都市・環境委員会速記録第二十二号

平成十二年十二月十三日(水曜日)
   午後一時七分開議
 出席委員 十四名
委員長寺山 智雄君
副委員長真鍋よしゆき君
副委員長かち佳代子君
理事大西由紀子君
理事吉田 信夫君
理事森田 安孝君
中嶋 義雄君
清水ひで子君
馬場 裕子君
吉野 利明君
立石 晴康君
内田  茂君
田中 晃三君
奥山 則男君

 欠席委員 なし

 出席説明員
都市計画局局長山下 保博君
次長石山 伸彦君
技監勝田 三良君
理事塩野 忠弘君
総務部長野田 一雄君
環境局局長中野 英則君
総務部長平井 健一君

本日の会議に付した事件
 付託議案の審査(決定)
 ・第二百八十七号議案 都民の健康と安全を確保する環境に関する条例
 ・第二百八十八号議案 東京における自然の保護と回復に関する条例
 ・第二百八十九号議案 火薬類取締法関係手数料条例の一部を改正する条例
 ・第二百八十八号議案に対する修正案
 請願陳情の継続審査について
 特定事件の継続調査について

○寺山委員長 ただいまから都市・環境委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、付託議案の審査及び請願陳情並びに特定事件の閉会中の継続審査及び調査の申し出の決定を行います。
 これより付託議案の審査を行います。
 第二百八十七号議案から第二百八十九号議案までを一括して議題といたします。
 本案については、いずれも質疑を終了いたしております。
 修正案及び付帯決議案の提出について申し上げます。
 第二百八十八号議案に対し、清水委員外二名から修正案が提出されました。また、第二百八十七号議案に対し、中嶋委員外十三名から付帯決議案が提出をされております。
 案文はお手元に配布してございます。
 朗読は省略いたします。

修正案の提出について
第二百八十八号議案 東京における自然の保護と回復に関する条例
 右議案に対する修正案を別紙のとおり東京都議会会議規則第六十五条の規定により提出します。
  平成十二年十二月十三日
(提出者)
 清水ひで子  吉田 信夫  かち佳代子
都市・環境委員長殿

