都市・環境委員会速記録第二十一号

平成十二年十二月十二日(火曜日)
   午後一時七分開議
 出席委員 十四名
委員長寺山 智雄君
副委員長真鍋よしゆき君
副委員長かち佳代子君
理事大西由紀子君
理事吉田 信夫君
理事森田 安孝君
中嶋 義雄君
清水ひで子君
馬場 裕子君
吉野 利明君
立石 晴康君
内田  茂君
田中 晃三君
奥山 則男君

 欠席委員 なし

 出席説明員
環境局局長中野 英則君
総務部長平井 健一君
企画担当部長梶原 康二君
技術担当部長関  寿彰君
移管事業調整室長西野 和雄君
環境改善部長長谷川 猛君
参事小島 高志君
自動車公害対策部長松葉 邦雄君
自動車公害対策推進担当部長山本 憲一君
自然環境部長高田 茂穗君
廃棄物対策部長薄  厚一君
環境評価部長町   格君
環境科学研究所次長萩本 秋彦君

本日の会議に付した事件
 環境局関係
  付託議案の審査(質疑)
  ・第二百八十七号議案 都民の健康と安全を確保する環境に関する条例
  ・第二百八十八号議案 東京における自然の保護と回復に関する条例
  ・第二百八十九号議案 火薬類取締法関係手数料条例の一部を改正する条例

○寺山委員長 ただいまから都市・環境委員会を開会いたします。
 本日は、環境局関係の付託議案の審査を昨日に引き続き行います。
 これより環境局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第二百八十七号議案から第二百八十九号議案までを一括して議題といたします。
 質疑を行います。
 発言を願います。

○吉野委員 私は、先月の事務事業の質疑において、都がディーゼル車からCNG車などへの低公害な車への転換を最優先に進めているということを確認いたしまして、そのための方策について、インフラ整備の問題や経済的な負担の問題について質問をさせていただきました。規制に伴う経費負担の考え方につきましては、昨日の委員会で真鍋副委員長が広範にわたり都の姿勢をただしたところですけれども、私は、低公害な車への転換に絞りまして、ちょっと確認の意味を含めまして一、二点、改めてお聞きをしたいと思います。
 東京都の規制は、七年という猶予期間経過後に買いかえか装置の装着かを選択するものであります。このため、ユーザーの中には、経営状況によって、CNG車の買いかえ車両の価格あるいは装置の価格等を考えながら、当面装置を装着し、その後に最新規制のディーゼル車に買いかえるか、あるいは価格は高いけれども、規制の対象外で七年以上乗ることのできるCNG車に一挙に買いかえるかという二つの選択肢のどちらかを選択する必要が出てまいりまして、どうしようかというふうに迷うことが当然あると思います。
 このように、装置の装着かCNG車など低公害な車への買いかえか迷っている事業者から相談があった場合に、都としてはどちらを優先させるお考えなのか、改めてお聞きをしたいと思います。

○松葉自動車公害対策部長 都の規制でございますが、今お話がございましたように、猶予期間経過後に買いかえか装置の装着かを選択していただくこととなります。しかし、PMを早期に削減するためには、より排出量の少ない車への転換を促進する必要があるとの観点から、第一義的にはディーゼル車からCNG車などのより低公害な車への転換を図ることとしております。PM減少装置の装着を促進するということは、インフラの未整備、こういうような理由によりまして、それが困難な場合の施策と位置づけているところでございます。

○吉野委員 今施策の優先順位を確認いたしましたけれども、買いかえを最優先すると今のこの時点で東京都がいわれているわけですから、買いかえ促進策も明示をされてしかるべきであるというふうに思います。しかしながら、都の予算要求は、きのうもお話がございましたけれども、DPFの装着に対する支援策ばかりが目につくように感じられます。これでは、都はやはり買いかえよりも装置の装着を優先をしているというふうにしか思えないのではないかと思います。都の施策が手にとるようにわかる支援策を示さなければ、装置の装着よりも負担の重い買いかえは決して進んでいかないと思います。
 買いかえが都の最優先施策であることが理解をされ、率先して協力を得られるような支援策が、具体的には低公害車の購入ですとかリース料に対する補助、融資制度などが必要というふうに思いますけれども、都のお考えを伺いたいと思います。

○松葉自動車公害対策部長 東京都が目指しますPMの早期削減を実現していくためには、さまざまな業態にあるユーザーが、買いかえのインセンティブが働くような支援策を用意する必要があると認識してございます。このため、今後、事業者の皆さんの強い要望等も十分に踏まえ、支援策を検討していきたいというふうに考えてございます。

○吉野委員 支援策を検討していきたいという答弁をいただきましたけれども、単に検討をしていくというだけでは実際にどの程度の内容になるのか、事業者の皆さんの不安は消えないと思います。私からも充実した補助制度の創設を強く要望して、この質問につきましては終わらせていただきます。
 もう一点、次に、自然保護条例につきまして何点か質問をさせていただきます。
 私どもの地元に人見街道という都道がございまして、沿道には昔の屋敷林、ケヤキの木が、百年とか百五十年とかたった大きな木がずっと並んでおりまして、今、東京都でそのケヤキを取り込んだ歩道の整備に着手をしてきております。かつてはこのケヤキ並木のある人見街道、夏にはケヤキがうっそうと茂って、昼でも光が通らないくらいなこんもりした森に--森にといいますか、ケヤキ並木に包まれた道路でした。砂利道で、雨が降るとでこぼこでしたけれども、生け垣があって、本当に緑々とした町だったんですけれども、今はその大木の枝もおろして、一定の手が入れられて、それなりの町並みを形成してきております。ただ単に伸び放題ということではなくて、やはり地主の人が枝をおろしたりして、周りに余り枝がはびこらないような手入れをしながら、それでも維持をされてきておりますけれども、この現行の自然保護条例が制定をされました昭和四十七年当時は、都市化の進行によりまして急激に緑が少なくなっていったときでありましたし、また、まだ屋敷林だとか畑の姿にも武蔵野の面影というものが残っているときだったと思います。
 今回の条例改正は、都内の自然環境の変化も理由とされているようですけれども、現行条例の制定当時と現在とでは、都内の自然の状況は具体的にどう変わってきているんでしょうか、お伺いをいたします。

○高田自然環境部長 都内の自然の状況についてでございますけれども、現行条例が制定されました昭和四十七年当時と現在とを比較いたしますと、都市整備によりまして街路樹、それから公園の面積はふえているということがございますが、お話もございましたように、都市化の進行によりまして樹林地や農地などは減少し、全体としては緑の占める割合は低下してきているということがございます。特に市街地におきましては、緑の減少と活発な都市活動によりまして、ヒートアイランド現象に伴う都市気候への影響などが問題になっているほか、丘陵地における土砂の埋め立てによる谷戸の喪失、また、これらに伴う野生動植物の生息、生育地の減少などの新たな課題が生じてきているということを認識しております。

