都市・環境委員会速記録第九号

平成十四年六月二十一日(金曜日)
第六委員会室
   午後一時二分開議
 出席委員 十四名
委員長藤川 隆則君
副委員長吉野 利明君
副委員長相川  博君
理事真鍋よしゆき君
理事鈴木 一光君
理事大木田 守君
小磯 善彦君
吉原  修君
清水ひで子君
かち佳代子君
大塚 隆朗君
秋田 一郎君
大河原雅子君
内田  茂君

 欠席委員 なし

 出席説明員
都市計画局局長木内 征司君
技監勝田 三良君
理事杉浦  浩君
総務部長野田 一雄君
都市づくり政策部長小林 崇男君
都市づくり調整担当部長南雲 栄一君
マスタープラン担当部長河島  均君
都市基盤部長只腰 憲久君
航空政策担当部長甲斐 正彰君
外かく環状道路担当部長成田 隆一君
都市防災部長田中  亨君
市街地建築部長森下 尚治君
環境局局長赤星 經昭君
総務部長長谷川 猛君
企画担当部長梶原 康二君
環境改善部長薄  厚一君
参事小島 高志君
自動車公害対策部長松葉 邦雄君
交通需要マネジメント担当部長山本 憲一君
自然環境部長高田 茂穗君
廃棄物対策部長西野 和雄君
廃棄物技術担当部長関  寿彰君
スーパーエコタウン担当部長古川 芳久君
環境評価部長町   格君
局務担当部長平田 信幸君

本日の会議に付した事件
 決議について
 都市計画局関係
  付託議案の審査(質疑)
  ・第百六十九号議案 東京都建築安全条例の一部を改正する条例
  ・第百七十号議案 東京都景観条例の一部を改正する条例
  報告事項(説明・質疑)
  ・平成十三年度東京都一般会計予算の繰越しについて
  ・国立市マンション除却命令等請求控訴事件の高裁判決について
 環境局関係
  付託議案の審査(質疑)
  ・第百七十一号議案 東京都環境影響評価条例の一部を改正する条例
  報告事項(説明・質疑)
  ・平成十三年度東京都一般会計予算の繰越しについて

○藤川委員長 ただいまから都市・環境委員会を開会いたします。
 初めに、決議について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり決議一件を、提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ございませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤川委員長 異議なしと認め、そのように決定させていただきます。

○藤川委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、初めに都市計画局関係の付託議案に対する質疑と報告事項の説明聴取を行います。次に、環境局関係の付託議案に対する質疑と報告事項の説明聴取を行います。ご了承をお願いいたします。
 これより都市計画局関係に入ります。
 初めに、付託議案の審査を行います。
 第百六十九号議案、東京都建築安全条例の一部を改正する条例及び百七十号議案、東京都景観条例の一部を改正する条例を一括して議題といたします。
 本件については既に説明を聴取しております。
 これより質疑を行います。
 発言をお願いいたします。

○秋田委員 私の地元であります新宿の歌舞伎町の雑居ビルで、昨年九月、計四十四人が死亡した火災で、警視庁はこの六月十七日に、約十カ月間にわたる現場検証をご存じのとおり終了しました。今回の建築安全条例の改正は、まさにこの歌舞伎町雑居ビル火災に端を発したものだと思うのですが、今回この建築安全条例を改正するそもそものねらいは何でしょうか。

○森下市街地建築部長 いわゆる小規模雑居ビルにつきましては、建築基準法での避難施設の設置に関する規定が必ずしも十分とはいえない状況でございます。
 そこで、今回の条例改正は、先ほどいわれました歌舞伎町の雑居ビルの火災を教訓といたしまして、原則として二方向の避難を確保するとの考え方に基づきまして、避難階段やバルコニーなど避難施設の設置を義務づけまして、避難安全性の向上を図ることを目的としております。
 新たに規制を強化することとなります用途としては、従来からの風俗営業店に加えまして、ゲームセンターであるとか、あるいは飲食店等を加えたものでございます。

○秋田委員 この改正条例の施行は平成十五年の一月一日となっておりますが、この時点で存在しているビルにはこの改正条例が適用されないということはよくわかるのですけれども、安全条例改正の趣旨からして、新築のビルだけではなくて、既存のビル、特に小規模の雑居ビルにも避難施設の設置が必要だと思いますが、どのように規制をというか、枠をはめていくんでしょうか。

○森下市街地建築部長 既存のビルや工事中のビルにつきましては、改正条例の適用は受けないということでございます。
 しかし、これらのビルにつきましても、増築をするとか用途変更をする、あるいは大規模な模様がえや修繕を行うようなときには、新築と同様に規制の対象となりまして、避難施設の設置が義務づけられることとなるものでございます。

○秋田委員 そうしますと、増改築、用途変更などしないと、何も改善されないということになりますが、緊急安全点検でも、千件とも、あるいは二千棟とも、危険なビルがあるというのに、建築行政として積極的に、本当に既存の小規模雑居ビルの避難安全性を高めていくことを考えるべきなのではないでしょうか。

○森下市街地建築部長 既存のビルにつきましては、所有者、管理者に対しまして、改正条例の趣旨につきましてご理解いただき、避難施設の設置をお願いしていくこととしております。例えば定期報告のお知らせの際に、建築安全条例の改正の内容をあわせて周知することを考えております。
 また、飲食店や風俗店につきましては、増改築であるとか用途変更の有無にかかわらず、営業許可などの際に、警察とか食品衛生部局等との連携体制をとりまして、状況を把握し、条例等に適合するように指導していくつもりでございます。

○秋田委員 今部長がおっしゃった警察、消防、あるいは食品衛生部局との連携というのは、具体的にはどういうものなんですか。

○森下市街地建築部長 風俗営業や飲食店の営業許可申請があった場合に、警察、食品衛生部局--これは保健所でございますけれども--から、建築とか消防部局に通知をすることにします。それで建築、消防部局は、現地調査等によりまして、所管法令の適合状況について調査して、その結果を警察とか食品衛生部局に通知いたします。
 その際、関係法令に不適合だった場合は、合同の立入調査等の実施や連絡調整を密に行いまして、お互いに適切な措置を講じていこうとするものでございます。
 都では、平成十四年二月に、都市計画局、衛生局、それから警視庁、東京消防庁などの関係機関で、このための協議組織を設立しております。区市におきましても、同様の協議組織がつくられているところでございます。

○秋田委員 そうしましたら、火災時に明らかに避難上問題があるような小規模な雑居ビルが発見された場合には、放置するのではなくて、建築行政としては、具体的にはどういうふうなことをされていかれる予定なんですか。

○森下市街地建築部長 昨年、雑居ビルにつきまして一斉点検を行いましたけれども、その点検では、例えば防火戸を取り外していたり、非常用の進入口が閉ざされて、外部から入れない状況であるなどの幾つかの問題点が指摘されております。
 それらの建築物については、所有者、管理者に対しまして、指示書により是正指導などを行っております。
 特に避難上問題の多い建物につきましては、さらに文書で、使用禁止命令であるとか是正措置命令などの行政処分を行っていくことになります。その命令を受けたような建築物につきましては、ホームページで公開していくというようなことも考えております。

○大木田委員 私からもちょっと関連して何点か伺いたいと思います。
 ただいま秋田委員からも話がありましたけれども、私の知り合いのところで、あの火災以降、五階建てのビルのエレベーターのところに石油をまかれて、エレベーターのところから火災が発生いたしまして、二階、三階、四階、五階という、たまたま私の知り合いが五階に住んでいたんですけれども、エレベーターのところにガソリン等まかれて火をつけられると、もう大変な煙で、他の階のところも、エレベーターはもちろん使えませんし、これは非常に危険な落とし穴だなということを、私も状況を聞いて痛感をしたわけです。
 三階か四階に何か恨みがあるかどうかということで、嫌がらせというようなことだったらしいんですけれども、しかし、そのほかの階の人は大変迷惑なことでありまして、そういうことを考えて、あの雑居ビル以来、いろんなところを見ると、まだまだ心配なところが、点検でもそういう報告がされておりますけれども、非常に多くあるわけですね。
 したがって、今回の条例を改正することによって、そういう不安はどの程度解消できるのかということを、ちょっと最初に伺っておきます。

○森下市街地建築部長 雑居ビル等についての危険がいろいろあるわけでございますけれども、階段等に物を置いたりというようなことにつきましては、私どもの方もそれは点検いたしますけれども、消防の方で当然立入調査等におきまして点検をしていく。今回の消防法の方の条例改正におきましても、避難施設にいろいろなごみ等を置くことについては禁止するというようなことについての規定を整備するということが、あわせて行われております。そういったものと連携をしながら、そういった放置しているものについては対応するところでございます。
 なお、そういった火事、火災が起こった場合において、例えば二方向の避難を確保するために、新たに今回、用途を多少ふやしまして、避難階段の設置であるとか、あるいはバルコニーの設置等を義務づけて、できるだけ二方向の避難ができるようなものを実施していこうというものでございます。

○大木田委員 今回の事件を教訓にいたしまして、建築法上の問題、それから消防法上の問題、あるいは警視庁の関連する風俗営業法上の問題等に、いろんな連携機関で協議をしながら対応できる体制ができたわけでありますけれども、私は、違反している建物については、今まで罰則規定がありますけれども一回も適用されてこなかったというような背景を考えまして、ひどいようなところについては、きちっと三者の連携をとって、一罰百戒ではありませんけれども、罰則の適用をすべきである、こう思いますが、どうでしょうか。

○森下市街地建築部長 従来も、件数的には多くはないんですけれども、工事中の違反建築物に対しまして、状況に応じまして、建築主や施工者に対しまして、工事停止命令であるとか、使用禁止仮命令であるとか、是正命令などを行って、是正指導をしてきておるところでございます。
 特に既存建築物の場合には、営業中でもあり、利用者がいるというようなことのために、なかなか難しいことがあるんですけれども、避難安全を確保することを第一と考えまして、いろいろな指導をしているところでございます。
 ただ、特に悪質なものにつきましては、例えば新宿歌舞伎町の明星ビルのような場合には、実際に是正と、それから使用禁止を命じておりますけれども、そういった厳しい対処をしていきたいと思っております。
 命令を出した建物につきましては、ホームページで公表していって、建物の利用者に対しても情報を提供していくなど、そういった惨事が再び起きないような努力を一層強めていくつもりでございます。

○大木田委員 ぜひお願いしたいと思います。
 それから、命令や罰則以外に、小規模雑居ビルの安全性を確保するために、定期報告の対象規模の引き下げや、あるいは報告期間の短縮など、今後検討してはどうかと思いますが、いかがでしょうか。

○森下市街地建築部長 小規模雑居ビルに関します建築物の定期報告、大体二千九百件ぐらいありますけれども、約三六%ぐらいで、まだまだ低い状況でございます。そういうことでございますので、未報告の建築物につきましては、その都度催促を厳しく行いまして、とにかく定期報告の報告率の向上を図っていきたいと思っております。
 また、定期報告をした建物に対しまして、報告済みであることを証します統一的なマークがこのほどでき、この夏から運用できることになりましたので、東京都としてもそれを採用して、その普及に努めていきたいと思っております。
 さらに、風俗店とか飲食店の営業許可に際しましては、定期報告をしているかどうかということについてもきちっと調べまして、警察とか食品衛生部局に通知して、関係部局と連携しながら、安全性の向上のために努めていきたいと考えております。

○大木田委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 最後に、この後アセス条例の審議に入りますけれども、ちょっと確認を一つだけしておきたいんです。今回ビルアセスのことについて、都心、副都心等、特定地域、都市再生特別地域等が設けられておりますけれども、特に、都心、副都心の概念について、都心とはどういう、副都心とはどの程度の広がりを--全体の都市ビジョンの中ではセンター・コアという広がりをいっておりますけれども、都心三区とか、都心五区とか、都心七区とかありますけれども、都心、副都心というその一つの面的な広がりは、どういうことを指しているのか。突っ込んだ話は次の環境局でやりますけれども、概念的なことだけちょっと伺っておきたいと思います。

○河島マスタープラン担当部長 都心とか副都心とか、都市構造的な見地から地域が位置づけられているわけで、それの考え方というお話でございます。
 ただいまご指摘がございましたように、昨年、東京都として取りまとめました東京の新しい都市づくりビジョンの中で、東京圏全体に視野を広げながら、おおむね環六の内側、荒川と、それから山手通りに囲まれる内側、これをセンター・コアと位置づけておりまして、このセンター・コアが日本の政治経済を牽引するさまざまな機能を持っておりまして、東京圏の中でも全体をリードする非常に重要な地域である。ここでの集積を高めていく必要性がある、こんなような議論をしているわけです。
 このセンター・コアの機能を、特に、中枢管理機能などが集中するセンター・コアの機能を実際に発揮する場合に、センター・コア全体でその機能を発揮するというよりは、その中でも、今ご指摘の都心とか、副都心とか、私ども、ビジョンの中で中核拠点と呼んでいますが、特に機能が集中したエリア、こういったエリアが、ある面でそこでの活発な都市活動を担っていく、こういう構造を持っているというふうに考えております。
 都心とか副都心、そしてビジョンの中では、秋葉原とか品川駅東口を含めて、これは新拠点と呼んでおりますが、それらの中核拠点がそれぞれに相互に機能を補完して、センター・コアの非常に活発な都市活動を担って引っ張っていく、こんな考え方を持っております。
 実際にそのエリアでございます。エリアにつきまして、今ご指摘のように、通常いわれているような都心というのは、非常に概念的には広くとらえられたり、あるいは狭くとらえられたりしている部分があります。しかしながら、私ども、こういった都市構造論をやるときには、以前、区部中心部整備指針というものを出しておりまして、その中で都心の区域というものを具体的に特定をしております。
 それは、都心につきましては、山手線を挟みまして、おおむね東京駅を中心とするような考え方になりますが、西側の更新都心と呼ぶ部分と、それから東側の再編都心と呼ぶ部分と、大きく二つに分かれるというようなとらえ方をしておりますが、西側につきましては、大手町、丸の内、有楽町、そして日比谷から霞が関、中央官庁街、そういったあたりの一帯でございます。東側の再編都心の方につきましては、日本橋、それから京橋、銀座、こういったかなり商業系の色彩の強いエリア、それらを両方合わせまして、私ども、行政上の都心と呼んでおりまして、合計の面積は五百四十四ヘクタール、こういうエリアです。ですから、一般に都心と呼ぶときに、都心三区といったようなとらえ方もありますが、それよりはかなり限定されたエリアということがいえるかと思います。
 あと、副都心につきましては、これは副都心整備計画などでその位置が明確にされておりますが、新宿、渋谷、池袋、大崎、上野・浅草、錦糸町・亀戸、そして臨海副都心、七つの副都心がございます。一つ一つの面積は、ちょっと煩雑になりますので、ここでは申し上げませんが、それぞれがそういうことで、区域が都市計画、都市構造の中でこういったところだと私ども明確に認識しつつ、位置づけをし、政策を展開している、そういうことになるわけであります。
 ちなみに、せんだって都案を出しました都市再生緊急整備地域につきましては、センター・コアの中で、七つの地域で合計二千四百ヘクタール、こういったものを指定すべきということで、国に案を持ち込んでいるところでございます。

○大木田委員 それで、この後、具体的に話はしたいと思いますが、都心、副都心、それから高層住宅誘導地域、これははっきりしているんですね。都市再生緊急整備地域、これもはっきりしているわけですけれども、都心、副都心、それから、そうでない、私たち北区の場合は、心しんという、区の中心が決まっているわけですけれども、そういうところとの兼ね合いの中で、ここのところをきちっとしないと、ちょっと焦点がぼけるかなということで、具体的には次のアセスの条例のところで質疑をいたしますので、これで結構です。

○藤川委員長 ほかにご発言はございますか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○藤川委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤川委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。

○藤川委員長 次に、理事者から報告事項の申し出がありますので、これを聴取いたします。
 初めに、平成十三年度東京都一般会計予算の繰り越しについてご報告願います。

○野田総務部長 お手元の資料1、平成十三年度繰越説明書によりましてご報告させていただきます。
 今回の報告は、平成十三年度の繰越明許費につきまして、地方自治法施行令第百四十六条第二項の規定によりまして、議会にご報告するものでございます。
 一ページをお開き願います。平成十三年度繰越明許費総括表でございます。
 予算現額、繰越明許費予算議決額、翌年度繰越額、さらに、歳出予算の繰り越しには、翌年度に執行する財源もあわせて繰り越さなければなりませんので、その財源の内訳を記載してございます。
 繰越明許費予算議決額は百五十六億九千二百九十五万六千円でございましたが、このうち翌年度への繰越額は百二十億七千二百万円となっております。財源といたしましては繰越金を充当してございます。
 二ページをお開き願います。主な事項についてご説明させていただきます。
 1、地下高速鉄道建設助成でございます。
 繰り越しの主な理由といたしましては、大江戸線とJR線の交差工事に伴う調整や、営団地下鉄十三号線の用地買収に伴う関係人との折衝などに日時を要したことなどによるものでございます。
 2の首都高速道路公団出資金等でございます。
 繰り越しの主な理由といたしましては、中央環状新宿線の工事に伴う地元住民との調整や、用地買収に伴う関係人との折衝などに日時を要したことなどによるものでございます。
 三ページでございます。
 3、常磐新線整備事業でございます。
 繰り越しの主な理由といたしましては、用地買収に伴う関係人との折衝などに日時を要したことなどによるものでございます。
 以上をもちまして、平成十三年度予算の繰り越しにつきましてご報告を終わらせていただきます。
 よろしくお願い申し上げます。

○藤川委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 ご発言をお願いいたします。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○藤川委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤川委員長 異議なしと認め、以上で本件に対する質疑は終了いたしました。

○藤川委員長 次に、国立市マンション除却命令等請求控訴事件の高裁判決について報告を願います。

○森下市街地建築部長 資料2でございますけれども、国立市マンション除却命令等請求控訴事件の高裁判決についてご報告いたします。
 このことにつきましては、去る六月七日の当委員会におきまして口頭でご報告いたしましたけれども、本日、改めてご報告するものでございます。
 この訴訟は、国立市の大学通り沿いの十四階建てマンションにつきまして、違反建築であるから是正命令を出すように求められた事件でございまして、昨年十二月に東京地方裁判所の判決が出されました。
 この判決の要旨は、建築指導事務所長が、国立市建築物制限条例に違反する、このマンションの高さ二十メートルを超える部分について、是正命令を出さないことは違法であるというものでございました。
 この判決は、従来からの建築行政の考え方と大きく異なるため、東京高等裁判所に控訴しておりました。
 この控訴事件に対しまして、去る六月七日、高裁の判決が出されました。その要旨は、このマンションは国立市条例の施行時において根切り工事を行っており、現に建築の工事中の建築物と認められる状態にあった。したがって、このマンションは市条例の適用を受けない適法な建築物であり、住民らの訴えは不適法なものであるので却下するというものでございます。
 この判決は、東京都が主張しておりました根切り工事が行われればその後の新たに施行された市条例が適用されることはなく、このマンションは適法な建築物であると認められたものでございます。都が従来から行ってきました建築行政の正当性が認められたものと評価しているところでございます。
 なお、原告住民側は、昨日、この判決を不服として、最高裁に上告したと聞いております。
 報告は以上でございます。

○藤川委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。

○相川委員 私は、この件につきまして、関連して二点質問をさせていただきたいと思います。
 まず、国立裁判というふうにここでは呼ばせていただきたいと思います。この国立裁判のほかにも、年間百件ぐらいの建築紛争が東京都内である。特に最近では、法制度上の規制緩和、容積率の緩和とかいうことで、そういった規制緩和に伴って建築紛争が多発しているように思えてならないわけであります。
 こうした紛争の多発というものは、近隣住民の生活を大きく脅かすばかりでなくて、事業者や区市町村にとっても、極めて不本意で、不健全な事態であるといわざるを得ないわけであります。この国立裁判のように、建築紛争が裁判まで行ってしまうというケースが幾つもあるわけですが、裁判は、皆さんご承知のように、関係者の負担が大変大きくて、裁判以外での解決方法を進める方策を充実させるということが必要であると思うわけです。
 欧米諸国では、ADR、オルタナティブ・ディスピュート・リソリューション、頭文字をとってADRというそうですが、日本語でいいますと裁判外紛争解決制度というようですけれども、日本ではこれに当たるものとして、建築審査会ですとか、紛争調停委員会ですとか、いろんな審議会というものが相当しているんだと思うんですが、こういった機関が日本の現状の中でしっかりと機能しているというふうに私はもう全然思えないわけですね。
 またその構成メンバーも、大体どこの、例えば建築審査会でありますとか紛争調停委員会を見ますと、行政のOBと弁護士が大半ではないかという批判もあるわけであります。こうした機能や構成メンバーを含めて、制度の研究や見直しが今必要ではないかという指摘を、まず一点、させていただきます。
 いずれにしましても、建築紛争の結末というのは、だれにとっても不幸な事態で終わるというケースが大方であると思います。
 そこで、東京都としまして、現行の法制度等にすべてその解決をゆだねるのではなくて、都民の生活や財産を守るという視点から、こうした建築紛争の抜本的な解決を目指す姿勢がないのか、この点について伺いたいと思います。

○森下市街地建築部長 東京都は、良好な近隣関係であるとか、生活環境を維持、保全するために、建築紛争の調整を行っているところでございます。建築紛争というのは、いうまでもございませんけれども、適法な建築物についての争いでございますので、当事者間の話し合いによる解決というものを基本としております。
 その調整に当たりまして、円滑な話し合いが行われますよう、適切な指導とか助言を行うとともに、必要に応じまして、当事者双方の和解が成立するようなあっせんとか調停を行っているところでございます。
 そのような調整を行っておりますけれども、どのような建物がそれぞれの地域に見合った規模で適切なものであるのかということを示すことは、非常に難しいことでございます。あるいはまた、それを建築主に義務づけるようなこともできない、そういう事情もございます。
 そこで、抜本的な解決を目指す方向としては、建築紛争自体を未然に防止できるように、あらかじめ地域におきます合意形成を進めて、地区計画とか建築協定などによりまして、まちづくりのルール化を図っていくということが一番重要ではないかと考えているところです。

○相川委員 今のご答弁を伺っていましても、もう少し東京都が積極的に、紛争が起きた、あるいは事前に、その情報がキャッチをされたという段階で、積極的に調停とかあっせんに乗り出せば、不幸にして裁判まで行かなかったんじゃないかという気も多少はするわけであります。
 これは十二月の委員会だったと思いますけれども、私、申し上げたんですが、例えばこの裁判のほかに、住民の方々が、事業主を相手取った裁判がもう一方であるわけですね。その裁判の事業主側の弁護人が、実は世田谷区の建築審査会の会長をやっているというお話は、あのときにさせていただきましたけれども、もう一つ、東京都の収用委員会の委員もされているわけですよね。そうすると、住民にとってみれば、東京都と事業主が一対になって裁判を闘っているんじゃないかというふうに思われても、これはもう仕方のないことだと思うんですね。
 だから、弁護士という職業で、その弁護人を引き受けたというのは、これはもちろんわかるわけですけれども、そういった公職につかれている方は、果たしてそういう弁護を引き受けていいのかどうか、これは道義的な問題というのが多少あるんじゃないかというふうに、ここで指摘をさせていただきたいと思います。
 それから今、もう一方の裁判のことを、私、申し上げましたけれども、国立の住民の方々が事業主を訴えている裁判の中で、特にこの裁判では、いわゆる景観権とか環境権というものが争われたわけですが、一昨年の十二月の東京地裁の判決文を私は大変興味深く拝見したわけです。
 これはちょっと抜粋を読ませていただきたいと思うのですけれども、環境にしても、景観にしても、その中に居住して生活する住民の多数が長い間にわたって維持し、価値が高いものとして共通の認識の確立したものが、先に居住を開始した住民の単なる主観的な思い入れにとどまるものではなく、新たに住民となる者や関係地域において経済活動をする者においても、十分に尊重すべきものである。しかして、これら環境や景観は、個々の住民の利益というよりは、時代及び世代を超える地域社会全体の利益として、国や地方自治体において、その内容を明確にし、これを維持する根拠となる法令を定め、その行政を通じて維持されるべきものであって、私人間に偶発的に発生する紛争の解決を通じては、有効かつ適切に維持されるとは解されない。もとよりこれを司法の過程を通じて維持することを可能にするかどうか及びその範囲を決定するのは、立法、政策の問題であるが、我が国においては、景観に関する利益、環境のいずれについても、裁判規範となる立法はされていないと。
 つまり、東京都の景観条例でありますとか、国立市が持っています都市景観形成条例も、要するに、裁判規範にはならないんだ、拘束力がないんだということを、この判決ではいっているんだと思います。
 もう一ついわせていただければ、その行間にある裁判長の思いというのは、景観とか環境を守ってやりたいんだけれども、残念ながら、裁判の過程の中では、それを守るだけの司法の権力が発揮できないんだという思いが、この判決文に、恐らくその行間に出ているんだと思うんですね。
 そこでお聞きしたいんですが、景観行政を進めていくという東京都の立場として、この判決文をどういうふうに評価するか、そのことをお伺いして、質問を終わりたいと思います。

