都市・環境委員会速記録第十七号

平成十五年十月二十三日(木曜日)
第六委員会室
   午後一時二分開議
 出席委員 十二名
委員長相川  博君
副委員長野島 善司君
副委員長樋口ゆうこ君
理事高橋かずみ君
理事中嶋 義雄君
理事吉野 利明君
吉原  修君
清水ひで子君
かち佳代子君
新井美沙子君
矢島 千秋君
坂口こうじ君

 欠席委員 一名

 出席説明員
都市計画局局長勝田 三良君
次長藤井 浩二君
技監梶山  修君
総務部長村松  満君
都市づくり政策部長森下 尚治君
都市づくり調整担当部長南雲 栄一君
参事金子 敏夫君
都市基盤部長山崎 俊一君
外かく環状道路担当部長道家 孝行君
参事宮川  昭君
都市防災部長成田 隆一君
市街地建築部長野本 孝三君

本日の会議に付した事件
 都市計画局関係
  事務事業について(質疑)

○相川委員長 ただいまから都市・環境委員会を開会いたします。
 初めに、本委員会の今後の委員会日程について申し上げます。
 先ほどの理事会におきまして、お手元配布の日程のとおり申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市計画局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより都市計画局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してございます。
 資料について理事者の説明を求めます。

○村松総務部長 十月十五日の当委員会で要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元に配布しております都市・環境委員会資料、十月十五日要求分の表紙をめくっていただきまして、目次をごらんいただきたいと存じます。
 資料は、1の都市再生緊急整備地域における都市計画提案検討プロジェクト数から、14の、総合設計制度により建築された案件で紛争が起こった件数及び総合設計許可申請書を受理し、審査中の物件一覧までの十四種でございます。
 それでは、まず一ページをお開き願います。1の、都市再生緊急整備地域における都市計画提案検討プロジェクト数でございます。
 地域名ごとにプロジェクト数を記載してございます。
 二ページをごらんください。2の、羽田空港再拡張に関する経緯及び事業スキームでございます。
 二ページは、羽田空港再拡張に関する経緯でございます。これまでの羽田空港の再拡張に関する経緯を時系列順に記載してございます。
 三ページをごらん願います。2としまして、同事業のスキームを記載してございます。
 四ページをごらんください。3の、二〇〇五年までに完成が予想される大規模建築物でございます。
 過去三年間の二十三区内で一万平方メートル以上の新築の建物の建築確認分について、用途別に合計延べ面積、階数を記載してございます。
 五ページをごらんください。4の、市街地再開発事業助成の推移でございます。
 過去十年間の市街地整備補助、公共施設管理者負担金の件数及び金額をそれぞれ記載してございます。
 六ページをごらんください。5の、防災生活圏促進事業実施地区の一覧でございます。
 重点地区、重点整備地域ごとに区名と地区名、面積を記載してございます。
 七ページをごらんいただきたいと存じます。一〇ページにかけまして、6の、都心五区における主な面整備事業等の一覧を記載してございます。
 七ページは地区計画等の一覧でございます。地区計画と再開発等促進区を定める地区計画について、区ごとに地区名と面積を記載してございます。
 八ページは特定街区の一覧でございます。区別にそれぞれ街区名と面積を記載してございます。
 九ページをごらんください。市街地再開発事業の一覧でございます。
 区別にそれぞれ地区名、施行者及び面積を記載してございます。
 一〇ページをごらんください。土地区画整理事業の一覧でございます。
 区別にそれぞれ地区名、施行者及び面積を記載してございます。
 一一ページをごらんいただきたいと存じます。7の、生産緑地地区の追加指定状況でございます。
 過去十年間におきます区部、市部ごとの状況を記載してございます。
 一二ページをごらんください。8の、都市計画公園・緑地の供用状況の推移でございます。
 上段の図は、主な年度の東京都全体の計画面積を折れ線グラフで示しております。また、同図下段の折れ線グラフにつきましては、各年度の区部、多摩部の供用面積を示しております。
 下の表は主な年度ごとの計画面積、供用面積、供用率を記載してございます。
 一三ページをごらんください。9の、東京らしいみどりをつくる新戦略(概要)でございます。
 現状認識とみどりづくりの新戦略、みどりの目標等について記載してございます。
 一四ページをごらんください。10の、東京のしゃれた街並みづくり推進条例の適用状況でございます。
 1の、街区再編まちづくり制度については、区分、概要、区市数及び地区数を記載してございます。
 2の、街並み景観づくり制度については、区分、概要、地区数を記載してございます。
 一五ページをごらんください。11の、電線類地中化事業に係る法令及び整備実績についてでございます。
 1の、電線類地中化の方式とその根拠法令等については、地中化方式ごとにそれぞれ道路法の位置づけ、整備に関する根拠法令等、費用分担を記載してございます。
 2の、都道における電線類の地中化整備状況については、過去五年間の整備対象延長、整備済み延長、整備率を記載してございます。
 一六ページをごらんください。12の、LRT等についてでございまして、これは一九ページにかけまして記載してございます。
 一六ページの1は、ヨーロッパにおけるまちづくりの理念についてでございます。まちづくりの背景と理念について記載してございます。
 2の、ヨーロッパにおけるLRT導入による都市再生事例については、都市名、開業時期等について記載してございます。
 一七ページをごらんください。3の、国内におけるLRT導入による効果と課題についてでございます。
 上段は国内の事例につきまして、道及び県名、事業者名、営業キロ等を記載してございます。
 下段は、車両近代化による効果とその後の課題について記載してございます。
 次いで、一八ページは、4の、LRT導入に向けた都及び区の取り組み状況と課題について記載してございます。
 一九ページをお開き願います。5の、トロリーバス、連節バスの導入事例についてでございます。
 トロリーバス、連節バスごとのルート、路線長等について記載してございます。また、下段にはそれぞれの事例の写真を載せております。
 二〇ページをごらんください。13の、都市計画決定後三十年以上経て事業化されていない主な道路・公園の件数及び事例でございます。
 都市計画道路、都市計画公園・緑地ごとに件数、主な事例を記載してございます。
 最後に、二一ページをごらんください。14の、総合設計制度により建築された案件で紛争が起こった件数及び総合設計許可申請書を受理し、審査中の物件一覧でございます。
 1は、総合設計制度により建築された案件で紛争が起こった件数について、過去三年間の件数を記載してございます。
 2は、総合設計許可申請書を受理し、審査中の物件一覧を記載してございます。
 以上で資料説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○相川委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○高橋委員 都市計画局の事務事業についてお尋ねをさせていただきます。
 東京の将来の望ましい都市像を実現するためには、都市計画が果たす役割は極めて大きいものがあると私も十分認識しております。現在、東京都の都市計画は大きく動いている感があります。東京の新しい都市づくりビジョンの発表以降、東京のしゃれた街並みづくり推進条例の制定、防災都市づくり推進基本計画の改定や、東京らしいみどりをつくる新戦略の答申がなされ、そのほか、東京都全域にわたる用途地域等の見直し、区部における都市計画道路の整備方針の策定が進められるなど、枚挙にいとまがないほどであります。
 これらの努力を多とするところでありますが、都市づくりを進めていくには、どんなにすばらしい計画でも、実施するに当たり、そこに住み、働く人々の理解や合意形成を図る必要があるわけであります。また、計画も長期的視点に立ち立案されるものでしょうが、やはり社会経済情勢の変化に対応していく必要が生じると思います。人々が住み、働く生きたまちを動かすには、生きた制度である必要があると思います。計画の実現に向け力強く進める一方で、いかに柔軟に対応するか、この点について幾つか具体的にお尋ねをさせていただきたいと思います。
 まず、都市計画道路についてお尋ねをさせていただきます。
 最初に、都市計画道路については、計画的、効率的な整備を進められておりますが、区部全体の完成率が約五七%、練馬区では約四二%であります。そこで最初に、練馬区において環状第八号線が開通した場合、及び現在事業中の路線すべてが完成した場合の数字をお伺いしたいと思います。

○山崎都市基盤部長 平成十四年三月末現在の数字でございますが、練馬区の都市計画道路延長は約百十三キロ、そのうち完成延長が約四十八キロ、事業中延長が八キロでございます。環八の交通開放を平成十七年度末に予定しておりまして、その時点では補助一三三号線、補助一五六号線、補助一七二号線も事業が完了する予定でございまして、これに環八も完成とみなしますと、完成率は約四八%でございます。
 その他、現在事業中の補助二二九号線と区施行の補助一三二号線など、三路線すべてが完成した場合の練馬区の完成率は約五〇%でございます。

○高橋委員 次に、事業費について伺いますが、区部の都市計画道路を整備するには、平均してキロメートル当たりどのくらいの費用になるのか、伺いたいと思います。
 また、現在、区部全体と練馬区の完成率の差が一五%ありますが、この差を埋めるには延長距離でどのくらい整備しなければならないのか、さらに、キロメートル当たり単価を前提とした場合、概算でどのくらいの事業費が必要となるか伺います。

○山崎都市基盤部長 平成十三年度の都施行路線の区部における平均でございますけれども、キロ当たり約二百二十億円の整備費用がかかっております。練馬区の総延長が先ほど申しました百十三キロでございますので、区部の水準まで上げるということになりますと、約十七キロの整備が必要となってございます。これにキロ当たり単価を掛けますと、整備には約三千七百億の事業費が必要となってまいります。

○高橋委員 このように都市計画道路の整備には相当量の事業費が必要となるわけでありますが、一方、事業執行上の課題の一つとして、計画区域内に公共施設があるため、事業進捗の支障となるケースがあると思います。特に学校の施設は、その重要性から移転等が難しいと思います。そこで、現在の第二次事業計画における都施行の中で、学校が計画区域線内にある箇所はどの程度なのか、お伺いいたします。

○山崎都市基盤部長 学校が計画線内にある箇所でございますが、十七路線、計二十二カ所でございまして、高校が六カ所、中学校が十一カ所、小学校が五カ所でございます。
 なお、このうち四校が平成十四年度末には閉校しております。

○高橋委員 私の地元である練馬区でも、西武池袋線大泉学園駅を挟み、区部南北方向をつなぐ重要な路線である補助第一三五号線が、区立大泉第二中学校の敷地のど真ん中で補助第二三二号線との交差点となる計画となっており、整備が難航すると思われます。例えば校庭の地上にしろ上空にしろ、道路整備することは非常に不可能だと思いますし、また、整備をするならば、アンダーパス、ダブルアンダーパスをするなど、大変難航すると思うような要因があるわけでございます。
 そこで、この二路線の都市計画道路決定時期と学校施設の建築の経緯について伺います。

○山崎都市基盤部長 補助一三五号線は、昭和二十二年都市計画決定されております。また、補助二三二号線は、戦前に決定されておりました細街路を踏襲、一部変更いたしまして、昭和四十一年に計画決定されております。
 一方、大泉第二中学校は昭和三十二年四月の創立でございまして、二つの路線とも学校創立以前からあったというような経緯になってございます。
 なお、現在、補助一三五号線上には平成三年建築の格技室、補助二三二号線上には昭和三十七年建築の屋内運動場があります。いずれも鉄骨造でございます。

○高橋委員 それでは、この路線を今後どのように整備していく予定なのか、伺いたいと思います。

○山崎都市基盤部長 当該路線を含みます大泉学園周辺地区では、練馬区が地区の面整備などを進めますまちづくり総合支援事業を現在進めてございます。当路線につきましても、その一環として一体開発誘発型街路事業による整備に向けまして、平成十五年から十六年にかけて調査を実施する予定となっております。都としましても、この区の取り組み、まちづくり総合支援事業の円滑な推進を支援してまいりたいと思います。

○高橋委員 先ほどの答弁にもありましたように、補助第二三二号線の計画決定、細街路から計画決定は昭和四十一年でありますので、学校開校以降であるということでありますので、都は相当の責任があると私は思います。この問題解決について、私は、都民の立場で、今後も都の前向きかつ積極的な姿勢について期待を込めてつぶさに見守っていきたいと思います。
 次に、土地区画整理事業を施行すべき区域における経過と今後の進め方についてお尋ねいたします。
 都における土地区画整理事業を施行すべき区域は、昭和四十年代に都市計画決定されましたが、なかなか土地区画整理事業に着手できず、今日に至っていると思います。練馬区では、土地区画整理事業を施行すべき区域が行政区域面積の四四%を占め、完了及び施行中がわずか二%に満たないと聞いております。このことについて、整備状況とこれからの進め方について幾つかお伺いさせていただきます。
 最初に、練馬区を含む周辺九区における土地区画整理事業を施行すべき区域の整備状況について伺います。

○成田都市防災部長 土地区画整理事業を施行すべき区域の整備状況についてのお尋ねでございますけれども、土地区画整理事業を施行すべき区域につきましては、昭和十四年の東京緑地計画において環状の緑地帯が指定されて以来、昭和二十三年の旧緑地地域の指定解除にかわるものといたしまして、昭和四十年から四十四年に都市計画決定された経緯がございます。
 周辺九区におきます決定面積は約九千ヘクタールでございます。そのうち、施行中及び完了面積の合計は約二千七百ヘクタールでございまして、土地区画整理事業を施行すべき区域の約三〇%に当たります。
 練馬区におきます土地区画整理事業を施行すべき区域の面積は約二千百ヘクタールで、区の行政区域面積の約四四%を占めてございます。このうち、完了及び施行中面積は約三十七ヘクタールでございまして、先生ご指摘のように、整備率は二%に満たない状況でございます。

○高橋委員 練馬区の土地区画整理事業を施行すべき区域面積に占める整備完了面積が、周辺九区の平均値に対し低いものとなっておりますが、土地区画整理事業が進まない理由についてお伺いします。

○成田都市防災部長 練馬区の土地区画整理事業の進まない理由のお尋ねでございますけれども、練馬区では、土地区画整理事業を施行すべき区域の約一七%が、これまで耕地整理及び土地改良事業によって道路等の生活基盤が整備されてきました。
 また、土地区画整理事業によります基盤整備は約二%弱でございまして、開発行為によります生活道路の基盤整備が約九%と進んでおりまして、地域住民にとっては、現在の生活基盤や環境にさほど不満を感じていない状況が見受けられます。
 さらに、行政面積に占めます生産緑地面積の割合が約五%と、周辺九区内では比較的高い割合を占めてございますので、現在のところ、営農の意向が強いことなどが挙げられてございます。
 これらのことから、練馬区におかれましては、土地区画整理事業によるまちづくりの機運が高まっていない状況がございます。しかしながら、都といたしましては、都市計画決定の趣旨を勘案すると、良好な市街地整備の必要性があるものと認識してございます。

○高橋委員 このような状況の中で、土地区画整理事業を施行すべき区域の早期見直しが必要ではないのかと思います。
 そこで、練馬区における土地区画整理事業を施行すべき区域の取り組みと今後の進め方についてお伺いし、次の質問に入りたいと思います。

○成田都市防災部長 東京都では昨年三月に、土地区画整理事業を施行すべき区域の市街地整備のためのガイドラインを策定いたしました。練馬区ではこのガイドラインに基づきまして、現在、現況調査や分析作業を行っているところでございます。都といたしましては、現在行われております現況調査等の結果を踏まえまして、練馬区と連携を図りながら、生活基盤の整備状況や将来の宅地需要を見据えた市街地整備方針の策定を促していく予定でございます。
 今後、耕地整理または土地改良事業が進んでいる地区におきましては、ガイドラインで示す指標を地区内の整備状況や土地利用等を勘案いたしながら弾力的に運用して、早期の見直しを行う予定でございます。
 また、生産緑地を多く抱え、農地として保全されているような地区に関しましては、地権者の意向、周囲の開発動向などを踏まえまして良好な環境の市街地を形成するよう適切に誘導してまいりたいと思います。

○高橋委員 次に、東京らしいみどりをつくる新戦略の答申についてお尋ねをさせていただきます。
 このほど、東京都都市計画審議会から東京らしいみどりをつくる新戦略の答申がなされました。読ませていただきましたが、東京においても経済社会の構造が大きく変わろうとしている時期をとらえ、これからのみどりの施策全般を視野に入れた新しいさまざまな提言がとりまとめられているように思いました。まさにみどりをつくる新戦略そのものであるとの感想を持っているところであります。
 そこで、この答申に関係して幾つかお伺いさせていただきます。
 最初に、今回答申が出されたわけでありますが、まず、答申のねらいとその内容においてどのような点に特色があるのか、お伺いいたします。

○山崎都市基盤部長 東京都はこれまで主体的にみどりづくりに取り組んできたわけでございますけれども、これに加えまして、自治体連携、民間プロジェクトとの連携など、多様な主体が連携して多様なみどりを保全、創出することによりまして、緑の東京計画に掲げる目標をより早期に達成する、そのことをねらいとしたものでございます。
 特色としましては、東京らしいみどりづくり、みどりとしまして、道路や河川などの公共のみどりや民設公園をこれまでの公園緑地を補完する準公園としてとらえる考え方を新たに導入いたしました。その上で、東京都の先行的な取り組みとして、民間が設置、管理する公園を認定する民設公園制度の創設を初め、長年の懸案でありました都市計画公園・緑地の見直しなどについて提言されてございます。

○高橋委員 その特色について伺いますが、東京では、今後、都市再生緊急整備地域を中心に民間開発によるさまざまな都市づくりが進むものと考えておりますが、このような都市再生に伴いどのようにみどりを創出し、確保していくのか、その具体的なイメージを伺います。

○山崎都市基盤部長 都市再生に伴います都市づくりに当たりましては、開発によって生み出されます民有地の大規模なみどりと、公園、道路、河川などのみどりとの連続性を確保するなど、公民が連携して効果的なみどりの創出を図ることが大事であると考えております。市街地の再編整備とあわせまして、公園の整備、拡張を図るためには、公園地を種地として地域の再開発を進めていく、そういう手法もあろうかと考えております。このため、計画公園の区域や位置の変更も柔軟に考えていきたいと思っております。

○高橋委員 経済的にも社会的にも大きく変わろうとしている東京にありまして、答申においても、都市計画公園・緑地の見直しの必要性が述べられておりますが、今後、都としてはどのようにして具体的に見直しを進めていくのか伺います。

○山崎都市基盤部長 見直しに当たりましては、今回の答申を踏まえまして、見直しの基本的な考え方、その内容を、見直し方針として年度内には定めたいと考えております。
 また、あわせて、民設公園など民間による公園整備の充実を図りつつ、事業を重点化して進めるための事業化計画等の整備方針も定めたいと考えております。これらの方針のもとに、区市町村と連携を図りながら、段階的に順次個別の公園緑地の都市計画の見直しをしていきたいと考えております。

○高橋委員 都市計画公園・緑地の見直しも、昭和三十二年以来、本格的に取り組まれたとのことであります。その決断には敬意を表するものであり、今後の取り組みに大いに期待させていただきます。
 私の地元にも都立の石神井公園があります。貴重な水生植物が生息している三宝寺池を有し、憩いの場として子どもからお年寄りまで非常に人気の高い公園となっております。しかしながら、計画公園区域内には大規模な民間等の土地も残っております。東京都が一部買収した経緯がありますが、今後も引き続き事業を進められ、すばらしい都民の財産として一日も早く公園が完成されることを心から期待させていただきまして、次の質問に入らせていただきます。
 次に、防災まちづくりについてお尋ねいたします。
 先般、東京は下から突き上げるような地震に見舞われました。震源は千葉県北西部とのことでありましたが、東京では大きな被害がなかったのが幸いでありました。これまでの数カ月間に、宮城県沖地震、十勝沖地震と立て続けに地震に見舞われております。しかし、十勝沖地震のような大きな地震が東京を襲ったら、都内の密集市街地はどうなるのでしょうか。NHKの特集番組で出された地獄絵が脳裏に浮かびます。
 そこで、東京都は、阪神・淡路大震災を踏まえ、平成八年度に防災都市づくり推進計画を策定し、震災に強い都市づくりに向けこれまでさまざまな取り組みが行われております。しかし、私の目には整備が進んだとはなかなか見えてこないのが実情であります。
 そのような中、今月初めに改定された基本計画が公表されたわけであります。これを見ますと、今回の改定の考え方の一つに、整備が進んでいない地区では事業手法を見直しし、複数の事業案の提示により合意形成を促進しますとあります。住民の合意形成は防災まちづくりを進める上で大変重要と考えますが、また、密集市街地の整備は、華やかな都心部の開発に比べて大変困難であるとも想定されます。
 そこでまず、こうした密集市街地の整備において合意形成が困難な原因は具体的にどういうところにあるのか伺います。