○吉野委員 卑近な例ばかりで恐縮ですけれども、私の家の西側には、まだ今でもかなり広い農地が広がっております。かつてその一隅に竹林がございました。夕方になりますと、数百羽のスズメがねぐらとしてその竹林に帰ってきて、それはそれは大変にぎやかな状況がありました。今、その竹林は切られてしまって、建物が建って、スズメはもう寄りつかなくなっております。農地法ですとか税制などによって、竹林の回復というのはもう不可能だというふうに思っております。私の家から今でも富士山は見えるんですけれども、スズメの群れ飛ぶ姿はもう見ることができません。
 今答弁がありましたように、そのような都内の自然の状況の変化に対して、今回の条例改正ではどのように対応をしようとしているのか、また、そうした対応は端的にいうと条例のどこに反映をされているのでしょうか、お伺いをいたします。

○高田自然環境部長 今回の条例改正におきましては、先ほどご答弁申し上げましたような都内の自然環境の変化に適切に対応していくために、市街地等におきましては、屋上等の緑化を一層推進して緑の確保を図っていく。それから、自然地の保護と回復に関しましては、規制の強化や保全地域制度の拡充を図っていく。そして、新たに野生動植物の保護に取り組むなどとしてございます。
 また、これらの施策の内容につきましては、それぞれ各章に規定しているわけでございますが、第一条の目的に端的にあらわしてございます。ここにおきまして、条例改正は、今申し上げましたような各施策を推進することによりまして、現在及び将来の都民が自然の恵みを享受し、快適な生活を営むことができる環境を確保する、こういうことを目的としてございます。

○吉野委員 では、次に、私どもが最も関心のあります開発と自然環境の保全との関係についてお伺いをいたします。
 都民の生活を豊かで便利なものとしていくためには、道路や住宅その他、生活に必要なさまざまな施設は欠くことができないものであります。しかし、こうした施設の建設によって、都内の樹林地、農地、草地などの自然が減少してきているのも事実であります。大事なことは、こうした私たちの生活を豊かにするための開発と自然環境の保全のバランスをどのようにとっていくかだというふうに思います。
 そこで伺いますが、今回の条例改正はこうした視点から見てどのようになっているのでしょうか。

○高田自然環境部長 自然環境は人間の生存にとりまして不可欠な基盤である、人と自然の共生、あるいは良好な環境の次世代への継承、こういったことが強く求められていると思います。一方、都市の利便性を確保して快適な都市生活を実現するためには、さまざまな開発が必要なこともご指摘のとおりでございます。
 このため、今回の条例改正におきましても、自然が残っているところの開発については損なわれる自然を最小限にとどめる、一方、開発によって自然が失われた場合には、可能な限り樹木などの緑を植え、自然の回復を図ること、そういったことによりまして開発と自然環境の保全との調和を図っていく、こういうことにしてございます。

○吉野委員 これまでこの委員会の中でも私がたびたび述べてきたことですけれども、武蔵野の平地林が年々減少して宅地などに変わってきております。現在残っているのは、都や市町村が公有化したものがほとんどという状況であるというふうに私は認識をしております。その原因は相続税の納税制度にありまして、制度改正に取り組んでいかないと、民間で平地林を維持していくのはもう極めて困難である。むしろ近い将来にはもう全くなくなってしまうのではないかというふうな危惧を常に持っております。
 これまでのご答弁でもいただいておりますけれども、平地林などについての相続税の納税猶予をするように国にこれからも強く求めていくべきだというふうに思いますけれども、このことにつきましてはいかがでしょうか。

○高田自然環境部長 お話にございましたように、武蔵野に残る貴重な平地林が年々減少しておりまして、その主な原因の一つに相続税制度があることは承知してございます。そのため、東京都におきましては、保全地域に指定した樹林地には奨励金を交付するとともに、これまでも生産緑地と同等の相続税の納税猶予制度の創出を国に要望してきてございます。また、七都県市としても毎年同様の要望を行っているところでございます。
 今後も、平地林などの樹林地に対しまして相続税の納税猶予制度などの創設をするよう、国に対して強く要望してまいります。

○吉野委員 税制で軽減措置を講じようとしますと、すぐに金持ち優遇だとかという批判が出てきて、国もそうした批判に対してすぐに屈してしまって、なかなか対応してくれないというのが現状だろうと思います。東京の環境を考えるとき、樹林地、農地などは、都民共通の環境財産という発想に立たなければ、とても維持していくことはできません。ぜひ今後とも国への働きかけを強力に進めていってほしいというふうにお願いをしておきます。
 また、もう一つ、自然環境保全というと、一木一草も手をつけることなく、あたかも原生林をつくり上げるかのような極端な考え方の人がいますけれども、明治神宮の森などのような特殊な場合はともかくとして、都市における自然との共生にはなじまないものというふうに思います。一定の手を入れながら、都市にふさわしい風格のある環境として人々に親しまれるものにしていく必要があると考えます。この条例の制定によって東京が一層快適な都市になっていくことを期待をして、私の質問を終わります。

○森田委員 今回の提出されている条例に関連して、幾つか質問をさせていただきます。
 今回の環境確保条例を中心として、ディーゼル車の規制、こういう条例を定めるということは非常に意義のあることで、この辺の努力に対しては大変評価したいと思っております。ただ、まだまださまざまな課題がありますので、この課題については全面的に環境局を中心として取り組んでいただきたいし、これは民間の協力もなければできないことですし、その辺のところもしっかりとやっていただきたい、このことを最初に要望して質問をさせていただきます。
 私は、平成五年の第一回定例会で、杉並だけじゃないんですけれども、杉並に通っている環状八号線上空に、環八雲という公害雲、晴れた日でもそこだけ雲が点々としている、こういう現象がありまして、民間の研究者とともにその問題を取り上げて、環八雲として第一回定例会で取り上げて、大きな反響を呼んだことを覚えています。私も実際に現地に行って写真を撮って、その写真を大きく広げて当時の鈴木知事に見せました。鈴木知事も杉並に住んでいますので、そのことを知っていましたけれども、そのときに知事及び当時の環境局長、あるいは環境科学研究所の次長、それぞれこの環八雲について一生懸命取り上げていきたいということを表明してくれました。
 特に、当時の環境科学研究所の次長はこういうふうにいっているんですね。この雲の連続撮影を実施していきたいと思っておりますし、また新たに、砧公園付近におきます気温分布調査や係留気球、これはカイツーンと申しますが、このカイツーンを用いた立体的な気象観測を行うようにいたしますというようなことを述べているんですけれども、その後の調査及び結果はどうなっているんでしょうか。

