都市・環境委員会速記録第十号

平成十四年六月二十四日(月曜日)
第六委員会室
   午後一時十二分開議
 出席委員 十三名
委員長藤川 隆則君
副委員長吉野 利明君
副委員長相川  博君
理事真鍋よしゆき君
理事鈴木 一光君
理事大木田 守君
小磯 善彦君
吉原  修君
清水ひで子君
かち佳代子君
大塚 隆朗君
秋田 一郎君
大河原雅子君

 欠席委員 一名

 出席説明員
都市計画局局長木内 征司君
技監勝田 三良君
理事杉浦  浩君
総務部長野田 一雄君
環境局局長赤星 經昭君
総務部長長谷川 猛君

本日の会議に付した事件
 決議について
 付託議案の審査(決定)
 ・第百六十九号議案 東京都建築安全条例の一部を改正する条例
 ・第百七十号議案 東京都景観条例の一部を改正する条例
 ・第百七十一号議案 東京都環境影響評価条例の一部を改正する条例
 ・第百七十一号議案に対する修正案
 請願陳情の継続審査について
 特定事件の継続調査について

○藤川委員長 ただいまから都市・環境委員会を開会いたします。
 初めに、今後の委員会日程について申し上げます。
 先ほど、理事会におきましてお手元配布の日程どおり申し合わせましたので、ご了承をお願いいたします。
 次に、決議について申し上げます。
 さきの委員会で理事会にご一任いただきました決議一件につきましては、調整がつかなかった旨議長に報告すべきであるとの結論になりました。ご了承をお願いいたします。

○藤川委員長 本日は、お手元配布の会議日程に従いまして、付託議案審査及び閉会中における請願陳情並びに特定事件の継続審査及び調査の申し出を行います。
 これより付託議案の審査を行います。
 第百六十九号議案、東京都建築安全条例の一部を改正する条例から第百七十一号議案、東京都環境影響評価条例の一部を改正する条例までを一括して議題といたします。
 本案に対する質疑は既に終了しております。
 ただいま議題となっております議案中、第百七十一号議案に対し、清水委員外一名、大河原委員からそれぞれ修正案が提出されました。
 案文はお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

