都市・環境委員会速記録第五号

平成十六年三月十七日(水曜日)
第六委員会室
   午後一時二分開議
 出席委員 十四名
委員長相川  博君
副委員長野島 善司君
副委員長樋口ゆうこ君
理事高橋かずみ君
理事中嶋 義雄君
理事吉野 利明君
吉原  修君
清水ひで子君
東野 秀平君
新井美沙子君
矢島 千秋君
渡辺 康信君
内田  茂君
坂口こうじ君

 欠席委員 なし

 出席説明員
環境局局長小池 正臣君
総務部長西野 和雄君
企画担当部長梶原 秀起君
都市地球環境部長百合 一郎君
環境改善部長松葉 邦雄君
参事柿沼 潤一君
自動車公害対策部長山本 憲一君
参事月川 憲次君
参事中島  博君
自然環境部長徳毛  宰君
廃棄物対策部長福永 富夫君
参事松本 保幸君
環境科学研究所次長宮本  孝君

本日の会議に付した事件
 環境局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成十六年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為 環境局所管分
付託議案の審査(質疑)
・第八十六号議案 使用済自動車の再資源化等に関する法律関係手数料条例
・第八十七号議案 特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律関係手数料条例の一部を改正する条例
・第八十八号議案 都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・東京都における実効性ある温暖化対策について(中間のまとめ)
・産業廃棄物の適正処理の徹底について(中間のまとめ)
・廃プラスチックの発生抑制・リサイクルの促進について(中間のまとめ)

○相川委員長 ただいまから都市・環境委員会を開会いたします。
 初めに、予算の調査について申し上げます。
 平成十六年度の予算は、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会の所管分について、議長から調査依頼がありました。
 公文の写しは、お手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成十六年三月十六日
東京都議会議長 内田  茂
都市・環境委員長 相川  博殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、三月十六日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
     記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月二十二日(月曜日)午後五時

(別紙1)
都市・環境委員会
第一号議案 平成十六年度東京都一般会計予算中 歳出 繰越明許費 債務負担行為 都市・環境委員会所管分
第十四号議案 平成十六年度東京都都市開発資金会計予算

(別紙2省略)

○相川委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、環境局関係の平成十六年度予算の調査及び付託議案の審査並びに報告事項の質疑を行います。
 これより環境局関係に入ります。
 予算の調査、付託議案の審査並びに報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、平成十六年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、環境局所管分、第八十六号議案から第八十八号議案まで、及び報告事項、東京都における実効性ある温暖化対策について(中間のまとめ)外二件を一括して議題といたします。
 本案及び報告事項については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について、理事者の説明を求めます。

○西野総務部長 それでは、去る二月十九日の当委員会におきましてご要求いただきました資料につきまして、お手元配布の都市・環境委員会資料により、ご説明申し上げます。
 まず、一ページをごらん願います。1、都内のエネルギー消費量の部門別推移でございます。
 平成四年度から十三年度までの各年度における産業、家庭、業務及び運輸の各部門のエネルギー消費量でございます。
 注4にございますように、表の最上段は、京都議定書の基準年でございます平成二年度の数値でございます。
 二ページをお開き願います。2、都内の二酸化炭素排出量の部門別推移でございます。
 同じく平成四年度から十三年度までの各年度における産業、家庭、業務及び運輸の各部門の二酸化炭素排出量をお示ししてございます。
 三ページをお開き願います。3、大気汚染濃度の高い測定局の推移でございます。
 昭和六十三年度から平成十四年度までの各年度における二酸化窒素濃度が高い一般環境大気測定局の上位五局でございます。
 四ページをお開き願います。同じく自動車排出ガス測定局の上位五局でございます。
 五ページをお開き願います。こちらは、浮遊粒子状物質濃度が高い一般環境大気測定局の上位五局でございます。
 六ページは、同じく自動車排出ガス測定局の上位五局でございます。
 七ページをお開き願います。4、大気汚染濃度の高い測定局周辺の道路状況でございます。
 平成十四年度における二酸化窒素濃度の高い自動車排出ガス測定局の上位十局の設置場所及び周辺道路の状況でございます。
 八ページをお開き願います。同じく浮遊粒子状物質濃度の高い自動車排出ガス測定局の上位十局の設置場所及び周辺道路の状況でございます。
 九ページをお開き願います。5、大気汚染及び騒音に係る環境基準の達成状況でございます。
 まず(1)、大気汚染でございますが、平成十四年度における二酸化窒素及び浮遊粒子状物質の環境基準達成状況につきまして、それぞれ表の上段に自動車排出ガス測定局、下段に一般環境大気測定局における状況をお示ししてございます。
 次に(2)、騒音でございますが、平成十四年度における道路交通騒音、航空機騒音及び新幹線騒音の環境基準の達成状況でございます。
 一〇ページをお開き願います。6、浮遊粒子状物質に係る環境基準の達成状況でございます。
 上段の(1)が一般環境大気測定局、下段の(2)が自動車排出ガス測定局の、それぞれの測定局の設置場所をお示ししてございます。
 平成十四年度におきまして、環境基準を達成した測定局を白丸、環境基準を達成しなかった測定局を黒丸であらわしてございます。
 一一ページをお開き願います。7、米軍横田基地周辺における騒音発生回数の推移でございます。
 平成五年度から十四年度の各年度における昭島、瑞穂、福生及び武蔵村山の各測定局での年間騒音発生回数、それから一年間で最も騒音の発生が多かった日の騒音発生回数をお示ししてございます。
 騒音発生回数は、七〇デシベル以上の騒音が五秒間以上継続した場合に一回と計算してございます。
 一二ページをお開き願います。8、規制対象ディーゼル車(都内登録車)の対応状況でございます。
 平成十四年三月末現在、二十万二千台であった都内登録の規制対象車の、各時点におけるそれぞれの対応状況でございます。
 買いかえ、減車や、PM減少装置の装着による規制対応車両を除き、平成十五年十二月末時点では、規制対象車は二万三千台、規制対応の進捗率は八八%と推計してございます。
 一三ページをお開き願います。9、交通需要マネジメントの主な施策と実施状況でございます。
 既存道路容量の回復、自動車利用からの転換及び自動車交通の抑制のそれぞれの主な施策について、その実施状況を記載してございます。
 一四ページをお開き願います。10、都内における建設廃棄物の発生予測量でございます。
 建設汚泥、瓦れき類及びその他に区分いたしまして、平成十三年度の発生量、十七年度及び二十二年度の発生予測量をお示ししてございます。
 一五ページをお開き願います。11、エコセメント事業の進捗状況でございます。
 表の上段が、施設概要や事業の方式など事業概要をお示ししてございます。表の下段が、進捗状況でございます。
 なお、一六ページ以降につきましては、去る三月五日の本委員会でご説明いたしました資料を参考におつけしてございます。
 以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○相川委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び報告事項に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○吉野委員 今、開会前に委員長から、この委員会として環境局に対しての質問が最後だろうというふうなお話がございましたので、基本的な取り組みについて、二つのことに関してお伺いしたいというふうに思います。
 一つは、地球温暖化問題に対する都の取り組みに関して質問をさせていただきます。
 地球の温暖化は、二酸化炭素などの温室効果ガスによってもたらされるというふうにいわれております。昨年、大変大きな話題になりましたディーゼル車の問題の場合は、石原知事が黒煙の入ったペットボトルを事あるごとに振りかざして、目に見える形で問題を提起し、またはそれに対応していくということで、大変わかりやすい状況があったというふうに思いますけれども、二酸化炭素というガスは目に見えないということで、例えば日常で、電気などのエネルギーを使っていることと、二酸化炭素の排出との関係というふうなことが、大変わかりにくいというような内容のものだといえます。
 私たちの生活では、日常生活で使うエネルギーの多くについて、石油や天然ガスなどの化石燃料を燃やすことで得ておりますけれども、そのときに二酸化炭素を排出しているということになります。電気の場合については、火力発電所で二酸化炭素が排出しているので、家庭や事業所では、実感がわかないというものになっております。
 しかし、対策を考える上で、エネルギーの消費と二酸化炭素の排出の関連性や、地球温暖化の影響という基本的なことを、都民や事業者がまずしっかりと理解することが必要だというふうに思います。
 今述べましたように、地球温暖化は、なかなか身近な問題としてとらえにくいのですけれども、二酸化炭素が増加して地球が温暖化をしてくると、どのような問題が生じてくるのか、ここからお伺いをしてまいりたいと思います。

○百合都市地球環境部長 地球温暖化の影響ということでございますけれども、よくいわれているものといたしましては、海面の上昇、氷河の減少、水不足ですとか砂漠化、それから生態系の変化などさまざまございます。
 さらには、昨年夏にヨーロッパで約二万人の方が死亡した熱波のように、一度に多数の死者を出すような異常気象の増加のほか、マラリヤやデング熱など感染症の増加もあり、さまざまな形で我々の周りに出現をしております。
 また、経済的な損害で申しますと、国連環境計画の報告によりますと、二〇五〇年に二酸化炭素の濃度が二倍になった場合、繰り返される異常気象や、漁業や農業への悪影響などで、年間約三十五兆円以上の損害が発生するというふうに予測をされております。

○吉野委員 地球温暖化問題は、世界各地において、エネルギーが大消費、大量に消費をされるということでもたらされているものでありますけれども、今答弁のありましたように、影響が地球レベルで起きているということでもあります。
 そのため、一都市だけで解決できるものではありませんけれども、世界レベルでの取り組みの動向や、国の対策を全く無視することはできず、それらを視野に入れる必要があると思います。
 次に、最近における世界や国の動きについて確認をしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

○百合都市地球環境部長 一九九七年に合意をされました京都議定書は、現在、アメリカの離脱、ロシアの批准のおくれなどによりまして、発効の見通しが不透明な状況になっております。
 日本におきましては、一昨年の六月に京都議定書を批准いたしまして、新たな地球温暖化対策大綱の策定や、省エネ法の改正などを行ってきたところでございますけれども、二〇〇一年度の実績を見ますと、日本全体のCO2排出量は、一九九〇年度比で約八・二%増加をしておりまして、二酸化炭素の排出量の増加傾向に歯どめがかかっていない状況にございます。
 そのため、国では、第二ステップに向けた温暖化対策推進大綱の見直しを進めているというふうに聞いております。

○吉野委員 今ありましたように、京都議定書などの世界レベルでの動き、あるいは国のレベルでの動きというものがある中ですけれども、東京都として、温暖化対策に取り組む意義というものをどのように考えていらっしゃるのか。

○百合都市地球環境部長 温暖化対策につきましては、国の役割が決定的に重要なところでございますけれども、東京もカナダ一国に匹敵いたします経済規模を有しておりまして、大量のエネルギーを消費し、大きな環境負荷を与えていることも事実でございます。
 温暖化問題は、地球レベルの問題であるとともに、また地域の問題でもあるというふうに認識をしております。特に東京は、地球温暖化問題に加えまして、熱汚染ともいうべきヒートアイランド問題という二つの温暖化の問題を抱えておりまして、夏においては、気温上昇がさらなる冷房需要をもたらすという、温暖化とエネルギー使用の悪循環を引き起こしております。
 そこで、都は、持続可能な社会の構築を目指しまして、率先して温暖化対策を推進することが重要であるというふうに考えております。

○吉野委員 これまでも、都は、ディーゼル車対策を初め、地域の実態を踏まえた取り組みを行ってまいりました。温暖化対策でも、現場を持つ自治体が、実際に具体的な取り組みを行う事業者の実態を踏まえて、制度の構築などを進めることが重要だというふうに思います。
 そこで、都は、温暖化対策を推進するために、制度構築に当たっては、事業者の実態を踏まえて、実効性のある対策を策定すべきと考えますけれども、いかがでしょうか。

○百合都市地球環境部長 実効性のある温暖化対策を推進するためには、事業者が積極的かつ主体的に温暖化対策に取り組むことが重要であるというふうに考えております。
 事業者の実態を見ますと、業務形態や、これまでの二酸化炭素削減の取り組み状況なども非常に多様になってございます。都は、事業所における温暖化対策の取り組み状況の実態調査を踏まえ、事業者の取り組み状況に応じて、積極的に二酸化炭素の排出削減に取り組む努力を促し、より高い水準の総量削減を実現していくよう、実効性のある温暖化対策の制度構築を図っていきたいと考えます。

○吉野委員 シンクグロバリー、アクトローカリーという言葉がありますけれども、地球温暖化問題は地域での取り組みが重要であると思います。都として、国に先駆けて、率先して温暖化対策に取り組んでもらいたいというふうにお願いをして、次の質問に入らせていただきます。
 先ほどもお話ししましたけれども、昨年十月にスタートいたしましたディーゼル車規制は、大変厳しい経済状況下にもかかわらず、多くの事業者の方々のご理解とご協力によって規制の対応が進んでまいりましたし、規制開始後の違反車の割合も約二%と、極めて低い数字にとどまっております。
 また、規制の本来目的であります大気汚染の改善につきましても、気象条件に左右されない環状八号線井荻トンネルでの実測結果によれば、ディーゼル車の排出ガスに含まれるカーボンが二年前に比べ半減し、また、発がん物質も最大で約六割近くが減少するという劇的な効果があらわれております。深刻な健康被害が懸念される粒子状物質の削減の取り組み成果が上がっていることを、高く評価するものであります。
 しかし、その一方で、東京の大気汚染には、なお解決すべき問題が残されております。中でも、光化学スモッグ問題につきましては、冷夏だった昨年を除けば、近年悪化の傾向すらあらわれており、ヒートアイランド現象との関係も指摘をされております。
 私の地元の三鷹という自治体は、かなり周りに農地、空閑地がある緑豊かな自治体ですけれども、それでも夏になりますと、市の警報、スピーカーから、光化学スモッグ注意報が発令されたという放送が、時折、かなりの頻度で流れるという状況があります。これは、こういう状況を考えますと、今後の大気汚染対策を進めていく上で、重要な課題であるというふうに考えております。
 そこで、その原因となっております光化学オキシダントに関する都の取り組みについて、これからお伺いしたいと思います。
 まず、光化学オキシダントの都内の環境基準の達成状況はどのようになっているのか、また、ここ数年の光化学スモッグ注意報の発令日数や被害状況はどのようになっているのか、お伺いいたします。

○松葉環境改善部長 光化学オキシダント濃度は、近年再び上昇しており、都内の光化学オキシダントにかかわる環境基準の達成状況は、測定を行っているすべての測定局で適合していない状況が続いています。
 光化学スモッグ注意報の発令日数は、平成十二年が二十三日、十三年が二十三日、十四年が十九日、十五年が八日でありました。
 また、都内の光化学スモッグによる被害の届け出の状況は、平成十二年が十六人、十三年が五十二人、十四年が四百十人、十五年が十二人でありました。

○吉野委員 昨年実施をされましたディーゼル車の規制などによって、浮遊粒子状物質などの汚染状況が改善の傾向にあるという中で、光化学オキシダントの改善が進んでいないというふうに感じられますけれども、その理由についてお伺いをしたいと思います。

○松葉環境改善部長 都では、昨年六月に、光化学オキシダント対策検討会を設置いたしまして、光化学オキシダントの発生メカニズムの解明や対策について検討を進めております。
 光化学オキシダントは、大気中の窒素酸化物と炭化水素類、いわゆるVOCが紫外線を受けまして生成されます。
 光化学オキシダント濃度が上昇する原因は、日射量が増加していることや、原因物質である大気中の窒素酸化物や炭化水素類の組成の変化などによるものと考えております。組成の変化とは、自動車対策や焼却炉の排ガス対策により、大気中の窒素酸化物濃度の低減が進む一方で、炭化水素類への対策が不十分であったため、炭化水素類の濃度の割合が相対的に高くなったことによるものであります。

○吉野委員 今のお答えの中で、炭化水素類、いわゆるVOCなどが光化学オキシダントの生成に大きく関与しているというふうに感じられました。比率が相対的に上がっているといういい方もされました。
 ところで、全国的に見た光化学オキシダントの達成状況というのはどのようになっているのか、お伺いいたします。

○松葉環境改善部長 光化学オキシダントにかかわる環境基準の達成状況は、全国的にも極めて低い状況にあります。平成十四年度は〇・五%でありました。
 また、大都市に限らず都市周辺部におきましても、光化学オキシダント濃度が、注意報発令基準の〇・一二ppm以上となる日数が多くなっており、広域的な汚染の傾向が認められる状況にあります。
 平成十四年には、千葉県で十八年ぶりに光化学オキシダント警報も発令されるなど、昭和五十年代初期と同様の高い濃度レベルにございます。

○吉野委員 今ご答弁で、全国的にも光化学オキシダントの改善が進んでいないということから、国では、VOCの排出抑制を図るため、新たな取り組みを進めようとしているというふうに聞いております。
 そこで、国のその取り組みの内容について、どのようなものかお伺いいたします。

○松葉環境改善部長 国は、光化学オキシダントや浮遊粒子状物質による大気汚染を防止するために、これらの原因物質であります揮発性の炭化水素類、いわゆるVOC対策を進めることとしております。
 具体的には、塗装や印刷などを行っている工場、事業場からのVOCの排出抑制を行うために、大気汚染防止法の改正案を今国会に提出しています。
 今後、大規模な工場、事業場に対する規制と、それから事業者による自主的取り組みとの組み合わせによりまして、排出を抑制していくこととしております。

○吉野委員 今のご答弁のように、国が新たに大気汚染防止法の改正を行い、VOC対策に取り組もうとしている中で、都としても、国の対策におくれをとることなく、VOC対策に取り組み、東京の大気汚染の改善を積極的に推進していくことが必要であると考えます。
 今後、都として、光化学オキシダント対策にどのように取り組んでいこうとしているのか、所見を伺います。

○松葉環境改善部長 光化学オキシダントを防止するためには、VOCの削減が大変重要であり、このため、都は、現在光化学オキシダント対策検討会でその対応策を検討しています。
 国は、大気汚染防止法の改正による対策の施行を法改正後二年以内としているが、都は、これを待たずに早期に対策を講じるため、現在、都内の発生源からのVOCの排出実態の把握や、中小企業向けの処理装置の技術開発促進に努めています。
 今後、これらの結果を踏まえ、できる限り早期に対応方針を取りまとめ、東京の実態に即した光化学オキシダント対策を積極的に推進してまいります。

○吉野委員 今回私は、地球の温暖化、そして今の光化学オキシダント、この二つの取り組みについてお伺いさせていただきました。昨年のディーゼル車規制がそうであったように、国に先んじて、一歩前を行った取り組みを進めていくというのが知事の思いだろうというふうに思っております。
 そこで、局長、こうした二つの取り組みを、今後、環境局としてしっかりと進めていくんだという、決意のほどをお伺いしたいというふうに思います。

○小池環境局長 ただいま吉野委員の方から取り上げられた二つの項目は、一つは、これまで東京都で進めてきました、いわば都民の健康に直接かかわる項目の規制にかかわると、どちらかといいますと、従来の公害規制にかかわる光化学スモッグの問題だということがございます。
 これに加えまして、いま一つ大きな課題になっておりますのは、地球温暖化、先ほど答弁の中にもありましたように、温暖化問題というのは、地球温暖化とあわせて地域的な問題でもあります、ヒートアイランド問題というのは。これは東京が地球規模での持続可能性の問題でありますと同時に、東京という大都市が持続可能性を確保しながら発展を遂げていくための重要な課題となってございます。
 環境基本計画におきましては、一言で申し上げますと、都民の健康と安全を確保し、持続可能な社会、都市づくりを目指すということを基本理念に掲げておりますので、ただいまおっしゃられましたこの二つの目標を目がけて、その達成を目指して、常に国に先駆けて、東京は全国の自治体の先頭を切るような形で問題提起をし、また問題解決に積極的に当たっていきたいと思います。

○坂口委員 それでは質問させていただきますが、まず、この資料作成に当たりまして、また、いろんな質疑のやりとりに際しまして、現場の課長さんが大変熱心にやってくれましたことに、感謝を申し上げたいと思います。
 そういう上に立ちまして、今、吉野委員からもいろいろ質疑がありましたが、私は、タクシーに乗るたびに、これが目につくんですね。これはお金もかかっているんでしょうけれども、いいなと思いながら見ております。これは、環境局の自動車公害対策部と、それから東京旅客自動車協会が出しているビラですね。
 ここにも書かれておりますように、一つポイントは、その粒子状物質でございますけれども、東京、埼玉、千葉、神奈川と連携してディーゼル車の規制を開始したわけでございますけれども、その成果があらわれているということですね。それで、今もありましたけれども、平成九年に比べまして、一日のペットボトル、十二万本分のものが約五万本分になりましたと。
 その下に書いてあることも、僕は重要だと思うんですね。きょうの質疑とも関連するんですけれども、公共交通機関、タクシーのところにこれが置いてあるわけですが、タクシー、それからバス等のご利用をお願いいたしますと。字数は少ないわけですけれど、今のまさに環境局が掲げている、また東京都が掲げているこの課題、課題だけではなくて、その成果と、どういうふうにしてもらいたいかという都民へのメッセージが大変コンパクトにまとめられておりまして、大変いいなと評価をさせていただくものでございます。
 そんなエコ等を念頭に置きながらも、さらに努力をしないと、この巨大都市東京の環境というのはよくならないんではないかということを考えるのは、私だけではないと思うんですね。
 前回も申し上げたかと思うんですが、ヨーロッパにおきましては、今、局長の答弁と同じなんですが、持続可能な都市再生というコンセプトというのは、先進国では共通した課題になっていると思うんです。しかし、理念と中身が、まだ日本の場合には不徹底ではないかというのが、私の率直な思いでございます。前にもストラスブール、フライブルクの例を引き合いに出させていただきました。
 例えば、ストラスブールの場合ですと、環境と人間との共生ということとともに、具体的にその都市の交通対策等を含めて、それへのシフトが行われております。日本でも、ないわけではありません。東京都もそれをやろうとしているわけでございますが、この間、広島へ参りました。広島などでも、撤去されていない電車ですね、またはアストラム、ちょっと赤字を抱えていて大変なようでございますけれども、経営上は大変なようでございますが、などを利用いたしまして、まさに持続可能な都市再生、その中における公共交通の役割を重視した施策が展開されているところでございます。
 そんなことを見るにつけましても、目標がきちんと、理念がきちんと明確にされ、目標が定まって計画ができれば、日本の社会ではかなりのことはやることができるというのが今までの環境行政の実態ではないかと、そのように私は考えております。
 東京都におきましては、特に交通対策につきましては、交通需要マネジメント東京行動プランというものを平成十二年に作成しておりまして、いろいろ施策が講じられております。最初、資料を出していただいたときに、文字だけで書いてありますので、これではだめだと。今は行政評価ですとかベンチマークですとかいわれる中にあって、またはパブリックコメントですか、いわれる中にあって、具体的な数字目標を掲げてほしいと。それで、どこまで達成されているのか、どういう課題があるのか、それを克服して、目標を達成するためにはどうしたらいいのか。この行政だとか、我々にわかるだけでなくて、都民にも見えるような形で、何とか表記をしてほしいということで大変な努力をいただきまして、ぎりぎりここまで数字を挙げていただいたわけでございます。
 そんなものを前提といたしまして、お尋ねをするわけでございますけれども、まずは、この中にもありますけれども、全部これを聞くというのは大変でございますんで、絞り込みまして、幾つかにスポットを当ててみたいと思うんです。
 この中に、自動車から公共交通への転換策の主要な事業として、パスネットというのがありますね。これは、僕はもう大変ヒットだったと思います。十年、二十年前を想起いたしますと、東京が、公共交通網はあるわけでございますが、何と不便なまちかと。よく、パリやニューヨークなどと比較されたわけでございますが、それがパスネットによって解消されましたね。さらに、世界に先駆けてといっていいと思うんですが、Suicaのような新しい非接触型のカードなども登場してきているということになります。
 そういう今までの成果と、それから課題を見詰めるならば、パスネットまたは新たに登場してきておりますICカードのような、そういうものをもっとうまく活用することによって、その見えざるバリアを克服していくことができないかどうか、さらに利便性を高めることができないかどうかという、その思いが出てきて当然だと思うわけでございますが、まず一点といたしまして、パスネットの導入によって、私鉄の乗り継ぎは大変便利になったと実感をしております。
 しかし、JRだって、今、国鉄ではなくて民間なわけですね。ですから、そこを何でこういうふうに共通化ができないかというような課題がございます。
 また、多摩地域では、バスですとか鉄道ですとかモノレールですとか、そういったものがあります。または、鉄軌道が必ずしも多くないんですけれども、バスとバスとの乗り継ぎがあります。
 それから今申し上げました区部でも、JRなどとの相互利用というようなことも課題としてあるわけでございますけれども、このパスネットとバスの共通カード、それから本会議で野田議員が質問された思うんですけれども、このSuicaなどとの共通化の見通しについて、どのように環境局ではとらえておられるのか、お聞きしたいと思います。