○萩本環境科学研究所次長 環八雲についての研究でございますけれども、環八雲につきましては、大気汚染の実態あるいはヒートアイランド現象を把握するという調査研究の一環といたしまして、平成五年度から七年度にかけて実施いたしております。
 調査の概要でございますが、今お話がありましたように、一つはビデオカメラによる雲の連続撮影、それから環八周辺の気流調査、三点目としまして発生機構の検討として、環八雲発生日の気温と風の統計分析といった調査を実施いたしております。
 その結果でございますが、まず画像解析結果につきましては、環八雲の生成過程のビデオ映像を、これは、世田谷区の環状八号線と環状七号線の間付近でいわゆる環八雲が生成されまして、風下方向に粒子列状の雲になるということを確認いたしております。それから、海風と陸風の交代時に起こる上昇流の発生と、弱風時の上昇流による発生の二種類の発生原因があるということを確認いたしております。さらに、環八雲が発生する気象条件などを明らかにするために、過去十二年間の環八雲出現日の気圧配置の分類及び平成元年八月の環八雲出現日の気温と風の統計解析を行いまして、環八雲が発生する気象条件を明らかにして、発生機構についての解析を行っております。
 その結果、まず第一点目といたしましては、環八雲は日本付近が太平洋高気圧に覆われている日に発生しやすいこと、第二点目としましては、夜間は東京の都心部にヒートアイランドが形成されますが、日中は環状八号線道路付近で顕著なヒートアイランド現象が形成される。このため、環状八号線道路付近上空で上昇流が発達して雲が形成されやすい状態になっていること。それから三点目といたしましては、日本付近が高気圧に覆われますと、気圧傾度による一般風が弱くなりますが、日中海風が発達いたします。環八雲の出現日は出現しない日よりも海風が発達いたしまして、特に南寄りの風が強いことがわかっております。このような条件下では、相模湾からの南寄りの海風と東京湾からの南東寄りの海風が環状八号線道路付近で合流いたしまして、上昇気流が発生しやすい状態になっていることなど、以上のことが環八雲の発生要因として考えられるという知見を得たところでございます。

○森田委員 環八雲が明らかに出ていることは観測されているようですけれども、当時の民間の研究者は、この環八雲の中にヘリコプターで入ってみた。その感想はこういうふうに出ているんですね。とにかく臭い。私は空の上ではなく、車の排ガスでいっぱいの交通渋滞の道路の真ん中にいるような錯覚に陥ったほどです。長距離トラックの真後ろに立って、その吐き出す黒いガスを思いっ切り吸い込んだときのような異様な臭気でした。最後には目があけていられないほどの痛みとなったのです。こういうふうにいっているんですけれども、この環八雲は明らかに公害雲ということはあるんでしょうか。

○萩本環境科学研究所次長 先ほどお答えしましたように、環八雲の形成される要因、これは、あのあたりがちょうど海からの風の収束帯と申しますか、海風の収束帯になっているという関係もございます。そこで上昇気流が発達するということでございますので、雲の生成要因を考えますと、何らかの微粒子を上昇させて、そこで雲が凝結するということからいたしますと、一般的にSPMも上昇気流に乗って舞い上がっているということは考えられます。

○森田委員 今回、平成十五年からはディーゼル車の規制が始まりますけれども、そうすると、PMとSPM等の浮遊状物質は明らかに減ると思うんですね。そういう場合には、この排気ガスを中心としてつくられている環八雲もしくは環七雲、こういうものはなくなると考えていいですか。

○萩本環境科学研究所次長 雲の生成要因からいたしますと、ヒートアイランド現象もこれは関係してまいりますけれども、完全にヒートアイランド現象がなくなって、自動車の排ガスもきれいになるということになれば、雲の発生要因がなくなりますから、そうすれば環八雲も発生しないであろうということはいえるかと思います。

○森田委員 この環八雲について、環境科学研究所は今も継続して調査をしているということですか。

○萩本環境科学研究所次長 発生要因の究明がほぼできたということから、現在は行っておりません。

○森田委員 このディーゼル車規制、特にPM、SPM等の減少がこれから始まりますので、その象徴的な出来事がこの環八雲じゃないかなというふうに思うんです。そういう意味では、今、一時調査研究を中断しているようですけれども、このディーゼル車規制の効果が、もしかすると明らかにこの環八雲で確認されるかもしれない。そういう意味では、ぜひ調査を再開していただきたいと思うんですが、いかがでしょう。

○萩本環境科学研究所次長 平成五年から七年度にかけて行いました調査につきましても、大気汚染とヒートアイランドの関係という一環で調査をいたしておりますので、その必要性が出てくればまた検討いたしたいというふうに考えています。

○森田委員 せっかくこれだけのディーゼル車規制、これはもう東京都が先頭になってやるわけですけれども、民間も大変な努力をしてこれからやろうとしている。平成十五年にはいろんな形での規制が始まって、東京の空気は多分今よりさま変わりの、きれいになるんじゃないかな。これを確認する意味でも環八雲の観測をぜひ継続していただきたい。
 次長では、ちょっと予算等もあるのでいいにくいでしょうけれども、局長、いかがでしょう。これにぜひ予算をつけて観測を再開していただきたいと思うんですが。

○中野環境局長 ただいま次長が答弁しましたように、発生機構につきましては一定の知見を得たわけでございますが、今ご指摘の点につきましては検討させていただきたいと思っています。

○森田委員 ぜひ積極的に検討していただきたいと思います。環八雲については、これは私の方もよく目で見ればわかりますので、出ているかどうかを時々チェックしながら、ディーゼル車規制の効果を確認したいと思います。
 私たち公明党は、先日、環境局の協力も得ましてDPFの調査を行いました。国内、国外のメーカー四社が製品を出していただいて、一つ一つ説明をしていただいて、DPF一つ一つのメーカーごとの特徴のようなものを伺いました。それから、二社でしたけれども、実際にトラックにつけて、DPFがついた場合とつかない場合の排ガスの比較をしていただきました。ちょっときょうは忘れちゃったんですけれども、ガーゼを排ガスのところにつけた--DPFをつけた場合とつけない場合、つけない場合はもう驚くぐらいに真っ黒になる。ところが、DPFをつけた排ガスはほとんど黒くならない。そういう意味では、DPFの効果というものはすごいんだなということを感じました。しかし、DPF、効果はすごいんですけれども、幾つかの課題があって、これを解決していただかないと、なかなか民間の車につけていただくのは難しいかなというふうに思います。
 その中で、性能とか耐久性というのはすぐその場ではわからなかったので何ともいいようがないんですけれども、価格が大変に高い。そのときいただいた資料でも、四つのメーカーでそれぞれ値段が違うんですけれども、中型貨物で百万から六十万ぐらい、小型でもやっぱり八十万台、安いのは十万円台というのがありますけれども、これは実際に見ていないので何ともいいようがないんですが、メーカーの方はそういっていました。じゃ、量産したら値段が下がるのかということを聞いたところ、下がるというメーカーもいましたけれども、余り下がらないのではないか。それはなぜかというと、取りつけ料も考えると、取りつけ費は量産しようがしまいが全然関係ない。それからフィルター部分がやっぱり非常に高いというようなことで、値段がそんなに下がらないんじゃないかなということをいっておりましたけれども、こういう価格について、今現在、環境局はどのような問題点を抱えていると思われますか。

