都市・環境委員会速記録第十一号

平成十三年九月十一日(火曜日)
   午後一時二分開議
 出席委員 十三名
委員長藤川 隆則君
副委員長吉野 利明君
副委員長相川  博君
理事真鍋よしゆき君
理事鈴木 一光君
理事大木田 守君
小磯 善彦君
吉原  修君
清水ひで子君
かち佳代子君
大塚 隆朗君
秋田 一郎君
大河原雅子君

 欠席委員 一名

 出席説明員
都市計画局局長木内 征司君
技監勝田 三良君
理事杉浦  浩君
総務部長野田 一雄君
総合計画部長中島  守君
開発企画担当部長福島 七郎君
地域計画部長小林 崇男君
施設計画部長只腰 憲久君
航空政策担当部長甲斐 正彰君
外かく環状道路担当部長成田 隆一君
開発計画部長田中  亨君
建築指導部長森下 尚治君
参事河島  均君
参事萩原 豊吉君

本日の会議に付した事件
 都市計画局関係
  事務事業について(説明)
  報告事項(説明・質疑)
  ・第百五十回東京都都市計画審議会付議予定案件について
  ・東京の新しい都市づくりビジョン(中間のまとめ)について
  ・新宿歌舞伎町のビル火災への対応について

○藤川委員長 ただいまから都市・環境委員会を開会いたします。
 初めに、議席について申し上げます。
 議席はただいまご着席のとおりといたしたいと思いますので、ご了承いただきたいと思います。

○藤川委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市計画局関係の事務事業の説明を聴取した後、同局の報告事項の説明聴取及び質疑を行います。
 なお、事務事業については、本日は説明を聴取した後、資料要求をすることにとどめ、質疑は後日行いたいと思いますので、ご了承をお願いいたします。
 これより都市計画局関係に入ります。
 初めに、都市計画局長よりあいさつ並びに幹部職員の紹介があります。

○木内都市計画局長 都市計画局長の木内征司でございます。
 都市計画局の事務事業につきましては、平素よりいろいろご指導いただき、まことにありがとうございます。都市計画局といたしましては、委員長初め委員の皆様方のお力添えをいただきながら、職員一同力を合わせまして、局事務事業の適切かつ円滑な運営に努めてまいります。ご指導のほど、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、お手元の名簿に従いまして当局の幹部職員を紹介させていただきます。
 技監の勝田三良でございます。理事で航空政策担当の杉浦浩でございます。総務部長の野田一雄でございます。総合計画部長の中島守でございます。開発企画担当部長の福島七郎でございます。地域計画部長の小林崇男でございます。施設計画部長の只腰憲久でございます。航空政策担当部長の甲斐正彰でございます。外かく環状道路担当部長の成田隆一でございます。開発計画部長の田中亨でございます。建築指導部長の森下尚治でございます。参事で東京圏都市づくり調査担当の河島均でございます。参事で防災都市づくり推進担当の萩原豊吉でございます。また、当委員会との連絡に当たらせていただきます、参事で総務課長事務取扱の安井順一でございます。
 以上でございます。よろしくお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○藤川委員長 あいさつ並びに紹介は終わりました。

○藤川委員長 引き続き事務事業について理事者の説明を求めます。

○木内都市計画局長 都市計画局の事務事業につきまして、お手元に配布してございます資料1、主要課題に基づきましてご説明申し上げます。
 当局は、首都圏全体を視野に入れました東京の都市づくりを進める役割の一端を担っております。二十一世紀を迎え、東京は社会経済の大きな変化の中にあります。都市づくりにおいても、従来のような、人口の集中や産業の拡大の受け皿づくりに追われた、いわば需要対応型の都市づくりでは解決が困難な課題に直面しております。このため、今年度、東京の新しい都市づくりビジョンを策定し、目指すべき都市像を明確にし、その目標に向かって戦略的に都市づくりを進める政策誘導型の都市づくりへの転換を図ってまいります。
 また、先般、国の都市再生本部から、都市再生プロジェクトが公表されました。羽田の再拡張やいわゆる首都圏三環状道路整備の積極的な推進が盛り込まれるなど、首都圏を再生し、日本を再生するという方向性が明確に打ち出されました。
 このような中で、都市計画局では、ハードの都市づくりにかかわる区市町村を初めとする公共セクターの各種施策はもとより、都市再生の主要な担い手である民間の開発計画を総合的に調整する事務を所管しております。
 その事務は、主に次の三つに区分されます。
 まず第一は、都市整備の基本的事項に関することでございます。
 都市を総合的に整備するための長期的、基本的計画の立案及び地域整備計画における国や区市町村、民間等との調整を行っております。
 第二は、都市計画に関することでございます。
 都市の秩序ある発展を図るため、用途地域等の土地利用や、道路、公園、下水道、鉄道等の都市施設、また、再開発や土地区画整理等の市街地の開発、さらには災害に強い都市づくりの推進などの計画策定や事業調整等を行っております。
 第三は、建築に関することでございます。
 都市計画など諸計画に沿って建築計画の確認、許可を行うとともに、建築紛争の予防と調整、建築物の安全性の向上に関する事務等を行っております。
 続きまして、当局が当面する主要な課題への取り組みを説明申し上げます。
 まず、魅力と活力のある都市づくりについて申し上げます。
 都市づくりビジョンの策定でございますが、本年三月に、東京都都市計画審議会から、社会経済情勢の変化を踏まえた東京の新しい都市づくりのあり方について答申があり、これを踏まえて、先月、「東京の新しい都市づくりビジョン(中間のまとめ)」を公表いたしました。現在、中間のまとめに対する意見等を幅広く募集しているところでございまして、本日、当委員会にもご報告することとなっております。
 また、東京の新しい都市づくりビジョンの策定にあわせ、新たな都市づくりの政策や都市計画行政の再構築を進めていく考えでございます。
 次に、都市計画マスタープランでございますが、本年五月に施行された改正都市計画法に基づき、都道府県は、都市計画の目標並びに土地利用、都市施設、市街地開発事業の決定方針などを、都市計画として一体的かつ総合的に定めることになりました。
 このため、都としては、東京の新しい都市づくりビジョンを踏まえ、都市計画マスタープランを策定するとともに、プランで明らかにする土地利用の方針に基づき、必要な用途地域等の見直しを行っていきたいと考えております。
 次に、災害に強いまちづくりについて申し上げます。
 平成九年に防災都市づくり推進計画の整備計画を策定し、その中で、重点地域を指定し、積極的な施策展開を図ってきたところですが、今後とも、延焼遮断帯の整備や防災生活圏の形成など、防災都市づくりの一層の推進に努めてまいります。
 平成九年に、復興の際の行動手順、計画指針として都市復興マニュアルを策定し、また、本年五月には、行政と都民とが震災後の復興都市づくりのあり方を共有するために、震災復興グランドデザインを策定し、提案いたしました。今後、迅速な復興のために必要となる新たな法制度、財源の確保策等、執行体制などを具体的に検討してまいります。
 次に、都市活動を支える交通基盤の整備について申し上げます。
 航空政策の推進でございますが、首都圏において空港機能の充実を図ることは、東京はもとより、日本の活性化、国際競争力の向上のために喫緊の課題となっております。このため、都は、昨年十二月に航空政策基本方針を策定し、首都圏における航空政策上の重要な課題に取り組んでいるところでございます。
 羽田空港については、逼迫する国内線、国際線の航空需要に対応するため、早期に再拡張することを提案するとともに、朝と夜の未利用枠を活用し、国際化を速やかに進めるよう国に対して働きかけてまいります。
 都市計画道路の整備でございますが、区部の環状方向や多摩の南北方向の道路について、重点的な整備の推進を図っております。高速道路については、現在建設中の首都圏中央連絡道路、首都高速道路中央環状線などの整備を促進してまいります。
 また、東京外郭環状道路につきましては、本年四月に、幅広い議論のための素材として、地下方式による新しい計画のたたき台を提案したところでございます。
 さらに、中央環状線の未着手区間である品川線について、本年八月に、地元に対し都市計画素案説明会を行いました。今後とも、いわゆる首都圏三環状道路の早期完成に向けて、一層の努力をしてまいります。
 公共交通網の整備でございます。
 昨年一月の運輸政策審議会の答申に基づき、国、地元自治体及び事業者などとともに、公共交通網の充実に取り組んでおります。本年三月には、りんかい線の東京テレポート駅から天王洲アイル駅が開業いたしました。引き続き、来年十二月の大崎駅までの全線開業に向けて事業を進めてまいります。
 つくば線、日暮里・舎人線等の、都が関与する、ほかのいわゆる三セク鉄道につきましても、事業採算性確保に十分留意しつつ、引き続きその整備を促進してまいります。
 また、京急蒲田駅につきましては、本年度より鉄道駅総合改善事業に着手し、羽田空港へのアクセス改善に努めてまいります。
 さらに、都市高速鉄道第十三号線の整備に着手するとともに、小田急線、京王線等の既設鉄道の複々線化、連続立体化計画を推進するなど、都市高速鉄道ネットワークの強化に努めてまいります。
 最後に、建築行政について申し上げます。
 去る九月一日の防災の日に、新宿歌舞伎町の雑居ビル火災で、四十四名もの方々が死亡するという大惨事が起きました。亡くなられた方々に対し、改めて心から哀悼の意を表します。
 都としては、二度と同じ惨事を繰り返さないため、区市町村とともに、東京消防庁と連携し、いわゆる雑居ビルを対象として緊急安全点検を実施するとともに、建物の所有者などに対し、避難、安全に関する自己点検を要請するなどの対策を行っております。
 建築行政につきましては、このほか、だれでもが健康で安心して暮らせるよう、地域のバリアフリー化や建築物の耐震強化などの施策に引き続き取り組んでまいります。
 さらに、都心居住の推進や良好な景観形成を目指した総合設計制度の運用、都市部に不足している荷さばき駐車施設の附置義務化など、まちづくりと連携した建築行政の推進に取り組んでまいります。
 以上が当局が抱える主要な課題でございます。
 引き続き詳細につきましては総務部長よりご説明いたします。よろしくお願いいたします。

○野田総務部長 ただいま局長から都市計画局の主要課題をご説明申し上げましたので、私からは、お手元の資料2、事業概要に基づきまして、当局の所管事業の概略をご説明申し上げます。
 まず、一〇ページをお開き願います。局の組織でございます。
 本庁には、右側から順に、総務部、総合計画部、地域計画部、施設計画部、開発計画部及び建築指導部の六部がございます。また、事業所は、次の一二ページにございますように、多摩東部及び多摩西部の二つの建築指導事務所がございます。
 次に、少し飛びまして二四ページをお開き願います。職員定数と課別の職員配置状況を一覧表にしてございます。この右下の欄に記載してございますように、当局の職員定数でございますが、四百七十八名でございます。
 二六ページをお開き願います。当局の予算でございますが、一般会計のほか、特別会計の都市開発資金会計を所管しております。
 一般会計の予算額は、二六ページの下段の(1)、アの表にございますように、本年度の歳出予算額は一千百五十四億九千二百万円、また、都市開発資金会計の歳出予算額は、二七ページの下段の(2)のアの表にございますように、百三億一千八百万円でございます。
 続きまして、各事業の概要をご説明申し上げます。
 まず、三五ページをお開き願います。都市整備に関する調査検討でございます。
 (1)の東京の新しい都市づくりビジョンについては、本年八月に中間のまとめを公表し、現在、意見募集を行っているところでございます。今後、さらに検討を加え、本年秋には、都市づくりの基本的方針を示す、東京の新しい都市づくりビジョンを策定してまいります。
 一枚めくっていただきまして、三六ページをごらんください。(2)の首都圏メガロポリス構想の推進でございます。
 首都機能を担う東京圏を対象とし、その整備の方向性を示す首都圏メガロポリス構想を本年四月に公表したところでございます。七都県市の連携による構想の実現に向け、取り組んでいるところでございます。
 また、(4)の都市白書の作成でございますが、東京の都市の現状と課題につきまして広く都民に明らかにするため、来年度当初の発表を目途に、東京都市白書二〇〇二を作成中でございます。
 次に、少し飛んでいただきまして、五六ページをお開き願います。都市計画法制でございます。
 都市計画の意義及び手続などにつきまして、五六ページから六四ページにかけて記述してございます。
 また、六五ページから六六ページの表でございますが、都市計画の種類及び決定区分についてまとめたものでございます。この表のうち、表頭に東京都決定として区分してあるものにつきましては、用途地域など広域的観点から定める必要のあるものや、幹線街路など根幹的施設につきまして、知事が関係区市町村の意見を聞き、かつ都市計画審議会の議決を経て決定することとなっております。
 六七ページから七〇ページにかけまして、都市計画の決定手続などをまとめてございます。
 なお、都市計画審議会への付議予定案件のうち、主要なものにつきましては、当委員会に報告をさせていただいております。第百五十回都市計画審議会の主要案件につきましては、事務事業説明の後、早速ご報告申し上げますので、よろしくお願いいたします。
 次に、七七ページをお開き願います。拠点整備の推進でございます。
 1の区部中心部の整備につきましては、区部中心部整備指針に基づきまして、都市開発諸制度の活用などにより、公共と民間の協力と協調によるまちづくりの推進を図っております。
 また、七八ページから八四ページにかけましては、臨海副都心の整備及び豊洲・晴海地域の開発についてでございます。
 臨海副都心につきましては、平成九年三月に策定いたしました臨海副都心まちづくり推進計画に基づきまして、まちづくりを進めております。
 また、豊洲・晴海地域の開発につきましては、平成九年四月に策定いたしました豊洲・晴海開発整備計画に基づきまして、地元地権者や関係機関との調整を進めておりますが、今後は豊洲への移転を予定している新市場を織り込んでいくことになります。
 次に、八五ページをごらんください。核都市の整備でございます。
 平成十年に策定いたしました整備計画に基づき、地元市などと連携を図りながら、八王子、立川など五つの核都市の育成整備を進めているところでございます。
 次に、九一ページをお開き願います。1の都心居住の推進でございます。
 都心居住施策により、近年、区部人口の回復をもたらしてまいりましたが、依然昼夜人口の格差は大きく、都心居住を一層推進する必要があることから、住宅市街地整備総合支援事業など都市づくり手法の活用により都市空間の有効、高度利用を図り、良好な環境を有しつつ、都心地域にふさわしい住宅市街地の形成を推進するものでございます。
 次に、九八ページをお開き願います。東京臨海地域の再編整備でございます。
 東京臨海地域の低未利用地は、都心に近く、比較的大規模であることなどから、東京全体の魅力と活力を高めていくための貴重な都市空間として有効に活用していく必要があります。ことし二月に策定いたしました東京ベイエリア21に基づき、東京臨海地域の再編整備を適切に誘導してまいります。
 九九ページは、調和のとれた土地利用の実現でございます。
 土地利用計画は、良好な生活環境を保全するとともに、機能的な都市活動を確保するため、土地の適正かつ合理的な利用を図ることを目的とするものでございます。
 具体的な計画といたしましては、国土利用計画法に基づく土地利用基本計画、一〇一ページにございます都市計画法に基づく都市計画区域マスタープランの策定、一〇五ページ以下にございます用途地域などの地域地区指定などがございます。
 次に、一一二ページをお開き願います。4の地区計画等でございます。
 (1)の地区計画は、住民の参画による、地域の実情に応じたきめ細かなまちづくりを進めるための計画でございます。
 一一三ページの一番下にございます(3)は、地区計画の一つである再開発地区計画でございます。
 一一五ページをお開き願います。5の特定街区・総合設計制度でございます。
 特定街区は都市計画に基づきまして、また、総合設計は建築基準法に基づきまして、それぞれオープンスペースや良質な住宅等が確保された良好なプロジェクトに対して、容積率の緩和等を行うことによりまして、市街地の整備改善を推進しようとするものでございます。
 次に、一三二ページをお開き願います。2の羽田空港沖合展開と跡地利用でございます。
 空港の沖合展開につきましては、昨年三月には新B滑走路が供用開始され、現在は東旅客ターミナルビルの整備が進められております。沖合展開に伴い発生します跡地につきましては、昨年八月に、国より当面の跡地範囲が提示されたところでございます。
 今後、国、都、地元区の三者で跡地範囲を調整の上、跡地利用計画案を取りまとめる予定でございます。
 次に、一四五ページをお開き願います。防災都市づくり推進計画でございます。
 災害に強い都市づくりを進めるため、平成九年三月に策定した防災都市づくり推進計画に基づき、区、市並びに関係機関との連携のもとに諸施策を推進しております。
 また、現在、本年四月に施行されました東京都震災対策条例による新たな位置づけのもとに、平成十四年度に向け、新たな計画の策定に取り組んでおります。
 一四八ページは、安全な市街地の整備でございます。
 1の防災再開発促進地区でございますが、これは、平成九年十一月に施行された密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律により、一体的かつ総合的に市街地の再開発を促進すべき地区を促進地区として指定するものでございます。
 また、右側の一四九ページには、2の防災生活圏促進事業を記載しております。
 続いて、3の都市防災不燃化促進事業でございます。これは、避難地、避難路などの周辺にある建築物を不燃化し、大震火災時における延焼の防止と避難者の安全の確保を図る事業でございます。
 次に、一五三ページをお開き願います。4の市街地再開発事業でございます。
 これは、建築物と公共施設とを一体的に整備することにより、土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新を図ることを目的とする事業でございます。
 次に、一六五ページをお開き願います。5の土地区画整理事業でございます。
 これは、一定の区域において宅地の利用増進を図るとともに、道路、公園などの公共施設の整備改善を行う面的開発事業でございます。
 次に、一七二ページでございます。都市空間の確保と避難場所、避難道路の整備でございます。
 これは、大震火災時において、市街地大火から都民の生命を守るため、あらかじめ安全な場所を確保し、震災対策条例に基づいて指定しているものでございます。
 次に、一八一ページをごらんいただきます。復旧、復興対策の推進でございます。
 1の都市復興マニュアルの策定と充実強化でございます。大震災による被災直後から円滑に復興に取り組めるよう、平成九年に東京都都市復興マニュアルを策定いたしました。マニュアルに基づき、区、市と共同で模擬訓練を実施し、その実効性を検証しております。
 また、震災時の復興都市づくりのあり方をあらかじめ都民と共有するため、本年五月、震災復興グランドデザインを策定するなど、マニュアルの充実強化と早期定着化を図ることとしております。
 次に、一九三ページをお開き願います。緑とオープンスペースの充実でございます。
 昨年十二月に緑の東京計画を、また、本年一月には東京都における自然的環境の保全及び公共空地系統の整備の方針を策定いたしました。これらに基づきまして、東京の緑の保全と確保に努めているところでございます。
 次に、二〇二ページをお開き願います。良好な景観の形成でございます。
 東京都景観条例に基づき、隅田川、臨海、国分寺崖線などを対象に景観基本軸の指定等を行い、届け出制度の運用などを通じて、美しく潤いのある景観の形成に努めております。
 次に、二〇八ページをお開き願います。供給処理施設等の整備でございます。
 1の水資源の確保でございます。東京は水源の約八割を利根川・荒川水系に依存しており、国の策定する水資源開発基本計画に基づき水源開発が行われております。現在は、第四次計画により、荒川水系の滝沢ダム、利根川水系の八ッ場ダムなどの事業が行われております。
 二一七ページをお開き願います。一番下の段、4の建設副産物対策の推進でございます。
 これは、東京都関連の公共事業から発生する建設発生土や建設廃棄物のリサイクルの促進等を行っているものでございます。
 次に、二二七ページをお開き願います。道路網の整備でございます。
 都市計画道路につきましては、計画的、重点的な整備を図るため、区部では平成三年に、多摩では平成八年に、それぞれ第二次事業化計画を策定しております。これに基づき、区部では環状、多摩では南北方向の道路整備に重点を置き、事業化を進めております。
 なお、本年三月末現在の都市計画道路の完成率でございますが、二三二ページの表にありますように、区部では五五・七%、多摩地域では四八・二%でございます。
 次に、二三三ページをごらんください。4の都市高速道路でございます。
 二三五ページの表にありますように、現在、十八路線が都市計画決定されており、このうち供用中のものは、首都高速道路とその他を合わせて十四路線でございます。現在事業中の路線は、中央環状新宿線等の三路線、延長約十七キロメートルでございます。
 また、外郭環状道路の都内未着工区間は、昭和四十一年の都市計画決定以来、事業化されない状況が続いておりますが、現在、地下化を基本といたしまして、地元との合意形成に努めるなど計画の具体化に取り組んでおります。
 次に、鉄道・新交通システムの整備でございます。二三六ページをお開き願います。
 まず、地下鉄等につきましては、現在、十三路線が都市計画決定されております。
 二三九ページでございますが、3のつくば線でございます。
 事業主体である首都圏新都市鉄道株式会社が平成十七年度開業に向けて工事を進めております。
 4のりんかい線でございます。
 平成八年三月に新木場から東京テレポートまでを、本年三月には東京テレポートから天王洲アイルまでの区間を開業いたしました。残る大崎までにつきましては、事業主体である東京臨海高速鉄道株式会社が、平成十四年十二月の全線開業を目指して工事を進めているところでございます。
 二四〇ページをお開き願います。5の多摩都市モノレールでございます。
 運営主体である多摩都市モノレール株式会社が、昨年一月に、多摩センターから上北台までの約十六キロメートルの区間を全線開業いたしました。
 二四一ページ、6の日暮里・舎人線でございます。
 事業主体でございます東京都地下鉄建設株式会社が、現在、JR日暮里駅から見沼代親水公園までの約九・八キロメートルにつきまして工事を進めているところでございます。
 二四三ページでございます。10の連続立体交差事業でございます。
 十九区間、延長約八十四キロメートルが都市計画決定されており、現在、京王電鉄調布駅付近及び小田急電鉄下北沢駅付近につきまして都市計画変更の手続を進めております。
 次に、二四四ページをお開き願います。航空政策の推進でございます。
 都市再生のため、大都市における国際交流機能の強化が広く議論されております。こうした動きを受け、羽田空港の国際化や横田飛行場の民間航空利用、横田空域の返還の実現など、首都圏における空港機能の充実に向けた航空政策の推進について、関係機関との調整等を行っております。
 次に、少し飛びまして二五七ページをお開き願います。建築指導行政でございます。
 ビルやマンション、戸建て住宅などの建築物やそのほかの工作物の建築につきましては、建築基準法及びその他の関係法令により、建築物の敷地、構造、設備及び用途などに関する基準が定められております。これらの関係法令に基づきまして、建築計画の確認、許可、違反建築の取り締まりなどに関する事務を行っております。建築物の質の向上や安全、衛生等に資するとともに、都市計画で定められた地域、地区等の土地利用計画に即した、秩序ある都市の形成を目指しております。
 二六九ページをお開き願います。5の建築紛争の予防と調整でございます。
 中高層建築物の建築計画につきましては、建築主に対して、標識の設置、近隣住民に対する説明会の開催などの指導を行い、関係住民に対しては、建築主との自主的な話し合いが効果的に行えるよう、関連する情報の提供や助言などを行うとともに、当事者の申し出に応じ、あっせん、調停を行っております。また、建設工事に伴い発生した紛争につきましても、当事者の申し出に応じ、調停、仲裁等を行い、紛争の迅速かつ適切な解決に努めております。
 二七一ページをお開き願います。建設業者、建築士の指導育成でございます。
 これは、建設業者の資質の向上と建設工事の請負契約の適正化等を図るため、建設業者の許可等を行っているものでございます。また、これとあわせ建築士事務所の登録等も行っております。
 次に、二七六ページをお開き願います。宅地開発に対する規制等でございます。
 これは、宅地造成等規制法に基づく、宅地造成に伴うがけ崩れや土砂の流出等の災害を防止するための規制と、都市計画法に基づく、都市計画区域における無秩序な市街化を防止するための開発行為の規制の二つでございます。
 以上、まことに雑駁ではございますが、当局の事務事業についての説明とさせていただきます。
 次に、お手元の資料3、東京都監理団体等運営状況によりまして、当局所管の団体につきましてご説明申し上げます。
 表紙の次のページをお開き願います。都が二五%以上出資等を行っており、当局が所管となっている団体は、公益法人では財団法人東京都新都市建設公社を初めとする三団体、株式会社では東京臨海高速鉄道株式会社を初めとする四団体がございます。これらの団体の詳細につきましては、後ほど資料をごらんいただきたいと存じます。
 各委員の皆様におかれましては、これらの団体が都の事務事業等を代行、補完し、都民サービスの向上に一定の役割を果たしていることをご理解いただき、これらの団体の健全な発展のため、今後ともご指導、ご支援くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。
 以上で当局の説明を終わらせていただきます。よろしくお願いします。

