委員長 | 藤川 隆則君 |
副委員長 | 吉野 利明君 |
副委員長 | 相川 博君 |
理事 | 真鍋よしゆき君 |
理事 | 鈴木 一光君 |
理事 | 大木田 守君 |
小磯 善彦君 | |
吉原 修君 | |
清水ひで子君 | |
かち佳代子君 | |
大塚 隆朗君 | |
秋田 一郎君 | |
大河原雅子君 | |
内田 茂君 |
欠席委員 なし
出席説明員都市計画局 | 局長 | 木内 征司君 |
技監 | 勝田 三良君 | |
理事 | 杉浦 浩君 | |
総務部長 | 野田 一雄君 | |
総合計画部長 | 中島 守君 | |
開発企画担当部長 | 福島 七郎君 | |
地域計画部長 | 小林 崇男君 | |
施設計画部長 | 只腰 憲久君 | |
航空政策担当部長 | 甲斐 正彰君 | |
外かく環状道路担当部長 | 成田 隆一君 | |
開発計画部長 | 田中 亨君 | |
建築指導部長 | 森下 尚治君 | |
参事 | 河島 均君 | |
参事 | 萩原 豊吉君 | |
環境局 | 局長 | 赤星 經昭君 |
総務部長 | 長谷川 猛君 | |
企画担当部長 | 梶原 康二君 | |
移管事業調整室長 | 小栗 英夫君 | |
環境改善部長 | 薄 厚一君 | |
参事 | 小島 高志君 | |
自動車公害対策部長 | 松葉 邦雄君 | |
交通需要マネジメント担当部長 | 山本 憲一君 | |
自然環境部長 | 高田 茂穗君 | |
廃棄物対策部長 | 西野 和雄君 | |
廃棄物技術担当部長 | 関 寿彰君 | |
参事 | 古川 芳久君 | |
環境評価部長 | 町 格君 | |
局務担当部長 | 平田 信幸君 |
本日の会議に付した事件
意見書について
都市計画局関係
報告事項(説明・質疑)
・国立市マンション除却命令等請求事件の地裁判決について
・第百五十二回東京都都市計画審議会付議予定案件について
環境局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百七十五号議案 都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
・第百七十六号議案 特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律関係手数料条例
・第百七十七号議案 東京都自動車排出窒素酸化物総量削減計画策定協議会条例の一部を改正する条例
・第百七十八号議案 東京都環境科学研究所手数料条例の一部を改正する条例
報告事項(説明・質疑)
・東京都環境基本計画のあり方について
・東京の廃棄物と行政行動及び東京都廃棄物処理計画について
○藤川委員長 ただいまから都市・環境委員会を開会いたします。
初めに、意見書について申し上げます。
委員から、お手元配布のとおり、意見書五件を提出したい旨の申し出がありました。
お諮りいたします。
本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ございませんでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤川委員長 異議なしと認め、そのように決定いたします。
○藤川委員長 本日は、お手元配布の会議日程に従い、都市計画局及び環境局関係の報告事項の説明聴取並びに環境局関係の付託議案に対する質疑を行います。
これより都市計画局関係に入ります。
初めに、理事者から、国立市マンション除却命令等請求事件の地裁判決について、報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
○森下建築指導部長 それでは、国立市マンション除却命令等請求事件につきまして、去る十二月四日、東京地裁の判決が出されましたので、ご報告いたします。
資料1をごらんください。
三ページの方に、本訴訟の対象建築物でございますクリオレミントンハウス国立の案内図と現況の写真がございますので、ご参考にしていただきたいと思います。
一ページでございます。まず経緯でございますけれども、本件建築物につきまして、平成十二年一月五日に建築確認を行いました。同日着工しておりますが、二月一日には、国立市が、建築物の高さの制限を二十メートルとする、地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例、これは三ページで見ますと、点線で囲まれた区域でございます、地区計画の区域でございますけれども、この区域につきまして、制限条例を公布、施行いたしました。
本件建築物につきましては、平成十二年一月に建築差しとめの仮処分申請が出されまして、この民事訴訟につきましては、同年十二月、東京高等裁判所で棄却されましたが、この決定理由の中に、建築工事が高さ二十メートルを超える部分について、建築基準法に適合しない違法建築物である、こういう記述がございました。
その後、本年五月でございますけれども、多摩西部建築指導事務所長と建築主事を被告とする、違法建築物であることの確認と是正命令の発動を求める行政訴訟が提起されまして、本年十二月四日に東京地裁の判決が出されたところでございます。
訴訟の概要でございますが、一ページの下段でございますが、国立市の通称大学通り沿いに建築中の十四階建てマンションの高さ二十メートルを超える部分は、いわゆる国立市建築物制限条例に適合しない違法建築物であるとして、(1)、建築指導事務所長が本件建築物の建築主に対し、〔1〕本件建築物の高さ二十メートルを超える部分に係る建築禁止命令、〔2〕本件建築物の上記部分に係る除却命令を発しないことが違法であることを確認すること。(2)は、建築指導事務所長が建築主に対し、〔1〕本件建築物の上記部分に係る建築を禁止すること。〔2〕本件建築物の上記部分に係る除却命令を発すること。(3)が、建築主事が本件建築物に係る検査済み証を交付しないことを周辺の住民の方が求めているものでございます。
二ページでございますが、この訴訟の争点でございますが、工事中の建築物というものは、新たに施行されます条例の適用の対象外となりますが、いつの時点から工事中の建築物とみなせるかという点が争点となっております。
原告の主張は、建築物は、条例施行時は根切り工事のみであって、躯体そのものの工事ではないので、工事中の建築物ではないというものでございます。
それから、都の主張としましては、本件建築物は、条例施行時には根切り工事を行っており、その後、工事を継続しておりますので、工事中の建築物であるという主張でございます。
判決の要旨としては、建築指導事務所長が、本件建築物について、国立市建築物制限条例に違反する部分を是正するために建築基準法に基づく是正命令権限を行使しないことが違法であることを確認するというものです。
それから、その他、本件建物の高さ二十メートルを超える部分に関する建築の禁止命令だとか、除却命令を発しないことが違法であることを確認する--一ページの訴訟の欄の(2)、(3)につきましては訴えを却下するというものでございます。
この判決に対します都の対応でございますが、都は従来から一貫しまして、根切り工事の段階から工事中の建築物であると扱っておりまして、今回の判決はそれと反しておりまして、これまでの多くの既存建築物の適格性であるとか、今後の円滑な建築行政の実施に支障を来すことになるということでございまして、本日、東京高等裁判所に控訴したところでございます。
○藤川委員長 報告は終わりました。
これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○相川委員 何点か、質問というよりは意見という形で述べさせていただきたいと思うのですけれども、実は私は、当該建築敷地の大学通りを挟んだ向かい側にあります高校にお世話になりまして、個人的に、そういう意味で、国立には大変な思い入れがあるわけです。知事も本音の部分では、大学が国立にありますから、恐らく私と同じような思いを抱いていらっしゃるかと思います。
それはともかくとしまして、何点か意見を申し上げたいと思うのですけれども、この問題は、今後の都の建築指導行政あるいは景観行政に対して、都民がどのように評価をするかという、いってみれば試金石のようなものであるというふうに考えるわけであります。
私も判決文の写しを手に入れまして、一通り読ませていただきました。そういう中で、まず一点目は、基準法の三条の二項、基準不適格というものがどういう判断であるかということが裁判の争点の大きな一つの問題になったわけでありますけれども、今まで建設省の通達で、どこの特定行政庁も、恐らく今の説明にありましたような、根切りをすれば、それがもう工事の着工なんだという判断で指導されてきたんだと思います。
ただ、昨年と今回の判決という二回の裁判の中で、違う判断が下されたわけでありますから、今後こうしたことをとらえて、例えば通達と判例が、どちらに拘束力があるのかというようなことも踏まえながら、今後のために、まず一つは、法の改正、あるいは、これはテクニックの問題かもしれませんけれども、例えば都の安全条例等で、こういったことを具体的に成文化をしていく、いわゆる都民にわかりやすいような形で知らしめていくということの方向に、少し検討をいただければいいのかなというふうに思います。
それから二点目で、この判決によりますと、検査済み証の交付に関しましては、判決の内容で触れられなかったわけでありますが、検査済み証を出せば、当然のことながら、もう既にその販売が開始される。もう一方の裁判も係争中でありますし、そういう意味からしますと、検査済み証を出して新たな所有権者があらわれることによって、なお紛争の拡大を招くんじゃないか。そういう観点から、検査済み証を出す場合にも、裁判の推移をよく見ながら検討をすべきではないか、このように思います。
三点目としまして、あの大学通りは、新東京百景に選ばれているわけであります。最近出ました東京の新しい都市づくりビジョンの中でも、街並みデザイナー制度ですとか、景観行政に真剣に取り組んでいくんだというような東京都の姿勢もあるわけですから、ある意味では、もう少し違った対応が必要ではなかったのかな。あるいはこれから必要ではないのか。
これに関していえば、一昨日の本会議の一般質問の中で、自民党の宮崎章議員が、国分寺の真姿の池の近接したマンションの問題を取り上げておられましたけれども、場所、物は違っても、共通している問題があるんじゃないか、この辺もよくお考えいただければというふうに思います。
それからもう一点、これは東京都に申し上げるというよりは、むしろ国立市に申し上げなければいけないことであると思うのですけれども、大学通りの景観を守っていくという立場からすれば、今回のような、敷地を絡めて、桐朋学園の敷地も入っておりますけれども、地区計画のあり方の問題が一つ考えられるんだと思うわけであります。
もしあの大学通り全体の景観を維持をしていく、保全をしていくということであれば、大学通り全体、沿道全体を地区計画によって守っていくというような姿勢、強いていえば、国立市は、限定で、例えば建築指導行政を担っていく、あるいは地区計画における建築条例を自分のところで運用していくというようなことを今後早急に考えなければいけないのか。この辺についても、都が国立市と十分に調整をしていただきたい、このように思うわけであります。
それから五点目としまして、この問題に直接関係がある話ではないんですけれども、聞くところによりますと、年間、この手の建築紛争は、都内全体で千件ぐらいあるというふうに聞いています。特にこの中の七割ぐらいは、規制緩和によって、民間の機関が確認を取り扱うということになりまして、紛争を起こしているのは、千件のうちの七割ぐらいが民間の機関で確認をおろしているんだというようなことも実は聞いております。
要するに、民間の機関というのは、法令以外に何も考えないで、早く確認をおろすというような事務的な作業を多分しているんだろうと思うわけであります。この点についても、東京都はやはりある程度よく考えた上で、指導に乗り出すというようなことも必要なのではないか、このように思います。
六点目、これも直接的には東京都とは関係ないかもしれませんが、もう一つの裁判の方であります。この建築主と住民の方々との裁判の中で、建築主側の弁護士が、実は元都の職員である。しかも、私が知り得ている中でも、かつて八王子市の建築紛争調停委員をおやりになったり、現在は世田谷区の建築審査会の会長をされているような立場の方が、公職にありながら、こういった裁判の被告側の弁護に当たっているということ自体が、これは道義的なことも含めて、大変問題があることではないか。この点もちょっと指摘をさせていただきたいと思います。
いずれにしても、都がこれから控訴をして、仮に勝ったとしても、今までこの裁判の中で、ずっと長年続けてこられた建築指導行政の一部の規定がもとに戻るということだけで、だれがこれによって利益を得るかということを考えれば、一民間企業が利益を得るだけだ。そういう意味からすれば、小田急の裁判とはこの部分が決定的に違うんだろうというふうに思います。この点を指摘させていただきまして、意見という形で述べさせていただきました。
○大木田委員 私も何点か具体的に伺っていきたいと思いますが、小田急の場合も、全体的に七〇%の工事が終わっていて、ああいうような形で判決が出て、控訴したということであります。
今回のも、私も写真を見させていただきましたけれども、ほぼ完成に近いというような形の中で今回の判断が下されているわけでありますけれども、その争点を見ますと、平成十二年の一月五日に東京都が建築確認、明和地所が、いわゆる根切りですね、掘削工事を開始したということと、それから同じ平成十二年の約一カ月後に、二月一日に、国立市が建築物制限条例を公布、施行したというような形なんですね。
約一カ月、このときに差があるわけですけれども、要するに、条例というのは、施行した日からこれが行われるわけですけれども、遡及してなるという条例であればまた違いますけれども、これはそのような条例ではなくして、二月一日公布、施行ということになるわけですね。したがって、その前に進んでいるものについて、その判断が及ぶのか及ばないのかという問題がここで生じてくるわけでありますけれども、具体的な点で、そういうようなことを踏まえて、経緯の説明の中で、事業者である明和地所が、東京海上火災から土地を購入したのは平成十一年の七月ということですけれども、その時点では、地区計画の策定の動きや高さの制限はあったのかどうか、まずこの点を確認しておきたいと思います。
○森下建築指導部長 土地を購入した時点におきましては、地区計画の策定の動きであるとか、建築基準法に基づく絶対高の制限等についてはなかったものということでございます。
○大木田委員 一般的には、事業者が土地を購入するに当たっては、事業収支を検討するために、事前に地域地区を調べ、どのくらいの戸数が計画できるか、あるいは配置や階数等についても検討していると思うのですけれども、どのような計画であったのか、それに対して住民の意見はどのようなものがあったのか、これも確認をしておきたいと思います。
○森下建築指導部長 明和地所の当初の計画、一番最初の計画は、階数は十八階、高さが約五十三メートルというようなもので、これは平成十一年の八月ごろに近隣へ説明しているということです。
地元の皆さんからは、大学通りと調和するように、高さを低くしてほしいという要望がございまして、今の計画、これは平成十一年の十一月ごろだと思いますけれども、階数を十四階、高さを約四十三・六五メートルというもので提案して、変更してきたということでございます。
○大木田委員 住民は、大学通りの建物の高さは、イチョウ並木と調和する二十メートル以下にしてほしいということであるわけですけれども、事業者は土地を購入した後、すぐに実施設計作業に入りまして、また時日上の理由などから、なかなか途中での大幅な変更はしがたい、こういうように思うわけですけれども、高さ制限をしようとする場合、どのような方法があるのか、これも確認しておきたい。
○森下建築指導部長 事業者に対していろいろ要請をするというようなことは、制度としてあるかもしれませんけれども、法的に高さを制限するというようなものの場合には、今回もそうなんですけれども、地区計画を定めた上で、これに基づきます建築条例というものを定める必要がございます。
○大木田委員 先ほどちょっと話も出ておりましたけれども、マンション計画が今東京ではかなり進んでおります。しかも、今東京全体が、ドーナツ化現象が起きているんですよね。したがって、都心区の方は高層が一部できておりますけれども、私の住んでいる北区とか、ずっとこの周辺のところのマンションが、多摩地域も含めて、ドーナツ化地域にマンションがずっと建っているわけです。それで、都心の一部の人がこっちの新しい方へ移ってきて、三多摩、関東周辺の人が、今また都心回帰でこっちへ来ているというようなことなんで、マンションの計画は随分進んでいます。こういうマンション計画が建築紛争となることはよくありますけれども、地区計画が定められているのに、なぜこの問題がここまでこじれたのか、今回の原因をまず伺いたいと思います。
○森下建築指導部長 確かにご指摘のように、地区計画などによってまちの姿を決めた上で建築条例とかつくれておれば、それは建物の建て方について非常に確定的になりますので、いろいろな問題も少ないのではないかと思います。ただ、今回の場合に、その経緯が大変複雑といいますか、非常に緊迫していたということがございまして、こういった問題になったわけでございます。
若干の経緯を今ご説明申し上げましたけれども、もう少し敷衍させていただきますと、まず、先ほどいいましたように、平成十一年の八月ごろから、あるいは十一月に変更していますけれども、当初は十一年八月でございますけれども、事業者の建築計画が発表されました。それがその後に、これに対応するような形での地区計画の提案がございました。その提案をしたのは平成十一年の十月でございます。その後、十二月になりまして、明和地所が建築確認を申請しました。それで十二年の一月に確認がおりて工事を始めたわけでございますけれども、その後、平成十二年の二月になりますけれども、一カ月ぐらい後でございますけれども、先ほどいいました地区計画の建築条例が決まったということでございます。
このように、事業者側の建築の確認とか着工にかかわる手続と、それから地区計画などが、事業者の動きと呼応するような形で急遽提案されてきたということで、大変手続が接近していたというようなことが、この問題を非常に難しくしている原因だと思っております。
○大木田委員 今説明がありましたけれども、地区計画は住民の皆さんの意見を聞きながら行われる。これがかなり接近していたために、こじれたというようなことの指摘でございますけれども、またこの地区計画を策定するに当たっては、先ほど図面でも示されておりますように、マンションの敷地、それから桐朋学園を中心に、一戸建ての住宅地を含めて限定されておりますね。大学通り沿いについての景観を保護するためには、もっと全体的に地区計画の網がかけてあってもいいのではないかというような感想を私は持っております。
その上に立ちまして、例えば本件について、きょう控訴をいたしましたけれども、もし控訴をしないで、このままの判決が確定したら、従来の建築行政と大きく異なる判例となると思うわけですけれども、その場合、建築行政上どのような影響が出るのか、これも確認をしておきたいと思います。
○森下建築指導部長 先ほどの答弁の中で、地区計画の縦覧をしたのを十一年十二月と述べたと思いますが、十一年の十一月でございます。訂正をさせていただきます。
この場合、判決についてどんなような影響があるかということでございますけれども、今回のマンションもそうでございますけれども、実はいろいろな法律の制度は、建築基準法が改正されたり、都市計画法が改正されたり、あるいは都市計画法に基づきます用途地域の指定がえとか、大規模にやられる場合には、こういった問題が常に発生いたします。
例えば昭和四十八年の都市計画法の改正では、用途地域の内容ががらりと変わりまして、一種住専など八種類の形になりました。そこで大きな用途地域の変更がございました。あるいは五十三年の日影条例の施行というのも、これも従来なかった日影規制が適用されるということになりました。それから、割と最近では、五十六年に地震の後の法改正がございまして、新耐震設計基準ができた。これについても大きな変更がございました。
こういう大きな変更があって、用途の指定がえ等が行われる場合に、現在その時点で計画されている建築物がどういう扱いを受けるかということは、従来もかなり大きな対象となった建物があったわけでございます。それはそれぞれ基本の考え方としては、計画しているものであっても、単に計画だけではだめで、確認もとった上で、根切り工事までしていれば、それは工事中の建築物であるということを認めた上で、すべてこれまで対応してきたところでございます。
それはなぜかといいますと、根切り工事そのものは、割と軽易な場合もありますけれども、今は大きな建物が非常に多いですから、大変大規模な工事になることがかなりあります。地下十メートル掘って、大きな山どめ工事をして、大変な工事をして、何カ月もかけて掘るようなこともございます。そういったものが、まだ工事中の建築物ではないということで、新たな法令を適用することとなりますと、建て主側にとっても大変負担だろうということがございまして、通常は根切り工事、あるいはくい打ちの工事の段階で、これはもう工事中の建築物であるという認定をすべきであるということが、従来からの固まった考え方でございまして、そういう扱いをしてきたということでございます。
今回のような考え方がもし確定しますと、そういうような取り扱いをしておりました既存建築物についての適格性というものが疑われてくるということがございます。そういった関係もございまして、今後の円滑な建築行政の実施に対して非常に大きな問題があるだろうということで、今回控訴したということでございます。
○大木田委員 今回の場合は、前から社会的にも非常に注目をされ、大きな影響があるわけでありますので、私は、きょう控訴したということで、適切な判断を裁判所に求めるのは大変結構なことだと思っております。
その後、確認をちょっとしておきたいのですけれども、例えば今ほぼ完成しておりますけれども、これで工事完了届が出ました場合、東京都が検査済み証を発行することが大きな焦点になってくるわけであります。今後工事完了届が出た段階で、都としては、控訴中ということでもありますけれども、検査済み証を発行するのかどうか、この点をちょっと確認しておきたいと思います。
○森下建築指導部長 工事が完了すれば、検査済み証を出さなければいけないことになっておりますし、私どもは、完了検査の申請がございますれば、検査を実施して、現在の建築関係の規定に合う適法なものであれば、検査済み証を交付していきたいと考えております。
