厚生委員会速記録第十二号

平成十二年九月二十九日(金曜日)
   午後一時八分開議
 出席委員 十四名
委員長曽根はじめ君
副委員長三宅 茂樹君
副委員長小林 正則君
理事吉田 信夫君
理事曽雌 久義君
理事佐藤 裕彦君
原   環君
土屋たかゆき君
田中 智子君
藤田 愛子君
田島 和明君
近藤やよい君
羽曽部 力君
松本 文明君

 欠席委員 なし

 出席説明員
福祉局局長高齢者施策推進室長兼務前川 燿男君
次長藤堂 義弘君
総務部長上條 弘人君
地域福祉推進部長小山 園子君
生活福祉部長岡本 宏之君
山谷対策室長上野 純宏君
子ども家庭部長福永 富夫君
障害福祉部長谷川 健次君
国民健康保険部長井出 勝也君
企画担当部長村山 寛司君
連絡調整部長中村 憲司君
高齢者施策推進室福祉局局長高齢者施策推進室長兼務前川 燿男君
高齢政策部長金内 善健君
介護保険室長吉川 和夫君
保健福祉部長若林 統治君
施設事業部長反町 純夫君
高齢施設企画担当部長笠原  保君
衛生局局長今村 皓一君
技監荻野  忠君
総務部長櫻井  巖君
企画担当部長齋藤  進君
健康推進部長上間 和子君
生活環境部長河津 英彦君
医療計画部長友松 栄二君
医療福祉部長長岡 常雄君
薬務部長山川 洋平君
病院事業部長押元  洋君
参事菊地 輝雄君
参事山下 征洋君
参事矢口 貴行君
参事大塚 孝一君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 高齢者施策推進室関係
  付託議案の審査(質疑)
  ・第二百五十三号議案 東京都立老人医療センター条例等の一部を改正する条例
 福祉局関係
  付託議案の審査(質疑)
  ・第二百五十号議案 東京都社会福祉審議会条例等の一部を改正する条例
  ・第二百五十一号議案 東京都福祉のまちづくり条例の一部を改正する条例
  ・第二百五十二号議案 東京都児童相談所条例の一部を改正する条例
 衛生局関係
  付託議案の審査(質疑)
  ・第二百五十四号議案 東京都精神障害者都営交通乗車証条例
  ・第二百五十五号議案 墓地等の構造設備及び管理の基準等に関する条例の一部を改正する条例
  ・第二百五十六号議案 食品衛生法施行条例等の一部を改正する条例
  ・第二百五十七号議案 東京都結核診査協議会条例等の一部を改正する条例

○曽根委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 初めに、傍聴人の数についてお諮りいたします。
 当委員会室の定員は二十名でありますが、傍聴希望者が定員以上でありますので、さらに十名追加したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○曽根委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○曽根委員長 次に、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書四件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件につきましては、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○曽根委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○曽根委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、高齢者施策推進室、福祉局及び衛生局関係の付託議案の審査を行います。
 これより高齢者施策推進室関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第二百五十三号議案、東京都立老人医療センター条例等の一部を改正する条例を議題といたします。
 本案については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○曽根委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○曽根委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で高齢者施策推進室関係を終わります。

○曽根委員長 これより福祉局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第二百五十号議案、東京都社会福祉審議会条例等の一部を改正する条例から第二百五十二号議案までを一括して議題といたします。
 本案については既に説明を聴取しております。
 その際要求のありました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○上條総務部長 過日の委員会で要求のございました資料につきまして、お手元配布の厚生委員会資料によりご説明をさせていただきます。
 表紙の次のページをごらんいただきたいと存じます。要求のありましたまちづくり条例に関する補助対象事業でございます。
 この資料は、事業者等が行う福祉のまちづくりに関する取り組みに対して、条例の趣旨に基づき福祉局が支援を行っている事業について記載したものでございます。表の左側に事業名を、右側に事業内容、負担割合及び補助限度額等を記載してございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○曽根委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○吉田委員 私は、二百五十一号議案、東京都福祉のまちづくり条例の一部改正について若干質疑をさせていただきます。
 提案されている条例改正は、以前から検討課題となっていました、一般都市施設の中に共同住宅を入れるということ、さらに、規則の中に、新設、改修時の届け出と指導助言の対象として、飲食店、物販店舗を、従来の五百平米以上から二百平米以上に引き下げる等を盛り込んだ内容となっており、私どもは当然の改正であるというふうに考えております。しかし、当然の改正であったとしても、本当にこれが実効性が担保されるということが必要だというふうに考えます。
 そこで伺うわけですが、今回、床面積五百平米以上の共同住宅について、新設及び改修時の届け出改善を義務づけるわけですけれども、これが、直接マンションの開発事業者、さらに事業者の場合には、割とそういう団体もあってわかりやすいと思うんですが、改修ということになりますと、区分所有で、管理組合、個々の方々の所有ということになるわけですから、そういう方々に今度の条例改正の趣旨、中身について徹底していくということがまず第一の課題として必要だと思うんですが、こうした関係業者及び管理組合等へのこの条例改正の内容の周知徹底をどのように考えていらっしゃるのか、まずご説明をお願いいたします。

○小山地域福祉推進部長 今般の条例改正で、共同住宅を福祉のまちづくり条例の対象に加えるに当たりましては、あらかじめ日本高層住宅協会や建築士事務所協会等を初めとする関係業界に説明を行ったところでございます。今般ご審議いただきまして、条例改正の暁には、改めて説明を行っていくこととしております。

○吉田委員 業界の方は団体としてまとまっているから比較的よいかと思うんですが、管理組合等に対してはどのように考えていらっしゃるんでしょうか。

○小山地域福祉推進部長 あらかじめの、先ほど申し上げました関連業界等へご説明をする段階で、今ご指摘の点なども含めてお話を広くさせていただいたところでございます。

○吉田委員 ぜひ直接の当事者の方々に周知徹底を図っていく、当たり前のことですが、要望することとあわせて、やはり共同住宅も、福祉のまちづくり、バリアフリーの対象として努力しなければならないんだということが現実に促進される上で、例えば、分譲の共同住宅を購入する一般の都民の方々が、自分が購入する分譲マンションというのは、本当にそういう福祉のまちづくり条例に適合しているのか否かということを判断の基準にするようなことが広く現実のものになるという状況が必要だと思うんですよね。
 条例としては、私も改めて資料としていただいたんですが、こういう適合証というものがあって、こういうものが表示されるということになるんですが、極めてこれは一般的には知られておりません。やはり関係業界及び当事者だけじゃなくて、広く一般の都民の皆さんに、これからは、ぜひマンションを買い求めるときには、こういうマークがついているということも、個人の問題ですから、押しつけることはできませんが、判断としてわかるような、広く都民向けの周知ということについても努力すべきだと思うんですが、この点はいかがでしょうか。

○小山地域福祉推進部長 福祉のまちづくりにつきましては、都民の理解と協力、参加が大変重要でございます。したがいまして、福祉のまちづくりにつきましては、全般的に「広報東京都」ですとか福祉局のホームページにおきまして、いろいろな情報提供を行っているところでございます。
 今回の条例改正に当たりましては、福祉のまちづくり推進協議会から意見具申をいただいた後、本年七月号の「広報東京都」におきましてその内容を掲載し、周知を図ったところでございます。条例改正の暁には、改めて都民への周知を図ってまいりたいと考えております。
 なお、適合証につきましては、この条例施行時から申請に基づき交付することとしておりますので、今後とも、適合証の周知もあわせて行ってまいりたいと存じます。

○吉田委員 せっかく条例をよく変えても、それがやはり広く都民に知らされなければならないと思いますし、ご努力をお願いしたいと思います。
 次に、これを促進する上の具体的な問題について何点か伺いますが、いうまでもなく分譲マンションの改修ということになれば、新築の問題はともかく、今でも外壁その他の改修を行うに当たっても、資金問題というものがどこの管理組合などでも大きな問題になっていると思うんですよね。ましてや、玄関等、この条例に基づいて積極的に改修を図っていくということになれば、さらにその上必要な資金の確保ということが直接管理組合の皆さん方にかかってくるわけですけれども、例えば個人の住宅の場合には、障害者、高齢者などに対する必要な住宅改修については、例えば玄関、手すりその他、制度としてあるわけですけれども、そういうものを、マンションの個々の部屋の場合には当然それが適用されるんでしょうけれども、共有部分に何らかの形でそれを拡大的に適用するような道というものは全くないのか、あるいは考えられないのか、ご答弁をお願いいたします。

○小山地域福祉推進部長 繰り返しになりますが、福祉のまちづくりは、都民、事業者、行政が、おのおの福祉のまちづくりの重要性を認識し役割を果たしていく、その協働の力をもって推進していくこととしております。共同住宅の共有部分につきましては、その共有部分を所有、管理する事業者、管理者の役割のもとに取り組むべきと考えております。

○吉田委員 筋としてはそういうお話かもしれませんけれども、現実的に既存の共同住宅にこうした福祉のまちづくりに基づく必要な改修を促進していくという点では、ぜひ住宅局などとも協議して、大いに促進策を検討していただきたいということ、これは要望として述べさせていただきます。
 なぜなら、お伺いしたいわけですが、この条例ができて五年が経過すると思うんですが、この間に、現実に飲食店、物品販売店舗、これまでは五百平米以上ですけれども、こうしたところでどれだけこの条例に基づく、新たな条例にふさわしいような施設の建設や、また既存のものについては改修が行われたのか、件数と、その件数の中に占める新築の改修の内訳がわかったら、ご答弁をお願いいたします。

○小山地域福祉推進部長 福祉のまちづくり条例では、物販店舗、飲食店のうち、規則で定める一定規模以上のもの、現行では五百平米以上のものでございますが、こういったものの新築それから大改修については、工事の着工前にあらかじめ届け出ていただくということになっております。
 この届け出の件数でございますが、この条例の全面施行は平成八年九月でございますので、施行時よりデータのとれます平成十一年末までで、物販店舗及び飲食店で四百七件の届け出を受けております。またその届け出中、大半が新設にかかわるものでございます。

○吉田委員 新設の四百七件というものが、全体の新設の中のどの程度の割合かというのは確かめることができませんけれども、今のお話だと、その大半が新設であると。そうすると、残念ながら大規模改修の届け出は、この件についてはほとんどなかったとはいえませんが、極めてわずかであったということがいえるわけですけれども、やはりこういうことを見ても、私は、はい条例をつくりましたよ、こうしなきゃならないですよというだけではなくて、それを具体的に促進するためのやはり支援策というものが、この条例が施行された以降の経過から見ても必要なんだということを強調したいと思うんですね。
 さらに、資金的融資上の支援ということだけではなくて、やはり専門的、技術的な支援ということも不可欠だと思うんですけれども、既存の改修を進めるに当たっては、一般的にこういうマニュアルがありますよというだけではなくて、それぞれの置かれた状況にふさわしいようなマニュアルに基づく改修というものを図る上で、設計段階から専門家のアドバイスが何らかの形で受けられるような支援ということも一つの課題かと思うんですが、こういう点ではどうでしょうか。

○小山地域福祉推進部長 改修の際の専門家による技術的な支援という点でございますが、先ほど申し上げました福祉のまちづくり推進協議会を設置しておりますが、ここには東京都建築士事務所協会から委員をお願いしております。
 それから、もう一つの団体でございます福祉のまちづくり事業者団体連絡協議会には、東京都建築士事務所協会並びに東京都建築業協会から、それぞれ建築設計の分野の専門家の方に委員の就任をお願いしているところでございます。
 また、これらの協議会を通じての周知とともに、広報活動を通じて、建築士の業界の方々に福祉のまちづくり条例の精神、基準、そういったものを普及、推進しております。また施設の整備マニュアル、これはイラスト入りで、実際の設計に大変参考になるという評価をいただいておりますが、こういったものも広く発行し、設計に生かしていただいているところでございます。

○吉田委員 続いて、やはりマニュアルは非常にすばらしいものだというふうに今力説があったわけですけれども、やはり現実に個々の住宅ということだけではなくて、大規模なまちづくりにかかわるような通路あるいは再開発、大規模施設というふうな場合には、ぜひその地域にかかわるような障害者の方々が、そういう計画に対して、自分たちの現実的な体験や経験に基づいて意見がいえるような仕組みというものも検討していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○小山地域福祉推進部長 福祉のまちづくりにつきましては、都民、事業者、行政の三者の協働で進めているところでございますが、それの基本を協議いたします福祉のまちづくり推進協議会には、公募によります都民の委員の方、それから障害者団体の代表の方、それから学識経験者といった各分野の方々にご参加をいただきまして、これまでも、意見具申のもとになっております条例や基準についての審議を熱心にやっていただき、ご意見をいただいているところでございます。

○吉田委員 そういわれますけれども、この後いいますが、現実のまちづくりを見れば、障害をお持ちの方々からすれば、これは一体どうなっているのかというふうな事例が、この都庁と新宿駅を結ぶ間でも見られるわけですよ。それは、マニュアルもあり、方針もありということはわかりますけれども、現実にそういうことから見ても、積極的に、大規模な事業にはやはりそういう方々の意見が組み込まれるような工夫をすべきではないのかというのが私の意見でございます。
 それで、ちょっと関連して、具体的な問題について一、二述べさせていただきますけれども、いわゆる整備マニュアルもそれぞれ努力されているわけですけれども、幾つかの要望を私聞かせていただきました。その一つは、例えば、どの施設でもエスカレーターへの誘導ブロックがない、これはやはり施設整備マニュアルに加えるべきではないかというご意見があるわけですが、どうなのかと。
 もう一つだけ紹介しますが、連続した通路、広場でありながら、ここまでは都道で都の所有ですよ、次はJRですよ、あるいは区ですよということで、ばらばらの状態で誘導ブロックが切れるというふうな不都合が多々見かけられるわけですけれども、こうしたことの起きないような、きちんと一体のもとで、トータルで誘導ブロックなどの整備が進められるように、関係者で協議が促進されるようにしていくべきだと思うんですが、これは仕組み上の問題ですけれども、どうでしょうか。

○小山地域福祉推進部長 エスカレーターへの誘導ブロックの敷設の件でございますが、例えば駅の改札口からエスカレーターといった問題につきましては、視覚障害者の代表の方も参加していらっしゃいます福祉のまちづくり推進協議会でも、大変議論になったところでございます。
 その議論の中では、常時稼働している、動いているエスカレーターに視覚障害の方を誘導することについては、現段階では、安全上の問題がまだ解決されていないため、整備基準に盛り込まないというのが推進協議会のご意見でございました。
 視覚障害者用誘導ブロックの連続性の確保の問題でございますが、今回の条例改正におきまして、道路機能を補完するような公共的通路、建築基準法や都市計画法で定めた空地といわれるもののうちの通路部分でございますが、こういったものについては、誘導ブロックの整備項目に追加することといたしました。

○吉田委員 エスカレーターの問題、先ほどお話がありましたけれども、もちろん、何にもなしで、ただ誘導ブロックだけでいいのかということはあるかもしれませんが、そういうことを含めて、安全を確保しながら、利用できる方向で、前向きにぜひ検討を続けていただきたいということを述べておきます。
 最後に、今、私が申し上げたことの具体例についてお話しさせていただきます。
 例えば、もう皆さんもご承知と思いますけれども、この都庁から新宿駅の西口に地下道が二本、道路に、車道に平行して通っているわけですけれども、私も改めて歩いてみましたが、そこの誘導ブロックは、駅構内の手前で切れてしまうわけですよね。それは両方ともそうですし、都庁と反対側の方は、かなり手前で切れてしまっていると。
 一般的に考えれば、券売機なり改札口なりまであってしかるべきかと思うんですが、そのはるか手前で切れているわけですけれども、これは、文字どおり都道三建に直接連動することですし、都庁とも関連することですから、至急に改善がされるべきではないのかと。
 また、この新宿駅でいいますと、西口のバスターミナルがありますが、ご承知のとおり、形としては、地下から上がらなければならないという、島状に孤島が幾つか行き先別に分かれておりまして、平地で移動するとしたら、一カ所しか横断歩道がついているところがなくて、横には動けないわけですよね。
 こういうことも非常に不便だという声があるわけですが、こういうことは、少なくとも、文字どおり都庁に隣接して、都庁の往来ともかかわることですから、改善の働きかけなり、努力をしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○小山地域福祉推進部長 ただいまお話のございました新宿駅西口の地上、地下の件につきましては、所管をしております建設局にお話の趣旨をお伝えしたいと存じます。

○吉田委員 最後に、マニュアルもつくられて、条例もありながら、現実には不都合なことが多々あるというのが私自身の実感です。
 例えば、駅の構内に誘導ブロックがありながら、その一番真ん中のところを臨時の売店が全部占拠していて、誘導ブロックが隠れてしまうなどということは、割と多く見かけることだと思うんですね。
 これは一例ですけれども、そういうさまざまな不都合について、積極的に福祉局の方で、どうぞ意見があったらいってください、改善に努力しますからということが広く周知をされているとは思うんですが、そういう努力が必要だと思うんですが、この点についてご答弁をお願いして、私の質問を終わります。

○小山地域福祉推進部長 福祉のまちづくりに関するご相談ですとかご要望の受け付け体制についてでございますが、福祉のまちづくりに関するいろいろなことにつきましては、私どもの局はもちろんのこと、都庁内関係部局や区市町村でも日々伺っているところでございます。
 また、こういった体制にあるということで、福祉局の相談窓口については、福祉局が発行しております広報誌「東京の社会福祉」に具体的に掲載するなど、体制の周知に努めているところでございます。

○曽雌委員 福祉のまちづくりをより推進していくという立場から、基本的なことについて、二、三、確認を含めてお聞きしておきたいと思っております。
 この福祉のまちづくり条例を制定するまでには、福祉局を初め関係者の方たちの大変なご努力があって今日まで来ているわけでございますけれども、若干、淵源といいましょうか、過去の経過を振り返ってみますと、昭和五十九年に福祉のまちづくり東京懇談会というのがまず設置されて、そこで、東京における総合的な福祉のまちづくりの推進はどうあるべきかというようなことの最終報告が六十一年の四月に出ております。それで、六十三年には、東京都における福祉のまちづくりの整備指針というものが定められて、その後、平成六年になりますと、やさしいまち東京構想懇談会というのが設置されて、いろいろと進んできたわけであります。
 この福祉のまちづくりにつきましては、先ほど来お話がありましたけれども、平成七年の三月に条例が制定されてから、早いものでもう五年たっておりますし、平成八年の九月には全面施行されたわけでありますが、その全面施行からも既に四年が経過をして、個々の施設はもとより、地域全体のバリアフリー化、つまり、面的整備が必要だというところまで今来ているというふうに私は思っています。
 そこで、一点目にお聞きしたいのは、現在、東京都は、いわゆる面的な整備について、どういうお考えで、どのように取り組んできておられるのかということで、まず、現状についてご説明いただきたいと思っております。

