委員長 | 相川 博君 |
副委員長 | 野島 善司君 |
副委員長 | 樋口ゆうこ君 |
理事 | 高橋かずみ君 |
理事 | 中嶋 義雄君 |
理事 | 吉野 利明君 |
吉原 修君 | |
清水ひで子君 | |
東野 秀平君 | |
新井美沙子君 | |
矢島 千秋君 | |
渡辺 康信君 | |
内田 茂君 | |
坂口こうじ君 |
欠席委員 なし
出席説明員都市計画局 | 局長 | 勝田 三良君 |
次長 | 藤井 浩二君 | |
技監 | 梶山 修君 | |
総務部長 | 村松 満君 | |
都市づくり政策部長 | 森下 尚治君 | |
都市づくり調整担当部長 | 南雲 栄一君 | |
参事 | 金子 敏夫君 | |
都市基盤部長 | 山崎 俊一君 | |
外かく環状道路担当部長 | 道家 孝行君 | |
参事 | 宮川 昭君 | |
都市防災部長 | 成田 隆一君 | |
市街地建築部長 | 野本 孝三君 |
本日の会議に付した事件
都市計画局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成十六年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為 都市計画局所管分
・第十四号議案 平成十六年度東京都都市開発資金会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第八十三号議案 東京都建築安全条例の一部を改正する条例
・第八十四号議案 東京都都市計画局関係手数料条例の一部を改正する条例
・第八十五号議案 東京都国土利用開発審議会条例の一部を改正する条例
○相川委員長 ただいまから都市・環境委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市計画局関係の平成十六年度予算の調査及び付託議案の審査を行います。
これより都市計画局関係に入ります。
予算の調査及び付託議案の審査を行います。
第一号議案、平成十六年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、都市計画局所管分、第十四号議案、第八十三号議案から第八十五号議案までを一括して議題といたします。
本案については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○村松総務部長 二月十九日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元に配布しております、都市・環境委員会資料二月十九日要求分の表紙をめくっていただきまして、目次をごらんください。
資料は、1の東京臨海高速鉄道株式会社の経営状況から、10の物流拠点整備の現状と再編整備の方向までの十種でございます。
それでは、まず一ページをお開き願います。1の東京臨海高速鉄道株式会社の経営状況でございます。
平成十一年度から十五年度までの五年間の会社の収入、支出及び償却前経常損益につきまして、それぞれ記載してございます。
なお、平成十一年度から十四年度は実績額を、また平成十五年度につきましては見込み額を記載してございます。
二ページをごらんください。2の首都高速道路事業中路線の進捗状況と今後の予定でございます。
中央環状王子線、中央環状新宿線、晴海線の区間、延長、総事業費、今後の予定及び進捗率についてそれぞれ記載してございます。
なお、進捗率につきましては、平成十四年度末の事業費ベース、これは用地費と工事費の合計でございますが、これを記載してございます。
三ページをお開きください。3の都市再生緊急整備地域における都市計画提案検討プロジェクト数でございます。
七カ所の都市再生緊急整備地域におけます都市計画提案の検討プロジェクト数をそれぞれ記載してございます。
四ページをごらんください。4の今後竣工予定の高さ百メートル以上の大規模ビル及び住宅計画(平成十四年度から平成十七年度)でございます。
これは、各年度別に名称、用途、建築主及びビルの高さ、延べ面積、竣工予定を記載してございます。
六ページをごらんください。5のセンター・コア内の主な開発計画と推定就業人口、推定自動車交通量でございます。
まず1として、平成十六年一月末現在の市街地再開発事業の区名及び地区名、地区面積、延べ床面積、就業人口、自動車発生集中交通量をそれぞれ記載してございます。
七ページをごらんください。2として、平成十六年一月末現在の特定街区につきまして、前ページと同様の区分で記載してございます。
また、3として、同じく平成十六年一月末現在の総合設計につきまして、同じ区分で記載してございます。
八ページをごらんください。4として、平成十六年一月末現在の再開発等促進区を定める地区計画(再開発地区計画)及び5として、平成十六年一月末現在の都市再生特別地区につきましても、同様に同じ区分でそれぞれ記載してございます。
九ページをごらんください。6の都市計画局所管の出資金及び無利子貸付金の推移と今後の計画でございます。
首都高速道路公団、日暮里・舎人線、常磐新線、東京臨海高速鉄道臨海副都心線のそれぞれの出資金、貸付金別に、平成六年度から十四年度までは決算額を、平成十五年度は最終補正後の予算現額を、十六年度は当初予算額案を、また平成十七年度以降の金額は、現在都の支出対象となっている事業の完了予定時までの見込み額をそれぞれ記載してございます。
一〇ページをごらんください。7の八ッ場ダムの基本計画変更に関する埼玉県、千葉県の状況でございます。
1では埼玉県の状況を、2では千葉県の状況を記載してございます。
一一ページをごらんください。8の都市計画局、住宅局及び建設局市街地整備部門の組織再編に伴う都市整備局のメリットと事業効果でございます。
組織再編のメリット、事業効果、具体的な取り組み事例をそれぞれ記載してございます。
一二ページをごらんください。9の東京及び東京圏のまちづくり構想についてでございます。
1では、多心型都市構造の成果と課題について記載してございます。
2では、東京及び東京圏のまちづくりコンセプトといたしまして、環状メガロポリス構造の実現及び政策誘導型の都市づくりについて記載してございます。
最後に、一三ページをごらんください。10の物流拠点整備の現状と再編整備の方向でございます。
1では、物流拠点整備の現状につきまして、四つの流通業務団地の計画面積、トラックターミナル等の主な施設の面積、整備状況につきましてそれぞれ記載してございます。
2では、再編整備の方向について、区部及び多摩地域に区分して記載してございます。
以上で資料説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくご審議のほどお願いいたします。
○相川委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○高橋委員 私は、かねてから練馬区の都市計画道路など都市基盤整備のおくれを指摘してきましたが、練馬区のように比較的緑豊かな区部で今なお緑が減少傾向にあることにかんがみ、昨日は環境局に対して、街路樹や道路の植樹帯の件で質問をさせていただきました。
本委員会では、水と緑のネットワーク化についてお尋ねさせていただきます。
緑被率の調査については、各区の調査年度にばらつきがあるようでありますが、私の地元練馬区は、緑被率では二十三区の中で一番だったのでありますが、最近渋谷区に抜かれて二位になったというように仄聞しております。
都では、平成十二年の緑の東京計画の公表以来、みどり率をみどりづくりの政策指標として、東京の緑の量をはかる指標にしてきました。
そこでまず、基礎的なことを確認させていただく上で、みどり率の定義と意味についてお伺いいたします。
○山崎都市基盤部長 みどり率についてでございますが、みどり率とは、樹林地、草地、農地、宅地等の緑、公園、街路樹や河川等の水面の面積が地域全体の面積に占める割合をいいます。これまで緑で覆われた面積の割合を示してきました緑被率に、河川等の水面、公園内で緑で覆われていない部分の割合を加えたものでございます。
緑が持ちます四つの機能、すなわち、土地環境の改善、防災、潤い、安らぎ、風格、そして最後に生物の生存基盤というような四つの機能を最大限に発揮していく上で、水が持っている役割あるいは公園全体の緑が持つ機能、そういったものに着目した広い意味での緑に関する指標だというふうに考えてございます。
○高橋委員 次に、先ほど練馬区が緑被率では二十三区中二位になったといいましたが、練馬区のみどり率や緑の現状がどのようになっているのか、その認識についてお伺いいたします。
○山崎都市基盤部長 みどり率につきましては、二十三区全体を対象に調査しております。また、ブロック別にも分けて集計してございますが、現状では区部全体のみどり率が約二九%でございましたのに対し、練馬区を含めた杉並、中野、世田谷、目黒の区部西部地域のみどり率は約三一%と推計されておりまして、区部ブロック別ではトップクラスでございます。
練馬区は、土地利用上、農用地の割合が区部でも際立って高い反面、河川を含めた水面が少ないというのも特徴でございます。このことから、農地、屋敷林、雑木林等が一体となった緑を保全することによりまして、郷土の緑を継承していく、また石神井公園等、石神井川沿いの緑環境を充実していくということが大事かというふうに考えております。
○高橋委員 ありがとうございます。練馬区の地域特性を生かして、みどり率の向上が図れるようお願いしたいと思います。
昨年十月の本委員会で、私は都市計画審議会から答申された東京らしいみどりをつくる新戦略について幾つか質問をさせていただきました。その中でのみどりづくりの大きな柱は、水と緑のネットワークであると考えております。今後の緑豊かなまちづくりを展望した場合、都市における自然環境を再生し、郷土景観の保全を図る上で、水と緑のネットワーク化は極めて大切だと思います。
そこで、都として水と緑のネットワーク化に向けて、今後どのような取り組みを行っていくのか、お伺いいたします。
○山崎都市基盤部長 昨年十月に、東京都都市計画審議会から、東京らしいみどりをつくる新戦略の答申を受けておりまして、この中で、水と緑のネットワーク化に向けたことが答申されてございます。この取り組みの一つとして、みどりの新戦略ガイドラインを十六年度に策定していきたいと考えてございます。このガイドラインをもとに、多様な主体が多様な東京らしい緑を創出していくように誘導していきたいと思っております。
○高橋委員 そこでお伺いいたしますが、みどりの新戦略ガイドラインを十六年度に策定するということでありますが、ぜひ実効性のある戦略的なガイドラインにしてほしいと思います。
練馬区は、石神井川に沿って武蔵関公園、石神井公園などの公園を初め、民間施設ではとしまえんなどがあります。このガイドラインによれば、このような自然や歴史的文化資源を生かしてどのようなネットワーク化が図られるのか、その所見をお伺いいたします。
○山崎都市基盤部長 石神井川流域は、川にはぐくまれました緑豊かな歴史と文化遺産に恵まれております。これらの遺産を活用しながら、川のみどり軸あるいは風の道の形成を図っていくということが重要かなというふうに考えているところでございます。
また、石神井公園や武蔵関公園、としまえんなどのみどりの拠点、そして石神井川をみどりの軸というふうに位置づけまして、水と緑のネットワーク化を図っていくというようなことを考えております。
また、それによりまして、それらの拠点や軸周辺の民間開発に対しましても、緑とオープンスペースを確保するように指導、要請いたしまして、緑に広がりや厚みを持たせるよう誘導していきたいと考えてございます。
○高橋委員 最後に、意見を申し上げさせていただきます。
練馬区のように比較的緑に恵まれた地域が、知らない間に緑が減少し、気がつけば緑とオープンスペースが乏しい地域となっていたという過去の轍を踏まないことが肝要であります。むしろ練馬区が東京における緑豊かなまちづくりのモデル地域となるように、水と緑のネットワーク化に向けた積極的な取り組みをしていただくようお願いさせていただきまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○坂口委員 それでは質問をさせていただきます。
資料を作成していただきまして、ありがとうございます。
大きなテーマについてお聞きをし、また少し具体的な内容についても、この際お聞きをしたいと思うわけでございますけれども、東京の都市づくりのコンセプトなんですが、これがどのように変わってきているのかということを、まずお聞きをしたいと思います。
といいますのも、鈴木都政の時代を振り返りますと、東京ルネッサンス構想というビジョンの中で、東京の都市構造を一点集中から多心型の都市に転換をしていこう、そしてその中で、職と住とのバランスのとれた都市構造を実現する、そのために、今我々が仕事をさせていただいておりますような新宿を初めとする副都心ですとか、多摩の心しんの育成に力を注いできたという経緯があります。
そのようなまちづくりがどのような成果を上げたのか、またどのような課題をさらに惹起することになったのか、やはり小総括をしておく必要があると思うんです。その点からまずお聞きしたいと思います。
○森下都市づくり政策部長 多心型都市づくりへの構想でございますけれども、この構想は、都心への業務機能の過度の集中を抑制するということを主眼としたものでございまして、副都心であるとか多摩の心しんの育成、具体的には業務機能を誘致していくというようなことにつきまして一定の成果があったものと考えてございます。
一方、課題としましては、現在右肩上がりの時代が終えんしまして、成熟した都市型社会になってきたということで、その業務機能の分散という考え方だけでは不十分であること、また都の区域に限定した都市構造では、東京圏全体の広域的視点に立った国際競争力を発揮する圏域の姿を描けないということなどでございます。
○坂口委員 そのような成果と課題を見出してきたということでございますけれども、まず一つ要点としましては、右肩上がりの高度成長の時代が終えんをいたしまして、成熟した社会へと向かおうとしている。あわせて、職と住とのバランスというようなことがよくいわれるわけでございますけれども、業務機能の分散だけでは不十分であるということ。それから、もうちょっと広域的に見ますと、東京だけでやっても限界がある、簡単にいいますと。また、東京といいますのは、神奈川、埼玉、千葉などと連担をしているわけでございますから、それらを視野に入れた、今流の言葉でいうとメガロポリスとしてとらえていくような、そのような発想が必要だ。それがまた国際競争力を発揮する新しい首都圏の未来像になっていくということであろうかと思います。
いずれも重要な課題ではないかと思うわけでございますが、それでは、石原さんになってから、今いいましたような、この東京圏で首都機能を担うということを念頭に置きまして、東京圏全体を視野に入れました首都圏メガロポリス構想や東京の新しい都市づくりビジョンをつくってきているわけでございますけれども、ここに示された新しい都市構造、それから都市づくりのコンセプトというものは鈴木さんの時代とどう違うのか、それについてお答えを願いたいと思います。
○森下都市づくり政策部長 現在の構想やビジョンでは、世界をリードする魅力とにぎわいのある国際都市東京の創造というようなものを都市づくりの目標としておりまして、東京圏全体を視野に入れました集積のメリットを生かす多機能集約型の新しい都市構造であります環状メガロポリス構造というものの構築を目指しております。
その環状メガロポリス構造の特徴でございますけれども、委員会資料の方に図などを示してございますけれども、一つ、業務、住居、産業、文化など、多様な機能を地域や拠点が分担しているということでございます。そして、環状方向の東京圏の交通ネットワーク、とりわけ空港であるとか港湾、広域交通基盤の強化を図ることを重視しておりまして、さらに広域連携によりまして、東京圏全体で一体的な機能を発揮させていることなどがその特徴でございます。
○坂口委員 今、環状メガロポリス構造というもののコンセプトとその中身の一部が述べられたわけでございますが、この業務機能、それから居住機能、さらには産業、文化など、多様な機能を地域や拠点が分担をするということですね。大変重要な視点であると思います。それと実態がちゃんと整合しているのかどうかということが次なる課題になってくると思うんですけれども、それについてはまた後に譲りたいと思います。
それから環状方向の交通ネットワーク、また空港や港湾、広域交通基盤の強化を図る、これももっともな話であろうかと思います。もう一つ、やはり広域連携により東京圏全体の一体的な機能を発揮するということであるわけでございますが、私の手元にこのような資料がございます。広域連携、広域連携といわれて久しいわけでございますが、まとまった資料を我々が目にすることは意外とまだ少ないんです。
ここに、平成十四年十一月に第四十三回七都県市首脳会議協議事項ということで、このメガロポリス構造の、恐らくベースになっていると思われる首都圏再生に関する協議内容と首都圏の再生に関するアピールがございます。現在は八都県市になっておりますが、当時は七都県市でございます。