○藤川委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言をお願いします。

○大木田委員 一点だけ資料要求をいたします。
 ただいまの説明で、二三二ページに都市計画道路の現状が出ておりまして、これによりますと、区部、多摩、島しょとなっておりますから、それぞれお願いをしたいと思います。
 現在、未着手の延長が五百八十二キロ、完成率は五五・七になっておりますけれども、ヘクタールでいいますと、私の計算では四百七十八・五ヘクタールだと思っております。したがいまして、完成したところは結構でございますので、現在工事中のところと未着手のところを、商業地域、住宅地域、工業地域に分けまして、一番直近の公定価格で計算した場合、用地費が幾らかかるか。それから建築造作費等があるわけですけれども、これに幾らかかるか。三点目は、それに伴う街路の整備等も出てきますので、これに幾らかかるか。これを、区部についてはこれで幾らか、多摩地域については幾ら必要か、島しょ部については幾ら必要か、それぞれ三地域別に、現在の時点で購入すれば、幾らあれば区部では購入することができるか、多摩地域では幾らあれば購入することができるか、最終的には島しょ地域では幾らあれば購入できるか、現時点での公定価格ということで計算をして提出をお願いしたいと思います。

○大河原委員 四点お願いします。
 都市緑地保全法に基づく市民緑地の箇所一覧。
 それから、屋上緑化推進の状況についてわかるもの。
 そして、生産緑地の追加指定の状況がわかるもの。
 四点目が、保全樹林地、また緑地などの税制優遇措置の事例を挙げていただきたいと思います。

○かち委員 一番、区部における事務所床面積の推移。
 二番には、区部における住宅着工戸数の推移。
 三番、生産緑地面積の推移。
 四番、民営鉄道建設に対する利子補給の金額の推移。
 五番、各戸貯留・浸透施設等事業補助の実績。
 六番、総合治水対策における雨水流出抑制施設の整備状況。
 七番、首都高速道路公団に対する出資等の支出の推移。
 次のは、わかっていたらということですけれども、ここ二、三年の一時間一〇〇ミリを超える降雨発生状況、わかりましたらお願いします。

○相川委員 地区計画制度におきまして、住民要求で都市計画決定後変更した事例があるかないか。あれば、その資料をいただきたいと思います。

○藤川委員長 ただいま大木田委員、大河原委員、かち委員、相川委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤川委員長 異議なしと認めます。理事者においては、要求された委員と調整の上、ご提出をお願いいたします。

○藤川委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○木内都市計画局長 報告の一点目に当たります、来月の十月二十四日に開催予定の第百五十回東京都都市計画審議会に付議を予定しております案件についてご説明申し上げます。
 その案件は全部で十八件でございまして、内訳は、区部で六件、市部で十二件でございます。
 なお、今回東京都都市計画審議会に付議はいたしませんが、都市計画手続に合わせまして環境影響評価手続を開始する、いわゆるアセス前合わせ案件として、ひばりが丘団地建てかえ事業がございます。本日は、これらのうち、主要案件であるひばりが丘一団地の住宅施設の変更についてと、一般国道一六号横浜町田立体の変更についてを説明申し上げます。
 それでは、引き続きそれぞれの担当部長から説明いたしますので、よろしくお願い申し上げます。

○小林地域計画部長 それでは私の方から、主要案件の一つでございます、ひばりが丘一団地の住宅施設の変更の案件につきましてご説明申し上げます。
 お手元にご配布しております資料のうちの、薄い白い主要案件説明資料、それから黄色い表紙の主要案件図面集、こちらをごらんいただきたいと存じます。説明資料では七ページからでございます。黄色い表紙の図面集では六ページからでございます。
 この案件は、東京都環境影響評価条例の対象事業でございまして、今回はいわゆる前合わせでございます。条例に基づきます環境影響評価を行った後に、都市計画審議会に付議しようというものでございます。図面集の六ページに位置図がございますので、ごらんいただきたいと存じます。
 本地区は、西武池袋線ひばりヶ丘駅から南西約一キロメートルに位置する、区域面積三十四・五ヘクタール、住宅の戸数にいたしまして約二千七百戸の大規模な賃貸住宅団地でございます。
 本団地は、昭和三十三年に都市計画決定されました一団地の住宅施設に基づきまして建設されましたが、その後四十一年が経過しておりまして、現在では、建物及び設備の老朽化、狭小な住戸面積等、居住水準の低下が著しい状況にございます。
 そこで、既存住宅を建てかえまして、緑やオープンスペースの保全と創出を図りながら、中高層住宅等の整備、住戸面積の拡大、公共公益的施設の充実など、土地の有効利用と居住水準の向上を図り、公的住宅の供給に寄与するために、一団地の住宅施設を変更するものでございます。
 次に、主な変更内容でございますが、資料集の七ページに概要が出てございます。
 3の計画概要でございますけれども、この中で括弧書きをしておりますのは、変更前の記載でございます。
 まず、都市計画の名称でございますが、従前は田無住宅でございましたけれども、今回はひばりが丘一団地の住宅施設に変更いたします。
 次に、区域の面積でございますが、約三十五・九六ヘクタールから約三十四・五ヘクタールに変更いたします。これは、変更前の区域が住宅団地と同時期に建設されました中原小学校の区域を含めて設定されておりましたが、この区域につきましては既に整備されておりますので、区域から除外することといたしました。
 図面集の七ページに変更前の配置図がございまして、八ページに変更後の配置図がございますが、変更前の計画図をごらんいただきますと、右上の方に〔小〕と書いてある小学校がございますが、この区域を除外したということでございます。
 次に、建築物の密度の限度につきましては、周辺環境に配慮しながら土地の有効高度利用を図るために、変更前は、一団地の住宅施設の中で、建ぺい率二〇%、容積率四〇%という定めがあったわけでございますけれども、これを、団地北側のAブロックにつきましては、建ぺい率四〇%、容積率一二〇%--今、後ろの画面の方に映っておりますが、それから団地中央のBブロックにつきましては、建ぺい率四〇%、容積率一五〇%に、主に公共施設、公園等で構成されるCブロックにつきましては、建ぺい率を三〇%、容積率を八〇%に変更しております。
 それから、住宅の戸数でございますけれども、従前は、中層約二千百二十戸、低層約五百七十四戸、合計で二千六百九十四戸でございましたが、今回の変更では、高層が約三千三百五十戸、中層約二百五十戸、合計で約三千六百戸に変更するものでございます。
 また、道路、公園などの公共施設及び集会所、保育所などの公益的施設につきましては、主要案件図面集の八ページに計画図がございますけれども、こういった公共施設あるいは公益的施設の配置をすることとしております。
 それから参考といたしまして、図面集の九ページに完成後のイメージパースが掲げてございます。
 全体の施行期間につきましては、平成十四年から平成二十七年度まで、数期に分けて工事を行うこととしております。
 また、総事業費は約八百六十億円となってございます。
 それから、この一団地の住宅施設の変更に伴いまして、用途地域を一部変更してございます。計画図面の八ページに計画図がございますけれども、右上の方に〔小〕というふうに書いている二つの箇所がございますけれども、この部分の用途地域を変更しております。
 商業施設の団地内の移転、集約に伴いまして、商業施設が立地する場所につきまして、従前は第一種中高層住居専用地域でございましたが、今回の変更によりまして近隣商業地域に変更するものでございます。
 続きまして、環境影響評価関係でございますが、住宅団地の新設及び自動車駐車場の設置、これが条例の対象になっているわけでございますが、環境影響評価書案の要約が説明資料の八ページ、九ページに掲げてございます。
 今回予測、評価いたしました項目は、大気汚染、騒音、振動、日照阻害などの七項目となっております。説明資料の九ページに評価の結論が書いてございますが、いずれの項目につきましても、影響が少ないか、あるいは適切な対策を実施することになっておりまして、都市計画を変更する上で支障がないと判断しているものでございます。
 以上でございます。

○只腰施設計画部長 私からは、主要案件のうち、一般国道一六号横浜町田立体についてご説明いたします。お手元の主要案件説明資料、それから黄色い表紙の同図面集をお開きいただきたいと思います。
 まず、主要案件説明資料の三ページでございます。図面集の方は、黄色い表紙を一枚めくっていただきまして一ページをごらんいただきたいと思います。
 本件でございますが、東京都環境影響評価条例の対象事業でございまして、今回はいわゆる後合わせに当たるものでございます。
 一般国道一六号でございますが、図面集の1にございますように、横浜市を起点といたしまして、町田、八王子、それから埼玉県、千葉県に至ります道路でございまして、首都圏の都心方向に集中する交通を適切に分散、誘導する環状方向の幹線道路でございます。
 このうち、同一ページにございます位置図の右側の下に赤い色で斜線で示してございますが、この区間、地名は町田市の鶴間地区でございますが、この地区におきましては、斜めに走っております東名高速道路の横浜町田インターチェンジ、あるいはその上の国道二四六号線等の幹線道路と相次いで交差いたしまして、慢性的な交通渋滞が見られる状況でございます。
 そこで、一般国道一六号に高架構造の自動車専用部を新たに設置することを内容といたします横浜町田立体を計画するものでございます。
 次に、同じ図面集の四ページに概要図がございます。あわせまして、それを鳥瞰いたしました鳥瞰図が五ページにございます。それをごらんいただきたいと思います。
 計画の内容でございますが、図面の右側、横浜市におきまして既に開通しております横浜町田立体の、一期区間といっておりますが、この区間の自動車専用道路を、左側、西側に延伸するような形で、国道一六号線の中央部、下に断面図がございますが、そのような形で高架構造を設けまして、町田三・四・三七、一番左側の都計道でございますが、そこまでの区間におきまして新たに追加決定するものでございます。
 また、その導入区間を確保いたしまして、あわせまして、住居系地域におきます沿道環境の保全に配慮して環境施設帯を設置するため、現在の国道一六号の幅員を三十八メートルないし六十三メートルに拡幅するものでございます。拡幅する区域につきましては、同じ図面集、三ページに赤色で染めてございますが、この区域でございます。
 さらに、図面の左側の真ん中辺でございますが、交通結節点といたしまして、都市機能の強化を図るため、交差しております東急田園都市線の南町田駅というのがございますが、その駅前の北側に交通広場を設置するものでございます。
 これらの変更に関連いたしまして、町田三・三・三六号線ほか一路線並びに用途地域、高度地区等も変更するものでございます。
 この事業でございますが、一般国道一六号線につきましては国土交通省、また、南町田駅の交通広場につきましては町田市が施行を予定してございます。
 次に、環境影響評価でございますが、先ほどの白い表紙の資料の方の四ページ以降に要約を記載してございます。
 平成十二年四月の前合わせのときでございますが、本事業の実施が周辺環境に与える影響については、都市計画を変更する上で支障がないと判断いたしまして、評価書案を提出いたしましたが、この案につきまして、本年の四月に知事より審査意見書を受けたところでございます。
 その内容につきましては、同資料六ページの左側でございますが、ここに要約してございます。一番上の枠の中では、この事業に関します調査、予測及び評価につきましては、おおむね技術指針に沿って行われたものというふうに認められております。
 留意すべき事項につきましては、その下の大気汚染の一番目、二酸化窒素のバックグラウンド濃度の推定値を見直した上で予測、評価をする。二番目が、その下にございますように、二酸化窒素及び浮遊粒子状物質の濃度の予測に当たっては、東名、国道一六号、国道二四六号等からの影響を参入することなどの指摘をいただいたわけでございますが、これに沿った修正、追加を行いまして、最終的には右の枠に書いてございますような修正を行いまして環境影響評価書を作成しているところでございます。
 その前のページ、五ページでございます。環境に及ぼす影響の評価の結論につきましては、記載してございます各項目にありますように、いずれの項目につきましても、評価の基準を下回るものでございます。
 以上のことから、本事業の実施が周辺環境に及ぼす影響につきましては、都市計画を変更する上で支障ないものと私ども判断しているところでございます。
 説明は以上でございます。

○河島参事 私からは、去る八月二十七日発表いたしました「東京の新しい都市づくりビジョン(中間のまとめ)」についてご説明申し上げます。
 本ビジョンは、本年三月三十日に東京都都市計画審議会より都知事あて答申されました「社会経済情勢の変化を踏まえた東京の新しい都市づくりのあり方」を踏まえまして、行政の基本的な方針として作成したものでございます。
 本ビジョンの特徴といたしましては、大きく七点挙げることができるかと思います。
 第一として、首都圏全体にわたる広域的な視点と五十年先を見据える長期的な視点を重視していること、第二に、需要対応型都市づくりから政策誘導型都市づくりへの転換を図ること、第三に、これまでの多心型都市構造から首都圏の集積のメリットを生かす環状メガロポリス構造に転換していくこと、第四に、目指すべき都市像を明らかにすること、第五に、こうした都市構造や都市像を実現するための戦略的な取り組みを示したこと、第六が、都市づくりを推進するために必要な新たな仕組みを示したこと、そして、最後の七点目が、ビジョンの実現に向けまして、多様な主体の参加と連携による都市づくりを進めていくことでございます。
 それでは、お手元には資料9の概要版と資料10の本文をお配りしておりますが、時間の関係もございますので、概要版を中心に説明させていただきます。
 まず第1章では、人口減少、高齢社会の到来、環境問題、IT革命、国際的な都市間競争の激化など社会経済情勢の大きな変化に対応いたしまして、これまでの需要対応型の都市づくり政策を変革し、目指すべき都市像を明確にし、その目標に向かって着実に都市づくりを進める政策誘導型の都市づくりを展開することが必要との基本認識を明らかにしております。そして、目標時期を、五十年先を見据える長期的視点に立ちまして、その中間年次でございます二〇二五年といたしております。
 第2章では、今後の政策誘導型都市づくりに向けまして、都市づくりの目標を、世界をリードする魅力とにぎわいのある国際都市東京の創造といたしまして、都市活力の維持発展、環境との共生、都市文化の創造、質の高い生活環境の実現、多様な主体の参加と連携という五つを都市づくりの理念として示しております。
 次に、こうした目標を実現するため東京が目指すべき新たな都市像を第3章で明らかにしております。右肩上がりの時代の終えんに伴いまして、これまでの多心型都市構造を、首都機能を担う東京圏の集積のメリットを生かした多機能集約型の都市構造に発展させることが不可欠でございます。そして、東京圏全体の広域的連携による多様な機能の発揮、水と緑の骨格による環境との共生を重視しながら、センター・コア・エリア、東京湾ウオーターフロント都市軸、核都市連携都市軸、水と緑の創生リングから成る環状メガロポリス構造を目指すことといたしております。
 また、環状メガロポリス構造における拠点につきましては、センター・コアの中核拠点として、都心、副都心のほか、品川、秋葉原を新拠点として位置づけ、東京湾ウオーターフロント都市軸では臨海副都心を、核都市連携都市軸では従来の多摩の心しんである核都市を、それぞれ中核拠点として位置づけることといたしました。
 さらに、骨格的な都市構造とは別に、地域の内部的な構造として、生活拠点等による生活圏レベルのネットワーク構造が形成されることとなります。
 次に、新たな都市構造を実現するため、都市構造の重要な要素である自然地形、河川など水と緑の骨格、道路、鉄道等の広域交通ネットワークなど、東京の骨格的都市基盤を明らかにするとともに、都レベルの広域的視点から見た今後の東京の土地利用の概略的な方向を示しております。本文の一七ページから二〇ぺージに二枚の畳み込んであります折り込みの図面がございます。こちらが今申し上げました東京の骨格的都市基盤と東京の土地利用の概略的方向を示す図面となります。
 さらに、都の進める都市づくりの将来像を明らかにするため、東京を五つのゾーンに区分いたしまして、それぞれのゾーンが東京圏の中でどのような役割を果たし、どのようなイメージの市街地になっていくべきかを描いております。概要版の二ページに、それぞれのゾーンの将来像と戦略を記載しております。
 概要版の三ページになりますが、第4章では、目指すべき都市構造や将来像を踏まえまして、政策誘導型の都市づくりを具体的にどのように展開すべきかを五つの分野別に明らかにいたしております。
 第一は、都市活力の維持発展でございます。国際競争力を備えた魅力的で活発な都市活動を展開できる都市をつくるため、業務ビジネス環境の整備、産業政策と連動した都市づくり、機能的な交通ネットワークの実現、物流の効率化が重要でございまして、それぞれに対応した戦略的な取り組みや新たな仕組みを示しております。
 第二は、豊かな都市環境の創出でございます。水と緑に恵まれた潤いのある生活環境と環境負荷の少ない都市をつくるため、水と緑のネットワークの形成、環境と共生する都市の実現に向けた戦略を記述しております。
 第三は、都市文化の創造、発信でございます。独自の都市文化の創造、発信と都市観光の強化により、首都にふさわしい国際的な魅力を備えた都市をつくることが必要であり、多様な文化による東京の魅力の発揮や都市観光の強化による活発な交流の促進に向けた取り組みを示しております。
 第四は、安全で健康に暮らせる生活環境の実現であります。だれもが住みやすく、安全で健康な生活環境の都市をつくるため、ゆとりある東京居住の実現、健康で安心して暮らせる都市の実現、都市の安全性の確保について記載しております。
 第五が、情報化の進展による新しい都市づくりでございます。IT革命による情報化の進展を都市生活の向上や高度な都市機能の発揮に生かすことができる都市をつくることが必要であり、IT先進都市の実現を図るための取り組みを記載しております。
 概要版の四ページになりますが、第5章では、第4章でお示しした政策誘導型都市づくりの具体的な取り組みを実現する上で必要となる新たな仕組みを明らかにしております。
 今後の政策誘導型都市づくりを進める上で、これまでの制度だけでは十分ではなく、独自のルールが必要でございます。本ビジョンでは、そのための仕組みとして、民間の参画による魅力ある都市づくりを進めるための街区再編プログラムや街並みデザイナー制度の創設などを図ることといたしております。また、都市計画決定プロセスの透明性を向上させる新たな都市計画の進め方や税制の活用、情報提供体制の充実、さらに、限られた財源を有効に生かす効率的な都市づくりなどにつきまして具体的に示しております。
 概要版の五ページになりますが、第6章では、東京の新しい都市づくりビジョンの実現に向け、都市計画マスタープランの策定や都市づくり基本条例の制定、区市町村等との役割分担、東京圏における広域連携体制の強化、都市づくりを進める組織体制の再編などを記載しております。
 最後に、都市づくりを通じて、東京を愛し、東京に住むことを誇りに思い、東京の魅力を明確に意識しながら、それを高めるための協力をお互いに惜しまないという市民意識を醸成していくことが、これからの都市づくりを進めていく上での重要な課題でありまして、このような都市づくりに対する意識を着実に広げていくことといたしております。
 今後、中間のまとめに対しまして、九月二十一日まで都民の皆さんからご意見をお受けいたしまして、本年秋を目途に最終的なビジョンとして策定する予定でございます。
 大変雑駁ではございますが、以上で説明を終わります。