○月川参事 自動車から公共交通への転換を促進するため、共通乗車カードをパスネットにより鉄道相互の乗りかえ利便性の向上を図ることは重要な施策でありまして、交通局が他の鉄道事業者とともに展開しております。
 パスネットを使用できる鉄道駅は、現在、東京の六百二十一の私鉄駅中六百十二駅であり、ほぼすべて網羅してございます。
 カードの共通化につきましては、パスネットとバス共通カードのそれぞれの事業者が、新しいICカードによりまして、両者を統一する目的で、この二月に、パスネット・バスICカード株式会社を設立しております。さらに、この会社は、この三月に、都内に百四十駅を有します東日本旅客鉄道株式会社と、Suicaとの共通化を目的とした、株式会社ICカード相互利用センターを設立しております。今後、平成十八年の稼働を目指すというふうに聞いております。

○坂口委員 今大変話題になっております、また東京都の新しい銀行のサービスなどとも関連してくるということで注目されているわけでございますが、このSuicaのようなタイプのICカードを使ったシステムというのは、新しい社会システムモデルであり、ビジネスモデルになるんだと思うんですね。したがって、すべて公がやる必要はないと思いますけれど、東京都も出資を交通局が予定をしている、二千四百万ぐらいでしたでしょうか、予定しているようでございますけれども、いい意味での触媒になっていただきまして、この大都市東京における、先ほど申し上げました利便性の向上、バリアをなくしていくということに、ぜひ寄与をしていただきたいと思います。
 次に、そのような公共交通の利便性を一方においては増すということとともに、他方において、その車の単体に対する規制も大変重要なんですけれども、総量規制ですね、これから目をそらすわけにはいかないと思うんです。これをどうやるかというところの延長線上に、ロードプライシングが出てくるんだと思うんです。これの進捗がわかるようでわからない。
 それで、先ほどいいました、例えばストラスブールのような四十万人ぐらいの広域行政圏でしたら、比較的話は簡単だと思うんですが、一千二百万人、首都圏ということでいいますと三千万人の巨大メガロポリスなわけでございますから、どこかを特定してやるとしても、これは大変な困難が伴うんじゃないかと思います。
 しかしながら、避けて通れない課題であると思っているわけでございますけれども、その検討状況と課題につきまして、お聞きしたいと思います。

○月川参事 ロードプライシングにつきましては、東京都ロードプライシング検討委員会報告書に対します都民や事業者などからの意見を踏まえまして、課題の整理を行ってまいりました。
 東京におきましてロードプライシングを実施するためには、迂回交通の受け皿となります環状道路の整備が条件となります。また、膨大な量の自動車に対します公平かつ確実な課金徴収を行うことが必要でございます。このような課題がございます。
 今後とも、ロードプライシングにつきましては、ロンドンや他都市の取り組みも調査し、さまざまな角度から、さらに検討を進めていく必要があると考えております。

○坂口委員 おっしゃるとおりだと思うんですね。やはり骨格になる道路ですとか、またはそれに連接する迂回道路のようなものがなければ、都市機能に麻痺が起きると。人間にたとえますと、心筋梗塞が起こってしまうようなことにもなりかねないということであろうかと思います。
 それから課金徴収も、シンガポールの例を二回ほど見ておりますけれども、やはり、シンガポールの場合には、淡路島のようなサイズの都市国家でございますので、比較的うまくいっているようでございますけれども、東京でやろうとした場合には、いろんな問題が想定されます。そんなことを含めますと、直ちにはなかなか実施しにくい、できにくいと。しかしながら、やはり検討や研究はしっかりと続けていかなければならないんではないかと、そんな感じがいたします。
 そんなことを前提に、ロードプライシングを実施するには、モデル実施といえども、まだかなり時間がかかるのかなという気が率直にいたします。その展望も聞きたいわけでございますけれども、ここではちょっと視点を変えて、その前に、ちょっと待てよと。もう少しやるべきことがあるんではないかという視点から、質問させていただきたいんです。
 富士山に登るに当たりましても、吉田口から登ったり、御殿場の方から登ったり、いろんな登山ルートがありますので、ちょっと別の登山ルートを探ってみようという感じでございます。
 どういうことかといいますと、具体的には、こういう議論をしているさなかに、吉祥寺で新しい情報サービスが始まっているわけでございますが、それに近いようなものが東京都の一定のエリア、または東京都全域でできないかと。将来的には、八都県市などで組んでできないかという提案を含めての質問でございます。
 具体的に申し上げますと、東京というのは、社会資本の整備がおくれていることは確かなんですが、全くないわけではないですね。いろんなアジアの諸都市と比べたら、大変社会資本のストックが充実しつつある都市でございます。また、公共交通も、それなりに整備されているところでございます。
 それに加えていうならば、調べていただいたんですが、約五十万台を超えるほどの駐車場などもあるということですね。これ、民間の細かな駐車場まで把握できていないわけでございますが、約五十数万台分の、五十八万台といいますから、かなりの数ですね。では、車はどれくらいあるのかといいますと、東京都内だけで四百四十万から五十万台というわけでございますから、それから比べると一割強ということで、さして多くないといえるかもしれませんが、しかし、これだけの駐車場があるということですね。
 では、それが本当に有効に使われているのかどうか。もうちょっといいますと、例えば渋滞情報などに遭遇した場合に、では車をどこかにとめて、パーク・アンド・ライドではありませんけれども、電車に乗ろうかといった場合に、駐車場がわからないでうろうろしたり、路上駐車で置きっ放しで行く人は少ないでしょうけれども、そういうことになってしまうわけですね。適切な情報が、適時適所になかなか届けられていない。それは、ただあいているという情報だけじゃなくて、料金情報も含めてですね。
 私的な思いになりますけれども、やっぱり二千円を超えるなんていうと、ちょっと考えちゃいますね。しかし、千円ぐらいであったら、これは安いなと感じますね。大体、三鷹ですとか私の近辺では、一日とめて千五百円ですとか千六百円ぐらいというのが相場ですが、ちょっと高いかなという感じはするわけでございますが、かなり利用されている向きがあります。
 ですから、そういう情報を、今普及が著しい、例えばカーナビゲーター、カーナビゲーションのシステムですとか、または携帯電話ですとか、そういったもので提供できるような、そういうシステムを開発して、この普及を促進していくということが大変重要なんではないかと思います。
 私、教員時代、コンピューターを教えていたんですが、一番最初にコンピューターが使われたのは、やはりOA部門ですね。軍事部門です。しかし、その次に一番早かった業種というのは何かといいますと、航空機産業ですとか、または銀行ですね。航空機は何をやっていたかというと、リザベーションですよ。一機、大体ジャンボですと五、六百人乗せられるわけでございますが、五〇%で飛ばしても、八〇%、一〇〇%で飛ばしても、そう燃料費は変わらないわけですね。しかしながら、収益にはものすごい影響が出てくるわけですね。これは、先ほどいいました五十八万台を、例えばジャンボ機に換算しますと、大変な数になりますね。
 ですから、そういうアイデアを東京で使うことができないかどうかです。つまり、車の利用者、これから利用しようとしている人が、そのカーナビまたは携帯電話で、どこにどういうあいている駐車場があると、料金は幾ら、一日とめておいて幾らというようなものがつかめれば、そこへ誘導することができる。そして、カーナビのところに、できるだけ公共交通を、渋滞しておりますので公共交通をご利用くださいというようなメッセージが出れば、これは大変使い勝手がいいということになります。
 そこでお聞きするわけでございますが、車の利用者に対しての道路混雑情報の提供や、駐車場への誘導システムについて、現状と、それからどんな取り組みがなされているのか、お聞きをしたいと思います。

○月川参事 交通需要マネジメントを推進する上で、車の利用者に対しまして情報提供システムを充実することは重要でございます。
 現在、車の利用者に対しまして、道路交通情報システムであるVICSを搭載したカーナビゲーションに、各経路の渋滞情報や所要時間情報などが提供されております。
 また、駐車場への誘導システムにつきましては、都市計画局と財団法人東京都駐車場公社が、ITカーナビ駐車場案内・誘導システムを推進しているところでございます。
 このシステムは、駐車場のあき情報や駐車可能な車両の制限、提携店の割引など、運転者が駐車場を選ぶときの好みの条件を提供するものでありまして、平成十五年から、渋谷、新宿、池袋及び町田駅周辺で、約七百の駐車場を対象に試行してきました。先ほどお話のありました吉祥寺駅周辺の駐車場案内につきましては、このシステムを採用しております。
 今後、他の駅周辺地域におきましても、こうした情報提供サービスの拡充が予定されているところでございます。

○坂口委員 ありがとうございました。
 時間の関係もありまして、吉祥寺のシステムについては省略をさせていただきますが、VICSというような、これは財団法人でございますけれども、そのようなところが、各経路の渋滞状況ですとか、所要時間情報などをディスプレーに表示するというような、もうサービスを始めているということですね。
 それに、駐車場の、今いわれました都市計などが音頭をとってやっております、このモデルですね、現在は七百駐車場四万台ということでございまして、全体の総数からすると一割以下でございますが、こういうモデル実験の結果が大変重要だと思いますので、このようなものをうまく組み合わせていくならば、全都において、渋滞情報と、それから駐車場のあき情報または予約情報と、そしてまた公共交通機関への誘導情報、そういったものを提供していくということは、できるんではないかと思うんです。
 ですから、ロードプライシングというのは、やはり深めていかなければならない研究課題ではございますけれども、これが、ある意味では総量規制の、車のアクセル、ブレーキにたとえますならば、レギュレーションをする、このブレーキに相当するものであるとするならば、先ほど申し上げましたような例えばパスネット、Suicaなどのような共通カードといいますか、公共交通利用のためのアクセルということになりますね。
 しかし、そのベースとなるものは、やはりこの都市基盤であり、それがどう使われているかの情報システムだと思うんです。情報が正しく把握ができませんと、みんな、車が便利だと思っていますから車で出る。しかしながら、よくシステム論でやりますように、合成の誤謬ということがありますが、みんな便利だと思って出た結果が、総体として見ると、全体として見ると不便なものになってしまって、また公害をまき散らす元凶になっているということが世の中にはよくあるわけでございまして、大都市東京においても同じような課題を抱えているわけですね。
 そんなことで、ぜひこのカーナビや携帯電話を使った交通誘導システムというようなものを、もう一度きちんと洗い直しまして、まさに足元を照らし省みる、脚下照顧ではありませんけれども、今後ちょっと、都市計や建設局や、そういったところはプレーヤーのような存在でございまして、ちょっと引いたところであればこそ全体の状況がよく見えるという部分がありますので、環境保全局にそのコーディネーターとして頑張っていただきたいと思います。
 それでは、この問題の最後でございますけれども、先ほど吉祥寺の例を挙げましたけれども、これは武蔵野市がやろうとしているわけでございますけれども、武蔵野市や、東京都の例えば都市計画局です。それから都内だけでやっても、これは実が上がらないということがいえようかと思います。八都県市などを含めて、これから交通需要マネジメントをどのように展開していくのか、その展望と決意のほどを局長にお聞きして、この課題については終わりにしたいと思います。

○小池環境局長 ただいまお話がありましたように、交通需要マネジメントは非常に重要なものでございまして、今、東京の状況を考えますと、交通渋滞は従来から大きな課題になっておりまして、その結果として、大気汚染だとか、これまた今問題になっております地球環境の問題でも、CO2の発生源でありますし、熱汚染という格好でも一つゆえんになっていると。
 また、別な見方をしますと、社会経済的に大きな損失を講じているというようなことで、いかに大都市東京の機能を確保していくためにこの交通渋滞を緩和するかという大きなことが重要な課題になっています。
 その際に、施策としては二つ、ご案内のようにございまして、一つは、いわゆる基盤整備、ハードですね、三環状道路整備を中心とした道路ネットワークを形成することで、円滑な交通量を確保していくということが一つ大きな課題になっておりますが、あわせて、重要なこととしまして、どちらかといいますとソフト面での対策ということで、この交通需要マネジメントが提起されているということで、今これを推進しているということでございます。
 今お話がございましたように、ではどういう形で進めるかということにつきまして、資料の方にも、これまでの取り組みの実績等お示ししてございますが、今お話がございましたように、一つは、自動車から公共交通機関への転換を図っていくということで、その利便性確保のために、お話がありましたようなパスネットだとか、いろんなバリアをなくしていくという取り組みをやっているということと、それからまた、パーク・アンド・ライドということで、駐車場情報というような新しい動きが出ております。
 環境局といたしましては、独自にそれを自分たちの施策としてといいますか、自前のものが非常に限られているわけでございますが、関係各局が、今お話がありましたプレーヤーという形で実際やっていただいておりますので、そういうことを全体として取りまとめていく、コーディネーター役としての環境局の役割を果たしていって、まずは東京の問題を片づけて、足元をまず固めていきたい。この東京の取り組みを、いろんな形で八都県市も参考にしていただく。そしてまた交通流全体で見ますと、これは広域的にかかわっておるものですから、やはりそこで広域的に可能な、特に公共交通機関の輸送転換、パーク・アンド・ライドといったものの施策にも、八都県市でも議論できるような形で展開していきたいと思っております。

○坂口委員 ありがとうございました。着実に進めていただきたいと思います。
 次に、通告をさせていただきました、また資料をいただきました廃棄物対策ですね、産業廃棄物が中心でございますけれども、ちょっとホットな話題といたしまして、多摩地域では、世界に先駆けてエコセメントのプラントをつくりました。一廃の処理をリサイクルでセメント化するというのは、世界でも初めての試みだと思います。その成果と課題といいますか、それが注目されている折でもありますので、産業廃棄物の問題とあわせて質問をさせていただきたいと思います。
 まず、今回、産業廃棄物の審議会答申、中間のまとめでございますが、出されたわけでございますけれども、この現状についてお伺いをしたいと思います。
 一つの転換期は、さきにも何回か申し上げましたニッソーの事件がありまして、このままでは何ともしがたいということで、大変大きな問題、または所沢のいろんな産廃業者の問題なども社会的にも大変注目され、また指弾をされたところでございます。
 それらを一つの契機といたしまして、東京都の方でいろんな対策を進めてきているわけでございますが、現在、都の許可を持つ処理業者というのはどれくらいあるのか。そのうち、その保管ですとか、積みかえ施設や焼却施設などの施設を持った業者の数がどれくらいあるのか、まず教えていただきたいと思います。

○福永廃棄物対策部長 平成十四年度末現在、東京都の許可を有する産業廃棄物処理業者は、約九千六百社ございます。このうち収集運搬業者は約九千三百社、中間処理業者と最終処分業者合わせまして、約三百社でございます。
 施設を保有しております事業者は、約七百社でございます。内訳といたしましては、保管、積みかえ施設を有する収集運搬業者が約四百社でございます。中間処理施設または最終処分場を有する処分業者が約三百社でございます。

○坂口委員 大変な数だということがわかりますね。おおよそ一万社ぐらいあるということでございます。
 その施設を持っている業者だけでも約七百社ぐらいということでございまして、その処理能力に対してどの程度その稼働の実績があるのか。
 また、かつてマニフェスト、今はマニフェストというと政権公約に何かとってかわられた感がありますが、マニフェストがきちんとしていない、それをきちんとさせようというような東京ルールがつくられました。今、食品安全の問題でトレーサビリティーという言葉が大変キーワードになってきているんですが、この静脈ルート、産業廃棄物などにつきましても、そのトレーサビリティーというキーワードを用いるように、私はした方がいいんではないかと思うんです。自分のところで出したものがどういう業者に受け取られ、どういう中間処理を受けて、最終処分地がどうなっているのかですかね、知る人ぞ知るの世界で極めて不明朗であると。そんな中で、事件も起こっていると。殺人事件なども起こっているというのが、この業界の実態でございます。
 そんな状況でございますので、今日でも一万社近くあるわけでございますけれども、どういう排出業者を選んだらいいのか、なかなか出す側においても判断が難しい状況があるのではないかと思います。安心して排出業者が選べるような、この情報の開示と仕組みが必要なんではないかと。この中間のまとめでも、まさにこのような発想に立ちまして、産廃業者に対して健全な静脈産業の担い手として発展していかなければならないと、そんなような表現が見られるところでございます。
 このような実態にかんがみて、中間のまとめではありますけれども、都の現在の認識と今後の取り組みについて聞かせていただきたいと思います。

○福永廃棄物対策部長 処理業者の中には、顧客の獲得を優先する余り、能力以上の産業廃棄物の処理を請け負いまして、これが許可のない者に横流しする結果となって、不法投棄につながる場合が多くございます。
 また、そもそも中間処理施設や保管、積みかえ施設の搬出入や稼働状況など、処理業者の事業の状況が不透明であることが、排出事業者にとって信頼できる処理業者を選びにくいという要因にもなっているというふうに考えております。
 そこで、中間のまとめでは、処理業者に産業廃棄物の搬入や搬出の実績や施設の稼働状況など、処理の状態が確認できる内容の報告を求め、それを公表する制度の創設が提言されたところでございます。
 今後、この提言を踏まえまして、処理の状態が透明化し、排出事業者にとっても信頼性の高い処理業者を選定できるよう、実効性のある報告、公表制度の具体化を進めていくとともに、立入調査を効率的に行うことで、産業廃棄物処理業界全体が透明性、信頼性を高め、健全な静脈産業として発展していくことを促進してまいりたいというふうに考えております。

○坂口委員 方向としてはそういうことになろうかと思うんですけれども、もうちょっと何か創意工夫があってもいいんじゃないかという気がするんです。
 先ほどのディーゼル車の規制のところにちょっと戻りますけれども、私の実感では、民間のトラック業者などの排ガスはものすごくきれいになっていると思うんですね。ところが、バスがだめですね、バスが。この間、都バスの番号も控えましたけれども、きょうもちょっと民鉄の、民間のバスで、やっぱり発車時にかなりの黒煙を巻き上げているんですね。見ますと、いわゆるマル適マークがついているんですね。ですから、具体的に社名をいおうかどうか、ちゅうちょしているところなんですが、ちょっとやっぱり問題が残っているんではないかという気がいたします。この産廃業者の場合にも、もっとわからないという部分がありますね。
 そこで、ただマル適だけでなくて、これは一つのアイデアで、このとおりやってほしいということではないんですけれども、例えば、今、銀行業なんかで、または保険業などで、トリプルAですとかツーAですとか、ダブルBですとか、いろんなこういうふうにランクがありますけれども、ちゃんと今までの実績を評価できる物差しをつくりまして、それで、何かこの業者は超優良だと、この業者は普通の業者だと、収集、それから中間処理、最終処分地も含めて、すべていいところは、例えばトリプルAとか、普通のところはBだとか、そんなようなところまでやっぱり徹底しないと、やみからやみへという産廃処理の実態というのは、緩和こそされ解決しないんではないか、そんな気がいたします。ご検討をお願いしたいと思います。
 そこで、東京都も、ただルールを決めるだけではなくて、この都市再生の事業の一環といたしまして、スーパーエコタウンの事業を既に始めているわけでございますが、都計審の委員としてかかわっているんですが、次から次へと新しいタイプのリサイクル事業が、城南島等に進出をしてきているわけでございますけれども、期待をする反面、安全性の問題等で心配を持っているというのが私の本音でございます。
 しかし、一応確認すべき内容といたしまして質問するわけでございますが、この静脈産業の担い手として、できるだけ都内で処理をしていこうと、この姿勢は評価するわけでございますけれども、スーパーエコタウンの事業が今進められております。この事業では、建設の廃棄物、食品廃棄物などの処理施設が整備されているわけでございますけれども、全体的な事業内容と進捗状況、将来の姿、また、これができたら、一体産廃のどういうものについて、どれだけ自区内で処理ができるようになるのか、それが見えません。その辺についても教えていただきたいと思います。

○松本参事 スーパーエコタウン事業は、廃棄物の都内処理率の向上、リサイクルの推進等を目的に、民間事業者のすぐれた技術を結集したリサイクル拠点を東京臨海部に整備するものであります。
 整備する施設としましては、マテリアルリサイクルが困難なため、これまで破砕しただけで埋め立てられていました廃プラスチック類等を燃料として、高効率発電を行うガス化溶融等発電施設、高度成長期の建築物の更新に伴い、排出増加が予想されます建設廃棄物のリサイクル施設及び廃情報機器類、食品廃棄物のリサイクル施設などがあります。
 いずれも環境負荷の軽減や情報公開に配慮しておりまして、都内に廃棄物の受け皿となる信頼性の高い施設が整備されることで、適正処理の推進に寄与するものであります。進捗状況としましては、既に三施設が着工し、この四月に廃情報機器類のリサイクル施設が稼働します。来年度中には、さらに建設混合廃棄物のリサイクル施設二施設が稼働します。
 他の施設につきましても、今後順次着工しまして、平成十八年度ごろまでには稼働する予定であります。

○坂口委員 概略はわかったわけでございますけれども、先ほどの交通需要マネジメントと同じで、少し具体的な数字を挙げて、都民の皆さんに、または関係者に見えるようにした方がいいと思うわけでございますけれども、これらの施設が完成をいたしますと、十八年度から稼働する予定ということのようでございますけれども、具体的に、それぞれの産業廃棄物の都内処理率がどのようになっているのか。東京で全部処理ができればいいんですけれども、そんなことはまずあり得ないわけでして、電力でもほかの農産物でも、大消費地東京に全国から物が集まってくると。消費財についても、大変な量が東京で処理されるわけですから、それを、先ほどの局長答弁でありませんが、できるだけ自区内でリサイクルをするような、自立性を高めることが必要だと思うんですけれども、すべてができるわけではないと思うんです。しかし、初めての組織的な取り組みである産業廃棄物の集中的な処理センター、これが完成すると、都内の処理率がどのように向上していくのか、お聞きをしたいと思います。

○松本参事 中央防波堤内側埋立地に整備しますガス化溶融等発電施設におきましては、都内の産業廃棄物の廃プラスチック排出量の三割以上に相当する、年間約十六万五千トンの廃プラスチックを受け入れまして、これを燃料として高効率の発電を行ってエネルギー回収いたします。
 さらに、年間約一万八千トンの感染性廃棄物を焼却処理することによりまして、都内から排出される感染性廃棄物を全量都内処理できる能力が確保されます。
 城南島に整備します建設混合廃棄物のリサイクル施設では、二施設合計で年間約五十五万トンの廃棄物を受け入れまして、これによりまして、都内で発生する建設混合廃棄物のほぼ全量の都内処理が可能となります。
 また、食品廃棄物リサイクル施設二施設では、レストラン等から排出される食品残渣を、二十三区内からの排出量の二〇%強に相当する年間約八万トンを受け入れまして、バイオガス発電や飼料化によるリサイクルを行う施設でありまして、食品廃棄物リサイクルのモデルとなるものであります。
 このように、スーパーエコタウン事業は、都内処理率の向上、リサイクルの促進等に大きく寄与するものでありまして、都は今後も着実な事業推進に努めてまいります。