首都圏の将来像といたしまして、今部長から答弁がありましたように、先進的で世界をリードする首都圏、経済活力に満ちた首都圏、安全でゆとりや安らぎのある首都圏、環境と共生する首都圏、こういうものが述べられまして、七都県市はこれまでも共同して解決すべき多くの課題に対する取り組みを進めてきたが、引き続き効率的、効果的な広域連携を一層深め、首都機能を担い続けるとともに、七都県市が目指す、現在八都県市でございますが、首都圏の将来像の実現に向けて共同で首都圏の再生に取り組んでいきます、こういう宣言的なものが発表されているわけでございますけれども、これらを踏まえた上で、先ほど述べられましたような、例えば業務、居住、産業、文化など、多様な機能を地域や拠点が分担するということを進めていかないとまずいと思うんです。
しかしながら、私が懸念しますのは、かつての鈴木都政時代の多極分散型の都市機能をどうつくっていくかというところの議論でもかなりなされた内容ではあるんですが、きょうの資料を見ますと、私が要求した資料ではないわけでございますが、このセンター・コアの中にさまざまな開発計画があります。これは、ある意味では都市の活力である、そのように見てもいいわけでございますが、しかし手放しで喜んでばかりはおれない。
ここには就業人口が書いてあるんですけれども、就業人口といいますのは居住人口とイコールではないわけです。先ほどの答弁にもありましたように、きちんと職住が近接した、または職住のバランスがとれた、そういう東京、またはセンター・コアができるのかどうか、またはそれに偏りがあるとするならば、やはり近県と分担をしていく、役割分担をしていくというようなことも必要になってくるのではないか、そんなふうに考える次第でございます。
整理をしていいますと、都心への回帰の流れというものが最近見られるわけでございますけれども、センター・コアへの業務機能といいますのは、二〇〇三年問題というものがあったわけでございますけれども、懸念されたほど大きな問題を惹起しなかったように、一見、見えるわけでございますけれども、どうも見ていると、都心への業務機能の再集中というものが起こっているのではないか。このビルの建設戸数、就業人口を見ても明らかです。
これをこのままほうっておくと、やはり都市のインフラへの過度な負担、それだけではございませんで、インフラだけではありませんで、局地的に起こっておりますけれども、小中学校の不足ですとか、医療施設や福祉施設の不足ですとか。
他方におきまして、センター・コアの中でも定住人口を回復したい、どこの区とはいいませんけれども、回復したいと考えて、いろいろ福祉政策などをとってきているわけでございますが、なかなか芳しくない。人口の回復ができないというようなところもあるわけです。同じセンター・コアの中でも、そのようなまだら模様の状況がございます。
過ぎたるは及ばざるがごとしという言葉がございますけれども、無秩序にこのような人口集中が起こってまいりますと、今申し上げましたような昼間人口、夜間人口の極度な乖離、または道路や学校など、または保育施設ですとか福祉施設、こういうものの不足などを招きまして、決してバランスのとれた快適なまちとはならないということは、今までの経験からも明らかなように思います。
したがって、環状メガロポリス構造という大きな都市構造を掲げて、その戦略を立てるということは大変重要であるわけでございますけれども、あわせて今いったような問題についても、どのように対応していくのかという戦略が立てられなければならないと思うわけですけれども、まずは環状メガロポリス構造というものを前提としての東京における都市づくりの理念や目標、それに向けた戦略がどのようになっているのか、お聞きしたいと思います。
○森下都市づくり政策部長 若干総論的なお答えになりますけれども、まず都市づくりの理念、目標でございますけれども、都市づくりビジョンにおきましては、国際競争力を備えた都市活力の維持発展、それから持続的繁栄を可能とする環境との共生、さらに独自性のある都市文化の創造、発信、安全で健康に暮らせる質の高い生活環境の実現などをその目標として掲げているわけでございます。
こういった理念、目標を実現する戦略ですけれども、東京をセンター・コアなど五つのゾーンに区分した上で、それぞれの地域の将来像を示しまして、例えばですけれども、核都市広域連携ゾーンにおいては、都市基盤整備等による活力ある多摩の拠点育成など、将来像実現のための戦略をそれぞれ挙げているところでございます。
このように、目指すべき都市像でございます環状メガロポリス構造や地域像の実現に向けまして戦略的に都市づくりを進めていく、いわゆる政策誘導型の都市づくりというものを目指しているところでございます。
○坂口委員 四つぐらいの都市ビジョンまたは都市づくりの理念が明らかにされてきているわけでございますけれども、あわせて、東京を五つぐらいのゾーンに分けて、そして理念や将来像やゾーンの戦略を設けて政策誘導型の都市づくりをしていくということですね。
政策誘導というからには、やっぱり今述べていただきましたような将来像ですとかゾーンの戦略、それから目標を明らかにしていかないと、これは総論あって各論なしといいますか、誘導をするというわけでございますから、誘導しようとしてもできないということになりますね。もうちょっといいますと、プラン・ドゥー・シーをやろうとしても目標がなかったらできないということになるわけでございまして、それをさらに絞り込んで精緻化をしていくということが大変重要ではないかと思います。
それから、前段の論点で大変重要なところは、このような首都圏の再生に関しましての将来像というものが一応描かれるような段階に来ているわけでございますけれども、これが東京だけの計画であってはならないと思うんです。もちろん、こういう合意形成ができたわけですから、東京だけということではないわけでございますが、例えばネーミングを一つとりましても、環状メガロポリス構造またはメガロポリス構想と呼ばれるものは東京のネーミングであって、恐らく神奈川ですとか千葉、埼玉などではこういう呼び名はしていないのではないか、また別の名前を持っているのではないか、そんなことが懸念されます。
鈴木都政時代の都市づくりの議論を思い起こしましても、例えば神奈川では拠点的な都市再生のプロジェクトといたしまして、みなとみらいのプロジェクトを掲げておりました。それから、今はさいたま市となったわけでございますが、埼玉におきましてはユー・アンド・アイというんでしょうか、そんな構想があったように思います。それから、千葉におきましては幕張メッセを中心とした都市再生の戦略的なプロジェクトがあったように思うわけでございますが、それぞれの自治体が独自の構想や戦略を持って、そして近県ともできるだけ協調または協力してやろうということであろうかと思うんです。
まとめて申し上げますと、環状メガロポリス構造または構想という視点は大変私は重要だと思うわけでございますが、東京だけで何でも担うということはできないわけでございまして、昨日の質疑でも産業廃棄物の問題についてやらせていただきましたが、またはTDMの問題について環境局でやらせていただきましたが、東京できちんとした処理体制をつくるということとともに、やはり近隣の県と協力をして、役割分担をしてやっていかないと解決できない問題が多々あることは、私どもの経験からも明らかでございます。
つまり、東京圏全体で機能を分担して担っていくということが極めて現実的である。業務・商業、さらには首都機能などはもとよりでございますが、今申し上げました、例えば産廃などの静脈ルート、震災など、いざというときのリスクの分散、そういう視点も大変重要だと思います。
東京圏の国際競争力を高め、首都圏が共存共栄を図っていくためには、東京圏全体が一体的に機能を分担してその役割を発揮していく、または担っていくということが求められるわけでございますけれども、関係県市、八都県市との間で、その後東京圏の将来ビジョンについての検討ですとか、さらには研究がきちんと恒常的に行われているのかどうか、また関係県市との連携や共同の取り組みについての状況をお聞きしたいと思います。
○森下都市づくり政策部長 先ほど委員の方からもご紹介がございましたけれども、平成十四年十一月の七都県市の首脳会議、現在八都県市となってございますけれども、そこにおきます首都圏の再生に関するアピールの取りまとめの場などで、都市構造のことでございますけれども、首都圏の望ましい都市構造として、東京都が示しました環状メガロポリス構造と同様の構造、イメージを共有して、それぞれ話し合ったということでございます。
また、個別のテーマとしましても、三環状道路整備などの広域幹線ネットワークの形成であるとか、広域防災、危機管理とか、廃棄物問題等に共同、協調して取り組んでおるところでございます。それぞれ自立性の高い圏域の形成ということと、相互連携というものに努めているところでございます。
○坂口委員 平成十四年度のペーパーを見ますと、いろいろと重要な視点が出されているわけでございますが、時間の関係もありまして、重要なところだけ紹介させていただきますが、首都圏の再生の必要性ということで、現状、さらには七都県市の主張、国の動き、首都圏の再生に向けた取り組みというのが書かれているわけでございますが、特にそのうちで、この七都県市は共同、協調して東京一極集中の是正を図るため、業務核都市の育成等による展都の実現と、地方分権の推進による自立した都市圏の形成を目指して首都圏の再編成整備を進める。これらにより、住民の真の豊かさの実現と経済の活性化を図り、首都圏の再生に取り組んでいく、こういう文言になっているんです。これが合意されている中身ではないかと思うんです。
ですから、こういうものをきちんと押さえた上で、展都というような言葉が当時出されているわけですが、これらをどうするのか。遷都論については、一応今凍結のような形になっているわけでございますが、遷都ではなくて、首都圏による展都というようなものです。中身をどう考えるかということについてはここでは触れませんけれども、そういう問題と、真の住民の豊かさの実現と経済の活性化を図り、首都圏の再生に取り組んでいくということです。そういうことが書かれております。
これをどのように展開していくかというのが、これからの首都圏における大変重要な課題ではないか。将来の道州制ですとか、または連邦国家制などを考えていく場合にも、やはり大変重要な関係を持ってくるのではないかと思いますので、今直ちに結論をどうこうというわけではございませんけれども、十分、今度都市整備局になるわけでございますけれども、近隣の県、八都県市とも連携をとって、目標に向けましたビジョンまたは計画を明らかにしていっていただきたいと思います。
さて、話が大きくなりましたけれども、今度は少し内向きのお話になるわけでございますけれども、このような広域的な視点を持ちつつも、東京のエリア内の都市づくりをどうしていくかというのは、我々にとりまして大変重要な課題でございます。
先ほど部長から政策誘導型の都市づくりという話があったわけでございますが、具体的にどうしていくのかということですね。五つほどの大きなゾーンがあるわけでございますが、これすべてについてやっておりますと、とてもではありませんが時間がなくなってしまいますので、絞り込んでお話をさせていただきたいと思いますが、ちょっと一般論ではございますが、十年ほど前に、土地住宅問題の調査で、ニューヨーク、ボストン、プリンストンなどを回ったことがあるわけでございますけれども、ボストンにおきましては、パーク・アンド・ライドも大変参考になったんですけれども、リンケージ政策が積極的にとられておりました。
例えば、オフィスビルをつくるといった場合に、そこのオフィスに対して住宅の附置義務を課す、これは日本でもかなりやられてまいりました。しかし、それだけではない。その周辺の古い住宅の再生もディベロッパーに一緒にやらせる。または、その再生に要する費用の負担をディベロッパーにさせる。その使途は、住宅の再生が一番多いんですけれども、しかしそれに限定されずに、失業の多い社会でございますので、失業者の雇用プログラムなどにも拠出されましたお金を使うことができる。ここまで幅を持ったリンケージ政策がとられておりました。こういうものを東京で活用することができないかどうか。
それから、例えば木密地域のようなところ、後の話との関連で申し上げますならば、木造密集地域の再生です。今、重点地域を十一カ所ぐらいに絞りまして、その再生を図ろうとしているわけでございますが、そのまま横引きはできませんけれども、アイデアは使えるんではないかと思います。
それから、ニューヨークのマンハッタン地域では、これはもう何回も成長管理政策などの議論があるときに出されているわけでございますが、イーストサイド、特に五番街の辺に集中しておりますオフィスビルまたは高層ビル、また高層ビルが集まってくることによりまして地価も上がってくるというような状況がある一方で、ウエストサイドの方、「ウエスト・サイド・ストーリー」なんていうのもありましたけれども、そちらの方はかなり寂れている。しかし、まだ種地、種空間はかなりあるということで、そちらの方にオフィスを誘導していくという政策が積極的にとられておりました。ハーレムの再生というようなことも、ニューヨークの大変大きな課題だったわけでございます。
その場合にどうしているかといいますと、一つは、まさに誘導的政策です。建ぺい率、容積率の緩和。もう一つは税制です。これを使いまして、東から西側のサイドに、今は大分変わってきていると思いますけれども、誘導していくという施策が積極的にとられておりました。そしてまたここでも、これは称していうところの成長管理政策です。グロースマネジメントということになります。これもやはり東京に僕は適用できるのではないか。また、バブルを経験した私ども東京にとって、それをどうこれからの東京のまちづくりに生かしていくかということは、やはり大変重要なポイントではないかと思います。
またあわせて、ボストンと同じように、高層ビルを建てる際に附置義務を課して、例えば低層階はオフィスである、上の方は住宅である。
大変僕は感動を覚えた経験があるんですけれども、ちょうどクリスマスのころだったんですけれども、高いビルなんですが、上の方にクリスマスの飾りがついているんです。これは住宅が附置されているということを意味しております。それから、そのビルの周辺の住宅の再生、そういったものをニューヨーク市では一生懸命やっていたということが、大変印象として残っております。これも、これからの都市再生において活用できる手法であり、また考え方ではないか、そんなふうに考えているところでございます。
そんなことを前提に、まず東京のセンター・コアの再生について、ここのところはいろいろ議論がなされておりますけれども、東京駅を含めまして、いうならば東京の心臓部であり顔の部分であるわけでございますけれども、具体的にどのような目標を設定して、どのような都市再生を図っていく考えなのか、お聞きをしたいと思います。
○森下都市づくり政策部長 今いろいろご指摘ございましたけれども、いろいろな知恵と工夫を使って、都市計画の制度を有効に使ってまちづくりを誘導していくということは、大変重要であると考えてございます。
センター・コア再生ゾーンでございますけれども、その目標としましては、国際ビジネスセンターの機能の強化、都心居住の推進、歴史と文化を生かした都市空間の形成などを位置づけておるところでございます。この目標に向けまして、例えば都心、副都心など、地域特性に応じまして容積緩和を実施しまして、それに合わせまして商業や文化などのにぎわい施設の導入を義務づけていくというようなことをしております。
また、東京駅の復元とか保存を図るために、その余剰容積を周辺の地域に移転するという特例容積の制度、そういった活用も図っているところでございます。
このようなさまざまな施策を使うことによりまして、センター・コアの地域整備の方向をコントロールしていきたい、そういうふうに考えております。
○坂口委員 この都市計画局が作成をしておりますパンフレットにおきましても、ゾーンの戦略としましては、まず一つとして国際ビジネスセンター機能の強化、二つとして都市を楽しむ都心居住の推進、それから三つ目として歴史と文化を生かした都市空間形成、これは僕はこのとおりではないかと思うんです。これは是とするものであるわけでございますが、しかしこれをどのようにバランスをとってやっていくかというところが、やはり都市計画局の腕の見せどころ、知恵の発揮のしどころではないかと思います。
特に、今申し上げました都市を楽しむ都心居住の推進というようなものを具体的にどうしていくのか。今の計画ですと、どうもかつての東京マンハッタン計画ではございませんけれども、オフィスビルだけが林立して、そしてどうも住めないまちになってしまった。しかし、日中はどっと怒濤のごとく人が集まってくるというようなゾーンになってしまうのではないかということを懸念するのは、私だけではないと思います。
先ほどボストンやニューヨークの例で申し上げましたけれども、いろんな知恵をめぐらすことによりまして、ソーシャルミックスなどと大川端の場合にもいわれましたけれども、高額所得者が住んでいたことも大変重要でございますが、高額所得者だけでなく、いろんな各界各層の人が住めるような、そんな都心にしていただきたい、そんなふうに考える次第でございます。
