委員長 | 藤川 隆則君 |
副委員長 | 吉野 利明君 |
副委員長 | 相川 博君 |
理事 | 真鍋よしゆき君 |
理事 | 鈴木 一光君 |
理事 | 大木田 守君 |
小磯 善彦君 | |
吉原 修君 | |
清水ひで子君 | |
かち佳代子君 | |
大塚 隆朗君 | |
秋田 一郎君 | |
大河原雅子君 |
欠席委員 一名
出席説明員都市計画局 | 局長 | 木内 征司君 |
理事 | 杉浦 浩君 | |
総務部長 | 野田 一雄君 | |
総合計画部長 | 中島 守君 | |
開発企画担当部長 | 福島 七郎君 | |
地域計画部長 | 小林 崇男君 | |
施設計画部長 | 只腰 憲久君 | |
航空政策担当部長 | 甲斐 正彰君 | |
外かく環状道路担当部長 | 成田 隆一君 | |
開発計画部長 | 田中 亨君 | |
建築指導部長 | 森下 尚治君 | |
参事 | 河島 均君 | |
参事 | 萩原 豊吉君 |
本日の会議に付した事件
都市計画局関係
報告事項(説明・質疑)
・小田急線連続立体交差事業認可処分取り消し請求事件について
事務事業について(質疑)
○藤川委員長 ただいまから都市・環境委員会を開会いたします。
初めに、理事者の欠席について申し上げます。
勝田技監は公務出張のため本日の委員会に欠席する旨の申し出がありましたので、ご了承お願いいたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市計画局関係の報告事項に対する説明聴取と質疑、その次に事務事業に対する質疑を行います。
これより都市計画局関係に入ります。
初めに、理事者から報告事項の申し出がありますので、これを聴取いたします。
○只腰施設計画部長 それでは私から、小田急線連続立体交差事業認可処分取り消し請求事件についてご説明申し上げます。お手元の資料をごらんいただきたいと思います。
初めに、本件にかかわる事業の概要についてご説明申し上げます。恐れ入りますが、資料の三ページ目を先にお開きいただきたいと思います。
今回の訴訟の対象となった事業でございますが、図面では赤い色で示してございます。駅でいいますと世田谷代田から喜多見までになりますが、六・四キロメートルございます。昭和三十九年に都市計画決定をし、平成五年二月に一部構造形式等の都市計画変更をいたしまして、成城学園前付近は掘り割り式、そのほかの区間につきましては高架式ということで、あわせまして複々線化を行うということでございます。
これにあわせまして環境影響評価の手続を実施してございます。平成六年六月に都が都市計画の事業認可を建設大臣から取得をいたしまして、事業に着手したものでございます。
事業費につきましては、複々線分を含めまして、上に記載してございますように一千九百億円でございます。
工事の進ちょくでございますが、高架橋の工事部分で七一%でございまして、全体の事業完了につきましては平成十六年度を予定してございます。
この事業による効果につきましては、図面の下の方に記載してございます。
恐れ入りますが、一枚目にお戻りいただきたいと思います。
訴訟の概要でございますが、事件名は先ほど申し上げたとおりでございます。原告でございますが、記載のとおりの方でございまして、百二十三名でございます。内容でございますが、平成六年六月に、先ほど申し上げた事業認可の処分、これは当時の建設大臣が東京都に認可したものでございますが、これを取り消せという内容でございます。百二十三名の方が提訴されたわけですが、今回、訴えの利益があるということで原告適格を認められた方につきましては、このうちの九名でございます。被告でございますが、認可権者であります国--当時は建設大臣でございますが、現在は国におきます国土交通省関東地方整備局長が被告になっております。東京都でございますが、都市計画の決定権者ということで、裁判所の決定によりまして、本年一月から参加人という立場で訴訟に参加をしてございます。過日、十月三日に東京地方裁判所で判決があったものでございます。
次に判決の内容でございますが、2にございますように、建設大臣が平成六年六月付で施行者である都に対してした本件各事業の処分、この認可をいずれも取り消すということで、原告側の勝訴でございます。
本件についての対応でございますが、3に記載してございますように、国と協議をした結果、十月十二日に国は控訴いたしまして、都は参加人としましてこの控訴審に参加をすることにいたしました。
一審判決の理由の要旨でございますが、二枚目をごらんいただきたいと思います。大きく四点書いてございますが、〔1〕が騒音の件でございます。〔2〕が計画条件の誤り、〔3〕が地形条件の誤り、〔4〕が事業費の点ということで、主に〔1〕と〔4〕の理由をもってして本件の認可を違法というふうに評価をするということでございます。
恐れ入ります。戻っていただきまして一ページでございます。
控訴審に参加する理由でございますが、この判決につきましては、何ら違法性がないという国並びに私どもの主張が認められていないということで、上級審の判断を求めるのが適当というふうに考えたものでございます。東京都は、この構造形式の決定に当たりまして、事業費等につきまして十分検討した上、高架式が優位ということで、騒音等の環境にも配慮いたしまして都市計画の手続を進めたものでございます。
また、工事につきましては、先ほど申し上げましたとおり七割が完成しておりまして、仮に判決が確定して事業認可が取り消されるようなことになりますと、本事業の推進に支障が生じるのではないかということで、控訴審に参加するものでございます。
なお、今後の対応でございますが、小田急線につきましては、ボトルネック踏切という四十分以上閉鎖されている踏切がほとんどでございまして、こうした交通渋滞や地域分断の解消をするとともに、鉄道の混雑緩和を図る上で重要な事業であるというふうに考えております。一日も早い事業の完成を目指して今後とも鋭意事業を推進してまいります。
また、この事業箇所を含めまして、中央線あるいは京浜急行線など七路線九カ所で連続立体交差事業を推進してございます。この事業につきましては、道路交通の円滑化を図るとともに、分断された市街地の一体化を実現する上で重要な事業ということで、引き続き積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○藤川委員長 報告は終わりました。
これより本件に対する質疑を行います。
発言をお願いいたします。
○真鍋委員 まず、今説明を受けたわけですけれども、この判決について都はどのように受けとめたのか、局長にお尋ねいたします。
○木内都市計画局長 どのようにということでございますけども、一言で申し上げれば、とても残念というふうに、かつまた納得できないというふうに思っているのが、一言で申せばでございます。
今、施設計画部長、報告事項のご説明をした最後のところにカラーの紙が入っておりますけれども、この連立事業、下の方に整備効果というのが記載してございますけれども、十七カ所のいわゆるあかずの踏切、そこにもありますように、すべて一日十時間以上閉鎖している。ボトルネック踏切といわれているとおり、ピーク時には四十分以上遮断機がおりている状態にあるということ。さらにまた、混雑率を、一九〇%を一六〇%に改善するというような意味において、交通の渋滞であるとか、あるいは安全といった面のみならず、百八十万の利用者にとっても望まれている事業だというふうに私どもは認識をいたしているところでございます。
かつまた、都市計画決定に当たりましては、当然のことながら、地下式、地上についても、地下式にあってはいわば二階建てで三千億円、高架式であれば一千九百億円ということで事業費も算定し、かつまた騒音についても予測を立て、現に測定値においても騒音はかつてよりは改善しているわけでございまして、そうした意味においては、必要な手続も行い、かつまた適正かつ適切な計画決定を行ったものというふうに考えているところでございます。
そんな意味で、冒頭申し上げましたように、判決については、国も含めて私どもの主張が認められなかったことは甚だ遺憾であるというふうに思っております。控訴いたしたわけでございますので、判決は確定しているわけではございませんでして、事業効果は効力を有しておりますので、今後とも一日も早い事業の完成を目指し鋭意事業の推進に努めてまいりたいというふうに考えております。
○真鍋委員 今、率直なところの局長の見解を承ったわけですが、これからこのことについて、これまでの経過で何点か私も整理をしたいので、お尋ねをしていきたいと思います。
まず一点目は、訴訟は平成六年に起こされたわけですけれども、今説明があったとおり、平成十三年一月になって都知事が参加するという経過をたどっています。参加に至った経緯について、まずお尋ねします。
○只腰施設計画部長 都の訴訟参加でございますが、法的には行政事件訴訟法の第二十三条に基づくものでございます。この訴訟でございますが、先ほどご説明いたしましたとおり、平成六年六月に提訴されて以来、被告である国が主に対応してきたところでございますが、平成十二年四月に裁判長が交代いたしまして、同年十月に、事業認可の前提となる都市計画の決定そのものが争点の一つである、こういう理由のもとに都の参加を求めてきたものでございます。その後、同年十二月に被告である国から参加の申し立てがございまして、十三年一月に裁判所が都知事の参加を決定したものでございます。
○真鍋委員 その参加の要求とちょうど同じころに、裁判長が原告、被告双方に話し合いによる解決を求めた経緯があるというふうに聞いていますけれども、このことは事実なのか、また、これに対して被告側はどのように対応したのか、お尋ねします。
○只腰施設計画部長 ご指摘の事実でございますが、平成十二年十月二十七日付でございますが、裁判長から、原告並びに被告である国の双方に対しまして、話し合いによる解決を目指す意向があるかどうかにつきまして文書による照会がございました。これは原告の主張に沿ったような訴訟指揮というふうに私どもは受けとめたわけでございますが、被告である国におきましては、こういう事業認可の処分のような、いわゆる行政処分につきましては話し合いによる解決にはなじまないのではないか、また、都市計画及び事業認可は適法であるということで、都市計画の見直しが話し合いの前提であったということから、話し合いによる解決には応じなかったものでございます。
○真鍋委員 そのような経過で一審を迎えたわけですけれども、先ほども一審判決の理由の要旨の説明がありましたが、一点目は、騒音被害の生ずるおそれがあったのにこれを見過ごしたというような指摘があったといわれていますけれども、この点について都はどうお考えなのか、お尋ねします。
○只腰施設計画部長 騒音でございますが、環境影響評価条例に基づきまして環境影響評価を実施いたしまして、都市計画の決定段階から必要な環境対策を盛り込んで事業計画を作成したものでございまして、判決につきましては、こうした経過を十分に認識していただいていないのではないかというふうに私どもは受けとめております。
加えまして、当該工事におきましては、環境影響評価の予測時に考慮した以上の対策、すなわち構造物を重量化する、あるいはバラストマットといいまして砕石の下にゴムマットを敷く、それから吸音効果の高い防音壁の採用等、こうした対策を講じているものでございまして、鉄道騒音につきましては格段に改善されるものと私どもは考えているものでございます。
また、これらの対策を講じた結果でございますが、既に郊外方の狛江の地区では高架化が完了してございまして、事業着手前には八〇デシベル程度であった騒音が、完了後には、予測値を大幅に下回りまして、七〇デシベル程度まで下がっているものでございます。
○真鍋委員 今いわれたことは当然裁判の中でも資料として出されているものと思いますけれども、続けて事実の確認をしていきたいと思いますが、この判決では、もう一点、高架、地下という対比の問題で、事業費について高架式より地下式が安い可能性もあったにもかかわらず被告の検討が不十分だという指摘があるわけですけれども、都はこのことについてどう考えているのか、お尋ねします。
○只腰施設計画部長 構造形式の選定に当たりましては、原告側が主張しました二線二層シールド、つまりシールドの中に二線を入れまして、それを上下に重ねるような形の方式を含めまして複数案を比較考量しているものでございます。その結果、事業費につきましては、先ほど局長からもご答弁申し上げました高架式の一千九百億円に対しまして、二線二層シールド方式では三千億円に上るということで、高架式が優位であるというふうに判断したものでございます。
この複数案の比較の結果につきましては、平成四年一月に開催されました都市計画案の地元への説明会におきましても、資料を配布した上で説明を申し上げておりまして、地下式と高架式との事業費を十分に検討していないという判決は事実に反しているのではないかというふうに考えております。
また、判決全体につきましては、被告の国側あるいは東京都側の主張に対しまして十分な論拠を示さないで違法性を導いている旨があるということで、私どもとしては大変残念な内容というふうに受けとめております。
○真鍋委員 今、費用の面等比較検討してきたのに残念だという話ですけれども、鉄道の立体化については、先ほど局長からもお話がありましたとおり、あかずの踏切の問題というのは、これだけ文明、技術が進んだ中で、本当に理不尽な状況だと思います。救急車や消防自動車ですら踏切の前でずっと待っているという状況を見る中で、これをどうしていくのかということは、これは押しなべてみんなが考えることであると。その中で構造形式をどうするのか、いつもいつも大きなテーマになっています。事業費の問題等々あるわけですけれども、この構造形式をどうするか等に今回の判決はいろいろな影響をするのではないかな、こう感じるわけですけれども、今回の判決によって立体交差事業についてどういう影響を与えていくのか、都はどのように受けとめているのか、お尋ねします。
○只腰施設計画部長 鉄道と道路との踏切でございますが、交通安全上の問題を引き起こしているだけではございませんで、いわゆる交通のボトルネックとなっておりまして、交通渋滞によりまして多大な経済の損失あるいは環境への悪影響をもたらしているものでございます。今ご指摘がございましたように、都市再生等を進める上では立体交差化につきましては重要な課題であるというふうに私どもは考えております。
この立体交差化の構造の形式でございますが、一般的には道路側で勝負するやり方と別に、鉄道側を上げたり下げたりする、これを連続立体交差化といっているわけですが、この方式を検討するに当たりましては、いわゆる地形の条件がどうなっているか。それから、除却できる踏切がどうなるか、あるいは駅が動くんじゃないかというような計画の条件。それから、事業費がどうなるかという多少多寡の問題、多いか少ないかという問題、あるいはこれまでつくってきた構造物が使えるかどうか、そのような事業の条件。こういうような、三条件といっておりますが、その条件に照らしまして計画案を選定の上、環境影響評価を適切に行った上で事業計画としてまとめていくことが必要というふうに考えております。
○真鍋委員 今のお答えで、その三つの条件でそれぞれのケース、ベストなものを選択するということであろうと思うんですけれども、この訴訟については、先ほどご説明もあったとおり、また今後も法廷の場で争われる形になるわけですけれども、具体的にこの区間のこの事業は一体どうなっていくのか、お尋ねしたいと思います。
○只腰施設計画部長 先ほど、一番最初に資料の説明でも申し上げたところでございますが、用地買収につきましては鉄道用地の九九・八%まで進んでございます。また、側道用地につきましては九〇%まで進ちょくをしてございます。現場につきましては、既に高架橋工事の七割が進ちょくをしておりまして、既に部分的には高架線になっておりまして、先ほどの十七カ所の踏切のうち既に七カ所は除却、つまり踏切がない状態になってございます。また、今月の二十八日、来週でございますが、千歳船橋駅付近での下り線の高架の切りかえ工事というのが行われます。そういうことを進めまして、今年度中には下り線のすべてが立体化する、こういう予定になってございます。また、来年度におきましては、在来線の上り線もすべて立体化されるということで、十七カ所の踏切すべてが取れるのではないかというふうに考えております。こうした事業の進ちょく状況を踏まえまして、大多数の方、一刻も早い事業の完成を望んでおられると思いますので、そういう要望を踏まえまして引き続き鋭意事業を進めてまいりたいというふうに考えております。
○真鍋委員 先ほどの説明でも、高架橋の七割、ここに書いてありますね、工事進ちょく率約七一%(高架橋工事)、こういう資料があるんですけれども、七割やっているのでという話をよく聞きます。もう一度ここで改めてきちっと確認したいんですけど、この七割の根拠は一体何なのか、お尋ねします。
○只腰施設計画部長 当該工事でございますが、用地を確保いたしました後に、工事といたしましては、本体の高架橋工事、それからその後の附帯工事といたしまして軌道とか電気とか、そういう工事があるわけでございます。実感としての工事の進ちょく状況をお示しするには、建設すべき、先ほど申し上げました高架橋本体の進ちょく率を示すのがわかりやすいのではないかというふうに考えているところでございます。複々線でございますので、二線ずつ施工するということで、二線をワンブロックとして数えまして、全体で二百五十八ブロックが現地にはございます。このうち七一%が九月末までにでき上がっているということで、私ども、七割の進ちょくというふうにいっているものでございます。
○真鍋委員 今、高架橋の部分で数字を挙げられて説明されたわけです。高架橋の進ちょく状況を工事の進ちょく状況の指標としたわけですけれども、これを示した理由をお尋ねしたいんです。
○只腰施設計画部長 先ほど申し上げましたとおり、高架化工事でございますので、現地の都民の方から、どのぐらい工事が進ちょくしているかということをごらんいただいたときに、一番目で見て実感できる指標としましては、高架橋のブロックの数が全体としてどのぐらいできているのか、これを示すのが一番わかりやすいのではないかということで、それを割合として七割というふうに申し上げているものでございます。
○真鍋委員 先ほどのお答えの中で、今後も工事を進めていく、用地買収については何%という説明がありましたけれども、用地買収はどれぐらい残っていて、その未買収の用地が工事にどういう影響を与えていくのか、改めてお尋ねします。
○只腰施設計画部長 先ほども数字を申し上げましたが、鉄道用地、全体四万三千四百平米必要なわけでございますが、現在九九・八一%の取得率でございまして、未取得用地は二カ所、千歳船橋駅付近と祖師ヶ谷大蔵駅付近でございまして、合わせて八十平米でございます。これらの未取得用地は鉄道のいわゆる本線ではございませんで、駅等にかかっているところでございますので、仮に、万一でございますが、この用地買収がおくれたといたしましても、駅部を暫定的に仮設等で対応することによりまして、鉄道の立体化十四年度あるいは複々線化十六年度の予定につきましては、予定どおり進めることができるものではないかというふうに考えております。また、側道用地につきましては、未取得用地が九百平米ほどございますが、これらが仮に買収できない場合につきましては、側道の一部が供用できないことになりますが、これからも話し合いによる取得等に努力をしてまいりたいというふうに考えております。
○真鍋委員 いろいろ今事実経過を確認させていただきました。私なりにいろいろな判断をしたいなと思っているんですが、最後の用地買収のところで、鉄道本体についてはこれで進めていけるんだ、ただ、側道の部分が一部供用できなくなるという話を聞きました。側道というものは、過去の都市計画の場合は、連続立体で踏切をなくしていく、鉄道を増強する。で、新しい観点として騒音等々が出て、環境側道等々のテーマもある。だから、これもきちっと整備をするというのが目的であると思うのです。
しかし、これからまた裁判で争われていく。今のお話ですと、事業は進めていく。じゃあ側道が供用されなければどうなるのかという心配があるという中で、都市計画の場合は収用ということまであるわけですけれども、まだこれは確定していないんだから、やろうと思えばできるなんていうことをいい出さないように、あくまでよくよく話をしてもらって、協力を願う、このスタンスを変えないでもらいたい。そのことを申し上げて、私の質問を終わります。
○大木田委員 私もこれに関連して何点か伺いたいと思います。
まず、私の住む北区におきましては、昨年四月、赤羽駅周辺の立体事業が完成いたしまして、これは北区の悲願でありまして、七つのあかずの踏切が開通をして--この五十年、本当に東西交流ができない、赤羽が北の玄関といわれてきたんですけれども、この立体化が進まないために大きく町の発展もおくれてきたという経過があります。そういう意味においては、私も思わぬ判決が出たので驚いているというのが率直な感想であります。北区はさらに十条駅の立体事業を控えておりまして、こうした判決が出た後どういう影響が出てくるかということもありますので、いろいろと伺っておきたいと思うんです。
その前に、先ほど木内局長の方からも判決についての感想がありました。私の感想もちょっと申し述べておきますと、最近私はいろいろとミスマッチが多過ぎるなと。雇用のミスマッチ、経済のミスマッチ。七割までできていて--大体都庁は一千六百億ですから、これが一千九百億ですから、簡単にいえば都庁の建物が七割までできていて、それで取り消しをする、しかし現状については何らそれに触れないというような形の、極めて、問題提起をするための判決だったのか。そういう意味においては、この裁判の持つ意味というものは一体どういうことなんだというようなことも含めて、あれだけの都市計画決定をして手続をずっとやってきて、そして東京全体の一千二百カ所もある高架立体事業の中において、特に鉄道の立体事業というのは、経済効果を考えても、あるいはさまざまな地元の要望を考えても、まちづくりを考えても非常に重要な--立体高架の効果というのは非常に大きいわけですよね。それを判決でこうなってきたということは、例えば、裁判をする人は現場をどこまで見てそういう判断をしたのかなと。経過をどこまで確認をしてそういう判決を出したのかなと。
