてでございます。
都内の養護老人ホームの定員数と個室定員数及びその割合を記載してございます。
二一ページから二二ページにかけましては、外国における介護保険制度の概要でございます。
介護保険制度を導入しているドイツ、類似の制度を持ちますオランダと日本とを、制度形態、事業主体等についてまとめたものでございます。
二三ページをお開きください。区市町村別要支援・要介護認定者数についてでございます。
二四ページをお開きください。シルバー人材センターへのシルバーパス交付事務委託状況(一斉更新時)につきまして、区市町村別に交付会場数、高齢者従事数、委託金額をまとめたものでございます。
二五ページをごらんください。介護保険審査会における審査請求の取り扱い状況につきまして、平成十二年十月三十一日現在の審査請求の発生件数と裁決の状況等を記載したものでございます。
二六ページをお開きください。余裕教室活用促進事業の概要と実績についてでございます。
二七ページをごらんください。指定居宅介護支援及び指定訪問介護におけるNPO法人の参入状況についてでございます。
以上、簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○野村委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めて、これより事務事業に対する質疑を行います。
発言を願います。
○近藤委員 まず、第一問は、シルバーパスについてお尋ねします。
シルバーパスの交付事業は、今年度から東京バス協会の事業となって、都はこれを補助することになって、制度が新しくなったわけですけれども、シルバーパス制度見直し後の初めての一斉更新がことしの九月にありましたけれども、実績はどのようになっていたんでしょうか。昨年の交付枚数とあわせて説明をしてください。
○若林保健福祉部長 シルバーパス、今回の九月の一斉更新時の交付枚数でございますが、今年度は六十七万一千百四十二枚でございます。昨年度が八十一万六千九百二十五枚ということでございます。今年度の分につきましては、速報値でございます。
○近藤委員 その一斉更新に間に合わずに、十月にずれ込んだ交付枚数も多いというふうに聞いておりますけれども、それを合わせた本年度の実績は何枚で、昨年度に比べてどの程度の減少または増加があったのか、お答えください。
○若林保健福祉部長 十月分に別に交付をした枚数でございますが、二万八千五十一枚でございます。合わせまして、十二年度につきましては、十月末でございますが、六十九万九千百九十三枚でございます。昨年度と十二年度の交付枚数との差では、約十二万枚減少しております。
○近藤委員 本年度の実績として約七十万枚というお話がございましたけれども、ことしは、経過措置の五千円ということも含めて、千円、五千円、そして二万五百十円の三本の金額があったと思うんですけれども、それぞれ七十万のうちに、千円を払った方が何%、五千円の方が何%という形で割合を教えてください。
○若林保健福祉部長 九月の一斉更新時六十七万枚の内訳で答弁させていただきます。千円につきましては五十万八千三百二枚、五千円券につきましては十二万三千五百六十六枚、二万五百十円につきましては三万九千二百七十四枚でございます。
○近藤委員 制度の見直しのときにさんざん議論になった点ですけれども、改めて確認しておきたいと思いますけれども、このシルバーパスの交付事業を東京バス協会の事業としたその理由について、見直しの理由について、再度確認したいと思います。
○若林保健福祉部長 これまで、シルバーパス事業につきましては、東京都の事業として区市町村を通じて交付してきたところでございますが、パスの交付をバス協会に移した理由といたしましては、バス事業者の経営努力を生かした仕組みにすることができる、歳入事務手続の煩雑さの改善をすることができる、さらには、身近なところでパスの交付を受けられるようにする利用者の利便性の向上等でございます。
○近藤委員 今三点についてお答えをいただいたわけでございますけれども、二点目の歳入事務手続の煩雑さの改善というのは理解できるんですけれども、一番と三番の理由についてもう少し細かく伺っていきたいと思います。
今、バス事業者の経営努力を生かした仕組みにするというふうにおっしゃいましたけれども、このバス事業者の経営努力とシルバーパス制度というのはどういうふうに連動していくのでしょうか。シルバーパス制度が、バス事業者の経営努力によってどういう改善が見られるのか、また、どういった将来像を描いてバス事業者の経営努力ということをおっしゃっているのか、その辺が理解できないんですけれども、もう少し詳しくご説明ください。
○若林保健福祉部長 これまで、シルバーパスにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、区市町村を通じて発行してきたところでございますが、バス事業者においてシルバーパスを自分で発行するということから、シルバーパスに対する意識が変わってまいりました。企業としての、バス協会としてあるいはバス事業者としての意識改革に非常に大きな変化があります。さらには社員教育の徹底、利用者サービス等、シルバーパスを利用される方々に対する、運転手さんを初めとする社員の意識の変革、さらにはバス車内におけるPRの展開、例えばこのような形でシルバーパスの更新のことをバス協会がPRをしておりますけれども、こういったポスターにつきましても、自分自身でそれぞれのバスの中に張って都民へのPRに努めていくとか、そうした利便性の向上につながっているというふうに考えております。
○近藤委員 今のご説明ですと、バス協会の運転手さんですとか、そういった人の意識が変わったということをおっしゃいましたけれども、利便性の向上についてはお話がなかったように思います。重ねて伺いますけれども、バス事業者の経営努力がどういうふうに利用者の利便性にはね返ってくるわけですか。
○若林保健福祉部長 これまで、シルバーパスにつきましては、区市町村を通じての交付であったということから、発行の場所につきましても、確かに郵送方式等はとってはおりましたけれども、区市町村を通じて発行するという仕組みであったがゆえに、一方では不便な点がございました。有料の方がそこへ取りに行かなきゃいけないとか、そういう不便性がありました。
今回、三百八十カ所の交付場所を新たに設けることによって、身近なところで交付を受けられる、そういう仕組みに変更したところでございます。
○近藤委員 今の関連で、パスの交付をバス協会に移した三番目の理由のお答えの中で、身近なところでパスの交付を受けられることにより利用者の利便性の向上だということも、今部長がおっしゃったことなんですけれども、実は、ことし実際に交付に行かれた方からいろいろ苦情を聞いているわけです。例えば、その日に行っても、午後二時ごろ行ったら、もうきょうはいっぱいで本日の交付はできないということで、翌日再度行かされたとか、二時間、三時間長蛇の列で大変に時間がかかったというようなお話を、一人ではなく、いろいろな方から伺いました。
ことしは制度の改正の第一回目ということで、いろいろ混乱があったかと思いますけれども、そういった状況について東京都はどの程度把握していらっしゃるのでしょうか。
○若林保健福祉部長 シルバーパスの交付を行う東京バス協会では、高齢者の方々ができる限り自宅の近くでパスの交付を受けられるように、三百八十四カ所の交付場所を設けたところでございますけれども、その交付の方法としまして、九月四日から九月末日まで十分な時間を設けるとともに、会場につきましても、身近なところで交付を受けられるというような仕組みにしたところでございますが、ご指摘がございましたように、交付会場で交付を受けるに当たって時間を必要とした、長時間待ったとか、そういった事例を私どもも報告を聞いております。
先日、十月三十一日でございますけれども、すべてのバス事業者が集まる会がございましたので、ことしのパスの交付に当たっての問題点とか反省点を率直に協議を行ったところでございます。都としましても、この会議の場に出席をしまして、次回からはご指摘のような混乱が生じないように注意喚起をしたということでございます。
○近藤委員 もう少し具体的に伺いますけれども、三百八十四カ所ということがさっきから出ております。身近なところで交付が受けられるようにということですけれども、身近なところということで、具体的にどんな会場が、どんな場所が今回利用されたんでしょうか。
○若林保健福祉部長 交付場所といたしましては、区市町村によって若干異なりますけれども、区市町村の役所をお借りする、あるいは出張所をお借りする、さらには地域の生涯学習館であるとか福祉会館をお借りするとか、そういう形で会場を確保したところでございます。
○近藤委員 足立区は区内で十四カ所ということですけれども、ご存じのように大変に交通の不便な区でございますので、十四カ所が決して十分な発行の箇所数だと思いませんので、来年に向かいまして、いろいろな見直しの中に、発行場所をもう少しふやしていただけるようなそんな工夫をしていただきたいのと同時に、交付について、はがきでそれぞれの方にご連絡が行ったかというふうに思うんですけれども、そのときに、何月何日、朝何時からやっていますよということだけではなくて、もう少し具体的に、あなたの交付日はいつで、何時ごろお出かけくださいというようなことまで指定していただけると、混乱が避けられるのではないかと思いますので、その辺のところも来年に向けて改善をぜひよろしくお願いしたいと思います。
それともう一つ、シルバーパスについてなんですけれども、高齢者の方から一つお話があって、ことしからは皆さん有料になりましたけれども、昨年度までは有料の方と無料の方、二通りあったわけです。自分は少なくともお金を払っているので、有料と無料でパスの色を分けてくれというお話がございました。そうしたときに、無料の方と有料の方と逆差別ができるので、それはできませんというお話をさせていただいて、その方は納得していただいたわけですけれども、それだけ、パスを持って運転手さんに見せて乗ったときに、バスに乗っている乗客の方にこの人はシルバーパスを使っているんだということが知られるということに対して、大変肩身の狭い思いをしていらっしゃる方が、私たちが想像している以上にいらっしゃるんだなと実感しました。
色が変えられるということではなくて、これがシルバーパスだとかということが、乗客または運転手さんにわからないというとおかしいですけれども、ふだん使っているいわゆる一般の定期券と同じようなパスにできないものだろうかというふうに思っているんですけれども、これについては東京都はどのようにお考えでしょうか。
○若林保健福祉部長 先生おっしゃるのは、読み取り式のカードリーダーを使えるような方式に変更できないかというご提案かというふうに受けとめておりますけれども、カードリーダー方式というふうに変えていくためには、現行のシルバーパスを、磁気カードといいますか、そういう形に変更しないといけないわけでございます。また、バス本体の方の読み取り装置もそういう形に変えなきゃいけないということになるわけでございます。
せっかく民間のバス協会に事業をお願いしたということでもございますので、ご提案の点につきましても、バス協会と十分協議をして民間の利点を生かしていきたい、そんなふうに考えているところでございます。
○近藤委員 バス協会の事業にしたということで、先ほどおっしゃった経営努力云々という話もございましたので、ぜひとも前向きに、なるべく早いうちに検討していただきたいと思いますけれども、来年度に向けての、これに関して、局の方として、予算要望という中には入れているとか入れていないとかということが今お話しできる段階でしたらば、部長の方からご答弁をいただきたいと思います。
○若林保健福祉部長 私ども、シルバーパスの発行に関しましては、バス協会に事務費の補助をしているところでございますが、お話しの点につきましても、補助経費の中に入れるような形で今予算要求しているところでございます。
○近藤委員 再度確認をしますけれども、先ほど部長がおっしゃったカードリーダー方式にカードを変えるべく、パスを変えるべく、十三年度の予算を要求しているということでよろしいんですね。
○若林保健福祉部長 十二年度から、バス協会には事務費を東京都として補助をしているところでございますので、その経費とあわせて、十三年度分とあわせて執行できるような検討をしてまいりたいというふうに思います。
○近藤委員 そうすると、十三年度にも何がしかの予算を要求しているということですけれども、カードリーダー方式に向けて、大体いつごろをめどにというようなお考えでいらっしゃるのでしょうか。
○若林保健福祉部長 先ほども答弁申し上げましたけれども、今回の九月に一斉更新で交付したシルバーパスにつきましては、そういう仕組みになっておりません。約七十万枚のパスにつきましては、そういう形で交付されているところでございますので、もしそういう方式、カードリーダー方式に変更できるというふうになった場合には、次回の一斉更新時からということになるかと思います。
○近藤委員 シルバーパスの話題についてはこのくらいにしまして、次に、高齢者いきいき事業について何点か伺います。
これは、地域の特性を生かした、ひもつきでない事業を展開できるということが目玉だというふうに伺っておりますけれども、具体的にはどのような、全部というわけにはいかないと思いますので、目玉になるような、いろいろな区市町村でそれぞれ知恵を出されて予算要求があったんだと思いますけれども、都の方としても何かこれはというようなところがありましたら、二、三ご紹介いただきたいと思います。
○若林保健福祉部長 高齢者いきいき事業につきましてのお尋ねでございますけれども、高齢者いきいき事業につきましては、区市町村の創意工夫を生かせる事業として、いわゆる包括補助として区市町村に補助する事業でございます。共通事業、選択事業、独自事業、さらには先駆的な事業、こういった四つの大きな区分に分けて補助を実施しているところでございます。
ユニークな事業としてどのようなものがあるかというお話でございますけれども、選択事業の中の一つとしましては、地域の中で小さいバスを走らせるコミュニティバスの運行、あるいは移送サービスの実施、さらには、ユニークな事業としては、独自事業として、その地域から出ている温泉を地域の高齢者に宅配便で運ぶという温泉宅配便事業であるとか、あるいは定年で退職されたお父さんを家庭や地域で優しく迎えるためのお父さんお帰りなさいパーティーとか、こういったような事業に取り組んでいるところでございます。
○近藤委員 介護保険の中では、介護保険の中で受けられるサービス以外のサービスを提供しなければならない、本当にきめの細かい、すき間とすき間を埋めていただくような活動として、本当に小さいNPOの方たちが現場で頑張ってくださっているおかげで、とにもかくにも介護保険が回っているというような現場の声をよく聞くわけです。
今までは、NPOといいますと、ごくごく活動が限られた範囲、例えば配食サービスですとか、福祉局の方も振興事業等いろいろ補助してきたわけですけれども、どんどん新しいサービスメニューが今求められている中で、新しく立ち上がっていくNPOの方たちについての支援というのはなかなか進んでいかないというようなところが現状であると思いますし、NPO同士の横のつながりがまずないということと、同業種自体の課題というのは、それぞれ皆さん共通の認識としてお持ちのようですけれども、業種が変わってしまうと、全く横のつながりがないというような中で、本当に介護保険の中にうまくNPOを活用していくためには、その異業種のNPOの方も含めた横のつながり、ネットワークづくりをぜひともきちんとしていかなければならないと思うんです。
こういうことをしていくのはまさに行政だなということを思いますけれども、例えば労働経済局が手法として使いましたインターネットを使っての会議室等の利用、こういうことを使ってうまくNPOの横のつながりの連携に役立てていけないかどうかというようなことも、一つのアイデアではないかなということを私思っております。
弱小のNPO団体が、コンピューターを買ってインターネットに接続できるお金があるかどうかというようなお話も現場ではございますけれども、それはさておいて、こういったNPOのこれからの活動に関する整理、NPOの位置づけというものに関して、改めて推進室のご意見を伺いたいと思います。
○若林保健福祉部長 介護保険制度が始まりまして、先生ご指摘のように、介護保険事業の重要な部分をNPOの団体にも担っていただくという仕組みができ上がりつつあります。具体的には、痴呆性グループホームの運営につきましても、NPOの団体が運営を始めるというところまで来ているところでございます。高齢者いきいき推進事業の中でも、NPOが事業を実施するということにつきましては、区市町村がその事業を補助するということになりましたら、東京都としてもいきいき事業で補助をする、そういう形で仕組みを広げているところでございます。
○近藤委員 高齢者いきいき事業については、平成十三年度の予算要求というのはどういうふうになっているのか、最後に伺って、私の質問を終わりたいと思います。
○若林保健福祉部長 高齢者いきいき事業につきましては、十二年度三十億でございますが、十三年度につきましては、三十五億予算要求をしているところでございます。
○金内高齢政策部長 今総額で三十五億というお話を保健福祉部長の方からさせていただきましたけれども、メニューにつきまして、幾つか新規のものがございますので、ご紹介をしたいと思います。
一つは、痴呆性高齢者を地域で支えるというような観点で、共助の推進をしていこうというようなメニューが一つございます。それから、介護保険の理解の促進、介護保険制度がなかなか利用者の方にご理解いかないものですから、介護サービス利用学習会等を開いて、そういう理解の促進に役立てようというようなもの、あるいは先ほどから先生ご指摘の、NPO等が例えば生きがい活動支援事業等を実施する場合に、事業者として新規参入して実施する場合に、その促進を図っていくために支援をしていこうというようなものを、選択事業のメニューの中に加える予定でございます。
○小松委員 四月からスタートしました介護保険制度は半年が過ぎたわけですが、制度の周知や圧倒的な基盤整備のおくれ、保険料、利用料の負担問題、申請、要介護認定、介護報酬、ケアプランの作成、契約の問題、企業参入とその撤退、どれをとりましても問題が解消されないままの実施であるわけです。十月からは六十五歳以上の第一号被保険料が徴収され、わずかな年金からの天引きに改めて不安の声が上がり、矛盾は一層深刻になっております。国会でも、自民党の政調会長も、低所得者対策のため、法改正を口にせざるを得なくなっております。
そこで、きょうは、この介護保険につきまして、特に大きな問題になっております利用料、保険料を中心にしまして、実態を明らかにしながら質疑をしてまいりたいと思います。
まず、実施半年で明らかになりました最大の問題は、利用者負担が重いため必要なサービスを受けられない高齢者が続出していることです。まず第一に、この利用量についてです。
私、今ここに十月二日付の日経新聞を手にしておりますが、ここでは全国六百七十一市と東京二十三区を対象にしまして介護保険調査、これは六百六十九市区、すなわち回答率が九六・四%と大変高いものですが、この調査をしておりますが、このタイトルにもありますように「在宅サービス利用率平均三八%どまり」と書かれております。ここでは、在宅サービスについて、利用限度額に対する直近の利用率を聞いたところ、全国平均は三八・六%だったということです。実際のサービス利用状況は計画を下回る市区が多く、当初の見込みとのずれが目立っていると書かれております。
また一方、区内でも、板橋では、健康を守る会という団体の方々が、四月から六月の三カ月、平均利用率の調査をいたしましたところ、やはり三八%だったと聞いております。
厚生省が行いました七月分サービスの利用量の調査も、四三・二%と、二分の一を割っているわけです。
先ほど説明いただきました資料の都の調査でも、少々数値は高くなってはいるものの、平均四九・五%ですか、やはり五〇%に欠けるわけです。
また、杉並区が行った調査では、限度額の九割以上利用されているという方も四分の一、二五%いらっしゃいますが、一方、一、二割の利用という方々も同様に四分の一、二五%あるわけです。この杉並区の調査では、三、四割の利用率の方々と合わせますと、やはり四〇%を超えるわけですね。
こうした実態をどういうふうにとらえていらっしゃるでしょうか。
○吉川介護保険室長 介護保険の利用料負担についてでございます。
介護保険制度では、高齢者本人の心身の状況や希望などに適合した介護サービス計画、いわゆるケアプランでございますけれども、これを本人または家族の方が同意した上でサービスを提供することとされております。また、国の資料によれば、サービス利用量については、従来の六割の利用者においてサービスの利用量は増加しており、また、提供された介護保険制度でのサービス内容につきましては、約八割の利用者の方がおおむね満足されているというふうにしてございます。
よって、先生の方から、利用の率について大変低いというお話がございましたけれども、私どもといたしましては、現段階では、介護保険制度の中で十分サービスについては満足いただいているのではないかというふうに思っております。
○小松委員 十分満足いただいている、確かに満足いただいている階層がいらっしゃるのも、これもまた確かです。しかし、私が問題にしたいのは、低所得者の中での利用率が大変低いということがいえるのではないかという、こうしたとらえ方を都はされていないんですね。
私、一つの例を挙げたいと思います。
脳梗塞で倒れた夫七十八歳、要介護度四の介護をされている奥さん七十二歳は、変形性関節炎で足が不自由、みずからも介護度一。四月になれば介護保険が始まるので、少しは楽になるだろうと楽しみにしていた。週二回のホームヘルパーとデイサービス、訪問看護も週一回、訪問看護ステーションの看護婦さんのアドバイスで、受けられる制度はいろいろ受けながらも、それでも不自由な足の介護は難儀している。二人は老齢福祉年金と老人福祉手当、少々の蓄えを切り崩しながら生活している。四月になって驚いた。今までどおりのサービスを受けたら、月二万円を超えてしまう。到底そんな出費はできない。今まではほとんどただだった。仕方がないので訪問看護はやめた。ホームヘルパーさんもデイサービスも一回ずつ減らした。逆に今までより奥さんの介護量はふえ、足もだんだん痛くなり、辛い毎日が続いている。この上保険料なんていわれたら生きていけない。これは数カ月前の話ですが、こういう例があるわけですね。
また、さらに、これは決してそんなに……(「どこの自治体かをいわなきゃわからない」と呼ぶ者あり)失礼いたしました。先ほどのは武蔵村山の団地の方です。やじに答えてしまったね。
その次は都内のある区なんですが、この方は、介護保険の一カ月の自己負担分をきちっとこのように書かれて、記録されて、私いただきました。娘さんが書かれております。お父さんは要介護度三、お母さんも要介護度三です。そして四月から八月までこれを書いておられますけれども、デイサービス週二回、訪問看護週一回、ベッドのレンタル料とか、それから三カ月に一遍のショートステイ、ホームヘルパー、そのほか訪問理髪や二人分のふとん乾燥等々で、何とこの方は、八月で見る限りでは、お父さん、お母さん合わせて六万六千九百四十三円。そして介護保険が始まる前は、デイサービスの給食代一回三百五十円だけで、一カ月五千六百円の負担だった。訪問歯科も身障で負担がなかったのが、介護保険で一部負担がかかるようになりました。父の身障者医療費助成も打ち切りになりました。東京都の老人福祉手当も三年間で廃止が決まっております。
このほかに十月からは、保険料が、十月分父は年金から三千七百円、母は納付書で千七百円取られました。大変なふえようです。十月からのこの負担を計算しますと、七万二千三百四十三円。三月まで一カ月五千六百円が、七万二千三百四十三円。この方は全くの低所得者じゃありません。身障の医療費が打ち切られる方ですから。それでもこんな負担で今後ずっとやっていけるんだろうかと、娘さんが大変心配されてこのように書いてこられました。
限度額まで利用しない理由、ですから、調査で見てまいりますと、杉並区では、トップは家族介護で間に合っているから、これが約四〇%でした。二番目が、自己負担金が大きいからと挙がっております。板橋や日経の調査では、自己負担が重荷で利用しない、これが四〇・五%と最も多くなっております。この日経新聞でも、家族介護が中心は二番目で、トップは自己負担が重荷で利用しない、だということを記録しております。
いずれにしましても、利用料負担の重さ、これが大きな理由の一つになっていることだけは間違いないと私思いますが、いかがでしょうか。
○吉川介護保険室長 ただいま先生からいろいろな自治体の例をもとにお話がございました。私ども直接に調査しておりませんが、要介護家庭、要介護の高齢者のいらっしゃる家庭、お一人お一人いろいろ見ますと、やはり四月以前に比べて負担がふえたり減ったりという、千差万別だと思いますが、ただ、満足度ということでいいますと、先ほども申し上げました医療保険福祉審議会の十月の中で開かれた中で出た資料に基づきますと、サービスの利用につきましては、従前に比べましてサービスの量が介護保険に入りましてふえたという方が六七・五%で大変多うございます。減ったという方が一七・七%ございます。
このサービス量が減った一七・七%につきまして、厚生省が全国の百八自治体について、千二百六十三名でございますが、調べた限りで申し上げますと、その減った理由の中で、利用者負担を支払うのが困難であったという方については、一四・三%でございました。でございますので、必ずしも利用が減ったというものは、利用者負担と連動しているものではないというふうに受けとめております。
それから、先ほど先生幾つかの例をおっしゃいましたので、若干私の聞き違いもあるかもしれませんが、利用料の話ということで先生お話を最初進められていましたので、例えばご夫婦で同じく介護保険の適用を受けているという方の例で、仮に六万何がしというのを利用料でおっしゃったのだとするならば、ご案内だと思いますが、介護保険におきましては高額介護サービス費制度というのがございまして、これは世帯当たりで、一般世帯でいいますと月額三万七千二百円が上限となっておりますので、参考までに申し上げます。
以上でございます。
○小松委員 連動していないということですが、これらの調査はクロス集計はされていないのでよくわかりませんが、その辺は明確ではありませんが、利用料の負担の重さがサービスの利用率を減らしている方々、こういった方々の大半は、低い年金暮らしの方々、収入の低さではなかろうかと推測されるわけです。
そこで、都内の高齢者の年収実態を数字でお伺いいたします。
○吉川介護保険室長 福祉局の方で平成八年二月に行いました。ですので、ちょっとデータとして古いので恐縮ですが、高齢者の生活実態調査の中では、六十五歳以上の高齢者で、百万円未満のお年寄りは三一・六%、二百万円未満が二一・一%、二百万円以上の方につきましては四三・五%、無回答が三・八%という実態でございました。
○小松委員 今お答えのように、年収が二百万円未満が五二・七%と、過半数を超えるわけですね。この今の説明の中をもう少し分析しますと、特に八十五歳以上の四四%の方が百万円未満だと。今、私や都議団のところに介護保険の相談に見える大半の方々が、こうした収入の低い方々です。こうした高齢者にこれ以上負担をかけさせていくというのでしょうか。
せめて住民税の非課税者に利用料の減免制度を実施すべきと思いますが、いかがでしょう。そして国に対しても要請すべきと思いますが、所見をお伺いしたいと思います。