○大木田委員 最後に意見だけちょっと申し上げておきますけれども、私は前のこの委員会におきましても、これからのキーワードは五つあるということで、成熟社会に入ったという話をいたしました。成熟社会に入ったということは、すべての状況が四九対五一の段階に入ったということなんですね。一つが動くと、五〇対五〇になる。二つが動くと、逆転をする。こういう要素で、物事の判断が非常に大差なく、微妙な段階に入ってきているというのが成熟社会の一つの現象だと思うわけです。
その意味においては、判断の基準というのは、非常に微妙な段階でいろいろとそれが行われてくるというような事態が、いわゆる成熟社会における今日の状況ではないかと思っております。
したがって、どの角度から見るかによって判断が変わってくるというような状況、そのくらいさまざまな部分が微妙な段階に入っているというようなことを、私はこの裁判以外のことでもいろいろと感じております。
その意味におきましては、地域住民の皆さんの環境の問題、それから法に基づいてマンションを建てる問題とか、いろいろありますけれども、可能な限りの配慮をしながら、さまざまな皆さんのいろんな合意形成を図りながらこれを進めていくことが大事だということを指摘して、質問を終わります。
○清水委員 同じく私も、今回の国立市マンションの問題について伺います。
私も、大学で行われるいろいろな催しですとか、それから先日も、桐朋学園の運動場で行われたスポーツの競技会などに見学に行くというような機会もありまして、電車をおりると、本当に都内の中でも、大変景観の整った心の休まる通りだなということを、つい先日も感じていたところです。そして、桐朋学園の前には、このマンションの問題の大きな看板が掲げられていて、本当に地域住民の強い希望だろうなということも実感をしてきたところです。
もう二人も質問されていますので、重ならないところで質問いたしますけれども、小田急線の裁判に続いて、行政訴訟における住民の勝訴の判決となったという点では、そのときにも申し上げましたけれども、これまで公共事業や開発事業に対しては、住民がまず訴えるという、そのこと自体にちゅうちょしてきたわけですけれども、訴えが認められることがなかった中で、今回の判決になったわけです。
先ほどの説明で、控訴されたことはわかりましたけれども、東京都として、今回の判決については、やはり厳粛に受けとめる必要があるというふうに思うのです。控訴したということは、事実としては知りましたけれども、その点についてどのように思うのか、伺いたいと思います。
○森下建築指導部長 行政側が住民の皆さんから訴えられて、都の主張が受け入れられていないということについては、もちろんそれは大変残念なことであると思っておりますけれども、私どもとしては、従来の判断については合理的で正しいものと思っておりまして、引き続きその説明をした上で、訴訟の場でもきちっとした答えを出していただきたいと考えております。
○清水委員 この間、国立市の人口は七万二千人ほどでしょうか、学校に通われている方なども要望などを出されたと思うのですけれども、経過を見ますと、三回にわたって、五万人の陳情、それから七万人の要望署名、それから十一万人の都知事への署名などが提出をされたというふうに聞いております。その時々、諸手続や工事の各段階において、住民などから都に対しさまざまな要望があったというふうに思いますけれども、それらの要望に対してどのような対応を行ったのか、そしてその理由はなぜなのか、伺いたいと思います。
○森下建築指導部長 確認申請の提出の前には、申請の受け付けを保留してほしいという要望をいただいておりまして、また申請の受け付け後には、確認済み証の交付を保留してほしいという要望を、市長さんあるいは住民の皆さんから受けております。
それで、確認申請の受理とか確認済み証の交付ということでございますけれども、これは建築基準法で定めます基準に適合すれば行わなければならないという規定となっておりますので、そういった趣旨を説明し、理解を求めているところでございます。
それから、工事の着手以降は、この建築物が市の条例に適合しない違反建築物であるから、是正命令の発動とか、あるいは検査済み証の交付を保留してほしいというような要請を受けております。あわせて、今回のような行政訴訟も提起されてございます。
これに対しまして、都は一貫して、この建物は従来からの建築行政の取り扱いの考え方において適法であるというふうな判断をしておりますので、そういった旨を説明してご理解を得ようとしたところでございます。
○清水委員 基準に適合すれば申請を受理しなければいけないとかいうことは、もう今までのいろいろな例で承知しているわけですけれども、そのときにも、やはり住民がその申請に対してどのような、どの程度の要望の強さがあるのかということを、都としてもその時々に受けとめながら、受理をいつ出すのか、いつ受理するのかということをしてきていると思うんです、今までずっといろいろな建築確認。
ですから、今度の問題については、都の責任がさまざまな方面からいわれているのは、受理ですとか、今それぞれの段階で出されていた結果の日数が、本当にそういう声を受けとめて真剣に対応してやったものなのか。事業者が、九九年に、市の方が指導とか勧告などを行いながら、ずっとここに地区計画が定められるという流れだって知っていたと思うんです。それは知っていたと思うんですが、そして一月五日に工事を始めたと先ほどいわれておりました。一月三十一日に地区計画の条例が議決されて、二月一日に公布されたということで、先ほど説明されましたように、本当に短い期間の中でこういう形になっているわけですけれども、その間に、住民の大きな声を東京都なりが受けとめて、事業者に対してどのような姿勢を持って建築をするのかということが、もしもっと強い指導が行われていたのであれば、工事そのものが着工されなかったんじゃないか、そういう疑問はずっと皆さん持たれているわけですよ。その点についてはどうなんですか。
○森下建築指導部長 地元の方から再三に及ぶ要望等をいただいておりますので、そういったものとしては、もちろんよくお聞きして話をしていると思います。
都としては、事業者に対しましては、国立市との協議を行うようなことであるとか、あるいは、紛争予防条例の趣旨を踏まえて、誠意を持ってそういった近隣の方と話し合うようにというような指導はしているところでございます。
ただ、やはり法律の規定に基づきまして、当然一定の合理的な範囲の中で審査をするとか、時間はかかると思いますけれども、いたずらに意図的に延ばすこともできないということも事実でございます。そういったことがございまして、建築工事の続行につきましても、建築基準法の関係規定に適合しておれば、それをとめるとか、そういった関与はできませんので、そういったことはしなかったということでございまして、行政としては、住民の皆さん方の意見もよくお聞きしながらも、法の有する範囲の中で適切な対応をしてきたものと考えております。
○清水委員 そうした場合に、長期間延ばすということが不可能であるということはよく知っています。それはいろいろやっていくことはよく知っているのですけれども、しかし、今回の場合、東京都が事業者側に立って、早くその手続をしたんじゃないのかという疑問というのは、これはもう本当にぬぐい去れないこととして、住民の中に受けとめられてきてしまっているのが現実なんですよ。ですから、法に基づいて、適合していれば出さなきゃいけないというのはよくわかっています。そういう中で、どういう姿勢をとるのかということでは、やはり判決が、そういう流れを知りながら下した判決だというふうに思うんです。
それで、先ほどから伺いましたように、国立市から二十メートルにという指導や勧告が行われてきたのだから、地区計画の建築条例が、建築物制限条例の制定の動きがあるということを予想されていた中で、二月一日に条例が制定されましたが、一月五日に今回の一番の争点となった根切り工事が開始されたということです。
それについては、先ほど委員がご質問されましたから、そのこと自体がどうかということの疑問は残りますけれども、その根切り工事ということを前提としても、判決でいっているのは、二月一日時点、地区計画の条例ができた時点で、根切り工事は約一六%の工事終了、山どめ工事は約一〇%の工事が終了していた。だから、先ほどいわれた根切り工事も完成していない。しかも一六%。山どめ工事は一〇%ということを判決は受けとめたんじゃないんですか、裁判所は。
根切り工事をどうするか、こうするかという問題ではなくて、その進ちょくの数値についても、判決は受けとめたんだというものです。ですから、裁判所の判断は、これに当たらないと。工事中であるというふうに当たらない。基礎工事、くい工事はなされていなかった。現に工事中の建築物に該当しない。基礎工事、くい工事ということでは、そこは先ほどの答弁とは違いますけれども、その進ちょくの度合いについて判決はいっているんだと思います。
先ほども、今後の工事などに、建築指導などに影響を与えるというふうにいわれましたけれども、私が聞きたいのは、先ほどとまた違って、じゃ根切り工事という点で、今回の判決が影響を与えるというのならば、どのような影響を予想されているのか。
それから、これまでに、建築基準法三条の二項、これにかかわる問題というものが、マンションの問題などで起こってきた例があったのかどうかということを伺いたいのです。根切り工事をめぐって、工事中だ、工事中でないというような問題が、裁判にまでならなくても、マンションの紛争などについて実際にあったのかどうか、その点を伺いたいと思います。
○森下建築指導部長 まず根切り工事の進ちょく度合いの問題だというようなご指摘がございましたけれども、私ども、根切り工事を始め、その工事が継続していることをもって工事中の建築物とすると。どの段階で、じゃ出来高の何%になればいいかということは、客観的に確定するのは非常に難しいですから、それについては、根切り工事を始めて、その工事が継続して行われているということがあって初めて、既存の建築基準法の三条を適用するという考え方でございます。
それで、そういったような議論のものが、実際上争いがいろいろあったかということでございますけれども、割と法律上の判例というものは少なくて、そういったものは余り直接的なものはございません。
ただ、先ほどいいましたような用途地域とか、日影の規制であるとか、それから耐震基準の改正等がございまして、大分大きな法令改正があったときに、相当数の計画中の建築物がございまして、その際に、そういう指導をよく周知した上で、建築主の方に、こういうことでなければだめですというような基準を示して指導をしておりまして、そういうことの範囲で皆さんやっていただいているというのが多いわけですので、そのこと自体が今回のような問題になったということは、それほど聞いておりません。
○清水委員 根切り工事の進ちょく状況についてはといわれましたけれども、今回、現に裁判では、進ちょく状況についても判決を下したわけですから、現在東京都がそういうふうに認識し、これまで指導してきているわけですけれども、それ自身についても、やはりもう一度立ち返って検討していただきたいというふうに思いますし、それから根切り工事で、この部分で争うということは、めったにないことだと思うんですよ。本当に一カ月の話の中、一週間の話の中でしょう。ですから、先ほどの説明では、今後に大きな影響を与えるなんていわれていますけれども、今回は本当に大きな住民の中で、それから市自身がその姿勢でもってやっているということですから、そこら辺はもっときちんと受けとめるべきだというふうに思います。
そもそもの問題は、やはり業者自身も、確かに地区計画ができる前に用地を所有したかもしれませんが、この地域というのはどういう地域であるのかということをわかって買ったわけですよ。今都内だって、周辺がどうであろうと十九階建てるとか、下にどういう住民が住んでいようと二十階建てるとかいう、マンション業者などのモラルの問題に対して、やはり問われていると思うんです。そういう点でも、今回の問題というのが、一番の争点に立っている根切り工事がどうかということだけでなくて、やはりマンション業者、これから都内にマンションを建設しようとする業者が、どこにどういうモラルを持っているのかということも鋭く問われているということを指摘したいと思います。
それから、景観条例を東京都自身が持っているわけですよ。都市計画局が持っていますよね。景観条例の最初には、「都民は、良好な景観が都民の貴重な共有の財産であることを自覚し、自らのまちを自ら創造するという意識を持ち、積極的に景観づくりに努めなければならない。」「常に景観に関する都民の意識の向上と施策への反映に努め、総合的かつ計画的に景観づくりを進めていくことが必要である。」というふうに、東京都自身が--これ自身は規制を伴うものではありませんけれども、都民が景観に関心を持つといったら、最大の本当に関心を持った、地域ぐるみの取り組みではないんですか。
そういう意味では、景観条例を制定している局として、景観の維持や保全のために市民が真剣に取り組んでいるわけなんですけれども、自治体が真剣に取り組んでいるんですけれども、それに対してはどのような感想を持たれますか。
○森下建築指導部長 東京都の景観に対する考え方と条例を引用されましたけれども、当然そういうものは、行政として非常に大切なことであるというふうに思っておりますし、国立市民の方々がそういう考え方、同じような考え方だと思いますけれども、町をいろんな意味で守ろうとしているというようなことについては、私どもよく承知しておりますし、そういった考え方が当然あるべきものと思っております。
ただ、具体の建築物の規制をどうするかというようなことにつきましては、これは私人の権利に関することですから、法令上のきちっとした対応をしなきゃいけない。それが地区計画の建築条例のようなものであるわけですね。その手続の策定過程と建築の工事との、何といいますか、非常に緊迫した時間の問題があってたまたまこういうことが起こっているということであって、私どもが、景観に対してきちっとした配慮をすべきであるとか、そういったことについて決して否定しているとか、そういうものではございませんので、それについては建築行政の立場から対応しているということについては、ご理解をいただいたと思います。
○清水委員 否定しているというふうには思いません。景観を大事にしようというふうに条例に書いてあるわけですから、それについて進めようという姿勢を持っているというふうに思いますが、やはりそうであるならば、今回の判決を受けとめて、私は、検査済み証を出すべきではないということ。それから、今回の判決を教訓にして、マンションなどを一度建設してしまえば、それこそ壊すということはできないわけですよ。それこそできないわけですよ。ですから、やはり都内でもいろいろ問題になっている中で、建築指導行政がどのようなものであるかということを真剣に見直していただきたい。
反対に影響を与えるというふうにいわれているのならば、規制を緩和するんではなくて、やはり住民が、景観にも、それから生活にも安心して住めるような、そういう建築指導行政にするというルールをつくることこそが、今東京都の進めるべき道だというふうに意見を申し上げて、質問を終わりたいと思います。
○大河原委員 私からも国立マンション問題について質問をさせていただきます。
もう既に何人もの委員が質疑に立たれました。ダブらないように質問していきたいと思いますが、この件に関しては、生活者ネットワークは、地元選出の大西由紀子が、この委員会でも景観問題など質問をして、その姿勢を東京都にもただす、また国立の住民の声も届けようということで活動してきております。私も世田谷からこの議会に来まして、東京都のこうした都市計画の問題、建築行政の問題、大変関心を持っていることです。
この国立のマンション問題は、特に国立市民にも一番愛されている大学通り、そして今東京が世界の町と競うような町に育とうというときに、むしろ日本の中では先進的なまちづくりをしてきた、そういう町として、国立をモデルにしようというふうなところまで考えられてもおかしくない場所だというふうに私は認識をしております。
そして今回の地裁の判決ですが、ここまで来るに至るポイントが私は二つあると思うのですね。これは高裁、そして今回の地裁ですけれども、明らかに地区計画の倍の高さのものが今建っている。二十メートル以上の部分については違法であるということが二度にわたって確認をされているわけです。そのことと、また是正の命令を出さない東京都の姿勢、この二つがポイントだというふうに思っています。
それについては、建築基準法の三条二項の解釈というのがずっと争われているというふうに思うわけですが、きょうまた控訴をしたということで、では今後の控訴の争点については、ここに若干資料が出ておりますけれども、東京都としては、これまでの解釈、違う解釈や、あるいはこれまでの中で事実誤認があったんじゃないかとか、これまでとは違う争点のつくり出し方、そういったことが可能なんでしょうか。
○森下建築指導部長 今回の争点ということでは、やはり現に工事中の建築物に該当するかどうかという三条二項の問題で、当然私どもとして説明をさせていただく。どういうような根拠で主張するかということは、これからもちろん裁判の中で徐々に出していくということで、今直ちにいうという話にはならないかと思いますけれども、いずれにしても、建築工事の施行の実態、根切り工事というのは一体どういう工事であるかということ、あるいは全国的な実施をして、その実例の判断から当然理解をしていただけるものと思っております。
○大河原委員 長く全国的にも続いてきたというふうにおっしゃっていますが、そういった行政の判断、それと司法の判断は違うんだというふうにおっしゃっているというふうに思いますけれども、そういう事実が、現実に私たちの生活の中に幾つも存在しているんでしょうか。
○森下建築指導部長 司法判断の内容と現実の世界との食い違いといいますと、相当幅広いものにわたりますので、ちょっとなかなか答えにくいということでご容赦願いたいと思います。
○大河原委員 ちょっといい方が悪かったと思いますけれども、司法の解釈と行政の解釈が違っているんだと。司法の方は、行政の解釈、これではなくて、根切りのことについても、これが工事の着工とは認めない、何らかの基礎的な工事がなされていてそれを認めるんだ。そういう判断が今回されているわけですね。
ここまで争ってくる中では、恐らくこのことをずっと争い続け、都側の弁護士さんは、このことをずっと主張なさってきたんじゃないんでしょうか。先ほどほかの委員で、世田谷区の建築審査会の会長さんということも伺いましたけれども、そういう方が前面に立ってこのことを主張されてきたわけですよね。
私はどうしてもここの東京都の行政解釈がノーといわれたのが今回の判決だというふうに思いますし、これで主張はし尽くしているんじゃないかというふうな思いがあります。東京都がこうした結論に納得がいかないという気持ちは、多少わからないではないんですけれども、逆に、そこまでして控訴しなければならない、一体何を守ろうとしているんだということが、今度は都民の目には不思議に映るわけなんです。
この裁判の中で、控訴も同じ争点というふうにおっしゃっていると思いますけれども、国立の市民の発意で、国立市も強い行政指導をかけてきた、これにも従わない。そして地区計画がかけられ、建築条例がかかるということを知りつつ、やはり工事は強行されてきたというふうにしか見えないわけなんですね。建築確認、そして工事着工という時期を超えてきているわけですけれども、行政の手続としてといういい方はおかしいかもしれませんが、一体東京都はこの工事着工確認をどんなふうにしているんでしょうか。
○森下建築指導部長 工事の着工につきましては、現地で職員が見て、確認してございます。
○大河原委員 現地でっておっしゃいますが、いつの時点で確認をしているんでしょうか。どんな方法でなさるのか。確認をした後、写真を撮ったり、調書というか、調査書をつくられると思うんですが、いつの時点で、どんなものが今あるんでしょうか。
○森下建築指導部長 確認を終えてすぐ直ちに着工したわけですけれども、その後、定期的に、何日かごとに職員が確認しております。
○大河原委員 よくわからないんですが、一月の五日に建築確認、同日工事着工というふうにありますが、一月の五日に行ったということですか。
○森下建築指導部長 一月の六日とか、一月の十九日とか、そういうように定期的に、その後も確認しております。
○大河原委員 それでは新しい条例ができた二月一日には行っているんでしょうか。そして、定期的に何日か置きに行っているというふうなお話ですが、それは例えば調査書として残っているのか。いわば証拠といったらおかしいですが、そうしたものとして都民の前に提示ができるようなものになっているのでしょうか。
○森下建築指導部長 例えば正式な職員の記録簿というのはございませんけれども、先ほどいった六日とか十九日というのは、当然条例の施行の前の状況を確認しているわけでございますので、一日そのものというのは、それ以降の話は、今回の条例の適用の有無のことで、もちろんそれ以後も確認しておりますけれども、直接的にはそれ以前にどういう状態であったかということが大切でございますので、その以前の状態について確認しているということでございます。
○大河原委員 済みません。何度も出てきていただくことになりますが、確認の方法も先ほど伺ったんですが、写真か何かお撮りになりますか。それとも、先ほどそういうものは残らないとおっしゃったんですが、どういう状態だったかはどういうふうに証明するんでしょうか。
○森下建築指導部長 職員が目視で確認した上、工事の状況については事業者から資料を出させて、それと突き合わせているということでございます。
○大河原委員 着工の根切りの状況、ここではまたパーセンテージが出ていたりするわけですけれども、私はどうもこの着工、東京都の確認の状況というのは、なかなか今のお話ですと、信頼されるという、何か確としたものを感じられないわけなんですが、これからの控訴の中でそうしたことも問題にはなってくると思いますけれども、そういった意味では、大変態度不鮮明なんじゃないでしょうか。
こうした中で、着々と工事は進められて、この資料の中にもあるように、本来ならば、この木の高さを望まれている建物が、木をはるかに超える形で建っているわけなんですね。このことについては、工事が終了すれば、先ほどから話に出ております検査済み証の交付という手続に入るわけなんですけれども、この手続について少し伺いたいと思います。
工事が完了したという届けを出して、それはいつまでに出し、そしてまたその後検査はどういう手続をしていくんでしょうか。