判決の問題点が四点ぐらいクローズアップされておりますけれども、普通ちょっと見て、何でこういう問題点をあれしながらこんな判決が出たのかなというのが率直な感想でありまして、参考までにちょっと伺いたいんですけれども、裁判官は、判決するに当たって、現状を確認をして、あるいは現状を見たことがあるのかどうか、そういうことをわかりましたら伺いたいと思います。
○只腰施設計画部長 私ども、現在、手持ちの訴訟の経過を見ているわけでございますが、先ほど申し上げたように十二年四月に現在の裁判長が着任をしてございますが、その後、訴訟の進行に対する求釈明あるいはそれに対する打診等を行っておりますが、見た記録の範囲では、現地視察みたいなことは記録の中にはございません。
○大木田委員 見たかどうか、今、記録がないということで、百聞は一見にしかずということがあるわけですよね。現状を見て、どこまで進んで、どういう状況かということがわかれば、ただ机上だけで--この影響性とか波及性とか、今日のさまざまな分野にいろいろな影響が出てくるわけですけれども、そういうようなことをどこまでしんしゃくをして……。机上だけでもしこういう判断が出ているとすれば、極めて私は--こういう具体的な、技術的な、専門的なこういう状況の中における判断というのは、判決というのは非常に専門性が求められますし、それだけの状況を確認をした上で判断というのは出さなければならないと。その意味においては、控訴したということは当然のことでありますけれども、この判決によって具体的にどんな影響が今出たのかというようなことをちょっと確認しておきたいと思います。
○只腰施設計画部長 現状への影響でございますが、裁判の判決文の中でも、既になされた工事について原状回復の義務等の法的効果が発生するものではないというふうにみずから判決文の中でいっております。また、先ほど申し上げたように、差しとめとかそういうこともございません。また、私ども、控訴したわけでございますので、もとの認可の効力は有効に存続しているということで、現在の工事に対する法的な効果はございません。
○大木田委員 例えば、北区は十条駅の立体化を今地元としては推進をしているんですが、確かに地元の意見を聞いてみますと、立体化なんかの場合、高架の場合と地下の場合、高架の方が比較的--先ほども一千九百億、地下にすると三千億という話がありましたけれども、大体私もそういうようなニュアンスの、地下にした方が費用はかかるということで、十条駅の周辺については、周辺のまちづくりとの関係でどうした方がいいかということで、最終結論はまだ出ておりませんけれども、しかし、この判決の中には、高架で進めて、地下のことは検討もされていないようないい方で判決が出ているというようなことでありまして、当然それはいろいろな角度から影響性を検討しての対応だと。もちろんそのときには費用等も当然加味されながら、どういう方法が一番いいかという判断がされたんだろうと思うのですけれども、それについても、判決の内容的には、ここまで努力して検証をやってきて進めてきたものに対して、余りにも認識が不足した判決ではないかというように私は感じております。
控訴しますと次の段階での判断も出るわけでありますけれども、それはどの程度の時間を要してなるのか、参考までに伺っておきたいと思います。
○只腰施設計画部長 過日、十二日に控訴したわけでございますが、控訴後五十日以内に控訴理由書というのを出すことになってございます。控訴理由書では、原判決の不当なところ等を整理して主張するということになってございます。その後、これから先は東京高裁における裁判長の訴訟指揮にかかわるわけでございますが、口頭弁論あるいはその他の審理が必要というふうに判断されれば、そういう形で訴訟が続いていくのではないかというふうに考えております。
○大木田委員 裁判のことでありますから、日本の裁判は時間がかかり過ぎるということでいろいろと問題にされておりますけれども、しかし私は、七割まで進めてきて、取り消しはしたものの原状回復を求めないというような形であるということは、工事は進めてもいいという、そういうような極めてあいまいな判断でありますから、地元の皆さんの要望が強い、ここまで進めてきた工事でありますので、これはきちっと進めて、いろいろと心配されることがあるとすれば、その進める中において配慮できることがあれば配慮しながら、一日も早い--北区の赤羽の例をとってみても、とにかく周辺の皆さんは、早くこれを進めてほしいという状況で、赤羽とはすべてが一緒だとは思いませんけれども、必要であるから今日ここまで進めてきたわけであります。ぜひとも、注目をされただけに、一日も早くこの工事を進めて、いろいろ心配なことも加味しながら対応していくべきである、こう思いまして、最後、私のこの感想についての意見があれば伺って、終わりにしておきます。
○只腰施設計画部長 先ほどもご答弁いたしましたとおり、大変地元の方からも、踏切の除却あるいは小田急線の輸送力増強につきましては要望も強く寄せられているところでございます。判決は判決であったわけでございますけれども、控訴ということで、これから高等裁判所で私どもの正当性につきまして主張していくことになるわけでございますが、工事につきましては、先ほども申し上げたような期待に沿うべく、一日も早い完成を目指して進めてまいりたいというふうに考えているものでございます。
○清水委員 ただいまのご報告について私も、重複しない中身で幾つかお聞きしたいと思います。
連続立体交差化事業については、さきの議会でも、国に意見書の提出を求めようということで我が党からも提案をしたところで、渋滞解消など、住民、それから関係自治体の合意のもとでこれが進められていくということは大変重要な事業だというふうに考えています。
しかし、私も八王子市内で圏央道を初め幾つもの公共事業の問題に十数年間かかわってきましたけれども、計画決定、またアセスの手続の中で、住民の意見が反映される機会が、また情報が提供される機会が大変不十分というのが、今の日本の都市計画決定に至る過程の、また環境アセスの法律のこれまでの不十分な実態だったというふうに思うわけです。
また、今回起こされた都市計画決定の事業認定に対する訴訟でも、裁判の事例などを伺うと、先ほどから触れられていますように、原告が非常に限られているということ、百二十二人の中の九人ですか、ということで限られること。それから、判決が出されて、第一審勝訴ということになっても、原状回復義務はないということは、既に弁護士さんの中、また裁判の事例などの中では、これまで幾つもやられてきた中では承知していることなんですよね。そういう中で、何割工事が進んでいるかという点ではいろいろと議論がありますけれども、都市計画事業の認可が決定された後に起こした裁判ということで、それ自体が非常に大変なことだというふうに思うんですね。
きょうも報道があるように、圏央道の裁判は民事訴訟になっています。都市計画決定や事業認定ではなくて、環境権とか自然権とか景観権とか、そういう憲法で保障された権利を求めるということで、民事訴訟で進められているわけですね。行政訴訟というものも、もちろんいろいろな住民の皆さんの公共事業に対する取り組みの中では検討されるんですが、やはり今のような状況の中ではそれを起こすことがなかなか困難という中で今回起こされた裁判だというふうに考えるわけです。そして、全国的にも例のない判決だということがこの間報道されている中ですけれども、そういう意味で、今度の裁判を起こされた住民の方の意味、それから今度の判決の意味というものをどのように受けとめられているかということについて伺いたいと思います。
○只腰施設計画部長 私ども、先ほど来ご説明をしているとおり、計画の策定段階におきましては、高架案あるいはその比較案である地下案につきましても説明をし、また、環境影響評価の手続を進める上でも、適切な手続にのっとって進めてきたというふうに考えているところでございます。そういう中でこのような訴訟が起こされまして、大変私どもにとりましては残念な結果になったわけでございますけども、これにつきましては、高裁の場に訴訟が移るわけでございますが、その場で、先ほど申し上げたように、正当性につきましては説明あるいは裁判長の理解を求めていくとともに、現在行われております高架化事業につきましては、環境への影響に対しましても配慮した上で粛々と進めてまいりたいというふうに考えております。
○清水委員 今度の結果どのように東京都として進めていくかという姿勢ではなくて、この裁判自体の意味を本当に考えなければ、これから東京都がいろいろな公共事業を進めていく中で、その問題をいろいろ突破していかなければ、解決していかなければ新しい時代というのは進んでいけないということを私は伺いたかったわけなんですけれども、今度の裁判の都の姿勢を今お答えいただいただけなんですが、じゃあ、今いろいろな対策をとられてきたといわれましたけれども、都市計画決定、それからアセスの手続の中で、騒音の問題が先ほど四つの理由の中で第一に挙げられてきましたけれども、騒音の問題に対してはどのように検討し、対応されてこられたのか。先ほど幾つかご説明がありましたけれども、もう少し詳しくお答えいただきたいと思います。
○只腰施設計画部長 騒音による影響についてでございますが、先ほども申し上げたわけでございますが、計画段階から東京都環境影響評価条例に基づきまして騒音についての影響を評価し、必要な環境対策を事業計画に盛り込んだ上で、現況か、あるいは将来的にはほぼ同程度の騒音ということで、こういう評価をもとにして事業を進めてきているものでございます。
なお、事業実施の段階におきましては、こうした対策に加えまして、構造物の重量化あるいはバラストマット、レールの重量化、あるいは新幹線等で実績のあります、緩衝型防音装置というふうにいっておりますが、そういうものも整備を進めまして、さらなる防音対策を講じているものでございます。
○清水委員 鉄道の環境基準の何を基準にされてアセスの手続を進めてこられましたか。
○只腰施設計画部長 鉄道騒音に関する環境基準でございますが、新幹線につきましては七〇デシベル以下、これは地上一・二メートルの高さで測定する数値でございますが、そういう基準がございます。また、在来線につきましては、現在では環境基準というのはございません。ただ、環境庁の在来鉄道の新設または大規模改良に際しての騒音対策の指針についてというのが出されておりまして、この中では、例えば高架化のような大規模改良線の場合は騒音レベルの状況を改良前より改善することということが示されてございます。
○清水委員 今お答えのあった騒音対策の指針の中では、大規模改修は改良前より改善することとなっていますが、新線の場合にはどうなっていますか。--委員長、いいです。新線の場合は、昼間は六〇、夜間は五五というふうになっているんですよね。新線か新幹線の基準を用いるのか、大規模改修を用いるのか、それはそちらが選択をされてこのアセスでやられたと思うんですけれども、しかし、新線というのは、新しい線をつくっていくときにどういう基準でやるかといったら、夜間は五五なんですよね。先ほど、狛江で改良された、いろいろマットを使ってとか重量化とかいわれましたけれども、八〇デシベルが七〇デシベルに下がった、だから大変下がったんだというふうにいわれています。そして、この平成四年のアセスを見ますと、一番高いところで七七デシベルで、重量化とかマットをやると大体五デシベルぐらい下がるというふうにアセスではいわれて、まあ少なくとも新幹線並みの七〇デシベルぐらいに下げたからいいんではないかということで騒音対策をやっているというふうに私は感じるんです。
そういう基準で、こういう基準なんだから住民はこれでいいじゃないかと、これでいいんだ、アセスは通ったんだということではなくて、一番最新の基準でも、夜間では五五デシベル--必ずこれを適用しなきゃいけないといっているわけじゃないですよ、そういうことを指針でいわれているということは、やはり騒音に対する住民の許容限度というのですか、それが本当に生活に大きな苦難を与えるというふうに出てきていると思うんです。
ですから、じゃあアセスのときどうだったのか。これはもう九年も前のことですけれども、アセスのときに、将来、二十一世紀になって一体都民はどのぐらいの騒音に快適な生活というふうに感じるんだろうか、そういうような見通しを持って公共事業を進めるというのではなくて、今の基準はこうだからということで進められていったアセスのときの、振り返って問題点ということに対してはどういうふうに感じておられますか。
○只腰施設計画部長 今ご発言がございました、アセスのときの騒音の評価の結論でございますが、高さ一・二メートルの場合、高架橋から六・二五メートル離れた地点では七五から七七ホン、十二・五メートル離れた地点では七四ないし七五ホンということで、全体としてはおおむね現況とほぼ同程度か、これを下回っているという評価をしているものでございます。先ほど来ご説明いたしておりますように、このときのアセスの環境対策に加えまして、先ほど来申し上げたような対策も講じまして、現状では当時の予測値を下回った測定値になっているものというふうに私どもは考えております。
もう一点でございますが、新線の場合の基準でございますが、手元にある資料によりますと、新線につきましては、等価騒音レベル、ちょっとはかり方が違うと思いますが、多分、電車の頻度も含めた評価だと思いますが、それにつきましては、昼間については六〇デシベル、夜間につきましては五五デシベルということは記載をされてございます。
○清水委員 この間、騒音基準の改正、私たちは改悪されたというふうにも思っているんですけれども、沿線の住民は窓を閉めてはかればいいんだというような、ちょっとそんな改善もされた経過もありましたけれども、やはり騒音の問題は、これをやったから住民は許容できるんだという行政側の判断ではなくて、やはり住民がどれだけ耐えられる--限度を超えられるかという立場に立つことが、これからの公共事業を進めていく上で重要な問題だと思います。
そこで、この間、マスコミから幾つかずっと小田急線判決についていろいろ社説なんか出されています。そして、これを見ますと、問われる住民への説明責任とか、公共事業を問い直す契機にとか、硬直した公共事業に重い警鐘とか、マスコミ各社が--確かに連続立体交差化事業は進めなければいけないというのはみんなわかっているわけですよ。それはみんな同じです。しかし、そういう中で、そういう事業だからこそ、本当に住民の声とか、それから、少数かもしれないけど、そうやってできない裁判までやったということでは、私なんか本当に身近なところではなかったですけれども、非常に重要な意味を持っていると思うんですが、マスコミなどが警鐘を鳴らしている、そういう点について都はどのようにお考えですか。
○木内都市計画局長 いろいろお話がございました。騒音の問題については、私どもの方から事業前に比して改善するということに関して申し上げたところ、騒音の問題というのは、瞬間値でとるか、あるいは平均値でとるかということで随分違うということもあろうかと思いますけども、鉄道騒音について、今、夜間五五ホンということであるとすれば、小田急線のみならず、山手線も含めまして、すべての鉄道というのを廃止しなければ騒音レベルは達成されないというふうに思っております。仮にそれが今日の我が国において住民の大多数であるとすれば、それはそういうこともあり得るかと思うんですけれども、そうではなかろうというふうに私は思っております。
ある種の受忍義務の範囲内においてどう考えるかということは、そこに住んで--というのは、もう一つ翻って考えれば、公共事業というものに対してどうとらえていくかということがあるのだろうというふうに思っております。そもそも公共事業は悪という立場に立てば、あらゆるものが否定される……(清水委員「そんなこといってませんよ」と呼び、その他発言する者あり)私は例示を申し上げ……(発言する者あり)ちょっと待ってくれますか、発言中でありますので。申しわけない、委員長のあれではないですけれども。幾つかの考え方はあろうと思うんですけれども、公共事業は望ましくないという立場に立てば、その全面否定というのも一つあるだろうし、さらにはまた、公共事業各論の世界で、私のところの居住している地域においてその事業については望ましくないという主張の方もおられるだろうし、はたまた全都的な、あるいは全国的な観点からこの事業は必要性がありと、そういう中にあっても環境問題について十分配慮すべきではないかというご主張もあるんだろうというふうに思っておりますけれども、いろいろな立場の方々がおられるのも事実であります。
そういう中で、私どもとしては、第三の立場、今申しました公共事業の必要性、ましてこの連立事業の必要性を訴えた上で、環境を現状よりは改善するということを目標にして事業の推進に努めていることでございまして、ベストの水準といいますか、をいって、それを達成していないからこの事業に問題があるというご主張については、なかなかくみすることはできないというふうに考えております。
○清水委員 この事業に問題があるといっているのではなくて、公共事業の進め方にこれから私たちが本当に心を砕かなければいけないことというふうにいっているんです。ですから、裁判長の話もありましたけれども、この裁判長がどういう人か知りませんけれども、経歴を見ますと、最高裁の判事をやり、行政局の第一、二、三課長を経験して、最高裁の行政訴訟のプロだというふうに弁護士の経歴の中には書いてあって、そして資料なども十分に提出をさせて進めていく、まあ期間が短いとはいわれましたけれども、そういう方だそうです。だからどうだということをいっているわけではなくて、そういうふうにして裁判が進められてきているというようです。
最初に申し上げましたとおり、都市計画の認定を取り消そうという裁判はなかなか起こすことができない。取り消された例も、例えば昭和四十八年に日光の太郎杉訴訟というのが、これは土地収用の訴訟の中で取り消されたらしいです、ここに道路をつくっちゃいけないということで。それ以来、昭和四十八年以来、そうした裁判の、訴えた側が勝訴するということはほとんどなくて、最近になって大気汚染裁判で幾つかありました。そういう中での今度の裁判の意味というものを--私は連続立体交差がおかしいとかひどいとかいっているのではなくて、そのときに本当に住民がこうだという声に、都市計画決定、アセスの段階でまだ保障されてない中での裁判なんです。ですから、その前の都市計画決定手続、アセスの手続にも、住民に対しての情報公開とかそういうものがもっと必要だと思うんです。そういう中で公共事業というものが行われていってこそ本当の東京の再生というのができるんではないでしょうか。
以上です。答弁は要りません。
○大河原委員 私からも報告事項について質問させていただきます。
今、局長がお答えになっていた中で、公共事業を悪だと決めつけるなんていうことは今ないと思うんですよね。だれもそんなことはいっておりません。この小田急の問題は、先ほどから答弁にもありましたように、一日に百八十万人の利用者がある、東京の大動脈です。だから、そのことについてはみんなが必要性を認めるものでありましょうし、また、私も毎日小田急線を使っているわけなんですが、悪名高い混雑ぶりというのは、一日も早く何らかの形で解消してくれないかと、普通にだれでも考えますね。
しかし、今回この判決が出された意味合いというのは大変大きいものだというふうに思うんです。特に、工事の差しとめにはなっていませんけれども、国の事業認可の取り消しであり、事業認可の前提となった東京都の都市計画が違法であるという重大な判決なわけです。東京都が国の控訴審に参加するという、これまでの都市計画決定手続に何ら落ち度はないということを主張する立場ということは承知しておりますけれども、異例の判決が出されたこと自体はきちんと、重く受けとめなければいけないというふうに、この際もう一度申し上げておきます。ですから、これまでの経緯も自省的にぜひとらえ返していただきたいというふうに思います。
それで、まず伺いますけれども、この東京都の都市計画決定をしてくるプロセス、これはどういうふうにやってきたんでしょうか。具体的には住民説明会、どんなふうに開いてきたのか。また、複数案、四案ありましたよね、こうしたものも十分住民に説明できた、そのように思われているんでしょうか。
○只腰施設計画部長 小田急線の都市計画決定までに至ります説明会でございますが、平成三年八月に都市計画の素案ということで六回の説明会、一千八百人の方がご出席をいただいております。それから、次の年、四年一月でございますが、都市計画案並びに環境影響評価書案の説明会につきまして同じく六回、一千二百五十名の方、また、同年の八月にはそれに対する見解書ということで、アセスの見解書でございますが、これも六回、七百五十名の方がご出席をいただいております。また、この都市計画案の四年一月の説明会の後、なかなか説明会だけでは質問がし切れないというようなこともあったと思うんですが、沿線に相談コーナー等を設置いたしまして、地域の方々の十分な理解を得るための措置を講じているものでございます。
また、二番目の質問にございました構造形式に関する説明の状況でございますが、先ほども少しご答弁申し上げましたが、都市計画案の説明会の中で、二線二層シールドによる、地下案を初めとする四つの案につきまして、比較考量した結果につきまして説明をし、その際、比較案の概略あるいはその考え方を記載した資料を配布いたしまして、その結果、高架式による案が最適という判断をした経過につきましても説明しているものでございます。
