委員長 | 相川 博君 |
副委員長 | 野島 善司君 |
副委員長 | 樋口ゆうこ君 |
理事 | 高橋かずみ君 |
理事 | 中嶋 義雄君 |
理事 | 吉野 利明君 |
吉原 修君 | |
清水ひで子君 | |
かち佳代子君 | |
新井美沙子君 | |
矢島 千秋君 | |
内田 茂君 | |
坂口こうじ君 |
欠席委員 なし
出席説明員環境局 | 局長 | 小池 正臣君 |
総務部長 | 西野 和雄君 | |
企画担当部長 | 梶原 秀起君 | |
都市地球環境部長 | 百合 一郎君 | |
環境改善部長 | 松葉 邦雄君 | |
参事 | 柿沼 潤一君 | |
自動車公害対策部長 | 山本 憲一君 | |
参事 | 月川 憲次君 | |
参事 | 中島 博君 | |
自然環境部長 | 徳毛 宰君 | |
廃棄物対策部長 | 福永 富夫君 | |
参事 | 松本 保幸君 | |
環境科学研究所次長 | 宮本 孝君 |
本日の会議に付した事件
陳情の取り下げについて
環境局関係
報告事項(説明)
・東京都自動車排出窒素酸化物及び自動車排出粒子状物質総量削減計画(素案)について
事務事業について(質疑)
○相川委員長 ただいまから都市・環境委員会を開会いたします。
初めに、陳情の取り下げについて申し上げます。
一五第五三号、都市基盤整備公団の鶴沢団地建て替え計画の変更に関する陳情及び一五第六四号、大規模集合住宅「豊洲プロジェクト」建設計画の変更に関する陳情は、議長から取り下げを許可した旨通知がありましたので、ご了承願います。
○相川委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、環境局関係の報告事項の説明聴取及び事務事業に対する質疑を行います。
なお、報告事項につきましては、本日は説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は後日の委員会で行いたいと思いますので、ご了承願います。
また、事務事業につきましては、質疑終了まで行いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
これより環境局関係に入ります。
初めに、理事者から報告の申し出がありますで、これを聴取いたします。
○月川参事 東京都自動車排出窒素酸化物及び自動車排出粒子状物質総量削減計画(素案)につきましてご報告いたします。
東京の大気汚染は深刻で、一刻の猶予もならない状況にあります。そこで、都は、都民の生命と健康を守るため、大気汚染の主要な発生源であるディーゼル車の排出ガス規制に独自に取り組むとともに、国に対し自動車排出ガス規制への責任ある対応を求め、自動車公害対策に関するさまざまな提案を行ってまいりました。
本計画は、これらの取り組みを踏まえつつ、自動車排出窒素酸化物及び粒子状物質の総量の削減に係る各種対策を推進するため、自動車NOx・PM法に基づく法定計画として知事が策定するものでございます。
資料は、お手元にございます資料1、東京都自動車排出窒素酸化物及び自動車排出粒子状物質総量削減計画(素案)概要と、資料2の本文冊子でございます。説明は、資料1に沿って進めさせていただきます。
一ページをごらんください。第1章は、序説といたしまして、初めに申し上げました計画策定の趣旨について記述してございます。
対策地域の範囲は、東京都のうち、二十三特別区、二十六市、西多摩郡瑞穂町、同郡日の出町の区域でございます。
第2章は、計画の目標及び計画の期間についてでございます。
この計画は、二酸化窒素に係る環境基準及び浮遊粒子状物質に係る環境基準を平成二十二年度までにすべての測定局で達成することを目標にしております。この目標を達成するため、都独自のディーゼル車規制など単体対策を強力に推進するとともに、交通需要マネジメントや道路ネットワークの整備などの施策により、窒素酸化物及び粒子状物質の総量を削減いたします。さらに、国による新長期規制以降の世界一厳しい規制の早期導入、使用過程車対策の抜本的見直し等の実現を図り、排出量の一層の削減を目指します。
計画の期間は、平成二十三年三月三十一日までとしております。
二ページをごらんください。排出量の削減について図にあらわしてございます。
窒素酸化物の年間排出量につきましては、平成十二年度から平成二十二年度までに自動車排出分で五三%削減することなどにより、全体で三五%削減することとしております。また、粒子状物質の年間排出量については、自動車排出分で八五%削減することなどにより、全体で四七%削減することとしております。
三ページをごらんください。計画の目標の達成に係る基本的事項についてでございます。
窒素酸化物につきましては、排出ガス規制に係る試験モードが大都市の走行実態に即していないため、排出量が国の想定する低減率どおり削減されず、排出量の削減のおくれをもたらしていることを指摘しております。また、粒子状物質につきましては、自動車NOx・PM法の車種規制の適用を最大で二年半おくらせたことの問題点を指摘し、あわせて都の条例規制の効果を図示してございます。こうした事項を踏まえまして、国への要請を行い、その実現により排出量の一層の削減を図ることとしております。
四ページから五ページをごらんください。第3章は、大気汚染等の現状についてでございます。
第一は、二酸化窒素及び浮遊粒子状物質の環境濃度の状況でございます。二酸化窒素につきましては、年平均濃度は横ばいが続いております。浮遊粒子状物質につきましては、年平均濃度はここ数年低下傾向にございます。
第二は、自動車走行量と平均旅行速度でございます。平成十一年度までの道路交通センサスによりますと、都内の自動車走行量は、区部、多摩地域ともに増加が続いており、平成十一年度の混雑時平均旅行速度は都内全体で時速二十・二キロメートルとなっております。
五ページから七ページまでごらんください。第4章は、計画達成の方途について記述してございます。
計画の目標を達成するために推進する施策として、ディーゼル車の走行規制、低公害車の導入義務づけなど、都が行う単体対策、新車に対する規制など、国が行う単体対策、公共交通機関への転換促進など、交通量対策、道路ネットワークの整備、交通渋滞対策など交通流対策、局地汚染対策、普及啓発活動などを掲げてございます。
なお、自動車以外の発生源につきましても、関係機関と連携し、排出量低減対策を推進してまいります。
ただいまご説明しました計画(素案)につきましては、昨日公表しており、十二月五日まで広く都民や事業者の方々からご意見をいただくこととしております。この計画(素案)は、環境局ホームページに掲載し、ご意見は郵送、ファクシミリ、電子メールでいただくこととしております。
以上が総量削減計画(素案)の概要でございます。今後は、いただきましたご意見などを踏まえまして、また、東京都公安委員会の委員長、関係区市町及び国の関係地方行政機関の長などで構成いたします総量削減計画策定協議会でご意見をいただいた上、環境大臣との協議及び同意の法定手続を経て計画を策定する予定でございます。
よろしくお願いいたします。
○相川委員長 説明は終わりました。
この際、資料要求のある方はご発言願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○相川委員長 それでは、資料要求はなしと確認させていただきます。
○相川委員長 次に、事務事業に対する質疑を行います。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してございます。
資料について理事者の説明を求めます。
○西野総務部長 それでは、去る十月十五日の当委員会におきましてご要求いただきました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元配布の資料3、都市・環境委員会資料の表紙をおめくりください。目次のとおり、ご要求いただきました資料は九項目でございます。
まず、一ページをお開き願います。1、光化学スモッグ注意報等の発令状況の推移でございます。
平成六年度から十五年度までの予報、注意報、警報別の発令日数と注意報発令の期間及びオキシダント最高濃度の推移をお示ししてございます。
二ページをお開き願います。二酸化窒素及び浮遊粒子状物質測定結果の全国上位五局の推移でございます。
(1)、二酸化窒素、(2)、浮遊粒子状物質、ともに平成十年度から十四年度までの全国の測定局における測定結果の上位五局をお示ししております。
三ページをお開き願います。3、地下水汚染源究明調査結果に基づく浄化対策でございます。
平成八年度から十四年度までに地下水汚染源究明調査の結果に基づいて行われた地下水浄化対策十二件につきまして、汚染物質の種類別に対策の内容及びその件数をお示ししてございます。
四ページをお開き願います。4、保全地域の指定面積及び公有化面積でございます。
五ページにかけて記載してございますが、四十四カ所の保全地域名、指定面積及び公有化面積を記載してございます。
六ページをお開き願います。5、緑の保全と再生のための計画の目標・成果・課題でございます。
上段に、昭和五十九年十一月に策定いたしました東京都緑の倍増計画の目標と成果を、下段に、新たな視点を加えて平成十二年十二月に策定いたしました緑の東京計画の目標と実績及び課題を記載してございます。
七ページをお開き願います。6、保全地域の公有化予算及び決算の推移でございます。
平成五年度から十四年度までの各年度における公有化の予算現額及び決算額でございます。
八ページをお開き願います。7、緑の保全に関するNPO等との主な協働事業でございます。
まず(1)、青梅上成木森林環境保全地域における森林保全活動の共同実施でございます。都、企業、NPOが役割分担をして、公募による都民のボランティア活動による間伐体験や道づくりなど、森林保全活動を実施するものでございます。
次に(2)、多摩丘陵里山保全連絡会における里山保全に向けた協議等でございます。里山等の緑地の保全を主題として、都、市、NPO等による協議の場を設置しているものでございます。
九ページをお開き願います。(3)、保全地域におけるボランティア団体の活動でございます。
二十四カ所の保全地域における十六団体の活動の概要をお示ししてございます。
一〇ページをお開き願います。8、ニッソー事件以後の医療廃棄物対策でございます。
平成十一年十二月に起きたニッソー事件以後の医療廃棄物対策について、国の対応と都の取り組みを記載してございます。
一一ページをお開き願います。9、産業廃棄物の排出量及び処分量の推移でございます。
平成十年度から十三年度までの都内から排出された産業廃棄物の排出量及び最終処分量でございます。
なお、下段に廃棄物の種類別排出量を平成十三年度の実績に基づき円グラフであらわしてございます。
以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○相川委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○高橋委員 最初に、市街地の緑地保全についてお尋ねさせていただきます。
東京の市街地においても、個人の庭先にまちのシンボルともいえるような貴重な大きな樹木があったり、住宅や畑の間に一団の樹林が残されていることがあります。これらの樹木や樹林は区市町村により保存樹木、保存樹林に指定され、維持管理への援助策もとられているようでありますが、近隣の敷地への越境問題、害虫、落ち葉など、所有者が樹木を維持管理していくにはさまざまな苦労があると聞いております。
近所の大きな農家の庭先の数本のケヤキの大木は、哀れにも枝の多くが切り取られ、電柱のような形になっております。聞くところによれば、周りに住宅が次々に建ち、近隣の住人からの落ち葉や日照の問題が原因だということも仄聞しております。
また、私の住む地域は比較的緑の多い住宅地でありますが、宅地開発もふえ、人口も増加しております。土地の有効活用ということで指定を解除し、樹木や樹林を切って駐車場を設置したり、アパートを建てる所有者も多いのが現実であります。都はこのような実態をどのように把握しているのか、まずお聞きをします。
○徳毛自然環境部長 市街地の庭先に残された貴重な大木を保全することは、都市環境の保全、防災、潤い、風格、生物の生存基盤の確保からも重要であります。現在、都の都市計画区域内に残る貴重な大きな樹木につきましては、都市の美観風致を維持するための樹木の保存に関する法律の基準に基づきまして、区市町村長が保存樹木または保存樹林として指定し、保存のための援助を行っております。
都はこれまでも、区市町村と連携して都市の緑化を進めるため、都及び区市町村で構成する緑の情報連絡会を開催し、情報の収集と共有化を図ってまいりました。このような場を通じて、所有者からの助成額の増額要望や、落ち葉処理を初め樹木管理をめぐる住民間のトラブルなど、区市町村、所有者双方が解決の難しい課題を抱えている実態であることを把握しております。
○高橋委員 保存樹木や保存樹林について、区部の自治体でもささやかな援助がされておりますが、まず、援助の実態を確認するため、練馬区の補助の状況を示すとともに、他の区の補助の状況と比較していただきたいと思います。
また、これらの援助だけでは不十分と考えますが、ご所見をお伺いいたします。
○徳毛自然環境部長 保存樹木、保存樹林への援助につきましては、区市町村の条例または要綱に基づき実施されておりますが、その援助は区市町村が定めた指定基準に応じ、樹木の本数や面積に応じて助成金を支払うケースや、枝の剪定や肥料、病害虫防除の経費への助成を行うケースなど、それぞれの区市町村で援助の方法は異なっております。
練馬区では、保存樹木は一本につき年間五千円、保存樹林は一平方メートル当たり年間六十五円となっておりますが、他の区の例では、保存樹木一本につき年間に最高で一万円から最低三千円となっております。このように区市町村が樹木や樹林を守るためにさまざまな工夫を凝らしておりますけれども、平成十四年度中に保存樹木五百五十四本、保存樹林約四万七千六百平方メートルの指定が解除された実態がございます。
○高橋委員 次に、これら保存樹木を適切に維持管理していくためには、東京都としてどのような取り組みを行っていくのかお伺いいたします。
○徳毛自然環境部長 法律によれば、保存樹木及び樹林の指定、所有者への助言、援助は区市町村長が行うこととされておりまして、都道府県は、区市町村に対して報告、資料の提出を求めること、及び保存に必要な勧告、助言、技術的援助を行うこととされております。こうした中で、区市町村からは、樹木の保全に係る市民との研究会の設置や、ボランティアの活用を視野に入れた条例制定など、新たな取り組み事例も報告されております。
都は、今後も緑の情報連絡会などを通じ、区市町村との情報交換を積極的に行い、市民等の自主的、主体的な取り組みと協働した自治体の成功事例等を把握し、周知するなど、広域的な立場からそれらの取り組みを積極的に支援してまいります。
また、都は、相続を契機にこれらの樹林地が次々と失われていく実態を踏まえ、この問題の抜本的解決に向けて相続税の納税猶予制度の創設や、樹林地のまま物納し自治体が保全できる仕組みづくりを、八都県市とも連携して、国に対し強く要求してまいります。
○高橋委員 そこで、私としての意見を申し上げさせていただきます。
近隣住民とのトラブルや維持管理の苦労の末の伐採、さらには、相続発生時の土地の売却により、年輪を重ねた樹木が次々と伐採されております。こうして樹木や樹林地が消えていき、緑のない殺伐とした街並みに変わっていくことに、私は到底耐えられないところであります。委員の皆さんや理事者の皆さんも、往時を振り返れば同じ気持ちであると私は思います。一度切ってしまった樹木は二度と再生することは困難でありますし、木を植えてそこまで育てるには、気の遠くなるような時間が必要になると思うのであります。
保存樹木に指定されるような大木は、何十平米もの広さの地面や地上に根や枝を張っております。先ほどの答弁にもありましたが、枝を剪定し、落ち葉を処理するなど、大木を維持管理するための経費は区市町村の助成ではとても賄えないのであります。土地を有効に活用したい土地所有者にとって、貴重な樹木を伐採せざるを得ない事情は何か、現実をよく見てほしいと思いますし、保全のための取り組みを大部分所有者の努力に頼っている現状は適切ではないと考えます。
都は、これらの保存を進める役割は基本的に区市町村にあるというのではなく、例えば区市町村が独自に定めている助成の基準についても、もっと現実の維持管理経費に応じて見直すよう働きかけるべきであると思うのであります。さらには、将来に向かって、地域の財産である貴重な樹木を本当に残したいと考えるならば、樹木の保全、生育に必要な空間や、土地の広さに見合った固定資産税の軽減措置を考えるべきであると思います。
そして、東京都は、どうしたら市街地に残された貴重な樹木、樹林を保全することができるのか、国の関係省庁への強い働きかけを含めて、あらゆる知恵を絞って検討していただくことを強く要望させていただき、次の質問に入らせていただきます。
次に、屋上緑化についてお尋ねさせていただきます。
ことしの六月に、知事の出席のもとに行われた環境問題を考える都民のつどいにおいて、練馬区にある幼児教育施設の園舎の屋上緑化に対し、環境局長から東京都環境賞を贈呈されたところであります。この事例は、自然保護条例の緑化基準を大幅に上回っている模範的なものであると思いますが、このように屋上を全面緑化した事例はほかにどのくらいあるのか、まずお伺いいたします。
○百合都市地球環境部長 緑化計画書制度によります屋上等緑化の基準は、建物管理に必要な施設などを除きました屋上面積の二〇%以上を緑化することとしてございます。ご質問の屋上の利用可能な面積を一〇〇%緑化した事例は、平成十三年度七件、十四年度四件でございまして、緑化計画書制度の対象件数の約〇・五%に当たっております。
中でも、東京都環境賞を受賞いたしました施設は、菜園として幼児教育に有効に活用されており、質の高い屋上緑化施設であるということでございます。
○高橋委員 次に、こうしたすぐれた屋上緑化を進めていく必要があると思いますが、屋上緑化は、地上の緑化と異なり、建築物の防水や耐荷重など技術的な問題があるように聞いておりますが、推進する都の立場としてはどのように受けとめ、対応していこうとしているのかお伺いします。
○百合都市地球環境部長 屋上緑化は条例施行前から行われておりまして、技術的には一定の水準が確保されているというふうに認識をしております。都が全国に先駆けて義務化しました結果、屋上等緑化の技術開発は急速に進んでいるというふうに思っております。
緑化資材の性能や技術の向上のため、国におきましては、平成十三年度に、屋上緑化建築技術認定基準を作成しておりまして、また、民間事業者レベルでは、自主的な資格講習制度などの検討も進んでいるところでございます。
なお、東京都におきましては、平成十四年度に作成をいたしました公共建築物における屋上緑化の手引に基づきまして、屋上緑化事業を実施しているところでございます。今後とも関係情報の収集に努めまして、屋上緑化の推進指導に活用していきたいというふうに思っております。
○高橋委員 次に、屋上緑化についての技術的な問題がクリアされるのであるならば、屋上緑化を積極的に推進することは、身近なところに緑と自然体験の場を創出する可能性を広げ、また、今日いわれておりますヒートアイランド対策にも役立つと考えますが、都としてさらに普及させるための支援策や方策はあるのかお伺いをいたします。