○成田都市防災部長 合意形成が困難な理由についてのお尋ねでございますけれども、密集市街地は、無秩序な都市化によりまして都市基盤施設が十分整備されないまま、宅地の細分化、建築物の高密化、農地の宅地化が起こり、形成されたものと考えております。具体的には、こうした地域におきましては借地や借家が多く、土地建物に係る権利関係が複雑なこと、それから居住者自身の高齢化が進んでおること、敷地が狭いこと、また、道路そのものが少ない上に狭隘道路や行きどまり道路が多く、接道条件を満たさないため建てかえがしにくいことなどが挙げられます。

○高橋委員 次に、住民の合意形成を進めていくためには、役所がつくった計画を住民に一方的に説明するのではなく、さまざまな情報を提供するなど、住民が主体的に考え、まちづくりに取り組む環境づくりも必要かと考えます。
 改定の考え方の中に、火災延焼の状況を伝える延焼シミュレーションの活用により合意形成を進めますという記述がありますが、この延焼シミュレーションは今回の改定によって新たに活用していくこととされた手法と仄聞しておりますが、この延焼シミュレーションとはどういうものなのか、また、その活用の利点はどのようなものなのか伺います。

○成田都市防災部長 延焼シミュレーションは、火災が発生した場合に、一定時間ごとの延焼の拡大状況を都民にわかりやすく目に見える形でコンピューター上に再現する予測システムでございます。このシステムでは、出火場所や建物の構造、さらには道路などの延焼遮断帯の有無を任意に条件設定いたしまして、時間の経過に合わせた延焼の拡大状況を視覚的に表現することができるものでございます。例えば延焼遮断帯の機能を持っている道路についてでございますけれども、整備前と整備後を比較いたしますと、二時間後の延焼面積が五分の一に減少するなど、延焼遮断帯の防災効果を目に見える形でわかりやすく伝えることができるものでございます。
 今後、都はもとより、各区におかれましても、地域のまちづくり説明会などでこのシステムを活用することによりまして、地域の火災に対する危険度や事業の必要性などに対する住民の認識を高めるとともに、合意形成が促進されるものと期待してございます。

○高橋委員 次に、今回策定されましたこの防災都市づくり推進計画を受け、今後いかに着実に事業を実施していくかが重要であると思います。今後、重点整備地域などの整備の目標、スケジュール、手法などをとりまとめた整備プログラムを策定すると聞いておりますが、プログラムの策定の見通しについて伺います。

○成田都市防災部長 震災時に都民の財産、生命を守るための防災都市づくりを早急に進めることが重要であることから、先ほど先生からもご指摘ございましたように、この十月七日に改定防災都市づくり推進計画を策定いたしまして、この計画に基づきまして具体的な整備プログラムを年度内に作成する予定でございます。
 この整備プログラムは、防災都市づくり推進計画に位置づけられております重点整備地域の十一カ所を、地域ごとに整備の目標、スケジュール、手法などを明らかにいたしまして、着実な整備の推進を目指すものでございます。現在、地元区や関係局を交えました防災都市づくり推進協議会を設置いたしまして、それぞれの地区につきまして具体的な内容を調整しながら策定に向かっているところでございます。

○高橋委員 多くの密集市街地を抱える東京都においては、阪神・淡路大震災から八年が経過した今、改めて震災対策の重要性を認識すべきだと思います。そのためには危険度の高い地域で集中的に事業を実施し、早期に安全性を確保することが重要と考えます。実効性ある整備プログラムの早期策定とともに、関係者の緊密な連携のもと、今後も防災都市づくりに積極的に取り組んでいただくことを要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思いますが、最後に、ただいまの多岐にわたる質問に対し、各部長さんから具体的かつわかりやすい答弁をいただきました。ありがとうございました。
 最後に、局長から都市計画を進めるに当たっての決意を伺って、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

○勝田都市計画局長 都市計画を進めるに当たっての決意をということでございますが、ただいま高橋理事より当局の事務事業の何点かにつきましてご質問をちょうだいしました。この点も含めまして、私ども幅広くいろいろな取り組みを進めてきております。平成十三年十月には、東京の新しい都市づくりビジョンを策定いたしました。また、昨年には、都市再生特別措置法や東京のしゃれた街並みづくり推進条例が制定され、本年の六月には、都市開発諸制度の運用基準の改定を行ってきております。また、ご質問の中にもございましたが、社会経済情勢の変化に対応するため、都市計画道路、都市計画公園・緑地あるいは防災都市づくり推進計画などの見直しも進めてきております。さらに、社会資本整備といたしまして、外かく環状道路等の三環状道路を初めといたします都市基盤整備を進めているところでもございます。
 今後は、これらの計画の具体化に向けまして、法や条例で新たに創設された都市づくり制度などを活用しながら、また、地元の意見を十分反映させながらまちづくりを着実に進めてまいりたいと考えております。

○樋口委員 首都高速は東京の都市活動を支える大動脈であり、慢性的な渋滞、環境面への影響、あるいは日本橋の上の通過が象徴しているかのような景観の損傷など、多くの問題を抱えてはおりますが、都民の生活に欠くことのできない存在となっております。私も首都高速道路はよく使っております。豊島区高松から、また、山手通りの下を通る池尻に至る中央環状新宿線が完成すれば、さらに私たち都民の生活は便利になることは間違いがありません。中央環状新宿線の換気塔の脱硝装置と電気集じん機を設置する可能性が大いに高まり、方向性が示されつつありますけれども、それによって都民の健康に対する不安は少し和らいでくるのではないかと期待しております。
 以前、平成九年の東京都自動車公害防止計画において、窒素酸化物が平成七年から十年間という期間の間に六割削減するとしております。そしてまた、十月一日からディーゼル車の規制が始まり、日本一厳しい基準で東京都は臨んでおります。また、浮遊粒子状物質については東京都浮遊粒子状物質削減計画、それによって着実に排出量を削減しているかと思います。低公害車の普及は国の予想をはるかに上回って、また、十九年度には国の環境庁はさらなる規制を行うというふうに聞いており、東京都の空気はますます一気にこれできれいになっていくのではないかと考えられます。そしてまた、東京都はそれをさらに進めていかなくてはならないという立場にあるかと思います。
 その中で中央環状新宿線--もう一つの問題点として、各換気所九カ所につけられる電気集じん機、そして脱硝装置、その総額が二百億、そして換気塔附帯設備として千二百億、合わせて千四百億、それに換気塔にかかわるランニングコストが二十年間で九十億と聞いております。十八年度完成予定となるこの中央環状新宿線、その数年後にはもしやして必要がなくなるような、つまり本来なる換気塔の目的であります、トンネル内の視界を守る、また、きれいな空気をトンネル内に入れる、そしてもしも災害時のときに火災の排熱や排煙をするための換気塔としての機能が、果たして本当に必要意義としてあるのであろうかなどと思ってしまっております。済みません、ちょっと速記をとめてください。

○相川委員長 速記とめてください。
   〔速記中止〕

○相川委員長 再開します。

○樋口委員 本来なる目的、換気塔をなぜつけるかという目的から少し遠ざかるのではないかと考えられます。マスコミにもたびたび話題が出ておりますが、一部の方々の意見の中では、低公害車だけを、あるいは無公害車だけを通行させるというような専用道路に暫定的にしてから、本格的にきれいになったときに、この数千億といわれる換気塔を取りやめることも視野に入れるべきだというような意見もあります。ぜひそれぞれの可能性を検証しながら、都民の方の意見交流をしていただきたいと願っております。この首都高速道路については、都議会でもしばしば取り上げられておりますけれども、都として首都高速とどのように向き合っていくべきなのか、私なりに整理をさせていただきたいと思います。そこにおいて、幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 首都高速との関係で最も話題となるのは、東京都からの出資金と無利子貸付であります。
 最初に、都は今年度、首都高速道路公団に対して何の名目で幾ら支出しているのか、お教えください。

○山崎都市基盤部長 出資金についてでございますけれども、新線建設、既設路線の改築等に対しまして、首都高速道路公団の資本形成を資するということで、国とともに支出しているものでございます。平成十五年度予算では八十七億円を計上してございます。
 次に、無利子貸付金についてでありますけれども、国の渋滞対策特定都市高速道路整備事業の特定路線等の整備に対しまして、これも国とともに支出しております。平成十五年度の予算では百八十七億円を計上しております。

○樋口委員 出資と無利子貸付は以前から続いているかと思われますけれども、累積額はどれぐらいになっているんでしょうか。

○山崎都市基盤部長 十四年度末の累積でございますけれども、出資金は千八百二十二億円、無利子貸付金は二千八百十七億円でございます。

○樋口委員 首都高速は結構高い料金を取っていて、それだけで相当な収入になると思われるんですけれども、都が出資する必要はあるんでしょうか。
 そしてまた、出資金や無利子貸付金は一体何に使われているのか、ぜひ教えていただきたいと思います。

○山崎都市基盤部長 首都高速道路公団は、自動車交通の円滑化を図るために、道路整備の本来責任を有します国及び都にかわりまして建設管理を行っているものでございます。また、将来、建設費が償還された後は、本来の道路管理者であります東京都にこれが移管されるということから、都は国とともに建設等の資金の一部を負担するものでございます。このことによりまして、建設コストを低くするとともに建設事業等の促進が図れるものでございます。
 また、出資金や無利子貸付金は中央環状新宿線、晴海線等の新線建設や既設線の出入り口増設、交通管理等施設、沿道環境対策、防災安全対策等に使われております。

○樋口委員 今のご説明をお伺いしますと、必要やむを得ないのかななんて感じてしまうんですけれども、それにしてもかなりの額を支出しています。今東京は財政危機真っただ中にあります。先週も第二次財政再建推進プランが発表されたばかりです。都の支出額、それはどうやって決められるんでしょうか。

○山崎都市基盤部長 支出額でございますけれども、毎年度の工事等の出来高に対しまして、出資率、貸付率を乗じた額として決まってまいります。出資率及び貸付率は都市高速道路の必要性や公団の財政状況等を勘案しまして、国と同額を出資しております地方公共団体の意見を踏まえて決定されております。

○樋口委員 その率をお教えいただけませんでしょうか。

○山崎都市基盤部長 出資率は二五%、無利子貸付率は五分の四、国と都がそれを折半する、こういう内容でございます。

○樋口委員 大分前になりますけれども、数年前ですけれども、その出資の比率が違っていたかのように聞いております。何年から変わったんでしょうか。

○山崎都市基盤部長 平成十一年度よりただいま申し上げました数字に変わっております。

○樋口委員 平成十一年度までは、何年から何年まではどのくらいの比率だったんでしょうか、お教えいただけますか。

○山崎都市基盤部長 まず、出資率でございますけれども、少しさかのぼりますと、十年が一三%、平成七年から九年が七・三五%でございます。
 一方、無利子貸付でございますけれども、平成十年以前は三分の二となってございます。

○樋口委員 何か一気に上がってきたんだななんて思うのは私だけでしょうか。以前よりも約倍近くこの出資比率が変わってきております。どうも都は首都高速道路公団にいわれるがままに出資と無利子貸付を行っているのではないでしょうか。都の主体性は全くないといわれても仕方がないけれども、この状況はどうもおかしいし、そして私自身納得ができません。建設する路線の選択や工事量などについても、都はもっと主張し、首都高速の計画に反映させていくべきだと思いますけれども、これまで要請行動は行ったことがあるんでしょうか。

○山崎都市基盤部長 これまでのお尋ねでございますけれども、整備計画をつくるに当たりましては、当然、都と協議の上事業計画を公団は定めておりまして、要請行動はどうかということでございますけれども、その必要を認めるような状況はございませんでした。
 また、首都高速道路公団に対しましても、毎年度、予算、事業計画、資金計画、財務諸表、決算報告書の提出を受けておりまして、その場でも東京都の意見を申し伝えてございます。

○樋口委員 首都高速道路公団に対しては、毎年支出額の問題だけではなくて、環境問題など、いうべきことはたくさんあります。先ほど冒頭申し上げました中央環状新宿線についていえば、地下トンネルで発生する排ガスの問題ですよね、換気の方法などに不安があったんですが、それがダイレクトに、都民、沿線住民、不安を抱えている沿線住民の方々になかなか伝わらない、一体どうなるんだということがございました。とにかくいろいろなさまざまな問題点を指摘していくのは都の大きな役目であります。
 これは京王線の連続立体交差工事をめぐってだけれども、工事請負業者の談合問題が指摘されました。あるいは話題の日本道路公団についても、先週ですか、石原知事が工事の発注にむだが多いことを記者会見で指摘をいたしましたけれども、京王線の工事や道路公団と同じ問題が首都高速にもあるのではないかという疑いを持つ方もいらっしゃるかもわかりません。都税を投入しているのですから、そういった不正やむだがないようにチェックするのも都のお仕事であると考えております。
 繰り返しになりますけれども、巨額な出資や無利子貸付を出しっ放しにするのではなく、首都高速の事業について都の意見を反映させていくことがとても大切だと思います。この点について、局長なりのご意見をお願い申し上げたいと思います。

○勝田都市計画局長 首都圏におきます都市高速道路の整備でございますが、交通渋滞の解消あるいは環境改善に資するとともに、首都圏の再生のみならず、日本全体の再生にもつながるものと考えています。このため、都といたしましては、より快適な都市づくりを目指して、都市のスムーズで安全な交通を確保する、そして沿道環境対策等にも積極的に取り組んでいきたいと考えております。
 また、その整備推進に当たりましては、今いろいろ質疑の中ございましたが、今後とも都市高速道路の必要性や採算性、地域に与える効果などを踏まえまして、首都高速道路公団法に基づきます管理委員会、すなわち経営会議でございますが、この場において東京都の考えを十分に伝えていきたいと考えております。

○樋口委員 どうもありがとうございます。
 さて、勝田局長の力強いお言葉をいただきながら、質問を次に移らさせていただきます。
 JR中央線の線路の移設工事で連日事故が起きております。本日で一カ月の間に車や人によって四十九回、中央線はとまっているそうです。JRに反省を促すとともに、連続立体交差事業は今後も積極的に進める必要がありますが、事業の円滑な実施に向けて都は指導力を発揮していただきたいと思います。所轄委員会が建設局ということで、JRについての質問はいたしませんが、同じような問題、連続立体交差事業を進めていただきたいという中野区の問題についてお話をさせていただきたいと思います。
 中野区は長い間、南北の分断を余儀なくされて、西武新宿線踏切によってなんですけれども、踏切による渋滞、そして地域分断などに大変悩まされております。中野区は西武新宿線あかずの踏切を解消していただきたいと都に請願を出しました。私も紹介議員として名前を連ねております。
 昨年、都から、踏切解消のために四つの案を出していただきました。このうち、鉄道を立体化する案では、補助二六号線を中心に、環六、環七を高架化もしくは地下化する案にとどまっております。このため、多くの踏切が存在する環状七号線から鷺宮方面については検討されないままであります。連続立体交差事業としての地下化案が、工期から見ても、費用から見ても、実現性から見ても、中野区そして一般の方々では実現可能な案として受けとめております。
 昨年の十月より、私はこの問題を一層区民に考えていただきたい、一人一人の問題として認識していただきたいと、その時々までに進捗状況及び過去四回プラスアルファの印刷物を配布してまいりましたが、ことしの八月、九月にかけまして、沿線の住民の方々ほぼ五万世帯の方々に今までの経緯と現状を印刷物としてまたお知らせをいたしまして、延べ人数百人を動員いたしまして、対面式アンケート調査を、原則氏名、住所を記名していただいてのアンケート調査を実施いたしました。その中で、四四%の方々が全線地下化が望ましいと答え、また、三一%の方々が一部地下化でもやむを得ないとの回答を得ました。といいますのは、その前に中野区民は署名運動をしております。その中でこの四案を示しながらの署名運動でございますので、当然、もし連続地下化、中野の東側と西側に分かれての、東側部分だけの連続立体交差事業ということで考えていただいております。
 しかし、そのアンケートの中で、なぜ環七以西について都は考えていないのだ、西武新宿線については料金のみ上げておいて、一体今までの急行地下化案というのはどこへ行ってしまったのだというような声が大変多いというのが現実であります。区民の大半が、中野区内の全踏切の解消を望んでおりますけれども、工期や費用の関係で実施可能なところから工事を行うというのもやむを得ない、そう思いながらも、部分的に地下化が実現することになったとしても、それが野方以西についても継続可能な踏切解消に結びつく形が望ましい、いいかえれば、何回分けても全線の踏切を解消しなくてはならない、そういうのをアンケートから得ました。
 さて、質疑に入らせていただきます。
 将来の環七以西の地下化の延伸に向けて技術的な可能性などをお伺いさせていただきたいと思います。
 鉄道を地下化する場合、一般的にトンネル部の外径、最低必要土かぶりはどのくらいとなるんでしょうか。
 また、鉄道の線形について、最も勾配のあるところ、その勾配率というものが決まっているんでしょうか。各線によってその勾配率は異なると思いますが、西武新宿線の場合は一体どのくらいの勾配と決まっているんですか。

○山崎都市基盤部長 技術的なご質問でございますが、地下化する場合のトンネルの外径につきましては、車両の大きさや土質等の条件によって多少変わりますが、一般的な事例でいえば、上り線と下り線の二線を一体構造とした場合では十メートル程度、また、上り線、下り線を別々の構造とした場合では各線八メートル程度の外径となります。
 最低土かぶりにつきましては、トンネル標準仕方書によりますと、シールド外径以上の土かぶりが必要であると一般的にされております。
 また、最急勾配につきましては、西武鉄道の社内規則によりまして、地下部分では千分の三十五、三・五%が最急とされております。

○樋口委員 一般論として、地下構造で連続立体交差化が完了している、いいかえれば既にもう営業をしている鉄道におきまして、さらに地下構造により連続立体交差化区間を延伸するというような工事は技術的に可能なんでしょうか。
 また、そういった事例が東京も含めてこの日本であるのでしょうか。
 また、仮に可能であるとすると、当初よりメリット、デメリット、どういうものがあるのか、お教えいただきたいと思います。

○山崎都市基盤部長 地下構造で連続立体交差が完了している区間をさらに地下構造で延伸するという工事につきましては、使用可能な用地あるいはほかの埋設物件、地質等、詳細な検討が必要となろうかというふうに考えております。
 なお、事例についてはまだ施工例はございません。
 次に、分割施工と一括施工の比較でございますが、分割施工のメリットにつきましては、短期間に整備が可能となります。また、事業効果が速やかに発揮される、状況の変化に応じた柔軟な対応が可能になる等のメリットがございます。
 一方、デメリットとしましては、先行整備区間の一部取り壊しが必要となることと、一部不経済となることもあろうかと考えております。

○樋口委員 また一般論でございますが、地下構造で連続立体交差が完了している区間に隣接する区間で、複数の踏切解消を行うためにはどのような方法があるんでしょうか。

○山崎都市基盤部長 一般論ということでございますので、踏切を解消する方法としましては、鉄道側を高架または地下にする、あるいは道路側を高架または地下にするという方法が考えられます。どの方法を選択するかということにつきましては、地形的な条件、計画的な条件、事業的な条件を総合的に勘案していくことが必要でございます。

○樋口委員 平成十三年の三月に踏切道改良促進法、それによって平成二十二年までに全国のボトルネック踏切の半数を立体交差により解消しましょう、そういうふうな法律が出ました。中野区民のこの南北の分断、それはとてもとても大きな問題なんです。西武新宿線の連続立体交差事業について、環七以西も含めて、局長としてどう取り組んでいくのか。私が過去何度もこのことについて質問させていただきました。言葉にはならない私の思いも含めて、局長にぜひその姿勢をお伺いさせていただきたいと思います。

