都市・環境委員会速記録第二号

平成十三年二月十六日(金曜日)
   午後一時七分開議
 出席委員 十三名
委員長寺山 智雄君
副委員長真鍋よしゆき君
副委員長かち佳代子君
理事大西由紀子君
理事吉田 信夫君
理事森田 安孝君
中嶋 義雄君
清水ひで子君
馬場 裕子君
吉野 利明君
立石 晴康君
田中 晃三君
奥山 則男君

 欠席委員 一名

 出席説明員
都市計画局局長山下 保博君
次長石山 伸彦君
技監勝田 三良君
理事塩野 忠弘君
総務部長野田 一雄君
総合計画部長中島  守君
開発企画担当部長田中  亨君
地域計画部長小林 崇男君
施設計画部長杉浦  浩君
航空政策担当部長山内 一良君
外かく環状道路担当部長成田 隆一君
開発計画部長只腰 憲久君
防災都市づくり推進担当部長福島 七郎君
建築指導部長森下 尚治君
参事河島  均君
環境局局長中野 英則君
総務部長平井 健一君
企画担当部長梶原 康二君
技術担当部長関  寿彰君
移管事業調整室長西野 和雄君
環境改善部長長谷川 猛君
参事小島 高志君
自動車公害対策部長松葉 邦雄君
自動車公害対策推進担当部長山本 憲一君
自然環境部長高田 茂穗君
廃棄物対策部長薄  厚一君
環境評価部長町   格君
環境科学研究所次長萩本 秋彦君

本日の会議に付した事件
 請願陳情の取り下げについて
 都市計画局関係
  第一回定例会提出予定案件について(説明)
  ・平成十三年度東京都一般会計予算中、都市計画局所管分
  ・平成十三年度東京都都市開発資金会計予算
  ・平成十二年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、都市計画局所管分
  ・東京都都市計画局関係手数料条例の一部を改正する条例
  ・東京都景観条例の一部を改正する条例
    報告事項(説明)
  ・東京ベイエリア21について
  請願陳情の審査
  (1)一二第六〇号 仮称「白金六丁目計画」の見直しに関する請願
  (2)一二第四六号 JR中央線快速電車の三駅通過による不便解消に関する陳情
  (3)一二第四七号 仮称「住友不動産新宿舟町計画」に関する陳情
  (4)一二第五〇号 仮称「ルネ上野桜木マンション」の建築計画に関する陳情
  (5)一二第六二号 中高層マンション紛争を解決する制度の制定に関する陳情
 環境局関係
  第一回定例会提出予定案件について(説明)
  ・平成十三年度東京都一般会計予算中、環境局所管分
  ・平成十二年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、環境局所管分
  ・東京都廃棄物条例の一部を改正する条例
  請願陳情の審査
  (1)一二第七〇号 仮称「メモリアル高幡霊園」の墓地造成に関する請願
  (2)一二第六一号 生活騒音の規制に関する陳情
  報告事項(質疑)
  ・緑の東京計画について

○寺山委員長 ただいまから都市・環境委員会を開会いたします。
 初めに、傍聴者の皆様方の数についてお諮りいたします。
 本委員会室の定員は二十名ですが、傍聴希望の方が多数いらっしゃいますので、さらに十五名を追加したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○寺山委員長 異議なしと認め、そのように決定をいたしました。

○寺山委員長 次に、請願及び陳情の取り下げについて申し上げます。
 お手元配布の一二第七二号、(株)総合整備リサイクルセンターの工場建設に関する請願及び一二第四八号、大規模集合住宅における駐車場騒音公害対策等に関する陳情につきましては、取り下げを許可した旨、議長から通知がございましたので、ご了承願います。

○寺山委員長 次に、第一回定例会中及び今後の委員会日程について申し上げます。
 先ほど開催いたしました理事会におきまして、お手元配布のとおり日程を申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、初めに都市計画局関係の第一回定例会提出予定案件及び報告事項の説明聴取並びに請願陳情の審査を行います。
 その後、環境局関係の第一回定例会提出予定案件の説明聴取及び請願陳情の審査並びに報告事項に対する質疑を行います。
 なお、第一回定例会提出予定案件及び都市計画局関係の報告事項につきましては、本日は、説明を聴取した後、資料要求を行うにとどめ、質疑は定例会中に行います。また、環境局関係の報告事項につきましては、本日質疑を終了まで行います。ご了承願います。
 これより都市計画局関係に入ります。
 初めに、第一回定例会に提出を予定されております案件及び報告事項について理事者のの説明を求めます。

○山下都市計画局長 平成十三年第一回東京都議会定例会に提出を予定しております案件につきまして、概要をご説明申し上げます。
 今回提出を予定しております案件は、予算案三件、条例案二件の五件でございます。
 まず、予算案は、平成十三年度一般会計当初予算案、平成十三年度都市開発資金会計当初予算案及び平成十二年度一般会計補正予算案の三件でございます。
 次に、条例案でございますが、東京都都市計画局関係手数料条例の一部を改正する条例案及び東京都景観条例の一部を改正する条例案の二件でございます。
 それでは、予算案三件の概要からご説明申し上げます。
 まず、平成十三年度当初予算案につきましてご説明申し上げます。
 初めに、資料には記載してございませんが、当局の当初予算案の基本的な考え方につきまして、ご説明申し上げます。
 二十一世紀を迎えて、魅力ある首都東京の創造を図るため、目的や目標をより明確にして望ましい都市の姿へ導く政策誘導型の都市づくりを進めてまいります。
 まず、東京の新しい都市づくりビジョンの策定のための経費を計上いたしました。このビジョンは、これからの東京の都市づくりの方向や、それを進めるための戦略を示すとともに、都市計画の基本方針などについて明らかにするものでございまして、平成十三年度の策定を目指し、作業を実施いたすものでございます。
 次に、外郭環状道路など三環状道路や都市鉄道等都市交通対策の充実強化を図るための経費及び土地区画整理事業、市街地再開発事業など、面的整備事業の促進による都市基盤の整備を図るための経費を計上いたしております。
 さらに、災害に強く住みよいまちづくりを推進するため、東京都都市復興マニュアルの充実強化を図るための経費などを計上するとともに、都市構造再編のための調査並びに建築行政事務などを行うための経費を計上いたしております。
 次に、資料に即しまして、予算の総括につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元の資料1の平成十三年度当初予算事業別概要をごらんいただきたいと存じます。
 二ページをお開き願います。
 まず、一般会計でございますが、1の歳入予算は、総合計で七百八十四億七千七百万余円でございます。十二年度と比べまして、三百三十二億八千九百万余円の増額となっております。増額となりました主な理由は、起債充当事業の首都高速道路公団出資金等事業及び常磐新線整備事業などの財源である13、都債の増によるものでございます。
 2の歳出予算でございますが、歳出の総合計は、一千百五十四億九千二百万円でございます。十二年度と比べまして、二百七十五億四千万円の増額となっております。増額となりました主な理由は、首都高速道路公団出資金等事業及び常磐新線整備事業などの増によるものでございます。
 3の一般財源充当額でございますが、総合計は三百七十億一千四百万余円で、十二年度と比べまして、五十七億四千九百万余円の減額となっております。
 四ページをお開き願います。
 5の債務負担行為でございます。これは財団法人東京都新都市建設公社に対する損失補償に係る債務負担でございます。
 五ページをお開き願います。
 次に、都市開発資金会計につきまして概要をご説明申し上げます。
 平成十三年度は歳入歳出とも百三億一千八百万円でございます。十二年度に比べまして、七千七百万円の増額となっております。
 以上で、平成十三年度当初予算案の総括説明を終わらせていただきます。
 続きまして、平成十二年度一般会計補正予算案につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元の資料2の平成十二年度一般会計補正予算事業別概要をごらんいただきたいと存じます。
 一ページをお開き願います。
 1の歳入予算につきましては、十二款の諸収入が九百億円の増額となるものでございます。
 歳入合計は、既定予算と合わせますと、一千三百五十一億八千五百万余円となるものでございます。
 2の歳出予算につきましては、5、都市計画費が四百七十六億三千三百万余円の増額となるものでございまして、歳出予算合計は、既定予算と合わせますと、一千三百五十五億四千二百万余円となるものでございます。
 3の一般財源充当額につきましては、四百二十三億六千六百万余円の減額となり、既定予算と合わせますと、三億五千七百万余円となるものでございます。
 六ページをお開き願います。
 今回、繰越明許費といたしまして、二百三億九千万余円を計上しております。
 以上で当局の予算案の概要説明を終わります。
 引き続きまして、お手元の資料3、平成十三年第一回東京都議会定例会提出議案説明資料をごらんいただきたいと存じます。
 まず、東京都都市計画局関係手数料条例の一部を改正する条例案についてでございます。これは、都市計画法及び建築基準法の改正等に伴い、規定を整備するものでございます。
 次に、東京都景観条例の一部を改正する条例案につきましては、東京における自然の保護と回復に関する条例の施行に伴い、所要の規定整備を行うものでございます。
 私からの説明は以上でございます。
 引き続き、詳細な内容を総務部長より説明させていただきますので、よろしくご審議のほどお願いいたします。

○野田総務部長 まず初めに、平成十三年度当初予算案につきましてご説明申し上げます。
 お手元の資料1、平成十三年度当初予算事業別概要をごらんいただきたいと存じます。
 まず、一般会計からご説明申し上げます。
 局長から総括的なご説明をいたしましたので、私からは主な事業内容をご説明申し上げます。
 九ページをお開き願います。
 番号1の局の管理・企画事務等でございます。十三年度予算額につきましては、職員費と事業費を合わせた歳出計が、十六億三千八百万余円でございます。これは局の管理、企画事務に従事する職員の給料、諸手当、管理費及び東京都土地利用審査会の運営等に要する経費でございます。
 これらの事業に充当する特定財源につきましては、中段の使用料及び手数料以下に、また事業の内容は右側の概要欄に記載してございます。
 以下、各事業とも同様の形で記載してございます。
 次に、一〇ページをお開き願います。
 番号2は、都市計画に関する企画及び連絡調整等で、十三年度予算額の事業費でございますが、三億八千九百万余円でございます。
 右側の概要欄における主な事業の2、建設発生土再利用促進事業は、建設発生土の有効活用の促進を図るために設置されております東京都建設発生土再利用センターの運営等に要する経費を計上してございます。
 次に、概要欄の4、東京の新しい都市づくりビションの策定は、東京の都市づくりを需要対応型から政策誘導型に転換していくため、都市づくりの目標や戦略を明確にし、かつ長期的、広域的な視点に立ったビジョンを平成十三年度に策定するための経費を計上してございます。
 次に、一一ページをお開き願います。
 番号3は、利根川・荒川水源地域対策基金等事業費負担金で、事業費は三億八千九百万余円でございます。八ッ場ダム等の建設に伴う水没関係住民の生活再建や地域振興対策を講じるための負担金等を計上してございます。
 次に、一二ページをお開き願います。
 番号4は、土地取引の規制事務等で、事業費は七千二百万余円でございます。国土利用計画法に基づく土地取引の規制事務等に要する経費を計上してございます。
 次に、一四ページをお開き願います。
 番号の5でございますが、都市計画の管理事務で、職員費と事業費を合わせ、歳出計は七十七億一千八百万余円でございます。都市計画事務に従事する職員の給料、諸手当及び東京都都市計画審議会の運営等に要する経費でございます。
 概要欄の4、都市開発資金会計繰出金は、先行取得した用地費にかかわる国からの借入金に対する元利償還金として、一般会計から都市開発資金会計へ繰り出すための経費でございます。
 次に、一五ページをお開き願います。
 番号6は、都市交通計画等調査で、事業費は五千七百万余円でございます。
 概要欄の2、総合都市交通体系調査は、東京都市圏における道路、鉄道等の交通体系検討調査の一環として、国及び関係県市等と共同でパーソントリップ調査を行うものでございます。
 概要欄の5、東京における航空機能の基礎的調査でございますが、桟橋方式を用いた羽田空港の再拡張に伴う飛行ルート等、羽田の有効活用に向けた調査等を行うものでございます。
 左下の番号7は、地区計画促進事業で、事業費は四千二百万余円でございます。地区特性に応じた良好な市街地の形成を図るため、区市が実施する地区施設としての道路、公園等の整備等に対して、その経費の一部を補助するものでございます。
 次に、一六ページをお開き願います。
 番号9は、市街地整備計画調査等で、事業費は三億三千四百万余円でございます。
 概要欄の1、都市計画基礎調査は、都市計画法に基づきおおむね五年ごとに実施する人口の規模、市街地の面積、土地利用、交通量等についての基礎調査に要する経費を計上したものでございます。
 概要欄の2、外環及びその周辺のまちづくりに関する調査は、三環状道路の一つである外環について、地下化を基本とした際の地上部のあり方や沿道地域と一体となったまちづくり構想等について、多角的に調査検討を行うものでございます。
 次に、一七ページをお開き願います。
 番号11は、防災都市づくりの推進調査等で、事業費は一億一千八百万余円でございます。
 概要欄の1、都市復興マニュアルの充実強化は、平成十二年度に策定される震災復興グランドデザインを広域復興計画のモデルプランとしてマニュアルの中に位置づけるとともに、行動指針、計画指針等の見直しを行い、マニュアルの改定を行うものでございます。また、震災復興後のあり方を映像化したCDを作成し、インターネット等を活用して広く都民に周知を図る施策を展開するための経費もあわせて計上いたしております。
 概要欄の4、防災都市づくりの推進は、平成十三年四月一日より施行される東京都震災対策条例に基づき、防災都市づくり推進計画を平成十四年度に改定することとし、その改定に向けた計画見直しの調査を実施する経費を計上したものでございます。
 次に、一八ページをお開き願います。
 番号12は、都市防災不燃化促進事業で、事業費は二億一千八百万余円でございます。豊島区の雑司ケ谷墓地周辺地区外三十八地区で耐火建築物を建築する者に対しまして、所要額の一部を助成する区に対し補助金を交付するものでございます。
 番号13は、防災生活圏促進事業で、事業費は三億三千九百万余円でございます。安全で住みよい防災生活圏の形成を促進するため、防災まちづくり事業を実施する区に対し補助金を交付するものでございます。
 次に、少し飛びまして、二一ページをお開き願います。
 番号16は、土地区画整理事業助成で、事業費は八十八億五千百万余円でございます。二十六組合、一公団、二区、九市の施行する四十九地区を対象に助成を予定いたしております。
 次に、二二ページをお開き願います。
 番号17は、市町村土木補助で、事業費は八億七千百万余円でございます。市町村が都市計画事業等として施行する公園、道路及び下水道事業に対する補助等に要する経費でございます。
 次に、二三ページをお開き願います。
 番号18は、市街地再開発事業助成で、事業費は三十億五百万余円でございます。
 概要欄の1、市街地整備補助は、原町田六丁目地区外六地区を対象に補助を予定いたしております。
 概要欄の2、公共施設管理者負担金は、再開発組合等が施行する市街地再開発事業区域内における都道の整備にかかわる負担金でございます。国領駅北地区外二地区を予定いたしております。
 二四ページをお開き願います。
 番号19は、都市高速鉄道建設助成で、事業費は二百四十一億六千七百万余円でございます。
 概要欄の1、地下高速鉄道建設助成は、地下高速鉄道の建設を促進するため、東京都交通局及び帝都高速度交通営団に対して補助するものでございます。
 次に、二五ページをお開き願います。
 番号20は、首都高速道路公団出資金等で、事業費は三百四十三億六千百万円でございます。
 概要欄の1、出資金は、同公団が東京地区において施行する高速道路建設等事業に対し出資するものでございます。
 概要欄の2、貸付金は、道路交通の渋滞解消効果が大きく、緊急に整備すべき路線であります首都高速板橋足立線及び同中央環状新宿線の建設を促進するために無利子で貸し付けを行うものでございます。
 次に、二六ページをお開き願います。
 番号21は、日暮里・舎人線整備事業で、事業費は五千六百万円でございます。日暮里・舎人線の整備主体である東京都地下鉄建設株式会社に対する無利子貸付に要する経費を計上しております。
 番号22は、常磐新線整備事業で、事業費は二百六十五億八千万円でございます。常磐新線の整備促進を図るため、事業主体である首都圏新都市鉄道株式会社への出資及び無利子貸付に要する経費を計上したものでございます。
 次に、二七ページをお開き願います。
 番号23は、運輸事業振興助成交付金で、事業費は十一億六千百万余円でございます。バス、トラック事業者等が行う輸送サービスの整備改善事業に対して助成するものでございます。
 番号24は、地方バス路線維持助成で、事業費は一億四千五百万余円でございます。西多摩地域住民の生活バス路線を維持するための助成に要する経費でございます。
 次に、一ページ飛びまして、二九ページをお開き願います。
 番号27は、京急蒲田駅の鉄道駅総合改善事業費補助でございます。事業費は二千万円でございます。現在、第一京浜国道、環状八号線などの道路渋滞を解消するために、京急本線、空港線の連続立体化を進めておりますが、これにあわせて、京急蒲田駅のホームを立体化するなど、駅改善にかかわる事業費の一部を新たに国と協調して助成してまいります。
 番号28は、東京都新都市建設公社助成で、事業費は二十五億余円でございます。
 概要欄の1、土地区画整理事業交付金は、公社が市や町から受託施行する土地区画整理事業について、都が市や町に交付する補助金に相当する額を公社に対して直接交付するものでございます。
 次に、一ページ飛びまして、三一ページをお開き願います。
 番号29は、建築行政に関する管理事務で、職員費と事業費を合わせ、歳出計は十九億五千百万余円でございます。建築行政に従事する職員の給料、諸手当及び建築審査会等の運営並びに屋外広告物の許可事務等に要する経費でございます。
 次に、三二ページをお開き願います。
 番号30は、建築指導に関する事務で、事業費は一億一千三百万余円でございます。建築基準法に基づく建築確認及び違反建築取り締まり事務等に要する経費でございます。
 概要欄の4、建築行政交付金は、平成十三年度より建築基準行政事務を移管する立川市に対し、移管に伴う財政負担の軽減と事務の円滑化を推進するため、移管後五年間にわたって経費の一部を補助するものでございます。
 次に、三三ページをお開き願います。
 番号31は、建設業許可及び指導事務等で、事業費は九千六百万余円でございます。建設業法及び建築士法に基づく許可事務や指導監督等に要する経費を計上しております。
 次に、一ページ飛びまして、三五ページをお開き願います。
 債務負担行為についてご説明いたします。財団法人東京都新都市建設公社損失補償でございます。十三年度に新たに設定した債務負担限度額は、百三十八億一千六百万余円でございます。
 以上で、一般会計の説明を終わらせていただきます。
 続きまして、都市開発資金会計当初予算案につきまして、ご説明申し上げます。
 三八ページをお開き願います。
 番号1は、都市開発用地買収でございます。事業費は十億三百万余円でございます。都市開発資金の貸付けに関する法律に基づきまして、国から資金の貸し付けを受け、都市施設用地〇・一五ヘクタールの買収を行うものでございます。
 次に、四一ページをお開き願います。
 当局関連分の都市整備用地等買収費の表を掲げてございます。上の欄は、ただいま申し上げました当局所管の都市開発資金会計によるものでございます。下の欄は財務局所管の用地会計によるものでございます。
 用地会計の上段の都市整備用地等の先行取得は、十五億円、〇・三〇ヘクタールの用地買収を行う予定でございます。
 また、下段の防災都市づくり用地先行取得につきましては、防災都市づくり事業を円滑かつ強力に推進するため、十一の重点地区において基盤整備の見込まれている事業用地を防災都市づくりの種地として先行取得するものでございます。十億二千万円、〇・一四ヘクタールの用地買収を行う予定でございます。
 以上で、平成十三年度当初予算案の説明を終わらせていただきます。
 続きまして、平成十二年度一般会計補正予算案につきましてご説明申し上げます。
 局長から総括的なご説明をいたしましたので、私からは補正予算案の内容につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元の資料の2、平成十二年度一般会計補正予算事業別概要をごらんいただきたいと存じます。
 三ページをお開き願います。
 番号1の地下高速鉄道建設助成でございます。補正予算額は百五十九億一千百万余円でございます。内容といたしましては、交通バリアフリー法制定に伴うバリアフリー事業に対する補助を、国と協調して東京都交通局及び帝都高速度交通営団に対して行うものでございます。
 次に、番号2の首都高速道路公団出資金等でございます。補正予算額は二百十億七千八百万余円でございます。内容でございますが、中央環状新宿線における用地買収等、事業の進捗に伴う貸し付けの実施を国と協調して行うものでございます。
 四ページをお開き願います。
 番号3の常磐新線整備事業でございます。補正予算額は五十六億一千五百万余円でございます。内容といたしましては、路盤工事や用地買収等、事業の進捗に伴う貸し付けの実施を事業主体である首都圏新都市鉄道株式会社に対して行うものでございます。
 なお、常磐新線につきましては、先般、首都圏新都市鉄道株式会社より、路線名につきまして、つくば線を使用する旨、通知がございました。したがいまして、都といたしましては、今後、路線名としては、つくば線を使用してまいりますので、ご報告申し上げます。
 番号4の東京臨海高速鉄道臨海副都心線整備事業でございます。補正予算額は五十億二千八百万余円でございます。内容でございますが、臨海線の建設に取り組む東京臨海高速鉄道株式会社に対して、事業費の増加に伴う出資を行うものでございます。
 五ページをお開き願います。
 番号5の一般歳入でございます。内容でございますが、東京都地下鉄建設株式会社に対する過年度貸付に伴う元金収入といたしまして九百億円を諸収入として計上するものでございます。
 六ページをお開き願います。
 繰越明許費につきまして、ご説明申し上げます。
 当局が所管しております事業のうち、その性質上年度内に完了しないと予想されるものにつきまして、あらかじめ繰越明許費の議決をいただくものでございます。地下高速鉄道建設助成六十二億一千五百万余円など、合計で二百三億九千万余円を繰越明許費として計上いたしております。
 以上で、平成十二年度一般会計補正予算案につきまして、説明を終わらせていただきます。
 続きまして、条例案についてご説明をいたします。
 お手元の資料3、平成十三年第一回東京都議会定例会提出議案説明資料をごらんいただきたいと思います。
 今回提案いたしますのは、表紙記載のとおり、東京都都市計画局関係手数料条例の一部を改正する条例と、東京都景観条例の一部を改正する条例でございます。
 三枚おめくりいただき、一ページをお開きください。
 東京都都市計画局関係手数料条例の一部を改正する条例案の概要を記載しております。
 (1)の改正の理由ですが、都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律等が施行されることに伴い、新たに設けられた事務に係る手数料を新設するほか、必要な規定の整備を行うものでございます。
 (2)の条例案の概要ですが、第一に、都市計画法の改正により、市街化調整区域内における既存宅地制度が廃止され、許可制に移行することに伴い、従来の制度に関連する手数料の規定を削除いたすものでございます。
 第二に、建築基準法等の改正により、特例容積率適用区域制度及び建ぺい率に関する特例許可制度が創設されたことに伴い、当該事務に係る手数料を新設いたします。
 第三に、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律の施行に伴い、同法において都道府県知事が行うことになった解体工事業者の登録等の事務に係る手数料を新設いたします。
 第四に、大深度地下の公共的使用に関する特別措置法の施行に伴い、同法において都道府県知事が行うことになった大深度地下の使用の認可事務に係る手数料を新設いたします。
 なお、二ページから八ページには条例案文と提案理由を、九ページから一三ページには新旧対照表をそれぞれ記載してございます。
 次に、一四ページをお開きください。
 東京都景観条例の一部を改正する条例案の概要を記載しております。
 (1)の改正の理由ですが、東京における自然の保護と回復に関する条例、いわゆる自然保護条例が全面的に改正され、平成十三年四月一日から施行されることに伴い、規定を整備するものでございます。
 (2)の条例案の概要でございますが、景観条例に基づき届け出等を要する行為につきましては、自然保護条例により許可等が必要な場合においては、届け出等の適用を除外しております。今回、自然保護条例の改正によりこの条例による許可等の対象範囲が広がることに伴い、景観条例の届け出の適用除外の範囲も広げるなど、必要な規定の整備を行うものでございます。
 なお、一五ページから一六ページには条例案文と提案理由を、一七ページには新旧対照表をそれぞれ記載してございます。
 以上、大変雑駁ではございますが、平成十三年第一回定例会に提出を予定しております案件について説明を終わらせていただきます。どうぞ、よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○寺山委員長 それでは、東京ベイエリア21について。

