都市・環境委員会速記録第二十号

平成十四年十二月十三日(金曜日)
第六委員会室
   午後一時一分開議
 出席委員 十四名
委員長林  知二君
副委員長樋口ゆうこ君
副委員長真鍋よしゆき君
理事織田 拓郎君
理事いなば真一君
理事こいそ 明君
清水ひで子君
大河原雅子君
野上じゅん子君
山田 忠昭君
かち佳代子君
大塚 隆朗君
林田  武君
新藤 義彦君

 欠席委員 なし

 出席説明員
都市計画局局長勝田 三良君
次長藤井 浩二君
技監杉浦  浩君
理事小林 崇男君
総務部長飯山 幸雄君
都市づくり政策部長森下 尚治君
都市づくり調整担当部長南雲 栄一君
マスタープラン担当部長河島  均君
都市基盤部長只腰 憲久君
航空政策担当部長甲斐 正彰君
外かく環状道路担当部長成田 隆一君
都市防災部長柿堺  至君
市街地建築部長野本 孝三君
環境局局長小池 正臣君
総務部長西野 和雄君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 都市計画局関係
  付託議案の審査(質疑)
  ・第二百二十六号議案 東京都再開発地区計画等の案の作成手続に関する条例の一部を改正する条例
  ・第二百二十七号議案 東京都駐車場条例の一部を改正する条例
  ・第二百二十八号議案 東京都日影による中高層建築物の高さの制限に関する条例の一部を改正する条例
  報告事項(説明・質疑)
  ・住宅系建築物の容積率を緩和する区域等の指定について
  付託議案の審査(決定)
  ・第二百二十六号議案 東京都再開発地区計画等の案の作成手続に関する条例の一部を改正する条例
  ・第二百二十七号議案 東京都駐車場条例の一部を改正する条例
  ・第二百二十八号議案 東京都日影による中高層建築物の高さの制限に関する条例の一部を改正する条例
 請願陳情の継続審査について
 特定事件の継続調査について

○林委員長 ただいまから都市・環境委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、意見書一件をお手元配布のとおり提出したい旨の申し出がありました。
 本件について本日の理事会において協議した結果、調整がつかなかった旨議長に報告すべきであるとの結論になりました。
 お諮りいたします。
 本件については、理事会の協議の結果のとおりとすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○林委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○林委員長 次に、今後の委員会日程について申し上げます。
 先ほどの理事会におきまして、お手元配布の日程表のとおり申し合わせをしましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市計画局関係の付託議案の審査並びに報告事項の説明聴取を行っていただきますとともに、請願陳情並びに特定事件の閉会中の継続審査及び調査の申し出の決定を行います。ご了承願います。
 これより都市計画局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第二百二十六号議案、東京都再開発地区計画等の案の作成手続に関する条例の一部を改正する条例から第二百二十八号議案までを一括して議題といたします。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 これより質疑を行います。
 発言を願います。

○清水委員 今回の三つ目の議案であります二百二十八号議案について、一、二、お伺いしたいと思います。
 国の改正に伴って条例改正が行われるということですけれども、既に説明されているわけですけれども、改めて、東京都として、この条例を改正する理由について伺いたいと思います。

○野本市街地建築部長 条例改正の理由でございますけれども、平成十四年七月十二日付で建築基準法の一部改正が公布されました。現行の地区計画制度が整理統合化されたわけですけれども、これを受けまして、いわゆる日影規制条例で規制対象区域から除外していた地区計画の部分を改正する必要が生じたものでございます。
 具体的には、条例の対象区域の規定の中で、対象区域から除外していた町並み誘導型地区計画と再開発地区計画だけでなくて、緩和型の地区計画、例えば高度利用型地区計画などを法改正に合わせて対象区域から除外し、条例上の整合を図ったものでございます。

○清水委員 そうすると、建築基準法の改正は、地区計画などが整理統合ということですけれども、整理統合ということは、縮小されたのではなくて、今の説明ですと広がったというふうに認識をするわけですけれども、緩和型の地区計画を決めると、なぜ日影規制が適用されないのでしょうか。