○大河原委員 説明会というのは私も何度か行きました。しかし、説明会という形で説明会自体が成立していたのかどうか、その中から東京都が住民の合意を得たというふうな実感が持てるような会だったかどうか、そこのところはすごく疑問が残ります。その中にはやはり小田急の職員であろうと思われる人の数も多かったですし、また、住民とのやりとりの中では大変エキサイトした場面も、都側にも住民側にも見られるわけですね。なかなかその場に行けない人に説明をするという点でも十分といえたんだろうかというのは、私はずっと思ってきたことです。
そして、先ほど、四つの比較案を配布したということで、私はこれをもう持っていませんでしたので、きのうファクスでもらいましたけれども、改めて見ますと、地形的条件、計画的条件、事業的条件で高架式、地下式、高架プラス地下式ということが比較されています。事業費と地形的なことを含めたことの比較になっているんですけど、周辺住民にとっては、例えば騒音とか日照とか、もう当たり前だったから書かなかったのかもしれませんけれども、そうした点は全く触れられていないんですね。これは説明会に来た人たちに配ったといいますけれども、じゃあどういう経過で、四つの案に対してどういうことがいわれていたのか。説明会以外にこれをお配りになったかどうか、ちょっと聞いておりませんけれども、そういった点でも、情報公開、説明責任を果たすという都の姿勢というのは自省的に押さえなければいけないというふうに思います。
それで、今回の裁判の原告団の方々とは、平成六年の事業認可申請前に、当時、建設大臣のお声がかり、また都議会からの要請ということで、話し合いの場を東京都として持たれているわけですけれども、このことを東京都はどのように評価しているんでしょうか。
○只腰施設計画部長 ご指摘の話し合いでございますが、平成五年二月の都市計画のいわゆる変更の後、当時の建設大臣の働きかけもございまして、建設反対の住民の方々と話し合いの場を設けることといたしまして、平成五年十二月から平成六年四月にかけまして都合五回実施したものでございます。その際、地下か高架かということで、その積算の根拠あるいはその事業費算定の突き合わせ等を行ったわけでございますが、算定の数字の差の根拠あるいはその積算単価等につきましていろいろやりとりをいたしまして、おおむね共通認識ができまして、一定の理解が得られたというふうに判断いたしまして、事業認可を申請したものでございます。
○大河原委員 一定の理解が得られたものとして、合意に達したから事業申請しましたとおっしゃいますけれども、それだったらこの裁判はないはずですよね。私は、東京都が、そういった意味で、住民の方たちは専門家も使って対案という形で出されていたものを受けとめる、その姿勢はよかったと私は思うんです。その中で情報交換をする、そういうデータの交換をしたということもあったことでしょうし、そのことは一歩踏み出したというんでしょうか、それまでにはなかったと思いますから、そのことは東京都を評価したいと思うんですが、五回やって、恐らく私は決裂したんじゃないかと思うんですけれども、それが、理解としては一定の理解を得たので申請につながっていく、そこのところがやはり、もうちょっと話し合いを続けていたらどうなんだろうか。そうした話し合いをしていることを公表するなり、もう少し広い範囲での話し合いの場にしていくなり、そういうことも実は考えられたんじゃないかというふうに思います。
立体交差化事業は、沿線住民の利便性を図るということで進めるわけですけれども、同時に、先ほどから話になっています騒音という不利益もこうむる住民が出てきます。平成五年の都市計画決定当時、沿線住民の多くが騒音被害の救済を求めていたということもあるわけですけれども、このような状態を都としてどのように認識されていたんでしょうか。
○只腰施設計画部長 先ほど既にご答弁をしたとおりでございますが、この事業につきましては、計画段階から、東京都環境影響評価条例に基づきまして、騒音を含めまして環境影響につきまして予測、評価を行った上で事業を実施しているものでございます。鉄道騒音につきましては、必要な環境対策を事業計画に盛り込んで、現況とほぼ同程度か、これを下回る状況になるというふうに判断をいたしまして事業をしているものでございます。
なお、事業実施の段階では、こうしたその時点での対策に加えまして、レールの重量化あるいはバラストマットの敷設、防音壁への吸音板の設置あるいは緩衝型防音装置の設置等の対策を講じまして、さらなる騒音レベルの低減に努めているところでございます。
○大河原委員 判決では、環境影響評価の参酌に著しい過誤があるというふうにされています。事業者任せのアセスに疑問が上がっているんじゃないかというふうに考えるわけですけれども、アセスへの信頼をどのように考えているんでしょうか。東京都の、今、代々木上原-梅ヶ丘間が説明会などが行われていて、また、見解書なんかが出ているわけですけれども、環境影響評価の実施者は東京都ですよね。しかし実際にアセスをしていくのはだれですか。
○只腰施設計画部長 私ども、都市計画局でございまして、環境影響評価制度そのものにつきまして論評する立場にはないわけでございますが、本事業につきましては、東京都環境影響評価条例並びにその技術指針に基づきまして、最新の科学的知見とデータに基づきまして予測、評価を行いまして、また、環境影響評価審議会の審議をいただきまして、東京都知事、これは環境局でございますが、そこの審査意見書に基づく修正を行った上で評価書を提出したものでございまして、正当な手続のもとに実施したというふうに考えております。
なお、当時の規定におきましては、このアセス条例の事業者は、東京都でいきますと建設局、並びに線増部分につきましては小田急電鉄でございます。
○大河原委員 線増部分については事業者、小田急がやるということがあるわけなんですけれども、両方の名前で調査書が提出されますよね。その中でもやはり、住民は、アセスがどれぐらい精度を持ったものなのか、信頼性が置けるかということが大変重要なポイントになってくると思うんですけれども、例えば事業区間が完成した場合、一日当たりの列車の運行本数、現行の七百七十本から約八百本というふうにしているわけですけれども、梅ヶ丘-代々木上原間が完成した場合、一日当たり約一千本以上になるというふうに聞いています。そして、このことがアセスの中では既に予測をいたしましたということもあるわけなんですけれども、細切れのアセスに関して東京都としてはどのようにとらえているんでしょうか。
○只腰施設計画部長 最初にお配りした資料の三ページをごらんいただきたいわけでございますが、小田急線の連続立体交差化事業でございますが、三つの区間に分けて事業をしてございます。一番最初にやりましたのが、図面の左側、工事完了区間と書いてございますが、狛江区間でございます。今話題になっておりますのが真ん中の事業中区間、それから黄色いところが立体化予定区間ということで現在手続を進めておるところでございます。それから、右側の工事完了区間、これはアセスの制度前でございますが、それを含めますと四区間に分けてやってございます。こういう区間ごとのアセスということのご指摘でございますが、東京都の環境影響評価条例によりますと、事業を実施する区間ごとにアセスを実施しなさいということになっておりますので、そういうやり方を採用して、条例に定められた方法にのっとって私どもやったものでございます。
それから、今ご指摘いただきました列車本数でございますが、確かに下北沢区間が完成しませんと複々線としての効果は上がらないわけでございますが、そういう区間が完成した時点における列車本数、これは急行等がふやせるわけですが、そういう本数の増加を考慮いたしました鉄道騒音の影響につきましては、一日当たり、現在七百七十本あるいは八百本程度でございますが、これが一千本になった状況につきまして、頻度の要素も入れまして予測をしてございます。ちなみに、先ほどちょっと出ました等価騒音レベルにおきまして一ホン程度増加するというふうに本事業の環境影響評価書に記載をしているものでございます。
○大河原委員 喜多見-和泉多摩川間に関しては事後調査報告書というのも出ていて、騒音でさっき一〇デシベル下がったということも出ているわけですけど、このことについても住民には事後調査の報告というのを私は十分にされていないんじゃないかというふうに思うんですが、その点はいかがですか。
○只腰施設計画部長 都の条例アセスによりますと、評価書案、それから評価書並びに事後評価の内容につきましては、縦覧し、公表することになっているものでございます。
○大河原委員 質問がダブったりしますので、通告していないものもちょっとまぜておりますけれども、事前には説明会を開いて情報公開をする、説明責任を果たそうとする。事後もやはり、この場合は結果がよくなっているわけなんですけれども、逆の場合もあると思うんですね。やっぱり事前、事後、しっかりとチェックをしていく、そういうことを住民も求めているわけですから、その点でも情報公開、それから広報のあり方、しっかり考えていただきたいというふうに思っています。
それで、今回、隣接する下北沢駅付近の立体化計画については、ことし四月、都市計画素案説明会が実施されているわけですけれども、これまでと同じような姿勢でこの地元説明会を行っていらっしゃるんでしょうか。
○只腰施設計画部長 先ほど図面でお示しした下北沢区間でございますが、駅名でいいますと代々木上原-梅ヶ丘間ということになるわけでございますが、この区間の連続立体交差並びに複々線化事業につきましては、ことしの四月に都市計画素案の説明会を実施したところでございます。現在、都市計画案並びに環境影響評価書案の作成に向けて私ども準備を進めているところではございますが、沿線住民の方々が組織するまちづくり懇談会等の場があれば、私ども、地元区とともに参加をして意見をお聞きする、あるいは私どもの見解をお示しするなど、円滑な合意形成に現在努めているところでございます。
○大河原委員 調査計画書に係る見解書の概要というところに、地元の住民や区からどういう意見が出ているかがわかるわけですけど、例えば世田谷区の区長の意見として、アセスの項目に日照と電波障害、こういったものも入っているわけなんですね。日照のところでは、これはアセスの項目には当たらないというふうな見解を示されているわけですけれども、その理由が余りにも納得できないというふうに私はこれを読みました。こうした地元から寄せられる意見に対してはもっと丁寧に答えていただきたいということを強く申し上げたいというふうに思います。
今回の判決は、やはり私は、都市計画決定の手続、基本的な部分に警鐘を鳴らされたというふうに思います。さっきも区間ごとのアセスだとおっしゃいましたけど、今、条例アセス、現行はそうですけど、総合アセスという形で累積的な、総合的なアセスをしていこうという流れの中にあると思うんですね。そういうところではやはり、今回のこと、これから控訴審が始まるわけですから、今この委員会でお答えが出るとは思いませんけれども、やはり情報公開、そして住民参加、これを基本にしていかなくてはこれからの公共事業は立ち行かないというふうに強く申し上げまして、質問を終わります。
○藤川委員長 ほかにご発言ございますか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○藤川委員長 なければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤川委員長 ご異議なしと認めます。報告事項に対する質疑は終了いたしました。
○藤川委員長 次に、事務事業に対する質疑を行いたいと思います。
本件につきましては既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料はお手元に配布してございます。
資料につきまして、理事者の説明を求めます。
○野田総務部長 去る九月十一日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。お手元に配布しております都市・環境委員会資料をごらんいただきたいと思います。
まず、目次の次の一ページをお開きください。都市緑地保全法に基づく市民緑地の一覧でございます。区市ごとに名称と面積を記載しております。
次、二ページでございますが、生産緑地地区の追加指定状況でございます。平成四年度から年度別に、区部及び市部ごとに地区数及び面積をそれぞれ記載してございます。
三ページをお開き願います。市民緑地等の税制優遇施策でございます。市民緑地と緑地保全地区ごとに、税制上の優遇施策をそれぞれ記載しております。
次に四ページでございますが、区部における住宅着工戸数の推移でございます。平成三年から過去十カ年の住宅着工戸数の推移を記載しております。
五ページをお開きください。生産緑地地区面積の推移でございます。平成八年度から区市別に地区数と面積の推移を記載しております。
六ページでございますが、民営鉄道建設に対する利子補給の金額の推移でございます。過去十カ年の支出額を記載しております。
七ページをお開きいただきたいと思います。各戸貯留浸透施設等事業補助の実績でございます。各年度ごとに補助を行った区市の数と件数及び補助金額を記載しております。
八ページをごらんいただきたいと思います。総合治水対策における雨水流出抑制施設の整備状況でございます。各年度ごとに公共施設等と民間施設について、件数と対策量をそれぞれ記載しております。
九ページをお開きください。首都高速道路公団に対する出資金等の推移でございます。出資金と貸付金について、過去十カ年の推移をそれぞれ記載しております。
一〇ページでございますが、過去二、三年の一時間一〇〇ミリを超える降雨発生状況でございます。発生日ごとに原因、最大時間雨量、観測所をそれぞれ記載しております。
以上で要求のございました資料の説明とさせていただきます。どうぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○藤川委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、本件に対する質疑を行います。
ご発言をお願いいたします。
○鈴木委員 小田急線の連続立体交差事業については、その判決に惑わされずというのか、ひるまず、積極的に事業を推進をしていただきたいというふうに思います。
鉄道の連続立体化については、我が党の方でも先般の三定で、明確な目標を明らかにした具体的な計画案と財源の裏づけを伴った事業化プランを今後早急に策定すべきであるというふうに主張したわけでありますけれども、ボトルネックの踏切の一つであります京成高砂駅付近の踏切問題ですが、今後の鉄道の整備の状況によって、一層悪化することが予測されるところがあります。国の平成十四年度予算の概算要求によりますと、新たな成田空港アクセスとして、いわゆる成田のB案ルートの整備に着手するということでありますけれども、このプロジェクトは、都市再生本部の第二次プロジェクトとして位置づけられています。そこで、この成田B案ルートとはどのような計画の内容であるのか、また、どのような効果がもたらされるのか、お伺いをしたいと思います。
○只腰施設計画部長 いわゆる成田のB案ルートでございますが、都心と成田空港の間に新たな空港アクセスを整備するという構想の一つでございまして、具体的に申し上げますと、京成線の葛飾区にございます高砂駅、ここを経由いたしまして、そこから京成の本線から分岐をしまして、既にできております北総・公団線というものがございます、これが現在、高砂から三十二キロ先の印旛日本医大というところまで行っておりまして、そこを改良して使うというのが一つ。それから、印旛日本医大から成田市の土屋というところまで、これはちょうど印旛沼等をまたぐところでございますが、延長十一キロでございます。そこまでにつきましては路線がございませんので、新線の建設になります。今度、土屋というところから成田空港までは、かつて成田新幹線ということでつくった土木構造物、高架橋がございますので、それを改良して使うという三本立てでございまして、これをB案ルートというふうにいっているものでございます。
このB案ルートの整備によりまして、現在のいわゆる京成線経由のスカイライナー、これがB案ルートの新線を経由いたしますと、現在日暮里から空港第二ビルまで五十一分かかっているわけですが、これが十五分ぐらい短くなるのではないかというふうに見込まれているものでございます。
○鈴木委員 このB案ルートの途中に位置しています高砂の一号踏切--二号踏切もあるのですけれども、あの辺の現状についてお伺いをしたいと思います。
○只腰施設計画部長 今ご指摘の高砂一号踏切でございますが、先ほど申し上げました高砂駅のちょうど成田方に、駅に隣接した踏切でございます。先ほど申し上げた北総・公団線と京成の成田線本線、それから京成の金町線という支線がございまして、この三本の線と都道が交差する踏切でございます。いわゆるボトルネック踏切といわれています遮断四十分以上に該当いたしまして、ピーク時の最大遮断時間四十九分、つまり十一分しかあかない、一時間のうち十一分しかあかないという踏切でございます。また、踏切を横断する自動車交通でございますが、一日五千台、それから歩行者の数は四千六百人というふうに測定されておりまして、ただ、線路をまたぐ横断跨線の人道橋は設置されているような状況でございます。
○鈴木委員 先ほど小田急線で、一日で十時間トータルで踏切が閉まっているというふうな話がありましたが、その高砂一号踏切というのは、葛飾区の調査でも四十九分というふうな数字が出ているのですけれども、これは一日にすると何時間ぐらいになるのか。あるいは、一日車が五千台とか歩行者四千六百人という今のお話ですけれども、一日五千台というのは多いか少ないかという議論はともかくとして、私なんか毎日葛飾区内を走り回っていますけれども、あそこはラッシュ時に限らず絶対通ってはいけない踏切というふうに私は認識しているのですよ。真っ昼間のこの時間帯なら大丈夫だろうといっても、必ずひっかかってしまうような踏切なので、裏道を知っているものですから、絶対に通らない。年に何度か、だれかに運転してもらって間違って入っちゃったときぐらいしか通らない、本当に大変な、悲惨な踏切なのです。そこへB案ルートの列車が入るというふうなことになっていくと、一時間に四十九分でなくて六十分を超えるのではないかなというふうな心配もしているわけでありますけれども、今、葛飾区あるいは江戸川区、あるいは東京都が一体となって、あの辺の連続立体化を何とか進めたいというふうな協議会のようなものができたようでありますけれども、これを立体化するに当たって現時点ではどのような課題があるのか、お尋ねをしたいと思います。
○只腰施設計画部長 まず、ご指摘の踏切の一日当たりの閉鎖時間でございますが、十三・二時間、十三時間とちょっとでございます。
それから課題でございますが、先ほどちょっと申し落としましたが、当該踏切は実は、京成高砂のすぐ郊外方に車庫がございまして、その車庫の出入りの電車もある。車庫線もついているようなものでございまして、その部分も含めた踏切の遮断になっているということでございます。そういうこともございまして、鉄道と道路を一般的に立体化するには、道路をオーバーパスとかアンダーパスにする方法と、それから鉄道を立体化する方法、先ほど小田急線のときにも出た議論でございますが、あるわけでございます。
仮に鉄道を立体化するということになりますと、先ほど申し上げた三方向に分岐している線を全部上げなければいけない。どういうふうに上げるかという立体化の手法の問題、それから、今申し上げました車庫、これは電車の収容能力が百五十六台ということで、結構大きな車庫でございますので、すぐ隣でございますので、この車庫まで上げるのかどうか、そうなると非常に大変なことになりますので、その辺の取り扱い。それから、当該駅は、交通広場等もなくて、大変交通の錯綜した地区であることはご指摘のとおりでございますが、その辺の周辺まちづくりをどうするかというような物理的な諸問題があろうかと思います。また、そういうことになりますと大変費用もかさむということで、都の財政事情、あるいは関連の区の財政事情等も考慮しなければいけないのではないかというふうに考えているところでございます。
○鈴木委員 今、十三時間というふうな話を私は初めて伺ったのですが、人間が活動する時間というのは、電車が十二時半ぐらいまで動いていますかね。それで五時前。四、五時間は電車も寝ている時間だとすると、十八、九時間電車が動いていて、そのうちの十三時間というと、すごいですね。一日のうち半分以上はずうっと閉まっているというふうな状態が続いているわけですよね。そうすると、小田急線よりも優先順位は先になるのではないかというふうに思うのですけれども、ぜひその辺もお考えをいただきたいというふうに思います。
高架化するに当たっていろいろな課題があるわけでありますけれども、例えば駅周辺のまちづくりの方向性が未定というふうな今のお話がありましたけれども、これは鶏と卵ではないですが、高架がどうなるのかわからないと駅の周辺のまちづくりも進めにくいといったような、地元からいわせればそういうこともあり得るのではないかなというふうに私は思います。といって、いろいろな課題があることは、素人目で見ても、大変な事業になるなというふうなことですけれども、もう一つは、あれをあのまま高架化するというと本当に大変な事業になってしまいます、高砂の付近。ではなくて、今度は道路をあそこだけは高架にしてまたぐというふうな方法というのも考えられるのではないかなというふうに思いますけれども、その点も含めてぜひご検討いただきたいと思います。
そういった課題を解決して、ぜひあの辺も連続立体化という事業を検討し、進めていただきたいと思いますけれども、これからどのような形で取り組んでいくのか、お考えをお示しいただきたいと思います。