第二百八十八号議案 東京における自然の保護と回復に関する条例に対する修正案
 第二百八十八号議案東京における自然の保護と回復に関する条例の一部を次のように修正する。
 目次の改正規定を次のように改める。
目次
 第一章 総則(第一条-第八条)
 第二章 都民及び区市町村との連携等(第九条-第十二条の二)
 第三章 自然の保護と回復
  第一節 緑化の推進(第十三条-第十六条の三)
  第二節 自然の保護(第十七条-第三十七条)
  第三節 湧ゆう水等の保全(第三十八条)
 第四章 野生動植物の保護(第三十九条-第四十六条)
 第五章 開発の規制(第四十七条-第五十六条)
 第六章 雑則(第五十七条-第六十三条)
 第七章 罰則(第六十四条-第六十八条)
 附則
 第一条の改正規定を次のように改める。
第一条 この条例は、他の法令と相まって、東京を、都民が快適に生活することができる都市にするため、自然の破壊をくい止め同時に積極的に自然を回復することを目的とする。
 第四条の見出しの改正規定中「知事の」の下に「基本的」を加え、同条の改正規定中「、事業者及び都民との連携及び協力の下に」を削り、同条の次に次の一条を加える。
(基本方針の作成及び公表の義務)
第四条の二 知事は、東京都自然環境保全審議会の意見を聴いて、東京における自然の保護と回復の具体的な施策を明らかにするための基本方針(以下「基本方針」という。)を定め、これを公表しなければならない。
2 基本方針には、次に掲げる事項を定めるものとする。
 一 自然の保護と回復の基本構想
 二 保全地域(第十七条第一項の規定により指定する保全地域をいう。以下同じ。)の指定その他自然の保護に関する事項
 三 公共施設の緑化その他自然の回復に関する事項
 四 自然公園法(昭和三十二年法律第百六十一号)その他の自然の保護と回復に関する法令による施策との調整その他の重要な事項
 第五条の改正規定中「自ら努める」を「必要な措置をとる」に改める。
 第七条の改正規定中「改修」の下に「、変更、廃止」を加える。
 第十条の改正規定中第二項を第三項とし、第一項を第二項とし、同条に第一項として次の一項を加える。
 知事は、自然の保護と回復に関する都民の提案及び意見について、速やかに必要な措置をとらなければならない。
 第十一条第二項の改正規定を削り、同条の次に次の一条を加える。
(区市町村の事業への援助)
第十一条の二 都は、区市町村が次の各号に掲げる事業を実施するときは、その区市町村に対して、必要な財政上又は技術上の援助を行うものとする。
 一 樹木又は樹林の保存
 二 苗木の育成
 三 植樹の奨励
 四 住民、事業者等との緑化に関する協定
 五 植生図の作成又は野生動物の生息状況調査
 六 前名号に掲げるもののほか、知事が自然の保護と回復のため特に必要と認めるもの
 第十二条第二項第六号の改正規定を同項第七号とし、同項第五号の改正規定中「第三十九条第一項の東京都希少野生動植物種及び第四十三条第一項の東京都希少野生動植物保護区並びに第四十四条の保護増殖事業」を「東京都希少野生動植物の保護と回復」に改め、同項第五号を同項第六号とし、同項第一号から第四号までをそれぞれ一号ずつ繰り下げ、同項第二号の前に同項第一号として次の一号を加える。
 一 基本方針に関すること。
 第十二条の次に次の一条を加える。
(みどりの推進委員の設置等)
第十二条の二 都に、みどりの推進委員を置く。
2 みどりの推進委員は、都民であって、区市町村の長又は自然の保護と回復に関する団体の推薦を受けた者のうちから、知事が委嘱する。
3 みどりの推進委員は、自然の保護と回復に関して、次に掲げる職務を行う。
 一 緑化の推進、緑地の保全等に関する普及啓発、実践等の自主的活動を、相互に協力し、及び地域住民と連携して進めること。
 二 都の緑化の推進、緑地の保全等に関する施策に協力すること。
 三 緑化の推進、緑地の保全等に関して、都に意見の提出又は通報を行うこと。
4 都は、前項各号に掲げるみどりの推進委員の職務の推進を図るため、必要な援助協力を行うよう努めなければならない。
 第三章の改正規定を削る。
 第四章第二節第三十八条第二項の改正規定中「前項」を「前二項」に改め、同項を第三項とし、第一項の改正規定の次に次の一項を加え、同節を第三節とする。
2 知事は、区市町村が行う湧ゆう水等の保護と回復のための事業に対して必要な支援を行うことができる。
 第四章第一節第十七条第一項第四号の改正規定中「良好な」を削り、同項第五号の改正規定を次のように改め、同節の節名「保全地域の指定」を「自然の保護」に改め、同節を第二節とする。
 五 緑地保全地域   前各号に掲げる地域を除き、市街地及びその周辺地にある樹林地、水辺地等の自然の存する地域で、その自然を保護することが必要な土地の区域
 第四章の章名改正規定中「地」を削り、同章に章名の次に次の一節を加え、同章を第三章とする。
    第一節 緑化の推進
(施設等の緑化義務)