○野本市街地建築部長 緩和型の地区計画とは、土地の合理的かつ健全な高度利用、また有効利用を図るとともに、都市の環境の整備、都市機能の更新を図る等の目的を持つ地区計画でございます。それぞれの地区計画を定める段階におきまして、日影についても同時に配慮されるものでございますので、条例の対象としないものでございます。

○清水委員 そうすると、確認したいのですけれども、今まで日影規制で規制とされていた地域が、その規制の適用が除外をされるということは、これまで規制されていた部分が縮小されるということ、つまり、日影の規制がかからない部分がふえるというふうに結果としてなるのでしょうか。

○野本市街地建築部長 日影規制が適用されないところがふえるのかどうかということでございますけれども、緩和型の地区計画を新たに決めれば、その地域は当然に日影規制が適用されないと。ただ、その際に、やみくもに外すのではなくて、地域の環境を考えながら地区計画を定めますので、支障がないと、こういうことでございます。

○清水委員 東京都として、国のこの建築基準法というのは、都市再生特別法と関連をして、さまざまな規制緩和や誘導的な手法が都市計画法や建築基準法の中に取り入れられたわけですけれども、そのまま条例の改正につながっていけば、今お話のあったように、決定するのは区や市だとはいいますけれども、しかし、今、東京の中で非常にさまざまな問題になっている市街地環境の悪化、都民の生活環境の悪化につながっていくというふうに予想されるわけです。そうした予想がされる中で、東京都は、そのまま国の法律改正に沿って条例を改正していくということで、そうした市街地環境の悪化とか都民の生活環境悪化についてはどのように認識をされているのでしょうか。

○野本市街地建築部長 いわゆる規制緩和によりまして市街地環境が悪化するのではないかということでございますけれども、規制緩和する場合に、ただやみくもに緩和するのでなく、それぞれ高度利用、有効利用を図る、そういう地域を選びながら、また、都市の環境の悪化をさせないような、例えば地区計画等を定めながら規制緩和を適用していくということで、特に支障はないと考えております。

○清水委員 日影による中高層建築物の高さの制限、規制を加えることを目的として、日照などの良好な住環境の保全を図るために、これまで、この条例が進められてきたわけですけれども、今回、都市再生法の議論、それから建築基準法改正の議論、国会の議論などを見ましても、やはり活力ある都市などという理由で、東京都自身もこの都市再生ということで緩和型の流れになっているわけです。そういう中で進められる今回の条例改正というのは、今、心配をされないというふうにいわれましたけれども、これまでも規制が外されていた商業地域でも住民からの要求、日照を求める要求が出ていたということでは、それがさらに拡大されるおそれが非常にある、やはり都市づくりの総合的な視点をもってこれから都市づくりに進む必要があるのではないかという意見を申し上げまして、一応終わります。

○林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○林委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。

○林委員長 次に、住宅系建築物の容積率を緩和する区域等の指定について、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○野本市街地建築部長 住宅系建築物の容積率を緩和する区域等の指定について、説明いたします。お手元の資料をごらんいただきたいと思います。
 この制度は、平成十四年七月、建築基準法の改正により創設されまして、平成十五年一月一日から施行されます。
 制度の概要ですが、混在系用途地域におきまして、住宅系建築物の容積率を都市計画で定めた容積率の一・五倍まで緩和できるとされております。
 一定規模以上の敷地であること、敷地内に一定規模以上の空地を確保していることが要件です。
 適用区域及び倍率は、特定行政庁である東京都が都市計画審議会の議を経て指定を行います。
 指定の方針ですが、都におきましては、都心居住の推進等を図るため、地域の状況等に応じて容積率の限度を適切に指定します。
 なお、建築基準法施行令が十一月十三日に公布され、特別区の区域につきましては指定の権限が東京都になりました。このため、指定案を策定するため、十一月二十日から十二月四日まで区市町へ意見照会をしました。
 このたび、案としてまとまりましたので、来る十二月十九日に開催されます東京都都市計画審議会に付議を予定しております。
 次に、指定の内容ですが、容積率の限度を都市計画で定めた容積率の一・二倍まで緩和する区域は、中央区、墨田区及び品川区のそれぞれ一部の区域です。また、一・一倍とする区域は、新宿区の一部の区域です。これらの区域以外は、当面、都市計画で定めた容積率を限度とすることといたします。
 詳しい内容は、お手元の資料、二ページ以降に記載のとおりです。
 なお、施行は平成十五年一月一日を予定しております。
 以上でございます。