○田中開発企画担当部長 それでは、東京ベイエリア21につきまして、ご説明申し上げます。
 本件につきましては、港湾局と共管で検討を進めてまいりましたもので、昨年九月に中間のまとめを公表し、本委員会でもご報告し、ご意見をいただいたところでございます。
 その後、中間のまとめに対します都民からのご意見等を踏まえますとともに、東京構想二〇〇〇や航空政策基本方針等との整合を図りまして、最終報告として取りまとめたものでございます。
 なお、本日、港湾局からも経済・港湾委員会へ報告いたしておりますことをあらかじめご報告申し上げます。
 それでは、最初に資料4の東京ベイエリア21の公表についてをごらんいただきたいと思います。
 東京臨海地域は、この資料の下の図にお示しする点線で囲まれた区域でございまして、おおむね明治以降の埋立地に相当する約七千ヘクタールの区域を対象としております。この地域には羽田空港や東京港が存在するほか、臨海副都心や大規模な都市開発が進められておりまして、二十一世紀に向け、文化、技術、情報を世界に発信していく拠点として大変可能性の高い地域でございます。
 都といたしましては、この地域の整備を図るため、土地利用や基盤整備など、都市づくりの指針や東京港などの物流拠点や拠点整備の今後のあり方を提示するため、この東京ベイエリア21を策定いたしまして、公表させていただくものでございます。
 それでは、内容をご説明させていただきます。お手元に資料5といたしまして概要版、資料6といたしまして本文をお配りしておりますが、本日は資料5の概要版によりまして説明させていただきます。
 最初の序章では、東京ベイエリア21の性格と目標年次を記載しております。
 まず、性格といたしましては、総合的、長期的な視点から、東京臨海地域の役割や目指すべき方向を示しておるものでございます。
 次に、目標年次はおおむね二十年から二十五年後としております。なお、より長期的な視点からの都市づくりの方向についても言及しておるところでございます。
 次の第1章では、なぜ臨海地域に着目しなければならないか、こういう視点から国際都市としての魅力の低下など、現在の東京が直面するさまざまな危機を克服するため、東京臨海地域の特色や潜在力を活用し、東京再生のための起爆剤とするとしております。
 第2章でございますが、2章では、東京臨海地域の持つ潜在力を四つの視点から明らかにしております。
 まず第一点は、羽田空港と東京港を擁するなど、人、物、情報の結節点に位置することでございます。
 二点目は、工場跡地など、大規模な土地利用転換が進展していることでございます。
 次の二ページに参りまして、三点目は、都心から十キロメートル圏内という都心への近接性でございます。
 四点目は、延長二百二十キロメートルに及ぶ多様な水域の存在であります。
 次の3章では、1節で、東京臨海地域が今後果たすべき役割を述べた上で、第2節で、具体的な再編整備の方向を四つ取り上げております。
 まず第一に、首都圏と世界を結ぶ人、物、情報のネットワークを創造することでございます。
 二点目は、二十一世紀の成長を支える新産業空間を創造することでございます。
 三点目は、職住近接と豊かな環境を備えた都市空間を創造すること。
 最後の四点目は、心をいやす水辺空間を創造することでございます。
 次の4章では、ただいま3章で述べた四つの方向を具体化するための戦略的な取り組みについて説明をしてございます。
 まず一点目が、東京再生に向けた都市基盤の強化の取り組みです。ここでは、中間のまとめ以降に策定されました航空政策基本方針を踏まえまして、羽田空港の有効活用等の内容を盛り込んでおります。具体的には国際空港化や、沖合への再拡張、さらには空港へのアクセスの向上を図るとしております。
 次の三ページをごらんください。
 物流関係では、東京港のハード、ソフト両面にわたる機能強化とサービス水準の向上等を図ることとしております。
 さらに、広域的な交通基盤や防災拠点の整備など、都心インフラの着実な整備についても述べておるところでございます。
 二番目の戦略といたしましては、自然環境と調和した都市環境の創出です。海上公園の新しいあり方や親水空間の整備、環境に優しい都市づくりについて記載してございます。
 三番目の戦略といたしましては、東京臨海地域における新たな都市づくりの展開でございます。東京湾岸道路を境といたしまして、基本的に陸側を都市的機能、海側を港湾、物流機能とすることにより、バランスのとれた整備を図ることとしております。
 臨海副都心につきましては、職、住、学、遊の四つの機能が有機的に連携したアメニティーの高いバランスのとれた複合的なまちづくりを目指すとしております。
 さらに、周辺地区における新たな地域整備の動向と今後の方向といたしまして、新木場地区や豊洲・晴海地区などにおきまして、自然環境や地域の特色を生かした今後のまちづくりについて幾つかの提案を行っておるところでございます。
 次の四ページをごらんください。
 5章では、地域特性を生かした再編整備ガイドラインといたしまして、水辺のデザイン事例や段階的整備のイメージを示しております。
 最終の第6章でございますが、ここでは、臨海地域の再編整備を効率的、効果的に進めていくための新たな仕組みづくりについてまとめております。
 例えば、民間との連携によるまちづくりを推進するため、タウンマネジメント機構の活用やPFIの導入、さらには土地利用面では、工業等制限法による立地規制の緩和などを提起しております。
 また、再編整備に向けた新たな体制整備といたしまして、埋立事業会計など、既存三会計の統合や土地処分方法の多様化を進めるとしております。
 さらに、東京湾沿岸域との連携強化を図るため、七都県市や国の参加のもとで、広域的な政策立案のための体制整備など、東京圏としての協働した取り組みの強化を図っていくこととしております。
 以上、ご説明しましたとおり、東京ベイエリア21につきましては、今回このような内容で最終取りまとめを行い、公表させていただいたところでございます。今後この内容を広く都民に周知してまいりますとともに、長期的な視点に立ちまして、東京臨海地域の総合的な再編整備を進めてまいる所存であります。
 最後になりますが、昨年九月に中間のまとめを公表した後、郵送あるいはEメールなどによりまして、都民の皆様方から貴重なご意見をいただいております。また有識者や関係団体の方々に対しましても、アンケートやヒアリングを行ってまいりました。これらの貴重なご意見は、お手元の資料7、参考資料となっておりますが、東京ベイエリア21中間のまとめに寄せられた意見等に取りまとめてございます。ご参考にしていただければと存じます。
 以上で東京ベイエリア21の説明とさせていただきます。

○寺山委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○吉田委員 何点かについて、この機会に資料をお願いいたします。
 初めに、補正予算関係になりますけれども、都営地下鉄、営団地下鉄、首都高、常磐新線、臨海高速鉄道等に対する、それぞれごとの補助金、出資金等の十年間の推移と、今後の必要予測額というものを各事業ごとに出していただきたい。
 二つ目に、利根川・荒川水源地対策基金事業負担金の総額及び各ダムごとの負担金の、これもこの十年間の推移と今後必要となる推定額。
 三つ目に、外環道路計画の計画決定から今日に至る主な経過について。
 四つ目に、市町村道路整備等補助金の十年間の推移。
 五つ目に、いわゆるボトルネック踏切の箇所数、これを路線ごとに明らかにしていただきたい。
 次に、交通バリアフリー法との関係ですけれども、鉄道事業者ごとのエレベーター及びエスカレーターの未設置駅の数を明らかにしていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○寺山委員長 ほかにございますでしょうか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○寺山委員長 ただいま吉田理事より資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○寺山委員長 異議なしと認めます。理事者におきましては、要求された委員と調整の上、ご提出を願います。

○寺山委員長 これより請願陳情の審査に入りたいと思います。
 初めに、一二第六〇号、仮称「白金六丁目計画」の見直しに関する請願を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○森下建築指導部長 それでは、お手元にお配りしてございます資料8、請願陳情審査説明表をごらんいただきたいと思います。
 まず、整理番号1、一二第六〇号、仮称「白金六丁目計画」の見直しに関する請願につきまして、ご説明いたします。
 お手元説明表の二ないし三ページをお開きいただきたいと思います。
 本請願は、吉野敏さん外三千七百三十四人の方から提出されたものでございます。
 請願の要旨でございますけれども、森産業トラスト株式会社、大成建設株式会社及び丸紅株式会社が、港区白金六丁目に計画している仮称白金六丁目計画の建築について、1、事業主に対し、計画の見直しを図るよう指導すること。2、近隣住民との合意が整うまで、当該計画の許可等、拙速な処理を行わないことというものでございます。
 現在の状況でございますけれども、港区環境影響調査実施要綱に基づく説明会を二回開催いたしましたけれども、話し合いがつかず、その後説明会は中止されております。現在、事業者におきましては、計画の見直しを行っているところでございます。
 なお、標識は未設置、許可申請は未申請でございます。東京都は、事業主に対しまして、誠意を持って周辺住民と話し合いをするよう指導しておりまして、その経過等について適宜報告を求めるところでございます。
 当初の建築計画の概要でございますけれども、用途地域は、第一種中高層住居専用地域、第一種住居地域、準工業地域及び近隣商業地域。敷地面積は一万六千三百七十四平方メートル。延べ面積は十二万一千三百七十三平方メートル。建物用途は共同住宅・店舗。階数は地上四十七階地下一階。最高の高さは百六十三・七七メートルでございます。
 以上で説明を終わります。

○寺山委員長 説明は終わりました。
 ご発言のある方はお願いします。

○かち委員 少し質問させていただきます。
 本計画案の建築主というのは、森産業トラスト株式会社、大成建設株式会社、丸紅株式会社の三社で行うことになっておりまして、今ご説明がありましたように、一万六千平米余りの敷地の中に延べ面積が十二万余平米、高さが百六十三・七七メートルという巨大な建築物を計画しているわけです。当然これは港区の環境アセスの対象にもなり、東京都のアセスにもかかってくるわけです。港区では、高層建築物がどんどん今建っているわけでありますが、居住ビル、マンション類で、このような百六十三メートルを超える高層の物件がこの港区内に他にあるのでしょうか。
 それから、この地域の条件は、私も先日行って見てきたのですけれども、この地図にもありますように、北側、商店街といえるのか、お店が点々と並んでいる住宅街の道路から眺めると、小高い丘になっているんですね。かなり高い丘のように見えるんですが、北側の一番低いところと最高の高いところの高低差というのはどのぐらいあるのでしょうか、まず、お聞きします。

○森下建築指導部長 まず、港区内の百六十メートルを超える建築物についてでございますけれども、マンションだけということで限定してはわからないんですけれども、建設中を含めまして、百六十メートルを超える建物については九つございます。
 それから、本件につきましての地盤の高低差でございますけれども、約十一メートルぐらいでございます。

○かち委員 ビルとしては二百メートルを超えるものも含めて幾つかあるわけですけれども、共同住宅、住みかとしての建物としては、私の調べた段階ではないんですね。百六十メートルを超える、まさにこれは区内一高いマンションになるというふうに思われます。
 高低差が十一メートルあるということですので、平均地盤面でいえば、六、七メートルのところから百六十メートル以上のものが建つわけですから、一番下の商店街の人から見たら、百七十メートル近い巨大な塔がそびえ立つというふうに見えると思うんです。
 その前面の道路というのは、六メートル幅あるかどうかの狭い道路で、一方通行。車道と歩道の境もはっきりしていないような、ガードレールもなかったんじゃないかと思うんですけれども、そういう狭い道路を隔ったすぐ目の前に、これだけ高いものが建つということでは、大変な圧迫感があるのは当然だと思うんです。
 こういうものが建つということになるわけですけれども、この計画が発表されたのが昨年の七月ごろだと思うんですけれども、区のアセスにかかるということで住民説明会が開かれる状況になった。当然こういうもの、しかも、私、あの状況を見てみますと、百メートルあるかないか、すぐ近くに自然教育園もありまして、地域の環境というのは静かな住宅街なんです。今ここの所在地も草木がたくさん植わっていまして、一応駐車場に点々と使っているんですけれども、外から見たらほとんど車の姿が見えないようなこんもりとした丘というか森というか、そういう状況になっているんです。保存樹林もたくさんある、こういう環境的には恵まれている地域環境の中に、この計画だけ見たら、大変異質なものがどっとここに押し寄せてくるわけです。
 そういう意味では、地域の近隣の皆さんの驚きというのは察するに余るところがあるわけです。そういう意味では、近隣の皆さんと本当に十分に話し合う必要もありますし、この計画そのものが本当にこの環境の中でふさわしいものなのかどうか。そういうことも根本に立って、本当に話し合う必要があるんじゃないかというふうに思うんです。
 事業者からの説明資料というのを私も見せていただいたんですが、これによりますと、市街地住宅総合計画、そして一団地認定という計画手法で行われるようです。そういう計画の中に盛り込まれた予定敷地内には、A、B、C、三つの棟が建つことになります。この図面を見ただけでも、これだけの限られた敷地の中に三つの大きな建物が入ってくるという点では、本来普通の基準でいったら到底組み込まれないだろうと思われるものが、この二つの市街地総合計画と一団地認定という状況の中で組み込まれていく。しかも、ここに七百八十世帯、七百八十台の駐車場が備えられるということですから、環境は一変してしまうんですね。
 平均四人家族としても、三千人から四千人の人がそこに集中するわけです。かなり過密な人口集中が見込まれますし、大変なことだと思うんです。
 本来なら、このような敷地の中に計画の三つの建物がこのような状況で設置されるのかどうか。これができるのも一団地方式だからできるんだというふうに思うんですけれども、その辺はそれでよろしいんでしょうか。

