都市・環境委員会速記録第四号

平成十五年二月二十五日(火曜日)
第六委員会室
   午後一時三分開議
 出席委員 十三名
委員長林  知二君
副委員長織田 拓郎君
副委員長真鍋よしゆき君
理事野上じゅん子君
理事いなば真一君
理事こいそ 明君
清水ひで子君
大河原雅子君
山田 忠昭君
かち佳代子君
樋口ゆうこ君
大塚 隆朗君
林田  武君

 欠席委員 一名

 出席説明員
都市計画局局長勝田 三良君
次長藤井 浩二君
理事小林 崇男君
総務部長飯山 幸雄君
都市づくり政策部長森下 尚治君
都市づくり調整担当部長南雲 栄一君
マスタープラン担当部長河島  均君
都市基盤部長只腰 憲久君
外かく環状道路担当部長成田 隆一君
参事宮川  昭君
都市防災部長柿堺  至君
市街地建築部長野本 孝三君

本日の会議に付した事件
 意見書、決議について
 都市計画局関係
  予算の調査(質疑)
  ・第一号議案 平成十五年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為 都市計画局所管分
  ・第十四号議案 平成十五年度東京都都市開発資金会計予算
  付託議案の審査(質疑)
  ・第六十二号議案 東京のしゃれた街並みづくり推進条例
  ・第六十三号議案 都市計画法に規定する開発許可等の基準に関する条例の一部を改正する条例
  ・第六十四号議案 東京都建築安全条例の一部を改正する条例
  ・第六十五号議案 東京都景観条例の一部を改正する条例
  ・第六十六号議案 東京都屋外広告物条例の一部を改正する条例
  報告事項(説明・質疑)
  ・東京における今後の広告物規制のあり方について

○林委員長 ただいまから都市・環境委員会を開会いたします。
 初めに、予算の調査について申し上げます。
 平成十五年度予算は、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成十五年二月二十四日
         東京都議会議長 三田 敏哉
都市・環境委員長 林  知二殿
   予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、二月二十四日付で予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
     記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 二月二十八日(金曜日)午後五時

(別紙1)
都市・環境委員会
 第一号議案 平成十五年度東京都一般会計予算中 歳出 繰越明許費 債務負担行為 都市・環境委員会所管分
第十四号議案 平成十五年度東京都都市開発資金会計予算

(別紙2省略)

○林委員長 次に、意見書、決議について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書一件、決議二件を提出したい旨の申し出がありました。
 本件の取り扱いにつきましては、理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○林委員長 異議なしと認め、そのように決定いたします。

○林委員長 本日は、お手元配布の会議日程に従いまして、都市計画局関係の平成十五年度予算の調査及び付託議案の審査並びに報告事項の説明聴取と質疑を行います。
 これより都市計画局関係に入ります。
 初めに、予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、平成十五年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、都市計画局所管分、第十四号議案、第六十二号議案から第六十六号議案までを一括して議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○飯山総務部長 二月四日の当委員会におきまして要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元に配布しております資料1、都市・環境委員会平成十五年二月四日要求資料の表紙をめくりまして、目次をごらんいただきたいと存じます。
 資料は、1の都市計画局所管の出資金及び無利子貸付金の推移と今後の計画から、5の地方バス路線維持助成における実績の推移及び補助制度の改正までの五種でございます。
 それでは、まず一ページをお開き願います。都市計画局所管の出資金及び無利子貸付金の推移と今後の計画でございます。
 首都高速道路公団並びに軌道事業への出資金及び無利子貸付金の過去十年間の推移と今後の見込み額を記載してございます。
 二ページをお開き願います。二十三区、センター・コア、緊急整備地域で予定される開発区域数、開発面積、供給延べ床面積でございます。
 それぞれの地域別に、開発区域数、開発面積、供給延べ床面積を記載してございます。
 三ページをお開き願います。都心三区、都心五区、周辺十八区の事業所延べ床面積の一九八五年と二〇〇二年の比較でございます。
 地域ごとに、それぞれ増加量を記載してございます。
 四ページをお開き願います。当局所管の市町村土木補助事業の推移でございます。
 補助金合計と事業の種別ごとに、補助金の推移をそれぞれ記載してございます。
 五ページをお開き願います。地方バス路線維持助成における実績の推移及び補助制度の改正でございます。
 1の補助実績は、過去十年間について記載してございます。
 2の補助制度の改正は、平成十三年度末までの旧制度と四月一日以降の新制度を比較して記載したものでございます。
 以上で資料の説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○林委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○真鍋委員 東京のしゃれた街並みづくり推進条例についてお伺いします。
 この条例が提案されて、説明をいろいろ伺いまして、これまで、まちづくりの手法としては、土地区画整理事業であるとか地区計画であるとか市街地再開発事業であるとか、さまざまな事業があったわけですけれども、私がこれまでいろいろ経験してきた中で、意欲を持っている地権者、住民がいても、なかなかそれに乗ってこられない人たちもいる。一定の合意であるとか、きちっとした何か計画が実行できなければ、これはなされないみたいな形で、せっかくそういう機運が盛り上がっても、合意形成に時間がかかり、また、それが不調に終わって、そのまちづくりのチャンスを逃してしまったなんていうケースがたくさんありました。
 今回提案されたこの条例の中に、街区再編まちづくり制度という、こういうものも含まれておりまして、これによって、これまで意欲を持っている方々がいても、なかなかそういう合意形成等々ができなくて難しかったこともクリアされていく、こういうふうに伺っておりますし、私もこう理解をしているんですけれども、この制度において、今私が申し上げたような、地権者の意欲や創意工夫をしながら地域の合意を形成してまちづくりを推進していくということを、どういうふうに具体的な方策として講じていくのか、改めてお尋ねしたいと思います。

○河島マスタープラン担当部長 今、副委員長ご指摘のとおり、合意形成というのがまちづくりを進める上では大変重要なかぎであるというふうに思っております。そのため、この街区再編まちづくり制度におきましては、まちづくりの早い段階で街並み再生方針という地区のまちづくりの方針を定めまして、それぞれのまちづくりがどんな地域貢献をするのか、それに応じてどのような規制緩和ができるのかということをその方針の中で示していく。こういうことによって、事業の見通しを早い段階で得やすくするというのを一つかぎとしております。
 それから二つ目といたしましては、いろいろな事情を抱えた地権者がいらっしゃいますので、合意形成のタイミングを合わせやすくする必要がございます。そういったことから、地権者等による計画が合意できた段階で段階的に計画を進めていくことができるようにするために、都市計画の提案を、そういった合意ができた段階で出せるようにするというのが二点目でございます。
 それから三点目は、その合意自体、非常に多くの地権者が存在すると、どうしてもいろいろ意見が分かれやすくなる。そういうことがございますので、できるだけ話し合いをまとめやすくするためには、ある面で小さな単位の方がまとまりやすいという側面がございます。
 そういったことで、この条例では、従来ではそういった扱いは余りしていなかった、〇・一ヘクタールを切るような、そういう小さな単位でも計画の提案ができるような措置を講じるとか、あるいは、提案を受けたら六カ月以内に都市計画決定をすると。こういうような措置を講じることによって、いろいろな角度から地権者の皆さんの合意形成を促進するような方策を講じていきたいというふうに考えております。

○真鍋委員 今ご説明を伺って、画期的だと思います。それで、その中で、今いわれたとおり、じゃ具体的に進める中でも、計画を立てて活用する。地区計画の活用ということに連動してなるんだけれども、そうすると、この地区計画の場合は、計画の規模によって、都と区市町村に分かれますね。そうすると、その辺のまたご説明を伺いたいんですけれども、区市町村の果たす役割というのはすごく重くなると思うんですよ。ここを東京都はどういうふうに受け取っているのか、どう説明をして連動してやっていくのか、お尋ねします。

○河島マスタープラン担当部長 街区再編まちづくり制度におきましては、容積率などの規制緩和を柔軟に行いながら、都市計画の提案制度を有効に生かしていくために、再開発等促進区を定める地区計画、従来の再開発地区計画のことでございますが、この制度を活用することといたしております。この地区計画につきましては、都市計画の決定権限が、区部におきましては、区域の規模が三ヘクタールを境にいたしまして、都決定と区決定に分かれております。また、多摩地域においては、この都市計画はすべて市町村決定というふうになっております。
 このように都市計画の決定権限は分かれているわけでございますが、ご指摘のように、街区再編まちづくりを進めるためには、地域に密着した区市町村の役割というものは大変大きいわけでございまして、この制度におきましても、都が決定する場合には、これは、もちろんこの条例により都市計画の柔軟な対応を行っていくわけでございますが、区市町村が決定する場合であっても、都と区市町村との緊密な連携によりまして、あらかじめ都が街並み再生地区を定めることなどによりまして、その区域内で区市町村が街区再編まちづくりを推進できるような、そういう仕組みといたしております。
 こうしたことによりまして、都市計画決定の決定権限、これは分かれていても、この条例の中で適用できる建築安全条例の接道条件の緩和とか、あるいは小規模な市街地再開発事業に積極的な認可を行っていくといったような措置が講じていけるような仕組みといたしております。

○真鍋委員 冒頭申し上げましたとおり、これまで、ともすると都心部の開発なんていうところにどんどん集中していってるよというような感もなきにしもあらずだと思うんですが、これで、本当に東京全体のまちの再編というものの一つの有効な手段が、私はできるのじゃなかろうかなと思っています。
 それで、今までこれはなかったので、本当に待ち遠しかったと思うんですけれども、この街区再編まちづくり制度を活用して東京の再生をどう図っていくのかというのが、多分目標、政策誘導としてあると思うんですけれども、都市計画局長、この辺、どう決意を持っておられるか、お尋ねします。

○勝田都市計画局長 この制度につきまして大変高い評価をいただいておりまして、大変ありがたいなというふうに思っております。その要因は、今先生からもご指摘ありましたけれども、地元の意向を柔軟に取り上げることが可能とか、あるいは制度そのものの運用が柔軟、自由度が高い、こういった点が非常に評価をいただいている点かなと、こういうふうに思っております。
 なお、制度はこれからますます充実を図ってまいりますが、使い勝手のいい制度をつくっていきたいというふうには考えております。
 都市再生緊急整備地域、これは主として都心の大型の開発のようなものが中心になってまいりますけれども、今ご指摘ありましたとおり、この制度は、むしろそれ以外の地域で都市計画の手法を適切に運用することによりまして、住民の方々の意欲を喚起しながらまちづくりを着実に推進していく、こういう制度でございます。
 これまでなかなか整備が進みませんでした都内に広範に広がる密集市街地などにつきましても、この制度を活用することによりまして、いわば身近な都市再生を進めまして、個性豊かで魅力のある街並みの形成が可能であろうというふうに考えております。都市再生緊急整備地域のプロジェクトと相まって、この制度を活用しながら、東京の都市再生を総合的に推進していきたいと考えております。

○真鍋委員 今、局長からご答弁いただきましたけれども、先ほど申し上げましたように、これまでまちづくりをやっていこうという中で、本当に中途で断念せざるを得なかったというところ、もう一度そこを拾い上げる。それから、こういう制度ができたから、どうですか、やってみませんかというような声かけをしていく。これは、都と区市町村の連携と、どれだけそういう中身をPRできるかというところが勝負だと思いますので、今、決意のほども伺いましたので、頑張ってもらいたいと思います。
 このまちづくりの中で、次に、ちょっと用途地域の見直しについて質問したいと思うんですが、都市計画で用途を定めて、そして誘導していく、ここは商業地域ですよ、工業地域ですよ、住居地域ですよ等々。これはまちをつくっていくための計画ですけれども、この用途地域の見直しが数年に一回行われていて、いろんな手続もするとおおむね八年ぐらいになると思うんですけれども、今まさにその作業に入っていて、この十五年の七月ぐらいですか、区市町村から原案をもらって、そして東京都が協議をして、来年これを決定すると。
 そういうことで、これまでも、この委員会でこのことについて質問をしてきました。去年のこの委員会において、この用途地域の見直しで、特に低建ぺい率、容積率の地域について、例えば本当に在宅介護の時代であって、皆さん在宅で介護してもらう。そこにホームヘルパーさんを派遣したり、デイホームやショートステイやミドルステイを活用してもらうというふうな在宅介護が中心なんだと。そのための一番大きな問題は住宅問題だと。この住宅と考えたときに、じゃ、建ぺい率三割、容積率六割で、どうやって家をつくりますかと。それだけの土地を持っていればいいですけれどもね。
 ここをどう考えていくかというのが、まさに一つの大きなテーマですねというお話をして、その部分で、低容積率等の指定の地域について、東京都としては、そういう私が申し上げたような視点も含めて、今回の一斉見直しについて、区市町村がこれから原案を出してくるわけですけれども、こういうとらえ方、考え方をしてもいいですよという文書を局長名で通達してくださったと、こういうふうに聞いております。改めて、その中身はどういうものだったのか、確認をしたいと思います。

○森下都市づくり政策部長 昨年十二月に各区市町村へ通知いたしたわけでございますけれども、その内容でございますけれども、多摩地域あるいは区部周辺部で容積率六〇%、建ぺい率三〇%に指定されている区域については、環境良好な一般的な低層住宅地として、将来ともその環境を保護すべき区域について、容積率八〇%、建ぺい率四〇%を定めることが可能としていると。また、同様な地域で敷地面積の最低限度を定めた場合には、容積率一〇〇%、建ぺい率五〇%を定めることが可能となっているというものでございます。
 こういう方針によって見直す方向であることを示した上で、その趣旨を踏まえて、積極的に区市が用途地域の見直しを行うよう依頼したものでございます。

○真鍋委員 そういう働きかけをされたと。本年七月への原案提出に向かって作業を進められていると聞いておりますけど、今、現地ではどのような作業段階に入っているのか、お尋ねします。

○森下都市づくり政策部長 用途地域の見直しの地元区市町の取り組み状況でございますけれども、現在、都が把握しているところでは、区市町によって多少進捗が異なっておりますけれども、取り組みの早いところでは、素案の取りまとめが終わりまして、その素案についての地元住民への説明会、議会や都市計画審議会におきます説明等が行われております。あるいは、これからそういったことが行われるところであるというような状況にあると認識しております。

○真鍋委員 そこで、そういう通達を出していただいた、低建ぺい率、容積率について、そういう良好なというか、二世帯で住めるような住宅を確保するための何か道が開けたなと思うんですけれども、区部周辺部、また多摩の地域において、土地区画整理を施行すべき区域という、こういう規制がもう一方であるわけですね。規制といっていいのかな、まちづくりでいうと都市計画の決定で。そうすると、土地区画整理を施行すべき区域ということになっていますので、せっかく最低敷地面積を決めても、やっぱり今までどおり四〇の八〇ですよなんていう話もあるんですね。
 きょう、ここで取り上げるのは、私の地元の世田谷区なんですけれども、建ぺい率、容積率、四〇、八〇のところを、中心から三メートルセットバックしたり、ないしは六メートルの道路をつくると五〇の一〇〇にしますよと、こういう西部地域地区計画というのがあるんですよ。そうすると、戸建てのお宅は、今四〇の八〇です、四メートル道路に接しています、ここが五〇の一〇〇をつくろうと思ったら、いま一メートル下がればできますよと、こうなるんですね。
 ところが、戸建てのお宅で一メートル下がっちゃったら、四〇の八〇が五〇の一〇〇になっても、間取りは変わらなくなっちゃう。じゃ、だれが好きこのんでやりますかということで、戸建てのお宅でこのことが適用されたというのはほとんど聞いたことがないという、こういう代物の地区計画なんですけどね。この地区計画というのは、いろんな幅があると思うんですけれども、最低敷地面積を決めれば五〇の一〇〇にできますよということもあるわけですよ。あとは、どうやって今後のまちの整備をしていくかという担保をつくっていくという、これ、大事なところなんですが。
 そこでもう一方、土地区画整理を施行すべき区域の見直しガイドラインを都市計画でつくられて、これは区市町村に伝達されている。これを分けますと、あくまで土地区画整理をするところ、地区計画と他の手法にするところ、もう整備ができたので白紙に戻すところと、こういうふうな作業。これも、この用途地域の見直しと同じように、皆さんの方から、都の方からガイドラインを配ってもらって、区市町村が今その作業に入っていると思います。
 この用途地域の見直しとガイドラインの見直しとをあわせてこの際整理するというのは、非常に私は有効だと思うんです。そうすると、今私が申し上げた、例えば世田谷区の例でいうと、西部地域地区計画を、もうちょっと地区計画の中身を変える。そして、最低敷地面積が決まれば、四〇の八〇を五〇の一〇〇にする。そして、六メートル道路等整備ができた場合には、この局長通達にもあるんですが、容積率をもう少し緩和することができる。こうなると、道路を広げようという意欲ももっと出てくるわけですね。
 というふうに、この辺をあわせわざでやっていくべきだなと思うんですけれども、この辺のことも含めて、都は、各区であるとか市町村と、この土地区画整理の見直しのガイドラインとこの用途地域の見直し、局長通達、こういうものをあわせて、どういう指導をしていくというのかな、話し合いをしていって、こういう方向に持っていきますよというお話を、これは当然していくべきだと思うんですよ、ばらばらのことじゃありませんから。どういうお考えをお持ちなのか、お尋ねしたいと思います。

○森下都市づくり政策部長 まず、副委員長ご指摘の地域でございますけれども、この地域は、今お話ございました区画整理を施行すべき区域がほぼ全域でございます。そのために、基盤の状況がまだ一定水準に達していないということで、東京都が、私どもの用途地域であるとか区画整理すべき区域の基準を定める以前に、区独自の方法として、副委員長ご指摘のような、道路用地の提供を求めながら容積率を上げていくという仕組みをつくったものでございます。
 ただ、この方法ですと、やっぱり敷地面積が減るということがございまして、区民の皆さんにとってはなかなか活用しづらいという意見があることも事実でございます。
 そこで、都としては、都の先ほど申し上げました基準を策定しているものでございますので、区が、より弾力的に道路上の整備を進めていくというような地区計画の変更を行うならば、既に容積率一〇〇%に指定されているわけでございますので、その指定は使っていくことが可能になるものと考えております。
 それから、一般的に区画整理を施行すべき区域と用途地域の指定の関連でございますけれども、区画整理を施行すべき区域につきましては、道路率の状況によるわけでございますけれども、その状況を踏まえまして、地区計画で必要な定めをした場合には、容積率が一〇〇とかあるいは一五〇%にするというような規定がございます。
 そういった基準に基づきまして、昨年三月に策定しましたガイドラインでございますけれども、そういったガイドラインを踏まえまして、その地区計画のつくり方とあわせまして、適切に容積の見直しを行うような方法で今後とも進めていきたいと思っております。

○真鍋委員 今のご説明で、そういうふうにやってもらいたいんですが、例えばこの間、一般質問等を聞いておりますと、足立区ですか、土地区画整理の見直しガイドラインと今回の用途とあわせて、こう、ずっと動いているなんていうことをいろいろ伺っていまして、ああ、なるほどそうだなと思うんですが、これ、区によって違うと思うんですね。こっちはこっち、こっちはこっちなんて、まだ作業を先送りに、土地区画整理を見直すガイドラインの作業はこっち、用途地域のとりあえず原案を出しちゃえみたいなことをやっているところもあるんですよ。だから、せっかく全体都市計画でまちをつくっていこうという--これ、一つ一つ大事なことで、これを絡めていかないと、本当に一個一個がもったいないことになっちゃうと思うんですね。
 だから、今ご答弁いただいたように、これはぜひともあわせてやっていくようにというような形で、よく区市町村と話し合ってもらいたいと。そのことを要望して、質問を終わります。

○樋口委員 まず初めに、韓国の地下鉄火災に関連してお伺いをさせていただきたいと思います。
 私も、韓国を訪れるたびに、時々地下鉄を利用させていただいておりますが、日本と同じような地下鉄なのに、などと衝撃を受けております。起きてはならない惨事、ご家族の無念の涙に、ちょうど八年前の地下鉄サリン事件を思い出さずにはおられません。多くの方々が利用する公共の密閉された地下空間に、私は不安を抱いております。
 首都高速中央環状新宿線は、山手通りの下を通るわけですから、地下構造で建設されております。また、外環道で大深度法の活用も検討すると伺っております。地下構造はさまざまな利点があるものの、今回のような意図的、故意に起こされた災害も含めて、どのような場面を想定して安全対策を図っていらっしゃるんでしょうか。

○只腰都市基盤部長 ご指摘いただきましたように、都市内の土木施設といたしましては、市街地の稠密なところに建設するということで、地下構造になるということが最近多うございます。今お話ございました地下鉄あるいは首都高速道路の例えば中央環状線等、非常に都市部としては長いトンネルとなっておりまして、安全性の確保につきましては、重要な課題というふうに認識してございます。韓国の場合、意図的ということだったのかもわかりませんけれども、意図的であるかにかかわらず、防災対策をこれまでも実施してまいってきております。
 まず、鉄道でございますが、地下鉄の火災対策につきましては、昭和五十年の国の通達がございまして、地下鉄道の火災対策の基準というのが示されてございます。まず、駅舎につきまして、建築物を不燃化するということ、それから排煙施設あるいは二方向の避難通路を設置する、あるいは各駅に防災管理室を設ける、このような対策がとられてございます。
 また、駅間トンネルにつきましては、不燃化あるいは難燃化の構造、燃えにくい構造になってございます。
 また、韓国では非常に大がかりな火災になってしまったわけですが、日本の場合、車両につきましては、すべての車両が不燃化、あるいは車両の中には非常通報機、消火器等が設置されている状況にございます。
 次に、道路でございますが、道路につきましては、長い都市トンネルにつきましては道路トンネル非常用施設設置基準、これは国土交通省によって定められております。避難対策につきましては、構造上の避難口を設ける等の対策、それから消火対策につきましては、水噴霧設備等が設けられている状況にございます。

○樋口委員 お話を伺うと、大変安全性がすぐれているということを聞き、多少安心をいたしました。しかしながら、韓国の地下鉄が決して燃えやすいものではなく、災害時に特別問題があった構造にしていたわけでもなく、安全基準を満たしていた。しかし、不幸に不幸が重なって、また、被害の状況が把握できなかった、その上、警報の誤作動かと思われて被害を拡大させたというようなこともあるかと思います。日本でも同様でありまして、いま一度検証し、危機管理について警鐘を鳴らしていただきたいと願っております。
 さて、こうした防災対策に対して、地下鉄を含め、地下の安全確保やそのための追加的経費を助成する仕組み、そのようなものがあるのかどうなのか、お伺いしたいと思います。

○只腰都市基盤部長 まず、首都高の場合の道路でございますが、これにつきましては、既設路線の防災安全対策等につきましては、国と都の出資の対象の事業となってございます。具体的に申し上げますと、建築後二十五年以上経過したようなトンネル本体の補強、あるいはその安全走行の支援システムにつきましては、公団に対して出資金を出せるという仕組みになってございます。
 それから地下鉄でございますが、ご承知のように、新線建設工事や輸送力増強工事のほか、バリアフリー対策の工事等の大規模改良工事が補助金の対象になっているわけでございますが、営団につきましては、避難方向の二方向確保や、あるいは換気設備の設置工事につきましては、この大規模な駅の改良工事とあわせて行っているということでございます。