○松葉自動車公害対策部長 DPFの価格でございます。今後、東京都で条例が通ったとすれば、こういう規制が開始されるわけです。その前段として、DPFなどのインセンティブを踏まえて、DPFなどの普及が進んでいく。一方、国の方でも十五年以降、新しいディーゼル車についてはDPFなどの装着の必要性も出てくる車もあるだろう。そういう中でいけば、直ちにことしからとか、または来年早々というところで価格が下がるということは余り期待できませんが、部品の共通化なども踏まえると、今後低減化が図られるというようなメーカーの意見もございます。そういう中でいけば、極端には下がらないかもわかりませんけれども、相当程度下がってくるんじゃないか。
 それから、あと取りつけの問題ですが、現在の取りつけの状況というのは、個別に一台一台の車を見てぐあいはどうかというようなことで、まだ取りつけに当たってのパターン化というんですか、そういうものも図られていない状況です。数が多くなれば、この車にはこういうふうにすれば大体つくんだというようなことが、進展があるとすれば、そういう取りつけについても低減化が少し図られるだろう。
 いずれにしましても、メーカーに取りつけ費用についてのコストダウンについては、今後引き続き強く要請していきたいというふうに考えています。

○森田委員 これは今の時点ではなかなかいえないかもしれませんけれども、DPFについて、東京都知事の推奨品というのを決めると、その規格を今年度中、来年の三月までに決めるということを本会議で答弁してくれましたけれども、そのときには価格等も入るんでしょうか。もし入るとしたら、東京都環境局が推奨する、あるいは知事が推奨する価格というのは大体どのくらいをめどにしているのか、この辺をお答えください。

○松葉自動車公害対策部長 DPFなどのPM減少装置の指定につきましては、知事が指定することになります。その中では性能等でございまして、価格については現在のところ考えてございません。

○森田委員 今、ディーゼル車を使っている運送業者等が一番気にしているのは価格の点なんですね。どれだけの費用がかかるだろうかということで、小さなところは、私も何社かからいわれましたけれども、このまんまこれをつけろといわれたら、うちの会社はつぶれちゃうというような声もありました。そういうところを東京都も考えて、東京都は何らかの助成金を出すというふうにいっていますけれども、助成の範囲というのはどういうふうに考えていらっしゃいますか。

○松葉自動車公害対策部長 一つは、ディーゼル車のうち、当面、この二カ年でインセンティブの対象としていくという--ディーゼル車の対象でございますが、四万台程度を対象といたしまして、そのうちの一定、トラックとかバスにつきまして三割または五割、こういうような補助で考えてございます。そういう観点から、来年度としては、トラック、バスを含めまして六千四百台ぐらいについて、DPFについての三分の一の助成を検討しているところでございます。

○森田委員 このきのういただいた資料で、一〇ページにディーゼル車の車種別予測台数とありますね。これで、平成十五年度当初の登録予測台数が、都条例の規制対象で四十万台、左のうち規制適用予測台数十四万五千台。これと四万台の関係というのはどういうことになるんですか。

○松葉自動車公害対策部長 資料にございますように、十五年度における十四万五千台、そのうち、私どもの推計では、その時点で平均車齢を超えて買いかえに進むのが八万五千台ぐらいあるでしょうと。それで、都条例の規制によって規制適用として六万台ぐらいを想定しているわけでございます。その中では、大型のもの四万台程度考えてございまして、先ほどご答弁申し上げましたように、この四万台についてDPF等の装着の経費を見ているということでございます。

○森田委員 ということは、小型、中型については助成はしない、大型だけということを考えていらっしゃる……。

○松葉自動車公害対策部長 小型につきましては、買いかえ等が進む可能性が高いと考えていますが、小型も含めて、先ほどのDPF等の要請があれば対応していきたいというふうに考えております。

○森田委員 それで、三分の一助成といいますけれども、三分の一助成というのは、幾らを前提として三分の一なんですか。じゃなくても、高いものでも安いものでも三分の一の助成をするという考え方ですか。

○松葉自動車公害対策部長 現在予算要求している考え方としましては、DPFの値段が大型で八十万円、それから小型で六十万円、この三分の一というふうな考え方で現在検討を進めているところでございます。

○森田委員 八十万と六十万。二百四十億円の予算を組むということと考えてよろしいんですかね。
 DPFをつけるのは、大型、小型、中型関係なしにつけるわけですが、値段が非常に今の段階ではばらつきが多い。今三分の一助成といっていますけれども、もし値段が下がった場合には、半額助成にもなり得ると考えてよろしいですか。

○松葉自動車公害対策部長 現段階で直ちにそういうふうになるかどうかはわかりませんが、その時点で、運用については、そういう価格になるとすれば、今後検討してまいりたいというふうに考えております。

○森田委員 確かにまだ価格がどうなるかわからないし、下がる傾向にあるんだろうけれども、どうなるか、幾らぐらいになるかわからないと思いますし、またメーカーによって大分価格の差がありますので、はっきりしたことはいえないと思いますが、東京都がこういう条例でディーゼル車の規制をする以上は、できる限りやっぱり民間に対しても助成策を考えなくちゃいけない。したがって、今は三分の一を考えているけれども、価格が下がった場合は二分の一助成にする、もっと下がった場合は三分の二ぐらい助成する、そういうようなつもりでやっていかないと、この問題というのはなかなか進まないので、ぜひその辺を検討していただきたいと思います。これは要望しておきます。
 次に、低公害車を普及させるということで、条例では二百台以上トラックを持っている企業については五%の低公害車ということをいっているようですが、ここで、低公害車という概念ですね、低公害車の定義、低公害車というのは何と何と何の車をいうのか、それを明確にしていただきたいと思います。

○松葉自動車公害対策部長 排ガス対策という観点で考えてみますと、一般的に低公害車というのは、電気自動車、それから天然ガス、メタノール、ハイブリッドの自動車を指すわけでございます。この条例では、さらに、排出ガスが発生しないか、あるいは排出ガスの発生量が相当程度少ない、こういう自動車も低公害車として扱うということでございます。

○森田委員 資料をというか、ちょっと調べてみますと、低公害車という呼び方のほかに--一つは低公害車ですね、もう一つは低排出ガス車、それからもう一つがクリーンエネルギー自動車、こういう三つのいい方があるようなんですけれども、この三つはどういう違いがあるんでしょうか。

○松葉自動車公害対策部長 低公害車四種というのは先ほどご答弁申し上げたとおりです。クリーンエネルギー車というのは、LPGの自動車を含めた概念であろうと思っています。それから低排出ガス車というのは、さらにガソリン車であるとかディーゼル車であるとかを問わず、排出ガスの規制値に比べまして、運輸省の認定制度があるわけですが、そういうところで基準の二五%であるとか、五〇%、七五%減じた値、そういうようなものを含めまして、いわゆる排出ガスが少ない車ということで、先ほどの低排出ガスの車という扱いだというふうに理解してございます。

○森田委員 非常にこれはわかりにくいですね。低公害車、低排出ガス車、クリーンエネルギー車。それで、この条例でいっている低公害車というのはどこまでが入るんですか。

○松葉自動車公害対策部長 条例では排出ガスが相当程度低いということで、現在検討中でございますが、先ほど申し上げました五〇%であるとか七五%、そういうものも含めて現在検討しているところでございます。したがいまして、四種類に限るということでは現在考えてございません。