○小山地域福祉推進部長 福祉のまちづくりの推進体制についてのお尋ねでございますが、東京都では、福祉のまちづくり推進本部を設置いたしまして、福祉局が事務局となり、各局が連携して事業の着実な実施に取り組んでいるところでございます。
 福祉のまちづくりを進めるためには、関係機関との連携や事業者間の調整を十分に図り、身近な日常の生活圏としての地域のバリアフリー化を進め、また、そのバリアフリー化された地域相互間における面的な広がりを持つ整備が必要であることは、ご指摘のとおりでございます。
 そのため、まず東京都福祉のまちづくり推進協議会、それから、東京都福祉のまちづくり事業者団体等連絡協議会、加えて、東京都福祉のまちづくり区市町村連絡協議会等を開催し、福祉のまちづくりについての情報交換、意見調整などを行いまして、有機的な連携を図ることに努めているところでございます。
 また、東京都では、具体的な事業といたしましては、福祉のまちづくり地域支援事業の実施によりまして、区市町村が、地域で都民とともに実施する面的な広がりを持ったバリアフリー化の事業に取り組んでいる場合に、それを支援する事業を進めているところでございます。

○曽雌委員 今、部長からご答弁いただいたものを要約させていただきますと、いわゆる福祉のまちづくりというのは、もともとどこかの施設を、例えば自動ドアにするとかスロープをつけて、車いすの方たちとか障害を持った方、高齢者の方たちが出入りしやすくなるとかという、いわゆる点から始まって、点と点であったものが、点と点を結んで線にして、線を今度は面的な広がりに持っていこうということに当然しなきゃならないわけですよね。
 これは至極当然のことで、一度にできる話じゃないことも重々承知してございますけれども、この面的整備が進んでいった後は、今いったように、面から面を今度どうつなぐかということが、福祉のまちづくりという面で大きな課題になってくるんだというふうに思っています。面から面への移動についても、当然、このバリアフリー化というものについて考えていかなきゃなりませんけれども、東京都は、この辺について、どういうふうにそのバリアフリー化を進めようとしているのか。
 面から面をつなぐ、例えば、さっき話がありましたけれども、新宿の駅から都庁舎までという一つのモデル的になっている地域がある。ほかにもそういう地域がある。そうすると、障害者とか高齢者の方たちが、新宿から次の面のところに行きたいと思っても、現状ではなかなか移動しにくいという状況にありますけれども、そこをやっぱりきちっと整備しないと、本当の意味での福祉のまちづくりにならないんじゃないかと思いますが、その辺はどういうふうに考えておられますか。

○小山地域福祉推進部長 東京都では、都民、事業者、行政の協働による地域における福祉のまちづくりの取り組みを具体的に進めるために、取り組みの手引というものをつくりまして、これは平成十二年一月でございますが、「地域バリアフリー化のためのガイドライン」というものを策定したところでございます。このガイドラインをもとに、バリアフリー化された地域が各地にふえるように、普及、推進に努めてまいりたいと思います。
 それから、ご指摘のように、面から面への移動が円滑に行われるよう、鉄道駅へのエレベーター整備事業あるいはノンステップバス、だれにも乗りおりしやすいバス整備事業、こういったことを進めております。
 今後の面から面へといった最終的なバリアフリー化を効果的に推進するためには、先ほどの協働ということになりますが、そのポイントは、やはりそれぞれがそれぞれの役割のもとに、個々の施設のバリアフリー化を進めることが一点目、それから、点から点へ、面から面といったように、バリアフリー化された施設の連続性を確保するといった意味でのバリアフリーのネットワーク化の形成、そして、最後に、福祉のまちづくりに対する都民の理解の高まり、そういったことを支援するソフト面での取り組み、この三つの指針を基本に、これからも地域のバリアフリー化を進めてまいりたいと存じております。

○曽雌委員 今のようなことを進めていただいて面的な整備が進んでいけば、今度、次に課題になってくるのは、地域の中にある民間の事業者のご協力がどういうふうにあるかということになると思うんですね。
 今のお話の中にも、都民の理解を得ながらというようなこととか、ソフト面での支援を考えていかなきゃならないということで部長がご答弁しておられましたけれども、それでは、そういう民間事業者の方たちが、福祉のまちづくりに対してどういうふうに理解をし、また、自分たちがそれぞれの役割を担ってという話もありましたけれども、自分たちは何をすればいいのか、自分のお店は何をしていったらいいのかということを、やはり理解していただかなきゃならない。
 その上で、理解はしたけれども、何かやろうと思っても、ただやってくださいというふうに都からいわれても、現実問題としては、なかなか協力が、気持ちはあるんだけれども、いろんな面で協力しにくい、逆にネックになっている部分もある。
 そういうことを考えたときに、やはり民間の事業者に対する支援策というものもしっかり考えていかなければ、お願いしますだけでは、なかなか事が進まないのではないかというふうに思っていますけれども、この辺のソフト面での支援策ということでは、どんなことを今考えておられるのでしょうか。

○小山地域福祉推進部長 民間事業者が主体的に福祉のまちづくりに取り組むソフト面での支援策のお尋ねについてお答えしたいと思います。
 福祉のまちづくりは、ハードだけではなく、ソフトも重要でございますが、こういった支援面でのソフト策といたしましては、積極的にバリアフリーに取り組んでいらっしゃる事業者の方々や、それから、既存建築物の改善事例、大きいもの、小さいもの、いろいろあろうかと存じますが、そういった事業者、それから、改善事例を、今年度末に新たに開きますホームページにおきまして、インターネットで広く紹介をしてまいりたいと思っております。
 それから、福祉のまちづくり条例の中には、表彰制度といったものもございますので、こういったことも活用してまいりたいと思います。

○曽雌委員 毎年、東京都は、国の方に対して、予算編成に向けて、こういう部分についてはこうしてくださいというご要望を出していますよね。これで見ていきますと、東京都の方も、私はいつも思っていますけれども、やはり税制上の優遇措置というようなことも考えていかないと、なかなか民間の方は協力しにくい部分もあるのではないかと思うので、いわゆる税制上の優遇措置については、東京都としてどんな取り組みをして、国に対してどんなお願いをして、現状はどんな見通しになっているのか、あわせて伺っておきたいと思います。

○小山地域福祉推進部長 福祉のまちづくりは、大変息の長い広範囲にわたる大きな事業でございます。都単独で行うというよりも、税制上の優遇措置、そういったことが大変重要と考え、これまでも国に対して要望を行ったところでございますが、今後も、引き続いて要望してまいりたいと考えております。

○曽雌委員 国の方も、遅まきながらといいますか、かなり取り組みが進んできていることも事実だというふうに思っています。
 ご案内だと思いますが、平成六年には、人にやさしいまちづくり事業というのを建設省で考えたり、また、平成六年六月にはハートビル法が制定されたり、つい最近ですと、ことしの五月に交通バリアフリー法というのが成立をしたりで、国の方もいろいろと取り組みをしていただいておりますけれども、やはり東京都が、こうした問題でも全国の先駆を切っていくようでなきゃならぬというふうに思っています。
 私、今、思い出していますけれども、東京都が福祉のまちづくり条例を制定するときに、その段階で、たしか兵庫県の神戸とか大阪の方は、先行して福祉のまちづくり条例ができ上がっていました。
 東京都がこの条例をつくるに当たって、私ども同僚の議員と一緒に、大阪、神戸に実は行きまして、そこで、いろいろとでき上がった福祉のまちづくり条例について説明をいただいたり、今後どうしたらいいかという課題なんかも聞いてきましたときに、一番印象に残っているのは、何といっても東京都さんですから、東京都が全国の模範になるような福祉のまちづくり条例をつくってくださいというふうに実は要望を受けてきたことを覚えておりまして、そのことを受けて、東京都にも再三、この条例制定については、本会議、委員会でも取り上げてお願いしているところでございます。
 ですから、そういう面で、東京都がより積極的に全国の模範になるような福祉のまちをつくっていくということでのご努力をお願いしたいんですが、実はちょっときょうここで紹介したいのは、ことし十二年三月に、歩いて暮らせる街づくり推進協議会というところがありまして、調査をいたしました。後ほど、これよろしかったら差し上げますので見てもらいたいんですが、これは、高齢者の増加に伴って必要となる車いすやシルバーカーによる通行を妨げているさまざまな障害の有無の程度の調査とか、バリアフリー化を実現するまちづくりの課題は何なんだということを調べようということで、静岡大学の教授をしておられる馬居政幸さんという先生が中心になられて監修されて、若いボランティアのメンバーが集まって、この歩いて暮らせる街づくり推進協議会をつくって、いろいろと調査をしたようでございます。
 これは、実は大田区の地域で老人いこいの家というのがあるんですけれども、老人いこいの家に行くまでの間にどういう障害があるのかということを、ある程度限定して調査をされたんですけれども、この結果を見させていただいただけでも、七・八六メートルに一カ所問題の箇所があって、二十三・五一メートルに一カ所通行不可能な箇所があるというんですね、地域の中で。
 これは実は大田区のことなんで恥ずかしくなっちゃうんですけれども、そういう実態が出まして、約二十四メートルごとに避けていかなければならない障害物が必ず置いてあると。それは自転車であったり、電柱であったり、いろんなものが考えられますけれども、八メートルごとに車道に出て迂回をしていかなければ、車いすでは決められた道路を通っていけないとか、こういうような実態は、実はそれぞれの地域の中にいっぱいあるんですね。
 ですから、東京都の方としても、その辺は当然、区市町村の協力を仰ぎながら福祉のまちづくりというのを進めなければならないというふうに思っておりますけれども、そういうことも一部紹介して、最後に局長に決意を伺っておきたいと思っています。
 ご案内のとおり、二十一世紀の本格的な少子高齢化社会を控えまして、この福祉のまちづくりというものは非常に重要な施策になってきているというふうに思っています。福祉の観点から、そうした視点から、福祉のまちづくりということを着実に、そして実の上がる成果として施策を展開しなきゃならぬというふうに思っておりますけれども、局長は、今回、新しく福祉の局長として、福祉局の皆さん、職員の方たちの先頭を切って戦いをされるわけでありますけれども、局長自身は、福祉のまちづくりの進め方について、どういう決意で臨んでいこうと考えておられるのか、この際お聞きしておきたいと思っております。

○前川福祉局長 今お話がありましたとおり、少子高齢化は確実に進んでいく、そういう中で、高齢者や障害者の方はもちろんですが、それを含めたすべての都民の方が、地域の中で安心して暮らせる、あるいは安全に移動できる、あるいは積極的に社会参加ができる、そういった社会をつくるために、今ご指摘がありましたとおり、バリアフリーが全面的に実現したまちをつくっていく、これが極めて重要な課題であろうというふうに考えております。
 私どもの福祉のまちづくり条例の理念は、そういう意味で、こういう今お話ししたような課題に沿って、事業者、都民、それから東京都が、区市町村も含めて、それぞれ責務を果たしながら、協力をしてこういうまちをつくっていこうという試みでございます。
 私も福祉局長になりまして、今お話がありましたように、できれば全国の模範となるようなまちづくりを東京の隅々でやっていきたいと思っております。ただ、そのためには、るるご指摘もありましたとおり、税制等も含めて、実効性をどう担保するかというなかなか難しい問題があると思っております。一挙にはできませんが、今回の条例の改正を契機として、さらに一歩進んで、私ども東京都の各局が力を合わせて、さらには区市町村の皆さんのご支援もいただきながら、また、都民、事業者の方々とも力を合わせて、全力を尽くしてやっていきたい、こう考えております。

○藤田委員 私も、二、三、質問させていただきたいと思います。
 今回の条例改正に向ける前に、東京都は、福祉のまちづくり整備基準等の改正の考え方についてという意見具申が出されてきたというふうに思いますけれども、特に、先ほどもお話がありましたように、交通バリアフリー法がこの五月にできているわけですけれども、公共交通の施設ということで、いわゆる面と面を結ぶ--私も面について随分質問させていただきましたけれども、面と面を結ぶラインとしての公共交通というようなことで、この交通バリアフリー法と、今回、私たちが持っている東京都のまちづくり条例との差異ですとか、あるいはどんなふうにこれと関係があるのかということをお尋ねしたいと思います。

○小山地域福祉推進部長 交通バリアフリー法と東京都の福祉のまちづくり条例との関係でございますが、福祉のまちづくり条例は、高齢者、障害者等が円滑に利用できる都内の施設の整備と、サービスの向上を図るための優しいまちの実現を目指しております。したがいまして、条例の対象とする施設は、建物、道路、公園といったものが広く含まれております。また、車両、福祉用具といった方面にも及んでいるところでございます。
 一方、交通バリアフリー法は、法律の名称にありますように、高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の利便性、安全性の向上を図るということが目的とされておりまして、法律の対象とする事項は、公共交通機関並びに旅客施設及び旅客施設を中心とした一定の地域といったことが対象となっております。

○藤田委員 そういうことであれば、いわゆる東京都のまちづくり条例の方が範囲が広いということだというふうに思うんですが、具体的な例で、例えば、私たちが多摩都市モノレールについて、多摩から立川までバリアチェックというのを、ことしの五月に、この法律ができたことも含めて行いました。
 そのときに、多摩都市モノレールは、券売機や、エレベーターに乗るときに、実際に表示がしてある、その表示の高さが、いわゆる車いすやなんかの方の目の高さとは違うとか、非常にそこが見にくいというようなことがまずありました。もう一つは、電車に乗り込むときに、八センチのすき間があったんです。私は、実はそこに一緒には行っていないんですけれども、起点のところにおりましたけれども、その八センチが非常に厳しいということで、そこに板を置くとかなんとかということも考えられるんだと思うんですが、その八センチが、あれはきっと力の強い車いすの方なんかだったから行かれるかもしれないけれどもということで、非常に厳しいということがありました。
 こういうことを考えたときに、実際に東京都のまちづくり条例の中で、こういう施策については、もちろん先ほどお話のありました推進協議会の中で、障害者の方々もご一緒に、この条例をつくるときには参加していらっしゃいますけれども、実際のこういう建物を建てたり、交通の機関をつくるときに、どれだけ意見が反映されていたのかということを、実際の面からいってお尋ねしたいと思います。どんなふうに参加をしてつくってきたかということです。

○小山地域福祉推進部長 お話のありました多摩都市モノレールの整備につきましては、東京都建設局及び都市計画局の所管となっておりますが、私どもが聞いたところでは、平成元年九月の都市計画決定における地元説明会や公聴会で住民の方の意見を広く聞き、また、工事においても、地元市などを通じて、ご要望に対応しながら整備を進めてきたということでございます。また、福祉団体等の要望も反映されているということでございます。

○藤田委員 多分つくるときにはそうだったと思うんですけれども、実際に車いすの方がもう一回チェックをしてみようと思ったときに、そこら辺が非常にまずいというようなことも現実に起きているわけですし、それから、きのうは、私、デイセンターの開所式がありまして、そこへ行きました。そして、デイルームから、二階の、ちょっと屋上のようになっていて、そこに園芸などの作業ができるようなコンクリートで打ったスペースをとってあるんですけれども、そこにおりるのに二十センチぐらいの段差がある。そして、それを解消するために、スロープというか、橋渡しをつくってあるんですが、そこにひっかかりも何もないというような状況で、何か最初はこうしたい、ああしたいというのがあって、そこにはきちっと手を尽くしてやっているというんですが、実際を見ると、なかなかそういうふうにいっていないというところが多々見られるというふうに思うんですね。
 ですから、そこも、私のところ、杉並区がつくった施設でありますので、公がつくった施設は、特にそういうことに注意をしていただかなくちゃいけないと思いますし、できればもう一度、障害者の方も一緒になって、具合が悪いということがあれば、そこを直していくだけの度量を持っていただきたいと思いますし、そういうチェックを常にしていくということが、これからますます、高齢者も含めて、障害者の方々が、なお一層表に出られるチャンスをつくっていく大きなきっかけになると思いますので、その辺について最後にお伺いしたいと思います。

○小山地域福祉推進部長 福祉のまちづくり並びに基準等々に、障害者の方や都民の方々のご意見を反映するようにという、当事者参加のご質問だと存じますが、東京都福祉のまちづくり推進協議会では、一回の意見具申を行うまでの間、先ほども申し上げましたように、いろんな方面の団体の方あるいは専門家の方の参加をいただきまして、全体会を行うこと、また、分野別に分かれて、分科会のような形で検討するといったようなことで、多面的に、総合的に検討をしております。
 それで、基準としての有効性を持たせるためには、やはり一定の合意と申しましょうか、水準に達したものを意見具申として東京都に提出し、また、社会の変化ですとか、福祉用具の高度化ですとか、そういった成長に合わせて協議会の方も継続的に協議をしていこうということになっておるところでございます。したがって、住民の方々の意見は反映できるシステムとなっていると考えております。

○藤田委員 それでは要望いたしますが、そういうことであっても、できたものがどうなのかということをチェックすることをしなければ、一つもまちづくり条例が生かせないのではないかというふうに私は思いますので、そこのところを、チェックの仕組みをもう一度つくっていただくなり、さらによいものにしていくために、ぜひお願いしたいと思います。

○曽根委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○曽根委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で福祉局関係を終わります。

○曽根委員長 これより衛生局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第二百五十四号議案、東京都精神障害者都営交通乗車証条例から第二百五十七号議案までを一括して議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しております。
 その際要求のありました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○櫻井総務部長 去る九月十三日の本委員会におきまして要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元に配布してございます厚生委員会要求資料をごらん願います。
 資料は、目次にございますように、1の、宗教法人が経営する墓地数の推移から、10の、精神障害者と他の障害者との主な福祉制度の比較まででございます。
 まず初めに、一ページをお開き願います。1、宗教法人が経営する墓地数の推移でございます。
 特別区、多摩・島しょ別に、平成二年度から平成十一年度までの十年間の各年度三月三十一日現在の宗教法人が経営する墓地数を記載してございます。
 次に、二ページをお開き願います。2、宗教法人が新設許可を受けた墓地数の推移、十年間分でございます。
 (1)は、特別区においては各区ごとに、三ページの(2)の方は、多摩、島しょにおきまして所管する保健所別に、宗教法人が新設許可を受けた墓地数につきまして、平成二年度から平成十一年度までの間、記載してございます。
 次に、四ページをお開き願います。3、他府県における市町村長等からの意見徴取等、住民からの承諾書添付等についての規定状況についてでございます。
 申請または許可の際、市町村長からの意見徴取等を規定している府県の例を(1)に、承諾書等の添付を規定している府県の例を(2)に、いわゆる事前周知制度を規定している県の例を(3)に、それぞれ記載してございます。
 次に、五ページをごらん願います。4、最高裁判所の墓地経営許可処分取消訴訟判決の内容についてでございます。
 平成十二年三月十七日に出ました同判決の概要などにつきまして記載してございます。
 次に、六ページをお開き願います。5、全国生活衛生関係主管課長会、平成六年三月十五日に開催されたものでございますが、ここにおける墓地等の経営許可についての資料でございます。
 同会議で示されました厚生省の資料の内容等につきまして記載してございます。
 次に、七ページをごらん願います。6、墓地の許可申請時における承諾書の添付状況についてでございまして、前ページの5の厚生省の方針に基づき取り扱いを変更しました、平成六年六月二十九日から平成十一年三月三十一日までのものを、各特別区、多摩、島しょの各保健所別に、承諾書等の添付状況につきまして、件数を記載してございます。
 次に、八ページをお開き願います。7、都営霊園の募集状況、五年間でございます。
 (1)の、一般・芝生・壁型埋蔵施設、長期収蔵施設には、募集を行った各都営霊園ごとに、平成八年度から十二年度までの五年間の募集状況を記載してございます。
 また、(2)には、平成十年度に開設されました小平合葬埋蔵施設の募集状況を記載してございます。
 次に、九ページをごらん願います。8、都営霊園における無縁墳墓の整理状況でございます。
 昭和五十五年度から平成六年度までの各年度ごとに、都営霊園におきまして無縁墳墓として使用許可を取り消した件数を記載してございます。
 表の下の(注)にございますように、昭和五十六年度、六十二年度、六十三年度、平成三年度から五年度及び七年度から十一年度におきましては、無縁墳墓の整理を実施してございません。
 なお、前ページの7、当ページの8の資料につきましては、ともに建設局の資料をもとに作成したものでございます。
 次に、一〇ページをお開き願います。9、政令指定都市における精神障害者への公営交通無料パス等の実施状況でございます。
 公営交通機関のない千葉市を除きました各政令指定都市ごとに、平成十二年九月一日現在の実施状況を記載してございます。
 次に、一一ページをごらん願います。10、精神障害者と他の障害者との主な福祉制度の比較でございます。
 精神障害者、身体障害者、知的障害者の別に、主な福祉制度につきまして、手帳名と、平成十二年三月末現在の手帳の所持者数とあわせまして記載してございます。
 なお、(注)にもございますが、精神障害者の入院医療費の助成につきましては、十八歳未満の小児を対象としてございます。
 以上で、ご要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○曽根委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○三宅委員 この条例改正につきまして、二つ質問をいたします。大きく二つです。
 まず初めには、都営交通乗車証条例に関する件について質問を行います。
 精神障害者都営交通乗車証は、今、ある意味ではこの厚生委員会の重要な案件の一つ、このような観点から質問いたします。
 精神障害者及び家族の方々の長年の悲願であるこの都営交通パスが、今回、条例として提案され、ようやく実現されようとしております。一昨年の十一月の請願審査において、私ども東京都議会自民党を初めとする全会派が一致して趣旨採択をしたことが、大きな弾みになったと考えております。
 そこで、まず、条例制定とした経緯やその考え方をお伺いします。

