委員長 | 寺山 智雄君 |
副委員長 | 真鍋よしゆき君 |
副委員長 | かち佳代子君 |
理事 | 大西由紀子君 |
理事 | 吉田 信夫君 |
理事 | 森田 安孝君 |
中嶋 義雄君 | |
清水ひで子君 | |
吉野 利明君 | |
立石 晴康君 | |
内田 茂君 | |
田中 晃三君 | |
奥山 則男君 |
欠席委員 一名
出席説明員都市計画局 | 局長 | 山下 保博君 |
次長 | 石山 伸彦君 | |
技監 | 勝田 三良君 | |
理事 | 塩野 忠弘君 | |
総務部長 | 野田 一雄君 | |
総合計画部長 | 中島 守君 | |
開発企画担当部長 | 田中 亨君 | |
地域計画部長 | 小林 崇男君 | |
施設計画部長 | 杉浦 浩君 | |
航空政策担当部長 | 山内 一良君 | |
外かく環状道路担当部長 | 成田 隆一君 | |
開発計画部長 | 只腰 憲久君 | |
防災都市づくり推進担当部長 | 福島 七郎君 | |
建築指導部長 | 森下 尚治君 | |
参事 | 河島 均君 |
本日の会議に付した事件
都市計画局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成十三年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 都市計画局所管分
・第十三号議案 平成十三年度東京都都市開発資金会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第六十四号議案 東京都都市計画局関係手数料条例の一部を改正する条例
・第六十五号議案 東京都景観条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・東京ベイエリア21について
○寺山委員長 ただいまから都市・環境委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市計画局関係の平成十三年度予算の調査及び付託議案の審査並びに報告事項に対する質疑を行います。
これより都市計画局関係に入ります。
予算の調査及び付託議案の審査並びに報告事項に対する質疑を行います。
第一号議案、平成十三年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、都市計画局所管分及び第十三号議案、第六十四号議案、第六十五号議案並びに報告事項、東京ベイエリア21についてを一括して議題といたします。
本案及び報告事項につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○野田総務部長 二月十六日の当委員会で要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
お手元に配布しております都市・環境委員会資料をごらんください。
まず、目次の次の一ページをお開き願います。利根川・荒川水源地域対策基金の実績でございます。各ダムごとに平成二年度から十年間の実績について記載しております。
二ページをお開きください。外環道の都市計画決定からの主な経緯でございます。昭和四十一年から時系列に経緯を記載しております。
三ページをごらんください。市町村土木補助事業の推移を記載しております。公園事業、道路事業、下水道事業ごとに十年間の補助金の額を記載しております。
四ページをお開きください。ボトルネック踏切の箇所数でございます。ボトルネック踏切の箇所数と、このうち幹線道路の整備に関連して重点的に解消すべき踏切の箇所数を記載しております。
五ページをごらんください。都内におけるエレベーター・エスカレーターの未設置駅数でございます。鉄道事業者ごとに設置済みの駅の数と未設置の駅の数を記載しております。
大変雑駁ではございますが、以上で要求のございました資料の説明とさせていただきます。どうぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○寺山委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、本案及び報告事項に対する質疑を行います。
発言を願います。
○立石委員 三月十五日の日経新聞、また、次の朝日新聞にも、日本橋の景観戻るか、首都高の地下化検討、国土交通省委員会設置へ、ということで、首都高速地下化で都心再生、国・都・公団で検討委、周辺再開発にも弾み、日本橋の景観を取り戻せ、こういう趣旨の記事が掲載されておりましたけれども、石原知事の所信表明の中にも、国際競争力、そして国際都市としての東京の地位、しかも東京を訪れる人と東京から世界に観光に出かける人の人数の落差を挙げて、何としても首都東京の品格ある顔をつくっていかなければならないという過日の所信表明にもありましたとおり、そういう意味でも、この記事を見て大変うれしく思ったわけであります。と同時に、あの地域には既に名橋「日本橋」保存会という会がございまして、大変長く、それこそ日本橋がかかって二〇〇三年には、一六〇三年に日本橋ができたわけでありますから、ちょうど四百年祭というような時代の顔ということで、東京の顔という立場から、名橋「日本橋」保存会というのが民間人を中心に大変精力的に運動を進めておりました。しかるに、この名橋保存会を母体として、日本橋ルネッサンス百年委員会というのを数年前に立ち上げて、これもほとんど民間人中心に、何としても東京の顔を保存といいますか、発展させていくために、よりよい将来構想を民間の立場から、民間が牛耳をとるというと語弊がありますけれども、民間の立場からいろいろシミュレーションしていこう、こういうことを長いこといってきました。そしてくしくもこの記事を見て、今、私も大変喜んだわけでありますが、そこで、首都高速について幾つかご質問をしたいと思います。
特に我々が驚きましたことは、六年前になりますか、阪神・淡路の大震災で、阪神高速が倒壊をした画像を一番先に見たときには、高速道路が倒壊したのかということで、ちょっと信じられない光景でした。高速道路は壊れないものだ、耐用年数と構造的に、工学的に倒れないものだという、いわば神話的に信じていたわけでありますが、あのテレビから送られる画像を見て、本当に自分が信じられなかったことを今思い出します。いろいろ原因はあったんでしょうけれども、あれと比較して、首都高速の耐用年数とか構造基準、どのように、ああいう大きな教訓を得て、土木工学的に基準を改定していったか。その辺からまず質問させていただきたいと思います。
○杉浦施設計画部長 まず首都高速道路、とりわけお尋ねの都心環状線でございますが、オリンピック当時と申しますか、昭和三十七年から四十二年までに建設されておりますので、三十四年から三十九年間経過しているわけでございます。一般にこのような高架橋について、明確に耐用年数を特定する根拠というのはございませんが、一つの目安といたしまして、昭和四十年に定められました減価償却資産の耐用年数に関する大蔵省令では、構造物の耐用年数を金属づくりのものを四十五年、鉄筋コンクリートづくりの橋では六十年といたしているところでございます。
しかし、首都高速道路公団では、これらの固定資産上の想定した耐用年数をさらに上回る使用に耐えるべく定期的な補修等を実施するなど維持管理に努め、耐用年数の延命を図っているところでございますが、一方、これらの地震に対する耐力という観点から申しますと、都心環状線が設計されました昭和三十年代は、昭和二十七年に生じました十勝沖地震を踏まえましてできました鋼道路橋設計示方書に基づき耐震設計をされているわけでございまして、その後、例えば三十九年の新潟地震、五十三年の宮城県沖地震、五十八年の日本海中部地震をもとに、それぞれ得られた知見をもとに、昭和四十六年、昭和五十五年、平成二年にこれらの基準が改定されてございます。
そして、今お話のございました平成七年の阪神・淡路大震災での極めて大きな被害を教訓といたしまして、平成八年には設計に用います地震力を大幅にふやすとともに、抵抗力を増強するために、例えば鉄筋コンクリートの中に入れる帯鉄筋の間隔を狭めることや、落橋防止装置の強度の強化、あるいは落橋防止を二重にも三重にも行うというようなことによりまして、耐震基準については大幅な改善がなされているところでございます。
○立石委員 耐用年数が四十五年ないし六十年、金属というのは鉄骨というふうに思いますが、また、鉄筋コンクリート造が六十年ですか、ということで、日本橋の橋の上を通る高速道路はかなり早い、一番最初でしたかね、できたと思いますので、耐用年数も、昭和三十八年ですか、そうすると四十年近くなっているわけですね。金属だとすると四十五年だから、あと五年で、というわけではもちろんないでしょうけれども、阪神・淡路級の地震があった場合には、非常に補強されたとはいえ、劣化していく意味からも大変な、難しいというか、耐用年数がぼちぼち来たと、平たくいえば耐用年数が来たのではないか。もちろん補強しているから延命はするだろうけれども、しかし、二十一世紀の高速道路が、また同じような仕組みであれを補強してかけ直すというようなことであっては、まさにナンセンスということになるんでしょうけれども、そういう意味においても、国土交通省が、新聞によると、あり方検討委員会ですか、そういうものをつくって研究されるということは本当にうれしいわけでございます。
そういう意味におきまして、橋のかけかえであれば、かなり橋台敷を残しておいて橋をかけかえるということは一般的に行われていたわけでありますけれども、鉄とコンクリートが劣化して耐用年数が来た場合のかけかえということは、延命を図ったとしてもいつかは、永久のものはないわけですから、非常に難しいかけかえの時期が来る。地下化すれば一番いいわけですけれども、世界にもいろんな例があるかと思いますが、どこか例があったら教えていただきたいと思います。
○杉浦施設計画部長 海外の事例で著名なものといたしましては、アメリカのボストンにおける通称ビッグディック、大掘削と呼ばれるプロジェクトがございます。この事業は、ボストン市内に建設されましたセントラルアーテリーと呼ばれる国道九三号を、慢性化する渋滞の改善、あるいは環境の改善を目的に、六車線の高架式自動車専用道路を八車線から十車線にふやしまして、さらにそれを地下に沈めるというものでございまして、また、このプロジェクトは、新たに高速道路をローガン国際空港まで延長する海底トンネルの建設とあわせて実施しているところでございます。セントラルアーテリーの既存の高架道路を除去しました地表部の大部分は、公園等のオープンスペースとするとともに、片側三車線の街路を建設する予定であると聞いてございます。この事業は、一九九一年に着工され、二〇〇四年に完成する予定だと聞いてございます。
○立石委員 ボストンにその例があるということで、ご承知のとおりボストンは、一番アメリカでは古い町で、歴史的な建造物もたくさんあるところですけれども、これらと耐用年数の来た万年渋滞のローガン空港からボストンの市心に至るところという大工事をやっているわけですけれども、これから耐用年数を迎えようとする東京の首都高にとっても非常に参考になるいい例ではないかなと思うのですが、さすがにアメリカは今、地下化をして平面を公園にするという部長の話でございました。これらもぜひ、都市計画局の皆さんは、それこそ首都の顔としての東京の首都高速のあり方として、ぜひ機会を見て見学をしてきてほしいなというような気がいたします。二〇〇四年ですから、もう間もなく完成することだろうと思いますが。
東京の高速道路、首都高都心環状線が、当時、けちをつけるという意味では決してなくて、あの時代にはそれが必要だったのだろうと思いますが、ああいう名橋だとか人々の心を和ませる河川の上につくったといういきさつ、景観論争が、当時どんな論争があったんであろうかと、我々わからなかったんでありますけれども、ありましたら、ひとつ教えてほしいんです。
○杉浦施設計画部長 都心環状線をつくった当時の景観論争というのは、十分に把握してございませんが、当時を振り返りますと、都心環状線が建設されました昭和三十年代というのは、モータリゼーションの著しい進展、あるいは東京オリンピックを控えているということで、慢性的な交通渋滞を早急に解消しなければならない状況にあったわけでございます。そのため、首都高速道路の整備を、限られました財政力の中、あるいは短期間で完成する必要があり、そのため民有地をできるだけ避けて、街路や河川などの公共用地を活用するという計画上の思想があったやに聞いてございます。その結果、現在のルートが選定されたものと理解してございます。
○立石委員 あの時代には、そういう意味で、東京オリンピックを迎えるという中で、経済的にも高度経済成長に入る東京復興の時代だったのでやむを得ないことだったんだろうと思いますけれども、これからはそういう意味では、それこそ日本橋は四百年に近い歴史を持つわけでありますし、今の石橋が明治四十三年の四月三日の架橋というふうに聞いておりますが、橋の下から見るという機会はありませんけれども、橋の下というのは川の水面からですね、自分も機会があって時々見ますけれども、大変見事な名橋であるなということを皆さんにもぜひ知ってほしいし、都民の皆さんにとっては日本の誇るべき景観の一つであるというふうに私は思いますし、ぜひ、どなたが出るかわかりませんが、今のあり方委員会でそこら辺も、よく東京のことを知っておられる都市計画局の皆さんが、いろいろとお話ししていただきたいな、そんなふうに思います。
そこで、東京都心における首都高速道路のあり方委員会では、具体的にどのようなテーマを考えておられるのでしょうか、わかりましたら、ちょっと教えてください。
○杉浦施設計画部長 お尋ねのあり方委員会は、国及び私ども東京都、それから首都高速道路公団で設置するものでございますが、まずマクロな形としては、都心の将来像、それから都心をめぐる首都高の改築並びに更新の将来計画を踏まえました都心と首都高速道路の関係の将来ビジョン、それから将来ビジョンに向かっての実現方策、そういったものがテーマになると予定してございます。非常に抽象的ですが、必要に応じましてケーススタディーを織りまぜて具体的な検討をしていきたいと考えているところでございます。とりわけ日本橋地区におきましては、その地区のあり方につきましては、ケーススタディーを実施して、その中で具体的な検討もしていくことといたしております。
○立石委員 日本橋地区を対象にケーススタディーをしていくとか、都心環状の建設当時の状況と今の状況は全く違うし、土木工学技術的にもかなりの技術の違いは、もちろん当然あるわけでありますし、大深度法による方法もあるだろうし、ディーゼル車における排出ガスの大気汚染の問題においてもいろいろな工夫ができるのではないかと当然考えられることだと思いますので、ひとつそこら辺もよろしくお願いしたいと思います。