○百合都市地球環境部長 屋上緑化の支援策といたしましては、東京都都市緑化基金による助成や、技術・事業革新等支援資金融資制度による低金利融資が実施をされているところでございます。また、すぐれた屋上緑化施設に対しましては、表彰制度により顕彰するとともに、良好な屋上緑化の実例を広く紹介し、普及を図っているところでございます。
現在、東京都環境科学研究所などがローコスト、ローメンテナンスで改善効果のある屋上緑化技術を開発するため調査研究を行っているところでございます。今後、研究結果を広く情報提供するなど、屋上等緑化の普及推進を図っていきたいというふうに思っております。
○高橋委員 次に、昨年から、建築物環境計画書制度が施行されておりますが、この制度の中では、屋上緑化はどのように扱われているのかお伺いいたします。
○百合都市地球環境部長 建築物環境計画書制度は、延べ床面積一万平方メートルを超えます建築物を新築または増築する場合に、建築主に環境計画書の提出を求めまして、設計時に環境配慮を取り入れるよう誘導する仕組みとして構築をしたものでございます。この制度の中で、屋上等緑化につきましては、環境配慮事項の一つに位置づけているところでございます。
取り組みの評価におきましては、自然保護条例の緑化基準を大きく上回る場合、または樹木による良質な屋上等緑化を行う場合には、高い評価をすることによって、より高いレベルの緑化につながるような誘導策となってございます。
また、建築主から提出をされました環境計画書は、評価の結果も含めまして都のホームページで公表しておりまして、社会的評価につながる仕組みとなっております。
○高橋委員 次に、良好な都市環境を確保するために、建築物に屋上緑化を含めた環境配慮の取り組みを誘導することは大切だと思います。このような制度をさらに発展させていく必要があると考えますが、ご所見をお伺いいたします。
○百合都市地球環境部長 東京は、現在、本格的な都市の更新期を迎え始めております。この時期をとらえまして、建築時に環境に配慮した取り組みを求めるこの制度は、環境保護の面から有効な仕組みとなっているというふうに考えております。
この制度を省エネルギー性の向上やヒートアイランド対策の推進の視点から、さらに有効なものとして充実させていくことにつきまして、現在東京都環境審議会において審議をいただいているところでございます。
○高橋委員 最後に、この件についても意見を申し上げさせていただきます。
このような都の取り組みは、大規模建築物を対象とすることによって、中小規模の建物にも今後大きな波及効果が期待されると思います。都はさらに民間に対して環境に配慮した取り組みを誘導する施策を打ち出し、環境都市といわれるにふさわしい良好なまちづくりを進めていくよう強く要望させていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○樋口委員 私の方からは、二つの観点から質問をさせていただきます。
まず一つ目といたしまして、三宅島のことでございます。
三宅島の火山活動は、平成十二年六月二十六日の群発地震から始まり、八月には最大規模の噴火がございました。その後も、世界に類を見ないほどの火山性ガスの多量の放出のため、三宅島の全住民の方々は、九月に島外へ避難を余儀なくされてしまいました。避難から三年以上が過ぎた現在でも、火山性ガスの濃度は減少傾向にあるとはいえなく、まだ安心して生活できるような状況になっておりません。しかし、避難を余儀なくされた島民の方々は、一日でも早く島に帰りたいと願っておられます。
私は、寒くなってまいりますと、また、年末が近づいてまいりますと、ふるさとで正月を迎えたいと願う島民の方々の強い思いが日に日に増してくることを考えてしまいます。行政は、一日でも早く全島民が帰島できるように、火山活動が終息したらすぐにでも安全を確認し、そして、帰島できる体制を整備しておく必要があると思います。そこで、三宅島の島民の帰島の準備に関連して質問をさせていただきます。
まず、三宅島の島民の帰島については、各行政機関はいろいろな役割を担っていらっしゃいますが、環境局は三宅島に関して現在どのようにかかわり合っているのでしょうか。
そして、島民帰島については、どのような役割を担っていらっしゃるんでしょうか。
○松葉環境改善部長 三宅島の島民の帰島に当たっては、島民の安全確保が基本となります。このため、環境局は、現在、硫黄酸化物や硫化水素の大気環境濃度の測定などを担っています。
今後、帰島に当たっては相当な準備期間が必要であることから、現時点における帰島後の安全対策や基盤整備等に関する検討会や準備を進める必要があり、都は、平成十五年十月、帰島に際して必要となる各種対策や課題について検討をするための会議体といたしまして、三宅島帰島プログラム準備検討会を設置いたしました。
この中で、環境局は、火山性ガスに対する安全確保等を検討する安全分科会、インフラ整備等を検討する基盤分科会、並びに生活再建に関する事項等を検討する生活分科会の検討メンバーとして参画しておりまして、この問題に取り組んでいるところでございます。
○樋口委員 火山性ガスの観測の関連についてお尋ね申し上げます。
環境局は、三宅島の火山から出る火山性ガスの観測をしているとのことでございますが、いつから、どのようなところで、どのような観測を行っているのでしょうか。
また、観測の体制は今後も引き続いて行っていくのかどうか、お伺いさせていただきます。
○松葉環境改善部長 平成十二年十一月から十二月にかけまして、三宅島空港等の三地点で、硫黄酸化物及び硫化水素の大気環境濃度の連続測定を開始いたしました。その後、順次測定体制を充実いたしまして、現在、十地点で測定を行っています。測定は、すべての地点で二酸化硫黄を、五地点で硫化水素もあわせて行っています。
今後も大気汚染の状況を的確に把握していくため、このような測定を継続していきます。
なお、三宅島につきましては、気象庁も火山の噴出ガスなどの測定を実施しているところでございます。
○樋口委員 現在、硫黄酸化物や硫化水素を観測していらっしゃるとのことですが、その硫黄酸化物や硫化水素の濃度の最近の測定結果はどのようになっているんでしょうか。
また、島民が安心して帰島できる濃度の基準もしくは目安があればお伺いさせていただきます。
○松葉環境改善部長 二酸化硫黄の濃度は、当初から測定している三宅島空港では三分の一程度に、阿古地区の客船の待合所では二分の一程度になっており、以前に比べまして高い濃度を検出することは少なくなっていますが、現在の濃度は全体として横ばい状況にございます。
ことしの十月の最高値は三宅島役場で観測されておりまして、日平均値が環境基準の約五十倍の二・〇二ppm、一時間値が環境基準の約八十倍の七・九〇ppmでございました。
また、硫化水素につきましては、環境基準はございませんが、アカコッコ館で一時間値の最高値が一・五ppmを示しました。
三宅島の火山性ガスがどのような状況になれば避難島民の帰島が可能になるのか、安全対策の面から科学的に検討するために設置されました学識経験者などで構成する三宅島火山ガスに関する検討会は、平成十五年三月に目安を報告してございます。それによりますと、健康面から見た長期的影響についての二酸化硫黄の濃度の目安として、年平均値がおおむね〇・〇四ppm以下であること、一時間値の値が〇・一ppmを超える回数が年間一〇%以下であることを報告してございます。
○樋口委員 二酸化硫黄がそれこそ五十倍、また一時間の平均値が八十倍も、七・九〇ppm観測されただとか、いろいろとご報告がありましたけれども、実際私たちが生活するに当たって、果たしてどのような状況にあるのかということを、島民の方々、しっかりとその数値を含めて、その状況をつかんでいきたいと思われていらっしゃることだと思います。観測結果というものは、帰島を望んでいらっしゃる島民の方々にとっては大変重要な情報だと思います。このため、この情報を早く、つまり、わかりやすく島民の方々に伝える必要があると思います。環境局は、このような観測結果をどのようにして公表されていらっしゃるんでしょうか。
○松葉環境改善部長 都は、平成十二年度の測定開始以来、測定結果を公表してございます。現在では、測定結果を、三宅島の雄山噴火に伴う高濃度ガス連続自動測定結果についてといたしまして、毎月プレス発表を行うとともに、環境局のホームページにも掲出してございます。
○樋口委員 島民が帰島する場合、島で生活を再開するためには、噴火により破壊された電気、水道、ガスなどのライフラインの整備は不可欠です。環境局では、高圧ガス、保安行政の一環としてプロパンガスの保安対策を行っているということでございますが、プロパンガスは、島民が生活していく上で必要不可欠になるライフラインの一つであります。
そこで、三宅島におけるプロパンガスの関係についてお伺いをさせていただきます。三宅島の住民の全員が、平成十二年九月から島から避難した後、各家庭で使用されていた多数のプロパンガスは、すべて使い切ってから島を離れたなんてことはあるわけがありません。当時のテレビや新聞の報道では、必要最小限のものしか持ち出すことができず、とてもそのような余裕がないような状況に記憶しております。そのため、各家庭でコンロでおかずをつくったり、おふろのお湯を沸かすためなどに使っていたプロパンガスは、ボンベが空になるまで使い切っていない。いいかえれば、各家庭によってボンベに残っていたガスの量は異なるにしても、プロパンガスが残ったまま住民の皆さんは島から離れなければならなかったのだと思います。
そのような慌ただしい状況の中で放置した状況のままになっていると、ボンベやガス器具からはプロパンガスが漏れ、漏れたガスから何らかの形で火災や爆発が起こる可能性があります。火災や爆発が起これば、島民が帰ってきたときの生活基盤になる住宅等が使えなくなってしまいます。また、島民が帰島して家でおふろやガスコンロを使用したときに、漏れていたガスに気づかず、ガスに引火して事故が起こる可能性だってあります。このため、プロパンガスの管理は、島民が島に戻った場合に大変注意をしなければならない事項だと思います。
三宅島では、プロパンガスを使用していた家庭などの数と使用されていたおよそのボンベの数は一体どのぐらいあるんでしょうか。
○松葉環境改善部長 全島避難前にプロパンガスを使用していました世帯等の数でございますが、千九百七十四カ所でございます。それぞれが二本使用していたといたしますと、ボンベの数は三千九百本程度と推計されます。
○樋口委員 次に、保安行政の一環として、プロパンガスの保安対策を行っている環境局として、三宅島の噴火以降、プロパンガスの二次災害を防ぎ、島から退去した住民の方の家や家財等の安心の確保の対策をどのように行ってきたかをお伺いさせていただきます。
○松葉環境改善部長 LPガスによる事故を防ぐために、都はこれまでも、東京都エルピーガス協会や三宅島のLPガス販売事業者と連携いたしまして、積極的に対応してきました。具体的には、平成十三年二月以降、LPガス設備の点検、調査を実施するとともに、LPガスボンベの回収などを行ってきました。ボンベの回収につきましては、東京都エルピーガス協会、三宅島のLPガス販売事業者及び卸売業者の自主回収によりまして、平成十四年九月の坪田地区を初めといたしまして、十月には阿古地区、十一月には伊豆、伊ヶ谷、神着地区で行われました。島全域で三千八百四十四本のLPガスボンベを回収し、島から撤去いたしました。
○樋口委員 今後、島民の方が戻られたときに、ライフラインとしてプロパンガスの供給が必要不可欠になると思いますが、プロパンガスの供給を支障なく行うようには、どのような対策を行っていらっしゃるのかお伺いします。
○松葉環境改善部長 島民が島に帰ったときに安全にLPガスの使用が再開できるようにすることが不可欠でございます。このため、三宅島の避難勧告解除時までに、LPガス販売事業者が迅速にLPガス設備の設置及び点検調査を行う体制を整えることが必要となっており、都は、業界団体に対しまして、LPガス設備の点検調査や対応策の策定を要請いたしました。
これに対しまして、東京都エルピーガス協会、三宅島のLPガス販売事業者及び卸売業者は、島民の帰島に際して的確にLPガスの使用が再開できるよう検討を進めているところでございます。
○樋口委員 環境局が努力をされて、島民が帰島したときにプロパンガスが供給できるように努力されていらっしゃることはわかりました。しかし、環境局だけが一生懸命努力してプロパンガスの供給をしても、島民が生活していくためには、電気や水の供給なども大変必要です。ライフラインを確保し、島をもとのように復旧していくためには、都庁が一体となって対応していくことや、国との連携、そして三宅島との連携、また、関係業界を含め協力体制を密にしていくことが必要であると思います。
現在、LPガスの供給体制の整備について、都は、国や関係局、三宅村、また業界とどのような連携を行っているのかお伺いします。
○松葉環境改善部長 都は、これまでもLPガスの事故防止などに積極的に対応してきました。今後のLPガスの安定供給や安全を確保するため、環境局といたしましては、都の関係局、国及び三宅村で構成する三宅島帰島プログラム準備検討会に参画してございまして、帰島に際して必要となる対策や課題について検討を進めているところでございます。
また、都は国に対しまして、LPガスの設備の災害復旧に対する財政支援を要請しており、引き続き強く実現に向けて努めてまいります。
また、ボンベの回収等に当たりましては、販売事業者とか、それから協会に対策を求めているところでございます。
○樋口委員 私は、三宅島の火山活動が早く終息し、島民が安全に、そして、安心して早く島に帰ってこられることができるように切に望んでおります。島民の小学生の笑い声が聞こえてくる、そのようなことが完全な帰島だと考えております。そのためにも、火山活動によって破壊されたライフラインの整備のためには、事前の準備が大変重要であると考えます。
環境局の役割は、住民が帰島できるかできないかを判断するための火山から出る二酸化硫黄や硫化水素の有毒ガスの測定や、帰島した後のライフラインの一翼を担うプロパンガスの供給体制の整備など、大変重要な業務だと改めて認識をいたしました。今後も環境局は三宅島のために全力を挙げて努力することをお願いいたしまして、三宅についての質問は終わらせていただきます。
続いて、ことしの十一月五日に出ました水質汚濁にかかわる環境基準についての一部を改正する件、うんたらこんたらのものが出ております。それについてご質問させていただきたいと思います。
一般的に千二百万人の住民がいる東京都は、ビルや住宅が大変多くて、自然が少ないと思われてしまいます。私が住んでいる中野区も、以前に比べると自然が少なくなったと感じております。しかし、東京はまだまだ自然が豊富に残っています。また、過去の高度成長時代に、区部を中心とした都市の開発により、都内に生息する魚や鳥などの生物も少なくなったと感じておりましたが、ディーゼル車規制や屋上緑化の推進、また、排ガス、排水規制の、環境局の努力により、心なしか、希望的推測かもわかりませんが、この鳥や魚がふえてきたように感じられます。
今後、さらに東京都内に生息する生物の種類をふやし、また、数をふやしていくためには、都内の環境の状況をしっかりと把握していくことが必要だと思います。特に鳥や魚の生物が生息していく環境を考える上に、環境基準が一つの目安になると思います。
環境基準は、人の健康の保護及び生活環境の保全の上で維持されることが望ましい環境上の基準であり、行政の目標だと聞いております。例えば水質環境基準では、BODなど生活環境の保全に関する環境基準や、カドミウムや鉛などの二十六の物質について、人間の健康の保護に関する環境基準が規定されています。この十一月に、亜鉛に関する水質環境基準が新たに告示されたと聞いております。
そこで、亜鉛の水質、環境基準の関連についてお尋ね申し上げます。カドミウム、鉛、銅などの各種の物質が有害物質として規定されていますが、今回新たに環境基準が設定された亜鉛については、既に水道水の水質基準に規定されていると聞いておりますが、人の健康にどのような影響があるのか、また、人の健康影響以外にもどんなことが影響されるのかお伺いさせていただきたいと思います。
○徳毛自然環境部長 平成十五年十一月五日付の環境省告示では、新たに魚などの水生生物とその生育環境を保全する観点から、生活環境項目に亜鉛を追加し、環境基準を設定しております。こうした水生生物の保全を目的とした環境基準の設定は、日本では初めての事例でございます。この基準設定の発端としては、平成六年の国の環境基本計画に記述されている生態系保全の観点からの施策の必要性に関する指摘などが考えられます。
お尋ねの亜鉛の毒性でございますが、人に対する毒性は比較的弱く、水道水の水質基準の一・〇ミリグラム・パー・リットル以下であれば、飲用しても健康上の支障はないとされております。しかし、亜鉛はイワナなどの魚類に対して毒性があり、えさとなるカゲロウの幼虫などの水生生物にも影響があるとされております。また、海域に生息するウニ類、クルマエビ類等に対しても毒性があるといわれておりまして、公共用水域の生態系を保護するため、今回の環境基準設定に至ったものと聞いております。
○樋口委員 これまで人体への影響を考慮してきた環境基準が、今度は魚だとか水生生物に限定して規定が行われたということは非常に画期的なことであり、また、日本で初めての水質環境基準、生態系の保護の観点から取り入れたということは大きな前進だと思います。
都内のそれこそ魚にとっては大変よいことだと思いますものの、一体ここで魚などの水生生物を保護育成するための亜鉛の環境基準値はどのような値で設定されていて、その値は私たちが飲んでおります水道水の基準に比べてどのくらい厳しくなっているのか、また、この環境基準はいつから適用されるのかをお伺いさせていただきます。
○徳毛自然環境部長 亜鉛の環境基準値は、河川、湖沼では全域で〇・〇三ミリグラム・パー・リットル、海域では〇・〇二ミリグラム・パー・リットル、または〇・〇一ミリグラム・パー・リットルと設定されております。水道水の基準値は一・〇ミリグラム・パー・リットルであり、環境基準値はその約三十三分の一から百分の一の値となっております。
環境基準値は、平成十五年十一月五日に告示されておりますが、国では、中央環境審議会水環境部会の検討を踏まえ、国において具体的な水域への類型指定や環境管理施策等について順次行っていくとしております。現在、平成十七年度を目途に、類型指定の検討作業中と聞いております。
○樋口委員 亜鉛の水質環境基準は、魚にとって環境を確保するとともに、都民にとっても自然を豊かにする環境を提供してくれることだと期待しております。
そこで、現在都において亜鉛の水質環境濃度はどのようにどのぐらいの時期に測定しているのか、また、測定している場合はどのような値なのか、お伺いさせていただきたいと思います。季節によって、多少ながらいろいろと変わってくるかと思います。その辺も考慮してお答えいただけたらと願います。
○徳毛自然環境部長 平成十四年度の水質測定調査では、河川七十六地点、湖沼一地点で測定を行っております。測定の回数につきましては、それぞれ月一回から年数回ということで、回数については一律ではございません。
調査結果を見ますと、今回新たに設定された亜鉛の環境基準の数値、〇・〇三ミリグラム・パー・リットルを超えたのは、葛飾区の大場川、葛三橋の〇・〇八ミリグラム・パー・リットル及び墨田区の旧中川、中平井橋の〇・〇四ミリグラム・パー・リットルの二地点でございました。