○勝田都市計画局長 都内にはいわゆるボトルネック踏切が多数存在しておりまして、こうした踏切による渋滞などによりまして多くの問題が生じておりますから、踏切対策は重要な課題でございます。一方、鉄道の連続立体交差化には多額の事業費、長期の事業期間を要する極めて大規模な事業になるわけでございます。また、都内にはいまだ約一千二百カ所の踏切が残されております。
 こうしたことから、連続立体交差の事業化につきましては、さまざまな要素、特に財政状況あるいは地元のまちづくりの状況等を勘案し、検討すべきものと考えております。

○樋口委員 ありがとうございました。ぜひ前向きに取り組んでいただきたいと思います。そして、中野区民のみならず、都民にとって、西武新宿線沿線の方々にとってどういったものが一番望ましい形なのか。まだまだ東西線の相互乗り入れというものは検討課題にものっていない状況ではありますが、そのあたりも視野に含め、ぜひ検討を進めていっていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 終わります。

○かち委員 たくさんの資料を用意していただきまして、ありがとうございました。
 きょうは、時間の関係で、二つの課題で質問させていただきます。
 初めに、羽田空港の再拡張について伺います。
 羽田空港の国際化と再拡張は、国、都を挙げて都市再生の中心的な課題として位置づけられ、急速にこの間進行している状況があるわけですけれども、私は大田区の出身者として何点かお聞きしたいと思います。
 資料の二ページに出ておりますけれども、この間の経過が書かれております。本年八月一日に発表した国土交通省の羽田再拡張事業の基本スキームでは、滑走路事業に七千億円、ターミナル等で二千億円、その他一千億円で、一兆円プロジェクトのスキームが公表されたわけです。ここでは財源問題にも触れているわけですけれども、都としてはこのスキームに対し、どのような見解を持っておられるでしょうか。

○宮川参事 羽田空港再拡張に係る事業スキームについてでございますが、知事がさきの第三回都議会定例会の所信表明で述べておりますとおり、新しい内容が含まれた提案でございまして、検討に値するものというふうに考えてございます。

○かち委員 その新しい内容というのは、財政負担のところで、地方の分担を約二割、一千三百億円を無利子貸付を基本にするという内容だと思うんですが、いずれ返ってくるとはいえ、相当額を地方が分担しなければならないというわけです。検討に値するということは、受け入れ可能というふうにもとれるわけですけれども、これまで知事は議会でも地方負担については白紙撤回ということで意思表示し、関係自治体とも歩調をそろえていたものだと思いますが、今回は他の自治体との調整あるいは協議会での対応、そういうものはどういうふうになっているんでしょうか。

○宮川参事 国土交通省が発表いたしました事業スキームについては、現在、要請を受けた自治体がそれぞれの立場で検討しているところでございまして、現時点で自治体間の調整というのはございません。
 また、今後協議会が想定されるわけでございますけれども、これは国土交通省の方が主催しているものということでございまして、今のところ、次期協議会の日程、テーマ等についても設定されてございません。

○かち委員 大きな額をどうするかという問題について八月の初めに公表されて、それが各自治体にそれぞれ調整をされているようですけれども、そんなことで何となくというか、進んでしまうのかなというふうに思うんですが、国土交通省は既に来年度概算要求で羽田再拡張の事業化のために百七億円の要求決定をしているわけですよね。分担金についても、何か協議会で合議するわけでもなく、既定の事実として進んでいるように見えるわけです。
 本年一月に国土交通大臣と関係自治体の首長で構成される協議会が発足し、これまでに三回、一月、三月、六月と開催されてきたようですけれども、この協議会メンバーには羽田空港を抱える地元区は入っていないわけですけれども、この協議会メンバーというのはどういうふうに選定されたのでしょうか。

○宮川参事 協議会の構成についてでございますが、協議会の設置主体である国土交通省によりますと、羽田空港周辺の都県及び政令指定都市を対象としたというふうにしてございます。

○かち委員 結局、構成は東京都、千葉県、神奈川県、埼玉県、さいたま市、横浜市、川崎市、千葉市、八都県市ということなんですけれども、こういう問題は直接の当該自治体とその周辺の自治体ということでは、大変影響を考えたりする場合の温度差というのがあると思うんですよね。直接の区民、区議会、行政が全く招集もされていない。本当に疎外された中で進んでいるという、そういう不満な思いというのは大田区民の中にも相当あるわけです。
 概算要求百七億円の中には滑走路の入札費用なども入っているようですけれども、工法というのは、これまでの協議会の中で示されておりますように、桟橋方式と、埋め立てと桟橋の併用と、メガフロートという三種類のやり方で、それぞれの大企業から提案されて、どれにするかということをこれから選定していくわけですけれども、それを選ぶ上での考え方というものはどういうものなのかというのと、それからアセスというのはどういうふうになっているのか、把握されているでしょうか。

○宮川参事 国の入札の考え方でございますけれども、設計、施工等を一括して入札をするという考え方でございます。
 環境アセスメントにつきましては、事業者である国土交通省が環境影響評価法に基づき実施することとなりますが、今お話ししました工法決定との関係で、どういうふうに具体的に進めるかについて、現在国土交通省において検討しているところでございます。

○かち委員 設計、施工一括入札ということのようですけれども、滑走路を一本海の上につくるということですけれども、そのことによる、そしてそれは単に海というだけではなくて、多摩川河口の先端部分だということでは、川に対する影響だとか、それから航路との関係だとか、手狭なあの東京湾の中につくるという点では、大変いろいろな問題も出てくるだろうと思うんですが、どうもこれまでの考え方などを聞いておりますと、いかに低コストでいかに早くできるか、それが最大の選定基準になっているように思われるんです。どれをとっても初めての工法ですから、私は、三つの工法をやる前にすべて環境アセスをやるべきだと思いますけれども、今の状況ではアセスそのものまで簡略されようとしている、こんな危惧を抱くわけです。
 現在、羽田沖、羽田空港の外側には、羽田を拡張したときに浅場造成という事業で、ここ十数年間ずっと浅場造成をしてきているわけですね。なかなか砂が定着しなくて、やっとここに来て、ちょうど今度滑走路ができて、橋の下あたりのところに自然のアサリが生息し始めたところなんですけれども、これがまた壊されてしまうという、本当に自然もいろいろと痛みに耐えているわけですけれども、空港の後背地に住む大田区民にとっては、沖合展開でやっと騒音から解放されつつあったときに、今度は、北風時に内陸部に向かって離陸する左旋回、これが早朝に五便ふえてきたわけです。昨年この委員会でも取り上げましたけれども、それをさらに増便のために二十便ふやしたいという国土交通省からの要求がありました。住民合意はとても得られていない中で調整中ということでしたけれども、その後の経過はどうなっているでしょうか。

○宮川参事 いわゆるハミングバードといっております飛行方式についてのお尋ねでございます。
 ことしに入りまして、羽田空港再拡張事業に関する協議会が設置される、先ほどご説明したとおりでございます。再拡張の実現に向けた具体的な取り組みが進んできてございます。現在はそういう中で、国土交通省は再拡張後の飛行経路等を多角的に検討しているところでございます。ハミングバードについてもその中で改めて検討されることになるというふうに考えてございまして、地元との調整については当面見合わせているところでございます。

○かち委員 羽田地域の住民にとっては、四十八時間以内に強制退去という歴史的な経過があり、その後も飛行機の騒音に悩まされる中で、昭和五十九年に沖合展開事業が始まって、それに伴って二百ヘクタールの跡地が生まれるはずだったわけです。それは、都民、区民の水と緑の憩いの森公園などと都も区も構想化していたわけです。ところが、羽田再拡張計画が出てくる中で、その跡地が七十ヘクタールだとか、最近では五十三ヘクタールなどと国土交通省はいってきているわけです。これでは余りにも地元住民無視ではないか、こういう怒りの声が上がっています。大田区としても到底了解できない、そういう状況です。都としても当初の面積を確保するよう国に強く要求すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○宮川参事 東京都は、かねてから国に対しまして、羽田空港につきまして、再拡張とともに国際化を強く求めてまいりました。羽田空港が国際空港として十分に機能するためには、日本の玄関口にふさわしい国際線ターミナルあるいはエプロン等の施設が必要となってまいります。跡地につきましては、このような状況も踏まえ、その範囲が定められるべきものというふうに考えてございます。

○かち委員 国際都市東京の空の玄関としての羽田空港に国際便を入れたい、そして経済効果を上げたい、そういう思いがあるということはわからないわけではないんですけれども、私は、羽田空港の容量そのものがもはや限界に来ているというふうに思います。滑走路を一本ふやして、一・五倍の四十万回飛べるようになるということですけれども、その工法ややり方も非常に安易で、できれば簡単にできればという思いの中でやられるわけですけれども、こうした拙速で安直で、また強引なやり方を進めていけば、将来やがていろいろな矛盾やひずみが出てくるだろうというふうに思うんです。しょせんこの羽田再拡張というのは、都市再生という名のもとでの大規模公共事業にほかならないわけです。東京全体の環境をいかに永続的に守っていくか、そういう観点に立って再度検討していただきたいということを申し上げて、この問題は終わります。
 次に、東京らしいみどりをつくる新戦略の答申についてお伺いしますが、質疑に入る前に一言申し上げたいんですけれども、この東京らしいみどりをつくる新戦略の答申が出されましたけれども、これは昨年の十二月に知事から、東京が目指す新しい公園緑地のあり方についての諮問を受けて、ことし十月までに答申を都市計画審議会でつくり上げてきたというものですけれども、この間、中間答申があったり、パブリックコメントがあったり、そして本答申という経過をたどっている中で、当該のこの委員会では一度も審議することがなかった、質疑をすることがなかったという経過をたどっているんですね。大変、東京のみどりをどう確保していくか、手法も含めて重要な課題だと思いますけれども、当該の委員会が全く触れることなく、こういうことが答申が出されて、既に行政としては足を踏み始めているわけですよね。そういうことが、今後もこういう形が続けられるという点では、大変委員会、議会軽視ではないかと思います。そういう意味で、今後このようなことがないようにきつく申し上げておきます。
 東京のみどり、とりわけ区部の巨大開発、高層ビル群の林立が加速する中で、どうやって貴重なみどりを回復、つくり出すかということは、ヒートアイランド、温暖化の抑制、環境保全という意味でも大変緊急に求められている課題だと思います。
 今回、都市計画審議会から東京らしいみどりをつくる新戦略という答申が出されましたけれども、従来の都市公園の確保という点からどういうことになるのか、その辺の視点に立ってお聞きしたいと思います。
 この答申は、これまで東京都は、東京の都市ビジョンづくりの中で緑の東京計画がつくられ、この中でみどり率という新しい概念が打ち出されて、二〇二五年までに区部においては、現状二九%を二割アップで三五%に、多摩地域では八〇%を維持するという計画方針が出されてきました。この計画と今度の新戦略との関係、また、出されてきた背景というものはどういうものなのでしょうか。

○山崎都市基盤部長 緑の東京計画との関係でございますけれども、緑の東京計画はいわゆるみどりの総合計画といわれるようなものでございまして、ここに掲げました政策をベースに、今回の答申では、同計画をより早期に達成する必要性から、施策を補強、充実する中で新たな展開方策が示されているものでございます。
 この背景には、都市の再生に伴う再開発事業が進む中で、この機会をとらえまして、みどり豊かな都市空間をつくり出していく、そういう必要性が高まっているということが一つございます。また、一方で、公園緑地として都市計画決定されたが、長期にわたり事業が進展しない区域も見られるというような状況もございます。こうした背景を踏まえまして、公園緑地の見直しとみどりを戦略的に展開する方策についての答申がなされたものでございます。

○かち委員 長いご説明でしたので、ちょっと簡略していいますと、東京計画の目標、みどりを確保する目標は、早期達成するために--東京のみどりを獲得する目標を早期達成するためのこれは戦略だということですよね。都市の再開発の動きとともに、みどりをふやそうということもいわれました。その後に、長期に事業化されていない地区の都市計画公園の見直しを図る、その辺を私はちょっと危惧しておりますので、後ほどお聞きしたいと思います。
 それで、この新戦略のねらいや特徴というのは、先ほど質疑がありましたので省略しますが、東京都だけでなく、多様な主体と連携してやるんだというふうな説明がありました。そして、民設公園の制度化により、それを準公園として位置づけるなど、新しい概念も出されています。この中でさらに、都市公園緑地の見直しも強調されているわけです。
 そこで、資料では都市計画面積、平成十四年度で一万五百七十三ヘクタールの計画面積に対し、供用化面積は四千二百二十八ヘクタールということで、昭和三十二年当時から比べれば供用率は五倍にふえているのですが、国の定める一人当たりの公園取得面積十平米の目標からすれば、現時点では五・三九平米であり、約半分でしかないということです。なぜなかなか目標達成が進まないのか、その理由はどういうことを考えていらっしゃるのでしょうか。

○山崎都市基盤部長 お手元の資料をごらんいただければ一目瞭然かと思いますけれども、この間、東京都は公園整備を進めてきております。公園もふえてきているわけでございますけれども、あわせて必要な計画の追加もしておりますので、計画と供用面積の差が、両方とも伸びていることによって縮まってこない、こういう状況でございます。

○かち委員 それでは、宅地化が進んでなかなか用地買収ができなくて進まないんだ、そういうこともあるやに聞いておりますけれども、その辺はどうですか。

○山崎都市基盤部長 ところによってはそのようなところも見られるところもございます。

○かち委員 宅地化が進んでなかなか用地買収ができない、そういうふうになっている用地は一体どのぐらいあるんでしょうか。

○山崎都市基盤部長 長期間未着手となっております区域、全体千七百ヘクタールぐらい計画として持っているわけでございますけれども、そのうち市街地化が進んでいる区域は約五百ヘクタールでございます。

○かち委員 長期未着手が千七百ヘクタールで、宅地化が進んでいる用地が五百ヘクタール。今、計画に対して残っている用地の中で、この五百ヘクタールというのは八%前後なんですよね。そういう意味でいうと、宅地化が進んじゃっているから公園化はなかなか進まないんだという理由だけには決してならないんじゃないかと思うんです。千七百ヘクタールから五百ヘクタールを引いた千二百ヘクタールはどういうところかといいますと、ほとんどが農地とか樹林地だというふうにも聞いております。
 そういうことからして、緑の東京計画では、一人当たりの公園面積を七平米確保するという目標を立てておりますけれども、今回の答申の中ではその目標はどのようになっているでしょうか。

○山崎都市基盤部長 今回の答申におきましても、一人当たり七平米という緑の東京計画の公園面積を確保することを前提とした目標となってございます。
 具体的には、答申の中にもございますが、これからふやしていくみどりのうち、その三割程度は公園緑地などの公的空間として確保するという目標になってございます。ちなみに区部では約八百ヘクタール程度になろうかと考えております。

○かち委員 公的空間ということで八百ヘクタールをふやしていくというようなことがいわれたと思うんですが、新戦略でいろいろな手法を使ってみどりをふやす、そのことは一概に否定するものではないんですが、東京都みずからが決めた公園目標、都市公園の面積は独自で進めない限り達成できないと思うんですが、その具体策はどのように考えているでしょうか。

○山崎都市基盤部長 答申の中にも、多様な主体が多様な方法で多様なみどりというふうに述べてございますけれども、公園の整備につきましては、今後とも重点的に事業を推進しまして、区市町村と連携しながら目標達成に向けて努めてまいりたいと存じます。

○かち委員 都市計画決定の事業化をしていくという点では、まず予算が必要だと思います、当たり前のことですけれども。その決算の推移を見てみると、はっきり出ていると思うんですが、例えば建設局の都市公園の整備費、この十年間の推移では、平成五年時には七百八十八億円あったものが、十四年度には三百十三億円、四〇%に落ち込んでいます。また、多摩地域の都市公園の整備費を見ても、平成七年から十一年までは十数億円だったものが、平成十四年には三分の一の五億円程度に削られているわけです。これでは進むはずがないわけです。
 こういう状況で七平方メートルの獲得に努めるといわれても、現実性が大変心もとないわけですけれども、先ほど都市計画公園の見直しとか公園緑地の見直しなどということがいわれておりましたけれども、これは都市計画決定地の中でも、宅地化が進んで公園整備が困難と思われる地区を計画地から外すこともあり得るということですよね。その場合、その代替地を必ず確保するというのがこれまでのやり方だったと思いますけれども、今後はそうしなくてもいいということでしょうか。そういうことをやっていくと、計画公園の目標が担保されないのではないかという危惧を抱くのですが、その辺はどのようなご見解でしょうか。

○山崎都市基盤部長 見直しに当たりましては、これは例えばですけれども、地区別のみどり率等、見直しの基準というものを策定しまして、それに基づいて順次個別の公園の見直しを図ってまいるということでございますので、しゃにむにわけもなく減らすというようなことは考えてございません。一応見直し基準に従って見直すということでございます。

○かち委員 しゃにむに減らしたらたまりません。基準に沿って見直しをするということですけれども、それはいいかえれば、これだけの目標値ということにはこだわらないということにもいえるわけで、そういう点では、行政としての使命、役割というのが本当に果たしていけるかという点では、私は大変危惧を抱いております。
 もう一つ、民設公園についてはどういうイメージを抱くのかなということですけれども、神戸市などにもあるような、自分の所有地を開放して公開する、こういうことを制度化していくというようなことなのでしょうか、それともほかの考え方を持っているのかお聞きします。

○山崎都市基盤部長 民設公園についてですけれども、特許事業などによりまして民間によって整備された公園、あるいは民間開発によって開発に伴ってできてきた公園、そういうものにも対象を広げて考えていきたい、こんなふうに考えております。

○かち委員 神戸のようないわゆる小さなものではなくて、大規模開発に伴って民間が生み出した公園を民設公園として認証する、そういう制度をつくっていくということなんですね。
 私は、いずれにしても公園づくりが遅々として進んでいかない中で、そういういろいろな手法を使ってみどりをつくっていく、ふやしていくということは大いに進めていくべきだとは思います。しかし、そのことはあくまでも補完的なやり方だと思うんですね。東京都として、当面七平米の一人当たりの面積の公園を確保していきたいということがありますけれども、この目標を達成したって国の基準にも達しないし、ましてや世界都市の基準に比べたら半分以下というような状況なわけですから、大いにそういう意味ではいろいろな手法、ネットワーク、連携を使ってみどりをつくっていく、それは大いにやっていくべきだと思いますけれども、都市公園といわれる、法律で定められた公園面積を行政の責任でふやしていく、そういうことをやらずして本当にみどりを永続的に確保することができるだろうかと思うんです。民間が開発のときにできる公園をみどりとみなしていく、それは当面はいいと思うんですけれども、しょせん民間は将来どうなるかわからない。破綻するかもしれないし、所有者がかわっていくかもしれないし、そうしたときに本当に永続性を担保できるのか、そういう点ではとても不透明なところもあるわけですよね。
 やはり公園というのは公的なものだと思うんです。国民、都民、みんなの健康のため、環境のためのみどりを行政として責任を持ってつくっていく、そういう立場に立って、この答申が出されましたけれども、やはりいろいろな点で矛盾、問題も含んでおりますので、十分に精査をされて進めていただきたいということを申し上げて質問を終わります。