○森田委員 四種類、この資料の七ページに出ています低公害車と称する車、電気自動車、メタノール自動車、天然ガス自動車、ハイブリッド自動車。電気自動車は、この導入実績を見ていくと、一時ふえましたけれども、また減ってきて、三百台弱で推移しています。メタノール車はもっと低くて、十一年度は百三十二台、ピークでも百七十二台。天然ガス車は大分ふえてきて、十一年度は千百四十七台。ハイブリッド車もふえてきています。そうすると、四大低公害車といわれている四つのうちの電気自動車、メタノール車は、低公害車であるけれども、実情に合わないというふうに見ていいんじゃないでしょうか。どうでしょう。

○松葉自動車公害対策部長 貨物を輸送する場合の、いわゆるトラックとしての性能でございますと、電気自動車というのは非常に性能が悪いというふうな理解をしています。メタノール車については、トラックタイプがあるわけでございますが、残念ながら普及という観点では少ない。そういう観点からいけば、現在私どもがトラックとして使う可能性が高いということで考えますと、天然ガスのCNG車と、それからLPG車というふうなことを考えています。

○森田委員 部長はLPG車、僕もLPG車を低公害車に加えるべきだなというふうに思うんですが、実際に低公害車で数値を出すと、こうやって環境局が出したデータでもLPG車は入っていませんよね。ところが、LPG車をいろいろ調べてみると、CNG、天然ガス車と排ガスではほとんど差がないか、もしくはLPGの方がいいというようなデータも出ているんですよね。そういうLPG車を何で低公害車として入れないんですか。

○松葉自動車公害対策部長 今までの取り扱いということでは、低公害車の概念として、国等が扱っております四種類について取り扱いをしてきた。今後、条例の施行等のことを考えますと、そういう全体的な取り扱いというものは別に行っていくべきというふうに考えております。

○森田委員 確認しますけれども、国は、環境庁は四大低公害車としてこの四種類をいっている。しかし、東京都は低公害車にLPG車も入れるというふうに考えていいですか。

○松葉自動車公害対策部長 都としては排ガスの程度に応じて、いわゆる低公害車というものを取り扱っていきたいと考えていまして、今後、LPG車についても排ガス性能の良好なものが開発されてくると考えていますので、その低公害車の範疇に入ってくるというふうに考えています。

○森田委員 僕が知っている範囲では、もう既にLPG車とCNG車、天然ガス車とは、排ガスという限りは差がないし、場合によってはLPGの方がいいという結果も自動車メーカーなんかでも出ているんですよね。それから、専門家に聞くところによると、ガスの扱い方も、LPGとCNGといったらLPGの方がずっと扱いやすい。それはもうご存じのように、ライターのガスもLPGですから、CNGとなると非常に強い圧力じゃないとだめということから考えると、これから東京都が低公害車を広げていくには、LPGを推奨していくべきじゃないかというふうに思うんです。また、導入しやすい環境をつくっていかないと、低公害車、低公害車といっても、今いっているこの四種類だけでは絶対広がらない。LPGは我々の身の回りでももう既に、タクシーなんかはほとんどLPGで走っている。そういうものが低公害車となってくれば低公害車は非常に多くなってくるし、また一般の都民の皆さんも低公害車を導入しやすいんじゃないかと思うんです。スタンドの数にしてもLPGの方がずっと多い。この辺のところの考え方はいかがなんでしょう。

○松葉自動車公害対策部長 現在使われています貨物用のLPG車については、相当程度黒煙が出ないとか、あるいは窒素酸化物の量もディーゼル車より低い。それからCO2もディーゼル車並み、こんなこともあるわけでございます。そういう観点からいけば、ディーゼル車代替としてのLPG車については、私どももいろんなところで推奨してきた経緯がありますので、そういう取り扱いについての対応をしてまいりたいと考えています。
 それから、乗用車タイプのものにつきましては、ガソリン車と似たような性状の排ガス性状にある。メーカーなどに対して乗用車タイプのLPG車についても、より低排出ガスの車を開発するように現在要請しています。そういう中で、今後、この乗用車タイプについても、低公害な車のLPG車が出てくるものというふうなことを考えています。

○森田委員 いや、僕がいっているのは、東京都は低公害車にLPG車を入れるべきじゃないか、それによって低公害車の広がりが出てくるんじゃないかということなんですけれども、これは入れる考えはありますか。

○松葉自動車公害対策部長 そういう方向で検討してまいります。

○森田委員 ぜひそれでやってください。
 そこで一つ課題があるのは、四大低公害車といわれる電気自動車とかCNGとかハイブリッドとかいうのは、例えば東京都の税金である自動車税でいうと、五〇%減額になっているんですね。ところが、LPG車の場合は三〇%しかならない。これは関係局じゃないだろうけれども、同じ扱いにするようにやっぱり働きかけていく必要があると思うんですが、いかがでしょうか。

○松葉自動車公害対策部長 今ご指摘いただいた点は、自動車の自動車税ということで、現在主税局で、いわゆる低公害車は五割、それからそれ以下を三割減じている状況でございます。今後、こういうものの見直しを行う時期も来ると思いますので、主税局とも協議をしてまいります。

○森田委員 せっかくこの条例で低公害車を導入していこうということをやっているわけですから、低公害車が導入しやすい環境、これをつくっていくのが、やっぱり環境局の役割じゃないかなと思いますので、ぜひその辺もしっかりと取り組んでいただきたいと思います。そして、低公害車ができるだけ東京の町を走って、東京の町の空気がよくなるようにしたいというふうに思っています。
 この車に関してもう一点ですが、これもすばらしいんですが、自動車の騒音及び振動対策というのが、今回この新しい条例でできました。大気の汚染、これは大変に健康に害があるわけですが、自動車の騒音、振動、これも大変にやっぱり、特に幹線道路沿いに住んでいる方、私がよくいわれるのは、高齢者の方で、幹線で大きな音を出されて目が覚めると、もうその後寝にくい、眠れないというようなことで、非常に自動車騒音で困っている方がいるんですが、今回の条例でこの自動車騒音についてはどのような規定をするんでしょうか。

○松葉自動車公害対策部長 条例の中では、低騒音な車を定義しているわけでございます。そういう中で、都としては一定のこういう低騒音な車を開発してもらうとか、あるいは普及するための方策を今後検討していくという観点から、この条例に新たに盛り込んだところでございます。

○森田委員 具体的にこの条例が来年の四月一日から施行された場合に、東京の町は静かになるんですか。

○松葉自動車公害対策部長 残念ながら、騒音にかかわる環境基準の達成率が非常に低い状況でございます。そういうことからいけば、将来にわたり低公害な自動車を開発し、普及していくというのが重要かというふうに考えています。

○森田委員 いや、実際にこの条例が動き出したとき、施行されたときに、東京の町は静かな町になるのかどうか。また、自動車騒音に困っている人は、どこかに訴えればそれを取り締まってくれるのかどうか、この辺を聞いているんです。