○只腰施設計画部長 今ご指摘いただきました立体化の方式等も含めまして、私ども検討課題というふうに考えておるわけでございますが、地元葛飾区、隣の江戸川区も一緒に入っているわけですが、その両区が中心となりまして、私ども、それから京成電鉄、いわゆる鉄道事業者も参加した検討会が、既にことしの九月に設置をされてございます。その場を活用いたしまして、今お話出ました踏切対策や、あるいは関連の都市計画道路の整備方策、またまちづくりの進め方等につきまして、私どもも一緒になって検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
○鈴木委員 このB案ルートというのは、地元の迷惑はともかくとして、これからの航空利用客、今は落ち込んでいますけれども、これからますますふえていく上に当たって重要なルートであると思いますので、いろいろな課題がありますけれども、地元の地域の対策についても十分に考えた上で進めていただきたい。葛飾区あるいは沿線は、ただB案の列車が通過するだけなのですから、何も便利にならないわけですから、その辺のこともお考えをいただきたいというふうに思います。
次に、同じく葛飾区には京成押上線が都市計画決定されているわけでありますけれども、沿線にはいわゆる大変なスピードで市街化が進んできたがための木造住宅の密集地域があります。立石、四つ木地区が重点地区として指定されて、いろいろな事業を進めていただいているわけでありますけれども、消防署なんかに行きますと、立石地区に災害が起きたときに、例えば立石四丁目という地域ですが、三カ所ぐらいから火が上がったら、もうあっという間に火の海になってしまうというシミュレーションがあるのです。本当にあれを見るとぞっとする思いが、私に限らずどなたでもすると思いますけれども、そういった中で、今、押上線の連続立体化というのは、あれによって踏切が十一カ所解消されるというのか、そういった連続立体化と一体となって防災都市づくりを進めていくわけであります。
そこで木造住宅の密集地域の解消についてお伺いをしますけれども、国の都市再生本部ではこれまで、広域防災拠点や三環状道路の整備など都市再生プロジェクトを発表しているわけでありますが、これらは大規模な施設整備を主眼としたものであって、地道な木造住宅の密集地域の解消というメニューが欠落しているというふうに私は考えます。東京都としては、都市再生に資する木造密集地域の整備を国にぜひ働きかけていくべきだというふうに思いますけれども、その辺はどのようにお考えでしょうか。
○萩原参事 木造密集地域の解消につきましてのお尋ねでございますが、都はこれまで、木造密集地域の整備につきましては、重点整備地域の指定でありますとか延焼遮断帯の形成などを促進しますとともに、都市復興のシンボルとしての緑の回廊の整備、こういったものを発表してきたところでございます。また現在、国とともに、緑の回廊の考え方を取り入れました都市計画道路を基軸とし、緑の多い不燃空間を構築する防災環境軸の整備を検討いたしておるところでございます。
今後都といたしましては、引き続き国に対し都市再生に資する木造密集地域の整備を働きかけますとともに、木造密集地域の解消につきましては、何といいましても民間主導の開発も不可欠でございます。そういったことから、これらの開発が円滑に進められますよう、規制緩和など誘導策の充実に取り組んでまいります。
○鈴木委員 今、規制緩和など誘導策の充実について国に働きかけていくというふうな答弁をいただきましたけれども、もう何年か前の資料なのですけれども、葛飾区の方の調査で、いわゆる細街路が区内には百八十キロぐらいあるというふうに、何年か前だから百七十九キロぐらいになっているかもしれませんが、そういった地域でありますこの木造住宅密集地域の整備については、地道なテーマかもしれませんが、大変重要なテーマであるというふうに思いますので、ぜひとも積極的に取り組んでいただきますよう要望しまして、私の質問を終わります。
○相川委員 私からは地区計画制度について何点か質問をさせていただきたいと思います。 まず、確認をさせていただく意味で、制度の概要と都内におけるこれまでの都市計画決定の件数等をお話しいただきたいと思います。
○小林地域計画部長 地区計画制度でございますけれども、比較的小規模な地区を対象といたしまして、地域住民の合意形成を図りながら、それぞれの地域にふさわしいまちづくりの方向とルールを、区市町村主体で都市計画として定める制度でございます。
地区計画の内容といたしましては、地区計画の方針と地区整備計画の二つから構成されておりまして、地区計画の方針には地区計画の目標、土地利用の方針等を定め、また地区整備計画には、地区計画の方針に従いまして地区に必要な道路や公園などの地区施設に関する事項、用途の制限や容積率や建ぺい率などの建築物に関する事項等を都市計画として定めるものでございます。
都内における地区計画等の都市計画決定の状況でございますけれども、平成十三度末で四百十地区、約九千ヘクタールが計画決定されております。
○相川委員 二十年で四百十地区、九千ヘクタールですから、これは多いかどうかは別として、年間二十件余りは都市計画決定をされてきたということで、街区でありますとか地区、今のお話のように、きめの細かなまちづくりを果たしていく上で非常に有効な制度をこうやってご活用されてきたということに関しましては、評価をさせていただきたいと思います。
今のお話にもありましたけれども、地区計画で都市計画決定された地区整備計画、あるいはその地区整備計画に基づいて建築基準法に基づく条例化を図った中で、良好な戸建て住宅地の環境を保全するというような地区計画の場合、いわゆる通常の基準法の用途に付加をして制限をしている例というのがあると思うのです。例えば建築基準法が昭和二十五年に施行されて五十年以上たつわけですが、当時なかった用途の建物でありますとか、あるいは想定できなかった用途の建物が、その五十年の間にどんどん出ていると思うのですね。特に片仮名の用途の建物が最近は頻繁に新たな用途の概念として出ていると思うのです。例えば福祉の施設なんかをとらえますと、今は死語になってしまいましたけれども、養老院が老人ホームになるとか、それからケアハウスですとかデイサービスセンターですとか、こういった新たな用途が基準法の中で取り扱われていると思うのですが、グループホームに関していえば、どういう解釈で、どういう取り扱いをされているのか、お伺いしたいと思うのです。
○森下建築指導部長 グループホームにつきましての建築基準法上の取り扱いでございますけれども、グループホームといいますのは、介護保険制度の導入に伴いまして、痴呆性高齢者などを対象としましたグループホームの計画が今盛んに進められていると聞いております。数人から数十人の単位で、スタッフの支援を受けながら共同生活を行って、症状の改善、緩和及び生活の質的向上を図ることを目的とした施設であるというふうに聞いております。
この取り扱いなのですけれども、新しい用途の建物でございまして、建築基準法上では特段規定されてございません。幾つかの取り扱い方がございます。まず一つは、便所とか台所、浴室などが一カ所または数カ所に集中して設ける計画になっているような場合には、寄宿舎として扱ってございます。この扱いが最も多いものと思っております。それに対しまして、各住戸が独立的で、独立した設備などを備えた上で廊下とか階段などの共用部分を持つ計画については、共同住宅という扱いになるかと思います。そのほか、老人デイサービスセンターと併設しているような場合には、老人ホームその他これに類する用途というものとしてとらえる考え方もあると思います。
○相川委員 今確認されたことを前提として本論に入りたいと思うのですけれども、八王子を含めまして、日野とか多摩とか町田までの多摩丘陵は、昭和四十年代の半ばから二十三区内の流出人口の受け皿として大規模な住宅地開発に見舞われまして、現状でも丘陵のスカイラインが全部家になってしまっているような状況があるわけですね。当時、今から三十年ぐらい前ですから、買い求められて移られてきた方が、実は均質化された世代であるとか同じような高学歴の方であるとかが一度にどっと来て、それから三十年が経過して、一気に高齢化が進んでしまっているわけです。例えば、東京都の高齢化率が今一四・七、八%ですか、八王子のめじろ台という住宅地があるのですが、既に高齢化率だけいえば二五%を超えているというような地域が、いってみれば二〇二〇年の超高齢社会を先取りしてしまっているような高齢社会が、既にもう現実のものになってしまっている。こういう状況が実はああいった開発地には多分共有化されていると思うのですね。
私が今ちょっと質問させていただきたいのは、昨年なのですけれども、こういった高齢化された住宅地は、独居老人ですとか、あるいは高齢者のみ世帯というのが非常に率が多くて、例えばご主人が亡くなられて、自分の財産を福祉団体とか障害者の支援団体に寄附をされて、グループホームをつくりたいというような申し出が、私が知っているだけでも実は三件ぐらいございました。そういう中で、八王子のそういった住宅地に関していえば、ほとんどが地区計画制度の網がかぶされていまして、先ほどの答弁にもありましたように、八王子市の特定行政庁である建築指導課が、やはり同じように、これは寄宿舎だというような判断の中で、実はその老婦人の申し出を受けとめられなかったケースがあります。一方では、福祉局が、大きな福祉施設から、生涯在宅の環境、在宅の雰囲気で一生を過ごすための、フットワークのいい、そういったグループホームのような施設をこれからどんどんつくっていくというようなことで奨励をされている中で、目の前にできようとする福祉インフラをみすみすどぶに捨ててしまうような現象がこれからもどんどん起こっていくんじゃないか、そういう気がしてならないわけですね。
そこでちょっと質問させていただきたいのですが、例えば先ほどの答弁ですと、建築基準法の別表第二の用途にグループホームというのは掲げられているわけじゃないので、恐らくそこには、それぞれの特定行政庁の建築主事の裁量の幅というのが--考え方の違いで、例えば別表第二のい項の一に規定されているような住宅として取り扱ってしまうような場合もあるんじゃないかと思うのですが、その辺のところはいかがお考えなのでしょうか。
○森下建築指導部長 確かに一つの建築計画につきましてどのような判断をするかという場合に、建築主事として判断する幅はあろうかと思います。特に従来規定のないような用途の場合については、どのように判断するかというのは大変難しい問題で、悩むところが多いと思います。ただ、今のグループホームの場合には、比較的従来からの類似の概念でとらえますと、先ほどの答弁のようになるというところで、どこかの用途に落ちついて解釈していくのではないかというふうに理解しております。
○相川委員 そういたしますと、例えばさっき私がお話し申し上げた事例は、同じような制限がかかっているような、地区計画の網がかぶせられているような地域では、現実的にはグループホームをつくることは不可能であると。もう一つ考えられることが、例えば地区計画制度を見直すということは考えられると思うのですね。用途地域ですとか線引きというのは、そのときの社会状況の変化等によって何年に一回か見直されているわけですから、例えば十年以上経過したような地区計画が、社会状況の変化でありますとか福祉環境の変化によって、当然のことながら見直しをされてもいいんじゃないかと思うのですけれども、たまたま残念ながら、八王子市に関していえば、大変面倒な作業だということで、多分住民がいってこない限りは見直しの機運が盛り上がらないと。この点につきまして、例えば東京都として区市町村に対して見直す方向等を指導していく、そういったようなお考えはないのでしょうか。
○小林地域計画部長 地区計画の見直しについてでございますけれども、先ほどのグループホームの規制等につきましては、恐らく第一種低層住居専用地域の中に、規制を強める形で、共同住宅ですとか、あるいは寄宿舎ですとか、そういったものを地区計画の中で用途の制限として定めていると。定めた当時については、十数年前だとすれば、そういったグループホームのような形態の建物というのは多分なかったのだろうというふうに思っております。
地区計画については、先ほどもご説明いたしましたように、地域住民の発意に基づいて、その地域にふさわしいまちづくりの方向とルールを区市町村が主体となって定めるものでございまして、決定されました地区計画の内容につきましては、時代の変化ですとか、あるいは地域の新しい要請などに基づきまして、適切に見直しを行っていくことが必要だというふうに考えております。しかしながら、こうした見直しにつきましては、原則として地域の住民の方々と区市町村が主体となって検討をしていく、これが原則だというふうに思っております。
しかしながら、副委員長ご指摘のように、新たな時代の要請ですとか、あるいは社会状況の変化に伴いまして、これまで想定をされていなかった、例えばグループホームのような建築形態の必要性といったものも出てきておりますので、東京都といたしましては、今後区市町村との協議の場などを通じまして、地区計画の用途制限に当たりましては、こうした新たな建築形態も念頭に置きながら、適切な用途規制がなされるよう区市町村に対して必要な助言を行っていきたいというふうに思っております。
○相川委員 八割方納得せざるを得ないのかなという感じなのですけれども、昭和五十五年にこの制度が施行されたころに、聞くところによりますと、都は実績を積み上げるために、区市町村に対してかなりしりをたたいたとか、あるいは区画整理事業に関して用途地域をアップするのに地区計画の義務づけを行ったというようなことも伺っております。そういう意味で、もう少し前向きに、指導とかいうことじゃなくても構わないのですけれども、区市町村とのそういった協議の場等があったときに、今のお話のようなことを周知をしていただければ大変ありがたいと思います。
もう一つは、先ほど私申し上げました、例えば八王子と日野の建築主事の取り扱い方が違うといったような問題が起こらないように、周知徹底を図っていただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○藤川委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
午後二時五十一分休憩
午後三時三分開議
○吉野副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行します。
発言を願います。
○大木田委員 昨日、日銀の「金融経済月報」が出まして、景気の不透明感が一段と進んでいる、五カ月連続下方修正というような状況で、テロが起きる前からも非常に景気に対しては厳しい動向になっておりますけれども、米国の中枢同時テロにおきましてさらに日本の景気も落ち込んでいる。今、次の一手をどうするかということが求められているわけでありまして、そういう中でいろいろと浮上してきたのが首都圏緊急五カ年十兆円プロジェクトであるとか、国の都市再生本部における第一次、第二次、近々第三次を検討するということで私も意見を求められているわけでありますけれども、きょうは、私は緊急提言の形で、ちょっと考えている都市計画道路に関することで提言をまとめましたものですから、やりとりを通しながら私の考え方を発表したいと思っております。
具体的に都市計画道路の現状、整備状況についてまず伺います。
○只腰施設計画部長 都内の都市計画道路の整備状況でございます。十三年三月現在でございますが、区部におきましては計画延長が一千七百六十二キロございます。このうち五六%に当たります九百八十二キロメートルが完成をしております。また、多摩部におきましては計画延長が一千四百十七キロございまして、このうち四八%に当たる六百八十三キロメートルが完成しているものでございます。東京都全体を合わせますと三千百八十九キロの計画延長のうち一千六百七十三キロ、率にして五三%の完成率でございます。
○大木田委員 今、区部と多摩と、島しょについては現在進行しておりますので、その状況の報告がありましたけれども、区部においては五六%、多摩においては四八%、こういう状況であります。都市計画道路につきましては一日も早いこの解消を求められているわけでありますけれども、区部において今残っている都市計画道路を事業換算をしますと幾らになるのか。多摩においては、残っているところを一括購入して道路を購入した場合幾らになるのか、この具体的な数字を伺います。
○只腰施設計画部長 都市計画道路の残事業費でございますが、大変設定する諸条件が難しくて、またその条件のありようによりまして結果が異なるということで非常に困難性があるわけでございますが、仮に幾つかの条件を設定をいたしまして試算させていただきます。既存の、先ほど申し上げた数字に基づきます都市計画道路の現況残事業量、それから国土交通省の平成十三年一月現在の地価公示、これは土地の単価でございます、それから道路をつくりますとき補償費がかかりますので、現在建設局が事業を進めている路線等の単価、いわゆる補償費とか道路の築造費、こういうものの単価を仮に積算しまして積み上げますと、大変雑駁な数字でございますが、区部で八兆円程度、それから多摩で四兆円程度、合わせまして東京都全体で十二兆円程度ではなかろうかというふうに推定をしております。
○大木田委員 今、都市計画道路の残事業の事業費の見込みを計算すると、区部で八兆円程度、多摩で四兆円程度と。私もこの数字については計算をいたしました。やはり区部においては八兆円程度という、若干の数字は違いますけれども、概算としてはほぼ同じような数字が出たわけであります。
都市計画については、もう長年道路の計画決定が決まっておりまして、ところがなかなか進まない。平成十二年度前期やるということですけれども、それが十五年まで見直しの期間といいますか、延びておりまして、十五年以降後期をどうするかということは、今十三年ですから、前期の見直しの期間に入っておりますけれども、この十二年度まで前期をやるということだったのが、今この三年間見直しといいますか、前期の延長線に置いた理由は何でしょうか。
○只腰施設計画部長 都市計画道路の事業化計画でございますが、これまで昭和五十六年、それから平成三年に今ご指摘の第二次事業化計画を定めてございます。この時点では平成十一年度までだったわけでございますが、これを十二年度から三カ年延ばしてございます。現在その延ばした期間中にあるわけでございますが、東京都の新しい都市づくりビジョン、あるいは都市計画のマスタープランと連携して検討する必要がある、あるいは、前期事業化路線がなかなか予定どおりいかなかったこと、それから現在財政再建プラン中でございますので、そのプランの動向を見るということで、財政再建の動向を踏まえて新たな計画を策定する必要がある、そんなようなことから延ばしたものでございます。
○大木田委員 今のところで、延ばした理由は、なかなか思うようにいかないというのが率直な状況だと思うのです。
そこで私がこれから提案をしたいことは、この都市計画道路を一挙に解決するために、東京都単独ではできませんけれども、国の方とも連携をとって、即効性のある経済政策といたしまして、都市の再生、交通渋滞の緩和、三十年以上の建築制限解消などのそういうさまざまな課題とともに、その東京の、日本全体にも波及効果がありますけれども、経済の活性化という即効性のある景気の刺激策といたしまして、私は、時限立法で都市計画道路整備法というのをつくるべきであると。
この都市計画道路整備法というのを時限立法でつくりまして、長年ずっと懸案になっております都市計画の道路を--まず五年間の時限立法にしまして、日銀から十兆円出していただくということで、毎年二兆円ずつということで、先ほどやりとりした中において、まず二十三区の、東京都の試案で八兆四千億、私の試案で八兆一千億ですけれども、若干変動性を含めて十兆円の予算を用意して、毎年二兆円ずつ日銀からお金を出してもらう。このお金は銀行を通さない。日銀から東京都で直にやって、都市計画道路の網がかかっていて、もう本当に蛇の生殺しになっていて、古くなっても引っ越しもできない、建てかえもできない、それを二十三区分を一括してこの五年間で東京都が買う。そうすると、お金が全部市中に入りますから、新しい家を買えますし、移りますし、また古いところは解体をするし、道路は拡幅をするし、それが全部十兆円近いお金が二十三区に入る。
そうすると物が動き出しまして、住宅の関連も全部これが動き出しまして、即効性で皆さんの懐にもお金が入りますから、移転もするということで、五年間の時限立法、今テロの対策法案が山場を迎えて、これも二年間の時限立法ですけれども、この都市計画道路整備法は五年間の時限立法としてこれをつくることによって--今一番土地が下がっておりますから、買うのには一番いい条件なんです。バブルのときにこれを買おうと思ったら大変な費用が必要ですけれども、それで経済の即効性とか長年のさまざまな課題を一気に解決をして、景気の刺激策にもなるということで、都市計画道路整備法という、五年間の時限立法で年間二兆円ずつ対応する。
ですから、この発想は、今までの都市再生の第一次のスーパーエコタウンの問題、防災拠点の問題、さまざまなことが今出ておりますが、そういうこととは別枠として、都市再生の第一次、第二次のこれとは別枠にして、要するに二十三区における都市計画道路整備法で一気に二十三区を解決し、その五年後にその状況を見て、そのころ三多摩も計画は一部進めてまいりますけれども、残余があれば第二次として三多摩の都市計画道路も同じような手法によって対応して、東京の都市計画道路をここで一気に解決をするというのが、私の都市計画道路整備法という内容であります。
これは、今までお話ししましたけれども、日銀を活用することによって、時限立法ですから、法律そのものは政府の方で、国の方でつくる法律ですけれども、そういう特殊事情における時限立法。今、私もこの景気をどうするかということでいろいろと研究しておりますけれども、やはり時限立法をつくって対応しないともうどうにもならないところまで来ている。
日本経済の現況、あるいは景気の動向、これは危機感を持っている状況について話せば切りがありませんから、ここでは話しませんけれども、もう本当に土壇場に、今日本経済も国際経済も株の状況も見てわかりますけれども、九月十一日以来もう連日、テレビを見ても空爆の状況等が出ておりまして、先行きが全く不透明な時代状況で、そのほか狂牛病の問題とか炭疽菌のこととか、あるいは雑居ビルの火災とか、さまざまな問題が起きて、先行き全く不透明になっている。次の一手が今どこも出せないのです。
