委員長 | 曽根はじめ君 |
副委員長 | 三宅 茂樹君 |
副委員長 | 小林 正則君 |
理事 | 吉田 信夫君 |
理事 | 曽雌 久義君 |
理事 | 佐藤 裕彦君 |
原 環君 | |
土屋たかゆき君 | |
田中 智子君 | |
藤田 愛子君 | |
近藤やよい君 | |
羽曽部 力君 | |
藤川 隆則君 | |
松本 文明君 |
欠席委員 なし
出席説明員福祉局 | 高齢者施策推進室長福祉局長兼務 | 神藤 信之君 |
次長 | 田原 和道君 | |
総務部長 | 押切 重洋君 | |
地域福祉推進部長 | 河津 英彦君 | |
生活福祉部長 | 渡辺 泰弘君 | |
山谷対策室長 | 上野 純宏君 | |
子ども家庭部長 | 稲熊 明孝君 | |
障害福祉部長 | 長野 宏君 | |
国民健康保険部長 | 堀内 武照君 | |
社会保険管理部長 | 福田 實君 | |
社会保険指導部長 | 宍戸 勇武君 | |
連絡調整担当部長 | 小阪 守君 | |
参事 | 村山 寛司君 |
本日の会議に付した事件
意見書について
福祉局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成十二年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 福祉局所管分
・第五号議案 平成十二年度東京都母子福祉貸付資金会計予算
・第六号議案 平成十二年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第八十八号議案 東京都社会福祉審議会条例
・第八十九号議案 東京都児童福祉審議会条例
・第九十号議案 東京都保育士試験手数料条例
・第九十一号議案 東京都児童会館条例の一部を改正する条例
・第九十二号議案 東京都児童福祉施設条例の一部を改正する条例
・第九十三号議案 東京都重度心身障害者手当条例の一部を改正する条例
・第九十四号議案 心身障害者の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例
・第九十五号議案 東京都心身障害者福祉手当に関する条例の一部を改正する条例
・第九十六号議案 東京都引揚者一時宿泊所条例を廃止する条例
請願陳情の審査(質疑)
(1)一一第六七号の一 重度肢体障害者のグループホームに関する請願
(2)一一第八四号 子育て支援に逆行する保育室制度の改定に関する請願
(3)一一第九九号 保育室への補助金の充実に関する請願
(4)一一第七八号 ひとり親家庭に対する福祉施策の充実と現行基準の維持に関する請願
(5)一一第一〇一号 乳幼児医療費助成制度の充実に関する請願
(6)一一第一〇七号の一 シルバーパス、医療費助成及び福祉手当等福祉施策の存続と充実に関する陳情
(7)一一第一三七号 心身障害者の「重度手当、福祉手当、医療費助成」の現状維持に関する請願
(8)一一第一三八号 心身障害者の福祉施策の見直しに関する請願
(9)一一第一四一号 学童保育の充実に関する請願
(10)一一第一四三号 シルバーパス、医療費助成、福祉手当等の都の福祉施策の存続と充実に関する請願
(11)一一第一四九号 福祉の一律的な見直しの中止と障害者施策の継続・発展に関する請願
(12)一一第一五一号 シルバーパス有料化、老人等の医療費助成と福祉手当の廃止・削減反対に関する請願
(13)一一第一五二号 シルバーパス有料化、老人等の医療費助成と福祉手当の廃止・削減反対に関する請願
(14)一一第一五四号 障害のある人たちの地域生活を充実するための施策の維持・拡充に関する請願
(15)一一第一五九号 障害者福祉施策の継続・発展に関する請願
(16)一一第一六三号 高齢者・障害者・乳幼児等の医療費助成制度の存続等に関する請願
(17)一一第一六六号 シルバーパス有料化、老人等の医療費助成と福祉手当の廃止・削減反対に関する請願
(18)一一第一七〇号
(19)一一第一七四号
(20)一一第一〇八号 東京都障害者福祉会館の都直営運営の継続に関する陳情
(21)一一第一四六号 東京都障害者福祉会館の都直営の継続に関する陳情
○曽根委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
初めに、傍聴人の数についてお諮りいたします。
当委員会室の定員は二十名でありますが、傍聴希望者が定員以上でありますので、さらに二十名追加したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○曽根委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○曽根委員長 次に、意見書について申し上げます。
委員から、お手元配布のとおり、意見書三件を提出したい旨の申し出がありました。
お諮りいたします。
本件につきましては、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○曽根委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○曽根委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉局関係の予算調査、付託議案の審査及び請願陳情の審査を行います。
なお、請願陳情につきましては、決定を、予算に対する意見開陳及び付託議案の決定とあわせて三月二十三日に行うことといたします。ご了承願います。
予算の調査について申し上げます。
平成十二年度予算につきましては予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
公文の写しはお手元に配布してあります。
朗読は省略いたします。
平成十二年三月十六日
東京都議会議長 渋谷 守生
厚生委員長 曽根はじめ殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
このことについて、予算特別委員長から別添のとおり調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月二十三日(木)午後五時
(別紙1)
厚生委員会
第一号議案 平成十二年度東京都一般会計予算中
歳出
債務負担行為 厚生委員会所管分
第五号議案 平成十二年度東京都母子福祉貸付資金会計予算
第六号議案 平成十二年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
第二十号議案 平成十二年度東京都病院会計予算
(別紙2省略)
平成十二年三月十六日
予算特別委員長 清原錬太郎
東京都議会議長 渋谷 守生殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
本委員会は、付託された議案の審査に当たって各常任委員会の意見を参考とすることに決定したので、左記のとおり調査の依頼をお願いします。
記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月二十三日(木)午後五時
(別紙1、2省略)
○曽根委員長 次に、本日審査いたします請願陳情における理事者の説明は、お手元配布の請願陳情審査説明表をもってかえることといたします。
つきましては、請願陳情審査の際の朗読は省略いたします。ご了承願います。
これより福祉局関係に入ります。
予算の調査、付託議案の審査及び請願陳情の審査を行います。
第一号議案、平成十二年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、福祉局所管分、第五号議案、第六号議案、第八十八号議案、東京都社会福祉審議会条例から第九十六号議案まで、並びに会議日程の請願陳情審査における(1)、一一第六七号の一、重度肢体障害者のグループホームに関する請願から、(21)、一一第一四六号、東京都障害者福祉会館の都直営の継続に関する陳情までの請願十八件、陳情三件を一括して議題といたします。
〔請願陳情審査説明表は末尾に掲載〕
○曽根委員長 予算案及び付託議案につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
要求資料について理事者の説明を求めます。
○押切総務部長 過日の委員会でご要求のございました資料につきまして、お手元の厚生委員会資料にまとめてございますので、説明させていただきます。
表紙の次のページ、目次をお開き願います。ご要求のございました資料は、ごらんいただきますように、十六項目にまとめてございます。
まず、一ページをお開き願います。1、障害者(児)及びひとり親家庭に対する主な国の年金、手当制度の概要でございます。
(1)に障害者(児)に対する主な制度、次の二ページ、(2)にひとり親家庭のうち、母子家庭に対する主な制度につきまして、それぞれ概要を記載してございます。
次に、三ページから四ページまでの見開きのページをごらんください。2、昭和四十年代の都の手当、医療費助成制度発足時以降における国の年金、手当及び医療保険制度の変遷でございます。
(1)に障害者(児)に対する制度、(2)に母子家庭に対する制度、(3)に医療保険制度のそれぞれ変遷を記載してございます。
次に、五ページをお開き願います。3、重度障害者(児)に対する手当等支給月額モデルでございます。
事例1としまして、四人世帯で子の一人が重度障害児である場合に受給できる手当等を、年間収入額別に記載してございます。
同様に六ページに、事例2としまして、本人が重度障害を有する成人である場合を例に記載してございます。
次に、七ページをごらんください。4、重度心身障害者手当制度の見直しによる受給者への影響の試算でございます。
この表は、(注)の(1)から(注)の(3)に記載してありますように、一定の条件のもとに受給者への影響を試算したものでございます。
次に、八ページをお開き願います。5、心身障害者福祉手当における区市町村単独加算等の状況でございます。
都の制度に加え、区市町村が独自に上乗せしている加算額や、対象拡大の状況について区市町村別に記載してございます。
次に、九ページをごらんください。6、心身障害者医療費助成の区分別対象者数の試算でございます。
この表は、(注)の(1)から(注)の(4)に記載してありますように、一定の条件のもとに各区分別の対象者数の影響を試算したものでございます。
次に、一〇ページをお開き願います。7、国の特別障害者手当に係る所得制限の限度額でございます。
扶養親族等の数に応じ、制度の対象範囲となる収入、所得の限度額について、(1)に本人、(2)に配偶者及び扶養義務者別に記載してございます。
次に、一一ページをごらんください。8、東京都における生計中心者の平均収入と収入階層別分布でございます。
(注)に記載してありますように、平成八年度東京都社会福祉基礎調査結果をもとに、生計中心者の平均収入、収入階層別分布をお示ししてございます。
次に、一二ページをお開き願います。9、障害者の収入階層別分布の状況でございます。
(注)に記載してありますように、平成十年度東京都社会福祉基礎調査結果をもとに、十八歳以上の身体障害者、知的障害者につきまして、それぞれ収入状況の分布を記載してございます。
次に、一三ページをごらんください。10、心身障害者(児)ホームヘルプサービス事業実績の推移でございます。
この事業の対象者数と派遣回数につきまして、平成元年度から平成十年度までの推移を記載してございます。
次に、一四ページをお開き願います。11、都立社会福祉施設と民間社会福祉施設との運営費の比較でございます。
都立施設につきましては、(注)の(1)に記載してありますように、既に平成十一年度に障害者施設を委託し、さらに平成十二年度には児童養護施設を委託予定であり、これらの施設と民間社会福祉施設との一人当たりの運営費を、平成十年度決算を用いて比較しております。
次に、一五ページをごらんください。12、障害者施設の入所待機者数でございます。
平成十一年十月末現在における待機者数を、施設種別に分けて記載してございます。
次に、一六ページをお開き願います。13、ひとり親家庭医療費助成制度の見直しによる影響の試算でございます。
右側のページ、一七ページは、14、乳幼児医療費助成制度の見直しによる影響の試算でございます。
ともども(注)に記載してありますように、一定の条件のもとに試算し、推計した人数、影響額を、初年度、平年度の別に分けて記載してございます。
次に、一八ページをお開き願います。15、社会福祉法人情報システムの概要でございます。
このシステムは、社会福祉法人、社会福祉施設の情報をコンピューターを活用して管理するものでございまして、今後は、これらの情報を積極的に公表していく予定でございます。
次に、一九ページをごらんください。16、災害救助物資の保管に要する経費内訳でございます。
平成十二年度予算案に計上している当該経費を項目別に記載してございます。
以上、ご要求のございました資料につきましてご説明を申し上げました。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○曽根委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより予算案、付託議案及び請願陳情に対する質疑を行います。
ご発言願います。
○三宅委員 きのうまでの本会議及び予算特別委員会での福祉改革に関する審議の中で、一部に、個々の特別なケースがまるですべてであるかのような論議が見られました。制度の問題を論じるに当たっては、そうしたいわば感情論というものでは判断を誤る危険があると思います。
そこで、常任委員会審議の冒頭の質問でございますので、福祉改革の基本に立ち返って、客観的に提案内容を検証していきたいと思います。
まず、今回の福祉改革の基本的な考え方についてお尋ねいたします。
○村山参事 福祉改革は、これまでの行政が決定する福祉から、都民みずからが選択し利用する福祉へと大きく流れが転換していく中で、これを実現するに足りるサービスの量と質を確保するとともに、それを支える仕組みと基盤をつくるために行うものでございます。世界に例を見ない速さで進む少子高齢社会の中にございまして、福祉は、都民生活の安心を支え、東京の活力や発展を支える基盤ともなることから、その充実を図ることは、都政の重要な課題であると考えてございます。
今回の福祉改革は、そうした活力に満ちて、しかも、安心して暮らせる社会を目指すものでございまして、施策の見直しも、その実現のために行うものと考えてございます。
○三宅委員 福祉改革は、これからの少子高齢社会に向けて、福祉施策をさらに充実させていくために行うものであり、福祉施策の見直しはそのために行うものだと今答弁がありました。
そういう立場に立った場合、今回提案されている福祉施策の見直しはどういう考え方で行っているのか、明快にこの点を改めて確認しておきたいと思います。どうでしょうか。
○村山参事 昭和四十年代以降、基礎年金制度の実施とか、あるいは国の手当制度の創設、また医療保険制度の分野におきましては、高額療養費支給制度の充実などによりまして、医療費の自己負担に上限が設けられたこと、増加を続ける老人医療費が、国民で皆で公平に負担する趣旨の老人保健制度の実施や介護保険制度の実施など、さまざまな状況の変化がございます。そうした中で、福祉施策の見直しは、こうした制度発足以降の変化に対応いたしまして、各制度間の整合性あるいは負担の公平などの観点を踏まえまして、より公平な制度を目指すものとして実施するものでございます。
見直しの内容につきましては、先般都議会各会派からの提案、区市町村、団体からの要望などを十分考慮いたしまして、都の案として取りまとめ、提案させていただいているものでございます。それによりまして、低所得者への配慮、あるいは激変緩和のための経過措置も講じたところでございます。
限りある資源を、地方自治体として緊急性、必要性の高い施策に重点的に配分いたしまして、東京の福祉を全体として充実していくためにはどうしても必要である、こういう考え方で行うものでございます。
○三宅委員 今の答弁の内容、考え方というのは、私は、真の自由社会においての、今の時代に、これからの時代に適応した福祉を再構築していくためには正しいとは思います。その正しさを都民に理解してもらう、そして、その内容をしっかり説明して理解を得る必要が今一番この東京都の福祉行政に求められているものだと信じております。
そこで、この見直しの大きな柱である所得基準の見直し、これは、都民の全体的な所得構成の中で、三人扶養の場合でも六百三十五万円という、この新しい基準のラインがどういうものなのか、マクロ的な見地から明らかにしておきたいと思います。
このラインの合理性を、二十歳未満の子どもを持ついわゆる子育て世代の家庭の場合も含め、明確に説明してください。
○村山参事 新しい所得基準の合理性について説明せよということでございます。
まず第一点は、東京都で実施しております平成八年度の社会福祉基礎調査におきまして、都の生計中心者の平均収入は五百九十四万円でございまして、六割を超える方は年収六百万円未満であるということが調査の結果で出てございます。この点でも六百三十五万というラインは、公平性などの点で妥当であると考えてございます。
また、厚生省の所得再分配調査によりましても、税や社会保険料の負担と年金・医療等の受給との関係として、所得五百万円の層のところがいわば分岐点となってございまして、五百万円以上の所得の方は、世帯では、福祉の受給額よりも税や保険料の負担の方が大きくなっているというようなことがございます。
したがいまして、五百万円ぐらいのところで受給を受ける側から負担の側にというふうに変わっていくというような状況というのは、おおむねご理解いただきやすい線ではないかというふうに考えてございます。扶養三人、六百三十五万というこの所得基準は、このラインを百万円ほど上回っているという、こういうラインでございます。
また、今回準用することといたしました国の特別障害者手当の所得基準額につきましては、国は、標準世帯をもとに設定したものと説明してございます。したがいまして、例えば障害者本人が扶養家族をお持ちの場合には、この基準が用いられることになりますので、生活を維持できる水準というふうに考えることができるかと思います。また、都の手当が仮に受けられなくなった場合におきましても、一定の水準までは国の手当や年金が受給できることなどが挙げられるかと思います。
これらのことから、総合的に、私どもといたしましては、新しい所得基準は都民の理解を得られる妥当なものと判断したところでございます。
今ご質問の中で、子育て世代との観点ではどうかということがございましたので、その点について追加的にお話をさせていただきますと、先ほど申し上げました平成八年度の東京都社会福祉基礎調査の中におきましては、先ほど申し上げたように、すべての年齢階級では五百九十四万円というのが平均ラインでございますが、さらに、いわゆる子育て世代と思われる二十代から四十代につきましてこの数値を見てみますと、平均収入は五百七十一万円余りでございまして、年収六百万円未満の方はおおむね六割ということでございます。また十八歳未満の児童とその両親のみの世帯を見てみますと、平均年収六百万円未満はおおむね七割にも達しているという状況にございます。
以上のようなことから、今回の所得基準につきましては、二十歳未満の子どもを育てているいわゆる子育て世代の家庭を想定した場合でも、妥当なものと考えているところでございます。
○三宅委員 手当や医療費助成というのは、都民の税金を預かって、これを特定の皆様に給付するものであります。そこにはおのずと負担と受益の関係、公平性の面で一定の上限ラインというべき線を引くべきことは当然だと思います。そういう点から見て、六百三十五万円というラインは、都民全体の世帯の収入から考えますと、今のご説明のとおり平均より少し上のレベルじゃないか、そしてまたこれをマクロに見て、今の答弁にあったデータでも明らかなように、子育て世代という層も含めて考えても、基準としてはまあまあ合理性を持っていると思います。
では、ミクロの面での影響度合いはいかがなものでしょうか。制度の見直しであるからには、新しい所得基準を設ければ、対象から外れる人が出るのはこれまた当然であります。問題は、その結果が具体的にどの程度であるかということであると思います。
現行制度が継続していれば対象となる人が、所得基準の導入や一部負担の導入ということによって、制度的にどういう取り扱いになるのか、障害者、ひとり親両方の医療費助成の例をとって、わかりやすく整理をして説明してください。
○村山参事 今お話しの障害者、ひとり親両方の医療費制度の現行制度を仮に継続する場合の対象者は、合わせて三十万三千七百人に試算上なります。このうち障害者医療費助成は十四万五千四百人でございまして、今回の所得基準の適正化による影響は、障害者医療費の受給者の場合で一万一千人程度と試算をしているところでございます。このうち四千八百人ほどは六十五歳以上の方でございますので、これらの方につきましては、仮に障害者医療費助成制度から対象外になったとしても、老人保健制度の対象になるということになります。
それから、今回、一部負担を導入させていただきたいと思っていまして、それによりますと、そういうことなどによりまして制度の対象から外れる六十五歳以上の方が二万五千人ほどいらっしゃるというふうに試算してございまして、この方につきましても、同様に老人保健制度の対象になります。したがいまして、残りの十万九千三百人が引き続き障害者医療費助成制度の対象になる、このようなことになろうかと思います。
また、もう一つのひとり親医療費助成制度の方につきましては、対象者が十五万八千三百人というふうに設定されておりまして、この方につきましては、全員引き続き本制度の対象になるものと考えてございます。
したがいまして、障害者医療費助成制度、ひとり親家庭医療費助成制度、それに老人保健制度いずれの制度の対象にもならず、一般の医療保険の対象になるという方は六千三百人程度、先ほど申し上げました三十万三千人の二%というふうに私どもとしては試算をいたしているところでございます。
その結果、両制度合わせて二十九万七千四百人、全体の三十万余りのうちの九八%の方が、引き続きこれら障害者医療費制度、ひとり親家庭医療費制度、老人保健制度いずれかの制度の対象であり続ける、かように推計しております。
○三宅委員 今の説明によれば、両制度合わせて三十万三千人のうち、二十九万七千人、実に九八%の人は、新しい基準のもとでも、障害者医療費助成、ひとり親医療費助成、老人保健制度、この三つの制度のいずれかの適用を受けるという説明でした。この三つの制度は、いずれも都からお金が投入されているわけですから、要するに九八%の人は引き続き助成対象になっていくという答弁です。これが見直しの実際の姿ということになります。こういうことをもっと明確に、都民がそうだと、都民の一人一人から声が出るような認識、そういうような説明を強めていくようなことが絶対に必要じゃないか、こう思います。
さて、残りの二%、六千三百人の負担はどうなんでしょうか。この人たちは、従来、障害者医療費助成の対象であった方々であって、今後は、一般の医療保険の対象となるということですね。見直しに反対される方々は、こういう新しい基準から外れる人は何の助成も受けられなくなってしまう、こんなような主張をされているわけですけれども、例えば二十歳未満の重度障害のお子さんを扶養していて、重度手当を受給している方が本当にそうなるんでしょうか。
年収九百万円までの人には国からの手当が引き続き行くわけでありまして、年収七百七十万円までの人には、少ない人でも四十万円、多い人では八十万円近い手当が引き続き支給されるわけです。全くゼロになるわけではありません。仮に年収六百四十万円くらいの人がいたとしますと、この人の実際の収入は七百万円前後、こういう点をはっきり認識した上で議論しないと、私は、とんでもない間違いといいますか、誤解を引き起こすことになると思います。
では、このような方たちが、通院一月当たり、また一回入院した場合、それぞれどのくらいの負担になるんでしょうか。
○村山参事 今ご指摘のこの六千三百人の方は、現在はすべて障害者医療費助成制度の対象の方でございますので、その助成実績に基づきまして、そのうち、今回、国民健康保険加入者になっている方について試算をさせていただきますと、通院の場合で一月九千円程度、入院の方の場合で大体一回三週間程度ということでございますので、六万八千円程度、このような負担水準になろうかと試算しておるところでございます。
○三宅委員 今ご答弁で、一月九千円の通院費、一回三週間ぐらい入院した場合の六万八千円というのは、負担はないにこしたことはありませんけれども、余りにも無理な、そして余りにも過酷な負担とはいい切れないんじゃないかと思います。
さらにお尋ねしますが、引き続き都の障害者医療費助成の対象となる人は十一万人いる、このうち低所得の方は何人いて、これまでの負担と比べてどういうふうに変わるのか、ひとり親医療費助成の部分もあわせて、これもきっちり説明してください。
○村山参事 低所得の方についてのお尋ねでございますが、心身障害者医療費助成につきましては、制度改正の後の対象者が十万九千三百人というふうに設定してございまして、このうち低所得者というふうにいわれる方は八万一千六百人程度、全体の四分の三というふうに推計をいたしてございます。
もう一方のひとり親家庭医療費助成制度につきましては、対象者十五万八千三百人ございますけれども、そのうち低所得者は八割の十三万七百人程度と、かように推計をいたしているところでございます。
低所得の方につきましては、したがいまして、制度の対象となります、両方を合わせまして二十六万七千六百人のうち、約八割に当たります二十一万二千三百人ほどかというふうに試算をしてございまして、これらの方につきましては、通院、入院の診療に係る負担はこれまでどおりなしということになるわけでございまして、入院された場合のみ食事代のご負担をお願いするということになろうかと思います。
なお、残りの方につきましては、老人保健制度並みのご負担ということになるわけでございますが、その負担の水準について大ざっぱに試算をさせていただきますと、十年度実績に基づいた試算では、外来につきましては一人当たり月額三千円程度、入院につきましては、一回の入院日数を三週間と仮定いたしますと、一回当たり四万一千円程度のご負担だろうというふうに試算してございます。
また、ひとり親家庭医療費助成制度につきましては、同じく十年度実績に基づいて試算をいたしますと、外来につきましては一人当たり月額九百円程度、入院につきましては実績がほとんどございませんので、なかなか試算できない、一回当たりどうかということにはなりませんが、入院した場合の負担額は、現行制度では、一日、診療、食事代合わせまして二千円弱程度かなというふうに思っているところでございます。
○三宅委員 実に二十一万二千人、八割に当たる人が、通院、入院ともに診療費はこれまでどおりに無料なんです。無料なわけですね。そして、入院した場合にだけ食事代のみご負担をいただく、これが新しい制度の中身なんです。食事というのは、家でも当然されているわけです。こういうことが我が会派や公明党さんの緊急要望によって実現したんですよね。このようなことをしっかり認識して論議をしていかなければいけないと思うわけでございます。
中には、わざととはいいませんが、故意にこういう配慮の中身を余り触れないで議論を進めるというようなこともありますけれども、私は、これは大きな間違いに及ぶ、余りよろしくない、こういうふうに考えております。
以上のやりとりによって、六百三十五万円という新しい基準は、マクロ的にもミクロ的にもいろいろな点を配慮した基準であり、無理がないレベルであるというふうに私自身は思います。
それにもかかわらず、この福祉改革に反対をする方々の中には、この基準は二十歳未満の重度心身障害児に厳し過ぎるから、国と同じように所得制限を二本立てにしろという方がいらっしゃいます。この辺のことは、きちんと制度の成り立ちの基本に立ち返って議論をしないといけないと考えておりますが、国の手当制度と都の手当と所得基準の考え方が違う、ここは非常にわかりにくい、都民もわかりにくいだろう。
そこで、具体的な例でお聞きします。仮に三十歳くらいの重度の障害者の方がいて、ご本人は収入がほとんどない。五十歳を超えるご両親が扶養しているといたします。この父親の方に千二百万円くらいの年収があったとして、国の手当の考え方と都の手当の考え方で、どちらでも支給されるんでしょうか、どうでしょうか。
○村山参事 国の手当の場合には、二本立てになってございまして、本人だけではなくて、扶養義務者の方もその制限の中に入っていなきゃいけないと。東京都の場合には、従来から、他の制度でも一本という形になってございます。
今お尋ねの国の手当の場合につきましては、二十を超えた場合でも、本人はもとよりでございますが、扶養義務者の方の所得も支給制限の要件にしております。したがいまして、今ご指摘いただきました場合を例にとりますと、本人の所得は所得要件内ということでございますが、お父さんの所得が年収一千二百万円ということでございますので、家族構成を扶養家族三人というふうな形で想定いたしますと、一千二百万円ですと、所得要件を超えるということになろうかと思いますので、手当は支給されないということになろうかと思います。
都の手当の場合には、二十を超えた場合には、本人の所得のみを要件として支給をする、かような制度の建前になってございまして、親御さんの所得が一千万円である場合においても、これは要件としてカウントされませんので、通常であれば、この方の場合には支給対象になる、かように思います。
○三宅委員 今のご説明は、非常に私は大事だなというふうに思いますね。本人が二十を過ぎると、都の考え方でいけば手当が支給される。支給されるんですよ。しかし、国は支給されないという人もできてしまう、そういう仕組みだという説明ですよね。
制度には考え方というものがありまして、所得基準を二本立てにしろという考え方に立つのならば、二十を過ぎた障害者についても、親の所得で判断するのかという議論だってできるんじゃないかと思います。要は、全体像をとらえないで、いわば、少し言葉は乱暴ですが、いいとこ取りの議論というのは許されない、こう私は申し上げておきます。
さらに、もう一つ申し上げておきたいのは、この所得基準に、国の特別障害者手当の基準を準用することについて、あたかも都の独自性がないような議論をする方もいらっしゃいます。これも間違いであります。
都の制度というのは、それ自体が独自のもので、例えば、重度心身障害者手当は、月六万円、年七十二万円という、このような制度は他県にはありません。それを行っていること自体が、都の独自性にほかなりません。この手当の対象者を選ぶ基準として国の基準を準用することが、あたかも都の独自性がない証拠のような議論というものは、私は許されてはならない、こう思います。むしろ、安定性、客観性、わかりやすさなどの点で、私は、今回、国の手当に準拠するという方法、手段、これはよしといたします。
以上、福祉施策の見直しについての基本的な考え方、特に所得基準の設定の考え方とその合理性について明らかにしてまいりました。
本日からの委員会審議においても、反対をされる方々からは、恐らくこの個別ケースをおとらえになって、それを過度に拡大して、ためにする反対論が展開されるだろう、こう思います。しかし、制度をつくるということは、都民からお預かりした税金をどういうふうに使うのが最も公正なのかという視点で判断しないといけません。そうしないと、限られた財源の中で、少子高齢社会のために急がなくてはならない施策を飛躍的に進める力がなくなってしまいます。石原知事が常にいわれているこのスピードというものが、今、都政にとって重要なこのスピード力がなくなってしまうということなんです。そして、本当に将来を見据えた福祉の充実もできなくなると思います。
これらの点を含めて、今後の福祉改革に臨む考え方と局長の決意のほどをお伺いします。
○神藤福祉局長 現在、行政が決定する福祉から、都民がみずから選択する福祉へと転換する大きな流れがございます。そういう中で、ご案内のように、障害者施策の分野でも、二〇〇三年には、これを実現するに足りるサービスの質と量を確保していく必要があるというふうに考えております。少子高齢化の進展や、税の大幅な伸びが期待できない中、現在の制度を維持したままでそれを実現するのは、私は難しいというふうに判断しております。
こうした状況を踏まえますと、都独自の福祉施策につきましても、各制度の整合性や負担の公平性などの観点から見直すことは、限りある資源を緊急かつ必要性の高い施策に重点的に配分し、東京の福祉を総合的に充実していくためには必要なことと考えております。
今回の取り組みの第一歩といたしまして、福祉改革ビジョンに基づき、在宅サービスを中心とする福祉サービスを着実に充実してまいりたいと思います。
なお、私どもは、二年前ほどから、グリーンペーパーⅢで、現在の事業の問題点について、区長会、市長会、町村会を初め、事業を実施しているところと議論を重ねてまいりました。そういう中で、今回、ご要望を踏まえて適切な見直しの判断をしたと思いますので、ぜひご理解を賜りたいと思います。
○三宅委員 決意のほどをーーちょっとお疲れのれのようですから、もう一点、局長に顔を上げてご答弁を願いたいんですが、最後にお伺いします。
きのうの予算特別委員会で、今回新たに創設された包括補助制度について、区市町村が自主的な判断によって補正予算などで対応しようとしている状況をとらえて、あたかも、都が包括補助制度を創設したことがいけないというようにとらえるような、私としては大変に重大な問題であると認識する質問がありました。
ここで改めて局長から、包括補助制度の意義と今後の活用方針について、基本的な考え方を、都民の皆さんが聞いて、そうかとすぐにわかるようなわかりやすいお言葉で、しっかりとお示しください。
○神藤福祉局長 包括補助制度でございますが、この制度は、区市町村が、地域の実情に応じてやる気と創意工夫を発揮できるような仕組みでございまして、積極的、先駆的に福祉改革に取り組む区市町村を応援する制度といたしまして、区市町村と協力してでき上がったものでございます。
見直しに当たりまして、区市町村側からの強い要望で、ぜひ実現していただきたいということと、自民党、公明党を初め各議員の先生からの強い要望で実現したものでございます。
なお、今回のこの制度でございますが、こうした趣旨から区市町村を支援することでございまして、大変大きな成果が期待できると。福祉事業は、第一線の区市町村が手足となってやっているものでございますから、何とか創意工夫を生かせるそういうものを、私どもとしては力強く応援したいというふうに考えております。
○田中委員 私の方からは、まず最初に、ひとり親家庭をめぐる福祉の見直しについて伺います。
ひとり親家庭、特に母子家庭の所得については、とりわけ、両親がそろっている家庭に比べますと、大変低い状態に置かれております。平成九年度の都の社会福祉基礎調査によりますと、年収四百万円未満の世帯が、両親世帯で一三%であるのに対して、母子家庭では六五%となっております。両親世帯収入の三割から四割、こういう低い所得で生活をしているわけです。
そこで伺いますけれども、今回出されましたひとり親家庭医療費助成の見直しの内容、その影響額についてお答えください。
○稲熊子ども家庭部長 ひとり親医療費助成の内容とその影響額についてでございます。
この制度の存続を前提とした上で、基本的に、老人保健制度に準じた本人一部負担の導入をお願いすることといたします。
ただし、ご案内のとおり、住民税非課税の低所得者の方につきましては、入院した場合だけ食事代のみを負担していただく、通院等の場合についてはこれまでと変わらない、そういうような低所得者に対する配慮をしております。
それに対する影響でございますが、先ほど、対象人数等については、企画担当の参事からも一部ご答弁申し上げたかもしれませんけれども、平成十二年度の予算規模における対象者数は十五万八千三百人で、この対象者数は変わっておりません。それによりまして、老人保健制度に準じた一部負担導入による影響額としては、平年度ベースで三億円という内容でございます。
○田中委員 ただでさえ大変なひとり親に対して、二年前、国は、児童扶養手当の所得制限を強化いたしました。都は、これに倣って、ひとり親家庭医療費助成の所得制限の強化を強行したわけです。推計でいいますと、一万二千二百人、これが助成対象から外されたわけです。同時に導入しようとしました入院食事代の自己負担に対しては、都民と都議会の要求で導入できなかったというような経過があったわけです。
しかも、今、じゃ、どういう状況の中でいるのかということをいいますと、現在の不況の中で、ひとり親をめぐる状況というのは、やはり一層厳しいものになっているというふうにいえるんじゃないかと思います。
東京都の社会福祉基礎調査で、平成三年度と平成九年度を比べた場合に、どういう状況が明らかになりますでしょうか。
○稲熊子ども家庭部長 平成三年度と九年度、それぞれの比較をしたもの等へのお尋ねでございます。
大分細かい資料でございますが、このもとになりますひとり親世帯の年収という調査が、先生のお尋ねの調査のもとになっているものだと思います。少し詳しく申し上げますと、母子、父子含めまして、二百万円未満、二百万から四百万未満、四百から六百万未満、六百から八百万未満とそれぞれがございます。そういう中にありまして、例えば母子についていえば、二百万未満についてという層が一八・九から三〇・七、あるいは二百万から四百万未満が三三・九、これは変わっておりません。それから、四百万から六百万未満、そういったところでございますが、これは一三・一から一六・六、そういったようなことと、さらには、六百万から八百万未満では七・四から五・五、そういったような傾向があらわれております。
○田中委員 ただいま、両親世帯、両親がそろっている世帯についてはお答えいただけなかったんですけれども、年収二百万円未満の世帯の割合、両親世帯では八%から三%に減っております。それに比べて母子世帯では逆に、お答えいただきましたように一九%から三〇%にふえていると。二百万円未満の層がふえているという状況なんです。ますます年収が下がってきているわけなんです。二年前より、ひとり親世帯の所得についてはさらに下がっているということ、それが現実なんですね。
そこに、今まで親子とも無料だった医療費を、老人医療費と同じ負担にさせて、住民税非課税世帯には、入院食事代のみを負担させるという内容であります。十五万八千三百人、平年度で三億円もの影響が出るという状況で、大変大きな影響だというふうに思います。
また、国は今、老人医療費について、定額制から一割負担へと、さらに重い負担を導入しようとしておりますので、さらに負担は広がるのは明らかではないでしょうか。
しかし、都は、見直しを提案しながら、一方で、来年度の政府要望に対して、ひとり親家庭の所得保障の充実、医療費助成制度の創設、このことを要望しているわけなんです。その中で、父子家庭を含めたひとり親世帯は厳しい状況に置かれていると。だから、ひとり親の自立支援について、所得保障の充実ほか、就労や住宅などの各種施設の推進、医療費助成制度の創設を要望しているわけなんです。
対政府要望の認識、これは間違いないのでしょうか。私、何度もこの問題を取り上げているわけなんですけれども、この認識に間違いがないかどうか、お答えください。
○稲熊子ども家庭部長 国への要望でございますが、今、先生のお話のとおりでございまして、基本的には、都と国との役割分担を基本に置きながら、そういうような要望を行った次第でございます。
○田中委員 厳しい状況に置かれているかどうかということについては、お答えはありませんでしたけれども、政府に要望したとおりだというお答えでした。ですから、やはり厳しい状況に置かれているという認識だというふうに受け取っておきたいと思います。
こういう状況の中で、国には所得保障の充実、医療費助成の創設を求めておきながら、どうして医療費の自己負担を導入しようとしているのでしょうか。いかがでしょうか。
○稲熊子ども家庭部長 先ほど来、所得等につきましては、企画担当参事からも説明しましたようなそういう考え方によりまして、社会経済状況の変化を踏まえまして、負担の公平などを図る観点から、医療費助成制度や一部負担の導入は必要であります。
負担の水準につきましては、先ほど来るる説明しているように、高齢者が負担する老人保健制度の基準に準じて設定した、そういうことで、老人保健制度は、ご案内のとおり、広く社会的に定着した制度でございまして、この負担に準じることは、わかりやすく、しかも利用者等につきまして合理的なものだと考えています。
先ほどの答弁の中で、役割分担を踏まえと、このように申し上げました。こういった意味で、基本的には、所得保障にかかわるような施策については、国の責任において、役割においてやっていただきたい。そういうものをベースにして、私どもは私どもの施策を展開していく、再構築を進めていく、そういう観点からでございます。
○田中委員 基本的には国の制度で創設してほしいということですけれども、国には所得保障を充実し、医療費助成の創設を求めておきながら、一方で、今まであった都の制度を受けている人がいるのに、自己負担を導入するというのは、本当に今、非常に無責任で冷たい態度といわざるを得ないと思います。
私は、ある団体のアンケートを見させていただきましたけれども、医療費助成は、本当に助かっているんだと。健康は、子育ての上で、子どもも親も大前提の問題だと。とても助かっている。安心して医者にかかれる。大変助かった。ずっと使いたかったけれども、児童扶養手当がカットで使えなくなったと。全くお金がない日もある。自己負担になったら、医者に行くのをためらってしまうという方からもお話を伺いました。本当にどれも切実な声であります。
また、アトピーとかアレルギーなどの持病を持つ親にとっては、自己負担なしの医療費の助成がまさに命綱となっているわけです。ぎりぎりの生活をしているひとり親の家庭を一層困難にするような、こういう自己負担の導入は行うべきではないというふうに強調しておきたいと思います。
さらに強調しておきたいことは、ひとり親にとって、健康で働けるかどうかということが、両親のそろっている他の家庭と比べて、本当に特別の切実な重要さを持っているということなんですね。
そこで伺いますけれども、母子世帯、両親世帯、それぞれのけがや病気のある世帯の割合、これはどうなっているのでしょうか。