それでは、時間の関係もありますので、もう一つ重要なのは、都市再生ゾーンです。
これが、実は都市計画局の所管するところでは、僕は最大の課題ではないかと思うんです。都庁の展望台に上りましても、私は内外の方をご案内するとき、ここがきちんと再生され、道路が倍ぐらいになって、倍になった道路の半分が緑地帯になるというようなまちづくりができれば、地震や災害にも強いですし、パリにまさるとも劣らないような、そういう街並みになりますよというような話をするんですが、その古くて新しい問題をどう解決していくか、これが大きな課題でございます。
このゾーンの戦略といいますのは、木造密集地域の安全性の確保と環境の向上、二番目として河川や幹線道路等の整備に合わせた水と緑の骨格づくり、三番目としてコミュニティ活動の根づくまちづくりというわけでございますけれども、これは是とするものでありますけれども、具体的にどのようにしていくのか。
きょう、防災都市づくり推進計画の整備プログラムというものも、期せずして発表されるということでございますけれども、その木密地域といいますのは、直下型の地震がいつ来てもおかしくない。これは別にオオカミ少年ではなくて、公的用語でいつ来てもおかしくないということが共通の認識になっている。地震との駆け比べといいますか、直下型地震との競争だといってもいいわけでございますけれども、東京都政の、特に都市整備局に今度なるわけでございますが、最大のテーマであると私は考えております。
この木密地域の再生について、どのような考えで取り組んでいくのか、伺いたいと思います。
○森下都市づくり政策部長 都市環境再生ゾーンにおきましては、ご指摘のように、木造住宅密集地域の改善ということが最大のテーマであるととらえてございます。
そのため、私どもとしては、木造密集住宅地域においては、まず街路の整備であるとか建物の不燃化などの促進ということが施策の柱となっていくだろうと思っております。その際、例えば街路整備に当たって、エリアを沿道に限定して事業効率を高める沿道型の区画整理事業を活用するなど、施策の工夫と事業の重点化を図っていきたいと考えております。
また、昨年の十月からは、東京都建築安全条例の改正によりまして新たな防火規制を導入しておりまして、こういったことによりまして、木造住宅密集地域の再生産を防止してまいります。
このほか、いわゆる東京のしゃれた街並みづくり推進条例でございますけれども、その条例に基づきます街区再編まちづくり制度や都有地を活用した先行まちづくりプロジェクト、さらには昨年度国の方で創設されました防災街区整備事業などによって、木造住宅密集地域の整備を実施していきたいと考えております。
○坂口委員 最後にいたしますけれども、局長にお伺いするわけでございますが、今回要求させていただきました資料に、組織再編に伴う都市整備局のメリットと事業効果というものをお願いいたしました。
これによりますと、実効性のある都市整備の推進、まちづくりプロジェクト推進体制の強化とありますね。今まで我々が望んでいたものでございます。そして、具体的なメリットとして、計画部門と事業部門を再編統合することにより、迅速かつ効果的な市街地整備が可能となる、または、都営住宅用地等を活用したまちづくりに関し、計画部門と事業部門のコーディネートが容易になる、これも大変時宜を得た再編だと私は評価をしているわけでございますが、これをどう機動させていくか。
今までは、知恵しかない、お金のない都市計画局であったわけでございますが、知恵もお金も潤沢ではありませんけれども、持つ都市計画局になるわけでございますから、その両方を遺憾なく発揮してもらいたいと思います。
私の持論でございます種地、種空間といいます、お金がなければ何もできないという側面がありますけれども、しかしこの都市の再整備も、やっぱり時間と、先ほど地震等は、直下型の地震が起こる前に、できれば整備をしなければならないわけでございますが、しかし仮に起こったとしても、その前に計画部門がどのような東京の再生のための戦略を持っていたのか、また戦術を持っていたのか、それが次のまちの構造やクオリティーを決めてくるということがあります。ですから、起こらないことを願うものでございますけれども、仮に起こったとしても、それ以前の蓄積がその後の都市再生に生きるような、そういう努力を、不断の努力をやはりする必要があると思うんです。石原知事はよく、あす地球が滅びようとも、君はきょうリンゴの木を植えるということをいうわけでございますけれども、それとやはり同じだと思うんです。
そんなことを含めまして、都市整備局として現下の都市づくり、マクロ的な課題、ミクロ的な課題あるわけでございますが、どのように取り組んでいくのか。お金も必要ですけれども、私の試算によりますと、十年前の試算でございますが、そう狂ってはいないと思います。変わってはいない。現在使える種地、種空間は六万数千ヘクタールになります。つまり、半分しか容積が使われていないんです。その空間は、お金には見えないと思いますけれども、大変貴重な価値を持った空間です。しかも、それを有効に使うならば、必ずや道路の整備または木密地域における街区の再編等、かなりダイナミックにできるはずでございます。
それらを踏まえまして、局長にご所見をお聞きしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○勝田都市計画局長 今、坂口委員と部長との議論の中でいろいろご指摘ございました。東京の都市づくりには、首都東京として国際競争力の向上あるいは魅力ある東京の顔づくり、こういう面が求められておりますし、さらには木造住宅密集地域における都民の安全性の確保、こういった多様でかつ重要な課題が存在しておりまして、こうした課題に対しては、知恵と工夫を凝らした施策を講じていくことは大変重要でございます。坂口委員からは、理念や目標を立てて、それに向けた戦略を明らかにしていくこと、こういうご意見もいただきました。
当局は、四月から事業実施部門が加わりまして、事業実施部門が蓄積してきた現場のノウハウをより計画部門に反映していくことが期待されているわけでございます。計画立案、規制、誘導、事業実施、それぞれが相互に連携をしまして、一体となって望ましい将来像の実現に向けて、より実効性のあるまちづくりを展開していくということが何より肝心だろうと考えております。
そういう気持ちで、今後とも新しい組織で頑張っていきたいというふうに思っております。
○東野委員 私の方から、端的にご質問させていただきます。
ただいまもお話ありましたように、木造密集地域の解消というテーマは、いわれ続け、またなかなか遅々として進まない都市再生の重要課題である、そんな認識は同様でございます。街路の整備、それから不燃化の促進ということが大きなテーマになってくるわけですけれども、本日はその中で東京都建築安全条例第二条、隅切りの改正について簡単にお聞きしたいと思います。
地元の住宅街を走ると、車幅はあっても、なかなか曲がりにくい道が多くあるわけですけれども、そういった道を通るたびに緊急車両の通行を心配するのは私だけではない、このように思います。
そこで、今回の建築安全条例第二条そのものは、六メートル未満の道路が交わる角敷地に道路上の隅切りを設けることを義務づけられたものであるわけですが、このことは、当然ながら道路の交差する部分で交通の安全を図るという上では非常に重要な役割を担っているわけですが、今回の改正により、隅切りが免除される部分があるというふうになっているわけですけれども、この免除による支障というものは考えられないのかどうか、まずお聞きしたいと思います。
○野本市街地建築部長 今回緩和の対象となる隅切りなんですけれども、自動車の通らない歩行者専用道路ということを考えていまして、その上に交通の安全上支障のないという二つのチェックをしますので、支障はないのかなと考えております。
○東野委員 続けてお聞きしますけれども、対象とする道路、またそういった道路は、どの地域、どういう地域に存在するのか、これを明らかにしていただきたいと思います。
○野本市街地建築部長 通常の、いわゆる基準法の道路は、狭いものでも四十二条二項道路とありまして、道路の中心から二メートル後退するということで、最低でも四メートルの幅員を確保することになっています。
これに対しまして、今回対象とするのは四十二条三項道路。若干専門的な話になりますけれども、四十二条三項道路というのは、四メートルに拡幅するのが困難な場合で、特定行政庁が建築審査会の同意を得て、二・七メートル以上四メートル未満の幅員で指定することができる、こういう道路を対象にしています。こういうふうな道路は、地域の特殊性等によりまして、区部でごくまれに指定しているということでございます。
今回、対象として考えられる地域は、具体的にいいますと中央区の月島地区でございまして、この地区には、ただいま申し上げた四十二条三項道路で、幅員三メートルぐらいの自動車の通らない歩行者専用道路が存在している、こんな状況でございます。
○東野委員 今例示がありました月島地区というのは、当然木造密集地域に指定されているというふうに思うんですけれども、隅切りをこの改正によって緩和することによって、どのような効果といいますか、メリット--やっぱり効果でしょうね、考えられるか、お示しください。
○野本市街地建築部長 今回、条例の緩和規定が設けられるまでは、こういった三メートル程度の幅員の狭小道路、こういった道路であっても、角にある敷地では道路の後退をしなきゃいけなかったんですけれども、今度は道路の後退をしなくて済みますので、建築物の建てかえが容易になると思います。
その際、例えば月島地区では防火地域の指定もしてございますので、今木造で立ち並んでいる建物も準耐火建築物になるということで、防災性の向上ということも図れる、そんなふうに考えております。
○東野委員 本来、木造住宅密集地域では、敷地の共同化等によりまして道路の基盤整備を図って、防災性の向上を図っていくわけであるわけですけれども、しかし、地域によっては個別の建てかえ、今いった例も一つの例なんですけれども、そういった個別の建てかえもやむを得ない場合もあるのではないか、このように考えるわけです。
そこで、やはり十分配慮をしていかなくてはいけないのは、隅切りを免除する道路の指定の際は、地域特性というものを十分考慮しながら進めていかなくてはいけない、私はそう思うんです。その点を要望しておきたいと思います。
次に、自走式駐車場について、二点ほどちょっとお伺いしたいと思います。
路上駐車の問題というのは常に話題に上っている、いってみれば古くて新しい問題であるわけですけれども、特に昨今語られていますのは、いわゆる先ほどもちょっと触れましたが、災害時における問題です。災害時における路上駐車による災害対策というか緊急車両の通行の問題、そういった問題も大いにあるわけでございまして、交通の円滑化というのは、駐車場の充足と直接的に関係する非常に、ある意味では現在抱える都市問題、こういうふうにいえるのではないかなと思います。
今回の条例改正は、駐車場の耐火規制の緩和をするということになると思うんですけれども、その緩和を実施して支障はないのか、この点をご答弁いただきたいと思います。
○野本市街地建築部長 従来、建築物としての駐車場には、鉄骨ですと骨組みに耐火被覆をしなきゃいけない、あるいは鉄筋コンクリート造でつくらなければいけないということで、耐火性能の高い建築物が義務づけられていたということです。
今回対象となる二階建て以下の駐車場ということなんですけれども、開口部が多くて外気に十分開放されている、こういった条件であるということ、それから火災実験等により安全性が明らかになった、実際に実験してみたところ安全性がある。それから、過去の実績、これまで何十年という実績を見てきまして、自動車車庫の火災発生率は極めて少ない、こんなこともありまして、安全性が確認されましたので、今回こういった二階建て以下の小規模なものについては耐火規制を緩和しても支障はない、こんなふうに考えております。
○東野委員 緩和した場合の効果を、局として考えられることをお示しください。
○野本市街地建築部長 非常に単純ないい方になりますけれども、駐車場建設費が当然ながら安くなる、建設費が低減されるということがございまして、駐車場の建設が促進されまして、ひいては路上駐車が減少し、道路交通の円滑化に寄与することができるんじゃなかろうか、そんなふうに考えております。
○東野委員 最後に要望として申し上げますけれども、建物の安全確保というのは一つの大きな大事な問題である。であるけれども、技術等が進歩する中にあって、常に見直しを行いつつ、可能な限りにおける規制緩和というのは進めていく必要があろうかというふうに考えるわけでございます。
今後とも、必要に応じてといいますか、そういった環境、技術進歩、さまざまな点を配慮しながら、考慮しながら、その都度迅速な対応を行っていく、このことが大事ではないかな、このように思いますので、その点を要望して、質問を終わります。
○渡辺委員 私は、芝浦アイランド開発ということで、ここに絞ってご質問させていただきます。
芝浦アイランド地域は、一つは高層住居誘導地区に指定されているということ。二つ目は、アセスの緊急整備地域と同じようになるというけれども、何の制度でそうなっているのか。三つ目が、住宅市街地整備総合支援事業、こういうものも認定されているわけですけれども、この三つの手法について、それぞれお聞かせいただきたいと思います。
○森下都市づくり政策部長 まず第一点目の高層住居誘導地区ということでございますけれども、これは、平成九年の都市計画法と建築基準法の改正によりまして、新たな地域地区として創設された制度でございます。
これの対象となります地域は、第一種の住居地域、第二種の住居地域、準住居地域、近隣商業地域及び準工業地域で、容積率が四〇〇%または五〇〇%が指定された地域が対象となります。これらの地域におきまして、指定容積率の最大限一・五倍まで、住宅の割合に応じてでございますけれども、容積率を緩和していくという制度でございます。
都内で、委員からご指摘ございました港区芝浦四丁目、約九・四ヘクタール、これは平成十一年二月に指定しております。あと同じ年の十一月に、江東区の東雲で十八・九ヘクタールほど指定してございます。それが第一点目でございます。
それから、アセスの扱いということでございますけれども、平成十四年七月の環境影響評価条例の改正におきまして、環境影響評価を行う高層建築物の対象規模等につきまして、新たに特定の地域における要件というものが定められました。この特定の地域といいますのは、都心、副都心、それから都市再生緊急整備地域及び高層住居の誘導地区、今述べた地区でございますけれども、その地区となってございます。
その場合、環境影響評価を行う高層建築物の対象範囲が、一般地域では百メートルを超え、かつ十万平米を超える建築物ということでございますけれども、この特定の地域内では、百八十メートルを超え、かつ十五万平米を超える建築物が対象となっているということでございます。
私の方からは以上でございます。
○成田都市防災部長 私の方からは、住宅市街地整備総合支援事業についてお答えさせていただければと思います。
住宅市街地整備総合支援事業は、大都市地域の既成市街地におきます大規模工場跡地などを活用しながら、快適な居住環境の創出、都市基盤の更新を図るため、職住近接型の良質な市街地住宅を供給するとともに、関連する道路、公園などの公共施設の整備などを総合的に行うことを目的としている事業でございます。
○渡辺委員 私は、今お答えいただきましたけれども、それを聞いて、芝浦アイランド地域というのは、まさに先に大規模開発ありきということで誘導してきた典型的なものではないかというふうに思う次第です。こういう手法というのは、大企業にとって何でもありきの手法、こういうことでしかないというふうに私は思うんです。
先ほど答弁ありましたけれども、アセスも大幅に緩和される、あるいは日影そのものも四〇〇%ということになりますと、これは対象外ということにもなるというような話、いろいろあるわけですけれども、そういうものがすべてこういう手法の中に取り込まれているということで、大企業にとってこんなにありがたい話はないというふうに思うんです。
そこで、もう一つ聞きますが、この大規模開発はどんな目的で計画されたのか、お聞きします。
○成田都市防災部長 この地区の開発の目的でございますけれども、芝浦港南、田町東地区につきましては、東京都の都市再開発方針によりまして、都市機能の更新を図り、新たな住宅市街地を創出することにより、居住空間と業務機能が調和した魅力ある都心部、臨海地域の整備を進める地域として位置づけられています。また、地元の港区の街づくりマスタープランにおきましても、芝浦港南周辺ゾーンを、大規模敷地の土地利用転換誘導により中高層住宅主体の複合市街地の整備を進める地域として位置づけられてございます。
芝浦アイランドの開発は、これらの目的を達成するため、高層住居誘導地区の指定、住宅市街地総合開発支援事業の導入などによりまして、民間の活力を活用した魅力ある都市型住宅市街地の形成を図り、都心居住を推進することを目的といたしてございます。