○新井委員 こちらの委員会に入りまして初めての事務事業質疑ということですので、これからの都市計画のあり方についてという、ちょっと総合的な視点での質問をさせていただきます。
 まちづくりに関しまして都民の関心が非常に高まっておりまして、NPO法ができてから、まちづくりNPOはたくさんできまして活発な活動をしているというふうに思います。都民との協働、NPOとの協働ということが今後の都市計画の分野においても非常に重要であるというふうに思います。ただ、日本の場合は中央集権でずっと来ましたので、国から都道府県、そして都道府県から市町村ということで分権をされてきた、そういう認識のもとに都市計画もあるのではないかというふうに思います。
 そこで、地方分権一括法が改正された際も、市町村が都市計画決定の中心になるべきであるというふうに法律上はされているわけなんですけれども、広域的、根幹的都市計画に限って都道府県が決定というふうな観点が優先されて法に位置づけられて、市町村の権限というのはその他ということでくくられてしまったということとか、あるいは市町村事業の認可権は都が持っている、都道府県事業では国というふうになっていまして、こういうことに象徴的にあらわれておりまして、まだまだこれからも都市計画法の改正が待たれるというふうに思っているわけなんですけれども、まず、第一点目ですが、都道府県と区市町村で都市計画決定の役割分担はどんなふうになっているでしょうか。

○村松総務部長 都計審の運営について私の方で所管しておりますので、私からお答えをさせていただきたいと思います。
 都市計画法上、都市計画の決定主体といたしましては、区市町村を中心といたしつつ、市町村の区域を超える広域的、根幹的な都市計画につきましては、都道府県が関係区市町村の意見を聞きながら決定をするということになってございます。

○新井委員 法上は区市町村が原則的には決定主体である、都道府県は広域的、根幹的なものに限って決定をしていくということなんですけれども、それでは、例えば用途地域の決定権限、これは東京都においては区市町村ではなく都がということになっているわけなんですけれども、地域のそういった用途の決定に当たって、地元の市区町村との関係、これはどんなふうになっているんでしょうか。

○村松総務部長 首都圏など市街地が広域的に広がっている地域におきましては、一体的かつ総合的に土地利用を定める必要があるということから、用途地域につきましては都府県が定めるということになってございます。
 東京都では具体的には用途地域の決定に当たりまして、指定方針及び指定基準を地元区市町村に提示をいたしまして、原案作成依頼を行っており、その際、地元の意見が盛り込まれているというふうに考えております。

○新井委員 用途地域については地元の区市町が原案を作成しているけれども、事前にその指定基準を都が示しているということなんですけれども、最終的には一応都が決定するという形をとっているわけです。これは首都圏だけということで、ほかの道県は全部区市、基礎自治体がすべて決定をするというふうになっていて、東京は特殊な地域ということになっているわけなんですけれども、これは法の改正を待たなければ動かないということがあるわけですけれども、すべての都市計画を含めまして、やはり地元の区市町村が決定をして、都は広域的な視点からの調整をする、あるいは広域的な視点が必要な部分に限ってかかわっていくというふうな区分けといいますか、それが必要なのではないかというふうに思うんです。
 地域からの積み上げ型の都市計画に今後はすべきだろうというのが私の持論なんですけれども、地方自治法の第一条第二項でしたか、ちょっと記憶があれなんですが、地方公共団体に関する制度の策定及び施策の実施に当たっては、地方公共団体の自主性及び自立性が十分に発揮されるようにしなければならないというふうに地方自治法には書かれているわけで、これと比較しましても、今の都市計画のありようが東京においてはちょっと不十分なのではないかなというふうに思います。
 先ほど来いっていますように、日本の都市計画は、マクロな視点で方針を広い自治体、国あるいは都道府県ということで決めてから、それに沿ったものを市区町村が立てていくというふうな考え方に立っているわけなんですけれども、今後はそういった地域のニーズに合った、現状に合った計画を区市町でつくり、そしてそのことを大切にしながら広域的な連携をして、調整がつかない部分を都が調整をしたり、あるいは当初必要な広域的な道路などについては都が方針を出すということもやむを得ない部分もあるかもしれませんけれども、基本的には区市町村が決めていくんだという、そういうミクロの視点での地域からの積み上げ型の都市計画に変えていかなければならないというふうに思うわけなんですけれども、この点については東京都はどんなふうにお考えでしょうか。

○村松総務部長 現行法制上、都市計画は区市町村が中心的な主体であることは、そのとおりであるというふうに考えてございます。
 しかし、一方、都が広域的観点から基本的なまちづくりの方向性を提示することも重要でございまして、さらに、区市町村の区域を超えるような広域的、根幹的な都市計画につきましては、関係区市町村の意見を聞きながら都道府県が決定するなど、都道府県と区市町村の適切な役割分担をすべきものと考えてございます。

○新井委員 いっていることはそんなに大きくは違わないかと思うんですけれども、まず、市区町村の方に重きを置いて、その上で調整をするということに、広域的な方針を出すということにするのか、あるいは方針が先にあって、下の方の意見も聞きながら、地元の意見も聞きながら立てていくというのか、どちらに重きを置くかということの違いだと思うんですけれども、ぜひ今後の都市計画というところでは、今の制度の中では難しい部分もあるんですけれども、市区町村あるいは地域の方たちのニーズを吸い上げて都市計画をやっていくということをお願いしておきたいと思います。
 それの関連なんですけれども、都市計画法における市民関与、市民が関与できる規定というのは八点あるそうです。例えば、必要があると認めるときは公聴会等必要な措置を講ずる、それと、公共の縦覧に供しなければならないとか、縦覧に供される都市計画の案について意見書を提出することができる、こういうようなことが八点ということなんですけれども、「必要があると認めるときは」というような表現がついておりまして、必ずしもそれが義務づけられていないということがあるわけなんですけれども、こういった点につきまして、やはり参加の仕組みというのが非常に足りないのではないかというふうに思うんですが、都市計画における住民参加、市民参加の仕組み、これについては都としてどんなふうに工夫されてきたでしょうか。

○村松総務部長 都市計画法上、公聴会等や意見書の提出などにつきまして、住民参加の制度は確保されているというふうにまず考えております。
 それから、公聴会等につきましては、先生ご指摘のように、必要があると認めるときは開催するということが都市計画法に規定されておりますけれども、東京都におきましては、さらに、意見陳述を行うだけではなくて、都市計画案についての質疑や意見交換を行うことができる、そういう説明会を開催することを原則としている。こういうことから住民の意見反映に東京都としては鋭意努めているということでございます。

○新井委員 東京都の場合には原則として公聴会を開くということで、それについてはいいかなというふうに思うわけなんですけれども、まだまだこういった説明会とか公聴会ということでは、参加という意味では不十分だというふうに思います。住民参加の制度は確保されているというご答弁がございましたけれども、本来の意味での参加、参画ということについては全く不十分であると思います。住民から例えば対案を出せるような、そういう都独自の仕組みというものもこれからは考えていかなければいけないのではないかというふうに思うわけですけれども、それについてはいかがでしょうか。

○村松総務部長 先生ご指摘の、対案を出せるような都独自の仕組みをというふうなことでございますけれども、これにつきましては、本年一月に施行されました改正都市計画法によりまして、都市計画の提案制度が創設されました。これは住民から都市計画の案を提案できる制度でございまして、この制度の活用を図っていくことが考えられるということでございます。この制度は、例えば用途地域の変更ですとか既存の都市計画を変更する場合や、新たな市街地再開発事業あるいは地区計画の提案をする場合などが考えられまして、住民等によるまちづくりの取り組みを都市計画に反映させることができる、そういうふうに考えております。

○新井委員 ことし一月の都市計画法の改正は非常に大きな一歩を踏み出したというふうに評価するところなんですけれども、今お話があったように、例えば用途地域や再開発などの対案提示、いわゆる一つの異議申し立ての立場での対案の提示ができるというふうな角度でこの制度がとらえられているかどうかということについては、ちょっと私大いに疑問があります。私もそんなふうにちょっと考えていなかったものですから、この点については、今回の法の改正がそういう対案提示あるいは異議申し立てという立場に立った立場での提示といいますか、そういうものが可能なものなんだということをぜひ東京都として広く周知をしていただきたいというふうに、これはお願いをしておきたいと思います。
 今参加のことをお話ししたわけなんですけれども、もう一つ都市計画の中で不十分だということは、評価、それから変更、廃止についての制度が欠けているということだというふうに思います。都市計画法の中には二十一条に変更の規定があるんですけれども、変更だけなんですけれども、この中に廃止が含まれているということについては過去の国会答弁の中でも明らかになっておりまして、ここの部分について何か規定がないと、なかなか難しい。これまでに大幅な変更や廃止というのが進んでいかないというのは、そういう規定がないからだというふうに思うわけです。一たん決めた都市計画を変更、廃止するというのは大変困難なことですので、第三者の評価とセットにして考えていかなければいけないというふうに思うわけですけれども、例えば都市計画の決定から何年以内に整備計画ができなかったらば、それは廃止をするとか、整備計画ができても、何年か以内に事業認可に至らなかった場合には、それを変更、廃止するとか、もし事業化できたとしても、事業化をしてから評価をして、あるいは継続するか、変更するか、中止するかということを決めていくというような、こういう都市計画の仕組みが欧米ではあるわけなんですけれども、日本にはない。ということで、ずっと都市計画決定してからほっぽられているという状態が長く続いているということがあると思います。
 こういうものを基本的には法律の中でつくっていかなければいけないんじゃないかというふうに思うわけですけれども、国の方でもいろいろ次世代型の都市計画のあり方とか市民参加の都市計画のあり方ということで、国の都計審の方で諮問がされて、今いろいろ議論が尽くされているようで、今後、私にしてみればいい方向に変わってくるのではないかなということを期待しているわけなんですけれども、まだまだ先になりそうだということで、東京都においては、国に先駆けて、条例の中でできる部分だけでもぜひ進めていただきたいというふうに思うんですけれども、今後のこういった都市計画のあり方について、東京都としては今後どんなふうにお考えなのか、局長のご意見を伺います。

○勝田都市計画局長 都市計画の仕組み、制度、進め方の問題でございますが、今ご議論の中にもございましたように、時代とともに順々と整備されてきているということでございます。
 何点かございましたが、都市計画の主体につきましては、区市町村が中心的な主体であろうというふうには考えております。しかしながら、一方、都が広域的な観点から基本的なまちづくりの方向性を提示することもまた重要でございまして、さらに、区市町村の区域を超えるような広域的な、根幹的な都市計画、こういったものにつきましては、関係区市町村の意見を聞きながら都道府県が決定するなど、都道府県と区市町村で適切な役割分担をすべきと考えています。
 また、住民参加につきましては、説明会、公聴会、こういった制度を現実にも工夫を凝らしながら柔軟かつ適切に運用しているところでございます。また、先ほどお話ありました都市計画の提案制度の活用といったこともございまして、住民の意見を十分反映させるように対応していきたいというふうに考えます。
 また、まちづくりは長期的観点に立って進めていくものでございますから、その変更や廃止につきましては、住民の意向、その時々の財政状況など、さまざまな要件を勘案して検討していくべきでございます。都では、例えば道路や公園の見直しを現在進めておりますし、また、用途地域を随時見直すなど、必要に応じましてその時々で都市計画の変更を行ってきております。今後とも、住民や地元自治体の意見を聞きながら、社会状況等踏まえまして都市計画の見直しを図っていくというふうに考えております。

○新井委員 法の枠内だということがどうしてもありますので、東京都だけが独自に進めにくいという部分があるかとも思いますけれども、欧米諸国では、都市計画法の中で、地権者だけではなくて、周辺の影響を及ぼされる範囲の人たちすべてに対する周知義務とか協議、対案の提示といったような権利が保障されているところが多いと思います。そういう意味では、まだまだ日本は都市計画の後進国だというふうに思いますので、できる限り都は一生懸命やっていただいているとは思うんですけれども、条例等の整備も含めて、今後前向きな姿勢で進んでいただきたいということをお願い申しておきます。
 それから、具体的に道路と公園の見直しということについてお伺いをしたいと思います。
 資料の方でいただいたんですけれども、都内には都市計画決定後三十年以上事業が行われていない道路、長期の未着手路線というのが百四十一というふうに出ています。このように長期間事業ができないような道路は、速やかに見直していくことが必要だというふうに考えておりますけれども、これまで都が行ってきた対応についてお伺いをいたします。

○山崎都市基盤部長 現在計画決定されております都市計画道路についてでございますけれども、区部におきましては、戦災復興計画として昭和二十一年に決定されておりますけれども、これをもとに、昭和二十五年に第一回見直し、三十九、四十一年に第二回の見直し、さらに昭和五十六年には区部全域の再検討を行っております。見直しに当たりましては、関係自治体などの意見を伺いながら、一部の都市計画道路で廃止、追加などを行って、現在に至っているわけでございます。
 一方、多摩地域におきましても同様、昭和三十六年、三十七年に第一回の見直し、さらに平成元年に第二回の見直しを行いまして、その必要性の確認をしてきているところでございます。

○新井委員 変更、廃止手続が都市計画の中にあればこういうことは起こらないわけなんですけれども、これまでも何回か、区部、市部あわせて見直しをされているといいますが、その中身、区部、市部それぞれ何カ所変更、廃止されたのか教えてください。

○山崎都市基盤部長 それぞれということでございますけれども、昭和五十六年の区部全体の再検討の際には、四十七路線五十一カ所で廃止、追加、その他の変更などの都市計画変更を行っております。
 また、平成元年の多摩地域における見直しでは、既定の都市計画道路の検証を行い、その必要性を確認しつつ、都市計画変更を要する路線の検討をしてございますが、多摩については一斉見直しで、この時点で追加、廃止を一遍に行うというようなことはしてございません。

○新井委員 五十六年に区部の方では四十七路線の五十一カ所、市部の方では見直しがされていないということで、随分長い間、都市計画決定されたまま置かれているという状況だというふうに思います。見直しをした結果、百四十一路線がまだ残っているということですので、速やかに見直しをしていかなくちゃいけないじゃないかというふうに思います。
 今後、見直すに当たってぜひお願いしておきたいわけなんですけれども、先ほど来お話ししているように、参加ということの位置づけがなかなか法律の中にないということで、この見直しに当たっては、特に今住宅が張りついているところが多いというふうに思いますけれども、そういった方々が参加をしていくという視点が大変重要だというふうに考えます。今後、都市計画道路を再検討を進めていかれるということなんですけれども、そういった視点がどんなふうになっていくのか、お聞かせください。

○山崎都市基盤部長 見直しに当たりましては、これまでも、例えば昭和五十六年の再検討におきましても、見直しの基本方針ですとか基準を公表しまして、これに基づいて案をつくり、住民説明を重ね、そして一つの変更を行ってきたということでございまして、現在区部の見直しを進めているところでございますけれども、ここにおいても学識経験者や都政モニターなどさまざまな立場の方からご意見をいただき、関係自治体とも連携して検討を進めてきているところでございます。
 区部、多摩両地域において、今後の再検討を行う際には、多くの立場の方々のご意見も伺いながら実施してまいりたいと考えております。

○新井委員 関係自治体と連携する、あるいは学識経験者の方や都政モニターということがありましたけれども、重ねてお願い申し上げますけれども、当該地域周辺にお住まいの方、こういった方々と十分協議をしながらということをお願いしておきます。
 今後、こういう方針が示されて見直され、そして一つ一つの事業が進んでいくわけなんですけれども、道路づくりというところで、PI手法というのが今注目をされていて、外環で初めて東京都も取り組まれているということなんですけれども、初めてということで非常にふなれということがあるんでしょうか、順調に進んでいるというふうにはちょっといいがたいような様子が伝わってきておりますけれども、こういったPI手法につきましても、中立的な、ファシリテーターというんですけれども、両方の意見をうまく引き出して聞きながら進行していくというふうな方をつくりまして、そして道路づくりをしていくということで、これはまた欧米で恐縮なんですけれども、この手法が道路づくりでは非常に当たり前の手法というふうになってきておりますので、ぜひ東京都におきましてもこういうような形で進めていっていただきたいということをお願いしておきます。
 それから続きまして、都市計画公園の見直しなんですが、先ほどかち委員の方からも質問がありました、東京らしいみどりをつくる新戦略が答申されまして、この中で都市計画公園あるいは緑地の見直しを早急にすべきだということが答申されているわけですけれども、今後、この答申を受けてどんなふうに見直しを進められていくんでしょうか。

○山崎都市基盤部長 先ほどもお答えさせていただきましたけれども、見直しに当たりましては、見直しの基本的な考え方、見直す内容、基準を定めた見直し方針を年度内に策定したいと考えております。
 また、民設公園など民間による公園の整備の充実を図りながら、事業を重点的に進める事業化計画等の整備方針も定めたいと考えております。
 これらの方針をもとに、区市町村との連携を図りながら、段階的に順次公園緑地の都市計画の見直しを行ってまいります。

○新井委員 こちらの公園につきましても、資料でいただいたんですが、三十年以上経過して全く手つかずというところが十一件、そして一部公園になっていて、残りがまだ未着手というところを含めますと、先ほどのご答弁のように千七百ヘクタールですね。そのうちの五百ヘクタールが何ともう市街地化してしまっているということですので、速やかにこういった部分の見直し計画というものを出していかなくちゃいけないんじゃないかと思いますが、これまでこういった都市計画公園の緑地について住民の方から計画区域の見直し等に関する請願陳情、意見書など幾つか提出されていると思うんですけれども、どの程度あるでしょうか。

○山崎都市基盤部長 過去五年間では、五つの公園について都市計画を見直してほしい旨の請願陳情、意見書の提出がございました。請願一件、意見書一件、要望三件の内訳でございます。

○新井委員 多摩の、私の地元の方でも一件意見書が出されておりますけれども、いろいろお話を伺いますと、建てかえもままならない状態で非常に宙ぶらりんの状態で置かれていて、当該の方たちは、ともかく公園に将来買収するなら買収する、できないならできないとはっきりしてもらいたい、こういうご意見が非常に強いわけなんですね。何としても買い取ってほしいとか、何としてもやめてほしいとかというよりは、むしろはっきりしないから困るんだということですので、全く本当にもっともなことです。そういう意味では、ここについては四十二年間都市計画決定されたまま置かれているという状況ですので、ぜひ早急にこういった方々のご意見も聞きながら見直しを図っていっていただきたいというふうに思います。
 それで、そのときのちょっと話の中で聞いたんですけれども、建築確認をおろす際に、こういう公園の網がかかったところに建築確認をおろして、事業者が買って販売をするという場合には、重要事項ということできちんと購入する人に説明しなくちゃいけないということがあるわけですよね。ところが、それをご存じなくて購入していらっしゃる方が現実にはとても多いということがわかりました。その辺では指導はこちらの所管ではないかと思いますけれども、同じ線引き、網をかけるところも建築確認をおろすところもこの都市計画局ということですので、ぜひお願いをしておきたいと思いますけれども、こういうことについてはきっちりと事業者の方に説明責任があるんだということでお話、指導をしていただきたいと思います。
 先ほど来お話しいただきましたその五件、いろいろ住民の方から声が上がるようですけれども、お一人お二人ということではなく、請願陳情、意見書というふうになりますと、多くの場合、いろいろなたくさんの方々が協議されて、地域の声として上がってくるという場合が多いんじゃないかと思うんですけれども、こういったものにつきましては、ぜひ住民の意向を踏まえて、協議の場等設けて見直しをしていくということをしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

○山崎都市基盤部長 見直しに当たりましては、先ほど申しましたように、見直し基準を公表いたしまして、それに照らし合わせまして見直し案を策定する、そして都市計画法に定めます手順に従って、変更すべきものは変更していく、こういうことになろうかと思います。そういう過程の中で、ご指摘のような住民意見の反映についても極力努めてまいりたいと考えております。

○新井委員 終わります。

○相川委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後三時八分休憩

   午後三時二十分開議

○相川委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○吉原委員 それでは、時間の関係もありますので、簡略にお尋ねをさせていただきたいと思いますけれども、今、東京ばかりだけではなく、日本全体がそうでありますけれども、経済的にも社会的にも大きく変化をしている時代であります。そんな中で、新しい東京のまちづくりに臨む都市計画局の役割はますます大きくなってまいりました。そんな中で、身近なことではありますけれども、数点についてお尋ねをさせていただきたいと思います。
 一つは、十月十四日に都市計画審議会から東京らしいみどりをつくる新戦略の答申が出されました。公共性ばかりでなく民間の活力を活用して東京のみどりをつくる、守るなど、みどりに関する施策が取り上げられているように思います。今後はこの答申をもとに、都として、提言された施策の具体化とその実現にしっかりと取り組んでもらいたいと思うところであります。東京都が先行すべき五つの取り組みの中の一つであります、民間による新しいタイプの公園づくりとして取り上げられております民設公園について、三点ほどお尋ねをいたします。
 答申では、民間が設置、管理する公園について、都は必要な条例を制定して、民設公園として認定を行うべきであるとしていますけれども、なぜ民設公園が必要となっているのかお尋ねいたします。

