厚生委員会速記録第十六号

平成十二年十一月九日(木曜日)
   午後一時六分開議
 出席委員 十二名
委員長野村 友子君
副委員長近藤やよい君
副委員長和田 宗春君
理事曽根はじめ君
理事石井 義修君
理事矢部  一君
藤田 愛子君
小松 恭子君
曽雌 久義君
古賀 俊昭君
松本 文明君
佐藤 裕彦君

 欠席委員 なし

 出席説明員
衛生局局長今村 皓一君
技監荻野  忠君
総務部長櫻井  巖君
企画担当部長齋藤  進君
健康推進部長上間 和子君
生活環境部長河津 英彦君
医療計画部長友松 栄二君
医療福祉部長長岡 常雄君
薬務部長山川 洋平君
病院事業部長押元  洋君
参事菊地 輝雄君
参事山下 征洋君
参事矢口 貴行君
参事大塚 孝一君

本日の会議に付した事件
 請願の取り下げについて
 衛生局関係
  事務事業について(質疑)

○野村委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 初めに、請願の取り下げについて申し上げます。
 お手元配布の一二第四六号、第九回全国結核フォーラムの東京開催に対する援助・協力に関する請願につきましては、十一月八日付をもって、議長から取り下げを許可した旨、通知がありましたので、ご了承をお願いいたします。

○野村委員長 次に、請願の付託替えについてお諮りいたします。
 お手元配布の一二第七〇号、仮称「メモリアル高幡霊園」の墓地造成に関する請願は、所管外でありましたので、議長に付託替えの申し出を行いたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○野村委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○野村委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、衛生局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより衛生局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してございます。
 要求資料について理事者の説明を求めます。

○櫻井総務部長 去る十月十七日の本委員会におきまして要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元配布の資料、厚生委員会要求資料をごらん願います。資料は、目次にございますように、1、精神障害者保健福祉手帳所持者の推移(平成七年度から十二年度)から、10、健康モニタリング(学童・成人)調査結果についてでございます。
 まず初めに、一ページをお開き願います。1、精神障害者保健福祉手帳所持者の推移でございます。
 平成七年度から十一年度までは各年度末、十二年度につきましては九月末現在の精神障害者保健福祉手帳の所持者数を、一級、二級、三級の内訳別に記載してございます。
 次に、二ページをお開き願います。2、精神障害者社会復帰施設の施設数及び都補助額でございます。
 平成八年度から十二年度まで、各精神障害者社会復帰施設別に、施設数と補助額を記載してございます。
 次に、三ページをごらん願います。精神障害者授産施設(通所)と他の障害者授産施設(通所)との比較でございます。
 施設概要及び主な補助内容につきまして、各施設区分別に記載してございます。
 次に、四ページをお開き願います。4、都保健所における保健婦・診療放射線技師定数の推移(平成九年度から十二年度)でございます。
 (1)には保健婦、(2)では診療放射線技師の、各年四月一日現在の定数を保健所別に記載してございます。
 次に、五ページをごらん願います。5、多摩東村山保健所におけるCR(コンピューテッド・ラジオグラフィー)検診車導入前後の撮影等の実績でございます。
 平成九年度から十一年度にかけてのエックス線撮影件数、経費、検診体制について記載してございます。
 次に、六ページをお開き願います。6、看護職員需給見通しと看護婦等業務従事者届け数でございます。
 (1)には、平成十年から十四年までの各年十二月三十一日現在の看護職員の需要数と供給数及び達成率の推計値をグラフにより示してございます。
 (2)には、平成十年十二月三十一日現在の都における看護婦等業務従事者届け数を職種別に記載してございます。
 次に、七ページをごらん願います。7、救命救急センターを有する都立病院における救急患者取り扱い実績の推移でございます。
 平成七年度から十一年度までの救急患者数について、病院別、救急来院後の患者さんの治療状況別に記載してございます。
 次に、八ページをお開き願います。8、都立病院における業務委託の状況でございます。
 病院ごとの平成十二年十月一日現在の委託状況を記載してございます。(注)にありますとおり、表の〇印は全部委託、△印は一部委託、☆印は直営でございます。
 なお、網かけ部分でございますが、直営から委託に十二年度で変更がありました部分を示してございます。
 次に、九ページをごらん願います。9、重症心身障害児緊急入所の施設別病床数(平成十二年度)でございます。
 在宅の重症心身障害児(者)の緊急入所を実施している施設につきまして、その所在地と病床数を記載してございます。
 次に、一〇ページをお開き願います。10、健康モニタリング(学童・成人)調査の結果についてでございます。
 健康モニタリング調査については、その目的、調査内容、調査結果、その後の対応につきまして、それぞれ記載してございます。
 以上で、ご要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○野村委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより事務事業に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○近藤委員 雪印乳業の一連の関連の事件のときに、新聞、マスコミ等を通じて、HACCPの承認を受けた施設で、このような事故というか、事件が起こったということが大変ショッキングに取り上げられたわけですけれども、そもそも、このHACCPシステムというものはどんなシステムであるのか、現在最も進んだ食品の衛生管理手法というふうにいわれておりますけれども、我が国におけるこのHACCP承認制度の仕組みについてまず伺います。

○河津生活環境部長 HACCPシステムにつきましては、アメリカの航空宇宙局で開発されました食中毒防止等に有効なすぐれた衛生管理手法でございます。それは、食品製造の各工程につきまして、危害に結びつく可能性をあらかじめ分析をしまして、特にこの辺が危険性が高いという重要な工程を重点的に管理することによりまして、食品衛生上の危害発生を予防するシステムでございます。
 我が国では、平成八年から、HACCPシステムに基づいた総合的な衛生管理を実施している施設に対しまして、厚生大臣の承認制度が導入されました。承認制度は、営業者が直接厚生大臣に申請をし、国の審査を経て承認される仕組みになっておりますけれども、申請に当たっての事前の指導は都道府県等が行うこととされておりまして、都におきましては、営業者がHACCPシステムによる衛生管理の計画を作成する際に、担当保健所が中心となって、専門的な立場から適切な助言、指導を行っているところでございます。

○近藤委員 現在都内には、承認施設は幾つあるんでしょうか。

○河津生活環境部長 都内における承認施設の数は、現在では十一ございます。

○近藤委員 都としては、これからも、このHACCPの承認を受けるように、それぞれの施設等を指導していくというか、これからも承認施設をふやしていくというようなお考えでいらっしゃるんでしょうか。

○河津生活環境部長 食の安全のためには、基本的には自主管理が基本でございますので、いわゆるすぐれた管理手法を使ったこのような施設がふえることを願っておりますけれども、何分にも非常に時間のかかるといいましょうか、さまざまな工程を分析してみずからつくり上げていく、それに東京都がお手伝いをするということでございますし、それから、国は、あらかじめ厚生省の承認施設は決まっておりますので、どのように、どれだけふやせるかということはこれからの課題でございますけれども、姿勢としてはふやしていきたいということでございます。

○近藤委員 今の部長のご答弁ですと、ある程度の規模を持った施設でないと、やはりこのHACCPの承認は難しいのかなというふうに思いますけれども、その辺のところの、この程度の規模のところに対してこのHACCPの承認を出すというような厚生省の基準というようなものはあるんでしょうか。

○河津生活環境部長 厚生省は、牛乳であるとかあるいはバターなどの乳製品、これは幼児等がいろいろ直接口にするものですし、基本的な、いわゆる生の食品ということでございますし、それから、食肉製品であるとか魚肉練り製品とか、幾つかの種別につきまして、国が詳しくその工程を定めて、このようにやりなさいというマニュアルが決まっております。そのマニュアルどおりにやりませんと承認されませんので、そういう点で、厚生省の承認をするHACCPシステムの施設というものについては、それなりの規模のあるところでないと難しいのではないか、そういうことでございます。
 ただ、その精神でやるということでは、業種が小さくても当然できるわけでございますので、同じような手法でやるということは全体に広げたい、そういう考え方でおります。

○近藤委員 では、これらの都内のHACCP承認施設に対して、都は従来どのような監視または指導の体制をとってこられたんでしょうか。

○河津生活環境部長 東京都の指導でございますけれども、先ほど申し上げましたような種別で、現在都内には、牛乳とかバター等の乳製品の製造施設が七ございます。それから、食肉製品を製造するのが二施設、魚肉練り製品製造が二施設、合わせて十一の承認施設がございます。これらの承認施設に対しましては、随時収去検査等の監視指導を行ってきているわけでございます。
 さらに、昨年度の時点では十施設ございましたので、その中で、承認後一年未満の一施設を除く残りの九つの施設につきまして、承認を受けたHACCPプランどおりの衛生管理が適切に行われているかどうかにつきまして、それを検証するために、より徹底した監視指導を実施いたしました。
 なお、現在承認を受けている十一施設と申しますのは、昨年、承認後一年未満のために検証を見送ったものが一つと、それから、今年度になって、六月でございますけれども、新たに承認を受けた施設が一つ出てきておりますので、その分が残りの二施設ということになります。
 また、乳処理施設につきましては、食品環境指導センターに専管の組織を置きまして、より専門的な見地から監視、指導を行ってきているところでございます。

○近藤委員 そうすると、今のところ、十一施設の中で、指導を行っていないというか、立ち入りの調査をしていない施設は二施設というふうに理解してよろしいんですか。

○河津生活環境部長 立ち入り検査等は随時行っておりますので、それぞれ年間に数回、恐らく毎月のような形で入っているかと思います。それ以外に、パイプラインとかタンクの工程を全部チェックする、そういった徹底した指導を行うのが、昨年は年に一回基本的にやってきたということでございます。
 新しい施設につきましては、立ち上がるときに全部チェックをいたしますので、立ち上げの時点で、承認を受ける時点でチェックをいたしました。
 それから、昨年の残りの一施設につきましては、本年の九月に既に最初の一年の間のチェックといいましょうか、それは済ませております。

○近藤委員 では、具体的に雪印乳業による今回の大規模な食中毒に話を絞りますけれども、これに対しては都はどのような対応をなさったのか、具体的にご答弁をお願いします。

○河津生活環境部長 本年七月、都は、特別区とともに、厚生省通知に基づいて、都内の全乳処理施設の緊急一斉検査を実施いたしました。その結果、雪印乳業の日野工場におきまして、承認申請時のHACCPプランにはない貯乳タンクの使用が認められましたために、当該貯乳タンクの使用中止を指導いたしますとともに、製品の安全確認を行いました。これは収去をして検査したということでございます。
 その後八月に、北海道の雪印乳業大樹工場で製造されました原料の脱脂粉乳についても問題があったことが判明いたしましたために、都では、当該工場で製造された脱脂粉乳の都内乳処理施設での使用の有無について調査をいたしました。その結果、問題となった製品については使用されていないことを確認いたしました。

○近藤委員 質問の冒頭でも申し上げましたとおり、今回の問題は、報道を通じて、このHACCPの承認を受けた施設であるにもかかわらず、このように大規模な食中毒が起こったというところが、マスコミにも大きく取り上げられたわけですけれども、このHACCPの承認制度そのものに何か課題があるのか。その辺のところ、今回HACCP承認を受けた施設で、どうしてこのような食中毒が起こってしまったのかということについての東京都の認識について伺います。

○河津生活環境部長 HACCPのシステムそのものは大変すぐれたシステムということを認識しております。従来は、HACCPの承認どおりにきちんと行われているかどうか、これは、検査をしながら、記録等をチェックしたり、あるいは聞き取り調査をしたりしてきていたところでございます。
 ところが、今回の場合には、そういう意味では、HACCPの承認どおりに行っていなかったというところでございまして、行っていれば、そのとおりやっているかどうか、あるいはそのとおりやられていない部分にどこに問題があるかということを点検して、助言、指導してきたわけでございますけれども、そういう意味では、従来の相手方を信頼した上で指導してきたというやり方に対して、ある意味では反省をしなければならないかなというふうに考えております。
 そういう意味では、当然承認どおりに行われているということだけではなくて、当然が当然でないこともあり得るというところも心の中に置きまして、今後は指導しなければいけないというように考えております。

○近藤委員 承認どおりに行っていなかったということを、結局は行政が把握できなかったことによって、今回はこのような大規模な食中毒が発生したのではないかなというふうに思うわけですけれども、そうすると、HACCP制度を今後有効に機能させるためには、どうしても行政がきちんとチェックしていかなければならない、状態を把握していかなければならないということが課題ではないかなというふうに思います。
 この辺のところを受けて、都は今後どのようにこの点について取り組んでいかれるおつもりか、お答えください。

○河津生活環境部長 HACCPプランが適切に実施されているかどうかの検証ということを行っていかなければいけないわけでございますが、基本的には製造者みずからが行うべきものでありますけれども、今回の事件を通じて、改めて行政による適切な検証の必要性が認識されたと考えております。
 これまでも、都は、承認施設を対象に検証を実施してまいりましたけれども、今後は、重点管理項目を設定しまして、立ち入り日数をふやすなど、今まで以上にきめ細かな監視指導に努めていく所存でございます。

○近藤委員 今、重点監視項目を設定して、日にちをふやすなど、今まで以上にきめ細かな監視指導というふうにご答弁になったわけでございますけれども、実際に監視をする専門員の方々、HACCPという制度が大変に新しくて高度な技術を要するというようなシステムである以上、監視に入る人たちの指導もきちんとしていかないと、中も見ていかれないというふうに思うんですけれども、監視員の指導体制については、今後どのようにお取り組みになるおつもりでしょうか。

○河津生活環境部長 検証に当たる食品衛生監視員の動き方が重要なわけでございますので、厚生省も、基準カリキュラムを示しまして、HACCPシステムの検証を行うことができる監視員の養成のための検証を行うようにということになっております。都といたしましては、平成十年度から、五カ年計画ですべての食品衛生監視員が受講できるように実施してきたところでございまして、既に約六割の監視員が研修を受けております。
 ただ、雪印の工場の反省もございますので、従来どおりではなくて、さらに今後は研修の内容を充実させまして、より実践的な監視員の養成に努めていきたいと考えております。

○近藤委員 今、雪印の事件を受けてというお話がございましたけれども、今のところ、平成十年度から始まって五カ年計画で六割ということでございますので、あとの四割については、いつごろをめどに全部の研修を終える予定でいらっしゃるのでしょうか。特に平成十三年度については、どの程度までこれを伸ばすおつもりであるのか、お答えください。

○河津生活環境部長 残りの四割につきましては、平成十四年度までに全員研修が終わるようにいたします。来年度につきましては、できる限り多くの職員が研修できますように努力をいたします。

○小松委員 それでは、まず保健所関係について伺いたいと思います。
 今、保健所は、あらゆる点から住民の命と生活を地域の中で守っていくという大切な役割を担っていると思うのですが、都は、この保健所の役割についてどう考えられ、またこの保健所をどう位置づけているのか、基本的な理念といいましょうか、お聞かせ願いたいと思います。

○櫻井総務部長 都の保健所の理念、役割ということでございますけれども、保健所は、地域の各種の保健サービスの提供、地域における生活衛生の安全確保を図りまして、総体として地域保健水準の維持向上を図っていくという役割があるというふうに理解しております。
 しかし、母子保健事業の市町村移管や介護保険制度の実施など、保健、医療、福祉の分野では、サービスの総合的な実施主体である区市町村を中心とした施策展開が進展しております。このような流れを踏まえまして、都としては、今後、身近できめ細かな対応が必要なサービスは市町村が実施することが望ましいと考えております。
 したがって、今後の都の保健所は、その専門性を生かして、市町村を支援しつつ、今後の新たな地域保健ニーズに迅速かつ的確にこたえていけるような役割が求められているというふうに考えております。

○小松委員 そこで、私が危惧しておりますのは、この住民にとって公衆衛生行政の機関として本当に大切な保健所が、今のような、身近なものは区市町村へとか、また専門性を生かしてというような言葉で、何かガラガラと音を立てて壊されていくような感じがしてならないのです。
 それは、例えば多摩についていえば、平成九年に多摩にあった十七の保健所を十二にしてしまった。そして、十四あった保健相談所もすべて廃止してしまった。このことによりまして、いただいた資料でも明らかですが、保健婦は二百三十四人から百九十二人、この八年から九年にかけて一挙に減らされているわけです。このことによって保健婦さんの担当区域は大変に広大になったわけです。保健婦にとって一番基本であります対人サービス、訪問サービス、こうしたサービス低下というのは免れないのではないか。
 住民からも、例えば精神障害者の方やその家族の方々からも、だんだんと保健婦さんに来てもらえなくなってきた、なかなか会えない、こうした苦情が大変多くなっております。また一方、飲食店の方々などを含め、保健所が遠くなって大変不便になった、こういう声も聞かれます。
 東京都は、この平成九年度の再編整備を、機能強化を目指して地域保健推進室も新設したんだ、こうおっしゃっておりますが、今この三年間を振り返って、本当に機能強化したといえるのかどうか、新設した地域保健推進室はしっかり機能しているのかどうか、三年間の総括はできているんでしょうか、お伺いしたいと思います。

○櫻井総務部長 平成九年の保健所の再編整備というのは、母子保健事業の市町村への事務移譲というのが大きな契機となりまして、地域の保健サービスのメーンの事業がなくなっていくということの中から再編を行ったということでございます。そういう中で、都の保健所の機能強化の中心を、今先生おっしゃいましたように、企画調整、調査機能の充実強化ということに重点を置いたところでございます。
 したがって、平成九年の再編整備後、地域保健推進室は、地域保健医療計画の策定、地域医療システム化の推進事業等、各種施策に取り組んできております。その結果、市町村への支援が進んできており、また、二次保健医療圏に着目したさまざまな保健医療施策が展開され、定着してきていると理解しております。
 新基幹型保健所におきましても、企画調整機能の重要性を増すものと考え、二次保健医療圏を単位とした施策にも積極的に推進していけるように取り組んでいるところでございます。

○小松委員 残念ながら、今のお答えの中には、先ほど私が大変問題にしました保健婦活動の対人サービスや訪問サービス、それらに対することにも触れられていない。精神や難病対策、この三年間で本当に機能してきたというのかと申し上げたいんですね。これ以上お聞きしても--まだ総括は、私はそれではなっちゃないということで、ぜひこれからも検証していただきたいということにしておきますけれども、こうした段階で、今回アクションプランが発表されております。
 これは、中身をよく見れば見るほど驚くんですが、十七カ所を十二カ所にしたということで、これは保健所足りないじゃないかと。例えば、私は東村山というところに住んでおりますが、今まで東村山と小さな市の大和を一緒にして東村山保健所でやっていた。それが今度は、東村山保健所は、東村山と清瀬と久留米と三市。久留米も大きな市ですからね。小平に至っては、小平が一つの保健所で一つの市だった。ですから、あの市は、保健婦さんが全部で十五人いるんです。というのは、市の保健婦さんと保健所の保健婦さんを合わせると十五人。その方々が、町が十五あるので、その十五の町を分担して、それぞれ住民の中に入っていった。それでもまだ不十分なんだ、十分じゃないんだと保健婦さんはいいながら、必死に走り回っていた。もうそういう姿が見られなくなるんです。これをきちっと検証していただきたい。
 それを申し上げている矢先に、今度は、十二カ所にしたばかりなのを、基幹保健所と地域型保健所に十四年度はしていくんだ。それも、その後できるだけ早くといっているかどうかわかりませんけれども、行く末はこの保健所を二次医療圏に一つにするんだ。そうすると、二次医療圏に一つということですから、多摩では五カ所になってしまうわけです。新基幹型保健所体制というこのあり方、これで、先ほど私が申し上げたような対人サービス、そちらはもう対人サービスは一切必要ないとおっしゃるなら、市町村にということで、それはそれで……。
 私、ここでいい方がちょっと前後しておりますけれども、市町村というのは、あくまでも出ていくところではないんですね。みんな申請主義なんですよ。幾ら精神保健が今度は市町村に移ったからといっても、それは市町村の職員が、本当はもっともっと出ていかなければならないんだけれども、なぜか福祉も申請主義です。唯一みずから出向いていって、地域の中に、住民の中に入って、その中でその住民の公衆衛生を守ってきたという唯一の行政機関なわけです。
 そうしたことを本当にやめてしまって、この体制でやっていけるのかということ、もう一回お聞きしたいと思います。