第十三条 道路、公園、河川、学校、庁舎等の公共公益施設を設置し、又は管理する者及び事務所、事業所、住宅等の建築物を所有し、又は管理する者は、当該施設、建築物及びこれらの敷地について、植樹するなど、それらの緑化をしなければならない。
(緑化計画書の届出等)
第十四条 千平方メートル以上の敷地(国及び地方公共団体が有する敷地にあっては、二百五十平方メートル以上とする。)において建築物(建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第二条第一号に規定する建築物をいう。以下同じ。)の新築、改築、増築その他の規則に定める行為を行おうとする者は、あらかじめ、規則に定める基準に基づき、緑化計画書(地上部及び建築物上の緑化についての計画書)を作成し、知事に届け出なければならない。ただし、第四十七条第一項及び第五項、第四十八条第一項並びに第四十九条第一項に定める行為については、この限りでない。
2 前項の届出を要する行為を行った者は、当該建築物及びその敷地における緑化が完了したときは、遅滞なく、知事に緑化の完了を報告するための書類(以下「緑化完了書」という。)を提出しなければならない。
3 第一項の届出を要する行為を行った者は、その緑地の適切な維持管理に努めなければならない。
(勧告)
第十五条 知事は、前条第一項の規定による届出を行わずに同項の届出を要する行為に着手した者に対して、当該届出を行うことを勧告することができる。
2 知事は、前条第一項の規定による届出があった場合において、当該届出に係る緑化について、同項の基準に適合しないと認めるときは、当該届出を行った者に対して、必要な措置を講ずることを勧告することができる。
3 第一項の規定は、緑化完了書の提出について準用する。
(苗木の供給及び農地の保存)
第十六条 知事は、東京を緑豊かな都市にするため、苗木の供給について必要な措置をとらなければならない。
2 知事は、都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第七条第一項の規定により定められた市街化区域内の農地であって、自然の保護と回復を図るため特に必要なものについては、苗木の育成の委託又は助成を行うことによって、その保存を図らなければならない。
(緑化地区)
第十六条の二 知事は、都市計画法第五条の規定により指定された都市計画区域内において、自然の回復を図るため特に必要があると認める土地の区域を、緑化地区として指定することができる。
2 知事は、緑化地区の指定をしようとするときは、あらかじめ、次項に規定する緑化計画の案を示してその地区の住民の意見を聴くとともに、関係区市町村の長と協議しなければならない。
3 知事は、緑化地区の指定をしたときは、その緑化地区についての緑化計画(公共施設の緑化並びに地区内の住民の所有し、又は管理する土地の緑化の基準及び植樹に関する計画をいう。以下同じ。)を決定する。
4 知事は、緑化地区を指定したとき及び緑化地区についての緑化計画を決定したときは、その旨及びその内容を公示しなければならない。
5 第二項及び前項の規定は緑化地区の指定の解除及びその区域の変更並びに緑化地区についての緑化計画の廃止及び変更について、第三項の規定は緑化地区の区域の拡張について、それぞれ準用する。
第十六条の三 知事は、緑化地区についての緑化計画に基づき、緑化地区内の公共施設の緑化を実施し、又は推進しなければならない。
2 緑化地区内の住民は、緑化地区についての緑化計画に基づき、その所有し、又は管理する土地の緑化を実施しなければならない。
3 知事は、前項の規定によりその所有し、又は管理する土地の緑化を実施する住民に対して、苗木の供給、土壌の検査、樹種の選定等緑化に必要な措置をとらなければならない。
 第五章第三十九条第一項各号列記以外の部分の改正規定中「のうち、知事が特に保護する必要があると認める種」を削り、「指定することができる」を「指定し、保護する」に改め、同項第一号の改正規定中「種の存続」を「都内において種の存続」に改め、同項第二号から第四号までの改正規定中「その種」を「都内においてその種」に改め、同章第四十三条第五項の改正規定中「必要な限度において」を削り、同章第四十四条の見出しの改正規定中「保護増殖事業」を「保護・回復・増殖の事業」に改め、同条の改正規定中「必要があると認めるときは」を削り、「保護増殖」を「保護と回復と増殖の」に改め、同章を第四章とする。
 第六章第四十七条の見出しの改正規定中「許可」を「規制」に改め、同条第一項各号列記以外の部分の改正規定中「樹林地、草地、農地、池沼等の自然地を含む千平方メートル以上の規則で定める土地において」を「千平方メートル以上の宅地の造成その他の土地において」に改め、ただし書きを削り、同章を第五章とする。
 第七章を第六章とし、第八章を第七章とする。
 附則中第二項及び第三項を削り、第四項を第二項とし、第五項から第九項までを二項ずつ繰り上げる。
(提案理由)
 東京の自然、環境の深刻な状況を改善するため、自然保護行政の後退を招くことなく、野生動植物を含む自然の保護と回復の事業の一層の推進を図る等の必要がある。

