都市・環境委員会速記録第十六号

平成十三年十一月八日(木曜日)
   午後一時四分開議
 出席委員 十三名
委員長藤川 隆則君
副委員長吉野 利明君
副委員長相川  博君
理事真鍋よしゆき君
理事大木田 守君
小磯 善彦君
吉原  修君
清水ひで子君
かち佳代子君
大塚 隆朗君
秋田 一郎君
大河原雅子君
内田  茂君

 欠席委員 一名

 出席説明員
都市計画局局長木内 征司君
技監勝田 三良君
理事杉浦  浩君
総務部長野田 一雄君
総合計画部長中島  守君
開発企画担当部長福島 七郎君
地域計画部長小林 崇男君
施設計画部長只腰 憲久君
航空政策担当部長甲斐 正彰君
外かく環状道路担当部長成田 隆一君
開発計画部長田中  亨君
建築指導部長森下 尚治君
参事河島  均君
参事萩原 豊吉君

本日の会議に付した事件
 都市計画局関係
  報告事項(説明・質疑)
  ・第百五十一回東京都都市計画審議会の付議予定案件について
  ・東京の新しい都市づくりビジョンについて
  ・建築基準法に基づく緊急安全点検の実施状況について
  ・東京都屋外広告物条例施行規則の改正について

○藤川委員長 ただいまから都市・環境委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市計画局関係の報告事項に対する説明を聴取し、質疑をしていただきたいと思います。
 これより都市計画局関係に入ります。
 初めに、理事者から報告事項の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○木内都市計画局長 報告事項のうち、都市計画案件について申し上げます。
 第百五十一回東京都都市計画審議会は、十二月二十六日に開催を予定しておりますけれども、その案件についてご説明申し上げます。
 案件は、東京都決定案件が全部で十四件でございまして、その内訳は、区部三件、市部で十一件でございます。その他の案件といたしまして、産業廃棄物処理施設の用途に供する特殊建築物の許可と土地区画整理事業の事業計画変更に伴う意見書審査がそれぞれ一件ございます。本日は、これらのうち主要案件である都市高速鉄道第十号線の連続立体交差化計画についてをご説明申し上げます。
 引き続き担当部長からその内容につきご説明申し上げますので、よろしくお願い申し上げます。

○只腰施設計画部長 私からは、提案事項概要のナンバー7から11でございますが、都市高速鉄道第十号線の連続立体交差化計画につきまして一括してご説明を申し上げます。
 お手元資料3と書いてあると思いますが、主要案件説明資料二ページから五ページ、それから、資料4、図面集の一から三ページ、黄色い表紙のものでございますが、これをお開きいただきたいと思います。
 本案件でございますが、都市高速鉄道第十号線、京王電鉄京王線の、駅でいきますと西調布駅からつつじヶ丘駅間になりますが、また、相模原線の京王多摩川駅から調布駅間、黄色の表紙の方の一ページに赤い線で記載してございます、この区間につきまして、踏切による道路交通渋滞の解消や沿線市街地の一体的なまちづくりの推進、また、鉄道と道路の安全性の向上等を目的とした連続立体交差事業を行うため、従来の高架方式から地下方式への構造形式の変更を行いまして、あわせて、従来の東京都市計画から調布都市計画への都市計画区域の変更を行うものでございます。また、関連する都市計画道路の変更も行います。
 この案件につきましては、都条例に基づきまして、環境影響評価の対象事業でございまして、今回は、いわゆる後合わせに当たるものでございます。
 資料3の主要案件説明資料の二ページに、これまでの経緯が記載してございます。二ページの2に経緯というふうに書いてございます。
 都市高速鉄道第十号線の新宿-調布間でございますが、昭和四十四年に複々線化と連続立体交差化が都市計画決定されまして、笹塚から調布駅間につきましては高架方式となっておりました。今回は、このうち、調布駅付近につきまして事業化に向けた都市計画変更をするものでございます。
 この区間でございますが、黄色の表紙の一ページをごらんいただきますように、一番西側に鶴川街道と書いてございます。それから、一番東側には狛江通り、調布三・四・一八号線でございますが、それを含めまして十八カ所の踏切がございます。その解消に向けた総合的な検討を行ってきたわけでございます。
 鉄道を立体化する場合でございますが、ご承知のように、大きく分けまして、高架方式、地下方式がございます。どちらの方式を採用するかにつきましては、一般的に、鉄道の線形に影響を及ぼす土地の起伏などの高低差など地形的な条件、それから、踏切が解消できるかどうか、あるいは道路や鉄道等のそれぞれの線形計画等が成り立つかどうかという計画的な条件、それから、費用などの事業的な条件の三項目を比較検討し、総合的に判断しているものでございます。
 今回のこのつつじヶ丘から調布駅付近の区間でございますが、まず、地形的条件につきましては、特に線形上の制約のあるものはございませんで、高架案と地下案、同等でございます。また、計画的条件の踏切解消、あるいはその他の条件につきましては、高架、地下案につきまして、同じく同等でございます。一方、事業的条件でございますが、事業費につきましては、用地費、工事費等の内訳は異なりますが、総体としては、高架案、地下案、ほぼ同等でございます。しかしながら、高架案と地下案で比較いたしますと、区域を比較いたしますと、高架は側道等の関係がございまして、一万五千平米、現況の都市計画より拡大しなければいけない。一方、地下案につきましては、一部複々線を縦に重ねることによる区域の減少等もあるわけですが、あわせて一部広がるところもございまして、広がる部分だけ計算しますと、四千平米ございます。そういうことで、総体としては地下方式の方が適当ということで、今回の都市計画変更に及ぶものでございます。
 このような案に基づきまして、平成十年の国の着工準備の採択を経まして、昨年二月の都市計画素案の説明会を皮切りにしまして、昨年十一月には都市計画案及びアセスの評価書案の説明会を開催してきたところでございます。
 次に、都市計画の変更の内容でございますが、今回変更する内容につきましては、先ほど申し上げましたとおり、従来の東京都市計画ということで、これは越境いたしまして、調布の都市計画区域まで越境した形でこれまで決まっておりましたので、それを正規の形に戻すということで、まず、その都市計画区域の変更と、連続立体交差の事業化に関連する範囲における構造形式の変更を行うものでございます。
 先ほどの資料3に、計画の概要というふうに二ページに記載してございます。今申し上げました調布市域における東京都市計画十号線の廃止、それから、新たに調布都市計画として十号線を新規に決める。調布都市計画につきましては、本線が、記載してございますように、五千六百五十メートル、分岐線が千百二十メートルでございます。
 資料2の茶表紙の方、厚い本でございますが、それをちょっとごらんいただきたいと思います。六三ページでございます。見開いて、六二ページに断面図、六三ページに立体図というふうに書いてございます。その下に縦断図がございます。
 立体図をごらんいただきたいと思います。
 地下で鉄道同士を立体交差させるということで、そこを模式的に記載したものでございます。左側の京王八王子方及び橋本方、相模原線側でございますが、それから、地下に入りまして、調布駅では、それぞれの上り線が下の深い方のホーム、それから、下り線が浅い方のホームに入るという、方向別の二面四線ホームとなるものでございます。断面図では、六二ページの右の下のように、調布駅部というふうに下に書いてございますが、これによりまして、本線と相模原線が立体交差されまして、輸送力が増強するとともに、ホームの反対側で乗りかえができるという乗りかえ利便性が確保できるものでございます。
 一方、調布方の新宿方になりますと、六二ページの右上にございますように、丸四つのうちの右の丸二つでございますが、この在来線を立体化する部分が上下二層になっておりますが、これをだんだんひねり戻しまして、布田駅では、真ん中の下の断面のように、立体化された線が上下線、横に並ぶような、平行な位置に位置することになるわけでございます。点線で示す線増線、これは急行線でございますが、この二線につきましては、調布駅の新宿方では上下二層のまま、連立線の下に順次移行していくものでございます。今申し上げたようなことが六三ページの右上の立体図に模式的に記載してございます。
 その下の縦断図でございますが、実線で示す連続立体交差する線につきましては、右側の柴崎駅付近では地表部に取りつくことになります。また、点線でかいてございます線増線につきましてはつつじヶ丘付近で地上に取りつくことになります。こうした変更区間でございますが、本線三千七百七十メートル、分岐線につきましては千百二十メートルが変更になる区間でございます。今回につきましては、六三ページの図面で実線でかいてございます連続立体交差する線の事業を行うものでございまして、事業区間については、ここに記載したとおりでございます。
 なお、線増線につきましては、京王電鉄におきまして、点線で記載した部分でございますが、今後の輸送需要の動向を見きわめながら、事業時期を検討していくことになります。
 事業につきましては、東京都建設局並びに京王帝都電鉄が事業主体となりまして、平成十四年度から二十四年度までを予定してございます。
 次に、関連案件でございますが、同じ茶表紙の資料2の六五ページ以降をごらんいただきたいと思います。
 まず、六五ページが国領駅でございます。それから六七ページが、右にありますが、布田駅でございます。この両駅につきましては、南北に分かれた交通広場を、線路が地下化いたしますので、その一体化をするということで、合体しまして、赤い部分がふえる部分でございます。
 それから、調布駅につきましては、七一ページでございます。これも同様の趣旨で、赤いところがふえる。それから、南側にも拡幅するということで、広場の機能を拡張する、ゆとりのある広場とするものでございます。
 また、同じく七一ページの上側にありますように、調布七・五・一号線というふうに書いてございますが、この路線を新規に追加して決定するものでございます。また、鉄道が地下から地上に移ってくる区間につきましては、一部つけかえ道路を設置するものでございます。
 最後に、環境影響評価についてご説明いたします。資料3の三ページ以降でございます。環境影響評価書の要約が記載してございます。
 本案件における予測、評価の項目につきましては、騒音、振動、地盤沈下、地形・地質、水文環境、景観、史跡・文化財、廃棄物の八項目になってございます。評価の結論につきましては、四ページに項目ごとに記載してございまして、ごらんいただきますように、現況値もしくは評価の指標を下回っているということで、そのほかの指標を含めまして、適切な対応策を実施することにより、周辺環境に与える影響はほとんどないものというふうに考えております。
 また、右側の五ページでございますが、ことし七月に東京都知事、これは環境局でございますが、そこから出されました審査意見書が左の方の欄、右の方の欄にこれに対する対応が記載してございます。これらにつきましては、審査意見書を踏まえまして、評価書を補正した上で都市計画審議会に付議するものでございます。
 以上、都市計画を変更する上で、四ページの一番下に記載してございますように、本事業の実施が周辺環境に与える影響につきましては、支障がないというふうに判断しているものでございます。
 説明につきましては以上でございます。

○河島参事 去る十月十九日に公表いたしました東京の新しい都市づくりビジョンについてご報告させていただきます。
 都市づくりビジョンにつきましては、去る八月二十七日、中間のまとめを発表し、九月十一日、本委員会にご報告させていただいたところです。中間のまとめは、「広報東京都」やインターネットを活用して、広く都民の皆さんにお知らせし、ご意見を九月二十一日まで募集したところ、インターネットやファクスなどで三百二通のご意見をいただきました。
 お手元の資料7、本文でございますが、これの一四九ページから、参考資料といたしまして、都民の皆さんや都政モニターからのご意見の概要を載せております。内容は、道路、鉄道、空港など交通施設の整備に関するもの、緑の保全や創出、景観など都市環境に関するもの、新宿の雑居ビル火災に関連したご意見を初め都市の安全に関するものなど、多岐にわたっております。
 また、あわせて区市町村に対しましても意見照会を行いましたところ、区市町村からは、第3章の地域像の記述に関するご意見や、第4章の公共交通の整備に関するご意見など、多くのご意見をちょうだいしたところでございます。
 これら都民の皆さんや区市町村からの意見を踏まえまして、必要なものについて加筆、修正を行い、今回、東京の新しい都市づくりビジョンとして取りまとめたものでございます。
 それでは、お手元には、資料5の概要版、そして、資料6のパンフレット、そして、資料7の本文をお配りしておりますが、中間のまとめのご報告と重なる部分も多うございますので、また時間の関係もありますので、パンフレットを中心に、簡単にご説明をさせていただきます。
 まず、パンフレットを開いていただきますと、都市づくりビジョンで目指そうとする東京の新しい都市像を示しております。左側には、東京の骨格的都市基盤や五つのゾーン区分、土地利用の概略的方向を、そして、右側には各ゾーンの将来像とゾーン戦略を市街地のイメージを示す図面とともに記載しておるところでございます。
 さらに、パンフレットを開いていただきますと、左端のページに、都市づくりの目標や、東京圏全体で構築すべき環状メガロポリス構造などにつきまして記載いたしております。全部開いたときの真ん中の二ページにわたりまして、今後の政策誘導型都市づくりとして取り組むべき戦略を、都市活力の維持発展から情報化の進展による新しい都市づくりまでの五つの分野ごとに記述しております。
 一番右端のページには、都市づくりを変革する新たな仕組みを記載しております。今回提案しております街区再編プログラムについてご理解いただくため、本制度の適用イメージにつきましても、三枚組の図で示しているところでございます。
 ここでは、まず、町並み再生方針を、一番左側の図でございますが、赤く囲われたAゾーンなどで、一定のエリアで策定いたしまして、地域にふさわしい町並みの方向づけをいたします。
 次に、このAゾーンの中の地権者等の話し合いにより一定の合意がなされました街区において--これが真ん中の図に表示しておりますが、一番左側の図の黄色に塗られた部分を拡大しております--地権者等の要請を行政側が受けまして、街区単位の新たな建築ルールを定める街区再編誘導地区といったような都市計画を指定いたします。
 そして、さらに、建築計画等について、その新しい都市計画の枠組みのもとで話し合いを進め、合意形成を図ることによりまして、一番右側の三番目の図面のように、安全で豊かなオープンスペースを備えた町並みに更新していくというようなイメージを描いているところでございます。
 パンフレットの裏側をごらんいただきたいと思います。ここでは、都市づくりビジョンの実現に向けた今後の取り組みを記載しております。また、平成十一年十月に知事から都市計画審議会に、社会経済情勢の変化を踏まえた東京の新しい都市づくりのあり方について諮問してから、本年十月に都市づくりビジョンを公表するまでの簡単な経緯を掲載させていただいております。
 以上が都市づくりビジョンの概要でございます。
 次に、中間のまとめに対して寄せられました都民の皆さんや区市町村の意見を踏まえまして、今回、加筆、修正した主な点についてご説明を申し上げます。
 交通基盤関係の図面が少しわかりにくいといったようなご指摘もございまして、道路網や鉄軌道網の図面に修正を加えております。本文でいいますと、七七ページあたりから数枚の図面がそれに該当いたします。
 また、空港アクセスに関連する交通基盤などについても図面を追加して明らかにしております。それは七六ページの図面になります。
 また、横田基地の民間航空利用に関しまして、多摩の将来像と同様に、環境面や利用のあり方などについて協議、検討を行いながら実現を図る旨の記述を追加しております。
 都市農地の活用という面から、都市農地の持つ多面的な機能を活用した都市づくりを進めることについて、少し考え方について詳しく記述をいたしております。
 都市の安全という点からは、建築物の日常的な安全性のチェックを強化することを加えております。
 区市町村からご指摘の多かった、関係する地域の具体的な記述内容の充実などにつきましては、都市づくりビジョンの考え方との整合性や全体のバランスなどを考慮しながら、その反映に努めてきたところでございます。
 そのほか、全編にわたりまして、都民の皆さんに今後の都市づくりの方向がわかりやすいものになるように、表現上の修正などを行っておるところでございます。
 最後に、都市づくりビジョンには、表紙でございますが、「都市再生への確かな道筋」と副題をつけております。都といたしましては、今後、この都市づくりビジョンで提案しております戦略及びそれを進める新たな仕組みを活用いたしまして、都民の皆さんを初め、さまざまな主体と連携しながら、東京の再生を積極的に進めてまいりたいと考えているところでございます。
 大変雑駁ではございますが、以上で説明を終わります。