○森下建築指導部長 工事が完了した日から四日以内に検査の申請をする。それから建築主事は七日以内に検査をしなければならない。その検査の結果、建築基準関係規定に適合していれば検査済み証を交付しなければならない、こういうものでございます。
○大河原委員 検査済みということが見られれば交付しなければならないということなんですが、何日以内にしなければならないんですか。
○森下建築指導部長 法律の中で具体的な日数というのは決められておりません。
○大河原委員 お答えの中にも、適法なものであれば検査証を交付する。そして交付するまでの日付は決められていないということなので、これはやはり交付すべきものとは全く思えません。これは一時凍結すべきものだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○森下建築指導部長 当然、建築関係基準に適合していると認めたときには検査済み証を交付しなければならないわけでございますから、それをいたずらに延ばすことはできないわけでございまして、当然その確認、適合していると認めたときには、速やかに交付すべき義務があるものと私どもは思っております。
○大河原委員 検査済み証というのは、要するに、住める状態になったというあかしですよね。ただ、このことが交付されれば、販売をする人は、一日でも早く販売に取りかかろうというのが通常です。東京都が控訴した上で、検査済み証を出すということになれば、直ちに販売は開始されるものというふうに思います。そしてここに、新たにここを購入して、新たな国立市民になる人たちが誕生するわけですが、そこには第三者的な新たな人たちを巻き込んでの紛争がもう始まるという芽が見えているというふうに思います。
ですから、先ほどから、検査証の一時凍結、出さないようにしていくことが東京都の役割じゃないかというふうに申し上げているわけなんです。マンションの購入者によって、また東京都が、地域住民に対する補償といった問題も東京都にかかってくる。紛争を大きくしていくだけなんじゃないか、そのように思うわけなんですが、その点についてはどうでしょうか。
○森下建築指導部長 当然販売ということになれば、その物件についての説明をする必要がございます。係争中の物件であるということを当然周知した上で販売するものと聞いておりますので、その辺については都としては、適正な基準法の行政を執行していくということと、特に問題ないと思っております。
○大河原委員 今のお答えは、すごいとんでもないと思うんですね。係争中ということを書いて、周知させた上で売却すればいいというふうにおっしゃっているわけですけれども、これが、この裁判が上級審で負けたとき、除去命令が出たとき、大変大きな問題になりますよね。
都政の中では、さまざまな問題を、問題が起こらないように未然防止をしよう、予防をしよう、そういうのが都政の今の大きな流れだと思うのですけれども、係争中の物件であるということを周知した上で、販売するのもいいんじゃないかというふうに東京都は黙認をするということだと思うのですが、その点について、もう一回どうぞ。どんなお考えですか。
○森下建築指導部長 私どもが検査済み証を出すということは、先ほど申し上げましたように、建築関係基準に適合していると認めれば、それは交付しなければならないということですから、私どもはそうするということでございます。
そのほかのことにつきまして、販売の仕方については、そういうことを聞いているということを状況として申し上げただけで、そうすればいいとか悪いとかいうことではなくて、私どもとしては、建築確認行政としては、そういうことをしなければならないということをご説明したものでございます。
○大河原委員 そうすればいいというふうに思っていらっしゃるとは思いませんけれども、交付証を出すことによってそういう流れになるわけなんですよ。だからこそ出さないようにするという方法があるでしょうというふうに、国立市民も思い、私も当然だと思います。もう一度伺っても同じですよね。だからこそ、この裁判、これまでの東京都の行政について、建築行政については、大きな不信を都民の間に生まれさせる、そういう今回の控訴だというふうに思います。
この中で東京都が、地域自治体が行政指導をしている。そうした地域を守ろうという自治体の姿勢についても、それは疑問があるといっているように聞こえるわけですけれども、その点についてはどうですか。
○森下建築指導部長 今景観の問題もめぐりまして、国立市の中でそういった議論があって、紛争になっているということについて、それは当然私どもとしても認識はしているわけでございますけれども、先ほどから答弁を申し上げていますのは、建築行政についての私どもとしてのルールをお話し申し上げているのであって、それに沿ってやらざるを得ないんですというご説明でございます。
○大河原委員 これまでのルールにのっとれば、非常に大きな問題が出てきて、そのルール自体が違うんじゃないかというのが今回の地裁の判決だ、もとに戻ったわけなんですね。
そして先日の判決の中には、是正命令権限行使の判断の際、建築主の不利益を過度に考慮するとすれば、客観的には違法であるにもかかわらず、建築主が作出した既成事実や駆け込み着工を安易に追認する結果となる。法の公正かつ公平な適用を害すると、そこまでこの判決はいっていました。そして、本件の違法部分の削除によって生じる不利益は、明和地所に受忍させることが相当でないと認められるような特段の事情が存しない、そこまでいっている判決なわけなんですね。全くもとに戻りましたけれども、私は今回の判決、大勢の都民が非常に期待をかけている、東京都の姿勢を本当に見ている、そういう事件だというふうに思っています。
本当に献身的に国立市で市民の皆さんが活動してこられた結果が、こんなふうな形になっているわけですけれども、住民の発意、提案に基づいて、そして地域自治体が地区計画をかける、こうしたことが何ら有効ではないんだ、そういう空気が広がってしまう、そんなおそれになってはいけないというふうに強く思います。きょう控訴されてしまったわけですから、行政の手続的には出さざるを得ないというふうなお話ですけれども、ぜひともこの検査証の交付については、慎重に再考をし、そして一時凍結をしていただきたいと強く訴えまして、質問を終わります。
○藤川委員長 ほかにご発言はございますか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○藤川委員長 発言がなければ、次に、第百五十二回東京都都市計画審議会付議予定案件について、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
○木内都市計画局長 来年の二月十三日に開催予定の第百五十二回東京都都市計画審議会に付議を予定しております案件について説明いたします。
今回、東京都決定案件が全部で六件あり、その内訳は、区部で四件、市部で二件でございます。その他の案件として、土地区画整理事業の事業計画変更に伴う意見書の審査がございます。
本日は、これらのうち、主要案件である東京都市計画道路幹線街路放射第一九号線の立体交差化計画についてを説明いたします。
引き続き担当部長からその内容を説明いたしますので、よろしくお願い申し上げます。
○只腰施設計画部長 資料2というふうに右肩に書いてあると思いますが、提案事項概要をめくっていただきまして、私からはナンバー4の東京都市計画道路幹線街路放射第一九号線の変更につきましてご説明を申し上げます。
より詳しい資料が、お手元に資料4ということで、主要案件説明資料、それから同じく黄色の表紙の資料5ということで、主要案件図面集がございますので、そちらの方をごらんいただきたいと思います。
資料4の主要案件説明資料の二ページ、一番裏面でございます。それから資料5は、一枚めくっていただきまして、一ページでございます。
今回都市計画変更する放射第一九号線でございますが、資料5の一ページにございますように、起点が中央区の京橋一丁目、東京駅の前でございます。そこから終点が大田区東六郷三丁目、ちょうど神奈川県と都県境でございます。延長十八キロメートル、代表幅員五十メートルの都市計画道路でございます。
このうち、一ページの図面で、左の方に丸がしてございますが、環状八号線と交差するいわゆる南蒲田交差点でございますが、一枚めくっていただきますと、大きな図面、二ページでございます、この交差点でございますけれども、現在、環状八号線と平面交差をしてございまして、上の方に横切っております京浜急行の本線、それから右の方を横切っております京浜急行の空港線との平面踏切の影響もありまして、慢性的な渋滞ポイントとなっているものでございます。
このため、国や関係の都県などで構成されます首都圏道路交通渋滞対策協議会におきましては、主要渋滞ポイントとして位置づけておりまして、渋滞対策のプログラムの中で、総合的な対策を推進していくこととなってございます。
既に、並行いたします京急の本線並びに空港線につきましては、踏切の除却を目指す連続立体交差事業が事業中でございます。
このたびの都市計画変更の内容でございますが、先ほどの図面の二ページにございますように、大田区南蒲田一丁目から同じく南蒲田二丁目までの延長にしまして四百六十メートルの区間におきまして、環状八号線と平面交差であった構造を、放射一九号線がアンダーパスをする立体交差、図面で赤く枠で囲ってございますが、そういう内容に変更するものでございます。
一枚めくっていただきますと、都心側から放射一九号の郊外方を見た鳥瞰図でございまして、ちょっと見にくうございますが、真ん中にアンダーパスの図面、表示をしてございます。また、完成後の京浜急行の高架化の踏切が除却された後の姿を記載をしてございます。また、あわせまして、放射一九号線の車線の数を六車線ということで決定するものでございます。
この事業でございますが、これは国道でございますので、国道一五号線でございますので、国土交通省が実施をいたします。立体交差部につきましては、平成十七年度の完成目途、事業費につきましては、二百億円程度というふうに予定をしてございます。
説明につきましては以上でございます。
○藤川委員長 報告は終わりました。
これより本件に対する質疑を行います。
発言をお願いします。
○かち委員 時間をさっきいただいてしまったんですけれども、私の住む大田区の中を走る道路なものですから、ちょっと二、三確認させてください。
今お話がありましたように、羽田空港と都心を結ぶ環状八号線と国道一五号線と並行して走る京浜急行線の交差点、南蒲田交差点は、いつもあかずの踏切となって、一時間に五十数分あかないこともあるという、本当に都市活動にとっても、周辺環境にとっても、最悪の事態となっておりまして、この踏切の解消の要求は、周辺住民や区民ばかりでなく、広く利用者、都民の長年の願いでした。
このたび京浜急行の立体複合交差事業との関連で、都市計画変更として提案されているわけですけれども、本件の計画案件はアンダーパスということですけれども、いま一度このスケジュール、それから用地買収によって立ち退きを要求される戸数、それから、国の直轄事業ということですけれども、国と都の負担の割合はどうなっているのかということをお聞きしたいと思います。
○只腰施設計画部長 今後の事業のスケジュールでございますが、本年度内に都市計画の手続を進めまして、来年度から用地取得を開始するということで、工事につきましては十五年度に着手、十七年度には完成というふうに考えております。
用地買収の対象とする棟数でございますが、図上で計測しますと、おおむね九十棟ぐらいではなかろうかということでございます。
それから、事業費と都の負担でございますが、事業費は先ほど申し上げたとおりでございますが、道路法第五十条によりますと、国道につきましては、国がやる場合、都道府県がその三分の一を負担するということでございまして、おおむね都の負担は七十億円程度ではなかろうかというふうに思っております。
○かち委員 六車線から八車線の交通量の激しい国道の拡幅工事になるわけですけれども、環境に配慮した道路づくりというものが今日求められていると思いますけれども、本件での環境への配慮というのは、どういうことがなされているのでしょうか。
○只腰施設計画部長 先ほどご説明いたしましたとおり、アンダーパスの立体交差を採用することによりまして、日照あるいは採光とか景観等の面で、通常やりますオーバーパスの立体交差に比べまして、より環境に配慮した計画ではないかとまず考えております。
それから、幅員が、先ほど申し上げたように、五十メートルということで広うございますので、道路の両側に幅員十メートルの歩道部を設けることができるということで、沿道の環境につきましては現状よりも改善されるのではないか。
また、事業に当たります国におきましては、低騒音舗装等の採用によりまして、より環境への配慮を十分するような工夫をするということでございます。
○かち委員 いろいろ環境への配慮ということで、自転車道も別個につくるというようなこともいわれておりましたので、ぜひよろしくお願いします。
それで、十一月三十日に地元で説明会が行われたようですけれども、その内容、人数など、どのような状況だったでしょうか。
○只腰施設計画部長 十一月三十日に都市計画素案の説明会を開催したところでございますが、約二百名の都民の方に参加をいただきました。
主な意見でございますが、都市計画の手続や計画の具体的な内容、それから今ご質問がございましたような事業のスケジュール、あるいは用地買収の手法等についてでございまして、おおむね事業推進を進める立場からのご質問が多かったものでございます。
○かち委員 本当に長年にわたるボトルネックの解消ということで、地域では期待の声が大きいわけですけれども、同時に並行して行われます京浜急行のオーバーパスの工事だとか、引き続く隣接する京浜急行の京急蒲田の駅の立体交差事業など、かなりこれから長い年月にわたって大工事が進んでいくわけです。
そういう中では、住民の要望や声に十分耳を傾けて、ぜひ国に対しても環境対策に取り組むように都としても要望していただくことをお願いしまして、私の質問を終わります。
○清水委員 ナンバー1、青梅都市計画公園の変更について、少しだけ伺います。
青梅市決定の都市計画道路三・四・三一と三・四・三二が、永山公園区域内を通過し、そして先日も陳情の審査がありました永山北部丘陵住宅地の中を通る道路となっているわけですけれども、この道路の必要性はどのようなものでしょうか、確認したいと思います。
○只腰施設計画部長 青梅市決定の都市計画道路三・四・三一号線並びに三二号線でございますが、青梅市におきましては、平成三年策定の青梅市の総合長期計画、また平成十一年に策定いたしました青梅市の都市計画マスタープラン、これにおきまして、市街地整備や丘陵開発の土地利用等の方針、それから幹線道路の計画整備の方針を示しまして、機能的な都市活動や安全で快適な都市生活の確保を目指すこととしております。
この方針を受けまして、この路線でございますが、青梅市の既成市街地、資料3の図面でいいますと、五ページの青梅駅周辺の既成市街地、あるいは新たに形成される市街地において発生する交通を集約いたしまして、それを周辺の幹線道路に接続をいたしまして、青梅駅周辺と、図面で東側になりますが、河辺駅方面とを連絡する交通を円滑に処理する。こういう目的のために必要な路線ということで、青梅市が決定するものでございます。
○清水委員 この道路の今回の事業費は、幅とか、それから距離などを見まして、およそ数十億円かなと予想をされるわけですけれども、施行者、それから将来管理者、この道路の費用はだれが負担をするのか、伺いたいと思います。
○只腰施設計画部長 この道路でございますが、施行者につきましては、青梅市並びに五ページの図面の上半分の方で当該地の開発事業を予定している者が区分して施行をするというふうに聞いております。また、将来管理者につきましては、市道として青梅市が管理をする。また事業の費用につきましては、実質的には開発事業者の負担というふうに私ども聞いております。
○清水委員 先日の陳情でも質疑をしましたように、永山公園区域の北側に計画をされている永山北部丘陵住宅地、山一土地の開発によって、九十ヘクタール余りの森林地が住宅開発になるわけです。今回はそのための、道路の第一段なわけですね。
道路計画を見ますと、将来この道路よりもさらにつながっていく計画があるようにも伺っております。そういう中で、先日も指摘しましたように、経済状況、住宅取得意欲、それから環境保全、自然保護、そしてまた市の将来的な負担の増加などを見るならば、この道路の説明会が先日行われたようですけれども、通過道路じゃないかというような声も商店街からは出されたようです。そういう意味では、この道路自身が本当に必要なのかどうかということを疑問として、意見を述べさせていただきます。
もう一つ、提案事項3で、足立区の六木地区の用途変更について、一つ、二つだけ伺います。
この地域の土地区画整理事業は、大変狭い道路が込み入っていて、住民も組合施行で土地区画整理を進めているというふうに伺っております。これは早急に整備されていくことが求められているということで、私たちもそういう態度でこの土地区画整理に対しては臨んでおります。
しかし、今回の変更は、第一種低層住居専用地域から第一種中高層住居専用地域などに変更することによって、これまで十メートルの限度があった高さが、高さの限度がなくなるというような部分も出てきております。大変閑静な地域だというふうに聞いております。畑、低層住宅などが集まっている土地区画整理の中で、高さの限度がなくなるようなこうした変更がなぜ行われるのかということについて伺いたいと思います。
○小林地域計画部長 佐野、六木地区の用途地域の話でございますけれども、本地区では、お話のように、現在区施行の土地区画整理事業が行われておりまして、区画整理事業による事業効果に応じて、適切に土地利用を誘導していくために、地区計画を決定して、あわせて用途地域の変更を行うものでございます。
ご指摘の第一種低層住居専用地域から第一種中高層住居専用地域への変更でございますけれども、周辺住宅地の用途地域との整合を図るとともに、第一種低層住居専用地域ですと、用途地域のメニューの中に、高さ十メートルあるいは十二メートルというメニューはございますけれども、第一種中高層住居専用地域では、そういったメニューはございません。したがいまして、高さ制限につきましては、第二種高度地区をあわせて決定することとしております。
第二種高度地区と申しますのは、北側からの敷地境界から八メートル離れた地点での建築物の高さの制限が十五メートル以下になる、こういった制限でございまして、住宅地として適切な規制の内容になっているというふうに考えております。
○清水委員 先ほども質疑があったばかりです。やはり周辺の住宅地環境などと調和するような、そうしたまちづくりの方向にぜひ進めていっていただきたいということを要望して、終わります。
○かち委員 先ほど続けていえばよかったんですけれども、意見だけ、一件。
ナンバー6の亀戸・大島・小松川地区第二種市街地再開発事業について意見を述べさせていただきます。
この事業は、東京都が江東地区の六カ所の震災対策を含めた江東再開発基本構想を昭和四十四年に策定し、五十九年から平成十七年までの事業計画で進められてきている大変長い計画ですが、都施行の事業計画としては最大級の開発計画となっています。
この亀戸・大島・小松川の再開発事業計画は、全体の面積の約百ヘクタールのうち、今回は三街区の用途変更により、予定の七千五百戸が七千八百戸になるということですけれども、特定建築者街区ということで民間に売却されるとのことです。結果的に、この三つの街区だけで、二万四千六百平方メートルの延べ面積がふえ、自動車の増加走行量では、一万六千二百台ということです。
過密都市を形成することにつながり、今日、これだけ地球温暖化の危機が叫ばれているときだからこそ、東京ビジョンや緑の東京計画にもいわれているように、区部の緑化の推進がうたわれている中、この中の公園面積は、総合公園で二十四・七ヘクタール、近隣合わせても二十五・七ヘクタールの面積です。その気になれば都市公園の拡大ができるわけです。民間売却というのではなくて、防災拠点ということであればこそ、思い切って公園をつくることに切りかえるべきだということを主張しまして、意見とします。
○藤川委員長 ほかにご意見はございますか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○藤川委員長 ないようでございますので、本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤川委員長 異議なしと認め、以上で報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で都市計画局関係を終わります。
○藤川委員長 これより環境局関係に入ります。
初めに、付託議案の審査を行います。
第百七十五号議案、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例から第百七十八号議案、東京都環境科学研究所手数料条例の一部を改正する条例までを一括して議題といたします。
本案については、既に説明を聴取しております。
その際要求しました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○長谷川総務部長 去る十一月二十八日の当委員会でご要求いただきました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元配布の資料1、都市・環境委員会資料の表紙をおめくりください。
目次にありますとおり、ご要求いただきました資料は二項目でございます。
一ページをごらんください。1、硼素、弗素の業種別使用事業場数でございます。
平成十二年度末における硼素を使用する事業場及び弗素を使用する事業場の業種別事業場数で、水質汚濁防止法に基づく届け出特定事業場名簿により作成しております。
二ページをお開きください。2、フロン類使用機器の業種別取扱事業所数でございます。
これは、平成十二年二月に環境保全局が実施した、都内におけるフロン等オゾン層破壊物質及び温室効果ガス使用排出実態調査に基づき作成しております。
以上で説明を終わらせていただきます。
よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○藤川委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含め、本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○かち委員 環境確保条例の一部を改正する条例案について質問します。
弗素、硼素の基準についてですけれども、国の省令施行に伴い、今回の環境確保条例の改正では、硼素、弗素を新たに有害物質として指定されることになったわけですが、これらの物質の性状、主な用途、またどのような健康被害があるのか、まずお聞きします。