○森下市街地建築部長 初めに、ちょっとお話ししておきますけれども、先ほどご報告申し上げました今回の高裁の判決でございますけれども、これにつきましては、マンションが違法建築物であるか否かを主な論点としておりまして、景観権については判断したものではございません。
 私どもは、いわゆる景観権につきましては、個人の権利として法律上保護されるまで成熟したものではない、そういうふうに考えているところでございます。委員が先ほど引用されましたように、景観というものは、地域社会全体の利益であり、国や自治体が内容を明確にして維持すべきものであるという考え方については、私も認識を同じくしております。したがいまして、例えば国立市におきまして、地元自治体として、地区計画などによりまして、今回起きたわけですけれども、景観のルールを定めていくというようなことについては、大切な役割だと思っております。
 しかしながら、今回の国立市の地区計画については、区域のとり方であるとか、決定手続であるとか、建築行政との連携方法などについて幾つかの問題がありまして、うまく機能しなかった、そんなふうに認識しているところでございます。
 東京都におきましては、良好な都市景観は都民共有の財産であるという考え方に基づきまして、東京都の景観条例を定めております。また、地区計画の策定も促進しているところでございまして、このような方法によりまして、今後とも景観形成に努めていきたいと考えております。

○大河原委員 ただいまの部長の答弁で、幾つかの問題点を認識しているとお答えになったので、まずその点からちょっと伺わせてください。
 確認をするようなものしか準備しておりませんけれども、今、国立市側のやり方が実は問題がありましたよというようなニュアンスだったと思いますけれども、東京都はどの点が問題点だととらえていらっしゃるのでしょうか。

○森下市街地建築部長 国立の地区計画につきましては、大学通りの景観を維持するという観点からすれば、大学通り全体について、地区計画として方向を定めるべきものであろうと思っております。
 それから、地域の皆さんとの合意形成のもとに、全体にあらかじめよくご説明した上で、周知期間も設け、それを発動していくようなことが必要ではないか。例えばそのようなことでございます。

○大河原委員 私からは、既存不適格建築物にかかわることを伺いたいと思いますが、今後、増改築というようなことはどのように取り扱われるのでしょうか。

○森下市街地建築部長 増改築の問題でございますけれども、建築物への建築基準法の適用につきましては、工事に着工する時点での法令が適用されます。工事中とか、あるいは完成後に法令が改正されまして、新たに設けられました規定に適合しないことになった場合には、その建物がいわゆる既存不適格建築物ということになります。既存不適格建築物につきましては、その不適格な部分を改善しなければ増築することはできません。
 ただし、増築とならない範囲での通常の修繕であるとか模様がえ、これについては可能でございます。

○大河原委員 増改築に含まれる範囲というのは、そうすると、どういうことになりますか。増改築に含まれる範囲、そこに手をつけなければいいというふうでしたが…。

○森下市街地建築部長 増築といいますのは、建物本体を部分的にふやすような、つけ加えるようなことですね。あるいは一部除却して建て直すこともあるかもしれませんけれども、そういうのを増築と申します。
 改築というのは、既存建物を壊して、それとほぼ同等のものをつくるということでございますので、そういったものについては、いけないということでございます。
 それで、問題がなくできるというものにつきましては、修繕とか模様がえ、そんな大規模なものではなくて、通常の修繕とか模様がえなどについてはできるということでございます。

○大河原委員 既存不適格建築物が売買される場合、これから売りに出すとか、あるいは新たに買われるときに、既存不適格であるということは、買う人に周知されなければいけないと思いますけれども、それについての規定はどうなっているのでしょうか。
 また、それに違反、それを知らせなかった場合の罰則等ありますか。

○森下市街地建築部長 その件につきましては、宅地建物取引業法の関係でございまして、都でいえば住宅局が所管しておりますので、そういうことでございますが、取引をする時点で、法令に基づく制限の概要というものを、いわゆる重要事項説明書として説明する義務があるわけです。それで、既存不適格ということであるなら、当然重要事項説明の中にその旨を表示する必要があるということでございます。
 罰則等については、ちょっと申しわけありません、承知しておりません。

○大河原委員 こういうふうに既存不適格のものは結構ふえているんじゃないかと思うんですけれども、そういう例はどのくらいあるんでしょうか。

○森下市街地建築部長 既存不適格になる事例としては、例えば建物完成後に、都市計画法であるとか、あるいは建築基準法の法令の規定が変わりまして、例えば容積率が、使える容積が下げられたような場合に多く発生いたします。あるいは日影規制が新たに指定されたような場合等に発生するものでございます。
 そういうことでございますので、全体としての件数は把握してございませんけれども、件数としては相当数あるというふうに思っております。

○大河原委員 先ほど相川委員がおっしゃるところの国立裁判なわけですが、東京都が二審で勝訴をし、昨日、住民の方々は上告をしたという形です。私たちは景観権をもっとそれこそ法律で保護されるほどに成熟させていかなければならないというふうに思いますけれども、東京都のまだ成熟に至ってないんだという認識もわかりましたし、根切り工事がスタートすれば、もうこうしたものが、これまでどおりの判断しか出ないんだなということでも少し落胆しております。
 ただ、やはり住民が環境を守っていく、自分たちのまちをどういうふうにつくっていくのかというところでは非常に注目をしておりますので、東京都の方も、今後の裁判の中で、都民のそうした環境権についての考え方、そうしたものも披瀝していただきたいというふうに思います。
 終わります。

○藤川委員長 ほかにはご発言ございますか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○藤川委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤川委員長 異議なしと認め、以上で本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市計画局関係を終わります。

○藤川委員長 これより環境局関係に入ります。
 初めに、付託議案の審査を行います。
 第百七十一号議案、東京都環境影響評価条例の一部を改正する条例を議題といたします。
 付託議案については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 要求資料について理事者の説明を求めます。

○町環境評価部長 去る六月七日の当委員会でご要求いただきました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元配布の資料1、都市・環境委員会資料の表紙をおめくり願います。
 目次にございますとおり、ご要求いただきました資料は二十一項目でございます。
 一ページをごらん願います。1、計画段階環境影響評価制度検討の経緯でございます。
 平成五年二月、東京都総合環境アセスメント制度検討委員会を設置し、検討を始め、十年六月には試行指針等を策定、十一年十一月に東京都市計画道路放射第五号線及び三鷹都市計画道路三・二・二号線を試行対象といたしまして、十二年から十三年にかけて制度の試行を行いました。
 その後、十三年十一月から、環境影響評価審議会において、計画段階環境影響評価制度の導入等について検討を進め、中間答申、それに対する都民意見の募集を経まして、十四年四月には最終答申を受けております。
 以上が、計画段階環境影響評価制度検討の経緯でございます。
 次に、二ページをお開き願います。2、環境影響評価審議会答申中間のまとめに対する都民等の意見の概要でございます。
 表側の区分を、第1、新しい制度構築の基本的考え方についてなど、中間のまとめの章立てに合わせて六事項に分類し、それぞれの意見の件数、概要を記載しております。
 次に、三ページをお開き願います。3、アメリカ及びEU加盟国のアセスメント制度の概要でございます。
 アメリカ、フランス、オランダの三カ国につきまして、表の下の注に記載している資料に基づき、制度名、制定年、概要などをまとめたものでございます。
 次に、四ページをお開き願います。4、事業アセスメント対象規模のおおむね二倍以上の主な事例でございます。
 過去にアセスメント対象となりました事業のうち、現行の対象規模のおおむね二倍以上となる事業につきまして、道路の新設または改築などの区分ごとに、主な例を記載してございます。
 次に、五ページをお開き願います。5、三十ヘクタール以上の東京都の開発計画の主な事例でございます。
 過去の東京都の開発計画のうち、三十ヘクタール以上のものの例を記載しております。
 次に、六ページをお開き願います。6、調査計画書手続案件でございます。
 表のとおり、これまでに十九件の調査計画書手続案件がございます。
 次に、七ページをお開き願います。7、評価書案に対する意見書数、上位二十件でございます。
 過去のアセスメント対象事業の中で、評価書案に対する意見書の数が多かったものを、上から順に、事業名、事業地、意見書数をお示ししてございます。
 次に、八ページをお開き願います。8、評価書案に係る見解書に対する意見書数、上位二十件でございます。
 過去のアセスメント対象事業の中で、評価書案に係る見解書に対する意見書の数が多かったものを、先ほどの資料と同様に、上から順にお示ししてございます。
 次に、九ページをお開き願います。アセスメント説明会、公聴会への出席者数、最近の事例でございます。
 最近の事例で、主な対象事業ごとに、案件名、評価書案説明会出席者数の最大及び最小の人数、公聴会公述人数、公聴会傍聴人数、見解書説明会出席者数の最大及び最小の人数について記載してございます。
 次に、一〇ページをお開き願います。10、評価書案に係る見解書に対する意見の内容でございます。
 主な対象事業ごとに、見解書に対する意見の数、その内容についてお示ししてございます。
 次に、一一ページをお開き願います。特定の地域についてでございます。
 定義と予定地域をお示しし、その次の一二ページに地図を参考のためにつけてございます。
 なお、都市再生特別措置法に基づく都市再生緊急整備地域につきましては、現時点ではまだ設定されておりませんので、地図上には表示しておりません。
 次に、一三ページをお開き願います。12、東京都環境基本計画におけるセンターコアエリアの配慮の指針の概要でございます。
 1、健康で安全な環境の確保では、大気汚染、騒音・振動、日照阻害について、2、都市と地球の持続可能性の確保では、ヒートアイランド、景観、歴史的・文化的遺産、3、自然環境の保全と再生では、自然環境、公園緑地、水環境などについて、それぞれ環境配慮指針を定めたものでございます。
 次に、一四ページをお開き願います。13、高層建築物案件及び住宅団地案件の評価項目でございます。
 まず一四ページで、(1)といたしまして、高層建築物案件について、次の一五ページで、(2)といたしまして、住宅団地案件について、アセスメントを実施した際の評価項目を一覧で示してございます。
 次に、一六ページをお開き願います。14、高層建築物(高さ百メートルを超え、百八十メートル以下で、かつ、延べ床面積十万平方メートルを超える)案件の電波障害対策についてでございます。
 一ページめくっていただきまして、一七ページの注1にございますように、まだ調査計画書の段階にあるものにつきましては、電波障害の予測が明らかとなっておりませんので、記載してございません。
 また、注2にございますように、建設工事未着手及び施行中のものについては、電波障害に係る事後調査報告書が提出されていないため、苦情の有無については記載してございません。
 次に、一八ページをお開き願います。15、高層建築物アセスメント日数及び説明会回数でございます。
 高層建築物全四十二件の事業名称、受理年、手続期間、評価書案説明会の回数、見解書の説明会の回数を記載してございます。
 一八ページは、評価書案から手続を開始した案件でございますので、手続期間は、評価書案受理から評価書の受理の日数を記載してございます。
 一九ページは、調査計画書から手続を開始した案件でございますので、手続期間は、調査計画書の受理から審査意見書の送付までの日数を記載してございます。
 34の案件、一九ページの一番上でございますが、この案件だけは、双方の手続が終了しておりますので、手続期間は両方の日数を足したものとなっております。この旨は注にも記載してございます。
 次に、二〇ページをお開き願います。過去の高層建築物アセスメント案件の高さ及び延べ床面積の分布でございます。
 手続中のものを含む全四十二件につきまして、高さと延べ床面積の分布を表にしてお示しいたしました。
 次に、二一ページをお開き願います。17、住宅団地の取扱案件のうち、千五百戸以上に該当しない案件でございます。
 脚注にありますとおり、全体は三十五件でございます。そのうち十三件が該当です。
 次に、二二ページをお開き願います。18、温室効果ガスを予測評価した案件でございます。
 過去のアセスメント対象事業のうち、ここでお示ししました六件について、温室効果ガスを予測評価しております。
 次に、二三ページをお開き願います。19、事後調査結果により環境保全対策を追加したケースでございます。
 知事の意見、事業者の主な対応を表にしてお示ししております。
 次に、二四ページをお開き願います。20、今回の条例改正案において新たに規則で定める主な事項でございます。
 東京都環境影響評価条例は、東京都環境影響評価条例施行規則に委任している部分がございますので、今回の条例改正に合わせて改正を考えている主な規則事項を表にしてお示ししております。
 最後に、二五ページをお開き願います。21、東京都環境影響評価条例の平成十年十二月改正の主な内容でございます。
 環境影響評価条例の前回の改正であります平成十年十二月の改正について、主な点をお示ししてございます。
 説明は以上でございます。
 どうかよろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。

○藤川委員長 説明は終わりました。
 先ほどの資料を含め、これより本件に対する質疑を行います。
 ご発言をお願いします。

○秋田委員 アセス制度が運用されてから二十年以上経過したとのことですが、私が住む西新宿には、この間、本当に多くの高層建築物が何本も建ちました。けれども、私自身は、実感としては、果たして環境が守られてきたのかなという部分では実感がございません。
 そこで、我が党の古賀幹事長代行の代表質問と重複する部分がございますが、この間、アセスは二十年間に何を守ってきたのか。環境への配慮だということだと思うんですが、高層ビルが林立する中で、都民の安全性や、あるいは快適性といったものが守られてきたのか。あるいはまた、市街地の動植物や生態系にどういう影響を与えてきたのか。そのような視点からまず最初に伺いたいと思います。
 都がアセス制度においてまず守られるべき環境とは、どういうふうなものを定義しているのか。そして、都が定義するところの環境は実際守られてきたのかを、まず最初にお伺いしたいと思います。

○町環境評価部長 東京都環境影響評価条例では、公害の防止、自然環境、歴史的環境の保全、景観の保全等について、適正な配慮がなされることを期し、もって都民の健康で快適な生活を確保することに資することを目的といたしております。
 二十年間にわたり、二百件余の案件につきまして、都民や区市町村長等の意見を踏まえ、環境配慮の取り組みに貢献してきたと考えております。

○秋田委員 今のは住民側からの意見なんですが、一方、事業者側からしますと、土地は買った。けれども、アセス手続のために建物が建てられない。結果として金利と租税の負担だけが続くということになります。
 今回の条例改正は、知事の所信表明の中では、二十年が経過する中で、初めての本格的な改正ということですが、こうした場合は、大体原点に立ち返って、二十年間の真摯な総括が必要だと思います。具体的には、アセス制度はどういったプラス面があって、あるいはどういったマイナス面があるのかというところから、比較考量するところから始めるべきだと思います。
 そこで、この間アセス制度を運用してきた実績を踏まえて、どのような総括を環境局としてはされているのかを伺いたいと思います。

○町環境評価部長 先ほども述べましたように、二十年間にわたりまして、二百件余のアセスメントを実施いたしまして、大規模な事業の実施に際し、公害の防止、自然環境の保全などについて、適正な配慮がなされることにより、都民の健康で快適な生活を確保する上で大きな役割を果たしてきたと考えております。一方、アセスメント手続に長時間を要する、時間リスクが大き過ぎるという指摘もございます。
 今回、二十年以上にわたり蓄積してまいりました種々の知見を活用しまして、アセスメント本来の機能を損なわず、より合理的、効率的な制度となるよう、手続面等における改善を行うこととしたものでございます。

○秋田委員 今、部長は、二十年以上にわたり蓄積されてきた知見とおっしゃいましたが、その知見というのは具体的にはどういうものなんでしょうか。

○町環境評価部長 知見の例を申し上げさせていただきます。
 まず、都心等、都市機能の高度化を推進することとされている特定の地域における高層建築物等につきましては、予測評価すべき環境影響項目の標準化ができるようになってきております。
 また、アセスメント手続におきまして、見解書にかかわる都民意見の聴取手続に工夫を凝らすことによりまして、重複的な部分を合理化できるというようなことがわかってきております。
 また、都民周知や意見聴取にインターネット等の電子媒体を活用することで、その内容を充実しつつ、手続としては効率化が図っていける、こういうことが知見として集積されてきております。

○秋田委員 今おっしゃった知見の内容はよくわかったんですが、それは今回の条例改正でどのような形で生かされているのかを具体的に教えてください。

○町環境評価部長 まず、都心、副都心等の特定地域における高層建築物の規模要件の見直しにこれを反映しております。これらの地域におけます調査計画書の手続の省略につきましても、あわせて反映をいたしました。
 公聴会の内容充実と開催時期の工夫による見解書にかかわる都民聴取手続の効率化等の面にも適用いたしまして、こういう改善を行うことで、アセスメント本来の機能を損なうことなく手続期間の短縮を図ることといたしております。

○秋田委員 そもそも環境アセス制度とまちづくりというのは大変密接な関係があると思うのですが、まちづくりは先ほどの都市計画局に所管があるわけですが、どのようなまちづくりが、どのような環境影響を及ぼすのか、両者は一体不可分のものでなければならないと思います。
 特に、アセス対象とならない、百メートル未満、あるいは十万平米未満のビルの環境配慮はどのように担保されるのでしょうか。対象規模を際どく下回るようなビルが多いと聞いておりますが、こういった点も含めて、今回改正の中で、まちづくりとの関係をどう図っていくのかを教えていただければと思います。

○町環境評価部長 アセスメント制度とまちづくりのための諸制度、とりわけ都市計画制度との関係が密接不可分であることはご指摘のとおりだと思います。
 従来、都市計画案の公表に合わせてアセスメント手続を開始しておりましたが、今回の改正によりまして、都市計画案の手続に先行してアセスメント手続を開始できるようにいたします。これによりまして、早い段階で事業内容が明らかになるとともに、環境に配慮したまちづくりが早期に着手され、事業の着実な推進が可能になると考えております。
 また、今回の改正によりまして、アセスメントの対象外となる高層建築物でありましても、電波障害、日影、風害等については、都市計画諸制度、中高層建築物紛争予防条例等の手続において、環境への配慮が指導されてまいります。
 同様に、環境確保条例に基づき、工事中の騒音・振動等についても、規制指導を適切に行ってまいります。

○秋田委員 よくわかりました。
 それでは最後に、今回の制度改正の趣旨を踏まえて、今後アセス制度の運用をどのようにしていくのかということをお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。

○赤星環境局長 今回改正の二本柱でございます計画段階環境影響評価制度の導入と事業段階環境影響評価手続の合理化、効率化の趣旨を踏まえまして、今後、アセスメント本来の趣旨を確保しつつ、良好な都市づくりが推進されますよう、着実な制度運用に全力を挙げてまいります。

○相川委員 できるだけ代表質問で行われました質問等に重複しない範囲で質問させていただきたいと思いますが、質問に入ります前に、この資料を見て大変驚いたのですが、7の評価書案に対する意見書数上位二十件に、私の地元の八王子が十件入っていまして、それだけ八王子市民の問題意識が高いのかなということもありますけれども、それだけ市民にとって迷惑なものが八王子に大変多くつくられている。特に、十件のうちの四件が砂利の採掘場なんですね。つまり、八王子市民というのは、都内の土木建設事業に多大な貢献をしている。裏返すと、非常に迷惑をこうむっている。こういうことがいえるのかなと思って、愕然としたわけであります。
 じゃ、質問に入らせていただきます。
 今回提案されています計画段階アセスメントでは、道路や鉄道整備などの個別計画に加えまして、新たに広域複合開発計画という考え方を導入していますけれども、まずこの広域複合開発計画の定義というようなものを伺いたいと思います。

○町環境評価部長 広域複合開発計画につきましては、条例案では、規則で定める面積以上の地域において、複数の事業について実施を予定し、その実施が複合的かつ累積的に環境に著しい影響を及ぼすおそれのある開発計画であって、対象地域、規模その他規則で定める基本的な事項を定める計画と定義しておりまして、この規則で定める面積につきましては、三十ヘクタール以上を予定しております。

○相川委員 今の説明ですと、計画アセスの対象となる広域複合開発計画というのは、その規模要件を三十ヘクタール以上としているということなんですが、提供されました資料の5によりますと、多摩ニュータウン開発とか臨海副都心開発、さらに豊洲・晴海開発整備計画がこれに当たる主な事例として掲げられていますが、今後、計画アセスの対象になり得る広域複合開発というのはどのようなものが考えられるんでしょうか、お答え願います。

○町環境評価部長 広域複合開発計画は、大規模な開発事業によります複合的、累積的環境影響に対応するため、制度化をするものでございまして、今後、秋留台開発計画が見直される場合などには、適用になるものと考えております。

○相川委員 昨年の十月に東京都の都市計画局が策定しました豊洲一、二、三丁目まちづくり方針というのがありますけれども、これは約六十ヘクタールの対象地域について、開発コンセプトや土地利用の方針、居住と就業の人口フレームなどが定められているわけですけれども、この開発計画というのは、今後計画アセスの対象にはならないんでしょうか。

○町環境評価部長 お話のありますまちづくり方針につきましては、現在、構想段階のものでございまして、計画アセスメントを進める上で必要な容積率等の諸元がいまだ定まっておりません。こういうことで計画段階アセスメントの対象にはなりません。

○相川委員 私は、対象となる広域開発計画の基準を明確にした上で、東京都が関与する計画の多くが計画アセスの対象になるように努めるべきだというふうに考えておりますので、これをちょっとご指摘を申し上げておきます。
 さて、今回の改正によりまして、見解書の後に実施される説明会と都民、区長等の意見が省略されているわけですけれども、まず、この手続を省略した理由について、改めて伺いたいと思います。

○町環境評価部長 現行の公聴会を、環境影響評価審議会委員も参加する都民の意見を聞く会という形で、その内容を充実しつつ、開催時期については、見解書が提出された後、手続全体をまとめて開催するという工夫を凝らしております。
 見解書に対する都民意見が、これまで多数の意見が提出されたケースにおきましても、その圧倒的大部分が評価書案に対する意見と同趣旨でありますために、今回見直しをするものでございます。

○相川委員 条例改正の目的の一つに、これは代表質問の中でもお答えが何回もありましたけれども、手続の合理化というものを盛んにいっておられました。これまでも見解書の説明会というのは、見解書の公示縦覧期間中に行っていたわけですから、そういうことを考えますと、改正後においても、説明会を行うことで手続期間がさらに延びるということは、単純に考えますと、ないんじゃないかと思うんです。むしろ都民への説明責任を果たすという観点からは、説明会だけでも実施すべきではないかと思うわけですけれども、いかがでしょうか。

○町環境評価部長 先ほど申し上げましたように、これまでの制度運営の実績から、公聴会機能の内容を充実いたしまして、都民が意見を述べる機会を確保しつつ、手続の合理化、効率化を図る工夫をしたものでございます。
 なお、見解書につきましては、従来どおり公示縦覧を行うとともに、インターネット等の電子媒体を活用するなど、都民周知の充実を図ってまいります。