なお、全地点の平均値は〇・〇一三ミリグラム・パー・リットルでございました。
○樋口委員 亜鉛の水質環境基準を維持していくためには、亜鉛が環境中に排出されることをできるだけ少なくしていかなければならないと思います。
そこで、亜鉛を使用する主な用途、あるとすれば、亜鉛に対する排水基準の規制値、それの値が今回の水質環境基準と比べてどの程度なのかお伺いさせていただきます。
○徳毛自然環境部長 亜鉛は、電気メッキやトタン板、電池、顔料の製造などに広く使用されております。亜鉛の排水基準の規制値、水質汚濁防止法及び環境確保条例によれば、五ミリグラム・パー・リットルでございまして、新たな環境基準値は、排水基準値に比べ約百六十七分の一から五百分の一の値となっております。ただし、新たな環境基準に対応した排水基準値は現在のところ設定されておらず、引き続き水環境部会で審議されることになると聞いております。
○樋口委員 今度の基準、私たちが飲む水道水よりも三十倍も厳しい。これは河川の問題ですけれども、三十倍厳しく、そしてまた、そのことも変な話だと思いますけれども、排水基準が百五十倍以上厳しいものであるとのことでございます。今のご答弁によりますと、排水については、現在のところ設定されていないとおっしゃられました。これも、また何ともおかしな基準だと思います。東京都として、中央環境審議会にしっかりと提言していっていただきたい、国にしっかりと提言していっていただきたいと思います。
環境基準は維持されることが望ましい基準であり、行政はこれを達成すればよいというわけではなくて、より積極的に維持されることが望ましい目標として設定されております。水質環境基準は、今まで人体への影響のみを見て設定されてきたわけですが、今回初めて魚などの生態系に影響の大きいものまで考慮して設定された意義は大きいと考えております。
東京都は、都内の生物環境の多様性を図るためにも、今回設定された亜鉛を含めた環境基準の積極的な達成維持に努めるとともに、環境の情報を積極的に都民に提供していただきたいとお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
○中嶋委員 本日は、事務事業質疑でございますから、局の方針あるいは大目標、つまり、これから一体何を局はやろうとしているのか、こういう点を確認させていただきたいと思っております。
環境局といえば、この数年間、何といってもディーゼル規制、局全体でよく取り組みをなさったと思います。以前、一年ほど都市・環境委員会に私がいたころは、環境確保条例が論議の焦点で、それもそれなりに全国に影響力を与えた。しかし、それ以上に、石原知事が誕生してペットボトルから始まったこのディーゼル規制は、ディーゼル車NO作戦から始まって、文字通り国と自治体をリードしてきた、こういっても決して過言ではございません。都政が、極めて知事の個性もありますけれども、脚光を浴びた。
知事だけが目立った点もなきにしもあらずですけれども、これは知事の努力は最大限に評価しなくちゃいけない。ただ、その陰に、局の皆さんの圧倒的な努力があった。このことは高く評価したいと思っています。
そこで、ディーゼル規制が成功しただけに、次は環境局は一体何をするのか、これが多分問題だと。あるいは心ある都民は関心を持って見守っているはずです。とりわけ大都市東京は、環境問題が集約されている地域、こういっても間違いではない。したがって、環境施策は都政の最大のテーマの一つだと。こういう事務事業質疑、これから局は何をしようとしているのか、その確認ですから、冒頭局長に、東京の環境問題の現状、それから、そうした環境問題の現状に対する局の環境施策の基本的な認識、それをまず最初に確認をさせてもらいたいと思います。
○小池環境局長 ただいま環境局のこれからの施策を考えるに当たりましての基本的な認識ということでご質問をいただきましたので、お答えさせていただきます。
基本的な認識といたしまして、東京は今二つの意味での環境の危機に直面しているということで認識しております。その第一は、ディーゼル車の排出ガスなどの大気汚染や有害化学物質による都民の健康と安全を脅かす直接的な危機でありまして、第二は、廃棄物の増加、緑の減少、ヒートアイランド現象、さらに地球温暖化など、都市と地球の持続可能性を脅かす危機、こういうような側面でとらえております。
これらの危機は、ただいまのご発言にもございましたように、もちろん東京だけの問題ではなくて、多くの国内外の大都市がともに直面している課題であり、とりわけ地球温暖化問題は、人類の存続にかかわる全世界共通の重要問題というふうにとらえております。
また、東京は、多様な都市機能が高密度に集積し、文明の便益を享受してきた分、環境の危機も集約的にあらわれており、極めて深刻な状況にあると認識しております。
そうした中で、環境問題への対応は一刻の猶予も許さない、こういう状況認識でございます。国が動かないのであれば、国の施策を転換させるためにも、都みずからが先駆的な施策を展開して、環境の改善に取り組まなければならないと考えております。さらに、これからの社会は資源やエネルギーの大量消費に依存しないシステムを実現することが求められていることから、単に行政のみの力で施策を推進するにとどまらず、都民、NPO、事業者が広く連携して、社会全体として強力な環境施策を展開していくように東京都として働きかける責務がある、次世代への責任であるというふうに認識しております。
○中嶋委員 最後に局長がおっしゃったことが大事なんです。都民、民間事業者が積極的にかかわってくる。ディーゼル規制に関しても、トラック協会の零細な事業者の人たちは、悲鳴を上げながら必死になってついてきてくれたわけです。それは、大気汚染を何とか解消したい。知事、環境局のアピールに共鳴した都民が多数参加したから、ディーゼル規制は成功した。次に何をやるかということを局が決めたときも、広範な都民が同様に参加してくれる。多少の痛みを覚えながらも、悲鳴を上げながらも参加してくれる。そういうテーマを早く見つけて訴えていくことが、今局に求められている最も大事な仕事だろう、私はそう思っているものですから、今回質問させてもらっているわけでございまして、ぜひお願いしたいと思います。
総論として、今の局長の話は、過不足のない基本認識だと、正しい基本認識だと思っていますが、では、そうした問題意識に立って、次はどのようにこうした問題に対する基本的な取り組みの方針を持って事業を展開していくのか、これも総論的になりますが、まずご答弁願いたい。
○梶原企画担当部長 東京都では、ただいま局長から申し上げましたとおり、環境の危機の認識、目指すべき社会システムとしての環境配慮が内在化された社会システムの実現、環境対策におきます東京の責務と可能性などを踏まえまして、昨年、新たな環境基本計画を策定したところでございます。その基本理念といたしましては、健康で安全な環境の確保と、持続可能な社会への変革を東京から実現するというふうにしてございます。
この環境基本計画では、健康で安全な環境の確保、都市と地球の持続可能性の確保、自然環境の保全と再生という三つの基本目標を掲げ、分野ごとの目標と施策の方向、環境の危機克服の行動の推進と配慮の指針、東京におけます環境施策を戦略的に取り組む課題について戦略プログラムを示しておりまして、環境局では、この基本計画に基づき戦略的な環境行政を展開しているところでございます。
○中嶋委員 これですね、環境基本計画、非常にきれいで、センスもよくて、立派な計画なんですけれども、全部読んでも、では、局は一体当面何に一番重点を置いてやろうとしているのかというのはなかなか見えづらいんです。これは、こちらの読解力が足りないのだといわれては、それはそれでおしまいなんだけれども、それだけではないだろうと。
そこで、抽象的あるいは総論的な問題提起ではなくて、もっと都民にアピールする問題提起が必要だろうと。だから、もっと具体的で当面短期集中的な、そういう施策のアピール、あるいは短期集中的な施策のプログラムを具体的に示していただきたい、こう思うんですが、いかがでしょうか。
○梶原企画担当部長 理事が今ご指摘いただいたとおり、環境の危機の克服を目指す施策には、中長期的な展望から粘り強く一貫して行う施策もございますと同時に、ご指摘のように、短期集中的に取り組むべき施策もございます。このため、環境基本計画では、五つの柱を設けてございまして、まず第一点が、大気汚染対策の徹底、第二点が、地球温暖化の阻止、第三点が、ヒートアイランド対策の展開、さらには第四点として、貴重な自然の保全と再生、五点目に、都市づくりにおける環境配慮の強化という五つを、東京において戦略的に短期集中して取り組む課題と位置づけまして、五年間のプログラムを戦略プログラムとして示しておるところでございます。
これらの戦略プログラムに基づきまして、例えば戦略プログラム1の大気汚染の対策の徹底では、先ほど来お話の出ておりますディーゼル車規制の徹底、それから、戦略プログラム2では、地球温暖化の阻止ということで、昨年から始めております地球温暖化阻止東京作戦、これを始めておるところでございますし、その中で東京臨海風力発電所ですとか、水素ステーションの設置などの自然エネルギーのリーディングプロジェクト、戦略プログラム3の中では、ヒートアイランド対策の展開といたしまして、屋上緑化の推進ですとか、ヒートアイランド観測網の整備といったようなことに取り組んでおるところでございます。
さらに戦略プログラムの4では、貴重な自然の保全と再生といたしまして、多摩の森林再生ですとか、小笠原のエコツーリズム、さらに戦略プログラムの5では、都市づくりにおけます環境配慮の強化といたしまして、計画段階アセスの条例化などさまざまな取り組みを進めているところでございます。
○中嶋委員 全く正しいんです。ここに概略が書いてあります。ただ、知事のペットボトルにこだわるようですが、あの突破力にはかなわないんです。こういう整合的で論理的な政策の体系というのは確かに立派ですし、センスもいいし、説得力もあるんだけれども、しかし、知事のペットボトルの突破力は大したものでした。あの突破力が環境問題にもなくてはいけない。
そこで、今回の選挙ではマニフェストが非常に注目された。一種のはやり言葉、いつまで持続するか私は心配しているんですが、その前は政策指標、ベンチマークス、これが注目を浴びました。我々公明党、ベンチマークスの発祥の地、オレゴン州のポートランド、ナイキの本社があるので有名なんですが、そこまで行ってきました。ここでは、例えば住民の文化性あるいは教育レベルをはかる指標として、住民の中で英語以外の言語を話す人の割合という指標があったり、天然サケの遡上率、こういう政策指針もあったんです。非常にわかりやすい。河川の水をきれいにするとか何とかということよりも、天然サケが一体幾ら遡上してくるのか、この数字を示すことによって、河川改良の政策評価をきちんとやっている。これがベンチマークスの特徴なんです。
東京都もつくった。東京都政策指標の中にこんなのがあるんです。熱帯夜を年三十日から二十日間に減らす。こういうベンチマークスを東京都がつくった。これはよほどわかりやすいです。地球温暖化の阻止、ヒートアイランド現象の解消なんていわれても、なかなかぴんとこない。だけれども、熱帯夜を今後何年間で三十日から二十日に減らす、こういわれれば、都民は、ああ、そうかと非常にわかりやすい。これが僕は大事だろうと思うんです。
原案の中にはこんなのもあった。これは東京構想二〇〇〇から外されましたけれども、一年間で都内から富士山の見える日数、これをふやすというベンチマークスもあった。これもわかりやすい。極めてわかりやすい。大気汚染を解消しますなんてことをいうよりも、富士山の見える日数をふやします。これは非常にわかりやすい。これがベンチマークスの特徴です。
こうした具体的な政策指標、今の二つがいいというわけではないですよ。これに類したわかりやすい政策指標を提示して、それを実現していく。こういう取り組みを改めてぜひやっていただきたい、こう思うんです。
今企画担当部長からございました、ヒートアイランド、これから取り組む。具体策もある。この熱帯夜を三十日から二十日に減らす。これは東京都政策指標に盛り込んだ。つまり、東京都の政策指標として公表しちゃった。これはいつまでに達成することになっているんですか、二十日に減らすというのは。
○梶原企画担当部長 今お話のございました東京構想二〇〇〇で設定された政策目標の目標年次でございますけれども、これはそのまま環境基本計画の方に三つの基本目標ごとに引き継いでございまして、目標の設定年次は、東京構想二〇〇〇との整合性を図りまして、おおむね二〇一五年ということで設定してございます。
○中嶋委員 二〇一五年に熱帯夜を三十日から二十日に減らす。つまり、今後十年間で熱帯夜を三分の二に減らす、こういう具体的な目標は明らかになった。では、そのためには一体何が必要かということで、具体的な施策の体系が出てくる、こういう取り組みを期待したいんです。
僕は個人的には、正しいかどうかは別にして、ディーゼル規制の次のテーマはヒートアイランド現象だろうと思っているんです。ですから、あえて熱帯夜のこのベンチマークスを出したわけですけれども、広くいえば、地球温暖化だと。東京は、この百年間で四度も気温が上昇したという話も聞いています。今のところ、透水性ではなくて保水性の舗装だとか、あるいはさっき高橋理事からもあった屋上緑化などの対応があると聞いていますが、しかし、現状では、ヒートアイランド現象というのは、発生状況とか原因、それから、それに対する効果的な対策について十分なものが確立されていない、こう聞いております。
ここからは具体的に質問しますが、ヒートアイランド現象に関して、観測網を局はつくられた。その観測網に基づいて、さらにモニタリング調査もやった。こういう話も聞いているんですが、そのモニタリング調査の結果はどうなっているのかということと、調査したんだけれども、その結果を今後どう生かすのか、この二つを教えてもらいたいと思います。
○百合都市地球環境部長 都では、ヒートアイランド現象につきまして、地域ごとのより詳細な実態を把握するために、従来の測定箇所を大幅に上回ります区部百二十カ所で温度と湿度、またそのうち二十カ所では風向、風速、気圧、雨量についても二十四時間常時観測を実施しているところでございます。今後、このモニタリングにより得られました測定結果と、人工排熱や緑、地表面の実態調査を踏まえた熱環境マップを作成いたしまして、地域ごとの熱環境を明らかにするとともに、数値シミュレーションによる効果予測等を行いながら、地域特性に応じた対策を東京モデルとして構築していきたいと考えております。
○中嶋委員 この熱環境マップと東京モデル、これは数値シミュレーションに基づく東京モデル、これは非常に興味深いと思うんです。かつて、日本経済のモデルがあって、数値を打ち込むと経済成長予測が出てくるような、そういうモデルのことでしょう。つまり、この地域でこんな保水性舗装をやったらこんな結果が出ますよとか、あるいは屋上緑化を何%から何%にふやしたら東京のヒートアイランドはこうなりますよというのがパソコンで出せるわけでしょう。こういうのをインターネットで公開して、端末を使えばシミュレーションに都民も参加できる、こんなようなことをしていただきますと非常におもしろいし、都民の注目も集めると思うんです。これもぜひ検討していただきたいと思います。期待しています。
繰り返しになりますが、さまざまな保水性舗装や屋上緑化や街路樹の緑化、それから緑被率の向上、それからあと、風の道、いろいろなことがある。こういうのを全部総合しないと、ヒートアイランド現象は全然解消できない。大変広範な事業。これを言葉でなくて実現するには、モデルをつくったり、あるいは各局にまたがる事業ですから、それを取りまとめて調整する、調整が可能な仕組み、こういうものをつくらないと、なかなか話は進まない。この各局の事業を調整する仕組みづくりについて、とりあえず見解をお示し願いたいと思います。
○百合都市地球環境部長 昨年八月でございますけれども、関係各局で構成いたします東京都ヒートアイランド対策推進会議を設置いたしまして、本年三月には、都の率先行動、民間と協働した施策の推進、施策に直結した調査研究の推進の三つを柱といたしますヒートアイランド対策取り組み方針を策定したところでございます。
また、平成十五年度重点事業といたしましては、集中的なヒートアイランド対策モデル事業を位置づけまして、関係局の連携により、汐留、丸の内、麹町、西新宿の都内四地区におきまして、保水性舗装、下水再生水の散水や屋上緑化など、ヒートアイランド現象の緩和に向けたモデル事業を集中的に実施しているところでございます。
今後とも、引き続きヒートアイランド対策取組方針に基づきまして、全庁を挙げて総合的なヒートアイランド対策を展開してまいります。
○中嶋委員 ぜひ全庁を挙げての総合的な取り組みを推進できる体制を環境局が主導をとってつくってもらいたいと思いますし、あとモデル事業、これをもっと広く宣伝してほしいんです。次の質問にも関連するんですが、広報です。繰り返しになりますが、知事のペットボトルは最高の広報でした。あんな強力な、しかも、お金のかからない広報はない。個人の資質に依存し過ぎるのはどうかと思うんだけれども、しかし、広告塔としては、知事はあれは貴重な資源です。
その資源をうまく活用することも考えてほしいんですが、あの人、乗ればやりますから。ペットボトルだって、環境科学研究所のどなたかが知事に見せたから飛びついてやったわけでしょう。これも環境局がうまくしかけたといっても決して過言ではないわけで、何かうまい手を考えて、知事という貴重な資源をうまく活用した方法を一つは考える。
もう一つは、さっきいった東京モデルに都民を参加させるみたいな、そういう効果を計算した広報戦略、そんなものを考えて今後は取り組んでもらいたい、こう思うんですが、いかがでございましょうか。これは、意識啓発と、あと民間の事業を引っ張り込む誘導にもなります。そういうものをお願いしたい。
○梶原企画担当部長 今いろいろお話を伺っていながら、環境施策の今後の進め方、特に戦略的な広報展開について考えていかなければいけないというふうに決意を新たにしたところでございますが、私どもの認識といたしまして、現在の環境問題というのは、都市で生活する人々が環境汚染の発生源としての加害者でありながら、同時に被害者である。これも知事がよくおっしゃっていることだと思いますが、そういう局面がある。そういう意味では、従来の被害者対加害者といった公害型の環境問題とは質を異にしてきているというふうに考えておるところでございます。
そういう意味からも、改めて都民、事業者、行政が重要な課題についての共通の認識を持つということが極めて重要であるかというふうに思っておるところでございます。したがいまして、協力、協働の体制をとりながら、環境への負荷の少ない社会をともに築いていくということが極めて重要であるというふうに考えておるところでございます。
このため、環境局では、ディーゼル車規制などの重要なテーマにつきまして、生活文化局の広報広聴部などとの連携を図りながら、中長期的なスケジュールと目標を定めて、ホームページあるいは「広報東京都」、プレス発表、新聞広告あるいは知事にお願いしてプレスの発表というようなことも、さまざまな広報媒体によりまして都の取り組みをタイムリーにかつ効果的にできるだけお伝えできるように展開してきたところでございます。