○林委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○かち委員 住宅系建築物の容積率を緩和する区域の指定の法律の改正ということで、今回、内容が提案されたわけですけれども、今回の基準法の対象というのは、今までは基準法というのは建物、建築物に対する規制や基準であったと思うのですけれども、今度は、これが面的にかかってくるということになるわけですね、今回の建築基準法五十二条の七項ということで、この七項というのは新たにつけ加えられた中身になるわけです。今ご説明がありましたけれども、住居系に限ってではありますけれども、容積率を面的に規制緩和をするものであり、しかも、五〇%アップということでは大変な緩和になると思います。
 これまでの基準法の範囲を超える都市計画的あるいは土地利用的な内容だと思うのですが、こういうことが、先ほども議案の質疑がありましたけれども、さまざまな規制緩和とともに進んでいくことが、今でさえ問題になっている温暖化や東京の住環境、住民参加のまちづくりという点からも大変大きな問題をはらんでいるのではないかと思います。それで、何点かお聞きしたいと思います。
 まず、この改正案が出されてきた背景はどういうものであったのか、そして、この改正案に対する都としての見解、どのようにとらえているかをお聞きします。

○野本市街地建築部長 今回の制度改正の背景でございますけれども、住宅の容積率を緩和する制度としては、従来から総合設計制度がございますけれども、新しい制度は、この手続を簡素化しまして迅速な処理を行うことになりまして、都市再生や都心居住の推進を図ることを目的に制度化されたものです。東京都の立場ですけれども、都としては、都心再生や都心居住の推進を図るということを方針として持っておりますので、積極的に活用していきたいと考えております。

○かち委員 都市再生とか迅速な処理が行える、都心居住の推進を図る目的ということで推進していきたいという立場だということですけれども、先ほどの説明で、今までは、総合設計というようなことで、一定の規模で開発をする場合は公開空地や環境対策などが条件となって、都市計画審議会や建築審査会にかけられて許可を受けなければならない条件があったわけですけれども、今度のこの規制緩和によりますと、近隣商業地域ならば千平米以上、居住地域なら二千平米以上の建物で、空地を現行基準よりも二〇%ぐらい、平均というのでしょうか、最低というのでしょうか、二〇%以上をとるということがあれば--規定の条件であり、こういうことが満たされていれば、こういう手続を経なくても、建築確認だけで建築を可能とするという内容になるわけです。
 そういう意味では、手続の簡略化、簡素化ということになり、事業者にとっては大変やりやすくなるということにはなると思うのですけれども、周辺住民にとってはどうなるのかということです。知らないうちに用途地域で決められたその容積率よりも二〇%、三〇%、五〇%の大きな建物が建つという点では、やはり環境への負荷ということは十分に考えられるわけです。建築基準法は、今や、建築確認は民間事業者もできるようになって、マンション建設などに対する行政指導なり調整というものがなかなか手が及ばない状況になっているわけですけれども、こういうことに対して何とかしてほしいという住民の声は大変高まっている。こういうときに、今度は総合設計規模の開発やマンション建設まで建築確認で済んでしまう、そういう点では全く住民が不在のまちづくりに進んでいくのではないかと大いに懸念されるわけです。
 もう一つは、法律改正、施行までの手続上の問題なのです。先ほどの説明で、経過日程が書かれておりましたけれども、この法改正は、本年、十四年の七月十二日に改正されて、十一月十三日に政令で公布されました。ここまでは、一体だれがその倍率を決めるのか、地域を指定するのかというのは決まっていなかったわけですよね。それが、特定行政庁ということで、東京都の場合は知事が決めるということがここで明らかになったわけです。で、法律施行は来年のもう一月一日からということで、実際には、そこに住んでいる区や市の住民の皆さんの理解や合意を得て進めていかなければならない内容であるにもかかわらず、余りにもこの決め方が、非常に短期間のうちに法律施行ということになるという点でも、大変、基礎的自治体では混乱と困惑があったと思うのです。
 東京都の場合、区市町村への意見照会というのは、十一月の二十日から十二月の四日まで、たった二週間しかなかったわけです。こういう中で、それぞれの区は、どうするのか、このままでいくのか、それとも、どこかの地域を指定するのかということを決めなければならないわけです。大体、区計審などというのは一カ月に一回程度しかないわけです。それをたった二週間で、限られた期間で決めなければいけないという状況になったわけですけれども、今回の結果的には、新宿区や中央区、品川、墨田の四区から、一部の地域について指定申請をしたいということで上がってきているようですが、他の自治体においては、当面、現行の容積率どおりでいきたいと、こういうことで先ほどご説明がありましたので確認したいと思いますけれども、そういうことになったわけですよね。
 本当に、法律だからといって、いきなり五〇%まで拡大する。これが、政令が決まりましたけれども、決定権者がもし何も国に対していわないということになれば、自動的にどこの地域でも、一種、二種住居専用地域、近隣商業、商業地域、準工業地域においては、どこで建築をする場合も一・五倍までは可能なのだということになってしまうわけです。事業者にとってみれば、上限使って利潤を上げたいということになるわけですから、そんなことになったら本当にまちは一体どうなってしまうかということになるわけですが、今回、この四つの区から、それぞれ一・一倍から一・二倍ということで申請がされているわけですけれども、これらの地域の現況というのはどうなっているのでしょうか。それから、地域を指定したいという、その理由というのはどういうものでしょうか。

