委員長 | 林 知二君 |
副委員長 | 真鍋よしゆき君 |
理事 | 野上じゅん子君 |
理事 | いなば真一君 |
理事 | こいそ 明君 |
清水ひで子君 | |
大河原雅子君 | |
山田 忠昭君 | |
かち佳代子君 | |
樋口ゆうこ君 | |
大塚 隆朗君 | |
林田 武君 | |
新藤 義彦君 |
欠席委員 一名
出席説明員都市計画局 | 局長 | 勝田 三良君 |
次長 | 藤井 浩二君 | |
技監 | 梶山 修君 | |
総務部長 | 村松 満君 | |
都市づくり政策部長 | 森下 尚治君 | |
都市づくり調整担当部長 | 南雲 栄一君 | |
参事 | 金子 敏夫君 | |
都市基盤部長 | 山崎 俊一君 | |
外かく環状道路担当部長 | 道家 孝行君 | |
参事 | 宮川 昭君 | |
都市防災部長 | 成田 隆一君 | |
市街地建築部長 | 野本 孝三君 | |
環境局 | 局長 | 小池 正臣君 |
総務部長 | 西野 和雄君 | |
企画担当部長 | 梶原 秀起君 | |
都市地球環境部長 | 百合 一郎君 | |
環境改善部長 | 松葉 邦雄君 | |
参事 | 柿沼 潤一君 | |
自動車公害対策部長 | 山本 憲一君 | |
参事 | 月川 憲次君 | |
参事 | 中島 博君 | |
自然環境部長 | 徳毛 宰君 | |
廃棄物対策部長 | 福永 富夫君 | |
参事 | 松本 保幸君 | |
環境科学研究所次長 | 宮本 孝君 |
本日の会議に付した事件
意見書について
環境局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百八十二号議案 東京都環境基本条例の一部を改正する条例
・第百八十三号議案 都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
・第百八十四号議案 東京都廃棄物条例の一部を改正する条例
・第二百二号議案 地方自治法等の一部を改正する法律による改正前の地方自治法第二百四十二条の二第一項第四号の規定による訴訟に係る費用の負担について
報告事項(質疑)
・森づくり推進プラン(中間のまとめ)について
都市計画局関係
報告事項(説明・質疑)
・区域区分・用途地域の見直しに係る東京都素案について
○林委員長 ただいまから都市・環境委員会を開会いたします。
初めに、意見書について申し上げます。
委員から、お手元配布のとおり、意見書二件を提出したい旨の申し出がありました。
お諮りいたします。
本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○林委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○林委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、初めに環境局関係の付託議案及び報告事項に対する質疑を行います。次に、都市計画局関係の報告事項の説明聴取と質疑を行います。ご了承願います。
これより環境局関係に入ります。
初めに、付託議案の審査を行います。
第百八十二号議案、東京都環境基本条例の一部を改正する条例から第百八十四号議案まで及び第二百二号議案を一括して議題といたします。
本案については、既に説明を聴取しております。
これより質疑を行います。
発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○林委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○林委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
○林委員長 次に、報告事項、森づくり推進プラン(中間のまとめ)に対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
これより質疑を行います。
発言願います。
○林田委員 森づくり推進プランについて、少しお伺いしたいと思います。
この森づくり推進プランは、まことに結構なプランでございますけれども、はてさて、ちょっと待てよというような気持ちがありまして質問させていただきたいと思います。
今回の森づくり推進プラン計画の基本的な考え方の中に、この計画の性格を、平成十四年度の自然環境保全審議会及び農林漁業振興対策審議会から出された答申を踏まえ、緑の東京計画との整合性を図りつつとありますけれども、正直申し上げまして、緑の東京計画を策定したのは平成十二年の二月でございます。この策定によって、東京の森、東京の緑をいかに再生させるかということで、平成十三年、十四年、十五年と施策が進んできたはずであるし、私もそう思っていたわけであります。
今回の森づくり推進プランの施策と、緑の東京計画との施策はどのような関係になっているのか、また、整合性とは何なのか、まずお伺いしたいと思います。
○徳毛自然環境部長 平成十二年に策定された緑の東京計画は、森林を含む緑全般に関して、総合計画として策定したものでございます。この中で、森林の部分につきましては、荒廃している植林地を針葉樹と広葉樹が入りまじった針広混交林としていくことなど、森林の持つ公益的機能の視点、森林を守るために林業の活性化を図るという産業振興の視点の両面から施策化されております。
その後、平成十四年度には、森林の荒廃に対処するため、環境保全と産業振興の幅広い視点に立った森林整備のあり方と林業振興の基本的方向についての答申が自然環境保全審議会と農林漁業振興対策審議会から出されました。今回の森づくり推進プランは、緑の東京計画を踏まえ、この二つの答申を受けて策定する森林に関する実施計画でございます。
○林田委員 お答えをまたいろいろくどくどいうと、いろいろありますので、質問を続けさせていただきます。
第3章で、森づくりを推進するための三つの方向と七つの戦略には、時代の変化を踏まえ、施策の転換を図っていくとありますけれども、東京都が今のままの森ではだめだ、何とか荒廃した森を再生しなければ、同時に、地域の活性化を図っていかなければと、施策を進めてきたわけでございますけれども、今回のプランで、施策の転換というのは一体何を指すんでしょうか、お聞かせ願いたいと思います。
そして、この施策の方向転換と、三つの方向と七つの戦略との関係をお伺いしたいと思います。
○徳毛自然環境部長 すべての森において木材生産を重視し、産業振興施策の対象を林業のみとして、森林所有者等に任せてきた森づくりのままでは、森林の荒廃を防ぐことができず、地域経済の活性化も図れないために施策転換を図り、新たに三つの方向性を打ち出したものでございます。それらは、第一に、木材生産を重視する森と、公益的機能を重視し、針広混交林化を図る森に区分し、保全と利用が調和した多様な森づくりを行うこと、第二に、林業のほか、観光、健康やエネルギーなどの森林資源を活用した新たな産業を開拓すること、第三に、森に対する都民の理解を広げ、都民の参加、協働により森を守る仕組みをつくっていくことでございます。
また、このプランにおきましては、ただいま申し上げた三つの方向性を具体化する取り組みを七つの戦略としてまとめたものでございます。
○林田委員 東京都は、平成十四年から五十年間の計画で、荒廃した多摩の森を間伐により再生する多摩の森林再生事業を始めたわけであります。これは、森林の公益的機能を回復させることを目的とし、都みずから間伐を行って、将来的には針葉樹と広葉樹とのまじった針広混交林化を目指すものと聞いております。その総事業面積は一万八千ヘクタールで、一つの森林に対して五十年間で四回間伐を実施するということで、環境局では、平成十四年度、三億四千三百万円、平成十五年度、四億八千万円の予算を計上したわけであります。ちなみに、産業労働局では、平成十四年、二億五千七百万円、十五年、二億三千七百万円を計上しております。
平成十四年度について、間伐の成果は一体どうなっているのか、できれば産業労働局と合わせたその実績状況を教えていただきたいと思います。
また、環境局として、初めて間伐という山の仕事に踏み込んだわけでございますけれども、一年間事業を実施されまして得た感想をお聞きしたいと思います。
○徳毛自然環境部長 平成十四年度の実績につきましては、環境局の森林再生事業は林業経営が困難な森林を都の事業として間伐を行い、森林の持つ公益的機能を確保する事業でございまして、間伐面積五百九・九ヘクタールで、要した経費は約二億四千百万円でございます。
一方、産業労働局所管の間伐は、森林所有者等に対する補助事業であり、間伐面積五百九十七・一ヘクタールで、補助額は約二億七百万円でございます。
また、初めて都の取り組みとして森林再生事業を一年間実施した感想ということでございますが、森林は、地形や木の生育状況など森の状況が複雑であり、間伐を実施する場所の特定や隣接地との境界の確認に予想以上に手間と時間がかかることがわかり、現場での苦労を実感しております。そのほか、森林所有者の方々の意向もさまざまで、環境の視点からの間伐という新しい考えを浸透させるために苦労をいたしました。
これらを通じ、地元の実情、地域の意向等を踏まえまして事業実施していくことが大切であることを実感いたしました。これからも森林所有者、森林組合、市町村などの意向を十分尊重しながら、都民共通の財産でもある東京の森を活性化していく森林再生事業を推進してまいります。
○林田委員 私は、ことしの一定で、多摩の森林について一般質問させていただきました。今回の森づくり推進プランで示された施策には、私がこれまで地元の森林組合、木材業者、そして地元市町村と話をする中で指摘した内容が盛り込まれていることでありますけれども、具体的には、森の再生には間伐や針広混交林化が必要であることはいうまでもありませんけれども、また、木材生産によるまちの活性化が大事であること、さらには、最も大切なことは、木質バイオマスを組み込んだ森の循環システムであると、地元は長い間声を大きくしていってきたわけであります。
私は、森の循環システムの構築が森の再生に効果的と考えているわけですが、今回の中間のまとめでは、森が果たす役割を保全型と生産型に区分することとし、そのためには学識経験者、都、地元市町村、森林所有者により森づくり協議会(仮称)で合意を得て策定すると書いてあるんですけれども、まだ何かさらに合意しなければならないことがあるのか。推進実行までには大変時間がかかるんだなというのが私の実感でございますけれども、保全型と生産型に区分する必要があるということでありますけれども、この区分について施策をお聞きしたいと思います。
○徳毛自然環境部長 長引く林業の低迷によりまして、間伐などの手入れが行われず放置され、荒廃した森林が拡大しまして、洪水防止や土砂災害防止などの森林の持つ公益的機能の低下はもはや一刻の猶予もならない深刻な局面となっております。かつては、林業が東京の森林全体を守ってまいりましたが、今林業単独では森林全体を守り切れない事態となってまいりました。このため、林業で管理できる生産型の森林と、林業では管理できず、放置すれば荒廃が進むため、公益的機能の確保が必要な保全型の森林に区分したものでございます。これにより、それぞれの区分に応じた重点的施策展開を行い、森林全体を効率的に守ることが可能となると考えております。
○林田委員 いろいろ質問させていただきましたので、最後に、要望を兼ねて一言申し上げたいと思います。
私の地元は、ご承知のとおり西多摩地区であります。奥多摩町、檜原村、そしてまた、日の出町、あきる野市と、まさに多摩の森林を抱えた地区であります。森林を抱えた地区の声をいかに都政に反映するか、都政にご理解をしていただくか、これはまた、私の大きな仕事で大きな課題であるわけであります。
森林の再生については、今東京都が森林を抱えている自治体だけの問題ではなくて、東京都全体の問題であるということで、石原東京都知事になってから位置づけていただきまして、真剣に取り組まれていることには、私は正直申し上げまして高く評価しているところであります。
特に環境局におかれましては、森林再生担当の小幡課長さんや、あるいは産労局の三谷林務課長さん、よく現場へ行かれまして、現場の皆さんに大変信用の厚い課長さんで、現状をよく知っているということで、私も本当に評価し、また、信頼をしている課長さんでございます。環境局において、今回の森づくり推進プランをぜひ実現し、果敢に実行していただきたい、そういうことを申し添えまして質問とさせていただきます。
ありがとうございました。
○樋口委員 東京都として、産業労働局、環境局、二局合同で森づくり推進プランの中間まとめが初めて発表されたことには、少々遅過ぎるのではないかと驚きながらも、大変評価させていただいております。しかし、内容としては、少々スローガン的なものが多く、具体性に乏しく感じてもおります。
この中間まとめに記載されている河川や森林に関する世論調査によれば、東京の森が荒廃しつつあることを知らない都民の方が六割に上っています。一方、森林を守り育てるために何をしたらよいかという問いには、募金やオーナー制度への協力といった回答が一位、二位を占めており、みずからボランティアとして森に触れることを希望した都民の方は二割にも満たない結果でありました。このことは、森の持つ公益的機能がみずから深く関係し、重要であるという意識が希薄なのではないでしょうか。
それとともに、森に関心がなくなった、いいかえれば、愛情が薄れていったともいえるのではないでしょうか。古来日本では、お月見や野立てやもみじ狩り、花見、そんなものが日常生活において自然四季を楽しんできておりましたけれども、そういった自然や森に親しむという習慣が少しずつ失われてきているように感じられます。私自身も中野区に住んでおりますが、日常、東京の森を意識することは多くありません。今後、都民とともに森づくりを進めていくためには、東京の森は都民共通の財産であり、みずからが育て、守るべきものであるということを都民全体の共通意識とすることが重要であると思いますが、ご所見をお伺いします。
○徳毛自然環境部長 生物多様性の保全や水源涵養など、森が持つ公益的機能の恩恵は多くの都民がひとしく享受するものでございます。しかし、長期にわたる林業低迷のため、森の多くは手入れが行われずに荒廃が進み、森の公益的機能も十分発揮されない状況となっております。したがって、このプランでも、東京の森は都民の共通財産であるとの認識を基本といたしまして、森は森林所有者などの自主的な管理だけで守るのではなく、都民が参加、協働して取り組むことが必要であると考えております。そのために、都民が森や木について理解を深め、ボランティアとして森づくりを手伝うなど、都民全体で森を守る新たな仕組みについて検討してまいります。
○樋口委員 この森づくり推進プランは、多摩の森林五万三千ヘクタールが主な対象となっています。しかし、東京には、雲取山から小笠原まで七万九千ヘクタールにも及ぶ多様性に富んだ森林があります。森林には、木材生産のほか、生物多様性、水源涵養、観光資源など、その地域によってさまざまな機能を持っております。また、市街地の雑木林にも都市の冷却機能や都民の身近な憩いの場としての機能があります。つまり、視野を広げれば、東京にある多くの緑をこのプランに取り込むことができると思いますし、その方が多くの都民の緑や森の重要性に対する意識を高めることができると考えます。
そして、ほかの地域でも、それぞれの問題を抱え、中には緊急を要するものもあり、結果として荒廃が進んでいる状況です。なぜ今回のプランでは、多摩の森林だけを対象にしたのかお伺いします。
○徳毛自然環境部長 東京の森のうち、多摩の森が七割近い面積を占め、さらにそのうちの六割が人工林でございます。これらの人工林は、適正な手入れにより初めて健全な森として生育するものでございます。しかし、多摩の森の多くは手入れ不十分なために荒廃して、現在危機的な状況になってございます。このような森の荒廃を食いとめて、多摩の森林が持つ公益的機能の確保や、多摩の森林資源を生かした新たな森林産業の開拓について早急に取り組む必要がございます。これらのことから、このプランでは多摩の森を主な対象といたしました。
○樋口委員 私は、区部に住む都民も、もっと東京の森に触れ、森の機能を知り、森を守り育てようという気持ちを持ち、そして、それを行動に移していただきたいと思っております。そのためには、森が魅力的なものでなくてはなりません。多摩の森は都心から一、二時間の距離にあり、そのほとんどが自然公園に指定されています。その中にも、そしてその近くにも、温泉や酒蔵、名所旧跡、景勝地もあります。このような資源の魅力を生かして、都民の関心を高め、多くの都民が森と何らかの形でかかわり合いを持ち、森に触れる機会を多く持つことも必要です。そのことが、結果的に都民の環境に対する意識を高めることにも、また、地域の振興や地域の活性化にもつながることだと考えております。そのような施策に積極的に取り組むべきだと考えておりますが、いかがでございましょうか