○櫻井総務部長 保健所の業務につきましては、これまでも、例えば老人保健事業が市町村の事務になるとか、あるいは母子保健事業が市町村の事務になるとかということで、法定移譲という形でもって、従来、対人サービスと今先生おっしゃいましたけれども、そのメーンであった事業が市町村の事務になっております。したがって、対人サービスの分野においては、保健所の役割は大きく変容しているというふうに理解しております。そういう大きな地方分権の進展を踏まえながら、現在実施している各種の事業につきまして、市町村との役割分担と連携のあり方を見直すこととしていきたいということでございます。
 基本的には、地域住民に身近なサービスは市町村が担うものとし、都保健所は、市町村の区域を超える施策の企画、調整、健康、危機管理対策、市町村では対応が困難な事例への対応など、広域的、専門的、技術的な業務へと重点を移行していきたいということでございまして、これらによりまして、機動性や効率性にも配慮しつつ、五カ所の保健所でその役割を果たしていけるものと考えております。

○小松委員 そこまでいい切られると、本当に保健所が変質したと、もう名前も変えていただきたいぐらいに思うんですが、さらに私ここで本当にひどいと思うのは、平成九年度の再編整備で新たに保健所ができるところがあるわけですね。ご案内のように、それが東大和市と武蔵村山市を合わせた村山大和保健所、この村山大和保健所は、村山と大和の新しい保健所ができるということで、きちんと今回の再編の中で位置づけて、大変苦労されて用地買収をして、そして今実施設計が終わって、さあ、今年度の末には着工だ、いよいよ来年度にはできるぞと、住民の方は大変喜ばれております。そして、さらにこれを裏づけるように、東大和市では、議会で全員協議会を開いて、この保健所の建設計画をきちっと聞いたと。
 そういう中で、突如として今回の、まだ決して決定ではありませんが、来年度予算要望に対して、衛生局みずからがこの村山大和保健所の建設を見送った。これは、今年度の着工、すなわち、来年の三月までにくわ入れするというその着工を見送っただけでなく、来年度も見送っている。二年見送っちゃうことになるんですよ。こういうのは一体どういうことなのか。
 そして、それではアクションプランで村山大和保健所はどうなっていくのか、これをぜひお伺いしたんですが、それと同時に、この村山大和保健所に関しましては、さまざまな今までの経費がかかっております。取得用地もそうですし、それから調査や実施設計、仮設調査関係費というのは、今まで使ってきたんですから、今後の形になりますけれども、いずれにせよ、そういうものがかかっている。
 では、どのくらいお金を今までかけてきているのか、そのこともあわせてお伺いしたいと思います。

○櫻井総務部長 平成十三年度の予算の要求に当たりまして、副知事依命通達などに基づく方針が出ております。庁舎の新築や改築など、新設の施設建設につきましては、原則として停止、既に計画等が実施されつつある施設についても、既存施設の改修などにより対応することとしまして、必要性、緊急性、優先度などの観点から再検討を行うことという方針でございます。
 衛生局としましては、都の危機的な財政状況を考慮しまして、村山大和保健所の建設につきましては、やむを得ず見送ることとしたものでございます。
 なお、多摩地域の都の保健所につきましては、先ほども申し上げましたように、平成十五年以降の保健所の再編に向けまして検討を進めておるところでございます。
 なお、村山大和保健所の新築にかかわる用地取得等の経費についてのお尋ねがございました。これまで要した経費は、用地取得経費で約九億五千万円、調査、実施設計費で約七百万円でございます。
 いずれにしましても、村山大和の保健所につきましては、今申し上げました今後の保健所の検討の中で、一緒に、そのあり方についても検討してまいりたいと思っております。

○小松委員 今お聞きしただけでも、約十億円以上のお金を用地費と実施設計でかけているわけですよ。まさに新しい保健所をつくろうとして、この中には、この用地買収のためにどんなに苦労されたかわからない関係管理職の方もいらっしゃると思うんです。私も地元にいて知っております。なかなか土地が見つからないで、やっといい土地が見つかったと思ったら、地主さんの協力が得られない。それこそお百度参りをするといっても過言ではない努力を重ねて、用地買収までこぎつけた。その協力した地主さんたちというのも、最終的には、この用地買収は、やはり将来この地域の保健所になるという、そのことで納得をされたと思うんです。
 それを今ここで中止、見送り。これを全然やめたとはいっておりませんが、一遍に二年送っちゃったわけですからね。十二年度の最後にというのは無理だから、来年度は何とかのっけてくれと衛生局が必死になって財務にすがりつく。議会よろしくと、私たちも頑張る。そうなれば、私ももっともっと財務にも、知事にもとありますけど、衛生局みずからが、どうせいったってこれは削られちゃうし、さっきおっしゃっていた通達がある。既存施設の改修でしのげといっていると。
 じゃ、今ありますプレハブのあの手狭な村山大和の仮保健所、あそこでやっていくというんですか。あの仮庁舎で頑張れるというのも、もう来年はできるできるという、その中で働く人も頑張ったし、それから障害者も頑張ったんです。あの階段、ご存じでしょうけれども、プレハブで仮設ですから、障害者にとっては、幾らキャタピラをやったり、いろいろやっても、上まで上がっていくのは大変なんですよ。それを今ここですべて中止ということで、来年度は見送りということでいってしまっていいのか。これは本当に許しがたいというか、余りにも早くこのことが出てきてしまったので、最終的にいろいろあれがあった、これがあったとやりながら、知事が最終査定でというんではないんですね。
 やはりここでは、どうしてそうなったのか、部長または局長としてもぜひこの辺は一回お答えいただきたいと思います。

○櫻井総務部長 衛生局におきましても、都の財政状況を踏まえて、衛生局みずからが今の都政の中でどういうような事務事業を優先的に行い、どのようなことで組み立てていくかということをみずから判断するということもまた求められております。そういう局の責任において、今回の村山大和保健所については、万やむを得ず、先生がおっしゃいましたように、用地取得等につきまして地元等の協力もいただいているというのは重々承知しております。そういうようなことも承知しながらも、ほかの施策との優先順位の中で見送りをしたということでございます。ぜひご理解を賜りたいと思います。

○小松委員 これ以上やっても、そっちはやらないというんですから、平行線ですから、質疑は次に行きますけれども、局の責任において、衛生局みずからが判断、それを私許せないといっているんですよ。衛生局はやるという方向で頑張ってほしかったわけですよ。局みずからの判断というのは、保健所の担当は一番そこを知っているわけですから、このことは断じて許せない、撤回をしてほしいということを強く要求すると同時に、東大和市の議員にいったら、何だ、じゃ、おれたちだまされたのかと。東大和の議員たちは、あれでできると。確かに説明者は、来年できますということを、はっきりと口では、文言としてはいわなかったけれども、そのために開いた全協なんだ、一体どういうことだと大変怒っていたこともつけ加えておきたいと思います。
 一度決定したことでも、まずいと思ったらすぐに取り返すということも、まだ遅くありません。何としても来年度の予算にもう一回のるということを私は強く要求するし、また衛生局がそういう判断をする以上、本当に残念ですが、私は少なくとも住民と一緒になって、この村山大和保健所の建設にはこれからも頑張っていきたいし、また、知事に対してもこれを強く要求したいということで、次の質問に移りたいと思います。
 保健所の最後には、決算委員会のときにも私質問させていただいたんですが、あのCR車問題です。何せ、CR車というのは、東村山保健所しかないわけですからね。あのときはまだ資料が少し弱かったんですけれども、きょういただいた資料によりますと、五ページのところを見ますと、九年度、十年度、十一年度におきますエックス線撮影の件数と経費、検診体制を合わせますと、はっきりここで出てきておりますね。
 エックス線の撮影件数が九、十、十一とだんだん減ってきている。これはまさに、途中で一般検診を中止したということによるものだと思うんですが、一方、それにしては経費がどんどん上がってきているんですね。エックス線の撮影件数が減っているのに、経費が上向き、すなわち、全く反比例をしているわけですよ。これは一体どういうことなのでしょうか。どうお考えでしょうか。

○櫻井総務部長 多摩東村山保健所におけるCR検診車の件でございますけれども、十一年度の経費増につきましては、モデル事業として本格的に保健所での検診車の導入をしたことに伴うものでございます。
 モデル事業は、CR車が持つ高い診療精度が今後の結核検診の充実につながるものと考えて開始したものでございますが、平成十三年度中に、CR車利用による運用上の問題点や費用対効果などを検証していく予定となっております。

○小松委員 まさに、いつも知事を初めとした皆さん方のお得意な費用対効果、これからいったら、全然ないじゃないですか。この費用対効果だけ見ても、全然効果がない。むしろ逆だ、お金がかかり過ぎるということと、また、このCR車が、障害者などにとっても、車に乗るということで、東村山ではうんと苦労されておりますけれども、それでも大変。雨のときには雨に当たらないようにひさしもつくられましたが、それでも障害者の方は、冬の寒いときに、中で着物が脱げなければ、裸になって入らなくちゃならなかったりとか、一たん外へ出て、それから車に乗る、CR車で撮影をするということが、障害者にとってどんなに大変なものであるかをぜひ見ていただきたいと思いますし、その意味では、これは三年間のモデル実施だということですから、来年度いっぱいで終わるわけです。モデル実施を今やめろとは申しません。三年間やったら、やはりもとの所内装置に戻るべきではないかと思うんです。
 事実、新しくできた小平保健所は、所内装置はありませんが、幸いにもレントゲンの撮影室はできているようです。所内装置を据えつければいいんです。東村山もその場所はあります。ということでは、これからの保健所、エックス線に期待するものは大変大きなものがある。精度といっても、今大変科学も進んできて、CRよりもさらによいものもできている。そういうことも含めて、来年度いっぱいでこれを終え、所内装置に変えていく、そのあり方は十分論議していただきたい、このように思いますが、いかがでしょうか。

○櫻井総務部長 CR検診車は、保健所内での撮影と保健所外での撮影の両用に活用できるということで導入を図ってきたものでございます。したがいまして、今回のモデル実施では、所内装置にかえてCR検診車を全面的に利用することによる問題点等を検証したいと考えております。
 あわせまして、都の保健所における検診事業のあり方についても検討し、今後のCR検診車の活用について整理をしていきたいというふうに考えております。

○小松委員 これについては、CR車ではなく、所内装置に変えていってほしいということを強く要求いたします。
 保健所というのは、これまで地域の保健サービスの拠点として活動してきているはずです。関係者の方々も、そのことを前提として協力関係を組み立ててきているはずです。今回のアクションプランにおける新基幹型保健所のあり方、都の方針はその大きな変更を迫るものでありまして、私が申し上げたいのは、分権による市町村との役割分担を一層推進するということで、保健所は、一部の広域的、専門的役割と企画、監督、研修機関、こうした管理監督機関に特化するものだというふうに受け取りました。住民の命と暮らしを守るという保健所、公衆衛生行政の解体といっても過言ではないと思うのです。
 統廃合以降、国では、昨年七月に結核緊急事態宣言、また、ことしの三月には、地域保健対策の推進に関する基本的な指針、こうした告示など、いずれも保健所の役割強化が大変強く求められている昨今であるわけです。
 CR検診車の導入や、また一般健康相談の廃止などなど、利用者サービスの改悪は許しがたいものと思います。衛生局は、あくまでも地域住民の視点に立って保健医療行政を進めるためにも、このアクションプランの方針転換を強く求めて、次に進みたいと思います。
 次は、精神障害者の問題です。
 昨年の六月、精神保健福祉法が改正されまして、これによりまして、平成十四年度から、従来保健所で実施しておりました手帳の交付やさまざまな事務、また相談、助言、こうしたものが市町村に事務移管となるわけですね。あわせて、これまでのグループホームに加えて、新たにホームヘルパー、ショートステイ、こうした在宅福祉施策も市町村中心として実施すべく法制化されたわけです。
 これら精神障害者福祉関係の施策の市町村移管は、身近な自治体でということで、このことを待ち望んでいた、これでやっと三障害、すなわち、心身と精神、この三つの障害が同レベルで自治体の中で位置づけられる、こういって大変喜んでおられる当事者や家族の方々の声も聞くわけです。
 しかし、一方、心のケアも含めまして、最も対人サービスを必要とする精神障害者に対しまして、これまではプロ中のプロである保健婦さんが当たってきたわけですが、問題になるのは、この市町村の態勢、受け皿の確保ではないでしょうか。そのノウハウのすべもわからない市町村に対して、都はどう支援していくのか。また、市町村の十四年度に向けたこの準備状況はどうなっているのでしょうか、お答え願いたいと思います。

○長岡医療福祉部長 法改正に伴います十四年四月からの、保健所が従来実施をしていました移譲事務を市町村が円滑に実施できるよう、本年八月、都と市町村の関係課長などで構成いたします精神保健福祉市町村事務移譲検討会を設置しまして、移譲となる事務について具体的な検討を行っているところでございます。
 都としましては、この検討会での検討状況を踏まえまして、十三年度において事務移譲に必要な市町村職員に対します研修や業務マニュアルの作成などを行うとともに、保健所等における支援や連携方策を講じていく予定でございます。

○小松委員 今十二年度ですから、まだ十分でないというのはわかるんですが、だからこそ、間に合うから今申し上げているんですけれども、すぐ来ますからね。大切なのは、こうした準備段階で、現場や当事者の意見を聞くだけじゃなく、当事者も当事者の周りの方々も参加して、意見を十分に反映させながら準備を進めていく、このことだと思うんです。そして、財政問題も含めて、区市町村との合意の中で進めていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○長岡医療福祉部長 保健所から市町村に事務移譲を行うに当たりましては、サービスの低下や支障を来すことのないよう、万全の体制と準備を図る必要があると考えております。また、利用者の声を十分反映させてまいりたいというふうに思っております。

○小松委員 声を反映するのはやっぱり当事者参加ということで、ぜひ強く求めておきたいと思います。
 また、財政的な位置づけをしっかりやりまして、専門の保健所の保健婦さんの援助を受けながら、スムーズな移譲を心がけるよう要望するものです。
 ところで、精神障害者が他の二つの障害と異なるのは、医療を必要とすることです。そして、この医療による治療やメンタルケアで十分治る、そして、社会復帰できるということなわけです。しかし、それにはそうした支援施策、施設を要するわけですが、この十二年の四月からは、精神障害者の地域生活支援センターが社会復帰施設として法律で明確に明記されたわけです。
 そこで、地域生活支援センターが担う役割、位置づけ、これをどのようにお考えになっているか、具体的にお伺いします。

○長岡医療福祉部長 地域生活支援センターは、地域の精神保健及び精神障害者の福祉に関しますさまざまな問題につきまして、精神障害者からの相談に応じ、必要な指導及び助言を行うとともに、社会復帰施設等の利用に関しまして助言を行い、あわせて保健所、福祉事務所、精神障害者社会復帰施設等の連絡調整、その他の援助を総合的に行うことを目的とします施設でございます。
 精神障害者にとりましては、日常生活の相談、支援、地域との交流の場としての役割を果たす社会復帰施設に位置づけられているところでございます。

○小松委員 そうしますと、生活の場、または就労と活動の場などの社会復帰施設とは若干役割が異なって、こうした社会復帰施設を利用しているすべての精神障害者にとりまして、身近な相談や交流が行える貴重な施設だということですね。十四年度からの市町村が実施する精神障害者の事務移管にもかかわりを持つわけです。
 ところで、この地域生活支援センター、今都内に何カ所あるんでしょうか。そして、十四年度までにどの程度設置していく計画なのか、お答えを願います。

○長岡医療福祉部長 平成十二年十月現在、地域生活支援センターは十七カ所でございます。また、地域生活支援センターの設置につきましては、平成十年に改定いたしました東京都保健医療計画では、平成十四年度までの目標といたしまして、全区市に設置をしまして、十七年度までには人口三十万人に二カ所、合計八十カ所の設置を目標としているところでございます。

○小松委員 十四年度までに全区市に設置するという目標とすると、五十カ所ということになるわけですが、最低のものでも、三十三カ所を今後二年間で設置しなければ、目標を達成できないことになるわけですね。市町村が在宅福祉に主体的に取り組むのがこの十四年度、とすれば、地域生活支援センターの設置は大いに急がなければならないと思いますが、何がネックでこうして進まないのでしょうか。都の財政状況なんでしょうか。

○長岡医療福祉部長 地域生活支援センターにつきましては、精神障害者の地域生活を支援する総合的なサービス提供を行う施設でございまして、市町村が主体となって実施をいたします在宅福祉施策につきましても、その取り組みを支える重要な役割を果たすものと考えております。
 このために、十四年度の法改正時点で、地域に十分に機能できるよう設置することが望ましいわけでございますけれども、各地域で適地の選定や精神障害者施設としての設置に時間を要することなどにより、目標どおりの設置が進まないのが現状でございます。
 しかしながら、地域生活支援センターは、今後ますますその重要性を増していくものと考えておりまして、できるだけ早く地域に行き渡るよう、なお一層区市町村等の調整に努めてまいります。

○小松委員 本来このセンターが行き届くには、人口十万人に一カ所といわれているんですが、この数値を目指しながらも、とりあえずは五十カ所、特に二十三区では五カ所という大変な少なさであります。市町村でも二十七市五町で十二カ所であるから、まだまだ少ないわけですが、この精神障害者の福祉施策は、他の障害者に比べましても、極端におくれているのが現状であるわけです。根拠法の確立も弱かったことにもよると思われるんですが、十二年度からの法的位置づけ、そして十四年度からの市町村移譲を機会に、精神障害者の社会復帰を促進して、その自立と社会参加が実現されるよう、一層取り組みを強めることを求めるものです。
 次に、一方、従来から精神障害者の法内施設として役割を果たしてまいりました通所の精神障害者授産施設と、他の二障、心身障害者の施設とを比べますと、第一種と第二種の違いもあるわけですが、その補助内容について、いただいた資料でも明らかなように、国基準にも都加算にも格差があるわけです。
 事務職員については今年度解消したわけですが、具体的には、調理職員、これは精神には国基準で補助はないわけです。同じく都加算でも、施設振興費が含まれていない。さらにその先の単価をお聞きしていませんけれども、これらを合算すると、さらに格差が出る。なぜこうした格差ができるんでしょうか。
 そして、この格差是正のため国に要望してほしいし、都加算も項目を同じようにしてほしい、単価も同じようにしてほしい、このように思いますが、いががでしょうか。

○長岡医療福祉部長 精神障害者の通所授産施設につきましては、人員配置など補助内容の充実に努めてきたところでございます。知的障害者通所授産施設等との格差是正につきましては、改善を図るよう国に提案しているところでございまして、今後とも努力をしてまいります。

○小松委員 余り頼りのある努力のいい方ではなかったようですけれども、ぜひこの格差是正ということでは、全力前進、ちょうどこの機会です、努めていただきたいと思います。
 精神障害の質問の最後には、同じ施設でも、無認可の共同作業所の問題です。
 この無認可の共同作業所は、今全国で大変ふえておりますが、これも今大切な施設になっているわけです。この共同作業所の補助対象に、この資料でも明らかなように、今年度は新規増が一つもなかったわけですね。これにつきましては、この厚生委員会の記録をるる見てまいりますと、これまでの委員会で、我が党はもちろんですが、他の多くの会派の方々、委員の方々も、新規増を求めておられるわけです。
 地域の精神障害者にとっては重要な資源であるこの共同作業所、来年度は何としても新規増を認めるべきと思うのですが、ぜひこれを受け入れていただきたいと同時に、もう来年度の申請状況もわかっているはずだと思うんです。十三年度に対して、新規設置計画をしている区市町村の数と施設の数も同時に伺いたいと思います。

○長岡医療福祉部長 地域で生活をいたします精神障害者にとりましては、共同作業所などの活動の場を含めました社会復帰施設は、社会復帰と自立のための貴重な資源でございまして、今後精神障害者社会復帰施設あり方検討会の検討を踏まえまして、質的な向上を図りますとともに、必要な整備を進めていく予定でございます。
 なお、平成十三年度に各区市町村から要望が上がってきております施設につきましては、十三区市から十四施設の設置要望が上がってきているところでございます。

