委員長 | 寺山 智雄君 |
副委員長 | 真鍋よしゆき君 |
副委員長 | かち佳代子君 |
理事 | 大西由紀子君 |
理事 | 吉田 信夫君 |
理事 | 森田 安孝君 |
中嶋 義雄君 | |
清水ひで子君 | |
馬場 裕子君 | |
吉野 利明君 | |
立石 晴康君 | |
内田 茂君 | |
田中 晃三君 | |
奥山 則男君 |
欠席委員 なし
出席説明員都市計画局 | 局長 | 山下 保博君 |
次長 | 石山 伸彦君 | |
技監 | 勝田 三良君 | |
理事 | 塩野 忠弘君 | |
総務部長 | 野田 一雄君 | |
総合計画部長 | 中島 守君 | |
開発企画担当部長 | 田中 亨君 | |
地域計画部長 | 小林 崇男君 | |
施設計画部長 | 杉浦 浩君 | |
航空政策担当部長 | 山内 一良君 | |
外かく環状道路担当部長 | 成田 隆一君 | |
開発計画部長 | 只腰 憲久君 | |
防災都市づくり推進担当部長 | 福島 七郎君 | |
建築指導部長 | 森下 尚治君 | |
参事 | 河島 均君 | |
環境局 | 局長 | 中野 英則君 |
総務部長 | 平井 健一君 | |
企画担当部長 | 梶原 康二君 | |
技術担当部長 | 関 寿彰君 | |
移管事業調整室長 | 西野 和雄君 | |
環境改善部長 | 長谷川 猛君 | |
参事 | 小島 高志君 | |
自動車公害対策部長 | 松葉 邦雄君 | |
自動車公害対策推進担当部長 | 山本 憲一君 | |
自然環境部長 | 高田 茂穗君 | |
廃棄物対策部長 | 薄 厚一君 | |
環境評価部長 | 町 格君 | |
環境科学研究所次長 | 萩本 秋彦君 |
本日の会議に付した事件
環境局関係
付託議案の審査(質疑・決定)
・第百十六号議案 平成十二年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出 環境局所管分
都市計画局関係
付託議案の審査(質疑・決定)
・第百十六号議案 平成十二年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出、繰越明許費 都市計画局所管分
○寺山委員長 ただいまから都市・環境委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、平成十二年度関係の付託議案の審査を行います。
これより環境局関係に入ります。
付託議案の審査を行います。
第百十六号議案、平成十二年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出、環境局所管分を議題といたします。
本案につきましては、既に説明を聴取しております。
これより質疑を行います。
発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○寺山委員長 発言がないようですので、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○寺山委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
以上で環境局関係を終わります。
○寺山委員長 これより都市計画局関係に入ります。
初めに、付託議案の審査を行います。
第百十六号議案、平成十二年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出、繰越明許費、都市計画局所管分を議題といたします。
本案につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元配布のとおりです。
資料につきまして理事者の説明を求めます。
○野田総務部長 去る二月十六日の当委員会で要求のございました資料のうち、補正予算にかかわるものにつきましてご説明申し上げます。
お手元に配布しております、当局の都市・環境委員会資料をごらんいただきたいと存じます。
表紙の次のページをお開きください。
首都高速道路公団などに対する出資金等の支出の推移でございます。
団体及び予算科目別に、過去十年間の支出実績と今後の支出予定について記載しております。
大変雑駁ではございますが、以上で、要求のございました資料の説明とさせていただきます。どうぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○寺山委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○かち委員 今回の補正予算四百七十六億円余は、全体の補正の中でも、土木費の六百億円に次いでかなり高額な予算になっていますが、その理由と、それぞれどのような事業に充てるのか、説明をお願いします。