○吉川介護保険室長 利用料についてのお尋ねでございまして、現行制度では、先ほども申し上げました高額介護サービス費制度におきまして、非課税世帯であれば、一般世帯の三万七千二百円が、二万四千六百円という形で低く設定されております。それから、老齢福祉年金受給者でかつ非課税世帯であれば、一万五千円ということで、かなり低目に設定されております。
そのような観点からいたしまして、現行制度の中できちっと低所得者の方々については用意されているのではないかというふうに考えております。よって、国に対して現時点で要望する考えはございません。
○小松委員 吉川室長さんも、低いとか高いとかという基準、これは相対的なものになると思うんですけれども、二万四千六百円、一万五千円、だから低いじゃないか、そこがもう違うんですね。吉川室長さんですから、一カ月一万五千円や二万四千六百円って、どうってことないでしょう。ところが、このお金が出せない方々が--本当に一カ月一万五千円以下の年金の方もいらっしゃるんですよ。こうした方々、一万五千円の低い、十分低所得者に対しての対応ができているとこれでいえるでしょうかね。
こうした大変なことがあるからこそ、既に低所得者に対する利用料の減免制度を実施している区市町村が次々とふえていくのではないんでしょうか。資料では七区十五市二町一村にも上っているわけですね。よく見ますれば、決して裕福な自治体ばかりではありません。住民の立場に立てばこそ、やらざるを得なくなるのです。こうした自治体に対し、都が支援の手を差し伸べる気はないでしょうか。
○吉川介護保険室長 先ほど私申し上げた一万五千円の額について、先生敷衍されましてご指摘ございました。ただ、特別対策というのが、先生ご案内のとおり政府の方で講ぜられまして、ホームヘルプサービスにつきましては、利用者の多くの方々が、これまでいわゆる措置の時代にあっては負担が無料であったということから、本来あるべき一〇%という利用者負担につきまして、三%に軽減するという特別対策がとられております。
これは激変緩和という観点からとられた経過的措置でございまして、都内において、先生おっしゃいましたように、幾つかの自治体で、ホームヘルプサービスを利用していた方に対する経過的措置というものを拡大してやっていらっしゃる自治体さんも確かにありますが、そこについても、できるだけスムーズに介護保険制度に入っていただこうというふうな観点で行っている自治体があるというふうにも認識しております。
よって、私どもの方で国に要望していくというふうなこと、もしくは都独自で対策をとるということについては、現時点では考えておりません。
○小松委員 だから特別対策があるんだとおっしゃいましたけれども、この特別対策というのは、ホームヘルプサービスだけでしょう。そしてこれはずっとですか。激変緩和、まさにこれは永久的なものではないではありませんか。私が申し上げるのは、やはり在宅サービスのすべてに対して、それも永久的に固定的にこうした対応が必要なのではないか、その立場から申し上げておりますし、こうした自治体も、決して激変緩和だけをやっているということではないはずです。
介護保険法、例えばここにはこのように書かれております。介護保険法の第五条、国及び都道府県の責務としまして、その二項には「都道府県は、介護保険事業の運営が健全かつ円滑に行われるように、必要な指導及び適切な援助をしなければならない。」このように書かれているわけですね。
このような立場から、もう一回、今、これは特別対策があるからいいじゃないか、激変緩和があるじゃないかということでしたけれども、今後、今すぐできないとしたら、やはり検討の爼上にのせるということにはならないんでしょうか。
○吉川介護保険室長 繰り返しになりますが、利用料につきましては、本来一割負担ということで、利用した方と利用されていない方の公平を図るという観点から設けられた制度でございまして、よって、経過的な措置として今行われておりますホームヘルプサービス--確かに先生ご指摘のように、ホームヘルプサービスについては当面三年間ということでございまして、十七年度からは一〇%ということでございますが、やはり介護保険制度の中で設定された原則一〇%というところを守りながら制度を運営していくのが適切だと思っております。
それから、都道府県の役割について、先生条文を引かれて、指導及び援助というところでございましたが、そこに、先生もおっしゃいましたけれども、健全なというふうな形容句がついておりますので、そういう意味では、やはり本来あるべき姿できちっと経営するというのが自治体の責務であろうというふうに思っております。
○小松委員 やっぱり室長と私とは少々立っているところが違うようですので、これ以上、例えば健全なという一言を取り上げましても、私はやはり高齢者の方々が健全に、それこそ言葉どおり本当に安心して、介護保険があってよかったねとすべての方々がいえる、人権が守られる、人間の尊厳が守られる、そうした立場で進んでもらいたい、その立場から強く求めておきたいと思います。
ただ、先ほどおっしゃった、なぜこうやって各区市町村がこういう特別な独自の対策を立てるのか、その裏には、サービスにスムーズに入ってもらいたいから。それは、裏を返せば、やはりこういうことをしていかないと、低所得者は大変だということがあるからじゃないんですか。これは私の意見として指摘しておきます。
住民が苦しいのは、この利用料の負担だけでないから大変なんですね。十月からの保険料徴収、これが加わってくるわけです。そこで、保険料の徴収について伺うわけですけれども、保険料の納付通知書が八月の中ごろから終わりごろからですか、届き始めたわけですけれども、これを見た人から、怒りともいえる質問と苦情が各自治体に殺到しているということですが、それをどのようにとらえていらっしゃいますか。
○吉川介護保険室長 介護保険に関する相談、苦情等のお話でございます。
私どもが既に公表いたしました、介護保険がスタートいたしました本年の四月から七月までの六十三区市町村、それから国保連合会、それと私どもに寄せられました相談、苦情につきましては、総数で二千九百十二件でございました。その段階は、当然、今先生おっしゃいましたように、まだ保険料といいましても、第一号被保険者の通知がされる前だからとは思いますが、保険料の相談については百五十五件で、五・三%の比率でございました。
ただ、七月までということですので、八月、九月という段階で、間もなく整理がつきますけれども、そこでは当然一定数の相談が寄せられているというふうには思っております。
○小松委員 確かにその後ふえているわけですから、ピークのときの数字が聞けないで残念なんですが、今、私ここに「社会保障」二〇〇〇年の秋号というのがありますけれども、この中に書かれておりますのは、各地の自治体の電話がパンク状態になるほど苦情と質問が殺到している。例えば横浜市だけでも、九月初頭までに一万二千件もの問い合わせがあったといいます。中には、電話対応のために、五十人もの臨時職員を雇った自治体もありますと書かれているわけですね。
実際に、私ども日本共産党が全都を調査しました。全区市町村にこれは聞き取り調査をしたのです。二つほどの市が答えてくれなかったというのもありますけれども、それを除きましても、ここに見ますように、二十三区では、この九月から十月にかけまして、介護保険に関する苦情状況調査件数は三万五千九百四十七件、多摩は五万一千七件、大変な数になっております。これが全部保険料ではありません。そういう形で見ることはできないんですが、いずれにしても、さっきの利用料もあるかもしれません、ここに細かく書いてあるのを見ますと。しかし、保険料についてというのが、横に書かれております。詳しくは時間がないのでいえませんけれども、相当多いんです。何で年金から天引きされるのだ、私は入りたくない、それはできないのかという質問が、もうこれはただ聞くだけでなく、半分怒っているんですよ。そういう形で皆さんが大変な苦情を寄せてこられている。
これを高齢者の不安と怒り--これを怒りととらえることが大事なのではないんでしょうか。低所得者を中心に、高齢者の生活を圧迫することはもう必至の状況ですから、現状で保険料徴収が始まれば、負担のふえる分、サービスを減らさなければならない人がたくさんいるわけです。先ほど私が申し上げた例は、実は保険料などがまだ徴収のないときの実例なんです。ですから、これはいずれは景気に与える影響も危惧されるのではないでしょうか。
八月三十日の東京新聞に載った投稿をここでご紹介したいと思います。少ない年金額から天引きされて食費はどうなるのやら--ちょっと中間略します。こんな状態では、先に尽きるのは蓄えの金か命かなどとお友達と話し合っています。話の結論は、お上が決めたことだから。私たちはやはり運が悪かった。さて、今からこれ以上に一切のむだ遣いをやめてつましく暮らすように心がけましょう。何、戦時下を思えば……。
この平和なときに、あの戦争時代を思い起こさせるような社会保障って、一体何なのでしょうか。憤りさえ感じております。
ところで、この保険料、いただいた資料にもありますように、都内では最低二千五百十円から四千円まで、加重平均として三千五十六円ですか、これについて、厚生省が、老齢福祉年金からも保険料を徴収するだけでなく、自治体の減免措置をさまざまにいっておりますが、こうした中で、既に狛江、国分寺、小金井などが保険料の減免制度を実施しておりますし、東久留米も検討に入った。
こうした市を支援する都としての取り組みを何か考えられていないか、国に対しても要求することがないのでしょうかということと、それから、少なくとも例えば生活保護基準以下の第一段階、第二段階、こうした方々の世帯、または国保の減額世帯、これらの方々に対しての減免制度を求めるべきと思いますが、いかがでしょうか。そしてまた、これを実施するとどの程度の予算が必要となるのでしょうか、あわせてお答えいただきたいと思います。
○吉川介護保険室長 保険料についてでございますが、介護保険制度は、高齢者介護を社会全体で支える仕組みである負担と給付の関係が明確な社会保険制度として創設されたものでございまして、すべての被保険者が公平に保険料を負担することが、介護保険制度を健全かつ円滑に運営するためには不可欠であると認識しております。このことから、低所得者に対し一律に保険料を減免することは、制度の趣旨に照らして適当でないと考えております。
なお、災害や失業等の場合には、介護保険法の中にも保険料を個別に減免する仕組みが設けられておりまして、また、低所得者の方々には配慮いたしまして、所得に応じて、均一ではなくて、五段階の保険料設定をすることを規定しておりまして、さらに、その五段階設定を六段階にもできるというような仕組みが法令上認められているところでございます。私どもの立場としては、基本的に法令の中で定められた、設けられたこれらの制度を活用していくことが大事であるというふうに考えております。
よって、都として独自に補てんの措置を講じるであるとか、国に対して要望していく考えは現時点ではございません。
○小松委員 私が申し上げましたのは、ぜひ減免制度をというそのもとには、そもそも国民健康保険、国保にも非課税世帯は所得割が免除され、均等割のみ負担という仕組みがあります。その上、保険料減額制度もあるわけですね。保育料も、所得を基準として、無収入の方は免除されているわけです。このことから見ましても、強制加入の介護保険制度に減免措置があって当然のことではないでしょうか。保険料負担が困難な低所得者の減免措置を講じなければ、これらの方々はせっかくの介護サービスも受けられなくなり、何のための介護保険制度か、行く末、制度そのものが破綻していくのではなかろうかと心配すらいたします。このことを厳しく指摘しておきます。
さて、高齢者にとりまして、特に要介護者にとりましては、四月からの高い利用料に、さらに十月から保険料支払い、こうしたものがかさむ一方で、これにあわせて老人福祉手当の三年後の廃止で、既にこの四月から、七十歳以上の方々、今までの五万五千円から四分の一に減らされ、このダブルパンチが高齢者の介護保険の負担に追い打ちをかけております。
実際に手当を受けている高齢者は何人でしょうか。そしてその実態をどうとらえていらっしゃるでしょうか。
○若林保健福祉部長 老人福祉手当受給者についてのお尋ねかというふうに思いますが、区部につきましては、財政調整制度の中に組み込まれておりますので、市町村部についてのみお答えさせていただきますが、六十五歳から七十歳未満までの方の三万円の手当を支給している方、十一年度でございますが、二百十八名、四万五千円支給している方が八百四十九名、さらに、七十歳以上で五万五千円を支給している方が一万三千二百十五名、合わせて一万四千二百八十二名でございます。
○小松委員 その実態をどうとらえていらっしゃるかということをお聞きしたわけですけれども、そのお答えはなかったわけですけれども、少し実例を申し上げたいと思います。
私がお会いしたり、また私の事務所に家族の方が来られたり、いろいろの例がございますが、この方は八十九歳のひとり暮らしの女性です。戦争のせいで結婚しそびれて、ずっとひとり暮らしです。心臓を患っていますが、介護度は一で、週三回二時間のヘルプサービスと、週二回の訪問看護を受けております。収入は老齢年金の三万四千六百五十円と、五万五千円の老人福祉手当、合計八万九千六百五十円です。しかし、八月より老人福祉手当が一万三千七百五十円削られ、これに介護保険の自己負担額は五千二百九十九円と保険料月千百五十円が加わって、合計月に二万円がなくなりました。来年は三万五千円もなくなる。命綱ともいうべき老人福祉手当が完全に廃止されますと、月三万五千円程度で暮らしを余儀なくされるのですとこの方はおっしゃっています。
これに健保の改悪による負担増に追い打ちをかけられ、私は何の希望もない、早く死にたいと何回も繰り返しておられました。本当にご苦労されてこられた敬愛すべきお年寄りをこんな気持ちにさせる政治とは、一体何なのでしょう。
また、別の九十五歳のOさんは、六十四歳の娘さんとの二人暮らしです。Oさんは難聴と痴呆があり、介護度が四です。退職後脳梗塞を患い、今は後遺症はほとんどないわけですが、娘さんが介護しております。収入は、Oさんの老齢福祉年金三万二千円と、娘さんの厚生年金十万円、老人福祉手当三万七千五百円です。今受けているサービスは、デイサービス週一回、入浴のためのデイサービス週一回、訪問看護三十分月二回、ショートステイ月三回で、一万四千四百円です。このほか、食事や雑費など自己負担を含めますと、二万円を超えてしまいます。せめて入浴は週二回入れてやりたい、訪問看護も毎週一時間ぐらいは受けさせてやりたいと思っても、利用料のことを考えるととてもできないと娘さんはいいます。
さらに、今後老人福祉手当がなくなり、そしてまた都営住宅の家賃の値上がり、さらに医療費の値上げを考えますと、どうやって暮らしていけばよいのか本当に怖くなってしまう。娘さんも、六十五歳になったらマル福が受けられるとじっと我慢してきたのに、目の前で切られてしまったと嘆きます。介護保険は三万六百円までは使えますよといわれても、そんなお金は到底出せません、このようにおっしゃっているわけです。
こうした実態を改めてどういうふうにとらえていらっしゃるのか、保健福祉部長の立場でお答えいただきたいと思います。
先ほど七十歳以上の人数が具体的には出せないとおっしゃいますが、この中の六十五から六十九歳の方々もまた、本年度から新規の方々は受けられないので、これら高齢者の方々にとっては、とりわけ低所得者にとっては、今の事例にもありましたように、命綱である、今日的役割を果たしてきたこの老人福祉手当、ここにもう一度光を当てるべきと思いますが、いかがでしょうか。
○若林保健福祉部長 老人福祉手当につきましては、介護保険制度の実施によりまして、寝たきり高齢者、介護を要する高齢者には、その必要度に応じましてサービスが提供される仕組みができましたことから、政策目的が重複する、こういうことを理由として見直しを行ったものでございます。
介護保険料、低所得の問題がご指摘ございましたけれども、介護保険料や利用者負担の問題は、介護保険制度の中で対応すべき問題でありまして、所得の低い方には、保険料の所得段階別の設定とか利用者負担の上限をより低く設定して配慮するほか、先ほど説明がありましたけれども、特別対策による負担軽減などの措置を講じられているところでございます。
最低限度の生活を保障するという仕組みにつきましては、自立を助けるための生活保護制度という形で、セーフティーネットとして用意されております。介護保険の負担が困難な方につきましては、保険料につきましては、新たに生活扶助への算定がされております。また、利用料につきましては、介護扶助という形で創設がされているところでございます。社会的にはいろいろな仕組みが整備されつつあるというふうに認識しております。
○小松委員 これ以上そのことを聞いても、全く平行線だということを改めて認識いたしました。
政策目的が重複するということですが、先ほどから私がいろいろしつこいように例を挙げておりますのは、逆に、こうしたものが両方から削られ、そして負担がふえ、ダブルパンチではないかと申し上げているわけです。介護保険ができて、本当に介護に対して楽になったというのでなく、逆に介護が受けられなくなった、サービスが受けられなくなったという方が、それが一番多いということではなく、事実いるじゃないですかと。ここにやはり光を当てるべきだと申し上げているんです。
生活保護にとおっしゃいました。生活保護もそんな簡単にとれるものではないし、やはりこうした何とか自分の力で生きていこうとされている方に対し、生活保護を受ければいいじゃないかと簡単にいってしまわれる。本当に残念に思いますね。
そしてもう一つ、この高齢者に対してありますのが医療費の助成ですね。六年間で廃止される。既にこの七月からですか、六十五歳になられた方は二年おくれになるわけです。実際に、この七月以降六十五歳になられた方が、二年おくれを知って大変怒っている、こうしたファクスを私一枚いただきました。ご紹介します。
十一月四日に六十五歳の誕生日になるが、私は手当がもらえないことを初めて知った。区役所に説明を求めると、石原知事が廃止したという説明だ。私は平成八年十二月に心筋梗塞で倒れ、月一回は必ず定期検診に行き、一万円取られる。六十五歳になれば手当も出るからと--手当といっているのは、医療費助成のことですね。--期待してきたが、こんなことをされたのでは希望がなくなる。死んだ方がましだと思ってしまう。こういうふうに書かれたファクスが届きましたけれども、こうした都民のショックや怒りをどう受けとめていらっしゃるでしょうか。
○若林保健福祉部長 先ほど先生おっしゃいました老人福祉手当につきましては、その使用、いろいろな目的で使っておられるという実態はもちろん承知しておりますけれども、政策目的が重複するということで見直し、ただ、すぐに見直すということではなくて、その間の経過措置を設けて廃止をするという取り扱いをしたところでございます。
また、医療費助成制度の見直しについてのご意見をいただきましたけれども、老人医療費助成制度につきましては、高齢者の保健福祉の向上を図るという目的から、昭和四十四年度から先駆的に実施してきたところでございますが、年金制度や医療保険制度が充実されたこと、若年世代への負担の不公平が生じていること、高齢者への医療費の助成が、国の老人保健への負担分を含め、東京都福祉予算の三分の一を占め、七百五十二億という推計をしたところでございますが、新たな施策の展開を困難にしていること、こういったことの理由から見直しを行ったところでございます。
この見直しにつきましては、さきの都議会の審議をいただきまして決定したものでありまして、審議内容を踏まえて適切に対応していきたいというふうに考えているところでございます。
○小松委員 今なぜこれをなくしていくかという、るる説明されましたけれども、これ一つ一つまさに反論したいところですが、それをやって一人で何時間もとってしまってはいけないのでこの辺でやめますけれども、今おっしゃったような、もうこれで高齢者の方々が安心して介護保険に進めるという状況は全くないということ、予算が厳しいというのも、これはまさに、私、以前は経済・港湾委員会におりましたけれども、ここでの臨海副都心開発などを見ましてのあの予算の使い方を見れば、これを改めれば、見直せば、十分予算はあるということも含めて、これらを厳しく指摘しておきたいと思います。
事実、七十歳まであと五年というこの年あたりから、元気で健康だった方々も医者通いを始めるようになるわけですね。特に入れ歯だとか眼内レンズだとか、ここにとってのマル福は、年金暮らしの方々にとっては大変助かる。全国に誇れるこのマル福こそもとに戻すべきことを強く求めて、次に進みたいと思います。
この介護保険の最後に、認定の問題で、自立判定の問題も含めてさまざまな問題が持ち上がっております。とりわけ痴呆や内部障害の判定が問題にされておりますが、例えば私の知るところで低肺の内部障害、この方は三級で、外出時には酸素ボンベを放せないわけですけれども、要支援にしかならない。ふとんの上げ下げもできないし、駅の階段の上りおりもままならないのに、どうしてだというTさん。
また、しゅうとめは痴呆が進んでおり、自分がごはんを食べさせてくれないとか、財布をとったとか辛い仕打ちに出ている。ガスや水道のつけ放しも多い。大変困り果てているんだけれども、人が来ると見事に対応してしまう。ですから、やっと要支援にしてもらったけれども、痴呆に対する認定の改善をしてもらえないかと訴えてこられたOさん。
これはお二人だけの問題ではありません。特に、私の地元東村山や清瀬には結核専門の病院や施設も多いために、低肺の方が大変多く住んでおられて、介護保険における内部障害の認定に改善を求める声が多く聞かれるわけですけれども、この内部障害や痴呆に対する認定の判定の改善に対して所見を伺いたいと思います。
○吉川介護保険室長 要介護認定につきましてお尋ねがございまして、二点お答えしたいと思いますが、まず、内部障害、いわゆる心臓病であるとか呼吸器疾患などの外に見えない障害をお持ちの方々について要介護認定を行う際には、対象のお年寄りの方を長期間にわたって医学的に管理し、その状況を正確に把握しております主治医の方の意見が大変重要であるというふうに考えております。
コンピューターによる一次判定では、過去十四日以内に行われた医療行為ということで、酸素療法の有無やレスピレーターの使用、気管切開の有無、心肺や心電図など特別な医療についての時間を推計しておりますけれども、最初に申し上げましたように、最終的には主治医意見書の傷病に関する意見や訪問調査の際の特記事項をもとに、審査会の方で二次判定を行っているところでございます。したがって、内部障害を持つ高齢者について、適切な要介護認定が行われているというふうに認識しております。
痴呆の点について二点目にお答え申し上げますが、痴呆につきましては、国におきましても、要介護認定の中で、痴呆の方の要介護度がどうも低く出るというような意見が寄せられているということもございまして、厚生省は、本年八月から、一次判定の仕組みにつきまして専門的、技術的検討を行うことを目的といたしました要介護認定調査検討会を設置して、検討を開始したところでございます。
これは、先生ご案内のとおり、第一次判定の八十五項目の調査項目では、三つの項目、介護側の指示に反応できるかどうか、理解度はどうか、それから行動についての十九項目ということで、既に痴呆の程度については、八十五項目の中では三項目かかわりがありますけれども、これらについて見直しをしてみようということでの検討会が設置されたところであります。この推移を見守る必要があるというふうに考えております。
○小松委員 ぜひ身体機能にのみ着目した判定方法の改善ということでは、これからも国に対して意見を上げていっていただきたいと思います。
最後に、これは全く介護保険とは別の問題ですが、ひとり暮らしの高齢者の入居身元保証人制度についてお伺いしたいと思います。
今、ひとり暮らしの高齢者が、保証人が見つからないで民間住宅などへの入居契約ができない、こういう相談をよく受けるわけですが、都が今年度新規事業としてこれら制度を立ち上げようと試みていることを評価したいわけです。
そこで伺うわけですが、この制度の現在の進捗状況、その内容、いつごろをめどになどお聞かせ願いたいと思います。
○若林保健福祉部長 先生ご指摘のとおり、高齢者が地域で民間賃貸住宅に入居するということにつきましては、なかなか確保が難しくて、どうしても敬遠される傾向があるということは事実でございます。その高齢者が、どのような形でどのような仕組みをつくったらば民間住宅に入居できるか、そういったことの仕組みを検討するために検討委員会を、ひとり暮らし高齢者等入居身元保証人制度を検討し、現在進めているところでございます。
現在、足立区と多摩市でニーズ調査を行うということで計画をしているところでございます。
報告としては、十二年度末に報告をいただくということで予定しているところでございます。
○小松委員 十二年度末報告、ぜひ来年度実施に移せるよう強く求めまして、私の質疑を終わらせていただきます。
○曽雌委員 先ほど他の委員からも質問が出ておりましたけれども、高齢者いきいき事業について、幾つか私の思い、提案も含めて質問をしたいというふうに思います。
高齢者施策推進室が現在実施をしておりますこの高齢者いきいき事業は、福祉局及び衛生局が実施をしております事業とともに、とにもかくにもがんばろう東京福祉事業ということで進めているわけでございますが、この事業の創設に私たち公明党も努力をしてきたわけでございまして、この事業がスタートしたことに対して感慨深いものを持っております。
まだまだできたての高齢者いきいき事業でございますから、いろいろとまだ聞いておかなければならないこともあるわけでございますけれども、とにもかくにも都民の皆さん方からは相当期待をされている、期待が持たれている事業だというふうにいっても決して過言ではないと思っておりますし、であるがゆえに、都民のためにもこの事業というものが最大限に活用されなくてはならないというふうに私は考えております。
そこで、幾つかお伺いしたいと思っておりますけれども、まず、新たに創設をされました高齢者いきいき事業でございますけれども、従来の補助制度と比べてどういう点にどのような特色があるのかということで、わかりやすくご説明いただきたいと思います。
○若林保健福祉部長 高齢者いきいき事業についてのお尋ねでございますが、これまで東京都が実施しておりますいろいろな補助制度につきましては、どうしても補助制度という仕組みの中から、実施方法や対象要件など詳細な条件を定めて補助を行っているところでございます。このため、事業を実施する区市町村におきましては自主性が発揮しづらく、また、地域のニーズに合わないものが出てきているというような特徴がございます。
そこで、区市町村が地域のニーズを生かした特色ある事業を主体的に展開できるような仕組みとして、柔軟な補助制度としての高齢者いきいき事業を立ち上げたものでございます。
○曽雌委員 今ご答弁ありましたように、従来の東京都の福祉施策というのは、確かに東京都がいろいろとモデル事業等を始めて、具体的に事業を応援してくれる区市町村に協力を求めながら一つの制度をやっていく。でき上がった制度が非常に好評であれば、その制度を今度は全区市町村の方にいろいろと補助金をつけたりしながら、制度を拡大していくというやり方をしてきました。
