委員長 | 相川 博君 |
副委員長 | 野島 善司君 |
副委員長 | 樋口ゆうこ君 |
理事 | 高橋かずみ君 |
理事 | 中嶋 義雄君 |
理事 | 吉野 利明君 |
吉原 修君 | |
清水ひで子君 | |
かち佳代子君 | |
新井美沙子君 | |
矢島 千秋君 | |
内田 茂君 | |
坂口こうじ君 |
欠席委員 なし
出席説明員都市計画局 | 局長 | 勝田 三良君 |
次長 | 藤井 浩二君 | |
技監 | 梶山 修君 | |
総務部長 | 村松 満君 | |
都市づくり政策部長 | 森下 尚治君 | |
都市づくり調整担当部長 | 南雲 栄一君 | |
参事 | 金子 敏夫君 | |
都市基盤部長 | 山崎 俊一君 | |
外かく環状道路担当部長 | 道家 孝行君 | |
参事 | 宮川 昭君 | |
都市防災部長 | 成田 隆一君 | |
市街地建築部長 | 野本 孝三君 | |
環境局 | 局長 | 小池 正臣君 |
総務部長 | 西野 和雄君 | |
企画担当部長 | 梶原 秀起君 | |
都市地球環境部長 | 百合 一郎君 | |
環境改善部長 | 松葉 邦雄君 | |
参事 | 柿沼 潤一君 | |
自動車公害対策部長 | 山本 憲一君 | |
参事 | 月川 憲次君 | |
参事 | 中島 博君 | |
自然環境部長 | 徳毛 宰君 | |
廃棄物対策部長 | 福永 富夫君 | |
参事 | 松本 保幸君 | |
環境科学研究所次長 | 宮本 孝君 |
本日の会議に付した事件
環境局関係
付託議案の審査(質疑)
・第二百二十五号議案 都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
都市計画局関係
付託議案の審査(質疑)
・第二百二十三号議案 高齢者、身体障害者等が利用しやすい建築物の整備に関する条例
・第二百二十四号議案 東京都建築安全条例の一部を改正する条例
・第二百四十四号議案 八ッ場ダムの建設に関する基本計画の変更に関する意見について
報告事項(説明・質疑)
・踏切対策基本方針(中間のまとめ)について
○相川委員長 ただいまから都市・環境委員会を開会いたします。
傍聴人の数についてお諮りいたします。
本委員会室の定員は二十名でありますが、傍聴希望者が定員以上でございますので、さらに二十名を追加したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○相川委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○相川委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、環境局、都市計画局関係の付託議案の審査及び都市計画局関係の報告事項の聴取を行います。
これより環境局関係に入ります。
付託議案の審査を行います。
第二百二十五号議案、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例を議題といたします。
本案については、既に説明を聴取しております。
その際、資料要求はいたしておりませんので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○相川委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○相川委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
以上で環境局関係を終わります。
○相川委員長 これより都市計画局関係に入ります。
初めに、付託議案の審査を行います。
第二百二十三号議案、高齢者、身体障害者等が利用しやすい建築物の整備に関する条例、第二百二十四号議案、東京都建築安全条例の一部を改正する条例及び第二百四十四号議案、八ッ場ダムの建設に関する基本計画の変更に関する意見についてを一括して議題といたします。
本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○村松総務部長 十一月二十七日の当委員会で要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
お手元に配布しております資料1の都市・環境委員会十一月二十七日要求分の表紙をめくっていただきまして、目次をごらんください。資料は、1のハートビル法に基づいて国が行っている支援措置の内容から、12の建築物に関する福祉のまちづくりの現状までの十二種でございます。
それではまず一ページをお開き願います。1のハートビル法に基づいて国が行っている支援措置の内容でございます。国が行っている支援措置の項目とその内容を記載してございます。
二ページをごらんください。2の水道需給計画の改定の経過及び実績でございます。左側の(1)の表は、過去三回の水道需給計画の改定の経過を示しております。また、右側の(2)の表は、過去二十年間におけます一日最大配水量と一日平均配水量の実績を記載してございます。
三ページをごらんください。3のダム開発の計画概要と進捗状況でございます。利根川水系と荒川水系の三つのダム開発について、事業名、事業主体、施設概要、完成予定年度、総事業費、進捗率などを記載してございます。
四ページをごらんください。4の東京都における渇水の状況でございます。過去十年間における取水制限の期間、取水削減量、給水制限率、都民への影響などについてそれぞれ記載してございます。
五ページをごらんください。
〔傍聴席にて発言する者あり〕
○相川委員長 不規則発言はおやめください。
○村松総務部長 5の八ッ場ダムの変更事業費の内訳でございます。八ッ場ダムの現事業費と新事業費及び増減額について、工事費、測量及び試験費など、事業費項目別に記載してございます。
六ページをごらんください。6の八ッ場ダム建設事業費に係る東京都の負担でございます。これは国庫補助金を除いたものでございます。利水と治水の平成三年度以前と平成四年度から平成十四年度までの年度別の実績額を記載してございます。
七ページをごらんください。7の思川開発に係る経緯でございます。1の経緯には、思川開発に係るこれまでの経緯を、2には、都が参画しなかった主な理由を記載してございます。
八ページをごらんください。8の国土交通省所管の多目的ダムの状況でございます。1として、平成元年から平成十二年度末までに中止となった事業中の多目的ダム数、2として、中止となった理由、3として、中止となった段階別の数を記載してございます。
九ページをごらんください。9の八ッ場ダムに関する国からの説明(照会等)と都の対応でございます。昭和六十一年から平成十五年までの間における主な項目、国からの説明、都の対応について記載してございます。
一〇ページをごらんください。10の八ッ場ダムに係る関係各県の状況でございます。平成十五年十一月末時点での議会への付議の状況を記載してございます。
一一ページをごらんください。11の新条例及びハートビル法の対象件数と整備内容でございます。1の想定される年間対象件数には、主な対象用途別に、それぞれ新条例、ハートビル法ごとの想定される年間対象件数とその割合を記載してございます。2には、新条例、ハートビル法の整備内容をそれぞれ記載してございます。
最後に、一二ページをごらんください。12の建築物に関する福祉のまちづくりの現状でございます。1は、平成十四年度現在における、独自条例による実績のある区市及び要綱による実績のある区市の状況と届け出等の件数を記載してございます。2は、東京都の福祉のまちづくり条例の届け出件数を記載してございます。3には、福祉のまちづくり条例の整備内容を記載してございます。
以上で資料説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○相川委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○吉原委員 それでは、今議会に上程されております八ッ場ダムの基本計画の変更についてお尋ねをさせていただきたいと思います。
もう既に理事者の皆さんからも説明を事細かにいただきました。そして、私も現場にも行って拝見もさせていただいたり、あるいは若干ではあろうかと思いますけれども、地元の皆さんのお話もお伺いをしてまいりました。今さら申し上げるまでもないわけでありますけれども、私たちの毎日の生活の中で水は極めて重要な資源であるわけであります。それだけに、行政もそうでありますし、我々議会としても、将来を見据えての水の安定供給の確保というのはやっぱり大きな責任だな、そういうふうに感じているわけであります。
昨今は、特に地球温暖化の影響もあろうかと思いますけれども、時には局地的に大雨が降ったり、あるいは時には異常に雨の量が少なかったり、雨の降る状況が不安定になってきたな、そんな思いもしているところではありますけれども、水資源の開発は完成までに非常に長い期間を要する事業であることはどなたもご案内のとおりであります。そうであるだけに、水需要の動向を的確に見通す、そして、将来を見据えた計画と事業実施によって都民の信頼にこたえていくことが最も重要であろうかと考えております。
そうはいっても、私たちの東京もそうでありますし、日本の全体がそうでありますけれども、今の、大変厳しい経済状況の真っただ中であります。既に東京都参画が決定しているダムであっても、やっぱり大所高所の見地からしっかりと将来の水の供給に支障のない範囲で見直すことが必要ではないかなと思っているところでもあります。
そこで、先日、我が党の代表質問でもお伺いいたしましたけれども、再度この場で八ッ場ダムの必要性について都はどのように考えているのか、お伺いいたします。
○南雲都市づくり調整担当部長 八ッ場ダムの必要性についてでございますが、都はこれまで都民への安定的な水供給を確保するために、必要な水源の確保に努力してまいりました。しかしながら、近年における少雨傾向等を考慮いたしますと、将来の水道事業の見直しを行っても、なお水源の安定性を確保しているとはいえない状況にございます。八ッ場ダムは、将来の安定的な水の供給にとりましても、治水上からも不可欠なダムでございます。八ッ場ダムは昭和二十七年の構想発表以来、地元の長年にわたる賛否の議論を経まして、平成十三年にようやく水没関係者との間で合意を得るに至ったものでございます。都といたしましては、八ッ場ダムを一日も早く完成させる必要があると考えております。
○吉原委員 東京都は、将来の水需要に的確に対応して、渇水から都民を守るという責任をこれから果たしていかなければならないわけであります。その八ッ場ダムは長い歴史を持って、東京都にとって極めて重要で不可欠なダムであると、そういうことのようでございますけれども、一部にはこの八ッ場ダムを中止すべきである、そういう意見もあるとお聞きしております。地元では長い議論の末、ようやく補償基準が妥結をいたしました。現地やほかの場所での明るい将来の生活再建に向けて既に動き出している、そのこともお聞きしております。そして、工事も、私もお伺いいたしましたけれども、本体は別にいたしましても、附帯工事というものは進んできている、そう思っているわけであります。しかしながら、つぶさに現場を検証したわけではありませんので、改めてその工事が現在どの程度進んでいるのか、お尋ねいたします。
そしてまた、ほんの一部の人だろうと思いますけれども、ダムを中止する、してほしいと求めている方々もおられるようでありますけれども、地元住民の皆さんも平成十三年には国との補償基準に合意をされた経緯もあるわけでありますし、今既にもう移転をされた方々もいらっしゃる。そしてまた、そこにまだお住まいになっていて残っている人も早く移転をしたい、そういわれている方々もいらっしゃるわけでありまして、そういった方々のことを考えると、今のダム事業から撤退ということがあり得るのかどうなのか、お伺いいたします。
○相川委員長 速記をちょっととめてください。
〔速記中止〕
○相川委員長 速記をお願いします。
○南雲都市づくり調整担当部長 現地におきましては、JR吾妻線や国道、県道のつけかえ工事、ダムの護岸擁壁や防災ダムの工事、代替地の造成などが進んでおりますとともに、小学校の移転などが完了いたしまして、工事は相当程度進んでいるものと認識しております。このような状況で、仮に八ッ場ダムから撤退した場合には、将来の給水の安定性の確保に大きなリスクを生むことはもとより、長年にわたる議論の末、生活再建の道を定めた多くの地元住民の生活設計に大きな混乱を来します。また、水源の大半を他県に依存する東京都といたしましては、水源地との関係に多大な影響をこうむることが考えられます。
○吉原委員 今改めてお伺いいたしましたけれども、八ッ場ダムからの撤退は極めて問題が多い、そう思わざるを得ないというふうに感じさせていただきました。
先日も我が党の代表質問に対しまして知事は、同じく群馬県で建設されております戸倉ダムについて撤退をする、そういう方針を打ち出しました。既に工事に着手したあれほど大きなダムでありながらも撤退をする、これは全国的に見ても全く異例のことではないかなと、そう思っているところであります。
そこで、今回、都は参画中のダム計画について、どのように整理して、どのような結論に至ったのか、また戸倉を撤退した場合の東京都の将来水源はどのようになるのか、お伺いいたします。
○南雲都市づくり調整担当部長 東京都では、現在、国におきまして利根川、荒川水系のフルプランの改定作業が進められておりますことから、新たな将来水需要の予測結果を十分に見きわめた上で、将来水源確保のあり方を検討してきたところでございます。その結果、将来水需要につきましては、現行の日量六百五十万トンから日量六百万トンに下方修正をする考えでございます。水源につきましては、今現在六百二十三万トンの水源を確保しておりますが、この中には取水の安定性に問題がある、いわゆる課題を抱える水源というものが八十二万トン含まれております。その他、都では八ッ場ダム等の水源に六十三万トン参画しておりますけれども、このうち戸倉ダムにつきましては、将来水需要の見通し、渇水に対する安全性、工事の進捗状況、事業費の増加等を総合的に勘案いたしまして、利水事業から撤退することといたしました。その結果、都の将来水源は、八ッ場ダムや課題を抱える水源を含めまして六百八十万トンとなります。
○吉原委員 今お話しいただきましたように、課題を抱える水源を含めて日量六百八十万トンということでありますけれども、今回、水道局におきまして将来の水需要が日量六百万トンに下方修正される、そういうふうにいわれているわけですけれども、その差はどういうふうになるのでしょうか。
○南雲都市づくり調整担当部長 利根川水系におきましては、五年に一回の割合で発生する規模の渇水を目標としておりまして、他の水源に比べまして、計画上の安全度が低い状況にございます。また、国土交通省の試算によりますと、近年、少雨傾向が続いておりまして、実際の水源の供給能力が当初に比べておおむね二割程度低下しておりまして、このことを勘案いたしますと、将来、安定的に供給可能な水量は、課題を抱える水源を含めても将来水需要を下回り、渇水に対し十分な安全性を確保しているとはいえない状況にございます。このため、都としては渇水に強い都市づくりを目指して、八ッ場ダム等によります安定した水源の確保に努めますとともに、既存の課題を抱える水源や多摩地区の地下水源の有効活用、節水施策の推進などの対策を総合的に講じることで、渇水時にも安定的に給水できる安定した水源の確保、そういうものを進めていきたいと考えております。
○吉原委員 戸倉ダム、そこから撤退するということをもう表明されたということです。そんな中で、地元の群馬県あるいは片品村、もうそこはもちろんでありますけれども、やっぱり全国のダム開発にとっても極めて大きなインパクトを与えたことになる、そう思っております。将来の水需要や渇水への安全性、今の財政状況、さまざまなことを総合的に判断された結果、知事にとってもきっと苦渋の決断をした、そしてまた、今回の都の姿勢を我が党としても大変大きく評価させていただきたい、そういうふうに思っております。今後、周辺の工事が進んでしまっている、その戸倉ダムをどうするかについては、事業者である、もちろん国であります、それと独立行政法人の水資源機構が決めることになるわけでありますけれども、やっぱり東京都としても、国やその機構、あるいは群馬県、片品村と互いによく協議をしていただいて、円満に解決できるようにお願いをさせていただきます。
先ほど答弁の中にありました地下水源についてでありますけれども、地下水は、私も多摩出身でありますけれども、多摩地域において水道水として使われている、このことはよく承知をしているわけであります。この地下水を水源として正式に位置づけるべきだ、そういう主張があることもよく承知をしているわけでありますけれども、この点について東京都はどのように考えているのか、お伺いいたします。
○南雲都市づくり調整担当部長 地下水につきましては揚水規制が実施されておりまして、地盤沈下は鎮静化してまいりましたけれども、地域によりましては依然として再発の危険がございまして、今後も揚水規制の継続が必要とされております。また、水質につきましても、トリクロロエチレンやジオキサンなどが検出されたことから、一部の井戸の使用を中止してきた経過がございます。このように地下水は、地盤沈下や水質の面から長期的に見て安定的な水源とはいえない状況にございます。しかし、地下水は、平常時はもとより、渇水時や震災時におきましても身近に利用できる貴重な水源でございます。したがいまして、今後とも地盤沈下や水質の動向に十分配慮しながら、可能な範囲で活用を図ってまいりたいと考えております。
○吉原委員 やっぱり地下水というものについては、地盤沈下が一番問題だ、そういうふうに私自身も認識しておりますし、一たん沈下すると、その回復が不可能だといわれているわけであります。最近は規制によりまして若干鎮静化しているとはいわれても、埼玉県や茨城県などではいまだに沈下が進んでいる、そういうふうにもいわれておりますし、私どもの東京の二十三区内の中でも、商売をされている方も地下水を使っている方がいらっしゃいますけれども、二つの水槽にためているというようなお話をお聞きしました。それで、その友人の方も、確かに地盤沈下というものはあるということを断言されていた。
そのことを考えると、やっぱり少し考えていかなきゃいけないと思っているわけでありますけれども、地盤沈下の問題ももちろんありますけれども、さらには水質の問題、ご案内のとおり、茨城県でも砒素の汚染が新たに発覚いたしまして、テレビや新聞でも大きく報道をされた、それはもう我々の記憶に新しいところであります。地下水を利用するときには、こういったことに十分注意をしていただきながら有効活用していただくべきと考えておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。
次に、農業用水あるいは工業用水は少し余ってきているのではないかな、そういわれているわけでありますけれども、水道水に転用すれば新しいダムは何もつくらなくてもいいのではないか、そういう主張が一部にあるようなこともお聞きをしております。実際のところはどうなのか、お伺いいたします。
○南雲都市づくり調整担当部長 農業用水につきましては、渇水時には、都市用水と同様、またはそれ以上の取水制限が実施されております。例えば平成八年で申し上げますと、渡良瀬川におきまして都市用水が四〇%取水制限されたのに対しまして、農業用水は六〇%取水制限されているところでございます。取水制限が厳しくなりますと、農業被害への派生も予想されるわけでございます。このような状況を勘案いたしますと、渇水時といえども、農業用水との間で一時的に水の融通を行うことは困難じゃないかと考えているところでございます。
また、工業用水の水源につきましては、草木ダムを水源とする秋ヶ瀬取水堰からの取水と多摩川下流にございます調布堰からの取水になるわけですが、水質の面から草木ダムを水源とする秋ヶ瀬取水堰からの取水が現在主体となっております。草木ダムの水源量は現在ほぼ工業用水の需要に見合っておりまして、安定的な取水を行う上でこちらの方は必要だと考えております。
○吉原委員 今のお話をお聞きしますと、農業用水、工業用水の転用はなかなか難しい、そういうような認識をさせていただきました。
次に、雑用水あるいは雨水利用など、水の有効利用の促進によってこれまたダムは不要じゃないか、そういうご意見もあるようでございますけれども、その点についてお伺いいたします。
○南雲都市づくり調整担当部長 東京都におきましては、よその自治体に先駆けまして、ここ三十年にわたりまして雑用水や雨水利用を促進してきたところでございます。その結果、平成十四年度末におきましては、計画利用量は日量約九万トンになりまして、これは東京一日の水使用料のおよそ二%程度となっております。水の有効利用は極めて重要な課題であると私どもも認識しておりますけれども、施設設置や維持管理のコストの問題はもとより、臭気や色、あるいは誤飲、誤接続などの事故といったものが、またそういう衛生上の心配もございまして、社会全体にまだ受け入れられている状況には至っていないわけでございます。したがいまして、水の有効利用の使用量が今後飛躍的に増大するということは困難ではないかと考えられまして、水の有効利用の促進がダムを不要にするとの判断はできないんじゃないかと考えております。
○吉原委員 水の需要に転用できるであろう、そう思われる地下水あるいは農業用水、工業用水、雨水あるいは雑用水、その点についてお尋ねをさせていただきましたけれども、今の答弁の中にもあったように思いますが、今の、あるいはこれから将来を見据えた東京都の水需要には到底対応し得るものではないな、そんな思いを今改めてさせていただきました。
最後に、今回の事業費見直しによって二・一八倍に膨れ上がった、そういうことでございますけれども、総額四千六百億円、二千百十億円から大変大きな上げ幅ではないかなと感じざるを得ません。しかし、さまざまな状況の中でそのことが必要だ、そういうことも認識をしている一人でもあります。そんな上で、これからまだ二十二年に完成予定だといわれている状況の中、まだまだ年数がありますし、本体工事に入っているわけでもありません。そういった状況の中で、これからさらに四千六百億円からもっと上回るような、そういうことはないのかなとちょっと危惧をするわけでありますけれども、その点について伺います。
○南雲都市づくり調整担当部長 事業費の関係でございますが、今回の改定は八ッ場ダム建設事業の中でも最も大きなウエートを占めます水没関係者の生活再建に係る要因の確定、あるいは昭和六十一年からの物価上昇や消費税導入によります要因、現地を精査することによります設計変更、環境対策などの確定などによる要因によるものでございます。この改定によりまして、八ッ場ダムの建設に関する基本計画はほぼ確定したことになるわけでございまして、今後、大幅な物価変動、消費税率の変動など社会経済的要因などが変わらない限り、事業費の変更はないものと国からは聞いているところでございます。
○吉原委員 今回の事業費の改定に当たって、多分協議の中で、都としても国からいわれたそのままの金額できっと承諾はしていないだろう。公共事業はもちろんのこと、一般の事業もそれぞれ技術革新を図りながら、コストの削減というものを重要視する時代になっているわけでありまして、そういった意味で、コスト削減、国に問い合わせされたのか、どういうふうな状況になったのかわかりませんけれども、四千六百億円の中からまたさらにコスト削減されるものが、きっとこれから将来の中で出てくる可能性もないわけではないと思っておりますけれども、国からの提示のあった金額に対する、その拡幅コストの削減というものが国との協議の中であったのかどうなのか、そして、これからまたさらに、東京都としてもそのコスト削減に向かって国に対してお願いをしていくのかどうか、お尋ねいたします。
○勝田都市計画局長 国にいろいろ問いかけまして聴取しております。今回の事業費改定に当たりまして、国は、計画の見直し、あるいは工事の設計、施工の変更、あるいは新技術、新工法等の採用によりましていろいろ努力をいたしまして、総額五百五十九億円のコスト縮減を行ったというふうに確認しております。申すまでもございませんが、ダムは長い年月を要する事業でございまして、今後とも国に対しては、ダム完成に至るまで引き続き徹底したコスト縮減を強く求めてまいりたいと考えております。
もとより、都民生活や都市活動を維持するために水は不可欠でございまして、これを安定的に確保すること、一たび発生すれば大きな混乱が予想される渇水という事態に十全に備えていくことは、行政としての都の責務だと考えております。また、水源県の方々のご協力もあってのことということでございます。こうした認識に立ちまして、今後とも必要なダムは必要との立場で、現在参画しております滝沢ダム、八ッ場ダムが一日も早く完成をいたしまして、将来にわたって都民の皆様方の水に対する不安を払拭できるよう、最大限の努力をしてまいります。
○吉原委員 ぜひお願いをしたいと思います。特に今は公共事業の是非を問われている時代でございますので、しかしながら、我々都民にとって、あるいは近県の皆さんも当然そうだろうと思いますけれども、必要なものは必要だと、この主張は変える必要は私は全くないと思っている一人であります。とにかくこれから長い将来にわたっても、水の需要の安定というものをぜひ都庁の方から発信をしていただきたい。そしてまた、これからダムの進捗状況によっては、さまざまなことがあり得るんだろうと思いますけれども、大切なこと、重要なこと、そのことについては、逐次この委員会にご報告をいただけるようにお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
○坂口委員 それでは、質問させていただきます。
大変重要な決断のときが来ていると思いますので、少し時間が長くなろうかと思いますが、重複をできるだけ避ける形で進めさせていただきたいと思います。
まず、今回のダム建設に関する基本計画の変更の中身でございますが、一般都民からしますと、これは大変なことだという思いがあると思うんです。私もその一人でございます。今までの計画事業費が二千百十億円、これが変更計画事業費が四千六百億円になる、増加額が二千四百九十億円。もちろん東京都だけではございませんで、他県も、また国もということになるわけでございますけれども、こういう内容ですね。これは一般の庶民感覚でいいますと、例えば二千百十億円で住宅の請負をしていただいた。それで、そのような契約で工事に入った。ところが、まだ完成をする前に、職人の調達ができなくて工期がおくれました、または物騰がありまして工事費がかさみましたということで、納期のときが四千六百万円になりますよという、そういう例えにもなぞらえるような中身でございます。
普通これでしたらもう契約を破棄するというのが我々庶民の、また都民の常識だと思うんですね。それでも利水や治水やその他の目的でこれを進めなければならないという決断をするとするならば、やはり国土交通省なり、東京都なりのそれなりの説明がなされなければならない。最近の言葉でいうと、アカウンタビリティーですとか、パブリックコメントですとか、いろいろありますけれども、そういうものがきちんとなされないと、これは前には進めないという案件ではないか、そのような所感を持ったところでございます。
そこで、一応質問の要旨は出させていただいたんですが、それだけではカバーできない部分がありますので、局長のお考えを必要に応じてお聞きするところがありますので、あらかじめお断りしておきますけれども、まず、この八ッ場ダムの建設事業の概要と目的からお聞かせいただきたいと思います。
○南雲都市づくり調整担当部長 まず、八ッ場ダムの目的でございますが、八ッ場ダムは、ご案内のとおり、洪水調節の治水の部分と都市用水の供給という利水の部分、そういう二つの機能をあわせ持つ多目的ダムでございます。利根川の治水計画では、利根川水系工事実施基本計画におきまして、基準地点の八斗島というところがあるんですが、八斗島における基本高水のピーク流量毎秒二万二千トンのうち六千トンを上流ダム群によって調節し、下流部の洪水被害の軽減を図るものでございます。八ッ場ダムは、これら上流ダム群の一翼を担う重要なダムでございまして、ダム地点における計画高水流量毎秒三千九百トンのうち六割を超える毎秒二千四百トンの洪水調節を行いまして、吾妻川下流の洪水流量の低減もあわせて図るものでございます。利水といたしましては、群馬県及び下流都県の新規都市用水として毎秒約十四トンを開発いたしますとともに、農業用水の合理化により行われるかんがい期の用水確保とあわせまして、新たに一日最大毎秒八トンの補給を行い、東京都のほか首都圏四県に供給されるわけでございます。
そして、概要といたしましては、形式は重力式のコンクリートダムでございまして、その規模は、堤高が百三十一メートル、堤頂高が三百三十六メートル、湛水面積が約三平方キロ、有効貯水量が約九千トン、九千万立米でございまして、有効貯水量で見ますと、利根川水系で矢木沢ダム、下久保ダムに続きまして三番目の大きさとなりまして、工期は昭和四十二年度から平成二十二年度までとなっております。
○坂口委員 このダムの歴史的な経緯、または歴史的な背景についてお聞きをするわけでございますが、もう五十年以上かかっているわけですね。我々も七名で現地に参りまして、八ッ場館でいろんな説明を所長から聞いてまいりました。また、いろんな運動をしてこられた皆様方からもお聞きしてまいりましたけれども、やっぱり五十年近くかかるにはそれなりの背景があるなと。古くは日本武尊ですとか、弟橘媛の伝説のある地でございますね。そんなことに思いをはせながらいろいろ見てまいりますと、大変自然の恵みにある意味では恵まれたところである。それは草津の湯ですとか、川原湯ですとか、それに象徴されますね。しかしながら、あわせて自然の厳しさといいますか、それが同居しているところである。それは、浅間山であり、また草津白根山ですね。したがって、例えば水の問題についていうならば、大変酸性の強い水質である。それを中和するために群馬県の企業局は大変な努力をしている。魚がすめなかったような川に魚がすめるような、そういう環境をまずつくり出しているということがございます。そんな土地柄でございます。日本武尊にかかわる神社もあるというのが実態です。
そのような歴史に目を転じますと、やはり活火山である浅間山です。といいますのは、私は長野県の生まれでございまして、上田の出身でございます。浅間山の外輪山ぐらいしか見えないんですけれども、浅間山の雄姿と自然の厳しさをそれなりに感じて育ってきた人間であるわけでございますけれども、いいことだけではないんですね。大変厳しい自然環境がある。
そこで、私、調べてみました。浅間山がどのような活動をしているのかということなんですけれども、一一〇八年に最大の噴火をしているという記録が残されております。それから、一五三二年にも大噴火をしております。一五九六年にも噴火をしております。一七二一年、そして一七五五年、そして有名なのは一七八三年の天明の大噴火ですね。これはただ、土石流ですとか灰が降って、多くの方が亡くなった、または、すそ野の村が埋められたということだけではありませんで、その後の天明の飢饉にも実は影響を及ぼしておりまして、私が見た本によりますと、百万人以上の方が飢饉でお亡くなりになっている、そういう歴史を持った山が近くにあるということですね。大変雄々しい、私の好きな山の一つであるわけでございますけれども、ある意味ではそういう水域に今これが建設されようとしている。近いところでも一九一一年、明治四十四年、一九三五年にも大爆発を起こしております。
そんな天の恵みと、しかし自然条件が大変厳しいところに立地しようとしているということにもやはり思いをはせないとまずい。といいますのは、ダムは三十年ですとか、五十年ですとか、百年使おうということでつくられるわけでございますから、当然のことではないかと。おいしいところだけつまみ食いというわけにはいかないと、そのように申し上げてもよろしいかと思います。
そこで、八ッ場ダムの歴史的な背景と経緯について、もう一度確認のためにお聞きをしたいと思います。
○南雲都市づくり調整担当部長 八ッ場ダムの経緯でございますが、もともと昭和二十七年に構想発表がございました。それ以来、地元の長年にわたる議論がございました。この間、事業者であります国と地元との間でいろいろ議論があったわけですが、群馬県が仲介に入ることによりまして、生活再建につきましての覚書が締結されまして、ようやく昭和六十一年に至りまして現在の基本計画が策定され、水没世帯の生活を現地で再建する方式が明らかになったわけでございます。その後、引き続きまして、本格的な調整が重ねられまして、つい二年前なんですが、平成十三年に至りまして補償基準の妥結に至り、今回の計画の見直しとなったという、そういう経緯がございます。この間十五年以上は経過しておりまして、将来の水需要や渇水に対する安全性等に対応するために、東京都にとりまして不可欠なダムでございますので、地元の方々の生活の早期再建のためにも速やかな完成が待たれるというところでございます。
○坂口委員 そこで、各論に入ってまいりますけれども、そのような歴史を持った八ッ場ダムでございます。行きますと、悪水といいますか、酸性を持った水とどう闘うのかといいますか、それをどう中和するのかというような十年間、それから反対運動がありまして、その決着をつけるための大変な、地元とのいろんなお話し合いの十年間、そういうようなものを経過してきているということを肌で感じることができるわけでございますけれども、それでは、説明でもあったわけでございますが、八ッ場ダムの進捗の状況と当面する課題、あわせて今回の基本計画の変更の背景、それから、その背景となりました事業、背景後の事業目的が変わっているのか、変わっていないのか。
それから、先ほど吉原委員からも出ましたけれども、工期の問題。こんなにおくれにおくれてきたものが、本当にもう十五年で、二十二年ということですから、この十年足らずで完成するのか、当然のことながらそういう素朴な疑問です。またぞろその期間延長がされて、費用もかさむのではないか、そう思うのは私だけではないと思いますので、工事期間、工事費用の変更、それから一応局にゆだねられているわけでございますが、オール都庁としてこの妥当性についてどう考えているのか。知事の答弁もぶれていますね。私の方の質問もあるんですが、公明の木内議員が質問されたときにちょっと微妙な発言もしておりますので、後でそれは確認させていただきますけれども、とりあえず今いいました問題について答弁をお願いしたいと思います。
○南雲都市づくり調整担当部長 まず、八ッ場ダム建設の進捗状況でございますが、先ほどもちょっと申し上げましたが、八ッ場ダム建設は、現在、鉄道、道路のつけかえ工事や水没世帯が生活を再建する代替地の造成工事等が進められておりまして、町立の小学校も代替地に整備されまして、地元の小学生は昨年の秋から新校舎で学んでおります。
現在、課題というふうにおっしゃいましたので、直面する課題でございますが、建設に当たりまして今後の課題といたしまして、東京都の安定的な給水と渇水に対する安全性を確保するためだけではなくて、地元住民の生活が早期に再建されるためにも一日も早い工事の完成が必要だと。それから、工事につきましては、地域の方々の生活環境や自然環境に配慮いたしまして、加えまして、周辺の生態系への影響を極力抑えるよう、一層の配慮を事業者には申し入れているところでございます。
次に、背景については先ほどちょっと申し上げましたが、八ッ場ダムは昭和二十七年以来、地元の長年にわたる賛否の議論がありまして、(「変更の背景ですね」と呼ぶ者あり)変更の背景ですか。変更につきましては、今回、補償基準が妥結した以前に当初の基本計画ができておりますので、その後いろいろ社会経済的な要因ですとか、あるいは地元で妥結したことによって生活再建対策が固まってきた、そういうようなことがございまして、事業費を上げるということで今回出したものでございます。