○小松委員 地域で生活する精神障害者にとって、共同作業所は、社会復帰と自立のための貴重な資源である、このようにおっしゃっているわけですから、ぜひこれらの新規施設への補助金対応を求めたいと思います。
 また、既存の施設への補助単価も据え置きのままですね。どの作業所も、今財源確保に大変苦労されております。補助金の増額を何としても図るべく、これは意見として強く求めておきます。
 あわせて、先ほどから申しておりますように、これでやっと三つの障害が一線に並ぶことができるようになったわけです。今、心身障害者に対しての手当など、東京都では、所得制限などさまざまな制限を加えるこの切り崩しがいわれておりますが、精神障害者には、こうした手当すらも一切なければ、障害年金もない。したがって、精神障害者の所得は大変低い。だから、生活保護の受給の割合が高い実態もあるわけです。
 こうしたことから、精神障害者にも、心身障害者のように、年金や諸手当など何らかの所得保障をすべきと考えます。国に要望していくと同時に、都に対しても強くを求めまして、次の問題に入りたいと思います。
 最後に、清瀬小児病院について伺いたいと思います。
 清瀬小児病院は、八王子小児病院とともに、都における大切な小児病院として、その果たしている役割は大変大きい。特に、腎移植などは、世界の最先端を行く医術水準を持っているといわれております。と同時に、地元でも大変頼りにされております。私ごとで申しわけありませんが、今から二十七年前に亡くした長男も、もし清瀬小児で治療を受けていられたら、きっと今は立派な青年になっていたと思うわけです。こんな経験から、次男は清瀬小児でお世話になり、大変助かったことがございます。
 このように、清瀬小児病院の果たしている役割、大変重要ですが、これをどうお考えでしょうか。

○大塚参事 多摩地域の小児専門医療の中核的な病院として、骨髄移植やご指摘の腎移植など、小児に対する高度専門医療を提供するとともに、救急医療や結核医療などの行政的な医療を担っているのが清瀬小児病院でございます。

○小松委員 確かにそうですね。担当の参事さん、もっと自信を持って、この際、清瀬小児はこんなに大変なこともやっているすばらしい病院だよということをもっとおっしゃっていただきたかったと思うんです。
 この清瀬小児、心臓外科の手術も頻繁に行うにもかかわらず、ICU、すなわち集中治療室がないことを私知りまして、大変驚いております。二次救急医療機関であり、二百五十床を超える高度医療を担う小児病院にICUがないというのは信じられないんですが、なぜ設置しないんでしょうか。

○大塚参事 清瀬小児病院では、外科系の患者を治療しております二の一病棟におきまして、患者監視装置や心電計など、ICUに必要とされる設備を配置して、実質的にICU四床として機能させております。しかしながら、診療報酬上認められるICUにつきましては、一ベッド当たりの面積が十五平米以上、あるいはクリーンルームであることなど、さまざまな施設基準がございまして、現行病棟ではその基準を満たしておりません。
 現在の清瀬小児病院の施設を改修いたしましてこの条件を満たしていくことには、技術的に困難があると考えております。

○小松委員 実質的にICUとして機能している、こうおっしゃったわけですけれども、ICUの承認を得ず、院内の運用上の工夫でICUを運営している、このことが現場にとってどんなに大変か、私は実際に見てまいりました。
 今、ICUのベッドとして八人を受け入れておりますが、この二の一病棟においての八人の看護を手厚くするため、その周りの、例えばお隣の、あれはリカバリー室と呼んでいいのでしょうか、ここでは準夜とか夜勤で、十五人の患者さんを一人の看護婦が受け持って見ており、それはそれは大変な実態です。
 このICUの状況を語った看護婦さんがここに書いておられますが、体重が三キログラムもない患者が、心臓のオペをしています。オペ後は点滴ラインが五本も六本も挿入されてきます。点滴の滴数が一時間に〇・一CCなどの単位です。これをポンプで正確に入るよう一時間ごとにチェックしていくのですが、十五台も十六台もあります。体位変換一つで状態が急変してしまう。大変緊張しながら、時間によっては二人に看護婦が必要になったり、他に重症やオペ後の子も大勢おります。それでも、夜勤は三人の看護婦の定数しかついていないなど、切々と語っておられるわけです。このように大変な実態。
 ぜひとも承認を取るべきなのですが、そこで、面積など施設上の制約ということであるわけですから、思うのですが、オペ室が地下にある、これも珍しい話で、普通はオペ室の隣とか、同じフロアとか、このような形で集中治療室があるわけですけれども、根本的な改革、建てかえなどはしっかり論議してからにしましても、緊急課題として、本館と別棟でオペ室とICUを増築すべきと考えますが、いかがでしょうか。

○大塚参事 ご提案のような別棟増築案につきましては、大規模な増改築に当たりまして、本年九月、知事の諮問機関として設置しております都立病院改革会議におきまして、都立病院全体の医療課題を見直した上で、再編整備の考え方を整理していただくことを目的に、現在ご議論いただいている最中でございます。
 ご指摘の大規模な増改築等につきましては、その報告を待って判断していくこととなります。

○小松委員 都立病院の改革会議の報告を待っての判断ということですが、いつ結論が出るのでしょうか。
 また、今お話し申し上げたような問題がどう論議されているのでしょうか。

○大塚参事 都立病院改革会議は、先ほど申し上げましたように、本年九月、知事の諮問機関として、老人医療センターも含めた十六の都立病院全体の再編整備の考え方を集約することを目的に、現在議論中でございますが、現時点では三回の会議を終えまして、並行いたしまして、十六の病産院の視察を各委員が行っている最中でございます。
 今後、十六の病院それぞれから直接委員との意見交換を経た上で、最終的には来年七月に最終報告をいただく予定としております。

○小松委員 それからの判断というのでしょう。それでは緊急問題に対応できないんじゃないでしょうか。子どもの命につながる問題です。これだけでも切り離して、いっときも早く実現すべきことを要求いたしますし、現場からもそうした要求が出されているはずです。
 この別棟案を私が提起しました理由は、もう一つあるんです。それは、エレベーター問題なんですね。清瀬小児は三十年ぐらいたっているんでしょうか、大変な老朽化がある。聞くところによりますと、本館は昭和四十五年ごろの建物で、三十年たつ。雨が降ると、雨漏りは日常茶飯事だ。下水の詰まりも頻繁だ。何よりも私が危機感を持って受けとめざるを得ないのは、エレベーターが故障で何度もとまっており、患者さんの手術予定が延期された場合もあると聞いているわけです。こんな話が小児病院であるという。
 このエレベーターの故障の経過、たくさんあるらしいんですけれども、ことしに入ってからの大きなものだけでもいいです、きちんとご報告をお願いしたいと思います。

○大塚参事 ことし二月に保守点検をいたしましたときに、寝台用のエレベーターの緊急修理が必要となりましたために、運転を四日間停止してございます。そのため、心臓血管外科の手術一件を翌週に回さざるを得なかったのは事実でございます。
 このほか、八月以降数回の故障による停止がございましたが、その都度保守契約業者が速やかに対応いたしまして、診療への支障は生じておりません。

○小松委員 診療への支障は生じていないということですけれども、大変簡単に報告がありましたので、私も私なりにいろいろ調べてまいりました。二月の保守点検の結果、寝台用のエレベーターの緊急修理が必要となったというのも、何で四日間もエレベーターを停止しなければならないか。それは、余りにも古くて部品がなかった、取りかえられなかった。だから、全部持っていってそれを直して、それでまた来た。だから、四日間も停止せざるを得なかったんだと。
 そうとは知らない心臓外科の場では、あなたのお子さんは早く心臓の手術をしないと大変だといわれて、親も、もうちょっとと思ったけど、病院がそんなに早く早くというならいいと、承諾を得て手術をしようとしたら、実はエレベーターの故障でだめなんです、手術は来週になりますと。そんなことがあるかと、この親御さん大変怒っておられました。
 そして、さらに今度は、手術をしたお子さんは、私は赤ちゃんかと思ったら、十三歳だというんですけれども、行きは、とにかく何とか行きますよ。大体ストレッチャーのエレベーターが一台しかないんですからね。隣に一般用が、これも一台しかない。行きは何とかそれでも行ったけれども、帰りのエレベーター、行きはよいよい帰りは怖いじゃないんですけれども、帰りのエレベーターが動かないので、結局は十三歳のお子さんをストレッチャーで運べなくて、人力といっていいんでしょうか、階段をオペ室がある地下一階から二階まで、つまり、三階を職員が必死になって運んだと。十三歳ですから、大分大変だったということです。
 また、その後にも、これは職員でよかったといっていますが、つい最近も、ある職員がそのエレベーターの中に四十五分も閉じ込められてしまったと。本当にひどい話ですね。病院で考えられない。大体が二百五十五床ある病院でストレッチャーのエレベーターが一台、もう一台は普通の一般用ですけれども、これで給食も何でも運ぶ。大事な病院でこんなエレベーターのあり方はない。小さいけれども、大変大きな問題だと思います。
 特にここは高度な手術の多い病院です。この増設というのは検討したんでしょうか。また、結果的に改修することとなっているようですが、今後の改修工事の予定などについて伺いたいと思います。

○大塚参事 二月の緊急修理をきっかけにいたしまして、直ちに増設につきまして財務局営繕部に検討を依頼しました。その結果、地下部分の工事施工上の問題や、建築基準法、消防法などにかかわる問題がありますため、増設は困難であるとの結論に至りました。
 このため、増設工事にかえまして、既存エレベーターの改修へ方針を変更いたしまして、この改修工事の現在の状況でございますが、一般用と寝台用二基あるエレベーターのうち、一般用につきましては、本年九月に改修を既に完了いたしております。また、寝台用のエレベーターにつきましては、患者さんの手術日にも十分配慮しながら、今月下旬に改修を終える予定でございます。
 現在は、保守点検を適切に行いながら、既存の機器を稼働させている状況でございます。

○小松委員 改修工事は当然なんですが、一基しかないエレベーターであるために、改修工事をしている間は、やはり手術もできないわけですね。どのくらい期間がかかって、その間、手術の状態、万が一緊急手術があった場合、そうした対応はどうされようとしているのでしょうか。

○大塚参事 現時点での予定では、寝台用のエレベーターが停止される期間は、手術日に極力かからないように、十日間設定するために、十七日から二十六日の十日間、手術日の曜日を極力外しながら設定しております。万一この間に手術の必要な緊急な患者さんが発生いたしましたらば、周辺の病院と協力し合いながら対処してまいりたいと思っております。

○小松委員 本当に大変なことだと思います。
 そこで、それはそれとして、万一の手術がなければいいし、しっかりやっていただきたいんだけれども、そもそも一台しかないというところに大きな問題がある。それがまたひどかったわけですからね。これからこの一台はきちんと動くだろうと思いますが、それでも一台ということにはいろいろな支障があります。
 そこで、先ほどに戻るんですが、オペ室とICUを別棟にすれば--エレベーターの何が必要かといったら、手術室に行く、オペ室に行くためのストレッチャーなんですね。ですから、これが別棟にあれば--この清瀬小児病院は、聞くところによれば、四・八ヘクタールと、都内の病院なんかに比べると緑も多いし、まだこのぐらいの施設を建てるには十分余裕の土地があります。ですから、先ほど申し上げましたように、来年の結論を待ってそれから判断するというのでなく、このエレベーターの状況から見ても、オペ室とICUをつけて、それに合わせてエレベーターもそこにつける。または一階なら、もうつける必要もないわけですね。
 そのことを今聞いても、またさっきと同じ答えになると思いますので、聞きません。そういうためにも緊急にやってほしいと強く求めるものです。
 最後に、診療体制の問題なんですが、今回視察をしてみて驚いたもう一つの点は、放射線技師の当直がいないということです。お聞きしたところによれば、この清瀬小児は救急指定にもなっているために、一晩で二十人から三十人の救急患者が救急車で運ばれてくる。そのたびに、小児科ですから、お医者さんの対応はあるわけですけれども、レントゲン技師、放射線技師が、人数が足りないために当直体制がない。したがって、どうするかといいますと、オンコールというそうですが、早くいえば電話で呼び出すわけです。
 ところが、管理職を入れて八人いるんだけれども、これがなかなか大変だ。つい先日も、聞くところによりますと、七人目でやっと一人つかまった。だけど、真夜中だったためにもう飲んでいた。そして、その人がここへ来るには九十分かかるということで、いたし方なく、レントゲンはあしたの朝ということで、こうしたことがあると、患者からの苦情が来る。苦情で済めばいいんですけれども、大切な命取りということにもなりかねません。
 これも私ごとで申しわけないんですけれども、先日私の不肖亭主が脳出血で倒れまして、私もその場にいて本当にびっくりしたんですけれども、救急車で運ばれた先が、これはいいから申し上げますが、昭和病院というところなんです。救急隊が、私がしょっちゅうかかっているそれではこの状況は無理だということで、昭和病院に行きましたら、救急車も速かったんですけれども、行ったと同時に最初にやったのがCTなんですね。最初にCTを撮って、これは脳梗塞とかではない。脳出血で、それも皮質下出血という、場所も何も全部すぐわかって、すぐそれなりの対応をしたということで、一命どころか、全くといってはうそになりますが、ほとんどの後遺症がなく、もう半月後には退院ができた。これは私本当に感謝いたしました。
 私の場合はそういうことで助かったわけですけれども、レントゲンを撮らなかったために亡くなったという、あそこは杏林大学ですから、これは放射線がないとはいえませんけれども、割りばしの問題でもそうですね。放射線技師がいるかいないかで、子どもの命が本当に助かるか助からないかということもある。
 これは直ちに放射線技師を増員するしかない。増員して当直の体制に移行すべきと思いますが、いかがでしょうか。

○大塚参事 放射線に限らず、各職種の当直体制につきましては、時間外における業務量の実態を勘案した上で判断してきております。お尋ねの診療放射線技師のオンコールの実績につきましては、一年を平均してほぼ四日に一回の割合でございまして、現段階では当直体制が必要な業務量とは考えておりません。

○小松委員 小児病院を抱えている衛生局さんがこういう冷たいお答えだと、現場の方がここにいらしたら何とお感じになるかわかりませんけれども、四月、五月などは、二日に一遍オンコールがかかる時期もあるということなんですね。いずれにしても、オンコールがかかるということを前提として放射線技師が清瀬小児に配置されるということは大変なことで、みんな放射線技師は、清瀬小児は当直体制もないし、あのオンコールがということで拒絶されるということもあるということを聞いております。当直体制が必要な業務量とは考えていないというその基本的な姿勢をぜひ変えていただきたいと思います。
 いずれにいたしましても、これは強く要望するということで、この放射線技師については終わらせていただきたいと思うのですが、最後に、私も意見を申し上げたいと思います。
 清瀬小児という大変大切な小児病院のあり方については、世界の最先端を行く技術を擁しながらも、いまだもってICUもない、エレベーターもたった一基しかないというこうした状況をいっときも早くということを再度申し上げると同時に、また、ここの患者さんが、今まで、もちろん学童もあるんですけれども学童が多かったのが、だんだんと低年齢化している。未就学児の幼児が増大して、今は患者の七〇%を占めている。ですから、併設の久留米養護学校の分教室に通学する就学児の人数が減少しているんだと。すなわち、未就学児の保育需要に対応する必要性が増大しているというふうに思われます。
 現場の話ですけれども、ボランティアの協力を得たり、寂しがる病児を見かねて、看護婦さんが、勤務終了後ベッドサイドに行って読み聞かせをしたり、遊びの相手をするなど、涙ぐましい話も聞かれました。
 こうしたニーズもしっかり受けとめるのが小児病院の役割だと考えます。そのためには、まず今いわれていることと全く逆なんですが、人をふやすことなんですね。
 大体病院の看護婦の定数が、小児病院であるにもかかわらず、成人を対象としているために、乳幼児に対する配慮が、基本の国で全くなされていない。都はそれに加算はしていますけれども、例えば、保育園では、ゼロ歳児だったら三対一ということが国でも都でも決められており、それに東京都は看護婦をプラスアルファしているわけです。こうしたものが、二十四時間、お子さん、まして病気のお子さんを預かっている病院に全くないというところで、一つとしては、専任の保育士を置くべき、こういうふうに考えます。これは意見として申し上げておきたいと思います。
 いずれにしましても、小児病院は、患者が新生児から就学児に至るまでさまざまであること、病状が大変急変しやすい、表現力がないため診察に時間がかかることなどなど、大人に比較してより神経を使った対応と、それを支える人員体制が必要であること、こうした小児病院の特質をより勘案して、今後の病院運営をぜひしっかりと行っていただきたいということを最後に意見として申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

○曽雌委員 最初に化粧品の規制緩和について幾つかお聞きしておきたいと思っております。
 規制緩和は、既にご案内のとおり、我が国の経済社会の抜本的な構造改革を図っていくということであったり、また、国際的に開かれた自己責任原則と市場原理に立った自由で公正な経済社会というものを構築をしていく、そういう面で大きな意味があろうと思っておりますし、行政という分野からそのものを見てみますと、従来の事前規制型の行政から、今後は事後チェック型の行政に転換していくという、そういう基本で実施されるものというふうに私は理解しておりますけれども、きょうは衛生局の所管での質疑ですので、衛生関係で伺いますけれども、衛生関係の規制緩和といいますと、昨年、ドリンク剤等が医薬品から除外されて、薬局、薬店だけでなくて、一般の小売店でも販売ができるようになったということで、いろいろと物議を醸し出したわけでございます。
 また、これに引き続いて来年の四月からは、化粧品の規制緩和というものが実施されるというふうに聞いておりますので、幾つかお聞きしておきたいというふうに思っております。
 特に最近、銀座とか新宿とか、いわゆる繁華街というところでは、化粧品を取り扱っている大型の店舗が幾つも、あっちにもこっちにもできましたし、また、私たちの身の周りのコンビニエンスストアなどでも、化粧品が販売されて、容易に入手できるようになってきているわけでございます。
 こういった化粧品を取り巻く環境が変化をしていることを受けて、ことしの三月に閣議決定された規制緩和三カ年計画がございますけれども、この計画に基づいて実施されます今回の化粧品の規制緩和というのはどういうものなのかということで確認をしておきたいと思っていますが、まず伺いたいのが、この背景と内容がどういうものなのか、概略で結構ですので、お示しいただきたいと思います。

○山川薬務部長 今回の化粧品の規制緩和は、欧米の規制制度と整合性を図り、化粧品規制全般にわたって、消費者への必要な情報提供を確保しつつ、規制を緩和するものでございます。
 その主な内容は、化粧品に配合されている成分について、現在行っております事前の審査制度を廃止し、配合禁止成分等を除いて、原則自由に使用することができることになるものでございます。
 あわせまして、化粧品に配合しましたすべての成分の表示を製品に義務づけることになります。

○曽雌委員 化粧品に配合できる成分が原則自由だということになるわけですけれども、一番気になるのは、それでは、消費者の側に立ったときに、今回の規制緩和というものがどういうメリットがあって、また逆にどういうデメリットがあるのかなということを知っておきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○山川薬務部長 今回の規制緩和によりまして、製品の多様化が進み、消費者は多くの化粧品の選択が可能となります。しかしながら、企業からの適切な情報が提供され、消費者が十分な知識のもとにその情報を効果的に活用しなければ、アレルギー等の健康被害につながるおそれがございます。

○曽雌委員 今のご答弁ですと、アレルギー等の健康被害につながるおそれもあるということでお話がありましたけれども、東京都の消費生活総合センターに寄せられた被害に関する相談件数というのがありまして、これを見てみますと、九年、十年、十一年の上半期では、皮膚障害など化粧品にかかわるものが第一位となっておりまして、いわゆる化粧品に対する苦情が圧倒的に多く寄せられているようでございます。
 規制緩和を行うには、化粧品が今までと同様に安全であるということがあくまでも前提でなくてはならないというふうに私は思っておりますけれども、今回行われようとしている規制緩和によって、化粧品の安全性というものはどのように確保されるのか大変に気になるところでございますけれども、これについてはどのようなお考えを持っておられるでしょうか。

○山川薬務部長 現在、化粧品につきましては、国が事前に成分の審査を行っているところでございます。今回の規制緩和によりまして、国が配合禁止成分等を化粧品基準として定めまして、これを踏まえて、企業が、みずからの責任において、配合するすべての成分について安全性の確認を行うことになります。

○曽雌委員 今いただいた答弁によりますと、要するに、化粧品を製造もしくは輸入する企業が、その責任において安全性というものを確保していくことになるんだということだと思いますけれども、ご案内のとおり、都内には小規模な企業もたくさんあるわけでございます。行政の役割は、こうした企業に的確な指導を行って、安全性をどう担保していくかということが重要であるというふうに考えておりますけれども、輸入品を含めて、粗悪な商品が出回る可能性はないのかというふうに考えたときに、その心配は全くないとはいい切れないのではないかという気がしてなりません。
 衛生局は、化粧品を製造、輸入する企業に対してどのように今後対応するお考えなのか、所見を伺いたいと思います。