○長岡医療福祉部長 精神障害者に対します都営交通乗車証事業は、ご指摘の請願審査の結果も踏まえ、本年度予算化を図ってきたところでございますが、経済的、社会的に不利な立場にある精神障害者の自立と社会参加を一層促進するために、取得した乗車証を提示することにより、都営交通が利用できるものでございます。
 また、乗車証の発行に当たりましては、サービスの利用と負担のバランスの適正化を図る観点から、発行手数料千円を納めていただくこととしており、これらの内容を都民の方々に明らかにするために、条例を制定するものでございます。

○三宅委員 今の説明、趣旨は理解いたしましたが、この発行手数料千円を徴収するということについては、いろいろ意見があるようです。サービスを受けて、また、そのサービスを充実するに当たって相応の負担を行う、このことは、ごく当然の社会規範であるとは思います。また、そのサービス充実を十分に評価して、この制度を積極的に利用していただきたい、これもまたごく当然のことと考えます。
 こうした認識に立って、利用者である精神障害者の方に、この発行手数料千円を徴収するということをきちんと説明して、本当の意味で理解をしていただく必要があると思いますが、この発行手数料千円をいただく、徴収するという、この考え方について説明をお願いします。

○長岡医療福祉部長 精神障害者の方々は、この事業の実施によりまして、都営交通を利用する際に必要な運賃が免除されるというサービスを受けることになります。このことは、精神障害者の日常生活におけます活動の幅を広げ、自立と社会参加を一層促進するための支援として実施しているものでございます。
 一方、こうしたサービスを充実するに当たりましては、その利用と負担のバランスを適正なものにする必要がございます。このため、発行及び窓口事務に要します費用を、発行手数料として千円納めていただくことにしたものでございます。

○三宅委員 今の石原都政、大変に財政が厳しい状況にある、こういう根本認識で、聖域なく施策の見直しを行って、どうしても財政再建を果たしていかなきゃいけない、このことはよくわかっておりますが、私は、石原都政の一番のアキレス腱は、本当の意味で弱者の方、福祉を必要とされている方たちに石原都政は少し厳しいんじゃないかとか、そういう方たちに対する思いやりが少ないのではないかとか、こういった都民の批判の声に特段に今こそ耳を傾けていかなければいけない、こう思います。
 そして、このサービスのいわゆる手数料徴収を非常に慎重に衛生局は行っていただきたい、こういったことを思いながら、本当の意味でこの精神障害者の皆様に対する福祉サービスを実施し、また運営していただきたいと思います。
 ただ、この千円の負担ばかりがクローズアップされて、それがある意味での社会問題化してしまうということもいかがなものかというふうに思っております。やはりある程度の負担をしていただきながら、そして、今までは、与えられる福祉になれてきた東京都民ですから、そういった東京都の福祉から、みずからが選択して、そして取得していくという東京都の福祉へ変換をする、福祉というものをもっとポジティブに受けとめていくことが大切だと私は思っております。
 こうしたことを踏まえて、都議会の総意で実現した精神障害者の都営交通乗車証事業が、本当の意味で円滑に実施されて、この乗車証の利用が促進されて、精神障害者福祉の充実が本当の意味で実践されることを理事者の方に強く要望いたしまして、この質問は終わります。
 次に、墓地条例の一部改正に関する件について質問に入ります。
 墓地は、だれしもいずれは必要なものであります。特に都市部では、近年、核家族化、高齢化に伴い、墓地需要がふえている、このことを示す何か具体的なデータをお示しください。

○河津生活環境部長 平成八年十一月に東京都が実施いたしました都民要望に関する世論調査におきまして、将来自分が埋葬してもらえる墓がないと答えた方が二六%ございます。都民の約四人に一人は墓地がない状況にあるという結果がうかがえるわけでございます。
 また、平成十年二月に国が実施いたしました墓地に関する意識調査でも、墓地の不足についての認識という項目がございまして、東京都区部では、約四人に一人と、ほぼ同様の結果となっております。

○三宅委員 こうした墓地需要にこたえるために、最近の都内における墓地供給の状況、平成二年度から十一年度までの十年間、宗教法人による新規墓地の許可数が百二十五件となっております。このような墓地の需要と供給の現状を踏まえると、今後、都市部において、引き続き墓地供給の確保が必要と思われます。
 しかし、今回の条例改正には、墓地等の経営許可の適正化を図るため、墓地の構造設備基準、事前周知制度など、新たな規制内容が盛り込まれております。このことが、墓地の供給を過度に制限することにつながりませんか。どうでしょう。

○河津生活環境部長 今回の条例改正案について、趣旨を説明させていただきましてお答え申し上げたいと思います。
 まず、都市化が進んでいる中で、墓地等の経営許可を取り巻く環境が大きく変化をしてきております。現行条例の規定内容による運用では、墓地の適正な経営を確保することは困難となってきているという現状を認識しております。
 今回の条例改正は、最近の墓地等の経営許可をめぐるこうした状況に即応して、墓地等の経営の適正化を図るために、主な点が四点ございますけれども、この点について必要な規定を整備するという趣旨でございます。すなわち、経営者の適格性の確保、墓地の永続性の確保、都市にふさわしい墓地の構造設備基準、さらに、墓地開発に伴うあつれきの未然防止等解消のための制度についてでございます。
 このことによりまして、過度な制限ではなくて、適正な墓地の供給をもたらすものと考えているわけでございます。

○三宅委員 この東京では、実に墓地開発をめぐって、地域住民の方々とのトラブルが絶えないのも事実であります。特に新設の墓地開発に当たって、具体的にどんなトラブルがあるか、今とらえているものについて説明してください。

○河津生活環境部長 さまざまなトラブルのいろいろな理由がございますけれども、私どもで認識しておりますのは、例えば墓参りの際の交通渋滞とか不法駐車、衛生害虫や悪臭の発生による生活環境の悪化への懸念など、こういうことが近隣の住民の方々から意見として出される場合がございます。

○三宅委員 この生活環境の悪化というのは、まさしく自分の家の前に、ある日突然お墓ができてしまう、これが一番わかりやすくて、特に都民の方が本当に心底困ったなと、こういうトラブルだと私は思いますけれども、衛生害虫ということになると、悪臭とかもあるんでしょうけれども、そういったトラブルの内容に、今回の条例の改正はどのようにこたえていくのですか。

○河津生活環境部長 今回の条例改正では、周辺環境との調和を図るように、墓地の構造設備基準に新たな規定を設けております。また、事前周知制度を導入いたしまして、標識の設置、公示をするわけですけれども、それから説明会の開催、隣接住民との協議など、こういうものを指導することにしております。

○三宅委員 この条例施行規則にある承諾書の添付規定を削除して、条例の中にいわゆる事前周知制度を規定するというようなことですけれども、その背景には、平成十二年三月に、最高裁判所において、墓地、埋葬等に関する法律は、墓地予定地の隣接地所有者等の周辺住民の個別的利益を保護することは目的としていない、こう判決がなされたことがあると思います。この国の考え方も含めて、承諾書の添付規定を削除した理由を確認したいんですが、どうぞお答えください。

○河津生活環境部長 平成六年三月に、厚生省から、墓地の経営許可に当たって、法律の要件として、周辺住民の全員の同意を得ることが必要であるとの指導を行う等、過剰な規制が行われることのないように適切に対応されたい、こういう考え方が示されました。それ以降、都におきましては、承諾書の取り扱いについて、徴取できない場合でも、理由書をもってかえるという弾力的な運用を図ってきたところでございます。
 さらに、ただいまご指摘のありました、本年三月の最高裁判決によりまして、承諾書の添付規定はその実効性が失われていると考えて、削除をしたわけでございます。

○三宅委員 承諾書の添付規定がそうした理由で削除されたとすれば、それにかわる実効性のある制度として事前周知の規定が盛り込まれたということですか。どうぞお答えください。

○河津生活環境部長 承諾書にかわりまして事前周知制度を考えているわけでございますが、墓地等の経営許可申請に先立ちまして、標識の設置、説明会の開催、事前協議の指導に従わない場合の公表などを内容とする事前周知制度を導入するところでございまして、申請予定者と周辺住民とのあつれきの未然防止と解消に大きな効果があるものと考えているわけでございます。

○三宅委員 大きな効果があるというんですから、トラブルがないようにしなきゃだめですよ。
 地域に受け入れられる墓地という観点、まちづくりと墓地のあり方について、都市計画など包括した総合的な墓地行政を推進していく必要があるという意見もありますけれども、これにどう取り組んでいくんでしょうか。

○河津生活環境部長 まちづくりや都市計画につきましては、墓地、埋葬等に関する法律の目的外の内容でございます。しかし、墓地の経営許可に当たりましては、まちづくりや都市計画といった関連施策との連携は重要であるというふうに認識をしております。そういう意味で、今後とも、総合的な墓地行政の推進に向けて、区市町村を初め関係部署との情報交換を進めますとともに、その対応については論議を深めていきたいと考えているわけでございます。

○三宅委員 関係の区市町村と情報交換、こういうことを進めるというお話をしっかり記憶しながら、新しい条例が施行されることにより、墓地行政がこれまでとどのように変わって、それがひいては都民にとってどのような効果があるのか、いま一度お伺いします。

○河津生活環境部長 今回の条例改正によりまして、現下の墓地等の経営許可をめぐる諸課題に対応することが可能となるとともに、墓地の永続性の確保、隣接住民等と申請予定者とのあつれきの解消など、そういうものに大きな効果があるものと考えております。

○三宅委員 今回の改正は、条例で対応し得る限りの内容をある程度盛り込んでいるのではないかと期待をしながら評価をいたしますが、いずれにしましても、墓地をめぐる問題は、総論賛成各論反対がしばしば起こる、大変難しい、困難な課題であります。
 今回の条例改正によって、衛生行政としてどのように取り組み、進めるお考えか、局長にお伺いして、質問を終わります。

○今村衛生局長 今回の条例改正は、ただいまのご質疑でもわかりますとおり、墓地等の経営許可をめぐる厳しい状況に即応するために、都市にふさわしい構造設備基準のほか、全国に先駆けまして事前周知制度等を規定したものでございます。ぜひともご理解を賜りたいと思います。
 今後とも、地域の環境と調和のとれた適正な墓地経営を目指しまして、規則や通知の内容も含め、条例をお認めいただければ、改正条例の適切な運用に万全を期する決意でございます。

○田中委員 私の方からも、ただいまありました墓地等の構造設備及び管理の基準等に関する条例について、若干質問をさせていただきたいと思います。
 お話にもあったんですけれども、今回の墓地についての条例改正につきましては、バブルの崩壊後、不良債権化した土地の処分、また工場跡地の処分のために、本来なら宗教法人でなければならないとされている墓地の経営者が、宗教法人の名義を借りて申請していると疑われるような例が頻発していること、また、関連して、それまで全く住民とは関係ない宗教法人が、住宅地の中に突然墓地建設を行うという、周辺住民からすれば寝耳に水というような開発が行われる例が多発しているということが、条例改正の背景にあるのではないかというふうに思います。
 現に私の地元の調布市でも、これまで畑でありました土地が、所有者が亡くなり、相続が発生したということから、宗教法人に売却し、周辺の住民のほとんどが反対しているにもかかわらず、結局墓地が建設されてしまったということを身近に経験しているわけであります。
 また、現在マスコミでも何度も取り上げられておりまして、きょう傍聴にもいらしておりますけれども、江東区の江東メモリアルの例などでも、墓地経営に必要な駐車場の土地が借地であって、しかも、その場所の所有者が墓地としての使用を拒否していて、その上隣接して幼稚園があって、また、周辺の住民の承諾書そのものが一枚も得られていないという状況のままで墓地の経営許可が認められたという状況があるわけです。これでは、どんなに住宅密集地の中でも墓地の経営が許可されるということが許されるということになると思うのです。
 そういう状況の中から、やはり墓地に対する住民のトラブルを少しでも解消しようということで、今回の墓地の条例の改正が行われるということですので、少なくとも現状から後退することがないように、また、このようなトラブルを少しでも未然に防ぐということを条例にいかに盛り込むかということが重要になってくると思うのです。
 しかし、今いろいろお話もありましたけれども、条例案を見てみますと、墓地の経営主体を明記したことでありますとか、墓地の構造設備基準の規定を拡充したことについては、前進面はあると思いますけれども、一番問題となる住民とのトラブルをどう回避するかという面で、果たして今お話ししましたような問題に対して実効性があるか、少しでも歯どめになれるのかということについては、住民から危惧の声をさまざまに聞いているところなんです。
 例えば、同法施行規則の中で規定している隣接住民からの承諾書の添付をなくすということについても、強く危惧されているわけなんです。承諾書については、隣接住民一人一人の意思を示すという意味で、最後のとりでといわれているところだと思うのですけれども、今回はなぜ承諾書の添付の規定をなくすんでしょうか。先ほどの質問でもありましたけれども、再度お答えいただきたい。

○河津生活環境部長 すべての隣接住民等の承諾書の添付を義務づけることは過剰な規制であるという国の考え方が示されておりますのと、最高裁判例などの内容から、承諾書の添付規定の実効性が失われており、当該規定を削除することとしたものでございます。

○田中委員 資料の六ページにその内容が書かれているわけですけれども、これは全国生活衛生関係主管課長会--厚生省の生活衛生局が平成六年に開いたということですよね。今お話がありましたけれども、例えば法律上の要件として、周辺住民の全員の同意を得ることが必要であるとの指導を行う過剰な規制があるとの指摘があるということですよね。全員の同意なんですよ。全員の同意を得なければいけないというようなのは過剰じゃないかということがまず一つですよね。しかも六年前です。
 今は、一枚も承諾書がとれなくても構わないというのが現状なんですよね。今実際に江東区ではそういう例が見られているわけなんです。
 しかも、都みずからが、この内容で承諾書が添付できない場合は、理由書にかえることができるということを運用通知で変えました。
 その次に、平成六年六月二十九日からの添付の状況が次の資料に書かれているわけです。そうなりますと、一部承諾書を徴取することができない場合でも、事前に申請者に対して承諾書の趣旨を十分徹底せしめるよう指導するものとするというのも、運用通知の中にただし書きで書かれているんですね。ですから、全部が理由書でいいとか、全部とれなくてもいいんだということをいっているわけじゃないと思うのです。
 と同時に、承諾書の添付義務の実効性が失われているということですけれども、都みずからがそのように理由書でもいいというふうに緩和をしてしまったということですよね。みずからそのように緩和をしてしまって、そして、だからというのは、ちょっと納得がいかないということを私はいいたいのです。
 最高裁の判例ということですけれども、資料にも載っていますけれども、これはどのようなものでしょうか。

○河津生活環境部長 平成十二年三月の最高裁判所におきましては、墓地、埋葬等に関する法律は、公益の見地から判断をするということで、墓地予定地の隣接地所有者等の周辺住民の個別的利益を保護することを目的としていない、こういう考え方で判決がなされております。

○田中委員 判例そのものを見てみますと、大阪府の墓地の設置許可に対する条例が、墓地及び火葬場の設置場所の基準として、住宅、学校、病院、事務所、店舗その他これらに類する施設の敷地から三百メートル以上離れていること、ただし、知事が、公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障がないと認めるときはこの限りでないというふうに規定しているわけなんですけれども、これは、知事が許可をした墓地から三百メートル以内の人が許可取り消しの訴訟を起こしたということだと思うのです。これに対して、個別的利益を特に保護しようとするものではなく、知事の公益性の判断が優先されるというように判断を下したというものだと思うのですけれども、これについては、承諾書あるいは同意書の添付について判定を下したというものではないと考えられるのですけれども、これはいかがでしょうか。

○河津生活環境部長 先ほど申し上げましたとおりの判決でございまして、距離規定といいますのは、基本的には土葬時代を前提としております。つまり、公衆衛生上の観点からの規定でございますので、焼骨の場合にはその限りでないというただし書きを多くのところはつけております。東京都もそうなっております。
 それから、基本的には、墓地というものは、地方公共団体、区市町村が本来設置するという役割になっておりまして、コミュニティの中に必要な施設であるという前提に立っております。そういう意味で、公共の福祉の観点から判断をし、個別的な周辺住民の利益を保護することを目的としているものではない、こういう判決だというふうに理解しております。

○田中委員 そのような解釈を示した判例の紹介でありますとか法律の解釈、これが出ているのでしょうか。

○河津生活環境部長 それは、最高裁の判決の前に、さまざまなそれに至るまでの判決が各地で出ておりますけれども、原告としての適格性を有していないというものが、私の知る限りではすべてでございます。

○田中委員 最高裁の判決をよりどころにして、いわゆる公益的な利益に合致しないというようなところで理由にして、承諾書をなくすというふうにされたわけですよね。今おっしゃいましたけれども、解釈そのものは、いわゆる法律の解釈ということについては出ていないということだと思うのです、お答えになりませんでしたから。ということは、少なくとも厚生省の考え方というのは明白なんです。
 私、厚生省に問い合わせをしたわけなんですけれども、それでは、この判決は、承諾書の可否が問題ということではないんだと、知事の裁量権を認めた解釈だというふうに厚生省みずからがいっているんですけれども、これについてはいかがでしょうか。