○森下建築指導部長 この敷地の計画につきましては、複数の建物が建ってございますので、それを一体の敷地として扱う一団地の制度というものを使う予定でございます。

○かち委員 一団地認定ということになるから、空域を広げなくてもいい、日影も影響ないということで、そこに押し込めることができるわけですね。こういうことが本当に、快適な都市づくりの上で環境にふさわしいものかどうかというのも、非常に疑問に思うわけです。
 周辺の道路なんですけれども、大体三角形の道路で囲まれていて、一辺は外苑通りという広い幹線道路ですが、あとの二辺というのは本当に狭い、六メートル幅あるかどうかの区道ですね。こういう狭隘な道路の中に八百台近い車が出たり入ったりすることになるわけですけれども、その車の出入りの状況、交通安全対策的なことやら、あるいは避難通路などについての配慮、こういうものはどういうふうにされているのでしょうか。

○森下建築指導部長 この計画につきましては、申請があれば、総合設計制度ということで許可することになると思いますけれども、この際には当然交通量のチェックなどをしまして、交差点での状況などについての調査をすることとなっております。それによりまして、交通の処理、あるいは安全性の問題がないということを確認した上で許可をするようなことになるかと考えております。

○かち委員 皆さんのところにも送られてきたと思うんですけれども、住民の皆さんがいろんな資料を、私のところにも届けていただきまして、それを見ますと、同じような高層ビルが建っている代官山の計画はかなり住民の皆さんの意見を取り入れた、住民参加型のまちづくりがされているということで、日影の問題でも、かなり配慮されて、南に寄せてあるとか、外に出る道路、車の道路もかなり四方八方に通っているという状況があるわけです。
 ところが、今度の計画は、三角のそれぞれの道路に一本ずつしか道がついていないという状況であって、七百台の車がいざというときにどういうふうに、地震とか災害があったときに、この混乱が重要な状況を招くのではないかというふうに思われます。
 東側の通路は、近くにある小学校の通学路ともなっているわけですね。子どもたちが行き交うこういう狭い道路に車が激しく往来することになり、交通安全上も大変問題がある計画だというふうに考えられます。
 この計画を見た段階では、森トラストが中心になって、一方的に計画を住民に、説明会という形で押しつけてきた。内容を見ても、非常に自己収益優先型で、本当に身勝手なやり方ではないかというふうに思われます。
 このまま続けていくことは近隣住民とも大変あつれきが深まるばかりだと思いますけれども、現在、局としてはどのようにこの問題を解決していこうと考えていらっしゃるのでしょうか。

○森下建築指導部長 現在、事業者の間では配置計画などを含めまして、全体としての見直しをやっていると聞いてございます。少なくとも数カ月はかかるものと聞いてございます。近隣の皆様方との話し合いを十分して、理解を求めながら計画をまとめていくように指導していくつもりでございます。

○かち委員 当初計画は見直しをされつつあるという状況にあるようですけれども、見直しをする上でも、環境アセスにかかる物件としては、延べ面積が十万平米以上、高さが百メートル以上という規定になっているんですが、そのどちらかが欠けたらアセスにかけなくてもいいという状況もあったりする中で、事業者が、よもや住民の皆さんの批判をかわすというような気持ちで、そういう場面だけ、そういうものだけで見直しというようなことにならないように、やはり近隣住民との環境に解け合った、本当にそこに住んでいくわけですから、住む人たちと、先住の皆さんとの調和というものが保てるような都市づくり、住宅づくりになるように、ぜひ東京都としても抜本的な見直しをするように、強く指導していただきたいと思うんです。そして、こそくな見直しにとどまらない、そのことを強く求めていただきたいと思います。
 本件については、請願の趣旨が計画の見直しと拙速な処理を行わないということであり、いずれも、今のご答弁にありましたように、その方向に向かっていると考えられます。そういう意味では、この請願は採択をすべきであると考えます。
 以上で質問を終わります。

○大西委員 私も白金六丁目計画の見直しに関する請願について、少しお聞きします。
 まず、市街地住宅総合設計制度、この制度を説明していただけますか。

○森下建築指導部長 総合設計制度と申しますのは、敷地内に一定の公開空地を確保し、良好な市街地環境となるよう、建築計画を誘導しようとするものでございますけれども、そのうち市街地住宅総合設計制度と申しますのは、割り増しします容積率以上を住宅の用途とする建築計画に適用する総合設計でございまして、住宅の供給の促進を目的とした総合設計の制度でございます。

○大西委員 この開発による影響として、住民の方々が、日照、圧迫感、そして車、排気ガス、電波障害、床下の、この地域が都市洪水が起こりやすい地域ということで、そういうものを具体的に心配していらっしゃるわけですけれども、それぞれに対して都の見解を教えていただけますか。

○森下建築指導部長 今の案件につきましては、今後また見直しをされるということでございますので、一般的な意味で申し上げますけれども、総合設計制度の許可に当たりましては、日照とか風害、電波障害の影響であるとか、交通量の調査などを実施した上で総合的に判断して、よりよい計画内容になるよう、事業者を指導、調整しながら運用しているところでございます。
 この計画につきましては、港区の環境影響調査実施要領に基づきまして、環境への予測調査も行うものでございまして、そういった点でチェックしているところでございます。

○大西委員 今後、区の環境アセスと、見直しに向かっているということですけれども、この市街地住宅総合設計制度を適用するに当たって、交通量の問題というのが気になるんですけれども、大規模開発に伴うそういう交通量の予測と、予想される排気ガスとか、そういうもののデータというのは都にあるんでしょうか。

○森下建築指導部長 こちらの計画につきましては、今の計画ですと、八百台ぐらいの車両が増加するというのを聞いてございますけれども、総合設計の場合には、一般的には大規模な開発に伴う交通計画をチェックするマニュアルがございまして、一般的にそういうマニュアルを使って交通量の算定、その影響について調査することになってございます。

○大西委員 この地域にもそういうデータがあるというふうに受けとめていいんでしょうか。

○森下建築指導部長 ベースとなります周辺の交通量のデータについてはあると思いますし、当然、この計画に伴いまして、周辺の交通量を調査するということも行います。

○大西委員 見直しとか、そういうものにデータというものを提示するということがぜひ必要だと思うんですけれども、その辺はどうでしょうか。

○森下建築指導部長 当然、許可に当たりましては、そういうデータを建築審査会等で審議して、それで許可するということになります。

○大西委員 そういうデータというものを、審査会等じゃなくて、こういう反対運動が起こっていれば、そういう住民にもしっかりと提示していく、そういう姿勢がこれから私は大事なものだと思っておりますので、その辺はどうでしょうか。

○森下建築指導部長 建築審査会の審査に当たりましては、公開しておりますし、そういったデータについては説明させてございます。

○大西委員 データというものをぜひ、双方で共有できるような、そういうふうに都でもやっていただきたいと思っております。
 今回のこういう開発というのは、一定地域、そこの場所を確保できたとしても、それに隣接する道路とか、そういうものが非常に影響してきます。今回もそういう意味では、どんなに高く積み上げても、人が動いたり、車が動くときには地面の道路を使うということでは、ある意味ではそこで込み合うというか、そういう面の解消というものがすごく必要であると思っております。だから、今回、この開発、その場所だけではなくて、その周り、現に住んでいる方たちの気持ちをいかに、圧迫感とかそういうものを感じさせなく、こういう計画をやっていくために、何かやっぱりそこに工夫というものが必要なんじゃないか思うんですけれども、その辺をどういうふうにとらえていらっしゃるでしょうか。

○森下建築指導部長 また今回新しく計画が出た段階でのことだと思いますけれども、当然この計画につきましては、近隣の方々に十分な説明をしていただくということが前提となります。今の道路の問題などについていえば、当然、外苑西通りの方に面しているわけでございますけれども、周辺の区道等についても、拡幅をしていくとか、そういったようなことで対応するものと考えております。

○大西委員 都市計画法の改正によって規制緩和が進み、超高層住宅の建設がこれからも多くなっていくんじゃないかと思われます。同時に、このような請願陳情もふえて、繰り返しになりますけれども、ぜひ近隣との対応というもの、その辺をしっかりと丁寧に都でも行っていただきたいと思っております。
 これに関連してなんですけれども、都心居住についてどういうふうに都は考えていらっしゃるのか、それもお聞かせください。

○中島総合計画部長 都心居住につきましては、職住近接によりゆとりのある多様なライフスタイルを実現する上で、また既存の充実した都市基盤を生かす上でも、都心居住の推進は重要だと認識しております。
 そのために近隣住民や住環境との調和に配慮しつつ、従来からの各種都市計画、都市開発諸制度を適切に活用していくことが必要であると考えております。
 加えまして、都心居住推進のための新たな仕組みを創設して、都市計画のマスタープランに従った緑地の確保や道路の整備など、質の高い住環境を創出していくということが大切だと考えております。

○大西委員 そんな中、今回四十七階という、高層といっても、超高層住宅が計画されているわけなんですけれども、そのような超高層住宅の住環境というものをどのように考えていらっしゃるのか。暮らしということを考えたときに、だんだん高くなれば高くなるほど、ごみ問題、エネルギー、子ども、高齢者への影響というものを考えたときに、果たしてそれが適当なのかどうなのか、私自身は疑問に感じるんですけれども、その辺は、超高層住宅ということを都ではどのように認識していらっしゃるのか、教えてください。

○中島総合計画部長 超高層住宅につきましては、かつて高層階の幼児ほど屋外の遊び時間や回数が少ない傾向が報告されておりまして、子育ての上で注意が喚起されたということがあったということは承知しております。
 また、ごみにつきましては、単身世帯の一人当たりのごみの量が多くて、世帯の人数が多くなるに従って、一人当たりの排出量が低減していくという傾向の報告が、かつて清掃局で調査したことがございますが、超高層住宅についてそのような調査をしたということは承知しておりません。
 いずれにいたしましても、東京における今後の住宅供給は、一人一人の多様なライフスタイルやニーズにあわせて、住む地域や住宅の形態についての選択の幅を広げていくということが、重要であると考えております。
 都心居住を推進するに当たっても、個々の住宅の住環境だけでなく、先ほど申しましたように、近隣住民や住環境との調和を図りつつ、従来からの都市計画諸制度等を適切に活用して、質の高い住環境を創出していくことが大切だと認識しているところでございます。

○大西委員 今回、政策誘導型のまちづくりということを、先ほど局長もお話しになっておりましたけれども、東京構想二〇〇〇とかを見ますと、かなり上に積み上げて、緑の確保とか、そういうものをしようという動きがあります。そういうことを考えたときに、既に都心に住んでいらっしゃる方、そういう人たちの中に、こういう開発がどんどん来れば、都心に住むことの代償として、このような開発は受け入れるしかないのかなというふうに思ってしまうんですけれども、その辺はどういうふうに考えていらっしゃいますか。

○森下建築指導部長 都としては都心居住の推進は大変大切な課題であるというふうに考えてございます。その一つの方向として、このような超高層住宅あるいは足元には広いオープンスペースや緑を配置するというような住まい方というのも、一つの都心部での生活の住まい方の方法であると思っております。
 それに伴い周辺の方々とのいろいろ環境との配慮の問題等が起きるわけでございますけれども、これにつきましては、まち全体として、将来のまちのあり方を住民の皆さんで議論していっていただきながら、そのまちづくりの方向を考えて、お互いにそういった住み分けをするような認識を持っていくということが大切ではないかと思っております。

○大西委員 高層マンション、高層住宅ということでは、先ほどおっしゃいましたエネルギーの問題とか、子どもへの影響、そして高齢者も本当に高層に住むことが幸せなのかどうなのか含めて、もう一度考え直す必要があるんじゃないかと思います。
 外国でも最近はそういう超高層というものはつくられなくなったと聞いております。そういう意味では、東京構想二〇〇〇では、東京は国際都市東京を目指すというふうにいっているわけで、私はそういう意味で、時代錯誤的な方向に向かっているんじゃないかといわざるを得ないと思っております。何も上に積み上げていくことだけが国際都市じゃありません。国際都市東京を目指すのであれば、まずそこに住んでいる住民が満足を得る、このことが重要だと思っております。
 この問題も、まずは計画市街地が、そこだけが新しくなるわけじゃなくて、やっぱり前に住んでいる方たちとの調和、このことが何よりも行政に求められているものだと思いますので、今回これは保留ということですが、そういう紛争に対しても都はしっかりと、都独自の対策でもって対応していただきたいということを要求して終わります。

○寺山委員長 ほかにご発言がなければ、お諮りしたいと思います。
 本件は、保留とすることにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○寺山委員長 異議なしと認めます。よって、請願一二第六〇号は保留と決定をいたしました。

○寺山委員長 次に、一二第四六号、JR中央線快速電車の三駅通過による不便解消に関する陳情を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○杉浦施設計画部長 引き続き、資料の四ページ、五ページをお開きいただきたいと存じます。
 整理番号2、一二第四六号、JR中央線快速電車の三駅通過による不便解消に関する陳情についてご説明申し上げます。
 本陳情は、杉並区にお住まいの千葉昇さんから提出されたものでございます。
 要旨でございますが、JR中央線の快速電車が、高円寺、阿佐ヶ谷及び西荻窪の三駅を通過する土曜、日曜、祭日に中野駅で各駅停車との乗りかえが簡単にできるように、同一方向の電車を同じホームで乗りおりができるように方策を講じてほしいというものでございます。
 現在の状況でございますが、平成六年のJR東日本におけるダイヤ改正以降、中央線の高円寺、阿佐ヶ谷、西荻窪の三駅については、快速電車が、土日及び祭日には通過しておりますが、都心方向から快速電車を利用し、この三駅に下車するためには中野駅で別のホームに移動し、各駅停車に乗りかえることとなっております。
 それを改善するためには、線路を変更し、同一方向同一ホームにする必要がございますが、線路配置の変更に伴い、東中野-中野駅間におきまして、線路の立体交差など、大規模な工事が必要となり、またその際、沿線の商店街の桜並木の伐採が余儀なくされるなど、事業実施上極めて困難な課題がございます。
 また、運行面におきましても、現行の快速電車の停車駅などを含め、根本的に見直す必要があり、新たに地元区などとの調整が生ずるなどの課題もございます。
 以上のことから、JR東日本の意向としては、この事業については直ちに実施する予定はないという状況でございます。
 ご説明は以上でございます。

○寺山委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○寺山委員長 発言がなければ、お諮りをいたします。
 本件は、保留とすることにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○寺山委員長 それでは、陳情一二第四六号は保留と決定をいたしました。

○寺山委員長 次に、一二第四七号、仮称「住友不動産新宿舟町計画」に関する陳情を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○森下建築指導部長 整理番号3、一二第四七号、仮称「住友不動産新宿舟町計画」に関する陳情についてご説明します。
 お手元説明表の六と七ページをお開きください。
 本陳情は、住友三十階怪物マンションに反対する会会長、牧野宏さん外千二百五十一人の方から提出されたものでございます。
 陳情の要旨でございますけれども、株式会社住友不動産が新宿区舟町六番地ほかに総合設計制度に基づき建設を計画している仮称住友不動産新宿舟町計画について、建築主に対し、当該計画を白紙撤回するよう指導していただきたいというものでございます。
 現在の状況でございますけれども、標識は平成十二年七月十七日に設置されましたが、許可申請は未申請でございます。
 事業主は、当初計画につきまして、四回にわたり説明会を実施しましたが、平成十二年十二月の第五回目の説明会において、計画変更案を提示いたしました。
 新宿区議会へも平成十二年九月に同様の陳情が提出され、九月二十八日に採択されまして、新宿区議会議長から都に対し、計画を白紙撤回し、地域住民と十分意見調整されることを指導するよう意見書が提出されました。
 都は、事業主に対して、誠意を持って周辺住民と話し合いをするよう指導しておりまして、その経過等について適宜報告を求めているところでございます。
 変更後の建築計画の概要ですが、用途地域は商業地域。敷地面積は千八百二十九・四一平方メートル。延べ面積は一万九千五百七・一一平方メートル。建物用途は共同住宅、事務所。階数は地上二十六階地下一階。最高の高さが九十・八メートルでございます。
 以上でございます。

○寺山委員長 説明は終わりました。
 この件に関して発言のございます方はお願いいたします。

○かち委員 本物件も、先ほどの港区白金の計画と似たような計画なんですけれども、この計画物件の用途地域、これは商業地域ということで、この周辺に高さ九十メートル以上、三十階建てのような建物はあるんでしょうか。
 本件も総合設計ということですけれども、基準容積率はどのくらいであって、これがどれだけの容積率アップになるのか。
 先ほどちょっと聞こうと思って聞き忘れたんですけれども、今後こういう建物ができてくる場合に、屋上緑化というのが一応義務づけられてくるわけです。そうした場合のボーナス分というのはどういうふうになるんでしょうか。

○森下建築指導部長 近隣の建物でございますけれども、曙橋計画と呼ばれますマンションで、二十三階建て地下二階、高さが九十六・四メートルというものがございます。
 容積率でございますけれども、この地域、商業地域で、平均しますと、容積率が約四七三%程度になります。それに対しまして、当初案でいいますと、三二三%の割り増し、変更案でいいますと、二九〇%ほどの割り増しとなってございます。変更案ではトータルが七六三%となります。
 それから、屋上緑化の件でございますけれども、屋上緑化に伴いまして、容積を割り増すという制度につきまして、現在検討中でございます。