○徳毛自然環境部長 多摩部には、秩父多摩甲斐国立公園、明治の森高尾国定公園、さらに六つの都立自然公園がありまして、森が公園の重要な景観要素となっております。多摩の森は、このように自然、歴史、文化の面においてすぐれた資源を有する地域といえます。今回のプランでは、自然公園などの森において針広混交林化を図り、四季の彩り豊かな森の中にいろいろな野生動植物が生息し、多くの都民の心と体をリフレッシュさせてくれる場となるよう取り組んでまいります。
また、都市部に隣接する里山林では、都民のレクリエーションやボランティア活動の場として活用しながら、里山独特の自然環境を良好に保全するよう取り組むこととしております。このようにして、多摩の森の魅力が高まり、多くの都民が集い、にぎわい、地域の振興や活性化に貢献できるよう積極的に施策を推進してまいります。
○樋口委員 この森づくり推進プランの東京の森林を、林業という産業の視点ではなく環境の視点を取り入れ、また、林業のプロだけではなく、多くの都民がかかわり合いを持つことが重要であるという考え方は評価させていただきます。今後、森林が都民や東京というまちの大切な財産であるということを広く周知して、一人でも多くの都民が森の大切さを実感できることができるよう、そして、使命感や義務感で都民を引き込むのではなく、まず都民から愛され、誇りに思うような森づくりが大切であるかと考えております。そのことも加味していただきたく、森づくりを推進していただきたいと思います。
質問を終わります。
○野上委員 私の方から、戦略5、森づくりを支える人を育てるところからご質問させていただきたいと思います。
この中で、プロの技術者としての森づくりの担い手及び森林経営の後継者の育成と森林ボランティアの育成を五年間の目標として掲げてございます。私は、森林だけでなく、東京の緑の保全を進めるためには、NPOやボランティアなどの組織や人材を掘り起こし、また、育成していくことが不可欠であると考えております。東京の保全地域においては、既に幾つかの場所でこのように緑を保全することを目的とする市民ボランティアの活動によって保全が進められると聞いておりますけれども、まず、どのような保全地域で、どういうボランティア活動が行われているのか伺います。
○徳毛自然環境部長 保全地域におけるボランティア活動についてでございますが、現在、東京の保全地域は四十四カ所ございます。そのうち二十五カ所において、市民団体によるボランティア活動が行われております。活動の内容といたしましては、草刈り、間伐、萌芽更新、自然観察などでございます。都としては、これらのボランティア活動に対して、用具の貸し出し、管理小屋の設置などの支援事業を行っております。
また、青梅上成木森林環境保全地域では、昨年度から、公募により広く都民ボランティアを募集し、保全活動を行っております。
○野上委員 今ご説明がありましたけれども、今回環境局が中心となって、企業、NPO等と連携した初めての森林環境保全の取り組みということで、青梅の上成木森林環境保全地域をフィールドとして、民間企業やNPOと連携した初めての森林環境保全の取り組みを実施することになったと聞いております。過去二回、七月十三日と八月十日に行われて、三回目が今度の十月五日だと思うんですけれども、この取り組みには環境局が中心となって、あと東京コカ・コーラボトリング株式会社、そしてNPOの方たち、それから環境学習研究会の方たちも参加したのかと思うんですけれども、その内容について詳しくお伺いしたいと思います。
○徳毛自然環境部長 青梅上成木森林環境保全地域は、昨年十二月に、森林環境保全地域としては初めて、第一号として指定した約二十三ヘクタールの保全地域でございます。今年度はこの保全地域において都が主催する保全事業のほかに、先ほどご指摘のように、初めて企業及びNPOと連携した森林環境の保全に取り組んでおります。この活動において、企業は活動資金の提供や社内ボランティアの参加、NPO法人は活動の運営やボランティアの募集、都は活動の場の提供や道具類の貸与などの役割分担のもとに、間伐体験、道づくり、自然環境調査を初め、地域の参加者同士の交流活動などを実施しております。
また、八月には、親子の参加による間伐体験や自然観察会を実施しており、広く都民が森に触れ合う機会を提供しております。
○野上委員 こうした保全活動に参加した人というのは、定員が五十名ということになっておりますけれども、こうした都民のボランティアの方たちの感想というのはどうだったのかということと、それから、一回目、七月十三日、二回目、八月十日になっておりますけれども、人数は減っていないのか、引き続き次の保全活動へも参加したいという方々は多いのかどうか、ここら辺のことをお聞きしたいと思います。
○徳毛自然環境部長 ご参加いただいたボランティアの多くの方々は企業との連携を評価しておりまして、他の企業にも働きかけるべきとか、このような連携を他地域でも推進すべきなど好評でございました。
また、継続的に公募による保全活動を行っている青梅上成木森林環境保全地域では、毎回半数程度の方がリピーターとして継続して参加しており、そのような人たちの中からは、自主的に運営に参加する方が出てくるなど、今後の活動の中核として育ちつつあります。
○野上委員 人数は……。
○徳毛自然環境部長 五十名でございます。
○野上委員 一回目も五十、二回目も五十ですか。--森林の保全活動だけでなく、里山や市街地の雑木林においても、ボランティアの方々による保全活動の重要性がますます増してきていると思います。都では、このような緑のボランティアに対してどのような施策を行っているのでしょうか。
○徳毛自然環境部長 緑のボランティアに対する施策としましては、まず、平成十三年度から、東京都緑のボランティア登録制度を実施しております。これは、緑のボランティア活動希望者と受け入れ団体を登録制度によって結びつけ、活動機会の提供などを行うことにより、ボランティアによる緑づくり活動を促進することを目的としております。
なお、この制度を補完するため、十四年度から、活動希望者と受け入れ団体を一堂に会した情報交換の場として、緑のボランティア交流会を開催しております。
また、登録した緑のボランティア活動希望者に実際の活動を体験してもらうための緑のボランティア体験活動実習を保全地域を使って実施しております。
次に、同じく平成十三年度から、緑のボランティア活動に関する指導者認定講習を実施しております。これは、都民による自発的な自然観察や緑地保全等の活動を促進するために、普及啓発、技術指導等を行う指導者を育成するものでございます。平成十三年度、十四年度は初級の認定講習を行い、今年度は初級と中級の講習を行うこととしております。
○野上委員 現在、緑のボランティア登録制度による登録者数や指導認定者がどのくらいいらっしゃるのか伺いたいと思います。
予告をしていなかったんですけれども、こうした緑のボランティアに対して、指導者になるには、緑のボランティア活動に関する指導者の会に参加をして認定講習を受ければ、そういった緑のボランティアということで認定されるのでしょうか、お伺いしたいと思います。
○徳毛自然環境部長 まず、緑のボランティア登録制度に基づく登録者数は、平成十五年八月現在、個人登録者が五百三十六名、団体登録が六十団体でございます。
また、初級緑地保全活動指導者の認定を受けた方は、平成十五年八月で百十名、初級自然観察、体験活動指導者の認定を受けた方は四十九名でございます。
なお、初級、中級、上級の認定の条件でございますが、初級は一年の実務経験、中級は三年の実務経験、上級は五年の実務経験でございます。
○野上委員 この緑のボランティア指導者認定制度で認定された方々が実際に活躍できるような場をつくるとともに、企業やNPOとの協働による緑の保全活動を充実していくために、今後どのようなことをされるのでしょうか。
○徳毛自然環境部長 指導者認定を受けた方につきましては、緑のボランティア体験活動実習などの機会にグループリーダーをお願いするなど、指導者としての知識や技術を生かしていただいております。今後とも、指導者認定を受けた方の名簿を公表するなどPRに努めるとともに、現場実習等の場にご参加いただき、指導者として活躍していただけるような機会を確保してまいります。
なお、今年度、青梅上成木森林環境保全地域で行った企業やNPO等との連携については、今後、他の保全地域においても同様の取り組みを拡大していくように検討してまいります。
○野上委員 最後に、多くのNPO法人の方がボランティアで山の再生のために手弁当で交通費も自前で参加をして、道をつくったり、間伐をしたり、そういう活動をしていらっしゃいます。そのNPOの方たちいわく、自分たちもそういうグリーンセイバー制度みたいな資格をきちっと認定していて、プロ的な、グリーンセイバーの上級の方は、だれにも負けないプロの技術を持っているという話をお聞きしております。
都としての支援は、年に二万円以内の消耗品で工具を買うことができる。そこら辺を支援していただいているという話なんですけれども、ぜひこうした能力のあるNPOの人たちもしっかりと一緒に連携をとりながらやっていくことによって、どこかの企業にぼんと任せて何億円とかと払うのではなくて、そういう人たちを一緒にしながら、緑の保全をしていただければ、もっと効率的に安くできるのではないかなということを感じました。
それからあと、水元公園で行われている大自然塾というのがあるんですね。この計画の中にも、五番目の森林ボランティアの育成の中の大自然塾というのがありますけれども、実は、これはお聞きすると、建設局が中心になってやっていらっしゃるということなので、結構縦割りなんですけれども、それぞれの局がいいことをやっていますので、しっかりと連携をとりながら、効率よく、そういった事業を進められるといいのではないかなということを感じましたので、つけ加えておきます。
以上でございます。
○清水委員 森づくり推進プランの出発点は、一九九二年に、地球サミット国連環境開発会議で採択された森林原則声明にあり、森林を生態系としてとらえ、森林の保護と利用を両立させる持続可能な森林経営の考え方を打ち出したことによるものと思います。この間、我が党としても、国産材の利用促進等輸入規制による林業の再建を二十一世紀の生存基盤にかかわる課題の一つとして位置づけて、各方面に働きかけてきたところです。
しかし、我が国の林業木材産業は、輸入依存、国内産業切り捨て政策に加え、特に九〇年代後半からの顕著な木材、木製品価格の大暴落は、崩壊の危機を一層深めています。そして、一九七五年に二十二万人いた林業就業者は、二〇〇〇年には七万人に激減し、森林の守り手さえいなくなりかねない事態になってきました。さらに製材業の倒産、廃業は続き、植林しても、下刈りや間伐がされない。伐採しても植林しないまま放置されている林地が目立つようになり、森林の荒廃と内部崩壊がだれの目にも見えるようになってきたわけです。
その理念の具体化として、国における林業基本法改正がされ、その改正に盛り込まれたのは、森林の有する多面的機能の発揮、林業の健全な発展、林産物の利用の促進です。その部分が今回の推進プランにつながっているものというふうに思います。
しかし、一方、従来の林業基本法が目的にしていた林業総生産の増大、林産物の需給及び価格の安定など三項目が削除され、林業基本計画に自給率目標は入れられなかったという弱点があります。そういう中で、東京都が行う林業再生事業は、政府の輸入依存政策のもとで、国内林業をないがしろにしてきた政府の責任というものも改めて問われなければいけないと思いますが、都としてこの対策に乗り出すことは非常に重要だと思います。
さらに、この実効性を持つことが必要だという立場から、何点かお伺いしたいと思います。
まず、先ほども触れられましたが、森の果たす役割に応じて、公益機能の発揮を重視する保全型と、持続可能な木材生産を行う生産型を区分すると聞いていますけれども、この区分するに当たっては、その考え方や基準を定めることになると思うんですけれども、森林所有者などの利害に大きく絡んでくるわけで、その考え方や基準についての関係者の合意というのはどのように形成していく予定なのでしょうか。
○徳毛自然環境部長 この区分を私有林に適用することは、その後の森林管理の内容を大きく方向づけることになることから、森林区分及びその基準は、森林分布や杉、ヒノキの生育適地、林道などの整備状況、レクリエーション利用や景観づくりなどを総合的に勘案して、今後学識経験者、都、地元市町村、森林所有者等による、仮称でございますが、森づくり協議会で合意を得て策定してまいります。
○清水委員 この区分は、今お話のあったように、利害というものや、それから、森への所有者の思いというものが非常にさまざまだというふうに考えます。十分な合意の上で、その区分に当たっては進めていただきたいというふうに思います。
次に、森林再生事業について、平成十四年度の間伐にかかわる、先ほど実績についてはご報告がありましたけれども、当初の計画面積と実績面積というのはどうなっているのでしょうか。
また、当初計画と実績という点で乖離があるとすれば、どのような理由なのでしょうか。
○徳毛自然環境部長 平成十四年度は、六市町村を対象として、当初計画面積九百六十ヘクタールに対しまして、実績面積五百十ヘクタールでございまして、執行率は約五三%でございます。執行率が五三%にとどまった理由としては、初年度であり、市町村との契約内容や森林所有者との協定内容などの調整に期間を要したことから、契約締結後、市町村が実際に森林所有者と接触する時間が限られ、事業内容が森林所有者に十分浸透しなかったことなどが挙げられます。
また、執行率にばらつきがあり、市町村によっては実績が伸びなかったところがございますが、これは、協定内諾までこぎつけたものの、所有者の急な都合で協定に至らなかったことなどの理由によるものでございます。
○清水委員 六市町村ということで、それぞれ今お話があった事情が市や町や村にはあるものというふうに思いますが、例えば日の出町の計画実績というのは百ヘクタールで、間伐実績というのは二・四ヘクタールなんです。これがどんな理由なのかなというふうにお聞きすると、何度も所有者との契約というようなことが返ってきたわけですけれども、町の方に聞いてみますと、日の出町が森林面積が五百五十三ヘクタール余りある。これを百ヘクタール目標にするということで、周囲の保全林とか、個人所有林とかいうことで、その条件というのが限られているわけです。しかし、そういうふうに条件を限ると、とても百ヘクタールはないよというようなこともいわれているわけなので、これは、都が目標にしているものと、町や村、市の実態と、さらにいろいろと調整していくものとは思うんですけれども、これが、ことしも百ヘクタールだというふうに聞いていますので、ぜひそれに近づくように条件なども努力をしていただきたいと思います。
市町村からは、森林再生事業について改善するところが、始まったばかりだからということもあると聞いていますが、この事業を効果的に進めていくためには、これまで私たちは森林所有者、森林組合、森林作業従事者まで含めた協議会を設置していただきたいということで要望してきたわけなんですけれども、そうした幅広い意見を踏まえて実施していくべきだと考えますが、どうでしょうか。
○徳毛自然環境部長 本事業は、十五年度で二年目に入りましたが、事業の実施方法の改善につきましては、市町村など関係者の意見を聞きながら即時対応してまいります。
また、より地域の実情を反映した効果的事業とするために、森林所有者の意向を把握している市町村と環境局及び産業労働局の課長をメンバーとする森林再生事業推進連絡会議を設置し、必要な場合には、森林組合を交えて事業実施上の課題について検討を行っております。こうして市町村の理解、協力を得るとともに、市町村みずからが主体的に地域の実情に対応した事業実施が可能となるよう努めております。
○清水委員 森林組合や森林従事者などの意見をもっと恒常的に聞くことができるような、そういう場にしていくべきだというふうに思います。
森林再生事業を成功させるためには、木材利用について、これは産業労働局が中心になっているということなのですけれども、ここで環境局も五十年にわたって間伐作業を行うわけです。そういう意味では、環境局も、この木材の利用を進める協議会などがあるようですけれども、それに参加し、生活関連公共事業に木材、特にこの地域でとれる材木を利用できるような、環境局としてももっと積極的な働きかけが必要だと思いますけれども、どうでしょうか。
○徳毛自然環境部長 森づくり推進プランでは、循環型森林経営や木づかい運動などを通じまして、多摩産材の利用拡大のための仕組みづくりや施策を提言しております。プランにある戦略の事業化に当たりましては、所管局がそれぞれの役割分担の中で、最も効果的、効率的に実施していきます。
○清水委員 環境局はそこからは入っていないということなんですけれども、十一年度から十四年度まで、庁内木材使用実績というのを産労局からいただきました。産業労働局、建設局、住宅局、財務局営繕部、教育庁などで木材を使用している実績を伺ったわけですけれども、十一年度が一万三千九百十三立米に対して、毎年減少しているというのが実態なんです。