○稲熊子ども家庭部長 これも先ほどの平成八年度の社会福祉基礎調査の一つの統計としてとっておりますが、その傷病の状況を母子世帯と両親世帯の傷病率で比べますと、この調査によれば、傷病ありと答えた者の割合は、母子と子から成る世帯では一六・六%、夫婦と子から成る世帯では一〇・九%、こういう数字になっております。
○田中委員 夫婦と子どもがある世帯は一〇・六だ、ひとり親は一六・六だということですから、一・五倍あるわけですね。母子世帯の方が一・五倍です。
ある調布にお住まいの方は、三年前に離婚されました。そして、朝九時から午後二時までお弁当屋さん、そして、夜の七時から十二までスナックでのお仕事をしております。児童扶養手当も、前年度の収入であったためにもらえずに、この一年間が一番大変だったというふうにいっております。実際に、さまざまなストレスから病気になったこともあるというふうにいっておりました。
少ない収入をカバーするために二重に働いたり、技能を身につけるために、仕事の後、学校へ通うなどして本当に頑張っているわけなんですね。
リストラの不安から、体調が悪くても仕事を休めなかったり、そういうことが、先ほどお答えあったとおりの疾病率の高さということにつながっているんじゃないでしょうか。
ひとり親にとって、病気になるということは、即生活にかかわる致命的な問題です。家計が自分一人の収入によって賄われなければいけないわけですから。その上、常勤で雇用されている人は、さきの社会福祉基礎調査によりましても、わずか四九%、半分なんです。そのあとの半分は、パートだったり、契約社員だったりと、こういう不安定な雇用についている人がほとんどなわけですね。半分いらっしゃるわけです。ということから考えても、働けなくなったらすぐ本当に収入に結びつくという点では、大変深刻な問題であると思います。
先ほど、住民税非課税世帯には入院食事代だけだということですけれども、ひとり親にとって、入院するということは本当に大変な問題なんです。子どもが入院ということは、仕事を休まざるを得なくなったり、付き添いの問題や、きょうだいの面倒を見てもらうなど、幾つもの新たな負担がかかってくる問題です。パートなどの場合、すぐ収入に結びつく問題でもあります。保険外負担の問題もあります。
食事だけをとってみても、家族で今までとれていた食事が、それぞればらばらでとることになりますから、単に一日分七百六十円で済むという、そういうものだけの問題では済まないんですよね。
また、仮に平均の入院日数である十日間入院をした場合でも、その負担だけでも七千六百円の食事代の負担というふうになりまして、それ自体が重い負担になることは間違いありません。
親も子どもも安心して医者にかかれる医療費の無料制度があればこそ、早期の予防という意味でも、ひとり親家庭の生活の土台を支えるという意味で重要な役割を果たしているというふうに思います。ひとり親家庭の医療費自己負担の導入はやめるべきだと強く主張しておきたいと思います。
次に、医療費助成などの削減にかわるものとされております、ひとり親家庭への新たな施策についてお伺いいたします。
例えば、ひとり親家庭への就労支援計画の策定ということが今度の十二年度の予算案にのっているわけですけれども、これは、今後どのようにして、ひとり親に対して具体的な就労支援ということを形にしていくのでしょうか、いかがでしょうか。
○稲熊子ども家庭部長 就労支援計画についてのお尋ねでございます。
十二年度予算では、仮称でございますが、ひとり親家庭就労支援計画、こういったものをつくろうと私どもは考えております。これは、ひとり親家庭の自立した生活を確保するためには、就労支援のための計画を策定して、就労を通じた自立支援を進めていく、そういう趣旨からやっております。
その策定に当たりましては、地域における労働と福祉の連携のあり方を初め、ひとり親家庭の就労促進に向けたさまざまな方策について検討していく、そういうものでございます。
○田中委員 今、計画の策定ということであって、具体的な、就労に結びつける、そういうものは、今自体としてはないわけですよね。この次だということですよね、計画の策定なんですから。まだまだこれからだという段階なんです。
多くのひとり親や、特に母子家庭について、就労の問題は本当に切実なんです。困ったことの調査でも、三番目に挙げられているわけです。二番目かもしれません。
技術を身につけて、将来的にも自立できるようにと、職業訓練校などで学びたいと思っても、今、職業訓練校で聞いてみたんですけれども、現状では入学することすら困難な状況です。
例えば、職業訓練校の中に、離職者訓練と離転職者訓練というのがあるわけですけれども、平成十年度は三・一倍です。中高年女性訓練、これは四・六倍という募集倍率です。特に女性に人気のあるヘルパー講習は、常時十倍程度の競争率だと伺いました。
入学試験と面接がありまして、試験に受かったとしても、リストラされたりした方がどうしても優先になってしまうということで、緊急性がある人が面接でどうしても優先されるという状況で、入学の際、考慮せざるを得ないんだということを労働経済局の方もいっていらしたわけなんです。そういうことも聞いております。
例えば、職業訓練校の講座をふやすように労働経済局に要請するだとか、今できることを各局と連携してすぐやることも重要ではないでしょうか。いかがでしょうか。
○稲熊子ども家庭部長 先ほどのご質問で、ちょっと先生、誤解があったかと思われますので、ご訂正させていただきますが、今、まるでそういう労働との連携がないとか、労働の施策がないというのは、少し状況と異なっていると思います。
今、先生のご質問にありましたように、職業紹介指導、職業訓練、雇用開発その他、母子のためのいろいろな自立講習会等々、これまでも、福祉局を初め労働経済局それぞれで実施をしてきております。
この就労支援計画は、もっとそれを効率的で実効性のあるものとするということで、そういう趣旨でもって施策を強化する、そういう趣旨で進めるものでございます。
今すぐできるものをとおっしゃいました。そういった点も大変大切かと思われます。しかし、私どもは、そういう継ぎはぎだらけの施策が、これまで必ずしも結果的として十分な成果をもたらしていないということで、より総合性のある、実効性のあるものを労働関連部局あるいは区市町村とともに研究をしていく、検討をしていく、そういう趣旨でこの事業を進めてまいりたいと思っております。
○田中委員 今まで何もしてこなかったといっているわけじゃないんですよね。ただ、今回、新規事業として出されている就労支援計画の策定ということの中身は、まだこれからの段階だと。これから各局と連携してつくって、これからどうするか計画を立てて、その計画をどうやって実行するかということは、また後の話になるわけですよね。そういうことだということをちょっと確認したかったわけなんです。
なぜそうかというと、やはりこの経済的な支援から、在宅サービスに、そして就労だとか住宅だとか、そういうところにシフトしていくんだと、そういうような福祉局の考え方があるわけです。それに、目玉といいますか、一つの新しい計画として出されているから、じゃ、この計画は実効性があるのかと、そういうふうに伺ったわけなんです。
また、ひとり親家庭の総合支援事業、十二年度に一億円ついているわけですけれども、これは区市町村が実施主体であります。メニューの中から選んで実施する方式となっておりますけれども、財源は、都と区市町村で二分の一ずつ。つまり、予算はつけても、区市町村がやると決めて予算計上をしないと成り立たないという事業になっております。
そこで伺いますけれども、来年度はどれぐらいの区市町村が、一体幾らぐらいの予算を計上しているのでしょうか。いかがでしょうか。
○稲熊子ども家庭部長 区市町村の当初予算での取り扱い状況については、特に調査をしておりません。
○田中委員 あなた方は、医療費助成や児童育成手当を切ると。そのかわりに新たな施策を行うといっているわけですから、ひとり親に対して新たな施策がどう本当に行われるのかということを、一つ一つ、家庭のサービスの充実につながっていくのかどうかも含めて調査をし、具体的に示すのは当然ではないでしょうか。
区市町村の状況をつかんでいないとおっしゃいましたが、私、狛江市に聞いてみましたのですけれども、予算はついていないという状況で、まだこれからなんですよね。説明会も、聞くところによると、これから開かれるという状況だと伺っております。区市町村に対する説明もこれから、どれぐらいの区市町村が手を上げるかもわからないと。結局、幾ら都がこれが新規事業ですといってみても、財政負担がある問題ですから、区市町村がやるといわなければ、絵にかいたもちにすぎないのではないでしょうか。切る方は先に決めておいて、新しいものははっきりしない、これでは削減の理由がつかないのではありませんか。
私は、新たな在宅サービスは、もちろん充実すべきだと思っております。しかし、ひとり親家庭の実態を見れば、ひとり親家庭の健康を守る医療費助成制度は、他の施策に取ってかわれない役割を持った、支援の重要な施策であります。その制度をわずか二年間の間に、しかも、ますます経済状態が厳しくなっているもとで、二度も切り縮めるベきではないということを強く主張し、ひとり親医療費助成の現行制度の存続を求めて、次に移ります。
次に、児童育成手当の所得制限引き下げについて伺います。
先ほどのひとり親医療費助成が受けられない所得階層の人も受けられているのが、児童育成手当であります。
ひとり親家庭への経済的支援策は、児童扶養手当と児童育成手当、この二種類です。国の児童扶養手当の所得制限は、母子二人家族の場合二百万円、収入にしてたった三百万円であるのに対して、都の独自制度である児童育成手当の所得制限は、比較的高く設定されております。また、父子も受けられることなど、重要な制度だというふうに認識しております。
もし都の育成手当がなくて、年収三百万で何の手当もなくなるとしたら、親子二人で暮らしていくのは本当に大変なことだと思います。そこに育成手当があることで、収入三百万円を超えた家庭も経済的にも助かるし、手当を支えに、収入三百万円から、さらにもっと平均的なところまでレベルアップを目指して頑張ろうと、そういうふうになっていくのだと思います。
そこでお伺いしますけれども、まず、児童育成手当の現在の所得制限、そして今回の見直し案の所得制限の額は、親子二人のひとり親家庭の場合どうなるか、お伺いいたします。
また、今回の所得制限額の根拠と影響人数もお願いいたします。
○稲熊子ども家庭部長 児童育成手当につきまして、これは東京都独自の制度でございまして、ほかに一つの県だけしかやっていない、こういう制度でございます。
その現行制度の年収は、扶養三人の例が基本でございまして、これを年収で見ますと、八百四万円、これを新しい基準で見ますと、扶養三人の例で、年収おおむね六百三十五万円でございます。
今、先生からお尋ねのございました、二人に置き直したらということですが、若干の計算が必要でございます。そうした場合には、収入でおおむね七百七万五千円、所得でもって、五百四十万に加えるいろいろな額等々を入れますと、大体六百万程度になるのかなと、こういうことでございます。
これによる影響でございますが、今現在、三万六千七百人の方がこの制度を適用されております。これにつきまして、それぞれ千七百人程度の方が影響を受ける、所得超過により対象から外れてくる、こういう内容でございまして、いわゆる四%程度の方が対象から外れてくる、こういう内容でございます。
○田中委員 今、七百万というようなお話がありましたけれども、親子二人の場合、子どもは一人なわけですね。子ども一人の場合、この「社会福祉の手引」にも書いてありますけれども、今は五百二十四万円です。五百二十四万円から、見直し案が三百八十五万円と。収入に換算すると五百四十万円というふうになる。これこの中に書いてありますから、そういう規模ですね。根拠は、国の特別障害者手当の本人の所得制限を当てはめたわけなんですね。で、五百二十四万円から三百八十五万円と、百三十九万円もの大幅な引き下げになるわけです。
しかも、特別障害者手当に合わせたということですけれども、特別障害者手当の基準そのものが、東京の子育て家庭の平均実収入より、これは、四人家族で八百二十八万円ということで、この平均の収入よりもずっと低い基準になるわけです。ひとり親であることで特別な苦労もある中で、頑張って少しでも平均に近づこうと、そういうふうに努力をしているひとり親家庭を見放すものになるのではないでしょうか。
ある母子家庭のお母さんは、以前は国の児童扶養手当を受給していましたが、何とか正社員になれたので、毎年少しずつだけれども収入がふえて、今は行政からの支援は児童育成手当だけですと。その方は、子どもも中学生と高校生、食べ盛りが二人もいたら食費もかさむし、子どもが希望する学校に進学させてあげたいとかいろいろ思うと、貯金も今までにろくにできなかったし、手当がなくなるのは本当に苦しいというふうに話してくださいました。自分ひとりで仕事も家事も子どもの世話もしなければならないというハンディがありながら、せっかく世間並みに近づこうと必死で努力してきたのに、その手前でまたがくんと手当を減らされるというような所得制限では、いつまでたってもはい上がれないのではないでしょうか。
こうした願いや不安は、多くのひとり親家庭に共通したものだと思います。たとえば、九八年の国民生活基礎調査によれば、母子世帯の三分の一、三四・四%が貯蓄なしということがいわれております。そういうところからはい上がってきているわけなんです。
同じく九八年に、中央区で児童育成手当の受給者に対して実態調査を行っているわけですけれども、その中で、子どもや子どもの環境での不安・不満・不便の第一位は、養育費、教育費、第二位が受験・進学・就職というふうになっております。子どもが小さいうちは食べられれば何とかなるかもしれないのですけれども、成長すれば高校にも行くだろうし、大学にも行くだろうし、そういう意味では、そうはいかないということではないでしょうか。
同時に強調したいのは、児童育成手当が、他のどんな支援策よりも、多くのひとり親家庭に役立っているという点なんです。例えば、平成九年度の社会福祉基礎調査で、利用した公的制度の種類という項目がありますけれども、この中で、一番利用されている制度は何なのでしょうか。
○稲熊子ども家庭部長 基礎調査によりますと、一位が児童育成手当、二位は児童扶養手当等々となってございます。
○田中委員 児童育成手当が一番で、八割以上のひとり親家庭が利用しております。
同じ調査で、ホームヘルプサービスを利用したことのある世帯と割合、これはどうでしょうか。
○稲熊子ども家庭部長 調査に従いまして申し上げます。
ひとり親ホームヘルプサービスの家庭は、父子で一七・六、母子で二・一、そういう内容でございます。
○田中委員 父子家庭で一七・六%、母子で二・一%しかないわけなんですね。
この調査の行われた九七年度のホームへルパーの利用実世帯数は、社会福祉統計年報によりますと七百八十八世帯です。もちろんホームヘルプサービスは充実されておりますけれども、それでも、来年度で千二百世帯くらいだと思います。育成手当を受給しているのが十二万人弱ということですから、その一%程度だというふうにいえると思います。もちろん、ホームヘルプなどのサービスはもっと充実して、利用する人ももっともっとふやす必要があると思いますけれども、現状ではほとんどの人が受け入れられていないし、受けていないということなんですね。他のサービスや相談制度も、利用した家庭は一〇%にも満たない、一〇%程度だったということなんです。こんなに八〇%もの方が受けている制度ってほかにないんですよね。
ちなみに、先ほど育成手当の所得制限引き下げの影響人数、三千人ということでしたけれども、来年度のホームヘルプサービスは今年度に比べて何世帯ふえるのでしょうか。
○稲熊子ども家庭部長 恐縮でございます。先生、影響人数でございますが、合わせまして千七百人でございます。
それから、ホームヘルプサービスでございます。これは東京都独自の制度として実施しております。これにつきましては、十二年度では、四百四十四世帯分を一億四千六百万円、そういった予算で計上してございます。これは補助対象は市町村でございまして、区部は財調でございますので、ちょっと詳細はつまびらかでございません。
○田中委員 何世帯ふえるかということは、はっきりと今はお答えいただけなかったと思うんですけれども、いずれにしましても、影響する人数から比べまして、ホームヘルプ自体としては、減らされる数から比べても、ふえる数というのは本当にごくわずかだといわざるを得ないと思うんです。
しかも、先ほど質問したとおりに、新規事業だって、すぐできる区市町村はないわけですから、やはり現状では、最も必要とされて、ひとり親家庭全体を漏らすことなくカバーできて、個々のひとり親家庭のニーズにこたえられる施策は、この育成手当のほかにないといわざるを得ないのではないでしょうか。
実は、今回私たちの控室を訪ねてこられたひとり親の団体の方がありまして、いろいろ詳しくお伺いいたしました。その方たちは、わずかな手当の削減であっても、ぎりぎりの生活をしているひとり親家庭に与える影響ははかり知れません。ひとり親家庭に育つ子どもたちに明るい未来を与えるために、児童育成手当のせめて現状維持は最低限必要ですと、請願に書いて訴えていらっしゃるわけです。ひとり親の方々の本当に実感なのではないでしょうか。私も本当にそのとおりというふうに思います。
育成手当の所得制限強化はするべきではないと主張して、次に移りたいと思います。
次に、乳幼児医療費助成の見直しについて伺います。
また、今回、新日本婦人の会からも請願が出ておりますので、この請願の採択を願う立場からお伺いいたしたいと思います。
まず、今回の乳幼児医療費の見直しは、年齢制限を五歳未満児まで拡大すること、これは、私たちもこの間強く要望してきたことでありまして、重要なことだと思います。しかし、一方で、入院食事代の自己負担を導入するというものです。
それで伺いますけれども、なぜ入院食事代の自己負担の導入なのでしょうか。
○稲熊子ども家庭部長 自己負担導入でございます。
これまで、総括的には、先ほど村山参事からその基本の考え方をご説明しました。そういうことでございますが、繰り返しになりますけれども、医療保険制度の変化など社会経済状況の変化を踏まえて、負担の公平などの観点から、医療費助成に一部負担の導入は必要というのが基本の考え方でございます。
その負担の水準につきましても、これまでるる説明申し上げたところでございますが、高齢者が負担する老人保健制度の基準に準じて設定したところでございます。ご案内のとおり、老人保健制度は広く社会的に定着した制度でございます。この負担に準ずることは、わかりやすく、しかも利用者等にとりまして合理的なものというのを基本にしております。
個別具体的に申し上げまして、乳幼児医療費助成制度につきましては、今回、一歳年齢を引き上げて、その対象の拡大を図ったということでございます。
この見直しの中で、一方、負担の公平、あるいは他の医療費助成制度とのバランスを考える、そういった観点から、基本的には、老健に準ずる負担とすることを考えてきたわけでございますが、特に少子化対策の充実を図るという観点から、これにつきましては、一般世帯、低所得世帯問わず、入院時の食事療養費のみの負担というふうに整理したものでございます。
○田中委員 負担の公平だということをよくいわれるんですよね。ですけれども、そもそもこの乳幼児医療費の助成に限っては、二十三区では、ほとんどのところで就学前まで所得制限なしで完全実施、完全無料をしているんですよ。これでいえば不公平はないんですよ。そうじゃないですか。
その上、今度の自己負担の導入で、新たな多摩格差が生まれかねないという問題があります。二十三区では、現状でもほとんどの区が就学前まで無料です。それに比べて多摩は、多くのところが都と同じ水準にとどまっております。今度都が五歳未満児まで拡充したことによって、二十三区の多くの区では、今までの財源がむしろ助かる状況になるわけです。その財源を自己負担分の解消に使って、区民にしわ寄せをしないという、こういう動きもあることを聞いております。現に江戸川区では、都が入院食事代の自己負担を入れたとしても、今の無料制度を継続するといっております。
しかし、財政力の弱い多摩地域では、もともと都の制度がほとんどでありますから、入院食事代についても、市で肩がわりするのは難しい状況です。同じ都民なのに、また新たに多摩格差が生まれかねないということをどういうふうに考えておりますか。
○稲熊子ども家庭部長 この乳幼児医療費助成制度につきましては、一部負担は、特に入院時の食事代だけでございます。ある推計に基づけば、年額六百円程度、こういうことでございます。
それについて、区部と市部では格差が生ずるではないかということでございますが、それぞれの区市町村で施策の経緯がございます。その他の子ども家庭施策について、いろんな面での取り組み、創意工夫もやっております。したがいまして、そういう総合的な施策を組み合わせる中でどういう選択をされるかは、それぞれの区市町村の判断で行うべき課題かと考えております。
○田中委員 区市町村の判断で行うということですけれども、私たち同じ都民なんですよ。二十三区に住んでいようが三多摩に住んでいようが、同じ都民なんですね。で、受けられるサービスに、本来であれば差があってはならないと思うんですよ。だからこそ、多摩格差解消のために、東京都もこれまでしてきたわけじゃないですか。
そういうことで、これから新しく、一方では二十三区は六歳、就学前まで完全に無料、一方では東京都と同じ。で、また新たに格差が生まれかねないという、そういう問題なんですよ。本当に私は問題だと思うんですね。福祉局も、子育て世帯については負担感が重いといっているわけなんです。乳幼児を育てる若い世帯にとって、入院食事代といっても、軽い問題ではないのです。子どもが入院するという場合、親にとっては精神的にも肉体的にも大変な負担なんです。
渋谷区の母親から手紙をもらいました。入院は、ただでさえ親は心身ともに疲労。子どもの病状に加えて、毎日付き添うために、長男はおばあちゃんに見てもらうが、寂しさで不安定になり、そのフォローもしなければならない。医療費の助成制度は、そんな親に頑張れとエールを送ってくれているようなものだと。自己負担導入によって無料制度をなくしていくのはやめてください、こういう切実な願いを寄せてくれています。
またある方は、病気で目の前が真つ暗なところに……(発言する者あり)都民の声なんですよ。聞いてください。真っ暗なところに、お医者さんから、抵抗力がなくなっているので個室へ移ってくださいと、そういわれてダブルパンチを食らったようだったと。二、三カ月の入院といわれていたので何十万ものお金が必要だった。子どもの入院で自分が仕事を休まなければならなかったのはもちろんのこと、夫も休まなければならないこともあって、いつにも増して収入が減ってしまい、結局両親にお金の相談をしなければならなくなった。ずっと付き添いだったので、家に残った二人の子どもを預ける場所や、ふだんと違う生活のためにいろんなところでお金がかかり、本当に大変だった。病気のことだけで頭がいっぱいのところに、多額の入院代のことを考えて、本当に精神的に参ってしまったと。こういう声を寄せてくれたのです。
今度、子どもの入院食事代も必要になると聞き、病気の子どもを持つ親のつらさや大変さをこれ以上ふやさないでほしいと心から思うと、こういうファクスが来ているんですね。
続いていっているんです。決して子どもの、本人の食事代だけの負担で済むというものではないと思います。(「議事進行の動議」と呼び、その他発言する者あり)どうですか。どうですか。伺っていませんけど。
○村山参事 乳幼児医療費助成の今回の見直しに当たりましては、私どもといたしましては、所得階層にかかわりなく、入院時の食事代のみということにさせていただいておりまして、それに伴う負担額は、一人当たりの年額にいたしまして、余り入院のケースがございませんので、一人当たり年額六百円程度と私どもとしては試算しておりまして、ご指摘のようなご負担はなかろうかと、かように考えてございます。(「一日にしたら幾らだ」と呼ぶ者あり)二円にならないという感じでございます。
なお、区と市町村との関係につきましては、私どもとしては、都制度としてこのような今回の見直しをさせていただいたわけでございまして、それを区市町村がどのように受けとめて実施していくのかということについては、基本的には区市町村の自治の問題、かように考えてございます。
私どもとしては、今回の私どもの見直しの方針に沿ってぜひやっていただきたいというふうに考えてございますが、判断は、区市町村の自治の問題でございまして、(「介入したらいけないんだよ」と呼ぶ者あり)ご指摘のように、都が余りそういうような形で介入するのはいかがなものかと、かように考えているところでございます。
○曽根委員長 ちょっと速記をとめてください。
〔速記中止〕
○曽根委員長 では、速記を再開してください。
田中委員、続けてください。
○田中委員 本人の食事代だけということではないというのは、先ほどるる述べたように、本当にいえるというふうに思います。
しかも、入院の可能性という点では、二十一万人すベてが影響を受けるというわけで、より影響を受けやすい家庭が、アレルギーなどの慢性疾患の子どもを持つ家庭であります。入退院を繰り返すという家庭も少なくありません。そういう意味では、今回の見直しは、影響を受ける家庭に偏りが出る可能性もあります。と同時に、子育てに日常的に負担の多い家庭だという点で、より深刻であります。
三人の子供さんすべてがアレルギーを持っているというあるお母さんは、一年に一回は必ず入院をするのだと。入院すれば一週間から二週間程度、食事代だけだとしても五千円から一万円ということになる。この方の場合は、一度一日八千円の差額ベッド代を払った、大変だったということをおっしゃっておりまして、また、ふだんから、医療費だけではなく、米もみそもしょうゆもほとんどだめという状況だから、食費を中心にふだんより二倍から三倍程度の負担がかかってしまうということなわけです。
アレルギーの方は、今は一般的に多くいらっしゃるわけなんです。入院の食事代まで自己負担になるということになるわけなんです。こうした家庭がより負担がふえていくということについては、どうお考えでしょうか。
○稲熊子ども家庭部長 先ほど来お答えしておりますように、今回は、入院時の食事療養費のみを負担していただく、そういう改正内容でございます。(「幾らなんだ」と呼ぶ者あり)年間で、調査いたしますと六百円、こういう内容でございまして、二円ぐらいですか、そういうことでございまして、十分ご理解のいただける内容ではないか、そのように私どもは考えております。
○田中委員 平均でならせばそのようになるかもしれません。しかし、その人にとってみれば、一年に一回、一週間、二週間、現実にそういう入院をなさる方はいらっしゃるわけですよ。だからこそ、食事代を取るということになったのじゃないんですか。何にも必要ないんだったら、食事代取る必要ないじゃないですか。本当に問題だと思うんです。
私の地元の狛江市では、道一本隔てて世田谷なんです。今でも、同じ都民でありながら、世田谷に住んでいれば所得制限もなく就学前まで医療費が無料で受けられて、片や、道の狛江側に住んでいるということだけでいるということだけで所得制限があって、十二年度は六歳未満児まで引き上げるけれども、今は年齢も差があって、今度はそれに加えて、自己負担についても差が出る可能性があるわけです。
乳幼児医療費は、さきの一斉地方選挙でも、多くの議員が乳幼児医療費の助成について拡充をするというような公約を掲げて、市民も乳幼児医療費は拡充という、そういう要望を上げておりました。それで、その願いを受けて、今度は市長が、来年度六歳未満児まで年齢を引き上げることになりました。これはちなみに三多摩一であります。
就学前までの年齢の引き上げと所得制限の撤廃、これはむしろ拡充すべきというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○村山参事 先ほど、入院する人にとっては大変な負担であるというようなご指摘がありましたので、その点についてお答えいたします。
十年度実績で見ますと、一件当たりの平均入院日数は、乳幼児医療費助成の場合に、七・七日程度になってございまして、一日の食事療養費が、仮に七百六十円を支払っていただきますと、一回入院していただくと、五千九百円ちょっと下というような金額でございますので、お話しいただいたような非常に深刻な状況というような負担ではないのではないかというふうに考えてございます。
○稲熊子ども家庭部長 十二年度予算におきましては、ご案内のとおり、年齢拡大を、一歳拡大するということを、少子化対策の充実の立場から実施しております。ご案内のとおり、平成十年度におきましても、三歳未満から四歳未満へと一歳拡大してまいりました。そして、このたびさらに平成十二年度は一歳拡大し、五歳未満にするということで、四万名以上の方が新たにこの対象となるわけでございます。
そういったことでございますが、就学前ということにつきましては、今後、実施主体である区市町村と十分協議しながら検討していくべき課題である、このように認識をしております。
○田中委員 先ほど平均でいわれました。五千九百円だということなんですけれども、食事代については、その一人一人入院したときにかかるわけですね。
それと、あと、先ほどいいましたけれども、入院食事代だけではない、それ以後の経費というのはいっぱいかかるわけですよ。自分は働けない、さっきもいいましたけれども、もしかしたらだんなさんも休んで付き添いしなければいけない。食事代だって、一緒に食べられるのに、ばらばらに食べなきゃいけないと、本当にいろいろいろいろ負担がかかるわけです。それだけじゃないんですよ。そういうのがやっぱり子どもを持つ若いお母さん方の家庭の実態なんじゃないですか。
都は、乳幼児医療費について、少子化問題にとっても有効な制度と認めておりまして、都自身が国に制度の創設も求めているわけです。少子化の問題を本気で考えているのであれば、新たな自己負担を求めるべきではないし、ぜひ就学前までの引き上げを行い、むしろ所得制限を撤廃して、積極的に子育てを支援していくべきと要求して、次に移りたいと思います。
次に、請願について。
請願第八四号と第九九号、保育室への運営費についての請願について、何点か質問をさせていただきたいと思います。
この問題は、昨年の十一月二十六日の厚生委員会でも多くの会派から質疑があったところです。その場で共通して出されておりましたのは、今回の都の保育室への運営費助成の見直しによりまして運営が成り立たなくなるような、そういう事態は避けるべきだということと、区市町村とも十分に協議をして進めるべきだということがいわれたと思います。
稲熊子ども家庭部長は、この委員会で、区市町村から問題提起をされていますので、改めて協議の場で十分に実情をお聞きしながら、協議を区市町村としてまいりたいと思っていますというふうに答えられております。
そこで伺いますけれども、保育室の運営費について、区市町村との合意に至るまでの経緯とその内容について伺います。
○稲熊子ども家庭部長 昨年お答えした以降、私どもは、市町村並びに区と精力的に詰めてまいりました。そこではいろいろな意見のやりとりをしたわけでございますけれども、どういった内容でその方向を定めたかという結論の部分だけ申し上げますと、十二年度の取り扱いにつきましては、原則、補助方式は三歳未満児とする、補助方式は平成九年度改正の本則とするということで、それを十三年度から実施します、こういうふうにしてあります。当初、十二年度からというようなお話をしておりましたのを、協議の結果、十三年度からということにしております。
中身でございますが、さらに、補助基準額については、それぞれ在籍児童数に乗じた額と、零歳児加算額に零歳の在籍児童数を乗じた額の合計額の二分の一とする。ただし、区市町村の支出した経費が二分の一に満たない場合は、区市町村が支出した二分の一とする。さらに経過措置を、十二年度に限りまして、三歳未満児は、本則による算定と、零歳児在籍率四〇%モデルで比較いたしまして、その有利な方をとっていただく。そして、三歳以上児について、平成十一年度の補助単価で、これを十二年度に限り実施をする、こういうような合意を得るに至ったわけでございます。
○田中委員 十二年度は、実質的に経過措置を継続するという形で合意できたということです。しかし、これとても、十一年度と全く同じ受け入れ、もし保育室が十一年度と全く同じようにゼロ歳児を受け入れ、一歳児、二歳児、三歳児を受け入れたとしても、ゼロ歳児加算が、さっきお話がありましたけれども、現行制度の経過措置の中では、五五%とみなして掛けていたわけですから、それから四〇%に下がっているというわけですから、実質的にマイナスになってしまうというわけです。
しかも、お話にもありましたけれども、十二年度以降については、基本的には、もう何ら改善はされていないという状況です。仮にこの経過措置の一年間の期間に、ゼロ歳児の受け入れをふやしていくという園があったとしても、また来年、ゼロ歳児が定員枠だけ入ってくる保障があるかといえば、地域的な問題も当然あるわけですから、必ずしも保障はないといわざるを得ないと思うんです。
その一方で、三歳までは預かれたけれども、四歳になったとたんに預かれませんというわけには、やはり実際に日々保育をしている状況の中では、そういう状況にはいかないのが現状ではないでしょうか。
運営が立ち行かなくなるという、そういう、この場でも論議をしたわけですけれども、そういう基本的な問題点については解決されたのでしょうか。
○稲熊子ども家庭部長 いろんな形態がございまして、どのような形が運営が立ち行かないか、一概にいうことは極めて困難だと思います。入園する児童につきましても、年々歳々異なっておりますが、東京都といたしましては、基本的には、零歳児を中心とした低年齢児を積極的に受け入れていただく、そういうようなことをぜひともお願いする、こういうのが制度改正の趣旨でございます。
したがいまして、そういう制度改正の趣旨に従いまして、事業の実施主体であります区市町村も、またその園を経営する経営者の皆様においても、さまざまな創意工夫と努力を重ねてお願いしていく必要がある、このように考えております。
○田中委員 もともとの、ゼロ歳児が五五%というところでの加算の方式で考えますと、例えば二十人定員で十一人なわけですよね。これも十一月の厚生委員会でも質疑されたところですけれども、毎年十一人が、ゼロ歳が四月から埋まるかといったら、その保障というのは本当にないといわざるを得ないと思うんです。四月からと十月からを比べた場合に、四月のゼロ歳児の定員の率というのはすごく少ないわけですよね。入所している率が少ないわけです。十月になってやっと上がるという状況なわけですよね。
そういうことから考えても、子ども一人当たりについて、月々で計算するわけですから、そういう点からいっても、大変実情に合わないというふうに思います。
そして、それぞれのケースで違うからとおっしゃいましたけれども、例えば、ゼロ歳児の在籍率の低い保育室は、軒並み補助金の削減となってしまうのは明らかだと思うんです。東村山のモデルの試算でいいましても、三百八万円、現状からですけれども、減額になるということが、試算で明らかになっております。
改めて、こういう問題に対してどういうふうに対応していくのか伺います。
○稲熊子ども家庭部長 いろいろご質問がございました。私どもとしては、まずご理解いただきたいのは、この事業がなぜ区市町村を主体とする事業なのか、私どもは、あくまでその事業の実施主体であります区市町村に、いろいろなきめ細かな配慮をお願いしたい、そういう趣旨で、これを区市町村を実施主体とする補助事業としたわけでございます。
平成九年度改正は、そういった意味で、区市町村がきめ細かな配慮をこれまで以上にできるように、行うように、そういう趣旨でやっているわけでございます。十分区市町村においていろいろ創意工夫もされるべきだ、そのように考えております。
○田中委員 区市町村の多くは、財政難を理由として、独自の制度に着手するということはなかなか困難な状況です。実質的に都へ右へならえで進められていこうとしているのが、今の状況だと思うんです。
例えば、東村山市では、市の新規事業として、保育室に通わせている保護者に対する補助と施設維持のための予算を要求したんです。要求しましたけれども、財務査定で切られてしまった。実質的には、東村山ではやろうと思ったのだけれども、できなかった、こういうのが実態なんです。
だからこそ、市長会では、都の案を了承するとはいうものの、保育室の運営費助成事業の見直しに対して要望しているんです。どんな要望ですか。
○稲熊子ども家庭部長 協議の過程ではいろいろと意見のやりとりがございましたけれども、具体的な話での要望というものはございません。
○田中委員 ここに、厚生部会の協議の結果について、市長会の全体の要望として出されたものではないかもしれないんですけれども、厚生部会の協議結果の中で、保育室等運営助成制度の事業の見直しということで、いろいろ合意する旨が書いてあります。
その下に、なお、都においては、保育室が認可保育所を補完し、その機能を発揮していること、地域の多様な保育ニーズにこたえていることなどから、今後、保育室の安定的運営が図られるよう、実態に即した補助制度を検討するよう要望すると、こういうふうに書いてありますね。
これは、既に十二年度の協議をし、合意した後に、なおかつ都においては、実態に即した補助制度を検討してくださいと、こういうふうに要望しているんです。
それについて、改めて、この市長会の要望にどういうふうにこたえるのでしょうか。
既に合意した中においても、具体的に保育ニーズにこたえている、そういう保育室に対して、安定的な運営が図れるようにしてほしい、こういうことなんです。いかがでしょうか。
○村山参事 区市町村との連絡を担当しておりますので、私の方から答弁させていただきたいと思います。
今回の合意において、市長会の方から私どもの方に、そういう趣旨の要望が来たという事実はございません。
そういうような、今回のいろんな合意が成るに当たりましての経緯といたしましては、委員の先ほど来のご指摘ですと、あたかも私どもの保育室に対する助成額が切り下げられているというような印象を抱くようなご発言があるわけでございますけれども、実態といたしましては、九年度改正に比べましても、その後五億円ほどふえている、保育室一施設当たりでも年間二百万円の増加になっているというのがこの間の経過でございまして、これは九年度の改正によりまして、私どもがゼロ、一、二歳に重点を置いた補助制度として充実をした結果であると、かように考えているところでございまして、先ほど来のご指摘については、私どもとしては、この間の努力についての評価としてはやや遺憾であるというふうに申し上げたいと思います。
○田中委員 九年度から十一年度まで経過措置をしてきたわけです。それで、それ以降については新たに協議をするということになって、それでずっと市長会と協議をしてきたわけですね。それで、本来であれば、都側は都の再協議の再提案の中身で合意をしてほしかったわけなんですね。
しかし、現実的には、これでは立ち行かなくなるところが多いのだと。特に市部については、八割程度、統計によっては減額になってしまうところもあるというふうに計算されているわけなんです。
そういう意味からいって、本当に今までの保育室がやってきた無認可保育園を補完するというような役割から見て、じゃ、どうなんだというところで、そういう十二年度の一年継続ということになったのじゃないですか。そうだと思うんですね。
それ以降、じゃあ、十三年度はどうなるかということについても、何ら不安は解消されていないんですよ。だからこそこういうふうに、正式にではないかもしれないけれども、(発言する者あり)厚生部会ですよ、作り事じゃありません。書いてあります、ここに、厚生部会として要望しているわけなんです。
ということで、そういう意味では、市長会の要望にぜひこたえていただきたいというふうに、私は強く申し上げたいと思います。
いずれにしましても、保育室は、制度の発足当初から、なかなか認可保育所がふえない中で、いろんな形で、自主的な保育だとか、区市町村独自の施策が進められる中で補助をされてきた、そういう経過があるわけです。いうなれば、行政の不備を補って、しかも親のニーズに合ったきめ細かい対応をしてきたんですよ。
保育室というと、単に、認可が届かない施設、認可ができない施設というふうに思われるかもしれませんけれども、そうではないんですよね。ある意味で保育行政をリードしてきたという側面があるのではないでしょうか。歴史的な側面も含めて、延長保育だとか、緊急一時保育だとか、どれもまず親の要求から始まって、保育室が先導してやってきた部分なんです。
後から、これらのニーズがふえるに従って、行政の側も広げていった、そういう制度じゃないですか。現状として行政がなかなか対応できなかったり、時間がかかったりした部分を補ってきた、東京の保育行政の重要な一部分であるといえると思います。
今まで東京の保育需要の重要な受け皿だった保育室の運営が立ち行かなくなってしまうのでは、結局は、深刻化する待機児童数に拍車をかけるといわざるを得ない。同時に、即応性、柔軟性に富んだ保育室を、ゼロ歳児中心の低年齢児施設として限定することで、かえって、多様な保育ニーズに柔軟に対応できない、そういう弊害が生まれるのじゃないんでしょうか。
それぞれの施設の運営に支障のないように、また、保育を充実させることができるような補助制度の検討をお願いして、ですから、この請願の採択、これは、補助水準を上げること、三歳以上児に対する補助制度を存続させること、一、二歳児については現行の補助水準を維持すること、これはもっともなことだと思います。ぜひ採択をお願いする次第です。
次に、学童クラブについてお伺いいたします。
〔発言する者あり〕
○田中委員 学童保育について伺います。
これも請願についてですけれども、(発言する者あり)聞いています。
○曽根委員長 静粛にしてください。
○田中委員 小学校低学年の子どもを持つ共働き、母子、父子家庭にとって、安心して働き続けるためになくてはならない施設であります。国においてもその必要性が認められて、昨年、学童クラブが法制化をされました。働く母親がふえているという状況の中で、学童保育への入所を希望する児童は年々ふえ続けております。子どもたちの放課後の安全、健やかな成長を保障する学童クラブ、子育て支援という意味からも、ますます重要な役割を果たしていると思います。