それから、事業の目的、工事期間でございますが、目的と工事期間については従来の基本計画と同様でございまして、工事期間につきましては平成二十二年までとなっているところでございます。
それから、工事変更の妥当性でございますけれども、私ども、この改定案が出されました後、さまざまな検証を行ったわけでございますが、職員を現地に、これは近隣の埼玉県、千葉県の職員を伴いまして実際に参りまして、そこで会計検査並みの検査をいたしまして、それで可能な限り検証を加え、妥当であると判断したものでございます。
○坂口委員 検証の内容等につきましても、当然検証されなければならないわけでございますが、先般の我が党の青木政調会長の質問の中でも、知事の所信表明の一端を引用させていただきました。知事は大変いいことも幾つかいうんですね。問題発言も時々されますけれども、いいことも大変いわれる。文学者だということもあるのかもしれませんが、知事はいみじくも、太政官制度以来、連綿と続く官僚体制は、環境の変化にもかかわらず、一たん立案した計画をそのまま達成しようとして美しい国土を傷つけてきたと、こういう明言を残されているんですね。
それから、私も好きで時々使わせていただくんですが、開高健氏の、あす地球が滅びようとも、君はきょうリンゴの木を植えるというような、そういうことも大変巧みに引用されるわけでございますが、まさにこの問題は、自然と人間との共生というような環境をどうつくっていくのかと。それから、川上、川下でいうならば、上流域の群馬県または長野原町、吾妻町などの皆さんと、下流域でございます私ども首都圏に住む者とが、どう自立と共生を図っていくかという、こういうある意味では文明論的なテーマでもあるのではないか、そんなふうに考えております。
そこで、お聞きするわけでございますけれども、そもそもこの資料にも書かれておりますけれども、現在の水の水源開発の基本計画、これをフルプランと呼んでいるわけでございますが、国、具体的には国土交通省ですけれども、における現行の第四次水源開発基本計画、このフルプランの概要。具体的にいいますと、目的ですとか、目標ですとか、期間ですとか、事業費ですとか、もう通告してありますからそのまま申し上げますが、成果ですとか、それから課題ですとか、それをどのように評価をしておられるのか、お聞きしたいと思います。
○南雲都市づくり調整担当部長 国における第四次フルプランについてのお尋ねでございますが、このフルプランは、利根川水系及び荒川水系におけます水の用途別の需要見通し、あるいは供給の目標と、供給の目標を達成するために必要な施設の建設に関する基本的な事項を定めたプランでございまして、昭和六十三年の二月に建設省により策定されたものでございます。
この目標でございますが、この両水系に各種用水を依存する見込みの一都六県の諸地域に対します二十一世紀初頭に向けての水需要の見通しと供給の目標につきまして、経済社会の諸動向や水資源開発の多目的性、長期性及び適地の気象性に配慮いたしまして、この両水系及び関連水系における今後の計画的整備のための調査を待ちまして、順次具体化するものといたしておりまして、期間としては昭和六十一年度から平成十二年度まで、これは過ぎているわけですが、目途としております。
それで、この成果でございますが、フルプランの中で奈良俣ダムが平成三年に完成しておりますし、また浦山ダムも平成十年に完成しております。おおむね進んできているんではないかと考えております。
○坂口委員 この第四次水源開発基本計画、フルプランを策定するに当たりましては、当然のことながら、例えば利根川水系でいきますと、その河川に関連した、先ほど一都六県という話が出ましたけれども、そういったところの水需要計画、それが基本的にきちんと出されて、そしてそれが積み上げられてフルプランになるんだと思うんですね。
お聞きしますけれども、それでは、東京都における現行の水道需給計画の目的、目標、それから期間、事業費や成果、課題などについてどのように総括をしておられるのか、お聞きしたいと思います。
○南雲都市づくり調整担当部長 東京都における水道需給計画でございますが、将来における水道需要と施設能力について明らかにしたものでございまして、水道施設の整備、更新等の長期的な計画の基本となるものでございます。今般、先ほど申し上げましたが、一日最大配水量を六百万トンに見直すことといたしましたけれども、これまでの計画は、平成十年に策定したものでございまして、平成十七年度の一日最大配水量を六百三十万、それから四半世紀後は六百五十万と想定しているわけでございます。浄水場の施設能力といたしましては、確保量を日量六百九十六万トンとしております。
この期間におきます成果といたしましては、先ほどちょっと申し上げましたが、平成十年の浦山ダムの完成によりまして、日量九万六千トンの水源を新規に確保いたしまして、平成十二年度の北千葉導水路の完成により、他の水源に先駆けて取水制限を余儀なくされる不安定な水源に、日量九十五万トンが安定化をいたしたわけでございます。また、金町浄水場及び三郷浄水場に高度浄水処理の一部を導入を図ったわけでございます。
今後は近年の少雨傾向によりまして、水源の実際の供給能力が低下している状況などから、渇水に対する水源の安定性向上が重要な課題でございまして、八ッ場ダム等の水源施設の早期の完成が期待されているところでございます。
○坂口委員 一定の成果も見てきたわけでございますけれども、後に述べますけれども、水の確保というものと、またはその目標と、それから実績、これにはかなりの乖離が出てきているというのも実態でございます。
ご承知のとおり、経済は右肩上がりから持続可能な成長へという言葉が象徴しておりますように、目標でいいますと一、二%の成長、それから人口は、私、ちょうど団塊の世代の入り口です、昭和二十二年の生まれでございますから、我々のときがピークですね。我々の世代はローラーの世代のようなものでございまして、局長も、次長も、技監もほとんど変わらない世代であろうかと思いますが、我々が通り過ぎますと、つまり自然に返っていきますと大変日本も住みよくなるはずなんですけれども、後に大きな遺産は残しても負債は残さないようにしなければならない、そういう世代であろうかと思います。そんなことも念頭に置きながら、それでは、一定の目標をきちんと念頭に置きまして、それはただ需給だけではないですね。強調しますけれども、リスクヘッジ、渇水時の対策、危機管理という言葉は都市計では余り使われませんけれども、そういうことも考えて、利水、治水の面でこれは必要だと、そのように判断してもらいたいと思うんですね。
それらについて聞いていくことにいたしますが、それでは、今いいました十年先の目標は、六百五十万トンが六百万トンということ、これでもかなりのあれですね、八%ぐらいでしょうか、この十年間でダウンということですね。十年間で八%というと、その先はどうなるのかねと、当然聞きたくなりますね。私もあと十年ぐらいは生きたいと思いますが、二十年生きておられるかどうかわかりません。三十年先には恐らくいないでしょう。それが団塊の世代の通過する我々の歴史的な位置づけですね。
ですから、そんなことも含めて、それでは、国における第五次水源開発基本計画、フルプランの策定の進捗状況について、平成十三年のシーンを私、若干覚えていますし、また議事録で再履修をいたしましたけれども、そのときも第五次フルプランを早急につくるつくるつくる、出す出すといっていたんです。しかし、あれからもう二年以上たっているわけですよ。それで、出てきているのかといいますと、出てきていないという状況ですから、やっぱり不安を持つんです。当たり前のことですよ。もう議事録を見ると、何回も何回もそれをいっているんです。しかし、出てこない。東京都についても一体どうなるのと。水道局、きょう水道局はいませんけれども、聞きますと、間もなく、しばらくしばらくと、しばらくの連続でございまして、これはなかなか出てこないなと思っておりましたら、出てきたんですね。しかし、そんなつけ焼き刃みたいに出てきても、どこまで信用ができるのか、できないかという問題がつきまといます。
いっていると切りがありませんので質問いたしますが、一体この第五次の水源開発基本計画、フルプランというのはいつできるのか。また、東京都が一応、中身はまだ聞いておりませんが、六百万トンという数字を出したわけでございますが、それらを含めてどのような内容のものになると推測されるのか。オール都庁には大変有能な人材がそろっていると僕は思いますので、その辺の読みはそれなりにしているのではないかと思いますが、お聞きいたします。
○南雲都市づくり調整担当部長 国の次期フルプランでございます第五次フルプランのお尋ねでございますけれども、現在国におきましては、第五次フルプランの策定が鋭意進められておりまして、国土審議会の水資源開発分科会利根川・荒川部会におきまして審議が進められていると聞いております。
いつ策定されるかについてでございますけれども、明確なお答えは聞いていないんですが、一応事務レベルでは年度内を目途に策定する方向で検討していると伺っております。
内容につきましては、現在のところ策定中の段階でございまして、定かではございませんけれども、近年の少雨傾向による水源の安定度の低下が重要な課題となっておりますので、そのことを踏まえた計画になるのではないかと。現在、水道局でもって六百万トンという将来予測を出したわけですが、それがそのままのっていくのではないかという感じがしております。
○坂口委員 私が聞き入れている不十分な情報で、新聞情報が正しくないというわけではないんですけれども、お隣の埼玉県、上田清司知事のところでは、何年間の目標かわかりませんが、約二割ぐらい減るであろうという、そういう予想を出したやに聞いております。東京の場合には、一応六百五十万トンのものが六百万トンということでございますから、八%ぐらいですけれども、かなりこういうふうに開きがあります。国ではエネルギーの長期需要見通し、それも今出そうとしております。こういうものが議論の前提として基礎的な数値としてないと、本来まともな中身のある議論ができないのではないかというのが私どもの会派の基本的な考えでございます。
そこで、東京都はこの議会に臨むに当たって、いや、この議案が提起された後に六百五十万トンから六百万トンという数字だけをぼっとやぶから棒に出したわけでございますけれども、一体東京都のこの水道需給計画の見直し、それはさっきいいました単年度の需給だけではなくて、渇水対策や危機管理も含めて、そこを民主党は強調したいわけでございますけれども、どのような進捗状況なのか。それらが、一応数字は出たわけでございますけれども、その内容、概略、目標、期間、事業費など、どのように考えているのか、お聞きしたいと思います。所管局が違いますので、本当はここに水道局なり、治水ということになれば建設局も来ていないと、まともな議論はできないということを承知の上で聞くわけでございますけれども、水道局から伺っている情報ですと、どのようになりますでしょうか。
○南雲都市づくり調整担当部長 先ほど来申し上げておりますが、今般の代表質問におきまして、水道局長からも答弁がございましたとおり、将来の水道需要につきましては、一日最大配水量を六百万トンに見直す。また、渇水対策といたしまして、水源開発を促進いたしますとともに、節水PRや漏水防止対策、水の有効利用等の節水の取り組み、効率的な水運用、さまざまな施策を推進しまして、渇水に対する給水の安定性の向上を図っていく、そういうようなことでございます。
水源確保の進捗状況といたしましては、将来の確保水源量、日量六百八十万トンに対しまして、現在日量は六百二十三万トンでございまして、九二%の進捗となっております。また、漏水防止対策の進捗状況といたしましては、平成十四年度末現在の漏水率が五・四%となっております。
○坂口委員 今の数字は水道局で試算したものを都市計画局でなぞっていっているだけなんですね。水道局でも、また公営企業の委員会でも、決算委員会でもいろんな議論がなされていることは、もう皆様方はご承知のとおりでございます。それ自体をきちんとやっぱり見直していく。単年度の需給計画とともに、今危機管理という言葉が大変時代の流行語にもなっておりますので、渇水対策、危機管理を含めて、どういうコンセプトを持って、どのようにこの事業を位置づけてやっていったらいいのかと、そういう転換期に来ていると思うんです。そこのところの議論がオール都庁として十分できていない。
さらに、この問題についていうならば、議案の出し方がまことにまずいですね。これは有能な都庁にしてはちょっと恥ずかしいというか、僕らも当惑しちゃうわけですけれども、これをばっと出して、それで後で出せ出せといわれて水需要計画を出すとか、また国の方もこれはまことに失態ですね。第五次フルプランをきちんと出した後に、それぞれの都道府県に議論を持ちかけるんだったらまだわかるわけでございますけれども、それも出ていない。という中で、先ほどいいましたように、二千百十万円の住宅を四千六百万円にしますが、いかがでしょうかみたいな、これは単位が違うので、二千百十億円のこのダム事業を四千六百億円にしますが、いかがでしょうか。こんなのを出されたって、まともな議論ができるわけがない。これはもう都市計画局の局長以下、みんなそう思っているのではないかと思うんです。しかし、宮仕えの身でやらざるを得ないというところに、皆さんも、我々もストレスを抱えるところがあるんですね。ですから、ある課長さんにいいましたけれども、胃潰瘍にならないように、ぜひ壮健でやってくださいというような、そういう言葉すら吐かなければならないような、そんな案件でございます。そういっていても、もう出されたわけですから議論せざるを得ないわけですね。
そこでお聞きしますが、一日最大配水量を六百五十万トンから六百万トン。五十万トンというと大変ですね。今、地下水源のあれが四十数万トン。それから、後に述べますけれども、リサイクルで下水道局が再生水をつくっておりますが、それがやっぱり四、五十万トン。これが実は隠れた水源であるわけでございますけれども、それに匹敵するぐらいのものをばっと減らしてきたわけですね。一体この論拠は何なのか。これは一応十年先の目標なわけでございますが、先ほど冗談半分、本音半分で申し上げたんですが、十年先、二十年先はどうなると賢明な都市計画局では考えているのか、お聞きしたいと思います。
○南雲都市づくり調整担当部長 この六百万トンの根拠といいますか、考え方でございますが、事業用水の減少など、近年の水需要動向の変化を踏まえまして、東京構想二〇〇〇で示されました将来の人口や経済成長率等の基礎指標に基づきまして将来需要というものを推計した結果、これは平成二十五年度、今からちょうど十年後の一日最大配水量を六百万トンと予測いたしまして、これまでの計画を見直すものでございます。
じゃ、さらに先の推計値はどうなるかというふうにお尋ねでしょうけれども、さらに長期的な推計については現在行っていないところでございます。
○坂口委員 長期的な推計は行っていない。本当はここで議論がストップになるはずなんです。僕は本当に理事会に検討をゆだねたい。具体的にいうと、水道局ですとか、または建設局ですとか、トータルな論議をしようとすれば、僕は下水道局も必要だと思う。そんなふうに個人的には思っているんですけれども、こういうことで議論が本当に進められていいのかどうか、局長にお伺いしたいと思います。局長でなければ、次長でも結構です。
○藤井次長 長期的な推計がないというお話でございますけれども、長期的な水需給の見通しをきちんと立てる上では、人口動向の設定ですとか経済成長率、あるいは消費動向、産業構造、そういったものも東京都として指標を設定する必要があるわけでございますが、現在東京都で持っていますものは、東京構想二〇〇〇で示されたいわゆる平成二十五年までのものが東京都の持つ指標でございまして、それより先の指標は今のところ都としては持ち合わせていないわけでございます。そういった意味で、この水需給の水道局における予測におきましても、それ以上の予測の設定は困難だというのが実情でございます。
○坂口委員 再び本当にそれでいいのかと問いたいですね。だって、ダムは二十二年にできるわけですよ。それから半世紀ですとか一世紀使おうというわけですね。ですから、当然十年先だけではなくて、二十年先、三十年先の人口予想、人口をどういうふうに考えられますか。私どもは二百七十万人の世代ですよ。ところが、今生まれてくる子どもたちは、ちょっと正確な数字ではありませんが、百三十万人ぐらいでしょう。そういう状況です。半分になってきているんです。だから、別のジャンルですけれども、小学校なんかも今千三百五十校ありますね。一時千四百校あった、それが千三百五十校。十年後には一学級のクラスが、これは別のところ、予特でやりましたから頭に入っているんですが、千三百五十校のうち四百校ぐらい出てきますよ、約三分の一ぐらい。十年後でもそういうあれです。二十年後どうなるか、私も試算してありません。もっと少子高齢化に拍車がかかってくる。
それから経済も、先ほどいいました、もう高度成長じゃありません。中国とは違いますね。一、二%持続可能な成長をどうしていこうかと。それから、工業水道の会計ですとかデータに見られるように、もう工業用水というのはどんどん需要が減ってきています。これは、アダム・スミスの世界ではありませんけれども、中国へどんどん土地や労働力を求めて出ていく。ですから、高付加価値の産業が日本に残ってくる。もちろんものづくりも大変重要でございますが、そういう構造になってくると思うんですね。そのようなことを頭に入れると、幾ら核家族化が進んでいったといたしましても、これは相当水需要も減少してくるのではないかと、私、素人であってもそのような推測ができるわけでございますけれども、次長、もう一度、都市計画局としての見通しをお聞きしたいと思います。
○藤井次長 長期的な予測につきましては先ほど申し上げたとおりでございますが、都といたしましては、今現在、きちんとした推計値を持っています東京構想で示された平成二十五年における人口動向、そういったものを勘案して、その時点で最大必要量、いってみれば最大需要量といいますか、そういったものに見合った水資源の開発が必要だという判断に立っているわけでございます。
それから、水需要予測につきましては、近年は、渇水の影響ですとか、あるいは景気の動向によりまして一時的に伸びがとまっておりますけれども、今後の景気の回復ですとか、あるいは東京における人口増によりまして、使用水量の増加というものもまた見込まれるわけでございます。そういった中で、今回統計的にそういったものを全部勘案しまして、水需要の予測は終えたというふうに聞いております。
○坂口委員 わかったようで余り先が見えないですね。これまた一般論になりますと、車でもやみ夜でハンドルを切りますと事故のもとになります。やっぱり十メートル、二十メートル、三十メートル先ぐらい、高速道路だったらもっと先を照らしながら走りませんとハンドルを切り間違えるわけでございますが、十メートル先まで見えているかどうかというような、そんなところかと思います。
東京都の二〇〇〇年構想を頭にちょっと思い浮かべますと、何年かは人口が若干ふえるんですね。しかし、その後、十年後は今の人口とほぼ同じぐらいだと、その後ドライブがかかってくるであろうと、そこのところが大変重要だと思うんです。ダムの建設というのは、先ほどいいました前提ですから。ですから、そこのところを、やっぱり自治体の一番リーダーだと僕は思っておりますので、東京都ができないはずはないんですね。厚生労働省のいろんな人口統計ですとか、または経済産業省等のこれからの産業予測ですとか、一、二%の成長というような、その中身がどう構造的に変わっても、構造改革、構造改革といっているわけですから、それも当然変化してくるという中で、どうこの水需要なりが変わってくるのかというのは、東京都なりに出そうとすれば、東京都が条例をつくって国の法律を変えてきたことはいっぱいあるわけですから、できるんですね。できると僕は思います。そこのところをさておいて金筋の問題だけ出してきたって、これをこのままオーケーですなんていったら、東京都の頭脳というか、それが疑われるということにもなってくるのではないか、そんなふうに僕は思います。
そこで、ちょっとこれ以上やっても水かけ論議になりまして、有効な答えが出てこないと思いますので先へ進めますが、東京都における、先ほどいいましたリスクヘッジ、この背景には、隠しテーマではありませんが、もう局の方が何回もいっておりますような渇水対策、単年度では、余っているとはいいませんけれども、足りているよと。しかし、数年ごとに起こる渇水、我々の印象にあるのでは、近いところで平成八年でしょうかね、例えばプールは使えなくなるとか、日比谷公園の噴水をとめるとか、それも経験しているんです。ですから、それもわかるんです。わかるように都民に説明しないとだめですよ。だから、渇水対策ですとか、危機管理対策の根本的な戦略ですとか戦術についてどう考えているのか。これもやっぱりつまびらかにしてもらわないと、トータルな議論にはならないと思うわけでございまして、これについてお聞きします。
○南雲都市づくり調整担当部長 渇水に対する基本的な戦略といたしましては、水源開発の推進及び地下水等の既存水源の有効活用、節水施策や漏水防止対策の推進等の総合的な取り組みによる渇水に対する給水の安定性向上を基本といたします。あわせまして、渇水時の危機管理対策といたしましては、国等関係機関や他県との密接な連携のもとに、適切に情報の収集、伝達を行いますとともに、渇水の状況に応じまして、適切な水利調整、渇水対策本部の設置、節水PR、給水制限、効率的な水運用等のさまざまな取り組みを都民の協力を得ながら実施したいと考えております。都といたしましては、これらハード、ソフトの施策を駆使いたしまして、渇水による都民生活への影響をできるだけ少なくするように努めていきたいと考えております。
○坂口委員 私は東京へ来て四十年弱になるんですが、何回かの渇水を経験してきております。しかし、東京都はかなりうまく乗り切ってきているなと。私の直感でいいますと、小河内ダムの、かつては尾崎行雄の時代に水源林を確保して、山梨県の水まで確保させていただいたわけでございますが、その水を大変巧みに使っているなと。三多摩が合併されたというのも水源の確保のためとよくいわれております。それも大変大きな要因であるということがいわれております。水は都市にとって欠くことのできない、いや、人間にとって欠くことのできないものでありますし、また、それがいろんな文化、文明をつくっている、それはもう歴史を見れば明らかでございます。
しかしながら、その小河内の水というのは、私の目から見ますと、これが当たっているかどうかわかりませんが、とらの子の水として東京都は、水道局はとっておりますね。ですから、大変な渇水にならないと小河内の水は放出しない。裏返していうと、それだけ利根川に依存している。私が議員になったころには、三〇%ぐらい多摩川水系の水を使っていたのではないでしょうか。それが今、大体公の文書ですと二〇%ですよ。七〇%は利根川水系の水に依存しています。そういう文書が出ています。もっというならば、委員長が住んでおりますのは八王子です。八王子まで利根川水系の水を使っているんですよ。
僕がびっくりしたのは、これはすごいなという反面、これでいいのか東京都と思ったのは、多摩ニュータウンです。多摩ニュータウンまで--多摩ニュータウンをどうして挙げるかというと、ご承知のとおり多摩川があるわけです。その南側に位置しているわけですよ。多摩川ですとか、浅川のやはり恩恵にあずかって、かつての縄文人なんかは住んできたわけでしょうけれども、そこまで利根川水系の水を使っているんですね。これが現実です。これで本当にいいのかなということを、もう一度問い直してみる必要があるのではないかと私は思っております。その上でやはりその渇水対策。もうちょっと進めていいますと、そのために、今まで使っていた自治体の地下水、それが駆逐されている面がありはしないか。これは生活者ネットワークの皆様方などはそういうことを鋭く指摘しておりますね。それがあるのではないか。
私の地元でも、西東京でございますが、かつては四〇%ぐらい自己水源でした。あの武蔵野台地でも地下水脈があるんですね。新小平の駅を持ち上げるぐらいのすごい地下水脈があるんです。これがだんだんと少なくなりまして、今二〇%から三〇%、多摩平均でいうと一五%。しかし、昭島は一〇〇%自給です。というまだら模様でございますが、それだけ地下水を活用しているという現況があります。
それらも含めて、これは指摘にとどめますけれども、水の総合プランといいますか、渇水対策や危機管理をもう一度見直していく必要があるのではないかという指摘だけをしておきたいと思います。
それでは、治水対策はどうか。八ッ場の事務所へ行きますと、二十二年の、私がちょうど生まれた年でございますが、カスリン台風を挙げるんですね。それで、一千人近くの方がお亡くなりになった。二百年に一度起こるか起こらないかの洪水にも備えられるような治水をやっていきたいと。治山治水は国家の政のかなめであるというようなことを知事がおっしゃいました。中国でもそのようなことは昔からいわれております。確かにそれはわかるわけでございますけれども、東京都における治水対策、危機管理対策の基本戦略ですとか、戦術についてはどのように都市計画局として考えておられるのか、お聞きしたいと思います。
○南雲都市づくり調整担当部長 治水対策の危機管理対策ということでございますが、都内の河川のうち江戸川、荒川、多摩川などの大河川につきましては国土交通省が管理をいたしまして、その支川であります隅田川など、そういうものを都が管理している実態がございまして、それぞれの役割に基づきまして治水対策を行っているところでございます。
都では、隅田川以西の台地部や多摩地区を流れます中小河川につきまして、一時間当たり五〇ミリの降雨に対応できるように護岸の整備を進めているところでございます。整備に当たりましては、河道の拡幅を基本にいたしまして、調節池や分水路を整備するなど、効率的な事業を行っているところでございます。隅田川以東の低地帯におきましては、伊勢湾台風級の高潮に対応した防潮堤や防潮護岸を整備しているところでございます。さらに、平成七年の阪神・淡路大震災を契機といたしまして、堤防や排水機場などの耐震強化にも取り組んでいるところでございます。また、近年におきましては、一時間に五〇ミリ以上の局地的な豪雨が多発していることから、護岸整備等のハード対策に加えまして、浸水予想区域図の作成、公表や、インターネットや携帯電話によります雨量及び河川水位の情報サービスなどのソフト対策につきましても行っておりまして、水害の軽減に努めているところでございます。
○坂口委員 今のは東京都の全体的な戦略かと思うんですが、この八ッ場ダムについて、ちょっとこれは通告にないんですけれども、東京都が利水だけでなくて、今までの実績でも、百六十億余が利水で、そして五十四億近くが治水のためということになっていますね。この中で既に二百十四億円を東京都が出しております。この治水の負担というのは、どこにどうかかわってくるんですか。
○藤井次長 多目的ダムの治水にかかわる都道府県別の負担につきましては、国土交通大臣が既に定めております流域別の、いってみれば負担割合がございまして、それにのっとっているところでございます。具体的に申し上げますと、その流域別に仮に所定のダムがなかった場合に、予想されるはんらんの被害、その地域の固定資産税をもとに都道府県の分担を決めている、そういう内容になっております。
○坂口委員 これはもう大変大きな問題でございますので、これだけでも、都市計画局だけではございませんで、建設局なども本当は参加していただいて議論をする中身を十分持っている、また価値があるのではないかと思います。そういう限界を感じながらの議論でございます。
それでは、この資料を出していただきましたが、ちょうど我々が視察に行ったときに、中央の新聞では出ませんでしたけれども、新聞記事、今出しませんけれども、上毛新聞に、十二月四日版だったと思いますが、一面トップで倉渕ダム凍結という記事が出されました。これは現地へ参りまして関係者の方からいただいたんですけれども、これは県が所管しているダムです。凍結した後に一体どうするのか。それで、帰りがけに、実は薄々情報は我々の方にも流れておりましたけれども、戸倉ダム、これはもう直轄、国土交通省ではありませんけれども、大変大きなダムですね。これが中止と。それで、埼玉県も腹をくくった、東京都もどうも同調するらしいと、そういう記事が出たんですね。これは群馬県だけではなくて、こちらの新聞にも出ていたことは、皆さん方ご承知のとおり、読売新聞が一番大きく扱っていたと思います。
そこで、資料を出してもらったんですが、平成元年度から平成十二年度末までに中止になった事業中の多目的ダム、これが六十四事業もあるということですね。それで、中止となった理由というのがそこに書かれているわけでございますけれども、答弁してもらってもいいんですけれども、資料を出してもらいましたので、私の方から確認をいたしますと、一番が水需要の減少、これは平成十二年までですよ、だから、今の倉渕ダムですとか戸倉は入っていないということになります。もう一つは、水需要の減少プラス治水代替案が有利。今ちょっと議論、本当に入り口でございましたけれども、ほかの代替案。これは後にちょっと局長か次長、または部長に聞きますけれども、例えば緑のダム構想ですとか、そういうものが社会的に話題になっていることはご承知のとおりです。その後もそうです、治水代替案が有利と。その上は水需要の減少と治水代替案が有利と。これはミックスです。それで、下から二番目は地元調整難、それからその他と。
それで、中止事業のうち三十一事業は実施計画調査段階。しかし、三十三事業は本体の着工に至っていない工事用道路などの仮設工作物の設置段階のものであると。八ッ場なんかは中止はされておりませんけれども、こういう段階だと思うんですね。中止には至っていないわけですけれども、工事用道路、私ども現地調査で六カ所ぐらい、所長さんじきじきにご案内をいただきまして、例えばJRの取りつけ用のトンネルですとか、それから、先ほどもちょっと出ましたけれども、移転代替地の造成地、六十メートルから百メートルぐらいのところへ、例えば川原湯温泉などへ上げると。まさに「もののけ姫」の世界ではございませんが、たたら場のような状況でございました。
それから、小学校の、もう完成しましたあの現場ですね。長野原第一小学校というんでしょうか、もう百名から二百名ぐらいいるのではないかと思いましたら、数を聞いてびっくり仰天、六十名しかいない。それも、いずれ廃校になっちゃうかもしれない。立派な学校ですよ。そんな学校を見させていただいてまいりました。
それから、縄文時代の遺跡の発掘現場ですとか、いろんなところを見させていただいたんですけれども、それはさておきまして、こういう状況があるというのが、今のまさに歴史的なこの段階であるわけでございまして、そんな中で、先ほど水需要の減少、または治水代替案が有利、これを合わせますと三十三件近くもあるわけでございますが、この緑のダム構想というようなものがいろんな団体によって議論されているわけでございますが、それについて知り得ている情報がありましたら教えていただきたいと思います。
○南雲都市づくり調整担当部長 緑のダム構想についてでございますが、森林には保水機能や水質浄化、土砂流出抑制などのさまざまな機能がございまして、今後とも森林の整備を行うことは必要であると考えております。しかしながら、日本における国土面積に占める森林面積の割合は、欧米に比べまして非常に高いにもかかわらず、この豊かな森林をもってしましても渇水が頻発しているのが現実でございます。また、成長した森林は、河川の水が豊かなときには河川への流出量を増加させる傾向に働くわけですけれども、渇水時には、むしろ植物も生きるために根っこからどんどん水を吸収するために、河川への流出量を減少させるといわれているところでございます。このため、森林の整備を行うことはもとより、引き続き、ダム開発による安定した水源の確保というものは必要であろうと考えております。
○坂口委員 ちょうど東京水道百年のときでしたでしょうか、ビッグサイトで水道局企画のイベントがありまして、僕、最後まで残って、いい話を聞きました。どういう話かといいますと、それはC・W・ニコル、もう皆様方ご承知かと思いますが、イギリスの炭鉱町に育ちまして、北極探検ですとか、またエチオピアの公園の建設ですとかをやってまいりまして、内乱で日本へ帰ってきまして、今、我がふるさと信州に住んでおります。彼は日本の自然を絶賛するんですね。こんなに植生が豊かで、すばらしい列島はないと。オホーツクの流氷から南のサンゴ礁に至るまで、それで火山列島であるわけでございますけれども、風光明媚だと。その裏返しで全国至るところに名湯名泉があると。どういう演題でやったかといいますと、蛇口をひねれば森が出る。いい得て妙といいますか、大変すばらしいネーミングだと僕は思うんですね。蛇口をひねれば森が出る。もうそれ以上いわなくてもわかると思うんですが、こういう演題で、大変流暢な日本語で--日本に帰化をしたんだそうですね。ということで、英語でなくて日本語で私やりますということで、大変流暢な日本語で講演をされました。
それらとも重なってくるわけでございますけれども、現在、市民運動を含めて取り組まれております緑のダム構想といいますのは、私の知人でもあり、土地住宅問題の調査のときからの友人でもあるんですが、法政大学の五十嵐敬喜氏を中心としまして、現在既存のダム、それから建設中のダムなどを含めまして、もう一度ダムの見直しをしていこうではないかと。そして先ほど申し上げましたような都市計画に住民が参加をするということだけではなくて、河川管理のあり方、雨水利用のあり方、地下水の浸透と利用、水のリサイクル、節水、レクリエーションなどについて流域ごとに考えていこうではないかと、そんな趣旨のものでございます。五項目ぐらいありますけれども、時間の関係で省略させていただきますけれども、先ほど部長がいったことに加えるならば、こういううねりが今大変大きなものになってきているということにも着目をしなければならないと、そんなふうに考えています。
そういうことでいくならば、これはもう既に都市計画局や水道局、下水道局でもいろんなマスタープランを出しているわけでございますが、鈴木知事のとき、それから最後何をやるかわからなかった青島さんでございますが、都市博は中止する、一銭たりともむだにしないということだけで当選しちゃった青島さんであるわけでございますが、最後はリサイクルの青島といって、いろんなものを残した経緯があります。それで、青島さんの業績であるのか都市計画局の業績なのかわかりませんけれども、知事がかわるとこう変わるということの証左でもあるんですが、青島幸男と書いてありますから、これは都市計画局で出しました東京都水循環マスタープラン、望ましい水循環の形成を目指して、これは現在でも生きているんですか、生きていないんですか、まずそれをちょっと聞きたいと思います。生きている、生きていない、イエス・オア・ノーでいいです。死んじゃった……。
○南雲都市づくり調整担当部長 生きておると思います。(「生きておると思います」と呼ぶ者あり)生きております。
○坂口委員 その辺にもまたぶれがここにありますね。生きていてもらわないと困るわけでございますけれども、ここにはいろいろいいことが書いてあるんですね。私が参考になったのは、理系の出でございますから、こういうのが大変目につくんです。水のインプット、アウトプット、内部循環ですね、こういうブロックチャートがある。現状がどうか、将来の望ましい姿がどうか、さすが東京都だ、大変システマチックに書いてあります。これは生きていてもらわないと困るんです。もう一度聞きますけれども、本当に生きているんですか。ちょっと局長に答えてもらえますか。(発言する者あり)
○勝田都市計画局長 力強く生きているということでございます。