○森下建築指導部長 それでは、資料8をごらんいただきたいと思います。
 建築基準法に基づきます緊急安全点検の実施状況についてご報告いたします。
 初めに、緊急点検の対象でございますけれども、今回の点検は、三階以上の階をキャバレーとかナイトクラブ、飲食店、遊技場等に使用する建築物で、階段が一カ所のものを主な対象として実施いたしております。
 点検棟数は合計で二千八百棟となりました。そのうち、建築基準法令に不適合であるものが、表にございますように、八百七十七棟で、約三一%、維持管理上の不良のあるものが千九百棟で、約六八%でございました。点検は、避難階段、階段の防火区画、非常用の照明、非常用の進入口などの項目につきまして実施しております。各項目ごとの指摘件数につきましては、それぞれ資料記載のような件数でございます。
 今回の点検の結果、階段の途中に扉等を設置しているもの、防火戸を取り外しているもの、非常用の照明が不足しているもの、非常用の進入口がふさがれているものなどの建築基準法に不適合な箇所と、避難経路に物品が置かれている、障害物により防火戸が閉まらない、非常用の照明器具が破損している、進入口の表示がないなどの維持管理上不良な事項が明らかになっております。
 今回明らかになりましたもののうち、約二千三百カ所については、点検の際にその場で改善指示を行っております。
 今回の点検によりまして、いわゆる雑居ビルなどにおきましては、適法に維持管理されていない建物が多くて、その建物を利用する人々の安全確保の面から大きな問題点があるということを改めて認識しているところでございます。
 今後は、具体的な改善が行われますよう、所有者、管理者等に対しまして、粘り強く指導を行ってまいります。
 次に、2の東京都の現在の対応状況ということで、安全点検以外の対応状況でございますけれども、まず、(1)でございますが、緊急点検の対象となっている建築物以外の特殊建築物につきましては、各建築物の所有者等に対しまして、都、区及び市の各特定行政庁が、避難安全面に関する自己点検をするよう要請しております。
 次に、(2)ですが、自己点検の対象物件のうち、建築基準法の第十二条に基づく定期報告がなされていない建物所有者に対しましては、定期報告検査を行うように、各特定行政庁より督促状を出すよう取り組んでいるところでございます。
 また、(3)の建築基準等の検討でございますが、二方向に安全に避難するための基準のあり方とか、定期調査報告の実効性の確保、飲食店営業許可と建築確認の連携の仕組みづくりなどにつきまして現在検討を進めているところでございます。
 続きまして、資料9をごらんください。東京都屋外広告物条例施行規則を改正しましたので、その内容につきましてご報告いたします。
 まず、1の広告幕に関する改正でございますが、新宿歌舞伎町の火災を受けまして、防災対策の見地から、広告幕に関する規定を改正したものでございます。
 改正内容としましては、建築物の壁面を利用する広告幕について、窓または開口部に設置する場合は、非常用進入口、避難器具が設置された開口部等をふさぐことのないよう、設置方法を規制するものでございます。
 次に、2の車体利用広告に関する改正ですが、本年二月の東京都広告物審議会の車体利用広告のあり方に関する答申に基づきまして、車体利用広告物の規格の変更を行ったものでございます。
 改正内容ですが、まず、(1)の高速道路を走行する路線バスについてですが、高速道路上においては、重大事故の発生率が高いため、交通安全の見地から、第三者広告の表示に関する制限を設けることとしたものです。
 (2)の高速道路を走行しない観光バスにつきましては、路線バスと同様に車体の十分の三の面積まで広告表示を認めることとしたものでございます。
 (3)の電車につきましては、路線性が明確であり、景観及び交通安全面に対する影響が限定的であるため、第三者広告を認めることとしております。電車の広告可能面積については、電車の一編成が複数車両であることや、近隣県市の規制の内容も考慮しまして、車体各面の十分の一までとしております。非営利な広告物につきましては十分の三までとしております。
 最後に、(4)でございますが、窓またはドア等のガラス部分に表示する広告物を車体利用広告全般に共通して規制するというものでございます。
 なお、本規則の公布日は本年の十月十八日でございます。
 以上で説明を終わらせていただきます。

○藤川委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を一括して行います。
 発言をお願いいたします。

○真鍋委員 私は、都市づくりビジョンについてお尋ねしたいと思います。
 このビジョンの中の公共交通、特に環状公共交通についての位置づけということで、先ほどのご説明の中で、中間のまとめから最後のこのまとめに至るまで、鉄軌道の整備とか空港へのアクセス整備等、地図をきちっと載せていただいて、整備すべきものというもので位置づけをしましたよというご報告を伺いまして、中間のまとめからより一歩進んだものになったなと率直に思っています。
 ただし、特に私が取り上げたいのは、区部周辺部の公共交通、いわゆるエイトライナー、メトロセブンの話なんですけれども、確かに運輸政策審議会で、昨年一月に、B路線、検討すべき路線ということで、A路線があってその後だから、まだまだこれからいろいろ山あり谷ありということで、じゃ、この都市づくりのビジョンには、B路線に載っているというのを書くのが精いっぱいかなというのが今のところじゃないかなと思うんですけれども……。
 ビジョンって何だろうと思ったとき、広辞苑を調べますと、心に描く像、未来像、それから、展望、それから、現実的な見通しとなるんですね。ビジョンと考えたときに、今の公共交通の、特に環状交通については、何となく見通しが書かれているのかな。ただ、ビジョンというならば、ここにもっと未来像とか、そういう描き方があるんじゃないかなと私は思います。
 それで、これまで、公的なものが税金を使って公共交通を整備する。もうそういう時代じゃない。PFIという法律ができました。どうやって民間のノウハウや資金を提供してもらって一緒にやっていこうか等々が議論されている中で、二〇五〇年を見据えて二〇二五年を見たビジョンの中に、運輸政策審議会の現状のA路線、B路線、だから、こうですよというようなものじゃないんじゃないかなという気がしてなりません。
 もちろん、環状の公共交通についての必要性は東京都も認めておられるからこそ、国にそれを上げて、そして、運輸政策審議会の答申に載ったということは十分わかっているわけですけれども、都市づくりビジョンの中で、今私が申し上げました区部周辺部公共交通網について、取り組みが、ある意味での将来像とか未来像とか、そういうイメージからすると、少し欠けているんじゃないかなと思えてならないんですけれども、都の見解がありましたら、お尋ねしたいと思います。

○河島参事 今、ビジョンということで、もう少し夢のある記述ということがあってしかるべきではないかと。おっしゃる意味は大変よくわかるわけですけれども、ただ、この都市づくりビジョンというのは、一方で、関係機関との調整も十分に図りながら、都が今後の都市づくりについての基本的な方針を明らかにする、そういう性格も一方で持ってございます。そういった中で、どういった表現が個々の案件についてできるのかということを検討しながら、今回のような記載になっているわけでございます。
 今ご指摘のように、地元の区であるとか、あるいは沿線の住民の皆さんが、区部周辺部の環状公共交通について非常に熱意を持っておられるということは承知しておるわけでございますが、今ご質問の中にありました運政審答申の中で、その位置づけにつきましては、B路線からもう一歩前進するためには、事業採算性とか、あるいは投資効果など、乗り越えていかなければならない課題があるわけでございまして、それをクリアすれば整備の明確な方向性が打ち出せるわけでございますが、今はそれをクリアすべく恐らく検討している、そういうような状況にあるのだろうというふうに考えているわけでございます。
 そうしたことも踏まえまして、本ビジョンにおきましては、七九ページの東京圏の鉄軌道網図に図示した上で、需要動向や事業採算性、投資効果などを総合的かつ的確に見きわめながら整備について検討する路線というような記述をさせていただいたところでございます。

○真鍋委員 都の考えはわかります。私がいっている未来像、将来像というのも、多分わかってくれていると思いますが、そういう中で、せっかくの機会ですので、この問題についてもうちょっと質問させてもらいたいんですけれども、関係九区で、メトロセブン、エイトライナー、それぞれ促進協議会をつくって、また、九区のみならず、さまざまな鉄道とジョイントできますので、多くの都民の方々に利便性向上というか、それこそ公共交通の必要性というのは皆さんご存じのとおりであります。
 そういう中で、東京都議会で促進議員連盟をつくられて、前から活動を積極的にされていると聞いておりますけれども、私もそのメンバーの一員に入れてもらっておりまして、運輸政策審議会で答申が出たと。検討すべき路線だと。何を検討するのか。先ほどいわれたこともありますが、例えば七十キロ以上に及ぶ長大な路線である。それから、地下鉄という案でいくならば、二兆数千億ですか、事業費の問題。そうすると、それにこだわらずに、新交通システムとか、LRTとか、さまざまなことも検討すべし、こういうことだったと思います。
 そこで、議員連盟としては、このテーマに向かってどうするのかということで、昨年、愛知県に行きまして、愛知県のたしか名古屋市と瀬戸市だと思いますが、リニアモーターカー。リニアには、数百キロで走るものから、私たちが見てきたのは百キロぐらいのスピードで、逆にいうと、常電導というんですか、余り磁場が強力に発生しないで、人体に影響がない。非常に静かであるというので、HSSTそれを、視察に行ってきました。きょう、ここに参加の議員の方も、皆さん、何人かご一緒に伺いまして、それで、このやり方ならば、例えば騒音の問題を考えても、工事費の問題を考えても、非常にいいじゃないか。現実にHSSTに乗りまして、乗るだけではなくて、じゃ、頭の上を走ってもらおうということで、わざわざ実験線の下まで行きまして、上を走ってもらった。目をつぶっていると、何が走ったか、本当にわからないという状況で、ああ、これだなと。運政審からいわれた課題を乗り切るためにも、これは有力な一つの候補じゃないかと。
 視察から戻ってきまして、総会を開いて、それこそ会派を超えた議員連盟で、これを有力な候補として知事に要望しようじゃないかということで、要望書を出した。こういうふうに議員連盟としても動いていまして、それによって、少しでも検討から実現へというところに大きく踏み出していこうじゃないか、そういう思いを議連としてはみんな持っていると思います。
 また、地元に戻りますと、同じ区なのに、同じ東京都なのに、二つ三つ四つ乗りかえて、やっと行ける。それぞれ環状は切られていますので、本当に交流ができない。何とか早くひとつこれをつくってほしいと。中には、どうせ自分が元気なうちはできないんだろうなんていわれますが、いや、そんなことはありませんよ、だから、なるべくお元気でいてくださいというのが精いっぱいなんですけれども、そういうことで、そういう要望を出させてもらいました。
 こういう議連の動き、知事に対する要望等を受けられていると思うんですが、都はどのようにそれを受けとめておられるのか、どう考えておられるのか、お尋ねしたいと思います。

○只腰施設計画部長 昨年十一月十五日でございますが、今ご指摘ございましたように、区部環状公共交通網促進議員連盟の、当時の奥山会長から知事あてに、今ご指摘いただきましたHSSTにつきまして、環状公共交通を早期に実現するための有力な方式ではないかというようなことで、要望書をいただいているわけでございます。
 私どもといたしましては、このHSST、今、先生のご質問にもございましたように、名古屋市の東部で実験が行われている。いわゆる常電導で、磁気の力で浮上するシステムである。最近聞くところによりますと、愛知の万博関係で、そのアクセスとしても使われる可能性があるというふうに聞いているところでございます。
 私どもといたしましては、都と関係区の部長級で、現在、区部周辺部環状公共交通の都区連絡会というのをつくりまして、都と区の連絡調整を図るとともに、先ほど出ましたような諸課題の解決を図るべく検討を行っているわけでございますが、これから検討すべき課題の一つとして、導入システムの想定を行うわけでございますが、その際、ご指摘いただいたHSSTも含めまして、システムのあり方を検討していこうじゃないかということで、そういうふうに連絡会で決めたものでございます。

○真鍋委員 今、都区連絡会のお話が出まして、議会の質問の中でこれを取り上げたときも、都区連絡会を立ち上げて精査してやっているんだというお話を聞いております。これも、都と区が一緒になって動き出したということで、非常に期待をしているわけですけれども、今、都区連絡会の中で、私が申し上げたHSSTも一つの検討課題としてということはいわれましたけれども、具体的にどういう詰めというか、作業をされているのか、確認したいと思います。

○只腰施設計画部長 この都区連絡会でございますが、先ほど申し上げた昨年八月に発足いたしまして、ことし五月に第二回の連絡会を開催したものでございます。この連絡会の中で、基本ルートの設定、あるいは、最近いろいろ輸送需要が動いておりますので、その辺の最新データに基づいた需要予測、あるいは今出ました導入システムの想定、あるいは事業採算性の検討等につきまして、今後、みんなで勉強していこうじゃないかということになったわけでございます。
 このうち今年度につきましては、需要予測、あるいは事業の採算性について検討することといたしまして、調査の準備を進めているものでございます。

○真鍋委員 それで、今いわれた都区連絡会なんですけれども、五月十日に開かれて、今いわれたような最新のデータで、パーソントリップ調査とか、さまざまなのを使って、本当に需要予測をきちっと精査しよう等々の調査をやろうということになっていると聞いています。その精査した調査のもとに、どういう事業主体で、手法で、どうこうでと、これからいよいよ入っていくんだと思うんです。
 その中で、都と区といいますか、東京都とエイトライナー促進協議会とメトロセブン促進協議会があるわけですけれども、この調査についてやっていこうというときに、私は、単純に考えれば、都と関係協議会というか関係区と、それぞれで共同して立ち上げた会ですから、共同して調査をやっていくのかなと思っておりましたら、十三年度委託調査については、エイトライナー促進協議会とメトロセブン協議会が実施するとして、費用は両者折半だと、こういうことで、東京都は負担しないわけです。
 東京都は、確かに財政が厳しいとか、いろいろなお話を聞いております。また、お話を聞くと、過去にも東京都が実施した調査があるということを聞いているんですけれども、ここまで東京都と関係区が一緒になって連絡会を立ち上げてやっていこうと。先ほどいいましたとおり、議員連盟も、それぞれ自分たちの会費を積み立てて、視察に行ったり、要望したり、こういう思いなんですね。ですから、この連絡会、立ち上げられてまだ二回ですけれども、調査をやっていく、これから具体的に詰めていく中で、いろいろ経費等も当然かかってくると思うんです。これをこれから先も、両協議会の折半でやりなさいよ、東京都は、何というんですか、ただ意見を申し上げるだけでは済まないんじゃないかなという気がしてならない。そういうところを本当に総合的に考えてもらって、一緒になって、財政の支援を含めて、ぜひとも考えていただきたいと思います。これについては強く要望させていただきまして、私の質問を終わらせてもらいます。どうぞよろしくお願いします。

○大塚委員 私も、東京の新しい都市づくりビジョンについて、幾つかお聞きしたいと思います。
 大変興味深く読ませていただきまして、私も九月十一日の中間まとめのときも質問させていただきましたけれども、街区再編プログラムとか、そういったことが具体的な形として一歩進んだというふうにも思うわけでございますが、一方で、先日、外環の議連で、外環の視察に私も参加させていただきました。局長もご一緒だったと思いますが、中央環状新宿線、地下に入りまして、着々と進んでいる。あるいは、大泉から外環のところをバスでずっと視察したわけですけれども、まさしく都市計画というものが大事だというふうに実感した次第でございます。
 それで、今回の都市づくりビジョンにつきましては、五十年後の、あるいは二十五年後、そういった東京の将来像につきましてのビジョンが書かれているわけでございます。それにつきましては、都民、あるいは企業やいろいろな機関が今回注目しておるわけでございます。また、東京都の中で、各局のいろいろな意見や、そういったことが反映されていると思いますけれども、まず関係局との調整、あるいは民間とのいろいろな話し合いがあったと思いますけれども、その辺、つくるに当たっての見解をお伺いしたいと思います。

○河島参事 都市づくりビジョンの策定に当たりまして、関係局などの部長級で構成いたします都市づくりビジョン検討会という組織を設置いたしまして、内容を具体的に検討し、深めていく、こういうことをやっております。そしてまた、ビジョン策定過程のいろいろな段階におきまして、関係局等にいろいろな意見の照会を行い、協議をするなど、具体的な調整を十分に進めてビジョンの内容を固めてきたという経緯がまずございます。
 また、都民の意見を幅広くお聞きする。これは中間のまとめを公表して、ご意見をお聞きするとか、あるいはそれ以前の段階では、都市計画審議会の過程においてもそういった作業は行われております。そうした都民の意見を幅広くお聞きするとともに、商工会議所を初めとする民間団体等へのご説明とか、あるいはそういった中間まとめといったような資料の送付などを行いまして、ご意見がある場合にはそれをちょうだいして、そういったものを参考といたしまして、ビジョンの検討を進め、今回、取りまとめに至ったものでございます。

○大塚委員 基本的に、この中を全部読ませていただきましたけれども、各局にわたっていろいろな施策が出ているわけでございますけれども、短期的にできるもの、それから、長期的に今回ビジョンの中で書かれているもの、両面あると思いますけれども、その辺につきましての見解を次にお伺いしたいと思います。

○河島参事 先ほどもお話がございましたように、都市づくりビジョンは、五十年先を見据えながら二十五年後を目標時期とする、そういう長期的なビジョンでございます。そういったことから、長期的な視点からの政策誘導型都市づくりの実現に向けた戦略などの施策を記述しておりまして、ただいまご指摘のありましたとおり、早期に着手すべき施策と、それから、長期的な視野を持ちながら取り組んでいくべき施策と、両方がございます。
 そのため、早期に着手すべき施策につきましては、それの重点的な予算措置を図るとともに、また、すぐにも手がけていかなければならない新たな仕組みづくりなどにつきましては、必要なものについては、国に対して制度改正を要請する、あるいは、東京都自身でできることについてはそれに取り組んでいくといったような政策実施をやっていく必要がございます。
 また、長期的に取り組むべき施策につきましては、二十五年というスパン、大変長いスパンでありますが、それの一歩一歩の積み重ねが最終的な実現の成果に至るという観点から着実な実現を図っていく。こういう両様のとらえ方、取り組み方で、その実現を図っていくべきものというふうに考えているところでございます。

○大塚委員 今、短期的なもの、長期的なものという整理のお話を伺いましたけれども、特に、ハードなものやソフトなもの、いろいろな形での予算の措置がされなければならないと思いますが、もう既に来年度の、十四年度の予算要望のヒアリングなども始まりましたけれども、特に都市づくりビジョンにおいて、来年度、長期的なものの第一歩を踏み切るものがあれば、来年度の予算要望で一つ関係するものがあるのかどうか、その辺の十四年度の重点施策等につきまして、このビジョンに関するものにつきましてお伺いしたいと思います。

○河島参事 平成十四年度の都市計画局の当初予算要求におきまして、都市づくりビジョンの関連施策といたしましては、機能的な交通ネットワークの実現に向けた都市高速鉄道や首都高速道路の建設費、あるいは外環にかかわる調査費などを要求しております。また、空港へのアクセス改善などを図るための都営浅草線の東京駅接着に関する調査費や、京浜急行本線空港線の連続立体交差事業に合わせて行います京急蒲田駅の駅改善事業費補助等を要求しているところでございます。さらに、新しい制度創設といった観点から、個性を生かした魅力ある都市空間形成を促進するための街並みデザイナー制度などの仕組みづくりにかかわる調査費を要求しているところでございます。

○大塚委員 先ほど一番目の質問で、部長級の構成メンバーでいろいろな調整を図ってきたということで、今後の問題といたしまして、都市計画局でいろいろな施策を盛り込んで、各局との調整を図っていくと思いますけれども、今後のほかの局にわたる施策の進行、あるいはフォローとかチェック、そういった進行状況を、つくりっ放しじゃなくて、注視していき、それができない場合にはまたいろいろな調整をしていくといったことが必要だと思います。その辺の今後のフォローの仕方につきましてご見解を伺いたいと思います。