○杉浦施設計画部長 今回の補正は、国におきます補正予算等で認められた事業への対応、また、それぞれの事業者におきます事業進ちょくへの対応、さらには交通バリアフリー法の制定など、当初予算編成後の状況変化に対応するための所要額を計上してございまして、具体的には、交通局、営団に対します地下鉄補助として百五十九億円余を計上いたしております。これは、都営大江戸線、営団半蔵門線などに対する国の公共事業予備費及び補正予算において認められたバリアフリー事業や既定事業の進捗によるものでございます。
次に、首都高速道路公団への貸し付けとして二百十億円余でございます。これは、板橋足立線及び中央環状新宿線の事業進ちょくによるものでございます。
次に、つくば線整備事業への貸付金として五十六億円余を計上してございますが、これは、同事業の事業進ちょくによるものでございます。
最後に、東京臨海線整備事業に対する出資金として五十億円余を計上してございますが、これは、建設費増嵩に対する増資分でございます。
以上、おのおの今回の補正での対応をご提案したものでございます。
○かち委員 いろいろご説明いただきましたけれども、大きな理由は、国の景気対策の一環で、公共事業予備費などの歳出と、都の三千八百億円に及ぶ法人事業税などの増収の振り分けということですよね。
それから、工事の進ちょく状況によって不用額が生じることを防ぐために、あらかじめ小さく予算を組んでおいて効率的に補正を組んだということですけれども、補正増額を組む一方で、都営地下鉄では六十二億円余り、道路公団では百二十五億円余、常磐新線では十六億円余、計二百三億円余も繰越明許費が計上されています。なぜ、こうなるのでしょうか。このような予算の組み方や繰越明許というのは、組み方として、これまでにもやられてこられたのでしょうか。
○杉浦施設計画部長 繰越明許は、歳出予算の経費のうち、年度内にその支出が終わらない見込みのあるものについて、予算の定めるところによりまして、翌年度に繰り越して使用することができるというものでございまして、都においては、例えば交通局や建設局など、事業を所管する局では従前より広範に行われている方式でございます。
今回、当局におきましても、例えば首都高速道路公団の貸し付けあるいは地下鉄補助に関しましては、大変過密化した市街地での工事であり、工事遅延等が発生する可能性も考えられることから、安定的、効率的な予算執行を図るため、繰越明許費を新たに導入することとしたものでございます。
○かち委員 建設局のような事業局などでは、工事の継続性ということもありますけれども、都市計画局としては、道路公団への貸付金というような形でやっているわけで、経費も、B経費ということですよね。そういう意味では、今までもやっていたのに、なぜ、今変えなければならないかという点では、なかなか理解しがたいものがあります。
次年度事業に支障を来さないように、余ったものは繰り越しながら、足りなければ補正を組む、これでは、予算に切れ目がなく、どこまでが年度予算なのか、ますます不明確になってしまいます。公団に対し、公団だけではありませんけれども、こうした事業団に対し、余りに至れり尽くせりの状況ではないでしょうか。安定的に組むというならば、まず、当初予算をきちんと組むべきです。それが、地方自治体の単年度予算の原則ではないでしょうか。都の財政が大変だといわれ、一〇%、二〇%シーリングだといっているときに、ここだけが全く聖域のように見えてきます。
さて、今回の補正歳出総額四百七十六億円余りのうち、二百六十六億九千万円、五六%が貸付金であり、その約八割が、二百十億円余りが首都高への無利子貸付金となっています。補正総額においても多額の割合を占めるこの首都公団への貸し付けについて、何点かお聞きします。
公団の工事進ちょく状況に合わせた補正とのことですけれども、平成十二年の、当初の公団への事業費の額と内訳はどうなっているでしょうか。
○杉浦施設計画部長 十二年度の当初予算では、首都高速道路公団に対しまして、貸付金として百三十八億八千六百万余で、出資金では三十一億九千万余を計上してございます。貸付金につきましては、対象路線でございます板橋足立線及び中央環状新宿線について、平成十二年度に確実に執行が見込まれるものの事業を精査いたしまして計上し、出資金についても同様な考えで計上したところでございます。