   付帯決議案の提出について
第二百八十七号議案 都民の健康と安全を確保する環境に関する条例
 右議案に付する付帯決議案を別紙のとおり東京都議会会議規則第六十五条の規定により提出します。
  平成十二年十二月十三日
(提出者)
 中嶋 義雄  真鍋よしゆき 大西由紀子
 清水ひで子  吉田 信夫  かち佳代子
 森田 安孝  馬場 裕子  吉野 利明
 寺山 智雄  立石 晴康  内田  茂
 田中 晃三  奥山 則男
都市・環境委員長殿

第二百八十七号議案 都民の健康と安全を確保する環境に関する条例に付する付帯決議(案)
 特定自動車の運行に係る規制を実施するに当たっては、次の点に留意すること。
一 都民・事業者の意見を聞き、支援策を講ずること。
二 粒子状物質減少装置の技術開発の促進、供給体制の整備に努めること。

○寺山委員長 これらを本案とあわせて議題といたします。
 まず初めに、提出者の説明を求めます。

○清水委員 私は、今議会に提案されております第二百八十八号議案、東京における自然の保護と回復に関する条例に対する修正案を提案いたします。
 主な点についてご説明いたします。
 東京の自然環境は、農地、草地、農林樹林などの貴重な緑地の減少、湧水地の減少、水質の悪化、野生動植物の生息の危機など深刻な状況になっており、都民の健康と快適な環境を維持し回復するため、東京都の自然保護行政と自然保護条例の果たす役割は非常に重要です。したがって、自然保護条例の改正に当たっては、現行条例制定以降の自然環境の悪化を踏まえ、これ以上の後退に歯どめをかけ、自然の保護と回復に実効あるものにしなければなりません。
 提案いたしました修正案は、まず、本条例の改正のうち、自然保護行政の後退につながる削除された条項を復活させるものです。
 主なものは、区市町村の事業への援助条項、みどりの推進委員の設置条項、緑化地区指定にかかわる条項などを現行条文で復活いたしました。また、保全地域指定では、緑地保全地域指定の対象地区の定義の変更を行って、昭和四十九年以降進めてきた都による保全指定の後退につながる条文を、これまでどおり市街地も含めた保全を行えるように修正しました。
 次に、新しく盛り込まれた内容が実効性を持つよう補強修正を行うものです。
 主なものは、湧水の保全に当たって区市町村への支援を明確に盛り込むこと、野生動植物保護では、特定の種に限られる文言を削り、絶滅危惧種Aランク約四百種全体の保護回復増殖事業に取り組んでいく内容とするものです。また、都民の協力、知事の責務、基本方針の策定などの文言の変更や削除は、都の自然保護行政の基本的な姿勢を示す重要な部分として現行条例に戻しました。
 以上、主な部分をご説明申し上げましたが、自然保護行政の後退をもたらさず、実効ある内容とするため、各委員のご賛同をお願いし、提案説明といたします。

○寺山委員長 説明は終わりました。
 この際、本案に対し発言の申し出がありますので、これを許します。

○かち委員 提案されました三つの議案について、日本共産党から意見を表明させていただきます。
 まず、二百八十七号議案、現行の公害防止条例の全面改正となる、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例案についてです。
 本条例案は、ディーゼル車の排ガス規制、新たな地球温暖化対策など、我が党がかねてから提案してきたものであり、賛成するものです。
 しかし、東京の深刻な大気汚染の解決や、地球温暖化防止での東京が真に責任を果たすにふさわしい目標や基準の設置、そして実効性ある内容となることを求めて、質疑の中で積極的な提案を行いました。
 例えば、地球温暖化対策では、断熱フロンも規制の対象とすること、事業者への計画書では、六%削減達成に向けたCO2の削減の数値目標を設けること、自動車公害対策では、環境局も白書で指摘してきたヨーロッパ並みの規制を図ることや、零細の運送業への手厚い支援とその継続、そして自動車交通総量の抑制を条例に盛り込むことなどです。
 質疑を通して、断熱フロン対策をやることや、CO2の削減目標を盛り込むこと、運送業者への継続的な支援などの答弁があったことは重要ですが、幾つかの問題も浮き彫りになりました。
 本条例は、重要な点の多くが都が策定する指針などにゆだねられています。策定に当たっては、本委員会で出された提案、要望、関係者の意見が反映されるよう努力するなど、真に実効性あるものとなるよう求めるものです。
 次に、第二百八十八号議案、東京における自然の保護と回復に関する条例についてです。
 東京の自然の悪化が都民の命や健康、環境を異常なまでに脅かしている中で、自然環境行政の役割はますます重要になっており、さらに拡充が求められている中での条例改正であります。
 これまで規制の及ばなかった部分の拡充や新しい内容を盛り込むなど、一定の前進部分はありますが、質疑を通して、市街地における緑地保全地域の削除や、みどりの推進委員制度の廃止など、市街地からの都の自然保護行政の撤退がよりはっきりしてきました。また、都民の協力、知事の責務、基本方針の策定などの規定の変更や削除により、都の基本的な自然保護行政を後退させるものです。よって、本案には反対するとともに、後退部分を補強復活させた修正案として提出したところです。
 第三に、第二百八十九号議案、火薬類取締法関係手数料の改正案についてです。
 本条例案は、国の規制緩和法及び地方分権一括法に伴うものでありますが、火薬という一歩間違えば大惨事になりかねない危険物の保安検査、管理指導を民間任せだけにしてしまうことは問題です。現に、民間による自主規制、自主管理能力をといわれながら、ずさんな管理体制のもとで大惨事が起きている事実からしても、このような危険物の取り扱いについては、行政としての管理責任が問われます。
 民間でもできる機会を開くことに異議はありませんが、行政が行う分を有料にする必要はないということで、本案には反対です。
 以上で意見表明を終わります。