また、ディーゼル車NО作戦ですとか、地球温暖化阻止東京作戦などを展開していく過程では、特にグリーンペーパーの発行ですとか、インターネット討論会の開催などを行いまして、従来の行政からの一方的なお知らせではなく、政策形成過程の情報ですとか問題提起、解決策の提案を盛り込みました双方向かつ提案型の広報にも積極的に取り組んできたところでございます。
平成十五年度は、十月から開始されますディーゼル車規制にかかわりますホームページを見直しまして、内容を充実しますとともに、企業の規制への取り組み事例を掲載しますなど、企業の積極的取り組みをご紹介させていただき、都民や企業などと一緒に取り組んできたところでございます。
今後とも局の重要課題につきまして、各種媒体を活用した戦略的な広報展開に取り組んでまいりたいと考えております。
○中嶋委員 双方向提案型というのは、これは期待が持てます。何が出てくるか見ていますので、ぜひ頑張ってもらいたいと思います。
時間も来ましたので、要するに申し上げたいことは、環境局は次に一体何をやるのか、このことに多くの都民が、もちろん私もそうですが、期待を持って注目をしているということだと思います。日常業務はさまざま苦労して努力なさってやっていらっしゃるんでしょうけれども、政策局としての環境局の存在意義を高める努力をぜひお願いしたいというふうに思います。難しい注文かもしれませんが、ディーゼル規制と同様、あるいはそれ以上、国や自治体を刺激し、リードして動かしていく、そういう環境政策の展開を期待して、私の質問を終わりたいと思います。
○かち委員 私からも、ヒートアイランド抑制対策に関連して何点かお聞きしたいと思います。
幾つかのやるべき課題はあるわけですけれども、その中の一つに、温室効果ガスをいかに抑制していくかという問題があります。この温室効果ガスというのは、主にはCO2が挙げられるわけですけれども、そのCO2よりもはるかに効果力の高いフロンガスというものがありまして、このフロンガスは、既に特定フロンは九五年に製造禁止となり、それにかわる代替フロンも二〇二〇年には製造禁止というふうになるわけですけれども、今現在、それが大変地球上に出回っているわけです。それをいかに放出しないで破壊回収するかというのが課題になっていたわけですけれども、二〇〇二年度から、フロン回収破壊法というものができまして、冷媒フロンの回収破壊が行われるようになりました。
しかしながら、新聞報道によりますと、業務用の空調など、毎年約五千二百六十トンのフロンガスが廃棄に回る予定だったものが、環境省や経産省の集計によると千九百五十八トン、三千三百トン、約六割が未回収ということだそうです。こういうことは、いずれにしても、対策不十分なまま空気中に放出されている可能性が大きいという問題があると思うんです。この法律に基づいて、では、東京都において行われた冷媒フロンの回収、破壊量の集計結果というのはどういうふうになっているでしょうか。
○百合都市地球環境部長 平成十四年四月から施行されました業務用冷凍空調機器の冷媒フロンの回収破壊に関しまして、十四年度分の回収量を集計した結果は三百十六トンでございました。
○かち委員 三百十六トンというこの数字をもって、多いのか少ないのかというのはつぶさに判断はできないわけですけれども、温室効果ガスといわれるCO2よりも数千倍以上の効力を持つフロンガスの大気中への放出を極力抑制しなければならないわけですが、フロンは冷媒のほかにも断熱材や洗浄剤などにも使用されているわけです。そのフロンの用途別の割合というのはどういうふうになっているんでしょうか。
○百合都市地球環境部長 環境省の資料によりますと、平成十四年における全国のフロン出荷量を用途別に見ますと、冷媒六〇%、断熱発泡剤二三%、その他洗浄剤など一七%というふうになっております。
○かち委員 冷媒が最も多いというわけですけれども、二三%の断熱材に使用されているフロンの対策というものが非常に求められていると思うんです。CO2の一万倍の温室効果があるといわれているフロン、しかし、断熱フロンはそれをさらに大きく上回る温室効果力を持つといわれています。建設材料である断熱材フロンについてはどのような対策がとられているのか。
また、環境確保条例に基づき、建築物環境計画書制度というものがつくられたわけですけれども、これにより提出された計画書のうち、ノンフロン剤使用計画というものは全体の計画書提出のうちどのぐらいあったのかお聞かせください。
○百合都市地球環境部長 国は断熱材製造業界に対しまして、ノンフロン化に向けた自主行動計画の策定と実施の指導を行っているところでございます。
都におきましても、ご指摘の建築物環境計画書制度におきまして、断熱発泡剤としてノンフロンなどを使用する場合には、高いレベルの評価を行うなど、ノンフロン使用を誘導する仕組みをとってございます。具体的には、建築主が計画書を作成する際に、断熱材の半分以上についてノンフロンなどの発泡剤を使用する場合には、その旨を記載することができるようになっております。これまでに提出があった二百十九件の計画書のうち、ノンフロンの記載があったものは三件でございます。
○かち委員 国も都も、いろいろと誘導策はとられているわけですけれども、実際なかなかまだ二百十九件中三件という点では前進しているとはいいがたいところだと思うんです。今後、都市再生のもとで、巨大ビルなどが多数建築されていくことが予想されるわけですけれども、高規格高機能のオフィスビルなどは、とりわけ温暖化を促進するといわれています。その意味でも、ノンフロン断熱材の使用をさらに促進する必要があると思いますけれども、都として今後の取り組み方針はどのように進めていくのでしょうか。
○百合都市地球環境部長 断熱材は、省エネルギーを図る上で重要な役割を持ちまして、ノンフロン化が進むことが基本的に望ましいというふうに考えております。
ノンフロン断熱材に関しましては、技術開発も進んできているものの、加工技術の難易度やコスト等の点で課題が残されているのも事実でございます。都といたしましては、引き続き技術開発状況や市場の動向を見定めていきたいというふうに考えております。
○かち委員 ぜひ大いに努力していただきたいと思います。
その関連で、産業廃棄物の関連なんですが、平成十四年に、家電リサイクル法ができて、冷蔵庫や家庭用、またカーエアコンの回収がされるようになりまして、その回収時に冷媒フロンの回収破壊が義務づけられたわけですけれども、このときには、まだ断熱フロンについては義務づけられていなかったわけです。私は、環境確保条例制定時にも、断熱フロン対策を位置づけるように求めましたし、国に対しても求めるべきだと主張してきたところですけれども、最近の国の動向というのはどういうふうになっているでしょうか。
○松本参事 都は、平成十三年の家電リサイクル法施行の以前から、製造事業者等に冷蔵庫の断熱材フロンの回収も義務づけるよう国に強く要請してまいりました。今般、国において、家電リサイクル法施行令の見直しが検討されており、冷蔵庫の断熱材フロンの回収が義務づけられる方向と聞いております。
なお、既に冷蔵庫の断熱材フロンの回収に自主的に取り組んでいる事業者も多く存在します。
○かち委員 実態的には、リサイクル法ができるころから、大手企業を初めとして、断熱材フロンの回収破壊をやってきていた状況もあったんです。しかし、そういう施設が十分に整わなかったという状況もあったわけで、法律化はしなかったわけですけれども、今ご答弁いただきましたように、新聞報道では、環境省と経済産業省が、来月十二月に、家電リサイクル法の改正に伴って政令を改正し、来春から断熱材のフロンの破壊回収を義務づけることが決まるようです。
ようやく国においても、断熱フロンの回収破壊を義務づけるようになったわけですが、フロンは、特殊フロンだけでなく、代替フロンも断熱フロンもオゾン層を破壊し、直接的な皮膚がんなどの人体被害とともに、地球温暖化を促進する物質として、今後は、製造段階からノンフロン化の転換を促進するよう環境局としても一層のご指導、ご努力をお願いしたいと思います。
次に、産廃についてお聞きします。資料もいただきましたが、一般廃棄物は年々着実に減量している中で、二〇〇一年度の産廃排出量は二千五百二十二万トン、排出量の状況を見ると、減るという状況は見られないわけです。今後、東京都の都市再生の動きの中で、都市計画政策との関係や、建築物の築年経過との関係でも、建設廃棄物はますますふえていくのではないかと思われますけれども、局としてはどのような見通しを現在持っているのでしょうか。
○松本参事 東京では、高度成長期に建設されました建築物等の更新時期を迎えつつあります。建設廃棄物の発生量が増加することは予測されますが、建築物の長寿命化を促進することなどにより、産業廃棄物の排出量は微増程度となるものと予測しております。
○かち委員 資料の経過を見ていても、ちょうど高度成長期の都市化の中で進んできた建築物が更新期を迎えている。それに追いかかるように、都市再生の大規模開発が進んでいくという点では、この建築廃材問題というのは、今、今日的な東京都の課題になっていると思います。
都内の産業廃棄物の排出分類を見ますと、五三%が上下水道の汚泥、建設汚泥は約二〇%です。最終処分量は二百二十二万トンといわれていますが、その八六%を建設廃棄物が占めているということでは、最終処分量のほとんどが建設廃棄物だといえるわけです。建設廃棄物のことからしても、建設廃棄物の減量化とリサイクルが緊急課題だと思いますけれども、改めて都としての減量計画とその具体化についてお聞きしたいと思います。
○松本参事 都は、平成十四年一月に策定しました東京都廃棄物処理計画におきまして、平成十七年度の産業廃棄物の最終処分量を平成十一年度対比で五割削減する目標を掲げたところであります。この目標を実現するためには、建設廃棄物のリサイクルの推進が不可欠であると考えております。
このため、東京都は、平成二十二年度のコンクリート、アスファルト、建設発生木材の再資源化等の率の目標値を国を上回る九九%以上と設定しまして、関係機関の連携のもと、建設リサイクル法の徹底を図っております。
さらに、建設リサイクル法の対象品目とはなっていませんが、建設泥土につきましても、独自に東京都建設泥土リサイクル指針を定めまして、工事間利用等によるリサイクル推進を図っているところであります。
○かち委員 今後、どの程度建設廃棄物がふえていくのかという見通しが見えてはいないんですけれども、しかし、十七年度までには五〇%まで最終処分量を減らすという計画のもとに進められていくわけですけれども、これが本当に進んでいくかどうかというのは、私は疑念を持っているんです。つまるところ、一つは、建設リサイクルがどんどん進んで、かなり分類もできているというふうにはいわれていますけれども、それを再利用するというところでは、まだちょっとパイプが太くなっていない。物はたまって、それをどうさばいていくかという点では、これからまだまだ大きな課題があると思うんです。
最終処分場の容量には限りがあるわけで、これをどう延命させていくかという点では、このほとんど建設廃棄物といわれるものは建設泥土になるわけです。その泥土をどうやって廃棄物にしていかないかという点では、公共事業の中でリサイクルというか、こちらの工事から出たものをこちらの工事に使うというようなことで回していかれるというお話も伺ったんですけれども、公共事業だけではなくて、民間の開発事業、大規模にこれからもどんどんやっていく。そういうものから出るものは、多分に多く出るわけです。そういうものがバランスが崩れたときに、本当に廃棄物処理というのは破綻を来すと思うんです。そういう観点からしても、都市計画づくり、都市づくりというのは非常に重要な問題であり、十分に見定めていかなければならないというふうに思っております。
ところで、スーパーエコタウン構想が打ち出されて、国や東京都が一体となって今進めているところですけれども、その一環で、城南島の都有地を売却して、民間による産業廃棄物の中間処理施設を合計で九カ所建設する計画が着々と進んでいるわけですけれども、このうちの三カ所は建設廃材の中間処理施設です。私は、都市計画局で、都計審案件の中で何度も申し上げてきたことでありますけれども、環境との関係ではここでしかいう場がないのでいわせていただきます。この三カ所とも、環境アセス対象面積にはわずか十とか二十平方メートル欠けるということで、アセス対象から外れているわけですけれども、一定規模の用地に同一目的、とりわけ産廃中間処理施設の建築物を集中させるということは、それだけ環境に負荷がかかるということです。
城南島には、居住者こそいませんけれども、働いている人は二千人からいるわけです。今でさえ城南島の交通量が大変激しく大気汚染が進行している中で、さらに四千台近い車がふえるということは、大気環境への影響も多分に予想されます。また、既に稼働しているプラスチックの中間処理施設からは、風向きによっては異臭が立ち込めるという苦情も聞いています。
このように同種の産廃処理施設が同じ計画地の中で三つ四つと複合していったときに、累積的な環境への影響が予測されるわけですけれども、現段階では、総合アセスの対象にもならない、こういう状況にあり、現実との間で大変矛盾を感じています。もともと都のスーパーエコタウン構想のもとで、民間中小企業を誘致したものですから、今後全面稼働する中で、都として環境対策についても厳しく指導、支援していただきたいということを申し上げておきます。
環境影響評価制度は、昨年七月から、対象要件が大幅に緩和されました。このことにより、特定地域における高層建築物の高さは百八十メートルを超え、延べ床面積も十五万平方メートルを超えなければ対象にならないということになりました。しかし、今日、東京の都心を中心にヒートアイランド化が進んでいることは周知のとおりです。大規模開発、超高層ビルの林立がその要因になっていることは否めません。
こうした中で、特定地域における超高層ビルの規模要件を満たしていても、他の地域では実施されている温室効果ガスの項目が入っていないというのは極めて不十分ではないかと思うのですが、その点についてのご見解をお聞きします。
○百合都市地球環境部長 特定地域にかかわる高層建築物の対象となります評価項目は、十四年七月の条例改正におきまして、工事中につきましては、大気汚染、騒音・振動及び史跡・文化財の三項目でございまして、工事完了後については、大気汚染、日影、電波障害、風環境、景観及び史跡・文化財の六項目が定められ、温室効果ガスは含まれておりません。
なお、大規模建築物に適用されます建築物環境計画書制度におきましては、温室効果ガスの削減につながるエネルギー使用合理化を評価項目としているところでございます。
○かち委員 十四年の七月の環境アセス条例の制定時には入っていなかったということは、意識的に入れなかったのかどうかというのはわかりませんけれども、現実入ってはいないわけです。昨今の状況から見れば、一番影響が大きいと思われるものが対象になっていないというのは非常に不十分だと思うので、ぜひ今後の中でそういうものも検討し、見直しをしていただきたいと思います。
都市再生の進行はどんどん進んでいます。それに見合った環境確保対策も求められています。東京の環境は決してよくなったとはいいがたい状況です。NO2やPM、光化学、オキシダントにしても、環境基準をほとんどクリアしていません。公害苦情件数も、大気、騒音、悪臭、振動、いずれも年々増加しています。何よりもヒートアイランドを抑制し、持続可能な東京の環境を一層改善、確保するために、局としても努力されることを求めて、質問を終わります。
○新井委員 それでは、三点質問させていただきます。
まず第一点目は、環境影響評価制度についてです。国の環境影響評価法に先駆けて、昭和五十五年に東京都では、環境影響評価条例が施行されまして、その後多くの事案を手がけられました。ほかの自治体や国にも影響を与える実績を積み重ねてきたということについては評価をさせていただきたいと思います。特に平成十四年に、初めて計画段階アセスメントを条例化したことは、都庁内外にアセスメントの今後に対して多くの期待を抱かせることになりました。しかし、そのアセスは、対象事業を狭め、市民の参加手続を短縮するなど、私の期待を非常に大きく裏切ってしまうものになりまして、残念だなと思っています。
本来、都市計画と環境アセスが一体となって環境の悪化に歯どめをかけていくというのが姿かと思いますけれども、国の都市計画の方向は、規制緩和で、民間の開発を進め、経済の活性化を図ろうとする姿勢が非常に強くなっています。こういう状況の中で、環境アセスによる歯どめというのを期待するのは多くの都民の声でもあり、東京都の環境影響評価がより一層発展してほしいという、そういう願いを込めまして、質問をさせていただきます。
まず初めに、計画段階アセスメント制度が導入された趣旨についてお伺いいたします。
○百合都市地球環境部長 計画段階アセスメント制度の導入でございますけれども、大規模な公共事業におきまして、アセスメントの結果を計画に適切に反映するために、より早い計画段階でアセスメントを行うことが環境への配慮をさらに進めると考え条例化したものでございます。
○新井委員 より早い段階、計画段階で環境への配慮を進めるということのための条例化ということでは非常に大切なアセスなわけですけれども、それでは、一月に施行されまして導入されたわけですけれども、この計画段階アセスメントの実施状況はどうなっているでしょうか。
○百合都市地球環境部長 平成十四年七月に条例を改正いたしまして、おっしゃるとおり、十五年一月から施行されているところでございます。対象とする計画は、東京都の策定する計画に限られているという状況もございます。
現在実施したもの、または実施中のものはございません。
○新井委員 まだ導入されたばかりというところでもあるわけですが、せっかく導入をしたのに、全然実施したものも実施中のものもないということで、非常に残念だなというふうに思うわけです。この理由を考えますと、先ほど申し上げましたように、規模が大きくなってしまったということとか、もう一つ民間が対象になっていないということが一つの大きな原因ではないかというふうに思うわけなんですけれども、環境に与える影響という面であれば、東京都の事業だけではなく、もちろん民間にも影響を与えるわけで、そういった意味で、民間の実施事業にまでその範囲を広げていくべきではないかというふうに思うわけですけれども、いかがでしょうか。
○百合都市地球環境部長 計画段階アセスメント制度は、我が国でも初めての制度であるために、当面は東京都における実績を重ねた上で、どのような事業や計画にどのような制度がふさわしいか、研究、検討をしていくべきであるというふうに考えております。
○新井委員 初めての制度であるということですけれども、その趣旨が生かされないで実施事業はないという状態が続くと、これは考えていかなくてはいけないだろうというふうに思うんです。ここの民間については対象としないというのが経過措置というふうになっておりますので、できるだけ経過がとれて実施されるようにお願いをしておきたいと思います。
今後、この手続の中では、残念ながら市民参加の部分の手続が短縮されてしまったわけなんですが、アセスでの住民参加、市民参加というものを充実させていくべきかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○百合都市地球環境部長 環境アセス制度における住民参加の件でございますけれども、条例におきましては、評価書などの縦覧、閲覧の実施や、各機会をとらえての都民の意見を募集しておりますし、また、関係区市町村からの意見聴取も行っております。さらに、都民の意見を聞く会を開催いたしまして、住民がアセスメントに関与できる機会を多数設けているところでございます。