これはこれでいい時期もあったんだというふうに思いますけれども、今ご答弁ありましたけれども、やはりそれぞれの地域の区民なり市町村民の人たち一人一人が多様なニーズを持っている時代に入ってきていますから、東京都が画一的にこういう事業をやってみてはどうですかみたいなことよりも、今部長からご答弁ありましたように、それぞれの地域がそれぞれのニーズに合わせて、Aという制度よりも、私のところはBという制度をやりたいのだとか、いや、私のところはCという制度をやりたいのだとか、それぞれの希望があって、その希望をかなえていくことが、地域に住んでいる住民に対するニーズにこたえる道だということであるならば、いわゆる高齢者いきいき事業というものが行われた意味があるわけであって、そういう観点に立って、私たちもこの創設についてはかねてから議会でも主張し、取り上げてきたわけでございます。
そこで、区市町村が主体的に展開できるということでのお話もございましたけれども、非常に使いやすい補助制度だということでは理解を示しておりますけれども、たしか予算的には三十億円計上しておられるわけでございます。この三十億円の予算のうち、既に約二十五億円については内示が出されているというふうに聞いておりますけれども、その約二十五億円の内示の内容、いわゆる事業数については、どのくらい実際問題として希望があったのか、それに対して東京都の方としてはどのような内示の状況になっているのか、また、今後、現時点でどこで仕切るかわかりませんが、仕切っていただいた段階からその後、さらにそれぞれの区市町村が検討している事業等がどの程度あるのか、あわせてお示しいただきたいと思います。
○若林保健福祉部長 高齢者いきいき事業につきましては、先生ご指摘のとおり、三十億円の予算を組んでおりますけれども、既に約二十五億円の内示を出したわけでございますが、その内訳としまして、六十三区市町村のうち五十八区市町村から申請をいただいて、五百九十八事業につきまして補助の内示を出したところでございます。
なお、島につきましては、災害により申請がおくれている町村がありますために、なお留保しているところがございます。
さらに追加で申請を出していただいている事業もございまして、約五十件ぐらいございますけれども、残った五億につきまして再度内部で検討しまして、追加内示を出したいというふうに考えているところでございます。
○曽雌委員 六十三区市町村のうち五十八区市町村から申請が出ていて、出ていないところもまだあと五つということで、その五つについては島しょ部ということでお話がありましたけれども、確かに島しょ部は今災害があったりで、当初いろいろと作業しておったけれども、その作業が中断せざるを得ない状況に陥ってしまって、おくれているところもあるのだと思います。そういうところについてはひとつ特段の配慮をしていただいて、ぎりぎりの段階ででもとにもかくにも決定を出してあげることができるものであるならば、ひとつ特段の配慮をしてあげてほしいということをこの場でお願いしておきたいというふうに思っています。
採択している事業数、これは今五百九十八事業ということでございましたけれども、区市町村もこの事業の趣旨に理解をし、賛同して積極的に取り組んでいただいたからこそ、評価をしているからこそ、このような五百九十八という採択された事業数に上っているんだというふうに私は受けとめております。
事業の創設に努力をしてきました私たちも、この事業を積極的に進める責任があることから、ただいまの部長の答弁を聞いて一安心したわけでございますけれども、しかしながら、細かく見ていきますと、区市町村の取り組み方もいろいろあるというふうに思っております。それがこの事業の特徴でもありますけれども、もっと進めてもらいたい事業が進められていないというのであるならば、一抹の寂しさを感じるわけでございます。
というのは、これからますます元気な高齢者が多くなる。現時点でもよく高齢者のお話をしますと、先ほども議論に出ていましたけれども、介護保険等も含めて、要介護支援者というのが、介護の必要な人というのが約二割だと、約八割の高齢者の方たちは元気で社会の中で頑張っておられる。家庭でも地域でも、とにもかくにも自分の存在感を示しながら元気に頑張っておられる高齢者はいるわけでありますし、そういう高齢者がこれからますますふえてくれることが、東京の福祉施策の新たな展開にもつながっていくわけでありますから、そういうことを考えたときに、私は、元気な高齢者の方たちの足の確保という問題は大変に重要な課題になっているというふうに考えております。
そこで、その足の確保として非常に人気のありますコミュニティバスや移送サービスの実施状況がどんなふうになっているのかということが気になっておりますので、この件でお伺いしたいと思いますけれども、私の住んでいる大田区は、バス路線が少ない部分であります。コミュニティバスがまさに必要な地域と考えておりますけれども、今回の計画の中には、大田区はコミュニティバスのことについては計画にのっていないようでございます。
区市町村の中でどのくらいこのコミュニティバスのことについて新規に計画を検討しておられるのか、つかんでおりましたら、数等をお示しいただきたいと思います。
○若林保健福祉部長 先生ご指摘の島しょ地域の残った五町村でございますけれども、本事業の適用に当たりましては、当該地域のご意見を十分お聞きした上で万全を期してまいりたいというふうに考えているところでございます。
ご質問のございましたコミュニティバスについてでございますけれども、現在、補助内示をした区市町村が、十区市町村の十三バス路線でございます。また、内示に向けて現在協議中のものが、六区市町村十四路線でございます。さらに、今後ということで相談を受けているものが別に八市八路線、ですから、合計いたしますと、二十四区市町村三十五路線が、現在、高齢者いきいき事業のコミュニティバスの対象として私どもの検討対象になっているということでございます。
○曽雌委員 申請が出されて内示された数が、先ほど五十八区市町村ということでしたから、その中でいわゆるコミュニティバスについては二十四区市町村ということになると、四割ぐらいになりますかね。かなりたくさんの区市町村が関心を持たれていますから、ぜひこれを導入してみたいということになってくると思いますね。そういう面で、武蔵野市のムーバスというのが大変今有名になっておりますけれども、今までもコミュニティバスはあったわけでございますけれども、余り広がらなかったということがあります。
今回の高齢者いきいき事業の選択メニューに入ったからこそ、先ほど申し上げましたように、約四割ぐらいになる区市町村が拡大をしていきたい、これを広げていきたいということで取り組んでいるようでございますので、私としては大きな広がりを持ってきているということでは大変にありがたいことだと思っておりますし、その成果に期待をしたいというふうに思っております。
ところで、この補助内容はどのようになっているのか、コミュニティバスの導入に当たっての補助内容をお示しいただきたいと思います。
○若林保健福祉部長 先ほど、先生ご質問の移送サービスの実施についてちょっと答弁を漏らしましたけれども、移送サービスにつきましては、補助内示をしたところが二区十二市町村、合計十四区市町村でございます。
コミュニティバスの補助内容についてのお尋ねでございますけれども、調査検討費用として一区市町村当たり一千万円、それから車両の購入費として一路線当たり三千六百万円、運行経費としまして一路線当たり年間一千五百万円、補助率につきましては二分の一ということでございます。
○曽雌委員 いわゆるコミュニティバスをやる場合に、今の補助内容に従って補助率二分の一でお金を東京都の方から補助してもらって、区市町村がバスを買って、運営について委託をするというやり方とか、もしくはもともとあるバス会社のバスそのものを、新たに買うのではなくて、あるバスを活用してやるとかいうような方法も考えられるかなと思っておりますし、そういうことを考えたときには、その辺は東京都の方としてはどちらでもいいということになっているのか、こうでなきゃならぬということになっているのか、その点について一点確認をしておきたいと思っております。
○若林保健福祉部長 コミュニティバスの実施の方法についてのお尋ねでございますけれども、それぞれの区市町村でそれぞれのやり方があるのかなというふうに思っております。そういう意味では、区市町村の選択する方式に沿った補助をしていきたいというふうに考えているところでございます。
○曽雌委員 補助内容を聞きますと、ますますこの事業を進めていきたいというふうに私は考えておりますけれども、路線バスが少ないところであるとか道路が狭い地域、さらには急な坂道に囲まれていまして自転車や徒歩が大変に困難な地域、いろいろな地域があるわけでありますけれども、そういうところでは、より一層このコミュニティバスの導入というものが求められているのではないかというふうに私は考えます。
それで、交通事故防止であるとか環境対策にも大変に効果があるという意見もありますし、特に頻繁に停留所にとまるコミュニティバスは、住宅街を走り抜けようとする自動車のスピードそのものを間接的に抑制させるというような効果も考えられますし、自動車がかすめて走る道路の端を、とにかく身をこごめながら歩かなくてはならないという地域もあろうかと思いますけれども、そういう危険な状況も回避できる。さらには、女性や児童の不安なひとり歩きといったことも避けられるわけでございますし、バスへの乗りかえによって、自家用の自動車の使用そのものも減ってくる。そのことによって排気ガス等の減少にもつながって、環境保全にも大きな効果があるとか、いろいろな効果があるわけでございます。
そこで、まず区市町村の担当者がこのことをよく理解していただきませんと、先ほどの答弁のように、かなり進んでいるとはいっても、地域では必要性があるにもかかわらず、まだそこまでいっていないという地域もあるわけでございますので、もっともっと区市町村の担当者に理解をしていただいてこのコミュニティバスの導入というものが進むように、ぜひ東京都の方から各区市町村の方にしっかりとPRをしていただきたい、このことをお願いしておきたいというふうに思っております。
この点について具体的にどんなふうにPRをするかということについて、皆さんの方でお考えがありましたら、ご答弁いただきたいと思います。どうでしょうか。
○若林保健福祉部長 高齢者いきいき事業の中のコミュニティバスをもっともっと普及していただくという意味では、この事業をまず区市町村の担当の方に十分理解してもらうということが大事だというふうに考えております。ご指摘のとおりでございます。
私どもは、これまでも、いきいき事業の説明会なりヒアリングなり、いろいろな機会に区市町村に十分ご説明をしてきているところでございますので、引き続いて機会を持って、特にまだ取り組んでいない区市町村があるわけでございますので、そういうところに向けてのPRを進めていきたいというふうに考えております。
○曽雌委員 次に、タウンモビリティー事業について伺いたいというふうに思います。
商店街などに電動自動車を配置しておきまして、それを高齢者などが利用して買い物などをする仕組み、こういうものがあります。人間は動く動物であるとの前提に立って、一九七九年、イギリスのミルトンキーンズで始まったこの運動は、ショップモビリティーというふうに称されておりますけれども、日本ではタウンモビリティー事業というふうにいわれているようでございます。
そこで、この点について伺いたいと思いますが、高齢者にとってまさに痛いところに手が届くというサービスであるというふうに思いますけれども、このタウンモビリティー事業、都内では、この事業を実施しているところはどういうところがございますでしょうか、お示しいただきたいと思います。
○若林保健福祉部長 お話のございましたとおり、タウンモビリティーにつきましては、歩行が困難な高齢の方々あるいは障害者、妊産婦の方々などに、電動スクーターという形でお貸しして、それを足がわりにして町を自由に移動するという仕組みでございまして、点から線へ、線から面へのバリアフリー化が図られて、優しいまちづくりが進んできているということでございまして、東京都におきましては、武蔵野市が既に実施しているところでございます。また、周辺では柏市あるいは広島市で実験的に取り組んでいるというふうに聞いております。
○曽雌委員 福祉のまちづくりの議論をしたときにもお話ししましたけれども、いわゆる福祉のまちづくりというのは、ある一部の点から始まって、点と点を線で結んで、その結ばれたものがさらに面へと広がっていくんだという話の中で、福祉のまちづくりというものは、ある一部分だけではだめなのであって、そこの場所に、福祉のまちづくりモデル地区でできたところに行っても、その次のモデル地域に行きたいと思っても、高齢者や障害者の方たちが行けないのではいけないということで、そういう面で、面的な広がりの必要性ということについて私も何回かお話ししてきましたので、そういう観点から考えても、このタウンモビリティー事業というのはかなり私はいい事業じゃないかというふうに思っています。こういうきめ細かな事業も、区市町村の方でいろいろと工夫をしていただければ実施できるのではないかというふうに思っております。
高齢者いきいき事業の中に移送サービスの実施というものがございますけれども、この移送サービス実施の補助内容はどんなふうになっておりますか。
○若林保健福祉部長 移送サービスの補助内容でございますが、移送サービス等を利用するための車両購入費を補助するという仕組みでございまして、基準額の想定といたしましては、バスを考えておりまして、一台一千万円ということでございます。補助率は二分の一でございます。
○曽雌委員 選択事業の移送サービスは、生きがいデイサービス等への送迎の事業を実施する場合に、移送車両の整備費を支援するものだというふうに受けとめておりますけれども、であるならば、趣旨が合えばこの中で実施をすることも可能ではないかというふうに私は思っていますけれども、この点についてどうなのかということが一点。
また、国の介護予防・生活支援事業のメニューというのがありますけれども、この中の国の外出支援サービス事業では、ショッピングセンター等での移動支援のための拠点を整備して、各種情報提供や電動スクーター、車いすの貸し出し等を行うというふうになっております。これらの活用も十分に考えられるのではないかというふうに私は思いますけれども、この点について都の方はどのような見解をお持ちになっておりますでしょうか。
○若林保健福祉部長 移送サービス、高齢者いきいき事業、都の包括補助事業の移送サービス事業の中に、タウンモビリティーとしての趣旨が合えば、この事業を実施できるのではないかというご質問かというふうに思いますけれども、私どもとしましても、足の確保として活用できるならば、外出の機会の確保の拡大につながるということから、ご指摘のとおり可能であるというふうに考えているところでございます。
さらに、国の介護予防・生活支援事業についてのお尋ねでございます。国包括の中で外出支援サービスがあるではないかというご指摘でございますが、ご指摘のとおりでございまして、補助対象とできますので、区市町村から相談をいただければ、補助をしていきたいというふうに考えているところでございます。
○曽雌委員 最後に要望だけしておきます。
このように、高齢者いきいき事業は、地域のニーズを素早くとらえまして事業化が可能になるという大変すばらしい事業だというふうに受けとめております。今部長からもお話がございましたけれども、区市町村もこの事業の趣旨がよく理解できるように、また、この制度をどんどん活用していただいて充実できるように、ぜひ働きかけをしていただきたいというふうに思っております。
来年度以降も東京都は積極的な支援をしていただいた上で、元気高齢者施策というものをさらに拡大展開されるように強く要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
○和田委員 初めに、福祉といいましょうか、介護全体の考え方についてお伺いしておきたいと思います。
事務事業概要の説明によりますと、都内の六十五歳以上の高齢者は百八十二万人、十五年後の平成二十七年には二百九十万人、都民の四人に一人が高齢者になる、このようにみずから分析をされております。さらに、高齢者のうち八割が元気な高齢者で、経済的にも自立しているということも認識を示されているところであります。さらに、もう一つ危惧されるところとしては、ひとり暮らし高齢者などの高齢者だけの世帯が四割を占めてきて、介護や支援を必要とする高齢者そのものも二十四万二千人。このように、元気な高齢者だけではない、ひとり暮らし及び要介護、要支援の方々もふえてきているぞという、分極化した高齢者のありようを分析しているわけであります。
その中で、当局においては、三つのこれからの課題を重点的に押さえられています。一つは、介護保険制度の安定的な運営への対応、二つ目は、介護保険の対象とならない、しかしながら支援を必要とする高齢者への対応、三つ目は元気な高齢者への対応というふうに分析をされているわけでありますが、ここで最近とみに、介護保険の話題と同時に、介護保険をマーケット化する、市場化する、そういう動きが顕著に出てきています。私たち行政を監督する側の者からしますと、行政をすべてマーケットに置く、市場化することがいいのかどうなのか、そういう原点を常に意識していきたいと思っているところなのです。
行政のどの程度のかかわりと市場原理、強いものが勝つ、安いものがとるというのが、どこまで接点として、これが福祉といいましょうか、今回はこの場では介護に限っていいと思うんですが、介護保険に限って、あるいは介護政策全体において、どういうせめぎ合いをしていったらいいのかということを常に考えているものでありますから、まず、介護保険にかかわる経済化といいましょうか、市場化といってもいいと思いますが、マーケットシェアというものの考え方を当局はどのように押さえられているんでしょうか。
○金内高齢政策部長 先生ご指摘のとおり、高齢化が急速に進展していく中で、施設サービス、さらには在宅サービスは、量的、質的な充実が求められております。そのためには、多様な事業者が事業に参入し、競争することが重要であるというふうに認識しております。都民がよりよいサービスを受けるために、多様な事業主体の参入に向けた規制緩和についてやはり検討が必要であろうというふうに考えています。
○和田委員 世相、何かと行政がおくれがち、そしてまた、公務員が、民間のビジネスマンよりも怠惰で働きぶりがおくれているといいましょうか、ルーズであるというようなそういう概念規定がなされております。私もそのことに少なからず賛意を表するものでありますが、それに一方づくことでいいのだろうかと思っています。公務員の方は公務員の方なりにベストを尽くしているようでありますし、また、私的なそういう経済エリアと公的なものとは当然峻別されなければならないところでありますから、結局、他が他にかわれない、かわり得ないという環境にあることを認めなければならないと思うんですね。
しかしながら、すべてを効率化あるいは金銭化していいのかということを考えましたときに、今一番私が危惧するのは、おっしゃったとおり、介護保険というものを起爆剤というかきっかけにして、経済的な参入が極めて顕著になっています。聞くところによると、合法的な組織ではないところがこれに関心を示して乗り出してきているというようなことですとか、すべてがNPOを含め善的なそういう組織ではなく、お金もうけになればというような形で乗り出してきているという風潮も無視できないというように聞いておりますから、この点について、ただ効率化、ただ簡便化、ただ安価ということだけでいいのかどうなのか、また、私と公との関係において、責任者である当局はどのようにこのありようを認識されているのでありましょうか。
○前川高齢者施策推進室長 広くいえば市場と行政の問題でありますけれども、今おっしゃったような市場と行政をいわば対立的に置くという発想はいかがかと私ども思っております。
問題の根本は、今までは、どちらかといえば、行政がいわば規格化したサービスを一元的に提供していった、そういう社会が福祉の社会であったわけでありますけれども、これを、利用者本位で選択のできる社会に変えていきたい。その前提として、当然ながらサービスの質と量を充実しなくちゃいけないということであろうと思います。サービスの質と量を充実するためには、一つの手法として、いろいろな事業主体、民間企業も含めて、それが参画できる社会をつくっていくことが有効であろうと思っております。
ただ、これは行政が責任を放棄するわけでは毛頭ないわけでありまして、特にそういう競争をするためのルールであるとか、あるいは弱者を救済するためのルールであるとか、それからまた、必要な福祉基盤のインフラ整備であるとか、それは私ども行政の責任であるというふうに思っております。
○和田委員 今、前川室長のそういうご判断は私も賛同するわけであります。同意するわけでありますが、そういうお考えのもとに、年内をめどに、ことしの十二月までに福祉改革推進プランが出されるということに一応なっています。この福祉改革推進プランと、今前川室長がおっしゃられた私と公、あるいはスピードと公平、公正といいましょうか、そういうものとの一つ整理整とんした形をこのプランの中に私は期待したいと思っているのでありますが、どういう方向づけをお考えでありましょうか。
○前川高齢者施策推進室長 今お話がありました、要するに福祉を質、量ともに豊かにしていく、それによって全体のパイも大きくするし、水準も上げていく、そういう世界をつくるために、私どもは、来年度から、今までの見直しを踏まえて、いわば新しい福祉を実現する改革を本格的にスタートしていきたいと考えております。そのための具体的な内容をぜひ福祉改革推進プランに織り込みたいと考えているわけであります。そういう意味では、先ほど申し上げたような内容が骨格になるというふうに考えております。
○和田委員 野獣の世界でもアフリカは別でありますが、どうもうといわれているライオンも、一定程度自分がおなかの中に獲物を入れますと、目の前をか弱な鹿が通っても襲わない。それだけの自律した、欲望を満たした以上は、それを自分自身抑制するという本能の中でアフリカの動物体系は守られているというふうに聞きますけれども、資本というのはそうじゃありませんで、おなかが破れても破れてもまだ利益を追求するという癖、さががありますから、そういう市場というものは、今、前川室長がお話しのとおり、どこかで公平、公正な規制をしておかないと、強い者勝ち、弱い者負け、そういう弱肉強食の--動物界では、でも最後は、今申し上げた、ある一定のところまでいけば抑制するというそういうムーブメントが働くところを、人間世界ではなかなかそれが自制できないという癖があるわけであります。
その意味では、今回のこの福祉改革推進プランが、介護保険も本格的になって、さらに福祉プラン全体の見直しの過程の中で、今私どもが心配していたようなことがどう解決された形でプラン化してくるのかなということを大いに期待をして、年内の発表を待ちたいというふうに申し上げておきたいと思います。
それでは、個々具体の介護保険にかかわる問題を中心にして質疑をさせていただきたいと思います。
資料要求を申し上げた介護保険審査会における審査請求の取り扱い状況、これは先ほど簡単なご説明をいただきました。
私も、十月のある民間新聞の情報を見て、苦情の件数等々の内容を見まして、どうなっているのかなと思って大変心配をしておりました。それは、簡単なものは、苦情、不満というよりも疑問、これはどうなっているのということを含めて、すべてが集合された数字が出てきているのかなとも思いますけれども、今私どもの席上にいただいた東京都の昨年十一年十月から十二年の十月までのこの期間でも、裁決されたものが四件、取り下げられたものを入れても二十二件だということになっています。
さきに出された民間新聞報道と、東京都から今私どもに出されている取り扱い状況の二十二件、中身は別ですが、これとの差異をどのように--民間新聞の方はトータルなものでありまして、東京都じゃありませんけれども、その差を状況的にどのように理解したらよろしいんでしょうか。
○吉川介護保険室長 審査請求についてのご質問でございます。大変申しわけございません。先生がご指摘いただいた新聞を私は承知しておりませんので……。
東京都の審査請求の状況は委員会資料のとおりでございますが、全国の状況につきましては、六月末現在で、ちょっと時点が古くて恐縮ですが、全国的には、四十七都道府県で三百二十一件の審査請求を受けたというふうに聞いております。そのうち東京都は、その段階で申し上げれば、二十八件の請求という状態でございました。
○和田委員 まだ制度そのものがスタートして、いろいろなとらえ方といろいろな見方があるものですから、決まった形での問題の把握というのはなかなかしにくいだろうと思っているんです。あるいは行政は行政、マスメディアはマスメディアというふうになっていまして、ゆえに相当差異のある、データの乖離があるように私は思っているんですが、今お話しいただいた、三百二十一件が全国で、東京都がその当時だと二十八件だという数字、これから見ると、すべてが一割という国と東京都の比率から見たときに、当たらずとも遠からずなのかなとは思うのです。
ただ、この審査会そのもののありようは、介護保険法の百八十四条から受けてくるものなんですけれども、保険者そのものが市区町村であって、審査会そのものが、この構成メンバーから見ましても、被保険者代表が三名、市区町村代表が三名、公益代表委員が三十三名ということになっておりまして、東京都はどういうふうなかかわりでこの中に入ってきているのかというのが少し不明確なものですので、それについてのご説明をお願いしたいと思います。
○吉川介護保険室長 区市町村と都のかかわりというお尋ねでございます。先生ご指摘のように、介護保険における保険者は区市町村でございます。でございますので、例えば審査請求とはちょっと別な話をさせていただきますが、介護保険制度につきましての苦情や相談につきましては、かなり保険者である区市町村に寄せられているというのは事実でございます。その中で、どうしても法的に納得できないということでございますと、先生からご紹介いただきました条文に基づきまして、介護保険法の手続に基づきまして審査請求ということで、私ども東京都の立場が審査庁ということで上がってまいります。
先ほど公益代表の委員の問題、それから区市町村代表のこともございました。これについて若干お話ししますと、基本的には、介護保険審査会は、公益代表だけで行う合議体と、それから区市町村代表の方も入っていただいて行う合議体というふうに分かれております。公益代表だけの三名で行う合議体は、要支援認定の処分等について扱う合議体でございます。区市町村の代表の方が入っていただいたいわゆる大きな合議体、これは全員で九名で、区市町村の方を入れまして九名で行いますが、こちらは要支援認定、要介護認定以外の、例えば保険料の賦課徴収について審査する合議体でございます。
○和田委員 そこに三者構成のものと公益代表の合議体のものとの、一合議体と十合議体ということが今説明されまして、そのことは理解しているんですが、まだ都民、区民は、この苦情をどのように、いうならば、裁判所でいえば地裁だとか高裁だとかというふうに、まず地先のところにいう、それで不納得ならばこの審査会に上げてくるというふうに、二重性を持っているというふうなところまで余り理解されていないのかなと--私どもの周りに聞いてみますとね。
ですから、そこまでいかないうちで不満、苦情を自分で解決しているというか、納得しちゃっている向きもあるもので、何もそういう方々の不満をあおるというわけじゃないんですが、もしも不満があればこういうルートもありますよというようなことの説明は、折があればぜひ広報などを通じてお願いしたいと思うのです。
制度がヨーロッパなどと違って根づいているものじゃないものですから、導入されて、まだまだ都民、区民の方は動転されている向きがありますから、その意味では、もしも疑問点があれば市区町村へ、それ以上あれば都の方へどうぞというような、そういう説明といいましょうか紹介もぜひお願いしたいと思うんです。