○藤川委員長 これらを本案とあわせて議題といたします。
 提出者の説明を求めます。

○かち委員 第百七十一号議案、東京都環境影響評価条例の一部を改正する条例の修正案を日本共産党修正案として提案いたします。
 知事提案の東京都環境影響評価条例改正案は、現行アセス条例に計画段階アセスの導入と事業段階アセスの大幅な変更を行うものです。
 その内容については、我が党の本会議質問、委員会での質疑を通じて、計画段階アセスは実効性に極めて乏しいものであること、事業アセスについては、都民参加や手続の短縮化、対象要件の緩和など、骨抜きとなるもので、東京都がことし一月に策定した環境基本計画の方向や、知事のいう環境との共生と相反するものであり、地球環境保全の世界的流れに逆行するものとなりかねないことが明らかにされたところです。条例改定を行うのであれば、一層の環境への負荷が予想される都市再生について、環境面からチェックを行うための制度の拡充強化こそが求められているところであります。
 しかるに、改定案は、計画段階アセスを導入することは、地球環境保全の流れを反映したものとして前進ですが、実際の適用は当面東京都の事業に限られ、しかも規模は、個別計画では事業アセスの二倍以上とされ、広域複合開発の場合は三十ヘクタール以上としているため、当面該当するものは見当たらず、実効性のないものとなっています。
 また、規則を改定し、特定地域の新築高層建築物の対象規模を高さ百メートルから百八十メートル、かつ延べ床面積十万平方メートルから十五万平方メートル、全地域の住宅団地の対象戸数を千戸から千五百戸に要件を緩和することで、現状でも六割以上の開発が対象外になり、超高層ビルの乱立に道を開くものです。
 今必要なのは、都市再生特別措置法などで都心に集中した建設ラッシュが押し寄せようとしているとき、環境確保、保全の立場から、毅然として対峙し、情報公開、都民参加と合意形成のアセス本来の原則を守ることです。
 また、ゼロオプションについては、本来的には複数の選択肢の一つとして位置づけるべきであり、専門家や関係団体からも要望されているところですが、今後の課題といたします。
 さらに、環境影響配慮を考えるとき、社会経済的要件を加味することは、本来の複数案で十分な検討をするという行為に歯どめをかけることになり、環境優先ではなく、経済優先の考え方に依拠するものです。
 現行条例でも、アセス実施者が第三者ではなく事業者自身であることや、意見書提出者の疑問に十分こたえないまま進められていることなど、不十分さを改善しなければならない課題はありますが、せめて現行制度を後退させないという立場から、日本共産党都議団として以下の内容で修正いたします。
 修正案の基本的な内容。
 一、計画段階環境影響評価について。
  一、対象事業を東京都だけとするのではなく、民間事業も適用すること。
  二、対象事業規模は、現行アセスで対象となっている規模とすること。広域複合開発計画は十ヘクタールとします。
  三、計画段階アセス実施に伴う事業段階アセスの省略は行わず、事業段階アセスを実施すること。第二十五条の件です。
  四、特例環境配慮書として、計画段階アセスを実施した場合の手続の免除規定を削除し、例外としない。
  五、環境配慮書に対し都民から出された意見に対し、見解書の提出などが義務づけられず、事業者の意見を聞く会の開催としているが、都民の求めた意見に対し適切な見解が示されることが必要なことから、事業アセスと同様、見解書の提出を実施させます。
  六、事業アセスと同様、公聴会を位置づけます。
  七、環境配慮書の作成に当たっては、社会経済的要素を踏まえての文言を削除いたします。
 二、事業段階アセス。
 現行アセスは、これまでも、アセス実施者が第三者ではなく事業者自身であることや、意見書提出の疑問に十分こたえないまま進められていることなど、改善を求めるところです。しかし、今回は、事業アセスの後退が重大であり、現行アセスの後退を食いとめるという点で一致できるよう、現行条例に戻す内容を提案します。
 三、事業規模については、都民生活や環境に大きな影響を及ぼす問題であり、規則ではなく条例化し、条文の中に列記します。
 四、施行日は、規則の整備や都民への周知徹底期間を考慮し、平成十五年一月一日からとします。
 以上の点について修正を提案いたします。委員各位のご審議、ご賛同をいただきますようよろしくお願いいたします。
 以上です。

○大河原委員 私は、生活者ネットワークを代表して、本委員会に付託された第百七十一号、東京都環境影響評価条例の一部を改正する条例に対して修正案を提案するに当たり、その趣旨を述べさせていただきます。
 いうまでもなく、本議案については、条例制定後最大の改正でもあり、初の計画段階アセスの制度化という意味で、広くNPOや多くの都民の関心が高いことはいうまでもありません。
 さて、今日、長い不況のもとで都市再生、東京再生が語られております。私たち生活者ネットワークは、都市再生や東京再生という課題、もっと踏み込んでいえば開発一般について反対するものではありません。
 しかし、この流れの中で、百年の計といわれる都市計画を、全体的なビジョンも示さず、景気対策のために緩和しようとする動きがあることについては、大変危惧するものです。むろん、こうした動きに対して、環境の担当だけに負わせるということではありませんが、私たちは、こうした中でこそ、環境政策は厳しく環境優先の立場からチェックすべきであると考えています。しかし、今回の提案は、計画段階のアセスメントを導入するものでありながら、こうした基本的視点が失われているといわざるを得ません。
 このような視点から、生活者ネットワークとしては、都側の提案がおくれたこともあり、望むアセス制度の課題はたくさんございますが、この段階を踏まえたいわばぎりぎりの必要最小限の修正案を出させていただきたいと考えます。
 その趣旨の第一点は、対象事業の要件についてであります。この修正については、内容的な側面と形式があります。
 まず、内容的な側面は、基準について都が示した緩和の方向については認めることができません。現行の基準を維持していただきたいということです。
 形式的な側面でいえば、この間議論で出てきたように、こうした基準は、知事の裁量とするのではなく、議会の議決とするべきだということで、条例の中に入れました。このことは、今回の分権一括法の成立で自治法が改正され、権利や義務を課したり制限する場合、条例によらねばと書かれております。都は率先してこれを行うべきと考えます。
 二点目は、計画段階において代替案を検討する際、代替案の中に事業実施しない案を含んだ検討をすべきということです。欧米では公的なものに対しては当たり前となっております。実施する立場の代替案がない場合の歯どめとしても入れさせていただきました。
 第三点目は、都民参加の手続です。今回の改正により、事業段階のアセスメントにおける見解書後の説明会が省略されたこと、そして評価書案について意見が出ない場合、その後のプロセスが省略されたことです。生活者ネットワークは、アセスの時間短縮そのものは反対ではありません。しかし、都民が参加する手続は充実させるべきです。この点で修正二項目を入れさせていただきました。
 以上申し上げましたように、理想からすれば非常に妥協したぎりぎりの修正案でございます。皆様、委員各位のご賛同を強くお願いして、趣旨説明とさせていただきます。