○森下建築指導部長 私からは、新宿歌舞伎町のビル火災に対します都市計画局の対応についてご報告申し上げます。
 資料11、一枚物でございますけれども、それをごらんください。
 初めに、火災の状況でございますが、今回の火災は、九月一日午前一時ごろ、新宿区歌舞伎町一丁目十八番地の明星第56ビルにおいて発生いたしました。三階、四階を全半焼しまして、四十七名の方が死傷されました。このうち、四十四名の方が死亡されております。
 今回の火災は、一九八二年のホテルニュージャパンの火災による死者数を大幅に上回りまして、近年にない未曾有の大惨事となってございます。繁華街に存在します比較的小規模な雑居ビルの危険性というものを改めて浮き彫りとしたものでございまして、被害の重大性を深く認識しているところでございます。犠牲となられました方々のご冥福を心からお祈り申し上げます。
 次に、今回火災が発生した建築物の概要についてご説明いたします。
 建築確認申請時の内容でございますが、この地区の用途地域は商業地域で、建築面積八十三・〇七平米、延べ床面積四百九十七・六五平米、構造は鉄骨造一部鉄筋コンクリート造、地上四階、地下二階でございます。建物用途は全館店舗で申請されておりまして、昭和五十九年八月十八日付で新宿区の建築主事により建築確認がされております。
 続きましては、今回の大惨事の発生に伴いまして、都市計画局のとった当面の対応についてご報告申し上げます。
 まず、各特定行政庁による建築物の緊急安全点検を実施しております。現在、東京都内で建築確認業務を行っております特定行政庁は、東京都、二十三特別区、八王子市、町田市、府中市、調布市、三鷹市、武蔵野市、日野市、立川市の八市でございます。これらの特定行政庁に対しまして、九月三日に緊急会議を開催し、消防機関等の緊急査察と連携しまして、合同で緊急点検を実施することを要請いたしました。各特定行政庁では、この要請を受け、速やかに緊急点検に取りかかっております。点検対象建築物は、三階以上の階をキャバレー、ナイトクラブ、飲食店、遊技場及びこれらの類似用途に供するもので、原則として階段が一カ所のものでございます。点検の実施期間はおおむね二カ月程度を予定しております。
 次に、建築物の所有者や管理者に対しまして、みずから安全点検を実施するように要請いたします。要請を行う建築物は、緊急点検の対象建築物のほか、物品販売店舗、ホテルなど不特定の人々が利用する建築物でございます。このような建築物の所有者等に対しまして、階段や廊下などの避難経路の状況、非常用の進入口の状況など、避難、安全に関する事項について自己点検することを要請するものでございます。特に建築基準法に基づきます定期報告がなされていない建築物については、重点的に要請をしてまいります。
 さらに、東京都屋外広告物条例の施行規則を改正し、安全対策を強化いたします。今回の火災では、建築物の窓を覆うように広告物が固定されていたことが避難救助活動を妨げる一因となっております。広告物条例施行規則では、建築物の壁面を利用する広告物は、窓または開口部をふさいで設置することができないものとされておりますが、広告幕につきましては、適用が除外されておりました。今回この点に関する規則を改正しまして、広告幕の設置できる範囲を、非常用の進入口や避難器具が設置された開口部等をふさがない範囲に限定するものとしました。九月四日の広告物審議会におきましてこの改正案を報告し、了承されております。今後、行政機関や事業者など関係者への説明を行い、改正手続を進めてまいります。
 説明は以上でございます。

○藤川委員長 報告は終わりました。
 これより第百五十回東京都都市計画審議会付議予定案件について外二件に対する質疑を行います。
 発言をお願いいたします。

○吉野委員 ただいま新宿の歌舞伎町ビル火災についての話がございました。このことにつきまして何点か質問させていただきます。
 小さな雑居ビルで四十四人が死亡するという、大変信じられないような大惨事が起きたわけでございます。いろいろな原因が取りざたされておりまして、放火ではないかとか失火だろうかとか、いろいろありますけれども、それは、今後、捜査が進むにつれて原因が究明されてくるというふうに思いますけれども、今回の大惨事の一番の原因としては、ビルのずさんな管理が指摘をされております。しかも、今回のビル火災については、消防法及び建築基準法の違反があるとの報道もありますし、また、ある意味では行政の責任も問われかねないという状況にございます。今回の災害を教訓にして、二度と同じ惨事を繰り返してはならないというふうに思います。
 そこで、まず、今回火災になった建築物は、建築基準法に照らして安全性の確保に当たってどういう問題があったのか、お伺いをいたします。

○森下建築指導部長 今回の建築物については、まだ現場検証が続いてございまして、詳細は不明でございますけれども、建築基準法上の問題としましては、防火戸が適正に機能したか、あるいは、適正な階段が設置され、その階段などにおける避難経路が確保されていたかなどの問題があると思われます。また、三年ごとの建物の維持管理状況を定期的に報告する定期調査報告が定められておりますが、このビルは、平成八年と平成十一年に定期報告を行うべき建築物でございますけれども、報告が出されておりませんでした。

○吉野委員 今、定期報告が出されていなかったということですけれども、定期報告制度、調査報告というんですかね、その目的と、今回と同種の対象用途の報告率というのはどのくらいあるものなのでしょうか。

○森下建築指導部長 定期調査報告制度の目的でございますけれども、不特定の人々が出入りします特殊建築物は、一たび火災などが発生した場合、大きな災害につながることがございます。そのため、建築物の所有者などが建築物の防火区画、避難階段、避難器具などの維持管理状況を定期的に調査し、安全を確保することを目的とした制度でございます。
 定期報告の対象となるものでございますけれども、東京都全体では定期報告すべきものが六万八千六百八十六件ございまして、そのうち報告されたものが三万七千九百件ほどで、報告率が全体としては五五・二%でございます。今回のビルと類似の用途のものにつきましては、対象が二千九百二十七件、報告されたものが千五十一件で、報告率三五・九%でございます。

○吉野委員 こういう用途の建築物というのは、所有者がよくかわるというふうにいわれておりますけれども、そういう意味ではなかなか追跡をされるというのは大変だというふうには思います。ただ、三五・九%という報告率というのは、大変低いというふうに思いますけれども、都として今後どう取り組んでいかれるのか、お伺いをいたします。

○森下建築指導部長 定期報告制度の運用の問題でございますが、建築基準法を所管しております都及び各区市は、建物所有者などに対しまして個別に通知をいたしまして、定期調査報告を提出するように求めております。未報告の場合については、二度、三度と督促状を出しまして、督促しているところでございます。今後とも、区市と連携を図りながら、さらに督促に努めていくつもりでございます。特に今回の火災を受けまして、臨時に避難安全状況を調査するように再点検の要請を行っているところでございます。定期調査報告がなされていない建築物につきましては特に重点的に働きかけをする、そういう予定でございます。

○吉野委員 今回火災が起きたようなこういうビルというのは、歌舞伎町だけに限りませんで、私が住んでおります三鷹の駅前にもあります。同じような惨事を繰り返さないということで、九月三日早々に都は区市との合同会議を開催し、緊急安全点検に取り組むというふうに聞きましたけれども、その実施体制や点検の内容についてお伺いをいたします。

○森下建築指導部長 緊急安全点検につきましては、都及び区市ごとに調査部隊を組みまして実施してございます。ほとんどの区市におきまして、消防機関と連携して、合同で立入調査などを実施しております。先週の段階で、ほとんどの区市で調査が開始されております。
 点検の項目でございますけれども、避難、安全の確保に関する観点から定めておりまして、避難階段あるいは階段の防火区画、それから非常用照明、非常用の進入口などの設置状況とか、その維持管理状況について調べてございます。

○吉野委員 報道でもいわれておりますけれども、建築物の前面がビニール製の広告で覆われて、ビルの窓がふさがれ、それが避難できなくなった原因の一つというふうに聞いております。
 先ほどもご報告がございましたけれども、ビルの前面の広告物について、今後どういうふうにしていくのか、改めてお伺いをいたします。

○森下建築指導部長 今回のビルの広告物につきましても、幾つか屋外広告物条例の違反という事実がございます。許可を受けていないこと、あるいは窓をふさいでいること、壁面の十分の三以上を覆っていることなどが条例違反ではないかと思っております。
 これと同様の広告物が、繁華街には相当多いものと認識しているところでございます。
 そこで、そのための対応でございますけれども、今回のビル火災を契機に、幾つかの区におきましては、繁華街の違反広告物について実態調査を予定しております。
 今後、区に対しまして、繁華街における違反広告物の是正指導を積極的に進めるように協力を依頼していきたいと思っております。

○吉野委員 人は、忘れることができるから生きていられるというふうな部分もありますけれども、今回のビル火災のような、こうした惨事というものは、決して忘れてはならない。今回の事故を教訓にして、小さな雑居ビルの建築規制が大きなビルよりも緩いこと、これが防災上の死角になっているという指摘もあるわけですから、こうしたことへの取り組みをしっかりと進めていかなければならないというふうに思っております。
 今後の取り組みといたしましては、繁華街における小規模ビルの建築基準を、安全の面から思い切った見直しをする必要があるというふうに思いますけれども、所見をお伺いして質問を終わります。

○森下建築指導部長 現在実施しております緊急安全点検調査などの結果を踏まえまして、建築物の安全を確保するため、防火避難規定の見直しなど必要な対策を検討してまいりたいと思っております。
 国土交通省も、小規模雑居ビルの防災上の問題点や定期報告等、法令遵守を担保するための方策などの検討を始めてございまして、都としての意見もこれに反映させていきたいと思っております。

○相川委員 私の方から、二点、ご質問させていただきたいと思います。
 まず一点目は、百五十回都市計画審議会に付議をされる予定の九番目の八王子都市計画用途地域の変更についてであります。
 この変更図面を見ますと、八王子市絹ヶ丘地区地区計画の地区整備計画に、ほんのわずかでありますけれども、一部区域がかかっているように思われます。
 この用途地域の変更に合わせて、絹ヶ丘地区地区計画の地区整備計画の変更、特に建築物の制限に関する変更について、今回変更がなされないという、その理由をお伺いしたいと思います。

○小林地域計画部長 ご質問のございました、この茶表紙の資料集、お手元にご配布していると思いますが、百五十回都市計画審議会事前説明会資料の四〇ページ、用途地域を変更する一番右下の部分、今、後ろのスクリーンにございますけれども、グリーンの部分の一番右下の部分が、今先生がご指摘の絹ヶ丘地区計画の区域に入ってございます。
 この区域につきましては、従前、第一種低層住居専用地域でございまして、今回、用途地域を変更しますのは、都市計画道路三・三・一三号線の整備、これは十二年の四月に完成をしておりますが、その完成に伴いまして、第一種低層住居専用地域から第二種中高層住居専用地域に変更するものでございます。
 一方、地区計画でございますけれども、地区計画で定める用途等の規制内容といいますのは、既存といいますか、用途地域等の都市計画で定められた規制の範囲内で、地域の合意形成を図りながら、地域のルールとしてきめ細かく定めると。要するに、規制を強化するという内容でございます。
 既存の地区計画の中で、用途制限といたしましては、絹ヶ丘一丁目につきましては、三戸以上の長屋ですとか、あるいは共同住宅、寄宿舎、こういったものが用途として制限されてございます。
 これは、第一種低層住居専用地域でも許容されておりますし、第二種中高層住居専用地域でも許容されている。両方とも許容されているわけですが、この地域のルールとして、こういった用途の建物については規制をしていくということで、これは、たしか昭和六十二年ごろの都市計画として八王子市が決定したものでございまして、今回は用途の緩和を図るということでございますから、整備計画上の用途制限については抵触するものではないという市の方の判断で、地区計画を変更しなかったというふうに承知しております。

○相川委員 用途の件につきましては理解いたしましたが、建ぺい、容積が変わることによって、建物のボリュームについて、少し緩和をされてしまうのじゃないかと思うんですけれども……。

○小林地域計画部長 今回、先ほどの一番先っぽの部分といいますか、あのグリーンの一番先の部分でございますけれども、あの区域につきましても、第一種低層住居専用地域の建ぺい率四〇%、容積率八〇%から、第二種中高層住居専用地域の建ぺい率六〇%、容積率二〇〇%に変更されます。
 この部分につきましては、地区計画の定めの中で、容積率あるいは建ぺい率等について、特段、規制強化をしているという内容が含まれておりませんので、確かに、容積率あるいは建ぺい率については緩和をされるということになります。

○相川委員 緩和をされることに対して、決定権者が市でありますから、当該地域の住民に対して、そういった用途地域の変更に絡んだ説明をされているのかどうか。

○小林地域計画部長 この用途地域の変更につきましては、多摩地域の都市基盤整備プログラムというものを、平成十一年の四月でしたか、都市計画局で決定しておりまして、平成十年から五年以内に完成予定の路線についてピックアップをして、将来どういう用途地域にするかということを決めた上で、完成した都度、そういった用途地域の変更を行っていくということでございまして、今回の用途地域の変更については、既に完成をしておるグリーンの下の部分が、現在、第二種中高層住居専用地域に指定をされている。路線については、それに合わせて変更していくということでございますので、市の方としては、こういった路線についての将来の用途地域については、十分地元に説明しているというふうに考えております。

○相川委員 わかりました。
 それでは、二点目につきましてご質問させていただきます。
 東京の新しい都市づくりビジョンなんですけれども、こういった計画でありますとか方針が、屋上屋を重ねるという全く無意味な状況にならないように、まず一点お願いしたいということと、もう一つは、このビジョンをつくるに当たって、例えば、小泉内閣が四月から発足させました都市再生本部、今後成果物が多分出てくると思いますけれども、それとの整合性、整理の仕方、あるいは、区市町村の中で、もう既にでき上がったところもありますけれども、都市計画マスタープランとの整合性、あるいは、当時の関東通産局だったと思いますが、広域多摩との整合性、こういうものをどうやって具体的に調整、整理をされていくのか、この点についてお話しをいただきたいと思います。

○河島参事 初めに、こういったビジョンをつくることが、いろいろな計画の中で屋上屋を重ねないようにと。確かにそのとおりでございまして、私どもといたしましては、今回の東京の新しい都市づくりビジョンというのは、従来の都市づくりの取り組みというものを大きく転換する第一歩だというふうに考えております。
 そういう面では、屋上屋ということではなくて、これを出発点といたしまして、二十一世紀の都市づくりを従来とは違った視点で転換し、真に東京のために役立つ、そういう展開を図っていきたい、こういうことを考えているところでございます。
 それから、三点につきまして、具体的なかかわり合い方がどうなっているかというご質問がございました。
 まず、国の方で進めております都市再生の取り組みとの関係ということがございます。これは、今回の緊急経済対策の一環で、国は都市再生本部をつくりまして、非常に重要な政策ということの位置づけをいたして、現在、緊急かつ重点的な取り組みを展開する、こういうことで具体的な作業をやっております。
 その前には、実は、石原知事は首都圏再生緊急五カ年十兆円プロジェクトというものを国に対して提案しておりまして、こういった考え方も、この都市再生本部の作業の中に反映が図られています。
 当然のことながら、私ども、東京都が国に対して提案しました五カ年十兆円プロジェクトの内容、これは、特に首都圏の再生を図る上で重要なインフラ整備、例えば羽田空港の再拡張、空港機能の充実、それから三環状道路の整備といった、これからの首都圏の都市活動を展開する上で非常に重要なところをぜひ緊急的に整備すべきだと、こういうねらいをもって提案しているものでございまして、この都市づくりビジョンの中でも最重要の課題というようなことで位置づけをしております。
 そういう意味での整合性は、今回の都市づくりビジョンの中間のまとめでは十分図られているというふうに考えているところでございます。
 それから、二点目の区市町村マスタープランとの整合性ということがございます。私どもも、今回の都市づくりビジョンは、基礎的自治体が取り組んでおられます地域のまちづくり、これをやはりこれからも十分尊重し、大いに守り立てていく必要性があるだろう、東京都は広域的自治体の立場で支援していく必要があるだろう、こういう基本的な認識を持っております。
 東京都は、広域的な行政体として、各区市町村との調整役をうまく務める、またがる課題について調整をする。あるいは、東京都だけにとどまらない首都圏の他の県市との連携をどうするかといったあたりについて、大きな構図を描きながら都市づくりを展開していく必要がある。
 そういった中で、区市町村マスタープランとの整合性については、今回のビジョンの中で、地域像の提示ということを第3章の三節で行っておるところですが、こういった中で、私どもが将来の都市像をこういった形で提示する際に、十分に基礎的な資料として反映をさせていただいているところでございます。
 現在も、各区市町村の方に、この中間のまとめについての意見照会をしておりますので、こういった中でさらに整合性を高めていきたい、このように考えているところでございます。
 三点目でございますが、関東通産局の方の広域多摩の取り組み、産業連携といいますか、産・学・公といった連携体制を組み上げて多摩の振興、特に産業の活性化を図っていこう、こういうねらいを持った考え方でございますが、この考え方につきましても、今回のこの都市づくりビジョン中間のまとめにおけます核都市連携ゾーンの重要戦略といたしまして、ページでいいますと四三ページにございますが、戦略11、産学公連携による産業立地の促進、ここに書いてございます産・学・公の連携の構図というのは、ただいまご指摘のありましたような広域多摩の考え方、これは多摩だけにとどまらず埼玉県とか神奈川県なども含めた広域的な連携強化を図り、そして多摩の自立性、中心性を高めていく、こういった考え方をベースにしておるものでございまして、こういった産業振興の方向性を都市づくりのサイドからも大いに支援をしていく必要があるというふうに考えているところでございます。

○大木田委員 それでは、具体的に何点か伺いたいと思います。
 きょうは報告事項が三点ありまして、私からは、東京の新しい都市づくりビジョンと新宿歌舞伎町のビル火災への対応について、この二つの報告について質問をしたいと思います。
 まず、東京の新しい都市づくり、まちづくりビジョンについて、木内局長は七月に就任したばかりですので、まず、この中間報告について局長はどんな感想を持っているか、そこから入りたいと思います。

○木内都市計画局長 都市計画局長就任に当たりまして、お話がありました新しい都市づくりのビジョン、議論にも参加をいたしましたし、さらには、このビジョンの前提となります、あるいはベースとなります本年三月の都市計画審議会の答申等々を精読をする中でビジョンができてきたんだろうというふうに思っております。
 このビジョン、先ほど来、ご報告の中でも申し上げましたような、例えば、東京エリアといいますか、そんなことを中心としたかつての多心型都市構造論を転換して、もう少しエリア的にも広がった観念といいますか、環状メガロポリス構造、七都県市を中心としたような、そういう広域的な視点に立った都市づくりを進めていこうよとか、さらには、先ほど来これもお話がありました、若干後追い的な都市づくりのようなもの、需要対応型という言葉で表現しておりますけれども、それを政策誘導型に転換していこう、そういった幾つかの点を新しいビジョンとして述べているわけでして、こんなことを策定の目的としているんだろうというふうに理解した上で、しかしながらさらに、感想というお言葉ですけれども、課題は何かと申せば、一言で申せば、これをどう実現していくかということでございまして、そのことの実践の方策、方途といったものをどうつくっていくか。
 都市再生ということが一方で語られる中、しかしながら、国、地方といいますか、東京も含めて地方において財政的制約のある中で、これらをどう実現していくかということが課題でございまして、そうした意味では、東京においては、特に民間の活力といいますか、民間主導の開発整備が進んでいる中にあって、この民間の力をどう誘導していくかということが課題でありまして、そんな意味では、規制の緩和ということがスローガンとして掲げてありますけれども、それらをどう進めていくのか。
 同時に、規制緩和の裏返しとしては、必ず規制の強化ということを伴わなければいけないわけでございますので、そんな組み合わせの中で、例えばこのビジョンの中でも、街区再編プログラムという言葉で挙げておりますけれども、そんな仕組みを通じて民間の事業活動を誘導していく仕組みづくりを具体的につくっていくべく努力をしていきたいというふうに思っております。
 いずれにいたしましても、当委員会の先生方との議論も含めましてこの実現方に努めていくことが我が役割の一つであろうというふうに考えているところでございます。必ずしも感想めいたいい方ではないかと思いますけれども、答弁にかえさせていただきます。

○大木田委員 私は、都市再生ということについては、ずっと、都議会を含めて今日まで来たわけですけれども、国の方は、四全総、五全総、国土の均衡ある発展ということで、なかなか都市に目が向かないでそれぞれやってきましたけれども、いよいよ打つ手なし、次の一手は何かというどん詰まりになりまして、やっと総務省に都市再生本部をつくったというような、これは時期は遅いという感じでありますけれども、そういうときにこのビジョンをしっかりまとめることは、私は大変意義があるというふうに認識はしております。
 中間報告を踏まえて最終報告を出すということでありますので、いろいろと私も意見を申し述べたいと思いますけれども、まずは、このキーワードは一体何なのか、これについて伺っておきたいと思います。

○河島参事 キーワード、一言で述べるということはなかなか、ふだん私どもやっておりませんので難しいのですが、このビジョンのねらいを端的に表現いたしますと、集積のメリットを生かした魅力ある東京をつくることというようなことにまとめられるのかなというふうに私自身は思っております。そういったことから、キーワードは都市の魅力というふうに私は考えております。

○大木田委員 じゃあ私のキーワードをちょっと申し上げます。長くなるとあれですから、簡潔に申し上げます。
 今、これからのキーワードは私は五つあると思っておるんですよね。一つは、知恵と感性の時代に入っているということでありますので、その意味においては、時代の風がどう動き、時代の目がどう回転しているかという知恵と感性というものをどうくみ上げて、これをやっていくかということであります。
 二つは、今情報化時代に入って、どんどん世界も狭くなっておりますし、この情報化という問題、どういう形でこれを表現をしていくか。
 三つ目は、今成熟社会に入ったということなんですね。成熟社会の中における対応をどうしていくか。
 四つ目は、やはりコミュニティといいますか、今対話の時代に私は入っていると思っておりますけれども、勝ち組、負け組などといわれておりますが、勝ち組に共通しているところは、コミュニティ、対話がうまくいっているところが今勝ち組として同じ業種でも残っている。
 五つ目は、都市のまちづくりについて、今海外に日本から一千七百万近い人が行っておりますけれども、日本には五百万前後しか来てないわけですね。いろいろと状況を分析してみると、もっともっと東京のまちをおもしろくしてほしいと。おもしろい、楽しい、うれしいというような、わくわくするような、こういう一つのまちづくりというものが大事なんですね。魅力ある都市ということももちろんそういうことではあれですけれども、私が今いったような五つのことがキーワードになってくるんではないか。
 したがって、こういうビジョンをつくるときにそういうような状況も踏まえて対応すべきだと思いますけれども、どうでしょうか。