それから、介護保険についてもう一点お伺いしたいんですが、事業概要二六ページにあります介護保険制度における痴呆性高齢者等の実態調査であります。
この実態調査の中に、審査方法が第一と第二調査に分かれております。これについて、第一と第二についての差をぜひご説明いただきたいと思います。
○金内高齢政策部長 痴呆性高齢者等の実態調査、第一調査と第二調査に分かれておりまして、第一調査の方は、在宅と施設入所者に対しまして、たしかはがきといいますか、アンケート形式みたいな形で調査をします。第二調査の方は、そのうちの在宅の第一号被保険者に対しまして、実際に面接をして調査をするということでございます。
○和田委員 第一、第二で、第二が第一よりもより直接的になっていくという形で調査される予定でありますが、プライバシーの問題これあり、それから、先ほどからもいっておるとおり、なれない制度でありますから、受ける側の方もプライバシーの警戒もあり、それから調査される側の方もそういうことにふなれな方がやるわけでありますから、その辺の配慮を、第一、第二調査を通じてぜひお願いしたいというふうに思います。
それから、介護保険の最後の質問になりますが、さきに出ましたけれども、ひとり暮らしの高齢者等の入居身元保証人制度の検討であります。これは、今足立区などを中心にして調査されているというようなことの先ほど答弁があったと思うのでありますが、今考えられている隘路といいましょうか、何が問題と今時点でお考えになっているんでしょうか。
○若林保健福祉部長 ひとり暮らしの高齢者が地域で住宅を確保するときに問題になります点は、やはりひとりであるがゆえに、何かあったときに連絡をする方法、どういう形で連絡をし、介助なり援助なりをしたらいいのか、さらには、支払いが滞納になったときにどういう形で支払いがされるのか、あるいは万が一亡くなったときに、その後どういうふうにしていくのか、こういったひとり暮らしの高齢者に伴う幾つかの問題点をやはり検討していかないと、その部分を整理していかないと、なかなか地域で住宅を確保することが難しい、こういうことで検討しているところでございます。
○和田委員 独居であるとか高齢であるとか、収入が不案内であるとか、あるいはもしも亡くなられた際の引受人はどなたかというようなことは、だれでもひとりになってみればわかることなんですね。この問題は長い問題でありまして、介護保険時代になったから出てきた問題じゃありません。ただ、高齢者がふえてきたのでここで随分騒がれるようになっていますけれども、昔から独居の老人の方々は、民間住宅に住むのを大変不安に思った時期がありました。今でもそうです。
そこで、不動産業界とかそういう方々との話し合いはどうなっているんですか。
○若林保健福祉部長 私ども身元保証人制度検討委員会を現在開催して検討しているところでございますが、その中に、先生ご指摘の全日本不動産協会の東京都の代表であるとか、あと宅地建物取引業界の代表であるとか、こういった方々にもご参加いただいて検討を深めているところでございます。
○和田委員 私どものところに高齢者が訪ねてこられて、住むところがないんだけれどもという相談はだれもが受けるところなんです。どうしてかお話を聞くと、不動産屋さんの方が、個人、ひとりであるとか高齢だとかというようなことでしばしば不調に終わるケースがあります。このことは、確かに不動産を管理する側からすれば不安材料かもしれませんけれども、そこに何らかの公的な関与を行うことによって、これからふえてくる独居の高齢者の方に対する手当を、これは遅きに失した感があると思うのでありますけれども、ぜひ図っていかれるべきだろうと思うんです。
私ども個人的に複数の方の保証人を今やっておりますけれども、もちろんそれは避けているわけじゃありません、喜んでやっておりますけれども、そういう個人の我々の善意だけで解決できる社会事情じゃないだろうというふうに思いますものですから、これについてはいつごろ検討結果が出ることか、ぜひお伺いしたいと思います。
○若林保健福祉部長 ひとり暮らし高齢者の地域での住宅確保の状況を、現在足立区及び多摩市で調査中でございますが、そうした調査をいただいた上で、十二年度末に一定の方向が出せるように今検討を進めているところでございます。
○和田委員 今、私が申し上げたとおりの結果になるかどうかわかりませんけれども、あえてここで新規施策として取り上げる以上は、長い間の、積年の独居の高齢者の方々の住宅事情というものに扉を開くような、そういう結論をぜひ期待しておきたいと思います。
最後の質問になりますが、これも資料要求をしておきました、事業説明の中の二一ページの余裕教室の活用促進事業に関連をしてであります。
これは今年度新規施策として打ち出されておりますし、私どもも公立学校の余裕教室などを利用しないと、土地が、とりわけ区部では入手できない、あるいは新しく建物を建てるのも財政不如意というようなことから、公立高校の空き教室、余裕教室の利用こそが一番望ましいだろう、手短にできる福祉施策、とりわけデイサービスではないかというようなことを主張してきたところであります。
これについて、資料によりますと、補助基準が施設整備で三千万、設備整備で六百五十万というようになっておりますが、これにつきましては、国あるいは都あるいは区の持ち出しなどについての財政構成はいかがなっていますでしょうか。
○若林保健福祉部長 余裕教室活用促進事業、国庫補助事業についてのお尋ねでございますが、これにつきましては、施設を改築するための経費として三千万円、十分の十補助でございまして、さらに、内部の改装に伴う備品等の購入等で設備整備費として六百五十万、これにつきましても定額で十分の十でございます。
○和田委員 事業概要の十二年版では、規模として平成十二年度は新規九カ所になっているんですね。九カ所ですよね、これは。ところが、実績では十二年度としては今のところは十二カ所はもちろんいっていなくて、何カ所ぐらい実績があるんですか。
○若林保健福祉部長 本委員会に提出させていただきました資料に書いてございますとおり、実績で十二年度は四カ所予定しているところでございます。
○和田委員 そうすると、事業概要の方の九カ所というのと、今私がいただいた十二年度の、実績ともうなっていますけれども、この四カ所は、もうこれ以上ふえないということですか。
○若林保健福祉部長 答弁不十分で申しわけありませんでした。余裕教室活用に関する国庫補助事業につきましては、そういう名前の事業は資料要求におこたえした資料でございますが、これ以外に、国の方で、介護予防拠点整備事業、国庫補助事業でやはり十分の十の補助事業で出しておりまして、それにつきましては九カ所現在整備が進んできております。
それ以外では、東京都の単独補助事業として余裕教室活用整備費補助事業、これが二カ所、さらには一般の整備費補助事業、これも国庫補助をいただいているんですけれども、十カ所という形で、余裕教室活用を促進したいという思いから、いろいろな補助の形態が少しずつですけれども変わってきておりまして、そういう意味で、先ほど先生からご指摘のありました国庫補助事業の三千万の補助事業につきましては、十二年度四カ所であるということで答弁申し上げたところでございます。
○和田委員 少しわかりにくいので、余裕教室の活用促進事業で、国が十分の十のこともあれば、都単の事業もあるということでありますから、それはできるだけ早くわかりやすく、国とか都のばらばらじゃなく、一つにくくれるようなそういう説明ができるようにぜひお願いしておきたいと思います。それは要望です。
要するに、余裕教室の活用促進というのは、教室そのものは学校でありますから、当然給食設備もありますし、それから広い廊下もあったり庭もあったりして、デイホーム等に活用するには、今の環境でさえも適しているわけであります。なおかつ教室があいているということでありますから、私は、新しく土地を手に入れたり建物を建てることがない、ある意味では転用できるという意味で、この余裕教室の活用促進事業というのは、これからの地域の福祉、とりわけデイサービスなどの拠点にすぐになり得るすばらしい場所だと思っております。
したがいまして、今余裕教室のそれぞれの国の補助事業から都単の事業から含めいろいろありますが、これから将来に向かっての基本的な余裕教室活用促進事業に関する取り組み姿勢についてお伺いいたしたいと思います。
○若林保健福祉部長 公立学校の余裕教室等を改築整備して、デイサービスセンター等高齢者施設に転用することにつきましては、学校施設と高齢者施設との連携による子どもたちと高齢者との交流を推し進めることになりますし、また、子どもたちが高齢者との触れ合い、学ぶ機会をつくるということで、地域に開かれた交流の場になるというふうに期待しているところでございます。
また、ご指摘のように、地価の高い都内、それも高齢者施設の設置が困難な区部において余裕教室を活用することは、資源の有効活用の面からも極めて有効な整備促進方法であるというふうに考えております。都は、これまでも、区市町村の整備計画に係る説明会等の場におきまして当該事業を説明いたしまして、積極的な活用を呼びかけてきたところでございます。
今後とも、いろいろな機会をとらえまして、区市町村に事業の推進を働きかけてまいりたいというふうに考えております。
○野村委員長 この際、議事の都合によりおおむね十分間休憩いたします。
午後三時二十八分休憩
午後三時四十二分開議
○野村委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言をお願いします。
○藤田委員 介護保険を含めて何点か質問をさせていただきたいと思っています。
介護保険制度は、制度自体種々不備がありながらも、これまで、介護のために勤めていた方も勤めをやめる、あるいはなぜ専業主婦なのにお年寄りを見ないのかというような、いろいろなそういう状況がありながら、こういう女性たちを本来家族としての役割に戻せる制度であって、介護の社会化として、私は、分権の観点からも一定程度評価をいたしているところです。しかし、今お話ししたような制度上の種々不備といいますか、そういう点があるというふうに思っておりますので、具体的に課題についてお話をさせていただきたいと思っています。
その前に、これはあくまでも自治体の義務というふうに、主体者は市区町村でありますけれども、なかなかそこが、都の役割と市区町村の役割というのがごちゃまぜになっているようなところもありますけれども、もう一度介護保険における都道府県の役割ということについてまずお伺いいたしたいと思っています。
○吉川介護保険室長 介護保険制度におきます都の基本的な役割は、介護保険制度が健全かつ円滑に運営されるよう、必要な指導及び適切な支援を行うことでございまして、具体的には幾つかございますが、五点に整理して申し上げたいと思います。
第一点は、保険者並びにサービス提供事業者等への指導でございます。第二が、保険者への財政的支援でございまして、介護給付費負担金の交付であるとか財政安定化基金の設置、運営等でございます。第三が介護保険審査会の設置運営、第四に介護保険事業支援計画の策定、最後の五点目といたしましては、サービス基盤の整備と人材養成であるというふうに認識しております。
○藤田委員 まず、介護基盤の整備というのが東京都の役割ということだというふうに思っています。
そして、実はこれは一割の負担があり、さらに保険料が徴収をされるということで、今までの措置の段階からすれば、そこに幾ばくかの費用が余ってくるというふうに私は最初の時点では試算をしておりましたけれども、今回、財政の支援という点で、制度の開始の前後で都の負担はどういうふうに変化をしたのか、それから、介護基盤の整備ということで、都の役割として変わったものがあるかどうか、その二点についてお尋ねしておきます。
○吉川介護保険室長 二点のお尋ねでございます。
まず、第一点の財政支援でございますが、平成十一年度、いわゆる措置の時代の予算と、介護保険に入りました十二年度予算と比較いたしまして、十二年度につきましては、制度導入初年度だということで十一カ月分の額でございますけれども、都の負担は、十一年度が三百二十五億円、十二年度については四百九億円ということでございますので、八十四億円ふえたことになります。この増加要因といたしましては、何点かございますが、都道府県の負担額が介護給付費の一二・五%と法定されたことが特に大きいというふうに考えております。
そのほかに、財政安定化基金の拠出金が都の負担分として約二十億円あるところでございます。
第二点目の基盤整備に関する都の役割についてでございますが、役割については大きな変化がないというふうに認識しております。これまでと同様、介護保険事業支援計画に基づきまして計画的に整備していく責務を負っているというふうに認識しております。
○藤田委員 実は、都の負担金はふえているということであります。実際には、今まで私ども杉並区の中でも、措置の制度の時代には、約二千人ぐらいの方々が措置をされていた。そしてその後、今回の介護保険の制度になりましたときには、実際には一万人以上が申請をしたというような状況を聞いておりますけれども、その利用実態について、今年度の要介護認定が、何人申請して結果がどんなふうになっているか、そして認定されたにもかかわらず、何人が介護保険を利用していないのか、今お話ししたような状況ですので、私どもの杉並区の例としてその数がおわかりでしたら、教えていただきたいと思っています。
○吉川介護保険室長 私どもが把握している数字では、杉並区において、五月末現在、ちょっと古いデータで恐縮ですが、一万九百十三人が要介護認定の申請をされました。一万九百十三人のところ、九千八百二十八名の方が認定審査会の判定をお受けになりまして、結果として非該当、いわゆる自立の方は四百二十九名でございました。要支援、要介護と認定された九千三百九十九名のうち、ケアプランを作成された方は五千五百八十三人でございまして、ケアプランの届け出をされなかった方は、結果的に三千八百十六人の状態でございます。
この三千八百十六人の中には、主に二つ理由があると存じますが、特別養護老人ホームなどの施設サービスを既にお受けになっている方、また、住宅改修や福祉用具などの購入希望者で、ケアプランの届け出が必要でない利用者の方もかなり含まれていると思いますが、それ以外に、実際に要介護認定は受けたけれども、介護サービスを利用していない方もいらっしゃるというふうには認識しております。
○藤田委員 先ほどお話しいたしましたように、杉並区の場合には、今まで約二千人の方が措置をされていた。そして今のお話で、ケアプランを作成したのが五千五百八十三人ということでございましたから、そして、実際にケアを受けている方が多分倍ぐらいというように聞いておりますので、いわゆる都の負担というのが、介護給付の一二・五%ということで、非常にふえてきているというような状況になっているかと思います。
私たちは、私も参加をいたしているのですけれども、介護保険制度の検証のための基礎調査ということで、市民団体が調査を行っております。この調査は、都内の四十三の自治体で七百五十七人を対象に、それから私どもの杉並区では五十人に対して実施をしているところでございまして、そして半年に一度この調査をいたしております。そして、これを五年間同じ方に、いわゆる定点調査で、介護の度合いがどのように変化をしたのか、いわゆる措置の時代から介護保険に変わってどうなったのか、それから金額的にどんなふうな状況に変わってきているのか、そして、そのケアによって高齢者自身の生活の状況がどういうふうに変わっていくのか、また、介護者の状況がどういうふうに変わっていくのか、このことを調査いたすために、今その調査をしているところでございます。
第一回目は認定申請を行ったときにやりまして、そしてケアプランが作成されたころに二回目を行っています。今見直しの時期に来ております。三回目を、現在皆さん方に調査書を配布しているというような状況になっているわけです。
この第一回、第二回の調査がほぼまとまって、冊子化しておりますけれども、調査での介護者の年齢分布を見ますと、最も多いのが五十歳から六十四歳で三五%、六十五歳から七十四歳が一五%、七十五歳以上が約一〇%というぐあいになっているわけです。また、男性が介護をしているケースは、夫婦のみ世帯の配偶者五十七人を入れますと、百人前後に及んでいるということで、これらの数字から、老老介護といわれる、女性のみならず男性による介護も相当数に達しているということがわかるような状況になっています。
こういうことを考えますと、まだまだ家族介護の限界と困難さということ、非常に疲労こんぱいなどを訴える方も多いわけで、困難さが浮き彫りになっていますし、なかなか介護の社会化といわれながらも、そこまで達していないというような状況になっているなというふうに、その中の調査で結果としてわかるわけです。
それでは、ケアプランの届け出をしていない人が三千八百十六人というふうにいわれましたけれども、この認定を受けながら介護保険を全く利用していない人がいるわけですけれども、その原因をどのようにとらえていらっしゃいますでしょうか。
○吉川介護保険室長 杉並区の場合での、サービスを利用されていない方に関するその原因調査というのは、私ども残念ながら行っておりませんし、杉並区さんからもデータはいただいていませんが、都内の別な自治体での調査でご報告をさせていただきたいと思います。
要介護認定を受けても介護サービスを利用していない理由として、回答者数が百四十の調査ですが、複数回答で、最も多かったのが、介護保険を適用していない病院に入院している方、これが三九・〇%、それから家族が介護しているからという理由が三八・一%、現在は自分で何とかできるというふうに回答されている方が三三・九%などでございました。
○藤田委員 後は、要介護認定を受けている中でも、サービスを限度額まで利用されていないというようなお声が私どもの調査でもあるわけですが、いわゆる利用できるサービスが足りないとか自己負担が大変厳しい、家族介護で間に合っているというような方々が、調査で約六〇%前後という結果が出ているわけですけれども、そうしますと、介護認定を受けたにもかかわらず、サービスを限度額まで受けていないというようなその状況については、どういうふうに把握をしていらっしゃるでしょうか。
○吉川介護保険室長 十月に開催されました医療保険福祉審議会に厚生省が提出した資料の中で、全国の百六の保険者におきます八千三百二十三名の平成十二年七月サービス分の調査によりますと、支給限度額に対する利用割合は四三・二%となっておりました。その意味で、ご指摘のように支給限度額まで利用していない状況にございます。ただし、厚生省は、その理由として、もともと支給限度額が現在のサービス水準をかなり上回る水準で設定されているためだというふうに説明をしております。
私どもといたしましては、今後制度の定着が進むとともにサービスの基盤整備が進めば、さらに利用が高くなるというふうに考えております。
○藤田委員 今おっしゃったものもあると思いますけれども、やはり杉並区の調査でも、それから私どもの市民団体がやった調査でも、サービスが足りないというのは、基盤整備が進めばというお答えがありましたけれども、やはり自己負担が大変と、家族介護で間に合っているというような状況もあるということを一つ認識していただきたいというふうに思うわけです。
私どもの市民調査の中でも、実は私が調査を担当している方が、百歳の方がいらっしゃいますが、介護をされている方は七十代でございます。そして実際には実の親でいらっしゃいますので、これまでは何も手を、訪問看護だけを入れていて、サービスは措置の時代にはほとんど利用していなかったという方ですけれども、実際に今度介護保険が始まるということで、要介護認定五ということでサービスをお使いになりました。そして毎日サービスを取り入れられました結果、介護者本人が伸びてしまいました。
というのは、全く新しいサービスの中で、その中にいろいろな方々が入れかわり立ちかわりお入りになるというようなことで、完全にパニックになってしまわれたような状況になりまして、週三日ということで現在やっと落ちつきを取り戻されて、本来家族の方々が家族らしい、そのお年寄りに対しての接し方ができるようになったというような状況があります。
その中で、一つショートステイについてお尋ねしたいと思います。
実際に介護サービスを使う立場の家族にお伺いいたしますと、現在の仕組みでショートステイは非常に使いにくい。これには、いわゆるショートステイは緊急のときということと、それから、ある程度ご自分が計画性を持って、このくらいの時期にこんなことをということで、計画性を持って利用したいというところもあるわけです。それから、もう一つ利用しにくいの中に、実際にはリハビリを少し、自宅ではなかなかできないので、それを取り入れたいということでショートステイを利用しているんだけれども、そこがなかなか思うようにいかないというような状況があるわけです。
また、一方では、業者側といいますか、ショートステイを実践している方々にとってみても、ベッド数を例えば二十持っていても、稼働率が半分ぐらいというような状況が起きているということも今あります。
こういうことで、ショートステイは非常に望まれるサービスなわけですけれども、今回、このショートステイについての使いにくさというようなことで、制度の見直しというものが行われるのかどうか、ぜひ伺いたいと思います。
○吉川介護保険室長 先生の方から老老介護の実態ということでお話もございまして、そういう意味からも、在宅三本柱のショートステイというのは、私も極めて重要だというふうに思っております。
そのショートステイについては、幾つかの使いにくさというのが指摘されているわけですが、現在、ショートステイは、ホームヘルプサービスなどのような訪問、通所サービスとは異なりまして、限度額の管理期間が、一月単位ではなくて、基本的に六カ月単位というふうになっております。そして、その利用日数は、要介護度に応じまして七日から四十二日というふうになっております。これはいわゆる本則でございますが、それに加えまして、現在、特別な取り扱いといたしまして、本来のショートステイの利用枠を使い切った後に、訪問、通所サービスの支給限度内での未利用分があれば、ショートステイに振りかえるようできるような措置も講じられているところでございます。
しかしながら、これらの措置等を講じても、依然としてショートステイについては、サービス利用の選択性、利便性が乏しくて、利用手続も複雑であるなどの意見が利用者から寄せられていたところでございます。
このため、国におきましては、今回十月の審議会に、訪問、通所サービスと短期入所サービスを統合し、限度額の管理期間を月単位とする一本化案につきまして諮問いたしまして、原案のとおり了承されたところでございます。この改正は、十四年一月、再来年の一月から施行予定でございますが、短期入所サービスの連続した利用を三十日までとする実質的な前倒し措置を、来年の十三年一月から実施を予定しているというふうに聞いております。
○藤田委員 改正の前倒しということで、改正十四年一月といわれましたので、またさらに丸一年待つのかと思いましたけれども、この点については、本当に三本柱のホームヘルプサービスとデイセンター、ショートステイという、これがなければなかなか在宅介護は難しいわけですので、ぜひしっかりとした実施をしていただきたいと思っています。
それから、もう一つ非常に難しい状況にありますのが、ホームヘルプサービス、訪問介護サービスにおいて、身体介護型と家事援助型と複合型という、この三類型についてでございます。
どこまでがいわゆるボディータッチなのか、家事なのか、そして、それと合わさったところなのかということで、非常に難しい状況にあります。そして、片方では、自立援助サービスとしてホームヘルプ事業に入っても、昔の家政婦紹介所の方々がおやりになっていたいわゆるお手伝いさんを使うがごとくに利用者も使ってしまうというような、そんな状況についてはあらゆるところで報道もなされておりますけれども、実際には、幾ら契約といっても、その場でお願いされると、サービス側もお断りができないというような状況があります。
また、そういう業務の重さに比べて報酬が低過ぎるというような声も、反対に事業者からも聞かれているわけです。いわゆる家庭から出しましたというか、昔から家庭の中でやっていたことを社会化して家庭から出した事業というのは、看護婦さんや保育園の先生や、また今回のようないわゆる福祉の訪問介護のサービスの担い手というようなのは、業務の重さに比べて非常に報酬が低いというのが私の実感でありますけれども、都内の事業者の実態、それから都の対応についてお尋ねいたしたいと思います。
○吉川介護保険室長 ホームヘルプについてでございますが、実態というか、区市町村、それから国保連、東京都の方へ寄せられた七月までの相談、苦情事例の中でご紹介したいと思いますが、ヘルパーさんが訪問した世帯におきまして、家族の方から来客への接待を強く要請されまして、断り切れないで対応に苦慮したという悩みの声も、その中に、ごく少数ではございましたが、含まれております。そういった意味で、残念ながら、都内においても、訪問介護サービスの不適正な利用事例はあるものというふうに考えております。
それから、先生がもう一点お触れになりました、ヘルパーさんの介護報酬の引き上げについての意見も寄せられているところでございます。
今後、保険者やケアマネジャーから、利用者の方々に対しまして訪問介護サービスの適正利用のあり方を十分に周知するよう都として指導するとともに、判断の難しい家事援助の範囲等を明らかにしたパンフレットの作成などにも取り組んでいきたいというふうに考えております。
なお、介護報酬につきましては、ヘルパー事業者の経営実態の把握にも努めまして、その結果、必要があれば、国に対して提案要求も検討してまいりたいというふうに考えております。
○藤田委員 実際に、これは病院の中でございますけれども、介護福祉士で、一カ月に約三回から四回の夜勤をこなしているという方で、報酬が月十七万というような状況にあるというようなことを伺っています。その方は保育の方の免許もお持ちだったんですが、たまたま一度家庭に入られたので、もう一度というときに、介護の方をやってみたいということで、それをお続けになっていらっしゃるわけですけれども、以前の仲間たちに聞くと、介護の方が約三分の一の給料であるというような状況があるということで、これについては大変問題も大きいと思います。
ぜひ国に対しての提案要求、三年後の見直しというところにかけて、引き上げ--もちろん、これは裏腹になることは十分わかっています。介護保険料にはね返るということはわかっておりますけれども、ここのところについても、制度要求で、実態把握に努めていただきたいと思っています。
それから、先ほど最初にお話しいたしました都の役割としての基盤整備ということで、多様なサービス提供事業者の参入を促進するということが大変大きなテーマになってこようかと思います。都内のサービス提供事業者の指定の状況と、そして、地域の中では、いわゆる社会福祉法人や企業だけではなくて、地域の中でこれまでも市民のニーズに合ったサービスを提供していたNPOの方々が法人格を取ったりしておりますけれども、NPO法人がどのようにサービス提供事業者となっているのか、指定状況についてご説明をいただきたいと思います。
○吉川介護保険室長 居宅介護支援事業者について申し上げますと、十一月一日現在で千七百四十三件指定しておりまして、NPO法人はそのうち三十四件でございますので、二・〇%になります。
それから、居宅サービス事業者につきましては、指定総数が二千五百二十七件でございまして、そのうちNPO法人は八十五件でございますので、三・四%になります。この居宅サービス事業者のうち、特にヘルパーさんの訪問介護事業者だけで見ますと、総数千百二十四件に対しまして、NPO法人は六十六件でございますので、五・九%という状態でございます。