お尋ねしたいことは、ODAなどによる大変大きな、巨額なお金を使って、世界の各国が立派に復興されまして、そこを日本人の大変多くの方が観光に出かけられる。しかし、我が東京は、すばらしい名所旧跡、東京の顔になるものも、景観の素材としてはたくさんあるにもかかわらず、それが少し経済優先で忘れられてきた趣がある。そういう意味でも、もちろん朝のテレビなどを見ておりますと、東京の顔としてテレビにあらわれてくるのは、近代的な超高層群がよくあらわれてきますけれども、やはり我々は、時代を経た立派な東京の顔は幾らでもあるわけですから、知事がいうように、改めて東京の顔を取り戻すような計画を、二十一世紀の初頭に持ってほしいものだなと。そして観光都市ということではなくて、都市観光と呼べるようなまちをつくってほしい。都市観光は、住む人にとって当然快適でなければ、そこで働く人々にとっても快適ではないし、同時に、快適でないところを世界じゅうの人たちがビジターとして訪ねるということはないわけですから、都市計画局長にお尋ねしますが、非常にすばらしい東京の顔として再生させるために、都市計画局長の考え方とか所見をお伺いして質問を終わりたいと思います。
○山下都市計画局長 国際的な都市間競争が非常に激しくなっている今日でございます。人や企業が都市を選ぶ時代、こういう時代になってきておりまして、東京は世界の中枢に位置する都市としてその魅力を高めていく必要があります。残念ながらこの間、非常に東京が国際的な競争におくれをとっているのではないかというようなことがございますが、いろいろ原因はございますけれども、その一つとして、やはり日本の都市らしさを醸成していくということに多少配慮が欠けていたのではないかというようなことも我々、反省すべき点ではなかろうかと思います。都心におきましては、首都の顔にふさわしい潤いと風格のある拠点として再生していくことが重要だということは、先生のご指摘のとおりでございまして、都市そのものが観光資源になるという都市観光、こういうものが叫ばれているときにおきまして、そうした潤いのあるまちづくりというものが非常に重要であるというふうに考えております。
ご指摘の都心環状線の検討でございますが、これは、首都圏の三環状道路、こうしたものが整備されますと、都心に集まっている交通量が非常に削減されてまいります。さらに、ご指摘のとおり、都心の高速道路はやがて施設の更新時期を迎えるものでございます。こうしたことをとらえまして、石原知事も都心再生推進懇談会、第一回目の懇談会の場で、首都高速道路の地下化によって日本橋の再生をしてはどうかということを提案しておりました。扇大臣になりまして、そのときの提案が図面になっているのを見つけて、これは何だということで、東京都に説明に来いというようなこともございまして、私ども、実は戦々恐々として、というのは、道路局がつくった道路を地下化するとか壊すとかということについては、まだまだ拒否反応のある時期でございますが、そうした中で、こういうことを地方、東京から声を上げてくれることは大変いいことだというようなことで、扇大臣の方も非常に熱心にこのことについて進めていきたいというようなことがあるように聞いております。私どもに内々相談がございまして、検討会をつくりたいというようなことでございました。私ども、喜んでこれに参加していきたいというふうに思っております。
こうしたことで、日本橋を初めといたしまして、多様な、いろいろな歴史的、文化的な資産、こういうようなものを生かして魅力的な東京の顔づくりを進めていきたいというふうに考えております。今後、国、あるいは首都高速道路公団と十分協議をしながら、こうしたことに積極的に取り組んでまいります。
○かち委員 提出されている議案で、第六十四号議案、東京都都市計画局関係手数料条例の一部を改正する条例に関連して、二件に関連してお聞きします。
この中で、建築基準法が昨年の五月に改正されたんですが、特例容積率適用区域制度及び建ぺい率に関する特例の許可制度、長い名前なんですけれども、こういう制度が今度創設されることになり、ことしの五月から施行されるやに聞いておりますけれども、まず、この制度の目的と仕組みについて説明してください。
○小林地域計画部長 特例容積率適用区域制度でございますけれども、商業地域内で適正な配置及び規模の道路、下水道等の公共施設を備え、高度利用を図る必要性が高いと認められる区域を都市計画で定めまして、当該区域を全体としてとらえて、未利用の容積率の有効活用を図るということを目的としております。制度の仕組みといたしましては、都市計画で特例容積率適用区域を定め、その区域内において特定行政庁が利害関係者の同意を得てなされた申請に基づきまして、二つ以上の特例敷地それぞれに共用される床面積の合計を超えない範囲で容積を再配分いたしまして、特例敷地の土地が適正かつ合理的な利用形態となるように容積率を指定するものでございます。
○かち委員 確認しますけれども、こういう指定する地域というのは、東京都があらかじめ、この地域は高度利用をすべき地域であるというふうに東京都が率先して指定するものではなくて、一応そういう未利用地のある、容積率をあかしている分があって、もう一方の方で、もうちょっと高度なものを建てたい、しかし、面積が少ないので建てられない、そういう民間同士が利害関係、そこでは売買もあるんでしょうけれども、両者が、こういうふうに使いたいという要請があったときに東京都がそれを、都市計画審議会を通して指定をするというものですか、それともあらかじめ東京都が、ここは高度利用すべきだということで、東京都がみずから指定するものなんですか。
○小林地域計画部長 特例容積率適用区域制度でございますけれども、商業地域の中で、特に高度利用を図る必要がある区域について指定をするということで、個人間の空地があって、あるいは未利用の工場跡地なんかがあって、そういったところを再開発地区計画なんかで開発をするといった趣旨のことではなくて、都心などにおきまして、例えば文化財の保護を図るために、なかなか高度利用が図れないといったところについて、その地域全体として高度利用を図る必要があるというふうに東京都が最終的に判断した、そういったところについて指定をしているという考えでございます。
○かち委員 文化財というのが例に出されましたけれども、文化財だけではなくて、民間の所有者が低層のものを持っていてということは、対象にはならないんですか、公共的な、歴史的に保存するような特定なものを対象にしているんだというふうに解釈をしていいんですか。
○小林地域計画部長 歴史的な建造物につきましては、一つの事例として申し上げましたけれども、区域全体として高度利用を図る、そういった区域があった場合に、例えば商業地域の中で特に高容積率が指定されているような、そういった地域でございますけれども、その中で、民間の土地であっても、例えばそれを保存すべきそういった歴史的な建造物があったり、あるいは地域の中でなじんでいるような、そういった建物があったり、なかなかそこの部分で高度利用を図ることが地域の環境としてふさわしくない、そういった場合がある場合には、そこの部分の容積率を他の部分で使うことによって地域全体の土地利用の高度化を図っていく、こういう趣旨でございます。
○かち委員 しつこく聞いて申しわけないんですけれども、そうすると、民間同士がお互いに交換し合ってというか、この未利用地分をこちらの方に持ってきてやりたいと、両者の利害が成立したときに東京都に申請をして、東京都がそれを審査してオーケーを出すのではなくて、東京都自身が、そこは高度利用を図るべきだというふうに判断をして、あらかじめ最初に指定をしていくということになるんですか。
○小林地域計画部長 区域の指定自体は、商業地域の中の都市計画の一つとして指定をいたします。ですから、これは東京都が案をつくって公告縦覧をして、都市計画の審議会を経て、それから決定をする。その定められた区域の中で、例えば二つの敷地があるとしますと、歴史的な建造物の保存を図るべきというような敷地については、なかなか高度利用が図れないものですから、その土地の容積率を他の敷地に移していく、それは、例えば特定行政庁、先ほども申し上げましたけれども、それぞれの計画を見て、特定行政庁が判断をして指定をしている、こういうことになるわけでございます。
○かち委員 東京都が最初から指定していくものではないような、今伺ったんですけれども、でも、全然開発の予定のないところにそういう話というのは生まれてこないと思うのですね。あらかじめ再開発を進めようとするプロジェクトがあって、うまく交換し合えるとか売買するというようなことが成立した後にそういうものが進んでいくんだろうなというふうに思うんですね。こういうことができるとなると、しかも、今度は、隣接をしてなくてもいいですね、離れていてもいいし、しかも、一方から一方へだけではなくて、一方から三つ、四つと、分散して分けてもいい、こういうふうになりますと、土地の売買だけではなくて、空域のような、上の部分の、空間の売買のようなこともはんらんする可能性もあるのではないかなというふうに思われるわけです。
これからまちづくりをしていく上で、一方では町並みをそろえて景観をきれいにしていこう、そういう都民的な、住民的な要望も強いわけですけれども、そういう地域条例だとか、地域協定だとか、地区計画だとか、そういうものとの関係では、法律そのものはどういう関係になるんでしょうか。
○小林地域計画部長 特例容積率適用区域といいますのは、商業地域の一つの種類だというふうに考えていただければ結構だと思うんですが、その中で、例えば良好な町並みを保全していくだとか、そういった場合には、あわせて町並み誘導型の地区計画をかけるなどして町並みを誘導していくということが必要であるというふうに考えております。
○かち委員 そのエリアそのものが商業地域で、高度利用する地域であるということになれば、それはいいと思いますけれども、その対面する地域だとか、隣接する地域との関係ではどうなるのか、そういう点では今もいろいろと紛争が出ている問題が、さらに激しくなるのではないかなと。今までもこういうことがありまして、隣接する地域だとか同じ敷地内であれば、使わない歴史的な建造物があったら、その分を後ろ側にくっつけるとか、そういうことはあったと思いますけれども、今度は全くかけ離れたところにそういうことができるということになってしまうと、知らない間にとんでもない高い建物がぼんぼんとできてくる可能性もあるわけで、そういう点では、まちづくりとの関係では非常に問題を起こすのではないかなというふうに懸念をいたします。
これは、超過密の大都市構造に直結する重大な規制緩和だと思います。大企業などの開発側にはますます有利に働く制度ではないでしょうか。今日、良好な住環境や町並み景観への配慮などへの住民意識が高まっていますけれども、それに逆行するものだと思います。そういう意味で、内容的には到底賛同しかねるものではありますが、法律が決まって、今回は施行に伴う手数料の設定ということですので、必要な事務手数料の徴収は当然であるという立場で発言させていただきました。
もう一つは、解体工事業者の登録制度についてです。解体事業者の登録制度が新設されるというふうになるわけですけれども、その理由をお伺いします。
○森下建築指導部長 解体工事業者の登録制度でございますけれども、これは、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律、いわゆる建設リサイクル法というものでございますけれども、これに基づいて登録する制度でございます。この制度につきましては、本年五月より法律が施行されるということでございます。この制度は、解体業者の登録であるとか、解体工事現場への技術管理者の配置等を義務づけることによりまして、適正な解体工事の実施の確保を図ることを目的としているものでございます。
○かち委員 私も、地域でたびたび相談を受けたりするんですけれども、五百万円以下の契約で、民間の住宅の建てかえだとか建て売りなんかの場合で、解体をしてつくるというような場合に、いろんなディベロッパーがかかわったり、解体業者の下請の下請みたいな形でやってまして、近隣に騒音、振動、いろんな問題が起きたときに、その解体業者の責任者がだれなのかというのがつかめないような状況になるんですね。いろいろトラブルをしているうちに、その業者がいつの間にかいなくなってしまったとか、そんなことを経験したわけですけれども、こういう状況を回避することにつながるのか、また、今、建設廃材のリサイクルというのが非常に緊急の課題になっておりますけれども、こういうことに連動してスムーズに建設廃材がリサイクルされていく方向につながれば非常にいいことだなというふうには思っております。
そこで、登録手数料が新規では三万三千円、更新では二万六千円というふうに設定されておりますけれども、この根拠はどういうふうに考えられたのか、また、登録の更新期間というのは何年なんでしょうか。
○森下建築指導部長 登録申請手数料などにつきましては、審査に要する作業時間に対応する人件費に物件費などを加えて算出してございます。更新の場合には、時間が減少するために手数料は若干低くなっているというものでございます。更新期間は五年でございます
○かち委員 登録の対象になる予定者数というのは大体どのぐらいを見込んでいるんですか。
○森下建築指導部長 一都三県の解体工事業者数から推計いたしまして千件を見込んでございます。
○かち委員 一都三県というふうにおっしゃいましたけれども、多分東京都と隣接する県かなというふうに思いますけれども、その解体業者さんは、東京都は東京都だけで仕事をするというわけではなくて、近県から東京に仕事に来たり、東京から近県に行ったりというようなこともあるだろうと思うのですが、そういう場合には、登録というのは、自分の所在する自治体に登録すればいいということになるのでしょうか。
○森下建築指導部長 解体工事を行いますそれぞれの都道府県ごとに業者として登録するということでございます。
○かち委員 そうすると、区域をまたがって仕事をする方は、東京都にも登録をし、神奈川なら神奈川にも登録するということで、結構負担はかかるわけですね。こういう解体業を営む方々は、大きな業者というよりも、結構零細な業者もいらっしゃると思うので、そういうところへ負担がいくということでは、ちょっと考慮が必要ではないかなというふうに思います。
再度確認しますけれども、この制度ができることによって、一体何が変わるのか、この点はどうでしょう。
○森下建築指導部長 従来は、小規模な解体工事業につきましては、建設業許可のない業者でありましても工事を請け負うことは可能でございました。今後は、建設業許可を受けていない業者で解体工事を請け負う者はすべて登録の対象となります。これによりまして、解体業者の資質の向上であるとか、技術力の確保が図られまして、また発注者の保護とか不法投棄等の不適正処理の防止にもなっていくと思っております。
○かち委員 産業廃棄物の中でも最も多くを占める建設廃材を少しでも減らすという意味で、建設資材リサイクル法は功を奏するものだと思います。また、解体業から産廃処理まで混然としているんですね。産廃をやりながら解体もやっている、そういう人もいらっしゃいます。近隣トラブルや不法投棄などが繰り返し行われている問題解決への漸進策とはなり得ると思います。しかしながら、不法投棄がこれで根絶するというふうにはなかなかつながりかねる、そういうものは根絶には至らないだろうと思うんです。建設請負契約において、日本特有の元請から孫請へという、こういう重層の下請制度そのものが今のいろいろな問題の元祖になっているようにも思います。そういう意味では、そこにもメスを入れていかなければ、本来の不正投棄やトラブルを解決していくことにはなり得ないのではないかなと思いますけれども、それはそれとして、今回のリサイクル法、そして登録制度というのは、一定の漸進策があるというふうに考えます。