○かち委員 精査をして計上したにもかかわらず、不用額というか繰越金が当初予算に匹敵するほど出てしまった。一方では、二百十億円、当初予算の倍に近い補正をする、これは一体どういうことなのでしょうか。いかにも不正常な状況ではないかと思うんです。
なぜこういうことになるのか、もう少しわかる説明をしていただきたいんですが、道路公団からは、十二年度当初、幾らの予算見積要請があって、どういう理由で百三十八億円を計上したのか。また、二百十億円の補正額の算出根拠というのはどういうふうになっているのでしょうか。
○杉浦施設計画部長 平成十二年度の当初でございますが、公団からは、対象事業として五百六十億余の事業費を算定したところでございます。これに倣いまして都の貸付分を想定しますと、おおむね二百二十億円余というのが想定されたところでございます。
○かち委員 二百二十億円が想定されたけれども、精査をして百三十八億円にしたということなんですよね。精査をしたんだけれども、結局、不用額もそのぐらい、同じぐらい出てしまったし、一方では、補正額を当初予算の倍ぐらい出してしまう。やはりよくわからないんですよ。どういうことでしょうか。精査が不十分だったということなんでしょうか。
○杉浦施設計画部長 公団からの当初予算編成時の申し出の額につきましては、これが繰越明許を今回お願いする原因の一つでもございますが、やはり過密化した市街地の工事ですので、場合によっては全額執行し得ないものも当然含まれてございまして、だけれども、事業者としては、それを全額執行したいという心づもりで東京都に対して要求しているわけでございます。私が先ほど申しました精査と申しますのは、そういうことも含めて、確実に事業を執行できるものに限って、都予算として計上させていただいたということでございます。
○かち委員 その精査をして、確実に予算執行したのであれば、不用額、繰越金がこんなに出るわけはないわけだし、予想外に進んでしまって、足りなくなって二百十億円の補正をしたということなんですか。繰り越しと補正の関係が、私はよくわからないんです。
○杉浦施設計画部長 過年度、例えば十二年度予算編成の前の十一年度の不用額というのは確かにございましたが、十二年度に限っては、精査した額が足りなくて補正で増額をお願いしているところでございますので、十二年度については不用額は予定してございません。
○かち委員 百二十五億円の不用額になるべきものは繰り越したと、今回からそういうやり方をするんだということで、結局、それは十二年度の予算で使わなかったものなんですよね、違うんですか。十二年度予算では使って、さらに足りなくなったというふうに考えるんですか。
○杉浦施設計画部長 十二年度予算の当初分と、今回お願いしております補正を足し合わせて、これが十二年度内に、先ほど申しました過密化した市街地での仕事でございますので、不可抗力によって十二年度中に使えなくなる可能性もあるので、そのときの効率的な予算執行あるいは安定的な事業進ちょくを図るために、繰越分を来年度使えるように枠をとっていただくというのが明許繰越の制度であろうと思っておりますので、今年度については、不用が出ているということではございませんで、今年度使えない可能性のあることを想定して、あらかじめ枠をとっていただくということでございます。
○かち委員 不用が出ているとか出ていないとかということを聞いているのではなくて、最終年度で、もう今年度といったら、あと一カ月しかないわけですよね、そこに二百十億円もの補正を組みながら、一方で百二十五億円の、要するに、これは使えなくなるかもしれないので繰り越すというようなやり方というのは、やはり説得力がないですよ。これは、三千八百億円の増収分の振り分けによる十三年度の予算の先食いというふうに考えられても仕方がないんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○杉浦施設計画部長 明許繰越制度の本質の話だろうと思いますが、私どもの局では、従前から繰越明許費を計上してこなかったわけでございますが、その結果、翌年度に繰り越された事業に対します貸付金は、翌年度の予算の中で対応せざるを得ない状況でございましたので、翌年度では、想定したもの以外に前年度から繰り越された事業の対応ということで、必然的に翌年度予算が足りなくなるという繰り返しがあったわけでございます。