○馬場委員 私は、今回付託されました第二百八十七号議案、二百八十八号議案について意見を述べさせていただきます。
 知事は、今定例会の所信表明の大きな目玉として、大気汚染の元凶であるディーゼル車対策を挙げられました。三十年ぶりの環境にかかわるこの二本の条例の全面改正が提案をされたということでございます。
 まず、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例について意見を述べます。
 一日も早く青い空、おいしい空気をという都民の願いは大変強い、いえ願わない者はいません。そのため、国基準より厳しいディーゼル車規制に賛成するものですが、一方、この条例は、今まで関係者間で取り組みを進めていた国基準でのルールを破るという面も持たざるを得ない状況をつくり出すことになります。都が独自でハードルを高くした状況といえます。都民からこの高いハードルを越えることを期待されている関係者から、その苦しい状況がたくさん寄せられております。
 私は、知事とともにこのハードルを上げた都民の一人として、ともにそれを越える努力をこれからしていかなければならないと考えております。多くは二日間の質疑の中で取り上げられましたが、今後さらに個別の対応策についての検討を重ねる中で、経済的支援などについて配慮を求めておきます。
 物流の中心地である東京都の規制は、全国に影響を与えることになります。自動車やDPF装置、燃料等の技術開発の進ちょく状況が、買いかえや物流システムの再構築に大きく寄与します。十五年十月の施行時に東京の評価がなされることとなると考えます。くれぐれも関係者間の調整を図り、実効性が担保されるよう要望しておきます。
 また、有害化学物質対策など、二十一世紀へ向けて環境を確保するため、さらに技術が進むであろう将来へ大切な役割を担うものと本条例は考えますので、大変期待をしております。
 次に、東京における自然の保護と回復に関する条例につきまして、この条例も環境確保条例と相まって、東京が自然と共生、共存できるぎりぎりの状況という認識を忘れず、都民とともに実施を図っていただきたいと要望いたします。
 知事は、国にかわって環境を守る画期的な条例と述べられておりますが、まず第一歩は、ごみ処理などを初め、大都市東京としての自己責任をとることだというふうに考えます。今後、時代の変化に立ちおくれているといわれる環境基本計画の全面改正が予定されておりますが、東京の環境確保のさらなる充実に期待をして、意見とさせていただきます。