○河津生活環境部長 先ほどの、解釈が出ていないというお話がありましたけれども、判決そのものが既にそこで説明を十分しているというふうに私は理解しております。それ以外にも、物の本にはやはりそういう説明もついております。
 墓地の経営につきましては、それぞれが知事の判断に任せられているということで、公共的な見地から判断をするという考え方になっているわけでございます。

○田中委員 まさに今おっしゃいましたように、知事の判断に任せられているんですよね。それが厚生省の見解でもあるわけなんです。
 それは、例えばマスコミでも厚生省と同じ見解--厚生省にマスコミの記者が聞いたときにも、同じように解釈を、厚生省の役人がいっているんです。例えばテレビ朝日の「スクランブル」という番組では、厚生省の回答は、都道府県知事は許可を与えなければならないということではないと。許可しないことができるし、行政の広範な裁量を認めているということなんだと。その上に、行政権限は、墓地を経営する者の自由権や私的な権利と公共の利益との調整を図ることであり、それは各地域で異なるため、法律では一律な基準を定めることは困難だと。だから各都道府県知事にゆだねているものだという解釈まで示しているんです。ということは、知事の裁量、公正な裁量権を認めているんだということではないんですか。
 しかも、この判決文の一番最初に、「墓地、埋葬等に関する法律十条第一項は、墓地、納骨堂又は火葬場を経営しようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならない旨規定するのみで、右許可の要件について特に規定していない。」と、これは、許可をしなければならないということだけを決めた条文なんだということを、判決の最初に書いているんですよ。その後で、「一律的な基準による規制になじみ難いことにかんがみ、墓地等の経営に関する許否の判断を都道府県知事の広範な裁量にゆだねる趣旨に出たものであって」ということを書いているんですね。
 ですから、私は、承諾書の可否が問題ということではなくて、そういうことじゃなくて、知事の裁量権を認めたという解釈だと思うんです。それは明らかだというふうに私は思います。つまり、それぞれの都道府県で、知事が同意書や承諾書の添付を義務づけることも可能になっているんだというふうに解釈できると思います。
 次に、承諾書にかわるものとして、この条例改正の中にあります事前協議の指導について伺いたいと思います。
 まず、事前協議は、どういうことが対象になるんですか。

○河津生活環境部長 事前協議の対象になる場合でございますけれども、近隣住民等との協議を行うように指導するのは、正当な理由があると認めるときということにしておりますが、三点ございます。
 公衆衛生その他公共の福祉の観点から考慮すべき意見、二つ目が、墓地等の構造設備と周辺環境との調和に対する意見、三つ目が、墓地等の建設工事の方法等についての意見、これについて申し出があったときに、事前協議に応ずるように指導をいたします。

○田中委員 最初にいわれました、公衆衛生その他公共の福祉の観点から考慮すべき意見というのがあるんですけれども、これは非常に広範な内容が入ると思うんです。例えば、いわゆる心理的な影響ですね。やはり嫌悪感というのがあります。墓地が近くに来たときに、やはり心理的な影響というのは一番大きいと思うんですけれども、それはこの中に入りますか。

○河津生活環境部長 そういう個人的な感情の上での判断は入りません。

○田中委員 それでは、次の、墓地等の構造設備と周辺環境との調和に対する意見というのがあるんですけれども、これは具体的にはどういう中身なんでしょうか。

○河津生活環境部長 具体的には、駐車場や緑地などの位置とか規模について、周辺環境との調和の観点から、近隣住民とその申請予定者双方の意見の調整が図られるということを目指しております。

○田中委員 その二つ、今中身についてお話しいただいたんですけれども、やはり心理的な影響というのは、やはり住宅密集地に、それまで良好な環境だったかどうかはその状況によるんですけれども、少なくともそこにいた住民にとっては、やはりその環境で生活してきたわけですね。そこに突然隣接する住宅密集地に墓地ができるということについては、心理的影響についてはやはり配慮されたいとはいいますけれども、大きなものがあるのは事実だというふうに思うんですね。そういう意味では、なかなか門戸が狭いといわざるを得ないというふうに思うんですね。
 例えば駐車場の問題だというふうにおっしゃいましたけれども、具体的に、駐車場の位置だとか規模だとか、そういうことについて立ち入って設計変更が必要になることもあると思うんです。渋滞の解消だとかいろんな問題があると思いますけれども、そういう具体的な問題について立ち入って設計変更させるような指導というのはできるんでしょうか。

○河津生活環境部長 先ほどの正当な理由がある場合の協議の中で、それぞれさまざまなご意見はあろうかと思います。その場合には、近隣住民と申請予定者双方の意見調整をしていただくわけですけれども、これがなかなか平行線という場合も中にはあるかと思います。その場合には、行政としても、双方の意見の調整が図れるように努めていくという考え方でございます。

○田中委員 今おっしゃいましたけれども、調整ということですよね。私、具体的に今、、例えば駐車場の渋滞解消や、その位置だとか台数だとか、そういうことについての立ち入った設計変更のできるような指導というのはできるかどうかと伺ったら、調整だということですよね。ということになりますと、事前協議ということは、ただテーブルに着かせて話し合いなさいよというだけのことなんですか。

○河津生活環境部長 ただいま申し上げましたように、墓地といいますのは、それぞれのコミュニティの中で必要な施設でございます。これは、人間が生まれてから死ぬまで、死んでからどこでもいいというわけではございませんので、その中で弔うという気持ちは大変大事なことだと思います。その中で、決して迷惑施設という考え方ではなくて、具体的にどうするかというときに、例えばここの駐車場の位置をこちらの方に変更しようとか、あるいは樹木の植え方をどうしようとか、そういうものについては双方で意見調整ができるだろうというふうに考えます。
 あくまでも行政側としては、そういう意味での双方の意見調整が図れるように努めていくという考え方でございます。

○田中委員 例えば駐車場のような個別具体的な問題については、それぞれで調整が図れる部分もあるだろうと、それは指導の中身になるのかもしれないんですけれども。実際に、じゃ指導するということの中身をどういうふうに担保するかということを考えますと、なかなか難しいのかなといわざるを得ないと思うんですね。
 例えば建築基準法の中の--紛争調整にかかわる条例がありますよね、都の条例の中に。例えばそういった形で、この条例の中にあっせん、調整することができるとか、そういった部分での--これだけだと、事前協議の指導といっても、指導することができるということで、指導の中身については何ら触れられていないということが、やはり多くの住民の方々からすれば、ただ説明会を開きました、事前協議をしろといいました、何回やったらもうおしまいですよと。もう大丈夫ですよというか、物別れに終わっても、それで最終的には結論が出ちゃうんじゃないか、許可されちゃうんじゃないか、こういう危惧が本当にいつまでも去らないわけなんですよ。
 そういうところでどうやはり担保できるのかというところが、非常に実効性を確保する上では重要だというふうに私は考えるんですけれども、再度それについてはいかがでしょうか。

○河津生活環境部長 いろいろ平行線の場合にどうするかというご心配ということだったと思いますけれども、行政側としては、法の目的に照らしながら、指導とはいいますけれども、かなりあっせん的なものをある程度志向しながら指導していくつもりでおります。
 それから、じゃどうするかということにつきましては、これは条例ではなくて、ブレークダウンしますけれども、その運用の中で詳細な実施方法についてはこれから考えていくつもりでございます。
 さらに、担保できるかどうかということにつきましては、理由なくその指導に従わない場合は、公表という制度も、今回事前周知制度の中の一貫として入れてございます。そういうこと全体を使いながらということになろうかと考えてございます。

○田中委員 今、公表のことが出されましたので、お聞きするんですけれども、当該指導に従わなかったことに正当な理由がない場合は公表することができるということなんですけれども、その公表というのは、どういう場合にするんでしょうか。

○河津生活環境部長 公表制度の今ご質問ですけれども、公表は、やり方ですけれども、標識の設置をしまして、説明会等の開催をいたします。その中で、住民から申し出があった場合には協議指導をするようにということですけれども、これを正当なく拒否した場合の措置ということで考えています。そういう意味では、行政指導の実効性及び公平性を確保するためのものという位置づけをしております。

○田中委員 今のお話ですと、説明会をしない、事前協議の指導に従わないということについて公表するということなんですね。ですから、いわゆる手続に従わない人が公表されるということなんですよね。だから、最初からもう何も都の話は聞きませんよという人が公表なんですね。事前協議で結局物別れに終わりましたよ、だから公表しますよということじゃないと思うんですよ。
 ということになると、申請、公表云々ということよりも、そもそも受理できないということが基本に、説明会を開催しなかったり、事前協議をしなかったら受理できないんだから、もともと受理しない人が公表するということですよね。そうすると、住民の求めているような、この業者は、住民との間のトラブルを回避できなかった業者だというような公表の仕方ということじゃないと思うんですよね。
 ということから考えると、公表そのものも、じゃ、公表が意味があるのかということを考えると、どのような実効性といいますか、公表することによって相手の申請者がある程度打撃を受けるのかという点では、ちょっとどうなのかなといわざるを得ないというふうに思うんですね。
 先ほどもお話をしたんですけれども、ちょっと繰り返しになって恐縮なんですけれども、事前協議が不調に終わった場合には、最終的にはどうなるんでしょうか。

○河津生活環境部長 できる限り事前協議ができるようにするわけでございますし、それぞれの段階において説明会を開かなかった場合とか、事前協議を行わなかった場合、それぞれが公表の対象になりますけれども、やはり協議ですから、平行線もないとはもちろんいえません。その場合には、行政はまず最大限努力をいたします。いたしますが、双方の歩み寄りがなされなかった場合、なされない中で許可申請が出された場合には、許可申請の受理とか許可の諾否について、事務の標準処理期間内において、行政として、法の目的に照らしながら適正な行政判断を行っていきます。

○田中委員 やっぱり法に基づいて許可するということになるということだと思うんですね。最終的には、物別れに終わったときは許可するということだと思うんですけれども、危惧するのは、やはり周りの住民が幾ら反対しても、最終的にはなかなか法の性格もあって歯どめがかからないということだと思うんです。そういう意味では、先ほどもありましたけれども、市町村のまちづくりの中でどう墓地というものを位置づけるのかという観点も重要になってくると思いますし、そういう意味での、例えば府中市ですとか、もう墓地は要りませんというところもあるわけですよね。そういったときに、じゃどう対応するのかという問題も出てくると思いますし、そういう意味でも、事前協議で調整するということですけれども、双方がテーブルに着いて話し合いなさいというだけのことだというふうに思うわけですよね。
 都は指導するんだというふうに、意気込みは認めるわけですけれども、一方で、悪質な業者が出てきたときにどうなるかということを考えますと、食いとめられないという思いがかなり残らざるを得ない、依然として残るといわざるを得ません。
 最後になりますけれども、江東区議会の方から要望書が来ております。これは四点ありまして、墓地という特殊性を踏まえた適切な申請、許可手続を確立するということ、都市住宅密集地に墓地を建設する際のふぐあい、問題点を明らかにし、都市部にふさわしい周辺環境に配慮した設置基準、住民の合意システムを確立するということ、三つ目としては、原則として墓地を経営できる事業主体は、地方公共団体であることを明確にすること、四つ目に、特殊性、地域での永続性の観点から、住民と対立した墓地の経営を許さないために、これまで歯どめになってきた申請に当たっての承諾書添付義務は、従来どおり原則として必要要件とすること、特に申請事業者に承諾を得るための努力義務を課すことという四点が要望の中でうたわれております。特に強調しているのが、本区のような、つまり、江東区のような事態を繰り返さぬよう、墓地行政の見直しを含む抜本的な検討を強く要望いたしますという要望書なんですね。
 ですから、いろいろ承諾書の規定をなくすという問題についても、根拠にしても疑問が残りますし、また解消されませんし、事前協議の実効性という点についても、なかなか疑問は残るということですので、少なくとも今定例会だけで決めてしまうべきではないということをぜひ各会派の皆さんにも主張いたしまして、質問を終わります。

○曽雌委員 私は、精神障害者の社会復帰対策の推進に関して幾つか質問したいと思っております。
 さきの本会議の代表質問におきまして、精神障害者の都営交通乗車証条例に関して私は取り上げさせていただきました。その中で、精神障害者の自立と社会参加の促進をしていくための乗車証制度の意義というものについての確認をさせていただくとともに、さらに施策拡充の一層の充実、必要性について訴えてきましたけれども、乗車証の提示によって、二年間都営交通を無料で乗車することができるという事実、そして、精神障害者の方たちがこの都営交通乗車証を大いに使っていただきまして、活動の輪を広げていただき、地域の方たちとの交わり、そして地域や居宅の中でしっかりとした地歩を築いていくことができるのであるならば、この都営交通の乗車証発行の意義というものはまことに大きいものだというふうに私自身は考えております。
 乗車証の発行の際に、いろいろと話題になっております、手数料千円の負担ということが必要になってくるわけでございますが、先ほども質問がありましたけれども、この手数料千円の負担ということをどう見るかということが、一つは課題なのかと思っています。確かに負担そのものは、現在の生計状況というものを考えていきますと、決して簡単ではない部分もあるということも、一面、自分自身も理解しております。
 でも、私自身は、今申し上げた乗車証の意義、また、二年間、この乗車証を有効に使うことができる、こういうことについては、一定の評価をしていきたいというふうに考えております。
 本会議で幾つか質問しましたけれども、この手数料の収入は、今後とも整備拡充が必要な社会復帰の促進や居宅生活支援の施策の充実というものに当てはめていくべきだ、そちらの方に向けるべきだということを、本会議では主張させていただきました。もちろん、これらの施策を充実させていくためには、手数料収入ということで入ってくる分だけではとても賄えないわけでございますので、この手数料収入プラス、さらなる予算措置を講じて、施策の充実をさせるということになってくるわけでございます。
 非常に苦しい生計状況の中で、精神障害者の方たちから、仮に千円であったとしてもご負担をいただくということは、大変にいろいろな意味があるわけでございますので、東京都としては、この部分はやはり重く受けとめていただいて、先ほど来申し上げておりますけれども、施策をさらに拡大、充実をしていくということを、しっかりと肝に銘じていただいて取り組んでいただきたい、このように思うわけであります。
 そこで、幾つか質問したいと思っておりますけれども、精神障害者保健福祉手帳の対象者、所持者、この手帳を持っている方が、今回、いわゆるこの精神障害者の都営交通乗車証の対象者になるわけでございますけれども、現在、この手帳を所持している方は何人ぐらいいらっしゃるのか、まず数をお聞きしておきたいというふうに思います。

○長岡医療福祉部長 平成十二年三月末現在でございますが、手帳所持者数は一万四千百七十人でございます。九月末の時点では、一万五千四百六十人と見込んでおります。

○曽雌委員 そうしますと、一万五千四百六十人の方たちの中で、精神障害者の都営交通乗車証を申請する方たちはどれぐらいいらっしゃるというふうに衛生局では見込んでおりますでしょうか。

○長岡医療福祉部長 この制度は新たに発足するものでございまして、予測数はなかなか難しゅうございますけれども、身体や知的障害者の手帳をお持ちの方のうち、乗車証を取得している人の割合が約三〇%でございますので、この割合から計算しますと、所持者が一万五千四百六十人でございますので、申請者は約四千五百人程度と予想しております。

○曽雌委員 部長がいわれましたように、確かに、現段階でどのぐらいの方たちが申請するかということを正確につかむことは難しいと思いますけれども、先ほどの答弁ですと、約三〇%ぐらいの方たちということで、四千五百人ぐらいの人ではないだろうかというふうに数字を上げておりましたけれども、大事なことは、この四千五百とかという数にこだわってはいけないわけであって、これ以上の方たちが申し込んでくだされば、一番いいことですよね。ただ、乗車証をいただいても、利用ができない方も中にはいらっしゃるかもしれませんけれども、利用したいという方たち、必要とする方たちすべてにこの制度を利用していただいて、乗車証をいただいてもらうということが大事なことだと思っています。
 ですから、大体三〇%見込んでいるからということで、決してそこに抑えてしまうなんていうことはないと思いますけれども、やはり必要な方はすべての方が申請できるようにしていくということの広報活動、周知をしていくということも大事だと思っております。
 そこで、この都営交通の乗車証事業の広報、また関係者への周知、こうしたものについては今後どのようにしていくのか、大事なことですので、ぜひこの点について明らかにしていただきたいと思います。

○長岡医療福祉部長 本定例会に提案をしております精神障害者都営交通乗車証条例は、できる限り早期に利用していただけるよう、公布の日から施行することとしております。
 そういった意味で、事業の実施までの期間は余りなく、精神障害者保健福祉手帳を所有している方への事業内容等の周知をきめ細やかに行っていくことが重要であろうと考えております。
 保健所や医療機関、区市町村を初め各社会復帰施設など、周知、広報を十分に行うとともに、これらの機関には、条例提案内容を説明いたしまして、相談等の対応をお願いする予定でございます。また、障害者の家族会などにも周知の協力をお願いして、万全を期してまいりたいと思っております。

○曽雌委員 大事なことは、申し入れがあったから、それについていろいろとアドバイスするということではなくて、手帳の交付申請をした方たちに、こういう制度ができ上がりました、ぜひ必要であれば活用してくださいということを、受け身ではなくて、積極的に関係者に伝えていくということが大事だと思いますので、今、部長がいってくださったように、それぞれの関係者のところには、期間がないことかもしれませんけれども、精力的に取り組んでいただいて、決して、知らなかったがためにもらえなかったなんていうことのないように、十分な配慮をお願いしておきたいと思っております。
 そこで、地域で生活をしております精神障害者の方たちは、社会復帰のための作業等を行う施設を利用したり、また、グループホームなど生活の場を利用することによって、社会復帰の道というものを一生懸命探しながら、努力して日々懸命に頑張っているわけでございます。その自立と社会参加に向けて努力している方たちを、やはり私たち行政、政治の力でも、いろんな面から応援をさせていただくということも必要だというふうに思っています。
 そう考えたときに、この社会復帰のための施設というものの果たしている役割というものも非常に大事ですし、これからも大きな役割を果たしていかなければならないと思っておりますので、そういう面で、本会議でも主張いたしましたけれども、社会復帰施設のサービスを利用しております精神障害者のニーズに沿った適切なものにならなければならないというふうに考えております。
 そこで伺っておきますけれども、都営交通乗車証事業の発行手数料につきましては、精神障害者の社会復帰や居宅生活の支援に振り向けていくべきだというふうに、本会議の代表質問では指摘をさせていただきましたけれども、それについて、ぜひ指摘の点を踏まえて努力するということでご答弁いただいておりますけれども、改めてこの委員会においても、もう少し詳しく、決意のほども含めてお聞きしておきたいというふうに思っております。

○長岡医療福祉部長 社会復帰施設など精神障害者の地域生活を支援するための施策は、自立と社会参加を実現していくために、大変重要な施策であるというふうに考えております。
 身近な地域の中でこれらの施設の利用ができること、また、利用者が抱えているニーズを利用者の立場に立って把握し、必要とするサービスを提供していくことなどが、こうした施策の課題であるというふうに考えております。
 このような認識の下で、ご指摘いただいた点を踏まえて、施策の拡充に努めていきたいと考えております。

