都市・環境委員会速記録第三号

平成十四年三月五日(火曜日)
第六委員会室
   午後一時三分開議
 出席委員 十三名
委員長藤川 隆則君
副委員長吉野 利明君
副委員長相川  博君
理事真鍋よしゆき君
理事鈴木 一光君
理事大木田 守君
小磯 善彦君
吉原  修君
清水ひで子君
かち佳代子君
大塚 隆朗君
秋田 一郎君
大河原雅子君

 欠席委員 一名

 出席説明員
都市計画局局長木内 征司君
技監勝田 三良君
理事杉浦  浩君
総務部長野田 一雄君
総合計画部長中島  守君
開発企画担当部長福島 七郎君
地域計画部長小林 崇男君
施設計画部長只腰 憲久君
航空政策担当部長甲斐 正彰君
外かく環状道路担当部長成田 隆一君
開発計画部長田中  亨君
建築指導部長森下 尚治君
参事河島  均君
参事萩原 豊吉君
環境局局長赤星 經昭君
総務部長長谷川 猛君
企画担当部長梶原 康二君
移管事業調整室長小栗 英夫君
環境改善部長薄  厚一君
参事小島 高志君
自動車公害対策部長松葉 邦雄君
交通需要マネジメント担当部長山本 憲一君
自然環境部長高田 茂穗君
廃棄物対策部長西野 和雄君
廃棄物技術担当部長関  寿彰君
参事古川 芳久君
環境評価部長町   格君
局務担当部長平田 信幸君

本日の会議に付した事件
 環境局関係
  付託議案の審査(質疑)
  ・第百四十六号議案 平成十三年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出 環境局所管分
 都市計画局関係
  付託議案の審査(質疑)
  ・第七十九号議案 東京都建築指導事務所設置条例の一部を改正する条例
  ・第百四十六号議案 平成十三年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、繰越明許費 都市計画局所管分
  ・第百五十号議案 平成十三年度東京都都市開発資金会計補正予算(第一号)
  付託議案の審査(決定)
  ・第七十九号議案 東京都建築指導事務所設置条例の一部を改正する条例
  ・第百四十六号議案 平成十三年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、繰越明許費 都市・環境委員会所管分
  ・第百五十号議案 平成十三年度東京都都市開発資金会計補正予算(第一号)

○藤川委員長 ただいまから都市・環境委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、平成十三年度関係の付託議案の審査を行います。
 これより環境局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百四十六号議案、平成十三年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、環境局所管分を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しております。
 これより質疑を行います。
 発言を願います。

○吉原委員 それでは、補正の件について若干お尋ねをさせていただきたいと思います。
 浄化槽の調査の件でありますけれども、予算も既に計上されているわけでありますけれども、今、浄化槽の維持管理が法律化されているわけであります。どのような仕組みになっているのか、簡単で結構でございますので、お教えをいただきたいと思います。

○西野廃棄物対策部長 浄化槽法は、浄化槽によるし尿の適正な処理を図り、生活環境の保全及び公衆衛生の向上に寄与することを目的としておりまして、浄化槽管理者に対しまして、保守点検、清掃の実施、並びに指定検査機関による設置後間もない時期に行う設置検査と、その後に定期的に行う定期検査の受検を義務づけてございます。

○吉原委員 それでは、そういうことで義務づけをされているということでございますけれども、保守点検や定期検査は、それぞれに年間何回ずつされるのか、教えていただけますか。

○西野廃棄物対策部長 浄化槽法によりまして、保守点検につきましては、浄化槽の処理方式、処理対象人員により異なりまして、一週間から六カ月に一回の保守点検、定期検査につきましては、年一回定期検査をすることとなってございます。
 保守点検につきまして、一般家庭でいいますと、年三回から四回、検査を受けることになってございます。

○吉原委員 それでは、都内の浄化槽、二十三区の場合につきましては、かなり下水道も進んでおりますから、そんなにないとは思いますけれども、我々三多摩の方ですと、まだまだ下水道が完備されてないところがたくさんありまして、そんな意味で、都内全体と二十三区、多摩、それぞれどのぐらいずつ浄化槽を利用しているところがあるか、教えていただけますか。

○西野廃棄物対策部長 平成十二年度末の浄化槽の数でございますが、六万九千七百二十六基となってございます。
 このうち多摩地域は五万一千四十一基、区部は一万四千五百三十三基、島しょ地域には四千百五十二基でございます。

