都市・環境委員会速記録第二十一号

平成十五年十二月十二日(金曜日)
第六委員会室
   午後一時三分開議
 出席委員 十三名
委員長相川  博君
副委員長野島 善司君
副委員長樋口ゆうこ君
理事高橋かずみ君
理事中嶋 義雄君
理事吉野 利明君
吉原  修君
清水ひで子君
かち佳代子君
新井美沙子君
矢島 千秋君
内田  茂君
坂口こうじ君

 欠席委員 なし

 出席説明員
都市計画局局長勝田 三良君
次長藤井 浩二君
技監梶山  修君
総務部長村松  満君
環境局局長小池 正臣君
総務部長西野 和雄君

本日の会議に付した事件
 付託議案の審査(決定)
 ・第二百二十三号議案 高齢者、身体障害者等が利用しやすい建築物の整備に関する条例
 ・第二百二十四号議案 東京都建築安全条例の一部を改正する条例
 ・第二百二十五号議案 都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
 ・第二百四十四号議案 八ッ場ダムの建設に関する基本計画の変更に関する意見について
 請願陳情の継続審査について
 特定事件の継続調査について

○相川委員長 ただいまから都市・環境委員会を開会いたします。
 傍聴人の数についてお諮りいたします。
 本委員会の定員は二十名でありますが、傍聴希望者が定員以上でございますので、さらに二十名を追加したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○相川委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○相川委員長 初めに、今後の委員会日程について申し上げます。
 先ほどの理事会において、お手元配布の日程表のとおり申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、付託議案の審査並びに請願陳情及び特定事件の閉会中の継続審査及び調査の申し出の決定を行います。
 これより付託議案の審査を行います。
 第二百二十三号議案から第二百二十五号議案まで及び第二百四十四号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に質疑を終了しておりますので、本日は決定を行います。

○坂口委員 私は、都議会民主党を代表して、第二百四十四号議案、八ッ場ダムの建設に関する基本計画の変更に関する意見について、意見を申し上げますとともに、本件は継続審査にされたい旨の動議を提出したいと思いますので、よろしくお取り計らいのほどお願い申し上げます。
 私たち都議会民主党は、この問題を審議するに際して、都議会議員七名によって現地に赴き、国土交通省の所長の案内で工事の進捗状況などをつぶさに視察するとともに、八ッ場ダムを考える会の人たちからも意見を聞くなど、この案件の対応について慎重に検討してまいりました。
 本日、都市・環境委員会での採決日を迎えるに当たり、私たちがこの案件についてなお継続して審査すべきとの結論に至ったのは、次の理由によるものです。
 一つに、ダム事業の大前提となる国の第五次フルプランがいまだ明らかにされていないこと、二つ目には、先日の本会議で石原知事が答弁された将来の水道需要である六百万立米という数字でさえ、昨日の委員会で明らかになったように、なお長期的な展望に立った検証が必要であること、三つ目には、地下水や再生水など、水資源自給率の向上、渇水対策、治水対策の戦略戦術など、関係局を加え、総合的に検討する必要があること、四つ目として、石原知事が申されたように、東京都としても八ッ場ダムの事業費を独自に調査し、試算し直す必要があること、五つ目に、他県の動向を見ても明らかなように、当該議案を必ずしも今議会で議決すべき必要性がないことなどです。
 これらを含めて、都民にも情報を公開し、十分時間をかけて検討することが合理的であり、将来に遺産を残しても、大きな負債や禍根は残さない、賢明な選択であると考えるものであります。
 以上の理由から、私たち都議会民主党は、当該議案は継続審議すべきであると考えます。
 以上です。

○相川委員長 ただいま坂口委員から動議が提出をされました。
 動議について発言の申し出がありますので、これを許します。

○清水委員 ただいまの継続動議に賛成いたします。
 私は、この議案には基本的には反対の立場でありますが、東京都民にとって非常に重要な問題にもかかわらず、決定に至るまでの過程が、都民への情報公開という点でも、議会の調査と審議を尽くすという点でも、余りにも不十分で、納得できるものではないからです。
 昨日も述べましたように、都市計画局だけの審議だけでは不十分であり、水道局や建設局との合同審査も必要です。銀行税のときには、専門家を招いた参考人質疑も行われたように、専門家による公聴会も必要だというふうに思います。
 委員会としての現地調査も行ういとまがありませんでした。それらが十分行われないままに決定することは、議会としての信頼性も問われるものです。
 以上の点から、継続動議には賛成いたします。

○新井委員 ただいまの継続動議に賛成をいたします。
 きのうの質疑の中でも明らかになりましたけれども、今回の非常に大きな基本計画の変更に対して、東京都及び他県からも合同で、百五十項目にも上る質問書を国交省の方に出しておりまして、その答弁も含めて、回答も含めまして、私たち議員もまだつぶさに検証ができておりません。
 そういった意味で、都民に十分にこのことを説明し、そして意見を聞く、あるいは市町村に意見を聞くというようなことも経まして、改めて結論を出すべきだというふうに考えまして、継続動議には賛成をいたします。