○松葉自動車公害対策部長 条例施行と同時にこの音が静かになるというのは、なかなか期待できないと思っています。一方、自動車の走行に伴います騒音につきましては、いわゆるマフラーなどを外した状況などにつきましては、これは警察なり運輸省の、取り締まり権限があるということで取り締まるわけでございます。それ以外につきましては、現在使われている車につきましては、騒音規制法で使用過程車についての基準もあるわけでございます。そういう観点からいけば、そういう取り締まりの状況はありますが、今ご指摘いただきましたように、直ちに音が少なくなるということは余り期待できません。

○森田委員 では、なぜ改めてこの条例にこの自動車騒音と振動を入れたんですか。

○松葉自動車公害対策部長 騒音対策の中で、自動車自体から出る騒音について、国の基準自体が、私どもの目から見ますと必ずしもきついものになっていない、そういうことから、国にも、かねてよりこの騒音対策については要望してきているところでございます。一方、都独自といたしましても、騒音を減らすということから何らかの工夫をしてきて、騒音の低い車を普及していきたい、こういう観点の施策を展開してまいりたいと考えています。

○森田委員 最初にいいましたように、騒音もやっぱり町の中で困っている方が非常にたくさんいるわけです。確かに排気ガス、黒煙等、SPM等は健康を害する。こっちは、うがった見方で、そうじゃないといわれるかもしれませんけれども、知事がペットボトルを持って黒煙を見せながら、こんなにディーゼル車は汚いんだぞというのでディーゼル車の規制が始まって、これは罰則までついてくる。こっちは進んだけれども、騒音についてはさほど知事も大きくいっていないので、努力義務、努力規定ですよね。ねばならない、そういう努力をすべきだとしかいわない。ここも努力義務じゃなくて、ある程度押さえる必要があるんじゃないかな。自動車の中にはもちろんバイクも入るわけですよね。真夜中にわざと大きな音を立てて走るバイク、こういうものを取り締まらない。せっかくこの条例をつくるときに、そういう取り締まりの条文を入れないという法はないんじゃないかなというふうに思うんですが、いかがでしょう。

○松葉自動車公害対策部長 先ほどご答弁申し上げていますが、車には一定の消音装置がついている。そういうマフラーを外したりなんかした場合には、道路運送車両法あるいは道路交通法で取り締まりの規定がございます。その取り締まりの根拠となるものを運用することによって、原則的には法的には条文として整備が整っているというふうに考えています。なお、条例の中ではそういうことを考慮いたしまして、特別取り締まりの規定というものは設けていない状況でございます。

○森田委員 そうすると、車の騒音については今の法律で全部押さえられるということで、条例に入れなかったというふうに考えていくわけですね。

○松葉自動車公害対策部長 不法改造とか、そういうものについての取り締まりの規定は法的に整備されているというふうに考えています。
 それから、自動車一台一台からの音の規制については、騒音規制法により、新車と、それから使用過程車についても基準が整備されています。しかしながら、この基準についての高い低いという、こういう議論については、国においてもあるわけでございまして、これにつきましては、都としては規制の強化を強く要請しているところでございますし、今後とも要請をしてまいりたいというふうに考えています。

○森田委員 よくわからないな。要するに、それだけの法律が整っていれば、あえてこれに入れる必要はなかったなというふうに思うし、現実に東京の町は静かな町かというと、車によって非常に--特にバイク、幹線道路なんかでは本当に困っている人たちがいるわけですよね。この辺のところをやっぱり何か取り締まることができないのかなというふうに思うんですけれども、じゃ、これは次への宿題にいたします。
 もう一つ、騒音に関してですが、今回の条例で深夜の営業等の制限ということで、大型店舗に対する騒音の制限がついたんですが、これについてはどういう改正が行われるのでしょうか。

○長谷川環境改善部長 今ご指摘があった大型小売店舗に関する規制の目的ですけれども、近年、深夜の時間帯に営業する新しい形態の大型小売店舗がふえております。一部でこれらの店舗の騒音の苦情が生じる等社会問題化している現象がございます。このため、売り場面積が二百五十平方メートルを超える小売業を規制対象として新たに追加する予定でございます。

○森田委員 どの程度の騒音が取り締まりの基準になるんでしょうか。

○長谷川環境改善部長 この仕組みは二つの形から成っております。一つは、今先生がご指摘のように、新しく音量の基準を設けて、これを遵守してもらう。これを超えた場合にはいわゆる勧告等を行って、従わない場合には、従来と同じように一部の時間帯に限って営業停止を命ずる、このように規定しております。この音量の基準でございますけれども、工場、指定作業場等に適用となる音量の基準をそのまま使っておりますので、用途地域別に音量基準が異なるようになっています。最も厳しい基準で、一種住専地域等で四〇デシベルというふうになっております。

○森田委員 一種住専のところで四〇デシベル以上の騒音を出した場合は営業停止になる。四〇デシベルというとなかなかわかりにくいんですが、例えていうとどのぐらいの音でしょうか。

○長谷川環境改善部長 いい例えがないんですけれども、例えば、店の前でかなりの人がしゃべっていれば、四〇デシベルは超えると思います。

○森田委員 この委員会室で私がしゃべっている音は四〇デシベルを超えていますか。

○長谷川環境改善部長 騒音のはかり方というのは非常に難しいんですけれども、今のは瞬間値では四〇デシベルを超えていると思います。ただ、規制をする場合には、こういう変動が大きい音の場合は変動パターンをとって、上端の九〇%上限値をとるようにしていますので、静粛な時間等があって、森田理事が例えば一分間に十秒ぐらいしゃべった程度では、いわゆる規制基準の四〇デシベルは超えないというふうに思っています。

○森田委員 私がしゃべっている声が四〇デシベルを超えているということになると、ある部分では非常に厳しい規制になるわけですね。現実に、例えば私の住んでいる杉並でも、大型店舗で深夜まで営業していて騒音で困っている人たちがいる。この困っている人たちは、この四月一日からは、この規制が始まった場合に、住民で被害を受けている人はどういう行動をしたらその店舗の規制を行うことができるんですか。

○長谷川環境改善部長 私、ちょっと前の答弁で言葉が足りなくて申しわけなかったんですけれども、従来、現行の東京都の公害防止条例は、深夜営業の禁止という規定がございます。これは、いわゆる深夜営業を特定の地域でやってはいけないという規定になっております。
 今回の条例改正は、今いいました大型小売店舗を入れて、従前のようにいきなり営業禁止ではなかなか実態に合わなくて、いつ命令をかけたらいいかわからないものですから、大型小売店舗を入れるとともに音量基準を設けて、これを超えた場合には勧告を行い、次の段階として、どうしても聞かなかったら、必要な時間帯に限り営業の禁止を命ずることができる、こういうふうに柔軟な構造に直す予定でございます。
 この深夜営業の規制権限というのは区に委任されておりますので、仮にこの条例が制定されましたら、四月以降、区において新しい条例に基づいて深夜営業の規制を行うことになります。