○渡辺委員 都心居住ということについては、私たちも決してこれに反対することではないし、もっと積極的に進めていかなきゃならないというふうには考えますけれども、ただ、都心居住ということについて、この都心から居住者がいなくなるというような点から見て、今申し上げたようなのも必要だと思うんですけれども、一般都民やサラリーマンが安心して住めるようなものということを考えた場合に、民間だけに任せるということで、果たしてそれが可能になるのかどうかという問題なんかが非常に私は疑問に思うわけです。
もう一つまた聞きますが、東京都は住宅市街地整備総合支援事業ということで取り組むということですが、いわゆる東京都としてこれの開発にどういうふうにかかわってきたのか、その点についてちょっとお聞きいたします。
○成田都市防災部長 簡単に住市総--住市総といわせていただきます。非常に長いものですから、しゃべりにくくて大変申しわけございません。
この住市総に東京都がどのようにかかわってきたか、こういうことでございますけれども、この事業は、区市町村長が都道府県知事と協議いたしまして整備計画を定めるものでございまして、国土交通大臣の承認を受けるに当たりまして、都道府県知事を経由していくものでございます。
しかし、この芝浦アイランド地区につきましては、昭和六十二年に住市総事業の前身であります特定住宅市街地総合整備促進事業といたしまして、東京都知事が整備計画を定めまして大臣承認を受けたものでございます。
これ以来、当地区では、港区及び都市基盤整備公団がそれぞれ施行者となりまして、整備計画に基づき道路、公園などを整備してまいりました。
○渡辺委員 今、いろいろお答えがありましたけれども、区市町村、国などと東京都がいろいろ話し合ってと、こういうことですが、その前に、やはり国や財界からの要望というか、そういうものも、やっぱり戦略的なものとしてきちっとあるんじゃないかというふうに思うんです。そういうものが国を通じて、あるいは都を通じて、区を通じて、いろんな形で話し合いがされてこういうことにつながっていく。あるいは財界から直接持ち込まれるということもあるでしょう。そういうような、いろいろと背景的にはいろんなものがあるんだというふうに思っています。
そして、もう一つ最後に聞きます。最後ということではないんですけれども、聞きますが、都心居住を目的とした、しかも民間活力を導入した開発、こういうことですが、道路や橋あるいは公園などの公共施設建設等、こういう整備に公的資金の投入があると思うんです。またこれも莫大なものになると思いますが、これについては、このアイランド開発については、わかっていれば教えていただきたいんですが、大体幾らぐらい投入されるのかわかりますか。
○成田都市防災部長 これまでこの地区へどのぐらい投入したかというふうなことでございますけれども、道路、公園等の基盤整備につきましては、港区及び都市基盤公団がそれぞれ事業者となりまして、これまで百八十一億円を投入してございまして、内訳は、港区が、区道である都市計画道路の補助線三一〇号線を四百三十メートル築造するために、国からの補助を五十八億円受けまして、事業費百十六億円で整備いたしております。
また、都市基盤整備公団は、公園約〇・二五ヘクタール及び区画街路を、国からの補助金約二十六億円を受けまして、事業費約六十五億円で整備いたしてございます。
○渡辺委員 わかりました。
この芝浦アイランドの容積率というのは、何%になるでしょうか。
○野本市街地建築部長 基準容積は四〇〇%でございます。
○渡辺委員 容積率四〇〇%ということになりますと、高層住居誘導地区指定ということになりますと、先ほどの話じゃないですけれども、答弁がありましたけれども、一・五倍までボーナスというか、つけられるということになりますから、したがいまして、この地域は容積六〇〇%ということになるわけですね。
これらの手法は、本当に高層化をどんどん進めていくというような手法だということを改めてここで私は、そういう高度化というのか、そういうことをどんどん進めていくという点で、この手法というのはいかがなものかというふうにいわざるを得ないというふうに思うんです。
もう一つ、四〇〇%ということで、先ほどもちょっといいましたけれども、日影規制というものがこれでなくなるわけですよね。六〇〇ですから、もちろんこれは最初からない、こういうことがいえると思うんです。
では、この南地区、ここで芝浦アイランド全体の中で、今度いわゆる確認申請を出そうとしている南地区というのがあります。この南地区の事業主体というのはどこなんでしょうか、教えてください。
○野本市街地建築部長 芝浦アイランド南地区の開発主体は、三井不動産、三菱商事、オリックス・リアルエステート、新日鉄都市開発、住友商事、伊藤忠都市開発の計六社でございます。
○渡辺委員 今お答えがあったとおりです。設計と工事施工者というのは鹿島建設、こうなっているわけです。
それで、この芝浦アイランド全体では、今申し上げた南地区というのが今のお話ですけれども、このほかに同じような高層、超高層の住宅棟が三棟建つ予定になっております。これも既に発表されているので、ちょっと私から申し上げたいと思うんですけれども、例えばこの南棟のほかに二街区というのがあります。この二街区は、事業者が同じ三井不動産が中心になって、敷地面積が一万二千平方メートル、延べ床面積が九万八千平方メートル、高さ百七十メートル。これは先ほど部長からお答えがありましたけれども、六社ということになっております。そして、第三街区というところは、敷地面積が一万一千三百平米、延べ床が七万五千平米、高さ百七十メートル。第四街区というのは、敷地面積が一万五千六百、それから延べ床が十万一千平方メートル、高さが百七十メートル。こういうとてつもない超高層の住宅ばかりの、いわゆるビルということになるわけです。
それで、南地区と第二街区は、先ほどいったように三井不動産が中心となって大企業同士のジョイントということで進められるわけですけれども、第一街区と第三街区についてはまだ公団が所有しているんです。そしてこれが、今度は公団が事業者を募集して、そしてそれに、どこが来るかわかりませんけれども、そういうことで進めていくということになるわけです。
この四棟全体で住宅戸数というのは四千百戸と、大規模な戸数になるわけです。いずれにしましても、中小建設業というのはこういうところには入れないということは明らかです。南地区のように、大企業がずらりと並ぶ。この開発そのものが、やはり私は思うんですけれども、大企業のもうけを保障していくようなものだというふうに、これはちょっと声を大きくしたいというふうに思うんです。
先ほどもいいましたけれども、開発手法も何でもありきというような手法、こういうものを用いて至れり尽くせりの開発をしていこうということでしかないということは、いうまでもないと思っています。
住宅棟だけで百七十メートルというのは、都内でも余りないのではないかというふうに私は思うんです。都心居住、こういうことをいわれますけれども、高額所得者は別として、一般の勤労者や、あるいはサラリーマン、こういう方が入居できるかというと、値段によって、これはなかなか大変だということで、私は都心居住といっても、こういう住宅で都心居住を補うということについては、やはり疑問に思うんです。
このような開発で問題になるのは、やはり開発に伴って自動車を呼び込むということが一つ。あるいは、南地区の住宅棟だけで千二百戸の住宅で、そして自動車の駐車台数というのは約七百台というふうになっていますから、全体で、やはり四棟合わせると二千台以上は優に超すと思うんです。そういう点から見ても、交通量そのものを大幅に呼び込む、こういうことはいうまでもないというふうに思います。
あわせて、住宅棟から出される、いわゆる地球温暖化につながるCO2の問題とかヒートアイランド等々の問題、こういう問題も考えると、やはりこういう大きな建物というものは、私はやるべきじゃないというふうに思うわけなんです。
住宅棟ということでいえば、日本では高さで競い合っているという問題はありますけれども、ヨーロッパなどでは、住宅棟というのは低く低く抑えるということで努力している。
例えば、高層のところに子どもがおられる世帯があれば、子どもの成長に好ましくないということもあって、高層から低層に移すという措置までとられているという話もございます。そういう点から見ても、こういう超高層の住宅棟というのはいかがなものかというふうに私は思うんです。
それで、都市計画局というのは、東京のまちをどうするか、どういうまちにしていくか、そういうことを決められる局ですから、そういう点で、私は、今申し上げたような超高層の住宅、こういうものはやっぱりつくるべきじゃない、見直すべきだというふうに思うんです。もちろん、これは住宅棟だけじゃありませんけれども。
超高層ビルを初め、どんどんオフィスビルをつくる、あるいは住宅棟も超高層のものをどんどんつくらせていくということで、こういうものを野放しにするというか、それを推進するような局じゃなくて、本当に一般都民が住めるような、そういう一般庶民の立場に立ったまちづくりというふうに、思い切って今見直す必要があるんじゃないかというふうに思うんですけれども、その点ではどういうふうにお考えなのか、ひとつお聞かせいただきたい。
○森下都市づくり政策部長 今、臨海部の超高層住宅を例として、大規模開発についてはやめてくれないかというようなご指摘がございましたけれども、私ども、臨海部の超高層住宅を初め、こういう大規模開発というものは、それぞれ開発の目的等がございまして、例えば国際ビジネスセンターの強化であるとか都心居住を推進していく、にぎわい施設をつくっていくというようなそれぞれの目的がございまして、それはそれとして東京の都市づくりに貢献しているものと考えております。
私どもも、東京の都市づくりビジョンで、幾つかの都市づくりの将来像を示しておりますけれども、職住近接の環境の豊かな都市をつくるという面では、私どもが示しています都市の将来像とも合致しているものであって、そういった計画については、個々のものについては良好なものもあると思っております。
特に超高層ということで今ご指摘ございましたけれども、特に臨海部などにおきましては、超高層住宅というものは一つのスカイラインを形成しておりまして、東京特有の都市景観というものをつくっているのではないかという評価もあるかと思います。
そういう面からいいまして、個々の事業の具体化に当たりましては、都市基盤とのバランスであるとか、周辺環境の配慮というようなものが重要ではあろうかと思いますけれども、その開発そのものとしては評価できるものではないかと思っております。十分な検討をし、よりよい計画をしていくべきだとは思いますけれども、その開発を否定するべきものではないと思っております。
○渡辺委員 私は前から申し上げておるところですけれども、高ければいいという問題じゃないんです。開発というと、やはり高いもの、こういうふうに受けとめられているんじゃないかというふうに思うんです。土地が高いからしようがないんだという話ではないというふうに思います。
職住近接というけれども、この職住近接、それじゃ、今の芝浦アイランドの超高層の住宅棟に一般の都民が住めるか。幾ら職住近接だからといって、住めなきゃそういう理由をもって建てたとしても、それはそういうふうにはならないというふうに私は思いますし、都市景観といったって、高けりゃきれいだからといっていいものではないというふうに思うんです。都市景観といったって、それはやっぱり都民が本当に安心して住み続けられるという、これがやっぱり前提にならなければ、幾ら都市景観を叫んだって、それは空文句にしかならないというふうに私は思います。
この議論をやっているわけじゃないので先に進みますが、それで、時間の問題もありますので、芝浦アイランドの南地区の開発について、具体的に幾つかお聞きします。
この計画は、芝浦アイランドの中に十四階建ての都営住宅があります。この都営住宅の真南に、高さ四十八階建て、百六十メートルの巨大な建物が建つんです。だから、日照が奪われるのは当たり前のこと。これまでの生活環境が一変するということで、住宅の居住者たちはいっているわけなんです。
そこでちょっとお伺いしますが、この南地区の四十八階建てマンションは、マンションに通ずる接道が幅員九・八メートルしかないんです。十メートルなければ許可対象にならない。建築安全条例から見ても不適格なんです。これで認められるかどうかという問題なんです。これについてお聞かせください。
○野本市街地建築部長 安全条例では、多数の方が利用する建築物あるいは規模の大きな建築物の敷地は、今委員ご指摘のように、一定幅員以上の道路に一定長さ以上接することが必要だと義務づけております。
これは、火災等の緊急時に、消火、救急、避難、こういった安全性に配慮したものですけれども、今回の事例では、十メートルの接道を要求されるところ九・八メートルと、二十センチ不足するということで、こういう場合には条例のただし書きというものがございまして、周囲の空地の確保の状況あるいはその他の安全上の状況を判断して、認定をするか否かという判断をするものでございます。
○渡辺委員 これを見ますと、都知事の認可があればいいということになるようですけれども、現に十メートルに足りない。現にですよ、現在足りない。マンション完成時には護岸工事をやって、そして幅員を十メートルにするからいいんだ、だから許可すると。これは知事の特例ですよね。
そういうことではなくて、やはり現時点でないんだから、やはり認めるべきじゃないんだというふうに考えるのが正しいんじゃないかというふうに私は思うんです。そうでなければ、どんなところにでも開発というものが許可になってしまう。そして、乱開発的にどんどこどんどこ建てられるということになるのではないかというふうに思うんです。
ですから、特例というものは余り使うべきじゃないというふうに私は思うんです。特例というのは、人命などにかかわるもので最小限度のものにする必要がある。大企業のもうけのための開発に特例などというものは設けるべきじゃないというふうに私は思うんですけれども、再度お答えをいただきたい。
○野本市街地建築部長 建築主からは二月十三日に都に申請が出されておりますけれども、都としては認定の判断はまだこれからということなんですけれども、建物の周囲の空地の状況、それから敷地内の貫通通路、今回貫通通路がとれそうな状況になっていますけれども、そういったものを総合的に判断しまして、緊急時の避難、消火、救急の安全性ということで判断をしていきたいと考えております。
○渡辺委員 その道路、今話ありましたけれども、貫通道路が一本通っていますよね。この道路だけで安全なのかというのも、また地域住民の方々の心配するところなんです。
防災上、緊急避難時にパニックにはならないかという心配があるんですけれども、これについてはどうですか。
○野本市街地建築部長 安全性の判断なんですけれども、最終的な判断はこれからなんですけれども、そういう状況でございます。
○渡辺委員 答えになっていないような感じなんだけれども、もう一回ちょっと答えてくれる。
○野本市街地建築部長 (図面を示す)これは、お手元に図面は回っていないんですけれども、今いいましたように、先ほどの十メートルに満たない道路という九・八メートルのほかに、それよりも少し狭いんですけれども、もう一方に道路がありまして、それらの道路と道路の間を貫通して結ぶ状況になっている。
それから、この三角状の建物の周囲に、こういったかなり広い空地がとられている、そういう状況もあるということだけご説明しておきます。
○渡辺委員 その関係だけでいうと、芝浦アイランドという島がありますね。その南地区だけの話ですよ、今のは。その南地区の方に貫通した一本の道路がある。そうすると、あと三棟残っていますね、建てるところに。そちらの方が袋小路になっちゃうんじゃないか。だから、パニックになるから大変になっちゃうんじゃないかという心配がされている。道路は一本でいいんですか。
○野本市街地建築部長 ただいま申しましたように、とりあえず南地区については、ただいま説明したとおりですし、そのほかの地区についても、基盤整備の状況等がこれまでの計画の中で検討されていますので、それによって判断していくということになろうかと思います。
○渡辺委員 私が聞いたところでは、その貫通されている道路の反対側の方に、新たに道路をつくるという計画はないんですか。
〔道路だけ袋小路に入っちゃった。話が見えないから」と呼ぶ者あり〕
○野本市街地建築部長 皆さんのお手元に図面がないので、なかなかわかりにくいかと思うんですけれども、(図面を示す)現在お話があったこの南の開発がありまして、こことここで道路に接しているわけですね。それで、そのほかにこちらの方に新たに道路ができる。そんな説明を受けております。
○渡辺委員 部長、よろしいですか。この南側に関して、一本道路が入っている。これも整備するということなんだけれども、あと残された三棟の部分について、そのままだと本当に、先ほど袋小路という話がありましたけれども、袋小路になってしまって、これでは避難時のときにパニックになるんだ。だから、これでいいんですかということをお聞きしたんです。
○野本市街地建築部長 ちょっと遠くからで失礼します。(図面を示す)この開発がありまして、こういう大きな全体がありまして、今ここに新たな道路ができるといいましたけれども、この新たな道路のほかに、こちらに幹線道路が見えるかと思うんですけれども、こちらの幹線道路も今後整備される、そういうことで聞いております。