以上、質問を終わります。
○大西委員 建築紛争について伺います。
まず最初に、最近の建築紛争の件数とその原因をお願いいたします。
○森下建築指導部長 平成十一年度に東京都で取り扱いました建築紛争の件数は百十一件でございまして、そのうちあっせんを行っているのは四十一件でございます。
紛争の原因としましては、依然として日照阻害であるとかプライバシーの侵害等が多数を占めてございますけれども、最近は、近隣住民が町並みとの調和や景観保護を求めるケースというものもふえてまいっております。
○大西委員 建築紛争に関する請願陳情の数と理由もお願いします。
○森下建築指導部長 第十五期都議会におきます建築紛争に関する請願陳情につきましては、請願三十件、陳情二十三件、合計五十三件でございます。
その理由につきましては、計画建物によります日照阻害など、近隣への生活環境の影響の是正を求めるもの、町並みとの調和を求めるものなどが多くなってございます。
○大西委員 紛争のないまちづくりをどのように進めていくのかということで、いつも尋ねているんですけど、再度、それについてお答えいただけますか。
○森下建築指導部長 建築紛争を防止して良好なまちづくりを進めるためには、建築主も近隣住民の方々も、お互いに相手の立場を尊重し、十分な話し合いにより問題の解決を図ることが重要であると考えております。また、あらかじめ地区計画や建築協定などの手法によりまして、地域におけるまちづくりのルール化を図っていくことも重要であると考えております。
○大西委員 建築紛争をこのところ取り上げているんですけれども、過去の議事録を見てみますと、建築紛争の解決に当たりということで、最後のところに必ず出てくるフレーズが、都としましてもよりよい地域づくりという観点から、今後とも紛争の未然防止に努めますとともに、区市町村が主体となって進めますまちづくりを主にしてまいりたいと思いますと、毎回、判で押したように答えていらっしゃるんですが、具体的にその観点で何をやり、そして、その効果があったのはどこであるかという具体的な事例とともに教えていただければと思います。
○森下建築指導部長 建築紛争を未然に防止するためには、地区計画であるとか建築協定などが有効な方法であるということは、そう思っております。現実に地区計画では、建築物の高さを制限している事例なども相当数ございまして、そのような取り組みというものは建築紛争の未然防止には役立っているものと考えております。
○大西委員 具体的な例としてありますか。相当数あるので述べられない……。
○森下建築指導部長 もともと高さの制限をするということは、地域の皆さん方が、良好な市街地を確保していこうということでつくられているものでございます。そういうものがある結果として紛争というようなものが少ないと思いますので、具体的にどう役立っているかということは、紛争が起きてないということで、そういった点では効果があるんじゃないかということでございます。
○大西委員 とにかく建築紛争には地区計画、建築協定というものが一番よい有効な手法というところだと思うんです。では、地区計画の取り組み状況を教えていただけますか。
○小林地域計画部長 地区計画の取り組み状況でございますけれども、平成十二年十二月末現在の実績で申し上げますと、東京都全体で決定されている地区計画等の地区数及び面積は合計で四百八地区、約九千ヘクタールでございます。これも市街化区域の面積に対する割合で申し上げますと約八・三%でございます。
○大西委員 八・三%、この取り組みは多いんでしょうか、それとも何年間の取り組みの結果で、これは多いと受けとめるべきなのか、少ないのか、その辺教えていただけますか。
○小林地域計画部長 地区計画の制度ができましたのが昭和五十六年でございますので、おおむね二十年弱、この間に市街化区域の中の面積の約八・三%が地区計画が定められたということでございますので、多いというか少ないというかということでございますけれども、かなり区市町村にはいろいろご努力をいただきまして、新しく開発する地域の中でも必ず地区計画を定めていただく、あるいは良好な町並みを形成するといった意味でもかなり積極的に地区計画を定めていただいているというふうに思っています。
○大西委員 地区計画の増加によって建築紛争は、やっぱり減っているんでしょうか。
それともう一つ、建築紛争の起きやすい地区はどのようなところと把握していらっしゃるんでしょうか。
○小林地域計画部長 先ほども建築指導部長からご答弁申し上げましたとおり、地区計画と建築紛争の相関関係というものを実証するデータというのを私ども持ち合わせておりません。しかしながら、地区計画を作成するに当たって、地域住民の合意形成を図りながら地域のまちづくりのルールとして地区計画を定めるものでございますので、そういった地区計画のルールに従って建築物がそれ以降、建築をされるということでございますので、建築紛争の未然防止といった意味では一定の効果があるというふうに考えております。
○大西委員 建築紛争の起きやすい地区は、どのようなところと把握していらっしゃるんでしょうか。
○森下建築指導部長 建築紛争の場合、一般的には大規模な中高層のマンション等によって起きてまいりますので、用途地域上でいいますと、現実には住居地域とか近隣商業地域というようなところで、後背地に住居専用地域などを抱えているような地域が多いものと思っております。
○大西委員 そのような建築紛争の起きやすいところに地区計画が重点的に計画決定されているといえるんでしょうか。
○小林地域計画部長 地区計画は、必ずしも建築紛争を防ぐために地区計画を定めるということではございませんで、その地域のまちづくりのありよう、あるいは区市町村のマスタープラン等において、地域の地域像、そういった目標を達成するために一つの手法として地区計画を定めるということでございまして、結果として紛争の未然防止にも役立っているということでございます。
それから、実数として把握してございませんけれども、先生もよくご案内のとおり、国立の地区計画につきましても、建築紛争を契機として一つの地区計画が定められたといったこともございますので、そういったところに必ずしも多いか少ないかというデータは持っておりませんけれども、建築紛争を契機として地区計画を定められた、そういったものもかなりあるというふうに考えております。
○大西委員 国立の場合もそうなんですけど、地区計画で高さ、容積、用途など、建築紛争の起きやすい事項の規制を強めた例はどれくらいあるんでしょうか。
○小林地域計画部長 先ほど地区計画全体で四百八地区定められているというお答えを申し上げておりますけれども、特に形態制限でございますけれども、建物の高さ、あるいは壁面の位置の制限でございますが、高さ制限については二百五十七地区において定められております。全体に対する割合としましては六三%でございます。それから壁面の位置の制限、これにつきましては三百二十五地区でございまして、全地区数の約八〇%について定められております。
○大西委員 最近では景観保全を目的に建築規制を行うべきだという主張が強くなっております。また、事実上、景観保全のために地区計画を決めた例もあるようですが、この点をどのように把握していらっしゃいますでしょうか。
○小林地域計画部長 先ほどの建築紛争の発生の原因といいますのが、日照ですとかそういうものから、景観ですとか町並みだとか、地域の問題としていろいろと建築紛争が発生をしているというような状況にあるようでございます。そういったことから、地域の問題としてそれぞれの地域のありようを、地域の皆さんがいろいろ検討することによって地区計画といったものも定められたのが、実数としては把握しておりませんけれども、かなりあるものというふうに考えています。
○大西委員 保護、景観の保全は、今後、都市の建築規制の重要な根拠となっていく必要がある。そういう中では認識していらっしゃるのかなと思うんですけれども、そのように受け取ってよろしいですか。
○小林地域計画部長 景観につきましては、私、景観条例を所管しておりますけれども、重要なものというふうに考えております。ただ、先生がおっしゃっているような、例えば環境権ですとか景観権ですとか、そういったものについては、現在のところまだ立法化をされてないという状況でございますので、私どもとしましては、平成九年に東京都の景観条例を策定いたしまして、そういった中で事業者の方にいろいろと、一定規模以上の建物を建てる場合については届け出をいただきまして、景観誘導を行っているということでございます。
○大西委員 今のお答えの中で、景観も一応重要なものと考えているということですが、法整備が整ってないというふうにお話がありました。そこでなんですけれども、もし重要であるということであれば、都の景観条例や区市町村の景観条例などで重点地区として計画がつくられた場合には、やはりそれを根拠とした規制が可能なように、法制度の検討もここでそろそろ行わなければいけないんじゃないかと思うんですけど、その辺はどうでしょう。
○小林地域計画部長 確かに景観条例の中で、ある市では重点地域というのを定めておりまして、確かに建築基準法も改正されましたし、都市計画法も改正されました。それから建築基準法の改正の中で大きいのは、例えば民間でも建築確認、検査業務ができるといった状況の中で、これからは建築規制といったものを、例えば根拠ですとか基準ですとか手続といったものを明確にした上で、やはり建築規制を図っていく必要がございます。ですから、例えば区市町村のマスタープラン等におきまして、どういうまちにするのかという目標を定めて、その根拠に基づいたまちづくりのルール、これを、例えば地区計画みたいなもので、高さ制限ですとか壁面の位置の制限といった基準を定めて、それを手続として、例えば地区計画のルールを建築基準法に基づく建築条例として定めることによりまして、建築の確認制度にのせていく、こういった都市計画制度と、それから建築基準制度を一体的に運用していくということが必要だというふうに考えております。
○大西委員 ぜひ、いろいろ難しい法と、それから国と都と、それから市区町村と取り組みというところで、足並みがそろわないところ、いろいろ問題がある、その中でいろいろな建築紛争が起こっているのが現状だと思います。今定例会の知事答弁で、職員は新しいことへの取り組みに対し憶病になりがちだが、ルーチンという仕事におぼれず、自分で考え、考え直すことということで、デスクワークでも新しい発想やアイデアが出てくるとの発言がありましたので、建築紛争の解決に当たり、そろそろ新しい発想、そして国への要請等の動きというものが、もう出てきてもいいと私は思っておりますので、ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。
そんな中、こうした現状を解決するための、最終的には今、そういう第一歩として検討委員会とかそういうものを設置して、前向きに取り組むべき時期だと思っているんですけど、その辺はいかがでしょうか。
○森下建築指導部長 建築紛争を防止し、良好な景観を守っていくことのためには、都市計画行政と建築行政が連動した形での取り組みが必要だろうというふうに私ども考えているところでございます。今後、こういう紛争を防ぐための対策につきましては、理事のご指摘も踏まえまして、さらに検討を行っていきたいと思っております。
○大西委員 検討をしていくという……。
○森下建築指導部長 検討をしてまいります。
○大西委員 ぜひ早急に検討委員会を設置し、そして東京の景観、町並みがこれ以上悪化しないうちに取り組むことを要望しておきたいと思います。
まだ続くんですが、ちょっと国立のマンション問題のところを聞きたいと思います。それは、昨年十二月、東京高裁は、国立のマンション紛争で市民団体側が仮処分を申し立てていた裁判なんですけれども、建築工事禁止そのものは、利用限度を超えていないということで却下されました。しかし、市が定めた地区計画の施行時点では、工事中の建築物ではなかったとの考え方から、明和地所の高層マンション建築計画は違法建築と判断しております。これは、これまでの建築行政の常識とは異なる見解ですけれども、都としてはどうとらえていらっしゃるんでしょうか。
○森下建築指導部長 一般的には根切り工事または基礎のくい打ち工事に着手し、かつその工事が継続している場合には、建築基準法の第三条でいいます工事中の建築物であるというふうに解しているところでございます。したがいまして、この国立のマンションの件でいいますと、その工事の着手が平成十二年の一月でございまして、二月に施行されました市の条例の適用はなくて、違法建築とは認識していないというものでございます。
○大西委員 前、部長からお話を聞いたときに、根切り工事を工事開始とするということは、工事期間というものが長期にわたるということで、工事期間中のいろんな変化から事業者を守ることだと理解しております。そういうふうに理解すれば、当然、事業者を守るということ、一方では、それを買う消費者も同じような変化から守らなければいけないということで、このような経過をたどったマンションでは、今回、消費者にも変化を知る権利があると思うんですね。当該のマンションの場合には、確認時点では適格でも、竣工時点では不適格という、建築当初からは少なくとも既存不適格建築物ということになったわけですので、このような場合、これを購入した人は、適格建築物を購入するケースと比べて、建築基準法に関連してどのような不利益が伴うのか、できるだけ詳しく教えてください。
○森下建築指導部長 既存不適格、この場合には、地区計画の高さの規定が二十メートルというものに反しているわけでございますけれども、その場合に、新たに建物を、例えば増改築する、あるいは完全に建て直しするというような場合には、その条例の制限に従わなければいけないということでございます。そういう意味で、増築とか改築が非常に困難になるということでございます。
○大西委員 そういうことで、買う人にとっては、例えば地震がいつ起こるかわからないというような場合、いつ壊れるかもわからないという、保証ができないわけなんですけども、そういう保険とか、それからいろんな買うときの、そういうもろもろの、既存不適格の建物を買うということのハンディ、そういうものがほかに、例えば保険なんかどういうふうになるかわかりますか。
○森下建築指導部長 その建物自体は、適正な建築基準法に基づいて構造的にも安全ということでつくられておりますので、その現存する建物自体についての瑕疵はないわけでございますので、保険的には、よくわかりませんけれども、差別さるべきものではないかと、類推しますと、ちょっとその辺はっきりいたしません。そういったことについて--その他のどういう点がデメリットなのかについては、基準法上の立場の方は、先ほどもいったとおりでございまして、あとは、よくわからないところでございます。