○樋口委員 次に、首都高速道路中央環状新宿線の換気塔についてお伺いをしたいと思います。
 平成十八年度完成に向け、新宿線の建設が行われているわけなんですが、しかし、道路内に高さ四十五メートル、ビルディングにして大体十五階でしょうか、そんな換気塔が設置され、その機能の安全性に、周辺の住民の方々にとっては不安であり、圧迫感があり、また、景観上好ましくないという意見も大変多いのが事実です。また、何の規制もない換気塔から、フィルターを通すなど何らかの処理を施すにしろ、大気汚染物質を噴き上げ、拡散処理することに対し、周辺の環境に対する不安が大きいのも事実であります。
 一方、ことし十月から、実際、本当に実施できるのかどうか、疑問は多々ありますものの、ディーゼル車の規制も行われ、片や低公害車も大変な勢いで普及しております。新宿線完成時には、視野の確保ということで一定の換気は必要なものの、ここまで大規模な換気塔は必要がなくなり、負の遺産となるのではないだろうかという意見も出てきております。
 大手自動車メーカーの試算ですが、平成二十年度には、完全に低公害車、無公害車が主流だと断言しております。沿線住民の方々には、これは中野区議会でも、渋谷区議会でも、新宿区議会でも取り上げられたことなんですけれども、地下の通行を平成二十年度までは低公害車優先道路として利用し、建築費のかさむ換気塔については最小限の小規模なもの、最小限の小さなものに変更すべきではないかと主張されている方々もいらっしゃいます。また一方で、本当に健康面が守れるのかどうかと不安を持たれている方もいらっしゃり、脱硝装置を切望されているグループもおられます。
 さて、換気塔はなぜ必要なんでしょうか。前回も質問させていただきましたが、ちょっとお伺いをさせていただきたいと思います。

○只腰都市基盤部長 換気塔でございますが、中央環状新宿線、これは延長十一キロございますが、そのうちほとんどが地下構造でございます。トンネル構造を採用した理由としましては、沿道環境の保全ということになるわけでございますが、それに伴いまして、私どもといたしましては、換気塔につきましては不可欠の構造であるというふうに考えております。
 まず、トンネルですので閉塞された構造になりますので、自動車の排出ガス中に含まれます有害物質が、トンネルの運転手さんを含めました利用者、それから、保守管理に当たる者にとって生理的な悪影響を与えないこと、それから走行の際、良質な視野--前が見えなきゃいけないということで、その視野の確保、こういうためにトンネル内の常時の入れかえ、いわゆる換気が必要でございます。
 それから、トンネル内で、先ほどちょっとお話に出ましたような火災が発生した場合につきましては、排煙を行いませんとまずいということで、その排煙のためにも必要な施設というふうに考えてございます。

○樋口委員 トンネル内の火災などの発生の場合、排煙を行うために必要だとおっしゃいましたけれども、換気塔から換気塔の間というのは約一キロあるんです。もし仮に真ん中で事故が起こってしまって煙が出た、それを五百メートル誘引してこなくてはならないということになります。韓国の地下鉄事故でもそうであったように、排煙しなくてはならないとき、短距離で排煙することが事故の拡大にならないのではないだろうかと思いますが、かといって、これ以上換気塔を建て続けなさいといっているわけでは全くないんです。この状況も想定して検討していかなくてはならないのではないかと申し上げたいと思います。
 それで、換気塔関連施設、それは大体お幾らぐらいなんでしょうか、お教えください。

○只腰都市基盤部長 換気塔の関連施設でございますが、いわゆる土木建築に当たります換気所と、塔そのもの、それから、その下に機械物が入っておりまして、ファンやフィルター、それを動かす電気設備等含めまして、中央環状線は九カ所ございますが、全部で千二百億円程度というふうに見積もってございます。

○樋口委員 大体換気塔一本当たり七十五億ということでございましょうか、大変な額になるかと思います。換気塔にかわるものはないのか模索しているわけなんですけれども、脱硝方法にはどんな--といいますのは、ことしの二月一日から、建設局と国土交通省が共同で、大田区松原橋のところで、大気浄化実験施設として土壌脱硝施設を動かしておりまして、そこは私も見学をさせていただきましたけれども、脱硝方式にはほかにどのようなものがあり、このうち土壌浄化システムというのはどのようなものなのか、お教えください。

○只腰都市基盤部長 脱硝でございますが、基本的には、文字どおりNOx、窒素酸化物を除去する仕組みでございます。基本的には三つの種類があるというふうにいわれておりまして、一つは、化学反応装置によりまして排出されたガスからNOxを抜く低濃度脱硝技術といわれるものが一つ。それから、紫外線のもとで、二酸化チタンの作用によりまして除去する光触媒の方式。三番目が、今お話に出ました、土壌と微生物の作用により吸着、分解をする土壌浄化方式でございます。
 土壌浄化方式でございますが、これは吸気口から大気を吸い上げまして、NOxをまずNO2に酸化をいたしまして、その酸化されたNO2を土壌の、土の層を通気させることによりまして、その汚染物質、NO2を土壌の粒子に吸着をさせまして、土壌にはいろいろな微生物がすんでいるそうでございまして、その微生物によりまして分解、浄化をしましてきれいにする、そういうようなシステムといわれてございます。
 先ほどご指摘いただきました松原橋のほかに、大和町の交差点で今実験中でございます。

○樋口委員 土壌脱硝については、このように実用化に向けて実験が進められている段階です。このシステムを使うことにより、換気塔をなくせるのではないかという住民の方々の要望があります。
 土壌脱硝、その施設を見せていただいたんですが、四億数千万でできたという話を聞いております。この土壌浄化システムを首都高環状新宿線に採用して、換気塔をなくせないものかどうか、ご見解をお伺いしたいと思います。

○只腰都市基盤部長 この土壌浄化システムでございますが、先ほど申し上げたように、まだ現在実験中のものでございまして、その除去能力とか耐久性につきましては、これから学識経験者などの入りました大気浄化技術評価委員会で検証することになってございます。仮に、今お話ございました新宿線にこれを適用するということになりますと、まず、どのぐらいの耐久性があるものかどうか、そのチェックが要るというのが一つ。
 それから、土壌を通しますので、土壌を置く場所といいますか、土壌を設置する空間が要るわけでございまして、その空間をどこに確保するか。路上は道路になってございますので、十分な土壌層が確保できるかどうか、設置面積が可能かどうかということが一点。
 三番目が、先ほどちょっと申し上げました火災等が発生した場合は、いずれにしましても排煙システムというのが要るわけでございますので、それを別につくるということになりますと、別途換気所が要るようなことになるというような、いろいろございまして、現時点では、環状六号線下の首都高の新宿線に適用することにつきましては、解決すべき課題が多いのではないかというふうに考えてございます。

○樋口委員 ありがとうございました。
 低公害車の普及も進んでおります。燃料電池車も実用化され、低公害車への技術革新も進んでおります。今後、実用化に向けた土壌脱硝の効果などが検討される--ただ、非常に難しい状況であるということはよく理解した上で、このような換気塔、ランニングコストを入れないで一基当たり七十五億円、千二百億円もかかるようなこの換気塔が本当に必要なのかどうか、いま一度検討していただければと願っております。
 ありがとうございました。終わります。

○野上委員 初めに、今回、住宅の建築物の容積率の緩和、木造密集地域の新たな防災対策について、東京都建築安全条例改正案が出されました。これが発表されてすぐに、一般の新聞に、木造建築物は一切建てられないという大変大げさな記事で報道されたものですから、町は大変大騒ぎになりました。今までストックしていた材料とか資材を使えないではないかとか、不動産屋さんや工務店、それから建築業の方々からひっきりなしに電話がかかってまいりました。詳しいことを都市計画局の方からお聞きしながら対応した次第であります。
 今、定例会に提案されている新たな防火規制について、この制度をつくった背景について、改めてお伺いしたいと思います。

○野本市街地建築部長 木造住宅密集地域で準防火地域に指定されている区域では、一定規模以下の建物は、木造や防火構造で建てかえができることとなっております。このため、地域の不燃化が進まない状況にございます。
 新たな防火規制の区域に指定することによりまして、建てかえ時には、原則として準耐火建築物以上とすることになりまして、地域の防災性能を図ることができます。

○野上委員 確かに木造密集地域の解消が進まないのは、建てかえ時に木造建築が再生産されていることが原因の一つに挙げられております。例えばよく目にする光景なんですけれども、葛飾の方でも、比較的大きな家を壊した跡に、五軒から六軒の、中庭に玄関があって、みんな中庭に向かっているような小さな木造の家に建てかえられているんですね。こうした小さな家が二、三十年経過した後には、果たして建てかえられるのかということで、とても心配になります。それぐらい狭い空間で、効率よくというか、建っているわけなんですね。隣との家がくっついて建っておりますので、火事になると、きっと類焼は免れない建築になっているなということを感じております。
 こうした木造建築物をさらに更新していくような仕組みを改めて、防災に強いまちづくりを住民の方々の協力を得ながら進めていかなければいけないと思っております。この区域の指定に当たっては、どのような手順で進められていくのか、お伺いいたします。

○野本市街地建築部長 区域の指定に当たりましては、区市と十分連携をとりまして、住民説明会でありますとか広報等で制度の趣旨を十分説明しまして、地元住民の意向を的確に把握していくことが重要と考えております。区市の意向や地域の状況を勘案して、適切な指定を行っていきます。

○野上委員 それでは、具体的にどのような地域が対象になって、建築基準の内容はどのように変更になるのかについて教えていただければと思います。

○野本市街地建築部長 新たな防火規制の対象地域でございますけれども、準防火地域内で、東京都震災対策条例で定める整備地域並びに災害時の危険性が高い地域のうちの、特に震災時の火災等による危険性が高い地域でございます。この地域では、指定されますと、原則として、すべての建物を準耐火建築物以上とすることとしまして、規模の大きな、延べ面積五百平米を超えるものについては耐火建築物とすることを求めております。

○野上委員 私、余り詳しくないんですけれども、準耐火建築物ということなんですけれども、具体的にはどのような構造なのか、お伺いしたいと思います。

○野本市街地建築部長 準耐火建築物ですけれども、三つほどの種類がございまして、まず一つは、柱とはりを木造としまして、その上に一定の厚さの石こうボードをかぶしたもの、そういったものでございます。もう一つが、外壁が一定厚さ以上の燃えないレンガ造等でつくったもの。三つ目の種類としましては、柱、はりなどを鉄骨造としまして、外壁に一定の厚さ以上のコンクリート板をかぶせたもの、こういった三種類のものがございます。

○野上委員 ということは、実際に準耐火建築になっているかどうかという検査は、工事中に検査をしなければ、でき上がってからではわからないということでよろしいですね。石こうボードが入っているかどうかというのは、その石こうボードの上にまた重ねて、わからないような仕組みにしているわけですよね。
 この制度の中で、木造密集地域の新たな防災対策についてというこの資料の中に、二の二のアのところに、原則としてすべての建築物は準耐火建築物以上とすると書いてあって、その原則としてという言葉が非常に私は気になったんですけれども、この原則としてという適用が除外される場合は、どのような場合があるんでしょうか。

○野本市街地建築部長 適用除外の内容でございますけれども、既存の不適格建築物、今木造で建っているようなものですけれども、五十平米以下の小規模な増築をする場合、こういったものは除外されます。
 それから物置等の附属建築物、これについても適用除外となっております。

○野上委員 これもちょっと気になったんですけど、延べ面積が五十平方メートル以内の平家建ての附属建築物というふうに書いてあるんですけれども、例えばこういうところを人が住居として使用している場合、これも大丈夫ととらえていいわけですね。
 準耐火構造というのは、一定時間、四十五分間、火災に主要構造部が耐えるものという基準だそうなんですけれども、木の部分を石こうボードで覆ってしまうと。それでは強度が弱いということで、さらにボードで覆うということになりますと、大変コスト高になるということですね。今まで木造一般住宅だと、延べ床面積百平方メートルの建設費が一千四百万円のところ、準耐火にすると千五百万円かかるということなんです。木造一般住宅に比べて百万円高いと。また、耐火建築だと、普通だと千八百万円で、木造一般住宅に対して四百万円割高になっているということなんですね。また、耐火建設は五百平方メートル以上ということなので、単純に二千万円余分にかかるということになるわけです。
 これは住宅金融公庫の基準の単価による試算なんですけれども、今まで貯金をして建てかえを計画してきた住民にとってみれば、大きな負担を強いられることになるわけです。防火規制をかけられることで、余計に、余分なお金がかかってしまう。確かに防災上は大変よいことなんですけれども、建てかえ資金計画が狂ってしまう。こうしたことに対して、建てかえを容易にするために、都市計画局で考えている、支援策というんですか、そういったものはあるんでしょうか。

○野本市街地建築部長 狭小な敷地が多い木造住宅密集地域での建てかえを促進するためには、新たな防火規制の区域指定とあわせまして、地区の状況に応じて、区市と連携しながら、前面道路による容積率制限や斜線制限の緩和を行っております。
 先ほどの五百平米以上は耐火ということなんですけれども、私ども基準を考える場合に、一般の木造ですと大体百五十平米程度かなということで、五百平米以上という住宅は少ないであろう、そういうことで、耐火となってもよろしいのじゃないか、そんなことも考えております。よろしくどうぞ。

○野上委員 では、具体的に、容積率の緩和といわれたんですけれども、どれぐらい緩和されるのかと。住民の方々から、整備地域に指定されて本当によかったと思えるような緩和であるのか、お示しいただければと思います。具体的に例を示していただけるとありがたいんですけれども。

○野本市街地建築部長 木造住宅密集地域での平均的なモデルといたしまして、敷地面積八十平米で試算してみました。前面道路による容積率制限であるとか、あるいは斜線制限を緩和することによりまして、これまでよりも、面積で六畳間一つぐらいが余分にできる、建てられるということになります。
 それから、高さ的には、今まで二階建てであったものが、二世帯住宅で三階建ても建てやすくなると、こんなふうなことがございます。

○野上委員 住民の方々が建てかえを希望されるときに、安全なまちづくりを進めていくことは大切なことだと思います。私も、暮れに火事がありました。焼け焦げたにおいはするけれども、一体どこから入っていいのかわからないほどの密集地域でした。類焼された方は、寒空にほうり出されて、生きる希望もなくしておられました。早速、住む家とかを手配したりして動いたんですけれども、そういった地域が準耐火建築物になったときに、防災上の効果はどれぐらい期待できるのかについてお伺いしたいと思います。

○野本市街地建築部長 建てかわった場合の防災上の効果でございますけれども、都内の木造住宅密集地域の一部について試算してみました。そうしたところ、老朽木造建築物がすべて準耐火建築物に建てかわった場合、現在の焼失率が五五%でございますけれども、それが約八%まで、大幅に減少することが予測されております。

○野上委員 五五%が八%まで減少するということは、すばらしいことだと思います。東京は、関東大震災からの周期を見ても、いつ直下型の地震が起こるかもわからない、大火災が発生するかもわからないという状況に置かれておりますけれども、いざというときのために、道路の拡幅とか、そういった木造密集地域を解消してほしいという住民の方々の声に耳を傾けながら、安全で安心して快適に暮らせるまちづくりを推進していく必要を感じております。自分の町が大好きである、すてきなまちづくりをこれからも推進していっていただければと思います。
 これで終わります。

○かち委員 大変高い評価を受けているといわれております東京のしゃれたまちづくり条例案について、何点かお聞きします。
 先ほど来いわれておりますように、まちづくりというのは、そこに住む人々が長年の歴史の中で築き上げてきた地域コミュニティの中で培われていくものだと思います。何よりも住民合意形成が一番大事だと思っております。その意味で、都市計画の案そのものを住民のサイドから提案できるような仕組みは、方向性としては必要なことであり、重要なことであると思います。
 しかし、今回提案されている条例案では、街並み再生地区として指定された地域の中で限りなく細分化できるということ、また、個別的な規制緩和を伴うものであり、その手法やプロセス、また基本的な考え方などに幾つか疑問を持つものです。
 そこで何点かお聞きしますが、まず、条例の基本コンセプトとして、都民等の意欲と創意工夫を生かした云々とか、都民等の主体的な都市づくりなどとなっていますが、この都民等というのはだれを指しているのでしょうか。

○河島マスタープラン担当部長 条例におけます都民等の定義でございますが、第一条のところにその定義がございまして、東京都民、それから事業者。この事業者と申しますのは、店舗とか工場とか事務所とか、さまざまな事業を営んでいる方々全般を指します。そして、まちづくり団体。これは、まちづくりに対して具体的に目的を持って団体活動を行っている、そういうグループでございます。例えばNPO、地域まちづくり協議会、再開発の組合、区画整理の組合とか、あるいは商店街なども、まちづくりを行う場合はこういうまちづくり団体に入るし、コンサルタントの業界団体の方も入るだろうし、そういう公式的な名前はついてなくても、一緒になって任意的なまちづくり事業をやろうとするような団体も含めて、広くまちづくり団体というふうに考えております。

○かち委員 それでは、もう一度お聞きしますけれども、そこには、民間のいわゆるディベロッパー、こういう人たちは入らないのか。それから、借地権も持たない借家人、こういう人たちは対象になるのかどうか、その点はいかがでしょうか。

○河島マスタープラン担当部長 事業者につきましては、先ほどご説明したとおり、広くいろいろな事業を営む事業者が含まれますので、実際にその場所で事業を営んで、ほかの地権者の方と一緒にまちづくりを進めるような立場の方もいれば、あるいは実際にそのまちづくりを進める担い手として建設事業に携わる方とか、あるいは不動産関係の調整を行う方々、そういった業者の方々ももちろん含まれます。
 借家人の関係でございますが、都民等という概念がございまして、この都民等というのは、別に土地に権利を持っている方々ということで限定しておりません。この条例の中では、土地所有者等という概念はございますが、そういう中には含まれませんが、この最初の、条例の第一条で出てくる東京都民、これの概念には当然借家人も含んでおります。

○かち委員 こういうまちづくりを進めていくことを具体的に進めていくことになると、やっぱり土地の所有者とか権利者とか、そういうところが大きなかぎを握ってくると思うんですね。結局、今の話を突き詰めていけば、土地の所有者とか資本力のある民間ディベロッパーなどの影響というのは非常に大きくなるだろうと思うんです。土地も借地権も持たない借家人などは、意向を決めていくときの参加者にはなり得ない、そういう状況だと思うんですね。
 イギリスなどでは、一坪の土地も持っていない人でも開発許可申請ができる制度があり、また、住民が代案を出して勝ったというケースなどもあると聞いています。まちづくりというのは、土地のあるなしにかかわらず、そこに住んでいる人々が主体になるべきなのではないでしょうか。この条例案では、抽象的には都民主体と書いてありますけれども、その中身がそうなっていないというふうに思います。
 そこで、街区再編まちづくり制度について伺いますが、概要などを見ますと、知事は、街区ごとに再編整備を行う必要性の高い地区を街並み再生地区に指定し、その実現に向けた街並み再生方針を定めるとありますが、地区からの申請を受けて都が決めるというのではなく、なぜ上から、知事が決めるのか。例えばどういうことを想定しているのでしょうか。

○河島マスタープラン担当部長 街区再編まちづくり制度におきます街並み再生地区とか街並み再生方針を定めるのは、条例上、知事であるというふうにしています。これは、これまでなかなか具体的なまちづくりが進まなかった地域におきまして、東京の都市再生を総合的に進めるために、この新しい制度を今回の条例でつくろうと、都みずから創設しようということでございますので、都が責任を持ってそれを定める必要があるということでございます。
 もちろん街区再編まちづくり制度は、この条例をごらんいただくとわかりますように、地域におけます地権者等のまちづくりの意欲を喚起しながら進めるものでございますから、地域の皆さんの意向を無視して進められるものではございません。そういった趣旨から、その運用に当たっては、区市町村初め地域の意向を十分に反映させることが必要であります。
 そうした趣旨で、条例上、街並み再生方針につきましては、基礎的自治体である区市町村の意見を聞き、これを尊重するとともに、区市町村が策定を求めることもできる、こういう仕組みにしております。

○かち委員 総合的に都が責任を持って進めるものだということですけれども、実際、今まで木造密集地の改善などはなかなか進んでこなかったという現実もあります。なぜできないのかということですけれども、木造密集地などは、やはり大変だと思うんです。
 私は、実際まちづくりにかかわっているNPOの民間コンサルタントの方からお話を聞きました。その密集地域では、住民が一緒に千平方メートルの宅地を捻出するのは本当に大変だといっております。密集している状態は、宅地も狭いし、道路づけもないし、私道込みで一人四十平方メートル、十八人で七百平方メートルにしかならない。千平方メートルを一つの区切りにしたのは実情に合っているようにも見えるとおっしゃっていました。しかし、固まったところだけやればいいということになると、残ったところがどうにもならなくなってくる。それぞれ千平方メートルの単位だけでなく、地区全体で整合を考えていかなければだめだとおっしゃっていました。
 時間をかけて、親身になって相談に乗って、再開発に踏み切ったというケースもあるといわれています。そういうところにこそ行政的支援が必要ではないでしょうか。そんなことではまどろっこしい、もっとスピードアップで面的にまちを再編しようというのが今度の条例案の意向ではないかと思います。まとまれば提案もできる、容積率アップの魅力もあるということで、みんなが競い合う、動き出す。そういうときに、借家人や弱小地権者などが置いてきぼりになりかねない、こういうことも懸念されるわけです。
 都が定めている都市計画の提案制度では、〇・一ヘクタール、千平方メートルですけれども、それ以下でも柔軟に対応するとあります。下限の限度はありません。限りなく小さい単位でも都市計画決定していくということなのでしょうか。そして、〇・一ヘクタール以上と以下との対応の違いというのはどういうことでしょうか。