○薄環境改善部長 硼素につきましては、ガラス原料や陶磁器の上薬に使用されるほか、硼酸として、医薬品ですとか、メッキ用の薬品などに使用されております。
硼素による人の健康影響といたしましては、高濃度の摂取により、吐き気ですとか腹痛、下痢などを起こすことがございます。
弗素は、ガラス加工などに使用されるほか、フライパンなどの弗素樹脂加工などにも使用されております。
弗素による人の健康影響といたしましては、飲料として過剰な弗素の摂取により、白い斑点が歯にできる斑状歯を起こすことがございます。
○かち委員 有害な症状が出るということですけれども、今回この条例改正案の中で、付記の中にあると思うのですが、暫定基準を設けているようですけれども、なぜ暫定基準が設けられたのか、その理由をお聞きします。
○薄環境改善部長 国は、今回の規制項目の追加に際しまして、中央環境審議会から、硼素、弗素の排水処理は、凝集沈殿処理などの技術はあるが、排水処理汚泥が増大するなど、適用可能な処理技術が限定的となっている。また、新たな排水処理技術も研究開発されてきているが、これを直ちに導入すると、多大なコスト負担となる問題もある。このために、排水基準を直ちに達成させることが技術的に困難な業種については、経過措置として暫定基準を設定するとの答申を受けたところでございます。
このため、国は、今回暫定基準を設定したところでありまして、都としても、国と同様に暫定基準を設定することといたしました。
○かち委員 委員会資料では、硼素、弗素を使用している業態の事業場数はわかりますけれども、この条例の対象事業数と暫定基準を適用する対象の事業場は、それぞれどのぐらいになるのでしょうか。
○薄環境改善部長 暫定措置の対象となる業種でございますが、硼素、弗素とも金属製品製造業のうちの電気メッキ業、それから、電気機械器具製造業のうちの電子部品製造業などが主なものでございます。
また、事業場の数でございますが、硼素につきましては七十二事業場、弗素につきましては四十七事業場でございます。
○かち委員 ご説明いただいて、弗素、硼素を使う事業所がどういうところかというのは、イメージとして出てきたわけですけれども、町中のメッキ屋さんだとか、電気工事屋さん、そういう零細な工場の方々を含め、この検査をしたり、また処理をするのには多大なコスト負担がかかったり、また、技術的にもまだ途上だということなんですが、そういう方々に対しては、三年間の暫定措置がとられるということを確認できたと思います。
排水処理の技術的対応が可能となっても、そのための検査や改善策を講ずるためには、相当な経費もかかると聞いています。都としての何らかの支援策は考えられないでしょうか。
○薄環境改善部長 中小企業者のための融資制度といたしましては、東京都中小企業制度融資がございます。排水設備の設置ですとか改善等につきましては、この制度融資の中の技術・事業革新等支援資金融資、また、中小企業向け長期資金融資などの活用が可能でございます。
○かち委員 本当に今不況が続いていて、もう仕事がなくて倒産寸前というような状況が一方である中で、こういう規制が入ってくる。もちろん規制はきちんとやらなければならないと思いますけれども、その規制をやるために、数十万から百万ぐらいかかるともいわれているんですが、それではもう本当に仕事をやめるかどうかを考えなければならない、そういう声も聞いているわけです。そういう方々が本当に検査をきちんとして営業が続けられるような対策というのはどうしても必要だと私は思いますので、特別な措置も考慮されるようにということを要望いたしまして、私の質問を終わります。
○藤川委員長 ほかに発言はございますか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○藤川委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤川委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
○藤川委員長 次に、理事者から報告事項の申し出がありますので、これを聴取いたします。
○梶原企画担当部長 東京都環境審議会答申「東京都環境基本計画のあり方について」は、昨年十二月二十二日に諮問の後、約一年の検討を経て、去る十一月三十日に答申をいただきましたので、資料2によりご報告をさせていただきます。
資料2の冊子、表紙をおめくりいただきますと、答申文でございます。
一枚おめくりになりますと、目次が何ページかございます。全体が五部構成となっておりまして、順次ご説明を申し上げます。
それでは、目次の後、一ページをお開き願います。改定に当たって、その背景でございます。
現行の環境基本計画は、平成九年三月に策定いたしましたが、その後五年近くが経過し、東京の環境行政をめぐる状況は、二つの点で大きく変化しているとされております。
第一は、地球温暖化など環境の危機の深まりが明らかとなったことでございます。第二は、ディーゼル車NO作戦に見られるように、ディーゼル車排出ガス対策の強化を国に求めるだけでなく、東京都自身の権限を最大限に活用して実現しようとの試みが環境確保条例の制定として結実するなど、都の新たな施策展開は、現行の基本計画の示した施策の方向よりも一歩先を進んでいるとの認識でございます。
このような客観的状況、主体的取り組みにおいて、状況は著しく変化しており、抜本的な改定が必要とされております。
中段からの第2節、改定基本計画の基本理念でございます。
ここでは、まず1で、東京が直面する二つの環境の危機を、次の二ページでは、2で、環境配慮が内在化された社会システムの実現を、3で、環境政策における東京の責務と可能性を指摘し、先駆的な取り組みを開始すべきことなどが示されております。そして三ページ中段になりますが、4では、改定基本計画に掲げるべき基本理念といたしまして「健康で安全な環境の確保と持続可能な社会への変革を、東京から実現する」が提言されております。
四ページをお開き願います。中段をごらんください。
この基本理念をより明確にするため、三つの基本目標として、健康で安全な環境の確保、都市と地球の持続可能性の確保、自然環境の保全と再生が、また、目標達成年次はおおむね二〇一五年とすることが示されております。
さらに五ページには、3、重点課題に対する具体的なプログラムの提示の必要性が示されております。
一ページおめくり願います。六ページでございます。
この後の第2部から第5部までの体系が示されております。
七ページをごらんください。第2部、分野別目標と施策の方向でございます。
第2部は三章構成で、先ほどの三つの基本目標と対応しております。
第1章、健康で安全な環境の確保では、大気汚染の現状について、一ページおめくりいただいて、八ページ、九ページの中段まで示されております。
九ページ下段では、大気汚染対策の目標が三つ掲げられております。
一〇ページをお開き願います。第1節、自動車公害対策の徹底でございます。
次の一一ページ、一二ページまで現状が示されております。
一二ページ中段に、先ほどの目標が再掲されておりまして、以下、施策の方向として、一つ目に、ディーゼル車を中心とする排出ガス規制の徹底について、一七ページまでございます。
一七ページには、二つ目の柱として、次世代技術による自動車低公害化の推進、さらに、一九ページ中段になりますが、三つ目として、自動車への依存を減らす都市づくりについて、二一ページまで施策が示されております。
二二ページをお開き願います。第2節、有害化学物質対策の推進でございます。
現状が二四ページまでございます。
二五ページに、さきの大気汚染の三つの目標と合わせて、九つの目標が示されております。
その下になりますが、施策の方向として、1、有害化学物質の規制、監視の強化、一枚おめくりいただきまして、右の二七ページに、2、予防原則とリスクコミュニケーション、二八ページに、3、水質・土壌汚染の防止と回復についての施策が示されております。
右の二九ページから、第3節、騒音・振動等の防止でございます。
現状について、次の三〇ページ中段まで示され、その下に目標が三つございます。
施策の方向が、三一ページ、三二、三三ページに示されております。
三四ページをごらんください。第2章、都市と地球の持続可能性の確保でございます。
第1節、地球温暖化の防止では、現状について、三五ページ、三六、三七、三八ページ上段まで示されております。
三八ページに目標が、以下に施策の方向がございます。
三九ページでは、1、エネルギー需要マネジメント、また、四一ページでは、一番下に、2、自然エネルギーなどの導入と活用、四三ページに、経済的手法の検討、下段に、4、二酸化炭素以外の温室効果ガス対策について示されております。
四五ページをお開き願います。第2節、ヒートアイランド対策の展開でございます。
現状について、次の四六、四七、四八ページまでございます。
四八ページ中段には、熱帯夜減少の目標が、その下に施策の方向といたしまして、1、都市レベルでの対策、一枚おめくり願いまして、五〇ページ中段に、2、建築物、街区での熱環境対策の導入、五一ページから、3、建築物における省エネルギー対策について、施策が示されております。
五三ページをごらんください。第3節、廃棄物の発生抑制・リサイクルと適正な処理の推進でございます。
現状について、五四ページ中段まで示されておりまして、その下に目標が四つ、さらに五五ページから五七ページまでに、施策の方向が示されておりますが、これらにつきましては、後ほど説明いたします廃棄物処理計画の中でご説明を申し上げますので、ここでは省略させていただきます。
五八ページをお開き願います。第3章、自然環境の保全と再生でございます。
下段から、第1節、緑の保全と再生でございます。
五九ページから現状が次の六〇ページ中段まで示されております。
その下に目標が三つ、施策の方向といたしましては、六一ページで、1、多摩の森林と丘陵地の保全と再生、六二ページで、2、市街地における緑の回復と農地の保全について示されております。
六三ページをお開き願います。第2節、水質の保全と水循環・水辺環境の再生について示されております。
現状については、一ページおめくり願いまして、右の六五ページまで示されております。中段に目標がございます。
六六ページをお開き願います。施策の方向として、1、河川、海域における水質の保全、下段になりますが、2、水循環の再生、右の六七ページ中段に、3、水辺環境の保全と再生について示されております。
六八ページをお開き願います。第3節、生物多様性の確保と自然との触れ合いでございます。
六九ページに目標が、以下、施策の方向が、三点にわたり、次の七〇ページまでございます。
七一ページをごらん願います。第3部、環境の危機克服に向けた行動を推進する仕組みでございます。
第1節は、環境配慮を優先した都市づくりの推進でございます。
1として、自然エネルギー施設など環境都市基盤の整備、また、七二ページでは、2、環境影響評価制度の推進、さらに、3で、建築物等の環境配慮、4で、都市づくりに関して、それぞれ提示されております。
七三ページは、第2節、経済的手法の活用でございます。
経済的措置による負荷低減への誘導、また、環境税について、七四ページまで提示をされております。
七四ページ下段からは、第3節、環境産業の育成について、七六ページまで述べられております。
七六ページをお開き願います。第4節、首都圏連携と広域自治体としての役割について、七七ページまで示されております。
七七ページ下段、第5節、情報受発信機能の強化とパートナーシップの推進でございます。情報、パートナーシップ、環境学習の推進について、七九ページまでございます。
七九ページ中段からは、第6節、調査研究の充実とモニタリング機能の有効活用が、八〇ページでは、第7節、都の率先行動の拡大が示されております。
八二ページをお開き願います。
第4部、行政、事業者、都民、民間団体が行うべき環境の保全に関する配慮の指針でございます。
答申では、その構成について、都市づくりにかかわる配慮の指針と都民生活など全般的な環境保全にかかわる配慮の指針との二つとすることが望ましいとされております。
まず、第1節、都市づくりにかかわる配慮の指針でございますが、八三ページから八四ページ、八五ページに、配慮事項をそれぞれの視点から整理することが示されております。
八五ページ中段は、いま一つの第2節、全般的な環境保全にかかわる配慮の指針でございまして、八六ページに、事業活動、日常生活にかかわる事項について活用すべき指針の例が示されております。
八七ページをお開き願います。第5部、計画の点検と見直しでございます。
1、計画の進ちょく状況の点検と見直しでは、毎年の進ちょく状況の把握、進行管理、定期的な公表のほか、社会状況の変化に応じた定期的な見直しが必要とされております。
2では、全庁的な推進体制を構築しながら、都が行うすべての施策を、基本計画に基づき、環境に十分配慮し策定、実施していくことや、必要な財政上の措置について示されております。
以上が環境審議会からいただいた答申の概要でございます。
今後、この答申を踏まえまして、区市町村から意見を聞きまして、東京都環境基本計画の改定を行っていく予定でございます。
○西野廃棄物対策部長 資料3、4に基づきまして、十一月三十日に東京都廃棄物審議会から答申を受けました二点につきましてご説明申し上げます。
昨年十月に知事より諮問を受け、審議会は精力的に審議をいただきまして、このたび、今後の都における廃棄物行政の基本的理念や施策の方向性を示した「東京の廃棄物と行政行動」及び、この考え方を反映させまして施策の方向を具体化いたしました東京都廃棄物処理計画が取りまとめられ、都に答申されたものでございます。
資料3の「東京の廃棄物と行政行動」をごらんください。
三ページをお開きいただきたいと存じます。第1章は、検討の背景を示したものでございます。
深刻さを増す東京の廃棄物問題、それから五ページの都民、事業者の意識や行動の変化、六ページの、十分には機能していない廃棄物・リサイクル関連法の三つに分けまして、都の廃棄物行政を取り巻く環境の変化が記載されてございます。
続きまして、八ページをごらんください。第2章は、都の廃棄物行政の基本的方向を示したものでございます。
八ページ中ほどにございますように、都の廃棄物行政の目標が循環型社会の実現にあることは今後も変わりないが、都の廃棄物行政を取り巻く環境は大きく変化しており、新たな施策を展開する上での基本的考え方は、これを再編すべきであるとしております。
基本的な考え方は三つ示されてございます。
一つ目は、八ページ下の都民、事業者と行政との役割の再編でございます。
本文にございますように、循環型社会を実現していくためには、都民、事業者、行政のそれぞれが、みずからの責任と役割に基づき廃棄物の減量に向けた主体的な行動を起こしていくことが求められます。その中で、都の役割といたしまして、九ページ中ほどにございますように、循環型社会の実現に向けた土台づくりや、事業者へのルールの徹底などを中心に、その役割を果たしていくべきであるとしております。
二つ目は、自治体間の連携でございます。
一〇ページの一行目からありますように、区市町村との連携につきましては、都と区市町村は、合理的な役割分担と相互の連携により、効果的かつ効率的な廃棄物行政を進めていくべきであるとしております。
さらに、首都圏自治体との連携におきましては、首都圏自治体との連携を強化し、産業廃棄物の不適正処理の撲滅、適正処理、リサイクル施設の整備などを進めていくことが必要であるとしております。
三つ目は、一一ページの制度改革でございます。
廃棄物問題の解決には、既存の制度の見直しが不可欠であり、その見直しは、排出者責任の徹底と拡大生産者責任の強化を基本に行っていくべきである。制度の見直しを国に強く働きかけていくとともに、都としてきめ細かな施策を展開していかなければならないとしております。
一三ページをごらんください。第3章の新たな仕組みの構築に向けてでございます。
第2章に示した基本的方向に基づいた施策の方向性を示してございます。
この章で提言された内容のほとんどは、後ほどご説明申し上げます廃棄物処理計画の中に取り入れられておりますので、そこで説明させていただきますが、廃棄物の定義区分の見直しにつきましては、二三ページをごらんください。
二三ページの図にございますように、廃棄物の範囲の拡大から、リサイクルがより可能になるような規制緩和、そしてまた爆発性、感染性の性状を有するものにつきましては特別管理廃棄物とするという点が触れられてございます。
それでは、続きまして、資料4の廃棄物処理計画についてをごらんいただきたいと存じます。
一ページをお開きください。この計画の性格でございますが、この計画は、都の廃棄物行政の基本的方向を示すものでございまして、事業者、都民が、廃棄物の発生抑制、リサイクル及び適正処理を推進していくための指針となるものでございます。
また、法令との関係では、廃棄物処理法に基づく計画でもあり、また東京都環境基本計画を踏まえて策定する個別分野の計画の一つでございます。
二ページに、計画の対象期間が示してございますが、五年間でございます。
五ページをごらんください。序章では、東京の廃棄物をめぐる五つの緊急課題を掲げてございます。
一つ目は、一般廃棄物の最終処分場の限界でございます。
新たな最終処分場を確保することは極めて困難であり、廃棄物の発生そのものを抑制し、リサイクル、中間処理段階での減容化や資源化を促進する必要があるとしております。
六ページをごらんください。二つ目は、建設廃棄物を初めとする産業廃棄物の大量発生でございます。
都内からは多量の産業廃棄物が排出されており、このため、産業廃棄物、特に建設廃棄物につきまして、発生抑制、リサイクルを促進する必要があるとしております。
七ページをごらんください。三つ目は、不足する産業廃棄物の中間処理施設、最終処分場でございます。
最終処分量の七割強は他県で処分されておりまして、他県の理解を得て産業廃棄物の広域処理を維持していくためにも、都内処理率の向上を図り、民間の施設整備を促進させる必要があるとしております。
八ページをごらんください。四つ目は、後を絶たない不適正処理でございます。
都内から発生した産業廃棄物が他県に搬出され、不法投棄される例が見られます。広域的な指導、監視体制を整備し、強化する必要があるとしております。
九ページをごらんください。五つ目は、有害廃棄物に係るリスクの拡大でございます。
PCB廃棄物を初めとする有害廃棄物の適正管理を徹底し、処理施設の整備を促進する必要があるとしております。
一三ページからの第1章では、先ほどご説明申し上げました東京の廃棄物と行政行動の考え方を踏まえまして、計画の基本理念を示しております。
これからの廃棄物行政を進めるための基本理念といたしまして、循環型社会への変革を掲げ、その実現のための施策の推進方策といたしまして、都民、事業者、行政の役割分担の明確化と、自治体間の連携を掲げてございます。
一九ページをごらんください。第2章では、序章で掲げました課題の解決のため、五つの計画目標を示しております。
計画目標1は、発生抑制、リサイクルを推進し、最終処分量を削減するものでございます。一般廃棄物につきましては、平成十一年度対比で、平成十七年度の最終処分量を三割削減し、産業廃棄物につきましては五割削減することを目標としております。
二二ページをごらんください。計画目標2は、環境への負荷が少なく、信頼性の高い中間処理、最終処分の推進でございます。医療廃棄物とPCB廃棄物につきましては、全量を都内で処理すること。排ガス中のダイオキシンは、平成十四年末までに九〇%削減することなどを目標としております。
二三ページの計画目標3は、不適正処理の撲滅でございます。近隣自治体との連携を強め、適切に行政処分権限を行使し、不適正処理の防止に取り組むとしております。
二四ページの計画目標4は、有害廃棄物の適正管理及び適正処理の体制整備でございます。PCB廃棄物につきまして、適正保管の徹底に取り組むとともに、適正処理の体制を整備し、十年以内、すなわち平成二十二年度までに無害化処理を完了することを目標としております。
計画目標5は、都民、事業者、行政の役割分担を明確化し、それぞれの取り組みと相互の連携を強化する、でございます。廃棄物問題を解決し、循環型社会を構築していくために、都民、事業者との連携を強化していくとしております。
二七ページから始まる第3章では、計画目標を実現するため、一般廃棄物に関する四つの施策を示しております。
二九ページには、発生抑制、リサイクルを推進し、最終処分量を削減するために、施策1としまして、発生抑制、リサイクル施策に関する区市町村への技術的支援、三〇ページには、最終処分量削減方策に関する区市町村への技術的支援、三一ページには、事業者自己回収の促進を示してございます。また、三二ページには、施策4といたしまして、一般廃棄物処理施設整備への技術的支援などを示しております。
三三ページから始まる第4章では、産業廃棄物に関する八つの施策を示しております。
主なものについてご説明申し上げます。
三四ページには、最終処分量を削減するために、施策1といたしまして、建設廃棄物等の発生抑制、リサイクルの促進、三六ページには、公共事業に係る産業廃棄物の最終処分量の削減を示してございます。
三八ページには、環境への負荷が少なく、信頼性の高い中間処理、最終処分を推進するために、産業廃棄物処理施設整備の促進、四〇ページには、都・区市町村の処理施設への受け入れ検討を示してございます。
四一ページには、不法投棄などの不適正処理を撲滅するために、施策6といたしまして規制監視体制の強化を示してございます。
また、四三ページには、施策8といたしまして、PCB廃棄物の処理体制の確立を示してございます。
四五ページからの第5章では、都民、事業者との連携を強化するための施策といたしまして、廃棄物行政への都民の参画、事業者等との連携の強化の二つを示してございます。
答申の内容は以上でございますが、今後、この答申を踏まえまして、区市町村からの意見を聞いた上で、早期に東京都廃棄物処理計画を策定していく予定でございます。
よろしくご審議をお願い申し上げます。
○藤川委員長 報告は終わりました。
本件に対する質疑を一括して行います。
発言を願います。
○吉原委員 それでは、今ご報告をいただきました件について、若干ですが、お尋ねをさせていただきたいと思っております。
まずもってPCBの件でございますけれども、四十九年に製造が禁止されまして、そのまま適正の処理施設の整備が進まないままに、今保管しているだけの状況が続いていると思うんです。