○山川薬務部長 化粧品成分の配合が原則自由となることですから、企業に対して配合成分の安全性確保の実施を強く求めていくことになります。
 また、さらに、企業内に消費者相談窓口を設置させるなど、苦情処理体制を整備させていくとともに、化粧品の使用方法や安全性の情報提供に努めるよう指導してまいります。
 また、日常の監視業務を強化し、買い上げや収去検査を充実させ、不良化粧品の流通防止に努めてまいります。

○曽雌委員 企業の安全性確保について監督、指導を強化していくということでございますけれども、今後は、消費者の方、私たちの方も、みずからの健康被害を防止していくという観点に立って、表示されている成分の内容というものをよく知った上で、自分に合った化粧品を選ぶということが大変重要になるというふうに思っています。化粧品を使うことによって、自分の肌に合わないとかでいろいろなトラブルが起きているというのも、やはりそれは自分自身に合っているかどうかの判断がなかなかできないからということだと思うんですね。
 そこで、消費者が上手に化粧品を選択できるようにしていくために、やはり大事なことは、行政として積極的に支えていくということが必要だというふうに考えておりますけれども、衛生局は、今後、先ほどは企業に対するお話をいただきましたけれども、消費者に対してどのような働きかけをしていただけるのか、ここは大事なポイントだというふうに思っておりますので、基本的な考え方をお伺いしておきたいと思います。

○山川薬務部長 消費者、行政部門との連絡会を設置して連携を強化し、パンフレットやインターネットにより新制度の周知を行うとともに、業界団体等の相談窓口に関する情報提供を行うなど、健康被害の防止に努めてまいります。

○曽雌委員 規制緩和を行うことによって、都民が、今まで以上に多くの化粧品から自分みずからが選択することが可能になるということは、それはそれで非常にいいことだというふうには思っておりますけれども、一口に化粧品といいましても、その中には、口紅、香水などだけではなくて、歯磨きだとか石けんだとか、こういったものも化粧品の中に入るそうでありまして、乳幼児から高齢者なども含めたすべての都民が使用するものが、いわゆる化粧品という一つのくくりの中に入ってくるわけでございます。
 このことから、何よりも安全であるということが必要不可欠になることは当然でありますけれども、今回の化粧品の規制緩和を、都民生活の豊かさの実現にいかにつなげていくか、そのためにも、製造や輸入にかかわる企業への的確な指導であるとか、また都民に対しましては、安全な使用方法についての情報提供とか、行政の果たすべき役割というものは大変に大きいものがあると思いますので、ぜひこの点について私の意見として申し上げておきますので、加味しながら今後の運営の上で図っていただきたいというふうに思っております。
 次に、医療事故のことについて二、三お聞きしておきたいと思っております。
 まことに残念ではございますけれども、昨今の新聞を開いてみますと、相も変わらず医療事故についての報道が紙面をにぎわしております。大きな事故だけを振り返ってみましても、昨年一月の横浜市立大学医学部附属病院での、手術患者を取り違えてしまったという事故がありましたし、またことしの四月は、東海大学医学部附属病院での、点滴をするのに間違えてやってしまったという誤注入事故がありました。さらに、最近では、十月に三重大学の医学部附属病院での、血液型を誤って輸血をしてしまったという事故など、大変に残念な事故が相次いでいるわけでございます。
 ところで、都立病院でございますけれども、都立病院では、昨年の二月に広尾病院で医療事故が起きてしまいまして、その記憶がまだまだ私たちには新しいところでございますけれども、この事故を起こしてしまったことによって、都立病院は今都民から大変に厳しい批判を浴び、せっかく長年培ってきました都民の都立病院に対する信頼というものを一挙に損なう事態を招いてしまったということは、甚だ残念でありますし、多くの都民の一致した思いだというふうに思っています。
 そこでお伺いしますけれども、東京都は、広尾病院での事故を教訓といたしまして、どのような医療事故防止対策を講じてきたのか、まずお伺いしたいと思います。

○押元病院事業部長 医療事故防止対策でございますけれども、衛生局では、昨年の九月に、都立病院医療事故予防対策推進委員会を改組いたしまして、新たに外部の有識者を加えたところでございます。この委員会で、広尾病院での事故の教訓を踏まえまして、本年七月に、医療現場でひやりとしたり、あるいははっとした事例を報告する様式、これをインシデント・アクシデント・レポートといっておりますが、この様式の統一を図りますとともに、注射器などの取り扱い基準を策定したところでございます。
 また、事案の緊急度や重要度に応じまして、順次、医療事故予防マニュアルの改定を行ってきたところでございます。

○曽雌委員 新たに外部の有識者を加えて予防対策推進委員会を云々ということでお話しいただきまして、医療事故予防マニュアルの作成ということになるんでしょうが、マニュアルを整備していただいて事故予防に努めるということは大変ありがたいことでありますし、そうであってしかるべきだと思っておりますけれども、一方、私が心配しておりますのは、マニュアルに忠実に従う余りに、そこの病院で仕事をしておられるドクター、看護婦の方たち、全体職員といった方がいいでしょうが、そういう方たちが、かえって萎縮をしてしまって、患者さんの症状に応じた医療提供ができなくなってしまうというようなことがもしも起きてしまって、患者サービスの低下につながるなんてことがあってはならないと思っていますが、この点の私の心配についてはどのようなお考えを持っておられるでしょうか。

○押元病院事業部長 マニュアルは、あくまで医療サービスを提供いたします際の基本となるものでございます。具体的な医療の提供に当たりましては、マニュアルを踏まえつつ、個々の患者さんの病状などに応じたきめ細かな医療を行うことによりまして、患者サービスの向上に努めてまいりたいと考えております。

○曽雌委員 何人かのドクター、看護婦の方と話をする機会がありまして、いろいろとお話をしたときに出てきたのが、やっぱり今私が気になったことであって、事故を起こしてはならない、当たり前のことなんですけれども、そのことを一生懸命考えるということによって、それが非常に自分自身の重みになっているというか、重荷になってしまっているという例があって、そういうお話を何人かの方たちから私は直接聞いてきています。それが気になったものですから、今ご質問したんです。
 ところで、医療事故が起きますと、職員は個人的な責任も追及されることが間々あるわけでございます。職員が安心して職務に専念できるようにサポートする体制というものを衛生局の中でつくり上げておかなければ、ドクター、看護婦の方たちが伸び伸びと自身の仕事を進めていくことはできにくくなるのではないかと心配しますものですから、サポート体制についてもぜひ検討していただきたいというふうに思いますけれども、この点はいかがでしょうか。

○押元病院事業部長 先生ご指摘のとおり、職員が安心して職務に専念できるようにいたしますためには、仕事を進める上で職員を組織的にサポートする体制が必要であると考えております。このため、先ほど申し上げましたインシデント・アクシデント・レポートを活用いたしました事故防止のための情報の共有化ですとか、あるいは職場での事故予防活動を推進する役割を担っておりますリスクマネジャーによる指導体制の構築を図っているところでございます。
 さらに、職員個人の訴訟というような事態になったときのことに備えて、訴訟費用保険につきましての情報提供なども積極的に行っているところでございます。

○曽雌委員 インシデント・アクシデント・レポートというものを活用していただくということは、事故防止をしていく上では非常に有効だというふうに私も思いますけれども、一方、その取り扱いによっては、個人の不利益につながってしまうのではないかという心配も持っております。
 そこで、都立病院としては、情報の共有化等のためにこのようなことをするということで先ほど来ご答弁いただいていまして、それを私は否定しているわけではありません。けれども情報提供の前に、現実にあったことをそれぞれ情報を提供して、みんなが情報を共有した上で、医療事故等の起こらないようにしていこうという取り組みをするということは非常に大事なことですけれども、一方、それが個人の不利益になったのでは、今度逆に情報提供をしにくくなってしまうという現場の声があるんだと私は思います。
 ですから、そうならないようにどうするのかということが一つは大事な問題だと思いますけれども、都立病院では、その取り扱いについては現在どのようにしておられるでしょうか。

○押元病院事業部長 インシデント・アクシデント・レポートの取り扱いにつきましては、先生ご指摘のような懸念もありますため、インシデント・アクシデント・レポートは、あくまで医療事故防止のためにのみ使用することといたしております。

○曽雌委員 そこのところはひとつ厳格に進めていただきたいというふうに思っております。
 都立病院では、医療事故の予防を推進するために、リスクマネジャーを配置しているというふうに聞いておりますけれども、どのようにこのリスクマネジャーを配置しておられるでしょうか。

○押元病院事業部長 都立病院におきますリスクマネジャーの配置についてでございますけれども、現在、各病院がその実情に合わせて配置を進めておりまして、十月末現在で、医師、看護婦など合わせまして六十七名が活動をしているところでございます。今後さらに医師からの専任をふやしますとともに、育成方法や配置基準などを検討いたしまして、リスクマネジャーを中心とした職場における事故予防体制の確立、充実に努めてまいりたいと考えております。

○曽雌委員 職場における事故予防対策の取り組みはどうなっているかについては、今ご答弁いただいてきましたので、私なりに理解はできましたけれども、マスコミ等の報道の影響もありまして、都立病院に対する都民の見る目は大変厳しいものになってきている。これは冒頭にも申し上げました。それでは、失われてしまった都民の信頼を回復していくために、都立病院は今後どうしたらいいのかということが一つ大きな課題だというふうに思うんですね。
 この点について、失墜した信頼を回復するための取り組みとしてどのようなことを現在やっておられるのでしょうか、お伺いしたいと思います。

○押元病院事業部長 都立病院が都民の期待にこたえてその信頼をかち得ていくためには、医療事故の再発防止に努めますことはもとよりでございますが、第一線の医療現場で働く職員一人一人が、患者さんの立場に立ちまして、着実にその職責を果たしていくことが重要であると考えております。そのため、例えば医療事故予防対策推進週間の設定、あるいは職場の総点検などを実施いたしまして、職員の意識改革に積極的に取り組んでいるところでございます。

○曽雌委員 これは意見として申し上げておきたいと思います。都立病院は、再三申し上げておりますけれども、厳しい批判にさらされているというのが現状だというふうに思っています。しかし、都立病院のことを理解しているといいますか、都立病院に何らかの形でお世話になったとか、または自分の友人なりが都立病院にお世話になっている方がいて、その人から話を聞いたとか、都立病院の内容を聞けば聞くほど、現場の職員の方たちは、大変な中にありましても、実によくやってくださっていると私は思っております。都民の生命と健康を支えるという都立病院の重要な役割を、一人一人の職員の方たちは自覚をしながら頑張ってくださっているというふうに私は理解をさせていただいています。
 そうした状況について、衛生局は、もっともっとあらゆる機会を通じまして、都民に対して、都立病院で頑張っている職員の頑張りようというものを積極的をアピールしていくということも、一つ大事ではないのかというふうに思っております。ぜひ、その点も踏まえて、都立病院で働く職員の皆さん方が、いろいろな厳しい意見も受けているとは思いますけれども、そうしたものにめげないで、なお一層奮闘してくださるように期待しておきたいと思っております。
 そのことをお願いして、この項の質問を終わりたいと思っております。
 最後に、精神障害者の社会復帰施設の充実ということについて、二、三お聞きしておきたいと思っております。
 精神障害者の社会復帰を促進いたしまして、自立と社会参加を実現していくためには、精神障害者の生活の場や活動の場、あるいは相談や交流の場として、社会復帰施設を地域の中に確保していくということが大変に重要な課題だというふうに考えております。
 さらに、法改正によりまして、ご案内のとおり、十四年度からは、市町村を中心とした身近なところで福祉サービスが実施されることになっておりますけれども、地域における社会復帰支援や居宅生活支援などの取り組みを一層充実していかなければならないというふうに考えております。
 また、社会状況の変化を勘案しますと、社会復帰施設について、そのあり方など原点に立ち戻って検討を行い、今後の方向性というものも示していかなきゃならない重要な時期に差しかかっているというふうに受けとめております。
 東京都は、こうした状況を踏まえまして、精神障害者の社会復帰施設のあり方を検討する組織というものを立ち上げたというふうに聞いておりますけれども、この検討会の目的と、また課題はどんなものがあるのか、まずお伺いしたいと思います。

○長岡医療福祉部長 精神障害者の社会復帰の促進及び自立と社会参加の実現に向けまして、今後におきます社会復帰施設の整備を着実に推進することを目的といたしまして、民間団体の代表や区市町村の職員を含めました精神障害者社会復帰施設あり方検討会をこの八月に設置したところでございます。
 検討会におきましては、社会復帰施設の必要数や整備の進め方など量的な整備のあり方と、社会復帰施設の役割や連携、評価のあり方、さらには区市町村と都との連携のあり方を課題として、現在検討を行っているところでございます。

○曽雌委員 ご案内のとおり、現在東京都は財政再建期間中でございますので、精神障害者の社会復帰施設の整備に必要な財源を見出すことはなかなか難しい状況にあることは、それなりに理解はできます。しかし、そうであるならば、長期的な展望、道筋というものをしっかりと示していく必要があるというふうに考えておりますけれども、この私どもの考え方に対して、衛生局ではどのようなお考えを持っておられるでしょうか。

○長岡医療福祉部長 この検討会では、先ほど申し上げました課題につきまして、精力的に検討を行っているところでございますが、このうち、先生ご指摘の中長期的な展望に立った社会復帰施設の整備の方向性について、近々中間のまとめとして取りまとめる予定となっております。

○曽雌委員 中間のまとめの発表時期というのは、近々という今お話でしたけれども、ある程度、今の段階で何月ごろとか何とか出るんでしょうか。

○長岡医療福祉部長 この検討につきましては、東京都の精神保健福祉審議会の答申を受けまして、こういった復帰施設の整備を進めているところでございまして、この検討会の内容につきまして、再度東京都精神保健福祉審議会にお諮りをした後、公表をしていきたいというふうに思っております。

○曽雌委員 社会復帰施設には、生活の場、活動の場、さらには相談とか交流の場、いろいろと施設があるわけでありますけれども、それぞれに整備の状況や取り組みの状況というものは異なっているわけでございますが、大事なことは、これらの社会復帰施設が地域の中でネットワーク化されていくことではないのかというふうに私は考えております。ネットワークされることによって、精神障害者の方たちが利用しやすい総合的な社会復帰支援のためのシステムというものが築かれていけば、大変に利用しやすくなってくるのではないかというふうに思っております。
 こうした認識のもとで、バランスとめり張りのきいた社会復帰施設の整備をしていくということが今こそ求められているというふうに考えております。
 このことについて今後東京都はどのように取り組んでいくお考えなのか、考えがまとまっておりましたらば、お示しいただきたいと思います。

○長岡医療福祉部長 先生ご指摘のとおり、地域におきまして精神障害者の社会復帰と自立を実現していくためには、社会復帰施設を初めとする地域の社会資源が連携し、精神障害者の立場に立ったシステムづくりが重要でございます。そのため、検討会におきまして、整備の方向を中間のまとめとした後、その方向性を踏まえながら、社会復帰施設の各種別ごとの役割、行政の関与のあり方、地域の精神障害者の支援のシステム、社会復帰施設の評価システム、施設間の連携や施設と地域との連携、小規模法人化の進め方、都と区市町村の役割分担のあり方など、来年秋をめどに検討することとしております。
 これらの検討結果を踏まえまして、中長期的視野に立って計画的に社会復帰施設の整備を図っていくとともに、精神障害者のニーズに即した社会復帰支援のための仕組みづくりを地域の中でつくってまいります。

○曽雌委員 精神障害者の社会復帰施設というものが、精神障害者が地域の中で自立して社会参加を実現していくということでは、必要不可欠な、また重要な施設だというふうに考えております。他の障害者に比較して、精神障害者の社会復帰施設というものは、先ほど来議論もありましたけれども、質的にも量的にもいまだ十分とはいえない状況にあるというふうに思っております。
 そこで、先ほど来部長からご答弁いただきましたけれども、早急に中間のまとめというものの取りまとめをしていただきまして、精神障害者の施設の整備の方向性というものを早く明確にしていただきたい、そのことによって一つ一つまた整備を促進してほしい、これが私どもの、また精神障害者の方たちの大きな願いであるというふうに思いますので、このことを要望して、質問を終わりたいと思います。

○和田委員 まず初めに、インフルエンザに関連してお伺いいたします。
 事業概要の五七ページに、平常時防疫という項を設けながら、保健所における指導等となっております。そこには、六疾病について抗体保有状況を調査しているというふうになっております。その状況を六疾病調査するという中にインフルエンザが入っているわけでありますが、時期的にちょうど秋口から冬にかけて、この種の話題が毎年のように出てまいります。その結果、何を私ども一番恐れるかというと、インフルエンザに対抗するワクチンの形がインフルエンザによって異なるので、ワクチンをつくる間の時間が間に合わなくて、インフルエンザが大きく流行するのを許してしまうという嫌いが年々ありました。
 五七ページの下の表2-22のところでは、感染症の流行予測調査実施状況というふうになって、検体採取件数が二百八十一、検査延べ件数が一千四百五というふうにインフルエンザはなっているわけです、感染源の調査は別として。まもなく迫ってくる冬の時期に備えて、来年度に向けてといいましょうか、ことしの冬に向けてどのような予測といいましょうか、それに当たっているのか、お伺いいたします。

○山川薬務部長 厚生省は、昨年の供給不足を受けまして、本年新たに専門家によりますインフルエンザワクチン需要検討会を発足させました。同検討会では、医療機関に対する抽出調査によりまして、その結果のもとに、今年度の最大需要量を六百九十三万本と推定いたしました。これをもとにしまして、製造メーカー五社は、これを上回り、またさらに昨年の二倍以上の七百五十万本を製造する予定としております。この数量は、昨シーズンの推計不足本数を考慮しても、妥当な数量であると聞いております。

○和田委員 妥当というご報告があったんですが、いつも妥当といって手おくれ状態が続いてきているということも、教訓的に心しておいていただきたいと思うんです。
 それというのは、ワクチン製造に時間がかかると聞いておりますから、足りないぞといってからつくっても、もう春になって猛威が収束しちゃったときにでき上がるというふうな皮肉な状態になるわけでありますから、少なくとも例年の経験を生かして、今期も都民の健康のためにぜひ積極的な対応を要望いたしておきます。
 次は、エイズに関係する問題です。これも六一ページのエイズ対策というところになります。
 エイズ、とりわけ外国人のエイズの問題でお聞きしたいんです。なおかつ、都立病院にかかわる問題でありますが、不法に在留されている外国人で都立病院にエイズで入院をされるという中で、最大限治療費が最近必要とされたというか、請求された人は、幾らぐらいの請求額になるんでしょうか。--じゃ、時間がないので次に行きます。後で答えてください。あらかじめ申告した私の時間がありますから、それを守ります。
 もう一つは、精神保健福祉にかかわることです。
 席上に配布していただいた精神障害者の保健福祉手帳所持者の推移ということで、この数字では、十二年度は一万五千五百九十五というふうになっています。この数字というのはどういうところから捕捉されたものかということです。もちろん手帳を受けたという人はそれでわかるんですが、精神障害者というのを認定するのは、小児科医でもないし、歯科医でもないし、とりたてて精神病院のお医者さんだろうと思うんですね。ところが、精神病かどうかというところの際の人は、精神病院に行かずに平常な生活を送っている可能性もある。したがって、精神病院に行かなければ精神病と認定されないという今のやり方でいいのだろうか。今のような精神病患者の認定の仕方がこのままでいいのかどうなのかということについて、お考えをぜひいただきたいと思います。

○長岡医療福祉部長 精神障害者の実数、どのくらいいらっしゃるかという調査でございますけれども、一般都民を対象とした、あるいは一般国民を対象とした調査というのはございませんで、一つは、医療機関にかかった方で精神障害者ということで何人いらっしゃるかといういわゆる患者調査、全数調査でございますけれども、それが定期的に行われているのが一点、これは国の全国調査でございます。そのほかには、東京都で都内にございます精神科系統の医療機関すべてにお願いをして、一定期間の間にいらっしゃっている患者数をカウントしまして、全体を推計するという形の調査がございます。
 それ以外の調査で、どのくらいの精神障害者の方がいらっしゃるかという調査は、今のところ残念ながら持ち合わせておりません。