○河島マスタープラン担当部長 ただいまのご指摘の中で、小さな単位でやっていくと、非常に全体的に計画性のないまちができるのではないかと。これは、何も措置をしなければ、当然そういうことの危険性があると思われます。しかし、この街区再編まちづくり制度につきましては、全体の計画性を街並み再生方針で保ち、その中で街並み再生方針に適合しているものについては、小さな単位でも立ち上がりを許容していこうと。それによって、今の時点で頑張れる方は今頑張ってもらい、将来の時点で頑張れる方は将来の時点で頑張ってもらう。こういう柔軟なやり方を講じない限りは、全員で常にまとまってやらない限り何もできないという状態では、やはり何も前に進まないと、こういうことを考えてつくられている制度でございます。
 そんなような趣旨でございまして、今、民間のコンサルのお話がございましたけれども、十八人で七百平米、まさにこういった単位でも、全体のまちづくりの方針に合っているならば、大いにその意欲を生かして都市計画で応援してあげようと、こういう制度がぜひ必要なんだろうと思います。
 私どもといたしましては、そういった趣旨から、現在の都市計画法の都市計画の提案制度、これはつい最近できたものでございますが、政令で、原則〇・五ヘクタール以上の規模ということになっています。〇・五ヘクタールというのはとても大きな規模でございます。五千平米でございます。こういった五千平米の方々の合意というのは、得るのは大変でございます。
 そういうことから、都市計画法は、条例に基づけば〇・一ヘクタールまでその規模を小さくすることができる、提案できる規模を小さくすることができる、こういう規定がございます。まず、それをこの条例で活用しています。この条例の中で、法律に基づいて規模の低減を図れるその限度まで、〇・一ヘクタールまで、地区整備計画の提案をできる規模を下げました。
 でも、それでも、先ほどご指摘のありましたような十八人で七百平米という、そういうまちづくりの動きをすくうことはできないわけです。でも、実際には、そういう地域で、その小さな単位でやることがまちのために非常にプラスになるということは、非常に多くあるんだろうと思います。こういったものを、初めから小さいからといって切り捨てるのではなく、それがまちづくりに役立つなら、大いにすくい上げていこうと、こういう精神でこれはできております。
 最低規模につきまして、あらかじめ一律の基準を定める考えはございません。それは、その地域によって、あるところでは、もしかすると三百平米でも、それがまちづくりの役に立つ、道を広げるのに役に立つとか、そういうことはあり得ると思います。それを、一律例えば五百平米というふうに決めてしまうと、それは全体としては何か形がよく見えるかもしれませんが、地域の実情に合ったことにならないだろう。
 そういったことから、まちづくりの方針がしっかりしていれば、その地域にふさわしい運用ができるはずだ、こういうふうに考えておりまして、〇・一ヘクタール未満の場合につきましても、条例上、法律の枠を超えて申し出ができる制度とし、その下限はつくらない、こういう仕組みにしております。

○かち委員 もう一つは、〇・一以下と以上の対応の違い、それは何ですか。

○河島マスタープラン担当部長 〇・一ヘクタール以上について、法律に基づく提案ができるということでございます。それから、〇・一ヘクタール未満の場合につきましては、法律に委任された形では提案という言葉は使えませんので、条例上、申し出という言葉を使っています。でも、基本的にその取り扱いは同様の取り扱いをする、そういう運用を図るつもりでございます。

○かち委員 今、るる説明を伺っていまして、そういうふうに思えるところもあるんですけれども(発言する者あり)違うんですよ、つくる側に立ってみれば、それはまとまってできるということの条件が緩やかになるということはいいわけですけれども、それを受ける側、その周りの人たちとの関係で合意形成をどうつくっていくかという点では、非常にいろんな問題を生み出すと思うんです。
 今いわれたように、〇・一以上と以下の内容の違いはないんだと、提案と申し出という言葉の違いはあるけれども、内容的には変わらないんだというふうにいわれましたけれども、結局三分の二の同意で開発の提案ができて、それで、行政がそこに介入する、都市計画決定するということになるということが、住民を拘束することになる。そこに合意をしない人たちというのが、やはりそこからはみ出してしまう、はじき出されてしまうという現実も生まれてくるわけです。
 しかも下限を決めないというのは、一律の基準ではなくて、それぞれその街区にふさわしいと判断すれば認めるんだということですけれども、客観的な判断基準がなくて、東京都の裁量によってそういうことを決めることができるんだと。ここはいいよ、ここはだめだよということになると、それはやはり住民間のあつれきとか矛盾を生み出すものではないでしょうか。同じ敷地内の中にあって、あそこは認められて、ここはどうしてだめなのかとか、そういうことも出てきかねないわけです。
 そういう意味では、少なくとも下限の限度を決めること、そして客観的な基準というものをやっぱり決めるべきではないかと思いますけど、いかがでしょうか。

○河島マスタープラン担当部長 東京都が、その地域の実情を全く無視して何か決めるということは、全く意味をなさないというふうに考えます。要するにまちづくりが前に進まないことには、こういったことを決める意味は全くないわけです。いかに前に進めるかという視点で東京都も決定をするわけでありまして、その東京都の決定の前提となるのは、先ほども申し上げましたように、区市町村が地元の方々とどんなまちづくりを進めるのか、そういう密度の濃い話し合いが当然前提になると思います。区市町村が全くそのまちづくりにノータッチのところで東京都が決めるということでは、このまちづくり、できません。
 そういった意味で、区市町村とも連携しながら、どういうまちづくりを進めることがその地域で必要なのか。そのときに、そのまちにとって地域の実情、いろいろ細分化の状況等ございます。実際にまちの道路の状態だとか建物の建て方を見て、このまちでは、こういう場所ではこういう規制の緩和とか、また、新たな必要な規制をやるとか、そういったことが当然浮き上がってきます。そういったものに基づいて街並み再生方針をつくれば、地域の実情に合った規制なり規制緩和ができる、そういうことが必要なんだろうと思います。
 ですから、そういう意味で私どもとしては、東京都があらかじめその地域の実情を抽象的にとらえて、実際に地域の実情に合った形でない形で一律に最低限度を定めるというのは余り意味がないということで、そういう取り扱いはしない方向で考えておりますということを申し上げております。

○かち委員 まちづくりというのは、やっぱりそこに住んでいる人たちの住民合意でつくっていくものだと思うんですけれども、そんなに小さな単位まで東京都が介入しなければならないのかなというふうに思うんです。そして、条例というのは、そのつくった趣旨というものがあったとしても、条例は条例としてもう形になってしまえば、その中で何が使えるかということでひとり歩きをしていくというのも、これまでの例であるんですよね。
 そういう意味では、法律では〇・五、政令で〇・一ヘクタールですか、に決めてあるものを、さらにそれ以下でも、その下限を決めないということは、まさに都市計画法の政令にも反するものだというふうに思います。案の申し出という形で、要件となる面積を際限なく小さくし、実際は計画案と同じ機能を持たせることは、みんなで協働して譲り合ってまちづくりをしようということとは全く逆行するのではないでしょうか。先にやる、抜け駆けをする、こういうことも出てきかねません。その流れに乗りおくれたら、にっちもさっちも身動きがとれなくなる、そういう地域も出てくるということです。そういう意味で、都民の総意を生かすという意味から、やはりかけ離れているのではないかと思います。
 また、学校跡地など公有地の低未利用地をディベロッパーなどが買い取って土地所有者となれば、案の申し出対象面積の三分の二以上の要件を満たす、こういうことも容易にできるわけで、隣接した地域の同意が十分になくてもそういう開発に組み込まれていく、そういうことも予想されるわけです。いたずらに民間事業者を優遇し、住民によるまちづくり、そういうことが壊れていきかねません。
 開発提案ができる一団の三分の一の地権者が不同意者の場合、その扱いというのはどういうふうになるのでしょうか。強制的、収用法的にかかってくるのかどうかということです。

○河島マスタープラン担当部長 三分の二以上の同意があれば提案できるということで、では、その同意しなかった方たちの意見はどうなるのかという、そんなようなお話でございますけれども、実際に提案された地区整備計画を都市計画決定する場合には、都市計画法の手続の中でこれを決めていく必要がございます。そういったことから、利害関係者に対する原案の縦覧をするとか、正式の都市計画案の縦覧をして意見書を徴するとか、あるいは都市計画審議会の議を経るとか、そういった通常の都市計画の手続はすべて必要になりますので、こういった中で、少数の意見というものもそれなりに考慮される仕組みになっていると。これは、別にこういった提案制度によらない都市計画の仕組みの場合と全く同様でございます。
 また、一たんそういう適正な都市計画、法に基づく都市計画の手続により決定された都市計画であれば、その場合には、自分の意に沿わないということが仮にあったとしても、反対されている方も、やはり公式のそういう都市計画となった場合には、それを守っていただく、そういう必要性があるかというふうに思います。

○かち委員 手続上は当然とるべきではありますけれども、今のお話では、やはり都市計画決定されたということでは、強制的な立ち退きもあり得るということなんですよね。
 提案申請から六カ月以内に都市計画決定するというふうに今回のはなっているんですが、これも性急過ぎるのではないかと思いますけれども、その理由は何でしょうか。

○河島マスタープラン担当部長 立ち退きということは、またちょっと別でございまして、再開発等促進区を定める地区計画の場合には、建築規制の問題が都市計画の中で定められると。立ち退きというのは事業の問題でございます。この事業の問題につきましては、また別の、例えば市街地再開発事業で都市計画事業として行われるというような場合に、そういう手段が法律上残されているということはございますが、通常、この再開発等促進区を定める地区計画を定め、任意的に共同化をしようというときに、今おっしゃいましたような強制力を発動するということは、これは法律上できる仕組みにはなっておりません。
 今ご質問の、六カ月というふうに定めた理由でございますが、地域の地権者等の皆さんが、そういう建てかえ、共同の建てかえをやろうと決めたときに、それが非常に手続などで時間がかかるというのは、大変つらいお話だろうと思います。一たん決めたら、できるだけ早く事業を前に進めて、早く工事を進め、短期間で金利もかからない形で完成をさせていく、こういうことが必要になるというふうに考えられます。
 そういう面では、スピードアップが非常に重要な要素というふうに考えておりまして、都市再生特別措置法などでもそういう措置を講じておりますので、それを参考にいたしまして、提案から六カ月以内に都市計画決定をする、そういう仕組みとしております。

○かち委員 この条例だけで立ち退きが強制されるものではないというふうにおっしゃられましたけれども、実態として、そこに居続けることができなくなる、移らざるを得ないという状況が生まれるということなんですね。
 もちろん、提案されたものは速やかに対応することは必要です。住民合意が熟していなければ提案などできないともいわれていますけれども、かつては住民合意が九割以上必要だったけれども、これが五分の四に緩和され、今度は三分の二でもいいというふうに、こういう合意形成がどんどん緩和されてきています。そして、都市計画決定された後は縛りがかかってくる。だから、百軒のうち七十軒の合意があればいいということになり、三十軒は置き去りにされかねないということです。こういうことで、十分な合意が得られなくても事が進んでいく、そういうことに私は大変危惧を抱くものであり、住民間の喧騒が生まれると思うんです。そういうことです。
 次に、街並み景観づくり制度について伺います。
 街並み景観づくりの推進が必要と認めるものを景観重点区に指定するとしていますけれども、その条件は、東京の歴史的、文化的特色を継承し、特徴ある街並み景観を備えている地区とのことです。既にこのような特徴を備えているということであれば、その街並みは保全と修復に限られるべきではないかと思いますけれども、なぜこういう制度が必要なんでしょうか。

○野本市街地建築部長 歴史的または文化的な特色を継承し、特徴ある街並み景観を備えている地区というのは、歴史的、文化的な積み重ねを次世代へ継承するということなんですけれども、それと同時に、新たなまちづくりに生かそうとする地区ということでございまして、保全、修復には限られないと考えております。

○かち委員 長い歴史や文化が築かれてきたものというのは、余り再開発に踏み込むというようなことは、私は、しない方がいいんじゃないかと思うんですけれども、この街並みづくりの中には、再開発プロジェクトにより整備される地区というのも含まれていますので、そういうふうに動いていくのかなというふうに思います。
 この重点地区の規模というのは、どれくらいのことを想定しているんでしょうか。また、街並み景観づくりを一体的に進める必要が高い地区とは、どういうところで、特に高いというのは、どういう基準ではかっているんでしょうか。

○野本市街地建築部長 重点地区の規模でございますけれども、おおよそ三ヘクタールぐらいを考えております。
 それから、街並み景観づくりを一体的に進める必要が特に高い地区でございますけれども、道路整備に合わせまして沿道の建てかえが進む地区であるとか、あるいは地域の景観に大きな影響を及ぼす大規模プロジェクトが行われる地区、こういった地区等を考えております。
 そして、特に高いということでございますけれども、東京の景観を先導するような、首都東京あるいは国際都市東京という観点に立つ、こういったものを考えております。

○かち委員 今の説明を聞いていますと、やはり東京を鳥瞰図というか上から見て、ここが大事だ、これが重点地区だというふうに眺めて決めていかれるというふうに受けとめるんですね。しかし、街並みを守ろうとか、これを保存しようとかというのは、やっぱり住民サイドから意見を上げて、それを支援するべきものではないかというふうに思うんです。
 知事が指定するに当たって、当該の市区町村の長の意見を聞くというふうになっているんですが、指定されたら、住民は街並み景観準備会を結成して、協議会を登録し、ガイドラインの知事の承認を得るというふうになっているわけですけれども、非常に仕組みに組み込まれていくという感じがするんですね。住民の総意でつくり上げていくまちづくりとは、ちょっと違うんじゃないかなというふうに思うんです。
 街並み景観準備協議会、街並み景観協議会は、重点地区の住民、土地所有者などとなっていますけれども、準備会、協議会の重点地区の所有者等の要件というのはどういうものを想定しているんでしょうか。

○野本市街地建築部長 準備協議会は、地元住民等がみずからの街並み景観づくりを進めるために結成する任意の団体であることから、その同意要件は緩やかなものとする方向でございます。
 それから、将来的に準備協議会が協議会に移行するわけでございますけれども、当該団体が策定する街並み景観ガイドラインに地区内地権者等の相当数の同意が要ることで、協議会による街並み景観づくりの運用がなされることとなります。
 こういった、それぞれの準備協議会あるいは協議会の性格を踏まえて、同意要件は、これから都の規則の中で定めるよう検討いたしていきます。

○かち委員 詳細は規則でということで、準備会や協議会がどういうものになっていくのかというのはなかなか想像ができないんですけれども、基本的には、そこに住む住民の皆さんが、本当に総意を持って決めていかれるという仕組みがなければならないだろう。外からそういう専門家が来て、ここはこうしようと、そういうことでどんどん決めていかれるという点では、本来のまちづくりではないんじゃないかというふうに思います。
 街並み再生地区と街並み景観重点地区が、私が最初にいったようなことと想定しますと、やはり競合するのではないかというふうに思うんですけれども、その点はどういうふうに考えていらっしゃいますか。

○野本市街地建築部長 街並み再生地区と景観重点地区が重なる場合ということですけれども、街並み景観ガイドラインの考え方を街並み再生方針に取り込むことによりまして、競合でなく両制度の連携によりまして、よい街並み形成が可能であると考えております。

○かち委員 街区再編まちづくりと街並み景観づくり制度ということですけれども、再開発をしようというときには、相乗効果をもたらして進むということもあるかもしれませんけれども、片や守ろうというときには、やはり開発の方に押されてしまう、そういう危険性もはらんでいると思います。
 最後に、この制度を活用することによって、何らかの規制緩和というものを考えていらっしゃるんでしょうか。

○野本市街地建築部長 制度の適用によりまして規制の緩和があるかということでございますけれども、地域の特性等を踏まえ、また、地元区市町村等ともよく相談の上で、それぞれ緩和措置を検討してまいりたいと思います。

○かち委員 都市計画局がいろいろなまちづくりの仕組みをつくっていくというときには、すべて規制緩和というものが入ってくるわけですよね。このままどんどん規制緩和をしていったら、この東京のまちはどうなってしまうのかというふうに思います。
 るる聞いてまいりましたけれども、今回のしゃれた街並みづくり条例案は、住民からの提案制度を取り入れるという積極面はあるものの、身近なまちづくりを、規制緩和を魅力にして進めようとするものです。全体としては、東京では規制緩和はやり過ぎているというふうに私は思います。規制緩和のつけ方が違うのではないでしょうか。住民がいい環境の街並みをつくろうとしたら、規制緩和がなければできないということではないと思うんです。むしろ規制緩和に頼り過ぎると、しゃれた街並みにも住みよいまちにもならないし、環境負荷との関係でも逆行だと思います。この条例案では、自主的に住民主体の民主的なまちづくりを進めることにはならない、そういうことを申し上げて、質問を終わります。

○大河原委員 私も、東京のしゃれた街並みづくり推進条例から伺っていきたいと思います。
 大変厳しいかち委員の質疑だったと思いますけれども、私は、都市再生特別措置法に基づく大きな東京再生というものには本当に大きな疑問を持っておりまして、より、この大規模な都市再生、東京再生に今乗れない、本当に身近な地域の再生をどうするんだということにずっと関心を寄せてまいりました。その点では、身近なところでどんな再生方法があるのかというこの東京都の試みは、一つ、私の思いにもかなったものになってほしいというふうに思っております。
 このしゃれた街並みづくり条例ということで、これが新聞に出ましたときに、密集地域の防災対策にもという副タイトルをつけて新聞に報道されておりました。都市再生の中で、木密地域の再生をどうするかというのは本当に大きな課題だと思いますので、これが有効にいけば、私たちの身近な都市再生というのも幅が広がるというふうに思います。
 そこで、まず、東京都の木造住宅密集地域の整備について、東京都の基本的な姿勢と東京都の役割というものを教えてください。

○河島マスタープラン担当部長 木造住宅密集地域の整備につきましては、区や市、町などとも連携いたしまして、街路事業や都市防災不燃化促進事業等を実施することにより防災性の向上を図っているところでございますけれども、都内には、まちづくりの課題を抱える地区が非常に広く広がっているために、個別の建てかえの機会をとらえて改善を図る取り組みも不可欠でございます。
 そういったことから、先ほど質疑のございました新たな防火規制といったような制度も今回ご提案をしているわけですが、この条例の中では、街区再編まちづくり制度ということで街区単位の建てかえをうまく進めることで、こういった地域についての改善を着実に図っていけるような、そういう制度をつくり推進していこうと、そんなことでございます。
 そういったまちづくりを進めるためには、役割分担にもかかわりますが、区や市とも緊密に連携をいたしまして、全体として災害に強い、そういう都市づくりの推進を図ってまいりたいというふうに考えております。

○大河原委員 昨日も予算特別委員会で、木密地域は、実は味わいのある日本的なというか、東京の特色をあらわす町でもあるんだということをある委員がおっしゃっていましたけれども、私もそのとおりだと思っているんです。これを安全な町に変えていくということが課題であるわけで、そのための方策をいろいろ取りそろえるということが必要だと思います。
 大事なことは、地域で住民たちが合意を高めて決めていく、そういう分権の思想にのっとって制度がつくられればいいというふうに思うんですが、地方分権の潮流を踏まえますと、都市計画においても、区市町村の果たす役割は大きくなってきております。街区再編まちづくり制度における区市町村の役割というのを、東京都はどのようにとらえていらっしゃるんでしょうか。

○河島マスタープラン担当部長 この条例におきましては、法律上、再開発等促進区を定める地区計画という都市計画の決定権限が東京都の及ぶ範囲で条例を構成せざるを得ない、そういうことでつくられております。街区再編まちづくり制度で活用するこの再開発等促進区を定める地区計画については、都が権限を持っておりますのは、特別区の区域内で三ヘクタールを超える、そういう規模のものに限定をされています。
 しかし、実際のまちづくりを推進するためには、住民に身近な行政を行っております区市町村との連携が不可欠でございますので、先ほどの質問に対してもお答え申し上げましたが、こういった都市計画決定権限の違いは、それはそれなりに踏まえつつ、実際の街区再編まちづくり制度の運用につきましては、区市町村の果たす役割を最大限に引き出しまして、東京都と連携してやっていこう、このように考えております。

○大河原委員 都市計画の決定権限の違いということで、特別区内の三ヘクタール以上の地区計画に関してだけ、東京都は権限があるわけですよね。ですから、ちょっと大きな都市再生ばかり私たちは目がいっていまして、それは緩和で進んでいるわけです。経済対策で進められている東京の再生というものがあります。
 一方で、区市町村が決定をする地区計画は、多くの場合、地域の計画をコントロールしていくというか、規制という色合いが強いものが多いです。ですから、この三ヘクタール以上の決定権を持つ東京都が今動き始めることに--このしゃれ街条例の最初のタイトルが、仮のタイトルですけれども、民間主導の都市づくり推進条例という名前でしたから、それは、大変危惧を持つ人が多いのは当然かと思います。そして、実際、これは規制緩和で進める地区計画ということですから、そういった意味では、丁寧な説明が必要だと思うんです。
 街並み再生地区を決定するということですけれども、これは現実にどのくらいの地区数を想定していらっしゃるんでしょうか。

○河島マスタープラン担当部長 この条例につきましては、議会の方でこれを可決成立させていただいた場合には、半年ほどの周知期間が必要だろうと。やはり今お話ございました、よく内容をお知らせしていく必要性がある、また、いろいろな規則で細目を決めていく必要があるということで、秋の施行を考えております。
 そんなことから、十五年度は半年ほどの施行期間ということになりますので、二、三地区、実際の街並み再生地区の指定ができればいいかなというふうに、それを目標に進めたいというふうに思っています。それ以降の平年度ベースでは、それの倍ぐらい、四、五地区ぐらいをとりあえず想定しておりますけれども、私どもといたしましては、別に上限を設ける必要は全くございませんので、大いに区市町村の盛り上がりを引き出して、それ以上のペースで活用されていくような、そういうところをねらっていきたいというふうに思っております。

○大河原委員 十五年度は半年間ということで、予算についてでも、デザイナー制度を含めて、両方で一千万ちょっとですよね。そういった意味では、この予算が来年には倍近くにふえていくだろうというふうに予測をするわけですけれども、本制度で東京都がみずから街並み再生方針や都市計画を決定するという、その場合の手続を定めているわけです。
 これらについては、先ほどから区市町村との連携をとっていくということを答弁されているわけなんですけれども、区市町村の主体性、意見を生かしていく方策は、改めて伺いますが、どのように講じられているんでしょうか。

○河島マスタープラン担当部長 この条例、都が創設する制度でございますので、都が実際に決めるという形をとっておりますけれども、先ほどもご説明いたしましたとおり、街並み再生方針を策定する際には、地域の実情とか、あるいは地域の意向というものを十分に踏まえる必要があると。こういったことから、条例上これを決める際には、区市町村の意見を必ず聞いて、これを尊重しなければならない、こういう、まず決めがございます。
 そしてさらに、それは、とりあえず条例上の形で、東京都が決める場合はという、そういう形になっておるわけですが、逆に区市町村のサイドから、積極的に東京都の方に対して、こういう場所でまちづくりをやっていきたいから、この街並み再生地区及び再生方針を決めてほしい、こういう求めを出すこともできると。こういう求めが出た場合には、私どもとしては、それを十分尊重してまちづくりを進めていきたいというふうに考えております。

○大河原委員 実際に街並み再生方針に定める再生地区の決定というものは、東京都が定める整開保、整備開発保全の方針と、それから区市町村マスタープランを踏まえたものでなければならないとしております。ちょっといいにくいんですが、現実的には区市町村のマスタープラン、この実効性が問われているということだと思いますけれども、市区町村のマスタープランは、ちょっと理念的だったり抽象的だったりするわけなんですけれども、こうしたものというのは、街並み形成の方針には不向きではないかというふうに思いますが、この点はどうでしょうか。