国の方も次の一手がないために、ずるずるずるずるこの景気の状況もただただ悪化をしていく。倒産がふえて社会不安が増大をしているということで大変厳しい状況でありますので、私は都市再生という、大きな都市に目が向いてきておりますので、その東京を再生することによって日本全体を元気をつけていくということでずっといろいろと考えたのですけれども、都市計画道路の整備法をつくって、時限立法をつくっての対応が一番いいのではないかということで、今後国の都市再生本部にもこの状況等はよく話をして、対応するように私は努力をしてまいりますけれども、今この話を初めてしたわけでありますが、財務局長を経験しております木内局長は、今までの発想の次元を超えて--石原知事にこれ直接話すと、すぐ飛びついて、いいんじゃないかということで石原知事は対応するのではないかと、こう思うのですけれども、局長は立場としてきょうは感想だけ、どんな……。
要するに既存の発想では今の景気の状況はもはや打つ手はないわけです。ないからといって、そのままでいいのかというわけにもいきませんので、二十一世紀を迎えて全く前途が暗たんたる状況、もう景気もどんどんどんどん厳しくなってきている状況の中にあって、次の一手は何かということで、いろんな人が次の一手は何かということは考えているとは思いますけれども、私は、都市計画道路のこの問題を一気に解決する。これができれば一石五鳥以上の効果があると、こういうふうに考えておりますけれども、局長の感想はいかがでしょうか。
○木内都市計画局長 都市計画道路の整備につきましては、都政として重要かつ喫緊な課題であるというふうに私も考えております。今先生ご提案されたことについては、非常に夢のあるといいますか、貴重なご意見というふうに承らせていただければと思います。
ただ、一言といいますか、いわせていただくと、夢から目を現実に、現実世界に私生きているものですから、現実世界に目を転じますと、国、地方を通じた政府の債務が六百六十六兆円であったかと思いますけれども、対GDP比が一二〇%といわれるようで、よくいわれたイタリア並みというのは、イタリアに対しては失礼ですけれども、イタリア以下というふうに我が国がいわれている状況にあるのもまた事実でございまして、日銀引き受けということについての都債--国債であろうと都債であろうと、戦争中におけるそういった反省の上に立った財政法、あるいは地方財政法の立法の精神といいますか、そんなことも考えなければいけないのかなというふうに思っております。
さらに都政の方にもう一つ落として考えますれば、起債の償還が年々三千億程度あるのが、今後十年間おおむね平均して六千五百億円程度にふえるという、またこれも夢のない現実の話でありまして、それらこれらを考えますと、先生ご提案、あるいは承りましたことについては、こうした議会の場等々において十分ご議論いただいて指示をいただければと思っております。現実世界に生きる我々としては、引き続き都市計画道路の整備に努力をしていきたいと思っております。
○大木田委員 きょうは局長の率直な今の感想だろうと思いますけれども、昭和の初めの昭和金融恐慌、あるいは今平成金融恐慌、こういうような状況の中で、既存の発想とか既存の法体系の中とか、既存のことでこの難局を乗り越えることができるのかどうかという問題なんです。乗り越えるのだったらば、それはそれでいいです。しかし、もう二十一世紀へ向かって、二十世紀の負の遺産をどう消却して、二十一世紀の創造的な展開をどうしようかというこのときに、新しい発想に立って取り組むことが一つの突破口になるのではないかというふうに思っているわけであります。
今六百六十六兆の国の財源--地方と合わせた話も出ました。確かにそのことは私も十分わかっております。しかし、そのわかっている中において、あらゆる角度から見て次の一手がないために、非常に景気の低迷--これから年末に向かって、あるいは来年に向かって、明るい材料は何一つ先行きにない。スポーツ界等では若干のことはありますけれども、現実のそういう中ではないわけです。そういう中で、東京のまちもよくなるわけですから、景気もよくなるわけですから、それで長年住んでいる皆さんも、私もいろいろといろんなところで聞いてみますと、要するにもう古くなって、今まではそこを手放すのは嫌だったけれども、もうそういう国の網がかかっているのですから、いつでも売りたい、そういう人が今ふえているわけです。したがって、都市計画道路を一挙に解決する機は、あらゆる角度から見て熟してきている。それをまた十二年から十五年まで見直しをして、その後十五年以降新しく見直しをするというような形でだらだらだらだら、これでまた二十一世紀じゅうこういうような状況で、あと五十年先までかけてこうやっているようなことであるとすれば、東京の思い切ったまちづくりもできないし、そういうような状況で今いいのかなというのが私の問題提起であるわけであります。
したがって、そういうことを考えて、この際思い切った対応をとるべきである。これは東京都の決断というよりも、本来ならば私は知事とこのやりとりをして、私も国の方に働きかけますけれども、東京都の石原知事の立場からでも働きかけていただいて、東京もよくなるし、経済もよくなるし、大きく変わる。こういう状況で、何か夢の世界の話のように局長はいっておりましたけれども、これは決して夢の世界ではなくして、そういう計算があって現実的にこれを解決しようというような中で取り組んできた問題でありまして、きょうは問題提起をして、これからの先行きの状況の中、緊急提言として私はきょうここで初めて、都市計画道路整備法という五年間の時限立法という形で、この問題を何とか早く解決をしてやっていきたいというような形の中で、きょうは申し上げたわけであります。
今後、いろいろな角度から私も研究してまいりますけれども、局の立場としても、どういう手法ができるのか。局の次元においては今までのとおりやっていけばいいわけですけれども、日本とか東京とか景気とか、この状況を踏まえて今が一番最大のチャンスで、こういうようなときにどう次の一手を打つかという立場で私は提言をするわけでありますので、そういうような大きな立場に立って、都市計画道路そのものの今までの流れの延長線にとらわれるのではなくして、発想を変えてこれを一回考えてみていただきたい。こういう問題提起をしておきます。
局長には感想を聞きましたので、最後に担当部長の感想も聞いて、質問を終わりたいと思います。
○只腰施設計画部長 局長の答弁の後でございますので、それ以上つけ加えることはないわけでございますが、都市計画道路の整備でございますが、ご指摘ございましたように都市問題解決のための重要な課題であるというふうに私ども考えております。今現在都としては国に対して、無利子で貸し付けろ、こういう要求を出しておりまして、部分的には概算要求にのったりしまして認められる方向にあるわけですが、貸し付けでございますので、局長申し上げましたようにまた返さなければいかぬという問題もございまして、なるべくその辺の条件を緩くしてほしいというようなことで、引き続き国には要請をしてまいりたいと考えております。都議会の皆様方におかれましてもぜひご支援をお願いしたいと思います。
○大木田委員 要するに、国が中小企業は大変だということで安定化資金で二十兆用意しました。さらにいろいろと厳しいというのでもう十兆で、三十兆用意したのです、中小企業安定化資金で。それでやっても、それなりに効果はあったのですけれども、景気の状況はそう変わっていない。だから、都の場合はあれですけれども、国が決断すれば安定化資金だけでも三十兆投入することができたわけですから、私はこの十兆というのは、今東京都は確かに無利子貸付を国から受けて、東京の道路をよくしよう、こういう機会だから都市再生にあわせて道路をよくしようという努力はよくわかっております。今国との交渉をしていますし、平成十四年度もその対応をやっていることはよくわかっておりますけれども、そういうのとは別枠で、要するに安定化資金の三十兆と同じような形の発想の中で国の方に働きかけて、都市計画道路整備法として十兆円を用意していただく。
私は、今後金融機関に公的資金の投入等がまた出てきます。しかし、銀行に今お金を入れても、もう担保割れしておりますから、市中に流れないという。したがって、今、日銀が金融緩和しても、お金が、貸し付けが回っていないわけです。したがってあとは担保割れした分の回収だけが今されている、こういう現状でありますので、銀行にもし公的資金の投入をするということであれば、そういう予算をこれとは別に、とにかく市中にお金が動くというような形で対応してこの問題を早く解決すべきだと。だから、銀行の公的資金注入がこれから浮上してきますけれども、その予算を、十兆円を別枠で新しい発想に立って対応してほしい、対応すべきだ。無利子貸付とか今まで東京都が手を打ってきたことはそれはそれとして尊重して全部やることで、別枠として次のもう一手を考えるチャンスではないかということでこの問題を考えておりますので、ぜひいろいろと研究し、勉強をしていただきたい。このことを要望して、質問を終わります。
○かち委員 都市計画道路を時限立法で促進をというお話がありましたけれども、私はまた別の立場から、都市計画道路の考え方、それから環境影響評価の見方についてお聞きをしたいと思います。
今、国においても都においても、首都圏の渋滞解消、三環状道路等の促進が首都再生の起爆剤として位置づけられ、最重点施策として取り組まれているところですけれども、三環状の中でも最も都心部を走り、三つの中では最も完成に近い中央環状新宿線、そしてその延伸である品川線の計画づくりについての取り組みと環境影響評価書作成についてお聞きしたいと思います。
まず、品川線の計画を含めた中央環状線の概況と進ちょく状況及び現在事業中の王子線、新宿線、計画中の品川線、それぞれの工事費用はどのぐらいなのでしょうか。
○只腰施設計画部長 中央環状線でございますが、ちょうど都心から八キロメートルぐらいのところを環状に結ぶ、全長にしますと四十六キロメートルの道路でございます。このうち荒川に沿った区間、これは二十キロございますが、既に供用中でございます。これに接続しまして、王子方面を通りまして豊島区に至る区間、これは王子線といっておりますが、おおむね工事が九割程度終了いたしまして、平成十四年度には開通する予定でございます。それの南側に至ります、渋谷区を越えまして目黒区に至ります、新宿線といっておりますが、延長十キロございまして、おおむね用地買収が八割程度終了いたしまして、現在工事をしております。平成十八年度には完成するのではないか。次の品川線でございますが、延長九キロございまして、新宿線から南下をいたしまして高速湾岸線大井ふ頭に至る区間でございまして、これにつきましては、現在環境アセスの手続、また八月には都市計画素案に関する地元説明会を実施したところでございます。
なお事業費でございますが、見込みでございますけれども、王子線が四千百億円、新宿線が約一兆円、品川線につきましては五千億円程度を見込んでございます。
○かち委員 中央環状新宿線の約三分の二ぐらいですけれども、今の三つの工事費用で合わせて二兆円ということです。新宿線に至っては一メートル一億円という大変高い道路をつくることになるわけです。品川線については今素案の説明と方法書に対する意見を集約しているところだということでしたけれども、それではこれから整備しようとする品川線の計画の概況及び手続の状況についてお聞きします。
○只腰施設計画部長 品川線でございますが、今ご説明いたしましたように中央環状新宿線から高速湾岸線に至る全長九キロの都市高速道路でございます。出入り口につきましては、中目黒外二カ所、計三カ所、換気所につきましては同じく中目黒外三カ所、合計四カ所を計画してございます。構造につきましては、高速湾岸線、これは地平でございますので、それにつながる地上部分を除きましてほぼ全線トンネル構造でございます。また環境アセスにつきましては、これは環境影響評価法に基づく大規模な事業でございますので法アセスになりますが、現在、評価の項目あるいはその手法等を沿線の方々にお示しして意見を聞くための、方法書といいますが、その公告縦覧を実施したところでございます。その公告縦覧の際に意見が出せますので、住民の皆さんからの意見を集約しているところでございます。
○かち委員 今ご説明いただいたように、この品川線というのは、大橋ジャンクションから大井ジャンクションまで約九キロが地下トンネルということで、新宿線と合わせれば全長二十キロという長大な地下トンネル構造ということになるわけです。人口もビル群も密集したこのような都心での二十キロに及ぶ地下高速道路、そして一部二キロにわたっては目黒川の底、地下三十メートルの深いところを走るという、こういう高速道路というものは、日本ないし世界においても類があるのでしょうか。
○只腰施設計画部長 世界の例を見ますと、あるいは日本の例を見ますと、例えば関越トンネル、あの関越自動車道の新潟へ行く線でございますが、延長十一キロのトンネル、あるいは東京湾のアクアラインでも約十キロメートルのトンネルということで、そういうような長大トンネルの例はございます。都心部といいますか、市街地の真ん中では余り例はないのですが、現在の首都高速の環状線その他で二キロ前後のトンネルはある状況でございます。
○かち委員 二十キロという長大な地下トンネルの構造での高速道路、都心部の下を通るという道路は今までにはないということですよね。
この品川線の地上部の環境というのはどうなっているかということですけれども、環境庁の大気汚染測定結果でもたびたびワーストスリーに入る大坂橋交差点のある環状六号線が六車線で走っています。自動車交通量の激しい地域でありまして、この今回の方法書の中にも九九年の大気汚染測定結果が示されていますけれども、この年は気象の影響で全国的にも大気汚染濃度が低かった年でありましたけれども、それでも一般測定局ではNO2が、十局中六局が健康影響基準を超えています。自動車排ガス局では、十局中全局でオーバーしています。SPMも一般局で九局、自排局では全部オーバーしている、こういう大気汚染の激しい地域です。関係幹線道路の一日自動車交通量というのは約七十三万三千五百台。地上の山手通り沿線には十階建て以上の住宅、ビル群が建ち並ぶ町並みです。近くに目黒清掃工場もあり、幼稚園、保育園、小学校、高等学校、大学、こういうものが予定線から一キロ以内に百十カ所もある地域です。
この事業を実現することによって環境がよくなる条件というのはとても考えにくいのですが、地下を走るのだから大丈夫ではないかというご意見もあるかと思いますけれども、換気塔というのは大体先ほどのお話では二キロ余りに一カ所ということです。トンネル構造ですから、かなり濃縮をされた汚染の空気が地上に拡散をされるということですから、生活環境に相当な影響が出るだろうと思います。環六の車が全く下にもぐってしまうというのであれば別ですけれども、恐らく環六の方には地下に入るための車がまた押し寄せてくるだろう。そういうことでは、自動車走行量もかなりふえることになるのではないかと考えられます。地下トンネルで必要となる換気塔の高さというのは、どのぐらいでしょうか。
○只腰施設計画部長 この高速道路に伴います環境への影響につきましては、先ほど申し上げたようにこれから手続をしていくわけでございますが、換気塔につきましては今お話しのようにトンネルの中の空気を吸排気するという機能を持つものでございまして、今後その高さあるいは構造等につきましては検討を進めていくことになります。
ただ、類似の構造を持ちます中央環状新宿線、先ほど申し上げたすぐ北側の地下トンネルでございますが、この例で見ますと、おおむね高さ四十五メートル程度を予定しているものでございます。
○かち委員 最初の方にある大橋ジャンクションから入ったところの中目黒駅近くにあるトンネルは、中目黒駅前の再開発によって百二十メートルの超高層ビルが建設されています。百六十五メートルの公団住宅建設計画も都市計画決定されています。その近くに中目黒換気所が建設予定ということですから、これでもし四十五メートル級の換気塔になれば、まさに住宅の鼻先でその排ガスを吸い込むことになるわけです。これだけの長大トンネルでの高速道路であるということ、そして、今でさえ環境基準を超えている、こういう汚染地域で、上からと地下の下からと両方から汚染をされることは防ぎようのないことが予想されるのではないかと思われるのです。
先ほど環境影響評価法に基づいての取り組みをされているということでした。先ほども小田急の裁判についての議論がありましたけれども、今や環境影響評価に対する考え方というのは随分変わってきていると思うのです。しかしながら、まだまだ事業促進が当たり前で、それに環境は付随的に配慮をするという、そういう主従の関係というのは今の日本の環境影響評価の現状だと思うのです。これでは、本当の意味での環境確保ということは到底できないのではないかということ。
それから、今までの環境影響評価書を見ても、やゆされて、あれはアワセメントだなどというふうにいわれているように、本当に事業に支障のないように、言葉として影響は微々であるとか、影響はないと考えるとか、どの環境影響評価書を見てもそういう結論におさまってきているというのが実態ですけれども、それは問題ありということが国民の世論として広がる中で、環境影響評価法というものがつくられるようになったのだと思います。
そして、もっと環境影響は部分ではなくて総合的に判断すべきだという流れが今できていると思うのです。その新しい環境影響評価法の考え方というのは、先ほどもありましたけれども、公害基準点、公害基準をクリアすればいいという考え方ではなくて、より人間の健康を守る立場に立って、また幅広く大気や水や土壌、そういうことまでも含めて考えなければならない。生態系の多様性の確保、それと人と自然との共存、そういうことが確保される視点で事業者は考えなければならないのだというふうに解説書にも書いてあるわけです。そういう点からすれば、今回の小田急の判決は、最終的な結果はどうなるかはわかりませんけれども、今後もこういう問題は出てくるだろうということを東京都としてもしっかりと真摯に見詰めなければならないのではないかと思います。
今回の環境影響評価法に基づく新しいやり方というのは、環境影響に伴う調査項目--最初にどの項目を選びましょうか、どういう方法で調査をしましょうかということから住民に説明をして、縦覧をして住民の声を聞く、またその問題について、関係市区町村や知事の意見を添えるということになったわけで、今までのやり方よりもさらに前の段階から住民の声を反映できるシステムになったという点では、新たな進歩ではないかと思います。そういうことに基づいて今度の取り組みがされてきているわけですけれども、今回この方法書の公告縦覧を経て、住民意見の集約というのはどういうふうになっているでしょうか。
○只腰施設計画部長 先ほど委員からご指摘がございましたように、環境影響評価法におきましては、これまでと違いまして、影響評価方法書というのを先に公告縦覧をいたしまして、いわゆるアセスをやる方法についてもあらかじめ周知をいたしましてご意見をいただいた上で行う。その点が新しい取り組みというふうにいえるかと思います。
この方法書に対する意見書でございますが、ことしの八月十七日から一カ月間、方法書の公告縦覧をいたしまして、各区役所あるいは東京都で縦覧させていただいたわけでございます。現在その意見書につきましては集約をしているところでございますが、大気への影響とか、あるいは騒音、振動、地盤などに関する意見が出されているものというふうに、私ども今整理中でございます。
○かち委員 新しい取り組みが始まってはいるわけですけれども、これは都民参加の環境アセス作成への大きな前進だとは思いますけれども、システムを幾らつくっても、事業者が本当にその立場に立って内容的に実践されなければ、またもとのもくあみ、法律の意味を生かすことはできないのではないかと思います。しかし、なかなかこれ、本当に事業者がその立場に立つということは、大変高度な意識段階に至らないとできないことではないかなと思うのです。しかし、今日本においては、事業者が環境チェックもするというやり方の中で、本当にそのことを生かすのはなかなか難しいなと思うのです。
それでちょっと立ち入ってお聞きしますけれども、せっかく方法書というものが開示をされたわけですけれども、これを見ますと、今度の道路建設に当たっては、車がどれだけふえて、その排気ガスがどれだけ人体に影響を及ぼすかということが一番の大きな課題ではないかと思うのですが、そのほかにさまざまな要因はありますけれども、その大気汚染の関係でいいますと、最も大気汚染の原因となる自動車交通量の予測方法が書かれていない。それから最も肝心なバックグラウンド濃度の予測方法も書かれていない。こういう状況にあります。そして大気汚染の予測方法、これは今までにも環境影響評価といえば、パフモデル方式といって、大気拡散方式、これはかつて三十年ぐらい前にアメリカで、広大な平地のところに煙突を立てて、それで実験をしたデータ、基礎データというか、そういうものを使ってやるというのがお決まりのコースになっているわけですが、こういうことはこれからの複雑な都市構造の中で何かを起こしていく上では、大変現実とは乖離した結果が出てくるのではないかと思うのです。そういう意味では、この大気汚染の測定方法についてももっといろいろな要素を取り入れて調査をすべきだと思うのですけれども、その辺のお考えはどうでしょうか。
○只腰施設計画部長 初めに環境影響評価法の手続でございますが、この法律におきましては都市計画特例というのがございまして、都市計画決定の手続を経る事業につきましては、都市計画の手続の中でアセスの手続を行うということになっておりまして、先ほどの小田急の例とは異なる手続になるわけですが、都市計画決定権者がアセスを事業者の協力を得て行うということになりますので、初めに申し添えさせていただきます。