○坂口委員 力強く生きていても、やっていなければ何もならないんですよ、今こちらから発言がありましたけれども。これで明らかにしているのは、これなんかエコロジーシステムを体系化してここに書いたものなんですけれども、本当にもう理にかなっている。つまり、活用できる水源というのは、別に河川水だけではないわけですよ。これはもう自明の理ですね。まず、ここにも書かれておりますように、この水資源ですね、雨水がある、これは大変な量です。数字はもう挙げません。それから河川水がある。今議論されているのは、上流、下流の議論で、利根川の水です。それから地下水があるわけです。ひところは百何十万トンくみ上げて地盤沈下の元凶にもなったといわれているんですが、今でも四十何万トンくみ上げている。
それから、平成四年の下水道局の資料を僕は引っ張り出して持ってきたんですが、これまた、いい分析をしているんですね。水道局は、つくった水を売らんかなでどんどん事業をやるんですけれども、下水道局は、水道局が動脈管理だとしますと、静脈を管理しているわけです。今ちょっと資料がぱっと出てこないんですけれども、簡単にいいますと、下水道局が持っている水源というのは、水道局のそれを上回っているといってもいいですね。ですから、数百万トンの水を下水道局は持っております。それだけの水があるんです。
というのは、多摩地域では、これはもう釈伽に説法ですが、分流式ですが、二十三区では合流式ですから、これの是非の議論もありますけれども、出てくる水は水道局の供給している水道水よりも多いわけです。それを再生したのが下水処理水であり、例えば私どもの住んでおります武蔵野台地に流れております玉川上水、この処理水がなかったら復活しなかったですね。水利権云々かんぬんといっていたら、これは復活しなかった歴史的な遺構です。野火止用水もそうです。こういう隠されたお宝、それがあるということにも思いをはせないとまずい。それから、我々は都庁にいましてトイレを使いますけれども、これは皆様方ご承知のとおりの再生水、かなり高度処理をしました、お金のかかった水ではありますけれども、こういうものもその中から抽出されているということですね。それで、せっかくですから、そういう形で全体を押さえながらどうその利水をするのか、またはリスクヘッジをするのかということを考えていかないとまずいということだと思うんです。
そこで、今いいましたそれぞれの総量、これは局に聞いた方が、私がいうよりも正確な数字が出てくると思いますのでお聞きするんですが、水道、工業用水、先ほどもちょっと出ましたけれども、農業分野、どれだけの水が使われているのかですね。過去三十年間のと通告では書きましたけれども、現状でいいです。実績、それから動向ですね。力強く生きているといったわけでございますから、本当は十年、二十年、三十年どうしていくのかということも語ってもらわないと、本当に力強く生きているということにはならないと思うんですが、わかる範囲で結構です、お答えをいただきたいと思います。
○南雲都市づくり調整担当部長 まず、河川からの取水量でございますが、現在一日当たり四百五十万トン程度でございまして、これまで変動はあるものの、ほぼ横ばいで推移をしているところでございます。
地下水の取水量につきましては、現在一日当たり五十五万トン程度でございまして、これは減少傾向で推移してきたが、近年は横ばいでございます。
それから、下水処理水量につきましては現在一日当たり五百六十万トン程度で、これまで普及率の上昇に伴いまして増加傾向にございましたけれども、近年は横ばいで推移している。
それから、雨水利用と循環利用を合わせた水量で申し上げますと、現在、先ほども冒頭の答弁にございましたように、日量九万トン程度でございまして、これまで増加傾向で推移している。
それで、河川水の取水についての用途別の内訳でございますが、水道用水の取水量は、現在一日当たり四百四十万トン程度でございまして、これまで変動はあるものの、ほぼ横ばいで推移しております。
それから、工業用水の取水量は、現在一日当たり五万トン程度でございまして、これまで減少傾向で推移をしてきたところでございます。
さらに、地下水の取水につきまして用途別の内訳をちょっと申し上げますが、水道用水の取水量は、現在一日当たり四十万トン程度でございまして、これは減少傾向で推移してきたが、近年横ばいと。
それから、工場等による取水量は、現在十五万トン程度でございまして、地盤沈下による揚水規制の関係から一九七〇年代は急激に減少をしたところでございまして、その後は横ばい傾向と、そういうことになっております。
○坂口委員 今の答弁でちょっと確認が十分できなかったのが、下水処理水の利用状況です。実は力強く生きていると局長が力強く答えてくださいました、これですね。この巻末の資料によりますと、これは四十四万トンですよ。その主要なところだけ拾い読みしますと、落合処理場がやっぱり大きいです。これは西新宿ですとか中野坂上の地区、再生水利用事業に使われている。地域内のビルですとか水洗トイレ等です。それから、大きいところでは、やっぱり清流復活事業に使われているということです。それから、多摩地域では多摩川上流処理場、これの再生水が清流復活事業、玉川上水ですとか野火止用水等に使われておる。四十四万トンですよ。地下水が合計で、飲料水で四十二万トン、それから、工場だとか指定作業所を含めまして六十六万トンぐらい今使われているということです。
それで、この将来像を見ますと、地下水も僕はまだまだ可能性があると。何も八王子や多摩川で利根川水系の水を使う必要はない。それはリスクヘッジも含めて地下水に着目をすべきであると。僕は世田谷だってそのように思いますね。多摩川に面したところであって、やろうと思えばできるのではないかと、そのように考えております。八十万人の都市ですから、そういう努力も一方でしていかなかったら、循環型の都市なんてでき上がらないですね。しかしながら、地下水については、この図ですと監視しながら慎重に対応する施策ということになっています。監視しながらで僕はいいと思うんですが、可能性は十分ある、また、そうした方がいいと思います。
もう一つ、やはり今後積極的に増加させる施策というところに注目をしないとまずい。それは地下水の涵養、これは地下水を豊富化するということですね。それから下水再生水の活用、これはもういうまでもありません。それから河川への湧出水の増加、こういうようなものですね。こういったところがブルーの流れ図になっておりまして、こういったものを強化している、これに対して本当に積極的に取り組んでいるのかなという感じがするわけです。
これに対してちょっと聞きますけれども、力強く生きているというんですが、これは本当に積極的に予算組みをして取り組んでいるんですか、確認します。
○藤井次長 この東京都水循環マスタープランの策定後の取り組みでございますけれども、策定時に水循環マスタープラン推進委員会を庁内で立ち上げまして、いわゆる分野別の事業の進め方、あるいは施策の評価等に取り組んでいるところでございまして、平成十四年には課長レベルで水循環マスタープラン連絡調整会をつくりまして、そういった進捗の把握に鋭意努めているところでございます。
○坂口委員 議論を前に進めます。例えば漏水率の向上、これは水道局が一生懸命やってまいりまして、一%向上するとどれくらいでしょうか、約五万トンから六万トンということになりますね。この処理水の再生水の利用について見ますと、平成四年の数字ですと、間違っていたら訂正してください、六%という数字が出ております。それが平成十一年のレポート、これは何年のデータかわかりませんが、十一年のレポート、九年ぐらいたったところでは、私の記憶に間違いがなければ八・六%、九年間で約二・六%ぐらいふえているということです。
漏水率は大体一年に一%ぐらいずつ改善してきて、今五・何%。これを改善するということも、取水したものを有効に使うということで大変重要ですけれども、逆にリサイクル、再生した水を年一%ずつふやしていったら、これは単純な計算で、とらぬタヌキのかもしれませんけれども、十年間で一〇%になるわけです。一〇%というのは、先ほどの六百万立米、または五百万立米を念頭に置きますと、何と五十万トン、六十万トンという話になるわけですね。こういう戦略があっても全然おかしくないんですね。力強く息づいていますということであるならば、それを力強く推し進める人、物、金がなければ、これは力強くならないんです。そう思いますが、局長、いかがですか。
○勝田都市計画局長 水は、確保するとともに、そういう節水といいますか、あるいはさまざまなリサイクルによる循環利用、こういった側面でそういう工夫をいろいろ重ねていく必要があるだろうと考えます。いろんな施策は重層的にやるべきだろうと思います。
当局は水資源の開発、あるいは利水そのものは水道局、あるいは治水は建設局、こういうふうな役割分担でやっておりますけれども、先ほど坂口委員の方から官僚というお話がございましたとおり、官僚というのは保守的な体質を持った官僚、こういうようなことであれば、都庁の役人はそういった体質でなくて、革新的に、いろいろ重層的に、行動的にやっていく、こういうふうにしていきたいなと考えておりますので、各局の垣根を取り払って、協力して努力していきたいと考えます。
○坂口委員 局長はその必要性を感じているんだけれども、どうも事業の方は必ずしも局長が考えているような方向に進んでいないのではないか、そんな感じも受けるわけでございますけれども、そういった意味ではエールを送りたいと思います。
いろいろ議論してまいりましたけれども、要は、川上と川下の問題とともに、未来に対してどのような責任を持っていくのかということではないかと思います。この八ッ場ダムにつきましても、他のダムや事業につきましても、本当に未来に対しましての遺産になるようなものを残していかないとまずいのではないか。間違ってもこれ以上大きな負債を残すようなことになっては、後世にやはり汚点を残すということであろうかと思います。
そこで、私見も一部入るわけでございますけれども、水資源の自給率をできるだけ高める。農業でも今、オリジナルカロリーが四〇%、この自給率をどうするか。他方においてFTAのようなものにどうこれをつくっていくのか、そういう二つの命題があるわけでございますけれども、それと同じだと思うんですね。あるものはやっぱりできるだけ使えるようにしましょうよ。どう考えても八王子で利根川水系の水を日常茶飯事に使っているというのは、僕は自然の摂理に反していると思います。多摩ニュータウンでその利根川水系の水を使っている。そういうリスクヘッジに小河内ダムの水を使っているというのも、僕はどうも理屈に合わないんじゃないかと思います。可能な限り地下水が使えるのであれば、収支を考えて、地盤沈下が起こらない可能な範囲で地下水を使う、または再生水を使っていく。そういう道こそ追求されませんと、それこそいろんな自然のしっぺ返し、先ほど「もののけ姫」を出しましたから、「千と千尋の神隠し」も示唆的ではないかと思うんですが、そのような状況が起こる。宮崎駿の問いかけというのは、僕は大変重要な問いかけだと思うんですね、そんなことを考えます。
したがって、水資源の自給率を高めて、可能な限り他県に依存しない。その中で持続可能な都市再生を図る。そのためには何が必要かというと、適切な節水、漏水防止ももちろん必要でございましょう。それから、水資源循環型の都市、いみじくも今取り上げさせていただきました都市計画局編さんによりますところの東京都水循環マスタープラン、望ましい水資源の形成を目指して、これは平成十一年の四月に出しているわけでございますが、このようなコンセプトですとか、静脈ルートを管理しております下水道局ですね、私見を恐れずいうならば、僕は水道局と下水道局を一体化しまして、水資源局というようなものにしたらいいのではないかという私見を持っております。といいますのは、お医者さんへ行きますと、循環器科というのは、別に私は動脈だけですとか、私は静脈だけの専門医ですなんていうのはないわけです。心臓から末端に至るまで循環器科で診断をして治療をするわけでございますから、もうそういう時代に来ているのではないかと、これは行政改革にも私はつながってくるのではないかと思います。
そのようなことを含めまして、これからの水のあり方を考えていく必要がある。そして先ほど局長が述べられました、取り組みを着実に進めていく必要があると思いますが、改めて見解をお聞きしたいと思います。
○南雲都市づくり調整担当部長 東京都は水源の多くを群馬県や埼玉県などの他県に依存しておりまして、このような状況を勘案いたしますと、循環型社会づくりの観点から、限りある貴重な水資源を有効に活用していくための施策を進めていくことは非常に重要であると考えております。一方、都の水源の約八割を占める利根川水系におきましては、淀川や木曽川などの他の水系に比べまして、低い利水安全度で水源開発が計画されておりまして、また近年におきましては、少雨傾向の影響などもございまして、渇水が二年から三年に一度の割合で発生している状況にございます。このことを考えますと、首都としての機能を維持していく観点から、安定した水源の確保を図ることが重要であると考えております。
水循環マスタープラン、先ほど来先生からご指摘ございますが、ここにも掲げられておりますように、おおむね十年に一回の渇水時でも平常どおりの給水を確保できる都市を目指しまして、東京都といたしましては、引き続き八ッ場ダム等の水源開発による安定した水源の確保に努めますとともに、多摩地区の地下水の有効活用や節水施策の推進などの総合的な対策に取り組んでいきたいと考えております。
○坂口委員 総合的な対策を考えてプラン・ドゥー・シーをするに当たりましては、前提条件となる、さっきいいました人口予測、経済成長の予測、それから第五次フルプランなどなどがきちんと出される必要がある。ただペーパーだけで、ちょっと部長には恐縮でございますけれども、そのように答えられても、これは本当に真剣な、精緻な議論にはなっていないなということを私は感じざるを得ません。
そこで、時間の制約等もありますので、終わりの部分に移りますけれども、群馬県の鬼石町と書きましてオニシマチと読むようでございますが、そこの関口町長さんという方を部長か局長はご存じでしょうか。
○南雲都市づくり調整担当部長 国の行事で水の週間行事というのを年に一回行っているんですが、そこでお会いしたことはございます。
○坂口委員 突然いわれてびっくりしたと思うんですけれども、今どういう役職をしているかといいますと、関口茂樹町長という、五十七歳でございますが、当選五回、十七年に及ぶ長期町政のかじをとる方だそうでございます。今、ダムを抱える自治体がつくるダム所在市町村全国協議会の会長に就任されたんだそうですね。それで、これは何のことはない、下久保ダムを抱えております、その地元の町長さんです。それで、私なんかはこんな会長になったら、大体このダム協というのは、略称ダム協なんですけれども、推進派の方、水源維持派、またはダム地域振興派などの方が多いんだそうですけれども、支障が出るんじゃないでしょうかと固辞したらしいんですけれども、その会の中で、簡単にいいますと、こういう時代ですからと、あえて会長に推されて就任をしたというんです。
それで、そこの町長さんが、この八ッ場ダムについて大変重要なことをいっておられるんです。それはみずからの下久保ダムの経験を含めてだと思うんですけれども、ちょっと前になりますが、一九九九年一月三十一日号「週刊サンデージャーナル」だそうでございますけれども、八ッ場ダムをどうするかの結論として、私は結論として、まず本体工事の建設は見送る。しかし、必要なものはやるべきでありますから、今進めております国道一四五号線のつけかえ工事等、地域振興策は積極的に継続する。なぜならば、五十年間ダム計画の指定が行われたために、あの地域はほとんど地域振興らしい事業が行われていなかったことにかんがみ、積極的にその五十年分のおくれを取り戻すことは当然のことと考えています。これがまず前半です。
もう一点は、ダム計画指定をされますと、長い間ダム建設の是非をめぐって地元の人たちの人間関係に大きな亀裂が入るのは、どのダム計画でも事実であります。大変な精神的苦痛を負うわけでありますから、この五十年の精神的な苦痛に対して国はその損害を補償するよう考えるべきだと思います。もし今の法律で無理ならば、いち早く立法をし、その精神的な慰謝を行ったらどんなものであろうか。
これは、ちょっと揺れ動く知事の先ほどの心境。それから、ある新聞の社説で書かれておりました公共事業を撤退する場合のプログラムといいますか、どういうふうに撤収をするのか。昔から戦国の世の中でも、一番しんがりを務めるのが一番大変なんですね。しかし、それも考えていかなければならない、そういう時代に日本が来ている。アメリカなどにおきましても、既存のダムを取り除くというような、先ほどの緑のダム構想ではありませんが、そういう事業が行われてきている。もう老朽化したダムですけれどもね。そういう時代でございますので、それとともに、下久保ダムの事業にかかわってきた地元の町長の言葉であるだけに、私は何倍かの重みがあるのではないか、そのように考えるわけでございますが、これを聞きまして、局長はどのような思いをされますでしょうか。
○勝田都市計画局長 私は、関口町長さんだったでしょうか、お目にかかったことはないものですから、その人となりはよく存じ上げませんので、今の先生のお話を伺った感想ということでお許しいただきたいというふうに思いますけれども、それぞれそういう価値観といいますか、とらえ方というのはあろうかなというふうに思います。したがって、今お話があったようなことを私自身、真っ向から否定するものではございませんけれども、東京都としては、今回できる限りの手を尽くしまして検証を進め、議会にご審議いただくべきだろうという判断をさせていただき、今まさにご審議いただいている、こういうことでございまして、いろいろな考え方があるということは十分、それはそういうものだろうということ。
それから、重ねて申し上げますが、東京は将来的に次代の人たちに責任を持って水の安定的な供給を果たすというのが私どもの務めであろうし、また、その際、水源県の方々のご協力、これも忘れてはいけない。そういうことから、いろいろ手を尽くす必要はあるだろうというふうに思いますけれども、そういう将来の安定的な水の供給という意味では、今回の八ッ場ダムはぜひとも不可欠なものであろうというふうに考えております。
○坂口委員 最後にいたします。
今までのような議論を通じまして感ずることは、やはり基礎的な資料または見通し等が極めて不十分ではないかということですね。大きな事業の意思決定をするに当たりましては、大変不十分な中で議論を余儀なくされているということであろうかと思います。まとめていいますと、今回の八ッ場ダム建設に関する基本計画の変更に関しては、一つとして東京都水道需給計画の精緻な見直しができておりません。これも本来でしたら理事会に投げかけまして、水道局を含めて合同審査をやっぱりすべき内容ではないかと思います。または予算特別委員会等でやるべき内容ではないかと思います。
それから二番目としまして、この問題を投げかけております国の第五次水源開発基本計画の策定がまだなされていない、そういう状況にあるということでございます。
第三番目といたしまして、先ほど議論をいたしました水源自給率の向上、地下水ですとか再生水の利用、これに対しての方向は定まっているけれども、人、物、金、時間、技術などを含めまして、この自給率の向上につきまして具体的な施策化がされていない、また、その見通しが必ずしも明らかでないということがあります。
それから四番目といたしまして、渇水対策、治水対策の戦略、さわりは聞きましたけれども、これらについて十分な議論がまだなされていない、行政の方と議会の方を含めて、これも人、物、金、時間、技術などが大変重要になってくると思います。
そんなことで、それに加えていうならば、資料を出してもらいましたが、埼玉県、千葉県、茨城県、群馬県などなどはまだ議会への付議はしてありません。東京の動向を注意深く見守っているということであろうと思います。最初いい忘れましたけれども、そのような中で、私どもの質問では出てまいりませんでしたが、中嶋理事には恐縮でございますが、木内政調会長の答弁に対しまして知事は、予定された原稿とちょっと違ったのではないかと僕は思いますけれども、八ッ場ダムの事業について埼玉県もその意向があるようですけれども、東京都もそれが可能なら、埼玉とも協力して独自の調査をしてみたいと思っておりますけれども云々かんぬん。それゆえに、途中省略でございますが、ダム完成に至るまでの引き続き徹底したコストの縮減と契約制度の見直しなどを国に求めていきますし、できれば、どこまで本気でこの言葉を出されたかわかりませんが、都も独自の調査をすべきではないかと思っています。都市計画局はもうやったということでこれを出したと思うんですが、知事は先般の代表質問で、できれば都も独自の調査をすべきではないかと思っております。いずれにしろ、加えて、周辺環境への配慮については万全を期すよう国に強く申し入れるつもりでございます、こういう答弁が出ているんですが、このようなことも含めて、答えを出すことに拙速があってはまずいのではないかと私は思います。
したがって、我々委員の中でもできれば現地調査をする必要があるでしょうし、私は上空と地上から視察をさせていただきましたけれども、まだ行ってごらんになっていない委員の方もいらっしゃると思いますし、それから、先ほど申し上げました、例えばアカウンタビリティー、情報を開示する、またはパブリックコメントということも東京都ではいろんな事業でやっておりますね。そういうこともやった上で結論を出すということが大変賢明なのではないか、そのような理性を我々は持つべきではないか、僕はそのように考えます。
したがって、結論はあす出すことになりますけれども、そんなに拙速にする必要はない。きちんと議論をして、予算特別委員会でも徹底的に議論をして都民の皆様方にもこの事態と状況を知っていただく、そして、いろんなご意見を聞く。そのようなプロセスを経ることを考え、また、局にもそのような要望といいますか、そのような思いを伝えるわけでございますが、ご所見がありましたらお聞きいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○南雲都市づくり調整担当部長 先ほど局長からもご答弁申し上げましたけれども、八ッ場ダムは将来にわたりまして給水の安定性を確保する上で極めて不可欠なダムでございまして、改定につきましては、国から照会があった事業について私どもといたしてもできる限りの検証を実施いたしまして、妥当なものと判断したから今議会に付議しているところでございます。
知事が公明党の代表質問に答えました真意でございますが、ダム完成に至るまで引き続き徹底したコストの縮減と契約制度の見直しなどを国に対して求めていくわけですが、都としても独自の調査を実施すべく検討していく、そういう趣旨でございます。何とぞよろしくお願い申し上げます。
○相川委員長 この際、議事の都合によりおおむね十分間休憩いたします。
午後三時四分休憩
午後三時十七分開議
○相川委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○中嶋委員 最初に、ハートビル法関連の今回の福祉のまちづくりの条例について何点か、確認も含めて質問をしたいと思います。
以前からバリアフリー、あるいは福祉のまちづくり、大きなテーマでありましたが、現実にはなかなか進展をいたしませんでした。点と線の整備は可能でも、なかなか面的整備にまで広がらなかった。そうしたところから交通バリアフリー法を初めハートビル法、さまざまな法律が制定されて自治体が対応を迫られている、これは基本的に極めて歓迎すべき方向だと思います。東京都も今回の条例で国の法律より一歩踏み込んで、対象施設を拡大してバリアフリー化を義務づけた、これは評価できます。ただ、既存建設物、既にでき上がっている建設物は条例の対象に入っていない点と、さらに小規模な施設、これの改善についても先行きがよく見えない、そういう問題意識を持ってございます。実は、この問題は、亡くなった我が党の曽雌久義議員が厚生委員当時に何度も質問をしたテーマでございまして、それに倣って何点か質問をしたいと思っております。
最初に、この条例策定に当たって、パブリックコメントを募集されたと伺っておりますが、どのようなコメントが寄せられて、具体的にそのパブリックコメントがどのように条例の中で反映されたのか、まずお教え願いたいと思います。
○野本市街地建築部長 パブリックコメントに関する質問でございます。
条例の制定に当たりまして、本年の九月に基本的な考え方を公表しまして、都民、障害者団体、あるいは関連事業者団体から意見を聞いてございます。主な意見としましては、共同住宅に関するものが多くございました。例えば、在宅介護の観点からも、高齢社会に対応した共同住宅の整備が急務であるといった意見でございます。これにつきましては、ご存じのように、今回の条例の中で共同住宅を対象とするということで対応ができているかと思います。
また、ハートビルの整備に係る費用の助成を求めるもの、あるいは容積率の緩和などの優遇措置を求めるものがありました。これについても後で詳しく説明しますけれども、優遇措置については一定の対応ができていると、そのように思っています。
それからまた、都内の建築物の大多数を占める既存建築物、あるいは都民の生活に密着した小規模建築物の整備を求める意見、そのほか聴覚障害者、それから人工肛門等を補充したいわゆるオストメート、こういったさまざまな障害のある方々への幅広い対応を求める意見がございました。
○中嶋委員 今もございましたが、大体共通した問題意識があると。したがって、既存建設物へのバリアフリーの整備を今後どう進めていくか。当たり前ですが、既にでき上がってしまった施設を改善するのは最も難しいはずでございますので、これをどう進めていくのか、ここで都のお考えをこの条例制定にあわせて今発表しておくべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○野本市街地建築部長 既存建築物、あるいは小規模建築物、こういったもののバリアフリー化についてでございますけれども、これらにつきましては経済面での制約もございます。それから、建築物の敷地や構造上の制約もございます。こういったこともございまして、なかなか整備するのが困難であるという場合が多くございます。しかし、これらの建築物のバリアフリー化につきましても重要であることは変わらないということを認識しておりまして、昨年度より小規模建築物、既存建築物のバリアフリーを進めるためのガイドライン、こういったものの策定を検討しているところでございます。この中で例えば既存のコンビニエンスストアの入り口に段差がある場合には、工事を伴わなくても簡単なスロープ板を置く、こういったことによりまして段差解消に寄与する、あるいはスロープ板の設置が敷地の状況により困難な場合には入り口にインターホンを設置しまして、必要なときには店員を呼び出して介助してもらう、こういった幅の広い柔軟なバリアフリー化、こういう誘導を目指してございます。
このガイドラインにつきましては、現在モデル地区による検証を行っております。その検証の結果を踏まえて、今年度中に策定する、そういう予定でございます。
○中嶋委員 今年度中には具体的な姿が見えてくると。ぜひ議会、委員会にも報告をお願いしておきたいと思います。
同様に、パブリックコメントでも出されましたが、聴覚障害者、それから視覚障害者の皆さん、さらには、最近、子どもたちの間でもふえているという人工肛門を有していらっしゃる、いわゆるオストメートの皆様方への配慮も条例には明示されておりませんが、この辺の考え方もあわせて明らかにしていただきたいと思います。
○野本市街地建築部長 視覚障害者の対応につきましては、階段及び踊り場などに点字用ブロックを敷設するということを義務づけまして、落下防止に配慮しています。また、道から建物までの経路につきましても、同じように点字用ブロックを敷設しまして視覚障害者の歩行時の安全確保に配慮する、こういったことをしてございます。
それから、聴覚障害者及びオストメートに関する整備基準については、残念ながら今回の条例では規定してございませんけれども、今後、条例の施行に際して策定する条例の運用指針を策定する予定なんですけれども、この条例の運用指針の中で対応したい、こんなふうに考えています。その運用指針の中では、例えば聴覚障害者に対しては文字情報装置を設置しまして誘導するとか、あるいはオストメートにつきましては洗浄装置の設置など、きめ細かく幅の広い誘導を行っていく、こんなことを考えてございます。
○中嶋委員 ぜひその運用指針で、きめの細かい指導を行うとおっしゃっているわけですから実施をしてもらいたいと思いますが、条例に明示的な規定がないと強制力がどうなのかという心配がありますが、その辺は運用でぜひ実現できるようお願いしたいと思います。
もう一つ、冒頭述べました地域全体の面的な整備、これが実はかなり昔から課題なんですね。なかなか進まない。この条例の策定を契機に面的--実は福祉局ではできなかったんです。所管が都市計画局に移ったから、実は点と線の整備から面的整備に広げるチャンスなんです。都市計画局には予算が少ないといいますが、ノウハウはあるわけですから、ぜひ今後は面的整備に向けて具体的な計画をするなり、対応を図ってもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
○野本市街地建築部長 地域バリアフリー化でございます。今回の条例は、敷地を含む建物のバリアフリー化を目指すというものですが、地域全体でのバリアフリー化も当然ながら重要であると認識してございます。電車やバスにつきまして、あるいは公共交通施設、それから道路、公園等、こういったもののバリアフリーの整備につきましては、先ほど理事の方からお話がありました交通バリアフリー法、あるいは福祉のまちづくり条例、こういったものがございます。それと、今回提案してございますハートビル条例、これとの連携を図っていきたい、そんなことを考えています。特に都市計画局ということもございますので、このほか地区計画であるとか、まちづくり協定、こんなものを活用して地域バリアフリー化を推進していきたいと考えています。
○中嶋委員 ぜひご努力を要請したいと思いますが、要するに、これは勝手な僕の思い込みかもしれませんが、福祉局の所管ではなくて都市計画局の所管になった、これは僕は大きな前進だと思っているんです。いわゆる障害者の皆さん方への配慮、単なる福祉的配慮からまちづくりの当たり前の配慮に変わったんだと、こういうことだと思います。すべての施設、あるいはすべての計画の前提、通奏低音というのがよくバッハか何かでありますけれども、すべての都の営為の通奏低音に福祉的配慮というか、当然の配慮として実は組み込まれたんだと、こういうことにほかならないと思いますし、あと都市景観、石原知事がよく東京のまちは汚いなんていいますが、知事としてそんなことをいっていいのかと僕は思うんですけれども、一部当たっている。ただ、都市景観も単にきれいであればいいということではなくて、例えば福祉的な配慮が積み重なって、都市景観というのは文化の堆積みたいなものなわけですから、こういう条例に基づいたまちづくりの堆積が近い将来の東京の都市景観として具体化したならば、これは世界に誇れる特徴になると、そのぐらいの意気込みでぜひご努力をお願いしたいと思います。
さて、八ッ場ダムに関連しても何点かお話をせねばならないと思っております。八ッ場ダムは、昭和二十七年に調査に着手された。その後、一時期中断され、昭和三十九年、東京オリンピック渇水、そのときに予備調査が再開された、私も覚えております。当時はまだ白黒の画面で、給水車が走り回って右往左往したニュースを見た記憶がございます。小学校、中学校になるかならないかのころでしたけれども、その後、現場では八ッ場ダム反対期成同盟が結成された。一方で賛成派の八ッ場ダム対策委員会がまた立ち上がって、まちを二分する争い、対立に発展したという苦難と苦悩の歴史がある。実は私も群馬県生まれなものですから、よく知っているところでございます。
このたび、二千百十億円の総事業費を四千六百億円に改定するという案が提示されたわけでありまして、約二・二倍、これは当惑するのは当たり前でございます。個人的には、この種の問題は極めて悩ましい課題だと実は思います。ダムが造成されて川の流量が減って河川が死滅したなどと一時期盛んにいわれましたし、群馬県や、長野県や、あちこち行っても、そうした河川の跡を見た経験もございます。また、水没する集落をめぐるいろんな問題も長い間ございました。したがって、悩ましさがつきまとう問題であると思います。
しかし、水需要が頭打ちになったといわれるんですが、東京への機能の集中、都市機能の集中、あるいは人口の集中は当分の間継続すると考えざるを得ません。大規模な遷都でもない限り、この傾向には歯どめは多分かからない。さっき出た漏水防止に関しても、つぶさに聞いてみたところ、もはや努力は限界に近い、こういう話でもございました。一方で、降水量は年々低下傾向にあって、渇水の発生頻度もむしろ上昇傾向にあることも事実でございます。
節水型社会への転換は必要なことではございますが、しかし、強権力で強制しない限り、つまり、住民や民間の皆様方の主体的な努力に依存している限り、節水型社会の先行きを定量的に予測する、これには極めて大きな困難がつきまといます。したがって、予見として、前提として、これを議論の材料にするわけにはなかなかいかないという面も否めない事実。日本というのは地形が急峻でございまして、水は豊富なんですが、淡水が国土内に滞留する時間が極めて短い。したがって、水を極めて活用しづらい国土の構造になっていて、その結果、何らかの形で水を貯留させる必要が出てきた。水を利用するために、遊水地であれ、ダムであれ、構造物をつくらねばならなかった。森林こそ最高のダムであるというのは間違いない事実でございますが、それだけに頼るわけにもいかないのが、実は大都市東京の現状であります。
地下水に関しても、昭和五十年代の南関東一帯の激しい地盤沈下、現場を私は回ってまいりました。まだ二十代後半のころでございましたけれども、一年間で五センチも沈下して、つくったばかりの小学校の玄関が全く使い物にならない。埼玉県三郷市や江戸川とか、あちらこちらではそういう事例がたくさんあった。したがって、この地下水に関しても過度の期待はなかなか難しい。したがって問題は、水を貯留させるための施設が過剰かどうかの判断にかかわる問題だろうと思います。また、長野県ではダムは要らないと知事がいったそうでございますが、同じように東京では要らないということもなかなかいい難い、こういう難しい問題だと思います。
したがって、後でもう一度いいますが、何年に一度くらいの取水制限、あるいは給水制限、あるいは断水があっても仕方がないと、こういう判断に立てば、話はまた別な展開もあり得るでしょうが、行政としてはとてもそういう判断に基づいた行動はできないのだろうと、私はそう思います。情緒的な反対論だけでこの問題を議論するわけにはいかない。したがって、悩ましく難しい問題だと。それで、時間を若干いただいて議論をさせていただきたいというふうに思っております。以下具体的に質問いたします。
埼玉県では議会への提案を延期したと、こう報道されました。真意のほどは私にはわかりません。政治的パフォーマンスだ、こういう批判が圧倒的に多いんですが、それにしても東京都はなぜ今議会に提案せねばならなかったのか、まずこの点から説明をしていただきたいと思います。
○南雲都市づくり調整担当部長 なぜ今議会に付議をしたかというお尋ねでございますけれども、水需要の現状と見通しや水源確保の状況には、八ッ場ダム関係都県の間でも大変差がございまして、対応の違いとなってあらわれていたんじゃないかと考えております。しかし、八ッ場ダムの必要性につきましては、関係都県共通して認めているところでございます。都としては、将来の水需要につきまして見直すとともに、改定された事業費につきましても可能な限り検証を加えまして、国に対して徹底したコスト縮減への取り組みを求めたところでございます。その後、国から法に基づく正式な照会がございまして、都として今議会に付議することが適当であると判断したものでございます。