○河島マスタープラン担当部長 都市計画区域マスタープランとか、あるいは区市町村マスタープランと呼んでおります、都市計画法に位置づけのある東京の都市計画区域全体ないしは各都市ごとのまちづくりの方向性を方針として定めるマスタープラン、これが今つくられているわけです。このマスタープランに関しては、内容的に細部にわたってすべて決めているわけではなくて、あくまでもマスタープランの機能でございますので、具体的な地域におけます、今回の街区再編まちづくり制度におけるような街並み再生方針にすぐなるようなものが今決められているわけでは当然ないとは思います。
 ただ、どういう場所でそういう街区再編を伴うようなまちづくりを進めるべきであると、こういうような考え方は、やはりマスタープランの中に書き込んであれば、それに整合した形で実際のまちづくりを、こういう街区再編まちづくりであるとか、あるいは既存の区画整理事業であるとか、市街地再開発事業とか、そういったさまざまな制度を使って進めていく、そういう根拠になるわけでございますので、十分機能はし得るだろうというふうに考えております。
 この街区再編まちづくりでは、そういった街並み再生地区なり再生方針を定める場合には、当然のごとく、そういうマスタープランを十分踏まえた上で決めていくと、そういう仕組みにしております。

○大河原委員 区市町村のマスタープランが尊重され、生かされるということで、安心をいたします。
 地区整備計画については、先ほども質疑がありましたが、〇・一ヘクタール以上の提案と、それを下回る場合の申し出に分けた制度というふうになっております。この分けた理由をもう一度お願いいたします。
   〔発言する者あり〕

○河島マスタープラン担当部長 繰り返しになりますが、都市計画法に基づく都市計画提案の制度というものは、〇・五ヘクタールを原則といたしておりまして、条例によって〇・一ヘクタールまで下げることができる。それ以下のものは、法律上、できる規定にはなっていないわけです。私どもとしては、先ほどご説明したような事情で、それ以下についても可能性を広げるべきだと。
 ただ、法律的なそういう整合性を保つためには、同じ提案というわけにはいかないと。この辺は、法律的な疑義が生ずるといけませんので、国土交通省の方にも、そういった取り扱いをすることが可能であるかどうかという問い合わせをして、それは、自治体の判断でやることは可能でしょうと、ただ、提案という言葉は使うべきではないでしょうと、こういうようなご説明もいただいておりまして、それを踏まえて、今回、一応言葉遣いとしては分けて取り扱いをさせていただいているものでございます。

○大河原委員 ちょっとダブった感があると聞こえてきましたけれども、委員の切り口がそれぞれ違うものですから、お許しをいただきたいと思います。
 都市計画の提案制度を効果的に活用する観点からは、この本条例が独自に規定している事項というのが大事なわけですが、それについて伺うとともに、この条例の中には、都民等に対する支援のうち技術的支援ということが書かれております。技術的支援というのは、具体的にどんなことなんでしょうか。東京都の職員、担当者をどのぐらい派遣することになる、そういう意味なんでしょうか。そして、それが可能であれば、どの程度なのか、教えていただきたいと思います。

○河島マスタープラン担当部長 まず初めに、新しい制度としてこの条例の中に盛り込んだもの、制度といいますか、仕組みとして盛り込んだものは何かということでございますが、今申し上げましたような申し出制度、これは東京都独自の判断で入れております。
 それから、六カ月以内に迅速な都市計画決定をすると。これは都市再生特別措置法に例がございますが、こういった地区計画などでこういう決めをしているのは、今までございません。
 さらに、事業が、これはそういうことが余りあってほしくはないのですけれども、さまざまな事情によって、一たんは皆さんの合意のもとに前に進もうと、そういうふうに合意がなされまして、都市計画決定をして前に進めようとしたんだけど、いろんな事情で前に進めることが事実上できなくなったと。そういうようなことになりますと、別に規制緩和ばっかりでございませんで、そういう共同化を進めるためには、例えば敷地規模の最低限度を定めて、個別の建てかえは皆さんお互いに遠慮し合っていこうという、そういう決めを都市計画の中で決める必要なども出ます。また、建物のつくり方も、共同化を前提としたような高さであるとか壁面の後退であるとか、こういうことが決められますから、個別の建てかえをしようとしても、できないような状況がそこに生じている可能性があります。
 もし前に進めることがどうしてもできないということで、都市計画だけ残ってしまいますと、これは非常に地権者の方にとっても困るわけですし、また、まちづくり全体にとっても、塩漬けの状態をずっと残してしまって、問題を非常に長引かせてしまう、そういうことになりますので、早くそれを解決する道をつくっていこうと。そういうことから、廃止の提案ということ、五年たって、過半数の皆さんが、もう前に進むのをやめようということになったら、廃止の申し出ができると、こういうような仕組みをつくっております。こういったことも全く新しい仕組みでございます。
 それから、技術的支援というのは一体どんなことかというお話がございました。いろいろ潤沢な予算のもとできめ細かいことができればよろしいんですが、基本的には、非常に対象とするエリアが広くて、やはり自立的な、地権者さんがみずからの責任で進めるまちづくり、こういったものを基本にすべきだろうと。そういったことから、余り制度の中で補助金ということを大前提とした、そういう制度構築はしておりません。さまざまな工夫とか知恵を絞って、また、規制緩和をうまく生かしながらまちづくりを進めていく、そんな仕組みにしております。
 そういった面で、経費がかかることというのを問われてしまいますと、大変答弁が苦しいのでございますが、技術的支援ということで私ども行政が果たせる役割として、いろいろな都市計画を決める場合の、どういうふうに決めたらいいのかといったことについて、我々の持っている知識をフル動員して、アドバイスをしたりとか、ほかの地区の事例をご説明したりとか、あるいは具体の共同化などについて、既にいろいろな事例もございますので、そういったところを参考にされることも非常に意味があるだろう、そういったところをご紹介するとか、さまざまな形で地域の皆さんの求めるものについて、できる限り私どもとしては対応をしていきたいと。また、それが地域に対する制度上の説明が必要だとか、そういうことがあれば、努めて私どもはそれに対応させていただきたい、そんなふうに考えております。

○大河原委員 私も、後戻りの仕組みというのはすごく評価をしているんです。都市計画で一回決めたけれども、その後、全然見直しが進まないということがありますので、むしろこの後戻りの仕組みというのは、ほかの都市計画一般、全般にもわたるようなものに育っていくと期待しているわけなんです。
 あともう一つ、技術的な支援とか、東京都職員はどういう働き方をするんだろうかということが私の疑問でしたが、市区町村との連携ということでいえば、最初の申し出のところから、実は地域の自治体の職員が大変苦労をするわけなんですね。ほぼこの方たちが汗をかくという状態だと思うんですが、それに加えて、東京都が、そういった意味でのノウハウを蓄積したものを積極的に活用して地域を支援するという場合に、それがうまくいけばいいし、実際に動いている方から見れば、その意見のもらい方というんでしょうか、とても難しいものもきっとあるに違いないと思います。
 ただ、今伺ったような、地域を尊重する、その背景の中で支援をしていただけるということなので、それは期待をしておきます。
 次に、街並み景観づくり制度について伺いたいと思いますが、蒸し返すようなんですけれども、街並み景観重点地区の制度、それから街並み景観ガイドライン、これは東京都の制度として運用するよりも、市区町村の制度とする方が、市民に身近であって、市民参加や参画も容易であるというふうに思います。
 地域の景観、本当に守っていく上でもいろんな意見が出てくるわけなので、これは東京都というよりは、やはり地域だろうというふうに思うんですが、どうでしょうか。

○野本市街地建築部長 街並み景観づくり制度における都区の役割分担でございますけれども、国際都市東京あるいは首都東京というような、こういった広域的視点に立った景観づくり、こういったところに取り組むべき区域につきましては、東京都が積極的に取り組むこととしております。
 いずれにしましても、東京都が街並み景観づくり制度を進める上においては、区市町村や地域住民等と十分連携を図りながら進めてまいります。

○大河原委員 この中では、まちづくり団体登録制度というものが始まるわけですが、この制度は、既に市区町村に同様なものが見受けられます。区市町村で同様の制度があることをどのように把握しておられるんでしょうか。

○野本市街地建築部長 まちづくり団体登録制度でございますけれども、区部では江東区に唯一まちづくり団体登録制度がございます。

○大河原委員 それでは、街並みデザイナー登録、この登録資格というのは一体何でしょうか。

○野本市街地建築部長 街並みデザイナーの登録資格でございますけれども、大きく二つを考えております。一つは、建築意匠や都市景観に関する卓越した知識を有している者、そしてもう一つは、景観づくりに関する豊富な経験であるとか実績を有している者。そういったことで、詳細については、今後規則で定めることと考えております。

○大河原委員 まちづくり団体登録制度の方は、唯一、江東区にしかないんだというふうなお答えでしたが、今、各自治体のホームページをあけると、まちづくりNPOという登録をしている方たちもたくさんおられます。そういった意味では、江東区にしかないということですけれども、さらに底辺は広がっております。
 そして、街並みデザイナー登録の資格ということですが、これについても、さまざまな既にプロとして仕事を持っていらっしゃるということが必要なんでしょうが、これを東京都で一括して登録するというよりは、地域で活動し、その経験がある方を、逆に地域から登録をするという制度になるんじゃないかというふうに思いますが、詳細は規則でということですが、そんな理解でよろしいんでしょうか。
 次に伺うのは、街並み景観ガイドラインの案を作成できる準備協議会の構成員の要件なんですが、これについてはどうなっているんでしょうか。

○野本市街地建築部長 準備協議会の構成員の要件でございますけれども、重点地区内の住民、土地所有者、借地権者、NPO等、街並み景観づくりを推進しようとするもので構成されます。

○大河原委員 ほとんどの人が入るというふうに考えれば、そこにはさまざまな意見が本当に出てくるということで、それこそここで、地域で、この協議会と連携をとっていく地域自治体の仕事というのも想像することができると思います。大変なことだと思います。
 ところで、この準備協議会は、住民意見の収集、説明会とか、いろいろ会合を開かなければなりません。つまり、運営に経費がかかります。デザイナー派遣料とともに、東京都に負担していただけるんでしょうか。

○野本市街地建築部長 都の負担についてでございますけれども、準備協議会の運営経費につきましては、残念ながら、都が負担する仕組みとはなっておりません。ただ、デザイナーを派遣する経費につきましては、必要に応じて都が負担する仕組みとなっております。

○大河原委員 私の住んでおります世田谷は、まちづくりに関しては少々先進的な町というふうにいわれておりまして、まちづくりに市民が参加することは当たり前。そして、まちづくり協議会などでも、一定の条件をクリアしていれば、そこに活動にかかる経費の一部を負担してくれるというような制度があります。
 私も、今回のこのしゃれた街並みづくり推進条例、このことで、ほかの市でどんなことをやっているのか、ほかの自治体がどんなことをしているのか調べてみました。金沢市の景観に関する助成制度というのもありまして、金沢は、ご承知のとおり歴史の古い町で、街並みもまだまだ残っているところですが、本当に小さな規模で、二軒とか三軒の連なりから守っていける、そういう制度が整っております。その建物に対する補助制度もありますし。そうした意味では、東京都が、ガイドラインは示すけれども、なかなかそこに実質的なものがついていかないと、この推進は、一つ難しいかなとも思います。
 そして、実際にこの木造密集地域、それから、今都心居住ということをいっておりますけれども、定住を推進するということがあると思いますが、そこにもやはり、都心に、定住を推進したい地域に住む人のための住宅への手当て、こういったものが本当に必要になってくると思います。
 そういった意味では、このしゃれた街並みづくり推進条例でどのくらい定住が進み、木密の建てかえが進み、いろんなことを余りしょわせ過ぎてもいけないとは思いますが、新たな試みとしては、ぜひ区市の意見も尊重して進めていただきたいというふうに申し上げまして、この条例に関しての質問は終わりにいたします。
 続いて、予算の方で、東京臨海高速鉄道に対する損失補償について伺っていきたいと思います。
 平成十三年度の決算を見ますと、累積損失が二百八億円に及ぶ大変厳しい状況になっております。事務事業のときにも伺わせていただきましたけれども、このりんかい線に関しては、生活者ネットワークは、臨海部の公共交通を進めていくという意味で、応援団というふうに思っていただいて結構かと思います。
 従来、このような大幅な赤字の説明としては、いわゆる鉄道建設では初期投資が莫大であること、こうしたことが挙げられると思いますけれども、その他の要因も、このりんかい線に関してはあったかと思います。その点はどのようでしょうか。

○只腰都市基盤部長 りんかい線でございますが、昨年の十二月に、天王洲アイルから大崎までのいわゆる第二期区間が開業したわけでございます。この第二期区間でございますが、大変厳しい条件下の工事でございまして、出水事故等もございまして開業が二年おくれたということで、二年分収入が入らなかったと。その辺が十三年度の決算には影響しているのではないかというのが一点でございます。
 それから、過去を振り返ってみますと、平成七年の都市博覧会の中止、そういう中で、平成八年には、この路線の第一期区間を開業せざるを得なかったわけでございます。そういうような事情。
 また、バブル崩壊後の経済情勢の変化によります沿線開発のおくれなども尾を引いているのではないかというふうに考えております。

○大河原委員 今回の損失補償の対象となるのは運転資金であるというふうにいわれておりますけれども、運転資金の調達上、どのような問題が生じてきたんでしょうか。

○只腰都市基盤部長 りんかい線ばかりではございませんが、鉄道事業は、今ご指摘ございましたように、初期投資額が大変多大でございまして、また、開業までに相当な時間がかかるということで、開業から一定期間は、多額の借入金の利子あるいは減価償却費がかさみます。そういうことで、構造的な赤字が発生せざるを得ない状況にございます。
 このりんかい線につきましても、当初の資金計画では、会社の資金不足を自力で金融機関から融資を受けまして調達するという見込みでございました。しかしながら、最近の金融情勢の変化等もございまして、数年間以上赤字が続くような企業につきましては、金融機関が独自では貸してくれないような状況が生まれてございます。そういうことで、残念ながら、会社単独での運転資金の借り入れができなくなったというのが背景にございます。

○大河原委員 本当に金融機関の方の状況が随分変わってきたので、資金を調達するのは非常に困難になってきていますよね。そして、貸してもらっているものまで、早く返せなんていわれるような事態も、さまざまなところで見聞きするような状況です。
 経営支援ということであれば、ほかに無利子貸付などのメニューもあると思うんですけれども、今回の措置は、なぜ損失補償ということになったんでしょうか。その点はいかがでしょう。

○只腰都市基盤部長 今回の支援策でございますが、先ほど申し上げたように、全線開業はしたものの、まだ残工事が残っているような状況で、建設費も最終確定をしてございません。そういう中で、十五年度につきましては、会社の資金不足が出るということから、緊急かつりんかい線の重要性を踏まえました特例的な措置として損失補償を設定したものでございます。
 なお、会社といたしましては、十五年度中に最終的な建設費の確定もいたしますので、今後の資金計画を見据えた抜本的な経営改善あるいは経営収支の計画案を策定したいというふうにしております。その上で、都といたしましては、ご指摘のような方法も一つの案だとは考えますが、関係者の協力も得ながら、長期的な経営安定化策を講じてまいりたいと思います。

○大河原委員 今年度中に経営改善計画が出されるということなので、その改善の指標などに注目していきたいと思います。
 旅客人数を増加させていくための施策、工夫が必要かと思います。開業当時、Suicaとパスネットの利用が余りスムーズじゃないというようなことも伺っておりますけれども、旅客人数増加のための創意工夫を伺いたいと思います。

○只腰都市基盤部長 全線開業に向けた取り組みといたしまして、東京都の方も、会社そのものは、大変臨海会社は小さな会社でございますので、都もバックアップをするということで、港湾局など各局と連携いたしまして、りんかい線アクションプラン21というのを作成しまして、需要喚起の働きかけを推進してまいりました。地元と連携したイベントとか、あるいはマスコミ等を活用したPRなどをこれまで実施してきております。
 今ご指摘をいただきましたSuica、パスネットは、比較的いいといいますか、うまくいっていると思いますが、JR関係の一部プリペイドカードにつきまして若干トラブルがあったことは、ご指摘のとおりでございます。
 また、今後でございますが、ダイヤ等をもう少し改善したらというようなご指摘、それから、運賃制度をもう少し直したらどうかというようなご指摘もございますので、JR東日本と相互直通運転してございますので、そのJR東日本との協議会等を設置いたしまして、連絡輸送の改善に取り組んでまいる所存でございます。

○大河原委員 私も、開業早々に乗せていただきましたけれども、臨海部へ行く若者たちで大変にぎわっておりました。スムーズな乗りかえができるようにぜひとも計らっていただき、また、周辺の会社にも働きかけをなさるということでしたけれども、やはりあの地域、たくさん大きなマンションが建っておりまして、りんかい線に呼び込んでいけるような、そういう方たちへの働きかけもぜひ強めていただけたらと思います。
 私たち生活者ネットワークとしては、道路交通よりも公共交通を優先していくという立場をとっておりまして、今回の措置については賛成をいたします。しかし、今後の収支計画については、厳しくチェックをしていく立場にあります。都民への説明責任を果たすべきだというふうに思います。この見解を伺いまして、質問を終わりたいと思います。

○只腰都市基盤部長 先ほど申し上げました、会社が予定しています来年度の中長期の経営改善計画に対しまして、都として、その内容はしっかりチェックをしていきたいというふうに考えます。また、会社に対しましても、会社でホームページを持っておりますので、そういう中で、都民、利用者に対して十分な周知を果たすよう求めてまいります。

○林田委員 何点か質問させていただきたいと思います。
 都市計画に関する調査ということで、その中で、東京における空港機能に関する調査についてお伺いいたします。
 平成十五年度の予算案を見ますと、東京都における航空機能に関する調査費が三千万円計上されておりますけれども、この調査費は平成十四年度にも計上されておりましたけれども、東京都における航空機能として、何を対象として調査したのか、お伺いいたします。

○宮川参事 首都圏の空港容量は、国内線、国際線ともに逼迫している状況にございまして、航空機能の充実が喫緊の課題となってございます。
 都として、この課題の解決に向け積極的な取り組みを行っていくため、今ご質問のございました、東京における航空機能に関する調査を行ってございまして、具体的には、羽田空港の再拡張、国際化、それと横田基地の民間航空利用に関する調査を実施してございます。

○林田委員 まず一つに、羽田空港の再拡張、国際化と横田基地の民間航空利用を対象とした調査ということですが、まず、羽田空港の再拡張、国際化に関する調査について、平成十四年度の実施内容と平成十五年度に予定している内容についてお伺いいたします。

○宮川参事 羽田空港につきましては、昨年の六月に再拡張、国際化が閣議決定されてございまして、空港の処理容量が現在の約一・五倍に増加するというふうにされてございます。このことから、交通基盤や土地利用など周辺部の土地構造への影響を想定いたしまして、その対応策を検討していくことが必要でございます。
 本調査は、このような状況を踏まえて行うものでございまして、平成十四年度は、道路、鉄道などの交通基盤や空港周辺の土地利用、物流施設などについて、概況の把握や基礎的な検討を行うこととしてございます。
 また、平成十五年度は、国から再拡張事業による将来需要予測等が示される見込みがございますので、これらを踏まえまして、交通基盤などに与える影響を定量的に分析し、具体的な対応策を検討する予定でございます。

○林田委員 羽田空港に関しましては、具体化の段階に入ったというお話でございますけれども、羽田空港の再拡張、国際化につきましては、再拡張、国際化におくれることなく、必要な検討を進めていただきたいと思います。
 次に、横田基地関連の調査でありますけれども、これまでの調査の概要、平成十四年度の実施内容及び十五年度に予定している内容についてお伺いしたいと思います。

○宮川参事 まず、これまでの調査の概要についてでございますが、横田基地の民間航空利用につきまして、経済波及効果の推計、基地周辺の土地利用、交通施設の状況把握等を行ってきてございます。
 平成十四年度におきましては、米軍関連機の離着陸実態調査を実施いたしまして、前年度の滑走路補修時の実績と比較することにより、共同利用の可能性を探ることとしてございます。
 さらに、平成十五年度では、この離発着実態調査に加え、既に米軍基地と民間空港の共用化が図られています三沢飛行場や、今後予定されております岩国基地、自衛隊との共用化が図られています小松飛行場など、ここにおきます共用化に当たっての法的手続あるいは現状の課題などについて調査を予定してございます。

○林田委員 航空機能に関する調査でございますけれども、横田基地は、知事が強く全面返還あるいは軍民共用化を訴えている中で、地元の市や町は大変いろいろな思いがあるわけでございまして、何を調査し--その調査の内容を地元に速やかに提供する必要があると思います。地元市や町の意向を受け入れながらぜひ進めていただきたい、そのように申し上げたいと思います。
 次に、先ほどいろいろ質問が出ておりましたけれども、街並み景観づくり制度について、私もお伺いしたいと思います。
 初めに、今回提案されている街並み景観づくり制度を創設するに当たり、都は、今年度、街並みデザイナー制度の創設事業として委託調査を行っていると思いますけれども、どのような調査内容か、お伺いしたいと思います。

○野本市街地建築部長 委託調査の内容でございますけれども、重点地区の要件や街並み景観ガイドラインで定める項目、この具体的な内容について調査委託を行っております。

○林田委員 今回提案されている東京のしゃれた街並みづくり推進条例で新たに制度化する街並みデザイナーは、平成十五年度にはどのような活動を行うのか、伺います。

○野本市街地建築部長 街並みデザイナーの十五年度の活動でございますけれども、まず、十月に条例を施行することとなっております。その後、具体的には重点地区の候補地を選び出しまして、地域のまちづくり団体や区市町村との調整、それから街並みデザイナーの選任作業等と並行しまして、重点地区を指定した以降は、必要な地区につきまして街並みデザイナーの派遣を行い、支援を行います。

○林田委員 東京都としてこの施策を進める中で、街並み景観づくり事業が目指すべきイメージというんですかね、最終目的というんですかね、どのように考えているのか、お伺いしたいと思います。

○野本市街地建築部長 この制度によりまして目指すべき街並みのイメージは、歴史的、文化的な特色を継承している地区、それから幹線道路の沿道地区あるいは特定街区の地区などでございますけれども、地域ごとの個性を持った街並み景観でございます。
 具体的地域といたしましては、例えば表参道あるいは青山外苑通りのようなしゃれた街並み、あるいは、全く違いますけれども、谷中とか巣鴨の地蔵通りといった親しみやすい地域、こんなところが目指すべき街並みのイメージの一例なのかなというふうに考えております。

○林田委員 いずれにいたしましても、区市町村と連携し、まちづくりをやろうという意欲がある区市町村があれば、東京都は支援していこうということでございまして、とりあえず結構なことだと思います。ぜひ、このしゃれたまちづくりが都民の皆さんから評判になるように、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、地方バス路線維持助成事業について伺います。
 十五年度の予算を見ますと、地方バス路線維持助成事業の予算が十四年度に比べて減っておりますけれども、それはなぜか、お伺いいたします。

○只腰都市基盤部長 地方バス路線維持助成事業でございますが、バス事業者が試算をいたします路線ごとの年間収支の欠損の見込み額、赤字の見込み額でございますが、それの二十分の九を上限といたしまして、国と都が半分ずつ助成を、補助を行うものでございます。
 十五年度の予算額、ちなみに一億六百五十万円ぐらいでございますが、今回、昨年に比べ、昨年が一億二千二百九十万円でございまして、確かに予算減でございますが、これは、予算要求に当たりましてバス事業者の欠損の見込み額が減ったということで、むしろ赤字が減ったということで好ましいことかと思いますが、そういうことで、十四年度予算に比べまして下回ったということでございます。