それから大気汚染の予測の方法でございますが、既に得られているような、ご指摘のような知見に基づきまして、国土交通省令で定められている手法などによりまして実施することになります。具体的に申し上げますと、バックグラウンド濃度とその計画道路による濃度の合成をするというのが基本的なルールでございまして、このうちバックグラウンド濃度につきましては、計画路線周辺での現地の調査結果、これを参考にしまして、地域全体の汚染状況を把握する目的で設置されている一般環境大気汚染局のデータに、将来の予測値の傾向を加味しまして決定する、こういうようなルールになっているものでございます。
○かち委員 バックグラウンド濃度というのは、将来の予測値を加味するということなんですよね。将来というのは、計画でこれだけ減らすということを基準にしてやるということですけれども、実態はそんなに減っていない。ここを基準にしてやると、結果としては全然違う結果が出るのではないかという懸念があるわけです。
それから、いろいろなことを加味するとおっしゃいましたけれども、この方法書の中には理論値だけをやるというふうに書いてあります。しかしながら、東京都の環境影響評価技術指針だとか省令でも、この大気汚染の予測手法としては、一つではなくて、拡散方式もあるし、模型実験をやる方法もあるし、野外拡散実験方法、それから類似事例の参照など、いろいろなものを組み合わせてやることが望ましいというふうにも書いてあるわけですから、そういうことは積極的に取り入れる必要があるのではないかと思います。
この中に、その他適切な方法というものも含まれているわけですけれども、そういう意味でいえば、住民の皆さんが、また東京都全体で東京の大気汚染を防止するために、毎年二酸化窒素の測定運動というのをやっているわけです。二十年来この地域のデータもそろっているわけです。そういうものも環境情報として取り入れて調査、算定する、こういうこともぜひご検討いただきたいと思います。
それで、自動車予測方法というものについてのご回答をいただいたでしょうか、なぜ載せないのかと。
○只腰施設計画部長 ちょっとご質問というふうにとらえませんでしたので、申しわけございませんでした。交通量の予測についてでございますが、この方法書にどういう内容を書くかということにつきましては、環境影響評価法並びに国土交通省令に記載がございまして、それに基づいてやっております。この中で、交通量の予測をどうするかということにつきましてはその項目とされていないということで、方法書には記載してございませんが、今後作成していきます環境影響評価準備書、条例では評価書案といっているのですが、法では準備書といっておりますが、この準備書の中で予測手法並びに予測交通量につきましては示していくことにしております。
○かち委員 今度のこの方法書についての意見集約という点では、その要綱みたいなのを見せていただいたのですけれども、郵送ないしは持参することということになっているわけですけれども、広く都民の声を集約するという立場に立つなら、今の電子都庁といわれている情報化の進んだ時代ですので、いろんな手段を使って意見を集中できる状況をつくるべきだと思うのです。ですから、Eメールでもファクスでもそういうものが可能になるようにすべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○只腰施設計画部長 いろいろな手続の段階で意見書を出せるという規定は、例えば都市計画法等にもあるわけでございますが、現在のところ郵送または持参というルールになってございます。送付された意見書をどうやって認証し確認するか、そういうような解決すべき課題もあるわけでございますが、ご指摘のようないろいろIT等の進展もございますので、Eメール等による意見書の受理につきましても、ほかのいろんな手続との横並びの問題もございますけれども、今後、提出される方の利便性向上の観点から検討してまいりたいと思っております。
○かち委員 解説などを読みますと、縦覧から意見集約まで一カ月半しかないという大変短い中で皆さんが意見を出さなければならない。こういう新しい調査項目や方法について考えるという点では、まだまだ浸透しているわけではありません。そして、高速道路をつくるということは、その沿線住民だけの問題ではなくて、都民全体にかかわる問題でもあります。そして、こういうことに精通した方も、学者、専門家もいらっしゃるわけですから、そういう方々からの意見も広く集約をするという立場に立って、期限が切れたからもうこれで方法書についてはおしまいですよという考え方ではなくて、引き続き意見に耳を傾けるという姿勢はぜひ持つべきだと思います。
では、それができればこの計画書はすばらしいものになるかというと、なかなかそういうふうにもなれないのではないかという懸念を持っています。先ほどもいいましたけれども、事業決定が先にあって環境影響は主従の関係という形からは、ここから逃れられないわけです。ですから、事業化そのものも、環境の立場から見てこれを本当に進めるべきかどうかということが判断できるような、対等の立場に最初の設定をすべきではないかと思うのです。まだまだ日本の場合そうなっていませんけれども、カナダなどでは環境保護団体がNGOとしてこういう事業に対してNGOとしてチェックをする役割を持っている。それに対して国が補助をしているという、そういう進んだ例もあるわけです。そういうことは一挙にはいかないにしても、今こういう公共事業を含めて事業を進めていく上では、環境的な側面を前面に立ててやはりチェックをしていく機能を、行政としても、そして都民、国民としても見詰めていける、前進していくことができる、そういう状況をつくっていかなければならないと思います。
三環状の促進が声高にいわれていますけれども、都市生活の環境改善や地球温暖化、そういうものをすべて総合して、これ以上の都市集中、車社会が増大していく、こういうことに対しては抑制をしていくという方法もぜひ考えるべきではないか。そういう意味では、この品川線についても、とにかく早くということで今進めるのではなくて、総合アセスというような形で検討し直す必要があるのではないか。そういうことを申し上げまして、終わります。
○秋田委員 私からは、二つのテーマについて質問させていただきます。第一点は歌舞伎町ビル火災のその後について、そして二点目がいわゆる三環状の整備についてです。
まず初めに、新宿歌舞伎町ビル火災のその後について三つ質問させていただきます。
火災から約一カ月半が経過しましたが、最近発表された東京消防庁の緊急査察の結果では、査察を実施したビルのうち約九割に消防法等の違反があったとのことです。つまり一割しか適法でなかったということなんですが、歌舞伎町と同様の雑居ビルについて、現在までの緊急安全点検状況はどうなっているのか、お伺いします。
○森下建築指導部長 都区市によります特定行政庁による緊急安全点検でございますけれども、現在までに、調査対象約三千棟に対しまして、その約六割、約千八百棟につきまして点検を終えております。点検を実施しました建物のうち、施設構造面からの問題点や、あるいは維持管理上の問題点があるものについては約六百五十棟という状況でございます。
○秋田委員 お答えいただいた点検状況を踏まえて、行政側では安全上問題のあるビルに対してどのように具体的に対応していくのでしょうか。
○森下建築指導部長 緊急点検の結果、避難通路上に障害物が置かれているなどの維持保全上の問題については、その場で改善の指示を行っております。また、防火戸がなく階段の防火区画がされていないもの、あるいは非常用の進入口が内装や外装により覆われているものなど、施設及び構造面の問題につきましては、その場での改善指示を行うとともに、必要に応じまして文書による改善指示を行ってまいります。今後それらの改善状況につきまして継続調査を行うなど、指導を強化してまいります。
○秋田委員 火災発災後、いろいろな事件がありました。アメリカのテロ事件、あるいは狂牛病、そして時間の経過とともに一部にはもう事件は風化しつつあるんじゃないか、そういうような報道もされております。今回のような大惨事は二度と繰り返してはならないということが一番重要なことだと思うのですが、雑居ビルの安全確保について、抜本的な対策が求められていることは間違いないと思います。そこで、今回の大惨事を教訓として、今後具体的にどのような対策をやっていくのか、もう一度お聞かせ願えればと思います。
○森下建築指導部長 今後の対策でございますが、特に問題のございます繁華街の雑居ビルなどを重点に、立入調査を実施するなど、指導を強化してまいります。また、防火、避難に関する規定の見直し、あるいは定期報告制度の実効性を向上させる方策などにつきまして、国及び関係行政機関と十分に協議しながら、必要な対策の検討を進めてまいります。
○秋田委員 最後に私の意見を述べさせていただいて、この質問を終わらせていただきたいと思います。
東京は歌舞伎町だけでなく、渋谷、池袋、赤坂あるいは六本木といった大きな繁華街を多数抱えております。繰り返しになりますが、一番重要なことは二度と同じような惨事を起こさないことだと思います。そのためにも、屋外広告物条例等を改正しただけで一件落着とならないように、検査等を引き続き行っていくようによろしくお願い申し上げます。
また一方で、今回の火災によって、私の地元でもあります歌舞伎町では、危険な町というイメージがますます強くなっております。お客さんも、あるいは売り上げも減り、閑古鳥が鳴いているお店も少なくないと聞いております。日本一、いや世界一とも呼ばれている歌舞伎町の衰退は、財政難の折、東京都の税収も減ることですので、ぜひともその点についての特段の配慮をお願い申し上げます。
続いて二点目の外環など三環状道路整備について、五つの点から質問させていただきます。
私の公約の中には、東京自民党も掲げております、すいすい東京というプランがございます。この交通渋滞緩和のためのプランのためには、全体の六割を占めるともいわれております都心部等をただ通過するだけの車を排除する必要があることは間違いないと思うのですが、そのためにも外環を初めとする三環状道路の整備が極めて有効であることは認識しておるのですが、そこでまず初めに、外環が整備された場合の整備効果についてお伺いいたします。
○成田外かく環状道路担当部長 外環の関越道、大泉インターチェンジから東名高速用賀インターチェンジまでが完成いたしますと、時間短縮あるいは燃料費などの軽減によりまして、その経済効果は年間約三千億円と推定してございます。また、同区間の所要時間は、現在環状八号線を経由いたしまして一時間以上要してございますけれども、これが完成することによりまして約十二分に短縮される見込みでございまして、移動時間の短縮、あるいは環状八号線、環状七号線の交通量が大幅に削減されることができまして、周辺道路の渋滞緩和に寄与するなど、大きな効果を期待しております。
○秋田委員 外環を整備しても、環境が悪化しては意味がないわけなんですが、この事業に関しては沿道環境の改善にも大きく寄与すると思うのですが、その点についてはいかがでしょうか。
○成田外かく環状道路担当部長 秋田委員ご指摘のとおり、渋滞が解消され、旅行速度が向上することによりまして、自動車から排出されます窒素酸化物、粒子状物質あるいは二酸化炭素を低減できまして、沿道環境の改善に大きく寄与するものと考えております。ちなみに、現在一般道路では、旅行速度が二十キロでございますけれども、これを三十キロに上げることによりまして、これらの値を約四分の一程度削減されることが見込まれております。
○秋田委員 現在の駅伝の走者よりも遅いというような速度は大変問題だと思うのですが、外環のほかにも中央環状や圏央道の整備も進められておりますが、これら三環状がすべて整備されて、首都圏の三環状九放射線構想が実現した場合の効果はどんなものなんでしょうか。
○成田外かく環状道路担当部長 現在放射方向の整備率が九割なのに対しまして、環状方向の道路の整備率は高速ネットワークが約二割でございます。整備がおくれておりますこの三環状道路が整備された場合、放射方向に発達しております都市が環状方向にも結ばれることとなりまして、都市構造の再編や地域の連携強化、あるいは首都圏の渋滞解消等が見込まれまして、ひいては都市再生や環状メガロポリスの実現に寄与することとなり、その効果は非常に著しいものがあると考えております。三環状道路を初め、首都圏の三環状九放射構想が完成いたしますと、その効果は、現在渋滞ポイントというのが全国に数多くございますけれども、その約二割を占める六百カ所のこの主要渋滞ポイントがおおむね解消されることとなりまして、その経済効果は、いろいろな試算がございますけれども、ある一定の条件のもとでは年間約四兆円、土地の流動化によります経済波及効果は約六兆円と見込んでございます。
○秋田委員 経済的効果に関していえば、四兆円と六兆円ということで十兆円ですから、東京都の年間予算を上回るすごく大きな効果がある三環状道路の整備であると思うんですが、一方で、国の行政改革における特殊法人の見直しの中で、道路四公団の統合、民営化案が提言されております。そこでまず一点目として、道路四公団の民営化は現在どのような状況になっているのか。そして二点目として、三環状の整備に具体的にどのような影響を今後及ぼしていくのかについてお答えいただければと思います。
〔吉野副委員長退席、委員長着席〕
○成田外かく環状道路担当部長 道路四公団の民営化は現内閣の構造改革の目玉として取り上げられておりまして、行政改革担当大臣の私的諮問機関でございます行革断行評議会の試案として道路四公団の民営化が提言されております。これに対し、九月二十一日には国土交通省案が道路三公団の民営化として対案として出されたところでございます。行革断行評議会の案によりますと、事業中の中央環状線、あるいは圏央道、新規路線となります外環や中央環状品川線につきましては、建設のストップ、あるいは事業期間の長期化や地方負担の増大等の問題の発生が見込まれております。
○秋田委員 私は道路四公団の民営化の問題とは別に、いわゆる都市再生、すなわち都民の利便性あるいは環境改善、あるいは経済的効果を勘案するに、三環状の整備は促進するべきだと考えているのですが、この点について都の見解はどのようになっているか。
○成田外かく環状道路担当部長 外環を初めとする三環状道路のように必要性や採算性の高い路線まで一律にストップさせることには、首都圏の渋滞解消あるいは環状メガロポリスの実現が図れなくなるというふうなこと、あるいは、ひいては首都圏の再生にも支障が出ると考えております。本来国の責任で行うべき高速道路の建設につきましても自治体の過大な負担を求めることなどは、また問題であると考えております。むしろ国費の集中投資によりまして、首都圏の再生に役立ちます道路を優先して整備すべきであり、今後首都圏の三環状道路の早期整備に向け、国に強く働きかけてまいりたいと考えております。
○秋田委員 最後に意見を述べさせていただいて、私の質問を終わりたいと思います。
三環状の整備は、東京のみならず首都圏全体の健全な発展に必要不可欠なものだと考えております。外環については、先般建設促進議員連盟が設立されて、都議会議員のうち三分の二近くが賛同し、早期整備が熱望されております。また、私の地元の新宿においては、中央環状新宿線の地下道路整備が進められており、これについても着実な整備が必要と考えます。都においては、今後とも、ここは書記の方には傍点を振っておいていただきたいのですけれども、換気塔からの排気ガスについて十分な検討を進めるなど、周辺環境の保全に注意しながら三環状道路の整備促進を図っていただけるようにお願いして、私の質問を終わらせていただきます。
○大塚委員 私からは、きょうは二つのテーマについてご質問したいと思います。都市再生に関係する都市計画の考え方につきまして、まず冒頭でご質問したいと思います。
現在港区内には、汐留開発、六本木六丁目、いわゆる六六開発、そして芝三丁目開発が既に着工済みでございます。大規模な計画が幾つもあるんでございますけれども、今後白金一丁目、赤坂四丁目、いわゆる薬研坂といわれているもの、そして三田一丁目、そしてまた芝浦アイランド、そしてまた先日事業者が決定されました防衛庁の跡地などが都市再生の目玉としてあるわけでもございますし、またPFIを用いた都営住宅の建てかえの事業のモデル地区として、南青山一丁目も既にご承知のとおりだと思います。
東京の中心港区は、いわゆるいろいろな開発がある中で、まさに都市再生の縮図といってもいいのではないかと思いますが、まずそこでまちづくりの中で業務や商業、そして住宅、スポーツ、文化といった施設が一般的に配されるわけでございますけれども、今申し述べた開発計画の中でいろいろな特徴やアイデアがあるというふうに聞いておりますが、まず冒頭、確認の意味でそれをお伺いしたいと思います。
○田中開発計画部長 港区内の幾つかの開発計画につきましてのご質問でございますが、それぞれの開発地の立地特性に応じまして、特色ある開発が進められております。地区別にご説明させていただきます。
まず汐留地区でございますが、国鉄跡地におきます区画整理と再開発計画による二つの手法によりまして現在事業を進めております。この地区では環二や「ゆりかもめ」などの大規模な基盤整備と連動した開発を進めておりまして、業務、商業、住宅、文化等の複合施設の整備を進めております。
次に六本木六丁目地区でございますが、テレビ朝日跡地を中心とした再開発事業でございまして、組合施行としては都内で最大規模の再開発でございます。この規模のメリットを生かしまして、多様な機能の集積したまちづくりを進めておりまして、池などの自然を残す開発となっております。
次に芝三丁目地区でございますが、ここも区画整理と再開発計画による開発でございまして、歩道上の空地を生活環境軸として整備いたしまして、業務と都心居住を図るための住宅の整備を進めております。
次に白金一丁目地区でございますが、地下鉄南北線開通によりまして交通の利便性が向上しておりまして、これを生かした再開発を進める計画となっております。業務・商業・住宅系の街区と工場系の街区とをバランスよく配置した開発計画となっております。
次に赤坂四丁目、薬研坂地区でございますが、地上げによりまして虫食い状の地区となっておりまして、この地区の再整備を目指す再開発事業でございます。業務系主体の街区と住宅系主体の街区が相互に機能を補完し合う計画となっております。
次に三田小山地区でございますが、都心部に残された木造密集地区の再開発でございます。ここでの特色は、地元住民主体によって再開発の検討が進められてきた点にあります。 次が芝浦アイランド地区でございますが、この地区は住宅市街地整備総合支援事業によります開発を進めておるところでございます。交通局用地の活用によりまして都心居住の推進を図っておりまして、あわせて周辺の水辺空間と調和した開発を目指しております。
次に防衛庁跡地は、都心におきます政府機関移転跡地では最大規模の国有地開発でございまして、再開発地区計画による開発を進めております。大規模な公共空地を確保するとともに、業務、商業、住宅等の複合市街地形成を目指しております。
最後に南青山一丁目でございますが、都営住宅の建てかえにPFIの手法を活用いたしまして、民間事業者によりまして都営住宅と民間施設との複合開発を図る計画となっております。
○大塚委員 ありがとうございます。今数ある中でお話があったわけですけれども、私は東京都内のこういった都市基盤整備というのは、防災上の観点から、いわゆる景気対策の観点からも推進するべきだとも思いますけれども、一方で教育とか環境とか、周辺住民の同意を得て当然推進されるものであると思います。今回、都市再生という政策の大きな転換をされたわけですけれども、私は十年前のバブルのような無秩序な開発というか、虫食い状態のそういった東京を二度とつくってはいけないと思うわけでございます。今、市区町村への権限の移譲が進んでおる中で、とはいえ、二十一世紀の都民への影響を与えるという意味で大事な役割を東京都は担っておるわけでございますから、都市計画行政がしっかりしなければならないと思っておりますけれども、これからお尋ねしたいのは、バブル時の都市計画に関するその当時の考え方と、これからの二十一世紀の、東京の新しいまちづくりビジョンに基づくこの東京の都市計画行政でのビジョン、そしてまた私は、こういった多くの都民の方々に提示をするビジョンでございますから、当然に数字に裏づけられた、ビルのオフィス需要予測とか住宅着工の戸数であるとか、そういったものがあるのが当然だと思いますけれども、その辺のご見解をお伺いしたいと思います。
○中島総合計画部長 まず都市計画行政についてでございますけれども、昭和三十年代以降の経済の右肩上がりの成長期には、一貫して続いた東京への業務機能の集中に対応するために、副都心の育成整備や多摩の心しんの育成に取り組みまして、多心型都市づくりを進めてきたところでございます。この時期には、都市化の進展に伴って生じました課題にいかに対応するかという、いわば需要対応型の都市づくりを東京都は進めてきたといえるわけでございます。しかし、右肩上がりの時代が終わりまして、東京を取り巻く社会経済情勢が大きく変化する中で、東京の魅力と活力の向上が喫緊の課題になってきているわけでございまして、このために、例えばセンターコアにおきましては国際ビジネスセンター機能の強化に向けた都心等の機能更新ですとか、職住バランスを回復し国際都市としての魅力を高めるための都心居住の推進を目指していくことなど、都の都市づくり行政の質的な転換を図っていくということが今後課題となっていくことでございます。
次に、オフィス床等の需要予測の件でございますけれども、都市づくりビジョンの中間まとめの中では、センターコアにおきまして二〇二五年までに建てかえを含めて約八十万戸の住宅建設を見込んだところでございます。