そこで伺いますけれども、「福祉施策の新たな展開」の中で、学童クラブを充実させるというふうにされておりますけれども、どのように充実させるのでしょうか。
〔発言する者あり〕
○稲熊子ども家庭部長 福祉局の基本的な考え方につきましては、これまでもるる説明してございますが、「福祉施策の新たな展開」というところで、包括的に私どもは十分説明をさせていただいており、将来の方向についてもこれを明示しているというふうに考えております。
この個別具体的な学童クラブにつきましても(傍聴席にて発言する者あり)私どもとしましては、利用を希望するすべての児童が利用できるように補助対象クラブをふやしていく、そういった考えで積極的に取り組んでまいります。
○曽根委員長 傍聴人の方はご静粛にお願いします。
続けてください。
○田中委員 学童保育を希望しても、現状では、学童に入所できない子どもだとか待機児も生まれております。来年度では、特に足立区で、過去最高の二千九百五十人もの子どもが入所を希望して、そのうち、四十五室で五百二十四人が定員オーバーとなっているという状況です。大変な数だと思うんです。
区では、施設整備を四カ所程度、国の特別対策で分室を七カ所程度つくる予算はあるということですけれども、いずれにしましても、早急に手だてをとるための予算措置が必要だと思います。
希望しても入れない子どもの数は把握しているのでしょうか。
○稲熊子ども家庭部長 学童クラブの定員、登録児童数、待機児童数でございますが、少し細かくなりますけれども、学童クラブの定員が五万二千七百二十八人、登録児童数が四万六千七百五十五と、ここでは五千人ぐらいの開差があります。都の地域全体で見れば、あいているというのがあります。しかしながら、地域的なミスマッチ等がございまして、トータルでは、十年の四月一日現在というのが一番新しいものでございますが、千三百人強の待機児童がある、こういう状況でございます。
○田中委員 来年度の予算では、五クラブ補助対象を広げることになっているわけです。希望する子どもたち全員が入所できるために、今後どのような対策をとるのでしょうか。
○稲熊子ども家庭部長 今申し上げましたように、待機児童がなぜ生ずるのかについては、都の全域の定員等との開差でいえば、これはあきがあると。しかしながら、地域のミスマッチがあるというのが大きな原因だろうと思っております。
したがいまして、私どもも、待機児童は早期に解消する必要があるという認識のもとに、先ほど申し上げましたように、希望するすべての児童が利用できるように、事業の実施主体である区市町村に十分に働きかけてまいりたいと思っております。
都といたしましては、今後とも、利用を希望するすべての児童が学童クラブを利用できるように、必要な補助予算の確保に努め、そういった形で事業の実施主体である区市町村を応援してまいりたいと思っております。
○田中委員 ぜひ引き続きお願いしたいと思います。
都は、国の事業化に伴って、昨年、東京都の学童保育事業運営要綱を変更したわけですけれども、どういうふうに変わったのでしょうか。また、それによって、補助金の増加についてはあったのでしょうか。いかがでしょうか。
○稲熊子ども家庭部長 都の要綱につきましては、児童福祉法の改正によりまして、学童クラブの事業がそういった法内事業に盛り込まれた、そういう趣旨を踏まえて改正したものでございます。
具体的に申し上げますと、まず、開設時間でございますが、利用者のニーズに応じるために、従来の、おおむね五時までとしてあったものを、おおむね六時までというように改善してございます。さらに、利用対象児童についても、小学校低学年児童から拡大を図った、そういうところでございます。
さらには、保護者負担を前提とした制度といたしまして、事業を安定的に運営できるように、財源の充実を図っております。
補助金につきましては、国庫補助を導入いたしまして、全体としての補助金の充実を都としては図った、こういう状況でございます。
○田中委員 今ご説明があったように、保育時間、対象学年の延長、そして、有料化を条件としたということだというふうに伺いました。
しかし、国が補助事業を創設したから、それとかかわって充実したとおっしゃったようだと思うんですけれども、都については、それによって増加をしたのかというふうに伺いましたけれども、それについてはいかがでしょうか。都が、変わったことによってプラスの増加があったのかということなんですけれども。
○稲熊子ども家庭部長 先ほどお答えしましたように、補助金につきましては、国庫補助を導入して、全体として補助金の充実を図っております。当然、東京都の補助金についても充実を図っている、そういう内容でございます。
○田中委員 国の補助を取り込める制度とするということで、保育時間だとか対象学年の延長だとかをしたわけです。そして有料化も条件にしたわけです。いわゆる時間の延長だとか対象学年の延長だとかをした。だけれども、それについて職員の配置だとか、そういうことについてはお答えはありませんでしたけれども、基本的にはなかったということですので、職員の非常勤化だとかいうことで、かなり柔軟なといいますか、非常勤化が進んでいるというふうに伺っております。
子どもたちを取り巻く状況が複雑、深刻化している中で、これまで以上にきめ細かな対応が、やはり子どもたちに求められているというふうに思います。その時間だけの、はっきりとした責任のない非常勤体制の配置ではなくて、専任の指導員を配置することで、さまざまな子どもの状態に対応できる、そういう体制になると思います。ぜひそれが可能となる補助金の上乗せについて要望しておきたいと思います。
また、指導員の専門性は不可欠だというふうに思いますけれども、専門性の向上のために、研修制度はどういうものがあるのでしょうか。
○稲熊子ども家庭部長 先ほどの答弁、少し補足をさせていただきます。
非常勤、常勤をどのような仕組みでやるかについては、これはそれぞれの実施主体が考えるべきことで、非常勤であるから無責任だとか、あるいは内容が乏しいとか、そういうご批判は当たらないと私は考えております。
私どもの児童会館におきましても、多くの非常勤の職員に働いていただいております。大変多くの都民の方から、その指導内容について好評を得ております。
今お尋ねの専門的な研修でございますが、今述べましたように、東京都としましては、要綱を定めまして、平成十一年度からは、東京都の児童会館で指導員に対する研修を行った、こういう状況でございます。
○田中委員 ちょっと誤解を受けるようないい方をしたとすれば謝りたいと思うんですけれども、責任のないというのは、はっきりとした責任がないといったのは、時間で非常勤は区切られているわけですよね。で、現実的に子どもが来る時間の間全部を、学童クラブの専任の指導員として、きちっとその子どもたち全部を見ていくということがやはり求められてきているというふうに思うんですね。時間で区切られていると、どうしても、例えば遊んでいるときなどにけがした場合とか、いろいろとそれは対応によって、しっかりとした責任という点では、やはり専任の指導員というのがどうしても私は必要になってくるんだと思うんですね。
今の補助要綱ですと、二人の職員の配置ということで、常勤でも非常勤でもいいというような形になっているというふうに思いますので、そういう意味で、いろいろと本当に問題のある子というのは、ちょっとあれかもしれないですけれども、いろんな深刻化している子どもの状況の中で、やはりきちっと対応するという点での専門性なりそういう研修施設なり、そういうことも十分やっていただきたいというふうに思っております。
また、今までおやつ代だけだったわけですけれども、有料化も始まっております。多摩地域ではほとんどのところが有料化されておりますし、区部でも合計十一区が実施をしております。月五千円程度、年間にして三万六千円から四万八千円もの負担になっているわけです。この不況の中での負担増は、子育て家庭を圧迫するといわざるを得ないわけです。
それでは伺いますけれども、この有料化はどういう性格のものなのでしょうか。
○稲熊子ども家庭部長 保護者負担の必要性につきましては、これは、保育所で保育料を徴収していることとの整合性を確保する必要がある、それが一点目。二点目は、この基本になります国庫補助が、保護者負担を前提とした制度であること、そういったこととの整合性を確保する必要がある。三点目が、やはり特定の人に対するサービスであり、社会的な公平の観点から、やはりこれは一部負担が必要である。四点目は、そういったことを踏まえまして、事業の継続性、安定性の観点からも、それぞれ利用者の方の応分の負担はお願いをする、必要である、このように考えております。
○田中委員 この利用料の負担について、利用料は学童保育に還元されるというふうに説明している杉並区などのようなところもあるわけですけれども、この利用料について、育成料について、一般財源に編入するといっているような区もあるわけです。本当に有料化が学童保育事業に還元されるような保障があるかどうかというところでは、非常に疑問なわけなんです。
親の立場からしてみても、お金を出すということで、少しでも学童がよくなればという思いでいる人も多いはずなんですけれども、私の住んでいる調布でも、児童館併設の学童クラブで、学童クラブ独自の行事というのがなかなかできない状況にあるわけですけれども、学童クラブの子どもでない普通の児童と学童の子が一緒に過ごしているというのが実情なんです。そういった中で、なぜ育成料なのかという疑問が出てくるのも当然ではないかなというふうに思っております。
国の補助事業を取り込む状況から、育成料を込るということも、それも、国に合わせる必要も、本来なら全部あるという状況ではないと思うのですけれども、それをすべてのんでしまったというのが東京都の状況ではないかというふうに思いますし、それ自体としてもやはり考えをぜひしていただきたかったというふうに思っております。
少なくとも、育成料を徴収する以上、待機児の解消を含めて、学童保育事業がしっかりと充実するようにするべきだと考えております。
いずれにしても、放課後の子どもたちの豊かな発達と成長が保障される学童保育とするために、より一層の努力と、あわせて請願の趣旨を酌んで採択をしていただきますことを主張して、終わります。
〔発言する者あり〕
○田中委員 次に、条例の那古と宇佐美児童養護施設の廃止について伺います。
〔発言する者あり〕
○曽根委員長 ちょっと速記をとめてください。
〔速記中止〕
○曽根委員長 速記を始めてください。
休憩してちょっと理事会を開きますので……。
〔発言する者あり〕
○曽根委員長 休憩します。
午後三時八分休憩
午後三時三十一分開議
○曽根委員長 委員会を再開いたします。
まず、記者席の傍聴者について申し上げます。
記者席の傍聴については、一般傍聴者と同じ規則を適用することになっておりますが、記者席というのは、議会が特に認めた者のみが座れるという席でありますので、それなりの責任と自覚が伴うと思います。
先ほどの不規則発言については、規則としては一般傍聴者と同じ扱いなんですが、やはり重要な規則違反ということで、私から厳重に注意をしたいと、本人には自覚ある行動をお願いしたいというふうに思います。
それでは、質問を再開したいと思います。
○田中委員 次に、東京都児童福祉施設条例の一部を改正する条例、第九十二号議案について若干質疑をしたいと思います。
この条例は、児童福祉施設であります東京都那古学園及び東京都宇佐美児童学園を廃止するというものです。
児童虐待がこのところ大変ふえ続けているということです。十年度は、児童相談所に相談があった児童虐待に対しての相談は七百十四件ということで、平成六年度二百十七件から比べますと、三倍にふえております。また、まだ最終的に固まっているわけではないのですが、十一年度では、既に二月の段階で千二百一件という数字があります。十年の同月と比べますと、一八一%というように、一・八倍もの大変大きな増になっているということもいえると思います。
このような状況を反映して、現状では、児童養護施設は、今までのような父母と死別したり、保護者の監護を受けられない児童が多いというよりも、虐待を受けるなどの児童が大変ふえているというふうに聞いております。社会福祉協議会の調査によりますと、虐待を受けて入所をしている児童は、全国で二割、東京で六割という調査もあるというふうにも聞いております。
虐待問題は、事件が今になってふえているというよりも、以前からあった問題に、ようやく最近になって、告知義務などの問題があり、光が当たって、社会問題としてクローズアップされるようになってきたのが実態であると思います。潜在的には、まだまだ発見されていない問題があると見なければいけません。
虐待を含めて、家庭で暮らすことが困難になった子どもの受け入れ先として、九割以上が児童養護施設で、里親はわずかにすぎないという状況です。この状況では、今出されております児童養護施設の廃止問題は、慎重に検討されなければならないと思います。
そこで、最近の児童養護施設の入所児童の傾向について、児童虐待による保護などはふえているのかどうか、また、今後の傾向はどうなるとお考えなのか、伺いたいと思います。
○稲熊子ども家庭部長 虐待による保護につきましては、平成八年度四十七、九年度で六十一、十年度で七十一人と、若干の増加傾向にあるといえます。
今後の入所傾向につきましては、少子化の傾向と対応する部分もございますが、社会状況の変化などに影響を受ける、そういう実態もあることから、なかなか予測は難しい、そのように考えております。
○田中委員 では、最近五年間の児童養護施設全体の入所児童の実人数はいかがでしょうか。
○稲熊子ども家庭部長 平成八年から平成十二年三月までの入所実績でございます。平成八年が二千八百六十九と最も多く、その後、若干の増減を繰り返しながら、平成十二年で二千八百、こういう状況になってございます。
○田中委員 かつて三千人が入園しておりまして、それが二千八百人程度まで減ってきてはいるけれども、この二、三年は減りどまっているということがいわれました。
児童全体の人口がかなり減ってきているという中で見ますと、相対的には入園児はふえる傾向にあるといえるのではないでしょうか。かといって、里親は、この社会状況では、なかなかそういう方は多くはないということで、なかなか里親についてはふえていないというのが実態であると思います。
そこで、里親になっていただける方はふえているのでしょうか。いかがでしょうか。
○稲熊子ども家庭部長 横ばいの状況でございます。
○田中委員 今回提案されております東京都の那古学園及び宇佐美児童学園なんですけれども、この廃園についてはかなり前から準備されておりまして、宇佐美学園は、実態として休園状態にあるということです。那古学園も、この春高校卒業で他の施設への移転はわずかだと聞いております。
しかし、最近の子育て困難家庭問題の急速な社会問題化がありまして、虐待問題での自治体の対応が注目されているこういうときだけに、改めて慎重に検討する時間が必要ではないだろうかというふうに思います。
この二つの施設、廃止した場合には、次の用途は決まっているのでしょうか。
○稲熊子ども家庭部長 宇佐美につきましては、平成十二年度にこれを取り壊す予定にしております。那古学園については、現在、活用を検討しているところでございますが、現在のところ未定でございます。
○田中委員 二つとも次の用途は決まっていないという状況だと思います。
虐待問題を初めとして、児童養護施設の役割は、現在かなり注目されている状況だと思うんです。その中でも、四十七の民間施設ではなかなか受け入れ困難な児童を、この十二あります都立施設が受け入れてきたというふうに聞いております。
将来的には、こうした問題を、虐待の問題を未然に防ぎ、または防止していくというためにも、地域でのネットワークづくり、また子育て支援の施策を充実させることが、やはりかぎを握るのではないかというように思います。
しかし、現状は極めて深刻でありまして、当面この状況は続くと見なければいけないのではないでしょうか。それだけに、次の目的がまだはっきり決まっていないという中で、どうしても今廃園しなければならないという、そういう事情も今のところはないというふうに思われます。
そういう中で廃園を決定してしまうのは、大きな疑問が残るといわざるを得ません。ぜひ再検討をする必要があると考えますので、ぜひその意見を述べて、私の質問を終わらせていただきます。
○曽根委員長 この際、議事の都合によりおおむね十分間休憩いたします。
午後三時三十九分休憩
午後三時五十五分開議
○曽根委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○曽雌委員 一昨日の予算特別委員会の総括質疑に出させていただく機会がありまして、そこでも幾つか質問させていただきましたので、できるだけ簡潔に、要点をまとめてご質問していきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。
我が党は、社会経済状況の変化、いわば時代の要請に応じて施策の見直しをしていくということは必要であるという考え方を持っています。そして、その新しい時代に合った新しい福祉施策というものを展開をしていく、こういう時代に現在は差しかかっていると、このように基本的に認識をしているところでございます。
今回、私は、東京都が経済給付的事業を開始しました昭和四十年代以降、国の手当制度はどのように変わってきたのか、そして現在はどのようになっているのかということで資料の提出をお願いいたしまして、お手元の資料の1と2ということでまとめていただきました。
提出されました資料を見てみましても、改めて、障害者やひとり親家庭に対する所得保障というものが、四十年代以降今日まで大きく変化をしてきているということがわかるわけであります。
そこで、まず初めにお伺いしたい点でございますけれども、現在の制度のことでございますが、障害を持つ方に対して、現在、どの程度の年金や手当が支給をされているのか、東京都の手当も含めまして、障害の程度や、子どもの場合と大人の場合に分けて、わかりやすくご説明いただきたい点があります。
また、あわせて、これらの国の手当や年金は、昭和四十年代、東京都が独自に手当制度や医療費の助成制度を導入した当時とはどのように変わってきているのか、なかったのか、あるいは、あったとしても非常に不十分なものであったというふうに思いますけれども、この辺もあわせてご答弁をいただきたいと思います。
○村山参事 今お話しの厚生委員会資料で理事からご要求いただきましたのは、1と2でございまして、申しわけございませんが、ちょっとお開きいただければありがたいのでございますけれども、1の方で、障害者(児)に対する主な国の年金、手当制度、それから二ページのところで、ひとり親家庭についての制度が整理されてございまして、三、四ページで、2といたしまして、昭和四十年代の都の手当、医療費助成制度発足時以降における国の年金、手当及び医療保険制度の変遷という資料がございます。
その一番上の方の(1)、障害者(児)に対する年金、手当制度という表をごらんいただきたいのでございますが、これは四十年代から今日に至るまでの国制度、それから右側の方に、参考で、都制度で、成人と二十歳未満の子どもの場合とに分けまして、相当の重度と、それから重度、中度というような区分に沿って、どのように年金、手当制度が変遷してきたかを整理させていただいたものでございます。
見ていただきますと、例えば表側、左側のところの上から二番目に、昭和四十八年十月というのがございまして、東京都重度心身障害者手当発足とございます。ずっと右の方に見ていただきますと、重度心身障害者手当一万円というふうに書いてございます。これが重度手当の発足でございます。
この当時の国の手当の状況というふうに見ていただきますと、一目瞭然でございますけれども、障害基礎年金の七千五百円と、二十歳未満の特別児童扶養手当一級の六千五百円があるのみでございました。
そういう状況の中で、重度手当、それから、一番右側にございます都の児童育成手当の障害手当というふうなものが出てきたということでございまして、当時の国の障害者に対する年金、手当制度は、極めて不十分な状況にあったということがご理解いただけるかと存じます。
その後、ずっと変遷を経てまいりまして、昭和六十一年の四月に、左側のところに黒い丸が二つ、同じ年度に並んでございますが、この黒丸が、国制度に関係する制度改正でございまして、新年金制度の実施と、特別障害者手当、障害児福祉手当制度の発足ということになってございまして、障害基礎年金については、一万八千円から六万四千八百七十五円、それから、次の特別障害者手当の二万八百円と、この年度に国の手当制度、年金制度が大幅に充実をいたしました。
その結果、十年四月にあるような全体としての水準になっているわけでございまして、そういう中で、一番右側にある都制度といたしましては、心身障害者福祉手当の一万五千五百円、重度手当の六万円、児童育成手当の一万五千五百円があるということでございます。
その下に、実質伸び率という欄がございまして、そこに、例えば障害基礎年金でございますと、三・七倍という数字が書いてございます。これは、実際の倍率を物価の上昇率で割り返した実質の伸びでございまして、物価の分を除いても三・七倍になっている。それから障害基礎年金の二級では四・四倍になっているというような状況にございます。
これをお見取りいただきましても、この間、四十年代には極めて不十分な状態であった国の障害者(児)に対する年金、手当制度が、この間充実をしてきたという経過がお見取りいただけるのではなかろうかと存じます。
また、一番下のところに、(3)、医療保険制度という表をつけさせていただいておりますが、ここでも、例えば昭和五十年に高額療養費支給が全保険者において行われたのを初め、老人保健法における負担の問題、それから健康保険制度における被保険者本人に対する負担の導入、及びそれが一割から二割に上がったという平成九年の状況などを見ていただきましても、医療保険制度においてもいろいろな面でこの間改正が行われてきているというのが、これまでの経過でございます。
○曽雌委員 ご提出していただいた資料に基づいて今ご説明いただいたわけでございますけれども、参事のお話を簡単にというと失礼ですが、まとめさせていただきますと、昭和四十年代の国の制度は相当不十分であった。しかし、昭和六十一年の基礎年金というので大きな充実があって、その後、各種手当もそれぞれに充実をされてきましたと、こういうことでご説明があったというふうに受けとめておりますけれども、私は、社会経済状況が大きく変わってきたということも、一方では大きい要因ではないのかなというふうに思っております。
そういったことを踏まえて、今回なぜ見直しをすることになったのかということで、その理由について簡潔にお答えいただきたいと思います。
○村山参事 今ご指摘いただきましたように、東京都の福祉施策は、昭和四十年代に骨格ができまして、その後、基本的にはそれを維持する形で推移をしてまいりました。先ほどご答弁したような経緯で、国の年金、手当制度は、当時から比べますと格段に充実しているという状況もございます。また、今ご指摘いただきましたように、その間、高齢化が進み、また少子化の問題も非常に深刻になってきたというふうな状況もございました。医療保険制度についても変化をしてまいりました。この四月からは介護保険制度が導入されるというふうな状況の中で、これからの福祉の課題は、在宅サービスを中心とする福祉サービスの質と量というものを充実しなければならないというようなことに今直面しているというふうに認識をいたしております。
少子高齢化が進む中、あるいは税収の大幅な伸びを期待できない中で、これまで行ってきた東京都の独自の制度を見直すことなく、今要請されている各種施策を充実するのは困難であるということから、今回、福祉施策の見直しを、東京の福祉を今後全体として充実していくために行う必要があると考えたものでございます。
○曽雌委員 不十分な国の制度を前提に開始された東京都の独自の福祉施策、この表を見てもおわかりのとおり、東京都の制度である白丸がまず先行して、それを後を追うように黒い丸で印がついていますが、国の制度が充実をしてきたということがわかるわけでございますけれども、昭和四十年代には、当時の社会経済状況の中で、東京都が独自に手当の制度を導入するというような政策判断がなされてきました。
そして今は、現在の都民ニーズ、社会経済状況の変化を踏まえてその制度を見直していくんだという、こういう政策判断の論議を、都議会の第一回定例会で、各党がそれぞれで議論をしているわけでございます。
私は、今回の見直しは、低所得者層に対する配慮というものもかなりなされているというふうに思っております。そうしたことを考えたときに、限られた財源の中で、そして新しい時代に合わせて、都民の方たちの多様なニーズにどう福祉施策もこたえていくかということを考えたときには、今回の見直しというものは必要なものであったというふうに私は受けとめています。
それで、一部には、この見直しというのが突然出てきたとか、全くその議論がなされていないのじゃないかとかという意見があるようでございますけれども、これについても私も一度調べてみましたけれども、平成八年の十二月に東京都社会福祉審議会が中間答申を出されて、今後の東京の福祉のあり方をどうするかというふうなことの検討が始まったというふうに受けとめております。
その後、東京都の福祉施策研究会の中間のまとめであるだとか、また平成九年の九月には「東京都の福祉施策を考える」というものが発行されました。また十一年の六月には「東京都の福祉施策を考えるⅢ」、私たちはいわゆるグリーンペーパーといっていましたけれども、こういったものが発行されて、現在の東京都の福祉施策はどういうふうになっているのか、また、今後どのように推移をしていけばいいのか等について、都民に対していろいろな投げかけが行われてきたというふうに受けとめているわけでございます。
ですから、そうしたことを考えたときに、今回の見直しというものは、先ほど申し上げましたけれども、限られた財源の中で、新しい時代に合わせて、そして、どう都民のニーズにこたえていくか、こういう面での大事な福祉施策の展開ではないかというふうに思っておりますので、今後ぜひ、区市町村にもいろんな面で協力を仰がなければならない面があるわけでありますので、この点については十分区市町村とも協議をしながら、また区市町村を支援をしながら、都民の幅広いニーズにこたえていただけるように、この努力をぜひお願いしておきたいというふうに思っております。
次に、私は、子育て支援に関しまして、十二年度の予算の中に新たに実施をするというふうなことで検討されている施策についてお聞きしておきたいと思っておりますが、まず一つは、産褥期のヘルパー派遣事業の問題でございます。
この産褥期のヘルパー派遣事業は、厚生省が来年度から事業に乗り出すというふうに聞いておりますけれども、この産褥期ヘルパー派遣事業というものはどのような内容なのか、まずお答えいただきたいと思います。
○稲熊子ども家庭部長 産褥期ヘルパー派遣事業の概要でございます。
この事業の内容は、出産後間もないため、家事や育児が困難な家庭や、多胎の家庭、双子、三つ子、そういった家庭に対しまして、身の回りの世話や新生児のケア、育児等に対する助言、相談を行う保育士、看護婦、そういった方々を派遣をしてお手伝いする、そういった内容の事業でございます。
○曽雌委員 厚生省が、そういう動きの中で、来年度、いわゆる四月からこの事業をスタートさせようということで準備をしているわけでありますが、東京都の方も同じように、国の方の事業ですけれども、東京都の負担割合も当然あるのだと思いますけれども、国と連動してぜひこの産褥期のヘルパー派遣事業についてはスタートさせてほしいものと思っております。
この分については、十二年度予算の中で具体的にどのように考えられているのでしょうか。
○稲熊子ども家庭部長 子育て支援策として、国におきましては、十二年度から新規に事業を行います。
東京都におきましても、今般の福祉改革ビジョンに掲げる新規事業として、平成十二年度からこれを積極的に実施をしていきたい、そういうような考え方で対応してまいりたいと思っております。
○曽雌委員 新規事業として取り組んでいただくことについては、評価をさせていただきますけれども、利用対象者の方たちにとって、果たしてどれぐらいの自分たちの費用負担でこの産褥期ヘルパーの派遣をしていただけるものだろうかというのが、一番気になるところだというふうに思っています。
そういう面で、利用者の側に立った利用料等についても検討がなされなきゃならないと思っておりますが、このあたりについてはどのようなお考えを持っておりますでしょうか。
○稲熊子ども家庭部長 使いやすい制度にということが大切でございます。
少し細かくなりますけれども、補助基準は、半日約三千円ということでございます。さらに、低所得の層につきましては、住民税非課税世帯については無料、所得税非課税世帯は半日で五百円、そういったような低廉な料金になっております。
思うに、総じて民間のヘルパーの派遣よりも相当低廉な料金で利用ができるのではないか、そのように考えております。
○曽雌委員 今のご答弁の中で二つ確認させていただきますが、半日で三千円という場合、この半日というのは、私たち一般的に半日というのは、午前中の半日なのかなとか、午後の半日なのかなというとらえ方がありますけれども、例えば時間で何時間とかという考え方から半日というとらえ方をしておられるのかということが一つです。
もう一つ、民間のヘルパーよりも相当低廉な料金で云々ということで、今、部長からお話がありましたけれども、具体的に民間と比べてどうなのかということが、もう少しわかりやすくご説明いただけるでしょうか。
○稲熊子ども家庭部長 半日でと申し上げましたのは、四時間で三千円ということでございます。こういった場合に、民間のヘルパーの場合は、大体六千円程度、このように聞いております。
○曽雌委員 利用できる期間というのはどれぐらいを想定していますか。今お話があったように、半日、四時間で三千円というお金を払っていく限りにおいては、相当長く利用できるということでいくのか、それとも、期間として、出産をされてからどれぐらいとか決めておられるのかどうなのか、その辺はどうでしょうか。
○稲熊子ども家庭部長 回数でございますが、一カ月に十日間、多胎児の場合は、それとは別に一年間で十五日間、そういったような利用日数になってございます。
○曽雌委員 さらに、利用する側の立場に立ってお聞きしますと、利用者の方たちにより安心を与えるという観点から、派遣されてくるヘルパーさんが、どういう資格を持った人が来てくれるのかによって、やはりその安心度というのは違うのだと思いますけれども、この点についてはどのように考えておりますか。
○稲熊子ども家庭部長 この派遣されるヘルパーが、原則として区市町村に登録されておりまして、原則として保育士、看護婦、そういった資格の保有者を充てることとしております。そういったことからも安心して利用できることが挙げられるのではないかと思っております。
○曽雌委員 冒頭、部長から、出産後間もない家事や育児が困難な家庭や、多児の家庭に対してとありましたけれども、例えば双子のお子さんがいらっしゃるとか、もっとうれしいことに三つ子のお子さんがいらっしゃるとか、そうなった場合の費用負担というのは、やっぱり一人幾らで計算をしていく形になるのか、もしくはそうした双子とか三つ子のお子さんがいらっしゃるところについては、どういうふうな支援策を考えていただけるのか。
少子化ということを考えれば、一人よりも双子が生まれてくれればありがたいし、三つ子であればもっとうれしいことになるわけですが、その点はどういうふうに考えておられるでしょうか。
○稲熊子ども家庭部長 通常の場合と同様でございます。
○曽雌委員 そうすると、二人見てもらえば二人分払うということになりますね。
○稲熊子ども家庭部長 このヘルパー制度につきましては、世帯に対して派遣するものでございますので、お二人あるいは三人という場合にも、お一人で見てお手助けいただければ、同じということでございます。そういう意味でございます。
○曽雌委員 逆に、ヘルパーさんの立場になりますと、負担として、一人のお子さんを見る場合と、三人のお子さんを見る場合では違うじゃないですか。
だから、そういうことを、これからかもしれませんが、ぜひ詰めていただきたいんですよ。そうですよね、お願いする側にしてみると、一人当たりで計算されると、随分高いのじゃないですかと。だったら、逆にいえは、二人の場合は五割引きになるとか、値切っちゃ変ですけど、五割ぐらい値段が安くなるとかあってもいいし、逆の場合だったらどうなんだとかとなりますから、ひとつ双子さんだとか三つ子さんがいた場合はどうするかということについて、よく現状をとらえていただいて、まあ区市町村の事業だと思いますけれども、詰めていただいて、せっかくやっていただく事業だし、僕は、この事業は、たくさんの方たちにPRしていただくと、すごく助かる方は多いと思いますよ。
それだけにいいものにしていただきたいと思っていますので、その辺のご検討をお願いしたいのですが、どうでしょうか。
○稲熊子ども家庭部長 これから実施する事業でございますが、大変貴重なご提言と受けとめております。果たして、子どもが多い場合に、割り増しをするのか、あるいは割り落としをするのかとか、いろいろな論点があると思います。これから十分検討させていただきたいと考えております。
○曽雌委員 この項の質問の最後にしますが、事業実施主体は区市町村ということに当然なってくるのだと思いますけれども、事業開始に向けて、区市町村がやはり積極的に取り組んでいただかなければ、この事業は進まないと思います。国と東京都は、それぞれ補助金を出してやる事業だと思いますけれども、ぜひそういう面では、区市町村に対して働きかけをしていただきたいことが一つ。
それから、この制度がスタートするときに、いかに関係する方たちに周知徹底、PRといいますか、それをしていただくかということが非常に大事なことだと思うんですね。だから、こういうことであるならばといって安心して、例えば二人目のお子さんを出産しようという人が出てくると思うんです。
一般的には、初めてのお子さんですと、まだ自分で実家へ帰って出産されるとか、お父さん、お母さんのもとで産褥期を過ごすことはできるんですけど、自分に一人子どもさんがいらっしゃって、二人目とかになってくると、非常に苦しんでいる方もいらっしゃいますので、そういう面についてのPRもぜひご検討いただきたいと思いますが、以上二点、どうでしょうか。
○稲熊子ども家庭部長 区市町村等、お願いの働きかけとPRでございます。
十二年度は、子ども家庭施策に対してさまざまな新規あるいは拡充施策を進めてまいります。そういった中で、この事業につきましては、大変都民の皆様の期待の多い事業だと承知をしております。したがいまして、いろいろな機会をとらえまして区や市町村に働きかけてまいります。
それとあわせまして、PRにも、これまで以上の努力をもちましてPRに努めてまいりたい、そのように考えております。
○曽雌委員 次に、病後児保育事業について幾つかお聞きしておきたいと思っております。
大勢の子どもたちが集まっている保育所で、一人の子どもさんが風邪を引いたりなんかして、風邪が完治しないと、そのことによって他のお子さんたちに風邪が移ってしまう可能性が非常に高い。そういうことで、保育園に子どもさんを預けることができなくなる。そうすると、お母さんやお父さんは、仕事を休んでその子どもを自宅で見なければならない、こういう事態が出てきますね。
そういう面で、このいわゆる病後児保育事業というのが行われているわけでございますけれども、まず一点、現在、都内で、補助を受けて病後児保育事業を実施している区市町村は幾つあるのかということを、まずお聞きします。
○稲熊子ども家庭部長 病後児の保育事業です。正式の事業名を申し上げますと、これは、乳幼児健康支援一時預かり事業、こういう名前でございます。
十一年度現在、都内では、一区四市の合計五カ所で実施しておりますが、いずれも、これは保育所以外の乳児院及び診療所において実施をされている、そういう内容でございます。
○曽雌委員 病後児保育のニーズは非常に高いというふうに思いますけれども、しかし、実際には、今ご回答ありましたけれども、都内の中では、十一年度現在で、二十三区の中でやっているのは一つの区しかないし、また、市でも四カ所しかないということであります。非常にその数が少ないと、結局は、自宅から遠く離れたところまでその子どもさんを連れていかなきゃならないということになるので、非常に困ってしまう。
もっと身近なところにたくさんできないのだろうかというのが、お母さんやお父さん方の願いではないかと思っておりますけれども、東京都は、この病後児保育について、事業そのものを充実させていかなきゃならないと思いますが、この点についてはどのような計画を持っておりますでしょうか。
○稲熊子ども家庭部長 この事業につきましては、今後とも拡充強化していかなければならない、そういったふうに考えています。
この事業につきましては、平成十一年度から、看護婦等を派遣して児童の自宅などで行う新たな方式が、補助事業の対象となりました。
加えて、この十二年度からは、保育所での実施が可能となりました。今通っている保育所でこういった病後児保育が行われる、そういったような方式に改められるわけでございます。したがいまして、この事業を実施する区市町村はふえていくものと、そういうふうに期待をしております。
都といたしましても、子育て支援策としてニーズが大変高いこの事業の拡充を、福祉改革ビジョンの中にも掲げておりまして、十二年度予算では、保育所での実施を含めまして二十カ所での実施を目指していきたい、そのように考えております。
○曽雌委員 今十二年度の予算では二十カ所ということで予定が出ていましたけれども、具体的に手が上がっているところはどの程度あるのか、もしわかるようでしたらば、その数だけ教えてください。
もう一つは、預かっていただく期間はどの程度なのかということと、それから、利用者の負担についてはどのような考え方になっているのか、あわせてお願いします。
○稲熊子ども家庭部長 まず、実施を予定している区市でございますが、十区市で十一カ所、今予定をされていると聞いております。
それから、預かる日数でございます。病気の場合もございますし、また、けがの場合もございますので、一概に何日というふうには定めておりません。一週間とか二週間程度というようなことかなと思っております。
さらに、利用者負担の額につきましては、幾つかの状況によりまして分かれておりまして、生活保護法による被保護世帯とか、市町村民税の非課税世帯につきましてはゼロと、それから所得税の非課税世帯は千円、それから所得税の課税世帯は二千円、こういったような形で今のところ整理をされております。
○曽雌委員 冒頭申し上げましたけれども、いわゆる乳児院とか診療所で今までは病後児保育が行われていたものが、今回、保育所でできるようになったと。しかし、冒頭申し上げたお話のように、風邪を引いたとかいろいろな病気になったときに、ほかの子どもさんにうつさないようにしなきゃならないということになるとするならば、保育所での実施が可能になったとしても、この病後児保育というものを進めていくためには、園児の感染というものにはやはり注意を払わなければならない。
そのために、一定の施設整備というものをやっていかなければ、保育所としては病後児保育を実施できないということになるわけでございますけれども、この病後児保育を促進していくためには、そうした施設整備に対する補助というものも考えていかなければ進まないのではないかと思っておりますが、この点について、東京都の考えはどのようになっておりますか。
○稲熊子ども家庭部長 ご指摘のとおり、園児への感染等を避けることは大変重要だと考えております。これまで、国の保育所施設整備の補助対象に、実はこの乳幼児健康支援一時預かり事業に関する整備はなっておりませんでした。これが十二年度からは、この施設整備の補助の対象になりましたので、こういった補助を積極的に取り入れて対応してまいりたい、このように考えております。
○曽雌委員 先ほど部長の方から、私が預かり期間を聞きましたときに、親が病気のときもというお話が出たので、確認しておきますけれども、一般的には、病後児保育というのは、保育園に行っているお子さんが病気になったときとありますけれども、確かに部長がいわれるように、子どもは元気であっても、逆にその親が病気であったり、また、産後の体調不良のためになかなか育児や家事が思うようにできない、支障が出ているという家庭もあるわけであります。核家族化が進んでいれば、ましてやそういった問題が現場では起きてしまっていますけれども、こういう場合は、ヘルパーさんの派遣というのは可能なのでしょうか。
○稲熊子ども家庭部長 ご指摘のとおり、保護者が病気になった家庭につきましては、これは訪問型で対応が可能でございます。
○曽雌委員 先ほど施設整備の補助のお話をしましたけれども、今回、福祉局の方で、福祉改革をしていくに当たって、新たな包括補助制度というものをつくっているわけですね。この中に、いわゆる病後児保育に関する施設整備というものを対象として加えて、そのことによって病後児保育の実施箇所がふえてくる、事業が拡大される、こういう状況に持っていくべきではないかというふうに思いますけれども、この点についてはどうでしょうか。
○村山参事 包括補助制度は、サービスの提供を担う区市町村が、福祉サービスの質、量の向上に主体的に取り組んでいただくことで福祉改革を前進させようというものでございます。したがいまして、区市町村が、地域の実情に応じて主体的にいろいろ創意工夫を発揮できるような仕組みにしたい、このように考えてございます。
予算案の発表以後、区市町村の中からは、こういう事業をやりたいという声もいろいろ私どものところに寄せられているのが現状でございまして、現在、区市町村のそういった意向を伺いながら、補助の枠組みといいましょうか、補助対象も含めた中身を固めるべく準備を急いでいるところでございます。
今後、早急に区市町村とよく相談しながら、住民ニーズにしっかりこたえられるような事業について実施できるように努力してまいります。
○曽雌委員 次に、福祉のまちづくりについて、三点ほどお聞きしておきたいと思っております。