○渡辺委員 そちらにも道路を整備するということでお聞きしているわけですよ、説明は。ですから、今の話で、つくるということについては一応了解します。
時間もかなり過ぎちゃったものですから、少し急ぎますから、まとめてちょっとお聞きします。
次に、日照問題と風害等についてお聞きしたいと思っています。
容積四〇〇%以上の地域は、もともと日影規制はない。これまでは日照を妨げるものはなかったわけですよ。今回の建物で日照が完全に奪われてしまう。だから、住民の皆さんは、港区長にあてて行政指導をしてほしいという意見書を出しておるわけです。
そこには、三点書かれておるのです。一つは、日影解消の努力として反射板を設置してもらうことはできないだろうか、二つ目が、高層部分を傾斜、セットバック的なものとして、そういう建築はできないか、三つ目は、ビルの高さを全体に低くして、日照の範囲というものを広げることはできないか、こういうことを要望しておるわけですね。それから、風害に関してはシェルターつきの歩道を設置するということはできないか。特に風害が強く出ると思われる両運河沿いの通路。二つ目は、対面する南側のベランダの洗濯物等の飛散防止策を講じてもらえないかということ。さらに、プライバシーの確保や空地の全面開放などを強く求めておるわけなんですね。
そのほか幾つかありますけれども、時間の関係もございますから、これぐらいにとどめますけれども、これらについて、東京都として、港区や、あるいはその事業者に対して強く指導するということ。確認申請の出された時点で、いわゆる審査する中で、事業者に対してそれらを厳しく要求していくということについて、どういうものなのかということについて出されておるんですが、その点はどうでしょうか。
○野本市街地建築部長 当事業にかかわる区民等からの要請なんですけれども、都営芝浦四丁目第二アパート自治会から港区長あてに、ただいまご指摘のあったような日影問題、風害、プライバシーの確保等についての要望が提出されたと聞いております。
都としても、計画の事前相談を受ける中、周辺住民への影響を極力低減するように、こういった指導をしてございます。
こういったこともありまして、事業者はこれまでの話し合いの中で、まず風害については、植栽により風環境を低減するということになりました。それから、プライバシー対策としては、ベランダの手すりを、通常ですと格子状なんですけれども、ここではパネル形式で見通しがきかない状態にする、このような改善をすることになっております。
○渡辺委員 最後ですが、いずれにしても住民の要望が出されておるわけで、しかも、これは最初の南地区の第一棟ですよね。これから第二、第三、第四と、続けて建てていくわけですね。そういう点では、住民が少ないというふうにいわれるから、別に差し支えないというような声も聞かれるようですけれども、そうではなくて、やっぱり最初が肝心ですから、しかも、そういうことで具体的な指導ができるということであれば、それはただ単に芝浦アイランドだけの問題じゃなくて、全体にそういうものを広げるということもできるし、住環境を本当に改善させていくということもできることになるわけですから、ひとつこれをきちっとやって、住民にこたえるということとあわせて、これからのそういう住環境をよくするということで、ひとつ強力に指導していっていただきたいということをお願いして、終わりたいと思います。
以上です。
○相川委員長 この際、議事の都合によりおおむね十分間休憩いたします。
午後二時四十四分休憩
午後二時五十七分開議
○相川委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○新井委員 それでは、景観形成推進事業と都市計画公園の新戦略推進検討調査についてお伺いいたします。
まず、景観形成推進事業についてなんですけれども、景観法が制定されるということで、もうすぐ国会の方で審議に入るんですけれども、この景観法案の中身を見ますと、基本的な考え方を含めて、アカウンタビリティーが含まれていることとか、景観協議会の設置、景観計画区域になったところでは、外観の変更を伴う場合には届け出が必要だとか、あるいは景観計画違反者への原状回復命令とかというものが含まれていまして、私としては、かなり評価ができるものだなと思っているわけなんですけれども、若干心配な部分がございますので、そこの部分についてご質問させていただきます。
まず、既に制定されている都の景観条例との整合はどうなるのでしょうか。
○野本市街地建築部長 これまで都は、自主条例である景観条例に基づき、良好な景観の誘導に取り組んでまいりました。
今回ご指摘の景観法なんですけれども、この法律は、これまでの都の取り組みを支援するとともに、建築行為等の規制誘導策などによりまして実効性を高めようとするものでございます。
今後は、例えば条例に基づく景観基本軸の指定区域と法律によります景観計画区域、それから条例による都選定歴史的建造物の指定と法律による景観重要建造物の指定と、こういったものの指定など、法と条例のそれぞれの役割と特徴を踏まえた整合を図り、有効に活用していく、こんなことを予定しています。
○新井委員 この法案の基本的な考え方として、地域の固有の特性と密接に関連する良好な景観を積極的に認め、これを保存、促進しようとするということが法全体の考え方でして、そういう意味では、自治体支援の法律であるというふうに思います。ぜひ大いに活用していただきたいと思うわけです。
ここの中に、その主体となる機関ということで景観行政団体というものがあるわけなんですけれども、都道府県と政令指定都市、中核都市、それから都道府県知事の協議、同意を受けた市町村というのがその主体となることになるわけなんですけれども、この景観行政団体に対する都の考え方はどうなっているのか。また、当然景観計画を作成していくというふうに思うわけですけれども、そのスケジュールはどんなふうになるのか、お答えいただきたいと思います。
○野本市街地建築部長 景観法によりまして、東京都は景観行政団体、こういうふうに位置づけられることとなっております。これまでも都は、景観条例に基づきまして、景観上、重要な地域を景観基本軸としまして、また、それ以外の地域を一般地域といたしまして、それぞれの地域において届け出を受けたものについて景観づくり基準により誘導を行ってきた、こういう経緯がございます。
今後も、これまでの取り組みを充実させるとともに、法律に基づく景観行政団体として、良好な景観づくりに取り組んでいく所存です。
それから、景観計画作成のスケジュールなんですけれども、今後の法の審議状況あるいは関係法令の制定状況を見きわめた上で、適切に対応していくとなっています。
○新井委員 ぜひ景観づくりということで積極的に取り組んでいただきたいと思います。スケジュールにつきましては、これから審議ということで、政令なども出ておりませんので、これからの問題となるかと思いますけれども、私が一番気になるところなんですが、先ほど申し上げましたように、市区町村が景観行政団体になろうとした場合には、知事との協議、同意が必要だということがあります。
これについてなんですけれども、区市町村から景観行政団体になりたいという旨の申し出があった場合、東京都としてはどんなふうに対応をされていくのでしょうか。
○野本市街地建築部長 景観法では、都が景観計画を定め、区市町村は、原則として、その計画が定められた区域内において、より具体的な景観づくりを推進するため、都市計画として景観地区を定めるということで役割分担してございます。
都の景観づくりは、広域的な視点から取り組んでおりまして、今後もこの広域的な視点からの取り組みというのは必要である、こんなふうに認識しております。
都といたしましては、このような都と区市町村の役割分担に基づき、今後とも景観政策を進めますけれども、区市町村からの景観行政団体となりたい旨の申し出に対しましては、今後の法令の内容を勘案して対応してまいりたいと思っております。
○新井委員 こちらもまだ政令等できてきてからでないとということはあるかと思うんですけれども、基本的に、市区町村が景観計画を立てたいというふうな申し出があった場合、これを拒否するというのはなかなかできないのではないかというふうに私は考えています。用途地域のときでも、かなり質疑をさせていただいたんですけれども、基本的に、東京都と市区町村の役割分担というものがあろうかということで、実際に東京都が行う事業としては、私が申し上げていることと東京都がお考えになっていることと余り差はないわけなんですけれども、その軸足を東京都が基本となってやるのか、あるいは、基本的には分権で市区町村が持って、広域的な部分、あるいは調整がつかない部分を東京都でやるのか。そこの違いだけなんですけれども、そこの違いというのは、私は非常に大事なことだと考えておりまして、ぜひ今後、内容を勘案しておられるということですけれども、その点については十分酌んでいただきたいなというふうに思います。
そもそも法のところでも、中身のところで、良好な景観は地域の固有の特性と密接に関連するものであることにかんがみ、地域住民の意向を踏まえ、それぞれの地域の個性及び特色の伸長に資するようにというふうな文章が書かれておりまして、このこと自体が、市区町村が景観行政団体になれないということとかなり相矛盾する部分があるわけです。
これから国の方でどんな審議がなされるのかということは注目していきたいというふうに思いますけれども、ぜひ東京都の方も、この点については十分配慮を願いたいということをお願いしておきます。
それで、景観形成推進事業の一つであります東京都のしゃれ街条例、しゃれた街並みづくり推進条例の中の街並みデザイナー制度についてお伺いしたいと思うんですが、この街並みデザイナーの登録状況と、街並み景観の重点地区の指定はどんなふうになっているのでしょうか、また、指定に当たって、市区町村との連携というのはどんなふうにとられたのでしょうか、教えてください。
○野本市街地建築部長 三月一日現在の街並みデザイナー候補者登録受け付け件数は、個人が十三人、法人が八法人となってございます。
また、街並み景観重点地区につきましては、柴又帝釈天周辺地区、板橋区常盤台地区、豊洲二、三丁目地区、豊洲五丁目地区、豊洲六丁目地区、赤坂九丁目地区、これは防衛庁跡地ですね、この六地区を三月三日に指定してございます。
街並み景観重点地区の指定に当たりましては、地元区市町村の長の意見を聞くとともに、地元住民への説明や制度活用に関する相談を共同で行うなど、区市町村と連携を図っております。
今後とも、住民みずからが主体的に街並み景観づくりを進めようとする地域につきまして、地元及び区市町村と連携し、調整を図りながら重点地区の指定を進めてまいります。
○新井委員 この街並みデザイナーの制度自体、非常によい事業であるということで、私も注目をして、期待をしているわけなんですけれども、ただし、事業自体は、基本的には東京都の事業というよりは、むしろやっぱり区市町村の事業だろうというふうに思うんですね。
それで、現状としては、ただ、財政状況も厳しいですし、自治体の力量ということもございますし、なかなかこれが区市町村だけで進めていかれるかどうかということについては疑問も残るというところで、東京都が取り組んでバックアップしていくということは非常に評価するわけなんですけれども、この事業が進んできまして、ある程度地域の住民の方の活動も軌道に乗ってきたというような場合には、将来的には区市町村へ引き継いでいくというふうなことが必要ではないかと思います。これについてはご答弁は求めませんので、そんなことをぜひ考えておいていただければありがたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、公園の方に入りたいと思うんですけれども、今回の予算で、都市計画公園の新戦略推進検討調査ということで二千五百万ついておりまして、この中に事業が書かれているわけなんですけれども、東京らしいみどりをつくる新戦略、これを受けて出された事業であるということを伺いました。この新戦略の中には、東京都がまず先行すべき五つの取り組みということが提言されているわけですけれども、これと今回、書き込まれています重点事業との関係について、まずお伺いをしたいと思います。
○山崎都市基盤部長 昨年十月の都市計画審議会の答申に、東京都が先行して取り組むべき五つの提言がされてございますけれども、十六年度の重点事業としては、まずこのうちから、都市計画公園に関する部分を事業として打ち出したものでございます。
具体的には、一つとして、まちづくり手法の導入による公園整備の促進、二つとして、民設公園制度の創設、三つとして、地区計画制度等への切りかえでございます。それぞれの候補地の選定あるいは制度設計を行う、こういうことを予定しております。
また、他の提言についても、今後の実現に向けて検討準備をしていきたいと考えております。
○新井委員 こちらの答申の中では、都が先行すべき五つの取り組みとして、まず新戦略を推進するためのガイドラインの策定、公民連携によるみどりと文化の拠点づくり、民間による新しいタイプの公園づくり、樹林地を保全・活用するための仕組みづくり、そして、都市計画公園・緑地の見直しと事業の推進、この五つなわけで、こちらに書かれていることだけだと少し偏りがあったのかなというふうなことも思いまして、質問をしているわけなんですけれども、ほかのものについても、将来の実現に向けて準備をしていかれるということですので、ひとまず安心をいたしました。
とりあえず、まず何につけてもガイドラインをつくれというふうにこの中で提言をされているわけですけれども、そのみどりの新戦略ガイドライン、これの今後の取り組みについてお伺いをいたします。
○山崎都市基盤部長 水と緑のネットワークに向けた取り組みとしまして、みどりづくり新戦略ガイドラインを平成十六年度には策定したいと考えてございます。具体的には、地域ごとにみどりの拠点や地区を位置づけまして、これをもとに公園、道路、河川などの公共の緑と民間事業者などによって生み出される緑、これが相まって、広がりと厚みのある緑が形成されるよう、それぞれの事業を誘導していくこととしてございます。
○新井委員 ガイドラインについては来年度つくられるということですけれども、それでは、そのガイドラインの中身に若干入って、目標管理ということなんですけれども、これもこちらの答申の中で、みどりづくりというのは、都民やNPOも含めたさまざまな主体が連携して行っていく必要があるので、みどりづくりの進捗状況について定期的に公表しなさいということが書かれておりまして、その目標の管理を設定するということがあるわけですけれども、この部分については、このガイドラインの中でどんなふうに書かれているのでしょうか。
○山崎都市基盤部長 ガイドラインの中には、地域別にみどり率や、あるいは緑の公的空間の目標値を設定していくことを予定してございますけれども、少なくとも公共部分につきましては、年度ごとに進捗状況等を実績を把握いたしまして、進行管理に資したいと考えてございます。
○新井委員 それでは緑全体、民間も含めたということになりますと、なかなか把握しにくいということもあると思いますので、公共部分についてだけでもしっかりと把握をして、都民に対しての公表も行っていくということでお願いをしておきます。
それから、このガイドラインを策定する上で、庁内連携が大事だということも書かれているわけなんですけれども、その庁内及び市区町村との意見の調整、都民の意見の反映というものを、どんなふうにしていかれるのでしょうか。
○山崎都市基盤部長 具体的にはこれからでございますけれども、いずれにしましても、ガイドラインの策定に当たりましては、庁内、市町村に対しまして、説明会を開くとか、内容の照会を行うとか、意見調整をしてまいりたいと思っております。
また、中間のまとめの段階では都民にも公表し、都民意見を募集してまいりたいと考えております。
○新井委員 ぜひよろしくお願いいたします。私も、いつも市民の参加と市区町村との連携とか、分権とか、こういうことばかり申し上げるわけですけれども、すべての施策の基本であるということで、ぜひよろしくお願いいたします。
次、緑の財源なんですけれども、こちらの答申の中では、国費の配分比率を人口割合にということをいっていったりとかいうことが幾つか書かれているわけなんですけれども、その中の一つに、みどりの宝くじの益金の特定財源化というものがあります。
この宝くじについては、私も非常に興味を持っておりまして、実はイギリスのNPOの支援の一つの施策として、国が取り組んでいるNPOロッタリー、ナショナル・ロッタリーというのがございまして、これでNPOが財源が非常に豊かになって、成長しているというふうな実例があります。特定目的で、NPOを支援するための宝くじということで、その収益はすべてNPO支援に使われているということなんですね。
もともとイギリスはそんなに宝くじを買うのが、あそこは日本と違って階層がかなりはっきりしていて、いわば下層階級の方たちが宝くじを買っていたんだけれども、このNPOのロッタリーができてからは、いわゆる中流、上流階級の方も、NPO支援という目的で宝くじを買うようになった。国民全体の六五%が宝くじを買うようになったということがありまして、こういった宝くじの使い方、目的意識を持って、何かを支援するために宝くじを買うという、非常にいいんじゃないかなと思いまして、いろいろご提案なんかもしているわけなんですけれども、今回、こちらに出ているみどりの宝くじ、これを特定財源として緑の保全に使ったらどうかということが書かれています。