○林田委員 平成十三年に補助制度の改正があったと聞いておりますが、それはどのようなものなんですか。また、地元自治体の負担がふえているのかどうか、お伺いいたします。

○只腰都市基盤部長 十三年度の国の補助制度の改正でございますが、先ほどお手元に、資料1の最後の五番目に改正の概要が記載してございます。その二番目に、補助制度の改正というふうに書いてございます。これは、国と都道府県が複数の市町村にまたがる幹線的な路線を補助する、それ以外の単一の市町村内の路線につきましてはその市町村が補助を行う、そのような形で基本的には制度改正があったわけでございまして、補助率につきましては、下の四角の一番下に書いてございますような数字に、先ほどご説明した数字になったわけでございまして、従来は二十分の六でございましたので、そういう意味では手厚い補助が行われるようになってございます。
 それから、市町村が単独で行う分につきましても、その分につきましては、国の特別交付税が国から来るわけでございますが、それも従来の六割から八割ということで財源の措置が行われているものでございます。

○林田委員 私の地元であります西多摩地区にとって、路線バスは地域住民の生活にはなくてはならないものであります。今後も十分な助成を図るべきだと思いますが、いかがか、お伺いいたします。

○只腰都市基盤部長 先生ご指摘ございましたように、西多摩地域は山間部もございまして、路線バスはまさしく生活の足というふうに私ども認識してございます。特に車の運転ができないような高齢者や通学の子どもさんたちにとりましては、なくてはならない生活の足ということかと思います。
 都といたしましても、国に対しまして、地元自治体の負担軽減を含め、制度の充実につきまして働きかけてまいります。

○林田委員 最後に、ご要望申し上げます。
 西多摩地区は、ご承知のとおり、鉄道そのものが少なく不便であります。住民の重要な足は車であることは申し上げるまでもありませんけれども、車の運転できない人あるいはお年寄りは、路線バスはどうしても必要です。乗客の数や採算でははかり知れない大切なものであります。東京都として、今後も十分なご理解、ご支援をよろしくお願い申し上げまして、質問を終わります。

○林委員長 この際、議事の都合により、十分程度休憩をいたします。
   午後三時十七分休憩

   午後三時二十九分開議

○林委員長 委員会を再開いたします。
 質問を続行します。

○大塚委員 私からも、第六十二号議案、東京のしゃれた街並みづくり推進条例について、幾つかの質問を行いたいと思います。
 昨年、都市再生特別措置法が制定され、都市再生緊急整備地域における大規模な民間プロジェクトを推進する方策が講じられました。東京の都市再生を総合的に推進するために、緊急整備地域以外の身近な市街地においても、まちづくりの課題を解決していくことが求められており、まちづくりの課題を抱える密集市街地などにおいても、その課題を解決する方策を講じながら市街地の再編整備を行っていくべきであり、この条例が有効であるというふうに考えております。
 金曜日の予特のときにも、都市計画を中心に、局長と一問一答形式で議論させていただいた中でも、整備をされる地域とされない地域の整備の格差が出てくるということで、このしゃれたまちづくりの条例が大変有効であるということも述べさせていただきました。まさにこれが本当に東京独自の都市再生ということで期待をされるわけでございます。
 そういった意味でも、こういった取り組みと並行して、市街地の中に散見されるような公有地等の低未利用地についても、その周辺市街地と一体的な整備を民間と進めていく必要があると思いますが、まず第一点目、それを伺いたいと思います。

○河島マスタープラン担当部長 本条例におきましては、第二条の第三号に街区再編まちづくりの定義をいたしておりますけれども、いわゆる密集市街地の整備のほかに、統廃合された学校敷地などの公有地等の低未利用地とその周辺との一体的な開発、これも街区再編の一環として定義をしております。したがいまして、そういった場所についても、この街区再編まちづくりの対象となるものでございます。
 そのため、低未利用地等を活用して、周辺市街地を含みますまちづくりを進めることが効果的と考えられる場合には、関係の区市町村などの意見も踏まえながら、これに対して積極的に取り組んでいくことによって、市街地の中の個性豊かで魅力ある街並みの形成を進めていきたいと考えております。

○大塚委員 市区町村とぜひそういった関係を深めて相談をしながら、低未利用地の公有地等の一体的なまちづくりを進めていただきたいと思うわけでございます。
 先ほど議論がいろいろ、この条例につきましては出てまいりましたけれども、重ならないように質問していきたいと思いますが、街並み再生地区の指定基準ということがあると思いますが、その具体的な内容と、また指定する具体的な場所のイメージですね、多分規則でこれから決まるということ、あるいは具体的な場所については、先ほど、数の問題もありまして、これからということでございますが、もし具体的な提示があるのであれば、教えていただきたいと思います。

○河島マスタープラン担当部長 この街区再編まちづくりのねらいとしています、敷地が細分化されて道路が狭く、なかなか建てかえもままならないというような、そういう場所のイメージがございますので、そういったところでは、平均敷地面積が狭いこととか、あるいは、道路条件が悪いために、指定された容積率に対して実際に使われている容積率が、その割合が低いというようなこと、いわゆる容積充足率と我々が呼んでいるような、そういった指標がございますが、こういったことを活用いたしまして、規則に基づいて、どういった場所がこの街区再編まちづくりの対象となり得る場所なのかということを明らかにしていきたいというふうに考えております。
 具体的な場所については、今後、区市町村などとも十分調整をしながら進めていくわけでございますが、想定される地域のイメージでございますけれども、例えば山手線の内側にあって、非常に立地条件はいいわけであっても、道路が極めて不十分なために建てかえが進まなくて、いまだに密集市街地が残されているような、そういったところもございます。例えばそういったような場所とか、あるいは、山手線の外側で、いわゆる木造住宅密集地域のベルト地帯といわれるような地域。それから多摩におきましても、駅周辺などでは、古くからの市街地が老朽化したまま残されてしまってなかなか建てかえが進まない、こういったイメージの場所も対象になり得るかというふうに思います。
 また、そのほか、先ほどのご質問にありましたような、最近は学校の統廃合なども進められておりますけれども、学校などはよく、道路から一側裏手にございまして、道路沿いは一般の細分化された宅地が並んでいて、なかなかうまく奥の土地と表側の土地を一緒に活用できない、それを一緒に活用できたら非常にまちがよくなるのにと思われるような場所がございますが、そういったところも対象になり得るかというふうに思います。

○大塚委員 今ご答弁ありましたとおり、多分容積率が低い地域というようなことで、そういったことが共同化され、統合されていくということだと思うんですが、港区がバブルの影響を大変受けまして、例えば東京都の建築安全条例で接道条件が満たないような土地が、例えば企業が一宅地、あるいは個人の方が一宅地所有しているという場合が、まだまだ往々にしてあるわけでございますが、そういった場合に、この街並み再生地区にそういった場所があった場合には、単独の敷地でも規制緩和を受けられるのかどうか、念のため、確認のためにちょっとお伺いをいたします。

○河島マスタープラン担当部長 街区再編まちづくりは、市街地の再編整備により良好な街並みの再生を進めていこうとするものでございまして、狭小な敷地の統合による共同化も、非常に有力な手法の一つとなるわけです。でも、そういったものばかりではなくて、市街地の中には、比較的規模の大きい土地があって必ずしも共同化をする必要はない、だけれども、そういった土地における建物の更新も、やはり街並みの形成のためには、全体のまちづくりの方針に合った形で進めていただく必要性がある、あるいは道路を広げていくときにも協力していただく必要がある、そういった要請がある場合がございます。そういった場合には、この再開発等促進区を定める地区計画は、別に共同化だけを対象としなくても、その都市計画のルールに合った形での貢献をしていただく場合には、一定の規制緩和をまちづくりのために講じていくということが可能でございます。
 それは具体的にどうするかは、そのまちのいろいろな課題によって、何をまちづくりに貢献するものであるかということをあらかじめよく検討し、街並み再生方針などにそれを盛り込んでいく必要があると思われますが、いずれにしましても、企業の社宅跡地などの単独敷地であっても、今申し上げましたような道路とかオープンスペースの確保、あるいは地域に必要な福祉施設などの導入、あるいは街並み形成の寄与、そういったような、これは例えばでございますが、まちづくりへの貢献に応じた規制緩和をあらかじめ、こういったことをすればこのぐらいの規制緩和ができますよというようなことを示すことによって、適切に誘導していくことが可能になるというふうに考えております。

○大塚委員 密集市街地においては、権利関係が大変ふくそうしているということがあって、また日本人の戸建て志向という、まだまだそういったことがありまして、地権者が共同化をするということがなかなか難しいという面も、まだ多く残っております。私も十年ぐらい前サラリーマンで不動産の仕事をしていた経験からしますと、また別の側面から、隣同士というのが、仲よく見えているんですけれども、意外と仲が悪いというようなことがあって、感情的になっている部分もあって、これは実体験からですので、全部が全部そうじゃないんですけれども、そういうことがあってなかなか共同化できないという、無形の、何というんですか、隣同士の関係というのがあるわけでございます。
 そういったことからしますと、この制度は、まちの方針やまちづくりについての大変いい条例だと思うんですけれども、そういった地権者や土地の所有者の方々にどうやってインセンティブを与えて、この条例に適合していったまちづくりができるのか。例えばファンドの問題とか税制上の問題、そういったことも予特で話が出ていましたけれども、その辺においては、地権者を支援する専門家やコーディネーターの派遣とか、あるいは工務店ですとか事業者、そういった方々と情報交換をよくして、この制度を本当に実のあるものにしていくという努力が必要だと思いますが、そのことについてのご見解をお伺いいたします。

○河島マスタープラン担当部長 今ご指摘のように、やはりまちづくりは、いろいろな専門的な知識を活用しながら計画を進めたり、あるいはこれまでのいろいろな経験を踏まえて、その知恵を生かしていくということが必要になるかと思います。そういった場合に、専門家の助力があると、そのまちづくりが非常にうまく進むということも十分考えられる。そういう場合に、今いろいろなまちづくりを各区市町村で進めようとする際に、専門家の派遣制度などを、特に木密事業を行っているような場所では、既に活用できるような仕組みもございますので、例えばそういう制度をうまく我々の街区再編まちづくり制度に乗せていくというような活用の仕方も、一つ考えられるかというふうに思います。
 また、最近では、そういう地域の共同建てかえを応援するために、コンサルタントの方がいろいろ経験交流をする、そういう集いが開かれたり、あるいは、まちづくりの木密地域の中でのいろいろな活動を行うNPOの活動というものも、一部では行われ始めているというふうに聞いております。そういった方々の力をこれからうまく、この街区再編まちづくりに生かしていけるような、そういうシステムを我々がつくっていく、そういうことも研究していく必要があるだろう。
 また、実際に、そういう地域の中でまちづくりの具体的な建設事業に携わっているコンサルタント、設計事務所の方とかあるいは工務店の方とか、非常に地域に密着した工務店の方でも、こういったことが、一面ビジネスではありますが、一面その地域に密着したネットワークを使うことで、非常にうまく調整ができるというようなケースもあるやに聞いております。そういったようなさまざまな専門的知識をお持ちの方々の力をうまく統合して、こういったまちづくりに役立てていく、そういう仕組みをつくっていくことも、これからの街区再編まちづくりを育てていくための非常に重要なポイントではないかというふうに考えております。

○大塚委員 次に、街並みデザイナー制度のことですが、先ほど、資格の問題につきましては大河原委員から質問がございましたので、円滑な委員会運営に協力をして、これは意見と要望のみ申し上げますが、建築士とか再開発プランナーとか宅建主任者でありますとか、いろいろな資格を持っている、再開発に絡む仕事をされている方がいらっしゃいますが、どれをとっても、どれが必要でどれが必要でないということはないのですけれども、幅広い知識と忍耐力--わがままな地権者さんをまとめる、そういった意味では、忍耐力とすぐれた人間性を持った方が登録され、これが資格であるというふうに私は思いますので、ぜひそういった観点で登録されることを要望しておきます。
 それで、次に、具体的な開発地区の協議会に対して、登録されたデザイナーがどのように選任されていくのかということで、昨日の予特で我が党の相川議員から、区市町村に選任を任せるべきだというような質問もありました。その心は、恐らく、その地域の歴史や伝統や人間関係が豊かにつながっているということが地域の発展のために資するであろうということから、そういう話があったと思います。
 私も、そういう面もあるのですけれども、実際そういうことは考えていらっしゃらないと思うんですが、そういうようなことで、デザイナーの役割ですね、それで、登録されていく場合の選定の仕方。
 それからもう一つは、開発をする場合に、デザイナーというか専門家の、先ほどいったような資格を持った方々、既にそういった方々に相談している場合、そういうことがあると思うんです。そういった場合に、このデザイナーの派遣というものにどう対処、どういう関係があるのか。
 それから最後に、仮に派遣をした場合に、いろんな段階ごとにデザイナーが指導、コンサルをしていくと思うんですが、金銭的なトラブルとか感情的な人間関係で、デザイナーの方と協議会がうまくいかなくなった場合、こういうことも実態としてはあると思うんです。そういった場合にどういう対処をしていくのか、ちょっと実務的なことですが、お答えをいただきたいと思います。

○野本市街地建築部長 三点のお尋ねがございました。
 まず、デザイナーの選定の方法でございますけれども、街並みデザイナーは、登録された候補者名簿の中から、地元住民等で構成される準備協議会の意見を聞いた上で選任し、派遣することとしております。
 それから、二つ目のお尋ねなんですけれども、既に準備協議会に登録要件を満たしているデザイナーがいる場合でございますけれども、この場合は、その後、そのときに候補者名簿に登録していただきまして選任することもできる仕組み、こんなふうになっております。
 それから、三つ目のお尋ねでございますけれども、準備協議会とデザイナーの意向がどうしても一致しない、このような場合については、介入をしまして、新たな街並みデザイナーを選任するということもできる仕組みとなっております。

○織田委員 私は、東京のしゃれた街並みづくり推進条例について伺います。できる限り重複を避けてと思っておりますが、やむなく重複するところもあろうかと思いますが、ご容赦をいただきたいというふうに思います。
 まず、この対象となります地域は、木造密集地域等、そういったところを想定されているようでございます。木造密集地域等については、さまざまな不燃化事業をやったり、あるいは住宅局の方で事業をやったりということで、いろいろやっていただいているんですけれども、実際には本当に進んでいないというのが実情ではないかなというふうに思います。
 そういった中で、今回こういう形でさらに規制緩和をいたしまして、そういったところでも使い勝手のいい、こういう手法が取り入れられるということについては、私は大変に評価をしていきたいというふうに思っています。
 実際問題、防災性を高めていくというようなことでありますと、やっぱり一番大変なのは、空間をどういうふうに創出をしていくかということが一番基本にあるんだろうというふうに思います。したがって、こういう木造密集地域が再生産をされていくというようなことはできるだけ避けて、建てかえ更新時については適切な防災性を向上させていく、そういう手法を持続的に組み込んでいくという意味で、こういう制度をつくるというのはすばらしいことだなというふうに思うのと同時に、実際問題、この建てかえというものを考えてみますと、なかなか実際問題としては進まない。最近、共同建てかえというようなことも随分新聞なんかで取り上げられておりまして、そういったことを進めるにも大変なご苦労をされながらやっている。そうしたことの推進策にもなるというようなことであろうかと思います。
 ところが、防災性を高めていくということになりますと、どういう形であるにせよ、地面というか空間というものをひねり出していかなきゃならないということで、一定程度、地権者等あるいはまた事業者等に犠牲が強いられるというか、デメリットの部分が必ず出てくるわけであります。それに対するメリットというものがこれになければ、やっぱり事業は進んでこないんだろうと思います。具体的に、メリットという面で考えられているもの、ちょっと列挙をしていただきたいと思うんです。

○河島マスタープラン担当部長 この街区再編まちづくり制度では、地区の街並み再生方針と呼ばれるまちづくりの方針に適合する建築物に対して、具体的には都市計画の手法を活用いたしまして、建築基準法の容積率の緩和であるとか、あるいは道路斜線制限、隣地斜線制限の緩和であるとか、さらには東京都建築安全条例で共同住宅が接する道路についての条件、これはなかなか厳しいものがございますが、こういったものについても、当然安全上の評価をした上で、こういった計画的なまちづくりが行われる場所にあるその特殊性にかんがみて、接道条件を緩和するとか、そういったようなことを可能にしていくことができます。
 しかも、その緩和の内容につきましても、先ほど申し上げましたように、都内一律の基準で、A地区もB地区も全く同じように運用するということではなくて、その地区に必要なものに重点的に取り組んでいく、こういうことも可能であります。ですから、その地区の課題が、特に道路を拡幅することが課題であれば、道路拡幅に対して手厚い緩和を設けていく。あるいは道路が一面だけ面している地権者に対するそういう対応と、角地の二方向の道路を拡幅しなければならない地権者の対応を全く同じにしては、これはやっぱり公平性を欠くし、意欲もそぐというようなことがある。そのような場合には、そういったことも配慮した、その地区独自のルールをつくっていく、緩和のルールをつくっていく、そういうことも可能にしていきたいというふうに思っています。
 したがって、地区ごとに実情に応じた適切な内容を定める、そんなこともできる、そんなようなことで、今副委員長がご指摘のように、地権者にとっても、まちづくりに一緒になってやっていくことについて魅力があって、そしてまた、その結果として地域のためになるような、そういう制度運用をしていきたい。そのことで、まちづくりの意欲を喚起していきたいというふうに考えております。

○織田委員 大変自由度のあるということがよくわかります。
 そこで、今、容積率の緩和あるいは斜線制限、あるいはまた接道条件というようなことの緩和ということだったと思います。それから、容積充足率なんかが低いところは、こういったことを使えば、実際問題としてはうんとボーナスが出てくる、こういうようなことになってくるんだろうというふうに思いますけれども、それでは、そのほかに建ぺい率の方は、これは可能なものなのかどうなのか、その辺はどうでしょう。

○河島マスタープラン担当部長 街区再編まちづくりの必要性のある地域につきましては、一般的に六割以上の建ぺい率の指定がなされております。再開発等促進区を定める地区計画により、法律上建ぺい率を緩和することはできる仕組みにはなってございません。しかしながら、建築基準法上、そこが今防火地域に指定されていなければ、防火地域を指定することによって、そこで耐火建築物を建てるような場合には建ぺい率が一割緩和されるといったような、そういう仕組みもございますので、その場所に応じた運用をうまくやっていくことは可能ではないかというふうに思われます。

○織田委員 例えば具体的に、共同建てかえなんかをやりましょうと、予特の論議でも出ましたけれども、突っ込み道路の周りにあるような、そういうミニ開発を更新していこうというような、そういう場合、共同建てかえというのが一番効率的ではあろうと思うんですけれども、現実的に接道条件の緩和、あるいはそういった面でさまざまな街並み再生方針等に盛り込まれたことを満たしていくというようなことをやっていく際に、本当に居住空間が広がってきて、実際、例えば共同住宅というような形であれば、保留床が出てきたり、あるいはそれが自分の何か別の用途に使えたり、あるいはそれが、核家族であったのが二世帯住宅になったりというような形のプラス要因というのが非常に出てこなければ、住民の方の意欲というのは、どうしても戸建て志向というのが強いわけでありますから、そういった方向に流れてしまうし、それが悪いというわけじゃないんですが、それがまた木密の再生産ということにつながってしまっては、これは非常に好ましくはないということになってくるんだろうと思うんですね。
 ですから、そういったことが、意思決定をする段階で、こういうことがありますよと、メニューがありますよといったときに、では、計画を立てましょう、計画を立ててこういう共同住宅を建てていきましょう、あるいは防災に強いまちづくりに協力いたしましょうという意思決定をするときに、自分自身にとっていかほどのいわゆるメリットがあるのかということが明らかにならなければ、なかなか踏み切れるものではないというふうに実際には思うんですね。
 そういう意味でいいますと、地権者たちが共同で計画を立てる前に、ある程度の目星といいますか、そういったものがつかなければいけないわけですね。これを条例の流れから見てみますと、街並み再生地区というのを指定します。それで再生方針というのを決定します。それでどうですかということで、再開発ということで地区を決めます。その中で、では、具体的な何軒で提案をしてくださいよと、こんなような仕組みなんだろうと思うんですが、そのどの段階で--一番最初の質疑のときに、早い段階で利点がわかるというふうにご答弁ありましたけれども、具体的にどんな形で明らかになって、どんな目安で実際に考えていけばいいのか、そのあたりについてご答弁いただければと思います。

○河島マスタープラン担当部長 今、副委員長ご指摘のように、詳細な計画を立てないと、なかなか緩和の程度がわからないという形になりますと、では、その設計費はどうするのかとか、いろいろな問題を生じる。ある面で、今までの制度は緻密にできておりますので、そういう詳細な計画を前提としながら、規制緩和の内容も積み上げていく、こういうようなやり方をとっているわけですが、こういう木造密集市街地など非常に建てかえがしにくい場所では、もう少しわかりやすい形で、早目に、例えば、あなたの前面道路の道路拡幅に協力した場合には、では、どのくらいの容積緩和が可能になるんですか、それは、いろんなやり方があるわけですが、例えば今の指定容積率の一割増しでいいですとか、あなたのところは非常に広いですから二割増しでいいですと、そのような形で非常にわかりやすく、詳細な建物の計画を立てなくても、この道路拡幅の協力をすれば、これだけの規制緩和が受けられる、あるいは街並みの形成に協力する、すなわち高さは一定程度以上にはしないとか、壁面はどのくらい道路に面して接しないようにする、下げていくというような、そういう協力に対しては、では、皆さん、通り沿いについては五〇%ぐらいの協力に対するボーナスを差し上げましょうと、そういうようなことで、地域の中の容積をうまく活用して、当然、そういうことをやったときに道路交通がどうなるかとかいうチェックは必要になると思いますけれども、そういうことをした上で、そういった規制緩和をお互いに認め合うことで、その地域の街並みを整え、必要な公共施設を整備し、そして、先ほどちょっと答弁でも申し上げましたような、必要な例えば福祉施設などがあれば、その誘導を図っていく、こういうようなことを初めの段階で示す必要がある。
 これを私ども非常に重要な要素として考えておりまして、条例上は、第六条の街並み再生地区の指定の中で、第三項で、街並み再生方針には次に掲げる事項を定めるものとするということで、街並み再生方針の中の定める事項を幾つか挙げておりますが、その中の第三号では、建物を建てる場合の建て方、高さだとか壁面の位置だとかそういうことを、おおよそどんな形で街並みを形成していくのかということを決めるという、そういう決めを設けておりますが、第四号で、そういう街並みをつくるのに協力していただいた方には、個性豊かで魅力のある街並みの実現に向けて講ずべき措置といういい方をしておりますが、どういう規制緩和をそこでやっていくのか、こういうご協力がいただけるならばこういう規制緩和ができる、そういうルールでこのまちづくりをやっていきましょうという、そういう方針をここで示すということを考えております。
 そのことによって、今副委員長ご指摘のように、これは都市計画を決める前の段階のお話でございますので、そういう段階でまちづくりの方向づけを、これは当然地域の皆さんと地元区市町村とよく協議しながらその方向づけをしていく必要があると思いますが、早い段階で示していく、こういうことを考えているところでございます。