○かち委員 ちょっと離れたところに九十メートル以上の建物があるようですけれども、町並みとしては昔ながらの、江戸時代からの商業を営んできた歴史の風格のある町並みになっているわけですね。そういうところに、こういう空き地が出て、いきなり九十メートル級の建物ができるというところでは、近隣の皆さんの戸惑い、いろいろ問題意識が高まるのも当然だと思います。
 結局、こういうところに総合計画ということで、変更案でも七六三%の容積率の大きなものが建つ。今後検討されるでしょうけれども、屋上に緑化をするといえば、またさらにいろんなサービスがつくということで、どんどん大きな、許容容積に比して大きな建物が建ってしまうという状況ができてくるわけですね。それが本当にゆとりある都市づくり、まちづくりにつながるのだろうか。先ほど大西委員もいわれましたけれども、都心での居住環境というのが、周りとの調和という点では、異質なものになるのではないか。いろんな問題が出てくるのも当然です。
 こういう建物を今後続けていくとしたら、やはり地域の町並みとの調和という点では、根本から考え直す必要があると思うんですが、先ほどもいわれましたように、このような高い建物の居住条件というのは決してよくないですね。私の住んでいる大田区でも、五十メートル級のマンションができたんですけれども、それだけでも物すごい風害が出て、近隣ではドアが壊れたとか、ごみがしょっちゅうたまってくるとか、強風にさらされているというのが現状です。
 住んでいる五十メートル以上百メートル近くの人たちというのは、多分窓をあけることもできないのではないかと思うんですね。そういう高い屋根の上に緑化ということで緑を植えることが本当に可能なのかどうかとさえも思われるわけです。きれいなまちづくりという点では、異質なゆがんだ形のものがどんどんできていくのではないかと思われます。こういう総合設計計画のあり方というものが、果たして、今の快適な都市づくりの上では周りとの関係で有害にさえなるのではないかと思いますけれども、その辺の見解はいかがでしょうか。

○森下建築指導部長 総合設計制度と申しますのは、先ほどもご説明申し上げましたけれども、有効な空地をとることによりまして、その周辺の市街地の環境にも寄与するというような良好な計画を前提としまして、容積のボーナス等を出す制度でございます。当然まちづくりの計画、都や区の計画等に整合するようなチェックであるとか、近隣への影響等、交通量その他のチェックもするわけでございますけれども、そういったものを前提として良好な計画のものについて許可をしていくという考え方でございます。

○かち委員 何をもって良好な計画とするかという点では、非常にいろんな見解があって、これが良好な計画なんだというのはなかなか定め切れない問題なのかもしれませんけれども、少なくとも、この地域については新宿区が新宿基本計画をつくったり、住宅マスタープランをつくったりして、商業と住宅が共存できる、町並みの連檐がとれるまちづくりをしていくんだ、歴史を醸すような、そういうまちにしていくんだという基本方針があるわけですよ。そういう流れからしても、突然九十メートル級のビルが建つという点では、やはり町並みの連檐を途切れさせてしまう。
 そういう点でも、私はこの計画は相応ではないというふうに思えるんです。今回、当初計画から変更案が出されておりますけれども、用途地域が商業地域ということで、百メートル以上の高さの場合には公聴会を行うことが要綱で定められています。当初の計画でも九十九・八メートル、百メートルに二メートル足りないだけの計画という点では、いかにも公聴会を逃れるというふうな思惑が見え隠れしているようにも思われるんです。
 今回のこういう計画に対して、新宿区にも陳情が出されて、そして新宿区議会ではこの計画の白紙撤回を求める陳情が採択されているんです。聞きますと、全会一致で採択をされたということです。そして、意見書が東京都に提出をされているということですが、その内容はどのようなものでしょうか。

○森下建築指導部長 新宿区議会からの意見書の内容でございますけれども、平成十二年九月二十八日付でございまして、内容としましては、本件と同趣旨の陳情を採択したということ及び都に対してこの計画について白紙撤回をし、地域住民と十分意見調整されることを指導するよう強く要望するというものでございます。

○かち委員 とかく相隣関係の問題では、議会での一致を見るというのもなかなか難しい問題だと思うんですけれども、そういう中でこの新宿区議会が、本計画を白紙撤回を求める意思を示したということは、よほどのものだったと思うんです。よほどの重みがあると思うんです。
 そういうことで新宿から意見が上がっているという点では、それを都としては真摯に受けとめて、その趣旨に沿うような指導をぜひ強化していただきたいというふうに思います。
 総合設計計画制度では、趣旨として環境の改善を行えることが前提となっていますけれども、このような敷地の適用が安易に行われると、逆に環境破壊のモデルになりかねないということは、先ほどからるるいわれていることです。そこだけでは完結するけれども、周りとの関係ではひずみがどうしても生まれてくるわけですね。通常の計画ではあり得ない極めて広い範囲にわたってのさまざまな障害が複合的に出てきます。複合日影の問題や複合風害、極度に高い容積率と人口密集、それに伴う交通障害、防災負荷など、新たな環境障害が生み出される懸念も十分に考えられます。
 今後の快適な都市生活を考える上では、総合設計のあり方そのものが再検討されるべきだと思いますが、今回変更案が出されていますけれども、白紙撤回を求めたその趣旨に対しては、余りにこそく的といえる内容です。
 新宿区議会の状況や現在話し合いを継続中ということでもありますので、都としては近隣住民の意見や区議会の意見を十分反映した内容を検討されるよう、強く指導されることを求めまして、本件については、趣旨採択をお願いしたいと思います。

○寺山委員長 ほかに発言がございますでしょうか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○寺山委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、保留とすることにご異義ございませんか。
   〔発言する者あり〕

○寺山委員長 速記をとめてください。
   〔速記中止〕

○寺山委員長 速記を再開してください。
 陳情一二第四七号は、保留とさせていただいてよろしいでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○寺山委員長 それでは、陳情十二第四七号は保留と決定をいたしました。

○寺山委員長 次に、一二第五〇号、仮称「ルネ上野桜木マンション」の建築計画に関する陳情を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○森下建築指導部長 整理番号4、一二第五〇号、仮称「ルネ上野桜木マンション」の建築計画に関する陳情につきまして、ご説明します。
 説明表の八ページ及び九ページをお開きください。
 本陳情は、谷中、上野桜木の町を考える会代表で、谷中町町会長、青山信雄さんから提出されたものでございます。
 陳情の要旨でございますけれども、総合地所株式会社が、台東区上野桜木一丁目に建築を計画している仮称ルネ上野桜木マンションについて、1、南棟の十四階を八階にするなど、階数を見直すこと。2、交通渋滞及び交通事故の増加への対応のため、敷地内貫通道路の設置及び言問通り側に車寄せスペースを設け、植栽によって圧迫感を緩和すること。谷中、上野桜木の歴史的、文化性景観を留保したボリュームと外観意匠にすること。合意を見ないうちは工事に着手しないよう調整すること。解体工事被害補償の履行前及び本工事前の現状確認が済むまで、本工事及び当マンションに関連する企業活動を自粛するよう調整することというものでございます。
 現在の状況でございますけれども、建築確認の申請は平成十二年七月二十七日に、日本イーアールアイ株式会社に提出され、九月八日に確認されてございます。
 建築計画の概要は、用途地域は近隣商業地域及び第一種住居地域。敷地面積は三千七百三十八・四二平方メートル。延べ面積は一万四千四百六十・二二平方メートル。建物用途は共同住宅。階数は地上十四階地下一階でございます。
 平成十二年九月十八日付で東京都知事に対する同趣旨の陳情書が提出されまして、東京都中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例に基づくあっせんを行いましたが、合意に至らず打ち切りとなってございます。
 その後、住民側から、計画建物の一部について建築工事禁止仮処分命令の申し立てが行われ、現在係争中でございます。なお、工事は着手されております。
 以上でございます。

○寺山委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○吉野委員 卑近な話から入りたいと思うんですけれども、私の住んでおります三鷹市というのは、かつて江戸時代、将軍がタカ狩りをするということで、タカ狩りの場、おタカ場村ということからスタートしたという歴史があります。私どもの地元に戦後も残っていた旧家を小金井公園の中のたてもの園に移築をして、今でも吉野家というのが残されております。地域の中でそれぞれの歴史を大事にしていこうという思いはどこにもあるだろうと思います。私どもも、そうした面影はなくなってしまいましたけれども、ケヤキ並木を江戸時代の名残として残していこうという地域の人々の思いが高まって、今そういう流れができてきていると思います。
 私も同僚議員に誘われまして、先日、台東区谷中の方へ行ってまいりました。この台東区谷中は首都東京において唯一ともいえる江戸の面影を残す歴史的な地域であるというふうに思います。東京都の一つの大きな財産というふうにもいえるだろうと思います。この地域の景観、環境を壊すことはいっときの問題ということではなくて、我々の子孫に対する大きな損失であろうというふうにも思います。
 上野公園から谷中一帯の歴史遺産について、東京都はどのように考えていらっしゃるのか、まずお聞きをしたいと思います。

○小林地域計画部長 上野公園から谷中にかけての一帯は、震災や戦災を免れたお寺や古い家並みが残っておりまして、今も地域に愛着を持つ人々が、歴史や伝統を受け継ぎながら生活をされており、昔ながらのかいわいとしての雰囲気があり、地域外の人にとっても魅力のある地域となっております。
 また、上野公園は江戸期以来桜の名所として、また不忍池など自然豊かな場所として、さらに美術館など多くの文化的施設があることから、都民の憩いの場として親しまれている地域でございます。このように上野公園から谷中にかけての一帯は、自然や歴史、文化をあわせ持つ地域であるというふうに考えております。

○吉野委員 きょうの委員会での陳情請願の内容もそうでありますし、現在都内において非常に多くのマンション紛争があるのはご承知のとおりであります。
 谷中三崎坂のランオンズマンションのように、地域と企業が合意をして、うまくいくという例はごくまれでありまして、そのほとんどが、コミュニティ破壊等の地域への悪影響を与えているように思えてなりません。
 これは一つには、区市町村が策定する地域の特性を生かしたまちづくり方針、あるいは都の景観条例等について、事業者や地域住民に十分周知されていないことに原因があるのではないかというふうにも思われます。
 そこで、まちづくり方針や都の景観条例を事業者や地域住民にどのように周知させようとしているのか、伺いたいと思います。

○小林地域計画部長 台東区のまちづくり方針によりますと、谷中など専用住宅、共同住宅を中心とした地区では、社寺などの歴史的景観と調和した緑と路地空間の残る住宅主体のまちづくりを進めることとされております。このまちづくり方針の内容の周知につきましては、区におきまして、広報の発行ですとか、あるいはまちづくり方針の概要版やリーフレットを作成するなどして、事業者や住民の方々へPRを図っているというふうに区から聞いております。
 また、東京都の景観条例でございますけれども、この条例は一定規模以上の建築行為やあるいは開発行為をする場合にどのように景観に配慮したかを届けてもらうことにより、景観誘導を行っていくというものでございます。
 この景観条例につきましては、平成六年の三月に東京都都市景観マスタープランを策定をいたしまして、都民や区市町村のご意見を聞きながら、平成九年十二月に東京都景観条例を策定をしております。
 この条例の周知につきましては、パンフレットを策定をし、事業者に対し説明会を開催するとともに、個々の景観基本軸を定める際にも広く都民のご意見を伺うため、PRに努めてきたところでございます。
 今後とも地域にふさわしい景観誘導が図られるよう、引き続き条例の周知に努めていきたいと考えております。

○吉野委員 今ご説明がありました。そうであっても、でも、これだけ多く建築紛争が起きているということを考えますと、特殊な地域の問題ということではなくて、都市計画や建築行政の問題として真摯にとらえる必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。

○森下建築指導部長 都市計画法に基づきます用途地域などの制度は、都市全体の観点から広い範囲にわたって定めていくものでございます。
 また一方、建築基準法に基づきます建築確認の制度といいますのは、敷地単位の建築物に対します最低の基準の確保が目的でございます。そのために、これらの制度だけでは、地域の特性に応じたまちづくりには必ずしも十分に対応できない場合もございまして、今ご指摘のような建築紛争が起きる状況があるわけでございます。
 そこで、例えば、地区計画などの制度を活用していけば、地域の特性に応じまして、建物の高さなど、そのルールを実情に応じて定めることができまして、その規制内容を建築条例で定めていただいた場合には、建築確認に際しても、その適用の有無を判断することができるようになります。このような制度の活用が大変重要ではないかと思っております。

○吉野委員 今回のこのルネ上野桜木マンションは、大規模敷地であること、また平成元年に近隣商業地域の容積率四〇〇%の区域において日影規制を解除したことにより、従前より高層建築物が建築されやすくなっております。また、近隣商業地域と第一種住居専用地域にわたった敷地に大規模マンションを建てる場合には、住居地域側に大きな容積の建物が建つ場合があります。このことが地域破壊であると住民の皆さんへの不安が広がり、あるいは不満が出てくるということになるんだろうと思います。事業者と地域住民との合意形成が図れるように、都はどのように指導をするのか、お伺いをいたします。

○森下建築指導部長 路線式に用途地域が指定されているような場合には、敷地の状況によりまして、複数の地域にわたるケースが多々ございます。敷地としましては一つとして見ますために、ご指摘のように、住居地域に大きな建物が建つようなこともあり得るわけでございます。
 そのような問題を解決していくためには、先ほどもご説明いたしましたけれども、きめ細やかなまちづくりのルールを定めることができる地区計画制度などの活用がやはり有効ではないかと思っております。
 残念ながら建築紛争となったような場合におきましては、私どもとしては、紛争予防条例に基づきまして、あっせんとか指導に努めていくこととしております。

○吉野委員 終わりますけれども、先ほどご答弁ありましたように、建築確認というのは、敷地単位の建物の最低基準をということと、景観条例ですとか、自治体のまちづくり条例等における全体の課題とのせめぎ合いという状況の中でこうしたさまざまな問題が起きてきているということを考えますと、東京の都市政策を担う都市計画局のこれからの対応というものが大変大事になっていくというふうに思いますので、そのことを申し上げて、質問を終わらせていただきます。

○馬場委員 この件は、九月の八日に確認がおりているということで、その後、十九日にこの陳情が出されております。こうした経過を見ていますと、今、吉野委員さんの方からもありましたように、地区計画制度が間に合わなかった。業者の方の方が、いろいろな意味で情報が早かったのかなという感想も持っていますが、現実には、九月の十九日にこの陳情が出され、その前日の十八日に、紛争調整の申し出があったというようなことなんですが、当案件について、東京都中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例に基づくあっせんを、どのような経緯で行って、結果的に打ち切りというふうになったのでしょうか。まずそれを伺います。

○森下建築指導部長 平成十二年九月の十八日に調整の申し出がございました。九月の二十七日から十月十二日まで三回のあっせんを行いまして、合意形成に努めましたけれども、特に全体の容積であるとか、階数の削減の問題につきまして、双方の主張の差が大きくて、打ち切りとなったわけでございます。
 都としては、打ち切り後も工事協定締結等について、双方が誠意を持って話し合いを続けることを要請しております。
 結果として、建て主が、建築主が当初計画から譲歩した点でございますけれども、最高高さの一・一六メートル削減、地上三階建て駐車場から地下ピット式への変更。一部駐車場削減による車両回転空間の確保。言問通り沿いの歩道上空地の設置などでございます。

○馬場委員 この案件はもう工事は着手しているというお話がありました。そういう意味では、住民の方が提起をなさっていることが、話し合いも含めて、このあっせんの打ち切りも含めて難しい状態にあるのかなというふうに思います。
 今のご説明の中に、双方の主張の差が大きく打ち切りとなったということでありますが、私等考えると、双方の主張の差が大きいから、逆にいえばあっせんが必要なのではないか、なぜそれが縮まる方向で都が指導できなかったのかなという思いがどうしても残ります。そういう意味で、この案件について、例えば、今後の推移の中で、再度紛争調整の申し出をし、あっせんをやり直すとか、もう一度やるとかということは可能なんでしょうか。

○森下建築指導部長 今の紛争予防条例の考え方としては、再度同じものをやらないということでございます。ただ、陳情の出たものについて、いろいろご相談するということについてはできるかと思いますけれども、条例上のあっせんということはできないということでございます。

○馬場委員 ありがとうございます。状況が違ったり、またいろんな形で都が調整を図り、指導になるのか、要請というところが微妙なところですが、この辺で双方の話ができるだけ近づくように、そういう意味での今後の都のあり方というんでしょうか、紛争調整のあり方ということも含めて、もう少し都の方でもこういう問題に対応できるような体制をつくっていただきたいという思いで質問を終わります。

○寺山委員長 ほかに発言はございますか。--なければ、お諮りいたします。
 本件は、保留とすることにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○寺山委員長 異議なしと認めます。よって、陳情一二第五〇号は保留と決定をいたしました。

○寺山委員長 次に、一二第六二号、中高層マンション紛争を解決する制度の制定に関する陳情を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○森下建築指導部長 整理番号5、一二第六二号、中高層マンション紛争を解決する制度の制定に関する陳情につきましてご説明します。
 一〇ページ、一一ページをごらんください。
 本陳情は、谷中学校代表、手嶋尚人さんから提出されたものでございます。
 陳情の要旨でございますが、町並みに配慮して中高層マンション紛争を解決するため、1、建築に伴って生ずる景観や町並みの破壊にも適用できるようにすること。建築主の責務に地域の景観や町並みとの調和を明記すること。紛争に際して、隣接住民の側に代理人を認めるよう明記すること。住民が代替案を作成できるよう、都が専門家の派遣や費用援助できるように、東京都中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例を改正すること。2、住民等がマンション紛争などを契機に都市計画法上の地区計画を申請した場合に、その地区計画を迅速に計画決定できるよう運用を改善することというものでございます。
 現在の状況でございますけれども、紛争予防条例につきましては、日照阻害等の周辺の生活環境に及ぼす影響に関する建築主と近隣関係住民との紛争の調整に関し、必要な事項を定めてございます。この近隣関係住民については、その影響が及ぶ、建物高さの二倍の範囲内の権利者及び居住者などとしてございます。
 建物が景観に与えます影響につきましては、日照に与える影響のように、具体的に判断する尺度がございませんので、一律に紛争調整項目とすることは困難でございますけれども、実際の紛争調整を行う場合においては、近隣関係住民からの圧迫感とか眺望とか、建物意匠等に関する要望として取り扱っているところでございます。
 近隣関係住民の代理につきましては、必要に応じ、弁護士、近親者を認めております。
 また、この紛争調整制度の趣旨は、当事者間の自主的な解決を促進することでございまして、住民の代替案作成に対する支援は行っておりません。
 なお、地域における良好な景観づくりにつきましては、東京都景観条例による届け出制度とともに、一部の区市において、景観条例や地区計画等による取り組みが行われてございます。
 次に、地区計画は、良好な街区の整備及び保全を図るために、それぞれの地区の特性に応じて、用途地域などによる一般的な土地利用規制よりきめ細かな、かつ厳しい制限を課すことのできるまちづくりの手法でございます。このため、その決定は、地域の実情により通じた区市町村が自治事務として行うこととなっております。
 また、都市計画決定に当たりましては、都市計画法に基づく必要最小限の手続として、同法第十七条による都市計画案の縦覧に加えまして、同法第十六条により、土地の所有者等の利害関係を有する者の意見を求めて案を作成することとなっております。
 都としては、区市町村からの相談や同意の協議等に当たり、迅速かつ的確に対応しているところでございます。
 以上でございます。