十二年度一万一千五百五十七、十三年度九千四百七十二、十四年度五千三百十八ということで、これでは、今行っているような木材、材木、間伐して、これは後から聞きますけれども、放置していくということで、環境局はその木材の利用については考えない、一緒に産業労働局とやるとはいっているんですけれども、都民に環境の視点から木材を利用するのはどういうことなのかということをもっとアピールして、木材の価格をもっと上げていくということをしなければ、生産型にした産業労働局の側の森林なども、どんどんとこれがまた担い手も減ってしまうし、できなくなるということでは、間伐するのはいいのですけれども、それを使う場所、実際に生産型でとった木も使う場所をもっと広げなきゃいけないというふうに思うわけです。こういう庁内の実績表を見ても、もっと都の生活関連公共事業や、それからまた、外郭団体の行っているものなどにも、また、区市町村などにももっと働きかけるべきだというふうに思います。
ここの第2には、人と地球に優しい木の働き、特別養護老人ホームや学校の例で、木を使った方が健康になるとか、非常に体にいいというものが実証されているようですよね。インフルエンザの罹患者が木材使用の方が多い施設の方がかからないとか、こういう数値が出されているわけです。不登校の児童まで違うということで、初めてこんなふうに聞いたわけですけれども、そういう意味では、もっとPRしてもいいのではないかというふうに思います。
さて、環境局が間伐した後、間伐材は現場に置くという方針をとっているわけです。現状では仕方がないことではありますけれども、この間伐材を含めた木材の利用促進について、もっと行うべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○徳毛自然環境部長 大量に発生する間伐材につきましては、有効に活用することが望ましいのですが、多摩の森林再生事業は、林業が成り立たない森林を対象として速やかに実施するものでありまして、そこで発生する間伐材の活用はコスト面で極めて困難な状況にございます。このため、現在発生する間伐材は安全に十分配慮した上で現地に横伏せしておくこととしております。
活用可能な間伐材を含む木材利用の促進につきましては、プランで示した新たな戦略、施策に基づきまして、それぞれの役割分担の中で所管局が実施してまいります。
○清水委員 所有者の方が、ここは保全型で間伐をしていただくというふうに承諾するわけですけれども、でも、所有者としては、自分で丹精込めて育ててきた木なわけです。それが、そういう状態になったとしても。だから、その後放置されるというようなことでは、非常に心を痛めている方もいらっしゃるというふうに伺いました。
そしてまた、大雨の際の流出などは、産業労働局に聞くと、これは大丈夫なんだというふうにいわれているんですけれども、私は実際に檜原村で起こった土砂崩れなどを見に行くと、放置された木材が寝ているところもあったように思うわけです。それは、そうではないのではないかというようなこともいわれましたけれども、しかし、そういう危惧がないわけではない。
最初にお話ししたように、国産材の木材価格安定に少しでも貢献できるような木材利用を進めるためにも、間伐材の利用の促進、そして、木材の利用の促進を環境局としてもPRをしていただきたいと思います。
そのほか要望としては、費用の支払いが間伐後の検査終了後になっているので、運転資金の補助をしてほしいとか、産業労働局のよみがえれ東京の森の事業と一体に進められないかとか、この事業が五十年を展望したものであれば、高齢化した林業従事者の後継者育成に本格的に取り組んでほしいなど、環境局と産業労働局両方に出ているわけなんですけれども、そういう要望なども出ているので、今後検討していただければというふうに思います。
以上です。
○こいそ委員 それでは、何点かこのプランにつきましてお尋ねさせていただきたいと思います。
森づくり推進プランの趣旨であります、森林を環境の視点から保全して、公益的機能を向上させていくんだ、こういう考えは評価できるわけでありますが、しかし、一方で、ここにも記載がありますけれども、丘陵部の里地里山は、昔から引き継がれてきた水田や雑木林等々の管理の手が離れて、そしてさらに、その荒廃が進んできている。このような状況も当然少なくないわけでありますけれども、こういった丘陵地には、また一面、開発の振興が依然押し寄せてきておりまして、次々に貴重な東京の里山が喪失されてきているという現状だと思うんです。
自然保護条例では、開発規制や保全地域の指定などの制度はありますけれども、現実は貴重な自然の喪失がとめられていない状況ではないかと思います。環境局としてどのように実効効果の上がるような自然を、東京の、また多摩の自然をどのように守り、保全していくのか、改めてお聞きしたいと思います。
○徳毛自然環境部長 里山は山地と市街地の中間に位置しておりまして、水田や畑を中心に、ため池や用水路、また、湧水や周辺の雑木林といった多様な環境要素によって構成されており、生物多様性の面からもかなめとなっている場所であると認識しております。このような自然環境上貴重な里山を保全する手段としては、自然保護条例に基づく里山保全地域の指定がございますが、この指定には、土地所有者の理解や継続的に保全管理できる体制づくり、また、厳しい財政状況下における土地の公有化など、多くの課題がございます。
このため、これまで複数の地域で地元自治体や市民団体などの参加を得まして、里山保全のあり方を検討する場を設置するとともに、一部の地域では、試行的にボランティアによるササ刈りなど、植生の復元活動に着手することとしております。
また、緑地保全地域や歴史環境保全地域など既存の保全地域におきましても、水田やため池の復活、都民ボランティアによる草刈りなどにより、里山の復元や保全活動を行っております。
今後、都民、NPO、企業などとも連携して、財政的な負担を軽減する管理手法など、具体的な里山の保全方策について検討してまいります。
○こいそ委員 市街地に残る貴重な自然の場所も、最近では相続等によって土地所有者が土地を売却、手放して、そのたびに自然が失われてきている現状もあります。保全地域の新規指定は、山地や丘陵を対象としていくとして、市街地の緑は地元自治体の役割だそうでありますけれども、広域的な行政自治体である広域行政体としては、当然このような貴重な市街地の自然を保全していく役割はなくなってはいないところでしょうし、また、東京都環境局として、これらの市街地の自然をどのように保全をしていくのか、そのあたりをお願いしたいと思います。
○徳毛自然環境部長 平成十二年度の自然保護条例改正によりまして、都が保全地域の指定をするに当たっては、広域的な視点からの取り組みが求められる、山地から丘陵地の緑を主たる対象とすることといたしました。これは、緑地保全地域と類似した制度である都市緑地保全法による緑地保全地区との役割分担を整理したこと、及び今後の保全地域の指定については、丘陵地や産地の緑地としていくことが適切であるとする東京都自然環境保全審議会の答申を踏まえたものでございます。
なお、市街地の中にある貴重な自然につきましては、基本的に地元自治体が都市緑地保全法の諸制度などを活用し、市民、NPOなどの協力を得て保全していくものと考えておりますが、都としても、広域自治体として、区市町村に対し保全施策の推進を働きかけるほか、技術的な分野などで支援してまいります。
○こいそ委員 都市計画法、また、自然保護条例にいたしましても、基準に合致しているという理由で、開発の許可は当然なされていくことはいうまでもありませんけれども、その結果、貴重な動植物などの自然環境が失われてきている。例えば非常に貴重な動植物、とりわけ植物でありますけれども、タマノカンアオイというのがあります。このタマノカンアオイが大変群生をしている。大変に多くの自然の中で群生している珍しい事例があるわけでありますけれども、しかし、それは何とか残してほしいという要望する中においても、局は違いますけれども、開発行為をぽんと出してしまう。
では、環境局はどうするんだという話をしたら、しようがないですねと。一面では、多摩の自然や東京の自然を守っていくんだ、保全していくんだといっても、それはできないですね。精神はわかるけれども、できないですね。どんどんその貴重な--タマノカンアオイは何ですか、後でまた認識を説明してもらいたいけれども、残すべきものなのか、貴重ではないのかどうなのか。
それだけではない。さまざまありますけれども、種類は後ほどまた触れさせていただくけれども、こういうものを一方では守るんだ、一方では保全するんだ、プランを出すんだといったって、開発の名のもと、さまざまな状況下で喪失されているではないですか。局長、この現状はどうですか。
○小池環境局長 今ご指摘のあった点につきましては、開発行為と自然の保全というものをどういうふうに取り扱うか、環境局は基本的に自然環境の保全ということが大原則ではないかということで、その中で開発行為が行われて自然が失われる、こういうご指摘でございますが、基本的には、環境局の基本的な使命といたしまして、東京に残されている貴重な自然を保全していく、さらには、可能な範囲で回復していくというのが基本的なスタンスでございます。
今お話がありました多摩の自然の中で失われていく、開発の圧力に対して、そんな中でどうやって自然を保全していくかということにつきましては、私どももいろいろと条例の中でありますような、例えば自然が残されている良好な自然の地域につきましては、さまざまな保全地域を指定していく。これもなかなか現実問題としていろいろな課題がございますが、もう一つは、今お話がございましたような開発行為に対してどうしていくかということでございますが、これも一定のルールのもとの中で、最大限自然を保全するような形で審査し、そしてまた、自然を残していくような形で指導していく。さらに、開発が許可される場合でも条件をつけていくということで、自然を残すような手だてを具体的に考えているというところでございます。
今おっしゃられた同じ東京都の中で事業を推進する主体と環境局との間の関係ということにつきましては、ご指摘の点、必ずしもどれがどれだということでは、私はちょっとわからない点がございますが、そういう点につきましては、同じ東京都の都市計画事業なり市街地事業なり、そういったものについては、これまでもよく協議しながら進めてはいるところでございますけれども、改めて点検する中で、自然の保全ということに努めてまいりたいと思っております。
○徳毛自然環境部長 タマノカンアオイのご質問でございますが、環境省のレッドデータブックによりますと、絶滅危惧種あるいは絶滅が懸念される植物というところに分類されております。
○こいそ委員 ということは、もういうまでもなくて、それは守らなきゃしようがないですね。例えば多摩丘陵、私の地元の丘陵の方も、多摩ニュータウン開発で里地里山だけではない、周辺の開発も含めて、どんどん開発ですよ。しかし、一面、国分寺崖線が対岸にあって、ここの対岸としての崖線は、すごくきれいな崖線がある。これを守ってほしいと。
さらに、オオタカのことはよくいろいろ出てきますけれども、オオタカだけではない。また、そこに流れる川には、これもよく出ているけれども、ホトケドジョウというのが生息している。それから、これは先ほども触れましたけれども、タマノカンアオイという植物が大変群生されているところが現実にあるんです。ここのところを私も指摘させていただきました。こういう場所があるんだけれども、具体的な話をさせていただいたけれども、これでもしようがないなという話だな。
要するに、一方では、同じ東京都だけれども、許可をせざるを得ない。要綱がそれぞれ合致しているからでしょうけれども、しかし、もう一面では、いろいろな貴重な、赤信号だかレッドカードだかよくわからないけれども、そういうさまざまな種類が現実にあるにもかかわらず、これが失われているということも現実にあるわけだ。移植すればいいではないか、こういう話もある。
しかし、それだけではないと思う。自然を守るんだということは自然でしょう。保全をしていくんだということは、これは意味合いはそのとおりだと思います。はっきりいって、こういうところの精神が伝わってこない。では、例えば保全地域指定という話が先ほどあったけれども、何カ所指定しているんですか。
○徳毛自然環境部長 現在、自然環境保全地域の指定は四十四カ所でございます。
○こいそ委員 今私が指摘しました箇所は、これに入っていますか。
○徳毛自然環境部長 ただいまのご指摘の場所は、多摩市の連光寺だと思いますけれども、多摩市は自然環境保全地域の指定はございません。
○こいそ委員 これは、何年も前から私はいっているんです。例えば、これは申しわけない。日野市からも連なっていますよね。八王子からだっていい、町田からだって結構だ。連なるところの、さっきいった崖線の延長しているところでしょうね。それから、先ほどいったいろいろな動植物の自然の生態系が残されているところは、これは稲城市もありますよ。非常にいい景観もある。自然林もある。里地里山がくっきりと多摩の丘陵の昔を思い起こすようなところも決して少なくない。
こういうところをなぜ保全地域に指定できないのか。指定すべきではないのかと再三要望していても、その間、何年たったかな、もう五、六年たちましたか、そんなにたたないかな。その間にどういう変化をしているかといったら、さっきいった開発ですよ。ばんばん開発されて、はぎ取られて、押し込まれて、景観さえ変わっていっちゃった。こういう状況に、局長、あるんです。なぜそういう守るべきところの保全地域を指定しないのですか。
○徳毛自然環境部長 ご指摘の連光寺崖線緑地の件だと思いますけれども、傾斜地に確かにまとまった緑を形成してございます。この地域につきましては、平成十三年度の多摩都市計画の市街化区域及び市街化調整区域の整備開発、または保全の方針で、おおむね五年以内に都市緑地保全法の緑地保全地区に指定することが予定されておりまして、その保全については、これらの動向を見ながら、適切に対応してまいりたいと考えております。
○こいそ委員 その近隣というか、ほとんど連なっているところですけれども、多摩弾薬庫という、今、多摩サービス補助施設という、米軍がまだ占拠しているところがあるんです。これは広大な緑です。これは物すごいです。これは、福利厚生施設としての認定の中で、我々は、許可なくしては日本人は入れない。治外法権の場所です。大変な物すごい広大な面積で、森林、それから小さい川もあるし、いろいろな昔の面影がある。その周辺にまた連なるところがあるんです。
ですから、そういう貴重なところがたくさんある中で、これが今いった対象にしたところのサービス補助施設は米軍のいわゆる管理下に置かれているんで、それはそれですけれども、しかし、その周辺のところ、このあたりは何らかの対応をする箇所の一つではないかと私は思うんです。これはぜひ視察してもらっても結構ですし、前には知事にも周辺を見ていただきましたけれども、多摩の東京の自然、本当につくられた自然ではないというんですか、こういうものは残されているということは、都民の貴重な財産の一つでもあるのではないか。
それが手をこまねいている間にどんどん壊されていったり、法的にはしようがないんだよと。一方では許可しちゃった、こっちは打つ手はないんだよと。二十一世紀は環境の時代だ、東京都は環境施策を重視していくんだ、はっきりいって、ディーゼル車だって規制ばかりではないでしょう。こういう問題だって実効効果が上がることを、局長、ぜひ陣頭指揮でやってくださいよ、いいですか。
そういうことで要望にしますけれども、まだもう一点あります。ぜひお願いしたいと強く要望させていただきまして、次に移ります。
このプランでは、森林の持つ公益的機能の中で、生物多様性の保全を挙げておりますけれども、また、森は植物の生育環境としてだけではなくて、木の葉や果実、種などの食料となっているものが豊かでありまして、多くの植物が生息する多様な生態系を形成していると、この記述もあります。
このプランの中の話ですけれども、その一方で、多摩の森林とは限定していませんけれども、先ほどちょっと触れました、東京に生育している植物、四千三百二十三種のうち一千二種、動物、三千三百六十四種のうち、何と一千二百二十一種が絶滅の危機に瀕しているという、これは非常に厳しい現実がありまして、私は前後いたしましたけれども、先ほど例として触れさせていただきました。
恐らく多摩の森林は動植物の宝庫であることから、絶滅に瀕している動植物もこの中に千二百二十一種類、多数存在しているのではないかと考えられます。ある意味では、人間が荒廃した森林をつくり出して、動植物を絶滅の危機に追いやっていったような感もありますし、森林の保全、再生を進めることは、まさに絶滅の危機に直面している動物を救うことにもつながっていくのではないか。こうした観点から、生物多様性を保全するために森林の整備と保全を積極的に進めるべきだと考えているわけでありますけれども、前後いたしましたが、このプランに対する肯定的評価をする中で、所見をお願いしたいと思います。
○徳毛自然環境部長 ご指摘のとおり、森林の保全と整備は、生物多様性の保全の観点からも大変重要なことであると認識しております。森林は多様な生物の生育空間を持ち、生物多様性に富む生態系を形成しております。しかし、現状を見ると、人工林では、杉やヒノキの間伐がおくれ、下層植生が消滅し、生物の生育環境の質の低下が懸念されております。また、放置された里山の二次林では、竹やササの繁茂により、樹木や植生の更新が阻害され、そこにはぐくまれてきた生物相が失われるなどの問題が発生しております。