○山崎都市基盤部長 答申では、計画決定されております公園の整備促進を図ったり、開発計画に合わせてみどりをさらにふやしていく、こういうようなことのために、公共側によります用地の買収を伴わない、民間活力を導入した新たな公園整備を進める必要があるとしております。民設公園制度は、特許事業など、民間により創出されたみどりを公園と同等のみどりとして法的に位置づけまして、税制等の優遇措置を講ずる、そのことによりまして、民間による良好なみどりの創出、維持管理を促進しようとするものでございます。
 答申で提言されました趣旨を踏まえまして、制度化に積極的に取り組んでまいります。

○吉原委員 先般はあの六本木の再開発のところに視察にもお伺いいたしました。六本木ヒルズの毛利庭園が民設公園のイメージとして取り上げられている、そんなふうなこともお聞きしておるわけでありますけれども、実際には、これから整備を促進し、設置する民間公園に対して認定していくものと考えていますけれども、具体的に民設公園を設置する場所としてどのようなところを想定されているのか、お尋ねいたします。

○山崎都市基盤部長 設置の場所でございますけれども、特許事業など民間により設置されました公園を初めとしまして、一般に開放されます運動場、樹林などのある広場などが考えられます。

○吉原委員 特許事業による公園や、一般に開放された運動場や、樹林のある広場のような場所を想定されている、そういうことでありますけれども、今後、民設公園の制度化に向けて具体的にどのように進めていかれるのか、お尋ねいたします。

○山崎都市基盤部長 今回の答申を受けまして、民間が公園事業に参入しやすいように、特許事業の取り扱いの方針、基準などの基準類の改定作業に着手しております。今後は、対象となる公園の要件や固定資産税などの減免の可能性につきまして関係部局と調整するなど、制度化に向けた具体的な検討を進めてまいります。

○吉原委員 これまで公園といいますと、公共が用地を買収して、そして開設して管理する中で、都民がその公園を利用しているものと思っていたわけでありますけれども、今回のような、東京のような都市の中で、こういった民設公園の制度もなかなか有効な一つではないかな、そう思っているわけでありますので、これからも民設公園の制度化に向けて鋭意取り組んでいただきたい、そう思ってもいるところであります。また、そのことによって、実際に効果が上がる制度にしていただきたいなと思うわけであります。
 あわせて、やっぱりこういったある程度の一定の面積も皆さんのところでお考えだろうと思いますけれども、特に二十三区におきましては、なかなかそういった場所が少ないのではないかなと思うわけでありまして、そういった意味では、小さなポケットパークとか、そういったところもあわせてお考えいただけると、より効果的ではないかなと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 次に、道路整備について伺います。
 多摩地域において平成元年から平成十七年度までの一次、二次事業化計画を策定した経緯とその目的についてお尋ねいたします。

○山崎都市基盤部長 多摩地域の都市計画道路におきましては、平成元年に多摩地域都市計画道路基本計画を策定してございます。この計画では、都市機能の確保、地域環境の保全、都市防災の強化、都市空間の確保という四つの基本目標を設定いたしまして、都市計画道路についての見直し、検証を行っております。
 また、あわせて、限られた財源と執行体制の中で、整備の優先度を考慮しました事業化計画を、これは平成七年度までを計画期間としているわけでございますけれども、定めまして、都市計画道路の整備を進めることとしてございます。
 また、前期計画が平成七年度に終了したものでございますので、平成十七年度までを計画期間とする第二次事業化計画を定め、現在に至っているところでございます。

○吉原委員 これまでその事業化計画を進めてきていただいているわけでありますけれども、全体の中でどのぐらいの成果があったのか、効果があったのか、また時を改めてお尋ねをさせていただきたいと思いますけれども、今回のこの事業化計画の中で、都道であって市で施行する場所、私は町田が地元でございますので、町田の中にもそのようなところがあるのかどうなのか、お尋ねいたします。

○山崎都市基盤部長 一カ所ございまして、町田三・三・三六号線、相原駅周辺のところでございます。

○吉原委員 町田の三・三・三六号線、これは町田にとっても大変大きな役割を担っていただいている都道であります。二次事業化計画において、市で施行、整備することになっている、そういうことでありますけれども、その経緯についてお尋ねいたします。

○山崎都市基盤部長 先ほど、第二次の事業化計画を定めたと申しましたけれども、先ほど申しました四つの基本目標に照らしまして、それぞれ優先的に整備を進める路線を選定しているわけでございますが、当該区間につきましては、町田市から、土地区画整理事業で一体的に道路整備を行いたいという強い意向がございました。東京都と町田市と協議の結果、市施行の区画整理事業で道路整備を行うということで、この第二次事業化計画の中で決定したものでございます。

○吉原委員 JRの相原駅というところがございます。その相原駅というところも、つい最近でありますけれども、駅整備がされました。東口については、かつてから出入り口があったわけでありますけれども、西口のところについては、時間制限で出入り口を設けられておりまして、そこのところを今度区画整理をしよう、市の方でそういう意向がございました。そんな中で今回のお話も来たんだろうと思いますけれども、そこのところには、ちょうど市の方でこれから街路をつくろうというところがございまして、その駅のところから二本の街路をつくって、そして、その三・三・三六、町田街道に延ばそうという計画のようでありますけれども、その三・四・四九号線から、今お話をいただきました中央橋間、四百七十メートルの都市計画決定は、大体いつなされたのでしょうか。

○山崎都市基盤部長 相原駅周辺の町田三・三・三六号線の都市計画決定は、平成五年四月六日の告示をもって決定されております。

○吉原委員 その相原駅周辺の町田街道は、JRの大戸踏切というのがあります。朝夕の渋滞は本当に激しいものでありまして、この大戸踏切のピーク時の遮断時間は三十四分とお聞きしているわけであります。JR横浜線という横浜から八王子までの間の線でありますけれども、JR横浜線の横浜から八王子まで、幾つもの駅があるわけでありますけれども、その大戸踏切というところが一番時間的に長いんです。その状況の中で、現状の交通量は大体どのぐらいあるんだろうか。そしてまた、大戸踏切の渋滞状況というのは、多分皆さんの方でももう認識をしていただいているんだろうと思いますけれども、その辺についてはいかがでしょうか。

○山崎都市基盤部長 交通量は、十二時間当たり約一万一千台でございます。大戸踏切は、JR横浜線の中で最も遮断時間が多く、かつ道路が狭いため渋滞が発生しておりまして、渋滞解消が必要であると考えてはございます。

○吉原委員 もう実態はそういうことであります。余り細かいことを申し上げるつもりはございませんけれども、あの地域の皆さんは、何とか早くあの踏切の渋滞を解消していただきたい、そういう要望が強いわけでありますけれども、早急に整備する必要があろうかと思いますけれども、東京都としての見解をお伺いいたします。

○山崎都市基盤部長 当該区間におきましては、既に第二次事業化計画の前期事業化予定路線に選定されておりまして、先ほど申したような状況にありまして、早期整備の必要性があるものと認識しております。

○吉原委員 もうそういう認識を持っていただいているということは、大変ありがたいことでございます。先ほどお話しさせていただきましたように、あの相原駅の西口については、これから整備をされる方向でいるわけでありますけれども、その三・四・四七、三・四・四九号線、これは区画整理事業の予定区域に入っているわけでありますけれども、その街路事業で、その線を先行整備することになった、そういうふうにお聞きしているわけでございますけれども、その理由は、どういうことでそういうふうになったのか。
 また、今回の二路線の街路事業の先行整備について、東京都はどのように考えていらっしゃるのか。
 さらに、残った町田街道、三・三・三六号線整備はどうなるのか、お尋ねいたします。

○山崎都市基盤部長 町田三・四・四七、三・四・四九の二路線は、相原駅といわゆる町田街道とを結ぶような道路でございます。これについてのお尋ねでございますけれども、町田市からは、市の財政状況が悪化しているということで、現在のところ、相原駅周辺地区の見通しが立たないというようなことを聞いてございます。
 こうした中で、相原駅の自由通路や駅舎の橋上化事業が平成十五年度完成するということで、早期に住民の利便性や歩行者の安全性、駅との接続性を図る必要が出てきたということでございます。このために、町田三・四・四七、町田三・四・四九号線を土地区画整理事業に先行いたしまして、街路事業で整備することとしたと聞いてございます。
 なお、平成十四年の六月に、町田市の意向を受けまして、街路事業で先行整備するということで、都は国に予算要求をしてございます。この二路線の先行整備については、相原駅の整備が進む中で、効果の早期発現が期待できるものというふうには考えてございます。
 また、町田三・三・三六、町田街道につきましては、立体交差に伴う周辺宅地との取り合わせ等々、区画整理で事業をするということにしておりましたけれども、現状の渋滞状況を考慮いたしまして、改めて町田市と早期整備のあり方について検討しているところでございます。

○吉原委員 今、三・四・四七、そして三・四・四九、これを先行整備しますと、三・三・三六、町田街道でありますけれども、そこにつながる道路になりますので、ますます町田街道が混雑を、今まで以上にきっとするんだろうと思うんです。
 それで、その町田街道というのは、当然のことながら東京都が管理をしているわけでありますから、今以上に込むと予想されているわけですから、その対策というものは何かお考えがあるのかどうなのか、お尋ねします。

○山崎都市基盤部長 二路線を整備することについての影響でございますけれども、現在、交通管理者と道路管理者との間で協議を進めておりまして、その中で、町田街道に右折車線を設けるということで協議を進めていると聞いてございます。

○吉原委員 もう進んでいる話だと思いますので、ぜひそのようにしていただきたいと思いますけれども、その街路、先行整備をしようとしている二つの線、三・四・四七、そして三・四・四九、この事業認可申請というものは、町田市からもう既に東京都に上がっているんでしょうか。

○山崎都市基盤部長 現在のところ、まだ申請はされてはおりません。

○吉原委員 今お話しいただきました町田街道の三・四・四九号から中央橋間、四百七十メートル、この区間の計画幅員はどのぐらいでしょうか。

○山崎都市基盤部長 町田三・四・四九から国道一六号--八王子バイパスまでは計画幅員が十八メートル、八王子バイパスから国道一六号までは二十五メートル、その他の区間は二十五から二十八メートルでございます。

○吉原委員 今、地元でも大変大きな問題になりつつあるところでございますので、確認の意味としてお尋ねをさせていただきました。ちょうどあの小山だとか、あるいは相原地域というのは、町田の中でも人口が急増しているところであります。相原や小山区画整理というものが東京都の手によって、もう収束を迎えている時期になっているわけでありますけれども、そういうことも含めて、大変多くの方々があそこの地域に住まわれるようになりました。そういった意味では、これからますますあの町田街道、三・三・三六という道路については、大変混雑を避けられない状況になってくるんだろうと思います。
 そういった意味でいうと、先ほどお尋ねをいたしました大戸踏切というところにつきましては、今の状況の中では、アンダーで整備をしよう、そういう計画になっているんだろうと思いますけれども、十八メートルで側道をつくって、きちっとした道路整備が本当にできるんだろうかということは疑問の一つであります。きっと区画整理でやろうという状況の中で進んできた中でありますから、十八メートルということで都市計画決定をされてきたんだろうと思いますけれども、きっとその状況が、区画整理をされれば、そのことで済むのかもしれません。
 しかしながら、町田の現状というものも、当然のことながら、どこも一緒でありますけれども、大変厳しい経済状況もございますし、今、区画整理というものも、市施行が二カ所やっております。本来であれば、たしか十四年か十三年で区画整理は終わる予定だったろうと思いますけれども、それを十八年に延長されました。そういったことを考えますと、市の意向としては、多分であろうかと思いますけれども、その区画整理が終わった後、そちらの方にというお考えなのかもしれません。しかしながら、今の経済状況の中では、なかなか計画どおり、十八年度まで認可事業をこの区画整理は延長されているわけでありますけれども、近いうちに事業化するということはなかなか厳しい状況にあろうかと思うんです。
 そんなことを考えますと、道路管理者である東京都が、町田街道をこれからどういう形で整備をしていくかということは、やっぱり責任を持ってもらわなければならないことだろうと思っているわけであります。そういった今の現況の中で、ぜひ東京都にもよく認識をしていただいた中で、町田市の方との折衝をしっかりとやっていただきたい、そう思っております。
 町田街道というのは、私たち町田に住んでいる者にとっては本当に重要な路線であります。町田の中にも都道というものは何本もたくさんあるわけでありますけれども、特にあの町田街道というのは、南から西まで、町田の中心を走り、端から端まで通っている貴重な道路でありますので、そういった意味では、市の方とよく相談をしていただくということももちろんでありますけれども、やっぱり住民の皆さんがどういう意思を持っているか、どういう認識を持っているかということも、ぜひ調査をしていただきたい。
 聞くところによりますと、余りいっていいかどうかわかりませんけれども、都道だから、東京都が整備をするのは当たり前でしょう、そういう感覚を地元の皆さんは持たれているわけであります。しかしながら、現状はそういう実態にはありません。先ほどお話しいただきましたように、市が整備をするということになっているわけでありますけれども、そのことについては地元の皆さんは全く知らない人たちがまず九割はいると私は思っております。
 ですから、そういった意味でいうと、皆さんもそういった状況をよく勘案した中で、これから都道の整備というものをどうやっていくかということは、住民からしてみると、東京都にゆだねられている部分が、もうほとんどがそういう状況だろうと思うんですね。
 ですから、くどくど申し上げて大変恐縮でございますけれども、とにかく今の状況というものを皆さんの方でよく把握をされた上で、これからしっかりと整備するための準備を皆さんでしていただきたいと思っております。
 以上で質問を終わります。

○坂口委員 三点ほど資料を要求させていただきましたけれども、大変熱心に対応していただきまして、ありがとうございました。久しぶりに都市・環境委員会へ戻ってまいりまして、条例などについては既に委員会で質疑があったものと一部重複するところがあるかもしれませんが、お許しをいただきたいと思います。
 まず最初に、都における公共交通政策についてお聞きしたいと思います。
 交通局というのがあるわけでございますけれども、主に事業局になっておりまして、なかなか大都市東京の公共交通政策について私どもが理解をしようとした場合に、わかるようでわからないというところがございます。先ほど来、いろんな課題が出されておりましたけれども、都における交通の問題、わけても渋滞の問題、環境の問題、都市の防災上の問題などなどにかかわってくるわけでございまして、公共交通政策というのは洋の東西を問わず大変重要なものである、そのように認識をしているところでございます。
 そこで、まず、都における公共交通政策の今までの成果と課題について、概略をお聞きしたいと思います。

○山崎都市基盤部長 大変重い質問でございますが、公共交通につきましては、これまで地下鉄網や民鉄線の複々線化、あるいはモノレール等の整備をしてきてございまして、その結果、通勤混雑の緩和、都市環境の改善はもとより、都市再生の面からも極めて大きな役割を果たしているんじゃないか、こんなふうに認識しております。また、継続しまして、現在、営団十三号線や日暮里・舎人線などの路線整備に取り組んでいるところでございます。
 課題でございますけれども、地球環境やエネルギー問題への対応、高齢社会の到来など、そういう社会的な要請もございまして、今後は公共交通のさらなる充実、あるいは乗り継ぎ利便性の向上、バリアフリー化の促進など、公共施設のいわゆる質的向上、あるいは環境負荷の少ない交通体系への転換、こんなようなことが課題になっているのではないかというふうに考えております。

○坂口委員 諸外国の都市を、いろいろと十八年間にわたりまして見させていただきまして、外国のすばらしいところ、そしてまた、日本の公共交通のすばらしいところ、いろいろ見聞をさせていただきました。東京も、公共交通網については大変進んでいる都市であろうかと思います。ニューヨーク、パリ、またはロンドンなどに並んで、やはり進んでいる。しかし、今、部長が答えられましたような課題を抱えているというのも現実でございます。
 そこで、先般、四年ぶりにヨーロッパを回ってまいりまして、ストラスブールとフライブルクに行ってまいりました。きょうこちらにおられます吉野都議も一緒でございまして、一緒に回らせていただいたんですが、その目的は何かといいますと、一つは、公共交通政策としてのLRTの現状と課題、展望ですね。もう一つ大きなテーマとしましては、まちづくり、都市の再生という問題をやはりヨーロッパでも抱えているわけでございまして、その二つでございました。
 そこでお聞きしますけれども、公共交通の質的な向上を図るに当たりまして、ずばり、LRTの導入が有効と考えられる。これは事務事業の説明書でもそのように書かれていたわけでございますが、ちょっとヨーロッパに目をやりまして、ヨーロッパにおけるまちづくりの理念と、その一つの手法としましてのLRTの導入について、特に公共交通政策という観点からお伺いしたいと思います。

○山崎都市基盤部長 フランスやドイツの諸都市におけるまちづくりの理念でございますけれども、持続可能なまちづくり、サスティナブルシティーというのを理念として標榜しておりまして、トランジットモール化ですとか、パーク・アンド・ライド等の導入によりまして、自動車交通から公共交通への転換を進め、環境保全を図りつつ、生活の質の向上や都市再生を目指していくまちづくりであるというふうに理解しております。
 今、先生の方からありましたストラスブールなどでは、LRTの導入、それに合わせましたトランジットモールの整備やパーク・アンド・ライドの実施によりまして、都市の自然的、文化的な魅力、あるいは都市経済の活性化にも成功したと聞いております。

○坂口委員 時間の関係もありまして、資料に大変丁寧にまとめてくださいましたので、それを確認しながら先へ進めさせていただきますけれども、今ございましたキーワードとしましては、持続可能な都市再生、これをサスティナブルシティーと呼んでおりまして、EUでは九〇年代の後半に、これからの都市再生の一つの標語として確認がされております。そして、その構成要素は、一つは環境の保全、経済の持続的な発展、それから生活の質的な向上、そんなことにあるということになろうかと思うんです。
 さて、そのような形でストラスブール、フライブルク等におきましては、公共交通の手段としてLRTが積極的に導入されているわけでございますが、国内においてはどういう導入事例があるのか。資料でも出していただきましたけれども、それについて簡単にご紹介いただければと思います。

○山崎都市基盤部長 国内におきましては、新規のLRT整備は行われておりませんけれども、熊本、広島、鹿児島だの八都市で、いわゆる市街地の中にある、東京でいえば都電でございますけれども、そういうようなものをバリアフリー化したり、環境への配慮をしたり、速達性、定時性、安全性などの向上を目的としまして、路面電車に低床型の車両を導入している例がございます。

○坂口委員 都議会の中でも、先般の予算特別委員会の中で、例えば、大西委員が大胆に、エイトライナー、メトロセブンですね、それも地下鉄でありますと、キロ当たり三百六十億ぐらいかかってしまうんですね。現在の需要ということでいうならば、我々団塊の世代がまだ社会に出ていろいろ活動をしておりますから、需要はそこそこあるのかもしれませんが、少子高齢化の将来を展望するならば、または、これからの財政的な負担、後年度負担というようなものを考えるならば、やはり大胆な見直しをしていく時期に来ているのではないか、そのように私は考えております。
 聞きますと、エイトライナー、メトロセブンなどにつきましても、例えばLRTを導入したらどうかというような検討も始まっているやに聞いているわけでございますけれども、それにとどまらず、LRT導入に向けた都及び区市の取り組みについてどんな状況か、また、どのような課題を抱えているのか、お聞きしたいと思います。