○寺山委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○大西委員 中高層マンション紛争を解決する制度の制定に関する陳情について、まず最初に、この陳情が出された背景をどう考えていらっしゃいますでしょうか。

○森下建築指導部長 幾つかの建築紛争が出ているわけでございますけれども、その中で地区計画の制度等の制定の動きもございました。その計画の動向等、建築紛争などの具体的な処理というのがなかなか円滑な連動を見ていかないということで、こういった制定の陳情かと理解しております。

○大西委員 そして、今回出されたこの陳情に対する都の見解を改めてお聞かせいただきたいと思います。

○森下建築指導部長 陳情項目に沿ってご説明申し上げますと、まず、紛争予防条例に景観や町並みへの調和を明記して、建築主の責務とするということに勘案しての見解でございますけれども、建物が地域の景観、町並みに与える影響につきましては、通常は、日照阻害のように具体的に判断する尺度がないために、一律に紛争調整項目とすることは難しいものと考えてございます。
 それから、近隣関係住民の代理人につきましては、日照阻害等の具体的な影響が及ぶ範囲の住民を紛争当事者としてございますので、弁護士、近親者などが適当と考えております。
 それから、住民側の代替案作成に対する支援でございますけれども、都が行います紛争調整は、紛争当事者同士の自主的な解決を促すという趣旨でございますので、難しいものと考えております。
 それから、地区計画の決定に関する運用改善につきましては、地区計画は区市町村が決定するものでございまして、都としては、その同意協議に当たって迅速に対応してございまして、適切に運用されているものと考えております。

○大西委員 今回、いろんなところで建築紛争が多い、具体的な処理をするためにこういう陳情が出されたんだろうということを説明なさいました。本当に東京都内でも多くの自治体でまちづくりというものに市民が関心を持ち出して、これは多分、建築紛争というものが大きなきっかけとなっていることがあるんですけれども、そういう都市計画マスタープランづくりが進んでおります。分権の時代に欠かせない市民参加のまちづくりというものを都としてどのように考えているのか、お聞きしたいと思うんです。
 というのは、東京構想二〇〇〇というものが出ました。その中にはいろんなまちづくりが盛り込まれておりましたけれども、私は、やっぱりその中に欠けているというものは、市民参加の部分、市民参加でそれを進めていこうというような、市民という視点が非常に欠けている都市構想じゃないかなと思っております。そういう意味で、市民参加を支援するための取り組みをこれからは都は考えるべきであるわけで、情報公開とかまちづくりセンターとかいろいろなことを含めて、分権の時代に合った市民参加のまちづくり、これをどのように考えていらっしゃいますか、お聞きしたいと思います。

○中島総合計画部長 住民参加のまちづくりの東京都の考え方と、その支援策につきましては、先生今おっしゃいました東京構想二〇〇〇の中で、望ましい都市像の実現に向けて、都民や民間事業者、NPOや地元自治体など、都市づくりにかかわるさまざまな主体の取り組みを誘導していくことが重要であるとの認識に立ちまして、東京にふさわしい都市づくりの新しいルールや、都民や民間事業者等の自発的な都市づくりへの取り組みを促す仕組み等をつくっていくことが必要であると述べているところでございます。
 また、東京都都市計画審議会におきまして、現在、社会経済状況の変化を踏まえた東京の新しい都市づくりのあり方についての調査審議の中で、これらの都市づくりに必要な仕組みについてご検討いただいているところでございます。
 都市計画局といたしましては、今後の都市づくりにおきまして、都市づくりの目標の共有、情報提供体制の整備、計画決定プロセスの透明性の向上などに取り組むことは、重要な課題であると認識しているところでございます。

○大西委員 そういう意味では、支援していくという方向にあるのかなと、今の答弁では期待をしている部分もあるんですけれども、実際、自治体でのマスタープランづくり等が行われている中で、こういう建築紛争みたいなものにぶつかったときに、今の建築法とか、法にもぶつかるわけですよね、そのときに、地域での都市計画マスタープランを一方では奨励していながら、法というところで住民にとってはすごい大きな壁がある。それはやはり、東京都という自治体はつなぐ役が非常に役割としてあると思うんですけれども、そういう場合に、都独自の対策というものがそこで必要になってくるんですけれども、そのギャップを埋めるための何らかの対策というものを都はどのように考えているのか。あるのかないのか、教えていただきたい。

○小林地域計画部長 マスタープランの目標と建築紛争などにあらわれます現実の建築行為とのギャップを埋める方策についてというような趣旨のご質問かと思いますけれども、ご案内のとおりに、区市町村のマスタープランにつきましては、その目標を定めることによりまして、住民、事業者、そして行政が地域にふさわしい共通の目標のもとに、地域のまちづくりを進めていこうとするものでございます。
 こうした地域のまちづくりの目標を実現していくためには、先ほど来何回か出ておりますけれども、都市計画法に基づく地区計画ですとか、あるいは建築基準法に基づく建築協定などの手法を活用しながら、地域のまちづくりのルール化を図っていくということが重要であるというふうに考えております。
 都といたしましても、こうした区市町村が主体となって行う地域のまちづくりを積極的に支援をしていきたいというふうに考えているところでございます。

○大西委員 言葉でいうとそういう形で何かすごく進んでいるように聞こえるんですけれども、実際、現場でそういうことが動き始めたときというのは、本当にいろんなバリアがあるということを日々感じるわけです。
 そういう中で、昨年の暮れ、国立市でも大学通りに大きなマンション計画がありまして、今それが裁判になったということで、昨年の暮れ、景観裁判で、東京高裁が例のイチョウの、判決というのが出ました。その説明文の中に非常にいいことが書いてあったんですけれども、景観権を多くの人が認めながらも、それを裏づける法律や条例ができてない、このことを説明文の中に指摘してありました。環境権、景観権ということについては、まちづくりの面で行政が立ちおくれているんじゃないかと思っております。そういうものに対して、早急に解決すべき何かの策を講じなければいけないと思うんですけれども、その辺についてはどうでしょうか。

○小林地域計画部長 先生ご指摘の国立の裁判の判決でございますけれども、昨年の十二月の二十二日に東京高裁から判決のありました、いわゆる国立の景観裁判でございますけれども、景観の阻害について建築の差しとめの根拠となるものではないと判断するとしております。
 その理由として、環境、景観に関しては、私法上の権利として認知し、地方裁判所により保護されることを可能にする立法は制定されていないというふうにされておりまして、この部分が先生が例示された部分かというふうに存じます。
 その理由の後段の部分に、裁判の規範となる立法はされていない、このことは、我が国においては、これを地方裁判所によって維持されるべきものとする国民の需要が立法を促すほどには強くないことを示すものであるというふうに記載をされております。
 こういった状況の中で、景観を中心としたまちづくりを進めるに当たって、都といたしましても、平成九年十二月に、都民みずからが景観づくりに取り組むことなどを内容といたしました東京都景観条例を制定いたしまして、現在、この景観条例に基づく景観基本軸の指定を順次行うとともに、一定規模以上の建築や開発行為を行う場合には、どのように景観に配慮したかを届けてもらうことによりまして、景観誘導に努めているところでございます。
 また、景観のように地域の特性に合ったまちづくりを進めていくためには、先ほど来も申し上げましたとおり、地域の合意形成を図りながら、地区計画や建築協定などの手法を活用しながら、地域のまちづくりの具体的なルールをつくっていくことが重要であるというふうに考えておるところでございます。
 都といたしましても、こうした区市町村が主体となって進めております地域の取り組みにつきまして、積極的に支援をしてまいります。

○大西委員 積極的に支援していく具体策として、やはり一番今地域で求められているというのは、建築確認申請時の確認事項というのが幾つかあるわけですけれども、その中に区や市の条例をクリアすべきだという一項目をここに入れていくということがすごく大切になっていくじゃないかと思います。東京都の役割としては、その制度を国へ向かって求めていくとか、そういうことが必要ではないかと思うんですけれども、その辺はどうでしょうか。

○森下建築指導部長 今、委員ご指摘のように、建築確認に当たりまして審査する法律というのは、建築基準法のほかに、建築基準法に基づき定められている条例と都市計画法など十四の建築対象法令というものに限られてございます。
 それで、地方自治法に基づいて定めます条例については、建築確認の審査の対象になっていない、そういう条例を建築確認の対象とするという場合には、建築基準法の改正そのものが必要だということで、現状ではなかなか困難であるということでございます。
 まちづくりの、あるいは景観に関するそれぞれの条例を定める場合においては、それぞれの条例の趣旨、目的に沿いまして、それぞれの条例ごとに定めます規制の仕方とかコントロールの仕方で運用を進めていくべきものと考えてございます。

○大西委員 再度お聞きしますが、地域の中で、一方には環境とか都市計画マスタープランを奨励しながら、先ほど、法のというところでそれをクリアすることができないというお答えがあります。やはり東京都の自治体として、国、地域、東京都の自治体としてやるべきこと、そこをもう一歩踏み込んでやるべき時代が来ているんじゃないかと思うんですけれども、国に対してそういう要求とかなさるつもりはありませんか。

○森下建築指導部長 建築行政の場から申し上げますと、確かに今の用途地域はかなり大まかなものでございます。それに対して建築は確認をするということで、法令の最低条件ということでございます。そのギャップはあるということでございます。
 それで、例えば諸外国においては、例えばアメリカなんかでは、かなりゾーニングを細かくしております。住宅系だけでも十から二十ぐらいの細かい用途地域を定めまして、高さとか壁面後退とかすべて細かく決めるという、ゾーニングを細かくするという方法がございます。それからドイツなどでは、地区計画を既成市街地では義務化しているということによって細かく決めている方法がございます。それから、確認ではなくて、大きなマスタープランに基づいて計画を許可していくというイギリスのやり方もございます。そういったいずれかの方法について、日本の制度というものも少しずつ変わっていかなきゃいけないという気持ちはいたします。
 ただ、現状でもその同一型の地区計画の制度というのはあるわけでございます。たまたま今回いろいろな紛争が起きているわけでございますけれども、その紛争の物件そのものについての解決というのはなかなか難しいことはあるかと思いますけれども、それを契機として、本当に地域の皆さん方と区市が一緒になって努力していただいて地区計画を決めれば、それと同等のことはできるわけでございますので、ぜひそういう地区計画などの制度について、実際に運用していくという考え方が必要じゃないかと思っております。

○大西委員 環境権、景観権については、法的には認められていないわけですが、それが必要だという声がもう実際には上がっております。そういう意味で行政の役割が大きいということを改めてお願いしておきたいと思います。
 最後に、全体の、今回の陳情を含めましてですけれども、都心居住というあり方、高層にやっていこうというこれからの方向がある程度あるわけですけれども、アメリカのサンディエゴというところでは、都心居住を進めるために、まず郊外居住のよさを都心に持ち込もうと低層のタウンハウスをつくったと聞いております。都心居住イコール高層マンション、超高層マンションというマンション業者と変わらない都市計画局の発想、これが都市の環境を悪化させているんではないかと私は思っているんですけれども、この点はいかがでしょうか。

○中島総合計画部長 私どもは、都心居住を進めておりますのは、今、法的な補助制度を受けている対象といたしましては環七の内側ということでございますけれども、そのように都心と一言でいいましても、その中にはいろんな地域があるわけでございまして、それぞれの地域の特性に応じて、さまざまな選択肢の中から適切な手法なり住宅供給、住宅環境整備が行われることが必要であると認識しているところでございます。

○大西委員 これからは日本の総人口が減り、住宅もまさに量から質への時代です。都心でも日照、風通し、さらに景観に配慮した良質な住宅を供給していくことがこれからの課題だと思っております。
 質問に取り上げた紛争当事者の問いかけを真摯に受けとめて、都市計画局の発想の転換を私は強く希望したいと思います。
 終わります。

○馬場委員 最近では、景観や町並みの形成について、住民の関心が少しずつですが高まってきているというふうに思います。本日の委員会の中でもさまざまな地区計画や建築協定といった問題が今議論されてきていますが、この陳情の方の要旨のところにもあらわれていますように、特に2、マンション紛争などを契機にというふうに地区計画に絡ませてこの陳情は出されているんですが、私たち実際には地区計画等を立ててまちづくりを考えていく必要があるという思いはあっても、なかなか地域としてつくっていかれない、そういう状況の中で、実は、この方のように、自分の隣に突然高層ビルの建築計画が持ち上がるとか、また再開発や区画整理事業に自分のところがかかわってくる、知人等、家族等かかわってくる、そういうことが起きて初めて地区計画ということの必要性を感じているというのが現状ではないかというふうに思います。
 この陳情の方、あえてそのことをいっていらっしゃるわけですが、先ほどの一件前のルネ上野桜木マンションもそうでありましたけれども、実際にマンション紛争等が起こって、それから地区計画を立てて、間に合うようにしてほしいというような趣旨ではないかなというふうに読ませていただきました。この陳情者が地区計画を申請した場合に、時を置かずに計画決定できるよう運用改善を要望していらっしゃるわけですけれども、実際、この辺の計画決定というのはどんなような進め方になっているのか、時間的経過等がはっきりわかるようにお答えいただきたいと思います。

○小林地域計画部長 地区計画でございますけれども、街区単位にきめ細かに地域にふさわしい市街地を実現していくための制度でございまして、住民の意向を十分に反映させていくという必要があることから、地域の行政を担当し実情に精通している区市町村が定めることとされておりまして、また、その内容の一部について知事が同意をすることとなっております。
 この地区計画の策定に当たりましては、まず、区市町村が利害関係者の意見を求めて案を作成をいたしまして、都市計画法に基づく公告縦覧等の所要の手続を経た後に、区市町村の都市計画審議会に付議をいたしまして区市町村が決定することとされております。
 それから、時間的な問題でございますけれども、その地域地域の特性によってかなり変わってこようかと思いますけれども、地域での合意形成を図るということが大変重要でございますから、その部分について一年かかったり二年かかったりという事例もございますし、あるいは緊急的に地区計画を策定をするということで、数カ月で作成をされるといった例もあろうかと思います。
 都市計画の手続に入りましてからは、二カ月、三カ月という期間の中で決定はできるものというふうに考えておりますけれども、住民の合意形成を図っていく上で、どういったルールを--かなり厳しい規制をかけるということになれば、それぞれ利害関係者が多くてなかなか合意形成が難しいというような場面もあろうかと思いますけれども、割と緩やかな地区計画あるいは全員が合意ができるような地区計画ということであれば、かなり短い期間でそういった手続には入れるんではないかというふうに思っております。
 いずれにいたしましても、都としても、地区計画の同意に当たりましては、地域特性を生かした地域のまちづくりが円滑に進められるよう、迅速に対応していきたいというふうに考えております。

○馬場委員 この地区計画を立てることがまず大事なんですが、それは区市町村の役割であると、ここまでがうまくいけば、都としては区の地区計画の同意については、一カ月、二カ月ぐらいで迅速に対応ができるのだというお答えだというふうに思います。
 この陳情者は、その辺を少し--この地区計画は都が許可するものというふうに思っていらっしゃるのかなというふうに受け取っているんですが、このマンション紛争を契機として明らかとなってくるこうした地域の景観や町並み保護の問題について、それでは、ここは都ですので、区市町村がきちんと自分のところの地区計画を立てるように対応を指導していただくということも一つあるんですが、都としては、そのほかにどのような対応を考えていらっしゃるのか、伺います。

○森下建築指導部長 都としても、大規模な建築物につきましては建築確認行政を行っているわけでございますけれども、建築確認行政につきましては、先ほど申し上げましたような最低の基準をチェックする、それを確認するというような限界がございます。
 答えとしては、地域計画部長と同じようなものになるわけでございますけれども、地区計画などのまちづくりのあり方をあらかじめ決めていただいたルールの中で、そういった計画づくりとの連動を図った建築行政を行っていくというような対応がベターではないかと考えております。

○寺山委員長 違うでしょう、答弁が。地区計画をいかに促すかという話でしょう。

○馬場委員 地区計画を促すということが都の一つの役割でもあるというふうに思いますが、都としての役割という意味でお尋ねをしました。
 都民の皆さんからすると、その地区計画、何を準備していったらこういうマンション紛争等の場合に解決されるのか、また、紛争がもちろん起きない方がいいわけですから、未然に防ぐということもありますし、その辺の区市町村と都の役割、それから住民が何をしたらいいのかということも含めて、役割分担とか、その連携、時間的な配分も含めて、わかりやすいような都市計画、地区計画、そういうものがもっと進められるように、都としてはぜひこれからの取り組みをお願いしたいというふうに思って、質問を終わります。

○寺山委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、保留とすることにご異議ございませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○寺山委員長 異議なしと認めます。よって、陳情一二第六二号は保留と決定いたしました。
 以上で請願陳情の審査を終わります。
 以上で都市計画局関係を終わります。
 議事の都合により十分間休憩をいたします。
   午後三時二十六分休憩