○河島参事 ご指摘のように、都市づくりビジョンは、今後の都市づくりの基本的な方向性を都の行政方針としてわかりやすく示そうとしたものでございまして、その施策につきましては非常に多岐にわたってございます。実施に当たっては、関係部局、区市町村、民間等との横断的な調整を要するものが多いわけでございまして、都といたしましても、全局を挙げてこれに取り組んでいく必要があると考えております。このため、都市計画局といたしましては、関係局のビジョンに盛り込まれた施策の取り組み状況を今後把握しながら、都市づくりの観点から必要な調整を行って、都市づくりビジョンが目指す政策誘導型都市づくりの実現を図っていきたいというふうに考えているところでございます。

○大塚委員 今回、政策誘導型のまちづくりを実現するというルールづくりで、6章の2に、仮称ですけれども、都市づくり基本条例の制定とあります。その中で、広く民間とか、あるいは企業、そして、行政の責任の明確化を図り、推進していくということが書かれているわけでございますけれども、特に、PFIとか、今後の事業のこれからの社会変化に伴いまして、いろいろな形が出てくると思うんです。私は、せっかくこういうものができたので、都民や企業や、そういったいろいろなNPO組織の立ち上げにつきましても、広く広報活動や、先ほどのように、つくりっ放しじゃなくて、それの実現に向けて、企業と連携がとれるような形にしなければならないと思いますけれども、その辺のご見解を伺いたいと思います。

○河島参事 都市づくりビジョンを幅広く、その内容につきましてご理解をいただいていくことは、今後のビジョンの実現にとって非常に重要だというふうに認識しております。こうした観点から、都市づくりビジョンは、十月十九日に公表いたしまして、十月二十二日より、東京都のホームページにおいて全文を掲載し、それを手軽に見ることができるようにしているところでございます。
 また、十一月末に発行予定の「広報東京都」十二月号におきまして、その内容の概要について都民に周知する予定でございます。さらに、ただいまお手元にお配りしておりますパンフレットの配布とか、あるいは本文につきましても、都民情報ルームでその頒布を行い、その内容を広く都民の皆さんに知っていただく、そういう体制を整えているところでございます。
 今後、あらゆる機会をとらえまして、関係団体等に対する説明とか、新聞、雑誌等への情報提供など広報活動を行いまして、広く都民等の理解と協力が得られるように努力してまいりたいと考えております。

○大塚委員 ぜひ積極的に広報活動とか、説明会を開くとか、いろいろな活動をしていただきたいと思います。
 最後に、具体的な話として、IT関連ということで、今回の新拠点といたしまして秋葉原地区の位置づけをされております。具体的な地名がここに出ていたものですから、秋葉原の位置づけの背景と、内容につきましてはまだ固まっていないのかもしれませんけれども、その辺の秋葉原地区に対するビジョンの位置づけを最後にお伺いして、私の質問を終わります。

○河島参事 ただいまのご指摘の秋葉原地区を新拠点として位置づけた理由でございますけれど、新拠点という新しい拠点の考え方につきましては本文の一九ページに掲載しているところでございます。センター・コアの機能を高めるために、都心、副都心と同様に、多様な機能を備えた複合拠点として育成する新たな拠点でございまして、基幹的な交通基盤の整備により、特に重要な拠点性を発揮するものを新拠点というふうに位置づけているところでございます。
 秋葉原地区は、駅周辺の大規模跡地開発とつくば線の建設が行われておりまして、IT産業を初め、多様な機能を備えた複合拠点として一体的な整備が図られることから、新拠点というふうに位置づけたものでございます。

○大木田委員 私も、きょうは四点報告事項がありましたので、その中で、東京の新しい都市づくりビジョン、それから、雑居ビルの総点検の状況、この二点を中心に、何点か伺っておきたいと思います。
 東京の新しい都市づくりビジョンにつきましては、都市計画審議会でも私の意見を若干申し上げましたので、ダブらないようにして話をしたいと思いますが、意欲的にこのビジョンをまとめられたことについては、関係者の皆さんにご苦労さまでしたと申し上げたいと思います。
 そういう中で、私が考えていることは、いろいろな状況を見る中で、多くの誤算が今までありましたね。例えば、昭和三十九年に首都高速道路をつくりました。あの時点においては、今日これほど車社会が展開されるということは想像できませんでしたので、あのときの首都高は立派にできたということでありましたけれども、今になってみれば、どうして全部あそこに、中央に集中して--今やっと王子線のあれをつくって、都心に集中しないように、渋滞解消のためにやっているわけですね。これも大きな予測の誤算ですよ。
 それから、二つ目の誤算は、国で年金制度等をずっとやっているわけですけれども、これだけ高齢化でお年寄りの皆さんが長生きするということが想定できなかった。長生きすることは結構なことなんですけれども、想定できないものですから、年金財政が今厳しい状況。あるいは、国民健康保険の、この秋にはそれが取りまとめられますけれども、高齢化を予想できなかった。
 三つ目は、例えば少子化。これは、大学の倒産が今始まっておりますけれども、二〇〇七年には大学の定員数と大学を希望する数が一緒になるという、そういう状況で、これからさらに少子化が進んでいく。五百年たつと日本の人口は一人になるという計算も出ているわけですけれども、そのくらいの、これも想定できない部分。
 具体的な面でさらに申し上げますと、水道、下水道も、五〇ミリ対応というのをやっている。過去のデータでは、今まで一時間に五〇ミリの雨が降るということが最大で、五〇ミリの下水の対応をすれば、これは間に合う。ところが、地球の温暖化がどんどん進んで、東京の温度が、今、亜熱帯地方と同じような傾向になっている。夏は、要するに、亜熱帯のスコール現象が昼間から起きてくる。そうすると、雨が八〇ミリ、あるいは一〇〇ミリ。下水のあれが対応できないものですから、この前も新宿で、エレベーターをあけたら、あけた途端に水が入って死んだという。要するに、地下街にみんな水がたまるという、こういう現象が都市部では起きているわけですね。それは、要するに、温暖化によって亜熱帯化した、こういうような状況で、五〇ミリ対応ではできなくて、今度はさらに管を大きくして、八〇ミリ対応としなければいけないというような状況も生まれてきているわけです。
 そういう意味においては、いろいろな学者の理論もあります。官僚の皆さんのすばらしい発想もありますけれども、今、時代はそういうものを超えて、あらゆる角度で動いているという現象があるわけでありまして、これ自体は、今日の時点では、皆さんの英知の結集で、いろいろな意見も結集してまとまりましたけれども、今後そういうようなことを十分考慮して、いろいろな予測を見ていきませんとというようなことがあります。特に、これは五十年先を視野に入れながら二十五年と、そういうことをうたっているわけでありますので。
 例えば、今三つの誤算を話しましたけれども、今東京で、三つの空洞化が進んでいるわけですね。三つの空洞化というのは、一つは産業の空洞化が進んでおりまして、大田区、あるいは板橋でも、墨田区のニット製品等も、ほとんど中国が世界の工場化して、安い製品が入ってくる。産業の空洞化が大変深刻な事態になっているわけですね。
 それから、バブルのときからもそうなんですけれども、インナーシティー現象の、都市の空洞化というのも、これは間違いなく、人を呼び戻す一つの--バブルが崩壊して、成功はしてきておりますけれども、間違いなく都市の空洞化が進んでおりますし、それから、人間の心の空洞化ということも進んでおりますから。これは教育の分野ですけれども。
 今、三つの空洞化がいろいろと進んでいるというような中で、さらに、今、三つの不安がそこで広がっているわけですね。経済が非常に低迷して、九・一一からこれだけ落ち込んできて、今後どうなるのかということで、戦後三番目のマイナス成長ということが二〇〇一年はいわれているわけですね。一九七四年に〇・五%のマイナス成長。一九九八年に〇・六%のマイナス成長。ことしは政府発表で〇・九、日銀発表ではマイナス一%からマイナス一・二%のマイナス成長というような状況で、ここ数年は、どうなるかわかりませんけれども、マイナス成長になってくるのではないかということで、経済の不安。それに伴う失業の不安。さらにはテロの不安と。
 二十世紀が戦争と革命の世紀といわれましたけれども、二十一世紀は平和と創造の世紀にしたい、そういう思いで二十一世紀の幕を迎えたわけですけれども、今のところ、二十一世紀を象徴するあのテロによって、二十一世紀も戦争とテロの世紀になるのではないか。そういうような状況等があって、非常に社会の激変に次ぐ激変というようなことで、先行きが読めない。見えない。
 こういう中で、今求められている三つの再生といえば、経済の再生、都市の再生、私は、教育の再生というふうに思っているわけでありますけれども、そういうような意味において、このビジョンとしてはすばらしいんですけれども、そういう要素を入れながら、これに固定した発想にとらわれるのでなくして、機動的に、弾力的に、修正すべきものは修正しながら、いろいろと対応していかないと、また、これに引きずられてしまってはいけないと、こう思っているわけであります。
 今まで話したところで感想があれば、伺いたいと思います。

○河島参事 ただいま大木田理事からご指摘のあった事柄、これはビジョンをつくったからといって、そこで見込んだとおりに世の中が動くわけではないわけでございまして、そういった社会の変化、これから生じるであろうさまざまな予測しがたい状況というものを、都市とか社会というものが柔軟にうまく受けとめて、しかるべき対応をきちんとできるような、そういう都市あるいは社会をつくっていかなければいけないわけで、そういったことについてのご指摘であったのではないかなというふうに理解しております。
 このビジョンをつくるに当たりまして、都市計画審議会の議論で、五十年先を見据えるということを、当初は難問であるというふうに受けとめて、なかなか五十年先というものは容易に見通せるわけではない。ただ、都市というものが、ローマは一日にして成らずというふうにいわれる、そういう一方で、長期的な展望を持ちながらつくっていかないと、すばらしい都市はできないという一面もある。予測しがたいけれど、でも、長期的な視点を持っていかなければならない。
 そこで、どうすべきかというようなことでいろいろ議論した結果、五十年先のあり得べき望ましい状態をシナリオで描いて、そのシナリオについて皆さんのご意見をいただいて、共通する将来像というものをできるだけ見出していく。ただ、それは余り固定的に考えては、また道を誤ってしまうかもしれない。そんなような作業をやってきております。
 その辺を踏まえて、本文の一〇ページ、一一ページあたりに、かなり長期的な視点を踏まえて、東京がこれは実際実現していかなければいけないのではないかというような主要な政策課題を列挙しております。これを実現する戦略をとりあえず現時点で、このビジョンとして整理しておるわけでございますが、これは現在の状況を踏まえてつくられた戦略でございまして、この戦略が果たして今後、五十年先を見据えて二十五年先まで通用する戦略であるかどうかということは、時々刻々変化する社会の状況、そういったものをしっかりと把握しながら、必要に応じて戦略の変更とか、そういったことはやるべきではなかろうか。
 そのような大きな目標を見定めつつも、具体の打つべき戦略といったような事柄については、その社会経済情勢の変化をきちんと把握しつつ柔軟に対処する、このような姿勢を持って取り組むべきものではないか。このビジョンはそのような考え方で、今日の二十一世紀の初頭、一番初めの年につくられたものというふうに考えております。

○大木田委員 それで、次に、阪神・淡路大震災が起きたときに、私は、危機管理センターを日本では二カ所つくるべきだということを提案してきました。東京と大阪、どちらかがいろいろとアウトになっても、片方で対応できるようにと。これは国に対して強く、何回も官邸に行って要望も出してきたわけであります。
 この中で、防災拠点というのを臨海につくるということで、これは結構だと思うんですけれども、私は、名称的には、危機管理センターと。防災拠点はわかりやすいんですけれども、さまざまな総合的な危機管理に対処するという意味では東京危機管理センターというような形で、防災の面とか、テロの面とか、いろいろな要素を含めて、そういうものをまず東京でつくると。大阪でも、国に働きかけて、ぜひ都市再生の中においてもつくっていくべきだと、こう思っております。
 先ほどもちょっと出ておりましたけれども、具体的な点で伺いますが、都市づくり基本条例を制定する、制定を目指すということを述べているわけでありますけれども、これは、いつごろ、どういうような形で制定を目指すのか、この点を伺っておきたいと思います。

○河島参事 このビジョンで提起しております都市づくり基本条例でございますが、この条例の中に、今の都市づくりの仕組みでは不十分なものについて、まず、国の制度改正を求めるわけでございますが、それが国の方での対応の中で実現しないような場合には、条例をつくってでも、都みずからやっていく必要があるのではないか。そんなような発想に立って、もちろん、基本的な物の考え方も盛り込むわけでございますが、それ以外にもそういう実践的な部分において、東京都独自でやれることはやるというような考え方で都市づくり基本条例を提起しておるわけでございます。
 特に、今回のビジョンの中で、民間の創意工夫を生かして、無秩序に形成された市街地を更新していく。このために、街区再編プログラムといった制度を提言しているわけでございますが、こういった制度を具体化するために、ただいま国の方にも強く働きかけて、一定の議論は国の中でもやっていただいておるところでございますけれど、例えば、街区再編プログラムの仕組みの中で提案しております、一定の街区の地権者の合意によって都市計画を決める要請を可能とする。これは現在の都市計画の法律ではございません。国の方もそういうことを検討しておりますので、それが法律の中でできれば、それを受けとめればよろしいのですが、もしできない場合には、こういう条例の中にそれを盛り込む。
 さらに、当初スタート時点では、皆さんの合意が得られて、そういった方向での検討が進められたとしても、いろいろな社会情勢の変化などによって、なかなかそれが実現しない。実現しない場合に、決めてしまった都市計画に縛られて、地域が塩漬けになってしまうというようなことも懸念される場合があります。そういうような場合には、今度は逆に、これまた一定の割合、例えば過半数といったような割合が必要になろうかと思いますが、その要請を受けて、今までは余りそういった対応をとっていないわけですが、都市計画を廃止していく。こういったような制度もやはり必要になるのではないかと考えております。
 そんなような現行制度の中で対処できないような仕組みを盛り込んでいく、その最も基本的な受け皿として都市づくり基本条例というものを構想したい。そして、議会の方にご提案したいというふうに考えておるわけでございます。
 私どもといたしましては、国の検討状況もにらみ、できれば、来年度にもそういった条例をつくっていくことができないかというような意気込みを持って検討を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

○大木田委員 ぜひ頑張って取り組んでもらいたい、こう思います。
 次に、雑居ビルに関する点検の結果が出ておりまして、私も前回の委員会で、その内容をぜひ報告してほしいということを申し上げましたので、これに関する質問をしたいと思います。
 その前に、河島参事が先ほど、都市づくりビジョンのときに雑居ビルに関する都民の皆さんの要望もいろいろとあったということでありましたけれども、どんなことがあったのか、その点をまず伺っておきたいと思います。

○河島参事 参考資料におつけいたしました都民の意見の概要の中で、一五七ページにそれの記載をいたしておりますが、一番下のところですが、先日の歌舞伎町火災のように、危険な建物が放置されている現実と、事故が起きてからの違法実態調査では現在の都民の安全は守れないといったような批判的なご意見。それから、ここには書いてございませんが、そういったものに適切に対処するように行政としてやっていってほしいといった要望、こういったようなことが寄せられているところでございます。

○大木田委員 それでは、雑居ビルの点検の内容について何点か伺いたいと思いますが、全体は二千八百棟、調査点検して、建築基準法の不適合が八百七十七で、三一・三%と。特に多かったのが、階段の防火区画の、防火戸がない、防火戸を取り外している、防火戸が木製等であるという、これが四百六十七件。二番目に多かったのが非常用の照明。必要な数が不足している、内装の変更時に撤去している、未設置、これが三百七十八件。それから、避難階段に関するところが百八十八件で、屋外階段の開放性が不足している、直通階段の途中に扉またはシャッター等を設置している。それから、非常用の進入口の問題が百五十六件となっております。維持管理上の問題が千九百棟で、六七・八と。特に、防火戸のことを含めた、あるいは千二百十五件という、大きなこれが出ております。
 この問題について、けさもぼやがあったということで、九月一日に四十四名が亡くなる雑居ビルの火災が起きてから、その後もありました。ここ数カ月で、歌舞伎町の雑居ビルの問題が続いているわけでありますけれども、先ほど東京都の現在の対応ということで、第一点に、特殊建築物の所有者等への自己点検の要請をしたということですけれども、これはどういう形で要請を具体的にしているのか。その内容等、説明をしていただきたいと思います。

○森下建築指導部長 建築行政は、具体的には、各特定行政庁で施行しておりますので、各区市、あるいは東京都の東西事務所というところでお願いしているわけでございますけれども、特殊建築物の今回の点検をしましたような用途のほかに、一部ホテルのようなものを含めまして、やや拡大した用途を対象とした上で、いわゆる定期報告調査と同じような内容につきまして、避難上の安全とか、さまざまな観点について、みずから点検してくださいということで要請文を出すように東京都として依頼しているところでございます。各特定行政庁においてそれぞれ対応しているということでございます。

○大木田委員 要請文を出して、その状況等もよく分析をしていただきたいと思います。
 二番目の定期報告未報告者への督促というような形がありまして、二回目の火災ビルにおいては、相手がだれだかわからないということで、その報告書を出すようにという、これも行ってなかったような話が伝わっておりますけれども、特に新宿の場合は、ビルが古くなってきている。その間に次々に地権者がかわって、地権者はかわらなくても、実際に経営をやっている人がかわっているというような中で、確かに掌握しにくい部分がいろいろとあると思います。
 私は、報告への督促は結構だと思いますけれども、報告をしなかった場合、罰金として二十万円科せられるわけですね。今まで一度も科せてないというところで、やらなくてもいいんじゃないかというようなことがあるんじゃないか。したがって、私は、悪質なところについては、そういう罰則規定があるわけですから、きちっとまずこれを適用してはどうか、こう思いますが、いかがでしょうか。