○坂口委員 これが本当だとすると、画期的なことだと思うんですね。この廃プラスチックの問題は大きな課題ですから、三割以上であると。全量ではありませんが、三割以上。
 それから、例のニッソーの事件で問題になりました医療産業廃棄物ですね、多摩地域にも余波もありまして、いろんな問題が惹起された経緯がありますけれども、全量処理ができるというわけでございますから、大変画期的と。
 ただ、手ごろな値段で安心して預けられるような、先ほどの業者の選定でありませんけれどね。受け入れ量はあるけれども、高くて、とてもほかへ回した方がいいというようなことになってしまっては、元も子もないわけでございますから、手ごろな、安いとはいいませんけれども、手ごろな費用で安心して託せる、そんな事業を展開してもらえるように指導していただきたいと思います。
 それから、建設混合廃棄物でも、都内で発生するほぼ全量処理ができるというわけですから、これは大変なことであろうかと思います。食品廃棄物は二〇%ということでございますが、きちんとした施設整備と健全な運営を期待するものでございます。
 そこで、目をちょっと転じまして、産業廃棄物ではなくて、一般の廃棄物ですね。先ほどちょっと申し上げましたけれども、一月二十六日に、三多摩地域廃棄物広域処分組合が、大体人口でいいますと三百八十万、今多摩地域は四百万人になったといわれているわけでございますが、そのうちの三百八十万人のエリアをカバーする、この広域処分組合でございます。ここがエコセメント化施設の起工式を行いました。環境局長を初め何人かの方が参加されておられると思うんです。
 このエコセメント化の事業といいますのは、いろいろ問題がありました例の二ツ塚処分場の寿命を、今の二倍程度に延命できるというものでございます。それだけではなくて、この焼却灰等をセメントの原料とする画期的な技術でございます。私もいろんな形で、この溶融スラグの問題、エコセメントの問題にかかわってまいりましたけれども、二十三区は、今スラグ化なんですね。スラグ化も大変いいんですけれども、再利用の方途が必ずしも明確化されておりません。路盤材ですとか路床材ですとか、いろいろいわれているんですけれども、かなり使途が限定されております。
 それに比べまして、このエコセメントといいますのは、大変すぐれた方法であると、そんなふうに認識をしております。ぜひとも、いい施設をつくってもらいたいと思っておりますけれども、今いいましたように、エコセメントは大変すぐれた側面を持っているわけでございますが、例えば、家庭のごみなどが入ってまいりますと、そこに塩分が入っているということで、ナトリウムの問題、さらには今申し上げました流通路の問題ですね、販路の問題等がどのようになっているのか、若干の懸念を持っているものでございますが、まず基本的な部分についてお聞きをしたいと思います。

○福永廃棄物対策部長 エコセメントは、清掃工場から排出されますごみ焼却灰等が、普通のセメントの原料である粘土、石灰石に似た成分を持っていることに着目いたしまして、ごみ焼却灰等を主原料として製造される新しいセメントでございます。平成十四年七月にJIS規格化がされました。
 エコセメントは、普通のセメントと比べて、ご指摘のとおり塩素含有量が多く、高強度コンクリート等特殊なものには使用できませんけれども、一般の鉄筋コンクリート構造物を初め、広範囲の用途に使用できます。
 なお、焼却灰等に含まれるダイオキシン類については、製造工程で高温により分解するとともに、重金属類等について捕集、回収し、資源化されるため、エコセメント製品の安全性については問題がないと考えております。

○坂口委員 流域下水道などで、いろんな汚泥を使いました、例えばメトロれんがというんでしょうか、そういうものもつくられていて、これはいいなと思うんですが、ちょっと高かったりして、使途が限定されているというようなことがございます。
 まず、安全で安心なセメントであるということがきちんと確認される必要があると思いますし、また価格の面でも、手ごろな価格でありませんと、これが流通路に乗っていかないと。下手をするとストックされたまま、まあ、野ざらしになることはないかもしれませんけれども、さばけていかないと、そんなことも推測されるわけでございまして、広く使われるようにするためには、普通のセメントと十分競合できるような価格設定が必要であろうと思いますし、また、多摩地域のみならず、公共工事で広く使用するというような環境をつくっていくことも、大変重要ではないかと思います。
 また、その需要が落ち込んで売れ残った場合に、処分組合その他構成団体である市や町に損害を与えるというようなことがあってはならないと思いますけれども、その辺についてもお聞きをしたいと思います。

○福永廃棄物対策部長 広域処分組合からは、価格につきましては普通のセメントとおおむね同程度になると聞いております。
 エコセメントが、もともと市町村の清掃工場から排出された焼却灰等からつくられたセメントであることから、多摩地域の各市町村が、みずからの公共工事で積極的に使用していただくことが望ましいと考えております。
 また、平成十五年七月に、処分組合が締結をいたしました委託契約では、受託会社が製造されたエコセメント全量を引き取ることが明記されておりまして、需要が減ってエコセメントが万一売れ残った場合でも、処分組合及びその構成団体でございます市や町が損害をこうむることはございません。
 都といたしましては、広域自治体としての立場から、エコセメント事業が円滑に進みますよう、都の公共工事での活用を含め、今後とも支援してまいります。

○坂口委員 最後に局長に、今後の産業廃棄物対策、または今の一廃ではございますけれども、エコセメントなどを含みますところの廃棄物のリサイクルにつきまして、これからの展望と決意をお聞きするわけでございますけれども、冒頭申し上げましたとおり、東京での自立性を高めるという努力は怠ってはならないと思います。そういった意味でも、このスーパーエコタウン事業の推進というのは喫緊の課題であり、また時宜を得た事業だと思うわけでございますけれども、あわせて、東京都内で、それでは全部処理ができるかというと、これまた非現実的なところがあるわけでございまして、近隣の埼玉や千葉や神奈川、または八都県市などとの協力ということも、これ欠くべからざる課題であろうかと思います。
 それらを含めまして、今後の産業廃棄物行政または一般廃棄物の行政を含めまして、所管局の長として、どのような展望と決意を持っておられるかお聞きしまして、私の質問を終わらせていただきます。

○小池環境局長 特に最初に取り上げられました産業廃棄物について、まずご答弁させていただきたいと思います。
 都内から一年間に発生する産業廃棄物は、発生ベースでいきますと二千五百二十二万トンあると、こういうことがございまして、中間処理したり、それから再利用をしたりというふうに、いろんな努力をこの間積み重ねてきているわけですが、かなりの努力をして、今の時点で最終処分量は、それでも一割弱残ると。そのうちの七七%が他県に依存しているというのが状況でございます。
 したがいまして、これほど多くの産業廃棄物の最終処分を他県に依存しているという東京の姿からいたしますと、産業廃棄物が適正に処理、そして処分されるということに対しては、東京都が責任を持ってその仕組みづくりをしていかなければいけないというのが、まず基本的な認識でございます。
 そのような立場から、今回、審議会にもお願いいたしまして、具体的なところをご議論いただいているわけですが、翻って考えてみますと、産業廃棄物という問題は、これの発生から処理、処分という流れをたどりますと、今お話がございましたように、やはり都市を一つの生き物としてとらえるならば、やはりこれは静脈系を、静脈としての役割を果たしているという、重要な役割を果たしていると思っています。
 私は港湾局におりましたんで、どちらかといいますと動脈系ばかりやっていたんですが、都市が活動し、また都民の生活を支えるために、港湾のサイドから物資を供給すると、これはどちらかというと物流系、動脈物流ということでとらえているわけですが、やはりそれが生活し、都市が活動した結果、都市が発展する過程の中でどうしても廃棄物が出てくると。これは静脈系ということなんですが、この動脈と静脈がすべてうまく機能して、初めて都市が持続的に維持できると、こういうようなとらえ方ができると思います。
 その中で、最初に申し上げましたような東京の現状をとらえますと、やはり東京の都内の中で中間を処理する、ある意味ではストックを確保しなければいけないんではないかということで、今お話がございましたように、スーパーエコタウン事業、こういうものが非常に重要になってくるんではないかということで、先ほどお話がありました、かなりの処理能力を持ったものが臨海部に一大拠点として形成されるというふうになります。
 それから、産廃ではないんですが、一廃につきましても、エコセメントという形でリサイクルに回されるようになるということですから、いわゆる静脈系の物流というものが、流れというのが次第に形づくられつつあるというふうに認識しております。
 特に、これまでのとらえ方からしますと、産業廃棄物というのは汚いものだと、非常に悪い業者がいっぱいいるというようなことで、社会的ステータスも悪かったわけですが、こういうような中間処理の状況をうまく形づくりながら、そしてまた今回の中間のまとめにありますように、排出事業者と処理事業者の透明性を確保しながら社会的責任を全うしてもらうと、こういう取り組みを、仕組みづくりを予定しているわけですが、こういうことを通じまして、社会的ステータスも高めながら、全体として資源循環型の社会形成ということで、先ほど申し上げましたような基本計画におきます持続可能な都市づくりと、一貫して全力を挙げて取り組んでまいりたいと思います。

○坂口委員 最後に要望でございますけれども、多摩地域に住んでおりますんで、今NHKの大河ドラマで、近藤勇が大変人気を博しているようでございますけれども、このエコセメントのプラントも、市原の施設に次いで、市原の倍の処理量があるわけでございますけれども、まさに世界に先駆けてのプロジェクトになります。
 ですから、失敗は許されないということとともに、その内容を、完成の暁だけではなくて建設途上から、他の自治体にも、またはアジアの大都市サミットなどもあるわけでございますから、発信をしていただきまして、こういう一つのいろんな廃棄物の処理の方法があるんですよというようなことを、やはり皆さんにお知らせをしていくと、情報の発信をしていくということが大変重要なんではないかと、そんな気がいたします。
 この処分組合の理事長さんは、たまたま武蔵野の市長さんでございまして、武蔵野市は、ご承知のとおり役所の隣にごみの焼却施設があるわけですね。これは、ある意味では全国のモデルだと思うんですけれども、そういうことが大変武蔵野のまた知名度を上げているという部分がありますんで、この夢のプラントといっていいかどうかわかりませんけれども、世界で初めてのプラントでございますので、成功できるような環境といいますか、支援とともに、その情報を適切に全国に向けて、またはアジアの諸都市に向けて発信をしていただきたい。また、そのためのサポートを環境局にお願いしたいと。
 以上でございます。

○東野委員 私の方からは、二点の質問をいたします。最初に温暖化対策、そして鳥インフルエンザ対策について、お伺いしたいと思います。
 最初の温暖化対策につきましては、先ほど吉野委員からも何点か質問ありました。その部分については重複いたしますので、割愛をさせていただきまして、何点か質問をさせていただきます。
 大規模事業所における温暖化対策についてでございます。東京の温暖化対策を進めるに当たっては、当然ながら東京の地域特性を踏まえることが大事になってくるわけでございますけれども、東京におけるCO2の排出量のうち、業務部門が占める割合が約三割、大きいわけです。オフィスビルなどの大規模事業所におけるCO2排出量の削減が重要な課題になってくるのは、これは当たり前のことでございます。
 このために、都は、一昨年ですか、十一月に、都市と地球の温暖化阻止に関する基本方針を策定されて、その中の挑戦1において、オフィスなどの大規模事業所に対して、CO2の排出削減義務の導入を検討することとしていたわけでございます。
 一方、ことしの二月二十三日に、東京都環境審議会でまとめられた、東京都における実効性ある温暖化対策の中間のまとめでは、排出削減の義務化という視点ではなくて、個々の事業者の目標設定を高めに誘導していこうと、そういった仕組みをつくっていくべきであると、そういった提言がなされたわけでございます。
 そこで最初に、東京都としても、この答申にありますように、誘導していくという、この仕組みの方が実効性がある仕組みというか、制度だというふうに考えられているのかどうか、まずお伺いいたします。

○百合都市地球環境部長 二酸化炭素削減に対します事業者の取り組み状況は、既に成果を上げている事業者がいる反面、取り組みがおくれているという事業者も存在しておりまして、さまざまでございます。
 また、業務実態につきましても、営業時間ですとかテナント入居率の変動など極めて多様でありまして、一律の削減義務の基準を設けることは難しい状況にございます。仮に一律の削減義務を課すとした場合には、その削減率は、既に成果を上げ、削減余地の少ない事業者の達成可能なレベルを考慮した、低い水準に設定せざるを得ないということになります。
 低いレベルで義務化をした場合には、削減余地がまだかなりある事業者が、削減義務を満たすだけのいわゆる低いレベルにとどまってしまうということも懸念をされるところでございます。
 このために、個々の事業者が自主的に目標設定をするものとし、この目標設定と、その取り組みに対して、都がガイドライン等に基づきまして指導助言を行い、より高い削減レベルに誘導していくことが全体の総量削減につながり、実効性のある制度となるというふうに考えております。

○東野委員 私も同様に考えます。その辺がポイントなんでしょうね。
 次いで、国の省エネルギー法も、そのエネルギーの使用の合理化を通じましてCO2の排出削減を図るものとしているわけですけれども、その提言された制度は、その省エネルギー法と比べまして、どのようなところに特徴があるのか、これを示していただきたいと思います。

○百合都市地球環境部長 省エネ法の制度と比較した場合の、今回中間のまとめで示されました制度の特徴でございますけれども、総量削減目標と評価、公表の仕組みという二点が挙げられるかと思います。
 まず、削減目標につきましては、省エネ法は、いわゆる原単位を目標として、年平均一%以上という低い水準に設定をしており、また一方、中間のまとめでは、CO2の総排出量の削減を目指し、事業者の目標設定はCO2の総量削減率を原則としております。
 第二の特徴でございます評価、公表につきましては、都の指導助言に加えて、事業者の取り組みを評価、公表して、より高いCO2の削減に誘導していくもので、都がみずから汗をかく省エネルギー法にはない独自の仕組みであるというふうに考えております。

○東野委員 提言された制度では、総量削減を目標にすることとしているわけですけれども、これまで省エネルギー型の設備を導入するなど取り組みを、先ほども話に出ました、かなり進めてきた事業者の場合、既に総量削減の余地が少なくなっている。このため、こうした事業者の総量削減目標は小さくならざるを得ない。
 もし、総量削減の大きい事業者ほど評価が高くなるとすると、こういった事業者を、今申し上げました、もう既に削減をかなり進めている業者、事業者を正当にというか、正当も何もないのかもしれませんけれども、きちっと評価をできなくなるんではないかな、そういった懸念が若干するわけでございますけれども、これまでに一生懸命進めてきた事業者に対して評価を行う場合は、総量削減、何回もいいますけれど、総量削減だけで評価を行うというのは、均衡を欠くことになるんじゃないかな、こういうふうに思うわけなんですけれども、どうでしょうか。

○百合都市地球環境部長 中間のまとめの提言では、評価を行うための評価基準につきましては、CO2の総量削減を目指し、総量削減率を原則というふうになっております。
 ただし、事業者のこれまで行ってきましたCO2削減の取り組みや、また計画期間中における生産量の増減ですとか、新規事業への転換といった事業規模、事業内容の変動についても考慮する必要があるため、事業者の個別事情を踏まえた適切な評価方法についても検討すべきであるというふうにしております。
 都といたしましても、この考え方に基づいた評価基準の検討を行っていきたいというふうに考えております。

○東野委員 中間のまとめでは、事業者が総量削減の目標をまず立てて、省エネルギーなどの取り組みについて評価し、公表することが今回の制度の基本的な仕組みとなると、こういったことが示されていますけれども、その意義についてどう考えているのか、また東京都は、この評価と公表を主体とした制度の一連の流れの中で、どのように事業者に評価と公表を求めることが、求め方が効果的だというふうに考えているのか、お聞きしたいと思います。

○百合都市地球環境部長 今回のこの制度の特徴は、先ほど来ご指摘をいただいております評価と公表によって、事業者の取り組みをより高い削減レベルに誘導していくというところにございます。
 具体的には、都が作成する評価基準によりまして、事業者が全体における自己の取り組みレベルを認識するとともに、その取り組みをみずから評価、公表することにより社会的な評価を受ける、このことで事業者の積極的、主体的な取り組みを促すというものでございます。
 さらに、都としても、事業者の取り組みを評価、公表して、広く都民に情報提供するとともに、指導助言を行いまして、より高い削減レベルに誘導していくというものでございます。
 この評価と公表は、事業者の作成するCO2削減計画と、その取り組み結果の双方について行うことが効果的であるというふうに考えております。

○東野委員 ディーゼル車規制、そういったものとは異なりまして、エネルギーの消費は、さまざまな形態の経済活動に伴って行われるものである、このように考えるわけです。さらに、事業者によっては、これまでの省エネに対する取り組み状況が、さまざま本当に違っています。かなり違っているといってもいいかもしれません。
 このような中では、確かに一律の基準による規制は難しいなと思うわけですが、今回の中間のまとめで提言されました誘導的な制度、これは冒頭申し上げましたように、私、実効性がより高まっていくのかなというふうに、素直に感想を抱く次第でございます。
 これまで東京都は、国に先駆けまして、地球温暖化対策計画書制度を実施してまいったわけでございますけれども、さらに先駆的な、また先進的な制度構築を期待しておきたい。この項の質問を終わりたいと思います。
 続きまして、鳥インフルエンザ対策でございます。
 鳥インフルエンザ問題につきましては、京都府でカラスへの二次汚染が明らかになって以降、今までの鳥インフルエンザの発生状況と異なりまして、野鳥との関連が非常に大きな問題で、注目を浴びるようになってきたんですが、特にカラスにつきましては、私たちの生活に身近な存在ということで、都民の間にも非常に不安が広がっているというのは、これは否めない事実だというふうに思っております。
 現時点では、今後これ以上感染しないことを望むわけでございますけれども、願うわけでございますけれども、必要以上に騒ぎ立てるのも、またこれいかがなものかと。できれば、我々都民一人一人が冷静に行動すればというふうに思っております。
 ただ、この問題につきましては、都民の関心が非常に高いことから、鳥インフルエンザ対策のうちで環境局--今いいました野鳥ですね、カラスなどの野鳥対策について、ちょっと触れたいというふうに思います。
 まず、確認のために、これまで国内でのカラスなどの野鳥への感染事例と、都内における状況をお知らせいただきたいと思います。

○徳毛自然環境部長 これまでカラスの感染事例は五例、計六羽が報告されております。三月七日には、カラスの大量死があった京都府丹波町の養鶏場周辺及び隣接する園部町で発見されたカラスの死体四羽のうち二羽から、十一日には、大阪府茨木市の民家の庭先で発見された弱ったカラス一羽から、十二日には、京都丹波町の養鶏場から十キロ離れた牧場で発見されたカラスの死体二羽から、さらに十三日には、同じく京都府丹波町で新たに見つかったカラスの死体三羽のうち一羽から、それぞれ高病原性鳥インフルエンザウイルスの感染が確認されました。
 そのほか、カラスを除く野鳥の感染事例は、全国的にも報告されておりません。
 なお、現在のところ都内では、高病原性鳥インフルエンザ感染事例は一例も報告されておりません。

○東野委員 今の数でいうと六件ということですけれども、その六件の、私もテレビを一生懸命見ているんですけれども、ちょっと整理の意味で、感染経路についてはどのようになっているのか。

○徳毛自然環境部長 いずれも感染源は特定されておりませんが、京都府丹波町及び園部町で発見された五羽につきましては、鶏の感染が確認された農場に近い場所で発見されたことから、感染した鶏との濃厚接触によって感染した可能性が高いと指摘されております。
 また、大阪府茨木市で感染が確認されたカラス一羽につきましては、京都の農場から三十キロ離れているということもありまして、京都の農場の鶏から同時期に感染したか、同じねぐらにおいてカラス同士で感染したかなどの可能性が指摘されております。

○東野委員 その汚染された養鶏場での二次感染が疑われるというふうになっておりますけれども、野鳥への感染があった場合には、その感染経路の特定のほか、鶏や人へのさらなる感染を防ぐ手だて、こういったものが必要になってくると思うんですけれども、そこで、野鳥への感染があった地域では、その後、具体的にどのような対策がとられているのかお伺いします。

○徳毛自然環境部長 京都府の例では、府が環境省と協力して、鶏の感染が確認された農場周辺でカラスを捕獲して、高病原性鳥インフルエンザの感染の有無について検査を実施したほか、周辺の養鶏場などには、消毒の徹底や、鶏舎に防護ネットを張って野鳥との接触を防ぐ措置の呼びかけを行いました。
 また、カラス以外の死んだ野鳥及び捕獲した野鳥についても、感染の有無について検査を実施しております。
 現在のところ、それらについて感染の事実は確認されておりません。

○東野委員 幸い東京都では、まだその感染事例はないわけでございますけれども、今後ともそういった事態が生じないことを願うとともに、全庁的な連携により、予防策も含め、あらゆる事態を想定した対策を検討するように、要望しておきたいと思います。
 そういった中で、都は先週の十一日ですか、都の窓口の一本化、ワンストップといいますか、鳥インフルエンザ一一〇番を設置しまして、二十四時間体制で都民からのご相談を受けるということとしたわけでございます。
 都民がいつでも相談できる体制をわかりやすい形で設置したことにつきましては、都民の不安解消のためのスピーディーな適切な対応として、評価をしていきたいというふうに思っています。
 そこで、この鳥インフルエンザ一一〇番が設置されましてから現在までで結構でございますが、都民からの相談件数はどうなっているのか、また相談事例から見まして、都民は野鳥に関して、どのような点で不安を抱いていると予測されるのか、その認識をお伺いしたいと思います。

○徳毛自然環境部長 三月十七日午前九時現在、鳥インフルエンザ一一〇番を開設して、ちょうど六日目になりますが、この間の相談件数は約九百件でございます。
 京都の感染発生直後から、野鳥、家畜、ペットなどに関する相談が所管部署に多数寄せられておりました。一一〇番開設当初には、一日二百件を超える相談を受ける状況にありましたが、現在は百件を下回るようになっております。全体として、沈静化の傾向にあると考えております。
 主な相談内容では、野鳥に関するものがその多数を占めており、ハトやカラス等が死んでいるが大丈夫か、ベランダに鳥のふんが落ちているが安全か、あるいは野鳥が庭に来るが安全かなどが多く、鳥インフルエンザに関する情報の不足から、感染に対する不安を抱いていることがうかがえます。
 こうした相談には、正しい情報を提供して、冷静に対応するよう助言することによって、大部分の都民の方々は安心感を取り戻しております。
 なお、相談は区市町村にも多数寄せられておりまして、都としても、区市町村向けの説明会を開催するなど、必要な情報を積極的に提供するとともに、支援のための相談体制や、不審死した野鳥の回収、検査体制を構築しております。

○東野委員 今のご答弁からしますと、当初は大分相談件数が多かったようでございますけれども、ここに来て減少してきているということで、これをもって不安がなくなってきたのかどうかというのは別なんですけれど、件数が少なくなっているということは、多少そういった傾向があるのかなというふうには思います。
 一方で、現時点では相談事例のかなりの部分が、都民の訴えを相談窓口でお聞きして、受けとめて、そしてその相談事に対する正しい知識といいますか、それを投げかけることで大体解決できているふうに理解できます。
 こうした相談結果からもわかりますように、都民に対する啓発活動といいますか、これが私は重要なんではないかと。東京都としては、相談やその広報などあらゆる手だてを使って、都民への情報提供をしっかりと進めていくように強く要請しておきたいと、このように思います。
 次に、都民から野鳥が死んでいるなどの通報が寄せられた場合に、都は、その通報に対して、具体的にどのような行動をとられるのでしょうか。

○徳毛自然環境部長 一羽で死んでおり、事故死や自然死によるもので、不審死の可能性がないと判断した場合には、犬や猫と同様の方法により処分することといたしております。
 複数で死んでいるケースなど不審死の疑いがある場合には、職員や鳥獣保護員が現場に急行し、死骸をすべて回収するとともに、検体を家畜保健衛生所に搬入しまして、ウイルスの分離検査等を行い、鳥インフルエンザの感染を確認することとしております。
 感染を確認した場合には、その検体を独立行政法人動物衛生研究所、茨城県つくば市にございますが、に搬送しまして、ウイルスの病原性解析を行い、高病原性インフルエンザのウイルスの種類を特定することになります。
 なお、家畜保健衛生所の検査では、現在まで鳥インフルエンザウイルスは発見されておらず、したがって、つくばの動物衛生研究所に搬送したケースはありません。