○山崎都市基盤部長 東京都は、これまで、LRTが主に地域の交通を担う交通機関であるということから、地元自治体の主体的な取り組みに対しまして技術的な支援や情報提供を行ってきたところでございます。一方、区市における取り組みでございますけれども、江東区におきまして、LRT基本構想策定調査が平成十四年度に実施され、JR総武線の亀戸駅から京葉線の新木場駅までの路線についての検討が行われております。
 LRTの導入に当たりましては、採算性の確保ですとか、他の交通機関との連携ですとか、法制度の緩和、補助制度の拡充等々の課題があるものと認識しております。

○坂口委員 確かに、今、部長がいわれますとおり、採算性の確保、交通連携方策の検討、法制度の緩和や補助制度の拡充、これらはすべて課題だと私も思います。ただ、ストラスブールの例についていうならば、これは東京大学名誉教授の宇沢弘文さんがあるレポートに書いておられるのですが、九〇年代の初めにこの話が出たということですが、話が出たときには、都市計画の担当者が恐る恐る切り出したというんですね。それはもうおわかりかと思いますね。
 大体、都電を初め路面電車が駆逐されたというのは、モータリゼーションの波の中での話ですね。確かに公共交通としての重要性は認めるけれども、のろのろと電車が走っておりますと、自動車の交通の邪魔になるというようなことで駆逐されてきたという経緯があります、簡単にいいますと。
 したがって、ヨーロッパでも、今の言葉に象徴的にあらわれているわけでございますが、恐る恐る切り出した。しかし、真剣に検討してみようではないということで、ストラスブールを初め先進的な都市で検討が始まり、そして、先ほど申し上げましたサスティナブルシティーというような持続可能な都市再生をこれからどうしていくかというコンセプトのもとでその導入が図られて、一定の成果を上げてきたということがいわれております。
 そんなことで、今出ました江東区の方の事例にも注目したいと思いますし、今、来がけに中央区の立石先生ともお会いしたんですが、中央区の方でも検討しようということで話が始まっている。
 私事で恐縮でございますが、ホームページでこの間のレポートを公開しましたら、浜松の商工会議所から、資料を送ってほしい、そんな問い合わせもございました。それらを含めまして、やはり積極的な支援をしていただきたいと思います。有効性は認めるけれども、今の財政難の折、都市計画局の財政状況からいって、なかなかそれ以上踏み込んでいない感じがありますので、ぜひいま一歩踏み込んで、支援策の強化をお願いしたいと思います。
 さらに、質問になりますけれども、LRTの導入が採算性の観点から課題がある場合もあります。LRTの場合には、キロ当たり大体三十億から五、六十億ぐらいでできる。ちなみに、多摩都市モノレールは百六十億ぐらいかかっているはずでございます。ですから、コストの点からいいますと、または後年度負担からいうと、LRTは大変すぐれているということになるわけでございますが、平成十一年に出されましたレポートを読みますと、例えば、具体的に調布保谷線を例にとりますと、それでもやはり五十億円、六十億円かかりますと、採算性の問題でかなりの問題が残る。需要の確保をどうするのかというような問題が指摘されているわけですね。
 じゃ、その場合にLRT以外に代替的な手段がないのかというと、過去の歴史を見ても、僕はあるんじゃないかと思うんですね。その一つは、ちょっと忘れ去られておりますけれども、例えばトロリーバスですとか、または、ヨーロッパですとか日本の一部の都市でも、低公害の連接バス等、これが公共交通手段として使われているように思うわけでございますけれども、まずLRTの調査研究、普及をということがメーンであるわけでございますが、あわせて、このトロリーバスや連接バス等についても、都市計画局において調査検討すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○山崎都市基盤部長 トロリーバスとか連接バスの検討もというお話でございますが、トロリーバスは、現在国内で二路線、立山黒部アルペンルートで導入されている例がございますけれども、先生おっしゃるように、軌道や信号施設など初期投資が少なくなるという利点はございますが、一方で、架線があることによって走行ルートが限定されますとか、都市景観上の問題とか、自動車交通、一長一短でございます。また、連接バスは、千葉県の幕張、北海道の旭川の二地区に導入されておりますけれども、これも同じように架線、軌道施設が不要なところから、初期投資が抑えられるという利点がございます。
 いずれにしましても、その採算性とか、いかに地域に見合ったシステムかというところがポイントで、さまざまな地域の特性、路線の特性等を勘案して選択していくものかなというふうに考えておるところでございます。

○坂口委員 そのとおりなんですけれども、選択していくべきものかなということでなくて、そのためには選択ができるような調査検討ですとか研究がなされておりませんと、どう選択ができるのかできないのかわからない。先ほどいいました機能性の問題ですとか、または採算性の問題ですとかですね。
 それから、若干参考までに申し上げさせていただきますと、例えばストラスブールなどでも、電車と車と共用のレーンもあるんですね。その場合にどうしているかといいますと、これはNHKの番組でも報道されましたけれども、もともと優先車線なんですけれども、公共交通優先の原則で、電車の中から信号機を切りかえることができる。これは別に電車でなくても、トロリーバスですとか、またはバスロケーションシステムなどを使いました連接バスでも、やろうと思えばできないことではない、そういうことになろうかと僕は思います。そんなことを含めまして、ぜひ積極的な検討をお願いしたいと思います。
 この問題の最後になりますけれども、ご承知のとおり、十年後に、東京国体、私どもは多摩国体と呼んでおりますけれども、東京国体が開催されます。それに接続する大変重要な南北の路線といたしまして調布保谷線があるわけでございますけれども、今、この事業決定をされまして用地買収等が進んでおります。現在は道路計画として進んでいるわけでございまして、私はそれでとりあえずはいいと考えているわけでございますが、十年後の東京国体をにらみまして、やっぱり多摩のまちづくりの一つのコンセプトをつくっていく必要があるのではないか、そのように考えております。
 例えば、二〇〇八年、北京でオリンピックが開かれますが、北京市長の話を聞きますと、一つは、コンセプトはグリーンだというんですね。緑だと。北京の市街地の五〇%を緑で覆いたい。もう一つは、科学技術だというんですね。科学技術の活用ですとか振興だということですね。もう一つが文人といったんですが、人と文化の交流、醸成ということではないかと思うんですが、こういうコンセプトを持って北京オリンピックが開催されようとしております。
 多摩の地で行われます東京国体におきましても、やはりこれからの課題でございますが、そのようなコンセプトを持ちながら、都市の基盤整備等をしていく必要があるのではないか。その場合の一つの選択肢にLRTがあるのではないかと僕は思いますが、再度お聞きいたしますけれども、LRT、トロリーバス、または連接バスを導入するかどうかという結論を直ちに出す必要はございませんけれども、今からやはり検討を進めていくべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

○山崎都市基盤部長 調布保谷線へのLRTの導入についてでございますけれども、再々課題ばかり申し上げて恐縮なんですけれども、採算性とか導入空間、さまざまな課題がございまして、お尋ねの検討については、今後の地元市を中心とします検討の中で、さまざまな課題に向けた取り組みの一環として検討していく、東京都も技術的な支援等をしてまいりたい、かように考えております。

○坂口委員 それでは、次の課題に移らせていただきます。
 まちづくりの重要な点は、局長が事務事業の概要でご説明されましたように、一つは、やはり巨視的な視点というものが必要なんだと思うんですね。特にメガロポリス東京ということからいたしますと、マクロ的な視点からアプローチをしていくということが必要だと思います。それはトップダウンという手法にそのまま結びつくのかどうかは議論の大きく分かれるところだと思いますが、例えば、先ほどいいました高速道路の整備などは、そのうちに入るのではないかと思うんです。しかしながら、パラダイムの転換といいますか、物事の考え、思考といいますか、思考方式の転換ということがいわれて久しいわけでございまして、そんな中で私は、先ほど他の委員の質問にもございましたけれども、やはりボトムアップ型といいますか、これも重視していきたい、そのように考えております。
 特に、大規模な再開発事業といいますのは、多摩に住んでおります私どもにとりましては、余り大きな恩恵はございませんで、私どもの地域のまちづくりを考える場合には、資料でお願いいたしましたけれども、俗にしゃれ街条例というんですか、そういう略称で呼ばれているようでございますが、こういうものの方が大変身近で使い勝手がいいのではないか、そんなふうに考える次第でございます。
 そこで、ちょっとまちづくりに入る前に、やはり気になることがございまして、それは、いろんな方がいうわけでございますが、電線、電話線等ライフラインの地中化の問題ですね。これに絞って、まずお聞きしたいと思います。
 東京都は、知事がいいますように、千客万来の都市づくり、あるいは、今申し上げましたようなしゃれた街並みづくりの条例をつくりまして、災害に強いまちですとか、バリアフリーのまちづくり、または、景観にすぐれたまちづくり、こういうものを目指しているわけでございますが、だれが見ても、それを妨げている、しゃれにもならないと、僕、よくいうんですけれども、電柱や電話線等が東京都内の道路には数多く存在しております。
 そこで、電線地中化の進捗状況、いろいろ聞いてみますと、建設局が所管だということでございますが、都市計画局が全く無関係じゃないわけでございまして、先ほどいいました点からも、やはり都市計画局にもお聞きしたいということで、この進捗状況について、まずお伺いしたいと思います。

○山崎都市基盤部長 都道におきます地中化の状況でございますけれども、本年度末で、対象延長二千三百キロのうちの五百二十キロで整備されておりまして、地中化率は二三%の見込みでございます。

○坂口委員 まず都道について限定されているということでございましたが、二千三百キロ、五百二十キロを引きますと、まだ千八百キロぐらいあるということですね。
 それで、いろいろ調べてみますと、一生懸命当該局はやっているんですよ。やっているんですけれども、毎年毎年の整備状況というのは、官民合わせまして二十キロぐらいですね。二十キロというと、埋設率にいたしまして大体一%ふえるというぐらいでございます。仮にセンター・コアの分と多摩地域の分、千百キロと建設局では出しているようですが、これを二十キロペースでやっておりますと、五十五年ぐらいかかるんです。都市づくりは五十年、百年の大計ですから、これでも悪くはないんですけれども、これでは幾ら何でも遅々たる状況でございまして、先ほどいいました、災害に強い、または機能上すぐれている、または景観上もすばらしいまちにはならないと思うんですね。
 ですから、これをやはり強力に進めていくということが大変重要だと思うんですけれども、電線の地中化といいますのは、我々の体感でいきますと、体感治安ですとかいろいろいわれますから、そういう言葉を使わせていただきますけれども、なかなか遅々として進まないというイメージがあるわけでございますが、今後どのように整備を進めていくのか、お聞きしたいと思います。

○山崎都市基盤部長 地中化につきましては、先生の方からご紹介ありましたように、建設局で所管し、事業を進めているものでございますけれども、来年度を初年度とします次期電線類地中化計画におきましては、区部のセンターエリアですとか、多摩の主要駅周辺ですとか、緊急輸送路での整備を優先的に進めていくということにしてございます。また、よりコンパクトな次世代型の電線共同溝の積極的な活用によりまして、幹線道路に加えまして、区市道を含めました事業の拡大を、地元区市と連携して図っていくということにしてございます。
 さらに、都市計画道路の新設や拡幅を行う場合には、地中化を同時に実施していこうということにしてございます。
 事業の推進に当たりましては、電線管理者、地元管理者との協働を図るとともに、区市等への技術支援、他事業との連携、さらなるコストの縮減や財源の確保に努めていくこととしてございます。

○坂口委員 いろいろ今回関係局に、都市計画局だけでなくて建設局にもお聞きしまして、最新の技術等、次世代型の共同溝方式、今まで大体三億円から七億円ぐらいかかってきたんですが、それが二億円ぐらいでできるものもあるということを聞いてまいりました。
 きょうはちょっと小道具を持ってきたんですね。これは、四年前にストラスブールに行ったときに、工事現場から拾ってまいりました、スパイラルダクトというんですかね。私はカナフレックス、カナフレックスといっていたんですけれども、これは商品名だそうでございまして、スパイラルダクトなんですが、ストラスブールでは、先ほどのLRTの路線のすぐ横に、共同溝じゃないですね、溝を掘りまして、これを十本ぐらい束にして、それで埋めて覆土をしている。コンクリートを埋めて、上に石を張っている。そういう簡単な工事をやっているんですね。果たしてこれで保安上大丈夫なのかと、僕も電気、電子などを勉強してきましたので気になったんですが、それで十分もつようなんですね。日本で何でできないのかと、素朴に思うんですね。いろいろな方に聞きました。いろんな問題があるわけでございますけれども、先ほどいいました、やはり技術的な改良ですとか、コストの縮減ですとか、そういうものが大変重要になってくるんじゃないか。
 それにしても、現在既に整備がされております約五百キロですね。五百二十キロと先ほどいいましたが、こちらのデータがちょっと古いのでお許しいただきたいんですが、四百九十二キロ。平成十三年度のデータを見ますと、単独地中化、これは東電さんがやっているんですね。絶対整備率--二千三百二十八キロが一応全体の都道の総延長なわけでございますけれども、これの一六・九%を東電がやっているんですね。一七%です。東京都もそこそこ頑張っているわけでございますけれども、自治体単独の、自治体の管路ですとか、または共同溝というのは、それぞれ一・四%、二・〇%、CAB方式は〇・八六%、こういう数字なんです。ですから、五百キロ、または四百九十二キロというと、全体の整備率、二三%ぐらいというのが出てくるわけでございますが、絶対整備率で見ると、その程度だということなんですね。ですから、先ほどいいましたような体感のイメージが出てくるということになりますね。
 それで、電線、電話線を地中化するというのは、先ほどいいました、ただ防災ですとか、環境ですとか、バリアフリーですとか、それにとどまらないと実は僕は思っております。これは所管が違いますけれども、例えば産業労働局サイド、または知事本部サイドからいったら、今、日本の社会が直面しております、例えば景気対策、それから雇用対策、財政再建というのが三大命題ですね。やはり新たな雇用を創出するための二十一世紀に向けてのプロジェクトでなければならない、僕はそのように考えております。
 私もちょっと電卓で試算をしてみましたけれども、例えば都道の残されました千八百キロ、これをちょうど下水道を整備したときと同じように十五年ぐらいでやろうといたしますと、毎年百二十キロの電線、電話線の埋設がなされなければならないということになります。現在、建設局の予算は六十億円でございますが、先ほど大きな数字が出ましたからもうびっくりしないと思いますが、これに必要な予算は、キロ当たり三億円で計算しますと、大体三百六十億円でございます。そんなに大きな数字とは私は思いません。そして、これの雇用創出効果、どういう計算をするかによって違ってくるんですが、我々はアバウトでございますから、例えば五百万円で一人の雇用をカウントいたしますと、七千二百人ですね。三百六十万円で計算いたしますと、大体一万人ぐらいの雇用創出効果がある。こういう見方もしていかないとまずいのではないかと私は考えております。すべてを都市計画局にやれとか、やらせるということにはならないわけでございますが、やはりオール都庁としましてそのような問題にも思いをはせて、建設局と協力をして事業の推進に取り組んでいただきたいと思うんです。
 そこで、この問題の最後にお聞きいたしますけれども、トータルなまちづくりの視点、そして、今申し上げましたような雇用の創出ですとか景気の回復ですとか、そのような視点から、都市計画局と建設局がやはりイニシアチブをとって、この電線類等の地中化を推進していくべきと考えますが、所見をお伺いします。

○勝田都市計画局長 電線類の地中化の推進でございますが、お話ございましたとおり、都市景観の面でありますとか、防災の面でありますとか、あるいは歩行者空間の確保、さまざまそういった機能の向上が図られるわけでございまして、大変重要な課題だという認識に立っておりまして、お話ございましたとおり、現在、建設局におきまして、センター・コア・エリアの幹線道路や災害時の緊急輸送路などにつきまして優先的に整備してきているところでございますが、当局といたしましても、個性豊かで魅力あるまちづくりを進めまして、東京の魅力を向上していく上で、電線類の地中化というのは大変効果のある施策であるというふうに認識しております。区部全域及び多摩地域の人口集中地区などの優先度の高い路線につきまして、建設局や区市等と連携を密にしながら、その促進に努めてまいりたいと考えております。

○坂口委員 最後の項目の質問に移らせていただきます。これはまちづくり条例に関連してでございますけれども、先般制定されましたしゃれた街並みづくり推進条例が、この十月一日から施行となりました。このことによりまして、木造密集地域などの街区再編まちづくり制度、または街並み景観づくり制度が動き始めることになるわけでございますけれども、都庁の展望台に上りましても、山手通りから環状七号線だけではございません、我々の足元にも、やはりこういう大変密集した、防災上も、安全性の面からいっても危険きわまりない地域がございます。
 そこで、この条例が制定されるに至りました背景と条例のねらいについて、まずお聞きしたいと思います。

○金子参事 条例制定の背景とねらいについてでございますけれども、昨年、民間の活力を生かした都市再生を促進するため、都市再生特別措置法に基づく規制緩和の方策が講じられましたが、その対象は、都心部を中心とする都市再生緊急整備地域における大規模プロジェクトに限定されております。しかし、東京の都市づくりを総合的に進めるためには、こうした大規模プロジェクトとともに、より広範な地域において、地域の実情に即した、いわば身近な都市再生を並行して推進することが重要でございます。この条例は、そうした地域のまちづくりへの意欲的な取り組みを促進しまして、東京に個性豊かで魅力ある街並みをふやすことを目指すものでございます。

○坂口委員 では、まず、街区再編まちづくり制度、これについてお聞きしたいと思いますけれども、資料にも、現時点での制度の適用を検討している地区数、それを示していただいたわけでございますけれども、今どのような取り組みがなされているのか、また、今後どのような取り組みを行おうとしているのか。
 また、それをやるためには、先ほど、都市計はなかなか予算のとれない局だと。環境保全局もそうですね。先ほど、公園の問題、みどりの問題等が出ましたけれども、それをどう克服していくかというのは、大変大きな課題であるわけでございますが、どのような推進策を講じることによって、地域の人たちの取り組み意欲を高めようとしているのか。俗によくいうのは、インセンティブというんですね。インセンティブの中身はと、私、常々考えるんですが、お金だけではないですね。やっぱり人の問題がありますね。東京都の職員が出ていって、いろいろ、これは技術や情報の提供ということとも関連しますね。
 それから、持論ですけれども、やっぱり物といいますか、種地、種空間のようなものが必要だ。都市計画局が切れるカードというのは、僕はそれしかないと思うんですね。ですから、場合によっては、ダウンゾーニングをする、またはアップゾーニングをするというような手法を講じることによって都市空間を有効に利用する、これが切り札だと思うんですね。
 または、直下型の地震は、いつ来てもおかしくないという表現ですね。東京都の防災会議その他でもそうです。これは余りいい表現ではないかもしれませんが、何か事をやる場合に、やる気、やれる意図を切迫感といいますけれども、それをやはり醸成してくる背景に僕はなると思うんです。
 ですから、それらを複合的に考えながら、どう都市計画を、今までの需要対応型から誘導型に、反応型から政策形成型にといってもいいと思うんですが、または機能的な手法から演繹的な手法も取り入れていく、そういういい方でもいいと思うんですが、やっていくかというのが、今、大変大きなテーマだと思うんですね。
 そこで、お聞きいたしますけれども、どのような推進策を講じようとしているのか。これも何か靴の上から足をかくような感じで、どうも切り札に欠けるのではないかという思いがしてならないわけでございますが、お答えいただきたいと思います。

○金子参事 街区再編まちづくり制度でございますが、これは、地域の実情に即した規制緩和を弾力的に行うことによりまして、地域の取り組む小規模、段階的なまちづくりを促進するための制度でございます。
 先般、区市町村の意向を調査いたしました結果、現時点におきまして、資料にありますように、区部で七区七地区、多摩で一市一地区について、制度適用の意向が示されております。これらの地区のうち、取り組みの熟度が高い数地区につきましては、まちづくりのガイドラインとなる街並み再生方針を策定の上、街並み再生地区に指定する予定でございます。
 容積率などの規制緩和の具体化につきましては、都市計画法の制度を活用することとしておりまして、また、共同建てかえなどの計画を都市計画に定める際には、原則としまして提案制度によることで、地域の主体的な取り組みを生かしたまちづくりを促進することとしております。