また、環境局のホームページにおきましても、環境アセスメントにつきまして情報提供しているところでございます。今後とも、都民における情報提供等の充実に努めてまいりたいと思っています。
○新井委員 この一月にアセスが導入されたということで、関係局の方としましては、しばらく動向を見たいというふうな意向が非常に強いのかなというふうに思いますので、今回は質問はこの程度にとどめまして、アセスが今後大きく発展をしてもらいたいということで意見をいわせていただきたいと思います。
環境への関心が非常に高まっておりまして、公害防止から身近な環境問題というだけではなく、広域的な地球環境問題まで含まれるようになってきました。その背景は、地球資源は有限で、開発行為などにとどまらず、あらゆる都市づくりに持続可能な発展の視点が不可欠になってきたということだと思います。大規模な開発事業に環境保全を目的として直接かかわっていくアセスメントの責任というのはどんどん重要になってくると思います。
例えば、今のアセスの中では、個々の事業はアセスの対象ではないけれども、それが集積した場合にどうなるか。先ほどあった城南島のような事例ですけれども、そういう場合とか、あるいは一つ一つの事業はアセスで環境に与える影響は小さいというふうに出ても、それが複合した場合、こういうものについては全く検討ができないというアセスになっておりまして、東京というような大都市においては問題が多いのではないか。近接した場所で大規模事業が幾つも行われていくということが現実にもありますし、これからもっと集積した事業が行われていくという可能性が極めて高いということで、これに対処するためには、どこの都市よりも早くに対策を立てていかなければいけないのだというふうに思います。
EU諸国では、二〇〇〇年に戦略的アセスメント、いわゆるSEA導入指令というのが出まして、各国が着々と準備を進めているという状況で、ここ数年でほとんどの国がSEAを導入するということを聞いています。先進国のほとんとがSEA導入ということになるわけで、日本も導入に向けて検討を開始したということがホームページに出ておりましたけれども、東京という日本最大の都市というのは、先ほど申しましたように、どの都市よりも本当に機能するアセスというものが必要だということで、ぜひSEA導入ということも他局と連携して、国に先駆けて検討開始、そして導入ということをしていただきたいというふうにお願いをして、アセスについては終わります。
次は、里山保全なんですけれども、平成十二年度に自然保護条例が改正されまして、里山保全地域と森林環境保全地域という類型が設けられまして、森林環境保全地域については、平成十四年度に一カ所指定をされましたけれども、里山保全地域については三年を経過しましたけれども、まだ指定が一つもされていません。十四年の第四回定例会の代表質問でもこの問題を私は取り上げたんですが、里山保全地域を新たに指定するためには、保全に取り組むための体制づくりが重要課題であるというふうに伺っております。
一方で、厳しい財政状況の中で、土地の公有化の対象となる保全地域をふやすことが非常に困難だというふうにもいわれておって、それもわかるわけですが、これらの困難な課題を克服しなければ、ただでさえ管理の手が離れて荒廃が進んできている東京の里山というのは、開発や残土捨てなどによって次々と失われてしまう、こんな危機的な状況にあるわけです。
里山に代表される東京の貴重な丘陵地や森林、山地を積極的に保全していく施策が、今まさに求められているというところでお伺いするんですけれども、保全地域の公有化について、毎年予算が大きく削減されておりますけれども、今後どのように公有化を進めていかれるのか伺います。
○徳毛自然環境部長 自然保護条例の土地の買い取り制度は、保全地域内の土地において、土地所有者が受ける強い利用制限に対して補償するための制度でございまして、都はこれまでも土地所有者の申し出に基づき公有化を進めているところでございます。都財政が非常に厳しい状況ではありますが、公有化に当たり、一つの土地を数年度に分割するなど、できるだけ多くの申し出にこたえられるよう努めております。
また、公有化する土地の選定に当たりましては、希少動植物の生息状況や開発計画の有無、相続等の申し出者の事情など諸条件を勘案しております。
今後とも申し出のあった土地につきましては、限られた予算の効率的な執行に努め、厳正で公正な選定を行い、適切な公有化を進めてまいります。
○新井委員 非常に厳しい予算の中でいろいろ工夫をされていらっしゃるなというふうに思いますけれども、先ほど申しましたように、里山を保全するための方策というのは、条例の里山保全地域の指定というのが最も適切であるというふうに思うのですけれども、里山保全地域の指定の見通しはどのような状況にあるのでしょうか。
また、里山保全のためのこれまでの取り組みについてもあわせてお聞かせください。
○徳毛自然環境部長 里山保全のためのこれまでの取り組みといたしましては、平成十二年度に、多摩地域の谷戸調査を実施いたしまして、四百四カ所の谷戸について、自然環境の資質などを評価しております。また、緑地保全地域や歴史環境保全地域など、既存の保全地域内にある谷戸につきまして、水田やため池の復活、都民ボランティアによる草刈りなどを実施いたしまして、里山の復元や保全活動を行っております。
なお、里山保全地域の新規指定には、土地所有者の理解や、継続的に保全管理できる体制づくり、また、厳しい財政状況下における土地の公有化など多くの課題がございます。そのため、現在複数の地域で、地元自治体や市民団体等の参加を得て、里山保全のあり方を検討する場を設置しており、一部の地域では、地権者の了解を得て、試行的にボランティアによるササ刈り等植生の復元活動を十二月に着手する予定でございます。
今後とも、これらの経験を生かし、保全地域指定のための課題に取り組むとともに、都民、NPO、企業などと連携することによって、財政的な負担を軽減する管理手法など、多様な里山の保全方策について検討してまいります。
○新井委員 なかなか検討から進まないなと思って見ていたわけなんですけれども、やっと試行ということに一段階進まれたということで、非常にうれしく思います。
里山の保全には、指定の有無にかかわらず、東京都だけではなくて、地元の自治体、NPO、今おっしゃったように、場合によっては企業など連携した保全のための体制づくりというのが非常に必要だというふうに思うんですけれども、これまで行われてきたNPO等との連携による緑地の保全及び今後の取り組みについてお伺いいたします。
○徳毛自然環境部長 現在、四十四カ所の保全地域のうち、二十五カ所において、市民団体によるボランティア活動が行われております。活動の内容といたしましては、草刈り、間伐、萌芽更新、自然観察などでございます。都としては、これらのボランティア活動に対して、用具の貸し出しや管理小屋の設置などの支援事業を行っております。
このうち、青梅上成木森林環境保全地域では、昨年度から、公募により広く都民ボランティアを募集し、保全活動を行っており、今年度は都が主催する保全事業のほかに、初めて企業及びNPOと連携した森林環境の保全に取り組みました。この活動において、毎回約五十名の都民ボランティアの参加をいただき、参加者からは、他の企業にも働きかけるべき、このような連携を他地域でも推進すべきなど好評を得ております。
今後とも、このような取り組みを他の保全地域において拡大していきたいと考えております。
○新井委員 NPOとの連携、保全活動が非常に積極的に行われているという様子がよくわかりまして、特に青梅の上成木の事例、公募による都民の参加、企業との連携というのは非常に貴重だというふうに思います。こういった試み、おっしゃったように、ぜひ積極的に拡大をしていっていただきたいというふうに思います。
しかしながら、活動が進んでいるとはいうものの、新たな保全地域の指定というのが待たれるところなんですけれども、保全地域の新規指定というのには土地の公有化ということがネックになっているということで、それはよくわかっているわけなんですけれども、今の厳しい都財政の状況では、東京都が土地を買い上げて保全していくということは非常に限界がある。そのような状況を踏まえて、以前から私は建設局が行っております都市緑地保全法に基づく市民緑地制度、これをぜひ里山の方で環境局も活用して、公有化によらない保全方法を進めるべきだということを従前から主張しているわけなんですけれども、環境局における市民緑地制度の導入について、現在の状況はいかがでしょうか。
○徳毛自然環境部長 都市緑地保全法に基づく市民緑地制度は、三百平方メートル以上の緑地を地方公共団体が土地所有者との契約により一定期間その土地を管理し、住民に公開する制度でございます。契約期間が二十年以上などの条件を満たす場合は、相続税評価額が二割減となるなど、土地所有者に税制上の優遇措置があるとともに、都としても公有化の推進が厳しい状況の中で、公有化することなく保全事業を実施できるメリットがあると理解しております。
環境局といたしましては、里山を保全するための仕組みとして、市民緑地制度は大変有効な手段であると考えており、引き続きその導入について検討してまいります。
○新井委員 また引き続き検討ということで、ちょっと残念で、検討の中身が少しずつ前向きに進んでいるのかなというニュアンスは感じ取ることができるわけなんですけれども、ぜひ早急に進めていただきたいと思います。
私は、環境保全派の地主さんと話をする機会があったんですけれども、地権者の方というのは開発派の方がほとんどなんです。そういう中で、自分は里山を保全したいんだということを申し出ていくというのは結構勇気が要るということなんです。特に有力者の方がみんなで開発していこうというふうな意向をお持ちの場合には、いやいや、自分は開発よりも保全したいと思っているんだよというふうにいうのがなかなか厳しい。
そういうところで、建設局の方に申し上げて、建設局の方ではそのように進めていただくというふうにお約束していただいたんですけれども、直接市民緑地制度を導入した場合に、その当該地主さんに、東京都の方から登録してくださいというふうな直接的なお願いをするといいますか、そういうふうにすることで登録を進めていくということが一つ大事なのではないかというのを、地主さんたちとお話をしていて感じました。
まだまだこの制度の導入について検討中というところですので、そこまでは至らないかもしれませんけれども、導入された折には、そういうふうな現実もちょっと目にとめていただいて、市民緑地制度が広がっていくように努力をしていただきたいということを、これまたお願いをさせていただきます。
自然が失われていくという原因の一つが、相続のときに税金の関係で土地を手放してしまう。物納してしまったりとか、開発のために売却をしてしまったりということがあるわけなんですけれども、多摩では、去年、里山を保全したいという地主さんの強い意向で、最初は買い取りしてくれないかというような相談に見えたんですけれども、最終的には多摩市にご寄附を願ったという事例があるんです。一部を物納して--それを物納するんですけれども、国の方で、競売にかけないで市と国が契約関係を結んで、分割で買い取るからということの契約で、競売にかけないで全体として里山を保全したという事例があります。
こういうふうな事例があって、これはとてもいいケースで、あちこちで進めていただきたいなというふうに私は思っているんですけれども、こういうふうな寄附をしたいというような申し出、こちらにも、環境局にはこれまで事例があったでしょうか。
○徳毛自然環境部長 これまで保全地域において土地の寄附の申し出を受けた事例はございません。
○新井委員 多摩の場合は、実は測量とか登記の更新に係る費用というのが、全部寄附した地主さんの費用ということで、何と二百二十万円もかかったんだということを後から聞いて、私も申しわけなかったなと思ったわけなんですけれども、仮にこういう申し出があった場合、そういった登記のための測量とか経費がかかる、こういった経費については、費用負担はどうなるんでしょうか。
建設局については、市民緑地制度の場合は、建設局が全部やるので費用がかからない。もし、市民緑地制度でない地域でも、今までに事例が一例あったということなんですが、測量等を全部東京都の建設局の方で行って、地権者の方には全然そういった費用負担はかけなかったというふうにいっているわけなんですけれども、もし、こちらの方にそういう寄附の申し出とかあった場合、これは費用負担はどんなふうになるんでしょうか。
○徳毛自然環境部長 これまで寄附の申し出についての事例はございませんが、仮に保全地域内で土地の寄附の申し出があった場合には、都が必要な測量や登記を実施してまいります。
なお、保全地域の指定を予定している地域において寄附の申し出があった場合には、指定を行った後、既存の保全地域と同様に都で測量等を実施してまいります。
○新井委員 里山保全ということで、残したいという非常によい意思を持った地主さんに個人的な負担をかけることなくということで、ぜひお願いをしておきたいと思います。
都財政の逼迫で自然環境行政も非常に行き詰まっているわけですけれども、できるだけ経費をかけずに里山や森林、貴重な自然環境を保全するための工夫をしているということはわかりました。しかし、現実に丘陵地の自然が失われ、失われた自然の回復は極めて困難であるという現実を見ますと、さらに積極的な自然環境保全のための事業展開が必要だと思います。行政だけでは限界がありますので、地主さんや企業、あるいはNPOなどとさらに連携を図りまして、少しでも早く、少しでも広く、貴重な自然環境の保全を進めることを強く期待して、この件については終わらせていただきます。
最後に、在宅医療廃棄物対策についてお伺いいたします。
今まで医療機関で行われてきた医療が一般家庭でも実施されるようになりまして、注射針などの在宅医療廃棄物が家庭からもごみとして排出されるようになりました。以前、ごみの収集作業時に針刺し事故が発生したということも聞いております。家庭から排出される使用済み注射針の回収については、都内では一部の医療機関でも行っているようですけれども、都の働きかけによりまして、昨年の十一月から、薬局においても始められています。
そこで、その回収の仕組みがどんなふうになっているのか、現在の回収状況はどんなふうになっているのかお伺いをいたします。
○福永廃棄物対策部長 在宅医療の進展や医療保険制度の充実に伴い、糖尿病患者の自己注射が認められるなど、在宅医療の分野が拡大し、家庭から排出される使用済み注射針の対策が課題となってまいりました。そこで、都におきましても、その対応として、拡大生産者責任の考え方に基づく事業者による回収処理を行うことが適切であると判断し、薬局による使用済み注射針回収の仕組みの構築を進めてきたところでございます。
回収の仕組みについてでございますが、在宅患者が注射針を購入する際に、薬局が回収容器を配布し、在宅患者に使用済み注射針を入れて持参していただき、その回収容器を各薬剤師会の地区管理センターに集め、特別管理産業廃棄物処理業者に引き渡し、適正処理する仕組みでございます。
現在の回収状況でございますが、昨年十一月から、杉並区内の百七十三薬局、練馬区内の百四十二薬局で回収が始まりましたが、これらの地域では、現在まで順調に回収が進んでいると聞いております。また、本年十一月から、これら二区に加え、八区三市で回収が始まり、さらに来年一月から、一区の地域で回収が始まる予定でございます。
○新井委員 今月から、杉並区、練馬区に加えまして、八区三市で回収が始まりまして、また、来年一月からさらに一区の地域で回収が始まるということですけれども、都内全域での回収というのが望ましいというふうに思われます。今後、回収地域の拡大をどのように進めていかれるのでしょうか。
また、この取り組みは全国的に広げるべきであり、製造メーカーにも回収の責任があるのではないかと思いますけれども、所見をお伺いいたします。
○福永廃棄物対策部長 今後の回収地域の拡大についてでございますが、東京都といたしましては、東京都薬剤師会による回収事業ができるだけ早期に区部及び多摩地域の全域で行われますよう、引き続き東京都薬剤師会に働きかけを進めてまいります。
また、都といたしましては、都内における取り組みをさらに促進するとともに、製造事業者等による回収処理の全国的な仕組みの構築が必要であると考えておりまして、在宅医療廃棄物等について、製造事業者等に回収処理の責任を負わせることなど、国に提案要求しているところでございます。
なお、国におきましても、この八月から、在宅医療廃棄物の処理の在り方検討会を設置し、検討が始められたところでございます。
○新井委員 東京都薬剤師会の取り組みというのは非常に意義があるというふうに思いますけれども、その注射針なんですが、薬剤師会で処方されるというよりも、むしろ医療機関から直接出される方が多いというふうなことも聞いておりまして、基本的には製造事業者の責任ということが問われるのかというふうに思います。この取り組みがさらに進んでいくように、引き続き各方面への働きかけを強めていただきたいと思います。
終わります。
○相川委員長 この際、議事の都合によりおおむね十分間休憩いたします。
午後三時五分休憩
午後三時十七分開議
○相川委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○矢島委員 先ほど中嶋理事の方から質問がありまして、基本的な認識が同じ趣旨に立っておりますので、若干重なるところは答弁の方で省いていただいて結構ですので、どうぞよろしくお願いいたします。
環境の問題は、私は極めて政治的であると同時に、自然科学的であるというふうに認識しております。例えば難しさからいえば、食糧が不足するという人がいれば、食糧が足りているという人がいるし、水が足りないといえば、一方では水が足りているという意見の学者もいらっしゃる。化石燃料の使用を直ちにやめるわけに実際上いきませんから、二酸化炭素の排出量の問題も選択肢の中で選んでいかなければならない。世界銀行は、経済成長と環境は互いに補完し、そのかぎは生産の方法を変えることだといっておりますが、私もそのように思います。
ここで、先ほど中嶋理事と若干似てくるんですが、環境局の基本的認識について伺わせていただきます。
経済の成長と環境の保全関係をどのように考えるか。また、環境施策そのものもその中にあるわけですから、東京都がとるべき環境施策の課題とその方向、これについて局長のまずご意見をいただきます。
○小池環境局長 ただいまの基本的な認識ということに関連いたしまして、まず、経済と環境の関係についてご質問いただきましたが、かつてはいろいろなご議論がありまして、その中の典型的な議論といたしましては、経済活動と環境規制を、どちらかといいますとトレードオフの関係でとらえまして、どちらを優先すべきかというのがかつての議論だったと思いますが、今日では、地球温暖化の進行や都市における環境汚染の状況から、地球と都市の環境を維持再生しなければ、経済システム自体が存続し得ないというようなことが指摘されております。