○相川委員 重ねて申し上げておきますけれども、私どもの代表質問に対しまして、今のお答えもそうでしたけれども、インターネット等の電子媒体を活用することによって、都民意見の募集等の充実というようなお答えが何回もありましたけれども、この点につきましては、さらに一層の充実を求めておきたいと思います。
 また、先ほどの部長答弁で、従来の公聴会を、都民の意見を聞く会というふうに名称を変えまして、環境影響評価審議会委員等も参加をさせるという旨の説明があったわけですが、条文によりますと、知事が必要あると認めたときということになっていますけれども、必要があると認めたときというのは、どういうときなのか。それからまた、審議会委員を参加させることによって、どういうような効果が期待できるのかを伺いたいと思います。

○町環境評価部長 必要があると認めたときというお尋ねでございますが、都民の関心が高い事業にかかわります案件につきましては、基本的に審議会委員の参加を求めていきたいと考えております。
 また、大気、騒音、水質といった各環境分野の専門家が、直接都民の意見を聞くことによりまして、審議会における審議に生かされていくと考えております。

○相川委員 その点につきましては、一層の充実を図るべきだというふうに申し上げておきたいと思います。
 今回の改正では、高層建築物の規模要件について、特定の地域に限定しているといいながら、現行の百メートル以上というのを、いきなり百八十メートルを超えるものというふうに変更しようとしているわけですが、百メートルを百八十メートルにするというのは、どういう根拠で行ったのか、この辺につきまして回答を願いたいと思います。

○町環境評価部長 高層建築物の規模の見直しでございますけれども、アセスメント制度が発足いたしました二十年前と比較いたしまして、高層建築物が大幅に増加をいたしております。
 また、都心等の特定の地域の土地利用の実態と、過去二十年間の実績から得られました知見並びに最近のIT化対応ビルの各階の階高が高くなってきている。これは約二〇%程度ふえてきておりますけれども、こういうことへの配慮などを総合的に勘案いたしまして決定したものでございます。

○相川委員 ちょっと根拠としてよくわからないのですけれども、百八十メートルのビルを、私は建てるんじゃないといっているのではなくて、建てるのはいいんですけれども、環境配慮を十分に行ってほしいということを、誤解がないようにここで申し上げておきたいと思います。
 それから、特定の地域に限ってということなんですけれども、副都心に指定されている地域の中にも、百メートル以上の建築物がないような地域が実はあるわけですね。特に、特定の地域の周辺、縁辺部に暮らしている人たちというのは、アセスの手続がない中で、ある日突然、百八十メートルの建物が目の前に建っちゃうということが考えられるわけですよね。そういう場合に、環境面でどのように配慮をしていくのかということをちょっとお伺いしたいと思います。

○町環境評価部長 環境アセスメントの対象外となる高層建築物でありましても、またアセスメント制度の適用にかかわらず、電波障害、日影、風害等につきましては、都市計画の諸制度、中高層建築物紛争予防条例等の手続におきまして、引き続き環境への配慮が指導されます。
 同様に、環境確保条例に基づきまして、工事中の騒音・振動等について、適切に規制指導を行ってまいります。

○相川委員 今のご答弁にもありましたけれども、建築紛争予防条例というのは、私はこの間、幾つもそういうものを見てまいりまして、残念ながらほとんど機能してないんじゃないかということで、余りこの条例には、個人的にはもう全く期待をしてないということをちょっと申し上げておきたいと思うんです。
 最後に、これは局長答弁をいただきたいんですが、特定地域の一つとして、都市再生特別措置法に基づく都市再生緊急整備地域も含まれるとしているわけですが、今後、二次、三次の指定が拡大するというふうにも聞いているわけで、そうしたところの周辺地域の環境がさらに悪化してしまうということが大変懸念されるわけですね。超高層ビルについては、これまでもアセスが形骸化しているんじゃないかというふうに、一般の都民の中ではいわれておりますし、アセスを仮にやっても、計画変更が見込まれないということで、特に形骸化しているという面が多分あると思うんですね。
 そういう部分に関していえば、計画アセスを導入すれば、結果は多少違ってくるのかなという期待を少し抱いているわけですけれども、先ほどの秋田議員の質問にもありましたけれども、いうまでもなく、環境アセス制度と都市計画制度というのは密接な関係があるわけですし、また、これも繰り返すようですが、中高層紛争予防条例にかかってくる紛争件数というのは、毎年百件前後もあるというような実態も踏まえれば、事業計画自体の変更も含めて、アセスと都市計画とのより緊密な一体的運用を図りながら、環境に配慮したまちづくりを推進すべきものだというふうに思っております。
 この点について局長の見解を伺って、質問を終わりたいと思います。

○赤星環境局長 まず、今回改正の柱でございますけれども、一つは、全国で初めて、計画段階からのアセスを導入したということでございますし、いま一つは、これまでの運用から得られました知見を生かしまして、先ほど来部長が申し上げておりますように、制度の趣旨を損なうことなく、改善が可能な部分につきまして積極的に見直し、合理的、効率的な制度となるよう、さまざまな工夫を凝らしたことでございます。
 しかし、今ご提案がございましたように、我々も今回の改正、こういう趣旨を踏まえまして、制度の的確な運用に努めて、都市機能の高度化と都市の居住環境の向上を踏まえました--都市再生での目的が二つございます。一つは都市機能の高度化ということと、都市の居住環境の向上、我々その二つが必要だと思っております。
 我々はこれらにつきましても、知事が議会でもご答弁申し上げましたけれども、東京都の環境基本計画をしっかりと踏まえまして、環境に配慮した都市づくりを進めていきたいと思っております。もちろん、環境と都市計画とは、これからも一層連携を深めていきたいと思っております。

○大木田委員 私からも具体的に質問をしてまいりたいと思いますが、まず今回のアセス条例の改正については、二十年ぶりの大改正ということで、手続の効率化といいますか、簡素化といいますか、今までの経験を踏まえて、こういう内容になってきているということと、それからビルアセスですね、二十年のさまざまな集積や知見がありますので、そういうことを踏まえて、ビルアセスの内容の見直しをしているということにおいて、私は基本的に評価をしている立場であります。
 そういう中で、今回、六月二十六日が議会の最終日ですから、これが終わって七月からこれを施行するということにしたわけですけれども、これについてはどういう意味があるのか、伺います。

○町環境評価部長 施行時期のお尋ねでございますけれども、都市再生特別措置法が本年三月に制定されまして、六月に施行されました。同法に基づきます民間事業者の都市計画提案は、法律で六カ月以内に処理されることになりました。さらに、都市再生緊急整備地域が、七月には指定される見込みとなっております。
 この都市計画提案のアセスメントを都市計画手続に先行して実施しなければ、アセスメント手続が都市計画手続の後になる可能性が大きいこと、また、二十年の知見による合理化、効率化の効果を速やかに適用していくことが望ましい、こういうことから、事業段階環境アセスメントにかかわります部分については、交付の日からの施行としたものでございます。

○大木田委員 私は、今、都市再生のときでありますから、七月からの施行というのは大変結構だと思っているわけでありますけれども、施行するにはあわせて規則があるわけですね。
 先ほどの資料の中でも、規則の主な骨子は出ておりますけれども、それじゃ施行に当たって、事業アセスは七月からということになっていますから、そうなりますと、規則はいつ最終決定をするのか。もう六月二十六日に議会が終わります。規則は議会にかけないで決めることができるわけですけれども、七月一日に発表するのか。そういうことであれば、これとあわせて出してほしかったなと思いますけれども、規則はいつ決定するのか、伺います。

○町環境評価部長 規則は、議決されました条例の施行に必要な細目を定めるものでございまして、今回の規則につきましても、議決をいただいた後、決定する予定でございます。

○大木田委員 一緒にあわせて発表しても別に何ら問題はないわけでありまして、これが七月中旬なら中旬になれば、それに間に合うように決定するということなんですか、規則は。

○町環境評価部長 再度のお尋ねでございます。
 条例の施行を七月上旬というふうに考えておりますが、それに間に合いますように手続を進めまして、議決後速やかに決定して公表していきたい、こう考えております。

○大木田委員 今度は計画アセスについて、特に技術指針の内容が変わってくるわけですね。今回もビルアセスは二十カ月から九カ月になったわけですよね。その内容になりますと、やはり技術指針のところも影響が出てくるのかなと思いますけれども、計画アセスは来年の一月までに技術指針の内容を決めるということになっております。先ほど規則の方は、かなり骨子が資料の中にもありましたけれども、技術指針の改定のポイントはどういうことになるんでしょうか。

○町環境評価部長 技術指針の改正は大きく二つございまして、まず一点目は、七月の事業アセスメントの施行にあわせてやるものでございますが、この段階におきましては、従来、環境予測評価項目の名称で、整理統合が必要だというようなものも出てきております。例えば騒音と振動というものを別の項目でやっておりましたけれども、騒音と振動は表裏一体というような関係もございますので、そういう面の見直しを当面、限定的にやっていこうというふうに考えております。
 それから、事業アセスメントの施行へ向けましては、これは来年の一月の施行を予定しておりますけれども、計画段階と事業段階を一体とした制度として、今回、再構築を目指しておりますので、技術指針もそういうことに対応できるような形にしていきたいというふうに考えております。
 それから、新たな知見も出てきておりますので、そういうものもできる限り吸収をしていきたい、こういうことで考えておりまして、現在、種々検討を進めておりますが、まとまり次第、早期に公表をしてまいりたいというふうに考えております。
 あわせまして、今の環境アセスメントにおきましては、アセスメント手続が終わりますまで、事業の着手制限というのをやっておりますけれども、この点につきまして、解体工事の取り扱いについて、新たな見直しをしていこうということで、それにつきましても技術指針の中に盛り込んでいきたいというふうに考えております。

○大木田委員 解体工事のあれを技術指針の中に入れるということですけれども、解体についてはアセスの対象から外すということですか。

○町環境評価部長 現在、工事の着手制限につきましてお話し申し上げたわけですけれども、条例で対象事業にしておりますのは、高層ビルの新設という形で定義をしておりまして、対象事業にしておりまして、解体工事につきましては、土地の所有の移転があるような場合、もとの所有者の段階で解体をする場合は、もう対象にならないというような実情もございます。
 それで、条例の規定が高層ビルの新設という形になってございますので、工事の新設にかかわるような事例を除いては、基本的に解体は着手制限の対象から除外していこう、こういうふうな考え方で進めております。

○大木田委員 もう一回確認しておきますけれども、アセス手続にかかわらず、解体工事は始められる。新築工事がなければ解体工事はアセスの対象にならない、こういうことでしょうか。

○町環境評価部長 新設工事に該当するような、例えば具体的に申し上げますと、地下部の基礎工事部分を撤去するような場合は、新たな建物の新設を兼ねてやるというようなことが多いわけでございますけれども、そういうものを除きまして、解体工事については着手制限の対象から外すということでございます。

○大木田委員 今までビルアセスの場合は二十カ月かかったわけですね。大体費用が二億、三億という話を聞いておりまして、お金と時間が大変かかった。今回はそれを九カ月に短縮をする。今までこれだけの集積したデータがあるわけですから、私は大変結構だと思っております。
 ただ、その中において、民間の事業者が努力する部分と、それから都の方が努力する部分というのがまだはっきり見えないんですけれども、これはどういうことになりますでしょうか。

○町環境評価部長 どういう形の見直しになるかという形でございますが、今回の改正におきましては、調査計画書の手続におきます縦覧期間の短縮、あるいは見解書手続を見直したというようなこと。それから評価書案の手続では、見解書にかかわります意見聴取の手続の工夫、あるいはインターネットの活用などを行政側の方で進めてまいります。
 アセスメントに要します時間は、行政側が持っております期間と事業者側の方で作業される期間と両方ございますけれども、私どもの方では、今のような合理化あるいは能率化を図りまして、期間の短縮に努めていきます。
 その他の部分につきましては、事業者の方々にもご努力を願って、その結果、二十カ月を、特定地域の高層建築物につきましては九カ月程度に短縮が可能であるというふうに考えております。

○大木田委員 今回、特にビルアセスについていえば、特定地域を定めているわけであります。都心、七つの副都心、それから都市計画法に定める高層住居誘導地域、それから今七つの提案がされております都市再生特別措置法に基づく都市再生緊急整備地域でありますけれども、今の案で見ますと、この二十年間に、いわゆる特定地域においては--全体でビルアセスは四十二件あったわけですね。特定地域に二十一件、その他の地域に二十一件ということですけれども、これはこれでよろしいでしょうか。

○町環境評価部長 四十二件の地域別の内訳についてのお尋ねでございますけれども、大木田理事がおっしゃいました二十一件といいますものは、都心、副都心、高層住居誘導地区の範囲での件数であろうかと思います。そのほか、それ以外の地域で、今回、緊急整備地域に指定される可能性が高いところで実施した案件が九件ございまして、合計三十件になろうかというふうに考えております。

○大木田委員 私が先ほど都市計画局のところで確認をしたんですけれども、いわゆる都心地域、それから新宿、渋谷、池袋、上野・浅草、錦糸町・亀戸、大崎、臨海という七つの副都心地域、それから高層住居誘導地域、それからいわゆる都市再生緊急整備地域ですけれども、ここの資料の一二ページのところに、その地域の大きさが出ております、この広がりが。ここは七つの都市整備緊急整備地区がまだこれからになります。ダブっているところもありますけれども、この地域で、例えばこの地域以外で、極めて隣接のところに、今後百八十メートル以上のビルを建てる可能性も、これは具体的には出てくると思いますけれども、そうなると、ちょっとした差で、対象になるところとならないところも出てくる。実際そういうことがあると思うんですが、その点はどうですか。

○町環境評価部長 特定の地域に隣接した地域の取り扱いについてのお話でございますけれども、今回指定を予定しておりますのは、先ほどお答えいたしましたとおり、都心、副都心等の地域でございますが、隣接する地域を含めまして、今後の取り扱いにつきましては、社会経済の動向や地域の実態を踏まえつつ、必要に応じて検討をしてまいります。

○大木田委員 規則を定めたときに、この規則では、特定地域ということでくくっちゃうとわかりませんので、私は、この地域の町名等の資料をぜひ欲しいと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 それから、それに関連して、今、白金マンションの予定地域の請願が出ておりますけれども、これはこの地域の中に入りますでしょうか。

○町環境評価部長 ただいまお話のありました特定の地域の町丁目のお話でございますが、まとまり次第、ご報告といいますか、お渡ししたいというふうに思います。
 それから、白金のマンションの予定地の問題でございますけれども、当該マンションの予定地は、特定の地域の、都心、副都心、高層住居誘導地区には入っておりません。詳細の確認はできておりませんが、都が提案しております都市再生緊急整備地域にも入っていないと考えられます。
 今申し上げました町丁目につきましては、規則でその旨定めてまいる予定にしておりますので、まとまり次第、ご説明をさせていただきます。

○大木田委員 この地域について、それ以外、副都心がない地域については、それぞれ区の中心の心しん、多摩の心しんもあるわけでありますけれども、都市再生緊急整備地域も、七つの地域が指定されるとは思いますが、これは十年の特別措置法でありますので、今後この広がりが出てくると思うんですね。
 そういうときに、その状況に応じて、特定地域に柔軟な対応をすべきであるというようなことが代表質問でも出ておりましたけれども、これについては今のところどんな考えでしょうか。

○町環境評価部長 先ほどもお答えいたしましたけれども、新たな地域の問題につきましては、社会経済の動向や地域の実態を踏まえつつ、必要に応じた検討をしてまいりたいと思います。

○大木田委員 先ほどから出ておりますけれども、今回の改正の一つの大きなポイントは、計画段階のアセスということでありますけれども、これは都の事業に関して今回計画アセスを行うということをいっているわけですけれども、これを具体的な都の事業で行って、大体いろんなことで見直しをするというような、あるいは一回総括といいますか、検証するというようなこともあると思いますが、三年ぐらいでやってみた検証をするかというようなことは考えているんでしょうか。五年ぐらいなんでしょうか。

○町環境評価部長 計画段階アセスメントは、我が国で初めて導入する制度でございまして、事例を積み重ねながら、時代の課題に柔軟に対応できるように、適時適切に見直しを図ってまいりたいと考えております。

○大木田委員 私、なぜこれを聞くかといいますと、複数案を持って計画アセスをやるということなんですね。都の事業については、私は、都の事業として初めての導入ですから、それをやるということはよく理解できるのですけれども、やがて今度は民間のこういう事業にもこれを広げるということが念頭にあるとすれば、やはり効率よく早くやるということについても--複数案ということが、まだ初めての経験なものですから、イメージとしてなかなか、これをやることによって、費用の面と時間の面で、計画段階でどういうことになってくるのか。それ自体が、逆にいろんな足かせになるんじゃないかという懸念もあるわけですね。したがって、私は、都の事業における計画アセスを複数案持って対応するということはいいと思いますけれども、これをある程度一定期間を検証して、民間にも広げるということについては、極めて慎重にすべきであるというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○町環境評価部長 計画段階アセスメントは、東京都の事業におきまして制度運用の実績を積み、どのような事業や計画に、どのような制度がふさわしいのか、研究をしてまいります。

○大木田委員 それから、計画段階アセスの手続と都市計画の手続の関係を具体的に説明してください。

○町環境評価部長 計画段階アセスメントは、計画を策定しようとする際、複数の案について、環境の観点から比較、検討を加えるもので、都市計画手続に先行して行われます。計画段階アセスメントの結果を受け選択された計画案が、事業段階アセスメントの対象になるわけでございますけれども、事業段階アセスメントも都市計画に先行して行われ、アセスメントの終了と都市計画決定が同時期になる、こういうシステムでございます。

○大木田委員 都市再生特別措置法は、十年の時限立法でありますけれども、都市再生に力を入れようということで、これができていますが、六カ月であらゆるものを排除してこれを進めるということと、このアセスの関係というのは、これはどういうふうな流れになるんですか。六カ月という、それとのアセスの関係はどうなりますでしょうか。

○町環境評価部長 都市再生関係の案件とアセス手続との関係でございますけれども、現在の環境影響評価条例におきましては、都市計画案件につきましては、環境アセスメントと都市計画の手続を並行して実施していくという形になってございます。
 ところが、今回、都市再生特別措置法におきます案件については、都市計画を六カ月以内で法律に基づいて処理をするという形になってまいりますので、今回条例を改正させていただきまして、スタートの同時着手というものを、環境アセスメントが事前にスタートを切れるようにしていく改正案となっております。したがいまして、六カ月以内にアセス手続を終えて、都市再生特別措置法に基づく案件の対応にも十全を期していきたい、こういう内容でございます。

○赤星環境局長 今、部長、ちょっと勘違い申し上げました。都市再生事業については、六カ月間で都市計画決定を終えなければなりませんので、それに先行してアセスを実施する。途中から並行する形になりますけれども、諸元がある程度固まりました段階で先に出していただく。都民にも情報を先に提案していく、こういう形になります。

○大木田委員 要するに、都市再生特別措置法は、あらゆる手続を排除して六カ月でそれができるようになるということで、これが具体的になれば、防衛庁移転跡地の、六本木から外れた赤坂のところについて、あそこは十一ヘクタールですけれども、あれは六カ月でやる場合は、前倒しでその三カ月前にアセスの手続に入って、最終的に重なって、要するに一気にかかれる、例えば具体的にはそういうことですね。わかりました。
 それで、私は一つ意見を申し上げておきたいんですけれども、東京都環境影響評価審議会の委員という方が決まっております。委員と専門員というのが決まっておりまして、名簿があるんですけれども、私は、東京都の審議会に、これは全体的にいつもいっているんですけれども、大学の教授の学者が多過ぎるんですね。
 学者の意見も大事ですけれども、もっと実態経験を踏まえた関係の代表の人も、こういう審議会、これはアセスの審議会だけではなくて、要するに、そういう関係者も入れた方が--やはり今、教授が考えている以上に世の中の変化は激しいんですね、実態が。だから、ほかの審議会でもいつもいっているのですけれども、いろんな実態を把握している、そういう現場感覚を持った人を、こういう委員に今後検討すべきであると思いますが、いかがでしょうか。

○町環境評価部長 環境影響評価審議会の性格をちょっとご説明させていただきたいと思いますが、これまで二百件以上の案件を処理してきたというふうに申し上げましたけれども、環境影響評価審議会は、個々の案件の環境影響評価の内容が適切に実施されているかどうかということを、各環境の専門項目ごとに審査をいただくということを主たる任務にしていただいておりまして、そういう点から、学識経験者、各環境行政の専門家が多い、こういうような形になっておりますので、ご理解をいただきたいと存じます。

○大木田委員 理解はしているんですけれども、いろんな角度から、いろいろ検討をしていくべきだということを申し上げておきます。
 それから、今回改正をするわけでありますけれども、非常に社会の変化が激しいわけですね。したがって、私は、今回二十一年ぶり、二十年を超えた大改正でありますけれども、五年ないし十年の期間の中で、定期的な見直しをして、よければ改正しないでいいわけですけれども、私は社会の変化に合ったこういう見直しをしていくべきである、こう考えておりますけれども、いかがでしょうか。

○町環境評価部長 今回の制度改正は、計画段階アセスメントの導入とともに、これまでの知見を活用し、制度の趣旨を損なうことなく、制度の合理化、効率化を図るものでございます。どういう制度でありましても、時代の変化に合わせた不断の見直しを行わなければならないというふうに考えております。
 新しい時代にふさわしい良好な都市環境を形成していくためには、都市づくりに環境配慮の視点を確実に組み込んでいくとともに、時代の課題に柔軟に対応できる制度となるよう、今後適宜見直しを図ってまいります。

○大木田委員 それでは、最後でありますので、局長に一言あれして、議事進行に協力をしていきたい、こう思っております。
 良好な環境を確保するということは当然でありますし、アセスも、アセス病という言葉があるかどうか、私もいろいろと聞いていますけれども、万能薬ではないわけです。したがって、都市計画制度と連携して、本当に、代表質問で石原知事もいっておりましたけれども、環境と都市の発展というものが調和のとれた--だから、高層化をすることが何か環境破壊をするということではなくして、全くそれは違うんでありまして、高層化することによって緑がいっぱい周辺にふえることによって、都市の環境はさらによくなるわけですね。この空間をどう活用するかということが、これからの大きな特色でありますから、何か高くなるというと、周辺に影響だけが大きいみたいな……。しかし、耐震性を含めた高層化によって、世界都市にふさわしい東京のまちづくり、しかも、それによって緑がふえて環境がよくなる、こういう総合的なまちづくりが、これからの視点でなければならない、こう思っているわけであります。
 したがって、都市の発展と、それから環境のさらなる豊かさを求める新しい展開に、今、二十一世紀に入って、東京は入っていると思いますので、そうした意味で、総合的なまちづくりということを踏まえて、今後条例の改正も含めて取り組んでほしい、こう思いますけれども、局長の考えを伺います。

○赤星環境局長 ご指摘のとおり、東京の良好な環境を確保していくためには、その良好な環境という中には、環境の保全というようなものと、それから環境の新しい創造というものがあるだろうと思います。こういう視点から、良好な環境を確保していくためには、環境アセスメント制度だけではなく、やはり都市計画制度とも連携しながら進めていくことが重要でございます。我々としては環境に配慮した都市づくりに今後とも一層努めてまいります。

○藤川委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分程度休憩いたします。
   午後二時五十一分休憩