多摩の森林や里山のこのような状況を改善するために、地域特性に応じて、森林再生事業や保全地域制度などを効果的に実施することにより、植生を回復するとともに、動物の生育環境を整え、生物多様性の質の向上を積極的に図ってまいります。
○こいそ委員 ぜひよろしくお願いいたします。
それで、もう一点お願いします。このように森林保全を進めていくためには、大変な財源が必要になってくることは当然だと思うんですけれども、わずか数年前、森林荒廃の危機を訴える世論は、それほど大きいものではなかったように感ずるんです。しかし、東京都がまさに環境保全の視点から、全国に先駆けて多摩の森林再生事業を開始したことを契機に、森林の公益的機能を重視する世論が急速に、そんな大げさなものではないと思うけれども、高まってきたんではないかと思うんです。こうした東京都の動きに呼応する形で、平成十五年度から、高知県が森林環境保全を目的とした森林環境税をスタートしております。
そこで、まず確認の意味を込めまして、高知県の森林環境税の目的、税の仕組み、税額、簡単に制度の概要をご説明いただきたいと思います。
○徳毛自然環境部長 高知県の森林環境税の制度の概要でございますが、まず目的は、県民参加による森林保全の機運を高めるとともに、公益上重要で緊急に整備する必要がある森林の混交林化を進め、森林の環境面の機能を保全するとしております。
税の仕組みは、県民税の個人、法人の均等割に定額で一律五百円を上乗せする超過課税となっております。税収は、年額で一億四千万円を見込んでおります。税の使い道は、公益上重要で緊急に整備が必要で、混交林化を進めるための森林間伐の費用に充てることとなっております。
○こいそ委員 高知県の森林環境税で着目し、この点はすぐれているのではないかという点について、県民参加による森林保全の機運を高めることを目的としてスタートしたのだということですね。ところで、東京都が始めた森林再生事業は、毎年多額の財源が必要になってくる。制度として五十年間、膨大な経費が投入されていきますよね。しかし、今日的な東京都の財政状況、さらには長期的な景気動向が予測される中で、現状からすれば、やがて事業を継続していくことが厳しくなることもシビアに想定しなきゃいかんと思うんです。
ですから、私は、森林や里山の保全を確実に担保するためにも、安定かつ恒久的な財源として、目的税として、森林環境税の創設のための準備を進めていくべきではないかと考えるわけでありますけれども、この点の所見も伺いたいと思います。
また、税の創設に当たっては、これを高知県の取り組みと同様、都民の皆さんに、みずからの負担によって東京、そしてまた、多摩の森林、里山を守るという意識啓発と機運の醸成に役立てるべきであると考えますが、この点もあわせて伺いたいと思います。
○徳毛自然環境部長 ご指摘のとおり、安定的かつ恒久的な財源を確保することは、都が単独事業として実施している森林や里山の保全事業を継続的かつ長期的にわたり実施するために大変重要なことであると認識しております。
財源の確保につきましては、新税の創設など幾つかの選択肢があると考えておりますが、新たに庁内に設置される森林管理制度検討委員会の中で、森づくりのための費用負担について検討していくこととしております。検討に当たりましては、高知県の森林環境税も十分参考にしながら、都民の理解が得られ、森林の保全に向けた意識啓発や機運の醸成に役立つものとする視点を重視していきたいと考えております。
○こいそ委員 先ほどから、共通認識として、多摩の森の木は深刻な事態にあり、まずは都が率先して多摩の森を元気にする取り組みを進めることが重要だというふうに思うんですが、これは小笠原も含めて、東京全体にもいえることだと思います。
ところで、広域的な視点でとらえると、皆様方も十分認識されていることと思いますけれども、多摩の森は、地形のつながりから、近隣県の神奈川県、山梨県、埼玉県にも広がる大きな森の一部を形成しているというところだと思いますが、また、里山林が残る丘陵についても、例えば多摩丘陵は川崎市、いわゆる神奈川県と、狭山丘陵は埼玉県にまたがるなど、近隣自治体とも密接な関係に当然あるわけであります。
しかし、連担する森林、里山では、森の荒廃、里山林の消失、放置の状況にあり、東京都と同様深刻であります。危機的状況であるとも当然聞いているわけでありますけれども、こうした状況を打開するためにも、東京都がここでも率先してリーダーシップを発揮して、東京の森づくりを積極的に推進することは当然重要でありますけれども、都の取り組み、そしてまた、今申し上げた近隣県との連携の中で、首都圏の森づくりへと展開して、首都圏に生活し、暮らす三千三百万人が元気な森の恩恵を享受できるような状況を、東京都が率先してリーダーシップを発揮する中でつくり出していくことも、これは今日的に必要ではないかと思うんです。
そこで伺いますが、このように都民にとってかけがえのない東京の森を首都圏の貴重な森としてとらえる中で、近隣自治体と連携してその保全に取り組んでいくべきではないかと考えるわけでありますけれども、このご所見を伺って、終わります。
○徳毛自然環境部長 首都圏の多様な緑は、過去四十年間で、農地、林地で約二十五万ヘクタール、約二六%減少しております。この間、この地域では、緑の減少とあわせ、森林や里山の荒廃が進んでおり、これを食いとめるためには、構成自治体が共同で取り組んでいくことが必要であると考えております。
このため、個々の都県市の範囲を超えた広域化した諸課題の解決を目的とした八都県市首脳会議では、下部に緑化政策専門部会を設け、広域的な緑のネットワークの創出や緑地保全に係る税制改正の国への要望活動などを積極的に行っております。今後、他県市と連担する森林の保全や再生に向けまして、広域連携の取り組みはますます重要になると考えておりまして、東京都は八都県市との連携をさらに深め、森づくり推進プランで示した方向や戦略が効果的に推進できるよう積極的に努めてまいります。
○林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○林委員長 異議なしと認め、以上で報告事項に対する質疑は終了いたしました。
環境局関係を終わります。
○林委員長 これより都市計画局関係に入ります。
理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
○勝田都市計画局長 本日は、来る十月十四日に開催を予定しております第百五十九回東京都都市計画審議会に報告を予定しております区域区分及び用途地域の見直しに係る東京都素案につきましてご説明を申し上げます。
詳細は担当の部長から説明を申し上げますので、よろしくお願いいたします。
○森下都市づくり政策部長 それでは、区域区分の変更案と用途地域の見直しの素案につきましてご説明を申し上げます。
お手元資料の右の方に資料1、2、3と書いてあるものがあると思いますけれども、まず、資料1の区域区分の見直しの東京都素案の方からご説明申し上げます。白表紙のものでございます。
区域区分の変更素案でございますけれども、一ページをお開きください。
区域区分につきましては、都市計画区域を市街化区域と市街化調整区域とに区分するものでございまして、無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るために指定するものでございます。ことし七月に区市町村から提出を受けました原案を踏まえまして、東京都の素案を作成しましたので、報告するものでございます。
また、この後に説明いたします用途地域の関係でございますけれども、例えば市街化区域におきましては、必ず用途地域を定める、あるいは市街化調整区域におきましては、原則として用途地域は定めないなど、大変密接に関連しております。そのために、用途地域の見直しと同時期に、都全域を対象とする見直しを行っておりまして、今回、この区域区分につきましては、第四回目の見直しとなります。
一ページでございますけれども、今回の見直しにつきましては、平成十三年に策定いたしました東京の新しい都市づくりビジョンや、昨年七月に定めました用途地域等に関する指定方針及び指定基準に基づいて行っておるものでございます。また、今回の見直しは、平成十二年の都市計画法改正により新たに位置づけられました都市計画区域マスタープランが定める方針に基づく最初の見直しともなります。
この区域マスタープランにつきましては、七月の都市計画審議会で中間報告をしているところでございますけれども、その中で区域区分の設定方針を定めておりまして、今回の見直しはそれに基づいて行うという形になってございます。
今後のスケジュールでございますけれども、スケジュールの欄に書いてございますように、この素案につきまして、十一月に公聴会を開催いたします。公聴会の意見を踏まえまして都市計画案を作成し、来年の五月に予定しております都計審に付議して、都市計画決定、告示をしていく予定でございます。
続きまして、二ページをごらんください。区域区分の設定に当たりましては、市街地の規模に密接にかかわります人口の動向について留意する必要がございます。そこで、今回の見直しに当たりまして設定した各都市計画区域ごとの人口フレームの概要についてご説明申し上げます。
人口フレームは、東京構想二〇〇〇で定めております人口フレームをもとに、平成二十七年に東京都市計画で八百十四万人、それから、多摩区域の十九の都市計画区域の合計で三百九十七万六千人としてございます。さらに、多摩地域の各都市計画の人口につきましては、最近の人口動向を踏まえまして、統計的手法により配分しております。
それから、二ページの2でございますけれども、保留人口フレーム、この保留人口といいますのは、今回の見直しでは、市街化区域に編入する条件には達していないため、市街化区域内人口として扱っておりませんけれども、近い将来、区画整理事業などによる計画的市街化の見通しがついた段階で、随時市街化区域に編入していく、そういうような人口をあらかじめ定めておくものでございます。
この保留人口は、東京都市計画ほか六都市計画で四万七千人としてございます。
それから、三ページでございますけれども、平成二十七年におきます各都市計画区域ごとの人口フレームでございます。このように定めてやっております。
次に、四ページでございますけれども、今回行いました見直しの概要でございます。今回の変更では、東京都市計画では、五地区、約四・五ヘクタールについて、市街化調整区域から市街化区域に編入しております。
多摩のうち、八王子外四都市計画区域におきまして、二十三地区、約百六・八ヘクタールが市街化調整区域から市街化区域へ、それから、七地区、約五・七ヘクタールが逆に市街化区域から市街化調整区域へ編入するということとなっております。
資料の五ページをごらんください。これが、各地区ごとの表でございます。主なものとしましては、(B)でございますけれども、秋多都市計画におきまして、土地区画整理事業を行うことに伴いまして市街化区域に編入する区域として約二十九・八ヘクタール、それから、(D)でございますけれども、立川都市計画で、既成市街地としての法令要件を充足し、適正な都市施設が整備済みである区域約七十五・七ヘクタールを市街化区域に編入することとしております。
また、八王子都市計画区域では、緑地として保存すべき約四・二ヘクタールにつきまして、市街化調整区域に編入するということとなっております。(E)でございます。
以上が区域区分の変更の概要でございます。
続きまして、資料の2と3でございますけれども、用途地域の見直しの素案でございます。
ことし七月に、やはり区市町村から提出されまた用途地域見直しの原案を踏まえまして、東京都の素案を策定したということでご報告するものでございます。
この東京都全域を対象としました用途地域の見直しにつきましては、都市計画法の施行を受けまして、昭和四十八年に八種類の用途地域を指定しました。それ以降、昭和五十六年とか平成元年とか平成八年と、八年置きぐらいに三度の見直しをやっておりまして、今回は四回目の見直しとなります。今回は、東京の新しい都市づくりビジョンに示されました望ましい市街地像を実現するために、平成十五年に施行されました都市計画法等の改正事項も踏まえながら見直しを行うものでございます。
この概要書の一ページをお開きください。
今回の見直しの背景としまして、東京の新しい都市づくりビジョンであるとか、あるいは都市計画審議会より答申をいただきました東京における土地利用に関する基本方針、あるいは東京都が策定しました用途地域等に関する指定方針、指定基準等がございまして、これらをもとに取り組みを進めてきた旨を述べております。
特に今回の見直しの大きなねらいは、東京の新しい都市づくりビジョンで示しました政策誘導型都市づくりの推進ということでございまして、そのための戦略的な取り組みとして、都市活力の維持、発展であるとか、都心居住の推進、豊かな都市環境の形成、安全で健康に暮らせる生活環境の形成などを目標として掲げておりまして、さまざまな土地利用施策を実施することとしてございます。
概要書の二から三ページでございますけれども、ただいま申し上げました都市活力の維持、発展など、主なねらいごとに実施します施策の内容をそれぞれ示してございます。個々の内容につきましては、五ページ以下でご説明申し上げます。
次の四ページでございますが、スケジュールでございます。今後の予定について申し上げますと、きょう素案をご説明しておりますけれども、十月にこの素案を縦覧いたしまして、十一月に公聴会を開催します。その公聴会で出ました意見を踏まえまして都市計画の案を作成しまして、あと都市計画審議会に付議して、来年の六月ないし七月の決定、告示を予定しているというものでございます。
概要書の五ページをお開きください。これ以降、説明図も対象にいたしますけれども、大きな図面の方でございます。図面の方、説明図は一ページから二ページでございます。
まず、東京都市計画、多摩二十の都市計画がございますけれども、都市計画区域につきまして、全体の概要でございますけれども、変更面積は都全体で約二万ヘクタール、市街化区域面積の約一九%を変更対象としております。区部につきましては、約一万二千ヘクタールで二一%、多摩では八千ヘクタール、約一七%を見直すというものでございます。
概要書の六ページをお開きください。隣の七ページに、都市計画法の改正等の概要がございまして、この中身も盛り込みながら、今回見直しをしたということでございます。
まず六ページの1でございますけれども、法改正によりまして、容積率等についての新たなメニューができました。それに基づきまして、大手町・丸の内・有楽町地区のうち、現在一〇〇〇%が指定されております区域約七十一・二ヘクタールにつきまして、国際ビジネスセンターとしての質の高い機能更新を円滑に進めていくために、壁面の位置とか有効空地だとか、育成用途などを定める地区計画の決定とあわせまして、容積率を一三〇〇%に変更いたします。
また2でございますけれども、住居系の高容積率につきまして、千代田区の番町の約八・八ヘクタールにつきまして、商業地域、容積率五〇〇%から、住居地域、容積率五〇〇%へ変更し、都心居住の推進を図ってまいります。
それから、3の建ぺい率でございますけれども、中央区月島地区の約五十四・六ヘクタールにつきまして、建ぺい率を六〇から八〇%に変更し、地域特性を生かした都心居住を推進してまいります。
参考までに申し上げますと、ことしの十月に予定しております都市計画審議会で、新たな防火規制の区域の指定とあわせまして、墨田区と荒川区でこの建ぺい率の六〇を八〇に変更するということを前倒しで実施する予定になっております。
それから、4でございますけれども、新たに追加されました低い容積率についてでございますけれども、青梅市におきまして、周辺の市街地との調和を図るために、約三百十三ヘクタールにつきまして、容積率を二〇〇から一五〇%へダウンゾーニングいたします。
それから、概要書の八ページをお開きください。
敷地面積の最低限度でございますけれども、従来二百平米を限度に第一種及び第二種低層住居専用地域においてのみ定められることとなっておりましたけれども、このたびの法改正によりまして、すべての用途地域で定められることとなりました。敷地の細分化を防止し、ゆとりある低層住宅地等の形成のために積極的な指定をしていきたいということとしております。
今回指定します面積は、区部では、市街化区域面積の約一九%に相当します約一万一千ヘクタール、多摩では約一四%、約七千ヘクタールについて指定いたします。
こちらの図面集の方の三、四ページでそれが出ておりますけれども、この凡例に書いてございますように、区部では大体敷地面積の最低限度が六十平米から百平米でございます。それから、四ページの方にございますように、多摩では百平米から百三十平米ぐらいの範囲で最低限度を指定しているところでございます。
続きまして、概要書の九ページでございます。多摩の低容積率の住宅地の容積率の見直しでございますけれども、二世帯住宅が可能なゆとりのある住宅地の形成を目指しまして、敷地面積の最低限度とあわせまして容積率の緩和を行っていこうということでございます。