○曽雌委員 東京都の財政状況は、ご案内のとおり、非常に厳しい状況にあるわけでございますけれども、そこは十分私どもも承知をした上で、そういうことはありますけれども、やはりこの障害者の方たちの自立と社会参加ということを実現していくために、衛生局がしっかりと頑張っていただかなければなりません。先ほど申し上げたように、発行手数料だけですべて賄えるわけじゃありませんから、新たにそれは予算措置を講じるなりしていかなければ、この事業というものを拡大できないわけですね。
 そういう面で、ぜひ局長を先頭にして、衛生局は本当に力を合わせていただいて、私たち議会も、十分その辺は理解して、応援といいますか、ともどもに頑張っていきたいと思っていますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。どういうふうに衛生局が頑張ってくださるのか、私たちは見守っていきたいと思っておりますし、そんなことはないでしょうけれども、もし生ぬるいことがあれば、きちっといわせていただかなきゃならないかなというふうに思っています。
 そこで、具体的なことについて伺っておきたいと思っていますけれども、現在、都内の中に、共同作業所というのは全部で何カ所あるでしょうか。

○長岡医療福祉部長 現在、都内には、二百六十二カ所の共同作業所が、精神障害者の方の福祉的就労の場として利用されているところでございます。

○曽雌委員 共同作業所の補助金の内訳、ここにはいろんな項目があるというふうに思いますけれども、それぞれの補助の単価の充実は図られているのかどうか、この点についてはどのように受けとめておりますか。

○長岡医療福祉部長 共同作業所の運営費につきましては、運営の基本となりますスタッフ等の人件費を内容といたします事業費に加えまして、健康管理費、行事費など補助金算定のための項目がございますけれども、平成十年度以降は、その補助基準単価は据え置きとなっております。

○曽雌委員 財政状況がこういうふうに厳しい中でありますから、なかなかふやせなかったということもあるんだと思いますけれども、今のご答弁ですと、十年度以降は補助金単価は据え置きだということです。やはりこの補助基準単価というものは、少しずつでもアップしながら、サービスの質の維持向上を図っていくということはしていかなきゃならない大事なことではないかというふうに私は思っています。
 運営する団体自体の規模が大変に小規模であるだけに、財政的にも決してゆとりのある状況ではなくて、厳しい中で懸命に頑張っているわけでありますから、そう考えますと、やはり十年度以降据え置きになっているということは、非常に深刻な問題だというふうに思っています。
 そこで伺いますけれども、この共同作業所の運営費補助の中に、健康管理費というものがあると思います。この健康管理費というのはどういう趣旨のものなのか、また、現在の補助基準単価は幾らになっているのか、これをお示しいただきたいと思っております。
 なぜそれをお聞きするかといいますと、実は、私どものところにも、共同作業所の運営をしている方からご要望をいただいておりまして、なかなか厳しい中でやっているために、実際に健診が受けられるように増額を図ってくれないものだろうか、都が厳しい状況の中にあることはよくわかるけれども、ぜひ現場の意見としては、この健診が受けられるように増額をしてほしい、こういう要望も私たちは再三いただいているわけでございます。
 こうしたことも含めて、健康管理費の趣旨並びに補助基準単価、それから、今私どもが受けている要望等について、衛生局の方は、どのようにお話を聞いて、どのように受けとめておられるのか、あわせてお伺いしておきたいと思います。

○長岡医療福祉部長 共同作業所運営費補助の中の健康管理費は、利用します精神障害者の方の健康管理を奨励、促進するための補助項目の一つとして補助しているものでございます。
 この補助基準単価は、利用者一人当たり千三十円でございます。また、共同作業所を運営している団体などからは、かねてから健康管理費の増額の要望が出されているところでございます。

○曽雌委員 先ほど来何回か申し上げましたけれども、今回の乗車証条例では、乗車証を利用する精神障害者の方に千円の手数料のご負担をいただくということになっているわけでございます。しかし、第四条の二項のところでは、この千円の徴収については免除できることもあるというようなことが書いてあるんですよね。
 第四条の二項に、「知事は、特別の理由があると認めるときは、前項の規定による発行手数料を免除することができる。」こうなっていますけれども、これはどういうことを想像しているというか、どういうことをもとにこういう項が入っているのか、この辺はおわかりになりますか。

○長岡医療福祉部長 ただいま想定しておりますのは、乗車証を破損したり、紛失したり、あるいは、そういったことで再発行が必要な部分につきましては、手数料をいただかないというふうに考えております。

○曽雌委員 ということは、基本的には、その手帳の交付をしてもらったときに、この乗車証が必要だという方は手続をします、その方は、すべてが千円の手数料を納めていただくということになるわけですよね。そうですね。
 それで、そういうふうにしてお預かりする、皆さんからいただく手数料ですけれども、そういう意味を持った非常に大事なことですので、このことを考慮していけば、先ほど来申し上げておりますように、まず社会復帰施設の補助内容の充実を図って、貴重なその部分の財源の一部に充てていった方がいいんじゃないかと私は考えております。
 厳しい財政状況の中ではありますけれども、今後、いろいろと関係の局との精査もしなきゃならないとか、いろいろと難しい問題もあろうことは重々承知しておりますけれども、今申し上げた趣旨を踏まえて、健康管理費など共同作業所の運営費の充実に努力していただいて、そして、社会復帰施設におけるサービスの質の向上を何としてでも実現させていかなきゃならないというふうに私は考えておりますけれども、こうした私どもの考えについて、衛生局はどのような考えを持っていただいておるでしょうか。

○長岡医療福祉部長 共同作業所におきまして、利用者の健康への配慮は、就労等の活動を継続することの前提でございますので、健康管理を奨励することは重要な課題であるというふうに認識をしております。
 今後、ご指摘の点を踏まえまして、施策の充実に努めてまいります。

○曽雌委員 最後に、要望だけしておきたいと思っておりますけれども、十四年度からは、区市町村を主体とした精神障害者の福祉施策が法律的にスタートすることになっております。
 東京都として、ぜひ精神障害者の自立と社会参加が地域の中で積極的に展開されるように、必要な支援方策の充実、さらには区市町村との連携も図りながら、ぜひ障害者の方たちが社会復帰できて、そしてまた、居宅生活の中でも伸び伸びと生活ができるような、そうした施策の支援を進めていただけるように心からお願い申し上げて、質問を終わりたいと思います。

○小林委員 それでは、墓地条例について質問してまいります。
 昨年の九月に、東京都の墓地行政検討委員会の報告書が出されて、そのちょっと後の十一月に、私のすぐ近くの東村山で、私の知り合いの人が、その周辺が環境がいいからと思って住んだら、ある日突然、隣の空き地が墓地になった。これは何とか反対しなきゃいけないということで、いろいろ駆けずり回ったけれども、もともと墓埋法が、都市計画といった、あるいはまちづくりといった視点が全く生かされていない欠陥的な法律であるということは、私も調べていてよくわかったんです。ですから、東京都が今回、条例改正するというのは、非常に心待ちにして、とてもいいものができるだろうと思って期待をしていたわけでありますが、以下、いろいろ、多少苦言も呈しながら、質問してまいりたいと思います。
 最初に、整理をする意味で、今回の条例改正をされる際に、今までの、あるいは現状の墓地行政の問題点、こういう点をまず最初にお伺いします。

○河津生活環境部長 最近の墓地開発の増加に伴いまして、墓地の永続性に問題のある事例が出現をしてまいりました。周辺住民とのあつれきが増すなど、墓地等の経営許可をめぐる状況が大変厳しくなってきている、こういう認識を持って条例改正を提案しているわけでございます。

○小林委員 先ほどもいいましたように、墓地の計画が持ち上がると、すぐ周辺の人たちは、もちろんまちづくりもありまするし、精神的な、いろいろな思いから反発をするといったようなことがあるわけでありますが、特に、今回の条例の中でも入っておりますが、全くこの地域と関係のないところ、他府県のとか、例えば今回の江東区なんかの場合は、三多摩のお寺、後でまたいいますけれども、全く地域と縁もゆかりもない、まさにだれが見ても名義貸しが明らか、こういったのが今まであったわけですね。
 近所のつき合いのあるお寺が、また造成して墓地をつくるということであれば、それはそれで認めていくわけですけれども、聞いたこともない、チラシを見ても、虫眼鏡で見なきゃわからないような小さなお寺の名前が書いてあるわけです。出ているのは、大体石屋さんか不動産屋なんですよね。これが実態なんです。これが明らかに名義貸しなわけですよね。
 あるいは、バブルが崩壊して土地がなかなか動かない。不良債権になった土地が、こういった墓地ビジネスというような人たちに、ぽっと買われちゃうんです。なかなか売れないから安く買えるわけですね。
 そして、墓地については、今非常に需要が高い。先ほど、四分の一、二五%以上あるということですから、高く売れるわけですね。こういったところに目をつけていって、今いろいろ問題が起きているわけですね。
 それで、私のところに来られた八王子の事例があるんですけれども、ここは江東区と全く逆で、江東区は、ビルの真ん中にどおんと墓地ができる。八王子の場合は、自然公園の中にできるんですね。そこはまだ農業をやっている人たちがおられて、そこを削ってくる。その農家の人も含めて--ここの場合は、八王子のお寺さんなんですね。八王子の中のお寺さんが八王子に墓地開発するわけですから、近隣ということになって、いわゆる私がいうことでいえば、問題がないわけです。しかし、八王子はでかいんですね。お寺からその墓地まで二十キロあるというんです。
 お寺さんに聞きにいったら、そこはお坊さんが不在のお寺なんですね。何日かに一回来るんでしょうが、そのときに行って聞いたら、その話は聞いているけれども、いや、うちお金ないし、具体的な経営方針とか経営内容とか全くわからないというんです。もう任せてあるみたいな話、これが実態なんですよね。これが実態なんです。
 それで、この報告書では、利用者の保護という観点から名義貸しを問題にしておりますけれども、むしろ名義貸しの防止は、先ほどいいましたように、周辺トラブルとの回避を防止するということで非常に大きな効果をあらわしていくというふうに思います。その辺の認識と、今回の条例で、名義貸しの防止のために具体的にどのような改正がなされたのか、わかりやすくお聞かせいただきたいと思います。

○河津生活環境部長 いわゆる名義貸しの問題等でございますけれども、まず、墓地等の経営を適正に行うための経営主体の適格性の確保ということを考えております。そういう意味では、今回の条例では、経営主体を、原則として地方公共団体、公益法人、都内等に事務所を有する宗教法人というふうに明記したわけでございます。
 なお、それだけではなくて、その宗教法人が実際に活動実態があるかどうか、これは、宗教法人の所管部署と連携をとりながらそういうことを調べますし、さらに、墓地経営を行うために、そういう経営能力を有しているかどうか、これは、資金計画であるとか、あるいは自己資金をどれぐらい持っているとか、そういったことの精査になると思います。
 さらに、法人の中で、きちんとした適正な手続、意思決定がなされているかどうか、これは、議事録であるとか、あるいは法人としての規則を改正すれば、これは所轄官庁が認証するわけですから、そういうものをしっかりと把握しながら、適格性について審査をしていきたいというように考えております。

○小林委員 それ自体は、前から見れば随分と前進だと思いますよ。それは評価をいたしますが、しかし、今おっしゃられたように、都内等に事務所を有すると。東京都内、でかいですよね。端から端って物すごいんですよね。そんなのが本当に墓地経営できるんですかね。何百キロと離れて、さっき聞いたような実態があるわけです。そんな実態の中で、なおかつ八王子の場合はたった二十キロですから、まだ指導したりすればできるんですけれども、例えば二十三区の人が、八王子の山奥の墓地経営なんか、実際できるんですかね。非常に疑問に思います。そういった意味では、この都内等に事務所を有する、これは私は非常に問題があると。近隣地、最低そのくらいですね。そのように私は思います。
 それで、今回、具体的に陳情や請願なんか出ておりまして、その人たちも私のところに訪ねてこられました。多分、各会派回られたといっていましたから、皆さんのところにも行かれたと思いますけれども、例えば江東区なんかの場合、足立区の宗教法人が、江東区で墓地開発をやっているわけですね。国分寺、先ほど田中さんもいわれましたが、ここは渋谷区の宗教法人が国分寺の開発をしているんですね。あるいは八王子の場合、さっきもいいましたが、それでも二十キロ。まあ八王子そのものは、二十三区ですからね、物すごい広いわけですね。それが今の実態なんですね。
 そこで、京都府を初め府県の中には、宗教法人を、当該市町村あるいは近隣市町村と、先ほども私いいましたけれども、厳しく規定している自治体もあるんです。私は、こういった名義貸しを防止するという観点から、都内の宗教法人というのではなくて、こういった当該市町村あるいは近隣市町村といったようなところに規定をすべきではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○河津生活環境部長 都が今回、条例改正で提案しております当該規定ですけれども、墓地の適切な管理や運営の観点から定めたものでございまして、行き過ぎた規制とならない範囲内というふうに、都としては考えております。都市化が東京は進んでおりますし、それから区市町村のエリアが、どうしても東京は狭いわけでございます。そういう東京都においては、この提案が妥当であると考えております。

○小林委員 行き過ぎた規制というのは、確かに、私も田舎から出てきてこっちに住まいを構えましたが、墓がないんですけれども、いずれ買わなきゃいけませんが、墓地そのものを否定しているわけじゃないけれども、まちづくりの中で一定の規制はしていかなければ--それが行き過ぎた規制になるのかどうかというのは、その辺はまた、これから大いに議論をしなきゃいけないところだと思います。
 それで、同じ都内ということであっても、また繰り返しになりますが、多摩の宗教法人が、離れた江戸川区で墓地をつくるような場合、果たして墓地の適正な管理、距離的なものというのは重要ですから、本当にできるのかどうかということについての心配というのは、どうお考えになっておられるでしょうか。

○河津生活環境部長 今、東西に長い東京都の中でというお話だと思いますが、当該規定は、都内を一体として考えております。また、行き過ぎた規制とならない範囲内で定めたものでございまして、ご指摘の事例でありましても、活動実態があって、健全な経営能力を持つ宗教法人であって、さらに今回は、管理事務所を墓地内に設置するということを考えておりますので、そういう中では、管理事務所の設置とか交通の利便性などによって、墓地の適切な運営や管理は可能とするように考えております。つくったけれども、ほうっておいていいと、こういう考え方はとっておりません。

○小林委員 ちょっとややしつこい質問になりますが、隣接の市町村にしようとかということは、条例改正する際には、いろいろ部内とか局の中というのは議論はなかったんですか。近隣市町村にするか、都内にするか、もう少し緩くていいんだ、もっと厳しくしていいんじゃないかとかというのは、議論としてはなかったんですか。

○河津生活環境部長 行政の内部では、一つのものを提案いたしますときには、さまざまな議論をいたします。他県の状況等も調べておりますが、東京としては、都内を一体というのが、今まで全く全国のどこでもよかったというものから狭めるわけでございますので、都内一体が行き過ぎた規制とならない範囲だということを、内部では話し合ったわけでございます。

○小林委員 せめて多摩地域は多摩地域とか、区部は区部とか、もう少し、私は実態を見るという意味でも、あるいは実態的に責任を持てる経営ができるということでいえば、都内全域というのはちょっと広過ぎるんじゃないかなというふうに思います。
 次に、承諾書の件ですけれども、もういろんな方が承諾書については質問しておりましたが、承諾書の添付については、私は、削除するんじゃなくて、むしろこれは残した上で、今回新たな事前説明とかということをすべきだろうと。むしろ事前説明はそのまま残していったらいいというふうに思います。
 そこで、幾つかいろんな人たちの話を聞くと、今までの承諾書も、実態としては、何かアルバイトみたいな人が回って、だめだったら--要するに、回って、アリバイをつくるわけですよね。新人のサラリーマンみたいなもので、五十件回りましたと書く。とにかくそうやって、実態としては、みんな承諾書をもらえなかったんだと。行って、いわばアリバイのためにやっていたというのがあるわけですね。
 そこで、そのことがあんまり効力がなかった。実態として効力がなかったというのを、私も実際に聞いております。業者のいわばアリバイでやってきたと。ただ、そのことは、開発業者にとってみれば、かなり手続的に、物理的にも結構しんどいし、精神的にも、やはり周辺の人たちの同意をとらないといけないわけですから、結構しんどいわけですね。そういう意味では、今までそれはそれなりに抑止になっていたわけですよね。実態としては効果はなかったかもしれないけれども、抑止としては効果があった。
 そこで、平成六年十月から行政手続法が施行されて、行政機関は、申請があった場合は、さっきもいいましたが、速やかにこれを審査し、そして、基準に照らして問題がなければ、一定の期間以内に許可をしなければならないということになっています。これは私も承知しております。
 こういう状態の中で、例えば、いろんな厳しい条例とか規則とかどんどんつくって、承諾書の添付をしなさいと義務づけた場合、墓地の申請の際の不許可の--条例や規則をつくったけれども、全くそれを履行しないといったときに、不許可にすることはできるんでしょうか。

○河津生活環境部長 国の考え方と、それから判例があるわけでございまして、判例の中では、同意書の不添付による手続違反を主張することは、個々人の個別的な利益を保護することを目的とすることになるので、そういう意味では、同意書の添付をもって墓地許可の取り消しを周辺住民が主張できないということを結果的に明確にした判決が出たわけでございます。
 そういうわけで、実効性が失われておりますので、当該規定を削除いたしましたので、承諾書の添付規定は、許可要件として条例とか規則には規定し得ないというふうに考えております。

○小林委員 先ほどもいいましたように、最終的な最高裁で、私もそのようになるだろうとは思いますけれども、抑止になったり、やはり地元の意向を無視した形で--うんと長い月日を、墓地の経営の中で、周辺と仲よくつき合いをしなきゃいけないわけですから、そういった意味で、法的な問題よりも、そういった地元の意思とか地元の行政の意思決意みたいなものを、まちづくりの表明をその中でしていくという、一つの手続的なものとして--事前周知制度を導入したからといって、最高裁で効力がないからといってやめるのではなくて、私は、それはそれで残して、それは最終的な最高裁でだめかもしれないけれども、地元や住民の意思を伝えるという一つの手だてとして、事前の説明もありますけれども、それは必要だというふうに思います。
 それで、今までどおり条例に盛り込むことは無理としても、事前周知制度に加えて、これまでどおり規則に残すことはできないのかどうか、いかがでございましょうか。

○河津生活環境部長 今、先生の方から、最高裁の判決は判決としてというお話でございましたけれども、一つには、承諾書の制度を残した場合、承諾書がとれなくても、その理由書でかえられるという実態も残るわけでございます。
 それから、承諾書と事前周知制度と併存させた場合には、承諾書によって一定の足かせといいましょうか、事前周知制度に対する一つの拘束力が生まれてきて、事前周知制度が生きなくなるのではないか、こういうおそれがあるかと思います。
 もう一つ、制度的なことから申し上げますと、どちらもトラブルの未然防止という目的を持ったものでございますので、目的を持った二つの制度という、二重行政になりますから、これは制度論的にはなかなか成立は難しいものではないかというように考えております。

○小林委員 もちろん、私も事前にいろいろお話を伺って、聞いておりますから、制度的にはそうだろうと思いますけれども、ただ、もともと制度で抵抗できないから、こういうものを使って住民は抵抗するわけですから。制度論ということになれば、私はそのとおりだと。ただ、制度で行けば、全部法律をクリアして出してくるわけですから、じゃあ、何で抵抗するかといったら、こういったものでしかないわけですよ、実態としてはね。だから、私は残すべきだということをいっているわけです。
 そこで、そういうことであるならば、承諾書が実効がないから、事前周知制度導入にしたということでありますから、何回か聞いておりますけれども、この事前周知制度の概略をわかりやすく説明していただきたいと思います。
 それで、特にこれまで業者が、墓地をつくる以前に、周辺住民に説明会を開催してきましたよね。これらと何が違うのか、どう違うのか、説明していただきたいと思います。