この状況ももう三十年に及ぶわけでありまして、その中には紛失したものもたくさんあるんだろうと思いますけれども、中小企業の倒産がそういった状況につながってきた、そんな思いもしているわけです。この報告の中にもございましたけれども、都内で紛失や不明の状況、その点についてお尋ねさせていただきたいと思います。
○西野廃棄物対策部長 平成十年度のPCB廃棄物の保管及び使用中の機器の実態調査結果から見ますと、PCBを含むトランスコンデンサーは、都内で約五千五百の事業所に約一万五千個が保管されております。また、高圧トランスコンデンサーの紛失、不明のデータを見ますと、五十三事業所、百七個となっております。
なお、平成十三年度には、PCB特別措置法による調査を実施しておりまして、現在その調査結果を取りまとめ中でございます。
なお、紛失、不明の理由は、統計上のミスとか、実態的に十分把握してない状況でございます。
○吉原委員 今お話しいただきましたけれども、五千で一万五千個、五十三の事業所で百七個ですか、中には未確認のものも、これ以外にも若干あるのではないかな、そんなふうに思っておりますけれども、こういったなくなった事業者に対して、今までどんな対応を行ってきたのか。そしてまた、これからどういう対策を講じていくのか、お尋ねをさせていただきたいと思います。
○西野廃棄物対策部長 PCB保管事業者から紛失、不明の届け出があった場合には、まず、できる限り追跡調査を実施していただきまして、どうしても発見できないときには、紛失、不明となった経緯を提出させるとともに、再発防止対策について徹底させるなどの指導を行ってきたところでございます。
今後は、これらに加え、本年七月に施行されましたPCB特別措置法による保管状況届け出書の公表や、必要により立ち入り指導などを行い、紛失、不明防止対策に努めております。
○吉原委員 今やっぱり、中小事業者の人たちがさまざま倒産してきた経過もあるでしょうし、これからも、またさらにそういうことがふえていく可能性もあるんだろうと思いますけれども、今までのものに対して、PCBを適正に保管しているかどうかというのは、本当にちょっと心配になるところがあるんです。
そんなことがまた不法投棄に結びついていくんじゃないかな、そんなふうに思っているんですけれども、環境汚染という意味で、未然防止の観点からも行政が何らかの対応をこれからもすべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○西野廃棄物対策部長 東京都は、本年、東京都PCB適正管理指導要綱を策定をいたしまして、法の対象外でございます使用中のPCB製品の届け出を求めるとともに、保管及び使用中の実態調査を行いまして、その取りまとめを行っているところでございます。
都は、これらの実態を踏まえ、PCBの保管、使用実態の公表や立ち入り指導などを通じまして、不法投棄などによる環境汚染が起きないよう指導していくとともに、PCBの適正保管のための普及啓発にも努めてまいります。
また、PCB廃棄物の保管事業者が倒産した場合においては、事業を経営してきた関係者など、責任を持って管理できる者に、引き続きPCB廃棄物を保管していただけるよう指導し、環境汚染の未然防止に努めてまいります。
○吉原委員 今いろいろお話しいただきましたけれども、今のお話の中にも、これから本当に心配されることが含まれているようなご答弁もいただいたわけでありますけれども、やっぱり保管しているだけで、PCB問題の解決にはなっていかないんじゃないかな、そういうふうに思っているんです。
前々回でしたでしょうか、委員会のときも、スーパーエコタウンのお話もお聞きしました。施設がこれからどうなってくるのか、そんなお話もお伺いをさせていただきましたけれども、それから少し時間がたっていますので、国との関係もあろうかと思いますけれども、その取り組み状況、PCBの施設をつくるというお話もございましたので、お尋ねをさせていただきたいと思っております。
そしてまた、処理をするにも、やっぱりお金がかなりかかるんだろうと思うんですね。そういった意味では、今こういった経済状況の中で、大変厳しい会社運営もされているし、紛失した、倒産をされたところの方々についても、大変厳しい状況がこれから先出てくるんだろうと思うんです。
そういった意味での負担軽減策をやっぱり東京都としても責任を持ってやっていく必要があるんだろうと思いますけれども、その辺のところをどうお考えなのか、お尋ねをさせていただきたいと思います。
○西野廃棄物対策部長 スーパーエコタウンでの取り組み状況でございますが、先ほど廃棄物処理計画の中でもご説明させていただきましたが、東京都は、首都圏スーパーエコタウン構想の中で、処理施設を整備し、十年以内に無害化処理を完了させるよう現在取り組んでいるところでございます。現在、関係機関と事業主体あるいは事業規模等について精査しているところでございます。
また、PCBの処理費用の軽減についてでございますが、国は、中小企業者に対しまして、経済的な支援を目的として、国及び都道府県の拠出によるPCB廃棄物処理基金を創設することとしておりまして、都はこの基金に拠出を行いまして、都内の中小企業者の処理費用の負担軽減をすることを考えてございます。
○吉原委員 今十年以内というお話でございましたけれども、やっぱりそれまでの間、これからどうやってその問題を解決していくんだ、本当の根本的な問題を知っていかないと、やっぱり環境汚染という意味からでは大変重要なかぎの部分ではないかなと思うんですね。施設ができれば、まあ、それはそれ、事業者負担もあるでしょうし、あるいはそういった意味で負担をしていただいてそこに納めればいいわけでありますけれども、じゃ、それができるまでの間どうするんだろうと。
これから、先ほどもお話をさせていただきましたけれども、大変不況な時代だといわれて、それがずっとまだ続いているわけでありまして、また来年も財政マイナス、今年度に比べて四千億円ぐらい税収が減ってしまうという状況の中でありますから、そんなときに、これから施設ができるまでにどういう形で紛失をしないようにきちっと管理をしていただけるようにしていくのかというのは、本当に大きな問題だと思うんです。
そんな中で、これからまだまだ紛失や不明の部分がきっと出てくるんだろうと思うんですね。そのところをどうするかということを本当に全庁的にというか、局の皆さんが中心になってお考えいただかないと、ただ倒産した人たちが、お金がなくて倒産される方がほとんどだろうと思うんですけれども、そういう人たちがいつまでもそれを持って歩いているわけにいかないんですね。そのうちに、なければない方がやっぱり身軽になるわけでありまして、皆様方の局の方としても、そういう方々にはいろいろな指導もされている。資料を提出してくださいという場合もあるんだろうと思いますけれども、もう倒産をしてしまった方々についてはそんなことを気にしていられないんですね。きょうの飯をどうやって食うか、あしたの飯をどうやって食うかというその心配をしなければならないのに、今までは事業をしているときは税金も払ってきたわけでありましょうから、そんな意味では、そのものを引きずってずっと持っているよりも、紛失してしまったという届け出を出した方がより簡単だろうと思うんですね。やっぱりその辺のところをどうするかということもきちっとこれから考えていただきますようにお願いをさせていただきたいと思っております。
続けて、もう一点、土壌汚染のことについてお尋ねをさせていただきたいと思いますけれども、今まで土壌汚染対策として国の方で決められて整備をされてきたのは農業用地に関するものだと、そんなお話をお聞きしております。
近年、工場がなかなか、住宅といいますか、今の状況にありますから、都市部から郊外あるいは地方に移動していくような時代になってきました。そんな中で、移転した後の土地から有害物質が検出されるということが最近よく話題になってくるわけでありますけれども、つい最近、私が住んでおる町田市でも、規定以下でありましたから大きな問題にはなりませんでしたけれども、やっぱりそういうことが大変問題になってきているんです。
そんな中で、東京都といたしましても、公害防止条例を昨年の十二月に改正をして環境確保条例を制定したというふうにお聞きをしているんです。条例で規定したということは、今後汚染土壌の処理が今まで以上に進むと思っているわけでありますけれども、その処理する技術がきちっとできているかどうなのか。そしてまた、処理技術にはどんなものがあるのか、お尋ねをさせていただきます。
○小島参事 処理技術のことでございますけれども、現在確立されている技術としましては、重金属類については、薬剤を用いて固める方法や汚染土壌を浄化する方法などがあります。また、揮発性有機化合物については、活性炭や微生物を用いて処理する方法などがあります。
○吉原委員 今、二、三の処理方法をお伺いしましたけれども、東京はご案内のとおり、住宅が密集している狭い地域に皆さん住んでいるわけでありまして、そういうところにも、かつてそういう工場があったりしました。今もあるところも当然あるわけでありますけれども、そうした密集地にも適用できるのかどうなのか。狭い地域の中で利用できる技術もどうなっているのか、お尋ねいたします。
○小島参事 ただいま申し上げた処理技術のうち、重金属類の場合は薬剤を用いて固める方法や、揮発性有機化合物の場合には活性炭で処理する方法などがあり、都内のような狭い地域でも適用が可能です。
○吉原委員 多分そういうことでありましょうから余り心配することはないと思うんですけれども、そうしたら、別の場所に運搬をして処理する場合に、どのような処理だとか処分のされ方があるのかわからない場合があると思うんです。どこかに処理されないで捨てられてしまう可能性も多分にあるように伺っているともありました。
そんな中で、汚染土壌をその場所から出して、第三者に委託して処理する場合については、東京都はその処理に対して最終確認をどういう形でされているのか、お尋ねいたします。
○小島参事 事業者が汚染土壌の処理、処分を第三者に委託して処理する場合には、土壌汚染対策指針に基づきまして、廃棄物処理法と同様の手法により、管理票、いわゆるマニフェストを用いて、事業者自身が処理、処分が適正に行われることを確認する仕組みとなっております。都は、事業者からこのマニフェストの提出を求め、処理の最終確認を行っております。
○吉原委員 土壌処理の確認は伝票に、マニフェストということでございますけれども、産廃でも、スクラム22で、関東地方を中心にしまして各都県市が産業廃棄物の処理を行っているように、合同でやっぱり監視や指導をしていくといいのではないか、そんなふうに思っておりますが、いかがでしょうか。
○小島参事 土壌汚染を産業廃棄物と同じように各県市が合同で監視とか調査指導などを行うことにつきましては、土壌汚染は、廃棄物とは異なりまして、各県がそれぞれ要綱などで対応しております。その状況に違いがあり、また課題もさまざまでございます。現在、国が検討中の土壌環境保全対策の制度化の検討状況等を見ながら、今後その可能性について検討することとしております。
○吉原委員 その土壌の搬出について、東京だけではなくて都外にも持っていっているものが今までも多分あったんだろうと思うんですね。はっきりわからない部分もたくさんあったんだろうと思いますけれども、つい最近、その条例ができまして、届け出が完了された事例というのをちょっとお聞きしました。今まで二件あったそうであります。申請中のものも八件ほどあるようでございますけれども、いずれにしてもこの二件とも、どことは申しませんけれども、都内ではなくて都外に持っていって処理をされている、そういう状況なんですね。
今、いろんなマニフェストを用いて伝票で云々かんぬんというお話がありましたけれども、私たちの東京の中で出したものが東京の中で処理されている、それが確認されるという状況は、都内の場合はあると思うんですけれども、都外に出ていった場合はその確認方法というのはなかなか難しいんだろうと思うんですね。今お話しさせていただきましたように、完了されたものでさえも、もう二件あるうちの二件とも都外に持ち出されているわけでありまして、国でもその対策のための法を整備している途中だというお話がありました。これは七都県市といわず関東地域全域の話になるのかもしれませんけれども、その法整備がきちんとされる前に、せっかくそういう状況の中でありますから、東京都としても、その法整備ができたときにすぐスタートできるようにやっていくべきではないかな。外に持ち出されたものが最終的に本当にそこで処理をされているのかどうなのか、これはやっぱり大きな問題だと思うんです。
そんな意味で、本来であればその法整備がきちっとする前に、せっかく七都県市だとか関東中心でということを知事さんが盛んにいわれているわけでありますから、自治体同士の連携をこういうところで発揮して、そういう打ち合わせをする中で、持ち出したところのその県の皆さんにもご協力をいただいて、きちっとした形で処理されているかどうかということをこれから確認していくべきではないかな、そんなふうに思っておりますので、そのことだけ要望をさせていただきまして、質問を終わります。
○藤川委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
午後三時二十二分休憩
午後三時三十四分開議
○吉野副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行します。
発言を願います。
○大塚委員 私からは、先ほどご説明のありました東京都環境基本計画のあり方について質問を幾つかさせていただきたいと思います。
まず、この環境基本計画の中で、それぞれの環境行政の諸課題を推進するに当たり、時限的、数量的な目標を具体的に掲げたということにつきましては大変評価ができると思います。
また、先ほど冒頭の説明の中にもありましたとおり、平成十一年八月のディーゼル車NO作戦に始まり、昨年末の都民の健康と安全を確保する環境に関する条例、いわゆる環境確保条例が制定され、平成十五年の十月からディーゼル車の排出ガス規制に、国に先駆けて実施にこぎつけたという点では、都民にとってわかりやすい環境行政の大きな成果だと思うわけでございます。
そこで、これらの実績を踏まえまして今回の改定が行われたと思いますけれども、東京都の環境審議会に諮問し、答申を受けまして、今回の基本計画の改定の中で、まずは今までとどういう点が特に違い、また目玉となる点が具体的にありましたら、まずポイントを教えていただきたいと思います。
○梶原企画担当部長 今回の答申の大きな特徴といたしましては、環境の危機の深まりを直視して、新たな課題への積極的な取り組みが求められていることでございます。
都市の持続可能性を図るという観点からは、地球温暖化やヒートアイランド現象の進行などへの対策について指摘がなされております。また、重要課題については積極的に目標設定がなされております。例として、ディーゼル車排ガス規制など現行の環境基本計画より進んだ取り組みを行ってきた成果を踏まえまして、初めて浮遊粒子状物質について目標年次が設定されたということがございます。
○大塚委員 先ほどの説明の中にも、それぞれの項目の中にいろいろな目標が時限的、数量的に示されたわけでございます。私はそれは単に目標を設定したということではないと思いますけれども、策定するに当たりましてどのような点につきまして検討が加えられ、あのような目標ができたのか。また、今後それぞれの目標を達成するに当たりましては、当然環境局だけでは達成できないと思いますし、ほかの関係機関や関係局とも十分協議されたと思いますけれども、その点についてお伺いしたいと思います。
○梶原企画担当部長 東京都全体の基本構想でございます東京構想二〇〇〇で二〇一五年度を基本的な目標年次としております。基本的には、この環境基本計画の答申におきましても、これと目標年次を合わせておりますが、今後の施策の効果なども考慮しつつ、できるだけ早い時期の目標達成、これを目指されたとなっております。
この目標を達成していくためには、環境局だけでは達成が難しいものもございます。都市づくりや産業政策、税制など、関係部局と連携して、今後具体的な施策を定め取り組んでまいります。
○大塚委員 このたび知事本部が発表いたしました来年度の重点施策のうち、三十四の新規事業が発表されたわけでございますけれども、その中で八つの新規推進プログラムが環境局関係ということで、環境行政の重要性と意気込みが私は感じられると思います。
しかし、この基本計画の第5部に、計画の点検と見直しということが触れられております。残念なことに十二、三行に終わっておるわけでございますけれども、文章が多いからいいというわけじゃないんですけれども、私はやはり目標達成に向けてその都度事業の進ちょくをチェックしたり見直しをして目標達成が実際図られていくということが大変重要だと思いますが、その辺、この文章にあらわれていないような具体的なシステムや方策についてお聞かせいただきたいと思います。
○梶原企画担当部長 現在の環境基本計画は平成九年に策定されておりますが、策定後二年の時点で環境審議会に点検のための分科会を設置いたしまして、個別事業についても詳細に点検が行われております。その結果、現行環境基本計画の不十分さが指摘されまして、今回の改定の諮問、答申につながったものでございます。
進ちょく状況のチェックに関しては、答申では確かに簡潔な記述にとどまっておりますけれども、今後において同様なシステムで見直しや点検がされていくという認識のもとに答申されたものと理解しております。
○大塚委員 ぜひ今おっしゃったようなチェックや見直しを適宜やっていただいて、せっかく今回目標を設定されて具体的に進んでいくということですので、その辺はよく見直し、チェックをしていただきたいと思います。
次に、重点施策の新規プロジェクトの中に、第一番目に都庁舎のグリーン化プロジェクトが挙げられておるわけでございます。
ヒートアイランド対策として東京都がみずから屋上緑化を推進しまして民間への普及啓発を行っていこうということですが、都庁舎の緑化につきましては、設計上の問題や、また構造的な問題がありまして、緑化への費用や物理的な課題があったと聞いておりますけれども、その点についてはいかがだったのか、お伺いしたいと思います。
○梶原企画担当部長 都庁舎の屋上緑化につきましては、現在具体化に向け検討を行っているところでございますけれども、特に既存ビルということでの設置に伴う問題としては、建築物への荷重や防水上の問題への配慮が必要だと考えております。
○大塚委員 都庁舎の例を最初にちょっと出させていただいたんですけれども、私は、今後の緑化の問題につきまして、都心部の屋上緑化を、既存の建物をどうしていくかということを次に聞きたいわけですけれども、費用がかかることは当然ですし、構造的に重みがかかったときに荷重に耐えられるかというような問題が多くあるのも承知しております。都庁舎で模範を示して、結果として屋上緑化をあきらめてしまうようなことが私は心配なわけでして、市街地における緑の重要性に疑問を挟む余地はありませんけれども、今まで以上に屋上緑化を進めていくためには、東京都と市区町村と協力して積極的に動いていくことが必要だと思います。
そこで、今後どのような姿勢で既存のビルあるいはいろんな施設の屋上緑化に取り組んでいくのか。あるいは、都庁舎以外の都の施設への屋上緑化への取り組み、そしてまた、現在区市町村で独自に進めております取り組み状況などについてもお聞かせいただきたいと思います。
○高田自然環境部長 昨年、緑の東京計画を策定してございますが、その緑の東京計画では、屋上等の緑化を市街地の緑を回復する重要な施策として位置づけてございまして、建築物の新築、改築、増築などの更新に合わせまして積極的に推進を図ることとしてございます。
お話がございました既存建築物につきましては、ご指摘のように構造上の問題、それから資金面からの問題、いろいろ困難な課題がございます。民間の施設についてでございますけれども、より負担の少ない屋上緑化、この手法としてはどういうふうなものがあるか、そういうふうなことを提案したり、あるいは事例もございますので、そういったものを紹介していくなどして理解と普及に努めていきたいというふうに考えてございます。
それから、都の既存施設についてでございますけれども、最近、広尾病院で産業労働局の苗木を利用した屋上緑化が行われたところでございます。このように、建築の改修時をとらえる、そういったことなどをいたしまして、可能なものから屋上緑化に取り組んでもらうことをまず考えております。
このほか、都の関連施設でございますけれども、屋上緑化の事例といたしましては、最近、有楽町にございます東京交通会館におきまして庭園風の緑化がなされてございます。都の施策への協力と普及、そういった面で実施されたと承っております。
それから、区市町村の取り組みでございますけれども、区市町村の方は、既存の建築物と新築をどう考えるか。これも都と同様悩ましい問題を抱えているかと思います。主として新築、増築、改築の際の屋上緑化への取り組みでございますけれども、新宿区や渋谷区、板橋区では条例で義務づけが行われる。それからまた、このほかには要綱などによって対応しているという実情にございます。
今後とも、屋上緑化への取り組みを積極的に働きかけてまいりたいと考えております。
○大塚委員 この基本計画のあり方の中には、ヒートアイランド対策の目標として、二〇一五年までに熱帯夜の発生を約三十日から二十日程度に減少させるというふうに書いてあるわけでございます。ヒートアイランド対策を進めていくには、申し上げました屋上緑化だけにとどまらず、都心部においての、市街地においての緑の確保というものが大変重要なことはいうまでもありません。また、地球温暖化の防止のためにも緑の役割が大変大きくなっておりますし、ほかの地域だけではなくて都心にも当然確保していかなければならないと思っておるわけでございます。
今回のこの基本計画の中にもたびたび出てきておりますが、例えば都市計画道路の先行取得された土地や、あるいは都の遊休地を緑化していくということなど、いろんな工夫を凝らして緑化を進めていかなければならないと思っております。そして、これも読ませていただきましたけれども、その中にも都市計画的な手法を使ってというようなことがたびたび出てきたわけですけれども、これは都市計画局の所管かもしれませんけれども、環境局としてどのような考えで行っているのか、お伺いしたいと思います。
○高田自然環境部長 東京の緑づくりを進めていくためには、都市づくりとの連携を図っていく、この考え方は非常に重要だというふうに考えてございます。
昨年十二月に作成しました、先ほどちょっと触れましたけれども、緑の東京計画は、そういう意味で都市計画局と連携をして、共同所管という形でつくらせていただきました。