○吉原委員 それでは、浄化槽が六万幾つというお話でございますけれども、それぞれ全体のうちの何%ぐらい--義務化されているということですから、本来は一〇〇%だろうと思いますけれども、そこまでいっていないようなお話もお聞きしておりますが、保守点検については大体全体の何%ぐらいいっていらっしゃるのか、そして、定期検査というものが同じようにどのぐらいのパーセンテージなのか、あわせて教えていただけますか。

○西野廃棄物対策部長 平成十二年度の保守点検の実施率は約七〇%でございます。一方、定期検査の受検率は約四・二%でございます。

○吉原委員 今のお話ですと、保守点検と定期検査の格差というものがかなりあると思うんです。一方は七〇%いっているわけで、一方は四・二%ですか、ということは、かなりの差があると思うんですけれども、どういうわけでそれだけの格差が生じているんでしょうか。

○西野廃棄物対策部長 保守点検業者は都内に二百七十社ほどございます。それぞれ各社がみずからの営業区域を定め、その区域内において、通常から保守点検業務を行いながら、新築住宅等で浄化槽が新設されたなどの情報を的確かつ迅速に把握して、みずからの営業活動を行っているのが実態でございます。
 一方、検査機関は、都全体を検査区域といたしまして検査業務を実施しており、十分な業務活動を行えないのが現実でございます。
 また、浄化槽管理者にとりましても、保守点検の必要性は、消毒剤の補充等、実際に目で見てわかる内容でございますが、定期検査については、保守点検と似ており、その必要性が理解しにくいところがございまして、定期検査の必要性が十分周知されていないというのが実態であるというふうに考えてございます。

○吉原委員 それでは、保守点検と定期検査、これの項目、それぞれ義務化されているということでしょうから、あるんだろうと思いますけれども、違いのあるものがその中にあるのかどうなのか、もしわかれば。わからなければ、後日でも結構です。

○西野廃棄物対策部長 まず、定期検査の必要性でございますが、浄化槽法の考え方は、浄化槽の管理者が行ってございます清掃あるいは保守点検が法の基準に従って正しく行えているかどうかというのを、公的な、実際には東京都が検査機関を指定するわけですが、客観的な立場から検査をするというものでございまして、その内容は、外観検査、設置が正しく行われているか、あるいは悪臭の発生状況がどうかといったことを検査するものでございます。
 それから、水質検査は、水素濃度とか塩素残留濃度といったものを検査をするものでございます。
 それと、もう一つは書類審査でございまして、保守点検並びに清掃が定期的に行われているかどうかというのを確認するものでございます。
 一番の目的でございます水質検査につきましては、保守点検業者が行う水質検査と、若干の違いはございますが、似通った内容となってございます。