○織田委員 そうすると、この街並み再生地区の指定にかかって、街並み再生方針にそういったことが書き込まれる、こういう理解でいいですか。
 では、次に、そういうようなことがなりましたと。そうなりますと、今度、そこに書き込まれてなければ、そういうボーナスは出てこないのか、あるいはそこに書き込まれていること--ちょっと細かくなって恐縮なんですが、イメージのためにちょっとお伺いしますが、例えば、要するに道路の拡幅をしますよと、あるいは、防火帯とか何かいろんな植樹をして防火のものをやるとか、そういう貢献ポイント、それは、実際に足し上げていけるというような性格のものなんでしょうか。
 というのは、まとめてお伺いしますけれども、例えば密集地帯にお年寄りなんかが非常にたくさん住んでおられる。木造密集地帯によくありがちなことなんですね。そういうお年寄りがなかなか、要するに単独でお住まいになるというのは、かなり前からずっと問題になっていますが、今でもやはり相当問題になっています。そういう共同で建てかえて出てきたところに、例えばこれは保留床が若干生まれますよと。そういったものを、では区が借り上げましょうというような形のことも十分想定ではできるわけですね、いろんなまちづくりということであれば。それは必ずしも、いわゆる防災のまちという意味では、構造上の要するにプラス要因にはなりません。しかし、その地域において、ソフト面でいえば、随分プラスになるなということも考えられます。そういった木賃アパート、あるいはなくなって、それでお年寄りが住み得る場所がなくなるというのは、本当によくある問題ですけれども、そういったものをちゃんとそういう形で代替できて、まちの方針ができていきますよというようなことになれば、私なんかは非常にいい貢献ポイントなのかなと思います。
 そういうソフト面での貢献ポイントというのは、こういう街並み再生方針の中に書き込まれて、それでボーナスが生じるものなのかどうなのか。ハード面では確かにいろんなことで考えられると思いますけれども、そういった住民の需要に対して、何といいますか、貢献をする、そんな場合はどうなんだろうかというようなことも考えられますので、そのあたりはどのようにお考えなのか、お聞かせいただければと思います。

○河島マスタープラン担当部長 今ご指摘の、例えば地元の区市町村などと連携して、高齢者施設、そういうグループホーム的なものであるとか、あるいはケアつきのマンションをつくるとか、場合によっては、そういう運営法人と連携して特養ホームをつくるというようなことだってあるかもしれません。ただ、そういった場所を初めに決めることはできない。だけど、その地域のどこかにはそういうものを誘導して導入していきたい、そういう場合には多分、先ほど申し上げました街並み再生方針の中に、そういう高齢者施設も積極的に誘導していく、導入していく、そういうまちづくりを進めていこう、こういう方針を書き込むことによって、実際にそれを入れられる土地が出てきたときに、その土地に対する規制緩和をやっていくことは可能ではないか。
 もう少し規制緩和の内容を事前に明らかにしておかないと、周りの皆さんが不安に思うということがあるならば、では、その場合には、そういう施設の床面積相当分については、容積のカウントをその分プラスにするとか、あるいは、それでは余り大き過ぎる、この地区の場合には少し過大になり過ぎるというような場合には、それを半分に評価して二分の一まで緩和するとか、それはその地域地域のまちづくりの考え方に即して、この制度の場合は決めることは可能だろう。それで、一番うまくそういったものが誘導できるような作戦を練っていけばいいのではないかというふうに考えます。

○織田委員 最後に、おまけでもう一つ聞いておきたいんですけれども、いろんなおまけが出てくる、主に容積率なんでしょうけれども、これは上限どの程度というふうに見込まれておりますか。

○河島マスタープラン担当部長 上限につきましても、その地域の状況に応じてというふうにいいたいところなんですが、やはり東京都全体の容積率についての総合的なコントロールをする、そういう役割を今東京都が持っていて、そのことが、今回の再開発等促進区を定める地区計画についても、規模の大きいものについては東京都が都市計画の決定権限を持っている、こういう仕組みにもつながっているということからしますと、余り上限について、何でもいいですよというのは、ちょっと乱暴な話になるのかなというふうにも考えます。
 現在の再開発等促進区を定める地区計画、少し前までは再開発地区計画と呼ばれていた制度は、都心居住を推進すべきそういう場所における、都心居住にも貢献するようなそういう計画の場合には、最大で指定容積の二倍まで認める制度になっております。ですから、こういった街区再編まちづくりについても、最大限そのぐらいのところを一つの目安にすべきなのではないか。すべての地区で二倍までオーケーかというと、結構二倍は過大であるということが、先ほどのいろいろな交通のチェックであるとか、あるいは環境等の問題だとか、建て詰まった場合のいろいろな周辺との兼ね合いとか、そういうことを考えたときは、もう少しおとなしくやろうというような話し合いも、当然地域の中で起こると思われます。
 ただ、いろいろな条件の中で、いい条件のところでは、通常の再開発地区計画のそういう運用と同様の、二倍を超えるというようなことは、避けていくような運用が望ましいのかなというふうに思っております。

○織田委員 私は、この条例を見たときに、街区再編まちづくりの場合ですね、ポイントになるのはおおむね三点か四点あるなと。一つは、メリットはどういうふうにやれるのか、メリットの問題。それからもう一つは、ノウハウであります。提案制度ということ、あるいは申し出るということで、ノウハウがどの程度バックアップしていけるのか。地権者自体はそんなに多くない。それをやるのに、先ほどご答弁があったように、建築会社もそうでありましょうし、区もそうであるというような話がありました。そういうノウハウをどういうふうにきちっとやれるのか。
 それからあと、もう一つはスピード。どうも、こういう都市計画というのは非常に煩多な手続がありまして、本当に専門家でなければわけわからないというような、そういうところがあります。そのために、すったもんだで議論している間にどんどん状況が変わって、下手をすると、地権者の方が亡くなったり、あるいは相続が生じたり、地権者がやれる状況でないような人がぽこぽこ出てきたりというようなこともあります。
 そういう意味で、スピードアップというか、早期に決定をして早期に決着をするというようなことが大変大事だなというような思いでおりました。スピードについては、提案されてから半年で結論を出すと、いいも悪いも。五年たってだめなら撤退するという選択もありだということで、非常にこういう点では配慮されたものになっていると思います。
 ただ、ノウハウですね。これは、例えば十軒なら十軒、十五軒なら十五軒の方々が共同住宅をやりますよと。ノウハウ持った人がいない。では、そういった建築会社なりNPOに頼めばいいじゃないですかというふうにいう。確かにそうなんです。みんなノウハウ持っているところは持っています。問題は信頼関係なんです。例えば地場の工務店が、あの人の知り合いだからということで、話をまとめて持っていった。あの工務店信用できるのかいなと、具体的にそういう話になってくるわけです。
 そこで、できれば公の、何といいますか、そういった面でのバックアップ体制がなければ、そういう不信感を持っているようなところは、例えばこういうような形で自分たちはやりたいんだと、まちづくりのために貢献をしつつ、こういうひとつそれぞれの折り合いをつけながらやりたいんだということを、安心をして、信頼をして相談ができるところがあるのかどうかというのが、僕は一番問題だろうと思うんです。
 先ほども大塚委員の方から質疑がありましたので、詳しいご答弁は要りませんけれども、今ご答弁を見る限りは、そういう公的なセクション、専門家の派遣制度、これが公的な、要するに東京都なり区市町村なりに裏打ちされた、そういう安心できるものなのかどうなのか明示をされておりませんけれども、そういった公的なかかわり方についてどのようにお考えなんでしょうか。それだけお伺いをして、質問は終えたいと思います。

○河島マスタープラン担当部長 先ほど来、コンサルタントだとか地元の中小工務店なども、地域密着型で一生懸命やろうという意欲ある方の力を大いに活用した方がいいというご答弁を申し上げておるんですが、信頼関係が本当につくれるかと。私ども東京都の外郭団体の財団法人東京都防災・建築まちづくりセンターでは、区市町村のそういう木密事業などのコンサルタント派遣事業と連携するような形で、「まちすけ」というおもしろい名前を、まちづくりの助っ人という意味だと思うんですが、「まちすけ」というそういう制度を持っていまして、非常に実績のあるコンサルタントの方をセンターの方に登録して、求めがあれば紹介をしていこうと。そういうことで、登録された方は、登録されていることの一つの、何というか、社会的なステータスがあり、またそれに対する義務みたいなものをお感じになりますから、当然それは信頼のある仕事をやる。そのような関係で、そういう方の紹介制度などもあるようです。
 今後こういう街区再編まちづくりをやっていくときには、そういったようなシステムを地域ごとにつくったり、あるいは、そういうもう少し広いエリアで共通するシステムをつくったり、いろいろ工夫をしていく必要があるのかなと。個別のそういうコンサルタントとしてのお仕事とか請負工事のそういう仕事を直接交渉でやるというその話について、非常に不安感をお持ちになるという面も、それは無理のないところがございますので、そういったものを安心して皆さんがやっていけるような仕組みを、いろいろ工夫してつくっていく、これもこれからの研究課題であるし、そういうものを何とかつくっていかなきゃいけないんだろうと思います。その辺についても、我々としても努力をしていきたいというふうに考えています。

○清水委員 一般会計予算案について伺います。
 まず、臨海高速鉄道への損失補償について伺いますが、東京都予算全体については、いうまでもなく、厳しい予算だとか限りある財源をと繰り返しいわれておりますけれども、そういう中で、今回の臨海高速鉄道株式会社に損失補償が設定された理由と経過についてお伺いいたします。

○只腰都市基盤部長 先ほどもご答弁申し上げましたが、りんかい線を含めまして、一般的に鉄道事業は黒字化までに大変長期間を要するということで、その間、資金収支が赤字の部分につきましては、何らかの手当てが必要でございます。しかしながら、昨今の金融事情によりましては、会社単独の力では金融機関からの借り入れが大変困難だということがございまして、一都三県を結ぶ基幹的な公共交通機関としての重要性があるという認識のもとに、緊急かつ特例的な措置として、これは都が資本金の九割出資をしてございますので、そういう責任もあるということで、損失補償の対象にしたものでございます。

○清水委員 初期投資について、先ほど、それが直接理由ではないというふうに答えられておりましたけれども、実際に、第二期工事は七百九十一億円の増加になっているというふうに書かれているわけですね。それで、その増加額のうち、そこの工事は日本鉄道建設公団という、P線方式という工事対象区間なので、国や公団に対して資金確保をしていくというような、これまでの、建設費の問題でそういうことがやられてきたのかどうかについてお伺いいたします。

○只腰都市基盤部長 現在りんかい線は十二キロございまして、現段階での建設費は四千九百億余りということでございます。キロ当たり四百億円を超えるわけでございまして、通常の地下鉄と比べても非常に費用がかかっているということは、否定ができないと思います。
 経過的なことを申し上げますと、会社の設立以来、新駅を追加する、あるいは二期区間での、今ご指摘ございましたような工事事故によります増額等の経過があって、現在の建設費に増加したという経過は確かにございます。ただ、今回の損失補償そのものにつきましては、最初のご質問でもご答弁申し上げましたとおり、会社単独での資金の借り入れが困難ということで、都としての損失補償をつけたということでございます。

○清水委員 実際にはそうかもしれませんけれども、しかし、この間の建設費の増大というのは、やはりこの会社の経営にとって大きな負担になっているわけです。
 第二期工事のときに、伏流水への対応とか、東急大井町線の架設工事とか、JR線との調整などの、当初の予定を超える難工事でおくれたということで、それを早く進めるために、これも以前に触れさせていただきましたけれども、掘削の方法を、行って帰ってくるという掘削を二本でやる、工事費がそこで膨らむというようなことをやられてきた経過があるわけです。
 そういうことでは、やはり建設費の増大も初期投資の増大も一つの要因であったというふうにいえると思うんですけれども、それでは、十一年に経営改善計画が出されておりますけれども、それはどうだったのでしょうか。これまでの会社の出資計画という点について問題はなかったのでしょうか、お伺いいたします。

○只腰都市基盤部長 これまでも会社の収支計画は、それぞれの環境の変化、先ほど申し上げた外部的な環境の変化もあったわけですが、見直しをしてまいっております。十一年度の見直しということ、収支計画の見直しというのをやったわけでございますが、今回につきましては、それ以降の、運賃認可の申請に当たりましては、最新の交通量調査のデータ等を取り込んで、最新版の収支計画をもとにして認可申請をしたということでございます。

○清水委員 会社の常勤役員には報酬が出ているということですけれども、一千五百万から一千二、三百万というふうに伺っているわけですね。それで、経営改善計画には、一〇%これを引き下げるということでやってあるのですけれども、今度のこの損失補償に当たって、常勤役員の報酬などの引き下げはされたのかどうかという問題。それから他の企業の負担はどういうふうになっているのか。JR、それからこの鉄道の開通によって利益を受ける沿線企業、それから銀行も、先ほど大変金融事情が厳しいといわれましたけれども、ここの株主になっている銀行などについては、利息が八億から九億毎年出ているわけですよ。そういう利益を受けているわけです。そういうもろもろの責任というのは、会社の赤字に対する負担とか責任というのはどうなっているのか、それについて求めてきたのかどうかということについて伺います。

○只腰都市基盤部長 初めに、会社の経営陣の報酬でございますが、これは都の監理団体でございますので、総務局が役員報酬基準というのを作成いたしまして、それに準拠いたしまして、各社で役員報酬を定めてございます。平成十四年度におきましては、報酬月額を基準額から五%、前年度に比して減額してございます。また、この会社につきましては、先ほど申し上げたような経営事情でございますので、十三年度の経営評価の結果に基づきまして、さらに五%の削減というのを施してございます。
 それから、沿線の企業あるいは銀行等の責任ということでございますが、この会社の九割近い最大株主が東京都ということでございまして、ほかの株主の出資比率は最大でも三・二%ということで、ほとんど都の直営会社みたいな構成になってございます。そういうこともございまして、都がまず損失補償という形で支援をしたわけでございますが、今後、先ほど申し上げたような経営改善計画を立てる段階で、他の株主、債権者に対しても協力を求めていく必要があるというふうに考えてございます。
 それから、銀行等でございますが、当然、建設に当たりまして、運営資金の協力を融資という形で得ているわけでございますが、当然に金利をお払いしているわけでございまして、これは、ある意味で銀行の営業活動の範囲というふうに考えてございます。
 また、沿線企業につきましては、特に新駅を設置したようなケース、今回も二駅あるわけでございますが、そういう駅につきましては、地元企業からも既に工事負担金という形で徴収をしてございます。

○清水委員 しかし、会社の役員の報酬についていえば、一般の職員からしても、まだ多いのではないかという感想を職員の方もいわれていましたけれども、沿線企業も一体どれだけ出しているのか。銀行はやはりこれまで利息で利益を受けているわけですから、幾ら東京都が八割、九割責任を持った株式会社だといっても、やはりそこには利益を受けるそういう団体があるわけですから、そこに負担を求めて、その上でどうかということをするべきではないかなと。
 それから、臨海高速鉄道は臨海開発のために進められたものです。そういう意味では、基本的には、一般会計から損失補償するというのはどうなのかということは、まずいえると思うんです。臨海会計によって手当てするべきではないか。しかも、会社の経営改善について、役員の報酬や沿線企業の問題や、それから、そうしたさまざまな総合的な対応がとられているという状況ではないと思うんですね。そういう時点で都民の税金を安易に手当てするというのはどうなのかという点で、臨海会計の問題、それから一般会計からという問題についてどのようにお考えになりますか。

○只腰都市基盤部長 この会社の出資金につきましては、今ご指摘ございましたように、一般会計ばかりではございませんで、臨海地域開発事業会計からも多額の出資を受けている状況でございます。この出資につきましては、沿線の臨海開発の受益ということで出資を、拠出を求めたということかと思います。
 ただ、今回の損失補償につきましては、会社が不足する運転資金を金融機関から借りるための、先ほどのとおり緊急かつ特例的な性格ということで、今回は一般会計での支援としたものでございます。

○清水委員 百四十六億という多額の損失補償について、やはり納得がいくものでなければならないと思うんです。
 それで、会社の経営状況についても、ホームページの中ではほんのちょっと触れられているだけですよ。前にも触れられていましたけれども、長野県のしなの鉄道の経営改革という点では、鉄道経営改革評価委員会を開催しました。第一回の開催の会議録がずっと、第二回の開催記録がずっと--そして、経営改革の目標、経営改革の基本方針、そして鉄道経営改革に関するアンケートの集約という、そうしたさまざまな対策というか、対応をとっているわけですよ。
 今回の措置については、やはり不十分だといわざるを得ないわけですけれども、例えば経営状況について、もっと情報公開をする、そういう点についてはどうですか。

○只腰都市基盤部長 まず、会社の定款にもあるわけですが、各期の決算の公告につきましては、官報にも掲載をしてございます。また会社のホームページの中にも、十分でないかもわかりませんが、営業成績等の概要は記載しているところでございます。さらに詳しい周知については、先ほどの答弁のとおり、求めていきたいというふうに考えております。
 なお、東京都におきましては、監理団体経営評価制度に基づきまして、毎年度、この臨海会社も含むわけですが、各団体の達成度評価を行いまして、その財務状況も含め、都のホームページで公表してございます。

○清水委員 いずれにしても、事前のそうした対策、取り組みなどが十分にとられていない中での損失補償というのは、私は認めるわけにはいきません。そういう意見を申し上げます。
 次に、先日、韓国大テ邱グ市で発生した地下鉄火災に関連して、地下鉄の防火対策について伺います。
 事故の全容が明らかになるにつれて犠牲者がふえているわけです。痛ましい被害の実態に胸が締めつけられる思いです。
 この事故、火災を機会に、日本の地下鉄はどうなのかという不安を持った都民も大変多いと思うんですけれども、まず、先ほどのご答弁によりますと、日本では一九七五年に制定された防火基準があるということでした。その基準に照らして、現在の都内の地下鉄の実情はどのような実態になっているでしょうか。

○只腰都市基盤部長 五十年の一月に、今先生がお示しされました火災対策の基準というのができているわけですが、ご存じのように、その前から地下鉄というのはあるわけでございまして、銀座線とか丸ノ内線とか古い地下鉄につきましては、それ以前の基準ということでございますので、五十年の基準は必ずしも満たしていない駅もございます。
 営団でちょっと申し上げますと、二つ以上の避難通路が設置されていない駅につきましては、現在二十三カ所、それから排煙設備が設置されていない駅につきましては四十七カ所ということで、まだ課題があるのはご指摘のとおりでございます。

○清水委員 今、基準に対して対策がとられていないところがあるということなのですけれども、それについては、地下鉄の方でどういうふうに今後やっていくという予定なのでしょうか。

○只腰都市基盤部長 地下鉄の施設につきましては、ご承知のように、大方道路の下にございまして、なかなか大規模な改良が難しい状況にございます。特に銀座線とか丸ノ内線等につきましては、比較的浅い位置にございまして、改良するにもそのスペースがないような状況、あるいは構造的にも難しいというような状況もございます。
 営団につきましては、駅舎の大規模改良を行っていく際に、随時五十年の基準に合わせるように整備をしていくということで、都としては、一層の整備が図られるよう営団に対して申し入れてございます。

○清水委員 それでは、火災時の対応はどうなのでしょうか。駅員の対応、それから訓練というのはどうなっているのでしょうか。

○只腰都市基盤部長 火災、これは意図的とか事故とか両方あるわけですが、火災が起きた場合でございますが、火災直後におきましては、現在、平常時に勤務しています駅員全員で乗客を避難誘導をするということで、そのほか消防とか警察等の、あるいは中の指令所等への連絡通報を随時急いで行うということにしてございます。
 また、発災の後でございますが、災害の規模等によりまして、対策本部等を設置いたしまして、他の駅からの応援態勢もとるということでございます。また、そういうような訓練を、防災の日などをとらえまして、定期的な実施をしているということでございます。

○清水委員 それでは、韓国の駅と同じ程度の深さの駅というのはどの程度あるのか、それから、その場合の対応というのは特別に何かとられているのかどうなのか伺います。

○只腰都市基盤部長 新聞報道なんですが、事故の起きた中央路(チュアンノ)という駅でございますが、地下三層で深さ十八メートルということだそうでございます。ちょっと私ども、営団地下鉄の場合で、同程度か、それよりも深い駅ということで数えますと、二十三駅ございます。深いことになりますと、深駅でございますと、もちろん避難に時間がかかるというのが一番大きな問題でございまして、避難誘導経路を通常の駅に比べてわかりやすくするなどの対策がとられてございます。

○清水委員 これまでの--これまでのというのは、昭和五十年の基準というのは、比較的小規模な出火を想定しているのではないか、それから車両材料の煙やガスの有害性が考慮されているのかどうか、それから出火防止が初期消火対策に頼っているのではないか、この基準を読みますと、そういうような問題点が浮かんでくるのですが、どういうふうなご認識でしょうか。

○只腰都市基盤部長 五十年に基準ができた経過でございますが、それに先立ちまして、昭和四十三年に日比谷線で車両火災、これは一両焼けたそうでございます。それから四十七年には北陸トンネルの中で食堂車が燃えまして、これは三十人の方が死亡したというような、トンネル内の火災のそういう事故を反映させまして、あるいはそれを再発させないということで、それを教訓にしまして、その基準が定められているということでございます。したがいまして、小規模なということではないのではないかと思います。
 また、車両につきましては、昭和六十二年に普通鉄道構造規則ということで定められまして、基本的には不燃性にするとか、あるいは難燃性の燃えにくい材料を使うということで定められたわけですが、現在ではそれにかわりまして、各鉄道事業者におきまして技術基準、営団あるいは都営につきましても同様の基準で、大規模な火災についても耐える車両の仕様になっているというふうに私ども理解をしてございます。

○清水委員 二系列、十二車両が韓国の場合は燃えました。
 それで、昨日、日本建築学会が開かれたわけです。それで、防火委員会というのがありまして、再発予防と現在の不十分な防災の見直しのために検討すべきだという提案をしているわけです。それは、車両床面積当たり十五から三十キログラムを使っている可燃材料が、最初から大きな火災になった場合の有害ガス、煙発生の危険度について、二つ目が車両火災の延焼拡大防止の方策、三つ目が地下駅での群衆避難のあり方、四つ目が有効な排煙方式の導入。先ほど、基準前の、駅として四十七カ所も現在ついてないということなんですけれども、有効な排煙方式というのも改めて考えなければいけないというようなことで、この四つの点について提起されたわけです。
 それで、こうした基準について、一九七五年に制定された防火基準について、抜本見直しをするように要望しているわけですけれども、私は、こういう点を含めまして、やはりこの基準について見直しを都として要望していっていただきたいというふうにお願いしたいと思います。
 次に、東京西南部における流通業務市街地計画調査報告書に関して、この計画は、平成十三年の五月に発表されております。その後の経過と現在の状況はどのようになっているでしょうか。