既に皆さんご案内のとおり、高齢者身体障害者の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律案、いわゆる交通バリアフリー法案といっていますけれども、この法案によりますと、公共交通事業者には、既存駅にエレベーターであるとかエスカレーター等を設置するということが努力義務だということで課せられることになっているわけでございます。また、国や地方公共団体には、移動の円滑化を促進するための必要な措置を講じなければならない、このようにこの法律案の中では明記をされております。
東京都では、今日まで、鉄道駅エレベーター等整備事業ということで、既存駅のバリアフリー化に取り組んでいただいているわけでございますけれども、これは、私は、今、国の方で交通バリアフリー法案が出ていますが、この法案そのものを、逆に東京都はもう先取りをしていたと、こういうふうに胸を張っていただいてもいいのではないかと思っております。
今後、これらについてはどのように展開なされていくのか、お伺いしたいと思います。
○河津地域福祉推進部長 ただいま先生のお話にございましたように、国も、そういうことで来年度は三十三億ほど予算を組んでいるわけでございますが、東京都では先取りをいたしまして、鉄道駅エレベーター等整備事業、これを平成八年度から開始をしてまいりました。駅にエレベーター等を整備する鉄道事業者に対しまして、区市町村と共同して助成を行ってまいりまして、福祉のまちづくりを推進してまいりました。この事業によりまして、平成十一年度までに五十駅の整備が完了する予定でございます。
さらに今後、十二年度は十八駅の予定でございますが、十六年度までにおおむね五十駅ほどこの都の整備事業によって促進されますと、全体の東京都内の駅が約六百四十でございますので、そのうちの四百二十ほどになろうかと思います。そんなことで、三駅のうちの二駅に設置される、それを目標にいたしまして整備を進めてまいりたいと存じます。
○曽雌委員 十六年度までに、六百四十駅のうちの四百二十駅に設置することを目標にするということですから、これはかなり進んでいかれるなというふうに思っています。これができますと、もう十分おわかりのように、高齢者や障害者にとっては大変にうれしいことでありますし、町へ出ていきやすくなるわけでありますので、待ち遠しい事業になってくると思っております。
しかし一方では、これを進めていくためには、地元の区市町村とか、または鉄道事業者というんですか、こうしたところの協力がなければできないということになると思っておりますので、そこのポイントを、十分おわかりだと思いますけれども、東京都の方として、待っているのではなくて、やっぱり目標に向けて都はつくっていくのだ、設置をしていくんだという、こういう攻めていくといいますか、そういう攻撃をしていくぐらいの姿勢で、それぞれの区市なり鉄道事業者に働きかけをしていただいて、エレベーター等の設置を促進をしていただきたいというふうに思っております。
二つ目の質問ですが、鉄道駅のバリアフリー化は次第に進んでいくというふうに考えておりますけれども、高齢者や障害者を初め、すべての都民にとって身近な交通機関であるものは、バスであったり、またタクシー、こういったものだというふうに思っております。
それでは、そうしたバスやタクシーのバリアフリー化というものも一方進めていかなければならないわけでありますけれども、だれにでも乗りやすいノンステップバスや、車いす利用者を初め、だれもが利用できるリフトつきのタクシー、こうしたものの整備が今求められておりますけれども、この点についてはどのように取り組んでいかれるおつもりでしょうか。
○河津地域福祉推進部長 駅のバリアフリー化の次にと申しましょうか、移動手段をどうするかということで、先生からお尋ねがございました。
都では、ノンステップバスを導入する民間バス事業者に助成をしておりまして、平成十二年度には百四十両を導入する予定でございます。今後、平成十六年度までにすべての路線に一両、合計一千両を補助してまいるつもりです。これは、バス全体では三千両走っておりますので、三分の一がこのようにノンステップバスということになるわけでございます。
また、新たに平成十二年度から、だれもが利用できるユニバーサルスタイルのリフトつきタクシー、これの緊急整備事業を開始いたしまして、移動手段の充実及び多様化を図ることができると考えております。平成十二年度には、都が単独で百二十両を整備する予定でございますが、十一年度にも国庫補助で三十二両やっておりますので、これを合わせますと、全体では五万五千台ぐらい走っていますので、これまで走っているものと合わせますと、一%ですけれども、これまでと比べると相当推進されるというふうに考えております。
○曽雌委員 確かにノンステップバスも、最初私たちがノンステップバスを見たのは、新宿の西口から都庁へ来る間に低床バスが走り出したって、わあ、すごいバスが来たなと思って見ていましたけれども、最近では本当によく見るようになりました。ですから、このノンステップバスも、東京都のいろいろな応援の中で随分台数がふえてきたなということを、町の中でも私たちは感じられるようになってきたのですが、そういう面では高齢者や障害者も非常に待っておりますので、この点もぜひ計画どおりに進めていただきたいというふうに思っております。
この問題の最後になりますが、高齢者や障害者等が自由に外出をしていくことができるようになる、社会参加が容易になってくる、こういうまちをつくっていこう、そのために、鉄道の駅舎や交通機関のバリアフリー化を進めていく、これはもう大事な東京都政の重要施策の一つだというふうに思っております。
しかし、実際には、駅舎等のバリアフリー化がなされていても、そのことを都民が知らないでいるということになってしまうと、せっかくできたものが十分に活用されないという問題が起きてしまうわけであります。
そこで、都としては、都民の皆様方に対して、バリアフリー化の状況はこのようになっていますよということを、やはり何らかの形で情報提供し、そして、たくさんの方たちにまた活用していただける、そういう体制を組むべきではないかと思っておりますが、この点はいかがでしょうか。
○河津地域福祉推進部長 東京都では、平成十二年度に、新たな事業といたしまして、都内の主要なターミナル駅を調査いたします。ターミナル駅とその周辺の駅ビルとか広場とか、その一帯となったところを全部調査をいたしまして、どこにエレベーターとかエスカレーターがついているか、あるいはどこに車いす対応のトイレがあるか、あるいは聴覚障害者用の電話が設置されているかといったようなことを調査いたしまして、いわゆる福祉ガイドマップというものを作成いたします。
これは、印刷物としてまとめるだけではなくて、インターネット等で流すわけでございますが、その事業のほかにも、現にさまざまな団体がつくっておりますさまざまな情報がございますので、どういう団体がどういう情報をつくっているか、どこに問い合わせればいいかといったものもわかるようにいたしまして、情報をさらに普及が図れるようにしたいと思っております。
そういうことで都民の利便性の向上にこれからも努めてまいります。
○曽雌委員 確かに、駅があって、新宿なら新宿の駅一つ例にとっても、長いホームがあって、そこに何カ所も出口がある。出口があるところすべてに例えばエレベーターがついているとかであれば、障害を持った方たち、高齢者の方たちもわかりやすいのですけれども、なかなかそうではないわけですよね。そうしますと、やはりどこにあるかわからなければ、利用ができないということになってしまいますから、今、部長がおっしゃったような形で広く周知できる方法を考えていただければ、また障害者や高齢者の方たちも町に出やすくなりますし、社会参加もしやすくなると思っていますので、ぜひお願いしたいと思っております。
最後に伺いたいのは、児童虐待の問題について幾つか確認をしておきたいと思っております。
先般の予算特別委員会の総括質疑の中で、児童虐待の問題をお聞きいたしましたけれども、虐待の相談件数が、十年度で七百十四件、平成六年度と比べて三倍以上増加をしておりますということでご答弁がありました。
その後、詳しく伺いたいのですが、虐待の件数、また死に至ったケースはどれぐらいあったのかというのは、おわかりになりますでしょうか。
○稲熊子ども家庭部長 虐待に関する相談件数の推移でございます。平成九年度は五百八十二件、平成十年度が七百十四件、そして、十一年度はまだ終わっておりませんけれども、一千二百件を超えている、そういう状況にあります。
この中で、死に至ったケースというのはございません。
○曽雌委員 虐待への対応というのは非常に難しい。知事も答弁の中でいっておりましたけれども、みんなの見えるところで虐待が行われているのじゃない。そうですね。そうであれば、周りにいると注意もできるのですけれども、見えないところで虐待というのが起きてしまっているというふうなことが非常に困難を極めているということで、知事からもご答弁があったのですが、そのほかに、虐待への対応というのが非常に困難を極めている理由、なぜそうなのかということについて、お答えいただきたいと思います。
○稲熊子ども家庭部長 困難な理由でございますけれども、今ご指摘のように、隣近所の関心が大変薄くなってきている、そういう状況の中で、この虐待が家庭の中で行われるためになかなか発見が困難であるということが一点目でございます。
さらには、虐待の事実を認めない保護者、こういうことが多うございます。これはしつけであるということで、虐待ではない、そういうことでなかなかそれを認めないといいます。そして、私ども児童相談所の職員が内容をお聞きするために中に入ってお話をお伺いしようとした場合に、立ち入りを拒否する、そういったような現実がございます。そういったことから、なかなか対応を困難にしております。
○曽雌委員 父親がしつけだと思って、しつけのつもりでいろいろと子どもをしかっている。それが暴力になってしまっている。また、自分の子ども、我が子を愛することができないそういう母親がいる。そういう中にあって、小さな命は傷つけられたり、また、今は、東京都の場合には幸い死亡はないというふうなお話だったようですけれども、死に至るケースも全国では何件か起きてしまっているわけでございます。
それだけに、この児童虐待の問題というのは、従来にも増してしっかりとした取り組みを東京都の福祉局としてもやっていただかなきゃならない大事な時期に来ているというふうに私は思っておりますが、児童相談センターに虐待を担当する専管組織を設置していく方向で検討するということで、予特ではご答弁をいただいておりますけれども、この点について、もう少し具体的に、どういうことを考えておられるのか、ご説明をいただきたいと思っております。
○稲熊子ども家庭部長 先ほど説明申し上げましたように、児童虐待の件数が大変な勢いで増加をしておりまして、今後とも増加の傾向にあるのではないか、そういうように推測をしております。
そういう中にありまして、現行の地域の児童相談所では、即時対応、あるいは先ほど申し上げた困難なケース、そういった部分では必ずしも十分ではない、そういう状況が一方にはございます。そういった意味で、児童虐待への対応を強化するため、児童相談センターに専門的な組織を設置するという内容でございます。
この専門的な組織においては、先ほど申しましたような迅速な対応を図る、困難なケースへ対応を図る、そして、保護者の意に反した子どもについても積極的に一時保護をしていく。そして、児童養護施設等への入所措置といったことで、親がそれについて反対するという場合につきましても、積極的に家庭裁判所への申し立てなどを行いまして、こういった問題の解決を一層充実していく、こういったような内容でございます。
○曽雌委員 今の専管組織をつくる理由というか、わけというか、こういう目的で専管組織をつくりたいということのご説明だったのかと思っていますが、それとあわせて、要するに、具体的に児童相談センターの中にどういうふうにするのかということが気になっているんですね。
例えば、どんな体制で専管組織をつくろうとしているのか、そこにはどういうふうに職員が配置をされていくのかとか、またはどんな仕事をしてくれるのかということが気になっています。
よく今、虐待のことがいわれている中にあって、中心的役割を果たしているのは児童相談所、児童相談センターだ。そこにいろんなことがあって相談に行ったときに、それを受けてくれる職員の方たちの認識不足とかーー失礼ですけれども、また内容の把握がしっかりできていないと、そこで誤った判断をしてしまったことによって取り返しのつかないことになってしまうということがままあるわけですよね。
そういう面で、この児童センター等でしっかりと体制をつくってもらいたいということでお願いしているわけでありますが、体制であるとか、そこでどんな仕事を具体的にやろうとしているのか、そのあたりは煮詰まっているんでしょうか。
○稲熊子ども家庭部長 これからつくる新しい組織でございます。組織の概要でございますが、まず課長級をキャップにいたしまして、それに児童福祉士を七名、こういうような体制を考えています。
こういった体制のもとに、土曜日や夜間、それから休日にも積極的に対応する、それも即時対応をやっていく、そういうような体制を考えております。
業務内容につきましては、児童相談所の例えば立入調査でございますが、警察等とも十分に協力を得ながら立入調査を行い、必要に応じて一次保護を行う。そして、先ほどちょっと申し上げましたが、児童養護施設等への入所措置、そういった場合につきましても、家庭裁判所へ申し立てを積極的に行うということと、さらには地域への啓発活動、あるいはいろいろな事例研究とかマニュアルを作成いたしまして、児童相談所のこれまで以上の専門性の強化も図る、そういう役割もこの組織に持たせていきたい、そのように考えております。
○曽雌委員 地域の児童相談所との関係はどんなふうになりますか。
あわせて、地域の児童相談所の強化というものを考えていかなければならないと思っていますが、このあたりはいかがでしょうか。
○稲熊子ども家庭部長 まず、地域の児童相談所との関係でございます。これは、基本的にはこの特別対策を担当するセクションは、地域の児童相談所の要請によりましてまず動いていこう、そして共同で対応していこう。二系統ございますので、共同でやっていこう、こういうように考えております。
そして、個別具体的な措置などの決定は、やはりアフターケア等もありますので、地域の児童相談所の権限でやっていく。そういった、ある意味では地域の児童相談所のバックアップ体制として機能していく、そういうところに一つの眼目があります。
さらに、もう一点の地域児童相談所の強化、各地域にございます児相でございますが、十二年度からは虐待対応協力員といったものを設置いたしまして、これまで以上に地域のネットワークの強化をしてまいります。さらには、その虐待の当事者でありました母親等のアフターケアといったものを充実しています。さらには、土曜開庁等も進めることによりまして、これまで以上に積極的な対応を進めていく、このように考えております。
○曽雌委員 地域児童相談所については、今のお話で土曜の開庁も考えているということでありますけれども、そうなりますと、地域の児童相談所の要請によって児童相談センターの専管組織が対応するということであるならば、こちらの方の児童相談センターについても土曜日は開いているということになりますか。
○稲熊子ども家庭部長 そのとおりでございます。
○曽雌委員 最後にします。
ちょっと勉強不足でわからないんですが、もしあったらそのようにいってもらいたいんですが、例えば地域児童相談所と児童相談センターとの間をつなぐ電話でのホットラインみたいなものができ上がっていますか。一本電話することによってすぐつながる、緊急にすぐに対応できるという体制があるのかどうかということが一つ。
それから、児童虐待が行われているんではないかということで相談をしたいといった人が、電話をかけたときに一々交換に回されて、なかなか相談すべき人のところに電話がつながらないとか、そういうことがあったりしてはいけないわけですので、例えば相談専用の電話を設置してそれを広く周知をしておいて、そこへお電話をしていただければ、それがつながって、しかるべく対応がぱっとできるとか、そういうところまで考えていってもいいのではないかと思っておりますが、この点についてのお考えを聞いて、質問を終わりたいと思います。
○稲熊子ども家庭部長 現時点におきましては、児童相談所との間のホットラインはございません。今後の検討課題だと思っております。
それから、専門のラインにつきましては、今いろいろな相談の電話がございます。そういうものを活用して、直ちに交換等を通さないで対応できるような形を考えてまいります。
○土屋委員 先ほど委員長からもお話がありましたので、質問は簡単明瞭にするようにいたします。
社会福祉事業団についてご質問したいんですが、平成十一年度において、既に都立の障害者福祉施設を管理運営委託していまして、私の調査だと、千二百三十人の職員定数を削減しているはずです。また、平成十二年度では、児童養護施設を同様な方法で二百九十六名の職員定数を削減するようですけれども、これを合計しますと、千五百二十六人の定数削減で、形の上だけ見ますと、何かリストラが進んでいるように見えるんですけれども、実際はそうではない。形とは逆に、税金が削減できているかとーー収支ですね、削減できているかというと、そうではないと思うんですね。
それで、税金のむだ遣いをなくして税金の有効活用を図るという本当の経営改革を推進すべきという観点から、社会福祉事業団への管理運営委託を例に挙げてーー例ですから、たくさんこういうのはあるわけですから、幾つかの質問をさせていただきます。
まず第一番目に、障害者福祉施設や児童養護施設などをなぜ管理運営委託としたのかをご説明いただきたいと思います。
○押切総務部長 都立の福祉施設は、全国に先駆けて最重度の知的障害者を受け入れるなど、専門性、先駆性の面で十分その役割を果たしてまいりました。都立の施設は、現在でも専門性という面では一定の役割を果たしておりますが、例えば、利用者処遇の面で画一的ではないか、また施設内完結の運営にとどまっていて、地域に開かれていないのではないかといった問題点の指摘もございました。
今後、福祉施設にありましても、その蓄積した専門性を活用して、区市町村や民間施設などの取り組みを先導したり、その機能を地域サービスの展開に提供していくことが重要になってまいります。
そのために、従来の都立施設の都営の運営形態では必ずしも十分ではない、時代の変化に対応できるように、これまで以上に柔軟で弾力的な運営が求められているというように認識しております。
こうした点を踏まえまして、一つは、柔軟で弾力的な運営や経済的な効果などを考慮した効率的な運営を図ること、また、サービスの質の一層の向上を図ること、さらには、施設機能を活用した地域サービスの推進を図ることなどを目的に、平成十年六月に社会福祉事業団を設立し、同年七月に都立施設の管理運営を委託したところでございます。
○土屋委員 幾つか理由を説明していただいたんですが、その中には、経営的な改善を図るということも大きな理由として含まれていると思うんですね。
事業団に委託する直前の職員の配置状況について、平成十年度における障害者福祉施設の職員定数、そして、当時実際に従事していた施設職員の実数及び過員ーーつまり過剰人員と、平成十一年度における児童養護施設の職員定数、現在実際に従事している施設職員の数、そして過員はそれぞれ何名か、教えてください。
○押切総務部長 まず、平成十年度の障害者福祉施設の職員定数は、千三百九十八人です。現に勤務していた職員は千四百七十七人で、七十九人が定数を超えて配置されておりました。
また、平成十一年度の児童養護施設の職員定数は、今年度末で廃止を予定しております那古学園を除き三百四十八人、現在これらの施設に勤務している職員数は三百七十七人でございまして、二十九人が定数を超えて配置されておりました。
なお、こうした過員は、妊娠、出産に伴い夜勤のローテーション勤務を外れる女性職員について、その代替職員を配置する必要などにより生じておりました。
○土屋委員 理由はともあれ、百人ちょっとの人が過員だということになるわけですね。
そうすると、このような過員は、いつまでにどのような方法で具体的に解消する計画があるんでしょうか。
○押切総務部長 事業団委託に当たりましては、柔軟で効率的な運営への改善を図ることとしておりまして、委託前の定数によるのではなく、配置基準を見直すことや業務の見直しを行っております。
産休等の代替のための過員をなくすため、産休等代替につきましては、正規職員ではなく非常勤職員により対応することとし、また、委託前の過員や新たな配置基準を超える職員につきましては、退職者の後任の不補充、異動による転出などによりまして解消を図ってきております。
十一年四月に委託した障害者福祉施設につきましては、十二年度の人員を千三百三十三人と予定しておりまして、十年度の定数千三百九十八人と比べると、六十五人下回っております。
また、この四月に委託する児童養護施設につきましても、経過措置後の十三年度の職員数は、委託前の定数を下回るものとすることを予定しております。
さらに、障害、児童、それぞれの施設につきまして、委託後二年間で新たな配置基準に合わせた人員を行えるよう、職員の削減に努めてまいります。
○土屋委員 配置基準の見直しと業務の見直しというのは二つの柱だと思いますので、それをいつまでにやるのかよくわからないんですけれども、ぜひそれは至急、検討をしていないなら始めてください。やっぱり目標を定めてやらないと、なかなかこういう削減は行われないと思いますね。
四番目に、障害者福祉施設の措置費、総支出額、一般財源の充当額と総支出額に占める割合は、事業団に委託する前の平成十年度決算ではどのような状況であったかを教えていただきたいと思います。
○押切総務部長 障害者福祉施設の措置費、総支出額、一般財源充当額と総支出額に占める割合でございますが、まず平成十年度決算での障害者施設の措置費は四十三億円、総支出額は百七十五億円、一般財源充当額は百三十六億円で、総支出額に対する一般財源充当率は七七・七%でございます。
なお、平成十年度歳出額における人件費分は、施設ごとの決算値が出ていないために、推計値となっております。
○土屋委員 本当は、施設ごとの人件費が決算値が出ていないこと自体、私はすごい不可思議なんですけれども、出ていないというなら仕方ないんですけれども……。
次に、障害者福祉施設を事業団に委託した後の平成十一年度決算見込みでは、一般財源充当額と総支出額に占める割合はどのように改善される見込みなのか、教えてください。
○押切総務部長 二月末時点での十一年度決算見込みでございますが、事業団委託、障害者施設に関する総支出額は百七十億円でございまして、このうち一般財源充当額は百三十二億円となっておりまして、十年度決算額百三十六億円と比較しますと、四億円の減となっております。
なお、充当率は、先ほどと同様に、七七・七%と推計されます。
○土屋委員 今の二つの質問を聞いていると、一般の人は何が何だかわからないですよね。実はここに大きな問題があって、管理運営委託という方式は大きな弱点があるわけですね。つまり、事業団への運営委託では、措置費で不足する運営費を一般財源で充当する仕組みになっているわけですよ。だから、必ず収入と支出が一致するので、見かけ上は赤字になっていない。ところが、実は赤字が出ているんじゃないですか。
○押切総務部長 委託した事業団に対しましては、都が、施設運営基準に基づきまして算定した人件費や事業費など、運営上必要な経費の総額を委託費として支払うことになっておりますので、ご指摘のとおり、運営費が措置費を上回っていても補てんされ、いわゆる赤字ではない仕組みになっております。
先ほど申し上げました措置費を超えて一般財源から支出している金額は、都が施設基準に基づいて算定している運営費ではございますけれども、国基準の運営費ベースから見た場合、先生がお話しのとおり、赤字相当に当たることになろうかと思います。
○土屋委員 つまり、整理すると、平成十一年度は百三十二億円赤字で、平成十年度で百三十六億円の赤字なんですよね。役人言葉といったら悪いけれども、こういうことでいうと、何か収支が一致しているようになる。
これはあらゆるところにあって、江戸東京博物館という全然わけのわからない博物館があるんだけれども、僕はあれ必要ないと思うんだけれども、あれは、この前調べてみたら、五年間で二百二十七億円も赤字を出している。ところが、運営委託費で三億円出している。役人に聞くと、三億円ですよと。ところが、全然うそで、実は毎年大体五十億円ぐらいずつ赤字が出ているわけでしょう。実際、それは全部税金から補てんされている。
このやり方は基本的に改めていかないと、決算の中で人件費がどの程度占めているかもわからないということになれば、どこの会社だってーー組織でも、組織を立て直そうとするときに、それの支出と収入に占めるそれぞれの主要な割合について十分精査しなければ、これから見直しの検討をするにはすごく不十分だと思いませんか、どうですか。感想でいいですよ。
○押切総務部長 確かに、直営の時代には、施設ごとに人件費というものが見えない形になっておりました。いわば障害者福祉費ということで、例えば本庁部分の人件費となっているということでございましたが、事業団委託に当たりましては、これまでの直営とは異なりまして、先生がおっしゃったように、人件費、あるいは管理費、処遇費等の費目が各施設ごとにわかる形にして委託しております。
○土屋委員 ともかく、そこをしっかり押さえていかないと、僕のいっている趣旨は、もう少し内容をきちっと精査しろということなんです。それがきちっと精査されていないと、江戸博の話でも、五年間で二百二十七億赤字が出たと。何になりましたかといったら、人件費幾らかかったか、すぐ答えが返ってこないんだね。五年間で、いわゆる運営改善努力は、コピーの数を減らしたのと、要らない電気を消したというばかな答弁が返ってきたんだけれども、それの二の舞になる可能性があるんで、内容をきちっと押さえてください、収入と支出ね。ぜひそれをお願いします。
本来、施設運営費である措置費から切り離された現在の管理事務委託では、事業団としても、施設長や個々の職員も、本来の目標を知らずに事業を進めているということになりかねないと思います。各施設ごとに、本来の目標である措置費との比較で運営費がどうなっているのかがわかるように、はっきり明示すべきだと私思うんですけれども、どうでしょう。
○押切総務部長 事業団委託に当たりましては、先ほども申しましたように、直営の場合と異なりまして、今度は人件費などが見える形になりますので、経営改善の効果が見える形になるように努めているところでございますが、措置費との関係が不明確だということについては、ご指摘のとおりだと思います。
現在進めております経営評価の手法の改善に当たりましては、成果が目に見える手法、例えば、他団体や民間施設との比較による評価方法の検討などを取り入れる必要があろうかと考えております。
○土屋委員 事業団においては、経営努力によりコストを削減して余剰経費が生じたとしても、委託元である都に返還する仕組みになっているわけなんですね。ですから、その努力がある意味では報われない、経営改善へのインセンティブが働かないんじゃないかという指摘がありますけれども、これについてはどうでしょう。
○押切総務部長 先生のご指摘のとおり、現在の管理事務の委託方式では、事業団においてコスト削減に努め、剰余経費が生じても、委託元である都に返還する仕組みになっていることから、組織としての、また経営者や職員の努力がさらなる経営改善や新たな事業展開に活用できる仕組みになっておりませんので、今後改善を図っていく必要があろうかと考えております。事業団からも強い要請を受けているところでございます。
○土屋委員 何かわけがわからないような、雲に包まれたような形になっているわけですよね。ですから、そこら辺は、収支の状況について、一般の都民というか、我々が見てもわかるような形で私は明朗化すべきだと思います。
事業団には都の職員が多数派遣されていると思います。これは定数隠しとも見られかねないと思うんですけれども、どうでしょう。
○押切総務部長 職員を当分の間事業団に派遣するのは、都の職員が長年培ってきましたノウハウを施設側の新たな展開に活用するためなどでございます。
今後、派遣職員の持つノウハウの継承を図りながら、順次事業団固有の職員への切りかえを進めてまいりますので、派遣職員は減少してまいります。
○土屋委員 それで、さっきの話じゃないですけれども、江戸博も二十三人も都の職員を派遣しているので、その職員がこの五年間何をやっていたかというと、何にもやっていないわけですよ。行くと、奥でコピーをとっているかお茶を飲んでいるか、それしかなくて……。
ですから、ここの事業団の職員の数が千五百名で、千五百名のうちの千四百名が都の職員でしょう。その差が百人なんだよね。これをやっぱりきちっと直していかないと、せっかく委託をした意味がないんじゃないですか。
○押切総務部長 障害者福祉施設は十施設、職員にすると千五百人の職員を抱えております、都立、直営時代から。これは福祉系の職員が大半でございます。委託をして一気に東京都へ引き揚げるとなりますと、受け皿の問題等もございますし(「人が多いということだよ」と呼ぶ者あり)法人の方も新たな職員だけで施設運営するのは難しいものですから、やっぱり派遣職員と固有職員を、少しずつ固有職員に切りかえていくという方式をとっているところでございます。
○土屋委員 要は、佐藤理事からも話があったとおり、人が多いんだと思うんですよ。少なくとも、職員に対してきちっとある程度勤務評定をしていくということも必要だし、本来やらなければいけないところに配置転換をしていくということは、僕は必要だと思いますよ。
でないと、例えば千五百名のうちの千四百名を漸次移していくということになると、我々が生きている間に実現するのかなと思いますし、本当の意味の事業団の経営改善にはならないように思うんですよ。
知事は、そういういろんな都職員の派遣については、今後やめていくということを表明していますよね。
○押切総務部長 福祉局の方針としましても、派遣された都の職員が退職した場合については、漸次固有職員に切りかえるという方針を持っておりますし、都におきましても、このたびの監理団体の総点検の基本方針の中で、監理団体のトップにつきましては、局長あるいは知事、副知事の充て職については、基本的には廃止する方向で検討するということになっておりますので、私ども、その方針に沿って今後検討してまいりたいと考えております。
○土屋委員 ともかくいろんな団体がありますよね、女性財団とか江戸博とか、そういうところに二十三人だとか、丸抱えで都の職員を派遣するというのは大反対なんですね。ですから、これは大至急検討を進めてやっていただきたいと思います。(発言する者あり)これは後で局長に一緒に答弁を。
理事長に副知事を充てているわけなんですよね。これでは、私は、経営責任が非常に不明確になると思うんですよ。間接経費がふえるだけで、事業団委託は効果を出せないんじゃないですか。
○押切総務部長 委託先の社会福祉事業団につきましては、国の通知によりまして設置のガイドラインが定められておりまして、理事長には原則として設置する自治体の長を充てることとされていることから、都では副知事を充てているものでございます。
しかし、国も、社会福祉の基礎構造改革の方向としまして、社会福祉事業団への規制を緩和し、自立的、積極的な運営を行えるよう見直すとの考え方を示しております。
また、都におきましては、先ほどもお話ししましたけれども、監理団体総点検の基本指針の中で、知事や副知事のいわゆる充て職を廃止する指針を示したところでございます。事業団につきましても、経営責任の明確化が図れますよう検討してまいります。
○土屋委員 それはぜひ進めるべきで、これはまとめて局長にも、さっき松本先生のご指摘の部分も含めてお答えをいただきたいと思うんですけれども、いろんな財団を調べてみると、評議員があったり、中には、例えばその財団の何かを検討する審議会というのがあって、外部に委託しているわけですよ。委託料は一回幾らかというと、大体二万五千円くらいずつ払っていて、五年間ぐらい何か審議やっているのに何も決まっていない。こういうむだ遣いが多過ぎると思いますね。むだ遣いが多過ぎる。
ですから、もう自立というのが必要なんですよ。例えば、江戸博が二百二十七億円出して運営できなきゃ、もう民間に売りゃいいんですよ、だれも行かないんだから。女性財団だってそうなんだ。いろんな問題のあるパンフレットを出しておいて、東京都の丸抱えでかなり偏ったパンフレットを出しておいて、これも都の職員が全部そこに出向しているということ自体ーー生活文化局に聞くと、それはもう外郭団体ですから、一たん渡したお金の使い道はわかりませんーーそんなことは許されないです。
事業団も全くそうですね。それで、事業団にいわゆる天下りをしている東京都の職員のOBの方は何名でしょうか。
○押切総務部長 先ほど十一年度の職員の実人員がおおむね千五百人というふうにお話し申し上げましたが、これは本部の方の事務局職員も入っておりますが、その千五百人余のうち、局長級OBが一人、部長、課長級で退職した方で福祉経験を生かすようにということで採用された方が三人、したがいまして、都の管理職出身者は四人でございます。
○土屋委員 押切さん、教育庁の人事部長のときにすごく頑張っていただいたんで、余りいじめるつもりはないんですけれども、ともかく人件費という話が出ましたけれども、やっぱり赤字が出ている会社は賞与もカットなんですよね。それから、リストラは当然行われる。
教職員に対する勤務評定を導入したら、うちにこのくらい反対の手紙が来て、僕は全部そのまま捨てたんですけれども、中を読むと、何が書いてあるかというと、職場が暗くなるとかーー勤務評定して職場が暗くなる会社があるとしたら、三菱商事とか住友重工は全部暗い会社なわけですよ。それから、都合のいい人事が行われると。じゃ、例えばAという会社があって、人事考査をしたら、その人事部長に都合のいい人材しか集めないかといったら、そんなことをやったら会社はつぶれるわけで、やっぱり独立採算というものをきちっと出していくべきだと思いますよ。そこに対して自己責任を問うていくということは必要だと思いますので、ぜひそこの面も含めて局長のご答弁をいただきたいと思います。
事業団に委託しただけでリストラが完了したと一般の人は錯誤するわけですよ。はっきりいって、都の職員でも、どうしても嫌だという人にはやめてもらった方がいいと思いますよ。こういう厳しい、職場が暗くなるようなところは嫌だというならやめてもらって、民間には優秀な人材が今リストラをされて山のようにいるわけで、そういう人にどんどん入っていただいて東京都を活性化していくというのが知事の方針だと思うので、それも含めて局長の明快なるご答弁をいただきたいと思います。
○神藤福祉局長 ちょっと重複するかもしれませんが、社会福祉事業団は措置費でやっておるんですが、実は大変難しい障害者の方を抱えたりしておりまして、東京都の加算というものを上乗せしてやっている部分がございます。ですから、先ほどの決算の数字、確認しておりませんけれども、そういうものを含めますと、七七という数字はもう少し落ちるんじゃないかという気がしますけれども、いずれにしましても、新しい時代に向けて、事業団をつくりまして施設を転換しよう、さらにサービスをよくしようということでございます。
しかしながら、今ご指摘のように、国が四十六年に、制度として公務員と同じような形のものをつくれという、四六通知というのがいまだに生きているんですが、先ほど部長からご説明したとおり、これも間もなく改正されます。したがいまして、そうしますと、柔軟な対応ができる。
一方では、東京都で今監理団体を総点検中でございますから、そういうものも相まちまして、例えば財産はそのままやりますーー今、実は措置費の収入は東京都の中に一たん入っちゃうんですね。したがって、あれなんですけれども、今度は直接あそこに行けるような、何かそういうことも含めて新しい方向を見つけて、都民の方の期待にこたえるような事業団として育成していきたいと思います。
○土屋委員 ともかく、美濃部さんという全く無能な知事がいたんだけれども、その美濃部時代と全然違うということを少し福祉局も認識をされてーーそんなことをいうと、一部の人が効率を求めるのはよくないというんだけれども、そういう人たちに聞きたいですよ。じゃ、大きな政府でいいんですかと。スウェーデンは少子化を克服したじゃないですか。婚外婚を認めたんだよ。そのかわり何%の税金を取られているか、七〇%だとか六〇%の税金を取る。そのかわり私生児がふえるわけですよ、婚外婚の子どもにも同等の権利を認めたんだから。ですから、大きな政府でいいんですかと。
小さな政府がいいわけですから、当然福祉というのは、本来の目的である本当に困っている人に狭く深く光を当てているのが福祉なんだから。(発言する者あり)
ですから、そこで何かいっている人は、全然認識が違うんだよ。もう時代が違うという認識のもとに大胆な改革をしてください。そうすれば、大方の都民は支持します。一部の人は反対する。だけど民主主義ですから、これは多数決で決めていく、当たり前です。ぜひ頑張ってください。
○藤川委員 私は、きょうのこの委員会に臨むに当たりまして、厚生委員会の速記録を全部読み返してみました。その間で気がついたことは、三人の局長に相まみえたということがわかったんです。石川局長から始まりまして、荻野さん、それから、いよいよ神藤局長の段に至って、結論を下す大変なときに来たわけです。
私なりにいろいろな意見を述べてまいりました。そして、一年六カ月にわたっていろいろと質疑を積み重ねてこられまして、大体どういう考え方を私以外の皆さんが持っておられるかということも理解します。
そういう過程におきまして、この点だけはもう一度質問させていただくことによりまして、第一回今定例会において自分自身で結論を出すに当たって、ここのところをもう一度検証させていただきたいと思って、そういう観点から質問をさせていただきたいと思います。
今の制度というのは、昭和四十年代からスタートしたというその基準で現在まで変わらないままで来たということですが、そのポイントというのは、経済給付的な施策を中心にしてスタートしたということなんですが、その主な理由は何であるかということ、まずそこから質問させていただきたいと思います。
○村山参事 昭和四十年代という時期におきましては、先ほどの資料のご説明でも申し上げましたとおり、国の年金、手当、医療というような制度は、客観的に見ても極めて不十分な状態であったということは事実だと思います。そういう中で、施設サービスあるいは在宅サービスという面でも、やはり不足をしていたということもまた事実だと思います。
そうした中で、都としては、こうした状況を踏まえて、在宅の障害者等を支援する施策として、独自に都としての手当とか、あるいは医療費助成制度を開始したというのが、四十年代において東京都が独自の経済給付的な施策を実施してきた主な理由ではないかと思っております。
○藤川委員 先ほどの曽雌さんの質疑で、私のこの質問の点に関して、相当先に整理していただいたということで、随分自分でもすっきりしたわけですが、私自身、いろいろと重要問題に逢着したときに、どういう形でそれを整理するかというと、極端なことを考えるわけです。その極論の中から自分の判断すべき方向というのを探るわけですが、これは非常に極端ないい方なんですが、例えば第二次世界大戦が終わった後の東京のような状況というものがもし出現したとしますね。要するに、完膚なきまでに徹底的に東京都そのものがゼロの状態になるような形で、壊滅的な状態が起きた。
そのときに、福祉というーー福祉だけでなくて、ありとあらゆる状況において、東京都がいろいろな事業にお金を回すということができなくなるわけですが、そういうような状況に立ち至ったときに、福祉にお金を回す状態というのがあるのかということですね。
○村山参事 非常に急速に社会が変化する場合のことを想定してのお話しだと思いまして、そういう状況の中で何を大事にするのかということの優先順位の決定というのは極めて難しい問題でありまして、ある意味では、国民的な合意の中で定められていかなければならないぎりぎりの選択ということになろうかと思います。
当面の私どもの直面している状況との兼ね合いで申し上げれば、バブルの絶頂期に比べて一兆円も税収が落ちるという状況の中で、例えば財政再建団体に転落するというような事態が現実のものになったケースということを想定した場合に、どうするかということになろうかと思いますけれども、その場合には、ある意味では私どもの施策の選択権みたいなものが喪失する中で、施策全般について切り下げが余儀なくされる場合も現実的に想定されるんだろうというふうに思います。その場合には、福祉といえども例外にはなり得ない、かように考えております。
○藤川委員 東京都の財政状況というのは、現在、見た目にはいろんな高価な建物が建ち並んで、我々は非常に恵まれた豪華な環境の中で生活をしているので、ややもすると、その惨めな状態というものがそういう豪華さの中に立ち消えてしまって目に見えないという状況にあるのではないかと思うわけです。
でも、実際問題として東京都の財政というのは大変な状態にあるということは、ここにおられる方は皆さん理解しておられると思うわけですが、そういう中で、我々は、いずれにしても昭和四十年代から現在に至るまで、ほとんど変えることなく福祉に対しての予算ーー福祉だけではなくて、ありとあらゆるところに豪華に予算をつけてきたという状況の中で、ここでいきなり東京都の財政がおかしくなったから、また、こういう状態であるから、新しい福祉というものをつくり上げることによって新たな展開を図らなくちゃいけないんだということ、それはよくわかりますが、そうすると、私、自分でもこの速記録を読んでいて、いきなり嬰児を北風に当ててしまったときに風邪を引いて死んでしまう、そういう大きなショックを与えるような状態だとまずいんじゃないかということで、激変緩和ということについて強く主張してきたわけです。
その基本的な考え方は取り入れていただいたと私は自負しているわけですが、その辺のところの基本的な考え方はどういうことになっているか、お聞かせいただきたいと思います。
○村山参事 今回の施策見直しに当たりましての激変緩和措置についてのお尋ねというふうに理解してございますけれども、今般のさまざまな見直しについて、先ほど来のお話にもございましたように、相当長い間の東京都の施策について、根本的な見直しという点では初めての見直しということになるわけでございます。