○吉原委員 こうやって補正を組んでいただいて、ぜひとも、今まで達していないところの部分の定期検査なるものを、できるだけパーセンテージを上げていただくような働きをぜひしていただきたいと思っております。
 しかしながら、私たち、私は多摩の町田でございますけれども、町田にもまだ下水道が七七%ぐらいなんですね。三多摩でも本当に後ろから三番目、四番目ぐらいに位置しているところなんです。
 私のところはたまたま三多摩でも二番目に大きい町なんですけれども、そんな状況でございまして、それは下水のままだということもあるわけでありますけれども、浄化槽の入った地域に行きますと、若干、乾燥しているときは別なんですけれども、ちょっと湿った空気のあるようなときというのは、どうしても、地元の人たちも、悪臭があるよという地域がそういうところにあるんですね。
 ですから、保守点検は七〇%、どの地域かはわかりませんけれども、されているということですから、パーセンテージが高いか低いかは、それはまたいろいろ議論のあるところだと思いますけれども、決められている定期検査というものをもっと進めていく必要があるんだろうと思うんですね。
 ですから、今まで指定検査機関というものが東京都の中で指定をされて、その機関が調査をされているということでございますけれども、当然、保守点検をされる業者の皆さんも、指定機関の中のメンバーとして入って、全員が入っているかどうかわかりませんけれども、私は、一番今わかりやすいものは、いろいろな方法で啓蒙活動、普及活動を、東京都としても全力を尽くしていただいてはいるんだろうと思いますけれども、その方法を、これだけ義務化されて、法律で義務化されている事柄でありますから、もうちょっと東京都としても、指定検査機関に対して、きちっとやっていただくようなお願いをしていくべきだろうと思うんですね。
 いろいろやることもたくさんあるんだろうと思いますけれども、東京都としては、浄化槽がどういう状況にあるかなんということは、多分ペーパーで上がってくるか何かだろうと思いますけれども、指定検査機関と、浄化槽を保守点検をされるところの業者の人たちの連絡合いといいましょうか、その辺の関係をもうちょっと濃くしない限りは、保守点検をしているパーセンテージまでにもまだまだ割合が開いているわけでありますから、その辺のところを、法律は法律として、東京都独自で、もうちょっと検査をするパーセンテージを上げていただくために、方策をもうちょっとしっかりしてもらった方がいいのかな、そういう気がするんです。
 地元でも、先ほどいったような状況が大変ありまして、私もそういうところに行ったことがあるんです。地元の人たちが、そこに住んでいながらも、多少悪臭があったりするわけですね。
 たまたま、町田市にも鶴見川だとか境川だとか恩田川だという川がありまして、鶴見川の上流のところには湧水がありまして、最も上流の方は水がきれいなんですよ。
 ですから、そういう状況を見ていただくために、今、どの国でも環境、環境、緑、緑といわれている、私たちの日本でもいわれているそのときでありますから、生活環境の向上もあるでしょうし、公衆衛生という場合もあるでしょうし、しかし、水質がどのぐらいきれいかということは、私たちが生きていく上で最も大切なことだと思いますので、ぜひとも、これからも含めまして、東京都と指定検査機関、あるいは検査機関とそれぞれの保守点検をする業者との連携をきちっととっていただくような方策をとっていただきたい。
 今回は補正予算でございますので、人数も相当の人数になろうかと思いますけれども、きちっとした検査をしていただくようにお願いをさせていただきまして、質問を終わります。

○藤川委員長 ほかにご発言ございますか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○藤川委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤川委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で環境局関係を終わります。

○藤川委員長 これより都市計画局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第七十九号議案、第百四十六号議案、平成十三年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、繰越明許費、都市計画局所管分及び第百五十号議案を一括して議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しております。
 その際要求しました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○野田総務部長 去る二月十五日の当委員会で要求のございました資料のうち、補正予算及び東京都建築指導事務所設置条例の一部を改正する条例にかかわるものにつきましてご説明申し上げます。
 お手元に配布しております当局の都市・環境委員会資料をごらんいただきたいと思います。
 目次の次のページをお開きいただきたいと思います。
 まず、都市計画局補正予算の五年間の概要でございます。一般会計につきまして、過去五年間の補正予算額と主な事業名を記載しております。
 次に、東京都多摩東部・西部建築指導事務所所管事務処理件数でございます。課別に、職員定数、建築確認等申請件数、違反建築物摘発件数の過去五カ年分を記載してございます。
 以上で要求のございました資料の説明とさせていただきます。どうぞよろしくご審議のほど、お願い申し上げます。

○藤川委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、本案に対する質疑を行います。
 発言をお願いします。

○吉原委員 それでは、今回の補正予算の件で、屋外広告物の実態調査に要する経費の計上の件で一、二点だけお尋ねをさせていただきたいと思っております。
 今、私たちが高速道路を走行していますと、同じ内容の看板、大きさ同じ、そして、一定区間の間に何枚も何枚も、何カ所も何カ所も、連続して繰り返し広告物があるところがあるんですね。そういった場合に、なかなか景観上、余り見た感じもよろしいものではないと思うんです。
 そんな中で、景観上問題ある屋外広告物について、それに対する規制たるものはあるんでしょうか。

○森下建築指導部長 お答えします。
 同一内容の屋外広告物を建築物の一つの壁面に並べて表示する場合には、一定間隔以上距離を置かなければならないという制限がございます。
 ただし、複数の建築物の場合には、同一の広告物でございましても、このような規制はございません。

○吉原委員 また、高速道路を見ていただけるとわかると思いますけれども、そこを通過しても、その看板ばかりが目立ってしまうような、だれが通っても多分そんな印象を受けるんじゃないかと思うんです。それが二枚、三枚ぐらいはまだしも、六枚もあるところがあるんですね。
 そんな意味で、景観という意味も含めて、これからそういうものを直していく、規制していくようなことをしてもいいんじゃないかと思いますけれども、その点についてはいかがでしょう。