○藤川委員長 この際、本案に対する発言の申し出がありますので、これを許します。

○清水委員 第百七十一号議案、東京都環境影響評価条例の一部を改正する条例に反対の立場から意見を表明します。
 提案された条例案は、都市再生推進に合わせて改正し、東京のアセス制度を大きく後退させるものであり、反対です。
 以下、反対の理由を述べます。
 第一、条例提案について、これだけ重要な改定については、少なくとも半年くらい前に提案を行い、専門家の意見聴取や都民参加での議論を尽くすことが欠かせません。しかし、都民の間でも議会でも、極めて不十分なまま決定されていくことを指摘します。
 第二に、計画段階アセスを導入することは、地球環境保全の流れを反映したものといえますが、実際に提案された内容は、民間の事業者は対象外とされ、これから進められようとしている都市再生による開発に伴う環境面からのチェックは野放しとなるものです。
 東京都の事業でも、規模は現行アセスの二倍以上、広域複合開発の場合は面積三十ヘクタール以上とされているため、東京都の事業で対象となる計画は見当たりません。また、事業アセスの簡略にもつながる内容にもなっています。実効性に極めて乏しく、不十分な内容です。
 第三に、現行事業アセスの改正は、さらに大きな問題点を含んでいることです。
 規則の見直しは、多くの超高層ビル建築をアセスの対象外とするものです。手続の簡略化、廃止は、都民参加と情報公開というアセスの根本精神を後退させ、民間事業者の要望にこたえようというものです。
 規則で定められている対象の要件のうち、特定地域の新築高層建築物の高さを百メートルから百八十メートルに引き上げ、延べ床面積を十万平米から十五万平米に引き上げる内容は、現在対象となっている案件の例を見ても、六割が対象外となり、これから建築される高層ビルの多くが対象外となります。
 調査計画書の見解書の廃止、評価書案の公聴会の廃止、評価書案の見解書への都民、区長などの意見書提出が廃止され、かわりに都民の意見を聞く会は新たに設置されるものですが、手続の短縮を可能にするものです。
 加えて、都市再生法で指定される丸の内などの特定地域の開発については、調査書を省くことが認められ、手続が、現在二十カ月余りが九カ月余りに短縮されるというのです。
 この条例が施行されれば、都市再生の流れが一気に進み、我が党が代表質問で指摘したように、知事が所信表明で述べた環境との共生をまさに言葉の上だけのものにしてしまうのではないでしょうか。
 我が党の修正案は、少なくとも、東京の環境を守る最低限の内容です。改めて重ねて賛同をお願いします。
 生活者ネット会派から出された修正案は、現行条例を復活するものでないことから、反対です。
 我が党は、引き続き、東京の環境を守るために力を尽くすものです。
 以上で意見の表明とします。