○大西委員 わかりました。こうした不利益は、かなり大きなものだと思います。消費者保護の立場から、消費者が被害を受けないように、建築確認事務を預かる都としても、当該建物が既に建築基準法に適合していないことを買う人に周知する必要があると思うんですけれども、その辺はどうでしょうか。
○森下建築指導部長 売買契約等の当事者間におきます説明義務等につきましては、宅地建物取引業法に関する事柄でございまして、都でいいますと住宅局の所管でございます。ということで、私どもの方でははっきりわかりませんけれども、最大限、説明義務など重要事項としましては、都市計画法であるとか、建築基準法上の制限は記載する必要がございます。その一環として、当然、地区計画区域内での建築条例の内容についても含みますので、地区計画の内容も記載されるものとは思っております。ただ、既存不適格というものが、どういうふうに扱って書くべきかということについては、私どもとしてはよく承知しておりません。
○大西委員 国立に続きまして、新宿区でも国立と同様の事態が発生していると聞いております。現在、区の地区計画と業者の着工が競争状態となっているというふうに聞いておりますが、これからもこのようなことが増加する可能性があるんじゃないかと思うんですけども、それに対する対策というものはどういうふうに考えていらっしゃいますか。
○森下建築指導部長 国立に続きまして新宿区内でも同じような問題が起きているということは聞いてございます。それぞれ地区計画は地区計画としての適正な都市計画の手順の中で決めていくということと、確認につきましても、法令に則して技術的に判断していくということについて、やはりそれぞれ法令上の立場を負っておりますので、それぞれの立場によって的確に処理していくということでございます。
○大西委員 建築確認は、そもそも何のために、だれのためにやるんでしょうか、ちょっと戻りますが。
○森下建築指導部長 建築確認は、今申しましたように、建築物につきまして、技術的に適合しているかどうかを判断するものでございます。したがいまして、建築確認によりまして、安全な建築物がつくられることになりまして、国民の生命、健康、財産の保全が図られ、それによって公共の福祉の増進に資するようになっているというものでございます。
○大西委員 本当にだれのためにというところ、国民のということは、つまり新しく買う人たちのためにも守らなければならないということですが、その両方、事業者とともに買う消費者というところの保護、これをぜひしっかりとお願いしたいと思います。分権一括法により自治の時代で、そういう意味では、この中でまちづくりを自治の視点でこれから進めるべきなので、このためには、都としての役割としては、市町村をとにもかくにも応援すること、そして二つ目として制度の改正を国に提案すること、そして都として独自な創造的な取り組みというものが必要じゃないかなと、今回の一連の建築紛争を見ていて思うんですけれども、その辺で、局長に、このことを踏まえて、ちょっとご意見を伺いたいと思います。
○山下都市計画局長 都市景観が非常に重要なことは、先生ご指摘のとおりでございまして、町並みだとか広告物、あるいは眺望権といったことがいろいろと議論になっておりますが、我が国におきまして、景観に関する法的権利が今、答弁にもございましたように、まだ確立されていないという状況の中にございまして、景観対策というのが、私どもどういうふうにしてやっているかと申しますと、景観条例を策定して、これを活用して一定の、これは、はっきり申しまして法的な権限ではなくて、依頼、お願いの段階のものでございます。だから、基本的に規制内容が決められているということではなくて、一定のお願いをするという形のもので条例を運用している。そういう中で、地区計画、あるいは屋外広告物、さらには都市開発諸制度、これらのものは、いわば法的に一定の権限があるというものでございまして、そうしたものを最大限活用していくというのが、現在のところ我が国の法体系の中ではいたし方がないことではないかというふうに考えております。
そういう意味で、今後、地区計画などをぜひ地域の方に、あるいは区市町村に定めていただくように、我々としても、これは今の地方分権の中では指導ということはなかなかできないんですが、やはりお願いをする、あるいは我々のまちづくりの中でもそうしたものが大事なんだということを明らかにしていきながら協力をしてもらうということが最大限の手だてかと思います。ただ、地区計画というものは、地域の方々が一緒になってまちづくりを考えるという意味で、我々が考える以上に非常に重要な手段だと思います。そういう意味では、ぜひ、お願いではありますが、区市町村にずっとこれから我々も協力をお願いしていくというようなことを考えてまいりたいと思います。
私ども東京都自身でも、できることは何かあるのではないかというようなことがございますが、先ほども部長の方から答えましたように、まだ具体的にこうだという方向にはないんですが、まちづくり、あるいは景観対策と建築紛争の関係をどういうふうに考えるべきかということは、昨今のいろいろな事例を見る限り、もう少し我々も検討すべきだというように考えておりますので、その辺は若干時間をいただきながら検討させていただきたいというふうに考えております。
○大西委員 先ほどの立石委員の質問の中にも、日本の都市らしさ、日本的な都市らしさの醸成に欠けていたというふうな反省の弁もちょっと聞こえましたし、ぜひ取り組んで、一歩でも半歩でもいいですから、とりあえず認識とともに一歩前進していただきたいと思います。
先般、旧国土庁、今の国土交通省が、大都市のイノベーションプログラムを発表しました。それによれば二〇五〇年の東京圏の人口、二〇五〇年というのは、特に長期ビジョンでなされる期間ですね、二〇五〇年の東京圏の人口は、ピークと見られている二〇一〇年の八〇%以下の二千六百三十万人になるといってます。これは、一九七五年といいますから三十五年前の東京圏の人口と同じということになるわけです。二〇五〇年といえば随分先のようですけれども、建築物の寿命から見ればそんなに遠い先ではありません。今、いろんなところで建築紛争になっておりますこのようなコンクリートの建築物は、耐用年数はそれを優に超えているわけなんですから、ということは、つまり今、建築ラッシュにあるマンションやオフィスビルは、先々人口が大きく減少する社会を体験することになり、そして先々必要性が低下するこうした建築物のために、景観が破壊されたり生活環境が悪化するのは本当にばかばかしいんじゃないかと私は思っております。
短期的な景気浮揚や過去の清算の不良債権対策のために行われようとしている都心居住、今回、都市白書とかいろんな都市構想の中でこのことがいろいろいわれておりますけれども、それから規制緩和に浮かれてないで、建築、都市計画行政は長期的な視野に立って、東京圏といえども徐々に人口が減っていく社会が目前に来ていることを踏まえて、文字どおり量から質へと行政の方向を変化させないと、私は時代おくれになってしまうんじゃないかなと思っております。国立の大学通りは新東京百選に入るような非常に景観がいいといわれているところです。そういう景観が破壊されても平然としているようでは、国際都市にふさわしい町並みも永遠につくれないんじゃないかと心配しておりますので、ぜひその取り組み、よろしくお願いしたいと思います。
次に、東京ベイエリアについてお聞きします。東京の再生という言葉が使われております現状認識について聞きたいと思います。東京がさまざまな問題を抱えていることは知っておりますが、その一つは、東京及び東京圏が過大ということではないでしょうか。東京の再生という場合、欧米やアジアの都市との競争関係を意識しているようですけれども、これらの国、つまり現在、東京と競争関係にあるようにいわれる都市圏で、東京に匹敵する人口規模のところは一つもありません。過大過密というのは、やはり私は、悪いことなんじゃないかと思っております。東京が過密で、一生懸命働いても相変わらず住宅は遠い、通勤時間は長く電車は込むという状態が、今や個人の夢を喪失させ、活力を失わせている面があるんじゃないかと思っているんですけども、その辺はいかがでしょうか。
○中島総合計画部長 都心の混雑の状況でございますけれども、鉄道の混雑率でいいますと、東京圏の主要混雑三十一区間の平均の混雑率は、二十年前の一九八〇年には二一四%でございましたけれども、その後の輸送力増強等の手当てによりまして、十年前は二〇三%、一九九八年が一八三%と、年々緩和の傾向に向かっております。
また、住宅の価格でございますけれども、区部の住宅地の工事価格につきましては、区部の平均でございますけれども、バブル期のピークの一九九〇年ごろと比較しますと、三分の一と大きく下がってきております。また、七十五平方メートルのマンションを年収の何倍で取得できるかという年収倍率につきましても、区部で六・八%、多摩部で五・五%と、いずれもバブル期以前の水準に戻ってきております。このように住宅を取得しやすい状況に徐々になりつつあるということで、多様なライフスタイルに応じて居住する場所を選択できるような条件が少しずつ整っているというふうに認識しております。
それから、先ほど先生、都心居住を、東京都は不良債権対策のように進めているかのごとくおっしゃいましたけれども、二十一世紀の低成長経済をにらんだ場合に、既存のストックをより有効に活用していくという視点が大事だといわれておりまして、その辺の対策から都心居住を進めているということでございます。
○大西委員 今のお答えで確認させていただきますけれども、都心に職場があるとして、ドア・ツー・ドアで片道一時間、誘導居住面積の住宅、これは、三人家族の場合、マンションだと九十平米とか、一戸建てだと百四十平米と聞いたんですけども、それでいいのか、それを年収の四倍から五倍で購入できるんでしょうか。
それと、混雑率の目標は、今おっしゃいました一八三%とか、本当に達成しつつあるのか、そして、私は、混雑率の目標は、新聞を読めるとか、余裕のあるものだと思うんですが、現在はまだそれは達成されてないと思っているんですけど、どうでしょう。
○中島総合計画部長 先ほどのマンションの平均取得年収倍率でございますけれども、「東京の土地」で統計をとっておりますけれども、七十五平方メートルのマンションの取得価格でございます。先ほどいいましたように、区部で六・八倍、多摩で五・五倍と、いずれも平均値でございます。
それから、主要混雑率につきましては、運政審答申で整備計画を定めておりまして、それで目標に向かって整備を進めるということになっております。
○大西委員 ぜひ達成していただきたいと思っております。その意味で、東京ベイエリアの計画は、東京都、東京圏全体をスリム化していくという枠組みの中で私は発想されるべきだと思っているんですけども、このような考えは、その計画に含まれているんでしょうか。
○田中開発企画担当部長 首都圏全体というような観点から見ますと、東京湾沿岸域は都県境という行政的枠組みを超えて人的交流や経済的結びつきを強めておりまして、融合した一つの首都圏を構成しつつあります。このたびのベイエリア21は、こうした現状認識を踏まえまして、東京湾を中心に環状に結びつく東京湾沿岸域を総合的に再編整備を進め、東京、さらには首都圏の魅力と活力を創造していくことを目的としております。その意味では、スリム化というよりも、首都圏の連携、一体化を目指した再編整備計画であると考えております。
○大西委員 羽田空港に関する記述もあります。よく読んでも、ちょっと余りはっきりわからないんですけども、東京都、東京圏での航空需要が将来どの程度なのか、そして、それを賄うために成田、羽田でどう分担するのか、それを踏まえて羽田の整備拡張どうあるべきかということを、ちょっと教えていただきたいし、その上で、将来国際線も羽田を中心にしようとしているのか。また、国際線は、基本は成田で、羽田と成田の役割というんですか、そういうものを少し口頭で教えていただきたい。
○山内航空政策担当部長 都の行いました首都圏の航空需要予測では、平成三十二年に国内線の利用者は約九千万人、国際線では約四千六百万人に達し、成田空港の並行滑走路が完成したとしても、国内線で約八万回、国際線で約七万回の空港容量が新たに必要になるというふうに算定しております。
成田と羽田の分担について、羽田の再拡張ができた場合には、当面それぞれの空港に国内線と国際線が就航しているという形になりますが、具体的にどのように役割分担するかについては、アクセスの整備状況なども踏まえて今後検討されるべき課題であるというふうに考えております。
首都圏の航空需要に対応するために、空港容量の拡大が必要となるわけでございますが、新たな空港整備には非常に長い期間や大きな財政負担が必要となります。羽田空港は、既にターミナルや交通アクセスが整備されていることでもあり、比較的短期間に空港容量の拡大が実現できるというふうに考えているところでございます。羽田の再拡張が行われる場合には、羽田に国際線が就航することとなると考えられますので、国際線の就航に対応できる施設整備を急ぐ必要があるというふうに考えております。
それから、羽田空港を国際線の中心にするのかというようなご質問でございましたけれども、羽田空港は国内線の拠点空港として日本各地と結ばれておりまして、各地からの乗り入れ要望も多うございます。このため、基本的には再拡張により増加した発着枠は増大する国内線の需要に対応するために利用することが必要であるというふうに考えております。ただ、それでもなお、国際定期便に相当数の発着枠を確保することは可能であるというふうに考えております。
それから、国際線の基本は成田なのかというようなご質問でございますけれども、成田空港は並行滑走路整備や交通アクセスの改善を進めることにより、首都圏における国際線の拠点空港及び主に千葉県民の需要などにこたえる国内空港として充実が図られていく必要があるというふうに考えております。一方、羽田空港は、首都圏と全国を結ぶ国内線の拠点空港として機能するとともに、成田空港と相まって国際線の拠点空港の役割も担っていく必要があるというふうに考えております。具体的な使い方は、今後、国において、成田空港の整備状況や国際航空情勢も踏まえて検討されることになるというふうに考えております。
○大西委員 丁寧にありがとうございました。計画提案の内容がもう少しはっきり書いてあればよかったと、私は思っております。
第5章の再編整備ガイドラインは、水辺を生かした空間整備や景観やヒューマンスケールへの配慮など、非常に傾聴に値するものが書いてありました。しかし、例えば東京都がみずから推進しております臨海副都心開発などでも、このようなことが実現されていないのではないかと思っております。臨海副都心では、せっかく四方を水で囲まれながら、ごく限定的にしか水に触れる設計になっていないのではないでしょうか。また、建物はすべて高層巨大で、ヒューマンスケールとはいいがたく思っているんですけど、その辺はどうでしょうか。
○田中開発企画担当部長 5章の「地域特性を活かした再編整備ガイドライン」の内容につきまして、傾聴に値するとの評価をいただきまして大変光栄に存じます。