○東野委員 野鳥へのその感染が確認された自治体ですね、先ほどの話ですけれども、対応が後でというか、後手後手に回ったというか、それによって市民の不安を招いてしまったんではないか、こんなようなケースですね。
 また、そもそもの鶏への感染ルートがまだまだ解明されていないということも、市民の不安感を増しているわけであります。
 都民の安心のために、都として、捕獲したカラス、今盛んに捕獲されていますけれども、カラスや野鳥の感染の有無について調査をして、たくさんカラスを捕まえていますけれども、これだけカラスを捕まえたけれども、全くインフルエンザの心配ありませんよというようなことを、むしろ逆に、東京都から積極的に都民に知らせたらどうでしょうかね。そうすると、都民も安心するんじゃないかと、そんなふうに思うんですが、いかがでしょうか。

○徳毛自然環境部長 先ほどもご答弁しましたけれども、死亡した野鳥につきましては、まず、大量死や不審死と判断したものにつきまして、すべて家畜保健衛生所に搬送して検査を実施いたします。また、都民の通報により発見され、相談の持ち込まれたもののうちからサンプルを選びまして、家畜保健衛生所に搬送して検査をしております。
 家畜保健衛生所では、三月十六日現在、十三羽の野鳥について分離検査等を実施いたしましたが、これまでのところ鳥インフルエンザの感染は確認されておりません。これらの検査結果につきましては、取りまとめて公表していきます。
 なお、生体につきましては、カラス、ドバトについて、捕獲したもののうちから、弱っている検体を中心に感染確認のための検査を実施して、結果を公表していく所存でございます。

○東野委員 報告していくということで、よろしいですね。わかりました。
 東京都では、一月に、家禽に関する相談窓口を開設して、二月には養鶏従事者に予防接種を行うなど、全国に先駆けてかなり早い対応を行ってきた。都民の不安解消に向けた積極的な取り組みであるというふうに、評価をしていきたいというふうに思っております。
 また、今後の展開次第では、さまざまな局面が予想されるわけでございますけれども、都民の不安解消といいますか、そのために鳥インフルエンザ対策会議を主体としまして、全庁挙げて万全を期して取り組んでいっていただきたいと、こういうふうに思うわけでございます。
 さらに、都民の皆さんに、あらゆる機会をとらえまして、適切かつ正確に情報を提供し、情報を提供することによって、過敏にならずに常に冷静を保っていただくわけですけれども、そういった啓発活動をしっかりと進めていただきたいというふうに思っております。
 また、都民が関心が高い、その野鳥に関する対策を所管する環境局としましても、都民からの通報を受ける、第一番に受けるのかな、その窓口として、行いましたその即応体制といいますか、そういった体制をフル活用していただいて、都民の不安解消のために先頭に立って頑張っていただきたいなと、このような感想を持ちまして、質問を終わります。
 以上です。

○渡辺委員 私は、ディーゼル車のNOx規制の問題について、簡潔に質問させていただきたいと思います。
 東京都は、ディーゼル自動車から排出される粒子状物質を削減するということで、この排ガス規制を平成十五年十月から強化してきたわけですけれども、昨年の十月から、新車への買いかえとDPFなどの装着で、不適合車の台数というのは大幅に減少しました。
 今度は、平成十七年十月からは、NOxを規制する国の法律によって、都の条例でPM除去装置は取りつけたものの、それだけでは走行できなくなってしまうわけですね。NOxそのものを削減する何らかの装置が必要になってきているわけです。
 そこで、お聞きいたしますけれども、平成十四年三月時点では、都の排ガス規制対象車であって、しかも都条例の不適合車、これは二十万二千台ありました。十五年の三月には、その不適合車は十三万三千台に減少して、平成十五年九月には、不適合車四万四千台と、こういうふうに推定されておるわけですね。
 現在ですけれども、PM減少装置の未装着車は何台ぐらいあるのか、またDPFとか、酸化触媒等を装着した車は何台あるのか、ちょっと教えていただきたいというふうに思います。

○山本自動車公害対策部長 規制対象となった都内登録車両二十万二千台のうち、DPFをつけて対応した車両は一万五千台、酸化触媒をつけた車両は三万七千台でございまして、合わせると五万二千台になります。
 現時点で、資料にもお示ししておりますけれども、規制への未対応が二万三千台ほどありますけれども、規制に対応するためには、こういった車もDPFなり、あるいは酸化触媒なり、あるいは新しく新車にかえる、こういったようなことが必要になるというふうに考えております。

○渡辺委員 かなりまだ残っていると思うんですが、新車への買いかえというのは、できる人は別として、新車への買いかえのできない人、PM減少装置をつけざるを得ない、そしてつけざるを得ないんだけれども、PM減少装置ということでも決して安くないわけですよね。やっとの思いでDPFをつけた、それもつかの間、今度は国のNOx法ということで、十七年十月より規制されるということになっているわけですけれども、この規制される車は、基本的に今何台ぐらい対象になっているのか、ちょっとこれも聞かせていただきたいと思います。

○山本自動車公害対策部長 自動車NOx・PM法は、ディーゼル車のトラック、バスだけでなく、ガソリン車等のトラック、バスや、ディーゼル車も乗用車も対象としております。都内の対象車両数は、自動車登録データをもとに推計いたしますと、十年間で約三十五万台となります。
 また、先ほどの二十万二千台の中では、残っている条例不適合車と、DPF、酸化触媒をつけた車両がNOx・PM法の規制対象となりますが、二十万二千台以外にも、今後、猶予期間を経過して規制対象となる車両があり、これを含めますとディーゼル車のトラック、バスにつきましては約十九万台となります。

○渡辺委員 これから、その十九万台といっても、これはもう相当な数ですから、PM減少装置をつけるというような時期と同じぐらいの状況になっているわけですよね。
 ということになりますと、PM減少装置を装着した車も、国のNOx・PM法のもとでは、両方とも規制の基準をクリアしなければならない。そういう状況を控えて、いろんなところで、車検証の交付を受けられない、そうじゃなければ車が走れないということもありますので、どういう状況かというと、車庫飛ばしという言葉が今飛び交うんですよね、車庫飛ばし。
 どういうことかというと、いわゆるNOx規制ということになりますと、罰則は何かということになれば、これはもうとにかく、いわゆる車検がとれないということですから、ですから指定区域以外のところで車検をとるということですね。そういうことで、この車庫飛ばしという言葉が飛び交っているわけですけれども、このNOx・PMの違反ということにはなるんですけれども、それをだれがいわゆる取り締まるのかと、どうやってそれをまた見つけるのかという問題が出てくると思うんですけれども、これについてはどうなんでしょうか。今までPMの減少装置ということでは、いろいろ地域に流入してくる車についても、東京都がいろんな手法を用いて調査をする、そして未装着車については通告したり、あるいは罰則したりと、こういうことになるわけですけれども、今度のこのNOxの問題に限ってはどういうふうになるのか、だれが取り締まるのか、ちょっと聞かせてください。

○山本自動車公害対策部長 NOxについての取り締まりということでございますけれども、東京都は、PMについて条例規制を行っているということで、PMにつきましては、東京都内を走行したというようなことに着目した中で取り締りが行われておりますけれども、PMについては特に対応はしておりません。
 それから、車庫飛ばしということがございましたけれども、これは国の方でNOx・PMの対策区域、この地域内のものについては、やはり一定の期間を過ぎると車検を受けられないということですから、その対策区域外の方へ登録をしてしまうということが、特定の事業者で行われているようなことを聞いておりますけれども、それについては、なかなか取り締まるということは、現実のところはやっておりません。

○渡辺委員 そういうことになると、今、私申しましたけれども、いわゆる車検とれないから、どうしたってやっぱり車庫飛ばしということで指定区域外に行かざるを得ない、登録せざるを得ないという問題が出てくるというふうに思うんですよね。
 そういう点でいえば、これは大気汚染の改善ということには、何らつながっていかないということになるわけですよね。そういう点では、私はメーカーの責任という問題がやっぱり出てくると思うんですよ。いわゆるメーカーに、そういう点では、NOxを本当に削減させる、そういう装置をやっぱり開発して装置させるとか何とかしなければ、どうにもならないんじゃないかというふうに思うんですけれども、その辺はどうでしょうか。

○山本自動車公害対策部長 ちょっと、先ほどのご答弁を修正といいますか、訂正させていただきたいと思います。
 NOxにつきましては、国土交通省の方で陸運事務所で車庫飛ばし等については指導しているという実情があるということでございます。
 それから、ただいまのメーカーに対する取り組みでございますけれども、メーカーについても、自動車排出ガスが大気汚染の原因である以上、排出ガスの低減に努める社会的責任があると考えております。
 そこで、これまで東京都といたしましては、メーカーに対しまして、低公害車の早期開発販売や条例対応のための酸化触媒の開発普及等々強く求めておりまして、この間、メーカーも対応してきた経過がございます。
 ただ、メーカー自体は、いわゆる後づけの装置自体の開発については、独自のノウハウを持っていないというのが実情でございます。

○渡辺委員 国の方が、いわゆる車庫飛ばしということについては指導しているということなんですけれども、現実に、今お話がありました後づけ装置ということで、このNOxの削減という、その装置が開発されてないという状況の中で、それはもう何だかんだ指導したって、結局走れなくなるということになれば、それはやはり車庫飛ばしということでやらざるを得なくなるということが、現実の問題としてあるんじゃないかというふうに思うんです。
 今お話がありましたけれども、メーカーとしては、そういう開発技術というか、ノウハウを持っていないというお話でありますけれども、ノウハウを持っていないのかどうかというと、私は、そうじゃないと思うんですよ。やはりメーカーそのものが怠慢なんですよね。やろうとしない、こういうことなんじゃないかというふうに私は思うんです。
 そこで、ちょっとお尋ねしますけれども、国土交通省というのは、昨年九月、NOxとPMを同時に減少させる装置を、一社というか、一式というか、そういうことで認めて、八百台という限定つきですけれども、これを認定したわけですよね。国土交通省が認定したというのに、これ八百台しか限定つきということで認めない。これをまた普及をしないというのか、しようとしないのか、これはどういうことなんでしょうか。その辺は、わかっている範囲でちょっとお聞きしたいんです。

○山本自動車公害対策部長 昨年九月に、国土交通省の方で、第一号のNOx・PM低減装置ということで、一型式限定的に装着を認定しております。
 八百台に限定条件をつけた理由でございますけれども、そのプレスリリースによりますと、最大八百台ということで、販売後の使用状況を確実に把握する必要があるということで、そうした限定をつけたというふうにしております。
 また、国土交通省は、三カ月に一度、この装置メーカーから使用状況の調査結果や供給体制などについて報告を受けることとしており、その認定後六カ月間の使用状況を踏まえて、再度評価を行うということにしております。

○渡辺委員 いずれにしても、国土交通省が、これはそういう経過措置ということで様子を見るということはあるにしても、これはNOxを減少させるということ、しかもまたPMそのものも減少させることができるんだということで認定したと思うんですよね、実際に。そうじゃなければ、認定しないんですから。
 だから、こういう一つの型であるけれども、開発をしたんですから、こういうものをやっぱりメーカーに紹介しながら、やはりメーカーが積極的に取り組むという、そういうことがあってしかるべきだと私は思うんです。そういうものを、何かやらないで、メーカーはノウハウがないんだということで、最初からそういうことで、何というか、開発をしようとしないということは、私は、国もさることながら、メーカーについては徹底して追及していく必要があるんじゃないかというふうにも思うんです。
 例えば、三カ月やってみて、そして評価する、あるいは六カ月たって評価するという話がありましたけれども、法律そのものはスタートするわけだよね、一定の期間があるにしても。そういうことで、やはりそういう点では、私は、国がどちらかというと開発そのものに消極的だというふうにしか思えないんですけれども、そういう点で、国の考え方というんですか、取り組み方というんですか、東京都として見たら、どういうふうに見えますか。

○山本自動車公害対策部長 やはり今日の大気汚染の元凶は、国の自動車排出ガス規制の怠慢にあるというふうに考えております。
 日本のPM規制は欧米から二年以上おくれ、その上規制値も甘かったり、今回の自動車NOx法の制定に際しても、その適用をおくらせるような緩和措置をとっているということで、非常に国の怠慢は許すことはできないことであるというふうに思います。
 そういった観点から、私どもこの間、国に対して、そういった問題点を指摘する中で、国に対して責任ある対応を求めてきております。今後とも、やはり自動車NOx・PM法の関連については、国に対してそういった要求を重ねて対応していきたいというふうに考えております。

○渡辺委員 私も、国の責任という問題については、本当に無責任きわまりないというふうに思っているんですよね。NOx規制ということで、十七年の十月からスタートするということでしょう。しかも、これは待ったなしなんですよ、法律ですからね。
 そして減少装置も開発するという、また開発されるという、そういう見通しのないままに、しかも国は努力もしない。企業へ行ったら、もっと怠慢ですよ。だからそういう点で、法律だけを先行させて決めてしまうと、そういうやり方というのは、私は許すということはできないと思うんです。
 それで、基準をクリアしなければ車検は認められないということですから、そういう点では、国のとっている態度というのは、明らかに新車に買いかえなさいということでしかないということは、もう明白じゃないかというふうに思います。
 車を新車に買いかえるということができる業者あるいは企業というのは別として、多くの中小零細業者というのは、これによって廃業に追い込まれるということは、火を見るより明らかなんですよ、このままだとね。ですから、そういう点では、中小零細業者が路頭に迷うということのないようにさせていく必要があると思うんです。
 そういう点で、この中小零細業者の立たされている実情というか、状態というか、この実態を東京都としてはどのように受けとめておられるのでしょうか。

○山本自動車公害対策部長 厳しい経営環境にある中小零細事業者の条例対応を支援するということで、東京都は、この間、PM減少装置装着に対する補助、あるいはその買いかえのための制度融資や、新車を担保とした特別融資など、平成十五年度では百三十億円に及ぶ支援策を講じるとともに、十六年度予算でも二十一億円を計上するなど、最大限の取り組みを行ってまいりました。
 中小零細事業者を取り巻く環境は依然として厳しい環境にあることについては、十分認識をしております。

○渡辺委員 確かに東京都の予算ということから考えると、十五年度の予算ということでは、かなり思い切って予算措置をした。十六年度もそれなりの予算も組んでいるということは、承知しております。
 しかし、メーカーは新車に切りかえさせるために、あえて、私からいわせれば、何一つ開発に向けて努力をしなかったと、こういうふうにいわざるを得ない。これは先ほどもいいましたけれども、ノウハウがないということじゃないと思うんです。
 都は、国に対して、そしてメーカーに対して、社会的責任というものをやはり徹底して追及すべきだということとあわせて、国とメーカーに、速やかに開発に取り組むように要求すべきだと。東京都もPM減少に率先して取り組んだ立場から、国に対してやはり先導的な役割を果たすということからいって、国に対して批判するということだけじゃなくて、やっぱり国とも連携を強めながら、メーカーに責任をもちろん求めてだよ、求めながらね、国とも連携を強めながら開発に積極的に取り組むべきだというふうに思うんですけれども、そういう点ではどうですか。

○山本自動車公害対策部長 NOx・PMを同時に減少させる後づけ装置や、事業者が法の規制に対応するための支援策につきましては、あくまでも国の責任で行うべきものと考えております。
 都は、ディーゼル車規制実施に当たり、先ほども申し上げましたけれども、厳しい財政状況の中にあっても、最大限の取り組みを行ってまいりました。今度は、まさに国の番であるというふうに思っております。
 都といたしましては、引き続き国に責任ある対応を求めていくとともに、自動車メーカーに対しましても、社会的責任を果たすよう求めてまいります。

○渡辺委員 いずれにしましても、NOx、そしてPM同時減少装置というのは、国土交通省が認めた現在ですから、メーカーがいうように、同時に減少させる装置というのは難しいとか、ノウハウがないとかというのは、絶対にいわせないと。そういうことで、一つは取り組んでほしいと。これを認めておいて、今さらそんな理屈は通らないということで、対応してもらうしかないと思うんですね。
 ただ、東京都も、今度は国の番だということでも、必ずしもないと思うんですよ。やはり積極的に国に働きかけて、国と一緒になってメーカーにやらせる、あるいは、東京都もみずからそういうものを開発するための取り組み、こういうこともやるべきだというふうに思うんです。
 例えば、知事は、こういう問題に対しては、人命を救うんだと、あるいは地球を救うんだと、こういうことをいってきて、そして率先して開発に全力を挙げて取り組んできたわけでしょう。ですから、そういう立場に立って、これからも引き続き東京都も全力を挙げて取り組むべきだというふうに思うんですよ。
 その辺、もう一回決意を聞かしてくれませんか。

○山本自動車公害対策部長 現時点では、NOxとPMの両方を同時に減少させる後づけ装置を一般的な対応策とすることは、極めて難しいと考えております。これは、先ほどお話ししたとおりでございます。
 当然その選択肢としては、買いかえということになりますけれども、この点につきましても、対応策あるいは支援策につきましては、規制を行う国の責務であり、これについては責任ある対応を求めていきたいと考えております。
 また、東京都といたしましては、総合相談窓口の活用などによりまして、事業者に法規制の内容などを紹介し、事業者個々の状況に即した助言を行い、法規制にも適切に対応できるよう相談に応じてまいります。

○渡辺委員 東京都も、難しい、難しいというだけでは進まない。国も難しいといっている。メーカーも難しいといっている。そういう難しい、難しいということをいっていたんじゃ、いつになったって、これは開発は進まない。私は、そういう点で、難しい、難しいといえばいうほど、これはもう何というか、新車に切りかえなさいよということでしかないと、そういうふうにしか受けとめられなくなるんですよ。
 だから本当にそういう点では、期間もあとわずかしかないんですから、そういう状況の中で、しかも中小零細業者の方々からいわせれば、これは新車に切りかえろといわれたって、できるような状況にはないと。
 例えば、新車に切りかえた人の、ちょっと私、話を聞いたんですけれども、ダンプで一千二百万円かかるというふうにいわれているんですね。それを買うのに、どうやって資金繰りするのかということで聞いたら、毎月返済を十五万円ということで仮定した場合に、七年間でちょうど返せるというんですよね。ところが、その十五万円ずつ毎月返すような状況にはないんだといっているんですよ。だから、そういうことを本当に考えたら、やはり廃業か何か、そういうことしか考えられないと、こういっているんですよ。
 だけど、その私が聞いてきた人は、廃業しても実際に仕事がすぐ見つかるわけじゃないでしょうと。そしてまた技術といわれても、何も持ってないと。そういうことだから、結局は迷うに迷った上、やはり新車に切りかえるということを決断したというんです。それで買うことにしたというんですよね。
 だからそういう人たちから見れば、私が最初に申し上げたように、難しい、難しいということだけでは、こういう人たちを救えないんですよ。しかも、こういう人たちはどれぐらいいるかといったら、先ほども出されたけれども、十九万台近くあるわけでしょう。ですから、そういう点からいったら、本腰を入れてこの問題については取り組んでいただきたいと。またまた期間がそう長くない状態の中で、これが大きなまた社会問題にならざるを得ないということは、いうまでもありませんから。
 最後になりますけれども、今度開発した、いわゆるNOxとPM両方を減少させるということで開発した人ですね、この人は桜井さんという方なんですけれども、この桜井さんという方は、日産のスカイラインという車を開発した人なんだそうです。それで、この人がコメントを出しているんですけれども、それをちょっと紹介しますと、こういっているんです。
 自分がやってきたことは、とにかく売ればいいと。次々と新車をつくってきて、それがどんなに地球を痛めつけるかということを考えてこなかったと。気がつけば、大気汚染がひどくなって、今手を打たなければ大変なところまで来てしまったと。このまま死ぬわけにはいかないと。地球におわびをしなければいけないと思って、開発に情熱を燃やしてきたと。しかし、まだ十数年も走れる車をつぶしてですよ、新車に買いかえなさいということになっているけれども、車をつぶして新車に買いかえることほどむだなことはないと、こういっているんですよ。
 また、つぶさなかったにしても、規制地以外を走ったり、あるいはまた他国に輸出するなどということで、排ガスをまき散らすになるということはやはり許されないと、こういうふうにいっているんです。今は一〇〇%パーフェクトでなくても、ベターな装置でたくさんの地域を走れるように、国としての援助もしてほしいと、こういうコメントを出しているんですよ。ですから、こういう人の精神、情熱というか、こういうものを今は本当に学ぶというか、そういうことが必要なんじゃないかというふうに思うんです。
 そういう点で、改めてもう一回答弁いただきますけれど、メーカーに対する取り組みの問題、それから国に対する取り組みの問題、そして東京都としてのみずからの開発に取り組むという、その問題についての決意というんでしょうか、改めてお聞きしたいんです。

○山本自動車公害対策部長 先ほどお答えしたとおりでございますけれども、やはり一番の根本は、国のこうした自動車排出ガス規制への怠慢にあるということで考えております。引き続き国に対しましては、責任ある対応を求めていきたいというふうに考えております。
 また、ディーゼル車メーカーにつきましても、やはり排出ガス低減に努める社会的責任がありますので、これについても、今後とも引き続き対応を求めていきたいというふうに考えております。
 東京都といたしましては、先ほど申し上げましたけれども、事業者に対しまして、必要な情報提供を行う中で、次の規制も、NOx、PM対応についても適切に対応できるよう、積極的にそうした支援を行ってまいります。

○相川委員長 この際、議事の都合によりおおむね十分間休憩いたします。
   午後三時十六分休憩

   午後三時二十八分開議

○野島副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○新井委員 温暖化対策と廃プラスチック、そして食品リサイクルと小笠原の環境保全の四点についてお伺いいたします。
 まず、東京都における実効性ある温暖化対策についてから、中間答申から始めたいと思います。
 CO2の削減目標について、この中間のまとめの中で、二〇一〇年に九〇年度比六%削減ということを掲げておりまして、この目標を達成するためには、部門がそれぞれ別れていて、産業業務部門、家庭部門、運輸部門、その他というふうにありますけれども、この部門ごとに目標、指標を設けて、そして最終目標を目指していくということが望ましいと思うわけですけれども、いかがでしょうか。もし年度ごとというのが難しければ、少なくとも中間年段階、大規模事業者においては、排出削減の中間年での取り組み評価、公表というのがございますけれども、そこの時点での目標値だけでも示すべきではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○百合都市地球環境部長 東京都の環境基本計画におけますCO2削減目標の達成は、都の講じる対策だけで実現するというものではなく、国の役割も重要となっております。しかし、国は実効性ある対策をまだ打ち出せない状況にありまして、現在、地球温暖化対策推進大綱の見直しに着手しているところでございます。こうした状況等を踏まえますと、現段階では、都として部門別に数値目標を設定することは難しい状況にございます。
 都といたしましては、中間まとめで示されました具体的な対策を実施していくとともに、総合的な取り組みを積み重ね、環境基本計画の目標の達成を目指してまいります。