そういう中で、それを実施するに当たりましては、例えば重度心身障害者手当についての見直しを行う際に、今まで所得制限がないというような状態をずっと四十八年以来続けてきたものに対して新たに設けるというようなことでございまして、そういう場合については、やはり一定の激変緩和のための措置を講じる必要があるというような判断をさせていただいて、十二月における各会派のご要望を受けまして、十二年度は従来どおり月六万円、十三年度、十四年度とそれぞれ四万円、二万円と維持していった上で、その上で、しかるべき対象外になる方については、そのような形にさせていただこうということでございます。
そういう意味では、今回の措置を行うに当たって、新たな所得基準を導入するという考え方で、今回については、この部分について激変緩和の措置を講じるということでさせていただいたということでございます。
○藤川委員 質問の一問目、二問目で私は何をいいたかったかというと、東京都が、こういう状況の中で、いろいろと立て直さなければいけない面がたくさんある。そのときに、今まで東京都がなしてきたことは絶対的なものであるのかどうかということを皆さんによく考えていただきたいと思うわけです。自分自身、絶対的なものはこの世の中には存在しないというふうな偏見に満ちたような考え方を持っておりまして、そうであるならば、相対的な面においてすべてが決まっていくという考えなわけです。そういう考え方に立脚しているわけです。
そういう考え方からいきますと、四十年代からの福祉という衣を全然着がえることなく、そのまま現在に至るまで着続けてきたということなわけです。それは、ある面では行政のサイドにも、また議会のサイドにも、やはり大きな落ち度があったのかなというふうな感じがするわけです。それは、社会経済の状況というのが物すごく大きく変化しているにもかかわらず、それに対して適切な対応をし損なったという事実があるわけです。
平成十一年九月二十四日のここで、私は、皆さん見ているこの表を、担当課長さんは三日もかかってつくったというんですが、この表を出していただいたわけです。そして、この表に関してはっきりいえていることは、これはお金とか数字という問題ではなくて、この表そのものが東京都の物の考え方をあらわしている表であると私は思うわけです。
要するに、この表は、昭和四十五年から始まって平成十一年までの都税と福祉関係の都単独、都加算事業の推移をあらわしている数字なわけですけれども、これは何も厚生委員会だけの数字ではなくて、東京都のかかわるすべての分野に同じことがいえると思うわけです。
そういう面では、社会経済状況に大変な変化が来ているということについて、遅過ぎたのではないか、いろいろな形での見直しというのも遅かったのではないかと私は考えているわけですが、その点についてもう一度ご意見をいただければと思います。
○村山参事 ご指摘のように、確かに時代というのは相当前から大きく変化していたということは事実だろうと思います。高齢化の問題、それから追いかけるようにして出てきた少子化の問題の表面化というような中で、やはり日本の社会が、それまでの高度成長型といいましょうか、右肩上がりの時代から明らかに変わりつつあるということについては、委員ご指摘のような時期、十年前というふうなことを想定されているんでしょうけれども、その前後から相当明らかになってきたということは事実であろうというふうに思います。
しかしながら、その辺がなかなか難しいところなわけでございますけれども、そのときにはちょうどバブル期という形の時期を迎えるということでございまして、バブルが来て、それが崩壊をすると。ただ、崩壊をしたときに、確かに税収は落ちるわけでございますけれども、当時の自省の念を込めて申し上げれば、私どもといたしましても、そういつまでもこういう状況が続くわけではなかろうというようなこともまたあったわけでございまして、そういう意味では、それまでの施策の枠組みというものを維持しながら何とかもう少し頑張れば、また戻っていくのではなかろうかというのが数年間は続いたんだろうというふうに思います。
その中で、だんだん世の中といたしましても、少子化や高齢化に対する深刻性に対する共通認識でありますとか、あるいは日本の社会というのが全く違ったステージに入って、これからは税収がそう戻っていくわけでもなさそうだという点についての共通認識というような中で、ようやくーーようやくというのは自己免責の言葉ではないわけでございますが、そういう中で、共通認識として、ここでやらないともう手おくれになるというのが、今日本の中で共通に生まれつつある認識であるのかなと。
したがいまして、こういう時期について、さらにそれをまた先送りするということになれば、過ちの傷をまた深くするということでもありまして、何としてもしかるべく見直しをさせていただければというふうに考えてございます。
○藤川委員 今、ご説明いただいて、ああそうかと、私、余り考え方が大きく変わっていないなということで、自分自身の最終決定にどのような姿勢で臨んだらいいかということははっきりとしてきたんですが、一応短い質問時間の中でいろいろと自分なりにまとめてみたわけですけれども、先ほど申しましたように、石川局長、それから荻野局長という形で相まみえる中でいろいろとご意見を拝聴したわけですが、最後に、神藤局長、この点に関してまとめていただいて、私の歩むべき、進むべき道についてはっきりとご支援をいただけたらと思います。
○神藤福祉局長 やっぱり見直す時期は、財政的な面から見れば二度ほどあったかなと、それから制度の面から見れば、やっぱり一度あったかなと、そういう時期があったかというふうに思います。
今回は、今ご指摘のように、財政問題もございます。それから制度の、社会福祉全体の構造改革の問題もございます。そういう時期に当たりまして、私の気持ちとしては、この時期を逃すとしばらくチャンスがないなと、そういう気持ちでご提案させていただいたわけでございますが、そういう点で、私は二年ほど前から、区市町村長さんや関係団体とそれぞれいろんな話をしておりましたところで、総論的には、都が実はずっと引っ張ってきた制度なんですね。引っ張ってきたんですけれども、ちょっと振り返ってみたら、仕事は全部区市町村だったと。なお都が持っていると。こういう状況の中で、聞いてみましたら、もう区市町村の時代ですよというように実感されているのに、都はまだ依然として持っているという、私とすればちょっとショックだったんですけれども、そういうギャップが大きかったということは感じております。
そういう点からしましても、今回は、そういうことも含めて、私は見直しをお願いしたい。そういう意味では、今回、皆さんのおかげで包括補助が入ったということは、これは区市町村が最大感謝といいますか感激しておりまして、まだ小さいですけれども、これからうまく育てれば、もう少し福祉の仕事と金がセットできる。今までは仕事と金がなかなかセットしないんですが、今度は金と仕事がセットできる、こういうふうな状況だと思いますので、私どもはぜひこの機会にやりたいと。
しかし、見直しに当たりましては、やはり今もらっている方の、低所得者への配慮とか激変緩和とか、そういうものもまた別に必要でございますので、そういう点も十分配慮した内容というふうに私は思っておりますので、ぜひご理解を賜りたいと思います。これに向かって邁進してまいりたいと思います。
○藤川委員 チャーチルがこういうことをいったというんですね。それは、民主主義という制度は、こんなめちゃくちゃな悪い制度はないって彼は断言したわけですね。だけど、その次にもう一つ言葉が続いて、だけどこれしかないというわけです。ということになると、大勢の人が集まっていろいろと議論を積み重ねて、そして民主主義というわけのわからない制度のもとで、みんなで意見を闘わせる中で一つの結論を出して進んでいく以外に、我々は進んでいく道がないわけですね。
特に私は感じるんですけれども、その議論を闘わせている個々人について完全かというとーー不完全な人間がみんなで集まってある一つの結論を出すと、つくった結論というのも完全なものではあり得ないだろうというふうに、完全に近いけれども、完全ではあり得ないだろうと思うわけです。
ここで我々は、新たな福祉ということで大きな結論を下していくわけですけれども、そういう面で、もし下す結論が不完全であったならばーーこれは介護保険のときにも私テレビで会派の代表として申し述べたんですが、何か不都合なことがあったということが起きるようなことがありましたら、皆さんの英知を結集してそれに速やかに対応してもらいたい。
そういうことを最後に私の意見としまして、終わらせていただきます。
○佐藤委員 まず、保育室関係の請陳の問題で、ちょっと確認だけさせてもらいたいんですが、先ほど来の議論の中でもいろいろいわれているんですが、総論的にいってレベルアップしているというふうに考えていいわけですか。各論はいろいろご意見があろうと思いますし、現場でのいろんな行き違いもあるかもわかりませんけれども、総論的にはアップしていると考えていいのか。
それから、請願の要旨の中にもあるんですが、区市との再協議というのはあり得るのかどうか、それだけ確認させてください。
○稲熊子ども家庭部長 九年度にこの基本的な改正を行いましたけれども、基本的にこれは改正である、アップである、そういうふうに考えております。
それから、今後の協議についてですが、基本的には十二年度から新たな制度に入る、これに移行する。ただし、一年間だけ経過措置をとるということで、十二年度から新しい措置に入っておりますので、今のところ協議ということは考えられません。
○佐藤委員 わかりました。
次の問題に入らせていただきます。今の問題については、近藤委員の方から後ほど細かく話があがあるだろうと思います。
来月から、いわゆる地方分権推進一括法というのが施行されるということで、地方事務官の制度が廃止をされるというふうに伺っておりますが、これによって、昭和二十二年から今日まで五十有余年間、都の福祉局所管であったところの医療保険、年金保険制度に関する社会保険関係の事務というものが東京都から離れていくということであります。
これらの事務は、来月からは、国の機関として設置をされる東京社会保険事務局と、その管轄下にある各社会保険事務所において実施をされるということなんですが、今回の地方分権の推進は、国と地方自治体がそれぞれの役割に応じて事務分担をする、それによって責任の所在を明らかにして、ひいては地方分権に資するという考え方のもとに行われたようであります。ちょっと疑問の点もありますが、そうであります。
そこで、まず初めに、これまで東京都では、社会保険管理部と社会保険指導部という二つの部が、医療保険、年金保険制度に関する社会保険関係の事務ということをどのようなことで具体的に実施をされてきたのか、伺いたい。
そしてまた、その事務が国の直接執行となることによりまして、都の組織である二つの部が離れるということになるわけですが、都民にどんな影響があるのか、これまでと違ってくるところがあるのかないのか、その辺をちょっと伺わせていただきたいと思います。
○福田社会保険管理部長 ただいま先生から述べられたように、地方分権の推進は、国と地方自治体がそれぞれの役割に応じて事務分担することによりまして責任の所在を明らかにし、ひいては地方分権に資するとの基本的な考え方に基づいて行われたものであります。
ご質問の社会保険関係事務の主な事務といたしましては、社会保険管理部が所掌するサラリーマン等の健康保険、厚生年金保険関係事務、また、自営業者等の国民年金関係事務及び社会保険指導部が所掌する保険医療機関等の指導監督事務を実施してきたところでございます。
このうち、会社などに勤務する被保険者を対象とする健康保険、厚生年金保険に係る各種の届け出等は、適用事業所を通じて行うものであるため、国の直接執行事務となりましても、現在の社会保険事務所等で処理する方法は現在と同様変わらなく継続され、執行されていきます。また、国民年金に関する事務につきましても、機関委任事務から法定受託事務として、区市町村が現在の事務を引き続き行うこととなります。
このようなことから、国の直接事務となりましても、都民への行政サービスの低下を招くものではないと考えております。
なお、保険医療機関等の指導監督に関する事務につきましては、指導保険部長から説明しますので、よろしくお願い申し上げます。
○宍戸社会保険指導部長 引き続きまして、医療保険関係についてご答弁申し上げます。
保険医療機関等の指導監督の事務につきましては、現在、健康保険に係る事務を所掌する社会保険指導部と、国民健康保険に係る事務を所掌する国民健康保険部、そして、老人保健に係る事務を所掌する高齢者施策推進室と合同で実施しております。
しかしながら、四月一日からは、私ども健康保険に係る部分につきましては国の直接執行事務ということになりますけれども、国民健康保険法及び老人保健法に基づく保険医療機関等の指導監督に関する事務につきましては、引き続き法定受託事務として東京都の方で行うこととなっております。
したがいまして、四月から保険医療機関等の指導監督事務の実施に当たりましては、これまでと同様、合同で実施することを考えておりますけれども、私どもと東京都の担当部局との間でさらに緊密な連携協力を図り、円滑な実施に努めてまいりたいと考えております。
○佐藤委員 今のご答弁の中で、健康保険に関する事務の中に保険医療機関の指導があるという話でございますが、時々診療機関の不正請求事件等がマスコミ等をにぎわせることがありますけれども、これらの保険診療機関の指導は、これまで、今回国の機関となる社会保険管理部とともに、同じ福祉局所管の国民健康保険部のほか、衛生局とも連携をしてそういった事務を行ってこられたんだろうと思います。また、年金関係については、東京都には所管部がなくなってしまう、こういうことになるわけですね。
医療保険、年金というのは都民の暮らしに非常に密着したものでありますし、今後も国や関係機関との緊密な、まさに密な協力連携が必要であると思いますが、ご所見をお伺いしたいと思います。
○神藤福祉局長 今回の地方分権一括法で、福祉局所管の社会保険関係事務が国の事務と整理されたことでございますが、これまで、地方事務官という非常に知恵のある考え方で、都と国の間にあって大変大きな成果を上げてきたと思っております。
そういう中で、今ご指摘のように、大変医療保険も年金保険も、これから指導も、都民の暮らしに密着した部分だ、こういう点でございますので、私どもといたしましては、これまで以上に関係機関と協力連携を図りまして、都民への行政サービスが向上するよう努めてまいりたいと思います。
○佐藤委員 局長のただいまの大変率直な明快なご答弁をいただきましたので安心をいたしましたけれども、両部長もあと二週間で国にお帰りになるというようなあれなんでございますが、東京都をお見捨てなく、今後ともよろしくお願いしたいと思いますし、ぜひとも都民サービスの低下がないように、皆様方のご努力をお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
○藤田委員 私も何点か質問させていただきます。
まず初めに、平成十二年度における福祉局の最重点課題は何かということでありますけれども、なかなか次長の答弁というのをお聞きしたことがないものですから、ぜひ次長によろしくお願いいたします。
○田原次長 それでは、私から答弁をさせていただきます。
福祉局は、ご案内のとおりでありますけれども、福祉に関する多岐にわたる業務を担当しておりますが、十二年度の最重点課題ということで一言でいえば、福祉改革の着実な推進ーー相当抽象的でありますけれどもーーであると考えております。高齢者の分野では、来月から介護保険制度が始まります。また、子ども家庭や障害者の分野でも、大きな制度改革が進みつつあります。
今月の初めには、社会福祉事業法の一部を改正する法律案が通常国会に上程をされております。今回の福祉改革は、これまでの行政が決定する福祉から、都民がみずから選択して利用する福祉へ、こういう転換をする大きな流れの中で、これを実現するに足りるサービスの質と量を確保する、それから、それを支える仕組みと基盤をつくる、このために何としても実現をしなければならないものでございまして、特に少子高齢社会にふさわしい子育ての支援策、それから障害者への自立支援策の一層の充実が緊急の課題となっていると考えております。
こうしたことから、これもご案内のとおり、昨年十二月に福祉改革ビジョンを策定いたしまして、福祉サービスの格段の充実を図っていくこととしましたので、平成十二年度はこのビジョンの実現の第一歩の年であって、局を挙げて推進体制を整えて施策の具体化を進めてまいりたいと思っております。
○藤田委員 私どもも、昨年の四月の統一地方選挙では、子育て、介護は社会の仕事といって、社会というのを地域というふうにいいかえてもいいと思っていますけれども、実際に介護の社会化は、まず第一歩で四月からの介護保険になるわけであります。地方分権一括法も昨年七月に制定されまして、この四月から施行されるわけですけれども、福祉においての都と区市町村の基本的な役割についてお尋ねしたいと思います。
○村山参事 地方分権一括法による改正自治法は、住民に身近な行政はできる限り地方公共団体にゆだねるのが基本だというふうに規定をしてございまして、福祉分野の役割分担の考え方といたしましては、平成七年の社会保障制度審議会の勧告にもございますように、国の役割も含めて申し上げれば、社会保障制度の全体的な制度づくり、とりわけ所得保障に関するものは、基本的には国の政策決定、財源責任が確立されるべきである。それから、保健、医療、福祉のようなサービスの提供にかかわる分野につきましては、地方公共団体、とりわけ住民に身近な区市町村の役割を重視しなければならない。区市町村が行うことのできないような広域的な、あるいは専門技術的な事務事業、連絡調整などについては、都道府県が責任を負うべきだ、このような整理がなされております。
したがいまして、これからの福祉におきましては、地域福祉の主体である区市町村が積極的に取り組んでいくことが必要でありまして、都としては、こうした区市町村の取り組みをしっかり支援していくというのが役割だと、かように考えてございます。
○藤田委員 先ほど、局長の決意というところで述べられておりましたけれども、私も、基本は基礎自治体、市区町村であろうかと思いますし、今の二十三区の、まだまだ市行政を内包しているようなところでの東京都は、もっと分権をして、地域が実力をつけていくということを応援していく本来の意味での広域行政をやっていくべきだというふうに思っているわけです。
そのときに、包括補助制度というのは本当にどんどん進めてもらいたいというふうに思っているわけですけれども、実はなかなか税の仕組みの中でお金がついていかないという、国がちょっとつけて、都がつけて、そして市区町村がやるというところがいつまでもいつまでも残っているということがあるわけですけれども、この包括制度の基本的な考え方をお示しいただきたいと思います。
○村山参事 福祉改革は、サービスの提供を担う区市町村が、福祉サービスの質、量の向上に主体的に取り組んでいただくことで初めて実現できる、このような考え方から包括補助制度は設けられたものでございまして、区市町村が地域の実情に応じまして創意工夫を発揮できるような仕組みにして、積極的、先駆的に福祉改革に取り組んでいただく区市町村を応援していくような制度としてつくっていきたいと考えてございます。
○藤田委員 先ほど、次長のお話の中でもありましたけれども、少子高齢社会に向けて、子育ての支援策や障害者の自立支援策の一層の充実が重点課題であるというようなお話をいただきました。
少子化対策といいますか、子ども関連について少しお話を伺わせていただきたいと思います。
今回、国の児童手当は範囲が拡大されているわけですけれども、これはどんな経緯があったかをお示しいただきたいと思います。
○稲熊子ども家庭部長 国の児童手当の改正でございますが、ご案内のとおり、平成十二年度から、児童手当につきましては、支給対象年齢が、現行の三歳未満から義務教育入学前というように延長されることになる予定でございます。
その趣旨でございますが、国におきましては、少子化の進行に伴いまして少子化対策の一層の充実が求められており、保健、福祉の分野を初め、雇用、教育、住宅などの幅広い分野の施策について総合的な対応が必要と、児童手当については、このような観点から、総合的な少子化対策の一環として、与党における合意等を踏まえて拡充を図ること、このように説明しております。
○藤田委員 それでは、乳幼児の医療費、老人保健法に準じた一部負担はあるにはせよ、五歳まで引き上げた、これはどんな考え方でしょう。
○稲熊子ども家庭部長 乳幼児の医療費助成制度でございますが、今般の福祉施策の見直しの中で、各種医療費助成制度については、本人の負担にならない程度の内容の一部負担をお願いすることにいたしました。
この乳幼児医療費助成制度につきましては、特に少子化対策及び子育て支援の重要性にかんがみまして、都議会を初め区市町村のそういったご要望も踏まえまして、対象年齢を一歳引き上げて五歳未満に拡充した、そういう次第でございます。
○藤田委員 今回の福祉施策の転換といいますか、新たな転換というところでは、よく現金給付型から在宅サービス型といいますか、仕組みをつくっていくのだというふうにいわれてきました。
私は、もちろん今のグローバル化でボーダーレスになったときには、例えば日本で働いていても、物を、お金を落とすところは日本以外、インターネットでつながって消費も全部そういうことができるわけですから、ある意味では、所得の移動というものが世界的になってしまえば、囲い込みの中で、これだけの税を集めたからこの中で所得配分をしていくという時代ではなくなってしまっているというのが基本にあると思います。
そういう意味では、現金支給ということではなくて、現物、いわゆるサービスをその地域の中で仕組みとして整えていくということは十分理解ができますし、そうなっていかざるを得ない世の中になってきていると思います。
しかし、政策的にやっぱりそれはーー例えば今、少子化ということで、少しずつ手当としても拡大しているわけです。ということを考えれば、すべて現金給付がいけないということでは私はないと思いますから、どこに優先的にどんなふうに考えていくかということは、これはすべて手当はいけないものだということではないと思いますし、どこをどういうふうに優先的に使っていくのかというのが、本来の行政の、その自治体をあるべき方向へ向けていく大きな責任があるんじゃないかなというふうに思っているわけです。それを一つお話ししておきたいと思います。
それから、ひとり親のことがありました。それで、実はいろいろひとり親のグループの方からもご要望をいただいておりますし、昨年の児福審の答申にもありました。その中でさまざまな提案もあったわけですけれども、実際には福祉局がこの所管をしているんですが、それに対しての手当てといいますか仕組みは、労働経済局であったり住宅局であったりで、質問してもなかなかそこへ届かない。
それから、労働経済局、住宅局に聞くと、それは知りませんというような答えがどうも多かったなというふうに思っていまして、今回ひとり親家庭就労支援計画というのもつくっていくというように聞いておりますので、ぜひこの点もしっかりと、片方で手当を切るのであれば、どういうサービス、仕組みをというところで、局を横断的に、ぜひきちっとそこが位置づくようにやっていただきたいというふうに思っています。
それで、十一月四日だと思いますけれども、私は、事務事業でひとり親家庭の質問を何点かさせていただきました。そのときにもいろいろお話しさせていただいたんですが、それがちゃんと進んでいるかどうかだけを確認したいと思います。
広報がされていて、実際にはひとり親家庭の手引というようなのが区市町村にあるよというふうにいわれているんですけれども、窓口で渡されるケースが少なくて、申し出ると、予算がないのでといってなかなか渡してくれないというふうに現状はなっているんですけどといったんですけれども、その辺の改善はどんなふうになっていますでしょうか。
○稲熊子ども家庭部長 昨年十一月、三万部印刷いたしまして、それぞれ所管の所要のところに配布いたしました。そろそろきちっとお手元に届くのではないか、そういうふうに考えております。
○藤田委員 それから、ホームヘルプサービスを事業として行っているという中で、区市でなかなか徹底がされていないということで、利用禁止の例などがあるのだがという話をさせていただきましたけれども、その辺のことはどんなふうになっておりますでしょうか。
○稲熊子ども家庭部長 ホームヘルパーについてのお尋ねでございます。
ひとり親家庭対策につきましては、保育サービスなど子育て家庭に対する一般施策を基本的には充実するということで、かなりの部分が対応できております。
さらに、お問い合わせのホームヘルプサービスなどについては、ひとり親家庭の固有のニーズに対応するための施策についても、その充実を図っていくというのが基本の考えです。
十二年度におきましては、ひとり親家庭の親が、技能習得のための通学や就職活動、出張、学校の公的行事へ参加する場合、そういったものにつきましても適用可能なように、そういった方向で今検討を進めているところでございます。
○藤田委員 それに続いて、ひとり親家庭の総合支援事業というものが今回提案されておりますけれども、実際には七つメニューがあるでしょうか、それから、A事業、B事業というふうに予算書には書かれておりました。
実際には、離婚した直後とか、虐待を受けているというようなかなりひどい状況、それから緊急な状況ということ以外にも、ひとり親家庭の固有の、今、部長がお話しになったようなこともあると思いますので、そういう意味では、ニーズに合ったものがメニューの中にないものでもできるのかどうかということをお尋ねしたいと思います。
○稲熊子ども家庭部長 基本的に私どもとしては、実施していただきたい七つの事業のメニューを挙げておりますが、その他の事業で、区や市町村がこれは必要であるということで、こういった施策の効果に資するものであれば、十分認める余地がある、そのように考えております。
○藤田委員 その他の事業の中で、いろいろな人がかかわってくださった方がいいと思いますので、その中にNPOの事業が行われていれば、そういうところもぜひ補助の対象にしていただきたいと思っているわけですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
○稲熊子ども家庭部長 この事業は、区市町村が事業実施主体となることとなっております。したがいまして、それぞれの区市町村におきまして、NPOの助成でありますとか、NPOの協力を得て実施する、そういったような必要性を認めて行う事業につきましては補助の対象になる、そういうように考えております。
○藤田委員 先ほど曽雌委員が産褥のホームヘルパー派遣事業の話をなさったんですが、実は私も十一月の事務事業のときに、有効と考えるけれどもというようなお話をさせていただきました。そのときには、出産後間もない核家族であって、体調が不良なため身の回りのことや家事や育児が困難な場合があり、その際、育児等の支援のためヘルパーを派遣することは有効であると考えています、というようなお答えをいただいています。
先ほど、一人とか二人とかという話があったんですが、そのこともあれなんですが、私たちが子育てをしているときに何が一番重要であったかというと、赤ちゃんはとりあえず産褥後は寝ているんです。だから、手をかけるのは、自分がおっぱいを飲ませるか、哺乳瓶で飲ませるか、あるいはおむつを取りかえる程度で、そんな大変なことはなくて、どっちかといえば、二人目とか三人目で、その他の子どもをどういうふうに見てくれるかというのが非常に私は重要だと思います。
実際には、下の子が産まれたときの上の子のメンタルのケアというのが物すごく大事になるわけです。それも含めて、親はどういうふうにしていくかということがとても大事だと思っているものですから、そのときに、先ほど、いろんな方法を考えてくださいというようなところがありましたけれども、そのことも大変重要なことであるということで、ぜひここにプラスをしていただけたらというふうに思っております。
これは子育てをしているときの実感からでございますので、ぜひそういうことも考えていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○稲熊子ども家庭部長 今回の新しい事業につきましては、委員ご指摘の点につきましても、当然そういったものについても予定ができるかなと思っております。
メンタルのケアとおっしゃいましたけれども、例えば家事の助言とか援助、相談といったことも、先ほど申しましたように、看護婦でありますとか保育士といった方が携わっておりますので、十分そういった効果も期待できるのではないか、そのように考えております。
○藤田委員 それから、予算書に、これは継続分なんですが、子育てひろば事業補助ということで一億五千万円がついております。これの昨年との比較、継続分ということですのでーーごめんなさい、私がきちんと調べればよかったのですが、調べていません。昨年はどのくらいで、今回が一億五千万円になったかを教えてください。
○稲熊子ども家庭部長 十一年度の予算につきましては、ただいま資料を調べております。九年度実績が三百二十一カ所だったものが、十年度には四百二十八カ所にふえている。それをさらに伸ばしていくということで、内容についてはちょっとお時間をいただきたいと思います。
○藤田委員 ふえているということでよろしいですか。額はいいです、ふえているということであれば。
○稲熊子ども家庭部長 増加を見込んで計画をしております。
○藤田委員 この施策は、保育所や児童館等の機能を活用して子育てに関する相談、啓発事業を行う区市町村に対しての補助ということなんですね。
東京都の施策評価の中で、母親クラブ補助というのはD評価だったものですから、実際には全部切っちゃったんですね。それで、東京都が切りましたから国も切っちゃいまして、地域の事業はおのずとそれに伴ってだめになってしまったという事業なんです。
ところが、実際には三十二団体しかないというふうにいった方がいいのかもしれませんけれども、母親クラブがあります。そのうちの十七団体が私の杉並にあります。児童館も各校にありますので、四十四児童館がありますが、そこにほとんど全部この母親クラブがついていました。それがだんだん少なくなって、今十七しかないんですけれども、そうしたときに、この母親クラブの事業というのは、先ほどありましたように、まだ若いお母さんたちの子育てが上手にいかないときに、いろんな話し合いをともにしていく、それから少し異年齢のお母さんたちがそれをともに聞いてあげる、あるいは子どもを一緒に遊ばせながら何かをやっていくというところで、実際の活動としては、地域の中では非常に有効に働いているわけなんですね。
ですから、これが例えば国の事業として、都の事業として見たときには全然見えないから、有効ではないんじゃないかというふうになっちゃうんですけれども、地域としては、そういうふうに目に見えて有効なんですね。
そういうことからして、ここは子育てひろば事業補助というふうになって、ふやしているというところにありますので、いろんなやり方で、それは何も母親クラブだけに援助しろということでは全くありませんから、いろんな意味でそういう精神を受け継いでいるようなグループには、ぜひそこを応援してくださるようなことができるといいと思っているのですが、いかがでしょうか。
○稲熊子ども家庭部長 母親クラブの実態につきましては、それぞれ地域によって差異があると思いますけれども、多くの団体におきまして休止状態という状況も一部にはございます。しかしながら、今のご指摘の点でございますけれども、地域の住民による子育て支援や児童の健全育成の活動は大変重要だと考えております。
都としましては、地域の子育て支援のネットワークの構築を目的といたしまして、子ども家庭支援センターの事業というものを充実しております。こういう中で住民活動の育成、支援ということが図っていけるのではないか、そのように考えております。
○藤田委員 実際にやっていることはネットワーク化をやっているわけですので、そういう意味では、名前と休止というふうにいきなり結びつけないで、ぜひ実態ももう一度見ていただけたらというふうに思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
それから、子どもの権利基本条例について少しお話を伺いたいというふうに思っています。
予算の中では、子どもの権利擁護システムの整備ということで出ているかと思います。これは、子どもの権利条例(仮称)の制定に向けてということが大きな課題になって、青島都政の目玉になっていたというふうに私は思っていますけれども、それが、昨年の七月には、外部に向けた条例制定に向けての研究会が行われるというふうにいわれていたわけですけれども、それの前に、実際には電話相談の試行というのがおととしの十一月から始まっています。
それで、実際には条例をどんなふうにしていくかということで、庁内検討会が関係四局の課長クラスで組織されていたというふうに文書も出ていますけれども、一応十一月終了というふうに聞いていたのですが、その後は三月いっぱいというふうに聞いたかと思いますが、今どんなふうになっているかをお尋ねしたいと思います。
○稲熊子ども家庭部長 庁内検討会は、関係四局の課長クラスをもって構成をしておりますが、子どもの権利条例(仮称)研究会で、本年度は、学識経験者との意見交換を交えながら、条例制定に取り組む場合の課題、問題点等を論議しています。現在、報告書の案の作成作業を行っている、そういう状況でございます。
○藤田委員 今回の子どもの権利擁護システムに関して、二千五百万の予算計上がされておりますけれども、内訳を教えてください。
○稲熊子ども家庭部長 内訳でございます。現在試行しております子どもの権利擁護委員会の活動経費が一千九百万円、それから子どもの権利条例(仮称)の検討に要する経費六百万円でございます。
○藤田委員 権利擁護委員会の活動費の中に上乗せがあったと聞いています。人的な上乗せというふうに聞いていますけれども、それはどんなふうになっていますか。
○稲熊子ども家庭部長 幾つかの内容で充実を図っておりますけれども、子どもの権利擁護専門委員、その中での調査員、そういったものを設置していくという内容でございます。
○藤田委員 この権利擁護委員会のシステムを行っている擁護委員のメンバーは、昨年の十一月のときにいろいろと事務事業の中でも聞かせていただきましたけれども、今年度変更があるとか、あるいはそのままいくとかというようなことは、どんなふうになっていますでしょうか。
○稲熊子ども家庭部長 基本的には現在の形で継続をしていくつもりでございます。
○藤田委員 条例づくりに向けて、外部の学識経験者の検討というようなことで、先ほどは権利条例の検討経費六百万というふうにいわれましたけれども、この学識経験者を入れての検討会が始まるというふうに考えてよろしいでしょうか。
○稲熊子ども家庭部長 子どもの権利に関する条例等につきましては、都道府県としては初めての試みでございます。これにつきまして、子どもの権利についての考え方、あるいはどのように子どもの権利保障の仕組みづくりをしていくかなど、さまざまな角度から検討していく必要があると考えております。
あわせて、現在検討中の庁内研究会の結果や、試行しております子どもの権利擁護委員会の状況を十分検証いたしまして、今後どのような検討を行うかを考えていく必要がある、そのように考えております。
○藤田委員 審議会における答申というようなものは、都の施策や実施計画をつくる上でどういう位置づけになっておりますでしょうか。
○稲熊子ども家庭部長 一般的に申し上げまして、東京都におきましては、各種審議会より、独自の専門的な立場からの答申、あるいは意見具申などをご提言いただいております。いただきました答申等につきましては、そういった趣旨を尊重し、都として適切な施策や計画立案への反映に努めているところでございます。
○藤田委員 この子どもの権利基本条例については、児童福祉審議会の中で答申をしているというふうに思います。その中には、いわゆる総合条例をつくりなさいということが書かれていたはずです。
それから、青少年問題協議会の方の審議内容の中でも、これは総合条例をつくりなさい。すなわち、子どもの権利というものがどういうことであって、今その権利がどういうふうに侵されているかということは、子どもの、例えば福祉の場面であれば、福祉施設の中であったりということが多くありましたけれども、実際には学校の中での問題が多いというようなこともありました。そして、この相談の電話の中では、約七割が学校の問題だったということもあって、これはぜひとも教育庁も含めた中で総合条例をつくっていくということがその中でいわれていたというふうに思います。
実際にはこれからの検討課題というふうになっておりますけれども、この審議会あるいは協議会の答申を十分尊重して、今お答えがありましたように、趣旨を十分尊重して、都として適切な施策や計画立案の反映に努めていただきたいわけですけれども、いかがでしょうか。
○稲熊子ども家庭部長 児童福祉審議会については、意見具申という形でいただいております。
基本的な考え方については、先ほどご答弁申し上げたところでございます。
○藤田委員 私たちは、昨年の九月に、約七千人の都内の方々、大人の方四千人、子どもが三千三百ぐらいの数でアンケート調査をいたしました。実際には、自分が権利を侵害されているということをいわれた子どもが自由記述をしたのが五百件も出てきたんですね。三千二百のうち五百が自分の言葉で侵害の状況を書いてきました。
実際に、権利、権利ということが今どういうようなーー例えばバッシングといいますか、権利だけを主張して、それはすべてわがままじゃないかということがよくいわれるんですけれども、私はそうは思わないで、権利を与えられるということはどういうことかといったら、きちっとその人に責任があることだ、そこに戻ってくるんだよ、自分の権利を求めたいならば、相手の権利も認めることなんだよということがきちっとわかるような教育をしていけば、そこで何も権利を主張するだけが能じゃないということはいわれないはずだというふうに思っているわけです。
ですから、そういう意味では、その部分、そして大人にならせる権利というのは十分ここで考えていかなければいけないと思っています。今は、いわゆるパラサイトといわれるように、大人にならないような子どもたちがたくさんいますから、そういう意味でもぜひきちっとここの部分では、子どもの権利というものがどういうことであるかということをしっかりと考えていただくような条例をつくっていただきたいというふうに思っています。
さて、それでは地域福祉振興事業三事業についてお尋ねしたいと思います。
これについては、地域福祉振興財団からの応援で、地域の中で三事業、家事援助とホームヘルプとミニキャブの三事業でございますけれども、このことを今までは地域福祉振興財団の方で援助をしてきたわけですけれども、この事業については区市町村に移るべきである、私もそう思います。しかし、区市町村の受け皿がなかなかなくて、あなたたち勝手にやったんだから、いきなり東京都に援助を求めたんだから、なかなかそこはうまくいかないよという話を区市町村はずっとしてきたわけですけれども、ここの区市町村との協議の結果についてお示しください。
○河津地域福祉推進部長 ただいまの有償家事援助サービス等のいわゆる三事業でございますが、区市町村が実施することがふさわしいという認識は一致しておるわけでございますけれども、新規申請分は、区市町村が実施主体である地域福祉推進事業に既に移行しておりますが、今お話しのような地域福祉財団が実施しております地域福祉振興事業の方は、なかなか協議が調っておりません。昨年九月と十月にさらに新たな提案をしたところでございますけれども、現状では、後年度負担等が、経過期間を設けたものを出しているわけですが、まだ大きいというようなことで、継続協議の扱いとなっているところでございます。
このため、来年度につきましては、三事業の継続分については、引き続き地域福祉振興事業で助成をすることになります。
○藤田委員 区市町村にこれをそのまま引き取ってくださいといっても、額が非常に大きくて、これがネックになっているというところがあろうかと思います。実際には、地域の中で、四月から始まる介護保険についても、その基礎のホームヘルプ事業、家事援助事業をずっとやってきた人たちに応援をしているわけですので、本当に有効な施策だったというふうに思います。
今後、今お話ししたような介護保険が始まるに当たって、三事業の継続分について、来年度も振興事業で助成をしていくわけですけれども、助成団体が介護保険の事業者として制度に参入した場合に、振興事業の扱いはどんなふうになるでしょうか。
○河津地域福祉推進部長 今まで地域の中でそれぞれ活動してきたいわゆる共助組織でございますので、そのまま中には介護保険サービスを行う事業者になるものも出てこようかと思います。その場合ですけれども、原則といたしましては、介護保険事業へ参入した場合は、地域福祉振興事業の助成対象とはしない方針でございます。
ただし、介護保険に参入した場合であっても、介護保険対象のほかに、それ以外のメンバーが、いわゆる助成のための要綱の基準を超えている場合には、会員の数が超えている場合には、引き続き振興事業の助成対象とするようにいたします。
ただ、この場合においても、両方の間で共通経費というようなものも出てこようかと思います。その場合には、何らかの財政額の調整をさせていただきたいというふうに考えております。
○藤田委員 地域福祉振興事業の三事業継続分の区市町村への移行に際しては、都は、地域福祉推進事業で、これは一千万まですべてを出して応援をするということになっているわけで、支援をするということにしているわけです。
また、新規の三事業の分については、今お話しした地域福祉推進事業で対応が図られているわけで、住民参加型の団体が区市町村からの助成を受けているわけです。すごくややこしいんですけれども、こうした状況がある中で、一方では国の介護予防・生活支援事業、これはそのまま今回は高齢者施策推進室の方に事業としてのってくるわけですけれども、推進事業の事業メニューと結局みんな重複をしてしまうわけですね。地域福祉ということで河津部長がいらして、そこの中でやっているわけですけれども、片や実際に介護保険ということが大きなメニューだけれども、その事業をやるところはまた介護保険の、そういう意味では高齢の方になってしまうということで、非常に入り組んでいるわけです。推進事業の重複することがあって、しかも、これらの事業に住民参加型の非営利組織も事業の受託ができるというふうになっているわけです。