一方、オフィス床面積につきましては、IT革命の進ちょくですとか産業構造の転換、企業の組織変化、それから景気動向等と密接にかかわりまして、行政が具体的数値を計画として示すことは大変難しい問題だと認識しております。また、かつては過大な見通しが需要をあおる結果になったというような指摘もなされたこともございます。そうしたことも、我々としては注意をしていかなくてはならない点と考えております。
こうしたことから、ことしの三月に都市計画審議会から出されました答申、「社会経済情勢の変化を踏まえた東京の新しい都市づくりのあり方について」の中では、二〇二五年における従業者数のシェアを、センターコアで現状維持、臨海副都心や核都市では現状より拡大することを目指すことといたしまして、オフィス床面積に着目するのではなくて、東京圏における従業者数のシェアという指標で圏域の都市活動の方向性を示しているところでございます。
○大塚委員 ありがとうございます。いずれにいたしましても、こういった数字というか、そういったビジョンに基づくものにつきましては、また別の機会にいろいろな形でお話をさせていただきたいと思います。
さて、先ほどの港区内の開発の中でありました三田一丁目につきまして、若干地区の具体的なお話でご質問したいと思います。
この地区は、防災上、あるいは典型的な、地域住民が主体でまちを整備しようということでやってきた地区でございます。また、関東大震災や第二次世界大戦を免れ、幸いに被災を受けなかったところでございまして、港区内でも本当にこういった地区がまだ残っておるのかというぐらいの木造密集地域でございます。先ほどの鈴木理事からも木造密集地域のお話がありましたけれども、当時、もう亡くなられました山田港区区長が地元の切実な訴えを受けられまして、まちを何とか自分たちで再生しよう、そして防災上の問題から、火災から身を守ろうということで予算がつけられまして十五年が経過いたしました。
そして本年七月、やっとのことで都市計画決定がされたわけでございますけれども、通常はディベロッパーとかゼネコンが土地を従前所有しておりまして、そこが主体となって事業を推進して再開発ができ上がってくるわけでございますが、間もなく事業者も決定すると聞いておりますけれども、そういったことではなくて、住民の方々がいろんな知恵を絞って汗をかいて推進してきたということからしますと、今回の東京の新しい都市づくりビジョンの中の街区再編プログラム、いわゆる政策誘導型の都市づくりに私は当てはまるのではないかと思いますけれども、ぜひ推進をしていく上での今後の具体的なスケジュールについてお聞かせいただきたいと思います。
○田中開発計画部長 三田小山地区の今後のスケジュールでございますが、委員お話しのとおり、この地区では住民参加で、準備主体でまちづくりが進められております。この七月の決定段階で、準備組合に対する未同意の率が二割を超えていたということもございまして、今準備組合では組合設立に向けまして約二年ほどかけて十分な話し合いを行っていきたい、このように考えております。そういう状況下で、組合の設立を平成十五年度を目標としておりまして、その後権利変換の認可を受けまして十六年に工事に着手し、十九年の完成を目指して事業を進めておる状況でございます。
次に、当地区に対する都の方針でございますが、この地区の事業を具体化するに当たりましては、都として二つ大きな問題があるのかなというふうに考えております。その一つは、ただいま申し上げたような関係権利者の合意形成であります。いまだ未同意者がいるということでございますので、今後の対策といたしましては、より正確な事業計画を策定いたしまして、権利変換の具体的な内容、いわば生活再建の内容等を関係者に十分に説明し、そして地権者の理解を得るよう準備組合の方を指導してまいりたい、このように思っております。
もう一つの課題は、保留床の処分先の確定でございます。事業費を生み出すために床の買い取り先を決めていくことになるわけでございますが、この地区では事務所床と住宅床を処分する予定となっております。早期にその候補者を絞って確定していくよう、組合の方を指導してまいりたい、このように思っております。いずれにいたしましても、この地区は木造密集地区の解消を目指す意味でも非常に重要な地区である、このように都としても認識しておりまして、地元の港区とも連携いたしまして、当地区の事業が円滑かつ早期に推進されますよう都としても努力してまいりたい、このように思っております。
○大塚委員 ぜひ防災上の観点から、港区、また準備組合、住民の声をよく聞いていただいて推進をしていっていただきたいと思います。そしてまた、東京都内でもいろいろな木造密集地域のまだ未整備な点があるわけですけれども、街区再編プログラムという今回のビジョンの中で出ているものの中で、従来の手続と、今後街区再編プログラムが導入されまして、その長い時間かけられた労力や時間がどのように具体的にまちづくりの促進に有効なものであるのかを、第一番目のテーマの最後にご質問したいと思います。
○田中開発計画部長 現在検討を進めております街区再編プログラムでございますが、三田小山地区のように地権者の住民が中心となって街区単位でまちづくりに取り組んでいく、こういうスタイルのまちづくりの迅速化を図る制度として鋭意検討を進めているものでございます。この仕組みの中では、民間の方から都市計画の決定を要請することを可能とすることとか、あるいは、三田小山地区のような木造密集地区だけではなくて、その他の既成市街地の再整備にも活用できるような制度としてその制度化を図っていきたいと思っておるところでございます。
そして、これまでのまちづくりでは、ご指摘にありましたように何かと合意形成に時間がかかってきたわけでございますが、この新しい仕組みの中では、これまでのまちづくりの合意形成にかかった時間を可能な限り短縮するための幾つかの方策を考えております。基本的には、大きく分けて三つの方策を考えております。
まず一つは、容積率の緩和等の事前の明示性でございます。これまでは、開発計画が立ち上がりますと、その都度その開発の条件と容積率の緩和を検討してきたわけでございますが、そうではなくて、あらかじめその街区のまちの将来の姿であるとか条件を整備しまして、それに対する容積率の緩和はこうありますということを事前に明示していこうということでございます。
二点目は手続の簡素化でございます。こういう開発計画は、何かと行政上の認可であるとかの手続が煩雑化する傾向にございまして、そういった手続を少しでも簡素化していこう、こういうことでございます。
三点目が生活支援策の充実でございます。こういう開発計画に協力して転出する方たちの生活の再建が円滑にできますよう、例えば税制上の優遇などの措置を図ろう、こういった施策でございます。
このような方策によりまして、今後事業の迅速化を図っていくよう努力してまいりたいと考えておる次第でございます。しかし、これらの改善策はいずれも法制度の改正が必要となってまいりますことから、今後とも国並びに関係機関との調整を図りまして、この街区再編プログラムの早期実現に向けて努力してまいりたいと思っております。
○大塚委員 それでは次のテーマでございますけれども、次のテーマは東京都の屋外広告物に関しての質問でございます。
まず、東京都内の都市景観、また防災上の観点から、屋外広告看板が大きな影響を与えるわけでございますし、よくいわれますバリアフリーの観点からも、路上に放置されておりますいわゆる置き看板の対処、そしてまたピンクチラシのことにつきましては、青少年の健全な育成ということから本当にその対処が急がれているわけでございます。
きょうはご了解いただきまして、私がちょっとパネルを持ってまいりました。(パネルを示す)下が新橋の繁華街、上が渋谷でございます。ちょっと遠いのでよくおわかりではないと思いますが、大体皆さんお仕事が終わって一杯飲みに行けば、大体こういう町並みに遭遇するのはよくあることだと思います。ちょっと確認の意味でこのパネルを持ってきたわけでございますけれども、例えば区部地震が発生した場合に、東京消防庁の試算ですと、午後六時マグニチュード七・二、そして阪神・淡路大震災と同じ規模で全半倒壊が約十三万棟、火災が六百三十カ所発生するわけでございます。そうなれば、当然狭い路地では避難する人、そして救急隊の方々が大混乱に陥るということで、先ほど秋田委員からありました歌舞伎町の火災で、避難の通路や階段に物が置いてあって避難におくれたとかいうことで、同様にこのようなところで火災が起これば当然に大きな犠牲者が出るというふうに私は考えておるわけでございます。そういった意味で、都民の生命や財産を守るという観点、そして青少年の健全な育成を促すという責務を担っているわけでございますから、まず実態をよく踏まえて、その点についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○森下建築指導部長 路上の置き看板、張り紙等の違反広告物の除却や取り締まりについてでございますけれども、住民に身近な基礎的自治体である区市等がそれを実施してございます。この取り締まりによりまして、毎年違法な張り紙、張り札、立て看板など、合わせまして約百三十万枚を撤去しているところでございます。今後も区市とともに、交通管理者と連携の上、この活動が強化されるように努力してまいります。さらに路上の立て看板につきましては、簡易に除却することができますよう屋外広告物法の改正を国に要望しているところでもございます。
○大塚委員 私は重点には置き看板という、路上に放置されているということでご質問したわけでございますけれども、次にちょっと趣が変わりますけれども、いわゆる公営交通の同じ広告物としてラッピングバスがもう去年の四月から都内を走っておりますが、まずその広告バス、ラッピング広告事業が導入された経緯と、景観や安全面につきましていろいろなアンケート調査やいろんな評価が都民から寄せられているというふうに伺っておりますが、その点についてお伺いしたいと思います。
○森下建築指導部長 平成十一年七月に知事が東京都広告物審議会に対しまして、東京における車体利用広告規制のあり方について諮問を行いまして、同年十一月に審議会からの中間報告がございました。この中間答申を受けまして、東京都屋外広告物条例及び同施行規則を改正しまして、平成十二年四月からラッピングバスが走行を開始しているところでございます。それに対します都民の評価等でございますけれども、昨年七月に実施しました都政モニターアンケートの結果によりますと、約七割の人が、町ににぎわいをもたらす、デザイン、色彩が美しい、等回答した反面、同じく約七割の人が周囲の景観との調和については懸念を示してございます。また三割強の方が、他のドライバーの気がとられ、交通安全上問題があると回答してございます。
○大塚委員 今のお話のように賛否両論があって、一部には批判があるというふうなことでございますけれども、ご承知のとおり都営交通の置かれている立場、いわゆる不採算路線を抱えているということで、その一部の収入に充てられればということで、石原知事のご提案で今回、去年から導入されたというふうに聞いております。都市の景観や安全性ということの理念もあると思うのですけれども、要は優先順位が問題だというふうに私は思いますけれども、聞くところによりますと、高速道路上を走るたった三台のラッピングバスを今回取りやめるというふうなことを聞いております。その事実経過と、やめるに至った最大の要因をお聞かせください。
○森下建築指導部長 昨年の中間答申に引き続きまして、本年二月に広告物審議会の最終答申を受けまして、従来のラッピングバスに加えまして電車とか観光バスについても広告規制を緩和することとしました。ただし、この広告物審議会の答申の中でも指摘されていることでございますが、観光バス等については高速道路を走行するものが多く、安全確保の見地から、高速道路走行を行うバスについては全般的に緩和の対象としないという判断を行ったものでございます。
○大塚委員 基本的に審議会の答申を受けて行政が決定するということだと思うのですけれども、先ほどお話のように、審議会の中で観光バスにつきましては危険だというようなお話があったのですけれども、審議会の拘束力、法的な権限とかいったものも一つお伺いしたい点と、数字的に、統計上的に、その三台のバスがどれだけ危険であったのかというような論拠と、具体的な数字がもしおありでしたら、お示しいただきたいと思います。
○森下建築指導部長 まず審議会の権限の問題でございますけれども、屋外広告物を表示できます対象車両やその表示方法につきましては、東京都屋外広告物条例の規定によりまして、広告物審議会の意見を聞いた上で都が定めるというふうになっております。審議会の答申が即行政の決定となるわけではもちろんございませんが、広告物審議会には学識経験者、広告業界の代表のほか、交通及び消防管理者等が委員として参加してございまして、その専門的な知見に基づく意見については尊重すべきであろうと考えております。
それから、その危険性についてのデータ等のことでございますけれども、私どもは既存の、数台のバスが今高速道路を走行してございますけれども、そのバスについての統計的なデータという意味ではなくて、高速道路全般についての危険性についての認識の上、そういった規制を考えたわけでございます。首都高速道路では毎年約一万三千件という多数の交通事故が発生してございます。特に高速道路上では死亡等の重大事故の発生率が一般道と比較して大変高くなっております。その高速道路上の事故原因としては、わき見運転が五割を超えていると聞いております。このようなデータから、高速道路上におきましては、わき見運転など一瞬の不注意で大惨事を招く可能性が高いために、車体利用広告規制の見直しに当たって、ラッピングバスの高速道路走行を規制する必要があると考えたわけでございます。
○大塚委員 (パネルを示す)数字的な根拠とかいうものがないということだと思うのですけれども、またちょっとパネルをお持ちしたのですが、こちらが高速道路の、ちょっとぼけていてなかなか見づらいと思うのですけれども、私がいいたいのは、ラッピングバスというのがどれほど危険なのかという実証も検証もまだされてない、審議会での議論があったということでの今回のご決定だと思うのです。今一万三千件の高速道路上の危険があるということで、それはラッピングバスによる事故ではないわけなのですけれども、私はそういった三台のことをどうのこうのというよりも、今お見せした多くの周辺の看板とか、あるいは電飾看板とかテレビとか、ニュースを流しているわけですけれども、そのことがむしろいろいろな意味で危険があるのではないかというふうに思うことと、屋外広告看板の中で、先ほど冒頭に申しました置き看板であるとか高速道路の周辺看板、そしてこのラッピングバスというものの危険という議論で規制を緩和したり規制を強くしたりすることにつきましては、やはり優先順位をつけていくべきではないかというふうに思っているわけでございます。特に高速道路周辺の看板規制につきましては、昭和三十九年のときに規制がかかって以来、こんな大きな東京の社会情勢や、いろんな景観上とか交通量の変化もあるわけでございますから、私はこういった広告の、違法であるかどうかは全部を調査しているわけではございませんけれども、高速道路上のこういう看板がむしろわき見とかそういったことを発生するのではないかという意味で、条例改正とかそういったことの方針をお伺いしたいと思います。
○森下建築指導部長 まず、高速道路周辺の看板等が危険な要因である、そういうことにつきましては私どもも同様に考えているところでございます。そこで、屋外広告物条例では、高速道路上のみならず高速道路周辺につきましても、屋外広告物の禁止区域としてございまして、自家用広告や非営利広告等を除いては広告表示ができないこととしております。このように一般道に比べまして高速道路につきましては厳しい規制をかけているところでございます。
そういう高速道路等に対する、看板等の、優先順位をつけて規制をしていくべきではないかというようなことがございましたけれども、私どもはどのような広告物でありましても、危険なものにつきましてはそれなりの対応をしていく必要があると考えてございます。今お答えしましたように、高速道路周辺の広告物の規制は既に行われておりますけれども、今回の車体利用広告の見直しに当たりましても、安全面の見地から、高速道路の周辺区域を規制すると同様の視点でラッピングバスの広告制限を行うという対応を考えたわけでございます。
○大塚委員 私は高速道路上の規制があることも承知をしておるわけですが、広告業界のいろいろな技術の発展とか、そういったことで目を奪われるようなこういうような掲示が、電飾看板とかそういったことが違法であるかどうかというよりも、基本的にそういうものが危険を誘発しているものであって、三台のラッピングバスが誘発しているかどうかということの先ほどの審議会での議論だけであるということですから、やはり数字的なものとかがないということではなかなか納得ができないわけでございますけれども、ぜひ最後に、こういった広告物のあり方とか景観とか安全性でありますとか、そういったものを、先ほどの置き看板、それから高速道路上の周辺看板、そしてまたラッピングバスはラッピングバスで、三台の危険がもし及ばないのであれば高速道路上を走ってもいいじゃないかという議論はあると思うのですけれども、ぜひ審議会とか、もう一回屋外広告物全般のことで議論してほしいと思います。
また、十月四日が都市景観の日ということで、私さっきパンフレットをもらってきたのですけれども、たまたまそういったことで都市景観というのは重要だと考えておりますので、最後に審議会に諮問するべきだと私は思いますけれども、最後にそのことをお伺いして、質問を終わります。
○森下建築指導部長 高速道路を走行しますバスの問題でございますけれども、現在は大変少ないわけでございますけれども、都内に登録されております高速道路を走行する可能性のある観光バスと路線バスにつきましては、二千台を超えるという数字を私ども把握しております。そういった点から、高速道路における重大事故の発生を抑制するためには、ぜひ規制を行う必要等があるものと考えております。
今後の見直しについてでございますけれども、先ほど述べましたように、置き看板でありますとか高速道路周辺の看板につきましては、既に屋外広告物条例に基づく規制を定めてございまして、それらの違反をなくすような方策の徹底を図っていきたいと考えてございます。今後社会情勢の変化によりまして、屋外広告物のあり方についての検討が必要となりましたらば、当然審議会の諮問を含めまして適宜対応してまいりたいと思っております。
○小磯委員 私は多摩都市モノレールについて質問をさせていただきたいと思っています。
このモノレールは、昨年の一月に多摩センターから上北台まで全線十六キロが開通したわけでございます。地域の交通機関として親しまれて、またまちの活性化にも大いに役に立っている、私はこう思っております。昭和五十年に調査を開始して、五十年代に開始をして全長九十三キロの整備構想が提案された。昭和五十七年に多摩センター-上北台間十六キロが最初の整備区間として決定をされた。地元自治体はそのモノレールを通すための導入空間の確保というものには大変な努力をされたんだと思っております。とにかくその構想から開業まで、大体二十年かかったわけでございます。
そして、今この十六キロでございますけれども、これから先、多摩センターから町田、八王子ルート、また上北台から箱根ヶ崎と、こういった方面へ多摩都市モノレールを延伸していかなければならないわけでございますけれども、その地域の交通問題また地域の活性化という点からいっても、また私の選挙区であります町田市にとっても、この多摩モノレールというのは本当に重要な事業でございます。そういった意味で、多摩モノレールについての質問をさせていただきたいと思っております。
まず、十六キロの区間開業しておりますけれども、これの輸送状況がどういったものなのかをお伺いしたいと思っております。
〔委員長退席、相川副委員長着席〕
○只腰施設計画部長 多摩モノレールでございますが、いわゆる一期区間の立川北-上北台間が平成十年十一月に開業して、その部分開業の段階では一日二万人ないし、十一年度に入りまして三万人ぐらいの利用でございました。全線が十二年一月に開業したわけでございますが、八万人程度から始まったわけでございますが、十三年度、今年度に入りましてからは一日平均十万人を超える月も出てくるような状況でございまして、着実に利用者数を伸ばしているような状況でございます。
○小磯委員 その利用者数というのは、当初の予想どおりの利用者増でございましょうか。
○只腰施設計画部長 この多摩モノレールでございますが、いわゆる計画面での需要予測につきましては一日十一万六千人というふうに予測をされておりますので、そういう意味ではまだ幾分足らないということはいえるかと思います。
○小磯委員 私も多摩センターから立川までよく利用させていただいております。交通渋滞の激しいところを、このモノレールで行くと大変時間も短縮して行けるわけで、便利なわけでございます。そういったことで二万人から三万人が、今十万人まで乗客数がふえたんだと思っておりますけれども、その利用客がふえた原因をどのように考えておられるか。
○只腰施設計画部長 全線の開業から一年余りを経過いたしまして、多摩の地域の皆様方に多摩都市モノレールの認知度が高まったということで、多摩都民の足として着実に浸透してきているということがいえるかと思います。この間、沿線の区画整理、各市さんあるいは組合、あるいは公団ということでまちづくりが進んだこと、あるいは立川等における再開発事業などが進展したこと、こういうようなまちづくりに関しても地元市の大きな努力があったものというふうに私ども考えております。それに加えまして、会社の方におきましても、回数券を使いやすくすること、あるいは通学の定期、学校がたくさんございますので、その割引率を十二年度から拡大すること、それから一駅百円の運賃を導入すること、それから、うきうきセット券というような企画乗車券等を発売することといったようないろいろな営業努力を行っていることも寄与しているのではないかというふうに考えております。