○藤田委員 それでは、全国的にはどんなふうになっていて、そしてまた東京都の状況として、これまでも東京都は、いわゆるNPOを初めとする市民の活動が盛んなわけですけれども、どんな状況になっているのかを教えていただきたいと思います。
○吉川介護保険室長 全国の指定状況は、大変申しわけございませんが、十一月のデータはございませんので、七月一日であわせてご報告しますが、NPO法人が指定件数に占める割合は、居宅介護支援事業者で〇・九%、訪問介護事業者では二・四%でございます。この七月一日の同時点で都の状況を見ますと、居宅介護支援事業者が一・八%、それから訪問介護事業者が五・八%でございまして、都においては、全国に比べてNPO法人の参入が進んでいるといえると存じます。
また、全国に比べた場合、都における特徴でございますが、営利法人の参入割合も高いことも特徴となっております。このように多様な事業主体が参入することで、それぞれの事業主体が長所を発揮し合い、総体として介護サービスの質を一層高めていくことは極めて重要なことと認識しております。
○藤田委員 いずれにしても、NPOを初めとする多様な事業主体が介護保険事業に参入することは意義あることなわけでありますけれども、実はNPOの法人格を取るのがまず非常に大変です。書類が非常に煩雑ですし、それから、しばらくたたないとおりませんし--予定をしているということで許可も得ることができるようではありますけれども、非常に厳しい状況でありますし、それから、例えば電話の設置やら、事務所をどうするかというような立ち上げのところでも非常に厳しい状況にあるわけです。
そういうことからしますと、多様な事業主体ということでこのNPOも十分に視野に入れていらっしゃると思いますので、この支援策について基本的な考え方を伺いたいと思います。
○金内高齢政策部長 都民がよりよいサービスを受けるために、多様な事業者が事業に参入し、競争することは重要であるというふうに認識しております。とりわけNPOは、地域に密着したきめの細かいサービスを提供する事業の担い手といたしまして期待されているところでございます。
都では、区市町村と連携し、地域の実情に応じた福祉サービスの提供を行うNPO等に対しまして支援を行ってきたところでございますけれども、今後とも、NPO等が新たな事業に参入する場合等の活動場所の確保、今先生、事務所、電話の設置等というふうにおっしゃいましたけれども、それらを含めまして、活動場所の確保などに対しまして、区市町村を通じて支援をしていきたいというふうに考えております。
○藤田委員 実は先ほどの余裕教室の活用促進事業の中に、実績の四カ所のうち、二カ所杉並区の名前が挙がっておりましたが、実はこれも、私たちの区議会の方でも盛んにこのことを提起してきました。そして、この前に、十一年度で、八成小学校、桃三小学校、大宮中学というふうに、既にもう三カ所で余裕教室の活用促進事業が行われています。そして、この事業主体はすべてNPOです。こういうふうに、私たちが積極的にNPOの活用をということで、ここら辺が活動の場所にもなろうかと思いますし、今回のこの松渓中学というところは、サラリーマンOBの方々がここを担うことになっています。
そういうことからすれば、本当に地域の中で、自分たちの身の丈に合った、そして地域での共助ということを踏まえたNPOの活動というのは大変大きな力になっているのだというふうに思っています。ですから、立ち上げの資金も大事ですけれども、どこでこういう活動をしていくか、させていくかというような、そこの場を提供していくかということも大変有益な事業になるのではないかというふうに思っているところです。
そして、今回出張所の統廃合がやはりありまして、その三カ所が、場所が、電算だけを置いて後は建物はあくということになりますので、その中の二つは株式会社にデイセンターを委託する、もう一カ所もまたNPOに委託するというような状況になっていますので、いろいろな場所での活動が広がるというふうに思っています。
そして、もう一つ、そういうことからすると、事業者が多様化してくると、都民への情報提供ということが大変問題になってくるかと思います。そして、ケアマネジャーもきちっとそれを把握し、今利用者に対して一番よいところはどこかという情報をきちっととらなくてはいけないわけですけれども、現在、この情報提供について、取り組みはどんなふうになっているでしょうか。
○吉川介護保険室長 事業者に関する情報提供についてでございますが、東京都は、平成十一年十月以来、インターネット東京都介護サービス情報システムによりまして、指定事業者に関する情報を、都民や区市町村、それから居宅介護支援事業者等へ広く提供しております。そのアクセス件数は、この半年間で八万八千五百二十四件という件数になっております。また、インターネットだけではなくて、インターネットを補完する意味で、事業所一覧という印刷物を本年八月に発行いたしまして、区市町村や福祉事務所等に配布したところでございます。一方、区市町村でもみずからホームページを開設するところも出始めておりまして、このような動きをまた支援してまいりたいというふうに思っております。
今後とも、利用者がいつでもどこでも、簡便かつ迅速に介護サービスに関する情報を入手できるシステムの構築を目指して、区市町村とともに努力していきたいというふうに考えております。
○藤田委員 事業者側が、サービス提供に関して自分がPRできるというような仕組みはありますか。
○吉川介護保険室長 先ほど申し上げました東京都介護サービス情報システムには、東京都が情報入力する項目と事業者みずからが情報入力する項目とがございます。事業者さんの方で入力する項目は、施設の例えば最寄り駅であるとか、それから損害保険の加入の有無であるとか、それから、施設系の事業者に特に限っていえば、居室数であるとか入浴回数等の情報を入力することができることになっております。
ただし、大変残念なんですが、現在はまだ情報入力をしていただいている事業者さんが約二割程度と少ないということもございますので、今後とも、事業者には入力するよう呼びかけていきたいというふうに考えております。
○藤田委員 実はこれは練馬区の例なんですが、いわゆるNPOが自分たちの地域の中の事業者をすべて調べまして、それを一冊のバインダーのようにしてどんどん足していくことができるような、そんな情報をつくっています。今回こういうことはすべて行政がやっているわけですけれども、ぜひそんな情報もとりまして、そして、ともにできるところがあれば、そしてまた、これはもうNPOに働きかけなければいけませんけれども、みずからが情報を提供していくというところで、こんなことも利用ができる大きなサービスの点になろうかというふうに思います。
そしてもう一つ、施設サービスや在宅サービスなんかは、全部自己評価をするようにということで、これまでも東京都は各事業者に指導してきたわけですけれども、私たちは、ここで、やはり自己評価だけではなかなか難しいところがあると思います。第三者による評価ということをこれまでもいってまいりましたけれども、この評価システムについて、現在どのようになっているのかをお伺いしたいと思います。
○若林保健福祉部長 利用者がみずからサービスを選択するという介護保険制度のもとでは、サービスの評価は、先生ご指摘のとおり、大変重要であるというふうに考えております。
都におきましては、高齢者施策推進室に十一年七月にサービス評価制度検討委員会を設置しまして、介護サービスの質の向上、経営の改善への支援、情報の透明性の促進を図るといったことを目的として検討を進め、十二年三月に中間のまとめを行ったところでございます。平成十二年度におきましては、さらに、介護保険制度導入の初年度ということでもありますので、在宅及び施設サービスにおいて、制度動向とか利用者動向を把握するために、アンケートによる利用者の満足度調査を今行っているところであります。今後とも実態の把握に努めていく予定でございます。
国においては、本年十一月初めに、介護保険制度における評価のための、介護保険サービス選択のための評価のあり方に関する検討会というのを別に設置して、第一回検討会が開催されております。こういった動きも十分把握した上で、都としてもさらに検討を進めていきたいというふうに考えております。
○藤田委員 この福祉のサービスというのは、ある意味ではちょっと閉鎖的な部分もございますので、ぜひ第三者のサービス評価というものを充実していただきたいというふうに思っています。
それから、非常に大きな問題で、いわゆるケアマネジャーのことでございますけれども、この介護保険においては、ケアマネジメントを機能させる上で極めて重要な役割でありますこのケアマネジャーの支援を強化すべきだと思っているわけですけれども、現状の課題を教えていただきたいと思います。
○吉川介護保険室長 ケアマネジャーについてでございますが、国がことしの七月に設置いたしました介護支援専門員、いわゆるケアマネジャーに対する支援会議におけます、その場で出されたケアマネジャーに係る課題としていろいろ聞かせていただきましたが、それらを整理いたしますと、大きく二つになるのかというふうに思っております。
第一点は、給付管理事務など、ケアプランの作成などのほかに膨大な業務量があって、かつ業務範囲も多岐にわたっており、その範囲内の知識が大変追いつかないというふうな課題でございます。もう一点は、利用者であるとかケアマネジャー自体が、介護サービス事業者に関する情報を、先ほど先生もご指摘になったところですが、的確に把握できていないというような課題があるかというふうに存じます。
○藤田委員 実際にこの四月、五月の業務量は大変なものでございまして、もうみんなへとへとになっていました。そしてさらに、どのケアマネジャーに当たったかによって、その利用者の満足度が非常に違う。なおかつ、居宅支援事業者のホームヘルプ事業をやっているNPOの団体からすれば、ケアマネジャーによって介護がどういうふうに入っていくかというのは、これは明らかにおかしいよというような状況がたくさん見えてきているという状況があったわけです。
もちろん、これはご本人、ケアマネジャーの質の向上をさせることも大事ですけれども、ケアマネジャーがどんな悩みを持っているのかというようなことも実は聞いてあげなければいけない。そして、利用者はヘルパーさんにもいろいろ文句をいえますし、ケアマネジャーさんにもいえるわけですけれども、こんなところが非常に難しい状況になっているかと思いますので、ケアマネジャーの資質の向上の観点からと、それから、八日に発表されました予算要求の中で、ケアマネジメント体制の整備という項目がありましたけれども、ケアマネジャーの応援体制というものをどんなふうに考えていらっしゃるかをお聞かせください。
○吉川介護保険室長 二点のお尋ねでございます。
まず第一点のケアマネジャーの資質向上でございますが、ケアマネジャーの資質向上を図るため、今年度新たに現任研修というものを始める予定でございます。この中では、最も大事なケアプランの事例研究などを十分やれるように工夫してまいりたいというふうに考えております。
もう一点の、今年度予算のケアサポート体制の構築という新規事業についての内容でございますが、ここでは大きく二つございまして、まず、総合的支援策としては、国と同様の趣旨で支援会議をつくったり、それから支援専門員同士が連絡協議できるような場をつくっていきたいというふうに思っております。一方、緊急的支援策としては、ケアプランをつくっていくケアマネジャーの方々の相談室の設置などに取り組んでまいりたいというふうに思っております。
○藤田委員 介護保険の中でサービスメニューに入っておりますものに、痴呆性高齢者のグループホームというものがあります。痴呆性高齢者対策については、家族の負担が非常に大きくて、なかなか難しい状況にありますし、それから、このグループホームがなかなか設置されていないというような状況にあるわけです。
現在の痴呆性高齢者グループホームの設置の状況、整備目標というものについてお尋ねしたいと思います。
○若林保健福祉部長 痴呆性高齢者グループホームの十一月一日現在の設置数でございますが、十一カ所、定員百二名でございます。また、東京都高齢者保健福祉計画によりまして、平成十六年度の目標としましては、千五百四十人を計画しているところでございます。
都は、今後とも、痴呆性高齢者対策のかなめとなりますグループホームを、区市町村とも連携し、積極的な整備に努めていきたいというふうに考えています。
○藤田委員 資料の一四ページの中に設置状況が書いてありますけれども、私も練馬区のきみさんちに行きまして、お話を伺いながら、大変有効な施設だというふうに思ったところでございますけれども、一方で、実は私ども杉並区の中では、寄附をしてくださった方がいらしたにもかかわらず、なかなか運営がうまくいかなくなってグループホームをやめてしまわれた、廃業してしまわれたというような状況もあります。ある意味では非常に難しい事業でもあるかというふうに思っていますけれども、有効な施設だというふうに思います。
東京都は、整備費補助制度を実施して、国庫補助制度の対象要件から外れるグループホーム、例えば特別養護老人ホーム等の施設に併設していない単独型のグループホームや、NPO法人の設置の支援をしているわけですが、この補助制度、財政基盤が必ずしも強固でないNPO法人にとっては、大変な支援策として喜ばれているわけですけれども、十三年度以降の整備の見通しと補助制度の見通しはどのようになっていますでしょうか。
○若林保健福祉部長 現在、痴呆性高齢者グループホームに対する補助制度としまして、国庫補助制度と東京都の単独補助制度というのがございまして、そのうち、NPO法人に対する補助は、東京都の設置促進事業として補助をしているわけでございます。国の単独設置も今度認められるようになりますけれども、東京都におきましては、設置促進、東京都の単独補助としてNPO法人を継続して補助をしていくということで予定しておりますので、そういう意味では、箇所数の増に貢献できるのかなというふうに思っております。
十三年度の見通しでございますけれども、これまでいろいろ相談を受けておりますけれども、いろいろと事情がございまして、頭打ちの状態でございます。その理由として、東京都が補助をするということとあわせて、区市町村が二分の一の補助をするという仕組みになっておりますので、区市町村との調整が必要になってくるということも含めて、まだきちんとした数が出てきていないということでございます。
○藤田委員 サービスのメニューの中にあるわけでございますから、ぜひともここのところは区市町村に働きかけをさらにしていただきまして、せっかくつくったものが壊れないような状況をまずつくっていただきたいと思いますし、さらに、現在、ここのところでは、例えばこのきみさんちも、普通の家の借り上げでそのままお使いになったものですから、個室にしなければいけないというような状況の中で、整備をしなくてはいけない。そのお金を法人がどれだけ用意できるかということでは、とっても大変な思いをしていらっしゃいましたので、そういう意味でなかなか立ち上げが難しい状況になっていますので、さらに支援をしていただきまして、この痴呆性高齢者グループホームの設置促進に努めていただきたいと思っています。
それから、これは神戸の例でございますけれども、震災の後、仮設住宅がそのままデイセンターに変わったようなところがあります。そこでは、実は痴呆性の高齢者も、それから身体的に少し状況が悪くなった高齢者も含めて、いわゆるソーシャルミックスでデイセンターを進めています。この状況が、残存能力といいますか、できることをお互いにカバーし合うというようなことでは非常によい状況が生まれているというふうに聞いているわけです。
実際には、この痴呆性のグループホームというのは、本人にとってどうかということよりも、介護保険の仕組みの中で仕方がないのかもしれませんけれども、施設に対してどういうことになるのかということに着目をしているわけで、実際には痴呆性の高齢者がどこへ行ってもサービスを受けられるというような状況に今後なっていくといいのではないかと私は思っているわけですけれども、その辺について、これからの課題であるというふうには思いますけれども、何かいい方法が見つけられないか、ご感想も含めてお伺いいたしたいと思います。
○若林保健福祉部長 共同居住型の住宅につきまして、現在、神戸の災害復興住宅などの例のお話がございましたけれども、入居者が共同居住になじめるかどうか、個人の資質による判断を求められることから、体験入居なども必要というふうに考えております。
今後とも、都としても検討を進めていきますけれども、区市町村がそうした場を提供できるといいますか、供給できるという場合には、これを支援していきたいというふうに考えております。
○藤田委員 言葉じりをつかまえて大変恐縮ですけれども、支援という形になると、体験的にやった場合、あるいはそういう共同住宅というような中で、その高齢者個人に対しての支援ということができるわけでしょうか。
○若林保健福祉部長 私が先ほど答弁申し上げましたのは、基本的には施設に対する支援ということでございますけれども、高齢者いきいき事業の中のグループリビングという項目の中で、在宅介護支援センターがそのご本人に対する支援をしていくという形であれば、いきいき事業の中で支援していけるのかなと、そんなふうに考えております。
○藤田委員 そういう意味では、高齢者が実際に身体機能が落ちていったときに、やはり住むということが非常に大きな観点になろうかと思います。私もこれまで何回となく高齢者に対しての住宅ということについて提言をしてまいりましたけれども、ケアハウスについて、非常に有効な仕組みだというふうに思っています。例えば、いわゆるまだ元気な方も、多少身体的機能が弱まった方も、あるいは大分ぐあいが悪くなった方も、もしかしたらこのケアハウスの中でいろいろな形でお互いにケアをし合ったりというようなこともできるのではないかと思っているんですが、このケアハウスの設置促進が求められています。
地域の中で、やはり男性が一人残ってしまいますと、食事ということが非常に難しくなってきまして、私たちの年代の者は結構そうでもないかもしれませんが、生活的にも自立をしておりますけれども、今いわゆるケアを必要としている方々にとってみれば、食事の支度というのが大変厳しい状況になっていて、このケアハウスではそういうことのサービスを受けられるわけですので、このケアハウスの設置促進ということで、現在の実績と今後の目標についてお尋ねいたします。
○若林保健福祉部長 ケアハウスの現在の定員は六百八人でございます。東京都高齢者保健福祉計画では、平成十六年度を目標としまして、二千百人を目標として計画をしているところでございます。
○藤田委員 まだ大分先が遠いようですので、これは大変有効なものだと思いますし、それから、杉並区などでは、少し質の高いケアハウスをというような要望もございますので、ぜひともこの点について促進を進めていただきたいと思います。
それから、住まうということでシルバーピアについてお伺いしたいのですが、シルバーピアは、今までは、いわゆるひとり暮らしなどで高齢者が安心して日常生活を送れるように介護型になっているわけですけれども、ひとまず自立した方にそこに住んでいただくというような状況になっていました。しかし、現在、そこの中でどんどんどんどん要介護になってきている方々がふえてきています。そして、そこではワーデンへの依存率が高まっています。
そういうようなことで、今後、このシルバーピアに対して基本的にどんなふうに考えていらっしゃるのかということをお尋ねしたいと思います。
○若林保健福祉部長 シルバーピアについてのお尋ねでございますが、シルバーピアは、先生ご指摘のとおり、ある程度自立して生活できる方が住まわれる場所ということで、その方をサポートする形でワーデン、管理人という方がいらっしゃいまして、緊急通報のシステム等を使って何かあったときの支援をとるという形でございますが、高齢化が進んで介護を要する状態になったときに、問題点としましては、そうした人たちの相談に乗る、あるいは何らかの支援をするという形では必ずしも十分ではないということがいわれておりまして、今後は、シルバーピアから--シルバーピアをもっともっといろいろ整備をしていかなきゃいけないんですけれども、あわせて、生活援助員を配置するライフサポートアドバイザー、LSAというふうに申しておりますけれども、そういった仕組みの方に変えていかなければいけないのかな、そんな認識を持っております。
○藤田委員 そうしますと、今のLSAですか、ライフサポートアドバイザーが--もちろん、今までの見守りというだけのワーデンさんよりも、さらに福祉のことを十分知っていらっしゃる方が必要だというふうに思いますので、そういうふうに変わっていくことはいいわけですけれども、シルバーピアは、外部の自立した方々をというふうにいっていたのを、そこからどこかへ移っていただくということではなくて、シルバーピアにいらして、外からの支援サービスをここに投入していくというふうに考えてもよろしいわけでしょうか。
○若林保健福祉部長 シルバーピア入居対象者につきましては、先ほど申し上げましたように、おおむね六十五歳以上で自立して生活できる、日常生活を営める方でございますけれども、体がぐあいが悪くなったりして常時介護を要する状態になったときには、他からの、シルバーピアにおいてそういう必要な介護サービスを受けるということも可能でございます。
○藤田委員 いろいろ制度上の不備やら、それから、ケアマネジャーが非常に大きな役割を果たすこと、それから、住宅、住まうということが非常に大きな位置を占めるというようなことをお話し申し上げてまいりましたけれども、今実際に介護を受けている方々は、ある意味では、これまでの措置の制度、あるいは家族介護というような状況の中での介護を受ける形で進んできた方々です。私は、この介護保険については、二〇一五年の高齢者が四人に一人となるいわゆる団塊の世代の方々がこういうサービスを受け、そして実質、物理的にも子どもが少なくなってくる中で、介護の社会化ということが必要になったときに向けての大きな制度の変換だというふうに思っているわけです。
もちろん、今現在非常に痛みが伴いますし、そして、制度の変わり目でありますので、情報がなかなか行き渡らないというようなこともあることは十分承知をしておりますけれども、これからの社会のありようを考えたときには、ただひとえに競争社会ということではなくて、その中に、自助、公助、共助、そしてお互いにという互助というようなことを考えたときには、やはり協力の社会をつくっていくというような、一つの大きな社会変革の時期ではあるというふうに思っているわけです。
そのためにも、制度の不備はいろいろ直していかなくちゃいけないことは重々でございますけれども、ぜひ豊かな市民社会をつくっていくためにといいますか、そういうことで、それぞれの自治体の主体者が十分な力を発揮できるような、そんな制度づくりに東京都も支援をしていただきたいわけですけれども、最後に局長の決意を伺って、終わります。
○前川高齢者施策推進室長 主として介護保険制度に絡むお話でございますが、介護保険制度が始まって約七カ月、この間、多くの関係者の理解と懸命のご努力をいただいて、大きな混乱もなく、順調に運営されていると認識をしております。
ただ、いろいろご質問がありましたとおり、例えば介護支援専門員の問題であるとか、あるいはいわゆる住まいとケアとの組み合わせをどうするかとか、そういうインフラの整備の問題であるとか、いろんな課題があるのも事実でございます。
ただ、今委員からもご指摘がありましたが、この介護保険制度は、いわば国民といいますか、都民といいますか、市民がお互いに負担をし合いながら、介護保険サービスといいますか、高齢者福祉サービスの水準を上げていって、しかも量をふやしていこう、そういうことがねらいであろうと思っております。ですから、この制度の根幹を踏み外すことなく、都としても、積極的な改善策あるいは問題点の洗い出しとかを検討して、国に対しても提言をしていくし、都としてできることがあったら率先して取り組んでいきたい、こう考えております。
○古賀委員 既に行われた質疑、答弁と重なる部分もありますけれども、立場を異にいたしますので、改めてお聞きする部分もあることをお許し願いたいと思います。
平成九年の介護保険法の成立によりまして、本年平成十二年四月一日から新しい社会保険制度、介護保険制度が始まり、七カ月が経過をいたしました。この十月からは、第一号被保険者である六十五歳以上の高齢者の保険料の半額徴収も始まったわけです。
この介護保険制度は、実施直前まで、ご存じのように国民的な議論が展開をされてまいりました。ようやくでき上がった制度であることから、幾つかの課題が残されていることは当然であります。今月六日に国民生活センターが発表いたしました「介護契約にかかわる相談の実態」を見ますと、今後検討を要する課題が浮かび上がってくることは当然だと思います。そのため、この介護保険制度をよりよくするために、利用者である都民や、保険者である市区町村、サービスを提供する事業者の意見を聞きつつ、真に必要なものはしっかり改善をしていかなければなりません。
この点を踏まえて、介護保険制度についてこれから幾つか伺いますけれども、まず保険料についてでありますが、私など四十歳から六十四歳までの第二号被保険者は、介護保険制度が始まった四月から保険料を徴収されているわけです。しかし、高齢者の一号保険料は、半年間その徴収を先に延ばし、その額も一年間は半額であります。正規の保険料を納めるのは来年十月からとなっております。
ところが、こうしたさまざまな考慮や工夫を無視するというか、意図的に曲解をして、高齢者の不安をあおる動きがあるわけです。先日、共産党の赤旗を読んでおりましたら、保険料の通知を見て腹が立つとありました。また、有無をいわせぬ年金からの天引きは強奪だなどとの記事がございました。そして、型どおりこれに同調する共産党都議の意見が述べられていたわけです。
そもそも高齢者の保険料の徴収方法はどのように決められているのか、初歩的なことでありますけれども、お答えください。
○吉川介護保険室長 介護保険料の徴収方法は二通りございます。老齢、退職を事由とした年金を年額十八万、月額で申し上げますと一万五千円以上受給している方は、その年金から天引きとなる特別徴収の方法でございます。また、年額十八万円未満の方は、区市町村へ口座振替や窓口で納付いただく普通徴収の方法で保険料を納付していただくことになっております。
○古賀委員 なぜこのような天引きの方法をとっているのか、この制度の意味というものを説明してください。
○吉川介護保険室長 国民皆年金制度のもとでは、六十五歳以上の第一号被保険者のほとんどの方が何らかの公的年金を受給していらっしゃいます。このため、保険料を支払う被保険者の便宜を図るとともに、保険料を徴収する区市町村の事務負担を軽減し、保険料徴収をより効率的で確実なものとするために、保険料を公的年金から特別徴収する仕組みが設けられていると理解しております。
○古賀委員 制度の妥当性は、まともに聞けばどなたでもおわかりになるというふうに思うんですけれども、この介護保険制度を形骸化させようという企てがあるわけでありますので、この点については警戒をしていかなければならないというふうに思います。
半額徴収が始まる前から、高齢者にとって保険料の負担が重いから軽減すべきという主張がありました。一部の自治体において保険料の減免の動きがあるわけでありますけれども、これを所管する国・厚生省はこれについてどのように考えているのか、この点説明をしてください。