いろいろ現状を聞きますと、今の東京都の宝くじというのは、収益金の使途が買う人に見えにくいということもあって、今お話ししてきたような目的意識というものが培われないような宝くじになっているわけなんですけれども、この点についてはどんなふうにお考えでしょうか。
○山崎都市基盤部長 現在の東京都の宝くじの収益金は、多く相当の部分を公園の整備に充てられてございます。また、民間の篤志家からの寄附金の受け皿として、東京都の都市緑化基金というのもございまして、民間への緑化基金助成、こういうようなことも行っているわけでございます。
宝くじの特定財源という提言、都市の中にもございますし、先生も今、ご提言あったわけですけれども、所管局に聞きますと、いろいろ課題もあるということでございますが、いずれにしても緑の財源確保ということにつきましては、非常に大きな検討課題だというふうに受けとめております。
○新井委員 こちらの答申が提言をされていることなので、もう少し踏み込んだご答弁がいただけるかなと期待をしていたわけなんですけれども、検討課題ということです。
今、東京都の方の収益金の充当を見ますと、東京都の宝くじも、それから全国自治宝くじ、全国でやっている中で東京都に配分されて収益金が入ってくるものがあるわけですけれども、全然区別なく、しかも、グリーンジャンボとかありますね、緑の。そういうものもその他のものも、全部一緒になって収益金として入ってくる。それを配分しているということですので、せっかくみどりの宝くじとかいっても、緑のために実は使われていない部分も出てきたりするわけですね。ぜひこの点については、こちらの都市計画の方から、いろいろ課題はあるということですけれども、提言の中にも出されたというところもございますので、目的化ということで働きかけを強めていただきたいというふうにお願いいたします。
それから、こちらの四三ページの方なんですけれども、都庁内の連携による里山の保全ということがまた書かれていまして、今回の重点事業の中にはこの里山の保全というのが出てこなくて、非常に残念なわけですけれども、あきる野市の横沢入の里山があるわけです。こちらでは、都庁の中で、東京都の中で初めて都市計画局と建設、環境という三つの局が一緒になって、連携して保全をしていこうというふうな動きがあるということを、関係局の方から聞いているわけです。
そもそも里山保全地域ということで、自然保護条例に基づく指定を求めてきたわけですけれども、公有化ということの問題がありまして、財源の絡みでなかなか進まないというような現状があるわけなんですけれども、初めてこの連携ができたというところで、この横沢入について、都市計画局としては、環境局等と連携して、どんなふうに取り組んでいかれようとしているのか伺います。
○山崎都市基盤部長 横沢入の保全を考える検討会準備会というものができておりまして、当局も、環境局、建設局とともに参加しているわけでございますけれども、この会には、地元のあきる野市や横沢入を拠点として活動しておる団体なども入っているものでございます。この会におきまして、保全策の検討がされているところでございます。
また、現在、国土交通省の方では、都市緑地保全法の改正というものに取り組んでおりまして、里山保全の制度が創設されるような動きもあると聞いてございます。
こうした新たな緑地保全地域も含めました都市計画による保全も視野に入れまして、さまざまな保全策を検討していきたいと考えております。
○新井委員 当初は、地元のNPOの方々も、何としても里山指定ということで動いていたわけですけれども、らちが明かないということもありまして、ともかく里山を残したいということですので、今回の新しく生まれる緑地保全地域の制度を活用する、あるいは建設局の方でやっております市民緑地制度、こういったものを里山の方に広げるとか、いろいろ方策はあろうかと思いますので、できるだけ早くこの里山が保全されるような施策というものを進めていただきたい。初めての東京都の複数局の連携ということで、成功させていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
もう一つ、里山の保全について、同じくこちらの答申の中でも書かれているわけですけれども、物納制度を利用した保全手法ということについてなんですが、相続時には、樹林地の売却というのがされてしまうことが多いわけなんですけれども、更地にして物納するのではなくて、そのまま物納して、そして保全をしていくということで、多摩の地域の方で幾つかそういった成功事例というのが出てきているわけなんですけれども、今後、こういう取り組みを広げていくために、東京都はどのようにしていくのかお伺いいたします。
○山崎都市基盤部長 相続の際に、樹林地をそのまま樹林地として一たん物納してもらいまして、これをその後、国から区市町村が買い入れて保全する、こういうことでございますけれども、都内では、今先生おっしゃったように、町田、世田谷、調布、清瀬などでそういう物納制度を活用して、樹林地を保全している事例がございます。
東京都としましては、適宜それらの事例を他の区市町村に対しても情報提供を行っていきたいなというふうにも思っているところでございます。
また、答申にもありますように、国に対しまして、これまでもその制度づくり、ルールづくりを要請してきているところでございますけれども、引き続きそういう政策提案をしていきたいと考えております。
○新井委員 ぜひよろしくお願いいたします。
今、事例として挙げられたこと以外にも、日野市とか多摩市では、相続時の里山の寄附と物納制度を組み合わせた里山保全ということも実現をしていますので、いろいろな形で工夫をして、働きかけを強めていっていただきたいというふうに思います。
最後の質問ですけれども、都市計画公園の見直し方針なんですが、当初、今年度中にも見直しの方針をまとめて、来年度中には各公園にというふうなお話があったと思うんですが、その今後の取り組み方はどうなっているんでしょうか。
○山崎都市基盤部長 見直しについてでございますけれども、答申を踏まえまして作業を進めているところでございますが、まず東京都が今後重点的、優先的に整備する公園を選定しまして、明らかにしていきたいというふうに考えております。
また、区市町村はもとより、民間活力の導入や他の事業との連携などを図りながら、さまざまな整備手法を併用しまして、あわせて、公園開設の拡大に努めていきたいというふうに思っているところでございます。
その上で、都市計画公園の見直しでございますけれども、地区計画など、他の都市計画手法により一定の基準を満たす緑が確保される場合には、地元自治体や都民の意見を聞きながら、公園計画の見直しも可能となるような道筋を示していきたい。そのための今、作業といいますか、そういう方針を策定しているところでございます。
○新井委員 都市計画公園の見直しというのは、影響がいろんな意味で非常に大きいところですので、ご答弁にもありましたように、地元の自治体はもちろん、影響を受ける住民の皆さんの意見をしっかりと聞いて、手続的には透明性を確保して、ぜひ進めていっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○吉原委員 都市計画道路の整備について、数点だけお尋ねをさせていただきたいと思います。
このたび、二十三区における第三次道路事業計画が示されたところであろうかと思います。今までさまざまな状況の中で、着手率が目標のまだ二分の一しかなかった、そういうお話をお聞きしているわけでありますけれども、今度の三次事業化計画、今後の経済状況だとか、あるいは社会の構造変化というものを見通していただいて、策定をされてきたものだろうと思っているところであります。
特に、今回の三次事業化計画以外の都市計画道路区域内に、新たな建築制限緩和の基準を取り入れた、これは大変すばらしいことではないかなと思っております。さらに、規制道路に対して二つの新たな整備手法をスタートできるようになった。これは道路ということだけではなくて、まちづくりや、あるいは街並みづくりというものに大変大きな前進になるのだろうなと思っているところであります。
それに加えまして、今度は、では、多摩の道路整備というのはどうやって進んでいくのかなと、ちょっと心配をしているわけでありますけれども、今の、策定していただいて進めていただいております二次の事業化計画、もうあと二年で終了するわけであります。改めてではございますけれども、これまでの多摩における都市計画道路の整備状況と、第三次に向けての取り組みはどうなっているのか、お伺いをいたします。
○山崎都市基盤部長 整備状況でございますけれども、平成十四年度末、計画総延長千四百二十二キロのうち、七百十五キロメートルが完成しておりまして、完成率は五〇・三%でございます。
ちなみに、事業中の延長が百八十五キロございまして、この事業中すべて完成したとしますと、完成率は六三%となるものでございます。
それから、次の取り組みでございますけれども、多摩地域においても、これまでも南北道路や多摩川架橋ということで、重点的に整備をしてきたわけでございますけれども、今申したように、まだ十分な道路ネットワークが形成されておらず、重点的、かつ効率的な整備が必要不可欠となっておりまして、現行の二次事業化計画が満了となります平成十七年度までには、都市間連携や生活の利便性などに資します道路のネットワークの形成を目指しまして、新たな事業化計画を、地元市などと調整を図りながら策定してまいりたいと考えております。
○吉原委員 道路というのは、将来にわたって重要な社会基盤でありますので、集中した道路整備というものを目指して、ぜひ進めていただきたいと思っているところであります。
特に、三十年も四十年も前に都市計画決定されている道路の沿道の地権者にとりましては、その建築制限というものを大変厳しく感じておられる方々がたくさんいらっしゃる、そういうふうに、私、実感をしているところであります。既に、先ほどお話し申し上げたように、二十三区については、建築制限の緩和というものがこれから、四月からでありましょうか、進んでいくということでしょうから、それはそれといたしまして、多摩地域においても、今進めていただいている二次計画、まだ策定中でありますけれども、途中であっても、事業化がまだ見込まれていない計画道路、そういうところについては、早急に建築基準の緩和というものをしていただいてもいいんではないだろうか。
昨今、三多摩格差というのが少なくなってきたといわれているわけでありますけれども、どうも新しいものを一つずつ積み上げていく過程の中では、新しいものにとっても、やっぱり二十三区と三多摩の違いというのがあからさまに出てくるような、そういう気がしてならないわけであります。
そういった意味では、くどいようですけれども、建築基準の規制の緩和というものをしていただきたいと思っておりますけれども、そのことについてはいかがでしょうか。
○山崎都市基盤部長 建築制限を加えることによりまして、事業の実施を担保し、事業の円滑な促進が図られるという側面はあるものとは思っておりますが、一方で、近年の二世帯住宅の普及など、三階建てのニーズが増加していることも事実でございまして、建築制限の緩和の要望や必要性も高まっているということも認識してございます。
そこで、区部では、今回、都市計画道路の整備方針の確定にあわせまして、建築制限の緩和を施行していくことになりますけれども、多摩地域においても、建築制限緩和の早期実施に向けて、検討を進めていきたいと考えております。
○吉原委員 三次の策定が、もう近いうちにまた進んでいくんだろうと思いますけれども、その策定が決まらないうちに、現在の二次の策定の間に、ぜひその辺のところもしっかりと進めていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
以上で終わりです。
○樋口委員 それでは、私の方から、踏切解消についてと、あと、車体利用広告について、この二点に絞りご質問させていただきたいと思います。
私は、これまで何度となく踏切対策の重要性を訴えてまいりました。私の住んでおります中野区でも、西武新宿線踏切の問題に直面しております。と申しますのも、中野区は、西武新宿線が東西に通っておりまして、南北にまちを分断しております。区内二十カ所の踏切がありますものの、その十九カ所までが、いわゆるボトルネック踏切であります。朝夕の渋滞はすさまじく、私たちの生活に及ぼす影響というものは多大なものでございます。
一昨年、都から中野区に対しまして、西武新宿線の中野通りを中心とした踏切解消のための四案が示され、その中から、連続立体交差事業の地下化案が、一番実現の可能性が高い有力なものとして受けとめさせていただいております。
しかしながら、それは東側のみでありまして、二十個の踏切のうち、七つの踏切解消でしかすぎず、環七以西については全く触れられておりません。特に西武新宿線をアンダーパスしております環七のさらに地下には、二十四メートル下に水道管が、そして四十メートル下に河川調整池が埋設されております。環七の下というのは大変難しい構造になっております。
中野区内の全踏切の解消を目指しまして、町会連合会が七万人もの方々の署名を集め、そして請願が出され、趣旨採択を先日されました。また、現在、中野区内全線地下化の実現のために、西武新宿線踏切渋滞解消促進期成同盟というものが結成されまして、運動が高まっているのが現在でございます。
踏切対策は、渋滞解消やまちづくり、環境改善の面から考えてみても、大変重要な課題だと思います。都は、昨年十二月、踏切対策基本方針中間まとめを公表しまして、その中で、鉄道立体化の検討対象区域を十五区間から二十区間程度選出すると書いてありました。方針策定後は、直ちに全区間の連続立体交差事業の具体化を進めていただきたいと心から願っております。
そこでお尋ね申し上げます。
一般論でお聞かせいただきたいと思いますが、幾つかの区間で連続立体交差化が考えられる場合、先に実施する区間の計画をつくろうとしたとき、後続する隣接区間での将来の立体化計画をあらかじめ想定して、できるだけその後の計画に支障とならないような計画をつくるべきだと考えております。いいかえれば、計画を立てることによって、次につなげることができなくなるようなものであってはならないと思っておりますが、いかがでございましょうか。
○山崎都市基盤部長 お尋ねの鉄道の立体化というものは、いうまでもないことですが、非常に多額の事業費と期間を要しますことですから、具体化に当たりましては、優先度の高いところから順次進めていくことが必要になってまいります。また、事業効果をできるだけ早く出させるためにも、事業区間を適切に区切ってやっていくということが重要だというふうに考えております。
そうなりますと、一般的には、その優先すべき区間の立体化については、在来線と一たん接続するように計画して、一定の事業効果をその区間で出す、こういうことになるということでございます。
そこで、お尋ねの隣接区間との整合ということがその点で生じてくるわけでございますけれども、その後に進むところにつきましては、その段階で改めて地形的、計画的、事業的な観点から、その時点で最適な立体化の計画、接続方法を検討して、整合を図っていくというふうにしたいと考えているところでございます。
○樋口委員 ありがとうございます。
さて、次も一般論としてでございますけれども、地下構造で連続立体交差化がなされ、終点部で一たん地平に取りついている鉄道において、さらに地下構造により連続立体交差化区間を延伸するといった工事は、技術的に可能なんでございましょうか。
○山崎都市基盤部長 今申しましたように、地下構造で連続立体交差化をある区間やりまして、地平と地表部と一たん接続している、それをさらに地下で延伸するということが可能かどうかというお尋ねでございますが、一般論でということでございますけれども、やはり可能かどうかということになりますと、個々の現場に即しまして、使用可能な用地があるかとか、埋設物件がどうなっているかとか、あるいは地質がどうかというような詳細なことを踏まえた検討を行っていくことが、その要否の検討に必要になってくるんではないか、かように考えております。
○樋口委員 もちろんあらゆる条件があるんですから、一般論として結論づけるのは大変難しいと思います。が、場所が限定した時点で、あらかじめ技術的な配慮が必要なんじゃないかななんて、私は思っております。ぜひ検討していただきたいと願っております。
西武池袋線の連続立体交差事業では、鉄道を高架化する際、西武線の上を跨線橋、要するに、オーバーパスとして越えていた目白通りが支障となったため、鉄道の高架化にあわせて、高架構造であった目白通りを逆に地平化するというウルトラCをやっています。
この工法は、平成十三年度に、土木技術の発展に顕著な貢献をなした画期的なプロジェクトとして、名誉ある土木学会賞を受賞されていらっしゃるということで、本当にすばらしいことだと、私自身も称賛させていただきたいと思っておりますが、一般的に、今後鉄道の立体化を進めていくに当たっては、既にある跨線橋やアンダーパスの道路が、連続立体交差化の支障となることも想定されます。