○和田委員 今の精神保健福祉のことで関連するんですが、いろんなデータそのものを福祉も含め我々がつかむときに、出現率というか、発生率というか、そういうものの数字をよく使われますよね、皆さん方が。精神保健福祉にかかわる患者さんというか、障害の方々には、出現率というのはあり得ないんですか。

○長岡医療福祉部長 精神障害者の中で精神分裂病の方が一番多いわけでございますが、これは、世界的にも大体一%弱ということで出現率があるというふうに考えております。

○和田委員 そういう数字をもとにしていったときに、今、手帳とはすぐぴたっと合いませんけれども、この一万六千弱の数字が都民の精神障害者の方々の基数というか、もとになる数字なのかなということは、当然数字を見ればすぐわかるわけでありまして、もっともっとこの種の方々の積極的な治療なり、あるいは福祉なりの恩恵に浴せるような行政をやっていかないと、手の行き届かない形の中でこういう方々が生活しているというのは、ある意味では悲しいことかなと思うわけであります。
 その意味で、ここでは不適当な話ではありますが、無料パスといいましょうか、二年間で千円というああいう施策を打つことによって、積極的にそういう恩恵に浴したいという方々が手帳を入手するということになれば、この一万六千弱の方々の数が数倍になるだろうというふうに私は考えているわけでありまして、積極的な行政の手当てを求めておきたい、これは要望しておきます。
 じゃ、先ほどの答弁、出ましたか。

○押元病院事業部長 先ほどご質問のありました外国人に係るエイズ治療の治療費の問題でございますけれども、エイズということだけでは現在統計をとっておりません。まことに恐縮でございますが、後ほど調査をいたしまして、ご報告を申し上げたいと思います。

○和田委員 私の友人で、ビルマ関係の親善的なNPOをやっている仲間がいるんです。彼から聞いた話ですと、相当額の治療費がこのエイズ患者に、外国人の方でありますが、かかっていて、東京都は苦労しているよという情報を聞いているわけでありまして、そういう不法に滞在をされている、しかし、エイズを病んでいらっしゃる、しかし、治療費を払う能力がない、そういう三つの要素がかみ合って、巨額な治療費が宙に浮いているということであります。
 これは、基本的に国際国家日本、国際都市東京の中に出てくる一つの宿命かもしれませんが、やはりそういう場合どう対応するのかというような衛生局独自の対応策も用意しておきませんと、あからさまになったときに、膨大な数字が、皆様、我々議会の前に出てくる可能性も十分あるわけでありますから、私は、当局の積極的なこれまた対応を求めておきたいと思います。
 最後になりますが、動管条例について触れたいと思います。これは一一一ページです。
 十二年三月に動管条例の改正ということで、業者に対する規制の強化、それから動物に対する監視指導体制ということの強化を図って、新しくいろいろ業者の方々に対する規制などが出てきたわけでありますが、従来ある犬とか猫に対する、野犬とか野猫といいましょうか、そういうものに対しては、具体的にこの改正に基づいてどういうふうに対応が変わったんでしょうか。

○山下参事 動管条例を改正いたしましたが、主なるものは、従来の野犬、あるいはいわゆる野良猫というものに対する対応は、今回の条例改正では具体的には影響しておりませんが、例えばペットショップ等いわゆる動物取扱業を登録制にするとか、あるいはライオン、トラ、象、ああいう危険な動物を登録制度にするといったようなことが主なる改正点でございます。

○和田委員 それはわかっているんです。ただ、条例だけを見ればそうなんですけど、それも含めてきめの細かな、野良猫というんですか、あるいは野犬対策というか、そういうことで、熱心に野良猫をかわいがる、あるいは野良猫なり野良犬をケアする方々がいるんですね、NPOまでいかないけれども。そういう方々は、行政がもっと前向きに対応してくれというようなことを、我々にも苦情というか陳情に来るわけでありますが、どうも行政とそういう方々の間にすごい距離があるように思えてなりません。
 一方で、そういう住民の方々のわがままなのかどうかということも含めてでありますけれども、その住民の方々の対応策も含め、待遇ですね、接遇の問題も含めて、最後にお伺いいたしたいと思うんです。

○山下参事 平成十一年三月に動物保護管理審議会から答申をいただいております。ただいま先生のおっしゃいました野良猫対策につきましても、モデルプラン等を設定いたしまして、これから候補地あるいは実施方法について検討を重ねていきたいと思っておりますが、現在、複数の候補地を絞り込んでおりまして、今後、住民組織、区市町村、愛護団体等の意見を踏まえ、十二年度中に何とか実施に向けてまいりたいと思っております。

○藤田委員 私も何点かお尋ねさせていただきたいと思います。そして、今までに質問をしてまいりましたことの後追いといいますか、どんなふうになっているかということでまずお尋ねいたしたいと思いますが、温泉について、ちょっとお尋ねしたいと思います。
 三年ほど前に、いわゆる都内で、技術も高まって、千メートル掘れば大体温泉が出るというような状況になっているところで、いろいろなところで温泉掘削ということが始まって、それについて、いや、実はどこでも掘ってしまえば、それだけ地盤沈下というような問題が起こるのではないかということで、温泉法の中で基準を決めてきたというふうに思っています。
 そして、その中で、私も最後に、条例にした方がいいのではないかというようなお話をさせていただいたと思いますけれども、現状はどのようになっているのかをお尋ねしたいと思います。

○山下参事 ご指摘の基準につきましては、東京都自然環境保全審議会の答申を受けまして、平成十年七月に、地盤沈下防止の観点から、温泉法に基づく動力装置の許可にかかわる審査基準を定めたわけでございます。この基準に基づきまして、指定地域ごとに温泉くみ上げ動力装置の揚水管の吐出口断面積及び一日の揚湯量を規制するとともに、水位計の設置、水位の記録の確認、地下水位測定など監視指導体制を強化し、対応しているところでございます。

○藤田委員 現在の衛生局の関係としては、いわゆる条例という状況にはならないということだと思うんですが、実はこの四定にも出されるであろうといわれています公害防止条例の改正の中で、地下水という問題が上がっておりまして、そして温泉も地下水に含まれる方向というふうに聞いておりますけれども、温泉の審査基準はどのように変化をしてくるでしょうか。

○山下参事 公害防止条例の改正では、地下水揚水規制に温泉が含まれる方向であり、その規制基準は、温泉法に基づく審査基準が適用されることになるものと聞いております。今後、審査基準を適正に運用していく上で、公害防止条例を所管する環境局との連携を図る必要があるものと考えているところでございます。

○藤田委員 ということで、今、公害防止条例を所管する環境局との連携というふうにありましたけれども、先ほどのご答弁にもありましたが、水位記録の確認や地下水位測定など監視指導体制を強化しているというふうになっているんですが、例えば、立入検査というようなことが今までもあったかと思いますけれども、それは、環境局、衛生局、どちらで行うようになりますでしょうか。

○山下参事 温泉法に基づきます監視指導につきましては、衛生局が担当しております。公害防止条例に基づくものについて環境局が担当して、監視指導しているわけでございます。

○藤田委員 ということは、先ほどの第一問でお尋ねした、いわゆる一日の揚水量の規制などについては、すべて温泉法として、これまでと同様に立入検査は衛生局というふうに判断してよろしいんでしょうか。

○山下参事 条例改正の動向を見た上ではございますけれども、いわゆる温泉と、それから公害防止条例の改正の中で、地下水の揚水に関しましたものを今後環境局で所管しますと、両者で監視指導するということが必要になってくるかと思われます。

○藤田委員 動力の設置という観点から見ますと、例えば温泉と地表面近くの地下水を同一敷地内からくみ上げるといった方法、例えばなぜそんなことをするかというと、水道水で温泉の水を上げるということよりも、地下水で上げた方が安いということになるわけです。こうしたやり方が今までと同様に普通に行われてしまうと、地下水のくみ上げによる地盤沈下ということから非常に問題があるというふうに思っているわけですけれども、このくみ上げに対する対処の方法はありますでしょうか。

○山下参事 ご指摘のような同一敷地内での温泉と地下水のくみ上げの規制につきましては、改正が予定されております公害防止条例の中で対応がなされるものと聞いておりますけれども、揚水量は、温泉くみ上げ水量と地下水くみ上げ水量を合算した総量で規制すると思われますので、その辺で規制がかかると思います。

○藤田委員 揚水管の吐き出しの面積やら、それから一日の揚水量などで大体どんなふうな状況になるかということはわかっているとは思いますけれども、著しい地盤沈下の状況が見られたとき、地下水、温泉のくみ上げ規制を検討する必要があると思うんですけれども、このことについてはどんなふうに考えていらっしゃいますでしょうか。

○山下参事 ご指摘のように、くみ上げ量が基準を超えますと、地盤沈下等が予想されます。そのときには、私どもには自然環境保全審議会の中に温泉部会がございます。その部会で報告をいたしまして、その報告を専門家に検討していただき、かつまた、それを本会であります自然環境保全審議会にご説明し、そこで審議をし、対応を図ってまいることが可能でございます。

○藤田委員 次に、私たちもこれまでも環境ホルモンについていろいろお尋ねし、この対策についても多くの努力を払っていただいているわけですけれども、その中で、ラップ、要するに塩ビニの製品やら、それからその他の製品でもありますが、物をカバーして例えば電子レンジに入れれば、そこで調理ができるというようなことで、非常に便利に使っているわけですけれども、このラップから環境ホルモンが溶出したというふうに聞いております。
 そのことについて、業界が自主的にラップの組成を変更しているというような話を聞いておりますけれども、現在の状況はどんなふうになっておりますでしょうか。

○山下参事 都は、環境ホルモン取組方針に基づきましてラップフィルムの実態調査を行い、ポリ塩化ビニール製ラップフィルム中から、環境ホルモン作用が疑われているノニルフェノールが溶出することを確認しました。本年六月に開催されました東京都内分泌かく乱化学物質専門家会議にご報告いたしました。
 業界は、本年二月以降、自主的にノニルフェノールが溶出する原因となる添加剤の使用を取りやめるか、あるいは環境ホルモン作用が疑われていない添加剤に切りかえるか、どちらかの方法をとったと聞いております。
 なお、都では、市販のラップフィルム中のノニルフェノールにつきまして、継続して確認調査を行っているところでございます。

○藤田委員 今ご答弁のありました東京都内分泌かく乱化学物質の専門家会議について、どのような方々がこの専門家会議にご出席で、そしてこの会議に報告をすると、どんなことを役割としてお答えになるというようなことがわかりましたら、教えていただきたいと思います。

○山下参事 専門家会議は、各大学の化学技術系の教授の方々が主体となって構成しております。そこに、例えば環境ホルモン、環境庁が現在指定しております六十七物質等の環境ホルモン等の検査を我々はしておりますが、そういったものが検出されますと、報告をするわけでございます。具体的には、食器等に使われますポリカーボネート、あるいは哺乳瓶に使われますポリカーボネートにおけるビスフェノールAの問題、あるいはスチレンダイマー、スチレントリマー、いわゆるポリスチレン系の業界の業務用のトレー、あるいは即席めんのカップ、これから検出されますスチレンダイマー、スチレントリマー、それから、先生が先ほどおっしゃいましたラップ材の塩化ビニールのノニルフェノールといった環境物質等が検出されますと、その専門家に諮りまして、対応等を検討していただくことになっております。

○藤田委員 それでは、その中でもきっと話し合いがあったのだと思いますけれども、消費者に対しての公表ということではどのようになっておりますでしょうか。

○山下参事 都は、製品に関する情報を消費者に積極的に提供していくべきであるとの専門家会議のコメントを受けました。業界に対しまして、ラップフィルムに使用されている添加剤について情報公開を要望いたしました。その結果、業界は、消費者に対しまして情報提供する方向で意見がまとまり、その具体的な方法について現在検討中であると聞いております。

○藤田委員 検討中ということでありますので、いずれどのような形かで出てくるのだとは思いますけれども、ラップのところに表示が出てきて、これは環境ホルモンが溶出するようなものを使っていませんというふうに書くのかどうかわかりませんけれども、とにかく速やかにそれをやっていただかないと、消費者の側では、選んでいくというときになかなかそこができませんので、これについては現在検討中ということでありますけれども、ぜひ早急に取り組まれるように、業界に対しての指導を行っていただきたいというふうに思います。これは要望いたしておきます。
 それでは、集団給食の施設衛生基準についてお尋ねいたしたいと思います。
 これにつきましても、O157対策で、子どもの施設ですとか、あるいは老人の施設というようなところで集団的に食中毒が起こる。そうしますと、被害が大変大きくなるということで問題視されてきたことでございますけれども、この集団給食の施設衛生基準について、先般、基準の設定を規定したというふうに発表がありました。条例化へ向けての設定というふうにも聞いておりますけれども、まずこの経緯について伺いたいと思います。

○河津生活環境部長 ただいまお尋ねの衛生基準につきましては、現在検討中でございますけれども、これまでの経緯につきましては、集団給食施設のうち、営業以外の場合で学校や病院、社会福祉施設等で食事を提供する行為は、食品衛生法の許可を必要としておりません。しかし、これらの施設におきまして、ただいまお話がございましたように、食中毒が発生した場合には、乳幼児や高齢者等、抵抗力の弱い人たちが被害者となることが多いわけでございます。また、都内の集団給食施設を原因とする食中毒は、発生件数では全体の約一〇%でございますが、患者数にいたしますと約二〇%に達しておりまして、現状を看過できない状況にございます。
 こうした背景の中で、都は、東京都食品衛生調査会から集団給食施設に対する衛生管理対策についての答申をいただきまして、そこで届出制や衛生基準の設定について現在検討しているところでございます。

○藤田委員 東京で今、集団給食施設は、営業以外で、学校や病院、それから社会福祉施設等ということで食事を提供しているというふうにありましたけれども、この団体の概要、どんなところが実際にこの集団給食をしているのかをお尋ねしたいと思います。

○河津生活環境部長 今回新たに規制対象となります集団給食施設のうちで主なものは、法律で定められております学校、病院、社会福祉施設などでございます。ただ、これらのほかに、ボランティア団体とか、あるいは関係法令の要件を満たしていないいわゆる法定外の保育所、無認可保育所等、それから障害者の作業所等がございます。

○藤田委員 これらのほかにといわれましたボランティア団体と無認可の保育所、障害者の作業所というところで集団給食を行っている方々は、実際にどんなところで調理を行っておりますでしょうか。

○河津生活環境部長 調理を行う場所でございますけれども、法律で定められました大規模な施設である病院、学校、社会福祉施設といったところは、ほとんどが専用の調理室を所有しているわけでございます。しかし、法定外の保育所とかボランティア給食等の小規模な施設の中には、家庭の台所であるとか、あるいは公民館等の給湯施設といったようなところを使用して調理を行っているところがあるわけでございます。

○藤田委員 実際には今、福祉の方で地域福祉振興財団というところがありますけれども、そこの補助金を受けている団体で、いわゆる毎日食事サービスというように、かなりの団体が、地域の中で、本当に小さい二十食から五十食までの間をこれまで老人給食として配達をしたり、あるいはそこに来ていただいてお食事をするというようなことで担ってきています。
 現在のように介護保険が始まりまして、高齢介護について非常に問題視されてきてからは、この食事サービスも、いろんなところで行われるわけですけれども、実際には平成五年ぐらい、五年ほど前は、自宅の中でこのデイサービスをやるときには、自宅の台所であっても審査が非常に厳しくて、すべてステンレスにしなければいけない、あるいは調理は、そこにいらした方が残存能力を使ってともに食事をつくりながらやればいいじゃないかというようなことを保健所に幾らいっても、いえ、ちゃんとした調理師がいなければいけないというような非常に厳しい状況であったわけですけれども、現在ではいろんな形の給食サービスが行われているわけです。
 これは、かなりの地域の中での役割を果たしているわけですけれども、これらの団体からの聞き取り調査といいますか、どんなふうに今回の施設衛生基準について考えておられるかというようなこと、意見や要望が出されたかをお尋ねしたいと思います。

○河津生活環境部長 さまざまな団体をリストアップいたしまして直接意見交換をする、あるいはそれができないところはアンケート調査を行いまして、全体から意見を今伺っているところでございます。かなりのところで意見が集まってきております。
 本年七月から直接に意見交換を行いましたのは、法定外の保育所、障害者等の作業所、ボランティア団体等十三団体でございますけれども、そちらとはより積極的に意見交換を行ってまいりました。
 その結果、各団体からは、二点ほどに集約されるかと思いますが、まず第一点は、今回の規制によりまして、小規模なボランティア給食活動の意欲をそぐことのないように配慮をしてほしいというものでございます。もう一点は、公民館などの給湯室や一般家庭の台所などを使用している場合には、施設の改善がなかなか困難である、こういう意見が寄せられております。

○藤田委員 今回設定する安全基準で求められています施設整備の内容、どんなふうに変えてほしい、あるいはどういうことが条件であるというふうに規定をしているのでしょうか。

○河津生活環境部長 衛生を確保し、食中毒を防止するという観点が何よりも大事でございますので、そういう観点から、許可を要する集団給食施設と同様の設備が必要というふうに考えているわけですけれども、具体的には、答申の中では、独立した調理室の中に専用の流し、調理者用の手洗い、冷蔵庫等を整備することなどが提言されております。

○藤田委員 答申に示された施設基準に適合しない、先ほど何回もお話しいたしましたけれども、住民参加型の給食サービスの継続性の確保、これについてはどのようにお考えになっていますでしょうか。

○河津生活環境部長 現在、今、先生がおっしゃられましたことを重点的に検討を進めているわけでございますが、今回の実態調査の結果では、ボランティアによる給食サービスなど小規模な給食施設において、答申に示された基準に合致しないものが現実にございます。今後、答申の具体化に当たりましては、食の安全性を担保した上で、実態調査の結果や関係者の意見等を踏まえ、適切に対応していきたいと考えております。

○藤田委員 この施設基準等を最初に出されたときには、あくまでもお願いだというようなことが書いてあったかと思うんですけれども、これをお願いにしないで、それぞれきちっと決めていくこと、条例化ということが私は必要だとは思いますけれども、現在どんなふうな状況になっているかをお尋ねしたいと思っています。

○河津生活環境部長 本年、東京都食品衛生調査会から受けた答申を踏まえまして、条例改正を予定しております。現在、実態調査の結果を踏まえ、ボランティア団体等からの情報収集や区市町村等関係機関との意見調整を進めているところでございまして、できるだけ早い機会に条例提案できるように準備を進めてまいりたいと考えております。

○藤田委員 今お話がありましたように、意見調整を進めているというところでございますけれども、経過措置といいますか、現在やっている方々が、ある意味ではこういう安全基準を出されてしまうと、もう自分たちにはやらないでほしいといっているのと同じように聞こえますというようなお声をたくさん聞くわけです。
 そこで、私は住民参加型の給食サービスというのは有効であるというふうに思っていますので、先ほどのお話ですと、この方々が、ぜひ活動の意欲をそがないように配慮してほしいという声が大きいわけですけれども、経過措置というようなことはどんなふうに考えていらっしゃいますでしょうか。

○河津生活環境部長 今お話しありましたように、意欲をそがないようにということも十分受けとめまして、しかし、一方では、食の安全性もしっかりと担保しなければ何もならない、両方の問題がございます。ということで、今ご指摘がありました経過措置等も含めながら、今、関係機関と内容を詰めているところでございます。

○藤田委員 私も、安全性についてはまず第一というふうに考えておりますので、いざ大きな事故が起こってからということでは大変問題になりますので、そこのところは考えつつも、今のお話のように、十分に意見を聞いて詰めていただきたいというふうに思っています。
 最後に、精神障害者のホームヘルプ事業について伺いたいと思います。
 現在、事務事業の中にもありますが、精神障害者のホームヘルプ事業の概要についてまずお伺いいたしたいと思います。

○長岡医療福祉部長 精神障害者のホームヘルプサービス事業は、日常生活を営む上で支障のございます精神障害者に対して、食事の準備、掃除等のホームヘルプサービスを提供することによりまして、自立と社会参加を促進することを目的としているものでございます。平成十一年六月の精神保健福祉法の改正によりまして、平成十四年度から法定事業となり、区市町村を中心に実施されることとなっております。このため、国は、平成十一年度からモデル事業としてホームヘルプ事業を開始したところでございます。都は、国に先駆けまして、平成九年度から、区市町村に対します精神障害者ホームヘルプサービス補助事業を開始しますとともに、ホームヘルパー養成の研修を行っているところでございます。