○只腰都市基盤部長 東京西南部の物流拠点でございますが、今ご指摘ございました平成十三年の五月に、東京西南部における流通業務市街地計画調査報告書というのが公表されてございます。その中で、インターチェンジ沿いあるいは幹線道路の配置等を考えて、五つの候補地から事業成立の可能性の高い箇所を選定して、物流箇所の整備計画の策定に向けて取り組むというようなことが記載をしてございます。
 都といたしましては、現在、この西南部物流拠点の整備を促進するため、沿線の市と町に対しまして、みずからの基本計画にその方針等を位置づけて、あるいは沿線地域のまちづくりとの整合をとるように調整をしているところでございます。早急に整備計画の素案を作成いたしまして、関係市町と調整を図ってまいりたいというふうに考えてございます。

○清水委員 八王子市の川口リサーチパーク計画というのは、研究団地開発ですけれども、これがこの間中止になりました。オオタカの営巣なども理由になっているわけです。計画地のまん真ん中に営巣木がありまして、毎年成長しているわけですけれども、ここもこの計画の一つになっていると思うんですね。
 それで、この地域も流通業務市街地計画の候補地の一つになっているのでしょうか。

○只腰都市基盤部長 先ほど申し上げた調査報告書では、物流拠点の立地につきましては、インターチェンジの周辺であるとか都市のDID、住宅密集地の外だとか、そういうような条件をもとに、五つの候補地を絞り込んでございますが、圏央道八王子北インターチェンジ周辺ということでございまして、特定のどの場所ということを候補として決め込んでいるわけではございません。

○清水委員 インターチェンジ周辺といって一まとまりの土地といえば、その地域を指すということは、市民だったらだれも皆想像つくことなんですけれども、緑地なんですね、全部が。百五十九ヘクタールの緑地です。それも計画地になるのかどうか、東京都の考え方として。かなり前につくられた計画ですよね、これは。国の法律に基づいてつくられて、東京構想に基づいてさらに引き継がれてきたわけですけれども、現在の時点で、百五十九ヘクタールというこの貴重な緑地のところを流通業務地区に、候補地になるということについて、どのように考えますか。

○只腰都市基盤部長 川口地区につきましては、予算特別委員会でも答弁のやりとりがあったわけでございますが、現時点で適する、適さないということは一般的にはいえないと思いますが、ご存じのように物流拠点につきましては、入る業者の方が非常に今厳しい環境にある中で、地価の負担力が非常に低いというような現状を踏まえますと、造成に多額の費用のかかるような立地というのは、なかなか現実性がないのではないかというふうには考えてございます。

○清水委員 物流拠点というのは、やはり自動車中心の物流の仕組みだというふうに思うんですよね。そういう仕組み自体を今変えていく必要があるという点、それから、昨日も何人もの方が、山手線の内側の量の緑が東京では失われたと、何人もの方がきのうの予算特別委員会ではいわれていたと思うんですよ。それで、都庁の屋上に屋上緑化をすれば、ちょちょっとやっただけで三千万かかるというときに、百五十九ヘクタールの緑地をわざわざこの時代に宅地造成することはないと思うんですよ。そういうやはり都市計画としての方針を持つべきだというふうに思いますが、どう思いますか。

○只腰都市基盤部長 川口地区がこの候補地たり得るかどうかにつきましては、現在まだ私どもスタンスを定めているわけでもございませんが、一般的には、先ほど申し上げたとおり、多額の地価負担力を要するような立地というのはなかなか難しいんじゃないかというのが、現在のところの一般的な私どもの感覚でございます。

○清水委員 ぜひ、貴重な、本当に貴重な場所なんです。そういう点では、それが残るような方向をとっていただきたいというふうに思います。
 最後に、都市再生について、きのう、かなり我が党の議員が予算特別委員会で質問をいたしましたので、省略いたしますけれども、都市再生によってさまざまな問題が生まれているということで、製造業の問題、住まいの問題、それから環境の問題などについて、知事に質問をいたしました。
 そこで、オフィスの供給問題なのですけれども、局長は、昨日の質問に対する答弁の中で、二〇〇三年以降、三年ぐらいは落ちつくというような趣旨の答弁をされたというふうに思うんですね。で、我が党の議員は、その後のことをいっているんだというふうにいったわけですけれども、それでは、二〇〇三年、ことしというのは、だれが見ても、オフィス過剰によって空き室率の増大などさまざまな問題が起こっているという点については、お認めになるのでしょうか。

○森下都市づくり政策部長 大規模オフィスビルの二〇〇三年度に集中しているという状況については、私ども認識しておりますし、その結果として、今、大規模なオフィスビルの間でもいろいろ入居の入れかわり等が行われていると思いますけれども、そういう意味で、短期的な意味での空室が大きく出ているということは認識しております。

○清水委員 二〇〇六年以降の問題については、百ヘクタールぐらいで落ちつくのではないかとか、いや、そうではないということがありますので、それはまた別の機会に改めてするとして、それでは、二〇〇三年の、ことしの問題なんですけれども、今お話があったように、空き室率が多いということなど認識しているということなのですけれども、それは、地域の住民に、空き室率が多いということだけではなくて、住民の中にさまざまな問題が発生しているわけです。
 例えば、これはそういう問題ではないですけれども、六本木六丁目では地権者が、管理費一平米当たり二千円から三千円、つまり管理費が十五万から十六万になって、戻るに戻れない状況だというようなことも聞いています。それから中央区では、七五%が緊急整備地域に指定されて、土地の買い占めが始まっている。日本橋、銀座、入船、佃島、五十年から六十年築の木造地域まで、そういう対象になっているということです。中央区では、人口が十五万から七万まで減少したので、十万を目指していたようですけれども、既に達成をする状況であって、マンションラッシュが起こっていると。これはもう江東区などでもいわれてきているわけです。
 そこで、私は、ことしの二〇〇三年問題というのを、住民の中で、また、さまざまなどういう問題が起こっているのかということを都市計画局としてきちんと把握する必要があると思うんですけれども、それについてはどうでしょうか。

○森下都市づくり政策部長 先ほど申しましたように、二〇〇三年問題といわれるオフィスビルの問題につきましては、当然、状況を把握しながら見通しを持っていかなければいけないということはあると思います。ただ、今委員ご指摘のような、都市再生に伴うといいますか、従来の開発であるとか再開発であることによりますいろいろな問題があるということの一般的な問題点につきましては、特に二〇〇三年問題という観点ではないかと思いますけれども、都市をめぐるさまざまな問題については、常に把握しながら都市計画に反映させていかなければいけないという意味では、そのとおりだと思います。

○清水委員 今までの議論の中で、十分に、そういう住民の中に起こっている問題が把握されているというふうには思えないわけですよ。それは、進める側、私たちは批判をする側なんだけれども、どちらにとっても、今実際何が起こっているのかということを把握する責任があると思うんです。それで、私は、改めて都市計画局で把握をしていただきたいということを要望いたします。
 それで、昨日も触れたわけですけれども、都市再生によってさまざまな問題が起こっているということは、私たち共産党だけがいっているのではないということなのですよ。
 例えば、私、これはたまたま見た、NHKの解説委員の斎藤さんという方の、NHK総合「あすを読む」というテレビ番組でしょうか、「ビジョンなき都市再生」ということで、紹介したいと思うんです。
 大幅な規制緩和によって景気対策につなげようという意図はわかるのですが、東京が本当に魅力ある国際競争力の高い都市に生まれ変わると、皆さん思われるでしょうか。
 それで、幾つかの問題点を指摘しているわけです。都市戦略が見えない、新たな不良債権が発生するおそれがある。環境の問題。
 新たな不良債権の発生のおそれはないかです。今回の都市の再生によってどのくらいのオフィスビルが供給されるのか、供給の見通しは立てられていません。二〇〇三年には、いわゆる一つの問題が起こりました。そこにさらに今回の都市再生です。きちんとした需要予測のない中で、オフィスビルの大量供給が続くわけです。前のバブルでは、土地が不良債権になりました。今回は大量のオフィスビルが不良債権になるおそれがあります。また、供給ありきはマンションも同じです。
 環境への対策は十分なのでしょうか。開発の規模が大きければ大きいほど、大量の水や電気が必要になります。下水やごみの処理も大変です。交通混雑を招くことはないのでしょうか。都市の魅力は、新しいビルをつくることだけで高まるものではありません。生活のしやすさ、物価の安さ、芸術文化が楽しめる、いろんな要素があります。歴史的な古い街並みを守っていくことも、その一つです。
 というように、今、東京のこういう都市再生によるまちづくりについて、研究者、それから学者の方、そして幾つかの報道番組、そういったところから危惧の声が出ているというふうに思うんです。そういう点で、やはり真剣に考えていただきたいというふうに要望して、終わります。

○こいそ委員 それでは、二点質問させていただきたいと思います。
 まず、多摩地域の土地区画整理事業につきまして、こちらから聞かせていただきたいと思います。
 多摩地域では、これまで土地区画整理事業が都市基盤整備として、また宅地の供給に大変貢献をしてきたということは、いうまでもないと思います。多摩地域における市町施行の土地区画整理事業のうち、新都市建設公社が受託施行している地区と、それ以外の地区の実績はどうなっているのか、このあたりからお願いしたいと思います。

○柿堺都市防災部長 現在、多摩地域の市や町が施行している土地区画整理事業の地区は二十七カ所、面積では約九百四十一ヘクタールでございます。そのうち十九カ所、約七百二十一ヘクタール、面積割合で申しますと七七%を、財団法人東京都新都市建設公社が受託施行しているという状況にございます。

○こいそ委員 市及び町施行の土地区画整理事業を新都市建設公社に対して施行委託をしているその主な理由というのは、どういうあたりにあるんでしょうかね。

○柿堺都市防災部長 土地区画整理事業を施行するためには、地権者の資産を公平、公正に取り扱わなければならないということから、法律的な知識あるいは公共施設の整備に関する知識など、幅広い技術力が必要でございます。多摩地区においては、区画整理事業を施行する十分な技術力や、事業量に応じた執行体制の整ってない自治体もございまして、さまざまな形で技術支援が必要となってございます。
 また、円滑な事業の執行のためには、多額な事業資金の確保あるいは公共用地の先行取得が必要でございます。公社の受託施行地区では、施行者の財政事情や保留地処分の時期等の関係で事業収入が見込めない場合に、公社が事業資金を立てかえることにより、円滑な事業の執行が可能となっております。
 これらのことから、各市町では、経験豊富な専門技術者の確保あるいは円滑な事業資金調達ができる新都市公社に施行を委託しているものでございます。

○こいそ委員 昭和三十六年に、いわゆる新都市建設公社がスタートしたということの中で、確かに、主な委託理由ですか、この点についての理由が当然あったと思います。しかし、もはや昭和三十六年から平成十五年という中で、各自治体の体制、取り組みですか、これも当時から比べれば整ってきたのではないかなという感もいたしますし、その中で、これはそう古い資料ではありませんけれども、過去の五年なり十年なり資料を見させていただくと、公社に対する委託がかなり減ってきたんじゃないかと思うんですね。
 しかし、現実としてやはり公社が受託施行をしている自治体もあるわけでありまして、その中で、補助金の対象地区と交付金の対象となっている地区がありますよね。それぞれの地区数はどうなっているのか、これを教えてください。

○柿堺都市防災部長 現在、公社受託施行地区は十九カ所、約七百二十ヘクタールございますけれども、補助金地区は十一カ所、五百六十四ヘクタール、交付金地区は七カ所、百五十一ヘクタールでございます。なお、一カ所、約六ヘクタールにつきましては、市の単独事業を受託しております。

○こいそ委員 ここちょっと聞きたいのは、交付金の七カ所、約百五十一ヘクタール、平成十五年の予算上から見ますと、十五年は約二十一億円ですか、計上しているようでありますけれども、以前、昨年は二十四億だったですかね。これは、さかのぼっていきましても、かなりの交付金が支出されている状況というのは確認できるんですね。
 その中で、我々は都民の代表として出てきている。また地元では、市民の代表として市議会が構成されていますよね。そこの中で、一定的な資金の流れというのはチェックできますね、市議会は。この交付金というのはどうなっているんでしょうか。いわゆる市議会では把握できる--東京都から、恐らくこれは公社の方に直接振り込まれるというんですかね、公社の方に資金が回る、直接的に委託している自治体の方には回ってない、このようなことから、地元のいわゆる地域の市民というか都民といいますか、そういう方々も、東京都は何やっているんだ、東京都は何してくれているんだと。こんな何十億も、また今までも、過去さかのぼるわけじゃありませんけれども、かなりの資金を東京都が財政的な支援を行ってきているにもかかわらず、これがわからない現状がありますね。これはどうなんでしょうか。

○柿堺都市防災部長 交付金の仕組みでございますが、公社が受託している市町施行の土地区画整理事業のうち、例えば南武線連続立体交差事業との整合を図るなど、都として、時に緊急に都市基盤整備事業を推進させる必要のある地区について、補助金相当額を交付金として都が直接公社に交付するものでございます。
 このメリットといたしましては、土地区画整理事業に必要とする資金を直接公社に交付するということから、年度の早い時期に確保できる、そういうことで、事業の進捗に応じて工事の早期発注が図られるのと、弾力的な事業執行が可能になります。また、交付金の各種事務手続が都と公社間で行われるために、事務執行の簡素化、経費節減が図られることなどでございます。
 一方、委員ご指摘のとおり、各議会で年度ごとの予算の審議というものが行われてないというようなことから、その点についての情報提供が不足しているというのは、ご指摘のとおりでございます。

○こいそ委員 やはり現下の大変厳しい都財政の状況の中から、さりとて各市町の都市基盤整備を応援していこうという趣旨の中、これは大変結構な話だと思いますよ。しかし、このいわゆる財政支援の金額が、交付金が、実際上市議会でわからない。今、事務執行が早く着手できるというけれども、こんなのだって、一週間や数日でやりましょうという話じゃないと思うので、前々から、中期、長期的な計画に基づいてそれぞれ進めているわけでしょう、都市基盤整備を。
 それともう一つは、事務量が、例えば都から、補助金は市の方に入るけれども、公社に直接入る。それは市は、受託しているという。しかし、そこのところは、簡素化になっているようだけれども、実際上そのくらいの手続は、当然、施行主体である地元市町が対応してしかるべきじゃないかと思うんですよ。そうしないと全然わからない。これだけの、過去を含めて--これだけといっても、これは資料だけれども、相当額といってもいいですね、何十億単位の。この金が年度ごとに支出されているにもかかわらず、わからないということは、我々は説明責任を果たそうとしても、地元の議会の議員一人一人がわからない。市民の代表がわからない。先ほどいいましたけれども、地元の方の、実際的に土地、用地取得に公社の職員が行く。また、具体的に公社が受託して進める事業であっても、全くわからない。こういうあたりは私は大変おかしいと思うんですよ。これ、どうですか、局長。

○勝田都市計画局長 今質疑ありましたが、市町が区画整理事業に着手する際には、公社との間で業務委託契約を締結しておりまして、その負担分を債務負担行為として予算計上して議会で承認されるということでございますが、今ご指摘あった都からの交付金については、こういうルートを通りませんので、市町の各年度の予算に計上されないということから、議会や都民にとって都の財政支援の実態が見えないというのは、ご指摘の仕組みになっております。
 都はこれまで、区画整理事業の仕組みや流れ、そういったものについては、パンフレットやホームページ、こういうことで情報提供しておりますが、こういった問題については各種の広報に掲載するなど、確保に努めていく必要があるんじゃないかなという認識を持ちました。

○こいそ委員 過去、昭和三十六年設立された公社に対して、交付金が支出をされてきたわけですよね。その中で、パンフレットでやるとかホームページでと、これはもう当たり前の話であって、じゃなくて、流れをより明確にすべきではないのか。市民の代表にもやはりわかりやすくすべきじゃないか。少なくとも都政が、先ほどの話では連続立体交差化事業でこれだけ取り組んでいるんだというけれども、わからない、それははっきりいって。これはJRがやっているんじゃないか、国関係がやっているんじゃないか、東京都何やっているんだと、こうなるわけだ。こういうことを踏んまえながら、私は、パンフレットだ、ホームページだという段階じゃないんじゃないか、流れをより明確にしていくべきじゃないか。これはどうでしょうかね。

○勝田都市計画局長 確かに、お話のように時代が変わっておりまして、公社設立以来の仕組みではあったわけでございまして、当時は当時で、それ相応の意味合いというのはあったのかなというふうにも思います。しかしながら、市町の事務手続上もいろいろ影響を及ぼす、こういうこともございますので、そうした経緯とか、あるいは関係市町の意向とか、そういったものも十分に把握する必要があるかなというふうに思っております。そういう作業を進めた上で、その協議の内容に応じて対応していくことが適切ではないかというふうに考えます。

○こいそ委員 市町において委託をするという理由は、これはわからないわけではありません。しかし、さりとて、先ほどからいっている点は、少なからざるも、各市の土地区画整理事業なり基盤整備事業に対する期待感は大変高いわけですね。であるからして、精査しながら財政支援を出しているわけですね。ところが、さっきから繰り返して申しわけないけれども、それは東京都の広域行政体としての責任は果たしているんだけれども、これが明らかに伝わってない。それは私は、効果的な面から見ても若干寂しいものがあるし、こういうものは強く、私は--事務的な、手続的なものがあるというお話がありましたけれども、手続的なものといっても、民間だってどこだってそうじゃないですか。資金を得る、資金を借りてくる、それは足を運ぶし、それだけの汗かいて資金というのは確保していくわけでしょう。何ですか、事務的手続というのは。

○柿堺都市防災部長 交付金について、透明性を確保するという理事のご指摘を受けまして、私どもとしては、これは過去には十分機能していた制度でもございますし、都だけではなくて、実際に事業に関係している市あるいは町、それと公社、それと実務的な問題点もありますので、その辺を連携を図りながら、透明性の向上策を積極的に検討してまいりたいというふうに考えております。

○こいそ委員 ぜひ、過去の経緯、また歴史的ないろいろな流れ、その時代時代で、確かにお話の点もわからないことではないのですけれども、これだけ情報公開だとか、また非常に厳しく、行政の流れ、いわゆる予算上の流れとか、こういうものはやっぱり見詰められていると思うんですね。少なくとも議会がわからないというような状況だったら、これは大変おかしな話であって、幾ら当初の、弾力的運用というんですかね、事業を早期に始めなきゃいけないとかいろいろな理由はあったとしても、そこの整合性というか、やはり明確に透明性を高めていく、こういうことは、今日的な努力としては私は果たしていくべきだというふうに要望をいたします。
 それで、もう一点、よろしいでしょうか。これは当委員会でも質疑をさせていただきましたけれども、業務核都市ですね。東京都は核都市という位置づけの中で、それぞれの地区を指定してきておりますけれども、その中で、時間は若干あるようですが、ちょっといろいろ、少し時間を詰めましてお聞きしたいと思いますが、国への要望をさらにしていくんだ、こういうお話ありましたね、業務核の、指定された地域に対する実効効果を上げるために。なかなか運用が現実的にそぐわないといいますか、あるので、国への要望を進める、強く要請かけていくと。そしてその後どうなんでしょうか、この件については。

○南雲都市づくり調整担当部長 国への要請の件でございますが、昨年国に要請いたしました結果、平成十五年度の国の税制改正におきまして、中核的民間施設に係る課税の特例措置の適用期限を二年間延長すること、それから、特例措置の対象となります中核的民間施設の整備主体を第三セクターに限るといういわゆる第三セクター要件を、特別土地保有税に関してのみでございますが、撤廃することなどが認められたところでございます。

○こいそ委員 それで、業務核都市の育成に関して、これまでさまざま取り組みをされて、これを踏んまえて、さらに今後具体的にどう取り組んでいくのか。あわせて核都市についてもどのように取り組んでいくのか、同様な内容の質問をさせていただきたいと思います。

○南雲都市づくり調整担当部長 ただいま申し上げました国への要請、その成果を踏まえまして、今後引き続き、第三セクター要件を法人税の特別償却や事業所税についても撤廃すること、さらに、中核的施設の対象範囲を、にぎわいを演出いたします商業施設ですとか、あるいは医療、福祉施設などにも拡大することなどにつきまして、七都県市一丸となりまして、また連携しながら、国に強く求めてまいりたいと考えております。
 さらに、都市計画制度の面から申し上げますが、例えば総合設計制度などが、業務施設集積地区におきまして現在適用されてないわけですが、それが適切に適用できますよう、運用を年度内をめどに見直しをしていく予定でございます。核都市については既にそういうものが認められております。
 今後とも、この制度が少しでも使いやすく実効あるものとなるよう努めながら、多摩地域の核となる都市の育成に取り組んでまいりたいと考えております。(こいそ委員「それは業務核都市でしょう。核都市は」と呼ぶ)核都市は、もう既にそういう運用が認められております。

○こいそ委員 引き続いて、実効性ある制度となるよう、鋭意取り組んでいただきたいと要望させていただくわけでございますが、業務核都市について、今回、私ども地元の多摩市もここに加わりまして、これに伴って、業務施設集積地区として多摩センター駅周辺、それから唐木田駅周辺が加わりました。多摩ニュータウンのいわゆる中心であるこの地域は、今回指定されたことによって、これから一段と活性化されることを期待するわけなんでありますけれども、一点、例えば多摩センター駅の北側は都有地が展開している。南側は、これは今の基盤整備公団なんですね。もう少し西側へ行くと、南大沢がありまして、南大沢は、都立大学もあり、東京都の三セクもありますよね。いわゆる東京都が全体的に大変強く力を入れた地区で、大変今活況を呈していますね。
 一方、多摩センター地区、センターという名前ですから、中心として、例えばその南側ですね。この南側は駅ビルはないんですね。テナントビルも今は三越にかわり、また幾つかかわってきているんですけれども、要するに、空間としてはそれぞれ割とゆとりある空間で整備はされているんだけれども、しかし現実的な、人を寄せつけていくというか集客させていくというか、この集積機能というのは、大変私は問題じゃないのかと思っているんですね。ところが、これは少なからざるも、いわゆる基盤整備公団の管轄ですよね。ここでいろいろ、例えば業務系の施設が立地をしていくという中でも、では、これはどういう施設が立地されるんだ、こう東京都に聞いても知らない。地域のいろいろな状況変化の中でも、東京都はほとんど関与がないということは、実際どういうことなんでしょうかね、これ。
 さらに北側の都有地ですが、これはともかく土地処分していくんだありきで、都市計画という観点よりか、都有地もどんどん処分していくんだ、こういうものが非常に先行しているような感じがするんですよ。これについて都市計画局としてはどういうふうな、この地域に対するいわゆる認識を持たれているのか、その点をお聞かせください。