○森下建築指導部長 罰則の適用の問題でございますけれども、確かに定期報告調査、全体的にはかなり高く報告していただいている建築の用途と、そうでない、今回の雑居ビルのように、三分の一程度しか来ていないという用途がございまして、かなり強化しなきゃいけないことは事実でございます。ただ、いわゆる罰則の規定そのものについては、手続違反的なものについて、直ちにというのは、実態上なかなか難しいことがございまして、督促という作業をもう少し強化する必要がどうしてもあるのではないかと思っております。と申しますのは、理事もおっしゃられましたように、所有者とか管理者が頻繁にかわるということがございまして、その把握もなかなかできないという実態がございます。
 そこで、定期報告調査につきましては、建物と建築設備と昇降機、エレベーターですね、そういった三種類が定期報告の対象となってございまして、それぞれがそれぞれの所有者とか管理者が台帳を持っているということでございます。それが従来、相互の情報等の交換がなかったものですから、やや把握がおくれている面がございましたので、そういったデータのお互いの交流、あるいは、最終的には特定行政庁が各種のデータを調べて、所有者等を捜し当てて督促するとか、そういった努力そのものもしなければいけないんじゃないかと思っておりまして、そういった定期報告調査の実効性を高めていくような施策について、今後ぜひ取り組んでいきたいと思っております。

○大木田委員 いろいろと工夫して対応することは当然でありますけれども、私は、罰則規定がある以上、こういう事態が発生しているわけですから、一罰百戒という言葉もありますけれども、準備をして、やるところはやるということがあった方がいいと思いますね。
 三点目に、建築基準等の検討を今後進めていくということでありますけれども、具体的に--ぼやを含めて三回起きております。また、大都市部は東京以外でもあるわけですね。東京のいろいろなケースが、それぞれモデルケースになると思いますので、今の状況で建築基準等の検討というのは、具体的にはどういうことを考えているのか。現時点での内容を伺いたいと思います。

○森下建築指導部長 今回の火災の非常に大きな教訓の一つは、避難の経路がふさがれていたということだと思います。本来、避難の階段というのは一番安全な場所であるんですけれども、そこが燃えてしまったということで、避難の逃げ場を絶たれてしまったということでございます。したがって、どうしても二つ以上の逃げる方向を確保しなければいけないということが大切なことと思っております。
 そこで、建築基準法でも、二つ以上の直通階段を設置すべき義務を持つ建物が記載されてございますけれども、その用途につきましてもっと拡大する必要があるのではないかということが、一つ見直しの視点でございます。
 もう一つは、階段ということだけでは、なかなか設置が困難な場合もございますので、一つの階段の場合には避難用のバルコニーを設けて外部に出るようにする、こんなような避難用バルコニーの義務づけなども検討すべきではないかと思っております。そのような点について、今考えているところでございます。

○大木田委員 これで終わりますけれども、東京消防庁は、この雑居ビルの二千八百件とは違って、約一万近い、次の段階のビルについて、今後、総点検を抜き打ち的に全部やっていこうということで、消防庁が対応しております。都として、雑居ビル以外の次の段階も約九千棟あると思いますけれども、こういうところについても拡大して、この際ですから、点検したらどうかと思いますが、この点はいかがでしょうか。

○森下建築指導部長 今、点検の対象について九千棟との数字がございました。ちょっと私どもでは把握していないことでございますけれども、現在、私どもでお願いしておりましたのは、バーとかキャバレーとか飲食店等が三階以上にあるもので、階段が一つのものということでやっております。それにつきましては、ほぼ十月末現在まででやっているとは思いますけれども、実は、まだ若干の漏れもございますし、さらに追加してやるべきものがあると思っておりまして、それについては引き続き点検をやることになっております。
 それから、定期報告等の対象となりますのは、それよりも少し広い範囲でございますので、既存建築物の状況については、定期報告調査の実効性を高めるというような方向で点検を強化していきたい、こういうふうに考えております。

○かち委員 報告のありました屋外広告物条例施行規則の改正についてと、都市計画案件の汐留開発について、何点かお聞きします。
   〔委員長退席、吉野副委員長着席〕
 広告物条例の施行規則の改正ですけれども、ことし二月の審議会答申を受けて、対象物が拡大されたということになっているわけです。私は、この車体広告を導入するときのこの委員会での質疑にも携わってきましたけれども、動く広告塔として、需要と供給の関係から、そういうものを全く否定するものではないんですけれども、一たんこういうものを導入すると、その後の状況というのを抑制することがなかなか難しいという問題も含んでいる。そういう意味で、どういうふうに対応するのか、慎重に検討してほしいということをいったと思うんですけれども、これが導入されて、実際に車ないし電車ということで、特に車については、人が横断したり、横を通ったりすることで、安全性が問われているわけですけれども、この安全性が本当に確保できるんだろうか、そういう不安と疑念を抱いているものです。
 それから、絵をかくということで、小さなものが巨大にかかれていたり、色彩感覚的にも本当に違和感を感じるものがあったり、景観上もどうなのか。そういうことを幾つか感じているところがあるんですけれども、バスへの広告を拡大して、導入してもいいということが始まってから今日まで、都民からの苦情とか要望とか、そういうものは局の方には上がっていないでしょうか。

○森下建築指導部長 車体利用広告、バスへ拡大した後に、都民からの安全面での危惧は出ていないかということだと思いますけれども、バス等につきまして危険だということでは、直接の話というよりは、バスの行き先がわからないので、どのバスに乗っていいかわからないというような識別性の問題で、いろいろ意見をお聞きしております。それから、デザイン的に、周辺の景観となじまないというような意見も聞いております。それから、一部、確かに車体へ大きな絵をかきますので、お子さんなどがその絵を見てちょっと引きずられてしまって、やや危険を感じたというような個人的な見解についてはお聞きしたことがございます。

○かち委員 こういうことを導入すると、どうやってそれを秩序立てるか、ルールをつくっていくかというのは、なかなか難しいことだと思うんですね。これがいいと思っても、悪いと思う人も両方いたりして、そういう表現の自由との関係もありますし、難しい問題だとは思うんですけれども、ただ野放しにしていたら、それは効果性があるということだけで、より刺激的なものもどんどんふえてくるだろうと思うんですね。そういうことをどうしたらルールづくりができるのかなという問題があると思うんです。
 一つ、GLAYという人気歌手が一時かかれたことがありまして、それは本当に話題になって、みんなが注目するというか、見とれるというか、そういう実態もあったように聞いておりますが、そういうことが今後あると、安全性にもやっぱり問題を起こしかねないと思うんです。そういう意味では、局としては今後、こういう安全性が--今、不注意によって事故が起きても、そのことが直接車体広告に関連するという実態はつかみ切れないという問題はあると思うんですけれども、しかし、そのことによって事故が起きてから考えるというのでは遅いと思うんですね。そういう問題を未然に防ぐために、どういうふうに対応していくつもりなのか、その辺はいかがでしょうか。

○森下建築指導部長 安全性の問題は広告物行政にとりましての一つの大きな柱でございまして、今回の改正の中では、特に高速道路の走行では、一瞬の不注意が大事故を招きかねないということで、高速道路走行のバス等については認めていかないという方向を出してございます。
 それから、個々のラッピングのデザイン等につきましては、内容の審査等で、具体の内容まで行政が立ち入ることはなかなか難しい面もございますので、自主審査をできるだけ強化していただいて、その中で、安全面での配慮も含めた形でのデザインの審査をしていただいて許可をしていく、このような仕組みをぜひ強化していきたいということで考えているところでございます。

○かち委員 自主管理、自主審査というのはもちろん必要だと思うんですけれども、しかし、それによってなかなか進みにくいところもありますので、都としてもきちんと自主的なルールがつくられるような強力な指導をぜひしていただきたいと思います。
 続きまして、都市計画案件のナンバー5、汐留地区開発地区計画についてお聞きします。
 もう何度もこの案件についてはこの委員会でも取り上げられて、論議をされてきているところですけれども、私も、先日、現状がどうなっているかというのを見に行ってまいりましたけれども、かなり建築がどんどん進んでおりました。新橋駅に近いA、B、C街区の方では、電通本社ビルとか、松下電工本社、鹿島棟などがほぼ完成に近づいておりまして、巨大な、二百メートル級のビルができつつあります。
 こういう状況の中ですけれども、この開発そのものは、東京都の将来像にとっても、ビジョンにとっても、臨海と都心を結ぶ結節点として、重要地点として位置づけてやっているわけですけれども、ここの土地開発区域にかかわった弱小地権者の皆さんは、ここに本当に住み続けることができるのか、営業し続けることができるのか、大変不安の中に置かれているわけです。こういう開発を進める側にとって、企業にとっては大変優遇されているのではないかなというのを幾つか感じているところがありますので、その辺についてちょっとお聞きしたいと思います。
 今回は、D北一街区の変更案件ということですね。このD北一街区というのは、環状二号線と首都高速道路に囲まれて、それから補助三一一号線に囲まれて、そして玄関口ともいえるように、新交通の「ゆりかもめ」のこれからできる汐留駅、地下鉄大江戸線のこれからできる汐留駅を横づけにしている、大変すばらしい一等地ともいえる地域だと思うんですね。ここの地域を取得した企業は、森トラスト株式会社、住友不動産建物株式会社、森産業トラスト株式会社、いずれも森ビルや住友不動産関係の関係会社に東京都の保留地から東京都が売却しているわけですけれども、この売却額、そして、いつこれが売却されたのか、その辺をお伺いしたいと思います。

○小林地域計画部長 D北一街区の土地につきましては、ただいまかち委員からもお話がございましたように、東京都の保留地でございまして、現在、この場所におきまして東京都施行による汐留地区土地区画整理事業が行われているわけでございますけれども、その保留地として、平成十二年三月二十八日に指名競争入札が行われまして、同日に、先ほど委員からお話があった森トラスト株式会社、住友不動産建物サービス株式会社及び森産業トラスト株式会社が、三社共同で落札者として決定したものでございまして、落札金額につきましては約八百億円でございます。

○かち委員 いずれも森、住友関係の会社が落札して、八百億円ということでしたけれども、これを平米当たりに割り返すと、平米四百五十万円ということになるわけですね。私、港区の方から、同じ開発地域の他の街区を、事業団からどのように買ったのかというようなことで、一覧表をもらったんですけれども、それを見ますと、A街区は平米当たり七百七十万円、B街区は七百万円、C街区は六百五十万円。そういうことから見ても、四百五十万円というのはかなり割安な売り値ではないかなというふうに思います。ただ、売却年月日を見ますと、入札時が平成九年ということですので、三年の後、この間、地価が下落しているなどということを加味する必要はあると思いますけれども、それにしても、地域的に見ればかなり一等地ですので、大変有利な買い物をされているというふうに思います。
 それで、今回の案件では、建物の延べ面積の割合が建築基準の七〇〇%から九〇〇%にアップするということになっているわけですけれども、その理由はどうでしょうか。

○小林地域計画部長 汐留のD北一街区の容積率についてでございますけれども、汐留地区は都心部に位置しておりまして、都心と臨海部を結ぶ重要な交通の結節点でございます。このため、大規模な土地利用の転換を図り、周辺と一体となった都市基盤施設の整備を進め、国際都市東京にふさわしい業務、商業、文化、居住等の施設建設を誘導する拠点として、多機能、複合型市街地の形成を目指すものでございます。
 先ほど委員からA、B、C街区とD北一街区についての比較の話がございましたけれども、A、B、C街区につきましては、新橋駅の直近でございまして、銀座に隣接している。そういった土地利用の特性があって、指定容積率についても八〇〇%が指定されている地区でございまして、おのずから土地利用上の構成が違うというような位置づけがあろうかと思います。
 また、D北一街区につきましては、再開発地区計画の整備計画の中で、容積率の最高限度を九〇〇%としております。現在、当地区につきましては、用途地域にかかわる容積率が七〇〇%というふうに指定がされておりますので、再開発地区計画に基づく整備計画によりまして、評価容積率としては二〇〇%を割り増したものでございます。
 その内容でございますけれども、歩行者デッキとしての二号施設--今指してございますが、あるいは歩行者連絡路としての地区施設、その他の公共空地などの有効空地を、東京都再開発地区計画運用基準に照らしまして、適切に評価し、二〇〇%の割り増しを行ったものでございます。

○かち委員 有効空地とか、歩行者デッキとか、そういうものを加味して二〇〇%アップしたというふうなお話でしたけれども、今回もう一つの変更として、広場四というのは、今度できる「ゆりかもめ」と大江戸線の汐留駅から上がってくるところなんですね。だから、北二街区の住友とこちらの住友と両方ともそこにかかわっているわけですけれども、まさに開発地域にとっては玄関口となるようなところだと思うんですね。そこが五百平米。地上は五百平米なんですが、それを今度地下も含めて三百四十プラスして、八百四十にするというふうなことで出されているんですけれども、このことによっての事業者に対するメリットというのはどういうことになるんでしょうか。

○小林地域計画部長 汐留地区の開発につきましては、特に歩行者系につきましては、地上レベルとデッキレベルと地下レベルと、三層構造の歩行者空間を確保するということにしております。今回の広場四につきましては、委員ご指摘のように、新交通の「ゆりかもめ」の汐留駅が三階のデッキレベルにございます。それから、地下鉄都営大江戸線の汐留駅が地下二階のレベルにあるわけでございまして、まさにこの交通の結節点に位置しているということでございます。
 この広場は、変更前は地上部のみの五百平方メートルの広場として配置される計画となっておりましたけれども、こうした交通施設に円滑にアクセスができるように、地下広場として三百四十平米を新しく追加することによりまして、広場を立体的に配置することができる。また、エスカレーターなどを設置することなどにより縦動線を確保することによりまして利便性の向上が図られる。直接「ゆりかもめ」の汐留駅とか、あるいは大江戸線の汐留駅に通じることができる。こういったメリットがあるものと考えております。

○かち委員 三百四十ふやすことによって、これらを二号施設といっているようですけれども、これが容積率アップに加味されたということになるわけではないんですか。

○小林地域計画部長 これは確かに二号施設としてセットされていまして、交通施設へのアクセスが非常に--これは建物の利用者だけではなくて、デッキ、地上、地下レベルをつなぐ一つの広場として位置づけられておりますので、当然、地域環境の整備に貢献するということで、容積の対象になります。

○かち委員 事前にお聞きしたときには、容積率アップには関係していないというふうにおっしゃっていたものですからお聞きしたんですけれども……。
 地上交通、地下交通をつくるのは公共事業の一環ですね。公共事業の一環であるけれども、そこの入り口というのは、開発側にとってのいろいろな今おっしゃられたようなメリットがあるわけだから、三百四十平米については事業者が開発する、整備するというのは当然のことだろうと思いますけれども、そのことをもってして容積率アップに加味していくというのは、事業者に対するサービス、行き過ぎではないかなというふうに思うんです。
 二〇〇%アップによってどういうことが可能になったのかということはなかなかわかりにくいんですけれども、高さも百八十四メートルということで、変更の一つとして挙がっているわけですけれども、もともとの高さは何メートルだったんですか。

○小林地域計画部長 今回の事業者が決まりまして建築計画が明らかになったということで、再開発地区整備計画の中で新しく高さの制限を設けたわけでございまして、従前は事業者がいない、建築計画がなかったということで、高さの制限は、従前の整備計画の中では設けておりませんでした。

○かち委員 そういうふうにおっしゃられても、港区の方からもらった資料によりますと、この地域の最高の高さは百五十メートルというふうに書いてあるんですね。百五十メートルに比べて百八十四メートル、随分なサービスがついたものではないかなというふうに私は思います。そういう意味で、大きな開発ができる力を持ったところにはいろいろなサービスがどんどん拡大していって、より大きな収益につながる。そういうことに行政が協力するという点ではどうなんだろうかというふうに思います。一方では、都民の税金や所有物を提供するわけですから、そういうことで開発に加担していくという点では考えるべきではないかというふうに思います。
 それで、最後の質問ですけれども、汐留計画もどんどん開発が進んで、全体が完了しますと、就労人口とか、流動人口、あるいは居住人口、一体どのぐらいになるのかということです。

○小林地域計画部長 先ほどの百五十メートルというのは、港区の方からそういった資料があるというお話でございますけれども、法的な規制としては、もともとといいますか、ここには商業地域の容積率七〇〇%という規制でございますので、高さ制限がなかったところに、今回百八十四メートルの高さ規制を行ったということで、法的にはそういうことでございます。
 それから、就労人口等についてでございますけれども、再開発地区計画のエリアでございます、限定いたしますけれども、汐留地区につきましては、一番端の方のI街区はまだ建築計画が定まっておりませんが、そこを除いた算定になりますけれども、就業人口は約三万五千人、居住人口が約四千人というふうに予測しております。

○かち委員 ここには車ばかりではなくて、電車も上から下からと来るわけで、集会室とかホテルとか商業、観劇とか、人を呼び入れる建物も、二五%ですか、つくるわけですね。そういう意味では、一日の人の動き、流動する人口の予測というのは出してないんでしょうか。

○小林地域計画部長 汐留の開発につきましては、冒頭申し上げましたように、業務、商業、居住、文化、交流といった複合機能を開発して、東京の都心部に新しい一つのまちをつくるということで、その中で一つの完結した都市をつくるということをモットーに、ねらいとして開発しているわけでございまして、一つのアミューズメント施設、大規模なものをつくったり、あるいは大規模な店舗をつくったり、集客施設を中心とした開発ではございませんので、業務施設量、あるいは居住人口等を押さえることによって周辺の交通への影響等については十分に判断ができるというようなことから、特に来街者等について、どのくらいのお客さんが来るのかといったことについては見込んでおりません。