○河島参事 今、大木田理事からご指摘ございました五点、これは私どもの方もこれからの都市づくりにおいて非常に重要なポイントではないかというふうに考えております。今回の都市づくりビジョンにおきましても、都市の活力をこれから生み出していける人というのは、やはり知恵とか知識を持った人、そういった人たちが楽しく暮らせる、そういう都市でなければ、そういう知識とか知恵の集積が都市にできない。そういう面では、都市のこれからの活力を高めるためには、そういった人たちにも愛される都市にならなければならないといったことを、この中のITのところ、情報化のところで少し書き込みをさせていただいております。
 今の第二点目の情報化のところも、私どもの現在の見通せる力の中では、二〇二五年の情報化がどうなっているかということを、これは正直いって正確に見通すことはなかなか難しいと感じております。しかし、いろいろな、現在試みられているITを活用した都市生活の向上だとか都市活動の振興だとか、そういったことの試みについて、東京はできるだけそれをうまく生かしていく必要性がある、そういう視点に立った都市づくりをしたいというふうに考えております。
 三点目の成熟社会、これはまさに今回の都市づくりビジョンの、これをつくるもともとのきっかけとなったのが、やはりこれからは人口減少の時代を迎えてくる。今までの戦後の五十年余りの時間の中で、ずっと右肩上がりのそういう時期が続いてきた。これは人口の動態もそうですし、経済の動きもそうでしたが、そういった状況がこれからはなくなって、もう少し経済的には低成長--今は低成長よりももう少しダウンしている部分がございますが、それでも回復したとしても高成長は望めない時代、人口も少子化によって、どんどんふえるのではなくて、減ってくる、減ってくるということは、生産労働人口というものもこれまた減ることが考えられる。そういうような状況の中にあって、都市はどういうあるべき姿を目指すべきなのか、これはまさに成熟社会の中で都市づくりをどうするかというテーマだろうと思います。そういったことが、この都市づくりビジョンの一番ベースになる問題意識というふうにいっていいかと思います。
 コミュニケーションの問題、地域のコミュニティをいかに活性化するかということにつながるかと思いますが、この辺も東京の住宅地の中でのコミュニティづくりをいかにやっていくかということを、これを重要な戦略の一つにとらえております。
 五点目の海外からの来訪者の関係につきましても、都市観光という、従来は都市づくりのテーマには取り上げなかったことを、この都市づくりビジョンでは重要な戦略テーマに取り上げております。先ほど申し上げました都市の魅力を高めるというのは、まさにここに直結する課題、そんなような、いずれも私どもが議論した中で重要なポイントというふうに認識して取り組んできた事項かなというふうに思っておりますので、またいろいろなご示唆をいただきながら、これからの都市づくりを進めてまいりたいというふうに思っております。

○大木田委員 私は、こういう報告がまとまったときに、できるだけ都民の皆さんがわかりやすい表現で全体のトーンをくくってほしいな、こういうふうに思っているんですね。
 先ほどの報告によりますと、都民の皆さんからのいろいろな意見も受けているということで、現在、何件くらいで、主にどんな内容のものが、都民の皆さんから、インターネットとかその他いろいろなところで寄せられているのか、参考までに伺っておきたいと思います。

○河島参事 ただいま東京都のホームページに、この中間のまとめの全文を掲載しておりまして、そのホームページ上の一画にご意見を受け付けられるようなコーナーを設けております。また、「広報東京都」の九月号に概要を掲載しまして、お手紙でもご意見を受け付ける、そんなような作業をやっております。
 今のところ、それら両方合わせまして、最近はインターネットで送ってくださる方が多いわけですが、五十弱ぐらいの件数が集まっている。私、全文をすべて見ているわけではないんですが、回覧で回ってきたものを幾つか拝見させてもらっています。身近な地域における都市づくりにかかわる課題について、この際ぜひ意見を申し述べたい、こんなような話が結構ございます。それから、こういった都市づくりを進めていく上で、自分としては、例えば緑の充実ということをぜひやってほしいとか、あるいは自転車のことをおっしゃっている方がかなりございました。これからの都市交通のあり方として、もっと自転車をうまく使っていくような、そういう都市づくりを進めていくべきじゃないか、これは私がぱらぱらと見た中でも複数のご意見があったように思います。
 いずれにしましても、これからまだまだ集まると思いますので、そういったご意見も参考にしながらまとめてまいりたいというふうに思っております。

○大木田委員 私は、この都市づくりについて、ぜひこれだけは入れておいてもらいたいと思うんですけれども、米軍の基地の問題、今都内には米軍の基地が八カ所あります。その総面積は一千六百ヘクタールあるわけです。これは臨海副都心の四倍に当たるわけです。米軍の基地というのは--とにかくITという言葉は三十二年前にアメリカの国防総省で生まれた言葉なんです。きょうは知事はペンタゴンに行っていると思いますが、その国防総省の中で、ITのあれが生まれて、冷戦構造が崩壊をして、五、六年前から日本ではITということが話題になっておりますけれども。例えば沖縄に基地があります。アメリカの通信の光ファイバーは、かなり前から沖縄には太平洋を通ってきております。日本は、基地にあるものですから、基地のものは使わないということで、その先がシンガポールに行って、流れて、今物すごい通信革命がこうなっている背景があるわけですね。横田にしてもいろいろなところにしても、考えられない通信の集積がそこにあるわけです。
 それはそれといたしまして、そういうような軍をもって発展してきた部分もあるんですけれども、これが、今民需に転換したアメリカ経済がこの十年間大きく飛躍したことも事実ですが、とにかく首都東京に千六百ヘクタール基地があるという存在、例えば赤坂の基地の問題、いろいろと含めて、これをまちづくりの中にどういうふうな形で位置づけていくのかということで、こういう検討はされましたでしょうか。

○河島参事 米軍基地の問題でございますけれども、このビジョン、都市づくりの分野の二十五年先の将来の目標等を示していこう、こういう中で、都市づくりに非常に重要なかかわりを持つと考えられる、そういった基地の土地という面では、横田基地の民間航空利用についてこのビジョンの中で、多摩のいろいろな都市づくりにとって重要な意味を持つという認識のもとにその記載を行っております。
 その他の米軍基地については、仮に返還をされた場合に、現状でどういう土地利用を行っていくかというあたりについては、どうしてもこれからの整理にならざるを得ないところもございますので、具体的には取り上げてございません。
 ただ、都としては、米軍基地については、整理縮小、返還に都全体として取り組んでいるところでございまして、国に対する提案要求でもこの問題を最重点課題に盛り込んでいるところでございます。

○大木田委員 米軍基地の問題も今後十分検討していただきたいということで、今まで基地の問題は、国の問題だということで余り都としては触れてこなかった。しかし、石原知事になりまして、積極的な発言があって、今回も横田空域の返還を含めて、そういう申し入れをペンタゴンにいっていると思いますけれども、非常に基地の問題というのは重要なんです。その基地の中に隠された重要な問題はいっぱいあるわけでありますので、そうしたことも踏まえて、現に首都東京にこれがあるわけですから、この問題を、基地の整理縮小は当然のこととしまして、どういうことが今その基地の中で行われているのかということも含めて、また、その有効活用をどう東京のまちづくりの中で位置づけていくかという都の積極的な姿勢を示して、都が動くことによって国も動かしていくというような形をとっていった方がいいのではないかなと。
 私は、横田の空域の返還を含めて民間との共同使用をステップにしながら返還を求めていく、その間に、一気にこれはいきませんので、羽田の沖合展開というのが出てくるわけですけれども、ちょうど先ほど説明を受けた事業概要を見ましたら、この一番最初にC滑走路の絵図が出ておりますけれども、これをここに持ってきた意味は特に何かあるんですか。ちょっとそれを伺っておきましょう。今国土交通省と、滑走路の位置についていろいろと意見が分かれておりますけれども、事務事業の説明の表紙に持ってきたのは何か意味があるのかどうか、伺っておきましょう。

○野田総務部長 この事務事業の編集、取りまとめは総務部が行っておりますので……。
 この羽田の事業自体は、今都市計画局として取り組んでいる最重要課題だという認識がございまして、羽田の国際化ビジョンの関係だとか、震災復興デザインだとか、幾つか絵柄を出しました。
 C滑走路にした、平行案を持ってきたというのは、今まで知事がいろいろなところで発表したり、都としてこういう案でやってもらいたいというのを国に対して強く申し入れているというようなこともございまして、都市計画局を象徴する事業でございまして、今まで対外的にもいろいろアピールしてきた、そういう点もございましたので、この図面を入れさせていただいたということでございます。

○大木田委員 そういう決意だということで、よくわかりましたけれども、国土交通省は別な案を出しているんですね。私、両方の案を持っていますけれども、B滑走路とC滑走路の問題ですが、一長一短あるということを伺っておりますが、私は、再拡張、沖合展開を図るということがまず大前提でありまして、具体的な水路の問題とか、いろいろな技術的な問題も出てくるでしょうけれども、それは、核を決めた後、専門的な立場で調整を図る、その調整ができなかったらば二つつくるという発想で取り組んではどうかと思いますが、いかがでしょうか。八千億ですからね。四国に橋をかけるとき一兆六千ですから、調整ができなかった場合は二つつくるぐらいの大きな気持ちでやったらどうかと思いますが、いかがでしょうか。

○甲斐航空政策担当部長 今委員からお話がありました羽田の再拡張の問題でございます。
 逼迫する首都圏の航空需要に対応するために、再拡張といったものは私どもも急務と思っております。羽田の再拡張の方向性につきましては、最近二つの大きな動きがありまして、七月三十一日に、首都圏第三空港検討調査会、この再拡張を含めた問題を検討している会合で、国は、羽田の再拡張を新空港の建設に優先して行うということ、それから国際化を視野に入れるということを表明しております。
 国際化の時期等は別といたしまして、基本的な方針につきましては、これまで都が主張してきたものでございます。
 また、この流れの中で、先日、九月六日には、扇国土交通大臣と石原都知事が、東京の交通問題の解決に向けてということで、緊急の会合を持たれ、羽田再拡張の早期実現について再確認しております。
 私どもといたしましては、二十一世紀前半の最大のプロジェクトの一つといわれております羽田の再拡張におきまして、早期実現を念頭に置いて進めてまいりたいと思っております。
 先ほど委員からお話がありましたように、現在の計画案といたしましては、国のB滑走路平行案と、都の提案しておりますC滑走路平行案といったものが俎上に上がっております。それぞれ一長一短ございまして、国の案では、空港機能面においてはすぐれているものの、東京港をせり出すような形でふさぐ形になるために、現在の第一航路を航行する船舶に与える影響、操作性の影響、風が強いときの操縦性能といったもの、それから航路変更をする場合の新海面処分場への問題といったものも提起されておりますし、多摩川側へもせり出しますので、洪水等におきますかさ上げの問題等河川に与える影響も懸念されております。
 都案では、こういった港湾や河川への影響は少なくてすむわけでございますけれども、国からは、空港の発着容量において問題が指摘されておりまして、今、私ども都としても調査を進めております。
 いずれにいたしましても、再拡張をやるといった方向で動いておりますわけでございますけれども、残ります、技術的な、今申し上げた側面からの専門的な検討といったものが関係者間で緊急に行われております。これらの結果を踏まえまして、首都圏第三空港調査検討会、さらには、下部機関でございます、先ほどの船舶の航行に与えます影響といったようなものを議論します検討会の場で議論し、早急に結論が出されるよう、都としても必要に応じまして国と調整し、国へも強力に働きかけていきたいというふうに思っております。
 二本滑走路をつくるというお話もありましたけれども、今は、費用の観点、機能の面からいって、総合的にどちらがすぐれているかといった観点から議論を進めておるところでございますので、ご理解をいただきたいと思います。

○大木田委員 マスコミ報道によりますと、石原知事は、当初は都の案が一番いいといっていましたけれども、国の案の説明も聞いたら、理解も示しているというようなこともありますけれども、私は、ここは余り違いを鮮明にするのではなくして、早く再拡張をして、航空需要に早く対応してほしいと思うのです。
 具体的に、東京都が大きな理解を示しながら対応していった場合、これから順調にいったらどのくらいの期間があれば沖合展開できますでしょうか、最短距離。

○甲斐航空政策担当部長 今委員からお話がありましたように、再拡張の実現までの道のりということでございますが、いずれにいたしましても、再拡張をどういった形で計画をつくるかといった点につきまして、これから数カ月かけまして技術的な検討を行い、計画をつくります。
 今国の方に、再拡張に向けての調査費を要求しております。来年度、早期事業化に向けて、ボーリングでありますとか地質調査でありますとか、実際に模型をつくってシミュレーションを描いたりとか、そういう作業をやって、なるべく早期に着手をしたい。
 残された課題は、工期自体の問題、それからその前の環境に与える影響評価といったものが懸念されております。そういったものを、手続を経ながら進めていきたいと思っております。
 実際に、計画もまだ決定していない段階でございますから、何年間でできるといったことは、なかなか事務的には申し上げるわけにいきませんが、なるべく早期にやりたいというふうに思っております。

○大木田委員 次に、先ほどもちょっと出ましたけれども、このまちづくりビジョンの中間報告を策定している間に、例えば首都圏再生緊急五カ年十兆円プロジェクトということで、当初かがみだけ出ていたんですけれども、具体的な中身が全部出てきました。
 国の方は、都市再生プロジェクトに関する基本的な考え方として、第一次ということで、臨海部の広域防災拠点の整備とかごみゼロ型都市のスーパーエコタウン構想とか、これが第一次決定事項、それからつい先日は第二次決定事項が出ておりますが、八月二十八日の決定事項等、これは東京以外のところも出ておりますけれども、特に民間の都市開発に力を入れるということでいろいろと出ております。
 先ほど、こういうような問題も最終報告ではきちっと整合性を持って対応するという答弁でありますけれども、第三次もやがて出てくると思いますけれども、そればかり待っていると最終がまとまらないかもしれませんけれども、緊急課題あるいは景気対策を含めたこの問題が急浮上していろいろと出ておりまして、国の具体的な予算の段階に入っておりますので、その内容をもう一回確認をしておきたいと思います。

○河島参事 国の都市再生に向けた大きな動き、これをとらえて新しい都市づくりビジョンの具体的な実現を図っていく、まさにこのスタンスは、私ども、この都市づくりビジョンの中で書き込んである内容というのは、東京の再生、国の立場から見ますと日本の再生ということになるわけで、それは首都圏の再生を通じながら日本の再生、東京都は、もちろん石原知事は、東京を再生して日本を引っ張っていく、こういうふうにいっているわけでございまして、ある面で全く一致した考え方でございます。
 そういった意味で、今大木田理事ご指摘のように、このビジョンの中に書き込む内容について、非常にタイムリーな形で今ビジョンがつくられようとしておりますので、国の動きをうまく受けとめて、その内容をきちんと整合性のある形で書き込んで、これはもちろん既にそういう作業をやっているわけですが、今後の動きも踏まえて、さらに整合性を十分に図るようにして、具体的な事業に結びつけていくようにしてまいりたいと思っています。

○大木田委員 この中での都市計画道路の問題については、私は先ほど資料要求いたしましたので、資料が出た段階で、事務事業の質疑のときにやりたいと思います。
 それから、都心区の高層化の問題ですね。その意味においては青山の都営住宅のPFI、民間活力を利用してのあの構想は私は非常にいいと思っておるんですが、もう少し都心区の高層化ということで、容積率の緩和を含めて、都心のまちづくり、それから周辺とのいろいろな対応ありますけれども、都心区の高層化について、積極的に取り組むべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○河島参事 現在、人口の動きを見ましても、都心三区の人口というのは、この五年間ずっと増加を続けておりまして、ひところ減少し続けていた時代とはだいぶさま変わりをしています。都心に人が戻ってきている。この一つの要因は、人口が非常に空洞化したときに、私どもいろいろな方面から批判を受けました。都市計画行政の中でもっと都心居住を推進する方策を強力に講ずるべきだ、こういうようなご指摘もいただいており、また国もそれに向けてさまざまな制度を実際につくったりしております。東京都もそういった制度を活用する、区市町村も活用する、こういうようなことが行われて、当時から都市計画の調整などを進めていたいろいろなプロジェクトが、今、ある面で立ち上がってきているのかなという気がいたしております。
 特に中央区などでは、区内全域的に、町並み誘導型地区計画、用途別容積型地区計画といった、都心居住の回復に資する地区計画をかなり広範にかけておりまして、こういったところにおける住宅軒数が非常に伸びているというふうにも聞いております。ある面で都市計画というのはそういう面でうまく政策展開をすると大きな効果を上げるというような気がいたしております。
 今ご指摘のように、高層化というお話ございました。確かに都心の非常に貴重な土地につきましては、建物の建て方を、オープンスペースをとりながら高層化をしていくということが有効な場合も特に多いわけでございます。そういったことをうまく支援するような容積緩和制度の的確な運用、こういったことは非常に重要であると思っております。
 今回のこのビジョンの中でも、地域像を示す中で、都心及び周辺部等につきましては、そういった土地の使い方によって都心居住を推進していく、そのことにより職住近接の都市構造をつくり、また、国際的なビジネスセンターとしても求められる住機能というものをきちんとセンター・コアの中につくっていく、こんなような考え方を持っております。
 ただ、同時に、センター・コアがすべてが高層化のまちになるというようなことでは、なかなか特色のある地域の形成もできないということもあろうかと思いますので、地域地域の特色をよく踏まえながら、高層化がうまく進められるところについては積極的に進めていく、そういう都市づくりの展開をしていく必要があるというふうに考えているところでございます。

○大木田委員 それとともに、周辺区の木造密集地域ですね、これは十一カ所あるわけですけれども、この地域を、私は前から主張しているんですけれども、法整備も随分進みました。ところが、現実に木造密集地域が、防災とかさまざまなことでいろいろと法整備は進んでいるんですけれども、景気がこう落ちたものですから、財源の問題もあるんでしょうけれども、具体的にこれが進んでいないということですね。
 特に十条地域を例に出していえば、十条駅の立体化、これにあわせて十条駅の木造密集地域を再開発をするというような形なんですけれども、ずっと構想があって、区としてもそれを進めるためにまちづくり公社までつくってどんと構えているんですけれども、ここへ来てどうにも進まない、足踏み状態ということなんですけれども、木造密集地域も、防災の観点、それからさまざまな観点から手がけていかなければならない。法的にはかなり整備されているんですけれども、これが進まない理由。
 それから、さっき木内局長も、このビジョンと、今国の方でも工程表という問題が出ていますけれども、具体的にこれをどう進めていくのかという問題が出てくるわけです。したがって、これを裏づけて、二〇二五年という大きなスパンでありますけれども、具体的にはどういう形でやっていくかという工程表の問題も出てきますけれども、木造密集地域についての検討状況を伺いたいと思います。

○河島参事 木造住宅密集地の問題でございますけれども、確かにいろいろな政策が用意され、具体的に、地元区などを中心に、また東京都もそれを応援する形で手がけられてはいるわけですが、なかなか進まない状況にあることはよく認識しているところでございます。
 今回のビジョンにおきまして、木造住宅密集地域の整備については、都市環境再生ゾーン、これはセンター・コアを取り巻くようなエリアになりますが、これの重点戦略に位置づけているところでございます。それを実際に展開していく、進めていくため、従来の仕組みでは今申し上げましたようになかなか進まないという悩みがあるわけでございまして、新しい仕組みを用意しなければならない。こういうようなことを検討いたしまして、このビジョンの中では、新しい防火地域制度を創設いたしまして、個別の建てかえにあわせて不燃化が促進されるような仕組みを持つべきであるという考え方と、もう一つは、立地条件のいい場所、ポテンシャルのある場所におきましては、民間主導の街区再編プログラムによるまちの更新、市街地の再生、これを進めていく必要がある。そういったことで、街区再編プログラムを創設して活用していくというのが二点目です。
 それから、従来からも取り組まれておりますが、延焼遮断帯となる道路など、骨格防災軸の整備などについて一層重点的に進めていく、こういうことを今後の取り組みの基本的な考え方にいたしております。
 国の都市再生本部におきましても、木造住宅密集地域の整備という課題につきましては、二十世紀の負の遺産である、こういうふうに位置づけておりまして、これを解消していくということを都市再生の重要な課題というふうに位置づけているところでございます。
 こういったことから、先ほどの骨格防災軸整備に役立つ新しい国の政策展開ということも、来年度の予算要求の中では検討されているようでございますので、そういったものを十分に活用しながら、従来以上に木密地域整備について力を注いでいく、そういうことで対処をする必要があると考えております。

○大木田委員 ちょっと気がついた点、何点かずうっと申し上げましたけれども、時間も大分たってきましたので……。いずれにしましても、最終報告に向けて、今都市再生が最大の焦点になってきていると、景気回復も含めて。どうも国の方は、次に打つ手なしという形で、東京都の計画が出れば、それが今どんどん進むような、そういう状況背景も生まれてきておりますので、英知を結集して、最終報告ではさらに、国の方もうなるような、また東京の再生がさらに一段と進むように頑張っていただきたい、こう思います。
 それから、次の新宿歌舞伎町のビル火災に関して、先ほども質問ありましたけれども、何点か具体的に伺いたいと思います。
 都市計画局の対応といたしまして、緊急安全点検の実施ということで、おおむね二カ月程度ということでありますけれども、現在まで、この点検はどの程度進んでいて、その内容はどうであったのか、具体的に伺いたいと思います。

○森下建築指導部長 緊急安全点検でございますけれども、早いところでは先週の初め、四日ぐらいから、消防署と連携をとりまして、合同で立入調査を実施してございます。各区市におきましては、現在ではほとんどの区市で立入調査に入っているという状況でございます。
 先週末現在での集計でございますけれども、九月七日現在の集計では、二百八十七件ほどの点検を各区市で終えているということでございます。
 具体的な点検内容につきましては、まだまとめた報告になっておりませんので、今後整理していきたいと思っております。