そういうことで、年度別の適正な執行管理がなかなかしづらかったという面がございますが、当該年度事業の翌年度への繰り越しに対します予算の担保を図るということ、それから、その適正な執行管理を図ることを目的に、今回、百二十五億円余の繰越明許を計上したものでございまして、十三年度予算の先食いというようなことでは決してございません。
○かち委員 私は、一般的な繰越明許費のことについて聞いているのではなくて、十二年度のこの予算との関係で、こんなに不用額、繰り越しを残すのに、さらに二百十億円もの補正をする必要は全然ないではないか。もし緊急性があるとすれば、生活関連で、本当に生死を、選択を迫られるような状況にある緊急施策もあるわけですよ。そういうところにこそ補正予算というのは組むべきであって、あるかもしれない、足りなくなるかもしれないからというような手だてをどうしてここにだけやるのかというのは、やはり公平性から考えてもおかしいというふうに考えます。
中央環状線は、総事業費が一兆五千億円と聞いています。都の負担分も、出資金では約三百五十億、貸付金では三千七百七十億というふうに聞いておりますが、首都高速道路公団の中央環状線の進ちょく状況と今後の見通し、また、これまでに費やした都の負担分など、どれだけあって、今後どれだけつぎ込むのか、お願いします。
○杉浦施設計画部長 ご質問にお答えする前に、繰越明許につきましては、決して百二十五億円余を使わないで繰り越すということではございませんで、不可抗力による執行不能を、次年度にも使えるように、その枠をこれだけ設定させていただくという趣旨でございます。
ただいまご質問のあったお答えに入りますが、中央環状線、今、板橋足立線と中央環状新宿線で工事をやってございますが、板橋足立線につきましては、十二年度末で用地買収はほぼ終了し、工事についても約九割が終了する見込みでございまして、完成を十四年度と見込んでございます。
また、中央環状新宿線については、十二年度末で用地買収が八割近く完了し、工事についても約二割が終了する見込みで、完成を十八年度と見込んでございます。
都の負担額につきましては、板橋足立線では、これまで約一千億、今後は、現行ルールで試算しますと約百四十億程度の負担が見込まれ、また、新宿線におきましては、これまで約一千四百億、同様に、今後の試算は一千七百億程度の負担が見込まれてございます。
○かち委員 非常に高額な都費をこれからもつぎ込んでいくわけですけれども、国においては道路特定財源というものを使い、貸付金についてもNTT株の収益金で賄えるわけですけれども、都の場合は、一般財源をもろに圧迫していくことになるわけです。このままでは、建設が進めば進むほど高速料金が高くなっていかざるを得ないという状況ではないでしょうか。
以前にも何度か我が党の議員が指摘をしてきたところですけれども、平成十一年の八月に総務庁から出された高速道路に関する勧告、この中で、経営者である公団に対し幾つかの勧告が出されているわけですけれども、例えば、基本計画に当たっては公団から経営の観点からの意見を聴取する仕組みを構築することとか、都市計画決定された高速道路については、基本計画の指示の前に建設料金の見直し及びその検討において用いた国、地方公共団体の公的負担等の前提条件が公表され、これに対する国民や利用者の意見が都市高速道路に適切に反映される仕組みを構築することなどが出されています。さらに、経営管理の的確化では、公団は自力での資金調達に努め、経営管理の的確性が求められているわけです。
こういうことは本当に必要だと思うのですけれども、十一年の八月にこの勧告が出された後、公団としてはどのような改善が図られてきたのでしょうか。
○杉浦施設計画部長 公団では、おっしゃる勧告を受けまして、自前での資金調達が可能となる経営環境整備のため、新たに経営の目標を設定し、あるいは外部委託の推進、経営内容の適正化、組織、要員の合理化などを進めてございます。
具体的には、管理費の削減計画を策定しまして、コスト縮減を進めるとともに、償還準備金につきましては、中期的な償還目標額を定め、毎年度の予算の中で目標達成のための具体的な金額を設定し、決算ではその達成状況の評価も行うなどいたしております。
また、平成十三年度からは公団みずから財投機関債を発行するなど、自力での資金調達努力も行っているところでございます。
○かち委員 この勧告以降に、国は基本計画の変更を行っておりますよね。このときは、いつ、どのような内容で行われたのでしょうか。
○杉浦施設計画部長 直近の基本計画の変更の件でございますが、平成十二年八月、これはあらかじめ都議会の議決もいただいておりますが、建設省より公団に対しまして基本計画の変更指示が出ておりまして、内容は、新宿線の事業費の変更によります基本計画の変更、それから二点目は、工事完了年度を平成十五年から十八年に延伸すること、三点目は、晴海線の事業化という内容でございました。