○かち委員 いろいろ聞いてきましたけれども、この二十五・一ヘクタールの中に、一つのまち、複合施設としての巨大なまちをつくるわけですね。発生交通量も三万八千とか聞いておりますけれども、こういうこと。それから、三万四千人の就業人口、四千人の居住人口、そういうことで、都心の中にまた一つのまちができるような開発計画というのは、東京全体の発展という点から見て、どうなんだろうか。環境面から見ても、今温暖化の問題がいろいろ取りざたされている中で、あえて加熱していく傾向に向かっているのではないかと思います。環境局の出している白書を見ましても、エネルギー消費の一番多いのが業務系と運輸だというふうにいわれて、それが約七割近くを占めるわけですね。そういう典型をそこに埋め込んでいくという点では、本当にこれから成熟した都市として全体的に発展していくという点では、方向が違うのではないかな。一極に集中させれば、これからはどんどん、高度成長ではありませんから、どこかから引っ張ってこなければならないということになって、他方では過疎化が進んだり、疲弊が進んだりするわけですね。全体的な東京の発展という点では、ゆがんだ形で進んでいくのではないかというふうに思うわけです。
 そういう意味からしても、また、大企業に対する優遇が余りにもやり過ぎるのではないかということで指摘をしたわけですけれども、そういう面からしても、今度の案件は都市計画審議会にかけるべきではないということを申し上げて、質問を終わります。

○木内都市計画局長 汐留の開発についてご意見を賜りました。開発についてのご意見については、この開発が東京全体の開発に沿ってどうだろうかという意見として承らせていただきたいというふうに思います。
 しかしながら、お言葉の中にあった、何か大きな力に対する有利なとか、あるいは優遇という言葉については、納得をしかねるところでございます。価格についても競争入札の結果であったし、あるいは公園についても区画整理事業の中で行っているものでございまして、何らかの特別な力を働かせて大きな力に、何といいますか、特殊なサービスをしたものではないというふうに考えております。そうした意味では、お言葉については納得しかねるところでございます。

○かち委員 お答えをいただきましたので、一言いわせていただきたいんですけれども、私は事実の経過についていったわけでありまして、そのことからこういうことが考えられるということであって、局長が納得しなくても、それはそのお考えだということで……。

○大河原委員 私からは、都計審に付議される案件の中から、質問を二点させていただきます。
 初めにナンバー2、八王子都市計画用途地域についてですが、この地域、八王子ニュータウンの都市計画変更ですが、以前はのどかな丘陵地、谷戸があり、田畑が広がる、とてもいいところだったと、この近くに住む人たちはいっているわけですけれども、ここにある北の方をほぼ東西に伸びる東八道路は、圏央道のアクセス道路ともなる道路です。そして、私が質問をいたします幹線道路沿いの第一種低層住居専用地域から準住居地域への変更という部分なんですけれども、今回は、ここの地元の説明会の中でも、この道路がみなみ野中学校、みなみ野小学校に面しているわけでして、非常に良好な住宅地というところには、用途変更によって、それが阻害されてしまうのではないかという不安が高まっております。その点についてはどんなお考えなんでしょうか。

○小林地域計画部長 ただいまご指摘があった場所につきましては、都市計画道路八王子三・三・二号線の沿道の地区だというふうに思いますけれども、今指しているところですが、この地区については、幹線道路の沿道の地区でございまして、そういった沿道サービス施設等の立地、誘導を図るため、準住居地域に変更するものでございます。
 また、地区計画の中では、この広域幹線道路地区を四つの地区に区分いたしまして、特に住宅地とか、あるいは学校に隣接する地区につきましては、周辺の環境に十分配慮し、パチンコ屋などを含めまして、周辺に影響のあるような、そういった施設の建築を禁止するような措置を講じているところでございます。

○大河原委員 このルート変更によって、住民の方たちが心配されているようなパチンコ店など、非常に議論になると思います。また、ガソリンスタンドとか、住民の利便性を図るというようなものは、たくさんといいますか、適度にできていくものというふうに思いますけれども、ぜひとも丁寧な説明ができるようにというふうに思いますので、東京都としても、その点ご努力をいただければと思います。
 そして、この地域は後ろに市街化調整区域と隣接しているといいますか、湯殿川の方に向かって農地が広がっているわけなんですけれども、このニュータウン、緑地、農地を残したいという、そういう思いは住民の中には非常に強いものになっています。八王子みなみ野シティのまちづくりというパンフレットをいただいたんですが、ここでもアーバンビレッジという形で、子どもたち、園児が田んぼで遊んでいる、谷戸で遊んでいるというような図をわざわざ配して、すごく緑が豊か、緑を守っていく、そういうまちのイメージをつくり上げていると思うんですが、実際には緑地、あるいは農地の確保といったものはどれぐらいできたんでしょうか。

○小林地域計画部長 農地でございますけれども、約五十三・一ヘクタール。公園を合わせますと、公園、緑地で約八十二ヘクタールを確保することとしております。また、農地につきましては、地区全体二十三地区で約二・六ヘクタールの生産緑地は確保される予定でございます。さらに、緑被率につきまして申し上げますと、地区全体で三九%を確保する、こういう計画になってございます。

○大河原委員 今、緑被率というふうにお答えいただいているんですね。三九%を確保していこうということで、ぜひ公約というか、看板に偽りのないようにまちづくりを進めていただきたいと思います。中には、田んぼを、わざわざビニール敷きにしまして、つくって、そこで子どもたちの環境教育をするといったようなこともあるようです。今あるものなら、必ず守って、子どもたちが使えるように、次世代に残すということもこのまちのコンセプトということなので、ぜひお願いいたします。
 次に、ナンバー6の多摩・八王子・町田新住宅市街地開発事業について伺います。
 ここでは、公益的施設用地の、これは小学校二校分、中学校一校分が教育施設用地として確保されておりましたが、今回、これが住宅用地に変更になっています。まちづくりの観点から、点在しているこうした用地を住宅用地に計画変更する判断というのは、どのようにされたんでしょうか。

○小林地域計画部長 教育施設用地につきましては、当該地区の児童数とか生徒数の現況、並びに今後の入居に伴う児童数等の発生予測を行いまして、さらに既設校の現状と将来予測を行いまして、既設校で受け入れられるかどうか、あるいは新たに開設するかの判断を地元市で行っているものでございます。入居計画等につきましては、地元市と事業者で協議を行うことになりますけれども、学校の新設の要否につきましては、地元市、特に教育委員会で判断いたしまして、これに基づきまして都市計画の変更を行っているものでございます。
 一方、居住水準の向上とか、良好な環境における多様な住宅の供給を図るような観点から、住宅地につきましては拡大する必要がございまして、こうした状況を踏まえまして、地元市と協議した結果、周辺の土地利用との調和に配慮し、住宅地などへの変更を行うものでございます。

○大河原委員 私は、区部に住まいがあるものですから、なかなか多摩ニュータウンの開発というのに思いがいかないんですが、同じ小田急線を使っておりまして、多摩ニュータウンの方に出かけるのに非常に交通の便が悪いなというのを感じております。多摩ニュータウン開発が、当初の計画とは違って、なかなか当初見込んでいたまちの形、あるいは中身というものが整わないことは理解するところなんですけれども、今のような教育施設用の用地をとっておく。そのことを見込んで周りに入居された方たちは、町並みといいますか、そのまちの雰囲気ももちろんですが、大分違ったものになっていくんじゃないかと思うんですね。また、住居に変更したことによって、例えば、高い建物が建ってしまうだの、いろいろなことが出てくると思うんですけれども、そういった点では、当初の計画を変更する際、これは常にですが、自分のまちに対しての思いというのは、住民は強く持っておりますので、常にそうした声をキャッチしていただきたいというふうに思います。
 次に、先ほども触れました交通の問題です。現在でも、京王線と小田急線のラッシュというのは、大変ラッシュ率も高いということがありまして、そうした意味では、もちろんモノレールも通りましたが、社会的な環境というのはまだまだ整備されていないんじゃないかというふうに思います。これも住宅戸数がふえると同時に、住民数だけが増大していく。そういった意味では、いよいよこの混雑をどうやって解消していくのかということが問題になってくるんじゃないかと思うんですが、こうした点についてはどんなお考えなんでしょうか。

○小林地域計画部長 多摩ニュータウンにつきましては、計画人口約二十八万ということを目標にいたしまして、良好で快適な生活環境が確保できるように、道路とか公園などの都市基盤施設の整備が進められておりまして、また、京王線とか小田急線、それぞれにつきましては、連続立体交差化などによる輸送力増強に対する取り組みが行われているところでございます。しかし、多摩ニュータウンの現状の人口につきましては、核家族化、あるいは少子化などの影響もありまして、平成十二年十月現在、約十四万人にとどまっているというような状況にございます。今後とも多摩ニュータウンを定住性の高い、住みよいまちとしていくためには、居住者の世代や生活様式などさまざまなニーズに対応した多様な住宅を供給する必要があるというふうに考えておりまして、今回、住宅用地などへの変更を行うものでございます。

○大河原委員 計画人口二十八万人、現状は十四万人。なおかつ、今住宅地に変えていこう、人をここにまた呼び込もうとしているわけなんですね。どうも計画自体が、交通の基盤整備とマッチしていたのかどうか。そういうチェックも本当に必要なんじゃないかというふうに思うんですが、この多摩ニュータウン開発は、もちろん、東京都が全国に先駆けてといいますか、新しい住宅地をつくるという意味では先鞭をつけてきた事業だと思うんですけれども、この地域において、地権者と施行者が同一という、そういうまちづくりをしているわけですね。ですから、その意味では、東京都が実際に住民の声をきちんと受けとめる、ともにまちをつくっていくという姿勢を持っていなきゃいけないというふうに思うんですが、現実は、それが実はなかったので、こういう大きなギャップができているんじゃないかというふうに思います。
 そして、また計画をつくり、変更案をつくる。突然聞かされてしまうので、何というんでしょうか、対立関係のように見えてしまう。そういうことが、ほかのところでもありますけれども、殊に、新しくまちをつくって、そこに住民が来た。もちろん多摩ニュータウンは既に歴史というものができてきていると思いますけれども、こういうことについて、都市計画局として、計画を立て--もちろん、実行部隊といいますか、現実には多摩都市整備本部がやっている、地元市がもちろん責任を持ってやっていくということではあると思うんですが、私は、この東京の中の都市計画を考えるときには、そこでどんなふうに住民とまちづくりをしていくのか、参加を求める、ともに調整をしていく、そういう姿勢、そういう哲学というか、そうしたものが都市計画局にあるべきだというふうに思うんですけれども、住民とのやりとり、その中でも対立が生まれてしまうような構造、こういうことについては、都市計画局としてどのようにお考えなんでしょうか。

○小林地域計画部長 多摩ニュータウンの事業につきましては、造成工事がほぼ終了の段階に来ていまして、九〇%ぐらい進んでいるというような状況でございますけれども、いよいよ建設の時代から地元自治体を中心とする地域経営の時代を迎えているというような状況にあろうかと思います。そういった意味では、地域住民の意向を反映しながら、さまざまなまちづくりを進めていく、そういった時期にも来ているのかなというふうに考えているところでございます。
 事業者でございます多摩都市整備本部につきましては、これまでも、土地利用計画を変更、あるいは確定する際には、地元市と十分に協議を行うことを通じまして、住民の意向把握に努めるとともに、看板やパンフレット等により情報の提供に努めているというふうに聞いております。私どもといたしましても、今後とも、このような努力は引き続き行っていく必要があるというふうに考えているところでございます。

○大河原委員 基盤整備が終わって、本当に地元市の経営する時代になったというのはよくわかるんですが、そこで、多摩都市整備本部は、もちろん別のポジションですが、私は、どうしてもそこの地元と多摩都市整備本部のやりとりの中にも、ぜひ都市計画局として東京のサイドとして働きかけていただけないものかなというふうに思うんです。その点で、十分な市民参加を保障することや、あるいは、今まちづくりについてのビジョンをつくろうとしていますけれども、計画を立てる部署として、ぜひそうしたフィロソフィーを持っていただきたいなというふうに要望を述べさせていただきまして、質問を終わります。

○吉野副委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後三時五分休憩

   午後三時十六分開議

○藤川委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言をお願いします。

○吉原委員 都市づくりビジョンのことで、数点だけお尋ねをさせていただきたいと思います。時間の関係もあろうかと思いますので、端的にさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 今、私は多摩出身でありますけれども、多摩だけでなくて、区部もそうであろうということは常識でありますけれども、私たちの生活においては、社会活動も含めて、道路という、交通機関というものは大きな役割を当然のことながら担っているわけでありまして、その中でも、私たちの生活を支えるために、福祉や教育、あるいは住宅と同じような位置づけ、同列の位置づけを、これから先も、大変お金のかかる話ではありますけれども、そういった位置づけをしていかなければいけないんだろう、そんなふうに思っております。
 そんな中で、鉄軌道の整備促進についてお尋ねをさせていただきたいと思います。中でも多摩都市モノレールについてお尋ねさせていただきたいと思いますけれども、今、立川北から上北台、そして、さらには立川北から多摩センターまで開通していただいております。大変なお金もかかったんだろうと思いますけれども、一期区間の開通をしたとき、そして、さらには二期区間まで開通させていただいたとき、その状況が、人的なことも、乗車していただく方、あるいは建設費等も含めた中で、どのぐらいの効果があったのか、その点をお尋ねさせていただきたいと思います。

○只腰施設計画部長 多摩都市モノレールでございますが、一期区間が、今お話しございましたように、上北台から立川北間、五・四キロでございます。平成二年に着手して、十年十一月に開通したものでございます。全体で、インフラ、インフラ外含めてになりますが、インフラと関連街路、下の道路を広げた上でモノレールを入れているわけですが、一期区間、七百六十三億が東京都の負担、会社の負担が三百六十三億でございます。
 なお、これ以外に、一期、二期共通で、例えば基地とか車両は二期も共通で使っているわけでございますが、それが四百八十四億円でございます。
 乗客につきましては、一期につきましては全体五キロ、四、五万人程度でございましたが、通期、全部十六キロでございますと、最近十万人前後というふうに推移してございます。

○吉原委員 今、一期区間四、五万人程度、通して十万人以上というお話でありましたけれども、四、五万人というのは間違いありませんか。

○只腰施設計画部長 数字を間違えまして申しわけございません。十年の記録で一万九千人、十一年度で三万人でございます。徐々にふえておったところで、十二年度に全線開通したということで、数字、申しわけございません。

○吉原委員 乗客の人数というのは、多摩モノレール株式会社にとっても大変な問題だろうと思うんです。そんな中で、一期区間、二期区間の数字を間違えるということは大変なことなんですよ。そのことが会社運営でこれからどうやって運営をしていくかということに非常にかかってくることだろうと思いますし、これからさらにつくっていく中で、大変重要な、検討する要因の一つだろうと思います。その辺のことについては資料を見ればおわかりになることだろうと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思っております。
 今、多摩都市モノレール、全構想の中では九十三キロというキロ数があるんだろうと思うんです。その九十三キロの中で、次期整備路線というものが、運政審の答申で検討してもいいよということで、決まったんだろうと思います。その中で、今、上北台から箱根ヶ崎、たしか七キロ強のキロ数だろうと思うんですね。今、構想の中で、次期導入空間を検討しなさいよといっているところが、多摩センターから町田、あるいは多摩センターから八王子があろうかと思います。その中で、この間の質疑の中では、多摩センターから町田までは導入空間の確保状況は四七%ではないかというふうに記憶しておりますが、間違えたら大変恐縮でございますけれども、四六、七%のようなご回答をいただいたと思います。これから上北台から箱根ヶ崎までの導入空間の確保状況を教えていただけますでしょうか。

○只腰施設計画部長 上北台から箱根ヶ崎間、約七キロでございますが、現在、新青梅街道に沿ってずっと行きまして、八高線の箱根ヶ崎に至るわけでございますが、現状、都計道の幅員は十八メートルでございまして、十八メートルの幅員の中ではモノレールは入らないということで、ほとんどは確保はされていないというふうに考えていただいてよろしいと思います。

○吉原委員 わかりました。今、ほとんど確保されていない状況にあろうか、そういうお話をいただきました。
 たしか昭和六十三年と平成三年に、これからどこを整備していこうかという検討をされたと思います。そんな中で、上北台-箱根ヶ崎が一番適当だろうという話の中で、現在に至っていると思うんです。しかしながら、多摩都市モノレールの今の経営状況を見たときに、大変な累積赤字を抱えているんだろうと思うんですね。交通機関の中で一番大切なものは、お客さんがどのぐらいいるかということが経営の目安になるのではないかな、そんなふうに思っているんです。それが証拠に、立川北から多摩センターを延伸したことによって三倍前後の収入を得られるようになった。需要もそれだけあったということの証明にもなっていると思うんです。
 そんな中で、今検討されております、これからどこをつくっていくかと考えたときに、六十三年と平成三年で、皆様方の方で調査していただいたものを土台にして、上北台から箱根ヶ崎までつくろうという統一がされてきたんだろうと思いますけれども、今考えますと、今平成十三年でありますから、十二、三年たった--その時代のときの調査、それは大変大切なものだと思います、それも重要な資料となるのでありましょうけれども、私たちの生活がこれだけ変わってきた時代の中で、十二、三年たった今となって、多摩都市モノレールの会社が健全な経営を一日も早くしていくための検討をしていかなければならない中では、もう一度調査検討をする必要が私はあるのではないかな、そんなふうに思っているんですけれども、その辺はいかがでございましょうか。