同時に、環境を重視した技術開発がこれからの経済発展の原動力になり得るのだ、そのような時代を迎えているという指摘も同時になされていると認識しております。したがいまして、これからの社会経済活動は、そこから生じる負荷が環境容量の範囲内にとどまり、人の健康に悪影響を与えないものとなるようにする必要があるということで、このために大量生産、大量消費、大量廃棄型の生産と消費パターンから脱却いたしまして、省資源と省エネルギーの新しい社会システムへと移行していくことが必要である、こういうふうに考えております。
このような認識から、都では、先ほどもお答えいたしましたように、環境基本計画におきまして、健康で安全な環境の確保と持続可能な社会への変革を東京から実現する、こういう基本理念を掲げまして、総合的な環境政策を推進しているところでございます。
○矢島委員 実際上、経済成長がなければ環境の保全は難しい面もあろうかと思います。しかし、環境自身は数値化できるわけですから、コストパフォーマンスの問題は別として、それによって対応は可能ということになろうかと思います。ここでは数値化の情報が重要となるわけですが、東京都の環境科学研究所はそうした環境施策の基本的資料をこれまで十分努力されて提供されてきたと思います。
そこでお伺いいたしますけれども、これまでの研究テーマのおおよその傾向と、研究テーマの選定方法はどのようになされてきたかお伺いいたします。
○宮本環境科学研究所次長 研究テーマは、都政が直面し解決が求められているテーマを基本に選定しております。例えば、自動車公害対策、ヒートアイランド対策など、環境基本計画に定める環境施策を重点研究課題として、毎年定める研究方針に基づき検討を行い、学識経験者等外部委員から構成される研究評価部会において評価を行った後、最終的な選定を行っております。
また、例えば三宅島における大気汚染観測のように、緊急課題にも対応できるよう常に環境行政の今日的課題にあわせて所の運営を進めているところでございます。
○矢島委員 日本では、江戸のまちについて、よくいわれるように、資源循環型の環境保全社会を築いてきた実績があります。そして、少資源国日本は、一人当たりのエネルギー消費量は欧米と比べますと欧米より大変低い水準で、いわば資源を節約する形で発展をしてきたというこれも事実があろうかと思います。
環境局も、環境施策を、循環型社会づくり施策が重要となっていると、今局長のお話でありましたけれども、認識を示されておられます。このことは、いわばシステムとマネジメントの問題だろうと。環境に対するシステムの問題、それから社会のシステム、そしてマネジメントの問題であろうと思います。そうだとすると、この観点からの研究テーマがおのずから問題になってくる。環境科学研究所のテーマ自身が問題になってくる。どういう方向がよいか考えなければいけない。
実際、今ご説明があった中では、自然科学系のいわば数値にかかわる研究課題がほとんど、いただいた資料からもそのように拝見いたします。将来の施策という点から、環境科学研究所の役割と研究テーマのあり方は、先ほど局長の示された認識も含めて、積極的に新しい時代を目指した研究テーマも考えていくべきではないか、私はこのように思いますが、所見を伺います。
○宮本環境科学研究所次長 今日の複雑化した環境問題は、それを解決していく上で新たな科学的知見の集積や技術開発の果たす役割は大きいものと考えております。ディーゼル車規制の実施に向けて、企業との連携協力により、DPFの実用化に取り組んだことにも見られるように、環境科学研究所の調査研究は、都の先駆的な環境行政を進めるために重要な役割を担っており、研究テーマについてもこうした行政課題を踏まえたものが求められております。
今委員がおっしゃいましたように、今後はこれまでの研究の方向に加えまして、都市活動から生じる環境負荷の総量をいかに削減していくかという調査研究が重要となってきており、このため、発生源での環境汚染の改善策などに加え、原材料の入手から製品の廃棄まで、物の流れのシステムの中で、社会科学的視点も取り入れまして、総合的に環境負荷を軽減させるような研究への取り組みなどについても検討してまいりたいと思っております。
○矢島委員 先ほど局長が最初に答弁されましたように、新しい時代を見据えた方向というのは的確に認識されていると思いますので、政策というのは認識と意思だろうと思いますから、環境科学研究所のより活動しやすいような、その方向に対する配慮は十分必要だと私は思っております。今まで十分役割を果たしてきたけれども、新しい時代への機能をさらに高めていくという意味で、ぜひ特段の配慮をしていただきたい、このように思います。
東京都は、既存されている土地の機能と大気汚染の観点から、交通需要マネジメント東京プランに従い取り組みをされてまいりました。この優先順位の中で、粒子状物質について、そのデータを見るまでもなく、この粒子状物質の問題については健康上深刻な影響を及ぼす課題であることは明らかでありますし、方法は別としても、平成十二年十二月に環境確保条例を制定し、早急な取り組みをされてまいりました。
それに伴い、平成十一年度まで二十名の定員で推移してきた大気保全部自動車公害対策室が自動車公害対策部となって、平成十三年度、定数四十名で現員五十、本年度、定数五十三名で現員六十一名の人員となって現在取り組んでおります。いわば基本的調査から政策の立案、条例の制定、実施と、完結的に取り組んできたわけでありますけれども、先ほどのところで、これもまた認識が一緒になってくるんですが、この陣容はまだしばらく続くのか。また、ディーゼル車対策に限っても、どういうような状況になってくるか、これをお伺いいたします。
○山本自動車公害対策部長 自動車公害対策につきましては、環境確保条例の制定の後、これに基づく十五年十月からのディーゼル車規制の着実な実施に向けて体制を充実し、都民、事業者への周知、PM減少装置の装着促進、八都県市との連携、国への働きかけなどに重点的に取り組んでまいりました。今後とも一刻も早く東京の大気汚染を改善するため、条例による規制を着実に実施していくとともに、国の自動車公害対策を引き続きリードしていく必要があることから、平成十六年度においても、ほぼ同様の体制でディーゼル車規制を含めた自動車公害対策を推進していく考えでございます。
○矢島委員 現実に限られた予算と人員、ことし要求ベースで五千五百ほど東京都は予算が不足するということをいわれている状況ですが、新規に多数の事業に取り組むのはなかなか限られた中では難しい。まず全庁的立場から、環境局の重要課題として発生源対策、ディーゼル車対策に力を注いで、環境局だけではなくて、全庁的な取り組みでしてきた中に所管の環境局があった、私はこのように認識をしております。
しかし、現在の取り組みが一段落ついた時点で、今後粒子状物質対策に対する全庁的課題、現在の粒子状物質対策に匹敵する全庁的課題を環境局としてどのようにとらえられているか。これは、先ほど質問のあった内容とある意味では一緒でありますけれども、私はここで若干ご説明をさせていただきたいんですが、環境行政取り組みに期待することは、これは間違いありません。人間の住む状況というのは、すべてにわたって改善の道を歩んでいってもらいたいという願いはあります。
ただ、行政は、一たん組織ができると、その組織があること自身が、存続自身が目的になるような傾向があるように私は思います。いわばクリエイティブ、最初は組み立ててつくる大仕事の時代から、今ルーチンに入っているのではないかと私はそのように思っておりますが、そうなってくると、対策部の組織の半減も可能ではないか、特に匹敵する課題がないとすれば。そういうような状況ではないかと思っておりますので、次のどのような課題であるかを、そういう面から、それに匹敵するものがあるかというのはそういう観点からお聞きしておりますので、総花的にメニューがたくさん並んでいる中で、これもあります、あれもありますではなくて、具体的にその辺のところをお聞かせいただきたいと思います。
○梶原企画担当部長 先ほど局長から最初にご答弁申し上げましたとおり、環境局では、環境基本計画におきまして、健康で安全な環境の確保という点と、それから、持続可能な社会への変革という二つの大きな柱のもとに施策を進めておりまして、東京は今、そういう意味で、先ほどの答弁のご議論の中でもございましたとおり、都民の健康と安全を脅かす直接的な危機という課題と、都市と地球の持続可能性を脅かす危機の二つの大きな課題、二つの大きな環境の危機に直面しているという認識を持ってございます。
これらの危機は、もちろん多くの国内外の大都市がともに直面している課題でございまして、東京は特に多様な都市機能が高密度に集積し、文明の利便を享受してきた分、環境の危機も集約的にあらわれてきておりまして、極めて深刻な状況にあるという認識を持ってございます。
都民の健康と安全を脅かす直接的な危機でございましたディーゼル車排出ガスに対する規制、これは先ほどのお話のとおり、平成十五年十月にスタートしたわけでございますが、それでもなお、東京の環境というのは、いわば先ほども申し上げました二つの危機の側面からいいますと、地球温暖化、ヒートアイランド現象、有害化学物質問題、廃棄物の発生抑制とリサイクル、緑の保全と再生など、引き続き大変大きな課題、困難な課題に直面しているというふうに考えてございます。
こうしたことから、都では、今後ともこれらの課題に対しまして総合的な取り組みを推進していくということで、若干の部間の問題はあるかと思いますが、総合的に環境局としてはあらゆる課題に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
○矢島委員 答えているようで答えていない官僚の答弁のお気持ちが十分わかりますので、これ以上お聞きいたしませんけれども、先ほど申し上げたように、匹敵する具体的な施策という面でお聞きをしておりますから、それがない限りは、一度もとに戻して、最少の人員でできる方法も考えることも必要ではないかと私は思いますので、これだけ申し上げておきます。
次に、交通マネジメント東京行動プランについて若干お聞きしますが、これには九つの重点政策を掲げています。先ほど初めていただいた素案の方の概要版でいきますと、この後ろの方で、行動プランの基本として交通需要を調整、低減する各種取り組みを展開するで五点、それから、この九つのうちの、それにかかわるといいますと、交通流対策の(3)の交通管制システム、六点、三点がいわば九つの計画の中から落ちている。落ちているロードプライシングについてたまたま聞くことになるんですが、お伺いをさせていただきます。
いわばマネジメント計画というのは、マネジメントといっているんだから、全体の調整の中で一つの大きな目的を達成していく。その必要から、単にメニューとして挙げたんではなくて、必要からその施策が出てきたように私は認識をしております。そのうち、ロードプライシングについては、平成十三年六月に、環境局が東京都ロードプライシング検討委員会報告書としてまとめられました。この報告書を受けて、その後どのように検討され、いかなる状況にあるか。そして、なぜ落ちたのか。これは審議ではありませんけれども、結果的に同じ趣旨ですから、その理由についてお伺いをさせていただきたいと思います。
実際上、さきのディーゼル車対策も諸外国でやっていて効果を上げている内容ですから、いわば組み立ての問題で、割と行動しやすい内容だったと私は思いますし、それから、ロードプライシングはロンドンでやっていますよね。ああいう実績がある中では、やる方法とできない理由といろいろなことがあると思いますが、そういうことが一つあろうかと思いますので、そういうことも含めてどういう状況になっているか、なぜなくなっちゃったか、これをお伺いいたします。
○月川参事 東京都では、渋滞緩和と大気環境の改善を目的といたしますロードプライシングの検討を行っておりまして、これまで東京都ロードプライシング検討委員会報告書を受けまして、その内容について、都民及び事業者の方々からの意見を聞いてまいりました。意見といたしましては、ロードプライシングの実施につきまして、賛成、反対とする意見や、ロードプライシングの実施によります影響についてさまざまなものがございます。現在、寄せられました意見を踏まえまして、実施に伴います迂回交通の影響対策や、料金徴収方法などにつきまして検討しているところでございます。
また、海外の情報収集も行っておりまして、特にことしの二月から、ロンドンで実施されている状況を調査を行っております。ロンドンと比較いたしますと、東京は交通量が圧倒的に多くて、道路状況も異なっております。今後は、こうした調査結果を踏まえまして、課題検討を進めていくということにしております。
また、今回の総量削減計画素案につきまして、交通量対策といたしましてロードプライシングを掲げてございませんけれども、今回の総量削減計画につきましては、継続実施している施策、並びに今後具体化がされる施策について掲げてございます。現在、ロードプライシングにつきましては検討段階にございますので、今回の総量削減計画に掲げてございませんが、検討は引き続き進めてまいります。
○矢島委員 結構大きい問題であると思いますし、二年間かかるというのは、検討の域でとどまってしまうという、そういうような印象を受けます。ですから、棚にしまっておく一応材料として置いて、次の日の目を見るのを待つのではなくて、どこかではっきりけじめをつけていただいて、東京については導入されるべきなのか、難しいところはどこをどうするのか、適当な時期に判断をすることが必要だと私は思います。
検討課題として置いておくのはよろしいとしても、そういう時期に来ているかなと思いますので、一言申し上げました。
○坂口委員 それでは、要求をさせていただきました資料に基づきまして質問させていただきますが、環境保全局の予算といいますのは、今年度が四百億円ぐらい、来年度に向けて三百億円ぐらいということでございまして、都市計画局の約三分の一ぐらい、緑の問題がいっぱい出ましたけれども、建設局の十五分の一ぐらい、しかし、知事本部の五倍ぐらいということでもあるわけでございまして、先ほど来の議論を聞いておるにつけましても、予算はそう多くはないけれども、存在感のある政策を打つべしということではないかと思います。また、それは何なのかということであろうかと思います。
そんなことを前置きした上で、何年かぶりに都・環に戻りましたので、現在の産業廃棄物対策、分けても平成十一年に発覚をいたしまして、世間を騒がせましたニッソー事件、あれが一つの大きな転換期になっているのではないかと思いますので、事務事業のおさらいをする意味で、確認を含めて質問させていただきたいと思います。
平成十一年に発覚をいたしましたニッソー事件、資料にも出していただきましたけれども、どんな事件だったのか、また、国や都はどのような対応策をとったのか、まずお聞きしたいのです。
○福永廃棄物対策部長 いわゆるニッソー事件についてでございますけれども、これは、栃木県小山市の産業廃棄物処理業者のニッソーが、主に建設廃棄物を再生用の古紙と偽ってフィリピンへ不正に輸出したことが平成十一年十二月に発覚した事件でございます。その中には、病院などから排出をされました医療廃棄物が一部含まれていたことから、大きな社会問題となりました。
ニッソーは、事実上倒産状態にございましたために、国が代執行で廃棄物を回収し、処分をいたしました。国はこの事件の教訓を踏まえまして、平成十二年に、産業廃棄物管理票制度、これは、これはいわゆるマニフェストと呼ばれる伝票を交付する制度でございますが、そういった制度の見直しを含めた排出事業者の責任の強化や、あるいは罰則の強化などを内容とする廃棄物の処理及び清掃に関する法律の大幅改正を実施いたしました。
○坂口委員 今マニフェストという言葉が出てまいりましたけれども、当時マニフェストといいますと、管理票のことをいっておりまして、今のような政権公約というような言葉に他用されるようになるとはゆめゆめ私も当時予想がつきませんでした。
さて、それではこのニッソー事件を契機に、医療産業廃棄物対策、または産業廃棄物対策が大きく変わってきたわけでございますが、先ほどの根拠法といいますか、翌十二年に廃棄物の処理及び清掃に関する法律というものが大幅に改正されてきたわけでございますが、都としては、特に医療産業廃棄物、どのような取り組みを行ってきたのか、真意をお聞きしたい。
○福永廃棄物対策部長 産業廃棄物の中でも、医療廃棄物はとりわけ人の健康や生活環境への影響が大きいことから、都ではその対策に積極的に取り組んでおります。
第一に、平成十四年に、東京都廃棄物処理計画を策定し、都内の医療廃棄物の全量処理を目指すことを目標に掲げました。現在、スーパーエコタウン事業の一つとして、中央防波堤内側埋立地内に医療廃棄物の処理施設の整備を進めております。
第二に、医療廃棄物の収集運搬から処分までの透明性を高める試みとして、都の呼びかけに応じまして、本年の五月から、東京都医師会、東京産業廃棄物協会、環境整備公社の三者が共同で、葛飾区内の診療所を対象に適正処理のモデル事業を実施しております。この事業では、バーコードとインターネットを活用したより透明性の高い医療廃棄物の管理追跡システムを新たに導入しております。
第三に、都の働きかけによりまして、昨年の十一月から、東京都薬剤師会が、杉並区、練馬区内の薬局を対象に、家庭で使用済みの注射針の回収事業を実施しております。本年の十一月から、実施区域を十区三市まで拡大したところでございます。
○坂口委員 事件は四年前に起こったんですけれども、約四年、三年半ほど前に、僕がニッソーの工場、投棄現場等を視察いたしまして撮った写真がここにあるんですけれども、小さくて見えないかと思うんですが、大変な状況でございました。その時代に比べますと、この種の産業廃棄物の収集、処理処分というものは大変大きく変わってきた、いい方向に変わってきているように思うわけでございますけれども、医療廃棄物の中でも、人の健康に与える影響の大きい感染性廃棄物、特にエイズですとか、いろいろなものが当時関係してくるのではないかというようなことが懸念されたわけでございますけれども、当然のことながら、しっかりした処理体制が必要である、そんなふうに思います。
当時はフィリピンから持ち帰られましたものがコンテナで野積みになりまして、そして、大変物々しい監視体制の中で、その処理、または八潮にある工場に持ち込まれまして処分がされたということを記憶しているわけでございますけれども、現在、都内の感染性廃棄物の処理状況はどのようになっているのかお聞きしたいと思います。
○福永廃棄物対策部長 注射針や血液などの感染性廃棄物を焼却または滅菌により処理する施設は、現在都内に六カ所ございます。都内から排出される感染性廃棄物の量は年間約四万トンと推定され、このうち三分の二が他県で処理されているものと推測しております。
○坂口委員 三分の二がまだ都内でなくて都外で処理されているということからいたしますと、大きな転換期になっていい方向には進んでいるようには思われるわけでございますけれども、多くの課題を残していると考えざるを得ないと思います。都立病院についても、若干心配が残っております。ここではそれ以上申し上げません。
当時、私は医療産業廃棄物がどのように処理されているのか確認するために、都内のある病院と、それから静岡県のある病院から出されました医療産業廃棄物の処理過程を確認するために、トラックや車に乗せていただきまして移動させていただきました。
まず、出ました産業廃棄物は京都へ参りました。京都の南部の中間処理工場で破砕され、滅菌されまして、そして、どこへ行ったかといいますと、福井へ行ったんです。福井の採石場の処分地で処理をされておりました。なぜか福井の方は施設を見ることができなかったんですけれども、その数カ月後に、私が行ったからではないんでしょうけれども、その処理業者が業務停止になったというようなことをついこの間のように覚えております。