○中嶋委員 次も具体的な問題ですが、そういう経過になった。であったならば、今回の事業費の改定については、実際には国交省からいつ提示があり、その提示に対して都は国にどんな対応をしたのか、あるいは働きかけを行ったのか、改めて説明をお願いしたいと思います。
○南雲都市づくり調整担当部長 国から今回の件で内々に改定額案の提示がされましたのは六月の下旬でございました。額が額であるだけに私どもは非常に驚きまして、国に対しまして関係県とともに強く資料の提示や納得のいく説明を求めたところでございます。その後、九月十一日に国から今回の事業費変更案の内容の詳しい資料が提示されております。
○中嶋委員 非常に驚いたと。そして説明を求めたところ、九月十一日に詳細な資料が届いた、こういうことでしたけれども、では、その資料に基づいて、あるいは口頭での説明に基づいて大幅な改定の内容、こんな大幅なわけですから、当然これは都としても検証すべきであった。どのような検証を行ったのか、それも報告を願います。
○南雲都市づくり調整担当部長 資料の提示を受けまして、関係都県、これは一都五県でございますが、合同調査チームを設置いたしまして内容を検討いたしました。そして、関係都県の担当課長から関東地方整備局に対しまして都県による調査実施の協力を要請いたしまして、また、不明な点、不足な点などにつきまして約百五十項目に及ぶ質問、資料請求を行い、回答を得たところでございます。またさらに、都が主体となりまして、埼玉県、千葉県の協力を得ながら、国の八ッ場ダム工事事務所に対しまして会計実地検査の受検状況、あるいは過去の工事の契約状況、補償などにつきましての記録、工事予定現場と計画との整合性などにつきまして立入調査を行いました。さらに、国と地元の調整を行ってきた群馬県にも職員を派遣いたしまして、当時の経緯や群馬県の果たした役割などを聞き取りまして、現地再建方式が地元の意向であることなどを確認しております。
○中嶋委員 約百五十項目にわたる質問、資料請求を行い、回答を得たと。いずれ、これもつぶさに点検したいので拝見させていただきたいと思っておりますが、確かに国の施設に、あるいは現地まで都が職員を派遣したということは過去にも多分ないことで、それなりの努力をやったということはわかりますが、しかし、さらに踏み込んでこれからも検証していかなくちゃいけないと、僕はそう思います。
さらに関連して聞きますが、これも改めての確認ですが、事業費が当初の基本計画から十七年間も改められずにこれまで放置されてきた、そういうことなんですが、なぜ十七年間も放置されてきたのか、これが一点。
それから、検証したんでしょうから、検証した結果、事業費が二倍以上になった理由、本会議でも一部説明がありましたが、改めてここで説明を願いたいと思います。
○南雲都市づくり調整担当部長 まず、なぜ基本計画当時のまま十七年間も改定されなかったかということでございますが、平成十三年六月の国と長野原町とで補償基準の交渉が妥結したわけですけれども、それまでの間、補償費や生活再建対策が確定しなかったということでございまして、事業費の算定ができなかったことが主な理由でございます。また、これらが確定していない段階で事業計画を変更するということは、地元との信頼関係を損なうおそれがあったために、基本計画における事業費の変更はこれまで行ってこなかったものでございます。
さらに、じゃ、なぜ二倍になったのかという理由でございますが、現行の事業費は昭和六十一年度に計画されたものでございまして、当時、国や群馬県ですら、地元に入って建設事業に係る調査などを実施することが困難であった。そのため、これは悪くいえば机上での想定による基本計画であったといえると思います。今回の変更は、平成十三年六月に補償基準が妥結いたしまして、補償費や生活再建対策の経費が算定可能となったこと、また、昭和六十一年から現在までの物価上昇や消費税導入などによる増、それから詳細な現地調査が可能になったことによりまして、工法や環境対策などの確定、そういうものが行われた結果であると理解しております。
○中嶋委員 確定した工法、環境対策などについても、これはまた改めて質問しなくちゃいけませんが、その前に、さっきいいました、反対期成同盟と賛成派の団体との間で、オーバーにいうとすさまじい相克があった経緯があるわけですね。一番大事なのは、一つは多分、地元の合意までのさまざまな経緯だっただろうと僕は想像いたします。
そこで、平成十三年六月の補償基準が妥結した。今の説明だと、現地再建方式ということが採用されて初めて話が動き始めた、こういうことだと思います。じゃ、現地再建方式、水没者の皆さん、地域の皆さんにとって最も大事な現地再建方式の中身、内容、これをまた説明を願いたいと思います。
○南雲都市づくり調整担当部長 一般に、ダム事業の場合には、水没する区域内の方々、あるいは関連施設整備の用地等に係る方々には移転のための補償などを行いまして、その区域から移転していただくことになるわけでございます。ただ、この八ッ場ダムの場合には、昔から培われてまいりました地域のコミュニティですとか、文化、伝統を失わせたくないという地元の住民の方々の切なる思いにこたえるべく、水没地区をその地区の山側に移転させる方式を採用いたしました。これを現地再建方式といっているわけでございます。
○中嶋委員 実は、ことしの夏、現場に単独で行ってきたんです。これからもまた行ってきますが、よく現場でもう一度確認をしたいと思います。現地再建方式がとられたということと、これが多分、今回の事業費の改定に至る、つまり、ストップしていた事業がまた回り出した、その大きなきっかけはこの現地再建方式で動き出したんだろうと思うんですね。この現地再建方式について、東京都はどのようにかかわったのか。多分かかわりがあると思うんだけれども、どのようなかかわり方をしてきたのか。
○南雲都市づくり調整担当部長 古く昭和五十五年までさかのぼるわけでございますが、当時、反対の姿勢をとる地元の理解を得るためには、水没関係者等の将来にわたる生活再建や地元の地域振興策に対しまして、事業者及び下流都県の協力という形の補償が不可欠だったわけでございます。このため、都を初め関係県は生活再建案の実施について協力する、そういうことの表明をいたしまして、群馬県はそれを受けて生活再建案を地元に提示をしたわけでございます。
○中嶋委員 別に強調する必要もございませんが、群馬県生まれで、この辺の事情を実は小さいころから見て知っているんですが、結局、さまざまに大もめにもめて、全国規模のニュースまでに流れた紛争を経過して今日まで来た計画なわけです。やっと地元の皆さんが納得してくれたのが、この現地再建方式。これは実は多分そうだろうと予想はしていたんですが、下流の都県、東京都の側からむしろ提案して、それを地元が受けたという形になるわけですね。これについての協力というのは、これはまさに東京都の行政責任としてどう今後かかわっていくのか、これが大きなテーマになると私は思います。
ところで、きのうの本会議の議論で、地元に反対運動がまだあると理解できるような発言がございましたけれども、地元の事情はどうなのか、これもあわせて答弁をお願いしたいと思います。
○南雲都市づくり調整担当部長 国と実際に水没いたします地域を持ちます長野原町は、平成四年になりまして、八ッ場ダム建設事業に係る基本協定というものを締結しております。この協定によりまして、基本的には長野原町は八ッ場ダムの建設を受け入れたということになると思います。現在、町、議会、住民ともに一日も早く生活再建したいと願っていると聞いております。
○中嶋委員 だから、悩ましさの大きな根拠の一つが、先ほど、水需要の先行き、あるいは森林の持つ意味、それから水に関する都市とのかかわり方、さまざまな問題があるけれども、大きな要素の一つは、まさに水没地の地元の皆様方のこれまでの長い間の経緯と思い、それをやっぱり無視はできません。ぜひこの地元の合意というものに関して東京都は今後どうかかわっていくか、これはもちろん我々議会の責任もありますけれども、行政としても対応をぜひ考えてもらいたい。つまり、それはそれとしても、町、地元は、この生活再建方式、また、それの根拠になった現在の補償基準で合意が成立して、既に現地では動きが出始めている、こういう理解でいいんですか。--わかりました。
次は、肝心の事業費の中身、これについても幾つか点検をさせていただかなくてはなりません。四千六百億円と新聞でもさんざん報道されましたが、そのうち、国の補助金等も入ってくるでありましょうから、現実の都の負担額は幾らで、これを受け入れた場合、今後どのようにその負担額を支払っていくのか、これも明らかにしてもらいたいと思います。
○南雲都市づくり調整担当部長 八ッ場ダムの変更後、事業費約四千六百億円に対しまして、都の負担は国庫補助金を除きまして約六百三十六億円となりまして、現行計画との差は約三百四十五億円の増額となります。平成十四年度までの支出は既に約二百十五億円ございまして、今後、治水、利水負担合わせまして残り四百二十一億円を毎年の事業の進捗に応じて支払っていくものでございます。
○中嶋委員 平成二十二年が完成の予定というけれども、恐らくそれには間に合わないんでしょうね。まあ、これはいいですが、それまでの間、毎年分割の支払いになる、そうなるわけですね。この判断はいずれ下さねばなりませんが、もう一つ、事業の妥当性、あるいは費用改定の妥当性を判断するためには、同規模の他のダムとの比較もする必要がございます。情報によりますと、神奈川県の宮ケ瀬ダム、これがほぼ同規模であると聞いておりますが、じゃ、この宮ケ瀬ダムの事業費と今回の事業費の比較はどうなっていますか。
○南雲都市づくり調整担当部長 中嶋理事ご指摘のとおり、ダムはおのおのの条件、環境条件等が違いますために単純な比較はできないわけでございますが、宮ケ瀬ダムは平成十二年度に完成したダムでございまして、水没戸数が約三百戸でございまして、事業費は約四千億円となっております。
○中嶋委員 四千億円、わかりました。
それから、事業費に関連しまして、戸倉ダムから撤退する、これは実は私は歓迎しております。片品村の山奥で、現地にも実は行ったことがございます。撤退するとして、経費は幾ら浮きますか。
○南雲都市づくり調整担当部長 戸倉ダムから撤退した場合には、今後発生いたします経費は、国庫補助分を除きまして約百十億円減ると試算しているところでございます。
○中嶋委員 関連して、これは地元の群馬県との合意はできているんですか。なぜこんなことを聞くかというと、実は東京、いわゆる首都圏は--相当の犠牲を払って都市の発展を享受してきたわけですから、水源地の合意を抜きにして一方的な撤退宣言というのは礼を失すると私は思いますので、これは群馬県の合意はできていますか。
○南雲都市づくり調整担当部長 事務的には既に群馬県の方にはそういうことを申し入れまして、ご理解を得ているところでございますが、今後、群馬県、それから地元の片品村等と調整に入るわけでございますが、誠心誠意、私どもは対応していきたいと考えております。
○中嶋委員 新潟県の柏崎原発に行ったことがあるんですね。町民の方、住民の方からすさまじく、東京都議会議員ということで二、三時間にわたって批判を受けたことがございます。原発だけではなくて、あそこの川を使ったJRの発電があって、山手線の電力というのは、全部、実は新潟県内で発電されている電力を使っているというんですね。それから、東京二十三区の発電もほとんどが新潟の原発で賄われている。あなた方都議会議員は、朝起きて、夜、電気のスイッチを入れるときに新潟県のことを自覚してスイッチを押していますかなんていわれたことがありまして、返答に窮したことがございましたが、水源地に関しても同じような問題がございますので、戸倉ダムから撤退することは歓迎いたしますが、その分、群馬県、地元での合意に関しては十分配慮を局としても都としても払うべきだと、これは申し上げておきたいと思います。
どちらにしても、国から提案があった以上、これまでもコストの縮減については申し入れを行ったと繰り返し答弁で聞いておりますが、まだまだ足りないと実は思うんです。本会議で質問したのもその趣旨からでありまして、一歩踏み込んで、契約方法の見直しも可能だ、それから技術革新で総事業費をさらに見直すことも可能だと、この趣旨の答弁をいただいているんです。具体的にはどういうことなのか、そのこともさらに詳細に説明をいただきたいと思います。
○南雲都市づくり調整担当部長 ちょっと重複いたしますが、国土交通省には私ども都市計画局、それから建設局、水道局の三局長名で、都から各年度の予算についての事前協議、あるいは決算についての報告の徹底、今後の事業実施に当たりましての契約制度の見直しを含めた事業費削減に努めることなどにつきまして既に要望しているところでございます。ご案内のとおり、ダム建設というのは大変長い年月を要する事業でございまして、今後の技術革新を積極的に受け入れ、発生材の活用や大型機械の導入などの工法や機械の見直し、あるいはVE、バリューエンジニアや、PM、プロジェクトマネジメントといった手法を取り入れた契約を導入することなどによりまして事業費が縮減される余地があるわけでございます。ダムが完成するまで引き続き徹底したコスト管理につきまして国に求めていきたいと考えております。
○中嶋委員 承認を求められている立場ですから、いってみれば、国に対しては強い立場、強いポジションを維持しているわけですから、再度押し返して交渉、検証する必要はあると思います。
さらに関連して、やはり代表質問でも周辺環境への配慮はどうなっているかという質問をいたしました。抽象的な答えしか本会議では返ってきませんが、どのような周辺環境への配慮を東京都から国に申し入れを行っているのか、あるいは今後やろうとしているのか、この二点。
○南雲都市づくり調整担当部長 今、周辺の環境への影響についてお尋ねがございました。当初、八ッ場ダムが計画をされたときに一番問題になりましたのが、近隣に名勝吾妻渓谷があるということでございまして、それを残すために、四十年当時になるんですが、文化庁の要請によりまして、ダムの堤体、これはコンクリートの立つ部分でございますが、それを六百メートル上流に移した計画に変更されております。そのことによりまして、鹿飛橋という名勝があるんですが、そこなどの渓谷の大部分というか、核心部分につきましては残ることになるわけでございます。
また、今回、群馬県が上水の水量を減少させる、今回の基本計画の改定案に入っているんですが、そのことによりまして吾妻川における流水の正常な機能の維持と増進を図るための流量を確保いたしました。その結果、相当量の水量が確保される見通しとなったところでございます。
○中嶋委員 群馬県に「上毛かるた」というのがありまして、「耶馬渓しのぐ吾妻峡」と、みんな覚えたんです。夏行ってきました。すばらしい渓谷で、だから、悩ましいといったのはそのことも悩ましいので、どんな百万言を費やしても、ダムが自然破壊じゃないかといったら、やっぱり一定程度の自然破壊につながるわけですね。そういう周辺への配慮もこれから都は国にしっかりと注文をつける立場にあるべきだと思います。
冒頭、ごちゃごちゃいいましたけれども、日本はこれから少子高齢化社会に入っていく。年金に限らず、さまざまな社会経済的な課題が山積している、こういわれるわけです。総論として、日本経済は一%から二%の持続的な成長は社会を維持していくための必要条件、こうなっているわけで、その牽引役の一人は紛れもなくこの東京ですね。繰り返しになりますが、この日本の再生には都市の再生が不可欠であって、やはり東京がその中心的役割を担わざるを得ない、主観的にも客観的にもね。そうなると、繰り返しになりますが、機能の集中、人口の集中、これはやはり続くと判断するしかないんです。明示的に定量的に予測することが困難でも、趨勢として、これはその前提で物事を考えていく必要がある。
そうなると、じゃ、一体何でこの種の問題を判断したらいいかというと、結局は利水安全度をどのように考えるか、ここに帰着するんだろうと思います。渇水時に取水制限、給水制限、これは受け入れます、さらに、渇水時にどの程度の取水制限、給水制限までは甘受します、あるいは断水まで我々は甘受をする、こういう腹を固めるか。あるいは、二、三年に一度程度の渇水ならば我々は受け入れる、こういう判断を下すのか。さらに、五年に一度の渇水程度ならば我々は受け入れる、こういう判断を下すのか。さらに、十年に一度の渇水なら我々東京都民は甘受する、こう腹をくくるのか。このことによって想定すべき利水安全度というのは僕は決まってくると思います。都民全員が、三年程度の渇水で、取水制限、給水制限、あるいは断水も甘受する、こういう合意が成立すれば、それに応じた利水安全度を設定すればいい。その利水安全度に従ってダムの過剰は判断できます。
ただ、行政としたら、渇水の発生を前提に利水安全度を考えることは僕はできないと思います。そこで、利根川水系では五年に一度の渇水に対応できる、それだけの利水安全度を想定するとしておりますが、東京都としてどのような利水安全度に基づいて今後の都政、あるいは水にかかわる政策を展開していくのか、その見解を改めてここではっきりと示していただきたい、こう思いますが、いかがでしょうか。
○勝田都市計画局長 いろいろお話しいただきましたが、水の供給は、人々の生活や都市の活動にとってひとときも欠かすことのできない大切なものでございまして、また、長期的な視点に立ちまして安定的な水供給のための取り組みを着実に進めていくことは重い課題でございますけれども、これをしっかり東京都として責任を持って進めたいというふうに考えております。
都は、東京砂漠といわれました東京オリンピック当時の渇水の経験を経まして、今、議論の中にもございましたが、群馬県を初めとする他県の協力のもと、水源の確保に邁進をしてまいりまして、東京における安定的な水の供給に努力をしてまいりました。しかしながら、都の水源の中には、取水の安定性に問題があるなどの課題を抱える水源が多く含まれております。また、近年の少雨傾向等によりまして、実は表に出るもの、出ないものを含めまして、しばしば渇水が発生しております。東京の水源の渇水への備えは不十分であるといわざるを得ない状況にございます。
今後、首都東京の給水の安定性を向上させていくためには、八ッ場ダム等の新規水源の確保をするとともに、課題のある水源や地下水等既存の水源を大切に有効に活用していくこと、都民の協力を得まして節水施策を推進していくことなど、さまざまな取り組みを総合的に講じることが重要であると考えております。こうした多面的かつ厳格な取り組みによりまして、利根川水系で十年に一回程度の割合で発生します規模の渇水時でも、何とか給水制限のない安定的な水供給を行うことを目指していきたいというふうに考えております。
○中嶋委員 大変に悩ましい問題だという基本的な認識を持った上で、それから、水源地の皆様方への思いも忘れずに、ぜひ水の政策に関しては対処していただきたいと思います。夏になると、群馬県の上流のダムの貯水量が出ます。あれは夏が過ぎるとみんな忘れちゃうんですけれども、あそこに注目をせねばならない実態が一方ではあるわけでございます。むやみやたらにコンクリートの塊でダムをつくればいいという話では決してございませんが、しかし、行政責任として利水安全度、砕いていえば都民への水供給を東京都はこう考えている、そのためにはこれとこれとこれは必要なんだ、こういう説明責任を果たしながらこの問題にも対処していただきたい、真摯に対処していただきたいことを最後に要請しまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○清水委員 私からも、第二百四十四号議案、八ッ場ダムの建設に関する基本計画の変更に関する意見について質疑させていただきます。
代表質問におきましても、我が党は、今回の事業費負担議案に関しましては、水需要計画が過大に設定されていること、ダム建設そのものが過大投資となっていること、名跡といわれる吾妻川の渓谷が破壊されることなど問題が山積みとなっていることから、八ッ場ダム、戸倉ダムの建設中止と負担見送りを国に申し入れるべきだと主張をしてきたところです。そういう立場から、もう既にかなりの多くの議員がいろんな問題を指摘しておりますが、重複を避けながら何点か質問をさせていただきます。
先ほどもちょっと説明がありましたけれども、国が提示した改定事業費について東京都が受け入れを決定した経緯についてお伺いいたします。
○南雲都市づくり調整担当部長 ちょっと重複になりますけれども、国が提示した事業費につきまして都が受け入れたまでの経緯を順を追って申し上げたいと思います。まず、先ほど申し上げましたが、六月の下旬に国から初めて口頭による額の提示というものがあったわけでございます。それで、私どもは先ほど驚いてというふうに申し上げましたけれども、六月から九月までは他県とともに国に対しまして検討案の資料の開示と説明を求めた、それで内々にも調整をしたという、そういう段階でございます。
それを過ぎまして、九月十一日に国から検討案としての資料を入手いたしました。その後、九月十八日に国に対しまして一都三県で要請書を提出いたしました。その後、九月二十六日に至りまして、国に対して一都五県で文書により質問いたしまして、さらに十月十七日には再度文書により質問いたしました。それで、十月二十一日以降、一都二県で工事事務所に、あるいは群馬県庁に調査に出向きました。それから、十一月五日になりましてから、今度は国に対し、先ほど申し上げた都市計画局長ら三局長名で要望書を送付いたしました。その後、十一月十一日に国から特定多目的ダム法に基づく正式な照会を受けた、そういう順でございます。
○清水委員 その経過についてちょっとお伺いいたしますが、通常、国がこうした問題について各県を呼んだり、都を呼んだりして報告をする場合に、何の資料も提示しないんですか。今回、六月下旬に提示をされたということですけれども、今お話がありましたけれども、口頭でということなんですよね。通常、どんな問題があるかわかりませんけれども、何の資料もなしというようなときはあるんですか。
○南雲都市づくり調整担当部長 通常は文書があるのが普通だと思うんですが、このときは、担当者を集めまして、そこで口頭で説明があったということでございます。
○清水委員 四千数百億の額についても、そのときに提示されたわけですよね。そのときにそこに参加した方は、それについて何の資料もなくそうした額が提示されたことについてどのように国にいわれたんですか。
○南雲都市づくり調整担当部長 先ほども答弁申し上げましたけれども、非常に驚いて、それで、その後、他県とともに国に対してとにかく詳細な資料をよこせということで申し入れもしましたし、また、説明も求めたわけでございます。
○清水委員 そうすると、振り返ってみると、国はなぜ何にもなく、そのふえる額だけ都に提示をしたと現時点で思いますか。
○南雲都市づくり調整担当部長 私どもは国の真意はわかりませんけれども、単なる打診だったのかなという感じはいたします。
○清水委員 打診というには余りにも大変なことを各県や都民に対して国が提示してきたと思うんです。それで、四回ですが、要請書、質問書、質問、そして要望書を提出したり送付をされていますけれども、それぞれどういう内容だったのでしょうか。
○南雲都市づくり調整担当部長 今、四回とおっしゃいましたが、正式な形で要望書なり要請書を出したのは二回でございまして、まず、九月十八日付で一都三県の担当課長名で、国の方の関東地方整備局広域水管理官並びに河川計画課長あてに事業費増額の検討案のさらなる圧縮、負担軽減のための施策の充実などにつきまして再度検討すること、また、都県担当職員による調査について協力を要請しております。
もう一つは、十一月五日に至りまして、先ほど申し上げた都の三局長名で関東地方整備局長あてに各年度の予算についての事前協議、決算についての報告の徹底と今後の事業実施に当たっての入札契約制度の見直しを含め、事業費削減に努めることを要望しております。
○清水委員 それで、十一月十一日にその資料とともに照会がなされたということですね。
○南雲都市づくり調整担当部長 そのとおりでございます。
○清水委員 六月下旬から十一月まで五カ月にわたって、こちらから要請しなければ資料が出てこないという、そういういいかげんな対応で、各県がその間要望書を出したり調査に行ったり、それはもちろん当然のことなんですけれども、国として余りにも、こうした大事な問題を提案するのに、きちんとした資料に基づいて提出するということが普通だと思うんです。当然だと思うんですよね。
そうすると、十一月十一日に正式な照会があって、それから都の検討はどうされたんでしょうか。
○南雲都市づくり調整担当部長 今、それからと申されましたけれども、それからではなくて、六月の下旬からもう都としての検討は既に始めました。
○清水委員 検討というのは、何の資料もなくてされているわけだから、現地に行って一体どういう検証をしたかわかりませんけれども、ここが幾らとか、ここが幾らとか、そういうこともやったと思うんです。十一月十一日にそういう資料が出てきたんだから、そこでもう一回検証するのが普通じゃないんですか。
○南雲都市づくり調整担当部長 もちろん、九月十一日に資料を入手してからさらに詳しい検討をしたわけでございます。
○清水委員 各委員からそれぞれ出されてきていますけれども、東京都と栃木県が今議会に出しているようですけれども、栃木県は利水はないということで、治水だけということで、東京都が出しているということでは、やはり水道局なり、建設局なり、当然合同調査、合同審議をするようないとま、期間が議会としては必要だったし、東京都としては、さっきもだれかから出てきていますけれども、もっと事業費が削減できるんじゃないかというようなことがいわれましたけれども、そういう検証だってもっとなされてから提案するべきだと思うわけですが、そこでお伺いいたします。
埼玉県では、今議会、議案として出されていないんですけれども、埼玉県ではこの報告が、基本計画の変更についての文書が、これはそれぞれ記者発表でしょうか、出されているんですけれども、十一月十四日の文書なんですね。この中には基本計画には事業費の変更が含まれており、現在、関係一都五県で合同調査チームを結成し、事業費の妥当性について検証中であるということで、十一月十四日に検証中だということで文書が出ているわけなんですね。一都五県で検証しているということで、次に出すのかどうかわかりませんけれども、この十一月十四日の文書を見ると、引き続き各県が検証しているということではないんですか。
○南雲都市づくり調整担当部長 その埼玉県の十一月十四日の文書というのはよくわかりませんけれども、私の方としては、他県とともに検証し、それで事務的にはおおむね妥当である、そういう結論に至っていると理解しております。
○清水委員 先ほども他県の様子を触れられましたけれども、今の埼玉県を含め、群馬県では知事が記者会見で十一月二十五日にこの問題に触れています。総事業費が四千六百億円、現行の二・一八倍になったことについて、私は非常に驚きを覚えると同時に、公共事業に対する不信感を持ちました。どうしてこういうふうにお金がかかるのかということをもう少し詳細に説明を求めなければいけないし、また、示された数字について再検討していただくべく、つまり、もう少し縮減しなければ納得が得られないのではないかということで、そういった方向で国土交通省と話し合っていきたいと思っていますとコメントしているわけです。
埼玉県では、今いわれましたように、事業費の妥当性について検証中である、今後も事業費の妥当性の検証を続け、その結果を二月の議会に諮るというふうになっているわけですけれども、事業費の妥当性について検証していると。
茨城県では、議会には出されて報告されていないようですけれども、新聞が報道しております。厳しい財政状況の中で本県も負担増を困惑する声が出ている、二十五日開会の県議会には間に合わない、内容を検討の上、来年二月開会予定の県議会に提案したいと。
千葉県でも、今議会での提案はないようです。十二月十日に県議会の五会派が十分な審議を求め、また、水需要の見直しを求めて要望書を提出したわけです。その中で知事は、千葉は一番下流の県であり、先頭を切って反対を切り出すことは難しいとしながらも、群馬県知事も話をしたが、どうしても推進ということではなかったと答えたということで、先ほど部長が答えられましたように、それぞれ各県の事情はあるかと思いますし、ダム建設に絶対反対ではないといいながらも、各県に共通しているのは事業費の妥当性ということなんですよね。
じゃ、どうして各県は事業費の妥当性というかというと、それは県の財政に影響するし、それから、県民に負担増をしなければならないということがあるからですよね。そういうことについて、やはり各県ももっと県民に理解をもらわなきゃいけないな、議会にも理解をもらわなきゃいけないなということで、そういう期間を置いたんだというふうに思うわけです。
ところが、東京都は、先ほど六月には大変不十分な資料を最初にもらいながら、その後、要望して出てきたからいいんだというようなことで、現地に行ってきたからいいんだというようなことでありますけれども、しかし、それぞれがその事業費の妥当性というのはこれだけではわからないということの中で出しているわけなんですね。どうして東京都は今議会ではなくて、もうちょっと--だって、これは都民に水道料金で返ってくるかもしれないじゃないですか。そういうことを考えれば、都民にも、それから議会の審議だって、合同審議とか、それから、一緒に調査に行きましょうといって、その時間がないねということでだめになったわけですけれども、そういうこともできない。そういうような中で、東京都が今議会で決定しなければならない理由は何ですか。
○南雲都市づくり調整担当部長 東京都にとりましては、治水と水の安定供給のために八ッ場ダムというのは不可欠なダムでございまして、先ほど来答弁しているところでございます。今回の改定事業費案につきましては、都としてできる限りのことは検証は行ったわけでございまして、これについては千葉県も埼玉県も一緒に行動しておりますので、恐らく事務的には同じような印象を持っておるんだと思うわけでございます。
それで、それぞれ県内の事情がございますので、その後どういうふうに行動を起こすかということはその県に聞かないとわからないわけでございますが、冒頭、清水先生がおっしゃったような群馬県の、例えば小寺知事が第一報を見て、マスコミに対して、非常に驚いて憤慨しているようなご発言がございましたけれども、その数日後のマスコミには、小寺知事が地主側と、八ッ場については必要だ、しようがないというふうな発言をされている報道も私は読みました。したがって、どれが真意かわかりませんけれども、それぞれ県内事情で動いているのではないかと推測しているところでございます。
○清水委員 しかし、実際には群馬県だって今回の議会に提案されていないじゃないですか。だから、そういう期間だってあるわけですよ。議会も県民もそれを知る期間というのはあるわけですから、少なくとも議会は、私たちが今回、短い時間だけれどもこういう審議ができているけれども、本当に都民にとっては知らない、全くわからない事情の中でやっていることだと思うんです。
それで、次の質問に行きますけれども、倍の負担増になる、東京都の負担も総事業費の倍以上になることによって東京都の負担増も成ったわけですけれども、これが都民の暮らし、つまり水道料金に影響するのではないかという声も多く出ているわけですけれども、その点については水道局に聞くわけじゃないですから、これも水道局がいれば、どういうふうな考えかということになるわけですけれども、水道料金などに影響するのではないかというような都民の疑問についてはどういうふうに検討されてきたのでしょうか。
○南雲都市づくり調整担当部長 昨日、水道料金への影響について、伊沢けい子議員の質問に水道局長が答えまして、八ッ場ダムの建設に伴う水道料金への影響は極めて少ないものと考えているというふうにご答弁されたわけでございます。
○清水委員 この答弁は、一立方メートル当たり二百十七円であると。このうちダムなどの水源関係費は二十五円となっていて、これまでに完成したダムなどは減っていくから、八ッ場ダムの事業費を盛り込んだとしてもほぼ横ばいで推移するんだと。それで、八ッ場ダムの建設に伴う水道料金への影響は少ないものということで、水道料金の問題、水道料金の値上げにはならないというふうにいっているわけではなくて、給水原価の構成の中でダムなど施設整備に、建設費に占める費用というのは横ばいだよということをいっているだけのもので、水道局にだって、これでもって水道料金を値上げしませんよと聞かれているわけじゃないから、そういうふうに答えていませんよといっているわけで、これでもって水道料金は平気ですよという理由はならないわけですよ。
実際に三百四十億円の増額ということになるわけです。これは水道局じゃないから伺えないわけですけれども、現在の水道事業の会計の状況は、先日決算がありましたけれども、十四年度の純利益、水道料金をもらって、その営業費用というのは約三百二十二億円なんです。起債の償還、借金の償還が、毎年の起債償還額というのは、十二年度は六百六十一億円、十三年度は七百七十四億円、十四年度は八百二十一億円。それでも、水道事業会計の起債残高は、十二年度は七千七百億円、十三年度は七千四百億円、十四年度には七千二百三十二億円というふうになっているわけです。そういう数字の問題についてはここではされないで、こういう決定がされていくわけだけれども、しかし、それでよいのかというわけです。こういう財政状況の中で八ッ場ダムの起債が膨らんでいけば、現在いろんな施策があるわけですけれども、いろんな中で都が行っている姿勢を見ると、利用者負担になるということは予想がされていることです。だから、他の県が財政負担と県民へのしわ寄せをさせられるかな、理解を得られるのかなと、そういう結論を十二月の議会でなくて先に延ばさざるを得ないときに、東京都がこういうふうにさっと出してきたのかなという予想も立つわけです。
そういう中で私は、これまでいってきたように、安定供給とか、安定水源とかいわれながら、そういうことを理由に、水需要は過大なんだ、ダムの建設費は過大なんだということに対して、そこにメスを入れなければ、毎年三千億から四千億が不足になる、財源不足になるから、都民の皆さんにはいろいろ我慢してもらいますよ、いろいろな福祉や医療を削っても仕方がないですというようなことを説明されているわけで、こういう三百億円もの増額ということをそのまますっと受け入れることは、都民にとっては納得がいかないという問題になってきているわけです。
そこで、水の需要計画について伺います。先ほどもありましたから重複を避けますけれども、我が党は毎年、水需要計画が最大配水量との間に百万トン以上の乖離があるではないかということでいってきたわけです。八ッ場ダムの必要性はないということで、渇水とかいろいろ出た問題に対しては、いろいろな議員がもういわれましたから触れませんけれども、今回の水需要計画を、正式な資料としてはまだ六百三十万トンになっているわけですけれども、下げるというけれども、それでも過大な水需要計画となっているのではないかと思いますが、どうですか。
○南雲都市づくり調整担当部長 この件に関しましては、冒頭の自民党の吉原委員へのご答弁の中でも申し上げましたけれども、都の将来の水源が六百八十万立米になるわけですが、それを今回、将来水需要として六百万立米に下方修正するわけです。その差がどうなのかというご質問についてお答えしたところでございますけれども、利根川水系におきましては五年に一回の割合で発生する規模の渇水を目標として、他水域に比べて非常に計画上の利水安全度が低い状況にあるわけでございまして、そこで、国土交通省の試算によりますと、近年、少雨傾向が続いている関係で、実際の水源の供給能力が当初に比べておおむね二割程度減じているわけですね。このことを勘案すると、将来安定的に供給可能な水量というのは、課題を抱える水源を含めても将来水需要を下回りまして、渇水に対する十分な安全性を確保している状況であるとはいえないと考えております。
このため、都として渇水に強い都市づくりを目指しまして、八ッ場ダム等の安定した水源の確保に努めますとともに、さらに既存の課題を抱える水源や多摩地区の地下水、あるいは節水対策、そういうものを総合的に講じることで何とか渇水時にも安定的に給水できるようにしていく、そういうことを考えているわけでございます。