○藤田委員 モデル事業が平成十一年度からということで行われているわけでありますけれども、これまでの成果を伺いたいと思います。

○長岡医療福祉部長 平成十一年度は、三区市でホームヘルプサービス事業を実施したところでございます。今年度は、新たに五区市が取り組みを開始するなど、現在、事業の拡充を図っているところでございます。

○藤田委員 平成九年度からモデル事業の指定を受けまして、世田谷区の実績は、四十一世帯、延べ六千八百八時間のサービスというふうに聞いております。その効果としては、単身生活が難しかった方が在宅生活が可能になった。それから、家事だの自分でできることが多くなって、生活の質が向上した。また、集団適応ができるようになった。また、生活状況を把握することで、保健婦さんが状況変化に早期に対応できて、再発防止にもつなげることができたというような成果を述べられているわけです。
 このホームヘルプサービスは、精神障害者の在宅福祉サービスの中心となる施策というふうに私は考えておりますけれども、新たに今年度五区市が取り組みを開始するというふうに今お答えがございましたが、他の地域への拡大を図ることについてはどのようにお考えでしょうか。

○長岡医療福祉部長 ホームヘルプサービスにつきましては、法改正によりまして、居宅生活支援事業、三つのうちの一つとして位置づけられたところでございまして、居宅におきます精神障害者の自立を支援していくために重要なサービスであると考えております。都としましては、これまでも、事業の必要性にかんがみまして、区市町村に対し取り組みの働きかけをさまざまな場面で行ってきたところでございます。
 今後とも、地域におきます精神障害者の自立と社会参加を実現するために、具体的には、先ほど先生ご指摘ございましたように、実施のための情報提供や、先行して実施をしている区市の取り組み事例を紹介するなど、ホームヘルプサービスの地域の拡大に努めてまいります。

○藤田委員 私も、居宅支援事業者の仲間の一人でありますけれども、現在、介護保険などでホームヘルプサービスを提供し、あるいはまた地域福祉の観点からヘルパーを派遣しているグループにも、最近精神障害者の方々からのホームヘルプのご依頼が多くなるようになっています。しかし、これまでの常識的なところからいって、どのように対処したらよろしいかということがなかなかわからない。高齢者の介護ですとか、あるいは子どもたちによるうちの介護ですと、私たち自身が生活をしている中で十分対処できるわけでありますけれども、精神障害者に対しては、やはりそこにはきちっとした専門的な知識も得ながらの援助が必要かと思います。
 この中では、東京都の中でもホームヘルパー養成研修を行っているというふうに聞いておりますけれども、この研修をさらに充実したものにする必要があるかと思いますが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。

○長岡医療福祉部長 ホームヘルプサービス事業を実施する上でヘルパーを確保することは、重要な点でございます。そのため、既存のヘルパーに対しまして、精神障害者のニーズに適応した適切なホームヘルプサービスを提供できますよう、必要な知識、技能を習得するための研修を精神保健福祉センターにおいて実施をしているところでございます。また、精神保健福祉センターが実施をいたします研修のほかに、区市町村や民間団体が行います同様の研修を特別研修として指定をしているところでございます。
 今後ともヘルパーの養成研修に積極的に取り組み、基盤の整備に努めてまいります。

○藤田委員 ごくごく普通にといいますか、精神保健福祉センターがこういう研修をやりますよというような公表があって、そこに参加をするというようなことが実質できるんでしょうか。

○長岡医療福祉部長 現在のところ、個人的な希望での受け付けはしておりませんで、区市町村から申請をしていただく形になっております。

○藤田委員 そうすると、今おっしゃったようなのは、区市町村がそこの団体を認めれば、そこから個人的にそこに参加をしてもよろしいということに理解してよろしいでしょうか。

○長岡医療福祉部長 個人が区市町村に希望されて、そこから推薦を受ける形ができれば、受講することができると思います。

○藤田委員 先ほどの世田谷区の例でもお話ししましたけれども、やはりヘルパーと保健婦さん、そして医療と福祉の連携をするためにも、病院、そして行政のチームワークというものが、この精神障害者に対するホームヘルプ事業についても非常に重要かと思いますけれども、ここのところについてはどんなふうなお考えを持っていらっしゃいますでしょうか。

○長岡医療福祉部長 ご指摘がございました精神障害者のニーズに対応した適切なホームヘルプサービスを提供するためには、精神障害者が抱えております問題に適切にこたえられる医療や保健福祉などの分野との連携が必要でございます。このため、具体的には、本人の状態に配慮いたしまして、導入時には保健婦等の同行やヘルパーとの定期的な情報交換を行うなど、専門職や関係機関と十分連携しながらホームヘルプサービス事業を行っているところでございます。
 また、都では、平成十一年度から、在宅の精神障害者の生活を支援するために、精神障害者が必要とする各種サービスを効果的に提供できるよう、ケアマネジメントの援助技法の普及定着に向けまして、精神障害者ケアマネジメント体制整備推進事業も実施しているところでございます。
 今後とも、地域関係機関相互によりますケアマネジメント手法の定着などを含め、サービス内容の充実に努めてまいります。

○藤田委員 介護保険でもそうでございますけれども、非常にケアマネジメントというところが重要な機能を持ってくるかと思います。ここのところをぜひ行政がリードしてくださって、そして、民間でももちろん十分にヘルパーとして回ることもできると思いますので、ぜひこのチームワーク、ケアマネジメントの体制整備をしっかりとやっていただきたいと思います。
 以上で終わります。

○野村委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後三時五十七分休憩

   午後四時十三分開議

○野村委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○古賀委員 去る第三回定例会において、墓地等の構造設備及び管理の基準等に関する条例が改正されました。議会への提案理由には、墓地等の適正な経営を確保するため、許可基準、許可申請手続等について規定を整備するとあります。
 改正の要点は、現在まで行われてきた墓地経営許可方法を改めるものであります。主な内容としては、経営主体が、従来は国の通知によりまして、適格性については内部で審査基準を設けていたものを、今回は条例で、経営主体については地方公共団体、宗教法人、公益法人といたしました。宗教法人は、都内または申請地の隣接市町村に事務所を所有するものというふうになっております。また、墓地の設置場所については、従来、借地でも経営可能でありましたけれども、今回は原則自己所有地となりました。また、改めて今回、事前周知義務というものが追加をされました。周辺住民とのトラブル、いわゆる紛争を防止するために、従前、施行規則によって承諾書添付ということがありましたけれども、これが有名無実化するという最高裁の判例等もあって、今回、紛争防止のために、事前周知制度、申請前にこれをやるように制度が改められたわけであります。
 条例改正の背景には、バブル経済の終えんによる土地価格の下落、それに伴う土地の処分、ここに、墓地需要に便乗した開発業者が、宗教法人の名義を借り受けて墓地を造成しようとする状況が都内各地で顕著になっていることが挙げられます。
 このことを、去る十一月一日の産経新聞「正論」で舛添要一氏が、「介護の次は葬儀、墓の問題が…」と題して論じています。その内容は、簡単に申し上げますと、こういうふうに書いてあります。
 「工業化と都市化が進み、伝統的な村落共同体が崩壊し、核家族化が進展した。そのため、家を単位とする葬儀や檀那寺や墓は成り立たなくなっていった。その傾向は、少子化の進む今日、ますます顕著になっている。両親が浄土に旅立ったとしても、息子としては、供養し続けたいし、また彼らが健在だったころを偲びたい。そのためにも、足繁く墓参もできるように、私は、檀那寺と墓を東京に移すことに決めた。」こういうふうに書かれているんです。つまり、条例改正の背景となる社会状況を裏づける内容ということがいえると思います。
 実は、ちょうどこの時期に符合するように、私の地元日野市でも、この問題、つまり開発業者、宗教法人と地元住民との紛争に突如見舞われたわけであります。これは新旧条例のはざまで起きた紛争でありますけれども、ここで、この改正条例の有効性、それから実効性が試されることになったというふうに思います。
 そこで、日野市の方に持ち込まれたこの墓地建設計画なるものについて簡単に申し上げますと、今年の九月一日、まさに唐突に、多摩川沿いの日野市石田四百四十一のほか二筆、現在は国有地で大蔵省が管理している四千六百六十二平方メートルに、いろいろいわれておりますけれども、約千二百基の墓地を建設したいとの意向が、開発業者と宗教法人から地元住民に示されたわけであります。地域居住者にとってはまさに晴天のへきれきの大事件に驚愕したことは、想像にかたくないわけです。
 そこで、私もいろいろ地元の皆さんと一緒に各方面に働きかけを行ってまいりました。関係方面とは、もちろん東京都、これは南多摩保健所、それから日野市、それから土地を持っている地主さんに当たります大蔵省関東財務局、市の職員や地域住民の皆さん等ともいろいろ相談をしながら、お願いやら要望を重ねてきたわけです。
 そこで、以下何点かお聞きいたしますが、そういった流れの中で今回この件を質問するということで、先ほど申しましたように、この条例が果たして実効あるのかどうかということが、これからこの件を通して明らかになっていくのではないかと思うからであります。
 改正条例の施行は来年一月一日でありますが、この墓地建設の申請は、九月十二日に、日野市に墓地をつくりたいということで南多摩保健所に出されました。この件については、いずれの条例が適用されていくのか、これをまず確認いたします。

○河津生活環境部長 ただいまお尋ねのございました日野市に計画されております墓地は、九月に、保健所において墓地経営許可申請書が受理されております。改正条例施行前でございますので、現行条例が適用されることになるわけでございます。

○古賀委員 現行条例、つまり、改正前の条例が適用されるということでありますけれども、条例改正の背景というのは先ほど私がるる申し上げました。少なくとも来年一月からの施行ということでありますので、もちろん現行条例が適用されるということが大前提でありますけれども、改正条例の趣旨というものに沿ってこれから東京都は対応し、この改正条例を運用すべきではないかというふうに私は考えますが、都はいかがでしょうか。

○河津生活環境部長 保健所におきましては、改正条例の趣旨に沿った運用を図ることを心がけておりまして、申請者に対して近隣住民等への事前周知などの指導を行ってきております。今後も引き続き適切に対応していくようにいたします。

○古賀委員 改正条例の趣旨に沿って運用を図るべく心がけているということは、ちょうどはざまですからいろいろ問題があると思いますけれども、都の姿勢はそれでいいと思いますが、近隣住民というのが、今この問題については断固反対、白紙撤回なんですよね。住民に対して事前周知の指導をしているという今の答弁ですけれども、それを聞くということは、墓地建設を前提とするということになりますので、今、地域住民としてはそれに応じるという意向は全くないわけです。
 そこで、日野市、地元自治体はどうかという問題になるわけですけれども、日野市も、行政という一つの立場はありますが、この計画については反対なんですよ。それはどういう形で示しているかと申しますと、大蔵省の方にも市から働きかけましたし、都の方にも担当者がお邪魔して、いろいろ市の意向を申し上げております。
 日野市は、九月二十二日なんですが、保健所長に対して日野の馬場弘融市長が、「日野市石田地内墓地建設計画に係る取扱いについて」ということで、文書を既に出しております。内容は長いんですけれども、当該墓地建設計画は、市まちづくり構想にそぐわないものと受けとめております。つまり、市の考え方とは全く違うということです。それから、市としても、この業者及び宗教法人に対して計画を撤回するよう申し入れている。市も直接申し入れているわけです。貴職におかれましても--貴職というのは、南多摩保健所の所長を指しております。当該墓地建設計画につきましては、これらの状況をご高配いただきました上、慎重かつ厳正な審査をいただきまして、住民の皆様及び市の意向を十分にお酌む取りいただいた取り扱い及び処分をしていただきますよう切にお願い申し上げます。こういう市長名の文書を既に出しております。
 つまり、市の意向はもう明確なんですよね。はっきり市のまちづくり、都市計画の考え方とは相反するということでありますので、こういう状況の中で、保健所は、では、どう対応するかということを聞きたいわけですよ。いかがでしょうか。

○河津生活環境部長 現在、保健所におきましても、市に対しまして、市の土地利用計画等に対する墓地計画の具体的支障の有無等につきまして意見照会をしております。
 現行条例の運用に当たっても、改正条例の趣旨に沿って、市の意向を配慮した対応を図っているところでございます。

○古賀委員 市の意向を勘案するということですから、それは当然のことなんですけど、さきの条例改正が審議されました都議会厚生委員会で付帯決議が提案をされ、中には賛成されなかった方もいらっしゃいますけれども、付帯決議は、条例の運用に当たっては、区市町村の意向を配慮することというふうになっておりますので、地元自治体の意思を尊重していくということは都議会の付帯決議の意向にも沿うものでありますので、それは当然ということになるわけです。
 そこで、市の意向を配慮しなければいけない状況に既にあるわけですから、その上にさらに積極的な姿勢というものを私は示してもらいたいんですが、最初に申し上げましたように、この土地はまだ人様のものなんですね。この宗教法人のものではないわけです。これは、国はご存じのように、東京都もそうですが、歳入確保のために、不要不急、使わない土地については処分をするということで競売にかけ、売り払いを促進している、その対象物件ということになっておりますので、まだ国のものなんですよね。
 当然払い下げの申請は、この業者は出しておりました。国有地の売り渡し請求書というものを提示して、たまたま手を挙げた人は六億五千万円、この業者しかいなかったわけで、この業者が取得するであろうというふうに、そういう前提は一つ考えられたわけでありますけれども、ことし十月十三日が契約期限であったんですが、それまでに契約がなされなかったということです。
 つまり、土地購入については、平成十二年度は白紙に戻ったということでありますが、土地は、当該業者や宗教法人が取得するに足りる状況はなくなった、つまり、保健所で九月十二日に受理された申請書は宙に浮いた形になったと私は判断いたしますけれども、この南多摩保健所で受け付けました墓地の経営許可の申請書の取り扱いは、こういった場合どうなるのか、どうでしょうか。

○河津生活環境部長 ただいまのお尋ねの件でございますが、保健所の方も、申請者は近隣住民との話し合いを最優先するようにという指導をしてまいりまして、それによりまして自主的に用地の購入を延期したところだというふうに聞いております。
 受理された申請書についてでございますけれども、申請者が取り下げない限りは有効なものであるという現状でございます。

○古賀委員 国有地の払い下げ手続については、ここで完全に断絶しているわけですよね。来年度はわかりませんよ、少なくとも平成十二年度の国の売り渡しはもうなくなったわけです、契約が守られなかったわけですから。ということは、私は、保健所として、東京都として、また別の角度からの指導があってもいいのではないかというふうに思うんです。
 この宗教法人はどこにあるかといいますと、本坊は島根県、関東にも枝院があるということになっておりますけれども、これは川崎市なんですね。仏教では仏縁、縁というのを非常に大事にしますけれども、日野には今まで縁もゆかりもなかったお寺が、ある日降ってわいたように、突然、聞いたこともない、見たこともないお寺がこうやって墓地を建設したいということで説明に入っているわけですので、幾ら保健所の方で申請者は近郷住民と話し合いなさいといっても、そもそも無理があるんですよ、縁もゆかりもない人ですからね。
 日野には、ご存じのように、名刹としては高幡不動尊とか、新撰組副長土方歳三のお墓があります石田寺、それから我が国中世の領主、「平家物語」にも登場する平山季重ゆかりの宗印寺とか、それから新撰組を育てて支援した佐藤彦五郎のお墓のある大昌寺とか、いっぱいあるんですよ。こういうお寺が、檀家の皆さんのために、先ほど申し上げた最初のいろいろな事情、社会状況の変化の中で墓地を造成したいというならわかりますよね、ある程度。しかし、島根県から突然お墓をつくりにきましたということは、どう考えても不自然だし、いろいろいわれている背景というものをまた考えてしまうわけですよ。
 だから、私は、土地の購入は一たん完全に白紙に戻ったわけでありますので、墓地経営の許可申請書の取り下げを東京都南多摩保健所において強く指導すべきだと思うんですが、申請者が取り下げない限り有効ですと今おっしゃった。なぜ取り下げを指導しないんですか。それが改正条例の趣旨に合致するんじゃないんですか、いかがでしょうか。

○河津生活環境部長 現在、先ほど申し上げましたように、保健所としても改正条例の精神で指導しているわけでございますが、現行の法体制下のもとで、取り下げの手続といいますものは、特に法的に位置づけられたものがございませんので、受理された墓地経営許可申請書につきましては、申請者が自主的に取り下げない限りは有効であるという現状でございます。

○古賀委員 それでわかりましたということにはならないわけですけど、改正条例は来年一月一日からの施行ですが、そこの内容を先取りしながら趣旨は尊重するということであれば、宗教法人の、つまり、経営主体は都内または申請地の隣接市町村、こういうふうにあるわけですから、汽車に揺られ、電車に揺られ、飛行機に乗ってという遠いところからいきなり来ましたというのは、この改正条例の趣旨にも合わないと思うんですね。
 だから、できないということはそうかもわかりませんけど、日野市は、行政体、自治体としてのいろいろ立場はありますけれども、やはり反対の意思を明確にして、それぞれの方面に働きかけているという状況もありますので、申請者が自主的におろさない限りは無理なんですよということでは、私は何か寂しい気がするんですよね。
 東京都、それから市の方にも要望書を出しておりまして、それは先刻ご承知のとおりだと思いますけれども--ご承知のことでしょう。しかし、私もその場所をよく知っておりますので、挙げられている理由はもっともなんですよ。建設予定地が第四小学校及び第四幼稚園に余りにも隣接している文教地区にあるなど問題がある。それから、古くから住民檀家と密着した関係にあるお寺ではなく、こういうことも書かれておりますし、多摩川沿いはジョギング、散歩、ウオーキング、サイクリング等憩いの場として多くの市民が利用しており、墓地建設場所にふさわしくない。それから、建設予定地は、日野市より第一種低層住宅地域に指定され、かつ万願寺第三期土地区画整理事業にも指定された優良住宅地として計画されており、墓地建設場所としてふさわしくない、こう挙げているわけです。これなど、こじつけには聞こえないでしょう。もっともなんですよ。
 ですから、日野市も態度ははっきりしておりますし、条例も改正された。今の時期の条例改正の意義というものを一層踏まえて、地元住民、それから日野市、何度も同じことをいいますけれども、その反対の意向を踏まえて、白紙撤回、話し合い以前の問題なんですよ。そして、私は不許可の判断をしてもらいたいというふうに思うんですが、これ以上お聞きしませんので、ひとつはっきりお答えください。

○河津生活環境部長 ただいま先生からお話がございましたようなことにつきまして、市から保健所長に対して墓地建設反対の趣旨の意見が出されていることは、私どもも承知しているところでございます。
 今後につきましては、保健所が、現在、文書で、日野市に対しまして、判断をするためのさまざまな資料を要求しております。その意見照会に対して市の回答内容が戻ってくると思いますけれども、そういうものを踏まえながら、墓地の永続性、あるいは公衆衛生、その他公共の福祉などの観点から、許可要件に従いまして適正な行政判断をしていくことになるわけでございます。

○古賀委員 きょうはこの程度にしておきます。

○曽根委員 まず初めに、被爆者援護法の事業の適用について簡潔にお聞きしたいと思うんです。
 私自身、政治のかかわりを持った最初が被爆者援護法の制定運動だったので、非常にこの問題は思い出があるんですが、五年前に制定された被爆者援護法が、残念ながら国家補償が明記されなかったことと、あわせてこの三十八条、三十九条の適用が被爆地に限られているという問題が残されてきました。幸い、ことしの第二回定例会で、私も参加をしまして、全会一致で国に対する意見書がまとまったわけですが、都内の被爆者団体である東友会の皆さんからも、昨年来、強く要請を受けているものです。
 ぜひ来年度は、国の適用を受けて、東京都としてこの三十八条、三十九条の適用による被爆者に対する福祉事業を実施していただきたいと思うんですが、今現在、国の動きはどういうふうになっているのでしょうか。

○長岡医療福祉部長 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律の福祉事業は、ホームヘルプ事業、デイサービス事業、ショートステイ事業の三事業と、介護福祉施設に入所する養護事業が対象となっております。これらの事業は、国の補助金交付要綱に基づきまして、広島、長崎県市のみが補助対象となっておりまして、他の地域との格差が生じておりました。この格差は本年四月の介護保険導入後も続いておりまして、広島、長崎県市の方々が利用する福祉事業は無料である一方、他の地域の方々は一割の自己負担が生じております。こうした中で、国は、広島、長崎以外の都道府県につきましても福祉事業の対象とするよう、平成十三年度予算において概算要求をしていると聞いております。
 都としましては、国の動向を踏まえつつ、さきの都議会の付帯決議や意見書に基づき、事業の実施について検討してまいります。