○野本市街地建築部長 まず、四区の状況でございますけれども、用途地域と容積率の現状について申し上げますと、中央区につきましては、第一種、第二種住居地域、商業地域及び準工地域で、容積率は四〇〇%あるいは五〇〇%となっております。新宿区につきましては、商業地域で、容積率が六〇〇%または七〇〇%。墨田区につきましては、近隣商業地域、商業地域あるいは準工地域で、現行容積率は三〇〇から五〇〇%。品川区につきましては、第一種、第二種住居地域、近隣商業地域、商業地域及び準工業地域で、容積率は二〇〇%から五〇〇%となっております。
 各地域の指定の理由ですけれども、それぞれの地域で住宅について都心居住等を進めたいということと、周辺に対する支障がないということでございます。

○かち委員 今お話がありましたけれども、墨田区の場合は、商業地域で五〇〇%という容積率のところがあるわけです。だから、ここが一・二倍になれば六〇〇%になるわけです。そのほかにも四〇〇、三〇〇%というところがありますけれども、商業地域とか近隣商業地域となれば、公開空地の条件も大変緩和してきておりますし、かなりの大きなものが建つ、高い建物が建つ可能性も出てくるわけです。これは、容積率が何百%以下のものに限るというようなことは書いてないわけですから、一般的にいえば、七〇〇%、八〇〇%の地域であってもこの法律を適用できるということであり、本当に千何%という建物が建つ可能性もあるということなのです。
 もう一点伺いますけれども、今度の容積率の指定面積というのは、二十三区の対象面積に対して実質的に緩和される地域面積の割合、一体どのぐらいになるのでしょうか。

○野本市街地建築部長 二十三区についていいますと、対象区域面積が三万二千ヘクタールとなりまして、今回指定したところは、一・二倍のものが二千六十三ヘクタール、一・一倍のものが十一・三ヘクタールということで、合わせて六・四%となります。

○かち委員 今回の指定は、後でお聞きしたいと思うのですけれども、再開発地区計画等、高層建築物が建つような面積のところは一応この対象から外れているということなのです。いただいた資料の七ページを見ていただきたいのですが、このページは品川区の容積率を緩和する区域です。これをよく見てみますと、この網かけのかかっているところは、品川区全域の面積の、ほぼ全域的にかかっているわけですけれども、品川区でも再開発地区計画などがありますので、さきにお聞きしたところ、今回の指定地域になる面積は千六百三十四ヘクタールだというふうにお聞きしました。これは品川区の総面積の約七〇%にかかるわけです。だから、今までの用途指定地域というのがあるのですけれども、その七割方は一・二倍の容積で今度建てられるということになってしまうわけです。これはもう、このこと自身について、地域の、住んでいる品川区民にはほとんど知らされていないのではないかと思うんですね。そういうことでは、本当にこれは大変な問題だというふうに思います。
 だから、先ほどいいましたように、施行までの期間、手続が非常に短い中で進められてきたという点では、全国的にもいろいろそれぞれの戸惑いがあったのではないかと思うのですけれども、それでは、今度の規制緩和を全国の政令都市などではどのように受けとめているのでしょうか。