○清水委員 最初に、少雨の理由として地球温暖化などを触れた議員がいるんですけれども、また、今も少雨傾向が続いているんだということでいわれましたけれども、その問題をいえば、地球温暖化が不安定な気候、少雨傾向を生み出しているというならば、そういうのであれば、今、石原都政が進めている都市再生で、CO2などの量を大きくふやす、そして地球温暖化をさらにひどくするような大型開発、都市再生こそ見直すべきではないかということを最初にいっていきたいと思うんです。地球温暖化だ、少雨だといって、それはだれが原因なんだということになって、だって、それは自然に出てきたことではないじゃないですか。そういう都市づくり自身、都市計画局がやっているわけですから、そういうことを見直さないで少雨傾向だ、ダムをつくるんだということに納得できない方もいるわけですよ。
そういうことを考えなければいけないと思いますし、人口で見れば二〇二五年、先ほど二〇二五年のことをいわれましたが、東京構想では二〇二五年は人口は千百八十二万人ですよね。この千百八十二万人という数字がどういう数字か。ピークは、二〇一〇年、千二百二十六万人なわけです。二〇二五年の千百八十二万人というのは、大体一九九五、六年の人口になるわけです。それで、ちなみに去年、二〇〇二年は一体人口は幾らだったかということは今答えられますか。--いいです。二〇〇二年は、少なくとも九五年よりも多い。つまり、千二百十万人ぐらいです。千二百六万人が二〇〇〇年ですから、それよりも少し上がっているわけですけれども、二〇〇二年が千二百十万人として、二〇〇二年の一日最大配水量というのは五百十九万トン、一日平均配水量は四百五十八万トンだということでは、二〇二五年はその二〇〇二年よりも低いわけですよ。少ないわけです。
それで、もう一つは、水道局が今後の水道料金制度のあり方についてというのを七月に出されました。これは、需要の構造は変化するから、水道料金を引き上げていこうかなというような方向に持っていくものになっているわけですけれども、この中では大口需要が減退する一方、小口使用者は増加傾向にある、今後もこうした傾向は継続していくものと予想されるということで、これはそちらもそういうふうに思われていると思うんですね。大口需要者が減って、工場とか、ホテルとか、空港などが減って、単身者がふえたり、核家族化が起こったりして一軒一軒に引く戸数がふえるというようなことは同じ認識だと思うんです。しかし、このあり方研究会の報告書の中では、小口の使用者というのは、平成十二年までに、昭和五十五年から比較しているわけですけれども、約二百万人ふえているわけです。小口の使用者が二百万人ふえているわけです。しかし、平均使用水量というのは二十・二立方メートルから十六・七に減っているわけですよ。それで、大口使用者というのも、平均使用水量というのも減っているわけですよ。
やはり企業もいろいろな大変な経済状況の中で、水そのものの使用を減らしているという水道局からの話もありましたし、小口の使用者、つまり、幾ら単身者がふえても、それから、多少の人口がふえるかもしれないけれども、それは何十万トンもふえるような量ではない。それで、今、家電などでは、とにかく節水型の家電が売れるというようなことで、先日も「プロジェクトX」で、食器洗い機か何かの開発をして、水を少なく使う、水道で洗うよりももっと少ない家電を開発した、「プロジェクトX」をたまたま見まして、ああやって努力しているんだなと。しかし、それは農家、日本じゅうどこでも、それは都会だけでなくて、水を節水しようというものが国民の共通の問題としてなってきている中では、家電業者も、もちろん洗濯機だとかそうしたものについても、やはり節水型のものを出してくるということはいえるわけです。
だから、これからは渇水というものは起こってはいけないと思いますし、それは十分な対策をとらなければいけないわけですけれども、そういうリスクを考えたとしてでも、この東京都が今考えている数字は過大な水需給計画だというふうに私は考えるわけです。それについては、答えも同じでしょうから、考え方は違うでしょうから、だから、やっぱりどういう方向を出すのかということも、しかし、もっと大勢で、もっといろいろな場で検討しなければいけないということを思うわけです。私たちは、六百万トンという数字であっても、それは過大な計画だというふうに思うわけです。
それで、次の問題を伺いますけれども、自然の問題では、残っている問題で環境影響評価について伺いたいと思うんです。先ほど、環境対策という点では他の議員に答弁をされていましたけれども、環境影響評価という問題について、昨日、本会議の場でも多少触れられていましたけれども、それはどのようになってきたのか、お伺いいたします。
○南雲都市づくり調整担当部長 八ッ場ダムにかかわる環境影響評価でございますけれども、これは昭和五十三年の七月でございますが、建設事務次官通知というものがございまして、建設省所管事業に係る環境影響評価に関する当面の措置方針についてというものがございます。これを根拠に実施をいたしております。昭和六十年の十一月には、関東地方建設局長から群馬県の知事あてに環境影響評価の報告書を送付いたしまして、同年十二月十二日に群馬県知事から関東地建の局長あてに回答しているものがございます。
○清水委員 通知とか報告書というような、法律がまだ制定されていない時代の方法だったと思うわけですね。そして、回答もそういう形で来ていると思うんです。今では、あれだけの開発であれば、アセスの法律にのっとって行われるわけですけれども、その当時、そういう時代であったものが今日まで来ているということで、このまま国の法律のアセスというものにはかからないで進行していくんでしょうか。
○南雲都市づくり調整担当部長 アセスの関係でございますが、ただいま、昭和六十年の事務次官通知に基づくアセスのお話を申し上げたわけですけれども、現在の国土交通省は、環境アセスメントについては当時法制化されていないわけですから、その通知に基づく環境アセスで一応アセスは完了していると、そういう認識でございます。ただ、その後も国土交通省では、自然との共生を目指しまして、環境対策の充実に向けた各種調査を継続的に実施してきておりまして、その調査の結果を受けて、現在、具体的な保全対策について専門家の意見を聞きながら取り組みを始めているところでございます。
○清水委員 絶滅のおそれのある植物とか猛禽類なども、これだけ豊かな自然の地域ですから当然のことながら生息しているわけですけれども、そこで、一つだけ、イヌワシやクマタカなどについて、東京ではオオタカという問題があちこちで問題になっているわけですけれども、イヌワシやクマタカの、絶滅のおそれのある猛禽類などについての対策はどういうふうにされているかということと、それから、どういう調査がやられて、どういう方向性が出されているのかということがわかりましたら教えてください。
○南雲都市づくり調整担当部長 先ほどもちょっと申し上げましたが、環境保全対策はその後、平成十一年に法制化されたこともございまして、国ではその法の精神に基づきまして自主的に調査を継続しているということでございまして、今ご指摘の猛禽類につきましても、猛禽類の生態を脅かさないように工事の工程を工夫するなど、あるいは騒音や繁殖に配慮するなど、いろいろ対策を練っているところでございます。
現在、猛禽類の調査を詳細に申し上げますと、平成七年の四月から実施をしておりまして、平成十年からは検討委員会を設置し、イヌワシに関する調査解析を実施しております。それで、工事上の環境保全対策といたしましては、例えば、猛禽類にとりまして重要な時期には工事を行わない、重要な場所に近いトンネル工事などは防音施設を設置する、さらには、工事中の人の出入りを目隠しネットで目立たなくするなどの対策が講じられているところでございます。
○清水委員 今、圏央道の工事が、八王子城跡トンネル工事が行われているんですけれども、そこでは予定地から本当に数百メートルのところの営巣木にオオタカが営巣していたわけです。しかし、今、もうトンネル工事が行われていて、ずっと道路もつくられているわけですけれども、そのときに一人見張りがいて、信号機が赤と黄色と緑かな、あって、オオタカが飛んできたら全部工事をやめるというようなことの対策をとっているということで、国土交通省はこの工事を進めているわけです。私もそれを見て、大変なことだなと思ったんですけれども、結局、オオタカはその地域の営巣をしなくなったということになっているわけです。
だから、全くの自然のところに生息していたものが、そういう騒音や--本当に一つは騒音ですよね。そういう問題では保障されないということは、そこからも明らかになっているわけなんですけれども、ましてや、こういう地域なんだから、どんなに幾ら対策をとっても、絶滅のおそれのある動物というのは、それを守ることはできないということを、私はそのことで実感をしたわけです。
それで、先ほどから節水という問題が議論されております。それで、節水をするとか、水の総合的な対策とかいわれておりましたけれども、それでは、先ほど示された水資源のマスタープランに基づいて、都市計画局はこの間どれだけの予算をつけて、どういうふうに概略的にやってこられたんでしょうか。
○南雲都市づくり調整担当部長 予算的には、当局には事業費としてついてございません。
○清水委員 環境局でも、どれが水資源のための予算かなというくらい予算がわからなくなっている。しかし、プランだけはあるということの中で、先ほどの委員の質問にもありましたけれども、一方、水資源を確保する、水資源を大切にするといいながら、そちらは、都市計画局では予算が何にもついていないということで進められているということに対しては、都民がもっと知らなければいけないと思うんです。
それで、私は、あらゆる政策を駆使して水を確保する、資源を確保する、ダムをつくらないためにどうしたらいいのかということを本当に都民が今そういう認識でされているのかなという点では非常に疑問があるわけです。先ほど、青島知事のリサイクルということをいわれましたけれども、あれは日の出町の処分場、最終処分場がもうなくなるかもしれないということの中で、処分場をつくれば安心してしまうよ、処分場がなければみんな困ってリサイクルを本当に進めるよという議論の中からリサイクルが、三多摩地域からリサイクル率を向上させて東京都の施策になっていった経過があるわけですよ。
だから、水も資源で、これも本当に大事なものなんだということを東京都の施策として本当に広げながらやっていかなければ、ダムをつくればいいんだ、水はひねれば出てくるんだという問題。それから、電力だってそうですよ。そうした問題、その地域の住民には大変な苦労をかけているんだということをいいながら、やっぱりその施策としては不十分という中では、例えば福岡市なんかは節水型の機器を水道につけるために無料で配っているとか、そういうようなことが報告されているわけです。それから、群馬県だったかな、ホームページを開くと、トップページではないけれども、ダムの状況、今ダムがどうなっているかという状況が県民にわかるようになっている。これは福岡市だったかもしれません。
水道局に聞いたんですけれども、東京はどうなっていますかといったら、それは国土交通省にアクセスすれば出てくるんですよということで、私は、いや、東京都水道局、ましてや、これを決める都市計画局がトップページぐらいにダムの状況を常に都民に知らせて、私たちの水はこういうところから来ているんですよということをいうような総合的な施策をすれば、もっと私たち都民の関心というものも広がるし、水に対する節約、節水ということになるかというふうに思うんですね。私はそういうことを総合的に行えば、今回の八ッ場ダムの建設は行う必要はないというふうな意見を述べて、質問を終わります。
○新井委員 私は、ハートビル条例と八ッ場ダムについて質問させていただきます。
まず最初に、ハートビル条例についてお伺いします。
今回、このハートビル条例、先ほど中嶋理事の方からもありましたけれども、法律よりも対象になる建築物あるいは規模を縮小して広げているということについては評価をさせていただきたいと思いますけれども、この条例案の策定における都民参加の状況についてお伺いいたします。
○野本市街地建築部長 都民参加の状況でございます。条例案の策定につきましては、先ほども申したんですけれども、本年九月に都のホームページに条例の基本的な考え方を公表しました。これによりまして広く都民の意見を聞いたということでございます。
そのほか、建築関係団体、障害者団体、事業者団体、こういったところに基本的な考え方を示した資料を直接お送りしまして、中身を知らせると同時に意見を募ったということで、こういった都民あるいは関係団体等から寄せられた意見をできるだけ条例案に反映させたということでございます。
○新井委員 パブリックコメントとか関係団体から意見を求められて、ある程度条例に反映をされたということを伺いまして、職員の方とお話をしているときに、実際にご自分も車いすに乗られていろいろ検討したというふうなお話も伺いましたけれども、もう一歩欲をいえば、当該者の方たちとご一緒に車いすでまちに出て、自分が車いすに乗ってみる、あるいは車いすを押して介護する側に回ってみるというようなことを体験しながら条例づくりをされれば、より納得いくものになったのではないかなというふうに思います。
それで、今回この条例ができて、各個別に建設設計が新しいものについてはされていくわけですけれども、この設計者がこういったバリアフリーということに対して必ずしも専門でないという場合もございますよね。ですから、設計段階での専門家、あるいは当該の障害を持った方たちと一緒につくって、参加ということの道筋を示していくというか、そういったことについてはいかがでしょうか。
○野本市街地建築部長 施設のバリアフリーは、これを利用する人の立場に立って計画するということは、今指摘がございましたように大変重要であると認識してございます。しかしながら、個々の建物についてすべて建設計画段階で専門家あるいは障害者の参画を得るというのは、現実面ではなかなか難しいのかなと、こんなふうに考えております。
今後、本条例の運用指針を策定するということを先ほどちょっと説明しましたけれども、そういう際や、あるいは整備基準、対象建築物等のこういった条例の内容について見直しを行う機会があれば、そういった関係者の意見を改めて聴取していきたいと考えております。
○新井委員 私たちも二十年も前からバリアフリーのまちづくりということで、いわゆるバリアチェックといいまして、当該の障害を持った方たちとご一緒にまちを歩きながら、メジャーを片手に段差をはかったり、あるいは、きちんとバリアフリーになっているかどうかということを調査して歩いているわけなんですけれども、実際にバリアフリーでつくられましたという建物を見ても、非常に不備が多いということが多々ございます。例えば、麻痺でも、右麻痺か、あるいは左麻痺かということでトイレットペーパーの位置とかも決まってまいりますし、手すりなんかも動くものでないと、固定式だと全然役に立たなかったりすることがあったり、あるいは、介助のための立場をもって便座のふたをつけなかったりしていますと、介助する方は楽なんですけれども、自力でトイレに行かれようとした場合には、背もたれがないと座れないとか、いろんな細かい状況が出てきています。
実際に、私どもだけではなくて、いろんなところでバリアチェックを市民の方たちが行っておりますけれども、こういった声がどんどんこれからまた上がってくると思うんですが、一たん今回条例がつくられるわけですけれども、その条例の中のいろんな不備な点が生まれてきたり、あるいは、もう少しこういうふうにしたらいい条例になるのになというようなことが出てきた場合に、それに柔軟に対応して条例を改正していくというふうなお考えについてはいかがでしょうか。
○野本市街地建築部長 条例の不備があった場合ということなんですけれども、今回も本条例施行前に当然お示ししてパブコメをやっているわけなんですけれども、施行後も、私ども窓口のところで、あるいは都のホームページがございますので、こういったものを活用しまして都民の意見は常にお聞きするということをしていきたいと思います。そういった意見を参考にしまして、必要があれば、また条例の内容等、整備基準、対象建築物等、こういったものの見直しをしていくということでございます。
○新井委員 かなり細かい基準値が設けられている条例ですし、より小規模な建物への適用ということも含めて、ぜひ柔軟にご意見を聞いていっていただきたいというふうに思います。
それから、そことも関係してくるんですけれども、いわゆるバリアフリーの建物が建った事後評価ということについてやっていく必要があるのではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○野本市街地建築部長 先ほどの計画の個別の評価とちょっと似たところもあるんですけれども、個々の建物について専門家あるいは障害者の方が直接事後評価を行うというのは、件数等もございますので、現実面ではなかなか難しいのかなと考えております。先ほどの、今後の運用指針を策定する際、あるいは条例の見直しの機会等をとらえて、こういった事後評価的なことを取り込んでいきたいと思っています。
○新井委員 学校などでも、例えばバリアフリーの学校ということで、改修などで工事が行われるわけなんですけれども、実際に事後評価をしないために現実には段差が残ってしまって、子どもたちが体育館に移動ができなかったりというようなことも起こっているわけでして、ぜひ事後評価、すぐに制度をスタートさせるということは無理かもしれませんけれども、できるだけ早い期間に行っていただきたいというふうに思います。
それから、この十二月五日から福祉のまちづくり推進協議会というものが発足しまして、バリアフリーを一歩進めたといいますか、ユニバーサルデザインに向けた指針づくりというものを半年かけてやっていくということも伺っておりますので、福祉の方と連携をして、単にバリアフリー、障害を取り除くといったことではなくて、だれもが当たり前のように使えるユニバーサルデザインというところも含めて、ぜひ勉強していっていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、八ッ場の方についてお伺いいたします。
私も八ッ場の方の視察に行ってまいりました。国交省の方にご案内いただきまして、工事現場を拝見して、地元の方たちともお話をしてまいりました。いわゆる現地再建方式で、ずり上がり方式というんですか、そのまま上に上げて再現をするということで、現状で通っている国道の一四五号線とか、あるいはJR吾妻線を全部つけかえをしていく。代替地については切り土、盛り土で造成をしていくという非常に壮大な工事で、人間がこれだけ自然を改変していくということが許されるのかなというような、そんな感想を持ちました。
それで、私たちは常々八ッ場ダムについては水道局の方ともかなりやりとりをしておりまして、ダムは不必要であるという前提でご質問するわけなんですけれども、今回、この八ッ場ダムについての費用負担、これは私どもは代表質問の方でお伺いしたわけなんですけれども、実負担総額七百七十三億円という数字をいただきました。これは、ちょっと私たちが考えていたのより小さいなというふうに思っておりましたけれども、けさ、国交省の方のその建設に要する費用というペーパーを手に入れまして試算をしてみました。最初にいただいた額では、国の補助金と、それから利息が入っていないということなんです。普通、例えば住宅を買う場合、ローンがどのくらいになるのかということをわからないで組むということは、常識としてはあり得ないわけですね。利子も含めて幾ら払うんだということで、それで自分にはこの住宅を買う能力があるかどうかというところでローンを組むわけです。
お伺いをしたところ、利子は計算していないので出せないというふうにおっしゃられて、私はびっくりしてしまったんですけれども、国交省の方から手に入れましたペーパーで計算をしますと、まず、実際の工事に係る都の負担、治水が二千五百十二億掛ける〇・〇三五、これが東京都の割合ですが、百六十二億、利水については二千八十八億のうちの〇・一五四で七百八億。この七百八億のうち三分の一が厚労省から補助が出るということですね。あとは起債になるわけです。水源地域対策特別措置法の方で百三十一億、水源地域対策基金の方で六億ということで、これを全部足しますと、何と一千億を超えまして、一千七億。利子を入れないでも一千七億。国が出しても、都が出しても、これは税金に変わりはないわけで、一千七億の都の負担があるということです。
それで、起債の中で計算をしていらっしゃらないということでしたので、私の方で起債総額の〇・五を掛けた利子ということで計算をしてみますと、利子が三百十八億で、何と千三百二十五億、こういう莫大な費用がかかるということがわかりました。こういう額であるということについて、私たちはむだな八ッ場ダムについて、これだけの財政難の中で費用負担をしていくということについては、やはり都民の理解が得られないのではないかということを、まず冒頭に指摘をしておきたいというふうに思います。
それで、質疑に入るんですけれども、いろんな委員の方が質疑をしておりますので、ダブる範囲は意見を申し上げてということでいきたいと思いますが、まだどなたも聞いていらっしゃらないと思うんですが、都の一日最大配水量と平均配水量、これはどのくらいになっているでしょうか。私も資料を用意してありますので、ちょっとお配りいただけますでしょうか。
〔資料配付〕
○南雲都市づくり調整担当部長 平成十四年度末で一日最大配水量は四百十九万トン、一日平均配水量は四百五十八万トンでございます。
○新井委員 これは、生活者ネットワークで予算のときに使った資料なんですけれども、現在の保有水源と一日最大給水量と一日平均給水量ともに書かれているわけなんですけれども、これは皆さんのお手元に配ってありますが、一九九〇年から大体横ばいということで、この資料にもう一つ、一番新しい数値が入ると、一日最大配水量が下がっていくということなんですけれども、平均で五百二十から五百四十の一日最大配水量と。平均給水量でいいますと、一九九〇年の時点から五百をだんだん下回っていくという漸減の方向が出ております。こういった数値がデータとして出ているわけなんですけれども、先ほどのお話では、第五次のフルプランの中で一日六百万トンと出されております。現に一日最大配水量がこれだけ下がってきているのに、なぜ六百なのかという根拠についてお伺いしても、すれ違いでなかなか出てこないんですけれども、このデータを見ても、六百も要らないということは明らかになると思います。
それから、六百五十から六百になった理由として、事業用水が減ったり人口が減ったということをおっしゃいましたけれども、先ほど来、皆さんがご指摘をしているように、首都圏、東京の人口も二〇一五年をピークとして減っていく。東京都の方は平成二十五年までしか考えていないということで、これもまたびっくりしたわけですけれども、二〇一五年から人口は減少する。そして、水洗トイレ、洗濯機あるいは食器洗い機、先ほどありましたけれども、節水型がどんどん普及してくる。工業用水も非用水型部門へと移行していくということを考えますと、これ以上、水需要が今の段階よりもふえていくということは、私たちには考えられない。それがなぜ東京都がふえるのかというのはどうしても理解できないところで、指摘をしておきたいと思います。
次に、都の水道水源の水量が日量どのくらいなのか、お伺いしたいと思います。
○南雲都市づくり調整担当部長 東京都におきましては、現在、日量六百二十三万トンの水源を確保しております。
○新井委員 この六百二十三万トンは、地下水あるいは、今は休止中ということですけれども、玉川上水はこの分に入っていないわけですね。
○南雲都市づくり調整担当部長 六百二十三万トンの中には課題を抱える水源も入っております。
○新井委員 地下水は。
○南雲都市づくり調整担当部長 地下水につきましては、先ほど来お答えしておりますように、入っておりません。
○新井委員 今、四十万トンに及ぶ地下水が入っていないということで、地下水を入れますと七百万トン近い水が、今、東京都には水源水量としてあるということで、先ほどの最大配水量の減と合わせまして、これ以上の新たな水源開発は不要ということは明らかだと思います。
そして、先ほど吉原委員の質問のときに、そちらの方の答弁で、例えば森林整備でもなかなか保水力がないとか、農業用水から都市用水への一時的な融通は難しいとかというふうなご答弁があったわけですけれども、これはすべて、首都圏のダム問題を考える市民と議員の会というところが作成した資料ですが、こちらの方のデータで見ますと、例えば一九九四年の渇水時にダムから補給された量と全体で流出した量と比較すると、森林等からの補給量の方が非常に大きいということがデータで出ています。だから、森林の保水力は余り大したものではないということにはならないということですね。
それから、農業用水と都市用水の利用量を見ましても、データが全部出ておりますけれども、農業用水から都市用水へ一時的に融通するということは可能であるということが出ています。これは先ほどの質問のままですと誤解を生じることがあるかと思いますので、こちら側のデータとして指摘をさせていただきたいと思います。
次に、八ッ場ダムの開発水量について、通年と夏場、それぞれ日量どの程度を見越していらっしゃるでしょうか。
○南雲都市づくり調整担当部長 八ッ場ダムの開発水量でございますが、ダム全体で、通年分として日量八十二万八千トン、農業用水合理化事業の転用水と合わせまして、通年取水を可能とするための手当て分--冬水手当てといっていますが--として日量百九万一千トンとなっております。このうち、都は通年分として四十五万一千トン、農業用水合理化事業である埼玉合口二期事業の転用水と合わせまして、通年取水を可能とするための手当て分、冬水手当てとして四万八千トンとなっております。
○新井委員 夏場の利水容量はお幾らでしょうか。
○南雲都市づくり調整担当部長 先ほど通年分と申し上げました四十五万一千トンでございます。
○新井委員 こちらを見ていただきたいんですけれども、これが八ッ場ダムの月別貯水容量です。これも予算のときにお示ししたかと思うんですけれども、夏の七月から九月の間は、夏季の利水容量が二千五百万立米しかないということで、普通、渇水というのは夏場に起こるわけです。その場合に、この八ッ場ダムではたった二十日ないし三十日分ぐらいしかもたないというデータになっているわけなんですけれども、こういった点についてはどんなふうに認識をしていらっしゃいますでしょうか。
○南雲都市づくり調整担当部長 その資料については、私は見たことはございませんので、お答えできません。
○新井委員 先ほどいいました首都圏のダム問題を考える市民と議員の会で、これにつきましては、予算の質疑のときにお示しをしながら水道局とやりとりをしているものです。都市計画の方では初めてということだったのかもしれませんけれども、あのデータに基づきますと、夏場の渇水に八ッ場ダムがあれば大丈夫だということは、はっきりと覆っているということがいえると思いますので、その点、後ほど水道局の方にも確認をしておいていただきたいと思います。
利水については、今までいいましたように、最大配水量、それから東京都の水道水源水量ということをあわせましても、八ッ場ダムを持つ意味がほとんどないというふうに私は申し上げているわけです。
それでは、次に治水についてお伺いしたいわけですが、治水計画はどのように策定されているのでしょうか。
○南雲都市づくり調整担当部長 利根川の治水計画でございますが、過去最大でございます昭和二十二年のカスリン台風時の実績降雨規模を想定しております。これは二百年に一度の降雨規模に相当いたします。このときの計画流量は、群馬県の八斗島基準点で秒二万二千立方メートルでございまして、そのうち河道で秒一万六千立方メートル、利根川の上流ダム群で秒六千立方メートルを処理することといたしております。
○新井委員 一九四七年のカスリン台風の降雨規模をベースに策定ということで、一万七千立米・秒だったものを二万二千立米・秒に設定したということです。当時は、戦時中の食糧難解消ということの開墾と、あるいはエネルギー源確保のための森林の伐採ということで、森林がどんどん切られていって、いわゆる保水力という意味では、それが非常になくなっている時代であったというふうに思うわけなんですけれども、現在は森林の状況が非常に大幅に改善をされています。この森林の変化による保水力の改善ということについては、どんなふうに認識されているでしょうか。
○南雲都市づくり調整担当部長 利根川上流部でございますが、群馬県の森林面積は、終戦直後の一九五〇年ごろと近年を比較した場合に、大きな変化は見られません。したがって、森林の変化による保水力の改善はほとんどないものと認識しております。
○新井委員 その辺の認識が違っているわけですね。私たちは、森林が改善してきているので、先ほど示しましたように、保水力は緑のダムということで、先ほど坂口委員の方からも質問がございましたけれども、保水力は改善されてきているというふうに認識をしています。森林は緑のダムということで保水力が非常に大きい。森林を--防ぐには、ダムよりもまず森林整備であると思います。
それで、既存六ダムで六千立米・秒の対応をするということですけれども、八ッ場ダムと既設ダム、合わせてどれだけの洪水流量に対応するのでしょうか。
○南雲都市づくり調整担当部長 八ッ場ダムは、これまでダムのなかった吾妻川流域で初めてのダムでございまして、完成によりまして、地域分布の異なるさまざまな洪水に対する治水効果を発揮できるものでございます。国の試算によりますと、八斗島基準点における既設六ダムを合計した洪水調節効果は、秒約一千立方メートルでございまして、八ッ場ダムは約六百立方メートルの洪水調節効果がございます。よって、八ッ場ダム一つで既設六ダムの約六割の洪水調節能力があるといえるものでございます。
○新井委員 六千立米・秒をダムでやるんだと。今のお返事ですと、既設のダムと八ッ場ダムを合わせても千六百立米・セカンドしか対応できない。だから、八ッ場ダムをつくっても、これで洪水はいいですよというわけではないんですね。
これは、先ほど来皆さんがおっしゃっていました合同調査チームにおける八ッ場ダム建設事業費の変更に係る意見、質問ということで、皆さんが出された質問が非常に膨大だったんですけれども、とりあえず質問だけは全部いただいて、私がその中で気になるところだけの資料をいただいて、きのう、夜なべで読んでいたわけなんですけれども、この件については皆さんちゃんと質問なさっているわけです。利根川の洪水調節計画において、既設ダムと八ッ場ダムのカット量は千六百立米・セカンドになっているけれども、六千立米・セカンドの残り四千四百については何で対応するのかというふうに聞かれているわけです。
そうすると、国交省の答えは、既設ダムと八ッ場ダムを合わせても千六百立米にしかならないので、ダム建設という手段を唯一のものとせず、既設ダム群の再編あるいは遊水池設置等、新たなメニューを含め、より実現可能性を大きくする手法について検討しているところであると。あたかも、この八ッ場ダムができたら治水はもういいんだというふうにおっしゃってきたかのように聞こえるわけですけれども、これではまだまだ、国の計画だと不十分で、新たにまたいろいろとつくらなくちゃいけないんだというふうなことがはっきりしているわけです。これを見て、皆さん方は納得されたんでしょうか。
○南雲都市づくり調整担当部長 治水的に申し上げますと、ダム群だけでは洪水調節は不可能ですので、それは河川の堤防の改修等でもって対応しているのが実態だと思います。したがって、八ッ場ダムができた後も、引き続き洪水調節という意味ではかなり不足な状態はあると、そういうことだと思います。
○新井委員 国は、先ほどおっしゃった八ッ場ダムの建設に当たっての設計ですと、八ッ場ダムができても足りないと。私は、八ッ場ダムはたった六百ということですけれども、河川改修の一万六千立米と森林整備による保水機能を高めるということで十分だと思っていて、治水の面からも八ッ場ダムをつくる必要性はないと思います。ここもまたすれ違いかもしれませんけれども、データとしてはそんなことがいえるのではないかと思います。ご答弁くださるんだったら下さい。
○南雲都市づくり調整担当部長 森林の洪水緩和機能につきましては、中小洪水時において保水機能によりある程度の低減効果は認められるわけですけれども、一〇〇ミリを超えるような大雨、例えばカスリン台風のときには三〇〇ミリを超えたわけですけれども、そういう大雨の場合には保水機能は期待できないとの研究成果があるわけでございます。その結果、カスリン台風時のような洪水の場合には、その山林の状況による影響量は総体的に非常に小さいと考えているところでございます。
○新井委員 ここも先ほど来のすれ違いなんですけれども、森林の保水機能をどこまで見るかというところで、先ほどの渇水のところでデータをお示ししたわけですけれども、この保水力ということを見ると、やはり森林が再生すれば十分であるというふうに申し上げます。
次に、八ッ場ダム自身の問題についてお伺いしたいと思うんですけれども、八ッ場ダムというのは、草津温泉あるいは万座温泉が上流にあって、硫黄の鉱山の跡地とか白根山とかがありまして、非常に強酸性ということで、水質の調査によりますと、砒素といったような重金属とか全窒素、全燐などが基準値以上に計測されている川なわけですけれども、この川の水を飲用にするための対策というのはどのようにとられるのでしょうか。また、その場合、対策をとるに当たっては当然費用がかかるわけですけれども、その費用はどのくらいかかると見込まれているでしょうか。
○南雲都市づくり調整担当部長 吾妻川でございますが、中流から下流におきまして、温川等、中性を示す各支川がございます。それをあわせまして利根川本川と合流いたしまして、現在でも下流都県の水道用水として利用されておりまして、問題ない水質となっております。
現在の八ッ場ダムのサイト地点における人の健康の保護に関する環境基準科目の測定結果は、いずれも検出されない、または基準値を下回っておりまして、重金属、化学物質に汚染された水ではないということを確認しております。
また、吾妻川の上流の環境基準地点であります新戸橋は、ダム湖の上流に位置していることから、八ッ場ダム工事事務所におきましても、群馬県環境保全課の平成十二年度水質測定結果を入手し、確認したところ、六価クロム、カドミウム、鉛については検出されなかった。また、砒素につきましても環境基準値を下回っておりまして、ダム湖に流入する水質については問題ないと考えております。
○新井委員 それでは都としては、こちらの水については、安全性、飲用するのに全く問題はないというふうに認識しているということで確認させていただきます。
次に、品木ダムというのがありまして、強酸性の川であるために、毎日六十トンという非常に多くの石灰を投入して中和しているというところなんですけれども、こちらの方にも伺いまして、お話を聞いてまいりました。
しゅんせつをしないと、どんどんたまってきてしまうということで、現在の堆砂率は八〇%、ことしはまだしゅんせつをしていないそうで、去年七十数%だったものが上がってきているそうです。なぜことししゅんせつをしないかといいますと、埋め立てる用地がないからということで、今、しゅんせつがとまっているということなんです。
それで、これまで二カ所埋立地を借りて、そこを埋め立てていくというふうにしているわけなんですけれども、その埋立地を新規に借りる場合には年額十五億の予算がかかる。そして、その借りるお金がない場合の通年の品木ダムの維持管理費用が九億から十億ということで、これは毎年毎年かかるわけです。今は新しい埋立地が見つからないので、しゅんせつができないで置いてあるということで、今、一生懸命探しているところだというふうにおっしゃっていました。