○新井委員 確かに部門別の目標値の設定は難しいとは思いますけれども、具体的な数値目標なしに二〇一〇年を迎えて、そのときに最終目標を達成するというのはなかなか難しいのではないかというふうに思います。そのときにできていなかったということにならないように、実効性のある対策を積み重ねて、CO2の削減目標というのを達成していただきたいということをお願いしておきたいと思います。
 それから、大規模事業所におけるCO2の削減なんですけれども、先ほど東野委員の方からございましたので、こちらについては割愛をいたしまして、一問だけ質問させていただきたいと思います。
 今回、大規模事業所のCO2の削減について、取り組みのすぐれた事業者をプラス評価したり表彰するということがあるわけですけれども、こういったことは重要ではあると思うんですけれども、もう少し踏み込んだインセンティブを業者に付与するということが必要ではないかというふうに思います。
 例えば、都の入札において、CO2の削減に積極的に取り組んだ事業者に一定程度のポイントを与えるような仕組み、こういったものを環境局として財務局の方に働きかけるべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○百合都市地球環境部長 提言されております制度の中で、取り組みのすぐれた事業者に対しますインセンティブについては、大切なものだというふうに考えておりますけれども、都の入札制度を活用することにつきましては、この制度の対象が大規模事業者に限定されていることから、対象外の事業者との公平性の問題があると思われます。
 インセンティブにつきましては、中間のまとめで表彰制度などの案が示されておりまして、今後、実際の制度設計を行う中で具体的な検討を進めてまいります。

○新井委員 入札については、これまで実績がほとんどということで重視をされてきているわけですけれども、企業努力として、環境への配慮あるいは環境への貢献度といったものがどれだけできているかというのを判断基準に入れていくというのは非常に大切なことかと思いますので、具体的な制度設計の中で検討していくというお答えでしたので、ぜひ積極的に前向きに進めていっていただきたいということをお願いしておきます。
 次に、新築の建築物の環境配慮設計の推進についてなんですけれども、都市再生ということで、非常に超高層などの高容量の建物がどんどん建っています。こういう建築物が一般的にエネルギー多消費型ということで、省エネとは相対するものがあるわけですけれども、このような建築物が、今回、建築物環境計画書制度の中では省エネルギー性能を高めていくということが出ているわけですけれども、どんなふうに進められていくのか、あるいはまたヒートアイランド対策ということでは緑化というものが非常に大切なんですけれども、これについてはどのように強化をしていくのでしょうか、お伺いいたします。

○百合都市地球環境部長 建築物環境計画書制度におきましては、大規模な建築物の新築に当たりまして、設計の段階から環境配慮の取り組みを促すものでございます。新たな制度におきましては、断熱強化や設備の効率化などの評価基準を見直しまして、省エネルギー対策の強化を図ることにより、新築建築物の省エネルギー性能を高めていくことを検討してまいります。また、緑化を推進するために、緑化の評価基準のレベルアップや緑の連続性に関する評価の導入について検討をしてまいります。

○新井委員 それでは、現行の建築物の環境計画書制度の中で、対象は約六割がマンションということなんですけれども、このマンションについては、業務ビルと異なりまして消費者が直接購入をしていくということなんですが、消費者がそのマンションの省エネ性能に関する情報をどんなふうに得られるかということが非常に大切であると思うんですけれども、今の制度ではどんなふうになっているんでしょうか。

○百合都市地球環境部長 現行の建築物環境計画書制度におきましては、建築物の環境性能とそのレベルを明らかにすることにより、環境性能の高い建築物が市場に評価され、普及が進むことをねらいとしております。建築主から提出されました環境計画書と工事完了後の取り組み結果及び評価を、都がホームページで公表しているところでございます。

○新井委員 概要と結果はホームページで公表されているということですけれども、ホームページにアクセスできる人というのはまだまだやはり限りがあるということで、すべての消費者に伝わるということではございません。
 そういう意味で、この省エネの性能等が十分に伝わっていくために仕組みをつくる必要があるのではないか。建築主が説明をするとか、そんなふうな仕組みをつくるということが考えられるわけですけれども、いかがでしょうか。

○百合都市地球環境部長 現行の制度におきましては、都が計画書等の公表を行っているところでございますけれども、マンションにつきましては、消費者が購入する際に環境性能に関する情報を得にくい実態にあることは事実でございます。
 このために、建築主が販売時に直接、購入予定者に対してマンションの環境性能の表示、説明を行う仕組みの導入に向けて検討をしてまいります。

○新井委員 直接建築主が説明をするということで、一番消費者にとってはわかりやすいと思いますので、ぜひできるだけ早くお願いをしたいと思います。
 次に、廃プラスチックの対策についてお伺いいたします。
 廃プラスチックの発生抑制、リサイクルの促進についてということで中間のまとめが出たわけですけれども、この中では、廃プラスチックの発生抑制、マテリアルリサイクル、それからサーマルリサイクルというふうな順番になっているわけですけれども、これまで埋め立て処分をしていたものが燃やされる、サーマルリサイクルという方向性が打ち出されたということは非常に大きな変化になりまして、このことでかなりいろいろな印象を受けている方が都民の中にもたくさんいるようです。
 今回、このサーマルの方向性を打ち出したことが、これまで一生懸命、市民の方、安易に可燃ごみでまぜて燃やせばいいというところから、分別をして、収集をして、資源を回収していくという、そういうリサイクルへの取り組み意欲というものを増すような施策をしてきたわけですけれども、今回サーマルの方向性が出されたことで、この意欲が希薄になってしまうおそれがあるのではないか。サーマルにたどりつくまでの発生抑制とリサイクル、この促進というのは極めて重要であるというふうに思うわけですけれども、東京都はこのサーマルまでの道筋をどんなふうに考えていらっしゃるのか、お伺いいたします。

○福永廃棄物対策部長 廃棄物審議会の中間のまとめで述べられておりますとおり、まず発生抑制に取り組むことを基本とし、次いで、リサイクルできるものはリサイクルを徹底した上で、どうしても残るプラスチックにつきましては、埋め立て処分をするのではなく、サーマルリサイクルすることによりエネルギーを回収していくべきものというふうに考えております。

○新井委員 どうしても無理なものをサーマルということですけれども、例えば、こちらの答申なんか見ましても、廃プラスチックの資源が非常に重要で、埋め立て不適物でサーマルだというところだけは書体が斜めになっていて目立つように書かれていたりとかしているわけなんですけれども、ぱっと見た感じでサーマルが強調されているというふうな印象がぬぐえません。
 一般廃棄物、都内で埋め立てされている廃プラスチックの約八割というのは、容器包装廃棄物ということなんですけれども、発生抑制の推進やリサイクルの徹底には容器包装リサイクル法が果たすべき役割は非常に大きいわけですけれども、現状を見ますと、前回の委員会でも指摘したんですけれども、廃棄物会計という視点での調査によりますと、リサイクルを進めれば進めるほど市町村の負担が重くなる、あるいは事業者と市町村の負担割合を見ても、非常に自治体の負担が重いということで偏り過ぎている、こういう実態が明らかになっているわけです。
 今のリサイクル法、このままだとなかなか発生抑制が進まないということで、二年後には法の見直しが予定されているわけですけれども、この法の見直しにサーマルリサイクルという方向性が非常に影響が大きいのではないかというふうなことを心配するわけです。この二年後の法の見直しについて東京都はどんなふうにお考えでしょうか、見解をお聞かせください。

○福永廃棄物対策部長 ご指摘のとおり、現在の容器包装リサイクル法は、市町村の財政負担が重く、発生抑制やリサイクルが進まないという状況でございまして、問題があるというふうに考えております。
 都といたしましては、容器包装リサイクル法の本来の趣旨に基づいて、拡大生産者責任の強化を図ることによりまして、発生抑制の促進やマテリアルリサイクルの徹底を図るべきであるというふうに考えておりまして、これまで国に要望しているところでございます。

○新井委員 東京都の方が、容リ法については拡大生産者責任の強化を図るということで一生懸命いっていただいていることはわかっているわけなんですけれども、今回、こういうサーマルという方針が出たということで感じますと、容器包装リサイクル法になぜ拡大生産者責任というものが明記されなかったかということを考えますと、やはり事業者の圧力だというふうにいわれているわけです。責任が重くなってしまうと困るというところで、今の容器包装リサイクル法の形ができてしまっている。それを変えていくときに、東京都がサーマルリサイクルの方針を打ち出したことで、事業者がこれを盾に、燃してエネルギー回収をするんだから、それでいいのではないかというようなことで、東京都が考えているような容器包装リサイクル法の改正でない方向に事が運んでしまうのではないか、そんなようなおそれもございます。
 また、各基礎自治体の様子を見ましても、いろいろのところから声が上がっているわけですけれども、この際、サーマルをやればいいんだから、分別回収をしないで、全部一緒に回収をして燃してしまったらどうだというようなことが、議会の中で提案されているような自治体もあるというふうに聞いています。
 こういう流れを勢いづかせるものになってしまっては、東京都の意図するところでもないというふうに思いますので、今回のまとめ、中間のまとめではありますけれども、最終の答申を出すときには、書き方、表現の仕方等含めて、あくまでも東京都が考えているのは発生抑制であり、そしてマテリアルリサイクルを十分に実施した上で、最後の最後に残ったものは、埋め立てると地下水、土壌の汚染につながっていくということもありまして、それよりかは燃してエネルギー回収する方がいいだろうということの見解でありますので、そこのところが、都民の方あるいは自治体の関係者等も含めて、事業者も含めて、すべての方にここのところが行き渡るような、そういう情報発信の仕方、周知の仕方といったものを心がけていただきたいということを強くお願いをしておきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 次に、食品リサイクルの方に移りたいと思いますけれども、スーパーエコタウンの事業では、公募により事業者を選定しているということですけれども、特に食品廃棄物の飼料化施設についてはどのような基準で業者を選択したのか、どのような点を評価して決められたのかということについてお伺いしたいと思います。

○松本参事 スーパーエコタウン事業の公募におきましては、東京の廃棄物問題の解決への寄与、安全性の確保、環境配慮、技術・システムの先進性などを評価しまして事業選定を行いました。
 食品廃棄物の飼料化施設は、食品製造工場のほか、大都市に数多く存在するホテル、レストラン、スーパーマーケットなどからの食品廃棄物を一日約百四十トン受け入れまして、油温減圧乾燥技術という先進的な技術を利用しまして、養鶏、養豚用の配合飼料の原料を製造するものであります。
 また、施設の安全対策や臭気などの環境対策にも十分に配慮した事業内容となっておりまして、食品廃棄物リサイクルの一つのモデルとなるものであります。

○新井委員 業者の公募、募集に当たっては、安全対策とか、すぐれた技術とかということが条件になっているようなんですけれども、実際に応募をされてくる業者が非常に少ないということが非常に気になるわけです。たくさん応募されてきた中で、特に技術がすぐれているとか、環境に配慮するとか、安全対策をとっているとかというところを一つ選ぶということであると、それなりに安心感があるわけですけれども、一者、二者というような状況の中で決まっていくのが実態だというふうに伺っているんですが、希望すれば大体入れるというような状況だと、これは非常に困るなというふうに思うわけです。
 この辺は、地元の方にとりましては、大田の方にとりましては、こういったスーパーエコタウンのところで、事業としては東京の自区内処理ということで、非常に必要ではあるけれども不安が大きく残るというところが現状だと思いますので、この辺の業者の選択とか技術的な革新ということにつきましては、東京都は常に最高のところを目指すというところでぜひやっていただきたいというふうにお願いいたします。
 今回は、食品リサイクルの中身についてちょっとお伺いしたいと思うんですけれども、受け入れる食品廃棄物にはプラスチックなどの夾雑物が含まれるということですけれども、どのようなものがどの程度含まれるというふうに想定をしていらっしゃるのか、また、製造される飼料を家畜が食べて、その肉をまた人間が食べるということになるわけですので、その飼料の安全性というのはどんなふうに確保されるのか、お伺いしたいと思います。

○松本参事 一般的に食品残渣には、生ごみを入れるポリ袋や割りばしなどの夾雑物が含まれることが想定されます。施設では、食品残渣中の夾雑物の比率を二%以下とする受け入れ基準を定めますとともに、基準を確実に遵守させるため、排出事業者、収集運搬事業者などを含めた連絡協議会の設立準備を行っています。
 飼料製造過程で夾雑物は、ふるい選別や風力選別によりできる限り取り除かれます。でき上がった製品には、飼料安全法に基づく有害物質等にかかわる基準が適用されることとなっておりまして、肥料や飼料を検査する独立行政法人である肥飼料検査所による安全検査を経まして、農林水産省の認定を受けることになります。

○新井委員 最終的には農林水産省の認定を受けるということですけれども、いただいた資料で、飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律第二条の二の第三項のところには、常に適切な科学的な判断が加えられなくてはならないということで、飼料の安全性について科学的な判断をともかく加えなくちゃいけないということがちゃんと書かれているんですね。
 飼料及び飼料添加物の成分規格等に関する省令を見ますと、添加しちゃいけない飼料添加物というものの一覧があるわけなんですけれども、そもそもその中にはプラスチックというのは入っていないんです。当然、プラスチックというのは食べるということを前提にして生産されているわけじゃないですよね。石油と、それから種類によって違うわけなんですけれども、数十種類から数百種類の添加剤、これによってプラスチックができるわけですけれども、食べるものじゃないから、この省令の中で、入っていてはいけないもののリストには当然入っていないという現状があります。
 これを見ていても非常におもしろいと思うんですけれども、プロピレングリコールというものがありまして、これはいろいろな食品添加物としても使われますし、いろいろなところでかなりたくさんに使われている添加剤なんですけれども、三十キロ以上の豚とか三カ月以上たった牛にはプロピレングリコールは与えちゃいけないというふうに書いてあるんですね。ところが、これは食品添加物で、ラーメンとか餃子の皮なんかにはかなり大量に入っていて、豚とか牛に食べさせちゃいけないものが人間が食べるラーメンや餃子の皮に大量に入っていて、しかもラーメンなんていうのは、子どもから大人までみんな食べるわけですよね。
 だから、そういう意味で、この省令を見ていると何か複雑なものを感じたわけなんですけれども、そういうものでしかないというふうなところがございまして、二%夾雑物としてプラスチックが入ってくるのは主にポリ袋だろうというご説明でしたけれども、そういうものが入ってくるということなんですけれども、二%といいますと、かなりな量だというふうに思うんですね。最終的にそこから取り除かれるというご説明があったわけですけれども、この豚とトリが食べる飼料にはプラスチックというのが最終的にどのくらい含まれることになるんでしょうか。

○松本参事 この施設で製造されました製品から夾雑物をできるだけ除去していることは、先ほど申し上げたとおりでございますが、この製品がそのまま豚や鶏のえさになるのではなく、飼料会社に出荷されまして、配合飼料の原料の一部となります。
 事業者によれば、配合比率は五%程度と想定されておりまして、配合飼料中に含まれるこの施設由来のプラスチックなどの夾雑物はごく微量であるとしております。

○新井委員 ごく微量であると。数字としては出ないんですかね。先ほど来申し上げておりますように、プラスチックというのは基本的に口に入るものではないということで、今回、安全性のことでいろいろお話を伺いましたらば、札幌の施設で、三%内の夾雑物の割合でやっていて、五年たっているんだから大丈夫だというお話がありましたけれども、人間が食べ物を食べて何かしらの弊害が出てくるというのは長い年月がかかって、たった五年だけで安全ですというふうにいうのは少々早いのかなという気がいたします。
 そういう意味でも、できる限り少なくというご答弁がありましたけれども、プラスチックはできる限りゼロに近づけるようなとり方をしていただいて、安全性を確保していただきたいということをお願いをしておきます。
   〔野島副委員長退席、委員長着席〕
 最後に、小笠原の環境保全についてお伺いいたします。
 これまで日本では、白神山地、それから屋久島の二地域が世界自然遺産に登録をされまして、その自然のすばらしさというのが世界的にアピールをされたと思います。そのことが結果として、単に自然保護ということだけではなくて、地域の活性化という面にもつながっているんじゃないかなというふうに思うわけですけれども、この一月に国は十年ぶりに、北海道の知床を新たな世界自然遺産として登録推薦することを正式に決定したわけですが、昨年の五月、国が、世界自然遺産候補地に関する検討会においては、東京の小笠原諸島もその候補地の一つになっておりました。
 今回、正式推薦を逃したわけですけれども、小笠原が推薦が後になったということについて伺いたいと思います。なぜ世界自然遺産に今回推薦がされなかったのでしょうか。

○徳毛自然環境部長 環境省と林野庁による世界自然遺産候補地に関する検討会の報告では、小笠原諸島は、多くの固有種、希少種が生育、生息し、特異な島しょ生態系を形成している点を高く評価しております。
 しかし、世界自然遺産登録に向けましては、多くの固有種、希少種の脅威となっている外来種の対策を進めること、また、法制度によって自然保護を保障するいわゆる保護担保措置が課題となっております。
 環境省は、課題解決に取り組み、条件が整い次第、登録推薦するとの見解を示しております。

○新井委員 小笠原というのは、非常に独特の固有種が多いところだというふうに伺っておりまして、それに対して外来種がたくさん入ってきていて、かなり危機的な状況にある。そういう外来種対策というものがきちんとされないと、世界自然遺産の登録に向けては非常に困難だということだと思うんですけれども、それでは、外来種、移入種がどのような影響を小笠原に対して与えているんでしょうか。

○徳毛自然環境部長 外来種は、固有種を捕食したり、あるいは競合関係にある種の生活場所を奪ったりして、結果としまして、固有種は生存競争に負けて衰退していくことが多いとされております。
 小笠原諸島では、アノールトカゲやアカギなどの外来種により、多くの固有種が脅威にさらされておりまして、長い年月を経てつくられた特徴的な生態系が短期間のうちに破壊されようとしております。このため、世界的にも希少な小笠原の自然を後世に伝えていくために、早急な外来種対策が求められております。

○新井委員 小笠原固有の動植物を保護するということのためには、外来種対策、本当に重要なことだというふうに思うわけですけれども、今、小笠原の自然環境保全のために、東京都、それから国、村、それぞれいろいろな施策を行っていらっしゃると思うんですけれども、この外来種対策ということについて、それぞれどのような施策をとっているのか、現状についてお聞かせください。

○徳毛自然環境部長 聟島、媒島、嫁島、西島には合計で千四百頭を超える野ヤギが生息し、植生破壊が深刻な問題となっていました。このため東京都は、平成九年度より野ヤギの駆除を進めてきた結果、現在、西島に一頭残すのみとなっております。しかし、父島、兄島、弟島にそれぞれ数百頭がいまだに生息しております。
 また、アカギの繁茂により、小笠原固有の樹木の衰退が進んでおり、これについては国有林の管理者である林野庁が排除作業を進めておりますが、アカギのすさまじい繁殖力のため、対策の効果が思うように上がっておりません。
 また、ノネコについては、公衆衛生の立場から、小笠原村により、ノネコの不妊去勢や飼い猫登録などの取り組みが行われております。
 その他、小笠原の固有昆虫にとって最大の脅威となっているアノールトカゲやオオヒキガエルにつきましても、なかなか有効な対応策が見出せない状況にあります。

○新井委員 国と都、そして村がそれぞれ対策を立てていらっしゃるということですけれども、非常に移入種対策というのは難しい問題だと思います。例えば、ノネコについては、このふんを調べた学者の方にお話を伺うと、結構ネズミを食べているということで、ノネコを全部退治してしまうと、今度は反対にネズミがどんどんふえてしまうとか、ただ何とか処理をすればいいということでもないようなバランスがあるようですけれども、特に小笠原の昆虫、これはアノールトカゲの影響で本当に絶滅寸前で、学者の中には、増殖ということも大事なんだけれども、増殖というより、既に標本として数種類ちゃんと確保しておかないと、もう絶滅してしまうのではないかというような状況であるということを指摘されている方もいらっしゃいます。
 そういう中で、今、ヤギのことについては、西島には一頭だけで、あとまだ数百頭ほかの島に残っているというお話がありましたけれども、その実態が実は余りよくわかっていないのではないかということも指摘をされています。ノネコとかヤギとか、それからネズミとかアノールトカゲ、こういったものがどこにどの程度いて、どういう影響を小笠原の固有種に与えているのかということについて、まだ実ははっきりととらえられていない。このことをはっきりと調査をして、とらえていくことからまず始めなくてはいけないのではないか、こんなふうに思うわけですけれども、都立大でも研究をしていらっしゃるということですが、こういった研究機関と連携をして実態調査を行うということが大事だと思うんですけれども、見解を伺います。

○徳毛自然環境部長 外来種対策につきましては、具体的で有効な対策がとりにくい難しい問題でございます。このため、研究機関などと連携しまして、その調査などを活用していくことは非常に重要であると考えております。
 小笠原の自然環境に関する調査につきましては、先生ご指摘のように、東京都立大学を初めとする研究機関がこれまで実施してきたほか、現在、環境省が生態系の健全性を回復するための基礎資料を得るための調査を実施しております。具体的な施策の検討におきましては、これらの研究成果を有効に活用してまいります。

○新井委員 環境省の方でも調査を始めたということですので、ぜひ、都立大、それから環境省、さまざまな民間ということもあり得るかと思いますけれども、まずは実態を知って、そして有効な手段を講じていくということで、早急に連携をとりながら進めていただきたいというふうに思います。
 続いて、これもやはり絶滅の危機に瀕しているといわれているアカガシラカラスバトについてですけれども、増殖事業を上野動物園で進めているということなんですけれども、こちらで一定程度増殖が進められてきた暁には、やはり私は現地でふやしていくということを考えていかなくちゃいけないかと思うわけなんですけれども、今の状況と、それから、今後それが軌道に乗ってきた時点で、現地での増殖というものを考えられるかどうかということについてお伺いいたしたいと思います。

○徳毛自然環境部長 小笠原諸島に生息するアカガシラカラスバトは、現在、数十羽程度といわれておりまして、絶滅の危機に瀕しております。アカガシラカラスバトは、種の保存法に基づく国内希少動植物種であるため、本来は環境省が主体的に対策に取り組むべき性格のものでありますが、現在の危機的状況を放置できないため、東京都が保護増殖事業を実施しております。
 上野動物園におきましては、現在までに五羽のひながかえっております。将来的には多くのアカガシラカラスバトが小笠原の土地で育ち、小笠原の空に飛び立っていくことを目指しており、それに向けた努力を今後とも続けてまいります。

○新井委員 ぜひ、一定程度個体数が確保された時点で、現地での増殖ということに切りかえていくということをお願いしておきたいと思います。
 今いろいろ伺ってきたわけなんですけれども、世界自然遺産に向けて、国、都、村、それぞれ協力しながら進めていかなければいけないというふうに思うわけです。それぞれが対策を立てていても、ばらばらにやっていて連携がないのでは、効果もなかなか上がらないということもございますので、登録に向けて、それぞれの連携強化ということが必要だと思うわけですけれども、これについてはどんなふうにお考えでしょうか。

○徳毛自然環境部長 遺産登録候補地選定後、東京都では、庁内及び村の職員から構成される世界自然遺産登録に関する推進会議を設置いたしまして、組織間の連携を強め、全庁的な取り組みとして世界自然遺産登録を目指しております。
 その会議内に、専門知識を有する職員から成るプロジェクトチームを組織いたしまして、外来種対策や保護担保措置などについて集中的な検討を進めております。今後、都と村とによる検討結果をもとに、林野庁、環境省など国の機関とも連携し、島民、NPOなどの協力を求めながら、世界自然遺産登録に向けた課題解決に取り組んでまいります。

○新井委員 国と都、それから村の連携、そしてまた、村にもこういった保全にかかわっていらっしゃるNPOができていて、非常に頑張っていらっしゃるというふうに伺っておりますので、そういったところと連携をして、ぜひ世界自然遺産登録に向けて頑張っていただきたいと思います。
 最後に、ちょっと意見として申し上げたいと思うんですが、国や都、村との連携ということと同時に、東京都の庁内の連携ということがやはり非常に大事なのではないかというふうに思います。環境局、もちろん一生懸命やってくださっているわけですけれども、小笠原には亜熱帯農業センターというものがございまして、こちらは産労局の方で所管をしていまして、牛や豚の畜産のこととか、亜熱帯植物などの育成なんかをやっているそうなんですけれども、これは産労でやっている。先ほどいいました都立大では調査研究を行っているということで、港についてはもちろん港湾局が担当するわけだと思うんですけれども、こういった東京都の各関係局がやはり連携をして全庁的にやっていかないと、なかなか小笠原の環境保全、そして、環境を保全すればいいだけではなくて、小笠原諸島の中で、いわゆる地域振興につながっていかなければいけないということもございますので、特に産労局の方と連携をして、そこの部分についてはやっていっていただきたいなというふうに思います。
 亜熱帯農業センター、これは、例えば小笠原自然資源の保全センター、あるいは小笠原資源の開発センターというようなところも総体的なものに変えて、地元に全部貢献していく、還元されるような施策というものをやっていかないと、関係ないことをやっていたのではしょうがないかなというふうに思いますので、この辺は、地元の村、そして市民の方、NPOの方と協働で、ぜひ一緒にやっていっていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。