臨海副都心での取り組みについてのお尋ねでございましたが、私どもは、臨海副都心の整備に当たりましても、水辺や建物配置に配慮してまちづくりを進めてきております。例えば、臨海副都心の開発では、水に親しめる緑豊かなまちを開発の基本方針の一つとしており、水際線を可能な限り生かして、水と親しめるまちづくりを行っております。特にお台場は、水辺の人気スポットとして定着していると認識しております。また、建物につきましても、スカイラインの形成や眺望確保のために建物の高さや壁面の位置を工夫したり、あるいは低層部に商業などのサービス施設を配置するなど、形態や意匠に配慮し整備を進めてまいりました。こうした方針は、平成二年に定めました臨海副都心まちづくりガイドラインに基づくもので、このガイドラインによりまして建築物の形態や環境保全に配慮したまちづくりを進めてきております。したがいまして、臨海副都心におけるまちづくりの考え方は、基本的にこのたびの東京ベイエリア21の考え方と同じものであると認識しております。
○大西委員 確かにお台場の一部では、そういう水辺に触れるような環境にあると思うんですけども、せっかく四方全部海で囲まれている、そういう中でのまちづくりというものは、海外にいろんな事例がありますから、そういうところをしっかり取り入れてやってほしいし、参考資料にいただきました中間のまとめに寄せられた意見等でも、いろんなそういうアイデアが出ておりましたので、ぜひ参考にしていただければと思います。
次に、三会計統合のことでちょっと伺います。財務局が強く心配する中で進められているという報道があり、臨海副都心開発事業会計が相当に悪化していると改めて思っております。こっちの方の、前にいただいた資料の一〇八ページに、臨海副都心における土地売却処分は、処分対象面積百三十九ヘクタールの四分の一を限度とし、ということで書いてあるんですけれども、最新事例で処分価格単価の実績というのは幾らなんでしょうか。
○田中開発企画担当部長 土地の処分単価でございますが、港湾局で契約いたしました最新の事例によりますと、国際展示場駅前の有明南LM一街区におきましては、一平米当たり約九十二万円であったと聞いております。
○大西委員 それをもとに平成九年に行ったように処分対象面積全体にかかわる平均単価を算出すると幾らになるかわかりますか。
○田中開発企画担当部長 港湾局では、現時点で処分対象面積全体にかかわる平均単価については算出していないということでございますので、今のところございません。
○大西委員 これまで折に触れ平均単価を出してきたと思うんですけども、やはり最新のものを、私は算出すべきだと思っております。
それから臨海副都心開発事業会計は、平成十一年度末の累積欠損金がちょうど五千億円に達し、毎年百八十五億円も増加しつつあるということで、減価償却を除いても百億円の増加になります。時価評価の現有の資産総額と比べて、果たして債務超過状態になりつつあるのではないかと心配していますが、その辺はどうでしょうか。
○田中開発企画担当部長 臨海副都心開発事業会計でございますが、直接的に当局が所管している会計でございません関係で、その詳細については把握していないのが実情でございますが、九年二月の試算では、平成四十八年には債務が償還する形となっている、このように聞いておるところでございます。
○大西委員 ずうっと先の四十八年には、ということだけは私もわかっております。三会計統合がベストの方式であるのならば、なぜ初めからそうしなかったのかというふうに思うんです。臨海副都心開発は、短期にインフラを整備してまちの土台をつくり賃貸するという点で、埋立地を国に売却する羽田沖や、まちづくりまでは考えられない埋立会計と性質がかなり異なる事業であることから、それぞれ別会計にしたのではないかと思います。そうであれば、性格の違いは今日でも変わっていないわけで、三会計統合には、この意味で合理性がないと思うんですが、いかがでしょうか。
○田中開発企画担当部長 臨海地域におきましては、湾岸道路や「ゆりかもめ」の整備が進みますとともに、この三月三十一日にはりんかい線が東京湾を渡り天王洲まで開業することになっておりまして、地域内の都市基盤や広域的な交通基盤の整備が進み、臨海地域の連続性、あるいは一体性が飛躍的に向上してきていると認識しております。こうした動向に対しまして、これまでの会計は、地区別のプロジェクトに対応する独立した会計となっており、広域的、大局的な視点から効果的で効率的な投資を行うための会計にはなっていない状況でありました。臨海地域は、今後ますます地域全体を視野に入れた整備が必要になると考えております。そのため、今後、臨海地域の総合的、一体的な整備を広域的な視点から進めていくため既存三会計を統合いたしますとともに、埋立地の開発と臨海副都心の開発に分かれておりました事業組織の統合を行い、新たな開発体制を整備していくこととしております。
○大西委員 やはり、もととなるお金、臨海会計というものを把握しないで、なぜそのような判断ができるのかなと疑問に思ったりしております。三会計統合で、剰余金のある羽田沖や埋立会計の助けをかり、臨海副都心開発の危機がぼやけてしまうことを私はおそれているんですけれども、その意味では、非常に統合には慎重であらなければいけないんじゃないかなという立場にいます。もしどうしても押し切るのであれば、財務諸表上の現三会計の数値、とりわけ臨海副都心開発事業会計そのものが継続して追えるような現事業ごとの別表をつくるようにすべきだと思うんですけども、その辺はいかがですか。
○田中開発企画担当部長 統合いたします三会計の取り扱いでございますが、平成十三年度東京都予算案の概要の中で、次のように記載されてございます。新会計においては、三会計間の貸借などを整理した上で埋め立て、羽田沖、臨海の各区分ごとに経理する、このように記載されております。
○大西委員 予算の別にあるんですね、これには載ってないということですよね。平成十三年度の予算の中に今のが書いてあるということでしたね。この中には載ってなかったんですよね、ベイエリア21の。
○田中開発企画担当部長 ただいま私が答弁した中身は、ベイエリア21に記載している中身でなくて、東京都の来年度予算案の説明資料に載っている中身でございます。
○大西委員 ありがとうございました。私は、中間のまとめに寄せられた意見とか、これからいろんな形で多様な都民の意見を募るためにも、ぜひこういう資料、データというものは、この中にもちゃんと参考資料として出すべきだと思います。特にこの問題は非常に今後、平成四十八年に本当に収支見合うのか、だれが責任持つのかというようなことも、先行き不透明な事業であります。だから、現行の相互の資金のやりとりはどう併用するのかとか、そして臨海の開発、既に売却された土地、既に貸し付けてある土地、即処分可能な土地、インフラ整備が必要で、その上にいろんなことで貸し付けるとか、いろんな形相を持っている土地でありますので、それぞれの面積とか処分価格、面積の貸付状況に分けて一覧表をつくって、先ほどもいいましたように、いろんな人の多様な意見を求めるためにも、ぜひ参考資料としてこの中に入れるべきじゃなかったのかなと思っております。とにもかくにも、開発も、都民の負担をできるだけ少なく、そして私は、次の世代でもそれが生かせるような、緑とか水辺の環境を生かしたものにしていただきたいということを要望しまして質問を終わります。
○吉野委員 都市計画法改正に伴う開発許可関係の条例制定についてお伺いをいたします。
昨年の五月に都市計画法が改正されまして、施行は一年以内ということですので、もう間もなく、目前に迫ってきております。ところが、この定例会に手数料条例の改正案こそ提案をされてはいますものの、法改正によって制度がどう具体的に変わっていくのかが、いま一つよくわからないというふうに感じます。開発許可制度というのは、多摩地域のまちづくりに大きな影響を与えますので、この点に絞って幾つかお伺いをしたいと思います。
まず開発許可制度に関して、今回、法律が改正になったのはどのような点なのか、概略を説明していただきたいと思います。
○只腰開発計画部長 現在の都市計画法が制定されまして三十年を経過いたしております。この間、都市への人口集中圧力の鎮静化、あるいは地方分権の大きな流れ等が出てまいりまして、都市をめぐる経済社会状況は大きく変化をいたしております。こうした状況を踏まえまして、都市計画法の大きな柱であります市街化区域と、同調整区域を制度的に担保する仕組みでございます開発許可制度につきましても、こういう流れに乗りました柔軟な規制が行える体系に見直すということで、今回制度の改正がなされたものでございます。
内容につきまして大きく四点に分かれるものでございますけれども、第一点でございますが、一つは、地方公共団体の条例を定めることによりまして、開発許可におきましては、具体的な許可をするための技術的ないろいろ基準がございます。この基準を強めたり、あるいは弱めたりする、そういうことが可能になる。また、最低敷地規模、一戸当たり何平米ということでございますが、そういうものに対する制限を付加することができるということが第一点目でございます。
第二点目でございますけれども、昭和四十五年に調整区域と市街化区域との線引きをしたということでございますが、その際、既に宅地化した土地をお持ちの方、そういう方に対しましては、そういう権利を保護するということで、例外的な許可制度がございました。これは、いわゆる既存宅地の確認制度といっておりますけれども、この制度が廃止されまして一般と同じ許可制に移行する、これが第二番目でございます。
三番目でございますけれども、原則として建築ができないとされております市街化調整区域におきまして開発が許されるケース、これが二つつけ加えられてございます。第一点は、これも条例を定めることによりまして、市街化区域に近い、あるいは隣接したところにつきましては、一定の区域を定めまして、その区域の中で周辺の環境保全上、支障がないという用途を定めますれば、開発が許可できる。これも例外規定でございますけれども、そういう制度が法定化されたものでございます。もう一つが、現在、開発審査会に一件一件付議した上で許可している案件のうち、定例化した案件につきましては、これも条例によりまして、区域とか目的、用途を定めれば、許可権者の判断で許可できる、こういう規定が整備されたものでございます。
最後の四点目でございますけれども、東京では檜原とか奥多摩になりますが、都市計画区域の外の区域におきましても、大規模なものにつきましては開発許可の制度が導入されたということでございます。これらの改正に対しまして、都といたしましては、局内に検討会を設けまして、これまで対応を検討してまいったところでございます。
○吉野委員 ただいま、大きく四点に分けて概略の説明をいただきました。それでは、まず一点目の技術的な基準については、都はどのように対処するつもりなんでしょうか、お伺いをいたします。
○只腰開発計画部長 第一点目の技術的な基準でございますけれども、法律でございますので、全国一律の技術基準がこれまで適用されてまいりました。ただ、実際には、個別の地区におきましては、区市町村が定めますいわゆる開発指導要綱等が適用されまして、そういう行政指導のもとで地方公共団体が地域の実情に基づいて具体的な内容を決めるというようなことが実態としては行われてきたわけでございます。今回、この条例によりまして、実際の地域の実情に合った制度を法定化できるということで、そういう制度改正がなされたわけでございますけれども、この規定に基づく条例につきましては、地域のまちづくりの主体となります地元の区市町村が定めるべきものというふうに考えておりまして、実際に幾つかの自治体におきまして、条例制定に向けました検討を始めるというふうに私ども聞いておりますので、今後ともこういう自治体とよく連絡調整を図りまして動向を把握してまいりたいというふうに考えております。
○吉野委員 今、この規定には、現在多くの自治体で定めている開発指導要綱を、内容を吟味した上で明確な運用を求めるという意図が含まれているというふうに聞いております。都といたしましても、区市町村とも十分調整をとって、法改正の趣旨に沿った取り組みが行われますよう努力をしていただきたいというふうに思います。
次に、二点目の宅地確認制度の廃止にはどう対処をしていかれるのでしょうか。
○只腰開発計画部長 既存宅地の確認制度でございますけれども、本会議でも答弁のやりとりがございましたけれども、先ほど申し上げたように、いわゆる線引きに対します既存権利の保護の制度でございまして、これまでも年間数十件程度の実績を積み上げてまいっております。そういうことで、この改正に伴います廃止によりまして、代替措置が不可欠であるというふうに考えております。まず法律そのものにおきまして、この改正に伴います経過措置が定められておりまして、法律の施行日までに確認の申請をすれば、用途が自己用、自分のための開発ということであれば許可が不要で、五年間は建築が可能という経過措置がございます。また、これに当たらない場合、この制度の廃止によりまして、このままでいきますと、開発審査会に付議をして、許可相当、そういう判断を得た上で許可するということになりまして、規制緩和に逆行したような動きになるわけでございます。
これに対しましては、私ども改正法によりまして、条例を定めまして審査会へ付議しないで許可権者、実際は東西の事務所の判断になりますので、その判断で許可ができるように、早期に条例の提案に努めてまいりたいというふうに考えております。また、法律が一年以内の施行でございますので、五月に施行になりますと、ちょっと条例が間に合わない可能性がございますので、その場合におきましては、開発審査会に付議することになりますが、その運用の基準を定めまして、なるべく円滑に許可ができるように措置をしてまいりたいというふうに考えております。
○吉野委員 暫定措置は、開発審査会に付議をするということで、許可に時間がかかってしまうことになります。できるだけ早期の条例制定に向けて努力をしていただきたいというふうに思います。
また、これに合わせて取り組んでいただきたいことがございます。昔から農業を営んでいる方のお子さんが家に困っている場合なども、開発審査会の付議を経て市街化調整区域での建築を許可をされております。このような場合など、開発審査会を通さずとも問題のない案件も多いというふうに思います。ぜひこれらの案件についても、迅速なサービスという観点から条例化すべきだというふうに考えますがいかがでしょうか。
○只腰開発計画部長 現在、開発審査会に付議をした上で許可をしております、いわゆる農家の分家、農家が分化、発展していく一つの形態、次男の方とかがお家を建てられる、そのようなケースの場合、あるいは既存の集落の中で自己用住宅を建てられるようなケース、いわゆる市街化の進展を許さないような、そういうようなケースにつきまして、審査が定例化しているもの、これは審査基準が実際は十三項目ほどございまして、そのうち、市街化に寄与しないようなケースにつきましては、先ほどの既存宅地の確認の許可制度を条例化するのと同様なルールによりまして、行政の簡素化の一環といたしまして、開発許可権者の判断で許可できるよう、あわせて条例の早期の提案に向けまして取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○吉野委員 ところで、もう一つ、区域と用途を定めて市街化調整区域で許可できるようにするという規定がありましたけれども、そちらの規定についてはどのように取り組むのかお伺いをいたします。