○大木田委員 現在、進んでいるということでありますけれども、私は、ああいう現象が一つ起きたということは、偶然に起きたことではないと思っているんですね。そういう土壌があるから、その条件が、ああいう幾つかのアクシデントが重なっているとは思いますけれども、結果としてああいう状況が起きたわけでありますので、この際徹底した総点検といいますか、点検をしていただきたい。今まとまった内容も、その内容の分析を明らかにして、情報開示をきちっとしていただきたい、こう思いますが、いかがでしょうか。

○森下建築指導部長 調査はおおむね二カ月かかるということで整理してまいりますけれども、当然点検内容につきまして、緊急に改善すべきということで改善させたもの、あるいは建物自体をある程度修繕するような必要があるものというようなことを含めまして、当然いろんな改善指示をしてまいりますので、その結果につきましては、まとまった段階で整理して公表していきたいと思っております。

○大木田委員 それから、二点目の建築基準法に基づく定期報告がなされていない建物については、これを重点的に要請を行うということで、全体的には六万八千六百八十六のうち三万七千九百、要するに報告があるのは五五・二%と。それからあの種の、火災が今回起きた事件のビルは二千九百二十七のうち千五十一で、三五・九%、極めてこれが低いですよね。
 だから、これを再三要請する、要請するといっても、先ほどじゃないけれども、所有者が、地権者がどんどんどんどん、くるくるくるくるかわっちゃって、わからなくなっちゃって、だれの責任なのかという所在がわからない等の場合、これについては、要請するだけではだめだと思うんですね。
 したがって、要請して来なかったらどういうことをするのかということもきちっとやらないと、出さない方は出さないまま、そしてそのうちまた、一年ごと、あるいは新宿は三カ月ごと経営者がかわるといわれている。それでくるくるくるくるかわっちゃって、どこの責任所在かわからなくなっちゃっているような状況が現実にあるわけですから、こういうような部分については厳しく対応をすべきだと思いますけれども、今そういうことを検討していますか。

○森下建築指導部長 確かに、所有者、管理者がかなりかわるということがございまして、非常に難しいという実態があることは事実でございます。今回は、そういう報告のなかったものについて、特に重点的に調査をして、督促をしていくという試みをしようというものでございまして、今後具体的な方法を考えてやるわけでございますけれども、その調査結果を見ながら、対処すべき方法について検討してまいりたいと思っております。

○大木田委員 要するに、これは昔、十年一昔って、今一年一昔って言葉があるぐらいですけれども、社会の変化が早いんですよ。昭和三十九年のときに、オリンピックのときに高速道路を敷いたわけですよ。高速道路の下、銀座七丁目のコリドー街ですけれども、あそこはそんなに大した価値がなかったわけ、当初は。オリンピックの高速道路の下だということで。
 ところがその後、バブルに向かってあれして、あそこの価値が出て、東京都の所有なんですけれども、又貸し、又貸し、又貸しで、貸す人がどんどんどんどん、もう価値が上がっちゃっている。東京都は、まさかそんなに価値が出るものじゃないものですから、契約が極めて--それなりの契約はしたんですけれども、相手は延命策で法的措置をいってきたり、訴えられたら退去させることはできない。そういうようなことで、あの問題は大きな問題を呼んだわけですけれども、要するに、新宿の歌舞伎町なんかの場合も、とにかく普通のところのあれとは違うんですよね。
 したがって、そういうようなところについては特例的な対応で、報告がなければきちっと責任を明確にするというような形のものをしていかないと、何かほかのところと同じような対応をしていたのでは、あのところはまた同じことが起きるという要素がありますので、これだけの事件が起きたわけですから。単に要請するとか、何かできなかったらば、関係の警視庁、消防庁等も含めた中で、総合的にそういう地域のあり方を検討してはどうか、こう思うんですね。その点についてはどうでしょうか。

○森下建築指導部長 ご指摘のように、歌舞伎町のような繁華街におきましては、かなり特殊な問題等もございます。建築基準行政の中での調査等だけでは確かに不十分な点もございます。現状におきましても、消防等が常に査察をしている、あるいは風俗営業関係は警察が許可をしているというようなことがございますので、そういった関係機関との連携を深めまして、必要な対応をとっていきたいと思っております。

○大木田委員 それから、先ほどの三点目の屋外広告物条例の問題ですけれども、これについては、施行規則の改正の手続を行うということをいっておりますけれども、これはどういう段取りで手続を今後行って、議会にはいつごろ改正のあれを出す予定でいるんでしょうか。

○森下建築指導部長 今回の改正は、今回の火災に関してのビルにつきましては広告板でございまして、もともと違反のものだということでございます。ただ、東京都の屋外広告物条例の施行規則の中で、広告幕について開口部を覆ってもいいというような規定になっておりましたので、これは不備であるということで、緊急に、幕であったとしても窓とか開口部をふさいではならないという規定に変えるものでございます。
 これは屋外広告物審議会に付議して、もう了解をいただいておりますので、規則の改正でございますので、できるだけ早く、十月ぐらいには規則の改正の手続をしたいと思っております。

○大木田委員 規則の改正だから、議会に諮らないで、これは規則を改正する--議会にはどうなんですか、この問題は。ちょっとその辺を……。

○森下建築指導部長 議会に付議して審議していただく案件とはなりませんけれども、きょうの報告も含めて、報告についてはさせていただくということでございます。

○大木田委員 ぜひ次の機会に、規則の改正を行った場合、委員会に報告をしていただきたい。このように報告事項として報告をしていただきたいと思います。
 最後に、一言だけ意見をいって終わりにしますけれども、先ほどもお話ししましたけれども、氷山の一角といいますか、そういう極めていろんな要素で、吹きだまり的な要素の中で、そういう土壌があるから、ああいう事件が起きたのでありまして、偶然でも何でもない、これは今後そういう状況が起これば、あらゆるところで起きると。東京の繁華街はいろんな地域になっておりますので、その意味においては、この一つの事件を通して、都市計画の場合は建築基準法に基づいた対応でありますけれども、いろんな関係のところで二度とああいう悲惨な事故が起きないように、あらゆる可能性を点検しながら、この際いろいろと法的な対応も含めて検討をしていただきたい。
 木内局長、感想があれば伺いたいと思います。

○木内都市計画局長 今るるさまざまな議論をいただきまして、ありがとうございます。
 先ほどのペーパーにもございましたように、当局としては、当面の対応ということで三点ご報告させていただいたわけでございまして、今まだ原因究明されている途中であり、点検等々についても進行形でございますので、そうした中身を精査し、私どもとして今後とり得る、抜本的というと少しいい過ぎかなという感じがしますけれども、都市計画行政のみならず、風営法の関係あり、あるいは食品衛生法の関係あり、消防法、火災予防条例の関係ありという中ではございますけれども、それぞれ議論をし、何といいますか、再発の防止といいますか、そういうことに取り組むような方途を議論し、取りまとめることができればというふうに思っておりますので、委員会としてのお知恵をいただければと思っております。

○藤川委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分ぐらい休憩させていただきます。
   午後三時二十一分休憩

   午後三時三十六分開議

○藤川委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言をお願いします。

○かち委員 私からも新しい都市づくりビジョンについて何点かお聞きします。
 私はこの委員会にかかわって二年になるのですが、この二年の間にも、都全体の東京構想二〇〇〇に始まって、首都圏メガロポリス構想、緑の東京計画、ベイエリア21、空港政策、そして震災復興グランドデザインなどなど、非常に局としては精力的にいろいろな都市政策を打ち出してきたと思うんですが、そういうものが集約された形が今度の都市ビジョンとなっていくのかなというふうに思っています。
 確かに、二十五年、五十年を見越した将来構想としての都市ビジョンというものは必要だろうと思いますけれども、その基本になるところには、都民の生活と安全、そして健康、こういうものがきちんと位置づけられるべきではないかと思うんです。
 しかし、これまでのさまざまな政策や今度の中間のまとめを読んでみても、私にはやっぱり、第一に経済、物流、情報、こうしたものが集中した加熱都市東京を一層促進し、温暖化を加速させるという印象をぬぐえません。そして、その推進力となるのは規制緩和と民間企業、NPOの活用などということですが、とりわけ都心部では、先ほどもっと高層化をということがありましたけれども、企業のための高層ビルが乱立していく、そういう危惧を抱いているものです。
 そこでお伺いしますけれども、この間、三月に都市計画審議会が答申を出されています。そして、今回、局としての中間のまとめを出されているわけですが、この答申とまとめとの違い、主な内容の違いはどういうところにあるのでしょうか。

○河島参事 三月に都市計画審議会の方から出されました答申と、今回の都市づくりビジョンとの違いというご質問でございます。
 今回のビジョンの中間まとめでは、東京の目指すべき都市像を都民の皆さんにわかりやすく示していく必要がある、そういうことを示すことによって目標を共有化できるというふうに考えておるわけです。答申の段階では、都市像の大きなとらえ方は提案されているわけですが、個別の地域に着目した都市像というものは、答申という性格上出されておりませんでした。
 そういった関係もございまして、今回の中間まとめでは、東京を五つのゾーンに分けまして、ゾーンごとに地域の将来像を地域像として新たに描いております。これは答申にはなかった部分でございます。
 また、都市計画審議会答申の趣旨を踏まえまして、こうした新しい都市づくりを展開する上で具体的に取り組むべき戦略、あるいは先ほど来ご説明申し上げております都市づくりを推進する新たな仕組みなどについて、その骨子のご提案をいただいておりましたので、その内容の具体化を図ってまいっております。

○かち委員 都市像を明らかにするための地域の将来像を描いているということと、このビジョンを実現していくための新たな仕組み、ルールづくりなどというものが盛り込まれているということでした。
 こういう問題は、都民の利益や財産や生活に直接影響を及ぼすものでありますし、千二百万都民の意見をどう集約して反映させるかということが、先ほどもいわれましたけれども、大変重要なことではないかと思うんです。
 それにしては、今回、八月のいつでしたか、この中間のまとめが発表されて、今度九月二十一日まで、その意見集約期間ということで、ほんの一カ月足らずの間ですよね。インターネットという方策もとられておりますけれども、インターネットはすべての都民が使えるわけではありませんし、そういう意味では、都民の声を反映しないまま、やっぱり行政主導で取りまとめられていくのではないかなというふうに思うわけです。
 審議会が中間のまとめを出したときにも、やはりインターネットなどで意見を収集しておりますけれども、そのときでも二百件ちょっとですよね。自治体なんかも含めてそれだけですから、やはりより多くの都民の声をどうここに盛り込むかということが大変重要ではないかと思うんです。
 それには余りにもその期間が短過ぎる、周知徹底や意見収集をする時間的な問題として、余りにも短過ぎるのではないかというふうに思いますけれども、なぜそんなに拙速に進めなければならないのか、もう少し時間をかけてもいいのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○河島参事 このビジョンをつくっていく作業について、もう少し時間をかけて、意見をいただく期間をもっと長くした方がいいのではないかというご提案でございますが、私どもといたしましては、この新しい都市づくりの考え方を都市計画審議会に知事から諮問をいたしましたのが一昨年の十月でございます。そういう面ではもう丸二年近くかかってきております。
 その間、そういう学識経験者の皆さん、あるいは、委員の中には関係行政機関、それから都議会の先生方も含めて入っている、そういう都市計画審議会での議論も踏まえながら考え方を整理し、その答申を踏まえて、今回行政方針を出そうとしています。
 これは時間をいたずらに長くかければいいというものではなくて、考え方について整理がなされて、まとめられて、それを早く実現するという、次の段階に入っていくということも、非常に重要なポイントだろうと思います。
 私どもといたしましては、そういう視点から、きちんと都民の皆さんにお諮りし、ご意見を聞く、こういう作業はやはり必要ということで、今回、中間のまとめを皆さんにご検討いただいております。その意見を十分検討させていただいた上で、最終の取りまとめはそれほど時間をかけないでやっていく必要が今あるというふうに考えております。

○かち委員 五十年を見通した将来像を決めていくということになるわけですから、もちろん専門家の先生方のそういう練り上げというのは大事ですけれども、やはりそれがどれだけ都民に理解をされ、合意を得ていくか、そういうプロセスが非常に大事だと思いましたので、私は質問しました。
 中間のまとめの具体的な内容についてですけれども、先ほどいわれました、具体的にこの実現のための新たな取り組み、仕組みが幾つか書かれておりますけれども、その仕組みづくりの際、幾つかの独自ルールの創設が必要だと述べられています。その中でも、強調されているというか、非常に印象に残ったのが、街区再編事業とか街区再編プログラムなどという言葉が出てくるのですけれども、これはどういうことなんでしょうか。

○河島参事 街区再編プログラムというふうに総称しておりますが、これにつきましては、民間の創意工夫、知恵を生かして、そしてエネルギーを生かして、行政がいろいろと全体の構造を描いて引っ張っていくというよりも、民間の発意でどんどん都市づくりを進めていけるような、そういう新たな仕組みをぜひつくりたいと。今までは、行政が選んで、ここはぜひ公共的な視点でやっていかなければならないという位置づけがないと、なかなか都市づくり、まちづくりが進められない。これで都市づくり、まちづくりを進めている限りにおいては、常にその対処はスポット的にすぎない。広範なエリアを対象とした可能性を見出すことはできない。このような視点に立って今回、街区再編プログラムというものを提案しております。
 これにつきましては、本文の一〇七ページ、一〇八ページあたりに出ておるものでございますが、一〇八ページに街区再編プログラムのフローというものを書いてございます。地域の皆さんが話し合いで、非常に細分化された土地あるいは細街路でしかなくて、なかなか土地利用がしっかりできないという街区において、敷地を統合し、あるいは細街路を再編してつけかえていく、こういうことをやると非常に土地利用がしやすくなります。
 ただ、その場合に、どういう建物を建てれば行政側の規制緩和などの応援が受けられるのか、この辺の一定のガイドラインをあらかじめ示しておきませんと、地域の話し合いも前に進みません。
 そういったことから、この一〇八ページのフローにございます町並み再生方針というものを、緩やかなガイドラインとしてあらかじめ示して、こういった町並み形成に寄与する場合には、その街区再編の事業というものを行政側は応援しますというようなことを明らかにする必要があると思っています。
 そういった町並み再生方針のガイドラインに即した形で、ある街区で、今までの細分化された土地の状況を乗り越えて、みんなでまとまった一つのビルをつくっていこう、あるいは、複数のビルでも全体として整った町並み形成に役立つ、そういう開発を進めていこうという場合には、それに必要な規制緩和の都市計画を、これは街区再編誘導地区という二つ目の箱に書いてございますが、これが要請によって決められるようにする必要があるのではないか。民間主導ですので、行政側が発意して決めるのではなくて、地権者の一定の合意でそういうものが要請できる、そういう仕組みを持つべきではないかと考えております。
 こういった、いわば今までの全国ルールで個別の敷地に適用されていた建築ルールではなくて、街区ごとに合理的な建築ルールにも応じて建物をつくっていくことができる、こういうような仕組み、これを制度全体として持つことによって、地権者の皆さんの意欲も守り立てていくことができる。そういう都市計画を決めた段階で今度は--通常ですと、その都市計画を決める段階で相当詳細な建築計画まで決めて、権利の変換をする計画も決めなければいけないわけですが、それももう少し早い段階で大きな枠組みを決める。その枠組みの中で、具体的な建築計画、それから権利の移転をする計画、こういったものを煮詰めていけるような、そういう進め方を可能にしていく必要があるだろう。そのことが地権者調整を容易にする道だろう、こんなことを考えておりまして、そういう枠組みの中で展開される事業を街区再編事業というふうに呼んでおります。
 こういった制度の中で、やはりいろいろな税の軽減といったような仕組みを持ちませんと、敷地の統合をすることが非常に経済的な不利益につながることもございます。そういったことを実現するためには、やはり法律的なバックアップが必要ということで、こういった一連の制度をうまく動かせるような法的な仕組み、と同時に、我々が条例などで対処できるものについては、その条例の仕組みを用意することで、全体のこういった事業を支援する一連の仕組み、街区再編プログラムをつくっていきたい、こんなように考えているところでございます。

○かち委員 関連して、面整備事業における都市計画に民間要請ができるような制度が必要だ、法整備をしていく必要があるというのも出ていたのですけれども、これはどういうことでしょうか。

○河島参事 ただいまご指摘の項目につきましては、一一二ページの下の方でございますが、最近の法改正によりまして、都市計画の地区計画等、そういうくくりの都市計画がございます。この地区計画等の都市計画を決める場合に、条例を制定することによって、地域住民の方から、都市計画決定、こういう地区計画を都市計画で決めてくださいということを、決定権者である区市町村に要請することができる、そういう制度が法律改正によってできました。
 こういった制度というのは、今は地域密着の独自ルールをつくる地区計画等ということに限定されているわけですが、これをもう少し広範に、面整備事業、通常市街地再開発事業とか区画整理事業とか、地権者の話し合いをベースにしながら進められる、そういう事業でできるようにするということは、そういった民間主導の再開発というものを大いに前に進めることに役立つのではないかと。
 こういうことで、地区計画等に限定することなく面整備事業をもっと積極的に推進する趣旨から、そういう制度を持つべきではないか、こんなような提案をこのビジョンの中でしているところでございます。

○かち委員 今の面整備事業などについては、地区計画決定以外にも、開発や整備をしていく場合に住民の声が生かされる、そういう制度化をしていこうということですので、積極性はあるかなというふうに思います。
 先ほどの街区再編事業や再編プログラム、そういうものも、今のご説明を聞いていると、狭隘な建てかえの難しい住宅だとか、そういう個々の人たちではなかなかできないことを、一つの街区でまとまれば、かなりのことができる。そこには、税制の軽減や日影の規制の緩和だとか、あるいは容積率のアップだとか、いろんなおまけがついてくるわけですね。それは、その地権者にとってはいいことなのかもしれませんけれども、往々にしてそういうことは、個々の人たちではなかなかできない。そういうところに民間ディベロッパーが入ってきて、民間とおっしゃいましたけれども、そこに企業が主導でやるということになったときに、本当に弱小の地権者と力のある民間企業が対等に、共通の利益を共有することができるのかどうか、そういう点では、大変私は危惧というか、疑問を感じるわけです。
 こういうことをやるにしても、弱い立場の人たちの権利が守られる、そういうことをしっかりと位置づけなければ、民間企業は利益優先でいくわけですから、企業のまちというふうになりかねない。そういうことを指摘しておきたいと思います。
 それから、計画の迅速確実な実現をしていくということで、都市計画決定された事業に協力するルールの確立だとか、都民の果たすべき責務というような表現もあるのですが、これはどういうことを指しているのでしょうか。

○河島参事 ご指摘の項目につきましては、一一三ページのところに出ておりますが、十分な情報開示と透明性を備えた計画決定プロセスに基づきまして、正当な手続を経て決定されました計画につきましては、利害関係者が私的な利害を超えて協力する、そういう都市づくりのルールを確立することがこれからは非常に重要だというふうに考えております。
 その理由というのは、このようにして決定された計画の実施をおくらせることは、社会的なコストを増大させ、次世代へ問題を先送りするということにつながるのでありまして、結果として社会全体に大きな損失を招くということにもなるからでございます。
 そういったことから、この中間のまとめの一〇七ページにも記載されているわけですが、多様な主体が都市づくりを進める上で、共通の利益をいかに見出すか、こういった視点でこれからの都市づくりを進めていく必要がある。そういったときに、こういった視点、公共性の視点で、それぞれの主体にとって、都市づくりにおいてどういう役割を果たしていくべきなのか。そういったところに、これは都民の責務だけではなくて、行政の責務もあれば、企業の責務もあれば、さらにはこれからの時代のNPOの責務というものもあるかと思いますが、それぞれの責務というものを見出すことができるだろうというふうに考えております。

○かち委員 都市計画を決定していく上では、都民や住民にとって、個人の利害に関係することでありますので、重大な問題なわけです。情報公開や納得できる説明、十分な意見聴取や提案制の導入、そういうもろもろのことは当然不可欠なわけですけれども、こういうことを経てやったとしても、合意が得られない、こういう事態も現実にあるわけです。
 都市計画決定のレールに乗ってしまえば、どういうことがあっても、そのまま決まってしまうというのが現実だと思うのです。こういう状況の中で手続を経てやったものなんだから、全体のためには個人は我慢をしろというようなニュアンスにさえとれるわけですけれども、この表現の中に、新しい公共性の視点というようなことで、都民や企業、NPOの多様な主体に共通する利益こそ新しい公共性だというふうにいわれているのですけれども、ともすると都民と企業の間には相反する利害関係も生まれる状況があるわけです。
 そういうときに、力のある者とない者と同じ土俵ではかられるという点では、公平性に欠けるのではないか。どうその公平性を保っていくか、こういうことが問題なんであって、決めたことを迅速に早く進めるためには、都民にも責任を果たさせる、何か義務を果たさせなければ進まないのだというような、そういうニュアンスにとれるのですけれども、そういうことが条例などに盛り込まれるとしたら、私は非常に危険性を感じるのですけれども、そういうことではないのでしょうか。

○河島参事 都市の中で大勢の方が一緒に住んでいくということは、いろいろな価値観、また意見の違いがあるわけですから、そういったことをよく話し合いながら、何か一つのことをやっていかなければならないというときには、お互いに十分議論を尽くしながら、また、譲歩をしたり、調整をしたりするところについても、そういった努力を重ねて一致点を見出すということは、これはもう当然のことだろうと思います。もしそういったことが努力がなされなければ、都市というものはいつまでたっても、大勢の意見、大勢の人が住んでいるだけに、何も動かない、新しく更新していくことができない、こういうような状態になってしまいます。
 私ども、そういう都市のあり方を考えたときに、しかるべき議論、調整、こういったものの努力は、これはもう当然大前提といたしまして、その上で最後一つのことに考え方を取りまとめて、それに基づいてみんなが、いろいろな不満はある方もいらっしゃるかもしれないけれども、我慢をすべきところは我慢しながら一つの選択をして前に進む、こういうことは、都市に共同して住むという限りにおいては、やはりそれぞれの方たちが担っていくべき責務の一端ではないかというふうに考えております。
 そういう面では、いろいろな利害について、どう調整するかという具体の努力ということは当然必要なわけですが、決して、その意見が違ったときに、イエスを絶対とれなければ、いつまでたっても動かないという状態が、また望ましいというものではないというふうに考えているところでございます。