○只腰施設計画部長 初めに、多摩都市モノレールの会社の現在の経営状況でございますが、いろいろ営業努力等を重ねているわけではございますが、平成十二年度で見ましても損失が三十六億五千万円、累積で百三十三億円余りの損失がございまして、経営的にはなかなか厳しい環境にあるわけでございます。
 一方、今ご指摘いただきました次期整備路線につきましては、多摩島しょ振興推進本部の決定、これは平成四年でございますので、ご指摘のように、九年余りが経過しておるわけでございます。多摩の都市づくりにおきましても、市街地のいわゆる外延的拡大が鎮静化する傾向にある。一方、八王子、立川、多摩あるいは町田の各都市の拠点性を高めていくようなことが引き続き大きな課題になっていることも事実でございます。また、先ほど発表がありました東京の新しい都市づくりビジョンにおきましては、こうした動向を踏まえながら、多摩都市モノレールにつきましては、事業採算性、あるいは沿道のまちづくりの動向を踏まえながら検討を進める等の記述があるところでございます。
 私どもといたしましては、今後とも、都の財政状況、あるいは会社の先ほど申し上げたような厳しい経営状況、さらには延伸路線の事業採算性、また、まちづくりの動向等、種々の要因があるわけですが、このような要因を踏まえながら、引き続き検討してまいりたいというふうに考えております。

○吉原委員 今、いろいろお話しいただきましたけれども、多摩都市モノレール、大変な赤字だろうと思うんです。そしてまた、今、多摩市や日野市、立川市を初め、五市の皆さんが平成十一年から十五年までの予定の中で無利子の貸し付けをされていると思うんですね。そのトータルの金額が七十五億円ということでございますから、これから建設費も--私も多摩都市モノレールに乗らせていただきました。大変駅も立派で、乗り心地のよいものだと思っております。いいものができたなと思っております。しかし、お金がないといわれているこの時代に、東京都もない、あるいは各市町村もないといっている時代でありますから、駅舎といいますか、駅の施設についても、それぞれのところでコストダウンできるものはもっとしてもいいんじゃないかな。そういう検討をこれからもっとしていかなければいけないと思っておりますけれども、その辺についてはいかがでございましょうか。

○只腰施設計画部長 先ほど申し上げたようなことで、会社の経営がなかなか厳しいということで、東京都も無利子の貸付金百六十億円、それから、沿線五市におきましても、今ご指摘ございましたように、総額七十五億円の無利子貸し付けをするということで、会社の黒字化までの期間につきまして、運転資金の支援をするということでやっているものでございます。これによりまして、多摩都市モノレールの経営の安定化に資することができるのではないかということでございます。
 一方、全般的に考えてみますと、多摩都市モノレールは、中量輸送の交通機関といわれておりますが、需要に見合った規模にする。あるいは、ご指摘いただきました駅につきましても、最初から全体計画に合った駅にはなっているわけですが、その辺につきましては、もう少し段階的な建設等のやり方も、もしかしたらあるのかもわからないということは、先生のご指摘のとおりでございます。また、開業後につきましては、民間会社でございますので、運賃収入での経営が成り立ちまして、また、借りたお金がちゃんと返せる、そのようなスキームをつくっていくことが重要なのではないかというふうに考えているところでございます。
 今後、延伸等の動きがあるわけでございますが、建設コストを一層縮減していくこと、それから、地元や公共団体の負担を含めました会社の経営基盤の強化、それから、基本的には導入空間の確保に向けた地元の努力、また、沿線開発を促進しませんと乗客増につながらないというような、いろいろな課題を解決していくことが必要であるというふうに考えております。

○吉原委員 金額の見通しのことで大変恐縮でございますけれども、今七十五億円が各自治体の方から出されているということでございます。そんな中で、平成十五年までということでございますから、今の多摩都市モノレールの経済状況を考えたときに、その先、十六年度から、そこまでいけば、多摩都市モノレールは、現在の中では企業として安定できる、そういうふうなお考えに基づいているんでしょうか。

○只腰施設計画部長 多摩都市モノレールに対します経営の支援策につきましては、平成十一年十月に関係団体等で話をまとめたわけでございます。いずれ会社がみずから資金調達をできるまでの、単年度黒字になるまでの期間、これまでに資金不足がどうしても出ますので、それに対して支援をしようということで行っているものでございます。最終的にはこのスキームによりまして、現在のところ、会社がみずから資金調達可能な形になるのではないかというふうに考えております。

○吉原委員 ぜひそうあってほしいと思っている一人でありますけれども、これは正確な数字かどうかわかりませんけれども、多摩都市モノレールが、今までの中では一キロ当たり百七十億円、そういう建設費用がかかっているわけでありまして、そんなことを考えますときに、まだ九十三キロまではほど遠いな、そしてまた、それぞれ自治体の中で、自分のところに敷かれて、市民の皆さんが多く活用できるようなことがあれば、それはどんどん各自治体にも応援していただくべきだ、私もそういうふうに思っております。そんな意味でも、建設コストをダウンできるような、そういう方策をこれからもぜひ考えていただきたい、そういうふうに思っております。
 ただ、今トータル的にお話を聞きますと、乗っていただける方がどれだけいるかによって、その運営が安定するかしないかということが大切ではないかな、そういうふうに感じております。先ほどの繰り返しになって恐縮でございますけれども、六十三年、平成三年に調査検討された、そして、運政審の方でもそういう答申が出たということでございますけれども、トータル的なことを考えて、多摩の中では南北交通というものが不足していることは確実であります。三多摩にお住まいの方もいらっしゃると思いますけれども、先ほど大河原委員からも、区に住んでいるけれども三多摩の方については交通が不便だというありがたいお話を聞きましたので、大河原委員にもぜひ応援していただきたいと思いますけれども、そんな意味で、これからは、運政審の答申もありますけれども、東京都は東京都として、そして、多摩都市モノレールの会社がいかにしたら安定した運営ができるかということを考えると、もう十年前後たっているわけでありますけれども、もう一度東京都として、どこが一番利益が上がって、会社が安定した運営ができるかということを考えていただく必要があるのではないかな、そんなふうに思っているところであります。そんな意味では、輸送とか、交通ネットワークとか、さまざまあるんだろうと思いますけれども、ぜひ局長にその辺のところをもう一度お尋ねさせていただきたいと思います。

○木内都市計画局長 励ましのお言葉をいただいたと同時に、いろいろな問題点もご指摘いただいて、感謝申し上げます。
 鉄道については、地域の住民も非常に強い要望を持っている、そして、地域の開発にも資するものであるということの認識は共有できるかなというふうに思っております。しかしながら、この間を見てみますと、東急の大井町線以降、民間において一般的な路線の建設というのは現実にはないということは、そうした鉄道のキャピタルコストを回収できるような何らかの方策というのは、かつては周辺土地の開発を通じての吸収みたいなのがあったわけですけれども、今日の事態においては、そうしたことも困難であって、キャピタルコストを回収することはもはや不可能であろうというふうに思っております。
 それと同時に、ランニングコストについても、キャピタルコストがゼロであったとしても、先生申されているような適正な乗車運賃と確実な需要の見込みの中で、日々の運行、運営も経営的に成り立つかどうかということも地域によっては難しいところがあるんだろうというふうに思っております。そんな意味では、モノレール全体九十三キロということが、当時の時代背景、バブル華やかなりしころの平成三年、四年にできたわけですけれども、こうした計画自体についても、今の時点において、今日の時点に振り返ってみて、改めて考え直さなくちゃいけない時期に来ているのかなということも思いつつ、前段で申した要望にもこたえていかなければいけないということが、我々都市計画局としての苦しい立場にあるということもご理解いただきたいというふうに思っております。
 そんな意味で、中段に申し上げた初期投資について、地元負担とか、そんなこともこれから考えていかないといけないのかなというふうに思っていると同時に、建設コストの縮減についても取り組んでいかなければいけないと思っている次第でございます。
 いずれにいたしましても、難しい問題提起がありましたというふうに思いますので、いろいろ考えさせていただきたいというふうに思っております。

○吉原委員 今、それぞれお話をいただきましたけれども、いつの新聞か忘れましたけれども、石原知事が、多分上北台-箱根ヶ崎の件だろうと思いますけれども、そのことだけではなくて、今、私たちの三多摩の中でも、都道の中で、昭和三十五年とか六年とか、そのころに都市計画決定していただいた道路がたくさんあるんです。そこのところには、当然、住民の方、あるいは会社があるんですね。今から三十何年前の中で、企業の人たちがそこのところを、古くなったから建てかえたい、あるいは、どこかにもうちょっと大きいものをつくりたい、増築したい、コンクリートでやりたい、そういったときに、都市計画決定されている中では、さまざまな障害がありまして、どうしていいかわからないというのが現状なんです。
 それが、例えば十五年、二十年、二十五年の中でそのことが解決できていけばいいわけでありますけれども、既に三十五年も六年も、四十年近い年月が過ぎても、そこが整備されないような現状の中で、新聞の中では、お金がかからないから--これは石原知事を批判するという意味ではありませんけれども、お金がかからないから都市計画決定だけは早くやろう。これはモノレールということではなくて、一般道も含めてでありますけれども、そういう考え方はいかがなものかな、私は、個人的にそう思っております。もしそういうことがなされるようなことであれば、私は本当に声を大きくして反対していく覚悟でいるんです。
 そんなこともありまして、今のお話を聞きますと、導入空間がゼロのところが、今そういう状況にある。あるいは、四七%、六%のところがまだまだ先だよ、こういうことが本当に果たしていいんだろうか。もしお金がかかり過ぎて、どうしてもだめだというのであれば、長期的に見てもだめだということであれば、だめだという結論を今出していいかどうかわかりませんけれども、長期に見た中で、そういうことが不可能に近いということであれば、ほかの方策を考えていかなければいけないわけであります。
 私たちは、生活している中で、どうしても南北道路というものは、多摩には必要なものなんですね。そのことを理解していただきまして、ぜひとも多摩モノレールを継続しながらご検討いただく、あるいは整備していただくことはぜひやってもらいたいと思います。しかし、もう一方では、そうでもないという意見もあるということも、皆さんの中で記憶にとどめていただいて、じゃ、何ができるものがあるのかということもご検討いただけるとありがたいな、そういうふうに思っております。
 もう一点質問させていただきたいと思いますけれども、今、古くて新しいといわれている路面電車、LRTがだんだん話題になってまいりました。特にヨーロッパの方では、大変使い勝手がいい、年配の方が道路からLRTの電車の中に足を踏み入れるのも楽だ、市民生活にも大変便利がいい、そういう評価をいただいていると思うんです。そんな中で、これからは、古くて新しいといわれているかもしれませんけれども、地域によった中では、LRTというものを、もっと深い検討をしていただくべきではないかな。都市づくりビジョンの中にも入れていただいてありましたけれども、技術的な支援をしていく、いろいろ考えていくというようなお話もありましたけれども、もっと積極的な形の中で検討していただくほどの価値はあるんだろうと思います。しかも、建設コストは、平均しても、キロ当たり二十億とか、二十五億とか、そのぐらいで済む金額だろうと思うんです。必要なところには、そういうものをご検討いただくために、局の中でもう少し深い議論をしていただいて、前向きに進めていただけたらありがたいな、そういうふうに思いますけれども、いかがでございましょうか。

○只腰施設計画部長 LRTでございますが、今ご指摘ございましたように、自動車交通などに比べまして、環境に優しい。また、低床式の機材であれば、バリアフリー化等にも非常に有効だということで、今お話がありましたような、ヨーロッパ等では広域的な公共ネットワークを補完するような交通機関として活躍しているわけでございます。都といたしましても、平成十一年十二月にLRT導入に関する調査の結果を公表いたしまして、どういう性格を持った施設か、あるいはどういうところで導入したら効果があるかというようなことを検討した経過がございます。
 いろいろ課題もあるわけでございますが、基本的には、先ほど申し上げたようなことで、地域交通を担う公共交通機関として非常に有効なのではないか。そういう意味では、基本的には地元の自治体が主体的に取り組むべき課題ではないかというふうに考えているわけでございます。
 ただ、都といたしましても、東京の新しい都市づくりビジョンにも記載されておるところでございますが、区市町が導入することに対して、いろいろ研究したり、既にやっているところもあるわけでございますが、そういったところに対しましては技術的支援、あるいは情報提供等を行い、また、連絡調整を密にいたしまして、そういう面で努力をしてまいりたいというふうに思います。

○吉原委員 今、LRTのことで技術的な支援もというお話がございましたけれども、もし、その範疇でお答えいただければありがたいと思っておりますが、技術的な支援ということは具体的にはどういうことなのか、お聞かせいただきまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

○只腰施設計画部長 LRTでございますが、軌道系の交通機関ということで、それを新設するということになりますと、性格としては地域交通に当たるわけでございますが、なかなか法制度上、例えばどういう補助制度を適用したらいいか。あるいは、道路に敷設する際、軌道法というような法律を使うわけでございますが、その際、道路管理者たる--都道が多いと思いますが、そういうところとの調整をどうしたらいいか。それから、一般的には交差点等では立体化等も必要になるわけでございまして、そのような物理的な課題がたくさんございます。また、警察、あるいは場合によったら国との調整とか、そういうことで、いろいろ課題があるわけでございまして、その辺につきましては、都の広域的な自治体としての経験等もございますので、その辺の面で協力ができるのではないかということで申し上げたわけでございます。

○小磯委員 私、新宿歌舞伎町ビルの火災についての質問をさせていただきます。
 今回の緊急安全点検の実施状況の中に、建築基準法上の不適合の棟数、そしてまた維持管理上の不良の棟数等が出ております。全体の二千八百件のうち、建築基準法上適合し、かつ維持管理上も良好なものは何棟あったのか、また、不適合かつ維持管理不良であったものが何棟であったのか、数字を教えていただきたいと思います。

○森下建築指導部長 点検棟数二千八百棟のうち、建築基準法上も適合しているし、かつ維持管理上も良好である、いずれの問題もなかったものというのが七百九十五棟、約二八・三%でございます。いずれの面でも問題があるというものが七百七十二棟で、二七・五%でございます。

○小磯委員 両方ともクリアしているビルが二八・三%ということで、全体の三割にも満たないということでございます。前回の質問で、建築基準法上の定期報告をしていない理由として、都市計画局としては、その建物の所有者、管理者の防災に対する認識が低い、こういったことを理由として挙げておられましたが、まさに認識の低さがこの数字にあらわれているんだろうと私は思っております。三割にも満たないことについて、どのようなご所見をお持ちか、局長にお伺いしたいと思います。

○木内都市計画局長 先ほど提出いたしました資料8にもありますように、この数字、全部で点検件数二千八百ですけれども、ある種の延べでもって数えていくと、相当な、倍にはいかないかと思いますけれども、一棟でもって複数の法令違反、あるいは管理違反という状況が生じているということで、非常に残念というか、大変問題であるということを改めて感じた次第ではございます。ただ、相手がといいますか、そうした特別な用途、特殊建築物の中のある種の部分ということで、通常のオフィスとか、そういったものとは違うんだろうとは思いつつも、しかしながら、重大な問題であるというふうにとらえているところでございます。
 そんな意味では、先ほど建築指導部長申しましたように、区市ともども指導の強化に乗り出さなければいけないと。少ない人員の中でありますけれども、関係機関とも協力しながら、指導の強化を、先ほど一罰百戒という言葉がありましたけれども、そんなことも考えながら、指導の強化を図ることが一点。それと同時に、あわせて、今、建築基準のあり方といいますか、ああした建物が林立するような状況というのが許容されるということがどうなんだろうかということの基本的な問題も一つあるのかなというふうに思っております。これらにつきまして、そういう基準のあり方につきまして、国ともいろいろ協議しているところでございまして、国や二十三区八市とも協議をしながら、そうした問題についても一定の答えを出していくべく努力をしていきたいというふうに考えているところでございます。
 いずれにいたしましても、重大な問題と受けとめているということについては同じゅうするものでございます。

○小磯委員 今回、二千八百件の点検をされたわけでございますが、指摘された建築物の多い地域はどういったところなのか、お伺いしたいと思います。

○森下建築指導部長 今回の点検で指摘の多い地域でございますけれども、新宿とか渋谷とか池袋などの大規模な繁華街を有する地区で今回の指摘をされるような建物が多く見られたということでございます。

○小磯委員 屋外の避難階段の開放性が不足しているというのが、基準法上の不適合の内容として出ておりますけれども、これは具体的にはどのようなことでしょうか。

○森下建築指導部長 屋外の避難階段と申しますのは、火災時に煙とか有毒ガスが滞留しないように外気に開放されているということが求められる階段でございます。具体的にいいますと、階段の周りの二分の一以上は外気に開放していることが必要であるとされております。この開放している部分を、目隠しとか、雨の吹き込みがあるというようなことで、パネルとかシートで覆うようなことがございますけれども、そうしてしまいますと、屋外階段としての機能が阻害されまして不適合になる、そういうことでございます。

○小磯委員 避難階段を設けなければならない建築物というのは何階以上の建築物なのかということ、そしてまた、法的に避難階段の設置義務がない建築物に対しましても、避難バルコニーなどの避難設備の設置を義務づけるべきではないか、私はこう思いますが、いかがでございましょうか。

○森下建築指導部長 避難階段と申しますのは、通常、一般の階段とは異なりまして、耐火構造とするとか、あるいは避難階に直通しなければいけないというような、避難が容易になるような構造でなければならないものでございます。そのような避難階段としては、原則として五階以上に階がある建築物については設置が要求されることになっております。
 それから、避難バルコニーの設置でございますけれども、先ほどご答弁申し上げましたけれども、階段が一カ所しかないような場合には特に二方向に避難するという意味からしますと、避難用バルコニー設置は大変効果的なことであると思っております。そういった点につきましては、今後、建築基準の見直しの中で、一つの方法としてぜひ検討してまいりたいと思っております。

○小磯委員 今回の点検で問題があると指摘された建築物には、今後どのような対応をされていくのか、そしてまた、改善指示に応じないビル、また定期報告の未報告者については、この前も申し上げたわけでございますが、ビルの住所、そしてまたビル名を公表すべきではないか、こう私は思うわけでございますが、この点についてお願いしたいと思います。

○森下建築指導部長 点検に際しましては、随時改善指示も行ってきたところでございますけれども、建築物とか設備の改修等が必要となるようなものにつきましては、さらに指示改善書を出すなどして改善指導を強めていきたいと思っております。
 なおかつ、改善ができないような場合に、ビル等の公表をしたらどうかというようなことでございますけれども、これもまた一つの新しい制度に基づくことになるかと思いますので、現状としてはそういうものはございませんけれども、従来から行われております定期報告制度の中で、そういった維持改善状況の問題のあるものについてはできるだけ改善させていくというような指導は強めていきたいと思っております。