○坂口委員 十二年前に、私が、当時の建ぺい率、容積率をもとにいたしまして、見直しが行われた時期でございましたけれども、現在使われていない未利用空間を床面積に計算しましたら、六万数千ヘクタールになりました。これは、百平米の住宅を建てますと、ちょうどバブルが膨らんでいったときで、住宅問題も大変深刻なときだったんですね。計算しますと、大体五百万戸から六百万戸の供給ができる。それだけの未利用空間がありました。
 先ほど、ダウンゾーニング、アップゾーニングといいましたけれども、これも私の持論でございますが、都市計画局が財政的な面で切り札がないとするならば、これを有効に使いまして、使われていない空間につきましては、場合によってはダウンゾーニングをする。そして、その上層部を公的処理をする。全部公的にとはいいません。一%から一〇〇%の間でフレキシビリティーを持たせる。それを東京都がコントロールしながら、まちの再生を図っていく。地下の空間についても同じです。つまり、上限、例えば容積率一五〇%、地下についてはどの程度、ここまでは私的な専用空間ですよ、しかし、それから上は公的所有空間ですよというように位置づけまして、自治体主導でやる場合には、五〇%から一〇〇%の公的な所有権を持つ。民間主導でやる場合には、民間に厚くするというような、そういうような方策でも講じない限り、街路の整備ですとか、または、先ほども出てまいりました区画整理ですとか、減歩の問題等もありまして、なかなか進まないのではないか。それぐらい大胆な発想が、このメガロポリス東京、首都東京には求められるのではないか、そんなふうに考えております。
 それは持論でございますので答弁は求めませんけれども、要するに、東京都が持っている種地、種空間を、これからの都市再生に有効に使っていくという視点が不可欠であるということでございます。
 そこで、三番目に、街並み景観づくり制度についても、その内容について、どのような制度であるのか、または現況がどのようになっているのか、お聞きをしたいと思います。

○野本市街地建築部長 街並み景観づくり制度でございます。街並み景観づくり制度は、都民や団体等が主体となって行う街並み景観づくりの取り組みを支援しまして、これを推進する制度でございます。現在の取り組みでございますけれども、地元住民やまちづくり団体等の意見を踏まえまして、街並み景観重点地区、この候補地として六地区程度を選定しまして、区域や街並み景観づくりの方向性などについて協議をしている最中でございます。
 今後でございますけれども、できるだけ早い時期に街並み景観重点地区の指定を行いまして、地区の実情を踏まえながら、街並みデザイナーを選任し、街並みガイドラインの作成を支援していくということでございます。
 街並み景観づくりの推進策、いわゆるインセンティブでございますけれども、必要な地区につきましては街並みデザイナー等を派遣すること、あるいは、ガイドラインに適合する建築計画につきましては容積率を緩和する、こんな措置を考えてございます。こんなことによりまして、身近で実効性の高い街並み景観づくりを推進してまいりたいと考えております。

○坂口委員 今の方向性は大変いいわけでございますが、やはりぴんとこない部分があるんですね。それはやっぱり都市計画局としてどういう切り札を持っているのかどうか。大体出てくるのは容積率の緩和なんですね。僕は、緩和だけでなくていいと思うんですね。車でも、やはりブレーキとアクセルがあって、車がまともに目標に向かって走るわけですね。ですから、やっぱりダウンゾーニングも時にはある。アップゾーニングもする。これからのまちの再生にとって大変重要なものについては、例えば二〇〇%、場合によっては三〇〇%の容積を与えるというようなアップゾーニングもある。そのかわり、そうでない場合も、ダウンゾーニングもあるということですね。やはりそういう手法を駆使していく必要があるんだろう。めり張りをつけてということになりますかね。そういう施策が、僕は決定的に欠けているのではないかと思う。有能な都市計画局の皆さんでございますから、その辺についてもぜひ検討をお願いしたいと思います。
 この問題のといいますか、全体の質問の最後になりますけれども、密集市街地の再編成といいますのは、冒頭も申し上げましたとおり、防災の点からも、または安全性を確保するという点からも、またはバリアフリーのまちづくりをしていくという点からも、景観を整えていくということからしましても大変重要な施策であって、早期の事業実施が望まれます。
 そのためには、今いいましたような新しい都市計画の視点を導入していくということもさることながら、先ほども出ましたように、区市町村との連携、またはNPOなどとの連携協働、コラボレーションという言葉が最近よく使われますけれども、そのような協力をどうしていくのか。または、それを促進していくためには、例えばプロモーションビデオのようなものをつくるとか、または、好例をホームページできちんと紹介するとか、行政手続も含めて紹介するとか、またはワークショップをやるとか、そういうさまざまな方策を講じていかないと、この事業はうまくいかない。うまくいく前に直下型の地震が首都東京を襲いまして、壊滅的な状態になってしまうのではないか、そのように私には思えてなりません。そんなことで、今後の積極的な施策の推進策についてお聞きしまして、私の質問を終わらせていただきます。

○金子参事 街区再編まちづくり制度が活用されるには、この制度によってまちがどのように改善、整備されていくのか、そういったことを具体的な姿で示すことが効果的であるというふうに考えております。そのため、現在、小規模、段階的なまちづくりの事例をわかりやすく紹介したパンフレットを作成しているところでございますが、今後、制度を活用したまちづくりの事例をホームページで紹介するなど、区市町村や都民、事業者、まちづくり団体などへの普及促進を図ることによりまして、防災面にもすぐれた魅力あるまちづくりを進めてまいりたいと考えております。

○矢島委員 明治以来の強い決意の再開発と、それからモータリゼーションが東京の広域自治体をつくり上げて、そして現在に至っているわけですが、結果として出てきたものは、再開発のシンプルな建物と、それから、自動車中心の東京のあり方に対する見直しが今出てきているように思います。モニュメンタルな建物に対する評価が上がってきていますし、また、再開発と建物をつなぐ中で、人の歩く速さと仕組み、その人の動線の確保というのが一つの課題にまたなっているように思います。
 人の速さからまちを見たときに、先ほどの坂口委員のお話がございましたけれども、電線の地中化というのは大きな課題であるし、まちに大きな安心を与える、いろんな意味で重要なことだと思います。もうしっかりやっているという答弁がありましたので、私の方からは意見だけ申し上げておきますが、道路管理者の都合でなかなか難しいところはおありになると思いますけれども、国道も都道も、市区町村もそういう取り組みがあるというお話ですけれども、それを何かのしっかりした縛りでもって方向を示していただきたい。そういう方向ですよ、やるつもりですよ、必要ですよというだけではなくて、条例化までは、今いった意味でなかなか難しいところがおありでしょうけれども、やはり縛りをもって取り組んでいただきたいなというふうに思います。
 ちょうど今から何年前になりますか、平成七年の阪神大震災の二週間ぐらい後に、三田の方から、どうも入る道がなくて地下鉄で新神戸まで行きました。途中の駅が一カ所壊れておりまして、柱が斜めになったり、ひどい状態で、よく地下鉄が走るなと思いながら、それに乗っていたわけですけれども、その一方で、大阪は不夜城のように非常に大きなネオンサインがついて、そういう周りがあったから、援助の手も早く差し伸べられたということもあったと思いますが、防災の問題は、起きたときの恐ろしさ、大変さというのは、あの様子を見ますと、身にしみるものが、大きなものがあります。
 ですから、今取り組まれている防災に強いまちづくり、これも大変重要な、できるだけ被害を少なくし、人の命を助け、財産を保全をしていくという意味での、都市機能を何とか最低限維持していくところから、人の生活まで可能な限り安全を確保するという意味で取り組みが必要ですし、起きたときには、もちろんそれに対する対応と同時に、終わった後の再建のまちづくりが大きな課題になろうと思います。
 防災は、そういう意味で日本においても大変古い時代から、もう既に始まっているように聞いています。奈良時代から、これは人の命より何が大切かということではないでしょうけれども、倉庫の方の保全の問題が先にあったように聞いていますし、江戸時代には、都市の集積への対応というのがあったように聞いております。
 現在、東京の時代になってから、東京都でも現実に多くの取り組みがあるわけですけれども、その中で多彩な施策がいろいろな形で行われております。これらの事業と防災都市づくり推進計画とのかかわり、また、各自治体が施行者になるなど、施策が申請による場合の手続、これについてまずお伺いいたします。

○成田都市防災部長 防災都市づくりに関する事業についてのお尋ねでございますけれども、事業といたしましては、街路事業、密集住宅市街地整備促進事業、防災生活圏促進事業などがございますけれども、これらの事業のうち、国、都の補助として行われているものの申請手続でございますけれども、街路事業、密集住宅市街地整備促進事業など国が補助採択する事業におきましては、区市が事業主体の場合は、区市が都を通じて国に申請するようになっております。また、都が事業主体の場合は都が国に申請する、こういうふうになっております。また、防災生活圏促進事業などのように都が補助採択をする場合におきましては、区市が都に申請するということになっております。

○矢島委員 これらの災害に強いまちづくりを目的とする都の単独事業、あるいは広く我がまち住民と協働の作業によるこれらの各施策は、その目的を、どのように成果として、結果として達成しているか、ここが大変大きな課題だろうと思います。それをどのように考えているのか、また、その根拠についてお伺いいたします。

○成田都市防災部長 防災まちづくりの達成につきましては、防災都市づくり推進計画を策定いたしまして、この中で不燃領域率や延焼遮断帯形成率などを整備目標に係る指標といたしまして、防災都市づくりの達成度合いを把握しております。防災まちづくりは、都、区市、それから地元住民がそれぞれ役割分担をし、推進しなければならないものと思っております。
 都の事業といたしましては、延焼遮断帯としての幹線街路整備や、良好な宅地を供給する土地区画整理事業などがございますし、区は、地区街路や公園、これらを整備いたしますし、地元住民は、都、区の補助を受けながら、防災生活圏促進事業や木造住宅密集地域整備促進事業などにより、建物の共同化とか建てかえなどを進めているものでございます。
 これらの成果につきましては、不燃領域率や延焼遮断帯などの一定の進捗が見られますけれども、地域住民の合意形成が困難な住宅の建てかえなどにつきましては、なかなか計画どおりに進捗していない面がございます。

○矢島委員 今のお話は、途中、あるいは進捗、その事業が終わった後の、数字上のいわば成果というふうにお聞きをいたしましたけれども、これらの事業は、当然ながら個別事業の所期の目的が結果として達成された、質的内容、数字上どれだけやったかということではなくて、防災の本当に効果があったか、住んでいる人間にとってプラスの内容でできたか、その具体的な内容が問われなければならないと私は思います。そして、結果的にそれがフィードバックされて、現在行われている事業の視点をさらに高めることになりますし、また、次の事業に生かされる、こういうことになろうと私は思います。
 一連の事業展開の作業の中で、事業の成果、ただいま申し上げたような数の測定じゃなくて、質の測定の必要性、そして今後の取り組みについてお伺いいたします。

○成田都市防災部長 事業の成果を数字のみではなく質の面から測定すべきとのお尋ねでございますけれども、防災都市づくりを推進するため、現在、私どもは十一の重点整備地域を指定し、それぞれの地域につきまして整備プログラムを策定することとしてございます。この整備プログラムは、各地域の整備の目標、スケジュール、手法などを具体的に策定するものでございますけれども、これまで整備目標は、数字を示して達成率を図る計画としており、整備が進んでいる箇所がネットワークとして必要な部分が整備されているかどうか、そういうふうなご指摘でございますけれども、今回策定の整備プログラムにおきましては、道路、公園が防火、避難等に最も効果を出現させる箇所の整備を優先させるよう、プログラムの策定については留意してまいりたい。
 また、関係区市と設立してございます整備プログラム策定の協議会においても、これらのことを調整してまいりたいと思います。
 もう一方、補助事業等の採択、申請におきましても、関係局と協議しながら、質問の趣旨を生かしてまいりたいと思っております。

○矢島委員 例えば防災生活圏促進事業についても、面として指定をするわけですから、一様に全部同じように危険度が高いというわけではなくて、比較的高いところ、そして、周りとそれほど変わらないところ、いろいろなところがあろうと思います。そういうことになりますと、施策のやり方によって、買いやすいところ、事業をやりやすいところにやっていく、そして、実際に必要なところは残されていく可能性が常にあるわけです。でも、数字から見れば、それは出てこない。ですから、その辺のところをしっかり、事業主体は各自治体としても、東京都としても、その内容まで測定をし、次の協議のときにそれを生かしていけるような、そういう形でぜひ見ていただきたい、これをお願いいたします。
 次に移りますが、羽田へ飛行機でおりていくときに、東京の一面の夜景の美しさというのは、銀座のネオンとあわせて世界に例を見ないものだといわれています。日本のまちの、昔からの城下町の戦闘を前提にしたまち割りという、都市計画といっていいんでしょうけれども、そういうものがあったでしょうし、ヨーロッパのように、壁に囲まれた中の狭いところで人が身を守りながら居住空間をつくっていく、そういうまち割り、考え方、これは、それぞれ一つのコンセプトでつくれた時代の幸せな時期だったと思います。
 今、多様な形で、先ほど申し上げたように、東京の広域化が進んでいると、いろんな事業がいろんな形で出ていく。実際、事業も、再開発がそこかしこで行われながら、また別のいろいろな事業が行われている。これを統一していく都市計画における内容は何なのか、これをちょっとお伺いいたします。

○森下都市づくり政策部長 東京のまちは、確かに大きな統一的な物事でつくられているのではなくて、かなり混沌とした面があるということは事実だと思います。私どもは、東京の都市計画を考える際に、まず基本的には、骨格となります都市基盤の整備というものが骨組みでございまして、それに対して肉づけとして、用途地域等において都市の空間図をつくっていくということでございます。それらを全体として都市計画のマスタープランのようなもので表現して都市づくりを行っていくことが大切なことだと考えております。

○矢島委員 局長にお伺いをしたいのですが、都市は、姿の変遷の中で、先ほど申し上げたように、一つのコンセプトで問題の解決を図ろうとしてきたわけですが、その間、幾多の取り組み、提案がなされ、成功したかどうかは別にして、都市に形を与えようとしてきたのは事実だろうと思います。しかし、現代の都市の問題は、その巨大さゆえに、実に多様な主体と実に多くの必要に迫られている、そしてそれがまた速いスピードで展開している、ここが大きな問題になろうかと思います。
 さきの一般質問で私がいたしましたときに、石原知事が答弁の中で、新しい社会のありようの規定に言及をしておりますが、その新しい社会の規定は非常に困難であり、現行の東京の中にある先鋭的な問題を解決するために講ずる新しい施策の積み重ねで、これからの東京の社会としてのありようが造形されていくと認識を示されております。まさに東京の都市計画の取り組みも、先ほどご答弁がありましたけれども、この中にあるように思います。
 都市のあり方も、多様な時代の大きな変転の影響を受けているだけに、明確な都市デザインを非常に描きにくい。局長にお伺いするわけですが、この点についての認識と、この場合、都市デザインと都市計画をいいかえてよろしいと思いますけれども、都市計画局としてどのような取り組みが有効な方策となるか。いわば東京なりの新しい発明と展開をしていかなければいけないということになろうと思いますが、そこをお伺いいたします。

○勝田都市計画局長 先生ご指摘のとおり、時代の流れが大変激しく変化しておりまして、しかしながら、都市計画そのものには、やはりその時代の変化に即応していく、それから、そのときそのときのニーズに的確に対応していく、こういった面が必要でございます。また一方、都市計画そのものは、大変世帯が大きいといいますか、大きい動きでございますので、小さく小回りするとか、そういうのはなかなか難しいというような面がございます。
 したがって、都市計画の方法論につきましても、大変大きな骨格となります基盤の計画とか、あるいは、全体のゾーニングをどうしようかというような大きい計画から、個別の地区計画のような小さい一つずつの計画、こういったものを組み合わせて進めていくということになろうかというふうに思います。
 こういう時代でございますので、明確な空間イメージを持つ都市デザインを描くことは大変難しい面がございますけれども、しかしながら、東京の都市計画のためには、どういう形で将来都市像を示すか、こういったことが必要でございまして、このためつくったのが、一つは東京の新しい都市づくりビジョンでございまして、その中では、地域像を設定いたしまして、その地域像に合った施策を展開する、こういったことを進めているわけでございます。こうした全体、総合的なかじ取りといいますか、そういったものを見定めて、間違いなくそのときそのときの施策を適切にやっていく、こういったことが肝要ではないかというふうに考えているところでございます。

○矢島委員 都市計画のリーダーに大変ふさわしいご答弁がありまして、大きく期待するところです。やはりどうしても、都市デザインという言葉を、簡単ですから使わせていただければ、都市デザインは、やはりその時代の要求と進むべき方向のそれをどうやって融合させていくか。経済的な状況もありますでしょうし、そこの中に、経済というのはお金という意味じゃなくて、社会の血流であるという意味での経済的な構造というものがあるでしょうけれども、それをどのように組み合わせて統合していくかというのは一つのポイントだろうと思いますので、東京流の、日本を変えるじゃなくて、東京の発明をぜひその方向に向けて努力をしていただきたい。発明があって終わりではなくて、努力の中に、方策を求める中に答えがあるように思いますので、その辺をよろしくお願いいたします。
 最後に、今現在、都市計画審議会の委員を務めさせていただいています。今回、用途地域の見直しがなされていますが、私自身も、区議会のときに八年間、都市計画委員をやっておりました。ちょうど前のときの見直しの、区から見る東京、そして今回は東京都から東京全体の取り組みを見ていく、非常に興味深く見ております。区議会の、区のときの都市計画審議会というのは非常に壁が高いように感じましたし、多分、これでお聞きをすれば、壁は低いですよというお話になろうかと思うんですけれども。
 それで、また次の機会に質問はさせていただくとして、事実関係だけを確認をさせていただきますが、今回の用途地域の見直し、指針を示しているということもありますけれども、従来と異なるところ、もう既に前の都・環の委員会で質疑はされていると思いますけれども、私は都・環に入りましたのは初めてですので、お伺いをいたします。

○森下都市づくり政策部長 今回の用途地域の見直しの内容的な意味での従来と違うという事柄でございますけれども、簡単に述べさせていただきますと、従来は、主として社会経済情勢の変化に伴いまして法改正があった。その法改正を機にしまして、その法改正に伴うような特定の課題に対応するために行ってきたというのが主なものでございました。これに対しまして今回は、東京の新しい都市づくりビジョンに示しました目指すべき市街地像を実現していくために、政策誘導型の都市づくりを進めていく観点から、積極的な見直しを行ったというところが違います。
 主なねらいとしての、都市活力の維持発展とか、都心居住の推進とか、豊かな都市環境の形成とか、安全な生活環境の形成などを掲げておりますけれども、具体的なやり方としても、容積率とか建ぺい率の多様なメニューを使うとか、敷地面積の最低限度とか、絶対高を定める高度地区の導入など、新しい施策も積極的に取り入れて実施しているところでございます。

○矢島委員 先ほど申し上げたように、区の審議会から見ているハードルの高さ。東京都から、今回、基本的には各市区町村から上がってきたものは全部承認をする、基準に合わないだけ--基準に合わなきゃだめだということは、それ以外は上がってこないということにもなろうという面もあるでしょうけれども、その意味ではいかがでしょうか、大きな違いは。

○森下都市づくり政策部長 用途地域の見直しは、東京都が基準を示して、具体的な原案は区でつくっていただくということでございます。今回は、特に指定方針、指定基準につきましては、東京の都市づくりビジョンなどを背景としまして、積極的な東京都の都市づくりの考え方を展開いたしましたので、それについて十分な周知をしているつもりでございます。それに基づきまして、各区市それぞれ、やはり地域の特性であるとか、まちづくりの考え方の異なった進め方等ございますので、それぞれ受け取り方の差はありますけれども、基本的には東京都の大きな方向の中で理解していただいて議案を出していただいたということでございまして、その間、東京都と区、個別の地区につきましても相当調整を行っておりまして、東京都が主体的な提案をしながらも、区の方で積極的に受けとめて主体的な対応をしてきたものであると思っております。