○曽根委員 私も、都内、私は地元は北区なんですが、被爆者の方と随分、証言をいただいたり、いろんな形で接しましたが、私の実感で見ても、東京都内に暮らす被爆者の方はひとり暮らしが大変多いのが特徴で、同じ世代の方と比べても二倍以上だそうです。そういう点でも、介護保険実施後は、とりわけ被爆者に対する福祉事業の適用が急がれていると思うんです。そういう点で、ぜひ来年度の事業の予算化を強く求めておきたいと思います。
 次に、これも私、春からずっと引っかかっていた問題で、ようやく先日現場に伺う機会が得られた問題なんですが、衛生局の所管である成東児童保健院の廃止計画について伺いたいと思います。
 一月に私たち厚生委員に廃止計画の説明が部長さんからあったんですが、現地につい最近行ってみまして、聞くと見るとでは大違いだということで、我ながら大変衝撃を受けました。お話を当局から伺ったことと現地の実態がこれほど違っていたのは、私は議員になって初めてです。
 まず第一に、一月に私たちに説明がされたとはいえ、まだ条例案も出されておりませんし、何も正式に決まっていないんですが、一月三十日には、その施設を利用している子どもたちや父母に対して、もう廃止が最終決定されたかのような説明会が行われています。これは、私は大問題だと思います。
 そして、そこで恐らく私たちに説明された一月の資料と同じ内容で、当事者である子どもたちや父母に説明がされたと思うんですけど、そこで書かれている廃止の理由のまず第一に挙がっているのが、いわゆる結核や気管支ぜんそくを持つ子どもたちが減っている。それで全体の入所児童数が減少傾向にあるんだということ。二つ目に、かつては結核や気管支ぜんそくは転地療養が有効であったが、今は医療技術の進歩で余り有効性はないということ。むしろ三番目として、都内から遠隔地にあるために、保護者と児童の関係が疎遠になっている。それから、最近は家庭の事情により入所している児童の割合が多くて、虚弱児施設としての役割が減ってきたというようなことが理由になっています。
 ところが、現地に行って私びっくりしたのは、あたかも結核やぜんそくの子どもたちが減ってきたことで、それに伴って自然に児童保健院の入所児童が減ってきたというふうに漠然と私たちも受け取っていたわけですが、事態は全く違っていました。大体、結核の症状があるという子どもは、去年で六十一人、ことしは五十人台でしたが、一人いるかいないか、それもかつての症状であって、今はない。小児ぜんそくは確かにいますけれども、二割程度、あとの大部分の子どもたちがどういう状態で入っているかというと、さまざまな難病を抱えて、また小児性の慢性疾患を抱えて入っているということなんです。
 現地でもらったんですが、事業概要にも、これは昨年度のものですが、今年はまだできていないそうなんですけど、六十一名の子どもたちの抱えている病名が全部リストアップされているんです。これは一般に知られていませんが、エプシュタイン症とかヒルシュシュプリング症とか、インシュリン非依存性糖尿病、アトピー性皮膚炎は知られていますけど、プラダウイリー症候群とか、シャント術後の子どもだとか、リンパ管膿腫、下垂体性小人症、心疾患、慢性肝炎、ネフローゼ、膠原病のSLEなど、こういった難病、特殊疾病、それから慢性疾患などを抱えた子どもたちが今大部分だということがわかりました。
 こういう状態の子どもたちに、さっきいったような廃止理由を説明して、一体話がかみ合ったのかなというのは大変疑問です。父母も含めて、とりわけ子どもたち自身に、この説明会できちっと納得が得られたというふうに局は考えているんでしょうか。

○上間健康推進部長 説明会につきましては、本年の一月三十日に開催をいたしました。これは、児童の進級や進学など進路を検討するための期間を十分とれるように考慮いたしまして、早期に説明をしたものでございます。児童については三年後に廃止すること、それから、本人や保護者の希望を聞いて一番よい方法を考えることなどについて説明をいたしました。
 子どもたちの反応でございますけれども、数日間はかなりの児童が動揺しましたけれども、その後は全体的に落ちついている状態だと聞いております。

○曽根委員 今、部長さんもみずからおっしゃったように、説明会の途中から泣き出す子どもたちとか、職員に対して、何で自分たちはここから追い出されるのかと食ってかかる子どもが相次いだというふうに聞いています。そして、今落ちついているというのは、私も先日訪ねてわかったんですが、もう半分あきらめています。
 それで、子どもたちに理解されたかどうかという点では、私たちは、子どもたちは全く理解していない、納得していないというふうに思いますが、この廃止理由そのものは、実際施設にいる子どもたちの実情と見合ったものであるというふうにお考えですか。

○上間健康推進部長 廃止の理由でございますけれども、成東児童保健院につきましては、結核や気管支ぜんそくにより転地療養等を目的として入所する児童が減少してきたこととか、それから児童養護施設における、地域の医療機関等と連携して対応が可能であることなどから総合的に判断をしまして、三年間の経過措置期間を設けて、十四年度末を目途に廃止することとしたものでございます。

○曽根委員 子どもたちの中で大多数は、さまざまな難病や慢性疾患を持っている子どもたちだと私は思うんですが、そういう子どもたちの抱えている病気の問題や、それからもう少しいいますと、そういう小さいときからの病気が原因で、例えば親から疎遠にされたり、病院から退院したときに親の引き取りを拒否されたり、または自宅へ戻って親からの虐待を受けたり、学校に行けばいじめや不登校の問題が起きたり、要するに、そういう病気と複合してさまざまな問題を抱えている子どもたちなんですが、そういう問題について、なぜ廃止理由の中で、そのことについての明確な方向性というのが示されなかったんでしょうか。

○上間健康推進部長 平成九年の児童福祉法の改正に伴いまして、この成東児童保健院の旧虚弱児施設は児童養護施設となりました。児童養護施設につきましては、虐待されている児童、その他環境上養護を要する児童を入所させて、これを養護することを目的としております。
 また、医療ケアの必要な児童につきましては、配置されております嘱託医や関係機関とも連携をいたしまして、適切に対応できるものと考えております。

○曽根委員 今のお話は、何かちょっとおかしなところから始まったんですが、要するに児童養護施設に編入されたと、これは法律上の問題です。別に法律が変わったからといって、児童保健院を利用している子どもたちの実態が変わったわけではありません。
 それから、児童養護施設にも嘱託医もいるでしょうし、看護婦さんもいるところもあります。虚弱児のための養護施設もあります。しかし、この施設でなければ生活が成り立たないという子どもたちだからこそ、東京都の判断で各児童相談所などから紹介されて送られてきている子どもたちなんです。または、子どもたち自身が、ここでなら学校に通えるということで、自分たちで選んで児童保健院に来ている子どもたちなんですね。
 私は、七回にわたって行われました平成十一年三月二十九日からの検討委員会の記録もいただいて、読ませていただきました。これを見てまず非常に驚いたといいますか、初回の記録の最後のまとめのところで、財務当局から、成東児童保健院の見直しについて廃止を強く迫られていることもあるので、廃止した場合の問題点と課題を明らかにする必要がある。このことについて幹事会において検討することとし、その検討状況を見ながら再度検討会で調整していく。初回の三月二十九日の第一回目の会合のまとめの段階で、財務当局から廃止を強く迫られているということから始まって、七回の検討会は、その廃止をどうやったらできるだろうかという検討がずっとやられるわけですよ。
 その検討会の中ですら、例えば、なお児童養護施設で受け入れ不可能な、つまり、入院治療が必要な児童は六人いるだろう。つまり、病院に戻らなければならない子どもが少なくとも六人は出るだろうということが指摘されていますし、先日伺ったときの院長先生のお話でも、やっぱり十人ぐらいは非常に重い子どもがいて、ここでなければ、日常的な医療ケアを受けながら学校に通うということは難しいだろうというふうにおっしゃっていました。
 私が現地へ行ってびっくりしたことのもう一つは、全員学校に通っているんですね、地元の小、中、養護、高校に。だれ一人施設に残って療養生活というか、ベッド生活を送っている子はいない。大変な病気を抱えながらも、命の危険と裏腹の生活をしながらも、毎日学校に通っている。そういう状態がその施設だからこそできる子どもたちがやっぱり来ているからなんですね。そのためには、自分で歩いて学校に行けない子どもには、当然車で送迎もする。それから毎日診察をして、食事や運動もコントロールしながら……。
 私、部屋に行ってみたんですが、入院生活ですから、部屋にはベッドがある。そのほかには主な家具はないんですけど、学習机があるんですね。ですから、ベッドと学習机。普段はベッドを中心に暮らしているんですが、勉強して、それで学校には行く。本当にぎりぎりの状態で学校へ行っていると思うんです。でも、そうやって学校に行きたいということで通っているんだなということを実感しました。
 この施設でなければ、私、できないと思うんですよ。病院に戻れば、それは入院状態での院内教育になるでしょう。または先生が来るというふうになるでしょう。どうやって今の子どもたちの処遇といいますか、子どもたちに対する生活のレベルを保障できるんでしょうか。

○上間健康推進部長 ほとんどの児童につきましては、児童養護施設等での対応が可能と考えております。今後、退所時点での児童の身体状況や、保護者及び児童の意向等を踏まえまして、適切に対応してまいりたいと思います。
 また、退所時に入院を必要とするような場合には、都立の小児病院等との連携を図りながら、対応をしてまいります。

○曽根委員 私、いつからそういうふうに東京都は考えるようになったのかなと思って、過去のものを調べてみましたら、平成七年三月に児童福祉施設等検討委員会最終報告というのがありまして、この中で、成東のことについては、確かに結核とか小児ぜんそくの子どもは減っているけれども、虚弱児施設としての意義は認められていて、その子どもたちがやっぱり教育も受けられるようにするためには、この施設は引き続き必要だということがうたわれているわけなんです。
 私、正式に東京都がこの施設についての方針を決めた、これ以降の検討の報告は知りませんが、その後どうして、今回、検討委員会でやおら財務当局が廃止を強く求めていると指摘しながら、七回の検討会で廃止という結論が出てくる、その間の落差は一体何なのか、一体どうしてこういう考えに変わってしまったのかということを教えてください。

○上間健康推進部長 平成七年三月の検討委員会の最終報告の後、平成九年の児童福祉法の改正によりまして、虚弱児施設は児童養護施設に移行するなど、状況が変化したことを踏まえまして、見直しを図ったものでございます。

○曽根委員 虚弱児施設というのが児童養護施設に組み込まれる。法律はそれで書きかえればいいかもしれませんが、今の時代の虚弱児童というのはどういう子どもなのかということについて、私もやっぱり不明を恥じるんですけれども、施設に行って初めてわかりましたよ。
 ご本人に確認して、名前を出さなければ紹介してもいいということなので、お話ししますが、例えば、十八歳の男の子の例です。巨大結腸症という、生後三日で--腸がほとんどないんですね、大腸と小腸の一部がないんです。したがって、肛門がありませんから、肛門をつくる手術をして、五歳まで入院していた。その後退院するんですけれども、家族の受け入れがなくということは、家族が受け入れを拒否したということから、児相を通じて紹介入院となったわけです。
 今はこういう子どもたちが生きることができるわけです、医療技術の発達によって。でも生きるだけじゃだめなんで、その後成長しなければならないわけですよ、人間だから。その成長を保障するために、平成四年にここに入院しているんですけれども、当初は、視力が低下し、人工肛門をつけていますから、おもしろくないことがあると、人工肛門からふん尿をまき散らす。それを最大の武器にして暴れ回るという状態で入ってきた。
 しかし、ここで暮らす中で、今は十八歳ですが、汚れた下着を自分で洗うようになり、そういったひどいやり方も徐々になくなって、中三からは養護学校に通えるようになり、現在高等部三年だと。病状が安定してきて、院や学校の行事にもほとんど参加するようになった。電話や洗濯もひとりでできるようになり、学校にも友だちができた。もちろん車で往復送り迎えをしているんですが、こういうふうに成長することができたのは、私、ここの施設だからこそだと思います。
 もし廃止したときに、病院のベッド生活に逆戻りをさせていいのかという問題なんです。数は少ないかもしれませんよ。しかし、さっきいいましたけど、お金が厳しいから切らなければならない事業もあるでしょう、東京都の事業で。しかし、切ってはならないものもあるはずなんですよ。現にやってきた事業で、やっぱり廃止してはならないものの一つがこの施設だと思います。
 全国で、この成東ともう一カ所だけ、医療機関と併設の児童養護施設が岩手の方にあるというふうに聞いていますが、場合によっては、例えば本人が希望したり、父母が希望したりすれば、岩手の施設に病院と学校生活を両立させるために送るというようなことを考えていらっしゃるのでしょうか。

○上間健康推進部長 あくまでもご希望がありましたら、そういうこともあるかと思いますが、現在の時点では、みちのく学園の措置がえ等は考えておりません。

○曽根委員 子どもの立場に立てば、やっぱり本人が希望した場合は考えなければならないと思うんです。しかし、今の生活レベルを子どもに保障するために、東京都ができないからということで岩手の施設にお願いする。岩手だって、もういっぱいだというふうにいっているそうです。全国で二カ所しかないんですから、今。そういうふうに送らなければならないとすれば、本当に情けない話だと思います。
 もう一つ私が注目したいのは、こういう子どもたちは、じゃ、本当に限られたものなのかということなんです。例えば、もう一人ちょっと例を紹介したいんですけれども、ある十二歳の女の子なんですが、この方は全身性エリテマトーデスという、これは非常に重い膠原病で、全身がけいれんを起こすんですけれども、お母さんが七年前に、この子が五歳のときに同じ病気で亡くなっています。この子はそのことを知っていて、父子家庭になったことでなかなか養育が難しいということで院に入っているんですが、お父さんは、現在一番病状が安定している。しかし、これからいずれ白内障になり、この子は目が見えなくなる。難病なので、今のところ治療法がないんで、腎臓も悪くなっていく。今いろんなことを体験させてやりたいといっているわけです。この子は、一たん学校に通っているんですが、やっぱりいじめに遭って不登校になり、家庭に引きこもりになっているんですね。そういう問題をやっぱり抱えるわけなんです。
 ほかに、家庭の中で虐待に遭っている子もいます。それは、病気が一つの要因になっているんです。今、虐待問題が、ここ数年の間に急速にその相談がふえて掘り起こされてきているんですけれども、それを受け入れている児童養護施設がもう満杯状態でしょう。そこにこちらの保健院から送ろうと思ったって、今、空きがないぐらいの状態じゃないでしょうか。むしろそういう子どもたちがもっとふえてくるんじゃないでしょうか。
 医療が発達して、超未熟児でも生きられるようになりました。しかし、超未熟児で生まれたことの後はどうするのか、難病を抱えても生きられるようになった、その後はどうするのかという点でいえば、こういう施設は、これからの時代こそ必要じゃないかというふうに思うんですが、そのようにお思いになりませんか。

○上間健康推進部長 繰り返しになりますけれども、児童の受け入れ先としましては、主に児童養護施設と考えております。また、長期の入院等が必要な場合には、医療機関等と連携して対応をしてまいる予定でございます。

○曽根委員 検討会の中でも、児童養護施設に受け入れを頼むというようなことが、福祉局の人たちとの間でやりとりがあって、最初は受け入れられるというふうな話がされていたのが、途中の検討会で、最近、虐待問題で児童養護施設の受け入れ状況がもういっぱいになってきた、なかなか簡単にはまとめて受け入れることはできにくくなったというふうな発言も中でされているんですよ。ですから、そんなにたやすく児童養護施設に移れるという状況でもないし、また一人一人の子どもを見れば、それによって、今かろうじてその子が安定した生活を送れる状況が守れる保障がありません。
 私、先日訪ねたときに、子どもたちにもいろいろ意見を聞こうと思ったんですが、とにかくその話になると布団にもぐり込んじゃったり、なかなか話をしてくれなかったりしているんですけれども、とにかく何か思っていることを書いてくれというふうに頼んでいたら、けさ速達で子どもたちの手紙が届きました。たくさん来ているんですけれども、一つだけちょっと紹介させてください。
 だれから聞いたのかわかりませんが、この子は小学校六年の女の子なんですが、ここの保健院は、確かにお金をいっぱい使っているかもしれませんけど、もうみんなほかの所には行きたくないので、お願いします、どうか保健院をつぶさないでください。私達もなるべくやれることはやるので、お願いします。それでもつぶすというなら、少しでもいいから期間を延ばしてください。こういうふうに書いてきました。
 いろいろ漫画をかいたり、私に、契約書だといって、つぶすなという絵をよこしたり、いろんなことをしてくれましたけれども、予定されている十四年度の末というまでにはまだ二年あるわけですから、私は再検討の余地があるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○上間健康推進部長 成東児童保健院を取り巻く状況の変化を踏まえまして、今後のあり方を検討した結果、総合的に見て、廃止が妥当と判断したものでございます。

○曽根委員 改めて再検討を求めておきます、もうこれ以上やってもしようがないので。
 次に、東部地域に予定されております重症心身障害児の新しい施設の問題について質問します。
 東部に新しく重症の心身障害児の施設をつくるということは、九五年の青島知事のときに、とうきょうプラン’95に初めて書き込まれまして、当時、障害者に対する福祉サービスの目玉として、大きくパンフレットにも載せられました。
 このときに、何年度に開設する予定だったかということはご存じでしょうか。

○上間健康推進部長 この中では、平成七年から九年度に用地を取得すると計画をしております。

○曽根委員 この都民向けのパンフレット、とうきょうプラン’95は、実際はもう少し厚いんですが、普及版といいますか、このパンフレットには、平成十二年度開設と書いてあります。今年度開設だったんですよ、五年前に初めてこのプランが出たときは。でも、今年度来ちゃったわけです。まあこれは衛生局所管ではありませんが……。
 それで、私たち議員は、来年度予算に向けてのいろんな要望を団体からお聞きしますけれども、特にことし、肢体不自由養護学校のPTAの方々、それから心身障害児の養護学校のPTAの方々、冒頭からまず、とにかく重度心身の施設をつくってほしい、東部療育センターを急いでほしいというふうにいわれました。なぜかというと、この方々がいうには、とにかく衛生局は、東部ができないうちはほかはもう手をつけないといっている。だから、東部ができないと東京じゅうができないんだ、あと西部の話も出ているわけですけども、とにかく東部で具体化を急いでほしい、議員は何をやっているんだと、私たちもこの数年しかられっぱなしなんです。本当に身につまされる思いで私質問しているんです。
 このもとになっている七年の三月に、児童福祉施設検討委員会、さっきの黄色いパンフレットですが、成東のことをいった同じ冊子の中でこの施設が位置づけられているわけですけれども、ことし三月にまた改めて都立の重症心身障害児施設の検討委員会の最終報告というのが出ました。この五年の間に、この最終報告に至るまでにどういう点が前進したというふうにいえるんでしょうか。

○上間健康推進部長 平成七年三月の検討委員会では、重症心身障害児施設の整備に当たっては、区東部が最も有力な施設整備の候補地と考えられると報告されております。平成九年三月に江東区内に建設用地を取得いたしまして、平成十二年三月には、区東部地域に新たに整備する施設の必要性及び役割、機能等について報告を受けたところでございます。

○曽根委員 用地を確保したわけで、東部の場所も決まっている、役割も明確になったということで、その規模というのはどの程度を予定しているんでしょうか。

○上間健康推進部長 新たな施設は、入所百二十人規模といたしまして、通所事業や心身障害児の外来診療等も実施することとしております。

○曽根委員 百人プラス外来の緊急ベッドなども加えて百数十ベッドということになると思いますが、もうここまで来たんですから、今回は土壌調査ですか、一千万円ぐらいついていますよね、今年度。来年度は何としても基本設計に入ってほしいというのが団体の方々の話なんです。同じような規模の施設をつくった場合、過去にも例があると思うんですが、当面必要な基本設計はどれぐらいの予算が必要なのか、それから、建設費としてはどれぐらい想定されるんでしょうか。

○上間健康推進部長 新施設とほぼ同規模の東大和療育センターでは、基本設計費が約三千万円、建設工事費は約七十一億円でございました。

○曽根委員 ことし一千万円ですから、あと二千万円乗せれば来年度基本設計に入れるわけです。その後も大変ですけれども、まず基本設計ができれば、大きな風穴があきます。ぜひ来年度、基本設計を予算化すべきだと思いますが、見通しとしてはいかがでしょうか。