それから、容積率八〇%への変更につきましては約二千ヘクタール、容積率一〇〇%の変更につきましては約五百六十ヘクタールでございます。
土地区画整理事業の施行すべき区域につきましては、足立区の約四百ヘクタールにつきまして、地区計画を定めて良好な市街地の形成を図るとともに、容積率を一五〇%、建ぺい率を五〇%に変更していくということにしております。
続きまして、一〇ページでございます。
再開発促進区を定める地区計画区域の見直しでございますけれども、従来、再開発地区計画と呼んでおりました地区でございますが、この制度は、基盤整備と建築物の整備を段階的に誘導していく制度でございまして、地区整備計画におきまして、あらかじめ基盤整備が完了した場合の用途地域等を想定しております。このたび、台場地区とか晴海一丁目地区などで整備が完了しましたので、それらの地区七十ヘクタールにつきまして、用途地域の見直しを行うものでございます。
一一ページでございますが、都市計画道路の完成などにより、道路沿道の土地利用の増進を図るために、区部で三十四路線、約百十ヘクタール、多摩で三十八路線、約八十ヘクタールにつきまして用途地域の変更を行います。
次に、概要書の一二ページでございますけれども、先ほど説明しました区域区分の変更に伴いまして、品川区、立川市、日の出町などで新たに市街化区域に編入される区域約百十一ヘクタールにつきまして、用途地域を指定するものでございます。
それから、一三ページでございますけれども、これは参考でございますけれども、建築基準法などに基づきまして、特定行政庁としての東京都が定める事項でございます。まず、住宅系の建築物の容積率を緩和する区域の指定ということでございますけれども、五区、それから、日影規制の測定面を六・五メートルに指定する指定が八区八市一町などでございます。
また、用途地域の指定のない、いわゆる白地地域の容積率とか建ぺい率の指定につきましても、十四区十市四町四村で指定するものでございます。
次に、概要書の一四ページ以降でございますけれども、今回の見直しに伴います用途地域と容積率の変更の推移表でございます。
例えばでございますけれども、一六ページをお開きください。容積率の推移でございまして、表の左側の縦欄が従前でございまして、上側の横欄が従後を示しております。濃く対角線上の部分で出ておりますけれども、これが変更のない地区でございます。容積の従前従後、変更のない部分でございまして、この対角線よりも右上部分が容積率をふやしたところ、それから、左下部分が厳しくした地区ということでございます。
表の中に、主な変更理由等も記載しているところでございます。参考までにごらんください。
続きまして、概要書の一八ページでございます。
一八ページ、これは東京都の変更案件でございませんけれども、区で決定します変更と関連して定める変更内容でございます。トータルで二十区二十三市一町で見直しをしてございます。
まず、一九ページでございますけれども、高度地区でございます。高度地区につきましては、良好な町並み景観の形成等を図るために、新たに絶対高さを定める高度地区を定めることとしてございます。
一九ページの絵にございますように、従来はその三つの絵のうちの左上でございますけれども、この斜線型のものだけだったわけでございますけれども、今回、その一番下のように、絶対高さを決める高度地区というものとか、あるいは斜線に加えて絶対高を定めるような併用しているようなタイプと、三つのタイプができることになりました。
指定住居でございますけれども、歴史的景観を保存する趣旨で、六義園周辺地区で高さ三十五メートルとか、あるいは柴又の帝釈天周辺地区で高さ十とか十六などの絶対高を定めるものを決めております。
また、中低層住宅地の環境と景観を保全するために、世田谷区とか江戸川区とか町田市などで、地区の特性に応じまして斜線と絶対高を併用するような高度地区を定めているところでございます。
続きまして、二一ページでございますけれども、特別用途地区でございます。特別用途地区と申しますのは、区市町村の創意工夫を生かしまして、特定の用途について規制を緩和したり強化をしていく制度でございます。今回は杉並区で低層階商業誘導地区、あるいは三鷹市で特別商業活性化地区など、新たに約百六十二ヘクタールについて指定することとなっております。
次に、概要書の二三ページでございますけれども、防火地域と準防火地域でございます。区部では防火地域が百七十ヘクタール増加、それから、準防火地域が約二百二十ヘクタール増加ということでございまして、それぞれ新しい防火規制の仕組みと連携しながら、防災性の向上に努めているということでございます。
多摩におきましても、防火地域が三ヘクタール増加、あるいは準防火地域が八百二十ヘクタールほど増加してございます。
続きまして、概要書の二四ページでございますけれども、地区計画とあわせた用途地域の見直しでございます。今回の見直しでは、地区計画の策定とあわせました用途地域を見直すことを基本としておりまして、区部では二十三地区、四百九十二ヘクタール、多摩では三十二地区、約九十八ヘクタールが地区計画を決定しながら用途地域を変更していくということとなっております。
それから、二六ページでございますけれども、これは特定行政庁としての区市町村が定めるものでございますけれども、都心居住を推進していく観点から、前面道路幅員による容積率の制限であるとか、道路斜線制限とか、隣地斜線制限等について緩和するような方向での変更をしております。
最後でございますけれども、概要書の二七ページ以降でございます。
二七、二八、二九と三ページでございますけれども、東京都素案の作成に当たりまして区市町村から原案に基づいて作成しているわけでございますけれども、一部区市町村の原案どおりではなくて、東京都が修正した箇所がございます。それがこの一覧表でございます。区部で五カ所、多摩で七カ所ございます。
東京都の方で修正した理由としましては、周辺市街地との調和を図るために、地区計画などの規制誘導措置が必要であると、そのような理由がございまして、個々にお手元の資料のとおり修正理由を記載しているところでございます。
説明は以上でございます。
○林委員長 説明は終わりました。
これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○真鍋委員 用途地域の見直しについて、今説明を受けたわけです。用途地域の見直し、よく一斉見直しというのですけれども、いろいろな手続等とありますから、八年に一回ぐらいになるのではなかろうかと私は思うんですが、大きなチャンスであります。この一斉に用途を見直していくんだよということによって、さまざまな社会情勢に対応できるんではないか。今回の用途地域の見直しで、多くの議員がいわれておりますけれども、私もこの委員会でも何度も発言をさせていただきました。
前回の見直しから今回はどう違うのかといえば、介護保険が導入されて、ヨーロッパを中心に、施設型福祉というようなものではなくて在宅福祉である。そうすると、この東京の福祉にしても、まず住宅問題があり、家族が同居していただき、介護をする方がいらっしゃる。そこにホームヘルパーさんを派遣し、また、デイホームを活用し、ショートステイやミドルステイを活用する。こうやっていかなければ、特別養護老人ホームを幾らつくっても、待機者がいつもそれぞれの自治体であふれ返っている。これを変えていくためには住宅問題を変えようではないか。
一方、区部周辺部、多摩の地域において、建ぺい率、容積率が余りにも低いので、その同居が妨げられている。中には、違反建築をせざるを得ない。違反建築を行政が指導し、また、いろいろな形で調整をする。そんなことをきょうの委員の方も多く体験されていると思いますし、私も本当につくづく感じてきた中身です。
今回の用途地域の見直しに対して、東京都は一つの考え方を持ち、各それぞれの区市等にその方針を示す中で、より具体的な話として今申し上げた低建ぺい率、容積率を変えていくべきではないか、あらゆる観点から、そういうお話をしている中で、東京都もそういう方針を持っているということで、去年の十二月四日に、都市計画局長のお名前で、それぞれの区長さん、市長さんに文書を出してもらいました。これは非常に意義のあることだと思いますし、その中身としては、今私が申しましたとおり、低建ぺい率、容積率の見直し、また、最低敷地面積を決める等によって、もう一段の緩和等々が可能である、こういう中身だったと思います。
また、答弁で詳しく説明してもらいたいですけれども、そういう通達も出していただいて、それぞれの素案、原案ができて、東京都に返ってきて、東京都が今案をつくり、きょうの報告になっているわけですけれども、局長名で通知の文書も出された。その前に方針もいろいろ出された。そのことについて、それぞれの自治体はどのような対応、反応を示したのか、お答えをしてきたのか、その点、どういうふうに東京都は集約されているのか、まずその点についてお尋ねします。
○森下都市づくり政策部長 東京都は、先生ご指摘のように、平成十四年の十二月に、局長名の文書を出しまして、用途地域の指定基準について改めて通知をしてございます。その中で、若干読み上げますと、多摩地域及び区部周辺部で容積率六〇%、建ぺい率三〇%に指定されている区域において、環境良好な低層住宅地として将来ともその環境を保全保護する区域については、容積率八〇%、建ぺい率四〇%を定めることは可能である。それから、同様な地域で、敷地面積の最低限度を定めた場合には、容積率一〇〇%、建ぺい率五〇%を定めることも可能である。
さらに地区計画を策定して、住宅地の環境向上に寄与する事項を定めた場合、区画整理事業等により必要な道路水準を確保された区域については、容積率一五〇%とすることができる、そういった考え方を改めて示させていただきました。
これに基づきまして、特に多摩の地域につきましては、敷地の最低限度を指定することによって容積を一〇〇%にするということが大きな焦点となりまして、働きかけを行ったわけでございます。私どもとしては、平成十五年三月から四月にかけまして、すべての市や町にそういった趣旨で適切に容積率を見直すように個別に協議、働きかけをやってまいりました。
さらに、追加の文書ということで、平成十五年五月にも、多摩地域の市や町に対しまして、今回の見直しで対応すること、あるいはそうできない場合には、見直し以降の随時変更で対応したらどうかというような要請もいたしました。
その結果としてでございますけれども、清瀬市など六市で、先ほど報告申し上げましたように、低容積率住宅地約五百六十ヘクタールにつきまして、今回の見直しで容積率一〇〇%へ変更するということとなっております。
それで、変更を行わないという市もございましたけれども、その主な理由でございますけれども、現状の良好な住環境を維持したいということが一つ、あるいは今後都市基盤整備等望ましいまちづくりを進めていくために、今回は変更しないという考え方が一つ、あるいは提案はしてみたけれども、住民の反対意見等があったために今回は変更しない、そういった理由でございました。
○真鍋委員 この黄色の概要書の九ページですね、ここに詳しくこれのお答えというか、どれだけ素案に盛り込まれているかということで、今森下部長にお話しいただいたとおり、まず、三〇・六〇の四〇・八〇への変更がこれだけあるよというのが4の1ですね。それから、最低敷地面積等を決めて、容積率一〇〇%というのが第二番目ですね。一〇〇%に至っては、清瀬市が積極的に五百三十一ヘクタール、それ以外はほとんどといっていいほど対応していないので、清瀬市の数字がほとんど実績になっている、こういう結論だと思います。
今反映できなかった理由として、良好な住宅を守るとか、他のまちづくりの手法であるとか、提案したが、住民の反対意見が強いためということでありました。ただ、私は、もちろん他のまちづくりの手法というのは、これはあると思うんです。本当にいろいろなまちづくりの手法というのも土地区画整理事業等々あるんですが、何十年たってどれぐらいの進捗かという問題とも絡み合わせますが、地元自治体が余り積極的ではなかったとか、提案したけれども、住民が反対したから抑えたというのがどれぐらいあるのか私はわかりませんけれども、それより、むしろ皆さんが、せっかく東京都が方針も出してくれた、勝田局長の文書で市長さんあてに、十二月四日に文書も出してもらった、こういうことを多分住民の方は知らないのではないかと思うんです。
東京都はそういうふうに--ということは、用途地域の決定権者は東京都知事でありますから、都の方で、今まで私も身近な自治体の議員をやっていた時代がありますから、幾ら区や市がいっても、東京都が認めっこないよなんて話はよく聞いたんです。都議会に参りまして、皆さんのお話を聞いたら、いや、そんなことはありませんと。その証拠として、皆さんは方針を出してくれ、局長名で文書まで出してくれたわけですから、東京都が積極的に二世帯住宅をつくって在宅介護のために住宅問題に頑張っていこうではないかという姿勢は私はよくわかりました。
だけれども、これを首長には通知したかもしれないけれども、住民はよく知らないのではないかと思うんです。この点がどうも、もちろん、今取りまとめで、これから縦覧、公聴会等々があるわけですけれども、この部分で、住民の方々へのPRというのは東京都はどうやってきたのか、また、今後どうするのかお尋ねします。
○森下都市づくり政策部長 現在、用途地域の見直しの考え方につきましては、先ほど述べましたように、用途地域等に関する指定方針とか指定基準というものを定めてやっているわけでございます。この指定基準、指定方針の中に書いてあるわけでございますけれども、これにつきましては、東京都としては、直接都民の方に対してはホームページでお知らせするというような方法でお知らせしているところでございます。なかなか見ていただけないということもあるかと思いますけれども、そういった方法で知らせております。
それから、さらにこの内容につきましては、具体的には、区市町村が今回の見直しの原案を作成しているわけでございますけれども、その作成をして、住民説明会などを行っているところが一般的でございまして、区報で知らせ、あるいは住民説明会を行うというようなことで、区民の方にはお伝わりしているものと理解しているところでございます。
○真鍋委員 ですから、それぞれの基礎的自治体が説明会を開くというときに、東京都の方針とか、ましてや十二月四日の局長の文書なんかを説明していないのではないかなと思いますし、東京都の用途地域の見直しの方針というのも、もちろんこの委員会でも説明がありましたけれども、方針はだあっと、いい文章になって、長くて、何をいっているんだかよくわからないという部分もありまして、それをかいつまんでいったらこうだろうというのが、私は局長の文書だと思うんです。
きょうは、報道の方もいらっしゃると思います。多分、知らないのではないかと思います。そういうかみ砕いた、こうだよという文書が、首長だけではなくて、自治体の職員も知っておられるし、メディアの方々も知っているし、住民も知っている。その中で選択するのは住民であり自治体である、それは当然です。だから、そういう手続がちゃんと踏まれてそれぞれの原案、素案が出てきたのかという、ちょっと心配を私は持っています。
なぜならば、地元のことで恐縮ですが、世田谷区に私はいるんですが、十二月四日、通知は去年の話なんです。ことしの二月に、区のまちづくりの課長に会ってその文書を見せたら、それは何ですかと、知らないんです。何だ、それはということになりまして、三月の区議会の定例会でそれが質問されたという経緯も実はあったんです。だから、せっかく一つの方針を決めたならば、もちろんホームページでやっていますよと、わかるんですけれども、もっともっとみんなで知って、当然区画整理やまちづくりや、さまざまな具体的なものがあったら、定例的な都市計画審議会において用途の変更は可能である、これはわかります。後ほどまたやります。
だけれども、こういう一斉に見直して全体の何か問題点を整理しようという、こういうチャンスというか機会というのは、これはすごく貴重だと私は思うんです。そのときに、都の考え方というのを多くの都民の方々に知ってもらう。それがそれぞれの自治体の原案になってはね返ってくるというのが、私は当然だったのではなかろうかなと思います。もちろん、それぞれの自治体の思いもあるでしょうけれども、そんな疑問を持っているので、こういうようなお話をさせてもらっております。
そこで、最低敷地面積を決めて、清瀬市はこれだけ土地の活用が、使えるわけですけれども、その他の地域も、これで済むわけではないと私は思うんです。東京都もそういう住宅の確保等々考えてくださって、局長の文書も出してもらったわけでありますので、これでそれぞれの自治体から案が来ました、これで終わりましたというだけではなくて、東京都に住み続けてもらい、そして家族が一緒に住んで、そして介護というところまで含めて、みんなで責任を分かち合っていく、こういうようなことは必要だと思いますので、今回こういう文書を出していただきましたけれども、そういう考え方を今後もそれぞれの自治体に実行してもらうために、東京都はいろいろな努力を、これで済んだということではなくてやってもらいたいと思うんですが、その対応をどうお考えなのかお尋ねいたします。