○森下建築指導部長 屋外広告物に関する規制でございますけれども、経済活動や表現の自由の制限ということも関係しまして、大変難しい問題であろうかと思います。
 しかしながら、屋外広告物につきましては、景観に大きな影響を及ぼすこともあることなどから、適切な規制のあり方を検討する必要があると思っております。
 来年度は、そのために、広告物の実態調査あるいは都民の意識調査などを実施することにしております。

○小磯委員 今回の平成十三年度補正予算に計上されております緊急地域雇用創出特別基金事業、これは、我が党公明党が主張いたしまして、国で三千五百億円を用意をして、それを自治体に交付をした、そして、それをもとに都道府県が基金を設立をして、自治体は地域の実情に応じた緊急性の高い公的事業を新たにつくって、いわゆる離職者などに雇用の機会を提供していく、二〇〇四年度末までに五十万人強の雇用創出効果が見込まれている、そういった事業でございます。
 それの一つが今回の都市計画局で挙げられた補正の事業でございますが、今回行われようとしております屋外広告物の実態調査の目的、内容、調査区間、それからまた作業の流れ等のポイントについてお伺いをしたいと思います。

○森下建築指導部長 東京都の屋外広告物条例によりまして、高速道路から一定距離の沿線区域につきましては、わき見運転の防止などのために、安全確保の見地からでございますけれども、屋外広告物の禁止区域としてございます。
 本調査は、この禁止区域におきます違反広告物の実態を調査するために実施するものでございます。
 調査区域につきましては、二十三区内の首都高速道路の沿線部分を対象としてございまして、高速道路上からのビデオ撮影あるいは現地調査などによりまして広告物の実態を把握するというものでございます。
 調査結果については、都で分析した上、違反があった場合には、指導権限を有します特別区に通知しまして、是正指導を行っていくということでございます。

○小磯委員 大体これは、調査をして結果が出るのがいつぐらいなのかということ、それから、違反を、きちっと違反だよということで相手に伝えて指導していく、その実施主体はどこなのか、その辺を。

○森下建築指導部長 今回の調査は、一応年度内に終了することになってございます。その結果を分析した上で、その後になりますけれども、指導権限は区が持っておりますので、区の方を通じまして是正指導を行っていくということでございます。

○小磯委員 この緊急地域雇用創出特別基金事業、これは都にとっても、また国の交付金で調査ができるわけでございますから、積極的に活用すべき制度だ、こう思っております。十四年度も引き続いてこのような調査を実施する予定があるのかどうか、お伺いしたいと思います。

○森下建築指導部長 平成十四年度につきましても、この国の交付金制度を利用しまして、良好な景観形成の見地から、屋外広告物に関する規制の適切なあり方を検討するための実態調査を行う予定でございます。
 この調査は、景観上特徴のあるモデル地区を複数選定の上、屋外広告物の数量であるとか形態などを調査しまして、規制誘導基準の検討のための基礎資料を収集するためのものでございます。

○小磯委員 この緊急地域雇用創出特例交付金というのは、そうやって三千五百億円を自治体に交付するんですけれども、やっぱり国の方で、こうしなければならないという、そういうある意味の規制があるわけでございまして、一つは、事業費に占める人件費割合が八割以上であるということ、それからもう一つは、全労働者に占める新規採用の失業者割合を四分の三以上と、こういった縛りがあるということで、都議会公明党としても、何とか実効あるものにするために、人件費割合を六割程度に緩和するなど、そういった弾力的運用ができないかということで今働きかけをしているところでございます。
 いずれにしても、この雇用創出特例交付金というのは、今まで都市計画局としてやりたくても、なかなか人が足らなくてやれなかった事業をやる、そういう効果もあります。そしてまた、雇用を創出するという効果もあると。そんなことで、両面にわたっていいことであるということで、有効的に、積極的に活用すべきである、こう思っている次第でございます。
 最後に、今の二つのこの事業というのは、建築指導部での事業でございますけれども、それ以外の部でも、積極的に手を挙げてやっていただければなと、こう思っているわけでございますが、最後に、これに対する局長の、ちょっとお聞かせください。