○大河原委員 私は、生活者ネットワークを代表して、本委員会に付託された第百七十一号議案、東京都環境影響評価条例の一部を改正する条例に対して、反対の立場から意見を述べます。
 東京都環境影響評価制度は、昭和五十五年の制定以来、二百件を超える案件に適用され、形骸化の批判はありながらも、環境悪化の未然防止に役割を果たしてきました。
 今回の計画アセスの導入は、これまでの事業アセスの不備を補い、実施時期の異なる複数の事業による複合的、累積的な環境影響にも対応するため、計画段階の早い段階から複数の代替案を検討してのアセスメントとして、民間への対象拡大も視野に入れ、環境悪化に悩む都民の声にこたえるものとして期待されてきました。
 計画アセスの導入は、生活者ネットワークの長年の主張でもあり、本来ならば導入を歓迎するところです。
 しかし、今回の改正では、計画アセスの対象を都の事業に限定して、総合環境アセスメント試行審査会答申で示されていた民間への対象拡大方針に反する方向性が出され、しかも、事業アセスの対象規模要件もこれまでの二倍の規模に緩和するという、全く都民の期待を踏みにじる案になっています。
 経済対策としての都市再生を優先することで、事業者への優遇は充実されますが、都民が東京のまちづくりにかかわる道は大きく狭められました。
 生活者ネットワークは、開発すべてに反対するものではありませんが、むしろ、二十一世紀の経済活動は環境優先で進めることが、持続可能な経済活動を保障するものと確信しております。
 アセス制度に関しては環境自治体として評価もされてきた東京都の役割は、環境優先のアセス制度を新たに提示することであり、今回の拙速な改正に賛成できるものではありません。
 環境アセスの命は、何といっても情報公開と市民参加です。今回の改正は、アセスの理念にもこたえられない改正であることを強調しまして、生活者ネットワークの反対意見といたします。

○藤川委員長 発言は終わりました。
 これより採決を行います。
 初めに、第百七十一号議案を採決いたします。
 まず、清水委員外一名から提出された修正案を、起立により採決いたします。
 本修正案に賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○藤川委員長 起立少数と認めます。よって、清水委員外一名から提出された修正案は否決されました。
 次に、大河原委員から提出されました修正案を、起立により採決いたします。
 本修正案に賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○藤川委員長 起立少数と認めます。よって、大河原委員から提出された修正案は否決されました。
 次に、原案について、起立により採決いたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○藤川委員長 起立多数と認めます。よって、第百七十一号議案は原案のとおり決定いたしました。
 次に、第百六十九号議案及び第百七十号議案を一括して採決いたします。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも原案のとおり決定することにご異議ございませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤川委員長 異議なしと認めます。よって、第百六十九号議案及び第百七十号議案は、いずれも原案のとおり決定いたしました。
 以上で付託議案の審査を終わります。

○藤川委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
 本日まで決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ございませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤川委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 なお、閉会中、会議規則第六十条の規定に基づき、委員の派遣が必要となった場合は、その取り扱いを委員長にご一任いただきたいと思います。ご了承をお願いいたします。

○藤川委員長 この際、所管二局を代表しまして、赤星環境局長から発言を求められておりますので、これを許します。

○赤星環境局長 都市計画局及び環境局の両局を代表いたしまして、一言御礼のごあいさつを申し上げます。
 このたびの定例会に提案いたしました各議案につきまして、ただいまご決定をいただきました。委員長初め委員の皆様方には大変ご熱心なご審議を賜り、まことにありがとうございます。
 ご審議の過程でいただきました貴重なご意見、ご指摘につきましては、今後の都市づくり、良好な環境の確保に十分反映させ、都民の皆様方のご期待にこたえてまいります。
 今後とも、より一層のご指導、ご鞭撻を賜りますよう切にお願い申し上げまして、大変簡単ではございますが、お礼のあいさつとさせていただきます。
 まことにありがとうございました。

○藤川委員長 発言は終わりました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時三十二分散会

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