○矢島委員 ただいま新井委員の方から小笠原の質疑がありました。私も小笠原について、引き続いて少しお伺いをいたします。多少重なるところはご容赦願いたいと思いますけれども、私がお聞きしたいのは、小笠原の自然環境保護行政における東京都の役割、これを中心にお聞きいたします。
 先ほどもお話しありましたように、小笠原をどうするかという認識、海上にある千キロも離れた島をどうするかという共通の認識をつくるのが一番の重要課題だと私は思っております。国立公園所管の環境省、国有林所管の林野庁、天然記念物は文化庁、振興開発特別措置法所管の国土交通省、そして地元と東京都と、多岐にわたりますから、これの調整をどこかがしていかなければいけない。なかなかそれができていなかったのが今までの課題で、今、新井委員のおっしゃったとおりだと私も思っております。
 その意味では、整っていない関係機関の共通認識の終着駅が、いわば自然遺産登録ということになろうと思いますが、現在の状況とポイントがどこにあるか、お伺いいたします。
 また、小笠原諸島を世界自然遺産に登録していくためには、自然保護体制の充実が不可欠であるのは当然のことですが、国立公園にもかかわらず、係官が全く駐在していない。都は独自事業で重点事業でレンジャーを設置するということになっておりますけれども、その内容と、世界遺産登録を進める上でも、その効果、どういう効果があるか、まずこれをお伺いいたします。

○徳毛自然環境部長 先生ご指摘のように、小笠原諸島の自然環境の保全につきましては、環境省を初め複数の省庁がかかわるため、世界自然遺産の登録を目指す上で、関係省庁の連携が非常に重要だと認識しております。
 世界遺産登録につきましては、環境省が知床に次いで小笠原諸島の世界自然遺産の登録を視野に入れまして、今後、外来種対策などの課題に対する方向性を示しながら、条件が整い次第ユネスコに推薦していくとの見解を示しております。また、小笠原村は、村民の生活に支障を与えないことなどの条件をつけた上で、世界自然遺産を推進していくという見解を示しております。
 小笠原諸島の自然は、多くの固有種、希少種が生育、生息しまして、特異な島しょ生態系を形成している点が高く評価されています。このすばらしい自然を人類共通の財産として後世に引き継いでいく上で、世界自然遺産登録を目指していくことは、とても有効であると認識しております。都は、村とともに、小笠原諸島の自然遺産登録に向けまして、環境省などの関係機関の連携を取りまとめてまいるつもりでございます。
 また、都独自のレンジャー制度との関係でございますが、都レンジャーにつきましては、東京都と小笠原村が推進しておりますエコツーリズムと連動しまして、船舶の発着時における外来種対策の普及啓発の実施とか、その対策の強化などに寄与していくというふうに考えております。

○矢島委員 小笠原の自然は、その生態系の中で一つの生物多様性を示す貴重な財産であることは当然のことですが、今後、この基本的条件を守り、かつ、都民にそれに接する機会を提供していくことになっていこうかと思います。しかし、この日本のガラパコスの移入種対策、国のいうところの外来種対策は、やっかいな問題であることは当然のことです。
 小笠原の自然は、海洋の島であるだけに脆弱でありますし、大切な固有種が外来種の脅威にさらされて、この取り組みは、先ほどの新井委員の質疑と私も同様な意見を持っております。動きの鈍い国に対して、都が移入種対策、外来種対策を計画的、積極的にぜひ推進をしていただきたい。
 この外来種対策には幾つかあろうと思いますが、現在ある外来種の扱い、対応については、ノヤギ対策は四島で完了をして、その後は、十二年度からNPOが嫁島でノヤギ排除とノヤギに荒らされた復元が進められておるのは知っております。また、八丈小島で、残されたノヤギの、やはり植生が随分荒らされているということで鳥もすめない状況になっている、これを方法がないので射殺で駆除するというような新聞報道も見ておりますが、だんだん、特に見えるところから、次の細かい、そして非常に手間のかかることに対応していかなければいけない必要が具体的にあると思います。
 それもそうですけれども、新たな外来種対策というのも一つの課題で今後出てくるように思います。テクノスーパーライナーが今度開通することによって、本土と小笠原の交通が便利になってまいりますし、また、離島間、観光客や物資の移動で新規の移入への対策を何ら考えていかなければいけない。この場合には、ガラパゴスの取り組みが非常によい例になろうと思いますが、外来種の予防についてお伺いをいたします。

○徳毛自然環境部長 ご指摘のとおり、外来種対策は世界自然遺産登録に向けて大きな課題となっており、庁内に世界自然遺産登録に関する推進会議を設置して検討を進めているところでございます。
 この中でも、外来種の侵入を未然に防止するためには、外来種の本土から島内への持ち込みや離島間の移動を制限するための仕組みをつくるとともに、外来種問題の実態や対策につきまして、観光客などにわかりやすく説明していくことが重要であるとしております。現在、東京都と小笠原村が推進しております東京都版エコツーリズムにつきましても、適正な利用のルールとして外来種の持ち込みを禁止しております。これをさらに今後徹底させていくつもりでございます。

○矢島委員 特別保護地域が多いのが小笠原の特徴でありますけれども、逆に考えれば、いわば人間の活動の地域が限られてくる。人の活動の範囲と方法も制約されてくる。小笠原の自然を維持するためには、総合的観点から、私は、人の活動のキャパシティーをつかんでおくことが必要じゃないか、このように思います。今後、この点の取り組みの必要があると思いますので、そこの考えをお伺いいたします。

○徳毛自然環境部長 小笠原諸島の貴重な自然を守りつつ、その自然を将来にわたり持続的に利用していくために、南島や石門一帯のように貴重な自然を有し、かつ、人の影響を受けやすい地域につきましては、保護と利用を両立していくための仕組みをつくる必要があると考えております。
 先ほど先生ご指摘のように、TSLの就航や世界自然遺産登録による観光客の増加が今後予想されます。今後、小笠原が受けとめることのできる環境負荷につきましても、その研究について検討していくということを考えております。

○矢島委員 次に、十六年度の環境局関連の予算全体の傾向についてお伺いをいたします。
 国の対応がいわばナショナルミニマムとすると、東京都は、知事がよく本会議の答弁でいっておられるのを聞いておりますが、東京に先鋭的にあらわれている課題に都の一般財源で対応していく、これが一つのスタンスになっております。
 このよい例が、環境局関係でいえばディーゼル車対策ということになると思います。しかし、十六年度は、都財政が逼迫する中、金額の多寡は別として、国の資金の活用が目立つような気がいたします。スーパーエコタウン整備支援費の国庫支出金十八億円は通り抜け費用ですから、これは別としても、このほかにも新規の施策に係る国庫支出金があります。一般的にはおくれがちなイメージを持つ国の施策ですから、これは何か理由があると思いますが、この国庫支出金の活用の経緯についてお伺いをいたします。

○百合都市地球環境部長 十六年度予算案では、新たな国庫支出金といたしまして、地球環境対策の二億四千万円を計上しております。これは、平成十五年十月に創設をされました石油特別会計補助事業を活用したものでございます。その内容は、中小テナントビルへの省エネ資材導入補助二億円、地中熱利用ヒートポンプシステム試験利用補助二千万円、温暖化対策の普及啓発二千万円でございます。
 このうち、中小テナントビルへの省エネ資材導入補助につきましては、業務部門の課題であるテナントビル対策につきまして、都が補助制度の創設を国に対して提案し、制度化が図られたものでございます。

○矢島委員 評価するところであります。
 東京都の動きにやはり国の方もしっかり目を向けていかなければならない、その連携の中で新しい環境行政を図っていこうということのあらわれだと思いますので、今後とも積極的な提案をぜひしていただきたいと思います。
 今ご説明のありましたこれらの事業、いわばパイロット事業ということになろうと思いますので、この後の発展の可能性についてお伺いいたします。

○百合都市地球環境部長 ただいまご説明申し上げました補助事業のうち、中小テナントビルへの省エネ資材導入補助につきましては、中小テナントビルのオーナーとテナントが協議会を設置し、省エネ対策に取り組む先導的なモデル事業に対しまして、設備機器の導入を補助するものでございます。
 都といたしましては、この補助事業により、オーナーとテナントが協力して省エネ成果を上げた事例を収集いたしまして、テナントビルの取り組み促進に活用してまいります。また、地中熱利用ヒートポンプシステム試験利用補助は、地中熱を利用した対策技術を率先導入する事業への設備補助でございまして、集合住宅や病院での利用が期待されるものでございます。
 これによりまして、自然エネルギー等の対策技術の普及拡大を図ってまいります。

○矢島委員 次に、環境科学研究所関連についてお伺いをいたします。
 十六年度予算では、研究所事業費は二億七千万円の減で、予算には二千五百万円の国庫委託の新規研究が含まれております。これがなければ、一〇%を超える事業費の減額ということになろうかと思います。
 この状況では、既に申し上げたことでありますけれども、今後活用を図らなければいけない環境科学研究所の積極的、重要な役割がちょっと見えてこないような気が私はいたします。今回の国庫委託研究は、都の研究所の位置づけにふさわしい研究と信じておりますけれども、委託研究の内容とその経緯についてお伺いいたします。

○宮本環境科学研究所次長 研究所は、従来より国庫委託による研究を行っておりますが、都の環境施策に有用なものを受託することを原則としております。十六年度の新規の国庫委託研究としましては、揮発性有機化合物の処理に関する研究及び炭化水素削減対策の評価に関する研究の二つを予定しております。
 このうち、揮発性有機化合物の処理に関する研究は、環境省が十六年度に予定しているジクロロメタンの処理設備の実証試験を受託するものです。ジクロロメタンは、都内の金属処理業でも多量に使用されており、この研究を通じて処理技術が実証できれば、都内の中小事業者が安心して処理設備を導入することが可能になります。これにより、都の環境行政に大きく寄与できるものと考えております。
 また、炭化水素削減対策の評価に関する研究ですが、これは環境省が十六年度から関東圏で予定している広域的な調査を受託するもので、都にとっても重要な課題である光化学オキシダントや二次生成粒子状物質の原因である炭化水素についての広域的なデータが得られ、今後の都の大気汚染対策にとって極めて有用であると考えます。
 環境科学研究所は、都の環境施策の展開に必要な研究について、今後とも一層の充実を図ってまいります。

○矢島委員 答弁は求めませんけれども、事業費の問題は、財政逼迫の中ですが、絞り込んできた結果であるだけに、この状況というのは苦しいものじゃないかと私は想像いたします。その位置づけは、将来にわたる必要な研究対応ですから、ぜひ特段のご配慮をして、活動しやすいようにしていただきたい、このように思います。
 次に、交通需要マネジメント東京行動プランの行動の字が抜け落ちた印象のロードプライシングについて、環境局は、今後は、寄せられた都民、事業者からの意見を踏まえて、さらに実施内容の検討を進めていくというのが事業概要にあります。この印象は非常に前向きな印象を感じます。
 私は現地調査をした者の一人ですが、そこが大きいから小さいからという問題ではありませんで、導入は可能だと考えておりますが、環境局の現在の取り組みの状況についてお伺いいたします。
 また、過日、ロードプライシングの先進地域、東京からいえば大変狭い地域ということになりますが、ロンドンの圧倒的な成果について報道がありました。この点についてどう考えるか、あわせてお伺いをいたします。

○月川参事 ロードプライシングにつきましては、東京都ロードプライシング検討委員会報告書に対します都民や事業者などからの意見を踏まえまして、課題の整理を行ってまいりました。今後とも、ロンドンや他都市の取り組みを調査するなど、さまざまな角度からさらに検討を進めていく必要があると考えております。
 ロンドンが昨年から実施した混雑課金につきましては、ロンドン交通庁の調査によりますと、交通量が約一五%減少し、一定の成果が上げられたとされております。一方、ロンドン商工会議所の調査では、小売り業者は約八割が、制度導入前より売り上げを減少させたとしております。さらに、ロンドン議会交通委員会は、反則金通知発行件数が、昨年十月に比べ十一月には六五%増加し、課金逃れが発生していることが指摘されております。こうした点につきまして、さらに情報を収集していく必要があると思っております。
 東京とロンドンを比較しますと、都市構造も異なりますし、交通量もロンドンの二倍以上になります。課金区域に流入する膨大な量の自動車を毎日確実に課金徴収し、公平性、実効性を確保するということは大変難しい課題でございます。こうした意味も含めまして、今後、こうした課題について検討してまいります。

○矢島委員 やはり扱いについては、どうするかという方法をしっかり考えるべきだと思います。今のお話の内容からいきますと、この事業概要の中では、実施内容の検討となっていたのを、多角的な面から検討になっている。行政の方々は言葉を非常に大事にされますので、随分、先ほど申し上げたような後退の印象がぬぐい去れない気がいたします。
 それからもう一点、大きさが違うんだというお話ですけれども、倍の設備があれば、大きさが違う、倍の大きさだったら倍でできるということになりますので、スーパーコンピューターがある時代ですし、人が数を数えて対応しているわけではありませんから。ご承知のように、あそこはビデオで全部カメラで撮りまして、コンピューターでその日のうちに処理する、こういうシステムになっているんだそうです。
 払わないところにつきましては、何回か重ねますと、非常な課金がついてくる。ですから、そういうことの対応で公平性は確保しているという、それを導入した元の交通部長のお話は直接聞いております。また、労働党の、衆議院議員でありましたのが、今、リビングストンさんといいましたか、それが市長をされておられるはずですが、市長の方もこの成果に大きな自信を持っておられる。
 一方においては、お話しがありましたように、商業地域の売り上げの減少という問題を抱えておりますが、全体で見ていったときに、私は意義が非常に大きいと思いますから、今、だんだんと忘れ去られていく、対応が検討中だという言葉になっていくのではなくて、少なくとも最初は導入を前提にして、一千億を超える規模のロードプライシングの課徴金のお金の収入があって、四百億だったか五百億だったか、数字は今手元に持っておりませんのでわかりませんが、そういう初期投資コストがある。ですから、対応できることだと思います、目的意識を持てば。
 ですから、そういう意味で、どうするかという、多角的に検討するというのは当面やらないというふうに聞こえますけれども、それに対してはしっかり方針を決めていただいて、その理由を示して対応していくことが必要だと思いますので、デパートのメニューに終わらせずに、ぜひ実際の対応を考えていただきたいなと、これは意見だけ申し上げておきますので、答弁は求めません。
 最後に、環境科学研究所の今後の活動、位置づけ、小笠原の自然環境維持について、局長の決意をお伺いいたします。

○小池環境局長 環境科学研究所の役割と私の見解ということでございますけれども、それについてまずご答弁させていただきたいと思いますが、先ほど来、研究所次長からお話がございましたように、環境科学研究所では、今日の環境問題を解決するために必要な基礎的研究、そういったものに基づきまして、科学的なデータを集積したり、それから対策を実用化するための技術開発に必要なそういった実証試験、こういったことで今取り組んでおりまして、これらを通じまして、環境科学研究所は、都の先駆的な環境行政を進める上で非常に重要な役割を果たしていると思っております。
 例えば、ご案内かと思いますけれども、基礎的な研究ということでは、環境ホルモンの作用というようなことで、多摩川の調査を踏まえながら基礎的研究を進めております。さまざまに国の方にも提言したりしております。
 それから、非常に特筆すべきことといたしましては、ディーゼル車規制のときに、国に対して私どもいろいろ、試験のあり方がおかしいとか、走行モードが実態に即していない、こういうようなことにつきまして、環境科学というさまざまなデータを、実走行するなり、それに合わせた形の試験モードを設定して国に提言して、やっと国の方もそういうふうに動き出した。また、PM減少装置についても、実用化を目がけていろいろと試験していたことが、国は当初はそれは不可能だといっていたようなことが、効果的ではないといっていたことを覆すというようなことで、今回のディーゼル車規制に取り組むに当たって、非常に私どもも国に対して進める上での武器になったということを提供していただいております。
 それからまた、ヒートアイランド対策についても、現在、屋上緑化の効果測定ということでいろいろとやっております。
 それから、三宅島のことに関しましても、大気汚染の観測をやっておりますし、帰島に関して、いつ帰島できるかということの一つの目安となります脱硫浄化装置ということが非常に重要になっているわけなんですが、それの性能試験というようなこともやっております。
 このように、現在、東京都が抱えています環境上解決しなければならない、迫られている問題につきまして、基礎的な研究、さらには実証的な研究ということでやってくれておりまして、非常に大きな役割を果たしております。
 先ほど来、財政的な問題があってというようなお話がございました。確かにそういうことがありまして、さまざまな研究をしていく場合に非常に制約的な要素も出ておりますが、国のそういうひもつきでない費用につきましては予算を確保いたしまして、ただいま申し上げましたが、環境科学研究所の体制の充実を図りまして、その機能が十分発揮できるように進めてまいりたいと思います。
 それから、もう一点ご質問がございました小笠原諸島への取り組みの姿勢についてでございますけれども、私も、小笠原諸島につきましては、二回ほどしか行っておりませんが、非常に限られた体験ではございますけれども、本土ではわからないような、体験できないような亜熱帯の貴重な動植物がございます。また、南島の貴重な景観というようなこともございまして、そういった意味で、小笠原諸島が世界自然遺産の候補地として今回選定されたということは、非常に喜ばしいというふうに思っております。
 ただ、世界自然遺産の登録に向けて、いろいろなところで調べているわけなんですが、先ごろ白神山地に参りましたときに、マタギの人のお話ですと、世界自然遺産に指定されたのが果たしてよかったかというようなことも、そのマタギの方はおっしゃっているわけですね。それは、観光客が増加したために、以前は自然の成り立ちの中でなれていたのが、かえって荒れてきたというような指摘がございます。
 そういうようなことがございますので、私どもといたしましては、小笠原におきましては、登録がきっかけとなってそういうような事態を招いてはどうしようもないということがございますので、何としても地元小笠原の方々に喜んでいただけるように、自然保護と観光が両立する、こういう仕組みをしっかりつくらなくちゃいけないんだなと。そこで、先ほど担当部長からもご答弁申し上げましたように、関係者でPTをセットして問題解決に当たろうとしております。
 このようなことで、既に東京都は、自然の保護と観光とが両立するような形で東京版エコツーリズムをやっておりますし、さらにレンジャーも設置してということで、守る体制をつくろうとしております。
 こういったことを踏まえながら、小笠原の村と協力しながら、自然遺産の登録に向かって頑張っていきたいと思います。

○矢島委員 局長のしっかりした認識と強い姿勢に感謝を申し上げます。ぜひ努力をしていただきたい。

○樋口委員 それでは、私の方から何点か質問をさせていただきます。
 国連環境計画の地球環境概況二〇〇〇というものがありますが、これによりますと、地上の淡水資源は今後数十年間の需要増には対応できそうもない、そして、温室効果ガスの排出増による地球温暖化の防止、恐らく手おくれだろう、京都議定書の目標も達成が難しい、熱帯林の破壊は既に取り返しがつかない状況になっていて、失われた森林の回復には多くの時間が必要で、森林とともに失われた文化は永久に回復できない、そして、二〇五〇年には二十億人が極度の水不足に悩むことになり、世界の二酸化炭素の排出は二・四倍になる、有害物質の排出は地球全体で現在の三倍、途上国は五倍近くになるだろうと予想されている、とんでもなく悲観的な、絶望的とも思えるような考えが打ち出されております。
 経済と環境、もちろん相乗効果で進んでいかなくてはならないことかとは思いますけれども、環境問題というのは、企業が事業の拡大を図ろうとすると、どうしても相反する部分が大きいため、なかなか急進的な取り組みはできません。そもそも環境問題に限らず、今抱えている問題というのは、私たちの子どもたちに残さなくてはならない確かなものを否定するものであり、そして、今ある問題を、その私たちの未来の、次世代の方々に残してはいけないものであり、待ったなしに解決しなくてはならないことだと思います。しかし、今のような状況では、大変大きな大きな問題かと思います。
 そこでお伺いいたします。平成十四年の十一月に策定されました都市と地球の温暖化防止に関する基本方針におきます挑戦1から6まで、それぞれにつきまして、現在どのような具体的なことがなされていらっしゃるのでしょうか。

○百合都市地球環境部長 十四年に策定されました都市と地球の温暖化阻止に関する基本方針におきます挑戦1でございますけれども、オフィスなど大規模事業所のCO2排出量削減の推進でございます。挑戦2は、新築建築物の環境配慮設計の推進、挑戦3は、消費者への省エネ情報の確実な伝達でございます。これらの三点につきましては、東京都環境審議会に諮問をし、先般、中間のまとめをいただいたところでございます。
 挑戦4は、自動車に起因するCO2排出量削減対策でございまして、自動車環境管理計画書による事業者指導の徹底や、国に対して燃費基準の強化についての要請などを実施をしてきたところでございます。
 挑戦5は、再生可能エネルギーへの利用転換の促進でございまして、臨海部における風力発電設備の設置、有明水素ステーションの開設、燃料電池バスの運行など、パイロット事業を実施しているところでございます。また、上下水道施設などにおきまして、再生可能エネルギーの活用が進められております。
 挑戦6は、ヒートアイランド対策の推進でございますが、昨年三月にヒートアイランド対策取り組み方針を策定いたしまして、全庁的な取り組みを行っているところでございます。

○樋口委員 挑戦2の新築建築物の環境配慮計画設計の推進についてなんですけれども、この中にあります建築物環境計画書制度についてお伺いいたします。
 これは、大きなビルの建設の際のことでございますけれども、大規模建築物の新築時に環境配慮の設計を進めようとするものでございますけれども、大規模建築物に限らず、小規模についても、みずから設計した環境配慮の内容を市場で評価してもらいたいとして、自主的にアピールする取り組みを進めている建築主もいらっしゃると思います。こういった小規模建築物の建築主に対しまして、都としてはどのような対応ができるとお考えなんでしょうか、お教えください。

○百合都市地球環境部長 現行の建築物環境計画書制度は、延べ床面積が一万平方メートルを超える新築または増築の建築物を対象としてございます。環境性能の高い建築物の普及を進めるという制度の趣旨からいいまして、制度の対象とならない小規模な建築物につきましても、自主的に取り組みを進めようとする事業者に対しましては、環境性能の評価基準などをわかりやすく情報提供してまいりたいと考えております。

○樋口委員 環境性能の評価基準などをわかりやすく情報提供していくとは、どのように情報提供していくのかななんて、そんなことを考えてしまうんですけれども、それはぜひぜひお取り組みいただきたいと思っております。
 挑戦3についてお伺いさせていただきます。消費者の省エネ情報の確実な伝達として、家電製品の省エネラベル制度を挙げております。そして、この省エネラベル制度、この制度の対象とする家電製品の品目は、どのようなものをどういう理由で選んでいらっしゃるのでしょうか。

○百合都市地球環境部長 今回の中間のまとめにおきましては、エアコン、冷蔵庫、テレビの三品目について、当面、制度の対象品目としていくよう提言がされております。これは、家庭におけます家電製品の消費電力の割合が、この三品目でほぼ五割を占めることなどを考慮したものでございます。
 さらに、その他の家電製品やガス機器などにつきましては、省エネ製品の開発の見通しや国の省エネ基準の動向などを見ながら、対象品目の拡大を鋭意検討してまいりたいと考えております。