○野本市街地建築部長 全国の政令都市の指定状況でございますけれども、大阪市、名古屋市が、一部の区域にこの制度を適用すると聞いております。

○かち委員 十二の政令都市の中でもまだ二つぐらいしかこの適用をしないという点では、国が決めたからといっても、すぐにそこにこたえられるような条件がまだ地域の中にはないということだと思うのです。やっぱり、まちづくりというのは、住民が主人公、住民が参加をして決めていってこそ本来のまちづくりだと思うのですけれども、これはもう明らかに上から押しつけてくる、こういうやり方に私は大変な問題があると思います。
 今後、容積率緩和指定の申請が出されてくることは考えられるわけですけれども、住民の理解と合意というのが最低条件だと思うのですけれども、こういうことはどのように保障されていくのでしょうか。

○野本市街地建築部長 住宅系の容積緩和について住民の合意をどのように取りつけていくかということでございますけれども、今後もこういった制度については都としては積極的に運用していきたいと考えておりますけれども、当然ながら、その指定に際しては、区と協議の上、また、区としては地元住民に十分説明した上で適切に手続を進めていきたいと考えております。

○かち委員 総合設計にもかからない形で、建築基準法だけで進められていくという制度になるわけですので、そういう中では、本当に地域住民の合意をどのように形成していくかという点では非常に心もとない状況だと思うのです。そういう点では、仕組みとして、そういう合意形成の保障をつくるべきだと思います。
 それで、もう一つ、手続の簡略化ということが先ほどいわれましたけれども、今回の容積率緩和の制度と総合設計制度との関係では、両者がどのように違うのか、その比較検討ではどういうふうにいえるのでしょうか。

○野本市街地建築部長 総合設計制度との比較でございますけれども、総合設計制度は許可が必要ですけれども、今回の制度は、緩和の手続を許可によらずに確認のみで迅速に行われることと、容積の割り増し比率が事前に明確になりますので開発が計画的に行えるということに特徴がございます。

○かち委員 容積の割り増しが事前にわかるから開発が計画的に行われるということでしたけれども、私も事前に教えていただきました、全く総合設計と今度の容積緩和がイコールではない。指定地域が若干違ったり、公開空地の算出の仕方がちょっと違ったりはするということもあります。一番の違いは、やはり、許可を受けなくても確認申請だけでいいということ、それから、民間事業者でやってもいいということで、行政の指導、権限の及ばないところでこういうことが進んでいくということが最大の特徴であろうというふうに思います。今回、その一・五倍まで取り入れるというようなことは絶対ないということではなく、今後出てくる可能性は十分にあるわけですけれども、そういうふうになったとき、日影規制、高さ、そういう制限が商業地域などではほとんど問われない状況になってくるわけで、そういう中では、とてもこの地域にこういう建物がつくられないであろうと思うような建物が今後建っていく、で、地域の状況が大きく変貌していくであろうというふうに思います。
 確認しておきますけれども、高度利用地区等の都市計画制度とこの制度を重複して適用することはない、そういうふうに確認できるのでしょうか。

○野本市街地建築部長 高度利用地区等の都市計画制度と今回の容積率緩和の区域が重複する場合でございますけれども、都市計画制度に定める容積率が優先して適用されますので、今回の制度による容積緩和が上乗せされることはございません。