   午後三時二分開議

○相川副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行します。
 発言を願います。

○かち委員 引き続き環境影響評価条例の改正案について質問いたします。
 東京の大気汚染は、いうまでもなく、NO2でも、SPMでも、自動車排ガスなどなど、すべての指標で全国ワーストテンの半分を占めるという実態からしても、最悪な事態であるということは、だれが見ても明らかなところです。これ以上の環境汚染をどう食いとめていくか、保全を図っていくかというのが、今日の環境政策の課題となっているわけです。
 そういう意味では、環境局は挙げて取り組んできている今日ですけれども、その一方で、都市再生緊急整備地域指定などという動きがあり、また都市計画法の規制緩和がどんどん進み、単に高いというだけではなくて、総合設計だとか、特定街区だとか、高度利用だとか、そういう名目のもとに、本来なら到底建たないような建物が、何百%、一〇〇〇%近い割合で、どんどん高いビル、ボリュームの大きなビルが建っていく、こういう状況があるわけです。
 こういう中では、近隣住民の環境を守るというだけではなくて、ひいては東京のヒートアイランド、地球温暖化をどう食いとめていくかという点では、本当に日本国民全体の共有すべき保全課題だというふうに思っております。
 こういう中で、今回、環境影響評価条例の改正案が提案されました。今回の改正案は、計画段階の環境配慮書と、それから事業段階の二段に分けての条例制定ということになりますが、計画段階の影響評価、これはやるべきだということで、もう既に九年前から試行や検討が繰り返され、そしてことし四月に審議会からの答申も出されてきたわけです。私としても、計画段階からのアセスが、本当に環境保全の立場から実効性のあるものになるならばということで、大変期待を持って今度の条例改正案を読ませていただいたところですけれども、この改正案を読む限り、これまでの審議会や試行審査会の答申に提言されていた内容、期待というようなものからは、はるかに後退をしているのではないか。今までの環境政策とは随分後退をしているのではないか、そういう感じを率直に受けました。
 そこで、改めて伺いますけれども、環境局としての環境影響評価制度に対する基本的な認識を伺います。今日でも従来とは方向を変えていないんだといえるのかどうか、その点も含めてお聞きします。

○町環境評価部長 環境影響評価制度に対する認識ということでございますけれども、環境影響評価制度は、今回改正をお願いしております内容でございますが、計画の策定及び事業の実施に際し、公害の防止、自然環境及び歴史的環境の保全、景観の保持等について、適正な環境配慮がなされることを期していくというものでございまして、従来の環境アセスメントに対する姿勢といささかの変更もございません。

○かち委員 変更はないということでしたので、それでは本条例について何点か伺っていきます。
 私は前段の計画アセスの部分を中心にお伺いします。
 まず対象規模ですけれども、現行条例の対象事業の二倍の事業、あるいは広域複合開発については三十ヘクタール、先ほども質疑がありましたけれども、それぞれの根拠というのをお伺いします。

○町環境評価部長 計画段階環境アセスメントの対象規模でございますけれども、個別計画につきましては、複数案作成の可能性、それから事業によります環境影響の大きさ等を考慮いたしまして、原則として現行対象規模の二倍程度の計画を対象といたしました。
 また、広域複合開発計画につきましては、従来、百ヘクタールという議論の時期もございましたけれども、これまで計画されてきた東京都及び民間等の広域複合開発計画に相当する開発事例の検討及び審議会からの答申を踏まえまして、複合的、累積的環境影響を把握する上で適切と思われる規模として、三十ヘクタールと設定をした次第でございます。

○かち委員 それぞれについてはまた後ほど聞きますけれども、本改正案は本年四月の審議会答申を踏襲してきているということを聞いています。この答申の中で取り入れられなかったものは何でしょうか。

○町環境評価部長 十四年四月に環境影響評価審議会からいただきました答申につきましては、基本的に改正条例案の中に取り込んでおります。
 ただし、計画段階アセスメントの対象規模未満の計画で、事業者の希望があった場合の取り扱い、それから、民間事業者の希望があった場合の取り扱いにつきましては、全国で初めての制度導入ということでございまして、都として知見を積み重ねる必要があるため、制度化を見送りました。

○かち委員 確かに答申では、基準の規模に満たない部分も柔軟に、道路では今まで事業アセスでは一キロということであれば、二キロに満たなくても、それは柔軟に対応した方がいいという中身でしたし、それから、答申でも、試行段階の意見でも、民間も対象にした内容にすべきだという中身があったと思うんですね。
 条例改正案を見ていると、非常に私、読みにくかったんですけれども、確かに除外項目が非常に多いんですよね。何を想定しているのかなというのがわかりにくい。これは答申の中にもありましたけれども、民間の場合は多様な選択ができるようにというふうな中身もあって、そういう場合は、場合はということで、いろいろ出ているのかなというふうにも読み取れましたけれども、そういう意味では、今は広域複合開発三十ヘクタール、そういうことで、先ほどの質疑では、対象になるのはあきる野台地の見直しがあればというようなことでありまして、まだ初めての導入だから、都がこれから研さんを積んでいった後に、民間にということも考えるということなんですけれども、あきる野は本当にいつそれが具体化するのかという見通しも、今ではほとんど見通しがないわけですよね、いつできるのか。
 そういう意味では、条例はつくったけれども、それが具体化されないまま経過してしまうのではないかなと。その一方では、民間開発のラッシュというか、そういうのはもうどんどん大規模に進んでいくわけですよね。そういうところに対して、歯どめというのではないですけれども、きちんとしたアセス、情報公開、住民参加、そういうものが保障されなければ、そちらだけが一方的に進んでしまうのではないか、そういう危惧を抱いているわけです。
 そういう意味では、私は先ほどのやりとりを聞いていても、東京都としては検討を重ねて、知見を積み重ねていくというようなことで、将来どういう時点で民間にも適用するように考えていくのか、そういうことについてのお答えがなかったんですけれども、その点については、見通しというものは全く持っていないのでしょうか。

○町環境評価部長 計画段階アセスにつきましての民間への適用の時期の問題でございますけれども、先ほど来お答えをしておりますように、全国で初めての制度導入ということでございまして、東京都の事業を対象にきちんとした蓄積をした上で、どのような計画、どのような制度がふさわしいのか、その段階で研究してまいりたいと思います。

○かち委員 いつ民間にも適用するかという見通しは、まだ今の段階では持っていないというように受けとめましたけれども、私は、きちんとした計画アセスと事業アセスということであれば、本当にすぐにも民間にも適用していくべきだというふうに考えております。しかし、このような条例の中身であれば、むしろ危険な側面が私は危惧されます。後ほどまたそれはお聞きしますけれども、そういう状況にあります。
 先ほど、基準に満たない場合は、東京都の場合は現行の対象の二倍というふうにいわれましたけれども、二倍に満たない、例えば道路、試行でやりました放射五号線ですね、あれは三鷹の路線と合わせて一・八キロメートルでした。このように二キロには満たない、けれども、限りなく近い、そういうような対象事業に対しては、やっぱり適用すべきではないか。道路というのは延長していくわけですからね、十メートル足りないからやらないとか、そういうことではなく、やはりその辺を柔軟に考えるべきではないかというふうに思いますけれども、いかがですか。

○町環境評価部長 規模未満の事案に対する取り扱いのお尋ねでございます。今放射五号線の事例でお話がございましたけれども、現在、二倍以上を原則ということで考えてございまして、二倍以上の事例の経験を積み重ねながら、その上で考えていきたいというふうに思います。
 それから、先ほどのご質問の過程で、計画段階アセスについて、適用の可能性というか、事例がないんではないかというような趣旨のお話がございましたけれども、我々としては、計画段階アセスにおきます適用の事例というものは出てまいるというふうに考えております。

○かち委員 そういわれれば、具体的にはどういうことが対象になるのかなというのが聞きたいわけですよ。でも、先ほど聞いたら秋留台の見直しぐらいしか挙がっていなかったから、今の段階では、ないとしかいえないんじゃないかなというふうに思うわけです。
 それで、今お答えいただきましたけれども、規則にいろいろな規模が書いてありますね。この規則が平成十一年の三月に改定されましたね。改定されたのは、国の環境影響評価法ができたことに準じて東京都の規則も改定されました。これは、よく見ますと、東京都の基準よりもより厳しいというか、より緩和ではない方向なんですよね。
 例えば道路でいいますと、東京の基準は長さが一キロ以上のものというふうになっていました。しかし、十一年三月の時点では、改築する区間の長さ一キロメートル以上のもの、ただし、改築する区間の長さが一キロメートル未満でも、対象事業の一部または延長として実施するものは対象とすると、以下同じような書き方で少しずつ厳しくなっていますよね。そのことを確認したいんですけど、いかがですか。

○町環境評価部長 今お話のございました道路の例につきましては、そのとおりでございます。
 そのほかの要素で規模の見直しをしているところもございますけれども、これはその時期に国のアセス法が施行になりまして、アセス法で定めている規模との調整をするという面で、例えばダムの新築の例で申し上げますと、湛水面積が百ヘクタール以上のものというのが従来の都の規則に定めていた規模でございますけれども、法アセスの方で七十五ヘクタールまでのものは第二種の事業として扱うというような形になりましたので、そういう関係で規模の見直しをした点もあわせてございます。

○かち委員 確認されました。そうしますと、今度条例改正になって、計画アセスの対象は現行の規則に定める基準の二倍のものといわれるわけですよね。そうしたら、現行の規則をそこに照らせば、二キロに満たなくても、対象事業の一部または延長として実施するものは対象とするというふうになります。そうすれば、二キロに満たない、一・九とか一・八とか、そういう長さでも計画アセスの対象になるのではありませんか。

○町環境評価部長 ただいま原則として二倍ということでご説明させていただいておりますのは、基本的な考え方としてお話をさせていただいているということでございまして、具体的には、今後計画段階アセスの施行を来年一月予定しておりますけれども、施行へ向けまして整理をした上で公表をしてまいります。

○かち委員 そういうあいまいなご答弁ですけれども、だって、条例で二倍とするということであって、現行の二倍ならば、それを横移しになるではありませんか。それでやっていただかないと困りますよね。
 だから、規則というのは都民の目の見えないところでいつの間にか変わる、そういうところがあるので困るんですが、この際ですので、確認をさせていただきたいんです。道路延長は続いていくものですから、多少少なくたって、それはやるべきだ。国だっていっているんですから、それは計画アセスでも同様に考えるべきではありませんか。

○町環境評価部長 ただいま現行の規則の例外事項との関係でのお話がありましたけれども、一月へ向けた検討をしていく中で、道路等について二倍を基本に、道路については二キロという形で規則を策定していきたいと考えております。

○かち委員 何か聞いていると、二キロ以下はやらないというふうに聞こえますけれども、それでは書いていることとやろうとすることが違いますので、ちゃんとそれは条例に書いてあるとおりにやってもらわないと困ることなので、ぜひそのところはきちんとやっていただきたいと思います。
 それで、先ほど広域複合開発の問題がありましたけれども、広域複合開発というのは三十ヘクタール以上ということで、なかなかこれ、都心の中で--先ほど豊洲一、二丁目のお話がありました。これは六十ヘクタールということですけれども、今後出てくる可能性はありますけれども、私は、東京二十三区の都心の中で、広域複合、また、累積的影響とかいうことを考えれば、広さよりもその密度、そして、多様な建物、建造物、そういうもの、それから、そこに集中する自動車交通、鉄道とか、道路とか、いろいろなものをつくるわけですよね。
 例えば、私たち、委員会で見に行きましたけれども、汐留の開発だとか、六本木ヒルズだとか、そういうものがイメージとして、こういうものこそやるべきだと思うんですよね。単に区画整理のように広いところを平らに画一的な工作をするのではなくて、一定の広さの中で多角的な構造の開発をしていくというのが、今都心でこれからやられようとしているところなんですよね。そういう意味では、こういうものも、今すぐとはいわなくても、将来検討すべきではないか。だから、三十ヘクタール以下でも、こういうものについては検討すべきではないかと思いますけど、いかがですか。

○町環境評価部長 先ほど二倍をめぐった話で、条例あるいは答申に書いてあるというような趣旨のお話がありましたけれども、答申の中では、規模の設定に関しては、環境影響の大きさ、それから、複数案作成の可能性、これを考慮して二倍というような形になっておりますので、そういう趣旨でご理解を賜りたいと思います。
 それから、広域複合開発計画の先行きの適用でございますけれども、三十ヘクタール以上の事例で知見を積み重ねてまいりたいと考えております。

○長谷川総務部長 計画段階アセスにかける予定の道路の延長の規模の話ですけれども、あくまでも条例というのは今の事業段階アセスの規模を決めているだけであって、計画段階アセスの規模については、答申にありましたように、おおむね二倍を原則として定めるという形で、私どもは二キロというように予定しております。

○かち委員 おおむね二キロといえば、二キロ前後ということも考えられるということでいっておきます。
 それで、計画段階の複数案の提案という問題がありました--ありましたじゃなくて、本会議でもそういうゼロオプションも含めるべきではないかというような質問もありました。これについてはなかなか難しい。今の日本の制度の中でこれをすぐに実現するのは難しいとは思うんですけれども、ゼロオプションも入れて考えるという広い選択肢というものは考えられないのでしょうか。

○町環境評価部長 ゼロオプションにつきましては、何もしないという形の案になるわけでございますが、これを提案の中に義務づけるということになりますと、環境アセスメント制度によりまして事業実施自体の是非を問う制度という形になります。環境面からの比較考量をしようという制度の趣旨には合いませんので、導入は予定をしておりません。

○かち委員 しかしながら、先進的な取り組みとしては、そういうものも入れて検討しているという外国の例とかもありますので、ぜひそういうものは前向きに検討すべきだと思うんですね。
 今すぐ取り入れるのは難しいということもありますけれども、昨年十月に、国の道路計画合意形成研究会というところ、座長は磯部力、都立大法学部の教授が座長になって国の道路計画に対する提言をされています。この中には、現実的な代替案との比較によって検証されることが必要である、道路を整備しないという案も含めてそういうことが必要であるというふうに提言しています。国の流れということもありますので、将来的にはこういうこともぜひ考えていっていただきたいと思います。
 次に、環境配慮書の作成がありました。第二章の一節、十一条。この中に、配慮書の作成に当たっては、社会的、経済的視点を踏まえて採用可能なものということで作成をしなさいというふうに書いてあるんですけれども、こういう視点というのは、本来もっと選択肢があるはずなのに、経済的な視点からそれを落としてしまうというようなことも出てくると思うんですね。選択の段階では、それを考慮して選択すればいいんですけれども、最初から、複数案として出すときにそれがもう排除されるというのは違うのではないかというふうに考えますけれども、局としての見解はいかがですか。

○町環境評価部長 計画段階アセスメントの対象になります複数案につきましては、採用可能なものとして作成をしていただくということでございまして、その中には事業者あるいは計画者の社会経済的な要素は当然入ってしかるべきものだというふうに考えます。

○かち委員 放射五号線のときには三つの案しか選択肢がなかったわけですけれども、あの中には、地下化だとか、半地下だとか、何もしないというのも含めて、もっともっと選択肢があるではないかという声も随分出されました。そういうのが最初から提示されなければ、住民の意見として出しようもない、選択もされないということですので、すべての選択肢を提示して、それで何を選ぶかというものを決めればいいのであって、私は、評価の段階では環境だけを中心にやるという考え方は逆ではないかなというふうに思います。
 それでは、次に、具体的な計画アセスの流れについて、なかなかわかりにくいので、ちょっと表をつくってみました。(パネルを示す)免除条項が非常に幾つもあるんですよね。例えば第十一条の二項では、計画段階で調査計画書をつくれば、事業段階での調査計画書が評価書案まで飛ぶことができます。これですね。ここまでやってあれば、調査計画はやらなくて、ここまで行っていいよという中身があったり、また、第四節の二十九条では、特例環境配慮書の申請をすれば、事業段階のアセスをほとんどしなくて、評価書まで行くことができる。だから、計画段階で事業段階並みの--ここまでのことをやってあれば、事業段階のアセスをしなくても、特例の配慮書ということで、ここまで行く。ここまで行くということは物すごい超特急だと思うんですね。
 私は、知見を積み重ねて使える資料は使う、それは本当に異議のないところなんですけれども、本来こういう一つ一つの節目で、都民や関係自治体の長の意見書だとか、縦覧だとか、そういうものを省略してしまうということは、つくる側ではなくて、つくることによって影響を受ける側にとって大変マイナスな状況を生み出すのではないかというふうに思うんです。なぜこういうことが可能になるんでしょうか。
 特にこの特例環境配慮書というのは、判断基準は何なのか。何をもってこういうことができるのか。どういう対象なのか、教えてください。

○町環境評価部長 特例環境配慮書についてでございますけれども、今の絵にもございましたが、これは事業者が計画段階アセスメントにおきまして、複数案ごとに、本来事業段階の環境評価書案で実施すべき内容まで含めた予測評価を行った環境配慮書を作成した場合に限ってのシステムでございまして、その特例環境配慮書を作成したケースにおきましては、その手続におきまして免除申請を取り、それを審議会で適切に審査し、かつ、住民の方にもその特例環境配慮書である旨を周知した上で手続を進めていくということでございまして、したがいまして、改めて評価書案を作成する必要はないということでございます。

○かち委員 今の特例環境配慮書の作成対象となり得る事業者というのは、規則の中でいろいろありますけれども、例えば高層建築物の申請、新築をやりたいと思う人だとか、建築の用に供する目的で行う都市の造成だとか、いろいろあると思うんですけど、そういう個別の事業をやりたいと思う方が、計画段階で複数の案を調査してあれば、それで知事がそれを認めればできるというふうに考えていいんですか。

○町環境評価部長 計画段階アセスメントの制度は東京都の事業を対象に導入するものでございまして、民間事業には適用はございません。

○かち委員 今はそうですよね。そういうふうに規定してあります。でも、こんなに詳しく、かなりのページを割いて特例許可制度というものを書いてあるということは、将来民間が使える状況を想定して書いているわけでしょう。そういうことがないんだったら別に構わないんですけれども、もしあるとしたら、そういう事業者がやりたいと思ったときにできるということでいいんですか。

○町環境評価部長 先ほど申し上げましたとおり、計画段階アセスメントは都の事業を対象にして導入するものでございます。ただし、都の事業でありましても、都民の方々に手続を明確にしておく必要がある、そういう趣旨の規定でございます。

○かち委員 お答えをいただけないんですけれども、その特例環境配慮書の作成の免除の場合ですね、事業者がその申請をするわけですけれども、その申請をしたときに、いろいろ審議会の意見なんかも考慮して知事が判断するわけですけれども、これは四十八条に規定する評価書案に相当する内容を記載したものというようなことであって、客観的にこれらがそろっていればいいんですよというようなことはないんですよね。相当するだとか、そういうことでは、これが将来的には独自に、一番最短距離の--複数案というのはあるけれども、複数案ができない理由を書けば単独でもいいみたいなものもあるし、非常にこれが悪用されるというか、ひとり歩きをする可能性を含んでいるのではないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

○町環境評価部長 今回の制度改正の一つの大きな柱は、計画段階と事業段階を一連一体のものとして再構築しようということもございまして、したがいまして、環境アセスメントの手続の過程、ステップの中で行われたものについては、それを有効に使えるようにしていこう。それの一つの形がこの特例の扱いでございます。

○かち委員 それはわかるんですけれども、例えば広域のものをやろうとするときに、時間的な経過もありますよね。計画そのものが十分熟していない段階で計画を複数案選んで、それで計画段階のアセスをやるわけですけれども、そういうものをやったとみなして事業アセスをすっぽり省略できるというようなことは絶対起こしてはならないと思うんですよ。そういう点の客観的なチェックというものができることが担保されていなければ、非常に危ない内容だなというのを非常に感じております。
 次に、今まで、公聴会の話もありましたけれども、公聴会というものがありましたけれども、今度は都民の意見を聞く会というふうになりまして、メンバーは審査委員も出席できるということで、内容的には一定の拡充をされたかなというふうにも思えるのですが、今までの公聴会ではなくて、なぜ都民の意見を聞く会になったのか。
 そして、都民の意見を聞く会に対応するように事業者の意見を聞く会というものがあって、そのことによって事業者は見解書も省かれるという流れになっているんですが、私は、複数案を出した段階で、いろいろ審査会の意見や自治体、区市町村や都民の意見を聞いた段階で、事業者はきちんと見解書を書くべきだと思うんですが、なぜそういうことが省かれていいというふうに判断されるのでしょうか。

○町環境評価部長 公聴会と都民の意見を聞く会に関するお尋ねですが、現行条例の公聴会は公述者の意見を聞く制度として設けております。
 都民の意見を聞く会につきましては、総合環境アセスメントの試行におきまして採用した制度でございますが、これでは審査会委員が公述者に質問ができるというようなシステムで運営をしまして、評価をいただいたところでございます。今回の改正条例では、こうした試行における成果を生かして、審議会委員も参加できるように充実を図っております。
 それから、見解書手続をなぜとらないのかというお話でございますけれども、計画段階アセスメントでは、見解書手続にかわるものとして、事業者の意見を聞く会を開催いたします。そして、その結果につきましては書面にまとめて公表していくということで、都民の方々にも十分その内容をごらんいただける形になってございます。

○かち委員 意見を聞いて書面にまとめるということですけれども、きちんとしたアセスの手順を踏まえれば、やはり私は見解書というものは入れるべきだというふうに思います。
 次に、先ほど規則の話もありましたけれども、今回の条例改正に当たって、本来だったら--ちょっと計画とは離れますけれども、高さが百メートルから百八十メートルだとか、住宅戸数が千から千五百でしたっけ、ふえるというような中身が、規則ということであるがゆえに、この委員会にもかけられない、ここで決定する事項にもならないということで進んだ形跡もあるんですよね。
 たまたま私たちは新聞報道から事実を知ったというか、規則も変えようとしているんだということを知ったわけですけれども、高さだとか、規模だとか、容積だとか、こういう問題を考えるときに、環境アセスにとっては非常に大きな問題になるんですよね。小さなものであれば--小さくないと思う。四十五メートルと五十メートルの違いとは違って、百メートルと百八十メートル。百八十メートルに五メートル足りなくたって、それはアセスの対象にならないということでは、関係住民、近隣住民、周辺の住民に対する影響というのは天と地ほど違ってくるわけですよね。
 そういう意味では、対象事業の規定というのは、規則で定めるのではなくて、条例化すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

○町環境評価部長 条例と規則の関係でございますけれども、条例の施行規則は条例を執行するために必要な事項を定めるものでございまして、環境影響評価条例では対象事業の種類を定めておりまして、その要件は施行規則に委任をされているところでございます。
 今回の条例改正に当たりましては、密接な関係のある高層建築物、住宅団地の規模など、施行規則で定める事項につきましても可能な限りお示しをさせていただいたつもりでございます。

○相川副委員長 ちょっと速記、とめてもらえますか。
   〔速記中止〕

○相川副委員長 速記、再開してください。

○かち委員 規則で、条例で定めてあるからこうなんだというお話なんですけれども、私が先ほどいいましたように、この規模要件というのは、アセスという条例の中では大変重い位置づけになっていると、今回の状況を見ても感ずるわけですよね。そういう意味では、こういう規模要件というのは、条例化すれば、それは議会の承認を得る、一応都民の了解を得るということになるわけです。そうでなければ、知らないうちに、前回の場合はむしろ住民にとってよかったというものもあるんですけれども、逆の場合もありますので、ぜひそれは条例化すべきだということを提案しておきます。

○長谷川総務部長 私ども、規則の改正については今検討している最中ですけれども、できる限り委員の先生方に内容を事前にお渡しするようにということで、このような資料を使いまして、百八十メートル、十五万平米、それについて各先生にご説明させていただきました。

○かち委員 そういうことをいったんではなくて、ご理解いただけないかと思うんですが、やはり環境アセスの位置づけの中で、規模要件というのはきちんと条例化すべきだということです。
 それから、施行日についてですけれども、告示の日からということで、七月からということですが、六月二十六日に議会が終わって、七月からすぐ施行、それから、都市再生法の六カ月云々というお話がありまして、それは事業者にとってはいいことかもしれないんですけれども、関係する、影響を受ける住民にとっては全く寝耳に水。本来だったらこの順番でいくだろうという手順が途中で省略されるわけですよね、現行条例から。
 そういうことは都民にとっては非常にマイナス面だと思うんですよ。普通、やっぱり周知期間とか、そういうものを行い、住民に損失をもたらさないというのが行政としての役割だと思うんですが、そういうことを考えると、余りにもこれは性急過ぎる。経過措置というのが七月から十二月三十一日ですか、そこまでとられて、途中段階に区切り区切りにはなっていますけれども、私は、少なくとも今の事業アセスに入ったものは最後まで事業アセスに行くべきだと思いますけれども、いかがですか。