緑を効果的に創出していくための都市計画の手法としては、比較的小規模な地区を対象にいたしまして良好な環境の保全整備を図る地区計画制度というのがございます。そのほかに、敷地の共同化などによる公開空地の確保により多くの緑を図る総合設計制度、それから特定街区などの制度がございます。そして、この総合設計制度などにおきましては、本年四月から屋上緑化を容積率割り増しの対象に加えているということがございます。
私ども環境局といたしましては、これらの運用において緑の確保について配慮されるよう関係局に働きかけてまいりたい、こういうふうに考えております。
○大塚委員 現在、東京では大規模な開発がご承知のとおりあちこちで進んでおります。木造密集地域の防災上の観点や都心居住という点からも、これはこれとして必要だと思うんですけれども、先ほどからお話ししているとおり、都心部の緑の確保ということからしますと、我が党の和田政調会長も代表質問でお話をしましたけれども、公開空地の利用や敷地の緑化といったことも当然考えていかなければならないとは思っております。
私は、先日外環の視察で、ヘリコプターで東京を一周回ってまいりましたけれども、本当に緑が少ないということを実感してまいりました。この計画の中にも、都市部で二九%から三二%、約千八百ヘクタールの緑をふやすというような目標も掲げられておりますけれども、当然これを進めるに当たっては大変な都民の理解や都のリーダーシップが必要だと思います。多摩の緑も含めて、都の全庁的に上げて五十年、百年先を見据えて緑の確保というものをやらなければならないと思いますが、その辺の決意についてお伺いしたいと思います。
○高田自然環境部長 二十一世紀の東京を、環境と共生し、持続可能な都市としていくため、昨年十二月に緑の東京計画を策定したわけでございますが、その計画では、おおむね五十年後における東京の望ましい緑の将来像を見据えまして、平成二十七年度までの十五年間に取り組むべき緑づくりの目標を定めたところでございます。この目標を達成するため、本年七月に庁内関係局で構成いたします緑の東京計画推進委員会を設置いたしました。そこで目標達成のためのプログラムの策定やプログラム展開のための戦略的な取り組み、庁内外の連携について現在検討を進めているところでございます。
また、東京の森再生プロジェクトを平成十四年度の重要施策の中に位置づけまして取り組むことにしてございますが、こうした取り組みを含め、施策を総合的に進めることによりまして、東京の緑の再生確保を図っていきたいと考えております。
○大塚委員 最後に、皆さん、ジンジャーという乗り物をご存じだと思います。最近テレビやラジオで報道されております。これはアメリカで発明されたスクーターの一種で、二つの車輪の間にまたがって、乗り手が前に行ったり後ろに行ったり自由自在にできるという電動式のスクーターだそうです。最高時速が二十七キロで最大走行距離は五十四キロということで、非常に小さい、場所もとらないという乗り物だというふうに私も報道で見ました。
これは開発された非常に夢物語のような乗り物らしいんですけれども、この辺はなぜ引用したかというと、こうした技術の革新といったものが、この中でも自転車の利用ということを促進しておりますけれども、その一歩先を行ったこういった開発が環境に少しでも優しいということで、これをどうのこうの取り入れてやった方がいいということではなくて、そういった報道があったのでそのお話をさせていただいているわけですが、ぜひそういったことを含めて、そういった情報もとりながら、いろいろな環境の緑のこととか、今後の二十一世紀の環境行政に生かしていただきたいと思いますし、この基本計画につきましては、進ちょくをよく見させていただいて、ぜひ実現していただきたいということを要望いたしまして、質問を終わります。
○小磯委員 私は「東京都環境基本計画のあり方について」というこの答申についてお伺いをさせていただきます。
まず、自動車公害対策でございます。
東京都がディーゼルNO作戦ということで、ディーゼル車排ガスのいわゆる浄化装置の技術革新を生んだ、こう思っております。東京都の環境の先駆的な取り組みが一つの大きな技術革新を生んだ。そしてまた、アメリカではマスキー法という、もう随分前になりますが、これによってガソリン車の低公害が進んだということで、ここにもありますように、政策で目標を立てることによって大きな技術革新が進む、これは本当にそう思っております。
そして、次世代のいわゆる自動車の低公害として考えられることは、ここにありますように燃料種別ではなく排出ガス性能によって定められるべきであると。粒子状物質、窒素酸化物、非メタン炭化水素、一酸化炭素の排出量に加えて温室効果ガスの量によって定義づけられるべきである。さらに、今度は自動車の再利用がどれだけ進むか、こういったことも全部総合的に加味して、自動車のいわゆる低公害化を進めるべきである、このような提言がここにあるわけでございます。私は、この考え方は大変に重要であると思っているわけでございます。そういった意味では、この考え方をしっかりと東京都も進めていっていただきたい、こう思っている次第でございます。
その中で、特にいわゆるトップランナーといいますか、トップランナー方式というのがございます。現在商品化されている製品のうち最もすぐれている機器の性能以上に基準を設定していく、そういった方法でございますが、そういった方法をとって総合的な環境負荷を、低公害化をしていくべきである、こう考えるわけでございますが、いかがでございましょうか。
○松葉自動車公害対策部長 東京都では、窒素酸化物とか粒子状物質などの排出ガス性能に着目いたしまして、低公害車の指定制度を設けております。七都県市とともに、一緒に運用しているところでございます。低燃費などの車につきましても、その旨を表示いたしまして、低公害な車の普及に現在努めているところでございます。
今後、平成十七年からになると思いますが、排出ガス規制の強化が予定されておりまして、排出ガス中の窒素酸化物とか粒子状物質などがより減少いたしまして、低公害化が促進されるというふうに考えてございます。
こういうことから、まず既存の規制物質のさらなる排出抑制というものに努めてまいりますとともに、今後二酸化炭素の排出などにも着目いたしまして、新たな低公害車のあり方についても検討が必要というふうに考えています。
また、メーカーと緊密に連絡いたしまして、企業間の競争を促し、一層低公害で再利用しやすい車の生産も求めてまいりたいというふうに考えております。
○小磯委員 アメリカでは、使用過程車についても性能維持をきちっとサンプル調査する、そういったことがここにも掲げてございます。アメリカのそのサンプル調査はどのような方法で、またサンプル調査の個数ですね、どのようになっているのか、お伺いしたいと思います。
○松葉自動車公害対策部長 アメリカの環境保護庁やカリフォルニア州の大気資源委員会というのがございますが、使用過程車に対する排出ガス検査を実施してございます。これは、使用過程車が排出ガス規制基準に適合しているかどうかの調査をするものでございます。この調査は、まず調査しようとする車種につきまして、五台程度の車について検査を行います。その結果に問題があればさらに十台程度を追加して調査を行っておりまして、カリフォルニア州の場合は、毎年試験が行われる台数は二十台から二十五台程度であるというふうに聞いてございます。
○小磯委員 我が国には車検制度があるわけでございます。そういった意味で、アメリカと同様の使用過程車のサンプル調査よりも、まず私は今回東京都が指定をいたしましたPM減少装置、これの装着後のサンプル調査を行うなど、装置性能の維持に努めるべきではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
○松葉自動車公害対策部長 都は、今年度から粒子状物質減少装置の指定要綱に基づきまして装置の指定を開始したところでございます。装置の指定に当たりましては、粒子状物質の減少率のほか、信頼性、耐久性、安全性などにつきまして審査委員会の意見を聞いて十分検討を行った上でこの指定をしているところでございます。信頼性などが十分確保されるというふうに考えてございます。
本年度は制度がスタートしたばかりでございます。今後の粒子状物質の減少装置の普及状況などを見まして、装置の効果が上がるよう、メーカーとも協力しながら性能の維持について適切に対応してまいります。
○小磯委員 今のご答弁なんでございますけれども、このDPFとか酸化触媒は既に東京都が指定をしているわけです。だから、指定をした装置が、今ご答弁にあったように、普及するしないと、装置の効果が上がる上がらないというのは関係ない。普及してもしなくても装置の効果は一緒である、私はこう考えております。
トラック協会の方々と私も懇談をさせていただいたときに、一番心配をされていたのは、性能が落ちることである。過去にある自動車会社のDPFを二十台装着して走行してみると、いろんな、さまざまな欠陥があった。逆にこのDPFをつけたおかげで本体のエンジンまで調子がおかしくなった、こういう過去の経緯があるわけでございます。そういったことで、今回は東京都が指定したわけですから信頼性は足りるという声があるわけでございますけれども、一方ではそういう心配をされている。
また、耐久走行が一万キロということで、一万キロというのはすぐに走ってしまうというようなことで、三定の我が党の代表質問でも、DPFについてなるべく長い保証期間をつけてあげるべきではないか、こういった質問をして、大体は一年なんだけれども、中には三年の保証期間のDPFもありますよ、そういったご答弁をいただいたわけでございます。
DPF装置は、一つが八十万から百万、もっと高いのもあるんでしょうけれども、それのうちの半分を都がお金を出して、あとの半分は所有者がお金を払って買うという、それほど高い装置でございます。こういう高いお金を払って買う方は、東京都の環境確保のために協力しようという方でございます。そういった意味で、東京都が指定して、またお墨つきを与えた十社十八件の装置を、やはり使用過程で性能サンプル調査をするというのは当然ではないかな、私はこう思っております。
本格的に平成十五年十月から装着していない車は走れなくなるわけでございますので、むしろそれまでの間、しっかりと性能のサンプル調査をすべきではないかと。バスと違って長距離で長時間運転するトラックに装着した粒子状物質減少装置をしっかりとやるべきではないかなと、こう思っておりますが、いかがでございましょうか。
○松葉自動車公害対策部長 現在指定しています粒子状物質の減少装置についてですが、いわゆるDPFはマフラー部分と交換するタイプでございます。このため、エンジンそのものの系統に直接手を加えるということではございません。したがいまして、先ほどご指摘ございました本体のエンジンに直接支障が出てくるというふうには考えてないわけでございます。
また、DPFはフィルターに粒子状物質をとらえて処理するという方式でございますので、詰まりなどの問題が懸念されるわけでございますが、この点につきましても、審査会で審査を行う際に十分検討を行っているところでございます。
また、一方の指定しています、いわゆる酸化触媒というのがございますが、自動車メーカーとか部品メーカーで長年これについては技術的な蓄積もあるところでございます。したがいまして、これにつきましては構造上の詰まりなどについては問題は生じないものというふうに考えているところでございます。
このような状況でございますが、指定した装置についての安全性とか信頼性などについては今後も十分なフォローが必要であるというふうに考えてございまして、ご指摘の、実際の使用状況に応じた調査についても今後検討してまいります。
○小磯委員 いよいよ自動車の時代からやっぱり未来の交通機関へと変えていかなきゃいけないんじゃないか、基本的には私はそう思っているわけでございます。ここの答申にも、自動車依存の縮小ということを書いてございます。
そういった意味で、先ほど大塚委員からもありましたジンジャーですね、セグウェイHTですか、これが登場したわけでございますけれども、私は、そもそも一人で自動車に乗るということは大変エネルギーの効率からいってむだである。一台の車に四人乗るんであればいいわけですけれども、自分が移動するのに一人で大型の車に乗るということは、もうはっきりいってエネルギー効率からいってむだであろう、こういった思いがするわけでございます。
そういった意味で、このセグウェイHTなどというのは、これは形を見ると芝刈り機みたいな形、それにまたがっていくような、それで重心移動によって方向が変わるような、そういうものでございますけれども、こういったものもしっかりと研究をされてはどうかな、こういうふうに思っておりますが、いかがでございましょうか。
○山本交通需要マネジメント担当部長 自動車交通への過度な依存を改善するため、都では自動車の効率的な利用や使用の抑制を図る交通需要マネジメントに取り組んでおります。
その内容といたしましては、公共交通機関への乗りかえ利便性の向上、自転車活用対策、パーク・アンド・ライドやロードプライシングの検討などであり、自動車交通からの転換手段といたしましては、鉄道やバスなどを考えております。ただいまお話のございましたセグウェイにつきましては、道路走行上の法的な取り扱いなどがまだ明らかではございませんので、今後情報収集に努めてまいります。
○小磯委員 続きまして、地球温暖化についてお伺いをさせていただきます。
審議会の答申では、全国で海面上昇が一メートルになれば満潮位以下の土地は現在の八百六十一キロ平米から二千三百三十九キロ平米へと増大する、このような試算を紹介しております。こうした海面上昇があった場合に、東京都への影響はどうなると考えられるのか、お伺いしたいと思います。
○梶原企画担当部長 東京の場合でございますが、満潮位以下の土地面積が百二十四平方キロメートルでございまして、これは区部の総面積の約二割に相当いたします。お話の、一メートルの海面上昇があった場合にはどの程度面積が増加するかという正確な試算はございませんが、現在の地盤面の高さから見ましておおむね二割から三割程度の増加となるのではないかと思われます。
本年度より、国では国土交通省が海面上昇による堤防や防潮堤への影響の研究を開始しておりますので、そういった動向などにも注目しながら、今後東京都への影響についても把握する必要があると考えております。
○小磯委員 海面上昇など深刻な温暖化の影響を考えますと、温室効果ガスの排出削減の努力を一層強化することが重要であると思っております。
今回の代表質問でも我が党としては、東京において特に増加率が著しいオフィス、自動車部門への対策強化を求めましたが、もう一つ重要なのは家庭での省エネルギー対策であると思っております。増加率はオフィスや自動車より低いものの、構成比では都内全排出量の約二割を占めているわけでございます。
家庭での省エネルギー対策を進める上で私が特に重要と思いますのは、答申でも触れてございますが、省エネナビの普及であると思っております。省エネナビは、家庭で使っている電力の使用量また電気料金をいつでも知ることができる表示機器でございます。省エネに取り組んでもらうために一般家庭にも広く設置すべきであると考えております。より一層の普及策をすべきであると考えますが、いかがでございましょうか。
○梶原企画担当部長 お話の省エネナビのように、省エネ効果が一目でわかるようにする機器は、小まめな節電の状況が認識できますので、家庭における日常の省エネ行動を促す上で有用なものと考えております。
財団法人省エネルギーセンターが平成十年度に全国八百世帯を対象に行ったモニター調査がございます。ここでは、この省エネナビを使った家庭では電気使用量が前年同期と比較して約二〇%削減されたと報告しております。同センターでは、民間団体が実施する省エネルギー普及啓発活動に対しまして補助する制度を設けておりますので、こうした制度を紹介することなども含め、普及啓発を進めてまいりたいと思います。
○小磯委員 省エネとともにやっぱり何よりも大事なのは、エネルギー発生のいわゆる温室効果ガスの削減ということであろうと思います。
ドイツなどでは自然エネルギーの促進というのが急速に伸びております、風力発電それからバイオマスエネルギーということで。それに比べて日本は自然エネルギーはまだ緒についたばかりである、こういうふうに思っております。私は、風力発電それから太陽光発電、そしてやっぱりバイオマスエネルギー、こういったものが、特にバイオマスに関しては今後有望な自然エネルギーではないかなと考えているわけでございます。
ただし、自然エネルギーで電気をつくったとしても、それをしっかりと電力会社が買ってくれるか買ってくれないかというところが大きな問題でございます。また、特に自然エネルギーのエネルギー単価というのは大変まだ今は高いわけでございます。そういった意味では、そういった高い電気をちょっと買い取りしていただくようなシステムづくり、枠組みづくりが必要ではないかなと思っております。
国の方では、自然エネルギーの電力の買い取り制度、いわゆるRPS制度というものを考えておられるわけでございますが、その内容、また今後法律にするのかどうか、そういったことについてお伺いをしたいと思います。
○梶原企画担当部長 国が検討しておりますいわゆるRPS制度でございますが、これは新エネルギーなどの導入拡大を図るために、電力会社に対して一定割合の新エネルギーによる発電、あるいは新エネルギーによってつくられた電気の買い取りを求める制度でございます。この制度によりますと、直接みずからが新エネルギーによる発電を行うことが難しい事業者であっても、他の事業者が発電した電力を購入することで賄えるという特徴がございます。
現在、経済産業省が設置いたしました総合新エネルギー調査会、この部会で検討が行われておりまして、来年度には法制化を目指すとされておりますけれども、詳細はまだ不明でございます。
○小磯委員 先日発表されました東京都の重要施策の案によりますと、環境局は、自然エネルギーの導入を目指す国の動きを先取りするように、パイロット的な事業の実施を予定しておられるということでございます。
本会議でもお聞きをしたわけでございますが、臨海地域で予定している風力発電に関する検討状況を再度お聞きしたいと思っております。
特に、風力発電の発電量の不安定性を補うため、これも代表質問で触れましたNaS電池との併用、これが効果的であると思うわけでございますが、臨海地域の風力発電にはNaS電池を併設するのか、お伺いしたいと思います。
○梶原企画担当部長 風力発電施設につきましては、実現に向けて、関係機関との調整、あるいは事業採算性の検討などを鋭意進めている最中でございます。風力発電でつくられた電力を直接東京電力に売電する場合には、NaS電池のような蓄電池の併設は必要がないと思われます。
○小磯委員 同じく自然エネルギーに関する代表質問の中で、燃料電池の自動車用の水素供給ステーション、これの設置を検討しているということでございました。水素ステーションにはさまざまな燃料方式、これはメタノール改質、ガソリン改質、それから気体水素、そういった方法があるわけでございますが、どのようなものを検討しておられるのか。また、整備に当たって国の補助があるのか。また、十分な安全面への配慮をしながらしっかりとこの計画を進めていくべきであると思っておりますが、ご答弁をいただければと思います。
○梶原企画担当部長 水素ステーションの設置は、燃料電池自動車の東京における走行実験の拠点としまして現在さまざまな角度から検討を進めております。ご指摘のように燃料供給方式にはさまざまなタイプがございますが、立地条件などから検討を加え、選定をしてまいります。
施設整備に当たりましては、来年度から国の補助制度が新設される見込みでございまして、その活用を考えております。安全面については十分な配慮をしてまいる考えでございます。
○小磯委員 例えばこの水素ステーションというのは、どれぐらいの大きさのステーションを考えておられるのか、その辺、もしありましたらちょっとお伺いします。
○梶原企画担当部長 現在検討中でございますので、明確なものはお示しできませんが、基地としては多少広めの用地が必要かなと考えております。
○小磯委員 最後に、島しょと自然エネルギー促進について意見を述べさせていただければと思っております。
私も実は八丈島に行ってまいりまして、向こうの風力発電と地熱発電を視察に行ってまいりました。アメリカでは、ハワイ州議会が、独自の路線として、太陽、風力、地熱等の自然エネルギーを利用した水素製造のためのインフラストラクチャーへの投資を促進するための立法を積極的に行っております。ご承知のとおり、ハワイは一大観光地でありますが、温暖化が進むと海水面が上昇して、観光資源が失われてしまう。また、海岸線が後退して住民の所有財産が消滅すれば、島しょの住民にとっては深刻な問題である。そういったことで、ハワイ州議会が一生懸命こういう先駆的な取り組みをしているわけでございます。
ハワイ一地域の努力だけで全地球的な海面上昇の問題には影響を与えないと批判するグループもあるようでございますが、ハワイ州が合衆国連邦政府の方針から離れて、独自に石油から水素エネルギーへの転換に成功することによって、新たに追随する者を期待し、さらに地域の水素エネルギー関連産業の創出、また地域全体のイメージアップによる観光産業の促進を目指すという方針は、地方行政の独自性という意味から見ても大変刺激的な試みであると思っております。
翻って東京を見ますと、東京にも島しょがあり、二十三区内におきましても東京湾内の低地が多いことを考えますと、ハワイ州の心配は決して他人事ではありませんし、単なるコストだけの問題に還元してよい話ではありません。もしアイスランドやハワイ州に続いて、世界有数のエネルギー消費地であります東京都を初めとした七都県市が、国の枠を超えて地方自治の立場からこの問題への取り組みを表明するとすれば、京都議定書の推進において世界的に絶大な効果を及ぼすのではないかと考えられます。
島しょにおいて地熱蒸気を利用した小規模発電、そしてまたこれをさらに大規模なものとして、燃料電池や水素エンジンなどのための水素を生産する技術の研究開発を島しょ部で行ってはどうかと私は考えております。東京を、今ヒートアイランドといわれておりますが、ヒートアイランドからクリーンアイランドへと大きく転換していってはいかがかと思っております。
以上、意見を述べて、私の質問を終わります。
○かち委員 私は、廃棄物審議会から出された二つの答申についてお聞きします。
大量消費地である東京のごみ問題は、逼迫した処分場を初め、ダイオキシンや有害化学物質、環境問題など、本当に待ったなしの深刻な事態となって、解決が求められています。
これまで、国も都もそれぞれいろいろ努力をされてきたんですが、いまだ先の見えない状況にいら立ちを感じているというような表現もこの中にありましたけれども、そういう中で出された今回の東京の廃棄物と行政行動及び処理計画、これが本当に現状打開の道につながってほしい、そういう思いで、主にきょうは定義や考え方についてお聞きしたいと思います。