○小磯委員 会社の方もいろんな努力をされて、利用客もふえてきているというお話でございました。開業のときから、この多摩都市モノレールの会社の経営は厳しいというふうにいわれたわけでございますが、このような利用客の増大が会社経営の改善の方向に向かっているんじゃないかなという希望を持っているわけでございますけれども、その点はいかがでございましょうか。
○只腰施設計画部長 今申し上げましたように、多摩都市モノレール、乗客数は大きく伸びたわけでございますが、安い運賃とか定期の割引率と、逆にいえばディスカウントの面もございまして、乗客数のほどには営業収入が伸びてないという面もあるわけでございます。なかなか営業損失が出ているような状況で、会社の経営というのはかなり厳しいわけでございます。都が、あるいは沿線五市の出資あるいは無利子貸付金ということで支援をしているわけでございますが、会社は今申し上げたような増収策の強化あるいは一層の経費削減を図っているところでございますが、なかなか厳しい状況というのが正直なところかと思います。
○小磯委員 今のお話を聞きますと、会社の経営はやはり厳しいということでございます。ただ、三多摩の南北間の公共交通機関の手段の確保というのは、これは大変な重要な問題であると私は思っております。東京都としても、多摩構想でありますとか東京構想だとか、いろんなところでこの多摩都市モノレールの重要性というのをいっておられるわけでございます。そういった意味では、会社の経営は厳しいわけですけれども、そういったものを乗り越えて多摩都市モノレールの構想を着実に実現していく以外にないんだ、そういうふうに思っているわけでございますけれども、そのためにはどのような取り組みが必要なのかということをお伺いしたいと思います。
○只腰施設計画部長 ご指摘の多摩都市モノレール構想の着実な実現に向けてでございますが、先ほど申し上げました会社の基礎体力といいますか、経営努力を固めまして、次の延伸に取り組む体力をつくることというのが一つでございます。それから、事業計画におきましても、事業の採算性というのをこれまで以上にやはり重視して進めていく必要があるということ。それから多摩都市モノレールを延ばしていくためには、導入の空間を確保していく。具体的にいいますと、区画整理等の面整備、あるいは建築指導の際の計画の事前の協力みたいなことで、モノレールの導入空間を連続的に確保していくこと、こういうような努力が必要かと思っております。
○小磯委員 導入空間の確保ということで地元の協力ということがございましたけれども、今後の構想としては、次期整備路線として上北台から箱根ヶ崎が予定をされ、多摩センターから町田というのはその導入空間を確保すべき路線ということになっております。私は利用客数が大変大事なポイントであろうと思っております。町田ルートというのは、小山田桜台、また山崎団地、木曽団地などマンモス団地をずっと通る構想になっております。そういった意味では、利用客の飛躍的な拡大が私は期待されるんだと思っております。そういった意味では、箱根ヶ崎と同時並行で町田ルートも整備すべき路線であるという意見が私の意見でございます。
ところで、多摩都市モノレールの導入道路となる町田三・三・三六号線のうち、山崎団地、木曽団地内の道路整備事業が決定したようでございますが、どのような設計そして整備スケジュールとなっているのか、お伺いしたいと思います。
○只腰施設計画部長 いわゆる町田ルートでございますが、多摩センターから町田まで十三キロございます。モノレールが確保できる導入空間の確保率という意味では、四七%、約半分が確保されているような状況でございます。今ご指摘の木曽、山崎団地の付近でございますが、ちょうどその十三キロの中央部、真ん中辺かと思いますが、町田三・三・三六号線、これが導入空間路線とされているわけですが、そのうちの前期事業化路線と指定されているうちの一部、一キロメートルの区間につきまして建設局が平成十二年度から事業に着手したものでございます。計画幅員は二十五メートルでございますので、先ほど申し上げたように多摩都市モノレールの導入が可能となるような幅員が確保されているものでございます。現在用地取得中でございまして、工事着手は平成十六年度からの予定というふうに聞いております。
○小磯委員 私の地元町田市では、駅前の再開発事業などの努力もあって導入空間の整備が進んでおります。また都道整備も進められてきております。多摩都市モノレールの町田ルートというのは、地元にとって通学通勤の足として期待されるだけでなくて、業務核都市として八王子、立川、多摩業務核都市と結び、首都圏のメガロポリスを形成する上で極めて重要な路線と考えております。したがって、一日も早く事業を推進してほしいと考えておるところでございます。
都市計画局には、事業のプランナーとして、一層の増客、増収を図った事業計画を早期に策定するとともに、補助制度の拡充を国に働きかけるなどして、この事業を一日でも早く前進させていただくことを強く要望したいと思っております。私もこの多摩都市モノレールにつきましては、執念を持ってしっかりと取り組んでいく決意でございます。
そしてまた、いわゆる三多摩の方には鉄軌道というのがなかなかないわけでございます。モノレールが来るまで、じゃあ車しか交通手段はないのか、そういった中で、私はバスの利便性を高めていくこと、これがやはり大事ではないかなと常々考えているところでございます。バス優先システムでありますとか、またバス運行表示システムなど、ITを駆使した、乗客に便利なようなそういうシステムをつくっていく。そういうことによって、マイカーからバスへの交通手段の転換を促進していくことが大事であろうと私は思っております。公共車両優先システム整備の補助事業を都市計画局の方が担当をされております。そういった意味では、一層のご努力を要望して、私の質問とさせていただきます。
○清水委員 本日提出いただきました資料、大変何項目にもわたっておりますので、ご努力いただきましてありがとうございました。資料の要求をした後にいろいろな問題が起こりましたので、この資料に基づいた質問がきょうは十分できませんが、おいおいじっくりとこのような質問についてはさせていただきたいと思います。私の方からは、第三セクターへの出資及び貸し付けについて、ご質問をさせていただきます。
この間、首都圏新都市鉄道のマイカル社債問題がございましたが、初めてですので、簡単にこの問題の事態の経過についてお伺いいたします。
○只腰施設計画部長 首都圏新都市鉄道にかかわりますマイカルの案件でございますが、本年の九月十四日でございますが、いわゆるマイカルが民事再生法を申請をいたしました。当該三セクであります首都圏新都市鉄道におきましては、このマイカルにかかわる社債を百十億円所持をしておりまして、その旨九月十七日に会社から都に報告があり、また知事にも報告があったところでございます。会社といたしましては、株主への公式の文書の発送等をしたところでございまして、現在その対応策につきまして関係機関、株主であります私どもを含めまして検討を進めているところでございます。
○清水委員 この十年間で都の出資金と無利子貸付金は合計七百六十八億円余りになるのですけれども、毎年この出資金、無利子貸付額の決定はどのようにされてこられたのか、お伺いいたします。
○只腰施設計画部長 会社に対する出資金でございますけれども、本来ですと工事の出来高に見合いまして出資をするというのが普通のスタイルでございますが、当該会社につきましては、事業費の一部を、都等が出資した資金の運用によりまして事業費を生み出す、こういうようなスキームになっておりますことから、自治体の出資分につきまして平成九年度から出資をしておるわけでございますけれども、その前半に前倒しの出資をすることにより出資額と建設費の差額を捻出いたしまして、その運用益を自主財源に充てるということで、そういう前提に立ちまして出資をしてきているものでございます。
○清水委員 そうすると、九年、十年、十一年は、前年度に比べますと、前年度が七億円ぐらいだったんですけれども、九十二億、九十四億、九十三億と、この三年間が大変大きな出資金の額になっているんですけれども、その理由は何だかわかりますか。
○只腰施設計画部長 先ほどご答弁申し上げたとおりでございまして、前倒し出資によりまして会社に資金を与えることによりまして、その会社が自主財源としてそれをもとにしまして運用をする、そういうことで、九、十、十一、多額の出資をしているものでございます。
○清水委員 前倒し出資するというのはわかったのですけれども、その額が七億ぐらいから九十億余りになったのはどういうことでしょうかということ、率直な疑問なんですけれども。もし理由がなければそれはそれでいいんですけれども、理由があったのでしょうか。
○只腰施設計画部長 この首都圏新都市鉄道でございますが、東京都、それから茨城県、千葉県、埼玉県の一都三県の関係する会社でございまして、その三県で協定を結びまして、東京が全体の十分の四を出資するということで、そのスキームに基づきまして、平成九年、十年、十一年、先ほど申し上げたような前倒し出資のルールに基づきまして、その見合った分につきまして出資をしたということでございます。
○清水委員 それはわかりましたが、この間有価証券約五百八十四億円、投資有価証券額が四百四十三億円余りで、一千億円以上の資金の運用をするということになったのですけれども、なぜ鉄道の事業を進めている会社で一千億円以上の資金が--資金を運用してやるという話がさっきありましたけれども、一千億円以上の資金が生まれるのでしょうか。工事も実際には進んでいるわけですよね。
○只腰施設計画部長 繰り返しの答弁になりますが、平成八年に常磐新線の整備事業費の見直しを行ったわけでございますが、そのときの総事業費一兆五百億円ございまして、そのうちの一兆三百億円につきましては無利子貸付金出資金、財政投融資等で手当てをいたしまして、残りの二百億円は会社がみずから調達をする、それは自主財源で調達をする、こういうスキームを当時つくったわけでございます。その二百億円の自主財源を調達するために、先ほど申し上げましたように、会社が金融機関から借り入れるということになりますと利子等の問題もございますので、自治体の出資を前倒しをいたしまして、その前倒しによりまして、出資額と、建設がまだ進まないことによりましてその運用ができるということで、その差を、運用益を自主財源に充てるということで、先ほど申し上げたような出資をいたしたものでございます。
○清水委員 その一兆五百億円というのは、一体だれが決めたのですか。
○木内都市計画局長 ただいま施設計画部長が答弁申し上げましたとおり、事業費の改定をした時点において、一都三県及び国の関連する事業主体でございますので、当時の運輸省も含めて協議相調い定めたものでございます。そして、そういうことについてそれぞれ東京都の出資金、貸付金について、それ以降の各年度の予算に計上し、都議会の審議を経て決定したものでございまして、それらを議決に沿った形で我々としては執行しておるところでございます。そういう意味では、都議会のご了解をいただいているものと理解しております。
○清水委員 それでは、百十億円のマイカル関連の債券の購入の理由についてお伺いしたいと思います。
○只腰施設計画部長 先ほどの答弁の続きみたいなことになりますが、常磐新線の整備事業費の一部分につきましては、会社の自主財源ということで、その調達につきましては有利子の資金を減らすということで、出資金の運用により確保する、そういうスキームになっているわけでございます。会社におきましては運用に関する基本方針というのを定めておりまして、その中でマイカル関連社債を購入したわけでございますが、比較的有利な社債であったということで会社の方で判断をいたして購入を決定したものというふうに私ども聞いております。
○清水委員 そうすると、このマイカルの経営破綻ということになって、資金の回収の予想、予測、回収できない資金の金額などが予測されているでしょうか。
○只腰施設計画部長 民事再生法の適用になっておりまして、その債権がどの程度回収できるかにつきましては、現在の時点では不明でございます。従来の例からいいますと、かなりの部分は損失ということで処理されることになるのではないかというふうに予測しております。
○清水委員 購入された時期が九年、十年、十一年ということで、先ほどからいろいろお話があるんですけれども、景気の不安定な時期のこういう会社の銘柄を百十億円、そのときの判断はそれがよいということでされたと思うのですけれども、三回にわたってこの会社の銘柄を買っているんですけれども、その理由とか、東京都もそのことについては了解をしていたわけですか。
○只腰施設計画部長 ご指摘のように、マイカル関連の社債でございますが、平成九年に三十億円、平成十一年八月でございますが四十億円、それから平成十一年十二月には四十億円ということで、計百十億円、三回に分けて購入をしているものでございます。先ほど申し上げましたように、会社では中期の運用につきましては運用に関する基本方針というのを定めまして、その中でやっておるわけですが、格付といいまして社債に格がついているわけですけれども、その格付がA以上のもので運用するということでやっているということでございます。このマイカルの関連社債につきましては、その時点で格付がA以上であったということで、比較的有利という判断のもとに会社が購入を決定したというふうに聞いております。
○清水委員 先日知事は、記者会見で今回の問題について、社長は社長として責任をとるべきだという考えを述べたというふうに報道されているんですけれども、経営の責任、今後の対応、社長の責任のとり方などについて、どのようにお考えでしょうか。
○木内都市計画局長 会社としても経営上の大きな問題であり、責任を痛感しているというふうに聞いております。私どもとしても、会社として、あるいは役員として、結果に対する責任というのは大いにあるだろうというふうに考えておりまして、それら役員間のレベルにおいてみずから判断すべきものというふうに基本的には考えておるところでございます。そうした意味では、なかなかこの席では申し上げることが難しい部分もあるかなというふうに考えているところでもございます。
○清水委員 このマイカルの社債を購入したときの社長というのは、今の社長ではないかとも思うのですけれども、退職金や当時の給料というのはわかるのでしょうか。
○只腰施設計画部長 一番最初の社債につきましては、前の社長で、残りの二つにつきましては現社長のもとで購入をしてございます。所得あるいは退職金の額につきましては、個人の情報でございますのでお答えできません。
○清水委員 先ほど会社として経営の責任をということをいわれましたけれども、この会社の中に出ていっている役員を見ますと、本当に旧運輸省の方が取締役社長、旧自治省の方が専務取締役、そして常務取締役は東京都、茨城県、千葉県、埼玉県、常勤監査役は東京都ということで、それぞれ各県から出てきているわけなんですよね。そういう中で決められていったことなんですけれども、多額の都民の税金を、私たちとしても、この線が住民の合意のもとに皆推進をしようということで進んでいったものですから、会社の内容などについて余り議論をしてこなかったなという懸念はあるんです、今までここ何年かやってきまして。そういう中でこういう大きな損失がもし出た場合に、本当に重大だというふうに思うんです。そういう意味で、それぞれ国の職員だった方、東京都の職員だった方などが、常勤役員それから非常勤役員としても出てきている中で、退職金はわからないよ、給料はわからないよ、責任をとるのにそのもらったお金がどうなのかわからないよということでは、多摩開発センターの問題もこの間ありましたけれども、それで済まないのではないかと思うのですけれども、責任が今後明らかになったときに、そういう問題にも東京都として意見をいうという考えは今ありませんか。
○木内都市計画局長 役員の構成について申されましたけれども、国の出身である、あるいは各県の出身であることをもってして、その能力について云々は私としてはなかろう。それぞれの人たちが一定の能力あるいはすぐれた能力を持ってその職責に当たったんだろうということは信じたいというふうに思っております。また、責任のとり方の問題については、先ほど申したようにそれぞれ会社として適切な判断が、あるいは個人として適切な判断がなされるものというふうに私としては信じているところでございまして、その余のことについてはそれらの第一歩が踏み出した後の問題として考えていきたいというふうに思っております。
〔相川副委員長退席、委員長着席〕
○清水委員 それぞれの方の能力のことを私はいっているんじゃなくて、今の国民の世論の中からも、いわゆる天下りとかいわれるこういう組織の中でこういう問題が起こったときに、都民の税金、国民の税金、各県の税金が投入されながらやってきている事業の中で、こういう問題があったときに、じゃやめた退職金が幾らだったのか、一体東京都にどれだけ損失を与えるのか。さっきのご答弁だとかなりの損失になるという、一体百十億が幾ら回収されるのかという問題でも、いえないと思うんです、私たち、それは。いや、もうそのままですよ、給料そのままですよといえないと思うんですよね。ですからそのことをいったのであって、各県や国から出ているから能力が云々といっているわけではありません。そうした問題についても、きちんと東京都として発言をしていただきたいと思います。
それから、先ほど、この会社の運営の方法は、出来高でなくて、資金を前倒しして、それを運用してやるということが、本当によいのかということにもなってきているんじゃないですか。今いわれたように各県の方などが出て、都の方などが出ている中では、こういう株とか社債とか、そういうもののプロでもないわけですよね。そして景気がこういう中で、何か買っているものを見ると、本当にいろんなところのものを買っているわけなんですけれども、これがそれぞれ、じゃ本当に大丈夫なのかということになると、その資金で運用するということになると、本当にそれぞれ担当の方は肌寒い思いがするんではないかと思います、これだけの問題で済むのかということでは。そういう意味で、やはりこういう方向だからということでなくて、今回の問題をしっかりと責任の所在を明らかにし、責任をとっていただいて、そして今後こうした公共事業を進める場合の第三セクターの出資のあり方、無利子貸付のあり方、それらについても東京都としてきちんと方針をつくっていただきたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○木内都市計画局長 二点あろうかと思います。一点目は資金の問題でございまして、この事業、先ほど部長が申し上げましたように、約一兆三百億円の事業に対して出資金が一千四百億円程度、それから無利子貸付金が八千億程度、その他というふうになってございまして、今申し上げたのは、出資金についてそうした全体の事業費あるいは各県の負担を軽減するという目的を持って、各県の合意のもとに議会の議決を得て前倒しをし、出資をしたということが事実であろうかと思います。
それから、それに対して貸付金については、事業の進ちょくに応じて出来高払い的に支払っているということも事実でございますので、その出資についてはこの会社のこの事業の特殊性、大規模な事業であるということの各県の負担を軽減するという趣旨に基づいて行ったものでございまして、この会社特有のことであって、東京都全体に三セク全体の出資のあり方とは直接には関連はなかろうかというふうに考えております。
それから二点目の、さはさりながら、そうした出資金の形態をとることによって、結果としてこうした事態が生じたことについては、大変遺憾なことであるというふうに再三申し上げているところでございまして、当局としても指導監督について万全であったや否やということについて、我が身についてもそのように考えているところでございます。しかしながら、個々の債権の運用、資金の運用については、当然に会社として行っているものでありまして、個々の銘柄について報告ないしは、何と申しますか、了承といいますか、ものを得ているものではないので、残念ながらそこまで指導監督は行き渡らなかったというふうに考えているところでございます。
それから、これも繰り返しの答弁でありますけれども、ではその会社として責任をいかにとっていくかということについては、現段階においては会社、役員それぞれについて、トップも含めてみずから判断するということが大原則であろうというふうに思っております。私どもは適切な判断が下されるものということで、現在ではそれを願望しつつ見守っているところでございますので、この点は繰り返しになるのではございますけれども、ご質問が繰り返しでございますので、申しわけないけれども繰り返しの答弁とさせていただきたいと思います。
○清水委員 私は第三セクター全体の問題としていっているのではなくて、この会社の問題として最初のご答弁いただいたことはいいました。
それから、みずからといわれましたけれども、東京都の株の保有率は一七%ですか、やはり会社の経営の中で大きな位置を占めていると思うんですよね。ですから、みずからというのであれば、やはり東京都としても都民に影響を与えない、東京都の財政に影響を与えないという姿勢を持ってこれからの経営の責任の対応に当たっていただきたいというふうに思います。
○藤川委員長 ほかにはご発言はございますか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○藤川委員長 それでは、ほかに発言がなければお諮りします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤川委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で都市計画局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後五時十九分散会
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