○かち委員 これが変更されたのが昨年の七月。で、事前協議をするということで、都議会の第二回定例議会で協議をされ決定されているわけですけれども、延長十キロ余りの環状新宿線の工法が変わったわけですよね。今までは開削で行おうとしていたのが、ほとんどそれをシールドでやると。技術の向上ということで工法を変えたために、増額が三千八百億円。また、ルートも民家の下を通るということだったのですけれども、それを国道の下を通らせるということによって、民地買収費が減って、千二百九十六億円の増額になったということで、工期も、十五年から十八年に延期をされたということなんですけれども、このことによって、公団への都からの出資や貸付金の増額にもなるのではないか。それは一体どのぐらいになるのか。そのことが今回の補正にも影響しているのではないかと思いますけど、いかがでしょうか。
○杉浦施設計画部長 お話しの基本計画の変更によりまして、新宿線及び晴海線に関する事業費は約一千六百億円ほどの増額となってございまして、これを都の負担に換算しますと、現行ルールで約四百億円の負担増となってございます。
ただし、これが今回お願いしております補正にどの程度影響をするかということは、ちょっと私ども詳細に分析評価してございませんが、全体事業費がふえたことは間違いございませんが、それによる今回の補正をお願いしている部分というのはごく一部であろうと考えてございます。
○かち委員 いずれにしても、そうした増額というのは、都の貸付金などに相当な影響が出てくるというのは否めないと思うんです。
今の日本のすぐれた技術、発達した技術を使えば、どんな困難な高速道路も建設することは可能だろうと思いますけれども、とりわけこの密集した都心の地下をシールドでやるという点では、もう網の目のように発達したインフラを避けたり、いろんな難しい操作も入ってくるし、その分はますます高い高速道路になっていくんだろうというふうに思うんですね。
これが本当に将来、五十年後に無料になって東京都の所有になるということが、試算的に可能なのかどうか、そういう点も今の段階では全く見えてこないわけですよね。ただ高速道路、環状線を通れば大変便利になって経済効率もこんなに上がるということだけが宣伝をされていて、そこに費やしていく東京都民の税金、それが東京の公共の福祉、全体の福祉とのバランスとの関係ではどうなのかという点では、全く試算されていないというふうに思うんです。私も道路公団のインターネットをとって見たのですけれども、すべて、こうすればすばらしい経済効率が上がると、そういうことだけしか書いていないのです。そこに都民の負担を費やしていくことが本当に、バランスがとれているのかどうか、そのことを都民全体が考える、そういう機会すら示されていないと思うんです。
勧告では、そういうことも都民が判断できるような材料を提供しなさいというふうに書いてあったと思うのですけれども、その勧告後に行われた計画の変更、この時点においてもそういうことが、公団においても国においても全くやられていないように思うのですけれども、都としてはどういうふうに考えていらっしゃいますか。
○杉浦施設計画部長 おっしゃいます行政監察の勧告を受けまして、先ほども基本計画の変更の際には、国からは、事業の効果や利用者負担と公的負担の考え方について、また公団からは、今後の料金の見通しについても資料が提供され、議会にも提出し、広く都民にも周知を図ったところでございます。
今回は、こういう試みは初めてでございますので、周知方法、内容等についていろいろご意見があると思われますので、今後はそれらの意見を参考に、よりわかりやすい内容にしていくよう、公団へも要請していきたいと考えております。
○かち委員 周知をしたといわれますけれども、こういうプレス発表の中身を見ても、説得性に足る判断材料などというものは全くありませんし、都民自身がそのことをどう選択するかということを選べるような資料に、ぜひ今後改善をしていく、そういうことを公団自身にも都から申し入れるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○杉浦施設計画部長 首都高速道路は、万たび申し上げますけれども、区部の交通の約三割、また物流の四割を担ってございまして、我々が一般に朝使う歯磨き粉あるいは食事のときの大根一本、そういったもろもろのものがあの道路を通じて我々都民に供給されているわけでございます。