○木内都市計画局長 先生お話のとおり、この特別交付金、現下の雇用情勢を反映した適切な国としての措置であろうというふうに認識している中、本都としても、あるいは都市計画局としても、こうした制度を活用して少しでも雇用創出が図られればというふうに考えているところでございます。
 したがいまして、そうした視点から、当局の行う事業の中にあって、雇用の創出に資するような事業が、さらにさらに検討しながら、必要なものについてはこの制度を活用して実施をしていきたいというふうに思っております。

○かち委員 百四十六号議案、補正予算についてお伺いします。
 補正予算の繰越明許費ですね、三つの公共事業についての繰越明許が計上されているわけですけれども、この中で、特に首都高速道路公団の繰越金についてお聞きします。
 昨年の補正から繰越明許を計上することになったわけですけれども、改めてその理由と、繰越額の内容、内訳などについて、ご説明をお願いします。

○只腰施設計画部長 まず、繰越明許費でございますが、ご承知のとおり、歳出予算のうち、その性質上または予算成立後の事由によりまして、当該年度内にその支出が終わらない見込みがあるものにつきまして、予算の定めるところによりまして、翌年度にこの予算を繰り越して使用することができることにつきまして、議会の議決をいただくものでございます。
 今、ご指摘ございました首都高への繰越明許額でございますが、現在、整備を進めております中央環状王子線並びに新宿線でございますが、大変過密な市街地内での工事であるということで、関係機関との調整による工事遅延等が発生する可能性がある、また用地買収につきましても、関係者の折衝に時間を要する可能性があるということで、今回、貸付金の部分につきまして、補正予算に八十八億円の繰越明許費をお願いしているものでございます。
 具体的な内容につきましては、中央環状王子線につきましては、既に高架橋はほとんど完成してございますが、その附属施設あるいはトンネル施設等につきまして、工程調整などを勘案しまして約二十四億円、それから中央環状新宿線でございますが、地元との調整あるいはトンネル工事におきます支障物撤去等に時間を要するようなことを勘案いたしまして、六十四億円を見込んでいるものでございます。

○かち委員 この道路公団への繰越明許は、いずれも貸付金ということなんですね。非常に工事の進捗状況によって見定め切れないという、遅延することがあるということなんですけれども、それでは、首都高速道路公団へのこれまでの都の負担額は、一体どれぐらいつぎ込んできて、今後の見込みはどうなっているのでしょうか。

○只腰施設計画部長 先ほど申し上げました現在工事中の新宿線並びに王子線でございますが、王子線につきましては、出資金と貸付金二つございますが、合わせまして、昭和六十一年度から平成十三年度までの概算でございますが、千百億円支出をしてございます。今の負担の率が変わらないという前提で申し上げますと、今後は七十億円さらに要するのではないかと。
 また、新宿線でございますが、同様に平成二年から十三年度までに千五百億円、それから今後につきましては、先ほどと同じ前提で千六百億円を予定してございます。

○かち委員 今のご説明でいきますと、出資金と貸付金を合わせて、これまでには二千六百億円を費やしてきたと。今後は、さらに千六百七十億円かかるということですよね。いずれ貸付金については返ってくるということですけれども、無利子貸付ということで、そこには都民への利子負担分というのが重くかかってくるわけです。
 これからは、事業内容の変更もありまして、都心の密集地に入るということで、地下化が導入されているわけですね。目黒区の青葉台から板橋区熊野町間の建設コストというのは、一キロ九百三十億円、ですから一メートル一億円近くになるという大変高い道路をつくり続けることになるわけです。今後の都心再生、先ごろも議論になりましたけれども、この再生計画を進めていけば、あっちこっちに再開発のビルが建ち並び、そのことによって、さらに車の発生量がふえ、それが幹線道路につぎ込まれていくということですから、大気の汚染改善というよりも、ますます幹線道路への悪化ということは、大きく懸念されるものだと思うんです。
 また、地下化ということでは、地下水脈の切断や、湧水、そういうものに対する自然への負荷なども考えなければならないと思います。単に幹線道路ができれば経済効果が上がるということだけでは、換算できないのではないでしょうか。
 こういう立場に立ってはいるんですが、現在事業中の中央環状線のうち、出資対象と貸付対象というのは、どういうふうに区分しているんでしょうか。