○吉川介護保険室長 最近の厚生大臣の記者会見や、厚生省の担当審議官が全国町村会政務調査会常任理事会合同会議において発言された内容等から把握いたしますと、厚生省は、介護保険法におけます共同連帯の趣旨から、保険料をゼロもしくはゼロに限りなく近い額にすること、減免措置を一律に行うこと、減免分を一般財源で穴埋めすることは適当でなく、問題であると考えているというふうに承知しております。
○古賀委員 国は今いろいろごたごたしているようでありますけれども、厚生省のこの見解は極めて当然のことだというふうに思います。この国の見解について、東京都はどのような見解を持っているのか、評価をしているか、いかがでしょうか。
○吉川介護保険室長 介護保険制度は、高齢者介護を社会全体で支えるため、負担と給付の関係が明確な社会保険の仕組みとして創設されたものであり、すべての被保険者が公平に保険料を負担することが、本制度を健全かつ円滑に運営するためには不可欠であると認識しております。このことから、私どもも、低所得者に対して一律に保険料を免除することは、制度の趣旨及びこれまでの制度の検討の経緯に照らして適当でないというふうに考えております。
○古賀委員 東京都の見解も、私は極めて当然のことだというふうに思います。その見解を維持してもらいたい、このように思います。
先ほどからいろいろやりとりを聞いておりますと、高齢者というのは常に所得が低くて常に社会的に弱い立場という、そういう一方的な決めつけがあるわけでありますけれども、いろいろな資料を見てみますと、決してそう断言することはできないというふうに判断できます。経済的に自立した高齢者は決して少なくないわけです。
先ほど職員の方から資料をちょっと見せてもらっておりますけれども、世帯人員一人当たりの平均可処分所得というものを見てみますと--これは厚生省が出しております平成十年国民生活基礎調査の概要であります。世帯一人当たりの平均可処分所得、世帯主が六十五歳以上の世帯では百七十五万円となっています。これは、四十歳代の百七十四万円、あるいは三十歳代の百六十一万円を上回っているわけです。ですから、高齢者世帯についても、他の年齢層と比較をして遜色のない可処分所得を得ているという判断は、私たち忘れてはならないというふうに思うわけです。何が何でも高齢者は一方的な弱者と決めつけるのは、長い間社会に貢献されてきた高齢者の皆さんに対しても、大変失礼なことだというふうに思います。
今のご答弁でありましたけれども、都内でも保険料の減免等を実施している自治体があるわけでありますけれども、具体的にどのような方法をとっているのか、いかがでしょうか。
○吉川介護保険室長 都内の自治体におきましては、本委員会の要求資料のとおり、国分寺市、小金井市、狛江市の三市が、低所得者に対しまして第一号被保険者の保険料の減免等を実施しております。国分寺市、小金井市は、条例、規則には明文の規定はございませんけれども、要綱により、低所得者の申請に基づき、保険料の一部または全額を免除しております。また、狛江市は、要綱によりまして、低所得者の申請に基づき、保険料の相当額を一般財源を用いて助成しているところでございます。
○古賀委員 国民の負担する税金が既に介護保険財政の半分を支えているわけです。このまま一般財源で安易にこれをまた穴埋めするということになりますと、第二の国保ということになるというふうに私は心配をいたします。
先ほど私述べましたとおり、我々は、四十歳から六十四歳の第二号被保険者として、既に四月から保険料を全額納めているわけでありまして、こうしたことから、一般財源で減免した分を穴埋めする、これは、まじめに働く納税者の納得は到底得られないものだというふうに私は思います。こういった減免についての制度は慎重に扱うべきだというふうに私は思いますけれども、もう一度東京都の見解を示してもらいたいと思います。
○吉川介護保険室長 ご指摘のとおり、減免相当分へ一般財源から繰り入れを行うことが常態化すると、自治体の一般会計にしわ寄せが行きまして、第二の国保になりかねないと考えられます。この点は、介護保険制度の検討段階で、市町村の代表から国に対しまして懸念が伝えられまして、このため、こうした事態にならないよう、国では、財政安定化基金という、保険料収納率が予想よりも低い場合などにも一般会計から繰り入れをしなくて済む制度を創設したと説明しているところでございます。
こうした経緯や、保険料の算定を規定した介護保険法施行令の中で、法で認められた特別の措置を講ずる場合には、収納必要額は保険料により確保できるようにするものとされていることをあわせて考えるならば、一般財源で穴埋めするという運営は慎重になさるべきだと認識しております。
○古賀委員 国保会計の赤字の問題は長く議論されてきまして、結局一般会計に頼るという体質は、国民皆保険制度を最終的には危うくするということを我々は経験的に学んでいるわけでありますので、この新しい社会保険制度が始まったわけでありますので、国保の二の舞にならないということをまず念頭に置いての行政運営、対応というのはぜひとも忘れないでやっていただきたい、このように思います。
そこで、低所得者の方も当然いらっしゃるわけでありますので、介護保険制度では、どのような仕組みでこれに対応しているかということが問題になってまいります。いろいろやりとりはありましたけれども、改めて、低所得者のための保険料の軽減の仕組みを、簡単で結構ですから、もう一度説明してください。
○吉川介護保険室長 介護保険制度では、災害や失業などの場合には保険料を個別に減免する仕組みや、また、低所得者の方々へ配慮を行う場合には、五段階の保険料設定を六段階にできるという仕組みが用意されてございます。
○古賀委員 低所得者のための介護保険制度のいろいろな議論が行われて、知恵というものが制度の中に生かされて、とりあえず組み込まれているわけですので、今後見直す点はあるにしても、全くそういった措置がなされていないという指摘は的外れだと考えます。
そこで、保険者であります自治体が、それぞれこの介護保険の運営の直接の当事者となっているわけでありますけれども、この自治事務であります介護保険の運営に関して国や都が関与することについて、自治権の侵害ということもよく聞くんですね。自治体で減免をやってもいいじゃないかとか、いろいろな勝手な主張をする人もいるわけでありますけれども、この点については都はどのように認識をしているのか、いかがでしょう。
○吉川介護保険室長 介護保険法第五条第二項には、介護保険事業の運営が健全かつ円滑に行われるよう、都道府県が必要な指導を行う責務が明確に規定されてございます。都はまた、介護給付費負担金として公金を支出している立場にもございます。これらの観点から、必要があると判断される場合には、当該自治体における介護保険事業の動向を慎重に見きわめつつ、都が保険者である区市町村を指導することは当然に必要であるというふうに認識しております。
○古賀委員 介護保険法の条文にきちんと都の関与については決められているわけでありますので、この法令に従った関与ということは認められるわけでありますので、自治体のそういった法令を曲解しての運営のねじ曲げのようなことがあれば、それを正していくことも都の役割であろうというふうに思います。
保険料の軽減策についての基本的な今の考え方はわかりましたけれども、減免ということになりますと、今度は利用料ということの議論が起きてくるわけですので、この点についてまずお尋ねいたします。
要介護認定を受けたにもかかわらず、支給限度いっぱいまでのサービスの利用がなされていない、半分くらいになっているという先ほどからのやりとりがありました。利用料の額が負担になっているかのごとき主張が先ほどからあるわけでありますけれども、これは妥当なのでしょうか、どうでしょうか。
○吉川介護保険室長 介護保険の利用者負担についてでございますが、介護保険制度では、高齢者ご本人の心身の状況や希望などに適合した介護サービス計画を、ご本人または家族が同意した上で、サービスを提供することとされております。
先ほど来答弁しております国の資料においてもございますけれども、サービス量については、従来の約六割の利用者の方々においてサービス量がふえておりますし、提供されたサービス内容については、八割の方が利用をおおむね満足というふうに回答されております。したがって、現段階では、利用料の負担が抑制しているというふうには認識しておりません。
○古賀委員 だんだん実態がはっきりしてきたというふうに思うんですね。
そこで、この利用料についても、低所得者に対してそれなりの対応がされているわけですけれども、もう一度、低所得者対策は利用料の場合どうなっているのか、これも簡単で結構です、お願いします。
○吉川介護保険室長 利用料についての低所得者対策でございます。
大きく二つございますが、一点は、高額介護サービス費の支給の仕組みでございまして、世帯当たりの自己負担の上限額が一世帯当たり三万七千二百円と設定されておりまして、この額は、低所得者、例えば世帯全員が住民税非課税の場合は二万四千六百円、老齢福祉年金受給者の場合は一万五千円に軽減されております。これが第一点でございます。もう一点は、国の特別対策におきまして、低所得者の方々につきましては、ホームヘルプサービスの利用料を三%に軽減する経過措置がとられているところでございます。
○古賀委員 保険者である市区町村を初めとして、東京都としても、低所得者に対する配慮もなされているということを、広報、知らせていくということが非常に重要になってくるわけです。これは今まで、私どもにも配られる、こういった高齢者施策推進室が出しております「介護保険ニュース」とか、インターネットを使ったいろいろな手段がとられているようでありますけれども、東京都は、具体的にこの介護保険制度を始めるに当たって、また低所得者に対するさまざまな配慮ということも含めて、どのようにそういう広報ということについて力を入れているか、考えているか、この点お答えください。
○吉川介護保険室長 介護保険制度におきまして、低所得者の方々に対する配慮の観点から設けられた諸制度を都民に正しくお伝えすることは、ご指摘のとおり、大変重要であると認識しております。
これまでも、「広報東京都」への掲載、テレビ、ラジオの東京都提供番組の活用、ポスター、リーフレットの発行、配布など、介護保険制度の内容の一部として普及啓蒙活動に努力してきたところでございます。
都としては、今後とも、都民に関連の諸制度について一層正しくお伝えするとともに、保険者である区市町村の広報活動でも取り上げていただくよう指導、支援してまいりたいと考えております。
○古賀委員 批判のための批判は別といたしまして、誤解とか勝手な思い込みというのは、そういったことをきちんと重ねていっていただければ、解消可能だというふうに私は思います。だから、広報活動というのは非常に重要なんですよ。
元気なお年寄りの中には、自分は介護保険の世話にはならないから、保険料は払わないというふうに胸を張る人が時にいたりするんですね、だから保険料は自分は支払いたくないとか。それから、介護サービスを受けない場合には、払った保険料は返してもらえるんじゃないかとか、そういういろいろな誤解もあるわけですよ。しかし、人の将来というのは、またあすのこと、今後のことというのはわからないわけでありますので、そういう方には、私などは、万一介護が必要になった場合には、一月で十年分の保険料に匹敵する三十六万円相当の介護サービスを受けるんですよと、こういうふうに理解を求めております。
介護というものが家庭だけで支え切れない問題として、先ほどからお話がありますように、国民みんなで支え合う仕組みであるということでこれは始まったわけでありますので、繰り返し都民に対して説明をしていく広報の役割ということを今後も重視してもらいたいというふうに考えます。
そこで、もうこの介護保険制度の現状、大まかではありますけれども、皆さんおわかりいただいたというふうに思うわけですが、質問の冒頭私申し上げましたように、幾つか課題が残されているということは事実です。そこで最後に、この介護保険制度を今後さらに充実をさせる、発展をさせる、改善をさせていくということについて、前川室長はどういう所見と方針をお持ちか、お答えください。
○前川高齢者施策推進室長 今お話もございましたが、介護保険制度は、高齢者介護を社会全体で支える仕組みとして創設されたものでございまして、いわば二十一世紀に向けて高齢者サービスの拡充と質的なアップを図っていく上で中軸となる制度というふうに私ども理解をしております。
しかしながら、この間の制度運営の中で、ご指摘のとおり、幾つかの問題が関係者から指摘されているのも、これまた事実でございます。今後、制度の根幹は堅持しながらも、介護保険制度をより使いやすく、かつ内容が充実したものとしていく、そして確実に定着させていくと、これが必要であろうと考えております。このため、都としても、制度の充実改善に向けて、都民や保険者である区市町村とも意見を交換しながら積極的に検討を行い、国に対しても改善案を提起してまいりたいと考えております。
○古賀委員 もう質問はいたしませんが、先ほど、何か福祉がさも石原都政にかわって後退したかのようなお話があったんですが、数字はそうはいっていないんですね。よく写真とか文章はうそをつきますが、数字はうそをつかない。
高齢者福祉施策の予算額は、平成十二年度総額で二千五百三十一億円、昭和五十年度に比べて七倍以上になっております。ほかの指標を見ますと、東京都の一般会計が約三倍、福祉と保健関係が約四倍ですから、福祉施策の、特に高齢者に関する予算については充実が図られてきているということは、数字の上ではっきりいえるというふうに思います。
一般会計は大変苦しいわけですね。ことし十二年度は四・九%の減額予算でした。しかし、高齢者施策推進室の予算は、前年度比で〇・八%ではありますけれども、伸びを示しているわけです。高齢者施策推進室と福祉局、衛生局合わせた保健福祉の分野の都全体の予算に対する割合は、過去最大、一一・五%となっているわけです。みんなそれぞれ手元不如意の中で努力はしてきている。それを忘れてはいけないというふうに思うんですね。
何かすぐ臨海がどうのこうのという話になるんですけれども、全く次元の違う話を混同させるというのは、議論としてはまともな議論ができなくなりますので、それは避けなければいけないというふうに私は思います。
先ほど室長の答弁にありましたとおり、国に対しても都として改善策を提案したいということでありますので、今後介護保険制度が充実する、定着するということに向けて、これからも推進室一丸となって取り組むことを私から要望いたしまして、質問を終わります。
○曽根委員 今、介護保険の現状について大体わかったというようなお話もあったんですが、今まで余り質問が出ておりませんでした施設の介護の問題について、私の方から何点か聞いておきたいと思います。
東京都もご存じだと思うんですが、我が党は、八月の中旬から九月にかけて、都内にある都の直営の二施設等を除くちょうど三百、ことしの夏の時点で存在する都内の特別養護老人ホームの全施設を対象として調査を行いました。郵送で調査用紙を送りまして、その後、地元の都議会議員がいるところはすべて各地元の施設を回りまして、いろいろ聞き取りもしてまいりました。回答は百六十を超え、これは発表してから後もふえておりますが、過半数の施設から回答が寄せられております。
その中で特徴的なことは、介護保険導入で、特別養護老人ホームの運営について聞けば、これは大変厳しくなったと、運営が厳しくなったという回答が八九%に上っております。それから、都の加算事業が廃止されたことについて、この影響は大変大きいという回答も七九%でほぼ同等の数字で、大半の施設が、介護保険の導入と、またそれを一つの理由として都の加算事業も廃止になったわけですが、このことの影響は非常に大きいということを訴えておりました。
現に、数字の問題ですが、収入については、七四%の施設が減収したと回答しています。影響額についても回答をもらったんですが、これはまだはっきり出ている施設と出ていない施設がありましたが、回答のあった百余りの施設の金額を計算してみますと、いろいろばらつきはありますけれども、飛び抜けて多かったり少なかったりするものを除けば、大体六、七%程度の減収が、ことしの五月段階で、昨年に比べて収入が落ちているということが、各施設長さんからの回答の中であらわれました。これは、百億円の経営支援事業が行われていることがもちろん前提であります。
先日、十月になってから、東社協の役員の皆さんとの懇談があったんですが、その際、ある施設長さんは、とりわけ特養の中でも小規模の特養が経営が厳しいと。経営支援事業がなかったら、半分ぐらいはつぶれていただろうという大変衝撃的な発言をされました。我が党の調査の結果に照らしてみても、この発言は非常に実感のこもったものだというふうに思っております。
そこでお聞きしたいんですが、我が党のこの調査で、実際に各施設、七割方の施設が収入が減っているという事実について、東京都の方ではこの問題についてはどのようにとらえているのか、実際に調査を行っているのか、その点お聞きします。
○若林保健福祉部長 特養ホームに対する経営支援事業は、平成十二年度の四月から実施しているところでございますが、本事業を実施するに当たりまして、特養ホームの代表者と、昨年から一年かけて十分な討議を続けてきたところでございます。
その中で、特養ホームの代表者からは、全施設が施設経営全般にわたる改革を行い、とりわけ職員体制、給与体系の見直し並びに諸経費の節減等を図り、より効率的かつ安定的な経営を目指すと、こういうような意見表明がございました。これを受けまして、都としても、民間企業はもとより、多くの団体等で厳しい見直しをしている現状を踏まえまして、経営支援事業の補助額の積算に当たりましては、これまでの都加算、公私格差を含めまして、その合算額の五%に相当する額を支援事業の額から外しまして、九五%という形で経営努力をお願いするということで、経営支援事業を立ち上げたところでございます。
その結果、介護保険制度の、介護保険収入を受けて、四月の時点でございますけれども、粗い数字でございますけれども、これまでの措置費、公私格差、都加算と、今回入金するであろう介護報酬との比較をしたところ、約七十数%の施設がマイナスになるという数字は私どもも出ております。それは、あくまでも経営努力をするという前提での単純な比較で出したものでございます。
○曽根委員 大変私たちの調査と細かい点でも一致しているので、ちょっと今驚いたんですが、もともと都の加算事業で経営を支えてきた部分があって、それを、東京都の姿勢として加算事業廃止ということを各施設に方針を示してやってきたわけですから、施設の方は、経営を何とかしなきゃならないということで態度表明もあったでしょうが、その計算がほぼ実際に起こっていると。マイナス五%、実際にはそれよりも下がっているというふうに私たちは見ているんですが、起こっているということについて、これはやっぱり重大なことだと思うんです。確かにいろいろ努力はされていると思いますが、その後その経営状態が改善されているというふうには私たちは聞いておりません。
しかも、四月、五月段階は、保険請求に不備があって、国保連との関係でいいますと、介護報酬が九割分しか支給されていない施設もかなりあるわけですよね。ではそれが戻ってくるのかというと、必ずしも戻ってくるという状況じゃなくて、むしろ減らされる場合もあると。さらに、精算すると、最終決算では介護報酬をさらに返さなければならないということもあり得るというような話がありました。
それで、この都加算の廃止の具体的影響について、多くの施設からどういうふうにその影響をしのいでいるのかということについて回答があったんですが、利用者のサービスの中で、例えば食事の予算を減らさなければならないというのが二割近くありましたし、旅行だとか外に出る行事は実際減らさなければならない、施設の中だけで何とかしなければならないという状態になっているという施設が六割ぐらいに及びましたが、こういう状況はつかんでいるでしょうか。
○若林保健福祉部長 私ども、特養ホームに対しては、東京都の立場で、これまでも、介護保険制度に移行後の特養ホームの指導検査を実施してきているところでございます。また、先ほど申し上げましたように、特養ホームの代表者とも、五月、八月、さらに十月と、継続して協議を続けているところでございます。
この二つをあわせて、ただいま利用者サービスの面でのご指摘がございましたけれども、検査の面から見ましても、食事について内容を悪くしているというところは報告が来ておりません。また、特養ホームの代表者からは、これから選ばれる施設としてサービスをもっともっとよくしていかなければならないという点から見ても、食事に手をつけるということは考えられない、こういうことをいっております。さらに、入浴等のサービスについても、きちんとこれまでどおりサービスを提供しているという報告を受けております。
さらに、外出、レクリエーション等についてのご指摘がございましたけれども、これについては、確かに大きな外出という形での行事は見直しているところが多くありますけれども、それにかわる方法として、職員が心のこもった手づくりの行事を園内でやって利用者と一緒に楽しんでいるという形で、行事の中身を転換しながらサービスを落とさないようにしている、そういう報告をもらっているところでございます。
○曽根委員 お年寄りを外に出してあげるということがいかに大切なことかというのは私がいうまでもないんですけれども、それを園内の施設行事に切りかえたと、それでサービスを落としていないんだということ自体が、やっぱり施設介護の実態をわかっていないと思うんです。
この特養ホームというのは、一たんできてしまえば、後は人間が人間をお世話して介護しているわけですから、ほとんどが人件費とサービスの費用なんですよ。その五%マイナス、もしくはそれ以上のマイナスが出た場合どこにしわ寄せするかといったら、職員にしわ寄せするか、サービス内容でどこかの予算を削るかしか、ほとんどそれしかないわけなんです。
したがって、外に出る行事ができなくなったというのは、私は、特別養護老人ホーム、特に地方のように、敷地がゆとりを持ってとれるような土地代が安い施設じゃなくて、都内の、しかも身近なところにということで、最近は二十三区でも狭い敷地をうまく活用してやっているわけですが、そういうお年寄りを外に出してあげるという行事ができなくなったことのサービスの水準、これは低下ではないのかと。
この制度が始まる前に、東京都は、加算事業を廃止しても介護サービスの水準は落とさないということを盛んにおっしゃっていましたが、これは低下でないというふうにいい切れるのでしょうかね。
○若林保健福祉部長 利用者の処遇につきましては、いろいろな角度から見る必要があるというふうに思います。大きな行事という形で、観光バス等を使って遠くまで外出をするということが即サービスがよくて、きめ細かいサービスを身近にやるというのがサービスでどうなんだという点では、サービスについてはいろいろな角度から問われるというふうに思っております。
私どもさきに答弁申し上げましたように、特養ホームの代表者からは、サービスというのは、いろいろな形で、その利用者お一人お一人に合ったサービスを提供していけばいいのであって、外出を全部とめているとかそういうことでは一切なくて、周辺に出かけたりとか、そういうのはきちんと継続してやってきているわけでございまして、私どもは、これまで得ている情報では、そう先生がご指摘になるような大きなサービスの低下はされていない、そういう認識をしております。
○曽根委員 そういうふうにおっしゃるので、一つだけ簡潔に実例を紹介しますが、これは練馬の五十人規模の、小規模なんで厳しいところなんですが、特養の施設長さんで、この方は、区の職員だった方が退職して施設長になっているんですよ。だから、必ずしも福祉の専門家じゃないんです。その方が、最近十月に地元の議員が訪ねましたが、とにかく外に出られなくなったと。出してあげられなくなって、二十四時間三百六十五日閉じ込めっ放しだと。自分がそういう立場に立ったら大変やり切れない。ここで最期を迎える人が多いので、もう少しゆとりを持って最期を終わらせたいんだが、残念ながらそれはできないと。私だったら、この現状では特養に入りたくないというふうにおっしゃったそうです。
その施設長さんが巡回しまして、その日誌を見ても、とにかく毎日毎日何をやっているかというと、食事をさせ、排せつをさせ、週に二回入浴させてあげる。それの繰り返しだと。変化がないと。今年度に入ってから、室内のお楽しみ会でさえ一回もできていないと。前は隔月で、二カ月に一回はやってあげられたのに、それすらもできていない。それは、単に外に出られないだけじゃなくて、施設の中の行事も削らざるを得なくなっているということなんですね。それがつらいというふうにおっしゃっていたそうです。
これは、決して専門家じゃなくて、志を持って特養の施設長になった方が、やっぱり見ていてつらいといわざるを得ない現状が、特に小規模特養にはあるということなんですよ。これはやっぱり受けとめるべきだと思いますよ、私は。表向きのきれいごとだけで終わらせてもらいたくないんです、こういう問題は、本当に。
それで、百億円の支援事業が今年度行われていると。これは三年後に見直しですよね。来年度、その翌年度、三年後というふうに、どういうふうになっていくんでしょうか。
○若林保健福祉部長 百億円の経営支援事業につきましては、先ほども申し上げましたとおり、特養ホームの代表者と十分協議をし、また全施設の実態調査をやった上で、案をつくって実施をしている事業でございます。
今年度百億円の事業につきましては、事業の中身としまして、利用者のサービス維持向上のための経費が三十三億円、それから、円滑に介護保険制度に移行するための経費が四十二億円、その他周辺環境の整備として二十五億円、合わせて百億円の事業でございますが、来年度は一五%の見直しをするということで協議が調っておりますので、利用者のサービスを維持向上する経費は、三十三億円はそのまま残します、円滑に移行するための経費については二十二億円とします、さらに環境整備につきましては、本年度の執行を見込むことによって、来年度どうしても取り組まなきゃいけないという事業を残しますと、合わせて六十億円ということで来年度予算要求をしたところでございます。
十四年度についてのお尋ねもございましたので、十四年度につきましては、同じように、まだ今の推計、これは十四年度の予算要求はしていないわけでございますが、予定といたしましては、円滑に移行するための経費を十二億円ということで計上しますので、今の推計値としては五十億円、こういうことで予定をしているところでございます。
三カ年で本事業を見直す、あるいは廃止をするということで協議が調っておりますので、十五年度につきましては、円滑に移行するための経費はゼロにする、そうして、サービスの維持向上のための経費は内容についてさらに見直しを図る、こういうことでございます。
○曽根委員 三年後は、よくて三十三億が残るかどうかと。それも見直しなんですよね。
現状、特別養護老人ホームの経営をよほど大転換して、職員は常勤をもう一切なくして非常勤ばっかりにするとか、よほどの荒療治をしないと、これは、例えば七十億円が削減されるとすれば、今のマイナス、都の試算で五%、我々の調査で六、七%が、一〇%を超えるでしょう、減収額が。これは、本当に倒産、福祉法人の解散が出かねない事態になっていくと思うんです。
多くの施設長は、私たちの調査に対しても、加算制度を復活してほしいという意見もありますし、そうでないまでも、やはり今の規模で経営支援事業を続けてほしいと、これをなくすのはやめてほしいと、時限立法はやめてくれという要望がもうかなり来ているわけですね。ここの点については、私は、率直に実態を見れば--国の制度がよほど改善されれば別ですよ。しかし、今の実態からすれば、期限つきはやめて、見直すべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○若林保健福祉部長 先生、倒産ということをお話しになりましたけれども、私どもの試算に使った数字というのは、本事業を立ち上げるという意味でございまして、平成十一年の、昨年の十月の時点での介護報酬の収入額を想定しまして、それで十二年度支援事業を立ち上げていくということで予算要求したものでございます。時期的にそういう仕組みだったものでございますから……。