このような場合には、道路の高さを変えることも含めて検討すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○山崎都市基盤部長 今一つのご提案をいただいたわけでございますけれども、西武池袋線の例で申し上げますと、ちょうど勾配があるところにSカーブが入っていたというようなことがございまして、この道路線形を交通安全の上からも改善する必要があった。それから、用地に少し余裕があった。こういうような条件が重なりまして、鉄道立体工事にあわせて、道路と鉄道を上下入れかえるということが可能となったものでございます。
一般的な箇所でこうした上下入れかえるようなことがどうかということでございますけれども、新たな用地の確保ですとか、工事期間の長期化、あるいは事業費等の増大等々のさまざまな課題がございます。
いずれにしても、鉄道の立体化を計画する場合には、道路と鉄道の立体化の方法について、さまざまな観点からさまざまな検討をして決めていくということになろうかと考えております。
○樋口委員 さまざまな観点から、さまざまな条件を踏まえて検討していくことは、とても大切だと思います。でも、この目白通りの中村橋のあたりでございましたでしょうか、あのあたりというのは、本当に地形的には非常に難しい部分であった。にもかかわらず、東京都の英知を結集して、この賞されるようなことをされたわけですから、ぜひこれからもいろいろな状況下にある難しいものを乗り越えていただきたいと願って、次の質問に移らせていただきます。
さて、車体利用広告についてでございます。
東京都は、平成十二年以来、ラッピングバスを初めとする車体利用広告の規制緩和を進めてまいりました。町中を走行するラッピングバスや鉄道駅のホームで見かける電車の車体利用広告も、東京の都市景観を形成する新しい要素として定着してきた感があります。
東京都は、昨年、バス、電車に続いて、タクシーの車体利用広告の規制緩和を行いました。タクシーは、それまでの路線性のあるバスと異なりまして、広告の看板を出すことが禁止されているような住居専用地域にも入り込み、台数も多いなどという課題があったため、東京都広告物審議会で慎重な審議を行った上での緩和であったと聞いております。
そこで、お尋ね申し上げます。
車体広告を掲出したタクシーが昨年の九月から本格的に走り出し、半年が経過いたしました。現在までの実績や進捗率はいかがだったのでしょうか。また、都民の反応についてはどんな状況だったんでしょうか。
○野本市街地建築部長 タクシーの車体利用広告は、昨年三月に屋外広告物条例施行規則の改正を行いまして、九月から施行したところでございます。本年三月現在、約五百台が走行しております。
施行からまだ日が浅く、走行台数も少ないということから、都民から特に意見等は寄せられておりません。
○樋口委員 私も、このタクシーの車体広告を見ることがしばしばあるのですけれども、余り台数が多くないなというのが実感でございます。
次に、車体利用広告全般についてお尋ね申し上げます。
車体利用広告をめぐっては、バス、電車、タクシー以外の事業者からも緩和が期待されております。これらの車体利用広告の拡大は、各事業者の経営状況の改善に寄与し、ようやく上向いてきた経済のさらなる活性化につながることが期待できるわけです。
そこで、バス、電車、タクシー以外の車両についても、広告緩和の拡大を考えてみてはいかがでしょうか。今後の展開についてお伺いいたします。
○野本市街地建築部長 車体利用広告につきましては、平成十三年二月の東京都広告物審議会の答申を踏まえまして、バス等の定着度や路線性を考慮し、慎重に対応してきた経緯がございます。
タクシーの車体利用広告は、デザインの実施審査や台数制限等の業界による実施制限を前提として緩和したものでございます。
今後の展開についてですけれども、都民の反応を十分把握するとともに、台数の多いトラックやマイカー等は、景観、交通安全面に及ぼす影響が大きいことから、慎重な対応が必要であると考えております。
○吉野委員 私は、外かく環状道路に関する課題につきまして、少しお伺いをしたいと思います。
外環は、交通渋滞の解消、環境の改善など、整備による効果が大きな道路であり、早期整備が必要であるというふうに思っております。外環計画を進める上で、権利者の理解と協力を得ることが不可欠であるというふうにも考えております。
このため、都や国は、権利者の不安や疑問を解消するよう、計画について十分な周知や説明を行うとともに、地元の要望にも適切にこたえていく必要があるというふうに思っております。
特に、外環の計画区域内の権利者は、長年、建築の規制を受け、将来の生活設計もままならない状況が続いており、中には、何とか早く土地を買い取ってもらいたいと考えている人もたくさんいらっしゃいます。
そこで、我が党自民党など都議会外環促進議員連盟、きょう中嶋理事もメンバーですけれども、この連盟が権利者の救済措置を講じるよう働きかけた結果、国は、平成十四年度に、外環における生活再建救済制度を創設し、権利者の土地売却要望に対応することが可能になってまいりました。
そこで、まずこの制度の概要について、改めてお伺いをしておきたいと思います。
○道家外かく環状道路担当部長 外環における生活再建救済制度でございますが、この制度は、計画区域内における建築の規制により、生活設計に支障を来している権利者の救済を目的といたしまして、権利者から土地の売却についての申し出を受けて、地元区市の土地開発公社が用地を買い取るものでございます。
その際に、必要な資金を国の道路開発資金から借り受けるため、区市は、借入金に係る債務保証について議会で議決を得る必要がございます。
○吉野委員 今、買い取りに当たり、土地開発公社の借入金に係る債務保証について、地元市議会等で議決が必要ということでありますけれども、買い取りを行う公社に財政的な負担が生ずるとすれば、議会の理解を得にくくなるなど、本制度がなかなか活用されにくくなるのではないかなというふうに感じます。
買い取りを行う土地開発公社に財政的な負担が生じるのかどうか、お答えいただきたい。
○道家外かく環状道路担当部長 事業実施の段階で、国が公社から用地を買い戻すことになりますが、その際、用地費及び建物などの補償費のほか、事務費、管理費及び借り受け利子など、公社が要した費用が支払われることになります。したがいまして、土地開発公社に財政負担が生じない制度となっております。
○吉野委員 土地開発公社に財政的な負担はないということでありますけれども、これまでのこの制度の執行状況及び実績はどのようになっているのか、お伺いいたします。
○道家外かく環状道路担当部長 本制度創設以来、国、沿線区市及び土地開発公社と調整を進めた結果、執行体制などが整いました三鷹市と調布市におきまして、平成十五年十二月にそれぞれの市議会で債務保証の議決がなされました。本制度を活用することが可能になりました。
その後、権利者からの買い取り申し出に基づきまして、三鷹市で一件、約六千平方メートル、調布市で一件、約一万一千平方メートル、合計約一万七千平方メートル、金額にいたしますと、合わせて約三十七億円の用地の買い取り契約が実施されております。
○吉野委員 この制度がようやく実施にこぎつけられたことで、権利者の生活再建が幾ばくか救済されたというふうに考えられます。
さて、三鷹市内では、本制度を活用して買い取りが行われたということでありますけれども、相続で国に物納された用地が、最近、金融機関に売却され、さらに開発業者に売却され、宅地分譲が行われようとしており、地元は困惑をしております。
こういういい方をしてもちょっと話が見えないかもしれませんので、私も図面を持って説明をさせていただきたいと思いますが、(図面を示す)オレンジの土地が当該物納された農地、三鷹と中央道のジャンクションの線がこれ、これは都市計画局から落としてもらった図面なんですが、この土地が、売り主ある銀行、買い主ある建設業者ということで、五十五棟の分譲住宅が建つという農業委員会の専決処分の報告がありまして、地元の人たちは、せっかく物納されて国の土地になっているものが民間に売却をされて、建て売りが建つ、国は外環をやる気があるのかというふうな困惑ということであります。
当該土地の権利関係に関して、これまでの経過について、都は把握をしていらっしゃったのかお伺いをいたします。
○道家外かく環状道路担当部長 ただいま吉野理事が図面でお示しになりましたこの土地につきましては、平成六年に相続税として物納され、その後、平成十五年八月に財務省から金融機関へ所有権が移転され、本年二月には金融機関から開発業者へ所有権の移転があったことを承知しております。
○吉野委員 考えますと、第一には、予定地を売却した財務省のありようが問題だろうというふうに思いますけれども、今お伺いをしてまいりました生活再建救済制度によって、この土地を買い取ることができなかったのかどうか、そのことをお伺いをしたいと思います。
○道家外かく環状道路担当部長 このご指摘の土地につきましては、物納を受けた財務省から土地を取得いたしました金融機関により、昨年十月に公有地拡大の推進に関する法律に基づく届け出がございました。しかしながら、三鷹市において市議会での議決を経て、外環における生活再建救済制度の活用が可能となりましたのが昨年の十一月でございまして、届け出がございましたこの十月の段階では、本制度が適用できる状況にはございませんでした。
○吉野委員 今回の外環の整備については、大深度でという方向があるとはいえ、ジャンクションですとかインターというものは当然地上部を利用するわけでして、三鷹市の予定地の中でも、(図面を示す)この黄色の部分は物納をされた農地で、これは市がスポーツ広場、ゲートボール場として借りていますけれども、こういうことになり得る可能性というものがまだあるというふうにいえると思います。
今後、今回のようなことがないように、都としてどのような取り組みを行っていかれるのか伺いたいと思います。
○道家外かく環状道路担当部長 権利者が土地を物納したり、売却する際に、本制度に基づき買い取りを申し出ていただけるように、できるように、三鷹市では、都と国で作成いたしましたこの制度を広くお知らせするためのパンフレットを窓口に置くとともに、本年二月一日付の三鷹市の広報で、この制度の周知を図っているところでございます。
今後とも、国や地元区市とともに、関係行政機関の窓口にパンフレット設置の働きかけや地方自治体の広報紙への掲載など、広く本制度について周知してまいります。
○吉野委員 ぜひとも本制度の趣旨の徹底を図り、買い取りの申し出のあった権利者に適切に対応することを強く要望したいと思います。
また、今回のように、財務省が物納された土地を売却する際には、国土交通省と十分調整するよう、都からも積極的に働きかけを行っていただきたいというふうにも思っております。
最後に、今年度は、三鷹市、調布市で、地権者の要望に基づき本制度が実施されましたけれども、十六年度から、この両市以外の区市においても活用され、権利者の要望に積極的に対応されることを望んで、質問を終わらせていただきます。
○野島委員 二点にわたってお尋ねをいたします。
まず、八ッ場の関係資料の提出、ありがとうございました。ダム建設がなくても、ダム建設反対というと選挙で当選するぐらい、大型公共事業、ダムを含めて大変逆風の中で、去年これが提案されまして、私どもも真剣に取り組んだというふうに認識をいたしております。
都民の水需要を安定的に担保する、こういう基本的な立場に立ちまして賛成をしたわけです。その際、私ども吉野理事から、この事業が環境に及ぼす影響に配慮されたい、当然のことながら、総事業費の圧縮にも努めていただきたい、そして、進捗状況については適宜委員会に報告をいただき、議論をさせてほしい、こんな要望も申し、意見も聞きました。本会議でも、私どもの臼井議員の方から、討論でそんなことを申し上げた記憶がございます。
それを踏まえまして、何点かお尋ねします。
水の資源をどう確保していくか。その必要性があるかどうか。これは政策的な、政治的な判断ですから、そのことはこっちに置いておきますが、そのときの議論で、たしか埼玉県や千葉県がまだ意思表示も何もしていないじゃないか、それが出るまでというか、それらの動向も踏まえて判断した方がいいというふうな意向もあったやに私は承知している。ただ、質疑を聞いていますと、そんたくするに、大変失礼なんですが、否定的な立場の意見であったのかな、こんなことも正直なところ思っているんです。
そんなことはどうでもいいんですが、そんなことから八ッ場の事業改定について、共同参画県であります埼玉県、千葉県、それから茨城県、こんなところは今議会に上程中というふうに聞きました。これにも何かそんな状況が書いてあったと思うんですが、各県の状況がどんなことなのか。私ども東京は東京で、東京の判断をしていきゃいいという立場に立っていますけれども、そういう意味じゃ、余り根掘り葉掘り聞くのは失礼なんですが、やっぱり隣の動向は気になる。これは人の常でございますから、その辺の状況をお聞かせいただきたいと思います。
○南雲都市づくり調整担当部長 八ッ場ダム関係各県の状況でございますけれども、現段階で私どもが集めた情報といたしましては、埼玉県、千葉県、茨城県ともに、八ッ場ダムに係る基本計画の変更案を今議会に付議しておりまして、過日、常任委員会に当たります各委員会におきまして、賛成多数で可決されたということでございます。
今後、三月中に予定されております本会議におきましても、同様の結論が出されるものと見込まれます。
○野島委員 そんな状況で、ある種、私どもは、私どもにすれば、ああ、やっぱりかなという感覚を持っているんですが、ここに至る結論の中で、特に埼玉県は知事選の後だったんですね。知事選はいつだかちょっと忘れちゃったんですが、新しい知事さんで、こういう課題について、新聞報道では、何か懇話会等を設けて対応した、こんなことを聞いているんですが、その中身はどんなものであって、どんな結論に至ったのか。これも余り根掘り葉掘り聞きたくないんですけれども、でも、聞かせてください。
○南雲都市づくり調整担当部長 埼玉県は、昨年十一月、学識経験者等によります八ッ場ダム建設に関する基本計画変更にかかわる懇話会なるものを設置いたしまして、八ッ場ダムの基本計画変更案につきまして検討を行ってきております。内容といたしましては、一都五県で実施いたしました合同調査の結果を踏まえまして、事業費改定の妥当性等につきまして、現地調査を含め、六回の会合が持たれたとのことでございます。
その結果、本日の委員会資料にもございますとおり、国土交通省から提示された変更計画案に対する一都五県合同調査チームによる検証結果について、さらに検証したところ、治水利水の観点から、今回の変更はやむを得ないとの結論となり、最終、これは二月四日でございましたが、最終の懇話会におきまして、埼玉県知事に報告されたと聞いております。したがいまして、結果的には、埼玉県も、都と同様の結論に至ったものでございます。
○野島委員 恐らくいろんな県で違うというのが実情だと思うんですね。恐らく原水の供給システムが、東京とは、また埼玉は違うと思うんですね。それから、原水の安定をどうするかというのは、埼玉県は伏流水を主に使っていたみたいなところはありますから、これは必要性……。千葉県の方へ行きますと、過密過疎、同時進行ですから、夷隅の方の人にいわせれば、何でそんなところに銭を使うんだという話が出てきますから、そういう中で、それぞれの県が自主、あるいはそういう懇話会をつくって、積み上げて結論を出したということでございますので、これから、ある種の、東京都も歩調を合わせながら、この課題に取り組んでいただけるのかな、こんなことを期待しています。
そこで、今後の執行予定額が約四千六百億円、事業費約四千六百億円の七割弱が残っているということは、三千億ぐらい残っているんですかね。そうしますと、やっぱりそれを圧縮していかなきゃいかぬだろう、こんなふうに思うんです。そのときもいろいろ申し上げましたけれども、どういうふうな圧縮の努力をしていくのか。そのために、国とのかかわりをどう持っていくのかというふうなことで、去年以降、進捗した状況がありましたら、ひとつ教えていただきたいと思います。
○南雲都市づくり調整担当部長 昨年十二月に都議会の議決をいただきました以降、都としては、今後のコスト縮減の方法や可能性につきまして、独自に調査検討を進めてまいりました。その結果、今後発生する、今先生ご指摘の約三千億円の経費につきましては、技術革新や契約制度の見直し等によりまして、コスト縮減を図っていく余地があると考えておりまして、国に対し、その実現への取り組みを強く働きかけてまいりました。
国もその要請を受け入れまして、一月二十日付で関東地方整備局と都関係局の部長級によります八ッ場ダムのコスト管理に関する連絡協議会が設置されまして、予算決算の内容に関することのみならず、コスト縮減方策の策定やその達成状況の確認など、コスト管理について協議していくこととなったものでございます。
○野島委員 ありがとうございました。