○河津生活環境部長 いわゆる事前周知制度でございますが、申請予定者と周辺住民との間のあつれきの未然防止の解決策として、墓地等の経営許可申請に先立ちまして、標識の設置、説明会の開催、その中で事前協議の申し入れがあれば、事前協議をするようにいたします。さらに、その中で指導に従わない場合、各段階において従わないという場合もあろうかと思いますが、それは、その都度、公表の対象になります。
 これまでとの違いでございますが、これまでは、明文化した根拠を持たない中での行政指導でございました。そういう範疇で適宜指導ということだったわけですけれども、今回の条例改正では、条例の中に明確に位置づけております。その中で説明会の開催等を義務づけるということをしたわけでございますので、私どもとしては大きな前進であると考えております。

○小林委員 もちろん私も前進だと思っております。それは変わりありません。
 しかし、幾ら事前に説明会をしても、周辺住民との合意を得ることが不可能ではないかというように思うんですね、最終的には平行線で行くわけですね。住民の中には、東京都中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例の中にあるように、あっせん、調停、これも田中さんとたしかぶつかる、ダブるかと思いますが、この制度を新たに設けるべきだという意見というのは非常に多いんですね。これはもちろん衛生局じゃない、都市計画とかに所管が移って、これが厚生省じゃなくて、建設省か何かに行けば、当然この対象になってくる。そういう位置づけにない、もともと土葬を前提にしした、衛生的に処理するというのがもともとスタートになっているものですから、時代と全く合わない、もう最初から、スタートからずれているところに、どんどんずれていくという、ここが問題なんですね。そういう意見もあるんですね。
 この点については、墓地行政検討委員会で多分検討しているかと思いますが、その結論を、確認の意味でもう一度伺います。

○河津生活環境部長 東京都墓地行政検討委員会では、墓地建設は、建築物の場合と異なっておりますので、日照とか電波障害といった客観的に影響を評価し得る項目ではなく、主として心理的側面からのあつれきという、客観的に影響を評価することが困難な内容を対象としていることから、この制度を採用することにつきましては--この制度といいますのは、あっせん、調停等ですね、慎重に検討すべき、こういうように報告をいただいております。

○小林委員 そういうことしかいえないと思います。都市計画の範疇まで入って答えたりすると、いろいろ問題があるのでしようがないと思いますけれども、周辺住民の合意を得ることは不可能、それから、心理的要素が入り込んでくるということ、そのことを理由に制度を採用しないというものについては、私はいささか問題があるだろうというふうに思います。
 東京都の条例では、土葬の場合、住宅、学校、病院、事務所などの敷地から墓までの距離をおおむね百メートル以上というふうに規定しておりますが、これは、衛生上の、衛生局の条例の運用についてという通知によれば、環境上の問題のみならず、心理的影響をも考慮して規定したものだというふうに説明をしております。また、中高層階の建築物のあっせん、調停制度ができる以前というのは、周辺住民との合意を得ることが非常に難しかったであろうということを考えると、住民との合意が得られるよう、行政はあらゆる努力をすべきだろうというふうに考えますが、いかがでございましょうか。

○河津生活環境部長 いわゆる事前周知制度では、申請予定者による説明会の開催、住民からの申し出による事前協議の指導、指導に従わなかった場合の公表等を規定しておりまして、行政としては、近隣住民等と申請予定者双方の意見の調整が図れるように努めてまいるつもりでございます。

○小林委員 ぜひ、最後は、頼みになるところは行政ですから、そこはぜひ解決に向けて努力していただきたいと思っています。
 それから、周辺住民とのトラブルの中に、私は冒頭に申し上げましたけれども、まちづくりの視点が欠けていること、もともと土葬から来ているわけですから、全くまちづくりとか建築物とか、そういった概念が全くないわけですね。土葬ですから、露出したりしたら大変ですから、あるいは腐ったりするわけですから、それを衛生的に処理する、そこが前提だから、もともとがおかしいんですよね。そういう意味で、もともとおかしいままずっと今日まで来ているというふうに、私も、前にもそのように申し上げました。
 それで、今回の条例改正されたとしても、墓地の申請があった土地が、例えば、市町村のまちづくりマスタープランの中で、道路予定地とか文教地区などに計画されていたとしても、こうしたことは一切考慮されないのか。例えば、こういったまちづくりがちゃんとあるよといったときに、だって、もともとこの墓埋法には、こういうまちづくりの視点は全くないわけですから。そういったときにどうされますか。

○河津生活環境部長 市町村のまちづくりマスタープラン等につきましては、考慮すべき行政指導の内容として位置づけていきたいと考えております。
 また、都市計画決定された道路予定地などの場合、墓地等の永続性が懸念されるもの、そこにかかって墓地をつくるなどという場合、そういうことにつきましては、墓地等の経営許可処分を行うに当たりまして考慮すべき事項と考えまして、条例の運用の中で適切に対応してまいります。

○小林委員 それはぜひお願いします。
 それから、建設省の墓地計画標準についてという、随分古いんですけれども、昭和三十四年の通達では、墓地は、都市の総合的な土地利用計画に基づき、その位置を選定するとして、墓地の配置は、市街地に近接せず、将来市街地の見込みがない位置というふうに、ちょっと古いですけれども、そういうことを規定しているんですね。要するに、市街地になる見込みがあるとか、市街地につくっちゃいけないということになっているんですね。
 これは、十ヘクタール以上という大規模な墓地について規定したものでありますが、少なくとも、国が墓地の位置とまちづくりの関係を定めたものではないのかということについて見解を伺います。

○河津生活環境部長 今、先生からおっしゃられましたように、建設省が昭和三十四年に出しました通達でございますが、現在も生きております。
 墓地計画標準は、大規模な墓地を都市計画または都市計画事業として決定する場合における墓地の計画方針や墓地の配置及び規模等についての処理標準として定められたものであるということで認識をしております。

○小林委員 大規模なものであろうと小さなものであろうとも、まちづくりの視点というのは、変わりなく非常に重要な役割を果たすわけです。
 府県の中には、墓地の許可申請書の審査に当たって、市町村の都市計画や土地利用計画、防災計画、これらに与える影響などを照合するように、ちゃんと明記している自治体もあるわけです。
 そういった意味で、東京都の条例あるいは規則においても、先ほど、運用の中でできるだけというようなこともありましたけれども、まちづくりの視点から、市町村との協議をするということをちゃんと明記すべきではないかと思いますが、いかがでございましょうか。

○河津生活環境部長 ご指摘のありましたまちづくりの視点は、私どもといたしましても大変重要と考えております。重要なご指摘と認識をしております。
 都市計画や土地利用計画の内容は、墓地、埋葬等に関する法律の目的外ということで、かたくなりますけれども、目的外の内容でありますために、条例には規定し得ないものでございます。そういうものでございますけれども、墓地等の経営許可処分を行うに当たっては、考慮すべき行政指導の内容として、条例の運用規定の中で適切に対応していきたいと考えております。

○小林委員 運用規定の中で適切に対応したいということでありますので、ぜひとも十分な対応をしていただきたいと思います。
 また、条例は、その基本理念をあらわしたものでありますので、墓地とまちづくりのあり方についても、所管外になるのかもしれませんけれども、ここはいや応なしに避けて通れないところでありますから、条例の中で明記することはもちろん必要でありますが、国に対しても、墓埋法の改正--これは、改正しないと、国の方がおかしいわけですから、おかしいままずっと地方自治体はいろんな矛盾を引きずってやって、皆さんはその最先端で、その矛盾の中で仕事をしているわけですから、この改正を早く国に働きかけるということと、今後、まちづくりと連携した墓地行政が展開できるよう、東京都の積極的な取り組みを要望し、質問を終わります。

○曽根委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後三時五十一分休憩

   午後四時五分開議

○曽根委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○藤田委員 まず初めに、精神障害者の都営交通乗車証条例についてお尋ねしたいと思います。
 少し予定していたもの以外のところからお話を伺っていきたいと思いますけれども、まず、精神障害者保健福祉手帳の交付者数の年次推移といいますか、どんなふうになっていますでしょうか。

○長岡医療福祉部長 精神障害者保健福祉手帳は平成七年に創設をされたものでございまして、初年度の平成七年度末では三千四百十六名でございましたけれども、毎年二千名から三千名程度増加しておりまして、先ほど申し上げましたが、平成十二年三月末では一万四千百七十人となっておりまして、九月末には一万五千四百六十人を見込んでいるところでございます。

○藤田委員 生活実態という厚い調査書が出ておりますけれども、精神障害者の所得の状況というのはどんなふうになっていますでしょうか。

○長岡医療福祉部長 ただいま先生ご指摘いただきました平成十年度に実施しました東京都社会福祉基礎調査によりますと、精神障害者の年間収入は、五十万円未満が三二・六%、五十万円以上百万円未満が三二・一%、合わせまして百万円未満が六四・七%となっております。

○藤田委員 ところで、精神の方々のいわゆる法律といいますか、これが平成七年に精神保健福祉法というふうに変わったわけですけれども、ここで、大変恐縮ですけれども、障害者というのはどういう方を指していらっしゃるんでしょうか。

○長岡医療福祉部長 障害者は、一つは精神障害者ということで、精神障害者保健福祉法に規定するもの、それから、知的障害者、身体障害者の三つの障害者を指していると思います。

○藤田委員 どういう状態であるから障害者というふうにいわれるのでしょうか。

○長岡医療福祉部長 障害が固定していることによって、いろいろな日常生活を行っていく上で障害がある方、そういうふうに定義をされていると思っております。

○藤田委員 ということは、日常生活に不都合がおありで、そして、その方々が福祉サービスを必要としているというふうにとらえられると思うんですけれども、今回、この資料の中にも出されていますけれども、いわゆる精神と身体と知的障害者について、区別と申しますか、どういうふうに、どこが違うのかということをお尋ねしたいと思います。

○長岡医療福祉部長 障害者の対象につきましては、各法律で障害者の定義をしておりますので、それによって違いがあるということでございます。

○藤田委員 何か禅問答をやっているようですけれども、と申しますのは、今回新たに精神障害者に対しての交通乗車証を発行する、これはまさに、社会に皆さんと一緒になって出られるような、そういう趣旨でございますので、これは私も賛成をいたします。
 しかし、ここで千円が高い低いというようなことではありませんで、障害者ということであれば、精神障害者が心身障害者、知的障害者と同じであるにもかかわらず、精神障害者にだけ手数料を徴収する理由は何なのでしょうか。

○長岡医療福祉部長 基本的には、他の二障害の主管局でございませんので、直接お答えする立場にございませんけれども、本年度の副知事依命通達等でも、手数料につきまして、受益者負担の適正化の方向が示されたところでございます。
 当条例の制定に当たりましても、無料乗車証によりますサービスの利用と負担の適正化を図る方針から、発行手数料を納めていただくことを基本としているものでございます。他の事業につきましても、同様の方針に基づいて適切に対応されるものと理解をしております。

○藤田委員 先ほど、精神障害者の所得状況はどのようになっているのかということで、合わせて百万円未満が六四・七%というお話でありました。シルバーパスのいわゆる乗車手数料千円ということでありましたけれども、それは一年間ですけれども、そのときには可処分所得百七十四万円というのが平均であるというようなお話があったかと思いますが、ここで果たして適正化といわれるけれども、障害者の方々に対して手数料を徴収する、それが、この間のいわゆるシルバーパスと同様にというようなところが少し理解できないというところがあるんですけれども、所得というようなことに関していえば、この精神障害者の状況はどのように考えられたのでしょうか。

○長岡医療福祉部長 先ほどもお答えいたしましたが、三障害の中で、精神障害者の方々が、所得の面からは一番低いというふうに理解をしております。

○藤田委員 そういうことであれば、ここからまず始めるというようなことについては、ちょっと私は理解がいかないなというふうに思っているわけです。もちろん、まず入ったということについては評価をいたすものですけれども、例えば公共料金のJR、私鉄等の運賃割引というところについても、あるいはてんかんの方々については、治療を行っているにもかかわらず発作が起きる可能性があるというようなことから、通院通学に介助者が必要な場合もあるわけです。そういうときにも、やはり運賃の割引は、身体障害者、知的障害者に対してはあるのですけれども、ここにはまだないというふうになっているわけですが、このことについてはどのように今なっていますでしょうか。

○長岡医療福祉部長 他の二障害におきますJRや私鉄等の本人及び介護者に対します運賃割引は、国の通知に基づきまして交通事業者が割り引いているものでございます。精神障害者につきましては、同様の国の通知がないために、運賃の割引が行われておりません。精神障害者につきましても、他の障害と同様の取り扱いとするよう、引き続き国に対して提案をしてまいります。

○藤田委員 都営交通ということでありましたならば、東京都の経営努力の中で、例えばいわゆる付添者についての、介護者が必要な場合があるわけですけれども、それの運賃の割引ということは考えられなかったのでしょうか。

○長岡医療福祉部長 国の通知によらない独自の交通局の努力でということはございますけれども、衛生局につきましては、その部分について予算措置はしていないところでございます。

○藤田委員 衛生局でなさらないのはよくわかりますけれども、衛生局が交通局に働きかけたという事実はないのでしょうか。

○長岡医療福祉部長 交通局が適正な運賃を決めるという立場でございまして、それは国の許可が必要ということでございます。そういった意味で、国の通知がない中で交通局が独自の割引をすることはなかなか難しいというふうに理解をしております。

○藤田委員 わかりました。
 それで、一応法律が、知的障害などについての愛の手帳などは昭和四十八年九月に創設をされているということで、実際には、精神障害の場合には平成七年ということになっておりまして、いろいろな点でサービスがまだまだ行き届いていないというのが現状だと思うわけです。
 そういうことからすれば、どうして同じ障害者であるのにもかかわらず、ここだけおくれているにもかかわらず、まだまだおくれているという状況をなかなか理解していただくには難しいかなというふうにも思うのですけれども、今の状況を見ますと、国へ要望をしていくことがまず第一というふうに思いますので、ここの点についてはさらに国へ要望していただきたいと思いますし、この障害者が、ここで先鞭をつけてといいますか、これから適正な受益者負担というのを私たち都民がどこまで--例えば障害をお持ちの方にはそこまでといいますか、応援の意味をもってしてもいいじゃないかということも十分私は可能ではないかと思っていますので、そういう意味で、今後とも、いわばおくれてきた精神保健福祉法の中での精神障害者に対しての、先ほどお話もありましたけれども、グループホームや作業所についての施策、さらに、働くというようなことについての施策を充実していただくことを求めていきたいというふうに思っています。
 引き続きまして、墓地について何点かお話を伺いたいと思います。
 先ほどから、何回もいろいろな方からお話がありましたので、重複を避けながら、江東や国分寺では、住宅地における墓地建設ということで周辺住民とのあつれきがある、それから八王子では、自然環境の破壊が主な反対理由になっているというふうにいわれております。報道の中でも、足立区は不許可処分したというふうに聞いているわけですけれども、その理由は何だったのかをちょっと教えてください。

○河津生活環境部長 足立区の保健所からの情報提供によりますと、平成十年十一月に、都内の宗教法人により、根抵当権が設定されている工場跡地の借地において墓地経営を行う申請がなされました。
 足立区では、根抵当権の設定、それから期間が限定されている土地使用承諾など、墓地の永続性が担保できるだけの確定的な権利を取得していないこと及び不確定な資金計画であるとの理由で、平成十一年一月に不許可処分を行ったということでございます。

○藤田委員 その報道の中では、足立区の課長さんは、公共の福祉に反しているために不許可にしたということで、詳しいことはそこでは発表されていなかったのですけれども、墓埋法による公衆衛生と公共の福祉というものはどういうようなことをいっているのでしょうか。

○河津生活環境部長 墓埋法の関係でございますが、まず墓地の経営許可というのは知事の自由裁量行為でございますけれども、これは当然、法の目的に照らしてということになります。その法の目的は、第一条にございますが、国民の宗教的感情のほかには、公衆衛生と公共の福祉という見地から、支障なく行われるということになっております。
 じゃ、具体的にどうかということでございますが、公衆衛生にかかわるものとしては、土葬の場合などでは、地下水の浸透による飲料水への影響等、衛生的な問題が懸念される場合の住宅や学校等からの距離制限を指していると思います。
 公共の福祉につきましては、どう判断するかというのはいろいろ難しいところがございますが、昭和二十九年当時ですけれども、ある県から国に対して、結核患者の療養所に近接した墓地を不許可処分にしてよろしいかどうか、こういう疑義解釈がございます。これに対して厚生省の回答では、患者に悪影響を及ぼすおそれがあることが予想される場合については許可をしないこともやむを得ない、こういう見解が出ておりますので、こういうようなことが公共の福祉を判断するときの一つの例になるのではないかと考えております。

○藤田委員 もっと具体的にいろいろあるとわかるんですけれども、いわゆる公共の福祉というのは、そういうことでいえば、知事の裁量といいますか、そういうように考えてもいいんでしょうか。

○河津生活環境部長 知事の裁量行為と申しましたけれども、ただいま申し上げましたように、法の目的に照らして判断をするということでございますので、どんな判断でもいいということではございません。

○藤田委員 もちろん、墓地が必要なことも十分わかっているわけでありますので、そういう意味では、判断の内容はある程度といいますか、限られてくるのは十分わかっているわけですが、今おっしゃった、土葬では百メートル以上離れているということになっているわけですけれども、焼骨、いわゆる火葬の場合でも、なかなか二十三区を考えてみたときに、自分の周りを見ても難しいかなとも思うんですけれども、焼骨であっても同様のことを適用できないでしょうか。

○河津生活環境部長 条例では、専ら焼骨のみを埋蔵する墓地であっても、知事が、公衆衛生その他、公共の福祉の見地から支障があると--これは先ほどの例のようなことになるかと思いますが、そういう場合については、距離制限の規定を適用できることにはなっております。

○藤田委員 そうしますと、今回の条例の一部改正は、ある意味では手続に正当性を与えるものであって、これまでと同様に、墓地がどこにでもできてしまうのではないかという心配が非常にあるわけなんですけれども、これについては、今までもお話がありましたけれども、いかがでしょうか。

○河津生活環境部長 今回の条例改正は、経営主体の適格性の確保や墓地等の永続性の確保のための方策、それから都市にふさわしい新たな構造設備基準などを規定しております。そういう意味で、地域の環境と調和のとれた墓地等の適正な経営を目指すというものでございます。
 また、実効性を失っている承諾書添付規定を削除し、事前周知制度を導入いたしました。そこで、標識の設置、説明会の開催、事前協議の指導、指導に従わない場合の公表などによりまして、近隣住民等と申請予定者とのあつれきの未然防止や解消に大きな効果があると考えておりますので、全く自由に何でもということではなくて、それぞれしっかりと規定を設けたり、あるいは判断をしたりしながら進めていく、こういうことでございます。