○樋口委員 ご丁寧にお話しいただきまして、ありがとうございました。
 まずは家電三種類、これからさらに検討ということでございますけれども、使用法によっては、より省エネできる方法だとか、また逆に、こんな方法をとってしまうと、省エネのよろしいものを使用していても効果が薄れるなどと、しっかりとアナウンスをしていかなくてはならないかと思います。ぜひこの辺のこともご考慮いただけたらと願っております。
 そして、確かに三品目については消費電力の占める割合が高いのですが、最近の家電製品の普及から考えますと、パソコンの問題が大きいかと思います。先日、国連大学の研究グループが、パソコン一台の製造には燃料や水、化学物質が約一・八トンも必要で、コンピューターの多量生産、多量廃棄は地球環境に重大な影響を及ぼすとの調査報告を発表したそうです。
 今日のパソコンの急速な普及、そしてIT化の急速な発展などパソコン需要はますます高まっております。そして、私たち自身もパソコンを一日じゅうつけっ放しなんてことは、ごくごく当たり前になりつつあります。このようなことから考えますと、二〇一〇年のCO2の削減排出量が、現在、都で推定している値よりもさらに高くなっていく可能性が非常にあるかと思います。
 さきに述べさせていただきました地球環境概要二〇〇〇は、絶望的なものと私は実をいうと受けとめております。でも、それでも私たちは、今やらなくちゃならないことをここで頑張っていかなくてはならないと思っております。環境という問題は、大きくとらえると本当に広くて、それこそ皆様方が毎日毎日ご貢献いただいておりますさまざまな問題に取り組んでいらっしゃって、大変、大変かとは思います。
 先ほど局長が、港湾の方からおいでになられたというお話をされまして、私もふと思い当たることがございます。例えば、環境としてとらえるのだったら、港湾の中央防波堤の部分、耐震性はどうなんだろうか。大井ターミナルのあたりはきっちりと耐震性をさらに強めるように工事がなされておりますが、ところが、中央防波堤については、初めの耐震性のままであります。いつ災害が起こるかわからない、そのとき第二次災害として、この環境というものが大きく大きくクローズアップされるものだと考えますが、そういったこともまた、環境局として局を超えて取り組んでいただきたいと思います。
 また、地球環境概要二〇〇〇の中で、水不足が挙げられておりました。中水道、下水、そしてまた地下水などの利用を積極的にこれからも行っていかなくてはならないとは思っておりますが、今、世界は気象コントロールの時代に入っております。東京では、五十年近く前のちょっと骨とう的な手法で人工降雨を行っておりますが、この人工降雨についても、もしも環境局としてとらえていただけるならば、もっともっと環境を考慮したものを使っていただけるのではないかと考えております。
 今、人工降雨を東京都で行っているのは、沃化銀というものを使ってです。ところが、この沃化銀は、製品安全データシートによりますと、ほとんどの製品安全データシートでは劇物とされており、また有害物質だともされているものを使用しての人工降雨であります。この人工降雨については、小河内ダムの水を確保するためという形の人工降雨でしかありませんけれども、広域的にとらえて、もしも環境局のあたりで考えていただけらたなんて、私見ではございますが、思っております。
 ぜひ東京都として、各局の隔たり、バリアをなくしていろいろと取り組んでいただけたらなと思っております。特に、国に先駆けた先進的な取り組みをさらに推進していただくようお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

○清水委員 二〇〇二年の十一月二十七日の都市・環境委員会の審議を、私は非常に記憶を、鮮明に覚えております。当時は、ディーゼル車の規制を前に、毎回、委員会で各党から中小企業の対策などが出され、このままで本当に条例化するのか、規制をするのかというようなことが、繰り返し強い口調で質問が続いていた委員会でした。そのたびに局長は、厳しい調子で、実施しますというようなことを各党に繰り返し答弁していたわけです。その中で、十一月二十七日の都市・環境委員会が行われて、非常に私もこの日の委員会を鮮明に覚えております。
 そのときに環境局長が、地球温暖化問題で自民党の議員が幾つか質問をしているんですけれども、最後に環境局長は、この温暖化対策の推進に当たって、何よりもオフィスなど業務部門からのCO2の排出量が多いという、東京の持つ大都市特有の地域特性を十分踏まえて、実効性のある方策を具体化することが重要だと考えている、国は歩みが遅いんだ、それを待たずに東京で独自で対策を打つんだということで、事業所の建築物のCO2削減の義務化についていろいろと検討すべき課題があると認識しておりますが、十分に審議会の中でいろいろな観点から意見を尽くして、また、具体化に向けて検討していきたいというふうにお答えをされておりまして、これは環境局長よく覚えておられることだというふうに思うわけですが、そこでお伺いいたします。
 その後に環境審議会が立ち上げられて、今回、中間まとめが出されたと思うんですけれども、この環境審議会は、局長にお伺いいたしますが、義務化を前面に出してスタートした審議会だというふうに思いますが、その点についてだけお聞きいたします。

○小池環境局長 審議会に諮問いたします前に、東京都としまして、先ほどご質問ございましたけれども、二つの温暖化をめぐる対策、基本方針というものをつくりまして、その中に挑戦1から6までを掲げたという格好になっておりまして、その審議会にはそのうちの挑戦1から3までを諮問したと。
 そのときに、一番の問題意識は、今、清水委員からお話がありましたように、東京の持つ地域特性ということを十分踏まえなければいけないということで、特に東京の場合は、第一に大きなオフィスビルが存在している、ウエートが全国的にも非常に高いということがある、それからまた、都市再生という形で、非常に大きく都市が変貌する時期を迎えているということで、オフィスビルについての対応策、これが非常に重要であろう、こういうようなことで、その点に関して実効性ある仕組みをつくっていく必要があろうと。
 そのときの諮問の説明といたしましても、問題意識としては、義務化についてさまざまな実効性ある仕組みについて検討していく、こういうことで諮問をしております。

○清水委員 中間まとめが出されたときの新聞の報道によると、これは読売と日本経済新聞なんですけれども、読売は、CO2削減義務断念というふうに書いています。その中で、これに対し--これに対しというのは、東京都が義務づける方針を打ち出し、東京都環境審議会に諮問していた、これに対し、産業界からねらい撃ちだとの強い反発が続出と。それから日本経済新聞でも、審議の過程で産業界から反発が強く、当初の想定に比べて実効性の点で課題が残る内容になったというふうに報道されておりますけれども、産業界というのは、この審議会の中では一体どなたを指すのでしょうか。

○百合都市地球環境部長 審議会の今回諮問に当たりまして、今回のテーマについて専門的なご意見をなるべく広くお伺いするというところから、いわゆる通常の委員さん以外に、専門委員というような形で経済界から二名、それから学識経験者から三名というような形で新たにお願いをしたところでございます。

○清水委員 それは審議会が最初から依頼をしたのでしょうか。

○百合都市地球環境部長 今回の実効性ある温暖化対策の推進の対策ということで専門的な意見をお伺いするということで、その方々を補充したといいますか、専門委員でお願いしたというところでございます。

○清水委員 最初から。

○百合都市地球環境部長 そうです。

○清水委員 産業界の方々というのは具体的にはどなたでしょうか。どこの団体からの代表でしょうか。

○百合都市地球環境部長 経団連の中で温暖化対策についていろいろ部会等を設置して検討しているようなこともございますので、経団連の方から二名お願いしたということでございます。

○清水委員 日本経団連の方から委員を選任したといわれましたけれども、同じこの十一月二十七日の委員会の中で、当時の企画担当参事が国の温暖化対策を批判している部分があります。地球温暖化対策大綱ですけれども、その大綱の中では、CO2削減策の多くを経団連の自主行動計画に依存するなど、産業部門対策を中心とした自主的な取り組みに大きく頼っているところです、また、環境税や排出量取引など実効性のある取り組みについては、二〇〇五年度以降に先送りされている状況でございまして、取り組みのスピードは極めて遅いといわざるを得ませんというふうに答えているわけですけれども、そういう経団連が自主行動計画に依存しているということを国の方の大綱の中でいって批判しているにもかかわらず、そういう方をなぜ選任したんでしょうか。

○百合都市地球環境部長 先ほど局長の方から申し上げましたけれども、東京都のいわゆる地域特性といたしまして、経済活動が非常に旺盛だということ、それから、それに伴ってCO2の排出も非常に多いということ、当然そういった経済活動とかかわる部分がかなりございますので、そういった経済活動と、それから温暖化対策というものが、やはり並行して両立していかなければいけないだろうという発想から、経済界の方々のご意見をお伺いしたいということでお願いしたということでございます。

○清水委員 経済界の方が入るということはあると思うんですよ、この委員会でなくても、ほかの委員会でも。それは、今までいろいろな何々企業からの代表とか、そういう委員はいたと思うんですけれども、なぜそれが日本経団連なのか、なぜ日本経団連の方を二人も選んだのか、お伺いしたいと思います。

○百合都市地球環境部長 経団連というところでは、そういった対策を自主的に進めておられるという実績もあるということが一つございますし、それから、経済団体として非常に大きな団体であるし、経済活動も非常に大きなレベルで行われているというところからお願いをしたということでございます。

○清水委員 それでは、この審議の過程で九回ほど行われたということですけれども、この審議の最後のところに、この新聞にあるように、産業界から反発が強くとか、強い反発があったというのは、この日本経団連のことを指しているのでしょうか。

○百合都市地球環境部長 審議会の場でございますから、当然いろいろな議論がございます。立場もありますし、これまでの知見もございます。それぞれ違うご意見があります。その中で、自主的な対策をとるべきだというご意見もございますし、規制的な手法をとるべきだというご意見もあったということでございます。

○清水委員 しかし、新聞には産業界からの反発が強くということが報道されているわけですけれども、産業界というと、この審議会が、ここに名簿を、ホームページからとったわけなんですけれども、産業界というと、この二つの日本経団連の方のことですか。

○百合都市地球環境部長 新聞報道で意味するところの産業界というのが、審議会の中でのお話なのか、産業界全体の話か、ちょっと私も知悉しておりませんけれども、私ども、企画政策部会という形で審議会の部会を設けて議論しましたけれども、その中で、産業界ということでございますれば、経団連の方が二名、それからあと、当初から一名お願いしておりますので、東京商工会議所ですね、三名の方がいわゆる経済界といえばそういう形になります

○清水委員 この十年ほど、環境局の、いろいろな審議会があると思うんですけれども、全部覚えていらっしゃらないかもしれませんけれども、環境審議会とか清掃審議会とか自然保護審議会とか、いろいろあるかと思うんですけれども、こうした日本経団連の方が臨時委員やまた審議会の委員になった例はありますか。

○梶原企画担当部長 東京都のいわゆる審議会の中で、経団連に今回入っていただいたのは初めてのことかと思います。ただ、先ほど来、百合部長からご答弁申し上げておりますように、経団連自体が非常に企業の取りまとめ役であるということ、それから、熱心に地球温暖化対策の問題について知見を持った取り組みをされているということもございまして、そういう意味で、ぜひ入っていただきたいと、こちらからお願いをしたところでございます。

○清水委員 私たちは、環境の問題だけでなくて、今回の代表質問、それから前回の代表質問でも、日本経団連がさまざまな分野で非常に意見をいったり、強い姿勢で行政に働きかけをしていることが、異常な形としてあらわれているというようなことを指摘しましたけれども、環境局でも、私は十年間の審議会委員を全部見ましたけれども、初めて日本経団連の委員の方が入っている。それでこの中間まとめがなされて、義務化ですと、十一月二十七日の委員会では、本当に強い口調で環境局長--自民党のこいそ議員がいろいろいうわけですよ、伝家の宝刀をいきなり抜かなくてもいいじゃないかとか、しかし私たちはということで、義務化するとはいいませんよ。しかし、私は聞いていて、すごい強い調子で自民党の方からいわれても、義務化に向かって進んでいくのかなあというようなことでずっと見ていたわけですよ。
 だから、やはりこういう新聞報道なり都民の方の中から、本当に東京が大都市特性というならば、東京は一部の、この議事録では〇・一%の企業、ここでは一%の企業とある。〇・一%の企業が四割の排出をしているとか、一%が三割の排出をしているとか、いろいろな数字がありますけれども、そういう東京の特性の中で、どういう地球温暖化対策があるのかということを審議されてきたと思うんです。それが自主性ということで結果としてなったわけですけれども、この審議会の委員の中では、義務化を強調されている学識経験者の方もいたわけですよね。それはもうよくご存じだと思うんですけれども、一部ですけれども、その重大性を認識すると、この問題、誘導とか自主規制だけで済む問題では私は到底ないのではないかと思う、そういう段階じゃないというようなことをいっている。
 それから、何か最初に、後ろでしりすぼみになっている、それはやはりぬぐえないということだと。審議の過程の中で、当初は義務という言葉が文書に出てきているというようなことで、審議会の委員の方の中からも、これは途中で、最後は納得されたといわれるかもしれないんですけれども、この審議の途中の中では、やはり東京都が最初に義務化をする方向でというようなことをいいながら、結論的に自主規制ということになったことに対して、やはり委員の方の中からも、どうしてかなというようなことがあったのではないかというふうに思うわけです。

○小池環境局長 それは私がお答え申し上げます。
 昨年の答弁といいますのは、議事録のとおりですから、そのとおりだと思いますが、ご理解がちょっと違っているんじゃないか、誤解をされているんじゃないかということで、先ほど来、担当部長が詳しくご説明しているところなんですが、改めてちょっと申し上げたいと思います。
 先ほど申し上げましたように、今おっしゃっていますのは、挑戦三つのうちの一番最初の、既存の現在あるビルについてどういうふうにCO2削減を実効性ある仕組みにしていくか、そのときに、義務化を含めて検討していきますよ、義務化しますよといってはおりませんが、義務化を含めて検討していきますよ、その方向で検討していきますということで諮問しております。で、ご審議いただいた。
 それで、現在の中間報告が出ている、提言されている内容といいますのは、基本的な仕組みというのは先ほど来ご説明申し上げているとおりなんですが、義務化ということについて、当初は、私どもが諮問した時点での問題意識がどこにあったかといいますと、義務化イコール一律削減目標、こういうことの問題意識が非常に、ある意味では濃厚であったということは事実だと思っています。
 ですから、そういったことで、最初から審議会の議論が、一律の削減目標を設定して、削減率だとかそういうものを設定して、それに対して、ある意味では規制していくというような手法がいろいろと議論された。ですから、ある意味ではディーゼル規制をやるような、一律の何ppmを達成しなければだめだ、こういうような問題意識が、ある意味ではそこにあったということは事実だったと思っています。
 ただ、いろいろと実態を調べていきますと、先ほど担当部長がご説明しましたように、実際の経済活動というのは非常に複雑な形で行われている。一つ一つのビルをとってみましても、もう既に新しいビルは努力しているところもあれば、余り努力していないというか、古いビルはまだ努力の余地がいっぱいあるところがある。それから、業務形態をとりましても、自社ビルかテナントビルかでは全然対応が違う。
 それから、例えば外資系が非常に入ってきますが、十時ぐらいで終わる会社があるかどうかちょっと別ですけれども、少なくとも十二時ぐらいまでにほとんど終了する。外資系というのは二十四時間運営されているとか、さまざまな形態がある。これを一律に一つの削減目標率だけで設定するというのは、かえって混乱があるし、実効性が確保できない。それをもしも一律でやれば、例外規定をいっぱいつくらなくちゃいけなくなる。それから、仮に、先ほどのように一つの目標でするとならば、最低限に逆に合わさなければいけない。これは実態に合わないではないか。
 そういうことを踏まえまして、やるのであれば、実効性を確保するのであれば--一つの手続としてはもう義務化されているわけですよ。一定規模以上はこういうルールに従ってやりなさいと。
 そこで、じゃどうするか。今までの現行制度は何かといいますと、一応、現行の制度は、ちゃんと計画書を提出するんですが、あくまで任意なんですよね、形が。じゃ、任意の形じゃなくて、自主的に目標を設定していただきますけれども、それは東京都がガイドラインを設定いたしますよと。あわせて自分の取り組みがどの程度のものか、評価の物差しを提供いたしますよ、それを同時に世の中に発表してくださいと。あわせて東京都の方も、相対的位置関係がわかるように、皆さんの状況を世の中に発表させていただきます。
 ただ、それだけだと、皆さん努力した人が報われないというんではあれですから、努力された方は、当然のごとく社会的評価を受けるように工夫いたしましょうということでインセンティブを--先ほど来、インセンティブというのは非常に、これじゃ足りないじゃないかというお話がありましたけれども、私どももインセンティブもっとあればいいと思いますけれども、それは研究する課題だと思っておりますけれども、そういう形で進めようとしているわけですよ。
 ですから、これは、その審議の中でも、ある産業界の方は、世の中に発表するとなれば、逆にこれは社会的公約になっちゃう、大変なことだ、こういうふうに受け取っている方もいらっしゃいます。
 ちょっとそこらあたりを、清水先生が、じゃ一律で削減目標を設定すべきだとおっしゃっているのかどうかよくわからないのですが、私どもは、そういうようなことを事務局として、当初の問題意識というのは、やはりこれは実態に合わせた方がいいんじゃないかということで、一つ材料として提供して、ご審議いただいて、ご審議していただいた結果が今回の最終的な提言のまとめになった、そういうことに理解しております。

○清水委員 どういう形の義務化になるかということは、それはいろいろあるかと思うんですけれども、少なくとも、例えば学識経験者の方々が話し合って、それから、今までの委員の方が話し合って、計画を出してもらったら、二%ぐらいしか削減の見込みがないということで、これだと二〇一〇年に六%達成は難しいから、義務化に向けて検討しようというようなことで、環境審議会の方向がそういう方向になったときに、どういう削減の義務化をするかというのはいろいろあるとしても、学識経験者の方や、また行政法人の方やNPOの方や、そういう方の中で、少なくともいろいろな産業界の意見を聞いたりして、幅広い産業界からの意見を聞いたりしてするという結果もあるかもしれないんですけれども、私は、臨時委員として、産業界の、しかも日本経団連の委員を入れて、そして、この審議会の中では大変強い発言をしていると。文字からだけしかわからないけれども、そういう方向で自主規制と、自主性ということが決まったことに対して、非常にそこは納得することができないわけですよ、ディーゼル規制なんかからすると。
 ディーゼル規制なんかは、本当に中小企業の大変な中で、先ほども質問ありましたけれども、ディーゼルの排気ガスを削減しようということで中小業者の方はそれなりの努力をされてきている中で、この一%の大きな企業が三割の東京のCO2を発生しているというような状況の中では、やはりこの自主規制がどれだけ効果があるのかということは、それは結果を見なければわからないといわれますけれども、しかし、結果は見えていると思うんですよ。さっきの国の自主規制の計画の中でも、遅々とした歩みだと環境局自身がいっているわけですから。
 だから、やはり私たちは、二〇〇一年の四定で渡辺議員が代表質問で、この地球温暖化対策のための明確な目標を持つべきではないかというような質問から、十二月十四日、私は委員会でこの削減目標を立ててほしいということをいって、削減目標を計画を進める中でつくりますと、具体的な内容に踏み込んでいただいて、そして環境基本計画ができて、そして二〇〇二年の二月に我が党は、オフィスビルだけでなくて--このときにはオフィスビルの義務化ということがかなりの方向に動いていましたから、第一回の曽根議員の代表質問では、オフィスビルだけでなく、運輸部門も義務化に向けたらどうかという質問をしてきたわけです。
 それで、環境基本計画には、東京における環境の危機は、既に経済性と五分五分のトレードオフで済む段階をはるかに超え、極めて深刻な状況にあるというふうに記載しているわけですけれども、この認識については環境局長は、この環境基本計画が策定されたときと、これについては変わりなく思っておられるのでしょうか。

○小池環境局長 基本計画に書かれている基本的な理念といいますか、それと変わらないかというのは、もちろん当然だと思っております。環境基本計画では、一番重要なこととして、エッセンスをちょっと改めて述べさせていただきますと、地球と都市の環境を維持し、再生しなければ経済システム自体が存在し得ない、大量消費に依存しない新しい社会へ移行していくことが必要である、環境配慮が内在化された社会システムを実現してこそ経済の持続的な発展が可能になるとしておりまして、今回、先ほど申し上げました持続可能性を確保していくということで、環境配慮が内在化されている社会的システムを実現しなければいけないというのは、これがずっと基調としてあると思います。
 ディーゼル車規制は、先ほど一番最初に吉野先生にもお答えいたしましたように、ある意味では、従来型の公害規制の延長線上で、都民の健康に直接、一刻の猶予もならないという中で、即これはやらなければいけない。ある一定の技術水準を持ち込めば、すべて達成できる。これは多くの方々に何としてでもやっていただくという格好でやっているわけですね。
 もう一つ、環境基本計画の中で取り上げている重要な課題は、かなり長期レンジというような話として、これは社会を環境を配慮した--配慮したではなくて、環境配慮が内在化された、そういう社会システム、別ないい方をすれは、そういう都市の都市づくりということが求められているという基本認識なんですね。
 今回の地球温暖化、そしてもう一つのヒートアイランド対策の一環として取り組んでいるわけですが、今回は、そういう環境配慮が内在化されたというところにアプローチしようということでの仕組みづくりだというふうに思っています。
 ですから、先ほど来やっておりますが、それは絵にかいたもちになってはしようがないので、現実を踏まえた、実態を踏まえた実効性あるものとしてやらなければ、一律に決めるということではなくて、実情に合わせてかなり高いレベルに上げるだろうと。私どもも、そのためにいろいろなガイドラインなんかを用意して皆さん方にお示しして、こうすれば経済的にもメリットがありますよというようなこともお示ししながら努力していただこう、こういうようなことでやろうとしているわけです。これは一つの大きな仕組みづくりだと。これが本来は自律的に作動すればそれにこしたことはない。ただ、まだ動き出したばかりですから、東京都も行政的にかなりそういう指導助言という格好も必要でしょう、こういう考え方です。
 そして、一方で申し上げておきたいと思いますのは、清水先生のお話ですと、何か企業サイドはすべてうまくいかないのではないかというふうに受け取られちゃうんですけれども、ちょっと申し上げますと、今回の答申の中にも入っておりますけれども、企業というのは、社会的責任というのを非常に大きな経営の柱として取り入れないといけない、こういう認識が非常に強まってきているわけですね。ヨーロッパに比べれば、まだまだ日本はおくれていると思いますが、金融投資の面でもそういう側面が出てきている、支援せよと。そういうような世の中の高まりというのはあるわけですよ。
 ですから、そういうところも期待できますし、それからまた、この地球温暖化の対策を推進することは経営にとってもプラスですし、経済的活動に非常にプラスなわけですよ。そういう背景を踏まえた上での仕組みづくりということで、何ら基本的理念は変わっておりませんし、むしろそれをここで具体化したいというようなことで取り組んでいるということをご理解していただきたいと思います。

○清水委員 義務化を進めていっても、企業には、新しい技術や市場を創出する契機にもなって、むしろ東京の経済を活性化していくものだというふうにこの時点でいっているわけですよ。だから、私は、今の局長の最後の言葉のように、企業がみんなそういうような形であるというふうにいっているわけではなくて、やはり東京の特性というのは、環境局自身がいっているように、全国の平均が二〇%、産業界で排出量は二〇%、しかし東京は四〇%ということでは、本当に産業界への取り組みを強化しなければ、これは達成できない目標だというふうに思うわけです。
 今回の環境審議会の答申は中間まとめですよね。中間まとめですから、やはりきょうの委員会での審議などもこの審議会に反映させていただいて、私は引き続き、当初の予定どおり、義務化ということを明確に打ち出すような環境審議会の答申を求めますし、当局としてもそういうふうな取り組みを進めていただきたいという要望を申し上げて、終わります。