そういうことで一生懸命取り組んでいただきまして、過去に例のないようなそういう協議の場も設けられたということでございまして、そういう意味では、今回、ほかの三県も参画をするという意思表示を近々なさると思いますので、都と同様の立場にあるほかの県にもぜひ声をかけて、東京の判断のすばらしさをPRしてほしい、こんなふうに思っているんですが、いかがでしょうか。
○南雲都市づくり調整担当部長 国が事業主体となりますダム事業におきまして、このような取り組みは過去に余り例がなく、今後のダム事業における国と地方のあり方にも、少なからず影響を及ぼす、また与えるものと考えております。
現在は、国と都のみで協議会を立ち上げたわけでございますけれども、先生ご指摘のとおり、今後、関係県の議決を待ちまして順次参加を働きかけ、都がイニシアチブをとりつつも、関係都県が協力して、八ッ場ダム建設事業のコスト縮減を図るよう国に強く求めてまいります。
○野島委員 これで終わります。ぜひそういうことで進めていただきたいなと思うんです。また、折に触れてご報告等をいただければ、あるいは議論をさせていただく場をいただければ、大変ありがたいなと思っています。
去年の都市・環境委員会の意見表明を見ていましたら、ネットさんが、過大な水資源開発を見直し、八ッ場ダム計画については関連自治体の連帯会議を東京から提案すること。これは、いっていることは私と全く違うことをいっているんですけれども、ぜひ関連自治体とそういうことで積極的に進めていただきたいということを要望して、これについては終わります。
次に、多摩地域のまちづくりと、大きな課題になっちゃうんですが、ちょっとお尋ねをしたいと思うんです。
実は先般の常任委員会におきまして、用途地域の一斉見直しの件が議論になりました。そのときに、今後一斉見直しを行っていくのかどうかということについては、行っていくという答弁でもなかったし、ちょっとはっきりしなかったんですよ。はっきりしないのは別に悪いことじゃなくて、それぞれ事情があるわけですから、それはいいんですが、私のつたない経験ですと、こういう一斉見直しに合わせて大規模な開発をやってきたなという気がしているんです。
だけど、現在、極めて便利な言葉を使いますと、社会経済情勢の変化で、特にこの都市整備なんかも、長い期間をかけて、多大なリスクをしょってやっていく大規模な開発というのは恐らくないと思う。各自治体もそれを支援するような財政を突っ込んでいく、区画整理の補助金なり何なり、これもなかなか困難だろう。そうしますと、私は、そんなに大きくない計画の中で、これを見直してくれ、あれを見直してくれと、こういうふうな部分というのは当然出てくると思うんですね。
それから、民間事業者を含めて、この地域はこういうふうな形でやっていきたい、こういう潜在能力というのかポテンシャルもありますよというのを現出するときに、いや、それは今までだと八年サイクルだから、一斉見直しまでちょっと無理ですよといったら、この厳しい時代に、そういう計画なんかぱっと断念しちゃうと思うんですよ。
そこで、法令のいろんな縛りはあると思うんだけれども、一斉見直しということよりも、そういうふうな機動性を持って随時の用途見直しといった方が、私は現在のまちづくりにはプラスになるなというふうに思っているんです。
まず、そんなことについて、用途地域の随時見直しを積極的に行うべきだというふうに私は思っているんですけれども、そんなところの見解をひとつお伺いしたいと思います。
○森下都市づくり政策部長 用途地域の見直しでございますけれども、地元のまちづくりの機運に対応いたしまして、地区計画などが定められる場合には、時期を失することなく、随時見直しを行っていくという考え方でございます。
それから、今後の一斉の見直しについてでございますけれども、このような随時の見直しを行うことによりまして必要性が少なくなるものと思っておりますけれども、五年ごとの都市計画基礎調査の結果であるとか、社会経済情勢の変化、あるいは法改正の状況などを総合的に踏まえまして、必要な場合には実施について検討していくということでございます。
○野島委員 ありがとうございました。
実は私、去年の予算特別委員会において、用途地域の見直しについて質疑をしているんですよ。このときは、低層住宅街を例にとりまして申し上げたように記憶をしているんです。そのときに勝田都市計画局長が、現在、都内全域の用途地域の見直しを行っておりますけれども、これとは別に、良好な住環境を形成するための地区計画を定めた場合には、時期を失することなく、速やかに用途地域の見直しを行っていきます、こういう答弁をいただいているんですね。もちろん商業・業務系と住宅系では状況が違っている。要件はそれぞれ違うと思うんですが。
それと、あと、この間もちょっと申し上げたんですが、さっきいわれましたしゃれ街の推進条例、街区再編整備、これなんかも、やっぱり話をしていくときに、用途地域を上げる下げるとか、建ぺいをどうするというふうなことも、やっぱり機動性がないと、熱くなっているときにぱっとやっちゃわないとなかなか難しいと思うんですよ。そういう意味では、ぜひ機動的に進めていただきたい、このことをお願いしておきます。
次に、多摩地域のまちづくりという関係なんですが、多摩の地域はそれぞれ自立したまちを目指して、いろんな持っている資源を有効に活用しながら進めています。それに、今、実は私の方なんかはほとんど住宅都市なんですが、まちのにぎわいや雇用の誘発だとか税収増につながるという意味では、商業・業務系施設の誘致が大切だというふうに、私は常々思っているんです。
そこで何点か伺うんですが、まず、先月、多摩地域の土地利用現況調査結果が公表されました。多摩地域の土地利用の現況はどうなっているのか。特に住宅系がどうで、商業・業務系はどんなふうな動きをしてきたか、こんなところをひとつ概括的にお話をお聞かせください。
○森下都市づくり政策部長 土地利用現況調査の内容でございますけれども、平成四年から平成十四年までの十年間の動向を見ますと、多摩都市部では、全土地面積に対する割合で住宅用地が一八・七%から二〇・七にふえております。商業・業務用地が二・五から三・二%に増加しております。一方、工業用地は三・二%が二・八%に減少しております。
住宅用地でいいますと、面積にしますと約千七百ヘクタールの増加でございまして、これは例えば昭島市であるとか東村山市に匹敵する面積でございます。商業・業務用地も約五百ヘクタールほど増加してございますけれども、住宅用地を一としたときの商業・業務用地の比率は〇・一五ということであり、区部と比較しますと、まだその割合が半分程度にとどまっているということでございます。
○野島委員 今ご説明を伺いまして、住宅地は増加しているけれども、商業・業務系がまだ不十分というのかな、それほどでもない、区部に比較してと、こういうことだと思うんですね。それから、工業用地が減少をしている。
そういう魅力あるまちにしていくためには、さっきいった三つの視点、それ以上にもいろいろありますけれども、その視点に立ちまして、もっと積極的に商業・業務系の誘致を図っていく必要があるというふうに思うんですね。ただ何が何でも色を変えりゃいいというものじゃなくて、そういう存立基盤がなければだめなわけですから、もちろんそれは前提として考えなきゃいけないだろうというふうに思っております。
それで、最近はどこもかしこも、まだ多摩なんかは開発余力のあるところがあるんですけれども、既に開発されたところでも、企業のリストラであるとかで、工場や企業の社宅あるいはグラウンドが売り出されまして、一番いいのはそこを売ってマネーにしちゃうのが一番いいので、戸建てやマンション、こういったようなものが建てられる例が多く見られるわけですね。
例えば私どもの東久留米ですと、かつての社宅と機材置き場になっていたところが、大型のマンションで分譲されちゃった。隣の清瀬は、東京都の職員共済組合の都職の病院があったんですよ、かなり大きく。これがやっぱり一戸建てに変わっちゃった。それから、その近くの商社のグラウンドもマンションに変わっちゃった。もちろん、じゃ、そこに何か持ってきて存立するのかどうかという、このことの検証は必要なんですけれども、そんなことの開発の動向というのはあるわけですね。
それで、商業・業務系を誘致する。こういうことを、周囲の状況も含めて、そのことが存立し得るいろんな要件が整った場合に、その跡地を、いわば住宅系から商業・業務系に変えていかないと、さっき申し上げました地域の活性化なり、税収を生むまちづくり、税財政構造ができないということだというふうに思っております。もちろん、しゃにむに、さっきもいったように、色を変えりゃいいというものじゃなくて、やっぱりその市の都市像があり、先般話題になった都市計画マスタープラン、こういうこともあるわけであります。
そんなことで、ぜひそういう可能性がある場合に、この用途地域の変更を積極的に進めていくべきではないか、こんなふうに思っておりますが、いかがでしょうか。
○森下都市づくり政策部長 お話のように、いろんな企業のリストラ等で跡地等ができるわけでございます。その用途地域の変更でございますけれども、その跡地の規模にもよりますけれども、跡地部分のみで変更が難しい場合が一般的には多くて、跡地の周辺も含めまして、地域ごとのまちづくりの方向を、地区計画を定めた上で変更していくということが一般的でございます。
また、日産村山工場の跡地で決定しておりますけれども、大規模な工場跡地等の場合には、再開発促進区等を定める地区計画を決定すれば、用途地域は変えなくても、商業・業務施設の立地であるとか建築制限を緩和することが可能でございまして、そのような方法もあり得るかと考えております。
○野島委員 前段は、地区計画等でしかるべく、こういうところの、こういうまちづくりということで変えていく。後段は、別途手法をもって、ある種後追い変更ですよね。いろんな手法があると思いますので、それらを使いながら、適切な誘導をしていく必要があるだろうというふうに思って、今お聞きをしておりました。
最後に、私の地元の話になっちゃうんですが、うちの方は住宅都市なんですよ。ほとんどが住宅、税収もなかなかよく上がらないという実情なんです。何か民主党の議員さんが、犯罪が多くて、金もなくて、道路もないみたいな話をしていました。決してそんなことはないんですがね。
私どもの跡地に関する事例があるんですよ。東久留米の市長さんが、今回の定例会で施政方針で、東久留米市南沢五丁目にあった三つの大型空閑地を中心とした地区は、地図を持っていなくて申しわけないですが、東久留米市都市計画マスタープランでは流通業務地区と位置づけていましたが、そのうち二つは、既に法定容積率をいっぱいに使ったマンションに転用されてしまいました。さっきの事例なんですね。それは売り放せば一番楽ですから。だけど、私どもとしてはそうあってほしくない。都市マスでも位置づけているんだから。そこで、残る旧第一勧銀グラウンド跡地は、法定地区計画を定め、都市計画マスタープランに沿った土地利用に計画的に誘導する考えです、こういうふうに所信表明でしているんですね。
このように地元のマスタープランに位置づけられている地区については、もちろんいろんな調査も必要でしょうし、こういう形のものという絵かきも必要だと思うんですよ、絵柄をかいていくのも。そういうこともやりつつ、そういう部分については直ちにとか、積極的にとか、いろんな言葉はありますけれども、さっき申し上げた随時機動的にということの中で、用途地域を変更していくべきだろうと私は考えているんです。その辺についてのご見解をお伺いいたします。
○森下都市づくり政策部長 用途地域の変更につきましては、先ほど来申し上げましたように、地域のマスタープラン等を踏まえて行うものでございまして、そのような市のマスタープランなどに、地域特性に応じた目指すべき市街地像が位置づけられているということは、大変重要なことであると思っております。
お尋ねの地区のような場合には、地元におきまして誘導すべき将来像を担保する地区計画等がまとまり次第、その決定に合わせまして、用途地域等につきましても、随時見直しをしていくことが適当であると考えております。
○野島委員 実はそんなことで、これ、平成十六年度の東久留米市の予算にも、今いいました南沢地区地区計画策定業務委託という予算をとってあるんです。したがって、その地域をどういうふうにするか。都市マスは商業・業務系となっているんです。ここのところは、所沢街道とか、新所沢街道とか、新青梅街道とか、青梅街道とか、いわゆる東西軸の結構大きな通りがあるんです。それをつなぐように、今、東京都に南北軸で道路の施行をしていただいているところもあるんです。もちろん市施行とか、都施行とか、いろんな課題はありますよ。
それをまた延ばしていきますと、この地区のモビリティーが非常に高まって、お客さんもたくさん来るような場所になると思うんで、その策定業務を委託しているわけですけれども、予算が通るかどうかわかりませんけれども、予算が通った暁にはそういうことでやっていくわけでありますから、ぜひ今まで申し上げましたようなトータルとしての用途地域の見直しと、申し上げましたような地域づくりにおいて何が要素になっていくのかという結論として、それであれば随時見直しも積極的にやっていく、こういう理解で終わらせていただきたいと思いますが、それじゃまずいよということだったら、後でご答弁いただいて結構です。
あと一つ、実はお座りの梶山技監は、東久留米、大変よくご案内なんですよ。今も若いですけれども、もっと若いころ、東久留米に来ていただきまして、西口開発。それは今まで市の顔がなかったんです、ぐじゃぐじゃで。そこを十二・三ヘクタールを、当時としては全国的に初めて、都内で初めてというふれ込みだったのかな、沿道区画整理型街路事業ということで大変なプランをつくっていただいた。
それから、やっぱりもっとモビリティーを高めていかないといけないよということで、これは建設局の所管ですけれども、道路網をどうしていくかというようなことで、今やっているみち・まちパートナー事業、あれは道路というのは結節点からつくっていくから、うちの方なんか外れの外れだから、最後になっちゃうわけですよ。それではまちの活性化にも資さないじゃないかというようなことで、そこをみち・まちパートナー、前身は道路振興特別交付金制度、こんなことで大変なご努力をいただいたんです。
そういう意味では、梶山技監は、ただそれだけにとどまらず、東久留米市の財政をどうしていったらいいのかということを常に悩んでくれていた。そういう中で、まちづくりの必要性、沿道整備の必要性、あるいは商業・業務系の必要性、こんなことで大変なご努力をいただきましたので、よく事情を知っている梶山技監から、その辺のこういう取り組みについて、あるいは東久留米の都市計画として進むべき道筋を、ひとつご教示いただきたいと思っております。
○梶山技監 大変なお話を、ご質問があって、ちょっとどうお答えするかなと思っておりますが、素直に当時のことを思い出しながらお答えしたいな、こんなふうに思います。
私は、昭和六十年、今からちょうど二十年ぐらい前になるかと思いますが、六十二年まで、東久留米市の都市計画部参事として、十二ヘクタールに及ぶ東久留米駅西口開発を担当しておりました。
市は、当時は、ご案内のとおり、区よりも財政自主権はやはり充実している。しかし、財政規模は物すごく少ない、小さい。それでさまざまな市民要望にもこたえられないというのが当時の現状でございました。そこで、一の投資で二倍、三倍、あるいは十倍となるような、いわゆる市財政の底上げ、それにつながるようなまちづくりというのはどういうものなのだろうかということを、真剣に考えたことを記憶しております。まさに先生ご指摘の住居系の土地利用から、商業・業務施設の誘導、集積、そういうものを図ること、そういう意味で、先生のお考えと全く同じものであります。
現在、時々所沢に用があって行きますけれども、駅前の十二ヘクタール、時々おりるのですが、その発展と活性化を見るにつけ、やはり土地利用の高度化への転換というのは、今でも重要な、あるいは必要な手法である、こういうふうに思っております。
先生が多摩地域のまちづくりでいわれましたように、多分自立都市づくりということだと思うんですが、そういったために都市計画としてできることは、最大限支援してまいりたいと思っております。
○野島委員 ありがとうございました。どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。
これで終わります。
冒頭、委員長お話しのように、都市計画局としての質疑は最後だということだそうでございます。ぜひこれから再編整備する都市整備局、資料提供で一一ページにメリットと事業効果、こういうことがうたわれております。勝田局長を中心に、首都東京の再生と多摩、東久留米のまちづくりに格段のご支援をお願い申し上げまして、(「一緒よ」と呼ぶ者あり)西東京もということでございますので、質問を終わります。
ありがとうございました。
○相川委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○相川委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
以上で都市計画局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後四時二十二分散会
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