こういった状況を見ますと、品木ダムが満杯になってしまうというおそれも当然出てくるわけですけれども、このダムが満杯になってきた場合、これは八ッ場ダムの方にたまっていくということになるんでしょうか。
○南雲都市づくり調整担当部長 品木ダムに沈殿いたしました中和生成物は、流域から流入する土砂とあわせて継続的にしゅんせつをいたしまして、脱水処理を行った上で、土捨て場等に運搬したセメント系固化剤と混合いたしまして固化処理を行い、盛り土しているところでございます。
中和生成物の処分につきましては、当面、現行の処分方法によりますが、今後、新技術の研究ですとか検討によりまして、中和生成物の再利用及び新中和システムの採用等、循環型、持続型の中和処理が行えるように、適切に対処していくと国は申しております。
○新井委員 確かにそんな話も伺いました。ただ、これからどうやってリサイクルしていこうかということを考えるということで、即座にそれに取りかかるという状況ではなく、この品木ダムが満杯になるまでもつのかどうか、それまでに対策が立てられるのかどうかということについては、非常に不安が大きいという印象を持ちました。
そして、埋め立てをしている土砂と中和生成物の混合物ですけれども、これの安全性ということについてもお話を伺ったんですが、年に数回、それ自体の検査はしていないけれども、埋め立てている下からしみ出してくる水については調査しているということで、実は私は資料をいただきたいということでお願いしたんですけれども、東京都の方から資料要求をしてくださいということで、その場ではいただけなかったので、後からお電話があって、お送りしますということもありましたけれども、東京都の方も、この安全性に対する数値を資料要求していたただいて、見ていただきたいと思います。
今のところ問題はないというふうにいっておりましたけれども、埋立地についての配慮というところでは、なるだけ上流の方にしていると。下流の方にして、万が一何か汚染があった場合には取り返しがつかないので、なるべく品木ダムの上流の方に埋立土砂を捨てているということも配慮しているというお話がありましたけれども、そういう配慮をしなければいけないような堆積物であるということについては、私たちも認識をしていかなくてはいけないのではないかと思います。
八ッ場ダムの堆積の進行については、計画はどんなふうになっているでしょうか。
○南雲都市づくり調整担当部長 八ッ場ダムにつきましては、計画上、百年分の土砂が堆積する量、これは計画堆砂量といいますが、それを総貯水容量の中に千七百五十万立方メートル見込んでいるわけでございます。この計画堆砂容量以内であれば、貯水池内に砂がたまっても、治水、利水機能を損なうことはないということでございます。
さらに、ダム完成後には、長期にわたりまして貯水池内の堆砂の状況をモニタリングいたしまして、必要に応じてしゅんせつによる土砂の排除などの措置を講じるものでございます。
○新井委員 百年分で千七百五十万立米の容量を確保ということですけれども、普通、ダムの堆砂ということは、つくってしまうと計画よりも早く進む場合が非常に多いというふうに聞いています。例えば下久保ダムですね、ここの堆砂速度は、計画に比べて現状としてはどんなふうになっているでしょうか。
○南雲都市づくり調整担当部長 下久保ダムの堆砂実績でございますが、平成十三年度末までで、総貯水容量に対する堆砂率として約六%となっております。
○新井委員 質問は、下久保ダムの堆積速度は計画に比べてどのくらいの速さで行っているかということにお答えいただきたいんです。
○南雲都市づくり調整担当部長 ただいま資料が手元にございません。
○新井委員 私は質問をそちらに投げていたわけなんですけれども、首都圏のダムを考える市民と議員の会の方の試算ですと、約三倍の速度で堆積が進んでいるということです。そうしますと、その計算でいきますと、品木ダムの方が満杯になって八ッ場ダムに来るという可能性もあるわけですけれども、それを考えなくても、五十年で利水機能が半減する、八十年で利水機能がなくなってしまうと。まさに今の品木ダムのように、日常的にしゅんせつをしていかないと使えないダムになってしまうということで、ダムの機能を果たさなくなるわけです。
そういったこともあるわけで、当初に申し上げました東京都の負担だけで見ると千三百二十五億、全体の負担で見ますと八千億を超えるような事業費になるかと思いますけれども、こういった額を八ッ場ダムに充てるというのはどんなものかということについても、再度指摘をしておきたいと思います。
もう一つ、ダムの問題点ということでお聞きしたいのが、地すべりが非常に起こりやすい地質であるということです。今回、この八ッ場ダムの周りのところを見てきたわけですけれども、山を切って、切り土と盛り土で代替地をつくるということをしているわけなんですが、地すべりという点での危険性は、東京都としてはどんなふうに認識をしていらっしゃるんでしょうか。
また、大滝ダムが二〇〇三年に地すべりを起こしているわけなんですけれども、この事例をどんなふうに考えていらっしゃるでしょうか、お聞かせ願います。
○南雲都市づくり調整担当部長 八ッ場ダム建設事業区域内の地形や地質などの調査を十分実施いたしまして、その結果、地すべりのおそれのある箇所につきましては、押さえ盛り土や切り土勾配を緩くするほか、くい工や排水溝等適切な対策を実施いたしまして、安全性の確保に努めております。
また、代替地のダム湖周辺施設の安全性の確保につきましては、万全を期していきたいと考えております。
○新井委員 こちらの変更内容の方を読ませていただきましたら、地すべりのところで、精査すればするほど地すべりが起こりやすいということで、対策をたくさん立てるので工事費が上がりましたということがございまして、先ほど来おっしゃっている、皆さんが、びっくりして国の方に伺いましたという質問の中にもそういうことがありまして、この資料をいただいたんですけれども、地すべりが起こりやすいところの地図を見ますと、本当に多岐にわたっていまして、代替地というところにも重なっているところが随分ございます。
それで、現地の地質学者の方のお話なんですけれども、ここは、先ほど坂口委員がおっしゃっていましたように、浅間山の噴火がありまして、その火山灰が積もって岩屑雪崩堆積層というものが非常に厚く積もっているというところで、深い地域、川原畑地区などでは最大六十メートルにわたって積もっているということなんです。
この岩屑雪崩堆積層というのは、水を含むとさらに流動性が増すということで、湖に水をためて水に触れると、地すべりがよりしやすい地質なんだということです。そういうことが多分わかって、今回、建設費がふえているということになると思うんですけれども、これから調査や工事が進めば進むほどさらなる対策が必要になる、そのような可能性があるんじゃないかと思うんですけれども、この点について、東京都は国の方にどんなふうに確認したでしょうか。
○南雲都市づくり調整担当部長 地すべり防止対策でございますけれども、地すべり防止区域に指定されました区域に林地区の代替地の一部が含まれているようでございますけれども、代替地の造成に当たりましては万全の対策を講じることとしておりまして、大丈夫であると国からはいわれているわけでございます。
○新井委員 国からは大丈夫だといわれているということですが、例えば大滝ダムの事例ですと、二〇〇三年三月に水を入れ始めたところ、ひびが入って、同じ二〇〇三年五月に水を入れることを中断したと。それで、六月の調査では大規模崩落のおそれなしということだったけれども、結局、危険だということで全戸移住したということなんです。五十戸という非常に小さな現地再建方式なんですけれども、全体として湖にずり上がっていく。今回の八ッ場ダムと同じようなことで、地層は違うかもしれませんけれども、同じような計画ですが、結局この十月には、住めなくなって全員移転したわけです。仮移転しました。そして、地すべりの面積が約六万平方メートル、深さが最大で六十メートル。これも、国は危険を承知でやっているわけではなくて、すべての工事は万全を期してやっているわけですけれども、結果としてこういうことが起こっているわけです。
今回、代替地で、皆さんが移住した後、万が一の場合、事故が起こった場合、危険な地崩れとかが起こった場合は、責任の所在というのはどこにあるんでしょうか。
○南雲都市づくり調整担当部長 今回の変更予定額の四千六百億円の中には、当然、地すべり対策で対策を練ったために額が増嵩した分も含まれているわけでございまして、国はそれなりに万全を期して工事を進めているわけでございます。
しかし、万が一の場合はないとは思うんですが、万が一あった場合には、当然、事業者である国が責任を負うことになると思います。
○新井委員 下久保ダムでも、当初、地すべりの要望をしたんですけれども、やはり九五年に起こって、三百八十億円かけて対策工事を行っているんです。大丈夫といっても、現にあちこちでそういうことが起こっているわけです。だから、八ッ場ダムについては絶対起こらないということはいえないわけで、万が一の場合、責任の所在は国にあるというふうにご答弁されましたけれども、この計画に対してゴーサインを出したすべての自治体にもある程度の責任というものは私はあると思うんです、議会も含めて。だからそういう意味で、非常に慎重に考えなければいけない事業であるということを申し上げたいと思います。
それで、ここの買収された代替地の割合、あるいは代替地に転居した方の数というのはどのくらいでしょうか。
○南雲都市づくり調整担当部長 代替地買収面積七十八ヘクタールのうち、約一〇%の買収が完了しております。代替地は現在造成中でございまして、移転された方はいないということでございます。
○新井委員 たった一〇%しか買収できていなくて、今、国有地を切り盛りして代替地にしているわけなんですけれども、現地でお話を伺いましたらば、水没する予定の三百四十世帯のうち、四分の一の方は、実はもう移転しているんです。それは、今ご答弁がありましたように、代替地に転居した人はいないんです。それは、非常に危ないところに代替地をつくっているから怖いという方とか、余りにも長く長くかかっているので、疲れ果てて個人補償でどこかに転居しているという方が約四分の一いらっしゃるということなんです。
それで、先ほど来、現地では反対の声はないんですねというふうなことがございましたけれども、地元でお話を伺いますと、本当に長い間の反対運動に疲れて、私も本当に胸が痛みましたけれども、八ッ場ダムの記録というビデオを制作された方がいらして、そのビデオを買って帰ってきたわけですけれども、そこにこんなふうにあるんです。八ッ場ダムの反対運動なんですけれども、自分たちの生活を守り、自分たちの郷土を守る闘争だったのです。それがあかしには、四十九年たったこの時点においても、我々が住む宅地造成ができておりません。こうした将来設計も生活設計もできない不安定な生活の中、やり場のない憤りも、いつしかあきらめに似た感情に変わり、人々の気持ちはここへ来て大きく転換していきました、これは平成十三年の妥協のときです。ダムの賛成、反対には、単にダムをつくる、つくらないだけではなく、政治的、行政的な要素はもちろん、人間性や人間関係の問題、考え方の相違など、あらゆる要素が入り乱れ、もつれた糸のように出口の見えない複雑な構図になっている、本当に皆さん方の、家族で意見が分かれ、親戚で分かれ、近所で分かれということで、苦しんでいらした声がここにあると思うわけですけれども、こうした方が、今お話を伺うと、はっきりいってダムはできてもできなくても、どっちでもいいんだとおっしゃっています。ただ安定した生活がしたい、これが現地の方の本当に切実な声だと思います。
ですから、ダムをつくって移転するなら移転するで、計画どおりちゃんとつくってほしい。つくらないならつくらないで、今の地点で安定した生活ができるように生活補償してほしい、ダムができてもできなくても自分たちはどっちでもいいんだと、こういうことをおっしゃっていました。これが本当に偽らざる声ではないかと思うわけです。
そういった方たちの気持ちを考えますと、今の七十ヘクタールの代替地のうち、まだたった一〇%しか買収ができていない、こういう状況を見ると、二年前に計画が変更されましたけれども、本当に平成二十二年に完成するのかどうか、この不安もあるわけですが、現地の方たちも、どうせまた延期になるんだろうと、本当にあきらめに似た気持ちでおっしゃっていましたけれども、平成二十二年度に代替地が完成して移転ができるかどうかということについては、東京都はどんなふうに認識をしているでしょうか。
○南雲都市づくり調整担当部長 先ほどの代替地の買収の実績が一〇%というのは、大部分が国有地であるからそういうパーセンテージが出ているわけでございます。
あとは、平成二十二年に完成するかどうかですが、今、平成二十二年の完成を目指して努力しているところでございます。
○新井委員 これは私は、東京都の方に、皆さんに聞くのも本当に酷だなという気はするんです。こちらの合同調査チームにおける意見、質問というので、皆さんも本当に心配して同じことを聞かれているわけなんです。例えば、国交省の再評価委員会による事業の再評価に当たって、今後のスケジュール、再評価項目、内容とかということで、これを見ますと、スケジュールについては年内に再評価を実施する予定、平成二十二年に全部できるというふうに書いていないんです。事業の必要性等に関する視点として、事業をめぐる社会経済情勢等の変化、事業の投資効果、事業の進捗状況、事業進捗の見込みの視点、コスト縮減や代替案立案等の可能性の視点ということで、スケジュールについては再評価をすると。だから、また変わる可能性というのはありますよと暗にいっているわけなんです。
それで、例えば皆さん方の質問で、現在の完成工期は平成二十二年度で、残り七カ年、本体着工さえしていない現在では、工期内完成に疑問を持たざるを得ない、これは皆さんの声です。そこで、工程表の進捗状況及び見通しについて、次の事項について伺いたい。本体着工の時期は平成十九年度で、二十二年度にでき上がるんですかという質問に対して、国交省の答えは、本体は移転完了後の平成十九年度に着手する、これが答えなんです。二十二年度までにできるんですかと聞いているのに対して、十九年度に着手します、これが国交省の答えです。
それから、工期延期の可能性、その判断はどのような状況になったときか、東京都並びに皆さんの質問に対して答えは、予算面でも大変厳しい状況であるが、平成二十二年度の完成を目指し努力しているところである、できるといっていないんです。だから、皆さんの質問に対するこの答えを見ると、大丈夫です、必ず二十二年にできますというふうにきっぱりと答えていなくて、再評価をして、スケジュールについては年内に決めるんだというふうなことを国交省は答えている。これは皆さん方もお読みなっていると思うんですけれども、これで先ほど来説明があって、皆さんも非常にびっくりしたと。だから、いろいろ百五十項目にわたる質問をして、その答弁をもらって納得をしたから、今かけたんだというふうにおっしゃったんですけれども、今、私がちょっと抜粋して読んだものだけでも、これで納得した答えが得られているというふうにお思いでしょうか。
○南雲都市づくり調整担当部長 今のお話の内容でございますが、それは、去る十一月二十四日に国の評価監視委員会で、八ッ場ダムにつきましては継続ということで結論が出ております。
○新井委員 継続は当然継続なんですけれども、二十二年に完成するかどうかということをすごく心配していらっしゃる皆さんの問いに対して、二十二年に必ず、代替地への移転もダムの工事も完成しますよというふうにきちっと答えていないわけです。そのことをいっているわけです。
それで、皆さん方の再質問の方のをもらった中で、回答が入っていなかったので、どんなふうな回答だったのかわからないんですけれども、代替地の規模は、移転世帯の意向を反映し、随時造成規模の見直しを行ってきたのか伺いたい。
また、今後代替地への移転希望者に変動があった場合、造成規模の見直しを行うのか伺いたい。
平成二十二年度の完成ということが、利水者が八ッ場ダムへの参画を判断する一つの材料となっており、予定年度における完成を強く要望したい。これは皆さんが出している要望で、答えがどうだったか、いただいた中に入っていなかったので、ぜひこの答えを見てみたいと思っているわけなんですけれども、完成がおくれた場合、ダム完成の時点でダム参加が不要となっていることも想定されるためにこの質問をしているんだと、皆さんが書いているんです。
だから、こういう答弁を皆さんがしているということは、私の立場で皆さんにこれはどうなんですかというふうに伺っているわけなんですけれども、こういう資料についても、私ども委員も、私もこれは一部しか見ていない。時間がなくて、きのうの夜に慌てて見たような状態で、膨大な資料だと思いますけれども、そういった資料を私どもも十分精査したいという気持ちがございます。早急に結論を出すべきではないというふうに思っていて、継続して十分に慎重審議をしなくてはいけないと思います。
それから、東京都の方は、この資料を見て納得したから出されたんだという説明がございましたけれども、実際に、先ほど来、石原知事が調査が必要なんじゃないかというふうにおっしゃっていることもあわせて、東京都独自に調査を行っていく必要があると思います。
そして、地下水と大いに関係してくるということなんですが、今、多摩の地域では、昭島のように一〇〇%地下水を飲んでいるところ、あるいはブレンドで飲んでいるところもたくさんあるわけですけれども、特にそういった地下水利用の市町村等の意見も聞いていくということが必要ではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○南雲都市づくり調整担当部長 都といたしましては、必要な調査を行いまして、国に対し徹底したコスト縮減の取り組みを求めるとともに、国に対して必要な要請を行っております。水源開発というのは、もともと地域性にも配慮した広域的な性格を有する事務でございまして、所定の手続によって進めていきたいと考えております。
○新井委員 地下水を飲んでいる市の意見を特に聞く必要があるのではないかということは。
○南雲都市づくり調整担当部長 都の判断でやりたいと考えております。
○新井委員 今、都市計画の方で、せんだっても市民参加のまちづくりということでご質問させていただいて、今後の都市計画のあり方というところで、九二年の都市計画法の改正以来、市民の声を聞きながら、参加でやっていくんだということがうたわれてきて、今、どちらの局を見ても市民参加ということがいわれている時代に、都だけの判断で決めていくんだという姿勢については、私は非常に残念だと思います。
今回、皆さんが納得するためにも、莫大な資料を読んだり現地に派遣したりしていて、やっと納得したということだと思うんですけれども、こういった情報については、今、都民には一切知らされていない状況です。何もわからない。東京でいえば千三百二十五億もの税金が使われるのに、何も知らない状態でいて、それを東京都が決めてしまっていいのかということがあるわけで、東京都の説明責任ということを考えますと、もう少し時間をとって、きっちりと都民に説明をして、そして本当にこのダムをつくることがいいのか、あるいは先ほど中嶋理事がおっしゃいました、三年に一度の渇水ならみんなで我慢しよう、十年に一度の渇水ならみんなで我慢しようというふうな選択を都民がするのかどうかということもあわせて、私はぜひ都民にきちんと説明をして、意見を聞くということが必要であると思いますけれども、局長はいかがお考えでしょうか。
○勝田都市計画局長 新井委員と私どもの方は、意見がどうもすれ違うようでございまして、八ッ場ダムの必要性そのものについては、各県も含めて異論のないところでございます。もちろん、スケジュールの問題でありますとか代替地の問題でありますとか、詳細な部分については、意見の違いあるいはこれからカバーしていかなきゃいけない問題、そういうのはあると思いますけれども、一方で、ダムは急いでやらないとだめだと、こういう要素もあるわけでございまして、東京都としては、そういう立場に立って、広域行政の立場で責任を持って都民に安定した水供給をしたいと、こういう立場で審議をお願いしているわけでございます。
○新井委員 一刻も早くつくりたいという視点でやっているといっていらっしゃいますけれども、皆さん方が出したものをさっき読みましたが、完成がおくれた場合、ダム完成の時点でダム参加が不要となっていることも想定されるため、早くつくってほしいというふうにいっているんです。これは変ですよね。
○勝田都市計画局長 私どもの方は、いろんな可能性を幅広く検討する必要がありまして、そういう仮定のもとにいろんなことをやっているわけでございまして、その総体的なものの材料を集めて、最終的な判断としては、この際、議会にご審議をお願いして進めたい、こういうふうに判断したものでございます。
○新井委員 私どもと東京都の八ッ場ダムに対する考え方というのは確かに違っています。私が最後にいったのは、ダムが必要か不必要かということも含めて、きちんと都民に、東京都が持っている情報、これは都民の情報ですから、それを全部オープンにして、そして説明責任を果たした上で、どうしたらいいかということをきちんと意見を聞かないといけないんじゃないか、説明しなくてはいけないんじゃないかということを申し上げているわけです。そのことについての局長のご意見を聞いて、終わります。
○勝田都市計画局長 先ほどご説明したとおりでございまして、詳細な部分については、もちろん十分でない点があろうかというふうに思います。そういう点については謙虚に受けとめまして、今後十分な対応をしていきたいということでございますけれども、まず全体を進めるという観点では、先ほど来ご説明したような、私どもとしてはできる限りの努力をして、検証し、この議会でご審議いただくに値する段階に至っているということ、それから、一方でいろいろ地元の方々のことも考えながら、あるいは都民の方々に対して、将来安定的な水を供給するという立場で、ぜひともこの時期に決定していただきたい、こういう姿勢でございます。
〔傍聴席にて発言する者多し〕
○相川委員長 静かにしてください。
○新井委員 都民の方に説明ということで、きっちりしていかなくてはいけないんじゃないかということを申し上げているわけなんですけれども、本来、局長もそんなふうにお考えだろうと思うんです。
ただ、東京都だけがイエス、ノーを出さないためにこの工事が進まないというふうなことであれば、今回急いで結論を出さなくてはいけないということがあるかもしれませんけれども、先ほど来指摘がされているように、千葉も埼玉も茨城も群馬もかけていないんです。東京と栃木だけなんです。だから、今回結論を出さなくても、次の三月の時点まで十分時間をかけてみんなに説明をして、そして理解を求めて判断をしていくということで十分間に合うわけです。今、東京都がイエスかノーかを出さなくても、結果としては変わらないということもございますので、そんなに早急に結論を出さず、継続にして、都民の方にきちんと説明責任を果たし、そして意見を聞いていくということをぜひしていただきたいということをお願いして、終わります。
○相川委員長 傍聴人の方に申し上げますけれども、この場は委員と執行機関との議論をする場であって、皆さんがそこに口を挟む場ではありませんから、これ以上私の立場で注意をすることを、皆さん自重していただきたいと思います。
この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
午後五時四十七分休憩
午後五時五十九分開議
○相川委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○野島委員 そんなに長く時間を必要としません。ハートビル条例の関係で何点かお伺いしたいと思います。
実は、今を去ること十二年ぐらい前になるんですが、要するに障害者や高齢者にとって優しいまちづくりとは何かと、こんなことで、うちの方でも福祉のまちづくり推進協議会みたいのをつくりまして、いわゆる段差だとか公園のあり方だとか、そういうのをやった記憶があります。そのときには、建築関係の方とか、現に障害をお持ちの方とか、お集まりをいただきまして会議を持ちました。不肖私がそのときの協議会の会長を仰せつかったと、こういう経過があります。
そこで、そうはいっても建築基準法の絡みもあるし、事業者負担の問題もあると、こういった方が望ましいなというようなことをいろいろ考えながら、結果としては、私どもの場合は、指導指針というか、そんな形でやったことを記憶しています。もちろん指針ですけれども、行政としては、その後の公共施設整備だとか道路整備については、当然のことながらその趣旨を生かしてやってきたと。
今回、改めて感じたのは、私どもも加齢による劣化もありますし、健常者は障害者になり得ますけれども、障害をお持ちの方が健常者になるというのはあり得ないというか、極めてまれなケースだと思いますので、そういう意味では、障害をお持ちの方や高齢者にとって優しいまちというのは、実は私たち健常者にとっても優しいまちだろう、このような感を持っております。
それで、十五年の都政モニターのアンケートでも、建物の段差などがありまして行動が制約されると、こんな回答が七〇%もあった。いろいろ理想的にはあっても、なかなかバリアフリー化が進まないという現状が、私はそのアンケートにあらわれていると思っているんです。
今回提案されたハートビル条例は、国のハートビル法を受けまして、不十分ながらも今日まで都が進めてきた、不十分というと変ないい方ですけど、一生懸命取り組みながらも、そういうアンケート結果があるという意味での不十分さですね。福祉のまちづくり条例等があったわけでありますが、その成果を踏まえ、かつ東京の特殊性ということを十分視野に入れながら、ハートビル法に上乗せしたり横出ししながら、都民にとって利用しやすい建物あるいは施設整備を目指していく、こういう認識でありまして、十二年前を思いますと、いささか感慨深いものがあるなと思っています。
そこで、その点の評価をしつつ、何点かお伺いいたしたいと思います。資料もいただきました。一般的に建物を建てるときには、手続としては当然、建築基準法がありますから、その基準に合致するように、かつ東京都の建築安全条例でいろんな諸元というのか、スペックをチェックしてもらうわけですね。それと福祉のまちづくりがあるわけですね。それぞれの持つ機能というのか、まずそれはどういうふうな機能を持っているのか。
それから、資料もちょうだいしたんですけれども、改めて、バリアフリー化が今日までどんな形で進んできているのか、今日までの成果についてまず冒頭お伺いしたいと思います。
○野本市街地建築部長 これまでの建物のバリアフリーに関連する条例としましては、今、副委員長ご指摘のように、建築安全条例あるいは福祉のまちづくり条例などがございました。
それぞれの権能、機能ということなんですけれども、まず建築安全条例は建築基準法に基づく条例でありまして、この条例の対象となる建築物を建築する場合には、バリアフリーの整備基準についても一連の建築確認の中でチェックすると、こういう仕組みになってございます。今回提案しているハートビル条例が成立しますと、この安全条例の中でのバリアフリーの規定は廃止ということで、ハートビル条例の方で今後は進めるということになるわけです。
もう一つの方の福祉のまちづくり条例でございますけれども、これは地方自治法に基づく条例でありまして、この条例で定める対象建築物については、建築確認でなくて届け出をしていただいて、その届け出に対して都の方で指導とか助言をすると、こういう仕組みになってございます。今回、やはりハートビル条例が成立しますと、ハートビル条例で対応する建物については、福まち条例の届け出指導から除外すると、関係を整理するとそんなことになっています。
それから、バリアフリー化のこれまでの成果ということでございます。建築基準法、安全条例の成果としてということなんですけれども、平成十四年度一年間だけでとりあえず調べてみますと、一年間に五百六十件が建築確認を通じてバリアフリー化が実現しているということでございます。
もう一つの方の福祉のまちづくり条例によるバリアフリー化ですけれども、やはり平成十四年一年間だけ調べてみましたところ、届け出件数が千百件、それで、整備基準に対して適合しているということで適合証を受けたものは百三十件でございます。
○野島委員 大ざっぱにいうと、福まち条例の場合には奨励的な意味合いを持った条例だと、こういうことだろうと思うんです。届け出が千百件で、整備基準に対して百三十が適合を受けたということは、すなわち福まち条例の場合、結構広い範囲でいろいろやっていますから、その中で、ワンパッケージで無理なケースがあって、結果的に事業主が、いかに指導を受けてもそれはちょっと堪忍してくださいというようなことがあったりして、そういう数字になったのかなと僕は推測をしているんです。
それで、現行の福まち条例と比較いたしまして、それが奨励条例という意味ですから、行政指導なり指導助言なりしても限界がありますね、ある種の判こ行政じゃないから。したがって、今回、この条例でそういうものを上乗せしたり横出しして取り込んでいくわけですね。そうすると今度は、確認行為という判こ行政になるわけでしょう。そうすると、大体どの程度の部分まで建物が、今までと比してどういう状態で、より好ましいバリアフリー化の建築物というのが出てくるのか、その推計値というのか、そんなところをひとつ教えていただけますか。
○野本市街地建築部長 今回の条例により、バリアフリー対策がどのように向上するかということなんですけれども、これまでの福祉のまちづくり条例に基づいてということでは、今説明しましたように、一年間に百三十件バリアフリー化が進んだということでございます。
一方、今回のハートビル条例なんですけれども、一年間に整備される件数については二千六百件を推計しております。両者を単純に比較しますと、今回の条例の施行により整備される建物数は、以前の二十倍の伸びということで、バリアフリー対策の推進に大きく寄与するのではないかと期待しております。
○野島委員 そういうことで、かなりの数が期待できると思うんです。その効果というか、なぜそういう効果が生ずるかといいますと、国のハートビル法に対して上乗せしたり横出ししているから、東京で、例えば学校はすべての規模で二百五十ぐらいいくだろうと。国の基準では二件だと。恐らく盲・ろう・養護とか、そういうハンディキャップの部分は国は法の中でやりなさいよと。東京の場合には上乗せしてすべての規模ですよと、こういうことだろうと思うんです。
今後、そういうふうなことで、福祉のまちづくり条例というのが現存しているわけですね。それと今回の条例の役割分担をどうしていくのか、手続的にどうなっていくのか、こんなところをひとつ教えていただけますか。
○野本市街地建築部長 福祉のまちづくり条例と今回のハートビル条例の役割分担ですけれども、福祉のまちづくり条例は、福祉のまちづくりに関する基本的施策、あるいは建築物、道路、公園、公共交通施設などの整備ということで、大変幅広く規定してございます。また、建築物のバリアフリー化については、先ほども触れましたけれども、届け出、指導、勧告という緩やかな誘導といいますか、そういった方策をとっています。
一方、今回のハートビル条例ですけれども、建物のバリアフリー化に焦点を置いたということで、建築確認手続を経るということで、より実効性が確保されたというふうに思っています。この二つの条例の運用に当たっては、ハートビル条例の対象としたものは、先ほどいいましたように福まち条例の届け出は必要としないということで一元化してございます。
○野島委員 そういうことで、経験行政になるわけですから、事業主については義務的にやらなきゃいけない。それが国に比しても拡大をしているわけですし、ある種、今までの基準ではできないわけですから、当然、コストプッシュ要因になってくるだろうと。どのくらいになるかというのは、その建物がどういうふうな形でと、僕は一概にいえないと思うんです。
そういう場合に、都立の施設の場合がありますね。これは東京都が条例を持っていてやるわけですから、当然やっていくだろうと思うんですが、区市町村立の場合もあると思うんです。それから民間の施設と、こんなふうに分けられると思うんです、事業主という視点から見た場合に。それぞれどういう方針で取り組まれていくのか、こんなところも伺っておきたいと思います。
○野本市街地建築部長 バリアフリー化の義務の拡大に伴うコストアップでございますけれども、これまでも都立施設、それから区市町村立施設については、福祉のまちづくり条例あるいは建築安全条例の福祉規定に基づいて、バリアフリー化への対応を積極的に行ってきたということでございます。
都立施設や区市町村立施設の建設コストは、これまでも関係部局で計画段階から工事段階に至るまで、さまざまな創意工夫を努め、大幅なコストダウンを図っていますので、今回の条例の施行によるコスト増についても、こうした建設コスト縮減の中で吸収できると、こんなふうに考えてございます。
一方、特に副委員長ご指摘の民間施設でございますけれども、まず条例制定の趣旨を説明しまして、だれもが必要なということで、バリアフリー化の推進にぜひ協力をいただきたいということを説明すると同時に、優遇措置としての低利融資制度とか税制上の特例措置、容積率の緩和等、こういった制度もございますので、こんな制度の活用を推奨していきたいと思います。
○野島委員 コストをどう吸収していくかというのは、それぞれ事業主が考えなきゃいけない部分だと思うんです。都の場合は当然、さっき申しましたような枠組み、市町村の場合もそういう形でやっていくと思うんです。
これは虫眼鏡で見なければわからないような話なんですが、例えば学校整備をしましょうというふうになったときに、あれは当該市町村と都の金も出てくる、国の金も出てくる、こうなりますよね。国の方は盲・ろう・養護は対象になりますよと、恐らく支援教室、特別支援制度という、今、教育庁が取り組んでいるものなんかでも、そういうケースは結構出てくると思うんです。それは当然やっていくと思うんですが、虫眼鏡で見なければわからない話ですが、制度の枠組みとして、例えば学校全体が一〇〇かかると。バリアフリー化を国の義務は盲・ろう・養護ですから、乗っかった部分も国が補助算定に入れますよと。しかし、都がやっている条例は国より上乗せしているわけですね。その上乗せ単価というのは、国は補助採択基準にないからやりませんよとなると、市町村の持ち出しになるわけですよね。金額的には虫眼鏡で見る話ですよ。制度のそういう問題点もあると思いますので、今後、各方面に十分気配りしながら、とりわけ私は、特別支援教育というのが動いていくと、学校の整備というのが、バリアフリー化に向けてやっていかなきゃいけない部分がかなり出てくると思います。そんなところも視野に入れながらご検討いただきたいと思っております。
そこで、民間の関係だけお伺いいたしたいと思います。過日の本会議で都市計画局長の方から、今も答弁ありましたように三つの柱がありました。そういうことで事業主に意識を高めてもらう必要がある。それから、建ぺい率等でインセンティブを与えるようなことも考えていかなきゃいけない。それから、今いった税制上の優遇措置等と、こういう話でありました。
そこで、建ぺい率とか何とかというのは資料を見てわかりました。意識を高める、これは当然でありますから、これは数量化できる問題ではないですから、しかとそのまま受けとめるしかないだろうと思っているんです。
税制上の優遇措置と、こういわれているんですが、これはどんな形で実現していくのかというふうなところをちょっとお尋ねしたいと思います。
○野本市街地建築部長 建築物のバリアフリー化を促進するための税制上の優遇措置ですけれども、質の高いバリアフリー対応がなされたということで認定された認定建築物というんですけれども、この認定建築物で昇降機を設けた二千平米以上のもの、こういったものにつきましては、所得税、法人税が五年間にわたり一〇%割り増し償却ができるという税制上の特例措置が受けられます。
○野島委員 わかりました。