こういうことを踏まえますと、住民参加型の団体を育成する観点もありますし、双方の事業を役割分担をして、もう少し仕組みを効率的につくっていく必要があるんじゃないかというふうに思うんですけれども、その辺についてはいかがでしょうか。
○河津地域福祉推進部長 住民参加型の団体は、公的制度の枠にとらわれない多様なサービスをこれまでも提供してきてくれたわけでございます。今回の公的制度である介護予防・生活支援事業の委託先にも当然なれるわけでございますので、そういう意味では、いわゆる高齢者の部分についての介護予防・生活支援事業のメニューにぶつかるものにつきましては、まさにそこの事業に入れば、やはり先ほどの介護保険事業じゃありませんけれども、そちらでということになると思いますが、一方で、地域福祉推進事業はより幅広いサービス対象になっておりますので、高齢者に限りませんし、もっとメニューが幅広いわけでございます。
そういう意味では、この二つの事業がともにといいましょうか、住民参加型団体の多様なサービスを活用することがともどもに可能であるわけですので、住民参加型団体をこれからも育成していくという観点からは、ともに有効なものというふうに考えているわけでございます。
○藤田委員 まさに有効ではあるんですけれども、ある意味では、振興事業は本当に先駆的、開拓的、実験的、それから都全体でというようなことが最初のコンセプトだったと思いますので、ぜひそこへ立ち戻っていただきたいというふうに思っています。
それから、今と同様なことが、例えば介護保険のメニューの中には、成年後見制度利用支援検討委員会の設置というのがあるんです。これは本当にどうしても必要なものなわけで、これは国事業でもあるんですが、ところが、今回、福祉の方では地域福祉権利擁護事業がスタートするわけなんです。そうすると、いろんな意味で、いろんな施策が重複してきているわけですけれども、まず一点は、「すてっぷ」との関係はどんなふうになるか、伺いたいと思います。
○河津地域福祉推進部長 東京都が東京都社会福祉協議会に対して補助を実施してまいりました「すてっぷ」、これは東京知的障害者・痴呆性高齢者・精神障害者権利擁護センター事業ということでございますけれども、従来から、意思能力が不十分な方々の権利侵害に関する専門相談、日常的な生活支援に関する相談、そういう相談に応じてまいりました。
昨年の十月から、国事業の地域福祉権利擁護事業、これは成年後見法を補完するといいましょうか、より地域で日常的ないろいろサポートをするという事業が始まりましたので、いわゆる「すてっぷ」の方はそれと一体として、基本的には地域福祉権利擁護事業も都道府県社協が受け皿になりますので、それが基幹的な二十八の各地域の社協に委託をするということになります。
その中で、全体的な相談であるとか、そういうものは「すてっぷ」と一体となって進めていきたいということでございますので、このことによって区市町村社協等への専門的援助を行う体制が整備されて、全都的な権利擁護体制の強化が図れるというふうに考えているわけでございます。
○藤田委員 それぞれの役割が少しずつ違ったり重複していたりということがあるんですが、局長は室長でもありまして、介護保険が始まるというようなことがあって実際には高齢者施策推進室が分かれたかと思いますけれども、これは今後の組織再編やら何やらの中でまた考えていかれることなんだと思いますけれども、やはりもう少しトータルで見たときに、介護保険が少しスムーズに動き出したら、一緒になって、同じようなところを整理しながらやらなくちゃいけない時期に来ているんじゃないかなと、再びそういうふうには思うんですけれども、局長のご意見を伺わせていただきたい。
○神藤福祉局長 先ほどから何人かの先生からもご指摘がありましたように、仕事が縦割りではなかなかできない状況になってきております。したがいまして、新しい時代に向けて効率的にやるには、やはり組織をもう一回仕事に合わせて考えるということが必要だと思います。
そういう中で、一番身近なお話としては、福祉局と高齢者施策推進室が統合するというのは、それほど遠い時期ではないんじゃないかというように考えております。
○藤田委員 最後に、重度心身障害者手当、心身障害者医療費の助成についてちょっとだけお尋ねしておきたいと思います。
ご本人が重度心身障害をお持ちの方ではなくて、お子さんをお持ちの親の方からは、今回の見直しの提案が、親のではなくて本人の所得限度額になったというようなことで影響を受ける人が多くなって、非常に厳しいというようなご意見がたくさん寄せられているわけですけれども、先ほどの三宅副委員長のご質問の中のご答弁にもありましたように、大方六割から八割の方はある意味ではまだ影響がなく、その手当を受けられる状況にあるというようなご答弁がありました。
重度心身の場合には、資料の七ページにありますが、現行制度の継続対象者は一万九百人、この所得基準の適正化で影響を受ける人は千三百人ということで、一割強の人がこの影響を受けるというわけでありますけれども、この額を本人に決めた経緯と、本人に決めたことのメリット、デメリットというのをお答えいただきたいと思います。
○村山参事 今回の所得基準の設定に当たりましては、二つの問題がございまして、一つは二本立て、一本立ての問題と、それから額の設定、二つ問題があろうかと思います。
まず、二本立て、一本立ての問題につきましては、先ほどのご答弁でも申し上げましたけれども、東京都の従来からの所得基準に対する考え方というものを踏襲した形で、今後ともこの形でいくことが望ましいということが一つの判断としてございました。
もう一つ、額の設定につきましては、国の特別障害者手当に準ずる形ということで、三人扶養の場合で年収六百三十五万円ということをセットさせていただいたわけでございますけれども、その際には、都内の生計中心者の平均収入が五百九十四万で、六百万未満の方が六割いらっしゃるということとか、国の特別障害者手当の所得基準額の設定自体が標準世帯を設定しているということであるとか、あるいは厚生省の所得再分配調査の結果の五百万という一つの分岐点であることなどから、いろいろ総合的に判断いたしまして、このラインであれば何とかご理解いただけるのではないかと考えたわけでございます。
加えまして、子育て世帯ということを考えましても、繰り返しで恐縮でございますけれども、二十代から四十代ということですと五百七十万程度が平均世帯ということでございますので、その辺を考えても、六百三十五万というラインというのは、子育て世代ということを考えて二十未満のご家族ということを想定しても、それなりのラインであろうかと思っております。
さらに、手当の問題についても、委員先ほどご指摘いただいたように、これを超えた範囲でも、一定程度、四十万から八十万のラインでは手当が継続されるというようなこともございまして、総括的に見まして、今回の六百三十五万というもので仮に手当の支給がなくなった場合でも、七百万というような実質的な年収というふうなことを想定いたしますと、何とかご理解いただける範囲ではないか、かように考えた次第でございます。
○藤田委員 もう一度聞きますね。重度心身の場合には、給与換算で四百九十二万ですよね。本人ですよね。そうした場合に、今お話のあったのは、平均所得が五百万ということを考えれば、六百万のところであっても大丈夫だというのに、今回のこれの場合には四百九十二万ですよね。
○村山参事 四百九十二万は扶養ゼロでございますので、ほとんどの場合、ご本人ということでございますので、その意味においては、この千三百人の影響のうち、千百人が未成年者ということでございますので、四百九十二万を超えるご本人というのは、二百人ぐらいいらっしゃるかなというのが試算値でございまして、その点についてはご理解を賜りたいと思います。
○藤田委員 失礼しました。扶養のことをちょっとミスをいたしました。
それでは、心身障害児の医療費助成は、今回七百七十一万から四百九十二万に下げられるわけですけれども、まず第一点は、七百七十一万、現行の根拠。
○長野障害福祉部長 心身障害者医療費助成につきましての制度発足当時の所得制限の考え方でございますが、勤労世帯の平均世帯収入の約一・五倍でございます三百五十万円程度というものをめどとして基準を設定いたしました。その後、この額につきましては、人事院勧告のアップ率に準じまして基準額を改定して現在に至っております。
○藤田委員 それでは、今はまだ新しいのじゃないので、今の制度として重度心身障害者手当をもらっていてこの医療費が受けられていないという方々は、人数的にはどのくらいいますでしょうか。
○曽根委員長 どなたかお答えいただける方は。
○村山参事 お答えいたしますが、なかなか難しいご質問でございまして、制度間で受給者がどういう関係になっているかということについてはなかなかデータもございませんので、所管部長が答えますと非常に責任がありますので、机上の空論ということで私の方の試算値でお答えをさせていただけば、単純に所得の分布で幾つかの前提を置いた上で計算をいたしますと、まあ七百人程度がーー二十未満で想定をさせていただいた場合でございますけれども、七百人ぐらいの方がそういう方かなと。成人の方については、さっきのようなことですので、余りいらっしゃらないのではないかと。ーーということで、非常にいいかげんでございまして、五百人程度ということで訂正をさせていただきます。
○藤田委員 ちょっと、どんなふうになっているか伺いましたけれども、実は今回、ここの部分では給与換算というふうにありますよね。こっちは所得なんですよね。どれを見てどれと数字が合っているかというのを探すのが一苦労でございまして、予算書にしても何にしてもそうなんですが、なかなか一般市民にはわかりにくいというのが現状だと思いますので、予算はぜひみんなにわかりやすく、そして自分たちがどんなふうに制度として受けられるのか、広報も含めてなんですけれども、そんなところにも気を配っていただきたいというふうに思います。
大きく制度が変わるときですので、あるいは社会の仕組みが変わるときですので、今回の提案、受け入れられるところもあり、受け入れられないなと思っているところもありますけれども、さらに予特の締めくくりもありますので、そこでの審議の場を経ながら結論を出していきたいというふうに思っています。
以上です。
○曽根委員長 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
午後六時三十八分休憩
午後七時十五分開議
○曽根委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○吉田委員 遅い時間まで、皆さん本当にご苦労さまです。
それでは、質疑をさせていただきますけれども、最初に、簡潔に質問させていただきたいのは、福祉の見直しの全体像についてです。
冒頭、三宅副委員長からも、こういう問題はマクロとミクロと、そういう視点でとらえなければならないんだというお話がありました。昨日までの予算特別委員会でもいろいろな議論がありましたが、まずお伺いしたいのは、福祉の見直しによる削減額の総額と、新たな展開による新たな拡充額の総額について、福祉局の質疑でありますが、できれば高齢者施策推進室も含めたトータルで、それぞれ削減額と新たな拡充額が幾らなのかをまずご説明をお願いいたします。
○村山参事 福祉局分につきましては、初年度につきましては、影響額が四十七億、それから、充実経費については百一億ほどを見込んでございます。それから、平年度につきましては、影響額については百六億ほど、充実経費については百八億ほどを見込んでございます。
高齢室についてもいえということでございますが、その点については、高齢室の関係がございますので、先般、特別委員会の答弁の中で申し上げました四百二十九億と四百四十一億との関係に限ってお答えをさせていただければと存じます。
先般、予算特別委員会で財務局の方の答弁でございました数値というのは、いわば見直しによる影響額を明らかにするために、平年度化、両局、福祉局、高齢室ともの平年度影響額を数値として合算して示したものでございました。これに対して、私どもといたしましては、充実経費との対比でというお求めが議論の中でございましたので、そういう中で、一つ、高齢室の場合には、老人医療費の平年度化が平成十九年という相当先の話になりまして、これに対比する充実経費の推計が技術的に困難であるということもございましたので、このため、充実経費と影響額との対比に当たりましては、福祉局については平年度分で、高齢室については初年度分で比べるというような形の処理にさせていただいた数値でございまして、その結果、影響額については、福祉局の平年度影響額百六億円と高齢室の初年度影響額三百二十三億円を足した四百二十九億円というふうにご答弁申し上げたわけでございます。
充実経費につきましては、同じように、福祉局については、平年度充実経費の百八億円と、高齢室の初年度の充実経費三百三十三億円との合計額、合わせて四百四十一億円をお示しして、四百二十九と四百四十一という二つの数値をお示ししたところでございます。
なお、財務局の数値で四百九十二と四百八十二という二つの数値がございましたけれども、これは、乳幼児医療費助成の年齢引き上げによる増分を影響額から控除するか否かの差でございます。
○吉田委員 今かなり詳しい説明がございました。したがって、そうすると、若干、先日のお話だと、見直しによる削減額が少ないのかなという印象を持ったわけですけれども、今の説明によって、必ずしも高齢分について対比の関係で平年度を求めなかった、若干それより少なかったんだという説明だったと思うんですね。
そうすると、財務局の四百九十二億円という削減額が平年度でそろえたものだということになりますと、新たな展開が四百四十一億円ということになれば、それだけを見ても、私は、やはり削減額が大きいということははっきりしていると思うんですが、あわせて参考までに、これは財調分が入っていないと思うんですけれども、財調分を入れた場合の削減の影響額というのはどういうふうになるんでしょうか。
○村山参事 お答え申し上げますが、その前に、ただいまのご質問の中で、削減額が大きいというようなコメントがございましたけれども、あくまで私どもの想定の中で示した数字の中では、影響額が四百二十九億で、充実経費は四百四十一億でございますので、その点、確認をさせていただきたいと思います。
それから、財調の関係でございますけれども、一つは、財調経費につきましては、ご承知のとおり、総務局の方で別途算出してございまして、計算方法も全く違うということで、私どもその中身には関知してございませんし、また、算定方法も異なるということで、財調分について私どもの東京都の歳出ベースの持ち出し分と合算するというのはふさわしくないと考えてございます。
○吉田委員 私どもが得ている情報を確かめたい意味で質問させていただきましたけれども、私どもが得ている報告では、財調分は、老人福祉手当二百八十八億、心身障害者福祉手当十二億、児童育成手当六億、合計三百六億が財調で見る削減の影響額であるということになりますと、先ほどの平年度の見直しによる削減額、これは財務局の説明の方をとらせていただきますが、四百九十二億と今の三百六億を合算すれば、七百九十八億円の見直しによる削減である。さらに、この中には、これは高齢分ですが、特別養護老人ホーム都加算、アバウトでいえば二百億円というものも入っておりませんので、それを足し込みますと、ほぼ一千億の削減額になるんだということはしっかりと直視せざるを得ないと思うんです。
他方、新たな拡充の問題ですけれども、包括補助等新しい努力をしているんだということが出されておりましたけれども、私たちの懸念は、これは予算特別委員会の場でも質問し、そして、木内財務局長から答弁がありましたけれども、基本的には恒久的なものではなくて、基本的には時限的なものであるということが財務局長のご答弁としてありました。したがって、削減の方は恒常的な削減でありながら、拡充の方は時限的な基本的なものであるということになったときに、果たして包括補助をもって真に削減に置きかわるものというふうにとらえることができるのかという疑念が生まれても、やむを得ないことかと思うんです。
さらに、福祉局の福祉改革推進補助事業の三十億ということについても、皆さん非常に強調されております。私も、どういう補助内容で、一体補助率が幾らなのかということをぜひ知りたくて、きょう、この委員会までにぜひその要綱なりを見せてほしいということをお願いいたしましたけれども、実は、きょう、予算を審議するこの時点で具体的なメニューも要綱も、あるいは二分の一原則補助ということは、財務局が作成いたしました予算原案の説明書には出てくるんですけれども、本当に二分の一なのかどうかということについても計理課長さんの説明はまだ確定していないんだというお話なわけですね。
そういう点で見ても、そういうことがはっきりされない限り、これだけ包括を示したんだというふうにいっても、必ずしもそれが本当にどれだけ在宅サービスその他拡充されるのかという疑問が生ずるのはやむを得ないことではないかということをまず述べさせていただきます。
次に、きょう、私は、障害者施策を中心に質疑をさせていただきます。
それで、きょうの午後からの質疑の中でも、今のマクロで見る、ミクロで見るという見方を初めとして、いろいろな見方の問題についても意見がありました。ただ、私は、特に障害者施策の場合には、歴史的な到達点というものを私たち自身がしっかりと押さえて、あり方を検討するということが必要だと思うんですね。例えば、重度障害者の問題をとらえてみても、戦後の長い歴史を見れば、本当に重度障害者の方々がまともに扱われなかったという時期があったと思うんです。
びわこ学園を創設された糸賀先生が、「この子らを世の光に」と。一見しかばねのように見える子どもたちだけれども、必死に生きようとしているということを自分は知ったと。そういうことを知らされた自分が本当に恥ずかしいということを発言されて、改めてこういう重度の障害者の方々もそれぞれ必死に生きようとしているし、そういう人たちをもっと社会的に支援しなければならないということが確立され、さまざまな努力がつくられてきました。そういう到達の上に立って、私たちは、今改めて重度障害者のための施策はどうあるべきかということを考えなければならない地点に立っているということを、私自身も痛感しながら質疑をしているところです。
同時に、局の皆さんの説明を聞いていて、ちょっと不可解な印象を受けるのは、東京都の障害者施策というのは、基本方針がノーマライゼーション推進東京プランで確定しているわけですね、基本計画としては。これはたしか平成十数年までのものだと思うんですが、そういう東京都自身が決めている障害者の施策との関係で、何を発展させ、何を改めるのかというような話が全く出てこないというのは、私はいささか不思議な印象を受けるわけです。ですから、もちろん見直しについて大いに議論する必要がありますが、少なくともそういう到達の上に立って論議をしていくということが大切だと思うんです。
何か演説ばかりでいわれそうですけれども、もう一ついわせていただきますけれども、やっぱり私どもとしては、同時に、直接の当事者といいますか、都民の皆さん方の生活に立脚してこの問題を討議する必要があるんじゃないかと。ですから、数は少ないといわれてみればそれまでですけれども、二十歳以下の重度障害児を抱えている方々に対して、私たちは、四十件ですけれども、必死になって状況の調査をしたんです。そういう上に立ってぜひ論議をしたいということです。
まず、冒頭、医療費助成制度の問題について質疑をさせていただきます。
障害者にとっての医療ということは、他の一般の方々と比べてみても、例えば、生涯にわたって医療とつき合わない限り生きていけないという問題だとか、あるいは入院したとしても、特に重度の障害をお持ちの方の場合には、一般の大部屋ではなくて個室に入らなければならないことに伴う、例えば経済的負担の重さだとか、そういう特別な状況というものをよく頭に入れて、障害者の医療費助成の問題について検討する必要があると思うんですが、そういう障害者にとっての医療という問題について、その特別の意味合いや考慮する点について、担当部長としてはどのようにお考えなのでしょうか。
○長野障害福祉部長 大変難しい問題であろうかと思いますが、障害者福祉施策におきまして、保健の向上と福祉の増進という問題は重要な課題であると考えております。具体的な医療と障害者の皆様とのかかわりにつきましては、一人一人の障害者の障害程度、あるいは種類といったものによってさまざまでございますが、すべての障害者の方々にとりまして健康の保持というものは、生活の質の基盤となるものでございまして、そのために適正な医療を確保するということは重要なものであると認識しております。
○吉田委員 今も特別な重要な意味ということのお話がありましたけれども、私は、先ほどもいいましたけれども、例えば経済的な負担という点でも、単なる保険に伴う費用だけではなくて、差額ベッドあるいは通院費等々特別な出費があるわけですから、先ほど、見直しをしたとしても、そう負担は大きくないというようなお話がありましたが、トータルで見ていく必要があるということをまず強調したいと思うんです。
二つ目に、所得制限の見直しによる影響についても、私、予算特別委員会で質問して回答が出ていますが、改めて同じ質問をしませんけれども、所得制限の見直しによって、先ほど細かい話がありましたが、直接的に排除されるという方が一万一千百人、その影響額は二十億円であるというご答弁がありました。これを一人一人に合わせますと、一年間で十八万円という金額になるわけです。こういう、特に一般の人以上に医療費に伴う負担の大きさというものは大きいんだということを認識する必要があると思うんですね。
次に、これは質問させていただきたいんですけれども、一部負担については老健に準拠するということが提案されています。今、老健は、ちょうど国の方はこれを切りかえようとする段階にあるわけですけれども、いわゆる定額負担から基本的に一割の定率負担と。その中でもさまざまなランクがあるようですけれども、そのことによって、老健見合いについても、現時点よりは自己負担額がふえるわけですね。
それで、今度の国の老健の、私ども改悪といわせていただきますけれども、これに伴って、外来及び入院の場合、自己負担はどういうふうになるのか。障害者の場合にはどうしても大手の大学病院等を利用せざるを得ないことが多いと思いますから、二百床以上という利用が多いかと思うんですが、概要について説明していただけるでしょうか。
○長野障害福祉部長 現時点で私どもが聞いているところの状況についてご説明させていただきますと、国におきましては、医療保険制度の安定的運営を確保し、あわせて給付と負担の公平を図るためということで、老人に係る一部負担金の見直し等を予定していると聞いているところでございます。
この内容によりますと、高齢者が医療を受けた場合の一部負担金は、原則として医療費の一割とする。ただし、一カ月当たりの上限額は、診療所及び二百床未満の病院につきましては三千円、二百床以上の病院につきましては五千円とする。また、薬剤費の一部負担については廃止するという内容で聞いているところでございます。
○吉田委員 いずれにしても、所得制限から外れないで残った人々も負担がふえる。もちろん、所得制限によって外れる人も負担がふえる。しかし、部長のご答弁でもありましたけれども、障害者の方々にとっての医療というものは特別の重みがあるわけですね。
そこでご質問したいんですけれども、全国の状況についてなんですが、昨年の厚生委員会でも、入院給食費も含めて完全に無料制度をとっている県が、私が資料を見た限りでは、二十三県ありました。どこも決して財政的に余裕があるような状況ではないと思うんですね。しかし、その時点では、少なくとも二十三県が現実に無料制度を堅持しておりました。現時点で、来年度、これを自己負担の導入なり、所得制限の強化なり、大幅に東京都と同じように見直そうという県はどの程度あるんでしょうか。
○長野障害福祉部長 手元に詳しい資料を持っておりませんので、現在、二十三という話がございましたが、これはちょっと確認できません。
他県における来年度からの見直しの検討状況ということですが、詳細には私ども把握しておりませんが、一、二検討中という状況を仄聞している部分はございます。具体的には、県の名前を挙げるというのは差し控えさせていただきたいと思います。
○吉田委員 今の時点で無料制度に固執すること自身が際立った意見のように感じられる声もあるんですけども、今の部長の説明でも、一、二という程度にしか触れることができませんでしたけれども、多くの県は引き続き現行の基本としての無料制度を維持するという状況にあると思うんです。しかも、これは以前の財特の場でも、曽根委員長からも質疑で紹介がありましたけれども、例えば愛知県なんかは、東京都と同じように所得制限を導入するという提案がありましたが、議会の一致した声で、今大変なときに、障害者に新たな負担は求めるべきではないということで、基本的に現行制度が継続される、こういう全体の状況も、ミクロじゃなくてマクロの状況として、私たちはしっかりと踏まえていくことが必要ではないかということを述べさせていただきます。
次に、重度手当等の所得制限の強化の問題について移っていきたいと思います。予算特別委員会の場でも、私はこの問題について質問させていただきました。
まず、基本的な姿勢について確認させていただきたいんですが、重度の障害を持つ方々を家庭で育てる、あるいは介護するというのは大変なことだと思うんですね。しかし、どんなに重い重度の障害を持つお子さんであっても、できる限り在宅で見られるように支援をしていくということは、行政としても基本的なスタンスだと思うんですが、まずこれはいかがでしょうか。
○長野障害福祉部長 重度障害児を抱えたご家庭は大変ご苦労が多かろうというご質問の趣旨と理解させていただきましたが、障害者児の世帯の特別な経済的負担というような問題につきまして、一人一人の障害程度、先ほども申し上げましたが、その生活を支える家庭の状況等によりましてそれぞれ異なってまいりますので、経済的にどれほど大変かというのは明確には把握できないところでございます。こういった点につきまして、私ども、そういった実態をどのように把握するかという問題もございますが、手当の性格上、個々の世帯の具体的な経済状況というものは調査することはできないということでございます。
○吉田委員 私は、在宅でも、どんな重いお子さんであっても可能な限り育てられる、あるいは地域が支えていけるような状況を支援することが、行政にとっての今は基本的なスタンスだと思うんですね。そういうことをちょっと聞きたかっただけなんです。そんな難しい話を聞いたわけじゃないんです。
ただ、今度の所得制限の見直しは、かなり困難にするという状況をつくることは必至だと思うんですね。それは、この間議論もありましたけれども、重度障害者手当、二十歳前の場合には児童育成手当、さらに医療費助成制度がすべて同じ所得基準になるわけです。しかも、その所得基準というものが、国の特別障害者手当の障害者本人に適用するものを、二十歳未満の場合には、その親、扶養者に適用する。したがって、かなり低い水準のものを親の所得基準に適用するということにならざるを得なかったんです。どれだけ低いかということは、皆さん、高いんだということをいわれるかもしれませんけれども、モデル的な例で何度も出ていますが、扶養家族三人、一般的に四人家族の場合で、所得額で四百六十二万円、年収換算で六百三十五万円というものです。それで、重度手当の場合、所得制限の導入自体がそもそもなかったわけですから、それ自身問題なだけではなくて、一律三つにこの低い所得基準が一気にかかってくるということになるわけです。
ちなみに、参考までに確かめたいんですが、例えば同じ特別障害者手当の所得基準でも、扶養者の方に係る基準額で扶養三人は幾らなのか、それと、今回、障害者本人を適用する場合の金額との差額というのはどのくらいですか。
○長野障害福祉部長 扶養親族等の収入基準ということ、これは国の特別障害者手当の基準でありますが、扶養親族三人の場合に八百九十七万六千円という……(「それは所得ですか、年収ですか」と呼ぶ者あり)年収でございます。(「所得でいってください。わかりやすいから」と呼ぶ者あり)所得ですと、六百八十七万九千円ということになりまして、新たに導入を予定しております所得額四百五十三万八千円との差は二百三十四万一千円ということになります。
○吉田委員 だから、二百万円以上の開きがこういう形で出てくるわけですね。さらに、現在の東京都が所得制限を導入している児童育成手当や医療費助成制度との落差というものも、私は大きいものがあると思うんです。
それで、やはり扶養三人の場合で、児童育成手当と医療費助成制度について、もともと今の所得基準が幾らで、それがどれだけダウンするのかを説明してください。
○長野障害福祉部長 それでは、心身障害者医療費助成のケースでご説明させていただきますと、扶養三人の金額を単純に比較しますと、現行六百八十八万円が四百五十四万円になりまして、二百三十四万円程度の引き下げとなります。ちなみに、収入ベースで申し上げますと、八百九十八万円から六百三十五万円ということになります。
○吉田委員 児童育成手当もお願いします。
○稲熊子ども家庭部長 児童育成手当につきまして申し上げますと、扶養三人の例でございますが、年収おおむね八百四万、これが見直しの後では、扶養三人の例で年収おおむね六百三十五万、このようになってございます。
○吉田委員 いずれにしても、二百万前後それぞれ大幅に一気に所得基準額が下がるということになれば、私は、当事者から見れば大変な影響だというふうに感ずるのは当たり前のことだと思います。
しかも、先ほどいいましたように、所得でいいますと、四百六十二万円、これを一円でも超えれば、三つの制度がすべて一気に受けられない状態になるわけです。今までは段階的にあったわけです。そのことによって、例えば一気に三つの制度が利用することができない、あるいは手当を受けることができないというふうな金額をモデル的に計算しても、一家庭当たり年額百八万円という金額があるわけです。皆さん、一年間で百八万円新たな出費がかさむか、あるいは今まで受けていた収入が百八万円削られるということは、決して小さいことだとは到底いえないと思うんですね。
それで、改めて、先ほどからの説明の中で、平均的な主たる生計者の収入水準よりは若干高目に設定しているんだ、だから大丈夫だというようなこともいわれております。ただ、これはさまざまな統計がありますから、その統計によっていろいろなことがあるわけですが、一つだけ皆さん方が紹介されていない統計についてご説明をお願いしたいんですが、平成八年度社会福祉基礎調査の中に、児童とその両親がいる世帯の平均年収というものがあると思うんですが、これは平均で年収幾らになっていますか。
○村山参事 平成八年度の社会福祉基礎調査でございまして、ご指摘の数値は七百七十七万ほどかと思います。ご承知だと思いますけれども、この数値は世帯合算ベースの数値でございまして、私どものいろいろな手当、医療費助成制度の所得基準というのが、世帯合算ではなくて、生計中心者でやっておりまして、例えばお父さんが働いていらして、お母さんやお兄さんがいらして、世帯が一緒で、ほかに収入があるというような方の場合でも、お母さんやお兄さんの収入は合算しないで、生計中心者のお父さんの収入で所得基準をはかるということでございますので、世帯合算ベースの数値ではなくて、やはり生計中心者の収入で、所得で基準を検証する方が適切ではないか、かように考えてございます。
○吉田委員 私が見ている資料の中では、児童とその両親がいる世帯で、平均金額八百九十七万八千円というものまであるんです。
なお、それは世帯合算じゃないか、我々が見ているのは、あくまでもいわば世帯主といいますか、生計中心者個人の収入なんだということをいわれます。しかし、それは、重度障害児を抱えた家庭の実態とかけ離れた話だと思うんですね。というのは、重度障害児を抱えた家庭の場合には、ほとんどの場合、パートも含めて、母親は仕事に出られません。もっぱらご主人の収入のみに頼らざるを得ませんから、主たる生計者の収入、即それは世帯収入に結びつくということも、この際述べさせていただきます。
私は、次に論を進めたいのは、皆さん方は、平均レベルあるいはそれより上だということを盛んにいいます。しかし、重度障害者手当の所得制限を検討するときに、なぜこういう平均ならばいいということが最大の基準になるのかというのが私は非常に疑問なんです。普通の生活をしていればいいといったって、その方々は、その上に立って、重度の障害児を抱えて、肉体的にも精神的にも経済的にも、私自身だってある程度は想像つきますけれども、多分私だってまだ本当にその人のことがわかり切っているかといえば、おのずと限界がありますよ。そういう重い負担があるわけですから、私は、平均レベルで切ればそれでいいなんていうことは、全く障害者福祉の観点が欠如したものだといわざるを得ないと思うんです。
したがって、所得基準額のあり方を考えるときには、まず、重度障害者手当というのはどういう使命と目的を持って交付されるものか、それとの関係で所得基準が妥当か否かというふうに検討するのが、本来の行政としての検討方法じゃないでしょうか。そういう点で、重度障害者手当の目的について改めてご説明をお願いします。
○村山参事 今そのお答えをする前に、一言、先ほどの吉田委員のお話の中で、重度障害者のいらっしゃる家庭では、実際に共働きができないと。だから、世帯合算で考えないとおかしいんだというようなご指摘がありました。それについて、一つは、私どもの都の所得基準が生計中心者でやっているということをさっき申し上げました。もう一つは、仮にそういう方がいらして、重度障害者を持つご家庭があって、その他の実態との関係で申し上げれば、仮に六百三十五万円よりちょっと上の世帯がいらしたとした場合に、都の手当対象でなくなった場合にあっても、四十万円から八十万円の国の年金手当が引き続き支給されますので、実際の年収ということになりますと、七百万からそれをちょっと超えるという水準まで参りますので、そういう点では、その点もちゃんと含めてご勘案をいただけないと、公正な話にはならないのかな、かように思います。
○長野障害福祉部長 重度心身障害者手当の目的でありますが、心身に重度の障害を有するために常時複雑な介護を必要とする者に対し手当を支給する、このことによりまして、これらの者の福祉の増進を図ることを目的としております。
○吉田委員 ですから、障害者一般の手当ではなくて、重度手当の場合には、今お話がありましたように、常時、すなわち二十四時間、それも単純なーー単純というふうないい方をするとそれ自身大変なんですが、複雑な介護を必要とすると、そういう状態に着目し、それに伴ってさまざまな経費もかかり、労力もかかるということに着目した手当だと思うんですね。
したがって、私は、ただ平均的な主たる生計中心者のラインを超えているかとか、それ以下どれぐらいいるかということだけではなくて、現実に重度の、二十歳未満の場合には、障害児を抱えた家庭で、肉体的にもあるいは経済的にも、どの程度の、お金だけで単純に計算することはできないかもしれませんけれども、負担があるのか。それが果たして平均的な線で切っただけで、直接受給する本人は本質的にいえばその障害児ですから、障害児がちゃんと二十四時間複雑な介護を受けることができるかどうかということですから、そのためにどれだけの経済的な負担があるのかというようなことは、当然、この所得基準を考えるときに検討されなければならない初歩的なことだと思うんですが、どういう実態認識をされていますか。
○長野障害福祉部長 この点につきましては、先ほど基本的なスタンスというところでちょっとご紹介申し上げましたけれども、障害児を抱えるご家庭といいましても、それぞれ障害の程度、あるいはその生活を支える家庭状況といったものが異なりますので、一般的にどの程度の費用がかかるかということにつきましては、把握することはできません。
○吉田委員 把握する努力はされたんでしょうか。
○長野障害福祉部長 私ども、障害者の皆さんといろいろ個別に意見を交わすこと、あるいは東京都の会議等の中で障害者の代表の方が参加される場合は多いわけですから、そういう中を通じまして、今回の見直しの経過で、そういった例えば新たな展開が出てくるーー福祉ビジョンにつきましては時間的な問題があってお送りしたわけですけれども、そうしたものを報告しつつ、それに対するご意見というものを聞くと。可能な限り、そうした実態の把握に努めておるところでございます。
○吉田委員 結局、ちゃんとした実態調査はどうもされていないようなんですが、あわせて聞きますけれども、ここに座っていらっしゃる部長級以上の皆さんの中で、実際に在宅で重度の障害児を抱えているご家庭を、昨年からことしにかけて直接伺って話を聞いたりというようなことの経験がある方はいらっしゃいますか。ーーじゃ、局長、どういう状態の方のところに行かれたかわかりませんが、どういう認識を持たれましたか。
○神藤福祉局長 重度障害手当につきまして、所得の点でお話しになっていますけれども、全体でご議論いただきたいと思います。
私も重度の方に会いましたけれど、これは東京都だけの単独の手当ですね。ほかの県にはないわけです。そういう点を含めまして、もちろん非常にありがたいというふうにおっしゃっていますけれども、現在の状況の中で、在宅サービスへ転換するということであれば、ご容認できる中身じゃないかと思っております。
○吉田委員 局長の意見なのか、当事者の意見なのか、最後はわからなくて、どうも局長の意見のようないい方になっていますけれども……。
私は、先ほどいいましたけれども、時間の許す限り、何人かのご家庭にも直接伺いました。もちろん、まだ少な過ぎるぞ、何だその程度でというかもしれませんが、可能な限り努力いたしました。
そして、それ以外はファクスで、ここにこういう細かい、見えないでしょうけれども、例えば月々の交通費あるいは駐車場代、栄養食品、介護用品、医療機器、水道代、電気代、その他重度の障害児を抱えることに伴って特別な出費としてどの程度かかりますか、あるいは経常的な経費だけではなくて、例えば人工呼吸器とか、あるいは湿気を与えるものとか、そういう機器でどれだけの費用が購入費でかかっていますかとかいう金額的なことから、直接知事への意見、要望や実情について、どうぞ状況をお書きくださいという調査をしたわけです。
その結果、例えば経済的なこと一つをとってみても、もちろん大変です。同時に、私が一番印象を強くしたのは、これは予算特別委員会でも紹介させていただきましたけれども、やはり母親の努力たるや、本当に二十四時間、特に気管切開をして吸引をしなければならないという方の場合には、たんが詰まったら、即窒息死するわけです。割と健康状態の安定したときは、三十分なり一時間に一遍吸引すればそれでいいですけれども、症状が悪化したときには、もう十五分置きぐらいに吸引をしなければ直ちに命に直結するようなそういう努力を、親だから当たり前といえばそれまでですよ。そういう、本当にたとえ親だとしても、いわば看護婦、あるいは食事一つをつくるにしても、普通の食事じゃなくて、特別に加工しなければならない、手間もかかる、フードプロセッサーで砕いて、それをチューブで与える。もちろん、おしめをかえるとか何かという初歩的なこともありますけれども、本当に二十四時間大変なご努力をされている。
もし例えば施設にこの方が入って、施設の職員がこれを見たとした場合の人件費で見れば、すごい金額の人件費になるなという印象を受けました。
同時に、経費という点でも、純粋に統計をとったんです。そうしましたら、若干の種類のでこぼこはありますけれども、四十人の平均で、月々、経常経費だけですよ、備品とか設備とかを除いて、月七万円かかっていました。これもさまざま、千差万別です。私は、所得制限の基準額を考えるならば、当然、実態調査をすることが大前提だと思うんです。
しかも、福祉局の、先ほども話が出ましたが、「福祉施策の新たな展開に向けて」という中では、手当の見直しに当たっては、詳細な分析調査が必要だということを書いてあるじゃないですか。あなた方は、調査もしないで、なぜ、今の所得基準で安心して重度の障害児の方々が医療や介護のサービスを受けることができるというふうに、何をもって断言できるんですか。
○長野障害福祉部長 先ほど、可能な限り障害を持った皆さんの状況を把握していると申し上げましたが、それにプラスしまして、都議会各会派からの具体的なご提案、区市町村、関係団体からの要望、また広く都民の声などに十分配慮して、今回の改正案をご提案させていただいたわけでございます。
○吉田委員 今の所得基準で、現実に当事者がこれではやっていけませんという声を上げているんですよ、事実として。あなた方は、これでやれるという確信を何をもっていえるんですか。
○長野障害福祉部長 今回設定させていただいておりますレベルは、国の特別障害者手当というものに準拠しているわけでございます。この特別障害者手当の所得基準額につきましては、国は、標準世帯をもとに設定したもの、このような説明がされております。したがいまして、私どもは、受給資格者本人が生活を維持できる水準であるというふうに考えているわけでございます。
○吉田委員 私どもが聞いている限りでは、少なくない当事者の方々が、これでは大変であるという声を上げているわけですから、その声に正面から耳を傾け、目を向けるというのが、見直しをするからには当然のことだと思うんです。だって、皆さん方の福祉手当の見直しに当たってはという文言の中で、はっきりと、十分な調査と評価を行うことが手当の見直しに当たっては不可欠であると。しかし、十分な調査は行っていないわけでしょう。直接当事者の声だって十分聞き取っていないわけでしょう。なぜそれができないんですか。
現時点でもいいんですよ。今提案はしてしまったけれども、改めて、みんな聞いてください、聞いてくださいと来ているんだから、福祉局として、知事も含めて、直接話を聞く場がなぜ持てないんですか、そんなに自信があるというなら。
○長野障害福祉部長 ただいまご紹介いただきました研究会報告でございますが、そのように確かに触れております。しかし、私どもの方では、この基準設定に当たりまして、あらゆる角度、さまざまな角度から検討した結果、国の特別障害者手当の所得基準というものが妥当であるということでご提案を申し上げました。
そして、団体の方あるいは都民各般の方にご提示して、そういう中からご意見をいただいた結果、さらに住民税非課税のレベルの方に対する配慮、また、重度手当につきましては、先ほど来話がありましたけれども、金額が多いということから、三年間の経過措置というものを入れて、かなり広い範囲の皆様にご理解いただいているものと確信しております。