答申では、廃棄物行政の基本にかかわる廃棄物の定義、区分について見直しが提案されています。この提案を受けて、都は国に提案要求していくとのことですが、まずその内容についてお聞きします。
○西野廃棄物対策部長 国の現在の廃棄物の判断基準には、占有の意思あるいは取引価値の有無が大きな要素となってございます。このため、使用や売却の意思を偽って放置されたものが、廃棄物として規制されず、環境汚染を引き起こす事例がございます。一方で、リサイクル可能なものが取引価値がないということで廃棄物として規制を受ける場合がございます。このように、適正処理やリサイクルが進まない実態が見受けられます。
これら相反する問題を解決するため、まず不適正処理に対処するため、生活環境の保全上支障が生じ、あるいは生ずるおそれがあるものにつきましては、一定の要件のもとに占有者の意思や取引価値にかかわらず廃棄物の範囲に含め、法規制を適用すべきであるとしております。その上で、廃棄物の範囲に含まれるもののうち、リサイクル可能なものにつきましては、一定の要件のもとにその規制を緩和すべきであるとしております。
○かち委員 現行の範囲を広げて、一方ではリサイクルを進めるべきだという考え方なんですが、私も、廃棄物の処理をするという観点からだけではなくて、再生資源として利用するという視点から必要だと思います。そうすれば、今の廃棄物と資源との区別の基準は、現在の廃掃法で廃棄物とされているものの多くが資源に含まれるのではないかと思います。
資源循環型社会形成のためにも、現行の区分よりもより資源の範疇を広げて、これまで廃棄物とされてきたものの多くを資源扱いできるように廃棄物資源の定義を変えていく必要があるだろうというふうに思います。
また、一般廃棄物と産業廃棄物の区分について、中間報告では、この区分の撤廃も含めた議論がされたようですけれども、本答申では、基本的には区分を残すことを前提に、新たに特別処理廃棄物を設定すべきとされていますが、これはどういう考え方に基づくのでしょうか。
○西野廃棄物対策部長 廃棄物審議会の審議の過程の中では、事業系廃棄物と家庭系廃棄物の区分にするという方法や、あるいは一般廃棄物と産業廃棄物の区分そのものを撤廃するといったような方法も議論されたわけでございます。
しかしながら、一般廃棄物と産業廃棄物の区分についてでございますが、東京の場合には、事業系一般廃棄物が非常に多くなっております。その事業系一般廃棄物の扱いを変えるということになりますと、廃棄物処理全体に大きな影響を与える可能性もございます。そのことが区市町村の処理責任にも密接にかかわってまいります。
このように、各方面にさまざまな影響を与える見直しを直ちに行うことは困難であるということから、当面の見直しといたしまして、適正処理を徹底していく観点から、爆発性、感染性等の性状を有するなどの処理の安全性を確保する廃棄物を、従来の一般廃棄物、産業廃棄物から特別処理廃棄物と別に区分をいたしまして、また、リサイクルを一層進めていくという観点から、リサイクル可能なものを所定の方法でリサイクルする場合には、先ほど申し上げましたが、規制緩和をするということにしたものでございます。
○かち委員 確かに東京の一般廃棄物の六割は事業系廃棄物というふうにいわれておりますし、同じものでも出てくる場所によって産業廃棄物になったり一般廃棄物になったりという点で、日常的に矛盾があるというのを私も感じています。
それで、今お話がありました感染性や危険性を伴う特別管理廃棄物を新区分にして、排出事業者、生産者等の処理責任とするということが新たな考え方として出されたわけですが、九七年の廃掃法の改正で、マニフェストの導入だとかいろいろやってはいますけれども、相変わらずこういう危険性を伴う感染性の廃棄物の不法投棄というのが後を絶たない現状にあるわけですね。
つい二、三年前にも、あのフィリピン沖から戻ってまいりましたバーゼル法違反のああいう廃棄物は、ほんの氷山の一角だと思うんです。なぜこういうことが起きるかというと、やっぱり市場の原理で行われている。病院などの例でも、より単価の安い方へ流れる、こういう状況にあるからではないでしょうか。本来なら到底請け負い切れないような単価でも仕事をとってくる。そうして持ってきたその先はやみの中ということが現実にあるわけです。しかし、このような命や環境にとって大変危険を及ぼしかねない特別管理廃棄物は、少なくとも最低価格制を決めるとか、中間処理施設は公共の責任で行う必要があると私は思います。
ところで、最近ふえてきている在宅療養から出てくる医療系廃棄物は、現在全く野放しというか、一般廃棄物として処理をされているわけですが、それは大変危険性も伴っているわけです。こういう当事者からの切実な訴えも出ています。この在宅の医療系の危険廃棄物を収集するシステムを確立していく必要があるんじゃないかと思いますけれども、どのようにお考えでしょうか。
○西野廃棄物対策部長 在宅医療廃棄物の中にはいろいろなものがございます。確かに感染性のおそれの強いもの、あるいは汚物のついたもの等々いろいろあると思います。それらのすべてを先ほど申し上げましたような特別処理廃棄物というような形でくくるということも非常に難しいと思っております。
また、今回の答申の内容につきましては、国の方でも東京都の審議会の動きを受けましてといいますか、国と並行いたしまして、ことしの夏から廃棄物の定義区分の見直しの作業に着手してございます。東京都の審議会の方では大きな方向性を示しているだけでございまして、今後、国と詳細について詰めていく必要があると思います。したがいまして、定義区分の変更をするには少し時間がかかるかなというふうに考えてございます。
東京都といたしましては、在宅医療廃棄物の中で特に適正処理を推進すべきものについては、その廃棄物の区分の見直しと並行いたしまして、別途その回収や処理のあり方を検討していくことが必要であるというふうに考えてございます。
○かち委員 答申に図式であらわれている分類の仕方だと、やはり矛盾は生じるかなというふうに私も思いました。しかし、できるところから生産者や事業者が回収をする、そういうシステムはどうしても必要だろうと思います。また、こういう危険な物質を処理するという点では、やはり公共の責任というものが大きく問われるのではないかなと。今後どのように分類されていくかということでは十分に見守っていきたいと思っています。
さて、答申では、循環型社会づくりのための制度改革として拡大生産者責任の理念が明記されたことが大変重要であり、これの実効性ある具体策が期待されるところです。しかしながら、自治体間の連携と称して家庭ごみの有料化に向けた支援が特筆されていますけれども、私は何度読んでもこの書き方が、非常に違和感を覚えてなりません。排出者責任とか、ごみの減量努力への報償だとか、ごみ減量への動議づけ、いろいろ理由を挙げていますけれども、結論は、広域行政としての都が処理経費の統一的な算出方法を提示する云々ということで、有料化が前提条件となっているわけですね。
家庭ごみを有料化するかどうかは区市町村の固有の事務であり、それぞれが住民の合意を得て進めていくものだということは、前回の中間答申の質疑でも確認したところです。ごみ処理のコスト化といっても、何をどこまで含めて計算するのか。問題が多々あると思うんです。
審議会の議論の中でも、中央防波堤の護岸の整備費なども含めるのかどうかとか、焼却炉の更新で高性能の炉にしたら高くなるとか、また、排出者責任といっても一体どこまでを含めるのか、いろんな議論が重ねられたわけですが、その結論が、論理的でなくて、ぽっと結論だけが出ているという点では、私はなかなか納得しがたいものがあります。
そして、ごみの減量化への動機づけというようなことでやったとしても、ランニングコストを即抑えるというふうに直結するものではないということも明らかなわけです。こういうことをやることによって、住民の合意を得ないまま突入することによって大変矛盾を大きくし、不法投棄などの増加にかえって問題を波及させるのではないかという懸念を持ちます。
社会の循環は、生産や流通や消費、こういうサイクルで成り立っているわけですけれども、日常生活の中で廃棄物は必然なものなんですね。誰もがこの関門を通らなければ生きていけない。そういうものではみんなが必要とするものであり、税金で対応するのが私は道理だと思います。
しかし、今日、過剰包装だとか塩ビなど有害物質が使われていたりするわけで、それはさかのぼっていけば生産者の責任になるわけです。だから、拡大生産者責任によって回収処理をする、そのコストを製品価格に上乗せすることによって生産者と消費者が責任を果たす、こういうふうにすれば解決になるのではないかと思います。
現在の容器包装リサイクル法は、消費者が分別排出し、市区町村が分別収集をして事業者が再商品化することになっていますけれども、一番お金のかかるのは、回収をして保管をする、そこに自治体の税金が使われているわけです。努力をしてそういうものを使わない、こういうことをしていても、それを税金で処理されるという点では、ここに不公平感が生じているのではないでしょうか。
ドイツで行っているように、回収費もリサイクル費もすべて事業者負担で価格に含めるようにすれば、消費者が物を買う際に負担をすることになります。そうすれば、廃棄を度外視した過剰生産を抑えることができ、市場のコントロールができると私は考えます。
排出者責任イコール有料化という末端での責任問題のとらえ方ではなく、処理コストを内部化することこそ必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。
〔吉野副委員長退席、委員長着席〕
○西野廃棄物対策部長 廃棄物行政の理想的な姿というのは、委員ご指摘のとおり、拡大生産者責任の徹底、事業者の自己回収の徹底でございます。しかしながら、現在の状況は、その理想的な姿から見ますとまだまだほど遠い状況にございます。東京都を初め区市町村におきましても、循環型社会の実現に向けて最大限の努力をしているところでございますが、その歩みは遅々とした部分もあるというのが実感かと思います。
そういった現実の中で、各都道府県あるいは区市町村が、それぞれの実態に合った効率的な廃棄物行政を進めていく必要があると思います。その中で各市区町村長が家庭ごみの有料化が必要であるという判断をした場合には、それは重要な判断だろうと思いますし、東京都としてもそういったことにつきまして支援をしていきたいというふうに考えてございます。
○かち委員 そういう趣旨で書かれたようには、とてもこれは思えないんですよね。とにかくごみの減量化の最大課題的に書かれているというふうに受けとめざるを得ません。そういうことであれば、別にここに第一番、二番に書かなくても、各自治体がいろいろ相談に来たときに乗ってあげればいいことであって、私はちょっと考え方が、方向が違うのではないかと思います。
それで、有料化した自治体の実態は、全国的にもいろいろあるわけですが、数年間は減るが、もとに戻る傾向はどこの自治体でも同じような状況です。それでも有料化は効果があるとお考えでしょうか。
○西野廃棄物対策部長 家庭ごみの有料化を導入した後、その後も引き続きごみが減少し続けるということはございません。時間の経過とともに廃棄物の排出量はふえる傾向にございます。しかしながら、有料化を導入した多くの市町村におきましては、時間が経過いたしましても一定のごみ減量効果が認められております。
なお、廃棄物の排出量につきましては、その地域の事業活動の動向や人口、世帯構成の変化など、他の要因も考えられます。排出量がふえる傾向にあるとしても、そのことをもって一概に有料化の効果が減少しているとはいえないと考えてございます。
○かち委員 今のお答えを聞いていても、ごみの減量に一概に有効とはいえないとおっしゃったり、一定の効果があるようなというようなことで、非常にあいまいなわけです。これはいろんな世論調査をとっても意見を二分する問題ではあるわけですけれども、そうであればこそ、有料ということで物を進めるのではなくて、白紙の段階で、やっぱり住民、都民の世論をまず喚起をさせ、考えてもらうということが前提ではないでしょうか。
私は、東京都が今やらなければならないのは、こういうことの試算をするというのではなくて、まず排出をいかに抑制させていくか、リサイクルをどうやって進めていくか。そういうところでは、メーカーや生産者に対して具体的な提案や指導、協力を求める、そういうところにもっと予算的にもつけていくというようなことこそ大事ではないかというふうに思います。
九四年にOECDでは、EPR、拡大生産者責任についてのプロジェクトを発足していますが、その中間報告で次のように報告しています。その重要な特徴は、廃棄物処理の経費負担を地方自治体及び一般納税者から、生産、流通、販売業及び個々の消費者の方へと転換することにあると明記しています。これはアメリカやヨーロッパの一連の流れとなっているんです。こういうことこそ国に意見を上げていくべきではないでしょうか。
最後の質問ですが、東京都は、廃棄物処理計画として、計画目標では、一般ごみの最終処分三割減を平成十七年までに、産業廃棄物は五割減というふうに掲げていますが、私は、最終処分量だけ減らしても問題解決にはならない、リサイクルを進めればいいかという点では、それも違うだろうと思うんですね。やっぱり、いかにごみになるものを最初から減らしていくか、そういう減量計画をどのようにお考えでしょうか。
○西野廃棄物対策部長 廃棄物の減量の方策として、循環型社会形成推進基本法の中でも、発生抑制、再利用、再使用、そして最後に残ったものにつきまして適正処理するという考え方が示されているところでございます。
東京都といたしましても、法の趣旨に沿いまして発生抑制を第一に進めるべきだというように思います。また、再利用できるものにつきましては、さまざまな手法、サーマルリサイクルの部分も含めて再利用していくことが必要であると思います。
また、最後にどうしても残ったものについては最終処分をせざるを得ないわけですので、これにつきましては適正な形で最終処分をしてまいりますが、処理計画の中の計画目標といたしましては、最終的に環境の負荷に一番大きく影響を与えます最終処分量の削減を目標として掲げたものでございます。
○かち委員 今お答えいただいたように、ごみの減量のためには発生抑制とか再利用、リサイクルを進め、どうしてもだめなものは適正処理を行うんだというふうにおっしゃっていますし、文中にも書かれてはいるんですけれども、そのことを本当に具体化をしていくという、何かその方向性がなかなか見えてこないんです。
発生抑制という点では、例えば塩ビ製品はつくらない。製造者にとってメリットが生まれるような経済的な動機づけとか、またはペットボトルの再利用をするとか、リサイクルするにしても、メーカーが直接リサイクルをする仕組みをつくるとか、そういうことによってメーカー自身がコストを下げるためにどうしたらいいかということを考えてもらう。市場原理で考えられるような道筋をつくっていくことこそが必要ではないかと思います。
高コスト、大量エネルギー消費の循環社会から持続可能な社会の発展へということでは、環境局としても真に実効ある廃棄物計画を策定されることを心から訴えて、質問を終わります。
○大河原委員 私も、廃棄物処理計画、廃棄物と行政行動、こちらの答申について伺っていきたいと思います。
今、かち委員が質疑をされました中では、多少考え方は違うなというふうに思いました。やはり私は二十三区に住んでおりますので、二十三区への清掃移管によって、今回東京のこうした処理計画が出ても、地域のリサイクル、清掃事業のコスト削減というのは、とても自治体が熱心にやっていますので、大変進んでいると思います。
しかし、私は、ごみ問題は環境問題だというふうに思って取り組んできましたので、東京全体の環境問題としてのごみ処理がどういうふうに行われるのか、どういうところに目標を持つのかというところは大変重要なことだと思うんです。しかも、それは最終処分地がないという、おしりの決まっている、限界のある中でやらなければいけないということで、今回出されました廃棄物処理計画でも、最終処分量の削減目標を設定しているというところでは評価をしなくちゃいけないというふうに思っています。
そこで伺いますが、中央防波堤、二十三区の一般廃棄物最終処分場になっております。ここの管理運営は東京都の役割として残っているわけですが、処分場の現状、そしてまた今後の予測というのはどうなっているんでしょうか、まず伺いたいと思います。
○関廃棄物技術担当部長 処分場の現状と予測ということでございますけれども、現在都で受け入れております廃棄物は、中防外側処分場と、それから新海面処分場のAブロック、これを併用して埋め立てをさせていただいております。
これらの処分場につきましては、外側処分場はおおむね平成十五年度、また新海面処分場Aブロックは本年度いっぱいでほぼ埋め立てを終了するという見込みになっております。
また、新海面処分場のBブロックでございますけれども、これは平成十五年二月から埋め立て開始を予定しておりますけれども、それ以降の新海面処分場の廃棄物埋立処分容量、これを約四千五百万立米と見込んでおりまして、現在の埋立処分は平成十年につくりました埋立処分計画にのっとって行っておりますけれども、この計画をもって推計いたしますと、おおむね三十年以上は使用できるというふうに考えてございます。
なお、今回廃棄物処理計画を策定するということになりますので、埋立処分計画につきましてもこの廃棄物処理計画に合わせて改定していくことが必要になりまして、この改定作業に着手させていただいたところでございます。
○大河原委員 埋立処理計画を見直して三十年以上利用できるというふうに何年か前に出ていて、それが今もあるわけですけれども、今回の改定でさらにこの処分計画が改定される。東京都の最終処分場の管理運営を行っている責任といいますか、長くこれを使っていこうというふうにもちろん思っていただきたいわけで、清掃事業の一環で、東京都は実は処分場でのごみの最終処分の委託を受けている、ちょっと変ないい方ですが、民間の処分場と同じになってしまったというようないい方がされる場合もあります。
でも、私は、やはりここでの東京都の処分場を長く使っていこうというふうに志す責任はまだまだ大きいというふうに思っていますし、この点についてぜひその姿勢を伺いたいというふうに思いますが、先ほどの埋立処分計画の改定、この計画が発表されるのはどのぐらいになるのかも含めて、ちょっと教えてください。
○関廃棄物技術担当部長 ご指摘がございましたように、限りある最終処分場をできるだけ長期間にわたって使用すること、これは処分場を管理運営いたします立場の都として極めて重要なことであるということは十分認識をいたしております。
このため、区移管前の取り組みではございますけれども、東京都といたしましても、いろいろなごみ減量施策を実施したり、あるいは清掃工場、あるいはごみ処理施設を整備いたしまして埋立量の削減に努めさせていただいたところでございます。
また、現在処分場におきまして、例えば搬入路に使うがらを再利用するとか、あるいは溶融スラグを資材として活用するとか、あるいはまた地盤沈下促進工事によりまして処分場の容量そのものを増大させるとか、そういう工夫をいたしまして処分場の延命化を図っているところでございます。
今後、各特別区が実施いたします廃棄物リサイクル施策、あるいは東京二十三区清掃一部事務組合が進めております灰溶融施設の建設、こういうことにつきまして、最終処分量の削減に寄与するということで技術的支援を積極的に行っていくということでございます。
なお、処分計画の改定でございますけれども、庁内で、例えば残土、それからしゅんせつ土、そういうものも含めた総合計画になりますので、例えば残土を今後どういうふうに削減していくか、あるいはしゅんせつ土をどういうふうに減らしていくか、庁内各局と連携をして資料の収集、検討を行わせていただきますので、おおむね十四年の末ぐらいを目途に作業を進めさせていただきたいというふうに考えております。
○大河原委員 限られた処分場というところでは、多摩の地域では、それぞれの自治体が搬入する量を決めて、オーバーすれば課徴金を取るというようなこともなさっている。そういうところから比べると、まだまだ三十年以上使えるからという意識があるわけだからとは思いませんが、やはり各自治体の取り組みをもっと促進していかなければならないなというふうに思います。これが最終処分場まで移管されていれば、もっと目の色を変えて計画を立てるんでしょうが、そういうふうには今なっておりません。
東京構想二〇〇〇では、区部を中心として人口回帰現象が見られ、そして東京全体ではこの現象が続くものというふうに予測をされているわけですけれども、二〇一〇年にはピークを迎えるものの、二〇一五年からは実際には人口が減っていくだろうというふうにいわれています。この予測に基づいて発生抑制の目標値も立てられ、大規模事業所では一〇%、中小の事業所では五%というふうに設定しているわけです。本来、こうした目標値の設定の仕方ですが、私は各区市町村が持っている計画を積み上げていくものだと、その方がより実態に近いわけだしというふうに思っているんですが、この点はどうでしょうか。
ごみ減量を考えるという視点からは、廃棄物処理計画と区市が立てる一般廃棄物の処理計画との関係、これは二十三区の場合でいえば当然各区が立てるものの積み上げの方がよいのではないかというふうに思いますが、どうでしょうか。
○西野廃棄物対策部長 東京都廃棄物処理計画の一般廃棄物処理に関する部分につきましては、東京都は広域自治体の立場から、都内の一般廃棄物処理の今後の方向性を示すものであると考えてございます。
そのため、今回の廃棄物審議会答申におきましては、東京都全域における人口や経済成長の長期展望に基づきまして、都全域の一般廃棄物並びに産業廃棄物につきましてマクロの推計を行ってございます。都は、廃棄物処理計画における一般廃棄物の削減目標をベースといたしまして、区市町村の一般廃棄物処理計画策定を技術的に支援していきたいと思います。
なお、区市町村の計画は策定年次がそれぞればらばらでございまして、また策定年次が古い計画も中にはありまして、最近の状況を必ずしも反映していないものがございます。ごみ量の推計方法やごみ減量目標のとらえ方も区市町村により異なりますので、区市町村の計画を積み上げて都の計画とすることは困難であるというふうに認識してございます。
また、発生抑制の目標値でございますが、これにつきましては特に積み上げが困難な性格のものでございまして、都といたしましては、都民や事業者に努力していただく目標といたしまして五%、一〇%という値を設定したものでございます。