○藤田委員 その中で、過度の規制は墓地の供給を抑制してしまうのではというふうにいわれているわけでございますけれども、そうすると、結局、ある日突然、自分のうちの前に住宅街でできてしまうと、なかなか、今のような事前周知制度を導入して、いろいろな状況があっても--墓地ができるということをもちろん全部否定するわけではないんですけれども、あつれきが多少あっても、やっぱりできるものはできるというふうになってしまうと思うんです。
 例えば、過度の規制は墓地の供給を抑制してしまうというふうにいわれているんですけれども、どこまでが過度で、どういうところが適正というふうに思っていらっしゃるんでしょうか。

○河津生活環境部長 都といたしましては、宗教法人の事務所所在地の範囲や墓地等の計画地の権利関係、専ら焼骨のみを埋蔵する墓地に対する距離制限、新たな構造設備基準などについて、行き過ぎた規制とならない中で墓地等の適正な経営を目指すべく検討してまいりました。
 今回の条例改正は、この点も踏まえ、都市にふさわしい墓地経営を図るための諸規定を盛り込んでいるものでございますので、適正な墓地供給を抑制するものではないと考えております。

○藤田委員 適正な墓地供給を抑制するものではないというふうになると、やっぱり手続に正当性を与えてしまうというようにある意味では考えられてしまうところ、そこが今皆さん方が大変心配をしているところだと思うんですけれども、例えば墓地というものは大体何基つくったらいいとか、そういうようなことは東京都の中で計画があるんですか。

○河津生活環境部長 法的には、基本的には区市町村が需給関係は計画をする、こういうことになっておりますが、現状ではなかなか、先ほど申し上げました需要はあるわけでございますけれども、全体としての計画というのは特につくっておりません。

○藤田委員 ごめんなさい、今ちょっとあれしましたが、東京都の霊園管理計画の中には、実際には公営霊園で二十一万六千基を供給することが必要であるというような判断があって、東京都の中では新規に--多磨や八王子はまだやっていますので、そういうことをすると大体二十万基が必要だと。なおかつ、じゃ、二十万基どうやってやるのといったときに、新霊園計画として多摩丘陵と臨海部の埋め立てというのがこの検討委員会の中では出ているわけですので、実際には二十万基もこれから東京都の霊園として必要であるというふうになっていると思います。ということは、非常にまだまだ需要が高いのだというふうに思うわけです。
 実際には、お骨を持ちながらお墓のない人は、今どんなふうな状況になっているんでしょうか。

○河津生活環境部長 お骨を持ちながらお墓のない人ということでございますが、墓地、埋葬等に関する法律の第二条に、墳墓がなく焼骨を保管してほしい場合、また、墳墓ができるまで一時的に焼骨を保管してほしい場合などに対しては、委託を受けて焼骨を収蔵するための施設として納骨堂を規定しております。この納骨堂は、都内に多数あろうかと存じます。
 また、墓地、埋葬等に関する法律の運用の中では、自己所有下の焼骨を自宅等に安置しておく場合には納骨堂に該当しないとし、焼骨の自宅等への保管を認めております。

○藤田委員 実際には、多分、今お話を伺った納骨堂も、たくさん詰まっているというような状況ですし、私のところに、八王子霊園でということで抽せんに行ったけれども、やっぱりだめだったというような方が何人もいらっしゃることを見ると、大変供給が追いつかないといいますか、そういう状況になっているんだと思います。
 それで、原則、自己所有地ということが今回書かれていますけれども、実際には、原則ではないときというのはどういうことでしょうか。

○河津生活環境部長 自己所有地でありましても、地上権とか、複数の抵当権や根抵当権が設定されている場合などがございますが、そういうことで永続性が確保できない権利設定となっている場合など、これが該当すると考えております。

○藤田委員 先ほどの足立の例も、もしかするとそういう例だったのかと思います。
 それで、構造設備基準の中に、緑地の割合、駐車場が設備されなければいけないというふうになっているんですけれども、規模はどのくらいというようなことが、例えばマンションなどでは既に決まっていますし、駐車場もつくるときは決まっていますけれども、今回どのくらいの割合にするのかというようなことは、おおよその見当といいますか、決められているのでしょうか。

○河津生活環境部長 緑地の割合、駐車場の規模等の基準につきましては、今後、条例の施行規則及び運用規定の改正の中で具体的に規定をしてまいります。

○藤田委員 例えば今、都営の霊園ですと、青山にしてもそうだと思いますし、それから多磨墓地でも、あとは小平でも、あるいは宗祖堂、ほとんどすべて大体緑に覆われていまして、いわゆる他の住宅地からは隔離されているような、しかし、緑が豊かであるというような状況になっているかと思いますけれども、例えば多磨墓地なんかですと、どのくらい緑の割合がありますでしょうか。

○河津生活環境部長 都立の多磨霊園の緑地面積につきまして所管の部局に問い合わせましたところ、大正時代にできまして大変広いわけでございますが、墓地の面積が百二十八万ヘクタールだそうでございます。その中の緑地の面積は十四万ヘクタールということで、緑地面積の割合は一〇・九%というふうに聞いております。

○藤田委員 実際に本当に緑豊かな、そして道路も広いですし、また、春には桜の名所にもなっているような状況にありますので、これからの墓地が約一一%の緑地がとれるかどうかということになれば、非常にこれは難しいことになろうかと思いますけれども、それぞれの申請に対して、それぞれこれをどんなふうにしていくのかというようなことは、地域の話し合いの中で決めていくことができるんでしょうか。

○河津生活環境部長 一定の基準は決めていきますけれども、その中でそれ以上どれだけふやすかということは、当然その話し合いの中で可能でございます。

○藤田委員 先ほどからお話がありましたように、やはり墓埋法、これは衛生上のことから考えておりますので衛生局、そして東京都の中では、霊園管理などに対しては建設局というふうになっていて、なかなかそこが、まちづくりというような観点で今までの状況が行われてこなかったということが一つ大きなトラブルの原因にもなっているかと思いますけれども、今までお話を伺ってきた中で、やはり皆さん方は、それでもやっぱり私のうちの前に突然墓地があらわれるということはあり得るんだなというふうに多分お感じになったんだと思いますし、それから、じゃ、それをどういうふうにして内容を詰めていって、墓地はもちろん必要なわけですから、そこを折り合いをつけていくことができるかということが、これから、トラブルをなくすために一歩前進ではあるけれども、そこになかなか行き着かないのかなというのが感想なんです。
 一つは、例えばもうずっと前からそれは決められてしまっているようなんですが、東京都の霊園に関しては、既に昭和三十五年に青山や谷中などは、新たに無縁墓地になってしまうと、そこはもう緑にしていくということが決められていて、実際には公園化のために再貸し付けが停止されてしまっているわけですね。
 それでもさらに需要はたくさんあるというようなことを考えたときに、果たしてここをどんどん公園化していくといっても、お墓はずっと残っていくわけですから、すべてが公園になるわけではありませんので、こういう衛生局の観点からのお墓の問題と、公園、建設局の霊園というところのやはり両方で一緒に考え合うといいますか、そこで調整をしながらというのがこれからどうしても必要になってこようかと思います。
 その辺の両局での話し合いですとか、今後、国へ対しての墓埋法の改正というようなことも必要になってこようかと思いますけれども、その辺についてお伺いいたしまして、終わりにしたいと思います。

○河津生活環境部長 墓地行政をめぐる両局の話し合いでございますけれども、各種会議の場で同席することももちろんございますし、日常的にも意見交換を行いながら、情報の共有化を図っているところでございます。
 今回の条例改正におきましても、それぞれの役割に応じて情報提供や連携を深めるなど、都における墓地行政の円滑な推進に努めているところでございます。

○吉田委員 私は、東京都精神障害者都営交通乗車証条例について質問させていただきます。
 精神障害者への都営交通乗車証の発行は、精神障害者の社会参加を促し、地域の中で自立した生活を進めていく意味でも重要な施策として、当事者の方々が長年にわたって運動してまいりましたし、我が党はもちろん、議会でも繰り返し要求されてきました。時間がかかりましたけれども、実現に至ったことは喜ばしいことだと思います。
 しかし、もともと無料乗車証として要望され、運動がされてきたにもかかわらず、千円の手数料徴収がこの条例に盛り込まれたということは、単に金額の問題にとどまらない問題を含むものだといわざるを得ません。
 以下、これまでも質疑が行われてまいりましたので、できるだけ簡潔に質問をしていきたいと思います。
 まず、率直な質問といいますか、確認をしたいことがあります。それは、これまでも私たちが要求し、局の皆さん方も答弁してきたことは、無料乗車券あるいは無料乗車証ということをいってまいりました。しかしながら、本条例では、無料という文言は、この乗車証に規定する文言としては見受けることができないわけです。
 それで、改めて確認しますけれども、この都営交通乗車証というものは無料乗車証である、従来から局が主張してきたものであるということは、まず明言できるんでしょうか。

○長岡医療福祉部長 精神障害者に対します都営交通乗車証事業は、都の発行する乗車証を提示することによりまして、無料で都営交通が利用できるものでございます。ただし、相応の手数料をいただくこととしたところでございます。

○吉田委員 無料で乗れる乗車証であるということは今ご説明がありました。しかし、やはり条文上に無料の規定がないということは、さまざまな不安を呼びかねないことにつながると思うんですが、本条例は、運賃の負担は想定していないということは、確認できるでしょうか。

○長岡医療福祉部長 先ほどもお答えいたしましたけれども、この乗車証は、無料で都営交通が利用できるものでございます。

○吉田委員 私がこういういい方をするのは、実は、身体及び知的障害の方々に対する都営交通の無料乗車証は、条例ではなくて、交通局の発行規程によって定められております。この発行規程の文言の中には、はっきりと無料乗車券発行規程という文言があります。また、具体的にこの発行規程の中には、乗車証の形式についても定められておりますが、もちろんその中に無料乗車券、無料という文言があります。
 しかしながら、見本をいただくことができませんでしたけれども、コピーさせていただきましたが、現在、この精神障害の都営交通乗車証、準備をしている見本というものの中には、無料という言葉がないわけですよね。これは無料で乗れる乗車証であるということを、もちろん胸を張っていわれていると思いますし、その点については疑いませんが、それならなぜこの文言、条例規定の中に無料という言葉を入れることができなかったんでしょうか。

○長岡医療福祉部長 無料で都営交通が利用できるものではございますけれども、手数料を一部いただくということでございますので、都民の皆さん方に誤解を与えるおそれもありますので、無料という文言は使わなかったということでございます。

○吉田委員 ですから、率直にいいまして、手数料を取らなければ、胸を張って無料ということでやれるわけですよ。やはり、手数料を取ることによって無料といえないわけですよね。
 しかし、この間の当事者の方々の要望にしても、実は先日の本会議にも、障害者団体の方々、東京都精神保健福祉民間団体協議会及び障害者と家族の生活と権利を守る都民連絡会の方々から陳情が出されております。本来ならば、この委員会であわせて審議ができればよかったわけですが、こういう当事者の方々のもともとの要望も、手数料の徴収というものは当然想定しないものであり、それを実現してほしいと。今回の条例についても、手数料は取らないでほしいということが要望なわけです。
 また、都議会の、私どもだけではなくて、改めて私も今年度の予算案の復活要望に対する各党の要望書を見させていただきましたけれども、これまでも、議会挙げて無料乗車券、無料乗車証ということを要求してきた経過があると思うんです。
 しかも、それだけではなくて、ここで質問させていただきますけれども、昨年の十一月時点だと思いますが、衛生局として出された今年度予算に対する予算要望書、あるいは東京都全体の予算書の中に、手数料の徴収というものは入っていたんでしょうか。

○長岡医療福祉部長 手数料という文言は入っておりません。

○吉田委員 文言だけではなくて、予算そのものの中に手数料を徴収するということは、今年度予算の中にはないわけですよ。いわば取らないでやるというのが本来の局の要求でもありましたし、予算そのものの内容、どの科目を見たところで、この問題で手数料を取るということはないわけですよね。そういうこの間の経過からすれば、私は、やはり手数料を取らないで、完全無料で進めるべきだということをいいたいわけです。
 そこで、この点は重なりますけれども、改めてなぜ手数料を徴収することにしたのか、それ以前とどういうふうに判断が変わったのかということをご説明をお願いいたします。

○長岡医療福祉部長 乗車証の発行に当たりましては、サービスの利用と負担のバランスの適正化を図るという基本的な考え方から、二年間有効な乗車証の発行事務に要する費用を、手数料として千円納めていただくことにしたところでございます。

○吉田委員 受益に対する相当の負担はすべきであると、そこにバランスを入れるべきであるというお答えです。しかし、受益者負担という考え方は、突如、昨年末あるいはことしになって出てきた考えではないと私は思うんです。
 そもそも障害者施策の中に、このような益を受けた者は当然それに対する負担をすべきであるという応益負担の原則というものはなじまないものとして、こういう考え方は障害者の施策の場合には適用してこなかったというのが考え方だと思うんですね。だから、もともと受益者負担という考え方があったとしても、それはこうした分野には適用しないんだというのがあったと思いますし、私は、そのことは今日でも非常に重要な問題だと思うんです。単なる一般的な都民サービスというものと、こうした障害者の方々に対する行政の責務として行うものを、単純に受益者負担という理屈を導入することは、単に千円ならいいじゃないかというだけじゃない、新たな今後につながる意味があるということを私は主張したいんです。
 しかも、そのことは、他の政令都市の、きょう出していただいている資料を見ても明らかなんですね。一〇ページに、政令都市における同様の精神障害者に対する公営交通無料パスの実施状況が書かれております。千葉市を除く全政令都市で同様の制度が実施されている。しかも、いつから行われたかを見ていただければわかるとおり、東京都よりかなり早くから実は先進的に取り組まれている。そして、右端にあるとおり、手数料の発行については、なし、なし、なしがすべて並んでいるんです。これが僕は、極めて常識的な障害者施策の当然の到達点だと思うんですね。
 それで、こうした手数料の徴収というものは、他の都市でも見直しをされようとしているんですか、あるいはした例があるんですか。

○長岡医療福祉部長 現在、調査した限りでは、見直しの検討はしていないという回答を得ているところでございます。

○吉田委員 だから、現時点だけではなくて、見直しは準備もされていないというのが現実の到達点だと思うんです。
 次に質問いたしますけれども、今回は条例に基づく手数料です、一部負担とかという問題ではなくて。福祉施策、障害者施策で、手数料を条例に基づいて徴収している例は、今、東京都の中であるんですか。

○長岡医療福祉部長 同様の事例は、シルバーパスの発行に見られております。

○吉田委員 シルバーパスは、条例で手数料というふうに設けているものでもありませんし、発行の主体はことしから東京バス協会にかわられたわけですよ。私がお伺いしているのは、条例に基づく東京都の手数料として、福祉施策あるいは福祉サービス、あるいは障害者サービスにかかわる施策であるんですかと聞いているんです。

○長岡医療福祉部長 調査した限りでは,ございませんでした。

○吉田委員 ですから、手数料徴収ということ自身が、手数料の本来の事柄の性格からして、そもそもなじむのかなじまないのかという問題があると僕は思うんですよね。そういうことは検討されたのでしょうか。

○長岡医療福祉部長 検討した結果、事務手数料についてはご負担いただくという結論になったところでございます。

○吉田委員 手数料というものを地方自治法上どういうふうに規定するのかということについても、私も若干関連する文献を読んで見ましたけれども、このような福祉施策を受けることに伴うその発行手数料というものは、少なくとも私が読んだ逐条解説の中では見当たらない。すなわち、行政が本来の仕事として行うものについては、手数料を取ることはそぐわないという文言まであるわけですよね。ですから、皆さん方が手数料をこういう分野で取るということについて、それが適切か否か、妥当か否かという検討をされたのかどうかということをあえて質問させていただいたわけです。
 これは意見が分かれるかもしれませんが、私は、やはりこれはかなり疑問が残る問題であるということを改めて述べさせていただきます。
 次に、具体的な問題について一、二お伺いいたします。
 それは、この条例が行われた場合の乗車証の発行場所の問題です。例えば、二十三区の場合は、具体的にどこで発行されるのか。すべての区に発行する場所が設けられるのか、だれでもが自分の区で発行を受けることができるのかどうか、この今の準備状況についてご説明をお願いします。

○長岡医療福祉部長 現在、乗車証の発行窓口として予定をしておりますのは、財団法人東京都交通局協力会でございまして、これは、交通局の乗車券等発行業務を、みずから窓口を設置の上、事業を展開するなど、都営交通事業に精通した唯一の団体であることから、円滑な発行事務の処理が期待できるところでございます。また、利用者にとりましても、都営交通の駅近くの乗車券発行窓口を活用することが、利便性により資するものであると考えております。
 発行窓口は全区にはございませんが、利用者につきましては、みずからの所在地ではなくて、どの発行窓口でも利用できる状況でございます。

○吉田委員 参考までにお聞きしますけれども、自分の区でパスを受け取ることができない区というのは幾つぐらいあるんですか。

○長岡医療福祉部長 二十三区のうち、九区でございます。

○吉田委員 二十三区のうち九区は、自分の区では乗車証を受け取ることができないと。九区といいますと、三割以上ということになるわけですよね。それは、一部の区ではないというだけじゃなくて、三割を超える区で自分の区で乗車証を受け取ることができないというのは、私は、利便性その他のことを考えれば、やはり不都合が生じるんじゃないかと。ですから、どういうふうにしていくかということはぜひ検討していただきたいんですけれども、少なくともそれぞれの区単位では受けられるように、今後大いに改善と工夫をしていただきたいということが一点です。
 もう一点は、これは既にお話が出ていることですから、要望として終わらせていただきますけれども、やはりまだ他の身体、知的障害者の方々との格差というものは埋まっていない。ましてや、この乗車証の発行が、他方は手数料も何にもかからず、新たにおくれて実施されるこの精神障害者の乗車証は手数料が取られると。その上、JRあるいは私鉄等については、身体そして知的については半額で利用できるけれども、現時点では精神障害者の方々は全額払わなければならないという格差があるわけです。
 これは国の指導ということが非常に大きな意味合いを持っていると思うんですが、改めて、ぜひ東京都として強力にこの問題について改善を、努力をしていただきたいと、これは先ほどからいろいろな答弁がありますから、要望ということで終わりますけれども、そのことを重ねてお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

○原委員 私は、墓地条例の一部改正に関する問題でお伺いしたいと思います。
 先ほどからずっと論議をしてまいりまして、今回の条例改正というのは遅きに失したなということを実感いたします。特にこの墓埋法そのものが、昭和二十三年に設立され、そして、運用面に当たっても、先ほども何度もお話が出ましたけれども、結局は公衆衛生の面からつくられた法律だと、こういう一つの問題点からすれば、もっともっと早く条例の整備というものが必要ではなかったのかなということを思います。この点についても先ほどから何度も出てまいりました。
 それで、私が一番実感するところですけれども、先ほどから、東京都の墓地そのものを欲しいという要求というのが非常に高いという実態、また、東京都の墓地そのものも、需要と供給のバランスを見れば、やはり供給側は圧倒的に少ない、こういう実例があります。そしてまた、条例の改正を見ても、周辺環境との調和とか、または近隣住民との調和をどう図っていくか、こういうことを考えたときに、これは永遠に平行線にならざるを得ない、こういう実態があると思います。特に近隣の人たちから見れば、本当に有益施設なのか迷惑施設なのかという判断をすれば、過半数以上がやはり迷惑施設である、こういう思いを強くするのではないかというふうに私はまず思います。
 そこでお伺いしたいと思うんです。これは例えばの話ですけれども、この墓地、またはその公共性というものを考えたときに、近隣の反対が五百、そして、墓地が例えば五千人の人が欲しいという、こういう公共性というものを考えたときに、行政として公益性を考えたときに、どちらの方を優先--優先するというか、難しいかと思いますけれども、どういう点に判断の基準を置くのか、この点についてお伺いしたいと思います。