   午後三時三十八分開議

○寺山委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 これより環境局関係に入ります。
 初めに、第一回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○中野環境局長 第一回定例会に提出を予定しております環境局関連の案件の概要につきまして、ご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の平成十三年第一回都議会定例会提出予定案件の概要をごらんいただきたいと存じます。
 今回提出を予定しております案件は、平成十三年度当初予算案及び平成十二年度補正予算案並びに条例案一件の合計三件でございます。
 一枚おめくりいただきたいと存じます。一ページ以降は、これらの案件の概要でございます。順次ご説明を申し上げます。
 まず、平成十三年度一般会計当初予算案につきましてご説明申し上げます。
 初めに、予算編成の基本的な考えについてでありますが、平成十三年度当初予算案におきましては、東京都環境基本計画及び東京構想二〇〇〇に基づき、都民が健康で安心して生活できる東京の創造を目指し、各種施策の総合的、計画的な推進に取り組んでまいります。
 また、昨年十二月の第四回定例会におきまして全面改正いたしました都民の健康と安全を確保する環境に関する条例及び東京における自然の保護と回復に関する条例の着実な施行も図ってまいります。
 次に、主な事業内容につきまして申し上げさせていただきます。
 第一に、環境問題に対する総合的な取り組みについてでございます。
 東京都環境基本条例に基づきまして、東京都の環境の保全に関する目標、施策の方向などを定める環境基本計画につきまして、環境行政をめぐる状況の変化を踏まえ年内に改定いたします。
 また、フロンの適正処理や地球温暖化対策を初めとする地球環境保全対策に取り組むとともに、建築物の設計段階からの環境への配慮など、事業活動における環境負荷の低減を促進してまいります。
 第二に、大気、水質等の環境の改善でございます。
 初めに、自動車公害対策でありますが、東京の大気を一日も早くきれいにするため、低公害な自動車への買いかえや、DPFの装着に対する助成を充実するほか、低硫黄軽油の早期供給を促進するなど、ディーゼル車対策を効果的に進めるための多面的な取り組みを行ってまいります。
 あわせて、自動車Gメンによる指導取り締まりなどを着実に行ってまいります。
 さらに、ロードプライシングを初めとする交通需要マネジメント施策や固定発生源対策など、東京の大気汚染の改善に向けた総合的な取り組みを進めてまいります。
 二ページをお開きいただきたいと存じます。
 次に、ダイオキシン類対策や環境ホルモン対策につきましても、着実に取り組むとともに、事業活動に使用する多様な化学物質が都民の生活環境にもたらす影響を回避するため、法によるPRTR制度及び環境確保条例に基づきまして、事業者による有害化学物質の適正管理と、排出抑制や土壌汚染対策を推進してまいります。
 また、水環境の保全につきましては、揚水規制や雨水の地下浸透など総合的な地下水保全対策を進めるとともに、河川、内湾の水質の改善などを着実に進めてまいります。
 このほか、道路、鉄道の騒音、振動対策、航空機騒音対策なども推進してまいります。
 第三に、自然環境の保全と回復でございます。
 都市と自然が調和した豊かな東京の実現を目指しまして、昨年十二月に策定いたしました緑の東京計画及び改正後の自然保護条例に基づき、緑地の保全や開発規制の強化など、自然の保護と回復を図ってまいります。
 また、ヒートアイランド現象の緩和にも資する建築物の屋上緑化など、市街地の緑化にも積極的に取り組んでまいります。
 さらに、小笠原諸島の自然保護対策を含む野生動植物の保護対策など、各種施策を総合的に推進してまいります。
 第四に、廃棄物の適正処理と資源循環の推進でございます。
 区市町村との連携のもと、廃棄物の発生抑制や資源化及び適正処理を推進するため、各種指導や区市町村の施設整備等に対する助成及び広域的な仕組みづくりなどに積極的に取り組んでまいります。
 また、産業廃棄物については、近県との広域的な連携等により、不法投棄対策等を推進してまいります。
 さらに、長期保管や紛失などによる環境リスクが懸念されますPCB廃棄物については、適正保管を徹底するとともに、都の関与による処理施設の整備に向けた検討を行います。
 このほか、環境影響評価、環境保安対策及び環境保全に関する調査研究などにつきましても、引き続き積極的に推進してまいります。
 これらの事業を推進するための予算につきましては、三ページ中段の(3)、一般会計当初予算計上額にございますように、歳出予算として三百三十三億六千八百万円、歳入予算として百二十八億三千四百万円を見込んでおり、差引一般財源充当額は二百五億三千四百万円となっております。
 以上が平成十三年度一般会計当初予算案の概要でございます。
 次に、三ページの2、平成十二年度一般会計補正予算案につきましてご説明申し上げます。
 都内に残された貴重な自然を保全するために、都は、自然保護条例に基づき保全地域を指定しております。今回の補正は、保全地域内の土地所有者からの土地の買い取りの申し出の増加に対応するため、公有化経費を計上するもので、補正予算額は二億六千万円でございます。
 続きまして、条例案でございますが、これは、商法等の一部改正により、会社分割制度が創設されたことに伴い、東京都廃棄物条例の廃棄物処理法に基づく事務にかかわる手数料の規定を整備するものでございます。
 以上、今定例会に提出を予定しております案件の概要につきましてご説明申し上げました。詳細につきましては、引き続き総務部長からご説明申し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。

○平井総務部長 それでは、各案件につきましてご説明申し上げます。
 初めに、平成十三年度当初予算案でございます。
 お手元の資料1、平成十三年度一般会計当初予算事業別概要に基づきましてご説明申し上げます。
 表紙から二枚めくっていただきまして、一ページから七ページまでは予算の総括表でございます。
 まず、三ページをお開きいただきたいと存じます。歳入予算でございます。
 使用料及び手数料から諸収入までを合わせまして、百二十八億三千四百四十一万三千円を見込んでおります。
 次に、四ページをお開き願います。
 歳出予算として三百三十三億六千八百万円、前年度に比べて三十二億六千百万円の増となっております。差引一般財源充当額は二百五億三千三百五十八万七千円となりまして、前年度に比べまして百四億一千四百四十一万五千円の増となっております。
 次に、五ページをお開きいただきたいと存じます。繰越明許費でございます。
 埋立処分場建設において、年度内に支出が終わらない見込みのあるものにつきまして、一億七千万円を計上させていただいております。
 次に、六ページでございます。債務負担行為でございます。
 これは、新たに債務負担が発生するものや、既に生じている環境保全資金融資に伴う利子及び信用保証料補助等に要する経費を計上したものでございます。合計額二百四十三億四千九百八十六万五千円を見込んでおります。
 七ページは、予算の性質別内訳をあらわしております。
 続きまして、九ページ以降にございます当初予算事業別概要をご説明させていただきます。
 環境局の予算科目には、環境管理費、環境保全費、廃棄物費の三つの項がございます。
 恐れ入ります、一一ページをお開き願いたいと存じます。まず、環境管理費でございます。
 十三年度予算額は、二十四億二千九百万円を計上しております。特定財源といたしましては、使用料及び手数料から諸収入までの合計一億一千七百七十六万五千円、差引一般財源充当額は、一番下にございますが、二十三億一千百二十三万五千円となっております。
 一二ページと一三ページは、環境管理費の内訳を示しております。
 一二ページの総務管理費でございますが、総務部所属職員七十六名分の給与、諸手当や局全体の再雇用職員の報酬並びに局の管理運営のための事務経費など、十四億一千百万円を計上しております。特定財源は、使用料及び手数料、諸収入の合計七十一万八千円でございます。
 次に、一三ページ、企画情報費でございます。
 十億一千八百万円で、特定財源が使用料及び手数料から諸収入までの合計一億一千七百四万七千円でございます。
 次に、右側の概要欄をごらんいただきたいと存じます。事業の概要でございます。環境保全施策の総合調整、資源循環の推進、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の施行事務、地球環境保全対策、環境学習の推進、環境情報管理システムの運営を行うこととしております。
 次に、一四ページをお開き願いたいと思います。二つ目の項は環境保全費でございます。
 十三年度予算額は百六十億六千一百万円を計上しております。特定財源が使用料及び手数料から諸収入までの合計六十二億四百四十一万七千円、差引一般財源充当額は九十八億五千六百五十八万三千円となっております。
 一五ページから二〇ページまでは、環境保全費の内訳でございます。
 まず、一五ページでございますが、管理費でございます。
 環境保全に従事する職員三百四十三名分の給与、諸手当、三十六億五千八百万七千円を計上してございます。
 次に、一六ページは環境改善費でございます。
 三十九億二千八百万円で、特定財源が使用料及び手数料から諸収入までの合計十七億六千八百二十三万七千円でございます。事業の概要でございますが、環境改善に係る企画調整、事業者等の環境保全活動への支援、有害化学物質対策の推進、環境保安対策の推進、発生源規制指導等を行うこととしております。
 次に、一七ページをごらんいただきたいと存じます。自動車公害対策費でございます。
 三十五億三千四百万円で、特定財源といたしまして、国庫支出金が一億三千七百五十万円でございます。事業の概要でございますが、自動車交通量対策、自動車単体対策、燃料対策、道路沿道環境対策、自動車公害対策の普及啓発等を行うこととしております。
 次に、一八ページをお開き願います。環境評価費でございます。
 十三億八百万円で、特定財源が使用料及び手数料、国庫支出金の合計四千四百八十二万八千円でございます。事業の概要でございますが、大気環境監視、水質環境監視、環境影響評価条例施行事務等を行うこととしております。
 次に、一九ページをごらんいただきたいと思います。自然環境費でございます。
 三十億七千四百万円で、特定財源といたしましては、使用料及び手数料から諸収入まで合計四十二億八百六十六万六千円でございます。事業の概要でございますが、自然の保護と回復に関する施策の推進、水辺環境施策の推進、緑地保全策の推進を行うこととしております。
 次に、二〇ページをお開き願いたいと思います。環境科学研究所費でございます。
 五億五千八百九十九万三千円で、特定財源は、使用料及び手数料から諸収入までの合計四千五百十八万六千円でございます。事業の概要でございますが、環境科学研究所の管理運営、調査研究及び自動車排出ガス測定を行うこととしております。
 二一ページをごらんいただきたいと存じます。項の三つ目は廃棄物費でございます。
 十三年度予算額は百四十八億七千八百万円を計上しております。特定財源は、使用料及び手数料から諸収入までの合計六十五億一千二百二十三万一千円、差引一般財源充当額は八十三億六千五百七十六万九千円となっております。
 二二ページをお開き願いたいと存じます。二二ページから二四ページまでは廃棄物費の内訳を示してございます。
 まず、二二ページの管理費でございますが、十三年度の経費として、廃棄物対策に従事する職員二百九十二名分の給与、諸手当並びに廃棄物対策に係る管理運営費、清掃事業の特別区移管後の調整に必要な経費、三十二億六千万円を計上してございます。特定財源は、使用料及び手数料から諸収入までの合計九千八百四十一万三千円でございます。
 次に、二三ページでございますが、廃棄物対策費でございます。
 九十四億四千六百万円で、特定財源は、使用料及び手数料、諸収入の合計六十四億一千三百八十一万八千円でございます。事業の概要でございますが、市町村事業への支援、廃棄物の埋立処分、道路清掃作業、河川清掃作業、廃棄物の規制指導等を行うこととしております。
 次に、二四ページは施設整備費でございます。
 二十一億七千二百万円を計上してございます。事業の概要でございますが、中央防波堤外側処分場及び新海面処分場の施設整備を行う海面処分場の建設整備、清掃事業用施設の撤去を行うこととしております。
 以上、平成十三年度一般会計当初予算事業別概要についてご説明申し上げました。
 続きまして、平成十二年度補正予算案をご説明させていただきたいと存じます。
 お手元の資料2になりますが、平成十二年度一般会計補正予算説明書の二ページをお開き願いたいと存じます。
 補正予算額の欄にございますように、自然保護対策費二億六千万円を計上してございます。これは、平成十二年度において、保全地域内の土地所有者が土地を売却する必要が生じまして、都に対し土地の買い取りの申し出が当初予算額を超えてなされたため、これに対応するためのものでございます。財源はすべて一般財源でございます。
 以上が平成十二年度一般会計補正予算案についてのご説明でございます。
 続きまして、資料3、東京都廃棄物条例の一部を改正する条例案についてご説明申し上げます。
 一ページをお開き願いたいと存じます。
 条例改正の理由でございますが、商法等の一部改正を受け、廃棄物処理法におきまして、一般廃棄物、産業廃棄物の許可施設を設置する法人が、分割により当該施設を承継した場合に、知事の認可を受けることによりまして、許可施設設置者としての地位を承継することができることとなりました。
 東京都廃棄物条例は、この廃棄物処理法に基づく事務手数料について規定しておりますが、法律改正に合わせまして関係規定を整備する必要が生じたものでございます。
 改正の内容につきましては、四ページの新旧対照表をごらんいただければと存じます。
 別表第四の項は一般廃棄物処理施設設置者につきまして、第二十の項は産業廃棄物処理施設設置者につきまして、法人の合併の際の認可申請に対する審査手数料を定めております。このうち、事務の欄に「又は分割」を加えまして、名称の欄の「合併認可」を「合併等認可」に改めようとするものでございます。
 施行日は平成十三年四月一日でございます。
 以上で、提出予定案件の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○寺山委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○かち委員 四点お願いします。
 都内における九〇年以降の二酸化炭素発生量の分野別推移のわかるもの。
 二酸化炭素発生量六%削減達成のための分野別目標、その達成状況のわかるもの。
 建設廃材、残土の排出量とリサイクルの状況のわかるもの。
 海域における水質と底地のダイオキシン類の調査状況の推移のわかるもの。
 以上です。

○寺山委員長 ほかにございますか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○寺山委員長 ただいま、かち副委員長から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○寺山委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出を願います。

○寺山委員長 これより請願陳情の審査に入ります。
 初めに、一二第七〇号、仮称「メモリアル高幡霊園」の墓地造成に関する請願を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○高田自然環境部長 恐れ入りますが、資料4、請願陳情審査説明表の一ページをお開きいただきたいと存じます。
 一二第七〇号、仮称「メモリアル高幡霊園」の墓地造成に関する請願の関係する事項について、ご説明申し上げます。
 請願の要旨でございますが、仮称メモリアル高幡霊園の墓地造成に関しては、貴重な自然、残された谷戸と里山の原風景を残し、八王子市民及び都民の環境保全の場として生かすようにし、宗教法人の名をかりた営利的な墓地造成を認めないようにしていただきたいというものでございます。
 次に、現在の状況でございますが、仮称メモリアル高幡霊園の墓地造成の計画地は、都立多摩丘陵自然公園区域内の南側にございまして、南から北に向かって高くなる谷戸地の上部に当たる土地でございます。当該土地は、東西は約百十メートルで高低差約十七メートル、南北は約百メートルで高低差約二十八メートル、面積九千九百三十七平方メートルの急峻な斜面地でございます。
 次に、当該土地の植生でございますが、杉、ヒノキの人工林とクヌギ、コナラ、アカマツ、山桜の二次林によって構成されておりますが、いずれも放置されている状況でございます。
 当該墓地造成計画は、東京における自然の保護と回復に関する条例第五十一条に基づく開発許可の対象行為に該当するため、平成十年八月より事前相談に応じながら必要な指導を行っております。
 指導の主な内容でございますが、開発許可の基準である緑地を三〇%以上とする、当該土地がフィンガープラン区域であることから、丘陵地における適正開発のための指導指針によりまして、切り土、盛り土の合計量を一平方メートル当たり四立方メートル以下とする、オオタカの見張り木が付近にあることから、オオタカの生息に配慮した計画とするなどでございます。
 本件は、八王子市長が公共施設管理者として同意した後、都は開発許可申請書を受理し、条例、規則の許可基準に基づきまして審査を行い、適合すれば許可するということになります。
 説明は以上でございます。よろしくご審査いただきますようお願い申し上げます。

○寺山委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○清水委員 この請願は、衛生局、都市計画局、建設局、そして環境局などにかかわっている内容であり、請願者の皆さんが知りたいと思う東京都からの回答の全容を、この質疑で求められないということは大変歯がゆい思いもいたしますが、環境局にかかわる問題につきまして、何点かについてお伺いいたしたいと思います。
 まず、地域のイメージなんですけれども、後からご報告があります緑の東京計画の四四ページに、この地域をほとんどもう写したんではないかなと思う谷戸の里山の写真が載っています。今度の請願にかかっている部分は、この谷戸が突き当たって樹林に覆われている、その樹林の中の場所がこの墓地計画に当たる場所だというふうにイメージをしていただければいいのかなというふうに思います。大変高低差のある場所に、今のご説明ではありませんでしたけれども、六百八十三区画の墓地が計画をされております。駐車台数四十三台、樹林地の中に大変大きな墓地ができるということで、約三千名の皆さんの署名が出されているということで、環境局として、こうした問題に対してどのように対応していくのかということが問われる重大な内容だというふうに思います。
 そこで、まずお伺いいたしますけれども、先ほどご説明がありましたように、市議会の方でも二回ほど審議が行われているということです。衛生局の墓地等の構造設備及び管理の基準等に関する条例では、墓地の構造設備というのは、遺骨が雨水や汚水につかってしまうなど、滞留しないように適当な排水路を設け、下水道または河川などに直結させるというふうに定めているわけです。この地区は、下水も河川もない地区です。衛生局に伺ったところ、こうした場合の取り扱いについて、衛生局は、都市計画に基づく宅地造成法に基づいた排水施設の基準によって地下浸透を適法とし、条例の基準を満たしていると判断したというふうに伺っています。
 これにつきましては多少疑問も残るんですけれども、環境局ということで、その問題についてはお答えをいただくことはできないわけですけれども、しかし、雨水の地下浸透が認められるということになると、周辺のコンクリート構造からのアルカリ排水が、この地域には危急種であるトウキョウサンショウウオなどが生息しているわけですけれども、こうした貴重な生態系へ影響が及ぶんではないかと、ここの皆さんは心配されているわけです。また、大変急峻な地域ですから、豪雨になったときの濁流を心配されております。土砂の流出などが予想されるわけですけれども、こうした自然への影響をどのように考えておられるか、お伺いしたいと思います。

○高田自然環境部長 墓地造成による自然への影響でございますが、まず、お話のございましたトウキョウサンショウウオの生息でございますけれども、現在までのところ確認はできておりません。ただ、今後、その生息が確認された場合は、コンクリート造成物を原因とするアルカリ性排水等の生態系に与える影響、これを考慮していく必要があるというふうに考えてございます。
 この場合、お話がございましたように、地下浸透の仕方を使うということでございますので、その施設の貯留水の調査あるいは近傍の湧水の調査を事業者に義務づけていくというふうに考えてございます。もし仮に、強アルカリ性の排水が確認されるというふうなことになりますれば、必要な中和措置を講じるように指導していくということを考えてございます。
 また、濁水の問題でございますけれども、敷地内は緑地と墓地等の構造物で一応覆われるというふうなことでございますので、そういった問題は生じないのではないかというふうに考えている次第でございます。

○清水委員 環境局としては、そのトウキョウサンショウウオの確認をされていらっしゃらないということでしたけれども、提出されたこの請願文書の中には、昨年九月に提出されたわけですけれども、ことしは産卵数三十八個を数えたということで、ホームページをつくっておられるんで、それをとらせていただきますと、本当にトウキョウサンショウウオの産卵や育った写真がホームに載っているということでは、心配をされるのは当然だと思いますし、そうしたものが見つかったら中和措置をとるというのは、大変のんきな話だというふうに思うんです。
 なぜそのことを心配するかといわれれば、既にこの間、この数カ月余りの間に、この墓地造成予定地の近くで大規模な土砂の埋め立てが行われて崩落があったということで、そうした問題で私もたびたびその地域を訪れたりしたわけですけれども、その状況というのはどのように認識をされておられるんですか。

○高田自然環境部長 昨年の十二月に、お話がございましたような、近傍における土砂の埋立場所西側方向、墓地建設予定地は反対の方向でございますが、そちらの方向に向けて土砂の崩落がございました。崩落した土砂と、それによって押し流された樹木が谷戸上部の休耕田に堆積している、そういった現状は確認してございます。