○大河原委員 積み上げで計画を立てるのが難しいということで、確かにごみの分別の仕方がちょっと違えば量が違ってくるというのは想像はつきますが、どうしてこんなことをいうかというと、なるべくリアルな目標を持った方がいいんじゃないかというふうに私は思っています。
そして、答申の中で、発生抑制、リサイクル施策に関する区市町村への技術的支援、特に家庭ごみ有料化に向けた助言ということが書いてございますけれども、この家庭ごみ有料化の主たる目的というのはどのようにとらえていらっしゃるんでしょうか。
○西野廃棄物対策部長 東京の廃棄物と行政行動の答申では、有料化による費用負担を抑制するため、都民が、ごみになりにくく、リサイクルが容易であり、長期使用に耐えられる製品を選択し、また使用後も資源としてリサイクルに回すなど、ごみの発生抑制や排出の抑制が促進されることが期待できるとしております。
このように、ごみの減量に努めている人の努力が報いられる意味で有効であり、ごみ減量の施策の一つであると考えてございます。
○大河原委員 処分場が限られていることからも、家庭系のごみもいずれは有料化かなと、いたし方ないかなというふうに思う都民はだんだんふえてきたというふうには思うわけなんですけれども、やはりリサイクルの方法ですとか、なかなかまだ進んでいないわけですね。
今のご答弁ですと、もう既に有料化のメリットを認めているというふうに受けとめられるわけなんですけれども、先行して行われております一般廃棄物の、要するに事業系のごみの有料化、これについてはどのような効果があったんでしょうか。
○西野廃棄物対策部長 平成八年十二月から事業系ごみの全面有料化を実施いたしましたが、その抑制効果は、従来無料で収集していました約百四十三万トンのうち、その一割に当たる年十四万トンが削減されると推計しておりました。これはごみ量全体の三・二%に相当するものでございます。
有料化実施後一年間で、ごみ量は二十四・九万トン減少し、率にしてごみ量全体の五・九%が減量されましたが、これは当初予定していた減量効果を上回る結果となっております。
○大河原委員 上回る結果となったと。委員会でも報告されていると伺っているんですけれども、本当にごみの減量効果があったかという実態調査ですとか、それからまたこれにかかわっている事業者の方たちの意識調査ですね、もっと納得しやすい、そうした調査もなさった方がいいんじゃないかなというふうに思うんです。
特に、家庭ごみの有料化に関しては、先行事例の調査研究というのをもっとしっかりしなくてはならないと。先ほどもお話がありましたが、当初よくても、もとに戻ってしまう、また少しずつふえ続ける、もとのもくあみにならないようにしなきゃいけないというふうに思うわけなんですけれども、その辺のご見解はいかがでしょうか。
そして、もし家庭系ごみの有料化を実施するに当たっても、都民の合意はどうしても前提になっているわけですから、都民の理解を得られるような具体的な方法や工夫というのが必要になってきます。こうしたことが行われるとすれば、どのようにしていくんでしょうか。
○西野廃棄物対策部長 家庭ごみの有料化は、今回の都の廃棄物審議会答申でも指摘されておりますように、都民がごみになりにくい製品を選択したり、使用後も資源としてリサイクルに回したりするなど、結果としてごみの発生抑制や排出抑制が進むことが期待できます。しかし、その効果を持続させ、ごみの発生抑制や排出抑制を一層進めていくためには、制度の導入に満足することなく、引き続きごみ減量に向けたPRや普及啓発など、不断の取り組みが必要であると考えてございます。
なお、有料化を実施するかどうかは区市町村が判断するものでございまして、住民合意の問題等も含めまして当該区市町村がみずからの責任においてこれを導入していくものと考えてございます。
○大河原委員 もちろん有料化については区市町村がみずから決めるものです。しかし、先ほども申し上げましたように、有料化というインセンティブでごみを減らすということが本当に実施をされてきたのかどうかということをわかりやすく示す、そして、技術的な面でも支援をしていくというふうにこの答申の中でもいっていますけれども、都民合意は大前提ということをくれぐれも忘れないでいただきたいというふうに思っております。
施策の推進方策において、循環型社会を実現していくために都民、事業者、そして行政の三者が共通の認識を持ってお互いに連携をしていくということには大賛成です。しかし、都民の果たす役割の中で、今回の答申では、産業廃棄物においても、利便を受ける都民もその責任の一端を担っていくんだというふうに書いてありました。このとき都民はどこまで、どのような責任を負っていくことになるのか、その点についてはいかがでしょうか。
○西野廃棄物対策部長 産業廃棄物の処理責任は排出事業者にあることは当然でございますが、一方で、住宅の解体あるいは日常使用する製品の製造、医療機関において治療を受けることなどを通じまして現実的には生活と密着した産業廃棄物が大量に排出されております。このようなことから、廃棄物審議会の答申では、都民に産業廃棄物を身近な問題としてとらえ、認識を深めてもらうことを求めてございます。
例えば、住宅を解体した際に発生する建設廃棄物が適正にリサイクルされているかどうか、あるいはリサイクルできないものは適正に処理されているかどうかを確認することなどが考えられます。
○大河原委員 私も埼玉県の方に中間処理施設を見に行ったりしまして、また東京から産業廃棄物の七割を他県に依存しているということを考えれば、もっと産廃を自区内処理というか、東京都の中で処理をしていかなきゃならないのは私たち都民の責任だというふうに思いますし、家の解体などは、やはり解体しやすいもの、分別解体できやすいもので家をつくるというのがもっと前提になってくる。そういったことまでトータルに関連してくる問題だというふうに思います。
産業廃棄物を自分が出しているんだ、事業者でもない私が出しているという意識はなかなか出てこないと思いますので、そういったところでもぜひ啓発活動、こういったものには力を入れていただきたいと思います。
今回のこの答申で、東京の廃棄物と行政行動というふうに書いてあるんですが、いろいろいってきているんですが、じゃ東京都の役割はどこにあるのかなというふうに考えますと、実は東京都の役割が一番不明確になったんじゃないかなという印象を受けました。この中では、循環型社会の土台づくりですとか、新しいシステムのコーディネーションですとか、それから事業者に対するルールの遵守を求める行動ですとか、そういったことが出てきているわけなんですが、今後東京都はどのように対応していらっしゃるんでしょうか。
○西野廃棄物対策部長 東京都は、清掃事業の二十三区への区移管の後、現在広域行政の担い手といたしまして、循環型社会の実現に向けて、さまざまなごみ減量・リサイクルの施策に取り組むほか、例えば産廃スクラム22におきまして、他県市とも協力いたしまして、不適正処理の徹底など、積極的な姿勢で山積する課題に取り組んでいるところでございます。
都といたしましては、今回の答申を受けまして、これまでと同様、あるいはこれまで以上に、拡大生産者責任の徹底など、国に対しまして既存の制度の見直しを強力に働きかけることや、事業者自己回収の新たな仕組みを提案すること、さらには不適正処理の徹底した取り締まりを行うことなど、広域自治体の立場でその役割を果たし、都民や事業者、区市町村などと力を合わせ、循環型社会の実現に努めていきたいと考えてございます。
○大河原委員 この廃棄物処理計画の上位計画であります環境基本計画の改定、ここに、改定に当たって、新しい基本理念として、健康で安全な環境の確保と持続可能な社会の実現、東京の実現というふうに出ています。当然のことだと思いますが、これに向けて、環境局の中に廃棄物の処理部門、これにかかわる部門があるということを私は非常に大きなことだと。やっと環境局の中にこうした処理部門、産廃処理や廃棄物処理部門ができた。清掃局があった時代からも、環境局の中に清掃部門があった方がいいんじゃないかというふうにずっと思ってきましたので、こうした意味ではますます環境問題としてこの廃棄物処理、地域の自治体を支援する、そこの意味でも行政の対応を着実に進めていただきたいというふうに思います。
特に、残っているといいますか、東京都の広域行政の役割である国に対しての法制度の改正に向けて働きかけるということは大変大きなことだと。小型のペットボトルが解禁になったとき、大変悔しい思いをいたしました。ペットボトルの処理についても、本当は東京都で条例がつくれるんじゃないかという淡い期待を持っていたときがありますが、やはり東京から制度を変えていく、そういう発想をもって進めていっていただきたいというふうに思います。
質問を終わります。
○吉野委員 終了目途の時間になってしまいましたけれども、簡潔に何点かお伺いをしたいと思います。
廃棄物処理計画の答申にありますエコセメント化事業の促進について何点かお伺いをいたします。
いうまでもなく、廃棄物の発生抑制や減量リサイクルへの取り組みというのは、限りある最終処理場の有効活用の観点から最大限の努力が不可欠な状況にございます。都内におきましても最終処分場の確保は極めて難しい状況にありますし、この答申の計画目標の一つに掲げていますように、これまで以上に廃棄物の発生抑制、リサイクルを進め、さらに中間処理を徹底させて最終処分量を削減していかなければならないというふうに思います。
多摩地域におきましても、平成十年一月から二ツ塚最終処分場を確保しましたけれども、これ以外に新たな最終処分場の確保というのは大変難しい状況にあります。この最終処分場の問題は、多摩地域の市町村挙げての大きな課題でありますし、これまで以上に最終処分場の延命化策が重要であるというふうに思います。
限られた埋立処分場をできるだけ長く使用できるよう、現在三多摩の広域処分組合では、埋立量の約六割を占めている焼却灰、これの全量資源化に向け、エコセメントの事業を進めております。
この事業は、平成九年に都の提案を受け、広域処分組合が計画を策定したというふうに聞いておりますけれども、提案の内容はどのようなものだったのでしょうか、お伺いをいたします。
○西野廃棄物対策部長 二ツ塚処分場は、平成十年一月から埋め立てを開始し、埋立期間は十六年間を予定してございます。しかし、その後の新たな処分場の整備は非常に難しい状況にございます。できるだけ延命化が必要となっております。このため、可能な限り多摩地域から発生する焼却灰につきまして早期に資源化を目指し、ダイオキシン類の無害化や重金属類の安定化ができる技術を導入する必要がございます。
このような状況から、焼却灰の資源化を目指して、焼却灰を高温で焼成しダイオキシン類を完全に分解するとともに、重金属類についても資源化することのできるエコセメント化事業を、東京都は平成九年七月に多摩地域の全市町村長で構成されるごみ減量・リサイクル推進会議に提案をいたしました。
○吉野委員 今のその提案を受けまして、広域処分組合では昨年に基本計画を策定し、エコセメント化事業を進めているわけですけれども、現在の進行状況はどのようなものなのでしょうか、お伺いをいたします。
○西野廃棄物対策部長 広域処分組合では、昨年四月に施設の位置や規模等を定めたエコセメント事業基本計画を策定いたしました。その後、多摩地域におけるごみ減量の状況も踏まえまして、施設規模やより効率的な運営方法等の見直しを現在検討しております。
また、環境影響評価のための現況調査につきましては、昨年八月からことし十一月まで実施したところでございますが、今後は来年度の早い時期に環境影響評価書案を提出する予定であると聞いております。
○吉野委員 焼却灰のエコセメント化は、焼却灰の埋立処分がゼロとなる全量資源化が大きなメリットでありますけれども、製品となったエコセメントの販売先の確保が大変大事であるというふうに思います。
ことしの四月から千葉県の市原市でエコセメント化施設が稼働しているというふうに聞きますけれども、販売を含めた稼働状況についてお伺いをいたします。
○西野廃棄物対策部長 市原市にございますエコセメント化施設は、ことし四月から稼働を始め、年間約四万六千トンの生産を計画し、全量販売を予定してございます。ことし四月から九月までに販売されたエコセメントは約一万五千トンでございます。これは施設稼働直後でありまして、生産量並びに販売量が計画量に達していない状況でございます。
また、販売先といたしましては、道路側溝やブロック等のコンクリート製品、基礎工事用の生コンクリート及び地盤改良材等に使用されていると聞いてございます。
○吉野委員 エコセメント化事業が円滑に進むかどうかというのは、安定的なエコセメントの販売の確保ということにかかっているといっても過言ではないというふうに思います。利用拡大をしていくためにはエコセメントのJIS規格化に向けた取り組みを急ぐべきであるというふうに思いますけれども、都のお考えをお伺いいたします。
○西野廃棄物対策部長 エコセメントにつきましては、昨年の五月にエコセメントの品質規格といたしまして標準情報が通商産業省から告示されましたが、この標準情報の有効期間は三年間となってございます。この間にJIS規格化が行われるものと見込んでございます。
都といたしましても、早急にエコセメントがJIS規格化されるよう、国に対して引き続き要望を行ってまいります。
○吉野委員 何度もいいますけれども、最終処分場の確保が難しい多摩地域の現状におきましては、エコセメント化事業は処分場の延命化を進める有効な施策であるというふうに考えますけれども、施設の建設は、維持管理費の増加というのは構成をする自治体にとって大変大きな負担でもあります。できる限り効率的な施設整備と運営が図られるよう、今後東京都として広域処分組合に対してどのような助言を行っていかれるのか、お伺いをいたします。
○西野廃棄物対策部長 現在、東京都は、広域処分組合に対しまして、より一層の効率的な建設、運営ができますよう、PFIも含めました事業運営方法の検討や、広く情報を集め、客観的な視点から建設費や維持管理費の妥当性を検証するよう助言しているところでございます。
また、エコセメントの販売につきましても、単に販売を委託するのではなく、業者に企業努力を発揮させるような販売方法の検討を行うよう助言しているところでございます。
○吉野委員 多摩地域の最終処分場の延命化がおくれることのないように、エコセメント化施設の整備を早期に進めていくことが必要であるというふうに思っております。多摩地域の持続的な発展と東京全体の均衡ある発展を促進させていくためにも、広域処分組合の行うエコセメント化事業の実現に向け、都は積極的に支援をしていくべきであるというふうに思いますけれども、ご所見を伺いたいと思います。
○西野廃棄物対策部長 都は、エコセメント化事業推進のため、広域処分組合の要請を受けまして、平成十年度から職員三名を派遣し、昨年度から一名増員いたしまして現在四名を派遣しております。また、製品の用途拡大のため、十一年度から三カ年計画で、東京都建設局、独立行政法人土木研究所--旧建設省の土木研究所でございます、広域処分組合、セメント業者の四者による、エコセメントの鉄筋コンクリート構造物への適用のための技術指針作成に向けた共同研究を行っているところでございます。
都は、エコセメント化事業の実現に向けまして、今後も引き続き必要な技術的支援に努めてまいります。
○吉野委員 この事業が成功するかどうかというのは、多摩地域の、先ほど来いっていますけれども、最終処分場を延命化させていくということが目的にありますけれども、時間を稼いで、この間にやはりきちっと、埋立量がゼロになるような、そうした取り組みへの時間を確保するという意味で私はこのことが大事だというふうに思っております。
先ほど来、二十三区におきましても海面処分場が三十年とかという時間的なものがありましたけれども、やはりこれだって二十三区の中できちっとエコセメントという形で事業化がもしなされるとすれば、その処分場は倍の六十年ももつという可能性もあるわけですから、この事業をぜひしっかりと東京都としても支援をして、成功させていっていただきたいというふうに要望して、終わります。
○清水委員 環境基本計画のあり方の答申では、地球温暖化防止を大きな柱として、その現状と施策の方向について記述してあります。都の取り組みを進める上で、国の動きがどのようになっているのかが重要なことなので、幾つか伺います。
COP7で京都議定書の運用ルールが最終合意され、議定書の批准に向けて動き出しています。世界の政府関係者、NGOなど、多くの方々の努力で地球温暖化防止のための国際的取り組みへの道筋がついたことは重要な一歩です。日本はCOP3でも議長国として京都議定書をまとめた立場でもあり、先進国の中で率先して批准するとともに、国際公約である六%の温室効果ガスの削減に向けて取り組んでいく必要があります。
そこで伺いますが、一九九七年のCOP3後、国はどのような対策を基本として温暖化防止を進めてきたのか、お伺いいたします。
○梶原企画担当部長 COP3で日本が負うことになります温室効果ガスの六%削減のために、国は平成十年に地球温暖化対策推進大綱を取りまとめております。この大綱では、産業界による環境自主行動計画の推進、国民のライフスタイルの見直し、その他省エネルギーへの取り組みなどが盛り込まれております。
○清水委員 国の動きは、国民や事業者による自主的努力によるものが中心となっています。その地球温暖化対策推進大綱が決められて三年たったわけですが、現在の二酸化炭素を初めとした温室効果ガスの状況はどうなっているのでしょうか。
○梶原企画担当部長 国が発表した平成十一年度の温室効果ガス排出量は、一九九〇年度対比六・八%の増加でございます。
○清水委員 約七%が増加したということで、真剣にこの問題に取り組まれてきているのかと、大変疑問に思う結果です。六%を削減目標のところ、逆に増加をしているということで、国の対策は効果が上がっているというふうにはいえないと思います。
京都議定書を批准する時期を迎えた今、真剣に温室効果ガス削減に取り組まなければならないが、現在どのような対応をしようとしているのか、伺います。
○梶原企画担当部長 国におきましては、COP7後、十一月十二日に開いた地球温暖化対策推進本部におきまして、COP7の合意を受けまして、現行の地球温暖化対策推進大綱を見直すこと、いま一つは、京都議定書の締結に必要な国内制度の整備構築のための準備を本格化することについて決定をしております。
個別の取り組みについては現在検討が進められているところと聞いております。
○清水委員 この十一月十二日に開かれた国の推進本部の後、十一月二十二日の国会で、我が党の議員がこの問題で大臣に質疑を行いました。京都議定書を一日も早く批准すること、約束したCO2の排出削減目標を達成する国内対策について総力を挙げるべきという質問に対して、何という答えだったかというと、概略ですけれども、川口大臣は、国内対策については、事業者の自主性を重んじつつ、取り組みの状況の公表の仕組みなどによって事業者の自主的取り組みの透明性や信頼性の向上を図ると答弁していますし、副大臣は、国内対策としての二酸化炭素の削減に当たっては、産業界への過度な負担をできるだけ回避していく、そちらへのめり込むと経済への影響も非常に大きくなる、環境と経済の両立、経済界の創意工夫をさらに生かしながら経済活性化にもつながる国内対策を進めるために、省エネルギー施策の充実とか技術開発の支援に取り組むというふうに答弁しておりますが、今ご答弁がありましたように、個別の取り組みについてはまだ検討が進められているというところで、国の対応は明確なものがなくて、対応が不十分だというふうに思います。
これでは、削減をしなければならないのに増加しているというときに、本当に進められていくのか、疑問が残るわけです。
こういう中で、この答申の中にもありますように、東京都としては二〇ポイントの削減が求められています。つまり、一五ポイント上がってしまうから六ポイント下げるためには二〇ポイント余りの削減を求められているわけです。
都として、この間、環境確保条例で省エネルギーなどの取り組みを制度化したが、地球温暖化対策というのは緊急の課題であるということで、東京都が、今ご提案されているこの答申を受けた基本計画が予定されていますが、その中でより幅広く強力な対策を明らかにすべきであるというふうに思いますが、どのようにお考えでしょうか。
○梶原企画担当部長 都は、環境確保条例によりまして、排出量の増加が著しい業務部門に焦点を当て、建築物の省エネルギー設計や事業活動に伴う温室効果ガスの削減を事業者に求める制度を国に先駆けて構築しております。これらの制度は来年度の本格実施に向けて現在準備を進めておりまして、今後着実な実施を図ってまいります。
今後の環境基本計画の策定に当たりましては、こうした制度を最大限に活用した施策を検討してまいります。
○清水委員 幾つかの対策は出されておりますが、実効性を上げるためには、分野別など削減目標を明確にして取り組むということが重要だというふうに思いますが、どうでしょうか。
○梶原企画担当部長 都は、ただいまも申し上げましたとおり、環境確保条例によりまして、削減に向けた仕組みを国に先駆けて構築し、来年度から本格実施するところでございます。こうした施策を強力に展開する中で、削減目標の明確化を図り、その達成を目指してまいります。
○清水委員 その点を今後はっきりと示していただきたいことを要望いたします。
そして、温暖化対策というのは日常生活や事業活動のすべてに及ぶものですから、製品について一層省エネルギーに配慮したものを市場に出すためのトップランナー方式の促進のための仕組みづくりとか、製品の製造から廃棄までに至るすべての段階でエネルギー消費に配慮するためのLCA、ライフ・サイクル・アセスメントの考え方など、国が今進めているところですけれども、取り入れていくようなことも考えていただきたいと思います。そのような認識を、企業を初めとして社会に浸透させる必要があると思います。その意味で広く普及啓発を行うことも重要であると思います。
基本計画においては、そうした対策に力を入れる内容を盛り込んでいただきたいということを要望しておきたいと思います。
○藤川委員長 ほかにはもうご発言はございませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○藤川委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤川委員長 ご異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で環境局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後五時二十一分散会
Copyright © 1999
Tokyo Metropolitan Assembly All Rights Reserved.