○かち委員 都市づくりにしろ、まちづくりにしろ、住民が主人公なわけですから、その都民、住民が、本当に権利が守られる、そして意見も反映できる体制をぜひつくっていただきたいと思います。
 時間がなくなってしまったのですが、最後に、先ほども出ましたけれども、羽田空港の拡張問題で、国のプランと東京都とは違うわけですが、さっきも台風で多摩川が洪水警報が出たと。私は大田区在住なんですけれども、そういう状況があるわけで、多摩川河口をせきとめるような国のプランというのは現実的ではないのじゃないか。
 しかも、聞くところによると、あれは埋め立てでやるというようなこともいわれています。地形的にも、そして今、東京湾がこれだけ手狭になっている中で、さらに埋め立てをするというようなことは、環境にとっても大変大きな問題を含んでいると思います。また、多摩川河口には石油タンカーの基地があって、小型タンカーがあそこを往来しているわけですよね。そういう意味でも、非常に安全性の問題からも大きな問題があるなというふうに思います。
 もちろん、前にも私、質問しましたけれども、海事関係者にとっても、安全や営業に大変な大きな影響を与えるという問題もあります。そして、幾ら滑走路をふやしても、ボトルネックではありませんけれども、上空で詰まってしまうという現状があるわけですから、横田空域の返還問題が前提とならなければ、地上で幾ら滑走路をふやしても問題解決にはならないのじゃないかと思うのです。
 そういう意味では、この海上における滑走路の拡張だけを推進していくという点では検討不十分ではないか、もう少し根本に返って検討し直すべきではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

○甲斐航空政策担当部長 ただいま委員から、首都圏の航空需要の逼迫に対応する航空政策のあり方といった点についてご質問がありました。
 まず、首都圏の空港容量をふやすという観点では、確かに横田空域の返還といった問題は大きいわけでございますが、他方で、私ども、空域の返還をもちろん政策として掲げているわけでございますが、滑走路の増加による空港容量といったものも、十分にこれは可能であるというふうに考えております。
 そういった観点から、私ども、国が検討いたしております首都圏第三空港検討調査会にも参加し、また、船舶の航行影響の検討会にも参加しながら、国と一緒に議論しておるわけでございます。
 そういうわけで、今、再拡張につきましては、都といたしましては、やはり最大の課題の一つというふうに考えておりまして、先ほど質疑の中で申し上げましたように、再拡張の早期実現といった観点では国と意見が一致しております。具体的な拡張案につきまして、都の提案しています拡張案と国の案とでは、滑走路の位置の違いといったところから来ます離発着の処理能力と、いわゆる空港の使い勝手の問題、そういった機能面についての意見の相違があり、また船舶の航行への影響等につきましての違いがありまして、それぞれ技術的な観点から、国とも意見交換をしながら検討を行っております。
 多摩川のお話が出ましたけれども、多摩川側へ約七百メートルほどせり出す案が国の方の案としてあります。ここは、もちろん洪水等の問題を勘案しながら計画をしておりまして、これ、私、聞いたところによれば、ここの部分につきましては埋め立てはやらないで桟橋方式になるというふうに思っておりますけれども、いずれにしましても、こういった環境の面、それから船舶航行の安全面等を十分に勘案しながら今拡張案が進められておりまして、私ども、都の案につきましては、こういった多摩川側の影響とか船舶の影響につきましては、国の案よりもすぐれているというふうに考えております。委員のご理解をお願いしたいと思います。

○かち委員 いずれにしても十分に検討していただきたいと思います。
 最後に、感想になるんですけれども、日本の都市計画制度というのは、アメリカやドイツ、先進国に比べても非常に甘いといわれているんですね。その上に特定街区とか総合設計とか再開発地区計画、高度利用などなど、いろんなメニューが追加されることによって規制緩和されて、どんどん膨脹していく、歯どめがかからないような状況になっているわけですが、今度の案は、それにまたさらに上乗せしていくような状況が見られます。
 本来ならとても建てられないような建物がどんどんできていく都市の膨脹化、こういうものに本当に歯どめを持たせていくことが必要ではないかと思います。五十年先を見通した都市づくりビジョンということであれば、国の方で都市再生本部がつくられて、緊急経済対策として打ち出されたこういうものが一緒になって打ち上げられてしまうということではなく、十分に都民の議論も経て進められていくことを申し上げて、私の質問を終わります。

○大河原委員 私からも「東京の新しい都市づくりビジョン(中間のまとめ)」について伺いたいと思います。
 きょうも一万円を割り込むかという全面株安で始まっているわけですけれども、この夏は、低調な市場の中で、都市再生関連株といいましょうか、三井不動産ですとか住友とか、あとは電鉄会社、そうしたところの株が注目を浴びていました。これを見ていますと、ちょっと胸に去来するものがありまして、石原知事と小泉総理の思いが一致して、いよいよ動き出すのかな、そういう期待も持たせるような動きだと思います。しかし、同時に、またあんなことにならなきゃいいのになという思いもありまして、それはやはり私たちがこの東京を二十一世紀にどんなまちにしていくのか、本当にこれまでの反省を踏まえて新たに構築しなければいけないというふうに思うからなんです。
 今回の都市づくりビジョンは、政策誘導型の都市づくりというふうに、ここでいうと画期的にうたっているということなんですが、まずその特徴というのは何なのでしょうか。

○河島参事 政策誘導型都市づくりと呼んでおりますのは、従来の、戦後といいますか、二十世紀後半の都市づくりの対応というのが、先ほどもご説明させていただきましたが、非常に急激な人口増加とか、あるいは急激な経済の成長に伴う都市の変容、こういったものをどう受けとめていくのか、特に住宅建設であるとか道路などの都市基盤整備であるとか上下水道であるとか、そういったところが非常に重要なテーマにならざるを得なかったのだろうというふうに思います。
 それはそれで、私どもの都市の生活とか都市の活動というものを支える上で、そういうことに力を注ぐことは、結果として東京の繁栄を築くことができたという意味で、肯定されるべき部分はあるのだろうと思います。
 ただ、そういった都市づくりの取り組みの姿勢というものをこれからも続けていって、果たして都市づくりというものがうまく動いていくのかということをもう一度胸に手を当てて考えてみると、これからは、先ほどもお話し申し上げましたとおり、人口減少の時代を間近に迎えていく。それからまた経済の高度成長というものも、これまでのような形では見込めない時代が来る、成熟社会といわれるようなそういう時代に我々は生きていかなければならない。そういったときに、じゃ、どういう都市づくりの方向性を明確に定めていくのかというときには、やはり従来の課題解決型、その課題というのは比較的当面の課題解決型の都市づくりでは十分ではないのだろう。それは、長期的な視点を持って目標を明確に定めて、短期の動き、これも必要なのですが、短期ばかりではなくて、長期を見据えた都市づくりの取り組みということを、しっかりと短期的な変動にも左右されずに前に進めていく、こういうあり方が必要なのではないか。
 政策誘導型都市づくりというものへ転換すると、多少肩に力を込めていっているところはあるかもしれませんが、そういうような意味合いで都市づくりのあり方を転換していくことは、やはり今の時代状況の中では、私どもとしては重要なことだろうというふうに考えております。

○大河原委員 目指すべき都市像を明らかにして、それに向かって多様な主体の参加と連携で戦略的に都市をつくるということが書いてありますね。これまでも東京は世界都市とか国際都市とかいわれて、鈴木知事の時代は、三期にわたる、その中でも東京が大変注目を浴び、一極集中の問題まで起こるような繁栄を経験した時代があったというふうに思います。そのときに、じゃ目指されていた都市像はなかったのかといえば、やはりそれはあったんではないでしょうか。
 例えばロンドンやニューヨーク、パリに並ぶ金融センターとして東京を位置づける、世界都市東京というのはまさにそこにありましたよね。今回改めて東京構想二〇〇〇では、千客万来の世界都市といい、またこの中でもその路線を目指してやるわけなんですけれども、東京、今人口がふえていますよね。これまでにない人口増になっているわけですけれども、これもピークを過ぎて、また一千百八十何万人でしたか、そのぐらいで落ちつくというふうなことまでいわれていますが、そうしたときに、八〇年代に一極集中といわれ、東京問題といわれてきた過密の問題、こうした問題は本当に解決したといえる状況になると思われているんでしょうか。

○河島参事 過密の問題というのが、この都市づくりビジョンで描いているような戦略を展開することによって解決することができるのだろうかというお問いかけでございます。
 今ご質問の中で、千百八十二万人というのは、少子化の動向というものに対して、子育て支援とかそういった対策を講ずることによって少しでも減少傾向を食いとめるという努力をして、二〇二五年時点で人口見通しを千百八十二万人と見込んでいます。それで安定するという意味ではなくて、まだ全国ベースの大きな少子化の流れからすると、もっと多分減っていくだろうという見込みの中での見通しなんです。
 ただ、二〇二五年の千百八十二万人という見通しというのは、昨年の国勢調査では千二百六万人という集計結果が出ているようですが、その前回の一九九五年では、たしか千百八十二万人よりも若干少ない、その程度の状況で、ほぼ同等の人口です。ですから人口全体としては変わらない状況の中で、この都市づくりの全体的な取り組み、戦略的取り組みを行った段階で東京のいろいろな課題というものが解決できるのかと、そんなような多分ご質問になるのかなというふうに理解しているんですが、それは可能だというふうに考えています。
 それはなぜかということなんですが、都市づくりビジョンの中で、この二十五年間の都市づくりの取り組みによって、現在は整備されていない三環状道路であるとか主要な幹線道路、こういったものを完成させていく、そのことによって東京の交通ネットワークが飛躍的に改善されることが見込まれます。
 また、鉄道などについて、現在の長期的な計画というのは、二〇一五年を目指すものが運政審の答申で出ているわけですが、そういった整備なども二十五年の中で進んでいく。さらには、周辺の各都市の成長、あるいは都心居住の推進、木造住宅密集地域の改善、これも進むと考えられます。全体として、このビジョンが打ち出しております環状メガロポリス構造という新しい都市構造が構築されていくだろう、またそれを目指しているわけです。
 こういった都市構造が実現すれば、遠距離長時間通勤、あるいは職住が離れていることによるさまざまなエネルギーロス、そういったことについても一定の解決が当然見込めるだろう。私どもはそういうことを目指していくべきであるし、努力することによってそれが可能になるだろうというふうに考えているところでございます。

○大河原委員 今おっしゃったように、一生懸命、それこそ政策誘導かけて、子育て支援とかして歯どめをかけて、多分ほぼ同じような人口でここにはあらわれてくるのかなと思うんですが、この都市づくりビジョン、ここに入っている計画の予算の問題とかスケジュールの問題とか、そこには触れない、それは示さないというわけですよね。もちろん首都再生本部の方へ三人もおいでになっていますし、一次プロジェクト、二次プロジェクトの決定を見ても、東京のこの課題が解決されていく、その道筋はちょっと見えるような気もしますが、それはまだまだ、財政の裏づけ、そういったものを考えれば、心もとないものであるというふうに私は思います。
 特に今河島部長、経済成長についてもそんな右肩上がりにはならないんだということをおっしゃったと思うんですけれども、特にこのビジョンのもとになっている経済成長についての考え方は、長期的には安定した成長を続けることが可能という見通しを持っていらっしゃるわけですよね。これは国の産業構造審議会の答申ですが、これが出たのは去年ですね。それから小泉首相になり、構造改革ということがいわれて、先ほどもいったような状況で、この二、三年非常に厳しい状況になる。その後は本当に安定できるのかというところについては、やはり多くの疑問もありますし、これまでのような成長ではなくて、例えば一%、そういうのを安定した成長というふうにおっしゃるのかどうかわかりませんが、それは恐らくサスティナブルな、維持可能なという範囲だと私は思っています。
 そして、このビジョンですけれども、やはり大都市にお金をかけてこなかった、でも、さっき大木田委員とのやりとりの中で、このビジョンのキーワードは何かといわれて、これは集積のメリットを生かす、都市の魅力を生かすことだというふうにおっしゃっていました。このことは、まさに東京にお金がかけられて、みんながうらやむまちになり、一度は遊びに行こうとか、ここで働いてみたいとかという東京像があるんじゃないでしょうか。でも東京は住むところじゃないよねというのが東京の課題だと私は思うんです。その意味からいうと、やはり東京の過密問題や、今の少子高齢化を迎える東京の問題というのが、生活機能が不十分だ、ほかの国際都市に比べて暮らしやすく、働きやすく、子育てがしやすいというところでは、ちょっと数段劣るまちであるんじゃないかというふうに思うんです。
 今回、このビジョン、主要な部分が、今後の、都道府県の都市計画マスタープランが法制化されましたので、東京都の都市マスになるわけですけれども、その部分は地域自治体との担保の問題も出てくると思いますけれども、二点続けてお答えいただきたいと思うんですが、経済成長の見方、それと、このマスタープラン、東京都にとっても本当に意味あるものだと思いますけれども、どんな位置づけのものになるんでしょうか。

○河島参事 初めの方の経済成長の見通しについて、私の方からご答弁させていただきます。
 委員ご指摘のように、都市づくりビジョンにおけます経済見通しにつきましては、研究開発や情報化投資等で十分安定的な成長を達成することが可能というふうに見た国の産業構造審議会答申を踏まえて設定をしております。確かに現状は、ご指摘のように、景気の低迷が続く非常に深刻な状況にあるわけでございますけれども、この状況から脱するために、国を挙げて現在構造改革の努力がなされているわけでございまして、中長期的には安定した成長を日本は回復することができるというふうに考えております。
 また、都市づくりビジョンの中でも、都市活力の維持発展のためにさまざまな施策展開を提示しておるわけでございまして、こうした安定的な成長の達成に都市づくりの分野からも寄与することができるのではないかというふうに考えているところでございます。

○小林地域計画部長 都市計画マスタープランについてのご質問がございましたので、私の方からご答弁させていただきます。
 東京都が定める都市計画マスタープランでございますけれども、目指すべき都市像を都市計画のマスタープランに明示することによりまして、都市づくりに対する合意形成の促進、それからわかりやすい都市計画体系を実現するために、昨年五月の都計法の改正により制度化されたものでございます。また、都市計画マスタープランは、各都市計画区域ごとに定めることになっておりまして、都市計画の目標ですとか、あるいは主要な都市計画の決定方針等を定めるものでございまして、個別の都市計画はこのマスタープランに即して定められる、こういったことになっております。
 また一方、地方自治体、区市町村でもマスタープランを持っておりますが、九月一日現在で二十区十八市三町で作成されているといった状況にございます。
 こういった区市町村のマスタープランにつきましては、地域的な視点から区市町村レベルの都市計画の指針としてきめ細かく定められている、こういった性格のものでございまして、これから東京都が定める都市計画マスタープランについては、広域的な視点から定める、こういった性格のものでございます。こうした位置づけを踏まえまして、区市町村とも十分に連携をとりながら、適切なマスタープランについて策定をしていきたいと考えてございます。

○大河原委員 今、区市町村のマスタープランは二十区十八市三町ということですが、今度の東京都の都市マスをつくるときは、例えば二十三区は都市計画決定区域としては一つですよね。そうすると、さっき伺った自治体のそれぞれの都市マスを尊重してといいますか、もちろん都は広域的というふうにおっしゃるんですが、やはり十分に地域の都市マスを尊重していただかないと困る、それは私は強く申し上げたいと思うんですね。
 何より、この東京構想二〇〇〇も、審議会を使わずに都庁内部でつくってきましたよね。そして地域自治体の都市マスづくりは、例えば構想段階から住民参加、市民参加をやってきた、またそれを模索する、そういう動きの中でつくられてきたものが多いです。法制化されたから、東京都が都市マスをつくって、このビジョンから主要部分をとる、何かちょっとその辺、不安を感じざるを得ません。
 また東京都の都市マスづくりで、市民の参加、都民の参加ということは、どんなふうにお考えになっているんでしょうか。

○小林地域計画部長 東京都が定めます都市計画のマスタープランにつきましては、先ほども答弁の中にありましたように、東京の新しい都市づくりビジョンを踏まえて策定する、あるいは東京構想二〇〇〇といったものを踏まえて策定するということにしております。
 こうした東京構想二〇〇〇ですとか、あるいは本日ご報告ありました東京の新しい都市づくりビジョンにつきましては、途中の策定の過程で中間のまとめを発表し、都民の意見を反映するといった手続で策定された、あるいは策定するものでございます。
 また、今後策定いたします都市計画マスタープランにつきましても、より地域的な視点から、先生もお話がございましたように、住民参加に基づきました区市町村マスタープランとの十分な整合を図った上で、私ども、都市計画のマスタープランの原案を策定し、都市計画手続の中で公告縦覧を行った後に公聴会等の手続も行い、都民意見の反映に努めてまいりたいというふうに考えております。

○大河原委員 済みません、ちょっと時間が超過しているんですけれども……。
 今、住民参加、市民参加と同時に、今回、私、このビジョンを読んで、NPOとの連携を強めていくと。まちづくり系のNPOの方たちの活動が本当に地域で活発になって、住民からも信頼されているというところがあってのことだと思いますけれども、そのことは非常にうれしく思っているわけなんです。
 その点には、ここを書くに当たって、どんなふうな経緯とか、これを取り入れたことに当たっての背景をお話しいただければと思います。

○河島参事 平成九年に出されました国の都市計画中央審議会基本政策部会報告の中でも、まちづくりのため市民で構成するNPOや協議会組織への支援を通じ、市民のまちづくり活動を促進することも求められている、こんなような記述がございます。
 地域の多様化するニーズを踏まえたまちづくりを継続的に、かつ着実に展開していくためには、こうしたまちづくり活動を行うNPO等の果たす役割というのは、今後ますます重要になってくるというふうに考えているところでございます。
 まちづくりNPOは、計画立案とか計画策定時の住民と行政の間の調整役であるとか、あるいは計画実現に向けた具体的な制度運用など、まちづくりの多面的な推進を図る上で多くの役割を果たすことができ、また、そうしたまちづくりを進めることが都市づくりを全体として円滑に進める、そういうようなことにこれからなっていくのではないかというふうに考えているところでございます。

○大河原委員 ちょっと切り口が変わるんですけれども、都市づくりの中で、私たち、東京はやはり水源も十分に持っていないまちだということは十分承知していますが、やっと自然の水循環とか、また、人がつくった人工的な都市の水循環について、東京都全体が考慮するようになっているわけなんですけれども、今回の都市づくりに当たっても、こうした水循環に配慮したまちづくりということが目指されるべきだというふうに思うのですが、その点についていかがでしょうか。

○河島参事 全地球的にといいますか、地球環境問題ということが非常に懸念されていたり、また、ディーゼル車の排ガスというようなことで、東京における大気汚染といったようなことも非常に深刻な状況にあると。そういったことから、都市づくりの中で環境との共生ということは非常に重要な視点である、こういった認識のもとにこの都市づくりビジョンというのはつくられております。
 今ご指摘の都市における水循環ということにつきましても、七九ページのところで、環境との共生という、そういう文脈の中でその重要性を位置づけ、それに向けた必要な戦略的取り組みをしていくべきだ、このような考え方に立っております。
 これは、雨水の浸透による地下水の涵養なども含めまして、もっと広く水と緑のネットワーク形成といったようなこと、あるいは都市農地の保全といったことも含めて、総合的に水循環というものを達成していく、良好な状態に保っていくというような視点の重要性を、このビジョンの中に位置づけたものでございます。

○大河原委員 都市再生というのは、多分、世界じゅうでいわれていると思うんですけれども、私はやっぱり、最初に申し上げましたように、このビジョンを見て、都市再生バブルには絶対ならないでもらいたいというふうに思っています。
 このビジョンの中でいえば、生活拠点という言葉が出てきたのですが、むしろ生活機能を重視する、楽しんで歩けるようなまちづくりといいましょうか、そうした生活の価値観を重視したまちをつくること、東京がそういうまちになることによって、恐らくロンドンやパリやニューヨーク、まちを楽しめる、そこに暮らす人たちが本当に自分たちは豊かだなと思えるようなまちに東京もなるんじゃないかなというふうに思うんです。
 この都市ビジョンが、東京ひとり勝ちのビジョン--東京ひとり勝ちというのじゃなくて、東京圏ひとり勝ちというふうに多分なるんだと思うんですけれども、そういうビジョンにはなってほしくないわけなんです。
 きょう、事務事業概要の説明の中で、都市計画法制の五六ページに、いい言葉を見つけたんですけれども、都市計画というのは、都市活動に関する計画だけれども、非都市的な活動との健全な調和を図らねばならないと書いてあります。
 これはやっぱり、私たちこの東京に暮らす者が、東京のまちの本当の意味での主人公だったらば、まずそこが真っ先に解決されて、そして、その解決、都民が元気になることがまちの活性化、経済の活性化にも絶対つながっているというふうに私は確信をしています。
 ぜひこの東京の再生、生活機能の重視という見方も忘れないでいただきたいというふうに思います。
 終わります。

○吉原委員 一、二点だけ、簡単に質問をさせていただきたいと思います。
 先ほど都計審の説明をいただきました。国道一六号線の横浜町田立体について質問をさせていただきたいと思います。
 今回のこの件については、第二期の区間ということでございますけれども、もう既に一期区間は終了しております。平成九年に完成をしているわけでございますけれども、横浜町田インターチェンジから横浜方面に向かっては、大変スムーズに流れるようになったと思います。特に東名インターに入る道路については、大変便利になって、地域の方々も、そこを通る方々も大変評価をしている、そういうふうに思っております。
 そんなことで、第二期の区間に入る前に、一期区間の時間的な効果はどのぐらいあったのか、まずお尋ねをしたいと思います。