○上間健康推進部長 先ほどご紹介がありましたように、本年度は土壌汚染調査を実施します。引き続き、施設の建設に向けて努力をしてまいりたいと思います。

○曽根委員 ちょっと抽象的なんですが、もう待ち切れないという声がやっぱり関係者から上がっているということを部長さんもご存じだと思います。そして、待っている方の実情も大変つらいものがあります、聞いていて。在宅で待てる方はまだいいんですけれども、もう在宅で見ることができないぐらいの重い状態の方はどうしているかというと、これは複数の施設の関係者から聞いたんですが、都内にある七十五の緊急ベッドを、一カ所三カ月期限でぐるぐる回っているという方がいるそうです。昔よりは数が減ったといっていましたけれども、それでも確実に五人か十人か十五人かわかりませんけれども、一定の数の方が自宅では見られないんで、緊急ベッドを使いながら、それも、三カ月を超えると在宅にならないんで手当が出なくなるとか、いろんな問題があるそうなんですが、三カ月で切って、また自宅に戻ったら、またすぐ次の緊急ベッドへ行くというようなことがあるそうですが、そういう実態はご存じでしょうか。

○上間健康推進部長 今おっしゃったような実態については存じております。

○曽根委員 私、本当に一刻の猶予もならないと思います。それに、まだまだ数は圧倒的に足りないわけで、特に東部が、既に計画が出て、基本設計一歩手前まで来ているわけですから、これはぜひ局長さんから決意をお伺いしたいんです。

○今村衛生局長 区東部地域での施設の必要性、それからご家族の皆さんのいろいろご苦労の様子というのは、私も十分認識しております。今後とも、早期建設に向けて努力してまいります。

○曽根委員 ぜひとも来年度、ことしのような調査だけに終わらないようにしていただきたいと思います。
 それと関連して、緊急ベッドについて、今お話ししたような実態、部長さんもご存じだということなので、緊急ベッドが緊急ベッドになっていない実態があります。つまり、もうどうにもならなくて、施設待ちの方が使わざるを得ないということで、一定の施設をやっぱりふさいでいるわけです、ベッドを。緊急ベッド自体七十五床ある、資料にもいただきましたが、これは昨年度どれぐらい利用されているんでしょうか。

○上間健康推進部長 昨年度は、十三施設、七十五床で実施をしまして、利用回数が千四百三十四回、延べ二万六千三百七十七日で、利用率は約九六%でございました。

○曽根委員 九六%ということは、ほとんどふさがっているということで、例えばこの日緊急事態があって、急な用事ができて使おうと思っても、大体ふさがっているという状態だと思います。実際、予約しなければ使えない。それから特にお葬式などの場合、地方に行かなければならないということで家族の方がお願いしても、使うことができない。
 重度の子どもさんを車に乗せて新潟のお葬式に行ったというお話を聞きましたが、お葬式の会場の中に重度の子どもさんを入れることができないので、外の車に寝かせておいて、お父さんが葬式の会場の一番後ろに座って、絶えず式場と車の間を行ったり来たりしながら様子を見て、式にろくに出られなかったというお話もありました。そういう話を聞いていた隣の方が、ああ、うちもそうだったというふうに、たくさんの方が同じ思いをしているということがわかりました。
 そういう意味でも、緊急ベッドをそれとして機能させることができないということですから、不足は明らかだと思います。そういう点で、何とかこの数をふやしていかなければならないと思いますが、その点での確保策はどうでしょうか。

○上間健康推進部長 平成十年度に改定しました東京都保健医療計画におきまして、平成十五年度までに九十床を整備することとして努力をしているところでございます。

○曽根委員 九十床という数そのものも、私、決して十分な数ではないと思います。しかし、もう間もなくその期限が来るというその九十床を整備するためのあと十五床、それは簡単にはいかないんじゃないでしょうか。やっぱり新しい施設をつくらなければ難しいんじゃないでしょうか、どうでしょうか。

○上間健康推進部長 在宅の重症心身障害児を支援する上で、この緊急入所事業については重要な役割を担っておりますので、整備目標に向けて引き続き確保に努めてまいります。

○曽根委員 先ほどもいいましたが、東部の重症の施設を一日も早く実現することが、それを待っている百名を超える多くの方々を入所させるだけではなくて、都内でもまだまだ不足している緊急ベットをやっぱり抜本的に拡充していく最大の道だということを、改めて強調しておきたいと思います。
 最後になりますが、八月に出された衛生局改革アクションプラン(第二次)に、今の重症の施設についてどこかに書いてあるかと思って一生懸命探したんですが、八三ページに、今後建設予定の東部療育センター(仮称)という言葉がありました。しかし、その後に、それを目指しつつも、効率的な運営形態について幅広く検討していくという、結論はそこに持っていっているわけです。また、医療ケアを必要とする障害児の療育サービスの確保に配慮しつつ、効率的な運営形態について検討を進めていくとも書いてあります。最後は、全部効率的な運営形態というところで結論づけられているのが特徴です。これは、第二次になって、こういう書き方に改まっているんですよ。第一次のアクションプランを見ますと、東部の施設の早期建設に努力すると明確に書いてある。第二次でこういう書き方に変わっちゃっているんです。私、大変心配です。
 先ほど、保健所の問題、それから精神障害者の施策の問題でも小松議員が質問しましたけれども、このアクションプランでは、そういう点で、これまで衛生局がきちんと守ってきた、または辛うじてやってきた保健所機能や、精神障害者に対する施策の若干でも積み上がってきたものが、場合によっては後退もしかねないという危険な問題がたくさん含まれているということを改めて、指摘しなければなりません。
 私たちは、改めて、衛生局所管の事業については今後もいろんな形で申し上げる機会があると思いますけれども、保健所にしても、それから今回問題にしました東部の施設にしても、都民の医療、健康を本当に守るという立場に立ち切って頑張っていただきたいということを申し上げて、終わります。

○石井委員 アトピー性皮膚炎、また小児ぜんそくなどアレルギー対策についてお尋ねをいたします。
 東京都が行った調査を見ても、三歳児の四一・九%が何らかのアレルギーになっているという調査が出ています。いろいろ原因がありますけれども、端的にいって、その原因が何なのか、まずお尋ねいたします。

○河津生活環境部長 ただいま先生の方から、アレルギーがふえている中での原因というご質問でございました。アレルギー疾患は、体質などの内的要因と生活環境などの外的要因が複雑に絡み合って発症するといわれておりまして、考え得る疾病増加の要因も多岐にわたっております。内的要因といたしましては、遺伝的な素因のほかに、食生活の欧米化、あるいは基礎体力や抵抗力の低下、精神的ストレスの増加などがございまして、外的要因としては、大気汚染など都市環境の影響、高気密化した住宅の普及に伴うダニやカビなどのアレルゲンの増加などが挙げられております。また、都市部と非都市部との有症率に明らかな差が認められる場合が多いわけでございますので、アレルギー疾患増加の背景には、都市化の進展に伴う生活環境の変化が大きく影響している、このように考えているところでございます。

○石井委員 そこで、内的要因、遺伝、基礎体力の低下、また精神的ストレス、外的要因としては、大気汚染、食べ物、それから住宅の高気密化、それによるダニ、カビの発生、このダニ、カビを丁寧に取ったら、子どもたちのアレルギーがなくなったという報告もありますから、全くそのとおりだと思いますね。
 その要因の一つに大気汚染が考えられ、また石原知事も一生懸命ディーゼル対策をやっている。私どもも十五、六年前からこのディーゼル対策を訴えているわけですが、東京都がこれまで実施した大気汚染と健康被害の調査がありますけれども、どんな結果が出ているか、まずお尋ねします。

○河津生活環境部長 これまで東京都が行ってまいりました大気関係の調査の結果でございますけれども、これまでの調査では、大気汚染濃度の高い地域ほど呼吸器症状の有訴率が高く、また肺機能値の減少率が高い傾向が見られるなどの結果が得られております。
 大気汚染は、長期的には健康に何らかの影響を与える可能性があると考えられると思っておりますが、現時点では明確な結論は得られていないというところでございます。

○石井委員 そこで、東京都は、衛生局が平成十年九月二日に発表した健康モニタリング九年間のまとめという調査を見ると、まとめとして、東京都十地区における健康影響調査の結果、大気濃度の高い区部沿道地区は、他の地区より呼吸器等の症状を訴える率が高い傾向を示し、肺機能値の減少率も大きい傾向があったと。やっぱり区部の沿道部は、健康被害の影響が非常に大きいと出ているんですよね。
 別の調査によれば、近年のディーゼル車の普及台数のグラフと肺がんで亡くなる方のグラフが全く同じような率になっているということから考えれば、アレルギー症状の大きな要因の一つに、車の特にディーゼル排ガス、NOX、SPM等が考えられるんだけれども、やはりその辺を人の命を守る衛生局として、もっとしっかり調査すべきじゃないですかね。いかがですか。

○河津生活環境部長 大気中の微小粒子にかかわる健康調査を考えておりまして、大気中に長期間浮遊している粒子状物質のうち、粒形が二・五マイクロメートル以下の微小粒子を初めとする大気汚染物質と健康影響との関係を明らかにしていく目的で、これから実施をしようということでございます。
 調査対象としては、大気汚染の影響を受けやすく、地域への定着性の高い児童を対象としておりまして、調査方法は、児童の呼吸器症状やアレルギー疾患等の健康状態を調査するとともに、微小粒子を含む各種大気汚染物質の濃度測定を行い、大気汚染による健康影響を多角的、継続的に調査分析することにしております。これは、本年の八月に策定いたしました衛生局改革アクションプランにも取り上げられておりまして、こういうことによってもディーゼルとの関係もある程度わかってくるのではないかというように考えております。

○石井委員 局長にお尋ねしたいんですけど、百人町にある衛生局の衛生研究所に、肺がんで亡くなった方の肺がスライスしてあるんですよ。肺がんで亡くなったので、真っ黒になっているのがホルマリン漬けになっているんですよね。これは明らかに大気汚染、たばこもあるけど、後ほどまたたばこの問題もやりますけど、大気汚染が原因と思われるし、新宿の神楽坂に、アトピッ子・地球の子というアトピー問題を追いかけているNPOの婦人団体があるんですが、その婦人団体が、アレルギーの子どもたちがどこに分布しているのかと、東京じゅうの保育園の子どもたちのアトピーの調査をしたところが、大きな道路の沿道に面している保育園の子どもたちが、非常にかわいそうな話なんだけれども、アレルギーの子どもたちが非常に多いという調査結果を出しているんですね。
 やはり車の排ガスというのは、アトピーの非常に大きな原因になるんだ、アレルギー症状の原因になるんだという結果を、民間の調査として、これは五、六年前の話なんですが、出している。
 等々から考えて、特に車ですね、排ガスと健康被害の因果関係というものは、やはり衛生局としてしっかり、これからも調査をやるそうですが、そういう視点に立ってきちんとした調査をやるべきじゃないかと思いますが、どうでしょうか。

○今村衛生局長 石井理事のおっしゃるとおり、因果関係についての疑いは持たれておりまして、それを証明するための医学的な研究というのはおくれておるわけでございますけれども、衛生研究所や、あるいは当方の医学研究機構で、アトピーを含めたいろいろな研究をこれからしようと思っておるところでございますけれども、そういった調査をこれから衛生局としてもしっかりやっていきたいと思っております。

○石井委員 アトピーとか小児ぜんそくとか、ゼイゼイという声の出るぜん鳴だとか、そういう子どもさんを持ったお母さんたちからこの問題を非常に訴えられるものですから、特に東京の子どもさんたちに多いわけで、ぜひともお願いしたいと思います。
 それから、衛生局が、同じく学童モニタリング調査の中間報告三年のまとめということで、平成六年から八年まで三年間調査したこの調査結果によると、呼吸器症状の背景因子で有意な差があったのは、気管支炎などの既往症、それから家族の喫煙歴、こう出ているんですよね。鉄筋集合住宅など家屋構造等々あるんだけど、家族が喫煙している場合に、子どもたちが非常にアレルギー症状になるケースが多いと出ているんだけれども、例えばSIDS、乳幼児突然死症候群、家族の喫煙が子どもたちの突然死の影響になるという結果、これは衛生局が五、六年前に発表したこともあるんだけれども、たばこ問題というのは非常に大きい問題じゃないかと思うんですね。
 今、衛生局として、さまざまな分煙計画とかやっておりますけれども、たばこを吸うことそのものは、本人の嗜好の問題ですから、そのことにとやかくいおうとは思わないけれども、税収をはるかに超える社会的損害、十倍以上の社会的損害があるわけだから、保険料も押し上げているわけですから、やはりこのたばこ問題は無視できない問題だと思うんだけれども、喫煙問題について衛生局としてどういう対応をしているのか、お尋ねします。

○上間健康推進部長 たばこ対策としましては、都民の健康づくりを進める立場から、未成年者等の喫煙防止対策、公共の場所や職場の分煙化対策、禁煙を希望する喫煙者への支援対策、その他情報の収集提供や普及啓発等の対策に取り組んでおります。
 このうち、喫煙防止対策につきましては、未成年者、特に児童生徒の喫煙の開始と習慣化の防止に向けて、東京都教育委員会等と連携の上、十一年度から教員やPTA等の指導者研修会を開催しております。さらに、児童生徒向けリーフレットを作成しまして、平成十一年度は中学一年生、平成十二年度は小学四年生の都内対象学年全員に配布をしているところでございます。
 また、分煙化対策としましては、平成九年五月に都区市町村、民間企業及び都民が協力をしまして、東京都分煙化ガイドラインを策定し、配っております。さらに、平成十二年度末までに、すべての都立施設で一〇〇%分煙化することを目標に現在取り組んでおります。
 今後は、公共の場所や職場での分煙を進めるため、効果の高い分煙についての知識の普及等に取り組んでまいります。

○石井委員 これも局長にお尋ねしたいんですけど、この実効が上がっていないんですよね。緒についたばかりだから、軽々に結論を求めてはいけないと思うんだけれども、ご承知のように非常に若い方々がたばこを吸っている。たばこを吸うことによる心臓病だとか、さまざまな健康被害について十分知識が得られていないんじゃないかと思うんだけれども、若い人が非常に吸っていますよね。中学生、高校生に教育しているといっているけれども、私がいつも電車に乗ってくる駅のそばに都立の商業高校があって、そこの女の子たちが大勢たばこを吸っているという現場を何回も見ているんだけれども、学校教育を含めて、やはりたばこの害ということについて、東京都のあらゆるメディア、または学校教育、社会教育を含めて、これは大きな一つの啓発運動をしていく必要があると思うんですが、いかがですか。

○今村衛生局長 先ほどのアレルギーと同じように、喫煙による健康被害というのは、これまた両論ありまして、なかなか結論が出ないんですが、確かに疑いのあることは確かでございます。したがいまして、今、健康推進部長から申し上げましたとおり、さまざまな対策をとっておりますけれども、普及啓発については、いろいろな問題はありますけれども、もっと強力に進めていきたいと思っております。

○石井委員 部長にちょっとお尋ねしますけど、そこで、今後、今、局長からお話がありましたけれども、そうした対策を衛生局としても具体的に進めるべきだと思うんですよ。アメリカなんかでもかなり、健康被害ということで厳しい訴訟問題も起こり、その訴訟が通っているという現状もありますし、やはりこれは非常に大きな問題だと思いますので、今後具体的に取り組むべきだと思いますが、部長、いかがですか。

○上間健康推進部長 来年度に策定を予定しております東京都健康推進プラン21に基づきまして、また国の動向等も踏まえまして、今後、知識の普及等に積極的に取り組んでまいりたいと思います。(発言する者あり)

○石井委員 藤田先生が東京都でやればいいじゃないかと、そうだよね。東京都がまず実施して国を動かしていこうというのは、石原さんだから迫力もあるわけだから、私たちもバックアップしますから、都が大いにやるべきだと思います。
 先ほどのアレルギー対策に戻りますけれども、大事なことは、アレルギーの予防、それから治療、研究の総合的な体制ですね。住宅が高気密化されて密閉されているために、暖房の露なんかが部屋にたまって、それでダニが、またカビが生えてくる、それが大きなアレルゲンとなってアレルギー反応を起こす。そういうこともよくご存じないご婦人の方なんかもいらっしゃって、そういう話をしてさしあげると、非常に喜んで、実際実施してみたら、子どもたちのせきが少なくなったという話もあるわけでありまして、そうした予防とか研究とか普及啓発、この辺はどうなっているのか、お尋ねいたします。

○河津生活環境部長 ただいまご指摘のありましたように、総合的に対応しなければならないと考えております。そういう意味では、予防という点では、従来も普及啓発活動の強化であるとか、これはいろいろなパンフレットであるとか、あるいはアレルギー教室みたいなものをやったりしてきております。それから、相談員、指導員の体制の充実も行っていますし、いわゆる救急医療、アレルギーの場合の救急医療とか、さらにその基礎となる実態の把握のための調査研究も必要だというようなことを考えております。
 そういう意味で、従来から総合的にこの問題に対して対応していこう、さらに、一人の人の生涯にわたってどういうケアをしていくかという方向で進めているところでございます。

○石井委員 そこで、都立病院でのアレルギーの体制ですが、それぞれ小児科、皮膚科、耳鼻咽喉科等々で連携をとりながら総合的な診療をやっているようにも認識しておりますけれども、都立病院としては、このアレルギー診療体制はどうなっているか、お尋ねします。

○大塚参事 都立病院では、内科、皮膚科、小児科を中心に、ぜんそくやアトピーなどのアレルギー疾患に対応しておりますが、駒込病院及び母子保健院の二つの病院においては、専門の診療科を設置しております。そのほか、昨年七月に開設いたしました豊島病院を含めて十の病院におきまして専門外来で取り組むなど、診療体制の整備に努めてきたところでございます。

○石井委員 そこで、そういう充実はしているんだけれども、アレルギーの専門の医師がかなり少ないようですよね。都立病院にぜひともアレルギー科を設けてほしいという要望もあるんですが、いろいろ人の配置等々もあるから、簡単にはいかないのかもしれないけれども、アレルギーを、総合的な体制でも結構でありますから、より一層充実すべきだと思います。局長、いかがですか、都立病院におけるアレルギー対策。

○今村衛生局長 今、大塚参事からご説明したとおり、今のところは病院内の連係プレーでやっておるわけですが、アレルギー疾患への対応など都立病院が今後取り組むべき医療機能と役割につきまして諮問して設置いたしました都立病院改革会議でご検討いただこうと思っておりますので、その結論を待って適切な対処をしてまいりたいと思います。

○石井委員 それから、子どもさんたちが、夜間とか休日、診療の体制が弱点のあるときに急にせき込んだりして、お父さん、お母さんは非常に困ってしまうわけだけれども、こうした小児の夜間・休日の緊急医療体制はどうなっているのか、お尋ねします。

○友松医療計画部長 都の救急医療体制は、突発、不測の傷病者が、いつでも、どこでも、だれでも、その症状に応じ、必要かつ適切な医療を受けられる救急医療体制の整備を目標としまして、種々の事業を実施しております。ご質問の中で例示されましたぜん息発作などに対しまして、初期救急医療につきましては、区市町村が主体になり、在宅当番や休日・夜間急患センターで診療に当たっております。また、入院や専門的治療を必要とする場合の二次救急につきましては、休日・全夜間診療事業や乳幼児特殊救急医療事業で対応しているところでございます。
 小児の救急医療につきましては、都といたしましても重要な課題の一つとして位置づけておりまして、今後とも積極的に体制の整備に努めてまいりたいと思います。

○石井委員 その件に関して、例えば民間の医師会等の診療機関の協力をいただきながら、この児童小児の二次救急をやっているところでありますけれども、やはりそうした民間病院に対して二次救急ができるような東京都からの支援を求めております。やはりそうした支援をすることが小児救急医療体制をより充実することになるわけですが、いかがでしょうか。

○友松医療計画部長 先生のご指摘のとおり、各種の救急医療事業は、医師会を初めとしまして、多くの地域の医療機関の協力によって支えられております。予算確保の面でございますけれども、厳しい財政状況下でございますが、私どもといたしましては、必要な予算の確保に向けまして鋭意努力をしていきたい、そういうふうに思っております。

○野村委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 事務事業に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○野村委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で衛生局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時四十五分散会

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