○小磯委員 定期調査報告をした建築物に対しては、報告済みであるということを証明するマーク、これが既にあるわけでございます。ただ、そのマークを交付していても、なかなか目立たない。マークをわかりやすいところに表示させるということについてPR等の工夫をしたい、このような答弁が前回の質問であったわけでございますが、わかりやすいところというのは具体的にはどこになるのか。そしてまた、PRの工夫ということについてはご検討していただきましたでしょうか。お伺いしたいと思います。

○森下建築指導部長 定期報告調査済みのマークでございますけれども、わかりやすいところという意味でいえば、利用者が利用します入り口付近ということになろうかと思います。
 それで、PRの工夫でございますけれども、実は、検査済みのマークにつきましては、各特定行政庁がございます都道府県で、それぞれ違う図柄のものを使っているのがこれまで実態でございました。できるだけ利用者の方にもわかりやすくするために、全国で統一したものをつくろうということで、現在そのマークもほぼ固まってきたような状況でございます。そういったことでございますので、全国共通のマークとして、できるだけ定着するようなPRの工夫をしていきたいということを考えております。

○小磯委員 この都市づくりビジョンの中に、都民の皆さんの意見に対する回答というのが出ております。その中に、ビル火災などへの対応としては、関係機関の緊密な連携によって日常的なチェック体制や維持管理体制の把握を強化していきます、こういうことが書いてございますが、具体的にはどういうことなのかをお伺いしたいと思います。

○森下建築指導部長 一つは、今ご説明しました定期報告制度でございますけれども、建築と施設設備とエレベーターの三つの種類で定期報告をやっております。それぞれを実施しております関係機関等でいろいろな情報を持っているわけですけれども、それらの情報を相互に把握し合うというようなことで、督促等について有効なものにしていきたいということが一つございます。
 もう一つは、営業許可、例えば風俗営業の許可、これは警察の方でやっておりますけれども、あるいは、飲食店の営業許可等のいろいろな許可をする行政がございますけれども、その許可に際しまして、建築基準法上の建物のチェックというものを連動させるような仕組みをできるだけうまく活用していきたいということで、そんな連携体制の強化について検討しているところでございます。

○小磯委員 前回の質問のときにも、私、それぞれの局のデータを共有していくことが大事である、こういうことを申し上げました。そのデータの共有の中の一つに、地理情報システム、GIS、こういったことをしっかり活用してはどうかということも申し上げた次第でございます。総務局の方でも、こうした地理情報システムの一つの共用化ということをやっていくということをいっておられました。そういった意味では、今回のビル火災を一つの契機にして、都市計画局、そしてまた消防、そしてまた衛生局関係でしょうか、そういったことの情報の共有化についてもご努力いただければと、こういうふうに思っております。そうした要請をして、私の質問を終わらせていただきます。

○清水委員 都市づくりビジョンについて伺います。
 先ほどからも触れられていますように、都政を取り巻く経済状況、そして財政状況、自然環境状況などは大変重要な段階に来ているというふうに思います。今、東京都政が、都市計画局が、都市づくりをどのように進めていくかということが重要な意味を持っているというふうに思います。そういう意味で、私は何点か伺いたいと思います。
 この都市づくりビジョンでは、需要対応型の都市づくりを政策誘導型都市づくりに転換するとしていますが、その具体的な意味はどのようなことなのか、改めてお伺いいたします。

○河島参事 これまでの都市づくりにつきましては、人口の増加と経済の拡大の中で、都市化によって生じました課題とか変化に対していかに適切に対処するか、そういったことを主要なテーマとした、いわば需要対応型の都市づくりといえるようなものであったのではないかと考えております。
 二十一世紀を迎えまして、人口減少時代の到来を今間近に控えているわけです。こうした時代にありましては、これまでのような増大する需要に対応することを主眼とするような都市づくりでは十分ではないというふうに考えております。これからは、目指すべき都市像を明確にして、その目標に向かって着実に都市づくりを進める政策誘導型都市づくりに転換することが不可欠であるというふうに考えております。

○清水委員 人口増加と経済拡大により生じた課題に対応する都市づくりがいろいろな今の困難をもたらしてきたから、転換するというふうにいわれるわけですが、一体それは何が原因だったのか。そのことについてはこれまでの東京都のさまざまな都市づくりの問題に対して明確にいわれていないままに転換するというふうにいわれていると思うんです。
 転換するというふうにいわれますけれども、全体の内容は、今いわれた問題のどこを転換するのかということも、私は明確に打ち出されているというふうには思わないわけです。抽象的な議論になるわけですけれども、実際には、今いわれましたように、これまでの需要対応型都市づくりというのならば、その方向によってさまざまな問題をまだ抱えているわけです。それは解決されていないわけです。
 ですから、これからの都市づくりを進めるに当たって、私がまずいいたいことは、転換というんですけれども、需要対応型都市づくりを進めてきて、それがどこが間違っているかということがまず明確にされないまま転換といわれていることが一つ問題だということと、それから、それによって起きた、生じている問題に対してもきちんと対応するということ、つまり、それが需要対応というふうにいわれるかどうかわかりませんけれども、需要への的確な対応。これまで起きている的確な対応と、それから将来に向かっての政策の目標を明確にする。そういう二つの側面の結合を図っていかなければいけないということをまず申し上げておきたいと思います。
 例えば、将来は、この河川というのは埋め立ててしまうと。しかし、現在、住民にとっては大変危険な状況が起きているということになれば、それは目の前にある問題に対しては、当然のことながら、対応しなければいけない。しかし、それは、将来的な目標がたとえあろうとも、目の前の問題を解決しなければいけないということでは、的確な対応と将来的な目標に向かってどういうふうに政策を誘導していくかということの、両方を結合していかなければいけないというふうに考えているわけですけれども、その点についてはどのようにお考えですか。

○河島参事 ただいまご指摘いただいたことは、ある面で、この都市づくりビジョンの考え方をうまく表現していただいたのではないかなというふうに思っております。と申しますのは、三ページの本文の中にもございますように、いろいろな問題が生じて、それが必ずしも解決していない。そういった問題に対応することは当然必要。ただ、これまでの都市づくりがそういったところばかりにどうしても集中しがちで、これから変わってしまう時代というものをきちんと見込んで--需要がもたらす問題だけ対応するという、そこのことばかり考えていたのでは、これからの時代に対応できないのではないか、その問題意識から、需要対応型都市づくりの視点よりも、政策誘導型都市づくりの視点をきちんと持った都市づくりに転換しなければならない。こういうような考え方で、このビジョンはつくられております。ですから、まさに、今委員がご指摘いただきましたようなことは、三ページから四ページに書いてあることでございますので、そういうことでよろしいのではないかというふうに思います。

○清水委員 そうすると、具体的に掲げられている内容というのは、今いわれたような問題が本当に解決できるのか、将来に向かってそういうまちづくりができるのかということを、具体的に一つ一つ見ていくと、そういう方向にはならないというふうに--私は、幾つも挙げられるわけではないから、ここでは二つほど挙げたいと思うんですけれども、まず、将来の目指す都市像というのをゾーン別に分けていますね。幾つかに分けていますけれども、その将来の都市像ごとのゾーンごとの将来人口、また、業務床面積というのは予測をされているんでしょうか。とりわけ、センター・コアの人口、業務床面積というのは、二〇二五年でどのようになるというふうに予測されているのか、お伺いしたいと思います。

○河島参事 センター・コアという面では一定の想定をしたものがあるんですが、まず基本的に今回のビジョンで総体の人口の一応の見通しはつけておりますが、個別の地域ごとの人口配置計画といったような意味合いの人口予測はまず行っておりません。それからまた、オフィス床面積、業務床面積につきましても、非常に時代の変化が激しい中で、これは例えばIT革命の進行、産業構造の転換、企業組織の変化、景気動向等と密接にかかわるものでありまして、二十五年間という長期のスパンで意味のある予測値を示すことは現実的に困難と考えておりまして、そういうこともやっておりません。
 冒頭申し上げましたセンター・コアの人口の見通し、一定のものはやっていると申し上げましたのは、本文の一〇六ページに、センター・コアにおける住宅建設戸数の見込みを約八十万戸と示しておりますが、その前提として、おおむねセンター・コアにおいて十万人の人口増加があり得る、このような想定をいたしております。

○清水委員 住宅建設戸数の八十万戸のうちの建てかえと新規の予測がされておりましたら、ご報告ください。

○河島参事 八十万戸というのはラウンドナンバー、丸めた数値でありまして、私ども、一応の想定に基づく計算をいたした中では、十三万戸が新規の増でございまして、それでその余--全体で七十七万戸というのが、もう少しけたをおろしたところで明快な数値を出した場合の数値です。それを丸めて約八十万戸としております。新規の増加分を十三万戸、建てかえ分を六十四万戸というふうに見込んでおります。

○清水委員 そうすると、先ほどおおむね十万人の人口増と。住宅建設の十三万戸新規ということの人口増との関連はどうなりますか。

○河島参事 二十五年間にわたりまして、一方で、平均世帯人員もやはり変動してまいります。この平均世帯人員が、どういうふうに見込むかということはあるわけですが、現状の推移などを見て、約二・二人が一・九人といったような、そういう平均世帯人員の減が見込まれるとすると、これは建てかえ分の方についても、世帯増になっていく。そこで、分裂していくというんですか、膨らんでいくという現象が生じます。したがいまして、人口の十万に対応する住宅だけ確保すればすべておさまるということではなくて、建てかえ分にかかわる方についても、平均的な算定をいたしますと、そこでの世帯増に対応する住宅確保が必要になる、そういう意味で十三万戸ということでございます。

○清水委員 将来人口が十万人という予測というのが、いろいろな計画などが予測されていることから見ると、これが本当に妥当なのかどうなのかということは、きょうはそちらがそのように数字を出しましたから、これというふうに受けとめますが、今まで出されてきているセンター・コア内、二十六カ所ですか、二十六地区のそれぞれの開発の状況、それから、これから予定されている開発の計画などを見ると、とても十万人の人口増というふうには思えないんですが、きょうは十万人というふうにいわれたので、それを受けとめたとして、これまで十万人という数字は、東京構想の中にも、それからまた都市づくりビジョンの審議の過程の中でも出ていたんでしょうか。出ていなかったと思うんですけれども、この数字というのは、東京都としての決定であるというふうにとらえてよろしいのでしょうか。

○河島参事 先ほども答弁で申し上げましたように、ゾーン別の人口配置計画といったような意味合いでやったものではございません。センター・コアにおける住宅建設が今後どのくらい行われていくのであろうかといったようなテーマに対して算定したものでございます。そのことにつきましては、都市計画審議会における議論においても、先生方にご相談しながら、その設定をしております。
 なお、つけ加えますと、都市計画審議会のときの議論では、国勢調査の関係で、一九九五年から二〇二五年までということで、三十年間という期間で考えておりましたので、約百万戸といういい方をしておりました。それは、今回、二〇〇〇年から二〇二五年の二十五年間で約八十万戸といういい方にいたしております。

○清水委員 都としての決定かと聞いたんです。

○河島参事 失礼しました。決定であるのかどうかという、そのお答えを忘れておりました。
 申し上げましたように、人口配置計画というような意味合いでやったものではないということは、東京都としての決定ということではございません。

○清水委員 そうすると、都としての決定ではないということですが、今後、我が党としては、センター・コアでの予測人口、おおむね十万人ということを前提にして議論をするけれども、そういう数字なんでしょうか。

○河島参事 人口を都市計画の中でどうするか、あるいは都市の中の全体の都市経営的な面でどうするかというのは、人口フレームといったような面では、重要な意味を持つものかと思います。そういったことについて、私ども、今申し上げましたように、全体的に全部おさめるような議論をやろうとするならば、それは個別の地域ごとのすべてのそういった検討をやって、そういった配分といったようなこともやっていかなければならない。再三申し上げることですが、そういうような意味合いではやったものではないということでございますので、あくまでもセンター・コアの建てかえ戸数の見込みに使われた、一つの前提とした想定数値でございますという意味合いでご議論いただけたらというふうに思います。

○清水委員 そうすると、私が最初に申し上げましたのは、これからは政策誘導型都市づくりだというふうにいわれたわけです。それを展開していくということは、それは最初の議論はおいておくこととしても、もしそうであるならば、今、センター・コアのおおむね人口予測といわれましたけれども、ゾーンごとにどれだけ人口の予測をするのか。そして、センター・コアがどれだけの人口予測をするのか。それによって社会基盤の整備がどれだけ進められていかなければいけないのかということが、政策の目標として出てくるのではないかというふうに思うんですね。
 それで、じゃ、センター・コアの十万人なんですけれども、二〇一〇年をピークとすると--この都市づくりビジョンの中では二〇一〇年をピークにしておりますね、千二百二十六万人。そして、それから順次下がってきて、二割減が一割減程度になるだろうということで、二〇二五年が千百八十二万人になっているわけです。それで、二〇一〇年から二〇二五年までだとすると、約四十四万人、東京都全体としての人口は減少していくということですね。それは確認したいんですけど、どうでしょうか。

○河島参事 今、本文五ページの東京都の人口の見通しで、ピークの千二百二十六万人、二〇一〇年値と、二〇二五年での見込み、千百八十二万人、その差が四十四万人ということでございますね。それはそういうことになります。

○清水委員 そうすると、東京都全体の人口は二〇一〇年をピークにして徐々に減少していくと。しかし、当初、国立社会保障・人口問題研究所によると、ここで計算していくと、全国の人口の減少の流れが出てくるわけですけど、そこの数字だと、東京都の場合は、二〇二五年には九百四十万人ぐらいになっているわけです。ここの都市づくりビジョンでは、千百八十二万人ということで、約二百四十万人ぐらいの差があるわけです。それはいろいろなものを講じてやるというふうにいっているわけですけれども、一般的に計算した場合の二百万人程度の差と、そして、都がここに出している四十四万人余りの人口減少の差と、その差というのはどういうふうに出てくるものなんでしょうか。

○河島参事 今お話のありましたように、五ページで、いろいろと政策を打ちながら、子どもを産み育てやすい環境をつくるとか、あるいは、住みやすい環境をつくって定着性を高める、そういうことを通じて初めて達成されるものであろうと。全体の自然のトレンドによれば、もう少し大きな減少幅になってしまうかもしれないという中での千百八十二万人というのがございます。そういうような話がこれから全国ベースでどのくらい行われるのか。それから、地方地方、それぞれ地域ごとにどのくらい行われるのか。そういったことを総合しなければ、全体の中の配分というのは、現実には見通しを得ることは難しいと思います。ただ、東京都の都市づくりビジョンの前提として、単に全国のトレンド予測がそういうふうに落ち込むから、それに合わせた数値を採用するんだ、そういうことではおかしいのではないかという都市計画審議会の議論をもとに、政策的努力をしながら、一割程度の減少にとどめる。そういう想定のもとでこの全体の見通しを立てたということでございます。

○清水委員 そうすると、都の人口フレームの、出してきた理由はわかったんですが、しかし、二〇二五年までに四十四万人が減少していくという予測の中で、センター・コアには十万人をふやそうということですよね。そういうことですね。そうすると、私、十万人で済まないんじゃないかというふうにも、先ほど触れたんですけれども、東京都全体で減っていくときに、センター・コアで十万人ふえていくということは、どういうことですか。

○河島参事 この都市づくりビジョンで目指しております都市構造の考え方というのが、環状メガロポリス構造という考え方です。環状メガロポリス構造の考え方というのは、センター・コアとか、環状都市軸の中の核都市を中心とした、そういった拠点とその周辺の居住地域ができるだけコンパクトな職住近接の都市構造をつくっていこう、こういうことを目指すべきだろうという考え方に立っております。したがいまして、今の空洞化したセンター・コアの人口が回復するということは、そういう意味合いからも、職住近接の都市構造をつくるという意味では大変望ましい方向であるし、また、環境的に見ても、エネルギー消費の少ない、そういう都市ができるということにもなるかと思います。
 そういうような意味合いで、今後の都市の中の人口の動向というのが、これはきめ細かく予測することは大変難しいわけですが、センター・コアとか、あるいは環状都市軸を中心とした地域の中で、できるだけ職住近接のそういう都市構造に再編されていく。こういったような方向は、この都市づくりビジョンの中で想定している将来へ向けた一つの目標であるというふうにいえるかと思います。

○清水委員 それならば、センター・コアの地域内というのは、現在の人口というのはどの程度あるんですか。

○河島参事 二〇〇〇年の国勢調査で、センター・コアは、おおむねといいますか、環状六号線、荒川の内側の区域というふうに考えているわけですが、行政界できちんと切れているわけではありませんので、本当に道路とか河川の内側の居住人口を算定するというのはなかなか集計が大変な話になります。私どもは、大体区域の過半がその中に入っているような区について拾う。十一区になりますが、その区を拾いますと、約二百十万人が二〇〇〇年の国勢調査での居住人口ということになります。