○只腰施設計画部長 ご指摘の第一期区間でございますが、今、図面で出ておりますが、今回予定している区間のちょうど横浜側に当たりますが、延長二・一キロでございます。
 ご指摘のように、平成九年度に完成したわけでございますが、ちょうどこの区間の横浜方に接続しまして、保土ヶ谷バイパスというのがございます。今、指してございます。そこも含めまして時間を計測したわけでございますけれども、横浜新道と交差する新保土ヶ谷インターチェンジ、今、指しております、そこから横浜町田、東名のインターまでの区間の所要時間でございますが、混雑時に、供用前は四十七分というふうにいわれておりましたが、供用後は十一分ということで、三十六分の所要時間の短縮ということで、全体としては、大変渋滞の緩和に貢献したのではないかというふうに考えています。

○吉原委員 今お答えをいただきますと、たった二・一キロの区間で三十六分短縮になったということは、大変なことだと思うんですね。
 特に横浜町田インターチェンジの近辺については、あの一六号というのは、神奈川があり町田があり、そして、さらに先には埼玉も千葉もある道路で、幹線道路だと思うんです。そういった意味では、都心に入ってくる車の分散にも大きな役割を果たしているな、そういうふうに思っております。
 そんな中で、ちょうど町田市というのは、東京の中でも一番南に位置する町田市になっていると思うんです。ということは、東京の一番南ですから、やっぱり東京の顔として、南の玄関としての役割を担えるような都市づくりをこれからしていかなければならないんじゃないかな、そういった意味で、東京都の局長以下、皆さんにも、ぜひその辺のところをご努力いただきたいな、そんなふうに思っております。
 町田も、もう三十八万という大きなまちです。三多摩の中でも、八王子に次ぐ二番目の都市となりました。私は、どうも全体的に見て、都市づくりという意味では、その地形的なこともあるのでありましょうけれども、東京の中では、少し力を入れていただいているのが少ないんじゃないかなと、そんな思いをしておりますので、これからもいろんな意味でお願いをさせていただきたいと思っております。
 きょうのこの横浜町田立体のところについては、インターチェンジから出まして、すぐに旧の二四六があります。そして、すぐ間もなく信号がまたついておりまして、新しい二四六、一六号との立体交差になっておりますけれども、すぐ短い時間の中で、インターの方から、あるいは横浜の方から来ると、物すごい渋滞が始まるんです。
 そういった意味では、この事業が進んでいるということについては、大変評価をさせていただきたいわけでありますけれども、ただ、平成九年に第一期区間が供用を開始されてから、これを見ますと、十年の九月に地元説明会を開いていただいているわけでありますけれども、もしできれば、そういった意味では、もっと早い時期にそういうことを進めていくことができないものだろうか。これは、ここに限らず、これから新しいところも含めて、前へ前へと進めていくことができないものだろうかな、そんなふうに思っております。
 とにかく、新しい横浜町田立体ができることによって、これから渋滞緩和がされるんだろうと思いますけれども、その時間短縮的なことと、そして、これからのスケジュールがどういうふうに進んでいかれるのか、簡単で結構ですので、教えていただければと思います。

○只腰施設計画部長 今回の第二期区間の完成によりまして、今ご指摘ありました国道一六号線の混雑緩和等が図られるものというふうに考えております。
 具体的には、ちょうど二四六の交差点、今、指していますが、そこを先頭にしました八王子方面への渋滞が最大二・六キロあるというふうにいわれておりますが、これが解消されるのではないかと。
 また、所要時間的には、ちょうど相模原市役所がありますが、そこから横浜町田のインターまで、混雑時に現在三十六分かかっておりますけれども、供用後は二十三分ということで、比較いたしますと、十三分ぐらいの所要時間の短縮が見込まれるのではないかということでございます。
 それから、整備のスケジュールでございますが、十三年度に、都市計画の手続の完了後でございますが、測量の調査、それから用地買収、十七年度ごろから工事の着手ということで、最終的には、平成二十二年ごろ完成、供用というふうになるのではないか。都といたしましては、事業者である国に対しまして、引き続き早期の完成を要望してまいりたいと思います。

○吉原委員 ありがとうございます。
 今、二十二年に完成を目指しているというお話をいただきました。ちょうどその区間のところについては、町田の中でも有数の高級住宅地だといわれる地域がすぐ隣接しております。すぐ隣にも東急線の南町田駅というのがありまして、今度は、その南町田駅の広場も一六号の方に向かってできるような感じがあるわけでありますけれども、ぜひそれも進めていただきたいんですけれども、その住宅の皆さんに、やっぱり立体交差ができてよかったなといわれるように、ただそこを通る人だけのためではなくて、近隣のためにとっても使い勝手のいいものをつくってもらいたいと思っているんです。
 そのためには、駅から向かって一六号を挟んだ反対側、あちらの方からも駅の方に向かう方がたくさんいらっしゃると思うんです。車もそうでありますし、歩道というか、歩く方もたくさんいらっしゃるんですね、駅に向かって。ぜひその辺のところもきちっと考えた上で、二十二年に完成ということでありますけれども、できるだけ早い時間に、石原知事もスピーディーにスピーディーにとよくいわれるわけでありますから、そういった意味でも、その辺のところもぜひご勘案をいただきまして、努力をしていただくお願いをさせていただきたいと思います。
 あわせて、ちょうど中間地点の辺から、町田は南から西まで細長い地形でありまして、三・三・三六号線が町田の南から西まで、ところどころに今、手をつけていただいております。
 これからは、ぜひ二十二年の完成には、その三・三・三六号が横浜町田の立体とぜひ接続をしていただけるように、それもあわせてお願いをさせていただきたいと思っております。
 最後、もう一点だけ、恐縮でございますけれども、今、いろいろ環境の問題もいただきました。世界的にも環境問題が大変重点課題になっている時代であります。そんな中で、日本も、緑は七割あるといわれているわけでありますけれども、それを考えたときに、私たちの東京は、どこへ行っても、この都心は特にそうだと思いますけれども、緑が少ない。都庁の展望台に行って、三百六十度見渡しても、この近辺のところには、緑の山というものは本当に少なくなってきたと思うんです。
 私は三多摩でありますから、きょうも三多摩の先生方もいらっしゃいますけれども、三多摩も、だんだん緑が少なくなってきたんです。私の住んでいる町田市というのは、近年のたった一年間で、東京ドームの約十二倍もの緑がなくなった経緯があります。
 そういうことを考えたときに、先ほど来、環境との共生というお話もいろいろ出たりしておりますし、文章にも載せていただいているわけですが、今、生産緑地法の中で、相続のための納税猶予も若干していただいていますけれども、まだ不備でありますけれども--谷戸の問題もあります、いろんな問題がありますけれども、これから緑との共生、私たちにとって、物質的だけではない、精神的にも大切だといわれる、環境にも大切だといわれるこの緑を少し保全していく必要があるのではないかなと私は思っております。
 そんな意味では、自然林の保全をこれから考えていかなければならない、そういう時代に来たと思います。このことは、もう特に、東京都だけでできるわけではないと思っておりますけれども、私も時々にこの問題を出したいと思っておりますので、ぜひ都庁の役人の皆さんも、国に向けて、そういった税の--さっきのまちづくりのどこかでしたか、この東京の新しい都市づくりビジョンの第5章のところに税の問題が載っておりますけれども、ぜひとも自然林を保全するための税をこれからつくっていこうよ、そういったことも少し声を出していくべきではないかなと、そのお願いだけさせていただきまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○大塚委員 私からは、東京の新しい都市づくりビジョンにつきましての内容で、二、三ご質問したいと思います。
 私は、都市計画というものの中で、バブル後のこの十年間、いろいろな意味で、土地の流動化をそういった不良債権が阻害しているというふうに基本的には思っております。
 今回の構造改革で、不良債権の処理がされると仮にされますと、今後の東京の土地利用とか都市計画が非常に重要であるというふうに私は思っておりますので、この中身につきましては本当に関心を持って、そして、興味深く最終答申まで見詰めていきたいと思っております。
 そこで、私が考えますのは、都心部と郊外、いろいろ違うと思うのですけれども、都心居住という政策が実現されつつある中で、先ほどからのお話のとおり、都心部に住民がふえております。高層化される再開発の住宅がかなり都心部に今建設がされておりますけれども、その反面、都心部におきまして、木造密集市街地が多く残っております。
 このアンバランスさというものは、住んでいる者にすると、生活につきましても、再開発された地域は非常に快適なんですけれども、そこを一歩出ると、道路が細いであるとか、都市としての機能が非常にバランスを欠いているというふうに私は思っています。
 そういった観点から、今後のいろんな都市づくりにつきましても考えなきゃいけないんですけれども、先ほどの政策誘導型都市づくりという意味からしても、私は、木造密集市街地、都心部の、特に港区においても、まだ三田とか芝には多く残っておりますので、その辺のまず基本的な、重なる部分はあると思いますけれども、そういったところへの東京都の今後の取り組みをもう一度再確認したいと思います。お願いいたします。

○河島参事 木造密集市街地の再編整備といったようなことにつきまして、権利関係のふくそうであるとか、あるいは、基盤が整備されてないために、周辺の幹線道路に面しているところは開発がしやすくても、一歩中に入ると途端に動きがとまってしまうというような課題を抱えているというふうに認識しております。
 こうした木造住宅の密集地域についてどうするかというのは、先ほどもご説明申し上げましたが、国でも非常に力を入れて解決を図ろうとしています。未整備の都市計画道路がある場合に、そういった都市計画道路を、これまではどちらかというと後回しにされていたものを、むしろ木密地域にあるものを優先的に整備を図っていくとか、そういうような視点がこれから出てくるというふうに見ております。
 そういった中で、先ほどからご説明しております、これまでは位置づけがなくて再開発事業とか区画整理事業というものの展開がなかなか進まなかった場所においても、住民の発意で、地権者の発意で、自分たちの力で街区再編が進められる、再開発区画整理が進められる、そういう状況をつくっていくべきだろう。行政側は、都市計画の制度というものを、うまくそういったものを支援していく、そういうような行政の姿勢をこれから持つべきだろうというふうに考えております。
 したがいまして、私ども、街区再編プログラムという、今回提案している、この新しい制度につきましては、都心居住の推進にも役立っていくことが可能であると考えていますし、また、こういった木造住宅密集地域の再編整備にも活用できる部分が多いのではないかというふうに考えています。
 そういったところをうまく活用しながら、この制度だけではなくて、既存の再開発事業とか区画整理事業なども組み合わせ、それから、都市計画道路の整備の重点化ということも加えまして、総合的に木造住宅の密集地域に対する対処を図っていく必要があるというふうに思っています。

○大塚委員 今の説明の中でありましたけれども、基本的に、冒頭申したように、土地の不良債権の問題が解決されていきますと、また新たな土地の流動化が進み、新たな需要が生まれてくるということになりますと、またまた防災の面も含めまして木造の密集市街地が取り残されていくというような状況が起こることを私は懸念しておりますので、ぜひ、政策誘導型都市づくりの中で、そこにスポットを当てていただいて、防災とか、生命財産を守るために都市計画の考えを盛り込んでいただければありがたいと思います。
 それと関連して、街区再編プログラムというのは非常に私は賛成ですし、こういった形が進むべき姿だと思いますけれども、この一〇八ページにある中では、なかなかまだ具体的に、どこのエリアを指定するであるとか、いつまで指定するであるとか、地権者の一定の合意というのはどこまでの合意が必要なのかとか、そういったことがちょっと欠けているように思うわけです。
 これは都民の方々が、もし仮にこのことが公表されますと非常に興味を持つことでありますし、また、事業者も恐らくいろいろな意味で注目をするところだと思いますので、この辺の具体的な最終答申までの内容につきましてお話を伺えればと思います。

○河島参事 この街区再編プログラムというのは、東京都の方から、都市計画審議会の答申などを踏まえまして提案をしておりまして、国の方にもいろいろな相談を既に持ちかけております。国の方でも、先ほど来ご説明しております都市再生の動きの中で、やはり従来型の都市計画の運用ではなくて、民間の動きというものをうまく都市計画制度の中で応援していく仕組み、これが必要だというような共通の認識を持っています。そういった意味で、東京都から発信したものでありますが、国の方でも同じような問題意識を持ち、こういった制度について東京都と一緒に考えていこうじゃないか、こういう姿勢を今持っていただいているというふうに認識しています。そういう中で、この制度の細部について、さらに具体化を図っていきたいというふうに思っております。
 今ご指摘の中で、例えば対象の区域というものがどういったエリアになるのであろうかとか、あるいは、一定の合意形成によって計画決定の要請が可能という場合の一定の合意というのはどのくらいだろうか、皆その具体論の核心に触れる部分だと思います。この辺につきましては、いろいろな案の段階での議論というのは出ておるわけですが、なかなかその確定的なものを今出し得る状況にございませんので、もう少しお時間をいただいて、中身を詰めさせていただき、そして皆さんにお伝えをしていきたいというふうに思っています。
 ただ、概略的なイメージといたしましては、対象とする範囲は、この制度の趣旨からいいまして、絞り込み過ぎない、要するにできるだけ広範に対処をしていく。ただ、その場合に、余りポテンシャルのないところにやってもなかなか民間主導で事業を成立させるというのは難しいかと思います。一定の事業の成立性が見込まれるそういうエリアについては、絞り込むということを考えるのではなくて、できるだけ広範に可能性を見出し、そして、これを活用していただく、そんなようなことを現在考えているところでございます。

○大塚委員 ぜひ最終答申には具体的な内容を盛り込んでいただきたいと思います。
 それと関連して、防災という意味も含めまして、五十年を見据えたビジョンの中で、ぜひ一つだけお聞きしたいのは、PFIとして、南青山一丁目の都営住宅の建てかえということが出ましたけれども、民間の今ストックされているマンションの建てかえにつきましても、いずれ木造密集地域と同じように、そういった建てかえ事業というものが一つの需要として、また社会的な要請として出てくると思うんですけれども、そのお考えにつきましてちょっとご意見を伺えればと思います。

○河島参事 ご指摘のように、マンションにお住まいになる方が非常にふえるということは、マンションの割合が非常にふえているということでございます。ということは、非常に老朽化しているマンションもだんだんこれからふえていくということでございます。
 こういったマンションが適切に更新がなされませんと、都市の中にあって、逆にそこが衰退のもとになってしまうということもあり得ます。そういった意味で、老朽化マンションを円滑に建てかえが進められるようにしていくということは、これからの都市の中で重要なテーマになるのだろうというふうに考えています。
 この都市づくりビジョンの中間まとめでも、九〇ページに、老朽化マンション等の円滑な建てかえの仕組みづくりということを記載しておりまして、特に建築基準法の制度の中で、例えば日影規制が適用される前に建った建物について日影規制に抵触してしまう、そして建てかえが進まないとか、そういった建物がございます。あるいは、容積率制限の適用前に建てられて、今は容積率を指定されたものからオーバーしてしまう、そういったものをどうしていくかというのは、やはり重要な課題であろう。
 この辺、いろいろな考え方があるわけですが、このビジョンの中では、いろいろな総合設計制度など都市開発諸制度と呼んでおります容積率緩和制度などをうまく活用することによってそういった課題を解決する、そういう手だても講じる必要があるのではないかということとか、あるいは、国でも検討されておるようでございますが、権利の調整をもう少しうまく進めていけるような、そういう法制度の整備をするといったようなことも必要かと思います。
 また、このビジョンの中に書いてございますが、都営住宅の空き家を仮住居として活用するといったような、現行制度上できないことについても道を開いていく、こういった方向性も必要なのではないか。いろいろな努力が必要だと思いますが、ご指摘のように、老朽化マンションの建てかえということをこれからの都市づくりの中で重要なテーマとして取り組んでいくことが必要だというふうに考えております。

○大塚委員 防災という意味からもそういうことで、木造住宅や集合住宅の建てかえということが社会的ニーズとして当然出てくると思いますので、引き続きぜひこのプランに盛り込んでいただきたいと思います。
 最後に、都市計画道路の問題につきまして若干ご質問したいと思いますが、基本的にあの道路は人間でいえば血液に当たる部分でございますので、大変重要な都市施設として私も認識をしておりますし、都市再生プランの中で、外環道の立体交差の環状線の施策が出ておりますけれども、都心部におきましては、生活道路、補助幹線の都市計画道路の整備といったものが済んでいるもの、あるいは、都心並み、特に港区でいえば非常に渋滞というものに直接の影響を受けております。渋滞してきて緊急車両がおくれたり、そういうことからすれば生命、財産にも影響があるわけでございますし、また、先ほどいったように、再開発事業としてきれいな街区ができた、それから一歩出ると本当に道路が細くて、子どもたちあるいは老人の方々が交通事故に巻き込まれるというようなことが本当に都心部としての悩みとしてあるわけです。
 したがいまして、幹線道路も、当然環八であるとか外環のいろいろな事業は、これはこれとして必要だと思いますけれども、幹線補助の問題につきまして、今後の見通しをお伺いできればと思います。

○河島参事 ご指摘の都市計画道路の整備につきましては、現在事業化計画を定めまして計画的に進めているところでございますけれども、いまだ十分な事業の進ちょくを見ているとはいえない状況がございます。しかしながら、都市計画道路は、ご指摘のように、いろいろな東京のまちづくりを進めていく上で非常に重要な要素でございまして、また、まちの骨格をなす基幹的施設でもございます。防災面でも骨格防災軸といったような役割を担っている、防災上も重要な施設でございます。
 そのため、今後とも、社会経済情勢の変化や財政状況、それから区との役割分担といったことも踏まえますとともに、新しい制度として財源の確保のために無利子貸付制度といったような制度の充実を国に要請していくなど、財源の確保を図る。それから、交通の渋滞や防災性の向上などに向け、一層いろいろな制度の導入を図りながら、計画的、効率的な事業の推進に努めていく必要があるというふうに考えております。

○小磯委員 小磯善彦でございます。よろしくお願い申し上げます。
 私、初めに新宿歌舞伎町ビルの火災について質問をさせていただきます。
 このビル火災におきましては、四十四人の方がお亡くなりになるという火事でございました。もう二度とこのような火災は起こさない、そういう決意のもとで質問をさせていただきたいと思っております。
 雑居ビルということでございました。今回の火災で構造的な問題がいろいろと出てきたんじゃないかなと思っております。三階のマージャン店、そして四階の飲食店、非常階段などの脱出経路が確保されてなかった。また、防火扉、火災感知器も作動してない状態だったということで、消防法、また建築基準法があるにもかかわらず、その意図する安全対策が徹底されてなかった、そういったことがクローズアップされていると思っております。
 ただ、この歓楽街の雑居ビルというのは入居店の入れかわりが大変激しくて、権利関係も複雑に入り組んでいて、結局安全管理の責任の所在があいまいになっていたという問題が大きな問題ではなかろうかと私は思っております。今後の都政の対応、法的予防措置の観点から幾つかご質問をさせていただきます。
 まず初めに、今回の明星ビルでございますけれども、定期の調査報告を怠っていたと。これに対して行政側が未報告のまま放置していたのはなぜかという問題、それと同時に、雑居ビルが定期調査報告を怠る理由、これをどう考えておられるか。この二点についてお伺いします。

○森下建築指導部長 今回のビルでございますけれども、定期報告をしなければいけないものでございました。それで、新宿区によりますと、八年度は調査報告用紙は届けたということでございますが、報告はございませんでした。そのために、調査報告をするようにということで、文書による催促を行っております。それから、十一年度につきましては、あて先不明でございまして、調査報告用紙が該当者に届きませんでした。これは恐らく店舗の所有者や管理者などの権利関係が複雑でその把握が難しかったものと思われております。
 それで、そのように雑居ビルの場合に定期報告を怠ることが多いという理由をどう考えているかということでございますけれども、この雑居ビルは、先ほども報告しましたように、報告率が低い、三五・九%でございます。その理由は、今回の火災のビルもそうでありましたように、テナントの移動が複雑で維持保全の状況の把握が一般的には困難であること、あるいは、適法な維持管理に責任を持つべき建物の所有者、管理者の防災に対する認識が低いということではないかと思っております。

○小磯委員 今回のビル火災で建築基準法上の定期的な調査報告義務というのが大変大事であるということがわかったと思います。そしてまた、それが人命にかかわるものである、こういったことが都民の皆さんにも痛感されたんではないかな、こういうふうに思っております。そういった意味で、私は、定期調査報告をしている建築物と、報告をしていない建築物、そういったものが第三者に対してより明確になるようにすべきである、こう思いますけれども、いかがでしょうか。

○森下建築指導部長 定期調査報告をした建築物に対しては、報告済みであることを証するマークを交付しておりますけれども、なかなかわかりやすく表示されておりませんで、一般的には知られてないのが現状でございます。(実物を示す)これが建物の特殊建築物の定期報告をした場合の報告済み証ということのマークでございます。それから同様の趣旨でエレベーターについてはこういう表示マーク、これはよくエレベーターの中でごらんになるかもしれません。それから建築設備につきましても定期報告という制度が、同じようなものがございまして、こういったものが張ってあるということでございます。
 そのような制度があるわけでございますけれども、なかなかまだ行き渡ってないという現状でございます。
 今後は、定期報告率を向上させるということは当然でございますけれども、その結果が建物の利用者にもわかるように、そのマークをわかりやすいところに表示させるというようなことにつきましてPR等の工夫をしていきたいと思っております。

○小磯委員 今回、定期報告をしてないビルに対して重点要請をしていくということでございました。それについて、それでもなお来ないところにも一生懸命いろいろ検討してやっていくということでございますけれども、私は、重点要請をして、それでも報告が来ない場合は、そのビル名と住所とをしっかり都が公表したらどうか、こういったことを考えるわけでございますが、この点いかがでしょうか。

○森下建築指導部長 確かに定期調査報告の制度はあるわけでございますけれども、その運用の実態が必ずしも法の目的としたところまで至っていないということは事実でございます。それで、制度の仕組みそのものとか、あるいは運用の仕方について、今回の火災を契機にやはり十分な検討をすべきであろうと思っております。その一環として、今委員のご指摘がございましたような公表する仕組みなどについても検討していきたいと思います。