○森田委員 この条例ができることを知って、私は最初に思い浮かべた店があるんですけれども、これは方南町に最近できましたドン・キホーテ。それから前もってあった宮前のドン・キホーテ。両方とも店舗が深夜営業で、近隣の住民の皆さんは大変に困っている。しかし、今の条例及び法律では取り締まることはできない。車はばんばん来る、そして夜中まで、明け方まで店をやっている。こういうのを、例えばこの条例ができることによって取り締まることができると思うんですが、方南町のドン・キホーテの場合は前が環七です。環七に面して後ろが住宅街。こういう店舗の場合、この条例で規制することはできるんですか。

○長谷川環境改善部長 まず一点、理事ご指摘のドン・キホーテは、新しい条例の規制対象である小売業に該当いたします。次に、規制をかける要件として、店の所在地及びその周辺二十メートル以内の用途地域が問題になりますけれども、今ご指摘の方南町の店は、店の所在地は近隣商業ですけれども、隣接する二十メートル地域内に第二種中高層住居地域がありますので、規制対象になります。それからもう一点、店の売り場面積が二百五十平方メートル以上という条件がございますけれども、店舗面積を見る限りはこれを超えていると思います。したがいまして、四月以降、今ご指摘の方南町のドン・キホーテは深夜営業の制限等の規制対象になります。

○森田委員 こういう条例ができることによって住民は本当に安心して過ごすことができるのではないかなという意味で、この条例は大変すばらしい条例だというふうに思います。四月一日以降、またこの条例が発足したときに、住民の皆さんも大変喜ぶのではないかなと思いますので、すばらしい条例ができてよかったなと思います。
 以上で終わります。

○馬場委員 私は、いわゆる環境確保条例から大きく二点、そして自然保護条例から一点質問をさせていただきたいと思います。
 まず、今回のディーゼル車規制関係で伺います。
 都が昨年八月からディーゼル車NO作戦を展開し、PM対策の必要性を強く訴えたことなどを受けまして、国もおくればせながらPM対策の検討に着手しているという状況にあります。
 こうした国と都の状況についてまず伺いたいんですが、年内に中央環境審議会の答申がまとまり、次期通常国会には自動車NOX法の改正案が提出されるというふうに聞いております。また都では、今回提出をされました規制案、これは六月の中央環境審議会で提案された考え方と基本的に同じであると思います。この間の都の動きを見てみますと、この六月の提案の延長上で七月に七都県市から関係省庁や中央環境審議会に対して意見書を出した上に、十月には同審議会の中間報告に対して真っ向から対立をする意見書を提出するなど、初めから国と対決をするということを前提に考えてきたのではないかというふうに思われます。
 都はこうした条例による規制を強く働きかけていこうというわけですが、自動車そのものが都内だけを走っているわけではないということ、そういう関係で、都民だけではなく、今国民全体が、また世界でもこの規制に関しては関心を持っていると思います。だからこそ、国が今までしてきているこうした規制と、今回都がなさろうとするこの条例による規制、この辺の整合性についてきちんともう一度整理をして、今回のこの条例に、審議に当たりたいというふうに思っておりますので、この関係者と疑問を出されている、こういうお答えにもなると思います。
 まず、国との整合性について伺っていくんですが、国が予定している規制と、それから都が提案している規制の考え方の違い、ここからまずご質問させていただきます。

○松葉自動車公害対策部長 十一月に中央環境審議会の最終答申案が明らかになったところでございます。規制の猶予期間について答申案では、現行の自動車NOX法と同じく、車種別に八年から十二年程度とすることを想定しているわけでございます。都は、条例案ではこれを短縮することが必要と考えまして、一律七年と設定してございます。
 また、DPFの装着につきまして、答申案では装着を促進することとしながら義務化は見送っているわけでございます。都は義務化を盛り込んでいるということがあると。また、使用過程車に対する排出基準について、答申案では段階的に強化することを見送っているわけでございますが、東京都は新車の規制と連動した排出基準を設定してございます。それから、答申案では乗用車も対象としていますが、都はバス及びトラックなどを規制の対象としています。

○馬場委員 今四点にわたって大きく違いを説明いただいたんですが、だからこそ東京の条例として意味があるということは、今回都民の皆さんもわかっていると思いますし、昨年の八月から知事が特におっしゃいましたPMについては、最近の二つの公害訴訟でも、有害であるということが問題視をされてきているという状況の中でありますが、今まで皆さんが国基準ということでいろいろ対応してきている中で、都が今回の条例の中で国と違う方針を出してきた。このことについてやはり一番影響を受けるのは、自動車関連の業界の皆さんではないかと思います。都の考え方について、事前にトラック輸送業界やバス業界等の意見を聞いて、理解や協力を得るための時間は十分にとれたのでしょうか。必ずしも現状で業界の皆さんが納得しているというふうには受け取れないような状況と私は思いますが、この点、いかがでしょうか。

○松葉自動車公害対策部長 規制につきまして、またディーゼル車対策全般につきまして事業者の皆様方の理解と協力を得るということは、対策を進める上で極めて重要なことというふうに考えてございます。したがいまして、局長を初め私も東京都のトラック協会、あるいはバス協会に出向きまして、その中で意見なども聞いてまいりました。また、対策についての協力も要請してきたところでございます。その結果かもわかりませんが、都のディーゼル車対策の必要性については、それぞれの協会とも基本的には理解をいただいたものというふうに考えています。なお、その中で猶予期間の延長とか経済的な支援の拡充などについては強い要望を受けているところでございます。

○馬場委員 昨日からの質疑、またご答弁にもありますように、東京の大気汚染を改善して都民の健康を守る、このためにPMに対する規制を強化するという、こうした理念は我が党としても、会派としても異存はありませんし、もっといえば、あえていえば早期推進ということについては賛成をしているところでございます。しかし、ただ規制をつくり、これが社会規範だから守ってほしいという、よいことだからということなんですが、そうした今回の条例については、特に関係の深い皆さんから、これはいいでしょう、やりましょうというふうに納得をされてから、初めて社会全体としての規範としてこれが実効性が出てくるのではないかと思います。関係業界は基本的には都のディーゼル車対策に理解を示しているというご答弁を今いただきましたが、私が聞いている限りでは、こうした業界の皆さん、今回のこの条例の影響の大きさをはかりかねていらっしゃるのではないかなというふうに私には見受けられます。
 規制策の中でも最も議論を呼んでいるのが、七年間という猶予期間の点ではないでしょうか。これについてはトラック業界も、都の規制に対応してPM減少装置を装着しても、大型車の場合には二年後に国の規制で買いかえを強制されると、ユーザーとしての過大負担、これに悲鳴を上げていると聞いています。また、運輸省の自動車交通局長も、先週金曜日の記者会見の席上、七年という国より短い猶予期間を設定することにより、ユーザーが買いかえをためらうのではないかと懸念しているというふうに発言をなさっています。
 そこで、都が提案した猶予期間七年という考え方について、もう一度改めてお伺いをいたします。