○相川委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後五時十分休憩

   午後五時二十一分開議

○相川委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○高橋委員 最初に、在宅医療廃棄物対策についてお尋ねいたします。
 高齢化社会が進み、慢性疾患や自宅で医療を受けたいという要望がふえ、今までは医療機関で行われてきた医療が一般家庭でも実施されるようになってきました。例えば糖尿病の方の中には、医師の処方せんを持って薬局で注射針を購入し、自宅でインシュリン注射をする人もいるようであります。
 このように医療技術が進歩して患者さんにとっては便利になりましたが、一方、使用した注射針が家庭からごみとして出ることになります。患者さんもこういうものを一般のごみと一緒に捨てるのは抵抗があるだろうし、区が行うごみの収集作業でも安全面で問題があると仄聞しております。
 都の働きかけをきっかけとして、東京都薬剤師会が使用済み注射針回収の検討を開始したと聞いております。回収を始めるに当たって、回収に要する経費などの課題や、使用済みの注射針を扱うという不安もあったと思います。
 こうした中、私の地元の練馬区薬剤師会が杉並区薬剤師会とともに決断し、都内で初めて回収を始めました。これは大変評価できることと思いますが、薬剤師会が回収を始めた経緯をまずお伺いいたします。

○福永廃棄物対策部長 都は、区市町村による適正処理が困難でございます、家庭から排出される使用済みの注射針の対策として、事業者による回収、処理が適切であると判断し、薬局による回収について東京都薬剤師会に働きかけを行いました。
 この働きかけをきっかけといたしまして、東京都薬剤師会では、薬局による回収について検討を始め、薬局が患者から回収した容器を地区管理センターに集めた後、産業廃棄物処理業者に引き渡し、適正処理する仕組みを構築いたしました。都は、東京都薬剤師会による検討に加わりますとともに、事業を立ち上げるために経費の一部を助成することといたしました。
 その中で、とりわけ練馬区薬剤師会は、杉並区薬剤師会とともに薬局の取りまとめや調整などに積極的に取り組まれ、平成十四年十一月からモデル回収事業を開始されました。
 使用済み注射針の回収は、既に一部の医療機関で行われていましたが、身近な薬局でも回収を行うことにより、患者さんにとってより回収に協力しやすいものになり、また、区が行うごみの収集作業時の事故防止にもつながるものと考えております。
 なお、回収事業は、その後さらに拡大し、現在、十一区、三市の地域まで広がっております。

○高橋委員 平成十四年十一月の開始から一年以上たち、実施地域も順次拡大しているわけでありますが、患者さんの評判はどうなのか、また、回収を実施していく上で何か問題点があったのか、お伺いいたします。

○福永廃棄物対策部長 東京都薬剤師会によりますと、回収はおおむね順調に進んでおり、特にトラブルもなく、患者さんからも好評と聞いております。地元の薬局や薬剤師会がPRに努められた結果、現在では回収事業も定着し、回収量もふえてきております。
 回収費用については、薬剤師会にとって大きな負担とならないよう、地区管理センターに集めるなど回収システムを工夫し、効率化を図っております。
 なお、より一層効率的な回収を行うという点から、患者さんには、回収容器に針がいっぱいになってから持ち込んでいただくというふうにお願いしているということでございます。

○高橋委員 工夫の余地はあるにしても、大きなトラブルもなく、順調に進んでいるということで、大変よいことだと思います。実施地域も十一区、三市で行われているということでありますので、二十三区では半分近い地域で回収されていることになるわけであります。来年には、ぜひとも二十三区全域に広げてもらいたいと思います。また、多摩地域ではこれからというところでありますが、患者さんの利便性を考えると、都内全域で実施することが望ましいと思います。今後、回収地域の拡大の見通しについてお伺いいたしたいと思います。

○福永廃棄物対策部長 ご指摘のとおり、患者さんの利便性や事業者による自主的な回収を促進するという観点から、なるべく多くの薬局で回収が実施されることを目指しまして、都といたしましては、地元の区市町村と連携をいたしまして、この回収事業ができるだけ早期に、区部及び多摩地域の全域に拡大されるように、さらに東京都薬剤師会に働きかけてまいります。

○高橋委員 よろしくお願いします。
 次に、PCB廃棄物処理施設についてお尋ねさせていただきます。
 感染性廃棄物と並んで特別な管理の必要な廃棄物として、PCB廃棄物があります。PCB廃棄物は、昭和四十七年に製造が中止されて以来、処理施設の整備が進まなかったため、事業者による保管は三十年の長きにわたっており、二十世紀の負の遺産とも呼ばれております。紛失などによる環境リスクの拡大を防ぐためにも、一刻も早い処理が望まれていましたが、平成十三年になってようやくPCB特別措置法が定められ、全国五カ所に整備予定の施設による広域処理体制の確立が進められていると仄聞しております。
 首都圏のPCB廃棄物については、東京都が早くも十四年四月に、一都三県分のPCB廃棄物の広域処理施設を受け入れることを表明し、事業が進められていると聞いております。産業廃棄物の排出事業者が多く集中し、その多くが都外で中間処理、最終処分されている中で、都内分だけでなく、他県のPCBも処理する事業の受け入れは、東京都にとって画期的なこととして高く評価するものであります。
 そこで、現時点における施設整備の進捗状況と今後の見通しについてお伺いいたします。

○松本参事 PCB廃棄物処理施設については、平成十四年四月の受け入れ表明に当たりまして、安全確保等にかかわる受け入れ条件を東京都が提示しました。これを踏まえまして、事業主体となる環境事業団が技術的検討を行うとともに、都市計画決定、環境影響評価など、施設建設に必要な法定手続を進めているところであります。
 ことし五月に都市計画決定を経た後、七月に工事着工し、来年十一月に処理を開始します。都内の事業者が保有する高圧トランス、コンデンサー、安定器等の高濃度PCB廃棄物につきましては、東京都廃棄物処理計画で目標としております平成二十二年度までに処理を完了します。電力事業者及び隣接三県のPCB廃棄物につきましては、PCB特別措置法に定めます処理期間の前である平成二十七年三月までに処理を完了する計画となっております。

○高橋委員 そこでお伺いいたします。
 法定手続も最終段階となり、いよいよ施設の建設工事が間近になってきたということで、事業も順調に進んでいることがわかりました。施設がいよいよ動き始めたときに、何よりも重要なのは安全の確保であります。施設内での処理過程はもちろん、PCB廃棄物を施設に運搬する際も含め、安全には万全を期す必要があると思います。安全確保策がどのようになっているのか、お伺いいたします。

○松本参事 施設受け入れに当たっての東京都の受け入れ条件では、処理における安全性確保のため、万が一の誤動作やミスがあっても事故に直結させないフェールセーフ、不測の事態による事故があっても影響を最小限に抑えるセーフティーネットなどの措置を実施することを求めております。
 また、収集、運搬につきましては、環境事業団が関係都県市とともにPCB廃棄物の搬入調整を行うとともに、国が策定中の収集、運搬に関するガイドラインを遵守する収集運搬業者のみを受け入れることを条件としております。
 都は、国及び環境事業団に、引き続きこれらの安全策を確実に履行させてまいります。

○高橋委員 安全対策には十分配慮しているようでありますが、都民に安心してもらうためには、ハード面で施設がしっかりできていますというだけではだめでありますし、操業状況の情報開示や施設公開、環境モニタリングなどソフト面で安全を確認してもらうことが効果的だと思います。
 都民の安心を確保するためにどのように取り組んでいるのか、お伺いいたします。

○松本参事 東京都の受け入れ条件では、環境事業団が、施設の運営に当たって、住民代表、専門家、地元区、東京都などで構成します、仮称ではございますけれども、環境安全委員会を設置しまして、施設の稼働状況、事故などへの対応マニュアルなどについて説明を行いまして、安全性の確保等について理解を得ること、また、仮称ではございますけれども、PCB処理情報センターを設置しまして、施設の稼働状況、環境モニタリング結果などの公開を行います。これとともに、施設公開などを行うことなど情報公開についても求め、国から遵守する旨の回答を得ております。
 このような方針を踏まえまして、現時点までにおいても、施設の設計等についての検討委員会を公開の場で開催し、また、情報を環境事業団のホームページなどで公開しますとともに、都市計画決定や環境影響評価手続の中で説明会などを開催し、都民の意見を伺ってきております。
 都は、今後も、環境事業団に対し、安全対策、情報公開等について確実に履行させ、事業の円滑な推進を図ってまいります。

○高橋委員 よろしくお願いします。
 最後に、首都東京の街路樹のあり方についてお尋ねいたします。
 私は、自宅から旧早稲田通り、富士街道、青梅街道などの都道を利用して車で都庁へ来ております。道すがら車中から街並みに目をやると、車道と歩道の間に植えられた街路樹や株物が列状に植えられた植樹帯が目に入ります。それらの街路樹は、小さく枝を切り詰められたり電線を避けるように形づけられた、何とも痛々しい姿もあります。
 私が暮らす練馬区に目を向ければ、昔ながらの街道や生活道路ともいえる幅員の狭い道路が多くあり、旧早稲田通りのように狭隘な上に歩道のない都道もあります。これらの道路では、その中央に緑を生み出すスペースなどあるはずもなく、歩道にもゆったりと歩くスペースがなく、植えられた街路樹も通行の邪魔もの扱いされているように思います。
 そこで、何点かお伺いいたします。なお、本来、道路を所管するのは建設局であることは十分理解しておりますが、事、道路における緑の創出に関する質問であり、緑を所管する環境局にも関係が深いので質問することといたしましたので、できる範囲での答弁をお願いしたいと思います。
 初めに、東京の都市問題の中で、緑の減少が指摘されていますが、このような現状において、東京の街路樹はどのような役割を担っているのか、環境局としての見解をお伺いいたします。

○徳毛自然環境部長 都市化が進む東京におきましては、親しみ、潤い、生き物との触れ合いなど、緑が持つ役割はますます重要となってきております。道路の街路樹や植樹帯の緑は、都市に生活する人々が最も身近に触れる緑であります。街路樹は、まちを彩り、四季を感じさせ、ヒートアイランド現象の緩和、騒音の軽減、大気の浄化など都市における生活環境を改善する役割、さらには、震災時の火災延焼防止など、多くの役割を担っていると認識しております。

○高橋委員 街路樹に対する環境局の認識は理解できました。私が暮らす練馬区においては、先ほども指摘したように、昔ながらの街道や生活道路ともいえる幅員が狭い都道も多いわけでありまして、このような状況では、地元に愛される身近な緑を持つ公共空間としての役割は果たせないと思います。
 そこで伺いますが、都道において緑豊かな街路樹を育てるためにどのような取り組みを行われているのか、お伺いいたします。

○徳毛自然環境部長 道路の街路樹を豊かな緑に育成するためには、十分な幅員を持った歩道の整備と良質な植栽基盤となる良好な土壌や、十分に枝を張れる地上の空間の確保が必要だと考えております。しかし、多くの街路樹は、限られた歩道の空間に植えられ、地下埋設物や電線、建物と競合するなど、厳しい条件の中で生育しております。
 そのため、土壌の改善や電線の地中化などの取り組みが行われているほか、都民、企業と連携した保全活動など、街路樹の健全な育成のための取り組みが行われております。

○高橋委員 ところで、平日、町中を歩くと、貴重な緑の生育する歩道の空間は、自転車置き場かと思われるような光景によく出くわします。歩道の街路樹は決して道路を飾る附属物ではなく、交通標識と同じように、道路づくりにはなくてはならないものであると思います。道路の緑が充実している都市は、その威厳、風格を醸し出すことができると思うのであります。
 しかし、快適で安全であるべき歩道空間が自転車などに占領されたり、ややもすると、商店の商品の陳列スペースと化し、災害時には危険きわまりない状況となっている場所もあります。
 こうした場所では街路樹が邪魔扱いされるありさまで、歩道本来の姿からすれば本末転倒の話であり、余りにも悲しい現実があります。こうしたスペースがあるなら、植樹をし、緑豊かなスペースに転換すべきであると思います。
 そこで伺いますが、今後、首都東京らしい道路の緑づくりを進めるため、環境局としてどのように取り組むお考えなのか、お伺いをします。

○徳毛自然環境部長 ヒートアイランド現象の緩和、潤いのある街並みの創出など、都市における緑の果たす役割はますます重要となっております。また、道路の緑は、豊かで個性的な街並みのシンボルとして、まちづくりに欠かすことのできないものとなっております。
 このため、平成十二年に策定した緑の東京計画におきまして、街路樹等による道路の緑化は、市街地の緑の回復及び風格を与える緑づくりの施策として、それぞれ目標を定めたところでございます。
 先生が指摘された首都東京らしい道路の緑づくりを進めるためには、緑の東京計画に掲げた道路緑化により、緑の軸を形成していくことが極めて重要であります。具体的には、民間の緑づくりと一体となった道路の緑化を進めるなど、都と区市町村や民間が協力して、より効果的な施策展開を図っていくことが必要であると考えております。また、庁内にあっては、緑の東京計画推進委員会を通じ、関係局と相互に連携しながら施策の推進に努めてまいります。

○高橋委員 最後に意見を申し上げさせていただきます。
 先ほども申し上げましたが、道路や街路整備の直接の所管は建設局であることはよく理解しております。私は、こうした事実を理解しつつも、街路づくりに果たす環境局の役割が大きいと考えております。その役割を積極的に果たしてもらいたいと思い、あえてこうした質問をさせていただきましたわけであります。
 私は、上空から見た東京に、緑豊かな緑地帯として都道が縦横に連なる姿を夢見ております。ぜひ百年先を見据えて、緑行政を主管する環境局が緑豊かな道づくりに積極的に打って出ていくことをお願いして、質問を終わらせていただきます。よろしくお願いします。

○野島委員 いろいろな質問も、ここまで来ますと全部利用も終わりまして、中には再利用した人もいまして、私は、あとは焼却残渣みたいなものでありますから、簡単にお伺いをしたいというふうに思っております。
 さきに新井委員ご指摘のように、いわゆる廃棄物、これはもう発生抑制をする、それからリサイクル、リサイクルは当然素材を生かしてマテリアルでやる、あるいはサーマルという、プラスチックで提案されていますけれども、こんなことだろうと思うんですね。
 リサイクルというのは、僕は随分進んできたなという感がするんですよ。この間、NHKか何かで、十年前に比べるとリサイクル率が相当上がりました、こんな報道がございまして、ちょっと調べてみたんですよ。そうしましたら、平成五年に、それぞれパーセンテージなんですが、古紙は五三から平成十四年六〇、ガラスが五六から八三、スチール缶六一から八六、アルミ缶五八から八六、こう伸びているんですね。プラスチックは九から一八と。
 ただ、この一八というのは、我々が一般の家庭から不燃物として出すものじゃなくて、マテリアル、油化、ガス化、高炉原料化、こういうことで再利用、要するにサーマルリサイクルされているとなりますと、私どもが出すものは、ほとんどどこかに埋められたり何かしてお休みになっているのかな、こんなふうに思っているんですね。
 実は、リサイクルが進んできたのは、この辺新井委員の方が詳しいんでしょうけれども、TAMAらいふ21ぐらいが一つの契機だったのかなという感がしているんですね。それと、最終処分場がぱんぱんになる。さっき坂口委員の方からは二ツ塚の話が出ましたけれども、谷戸沢のときに、各構成自治体からの持ち込み量規制をした。当然最大のキャパがあるわけですからね。そのときに、焼却灰もリサイクルしないところが当然たくさん出てきちゃうので、その分を抑えるためにペナルティーをかけたんですよね。
 そんなこともあって私は随分進んできたのかなと思うんですが、さっき申し上げましたように、プラスチックの部分は全く、ある種そういうリサイクルに回せるものもあるでしょうけれども、ほとんどが最終処分場に持っていって埋めていたというのが実情だと思うんですね。
 都内では恐らく最終処分場を確保していくというのはなかなか困難だろうと思いますし、多摩地区は恐らく今後そういうこともないだろうし、利用できるような公有水面というのは実はないんですよね、東京湾と違って。そんなことを考えますと、この辺はやはりしっかりとこれから議論していくべき課題だろうと思っているんです。
 エコセメントの起工式もこの間、私参加をさせていただきましたけれども、稼働後は、どのような廃棄物がどれだけ埋められるようになるのか。いわば中間処理場で可燃物は燃して、灰を持ってきますよ、それから不燃物は、プラスチック類も含めて破砕したり何かして持ってきますよと。その焼却灰を原料にセメントをつくるわけですね。そうすると、最後に残ってくるのは、どんな廃棄物がどういうふうに蓄積していくのかということと、最初二ツ塚をつくるときに、あと何年というふうにやったんですね。施設容量からしてどのくらい入ると。
 同時並行的にか若干遅れてかわからないけれども、そのエコセメントの事業化の話が出てきた。したがって、当初の予測よりも恐らく、最終処分場に持ち込んで、そのままお休みなさいという部分の量は減ると思うんですが、ただ、いずれにしても、有限であることは事実だと思うんですよ。その辺はどんなふうに推移をしていくというふうにお考えなのか、その辺をまずお伺いしておきたいと思います。

○福永廃棄物対策部長 エコセメント化施設の稼働後でございますが、焼却灰の全量がエコセメント化されますので、現在、年間約二万トン搬入されておりますプラスチックを主体とする不燃ごみのみが埋め立てられるということになります。
 これによりまして、二ツ塚処分場の埋立期間は、当初の予定の十六年から三十年以上に延命化されるというふうに聞いております。

○野島委員 要するに、セメント原料で取っちゃうから、あとはプラスチックとその他の不燃物、こういうことだろうと思うんですね。十六年が三十年ということで、たしかあれは、全部が構成市じゃないと理解をしていますけれども、四百億以上の金がたしかかかっているんでしょう。四百億以上かどうか、とにかく莫大な金がかかっているわけですよね。その次もないとなりますと、やはり最終処分場の減量化をしていかなければいかぬ、これは当然だと思うんですね。
 そこで、今回の中間のまとめでは、廃プラの有効活用をして埋立処分量をゼロにすべきだ、こういうふうな提言がされています。そのための一つの手段として、プラスチックは化石原料からつくって、いろいろな塑形材なんか入れて、種類もたくさんあるんですか、いろいろな事情があると思うんだけれども、エネルギー源として使ったらどうだということだと思うんですね。ただ燃しちゃったんじゃ、CO2の問題もありますし、温暖化の問題ありますけれども、エネルギー源として使うわけですから、そういう意味でのサーマルリサイクルだろうというふうに思っています。
 それで、多摩地域で既にサーマルリサイクルを行っているようなところがあるかどうかというようなことと、私の記憶では、大半は、単独市で中間処理しているところはそんなに多くないはずなんですね。一部事務組合が多いんですけれども、ほとんどはしてないと思うんです。私どもの方も、柳泉園組合という中間処理施設があるんですが、そこもやっていないんです。そんなところで、どうして燃やさないのか、そんなところをお伺いしたいと思います。

○福永廃棄物対策部長 以前は、プラスチックの焼却には、発熱量や排ガスによる問題があったということから、都内の大半の区市町村では廃プラスチックを不燃ごみに区分をしておりまして、サーマルリサイクルは行っておりません。
 しかしながら、現在では、清掃工場の建てかえや新設によりまして、発熱量の高いプラスチックを安定的に燃焼できる施設の整備が進むとともに、脱硝装置やバグフィルターを初めとした高度な公害防止設備が導入をされまして、窒素酸化物や塩化水素、ダイオキシン類など、規制値を大きく下回っており、プラスチックを安全にサーマルリサイクルすることが十分可能な状況になっております。

○野島委員 いわば科学技術の進歩といいましょうか、そういうことでかなり、要するに燃焼コントロールもできますし、昔は、少し煙が上がると、すぐダイオキシンとかいって騒いでいたんですけれども、科学的なそういうデータも含めて、今、恐らく定点観測も全部やっていますし、あと、炉の関係は、確かにプラスチックは高温になりますから、炉の傷みが早いというようなことでいろいろな葛藤もあったわけですけれども、今日まで、そういうことでは、私は燃やしても十分に、もちろん維持管理をしっかりとしながら、燃やしていくことによって、サーマルリサイクルによって、さっきいった最終処分場の負荷を軽くするということも可能だというふうに思うんですね。
 それでは、具体的にはサーマルリサイクルにはどのようなメリットがあるのか、この辺のところを伺っていきたいと思います。

○福永廃棄物対策部長 済みません、最初に、先ほどの多摩の方で、柳泉園組合と多摩川衛生組合等では一部サーマルリサイクルという形ではやっております。ちょっと訂正させていただきたいと思います。
 サーマルリサイクルのメリットについてでございますけれども、現在、都内では、一般廃棄物と産業廃棄物を合わせまして、年間五十七万トンの廃プラスチックが埋め立てられておりますけれども、仮に、この廃プラスチックの全量を最新設備でサーマルリサイクルした場合、年間約八億キロワット・時の電力量が得られます。これは、二十二万世帯分の電力量に相当し、八王子市の全世帯の電力が賄えるという計算になります。廃プラスチックをエネルギー源として有効に利用することによりまして、石油消費量の節減に大きく寄与するものと考えております。
 あわせて、軽くてかさばる廃プラスチックが埋立物から除かれることで、都内の限られた埋立処分場がさらに大幅に延命化を図ることができることになります。また、遠く離れた埋立処分場まで長距離輸送をする必要がなくなるということから、輸送コストが大きく削減されることや、自動車排ガスも低減することができるなどの効果も生ずるものと考えております。

○野島委員 さっきの柳泉園の話、実は思い出したことがあるんですよ。かつて可燃不燃で、レジ袋も不燃ですよということで、出す市民の皆さんには徹底してそうしておいて、実は集めたレジ袋とかそういうのを混合して燃やしていた。それがわかっちゃったわけです。読売のトップで打たれて、あのときは我が東久留米市は上を下への大騒ぎでした。うそついたらだめですよね。燃すなら燃すでちゃんといえばいいんですよ。市民は、レジ袋なんかいいじゃないの、ごみを入れて出して、あれが何か問題あるんですかとみんないっているわけよ。それでも、いや、それは分別しなきゃだめだ、不燃だといいながら、集めたことをこっそりと--こっそりという表現がいいかどうかわからないけれども、やっていたわけですよ。
 ただ、実態としては、当然ちゃんと炉の管理をして、発生物の科学的な検査もしているわけですから、やはりそういう情報開示と、しっかりと市民に理解をしてもらって、今後、私たちがやっていかなければいけない部分ですよということを、もっともっと議論していく必要があると思うんですね。
 今伺いましたように、エネルギー源へと活用しますと、八王子ですか、世帯数ということで、大変な部分だと思うんです。いわば、去年、電力危機もありましたけれども、東京の電力自給率といいましょうか、東京で出たプラスチックの廃棄物で、それをサーマルリサイクルで東京の電力を賄うという、そういうことにもつながってくるだろうと思うんですね。
 私は、そういう意味では、ぜひ重要な選択肢として、もちろんそれぞれの清掃行政は、各市区町村の専らの仕事でございますから、そこはどうとらえていくかということがあるわけですけれども、また中間処理施設としても、既に十分に対応できる炉を持っているところもあれば、炉の建てかえが進まなくて困っているところもあるんですよね。そういういろいろな事情はありますけれども、ぜひ選択肢として大いに議論をしていくべきだろうというふうに思っております。
 東京都は、広域的な行政という立場から、今までも谷戸沢あるいは二ツ塚の処分場について大変な人的な、技術的な、あるいは財政的な支援もいただいているわけでありますから、トータル的な見通しを立てながら、ぜひそんな議論も各市区町村に投げかけていただければと、こんなふうに思っております。以上で質問を終わります。
 先ほど、小池局長から極めてグローバルな視点に立った環境行政、とりわけCO2の抑制について、企業も懸命に取り組んでいるというふうな、環境行政にかける大変哲学的なお話も伺いました。きょうで最後になると思いますけれども、ぜひ小池局長を筆頭に、東京の先進的な環境行政になお一層お取り組みをいただきたい、こんなことをお願いしながら、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

○相川委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び報告事項に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○相川委員長 異議なしと認め、本案び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で環境局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時五十七分散会

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