そのような形で、東京を出てしまいますと、先ほどマニフェストの話もありましたけれども、どこでどのように中間処理され、最終処分がなされているのかなかなかつかめないというのがこの産業廃棄物の実態でございます。また、その感染性廃棄物の実態でもあります。
そこで、当然のことながら、自区内処理原則といいますか、それをつくっていく。廃棄物の発生抑制ということも大変重要なわけでございますけれども、この中間処理または最終処理を含めまして、都内で出たものはできるだけ都内、一歩譲るとしましても、八都県市内のエリアで処理をするということが望ましいのではないか、そのように考えるわけでございますが、今このスーパーエコタウン事業等が行われております。国に対しても予算要望が出ていることを承知しているわけでございますが、この整備計画が完成したとするならば、どのような結果が得られると期待されているのか教えていただきたいと思います。
○福永廃棄物対策部長 スーパーエコタウン事業による施設整備に加えまして、都内の産業廃棄物処理業者による新たな施設稼働の動きもございまして、これらが完成すれば、都内で排出される感染性廃棄物はおおむね都内で処理できる能力が確保されるという見込みでございます。その結果、排出事業者にとって感染性廃棄物の収集運搬から処理までのチェックがしやすくなり、適正処理が一層徹底されるものと考えております。
○坂口委員 スーパーエコタウンが完成すれば、ほとんど対応が可能だということのようなんですが、いろいろ資料をいただきまして、説明を聞きますと、今、産業廃棄物は二千万トンを超える発生状況であるわけでございますけれども、感染性廃棄物の量は年間四万トンと推定されているということでございます。
現在、三分の一ぐらいが都内処理だということでございますから、一・数万トン、それで、今度スーパーエコタウンにできます新しい溶融化方式の炉を使いますと、日量五十トンということでございまして、二台を同時に稼働させますと、年間最大三万トンぐらいになるんでしょうか、ということで、これはぼほ全量処理ができるということになるわけでございますが、二台を同時にというわけにはいかない。いろいろなメンテナンスその他の問題、ダウンすることもないとはいえないということでございまして、大体一・五万トン、プラスアルファ、大体二万トンぐらいかなという感じがするわけでございますが、そうしますと、必ずしも四万トン全量を処理するということはできないわけでございまして、これへの取り組みも大変重要であるわけでございますけれども、他県の協力も得ながら、きちんと確認ができる範囲で処理ができるように引き続きご努力をお願いしたいと思います。
ちょうど感染性廃棄物が出ましたので、最後に廃棄物の問題でお聞きしておきますけれども、産業廃棄物の全量は若干変動はあるものの、年間大体二千数百万トンで推移しているのではないかと思います。この産業廃棄物の先ほど三分の二がいまだ都外で処理されているということでございましたが、産業廃棄物全体を見ますと、七五%ぐらいがまだ都外で処分されているということであろうかと思います。
不法投棄された産業廃棄物の中には、さっきのニッソーのごみもそうでございましたが、小山だけではなくて、私のふるさとでございます信州の三郷村ですとか、大町ですとか、行きましたけれども、東京のいろいろな名前の入った伝票類ですとか、またはコンピューターの瓦れきですとか、そういったものがまざっている。どこどこ郵便局なんて書かれましたプラスチック類もまざっているというのが実態でございました。今申し上げました廃棄物の中には、都内から排出されたものがほとんどではないか、そのように私は考えております。
そこで、聞くところによりますと、東京都は呼びかけをいたしまして、八都県市にとどまらず、福島から静岡に至るまで、二十七の自治体によりますところの産廃スクラムというものを結成して、情報の交換や八都県市の首脳会議と共同で、車両の一斉路上検査などの活動を行っている、そのように聞いているわけでございまして、その積極的な取り組みには敬意を表するものであるわけでございますが、このような産廃スクラムや八都県市の場を通じて、産業廃棄物の適正処理のための広域的な対応を進めるよう、他の自治体とさらに積極的にかかわっていくべきであると思いますけれども、この問題の最後に、局長のお考えをお聞きしたいと思います。
○小池環境局長 ただいまお話がありましたように、都内から発生した産業廃棄物の多くが他県で最終処分されているという実情がございますので、この実情を踏まえまして、東京都では、排出事業者が産業廃棄物の適正処理を徹底するように、そのための仕組みづくりがまず重要である、こう考えておりまして、現在廃棄物審議会においてご議論いただいているところでございます。今後、答申を得まして、みずからが効果的な施策を打ち出していくべく取り組んでまいりたいと考えております。
同時に、ご指摘がございましたように、産業廃棄物の適正処理を徹底していくためには、他の自治体と密接に連携協力して、広域的な対応を一層進めることが重要であると考えております。そのために、都がイニシアチブをとりまして、ただいまお話がありましたように、近隣の自治体が参加する産廃スクラムを設置いたしました。現在、二十七自治体が参加するまでに発展してきてございますが、その中でさまざまな情報交換や調査協力を通じまして、効果的な活動を展開している、こう見ております。
最近の例といたしましては、全国的な社会問題となっております硫酸ピッチの不法投棄対策に取り組みまして、違法行為に対する取り締まりや行政処分が迅速に行えるなどの成果は上げてございます。今後とも、産業廃棄物の適正処理の徹底を目指しまして、産廃スクラムや八都県市首脳会議の場を活用して、広域的な体制の充実強化に向け、さらに積極的に取り組んでまいりたいと思います。
○坂口委員 次の質問に移らせていただきますけれども、事務事業説明の冒頭で、また、先ほどの質疑の中で、環境局がどのような課題に戦略的に取り組んでいくのか、その概要についてご説明をいただいたわけでございますが、それらの問題とも関連をいたします東京の緑の保全と回復の進め方についてでございます。
まず、これは懐かしい表紙なんですけれども、昭和五十九年に出されました東京都の緑の倍増計画、これがどのようなものであったのか。先ほどマネジメントの話が出ましたけれども、その目標と成果、マネジメントの要点は、リサーチ・アンド・プランニング、プラン・ドゥ・シーにあると思いますので、その目標と成果を確認する必要があると思うんです。教えていただきたいと思います。
○徳毛自然環境部長 昭和五十九年一月に策定いたしました東京都緑の倍増計画は、二十一世紀の初頭を計画目標時点とし、緑の量の倍増、緑の質の向上、人と緑の交流や緑を守り育てる活動の倍増を目標として掲げております。
緑の量の倍増では、既成市街地の樹木本数一億本を二億本にすること、また、公園面積を二倍にし、都民一人当たり六平方メートルとする具体的な目標を示しました。計画は平成十二年度で終了いたしましたが、緑の倍増では、樹木本数は約一億七千万本となり、目標の約七割、一人当たりの公園面積は三・一平方メートルから五・三四平方メートルとなり、目標の約八割の達成状況となっております。
○坂口委員 これを聞いて、どのように感ずるかというところが大変重要なんです。最近、体感治安という言葉がよく使われますけれども、本当にこの緑の倍増計画、成果があったのか。体感緑といったらいいのかどうかわかりませんけれども、多くの方が、本当かなとちょっと疑問にぶち当たるのではないかと思います。
そこで、資料を出していただいたわけでございますけれども、確かに一億本の樹木が既成市街地において、二億本といいますか、一億七千万本になった。目標の七割達成。一人当たりの公園面積、これは正しいんでしょうね。三・一平米から五・三四平米になった。目標の八割達成。この限りでは、七十点と八十点ですから、合格点ということになります。
ところが、課題を出してくれということで資料に出していただいたわけでございますけれども、減少し続ける緑、平成十年までの約二十五年間で七十平方キロメートルが失われた。それから、ヒートアイランド現象の進行など新たな都市問題の発生、こういう課題が出てくるわけです。これは多分といいますか、七十平方キロメートルが失われたというのも正しい数字なんでしょう。僕はそのように理解いたします。
どこにその矛盾があるかということなんです。僕は十数年前でございますけれども、今副議長になられました中山議員がいますけれども、緑の問題で委員会でかなり時間をかけてやったのをきのうのことのように思い出すんですが、この問題の矛盾点は、樹木数がふえても緑が減るということが現実にある。ただ一般的な可能性であるでしょうねといいまして、そのときの部長が、大変答弁に苦慮されました。しかし、一般論として、ありますという答えをなさったんです。それが一般論でなくて、どうも現実論として起こってきたのではないかということを私はこの数字を見て考えざるを得ないです。
つまり、先ほど高橋理事から出ましたよね。大きなケヤキの木が伐採された。大変ボリュームのあるケヤキの木であった。何百年、樹齢例えば三百年ですとか四百年、そこに十年か二十年たった苗木が十本植えられたとしましても、最初にあったケヤキの木の緑の体積ですとかその質にはかなわないです。しかし、数字の上では十倍になって出てくるわけです。こういう矛盾といいますか、パラドックスがあるということを十数年前に指摘をさせていただいたんです。そういう結果を招いているのではないかということを指摘せざるを得ません。
ただし、そうはいうものの、ほうっておいたらもっとひどい状態になったはずでございますから、それが全く無意味だとは私は申しません。一定の評価がされてしかるべきだと思いますし、また、公園の面積も、五・三四平米ということで八割達成ということですから、それは謙虚に受けとめていきたいと思います。
しかし、以上のことをきちんと踏まえた上で、二十一世紀の東京、環境と共生し、先ほど局長からも出ましたが、ヨーロッパのまちづくりの基本コンセプトにもなっておりますが、持続的発展が可能な都市、持続可能な都市再生ということが、サスティナブルシティーというのがEUの基本コンセプトでございますけれども、それを実現するために、緑が持つ環境や防災、生物多様性の確保機能など、新たな視点を加えた緑の面からとらえた政策展開の道筋を示すということで新しい計画が生まれてきたということであるわけでございますが、そこでお聞きします。
緑の東京計画の目標と課題、また、東京の環境施策の上位計画となっております東京都環境基本計画では、緑の保全と回復の目標をどのように設定しておられるのかお聞きをしたいと思います。
○徳毛自然環境部長 平成十二年十二月に策定いたしました緑の東京計画は、二十一世紀の東京を環境と共生する持続的発展が可能な都市とすることを目標といたしまして、環境や防災など、緑の持つ多用な機能を活用した施策展開の道筋を総合的、体系的に示した計画でございます。新たに数値目標としてみどり率を導入し、平成十三年度から二十七年度の十五年間で、区部のみどり率を約二九%から約三二%へ、多摩では現状の約八〇%を維持することといたしました。
計画の推進の課題といたしましては、区市町村、八都県市など、近隣自治体との連携や、都民、企業、NPOの自主的な取り組みとの協働、緑の保全と創出に係る税制上の軽減措置等、国の諸制度の創設拡充の実現などがございます。
なお、平成十四年一月に改定された東京都環境基本計画における緑の保全と回復のための目標につきましては、緑の東京計画の数値目標をそのまま生かしたものとなっております。
○坂口委員 新たに緑被率ですとか、または緑の倍増計画にかわりまして、緑の東京計画というネームを変えまして、みどり率という概念を導入してこられたということでございますが、これを導入された背景、それからどんな効果をねらっているのか、指標としましたみどり率について、課題がないかどうかお聞きしたいと思います。
○徳毛自然環境部長 みどり率とは、従来の緑被率に、公園内の緑で覆われていない面積と、河川や湖沼等の水面の面積を加えて指標化したものでございます。みどり率を導入した背景といたしましては、公園の広場や河川等の水辺空間が都市環境の改善や防災、生物の生存基盤など、緑と同様の機能を発揮していることから、新たな緑の概念としてとらえることとしたものでございます。
効果といたしましては、この指標を用いることによって、公園や河川も含め、緑の全体像を把握することが可能となることでございます。
都は今後とも、みずからみどり率の向上のための事業実施に努めるとともに、多様な主体と協働、連携しながら、指標の向上のための施策展開を図ってまいります。
○坂口委員 このことによって、緑の東京計画による目標は達成できるのかどうか。目標自体の吟味ということも当然必要なんですけれども、それが達成できるのかどうかということと、これは、私も何年前か忘れてしまいまして、議事録を調べていただいたんですが、七年前、この委員会で緑積率ですとか、または緑体率、または緑質率というような概念を提起いたしました。つまり、二次元の評価ではなくて三次元、さらには性質、それも含めて評価できるような手法を確立すべきではないか。
平成八年十一月二十一日の議事録になっておりますので、もう早いもので七年たっているということになりますけれども、その心はといいますと、先ほど申しましたような矛盾を解消するということが一つ。また、一説によりますと、一台の自動車が出しますCO2を吸収する、そして酸素をつくるということになるわけですが、そのためには、二十メートルの高木が百六十本ぐらい必要になるという研究成果もあるところから出ている。どこかはわかりません。私はラジオで聞いたんです。ちょっとその研究機関はわからないんですけれども、これは大変なことなんです。
先ほど矢島委員がいわれましたロードプライシングなんかを考える場合の大変有力な根拠になっている。またはヒートアイランドを防止するための根拠になっている。そういうものをきちんと積み上げていかないと、地球温暖化計画の達成ですとか、そういったものは絵にかいたもちになってしまうのではないかということを私は懸念します。
東京全域でできないのだったら、あるモデル地域を決めて、そのような三次元評価、あえて、また同じようないい方になってしまいますが、緑のボリューム、それを例えば緑体率または緑積率です。そして、質をどう評価するかというのは大変難しい問題でございますけれども、最高の英知が集まっている首都東京の環境保全局でございますので、それぐらいできないことはないのではないかと私は思っております。ちなみに、都市計画局では、建ぺい率、容積率の見直しをするための三次元手法を持っているわけです。もう十年ぐらい前から持っております。ですから、できないはずはない。
今いいましたような緑の体積や緑の質をチェックするための評価手法の検討と開発をやはりすべきではないかと、改めてこの提案を含めましてお聞きをするわけでございますが、いかがでしょうか。
○徳毛自然環境部長 緑の東京計画は、おおむね五十年後の東京が目指す緑の将来像である水と緑がネットワークされた風格都市東京の実現を目指しておりまして、平成二十七年度までに目標のみどり率を達成するため、施策ごとに目標を設定しております。東京都は、みどり率及び政策ごとの目標達成のため、各局が相互に連携しながら、屋上緑化、街路樹や公園の整備など、都の総力を挙げて各事業に取り組んでおります。また、目標達成には都民、事業者、区市町村、国など、多様な主体が連携協働して取り組むことが重要であり、都はこれらをつなぐ役割を積極的に果たしてまいります。
ご提案の三次元の評価手法についてでございますが、緑の東京計画策定時に、東京の緑の現状と将来像を示す指標として検討を行った経緯がございます。その内容は、人の視界に映る緑の割合を示す緑視率や樹木率、壁面緑化を含めた屋上緑化率など、緑の質やボリューム等を示す指標の活用の可能性でございました。しかし、最終的には、都民にわかりやすく、また継続が容易であり、広域的な状況が把握できる指標としてみどり率を用いることが適当であると判断いたしました。
なお、三次元の評価手法は、街路や再開発等の一定の地区における緑の豊かさを示す指標としての活用はあり得ますが、現状では、東京都全域での活用は難しいと考えられることから、引き続き今後の研究課題としてまいります。
○坂口委員 街路や再開発等の一定の地域における緑の豊かさを示す指標としての価値はあり得るがという前向きな答弁になっておりますので、あえていうならば、一定の地域でもいいですから、やるようなことをぜひ検討してください。研究というと、また棚上げされちゃうのではないかという気がいたしますので。
それで、どうしてもこれはCO2、温暖化の問題を考えたり、または、しゃれ街条例といわれるようなまちづくり景観条例も出てきているわけですから、そういう考え方がなかったらできないと思うんです。芝生もコケも、先ほど出ましたような、例えば二百年三百年のケヤキの木も同じだということにはならないですよね、常識的に考えて。これは常識の範疇だと思いますので、あとは技術的な問題ですので、やろうと思えば僕はできると思いますので、ぜひモデル地区を選んででも取り組んでいただきたいと思います。
次に移ります。東京都の都市計画審議会、私も都計審に久しぶりに戻らせていただきましたけれども、東京らしいみどりをつくる新戦略が答申されました。緑の東京計画を推進するために、環境局としてどのようにかかわっていくのか教えていただきたいと思います。
○徳毛自然環境部長 平成十五年十月、東京都都市計画審議会が答申した東京らしいみどりをつくる新戦略は、東京のみどりを都市活動や都市生活と深くかかわるものととらえ、多様な主体が連携して多様なみどりをつくることを主眼に、新しい公園緑地のあり方と取り組みを提言したものでございます。
提言には、緑の東京計画が目指しているみどりの将来像を早期に実現するため、東京らしいみどりの形を描くとともに、公園緑地など、みどりの効果的な保全と創出に向けて、先行して取り組むべき方策等が示されております。
環境局は、答申された東京らしいみどりをつくる新戦略を受けた行政計画の策定に参画するとともに、緑の東京計画が目指す目標を達成するため、各局と連携しながら、各施策が効果的に進められるよう全力を挙げて取り組んでまいります。
○坂口委員 緑の東京計画を進めるに当たりましては、財政的な裏づけ、それから財政だけではないと思うんです。先ほどもいろいろな知恵が出されましたけれども、知恵が必要だと僕は思うんです。やはり知をもって制する局ではないかと思いますので、知恵が必要であると考えますが、今後どのように取り組んでいくのかお聞かせをいただきたいと思います。
○徳毛自然環境部長 緑の東京計画を着実に推進し、東京のみどりを保全回復していくためには、今日の厳しい都財政の中で、創意工夫を重ね、より効果的に事業を進め、限られた財源を効率的に執行することが必要であると認識しております。このため、東京都は、各局が連携し、総体としてみどり率が向上するよう、公園や街路樹の整備、農地の保全、森林の再生など、都の総力を挙げて取り組んでまいります。
また、区市町村、近隣自治体、さらには都民や企業、NPOなど、多様な主体が相互に連携協働し、それぞれの特性を生かしながら、みどりの保全や維持管理に取り組んでいけるよう、東京都はこれらをつなぐ役割を積極的に果たしてまいります。