○只腰施設計画部長 新宿線につきましては、今ご指摘ございましたように、二つの手法で貸し付けまたは出資をやっているわけでございますが、貸付対象につきましては、南側の区間でございまして、大橋ジャンクションから中野本町の出入り口まで四・九キロメートル、それから出資対象でございますが、北側の区間でございまして、板橋区の高松出入り口から先ほど申し上げました中野本町まで、六・一キロメートルでございます。

○かち委員 新宿線は、中央環状新宿線と王子線がつながっているわけですね。その王子線の七キロ全線と、新宿線の十一キロのうち約半分ですか、四・九キロ、これは無利子貸付制度というものを使っているということになるわけですね。この貸付制度というものは、法的な根拠はあるのでしょうか。また、同様な例はほかにあるのでしょうか。

○只腰施設計画部長 国におきましては、道路整備特別措置法の附則の七条に、資金の貸し付けの特例という項目がございまして、いわゆるNTTの株式の売り払い収入の活用によりまして社会資本を整備するための促進特別措置法というのがございまして、その規定によりまして、無利子で貸し付けてございます。
 この制度の導入によりまして、路線が早く整備ができる、また関連街路事業の一部を首都高速道路と一体として整備ができる、また、今ご指摘ございましたように、都にとっては貸付金であるということで、将来返還されるというようなメリットがございます。
 そのため、東京都におきましては、先ほど申し上げた国の貸付制度を受けまして、貸付要領を都として制定をいたしまして、主要な予算額につきましては、毎年度、議会の議決を得て支出をしているものでございます。
 なお、他の適用でございますが、大阪の阪神高速道路公団におきましては、過年度を含めまして、三路線でこの制度の適用がされているというふうに私どもは聞いております。

○かち委員 今の説明でも、法律に基づく規則の中に定められているということであって、明確な法的な根拠ということではないと思うんですね。
 この定められている要綱によりますと、社会資本整備事業費あるいは渋滞対策特定都市高速道路整備事業などともいわれているようですけれども、国と東京都が折半で平成元年から無利子で貸し付けているというものなんですが、この貸付事業のうち、貸付割合というものも、当初は三分の二、約六六%だったものが、平成十一年度から五分の四、八〇%にまで膨らんできているんです。この社会資本整備事業というのは、渋滞解消効果が大きく緊急に整備すべき首都高と、それに密接する関連道路を一体として整備する事業というふうにも書いてあります。
 こういうことを見てきますと、この制度の対象となるのは、首都高速道路公団とか阪神高速道路公団、この二つぐらいだと思うんですが、では大阪ではどうかといいますと、大阪では、この制度を使っても、この高速道路への出入り口に関連する府道の関連道路の整備、こういうことに限って貸し付けをしているということです。そういうことからいいますと、東京都のように全区間を区切って全面的に貸し付けをしているというような例は、ほかにはないといってもいいんではないでしょうか。
 昨年の予算特別委員会での答弁の中では、この利子返済の都の負担分はどれくらいかと我が党の木村幹事長が質問しましたけれども、十一年度分で六十一億円というふうに財務局長が答えられていました。こういうことで見てくると、毎年、数十億円から百億円近い、法的な根拠のない利息を、都民は強いられることになるわけです。
 総務庁の高速道路に関する行政監査結果に基づく勧告では、指摘されているように、公団は九七年の閣議決定を前提に、自力で事業資金は調達すべきだというふうに求めているわけですね。そのことは知事自身も認識をされていて、都民の負担は、できるだけ軽減しなければならないという問題意識に立っておられるわけです。にもかかわらず、今回、再度また繰り越しという形で出てきているわけですけれども、平成十二年度の補正で認められた繰越額と実際というのは、どういうふうになっているんでしょうか。

○只腰施設計画部長 平成十二年度でございますが、補正予算におきまして、首都高速道路への貸付金の繰越額としては、百二十五億円の枠を設定をさせていただきました。
 実際でございますが、当初の見込みより、公団におけます十二年度の事業進捗が図られまして、四億円は当該年度内に執行されたということで、百二十一億円につきまして、繰り越しとして繰越額となってございます。

○木内都市計画局長 今ご発言の中で、法的な根拠がないというご発言がございましたけれども、予算の執行ということで施設計画部長が申し上げましたように、予算という形式で議会の議決を経たものを執行しているものでございまして、そういう意味では、法的な根拠があるというふうに理解しております。