そういった密接な都民生活とのかかわり合いのある大事な道路でございますので、おっしゃることについて、今回の都民への周知がもし足りないということでございましたら、今後改善を公団ともども検討していきたいと思います。
○かち委員 ただ知ればいいということではなくて、そのことを都民自身が判断できる、そういう仕組みをつくるべきだということを勧告はいっていると思いますので、そういう状況をつくっていっていただきたいと思います。
進ちょくが進めば進むほど、工事は困難になり、高度な技術や高価な機械の導入ということで、ますます建設コストが高くなっていくように見られるのですけれども、この建設コストというのは、以前と比べてどのぐらい変化をしてきているのでしょうか。
○杉浦施設計画部長 それぞれの首都高速道路の路線によって違いますが、近年の一般的な傾向としては、用地補償費が増大したり、あるいは環境保全のために例えば地下方式を採用したりということで、ご指摘のとおり高くなってございます。
例えば、昭和六十二年に完成しました葛飾江戸川線の一キロ当たりの建設費が約百八十億円でございましたが、現在整備中の板橋足立線では五百八十億円、また新宿線では、これは全面地下でございますので約九百三十億円と見込まれるなど、工事費は増大をしている傾向でございます。
○かち委員 かつて百五十億円であったものが、今日では九百三十億円。新宿線は約一億円ですよね、一メートル一億円という高い道路になるわけですけれども、このことをこのまま続けていって、採算性が本当に見合うものになるのかどうかというのは、やはり都民としては懸念をされるわけです。
では、過去十年間の首都高速道路における一日の通行台数、また、年間の料金収入などの経過というのはどういうふうになっていますか。
○杉浦施設計画部長 通行台数の変化でございますが、例えば平成二年、三年を例にとりますと、両年とも約百十万台前後。その後もやはり横ばいに推移しまして、平成十一年度、最近でございますが、百十六万台となってございます。
料金収入につきましても、平成二年度が二千二百億円、三年度が二千三百億円で、その後ほぼ二千二百億から二千七百億円台で上下してございまして、平成十一年度では二千六百億円となってございます。
○かち委員 公団の運営資金は高速料金の収入益によって賄うということになっているのですけれども、この十年間の収支を見ても一〇〇%に達したのは二回しかなくて、ほとんどが九十数%で経過しているのです。もう平成元年から貸付金の返還なども始まっているわけですけれども、実際にこれが収支に見合っていくというふうには到底思えない、かかっていくものはますます高額になっていくわけですからね。
そういう点では、公団自身が事業収益を上げる自助努力というものも本当に求められているとは思いますけれども、やはりこのままの計画をこのまま続けていいのかどうかというのは、都としてもしっかりと見直してみる、長期的な見直しに立って再検討するということが求められているのではないかと思うんです。
一メートル一億円というのは、あの東京湾横断道のアクアラインも大体そのぐらいですよね、十五キロで一兆二千四百億というようなことでしたので。それで、つくってはみたものの、当初五千円の料金にしようと思ったけれども、とてもそれでは、ならないということで、四千円に下げ、さらに三千円に下げても、一日予測交通量二万五千台に対して一万台、半分以下しか今は走っていないわけです。大赤字、もう破綻を来しているわけですね。
そういうことを繰り返させない。首都高において大動脈幹線だ、大事な幹線だといっても、無限に財源があるわけではないのですよ。東京都の限られた財源の中でどうバランスをとっていくかという点では、やはり都としてもきちんとその辺を見きわめていく必要がある、必要ならば見直していく必要があるのではないかというふうに思うんです。
貸付金の話が先ほどありましたけれども、平成元年につくられたこの貸付金、それから出資金についても、この間、要綱ということなので、国や、東京都が議会にかけなくてもどんどん変えていくことができる。気がついてみたら、平成十一年度で、貸付金については三分の二から五分の四ということで、東京都自身が三〇%から四〇%払うことになってしまっているし、それから、出資金についても一三%から二五%にもう上がっている。これは国と半々ですからその半分にはなるわけですけれども、そういう点で、どんどん都の負担分がふえていくということに対して何ら歯どめがないこういう機構というものを、やっぱり見直していく必要があるというふうに思います。