何をいいたいかといいますと、今のお話、あるいは建ぺい率の関係もそうなんですが、資料には、支援措置として、ハートビル法に基づいて国が行っている支援措置の内容と、こういうことなんです。これはすなわち、ハートビル法の中の枠内で割り増し償却をやるということは、キャッシュフローがそこで豊かになるから、事業にも取り組みやすいですよと、あるいは割り増し償却をやることによって最終利益が圧縮されますから、実効の税が落ちますよと、こういうことだろうと思うんです。それはそれでいいと思うんです、国のやっていることですから。東京都は、東京の地域性を踏まえて、上乗せして、横出ししたわけです。この分は今段階で何も出てこないですよね。今後の検討課題ということで、ぜひ提案もしておきたいと思うんですけれども、例えば社会福祉施設というのが対象になってきますよね。グループホームをもっとふやさなきゃいけないとか、いろいろな課題がありますけれども、あの場合に、東京都の条例でかかったよという場合でも、社会福祉施設の事業主体が、たしか所管局は福祉局になるのかな、あれは事業主体が市町村とか社会福祉法人とか限られているんです。それ以外の人がやりますと、一般的な建築物で寄宿舎になっちゃう。
そうすると、法の中でやっている部分はいいんですけれども、そうじゃなくて、今、民間参入が相当進んできているんですね。そういうところは税制上の恩典が全くないです。そこに税制上の恩典が当てられるとするならば、例えば不動産取得税は都税ですよね。不動産取得税についてそこそこ面倒を見ていこうとか、あるいはランニングコストとしては固定資産税、都市計画税があるわけです。そうすると、そういういい建物をつくっても、割り戻しでやりますから、現行の国の制度の割り増し基準に入らないんです。じゃ市町村が独自にやるかということも、僕は一つの課題だと思っているんです。
そんなところも、いろいろ各局間の関係もありましょうけれども、ぜひ今後条例施行して、ある段階で見直ししていく、あるいはインセンティブを与えていく、こういうことの中でぜひ検討していただきたいと思っております。
それから、建ぺい率の上乗せ分については、この資料でもうたわれておりまして、容積率の特例と、こういうことでございます。バリアフリー化しますから、その分だけそれが食っちゃうわけですから、トータルとして、それをやるためにふやしてくれ、この気持ちはよくわかると思いますし、一定の基準を持ってやっていただけるものというふうに思っていますけれども、実は建築物で二千平米以上の建物とか、学校の場合は全部とかありますね。あるいは物販施設が幾つとか、そういうときに、よくやってくれているからやりますよというのは、僕は建築相隣関係というのは物すごく難しいと思うんです。だからこそ、あれだけいろいろなマンション紛争なんか出てきているわけです。あるいは建物を建てるのに紛争が出てきている。そのとき、それだけで建ぺい率がわかりましたと、これはハートビルの精神に基づいているから結構ですよというのは、正直なところなかなか困難な話だと。
そういう場合に、むしろトータル的に、冒頭申し上げました福祉のまちづくりということで、更地につくるのか、あるいは改修するのか、いろいろなケースはあると思います。例えばそういう中で、建物敷地と外との段差も解消しちゃうとか、そういうトータルな中で考えていって、そのことは、すなわちそこの建ぺい率、容積率が上がるというのは、事業主にとってプラスなわけです。利用者にもプラスですけれども、もっと公益的な意味で考えられる範囲で、さっき中嶋理事の方から、こういうことで今まで点と線でやっていたのが、こういう形で面的な形により使用できるのではないかというご指摘だったというふうに理解をしているんですけれども、そういう中での助成策みたいなものを私は考えていっていただきたいと思うんです。
条例の施行が、たしか来年の七月ですよね。ですからまだ期間がありますし、都も財政事情が厳しいですから、それではわかったと、所得税の減免なんていうと歳入が落ちますから、財政当局は何を考えているんだという話になるかもしれない。あるいは僕は、めったやたら補助金をどんどん出してくれ、そんな話をしているんじゃないんです。いったように、これだけの容積ではなくて、全体としてトータル的にできるのであれば、福まちで持っている助成策か何かあるはずなんです。敷地面とアプローチの間の段差の解消についてどうするとか、恐らくあると思うんです。そういうものをトータル的に考えて、ハートビル法に基づき、福まちの大きな理念の中で助成をしていくということになれば、この条例のうたっている東京の特殊性にかんがみ、かつ今日までの成果を踏まえ、より使用していくという中嶋理事の指摘にも、私は合っていると思うんです。そういう制度の枠組みを、今後ぜひ考えていただきたいというふうに思っています。
そのためには、ある段階で、いい事業があったとするならば、むしろ福まちの趣旨を生かしたバリアフリーの面的整備に対して、今回のハートビル法の上乗せ、横出しがこういうことで機能を発揮するというモデルがあっても僕はいいと思うんです。
そんな気持ちで取り組んでいただきたいと同時に、最後に、実は資料の中で、ハートビル法に基づいて国が行っている支援措置の内容と、こういうふうになっていますが、ぜひそんなことを検討していただきながら、何年か先に資料要求したときに、ハートビル法に基づいて都が定めたハートビル条例の上乗せ、横出しに基づき支援措置をする内容と、こういうものがばっと出てくるような、そんなことでこの条例の運用に当たっていただきたいと強く希望いたしますが、もし局長なり次長さんなり担当部長さんのご見解があればお伺いしておきたいと思います。
○勝田都市計画局長 ハートビル法の関連につきましては、おおむね大変好意的にとらえていただいておりまして、私どもの方も、だれでもが使いやすい施設をつくっていく、こういうことで一歩踏み出して、さらにそれを充実したわけでございますけれども、今ご指摘ありましたように、まだまだこれから充実していくべきことというのはあろうかと存じます。また、今、大変いいご指摘をいただきまして、スポット的な点の問題から、もう少し広域的といいますか、そういった観点に目を広げて、そういうもので少し検討を広げたらどうかと、こういうようなご示唆もいただきました。
そういう意味で、より使い勝手のいい制度にしていくということは、大変大事な点だと思いますので、まずはこれでスタートを切りたいと思っておりますけれども、不十分な点については、そういった検討を十分に加えまして、さらに発展させていきたいと考えております。
○樋口委員 まず初めに、高齢者、身体障害者等が利用しやすい建築物の整備に関する条例についてお伺いさせていただきたいと思います。
今回このような条例ができたということは、ノーマライゼーションに近づくためにも大きな前進だったのではないかと私は思っております。しかし、それが果たして整備されているか否かということは、今後しっかりと検証していかなくてはならないと思います。
と申しますのは、確かにバリアフリーの建物ができました。だけれども、その後どのような使い方をしてきたか。廊下も階段もエレベーターもアプローチも、すべてバリアフリーになっているものの、その後、荷物が置かれたり、またドアがあけっ放しになって、それが障害物となってバリアフリーにならなかったり、また改造されてしまったり、そのようなことがあるのではないかと私は懸念をしております。
守られているか否か、今後どのように検証していくんでしょうか。そして、それが守られなかったとしたらば、守っていただくためにどのような方法や、また罰則規定なんかがあるんでしょうか、お教えください。
○野本市街地建築部長 バリアフリー整備後の建物の維持保全に関する取り組みでございます。
バリアフリー対応した箇所を適切に維持保全することは、高齢者や障害者等の安全と円滑な利用のために大切なことでございます。このため、ハートビル法を根拠としまして、定期的な報告あるいはそれに伴う立入検査の規定が設けられてございます。都といたしましては、こういった定期的な調査、報告のシステムをこれから構築するということを考えていまして、適切な維持保全を確保するために、今後とも積極的に対応してまいります。
○樋口委員 確かにこのような形でいろいろと検証していただくということはありがたいことでございます。
ただ、結局のところ、私たち自身のモラルの問題のようにも考えられます。この条例を徹底的にすることによって、もしも違反するような建築物をそのまま放置していたら、私たちの方が恥ずかしい、こんなことではいけないというような社会をつくり上げていくためにも、この条例に沿ったきちっとした徹底をしていただきたいと願っております。
この条例は、先ほども申し上げましたけれども、大きな前進だと私は評価をさせていただいておりますが、さまざまな障害をお持ちになられた方々にとっては、ややもするとまだ不十分だというご指摘も多々ありました。
私も、そこの中で一つ指摘をさせていただきたいのは、非常時、つまりテロだとか地震だとか火事だとか、そういったときのことについては、全くといっていいほど考えていただいていないように思われます。例えば音声で施設内の誘導をするとか、とても大切なことなので、この条例はまだまだ不完全であると思われますので、今後つけ加えていただけたらと願っております。今後の課題としてとらえていただきたい。健常者だけで考えるのではなくて、その場においてさまざまな障害をお持ちでいらっしゃる方、そしてその障害をお持ちでいらっしゃる方々の介護をされる方の立場も考えて、できれば同じテーブルに着いて、実践的な条例をつくる取り組みをしていただきたいと思います。
さて、八ッ場ダムについて質問を続いてさせていただきます。
大変白熱した議論が先ほどから行われております。私ども民主党の議員も、今も初鹿議員、そして花輪議員ともに傍聴に来ておりますが、私どもは当然、この八ッ場に出向きまして視察をしてまいりました。そして、きょうの議論、また昨日、一昨日、代表質問、一般質問ともに、この八ッ場について議論がなされておりますが、まだまだ議論は尽きないと思うんです。こんなに早急に決めていいのかというのが私の率直な意見でございます。
また、今は少し少なくなりましたけれども、先ほどまでは大変多くの方々の傍聴人にもおいでいただきまして、一時議論が中断されるような場面もございました。つまりこれだけ関心が深くなってきた。といっても、ついこの間出たばかりの、私たちに知らされたばかりのものであるにもかかわらず、これだけ関心があるということは、もう少し長い間、時間をかけて議論をするべきなのではないかと思っております。多分、このテーブルに着いている皆様方は現地に赴かれたかとは思いますけれども、やはりもっともっと深めていくべきなんじゃないかと考えております。
そして、その議論の中で、当局の方に皆様方がご質問され、その答えも私はじっと聞いておりましたけれども、その答えにいささか不満足のものも幾つもありますし、お互いにわかりにくい部分がたくさんあるのではないかと思われるところも多々あります。
そういったところを、きょうは省かせていただきまして本題に入らせていただきたいと思うんですが、このダムについてですけれども、今までダムの賛否、また、ダムにかわるものがあるのではないだろうか、中水だろうか、地下水だろうか、また、出ていなかったように思いますけれども、雨水利用ということも考えられると思いますが、その中で一つまだ出ていないものがあるんです。それは、太古の昔から行われております雨ごいです。
雨ごいといいますと、新しい次元で考えさせていただきたいと思うんですけれども、一体樋口ゆうこは何をいい出したんだと、そう思われるかもわからないんですが、その雨ごいということをぜひほかの観点から考えていただきたいと思うんですが、二〇〇一年、今から二年前の夏、暑かったんですよね。思い出してください。あのときは大変な暑さでした。関東地方一都五県で、利根川水系で一〇%の取水制限を行ったときでございます。東京都は多摩水系の小河内貯水池の貯水量を確保するために、奥多摩と山梨に設置しております人工降雨装置を稼働させました。
少々詳しくご説明させていただきますと、沃化銀、アセトン溶液を燃焼させまして、それを煙にして上昇気流に乗せて、そして待つ。その人工降雨というのは五年ぶりに降ったわけなんですけれども、そのときの人工降雨作戦の際、小河内貯水池周辺で最高四二・五ミリの大雨が降ったんです。石原慎太郎知事は、洪水になるかも、画期的だと賞賛されたそうでございます。そのときに大雨洪水警報も出たんです。
さて、そこでお伺いをさせていただきます。この現代版雨ごいの儀式、このときに用いられました沃化銀なるものは一体どういうものなんでしょうか、お尋ね申し上げます。
○南雲都市づくり調整担当部長 一般に人工降雨とは、雲に人工的な刺激を与えまして降雨の量を増加させるものでございますけれども、この沃化銀による人工降雨システムは、沃化銀を発煙させて雲の中に入れまして、氷の結晶をつくることによりまして降雨を増量させる方法でございます。
東京都の水道局におきましては、今ご紹介ございましたけれども、この方式を採用いたしまして、小河内ダムにおいて実験しておりますけれども、区域や期間に制約がいろいろございまして、東京都の水源として必要な水位を確実に得ることは難しいのではないか、そういうふうに結論づけているところでございます。
○樋口委員 ところが、六六年でしたか六七年でしたか、はっきりした数字、もしかしたら違っているかもわからないんですけれども、二基の人工降雨機が備えられているんですが、もう何百回も使っているんです。
それはさておき、最近では地球規模で異常気象が大変多発しております。日本に直接影響があるものに、ラニーニャ現象だとかダイポールモード現象だとか、二つの大きな要因があるんですけれども、そのために、今までの過去のデータでは考えつかないようなことが多々起きております。つまり、過去のデータに基づいて物事を話しちゃいけないということだと私は思っております。
一昨年、二〇〇二年のイタリアは、三十年来の最悪な干ばつに見舞われました。一部で非常事態宣言が出たほどです。そのために、飛行機で沃化銀を散布して、しかも広範囲に雨を誘発するように、何と閣議決定しちゃったんですよね。常に雨が不足しているイスラエルでは、ごく当たり前にこの沃化銀で雨を降らすということをやっているそうでございますけれども、それなりの結果がこのイタリアでも出たという話を聞いております。
確かにお金はかかります。予算は千万ユーロ、このときの算出ですと十一億七千万円をかけて、イタリアでは南部、西部で実施したそうなんですけれども、それよりももっとお金がかかってしまった。それよりもひどい干ばつのために、この内閣では六億七千万ユーロ、七百八十億円を緊急に支出しているんです。つまり、それだけひどい干ばつだったからこそ、これだけのお金をかけて広範囲に雨を降らせようとした、そしてそれがある程度成功した、そういうような状況であります。
本当は、そのあたりのことをお伺いさせていただこうかと思っていたんですけれども、まだまだこのことは世界的にも先進的なものですから、資料がなかなかそろわないということで、私はそのままお話をさせていただきたいと思います。
つまり、世界では沃化銀によって人工雨をつくるということは、ごく当たり前のことになりつつある状況なんです。また、二年前の二〇〇一年三月には、新潟と群馬との間の県境にあります越後山脈の上空に小型飛行機による人工降雪実験が行われました。細かくクラッシュしたドライアイスを飛行機でばらまいて、そして急激に冷やされた水蒸気が氷の結晶となって、その氷の結晶が雪になって降るという。単純計算をしますと、これが成功していくとしますと、二十キロのドライアイスで何と四十八万トンもの雪を降らせることができるそうであります。
先ほどご答弁にありましたけれども、都民が一日に使用する、あるいは河川から取り上げる水量というのが四百五十万トンといわれておりますので、十分の一以上の雪が降るという形でございます。この実験は、首都圏の渇水対策として行われた実験であります。このような気象コントロールは、現在三十カ国で行われております。
また、中国では正式に人工増雨計画、増雨ですから、雨が降っているときに沃化銀をまくことによって、よりふやすという実験ですけれども、それがスタートして、来年には実用ということになりつつあると聞いております。
ただ、それにはもちろん、地形だとか雲の位置だとか、いろいろな形で気象状況だとか環境だとかがこれからの大きな課題になってきますけれども、これからは、もしかすると雨ごいの時代なのかもしれない。コンクリートよりも雨ごいでコントロールするようになるのではないだろうか、そのように考えております。
ただ、ここでぜひ警鐘を鳴らさせていただきたいと思うのは、沃化銀のことでございます。沃化銀の安全性について、私は今まで救世主は沃化銀だというようなことを申し上げておりましたけれども、その安全性についてもやはり検証していかなくてはならないと考えております。
その沃化銀の毒性については、関東化学MSDSによれば、毒性などのデータはないとしております。産業技術研究所の北海道研究所の研究者の論文サマリーでは、安全性はわからないとしています。関東化学MSDSでは、環境影響データはない、しかし沃化銀を、ここからなんです、強熱すると有毒な煙霧とガスを発生するというデータが出ております。というと、小河内ダムの沃化銀の散布はアセトンとともに燃焼を起こすということですから、この毒性については今後検証していかなくてはならないのかななんて思っております。
ただ、海外の沃化銀のまき方、例えば中国ですと、ロケットで打ち上げて、それでばらまくという形なんです。またイタリアでも、燃焼させるというやり方ではなく、飛行機からばらまくという形です。ですから、沃化銀あるいは沃化銀にかわる物質を研究するということもこれからの課題なのではないかと思っております。
幸いか不幸にか、このダム完成予定年数が二十二年ということでございます。といっても、そのころには、もしかするとダムは不必要になっているかもわかりません。これからは、コンクリートよりも、自然の恵みをいかに少しだけ利用させてもらって私たちが水を得る、そういった時代になっていくのかもわかりません。ぜひしっかりとした検討をしていただきたいと思います。
化学的な雨ごいというものも考えて、ぜひこれからも八ッ場ダムのことを考えていただきたいと思います。もしご所見がありましたら、梶山技監あるいは局長、どちらでも結構でございますので、ご所見があるようでしたらお伺いさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
○梶山技監 急なご質問でございますので、何を話していいか、今、頭の中でずっと整理しておりますけれども、大変貴重なご意見をいただいたので、こういうやり方もあるのかなというのを私の頭の中に入れて、今後いろいろ検討させていただきたいと思っております。
○かち委員 私の方からは、高齢者、身体障害者等が利用しやすい建築物の整備に関する条例案について若干質問させていただきます。
高齢者、障害者、子育てしている人々など、だれもが住みなれた地域で自立して生活できる条件整備は、強く都民に期待されてきているところです。これまでにも障害者の皆さん、関係者の皆さんの運動があり、都民世論の高まりの中で、ことし四月にハートビル法が改正されて、それに基づいて今回条例提案ということになったわけですけれども、問題意識が大変似通っておりまして、質問についてはかなり省きますけれども、二、三お聞きします。
ハートビル法も既にできていたんですが、今までは指導とか助言という状況にあったわけですが、ことし四月からこれが義務化される、こういう中で東京都も横出し、縦出しということで条例づくりになりました。それに重なる建築安全条例の部分については省くということで、今回提案されているわけですが、並行している福祉のまちづくり条例の位置づけ、それから整合というのは、このハートビル条例との関係ではどのようになるんでしょうか。
○野本市街地建築部長 福祉のまちづくり条例と新たなハートビル条例との関係でございます。
福祉のまちづくり条例は、福祉のまちづくりに関する基本的施策や建築物、道路、公園、公共交通施設などの整備で幅広く規定しておりますけれども、建築確認の手続によらず、届け出、指導、勧告という緩やかな手段をとっているということです。
それで、ハートビル条例との関係でいいますと、ハートビル条例の方で建築確認の手続をしていただいたものは、福祉のまちづくり条例の方の一連の届け出であるとか指導とか、そういった手続を免除されると、こういうことになってございます。そういうことで一元化しているということをご理解いただきたいと思います。
○かち委員 そうしますと、福祉のまちづくり条例そのものについては変更はしないで、建築確認をするということになると、届け出をしなくてもいいと、自動的になるということですか。そうですか。
それで、本条例案は、法に基づいてバリアフリー対応を義務化する対象建物に、今度は条例では学校や共同住宅、社会福祉施設、社会福祉施設といえば保育園とか老人ホームとか、そんなものが入ってくるだろうと思いますけれども、病院なども入るようですが、対象規模要件を引き下げて、法律では二千平方メートル以上が対象であるけれども、条例によると、病院や学校や官公署等、それらはすべてを対象とすると。それから五百平米以上の物販店舗とか、千平米以上の映画館、劇場、集会室、それから二千平米以上の共同住宅というようなことに、四種類に分けられるわけです。
中でも、学校や病院や社会福祉施設などはすべての規模を対象にするとあります。すべてそういうものをつくるときには、このバリアフリー基準が義務化されるということになるわけですけれども、新築とか増改築は対象になるということですが、これは利用者にとっては大変望むところではあるわけですけれども、一方、事業者にとっては相当の負担のかかることでもあると思うんです。
これらを円滑に進める上では、やはり一定の支援策が必要だと思うのですが、資料を出していただきましたし、先ほどの答弁にもありましたし、本会議でもありましたけれども、法に基づく支援措置があるから大丈夫だというような答弁がありましたが、これをよくよく見ると、本当に使えるのかなという疑問がわいてくるわけです。五種類のいろいろな制度があります。そして欄外に認定建築物という規定があるんですが、この認定建築物というのはどういうものを指しているのか、また、条例で義務化する小規模建築物などは、この中のどういうものが利用できるのでしょうか。
○野本市街地建築部長 認定建築物の定義はハートビル法で規定されておりまして、法律で定められた、いわゆる義務化された最低基準を上回っているという、質の高いバリアフリー対応がなされたということでチェックを受けまして、それが合っていれば認定するということで、認定建築物となると。認定建築物になりますと、先ほどから何回かお話をしていますけれども、低利融資とか税制優遇と、この認定を受けないとこの優遇は受けられないという意味を持ってございます。
それで、小規模建築物に先ほどからの優遇措置が使えないんじゃないかということなんですけれども、小規模な建築物でありましても認定建築物となりますれば、低利融資とか容積率の特例、こういった優遇措置は受けることができます。
○かち委員 容積率の特例というのは、二千平米以上でなくても受けられるというふうに解釈していいんですか。そうですか。
しかし、今いわれたように、認定建築物というのは、義務化された最低基準をクリアしていたのではだめであって、それを上回るものということで、例えば廊下などは、義務化では百二十センチ以上なければいけないけれども、それでは支援の対象にはならなくて、百八十センチ以上の幅を持った場合とか、基準よりもかなり上回った基準をクリアした場合に表示制度が使えて、マークがもらえて、いろいろな制度が使えるということであって、一定の大きな共同住宅だとかスペースを持っている建物をつくる場合には、そういうことも可能性はあると思うんですが、狭い土地の中でぎりぎり何とかやろうという、とりわけ社会福祉施設などというものがこれをやろうとすると、かなり負担がかかってくる。しかも支援措置を受けることが困難だという状況も生まれるということが危惧されるわけです。
そういう意味では、小規模な建築物であっても支援措置をとれるような、先ほど、条例制定の場合はできないのではないかというお話がありましたけれども、そういうことも含めて支援措置をぜひ考えていただきたいと思います。
法律では、一定規模以上の建物を義務化の対象にして、支援措置もそれに対応しているわけですけれども、条例の場合は、義務化する対象を拡大しているにもかかわらず、そこに対する支援措置の手当てがないというのは、少し不十分ではないかと思います。
条例案の整備基準などを見ると、中嶋委員の質問がありましたので、これは質問は省きますけれども、車いす対応に即したような、どちらかというと肢体不自由を対応にした基準になっているんですね。そういう意味では、他の障害、聴覚とか視覚障害とか、そういう障害対応というものも考えていただきたいと思ったのですが、これは条例の運用指針の中で盛り込んでいかれるということなので、ぜひそこに期待したいと思います。
こういうことをつくっていく場合に、当該者の方々の支障ですね。さっき、右がいいか左がいいかという話もありましたし、視力障害の弱視の人、それから色覚異常の人、それぞれまた色も違うわけです。それから、例えば駅舎では、エレベーターやエスカレーターがあるんですが、建物の中にもエスカレーターがありますよね。駅舎の場合には、視力障害で歩いている人は、エスカレーターは危ないからといって点字ブロックがついていない場合があるんです。大江戸線なんかもそうですけれども、でも自立して歩きたい場合には、エスカレーターにも乗りたいわけです。そういう人も乗れるように、点字ブロックをエスカレーターの前にもつけるとか、そういう細かいことも含めて、それから、文字が読めない人もわかりやすい記号、表示、こういう情報バリアフリーなどという視点でも、ぜひ指針の中で盛り込んでいただきたいと思います。
義務化ということが入ってくるわけですが、そうしますと同時に罰則規定もあるのではないかと思いますけれども、それはどのようになっているのでしょうか。
○野本市街地建築部長 新条例で対象となる建物につきましては、バリアフリー対応の整備をすることが義務づけられたということでございますけれども、具体的には建築確認申請の中でチェックさせていただくと、それで大半は防げると思うんですけれども、それでも条例に違反した場合には、ハートビル法に基づく是正命令を出しますし、是正命令を出してもいうことを聞かないという場合には、最高百万円までの罰金を科すこともできると、そのような仕組みになってございます。
○かち委員 条例の中にはうたわれていないんですけれども、法律が適用されるということで、百万円以下の罰金というものがついてくるわけです。
先ほど来の話では、今までは百三十件ぐらいだったものが、この条例制定によって二千六百件というように一気に進むだろうという話もありましたけれども、実際に事業者側にとってみるとなかなか厳しい問題でもあります。とりわけ小規模事業者のところへの負担というのは、かなり大きなものがあるというふうに思いますので、ぜひその辺を考えていただきたいと思います。
あと、法律や条例で個々の建物、とりわけ新築については整備されつつあるのですが、高齢者や障害者の方々にとっては、まちの中で地域の中で生活するのは、大半は既存のコンビニやスーパー、美容院、病院など小規模な既存建築物が圧倒的に多いわけです。こうした既存建築物に対してどう考えているかと聞こうかと思ったんですが、ガイドライン作成中ということなので、こうした既存の小規模建物へのバリアフリー対応ということもぜひ盛り込んでいただきたいと思います。
意見としては、ことし一月に東京都がインターネットでモニターアンケートをとった中で、東京のバリアフリー化の進みぐあいについては、まだバリアフリー化が進んでいるとは思わない、ほとんど進んでいないというのが七七・八%、ですから進んでいないと答えた人が大半を占めているわけです。また、福祉のまちづくりを進めていく上で、今後、都はどのような取り組みをすべきかの問いに、公共交通機関の整備やだれでもトイレの設置が二〇・一%、建物、道路、公共交通機関を相互に移動利用しやすくするための連続性のある一体的、面的な整備を望むが一九・五%で、いずれも一位、二位を占めています。
今回の条例は、こうした都民の期待にこたえる上で一定の実効性をもたらすものであると思います。しかし、小規模事業者への支援策、あらゆる障害や対象にも対応できるユニバーサルデザインの導入、既存小規模事業者へのガイドライン作成など課題も多くあります。これらのことを積極的に取り組んでいただきたいということを要望して、質問を終わります。
○高橋委員 後半になりましたので、若干重複する場面がありますけれども、質問させていただきます。
私から、付託議案第二百二十三号議案、高齢者、身体障害者等が利用しやすい建築物の整備に関する条例、ハートビル条例関係につきましてお尋ねさせていただきます。
それぞれいろいろご発言ありましたように、東京は全国でも最も多くの高齢者が暮らしております。都市機能の集中、人口が集中する中で、だれもが暮らしやすい社会の形成が必要であります。一方では少子化がますます進行する中、子育て支援への取り組みは急務となっております。このような東京の現状に対応するには、法律による全国一律の仕組みでは対応し切れないのが実情であると思います。
今回の条例は、東京の持つ課題に対処すべく、都独自の視点からバリアフリーを進める上で大変重要な取り組みだろうと考えております。そこで、今回の条例の具体的内容とその考え方、条例の実効性の確保という点でお伺いさせていただきます。
最初に、今回の条例が制定されることにより、法律のみでの取り組みに比べ、例えば共同住宅やスーパーなどの物販店舗では、バリアフリー対応された建物がどの程度増加すると見込まれているのか、まずお伺いいたします。
○野本市街地建築部長 条例が制定されることにより、法律のみの取り組みに比べ、バリアフリー対応の建物がどの程度増加するかということですけれども、平成十四年度の建築確認件数で試算してみました。
まず共同住宅ですけれども、共同住宅は法律では対象としてございません。条例で対象とすることによりまして、年間約千五百件がバリアフリー整備されると、こんなふうに考えてございます。
それから、スーパーなどの物販店舗ですけれども、法律のみの取り組みでは年間約七十件が整備されるだろうと。条例で対象を拡大することによって年間百八十件ということで、二・五倍の整備が見込まれると、こんなことを期待しております。
○高橋委員 次に、対象規模の考え方についてでありますが、法律では建物の種類にかかわらず、一律二千平米以上を対象としているのに対し、条例では、対象規模を建物の種類に応じてすべての規模、五百平米、千平米と引き下げておりますが、規模の設定と考え方についてお伺いいたします。
○野本市街地建築部長 対象規模の考え方でございますけれども、病院、学校等は公共公益性が高いということから、特にバリアフリー化の必要性が高いということで、すべての規模を対象とすると、こういうふうに考えました。また、スーパー等の物販あるいは理髪店、クリーニング店等のいわゆるサービス店舗、こういったものは生活に身近で地域に密着しているということで、高齢者等がよく利用するということから五百平米以上を対象とすると。さらに、劇場、ホテル、こういったものは不特定多数の方が利用するということで、少し大き目の千平米以上を対象とすると、こういう考え方で規模を設定してございます。
○高橋委員 次に、条例では、バリアフリー化を講ずべき部分について、例えば出入り口の幅を八十センチから八十五センチにしたり、廊下の幅を百二十センチから百四十センチにするなど、法律よりも整備基準を強化しておりますが、それはどのような考え方に基づいているのかお伺いいたします。
○野本市街地建築部長 法律では、高齢者や障害者等が建物を利用するための最低限の基準を定めております。条例では、これらの人々がより安全で使いやすいようにと、こういった考え方で整備基準を設定してございます。
例えば、今お話のございました廊下の幅でございますけれども、法律で定める百二十センチでは、人が横向きにならないと車いすとすれ違いできないということでございますけれども、条例の方で定めた百四十センチになりますと、人と車いすが正面を向いたまま交換できると、こういったことでございます。
それから、出入り口の幅につきましては、法律で定める八十センチですと、車いすを操作して通過するための最低限必要な寸法ということなんですけれども、これを条例で定める八十五センチにしますと、ひじが壁にぶつからないための余裕と、それから、多少振れますので、その振れ幅を考慮して、安全で支障なく通過できる寸法と、こういうことでございます。
○高橋委員 そこでお伺いいたしますが、法律より規制を強化したわけでありますから、建築主に対して負担をお願いすることになると思います。条例化することにより、建築費用などコストはどの程度増加するのか。また、建築主の理解を得てバリアフリー化を促進するためには優遇措置が必要であると思います。具体的にどのような対応を考えているのか、お伺いいたします。
○野本市街地建築部長 バリアフリー化に伴うコストの増加ですけれども、共同住宅を例にとりますと、エレベーターの設置を伴う場合でおおむね二、三%、エレベーターの設置がない場合はおおむね一から二%ということでございます。
それから、バリアフリー化促進のための優遇措置なんですけれども、まずバリアフリー対応を行う建築物は、日本政策投資銀行あるいは中小企業金融公庫等による低利融資制度がございます。それから、質の高いバリアフリー対応がなされていると認められた、先ほどから何回かいっていますけれども、認定建築物で昇降機を設けた二千平米以上のものについては、所得税、法人税が五年間にわたり一〇%の割り増し償却ができるという税制上の特例措置。それからさらに、認定建築物でバリアフリー対応のためにトイレや廊下、エレベーターなどの面積が増加したものにつきましては、延べ面積の十分の一を限度に容積率の緩和を受けられるということでございます。特に容積率の緩和につきましては、先ほどから何回かお話がありましたが、都独自ということなんですけれども、容積率の緩和につきましては、都独自の運用指針を設けまして積極的に運用してまいります。
○高橋委員 次に、条例化した内容はどのように担保していくのか。罰則なども含め、条例の実効性を確保するため、どのように取り組んでいくのかお伺いします。
○野本市街地建築部長 新条例で対象となる建物につきましては、先ほどから何回かお話ししましたけれども、建築確認申請でチェックをすると。それで、違反をした場合は是正命令あるいは罰金というもので担保していくということでございます。
こういった実効性を確保するためには、いわゆる義務的なものだけでなく、条例の内容を説明したパンフレットや条例の運用指針を盛り込んだハンドブック、こんなものを作成しまして、障害者団体や関係する事業者団体に説明を行いまして、制度の普及促進に努めてまいります。
○高橋委員 最後に、要望を含めまして意見を申し上げます。
今回の条例は、東京都のバリアフリーを進める上で本格的な展開の第一歩であると考えます。この条例には示されておりませんが、高齢者や障害者等の健康を保持するための行動範囲を拡大するために、例えばコンビニエンスストアなどの身近な店舗にだれもが利用できるトイレを設置したり、寝たきり等の高齢者や障害者等に対する災害対策を講ずること、さらに、国際化に対応するため案内や標識等を複数言語により表記するなど、まだまだ課題は多いと思われますが、今後前向きに取り組んでくれますよう要望して、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○矢島委員 八ッ場ダムの件は、質問は私の聞きたいことはほとんど出ておりますけれども、意見を申し上げながら一点だけお聞きいたします。