その後、要介護度が相当上がっております。それから、中身についても経営改善をいろいろ図ってきております。そういう意味では、私としては、先生がご指摘するような事態というのは当たらないのではないか、そんなふうに考えております。特養ホームの代表者との協議の中でも、決してそのようなお話は出ていないところでございます。
本事業の継続についてのお話でございますけれども、前から何回もお話をさせていただいておりますけれども、介護保険という社会保険制度の中に措置制度から移ったということで、都加算及び介護報酬を廃止したものでございます。その経過的な措置として、団体の代表と協議の上、また都議会での十分な審議をいただいた上で、三カ年の事業という形で補助事業としての立ち上げを行ったところでございます。
なお、現在、特養ホームの代表者と協議を続けているところでございますので、引き続いてまたご意見をお聞きしながら、また理解と協力を求めていきたい、そんなふうに考えております。
○曽根委員 私は、関係団体といわれている例えば東社協の役員の皆さんとも懇談して、そこで経営支援事業を何とか続けてほしいという声を実際に聞いているから申し上げているので、全くそういう声が聞こえていないとすれば、もうちょっと話し合った方がいいんじゃないでしょうかね。
それから、これからも、少なくとも五年計画で、東京都は毎年一千床以上の特養をふやしていかなきゃならないことになっていますよね。私たちはそれでも十分だとは思っていませんが、それでも、百人規模のものを十カ所ぐらいずつはつくっていかなきゃならない。今のところ特養は社会福祉法人ですから、そういうものに意欲を持って出てくるようにするためには、こういう経営危機が蔓延しているという状態ではまずいわけですよ。まずいと思うんですよ、本当に出てくる意欲をそいでしまうわけですから。本当に対策を検討せざるを得ない状況じゃないかというふうに思いますが、この点を改めて強く求めておきたいと思います。
で、介護報酬の今の収入の仕組みだけで、経営支援事業も基本的になくなるとした場合、なぜ特養の経営がこんなに厳しくなるのかということは、特養の収入が、身体介護については介護報酬で入りますけれども、お年寄りがあそこで生活をしているという、身体介護以外の部分ですね、例えば食事の収入部分はありますけれども、それ以外については基本的に見ていない、欠落していることが、介護以外の生活の部分についてのサービスをやろうとすれば、そこはもう施設が赤字になってしまうという最大の原因だと思うんです。これは、人間らしい、何とか暮らしにゆとりを持たせようとしている施設ほど、良心的な施設ほど、例えばその部分は別途に費用を徴収しなきゃならないということになってしまうと。
極端な例ですけれども、先ほどいいましたけれども、旅行会をやっていたところで、ことしから実費に切りかえたら、今まではぐあいの悪い人以外は全員参加していたものが、ことしは四人しか参加できないということになって、行った人も寂しいし、行けなかった人もつらいと。帰ってきてからも、その旅行会の写真ももう張れないと、四人しか行っていないんですから。そういう状態が生まれたという施設、これは新宿のある特養の例ですけれども、そういうことが起きているんですね。
ちょっと例は変わりますけれども、分野は変わりますけれども、例えば学校でいいますと、修学援助という制度があって、修学旅行の費用とか卒業アルバムのように、その学校で共同生活を送っている子どもたちならばだれもが参加してもらわなければならないような、そういう行事であるけれども、費用が一定かかるものについては、一定の制度のもとに、負担できない、負担が困難な世帯に援助をするという制度があるわけですよ。
こういう特養ホームについても、ある程度所得制限がつくとしても、生活で共同で暮らしていて、やっぱりみんなが一緒に参加したいという行事について、またはいろんなサービスについて補助する制度というのは、国の方で本来考えるべきじゃないかというふうに思うんですが、そういう点についてのお考えはあるでしょうか。
○若林保健福祉部長 先生から、施設における処遇の件で再度ご指摘がございましたけれども、介護を要する高齢者が生活する特別養護老人ホームでの処遇というのは、それぞれの人に応じた処遇こそ望まれるんだというふうに思います。先ほど先生おっしゃるような形で、画一的に何かをやって、画一的に写真を張って、みんなで見てもらうという形は、決して特養ホームでは望まれていないというふうに私は思っております。また、そのような意見も多く聞いているところでございます。
いずれにしましても、介護保険制度で負担されない部分につきましては、制度上ご本人の負担という仕組みになっているものでございますので、そのことにつきましては、制度的にやはりきちんと本人に負担をしていただくということで経営が成り立つ、そういう仕組みになっているので、ぜひご理解をいただきたいというふうに思います。
○曽根委員 これからはいろんな人が特別養護老人ホームに入りますから、それは自分だけの生活を送りたいという人もいるかもしれませんが、少なくとも特別養護老人ホームというのは、今の場合、やっぱり共同生活ですよね。マンションなんかとはやっぱり違うわけで、みんなで一緒にやることはいっぱいあるわけですよね。それが全く個別の対応でいいんだといえば、私は、逆にサービスが非常に煩雑になり、大変になってしまうと思うんですよ。だから、共同生活のよさを生かすということは大いに考えなきゃならない。これは意見として申し上げておきます。
もう一方で、人が人の面倒を見ているわけですから、利用者のサービスを削りたくなければ、職員の方が犠牲になるしかないというのがもう片方の問題です。それで、今私の聞いているところでも、大体二つの方法に分かれます、職員に対するしわ寄せは。一つは、給料の一割カットとか、そういうふうに実際に支給する給与を減らすという方法です。月々の給料を減らさないまでも、ボーナスは大幅にカットとか。これは、ほとんどの施設でそういうことは検討されたりやられたりしています。そうでなければ、常勤者を減らして非常勤に切りかえるということですね。
しかし、ある施設の施設長さんがいっていましたが、この制度になって、高齢者のサービスのために職員が公休もとれないと。健康を損ね退職していく状況をもっと調査してほしい。介護保険が導入されたことで職員にとってよくなったことは何もないという現実を踏まえて将来の見通しを示してくれないと、この仕事をする人はいなくなると。これは現場の声ですよ。こういう声はほかにもいっぱいあります。
実際、公務員の皆さんの給与に比べて、半分以下ですよ。それで頭打ち。そこで、もう何歳になってもずっと、勤続何十年たっても、同じになっちゃうというんですね。これでは、本当に希望を持って、たとえ生きがいのある仕事であっても、やりがいのある仕事であっても、やっぱり家族を養い、自分も自立した社会人として一人前の仕事をやっていくという保障になりませんよ。
この点については、やっぱり考えなきゃならない問題があるんじゃないでしょうか。今後、特養をふやしていく、また福祉の人材を育てていくという観点に立って、検討の余地があるんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
○若林保健福祉部長 職員処遇についてのお尋ねがございましたけれども、先ほども利用者処遇のところで答弁申し上げましたように、私ども、職員が指導検査で現地に行っております。また、先ほど来申し上げているように、特養ホームの代表者とも協議をずっと続けてきております。こうした中で、共通して説明を受けていることは、多くの施設において給与規程が見直されております。また、退職時の欠員の補充に、正規職員のかわりに、常勤から非常勤職員に切りかえていると、こういう実態はきちんと報告を聞いております。
ただ、そのことで利用者の処遇が即大きな影響を受けているということではなくて、冒頭の答弁で申し上げましたように、厳しい見直しをしながらよりよい処遇に努めていると、こういうふうに私は理解しております。
○曽根委員 給与を減らされたり非常勤に切りかえられて、即お年寄りのサービスが落ちるような施設はもう失格です、それは。人間、そんなに単純なものじゃないですよ。自分が犠牲になってもやっぱり処遇だけは守ろうという、これは当然の気概だと思いますよ。しかし、それにおんぶにだっこして、いつまでも続くのかということなんですよ、この状態がね。職員だって、その分野で働こうと思って志を持って来ているわけだから、やっぱりその職業意識にこたえるだけの社会的身分を保障するということは、これは国の問題もありますけれども、本当に考えなければならない。これは、私ずっとこの福祉の分野については思っていたので、この際ちょっといっておきたいと思います。
関連して、デイサービスのことについて一、二聞いておきます。
特養の併設もありますし、単独施設もありますが、デイサービスセンターが特養以上に経営が厳しいと。実際、職員も、資料をいただきましたが、以前の制度よりも運転手その他減らされますし、今までと同じスペースで、定数の変化を見ても、平均して二・五倍に定数をふやさなきゃペイできないと。しかも、出来高払いですから、雨が降ったり、風邪がはやったりしてお年寄りが来なくなれば、その日の収入がダウンしちゃうと。大変厳しい経営環境に置かれていることは間違いないと思います。
しかも、今まで都加算がついていたんですが、これは経営支援事業もないので、そっくり都加算は落ちてしまって、ゼロです。多くの施設から、これではとてもやっていけないという声がたくさん上がってきております。
それで、この都加算の問題については、私は、やっぱりそれにかわる何らかの方策を考えて、デイサービス施設については、特に今まで社会福祉法人で頑張ってきたところについては支援が必要だと思うんですが、東京都としての何らかの支援策ということの検討はされているのでしょうか。
○若林保健福祉部長 デイサービスセンターについてのお尋ねでございますが、私ども、十一年度まで、都の補助方式で、事業の実施主体は区市町村でございますので、区市町村に対して補助をするという仕組みで補助をしてきたわけでございます。ただ、当然のことながら、介護保険制度に移行するということはもう十分わかっておりましたので、十一年度からは補助方式を変更しまして、介護報酬と同じような形で事業費補助方式と、定額的な補助じゃなくて、事業費補助方式ということに切りかえて、利用者処遇、利用者をふやす、処遇内容を変える、さらには介護保険の対象外の人まで受け入れると、こういうご努力をしていただくようにお願いしたわけです。
あわせて、リニューアル事業という形で一年間取り組んでまいりました。三施設別に取り組んでまいりました。その報告書を見ましても、やはりそれぞれの施設からきちんとした報告をいただいています。つまり、自分たちで自主的な努力をすれば十分経営は可能であるというような意見も、リニューアル事業の報告書として私ども受け取っております。
先生がお話の代表者との協議も、デイサービスの業者との話し合いも私どもやっておりますけれども、そうした中でも、決して画一的に全部が赤字ということで非常に厳しいということではなくて、非常に運営をうまくしている事業所もありますし、一方では先生がご指摘のようなところも生じているということで、決して一律ではないと、そんなふうに受けとめております。
私どもとしては、本事業が介護保険制度による運営ということでございますので、基本的には都加算という形での事業の復活は考えていないわけでございます。
○曽根委員 区市町村事業であり、介護保険の枠内に入った事業ですから、それはやり方は今までと同じというわけにはいかないかもしれませんが、何にもないということでいいのかと、手をこまねいていていいのかというふうに疑問に思うんですが、少なくともかなりの数の施設で赤字が出ていて、かなり厳しいと、このままではもう手放したいと、もうここで打ち切りにしたいというところも出ているというふうに聞いていますが、そういうことについて何も考えていないんですか。
○若林保健福祉部長 先ほど来何回か答弁申し上げましたけれども、基本的には、デイサービスセンターで、いろいろ処遇の中身、利用者をふやすこととか、介護保険対象外の人を受け入れるとか、そういうご努力をしていただくということを考えておりますが、そうした条件を満たせない施設も中にはございます。例えば、男子のトイレに比較して女子のトイレが少ないであるとか、間仕切りを少し直さなきゃいけないとか、そういうハード面での整備を、条件面での整備をし直さなければいけないという視点もデイサービスセンターの代表からいただいておりますので、高齢者施策推進室としましては、来年度十三年度の予算に向けて、高齢者在宅サービスセンター緊急整備支援事業という形で五億一千万の予算要求をしているところでございます。
○曽根委員 設備改修ということならできるかという一つの方策だと思いますが、私は、まだ極めて不十分だと思うんです。現在の介護報酬単価だけではデイサービスの経営は困難だというのは、共通の声です。したがって、これは、制度の見直しなど国にも働きかける必要があると思いますし、地元の自治体の仕事だからということでそこに押しつけるだけじゃなくて、都が率先して、やっぱりもう少し援助を検討すべきだということを申し上げておきます。
最後に、シルバーパスについて。
先ほどもちょっと質疑がありましたが、シルバーパスの発行枚数が昨年より十二万枚ぐらい減ったというようなお話だったんですが、これは母数がちょっと違っていまして、昨年は百十四万人強の七十歳以上の人口だったんですが、ことしは百十九万人を超えていますよね。したがって、五万人ぐらい七十歳以上の高齢者はふえているわけですから、割合でいうと、やっぱり二割ぐらい落ちているわけですね。
これの利用が減ったということは、東京都にいわせたら予算が浮いたということになるかもしれませんが、私は、やっぱりお年寄りの社会参加のために意義ある事業だと。しかし、民間に事業を移した方がいろいろサービスの拡充ができるかのような話もいろいろありましたけれども、実際に利用が減っちゃったんですから、この点は、やっぱり民間に移したこと、有料化したことの影響はマイナスに出たというふうにいわざるを得ないと思うんですが、いかがですか。
○若林保健福祉部長 シルバーパスの十二万人の減の内容についてのお尋ねでございますけれども、私どもとしましては、これまでも、シルバーパスを本当に利用しない人まで、自宅配送方式、自宅郵送方式ということをとっておりました関係で、真に利用しない人までシルバーパスが交付されている事実があるということは、区市町村からも聞いていたところでございますし、ことしにつきましては、区市町村から連絡するに当たって、寝たきり等で使わないということを確認した上で発行の通知を差し上げたりとか、そういうこともしておりますし、また、外へ出てパスを利用していただくということから、交付場所まで来ていただくという仕組みに変えましたので、そういう意味からは、シルバーパスを、私ども、この十二万人につきましては、推計するには、真に必要な方が真に交付を受けに来られた数字であるということで受けとめているところでございます。
○曽根委員 寝たきりの方やなんかには、実質使わないから発行しないというやり方の制度変更といいますか、中身の運用変更は、二年前にもやっているんですよ。それから、希望をちゃんととるということも、もう制度変更されているんです。その上で、今回二割落ちているんですよね。つまり、これは、自分が必要だと希望する人がその分減ったわけですから、これは、有料化、特に私が思うには、今まで無料だった方が五千円になっていますよね。来年間違いなく一万円になるという方は、先ほどちょっと割合が出ていましたけれども、間違いなく割合はがくっと落ちていますよ。これはやっぱり大幅な値上げになりますからね。
それで、しかも、民間に事業を移して、そのサービスが、どこか身近なところにとりに行けるというような話もありましたが、それは今まで有料だった方はとりに行かなければならなかったから、いろいろとりに行ける場所がふえたでしょう。しかし、無料の方は、郵送だったり、民生委員が配っていたりした。それが拡充ではないことは明らかで、それでも、ことしは一斉通知があったわけですよね。九月までは、区や市町村の事業として条例があったからね。しかし、来年はもう条例がないわけですよ。そうすると、私の印象では、自治体はもう来年は一斉通知はできないし、する根拠はないと思うんですが、いかがでしょうか。
○若林保健福祉部長 シルバーパスの発行につきましては、ことしから東京バス協会の事業としたものでございますので、先生ご指摘のように、来年の一斉更新時に当たっての、今後も含めましてですけれども、地元の区市町村からご本人に通知をするという形はとりません。ただ、新しく七十歳になられる方につきましては、誕生日を迎えられる方につきましては、PR等をしまして、ご利用いただけるような仕組みになってきております。
また、ご本人お一人お一人への更新の通知につきましては、今、バス協会と今後に向けて協議をしていくということで、来年度の一斉更新までまだ少し時間がありますので、協議をしていくところでございます。
○曽根委員 これは、たしか私の記憶では、民間のバス協会に事業が移っても、サービスは落とさない、不便をかけないようにしたいという約束がありましたよね。個別通知には、例えばあなたはどこにとりに行ってくださいとか、それから、これはもうできないんでしょうけれども、あなたは幾らのパスになりますよとかいうことがいろいろ書かれている。それはそれで、これがなくなると、来年から、自分の更新時期が来たことも場合によっては気がつかない。どこにとりに行っていいかわからない。それから、自分は幾らのパスになるかも、自分で介護保険の通知ですか、それを見て、自分は介護保険の保険料が幾らだからこれは千円だとか一万円だとかというふうになるということでいえば、やっぱり一斉通知というのは、非常に利便性を守っていく上では決定的なものだと思うんですよ。ですから、東京都としては、バス協会にお願いしてもいいんじゃないですか。
○若林保健福祉部長 シルバーパスの発行につきまして、新たに今後七十歳になられる方につきましては、老人医療受給証などを送付することがございますので、その機会にシルバーパスのお知らせを同封して送っていただくということで、お一人お一人にシルバーパスのことがわかるように通知を差し上げるということを予定しております。
また、一斉通知につきましてでございますけれども、東京都はバス協会と話し合いをずっと続けてきておりまして、来年度一斉更新のときに、現在更新をした方の記録を把握しておりますので、それらをもとに、来年度、それぞれ一斉更新に向けてのお一人お一人への発送ができるような準備も、今協議の中で進めているところでございます。
○曽根委員 これは協議中だということなので、せめてこれぐらいはバス協会にやってもらうような方法を考えてくださいよ。じゃないと、せっかく民間でいろんなことが、サービスが何か柔軟にできるようなことをいっておきながら、何にもいいところがないというふうになっちゃう。有料化された上に、その通知も来ないと。とりに行かなきゃならないと。そして、それもどこの場所かわからないのではね。
もう一つ、これは対象は限られていますけれども、お年寄りで、シルバーパス利用者で、かつ身体障害者の方については、今まではシルバーパスにマル介のマークを入れてもらって、身体障害者がパスを出さなくても、介助者の割引も一緒にできたという制度がありましたよね。これがことしの春からないようなんですけれども、どういう理由で打ち切ったんでしょうか。
○若林保健福祉部長 シルバーパスにマル介というスタンプを押す制度のことでございますが、これはすべての交通機関を利用する方々のものではございませんで、都営交通、都営地下鉄、都バスを利用する際に、マル介の判を押された方については、介護者について二分の一を適用するということでこれまでやってきたところでございますが、いろいろ事務の煩雑さ、トラブル等が現場で起こりまして、交通局におきましては、ことしの十二年四月以降はそういうマル介という表示は行わない、こういうことでお話がございました。そして、十二年九月以降の新しいシルバーパスの中にも、当然そういうことは表示をしていないわけでございます。
ただし、全部制度がなくなったわけではございませんで、障害者手帳あるいは愛の手帳を携行することによって、それをシルバーパスと同時に見せることによって、介護者についてはこれまでどおり二分の一の適用を受けると、こういうことで交通局は対応するということになっておりますので、私どもの方としてはそのような受けとめ方をしているところでございます。
○曽根委員 今までやってきたささやかなサービスを、それも民間の事業に移したらもうできなくなるだろうと見越して、その手前で、東京都の事業であるうちに切っていくというのは、私は本当にこそくなやり方だと思うんですよ。これ、東京バス協会の事業になったら、基本的にできなくなっちゃうでしょう、このマル介なんかはやろうとしたって。東京都の事業のうちに切ったわけですよね、ことしの四月から。まだ東京都の事業なんだから。
私、確かに民間の事業でいろいろきめ細かくサービスが充実していくんなら、それはそれなりに評価したいと思うんですよ。先ほどちょっとカード方式という話がありましたけれども、あれも、カード方式は、結局その分の予算を東京都が出してやるんだったら、何で東京都の事業のうちにやらなかったんだということになると思うんですよ。
せめて障害者などが活用している私鉄やJRの半額制度を、これは国の関係がありますが、やっぱりシルバーパスでも使えるようにするとか、モノレールなどに、東京都が出資している第三セクターなんですから、使えるように働きかけるとか、そういうことはせめて今後検討していかなくちゃいけないと思うんですが、いかがでしょうか。
○若林保健福祉部長 シルバーパスの利用できる交通機関の拡大ということでございますけれども、これまでも、モノレール以外にも、「ゆりかもめ」、JR、私鉄等、こういった交通機関についてはシルバーパスの適用をしてきていないところでございます。現行のバス協会に対する補助方式ということでは、これ以上の拡大はできないというふうに考えております。
○曽根委員 できない。制度上できないんじゃなくて、制度上は、やろうと思えばできますよね、その事業者との協議で調えばね。やる気がないわけですよね。だから、はっきりいって、民間の事業に投げたら東京都の責任がなくなるものだから、そういうことの意欲もなくなっていくというのは、本当にまずいと思うんです。
私ども、せめて制度の適用範囲を広げるというぐらいのことを、まだ東京都の条例事業なんですから、そういう意味ではちゃんと検討すべきだということを申し上げて、質問を終わります。
○石井委員 まず、介護保険についてお伺いいたします。
介護保険がスタートして八カ月たったわけであります。当初私たちが予想していたように、準備不足、また拙速、見切り発車という状況の中で、さまざまな問題点が表面化しております。私たち公明党としても、各都道府県の県本部と連携をとってアンケート調査等を行い、できた以上は、これは改善をしながら進める以外にないわけでありますが、そうした点に立ってまずお尋ねいたしますけれども、介護保険を実施するに当たって、施設でありますが、地域によっておくれている特別養護老人ホーム、またデイサービスセンター、さらに痴呆性高齢者のグループホーム等について、ゴールドプランの前倒しを国に要求するなどしてこの整備を急ぐべきだと思いますが、いかがですか。
○金内高齢政策部長 介護サービス基盤の整備につきましては、高齢者保健福祉計画に基づいて、現在計画的に進めているところでございます。現在のところ、施設サービスはおおむね計画どおりに進んでおり、目標はほぼ達成できるものと見込んでおります。また、在宅サービスにつきましては、介護保険の導入によりまして、民間事業者の参入が図られ、サービス量が拡大はしております。
今後とも、保険者である区市町村と連携し、企業やNPOなど多様な事業者の参入促進を図りながら、積極的に介護サービス基盤の整備に努めてまいります。
○石井委員 実態は、特別養護老人ホームはもう決定的に足らないし、そのほかショートステイ、デイサービス等々全く足らないわけであります。今国会で議論されておりまして、自公保連立政権の中でも、十二年度の補正予算の中で、こうした施設整備を組み込んでいるわけですけれども、やはり国とも連携しながら、なお一層の施設整備を強く求めておきます。
ところで、痴呆性高齢者の要介護認定は、当初予想したとおり不満が非常にたくさん出ているわけですけれども、その認定の改善をさらに図るべきだと思いますが、いかがですか。
○吉川介護保険室長 痴呆性高齢者の方々の要介護度がどうも低いという意見は、認定審査会委員の中でかなり多く出ているという話を厚生省から聞いております。
国では、ことしの七月に要介護認定の調査検討会を設置いたしまして、先生のご指摘のあった痴呆性高齢者の要介護度が低く出るという傾向についての点も含めた課題を検討を始めたということでございまして、今後の予定は、十二年度中には実態調査の実施をいたしまして、十三年度にその結果をまとめて、モデル事業を始めたいと、できれば十五年度から実施したいというような話を聞いております。
○石井委員 私は、二年前に、この介護保険を勉強するためにドイツのベルリンに行ってまいりました。やはりドイツでも、これは一九九五年にスタートしたわけですが、痴呆性高齢者に対する認定がなかなかできないという現場の話を聞いてまいりました。まさにそのとおりだと思います。きめ細かな対応を求めます。
ところで、先ほどから問題になっておりました低所得高齢者に対する対策、料金、それから一割の負担は、やはりこの介護保険の最大の問題ではないかと思います。だから、自公保三党連立政権では、半年間利用料据え置き、その後一年間は半額にするというような緊急措置をとったわけですけれども、確かに自治体の中には、低所得者の保険料を現実として減免しているところも、これは要求資料の中に出ておりますけれども、出ておりますよね。保険料を出し合うこの制度の趣旨からして好ましくないと、確かに厚生省はいっております。
また、今後、要介護者が二〇二五年には現在の二倍になるということを考えれば、確かに免除者の拡大は制度の根幹を揺るがすことになりかねないかもしれないけれども、しかしながら、今日のこの介護保険制度が、現実の問題として高齢者がこの利用料、料金を負担し切れないという面があるわけでありますから、やはりそれに対しては何らかの手を打つということは、社会福祉として大事なことではないかと私は思います。
先ほどのドイツにおける介護保険は、一切公費は入れない。これはすべて介護保険料で、社会人になったら給料の一・七%を支払うという、まさに相互扶助の保険方式であります。州や国は、ただそれを円滑にコントロールできているかどうかを監督をするだけ、公費は入れない。また、さまざまな上乗せサービス、横出しサービスについても、基本原則は自己負担。年金から天引きをする。ただし、どうしても保険料を払えない、自己負担を払えない高齢者については社会扶助費で出すというのは、日本が学んだ模範とすべきドイツの先例であります。