○大西委員 第二百八十七号議案、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例について、付帯決議を付して賛成、第二百八十八号議案、東京における自然の保護と回復に関する条例改正案及び二百八十九号議案に賛成する立場から、生活者ネットワークを代表し、意見を述べます。
 現行の公害防止条例は、大気汚染や工場排水による公害防止のための工場等への規制を目的に昭和四十四年に策定されました。しかし、今日では、環境問題の焦点は自動車による大気汚染、フロン等が原因のオゾン層破壊、地球温暖化、有害な化学物質の排出等が私たちの暮らしにも密接にかかわる環境問題というものが中心となりました。それゆえ、今回の全面改正は時期にかなったものと考えます。
 この条例の目玉となるのは、東京都独自の排出基準に満たないトラックやバスなどディーゼル車の走行を禁止するなど、自動車公害対策を盛り込んだことです。
 さらに、有害化学物質対策では、取扱量の届け出や化学物質管理方法書の作成を義務づけたほか、事業者への温室ガスの排出抑制を目標とした地球温暖化対策計画の作成、冷媒用フロンの排出禁止及び破壊処理の義務づけなど、新たな対策を盛り込んだことは評価できます。
 しかし、自動車については、単体だけでなく、総量を抑制することが不可避です。公共交通や徒歩、自転車のための交通環境を拡充したり、ロードプライシングの計画を進めていく必要があります。
 また、最大の課題は、環境基本計画の改定を含め、都民参加で行うことです。
 以上について強く要望し、意見といたします。
 次に、自然保護条例について述べます。
 今回の条例改正は、公害防止条例の全面改正とともに、環境基本条例制定以来の施策展開を踏まえ、東京の自然保護行政の推進に対応するための改正であります。
 今回の改正では、市街地等の緑化の推進や里山保全地域などを指定し、丘陵、山地などの自然地の保護と回復などを目指すとし、新たな施策が打ち出されており、評価するものです。
 しかしながら、水循環にかかわる施策が、環境確保条例と二つに分け持たれていることや、幾つかの施策項目の実効において、まだ課題は多く残されております。この点で修正案においては、提起されている項目の中で、例えば、市区町村への支援など、賛成できる提案項目もあります。しかしながら、私たちが危惧する幾つかの点については、質疑の中で確認されてきたこと、そして修正案と現段階の施策の整合性を踏まえる点で、修正案については賛成することができません。
 今後、本委員会での議論を踏まえ、残された貴重な自然を市民参加型で守っていくこと、これを強く要望し、意見といたします。
 以上です。

○寺山委員長 発言は終わりました。
 これより採決を行います。
 まず、第二百八十八号議案、東京における自然の保護と回復に関する条例を採決をいたします。
 まず、清水委員外二名から提出された修正案について、起立により採決をいたします。
 本修正案に賛成の方はご起立を願います。
   〔賛成者起立〕

○寺山委員長 起立少数と認めます。よって、修正案は否決されました。
 次に、原案についてお諮りいたします。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○寺山委員長 起立多数と認めます。よって、第二百八十八号議案は原案のとおり決定をいたしました。
 続いて、第二百八十九号議案、火薬類取締法関係手数料条例の一部を改正する条例を採決をいたします。
 本案は、起立により採決をいたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の方はご起立を願います。
   〔賛成者起立〕

○寺山委員長 起立多数と認めます。よって、第二百八十九号議案は原案のとおり決定をいたしました。
 次に、第二百八十七号議案、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例を採決をいたします。
 お諮りいたします。
 本案は、お手元配布の付帯決議案を付して、原案のとおり決定することにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○寺山委員長 異議なしと認めます。よって、第二百八十七号議案は、お手元配布の付帯決議案を付して原案のとおり決定をいたしました。
 以上で付託議案の審査を終わります。

○寺山委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りをいたします。
 本日まで決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○寺山委員長 異議なしと認め、そのように決定をいたしました。

○寺山委員長 この際、所管局を代表いたしまして、中野環境局長から発言を求められておりますので、これを許します。

○中野環境局長 都市計画局及び環境局の両局を代表いたしまして、一言お礼を申し上げます。
 このたびの定例会に提案いたしました各議案につきまして、ただいまご決定をいただきました。委員長初め委員の皆様には、二日間にわたり大変熱心なご審議を賜り、まことにありがとうございました。ご審議の過程でいただきました数多くのご意見、ご指摘につきましては、今後の事務事業の執行に十分反映させ、万全を期してまいります。
 今後ともより一層のご指導、ご鞭撻を賜りますよう切にお願い申し上げまして、大変簡単ではございますが、お礼のあいさつとさせていただきます。まことにありがとうございました。

○寺山委員長 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時二十七分散会

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