○吉田委員 さらにこの報告書の中には、都民の十分な理解が不可欠であるということまでいっているんですよ。福祉局として今の所得制限案にそんなに自信があるんだったら、直接会って、なぜこれが理解できないのか、理解してください、これは妥当なんです、あるいはもちろん聞くべき要望は聞くという場がなぜ持てないんですか。初歩的なことですよ。
○長野障害福祉部長 先ほど来申し上げておりますように、可能な限り耳を傾けてそうしたご意見を聞いた結果、このようなご提案をさせていただいたわけでございます。
○吉田委員 結局、当事者の方々の声に正面からあなた方はこたえようとしていないんですよ。なぜそんなに逃げるんですか、自信があるんだったら。それは、当事者の方々に聞けばもう一発でわかりますよ。
私たちは、意見の違いがあってもいいと思うんですよ。ただ、少なくとも具体的な事実の前にお互いに真摯にあるべきじゃないですか。直接的に今手当を受け、そして、それが切られようとする人たちが、どういう意見を持ち、どういう生活実態を持ち、それを聞くというのは、冒頭いいましたけれども、出発点にすべきじゃないですか。そのことを、(「聞いているというんだから」と呼ぶ者あり)聞いていないですよ、それは。何でこんなことすら、聞いてくださいといっているのを正面から受けないのかと。(発言する者あり)
じゃ、聞くといいますか、もう一度。そんなに自信があるんだったら。聞く場を持ちますと、至急。いってくださいよ、それだったら。
○長野障害福祉部長 再三申し上げますが、私どもは、いろいろ調査分析した結果、この新たな所得基準というものを設定いたしまして、それをご提案して、団体の方にも個別に、各団体、私直接回りました。また、会議体の中でもそうしたご説明をして、それに対していろいろなご意見が出てきたことは事実でございます。そうしたご意見を踏まえまして、そういうこと、それから、都議会各会派の皆様方の提案、そうしたものを総合的に踏まえて、今回の改正案になったということでご理解いただきたいと思います。
○吉田委員 団体の話を聞いたことは、後でも述べますけれども、重度障害児を持つ母親、何人会いましたか、部長。話を聞いたなら。(「全員に会わなくちゃいけないって……」と呼ぶ者あり)全員なんていっていないじゃないか、大体。
○長野障害福祉部長 何人と会ったかという点につきましては、定かにお答えするわけにはまいりません。記憶が定かでは……。
○吉田委員 そんな細かいことをいっているんじゃない。おおよそ何人程度に会って話を聞いたんですかといっているんですよ。
○長野障害福祉部長 いろいろな機会がございますので、今何人ぐらい、何十人ぐらいというお答えをする記憶がございません。
○吉田委員 今の答弁を見ても、結局ちゃんと答えられないわけですよ。団体にお会いしていることは承知していますよ、団体にお会いして話を聞いていることは。しかし、直接、重度障害児を抱えたお母さんたちあるいはそのグループから話は聞いていないんですよ。そういう状況で、皆さん方が今回やろうとすることは大幅な変更なんだから、やはりそういう方々の当事者の声も聞かないでやるということは、将来重大な禍根を残すことだってあり得るわけですよ。それは賛成でもいいんです。しかし、まず、その手続は行政としてちゃんとやってほしいということを、これ以上いっても平行線ですけれども、改めて強調させていただきます。
次に、新たな在宅サービスを重視して、それで対応するからということがあるかと思うんですけれども、具体的に今準備している施策の中で、重度の障害児を抱える家庭にとって役立つ制度としてどういうものが準備されているか、ご説明をお願いいたします。
○長野障害福祉部長 障害児や保護者の地域生活を支援し、生活の質を高めるための福祉施策といたしましては、就学前の心身障害児や、養護学校の放課後における集団活動、訓練を行う心身障害児デイサービス事業、心身障害児者通所訓練事業、在宅の心身障害児を施設などで短期間預かる心身障害者児緊急保護事業、なお、このショートステイに関連いたしましては、来年度より保護者の介護疲れ等に対応することを目的といたしまして、数時間あるいは半日単位の日中預かり、日帰りショートステイというふうに呼んでおりますが、こうした事業を都内の二十九施設において実施する予定でございます。
さらに、重度心身障害児の家庭等に対しヘルパーを派遣する心身障害者児ホームヘルプサービス、浴室・室内移動設備、玄関、便所、居室等の改善に要する費用を給付する重度身体障害者児住宅設備改善費給付事業等々ございまして、在宅の障害児に対するサービスとしては、今後とも一層の充実に努めてまいる所存でございます。
なお、従来から、障害乳幼児に対しましては保健、医療の面から、また、障害学齢児に対しましては学校教育の面から支援が行われているところでございます。
○吉田委員 幾つかの積極的な施策が説明されました。やはり在宅サービスでおくれている分野がたくさんありますから、大いに拡充していくことは必要だと思うんです。
ただ、障害児のお母さん方からいわれているのは、そのことをもって、じゃ、来年から重度手当はなしよということがなぜなのかという声なんです。
例えば、今、ホームヘルプサービス、あるいはデイサービスというようなことが紹介されましたけれども、気管切開しているような重度の障害児の場合には、ヘルパーさんは医療行為ができないわけですね。だから、もしデイサービスでお子さんがどこかに行くとすれば、母親がついていかない限り、デイサービスには通えないわけです。ヘルパーさんが来ている間、母親は、私、買い物に行ってきます、よろしくお願いします、一時間ですというふうにできるかといえば、ヘルパーさんは、たんは取れないわけです。(「母親は取れるの」と呼ぶ者あり)母親は取れる。より厳密にいえば、看護婦さんだって取れないというんですよ。(「そういう情緒的な……」と呼ぶ者あり)情緒じゃないの。情緒じゃないんだって、こういうのは。
だから、二十四時間ホームヘルプ等、それはそれで大事なんですよ。しかし、そのことによって一気に来年の八月なり、半ばから、自分たちが介護の苦労なり労力なりが大幅に軽減されて、本当に重度手当要らなくて結構という状態には少なくともならないんですよ。
それは、お母さん方に聞いていただければわかりますけれども、今、さまざまなことが、新たな在宅重視ということをいわれているけれども、しかし、自分たちにとっては、だからといってこれで安心して重度手当要りませんというふうには到底思えない。逆に、多少部分的な措置がとられたとしても、医療費助成や手当などが軒並み削られるということになれば、在宅で続けることが困難だという声すら生まれているんですよ。
それで、現金給付が何か時代おくれであるというような声があるんですけれども、かつまた、選択の自由でなきゃだめだとか、自分たちがサービスを選べるような福祉でなければならないということを強調していますね。この「福祉施策の新たな展開」の中でも、現金給付のメリットはどういうふうにいっていますか。
○村山参事 今いろいろお話がございました。その中で、先生のご意見を伺っておりますと、あたかも重度心身障害者手当が廃止される、あるいは手当の額が、今の六万円が下がるというような印象を受けるようなご発言がございました。しかしながら、私どもの今回の見直し案は、そういうものではなくて、現行の六万円、年間七十二万円という手当額は維持した上で、その上で負担の公平という観点から、今まで全くなかった所得制限を新たに導入するというのが基本的な見直しの内容でございまして、そういう意味におきましては、従来からの制度については、それを継続するということでございます。その辺をはっきりとご認識いただいた上でご議論いただきたいというふうに思います。
また、この手当は、先ほど来申し上げておりますように、他県には類似の制度がない制度でございまして、近県の神奈川とか千葉とか埼玉が、東京とそれほど生活環境において差がないにもかかわらず、そこにお住まいの方にはないけれども、東京にお住まいの方にはあるという制度でございます。
そういう制度の場合にあって、私どもが都税で制度をつくるという場合に、やはり全体的な税の配分の問題としてどの辺がいいだろうかというときに、都民の生計中心者のアベレージの五百九十四万というところから余り上のラインまで、そういう年間七十二万円という手当を支給することについては、やはり問題があるというふうに考えることについて合理性があるというふうにはいえるというふうに思います。
直接的なお尋ねでございますけれども、現金給付につきましては、これらの性格のうち、慰謝、激励的な性格については、これまでの手当が、受給者、家族の精神的な支えとなっていると評価する意見がある一方、手当により精神的負担が軽減されるという考え方に疑問を持つ意見もあるというふうな記述がございます。
また、現金給付は、個人が自己の意思でサービスの選択が可能であること、特に選択肢の一つである家族介護の支援につながるという意見がある反面、現物サービスの充実を阻害する可能性があること、家族介護を固定化させる懸念があるとする意見もあるというような形で、さまざまな意見が並列的に述べられているというふうに思います。
○吉田委員 福祉のあり方として、当事者が自分で選べる、選択できるということを盛んに皆さん方強調しているわけです。もちろん、デメリットという側面の記述もありますが、メリットとして何カ所かに出てくるんですけども、受給者自身がサービスの選択、決定を行うことが可能なんだということを一つの特徴にしているんです。
なぜこういうことを強調するかといえば、特に重度の障害児といっても、例えばてんかんをお持ちのような方々の場合、あるいは人工呼吸器をつけたような方々の場合、自閉症で、多動で、私も本当にびっくりしたんですけども、とにかく水道の蛇口を常にひねっていないと気が静まらないというようなお子さんを抱えて苦労されている方もいるんですよ。そういうところには水道代が月三万円とか、夏になったら五万円とか、笑う方がいるかもしれませんけれども、そうせざるを得ない現実も片方あるんです。また、別な形で、そのお子さんの症状によって、例えば紫外線を受けることができないような病気の方は、それにふさわしいような対応をせざるを得ない。そういうさまざまな、千差万別のニーズに対応する点では、現金給付が適切なんだというのがこの一つの意味だということを、私は、決して時代おくれではないんだと。
それは、もう一つ、東京都心身障害者福祉センターが、一九八七年、研究報告書の中でそういうこともちゃんと明記しているんだということを紹介させていただきます。
この問題の最後のところで、団体の意見を聞いているということをいいました。予算特別委員会でも確認させていただきましたけれども、これは常任委員会ですから、改めて確認させていただきますけれども、推進協及び団体連絡協議会ですか、そこで意見を求めたことがあると思うんですが、その結果、当事者の方々が大方この案に賛成という態度をとられたんですか。
○長野障害福祉部長 私どもが十一月初旬に提示させていただきました予算案の内示につきまして、十一月二十七日でしたか、末に、東京都障害者団体連絡協議会という協議機関に説明をし、あまねく意見を伺いました。この中では、実際には二十団体が参加している会議でありますが、当日、十七団体の皆様が参加されまして、この時点では、明らかに反対の意思を表明したーー例えば心身障害者医療費助成と手当関係の見直しと分けて申し上げますと、医療費助成について明らかに反対の意思を表明したという団体は七団体ほどと考えております。また、手当関係の見直しにつきましては八団体ほどございました。
したがいまして、私どもは、こうしたご意見を踏まえた上で、最終の予算に向けてまた見直しがなされたというふうに理解しております。
○吉田委員 私は、障害者施策の場合は、障害者団体が、自分たち障害者にかかわる施策について意見を述べ、それに参画することができるというのが基本的な理念だと思うんですね。だからこそ、障害者基本法では推進協議会の設置がうたわれ、その推進協議会が各都道府県の障害者施策については積極的に意見を述べる、あるいは行政からすれば求めるということが、障害者基本法という法律に基づいて定められているということがあると思うんです。
さらに、ノーマライゼーション推進東京プランの中では、そういう趣旨のことが明確にうたわれているわけです。障害を持つ人々が施策の点検、評価に参加できるようにするとともに、施策の形成、決定に障害者の意見や提案が十分反映されるよう、障害者と都政のパートナーシップを築いていきますというふうになっているんですね。
しかし、今のお話にもあるように、十七団体が参加しましたけれども、少なくとも過半数の団体は、東京都の案に対して反対の意を表明されたわけです。その反対という意思は、この施策にどういうふうに生かされているんですか。
○長野障害福祉部長 事実関係の問題としてもう一度申し上げさせていただきますが、過半数の団体ではなくて、十七団体のうち、心身障害者医療費助成の見直しについて、この時点で明確な反対意思を表明した団体が七団体、それから、手当関係の見直しについては八団体ということで、これは単純に足して云々するという問題ではございませんので、その点だけ申し上げておきます。
この中で出てきたのは、心身障害者医療費助成の問題で、低額所得者に対する配慮等々が出されまして、全体的な中で考えた末、そうしたことに対する配慮がさらに手厚いものになったというふうに考えております。
○吉田委員 団体の話を聞いたということがさっきからいわれておりましたけれども、私は、直接この会議に参加した方の議事録も見ておりますけれども、トータルで十七団体中十二団体が、はっきりと、それは手当を中心にいったり、あるいは医療費助成を中心にいったり、いろいろないい方はありますが、基本的に撤回なり、容認できないなりをいわれたわけで、しかも、その意見というものは、何か部分的な提案ではなく、そもそも反対であり容認できない、あるいは現状の手当なり医療費助成制度を継続すべきだということをはっきりといわれているわけですから、今提案されている三条例にしても、予算にしても、肝心の皆さん方がパートナーシップで意見を求めなきゃならない方々の意見が事実上生かされていないというのは非常にはっきりしていることだと思うんですね。
しかも、ノーマライゼーション推進プランが、この基本計画を改定するときには団体の意見を求めなきゃならないという、プランそのものが示している手続からも逸脱したものだというふうに私はいわざるを得ません。
以上、私はいろいろなことをいってきましたけれども、改めて、もちろん今のままでいいという皆さんご意見あるかもしれませんが、私が聞いている限りでは、多くの当事者の方々が、これでは困る、今ぎりぎりで生活しているのに、その上重度手当なり医療費助成制度なりを切られたら、本当に私たちは大変だし、精神的にも落ち込んでしまうということをいっているわけですから、そして、同時に、そういう自分たちの声を聞いてほしいというふうにいっているわけですから、ぜひそういう皆さん方の声を今からでも聞く努力をしていただきたいということを重ねて表明させていただきます。
最後に、簡潔に、陳情にかかわって、障害者会館の、民営化ではなく現行どおりの直営化を求める陳情が出ております。それで、二、三だけ質問をさせていただきたいんですけれども、そもそも障害者会館というものはどういう役割と機能を持った施設なのか、例えば、単なる貸し会場なのかというようなことも含めてご説明をお願いしたい。
○長野障害福祉部長 障害者福祉会館は、障害者の社会活動を促進するために、文化、教養、娯楽の機会を提供し、集会の便宜を図りますとともに、相談及び資料の提供等の情報の普及によりまして、障害者の福祉の増進に寄与している施設でございます。
十年度の障害者福祉会館の実績でございますが、会館の利用、先ほどご紹介ありましたが、貸し室がやはり一番多くて、延べ人数で二十二万余人、あとは講習、講座、図書室の利用、相談状況、生活情報点訳サービス等々がございまして、延べの人数でいいますと、二十六万余人の利用実績となっております。
○吉田委員 今の説明でも、障害者あるいは障害者団体の方々にとって大変貴重な施設であることは明らかだと思うんですね。
それで、この民間委託の計画に対して、私は、何よりも当事者である利用している団体そのものの意思が尊重されることを最優先すべきだと思うんですけども、団体の方々のご意向というのはどういうふうに受けとめているでしょうか。
○長野障害福祉部長 障害者福祉会館の運営における民間委託の問題であろうと思いますが、この障害者福祉会館の民間委託を私どもが出しております目的は、より一層の弾力的運営を進めようとするものでございまして、民間委託することによりまして、利用者、障害者の皆さん自身が運営の主体となって障害者福祉会館のきめ細かな運営をするということによりまして、利用者のニーズにより即したサービスの充実向上を図るものでございます。
どのようなお考えをお持ちかというお話ですが、民間委託に当たりまして、昨年の夏前ぐらいから、利用者の皆さんで構成する利用者懇談会あるいは障害者福祉会館運営懇談会、こういったものを十回近く開催し、話し合いを行ってまいりました。その結果、私どもは、民間委託についての私どもの考え方について、大方のご理解はいただいているものと考えております。
○吉田委員 私は、団体の方々からさまざまなご意見をいただいていますけれども、少なくとも大方の理解なり賛成という状況ではないと思います。しかも、多くの方々が心配するのは、例えば、民間委託に伴って費用的に切りやすくなってしまうというふうなことによって、利用上のマイナスが生まれるのではないか、あるいは、単なる貸し会場のような形に結果的に変質してしまうというふうなことになりはしないか。もちろん、もっと都の職員の方には頑張ってもらわなきゃならないんですけれども、直接都の職員の方々がそういうところにいることによって、障害者の方々の生の声なり意見なりをとらえ、それを東京都の障害者施策に返していくというような意味でも、単純に何か合意がされているかのようなことをもって民間委託を強行されては困るんだというのが、私が聞いている団体の方々の意見です。
ですから、私は、何よりもそういう団体の方々の、しかも、共同でいろいろな形であったとしても運営していくということになるわけですから、障害者団体の合意というものを何よりも最優先していただきたいということを述べて、私の質疑は終わります。
○近藤委員 医療圏域という言葉は、私も今まで伺っていたことがあるんですけれども、障害保健福祉圏域という圏域の考え方があるそうですけれども、これはそもそもどういった圏域のことをいうんでしょうか。
○長野障害福祉部長 平成七年に示されました厚生省の障害者プランによりますと、障害者の保健福祉施策を強力かつ計画的に推進していくために、都道府県において障害保健福祉圏域の設定をすることとしております。これによりますと、保健福祉サービス体系につきまして、区市町村域、複数の区市町村を含む広域圏域、これが今申し上げております障害保健福祉圏域でございます。それともう一つ、都道府県域、この各圏域ごとの機能分担を明確にし、各種のサービスを面的、計画的に整備することにより、重層的なネットワークを構築することとしております。
この中身につきましては、平成八年十一月、障害者プランの推進に向けて圏域の設定を進めていくように、都道府県に通知をされました。
○近藤委員 平成八年に、厚生省の方から、障害保健福祉圏域を設定するようにという推進方策の方向性が出たわけですけれども、東京都はこの圏域を持っているんでしょうか。あと、全国的に見て、持っていないところもあるとするならば、何カ所ぐらい持っていないのか、教えてください。
○長野障害福祉部長 結論的に申し上げますと、現在、東京都では、この圏域の設定はなされておりません。これは、厚生省のプランでは、おおむね人口三十万人を一圏域とするとしておるわけですが、都内には一区で六十万人を超えるというような人口規模を有している区もございまして、国の設定する人口規模に必ずしも当てはまらないという問題が一つございます。
また、これまでの都における障害者の生活支援というものを、地域福祉推進という観点から、区市町村を主体とした事業という位置づけをして実施をしてまいりました。さらに、障害者の入所施設につきましては、平成九年度までは、入所待機者解消のため、都外施設を含めて整備をしてきたわけでございます。その後、都内設置の促進に努めておりますが、多摩地区に偏在しているために、東京都全域を一圏域として整備を進めているというのが実態でございます。こうしたことから、複数の区市町村を組み合わせた障害保健福祉圏域を基礎とした施策展開が進まなかったものでございます。
なお、他県の状況でございますが、現在設定されていない県は数県であるというふうに伺っております。
○近藤委員 今、設定がなされなかった理由というふうに何点かお答えいただいたんですけれども、これからもこれは設定する必要がないというご見解をお持ちなんでしょうか。
○長野障害福祉部長 東京都としましては、障害者の日常的な支援につきましては、地域福祉を主体的に担っている区市町村を圏域とすることを基本としてきているわけです。しかし、入所施設整備、あるいは地域療育等支援事業等々、より広域的に対応することが求められる事業につきましては、人口規模、地域特性等に応じまして、複数の区市町村で構成する障害保健福祉圏域を設定する必要があるというふうに考えております。
○近藤委員 設定する必要があるというふうに考えられているにもかかわらず、平成八年十一月十五日から今日まで設定されていないということについて、部長のご見解を伺います。
○長野障害福祉部長 実は、圏域そのものの検討ではございませんが、平成十年度から、局内に重度知的障害者施設整備検討協議会というものを設置して、入所施設の整備のあり方を検討しておりますが、これに合わせまして、知的障害者の生活支援のための圏域についても関連して検討を行ってきております。近くこの結果がまとめられる予定でございます。
○近藤委員 厚生省が平成八年に障害者施策にかかわる圏域ごとの機能分担についてということで、今部長がお持ちだと思います。私も、今コピーをいただいているわけですけれども、そのときに、一番小さい圏域として区がありまして、それから、障害福祉圏域があって、それから都道府県圏域と、三段階に重層的に展開していくんだということでこの圏域の発想が出されたわけですけれども、平成八年以来今日まで、今までつくってこなかったとするならば、この重層的な、厚生省が出しております圏域の考え方を補完する考え方として、東京都は一体何をやってきたんでしょうか。
どういう考え方に基づいて、圏域が必要ない、ですけれども東京都はこれをやってきたというのがあれば、お答えください。
○長野障害福祉部長 これまで、東京都の地域生活支援につきましては、区市町村主体に進めてきておりまして、知的障害者に対する相談事業等、障害者地域自立支援センターというところで実施してきたわけでございまして、このセンター機能との整理の問題、それから区市町村との役割分担の問題、さらに区市町村の障害者計画との整合の問題等がございますので、現在、そういう検討中という段階にあるということでございます。
○近藤委員 障害児の地域療育等支援事業という事業があると思うんですけれども、これはどういう事業か教えてください。
○長野障害福祉部長 簡単に申し上げますと、地域療育等支援事業と申しますのは、広域圏でございますが、圏域内に障害児施設をおおむね二カ所都が指定して実施する都道府県事業となっているものでございます。
○近藤委員 それは圏域ということが前提ですので、圏域を持っていない都に対しては、厚生省の事業がおりてこない。特に福祉の領域に関しての圏域を持っていないということで、都内の、または区内のいろいろな事業者または団体がこの事業をとりたくても、東京都がこの圏域を、何度も申し上げますけれども、持っていないために、この事業の対象になれないんだというお話がありますけれども、それは事実なんでしょうか。
○長野障害福祉部長 そのとおりでございます。
○近藤委員 ということで、今、決められた枠が、圏域という考え方を持っている衛生局関連の団体の方に全部振り分けられているということで、この事業を開始したくても、福祉局の方で圏域を定めてもらえないので、いつまでたっても事業が始められないというような声もあります。
先ほど、これからは設定の必要性もあるとの部長のお話もございましたけれども、いつをめどにこの圏域を設定するお考えなのか、お答えください。
○長野障害福祉部長 いつ設定するかというお話がございましたが、先ほどもちょっと触れさせていただきましたが、東京都と区市町村との役割分担の問題で、この広域圏設定におきましては、区市町村の障害者計画との整合性というものも図らなければいけないということがございますので、こうした地域療育等支援事業につきまして、障害保健福祉圏域の設定というものを踏まえて検討してまいるわけですが、具体的に相手のあることと申しますか、区市町村の方との整合という問題がございますので、具体的な時期については、申しわけございませんが、お示しできません。
○近藤委員 実際に必要だという認識をお持ちのご発言をなさいましたけれども、まだ区市町村との調整というのを始めていない段階、それともある程度始めた段階なんでしょうか。
○長野障害福祉部長 先ほど申しました局内の重度知的障害者施設整備検討協議会の報告が近くまとまってまいりますので、この結果を見まして、必要に応じてできるだけ早く対応していきたいと考えております。
○近藤委員 その検討の結果はいつごろ出るんですか。
○長野障害福祉部長 近く出されるということで、年度内にも出る……。十一年度内でございます。
○近藤委員 とにかく、圏域というものが決まらない限り事業ができない、この支援事業の対象となれないということですし、圏域というものも設定の必要があるというふうにご認識のようでございますので、なるべく早く区との調整を急いでいただいて、具体的に話を進めていただきたいというふうに思います。
次に、地域福祉振興事業と今度厚生省が行います介護予防・生活支援事業との関係について伺いたいと思います。
先ほど藤田委員の方からもお話がございましたけれども、事業別概要の九ページに、地域福祉振興事業補助ということで、区市町村との協議が調い次第、地域福祉推進事業補助で実施するというふうに書いておりますけれども、先ほど河津部長がご答弁なさったように、区市町村との協議がかなり膠着状態にあるというお話でございました。
もう少しその辺についてご説明願えますでしょうか。
○河津地域福祉推進部長 区市町村との協議状況でございますけれども、大分私どもの方も個別にも各区や市を回ったりしておりますけれども、実際に全体として、東京都と特別区あるいは市町村と、全体のさまざまな議題がございまして、その中で話し合いがまとまったものもありますし、引き続き協議中のものもあるわけですけれども、具体的には、これまでも申し上げてきておりますけれども、後年度負担に対する見通しが今不況の中でもう一つ持てないとか、あるいは介護保険がまさに始まるところですけれども、その中でどれぐらいの事業者がそちらに入っていくのか、あるいは、ここで介護予防・生活支援事業も出てまいりましたけれども、そういうところの先行きがまだ見えないとか、そういったさまざまな理由の中で継続協議中ということになっているわけでございます。
○近藤委員 まさに先が見えないからこそ、こういう事業に従事していらっしゃるご当人たちは、将来に対する大変な不安を持っていらっしゃるわけなんですけれども、特に有償家事援助サービス、食事サービス、ミニキャブ運行サービスの三事業については、区市町村との話し合いが、調整がつかない限りは、東京都が今までどおり支援を継続していくというふうに考えてもよろしいんでしょうか。
○河津地域福祉推進部長 できるだけ話をつけるように努力をしたいと思っております。つかない中で簡単にやめるというわけにはまいらないだろうと思います。
○近藤委員 大事なところが今小声になってしまって、これを聞きたいというところに限ってささやくようなお声になってしまいましたので、最後のところをマイクに向かってもう一度はっきりと大きい声で。
○河津地域福祉推進部長 できるだけとにかく話をまとめるようにいたしますけれども、いずれにしても、見直しはせざるを得ないというふうに考えております。何らかの見直しはせざるを得ないというふうに考えております。
○近藤委員 先ほどのご答弁と大分内容が変わってしまって、愕然としているわけですけれども……。区市町村との話し合いがつくかつかないかということはまだここではわからないわけですけれども、つかなくても見直しをなさるというふうな趣旨の発言ととらなければいけないんでしょうか。
○河津地域福祉推進部長 当然のことながら、区市町村との協議も含めた上での話でございます。
○近藤委員 これは高齢からちょっといただいてきたんですけれども、介護予防・生活支援事業のイメージ図というところの中に、配食サービスというのが入っているわけなんですね。まさに毎日の食事サービスというのは、配食サービスで振興事業の中に入っております。この国の政策、事業が入ってきますと、今、振興事業の中で、毎日の配食サービスを行っている団体というのは、位置づけというのはどうやってとらえていけばいいんでしょうか。
○河津地域福祉推進部長 地域福祉振興事業でございますけれども、これは、先駆的、開拓的、実験的事業に対する奨励的な補助として、助成制度として、区市町村の委託事業を実施できるまでに運営が軌道に乗った団体につきましては、原則としては振興事業の助成は必要がないと考えているわけでございまして、介護予防・生活支援事業とダブるものが中に出てまいります。ダブった中で、介護予防・生活支援事業として区市町村の方から委託を受けて、軌道に乗った場合には、もはや振興事業の必要がないだろうというふうに考えております。
ただ、委託事業の規模とか単価等がまだ十分に見えておりません。国の方の補助単価は出ておりますけれども、そのとおり各区市町村が同様にやるかどうか、それに多少の上積みをするかどうかというのはそれぞれの自治体でございますので、そういう意味で自立的な運営が可能であるかをにわかに判断できない部分がございますので、受託状況等を踏まえて、助成額の調整等は今後検討していきたい、こういうふうに考えております。
○近藤委員 配食サービスの団体を支援していくときに、地域福祉振興事業で都が支援していく場合と、介護予防・生活支援事業の中で都が支援していく場合、都の持ち出しは、介護予防・生活支援事業の方が少なくて済むんですか。
○神藤福祉局長 介護支援・生活予防事業は、高齢の介護保険の対象外の方の施策でございまして、私どもが要望しておりましたところ、都の要望も十分受けて、予算をつけていただいたわけですね。したがいまして、それを十二年から実施するんですけれど、最終の、どういうメニューで、どういう負担のものをやるかということを、さっきの包括補助と同じで、今一生懸命詰めているところでございます。したがいまして、少なくとも現時点で、十二年度はこのまま行くと思いますけれども、十三年度の予算要求前までに今の三つの事業をきちんと整理しないといけないと思っておりますので、夏の予算要求までには三つの事業を整理していきたいと思っております。
○近藤委員 理事者の方が整理というと、必ず切り捨てということになりかねないわけですから、先が見えないとおっしゃるような中で見直しというふうに唐突におっしゃられても、このままでは引けないなというふうには思うわけですね。
それで、先ほど部長の答弁の中に、自立的なというようなお言葉が出てきたわけです。確かに振興事業というのは、先駆的、開拓的、実験的な事業に対して補助をするということでしたから、今ある程度軌道に乗ったものについては補助を打ち切っていくというお話もございましたけれども、そもそも最初、先駆的、開拓的、実験的ーー予算をつけるときに、どの程度まで補助していくんだというようなきちんとした道筋があったのか。つけるだけつけてしまって、数がふえたから、予算が大きくなってきたからもう切らなきゃというような中では、今までこの事業で補助を受けてきた団体の方々にとりましても、大変に不安が大きいというふうに思うわけです。
ですから、先ほど部長が自立というふうにおっしゃいましたけれども、部長が団体に対しておっしゃっている意味のところの自立というのは何を指しているのか。
○河津地域福祉推進部長 先ほど申し上げましたのは、地域福祉振興事業と、国のこれから始まります介護予防・生活支援事業、両方比べた場合、介護予防・生活支援事業の中で十分にやれる団体は、自立という言葉は適切でないかもしれませんが、振興事業という形で助成を受ける必要はないという、そういう意味で申し上げております。
○近藤委員 時間も迫っていますので、要望として意見をいわせていただきたいんですけれども、振興事業でも、三事業のほかにサービスの提供の内容が多岐にわたっておりまして、一度団体を全部課長がお集めになったときに、立ち会わせていただいたんですけれども、それぞれの例えば家事援助サービスなら家事援助サービス、配食サービスなら配食サービスで求められている支援の形態というものが千差万別であるというふうに感じました。ですから、一遍に団体を全部集めても、各団体がそれぞれの文句をいうだけで、話として決してまとまっていかないという印象を受けたわけです。
例えば配食サービスなどは、今のように人件費に回る補助を受けなくても、例えば、配膳ができる、ものがつくれる、料理ができるような場を提供されるということは、今、お金、現物でもらっているのと同等な支援体制を得られるんだというようなお話もあるわけですので、画一的にとらえないで、振興事業なり推進事業を受けているサービスの提供の内容に応じた支援というものをもう少し考えていただきたいというふうに思います。
先ほど部長は、自立というのは違う意味だというふうにおっしゃったんですけれども、最初、部長が自立とおっしゃったのは、例えば配食サービスだったらば、一食について幾らというお金を取るわけですけれども、利用者から負担してもらう利用料で団体が経営していける、そういう状況のことを自立というふうにおっしゃったのかなと思ったんです。
まだまだ規模の大小はございますけれども、利用料だけで団体が経済的に成り立っているというところまで、現在の振興事業ですとか推進事業のいわゆるNPOの団体が至っていないというふうに私は認識しておりますので、将来的にはそういう意味での経済的な自立というのは理想でありますけれども、それに至る過程として、局長がさっきおっしゃった何がしの見直しがあるとしたならば、きちんと自立に対する道筋が通るような補助といいますか、手助けを、今の画一的な方法ではなくて、考えていただきたいというふうに思います。
そういうものを一緒に考えてくれるという言葉が出ませんと、見直しということになりますと、団体の方は、あすはすぐ切られるというふうに発想が進んでしまうと思いますので、そのところは、近藤議員、そういうつもりでいったんじゃないんですよ、私の見直しというのはこういう含みがあっていったんだということを、もう一度局長にご答弁いただきたいと思います。
○神藤福祉局長 十二年度から、新しい、先ほど申し上げました国の制度が入りますので、そういう中に統合できれば統合したり、そういうことも含めて、三事業がばらばらになっているというものを見直していきたいというものでございまして、全部整理してなくすとか、そういう意味じゃなくて、そういうものを整理しながら、どれが必要でどれがどうという形でやります。
もう一つは、実は、その事業も、スタート時点の発足のときと大分変わってきておりますので、そういう経過も踏まえまして、団体とは対応してまいりたいと思います。
○近藤委員 これは、次の機会にでもまたじっくり時間をとってお話しさせていただきたいと思いますけれども、吉田理事も先ほどからおっしゃっているように、団体とお話し合いをさせていただきながらというふうに局長はおっしゃいましたけれども、いろいろな団体と十分に話し合った結果として何かの政策が出てくるという今まで状況に至っていないような、私自身、個人的ですけれども、印象を持っておりますので、局長もいってくださったように、関係の団体とは十二分にこれから機会を持っていただいて、誤解のないように、見直しというんでしたらば、話を進めていただきたいというふうに思うわけでございます。
最後に、予算特別委員会のIT革命のお話のときに、前振りのところで、ある局に資料をお願いしたときに、インターネットでメールで送ってくってくれというふうに申し上げたら、うちは外につながっているコンピューターがないので、フロッピーでしかくれなかった局がありますというお話をさせていただきました。さすがにあそこで局の名前を出しては申しわけないというふうに思ったんですけれども、きょうは身内、内々のことでございますので、実はあれは福祉局さんだったわけです。
実際に外部にインターネット接続されているコンピューターは、局内にないんでしょうか。あるんだったらば、何台あるでしょうか。
○押切総務部長 一台でございます。(「だれの机の上にあるの」と呼ぶ者あり)広報係に一台配置してございます。
○近藤委員 例えば、私、本当に勉強不足で申しわけないんですけれども、福祉局さんのホームページというのを見たことがないんですよ。ですから、今問題になっています福祉の見直しについてどの程度のインフォメーションがホームページに載っていらっしゃるのかということをさっきちょっと表で若い方に伺ったら、さあ、僕も見たことがないのでわかりませんというような話でした。局に一台しか外部接続しているコンピューターがなければ、見たことがありませんという若い方の気持ちもわかると思うんですよ。
特に福祉局さんは、外部と接触する事業も多いですし、いろいろな福祉施設等も持っていらっしゃるわけですから、せめてそういうところと接続したりして、これからもう少し積極的に、これだけ大きな組織で、東京都の福祉の再構築というような大きいことをなし遂げようとなさっている局に、外部接続しているコンピューターが一台というのでは、余りにもお粗末ではないかなというふうに思うんですけれども……。
○田原次長 メールの関係でございますけれども、福祉局に一台ということで、私も、福祉局へ来る前に福祉局のホームページを一度見たことがありますけれども、確かにおもしろいとは決していえないような気がいたしましたので、その辺は改良して魅力のあるものにしたいと思いますし、予算特別委員会で知事が答弁しておりますように、メール等も含めて、インターネットの関係につきましては急速に整備ができるのではないかと我々は思っておりますので、そのときに備えていきたいと思っております。
○押切総務部長 これまで発表しました「福祉施策の新たな展開」あるいは改革ビジョン、また各種審議会答申など、全文掲載しております。
○近藤委員 ホームページに掲載していらっしゃるというお話だと思うんですけれども、例えば都民の方からそれに対して反響等を書き込めるような場所があるんでしょうか。それに対して何か反響があれば……。
○押切総務部長 都民の意見を書き込める欄がございます。
○近藤委員 例えば、そういうところがあれば、さっき吉田理事が、都民の話を聞いているのかというようなときに、さっと出して、こういうご意見もございますとかと切り返したらいいじゃないですか。ですから、せっかくあるホームページに、都民の方が書き込める、そういうシステムになっているにもかかわらず、うまく利用していらっしゃらないなというふうに感じます。ですから、積極的に、これからは一台といわず、ふやしながら、どのように活用していくかというようなことを、もう少し窓口を広げていただけたらというふうに思います。
もし総務課長とメールができれば、毎日毎日お電話をいただいて、長い渡り廊下を何往復もしていただかなくても済むというふうに私は思うんです。来ていただいて、私が留守にしていて、またこちらがお電話するというようなことでなかなか仕事が進まないということもございますので、できれば福祉局の電話帳の内線の後ろに全部メールアドレスが載るような、そんな日が一日も早く来るように要望します。
○押切総務部長 貴重なご提言として受けとめさせていただきまして、十分おこたえいたします。
○曽根委員長 この際、議事の都合によりおおむね十分間休憩いたします。
午後九時四分休憩
午後九時十七分開議
○曽根委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○小林委員 それでは、二項目にわたりまして質問してまいります。
最初に、保育所の認可基準の規制緩和について伺ってまいります。
ことしの二月十六日の東京新聞に、認可保育所定員要件二十人に下げという記事が載っておりまして、それ以外の資料を持っておりますけれども、その中身は、設置主体制限の撤廃や、定員要件の緩和、それから、施設の自己所有規制の見直し、こういうのが載っているわけであります。
そこで、最初に伺いますが、今回の規制緩和についてどのように評価しているのか、お伺いいたします。
○稲熊子ども家庭部長 現在、国の正式な指針が出ていない段階でございますので、評価は難しい点がございますが、保育の最低基準を満たす認可保育所をつくりやすくする、そして待機児を解消する、そういった目的でこういった措置を行うということでございます。そうした方向については評価されるべきであろうと思っております。
東京都といたしましては、保育水準を低下させない、そういった点よく配慮いたしながら、国における規制緩和の方向に沿って検討していきたい、そのように考えております。
○小林委員 これは規制緩和ですから、一般的には非常に歓迎するという内容になろうかと思うんですが、仮にこれが正式に導入というか実施された場合、新規施設の許可申請があるというふうに考えておられますでしょうか。当然あるんでしょうけれども……。
○稲熊子ども家庭部長 先ほど申し上げましたように、まだ正式の通知をいただいておりません。今の時点で、十二年度にどの程度申請があるのかについては、予測するのはなかなか難しい、そのように考えております。
○小林委員 それでは、数字を教えてもらいたいんですけど、現在、都内に保育室はどのぐらいあるんでしょうか。
○稲熊子ども家庭部長 二百四十六カ所でございます。
○小林委員 最初の方に規制緩和する際の目的等を話してもらいましたが、規制緩和、同じようなことを二度聞くようなことになりますが、申請を受け付けて、当然これから申請者が出てくるわけですけれども、そうしたときに、保育事情はどういうふうに改善するというふうにお思いでしょうか。