○相川委員長 発言は終わりました。
 ただいまの動議は、起立により採決いたします。
 動議に賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕
   〔傍聴席にて発言する者あり〕

○相川委員長 起立少数と認めます。よって、本動議は否決されました。
 この際、本案に対し、発言の申し出がありますので、これを許します。
 速記、ちょっととめてください。
   〔速記中止〕

○相川委員長 速記の再開、お願いします。
 発言の申し出がありますので、これを許します。

○吉野委員 私は、都議会自民党として、第二百四十四号議案、八ッ場ダムの建設に関する基本計画の変更に関する意見についてに対する意見を述べさせていただきます。
 八ッ場ダム建設に関する基本計画の変更については、将来にわたって、水という都民生活に必要不可欠なものであり、都政にとっても重要な課題にかかわることであります。
 将来にわたり、都民の水需要を安定的に担保する上で必要な水資源開発は、着実に推進していく必要があります。しかも、今回の事業は一都五県に関連する重要な事業であります。
 このため、本事業の変更に当たっては、このダム建設が環境に及ぼす影響に配慮するとともに、今後の事業実施に当たっては、総事業費の圧縮に努めるよう、国に強く要請していくことを求めます。
 また、都民のより一層の理解を得るためにも、本事業の進捗状況等を、必要に応じ、速やかに当委員会に報告することの二点を求めて、私の意見表明といたします。

○中嶋委員 私は、このダムは、渇水という事態を招かないための必要な利水安全度を確保するためのダムである、このように認識をいたしております。
 ただし、昨日の質疑でも申し上げましたが、今後とも、国に対してコストの縮減あるいは周辺環境への配慮、さらには地元への配慮等、さらに努力するよう、国にも申し入れ、都としても努力を払っていただきたい。
 さらに、戸倉ダム撤退に関しては、これも昨日も申し上げましたが、地元の合意の形成、さらには地元への配慮、これにも国とともに意を払うことをあえて申し添えておきたいと思います。
 以上です。

○清水委員 日本共産党として、第二百四十四号議案に反対の立場から意見を申し上げます。
 現在でも東京の水需給計画は過大に設定されています。さらに、今後も経済の動向、人口推移、水使用の需要構造の変化などを考えても、大幅な需要の変化がないことは明らかです。これ以上の水源の必要はありません。
 八ッ場ダムが最初に計画された時代、全国では高度成長時代に、過大な水需要予測に基づいて次々とダム計画がつくられ、日本全国の自然や環境を破壊してきました。それが今日では見直され、最近でも倉渕ダム、戸倉ダムを初めダム開発を見直す流れとなって大きく広がっています。
 それはほとんど、開発される地域の人々を中心に、粘り強い運動が実らせてきたものです。今日、都市の都合だけで考えて決定してしまってよいのかが問われているのではないでしょうか。都市の側が真剣に考えて、水の使い方を考えることが、今求められています。
 昨日も申し上げましたが、福岡市などでは蛇口の節水器を無料で配るなど、また墨田区などでも雨水利用が進められるなど、真剣な取り組みを行っているところもあります。東京都も、かつては節水こまを配っていた時代がありました。
 ところが、水資源保全のために東京都が策定した総合プランには、本年度の都市計画予算でも、全くないことも明らかになりました。これでは現地住民の理解も都民の理解も得られるものではありません。ダムに頼らない都市をつくること、その対策が強く求められているのです。
 地球温暖化による小雨傾向そして渇水が強調されていますが、それをいうならば、石原都政の都市再生、大型開発中心の都市づくりによって、地球温暖化の原因、CO2をふやしているところこそ見直されるべきであることを強調して、強く強調して意見といたします。