○矢島委員 いわば八年ごとの見直しということになりますと、先ほど申されたように、八年間のいわば憲法ということになろうかと思うんですが、今回の見直しの率を面積で見てみますと、各市区町村ごとによって大変なばらつきがある。これはどういうふうに認識しておられますか。

○森下都市づくり政策部長 先ほども申しましたように、基準としては東京都が示しましたけれども、地域特性であるとか区市のまちづくりに対する取り組み姿勢というものが異なっているということでございます。例えば、住宅地の良好な環境を維持してミニ開発を防止していくために、敷地面積の最低限度を積極的に使っていこうという区市がございました。あるいは、それに加えまして、容積率については緩和しようと考えた区市もございます。あるいは、地区計画の策定と合わせて容積率を緩和して、道路などの基盤整備を誘導していこうということを重点に考えた区市もございます。
 このように、それぞれ地域特性に応じまして目指すべき市街地像がございまして、また、そのまちづくりを進めていく進め方についても異なることなどによりまして、見直しの内容、規模に差が出ているものと考えております。

○矢島委員 地域に課題がないから、ばらつきがあって見直しの低いところがあると、私は今の東京を見て、思われません。ですから、今お話しの答弁の中では、市区町村によってスタンスの違い、まちを見直す立場に対する違いがある。あるとしたら、この原因はどこにあるかというのは、一つ重要な問題だろうと思います。今まで東京都が都市計画の用途地域の見直しで示してきた、その余韻が残っている可能性だって全くないとはいえない。周知に示した時間に比べて、長い歴史の一つの形ができ上がっているのかもしれない。いろんな可能性が常にある。
 ですから、今いわれたような市区町村の取り組みの姿勢の違いというのは大変大きな問題だろう。場合によっては失礼な話にもなるかもしれないし、大きな問題だろうと私は思いますから、この点については、周知だけではなくて、東京都の姿勢と、新しいまちづくりに対する取り組む意欲というものをもっとしっかり見せていただきたい。今やってないと申し上げているのではないんです。見せていただいて、全体として、何でも改正すればいいという立場ではありませんけれども、余りにも低いところがあるかなと、数字だけ見た限りですから。その辺のところをぜひ検討していただきたいというふうに思います。これは意見ですので、終わります。

○野島委員 一般的にいい役者は後から登場するといわれておりますが、既に質疑がほぼ尽くされておりますので、ざっくりと、重複を避けながらと思いつつも、重複を避けるほどの能力もないものですから、その点はひとつお許しをいただきながら、何点かお伺いいたします。
 案件は、都計審から出されました東京らしいみどりをつくる新戦略、この件に関して伺います。今回のこの答申に対しまして、知事の諮問事項、六七ページに記載しておりますが、都は、既に平成十二年十二月に、緑の東京計画を策定している。これを踏まえて、こういうふうになっているわけですね。
 それでは、まず冒頭、緑の東京計画は、どのような位置づけで、その概要について、ひとつお伺いをいたします。

○山崎都市基盤部長 緑の東京計画でございますけれども、二十一世紀の東京を、環境と共生し、持続的発展が可能な都市とするということで、みどりの面からとらえました施策展開の道筋を総合的、体系的に示したもので、いわゆるみどりの総合計画に値するものでございます。
 内容でございますけれども、おおむね五十年後におきます東京のみどりの望ましい姿を、水とみどりがネットワークされた風格都市東京と名づけまして、平成十三年度から十五カ年間に取り組むべきみどりづくりの目標と施策の方向を明らかにしたものでございます。本計画の中では、政策指標としましてみどり率というものを用いまして、十五年間でみどり率を区部では現状の二九%から三二%へ、多摩部では現状の八〇%を維持していこう、こういう内容でございます。

○野島委員 実は、私、この答申を見まして、二つの視点があるなというようにとらえているんですよ。一つは、今いいました緑の東京計画、これはみどりの保護、創出をどうしていくか、こういう広義の、ここにも触れられていますけれども、都市計画というかな、みどりをどうやっていく、都市の中でどう保護、育成していくという、広い意味の都市計画だろうというふうに私は思っているんですね。
 一方、後半になりますと、都市計画公園・緑地の見直しも必要だ。これは、何十年かたった、あるいは、困難な財政状況の中、こういうキーワードの中で、これは専ら法令に基づく、ここでいえば都市計画局マターの課題だというふうに私は思っているんですよ。
 私は、都市計画という法令の中でのいわゆる権限行政、この中だけでみどりが保護、創出されるとは思っていないんです。トータルとしての、どういうふうにやっていきますかという大きな戦略性があって、その中での一つ都市計画というセクションを、その権限に基づいてやっていきましょうという、私はそういう形だと思うんです。そういう意味では、前半の部分というのか、二つの大きな意味合いの答申の柱になっているのかなというふうに思うんですね。
 いささか体験的、経験的に、なるほどなと思うことも含めましてお話をさせていただきたいと思うんです。今、緑の東京計画にも挙げられています、さまざまな手法とか、あるいは事業主体によって現実に執行されている部分はあるわけなんですね。例えば、森林の保護、育成というのも、資料の一三ページの新戦略に書いてありますけれども、これは産労の方で、奥多摩を中心に、地場の産業をどうするか、その関係もあってとか、あるいは、都民が潤いやいやしを感じる空間をそこにつくっていこうじゃないかという観光の側面からもやっているのが実情だと思います。
 それから、緑地保全事業、これは環境局が所管していますね。私どもは東久留米というところに住んでいるんですが、いろんな地区指定を受けていまして、ああ、あの雑木林が東京都さんの地区指定のおかげで残るということで、市民も大変喜んでいるんです。それは別に都市計画公園でも都市計画緑地でもないんですよ。いわゆる環境局の環境保護政策で、今は何といったか知らないけれども、かつては緑地保全条例というのがあって、その中でやっていました。
 それから、各局連携も書いてありますけれども、私どもの方に都営住宅の建てかえがあったんです。そこは、前に川が流れている。これは湧水の川なんですよ。梶山技監は東久留米をよくご存じですけれどもね。そういうところで河川改修もあったんです。都営住宅の建てかえもあった。そのときに、大変なご協力をいただいて、下流の方で都営住宅に使えない敷地があるんです。それは東久留米市が譲り受けて、水に親しむ公園にしよう。その上流を河川改修していきますから、旧河川敷は、河畔林、いわば昔の土上げ敷だね。旧河川敷に、いわば武蔵野の雰囲気を出そうということで、川のわきに雑木林、河畔林というのをつくってくれる。その先は遊歩道にしましょう。住宅も建てる。住宅を建てるときには、セーヌ川のほととりに余りちまちましたものを建てないようにということで、池も大分大きくして、池というか、団地内施設も大きくしてもらう、こういう計画もあるんですね。そういうふうに各局連携でやっていることも、現実にあるわけですね。そういうふうなさまざまな課題があるわけなんですね。そういうふうに実はいろんな各局でやっている部分というのはあるわけですね。今、都営住宅の問題をいいました。
 それから、建設局が、道路里親制度というのをやっているんですね。これは、空間としての道路が既にあって、そのわきに歩道があって、街路樹がある。その周りを市民が自分たちで花を育てて植えようとか、こういういろいろなことをやっているんですね。
 それから、特許公園という話がありました。あるいは民設公園。この間、私どもも、六本木ヒルズという、山手線の中にはめったに入ったことがないんですけれども、あそこに行きまして、ああ、こんな都心に、こういう水とみどりとみたいなオアシスがあるのか。ここに実のなる木でも植えれば、ぜひ、カラスを除いて、鳥が来てくれればありがたいなというふうな空間もありました。
 その後、品川の再開発を見てまいりました。事業手法は違いますけれどもね。あれは区画整理で公共用地を出していただいて、それぞれの事業主体が建物を建てる、こういうことですね。そこが、歩道というのかな、コンコースというのかな、通路になっているわけですね。もしあそこに旧品川宿みたいな雰囲気を醸し出す部分ができたら、かつての品川、今の技術開発の進んだ新幹線というすばらしいものになると思うんですよ。それは事業手法が無理ですから、そういうものがあったらいいなと。そういうふうなことも、一つ、こういう中でやっていく必要があるだろうというふうに思っているんです。
 そういうふうに、今申し上げたように、官がやっている事業も、それぞれ都においても各局連携している。あるいは、市区町村とも連携しながらやっていただいている。あるいは、民に対して、特許公園だとか、いろいろ援用していきましょう、こういうことだと思うんですね。それから、この中には国に対していろいろ要望もしていきましょう、こういうふうになっているわけです。したがって、全体として今まで進めてきたいろいろなそういう事業を、なお一層見える形として進めていく必要がある、戦略性を高めていく必要があるというふうに私は思っているんです。
 と同時に、なかなか困難な部分というのはあるわけですね。後ほどお話もさせていただきたい。それをどういうふうに攻めていって、この答申にあるような、あるいは、答申を受けて行政計画をつくるようなものに進めていくかという大事なところがあると思うんです。したがって、それらをどういう形で今後進めていかれるのか、この辺の考えをひとつお聞かせいただきたいと思うんです。

○山崎都市基盤部長 今、副委員長の方から、答申の内容、先生のお考えをお聞きしたわけでございますけれども、答申につきましても、多様な主体が多様な手法で多様な形態のみどりをつくり出していくというのが、一本、筋として流れているわけでございまして、それぞれ関係する部局がございます。中でも東京都が先行すべき五つの取り組みというものがありますので、これの具体化を図っていくというのが、まず一つ大事かなというふうに思っておりまして、それぞれ関係する部局で、検討の委員会、あるいは区市町村や民間の事業者を交えたような協議会を設置するなど、推進体制を整備する中で対応していきたいというふうに考えております。

○野島委員 今、私の受けとめ方としての前段の、新しいといいますか、今までの経過も含めて戦略性をどう高めていくかという議論というか、考え方を伺いました。
 後段、伺いたいんですが、先ほどの答弁がありましたから重複しちゃうんですが、いわばこれから見直しをしていきます、その見直しの基本方針や何かについては高橋理事にお答えいただきました。その中で、五ヘクタール程度の住宅の張りつけがあるよと。これらが今後の大きな課題だというふうにも伺いました。だから、その辺は答弁いただかなくても結構でございます。答弁いただいた方が私の話はしやすいんですけれども、結構でございます。
 それで、それらに当たって、実は私、この答申書を読みましたときに、この答申は、前から読んでいくのか、後ろから読んでいった方がいいのかというのは悩んだんです。都市計画局としては、審議会の答申を受けて、都市計画公園・緑地の見直しをしましょう。その中で、具体的には五ヘクタール分が大きな課題となるのかな、住宅地がどうのこうのというさっきの答弁を聞いていると。だけど、私は、だから、かち委員もご指摘のように、その部分が、わかりました、時代もたったし、銭もないから、ぽこっと五ヘクタール抜きますよということになりますと、せっかくこの戦略性が示されているわけですから、それとのそごを来してしまうのではないかなというふうに思っております。
 どんな都市計画事業も、それは日本は私所有権が保障されているわけですから、公共性と私権のせめぎ合いというのは当然あるわけですよね。さまざまな困難を伴いながらも、いろんな形で芽を出してきている、あるいは花が開いている、実を結んでいる、こういう形になろうかと思うんですね。
 実は、私どもの方に六仙公園というのがあるんですよ。仮称都立六仙公園。十五ヘクタール。計画決定。一部事業決定をいたしまして、順調にではありませんけれども、用地の買収は進んでおります。実はそのときに、バブルのさなかに住宅を買った地権者がいるんです。その後、計画決定するときは、もう地価も坂をおりてきちゃった。その人たちは、やっぱり反対なんですよ。だって、その段階で補償をもらったって、地価からしても、同じものを買えない。だから、反対だ、反対だといってきた。とんでもない話だ、そこだけ外してくださいと。だけど、全体のコンセプトや、道路界で切るとかいえば、そこを入れざるを得ない。で、公共、公益性という話も私も申し上げた。それから、十五ヘクタールですから、四万五千坪。安くなったといえ、恐らく三百億ぐらいのオーダーの仕事ですから、五年、十年で、そこまで直ちに事業化はできないだろう。皆さんも五年、十年たてば家も古くなって、二十年もたてばもっと古くなっていきますよ。反対はわかるけれども、公共、公益性ということの中で理解していただきたい。
 同時に、日本の補償制度というのは、世界に冠たる特別犠牲説ですから。それと生活再建。それなら心配ないから、一番最後に事業決定してもらえばいいでしょう。そのころ、おたくさんたちの生活の態様も違っているし、いろいろ考えられるから、そんなことをいわないでということで落ちついた話なんですね。
 だから、私は、五ヘクタール純減が、張りついているのを減らしますよと。皆さん住んでいるからとかいうことになったら、追っつかない話だと思う。だって、公共、公益性の中で、嫌と思う人だって網をかけたわけだから、そうすると、かなり大きな部分での、前段申し上げた、みどりの総合戦略性みたいなものが見えてこないとね。それは、外されて喜ぶ人もいるかもしれない。だけど、逆に、私はそれを期待していましたという人もいるはずですよ。家も古くなったし、どこかに行きたい、事業決定してくれれば補償対象になるし、ぜひという方もいるわけだから、やっぱり公共、公益性という中で進めていかなければいけないだろうというふうに思っているんですね。
 そこで、最後に、これで終わりにします。例えば、これはいろいろ書いてありますよ。国に対する要望とかね。一つは、例えば生産緑地が、このページにもありますように純減しているんですね。多摩については八〇%のみどり率、現状の八〇%を維持していきたいといっても、それは町田の方はわかりませんけれども、いわばここでいう武蔵野の回廊というベルトゾーン、これは生産緑地なんかは多分なくなっちゃいますよ。
 それは農業者が農業をやらないというわけじゃないですよ。一生懸命やっている人もいるけれども、実際問題として、ランニングコストは大したことない。あるいは、長期営農継続農地だとか、国税の猶予制度をとれば、それは乗りますけれども、農家の皆さんは、日銭が入ってくる駐車場だとか、アパートだとか、そういうものを残す。あるいは、生産性の低い雑木林は切って、物納しちゃうなり、売っちゃうということになるわけだから、収益が上がるところを売らないんだよね。どこを売っていくかといったら、樹林地というかな、樹林というほどじゃないけれども、雑木林とか生産緑地を売っていっちゃいますよ。それはずっと続く。国税で何とかしろといったって、それは無理だと思う。
 それから、雑木林等が既に指定をされているところもあります。それは東京都さんが買ってくれてありがたいなという話になると思うんですね。持っている雑木林、これも私の知る限りでは、公的機関との管理協定というか、貸し借りというか、よくわからないんだけど、そういうことで、二十年間継続したら、路線価評価を相続にかかわって二割落としますというだけだから、そんなに大きな数字にならないんだよね。そうすると、やっぱりそこの問題が出てくるわけですよ。
 それから、さっき六仙公園の話も申し上げました。大変厳しい財政事情ですから、ぱかぱか事業決定して、買いますよということにいけない。十五ヘクタールのうち、私の目の子で見たところでは、八割ぐらいは農地ですよ。そうすると、農地が、相続のときに、国に納めるより買ってくださいよという話になりますな。国に納めちゃうと、キャッシュが来ませんから。そうすると、じゃ、それを先買いしておいてもらえば、将来、担保できるわけですね。ところが、聞き及ぶところによると、土地の先買いなんかは、この財政事情でまかりならぬと。
 東久留米にせっかく公園をつくっても、請願公園として広域的なこともあって請願したわけですから、じゃ、東久留米が、土地開発基金なり土地開発公社で買って、利息だけ払っておいて、東京都さん、事業決定したところで買ってくださいよ。これも困難なんですよね。そうすると、ないんですよ。死ぬ人が順番で死んでくれればいいんです、予定どおり。そうしたらば、事業決定に合わせて、ああ、あの人はいつごろ死にそうだから、今度はここが事業決定だとかね。だけど、それはあり得ないわけ。先行用地というのは、買収していくときに暫定利用もできないですから、あり得ないわけですよ。そうすると、その辺、大変困難な問題というのをいっぱい抱えていると僕は思う。
 例えば、計画予定地内で先行取得をしたい。しかし、それは無理だ。じゃ、物納しちゃうよとなったときに、ほかの財産がなきゃ、国はそれを取りますよ。国は取るけれども、国はずっと地主であったって意味ないんだから、それを売るわけですよ。すると、売り先なんというのは、都市計画区域内で買う人なんてのはいないです。農家の代がえの操作か何かで、先祖代々だからというのはあるかもしれない。例えば、そういうときに、国に物納した土地については、国は取らない。取らないというか、物納を受けて、それについては将来の都市計画事業、公園事業に対して国が補助金を出すと。その補助金の額として、みなし納税したとか、そういう制度ができれば、これは可能ですよ。だけど、僕は、恐らく難しい。(「地方税」と呼ぶ者あり)物納の場合に地方税は出ない。売った金に対して地方税は六%出るけど、物納の場合は、丸々物納だから出ないんです。だから、みなし国税で、後々の建設省の補助金の先渡しだということで東京都に用地の現払いが来ちゃえば、追いつく話だ。だけど、これは恐らく難しい話だ。
 それから、さっきいろいろといいました。あと、多摩でみどりの武蔵野の回廊で残っていくのは、私は屋敷林は残ると思う。屋敷林というのは売らないですよ。ご先祖様に申しわけないという気持ちが強いから。その屋敷林の一部をポケットパークみたいにして線でつないでいくようなネットワークをつくったらいいなと思う。何がネックになるかといったらば、相続のときは恐らく売らないでしょうけれども、ランニグコストは問題ないんです。そういうときのイニシアルだけなんですね。それをどういうふうにクリアしていくのか。例えば、その部分だけは管理協定なり何なり結んで、ポケットパークとして当該市が管理しますよ。そういう場合には、そういう部分についても何平米以上については、さっきいった、全額減額なんて虫のいいことをやったってしようがないんだから、相続税の場合の評価額を半減してやりますよといえば、喜ぶわけです。そういういろんな制度があると思う。
 最後にいたしますが、したがって、そういう意味で私は、都市計画局としては、もちろん皆さんは、それぞれみどりをどうつくっていくかとか、いろいろお考えになっている。しかし、それは各局にまたがることですから、あるいは、国の制度、市町村との絡み、民間公園といったって、なかなかどういうふうに育成していくの、指導していくのと、いろいろな課題がある。
 そうすると、ややもすると、都市計画マターでできるこの答申のうち、後ろの見直しだけを進めるということであってはならないだろう。公共、公益性という公園事業という中で、それはないけれども、時代背景の中で見直しした、あるいは財政の中で見直しした、しかし、トータルとしてのみどりの戦略はより高まっていますということにならないと、さっき、かち委員ご指摘のように、五ヘクタールを純減させて、それで行政が責任を果たせるんですかという議論になっちゃいますから、ぜひ、その二つの面での戦略性を高めていただきたいというふうに強く要望いたしまして、持ち時間でございますので、終わりにいたしますが、何かございましたら、ご答弁をいただければ幸いでございます。

○勝田都市計画局長 野島副委員長から、大変貴重な数々のご提言といいますか、ヒントをちょうだいしました。私ども、公園そのものは、非常にその時代時代のいろいろな条件の中で、最大限、整備に努力してまいりました。今は若干逆風の位置にいるといいますか、そういうことかなというふうに思っておりますけれども、都市計画そのものは、やっぱり長いスパンで考えることでございますから、先ほど来の議論の中でも、公園の整備を後退させるというつもりは毛頭ないわけでありますけれども、ただ、現実に即応するという面も確かに必要でございまして、そういう意味で、調和を図る方策を検討していくことが必要だろうというふうに考えております。
 今、いろいろな幅広の、例えば税制を絡めていろいろ施策を展開するとか、そういったいろいろヒントをちょうだいしましたので、こういったものも十分参考にさせていただきまして、今後の施策に反映していきたいというふうに思います。

○野島委員 ありがとうございました。終わります。

○相川委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○相川委員長 異議なしと認めます。よって、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市計画局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時十三分散会

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