○南雲都市づくり調整担当部長 多摩ニュータウンの開発につきましては、最初の仕切りと申しますか、中で、街区ごとに東京都、それから公団、そういうものが役割分担を決めておりまして、多摩センターの南側につきましては公団エリア、その北側については東京都が直営でやるという、そういう仕切りになっております。
 それで、今南側のお話ございましたけれども、南側につきましては、十三年一月に「Tama Time」がグランドオープンいたしまして、犬猫などの用品店舗などが暫定利用しているわけですけれども、私どもは、決してあれが理想的な形であるとは思っておりませんで、当面開発を進めていく次善の策としての意味はあるんじゃないかと考えております。また、同敷地内には隣に、ペットの訓練士ですとかあるいはトリミングの学校なんかも併設されておりまして、若者が多く集まり、まちのにぎわいを演出するという意味では一定の評価ができるのではないか。ただ、今後とも、私どもも公団ともども、何とか業務施設が誘導できますように努力していきたいと考えております。
 また、こいそ理事おっしゃいますように、多摩センターの北側地区につきましては、駅の近傍で非常に空地の目立つ区域がございます。ただ、最近では、多摩センター駅の北側地区におきましては、ある大企業の研修施設が、周辺住民と具体の建築計画について話し合いの中であるものの、既に事業化されておりまして、またさらに、大手スポーツ用品の販売店も近々オープンの予定であるなど、ささやかではございますけれども、幾つかの進出の動きも見られます。今後とも、業務施設の誘導に努力していきたいと考えております。

○こいそ委員 私、今お話しの研修センターですか、ここが進出してくるという話も知っています。しかし、それは全く何にもないところで、これからつくるという話。それからもう一つは、モノレールの至近に、今度ゴルフショップかな、用品の店ができるということ。これを見ても、では、どういうまちにしていくんだと。先ほどいった業務核都市、核都市、東京都が、ただ売れるところからぼんぼん土地を売るような、土地処分していくような感じがしてならない。あれだけの用地があるのであるならば、もう少し都市計画という観点から、グランドデザインというか、示してもいいんじゃないかと思うんですよ。
 それからもう一点は、多摩センターに限定して申しわけないんですが、南側地区は--南大沢のアウトレットモール、あのような形で、東京都エリアと公団エリアと、それぞれすみ分けができているように思いますよ、確かに。しかし、南側の方については、今お話しのいわゆる動物の関係なんですけれども、これはほとんど人が来てない。全くもって、あれだけいい場所を、駅の一等地だ。この場所のところへ十五年貸与かな、これは相当反対運動もあったんだけれども、結果的には、公団は、土地を遊ばしておいてもしようがないからということでしょう、という形で貸与していますよね。そういう中で、これも一つの努力といえば努力かもしらぬ。しかし、どうも調和のとれた一体的なまちづくり、業務核にした理由は何なんだと。これだけ一大的な大開発をした中で、それは時間の一つの流れの中では、やはり一つの総括をしながら、何というかな、再生リフォームというんですかね、こういうことをいろいろ考えていかなきゃいけないと思うんですよ。
 ですから、そういう中で、まさしく、南大沢地区は東京都の三セクあり、多摩センターのところは公団の三セクがあるんですよ。そうやってしっかりすみ分けをつくっている。しかし、少なくとも、公団の地域だといったって、これはもう東京都じゃないですか、はっきりいって。東京都の当たり前な、税金を納めている一地区なんだ、はっきりいって。これが、再三にわたって私もいわせてもらっているけれども、ここのところの関与が、余りにも関与がなさ過ぎるんですよ、いい面での関与も含めて。全然いわゆる関心がなさ過ぎるというのかな。東京じゃないですか。東京のまちをどうしていくか、東京の都市計画をどうしていくかという観点が、一向に今に至るまでない。
 それからもう一つは、この地域に対してどうしていくんだという話の中で、年に二回程度の委員会やってお茶濁しているようじゃ、しようがないと思う。
 それからもう一つは若葉台。若葉台はぼんぼんマンション建っている。あんなんでいいんですか、あんなまちつくっておいて。どうなの。

○南雲都市づくり調整担当部長 若葉台でございますが、確かに、こいそ理事おっしゃいますように、駅の近傍に、ちょうど駅前に大きな空き地が目立つ区域がございます。ここにつきましては、周辺に、居住環境にすぐれたファミリー世帯向けの集合住宅の立地などが現在進んでおりまして、若葉台駅の乗降客が五年前の約二・五倍になるなど、まちが成長しつつありまして、地域の核となる施設の立地が望まれる状況にあると認識しております。

○こいそ委員 もう終わりにしますけれども、今だけちょっと触れさせていただくと、要するに民間マンションがぼんぼん建って、そして、何というのかな、肝心かなめの、市が求めているような業務系関係の施設の立地なんてほとんどないでしょう。それからもう一点は、買い物するにしたって、衣料にしたって、やっと交番できたけれども、こういう、人が住むような、住み続けるような、まちにとって大切ないわゆるインフラの一定の整備はあったとしても--まだやっていますよね。
 しかし、何か見ていて、やっているのはほとんど公団ですよ、施行的に。販売もしているのは公団。東京都はただ見ているだけ。東京のまちだ、一角だよ、はっきりいって。近くはもう神奈川県だけれども。これ、勝田局長に私は前に、局長が部長の当時、あそこのいわゆる若葉台駅の駅舎が、あれは神奈川県なんだ、あの神奈川県のところに、いわゆる当時の多摩の心しん、今の業務核、指定されましたよね。どうしてですかといったけれども、それだけの理由があるんだと、そういう話だ。それも一つのお答えであるし、一つの方針が示されたということの受けとめありますよ。しかし、それであるならば、なぜ、要するに今いった業務系だ、さまざま立地をしていくんだという青写真、ゾーンがあったにもかかわらず、なし崩し的に、もうマンション、マンション、マンションのラッシュ。あきだって、これだけ売れるのかなという感じがするけれども、要するにもうラッシュだよね、これ。これではいかぬと思うね。東京の都市計画はいかになっているか。だって、これは恐らく建築確認だって局の方で出しているんでしょう。と思うんだ、東京都の指導だから。建築指導事務所の指導の中に入っているわけだから。そういうことから見たって、東京都だって知らないわけじゃないんだ、はっきりいって。
 だから、そういう現実の中から見て、もう少し東京都が、都市計画局がもうちょっとしっかり状況認識して、しっかりとした街並み形成を地元市と組んで図っていくべきだと、こう思うんですね。勝田局長、どうでしょうか。

○勝田都市計画局長 今こいそ先生からお話ありましたとおり、私もずっとこのニュータウンにはいろんなところでかかわっておりまして、いろいろご指導もいただき、あるいはご示唆もいただき、その都度その都度、できる限りの努力は続けて今日まで参りました。確かに今ご指摘のように、一つは、全体としての計画性みたいなものが、もちろん計画そのものはつくってきたわけでございますけれども、社会経済情勢が非常に落ち込んでいるということが一番の理由かとは思いますけれども、なかなか計画どおりいかない、こういう面は確かに否めない状況であります。
 ただ、一つ受けとめなければいけないのは、公団地区についての東京都のかかわりが少ないんじゃないか、関与の仕方が弱いという点については、おっしゃるとおりかというふうに思います。すみ分けというのは、どちらかというと、建設するときのすみ分けが中心でありまして、一定のものができてくるということになってくれば、これからは、まちを経営していくというか、そういう観点に立ってまいりますので、そういう立場では、都市計画局がまたもう一つパワーアップしないといけない状況かなというふうに、ただいまご意見伺いながら、感じた次第でございます。なかなか、私どもの方の努力もそのままダイレクトにまちの姿につながっていかないという点については、謙虚に反省しなければいけないと思いますし、今申し上げたとおり、もう少し力を入れなきゃいけないという両面を感じたところでございます。
 ただ、多摩ニュータウンそのものは、全体一定のレベルに達してきておりまして、厳しい状況の中でありますけれども、引き続き努力をしていきたい。特に、多摩センターを中心とする業務核都市あるいは核都市の育成というのは、環状メガロポリスの都市軸のかなめの位置でもありますので、いろいろ諸条件は厳しいところでありますけれども、引き続き努力していきたいというふうに考えます。

○こいそ委員 勝田局長から大変内容のあるご答弁もいただきましたので、このあたりにさせていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、東京都のさまざまな施策が正当にというか理解されるということは、私、基本だと思うんですね。それがやっぱりいろいろな結びつき--我々もいろんなことをいっていますよ。でも、手前みそみたいになっちゃうんだな、はっきりいって。東京都はこういうことやっているじゃないかと、ここまでやっていますよというんだけれども、やはりどうもそれだけでは足らない部分もあるようでございます。
 いずれにいたしましても、先ほど前段のお話も含めて、やはり東京都がこれだけやっているんだというところも、また、これからさらにこういうことをやるんだという、こういうあたりをぜひお示しをいただきたいと思うんですね。臨海の開発も結構かもしらぬけれども、こっちの方だって、内陸部の方も少し見てもらわないと困っちゃうので、よろしくひとつお願いします。

○林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○林委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。

○林委員長 次に、東京における今後の広告物規制のあり方について、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○野本市街地建築部長 東京都広告物審議会の中間答申、東京における今後の広告物規制のあり方についてご説明いたします。
 お手元の資料2をごらんいただきたいと思います。その概要と中間答申を配布しておりますけれども、概要に沿って説明させていただきます。
 まず、中間答申までの経緯でございますけれども、東京都における屋外広告物規制全体のあり方については、昭和六十一年に大幅な見直しを行いましたが、その後、広告技術の進歩、都市景観に関する都民意識の高まり等、社会経済情勢が大きく変化し、現在の規制が実態にそぐわない面があらわれてきております。
 このような変化に適切に対応するため、昨年十月八日、知事が東京都広告物審議会に対して、東京における今後の広告物規制のあり方について諮問を行い、去る一月三十日に、その中間答申を受けたところです。
 この諮問に先立ち、都は、昨年の六月から七月にかけて、都市景観と屋外広告物に関する世論調査を実施いたしました。
 その概要を申し上げますと、東京の街並みや風景に関心があると回答した人は約七六%、地区ごとの特性を考慮したきめの細かい基準を定めることに賛意を示した人は約七〇%、ラッピングバスの印象については、よいと思っている人は約六〇%、タクシーに商業広告を認めることについては、認めてもよいと思っている人が約六〇%以上という結果でございました。
 次に、中間答申の概要でございます。
 (1)の屋外広告物規制の課題といたしまして、都市景観との調和、融合及び観光、防災、交通等の多様な施策との連携を図る必要があるとされております。
 主な施策といたしましては、まず、地域ルールの導入でございます。
 これは、東京の多様な都市景観に対応するため、現行の画一的な広告物規制に、広告協定の拡充、地区計画等との連携、ガイドラインによる誘導など、適切な地域ルールを導入するべきであるという提言でございます。
 次に、地下歩行者専用道等への広告表示でございます。
 これは、現在広告物の掲出が禁止されている地下歩行者専用道等について、快適な都市空間の創出と規制緩和による経済活動の活性化の観点から、広告物の掲出を認めるべきであるという提言でございます。
 〔3〕といたしまして、適正な車体利用広告の誘導、タクシーの車体利用広告でございます。
 平成十三年二月の広告物審議会答申において継続検討とされたタクシーの車体利用広告について、世論調査、交通安全面、都市景観への影響などから調査検討した結果、規格については、第三者商業広告は、車体上部、車体側面のドア部分について表示を認める、ただし、事業者等の自主規制として、台数制限、デザイン審査、違反対策に取り組むべきであるというものでございます。
 そのほか継続して検討されることとなります主な施策でございます。
 〔1〕としまして、民間資金の活用による公益的施設、物件の整備でございます。
 これは、観光案内標識、バリアフリーのエレベーター等の公益施設、物件に第三者の広告表示を認め、設置及び維持管理費用を捻出することによりまして、公益施設、物件の整備に取り組むというものでございます。
 次に、まちづくり・都市景観との連動でございます。
 これは、まちづくりの中における地域の広告物のあり方や東京都景観条例を踏まえた広告物の誘導方法を検討するというものでございます。
 〔3〕といたしまして、違反広告物対策と顕彰制度の充実でございます。
 これは、道路上の捨て看板等の違反広告物対策として、違反者の氏名及び違反行為の公表等について検討する一方、すぐれたデザインの広告については、積極的に顕彰していくというものでございます。
 そのほか、手続の簡素化、行政の広域的連携が施策として挙げられてございます。
 以上で中間答申の概要について説明を終わります。

○林委員長 説明は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○樋口委員 屋外広告物条例の改正について質問をさせていただきます。
 現在、広告業界は、新規媒体開発に対して大変苦慮しているのが実態であります。BS、CS、TV、そして雑誌、新聞などが苦慮しているのに対して、屋外広告が、OOH、アウト・オブ・メディアというんですか、については需要が拡大しております。広告技術の進歩や都市景観に関する都民の意識が高まり、都市再生の推進など、屋外広告物を取り巻く状況は大きく変化しております。
 昨年、第四回定例会一般質問で我が会派の富田俊正議員が、広告収入を活用してまちのバリアフリーを促進するとの提案を行いました。この質問に対し石原知事は、大変有益な質問だ、余計な規制があるなら変える、やってみるに足る提案であり、鋭意前向きに検討させますと答えられました。
 東京都では、昨年十月、東京都広告物審議会に対し、観光、防災、交通施設等に配慮し、都市景観と調和した新たな広告物規制のあり方について諮問し、そして、広告物の規制のあり方だけではなく、広告収入を活用した公益的施設の整備などについても検討をしました。そして、先ごろ東京都広告物審議会中間答申が出され、その中の第4章、具体化するための施策、4、民間資金による公益施設の整備、物件の整備として、富田俊正議員が指摘した内容が盛り込まれました。
 私は、財政状況が厳しい中で、民間活力を有効に使うこの方式を評価しており、一日も早く東京都屋外広告物条例が改正されることを望むものです。
 そこで、このことに関連してお尋ね申し上げます。
 東京都広告物審議会の今後のスケジュールはどのようになっているのでしょうか。

○野本市街地建築部長 今後の東京都広告物審議会のスケジュールでございますけれども、中間答申で継続検討となった案件につきましては、小委員会を設置して審議していくこととなっております。最終答申が出るのは、本年夏ごろを目途としております。

○樋口委員 私は、まちの中に多くの広告会社が入り込むのではなく、まちを一つのまとまりとして、グランドデザインを方向づけるところ、つまり企業とでもいいましょうか、そういったものとともに、まちの方々がつくり上げていくような方式が望ましいと思います。富田議員、また答弁の中で石原知事が指摘したように、まちに広告がはんらんし、黙示録的になることを避けなければなりません。また、それぞれのまちに合った広告を出していく必要があることはいうまでもありません。
 そこで、お尋ねいたします。
 広告によるまちの混乱を避ける方策について、どのように検討されていらっしゃるのか、お伺いします。

○野本市街地建築部長 広告によるまちの混乱を避ける方策についてですけれども、今回の中間答申におきまして、具体化するための施策の一つとして、地域ルールの導入が提言されております。これは、画一的な広告物規制に適切な地域ルールを導入することによりまして、その地域の特性に応じた広告物を誘導していこうとするものです。地域ルールの導入によりまして、広告物を抑制すべき地域、あるいは反対ににぎわいを出すべき地域、こういっためり張りをつけまして、違反広告物対策の強化と顕彰制度の充実と相まって対応してまいりたいと思っております。

○樋口委員 中間答申では、広告表示の対象となる物件の案が、観光案内標識、避難誘導標識、バス停留所、エレベーター、公衆トイレ、変圧器として挙げられています。しかし、諸外国では、広告を掲示するに合わない、例えば街路灯やごみ箱、ベンチなども、広告物収入で整備されています。これは、ほかの広告収入で賄われているものであります。ぜひともこうした方式も視野に入れていただきたいと思いますが、どのようにお考えなのか、お伺いいたします。

○野本市街地建築部長 ベンチなどへの広告表示につきましては、街並みの中の広告物の総量と広告の用に供するものとの必要性、重要性、そういった両方を総合的に勘案して、検討してまいりたいと思っております。

○樋口委員 現在、各商店街などで、広告を街路灯につけることをよく目にいたします。この広告収入は商店街の発展のために使われることから、好ましいと考えております。私は、今回進められている条例改正のために、このような好ましい事項が規制されてしまってはならないと思います。
 そこで、お尋ねいたします。
 私は、広告物の収入の活用法などで一定の制限をかけることは必要だと思いますが、現在の検討状況はどのようになっているのか、お尋ねいたします。

○野本市街地建築部長 街路灯柱への案内誘導広告の表示につきましては、従来から認められてきたものでありまして、近隣の商店街等への案内誘導機能としての利便性の向上及び商店街の活性化に寄与する、こういったものであることから、今回も見直しをすることは考えておりません。ただ、今後とも、広告の掲出については、一定の秩序を持ったものにしていただきたいと考えております。

○樋口委員 公共物に対する広告を考える場合、都や区の第三セクターなどの建物などについても、同じように活用する必要があると思います。しかし、私が調査したところによると、第三セクターの多くが、広告物に関して直営で対応するのではなく、別の民間会社に丸投げでお任せしているという実態があります。こうした形式になりますと、広告物の収入の一部がこの取りまとめ会社に入ってしまい、完全に有効活用ができないことが考えられます。こうした状況について改善していく必要があると思いますが、いかがでしょうか。

○野本市街地建築部長 ご指摘の内容につきましては、第三セクターの経営主体の問題であるかなと思っています。広告物のあり方と経営との関連につきましては、残念ながら、屋外広告物法及び条例の対象とはなっておりません。第三セクター自身が、経営の面からぜひご検討いただきたいと思います。

○樋口委員 東京都屋外広告物条例の改正により、広告物収入がまちの整備に資することができるよう、改正に先立って整理すべき事項を調査し、取り組まれることをお願いし、私の質問を終わらせていただきます。

○かち委員 私も、広告物審議会の中間答申について二、三お聞きします。
 昭和二十四年に始まった広告物規制は、今日まで十回に及んで見直し、規制緩和がされてきました。時代の趨勢、技術の更新の中でやむを得ないかと思いますが、昨年東京都が行った都市景観と屋外広告物に関する世論調査の結果では、七六%を上回る方が、東京の街並みや景観に関心があると答えているように、都民の景観意識は大変高まってきていると思います。こうした中で、今後の東京の広告物の規制のあり方が問われていると思うわけです。
 そこで、車体広告についてお聞きしますが、二点続けて聞きます。とりわけ車体広告についての規制緩和が、このところ急速に広がってきているわけですけれども、どのように緩和されてきたのか、その経緯をお聞きします。
 そして、現在運行しているバスは五千五百台、タクシーは六万台と聞いていますけれども、バスの車体にはどれくらいの広告が実施されているのでしょうか。

○野本市街地建築部長 二点お答えいたします。
 まず、車体利用広告の緩和状況ですけれども、平成十二年四月に、路線バス及び路面電車につきまして、第三者広告の面積を拡大する緩和を行っております。次に、平成十三年十月には、電車及び高速道路を走行しない観光バスについて、第三者広告の表示を可能とする緩和を行っております。
 それから、ラッピングバスの走行状況ですけれども、昨年七月三十一日時点の調査結果ですけれども、十六社九百六十七台が走行しております。

○かち委員 バスについては二割弱ということですけれども、地域性もあるんでしょうけれども、新宿の駅周辺では、かなりのラッピングバスが目立つようになってきております。
 こういう状況の中で、タクシーについては、先ほどの報告の中でも二割程度というようなことになりますと、一万台に車体広告が行われるということでは、大変、動く広告物がはんらんする状況が想定されるわけです。平成十三年の答申では、タクシーについては、路線バスに比して台数が多いとか、路線性がなく禁止区域にも自由に移動するため、景観に対する影響が大きいということから、継続課題になっていたわけです。
 そこで、昨年の世論調査の結果を見ますと、車体を利用して広告を出す場合、まちの景観づくりとの関係を配慮すべしというのが八三・八%となっています。そして調査結果では、バスやタクシーなどの車体利用広告に対し、他の路線バスとの区別や識別は問題ありと答えている人が、問題なしを上回っています。さらに、タクシーに商業広告を認めることについては、六二%が認めてもよいとしていますが、その半数以上は条件つきということになっています。
 タクシー車体を利用しての広告効果という点では、バスよりもけた違いに台数も多いし、広域的に走り回るという点でも魅力のあるところだとは思うんです。それだけに、環境や景観との調和を十分配慮してほしいという都民の意識の高さを反映しなければならないと思うんですが、これまでバスや電車の車体利用広告の中では、環境上も安全上も問題になるようなものもあったと思うんです。局に伺いますと、月に数件は苦情が寄せられているというふうにも聞いております。
 実施するに当たって、バスの場合、自主審査が行われているようですけれども、これが本当に機能していないのではないかというふうに思いますけれども、現状はいかがでしょうか。

○野本市街地建築部長 平成十三年十二月に、学識経験者、バス事業者、広告業界、それから都の職員の代表から成る作成委員会によりまして、車体利用広告自主審査基準を作成しまして、その後の自主審査で活用しております。この審査基準は、バス会社等の識別性、色彩、レイアウト等のデザインに関する基準につきまして、具体的な事例を示しながら詳細に定められたものでございます。
 世論調査によりますと、約六割の人が、こういったバスのデザインについてよい印象を持っておりまして、広告の全般についての評判はよいものとなっております。一方で、都民から特に批判の多いものにつきましては、この審査委員会に連絡するようにしております。

○かち委員 いろいろ仕組みはあるし、都民から批判の多いものについては審査委員会に連絡をするというようなふうにいわれましたけれども、その後どういうふうに改善されていくのかという筋道が見えないんですね。この審査をもっと実効性のあるものに強化すべきだと思います。また、自主規制に都民の意見を反映する仕組みが必要だと思いますけれども、今回のタクシー車体広告については、そのようなことが検討されているのでしょうか。

○野本市街地建築部長 都民意見の反映でございますけれども、タクシーの車体利用広告を適切に運用していくために、広告主、それから事業者、行政等による協議、調整の場を設けることを検討しております。都民から寄せられる幅広い意見については、このような場へ反映させることで、実効性のある自主規制が機能するよう努めてまいります。

○かち委員 行政や広告主や事業者等によって協議、調整の場を設ける、そういう場をつくって継続的に検討されていくようですけれども、そういう場にぜひ都民の、見た側からの意見が反映される仕組みもぜひ検討していただきたいと思います。
 自主規制が効果的に機能しなかった場合、今後どのような措置をされていくんでしょうか。

○野本市街地建築部長 中間答申では、タクシーの自主規制が機能しなくなった場合などにつきまして、車体利用広告のあり方を再度検討すべきであると提言しております。この趣旨を踏まえまして、適切に対処してまいります。

○かち委員 タクシーについては、高速道路を走る場合どうするのかとか、禁止区域へも入っていくわけですよね。それで台数を減らせばいいというような回答もありましたけれども、もっともっとそれは、地域の景観との関係などについても十分に検討しなければならないと思います。
 社会経済情勢の変化や広告技術の進歩などの上に立って、車体利用広告なども規制緩和されていくことは否めないと思いますけれども、景観との調和、配慮、都民の意見の反映などもぜひ仕組みの中に実現されることを求めて、質問を終わります。

○林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○林委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市計画局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時四十九分散会

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