○森下都市づくり政策部長 各市で相当対応が違ったわけでございますけれども、一口に低容積率の住宅地といいましても、市街地の環境であるとか、敷地面積の規模であるとか、道路などの基盤整備状況とか、住民の意識であるとか、あるいは区市町村自体のまちづくりに対する姿勢などがそれぞれ違いまして、今回のような状況になったわけでございます。
また、実際に提案をしますと、敷地面積の最低限度が地区計画を定めて容積率を変えていこうという場合に、地元住民の合意形成に時間がかかるという場合もございます。そういったことを踏まえまして、東京都としましては、今後も区市町村と調整を行いながらやっていくわけでございますけれども、居住水準の向上を図っていくために、ぜひ先ほど来申し上げました私どもの文書などの内容に沿いまして、随時の変更で適宜適切に対応していくということも考えたいと思っております。
○真鍋委員 そこで、ちょっと具体的な話になって恐縮なんですけれども、建ぺい率、容積率、例えば現在四〇の八〇です。それを五〇の一〇〇にしますというときに、局長の文書の中身、内容についても、最低敷地面積を決めて、細分化されないように、その中で一〇〇%の容積率を使えますよと、こういう中で、先ほどいいました清瀬の例があります。
これは一つ理にかなった方法だと思うんですけれども、具体的な例として、世田谷の例で恐縮なんですけれども、世田谷区の場合は、多くの土地区画整理を施行すべき区域という地域は、西部地域地区計画という計画が既に立っています。ですから、都市計画上は建ぺい率、容積率は五〇の一〇〇なんですけれども、西部地域地区計画という中身は、建物をつくるときに、これまでは四メートル道路に接道する。四十二条二項道路等の場合は、中心から二メートルセットバックする。それによって建物を建てられるわけですけれども、二メートルではなくて三メートルセットバックしなければならないということなんです。ですから、角地の場合は、こっちも下がって、こっちも下がらなきゃだめなんです。
そうすると、その地区計画にのっとらないと、四〇の八〇なんです。そうすると、十メートル掛ける十メートル、百平米の敷地があって、うちをつくろうと思ったら、中心から二メートル下がれば建築はもちろんできるんですが、四〇の八〇、三メートル下がると五〇の一〇〇、そうすると、十掛ける十だと、十平米減っちゃうわけです。百平米の土地を九十平米にして、四〇の八〇が五〇の一〇〇になって、変わらない。だから、戸建てのお宅は、この地区計画を全くやらない。これは世田谷区の地元でも、それは有名な話なんですけれども、では、やっているのはどこかというと、もちろん、大規模な土地があるところはそれに沿ってやる。これはこれで一つの価値はあります。ただし、戸建てのお宅の二世帯住宅に全くつながらないんです。その話を今しておきました。
今度、最低敷地面積をかければ一〇〇%使えるとなったんです。この案の中にもありますように、世田谷区は第一種低層住居専用地域、最低敷地面積を決めちゃうんです。最低敷地面積は決める、中心から三メートルセットバックして、初めて五〇の一〇〇が使える、こういう状況になっちゃった。それだったら、最低敷地面積だけ決めておいて、容積率は一〇〇%にすれば済むことなんです。
ところが、西部地域地区計画というのは邪魔になっちゃったんです。この地区計画自体も、そういうふうに何が何でも六メートルという理念的理想的地区計画なので、全く実効を伴わない。こういう本当に袋小路に追い詰められて閉塞感漂う状況なんですけれども、そこで、これを何とかしなきゃだめですね。その地区計画をやめてしまおうといって、最低敷地面積だけ生かして一〇〇%にする、この考え方が一つです。
それから、いや、そういっても、そういう後退のことではなくて前向き論で、その地区計画を、何が何でも六メートルではなくて、もっと現実味に合わせた、建物のところは四メートルあればいいだろう、あと五メートルもあるだろう、そういうような形で現実対応型の地区計画にするということもあり得る。
こういうことを何らかの形をしないことには、壁にぶち当たってどうしていいかわからないこの状況を変えられないと思うんですけれども、この状況を回復するためにどんな考え方、どんなやり方があるのか、東京都のアドバイスをひとつもらいたいと思うんですが、お願いします。
○森下都市づくり政策部長 副委員長ご指摘のように、世田谷の西部地域の地区計画はかなり以前につくったものでございまして、その当時としては、区も大変工夫をして、まちづくりの方向づけをしたものとして評価されるわけでございますけれども、実際には区民の皆さんにとっての負担がきつくて、なかなか実現されていないというのが実情のようでございます。
それで、私どもとしては、世田谷区の区画整理をすべき区域におきまして、その地区計画を何らかの形で変更しまして、区画整理事業による公共施設等の整備水準と同等の事項を地区計画に定めていただくことによりまして、今回指定方針、指定基準に基づいたルールにのっとりまして、現在の容積率一〇〇%を上回る、例えば一五〇%への容積率の見直しは可能になるものと思っております。
○真鍋委員 今お答えもいただきましたけれども、いずれにしても、現実可能な具体的な案をつくって、より具体的な、より現実的な、よりよい計画を立て、それをやっていくんだなと思います。それに向かって私なんかも努力したいなと思うんですが、そういう中で、今お話にもあった土地区画整理事業を施行すべき区域という都市計画があります。この土地区画整理事業を施行すべき区域というのは、区画整理をやるようにということで、区画整理の予想線がありまして、ですから、低建ぺい率、容積率になるべく抑え、区画整理が実行されれば、それだけの用途の緩和をし、土地の活用ができますよ、こういうものですよね。
しかし、前々からこの委員会でもお話があります、土地区画整理事業の都市計画決定をして以来、相当日数がたちますけれども、その進捗状況を考えたときに、いろいろな考え方がある。この東京都の方は、土地区画整理事業を見直すガイドラインをつくられた。あくまで土地区画整理事業をやるところ、地区計画と他のまちづくりの手法に変えるところ、既に開発行為等々で整備された、こういう整備もあったでしょう、されたところについては外していくよと、こういう説明も受けました。
これは、都市計画が一たん決まったならば、何が何でも死守するんだということから、現実対応で見直しガイドラインをつくられたというのは、本当に大切なことだと、よくやってくれたなと私は思っているんですが、今度の用途地域の見直しの中で、先ほどいいました黄色表紙の九ページの下ですけれども、足立区は約四百ヘクタールの土地区画整理を施行すべき区域に地区計画をかけて、それで用途地域の見直しを行っていくというご報告を受けたわけですけれども、この仕組みはどういう形になっているのかお尋ねします。
○森下都市づくり政策部長 今回の足立区の区画整理すべき区域におきます地区計画の決定にあわせて用途地域を変更していくというその方法でございますけれども、昨年三月に東京都の方で策定いたしました周辺区部における土地区画整理事業を施行すべき区域の市街地整備のためのガイドラインというものを策定いたしましたけれども、これに基づきまして、区画整理事業が完了した整備水準と同等の地区の整備計画を定めまして、その地区計画の決定とあわせて用途地域を変更していこうというものでございます。
そのガイドラインにおきまして、区画整理事業が完了した整備水準というのはどういうものかということにつきまして、区画道路であるとか、公園緑地などの整備水準を定めているところでございます。こういったものを定めれば、容積率一一〇%に変更するということになっておりまして、今回その仕組みに基づいて足立区も変更を行うものでございます。
○真鍋委員 この足立区が地区計画をかけて用途地域の見直しを手がけるということで、それも先ほどのガイドラインをもとにしたということで、これもこの委員会でもちろん説明があって、先ほど私もお話ししましたけれども、今回の用途地域の見直しに合わせて、そのガイドラインがその前の前の二年前だったと思うんです。そうすると、足立区のように、やろうと思えば見直しのガイドラインが発表された、調査をする、今回の用途地域の見直しに合わせていくということは可能だったと思うんですが、どうもこの報告を受けた足立区しか見当たらないのです。
ほかのこういう同じような形で土地区画整理を施行すべき区域があって、しかも、その大体四割か五割ぐらいではないですか、できたとしたって。そういう地域でも、これは何で考えないのかなと思うんですが、まず、そういう足立区以外のところに対しても、十分こういうことができるんだよということの情報交換であるとか通知とかというのはされていると思うんですが、確認の意味でお答えいただけますか。
○森下都市づくり政策部長 このガイドラインにつきましては、昨年の三月に策定したわけでございますけれども、その際に、関係区に対しまして説明会を実施しております。それで、このすべき区域の中では、このガイドラインを踏まえた地区計画を策定することになりますけれども、この地区計画の策定に合わせました用途地域の見直しについては、私どもが定めています用途地域の指定基準においても、その旨書いてあるわけでございます。この指定基準につきましては、関係区に周知しているわけでございますので、そのガイドラインの説明と私どもの指定基準についての説明などを通じまして、関係区におきましては、この方法について十分周知、理解されているものと思っております。
○真鍋委員 私も、今回の見直しをする中で、それぞれの区からの案が出てきましたよという報告を受けたときに、この足立区の動きを初めて知りまして、この手があったかということで、本当に感じ入りました。議員だから、それを聞いて初めて知ったと思うんですが、本当に各区のこういう土地区画整理事業を施行すべき区域を地域に持っている当局の人たちはこれをよく知っているのかなと、実は私は疑問に思っているんです。何となく井の中のカワズではないですけれども、うちはうちの方針がある、こうだという形で、本当に他区の情報をアンテナを張ってちゃんと持っているのかなという気はしているんです。
だから、今の質問をしたんですけれども、だから、どんどんこういうことを皆さんに知ってもらう。では、うちの区は一体どうなっているんだ、うちの市はどうなんだというような、こういう動きを持っていかなければ、せっかく東京都はガイドラインもつくってくれて、それから、さっきの局長の文書も出してくれる。そこまでのことをやっていても、言葉は悪いですけれども、笛吹けど踊らずみたいな、こんな気も私はするんです。
そこで、これからも、こういう足立区のような先進的な例をいろいろ見習って頑張るべきだと思うんですが、今回は、こういう一斉見直しの中ですけれども、では、これから足立区と同じようにうちもやっていきたい、こうなった場合には、もちろん同じような形でできると思うんですが、それでよろしいですか。
○森下都市づくり政策部長 足立区につきましては、今回の用途地域の全体の見直しに合わせまして、地元の合意形成ということを図ってまいりまして、それが調ったということで、今回あわせてやるわけでございます。足立区以外のすべき区域を抱えていますその他の地区につきましても、当然そのガイドラインに基づきます地区計画の策定を行うならば、用途地域の見直しを随時やっていきたいと考えております。
○真鍋委員 それで、この足立区のすべき区域を地区計画に変えてやっていく中で、先ほど申しましたが、地区計画というのはいろいろな形があると思うんです。街区の中でどういうふうに調整していくか。四メートルであったり五メートルであったり六メートルであったりと、何が何でも六メートル以上とかではないと聞いているんですけれども、その中で、それを整備していく上で、足立区独自の促進策、助成策があると聞いているんですけれども、この四メートル未満の道路の整備はどうしていくのか、四メートル以上六メートルのときはどういうふうにしていくのか、足立区の方式があると伺ったんですが、それをお尋ねしたい。
○森下都市づくり政策部長 足立区では、この地区計画において必要な道路につきましては地区施設として位置づけておりまして、足立区の細街路整備助成条例に基づきまして、その整備を行う場合に整備費などの助成を行うと聞いております。
それで、その助成の内容なんですけれども、整備費につきましては、幅員四メートルまでの拡幅でも六メートルまでの場合でも、両方ともに助成するということでございます。用地につきましては、基本的には寄附していただきたいということのようですけれども、住民の協力と行政の援助によって整備を推進していくということの観点から、四メートル部分までは地権者の負担によるものとしまして、四メートルを超えて六メートルまでの部分につきましては、この区の条例に基づきまして助成を行うと聞いております。
○真鍋委員 四メートルまで個人にある。ちょっと事前の説明、そっちの部分にも助成策があるんだと聞いた覚えがあるんです。四メートルまでと四メートル以上六メートルまで、四メートルは一〇〇%個人の負担、一〇〇%区の援助はなしね。間違いないね。
○森下都市づくり政策部長 追加してご説明申し上げます。
四メートルの道路に角地として両方に接している場合においては、片方の四メートル部分については助成の対象となるということのようでございます。
○真鍋委員 いろいろな各区の取り組みがありますけれども、ある区では、六メートルまでは何が何でもただというところで、世田谷なんですけれども、こういう形で、四メートルまでもこういう角地の場合はこう、六メートルまではこうと、全く同じ二十三区といっても違うんです。だから、その辺を情報として知っておく。基盤整備、災害に強いまちをつくるというのは大事なことです。そのために税金を集めているんです。それを足立区はいい参考になりますし、果たしてほかの区はそれをよく知っているのか疑問なんですけれども、ぜひとも参考にして基盤を整備すべきだと思っています。
それで、この土地区画整理を施行すべき区域というのは都市計画で決定されていて、区画整理の予想線等々があります。これらの都市計画の網を変更することが--今回地区計画をかけて足立区はやっていこうとしています。説明を受けますと、道路の基盤がある程度の一定率よりも上回っているところは、今回の見直しで土地区画整理事業を施行すべき区域という--都市計画を外す。そうではないところは、その道路率が一定基準になったときに外すことができるというような形で説明を受けたんですけれども、このすべき区域の都市計画を解除するのはどの時点で、だれがどのように行っているのかお尋ねをします。
○成田都市防災部長 土地区画整理事業を施行すべき区域の都市計画の解除についてでございますけれども、今回の計画では、先ほど森下部長がご紹介いたしましたガイドラインに基づきまして、将来の市街地のあるべき目標に達する水準で地区計画が策定されることになっておるわけでございます。
このガイドラインでは、地区計画が策定され、都市計画変更が可能となる整備の水準の主なものは、道路に関しましては、区画道路率が一五%以上、主要道路充足率が三〇%以上、消防活動困難区域率が一〇%未満というふうな基準になってございます。しかし、現状では、土地区画整理事業から他の整備手法に変更可能な整備水準に達している区域と達していない区域がございますので、都市計画の解除につきましては、ガイドラインに示す整備水準を満たしている区域につきましては、地区計画策定後、区の意向によりまして、土地区画整理事業を施行すべき区域の都市計画の変更または廃止が可能でございます。
一方、整備水準を満たしていない区域につきましては、個別の道路整備や地区計画の具体化等によりまして、区画道路率などの整備水準が規定の水準に達した時点において、区の意向によりまして、土地区画整理事業を施行すべき区域の変更または廃止の都市計画手続を行うこととなってございます。
なお、その基準でございますけれども、この土地区画整理事業を施行すべき区域は、九区で十八区域が都市計画決定されておりまして、この都市計画変更手続を行うに当たりましては、五十ヘクタール以上は東京都が、五十ヘクタール未満については区が行うというふうなことになっておりまして、都の所管するものは十五区域、区の所管するものは三区域となっております。
以上でございます。
○真鍋委員 わかりました。
次に、同じ用途の指定の中で、主要幹線道路がありまして、この主要幹線道路はいろいろな区や市にばあっと連なっているわけですけれども、この区に行くと、路線三十メートルが指定されて防火を進め、こっちに行くと二十メートルになってと、整合性がとれていないということが前々から話がありまして、これも三十メートルにして、延焼遮断帯として防火地域として整備する。そういう万が一の災害に備えるのだというのがまず方向であると思うんですけれども、各それぞれの自治体にお任せして、全部三十にというところもあれば、二十にして虫食いで三十だけをぽつぽつやっているところもある。
こういう現状だと思うんですけれども、東京都として、幹線道路というところが災害対策等々をかんがみても、そういう同じ道路で皆つながっているわけですから、整合性を図って整備すべきだと思うんですが、都のご見解はいかがでしょうか。