○只腰開発計画部長 先ほど最初のご質問に対しまして、三点目の最初の方ですね、一つ目でお答え申し上げました、法律の条文でいきますと、三十四条八号の三という項目になります。この規定につきましては、いわゆる非常に規制緩和の性格を持った規定でございまして、原則禁止されております市街化調整区域内の区域指定によりまして開発許可ができるということになるわけでございます。したがいまして、この区域指定につきましては、第二の線引き的な性格になりまして、非常に線引きが困難で、かつ、なかなか、どこまでというふうに切りがたいところがございまして、調整区域の広い範囲に及ぶおそれがあるというのが一つでございます。
それから市街化調整区域でございますので、あるいは下水、道路等の公共施設が整備されないままにこの区域が開発されてしまうということ、そういうおそれがあるというのが二番目。
私どもは、地元の市や町の意見も聞いたわけでございますけれども、調整区域内の開発は原則として抑制すべきであるという意見が非常に強い、このようなこともございまして、区域区分の本来の趣旨を維持するためということで、この条例化の提案は差し控えたいというふうに考えております。
○吉野委員 多摩地域の豊かな自然と共存した発展にとりまして、また、この地域に住む人々の生活設計ということにとりましても、この開発許可制度をどのように運用するのかということが大変に重要なことだというふうに思います。きょうは、都市計画法の改正に伴う取り組みについて伺いましたけれども、これからも引き続き法律の適正な運用とともに的確な情報提供に努めていただきたいということをお願いをして質問を終わります。
○寺山委員長 それでは、議事の都合により十分程度休憩をいたします。
午後二時五十分休憩
午後三時開議
○寺山委員長 それでは、休憩前に引き続き質疑を続行いたします。
○清水委員 私は、十三年度当初予算について、市町村土木費補助について何点かお伺いいたしますが、その前に、きょう机上に配られていました当初予算事業別概要なんですが、これが、総括表が、四ページまでが二回入ってるんです。それと、一番最初の二ページの都市計画局の予算総括表が平成十二年度になっているんですけれども、これはどうなんですか。確認していただけますか。
○野田総務部長 前回の委員会にお配りしたのが正式の資料でございます。きょうのは、先生がお持ち忘れをした場合に、ということで、ご参考ということでお配りしておりますので……。
○吉田委員 この前は資料なんだよ。きょうは議案だよ。この前は資料としてもらっている。きょう机上へ配布されたのは議案だよ。一号議案だよ。それは違うでしょう、幾ら何でも。ここまでが議案で、きょうは資料だなんていうのは……。
○寺山委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕
○寺山委員長 速記、再開してください。
○野田総務部長 申しわけございません。ただいまお配りいたしております資料につきましては、事実、確認いたしまして善処したいと思います。よろしくお願いいたします。
○清水委員 来年度の都市計画局予算は、都全体の各局の予算が大体減額している予算で提出されていると思うんですが、その中でも、予算が増額になっている数少ない局だと思うんですよね。その中の大変大きく伸びているのが、これまでにも指摘してまいりましたが、貸付金と出資金の性質別内訳になっている予算が大きく伸びています。その内容は、もう繰り返しませんが、首都高速道路公団出資金や首都高速道路公団の貸付金などが大きく前年度と比べて増額になっているわけですけれども、今まで繰り返し議論されてきた中では、投資的経費が都市計画局の中でも大きく減らしているというようなことでいってきているんですけれども、首都高速道路公団への出資金や貸付金というのは、本来は投資的な性質に当たるものではないか。そういう中の都市計画局予算ですけれども、事業局ではないから余り事業には予算がつかないわけですけれども、その中でもわずかに幾つかの事業についているものの中で基盤整備で促進をしていただきたいと強く願っている市町村の土木費補助が、来年度も、当初の予算がわずかであるのに減額をされているということで、二、三お伺いしたいと思っております。
先ほど資料で提出されていた中でも、市町村土木補助事業の推移ということで提出していただきましたが、これを見ましても、大体十年間ぐらいで八分の一程度になっているわけです。この市町村土木補助というのは、公園事業、道路事業、下水道事業に補助がされているわけですけれども、八分の一にも減額になっている理由はどういうことでしょうか。
○杉浦施設計画部長 市町村土木補助は、基本的には市町村の実施する土木事業に要する経費に対して補助するものでございますので、各年度の市町村の補助対象事業費の変動により補助金額は当然のことながら増減をしているわけでございます。なお、公園につきましては、現在、ご案内の東京都の財政再建中でございまして、今年度の公園は、用地費補助を行っていないために補助額が減額されているものでございます。
○清水委員 毎年東京都市長会からは、この事業についての増額要望が出されていると思うんですね。それで、十三年度に当たっても、補助制度の問題ですけれども、事業費から国費を除いた金額を補助対象とするなど改善と補助率を引き上げ、あわせてそれに見合う予算の増額措置を講じられたいというような補助制度の仕組みについての要望というのも出されていると思うんですけれども、補助制度の仕組みについて、どうなっているのかお伺いしたいと思います。
○杉浦施設計画部長 現行の制度では、市町村の土木事業に要する経費から国庫補助金と起債による収入を控除した額につきまして、残りの二分の一から四分の一を限度としまして予算の範囲内で補助を行っている、そういう仕組みでございます。
○清水委員 市長会がいっているのは、今ご説明になったように、総事業費から国庫補助と起債を控除した残りの額の、下水道だったら二分の一を補助でしょう。八王子なんかだったら総事業費の三%程度が補助になっているんです。市長会がいっているのは、二十年ぐらい前はそういう仕組みで行われていたと思うんですけれども、事業費から国庫補助を除いた金額を補助対象とするということを要望し続けているわけです。その当時は、今の大体倍ぐらい、七%程度の補助があったということで、今ご説明があったように、各市町村の事業が少なくなったから、これが少なくなったというふうにいって、それはそのとおりかもしれませんけれども、各市町村の事業が進められないというのは、東京都の補助が余りにも小さいために各市の財政なども大変厳しいから事業化できないということで、補助制度のまず仕組みについてを市町村は要望しているわけです。
じゃあ、市町村の要望は、補助制度の仕組みなどと同時に、総枠の拡大、補助率の引き上げ、採択基準の緩和など、さまざまな補助の充実を要求しているわけですけれども、市町村要望についてどのようにこの間、検討されてきたのかお伺いいたします。
○杉浦施設計画部長 おっしゃいますとおり、市町村の土木事業を円滑に進めるためには財源の確保が必要でございまして、市町村の要望を踏まえまして私どもも国庫補助の充実、拡充について国に要望してまいってきているわけでございます。また、都費補助の引き上げや拡充につきましては、現在の財政状況をかんがみますと、やや厳しい面もございますが、当面は現行の都費補助制度の維持継続に努めてまいったところでございます。
○清水委員 厳しい財政といっても、今一番最初に触れたように、首都高などの貸付金、出資金については、三百四十億も前年度よりもふえていると思うんですね。投資効果の高い事業に集中するんだということをいわれているんですけれども、それはそれとして議論はあるんですけれども、例えば市町村土木費補助、ことしは八千九百万で、来年度予算は八千七百万でしょう。たった二百万円でも減額をしなければいけないのかということなんですよね。例えば公共下水道の整備の問題でも、多摩地域全体では九〇%といわれているわけですけれども、実際には、これは十年度の流域下水道からいただいた数字ですから、ちょっとまだ、引き上がっているかもしれませんが、九〇%といわれたときに、稲城で七三%、町田で七五%、日野で七九%、八王子で六六%ということで、公共下水道の現状というのは依然として、何市かですけれども残っているわけです。区部では考えられないことだと思うんですけれども、流域下水道事業は終了していますけれども、各市の公共下水道の整備というのはおくれていて、やはり地域が長いから進んでいけないというのが現状で、そこに市町村が要望するというのは当然だというふうに思います。
公園の用地の確保については、補助は、この間、行ってないということでしたけれども、例えば緑のマスタープランで都市公園の施設として計画するべき緑地の拡幅目標というのが、多摩地域では一人当たり二十平米なんですね、そうすると--現在では六・〇六平米だというふうに伺っています。そういう意味では、公共下水道、それから公園整備などについても、多摩地域の整備を進めるためには東京都の補助が非常に重要になってくるということでは、都市計画局がやっているわけですから、ここに十分な予算をつけなければいけないと思うんですけれども、現在の補助制度、補助枠などをぜひ大きく進めて、多摩地域の整備を進めていただきたいと思うんですけれども、どのようにお考えでしょうか。
○杉浦施設計画部長 市町村の土木事業関係でございますが、公園は、先ほど申しました特殊事情がありまして、用地取得を留保しているということでございますが、道路、下水道に関しましては、補助枠が足りなくて事業が進ちょくしないということのないように、各市が必要と思われる事業費というのは、それぞれの国費補助、あるいは都費補助の仕組みの中で、私どもとしては充足されていると思っております。しかしながら、現行の補助制度が、あるいは補助制度をもっと拡充すれば、さらなる執行が見込まれるというのが市長会等の意向であると思っておりますので、その点につきましては、そういった財源の確保に向けまして国費の確保に努めるとともに、国庫補助の充実拡大、あるいは採択の緩和につきまして引き続き国に要望してまいります。
また、市町村の事業執行につきましても、一層の工夫を凝らしまして、コスト縮減、事業の効率化を進めること、また執行体制につきましては、新都市建設公社の活用を図るなど、今後とも市町村と連携しながら多摩の都市基盤整備の促進に努めてまいりたいと考えております。
○清水委員 都市計画局の総枠を広げていただくように引き続き要望したいというふうに思います。
次に、議案として出されております大深度地下の公共的使用に関する特別措置法に基づく都市計画条例の手数料条例の改正について、第十一条にこれが追加されるということで、手数料条例として出されております。この国で決められた法律は、目的を見ますと、公共の利益となる事業による大深度地下の使用に関しその要件、手続などについて特別の措置を講ずることにより、当該事業の円滑な遂行と大深度地下の適正かつ合理的な利用を図ることを目的とするということで、昨年制定され公布され、間もなく施行予定になっているということで、東京都としてもこれを手数料条例として今回、都市計画局の改正を提案したものだというふうに思います。
それで、お伺いいたしますけれども、法律そのものについて私たちは根本的に重要な問題であるというふうに考えているわけですけれども、そして法律自身は、国会では反対をしたわけですけれども、幾つか法律自身について、都としての認識を伺いたいと思います。
大深度地下というのは、そもそもの話で、どのくらいの深さのことをいうのか、そして対象事業はどうなっているのか、法制定に伴ってこれまでの公共事業との相違点はどのようなものかお伺いいたします。
○杉浦施設計画部長 法に定めます大深度地下の深さでございますが、地下四十メーターより深いところ、または支持層の上面から下十メーターより深いところ、このいずれか深い方の深さの地下を大深度と定義いたしております。そして対象事業でございますが、ライフライン、鉄道、道路など公共性の高い事業が対象とされてございます。これまでの公共事業との相違点でございますが、通常は使われない空間でございますので、公共の利益となる事業につきまして事前に補償を行うことなく使用権を設定することができることとした趣旨でございまして、このため、公共性の有する事業を従前より円滑に行うことができるとされております。
○清水委員 法案が審議された国会の建設委員会では、当時の、我が党の中島衆議院議員が質問したんですけれども、大変重要な内容の法律だと思うんですね。今ご説明があったような地下深いところでの事業がされるということで、しかも、今ありましたように、事前に補償を行うことなく使用権が設定されるというようなことで、これを制定していくためには、公正で民主的な議論の保障が重要だというふうに思うんです。そのためにはどういう委員を選任していくのかというようなことも問題になって、この問題は非常にまだ科学的に解明されていない問題だから、慎重に考える学識経験者なんかも入れたり、反対の方も入れて意見を聞いていったらどうかというふうに当時の議員が質問しました。しかし、結果は、これを推進するという方だけが、発言などから見ると、そういう方だけが大部分を占めてその結論が出されたという形になって、説明会とかアンケートなども行われたというんですけれども、その内容というのも、本当にそれらが尽くされたかというと、なかなかそういうふうになっていないんではないかというふうに発言を、国会ではいたしました。そして、政府側の答弁者や国務大臣などは、幅広い議論が行われ、また世論の中では浸透しているというふうにいわれました。
私は、この具体的な事業というのは、特に首都圏、東京で、具体的な事業としては進められる予想が高い法律だというふうに思うんですね。そうなりますと、都民の権利に重要にかかわってくる問題であって、まだまだ未解明、知見が得られていない世界の内容だと思うんですが、現在の段階では、理解とか浸透とか、そういうものが十分できていないんではないかなと思うんですね。もっと、決めるにしても、決めてしまってあるものですけれども、十分なそうした意見が反映される手続なども保障されるべきだったというふうに考えるんですけれども、都としてはそうした国会の法律制定の手続などについて、どのように認識をされているのかお伺いいたします。
○杉浦施設計画部長 大深度法の制定に当たりましては、従前の総理府でございますが、臨時大深度地下利用調査会を平成七年に設置し、三年間にわたりまして大深度地下の利用に関する理念や施策等について慎重に調査、審議しました後に、総理大臣に答申を行ったと聞いてございます。その後、この答申に基づき法制化がなされたわけでございますので、私どもとしてはご懸念のようなことはなかったと理解してございます。
○清水委員 具体的にそれらをきちんと読まれたりしたんですか。都民にとってどのようになるのかということだって、たとえ決めるのは国会でも、都民への影響というものを東京都自身が真剣に把握しなければいけないというふうに思うんです。