最初から聞いておりまして、ちょうどイギリスにPFIの調査に行ったときに、財務省の担当官が、なぜそれが生まれたかという背景で、予算が増大するのと工期のおくれだと、このリスクが公共事業はどうしても出てくるから、民間の方に移転をするために出てきたんだと、こういうような、幾つかある理由のうちでありましたけど、それを国の事業であっても同じ問題を常に抱えているんだなというふうに感じておりました。今回の場合には、人が住んでいるところの移転問題ですから、人跡未踏の地につくるわけではありませんので、この辺の難しいところが議論のかみ合わない部分が少しあるのかなというふうに思います。
私がお聞きしたいと思っておりましたのは、一つはなぜ費用が増大したか、そしてもう一つは水が本当に足りないのかという二つの点でありますけれども、費用の点につきましては、要するにカタログの段階で手を挙げて、買いますよといったようなものでしょうから、水は一つの水利権ですから、後で欲しいといっても、なかなか買えるようなものではありませんでしょうから、行政の責任を考えるときに、それもやむを得ない面も、そのときの判断としてあるかなと思わないこともありません。それだけに、カタログの価格が実際の調査でその金額が出てきた、その内容は別としても、これは十分に精査する必要がありますし、やっていると私は信じておりますけれども、確認の意味でも、その後どうなったか追いかけてみる必要があると思います。この点はご説明でそれなりの理解をいたしました。
それから、水が必要なのかということの点なんですが、ここのところをちょっとお聞きしたいんですけど、水源量、要するにどれだけの権利を持っているかというのと、それと最大配水量、最大どこまで配れるか、一日当たり使えるかという話でしょうけれども、通常考えることになれば、利根川水系の水が少雨化で二〇%減少しているので、それが少なくなっている。それから、五百三十五万立米なんだというご説明だと思いました。それに対して一日どれだけ使うか、平均配水量で考えていきますと、その間に大きな差が出てきます。ですから、これをどういうふうに考えるかということが一つのポイントになろうかと思うんですが、この点はいかがでしょうか。
○藤井次長 東京の水源としては六百二十三万トンあるわけでございますが、そのうち非常に不安定な、不確実な水源が九十四万トンを占めておりまして、水はかん水、ためることによるきちんとした水源確保が必要だと思われます。そのダムの今の供給量五百二十九万トンでございまして、仮に六百万トンに需要を下げてもまだまだ差があるわけでございます。今回建設中の滝沢ダム、それに八ッ場ダムを加えまして、ようやく六百万トンにほぼ近い五百九十八万トンという水源の確保ができる状態になるわけでございます。
それから、六百万トンにつきましてでございますけれども、六百万トンという数字は、通常の平均配水量よりは当然多いわけでございますが、水資源としては、平均給水量ではなくて、一日当たりの最大給水量をターゲットに整備する必要があるわけでございまして、そういったことで、水道局におきましては、一日の平均給水量に一定のそういった安全値を見込んで、今回の六百万トンという数字を出しているわけでございます。その安全値につきましては、ただ安全を見るだけではなくて非常に厳しい見方をしておりまして、今回も安全値については、ある意味で下げたというところがございます。
○矢島委員 今の安全値のところをお聞きしたんですが、具体的な数字が出てきていないんですけれども、平均給水量に、利水権ではなくて、ネットの実際に使える、このくらいだろうという数字が出ていますよね。そこでは、将来のことではなく、現在のレベルからいえば足りないということなんでしょうか。六百万というのはあくまで想定ですよね、いろんな意味での。そこは随分議論がありましたけれども、現在の問題としてはどのくらいが安全値と見ておられるのか。そして、それは将来の数字を見る場合に一つの材料になると思うんですが、そこをお伺いいたします。
○藤井次長 安全値を見込んだ水量でございますけれども、今現在は六百三十万トンという設定、あるいは長期的には六百五十万トンという設定が、今現在の水需要予測の中の数値でございますけれども、今後の人口動向、これは先ほどの東京構想二〇〇〇に基づいた人口推計、さらにこれからの産業構造ですとか経済成長率とか、そういったものを、これからの予測ということで全部数値としては入れたものでございます。それを入れた上で、将来、平成二十五年における水需要をはじきまして、それが一日の平均給水量という設定でございまして、それに先ほど申し上げた安全値を掛けているわけでございます。その安全値につきましては、今の需要の見直しの中では、九一・五%ということで数字的には置いているところでございます。
○矢島委員 見直しの話が出てきましたけれども、見直しもそれなりの根拠で組み立てていかなきゃいけないわけですし、それから、将来を見据えてちゃんと数字を積み立てているんだという話があった、その手順の話だけで具体的な話が何もないんです、今お聞きしているところで。具体的というのは、六百万トンがどうだというよりも、現在の安全値を平均配水量からいってどのくらい見ているか。
というのは、例えば水は、平均的に見てネットの実質的に使える水がありますね、水利権ではなくて。それと平均配水量の間は、いわばダムに余裕があればたまっていくわけですよね、流して捨てちゃうわけではないんだから。単純にそういうことでは済まないところもあろうと思いますけれども、そういうことになると、今のご説明というのは、例えばその安全値というのはストックですよね、全部じゃないけど。だから、水の必要量というのはそこから算定をしていくと、現在、本当に水が足りないのかという議論になってくると思うんですが、もうちょっとわかりやすく、あるいはもう一度ご説明いただけますか。
○南雲都市づくり調整担当部長 先生がおっしゃっている安全値というのは、水源にどの程度余裕があるかというか、その辺の安全値だと思うんですが、それは先ほど来ずっと議論してまいりました、例の六百万トンと六百八十万トンの差ということで、安全値が幾らかといえば、二割を見込みながら、現在水源開発を進めているということになるわけでございます。
○矢島委員 ですから、二割を見込んでいるということは、現在の使用水量にあわせて、二割を見込んでも、それはダムのストックになるわけですよね。ダムの容量を超えた水はなくなるんだから、そういう意味からいったら、幾つダムをつくっても答えは一緒の面がどうしても出てきますよね。
ですから、そういう意味で今のお話はもうちょっとわかりにくいんですけれども、私がいっているのは、将来の水というよりも、現在の水で平均配水量があり、使える水がある、その差はストックになっていくんだから、その二割を見込んでいれば、将来的に考えて、私の認識は、水の需要というのは、さっき循環の問題もありましたけれども、ダム一つの問題として考えるべきじゃないと思っています。都市の財産として、あるいは人が生きていく上での財産として、水の問題自身を有効にむだなく使っていく、それを適切に管理していくという観点がないといけないし、そういうことになると、おのずから水の循環利用という問題が出てきます。設備としてはお金はかかるけれども、水はただという意識がある。しかし、それは価値ある財産だと私は思っています。
ですから、そういう観点に立ったときに、都市計画局としては、ダム単体の問題ではなくて全体の問題としてとらえる中で、その問題を解決していかなければいけないと私は思っていますから、先ほど坂口委員のご質問に、このマスタープランが非常に有効に生きていますという話があったけれども、実際上そういう姿が見えませんので、全体的な観点からぜひ取り組んでいただきたい。
水の二割の件につきましては、お話を伺いまして、私は私の立場で突っ込んで聞きましたけれども、基本的には行政の責任を果たすというところはよくわかっております。ですから、どうしても申し上げたいのは、全体として大きい観点から、ダム問題も常にバックグラウンドをしっかり抱えて取り組んでいっていただきたいし、そうあるべきだと思っているし、そういう意味で、きょうの議論を聞いて私なりに理解はいたしました。
ただ、細かい数字の積み立ての点は、作業部会ではありませんから、なかなか難しいところはありますけれども、基本的な問題としてはそれだけ申し上げて、私の質問を終わります。
○吉野委員 私も質問をする予定でおりました。私ども、この八ッ場ダムの件が出たときに、委員みんなで集まって何度も検討し、勉強して、共通の認識を持ってきております。吉原委員、矢島委員から質問をさせていただいて、それで私どもの聞きたいことはまあまあ聞けたかなという思いを持ちましたので、今回、質問はやりません。
○相川委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○相川委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
○相川委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
○山崎都市基盤部長 一件報告させていただきます。
踏切対策基本方針(中間のまとめ)についてご説明申し上げます。
資料は、お手元2と3、二つございます。説明は資料2の方を用いて説明させていただきたいと思います。
まず、1、はじめにでございますけれども、東京都内には約千二百カ所の踏切が残されておりまして、交通渋滞を初めとしたさまざまな問題が発生しております。そこで東京都は、国際都市としての魅力向上、都市再生の推進を目的としまして、踏切対策を促進するための踏切対策基本方針を策定することといたしました。
この方針を策定することによりまして、総合的かつ計画的な踏切対策の実施を可能とするとともに、関係者の効率的な取り組みを促進していくこととしてございます。
今回、この方針の骨格部分を示します中間のまとめを策定しましたので、その内容についてご説明するものでございます。
2-1の目標時期でございます。東京の新しい都市づくりビジョンの目標時期と合わせまして、二〇二五年、平成三十七年度を目標としてございます。ただし、早期に実施可能な対策については、この前に順次実施していくということを妨げるものではございません。
方針の主な内容でございますが、三点ございます。第一点目でございますが、都内の踏切の中から、二〇二五年までに重点的に対策を実施、検討すべき踏切としまして、現在事業中の連続立体事業等の交差点--踏切を除きまして三百五十カ所程度を抽出する予定でございます。いわゆるこの重点踏切の抽出に当たりましては、一ページの図表の右下にiからvまでの指標がございますけれども、その指標に照らして抽出することを考えてございます。
この指標のうちの、遮断時間が長い、あるいは自動車の交通量が多いというこの二つの指標、いわゆるボトルネック踏切といわれているものでございますが、これにiiiからvまでを加えまして重点踏切として位置づけていきたいというふうに考えてございます。
内容の二点目でございますけれども、選定しました重点踏切の解消を図るために、鉄道立体化の検討対象区間としまして、十五から二十区間程度を抽出したいと思っております。この区間につきましては、鉄道立体化の可能性とその課題について検討していきたいと考えてございます。二ページ、上の図表のiからviiに示す指標を用いて、区間内の合計数など総合的に勘案いたしまして、区間の選定を行っていきたいと考えてございます。
三点目でございますが、ただいま説明いたしました鉄道立体化の検討対象区間に含まれない重点踏切につきましては、道路の単独立体交差、踏切道の拡幅等々、そこにありますような他の対策を検討してまいりたいと考えてございます。
2-3、方針策定の効果でございますけれども、2-3の下に示すように、すべての重点踏切につきましての総合的かつ計画的な踏切対策が促進されるものと考えてございます。
今回は中間のまとめでございますけれども、重点踏切、鉄道立体化の検討対象区間など具体的な箇所の抽出につきましては、最終的な踏切対策基本方針に明示したい、平成十六年度当初に策定したいというふうに考えてございます。
なお、今回、この中間のまとめにつきまして、都民意見の募集を来年の一月十四日までに行う予定でございます。
○相川委員長 報告は終わりました。
これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○高橋委員 私から、踏切対策基本方針についてお尋ねいたします。
昨年、石原慎太郎都知事が定例議会で踏切対策をつくると表明したあらわれかなと思いますが、都内に数多く残されている踏切では、日常的に交通渋滞が発生していることはご承知のとおりであります。これら交通渋滞は、都民生活の不便や物流の遅延をもたらし、緊急車両の通行を妨げるなど、時間的、経済的損失を与えるばかりでなく、都市の活力低下や環境悪化を招いております。そのため踏切対策は喫緊の課題となっております。東京の国際都市としての魅力向上、都市再生の推進のためには、踏切対策を強力に推進すべきと考えております。こうしたことから、我が党はこれまでも踏切対策基本方針の策定を強く求めてきました。
そこでお伺いいたしますが、まず踏切対策基本方針策定による効果についてお伺いいたします。
○山崎都市基盤部長 ただいま、その内容が三点あると申しましたけれども、効果についても三点の効果を期待してございます。
まず、重点踏切を抽出することによりまして問題箇所が明確になる。そのことによって重点を絞って、区市町あるいは鉄道事業者など関係者の取り組みが促進されるという効果を期待してございます。
またあわせまして、鉄道立体化も検討対象区間を抽出することで計画的な鉄道立体化が可能になる。また、立体化に関連するまちづくり、道路計画等の検討が促進されるという効果も期待してございます。
また、三点目としましては、鉄道立体化の検討対象区間以外のいわゆる重点踏切につきましても、早期に実施可能な対策、他の対策を考えることによりまして、すべての重点踏切について取り組みが促進されると、このような効果を期待しているものでございます。
○高橋委員 次に、今後の取り組みについてお伺いいたします。
○山崎都市基盤部長 中間のまとめ、今回公表するわけでございますけれども、これ以降、先ほど申しましたように、都民意見の募集や区市町、鉄道事業者など関係者との調整を経まして、十六年度当初に最終的な基本方針を策定する予定でございます。方針には、各区間ごとの方針、それから課題も記述する予定でございます。方針策定後は、方針の内容に基づきながら、区市町や鉄道事業者など関係者と連絡を一層強化しまして、対策の実現に取り組んでまいりたいと思います。
○高橋委員 最後に、私から意見を申し上げさせていただきます。
踏切対策基本方針の策定は、都市再生を強力に推進すべき今、まさに求められている重要な施策であり、よりよい方針が策定されることを期待させていただきます。
また、十一月二十七日の都市・環境委員会において、一五第二七号の中野区内の西武鉄道新宿線の踏切解消促進に関する請願が趣旨採択されましたが、その西側に位置する私の地元練馬区でも西武新宿線の踏切が十三カ所残されており、地域交通の阻害要因となっております。
また、練馬区内の西武池袋線では、連続立体交差事業の準備中の九カ所の踏切を除き、江古田駅付近から保谷駅付近に合計十二カ所の踏切が残されており、踏切によるまちづくり等の障害をなくすため、石神井公園駅以西の鉄道高架化を実現するよう、区民の皆さんから区議会へ陳情が出され、採択された経過や、練馬区議会本会議での一般質問にも取り上げられております。このような箇所も含め、今後、都内全体の踏切について十分な検討がなされることを期待しておきます。よろしくお願いします。
○坂口委員 三点聞きまして、終わりにしたいと思います。
まず、方向をきちんと出すということについては賛成です。今、高橋理事からもありましたように、請願陳情も採択されているわけですから、具体的に出していただきたい。
そこでまず、今までの実績、それから課題についてお聞きしたいと思います。
○山崎都市基盤部長 これまでも、連続立体交差や道路の単独立体交差を初めとしました各種対策に東京都は取り組んできております。この三十五年間に約五百カ所の踏切を除却してございます。このほかにも踏切道の拡幅、歩道橋の設置等、いろいろやっているわけでございますけれども、都内には依然、約千二百カ所の踏切が残っているという状況でございます。
課題ということでございますけれども、踏切除却を進める連続立体交差事業というのは、効果も非常に大きいものがございますけれども、多くの時間と費用を要するということもございます。そのため、その他の対策も適宜実施しながら、総合的かつ計画的に踏切対策を実施していくことが重要であるし、課題でもあると考えております。
○坂口委員 今回は要求してありませんので、余り議論を深める余地はないんですが、五百カ所でどれくらいの投資が必要だったかというのはやっぱり気になりますね。一カ所十億円だとしても五千億円かかるわけですね。それから、五百カ所整備したということでございますが、三十五年かかっているわけでございまして、単純にさっき計算したんですが、数字的には一年に十四・三カ所ぐらい。それがこれからどう変わるのかということなんですが、さっき部長が説明しました、仮に三百五十カ所を二十二年で割ると十六カ所にしかならないんです。これでいいのか。今まで十四・三カ所で、これから方針を立てて一生懸命やりますと、それでも十六カ所にしかならない、これでいいんですかということをお聞きしたいんです。
○山崎都市基盤部長 私どもとしますれば、今回の踏切対策基本方針というものは、いわゆる事業計画そのものというよりは、それぞれの重点踏切に対する対策の方向性を明示し、その方向に基づいて具体の事業計画を検討していこうと、こんな位置づけで考えているものでございますから、坂口委員おっしゃいますとおり、事業のフレームをここで決め切ってしまうというような位置づけとは直接考えてございません。
ただ、事業する、あるいは計画する側の人間として、必要な事業量を必要な努力においてふやしていくというようなことを考えたいと思うのは人情でございます。
○坂口委員 中間のまとめですから、これはちょっと検討してみてください。一カ所十億円がいいかどうかわからないですよ、僕もついこの間もらって、きょうの議論ですから。一カ所十億円だとしましても、単年度でこれだけで、連立の方は別にして百六十億円ぐらいかかるという話になりますね。そういうことまで踏み込んでいかないと、都市計画局は、前にもいいましたように、知をもって制するというか、お金のない局ですから、やっぱり知恵を出しながら、どうやったら進むかということを考えないとまずい。その目標設定としてはちょっと低いのではないか。
というのは、千二百カ所全部やるとしますと、十六カ所ですと、前にも同じような話をした記憶がありますが、七十五年かかっちゃう。こんなことでいいんですか。重点化して半分の六百カ所やるとしても三十七年かかっちゃう。僕はもうこの世に生きていないですね。それはいいんですけれども、こんなことでいいんですかということになるわけです。
そこで第二番目ですが、この時期で策定する理由、それから方針についてお聞きしたい。
○山崎都市基盤部長 先ほどもお答え申しましたけれども、三百五十全部を鉄道立体というふうなことではなくて、いろいろな対策、総合的な対策を含めて三百五十の重点踏切を考えていきたいと思ってございます。
それから、今なぜこの時期にということでございますけれども、都市再生が喫緊の課題になっておりまして、その一環として踏切対策を進めるというようなことは、非常に重要であろう、大きな課題であろうと。したがって、今回この基本方針をこの時期に策定するということに至ったものでございます。そんなことで、三百五十の重点踏切を絞って総合的な対策、方向を打ち出していきたいというふうに考えているところでございます。
○坂口委員 いただいた答弁書の原稿では、国際都市の魅力向上、さっきの説明の中にありましたよね。それから競争力の強化、都市再生の推進、これらにこたえるため、これはもっともでいいんですが、やっぱり根本は都民の利便性と安全性を確保するということが基本ではないかと私は思います。安全・安心のまちづくりということがいわれますけれども、それらも、中間の答申ですからこれ以上いいませんけれども、きちっと理念を、ポリシーを掲げていただきたい。
それから第三点ですが、当たり前のことなんですけれども、これを実現していくためには、先ほども触れましたが、人、物、金、技術、情報などが必要になりますが、わけても財源の裏づけですね、これがないところに都市計画局の悩みがあるわけでございますので、これをどうやって局長を先頭にきちんと確保していくのか。我々も努力をしないとまずいですね。それが最大の課題。
それから、今回の知事部局といいますか、知事本部から出されている重点施策の中には入っていないように思います。これもこれからどう入れていくのか、あわせて執行体制をどうしていくのか。それから、東京都だけ青筋を立てても事業者がその気にならないとだめ、地域もやっぱり協力をいただかないとだめということになります。そういう大変大切ですけれども、力の要るといいますか、しんどい仕事でもあるわけでございまして、それらに対しまして決意を伺いまして、私の質問を終わります。
○勝田都市計画局長 ご案内のとおり、都内には数多くの踏切が残されておりまして、交通渋滞を初めとしたさまざまな問題が発生しております。この問題解決は容易でない課題でございます。そのために、二〇二五年を目標年度といたしました踏切対策の基本方針、中間のまとめでございますけれども、これを策定することにして、中間のまとめをしたものでございます。
方針策定後には、区市町や鉄道事業者などの関係者と連携を今まで以上に一層強化いたしまして、また、必要な予算を何とかそれぞれ確保しながら、踏切対策の実現に向けた取り組みを行ってまいりたいというふうに考えております。
また、重点施策への位置づけというお話がございましたが、この段階では方針でございますので、より具体的なレベルになった段階で検討するというのが適当かなというふうにとらえております。
○かち委員 私からも中間のまとめについてお聞きします。
資料をいただいて、改めて東京都内にはこんなに多くの踏切が残されていて、ボトルネック踏切も三百五十カ所ということで、この渋滞解消問題は環境対策からしても大変重要課題だと思います。これを計画的に解消を図るためにも、基本方針をつくっていくということは非常に重要なことだと思います。
そこで何点かお聞きしますが、まず今回出された中間のまとめの今後の段取りですが、今のご説明では、都民の意見、関係者の調整を経て、来月、一月の半ばごろまでに意見を聞いて、最終のまとめを来年度当初に発表したいということなんですけれども、そのときにはもう既に具体的な箇所や重点踏切とか立体交差対象区間というようなことで示されるわけです。中間のまとめの意見を聞いたものを反映させてつくるんでしょうけど、改めて、きちんとまとめたもの、具体的な内容を含めたものを出した時点で、もう一度都民の意見を聞くべきだと思いますけれども、その辺はどのようにされる予定でしょうか。
○山崎都市基盤部長 今回、中間のまとめに対します都民意見を踏まえて、最終的な方針を関係者ともどもにつくっていくことになります。そこで一回聞くことになります。
今お尋ねの後の話でございますけれども、先ほども申しましたように、今回の基本方針は、事業計画そのものという性格ではなくて、重点踏切に対する基本的な考え方を示すということでございますので、この方針をつくった後に、この方針に基づいて、区市町あるいは関係者と調整を図りながら、具体の事業計画を固めていくと、こういうことになりますので、その段階で必要な調整等々は生じてくるというふうに考えております。
○かち委員 具体的な箇所数が並べられて、それを具体化するときに関係者との話し合いで調整していくということですけれども、その計画そのものがどうなのか、基本的な考え方について意見を求めるのはもちろんですが、こういう具体的なことを計画的にやっていくということについてどうなのかというのを、都民意見、そして関係者の合意形成というのはどうしても必要だと思いますので、私は、最終のまとめの時点でも都民の意見を聞くべきだと思います。
それから、目標時期を二〇二五年というふうに記されていますけれども、これは何の目標なのでしょうか。全部完成する目標なのか、事業化決定なのか、その辺の目的というか、数値目標とは何なんでしょうか。
○山崎都市基盤部長 先ほど、三百五十の重点踏切を選んで、その中から鉄道の立体化を検討すべき区間ということで、十五から二十を選ぼうということにしてございますけれども、おおむね二〇二五年ぐらいまでを見据えて、そういう立体化等も検討していこうというような目標でございます。
ただ、具体的な数値目標といいますのは、今回、中間のまとめでございますので、本方針をつくる中で具体的に数値化を検討していきたいというふうに考えております。
○かち委員 今のお話では、二〇二五年の位置づけというのがはっきりしないんですけれども、それを見据えて、どの程度具体化できるかということを検討して定めていきたいというようなことなんでしょうか。今は中間段階なので、きちんとまとめるときに、二〇二五年のめどというのを、何をどうするかということを含めて目標にするというふうに解釈しておきます。
それで、対象が三百五十あるという中で、鉄道立体化を検討するのが百から百五十カ所ということで、重点踏切が二百から二百五十カ所ということですが、先ほどもありましたけれども、これを全部やるとなると相当な時間と経費を要するものだと思います。
とりわけ連続立体というのは、私は京浜急行の立体化に地元でかかわってきましたけれども、国の方針もころころと変わりまして、単に渋滞を解消するために立体化するというだけではなくて、やるならば駅広をつくりなさい、再開発をやりなさい、それから側道をつくりなさいとか、どんどん計画が膨らんでいってしまって、そういうことをあちこちでやりながら、それがまた破綻をしていって計画変更しなければいけないとか、いろんな問題が出てくるわけです。
今、一番必要なのは、その地域に住む人たちの利便性、踏切でずっと渋滞をさせられるという状況をいかに早く解決するか、しかもそれは、どこも早くそうしてほしいという思いが強いわけですから、連続立体交差をやるということで、都市再生絡みでどんどん計画を大きくするということは極力避けていただきたいと思います。
そして、最も早く解決できる、重点策の中に幾つか例示がありましたけれども、こういうことでもできるということを、ぜひ年次にかかわらず、即やれるところから足を踏み出していただきたいと思いますけれども、重点踏切の対策を、連続立体の百から百五十カ所というのをもう一度見直しをして、もっと重点踏切の対策の方でもできる可能性も検討しながら、早急に取り組むべきだと思いますけれども、その辺はいかがでしょうか。
○山崎都市基盤部長 お手元の資料2の2-2のところにもありますけれども、二〇二五年までに重点的に対策を実施・検討すべき踏切ということで、二〇二五年までには重点的に対策を実施したり、あるいは検討したりということで、物事を考えていきたいというふうに思っているわけでございますけれども、この鉄道立体化の検討対象区間につきましても、方針策定後に、先ほども申したように、関係者といろいろ検討を進めるわけでございますけれども、その際に、今おっしゃいましたように、鉄道を立体化するための必要な課題とか、そういうことの検討も入りますけれども、検討の一つには、鉄道立体化のみならず、道路側で立体したらどうなるだろうかとか、ほかの手法はあるんだろうかというようなことも含めて、検討をしていくことになろうかというふうに考えております、
鉄道立体化ということで選定した、そのほかについても、何らかの対策ということを検討して、全般的、早期に実施可能な対策を打ち出していくということが、今回全体のねらいになっているわけでございますので、少し幅広に検討していきたいと思っております。
○かち委員 中間のまとめですので、この程度にしておきますけれども、こういうことを進めていくときには、必ず関係住民の合意形成というのが重要になってきておりますので、一つの手法だけではなくて、あらゆる方法、手段で広く検討するということをぜひ組み入れてやっていただきたいというふうに申し上げまして、終わります。
○樋口委員 それでは、踏切対策基本方針(中間のまとめ)について質疑をさせていただきます。
私は、これまで幾度となく踏切対策の重要性を訴え続けてまいりました。私の地元も踏切問題に直面しております。つくらなくてはならない理由があるのかどうなのか、また数字的な根拠も少々疑問な八ッ場ダムは、都市計画局としては何としてもつくりたい、その方向性にあるんですが、この踏切問題については、少々前向きではないように今まで考えておりましたけれども、この中間答申ができたのなら、しっかりと取り組んでいただきたいと思っております。
中野区は、西武新宿線によって南北に分断されておりまして、また二十個の踏切がありますけれども、そのうち十八カ所がボトルネック踏切であります。その実情は既に何度も何度もこの委員会で訴え続けてまいりましたので、改めて申しませんけれども、この中野区内西武新宿線は、この五年間で踏切内で二人の方が亡くなられました。そしてまた、百四十件前後の踏切の遮断機が壊されてしまうという事故もこの五年間で起きております。踏切は最大のバリアであります。経済的にも安全面においても早期に解決しなくてはならないことであります。
平成十三年三月、踏切道改良促進法が改正されました。これは何かといいますと、平成二十二年までに、全国に千のボトルネック踏切があるそうなんですけれども、その踏切の半数が立体交差などにしてなくなる予定、この法律がちゃんと遂行できれば、二十二年までになくなる予定になるというものでございます。
都も踏切問題の早期解消を目指して、基本方針をやっと策定していただきました。訴えてきたことがようやく実を結びつつあるのかなと思います。しかし、申しわけございません、中身を見ますと、十五から二十カ所の鉄道立体化検討区間を選ぶというような内容が中に盛り込まれておりますけれども、地域の踏切問題の実情をしっかりと反映できるのだろうか、また事業化は図れるのだろうか、そして、踏切を通り抜ける車にとっては便利なものの、実際そこに住み、そして生活している人たちにとって、そのことによってまた新たな負担を強いられるのではないか、そのような幾つかの不安があります。こうしたことに関連しまして、幾つか質問をさせていただきたいと思います。
都内には、区市町村部におよそ千二百カ所の踏切があると書かれております。そのうち、いわゆるボトルネック踏切といわれるものは三百六十カ所あると聞いております。つまり、この計算をしますと、三割がボトルネック踏切という比率でございます。
山手線内にはほとんど踏切がないとここに書かれておりますけれども、東武東上線、京浜急行線間、あえてそこを選ばせていただきます。と申しますのは、東京都というのは山手通りは丸くなっている、環七も丸くなっているけど、環八は途中までしか開通していない、開通できない状況であります。そんなこんなで、環七よりも内側部分、つまり山手線から環状七号線までの間、そして環状七号線から環八との間に囲まれた地域、それぞれボトルネック踏切はどのような割合になっているのかお尋ね申し上げます。
○山崎都市基盤部長 お尋ねの東武東上線から京浜急行線までの鉄道路線につきまして、JR山手線-環七間のボトルネックの踏切の割合でございますけれども、約六割でございます。一方、環七-環八間のボトルネック踏切の割合は約四割でございます。
○樋口委員 全体のボトルネック踏切の割合が三割というのに、今のご答弁でおわかりいただけましたように、市街化が進んでおります環七-環八間では四割を超えております。そして、山手線から環七の間は六割というようにお伺いをさせていただきました。そして、環六から環七までの間を試算しますと、全踏切百一に対して四十八のボトルネック踏切があるということは、四七%を占めている。
ここで西武新宿線を例にとりますと、始発駅の西武新宿駅は環六よりも内側ではありますけれども、環七までが一〇〇%ボトルネック踏切なんです。そして、環七から環八の間も--練馬は入っております--環七から環八の間も十六の踏切があるんですけれども、その間に十三の踏切がボトルネック踏切、つまり八割以上がボトルネックの比率であります。
私がなぜそのようなことをいっているかといいますと、これはぜひ聞いていただきたいんですが、その線によってボトルネック踏切が、同じ環状線、山手通り、また環七、環八、そのように分けていきますと、その線によって大きくその比率が違っているということなんです。しかも、この西武新宿線については一部分も立体高架事業がなされていないわけなんです。西武新宿線のような劣悪な実情もぜひ考慮に入れて、今後、方針をきちっと固めていっていただきたいと思います。
現在事業中の立体高架事業は九件、そして、これからかかる事業費というのは、試算しますと、およそ四千億円かかると計算させていただきました。ここで、この三年間、連続立体高架事業に対して一体どのくらいの予算をつけて、事業費はどのようになっていたのか、お伺いさせていただきたいと思います。
○山崎都市基盤部長 事業費でございますけれども、決算ベースで平成十二年度は二百五十億円、十三年度は二百六十億円、十四年度は三百四十億円でございます。
○樋口委員 我が党の坂口委員ではございませんけれども、単純計算をしてみただけだって、今建設中あるいは計画中の事業をこなすだけだって、このお金でいけば十年以上かかってしまう。鉄道事業と首都高速道路公団とは全く違うものではございますけれども、首都高速道路公団への出資比率が、平成七年から九年では七・三五%、十年では一三%であったのに対して、現在、平成十四年は二五%の出資比率になっている。そして、今後三五%とも聞こえてくる。つまり、この例のように事業費の負担率が、もしかして国から一方的に変わってしまうということも懸念されるわけであります。
その中で、さきに東京都から提案されました西武新宿線中井-野方間の一部、七つの踏切を地下化する事業費は五百五十億円とも算出されております。今後、十五カ所から二十カ所の鉄道立体検討区間についても、二〇二五年までに事業化を検討するということですが、財源の確保は大変重要な問題となってまいります。
例えば、西武新宿線がわかりやすいので例として出させていただきますけれども、環七よりも内側のみ、この間、事業化のことを審議していただきましたけれども、そして趣旨採択となりました区間、それこそほんの一部だけ着手して数合わせをするような、実際困っているようなほかの箇所は目をつぶって、一部だけをすることによって数合わせをして終わりにしてしまう、そんなことがあってはいけないと私は懸念しております。
立派な踏切対策基本方針、立派なペーパーはできたけれども、これに人、物、金がついてこない、だからできなかった、そのようなことがないように、今後の着実な踏切対策事業実施について都市計画局長の決意をお伺いさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
○勝田都市計画局長 お話しございますように、都内には、いわゆるボトルネック踏切が多数存在しておりまして、こうした踏切問題を解消して都市再生を図っていくためには、連続立体交差事業を初めといたしましたさまざまな事業を、いろいろ知恵を出しながら工夫を加えて対策を進めていく必要がございます。このため、本方針策定によりまして、これまで以上に関係者の理解を深めるとともに、効率的な取り組みを促進いたしまして、都内の踏切について、総合的、計画的で、かつ具体的な対策を進めてまいりたいと考えております。
○相川委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○相川委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で都市計画局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後七時五十六分散会
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