○町環境評価部長 周知期間を置くべきだというお話がございましたけれども、先ほどもお話し申し上げましたように、都市再生特別措置法に関する提案が出された場合、現行の規定のままでは、環境アセスメント手続が終了するのが都市計画の決定の後になりかねないというような事態がございまして、ここのところをきちっと是正することが、環境上非常に重要であるという側面がございますので、その点についてはぜひご理解をいただきたいと存じます。

○かち委員 今のご答弁はやっぱり事業者側の立場でおっしゃっていると思うんですよね。アセスには住民も参加しているわけですよ。その住民はどうするのかという点での環境局としての配慮がないというか、先ほどは都市計画と連携してやっていくといわれましたけれども、むしろ都市計画の方針に引きずられているというような状況も本当に否めないわけですよ。
 こういう状況だからこそ、私は、環境局としてのしっかりとした政策的なものを持って、やはり均衡な対応をしてほしいと思うんですが、そういう状況はこの条例改正案を見ても本当に感じられないというのが率直な意見です。
 最後に意見にしますけれども、今回の条例改正は、議案の提案そのものも本当に議会間際で、私たちもこれを見ても、どこがどうなのかというのを検証するのに大変苦労いたしました。本当にみんなでいいものをつくるということの立場に立つなら、もっとやっぱり議案そのものもきちんと準備ができる状況で検討させていただかなければ、本当に困る。しかしながら、私たちはそういう中でも、やはりこのままの条例ではとても認められないということで、日本共産党としては修正案もあす提案させていただきたいと思っております。
 今回は期間も短かったですけれども、この条例改正の内容が非常に重大だということで、環境の専門家や、また、弁護士さんの有志の皆さん、また、都心に住む住民の皆さんから意見やファクスや陳情なども出されました。今回この議会には間に合いませんでしたけれども、私どもの手元にも、港区などに住んでいらっしゃる皆さんの声が届いています。
 このたびの東京都は、調査計画書や評価書案の省略など手続の簡略化を図ることとしている。しかし、現状では、住民への情報が少なかったり、仕事をしている住民は都合がつかないなど、調査計画書や評価書案を住民が手にし、考え、意見を述べる機会が不十分である、そういう点でももっともっと拡充すべきだという内容の意見が次々と寄せられております。こういう点を踏まえて、今回の条例改正は見直しをすべきだということを申し上げたいと思います。
 環境庁の役人を歴任された寺田達志さんが本に書いていますけれども、環境アセスとは、情報交流のルール化によって、より環境確保とそれに向けての合意形成を図るものである。それは本来健全なコミュニティが具備しているような機能をより科学的、合理的かつオープンにするものといってよい。本当にアセスを形骸化し、手間暇かかるものというようなとらえ方ではなく、事業者も住民も自治体も、本当に今の環境をどう守るかという点では、相互に情報をオープンにして、住民参加で合意をかち取っていくということが追求されなければならないと思っております。
 そういう意味で、ぜひこの条例改正は見直しをしていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。

○赤星環境局長 一点だけ先生のご指摘にお答えしておかなければいけないんだろうと思いますが、先ほど都市再生特別措置法の関係をご指摘があったんですが、これは本会議の方で公明党の曽雌先生からのご質問にも私の方でお答え申し上げましたけれども、都市再生特別法が施行されて具体的に緊急整備地域が指定されてしまいますと、今先生は事業者のためだとおっしゃったんですが、そうではなくて、それを指定されて、今度は特別地区を指定されてしまうと、六カ月以内に都市計画決定しなきゃいけない。そうすると、アセスメントができなくなってくるんです。
 今の条例は、前合わせて、後合わせて、先に都市計画決定を出すと同時に出さなきゃならない形になっていますから、先行してアセスメントできないような条例になっております。それを先行してアセスをできるような条項に変えて、先ほど大木田理事の方からご指摘のあったとおりでございまして、最後は一緒になって上がる。もしこれを条例改正しませんと、その分についてはアセスができない、あるいは、アセスが後になる。都市計画決定が終わった後にアセスが出るという形になってしまいまして、本来のアセスの機能を果たせないということだけはご理解をお願いしたいと思います。

○大河原委員 私からも計画アセスのあたりから聞いていきたいと思っていますが、計画アセスの前身ともいえる東京都総合環境アセスメント制度の本格実施に向けまして、十三年度には東京都総合環境アセスメント試行審査会の答申が出ております。
 そこでは、詳しくは省きますが、民間の計画などに対しても適用対象を拡大する方針を持って準備をしてきたというふうに明確にうたわれているんですけれども、今回の条例改正では、計画アセスの対象は都の事業に限定するということになっています。適用対象の拡大の方針に逆行するのではないかというふうに思いますけれども、いつから、どのような理由でこの方針が変わったんでしょうか。

○町環境評価部長 試行審査会の答申におきましては、実績を積むことによって制度の定着を図った上で、東京都以外が施行する民間の計画などに対しても適用対象を拡大するとの方針で準備を進めてきた、こういうくだりがございますけれども、まずは東京都の事業計画において制度適用の実績を積むことが先決である、こういう考え方で今回の案を提出させていただいております。

○大河原委員 環境局はもちろんアセスのことは担当していますけど、そのほかに、非常に大きなヒートアイランドの対策について大きな責任を負っています。そういうことを考えても、本当に深刻化している環境問題への影響を考慮すれば、東京都が計画アセスの導入に動き出した、このことをとらえて期待をする都民は多かったわけです。
 しかし、計画アセスと事業アセス、本来別々のものですから、それを一体化するといわれても、直ちにそれが本当にぴったりいくのかなと思いますけれども、それぞれのアセスの目的を確認しておきます。

○町環境評価部長 計画段階アセスメントは、都の大規模な公共事業につきまして、計画立案の早い段階から採用可能な複数の計画案について環境影響を比較評価し、その結果を計画に反映させることによりまして環境配慮を一層推進させることを目的にしております。
 事業段階アセスメントは、計画段階アセスメントを行ったものにつきましては、その結果に基づき実施主体が選定した事業計画案について、また、事業段階からアセスメントを行うものにつきましては、当該の計画案について、その実施に伴う環境影響の予測評価を行うことを目的としたものでございます。

○大河原委員 これまで事業アセスをしてきたわけですけれども、現行の事業アセスの対象規模、これについての根拠は何でしょうか。

○町環境評価部長 現行のアセスの対象規模の根拠というお尋ねでよろしゅうございますですか。--例えば住宅団地を例に取り上げて申し上げますと、五十五年の条例制定の際に、大規模な住宅団地につきまして、知事が都市計画を定める対象になっておりましたのが当時一千戸という形でございまして、この基準を参考に、住宅団地については一千戸という形で定めております。
 高層建築物につきましては、当時、一般的に超高層といわれていた建物が百メートルということであったということで、それを参考に百メートルというふうに設定をしてございます。

○大河原委員 ということは、百メートルにした理由というのは、それによって影響があることが認められて、それであったわけですよね。それより高くなるということは、影響は大きくなるんじゃないですか。どうでしょうか。

○町環境評価部長 五十六年、条例の制定をいただいたのは五十五年でございますが、当時の東京におけます高層建築物の状況、これは私どものデータを見ますと、百メートル以上のビルというのは二十本に満たないというような状況でございます。そういうような状況と、現在の高層化が急速に進んだ中でのビルの環境影響を相対的に判断をして、百八十メートルという設定にしたいと考えているところでございます。

○大河原委員 基準が高くなれば高くなるほど、影響は複雑化、かつ広域にわたって累積するんじゃないかというふうに思うので、百八十メートルにする根拠も先ほどの前の説明ではなかなか納得できるものではないんですけれども、次に移りたいと思います。
 環境アセスの中には代替案を複数つくるということがありますけれども、採用可能な複数の計画案、これはだれがそのように判断するんでしょうか。あるいは、経済的、恣意的に採用不可能になるということが間々出てきてしまう場合があるんじゃないかというふうに想像しますが、どうでしょうか。

○町環境評価部長 採用可能な複数の計画案は、実施主体において、社会経済的要素を踏まえて作成されるものでございます。やむを得ない事情により複数案ができない場合につきましては、その理由を書面で提出を求める。環境影響評価審議会の意見をきちんと聞く。知事がそれに基づいて意見書を作成する。意見書に対する事業者の回答も求め、これら一連の手続を公表していくというシステムにしておりまして、このことを通じて適切に複数案が作成していかれるものだと考えております。

○大河原委員 今さらっと、実施主体において社会経済的要素を踏まえ採用可能な案を作成するとおっしゃったんですが、社会経済的要素とは何でしょうか、具体的に。

○町環境評価部長 それぞれの事業者において判断される部分がございますけれども、一般的には、社会経済的な要素の中で大きな要素として占めるのは、経済的というので見ますと、まさに金額的な事業費の問題になろうかと思いますし、技術的な到達度の問題、そういうものも含まれて社会経済的な要素というふうになろうかと思います。

○大河原委員 平たくいうと、財政状況が厳しいので、例えば複数代替案ができない、持っている資金でできるものしかできないという話になるかと思うんですが、そういうことですか。

○町環境評価部長 提出された複数の案につきましては、都民の意見をお伺いをしていく。それから、審議会においても審議をしていくということで、その過程におきまして、複数案の中でさらに環境配慮が必要なものがあれば、それは意見として取りまとめられていく形になります。

○大河原委員 代替案が複数出ない場合は、理由を書面で提出することによって、知事の承認を条件に計画アセスの免除を認めているわけですけれども、考えてみると、都知事が計画アセスの免除を承認しないということはあり得ないんじゃないかというふうに--承認しないということは考えにくいわけなんですね。
 計画アセスの対象は都の事業、都の事業を進める総責任者は都知事ということになれば、これはなかなか納得できるものではないんですが、複数案が作成できないケースは、そのように考えていくと、すべて計画アセスは免除ということであると、実際には計画アセス制度は何も機能しないんじゃないかというふうに思いますけど、この点はどうでしょうか。

○町環境評価部長 ただいまシステムとしての可能性という観点からのお話であろうかというふうに思いますが、東京都が進めていくという中で、説明責任も当然負っているわけですから、説明責任を果たせない形での単数案しかないというようなことは、私どもとしてはないというふうに考えております。

○大河原委員 ちょっと今のご答弁はよくわからなかったんですが、やむを得ないもの以外は複数案がつくられるというふうにおっしゃったんですよね。ちょっとお言葉を返すようなんですが、それでは、やむを得ない場合というのはどういう事情が考えられるんですか。

○町環境評価部長 先ほども申し上げましたけれども、行政としての説明責任を負っているわけでございますので、説明責任を果たせないような形で、やむを得ないということを理由にして複数案が作成できないというようなことはないと考えております。

○大河原委員 ちょっと問答になっちゃうので、次に進みますけれども、中間のまとめへの都民意見にも、複数の代替案が困難な場合に、都民による代替案の提示や修正案の提示を求める声が出ております。これについてはどのようにお考えでしょうか。

○町環境評価部長 東京都の環境影響評価制度は、事業の実施に際しまして、基本的に事業者みずからが環境影響を評価し、環境への配慮をする、こういう仕組みでございます。
 複数案につきましては、事業者が社会的要素及び経済的要素を踏まえ、採用可能なものとして策定することになっておりまして、複数案の作成が困難な場合においても都民からの提案という形は予定をしておりません。

○大河原委員 代替案といったときに、先ほどかち委員からも質問が出ておりましたけれども、これまでゼロオプションを求める声が高くあります。当然のことだというふうに思うんですが、私たちもゼロ案を代替案に入れることは主張してきたところです。
 都は、今お答えになったとおり、このゼロ案を含めた複数の代替案を考えるべきということについては、そういう対象にならない。構想レベルとか計画レベルについてはその対象にならないというふうにいっているわけなんですけれども、提案として、先ほど計画アセスの複数案、これが出せないとき、これは計画アセスが実際には機能不全を起こすということがあるわけなので、ここにきょう資料が出ていましたけれども、アメリカのように、行政の事業についてはゼロ案というのを義務づけるというのがありました。ゼロ案を代替案とすることで、当該事業計画とゼロ案が環境に与える影響を比較するということで、計画アセスの趣旨が一貫するというふうに思うんですけれども、この考え方、この提案についてはどうでしょうか。

○町環境評価部長 計画段階アセスメントは、採用可能な複数案を環境面から予測評価し、計画の早い段階から環境により配慮するシステムでございまして、事業そのものを評価あるいはアセスメントする制度ではございません。
 ゼロ案は、事業案を行わないという案でございまして、この案を義務づけますことは、結果として、本制度により事業実施の是非を問う形になります。したがいまして、ゼロ案を義務づけることにつきましては、制度の趣旨に沿うものではないと考えております。

○大河原委員 答申にも、政策レベル、構想レベルにある計画や方針をアセスの対象として考えることは今後の研究課題としています。そしてまた、環境影響の予測評価が非常に困難なので、当面、制度の対象にはならないということも答申には書いてありますけれども、今お答えになったのは、この対象--一つの提案だったわけなんですけれども、それでは、どのような手続において、このゼロ案というのは検討することができるんでしょうか。環境局のこの中ではないとしたら、どこでやるんでしょうか。可能性はどこでしょうか。

○赤星環境局長 アメリカのNEPA、国家環境政策法というのは、事業の決定もいろいろ行うわけでございますが、国家的な政策、計画、事業等、非常に大きな影響を与えるものについて、財政的負担も含めてすべて明らかにして、政策の決定過程にこれが入る。あわせて、アメリカには情報公開法、この二つが一つになりまして、意思形成過程をつくっていくという形になっています。
 その過程におきまして、こういうことも条件に入っておるわけですけれども、環境に著しい影響を及ぼすことのない行為は対象外でございますけれども、あらゆる主要な政府の行為ということで、具体的に評価の対象といたしまして、経済的または社会的、自然的または物理的な環境影響が相互に関連づけられて、初めて環境影響評価書は人間を取り巻く環境に対する、これはすべて効果を検討することができると定義されていまして、環境という中に経済的環境、社会的環境、すべて含まれております。
 これは外国の環境というときに、一般的に必ず経済というのが含まれる。これは今社会の一般的な考え方でございますが、残念ながら、日本ではそういう言葉はなかなか入ってこれなくて、実は環境の創造じゃない、環境の保全というところに日本の政策は置かれておりまして、ですから、そこのところで一つ違うということと、もう一つは、アメリカみたいにやるといたしましたら、計画決定を行うところで、事業者がそこへ提出して計画をもらうという形。残念ながら、東京都の環境影響評価条例はそういう形になっておりませんで、手続条例として、一定の環境について事業が起こす影響を最小限にとどめる、あるいは、先ほどもいった環境を保全する、そういう形になっております。
 今回初めて計画段階において若干の社会的、経済的な問題を入れました。これは計画段階ではあらゆるものが、先生がいわれたように、例えば道路を例にとると、トンネルもいい、高架もいい、いろいろなものがあると思います。しかし、それは一定の経済的な側面を考えなければ、すべて、技術的にできないものを除いてできるわけでございますけれども、やはりそれがアメリカですと、具体的に国民にどれだけ負担を与えるか。あなたの場合は税金がふえますよとか、ここをやりますと、道路はこれだけになるけれども、騒音がふえますとか、トータルの効果を考えて判断を求めていくわけであります。
 残念ながら、日本の制度は、東京都の制度も含めまして、そういう制度になっておりませんので、そこの違いが、政策決定を受けたところが行っていくという形になっておりませんで、できるだけ環境に与える影響を少なくしていこうという制度というか、手続条例として制定されておりますので、そこは合わせて同じような形にはちょっとできないかと思います。

○大河原委員 制度の不足を補って成熟させて、今後こうしたゼロ案もきちんと位置づけられるようにしていきたいというふうに思いますけれども、ただ、今事業で、ゼロ案というのは実施をしないという場合ですから、これは現況ですよね。その比較のデータというのは、各案相互のデータと一緒に技術指針においても明らかにしていくことは可能だというふうに思いますけれども、例えばそういうものをきちんと並べて出すということで一歩踏み出せるんじゃないでしょうか。

○町環境評価部長 今お話のありました現状データとして表示していくというお話につきましては、私どもも技術指針の中でそれを明確にして、配慮書の中で記載をしていただくという方向で検討を進めております。

○大河原委員 東京都はこれまで行ってきた二百件を超えるアセスデータを生かすというふうにおっしゃっているわけですけれども、このデータ、環境影響の評価を市民が読み解き、幅広く議論ができるように、いつでも、だれでも使えるように広く公開すべきだというふうに思うわけなんですけれども、これまでのアセスの経験を市民と行政を含めた共有財産として、アセスの情報センターというような公開の場として設置するおつもりはないでしょうか。

○町環境評価部長 現在、既に実施した評価書案等の関係書類につきましては、希望される方々にはごらんいただけるような形になってございます。ただ、それぞれの書類をごらんいただくという形にとどまっておりますので、今後できるだけ早期に過去の案件をデータベース化し、類似事例や近似事例のデータがより使いやすいものになるようにしていきたいというふうに考えております。
 それから、インターネットのホームページにつきましても、改訂をして、その内容の充実を図り、より豊富な情報提供に努めていきたい、こう考えております。

○大河原委員 私も各自治体が持っている条例をホームページで見てみましたが、やはりかなり差があるようです。東京都がそういった意味では広くわかりやすい情報提供の方法ですとか、開発されるように望んでおります。
 そして、ちょっとくどいようですけれども、東京都は今回の計画アセスの対象を当面都の事業としていますが、改正の第一号となる事業のめどというのは、先ほどちょっとお答えがありましたけれども、どんなものでしょうか。

○町環境評価部長 改正の適用の第一号ということまではちょっと申し上げ切れませんけれども、対象となります案件につきましては、大規模な都市計画道路の見直しでありますとか、中央市場の移転などがケースとして考えられます。

○大河原委員 東京都の事業はなかなか並んでいるようには、今後、見えないわけなんですけれども、民間への対象拡大をするときの条件といったものがあると思うんです。少なくとも民間の対象からもう少し公的な部分に、実質的な公的な事業にも拡大できるんじゃないかなというふうに思いますけれども、その点では、民間へ拡大する条件とともに、市や区市町村の事業、また、第三セクターに拡大をするということ、実質的に公的な事業に拡大するという考え方については、どのようにお考えでしょうか。

○町環境評価部長 先ほど来お答えをさせていただいておりますが、計画段階のアセスメントの制度につきましては、全国で初めて導入するという制度でございますので、東京都の事業におきまして、まずは運用の実績を重ねまして、どのような事業や計画にどのようなアセスメントの制度がふさわしいか、研究をしてまいります。

○大河原委員 押し問答なんですけど、どのような事業、それから、どのような計画にどのようなアセス制度がふさわしいか研究していくというふうにいわれても、今後出てくる東京都の事業が恐らく数少ないというふうに考えれば、そこで実績が本当に積み重なるんだろうか。実績が積み重ならないうちに、このアセス制度はほとんど形骸化するんじゃないかという危惧を私は持っております。そのことを少し申し上げておきます。
 次に移りますけれども、特例環境配慮書、先ほども出ましたが、調査計画書及び評価書案の手続を省略できます。そして、このことは、私もかち委員同様、事業アセスは完全に骨抜きとなっているというふうに思うわけなんです。そして、このことは住民参加の機会を減少させておりますし、アセスの意義をもないがしろにしているものであるというふうに思います。
 見解書作成の手続の廃止は、事業者によるその後の評価書の提出、公表まで、調査手法が適正であったかどうか、そのこともわからないわけです。事業段階相当の予測を行った配慮書提出の後、調査手法が誤った場合、これはどういうふうになるんでしょうか。

○町環境評価部長 特例環境配慮書につきましては、先ほどもお答え申し上げましたけれども、これは計画段階アセスメントの手続におきまして、本来事業段階に行う評価書案に相当する予測評価まで行った場合、事業段階アセスメント手続の免除申請ができるという制度でございまして、この内容につきましては、環境影響評価審議会に諮問し、知事の審査意見を作成してまいります。
 この結果、評価書案に相当するものでないというふうに認められた場合は、事業段階の手続を行っていただくということになっておりまして、すべて評価書まで手続が簡略化されるということでは決してございませんので、ご理解をいただきたいと思います。

○大河原委員 現行条例では、評価書案の作成、公表後に、都民意見を聞くために公聴会の開催が義務づけられ、しかも、公聴会での意見を受けて事業者による見解書が作成された場合、再度都民、区市町村長が意見書の提出の機会がありました。
 しかし、改正案では、都民意見を聞く会以外に都民が意見書を提出する機会が全くありません。なくなってしまいました。会に出席できなければ意見はいえないということです。また同時に、区市町村長は意見提出の機会を奪われたというふうに思いますけれども、見解書後の説明会を省略する理由、このことも伺っておきたいと思います。
 都民との合意形成を図る上では、この後のトラブルを防ぐため、合意形成を高めるためにぜひ入れるべきではないかと思いますけれども、見解を伺います。

○町環境評価部長 見解書に対します都民意見は、これまで多数の意見が提出されたケースにおきましても、圧倒的な部分が評価書案に対する意見と同趣旨の意見でございました。このため今回見直しをしたものでございます。
 また、新たに環境影響評価審議会の参加する都民の意見を聞く会の制度化を提案させていただいておりまして、都民意見の反映につきましても可能な限り充実を図っております。

○大河原委員 見解書に対する都民意見は、これまで多数の意見が提出されたけれども、大部分は評価書案に対する意見と同趣旨であったため見直したというのは、見解書に要するに改善が見られなかった、さらに同じことをいわなければならなかったという状況があるんだと思うんですね。決してこのことによって、なくす、見直すという理由にはならないというふうに私は思います。
 調査計画書の縦覧期間について次に伺いたいと思いますが、現行の三十日から十日間へ縦覧を短縮する。そして、都民、区市町村長の意見提出期間については、四十五日から二十日というふうに短縮するものですけれども、アセスの命である住民参加を非常に狭めております。もちろん都民からも強く反対の声が上がっているわけですけれども、特に調査計画書の縦覧期間の短縮について、このことは、調査計画書は見解などが述べられているものではないので、調査項目など一定の事項について定形の形で書かれているものであるから、経験的に三十日も要らないことがわかったというのが都の意見なんですね。
 ただ、やはり住民にしてみれば、実はこういう都市、町の大きな変更について、一生のうちに一回あるかないかの機会に初めてこういう調査計画書を見るというところだと思うんです。ということは、一語一語わからない言葉が並んでいたり、あるいは、本当の意味はどういう意味になるんだろうかといろいろ勉強したり、ほかの人と意見交換したりという重要な期間が短縮されているというふうに私は思います。
 三分の一にするわけですけども、経験的に三十日は要らない、十日にという三分の一の根拠はあるんでしょうか。
 都市計画の手続でも十五日の期間があって、調査計画書や見解書などを初めて見る都民については非常に緊張する日々なんですけれども、理解に時間が必要という意味では、縦覧をこのような形で縮め、さらに、意見も出していく期間を縮めています。ここについてご意見を伺いたいと思います。

○町環境評価部長 調査計画書は予測評価項目をあらかじめ選定する手続でございまして、ここで求めております都民意見は、項目選定等にかかわる専門的、技術的な意見が主でございます。また、調査計画書の内容は、評価書案等に比べますと、記述量も多くはございません。また、調査計画書の周知の手段として今回インターネットを活用し、縦覧場所に行かなくても縦覧できるようにしてまいります。こういう点から、十日の縦覧期間が極めて短いという認識は持っておりません。
 また、意見の提出期間は、縦覧日で締め切りではございませんで、二十日間という形になっております。これは都市計画手続の二週間、あるいは、ほかの制度と比べましても決して短いものではないというふうに考えております。