○かち委員 議決とは、また法的な根拠というのは別だと思いますので、これは私の意見です。
 今、ご説明をいただきましたけれども、十二年度の当初予算を振り返ってみたいんですけれども、この首都高への貸付予算、当初予算は百三十八億八千万円でした。その年度の末に、何と一・五倍以上の二百十億円を補正予算で組んだんですね。同時に、年度内には終わりそうもないということで、繰越額を百二十一億円組んだんですよ。しかし、年度末で百二十一億円、当初予算に匹敵するような繰り越しを組んだって、やり切れないのは当然ですよね。しかも、それを一応十三年度に繰り越したけれども、結果的には二十四億一千万円の不用額を出しているわけですよね。
 それで今年度はどうかといいますと、十三年度当初予算では二百三十五億四千万円組んでいますが、この年度末でまた八十八億円の繰り越し、やり切れないだろう、おくれるだろうということで繰り越しをして、何と来年度予算の当初にまた繰越金をつけるという、どこまでが当初予算なのか、おくれおくれに来て、とにかく早くやってほしいという思いはわかりますけれども、本当にけじめのない投資的経費がどんどん……。これ、単に、今予算を使うわけではないといったって、結局、繰り越しで年度の枠を広げて使うわけですから、それはやっぱり都民に利子負担として返ってくるわけですから、こういうことは、--やはり基本的には行政の予算というのは単年度予算が原則ですよ。それを、このように仕切りのない規制緩和というか、こういうやり方でどんどんどんどんふやしていくと、当初は少なく見えても、結果的にはふえているということで、都民にとっても大変わかりにくい予算編成になると思うんですね。
 そういう意味では、特に今年度は、来年度また繰り越しを当初からつけるということが想定されているわけですからね、こんなにだぶついている繰り越しは、ここで一線を切って繰り越しをすべきではない。私は強くそのことを申し上げて、質問を終わります。

○藤川委員長 ほかには、ご質問ございますか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○藤川委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤川委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市計画局関係を終わります。

○藤川委員長 これより付託議案の審査を行います。
 第七十九号議案、第百四十六号議案、平成十三年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、繰越明許費、都市・環境委員会所管分及び第百五十号議案を一括して議題といたします。
 本案については、質疑を終了しております。
 この際、本案について発言の申し出がありますので、これを許します。

○清水委員 私は、付託されております第七十九号議案、東京都建築指導事務所設置条例の一部を改正する条例に反対の意見を述べます。
 建築指導事務の市への移管は、地方分権の一環として、条件の整った市から移管されています。この間、六市に移管され、八王子、町田を含め八市になっていますが、今回の建築指導事務所の再編は、市への移管がされない中で行われるものです。そのために、所管がえされる四市の住民の中には、例えば、狛江市から立川事務所を利用する人の中には、これまでは調布駅までバスを使い、京王線調布駅から京王線府中駅までで一本で済んだものが、乗りかえなければならないなど、建築確認などの申請が不便になる人も出てきます。
 また、違反建築物の早期発見、是正への有効策がおくれる心配も出てきます。市の移管がさらに進んだ時点で再編されることはあると思いますが、現段階での再編は、急ぎ過ぎると考えます。したがって、本議案には反対します。
 あわせて、東京都市長会から毎年都市計画局に出されている要望が、建築基準行政事務の市移管に伴う財政措置の拡充です。移管の際に、五年間手当てされている財政措置を十年間に延長してほしいというものですが、こうした措置が伴わなければ、小さな市などは、なかなか建築指導事務の移管が実現されないという実態があります。この要望にこたえることも、あわせて発言して、本議案に対する反対の意見を述べます。

○藤川委員長 発言は終わりました。
 これより採決を行います。
 初めに、第七十九号議案及び第百四十六号議案、平成十三年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、繰越明許費、都市・環境委員会所管分を一括して採決いたします。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、いずれも原案のとおり決定することに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○藤川委員長 起立多数と認めます。よって、第七十九号議案及び第百四十六号議案、平成十三年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、繰越明許費、都市・環境委員会所管分は、いずれ原案のとおり決定いたしました。
 次に、第百五十号議案を採決いたします。
 お諮りいたします。
 本案は、原案のとおり決定することにご異議ございませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤川委員長 異議なしと認めます。よって、第百五十号議案は原案のとおり決定いたしました。
 以上で付託議案の審査を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時四十九分散会

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