○清水委員 十一区の二百十万人というのが空洞化しているというかどうかということは、それぞれのそのことの判断の違いがあるでしょう。都心は今非常に過疎化していますよという人もいるし、都心は大変過密しているよという人がいるというのも、いろいろあるわけですけど、しかし、先ほど四十四万人余りが減っていく中で、十万人がセンター・コアにふえていく。一体この十万人というのはどこからふえていくのかということを考えたときに、都市づくりビジョンの内容というものが明確になってきていると思うんです。全国的な人口の減少状況というものもまだはっきりと定まっていない。東京都全体の人口の減少状況はわかっている。そういう中で、今まで解決すべき問題としては、都心に、とりわけ都心三区に集中してきた人口を拡散しようということでやってきたわけですけれども、今、このセンター・コアに十万人ふやしていく。十万人でそれが終わるのかということもあると思うんです。
 都市づくりビジョンの中では、民間のノウハウを生かして都心居住推進ということで、先ほどいわれたように、住宅建設が進められていくわけですけれども、民間の力を使って都心に居住環境を整備していくということは、必ずそれが整備されるというふうにもならない。しかし、それぞれの企業が競って、そして、数多くの居住環境、住宅をつくって、それが今の経済状況の中で、必ずしも販売できるのかという両面があると思うんですね。そういう都市づくりビジョンで、センター・コアに人口を集中しよう、都心を再生しようということで、居住の人口をふやそうという、その政策というのが、私は、必ず大きな計画のもとでつくられたというふうに思えません。
 だから、政策誘導といっていますけれども、本当に将来的な人口が幾つになって、ここが幾つになって、そういうものの中から出てきたものとも思えないし、それから、それを進めてきた場合に、市場の原理で住宅が提供されていくのか。余りにも住宅が多くそこに提供され過ぎて、また、それが成功しないんじゃないか。そういうような経済状況なんかとの関係ではどのように思いますか。また、市場原理をここで採用しながら進めていくことについて、どのように思いますか。

○河島参事 今ご指摘の中で、都心三区に集中する人口を外側に分散してこようとした。そういうことは今までの都市政策でやっていなかったことでございます。都心に集中する業務機能に対する対処ということはございましたけれど、住宅を政策として外に出すというようなことはやってなかった。それは結果としてそういう状態になってしまった。その状態を何とか改善していかなきゃいけない。そういうこれまでの努力が行われて、ようやくそれが今実ってきている。そういうことだろうと。まさにそこに一つの政策誘導があるというふうに考えております。そこのところは非常に基本的なところですので、申し上げておきたいと思います。
 ちなみに、センター・コアの人口が、先ほど現状は約二百十万人だと申し上げました。これが一九六〇年では三百十五万人あったんです。百万人以上減っております。そういった空洞化ということを、これは我々も反省しなければいけないわけですが、都市の中で、そういう都心から人口が流出するような状況をつくり出してしまったことについてどうしていくのかということが大きなテーマではないか。そういうことに対して今いかに対処するかということが非常に重要な政策課題であり、それをいかに政策誘導するかということで、私どもは新しい仕組みなども提案いたしております。
 その中で、公共的な資金を使ってそれをやるということではなくて、民間のエネルギーをできるだけ活用できるところについてはそういったものを有効に生かしながら、特に、先ほど申し上げましたように、二十五年間という長期にわたって見れば、個別の建物につきましても、建てかえ時期をやがて迎えます。そういった建てかえのエネルギーをうまく統合して、望ましい方向に持っていくということが政策誘導の重要な課題でございます。そういう中で、市場の原理がそこに働くことも当然それは必要であり、十分考えられることです。ですから、そういったあたりについてこれからうまく誘導していく。その辺が都市計画の、一つのある面で腕の見せどころというようなところではないかというふうに思います。

○清水委員 しかし、このビジョンの中身を見ると、うまく誘導していくというふうにいわれますけれども、この都心居住推進のセンター・コア内に対しての計画というのは、最初に申し上げましたように、十万人の増でふえる、そういう内容なのかということなんですね。民間がそれぞれ競って高い居住マンションなどを次々と建設していく中で、一体どれだけ提供されるのか。そして、もしもすべてそこに集中した場合、じゃ、今まで東京一極集中を是正しようといってきた。それを是正して、成熟社会に向かっていくというときに、新たにセンター・コア内に人口を集中させる方向にあるのではないかということをいいたいんです。それは、先ほど十万人の増といいますけれども、しかし、都内全体が四十万人減っていく中で、十万人の増というのは、過密ではないといわれるかもしれません、過密ではないですけれども、その比率ですね。かつてのように、超過密状況ではありませんけれども、その比率ですよ。東京全体の中でそこが占める比率がどうなのかということが都市づくりを誘導するということではないかと思うんですね。
 そういう意味では、センター・コアに人口の急増が予想されるというふうにも思うんですけど、その点はどのようにお考えですか。

○河島参事 センター・コアに人口の急増が予想されるというような、そういう受け身的な意味合いでこのビジョンをつくっているつもりはございません。意図的に、政策的に人口回復をしていかなければならない。そういう目標を持って取り組もうとしております。
 今お話の人口がふえることが過密の問題を生じると。これは果たして本当なのだろうか。私は、先ほど申し上げましたように、三百十五万人というような人口が今二百十万人になっている。都心区においては、よくご存じのように、小学校の統廃合が行われるような状況にある。今までの公共資本整備がありますから、地下鉄などもありますから、非常に便利な市街地ではあるんですが、そこの市街地が必ずしも有効に生かされていない部分が多い。こういったところをきちんと再編整備して、有効に生かされる。そういう土地の使い方、都市空間をつくっていくということは、これからの都市づくりの大きなテーマであって、そういうものを、まだ都市づくりビジョンの中で、おっしゃるように、具体的な数値目標化ができていない部分もございますけれど、これからの政策展開の中で、そういった具体化をどうやって進めていくのかということを十分検討しながら、適切なセンター・コアの育成、再編整備をやっていくのが課題ではないかというふうに考えております。

○清水委員 既に都心に人口が百万人ですか、今よりも多かった時代に、平成四年に東京都が当時の企画審議室で、共生都市東京というので、生活市民による豊かな都市生活環境の形成というのを出しているんですね。この中で、どういう住宅を提供したらいいのかということが当時からいわれているわけです。東京に残れる人はどういう人なのか。お金を持っていなければ東京に残れないというふうにここではいわれているんです。
 地価の高騰が勤労者の資産形成、生涯生活設計に大きな影響を与えた。住宅の資産としての価値が肥大化し、保有する者としない者との間に大きな資産格差が生じた。新しい階層格差が明確になってきたということで、東京の住宅問題の解決はどうするかという方向では、高齢者や障害者といった社会的弱者に先鋭的にあらわれており、こうした人々への対応が急がれているというようなことで、今東京にどういう住宅を提供したら人々が住み続けられるのかということを、当時の東京都の資料の中でもいっているんですけれども、今この都市づくりビジョンの中で進めようとしている住宅の環境ですね。
 さっき汐留の話がありましたけども、汐留ではできた住宅が完売されたという話を聞きました。それは億ションに近い、そういう高級住宅だというふうに聞いています。確かに東京の魅力を満喫するような、そういう高層住宅の中に住む、そういう環境は提供されるかもしれませんが、しかし、本当に今いわれたように、都民が生まれた区域に住み続けられるという環境ではさらになくなるんじゃないですか、センター・コアの状況というのは。
 私は、ただ人数だけのことをいっているわけではありません。何人がそこに住めばいいとか、何人が出ればいいとか、何人ふえればいいとかいう問題ではなくて、そこには住み続けるというコミュニティ、関係というものがあるわけです。そういうものが壊されて、新しい都市づくりがされるのではないかということをまず指摘をしておきたいと思います。
 時間がありませんので、次に移りますが、つまり政策誘導というのならば、どういう住宅をどういう人口フレームで、そして、そのためにどういう社会基盤を整備するのかということがなしに計画が立てられているということを私は指摘したいと思います。
 もう一つの問題では、時間がありませんから、簡単にいいますけれども、特に首都圏三環状道路の整備が強く打ち出されています。政策誘導への転換といわれるならば、これまでの道路政策に対して真剣に根本的に転換する必要があるんじゃないでしょうか。それは、これも必要だというふうにいわれるかもしれません。しかし、今までの議論の中で、また東京都もいろいろな対策を考えてきておりますね。渋滞解消策、交通混雑解消策、それから、先ほどの新交通システムなど、新しい公共交通などが整備される中で、そういうものが本当に整備されていったら、一体どれだけ車が減るのか。車がこれだけ減る。しかし、道路が必要だというのならば、そこでつくるというのならば、政策誘導だというふうに思うんですけれども、そういうものの政策目標も数値目標も出されないまま、三環状道路をつくるというのは、政策誘導の都市づくりと合致しているんですか。

○河島参事 三環状道路についてのお尋ねでございます。
 三環状道路の構想や計画というのは一九六〇年代からあるわけでございますが、今日に至っても全体の整備率が二〇%ということで、その実現は大幅におくれておりまして、結果として都心部の交通渋滞などが生じておるわけでございます。今回、都市づくりビジョンで提起しております環状メガロポリス構造の構築ということについて、この三環状道路は全体の都市構造の形成の上で不可欠でございまして、その整備を迅速確実に進めていくことは、まさに環状メガロポリス構造の構築という目標に向かった政策誘導型都市づくりの考え方に合致したものであると考えております。

○清水委員 三十年前から進められてきたというんだったら、それをそのまま進めるというんだったら、需要型都市づくりをそのまま進めるということじゃないですか。
 私がいっているのは、それがいいかどうかという前に、この間だって、TDMとか、荷さばきスペースとか、いろいろ工夫して都市計画局で渋滞解消のためにやってきているじゃないですか。その数値目標を出してくださいといっているんです。その数値目標を出して、自動車保有台数、そして、自動車の総量規制、そういうものをやってきたときに、本当に三環状道路が必要なのかという数値を出すことが政策誘導というんじゃないんですかといっているんですけど、その点についてはどうですか。

○河島参事 どういう目標を置くのか。それが数値的な目標を立てられれば、それを立てていくべきだ。これはわかります。東京構想で、交通の問題について、政策指標をたしか出していたと思います。それで、自動車走行速度の目標を出していたと思いますが、今委員ご指摘のように、自動車の数を減らすということが果たして数値目標になり得るのかどうか。そういうものではないではないかというふうに私は考えます。道路整備について、その道路整備が必要なところをやらないために交通渋滞を起こしてしまっている。そういうような状態が今あるわけでございまして、これはTDM施策を幾らやっても本質的な解決にはならない。TDM施策をやりながら、望ましい効率的な交通環境をつくっていくというためには、ぜひとも基本的なネットワーク、道路ネットワークはつくっていかなければならない。そういう立場に立っているわけでございます。

○清水委員 全然説得力がないと思います。TDMだけのことをいっているわけじゃないですよ。公共交通の整備など含めて、鉄道の利用とか、水の利用とか、ここに追加したじゃないですか。それも全部、将来どうなるのか、二〇二五年までどうなるのかということをきちんと目標を定めて、それで道路をつくるというふうにするんだったらわかりますけれども、先ほどの人口の将来予測も全体的にはきちんとつくられずに進められている問題。それから、将来の自動車の減少なども計算されずに、目標の数値も示されずに環状道路だけが進められようとしている問題。これらは、このビションの中に含まれている重大な欠陥だというふうに思います。それは、過去の政策に縛られているともいえる、政策誘導としても重大な欠陥を持つものであることを指摘します。
 次に、新しい仕組みとして、先ほどもどなたかからお話がありました、街区再編プログラム、地区計画策定の原則化、日影規制の合理化をここで挙げています。この都市づくりビジョンを具体的に進めるためにこれらが進められようとして、都市づくり条例ですか、都市基本条例が定められようとしているわけですけれども、例えば街区再編プログラムなどでも、先ほどお答えのあったように、一定割合の地権者が要請すれば都市計画決定できるとか、過半数の地権者がやめれば都市計画決定を解除できるとか、今、住民の合意とか、そうしたものが流れになっているときに、どうして、そうした枠をはめて、それこそプログラムを進めやすいようにするのか。地区計画で、もう必要なところは区市町村が主体的に行っているじゃないですか。それを東京都が原則化する必要はないと思うんですね。
 それから、日影規制の問題でも、住民が日照権の問題で、こんなに都内のマンション紛争が起こっているじゃないですか。そういうときに、なぜこれを緩和しなければならないのか、合理化しなければならないのか。このようなものを東京都がビジョンで示す必要性は何であるのか、お伺いいたします。

○河島参事 都市づくり、まちづくりを進める上で、それぞれの地域があるべき将来の市街地像を持つことは、質の高い都市空間をつくっていく上で極めて重要だというふうに思っております。地区計画というのが昭和五十五年にスタートしてから今日まで、東京都の区域の中で八%ぐらい策定されていると思いますが、その状態が果たして都市づくりの観点から見たときに望ましい状態であるのかどうか。できるところはつくればいい、できないところはつくらなくてもいいという、そういうような考え方が本当に基本的に妥当なのかということをこのビジョンの策定作業の中で議論し、策定すべきところについては基本的に策定していくんだ。そういうような考え方をきちんと守りながら都市をつくっていく。たまたまできたからというような、そういうような形で今の状況があって、それでいいんだということでは、これからの時代、ないのではないかということで、やっているわけでございます。
 そういう意味では、全然見解は違ってしまうかもしれませんが、私どもといたしましては、こういった地区計画の原則化というようなことは、ぜひ必要であろうと。これはすべての地域というふうにはいっておりません。特に都心居住をすべき地区とか、あるいは良好な住環境を維持保全すべき地区とか、景観の保護を図るべき地区などにおいては、それをちゃんとつくっていくことを原則としようという、このこと自体は全く間違った考え方ではないというふうに確信しております。
 それから、日影規制の合理化につきましても、全国一律の基準で果たして、都心居住を推進するといったような観点に立ったときに、本当にそれが望ましいことなのかどうか。そういったことをきちんと考えて、柔軟に対処するということも、これからの都市づくりには必要なことというふうに考えております。

○清水委員 住民の暮らしの観点からすれば、全国一律の日影規制だったら、私は東京都はもっと厳しくするべきだというふうに反対に思いますよ。そういう住民の暮らしがどうなのか、権利がどうなのか、そして、居住環境がどうなのか、生活環境がどうなのかということが、住民の暮らしの観点から議論されずに、都市づくりビジョンは--最初に多少触れたんですけれども、全国不動産協会の要請というのを見ると、本当に都市づくりビジョンとほとんど中身が一致していますよ。規制を緩和するところまで一致していますよ、どこを規制緩和してほしい。
 これが進められれば、企業都市東京というものがますます強くなって、本当に今東京に必要な活力をよみがえらせるというんだったら、東京が持っている、先ほどだれかが触れられましたけれども、物づくりの力、それから、高齢者や障害者などが都内の中でも生きられるような居住環境、そして、ここではバリアフリーなどもいっていますけど、そういうものを真剣に整備していくこと。それから、街区再編プログラムを見ると、本当に今までいた住民がどうなるのかというようなことも危惧される内容もあります。本当に子どもたちが--小さな道路があったっていいじゃないですか、都心に。すべて広くするというだけじゃなくて、ちゃんと防災の面は確保して、そういうものがある場合だってあるじゃないですか。そういうことがなく進められていく。このビジョンが進められれば、市場原理や経済効率だけに支配されていく、そういうまちになってしまうんじゃないかということが危惧されます。それが本当に繁栄といえるのか、本当に活力あるといえるのかということは、大変疑問が残るところです。
 ビジョンに沿った都市づくりを進めるのではなくて、都民のための生活都市をつくるような都市計画局の方向にぜひともつくりかえるよう、この問題では強く要望したいというふうに思います。
 もう一点だけ、都市計画審議会の付議案件について、一点だけ伺います。
 八王子南土地区画整理事業の中の用途地域の変更問題ですけれども、先ほど他の委員が触れましたから、私は意見だけ述べさせていただきます。
 この地域は、二十年以上前から、先ほどいわれましたように、丘陵地の、すばらしい多摩丘陵に残された貴重な自然の地域でした。住民が最初に願ったことは、横浜線の駅が欲しいということだったんですね。それで、地域の住民が、請願駅として、駅の要請を出されました。それは二十数年前になるのではないかと思います。それから、この三百九十ヘクタールの公団による区画整理が始まりまして、そして、当初は予定のなかった三・二・二号線、別のルートだったんですけれども、これがこの中に、圏央道のアクセス道路として、東八道路として、入れられてきたわけです。ですから、これが大変異常な形で、その北側では曲がっているということも、この地図の中にはありませんけれども、当初の都市計画のルートを変更して入れられたものです。
 住民たちは、先ほどお話がありましたように、緑地や農地を残すために、それはそれは本当に大変な運動や努力をされました。ですから、もっと緑地や農地が少ない予定だったんですけれども、ここまで何とか確保できたということも事実です。しかし、この都市計画道路が挿入されて、入ってきて、今度はその周辺のさらに開発が行われるということは、住民にとっては、先ほど説明会でも疑問が幾つか出てきたというふうにいわれますけれども、住民が望んでいたまちというふうには、私はならないというふうに思います。大きい道路ができれば、すべてその周辺は大型店が出る環境、それから、マンションが多少高くなる環境、そういうものは当然だというふうに考えるのは、今の時代はもう一度改めて考える必要があるんじゃないですか。
 そういうような緑地や農地が残った地域だったらば、大きな幹線道路の周辺も、それにふさわしいものにするべきだというふうに思うんですが、今回出されている用途地域の変更も、地区計画の変更も、他の幹線道路と同じように、基準を緩和して、大型店の出店、それからマンションなどもどんどん建設できる、そういうような内容になっています。ですから、現在まだまだ住民には、この都市計画変更というものがどういうものかということがわからないんです。ですから、実際に建物が建ってくると、住民にとっては、全然知らなかった、こんなものができるのか。また、商店街のさらなる衰退というものが市内全域、それからまた、相模原など神奈川県の方にも及んでくるわけで、私は、この道路の問題が今回かけられているわけではありませんけれども、この道路自身も大変重要な問題がある道路でありまして、周辺の計画の変更についても賛成することができません。その点で、都市計画審議会に付議をされないことを要望して、終わります。

○藤川委員長 これで皆さんの意見はすべて終わったと思いますが、ほかにご発言はございませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○藤川委員長 お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤川委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 なお、理事会で申し合わせました今後の日程をお手元に配布しておきました。よろしくお願いいたします。
 以上で都市計画局関係を終わります。
 これをもって本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時四十七分散会