○大河原委員 そうすると、今までの経験として、何日くらいで意見書が提出されているんですか。

○町環境評価部長 意見書の提出は今、持参または郵送という形になってございます。実際には、いろいろな事業がそうですけれども、期限ぎりぎりになるというのが割と多いという形です。

○大河原委員 インターネットで見られるということは、確認ですが、もちろんインターネットで意見を返せるということですよね。

○町環境評価部長 意見の提出につきましても、インターネットを活用いただけるようにしてまいります。

○大河原委員 東京都の方と市民の方では、経験の違いから、この期間の認識については全く違うなというふうに思います。
 評価書案の後、住民からの意見書が提出されなければ、都民の意見を聞く会を省略するというシステムがありますけれども、都民の意見が全く存在しないアセスが生じるのではないか、この点問題があるのではないかと思います。それを改善するために、再度都民の意見を聞く会を設けるなど、別の仕組みを用意する必要があるんじゃないかと思いますが、どうでしょうか。
   〔相川副委員長退席、委員長着席〕

○町環境評価部長 東京都におきますこれまでのアセスメント案件で、公聴会の手続まで進みましたものは、本年六月現在、二百十八件でございます。このうち都民意見がなかったものは四十七件でございまして、このように都民意見がない場合の公聴会の取り扱いについて、制度の合理化、効率化を図る観点から見直しをしたものでございます。

○大河原委員 私、いろいろインターネットで見たときに、これは北海道の条例なんですけど、非常にわかりやすいアセスメントの紹介がしてありまして、北海道のアセス条例は、事業中あるいは事業完了後も道民の意見を聞くシステムを持っております。
 きょうの資料の中に、要するに事業が完了した後、住民からの訴えがあるものが出ておりますけれども、こういった意味では、事業中や、あるいは事業完了後、こうした都民の意見を聞くシステムを用意する必要があるんじゃないかと思いますが、どうでしょうか。現在はないわけですね。

○町環境評価部長 東京都の事後調査報告の制度につきましては、報告された内容が環境上問題がある場合には、環境影響評価審議会の意見を聞きました上で、環境保全について必要な措置を講ずることを求めることができる制度になってございます。
 なお、今お話のございました北海道の環境アセスメント制度は、道路におきましては、都の一キロ以上という規模に対しまして、十キロ以上を対象にしております。また、高層建築物はアセスメントの対象になっていないなど、東京都の制度と比べまして、かなり要件の異なるものになってございます。

○大河原委員 要件の違いは、その都市のそれまでの歴史と蓄積の違いだと思いますから、北海道の道路の基準が東京より広いといっても、それは比較にならないんじゃないかというふうに思います。
 都市再生の動きが非常に活発で、もちろんそれをすべて否定するわけではありませんけれども、百年を見据えたまちづくり、都市計画というふうにいうときには、景気対策だけでまちづくりを進めるというのは非常に大きな犠牲を伴うと思います。
 その立場から伺いたいと思うんですが、四月の答申には、附論に、都市再生特別措置法の趣旨にこたえるというふうにあるわけなんですが、どういう意味でしょうか。

○町環境評価部長 答申の附論には、都市再生特別措置法の趣旨にこたえるとともに、環境基本条例に定める良好な環境の確保の観点を十分踏まえ、適切な対応を図ることが必要であるというふうに述べてございます。
 都市再生特別措置法は、本年三月に制定、六月に施行されたということでございます。同法に基づく民間事業者の都市計画提案は六カ月以内に処理されることになりまして、さらに、都市再生緊急整備地域が七月には指定される見込みとなっております。この都市計画提案の環境影響を適切に評価するため、アセスメント手続を都市計画手続に先行して実施する必要があるとの意味でございます。

○大河原委員 都市再生法における一つのかなめは、都市計画制限の緩和ということです。そして、是非論はおくとしましても、一般論として、環境サイド、環境政策サイドは、良好な環境の維持のために、今この答弁にもありましたけど、環境基本条例に定める観点を十分に踏まえてという、ここに期待がかかっているわけで、そうした意味では、環境を維持していくためには、より厳しくあらねばならないというふうに思いますけれども、どうでしょうか。

○梶原企画担当部長 本年の一月、都では、健康で安全な環境を確保し、持続可能な社会を実現するために、これからの環境行政の基軸となります新たな東京都環境基本計画を定めております。
 この計画の中で、都市づくりにおける環境面から配慮すべき事項を明らかにしております。都市機能の高度化と都市の居住環境の向上、これを目的といたします都市再生におきましても、この基本計画を踏まえて環境に配慮した都市づくりを進めていくものでございます。

○大河原委員 今回のアセス条例の改正の中で特定地域があるわけですけれども、なぜ都市再生緊急地域が入っているんでしょうか。

○町環境評価部長 特定の地域は、良好な環境を確保しつつ、都市機能の高度化を推進する地域として規則で定める地域でございます。
 具体的には、都心、副都心、都市計画法に規定する高層住居誘導地区、さらに、このたび東京都が提案した七つの都市再生緊急整備地域を予定してございますが、この七つの地域は、都心、副都心等と同様に、良好な都市環境を確保しつつ、都市機能の高度化を推進する地域であると考えております。

○大河原委員 緊急整備地域の中で、都市再生特別地区というのは都計審の決定によって定められます。東京都が挙げたあの地域の中でも、近隣が住居系で周辺への影響が非常に心配な部分があります。そうした意味では、特定地域すべてについて調査計画書が省略されるというのは非常に心配です。どうして省略されるんでしょうか。

○町環境評価部長 過去二百件以上の案件の中で、特定地域の高層建築物、住宅団地について見ますと、予測評価を行う必要がある項目は、大気汚染、騒音、振動、日影、電波障害、風環境、景観などに集約されることが過去の知見によりまして明らかになってまいりました。このため、特定地域の二種類の事業につきましては、予測評価項目を標準化し、調査計画書手続を省略するものでございます。
 ただし、評価書案による環境影響評価は引き続き実施いたしますので、ご理解をいただきます。

○大河原委員 先ほどから質疑を進めてきておりますけれども、計画アセスの対象を東京都の事業に限定しているということで、やはり事業アセスをこれまでやってきた部分、そしてまた、計画アセスの規模--民間の場合は、規模が拡大されると、高層や大規模開発、民間の事業は野放しになるんじゃないかというふうに思います。
 実際に、これまでの基準でアセス逃れをしてきたビルというのは、ほとんどひっかからなくなる。こういった意味では、都民の理解はなかなか得られないんじゃないかというふうに思います。もっと長期的なビジョンが必要な首都東京のまちづくりだというふうに思うんですけれども、さっきも国家百年の計といいましたけれども、非常に無責任な、放棄につながるんじゃないかというふうに危惧しますが、その点についてはどうでしょうか。

○町環境評価部長 今回の環境影響評価条例の改正は、環境に配慮した都市づくりを引き続き推進するため、改正の柱の一つとして、全国で初めて計画段階からのアセスメントを導入いたします。計画段階アセスメントは、都の大規模な公共事業に対して着実な運用を図り、制度運用による知見を重ねていきます。高層建築物や民間の大規模開発などにおける電波障害、日影、風害については、引き続き都市計画や建築行政の手続において環境への配慮が指導されてまいります。

○大河原委員 現在、対象事業の規模要件に関する規定は、議決を経ずに規則によって定められていますが、国が推進しようとしている都市再生のあおりをもろに受けているというふうに思います。今後一層規模要件の緩和が進むんじゃないか。それについては、都民の合意を得ない、行政の手によって一方的に、かつ急速に進むというふうに危惧をするわけですけれども、先ごろ改正されました地方自治法の第十四条は、普通地方公共団体は、義務を課し、または権利を制限するには、法令に特別な定めがある場合を除くほか、条例によらなければならないと明確にうたっております。
 アセスに関していえば、これは事業者に義務を課し、周辺地域住民が快適な生活を送る権利を幾らかでも制限する場合は、特別な定めがない限り条例によらなければならないというふうに読みかえられるのではないかというふうに思います。都民との合意形成を図る必要がある、その事項でもあるために、ぜひとも条例化すべきであるというふうに考えますけれども、所見を伺います。

○町環境評価部長 規模要件の条例化についてでございますけれども、施行規則は条例を執行するために必要な事項を定めるものでございまして、環境影響評価条例では対象事業の種類を条例で定め、その要件は施行規則に委任されているところでございます。
 今回の環境影響評価条例の改正に当たりまして、密接な関係のある高層建築物、住宅団地の規模など規則で定めます事項につきましても、その内容を可能な限りお示しをしたつもりでございます。

○大河原委員 ここまでいろいろ否定的なとらえ方で申しわけないというふうには思いますが、思わざるを得ない。これまで期待してきた、環境アセスについては東京都は先進自治体だといわれる評価がありましたので、やはりここは厳しくチェックをしていかなければならないというふうに思うんですが、局長は、これまでの答弁も、もちろん部長の答弁、さまざま、私の否定的な問いについてありましたけれども、実際にどういうスタンスで条例の運用に取り組まれるのか、お考えを伺いたいというふうに思います。

○赤星環境局長 計画段階アセスメントと事業段階アセスメント、二つをやるような制度を設けたのは全国でも初めてですし、恐らく世界にもそれほど例がないと思います。と申しますのは、普通は熟度の違いでアセスメントを用います。
 ですから、早い段階、熟度で全体がわかるものは、その段階でアセスメントをやる。それから、事業の段階で全体を見るものは、事業の段階で見るというふうなのが、一般的な世界のアセスメントの傾向だと思いますが、今先生がおっしゃったように、制度には理想的なものもありますし、それから、予算を伴うものを意思決定にあわせて行う、判断材料としてアセスメントが提供されるもの等いろいろございます。
 東京都は、先ほど申し上げましたように、この制度そのものが手続条例として定められて、意思決定過程は別のところで行われるという、違う制度でございますが、しかし、我々、このアセス制度は、これまで、先ほど来部長も申し上げていますけれども、やっぱり二十年の中で大きな役割を果たしてきたんだろうと思っております。
 今後とも、新しい時代にふさわしい良好な都市環境を確保するというのが我々の使命でございますので、これがもし通れば、この環境影響評価条例の着実な運用に努めまして、より環境に配慮した都市づくりに全力を挙げて取り組んでいく覚悟でございます。

○大河原委員 環境アセスの先進自治体としての評価というものが、今回の条例改正でその評価を失うことになるんじゃないかというふうに私は危惧しているわけで、全国に先駆けてというところに力点を置くのではなくて、その中身をもっと示せるようなものにしてから出してほしかったというふうに私は思っているんですね。
 その点で、環境局がとるべきスタンスというのは、もちろん公正、中立に環境アセスをしますということだとおっしゃられると思うんですが、公正はもちろんですが、中立といったときに、それは環境を守る立場ということが、やっぱり環境優先というところに足場があってほしいというふうに思うわけなんです。
 今回の計画アセスの導入というのは、アドバルーンは高く上がりましたけれども、実際の対象は都の事業。そして、都の事業も次々と実績が積まれるほど恐らくないでしょう。そうしたら、その計画アセスが実際に機能する部分はなかなか都民にも見えませんし、それが民間へ拡大をする、そういう足がかりになるとも思えません。そうした意味では、非常に不十分な改正だと思いますし、私はこの改正については賛成はなかなかできないというふうに申し上げておきたいと思います。
 きょうの質疑の中でご答弁がありましたアセスの情報、これを市民と行政、また、企業というところへも共有財産とするということだと思いますが、今まちづくりにおいても、非常に専門知識を持った市民が、また、そうでない人と一緒に、新たな市民活動の中で先鋭な提案をしていく。それもこれまでのような反対、反対ばかりの提案ではないものが出てきております。
 そういった意味では、こういった情報を十分に公開する、アセスの命は何より情報公開と市民参加とぜひ心していただきたいというふうに思います。これを申し上げまして、質問を終わります。

○吉野委員 東京の良好な環境を確保していくために、条例制定以来、環境影響評価制度というのは大変大きな役割を果たしてきておりますけれども、時代の変化に即して、まちづくりなどの課題に的確にこたえ得るような見直しを図ることもまた重要なことであるというふうに思います。
 今回の条例改正では、全国に先駆けて計画段階の環境評価の導入を図ったこと、また、事業段階での環境評価について合理化を図ってきております。私はそうした取り組みを評価するとともに、今後の効果を期待したいというふうに思っております。
 本定例会の代表質問で我が党の古賀幹事長代行が申し上げましたように、そもそも今回の改正は、都独自の環境影響評価制度の改正であって、都が二十数年にわたるまちづくりにおける環境影響評価と都市計画との共同作業を通して得た経験と知見の集約の反映でなければならないというふうに思います。
 そういう意味で、この改正の議論、自治体の本来事務である環境影響評価とまちづくりを踏まえたものでなければならず、都市再生のために急遽つじつま合わせをしたというようなものであってはならないわけです。そういう意味で、この条例改正は今後の東京のまちづくりに重要な意味を持つものであるとの認識を持っております。こうした認識に立って何点かの質問をしてまいりたいと思います。
 まず、事業段階での環境評価についてでありますけれども、手続に時間をとられ、事業が進まないことは、事業者のみならず、社会的にも大きな損失だというふうに思います。時代のニーズに即してスピーディーに事業を進めるために、手続の迅速化が今まさに求められております。民間の活力を十分に引き出すためにも、このことは大変大事だというふうに思います。
 そこで、条例改正前と後で手続に要する期間がどのように変わるのか。先ほどの大木田理事のやりとりの中にもありましたけれども、もう一度、高層建築物の建設を例に具体的にお伺いをしたいと思います。

○町環境評価部長 期間の変化のお尋ねでございますけれども、現行の制度では、高層建築物におきましては、調査計画書から評価書の提出まで約二十カ月の期間を要してございます。今回の改正では、調査計画書手続におきまして、縦覧期間の短縮、見解書の省略、評価書案手続におきましては、見解書にかかわります意見聴取手続の工夫、インターネットの活用等によりまして十二カ月以内に短縮をしてまいります。
 特定地域の場合は、さらに、調査項目をあらかじめ設定し、調査計画書を省略することにしておりますので、事業者の協力にもよりますけれども、九カ月以内となる予定でございます。

○吉野委員 全体的に期間が短縮されることがわかりましたけれども、環境影響評価にどのくらい時間がかかるのか、目安がなくては建設のスケジュールが立っていかないと思います。行政側の手続は一体どの程度で終わるのかといったようなことがわかれば、これは大きな前進につながるというふうに思います。
 案件にもよると思いますけれども、手続の処理期間に目安が立てられるようにできないものでしょうかということで、この点について具体的にお伺いしたいと思います。

○町環境評価部長 環境影響評価手続には、東京都の側で処理します期間と事業者の側で処理する期間の両方がございます。都側の処理に要します期間につきましては、これまでの二百件以上の事例を分析をいたしまして、標準的な処理期間を今後速やかに定めていきたいと考えてございます。

○吉野委員 一方、手続が円滑に進んでいきましても、実際の着工がおくれては、意義も半減をしてしまいます。先ほども議論がありましたけれども、工事着手については何が改善をされるのか、もう一度確認をさせていただきます。

○町環境評価部長 着工に関してでございますが、これまでの条例におきましては、評価書、これはアセスメント手続の最終のときになりますけれども、十五日間の評価書の縦覧期間満了までは着手制限の期間という形になってございましたけれども、これを評価書の公示日までに改めることにしております。
 いま一つは、解体工事につきましては、基礎部分の解体工事が新設部分の着工になる場合を除きまして、着手制限を行わないことといたしました。

○吉野委員 改善の内容について聞いてまいりましたけれども、そこで、こういうふうに改善がされてきたということを知ってもらうという意味も含めまして、次に聞きたいんですけれども、事業の日程、あるいは資金計画を立てやすくするために、いわば事業者への事前明示性を担保するというふうな標準事務処理期間、着工の定義等の運用指針、取扱要領などを公開すべきと思いますけれども、いかがでしょうか。

○町環境評価部長 環境アセスメントに要します標準処理期間につきましては、窓口に掲示をするほか、新たな制度のパンフレットに掲載するなどの方法によりまして広く周知をしてまいります。また、着工の取り扱い等につきましては、技術指針の中で明らかにしてまいります。

○吉野委員 今回の環境影響評価条例の改正では、事業アセスメントについて処理期間のスピードアップが図られています。これは都市再生の推進を図る上でも重要だというふうに思います。
 都は先般、都市再生緊急整備地域として七つの地区の指定を国に要請をしました。全国で十六出ているようですから、その中では多いというふうには思いますけれども、逆に、今後これらの地域と同様、都市再生の推進を図る上で重要な地域が生じてくるということも十分考えられます。その際には、民間活力を生かすため、柔軟かつ機動的な対応を図るべきというふうに思いますけれども、局長、いかがでしょうか。

○赤星環境局長 本会議で知事からご答弁したところでございますけれども、今後の社会経済の変化によりまして、ご指摘のように、新たに東京の都市再生に重要な役割を担う地域が生ずることも考えられます。そうした場合には、都市計画制度や環境影響評価制度を含めまして、民間活力を一層有効に生かすため、優良な都市開発に適切に対応してまいります。

○吉野委員 今後とも、都市計画と環境影響評価制度とが十分な連携をとってまちづくりなどの事業を進めていかれますように要望をして、質問を終わります。

○小磯委員 今回の条例につきましては、二百件を超える環境影響評価を行ったその知見を集約して、環境悪化の未然防止に努めるためにさまざまな改正を行うものでございますが、画期的な計画段階アセスの導入、手続期間の短縮、対象規模の改正等が大きな柱でございます。私は基本的に賛成の立場でございますが、委員会審議で明らかにしておかなければならない事項について若干質問させていただきます。
 まず、計画段階アセスメントについて伺います。放射第五号線及び三鷹都市計画道路三・二・二号線で計画アセスの試行を行ったわけでございますが、その内容、そして、その試行の評価について明らかにしていただきたいと思います。

○町環境評価部長 放射第五号線におきます試行につきましては、道路の整備案、三案をもとに試行を実施いたしました。
 手続面では試行実施要領に規定された事項が着実に実施ができまして、制度上の根本的な問題はないというふうに判明をしております。
 それから、地域住民の関心も非常に高く、都民の意見書が二千通を超え、都民の意見を聞く会、あるいは、実施主体の意見を聞く会に毎回多くの傍聴者があるなど、活発な都民参加のもとに試行が行われました。その結果、試行の諸規定の考え方を基本に制度化できることが確認をできました。
 試行の結果、三案の中では旧来の都市計画案の拡幅案が策定され、試行の成果の一つというふうに考えております。

○小磯委員 複数案の件でございますが、複数案が提示できない場合もあり得るということは理解できます。しかし、今回の条例改正で、せっかく全国でも初めての計画段階アセスの導入でございますので、単数案しか提示できない場合であっても計画段階アセスを実施すべきだと考えますが、所見を伺います。

○町環境評価部長 単数案しか提出がされないというようなものは、真にやむを得ないもの以外にはないというふうに考えておりますが、複数案が策定できない場合につきましては、その理由の妥当性等について、環境影響評価審議会の意見を聞きました上、知事が意見書を作成し、それへの回答も求めまして、事業者の対応がしかるべきものである場合、個別計画につきましては、事業段階アセスメントの調査計画書から手続を行うことになります。
 ただし、広域複合開発計画につきましては、複合的かつ累積的環境影響を計画段階で把握することを目的にしておりまして、単数案であっても、この広域複合開発計画につきましては計画段階アセスメントを実施することにしております。

○小磯委員 計画段階アセスについては東京都の事業に限定をされておりますが、民間事業に適用することについて、民間都市開発事業は多数の地権者、また、投資家等の合意形成が必要で、事業内容の不確実性は実現性を低下させる、こうした意見もございますが、この意見に対する都の見解をお聞きしたいと思います。

○町環境評価部長 道路など都民の関心の高い事業におきましては、計画段階アセスメントの活用が合意形成の手段として有効かと思っております。

○小磯委員 計画段階アセスにおいては、社会経済的要素を踏まえて環境配慮書を作成する、こういうことになっているわけですけれども、事業評価と環境評価、これを合体させるということは考えられないものかどうか、お伺いしたい。

○町環境評価部長 計画段階アセスメントにおきましては、採用可能な複数の計画案の作成に当たりまして、実施主体において社会経済的要素を踏まえることになってございます。事業評価と環境影響評価を統一して行っていくためには、今後それぞれの経験の積み重ねが必要と考えております。

○小磯委員 計画アセスでは、複数案を比較評価するために必要な項目に限定する、標準的な評価項目を設定するというふうに聞いておりますけれども、設定する場合、どのような方法で行うのか。また、例えば道路などではどういう評価項目になるのか、お伺いをしたいと思います。

○町環境評価部長 事業者が環境アセスメントを行う際の項目選定の参考に供していきますために、過去五件以上の実施例があった事業につきまして分析を進めておりまして、項目選定の際に参考になる標準的な項目の設定を検討しております。
 また、これまで道路事業の例では、大気汚染、騒音、振動等の項目を対象とするケースが多くなってございます。

○小磯委員 今回の条例改正案で、新たに計画段階アセスが都の大規模公共事業に導入される予定でございますけれども、これは全国で初めての試みでございます。そういった意味で、都民も高い関心を示し、また、全国の国民の方々も高い関心を示しておられると思っております。
 そこで、この東京都のアセス事例を環境局のホームページでデータベース化して、だれでも気軽に情報が得られるようにすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○町環境評価部長 現在、関係図書につきましては公表しておりまして、閲覧などを通じて活用できるようになっておりますが、今後、できるだけ早期に過去の案件をご指摘のようにデータベース化をいたしまして、類似事例や近似事例のデータをより利用しやすいものにしてまいります。
 また、インターネットのホームページにつきましても、その内容の充実を図り、より豊富な情報提供に努めてまいります。

○小磯委員 終わります。

○藤川委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後五時休憩

   午後五時二十五分開議

○藤川委員長 それでは、休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言をお願いいたします。

○清水委員 私も引き続き、今定例会に提出されております環境影響評価条例の改正案に対する質疑を行わせていただきます。
 東京都の環境影響評価制度は、国の法制化がおくれる中で、全国の先進自治体の一つとして、昭和五十五年に条例が制定されて以来、繰り返し報告がありますように、二百件を超える案件に適用され、環境悪化を未然に防ぐという点で今日まで一定の役割を果たしてきました。
 五年前には、OECD諸国の最後ではありましたが、ようやく国としても制度化し、充実が図られてきたところです。日本の環境影響評価制度は、世界の流れにようやく追いついたというところで、東京都の条例に対しても、都民からはこれまで以上の一層の充実が求められていました。
 また、東京は、依然として地球温暖化など環境危機が深刻になる中で、東京における環境への積極的な対処を進め、環境に配慮された都市を実現していかなければなりません。そのためにも、環境影響評価制度のこれまで以上の充実が求められていました。
 ところが、先ほど、かち議員も指摘しましたように、今定例会に提案された条例の改正案は、この間、平成五年以来重ねてきた早い段階からのアセスの実施、複合的、累積的な環境影響への対応として審議され、積み重ねられてきた制度の充実のための経過も十分に生かさず、むしろ踏みにじる形で、環境改善への期待を裏切り、アセスの骨抜きといわざるを得ない内容となっています。
 そういう意味で、日本共産党都議団は、二十四日に、多くの都民の皆さんの共同の意思としての、また、一致点で共同していただける内容としての修正案の提案を予定しているところです。
 私は、その中で、事業段階アセスの導入の改正案を中心に何点か質問をしたいと思っております。
 まず、条例案の提案に至る経過について伺いたいと思います。
 先ほど示されました資料で、計画段階環境影響評価制度検討の経緯が示されました。これによると、約九年間にわたって計画段階環境影響評価制度の審議が進められてきたと思いますが、このように長期間この審議が進められてきたその理由というのは、どういう内容でしょうか。