したがって、確かに制度の根幹を揺るがしかねない問題かもしれないけれども、本当に困っている人に対しては、何らかの手を打つべきじゃないかと私は思います。例えば横浜市が、六十五歳以上の方々については第六番目の階層を設けて、最も富める方々の保険料からそれをサポートするというような制度も実施しているわけだけれども、やはりそうした制度もあるということを、それぞれの実施主体である区市町村にPRすることも大事じゃないかというふうに思いますが、いかがですか。
○吉川介護保険室長 ただいま先生からドイツの例も含めてお話がございまして、今全国自治体の中で、先ほど来私の方の答弁の中でも触れました法令の中で設けられた制度としては、ご指摘のとおり、横浜市が、いわゆる五段階を六段階にしたところでございます。要は、第一段階、第二段階という大変低所得者の方々のところの保険料額を下げまして、通例は全国自治体五段階方式なわけですけれども、六段階ということで、基準額の二倍納めていただくというふうな形で、全体として第一号被保険者の保険料の中でやりくりをするというようなものが横浜でございます。加えて、神戸市の方でも、五段階方式の中で工夫をしているというふうな話は聞いております。
先生のお話で、保険料の設定について、法令の中で設けられているこの方式につきましては、都内ではとっている自治体はございませんけれども、この方式をとる場合には、所得段階等についての変更について、客観的な指標等について設定することが難しいのかとも思いますので、区市町村等から相談があった場合には、私どもとしても援助していきたい、指導していきたいというふうに思っております。
それから、最後に一点だけ申し上げますが、先生、ドイツの方での扶助法の話がございました。介護保険法は十二年四月に施行されたわけですが、ご案内のとおり、法の施行に合わせまして、関連法の改正で生活保護法が改正されまして、介護扶助が日本にも導入されたというのはご報告させていただきたいと思います。
○石井委員 部長おっしゃったように、生活保護法の中に介護扶助が導入されたと、これはすばらしいことであろうと思います。ですから、最悪の場合はそこで扶助をするということだと思います。
これは前川室長に感想を後でお尋ねしたいんですが、介護保険制度は、ドイツでは、二十年間徹底的な議論をした上で、国民的な議論をした上で、一九九五年にまず法律を通し、そして料金を徴収する。半年後に在宅福祉をスタートさせ、さらにその半年後に施設福祉をスタートさせるという、この三段階を踏んで、段階を踏みながらスタートさせた。それでも当初はかなり混乱したということであります。
日本は、わずか一年の議論の中で拙速に通してしまった。細かな二百項目にわたる重要項目も政令、省令に任されていて、スタートする直前までわからなかったという、それで混乱があったと思いますけれども、いずれにしろ、今後の二〇二五年には現在の高齢者が今の二倍になるということを考えれば、介護保険は、果たして保険制度がいいのかどうなのか、これは、利用料から何から大変大きな問題になると思うんですよね。
一つは、やはり総事業費そのものを圧縮していくような方法を考える必要があるんじゃないか。総事業費が約四兆二千億、半分は保険料、その半分は国、その半分は都道府県と区市町村となっているわけですけれども、例えばヘルパーなんかでも、公務員ヘルパーを基準としてこの総事業費を出している。何でもかんでも公務員ヘルパーが基準では、もう制度が立ち行かなくなるのは当たり前であります。やはりボランティアとかNPOとか、善意の市民の皆さんの力もかりていく。そういうことに応援した人たちは、やがて自分たちがその立場になったときに、その介護保険でお返しをしてもらうというような、そういう制度も導入していかなければ、私はこの制度は立ち行かなくなるんじゃないかなと。
それから、根本的な問題として、保険方式がいいのか、それとも税方式がいいのかというこの議論も、今後、これは当然国民的議論が沸き起こっていくと思いますけれども、そうしたことも視野に入れながら、五年後にはこの見直しということでありますから、やっぱりよりよい制度にソフトランディングさせていく、また、東京都もそういう研究をしていくということが大事だと思いますが、所感を伺います。
○前川高齢者施策推進室長 ただいま石井委員から二点のご指摘があったわけですが、第一点目の、この介護保険制度、そもそも保険方式がいいのか、税による負担がいいのかということでありますが、当然ご存じのとおり、現在の制度自体も、半分は公費、一般財源で見ているわけであります。そういう意味では、保険料で全部見ているわけではないんですが、ただ、あえて申し上げれば、生活扶助を受けている場合であっても保険料を払うようにしているという趣旨、それはあると思うんです。
つまり、どんなに貧しい人であっても、いわば一部の負担をすることによって、お互いを支え合っていくと。それによって、またサービスの供給量、それから質の充実が図られていくといいますか、そういう面がある、それは無視できないなと思っております。ただ、いずれにせよ、これはやはり全国民的あるいは広く都民の間でも議論すべきことであろうと思います。
二点目の総事業費の圧縮の問題ですが、これはまさに、ご指摘がありましたとおり、介護保険制度の趣旨でもありますけれども、単に社会福祉法人だけではなくて、区市町村だけではなくて、NPOであったり、企業であったり、ボランティアであったりとか、そういった多様な事業主体がいろいろなサービスを供給していく、それによって全体の底上げが図られていくというシステムでありますから、それはぜひ徹底していただきたいと我々は思い、また、そういうふうに誘導したいと思っております。
さらに、総事業費の圧縮のためには、当然、単に狭い意味での介護保険の世界だけではなくて、いわゆる元気高齢者といいますか、介護予防事業といいますか、そういったことについても、区市町村を主体としてぜひ努力をしていただきたい、都としても協力をしたいと思っております。
いずれにせよ、今の二点の議論も十分踏まえながら、私どもとしては、国が約束をしている五年後の見直しを待たずに、都は率先して問題点の洗い出しと、場合によっては国への提案もやっていきたいと考えております。
○石井委員 非常にいい答弁だと思います。
今もう一ついい忘れたのは、ドイツの場合は、現金給付の家族介護が全体の八割だということなんですよね。日本は、お年寄りを家族で支えるのは、これは気の毒だということで否定--離島なんかでは認めるようですが、否定されておりますけれども、ドイツは、高齢者は社会全体で支えるものであると。したがって、家族介護をする方々については、その現金給付がなされている。これも、実は総事業費を圧縮する一つの方法でもあるなと思います。
それから、今室長がおっしゃいました、何といったって八割の人は元気なんですからね。元気なんだから、より元気高齢者をつくっていくということがやはり大事ですよね。
次に、老人医療費の助成についてお伺いいたします。
先ほどからいろいろと議論がありましたけれども、今回老人医療費を見直しをした理由を、改めてポイントをつかんで示してください。
○若林保健福祉部長 東京都の老人医療費助成事業、マル福制度の見直しについてでございますけれども、昭和三十四年、国民健康保険制度が都内全域に利用されるようになり、医療の皆保険体制が整ったところでございます。しかしながら、これら保険を利用しても、所得が低い高齢者にとって、医療保険の三割から五割の自己負担分の支払いが困難なため治療を受けることができない者がまだまだ多かったと。このため、都としては、高齢者の保健福祉の向上を図るために、七十歳以上の老齢福祉年金受給者などを対象として、昭和四十四年から、医療保険の自己負担分を助成する老人医療費助成制度を先駆的に開始したところでございます。
その後、年金制度や医療保険制度が充実されたこと、高齢者の可処分所得が若年世代と遜色がなくなってきたことなど、高齢者を取り巻く状況は大きく変化しました。その結果として、制度の基本的な構造を変えずに来ましたけれども、制度の基本的な構造を変えずに事業展開してきたために、若年世代との間に負担の不公平が生じてまいりました。また、高齢者への医療費の助成が国の老人保健への負担分を含めて七百五十二億円と、高齢福祉予算の約三分の一を占めるようになり、新たな施策の展開は困難になってきていることなどの課題が生まれてきたわけでございます。
これらの変化に的確に対応して新たなニーズにこたえていくということから、本制度を見直したものでございます。
○石井委員 若い世代との負担の不公平が出てきたというお話がありましたけれども、もう少し具体的にいってください。
○若林保健福祉部長 若年世代との負担の不公平の問題でございますけれども、医療保険制度につきましては、働く世代の方々が納める税金で負担をしているということから、歳出がふえてくれば、当然のことながら、働く世代の方々の負担していただく税でもっともっと多く負担しなければいけないということから申し上げたわけでございます。
○石井委員 それから、医療保険制度が充実してきたから見直しをするんだという話がありましたけれども、どういう点が充実したんですか。
○若林保健福祉部長 医療保険制度の充実の経過についてご説明申し上げます。
主な改正経過でございますけれども、昭和四十八年に、被用者保険において、家族、外来、入院とも、五割負担から三割負担に軽減されております。また、昭和五十六年に、家族、入院が二割負担に改正されたところでございます。さらに、昭和五十八年には老人保健制度が施行されました。また、五十九年には、国民健康保険において退職者医療制度が創設されて、本人負担二割、家族、入院二割、外来三割となったところでございます。
続きまして、昭和四十八年に、保険診療の自己負担金が高額になった場合につきましては、その負担が家計に与える影響を考慮しまして、医療保険各法によりまして、保険給付として高額療養費制度が適用になり、高額療養費が支給されるということになったわけでございます。また、昭和五十年に、四十八年に創設されたものが法定給付化されて、全被保険者に実施されることになりました。また、昭和五十六年には、低所得者世帯、住民税非課税世帯でございますけれども、一般よりさらに自己負担金限度額を低くして、充実してきております。昭和五十九年には、世帯合算、多数回該当などを導入してより一層の負担の軽減を図ってきて、医療保険制度の充実が図られてきたというふうに認識しております。
○石井委員 ところで、やはり医療費助成がなくなると、特に低所得の方々は非常に困ると思うんだけれども、そうした低所得者の人に対する配慮というのは、どういうメニューがありますか。
○若林保健福祉部長 低所得者に対する負担の軽減につきまして、医療費の本人負担と保険料に分けてご説明申し上げたいというふうに思います。
医療費の支払いについてでございますが、低所得の方々には、先ほど申し上げました高額療養費制度で、医療費の本人負担限度額を一月三万五千四百円、これは、一般は六万三千六百円でございますが、低所得の方に関しましては三万五千四百円と、軽減措置を図っているところでございます。また、入院時の食事療養費の負担額を、一般では七百六十円ということを、九十日までは一日六百五十円、九十一日目以降は一日五百円ということで、負担軽減を図っているところでございます。
国民健康保険料についてでございますが、低所得の方々に対しましては、保険料の六割または四割、特別区では七割、五割というふうに適用しておりますけれども、保険料の減額賦課を行っているところでございます。一時的に生活が困難になった方につきましては、収入が減免基準を下回る場合には、保険料の一部または全部の納付を免除しております。また、災害、貧困その他特別の事情がある場合には、一部負担金の減免または徴収の猶予を行っているということで、低所得者の方々に対する配慮をしているところでございます。
つけ加えまして、東京都におきましては、今年度新たに高齢者いきいき事業を実施しているところでございますが、老人医療費貸付資金補助事業も設けまして、高齢者の医療費の負担軽減を図っているところでございます。
○石井委員 そうすると、今回、六十五歳から六十九歳までの方々に対する医療費の助成が見直しをされるわけだけれども、本当に困った人については、そうした今部長のおっしゃったような制度、メニューでサポートすることはできることになるわけですか。
○若林保健福祉部長 低所得の方に対する施策は、これに加えまして、生活福祉資金の医療費の貸付制度もございます。また、先ほど来出ておりますけれども、本当に生活が困窮している方につきましては、生活保護法の医療扶助も受けられるということで、セーフティーネットは用意されているというふうに考えております。
○石井委員 それから、高齢者への医療費の助成を今までどおり、従来どおり変えないで続けた場合、十年後、いわゆる今後はどうなるか、お尋ねいたします。
○若林保健福祉部長 東京都の老人医療費助成制度、マル福の十二年度の対象者数が四十三万人、助成額が二百七十二億円ということで、十年後、平成二十二年度、現行制度のままで推移したという前提でございますけれども、十年後の平成二十二年度におきましては、四十九万人、三百八億円ということで、大きく助成額がふえるというふうに推計しております。
○石井委員 それから、この医療費助成制度が創設されたころの高齢者の平均寿命、わかりますかね。それで今はどうなのか。
○金内高齢政策部長 恐れ入ります、事業概要の三ページにそれが載っておりますのでちょっとごらんいただきたいんですが、老人医療費助成制度、昭和四十四年だったかと思いますが、これは四十五年の数値が載っております。三ページの上の方の表でございますが、女性の場合が七十四・六六歳、男性の場合が六十九・三一歳ですか、ずっと右を見ていただきますと、平成十一年に八十三・九九歳と七十七・一〇というふうになっておりますので、十歳弱平均寿命が延びているということでございます。
○石井委員 それから、見直しをしたその財源を包括補助事業に充てたと。先ほどからいろいろお話がありましたけれども、確かにこの包括補助事業は、それぞれ区市町村が独自で行っていて、かなりユニークな事業をやっていますよね。連れそって銭湯、品川区。豊島区、要介護高齢者援助スタッフ専門相談事業、それから、高齢者の虐待を早期に発見する事業。足立区、あんしんネットワーク事業。ひとり暮らし高齢者や高齢世帯、高齢者の介護に携わる家族が抱えている問題点を早期に発見してケアすると。江戸川区のデイハウス「うりだまん」。外国人の高齢者にも対応できるデイサービスを行う。武蔵野市のテンミリオンハウス事業。地域の実情に応じた市民の共助の取り組みに対し、年間一千万円の中で市が運営の補助を行う。町田市のメンタルケア。介護保険では補うことができない高齢者と家族の心のケアに着目して、精神面から補助を行う。日の出町の温泉宅配サービス。奥多摩町の高齢者災害情報連絡用通信機器事業。台風、地震災害により、ひとり暮らし高齢者や高齢者のみの世帯に対して、孤立した場合の情報連絡方法として、衛星携帯電話を整備して、そうしたお年寄りをサポートすると。非常にさまざまな独自事業を行っている。これは、見直しをして、その財源を充てたからできたわけであります。
こうした包括補助事業、実はこれは半額区市町村の負担であるということで、非常に二の足を踏んでいる。各区市町村も厳しい財政状況の中で、できないところもあるわけであります。すべてとはいわないけれども、それぞれのメニューによっては、東京都はもう少しこの補助率を上げるなどして、こうした元気な高齢者をつくるための、また病気の高齢者を出さないための工夫をやっぱり都としてもすべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○若林保健福祉部長 東京都の高齢者いきいき事業につきましては、すべての高齢者が安心して地域で暮らせるということで、地域福祉の主体である区市町村が、先生ご紹介がありましたように、きめ細かな高齢者施策を展開できるような、柔軟な包括補助制度として定着しつつあるわけでございます。
今後とも、本事業がよりよい事業となるように、区市町村と十分協議をしまして、その中にも、事業によっては、先生ご指摘の補助率の問題等も区市町村から提案があるかとは思いますけれども、十分協議をした上で実施してまいりたいというふうに考えております。
○石井委員 それから、この老人医療の見直しをして、都民福祉はどう進展したのか、具体的にお尋ねいたします。
○金内高齢政策部長 都の高齢者施策につきましては、昭和四十年代にその骨格を固め、基本的な構造を変えずに事業を実施してまいりました。しかし、社会経済状況の変化、すなわち、年金、医療保険制度の充実、あるいは介護保険制度の創設、急速な高齢化に、需要の増大あるいは多様化、これを支える現役世代の負担の急増、これらに適切に対応する必要があることから見直したものでございます。
したがいまして、見直しは、新たな時代に適合した施策への再構築、このために行ったものでございます。具体的には、要介護から元気な方まで、すべての高齢者の社会参加だとか健康維持、あるいは住まい、日常生活、介護等、さまざまな対応を視野に入れた総合的な施策を展開しようということで展換したものでございます。
○石井委員 今、日本共産党は、全都的にこういうチラシをまいております。「東京の福祉が大ピンチ」ということで、東京の福祉が大ピンチだと。そして、さらに福祉の切り下げがと。自民、公明、公約を投げ捨て切り下げにすべて賛成。自民党や公明党は、都議選でのシルバーパス現行どおりの存続、福祉を守るという公約を投げ捨てて、すべてに賛成した。民主党や社民党も障害者福祉の切り捨てを除いて賛成したと、こう書いてあるんですけれども、東京都は福祉の切り捨てをしたんですか。
○前川高齢者施策推進室長 私どもは、社会福祉につきましては、東京都のいろいろな行政分野の中で最も重要な分野の一つであると確信をして仕事をいたしております。その場合、具体的な中身であるいは意見が異なるかもしれませんけれども、少なくとも、利用者がみずから多様なサービスを選択して、いわば豊かな地域生活を送れるようにしていく、これが大目標でございます。そのためにいろんな方策を工夫しているわけでございます。
例えば、平成十三年度の予算要求につきましても、今回、都の事業局、いろんな要求をしておりますけれども、事業局の中で積極的なプラス要求をいたしましたのは、私ども高齢者施策推進室と福祉局、それと都市計画局、この三局だけでございます。
○石井委員 それから、このチラシには、九月発表の東京構想中間のまとめでは、都は今後福祉の仕事から手を引き、民間企業任せ、都民に一層高負担を押しつける、サービス切り下げを進めようとしていますと、こう書いてあるんだけれども、そういうことでしょうか。
○前川高齢者施策推進室長 私ども、どういう根拠でそういう主張が行われているのか詳細にいたしませんが、私どもとしては、利用者に対する社会福祉サービスの総量をふやす、質も上げると。ただ、そのための方法論としては、私どもは例えば企業性悪説をとっているわけではありませんので、場合によっては市場も利用するし、それから、当然NPOとかボランティアの方々にもご活躍をいただくと。それからまた、私ども行政が当然守るべき、あるいは実施すべき福祉インフラの整備であるとか弱者の保護とか、そういったことについては最大限の努力を行う覚悟でございます。
○石井委員 それから、石原都政は都民いじめと、こう書いてありますけれども、都民いじめでしょうか。
○前川高齢者施策推進室長 都民にもいろんな方がいらっしゃいますので……。少なくとも社会福祉については、そういうことはないと思っております。
○石井委員 それから、東京都の今年度予算の中で、福祉保健の比率はどういう状況か、お尋ねします。
○金内高齢政策部長 平成十二年度東京都予算で、福祉と保健の割合は、全体の一一・五%でございます。
○石井委員 それで、したがって、東京都の予算に占める福祉は切り捨てなんですか。切り捨てというこの記述が合っていますか、そういう数字から判断して。
○金内高齢政策部長 平成十二年度予算におきましても、一般会計の増減率が四・九%減に対しまして、高齢者施策推進室は〇・八%の増でございました。先ほど室長の方から来年度予算につきましてもお話がありましたとおり、十三年度予算につきましても、積極的な予算要求をしているところでございます。
○石井委員 それから、シルバーパスについてですけれども、東京都はシルバーパスを切り捨てたんですか。
○若林保健福祉部長 シルバーパス制度につきましては、世代間の公平を図るなどの課題を解決するために、都議会の審議を経て見直しを行ったものでございまして、引き続き制度を維持し、適切なサービスを実施しているというふうに考えております。
○石井委員 そうして、その見直しした財源は何に使っていますか。シルバーパスの見直しをした財源は何に使いましたか。
○若林保健福祉部長 先ほど来答弁申し上げましたけれども、コミュニティバスの導入や高齢者の移送サービス、高齢者の社会参加の仕組みづくりなど、高齢者いきいき事業を新たに立ち上げまして、区市町村のご理解をいただきながら進めているところでございます。
○石井委員 それから、この九月にシルバーパスの交付事業を行って、シルバー人材センター等にいらっしゃる方には大変喜んでいただいたわけだけれども、千円の手数料をいただくことによって、さまざまな新たな施策の展開を行い、バスの過疎地域にコミュニティバスを走らせたり、さまざまな事業を行い、そして、東京バス協会と連携をとって、シルバー人材センターの方々の雇用の場として使われたわけだけれども、どのぐらいの人が雇用されたのか。
○若林保健福祉部長 九月のシルバーパスの一斉更新に当たりましては、シルバー人材センターの会員の皆さんのご協力をいただいたところでございますが、延べ人数で申し上げますと、全部で一万五千五百六十八人、お支払いした委託金額で申し上げますと、一億二千二百八十三万五千円でございます。
○石井委員 千円のこの料金をいただく。確かに今まで全くただでしたから大変だったかもしれないけれども、月に約八十二円。そうした高齢者の方々のご協力をいただいて、一万五千人の雇用の創出の機会があり、約一億二千万の金額がそれに充てられた。さらに、さまざまな新たな施策展開をされている。共産党のいう切り捨てというのは、明らかにこれは誤りであります。
シルバーパスの見直しは、今回二回目です。青島知事時代に、あれは平成九年、財政健全化計画実施案の中でシルバーパスの見直しということをいって、これで大きな第一回の議論になった。しかしながら、平成十年に、このシルバーパスの百五十七億円の予算を生み出すために、約五百億の行政改革を行って、実はこの制度を守ったわけであります。共産党はその行政改革に全く協力しなかった。共産党は、行政改革ということを今まで一度もいったことがない。一度もいったことない。もし私に反論するならば、行政改革について共産党はどう考えるかを明確にいうべきであります。
そこで、こうした都民の皆様に不安を与えるような、十年一日としてワンパターンのこういう宣伝、プロパガンダに対しては、東京都としても、都民の皆さんが混乱しますから、混乱をいたしますから、正しいPRをしっかりやっていただきたい。室長、どうですか。
○前川高齢者施策推進室長 福祉に冷たいとか、福祉に厳しいという話が一方的に伝わることは、私ども非常に残念に思っております。そういう意味で、私どもがやっていること、それからこれからやろうとしていること、これは、いろんな機会を通じて積極的にPRをしてまいりたいと考えております。
○石井委員 実は、ことしの春も、都営住宅家賃免除の廃止というので、廃止にならないにもかかわらず、廃止というチラシが東京じゅうにまかれた。これは予算委員会で議論されたとおりであります。そして、共産党系の八王子で配布された長房団地の「ながふさ」というこのチラシでは、訂正とおわびというので、この家賃免除の廃止という記述は誤りでしたとおわびまでしている。また、東京都の住宅局の「すまいのひろば」で、このようないいかげんなチラシに惑わされないでいただきたいと、二回にわたって、「すまいのひろば」で二十五万世帯の方々に東京都は徹底的なPRを行ったわけであります。
したがって、高齢者施策推進室も、また福祉局、衛生局とも連携をとって--いい仕事をやっているんだから、東京都は。限られた財源ではあるけれども、それを生かしながら、また、福祉や医療政策、高齢者施策については、財源を削減するどころか、むしろ財源をふやしている。去年も、ことしも。そして、新たな高齢社会にソフトランディングできるように、若い方々に負担が行かないようにさまざまな工夫をしながら、いかに批判されようとも、その泥をかぶろうとも、必死で頑張っている。だから、共産党を除くすべての政党はそれを応援しているわけであります。応援しているすべての政党はあたかもみんな悪であるようなこういう宣伝がなされたのでは、私たちはたまったものじゃない。
したがって、こういういいかげんな宣伝については、正しい宣伝をぜひともMXテレビ、東京都の広報紙、それから、福祉局や高齢者施策推進室のPR紙を使いながら、正しく都民の皆さんに広めていただきたい。
それからもう一つ、共産党はこれまで、例えばシルバーパスの予算、老人医療費助成の予算、老人福祉手当の予算に賛成したことがありますか、この五年間。
○金内高齢政策部長 残念ながら賛成をいただいておりません。
○石井委員 共産党のチラシを見ると、都議会の政党はすべてだめ、そして、自分だけが正しいと。それで、このチラシにも出ているけれども、乳幼児医療費無料化は私たちがやりましたとか、できれば、みんな自分たちの成果だめなのはみんなほかの党。そんなことが社会常識で通るわけがない。二年前、共産党は、東京じゅうの学校の校舎がぼろぼろだって東京じゅうで宣伝した。ぼろぼろじゃない。四十二名の共産党の議員はそれで落っこった。
したがって、そもそもその政党のその施策、成果だというためには、第一点目には、その施策について提案をする。第二点目は、その施策実現のために財源獲得の努力をする。他会派にも働きかける。行政にも働きかける。そして、徹底した行政改革をやる。行政改革、バブルの時代に肥大化した行政組織を見直しすることは、これは都民の皆さんの税金を大事にすることですから、それをやらない共産党はまさに税金のむだ遣いであります。そうして、三番目に、その予算に賛成する。施策の提案をする、財源獲得の努力をする、そしてその予算に賛成する、この三点がそろって初めてその政党の政策、成果といえるわけであります。
そうした何の努力もしないような共産党のこうした宣伝については、東京都の英知を結集して、ぜひとも正しいPRをしていただきたい。政党である限り、いろいろ議論することは当然です。批判し合うことは当然です。正しい批判は、私たちはいかようにも受けます。しかしながら、正しくない、正当でない批判については、東京都も明確にそれを打ち返していただきたいと、もう一度室長に重ねてお尋ねいたします。
○前川高齢者施策推進室長 これまで何度もお話し申し上げましたが、私どもは、これから、新しい時代に向けた新しい福祉を東京から発信してつくっていきたいというふうに考えております。そのためには、きょうご列席の皆様方、各党のご協力をいただくことがぜひとも必要でありますので、私どもも正確な情報を伝えるように努力をいたしますが、ぜひご協力をお願いしたいと思います。
○野村委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
事務事業に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○野村委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で高齢者施策推進室関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後六時四十二分散会
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