○清水委員 それも不法な投棄ということで、あのようなところに本当に心ない行為がされて、それもまたホームページに掲載されていましたのでとらせていただいて、大変無残な、樹林が残土に覆われてしまっている状況も、そして写真なども見させていただいたわけです。自然を破壊することというのはあっという間に押されてしまって、現在きちんと回復されていないということですから、破壊するのはあっという間で、回復するのには本当に手間もかかるし時間もかかるということで、一つ一つのこうした積み重ねが今日動植物の絶滅状態というのをもたらしてしまってきたというふうに思うんですね。
 で、この地域は市街地調整区域となっています。都立多摩丘陵自然公園ということで、自然保護条例の改正のときにも触れさせていただきましたけれども、多摩丘陵自然公園は八二%が市街化区域になって既に多くの開発が進んできてしまっています。この場所はその残り一八%の市街化調整区域の場所であるわけですよね。ですから、市街化調整区域で墓地の開発が認められるということで進められているとは思うんですけれども、しかも自然公園ということでこうした開発がこんなところで認められていけば、東京都が計画した、これから審議をされる緑の東京計画とか、自然の保護条例というのは、一体何なんだというふうに都民は思うんではないんでしょうかね。一体何のために条例を改正したり、この東京計画をつくったんだということになると思うんです。目の前でこうした部分が開発されるということを都民が見るわけですから、こういうときなわけですから、緑を守ってほしいというこうした請願者の皆さんの声に自然環境部としてはこたえることはできないんですか。

○高田自然環境部長 お話がございました都立自然公園の普通地域でございますが、現在の法体系では、開発を規制する特段の手段、これがなかなか見当たらないという現状でございます。
 このため、私どもといたしましては、昨年の十二月に第四回定例会においてご決定いただきましたけれども、東京における自然の保護と回復に関する条例を改正いたしまして、自然公園の普通地域におきましても、保全地域の指定が可能となるように規定を整備したところでございます。そういった規定の運用を生かしながら、必要な保全、これには努めていきたいというふうに考えております。

○清水委員 つまり、今までは都立自然公園は保全地域に指定をすることができなかったわけですけれども、条例改正ではそこに保全地域を指定できるということになったわけですよね。その部分は私たちも前進部分として評価をしてきたわけです。多摩丘陵自然公園のあちこちが次々に開発される--手段がないということで、環境局もそうした場面をたくさん見てこられたから、保全地域に指定できるというふうに改正したわけです。
 それであるならば、ここの自然公園地域が開発にさらされているんだから、保全地域に指定できるようになったんだから、じゃ指定をするというふうに進めていくということはできないんですか。

○高田自然環境部長 保全地域の指定につきましては、こういった樹林地等の場合ですけれども、その樹林地あるいは近隣の水辺地等が単独または一体となって良好な状態で存在するということなどの要件のほかに、土地所有者の同意が必要でございます。この土地の所有者の意向でございますけれども、霊園の事業者は、この土地の所有者から当該土地を購入する予定で事業を進めているというふうなことがございます。
 こうしたことからも、緑地保全地域に指定できるというふうな要件は欠いているというふうに認識しております。

○清水委員 十二月に改正したばかりなんですから、こうした土地の所有者は東京都の施策がそういうふうに動いているということをまだ認識されていないわけです。ですから、これも条例改正の中で触れてきましたけれども、相続があったりとか、さまざまなことで売却をしようと考える方が出てきてしまうわけですけれども、話を聞いてみると、これはせっぱ詰まった墓地開発ではないなというふうにも、市議会の審議の様子なんかも、議事録なんか見ても感じるわけです。そういう所有者の土地をもう売却をする予定になっているから指定できないというようなことでは、一体どこが、この条例を改正して新しい規制を設けて開発をとめるという、どこが力を発揮するのかなということでは、非常に疑問に思います。
 そういう点では、まだまだ墓地そのものの問題について、ここで触れても、環境局ではご答弁をすることができないということでは、これ以上触れませんけれども、この六百八十三区画といっても、檀家はすごく小さいんだそうです。だから、何でこんなたくさんの墓地が必要なのかというのも市議会の審議の中でも繰り返しどの委員からも指摘をされていたようです。何でここをわざわざ開発して、しかもお寺のあるところはずっと二十キロも離れているということで、整合性がないじゃないか、ですから、八王子霊園じゃない、高幡霊園--高幡というのは日野市の名前ですけれども、八王子市内につくるものを高幡霊園という名前がつけられているようですけれども、そういう意味では、どうしてここにつくられるのかな、しかも自然を破壊してつくるのかなということでは全く納得できないということで、残された手段というのは、環境局が緑地保全で取得をするということしかないわけです、今までの東京の長い歴史の中でも、こういうものを食いとめるためには。ですから、せっかく改正した自然保護条例の改正のその前進部分を使って保全指定をするということが非常に重要だというふうに思います。
 さらに、先ほど、この東京計画の中の四四ページに写真で紹介されているような、周辺というのはこういう地域です。丘陵地に残る谷戸の里山のような地域になっているわけです。山地からつながって緑が多摩ニュータウンの中でもわずかに残っている地域なわけですけれども、以前にもこの地域で、都市計画局の都計審案件で、学校施設から民間販売へ都市計画変更するんだということを出されたときにも、学校をつくらないんだったら、そこをわざわざ民間に販売するために宅地造成をするんじゃなくて、そこの緑は残したらどうかということで都市計画付議案件にも反対をしたことがあるわけですけれども、ここのそうしたわずかに残る緑地は広域的に東京都が保全をすべき場所であるというふうに考えるわけですけれども、自然環境部長さんは、この堀之内の地域に、調査というか、見学というか、そういうところにも時には行ったことがあるのかどうか。都が保全する、仕組みはどうであれ、そういう場所であるというふうに考えますが、その考えをお伺いいたします。

○高田自然環境部長 私も先月現地を見てまいりました。先ほどお話が出てまいりました土砂を捨てたことによる崩れた場所も含めて見てきております。そういった場所を除いて全体を考えてみますと、この八王子市堀之内地区は、豊富な湧水に恵まれた谷戸が西部を中心に広がっておりまして、その一部の地域では、ボランティアの方々が田んぼを復活させるなどの活発な自然保護活動が行われているというふうな地域であると認識しております。

○清水委員 早速現地を見ていただきましてありがとうございます。
 田んぼ周辺の雑木林や、今もいわれましたように、湧水を含めた、本当に、後から審議される里山という地域だというふうに思うんですね。それから、今お話があったように、十四年余り前からボランティアの方々が農業や酪農を守り、農家の方と都市住民が農業や自然に親しもうということで、自然体験を通じて交流しながら、田んぼを復元して新しい地域づくりを目指している会がここにも存在するというふうに聞いています。
 そうした意味では、後から報告される東京計画の中でも、十四年の目標で里山の保全地域が十カ所ということでされているんですけれども、私は、里山保全地域にこの地域周辺を指定すべきであるというふうに考えますけれども、どのようにお考えでしょうか。

○高田自然環境部長 里山保全地域の対象となります谷戸につきましては、現況調査を実施しているところでございます。
 先ほどご答弁申し上げましたように、この八王子市の堀之内の地区内には、豊富な湧水と谷戸や雑木林に恵まれた地域がございまして、ボランティアの方々による田んぼ復活などの活動が行われているということでございます。
 今後、現況調査の結果を踏まえ、こうした動向なども含めて、里山保全地域の指定について検討してまいります。

○清水委員 ぜひ、改正された条例が力のないものであったというようなことではなくて、それから、これから審議される計画が何らかの守っていく力を発揮できるように、環境局が引き続き力を尽くしていただきたいと思います。
 今回継続審議になってしまうと、スピーディーにこの計画が進んでいくのかなということでは、本当であれば議会としてこれを採択していただきたいという気持ちはいっぱいなんですけれども、多数の会派が賛成というふうになりませんので、残念ですけれども、保留で結構です。

○寺山委員長 ほかに発言がございますでしょうか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○寺山委員長 それでは、お諮りいたします。
 本件は、保留とすることにご異議ございませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○寺山委員長 異議なしと認めます。よって、請願一二第七〇号は保留と決定いたしました。

○寺山委員長 続きまして、一二第六一号、生活騒音の規制に関する陳情を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○長谷川環境改善部長 恐れ入りますが、請願陳情審査説明表、三ページをお開きください。整理番号2の一二第六一号、生活騒音の規制に関する陳情についてご説明いたします。
 陳情の要旨でございますが、マンションの上下階からの騒音や一戸建てにおける隣からの騒音に悩まされている人が多くいるので、条例等の整備により、生活騒音に対する規制手段を講じていただきたいというものでございます。
 次に、現在の状況でございますが、生活騒音に対しては、これまでも東京都公害防止条例第六十八条の、何人も規制基準を超える騒音を発生させてはならないという規定に基づきまして、都民などから苦情の申し出がありましたら、区市が規制指導を行っております。
 ただし、生活騒音のうち、集合住宅内での騒音問題は、住民それぞれの住まい方や建物の構造、このようなさまざまな要素が絡みますので、条例で一律に規制することは必ずしもなじみません。このため、当事者同士の話し合い等により、その解決を図るようにしております。
 このような集合住宅内の騒音を含む生活騒音対策として、環境局では、条例に基づきます指導とあわせまして、住まいにおける騒音に関するルールづくりというパンフレットをつくるなどして、都民への普及啓発を図るとともに、区市で実際の相談の窓口になっております職員向けの手引をつくり、苦情処理の一助としております。
 一方、生活騒音対策を図る上で重要となります建物の構造に関しましては、平成十二年度に住宅の品質確保の促進等に関する法律が施行され、床や壁の遮音性など住宅の性能を表示する制度が新たに設けられました。
 このような対策によりまして、生活騒音に対する苦情は、平成十一年度は十年前の約五〇%に減少しております。今後とも、条例に基づきます規制指導や苦情への対応を適切に行うことにより、生活騒音に関する問題の解決を図ってまいります。
 説明は以上でございます。

○寺山委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○寺山委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、保留とすることにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○寺山委員長 異議なしと認めます。よって、陳情一二第六一号は保留と決定をいたしました。
 以上で請願陳情の審査を終わります。

○寺山委員長 次に、緑の東京計画について、報告事項に対する質疑を行います。
 本件は、環境局所管分のほかに都市計画局所管分がありますので、本日は都市計画局の小林地域計画部長にも出席をしていただいておりますので、ご了承願います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してございます。
 資料について理事者の説明を求めます。

○高田自然環境部長 去る一月二十五日の当委員会でご要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元の資料5、都市・環境委員会資料をごらんいただきたいと存じます。
 ご要求いただきました資料は、二項目でございます。
 初めに、1、日本における緑地トラストの事例でございます。
 上段の(1)は、民間で取り組んでいる主な事例につきまして、その目的、団体名、設立時期、基金現在高、取得面積及び会員数を記載してございます。下段の(2)は、行政と民間が協力して取り組んでいる事例につきまして、その目的、基金名、設立時期等を同様に記載してございます。
 続きまして、裏面をごらんいただきたいと存じます。2、都内における緑地保全のための制度の内容でございます。
 自然公園、原生自然環境保全地域、そして都独自の制度でございます保全地域など、十一の制度につきまして、名称、根拠法令、箇所数、面積及び事例を記載してございます。
 以上で説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○寺山委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○中嶋委員 緑の東京計画をぜひ推進していただきたいという立場から質問したいと思います。
 先ほども都市計画局の請陳の審査で都市の景観をめぐる議論がございまして、大変難しいと。この西新宿の都市の風景、同じ公明党でも板橋出身の織田拓郎議員はなじまないというんですね。私は比較的違和感なく西新宿の都市の景観を受け入れることはできますし、一方で下町の町並みも大好きです。都市の景観というのは非常に主観的な判断が入りますから、一義的に定義できない、したがって難しいという実感を持っておりますけれども、しかし緑化に関しては異論を唱える人はまずいない。三多摩もございますが、私は世田谷出身でございまして、都心部、二十三区の緑化をぜひとも進めていただきたい。
 今から二十数年前、東京が高度経済成長の真っただ中に入る前、公害問題が真っ盛りのころ、都庁挙げて緑化に取り組んだ時期がございます。そのころ、私は議員という立場じゃなくて、旧内幸町の都庁に--あれ内幸町でしたよね、旧都庁に何度も通ったことがございました。街路樹もどんどん枯れてきた。一体どうしたら街路樹が枯れないで健やかに育つのだろうかということで知恵を絞られまして、街路樹を取り囲むブロックを全部外して、雨水が自然に流れ込むような工夫をしたところ、見事に東京の街路樹がよみがえった、こんなことも聞きまして、大変うれしかったことも覚えております。
 改めて、二十一世紀の最初の年ですから、緑なす東京にぜひともしていただきたい、そんな思いで質問をしたいと思います。
 一点、緑の東京計画、まだ制度化しておりませんが、一読させていただきますと、大変多岐にわたる事業が書いてございます。非常に広範な事業。したがって、区市町村や都民の役割の明確化とか、あるいは事業者の役割とか、それとの都庁との連携の取り方、一番大きいのは、都庁内の各局にまたがる事業がたくさんあるわけですね、したがって、この推進体制をどうするのか、どうしても気になって仕方がございません。
 開きますと、一〇二ページに計画の推進ということで、推進委員会の設置と書いてありますが、六行しか書いてなくてよくわからない。すばらしい計画なんですけれども、具体化するに当たっての推進体制についてはどうお考えか、まずお教え願いたいと思います。

○高田自然環境部長 緑の東京計画を着実かつ効率的に進めていくためには、関係部局から構成される委員会を設けて、施策の効果的な推進方法の検討などを行っていきたいというふうに考えてございます。
 また、お話がございましたように、各局にわたる施策、これが非常にあるわけでございますが、その施策の推進につきましては、まず推進の責任を明確化していくということと同時に、施策が効率的に展開できるように、総括していく部局、こういったものを決めまして、それを中心にして必要な調整を行っていきたいというふうに考えております。

○中嶋委員 責任が分散しちゃって、結局わけがわからなくなっちゃったということにならないように。バロックで通奏低音てありますよね。いろんな音階があやなす中でメーンテーマを追いかける低音が流れているそうです。だから、この緑の東京計画を各局の事業の通奏低音にするぐらいの意気込みでぜひ取り組んでいただきたいと思います。
 それからもう一点。施策の方向の中で、緑の防災の効果を、2、防災都市ということで挙げております。これも非常に大事な点です。ぜひもっと強調していただきたいと思います。
 さっきもいいましたが、今から二十五年前に都庁によく行ったころに、我が党の大先輩で神田学忠さんという都会議員がおられまして、彼は都議会の地震男という異名をとった方なんですが、もう一方で緑化に執念を燃やした人でもございました。街路樹に雨水が自然と流れ込むように、街路樹を囲むブロックを取り外すというアイデアをパリで発見したのが、実はこの神田学忠元都議会議員で、議会でも発言していました。その議事録を読んだことがございます。その神田学忠都議がこんなことをいっていました。関東大震災で本所被服廠跡地で大惨劇が起きた。数万人亡くなりました。同じ数が上野公園に避難した。しかし上野公園ではほとんど被害者を出さなかった。なぜかというと、上野の森が火の粉や熱旋風から人々を守ったんだと。緑の防災上の効用、大変大きい、こういう話を聞いたことがございます。単なる都市景観にとどまらず、防災効果が極めて高い緑、この点をもっと強調して都民にもPRしてもらいたいと思いますが、その辺いかがでしょうか。

○高田自然環境部長 お話がございました緑の防災上の効用といたしましては、まず第一に、火災などが起きた際の輻射熱の遮断による延焼の遅延や防止、これが挙げられると思います。また、緑のスペースとしての公園や緑地などは安全な避難場所となるとともに、救出や救助活動の拠点などの役割を担っているということがございます。
 こうした緑が防災に果たす役割につきましては、都民の方々に十分知っていただくというふうなことは重要であると考えてございます。今後一層の周知を図れるよう努力をしていきたいというふうに思います。

○中嶋委員 ぜひお願いしたいと思います。
 防災関連でもう一問。例の阪神・淡路大震災、被災直後の神戸、私もずうっと行ってまいりました。ご存じのとおり、学校が避難所として大変に貴重な役割を果たしました。したがって、その防災上の観点から、緑化といいますと、避難所となるであろう学校あるいは公共施設の緑化を、今までも取り組んではいらっしゃいますけれども、より以上積極的に--聞いたところ、板橋区では大変学校緑化が進んでいる、しかし一方では全く進んでいない地域もあるわけですので、まずそういう学校を初めとした公共施設、防災の観点からより積極的に取り組むべきだ、こう思いますが、いかがでしょうか。

○高田自然環境部長 地域に均等に配置されております小中学校などは、お話がございましたように、身近な避難場所としてその役割が期待されるところでございます。こうした施設につきましては、その特性を踏まえた緑化が図られるよう、区市町村に対して協力を求めていきたいというふうに思います。

○中嶋委員 杉並区でしたか、塀のない、緑地帯で学校と学校外の敷地の境界をつくっている学校を見てきましたけれども、これなんかはもっともっと広がってもいいですね。都立高校、そういうところも含めて積極的にやってもらいたいと思います。
 それから、いいこと書いてあるんですね、ストックを生かす都心の緑づくり。改めてこうやって都心部を俯瞰しますと、東京の緑もそう捨てたもんじゃない。都内には、いってみれば緑の拠点ともいうべき大規模な緑地が結構あるんですね。皇居しかり--不敬罪には問われるかもしれないけれども、皇居の東御苑でもいいです、一般公開している。皇居しかり、新宿御苑もそうだ、それから迎賓館の周辺ですね。それから浜離宮、代々木公園、相当ございます。
 ここにも書いてありますが、ポイントとしてあって連関性がちょっとないんじゃないかと。まちづくりの上で工夫を凝らして、大規模な緑の拠点を、つながりを持たせるようなまちづくり上の工夫をして、都民あるいは来訪者が東京の緑を実感して楽しめるような、そういう工夫も僕はあってしかるべきだろうと思うんですが、その辺もう少し何か工夫を、考えていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○小林都市計画局地域計画部長 緑の連続性の確保というようなご質問でございますけれども、先生お話しのように、都心には皇居もございますし、新宿御苑もございますし、代々木公園もございますが、そういった緑がなかなか連続をしていないという部分もございまして、そういった連続性を確保することによって緑の機能をより高めていきたいというふうに考えております。点在するストックとしての緑の連続性を確保していくことが非常に重要だというふうに考えております。
 このため、公園、社寺境内等の点在する緑のストックを街路樹や特徴ある歩道などで結ぶことによって、緑のネットワークを形成していきたい。これは特に公共側がそういった努力をしていきたいということでございます。
 また、こういった公共側の努力とあわせまして、さらに連続性を一層強化していくためには、都市の更新の機会をとらえまして、例えば再開発事業ですとか、あるいは地区計画制度などの都市計画の手法を有効に活用して、緑の連続性といった観点を持たせながら、公開空地や緑地の効果的な配置が図られるよう、民間の建築活動を適切に誘導していきたいというふうに考えております。