○町環境評価部長 計画段階環境影響評価制度につきましては、本日提出させていただきました資料にもございますが、平成五年の二月に東京都総合環境アセスメント制度検討委員会を設置いたしまして、新たな環境配慮制度のあり方について検討を始めました。その後、十年の六月には、制度試行と制度化のために試行指針を作成し、また、試行の実施要領も作成をいたし、試行の準備体制を整えて、十一年十一月に放射第五号線で試行を行うことを決定いたしました。その後、十二年から十三年にかけまして試行を行い、その試行の内容についても答申をいただき、その後、十三年十月には東京都総合環境アセスメント制度の本格実施へ向けてという答申をいただく。また、それから、新たに計画段階環境影響評価制度の導入及び現行制度の見直しという点を東京都環境影響評価審議会に諮問をし、その答申を本年四月にいただいたというような、こういう各段階、段階ごとの手続を積み上げてき、その間、都民の意見等もお伺いしながら検討を積み重ねてきたものでございます。

○清水委員 十三年十月に答申が出されて、検討委員会から環境影響評価審議会に諮問をされて、今度は別の審議会で審議をして答申を行ったわけですけれども、この後段の環境影響評価審議会の十一月から今日までの期間というのは、数カ月しか期間を経ていません。この前段の五年から十三年の十月までの審査会と、それから、それを引き継いだ審議会と、このメンバーと構成員などは違っているわけですけれども、後段を引き継いだ審議会が、数カ月で、中間まとめだといって答申を出して、そして今日までというのは、それは前段の内容が、後段というか、後半の審議会にきちんと盛り込まれたり、ここで生かされたり、具体化されたり、審議されたりしているんでしょうか。後半の審議会が短いんではないかというふうに思うんですけれども、どうですか。

○町環境評価部長 十三年十一月以降の東京都環境影響評価審議会の審議期間が短いのではないかというお話でございますが、計画段階環境影響評価制度につきましては、その前の期間におけます試行審査会において十分な議論の積み重ねをいただいて、それを引き継ぐ形で環境影響評価審議会が、計画段階環境影響評価制度の導入についてという点と、環境影響評価制度の導入に伴う事業段階環境影響手続の調整、それから現行制度の合理化と、こういう三つのテーマについて検討をしていただいたものでございまして、過去の積み重ねの上に進めたということでございます。
 それからもう一点、先ほど来お話にも出ておりますけれども、その間、都市再生特別措置法等の動きも出てきて、それとの時間的なタイムラグが出ないアセスメント制度の運営を図っていく必要に迫られてきた、こういう点もございます。

○清水委員 そうすると、十三年十月に出されました審査会の答申の「はじめに」のところにこういうふうに書いてあるんです。これは十三年十月に出した答申ですけれども、「審議の最終段階において、東京都環境局から、本制度を本格実施するに当たっては、要綱ではなく、現行条例を改正し、二つのアセスメント制度を統一的な制度として整備する方法についても検討してほしいとの意向が示されることになった。このように当初の方針を変更することになった理由としては、本制度の本格実施には事業実施段階のアセスメントである条例アセスメントと重複する手続の一部を省略できるよう条例を一部改正する必要があること」といって、総合アセスメント制度を条例化した場合、いろいろ検討することがある。問題点も出るかもしれない。本制度を条例化するという観点から本格的に検討する際には、これまでに本審査会が検討してきた事項を基礎にしつつも、事業アセスメント手続との関係においていろいろな事項があるよということでいっているんですけれども、この最初の部分でいった、当初は、この審議会の審議の中では、要綱でこれを進めるというふうに進んでいたんではないでしょうか。そして、最終段階においてというのは--十一回あったと思うんですけれども、最終段階というのはいつのことをいっているんですか。この「はじめに」のところに書いてある内容についてご説明ください。

○町環境評価部長 この本格実施へ向けてという段階で、十三年の十月にいただいておりますけれども、「はじめに」のところに書いてございますのは、従来、要綱で進めていこうということを前提にしておりました。要綱で進める中でも、東京都の実績を積み上げた上で新たな展開の方へ移っていこうという考え方をしていたわけでございますけれども、要綱で実施いたしますと、その手続の内容が条例に比べて都民の方々に明らかにすることの点で劣る点がございますので、新たな制度の導入に際しましては、きちんと条例で制定をしていただいて、都民の方々に手続を明示した上で新たな制度を導入しようということで、要綱から条例に方針を改めたものでございます。
 内容といたしましては、長期間かけてきた検討の内容そのものを踏襲できるわけでございますが、形を今申し上げたような理由で改めていこうということにしたものでございます。

○清水委員 十一回、審議会--特別部会でしょうか、行われたと思うんですけれども、その問題は、どこで、いつ提案し、そして審議されたんですかということです。十一回目が答申を出すときですよね。条例に統一しますというのは、何回目にそれは出したんですか。

○町環境評価部長 ちょっと今、詳細な資料を確認した上でないとお答えできないんですけれども、十三年の七月ごろではなかったかという記憶でございます。

○清水委員 最後の十一回目の審査会の委員の方々の発言を見ると、その点で、もうこれは東京都がやるから、いろいろ疑問とか審議、まだ不十分のところがあるかもしれないけれども賛成しますよというところなんですけれども、しかし、何人もの委員から、その問題について、当初は要綱でやる予定だったのが条例化することになったことについていろいろと意見が出されているわけです。
 そういう意味で、最終答申のときにその話がされるということで、計画アセスと事業アセスを、条例を一緒にするということについて、どれだけその審議会で審議がされたんですかということをいいたいんですけれども、そこら辺はどうですか。じゃ、何回目でなくていいですから、そこら辺の審議はどれぐらい重ねられたんでしょうか。

○町環境評価部長 回数については、ちょっと手元に資料が用意できておりませんので恐縮でございますけれども、新たな計画段階の環境アセスメント制度を導入するに際しましては、もともと調査計画書については手続が重複してくるということが明らかになっておりまして、この面での改正というものは、もともと必要だという認識の中でやっておりましたけれども、計画段階そのものの条例化という点につきましては、先ほどお話し申し上げましたように、夏ごろからの議論であったかというふうに記憶しております。

○清水委員 委員の発言を見てみると、理想的には要綱で計画段階アセスはやって、それで、事業段階アセスはきちんとやると。つまり、先ほど、両方を一体化したから省略をするという部分はあったんですけれども、そういうことも出てくるかもしれないけれども、それぞれが独立してやる必要があるという委員の発言も私は見るわけです。それで、この最後の答申の中に、環境局から最終段階においてということで書かれているわけですよ。実際に書かれているわけでしょう、読んでおられると思うのです。だから、本当にこの問題が委員の中の十分な議論を経て--今いわれると、平成五年からやってきていて七月というわけですから、十分な議論を経てやられたというふうに思わないわけです。というふうにまず実感するわけです。
 それで、じゃ、この最初の段階の審議の中で、事業アセスのどこをどういうふうに改正をしていくかという議論は、どの程度やられたんでしょうか。

○赤星環境局長 お答えいたしますけれども、まず、計画段階アセスでございますけれども、当初から条例でやることが最も望ましい--平成五年ですから、私は当時、総務課長でいた時代でございますけれども、条例でやることが望ましいとされていたんですが、なかなか条例というものへいきなりいくのは難しいんじゃないか。それで、配慮指針でやろうとか、いろんな形で出てきたわけです。庁内調整も済んで、もうこの時期へ来たら何とか条例でやろうと。それは、都民にも内容を明らかにする、情報も明らかにする、どういう範囲でどういうものを対象としていくかということを全部明らかにしていく条例でやることが最も望ましい。これはもう当初からの予定でございますけれども、その条件が、放五をやりながら、要綱じゃなくて、そろそろ条例でやれる時期に来たんじゃないかということで条例化へ進んできたわけです。それが去年の夏ごろでございます。
 今おっしゃったように、本来、要綱が好ましくてやるようなことではございません。一番いいのは条例でやる、これは当然のことでございまして、それは当初から望まれておりまして、今おっしゃったのはちょっと趣旨が違うと思います。
 一つの条例案の中で、計画段階と、当初は総合アセスメントといいましたか、計画段階アセスメントという、熟度の問題じゃなくて、二つを一緒にしたようなあいまいな言葉だったものですから、今度は大規模で複合的な影響の出るもの、それと片方で規模の大きいもの、その二つを計画段階アセスメントで位置づけたわけですけれども、それは全体の条例の中で、一つできちっと位置づけるべきじゃないかということで、計画段階アセスメントを条例の中に組み込むような検討をお願いして、先ほどいいましたけれども、試行審査会からその後に審議会の方へ、それは条例との調整を今度はお願いしたということでございまして、今おっしゃったような意味で、要綱が好ましくてこっちは条例だというようなことはもともとございませんで、当初から本来は条例が望ましかったんですけれども、なかなか条例では簡単にいかないだろうということで、要綱ということを当初考えていたわけでございます。

○清水委員 委員の意見の中に、そういう意見があるということと、それから、ここにこう書かれているでしょうということを、私は事実を申し上げたんです。局長は今までの経過をいわれましたけれども、実際、この「はじめに」の中にはそういうふうに書いてありますよと。そして、委員の幾人かの中に--それがだめだとかいっているわけじゃないです、要綱がだめだとかいっているわけではなくて、その過程ですよね、プロセスがこういうふうに書かれているということを私は指摘して、これは九年間やられてきているんだったら、そこの段階でも十分な審議がされて、こういうふうに書かれるんではないかという疑問。
 それから、今質問したことは、事業段階のアセスの改正の内容はどうですかということを質問したわけです。

○藤川委員長 今質問している趣旨はわかっていますね。

○町環境評価部長 事業段階アセスメントの改正の検討の経過ということでございますけれども、総合環境アセスメント制度検討委員会報告、これは平成九年四月の報告でございますけれども、この中で、この段階におきましても、現行制度の手続で求めている内容であっても、新たな事前の手続で内容を満足しているものは重複して実施することを避けるなど、制度化に当たって検討しておくべきというふうにまず記されております。
 また、総合環境アセスメント制度試行審査会の答申、これは今お話しの十三年十月の答申でございますが、ここの中では、計画段階環境影響評価を行った場合の調査計画書の省略の問題でありますとか、データの有効活用の問題について言及されております。
 それから、環境影響評価審議会におけます検討の段階では、中間答申並びに最終答申、これは十四年の四月が最終答申ですけれども、その中において、事業段階アセスメント手続の改善、それから、都市再生特別法の趣旨を踏まえた関連規定の整備について言及されているところでございます。

○清水委員 触れているところはあるかもしれないですけれども、先日の新聞の報道で書かれていましたが、審議の多くが計画段階アセスメントの審議で、事業段階アセスは、今言及をされたといわれて、それは触れているかもしれないですけれども、後段のこの環境審議会の七回の審議会の中でも、何が話されたかということをそちらでまとめていただいたんですけれども、項目を見ると、計画段階アセスの話し合いがされているわけですよ。じゃ、この環境影響評価審議会で、事業段階アセスの問題についてはどこで審議が具体的にされましたか。

○町環境評価部長 環境影響評価審議会の構成につきましては、審議会のほかに部会を構成しておりまして、部会の中で審議をいただいたところでございます。それぞれの審議につきましては、計画段階の導入を主として、それに伴う事業段階の問題ということから入りましたけれども、事業段階そのものについての議論もしていただいたところでございます。

○清水委員 今のお話の中でも、計画段階に伴って事業段階をどうするかという話が中心で、それで事業段階もといわれて、中心は計画段階のアセスを七回の審議会の中で行われたと思うんですよ、この記録を見ても。記録を見てもそう書いてあるわけです。
 それで、私が何をいいたいかというのは、計画段階の審議は十年余りにわたってやられて、重ねてきたと。しかし、この両審議会の中で事業段階アセスをどうするのかという問題が、まず審議会の中で本当にどれだけ審議をされたのかな。じゃ、この二百件の案件をどうやって示したのか。二百件の案件を示して、後からいいますけれども、同じ意見が載っていると。三十万に及ぶ意見を全部審議委員にやったのかどうか、後で聞きますけれどもね。そういうようなことも含めて、だって、一つの結論を出して今度条例化しているわけですから、審議会の中ではどういうふうにされたんですかという点では、じゃ、この事業段階アセスの改正の問題での両審議会での審議の量というのはどうだったんですか。

○町環境評価部長 審議の回数についてのお話になってございますけれども、審議そのものは、回数よりも、やはり内容であろうというふうに考えます。
 内容としましては、私どもの考え方をお示しして、その上で議論をいただいてきたということでございます。議論をいただいた上で、行政として最終的に今回の条例案として取りまとめる段階で整理し直したものもございますけれども、内容としては、ご審議を十分いただいてきたというふうに考えております。

○清水委員 そうしたら、都市再生特別措置法への適切な対応についての附論というのは、どういう審議を経て、この審議会の答申に盛り込まれたのでしょうか。

○町環境評価部長 附論につきましては、法律の制定が十四年の三月でございますので、三月制定を受けて、急遽、附論としてまとめていただいたという形で、これについてはそういう時間的な経過でございます。

○清水委員 なぜこの中に盛り込む必要があったんですか。

○町環境評価部長 この点については、先ほど来お話をさせていただいておりますが、都市再生特別措置法に基づいて民間提案がなされた場合、その都市計画の提案については、提案後六カ月以内に処理をしなければならないという、こういう法律が新たに制定されたわけでございまして、環境アセスメントは、従来、都市計画の案の公表時にアセスメント手続を同時にスタートさせる、こういう仕組みになっておりましたものですから、前合わせの部分の手続を見直していかないと、先ほども申し上げましたが、都市計画決定の後にアセスメント手続が終了する、都市計画提案案件について十分なアセスメントが行われないうちに都市計画が決定されていきかねない、こういうことで、附論の中で触れていただいているわけでございます。

○清水委員 この部会の議事要旨を見ますと、特別措置法への対応に係る記述については、この答申に入れる必要はあるか、特措法に対処するための条例改正については、審議会本体での対応があるべき、この特別部会に付託されているとかいうことで、最終的な扱いは会長と事務局長で相談してくださいということで、この部会では特措法の附則を入れることは会長と事務局長でまとまって、そしてこれが入ったということですか。

○町環境評価部長 今申し上げましたように、都市再生特別措置法にかかわる都市計画提案案件についての処理をアセスメントサイドから適切に行うために、この部分の手続の見直しについてはぜひとも必要である、こういうことでご理解をいただいたところです。

○清水委員 前段の試行審査会の答申の「はじめに」の先ほど紹介した部分も、それから、それを引き継いで行った審議会の答申も、都市再生にかかわる部分、事業アセスにかかわる部分などについては、環境局がかなり強引な形でこの審議会を引っ張っていったということがここで感じられるわけですね。
 じゃ、事業アセスについての審議はどうなのかということを私は問題にしたいんですけれども、審議会の時間が経過してしまったので次に行きますけれども、この審議会の答申が出て、環境影響評価審議会の答申については、この委員会でも報告もされなかったし、議論もしなかったというふうに私は記憶するんです、環境影響評価審議会の答申については。ご報告は直接にはいただきましたけれども、この委員会では議論もしていないと。過去の条例改正が何回かあって、自然保護条例の改正とか、公害防止条例、環境確保条例とか、そういう改正の条例が提案されたわけですけれども、それまでは中間まとめで出されて議論する、答申を出して議論する。だから、その時点でかなり委員の中でも理解がいっているわけですよ。
 計画段階アセスはもうずっと先のことだからまだしも、今回の事業アセスの改正などについて重要な内容が含まれているのに、条例になって、しかも非常に遅い時期に条例案を提案したということで、私たち、この条例を--複雑であって、そして修正案の提案を準備させていただいたんですけれども、本当に議会局にはお骨折りいただいてしまったわけですよ、毎日夜遅く。それは非常に複雑だから。この短い期間で、そういう大事な問題、二十年やってきて大改正だというのに、こんな短い期間で二十四日に決めてしまうということは、この審議会の経過からいっても、それから、この委員会からいってもどうなのかということでは、委員会に事業アセスの改正などについて十分な報告や議論をするために当局は努力してこなかったんじゃないですか。

○町環境評価部長 当委員会に対します報告等のお話でございますけれども、放射五号線の試行にかかわります試行審査会の答申でありますとか、環境影響評価審議会の中間答申や最終答申につきまして、その都度、委員会の委員の皆様方にはお送りをさせていただき、情報提供に努めてきたつもりでございます。
 今回、条例審議に当たりましても、資料要求をいただき、さまざまな資料も提供させていただいているところでございます。これらをもとに十分ご審議いただきたいと存じます。

○清水委員 先ほどからの他の委員の質問でも、多くの部分は事業アセスの改正に触れているんではないですか。そこの部分は、今回、陳情や請願、それから要請も要望も出たと思うんですけれども、都民にとっては非常に重要な大事な問題なんですよ。だから、そのことは前にやったから、これはやらなくていいという問題じゃなくて、事業アセスの改正がどれだけ大事な問題かということをどう認識されていたのか。

○町環境評価部長 今回の事業段階アセスメントの部分の見直しにつきましては、先ほど来もご説明させていただいておりますが、過去の二百件以上に及ぶ知見を整理して、環境アセスメントの本来の機能を失わない、そういうことを維持しながら、従来の知見に基づきまして手続の合理化なり効率化を図ろうとするものでございまして、私どもとしては、環境アセスメントの質については十分維持をしている内容でございますので、ぜひご理解をいただきたいと思います。

○清水委員 事業アセスの改正の重大性を認識していないというふうに思います。先ほどの資料の中で、上位二十件の評価書案への意見書数、見解書への意見書数が示されまして、二十件の中でも、それを合計すると幾らになるんですか。二十年の間に、これだけの都民が環境に対しての意見をいい、それに参加してきたわけですよ。だから、そこを改正されるというんだから、重大問題じゃないですか。出した人は終了したかもしれませんけれども、自分のところにいろいろな問題が起こるかもしれないという方々、事業アセス、特定地域といっているけれども、特定地域じゃないところだって短縮するじゃないですか。都民全体に係る問題だと思うんですよ。それに対して、議会への十分な説明もなく進められているというふうに私は指摘をしておきたいと思います。
 時間が過ぎていきますので、具体的な問題に入ります。
 今回の最大の問題の一つは、繰り返し出されている対象事業の規模の変更です。特定の地域の高層建築物の新築の規模要件の緩和、全地域での住宅団地の新設の規模要件の緩和は、一体これはいつから議論になっていたんですか。

○町環境評価部長 事業の対象規模についての検討ということでございますけれども、これにつきましては、事業者サイドの方からは、かなり早い段階から、検討をしてほしいというような話はございます。我々の方は、知見を分析した結果どうなるのかということの検討をしていたわけでございます。

○清水委員 それでは、百八十メートルと千五百戸にした理由は何ですか。

○町環境評価部長 規模の見直しの根拠ということでございますけれども、アセスメント制度が発足した二十年前と比較いたしまして、高層建築物が非常にふえてきているという実態、それから、特定の地域の土地利用が高度化が進んでいるという実態、過去二十年間の実績から得られた知見、最近のIT化対応ビルの各階の階高が約二〇%ふえているという実態、こういう点を総合的に勘案し、規模を見直したものでございます。
 なお、住宅につきましては、先ほど、制度等発足当初は大規模団地の定義が一千戸であったものが現在は二千戸になっているというご説明をさせていただきましたが、それを基本にしながら、過去の知見を踏まえて一千五百戸にとどめて、規模の見直しをしたものでございます。

○清水委員 環境局が責任を持つべきことは、東京の環境を守ることでしょう。今の話を聞いていると、事業者の要求があって、ビルが高層になっていって、知見を利用してというのはわかりますけれども、環境をどう守るかということからのご答弁には全くなっていないというふうに思うんです。
 それでは、対象事業は道路とかいろいろあるんですけれども、なぜこの二つだけを取り上げたんですか。

○町環境評価部長 先ほどの答弁で、環境的な側面が不十分ではないのかというお話がございましたけれども、それに対してまずお答えをさせていただきたいと思います。
 今申し上げました特定の地域におけますこういう高層ビルあるいは高層マンションによる環境影響は、限られた影響にとどまっているという実態がございますので、それをもちろん踏まえての上のお話でございます。
 それから、住宅団地と高層ビルに限定して今回見直しを行う理由でございますけれども、この二つの事業につきましては、取扱件数がほかの案件と比べて非常に多くなっている、そういう点で知見が集積しているということと、それと、今申し上げましたように、この二つの事業による環境影響が限定的なものであるという点から、二つに限って見直しをしたものでございます。
 それから、駐車場の見直しも、住宅用の駐車場につきましては、車の出入りが非常に少ないという実態もございますので、あえて環境アセスメントの対象にしておく必要はないという整理をしまして、以上三点の事業規模に関して見直しをしたものでございます。

○清水委員 新聞などでは当初、見直しの規模を百五十メートルというふうに報道されていたように思うわけですけれども、百五十メートルだとか、百八十メートルだとか、二百メートルだとか、それがこの決定をする過程でどんなふうになっていったんですか。どんなふうに決まっていったんですか。新聞でなぜそんなふうに報道がされたんでしょうか。

○町環境評価部長 今お話しされましたように、議論の過程ではいろんな議論が、高さの面でも面積の面でもございました。そういう議論を踏まえまして、先ほど申し上げましたように、アセス制度が発足した段階と今の違いであるとか、先ほどご説明いたしました点を総合的に勘案をして、百八十メートルという形で設定をしているものでございます。

○清水委員 どこで、どういう議論で、どうして百八十メートルになったんですか。百メートルではどうして、千戸ではなぜまずいんですか。二つ。

○町環境評価部長 事業によります環境影響につきましては、時代の状況に応じた見直しが必要であろうかというふうに存じます。先ほどもご答弁させていただきましたけれども、制度発足時点の東京におけます高層ビルの数というのは非常に限られたものでございました。それが二十年たって、もうどこのビルがどのビルだかわからないぐらい林立しておりますけれども、そういう中で限られた環境影響であるという限りにおいては、状況に合った見直しをしてしかるべきものというふうに考えております。

○清水委員 もう一度聞きますけれども、どこでどういう議論がされて、どこで決定されたんですか。

○町環境評価部長 審議会からいただきました都市再生特別措置法についての附論等も踏まえながら、それを受けて行政の中で検討をして決定をいたしました。

○清水委員 百メートルが百八十メートルになるということは、林立しているというけれども、アセスが対象になるかならないかでは大変なことなんですよ。それは後から一つか二つ述べますけれども、先ほど、かち委員の質問で、規則については事前に都民や議員に知らせるんだ、だから条例に入れなくていいんだという話もありましたけれども、今回の百メートルから百八十メートルというこの方向は余りにも唐突であるというふうに思うわけです。だから、一体どこで決まったのか。百五十メートルと、一体どうしてこういう報道がされてきたのか。こういう都民にとって大事な問題を、百五十メートルがいいか、百八十メートル、二百メートルがいいか、どこかで相談して決めていくという、そういう印象に非常に今回はとられたわけですよ。しかも、それについて環境局がその説明をされている。今までどれだけ百メートル以上のビルで苦労されてきたか一番よく知っている環境局がそういうことを説明しているというのは、私は本当に悲しいです。
 じゃ、聞きますけれども、特定の地域というのは、先ほど別の委員も聞かれていましたけれども、都心、副都心、高層住居誘導地区、そして都市再生特別措置法に基づく緊急整備地域ということになるんですけれども、これは都市計画局だから、一体それがどれだけの面積になるのかということはお答えになれないかもしれませんけれども、いただいた資料によりますと、都心、副都心、高層住居誘導地区の面積、つまり今まで区部整備指針とか副都心整備地域とかで決めていた、それを合計すると二千百六十六ヘクタールだというふうな資料をいただきました。それから、都市再生特別措置法の緊急整備地域は二千三百七十ヘクタールだということを伺いました。これで、環境局としては、こういう特定の地域と決めていくわけですから、大体の面積というのは確認をされているんですか。