○森下都市づくり政策部長 この件の答弁の前に、先ほどの答弁を若干訂正させていただきます。大変失礼しました。
四メートル未満の道路についての助成措置の問題なんですけれども、四メートル未満の場合でも、先ほど角地の場合とか、あるいは二方向で細街路がかかった場合に助成をするという制度を持っている区は幾つかあるようでございます。細街路の整備事業は各区でいろいろやっております。その中で、そういう区はございますけれども、足立区の場合、残念ながら、その二つの方向に面した場合に、片方については助成するということについては該当していないということで、申しわけございません、訂正させていただきます。
今の路線指定の問題でございますけれども、路線指定の幅といいますのは、現在の指定基準では、対象となる道路の幅員が十五メートル以上となっている場合、土地利用の目標であるとか、地域の特性などを勘案した上で、三十メートルまでの指定ができるということになっております。また、路線の三十メートルの指定につきましては、主に沿道の不燃化を促進して、延焼遮断帯としての機能を強化するという観点から三十メートルにするという考え方でございます。
それで、路線指定の幅が違うということでございますけれども、その幅が違う理由でございますけれども、沿道とか後背地の市街地の状況によって違うというような場合が一つあります。
もう一つは、延焼遮断帯の機能を強化すべき路線につきましては、三十メートル幅の防火指定をしまして不燃化促進事業をするという場合がありますけれども、その事業の実施の有無によりまして、三十メートルになっている場合となっていない場合があるという、そういう違いが出てまいります。
そういう理由で異なっているわけでございますけれども、特に各区市の行政界を境に、幅の異なるようなものの場合には、沿道の後背地の市街地状況などを勘案しまして、今後見直しが図られるように取り組んでまいりたいと思っております。
○真鍋委員 さっきの答弁がまた違ったので、申しわけない。時間をなるべく早くしようと思っているんですが、聞くところによると、足立区細街路整備助成条例に基づき整備等の助成を行っているという話を私は聞いたんですが、では、そうではないんですね。
○森下都市づくり政策部長 もう一回改めてご説明申し上げますと、整備費用、工事費につきましては、四メートルの範囲までも当然整備費用の助成をするということでございますけれども、用地を何らかの形で補償していくという用地費に対する対策としては、四メートル未満についてはやっていないということでございます。
○真鍋委員 今のそれぞれの自治体の取り組みの整備のやり方があると思うんですけれども、地区計画等で定めたところが、それから、自治体の位置づけにとってこれが必要であるということについての助成というものがあるところと、すべての道路は建築基準法において四メートル確保しなくてはならないというところがあるから、当然これは自己責任においてやるべきだというところと、これはまちまちだと思うんです。ケース・バイ・ケースで対応できるところ、いろいろなことがあると思うんですけれども、これは、またちょっと整理して私もやっていきたいと思いますし、また、その辺をもう一度きちっとそれぞれ整理したいので、ここでは、もう時間がなんですから、またその後で確認いたします。
それで、さっきの幹線道路のことについて、区境等々のことについては当然考えて、今後検討してやっていくみたいな話の答弁に聞こえましたけれども、それよりも何よりも関東大震災から八十年で、東京都のやり方、考え方というのは、トータルとしてこういう方向でいくべきではないかというものを示して、それを各自治体で協議しながらやっていく。だから、それぞれのまちの中の、これは区画整理でやるか地区計画でやるか、最低敷地面積をかけるかどうかということと、幹線道路沿いの整備というものは、その区に任せられるというようなことではないと思うんです。これは大きな方針があって、こうやって災害に強いまちをつくろうというのを考えても、東京都は決して越権行為ではないと思うし、むしろそういう大きな方向があって、それに沿ってやっていく、災害に強いまちをつくる、あと、それぞれの地域地域のことについては、皆さんそれぞれの自主性に任せるみたいなことだと私は思うんです。
だから、そういうことと、それから用途というのは何で段階的に違うのか。例えば幹線道路沿いにあって、用途の指定がされて、防火地域にしようと思っても、真裏が一種低層住居専用地域で、ましてや道路が南側にあった場合、北側にもろに一種低層住居になっちゃうから、指定されてもどうしようもないみたいな話もよく聞くわけです。そうすると、用途地域というのは何で段階的にいろいろなっているのかということをもっと整合性を図って指定をするべきだとか、こういうようなことは東京都の方が考えて、それこそきちっとした形で、もしかしたら、いっぱい書いている方針の中にあるのかもしれないけれども、もっとわかりやすく、こういうことにやるべきだ、災害に強い東京都をつくっていくべきだ、それぞれの自治体さん、頼むよというようなことをやるべきだと思うんですが、最後にそのことを質問して、私の質問を終わります。
○森下都市づくり政策部長 確かに、地域によりまして、用途地域の指定に格差がございますと、なかなか路線沿いの土地の有効利用ができないというような場合もございます。特に後ろ側に第一種低層住居専用地域があるような場合においては、なかなか有効利用ができないということは副委員長のご指摘のとおりであると思います。
私どもとしましては、用途地域の指定基準の中でそういったこともございますので、隣接する用途地域の相互の関係によく留意するようにということの指摘はしてございまして、現実にもいろいろな対応をとっている場合がございます。例えば、用途地域であると、あるいは日影規制の規制値を路線ごとに段階的に二段構えで決めていくとか、そういったような実例もございます。そういうものがございますけれども、実際には、沿道と後背地の市街地の状況だとか、あるいは地元自治の意向もございますので、そういったものを踏まえながら、必要な場合には、ぜひ東京都としても見直しを行っていきたいと考えております。
○林委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕
○林委員長 速記を始めてください。
○かち委員 用途地域の見直しに関連して質問いたします。
大変膨大な資料をいただいて、とても十分に精査し切れていませんので、気づいた何点かに絞ってお聞きしたいと思います。
八年ごとに行われてきたこの用途地域の見直しですが、今回の見直しの基本的な考え方としては、先ほどもご説明がありましたけれども、今後、中長期的には人口が減少する成熟社会を迎える中で、既成市街地の再編を進めながら、効率的で質の高い都市空間を創出するため、政策誘導型の土地利用の規制、誘導が求められているとしています。この間、東京都においては、新しい都市づくりビジョンがつくられ、国においても、都市再生法の制定や都市計画法の改正など、規制緩和が大きく進みました。都においては、環境アセス条例も大幅に簡略化される中、都市の再編、再開発が一層促進しやすい状況になってきていると思います。
こうした中で、今回各市区町からの原案をもとに、都の素案として百五十九回都市計画審議会に報告されようとしているわけですけれども、それで、今回の用途地域の見直し案として出されているものの主な特徴についてお聞きします。
○森下都市づくり政策部長 先ほどの概要の中でも若干ご説明いたしましたけれども、特徴的な変更事項としましては、都市活力の維持、発展を図るために、容積率の一三〇〇%の指定であるとか、住居地域での容積率五〇〇%の指定を行うということを行っています。それとともに、周辺市街地との調和を図るために、工業系の用途地域の一部ではダウンゾーニングを行っているということもございます。
それから、ミニ開発等を防止して良好な居住環境を維持するために、かなりの面積で敷地面積の最低限度を定めているということでございます。
それから、多摩地域等の低層住宅地におきまして居住水準の向上を図るために、容積率のアップ、見直しを行っております。
それから、良好な町並み景観の形成を図り、地域特性に応じた市街地の環境を維持するために、絶対高を定める高度地区を新たに導入して、かなりの地区で指定しているということでございます。
以上が主な変更点でございます。
○かち委員 今のご説明に関連してですが、六ページにもありますけれども、有楽町・東京駅・丸の内を中心にした国際ビジネスセンター、七十一・二ヘクタールについては、一三〇〇%の容積率を導入するということになるわけですけれども、一般的には商業地域の最高限度は容積率八〇〇%ですから、さらに一・六倍以上の容積率の緩和になるわけですが、今後、このような変更は他にも波及していく可能性はあるのでしょうか。
また、ここは緊急整備地域に指定されている地域であり、各種再開発手法を併用すれば、さらに容積率は拡大できるのではないかと思われますが、この場合、どのぐらい拡大することが予想されるのでしょうか。
○森下都市づくり政策部長 用途地域の私どもの指定方針、指定基準におきまして、都心などの区域内で四車線以上の幹線道路に囲まれて鉄道等の整備水準が極めて高い区域に、容積率の一〇〇〇%を定めることができるというふうになっております。その一〇〇〇%の地区で、さらに、例えば現在も実際にやっているわけでございますけれども、特定街区などの都市開発の諸制度によって整備される市街地と同等の水準が確保できるような地区計画を定める場合において、一〇〇〇を超える容積率を指定できるということとしております。
その地区計画の条件が、例えば空地率を確保することとか、あるいは育成用途を何%以上持っているというようなことを記載しているわけでございます。そのような基準に基づいて、一〇〇〇%を超える指定をしている。具体的には一三〇〇を指定しているわけでございます。
それで、現在の一〇〇〇%を指定している地区は、ほかには西新宿地区、この辺の地区でございますけれども、ありますけれども、現時点では、それを一三〇〇などとする予定についてはございません。
なお、一三〇〇%を指定した地区について、さらに容積の上乗せがあるかということでございますけれども、原則的には一三〇〇%が限度であると考えております。例外的な場合として、例えば歴史的な建築物を保全するような場合とか、あるいは特例容積率適用区域において特例容積率を指定した場合、いわゆる容積率を移転した場合ですね、それから、都市再生特別地区の指定を行うような場合、そういった特別の場合を除きまして、原則的には一三〇〇が限度であると考えております。
○かち委員 ほかにもあるかという点では、西新宿が指定されているけれども、現時点ではここ以外には考えられない。非常に特別固有的な部署に限られた部分にこのような大変な容積率緩和がもたらされるわけですけれども、しかも、ここは緊急整備地域であって、いろいろ特例容積率の適用とか、歴史的建造物の保全などを使おうと思えば使えるけれども、それよりも何よりも、都市再生特別地区に指定されたら、今までの指定基準というのは全く度外視されて、みずからの基準でつくることができるというわけですよね。
だから、かつて、この地域では二〇〇〇%のものができるようにしたいという財界の要望もあったわけですけれども、それが現実のものにもなりかねないような状況があると思うんです。大幅な規制緩和のもとで、巨大な超高層のオフィスビルがどんどんできていくわけですけれども、今日、大型のオフィスビル、過剰供給がマスコミやメディアでも取り上げられている問題です。
隣の港区では、汐留、品川、六本木など、既に完成した大型ビルがオープンしておりますけれども、区内の事務所ビルの空き率は、九九年の十二月の時点では六・一七%だったものが、ことし四月には、一〇・一%に大幅に高まっていると聞いております。これは、港区だけではなくて、中央区だとか、その周辺地域、東京全体の中にこういう問題があるわけです。
これが、周辺の中小ビルばかりではなくて、東京の周辺都市の既存ビルの経営にも大きな影響を与えているということが指摘されているわけです。このように周辺環境や周辺との均衡、バランス、そういうものとは無関係に、このような特別区の地区だけに規制フリーの特権を与えていくことが激しいスクラップ・アンド・ビルドを引き起こして、巨大なビルが建つ一方で、ビル不況、またまた不況に落ち込むという問題や、環境破壊、こういうことを引き起こすことが想定されるわけで、これが本当に東京都が今目指す効率的で質の高い都市空間をつくるというようなこととは、また違った意味でゆがんだ都市をつくっていくことになりかねないのではないかというふうに思われます。
次に、絶対高さ制限の導入というのがありまして、七区四市で導入されるようですけれども、これが、私は無制限に高層化するということを抑えるという意味では、大変意味があると思いますし、町並み景観を整えるという点では望ましいと思うんですけれども、これを見ますと、導入する地区によっても、その制限の中にはかなり幅があるんです。十メートル範囲で抑えようとするところと、三十から四十五メートルまでというようなところもあります。こういうふうに三十から四十五メートルといえば、十四、五階建てぐらいになるわけですよね。こういうものが本当に絶対高さ制限というふうにいえるのかどうかというふうにも思いますし、そういうふうに一律に決めてしまうことが、かえって高層化を誘導することにはならないかという思いがします。
世田谷では、最も広い地域、広域的に指定をするようですけれども、三十から四十五メートルということではなくて、せめて街路樹の高さ、二十メートルぐらい以下にしてほしい、そういう区民の方の声も聞いております。
ところで、こうした高さ制限地域であっても、総合設計制度など他の開発手法を使った場合、この高さ制限に縛られないのではないかと思いますけれども、その辺はどのようになるでしょうか。
○森下都市づくり政策部長 高度地区は区市町村が定める都市計画でございまして、個々には区市町村が定めているわけでございますけれども、総合設計制度などの適用との関係については、それぞれ各自治体によって異なってまいります。例えば世田谷区では、絶対高の高さの制限を超えて許可できるんですけれども、その範囲を限定的にしているということでございます。それから、町田市などの多摩部とか、あるいは江戸川区などではこの絶対高さの制限を超えては許可は受けられない、こういうふうな規定になっているようでございます。
○かち委員 それぞれの市区で決めていくということではありますけれども、世田谷の場合は、超えることは認めても、六十メートルぐらいという話も聞いております。六十メートルでこれが抑えられる、全体が三十-四十五で、六十メートルというふうに、やはりみんなの合意を崩していくことにもなるのではないかなという点では、高さ制限のあり方というものも大変疑問に思います。
次ですが、日影規制の問題です。三種高度地区についてですけれども、これまでは四メートル、二階の高さぐらいまでだったものが、今度法改正によって、七ページにありますけれども、高さの選択ができるということで、四メートルから六・五メートル、どちらか選択ができるということになるわけです。
これを採用しようとするところが、三種高度の中での一部でやろうとするところと、その三種高度全部でやろうとするところと合わせると、八区八市一町で導入というふうになっているんです。これは、三階までということは、二階以下の方は日影になってしまうということなんですけれども、こういうことが導入される誘導的な意味というのはどこにあるのでしょうか。
○森下都市づくり政策部長 まず、東京都の考えております基準でございますけれども、容積率三〇〇%の地域については、原則三種高度地区を指定するとしておりまして、このような市街地では、用途の適切な混在を図りつつ、建物の中高層化により適切な高度利用を図るべき地区、こういうことになっております。要するに、こうした地区の建物としては、一、二階部分を店舗であるとか駐車場であるとか、あるいはエントランス部分として、三階以上の階を住宅とした中高層の建築物などを想定しているわけでございます。
したがいまして、その測定面六・五というのは、こういうような一、二階を店舗とか駐車場にしたような建物について、三階以上の窓の部分について、日影時間を一定時間内に規制していくということで、そういった三階以上の部分に日照の確保を図っていくという考え方でやっているわけでございます。
○かち委員 すべての建物が、一、二階は駐車場だとか、影に影響が出ないものを対象にしているということではなくて、三種高度地域で取り入れるということであれば、たとえ後ろ側に住宅があったとしても、それは認めるということだと思うんです。東京都が用途地域に関する指定方針と指定基準というのを出されまして、この中を見ますと、日影の問題については、中高層住宅専用地域が指定された区域、または第三種高度地域が指定された区域については、原則として測定面の高さ六・五メートルを適用するというふうにあるんです。