そこで、当面、東京都ではどんな事業を予想されるんでしょうか。
○杉浦施設計画部長 先ほど申しましたとおり、公共性の高い事業が対象となるわけでございますが、いろいろな事業の名前が端々で出てくるのは私ども聞いてございますが、私どもとして具体的な計画について、現在のところ想定するまでは至ってございません。
○清水委員 これも国会の方では議論がされたようですけれども、ただ、地下四十メートルを超える深さの事業ということで、安全性の問題、特にこれまでも、かつて道路のトンネルの中での事故とか地下の火災とかということで、特に地下の安全性の問題では、火災が何件か起きて死亡者が出ているというふうなことも、国会の議事録の中では政府の方が説明しているんですけれども、そうした火災の問題、災害、犯罪などに対してはどのように考えているか、こうした地下での体制というのはどのように考えておられるのかお伺いいたします。
○杉浦施設計画部長 先ほど申しました総理府の調査会におきまして、技術安全環境部会を設置いたしまして、火災、地震、犯罪防止等の安全分野につきまして、それぞれ専門家によりまして約三カ年にわたり慎重に調査、審議し、問題点と課題に対する対応策について取りまとめてきたと聞いてございます。
また、国が定めます大深度地下の公共的使用に関する基本方針におきまして、安全の確保、環境の保全について配慮すべき事項を定め、使用の認可の際には、この方針に適合しているかどうかを慎重に審査することといたしております。さらには国の関係行政機関及び関係都県から成ります首都圏大深度地下使用協議会を設置し、できるだけ早い段階からこれらの課題について協議、調査することといたしてございます。このように大深度地下利用に対します行政側の体制についても、おおむね整っていると判断するところでございます。
○清水委員 これまでの災害というのは、そうした事前のきちんとした整備がされているという中で幾つか大きな取り返しのつかない災害が起こっているということでは、これは、起こればこれまでになく大きな災害が予想されるということでは、もっと都としての独自の研究とか調査などというのはされていいのではないかなと思うんです。
そこで、最後の質問ですけれども、円滑な事業の遂行ということで先ほども説明がありました。この事業は、権利調整がスムーズになるということで、事前に補償を行うことなく大深度地下に使用権を設定することができることとし、例外的に補償の必要性がある場合は、使用権設定後に補償が必要と考える土地所有者などからの請求を待って補償を行うなどとして、説明資料などには、損失に対する補償請求は使用権の認可がなされてから一年以内に限定されているというようなことも書かれています。大深度地下の施設というのは、繰り返しいっているように、深いところで起こる事業なので、予期せぬ被害が生じた場合、土地所有者に補償を行うことは必要ないのですけれども、そうした補償とか、そうした対応ですね、使用者に対する対応、それはどのように行われていくのでしょうか。
○杉浦施設計画部長 大深度地下の定義、先ほども申しましたとおり、四十メーターの深さ、あるいは支持層から十メーターの深さ、どちらかの深い方を大深度と定義してございますので、そのあたりに構築物を設置することは、従前の地表の施設、あるいは活動に対して、影響が及びにくいというのが基本的な考え方でございます。しかしながら、万一被害が発生した場合、因果関係が認められれば、当然、民法に基づく損害補償を行うことになるのだろうと考えております。
○清水委員 先ほどご説明があった地下利用調査会の答申を読んでいると、東京では地下空間の利用制限が行われても余り損失はないとか、実質的に損失はほとんどないというふうに書かれて、ここで補償は不要であるということで結論が出されたというふうに思うんですけれども、また、井戸とか温泉に対しては、浅いところで行われる事業と同じように補償がされるというふうに書いてあるんですけれども、しかし、私、自然保護審議会の委員なんですけれども、温泉掘削の申請というのは、区部でもかなり出てきているんですよね。確かに規制というものはありますけれども、規制を守れば掘削をしていいということで、一キロぐらい掘っていく温泉事業者などもかなり申請が出ているわけです。そういうような状況からして、こんなふうに結論づけられるのかなというふうにも思います。今いわれたように、これまでの事業では補償の対象にするということで行われましたけれども、この法律であると、補償の対象なくされた場合に、民法などに、原則に基づいて損害補償を行うというふうになっているんですけれども、やはりその差というのは大きな違いがあると思うんです。そういう意味では、土地所有者への権利が十分に補償されないまま事業が円滑にということで進められていくということに、この法律自身の危惧を感じるものです。
そもそも大深度地下の利用構想というのは、バブル経済の異常な地価高騰の中で、お金のかからない土地買収方式として構想され検討が進められてきたものだと思います。今、公共事業というのは、費用や自然などから見直されようとしている中で、矛盾を拡大するものだとも思います。浅い地下利用は、地権者との権利調整に要する時間が長期化しておりというふうに、ここでもいわれているんですけれども、一体その原因はどこにあるのか、行政として深く考える必要があるというふうに思います。私権を制限して事業を進めていくこの法律自体が、まず重大な問題であるということを指摘しておきます。しかし、現在、国会で通過した中では、じゃ東京都としてどうするのかということをこれから考えられることだと思います。知見や研究の尽くされてない問題であるので、慎重を要していただきたいと思います。それから基礎的な研究も充実させて、十分に慎重に進めていただきたいというふうに思います。
以上、意見を述べまして質問を終わります。
○野田総務部長 本日配布させていただきました平成十三年度当初予算事業別概要でございますが、その中に一部、昨年度、十二年度のものが混入しておりました。それを取り除いたものを改めて配布させていただきました。不手際がございましてまことに申しわけございませんでした。ご迷惑をおかけしました。
○吉田委員 私は、今新しく配っていただきました議案の一一ページの利根川・荒川水源地域対策基金、具体的にはダム建設に伴う基金について伺わせていただきます。
行政としては、当然、治水、あるいは水源の確保ということは、長い歴史の中で非常に大きな仕事として取り組まれてきた分野だと思います。ただ、単に長野県というだけではなく、今、全国で従来のダム開発についての再検討、見直しが行われております。それは、さまざまな要因があるかと思いますが、やはり改めて今日の財政状況の中から、むだ、不要不急でないのかという検討もあれば、さらに、ダム開発優先で環境が犠牲にされるという状況、そういうやり方を続けていいのかどうか、また、水源確保という点で見れば、本当にそれだけの確保量が必要か否かという、より今日的な社会状況の中で見直しているという流れが全国で広がっていると思うんですね。これは、私たち都政にかかわる者としても、改めて、最終的結論がどう出るかは別にしても、東京都にかかわるダム計画、あるいはダム事業についても、今日的な視点で再検討していくというのは当然の仕事ではないのかなというふうに考えております。
私は、この利根川・荒川水源地域対策基金にかかわるダム事業の中でも、八ッ場ダムの問題について、きょう若干質疑をさせていただきたいんですけれども、ヤツバと書きます八ッ場ダムですけれども、経過、そして東京都としてこの事業を進める目的、確保水源量、そして総事業費、さらに完成予定年度等の基本的な概要について、まずご説明をお願いします。
○中島総合計画部長 八ッ場ダムにつきましては、利根川水系支流の吾妻川中流に洪水調節と都市用水の供給を目的として建設されるものでございます。昭和二十七年に調査に着手いたしまして、現在の計画は、昭和六十一年七月に告示されました基本計画で定められているものでございます。
総貯水容量は一億七百五十万立方メートル、堤の高さは百三十一メートルの重力式コンクリート形式の多目的ダムでございます。
建設費の概算は二千百十億円と定められております。
八ッ場ダムは、利根川水系の貯水容量で、矢木沢ダム、下久保ダムに次ぎ、三番目に大きなダムとなっております。八ッ場ダムの完成によりまして、治水効果といたしましては、下流部の洪水流量の低減を図るものでございまして、前橋市の群馬県庁付近における利根川の水位を、洪水時に約六十センチ下げることを期待できる。具体的にどういうことかということで群馬県庁に問い合わせましたところ、平成十年九月に利根川で洪水が起きて、河川敷の駐車場に駐車していた車が流されておりますけれども、六十センチ下げられていればあの被害は起きなかったというふうに説明を受けております。
さらに、都市用水の供給能力に関しましては、都につきましては、日量で換算いたしますと、四十三万立方メートルの水道水の配分を受けることができることになっております。
なお、完成年次につきましては、現在の基本計画では、平成十二年度までということで決められておりますけれども、現在、補償交渉の大詰めのところに来ておりまして、それが終わりまして、建築物の詳細な設計ができた段階で見直すというふうに聞いております。
○吉田委員 今ご説明がありましたけれども、私が生まれるころからの計画で、住民の皆さん、町民の皆さんは、長い間、町長を先頭に反対運動を続けてきたという経過のものであります。しかも、基本計画が昭和六十一年に決まって、本来ならば平成十二年度完成という計画だったにもかかわらず、いまだに補償交渉そのものが、提示はされたけれども、合意もされてないという段階なんですよね。私も現地に行って、一晩夜を徹して町民の皆さん、また行政の長、そして助役さんからもいろいろお話を聞いてまいりました。町民の皆さんの中には、長い反対運動に疲れてあきらめているという面と同時に、改めて今、補償交渉の具体的な話がある中で、現時点でとめてほしい、その方が一番いい解決策だという声が上がっております。
また、ご承知と思いますが、群馬県内のさまざまな学者や、あるいは環境保護団体からも、改めて二年前から、八ッ場ダムを考える、再検討を求めるという県民的な運動も広がってきておりますから、私は、やはり東京都としても現時点で、再度このダムの計画のあり方について検討していくことが本当に求められていると思うんです。
まずお聞きしたいんですけれども、総事業費が、先ほど約二千百億余円というふうにご説明がありましたが、これと都市計画局の予算に計上されている基金との関係はどうなっているのか、基金というのは、そもそもどういう性格のものなのかということを、まずご説明をお願いいたします。
○中島総合計画部長 八ッ場ダムに係る費用負担の関係でございますけれども、先ほど述べましたのは、ダム本体にかかわる建設事業費でございまして、この費用につきましては、治水と利水の受益に応じた建設費で全体事業費の負担割合が決められております。そのほかの事業といたしましては、水源地域対策特別措置法に基づく水源地域の整備事業というのがございます。もう一つ、専ら水没住民の個人の関係の対策事業といたしまして、基金事業というのが、三本立てで実施しているところでございます。
まず水源地域の整備計画に基づく事業につきましては、ダム建設によりまして水没周辺地域が受ける生産機能や生活環境に対する影響を緩和するものでございまして、関係住民の生活の安定と地域の振興を図るために、生活環境及び産業基盤の整備を行うものでございまして、国の補助を受けまして、関係都県で負担して行っているものでございます。現在六十二事業が決められておりまして、総事業費は九百九十七億円余でございます。そのうち都の負担分は一億三千万円余となっております。
また、基金につきましては、ダム建設に伴い必要となる水没関係住民の住宅や代替農地の取得ですとか、職業の転換等が円滑に行えるような生活再建対策や、水没関係地域の振興対策を行うものでございます。全体計画につきましては、六十二年に基金の対象ダムとして指定を受けまして、生活再建の主体となります、先ほどいいましたように、用地補償交渉はこれから妥結ということになっておりますので、これまでのところにつきましては、緊急の事業といたしまして、移転先を先行して取得する方とか、転職する方のための対策費ですとか、生活相談員の設置ですとか、地域振興対策にかかわる調査費の助成などを行っているところでございます。
○吉田委員 ですから、先ほどの概括的な説明の中でいわれた二千百億余というのは、あくまでもダムの全体の事業費からすれば、中心ではあるでしょうけれども、その一部なわけですよね。それ以外に水特法という法律に基づく、先ほど総額九百九十七億と、東京都負担一億といわれましたけど、これは間違いで、多分七十数億だと思うんですけれども、後で訂正していただきたいんですが、それと基金事業ということになりますから、都市計画局が直接所管をするのは基金ということになりますけれども、東京都全体が利水の比率に応じて負担しなきゃならない財政的な規模というのは相当広がるということは明らかだと思うのですね。
もう一つ、二千百億余のいわゆる通常事業費というふうにいわれている部分も、これは昭和六十一年の時点での単価で計算したもので、私、県庁にも行き、また町役場でもお話を聞きましたけれども、到底このような金額ではおさまらないと。毎日新聞の報道でも、関東地区の担当者の発言としてその旨がありました。そういうことを私たちとしてはしっかりと押さえて、それでも、かつ必要なのかというスタンスの検討というものが必要だと思うんです。
さて、直接的に基金について伺うわけですけれども、私も現地を見て改めてよくわかったんですが、他のダム開発の場合には往々にして、そこに住まれている方の世帯や人口が、今度の八ッ場などに比べて相対的に少ないだけではなくて、したがって、この八ッ場の場合には町ですから、町のいわば中心の温泉街を水没させるわけですから、影響を受ける対象が大きいだけではなくて、全く他の地域に移転するのではなくて、ずり上がり方式といって、高い中腹まで一たん上がって、山間部を完全に宅地改造して再建をするということになりますから、この地域の性格からして基金の占める比重というものは、今後非常に膨らんでくると思うんですけれども、その点での認識はいかがですか。
○中島総合計画部長 先ほどの答弁で、水源地対策特別事業で都の負担額を、ちょっとけたを読み間違えまして、百三十一億円でございます。
基金事業の見通しでございますけれども、基金事業の内容は、先ほど説明させていただきましたように、水没住民の生活再建の援助が目的でございまして、現在行われております補償交渉が妥結しないと具体的な事業内容に確定しないわけでございますけれども、確かに先生がおっしゃいますとおり、水没関係住民が八ッ場ダムの場合には三百十六ヘクタール、世帯数でいくと約三百四十世帯ということで、非常に大きな世帯数になっております。ちなみに他のダム、今まで大きかったものでいいますと、滝沢ダムが、水没面積が二百三十六ヘクタールで、水没戸数が百十二戸ということでございます。それと比較しましても、水没戸数でいいますと三倍にも当たるということで、関係住民の数も多いということで、かなりの額に上るということは考えておりますけれども、現時点におきましては、補償交渉の大宗が確定してないということで、事業内容は確定してございません。