いろいろ伺ってきましたけれども、今回の補正については、その根拠というか妥当性、そういうものを見ても、五百億円もの貸付金を補正までして行う必要はないのではないかというふうに思うのですけれども、いかがでしょうか。
○杉浦施設計画部長 都財政厳しい折、公団に対する公的助成をどうするべきかという議論はしなければいけませんが、一般的に申しますと、首都高速道路公団による例えば二五%の出資金のうち、都負担一二・五%ということを考えますと、例えば都道を建設する際に、国庫補助を導入しまして、半額の都費負担が出てまいります。それから、都内の国道整備でも直轄負担金で三割の都負担が出ていきます。こういったことと、それから、つくられた自動車専用道路は、やはり交通処理という面では、一般道路に比べ二倍、三倍の効率のある道路をつくる。
こういう観点から、首都高速道路というのはやはり動脈的な道路ネットワークの一番基幹となる道路だと思ってございまして、前からいわれております東京における経済全体の高コスト構造あるいは環境負荷の低減のために交通渋滞をなくしていかなければなりませんが、中央環状新宿線を初めとした首都高速道路の整備は、東京あるいは東京圏の発展に向け必要不可欠なものであると考えてございまして、この路線を早期に整備することが今日与えられた極めて重要な課題であるという認識に立って、今回補正をご提案させていただいているところでございますので、ご理解を賜りたいと思います。
○かち委員 何が何でも経済効率最優先で、この環状線完成が何にも増して最優先されるというこの考え方が、本当に都民全体にとって正当性があるのかどうかという点では、いま一度都としても全体とのバランスで考え直すべきだと思います。ましてや、今回のように現金での増収分が出たという点では、今、緊急に都民が必要としている、例えば介護保険の減免制度なども十分にできるわけですよね、これだけのお金があれば。そういうことにやはり手だてをするというのが、本来の行政の役割ではないでしょうか。
そういう意味で、今回の補正額については到底認められないという立場で反対の意思を表明して、質問を終わります。
○寺山委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○寺山委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
以上で都市計画局関係を終わります。
○寺山委員長 これより付託議案の審査を行います。
第百十六号議案、平成十二年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出、繰越明許費、都市・環境委員会所管分を議題といたします。
本案については、既に質疑を終了いたしました。
この際、本案に対し発言の申し出がありますので、これを許します。
○清水委員 第百十六号議案、平成十二年度一般会計補正予算に、反対の意見を述べます。
環境費の補正予算については、保全地域内の土地所有者からの土地の買い取りの申し出の増加に対応するため、公有化経費を計上するということであり、二カ所の予定と聞いています。
これは当然の事業費で、本来なら当初予算にももっと盛り込まれていなければならないものであり、今回の補正予算については賛成です。
しかし、都市計画局所管分の、特に首都高速道路公団の貸付金の補正については、ただいまの質疑でも触れたところですが、東京都が貸付金を出すこと自体、法的根拠もなく、問題をはらんでおり、しかも多額の補正予算で、環境の面でも、東京都の財政状況から見ても、都民感覚からしても、異常な投資であり、今回の補正予算には反対する。その意見を述べて、終わります。
○寺山委員長 発言は終わりました。
これより採決を行います。
本案は、起立により採決をいたします。
本案は、原案のとおり決定することに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○寺山委員長 起立多数と認めます。よって、第百十六号議案、平成十二年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出、繰越明許費、都市・環境委員会所管分は、原案のとおり決定をいたしました。
以上で付託議案の審査を終了いたします。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後一時五十二分散会
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