○小磯委員 ぜひお願いしたいと思っております。
 それからまた、定期調査報告を怠った者に対する罰則が私は不十分であろうか、こう思っております。そういったことについての強化すべき考えはいかがでしょうか。

○森下建築指導部長 制度としては、建築基準法におきましては、定期調査報告を怠った者に対しまして、二十万円以下の罰金に処すということが規定されてはございます。ただ、現実問題としては、いわゆる手続違反について罰金を直ちに科していくというようなことについては、事実上大変難しい状況にあるということでございます。
 むしろその違反をなくすような指導について強化していくということで対応しているのが実態でございます。

○小磯委員 建物の確認、検査については、民間の機関でもできるようになったというふうに思っております。そのあたりの民間の機関での検査確認の実態は、現状はどうなのかということと、それからまた、そういったものについては民間がやって、自治体は逆に違法建築の取り締まりの方に力を入れてはどうかと考えますが、いかがでしょうか。

○森下建築指導部長 委員のご指摘のように、建築確認や検査の充実とか効率化を図るために、建築基準法が改正されまして、平成十一年五月から、建築確認検査業務につきましては民間でも行えるようになっております。
 現状でございますけれども、都内を対象とします民間の指定確認検査機関は、現在十機関でございます。平成十二年度の実績で申しますと、東京都全体での建築確認件数は約五万五千件でございまして、そのうち民間が扱ったものが約千件でございます。まだシェア的にはそれほどのものではないということでございます。
 いずれにしても、民間と行政が適切な役割分担を行いながら、行政としてはそういう違反建築の是正などの制度についての強化を図っていきたいという考え方でおります。

○小磯委員 今回の雑居ビルに関しましては、建築基準法、そしてまた消防法、そして食品衛生法、風営法等に違反をしているわけでございます。それぞれの法律の所管の局がいろいろまたがっているという現状ではないかと思います。私はそういった意味で、歌舞伎町のような地域の雑居ビルについては、行政機関が、例えばGIS、地理情報システムみたいなもので、雑居ビルの安全面での情報の一元化、こういったものを考えてはどうかと思いますが、いかがでしょうか。

○森下建築指導部長 確かに今回の火災でも、消防とは特に関連が深くて、避難通路の確保などでは共通する部分が多くございます。
 今回の緊急の安全点検におきましても、消防が持っております防火対象物のデータをいろいろ確認しながら、建築行政等共同しながら、調査に入っているということでございます。どういう形でのデータを共同して持つかということは今後検討しなければいけませんけれども、いずれにしても、そういうふうな情報の共有化を含めまして連携を図っていきたいと思っております。

○小磯委員 今後、現行法令の防火避難規定を見直し、そしてまた建築基準法を改正するよう国に働きかけをする必要があるのではないかと思っておりますが、いかがでしょうか。

○森下建築指導部長 緊急点検とか消防の査察の結果などを踏まえまして、各特定行政庁や消防機関と十分に協議を行いまして、安全性を確保するための防火避難規定の見直しなどについては検討してまいりたいと思っております。そのような内容につきまして国においても同様な検討を行うということでございますので、ぜひ必要な事項につきましては国の方に要望もしていきたいと思っております。

○小磯委員 以上で新宿ビル火災については質問を終わらせていただきます。
 次に、都市計画案件について若干の質問をさせていただきます。
 先ほども吉原委員の方からございました横浜町田立体についてお伺いをいたします。
 今回の二期区間につきましても、早期に整備を行っていただいて、町田側を中心とする渋滞の解消に取り組むべきであると思っておりますけれども、沿道の環境の保全も十分配慮して整備を進めるべきであると思っております。どのような沿道環境の保全対策を講じていかれるのか、その中身についてお伺いいたします。

○只腰施設計画部長 横浜町田立体の事業につきましては、先ほどご説明いたしましたとおり、東京都の環境影響評価条例に基づきまして環境影響評価を実施しております。その中で、例えば騒音等につきましては、遮音壁の設置、それから高架の構造物のけたの下側に吸音板を張るような処理、それから低騒音舗装という特別の舗装等を採用することによりまして、昼間、夜の両方におきまして環境基準を下回るなど、ほかの大気とか振動も含めまして、すべての評価項目に対しまして環境基準を満足するというふうに私ども考えております。
 また、先ほどご説明したように沿道の用途が住居系の区間につきましては、道路の両側に幅十メートルの、いわゆるバッファーゾーンといっておりますが、環境施設帯を設置いたしまして沿道環境の保全に配慮しているものでございます。

○小磯委員 この横浜町田立体とあわせて、南町田駅の交通広場の建設も予定をされているわけでございますけれども、これは町田市民のみならず、南町田を訪れる人々にとっても大変大きなメリットがあると私は思っております。そういった意味で、この広場の規模、内容がどのようになっているのか、また、こういった交通広場をつくることによってどのような効果が期待できるのかをお伺いしたいと思います。

○只腰施設計画部長 南町田駅の交通広場でございますが、現状、広場がございませんで、大変交通が錯綜している状況にございます。今回計画された交通広場につきましては、町田市が整備をすることになっておりますが、規模につきましては、先ほどちょっと申し上げましたが、面積が五千平米でございます。
 広場の内容につきましては、当駅を起終点とするもの、あるいは、現在駅前広場がないものですから、バスが駅前に入れないのですが、バスを収容するようなバスバースが六バース、それから、今図面に出ておりますが、真ん中にタクシーバース、それから一般車の停車スペース等を配置いたしまして、交通のいわゆる結節機能を持たせるほか、バリアフリーにも配慮するなど、地域と調和した内容にしてまいりたい。また、景観にも配慮してまいりたいと考えております。
 また、こういう整備によりまして、この駅周辺地域を初めといたします人々の交通の利便性の向上が図られるとともに、地域の発展に寄与するものというふうに考えております。

○小磯委員 最後に要望させていただいて終わりにしたいと思っております。
 南町田駅の交通広場から国道一六号を北側へ横断する放射動線の確保、そしてまた、広場から駅の南側のグランベリーモールへの歩行者動線の確保、こういったことに十分ご配慮をいただきたいと思っております。
 それから、この先の三・三・三六号線については、横浜町田立体との直接の接続を含めて整備の推進をしっかりと要望したいと思う次第であります。
 以上で終わります。

○清水委員 まず歌舞伎町のビル火災について、何人もやられていましたので、私からは何点かだけ伺いたいと思います。
 まず最初に、亡くなられた多くの方に心からお悔やみ申し上げます。
 それから、消防庁初め消火や救出に当たられた関係者の皆さん、本当にご苦労さまでした。
 私からはまず、きょう都から提案されました当面の対応の中の広告物条例の改正のことで一つ二つ伺いたいのですけれども、今回、改正した場合に、実情として、この条例に適合していない対象物というのは、調査をしていないからわからないと思うのですけれども、どのくらいあるというふうに予想されているでしょうか。

○森下建築指導部長 今回の広告条例の施行規則を改正いたしますものは、いわゆる広告幕についてのものでございます。広告幕といいますのは、一応許可期間が一カ月ということで、比較的短期間のものでございます。そういう幕でございますので、実態として今どのくらいあるかということは把握しておりませんけれども、そういうものを制度として許容しているということ自体がおかしいものですから、緊急に変えるということでございまして、まだ実態の状況については把握できていないということでございます。

○清水委員 そうすると、今回の緊急安全点検の中にはこの問題は入っていないということだと思うのですけれども、例えばこの場合は中に入って相手を確認して調査するというのではなくて、外から見ればわかることだと思うのですけれども、そういう点で今後、規則を改正し、これはてきぱきとやられたということで、大事なことだと思うのですけれども、国民は、大きな火災を目に見て、東京都がそういう改正をした。それが実態としてどうなっているだろうかということでは、行政の責任が問われると思うのですけれども、改正ももちろん重要なことなんですけれども、広告物の問題でも、安全という面で実態を把握し、そして目で見て、通っていてわかるものなどに対しては、行政指導ですか、行うべきだと思うのですけれども、どうお考えでしょうか。

○森下建築指導部長 屋外広告物についての許可とか指導につきましては、二十三区内では区が行っております。
 今回の火災を契機にしまして、幾つかの区におきましては、違反の広告の実態について調査し、対応策を考えようということで検討していると聞いております。都としてもそういった方向で、区においての対応をできるだけやっていただきたいと思っているところでございます。

○清水委員 後からも触れますけれども、体制という点もあるでしょうから、そう細かいものというのは難しいと思うのですが、常識的に見てもわかるようなものに対しては、改正を機に、行政指導という点では、今回の教訓を生かす点で東京都の対応を今後よろしくお願いしたいと思います。
 それから、建築基準法の緊急点検を行っているんですけれども、始まって最初ごろに、八王子市の担当者から、三日、四日の状況を伺ったんです。四日から四、五日やった状況を伺ったんですけれども、消防署と一緒にやっているということで、百十件ほどを対象にして、十月末まで、もっと早くやりたいというふうなこといわれていたんですけれども、まとめられたわけじゃないですけれども、その感想を聞いてみたんです。
 そうすると、今回の場合は事前に、訪問しますよというわけですよね。行きますよということでいうわけでしょう、相手側がいないといけないわけですから。それで伺っても、指摘をする部分は多いということですよね。つまり、テレビなんかで見ていますと、事前に来るから、急に片づけたりするんだなんていわれていましたけれども、それにしても指摘をする部分が多いと。つまり、一日、二日ではどかすことができないものもあるだろうし、直すこともできないものもあるかと思うのです。
 集まってくる調査報告を集めて検討するといわれたんですけれども、現在何件か市の方でやった調査でも指摘をする部分が多いということは、それを改善させなければいけないと思うのですけれども、指摘をする部分が確実にあるといった場合に、その後の対策はどのように--ないということはあり得ないと思うのです、現在四、五件、一市がやっただけでわかるわけですから。そういうものが集まってきたときにどうお考えですか。

○森下建築指導部長 対応としては、基本的には、区、市、特定行政庁が対応するわけでございますけれども、まず、避難通路の上に物が置いてあるというようなことについては、その場で改善を指示するということは当然でございます。
 それから、もう少しきちっとした改善をしなきゃいけないようなものにつきましては、改善すべき場所がどこであるとか、改善すべき措置の内容というものを、改善指示書というものに記載した上で、所有者または管理者に通知して改善するような指導をするわけでございます。そういったことでできるだけ改善をしていくと。
 さらにそれでもやっていない場合はどうするかとかということについては、実態に応じた、いわゆる違反建築の処理をするような仕組みを使いながら対応していかなければいけないものと思っております。

○清水委員 私が今聞いた話は歌舞伎町の話ではなくて、八王子市の駅前のビルの話で、そこでもそういうことがあるということは、新宿歌舞伎町というのは大変なことだと思うのですけれども、やはり多くの方が亡くなった教訓を最大生かすという点では、調査のまとめの後の指導というものを徹底して、ビルの管理者、業者、店舗の責任者などが、この際本当に防災意識という点で高められるような指導をぜひ進めていただきたいと思います。
 それから、建築基準法の見直しの問題では、防火規定の見直しなどについて国に対して要望するというふうに何回もいわれているんですけれども、例えば今回バーとかキャバレーとか飲食店などは、三階以上または五百平米ですね。今回は三階以上で、四百九十七・何平米だから三階以上ということで対象になるんでしょうけれども、三階以上で五百平米で、それでいいのか、十分なのかということでは、やはりこれも建築基準法がつくられた当時のままなのかなということでは、審議をして結果的にそれで十分ということならいいんですけれども、防火ということだけではなくて、じゃ二階はいいのか、四百九十九平米はいいのかとか、そういうことでは実態と、それから今建築材料のいろいろなものが出てきているという点では、そこら辺も十分に、この機会に検討して、基準の改正などにも手をつけていただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。

○森下建築指導部長 現在の基準は、風俗営業などの店舗が三階以上あるいは五百平米以上あるような場合ということでございますけれども、現状の問題としては、二階については避難階の直上階ということで、比較的安全性は守りやすいということで外れているわけでございますけれども、そんな実情を考えた上での規定にはなっていると思います。
 ただ、それで十分かどうかにつきましては、今回のいろいろな一斉点検の結果を見まして、その中でも一つの検討をしてみたいと思っております。

○清水委員 報告件数の、先ほど未報告の率などが報告されまして、飲食店などでは三五%とか、大変低い率になっているということは何人も触れられたんですけれども、これを本当にきめ細かにすべての建築物対象者に報告書を提出させていくとなると、都、区、市などの体制というのは、また広告物の行政指導などをやっていくための体制、今いわれたんですけれども、つまり民間も含めて、それは十分なのでしょうが、もし一〇〇%に近づけていくとしたら、職員数とか携わる人員的な部分は十分だとお思いですか。

○森下建築指導部長 確かに今の報告率を高めていくためには、例えば所有者等が移転しておればそれを調べて追跡調査するとか、実態としてその調査の内容が正しいかどうかというようなことの検討も指導していくとなりますと、大変な人手がかかります。
 現在は、行政がもちろんやっているわけでございますけれども、地域法人というのがございまして、法人に例えば通知の業務だとかそういったことについては一部委託しながらやっているというのが実情でございます。その体制については、より強化するためにはどうすべきかということについては、確かに現状のままでは足らないだろう、少し強化するような方策については検討しなければいけないと思っております。

○清水委員 都もそうだと思うんですけれども、市の方も、建築指導課の職員と建築課の職員と、建築確認の申請を三千何百件も年間やりながら、今回の緊急点検だということで、大変な中だけれども頑張ってやっているといわれていました。やはりそういう体制の問題もぜひ検討していただきたいと思いますし、それから、今八市が建築基準行政事務を移管されているわけですけれども、今後、市移管という問題が地方分権に基づいて行われていくと思うんですね。
 その際に、今回のこうした問題などによって、建築基準行政事務というのが非常に重要になってくるということでは、八市以上の市が、次の市が三十万以上でしたっけ--市が受けていくのかどうかということでは、毎年市長会からも、この建築基準行政事務の移管に伴って、財政支援の措置を拡充してほしいという要望が都市計画局に出されているんですけれども、部長さん、ご存じですか。それはどのように検討されてきたでしょうか。

○森下建築指導部長 建築基準行政は、やはり身近な自治体でやるべきだろうということで、当面は十五万以上の市について、できるだけ移管していこうということでございます。現在八市でございますけれども、それを引き続き私どもとしても進めていきたいと思っております。
 財政的支援でございますけれども、建築基準行政に要します所要額の一定割合を移管後五年間にわたって交付するという仕組みで今運用しております。それについて、さらなる支援をということで、市から要望いただいていることについては承知しております。
 ただ、いろいろな財政的支援につきましては、東京都の財政状況もございますので、従来行っております建築基準行政事務、市への移管要綱というのがございますけれども、そういった要綱に基づく支援について、引き続きやっていきたいという考え方でございます。

○清水委員 東京都市長会の予算要望には、この五年の補助対象期間を十年間に延長してほしいというのが、来年度予算に対しても出ています。その十年というのは、私も四年前にこれを取り上げたことがあるんですけれども、神奈川県では十年間全額補助という実態があるんだそうです。そういうものと比較して、市長会の移管を受けようと思われている市の方から強い要求が出ているということですので、今回、建築基準行政事務というのが大変重要であるということを、私たちも改めて認識させられたわけですけれども、この市長会の要望にもぜひ検討を深めていただきたいというふうに思います。
 この問題では、先ほど他の委員もいわれましたけれども、安全なまちづくりという点で、都市づくりの観点から、雑居ビル、それから繁華街ですか、この都市づくりビジョンの中には繁華街ということで載っているわけなんですけれども、このビルの火災が起きた問題に対して、これからこういう地域を、どのように安全なまちづくりをしていくのかということが、このビジョンの中では十分に方向性として含められているのかどうか。
 一年以上前からこれを検討されてきた中ですけれども、やはり今回、本当に予想しなかったこととして起こったことで、いろいろ二十年後の将来こうなる、羽田空港、環状道路ということがあるわけですけれども、今回一番身近な問題として、東京のまちがどういうまちなのかということで考えさせられた問題として、この都市づくりビジョンの中で、やはりこうした、地域で安全に過ごしていけるというのを、防火とか、建築基準とか、そういう観点でなくて、まちづくりの観点から考えていく必要があると思うんですけれども、その点ではいかがでしょうか。

○河島参事 都市づくりビジョンの中で、繁華街の安全確保という項目は八八ページにございまして、これは防犯ということで記載をしております。それから、震災等の災害対策という面では、九九ページに、消防活動対策の充実といったような、主に震災時の対応ということに重点を置いた記載がございます。
 ただ、今回の新宿におけるそういった日常的なメンテナンスの必要性ということが、都市の中でクローズアップされているわけでございますので、そういった視点からの都市づくりの受けとめ方をどうするかというのは、これは改めて検討する必要性があるのではないかというふうに考えております。

○清水委員 ぜひその点では検討を深めていただきたいというふうに思います。この問題では終わります。
 次に、都計審案件ですけれども、要望だけと思いましたけれども、これをいただいて、一つだけ質問がありますので伺います。
 横浜町田立体建設事業に関して、先ほどいただいた主要案件についている資料が今までなかったものですから、ちょっとお聞きしたいんですけれども、この中に、審査意見書と環境影響評価書案の修正内容というのがあるんですね。
 その大気汚染の二番目に、二酸化窒素及び浮遊粒子状物質の濃度を予測するに当たり、現況の道路である東名高速道路、国道一六号、国道二四六号などからの影響を参入して予測することというふうに、審査意見書には書いてあるんです。
 それに対して、環境影響評価書案の修正内容を見ますと、この二酸化窒素などについては、国道二四六号からの影響を考慮した濃度を試算する記述を追加するということで--東名高速道路、それから国道一六号などを含めた道路の影響を参入して予測しなさいというふうに審査意見書には書いてあったんですね。この環境影響評価書案では、これでは十分ではないのではないかなと思うんですけれども、今後、ここの違いをどういうふうに、整合性というか、修正していくのか、これでいいのか、ちょっと伺いたいんです。

○只腰施設計画部長 バックグラウンド濃度の問題なんですが、もともと二四六というのは、現道がございますので、現在の道路のわきで測定をしておりますので、もともとの測定の中に、二四六号からの影響がバックグラウンド濃度として実際入っているわけですね。そこのところが、評価書を審査するサイドとちょっと見解が違ったわけですが、今回、修正案の中で、参考として国道二四六号からの影響を合成した濃度として、それを試算した数値を記載したということでございます。

○清水委員 つまり、私が要望しようとしたことは、周辺の住民、工場なども多いようですけれども、この三つの道路の影響というのに対して、大変心配をする意見もあるというふうに伺っているんですね。遮音壁をするというようなことで対策をとられたわけですけれども、それはアセスに基づいて四メートルの遮音壁をするということですけれども、アセスというのが、こういう道路だけでいいのかということでは、それが四メートルの遮音壁で大気汚染を防げるのかとちょっと疑問が残ったものですから質問しましたけれども、ぜひその点で、引き続き検討していただきたいと思います。
 それからもう一つは、同じく要望なんですけれども、高架の道路をつくった場合に、現在の道路建設の指針というのは、五〇ミリの降雨に対する排水設備だと思うんです。八王子の場合、開通したばかりの陵南大橋というのがあるんですね。東京都建設局がつくった、短い高架なんですけれども。そこで、六月の雨季に大量に雨が降って、七五ミリ以上の雨だったために、排水できなくて、下に行って、住民の家の地下にずっと水が入り込んでいって、たまたま、死亡した原因はおぼれたわけじゃないんですけれども、お一人の方が亡くなったんです、テレビで報道されたんですけれども。結果は心臓麻痺だということで、道路構造に問題があったというふうにはなっていないわけで、今、建設事務所が排水設備の変更をしています。五〇ミリの雨の対応しかできていないわけですけれども、さっきも資料要求しました、一〇〇ミリとかというときに、今の道路構造の指針は五〇ミリだということで、この場合、同じ状況にはないと思いますが、アセスの中にはそうしたことが配慮されていないので、東京都の道路でそういうこともありましたので、実際には多くの家屋がその道路によって冠水するということがありましたので、ぜひ大気汚染の問題、それから排水の問題については、十分に検討して整備するように要望をいたします。
 もう一つ、別のことなんですけれども、最後に、一つは意見だけです。
 ナンバー4、板橋区の東京都市計画用途地域に関連する、要望です。
 環状八号線の交差箇所になっている相生町の交差点について、現在、建設局が事業を進めています。区と住民がこの交差点について強く要望しておりますので、都市計画としては、都市計画決定をしたよということで、建設局に行っているよということではあるんですけれども、今回、都市計画付議案件で出ておりますので、一言要望したいと思います。
 十年前に都市計画決定されて、中断されて、昨年あたりから進み始めている環状八号線の道路との交差箇所なんですけれども、買収もかなり進んでいて、整備が必要な道路であるということは、周辺の住民は認識しています。
 しかし、この区間は、既成の住宅地と武蔵野の自然林が残っている閑静な地域を貫通する計画で、周辺住民に対する環境汚染、健康被害への懸念が出されています。特に、計画道路と補助二〇一号線、首都高速五号線が交差する相生町交差点が、平面交差やオーバーパスとなった場合、大気汚染を初め沿道環境が、三つの幹線道路が交差する板橋区の大和町交差点の二の舞となるおそれがあると強い声が現在も出されています。
 そして、区長や区議会からも、交差点をアンダーパス、地下化で通すよう求める要請や意見書が出されています。建設局は、何回か住民との話し合いを行っているようですが、結論は、地盤が軟弱、どちらにしても環境への影響は差がない、そして工事費などということでオーバー型式にするということを伝えていますけれども、関係区や区議会、地域住民の納得は、いまだ得られていないものです。
 引き続き、都として住民との十分な協議を継続し、住民の要望に沿う形で進むよう、都市計画付議案件が審議されるこの機会に要望したいと思います。
 以上です。

○藤川委員長 ほかにご発言はございますか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○藤川委員長 ないようなので、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤川委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市計画局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時四十分散会

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