○河津生活環境部長 行政としてということでございますが、これは、先ほどから申し上げておりますけれども、法の目的とか、本来、今回の条例の規定等を守っていただくということで進めていくことでございますので、周辺住民の個別の利害で反対ということはできないわけでございますが、それぞれ判断をする、区の場合は区長になりますけれども、実際には保健所長に委任されているかと思いますが、個別にそういう判断をしていくということだと思います。で、折り合いがつかなかった場合には、事前周知制度の中で、行政が最大限歩み寄るように努力をしていくということを考えております。

○原委員 済みません。もう少し判断の枠を広げてお聞きしようと思いますけれども、設置者、これは民間というふうにしたいと思います。そして、それを指導する行政、そして近隣住民、さらには欲しいという需要者、こういう一つの問題というか、当事者がいるかと思います。その中で、本当に行政でどこまでを指導していくのか。例えば、民間業者に対しての設置基準の問題、新たな構造方式をしなさい、設置基準をしなさい、または土地の永続性をきちっと確保しなさい、これは、きちっとした形として、その設置の中で行われていく一つのルールである、その判断の中で、例えば近隣の方と、またこの墓地を利用したいという利用者と、こういう一つのバランスというものが、墓地を取り巻く状況の中には必ず存在していく。
 そこで、最終的に行政が判断できる基準というのは、先ほどからお話がありましたように、新しい構造、また設置基準、また環境との調和、こういう諸条件をクリアすることができるという墓地であれば、これは当然許可をするのか、それとも、近隣という一つの大事な、周りがいるからここにももっと配慮をしなさいという指導を優先していくのか、この点の判断はどういうふうに考えていますか。

○河津生活環境部長 行政としては、許可条件に適合していれば許可をするというのが基本でございますけれども、事前周知制度を取り入れていきますので、正当な理由がある近隣の住民が申し立てをしたときには協議ということになりますので、協議は、できる限り双方の合意ということを目指すわけでございます。ですから、行政がこうしなさいというあっせんまでには至りませんけれども、両方から報告を聞きながら、双方の利害がと申しましょうか、どこで一致できるかということにつきましては、双方の意見がマッチするようにできる限り努力をするという仕組みでこれから行きたいと考えてございます。

○原委員 そうしますと、設置者に対する影響性をどこまで行政が及ぼすことができるかという、ここの一つの判断が大変重要になってくるというふうに僕は思います。そういう意味で、設置者であるそういう、民間団体であったとしても、そこに対して行政がどこまで指導できるか、また、設置者そのものが近隣に対してどこまで歩み寄ることができるか、ここがこれからの運用面での難しさであるなと。ですから、今回の条例改正の中にあって、そういう意味では、本当のターゲットというのは、決して近隣住民ではなくて、設置者そのものに対しての規制の強化というものを図っていくことが肝要ではないかというふうに思います。
 また、こういう墓地問題に関して、私は、昔--昔というよりも、今でもそうでありますけれども、田舎に住んでおりますと、寺町なんというのがあります。ほとんどお寺が軒並み続いております。しかし、そこでは、突然あらわれたものではない、もう町と墓地というのがほとんど一体化しておる。また、墓地においては、お寺さんが多いわけでありますけれども、余っている敷地を幼稚園の敷地として活用している、墓地と子どもたちが共有しておる、こういうところもたくさんあります。もちろん都内にも、お寺の敷地内で幼稚園を開いている、こういうところもあるのではないかというふうに思います。
 そうすると、結局、長いスパンで見たときに、そこの墓地の運営管理というものが、どう町の中に同化していくことができるのか。本当の意味で緑をふやし、または、メモリアルパークではありませんけれども、諸外国における墓地のあり方というものも、決して陰気くさいという、石をただ置いてあるという場所ではなくて、もっともっと明るさのある公園的な要素を踏まえたものに、設置基準というものをきちっと指導していく、こういう部分の指導なり、改正の要点というものが必要ではないかと思います。
 そこで、運用とか、または規則、こういう一つの必要な改正の中身でありますけれども、これは先ほどもだれかの質問の中であったかと思いますけれども、一番重要だというふうに考えて--改正の主眼というのはどの辺にあるのかを改めて確認させていただきたいと思います。

○河津生活環境部長 重要な点という、どこがポイントかということのお尋ねでございますけれども、地域の環境と調和のとれた墓地等の適正な運営を確保するために、次のような点ということで、三点ほど考えております。
 一点目ですけれども、経営主体の適格性確保のための資金計画や、宗教法人法上の適切な手続の確認等のより具体的な方策ということがこれから重要だと思います。二つ目ですが、事前周知制度の詳細な実施方法をいろいろと決めていかなければならないと思います。三番目ですが、市町村を初め関係機関との連携体制でございます。こういったものが肝要と考えております。

○原委員 ということは、詳細についてはこれから確認をしていく、こういう段階ですね。これからまだ詰めなきゃいけないと。
 今いわれた点は非常に大事な視点ではないかというふうに思います。特に事前周知制度の詳細な具体策は非常に大事な点でありますし、また、市町村との連携をどうとるか、これも、区市町村によってばらばらだということがあっては、あそこの区では建てやすいとか、あそこの市では建てやすいとか、ここは建てにくいとか、結局こういうふぞろいなルールが生まれてくると思いますので、この点に関しても明確な方向性、具体策を出せるような形でやっていただきたい。
 それと、やはり最終的には、地元区市町村、そして地元の住民の連携、または地元の人たちの要望というものをどこの点まで反映させることができるのか。私は、先ほど五百人と五千人、一対十ということを例にとりましたけれども、それは極端な例でありまして、例えば、それが一対二、一対三、こういう問題であったとしても、やはり地元でいるというのは、一番多くの被害というか影響を受けるということは事実であるわけでありまして、それが二キロ、三キロ、四キロ離れたところがたとえたくさんいたとしても、その人たちは影響を受けるというのはほとんどないと考えてもいい。そうすると、十倍、二十倍の影響を受ける近隣の人たちの意見というものを反映できるように、関係区市町村、そしてまた設置者、そして行政との影響というものをきちっと精査していかないと、より不公平感というものが生じるのではないかと思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。

○河津生活環境部長 今回の条例改正を契機として、墓地等の経営許可に当たって、事前周知制度の適切な運用等によりまして、住民の意見をできる限り反映するようにいたしますとともに、地元市町村との連携体制の充実ということを、今の先生のお話をしっかりと受けとめまして、図っていきたいと存じます。

○原委員 今指摘した点については、やはり地元住民の意見というものを可能な限り取り入れていけるような、こういう事前周知制度の詳細な具体策については詰めていただきたいと思います。
 それと、もう一つ別な観点から考えますと、やはり利用者という立場から今度はひとつ見なければいけないというふうに思います。本年度の国に提案した要望内容でありますけれども、墓地等使用者の保護の観点から法令の規定を整備されたいというこの一点と、文化庁及び都道府県間の連携体制を検討されたいという、この二つ出ております。
 特に墓地問題では、今までの基準であれば、契約はしたけれども、最終的に墓地が完成しなかったとか、利用できなかったとか、こういったトラブルもあったというふうに聞きますけれども、やはり法の整備というものをきちっとしていかないところに、今回のこういった利用者に対しての保護をすることができない、こういう観点も存在するのではないかと思います。
 この点、都として、国に対してどこまで要求し、この見通しというか、今後のこの取り組みについてお伺いしたいと思います。

○河津生活環境部長 ただいま大変重要なご指摘を受けたと考えております。墓地を取り巻く社会状況の中で、利用者保護の充実の必要性についても十分考えなければいけないことだと存じております。
 現行法の規定の中では、使用契約や契約解除に当たっての適正化、標準契約約款の作成義務など、利用者保護や情報公開の観点がないために、対応が難しいところでございます。そういう意味で、墓地の経営の透明性とか、そういう意味では使用契約の適正化ということが課題でございますので、都では、国に対しまして、法令の規定整備について強く要望しているところでございます。

○原委員 最後でございますけれども、以上、今さまざまな形で議論させていただきましたが、これからの墓地のあり方、またはそれを利用する利用者の立場、双方の整備を、やはり確立させていかないと、結局はさまざまな形で不都合が生じてくる。また、人だけの墓地ではなくて、今は、動物等の本当に簡易な墓地まで存在している。また、墓地のイメージというものもどんどんどんどん変わって、結局は、石碑を建てなければ墓地じゃないというイメージから、一つは統一された形の墓地、さらには壁墓地等々も多様化しているのが現実ではないかというふうに思います。
 その意味で、これからの維持管理または墓地に対する法の適正な整備を、都の条例とあわせて、国の方にも強く働きかけをしていただきたいことを要望して、質問を終わりたいと思います。

○土屋委員 精神障害者都営交通乗車証について、幾つか質問をさせていただきます。
 先ほどから多くの先生方から質問が出されておりますので、私は、本当にごく簡単に二問だけにしようと思ったんですが、先ほど吉田理事から、この乗車証の負担について、相当な負担というようなお話がありました。それに関して、(発言する者あり)さっきいっていた。それで、これはちょっと重要な問題なんですけれども、シルバーパスの問題のときも同じような議論だったんですけれども、これは、確かに発行手数料が千円なんですけれども、じゃ、精神障害者都営交通乗車証の発行の場合、どのような予算が使われているのか、総額と、一人頭幾らかというのを教えてください。

○長岡医療福祉部長 精神障害者の都営交通乗車証の場合につきまして、予算額としまして、これは半年分でございますけれども、七千百万円を予算額としております。ですから、二年間ですと、これの四倍になろうかと思います。
 現在どのくらいの方が利用されるかということでございますけれども、手帳発行見込み数を三〇%というふうにしますと、四千五百人ということでございますので、二年間で、一人当たり一万六千円程度の予算が使われるということでございます。

○土屋委員 集約すると、ともかく一人頭一万六千円の費用というか税金をかけて、手数料が千円ということで、千円を二年間で割ると、一日一円五十銭ぐらいになるわけですね。ですから、それが適正かどうかということになると、答えはおのずからわかり切っていることだと私は思います。
 では、質問に移らせていただきますけれども、都営交通の乗車証の手数料収入というのは、これは当然のことでありますけれども、精神障害者の施策の充実に充てるべきだということは当然だと思います。精神障害者都営交通乗車証は、いわゆる活動のための一つの手段だと思うんですね。つまり、これでいわゆる活動の手段を確保されたわけでありますから、行政はここでストップということではなくて、引き続き、その活動のための場とか生活のための場を地域の中心に十分確保していくことが必要だと思うんです。こうした考えを基本に置いて、精神障害者の社会復帰促進、特に自立支援だと思っているんですけれども、自立支援のための施策の拡充を図らなければ、せっかくここで、都営交通に関してだけですけれども、乗車証を発行したという意義が半減してしまうと思うんですね。
 そこでお伺いしたいんですが、東京都は、精神障害者の社会復帰施設のあり方について検討を行っていると聞いておりますけれども、検討の目的及び検討の状況について説明をいただきたいと思います。

○長岡医療福祉部長 精神障害者の社会復帰の着実な促進を図るために、ことしの八月に、民間団体の代表者も含めました検討会を設置いたしまして、東京都におきます精神障害者の社会復帰施設の今後のあり方について検討を行っておるところでございまして、近々中間のまとめを行う予定でございます。

○土屋委員 精神障害者の自立と社会参加にとって不可欠である社会復帰施設については、検討会を設置して検討中だということなんですけれども、ぜひともその点について、特に自立支援の点について積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 今後、どのように整備していこうとしているのかを確認して、私の質問を終わります。ちょっと答弁をお願いします。

○長岡医療福祉部長 精神障害者が、入院医療中心から地域ケアへという精神障害者施策の流れの中で、社会復帰施設は、社会的入院の受け皿としまして、また地域での活動の場としまして、質的にも量的にも充実をしていく必要があると認識をしております。
 今後においては、身近な自治体である区市町村との連携と役割分担を図りながら、きめ細かなサービス提供をするなど、地域における精神障害者のニーズに的確に対応してまいります。

○松本委員 簡単に何点か。土屋委員の質問とダブるかもしれませんけれども、東京都精神障害者都営交通乗車証条例、これがなかった時代といいましょうか、普通の人が例えば通勤パス等々を使った場合、二年間で大体幾らぐらいのものなんでしょうか。

○長岡医療福祉部長 今手元に資料がございませんが、公営のバスにつきましては、パスの一カ月の費用が九千円でございまして、これに、通勤ですので、若干の割引がされていると思っております。

○松本委員 一カ月ですよね。これ、二十四倍してもらえるとわかるのですが……。それで、障害があるということで、それが何割か、今も安くなっているんじゃないんですか。全く安くなっていないんですか。

○長岡医療福祉部長 身体障害者と知的障害者につきましては、東京の場合は別の要綱で無料でございますが、一般的にいいまして、交通事業者は五割の割引をしているところでございます。ただ、精神障害者についてはその制度はございません。

○松本委員 九千円の二十四倍ですから二十一万六千円かかるところが、今度は、一気に一万六千円で済む、こういうふうに理解していいですか。

○長岡医療福祉部長 精神障害者につきましては、手数料千円だけということになります。

○松本委員 都営交通に衛生局の方の予算の中から入ってくる収入は、一パス当たり一万六千円ということですよね。

○長岡医療福祉部長 数字が混乱して大変申しわけございませんが、先ほど答弁いたしました一万六千円といいますのは、半年分の予算七千百万円を、これが二年間でございますので、この四倍の予算を使うわけでございまして、これについて、パスを精神障害者手帳を発行している方の三〇%が使われるとしたならば、その人数で割った場合について、一人頭どのくらいになるかということでございますが、それが一万六千円ということでございます。

○松本委員 同じだと思うんですが……。三〇%使うと予想されている人が、五〇%になる場合もあるし、二〇%になる場合もあるんだろうと思うんです。いずれにしても、七千百万円は、衛生局の予算から交通局の方に払うということで理解していいのでしょうか。それとも、二〇%だった場合はもっと安くなるよとか、五〇%の場合はもっとふえるよというような、そういう契約になるのでしょうか。そこのところをきちっと説明してください。

○長岡医療福祉部長 交通局との契約につきましては、身体あるいは知的障害者の方の手帳を持っている方がどの程度利用されるかということで実態調査をされております。その実態調査に基づきまして、精神障害者の手帳を持っている方がどの程度利用されるかという計算をしまして、利用率に、それぞれかかる費用といいますのはパスの値段でございますが、それを掛け合わせたトータルが、半年で七千百万円になるということでございます。

○松本委員 部長、もうちょっとわかりやすくいってほしいんですけれども、要は、何%使うとか利用率がどうだとかという話じゃなくて、とにかく半年間で七千百万円の予算が交通局に払われるということなんですよ。七千百万円。そうすると、その七千百万円を何人で使うかということによって、一人当たり単価が決まってくるということなんです。それを三〇%ということで見込んでいるから、一つのパス当たり一万六千円と、こういう計算が出てくる、こういうことでしょう。
 で、一万六千円、手数料の千円で成り立つわけじゃないでしょう。一万六千円の税金がきちっと投入をされている。ここのところを納税者に理解していただかなくちゃ。僕たちのお金でやるわけじゃないんだから。納税者のお金でやるわけなんだから。障害を持たない人、今一生懸命働いて安給料で頑張っている人、そういう人たちが納めた税金の中から、今回の条例によって一人当たり一万六千円の税金が使われる、払っている人の税金が使われる。このことをきちっと理解してもらわないと、東京都政にコスト意識がないといわれるんですよ。コスト意識がないと。
 だから、ちゃんとパスには、手数料千円と書くのではなくて、これには都民税一万六千円がかかっておりますということを大書すべきだと思うんだけれども、衛生局長、書きますといってください。

○今村衛生局長 都民の税金が使われていることを肝に銘じまして、その点検討いたしたいと思います。

○松本委員 私は、むだな公共事業であるかどうかわからないけれども、都民が、ちょっと道路がへこんだら、すぐ直しに来い、おれは税金を払っているんだぞ、だからすぐに直しに来いと、こういうような話がある。おれは税金を払っているけれども、税金の世話になったことがない、こういうような話をよくされる方がある。しかし、小学生一人に対して幾らかかっているんだ、植木を一本剪定すると幾らかかっているんだ、この福祉サービスには幾らかかっているんだというコストを納税者にきちっと説明をするところからでなければ、やっぱり理解を得られるような行政改革は前に進まないと思っているんですよ。
 ですから、一人頭一万六千円かかっているんですよということをサービスを受ける側がきちっとわかって、それが、一万六千円というサービスを受けている額が不足であるのかどうか、あるいは、一万六千円のサービスを受けるのに千円払うのが嫌かどうか、きちっと判断をしていただける材料は明確にオープンにすべきだと思うんですよ。ぜひこのことを実現をしていただきますように心からお願いしておきます。
 一カ月九千円のパス--一カ月ですよ。それが、二十四カ月にわたって同じ効力を発するものが千円で手に入る。千円で手に入るんだけれども、それには納税者の税金が一万六千円使われている、自分はそういうサービスを受けているんだという認識がなければやっぱりいけない。そのことをぜひわかるように、パスの中に大書していただきますことを重ねてお願いします。
 それから、一つだけ要望しておきますが、墓地のことについてなんですけれども、今の議論をずっと聞いていて感じるんですけれども、やっぱり私たちは、母親の、父親のお参りするんですよ、墓地にね。ちゃんとお参りして手を合わせて、そして、墓参りをして心清らかになって、よし、自分も元気に生き抜くぞと、こういう勇気を与えられる。やっぱり墓地というのは、私たちにとってこれ以上ない神聖な場所、神聖な場所なんですよ。それを迷惑施設かのような形で語っちゃいけない。墓地を持たない人たちというのは、これは大変なことですよ。ずっと民族の歴史の中で、墓地を持たない、そういう民族がいたか。我が民族の中ではないですよ。墓参りもしないなんという人は、普通の日本人の中にはいないですよ。いないですよ。僕はそう思っている。
 だから、需要と供給というようなことじゃなくて、とにかく、必要な墓地は最優先ですよ。最優先。つくらなくちゃいけない。墓地というのは、その墓地を経営する人に永代供養する力があるかどうか、それだけの話ですよ。何でもかんでもつくっちゃいけないみたいな、そういう墓地をつくるのに圧力をかけるような空気になっちゃいかぬ。だから、悪い業者はばちっと取り締まって、許可なんか一切やらぬよと、町のど真ん中につくろうなんて非常識なやつはとっちめた方がいい。ぎゅっととっちめた方がいい。だけど、やっぱりつくれるところはつくれるようにしなくちゃだめよ。つくれるところはつくれるようにしなくちゃ。ぜひ頼みます。
 以上で質問を終わります。

○曽根委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○曽根委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で衛生局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時三十分散会

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