この範囲で見れば、原則だからそうでなくてもいいのかというのもあるんですけれども、実際、私は二十三区の中で密集した地域では、どうしても用途を高度利用しなければならない場合としてあり得るかなというふうに思うんですけれども、多摩地域の中で、まだ地域的にもゆとりのある中で、あえて三階まで日影をつくってもいい高度利用化を進めなければならないという理由づけが私は納得できなくて、区市に直接お聞きもしてみたんです。
そうした中で、東京都の指導というか方針の中で、今後は三市については六・五メートルを原則とする。現状の四メートルを続けるならば、それなりの理由を示しなさいということになって、六・五メートルを選択しにくい状況が出てきているというふうに思えるんです。しかも、これは条例で、ほかのところは都市計画で定めるとかというのがあるんですけれども、この日影規制については条例で定めるということになって、来年条例化されるんでしょうけれども、固定をしてしまう、かなりきついものになると思うんです。
そういうものをなぜ東京ということで、しかし、特性があるわけで、東京都もゾーンに分けているわけですから、そういう中にあっても、なお一律に六・五メートルにするという、かなり半強制的な指導をされているという点では甚だ理解しがたいんですけれども、その辺はいかがでしょうか。そのような指導をされているんでしょうか。
○野本市街地建築部長 新しい日影規制、六・五メートルの指定の仕方なんですけれども、私ども、六・五メートルを指定するところは、ある程度の高度利用する場所ということで、高度地区との指定の関係でいいますと、三種高度地区、これがそれに相当するだろうということで、各区市に対してそういった通知を出したところです。
強制的なことをしているのかどうかということですけれども、当然強制なんかはしていないわけでして、原則は都市計画的にはそういった指定が妥当でしょうということでお話をしているところです。
○かち委員 強制でないならば、現状の四メートルを維持するならば、その理由を書けというようなことは必要ないと思うんです。でも、実際にそのように指導されているわけですから、それは強制にも通ずることだと思うんです。
しかし、各市区で住民に問いかけてきた段階で出てきたのが、八区八市一町でしかなかったということを見れば、とてもではないけれども、そんなことはやめてほしいという住民の声もあった反映だと思うんです。見ると、多摩地域の方が七市ということで、非常に多いんです。区の方は一部導入というのが七区ということで、これから見ても、密集している地域では住居がそこにあって、とてもではないけれども、そんなことをされては日照権が奪われてしまうという問題がより深刻なんだなという、こういう結果を見ても明らかだと思うんです。そういう意味では、高度利用ということだけではなくて、地域の環境保全という立場からも、地区の選択を重視していただきたいというふうに思います。
それで、今回の素案を、今後縦覧や公聴会の日程の予定が組まれているんですけれども、先ほどもお話がありましたけれども、まちづくり、都市計画、用途地域の見直し、こういうものはそこに住む住民が自分たちのまちづくりとして十分に検討して積み上げていくものだというふうに思うんです。しかし、インターネットで公開しているとか、意見を聞いているとかといいますけれども、実際にはなかなか多くの区民が知らない間にこうやって決まってきているという実態があることは否めないと思うんです。そういう意味で、本当に住民の意見を今後十分に酌み尽くしていただきたいと思うんですけれども、どのように具体的に進めていく予定なのかお聞きします。
○森下都市づくり政策部長 今回、区市町村からの原案に基づきまして、都の方で素案をつくったわけでございますけれども、この案そのものも、区市町村におきまして、広報であるとか説明会などを通じまして、いろいろ住民の方々の意見を反映した上で、東京都の方に出されているものと理解しておりまして、その内容に基づいて東京都が素案をつくったものでございます。
さらに、今後でございますけれども、この概要書そのもの、用途地区の変更の概要書などにつきまして、都庁のホームページに掲載をいたすとともに、九月三十日から三週間、東京都素案の縦覧を都庁とか各区市町村で行いまして、その際に公述の申し出を受け付けることにしております。その公述の申し出に基づきまして、公聴会を十一月十日から十一月二十一日までの間に、区部で三会場、多摩で六会場、全域を対象に一会場で、合計十会場で開催する予定となっております。
○かち委員 この間、昨年の三月に、東京の土地利用のあり方が考えが示されて、それで七月に市区に用途地域の見直しの原案を考えるようにと出されて、一年がかりでやってきたわけですけれども、実際には、ことしに入ってから、住民の意見を聞く機会というのは、ほんの一、二カ月だったかなというふうに思うんです。そういう意味では、とても私は浸透し切れていないというふうに思うんです。
イギリスなどでは、こういう問題の縦覧期間は六週間あるんです。今回は三週間ですね。この間に意見があれば、修正して縦覧をして、そういうことを三回繰り返すというんです。だから、本当に一年でぱっと決めてしまうというものではなくて、やはり数年かけて積み上げていくということが必要だろうというふうに私は思っております。今後、限られた条件ということではありますけれども、公聴会などでも住民の意見を十分に酌み尽くして、修正すべきは修正した計画案づくりを進めていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
○こいそ委員 何点か聞きたいと思いますけれども、先ほどいろいろとやりとりを聞いておりまして、確認も一部入るかと思いますけれども、お願いしたいと思います。
東京都全域の用途地域の見直しは、平成八年から数えて八年ぶりになったわけでありますけれども、東京の新しい都市づくりビジョンを示した将来都市像の実現を目指して、地区計画の策定などをあわせて見直し作業を進めてきた、こういうお話であります。見直しの仕組みとして、地元自治体である区市町村が原案を作成し、東京都にそれを提出し、それを踏まえて東京都が決定するとのことでありますけれども、しかし、地域地域の、例えば区市町村の中においての地域レベルにおいての視点と、当然広域的なレベルでの東京都の視点がそれぞれ違うと思うんです。
その中で、いろいろな議論や調整があったから一概にはいえないと思いますけれども、主な協議、そして調整をどのようになされてきたのか。東京都は今回の用途地域などの見直しに当たって、区市町村に対して主にどのような指導を行ってきたのか、このあたりをお願いしたいと思います。
○森下都市づくり政策部長 今委員ご指摘のように、この見直し作業の過程で、都と区はさまざまなやりとりをしております。まず、指定基準を示しまして、その内容をよく説明して、区市町村に原案作成を出していただく。今回のそれに基づきます素案をつくりまして、再度公聴会などを経た後に、区市町村に意見照会をして、またこれで都市計画の手続で縦覧等をやっていくということでございまして、その間、区市町村といろいろなやりとりがあるわけでございます。
都として、広域的なレベルでの立場でどのような調整を指導してきたかということでございますけれども、都としては、都内全域の用途地域を見直すということ自体が、東京都としての大きな方針に基づく視点でございますけれども、昨年七月に、用途地域等に関します基準を策定して、これを各区市町村に示した上で原案作成を依頼したわけでございますけれども、その際には、区市町村にその指定基準そのものの基準のあり方についても議論しておりますし、指定基準に沿った内容につきましても、十分説明し周知しているところでございます。
先ほど副委員長とのやりとりの中でもございましたように、特に重点的な事柄につきましては、私ども東京都が文書を出して、各市に依頼するようなこともやっております。その後、具体的な個々の見直し箇所につきましても、区市町村とたび重なる協議を行っておりまして、東京都の指定基準に基づいた一定の方向で案をつくっていただけるように調整を図ってきたということでございます。
○こいそ委員 先ほど真鍋さんの方からもいろいろなお話がありましたが、とりわけ多摩地域で課題となっておりました容積率、建ぺい率ですね。先ほどからいろいろと議論がありましたが、少なくとも三〇・六〇ですか、これを六〇・八〇ですか、または五〇・一〇〇で変えてもらいたいというような、それぞれ今までの課題、要望が強くあったんですけれども、その中で、経過の中で、地元から素案は上がってこなければいけないというけれども、我々は、区はわかりませんけれども、いろいろととりわけ地元の役所の担当者等に聞くと、この作業はとてもこの期間では出せない、難しいんだ、これは初めからいってあるんだという話を聞くんです。ですから、今回はいずれにしても間に合わないんだ、これが頭から前提としてあるんです。
それとともに、先ほど住民説明会、ホームページで流したんだよというお話もあったけれども、確かに先ほどからお話もあるように、局長通達が出されたり、担当課長が各市を歩かれたり、大変努力をされていることもこれは事実でありますし、そのあたりも受けとめておりますけれども、しかし、現実、果たして今回の見直しの作業を行う中においては、計画的な時間的な配分というんですか、このあたりに無理がなかったのかどうなのか。地元の方で、果たして住民説明まで行って、そういう時間帯が担保されていたのか否か。
もう一点、これもいろいろいわれておりますけれども、私も直近でもいろいろ相談を受けたんだけれども、とにかく同居したい、介護したいというんです。建て直しもしたいというわけです。ところが、ちょっと出っ張っちゃって、これは建物ではないんだけれども、それから始まって、担当者が見に行ったら、これはだめだ、当然バックしろという話、それから、この次に来て、もし建っていたらだめだぜという話の中で、これも確かに職務に忠実なことで結構なことだと思うんだけれども、しかし、そのあたり全体的な状況から見たときに、もはや介護をしていくんだ、二世帯で住みたいんだという中において、増築も含めて建て直しも含めた中において、こういったバリアフリーのいろいろな機能というんですか、取り入れた建物にするにも、建て直しをしてやっていきたいんだと。ところが、現実立ちふさがっちゃっているんです。
そこで、私はまた地元の担当者と話をしたんですけれども、これはどうなっているんだ、何でこういう地域を出さないんだ。間に合わないんだと、先ほどの話。それとともに、これは私は違うと思うんだけれども、上げていっても、最終的な判断は東京都なんだ、こういう、率直にいってみれば逃げだよ。そういうことの応酬がまたも始まっているのかなと。
都の方に来れば、地元から上がってこないんだよと、ホームページで流しているんだよと。こういうことが今回八年目の全般的な全地域の、東京都全域の見直しの中で、とりわけ多摩地域において、先ほどからいろいろ出ておりましたけれども、本当に一部地域ですよね、容積、建ぺい率の見直しが上がってきているのは。私は、これからやるという、先ほど部長からお話もありましたけれども、これは随時、そして、もう一ついわせていただくならば、広域行政としての東京都としての役割の中で、しっかり現状にそぐわないのであるならば、それこそ指導だと思うんです。ぜひそのあたりをやっていただいたと思うけれども、もう一段、要するに調整、協議、指導というのか、このあたりをやっていただきたいと思いますが、いかがですか。
○森下都市づくり政策部長 まず、今回の見直し、時間が本当にあったのかどうかというご指摘でございましたけれども、私どもとしては、昨年の七月の指定基準を示して以降、その前から区市町村とはご相談させていただいておりますけれども、一定の時間をとって、昨年七月から一年間ぐらいかけた素案をつくっていただいたということで、時間としては十分用意したつもりではおりますけれども、個々の調整が長引いてなかなか間に合わないというところもあったようでございます。
それで、私どもは、今回の用途地域の見直しの仕組みの中で、明確に地区計画などのまちづくりの方向性を示すようなものを定めていけば、随時用途地域の見直しはできるんですよということを明示いたしました。そのことが必ずしも一斉の見直しだけではなくて、用途地域の見直しができるということでございますので、そういった趣旨の運用については、ぜひ積極的に図っていきたいと思っております。
それから、区市町村への働きかけの点でございますけれども、地元の区民、市民を抱えた状況の中で、いろいろな意見が出てくる。そういう中で、東京都との指定の基準の考え方等、相互に出た中にもいろいろあるわけでございますけれども、私どもとしては、今回はかなり積極的に東京都としての指定の考え方を示しまして、東京都のまちづくりが現出するような形でやらせていただいているつもりでおります。今後も、それは同様に政策誘導型の都市づくりといっておりますけれども、そういう姿勢で東京都は積極的に区市町村との調整を図っていきたいと思っております。
○こいそ委員 これはほとんど確認になってしまいますので、このあたりで最後のあれにさせていただきたいと思いますけれども、いずれにしても、今回の見直しの素案の中で、広域行政というのは一体何なのか。東京のまち、また多摩においても、東京のまちづくり、ここにも冒頭いわせていただいたとおりに、東京の新しい都市づくりビジョンを示した将来都市像の実現を目指して云々かんぬんでしょう、これは見直し作業をやる中においての。
例えば、幅員三十メートル道路がある。ここは、もう少し誘導していかなきゃいけない地域があるわけです。例えば用途地域に関する指定方針及び指定基準云々かんぬん、たび重なる調整で区市町村は指定してきた。用途地域見直しの東京案素案から欠落している状況は見受けられるということは、例えばこの地域は、もう近くまで必然的に動線として近隣商業地域が来ている。もう本来やるべきではないか、今いった広域道路も含めて。そういうところの見直しなんかはほとんどありはしない。
それから、駅から歩いて、車にはね飛ばされなければ一分です。こういう状況だって、まだ全然緩和されていない。地元から上がってこなきゃしようがないんだよと。何のために、これはまた申しわけないけれども、もうやめますけれども、何で国が指定した、例えば業務核都市にしても、東京の核都市にしても、いろいろな形で指定したって、こういうところに実効的なものが入っていなかったら何をやっているんだという話でしょう。広域行政としての役割を果たしていくんだと。東京の新しいビジョンを示しながら云々かんぬんといったって、何をいっているんだと。地元が上げてこないからだめなんだでは、これは違うんではないですか。
このあたりにさせていただきたいけれども、東京都の広域行政としての責任、やるべきことをやっていく。指導というのはそういうところではないですか。協議をしなきゃいけないでしょうし、調整もしなきゃいけない。これはよくわかります。ですから、いずれにしても、今後、これからも随時見直しというものがあるそうでありますけれども、ここのところは、市から上がってこない、区から上がってこないよと、とりわけ市区町村から上がってこないよというから、これでいいんだということのないようにリーダーシップをぜひ発揮してくださいよ。そうしなかったら、一貫的な、そのまちに行ったら、そこに行ったら、同じ道路でも、また違った。河川でもだよ。こんなばかなあれはありますか。このあたり、局長、最後に答弁をお願いします。
○勝田都市計画局長 用途地域に代表されます土地利用というふうに称しております土地の利用のあり方でありまして、これは都市の将来をかなり基本的に左右するといいますか、そういう面、それから、一方、個人個人の財産にも直結する、こういう両面がございます。都市計画全般にいえることでございますが、用途地域の見直しについても同様でございますが、都と区市町村がいわば一体的に協議、調整をして、両方の意向がなるべくフィットした形で都市計画を進める、これが基本でございまして、両方の、一方だけが走っていくというのは、やはりどこかにずれなりそういったものが生じてくる、こういうことかと思います。
用途地域の見直しにつきましても、担当の部長からるる細かいご説明を申し上げたとおり、今回私どもの方も本当に腰を据えて、相当力を入れて、できる手段、方法を工夫しまして進めてまいりましたが、個々のケースの中ではそういうものは見られるところはもちろんあろうかというふうに思います。
今後とも、協力してまちづくりを進めるということ、それから、都と区市町村の役割をよく整理し、意思疎通を図って、そして調和のとれた土地利用を進める。これがひいては都民の方々の生活に直結するという気持ちで今後とも進めていきたいというふうに思います。
○林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○林委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で都市計画局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後四時六分散会
Copyright © 1999
Tokyo Metropolitan Assembly All Rights Reserved.