○町環境評価部長 今お話しのありました面積につきましては私どもも把握をしているところでございますが、都市再生特別措置法に基づきます緊急整備地域につきましては、今後正式にその決定をされてくるということでございますので、今段階では提案した部分についての面積ということでございます。

○清水委員 それによりますと、今までの都心、副都心、高層住居誘導地区の面積というのは、区部全体の面積からいうと三・五%になるんだそうです、いただいた資料によると。それから、都市再生法の緊急整備地域で東京都が提案したものは、区部全体に占める割合が三・八%になるんだそうです。これは両方が重複していますから、それぞれを足すとか、それぞれがどちらかということではなくて、(パネルを示す)小さいかもしれませんけれども、私は両方を重ねてみたわけです。そして、この青いところが今までの都心、副都心、高層住居誘導地区です。そして、この赤いところが緊急整備地区、そしてここに都心ということで、これがこれだけ拡大しているから、それぞれ重なったところと重ならないところがあるんですけれども、まず地形的には都心に非常に集中しているし、それから、副都心はこれまでどおりのそういう高層住居誘導、副都心整備、都心整備ということでされてくるというふうに思うわけですね。これがそれぞれ三・八%とか三・三%ということで、一、二カ所重複していますけれども、二つを単純に合わせると四千ヘクタールぐらいになるわけです。そうすると、それは区部の面積の数%に当たってくると思うんですけれども、先ほど他の委員の質問で、この間、四十二案件が高層のビルに適用された、そのうち特定の地域では三十件が適用されたということですけれども、それでいいんでしょうか。

○町環境評価部長 お話しのとおり、我々としては三十件というふうに認識をしています。ただし、都市再生緊急整備地域につきましては、まだ確定をしていないという前提で把握している数字でございます。

○清水委員 そうすると、この色を塗った部分の赤いところとかはまだでしょうけれども、この部分に四十二の高層ビル中三十件がここに、しかも区部の面積の数%に集中しているということになりませんか。それによる集中の起こる環境の状態というのはどういうふうになると思いますか。

○町環境評価部長 都心、副都心、あるいは今回の都市再生緊急整備地域、こういう地域は、制度本来が土地の高度利用を図ることとされている地域、あるいは都市再生緊急整備地域については新たにそういうような位置づけをされた地域ということでございまして、そこの土地に高層建築物があるということについては、それは土地利用のあり方としても制度の趣旨に沿ったものだろうというふうに思いますが、我々といたしましては、そういうビルが建設される過程での環境影響について、必要なものは適切な配慮をきちっと確保していくということが大事であって、そういう形で今後とも対応をしてまいります。

○清水委員 環境局がやるべきことは、この数%の区部の地域に四十二件中三十件の、アセスにかかわる、対象になった高層ビルが建った、じゃ、そこで起こっている環境というのはどうなのかということをきちんと--環境基本計画でいろいろな定めはしましたけれども、今回、新たに緊急整備地域を指定するに当たって、それは都市計画とか知事本部がやること。環境局がやることは、じゃ、今までそういう高層ビルが建った地域というのはどういう環境なのか、東京の環境はどうなのか、そういうそれこそ研究、そして状況の把握、そのこと自身を環境局がするべきじゃないんですか。先ほど、都市再生緊急整備地域を指定したから条例改正する、それを早くやらなきゃ六カ月が過ぎてしまうんだというけれども、それは本末転倒だと私は思うんです。やはり今の東京の実態を--それが本当に環境局の仕事ですよ。
 そういう意味では、私は、せめて百メートル。五十メートルにしてほしいという陳情や請願、要請もあると思うんですよ。今の現行条例百では高いです、五十にする必要があるという意見もあるんです。でも、せめて百メートルで、そして、これからはそれをつくるなとか、そういうことではなくて、百メートル以上の建物に対しては真剣に、しかも、新しく入った廃棄物と温暖化ガスを入れて、真剣に東京の環境のために予測をして、都民の意見を聞いて、そしてまた意見を出して、評価して、そして建築物の環境配慮書を書いてもらうなら書いてもらって、つくってもらってやるのが環境局の仕事だというふうに思うんですよね。ですから、私は、百八十メートルと、千戸から一千五百戸のこの規則の改正は撤回すべきだというふうに思いますが、どうでしょうか。

○赤星環境局長 先生のお話は一つの考え方だと思いますけれども、高層建築物についてはいろいろございます。優良な高層建築物につきましては、むしろ空間が非常にふえている。最近の高層建築物は空間がふえているというのもございます。高層建築物ができれば影響が出るのは事実でございます。何らかの影響が出るというのは事実ですけれども、いい影響もかなり出ております。
 ですから、我々は、この高層建築物が多摩地域の自然の真ん中へぼんと出てくる方がむしろ、それは好ましいことではないと思いますけれども、本来の都市計画のあり方、環境とあわせてやるならば、きちっとゾーニングをして、そういう高度化を図るべきところは高度化を図っていく。そのかわり、緑をとり、空間をとり、より優良な環境を片方では創出しながら、多摩地域でございますとか、住宅地域、住居地域においてはきちっと、先ほどいいましたように、百メートル、十万平米というそれは変えてございませんので、そこではそういう対応もする。
 ですから、高層建築物即悪とかいうふうに我々は考えておりませんので、やはり守るべき環境と新たにつくるべき環境というのは両方なきゃいけないんだろうというふうに考えております。

○清水委員 一部では今までよりもよくなる部分があるということは私は否定しない。しかし、今一番問題なのは、今回七つの評価項目から除いた温室効果ガスの問題で、私たちは汐留の地域などの延べ床面積からCO2がどれだけ発生するかという試算をしました。そして、代表質問で考え方を行ったわけですけれども、それだったら、高層ビルからどれだけCO2が出るかという問題と、今いった、よりよくなるという問題を比較していただきたいと思うんですよ。どちらが環境にいいのか。それはこちらは否定しません。しかし、今、東京が六%の削減を目指して、CO2は二〇%削減しなきゃいけないわけです。その場合に、百八十メートルの高層ビルが建ったときに、一体それからどれだけCO2が出るのかというものとの比較をして東京の環境というのは見るべきじゃないんですか。
 一体それはどれだけあるのかということだって、区部全体でどれだけかはまだわからないし、一つのビルからどれだけ出るかもまだはっきりしていない。しかし、幾つかのアセスでは、七つの案件では温室効果ガスの予測評価をしているわけですよ。それなのに、今回、温室効果ガスの評価も特定地域ではとってしまうということで、じゃ、CO2をどうするということを考えているわけですか。

○梶原企画担当部長 業務用の建築物ができれば、その中で使われるエネルギーがございます。したがいまして、一定のCO2の排出がふえるということは当然予測されるところでございます。しかしながら、それぞれのまちづくりの中でさまざまな形で配慮をしながら建築物がつくられるわけでございますので、CO2がふえることをもって直ちに悪とするものではないと思います。温室効果ガス総合の対策の中で全体としてどうしていくのか、それについて私どもとしても総合的な対策として地球温暖化対策を進めてまいります。

○清水委員 私は悪といっているわけではなくて、じゃ、二〇%削減する目標をどうするんですか。二〇%を何年に何%ずつ進めていくんですか。

○梶原企画担当部長 CO2の削減対策は、民生部門、業務部門、産業部門、さまざまな部門の総合的な対策の全体の中で初めて達成されるものだと思います。そういう中で私ども東京都では、先ごろ地球温暖化阻止東京作戦を進めましたけれども、こういった中で、国にもさまざまな形で要望していくとともに、東京都の中でも、まず始めなければならないことを現在検討しながら、できることを一つずつ進めていく、そういう仕事、取り組みをしているところでございます。したがいまして、ただいまおっしゃるように、業務ビルが建つから、その部分を直ちに抑えるんだというようなことではなかなか対処できない、そういうふうに考えております。

○町環境評価部長 先ほど委員のお話の中で、特定地域におけます標準項目の中で温室効果ガスをなぜ外したんだというお話がございましたけれども、温室効果ガスにつきましては、本年六月から環境確保条例に基づきます建築物環境計画書制度を新たに施行しております。環境アセスメント制度の対象は現在十万平方メートル以上の建物が対象でございますけれども、この新たな制度は、一万平方メートルを超える建物に対して設計の段階で省エネルギーだとか省資源だとかという面の配慮を求める制度でございまして、これを通じて温室効果ガス対策については、建物に関するものについては対応していけるということで、項目として外したわけでございます。

○清水委員 環境としてどう予測をして、そして都民がそれをどう受けとめて意見をいって、どう対策をとっていくかというのがアセスだと思うんですよ。今いわれた建築物の環境配慮、温室効果ガスの対策というのは私は大賛成で、それは本当に実効性あるものとしてご努力をいただきたいというふうに思っているんですけれども、それをしたから、アセスはそれを省略するということにはならないし、そうであれば、その途中で事業者が行ったさまざまな科学的な調査とか研究とかを即アセスに反映できるのではないですか。それ自身が、建築物をつくるときにどういう資材を使うとか、どういうふうにするかという、建築確認申請から三十日で出すわけでしょう。だから、アセスというのはもっとずっと前に予測をして住民に知らせるという問題で、時期も全然違うし、目的も違うし、予測される内容も、それ自身は重要なんだけれども、技術指針に書いてあるアセスでやろうとしていることは違うわけですよ。
 だから、私はそのことをどうのと今いおうとしているわけではなくて、環境局が、今、東京の環境の危機は、既に経済性と五分五分のトレードオフで済む段階をはるかに超えているというふうに一番最初でいっているんです。経済と五分五分をもう超えている、そういう段階ではないんだという指摘を、一月に出した環境局の基本計画の一番最初でいっている。だから、私は、これで大丈夫かな、これに基づいてやらなきゃいけないなと思うから心配するわけですよ、私は同じ環境局で五年もやっているから。だから、これをやりましょうよと環境局に対していっているわけ。それは、百メートル以上のビルをつくるなと今いっているわけではなくて、百メートル以上の今までのアセスをすればいいでしょう、する必要があるんじゃないですかということを私はいいたいわけです。
 環境局が、都市再生特別措置法ができたから事業アセスを緩和するんじゃなくて、それはそれこそ本末転倒だと思うんですよ。東京の環境がこういう状況だから都市再生特別措置法緊急整備地域を指定しないでほしいというふうに、都市計画局や知事本部に、資料を持って、東京の環境を守るために行動するのが環境局ではないんでしょうか。私たちは、今まで東京都環境局というのはそういう役割を果たす局だというふうに思ってきたわけですよ。それが、環境を守ろうというと、土地の流動化とか都市再生だとかといって、私たちは都市計画局と話しているみたいですよ。
 だから、環境局に対しては、今までのとおりアセスをしっかり事業者にやらせましょうと。低くしろといっているわけではない。そういうことを今要求して、その規則の改正というのは、私たちは修正案では条例に盛り込んで、百メートルの今のアセスでやりましょうという修正案を提出するところです。そういうふうに環境局としても立ち戻ることを要求したいと思います。
 時間も過ぎておりますので、あと一点だけ、手続の簡略化について伺います。
 先ほど、見解書に対する意見書の省略についてご説明がありました。都民の意見が、評価書案に対しても、また見解書に対しても同じ意見だというふうに二十年の中で判断をされたわけですけれども、それはどういう資料をもって、どういうことをもってそういう判断をされたのでしょうか。

○町環境評価部長 今の点に関しましては、きょう冒頭にご説明させていただきました資料の中にございます。資料の一〇ページでございますが、ここに、評価書案に係る見解書に対する意見の内容という形で取りまとめてございます。これの中をちょっとご説明させていただきますが、一番上は調布保谷線の建設にかかわります手続の中で見解書に対して出されたものですが、意見の総数としては、都民から四千五百三十六件ございました。こういう意見の中では、意見の種類としては同じ点に対しての意見を多数の方が寄せられるというものがございます。そういうものを項目として整理をしていきますと、予測評価項目に対する意見としては十五項目であったわけですが、これは評価書案に対する意見とすべて同じ意見であったと。それから、予測評価項目以外の事業そのものに対する意見、これは環境影響評価制度は環境の側面からの意見を求めているものでございますので、それ以外の意見が五十六件ということで、各項目ともごらんいただきますと、評価書案に対するものと同じというような意見が大半であったということでございまして、こういう点からこれについては見直しの対象にしたということでございます。
 さらに、この制度につきましては、全国の中でもほとんど実施されていない制度として東京都として運営をしてきたわけですけれども、今回その内容を分析した結果、ここの表にあるような形でございますので、見直しの対象にさせていただいたというところでございます。

○清水委員 同じ意見だとどうして省略する理由になるんですか。それはちょっと納得できませんけれども、お聞きしても同じ答えだから、それは伺いませんけれども、先ほどほかの委員もいわれていましたけれども、評価書案に対して都民が意見をいうわけですよ。評価書案といったって非常に専門的ですよね。大気汚染がこうで、騒音がこうで、植物なんかがこうで、希少動植物がこうで、ここにあるとか、あそこにあるとかいうことで非常に専門的。それに対して、もちろん専門家が分析をして、それを都民の方にお知らせして、いや、それはおかしいよということでみんな意見を書いて、私もこの十項目の中の幾つかには、いろいろ皆さんが取り組まれているのを見てきて知っているわけですよ。
 そういう中で、例えば、ここで資料を出してきた調布保谷線で、沿道の高さ方向の騒音予測というのに対して、評価書案と同じだよというふうにここに書いてありますね。評価書案では、各道路端の地上一・二メートルで予測騒音レベルとしましたよ、そうすると昼も朝も夜間も将来的にも変わりありませんよというか、環境には問題ありませんよという評価書案を出したわけです。一・二メートルではかったと。そうしたら、都民は何と書いたかというと、騒音の調査は、二メートルの遮音壁があることを前提に地上一・二メートルの高さで測定したものである。遮音壁より高い二階や三階だともっと騒音はひどくなるはずである。坂やがけの多い深大寺特有の地形を考えれば、遮音壁より高い地点での騒音の評価を行っていないのは問題であるというふうに評価書案の意見書を書いたわけですよ。
 そうしたら、見解書で何と書いたかというと、環境基本法第十六条に基づく騒音に係る環境基準について及び騒音レベル測定方法を考慮し、評価書案においては高さ一・二メートルで予測評価を行いました。本事業では、道路交通対策として遮音壁を設置しますという答えで、どうして二階や三階だと騒音がひどくなるかというような問題についてはお答えになっていないわけですよ。それで、今度見解書がなくなればもう終わりでしょう。もう意見をいうところはないです。それで、評価書が出てくるわけです。それで、住民は何と書いたかというと、沿道の二階以上の建物で騒音の環境基準が達成できないのではないかとか、いろいろ騒音について意見を書くわけです。それが今までの手続なわけですよ。だから、非常に専門的なことを事業者がいって、専門家でもない都民が意見をいって、それに返ってきて、おかしいなと思って、そこでもう今回の案は終わりなわけです。それが今のこの調布保谷線の一つの例。
 もう一つ、見解書に対する意見書で一番多かったのが、八王子市の幹線道路の見解書の十万通なんです。この中で私がいいたいのは、評価書案では、その方が指摘する道路の近くにトウキョウサンショウウオはいないことになっている。ここに地図があるんですけれども、トウキョウサンショウウオはいないことになっている。だから、皆さん知っているから、住んでいるところにトウキョウサンショウウオがいるから、評価書案に対する意見書で、トウキョウサンショウウオは五メートルのところにいる、道路直下になるかもしれないというふうに書いたわけです。そうしたら、見解書で、百メートル先にトウキョウサンショウウオはいますよという事業者の見解だったわけです。だって、身近にいるんですから。
 そして、この間またどこかが調査に来たら、そのところに八十四個のトウキョウサンショウウオがいた、自然保護部にとっては大事なトウキョウサンショウウオですよね。そういう評価書案に対する意見、見解書に対する意見というのは、そういうふうに都民にとって大事な場なんですよ。だから、十万通もここでは出たんじゃないんですか。トウキョウサンショウウオのことをもしかしたら二万人の人が書いたのかもしれない。それはそうかもしれない。だけど、同じ意見を書いたというのはそういうことなんですよ。
 じゃ、この評価書案に係る見解書に対する意見書数というのは、ここに書いてあるように二十位まで、十万から五万とか、四万とか、二千とか、この方たちの、都民の--もう一つ一つの事実はいいですから、この見解書に対する意見書に参加してきた都民の環境に対する心配。だって、トウキョウサンショウウオが自分のところにいなくたって、毎日の生活にかかわらないかもしれない。しかし、これを書いて、そして郵便で出すわけです。この時代、インターネットなんかまだないわけです。郵便で出して、十万通といったらどうやって持ってきたと思いますか。箱に入れてトラックで持ってくるわけですよ。そうやって環境を守ろうという都民がこれだけいるわけですよ。そこの部分の見解書の意見書をどうして省略しなきゃいけないんですか。三十日間の日数を確保するために、今まで二十年間大事なこの意見書をどうして削除するんですか。

○町環境評価部長 今るるお話がございました。非常に多数の意見書が寄せられる案件というのは、おっしゃるとおり、ございます。私ども、見解書に至った段階での意見として項目で分類をしておりますのは、審議会の審査に反映させるべき意見というのはどの程度あって、それが評価書案で出た段階と見解書の段階とでどういう関係になっているのかということを分析してこういう形にさせていただいているわけでございます。今回、見解書に対する説明会とか意見聴取、意見を提出していただく場面というのは、日数を設定しているものは見直しをさせていただいておりますけれども、今回新たに都民の意見を聞く会を見解書が出た後に設定をするということで、見解書を踏まえたご意見を都民の方々にはきちっと出していただける機会ということで、都民の意見を聞く会というものを設定しているところでございます。

○清水委員 都民の意見を聞く会を十時間でも二十時間でもやっていただけるんですか。都民の一人一人の意見が反映できるというのが少なくとも今までの制度であったわけですよ。今までの制度が全部よかったというふうには思いません。だって、質問したのに回答されていない。そして、同じことをまた答えて、評価書になって、で、事業が進んでいくから、何だと、そういう疑問や、それから改善してほしいという要求が皆さんあるわけです。しかし、少なくともそういう場が確保されていた。そこまでもなくなるということでしょう。縦覧期間を三十日から十日にするところもある。そうやっていって短縮するというためにアセスを今回改正する。特定地域では九カ月にしなきゃいけないというようなことで、本当に環境局が今まで二十年間のどこを改善すればいいのか--私は全部改善しなくていいといっているわけではありません。じゃ、どこを改善するかというのを最初から委員会でやったらいいじゃないですか。公聴会ではどうだと。
 確かに、この間、一件だけの公聴会を見せていただいて、部長さんから課長さんが大勢出て、一人だけの、公聴会十五分で終わっているのを、ご苦労さまですと思いましたけれども、しかし、そうやって十五分で一人の方の公述人の場所も確保してやっている。葛飾の清掃工場ですか、それをやっていただいた。それが今までの東京都の都民参加の場所の提供だったわけです。それをむだだとか、短縮しろということでやるんじゃなくて、全部だめといっているのではない、じゃ、どこが短縮できるのか、どこをもう一回使ったらいいのか、それを提示してくれれば--私たちは今のアセスの短縮が全部だめだよといっているわけではない。
 しかし、今回はその過程もなくて、一番大事な都民の参加のところを、これだけ陳情や請願や要請が来ているにもかかわらず、短期間で、知らないで、知らせないでやるということは非常に問題があるというふうに思います。そういう点で、その短縮の部分については撤回をしていただきたいんですが、どうでしょうか。

○町環境評価部長 環境アセスメント制度の手続を含めた行政事務というものは、常に合理化、効率化を進めていかなければいけないものだというふうに考えます。今回、見直しをさせていただいている部分につきましては、先ほど来ご説明させていただいておりますように、制度の本来の機能を維持しながら見直しが可能なものとして考えておりますので、ぜひご理解をいただきたい。撤回ということは考えてございません。

○清水委員 省略する部分については、現条例に戻すことを私たちは二十四日の修正案で提案したいというふうに思っているわけですけれども、最後に、先ほどの規則の改正の問題も、手続の問題も、環境局が東京の環境をどうするかという策定を一月にしたばかり。これを達成するのは本当に大変だと思うんですよ。真剣になってしまうと頭を抱えるぐらい大変だと思うんです。だから、私たちも協力して環境局の施策を進めて--だって少しでも東京の環境がよくなったというのが環境局の評価じゃないんですか。環境局の仕事というのは環境をよくする仕事なんだから。そういう点では、今度のアセスの条例改正というのは大きな後退、そして東京の環境にもさらなる深刻な状況をもたらすということでは、私たちとしては賛成できないということを申し上げて、終わります。

○赤星環境局長 一言だけ申し上げさせていただきたいと思います。これは環境局及び環境局職員の名誉にかけて、一言いわせていただきたいと思います。
 先ほど、環境局は都市計画局と同じ云々とか、いろいろお話がありましたけれども、都市計画の中に環境行政が盛り込まれるのが本来の都市計画行政であると私は思いますし、そういう考えで動くべきだと思います。
 我々環境局職員は、先生がおっしゃった今の計画の中にあります事業を実施するために、例えばディーゼル車対策といたしまして、すぐ前ですけれども、五〇〇ppmの軽油を五〇ppmにするとか、これは職員が真剣になって働きかけて、全国に先駆けてできるようになった。これは先生が簡単にいわれるような内容ではなくて、我々は死に物狂いでやって、やっとできた。それが一つございますし、環境確保条例の実施に向けても全力を尽くしております。地球温暖化対策についても、これは先生がおっしゃった二〇%をどうやって下げるんだ、簡単なものではもちろんございませんし、都民、それから事業者みんなが協力してやらなければできない問題ですし、国を挙げてやらなければいけない課題だと思います。我々もそれに全力で取り組んでおります。東京の森林再生ということで、全国に先駆けまして、予算もつけて、五十年計画の森林再生計画も立てて我々は取り組んでおります。先ほど、先生は余り評価されないようでございますけれども、我々としては計画段階アセスの導入というのは全国に先駆けて導入したものである、こういうふうに認識しております。
 それと、我々アセスメントは大事な制度だと思っております。ただ、アセスメントで万能でもございませんし、オールマイティーでもございません。これだけで環境をすべて守るということではなくて、あらゆる施策を通じて環境という考え方が都政の中に根づいていくのだろうと思っております。
 我々は、これからも環境局職員一同、全力を挙げて東京の環境を守るために頑張っていきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

○藤川委員長 ほかに発言はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○藤川委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤川委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。

○藤川委員長 次に、理事者から報告事項の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○長谷川総務部長 平成十三年度一般会計予算のうち、環境局所管分の繰り越しについてご報告申し上げます。
 予算の繰り越しにつきましては、地方自治法施行令第百四十六条第二項及び第百五十条第三項の規定に基づき、議会に報告することになってございます。
 それでは、お手元にお配りしてございます資料2の平成十三年度一般会計繰越説明書に従いましてご説明申し上げます。
 表紙をお開きいただきたいと存じます。繰り越しは事故繰越のみで、繰越額は六億九千五百十四万円でございます。財源の内訳はすべて繰越金でございます。
 繰り越しの内容につきましては、資料右側の説明欄に記載してございます。排水処理施設設置に係る事業者支援事業において、工事の調整に日時を要したため、補助金及び貸付金を翌年度に継続して支出するものでございます。
 なお、貸付金につきましては、産業労働局に執行委任しております。
 以上をもちまして、平成十三年度一般会計予算の繰り越しについてご報告を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○藤川委員長 報告は終わりました。
 本件に対する質疑を行います。
 ご発言はございますか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○藤川委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議はございませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤川委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で環境局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後六時四十九分散会

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