○吉田委員 他のダムと比較してご説明していただきましたけれども、実は今いわれた、例えば立ち退き対象世帯三百四十というふうには、実は現地ではいっておりません。なぜかといいますと、水没するだけではなくて、ここもまた八ッ場の特徴なんですけれども、鉄道が走ってますね、そして草津に向かう国道も走っている、駅舎もある。全部つけかえるわけです、高いところに。そうすると、水没するだけではなくて、道路のつけかえや鉄道のつけかえや駅舎の建設のために、また立ち退きの対象世帯も膨らんできますから、そういう意味では、私が聞いた話では、最終的な確定数は決まっていませんけれども、世帯数でいえば四百に近い、かつ住民の方々の数でいえば、約千名を超えるだろうということがいわれてますから、部長も、大変規模が大きくなるだろうということは認めましたけれども、少なくとも引用された数以上に基金対象は膨らむんだということは、はっきりしていると思うんですが、基金の総額というのは、そもそもどのくらいという目安は何もないんですか。
○中島総合計画部長 基金対象事業でございますけれども、ダム建設されます水源地域の県と受益を受ける県とで、その関係の地方公共団体で事業の内容について協議をいたしまして、その合意で事業内容を確定するということでございまして、現時点では、まだ協議には至っておらないということで不明でございます。
○吉田委員 ない物ねだりをしてもしようがありませんけれども、いずれにしても、一体幾らかかるのかわからないと、それは協議次第という世界だということですよね。それじゃあ、少なくとも枠組みとしてはどうなのか。私、事前の説明でいただいた資料の中で、基金事業の具体的な事業名として五項目、代替地の不動産取得に対する助成及び営業開始に対する助成、職業転換に対する助成、生活相談員の設置助成、温泉源開発や集会所建設など、水没関係振興助成、水没関係地域の振興等に必要な調査費助成というふうにあるわけですけれども、話し合いによっては、また町民の皆さんが要望するならば、こういう項目も、生活再建と、そして地域振興という枠組みの中では、さらに膨らむ可能性もあるというふうに理解してよろしいんでしょうか。
○中島総合計画部長 法律に基づいて基金が出てきていまして、おのずから基金の事業内容というのは限度があり、制約があると思っておりますので、天井知らずということは考えておりません。
○吉田委員 今、私が皆さんから説明を受けた五項目という項目があるんですが、この項目は、少なくとも、もちろん私も天井知らずといってませんけれども、生活再建と地域振興という枠組みの中ならば、もっと項目がふえる可能性はありますか、ないですかと聞いているんですよ、私が例示した五項目以外に。
○中島総合計画部長 それにつきましても、水源県である群馬県が原案をつくりまして、それを受益県に提示して協議して決めるということでございます。
○吉田委員 ですから、もちろんそれは、協議をし、決定するものでありますけれども、大きく生活再建と地域振興という枠ならば、もっと私が例示した項目以外も膨らんでいく可能性というのは当然あるわけですよね。そういう点では、本体の総事業費、あるいは水特法に基づく負担だけではなくて、天井知らずといういい方はいささか不適切かもしれませんけれども、どの程度なのかという見通しそのものは、現時点ではお答えすることができないということも、この性格からして事実だと思うんですね。
次に、昭和六十一年、一九八六年になりますか、八ッ場ダムの基本計画の策定をして、そして東京都の財政負担分も枠組みが決まったということなんですが、少なくともその時点と、今日、例えば必要な水源確保量などや人口や経済の伸びなどの社会状況というものは、かなり大きく変わってきていると思うんですが、当然そういう状況の変化に合わせた再検討ということが必要だと思うんですが、いかがでしょうか。
○中島総合計画部長 現在の計画は、第四次フルプランと俗に申しているものの計画に基づいて八ッ場ダム等ものせられているものでございますけれども、そこの時点における東京都の水需要予測につきましては、六十一年度に策定されました第二次東京都長期計画の将来人口や経済成長率を指標にいたしまして、平成十二年度の水需要量を日量六百九十万トンということで推計したものでございます。現在策定に着手しております第五次のフルプランにおきましては、今後、水需要の推計をやっていくわけでございますけれども、昨年の十二月に策定されました東京都の東京構想二〇〇〇に基づく人口推計、経済成長率などをもとに推計作業をやっていくことになると考えております。
○吉田委員 ですから、その当時と比べてみても、かなり激変しているということは、当時の計画数はいって、今日の数はいわれませんでしたけれども、激変をしていれば当然見直しが当たり前じゃないですかというふうに質問しているんですけれども、お答え願えませんか。
○中島総合計画部長 当時の推計いたしました経済成長率は、実質で四%程度になっております。十二年までは平均でございますけれども、東京構想二〇〇〇で想定いたしているのは、たしか二%だったと記憶してございますけれども、その辺の経済成長率の乖離も生じてございます。
推定人口でございますけれども、二〇一〇年がピークということで策定されておりますので、その辺の水需要がどうなのか、経済成長率が、現状は、バブルの崩壊を受けた長期の経済低迷を受けまして、水需要はかなり落ちておりますけれども、その辺の経済状況をどう予測するか、それに基づく水需要がどう変化するかというのは今後の作業になってくるというふうに考えております。
○吉田委員 そうすると、第五次フルプランを東京構想二〇〇〇に基づいて今策定中であると、その結果次第では、八ッ場ダム計画については見直しもあり得るというふうに理解していいんですか。
○中島総合計画部長 水道においての水資源の確保につきましては、東京の都市活動に欠かせないものでございまして、例えば都の水源の八割は利根川・荒川水系によっておるわけですけれども、近年の少雨の傾向で、過去十年間で五回もの取水制限を受けてございます。これに対する渇水対策の対応力の向上というのが、関係都県の大きな課題になっているところでございます。
もう一つ、私どもの確保している水源の中には、課題を抱えている水源が日量で約八十二万トンございまして、これの安定水源として確保していくということも課題になっております。このようなことから、将来の水需要への対応はもとより、渇水時にも極力安定した水供給が行われるように引き続き八ッ場ダム等の水源確保に努力していく必要があるというふうに考えております。
○吉田委員 今そういうふうにお考えかもしれませんけれども、第五次フルプランというものをつくった段階で、その必要な確保量、もちろんそれだけじゃ判断の材料にならないかもしれませんが、その時点で当然、ダム計画が、あえてトータルで考えて必要ないということもあり得るかと思うんですが、その結論を今求めているわけじゃないんですよ。しかし、当然その時点で再検討するというのは当たり前じゃないですかと聞いているんです。
○中島総合計画部長 八ッ場ダムの機能につきましては、治水の機能が非常に大きな機能を持っております。先ほども申しましたように、利根川水系で平成十年九月に洪水があったということもありましたけれども、近年は局地的に集中豪雨が降るという状況がありまして、治水上の課題も大きなものだと考えておりまして、利根川水系の治水計画上も、八ッ場ダムは重要なダムだというふうに考えておりますので、その辺もあわせて検討、工夫していく必要があると考えております。
○吉田委員 東京都の立場は主に利水なんですよね、現地の方々も、治水のためにというよりは、それは、東京などの利水のために私たちは苦労を重ねてきたんです、ということをいっているわけですから、もちろん、それは治水的側面がないわけじゃないでしょうけれども、それで今こうやって、しつこい印象になるかもしれませんが、聞いているわけですよね。
数について、もう一度私の方の認識をいわせていただきますけれども、先ほど第四次フルプランで、十二年度六百九十万トンというふうにいわれましたけれども、私がもらっている資料では、八ッ場ダム建設に関する基本計画は、六十一年三月三十一日に、文書を持っているんですけれども、先ほどいわれた第四次フルプラン、もし六百九十万トンということになれば、これは六十一年十一月の数として私は聞いています。そして、その直近の計画でいいますと、昭和五十七年十月に需給計画の参考値として示されたのは、六百九十万トンではなくて七百四十万トンです、もし違っていたら訂正してほしいんですが。そして一番直近の計画でどういう数が出ているかといえば、平成十二年度の確保する量としては六百二十万トン、したがって、もし七百四十万トンを想定して八ッ場ダム計画が進められたとすれば、少なくともそのときに想定した参考値に対して百二十万トン、余裕が既に生まれているんですよ。もちろん、雨の降る量が年々減ってきているという傾向があるかもしれませんが、それも別に突然この数年間始まったわけじゃなくて、もう明治以来の長い流れとして降水量の減少、あるいは異常気象的な事態というのがあるわけですから、にわかにここで、何か新しい発見で変えなきゃならないということはないと思うんですね。しかも、演説ばかりしていてもしようがありませんから、六百二十万トンというふうに想定したんですけれども、実際上の一日最大、ぐうんとはねたときでも、どのぐらい使われたか、どんな認識なんですか。
○中島総合計画部長 まず水需要の予測でございますけれども、現在の第四次フルプランは、六十三年二月に閣議決定して告示されているものでございますけれども、その時点では六百九十万トンでございます。その策定過程の、それ以前の段階で、先生のおっしゃる七百四十という数字が使われたかどうか、ちょっと確認できませんけれども、あったかと記憶してございます。現在、水道局で想定しておりますものは、生活都市構想の将来予測を受けまして、STEP21という計画をつくっておりますけれども、そこでは六百五十万トンという数字だというふうに私どもは聞いております。
最近の一日の最大配水量のご質問だと思いますけれども、平成十一年度の水道局の実績では、一日最大配水量は、一番多い日でございますけれども、五百三十五万トンというふうに聞いております。
○吉田委員 いろんな数いわれましたけれども、平成十二年度の一番最新の予測、最大配水量としては、六百二十万トンというものを想定したわけですけれども、十一年度で一番高く水を使った日であったとしても、今のご説明で五百三十五万トン、まだ今年度の最新値は出ていませんけれども、この前、水道局に聞きましたら、今年度の最新はもっとこれより下がって、たしか五百二十万トン程度、それも最大値ですからね、平均でいえば四百何十万トンという現実の開きがあるわけですね。ですから、七百四十か六百九十かは別にしても、それを想定して八ッ場ダムの基本計画が進められたとしたら、既に東京都自身の計画が、それから見ても大幅に下方修正せざるを得ない。そして下方修正した数よりもさらに現実に使われている水の量は、それからまた百万トン近い低い実態になっているんだということから見れば、当然、高い確保量を想定した形でダム計画が進められたとしたら、もちろん多く確保していればそれでよしという時代じゃないわけですよね。現地の方々に対する犠牲や自然破壊、あるいは東京都の財政負担というものを総合的にとらえるということが大変重要だと思うんですが、しかも、それだけではなくて、東京構想二〇〇〇では、二〇一〇年ですか、あるいは二〇一五年ですか、明らかに人口減少時代に突入する。そして世帯数も大幅に後退する時代に入ってくるというふうに書いていれば、経済成長そのものはなかなか予測がつきませんけれども、マイナスの方向しか資料はないわけですよ。一体この八ッ場ダムは、現時点でいつごろ完成するというふうに皆さんは見ているんですか。
○中島総合計画部長 先ほど答弁いたしましたように用地補償交渉が大詰めを迎えておりまして、まだ現地に立ち入って詳細な調査等は行っていない段階でございますので、詳細な設計は今後と聞いておりますので、想定は私どもでは聞いてございません。
○吉田委員 答えられないと思うんですけれども、とにかく見当がつかないわけですよ、率直にいえば事態というのはね。現地の町長さんの話を聞けば、あと二十年はかかるだろう。町長さんの話ですよ。そうすれば、明らかに東京構想の前提でいっても、人口がかなり減少する時代、労働力もかなり減少する時代にやっとダムができるのかなというふうな事態になっているわけですから、本当に冷静に客観的に、この間いろんな経過があったと思いますし、それが全然間違いだなどとはいっておりません。しかし、明らかに社会状況の変化があるわけですから、しかも、皆さん方自身も、フルプランの再検討をこれからやるということになれば、当然それは、再検討していくというのが当たり前のことだと思うんですが、局長どうですか。
○山下都市計画局長 水資源開発の見直しの件でございますが、今、先生もご指摘のとおり、第五次フルプランの策定に向けて、国が中心となって作業を進めている状況にございます。当然その間における社会経済状況の変化、そういったものは、第五次フルプランの見直しの中で総合的に検討されるわけでございまして、ダム計画についても、これに合わせて国の方において検討されるというふうに私どもは理解しております。
○吉田委員 国任せということじゃなくて、東京都自身がもっと積極的に、東京都が利水という点では埼玉県と並んで大きな比重を持っていて、それがこのダムということで、それこそ四十年、五十年にわたって地元の皆さんを悩まし続けているわけですよね。今なら取り戻すことができると、今だったら東京都の財政負担も、先ほどのように、天井知らずとはいいませんけれども、どれだけの負担になるかわからないような事態からすれば、一定の補償をして、やめたとしても、まだ財政的な負担は軽く済むわけです。しかも、水源の確保という点でいっても、単なるダムによる水源確保だけじゃなくて、都市計画局自身も進めていると思うんですけれども、雨水の再利用だとか、あるいは一度使った下水の再利用だとか、さまざまな、真に消費そのもののあり方を含めた抜本的な検討ということが、今、東京都にとっても大きな課題になっているわけですから、ぜひこれは、積極的に再検討していただきたいということを申し上げて、私の質疑を終わります。
○寺山委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
本案及び報告事項に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○寺山委員長 異議なしと認め、本案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で都市計画局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後四時九分散会
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