○坂口委員 この答申の新戦略のところには、大変重要な観点が書かれている、僕はそのように認識しております。一つは、この三一ページに書かれましたみどりのまちづくりを推進するための財源確保というところです。全部は読みませんが、一部だけ引用いたしますと、その一つとして、東京の公園事業を推進するためには、国費の地方への配分比率、現在三分の一ぐらいだったと思いますけれども、これを人口割合に応じて設定するよう国に強く働きかけることも重要であるというようなことです。
さらに加えるならば、これは毎年国に対して予算要望をしているわけですが、その重点項目のイの一番に、まさに政権公約のマニフェストにもそれぞれの党が何らかの考え方で盛り込みました国と地方の税源配分を抜本的に見直し、消費税や所得税等から地方消費税や住民税等への税源移譲を速やかに実現すること、こういうことが書かれてあります。平成十二年度の東京都の財務局の試算ですと、例えば所得税と住民税を五〇%、五〇%にする、消費税を当面三対二の割合にするだけで、東京都には一兆数百億円、区市町村にはそのうち七千億円、我が西東京市には大体九十七億円の税源移譲が起こるということが確認されております。
これが一番骨太の部分です。しかし、それ以外にもあるだろう。財源対策ですね。それも実はこの中に、さわりですけれども、書かれているんです。先ほど出ました相続の問題ですね。寄附をされるというのは、僕は大変うれしいことですし、いいことだと思うんですが、後に述べます相続税がやはり一部かかってくるのではないかという気がするんです。
ですから、そこのところも考えないと、なかなか緑地といいますか、屋敷森ですとか雑木林は保全されない。この四七ページには、一定の要件を満たす良好な樹林地を物納地として認め、このような樹林地を自治体が容易に取得できる制度の創設を国に対して強く働きかけることが必要である。また、物納された樹林地を自治体が買い取るだけでなく、この後を僕は重視しているんです。国民の貴重な財産として将来に引き継いでいくためには、積極的に地方公共団体に対して無償貸し付けを行うよう国に求めていくべきである、ここの部分です。
僕は、かつて予算特別委員会で、知事に対しまして、相続税の軽減ということとともに、相続税を地方税にしたらどうか、そのことを真剣に検討してほしい。つまり、私の西東京市でも、物納物件が年に五件とか十件以内ぐらい出ます。これを更地にするということが、まず問題ですね。先ほどいいました樹林がなくなってしまう。だから、この答申の一つには、また国に対して要望の一つには、そのまま物納できるようにしてほしいと、これも一つの論点です。大変重要な部分です。
あわせて相続税、つまり、そのまちがいろいろな都市基盤整備をして土地の価値が上がってきた土地です。これが全部国税になっているというところに最大の問題があります。この間都計審でもそういいましたら、隣にいました町田の寺田市長が、坂口さん、そのとおりですよということで、後で小声でいってくれましたけれども、ここをブレークしていかないと、この屋敷森の保全ですとか、雑木林の保全ですとか、里山の保全ですとか、三百億円の予算の中ではどうにもできない。
余談になりますけれども、三百億円でも--一平米十万円で、三十ヘクタールぐらいしか買えないです。これではとてもできないわけでございまして、その辺のところに最大限の知恵を絞って、この壁をブレークしていく必要があるのではないか。
私のいっていますのは、相続税がすべて地方税化できれば一番いいんですが、ちょっと参考までにいいますと、十月十六日の読売新聞に、二〇〇一年多摩地区の相続税額というのが出ておりまして、その課税価格が七千三百五十三億円、申告税額が千百七十六億円です。ですから、千百七十六億円入ってきたら足りないことになりますが、オール・オア・ナッシングではなくて、例えば二分の一でも地方税にしろと、これでもいいわけですね。五百九十億円は入るわけです。これだけでも、仮に一平米あたり十万円でその土地が買えるかどうかわかりませんが、それで計算しますと幾らでしょうか。多摩地域でも五十九ヘクタールということです。それぐらいの緑が保全できる土地面積に相当するということになります。
何をいわんとしているかというのは、もうおわかりいただけるかと思うんですが、そのようなことを含めまして、これは環境局だけではできないですね。都市計画局ですとか、建設局ですとか、知事本部ですとか、または主税局ですとか、そういったところと打って一丸となって、例えば首都圏税制特別措置法ですね、都市税制特別措置法など、都市の税制度の改革を国に働きかける必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
これは、北海道ですとか沖縄でやっても意味がないんです。首都圏、都市特有の課題です。ですから、経済特区ではありませんが、一定の場所を限定してそのような立法措置をしないと意味がないと思いますが、その辺も含めまして局長のご見解をお伺いしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○小池環境局長 大変大きな問題提起をしていただきましたので、一環境局長がお答えして役不足ではないかというふうに一面では思っているわけですけれども、基本的な考え方を述べさせていただきますと、今お話がありましたように、大都市という特有の特徴があるということで、人口と産業が集積して活発な都市活動が展開され、大都市東京を中心とした首都圏におきまして、大都市特有のさまざまな行政需要がございます。その実現のためには、行政需要に見合った形での国と地方の税財政の配分是正、あるいはまた、税制改革等を通じまして、地方自治体の財政基盤の強化を図ることがまず不可欠だと、こういうふうに思います。
ご指摘がございました、特にご議論いただいております緑の保全と回復を図っていく上におきましても、これらの財源の確保とともに、お話がありましたように、相続がきっかけとなって緑が失われているという気がございますので、そういう相続税のあり方や、また納税のあり方、こういったことの改革が急務となっているというふうに認識しております。
先ごろ、十一月二十三日に開催されました八都県市首脳会議におきましても、ここらあたりが各首長さんの共通の認識になっておりまして、緑の減少を食いとめて保全を図っていくためには、相続税の改革、あるいはまた物納制の活用、こういったことについて重点的に取り組む必要があるということで合意がなされております。
東京都におきましては、これまでも国の予算編成に対する提案要求におきまして、税制改正を強く要求してきたところでありますが、今後とも八都県市と連携して、その実現に向け国に強く求めてまいりたいと思います。
○吉原委員 それでは、若干質問だけにさせていただきたいと思いますけれども、今も、緑ということが私たちの住んでいる東京にはとても大切だというお話もありましたし、これからその方法というものをしっかりと考えていかなきゃいけないというお話もあったわけでありますけれども、私もつい最近、中国を訪問する機会がございまして、北京と上海に行ってまいりました。ご案内のとおりの国でございますので、細かいことを申し上げるつもりもございませんけれども、北京に行ってみますと、やはり歴史のまちだなという感じもいたしましたし、上海に行きますと、本当の経済の都市だなという、相対する、同じ国でありながら、全く様相の違う都市を二つ同時に見させていただきました。
北京の場合も、中心には大きな高層ビルを建てさせないという制度をもう既につくっているようでありまして、郊外というよりも、中心部から少し離れたところに高層ビルをつくっていこう、中心にはできるだけ低層でというような計画のようでございましたけれども、そこのところにでも、緑をこれから復元していこう、そういう計画があるということをたびたびお伺いいたしました。
私たちのこの東京においては、中心がどうしても高層ビルに囲まれて、郊外に行くに従って、当然のことでありますけれども、緑があるわけであります。北京の場合に、お聞きしましたら、北京で緑は四三%以上あるといっておられました。東京でも、先ほどもご議論があったように、みどり率だとか、あるいは緑被率だとかという議論がよくあるわけでありますけれども、今部長さんからもご答弁いただきましたけれども、みどり率というものに対して、もう一つ何かひねって考えていった方がいいのではないかなという思いがちょっといたしました。
余分なことで恐縮でございますけれども、それに関連して、自然の保護についてお尋ねをさせていただきたいと思います。
昨今も西多摩の方でオオタカの問題がございました。猛禽類だというお話については、ことごとく説明するつもりもお伺いするつもりもございませんけれども、新聞でもたびたび取り上げられたわけであります。私の住んでいる町田でも、若干青梅あるいは西多摩の方と違う環境のところもあるわけでありまして、横浜市あるいは川崎市にほど近いところにも若干の樹林地があるわけでありますけれども、そこのところには、ちょうどオオタカが生息しているということが確認をされております。
そしてまた、そのほど近いところに、今はマンション計画をされております。これも高層のマンションでありますけれども、地域の人あるいは市の多くの皆さんも、オオタカに長く生息してほしい、そういう思いがそれぞれの皆さんにあるわけであります。そこで、お尋ねをさせていただきますけれども、ほど近いマンションが計画されているわけでありますけれども、自然保護条例の開発許可上、どのような手続になるのか伺います。
○徳毛自然環境部長 ご指摘のマンション計画は、グラウンドの跡地約四・八ヘクタールの敷地に十四階建て、約六百戸を建設するものでございます。この計画地の外、南側二百メートル弱のところにオオタカが営巣したとの情報がありました。自然保護条例では、樹林地や草地などの自然地について、一定規模以上の宅地造成等の開発を行う場合は知事の許可が必要でありますが、このマンション計画につきましては、敷地がグラウンドの跡地であり、自然地ではないことから、自然保護条例の開発許可を必要とする行為には当たりません。
なお、自然保護条例第五条では、事業者は、事業活動を行うに当たっては、自然の保護と回復にみずから努めるとともに、知事が実施する自然の保護と回復に係る施策に協力しなければならないとして、事業者の責務を定めております。
○吉原委員 今条例の開発許可に当たらない、そういうお話でございますけれども、種の保存法によっては、何かその保護対策を講じられるものはないのだろうか、ちょっとお尋ねをさせていただきます。
そしてまた、環境省がオオタカなどを保護するための指針として策定した「猛禽類保護のすすめ方」というものがあるとお聞きしているわけでありますけれども、この指針に基づいて、事業者に保護方策を講じる指示ができないものなのかお尋ねいたします。
○徳毛自然環境部長 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律、いわゆる種の保存法では、オオタカ等の国内希少野生動植物種について、捕獲、譲渡、輸出入、陳列などに制限を定めております。また、環境大臣は、国内希少野生動植物種の保存のため必要があると認めるときは、その個体の生息地または生育地等を生息地等保護区として指定し、立ち入りの制限や建築物の新築などをするに当たって、事業者に対する届け出義務などを定めております。このマンション計画につきましては、いずれの制限行為にも当たらないことや、生息地等保護区が都内には指定されていないことなどから、種の保存法に基づく規制は受けません。
一方、環境省が策定した「猛禽類保護のすすめ方」は、事業者等が開発等に際して猛禽類保護のために構ずべき内容を指針として定めたものであり、法的な拘束力を持つものではございません。しかしながら、都としては、自然保護条例の事業者の責務規定等に基づき、工事期間中のモニタリング調査の実施や、低騒音型車両等の使用など、オオタカに対する配慮を行うよう事業者に対し指導しているところでございます。
○吉原委員 お話しいただいた、法的には何の拘束力もない、こういうことのようでございますけれども、マンション事業者が自分の意思で方策を講じていかない限り、今の段階ではオオタカの生息を保護していく、こういうことができないということでありますけれども、やはり国の法律あるいは東京都の中でも、レッドデータブックの中でもBランクに位置づけている猛禽類でありますから、ぜひともその方策というものを何か考えてもらいたいなという気持ちがあるわけであります。
なかなか今の法律や条例の限界というものもあるということもよく承知しておりますけれども、今のような、たまたまの町田の場合のような状況が、オオタカに限らず、今の緑や水、あるいは生物、本来我々人間がこれから守っていかなければならない、そういった貴重なもの、これは何か法律や条例をつくって守っていただきたいという思いがあるのですけれども、しかしながら、今の状況ではどうにもならない、そういうことはよくわかりました。
しかしながら、これからこういった状況の中でも、保全策というものがきちっと講じられるようなもの、こういうものを将来に向かって考えていかなければいけないのではないかな、そんなふうに思いますが、局長、いかがでしょうか。
○小池環境局長 環境行政を推進している環境局といたしましては、自然環境の保全と回復を求めるということはあくまでも基本的なスタンスということでございます。全体的なことを申し上げますと、自然保護条例とか自然公園条例、環境影響評価条例などの直接の対象となります自然の改変、開発行為につきましては、当然のことではございますが、自然の改変に際して自然環境の保全と回復を求め、自然と調和した計画内容とするように指導、調整を図っております。
また、実際の開発に先立ちまして、開発許可に当たりましては、許可基準以上の緑地の確保や貴重な植物の移植など、より自然環境に配慮した開発が行われるように、具体的に事業者を指導、助言したりしてきております。
ただいま委員ご指摘のありましたような事例につきましては、現行の法や条例の規制を受けない事業であるということから、行政指導もおのずと限界はございます。そういう中ではございますけれども、可能な限り貴重な動植物への配慮を行うよう事業者に働きかけ、自然環境の保全に努めていくことを基本姿勢として取り組んでまいりたいと思います。
○吉原委員 ぜひともよろしくお願いいたします。
次の質問に移りますが、温泉の掘削について伺います。
温泉の掘削などについて、東京都の諮問を受けて、自然環境保全審議会は答申を出されました。最近の傾向を見ますと、都内に温泉の掘削の許可申請は大変多くなってきたのではないかなと思っております。当然私の地元でも、もう数カ所許可をいただいたところもありますし、また、申請を出させていただいているところもあります。そしてまた、二十三区においても数多くなってきた。現実には、新宿の戸山町のところにも、そういったところもあるということも承知をしているわけであります。
都内における温泉のくみ上げに対する規制というものが今一体どういう状況になっているのか、お尋ねをいたします。
○徳毛自然環境部長 都では、温泉法第四条に基づきまして、動力装置の許可に係る審査基準を定め、地域を指定して温泉の揚湯量等を規制しております。加えて平成十三年度からは、東京都環境確保条例で揚湯量の報告を義務づけております。温泉の許可に当たりましては、この審査基準を厳正に適用し、また、自然環境保全審議会に諮問し、審議を経た上で答申を受け、許可を行っております。現在の審査基準は平成十年の東京都自然環境保全審議会の答申に基づいて定めたものでございます。
○吉原委員 今の審査基準は、平成十年の審議会の答申に基づいて定めた、こういうお話でございますけれども、その基準を示した審議会の答申は一体どういう内容だったんでしょうか。
○徳毛自然環境部長 平成十年五月十一日に開催された自然環境保全審議会の答申では、温泉掘削の申請井戸の深度は千メートル以上が多く、その地層は天然ガスを含む上総層群であることが多い。この層からの温泉採取は地盤沈下の発生するおそれがある。また、大深度の地下水採取に伴う地盤沈下のメカニズムが未解明であること、地盤沈下が回復困難な公害であることから、今後とも地下水採取規制を継続していく必要があるなどの問題意識を踏まえた上で、まず一日当たりの最大揚湯量を設定し、次に揚湯量の定期的な記録、保管、温泉に対する監視、指導体制の整備を求め、水位の低下など、異常時への対応など、四項目について答申しております。
○吉原委員 私もこの審議会に若干ではありますが籍を置かせていただいたときがございました。どうしてもたびたび温泉と地盤沈下という問題が提起されておりましたけれども、今後、都はどのように対応していかれるおつもりなのか伺います。
○徳毛自然環境部長 ただいまのご質問でございますが、都内でも、近年、温泉掘削の申請が増加傾向にあり、温泉に係る審議の際には、委員から、大深度掘削と地盤沈下の関係を科学的に究明する必要があるとご指摘をいただいております。このため、平成十五年九月に、自然環境保全審議会委員と地質及び地盤に関する外部の学識経験者を加えた研究会を設置し、地盤沈下も含めた温泉掘削に係る諸問題を検討しております。
研究会の検討結果につきましては、自然環境保全審議会温泉部会を通じて、本審議会に報告いたします。現在、今年度中に研究会の中間報告をまとめ、審議会に報告したいと考えております。
なお、国に対しても、環境省が設置した地下水地盤環境懇談会の場で、大深度の揚水と地盤沈下の関係を解明するよう強く要望しております。
○吉原委員 ことしの九月ですか、検討し始めた、そういうお話でございますけれども、これからますます温泉掘削の申請がふえてくるのではないかなと思うわけでありますけれども、もし、こういう状況が続くとするならば、当然くみ上がる総量はふえるわけでありまして、地盤沈下との関係も大きくまたクローズアップされるような場合が来ないとも限らない、そう思うわけであります。東京都として、総量規制など何らかの規制をもうちょっと強くしていくべきではないかというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。
○徳毛自然環境部長 今後は、先ほどご説明した研究会で、大深度からの揚水と地盤沈下との関係に関する科学的知見を集積するとともに、研究会の検討結果を待ちまして、今後の対応について検討してまいります。
○吉原委員 ぜひ温泉のくみ上げる量も、事業をされている方々、あるいは今個人でも自分のうちで温泉に入りたいという方が多くなってきまして、掘られようとされている方も多いようにお聞きしているわけでありますけれども、くみ上げる量も当然違うわけでありますから、その辺の仕切り分けといいますか、違いも、少し差別化されてあってもいいのではないかな、そういうふうに思っておりますので、ぜひご検討をいただきたいと思います。
以上で質問を終わります。
○相川委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○相川委員長 異議なしと認めます。よって、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で環境局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後四時三十六分散会
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