○新井委員 第二百四十四号議案、八ッ場ダムの建設に関する基本計画の変更に関する意見に対し、反対の立場で意見を申し述べます。
 今回の議案は、建設に要する費用が、二千百十億円から四千六百億円に変更されるという内容ですが、この費用には、水源地域対策特別措置法や、基金に係る費用と利子が含まれていません。それらを含めると、推計総額八千五百億円にも上る事業です。東京都の負担も、すべて含めて試算すると千三百二十五億円になり、財政難のこの時期に都民の理解を得られるものではありません。
 そもそも、東京都にとって八ッ場ダムが必要なのかという点にも疑義があります。
 まず、利水について、都の一日最大給水量も平均給水量も一九九〇年以来漸減傾向にあり、それぞれ昨年実績で、五百十九万トン、四百五十八万トンです。東京の人口は、二〇一五年をピークとして減少すると推測されており、水洗トイレや洗濯機、食器洗浄機なども次々と節水型が開発され、今後の普及によって水の利用量は当然減少していきます。また、工業用水も非用水型部門へと移行していくので、水需要がさらに減少することは明らかです。第五次フルプランでの推計で出された日量六百万トンという都の見込みは、大き過ぎるといわざるを得ません。
 一方、現在の東京都の水道水源は、都の試算では、日量六百二十三万トンで、多摩地域の地下水四十万トンも算入すると六百六十三万トンになっています。浄水場の漏水率を二%で計算した私たちの試算によりますと、水道水源の水量は六百九十九万トンになり、多過ぎるフルプランの六百万トンという数字でさえ満たしており、新たなる水源は必要ではありません。
 次に、治水ですが、一九四七年のカスリン台風をもとに計画が立てられていますが、当時の大洪水は、戦時中の森林乱伐がもたらしたものです。今では、森林の成長とともに山の保水力が回復しており、当時のような大洪水が起こる可能性は少なく、一万六千立米・秒の河川改修と既設の六ダムで十分です。
 国の計画によると、八ッ場ダムは、たった六百立米・秒の機能しか持たず、ほかにも新たなメニューを必要としており、八ッ場ダムを建設しても解決するものではありません。
 さらに、八ッ場ダムはそれ自体に大きな問題点を抱えたダムであるといわざるを得ません。吾妻川の上流には草津温泉、万座温泉、硫黄鉱山跡地、白根山などがあり、その結果、砒素などの重金属や窒素、燐なども計測される強酸性の河川になっています。
 中和のため品木ダムを建設し、年間十数億円の維持管理費をかけて、日量六十トンの石灰の投入、しゅんせつと埋め立てを行っていますが、品木ダムの堆砂率は既に八〇%になっています。これらの堆積物が八ッ場ダムに流入することも考えられ、ダムの寿命が早まるのではないでしょうか。
 また、この地域は、浅間山の噴火時に積もった岩屑雪崩堆積層が厚く、地すべりが起こりやすい地質です。水を含むとさらに流動性が増すとされ、現地再建型で造成される代替地も危険地域になっており、万が一の場合には大変なことになってしまいます。
 以上述べてまいりましたように、八ッ場ダムはその目的である利水、治水上も必要のないダムであり、ダム自身にも余りにも多くの問題を抱えているということで、この議案については反対をいたします。

○かち委員 私は、日本共産党として、第二百二十三号議案、高齢者、身体障害者等が利用しやすい建築物の整備に関する条例案についての意見を述べます。
 どんなハンディキャップがあろうとも、住みなれた地域の中で自立して生活できる環境整備は、都民の強い要望であります。この間、障害者団体関係者の皆さんの粘り強い運動や、世論の高まりの中で、これまでバリアフリーに関する法や条例制定が行われてきたところでありますが、いまだ都民の認識は進んでいないというのが現状です。
 こうした中で、本年四月のハートビル法の改正により、本条例案は、建築物バリアフリーに関する都独自の整備基準の強化や、対象規模の引き下げ拡大によって、より幅広い建築物を対象に規定、義務づけるものです。このことにより、建築物の新築、増改築によるバリアフリーが実効性を伴い、前進することが期待されます。
 なお、学校、病院、社会福祉施設などは、すべての規模を対象にした義務づけが行われるわけですが、このような公益性の高い小規模事業者にとっては、厳しい負担となることが懸念されます。こうした民間小規模事業者に対して、都独自の支援策を望むものです。
 さらに、地域の中にある既存の小規模建築物への対応は、ガイドラインを作成し、多岐に及ぶ障害者への対応は、条例の運用指針で定めるとのことですが、それらを含め、要綱や運用規定において本条例が実態に即したものとなるためにも、当該の障害者団体や福祉機器の専門アドバイザーなどの参加により、実態に合ったバリアフリー整備を推進されることを要望いたします。
 今後、バリアフリーのまちづくりを面的に整備していくことが課題ですが、関係局相互の連携、都民参加で積極的に進められることを期待し、本条例案に賛成の意見といたします。

○相川委員長 発言は終わりました。
 これより採決を行います。
 第二百四十四号議案を採決いたします。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕
   〔傍聴席にて発言する者あり〕

○相川委員長 退場してください。
 起立多数と認めます。よって、第二百四十四号議案は原案のとおり決定いたしました。
 次に、第二百二十三号議案から第二百二十五号議案までを一括して採決いたします。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも原案のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○相川委員長 異議なしと認めます。よって、第二百二十三号議案から第二百二十五号議案までは、いずれも原案のとおり決定いたしました。
 以上で付託議案の審査を終わります。

○相川委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
 本日まで決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○相川委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○相川委員長 この際、所管局を代表いたしまして、勝田都市計画局長から発言を求められておりますので、これを許します。

○勝田都市計画局長 都市計画局長の勝田でございます。環境局及び都市計画局の二局を代表いたしまして、一言御礼のごあいさつを申し上げます。
 このたびの定例会に提案をいたしました議案につきまして、ただいまご決定をいただきました。
 委員長を初め、委員の皆様には熱心なご審議を賜りまして、ありがとうございました。
 ご審議の過程でいただきましたご意見、ご指摘等につきましては、今後の事務事業の執行に十分反映させ、万全を期してまいりたいと存じます。
 また、八ッ場ダムの建設に関する基本計画の変更に関するご意見につきましては、内容を真摯に受けとめまして、今後の事業に十分反映させていきたいと考えております。
 今後とも一層のご指導、ご鞭撻を賜りますよう、心からお願い申し上げまして、甚だ簡単でございますが、お礼のあいさつとさせていただきます。
 まことにありがとうございました。

○相川委員長 発言は終わりました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時二十四分散会