○かち委員 それを確認しておきたかったのですけれど、もし両方を重ね合わせることができるといえば、もう、とてつもない、一〇〇〇、二〇〇〇%の建物が建ってしまうということで、そこには一定歯どめがかかっているということなのですけれども。
 るるお聞きしてまいりましたけれども、今回の改正が今後の都市づくりにどういう影響をもたらすかということですが、土地の有効利用、都市再生などということをいわれました。土地の有効利用、で、都市再生で居住系といえば、一般戸建てではなくて、集合住宅、民間主導ということであればマンション建設しか考えられないわけですけれども、こういうことがラッシュのようにこれからつくられていくということが想定されるわけです。
 しかしながら、最近のマンション事情、毎日新聞の十月二十三日付の報道でも、不動産経済研究所によると、ディベロッパー各社が抱えている首都圏のマンションの在庫数は九千八百八戸で、ここ数年、増加傾向にあるとのことです。実際、世田谷区の用賀にできた中規模マンション七十戸のうち二十戸が売れ残っている、駅にも近くて大変利便性のいいところであるにもかかわらず買い控えが起きている。私の住んでいる大田区でも、新築マンションができて、もう数カ月たっていますが、いまだに売れないで、ずっと販売合戦が行われているという状況があります。供給増、低価格合戦の中で売れ残りに拍車をかけているものと思われます。住宅評論家の佐藤美紀雄さんは、在庫数は自己申告のため、本当はもっとあるのだと、一万五千から一万六千戸はあるだろうというのが業界の常識だといわれています。しかし、在庫がふえているのに供給はふえ続けていく、ふえ続ける条件を行政も含めて提供していくということになるわけです。この現象を佐藤さんは、この不況下、つくり続けないと会社の存続すら危うくなるからだ、少しでも前年比を上回らないと株価にも影響するということでディベロッパーの激突が激しく戦われているということです。既に、オフィスビルの過剰投資で新たな不良債権化の危機が予想されているのですけれども、今度はマンションにその矛先が移っただけで、オフィス問題の後追いにもなりかねません。今度の基準法改正は、そういうことを加速することになるわけです。目先の景気対策にばかり固執したこのような都市政策は、必ず新たな矛盾を生み出します。今後三十年、五十年先を見通した都市政策を考えるなら、供給管理型ではなく、需要誘導型に切りかえるべきだということを申し上げて、質問を終わります。

○林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○林委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市計画局関係を終わります。

○林委員長 これより付託議案の審査を行います。
 第二百二十六号議案、東京都再開発地区計画等の案の作成手続に関する条例の一部を改正する条例から第二百二十八号議案までを一括して議題といたします。
 この際、本案に対する発言の申し出がありますので、これを許します。

○清水委員 東京の都市づくりに最も求められているものは、環境との調和、共生であり、都民が住み続けられる生活環境の確保です。ところが、現在進められているのは、もっぱら規制緩和であり、開発誘導の流れです。今回出された議案も法律改正に連動する用語の整理として、軽微な条例改正と説明されますが、都民の生活環境に重大な影響を及ぼす内容につながり、大規模プロジェクト重視の都市づくりを誘導するものとなっています。よって、本議案、三案に反対します。

○林委員長 発言は終わりました。
 これより採決を行います。
 第二百二十六号議案から第二百二十八号議案までを一括して採決いたします。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、いずれも原案のとおり決定することに賛成の方はご起立を願います。
   〔賛成者起立〕

○林委員長 起立多数と認めます。よって、第二百二十六号議案から第二百二十八号議案まではいずれも原案のとおり決定いたしました。
 以上で付託議案の審査を終わります。

○林委員長 次に、請願陳情及び特定事件について、お諮りいたします。
 本日まで決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○林委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 次に、閉会中の視察について申し上げます。
 閉会中、会議規則第六十条の規定に基づき、委員の派遣が必要となった場合は、その取り扱いを委員長に一任いただきたいと思います。ご了承を願います。

○林委員長 この際、所管二局を代表いたしまして勝田都市計画局長から発言を求められておりますので、これを許します。

○勝田都市計画局長 環境局及び都市計画局の二局を代表いたしまして、一言お礼のごあいさつを申し上げます。
 このたびの定例会に提案いたしました議案につきまして、ただいまご決定をいただきました。委員長を初め委員の皆様には熱心なご審議を賜りまして、ありがとうございました。
 ご審議の過程でいただきましたご意見、ご指摘等につきましては、今後の事務事業の執行に十分反映させ、万全を期してまいりたいと存じます。
 今後とも一層のご指導、ご鞭撻を賜りますよう心よりお願い申し上げまして、簡単でございますが、お礼のごあいさつとさせていただきます。まことにありがとうございました。

○林委員長 発言は終わりました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時四十二分散会

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