○中嶋委員 今、地区計画にも触れられました。そうなんです。一つは、都市の更新時期、もうあちこちで始まっています、都市施設の更新。だから今チャンスでもあるわけで、ぜひやっていっていただきたい。
 それから地区計画。私も世田谷区の区議会にいたころ、地区計画をよく見てきましたけれども、大変に難しいですね、まとめるのは。さっきとよく似た人が環境局にもいるもんだと思ったら、同一人物だったんですね。(笑声)それは余談ですが。本当に住民合意までは大変。一、二年なんて答弁していましたけれども、そんなものじゃないんですね。四年、五年、六年、十年かかってもまとまらないなんというのはざらにある話で、じゃだれが悪いんだというと、区市町村が悪いのかというとそうでもない、住民が悪いのかというとそうも簡単にはいえない。大変難しい。
 今や地区計画は区市町村の自治事務ですから、都が容喙というか、手を出す余地もないわけであって、住民と自治体がそれこそ住民自治の原則のもとに地区計画を定めていくというのが原則で、そこに都が、ああじゃない、こうじゃないなんて口を出せば、それこそ分権から逆行するわけであって大変な話になるわけですが、ただ、その地区計画にこれまでは緑化という視点が余り強く入っていなかったような気がいたします。ここを四メートル道路にしようとか、いやここは六メートルにしようとか、小規模な公園をこの角につくろうとか、高さは大体こんなものにしようという程度の地区計画が、少なくとも世田谷の場合は多くて、このゾーンは緑化で特色を持たせようという目的あるいは意図が込められた地区計画は、寡聞にして私は余り聞いたことがないんですね。もしも地区計画に東京都が関与するんであるならば、ぜひ緑の東京計画をもとにして、さっきの通奏低音ではありませんが、今後は再開発、地区計画にも緑化の視点をしっかりと組み込むようなそういうサジェスチョン、働きかけは僕は十分できると思うんです。いかがでしょうか。

○小林都市計画局地域計画部長 地区計画による緑の位置づけでございますけれども、既に都内でも三百四十カ所ぐらいの地区計画ができておりますけれども、その中でもかなり緑に配慮したそういった計画もございます。
 世田谷の場合、先生おっしゃっているのは、多分幅広に地区計画をかけたところで、かなり詳細なといいますか、そういう地区計画ではなくて、用途地域を、例えば低容積率のところを六〇%から八〇%、あるいは一〇〇%に変えるための地区計画ということで、どちらかというと形態規制が中心あるいは基盤整備が中心、そういった地区計画だというふうに思います。
 また一方、多摩地域等につきましては、緑を保全するというようなことから、宅地内の何%ぐらいの緑地を確保するだとか、あるいは緑道として地区施設を整備するだとかといった地区計画も数多くございまして、今回、緑の東京計画を策定した機会をとらえまして、私ども地区計画については知事として同意する立場がございますので、そういった機会をとらえまして、緑のまちづくりが進むような地区計画の普及に努めていきたいというふうに思っています。

○中嶋委員 さっきの議論は、皆さん環境局は関係ないんだけれども、やっぱりこれからは、都心居住も進めねばならぬ、あるいは都心部の空間利用の効率化も図らねばならぬ、さまざまな課題があって、一方で、これまでの、従来の住民との摩擦が起きて非常に悩ましい問題がたくさんあるわけですけれども、ぜひとも緑化に関しては一歩一歩着実に進めていただきたい。
 そこで、最後の質問ですけれども、このサブタイトル、大変気に入りました。「-『水と緑がネットワークされた風格都市・東京』を目指して-」、いいですね。千客万来なんていうよりもこっちの方が僕ははるかに好きな言葉ですね。大賛成です。都市の風格、風格ある都市、ぜひ東京がそうあってもらいたいと思います。風格といっても、それこそこれは漠然とした概念ですから、風格にはさまざまな角度があるわけですが、しかし、緑の東京計画の議論ですから、緑の角度からも風格ということで議論をしたいと思うんです。
 そんなに海外経験が豊富なわけじゃありませんし、都議会の場合は海外視察も今はありませんから、私も詳しくはないんですけれども、パリやローマ、ベルリン、行ったことがございます。それぞれ特徴がございますし、独特の風格がやはりございます。その都市の風格には、あずかって私の実感では緑が果たしている役割は大きいと思うんですね。間違っていたら後で訂正してください。パリのマロニエ、ベルリンは菩提樹でしたね。アカシアの大連--古いですが、部長うなずいていますけれども、(笑声)年配者はわかるでしょうけれども、なんというのもございます。だから、世界の都市にはそれぞれ緑の顔があるんですね。緑の顔がある。じゃ東京はどうなのか。イチョウだけじゃ寂しい気もするんだけれども、まあイチョウがあってもいい。絵画館前のイチョウ並木、あれは手前から奥に従って小っちゃく切ってあるんですね。そういう工夫はありながら、あれも一つの意味がありますが、しかし、じゃ東京の緑は一体何なのかということをもうちょっとこの緑の東京計画の中で出してもらいたいと思うんですね。甲州街道のケヤキ並木も大変見事なものです。ここの街路樹には甲州街道のようにケヤキで特徴を持たせるとか、あるいはプラタナス、これはごく一般的な外来の木ですけれども、あれも成長すると日比谷公園に見られるように独特の風格が出てくるわけですね。だから、この公園ではプラタナスで独特の趣を醸し出すとかいろんな工夫ができると思うんです。あるいはこのオープンスペースには巨木を育てて、シンボリックな緑化の象徴にしようということも考えられると思うんですね。風格ある都市あるいは都市の風格を目指すまでいい切ったんですから、その内実を、ぜひもっと具体的なイメージを持って都民に提示を願いたいと思うんです。
 ここに皆さんが考えたイラストがございます。私の乏しい経験でいうと、こっちはベルリンによく似ているんですね。空から見たベルリン。こっちはロンドンによく似ています。だから、つくった人がどういう思いで書いたか知りませんけれども、何となくそんなイメージがございます。こういうイラストで示すんではなくて、東京の目指す都市の風格、緑の顔について、もうちょっと具体的なイメージをぜひ描いてもらいたいと思うんですけれども、いかがでしょう。

○小林都市計画局地域計画部長 大変難しい質問をちょうだいいたしましたけれども、この緑の東京計画の中では、都市の風格ということを定義しておりまして、自然と建築物、道路、公園などによって形づくられる都市空間が、そこで活動し生活する人とのかかわりの中で、時間の経過とともに積み重ねられて醸し出す一体感のある品格である、こういうふうにされております。かえってわかりにくくなったかもわかりませんが、例えば皇居の緑とか、その周辺の建築物、そういった調和の問題ですとか、あるいは明治神宮外苑の絵画館前の街路樹の並木などが風格のあるものだというふうに考えてございます。
 また、樹木につきましても、確かにその街路街路によって、周辺の建物との調和あるいは歩道とのバランスですとか、植樹帯とのバランスだとか、そういったこともあろうかと思いますけれども、そういった地域に合った特色ある樹木というものを選定しながら、それを育成していくことが大変重要であろうというふうに考えております。
 この緑の東京計画の中では、行幸通りですとか、あるいは新宿副都心などの十路線を対象といたしまして、路線ごとに特色を持たせた植樹帯の改良や、ゆったりとした枝ぶりの街路樹に育てる風格ある街路樹の整備事業に取り組んでいくということで位置づけております。

○大西委員 緑は良好な都市環境を保持し、健康な生活を営む上で不可欠のものです。また、水循環にとっても緑はなくてはならないものです。しかし、相続税による生産緑地の減少、開発や小宅地化などで区部はもちろん多摩地域でもどんどん緑が失われています。緑をこれ以上減らさないようにするためには、市民参加による保全活動、そして市区町村の地域施策と都の施策との連携がなくてはならないと考えます。
 そこで、幾つか質問いたします。
 都市部周辺に広がる老朽木造市街地を初めとした既成市街地を災害に強いまちに変えていくためには、不燃化の促進、耐震化のほか、緑とオープンスペースを確保することが必要ですが、緑の東京計画でも、緑が支える防災都市とうたわれています。既成市街地の中で緑とオープンスペースを都市計画的にどのように確保していくのか、改めて伺います。

○小林都市計画局地域計画部長 災害に強いまちづくりを進めていく上で、確かに不燃化あるいは耐震化のほかに、緑とオープンスペースを確保していくことは大変重要だというふうに考えております。緑の東京計画では、緑の持っている延焼防止機能や公園緑地が避難場所や救援、復興の拠点となることに着目いたしまして、緑が支える防災都市として、防災をこの計画の柱の一つに位置づけております。
 具体的な施策といたしましては、防災の拠点となる都立公園の拡張、整備、都立公園における防災関連施設の整備、幹線道路の緑化の推進、身近な公園の整備の推進などを行っていくこととしております。
 こうした公共が進める緑の施策に加えまして、先ほども申し上げましたけれども、総合設計などの都市開発諸制度ですとか、あるいは地区計画などを有効に活用いたしまして、民間の建築活動を適切に誘導しながら、公開空地の確保ですとか、あるいは宅地内緑化を促進するなど、公共と民間が連携をしてまちづくりを進めていくことが必要であるというふうに考えております。

○大西委員 緑やオープンスペースが確保されたまちづくりを進め、緑の防災ネットワークを形成するためにも、市と区の取り組みが不可欠ですけれども、市や区が行う事業に対して、都はどのように支援をしていくのか、具体的に伺います。

○小林都市計画局地域計画部長 区市への事業の支援でございますけれども、緑豊かなまちづくりを進めていく上で、区市の取り組み、大変重要だというふうに考えております。
 都といたしましては、区市が取り組む事業に対しまして、都市公園等整備事業や防災公園街区整備事業など、さまざまな助成制度の活用によりまして、国費の導入も図りながら区市の事業を支援してきたところでございます。
 また、これらの制度に関する情報を提供するとともに、必要な助言を行ってきたところでございます。今後とも、区市との連携を強化しながら緑のネットワークの形成に努めてまいりたいと考えております。

○大西委員 次に、里山保全についてですが、平成十三年度から十五年間に十カ所指定する目標を立てていますが、市民と行政が一体となって進めることが、何度もいいますが、望ましいと考えております。どのように進めていこうとしているのか、伺います。

○高田自然環境部長 里山の保全についてでございますけれども、丘陵地には約四百カ所、谷戸といわれる地域があるというふうに把握してございます。
 この中で自然性の高い谷戸、または自然の回復の見込みのある谷戸及びその周辺地域がその対象になってくるというふうに思っております。また、この中から、都民やNPOなどによる緑地保全活動の有無あるいはその動向、そして地元自治体の保全に向けた取り組み状況、さらには残土による埋め立てへの対応など、保全の緊急性があるかどうかというふうなことなど、こうしたことなどを勘案いたしまして、指定の候補地を絞り込むということになってくるというふうに考えてございます。
 特に、里山ということを考えますと、その自然を回復し維持していくためには、多くの人手を必要とするということがございます。緑地ボランティアや里山の管理に知識を有する地域の人々の協力が不可欠でございます。こうしたことを踏まえまして検討していきたいというふうに考えております。

○大西委員 また、里山保全地域を指定していくに当たりまして、調査を行っていると聞いておりますが、その状況と、結果はいつごろ出される予定なのか、お聞かせいただけますか。

○高田自然環境部長 谷戸の調査についてでございますけれども、丘陵地及びその周辺の山地を対象にいたしまして、谷戸の現状を把握しようとしております。さまざまな評価指標を用いましてその状況を評価することにより、また、谷戸をめぐる自然保護団体の活動状況や地元自治体の意向もあわせて調査をするということにより、今後の保全地域指定の基礎資料を得たいということで実施しているものでございます。この調査は本年三月を期限として今進めているところでございます。

○大西委員 三月を期限ということで、それ以降、その結果は出されるということでいいですね。
 計画の推進に当たり、緑の東京計画推進委員会(仮称)の設置においては、関係部局を構成メンバーとしているようです。公募による市民参加の手法も必要と考えるんですが、そのお考えを伺います。

○高田自然環境部長 緑の東京計画を着実かつ効率的に推進していくために、お話がございましたように、関係局で構成する、仮称でございますが、緑の東京計画推進委員会を設置して、協力して施策の推進を図っていきたいというふうに考えてございます。
 しかしながら、この推進委員会につきましては、公募による都民の方々の参加は考えてございません。ただ、屋上等の緑化を推進するなどのように、都民の方々の自主的な取り組みが必要な施策につきましては、課題別に都民の方々を含めた関係主体で構成する会議を設置して、施策の円滑な推進を図っていくというふうなことを考えてございます。

○大西委員 緑を守るためには、都民とのパートナーシップが欠かせないと思っております。そういう意味で、施策の推進を図っていくには、都民の理解と協力をもっともっと得ることが大切であると考えます。
 この緑の東京計画の中で、計画の推進に当たっては、おおむね五年ごとのみどり率の調査結果を踏まえ、施策の推進を図るとあります。その際には、インターネットを活用するなどして都民に公表し、そして意見を求めていくことを要望して、質問を終わります。

○清水委員 全体につきましては、これまでも何回も繰り返し質問をし、意見も述べてきましたので、きょうは省略いたしますが、身近なところで感じていることは、先ほどからも都心部で緑を回復しているんだというふうにいっているんですけれども、やはり失われていく方が非常にスピードが早いというか、先ほども請願で出されていましたけれども、そういう意味では、どうやってまず失われるものを食いとめるのか、そして回復するためにどれだけ具体的な対策をとるのかということがなければ、ここに書かれているような計画が本当に机上の計画になってしまいますので、それぞれ十五年の計画が出されていますけれども、予算が伴うことですけれども、私はすべての計画を前倒しで行っていってほしいと思うんです。先ほどの里山の保全地域指定でも十五年で十カ所となると、一年に一カ所どころじゃないですよね、本当に十五年で十カ所ということでは。そうした意味では、失われるものを食いとめる、そして計画したものに予算を積極的につけて、前倒しで行っていってほしいということをまず要望いたします。
 私がきょうお聞きしたいことは、都民の協力ということで少しだけお伺いいたします。
 この中にも、都民との協力、都民が主役ということで書かれていますが、これまでも、自然保護条例でみどりの推進委員、それから自然保護団体三百二十団体ぐらいと一緒に東京の緑の保全のために環境局が努力をしてきたと思うんです。そうした積み重ねの上に、先ほどもご説明されているような資格ですとか、指導者ですとか、ボランティアですとか、新たな状況に応じた都民の協力を求めていくという方向だと思うんですけれども、それを今進めていっているところだと思うんですけれども、昨年のこの自然保護条例が改正されるとき、自然環境保全審議会で都民代表から二人ばかり意見があったと思うんですね。私も委員でしたから、そのことがどうなったのかなということでこの間気にしていたわけです。
 自然保護条例の第九条では、指導者の育成と認定ということでありましたが、そのことについて都民代表の委員から、この条項の解釈に関して、運用上の問題に関して、無用な誤解が生じたり、隔たりが生じたりすれば、民間団体側との間に大きな問題が生じないかという懸念が表明をされたというふうに思うんです。それから、さまざまな取り組みをやってきたと思うんですけれども、どのようにこの間対応されてきたのか、お伺いしたいと思います。

○高田自然環境部長 お話がございました改正後の自然保護条例第九条で規定しております指導者の育成と認定、これの目的でございますけれども、自然観察、緑化推進及び緑地保全などの自然の保護と回復に関する活動につきまして、専門的な知識や技術等に基づき指導を行う者を育成する、そうして地域におけるボランティア活動など、都民による自発的な活動を促進、支援していこう、こういうふうなねらいを持っているものでございます。
 制定後、四月一日以降の施行に向けてのこれまでの取り組みでございますけれども、自然保護団体と意見交換をさせていただきました。今後も、その制度の運営につきましては、説明会の開催を考えてございます。
 それとともに、都民に対しまして、冒頭申し上げましたように、この制度の目的などにつきまして周知を図って、円滑な導入に努めていきたいというふうに考えております。

○清水委員 もう一人の都民代表の委員からは、今お話がある都の認定を受けた指導者が、今まで地域での活動にかかわってきた地元の住民を上から指導するという方法ではなく、地元の人たちの意見を十分生かした緑地の管理をしていただきたい、また指導者の意見が強力に出て、積み上げて活動してきた技術や意見が無視されるといったことが想定されるが、こうした問題が生じることはないかというような趣旨の指摘もありましたけれども、意見交換なども行ってきているというふうには思うんですけれども、これまで二十年も、先ほども紹介したように十四年もやってこられた会があるわけですから、そこら辺、長くやってきた方と新しく今取り組もうとしているところの交流をどういうふうに努力をされて、今の疑問にどのように答えていくおつもりですか。

○高田自然環境部長 お話がございました昨年の十二月に開催されました自然環境保全審議会のご質問にもお答えいたしましたし、先ほどご答弁させていただきました説明会でもご説明申し上げておりますけれども、私どもが育成し、そして認定をしていこうという指導者は、東京の自然の保護と回復に有益な活動をしていただくことを前提として育成をしていく。そうした活動を実際行っている地域の団体等がこの指導者を必要とする、そういうときにその団体等の求めに応じて活動していただくというふうなことで、その運用を図っていきたいと考えてございます。
 こうしたことをいかに徹底していくかということでございますが、機会をとらえて、その説明、理解に努めていきたいというふうに考えてございます。
 私どもといたしましては、ご指摘の趣旨のようなことは起こらないようにというふうに考えておるわけでございますが、実際、人材育成の中で講習を実施する、その講習の中で、こういった趣旨を指導者となる人にも十分理解していただくというふうに努めていきたいと思っております。

○清水委員 懸念をしている内容はすごくわかるんです。そして、都がやろうとしている方向も意義あることだというふうに思いますので、やはりそこら辺はよく意見交換をしていただいて、長年積み重ねてきた経験も生きるということもあるわけです。知識とかそうしたことも生きる場合もあるし、その地域のことはその地域に携わってきた方が一番よくわかるということもあるわけですから、そうした意見を十分酌み入れて運用の方向を考えていただきたいというふうに思います。
 聞いた話によりますと、狛江市などで、近隣公園をつくって、それを住民が管理する--どこでもお金がないですから、住民に管理を委託するという取り組みがあったようですけれども、その場合にも一年間も話し合いを重ねて、そして今公園の管理を住民がやっておられるということで、そこまでいくには、だれもがこれからはボランティアということでは、本当にやろうとか、そこに行こうとか、そういう気持ちが本当に大事だということでは、そうした都民の協力、都民が主役ということが本当に生きるような形でやっていただきたいということを要望して、終わります。

○寺山委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○寺山委員長 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしました。
 以上で環境局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時二分散会

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