○稲熊子ども家庭部長 なかなか予測の難しい問題だと感じております。現在、待機児の解消や多様な保育サービスの提供のために、区や市町村によるさまざまな取り組みが各地域で行われております。今回の規制緩和は、そういったものを一層促進するものとは考えておりますけれども、どのくらい数が変わるのか、数的にはちょっと予測が難しいのかなと思っております。
○小林委員 次に、どのくらいの認可保育所が申請して移行するのかと聞こうと思ったんですが、答えられますか。多分、わからないという答えだと思いますが……。
○稲熊子ども家庭部長 二、三の関係のところと、それから区市からも問い合わせがありますけれども、いずれにしましても、具体的な詳細な通知がないと、なかなかそれぞれの判断が難しいのかなと思っておりますので、そういった意味で数を具体的に申し上げるのは難しいのかな、こういうふうに考えております。
○小林委員 私が冒頭申し上げたいろいろな情報というのは入っておられると思いますが、必ずいいことだけじゃなくて、設置者にとってみれば、申請する際、いろいろ障害になっている部分も結構あるんですね。局の方で考えられている障壁というのはどういうところというふうにお考えでしょうか。
○稲熊子ども家庭部長 これまでも、保育室、いろいろな施設がございますけれども、そういったものが、児童福祉施設の最低基準、設備の基準あるいは職員等の基準があります。特に設備の基準で、保育スペースが面積要件を満たすのかどうか、そういったもののほかに、事務室とか医務室とか管理的なスペース、そういうスペースの問題、そういったものが検討しなきゃいけない課題だと思います。
○小林委員 今までは、自分で土地を持って、自分で建物を持ってということで、かなり認可する際にいろいろ厳しかったわけですが、今回、少なくとも聞いている範囲でいえば、借地借家でもいいというふうになっているわけですけれども、そうした際に、最大の障壁というのは家賃ですね、費用。こういったところが、例えば東京都がそこに対しての、障壁、障害になっているところを局の方で何とかするよとか、半分出すとか、そういうことが問題になるというふうに思いますが、その辺はいかがでしょうか。
○稲熊子ども家庭部長 現行の保育所運営費の負担金の考え方では、土地、建物は自己所有が原則でございます。借地借家に伴う費用は別途負担が求められるということでございます。ただ、先生ご案内のとおり、現行の福祉施設全般について、こういった借地借家に伴う費用というのは支出、支援しない、こうなってございますので、現行の施設全般の経営のあり方に係る大変難しい問題であるというふうに考えております。
そういったことも含めて、規制緩和の正式な通知を見た上で研究すべき課題であるとは認識しておりますけれども、極めて難しい課題ではないか、そのように考えております。
○小林委員 東京の中で、土地の自己所有というようなことになると、東京以外のところと条件が違うわけですから、ここは大いに研究して、規制緩和は全く効果のないということにならないように、ぜひいろいろ研究していただければと思います。
次に、認可保育所の増設に伴う、ちょっとダブりますが、自治体の保育予算の増への支援策ですね、今の認可の際の支援もあわせて、どのようにお考えでしょうか。
○稲熊子ども家庭部長 それぞれ保育所運営費負担金につきましては、社会福祉法人、あるいは社会福祉法人以外の、新規にもしあれば、認可した保育所、そうしたものに対しましても、社会福祉法人と同様の都負担を行っていく、そういう考えでございます。
○小林委員 続きまして、認可保育所に移行することが難しい保育室に対しては、いろいろ聞いておりますけれども、今後どのような対応を考えていったらいいのか、お伺いします。
○稲熊子ども家庭部長 保育室は、ご案内のとおり、小規模で家庭的で、保護者のニーズに柔軟に対応というような、そういう特徴がございます。そういうことで、各区市町村もそれぞれ積極的に活用しているところでございます。認可保育所に移行することが難しいということがありますけれども、都としては、今後とも、低年齢待機児解消策の一つとしても、区市町村の保育室の事業を支援していく、そういう考えでおります。
○小林委員 ぜひお願いします。
次に、保育室について伺いますけれども、事前に資料をいただきまして、統計の資料なんですけれども、この資料によると、一九九八年、平成十年度の中で、最近、ゼロ歳児と一歳児が急激に待機児童としてふえているというグラフをいただきました。ゼロ歳児が一七・〇%で、一歳児が三五・七%という、一歳児の方がかなり大きい数字が、これはそちらからもらったんですが、出ております。
そこで伺いますけれども、このグラフが示す一歳児の増大、この実態をどのようにとらえて対応していかれるおつもりでしょうか。
○稲熊子ども家庭部長 零歳から二歳までの低年齢児の待機児を早期に解消することが、私どもの緊急の課題であるというふうに認識しております。これまでも、都は、保育室を、三歳未満児を対象として弾力的かつきめ細かな保育サービスを提供する施設と位置づけて補助を実施しております。こういった保育室等も活用いたしまして、こういった制度の中で対応していく、そういうふうに考えております。
○小林委員 一歳児についてはまた後でお伺いします。
年度途中で発生する三歳児、当然ありますね。こういったニーズにはどのようにこたえていかれるのか、お伺いします。
○稲熊子ども家庭部長 年度途中のニーズは、現状で申し上げますと、零歳、一歳、そういったところが圧倒的に多いわけでございます。比較的三歳以上児は少ない、こういうふうになっております。都といたしましては、広域自治体として考えた場合、都全域にわたる基本的かつ共通の保育ニーズに補助を重点化して、各地域ごとに異なる保育ニーズについては、それぞれ実施主体の区市町村の創意工夫による対応が重要だ、そういうふうに考えております。総体として利用者のニーズにこたえていく、そのように考えております。
○小林委員 要するに、区市町村がやってくれという話ですね。
今回のゼロ歳児に特化するという提案、これは三歳児を切り捨てる、早くいえばそういうことですが、そうすると、これを受け入れていくと、結局は保育室が経営体質が非常に弱る。いわゆる赤字になっていくんですね、受け入れれば受け入れるほど。補助がないわけですから。じゃ、その見返りとして区市町村が補てんをするかといえば、区市町村の財政事情を考えれば、そんなことはあり得ないわけですから、どうしてもそこは、結局は保育室は受け入れなくなっていくというふうに私は考える。
次に、保育室の、先ほどおっしゃいましたが、柔軟な対応ですね。アトピーとか、あるいは集団になじめないとか、虚弱児とか、いろいろいますね。そういう柔軟な対応でないとやっていけない、こういった子どもや親に対する支援策というのは何か考えておられますでしょうか。
○稲熊子ども家庭部長 保育室につきましては、産休明け、あるいは育休明け等の年度途中の入所、あるいは延長保育等、小規模で柔軟かつきめ細かな保育サービスを提供する施設として位置づけております。都は、こうした保育室の柔軟な取り組みが行われるよう区市町村を支援していく、こういった取り組みを支援していくというのを基本に考えております。
○小林委員 これも区市町村ということになりますね。
次に、保育園、私立とか、要するに保育園ですね、認可をちゃんと受けた認可保育園、保育所の場合は、要するに、収入が高い人は保育料が高い。収入の少ない人は低いですね。保育室の場合というのは、全部一緒ですね。私のところにもこの前ある病院の看護婦さんから電話があって、保育所がいっぱいで入れなかった。どこかないかというような話があって、保育室を紹介したんです。保育室は、その人は収入が低いですから、結局高くて入れないというんですね。保育所だったら、要するに、応能でいけば相当低額になるんですけれども、保育室だと入れない。実際は保育室に受け入れがあるんですけれども、公的な補助がどうしても少ないものですから、結局は、どうしても保育料が高くなっちゃう。そこがあいているのに、待機児が、変な現象ですけれども、そういうのが出ているんですね。
そこで伺いますけれども、こういった親の負担を今後どう改善していくのかということについてはどのようにお考えでしょうか。
○稲熊子ども家庭部長 まず、保育室の保育料を現状で見ますと、平均的に見て、月額で四万から五万円程度でございます。これは、年齢にもよりますけれども、認可保育所と比べてやや高いものになってございます。その辺のところをどう考えるのか、先ほど来申し上げますように、基本的には、事業の実施主体であります区や市町村がその辺を含めて総合的に考えて、適正な保育所の水準の確保に努めていく、そういうことが必要じゃないか、そのように考えております。
○小林委員 部長がずっといっている話というのは、大体最後は区市町村がやってくれという、結論はそうなっている。実態は、区市町村は金がないんですね。大変なんです、いろいろ事業を削って。区市町村は、東京都のそういった制度の見直しによって削減された分を背負えないわけですね。そのまま保育室は経営していかなきゃいけませんから、当然それは保育料にはね返っていくわけですね。そういうことになるわけです。
それで、市長会や区長会で合意された、保育室の安定的な運営が図れるよう、実態に即した補助制度を検討することを求めるという、これは合意した文書の名前ですけれども、そのことにはどのように対応されていかれますか。
○稲熊子ども家庭部長 恐縮でございますけれども、それは合意した文書ということではなくて、それぞれのやりとりの中でのそういった意見が交わされたというように私どもは理解しております。したがいまして、合意された文書にどう対応するかといいますと、それとはちょっと異なると申し上げざるを得ないわけです。
いずれにしましても、各区市町村の取り組みは、いろいろな形になっております。もちろん、今申し上げましたように、零歳から二歳に特化していくところもあります。あるいは三歳から入学までというところもあります。いろいろな形で、施設単位で、あるいは季節単位で、あるいは人の単位でとか、いろいろな取り組みを進めております。そういう中でそれぞれ創意工夫を凝らしていっていただけたら、そういうふうに考えております。
○小林委員 最後、要望なんですけれども、私、ちょっとこの間勉強したんですけれども、国基準と東京都の基準の中で、認可外の場合は、東京都は、一歳児の場合、五対一でやっているんですが、認可外ということで、六対一。ですから、認可外と認可の差が一歳分加算がないんですね。一人も加算がないんです。これをなくしていったらいいんじゃないかと思います。認可と認可外というのは、いろいろ基準等で、当然差があって、その差をつけるためにこういうことをやっているんだということになるかもしれないけども、実際、今の保育室の状況を見たときに、十分社会の資源として役に立っているし、また、不可欠な存在になっているわけですね。そういった意味では、今後、そこはいろいろな問題はあるのかもしれないけれども、一歳児加算でぜひやって、先ほど統計上にも出ていましたように、一歳児の待機者というのは物すごく多いですから、こういった保育室を、一歳児加算をして有効的に活用していくということをお願いいたしておきます。
次に、いろいろな人がいったので、出がらしの茶みたいになっちゃったんですけど、障害者の福祉についてお伺いします。
若干ダブるかと思いますが、最初に、吉田さんも何遍も何遍も聞いていましたけども、障害者と健常者、これは当然生活の実態は違うわけですね。同じことを何遍もいいませんが、多分吉田さんがいわれたことはそのとおりだと私も思っております。私も、障害を持っておられる人たちとのつき合いもありますし、私自身、子どもが障害を持っておりますのでよくわかりますが、当然、生活経費の中身は違いますね。その差を把握しているのか、結論はわかっていますけれども、もう一度お伺いします。
○長野障害福祉部長 障害児の世帯の特別な経済的負担という問題でございますが、一人一人の障害程度、あるいはその生活を支えるご家庭の状況といったものがそれぞれ異なりますので、どの程度の費用がかかるかという点につきまして一般的に把握することはできませんので、ご理解いただきたいと思います。
○小林委員 吉田さんに答えたのでわかったので、まあいいです。
これは、自立に向けた生活支援とか、在宅サービスということで、さっき一覧表を見たんですが、かなり充実しているんですね。私は、そこはかなり積極的に前向きなんだというような気がします。ただ、今回の場合、全く所得制限がないのが、急に、一人の場合、四百九十何万とか、あるいは三人の場合六百何万とか、七百万ぐらいが六百何万になるとかなるわけですね。この生活支援事業、あるいは在宅サービスがかなり定着して、今の制度を超えた充実した中身になるまでにはかなり時間がかかると思うんですね。そういうことで、だれでもそうですけど、今の制度が変わるというのは、だれでも不安があるんですね。特にそういうハンディキャップを持った人というのは、その不安というのは相当大きなものがあるだろうというふうに思いますが、この辺の見解はどうでしょうか。
○長野障害福祉部長 この制度は、国の社会保障制度が不十分でありました昭和四十年代に、それを補完するという背景を持ちながら実施をされてきたものでございます。今回の見直しは、社会経済状況の変化を踏まえ、負担の公平性などの観点から見直すものでございまして、また同時に、新たに策定した福祉改革ビジョンなどに基づきまして、在宅サービスを中心とする福祉サービスの格段の充実を図るということにしております。こうした点で、都民の皆様にはご安心していただけるものと考えております。
○小林委員 これもダブりますけど、資料の中にもありますが、国の制度の特別障害者手当の支給に係る所得制限の限度額、これを使ったわけですね。いわゆる本人の表と、配偶者及び扶養義務者、この二つの表でやっているのに、国はそういう基準を持っているわけですけれども、これは何で国の障害者手当の基準を採用したのか、もう一回伺います。
○長野障害福祉部長 ただいまのお尋ねは、国の基準でありますと、本人の表と扶養義務者の二種類があるのに、どうして本人のものだけを採用したのかというご質問であろうかと存じます。
国の特別障害者手当の所得基準は、障害者本人及び扶養義務者の所得を支給制限の要件としまして、二種類の基準を設けているわけです。これに対しまして都の障害者施策におきましては、従来から、二十歳を過ぎれば、本人の所得を支給制限の要件としてまいりました。これは、結果として障害者の自立という観点に寄与してきたものと考えております。こうした考え方に立ちますと、二十歳以上の障害者本人と二十歳未満の扶養義務者の所得基準に殊さら差異を設けるということもございませんので、国とは異なり、一種類の所得基準としたものでございます。
○小林委員 配偶者及び扶養義務者の表を使えば、激変緩和はかなりできると思うんですね。ですから、私なんかは、二十歳過ぎたら本人にして、その前は配偶者及び扶養義務者でいいんじゃないかなというふうに思うんですけどね。これをいろいろ調べていくと、表を見ると、二つの表を使うと、逆に今の所得制限より高くなる例もあるんですね。七百七万が九百万になったりすることがあるので、多分その辺の矛盾があったからやったのかなと思ったりしたんですけども……。
そこで、こういうことを考えてくると、どうも整合性がないように思うんですが、いかがでしょうか。
○村山参事 ご指摘ではございますけれども、私どもが今回、一本の所得制限基準でやるというような形の方針を決めましたのは、今ご指摘のようなことではなくて、先ほど長野部長からご説明申し上げましたように、今の特別障害者手当の本人の基準というものは、基本的に障害者本人が扶養家族を持った場合もちゃんと生活ができるというような考え方で設定された所得基準でございまして、それを従来から東京都としては、二十歳を過ぎればご本人の所得で所得要件を定めていくという考え方というものと両々相まって、こちらの方を選択する、それで一本でやっていくということが、結果的には障害者の自立という観点からも、従来の東京都の考え方と整合もとれるということで、このような形の基準の設定にしたということでございますので、そのようにご理解いただければと思います。
○小林委員 あと、これも若干で終わりますが、東京都における生計中心者の平均収入と収入階層別分布というのが一一ページにあって、五百九十四万、これはもう何回かやっていますけれども、今回、扶養家族が三人おられて、子どもさんが一人障害がある場合ということでいくと、六百三十五万ですか、そうすると、扶養家族が三人いて六百万というのは、私は、結構生活はきついと思うんですね。これも吉田さんがかなりいっていましたけど、結構きついから、相当生活を見直すようになると思うんですね。
それは、生活が、あしたからご飯が食べられないとかそういう話じゃなくて、相当急に変わると思いますね。相当変わると思います。その辺についてどういうふうに思いますでしょうか。
○村山参事 先ほど来ご説明していることで大変恐縮なんですけれども、都の基準については生計中心者でやっていくという考え方であるということから、そういう考え方をとっているということが一つでございます。
それから、六百三十五万というようなラインについてのお話がございましたけれども、先ほど来申し上げておりますように、六百三十五万をちょっと超えたような方の場合で、仮に都の手当が受けられなくなった場合においても、年間四十万から八十万円、国の年金、手当が支給されるという実態がございますので、そういう意味では、実際の年収ベースでいきますと、七百万円からちょっと超えたラインというところまであるという実態もございます。
ただ、お話のように、これまで全く所得制限がない中でございまして、それがずっと続いてきた。しかも、手当額が年間七十二万円という、相当多額に及ぶというようなこともございまして、今回の所得制限の導入に際しましては、最初の十二年度については同額の月六万円を維持することといたしまして、その後四万円、二万円という三カ年の経過措置を講じることによって、今、先生ご指摘のような状況に対する対応ということでお願いいたしたい、かように考えているわけでございますので、よろしくご理解いただければと思います。
○小林委員 今回、心身障害児あるいは心身障害者の医療費の助成の見直しーー見直しになるのかどうかわかりませんが、障害者福祉手当と医療費の助成、これ二つでダブルパンチになっちゃうんですね。中には医療費が三割負担になる人も、これは特異な例だといういい方、いろいろありましたけれども、そういう人もいるということ、全部だというふうには僕は思っていませんが、そういう人もいるというふうに聞いております。
私は、今回、見直しは何でも反対だなんていう立場には毛頭立っておりません。こういう急激に変わるときに、特に相手は障害を持っておられる人ですから、日々不安の中で生活している人たちですから、余計保守的な人なんですね。ですから、そういう配慮というのは当然あっていいのかなというふうに思っております。
そういった意味で、こういった導入に当たる際に、影響を十分検討すべきと。賛成とかという立場でなくて、そういうふうになった場合、十分検討すべきというように考えますが、いかがでしょうか。
○長野障害福祉部長 今、心身障害者医療費助成の問題と重度心身障害者手当のダブルパンチというお話がございました。医療費助成につきましては、負担の公平の観点から一部負担を導入するということにしておりますが、これは、老人保健制度において、高齢者が負担をしていただく水準であります。さらに、低所得者につきましては、入院、通院の負担を現行どおり無料としまして、入院時の食事代のみを負担していただくこととしております。
また、重度心身障害者手当につきましては、負担の公平の観点から所得制限を導入することとしておりますが、新たな所得基準は、国において、税をもって支給している特別障害者手当に準じて定めたものでございまして、激変緩和の意味も含めまして、経過措置を講じたところでございます。したがいまして、いずれも妥当なものであると考えております。
○小林委員 最後になりますが、乳幼児については一歳引き上げて、これは大いに歓迎したいと思っておりますが、子どもは本当に病気にかかる機会が多いですし、それは医者に行けばだんだん健康になって納税者になっていくわけですから、少子高齢化ということを大きな政策の柱にしている以上、もうちょっと年齢を上げて就学前ぐらいまでというふうに僕はぜひやっていただきたいと思いますのと同時に、重度あるいは障害者の施策というのは、ちょっと違うと思うんですね。ですから、私は、個人的には余り所得制限はなくていいというふうに思っているわけですけれども、当然会派の中でいろいろこれから調整して結論を出すわけですが、ぜひそういった私の心情を察していただければと思います。
それから、二十歳未満の障害が二人いる場合、そうしたときに、父親と母親と子ども二人、子ども二人が障害の場合というのは、制度というのは、さっき曽雌さんから、双子、三つ子のときはどうするのかという話がありましたが、どこが答えるかわかりませんが……。
○長野障害福祉部長 例えば重度心身障害者手当の場合には、本人が受給者でございますので、所得制限等、すべて範囲内の場合であれば、お二人いらっしゃれば、二人分がそれぞれに出るということになります。
○小林委員 これは要望ですが、今回、重度肢体不自由者のグループホームについて、都営住宅の中にぜひつくってほしいという要望がありまして、今回、調査研究で予算がついておりますが、ぜひこういった施策を充実していただければということを要望して、終わります。
○松本委員 何点か質問させていただきます。
私は、ゼロ歳児保育について、今回、施策を充実していこう、こういう考え方に反対するわけではありませんし、また、女性が男性同様に社会参加する、これも大変結構なことだと思うのであります。ただ、心配なのは、ちょっと聞きたいんですけれども、生まれて何カ月かたってというか、多分、母乳で育つということはできないんじゃないだろうか。ミルクで育つ。生まれて二カ月ぐらいしたら、ゼロ歳児保育ということだから、朝お母さんかお父さんが保育園に連れていく。そして、そこでずっと家族でない人が子どもたちの面倒を見る。そして、何というんでしょうか、その子は、お母さんの胸に抱かれておっぱいを吸うとか、そういう記憶というのがほとんどない。送り迎えかなんか来てもらって、ホームヘルパーかなんかに送り迎えまでしてもらえるということになると、ますます違ってくるんだろうと思うんですが、稲熊部長は母乳で育ったかどうか、何歳ぐらいまでおふくろのおっぱいをさわって寝ていたか、記憶があったら教えてください。
○稲熊子ども家庭部長 母乳で育てられたと思っております。何歳までかというのはちょっと記憶がないのでご容赦いただきたいと思います。
○松本委員 そういうようなことが、その子どもの精神教育というか構造というか、石原慎太郎さんは、知事は、いたずらをした子どもには引っぱたいてしつけてもらう権利がある、こういういい方をしましたね。(「しかられる……」と呼ぶ者あり)しかられる権利があるーー引っぱたかれる権利があるといいましたよね、どこかで。やはり、子どもは母親に抱かれて母乳を飲む権利があるという感じを僕は持つんですよ。それは何歳までがいいのか悪いのかわからない。しかし、生まれてすぐ、朝から晩まで預けちゃう。中国だって昔やっていましたよね。北朝鮮だって、今、全部子どもを預かっちゃうんじゃないですか。だけど、あれだって生まれてすぐじゃない。やはり家族の愛に子どもというのは抱え込まれる権利があると思うんですが、そこら辺のことについての視点で、研究というか、いろいろな本なんかも出ているんだろうと思うんだけれども、そういう点で東京都というのは、このゼロ歳児保育という問題をとらえて検討というか、何らか考えたことはあるんですかないんですか。
○稲熊子ども家庭部長 なかなか難しいものでございます。健康に関しましては、母乳についての優位性のいろいろと研究がございます。ただ、何歳までそういったような母親に育てられたらよろしいか、かつては三歳児神話といわれまして、三歳児まではお母さんがというふうに、そういうふうに考えられたときがありましたが、適切な愛情を持って保育がされるならば、それについては差異がないだろう、こういうようなことが今一般的にいわれている状況でございます。
○松本委員 僕は、女性が子どもを産んだら、家庭の中に縛られてどうのこうのというような時代でもないだろう、こう思うんですね。昔、僕は山の中で育って、農作業をするそばにいつも連れていかれてという、そういうような記憶もあります。おばあちゃんとか、おやじとか、おじいちゃんとか、いろいろな大家族の中でみんなの愛情を受けて日本の子どもたちは育つという土壌があったんですけれども、今東京というところはそういう土壌がない。全くなくなってしまった。そういう中で、ゼロ歳児保育というのをどんどん進めちゃおう、こういうことなんですから、やはりそこで育つ子どもたちの精神衛生上の問題というのが欠落してはいけないと思いますから、ぜひその点は頭の中に入れておいてほしいなと思います。
ところで、園児一人当たりの保育室だか保育園だか、一人当たり、年間でもいいんですが、月でもいいですが、経常経費というのはどれくらいかかっているんですか。
○稲熊子ども家庭部長 それぞれ対象の年齢によりまして、それに携わる保育士の数も変わりますので異なっておりますが、例えば保育に要する費用でございますが、保育所で零歳児は三十万強、一歳児で十四万強、四歳以上児で六万三千円強、保育室で十三万円強、こういうような状況になってございます。
○松本委員 それはお母さん方にどういうふうに周知されていますか。
○稲熊子ども家庭部長 平成十年の児童福祉法の改正によりまして、いろいろな保育に関する情報を周知するということが義務づけられました。それにつきまして、保育に関する費用等についても、区市町村においてはこれをお知らせした方がよろしい、こういう方向が出されております。
方法としましては、保育園の募集案内のようなところへ載せているところもあります。また、そうでないいろいろな形でのパンフみたいなもので行っているところもあります。私どもは、ご案内のグリーンペーパーのⅠ、Ⅲ、そういったところで、こういう機会を利用して、その内容についてPRさせていただいております。
○松本委員 こうしたこれからの事業、福祉の見直し全般にわたってそうなんですけれども、税を負担している人たち全員が、サービスを受ける人も受けない人も、それに係るコスト、一人当たりどれくらいかかっているのかということをお互いに納得した上でなければ、なかなかこれからの行政改革とかサービスの充実とかいったって、都民のバックアップを受けられないと僕は思うんですよ。
そこで、さっき障害者手当の話が出ておりました。収入制限を八百九十七万円、年間収入がとちょっと聞いたんですが、ここのところは、収入でいくと正式には幾らですか。
○曽根委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕
○曽根委員長 速記を始めてください。
○松本委員 吉田理事の質問の中で、重度障害者手当に今度収入制限というのが導入されようとしている。収入が幾らのところで切られて、幾ら以上の人はいただけなくて、幾ら以下の人は今までどおりいただけますよ、こういう話がありました。それは、所得とか収入とか、いろいろいわれたんですけれども、所得といわれたって、なかなかよくわからない。生活実感として出てこないので、税込みで大体幾らぐらいもらっている人の話なのか、そこら辺のことをちょっと……。税込みということもあるし、税込みじゃないというのもあるので、そこら辺がよくわからない。
○長野障害福祉部長 今度導入をしようとしております所得基準、これは国の特別障害者手当の本人の基準を持ってこようということなんですが、扶養親族の数によりましても金額が違ってまいります。そこで、平均的な四人家族三人扶養の場合を例に挙げて、収入額というものが六百三十五万円、所得額が約四百五十四万円というふうに申し上げておりますが、給与所得の場合には、給与所得控除というものが一定の算式でございまして、それで控除後の金額を一般的に所得というふうに呼んでございます。(「総収入でいくとどれぐらい」と呼ぶ者あり)総収入といいますか、支払い金額といいましたり総収入といったりする欄が、今私が申し上げた六百三十五万円に相当するところでございます。
○松本委員 去年、財務局の主計部から、「租税負担と行政サービス」という書類を出していただいているんだよね。その中で、大体年収四百五十万の人は四十四万五千円の税金を払っている、こう書いてあるんですね。四人家族ですよ、年収が八百万の場合は、七十四万七千二百円、税金を払っている。こういう納税者の人たちですね、年収三百六十万の人が十二万三千七百円の税金を払っている。こういう納税者の方々の理解を得なくちゃいけないと思うんですね。自分よりか高い収入がある世帯に、貧乏な自分の税が使われている、こういう実態があるんですね。こういう実態をきちっと了解した上で、大変な生活をされているんだから、自分の安い給与、安いあれだけれども、それでもいいよ、使っていいよ、こういうコンセンサスの中でないと、福祉というのは前へ進んでいかぬと思うんですよ。
それを考えたときには、受け取っている人が感謝をして受けるサービスという観点がないと、何でもかんでも東京都は削ってとんでもない、生活もできない、こういうようないい方で今度の福祉の見直しを宣伝している人たちがいる。私たちは、東京都民の生きる権利を奪うーー生きる権利を奪っちゃうんだからーー医療、福祉の切り捨てに強く抗議し、撤回を求めます。ーー共産党さんと同じ主張だよね。「赤旗」と全く同じ主張だ。
これに意見が出ている。シルバーパスの有料化とか、老人医療費の助成の問題など、老人をいじめることをやめてください。私は八十一歳です。障害者です。シルバーパスをとめられたら、毎日病院に通うことができなくなります、こう書いてある。とにかく東京都がむちゃくちゃなことを……。マル乳は父母の不安を少しだけでもいやすものです。臨海開発ではできませんと書いてある。
こういうようなやつをばあっとまいちゃう。こういうことに対して、わかりやすく東京都はチラシをつくって、これをこのまま載っけて、これに対してきちっとした答えを、新聞折り込みででも東京都の広報の中でもやるべきだと思うんだよね。
大幅な患者負担となる老人医療費助成の廃止はやめてくださいと。本当に大幅かどうか。生活の足であるシルバーパスの有料化はやめてくださいと書いてある。二万五百十円かかるコストに対して、東京都は千円いただこうとしている。二万五百十円のパスを千円ですよ。これが病院に行けなくなっちゃうというほどの大げさなことなのかどうなのか。きちっとこういうことに対して答える必要があると思うんだ、こういうデマゴーグに対しては。局長、早速次の東京都の広報で出しますといってください。
○神藤福祉局長 今、私どもといたしましては、見直しの中身については広報にお知らせしたり、それから、税金の使い道等についてお知らせをしているところでございますが(「ストレートにやらなきゃだめだ」と呼ぶ者あり)、現在の時点ではストレートにやることについてはまだ考えておりませんので、今お話を伺いましたので、早速検討してみたいと思っています。
○松本委員 基本的に東京都の福祉という場合に、この国に住んでいれば、どこでも最低限の生活は保障されている、日本国民として生きる権利は保障されている、私はそう信じているんですよ。その上で、東京に暮らすからこそ、全国平均のナショナルミニマムというのかな、その施策だけでは足りないよという部分に対して東京都が横出ししたり、頭出しというのか何というのか知らないけれども、東京の特殊性に着目した部分で福祉サービスをやっていくべきだ、こう思うのね。
ところが、東京の特殊性というのは一体何なんだと、これを数値化して検討するというのはなかなか難しい。昭和四十年代に始まったときに、障害者手当とか、いろいろな手当があるんだけども、大体それが今何倍ぐらいになっているんですか。ーーごめんなさい。ここに資料ね、三・七倍、純増四・四倍、一・六倍、一・六倍、一・五倍、こういうふうに資料をちょうだいしているんです。しているんだけど、その都度上がってきたときの数字の合理的、科学的根拠、障害を持つ家庭ではこれだけお金が足りないから、これだけ保障しますよというような、合理的な積算根拠というのは一回でもあったんですか。
○村山参事 これらの手当は、それぞれ四十年代の終わりのころに、在宅サービスがない、施設がないというふうな状況の中で始められたと。そこには、東京都の地域におけるさまざまな状況の中で、障害者に対する施策が必要だという、そういうことがあったかと思います。そういう意味において、例えば重度手当、発足時、四十八年、一万円ということで開始されたわけでして、その一万円にではどういう根拠があったのかということになりますと、それはなかなか説明のしにくいものであったかと思いますし、その後のいろいろな流れの中でふえていく過程というのも、いろいろな要素があって、計数的な意味での他地域との差というふうなことだけではなくて、そのときのいろいろな合意形成のレベルとかいうような形で決まってきた、そういう経緯があるのではなかろうかというふうに思います。
○松本委員 実際は合理的な話なんていうのはないんですよ。美濃部さんの時代に、かわいそうだからということで、かわいそうだからという施しみたいな話で最初スタートしたんですよ。それを当時ばらまきだ、こういう話をした。そういう話がある。それが政治的に毎年毎年少しでも上げたらいいじゃないかということで今日まで来ている。だから、この数字自体に科学的な根拠なんて何もないんですよ。
だから、障害がある方でも、大変な大地主さんの家に生まれた方なんていうのは、大変な資産なんか持っていらっしゃる。それでも収入がないという話だったら、どんと受けられる、そういう実態でしょう、現実問題として。
そこで聞きたいんだけれども、そういうお金持ちが障害を持たれている。親が亡くなっちゃう。残された人は、資産はあるんだね。そういうような場合に、保護者がいなくなっちゃうわけだから、そうだよね、障害を持たれた方が一人残される。こういうケースの場合は、福祉局はどうするんですか。
○長野障害福祉部長 大変難しい問題ですが、方法論的にいえば、ご自身でとりあえず身の回りのことができないということになれば、施設入所の待機者のような形で登録するとか、在宅で地域で生活していくという場合には、ホームヘルプサービスを中心としたいろいろな介護を使いながら、あるいは……。ーーそういうことになろうかと思います。
○松本委員 部長、全然わかっていないよ。とにかく重度の障害を持たれたら、暮らしていけないんですよ。夜トイレに行きたいといったってトイレに行けないんだから。おやじとおふくろがーー今、高齢者が、障害の自分の子ども、その子どもたちももう高齢になっちゃうわけですよ。どうしようか、こういう悩みをたくさんお持ちなわけだ。この子たち、どうするんだ、将来どうするんだろう、この子の行く末はどうなんだろう、大変心配されている。お金のある人だったら、生活保護の対象にならぬのですよ。
そのときに、福祉局としては、そういう人たちの場合はこうこうこういうふうにして、こういう施設に入れてこうしますから、区役所の社会福祉事務所、そこへ行けば大丈夫ですよと、部長、答えてくれればいいわけだから。
○長野障害福祉部長 基本的に、今松本先生がおっしゃられたように、福祉事務所の窓口でご相談いただくということになろうかと思います。先ほど私が申し上げました施設入所というのも一つの方法でございまして、それ以外に、私どもが今目指しておりますのは、どんなに重い障害を持たれる方でも地域で生活をし続けるということがノーマライゼーションの基本的な考え方でございますから、そういう中で、これから生活寮、あるいは重度知的障害者の生活寮、重度身体障害者グループホームということで、地域の中で生活するという支え合いの方向を今出しておりますので、そういったことと、資産が相当あるということであれば、権利擁護のシステム、これから出てまいりますので、そうしたことをお使いいただく中で安心してお暮らしができるような措置が講じられるはずであると思います。
○松本委員 福祉全体なんだけど、例えばこういうケースの場合ーー中小企業を経営していた。ところが、倒産しちゃって、日栄に追いかけられている。いよいよあしたはもう夜逃げするしか手はない。その場合、年老いた両親と小学生と幼稚園の子どもがいる。四人扶養だ。こういうような場合に受けられる福祉サービスというのは何と何と何が考えられますか。
要するに、答えられないでしょう。そういう人たちの相談が来たときには、局長、まず、あなたは逃げるわけにいかないよね、お父さんとお母さん。介護が必要だなんていっている年寄りを置いて夜逃げするわけにいかない。その場合には、まず、すぐ預かるかどうか、こういう判断が必要になってくるね。子どもたちの学校をどうするかという判断が必要になってくるよね。その人本人を、自己破産というのかな、そういう法的手続をとるかどうかというような判断が必要になってくるよね。そうでしょう。そして、収入が、この間までいっぱいあったんだけど、なくなっちゃったという話になるから、手当類はこれとこれとこれが対象になりますよという検討課題があるよね。そういうことを、全部同じところでだれかが相談に乗ってすべての部分について判断してもらえるような窓口をつくってほしい、こう思う。
なぜそうかというと、この間、あるお母さんーーテレビを見ていたんだ。東京じゃないんだけれども、電気をとめられて、ガスをとめられちゃって、収入がなくて、子どもが夜凍え死んだというんだ、一緒に住んでいて。児童手当だったかな、何かの手当の相談に窓口へ行ったんだ。そこで、通帳番号がわからないから、通帳番号を持っていらっしゃい、来月から振り込みますよ、こういう話になっていた。だけど、そこに、苦労しているんだったら生活保護もありますよと一言いってくれる人がいれば、あの子は死なずに済んだんです。そうでしょう。
そういう総合的な相談窓口をぜひつくってほしい。何とか手当は何課です、何とか手当は何課です、何とかの融資の相談はどこです、これ全部違う窓口だ。これだけのサービスが全部わかっている東京都民というのはなかなかいない。こういう手当、こういう手当、こういう手当がありますよ、母子手帳にもあれ十分書いてないでしょう。書いてない。やっぱりサービスを一括して、本当に困っている家庭というのは、一つだけのサービスで何とかなるという状況の方が少ないんだから、村山さん、つくるといってください。そういう相談窓口を早速開きますと。
○渡辺生活福祉部長 ただいま松本委員がお取り上げいただきました事件でございますけれども、本年二月九日に事件発覚いたしまして、新聞報道は二月二十六日に行われました、いわゆる宇都宮で起こった母子の大変痛ましい事件のことではなかろうかと推測いたしますが、その場合、私どももこれを仄聞いたしまして、大変痛ましい事件であると同時に、福祉行政に携わる者といたしましては、非常に残念なことであります。
振り返りますと、平成八年に都内豊島区において、お年寄りとその息子さん、四十一歳の方ですが、この方々につきましても、十分な窓口対応ができないために餓死されたという案件がございました。それ以降、東京都といたしましては、二十三区はもとより、都における市の各福祉事務所に対して、その相談機能の充実、それから、いわば誠意を持った対応ということについての徹底を図るよう働きかけてきたところであります。
さらに、働きかけるに当たりましては、よく生活保護やその他手当の受給についての情報が伝わりますようにPRし、その他を十分用意し、徹底を図るように努めてきたところでございます。
〔「満額回答」と呼ぶ者あり〕
○松本委員 満額回答だね。と思うんだけど……。
ところで、その生活保護なんだけれども、昭和四十年代から今日まで、生活保護というのはどの程度充実してきているのか、わかりやすく説明してください。
○渡辺生活福祉部長 先般の予特で松本委員がこの関係につきましてご質問なさいましたが、多少ダブることをお許しいただきまして……。(「しなかった」と呼ぶ者あり)しなかったんですか、大変失礼しました。
生活保護の関係につきまして、四十年代と現在とを比較するわけでございますけれども、生活保護制度につきましては、世帯の状況とか、地域とか、世帯構成とかによりまして、さまざまきめ細かく対応するようにいたしておりますので、一概に申し上げることは大変難しゅうございますけれども、一つのモデルをもってご説明申し上げたいと思います。生活保護制度で定めた一カ月当たりの生活保護基準を、夫婦子ども二人の標準四人世帯のモデルで算定したといたしますと、昭和四十九年には住宅扶助及び教育扶助を含めて約八万三千円でございました。平成十年は約二十七万六千円であり、この間に約十九万三千円の増加をいたしております。単純に比較いたしますと、三・三倍の伸びになります。ただし、この間、消費者物価の伸びがございますので、これらを勘案した実質の伸びは一・六倍となっております。
なお、障害を有する方がいる場合には加算制度があり、昭和五十一年には、介護を必要とする重度の障害を対象とした加算も制度化されております。
○松本委員 生活保護を利用しますと、きちっと生きていけるだけの最低限の保障はされているんだというのを、もうちょっとどおんと大きくビラかチラシに出して、生活保護でここまではきちっと見ているんですよ、申し込んでもらえばちゃんとできるんですよということを、特に共産党さんにはたくさんのビラを渡してください。そういうふうにしないと、東京都の福祉施策だけでーー生活保護が担うべき部分も全部ここに転嫁して議論しちゃうと、おかしな話になっちゃう。
東京がどうしてもやらなきゃならぬ福祉だけをこれからは充実していくんだ、このことを一点申し上げて、きょうの質問は終わります。
○曽根委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
予算案、付託議案及び請願陳情に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○曽根委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案及び請願陳情に対する質疑は終了いたしました。
以上で福祉局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後十時二十三分散会
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