○松葉自動車公害対策部長 国の自動車NOX法というのがございますが、これは新車登録から強制的に使用できなくなるまでの年限を猶予期間として定めてございます。車種ごとによって異なるわけですが、平均使用年数から一年を減じた年数をもって、その猶予期間としてございます。そういうことでございますので、使用者の負担は比較的こういうことであれば軽いという考え方があるわけでございますが、一方で、使用期間が長いということでございますと、PMを早期に削減するという目的自体が達成できない、こういうことになりまして、東京都はPM対策を進めるために、このディーゼル車についての内容について強化を図るという考え方でございます。PMを削減することに重点を置きまして、買いかえとか、あるいは装置を選択していただくということでございます。
 七年間の猶予期間でございますが、PMの排出量の早期削減とか、あるいは新車に対する排出ガス規制の強化のためのスケジュール、あるいは使用可能年数について、ユーザー間の不公平感の解消などを考慮して七年間と定めたものでございます。

○馬場委員 今ご答弁いただきましたが、PMを早急に削減するために、国よりも短い猶予期間を設定したということですね。知事もおっしゃっているとおり、きょう、あすにでも、五年でも、一日でも早い方がいいという都民の声は私も含めてあります。でも、今のご答弁のように、七年という猶予期間、これは現在のような経済状況の中では、逆に買いかえにブレーキがかかるというふうに国でもいっているんですが、そもそも都は六月の中央環境審議会での提案でも、ディーゼル車からより低公害な車への転換を最優先策としているのだから、買いかえを促進するための方策を用意するべきであるというふうに思います。
 事業者に対する支援策について、基本的な考え方については本会議や昨日以来の委員会でもご答弁がありましたが、最優先施策である買いかえに対する支援策について、先ほど吉野委員さんからも質問がありました。私も同じ質問をさせていただきたいと思っておりましたが、同じご答弁になるというふうに思いますので、この支援策については十分に取り組んでいただきたいということをお願いし、この支援策の中に実はトラック協会やバス協会といった業界を代表する団体のほかに、個人事業者、小零細等の個人商店や個人経営の企業のような、業界としての声を大きく出しがたい皆さんがいらっしゃる、そういう皆さんへの影響も大変大きいと思います。
 ひとしく規制の対象となるこうした個人事業主が助成策の網から漏れることがないように配慮すべきというふうに思いますが、この支援策についていかがでしょうか。

○松葉自動車公害対策部長 ご指摘いただきましたとおり、ひとしく規制の対象となる以上、この支援策につきましては、業界団体に加盟している事業者の方だけではなくて、個人事業主の方々についても対象と考えてございます。こうした事業者が支援策を活用して規制を守っていただけるよう、十分な周知活動にも努めてまいります。

○馬場委員 いずれにしましても、大気汚染を改善するという目的は、都民、事業者であれ、行政であれ、変わることはないと思います。まさに社会全体で費用負担の仕組みを構築しながら、来るべき二十一世紀には東京に青い空を取り戻すべく、もう一カ月を切りましたが、皆がその努力を重ねる必要があると私も思います。そのためには、何といっても規制開始前に、十五年十月というふうにいわれていますが、関係業界の準備がそれに間に合うようにきちんとできる、でき上がるということが、今回のこの条例の効果を出すためには必要なことだと思います。そういう意味で、規制に十分対応できるように、関係業界内の取り組みに都も協力する必要があると思います。
 都民の期待にこたえる条例をつくるために都民と関係者が一体になるという、このことを実行する都の今後の方策についてお伺いいたします。

○松葉自動車公害対策部長 ディーゼル車の規制につきましては十五年の十月から始まるわけでございますが、この規制を円滑に進めていくということについては、事前の周知活動が極めて重要というふうに考えています。このため、関係業界にも傘下の事業者に対して積極的なPR活動等をお願いするとともに、条例の解説ですとか、あるいは都の施策の説明についても積極的にこたえてまいりたいと、さまざまな形で業界の取り組みについても協力してまいります。

○馬場委員 今回の都の条例は国と違うということを最初に指摘をさせていただきました。この都の条例を施行するに当たり、特にこうした自動車を中心とする物流ということを例にとっても、全国的に影響をしてくると思います。そういう意味では、関係業界といっても多種多様な広がりと、また、その広がっている業界が連携をとって取り組みをしていくというのはかなり大変なことだと思いますが、十五年十月へ向けて、どうしても皆さんの協力、また都としての行政の推進体制が相まっていかなければできないと思いますので、その辺の都の今回の条例に対する業界の皆さんへの周知等を含めて、ぜひお願いしたいと思います。
 先ほどの質問にもありましたように、低公害車の導入、ほかにもさまざまなしていかなければならないことがあります。ディーゼル車の代替としてのLPG車、これは私も低公害車として認めるべきだと思いますし、一方で、使われる燃料の改善、軽油やいろいろなガスの供給の多様化ということも必要です。また、それに伴う供給体制も整備をされなければなりません。
 今私のところでは、廃食油を利用した、再生をして軽油として使っていく代替燃料として、VDFというふうにいっていますが、少ない量ではありますが、そうした試みも、各家庭の協力という意味では、都民が環境に協力をするということではとてもわかりやすい例かなというふうに思っています。そうしたさまざまな取り組みが、一つネックになっているのは、今の国の税制だというふうに思います。そういう意味では、この体制をとっていくと同時に、税制を国に対してきちんと整合性を持たせた税制にしていくように要望をしていただきたいと思います。
 さらに、もう一度述べさせていただきますが、小規模の業者の皆さん、これからのお仕事も含めてどういうふうになっていくのか、大変不安な様子でございます。そうした皆さんも、当たり前ですが都民の一人として、東京の青い空を望んでいる者として、知事の考えと同じ思いだと思います。この知事と都民の思いをかなえるためにも、十五年十月に向けて細部まで気を配り、国等に整合性だけでなく、国がやるべきことをきちんと要望していく、そうしたことをしていっていただきたい。つまり、この法が実施されても、ざる法、ざる条例とならないように、そういう意味で、最後にぜひ局長のご見解を伺わせていただきたいと思います。

○中野環境局長 ご案内のように、東京の大気汚染は一向に改善されない状況にございます。特に自動車排ガスの環境基準の達成が困難な状況が続いてございます。とりわけ、ディーゼル車から出されます排出ガスは発がん性などが指摘されておりまして、都民への健康に大きな影響を与えている、そういう状況にあります。
 これに対しまして、国の規制は一向に緩く弱い、そういう状態でございます。さきの国の中央環境審議会でいろいろ検討されていますが、まだ大きな改善が見られないというふうに私どもは受けとめております。このため、東京の大気汚染を改善し、都民の命と健康を守る、そういう視点から都独自のディーゼル車対策を講じたわけでございます。今後、この問題につきまして積極的に取り組んでいきたいというふうに考えています。

○馬場委員 ありがとうございました。
 それでは、環境確保条例のもう一つの質問をさせていただきます。
 公害防止管理者制度にかかわって何点か質問させていただきます。
 高度な技術社会、特に二十一世紀は、こうした社会にさらに環境に配慮をした社会にしていく、こうした方向はもう見えてきているというふうに思います。そういう意味で、今回全面改正をされるこの環境確保条例というものの役割は大変大きいと思っています。それぞれの内容について、都ができる範囲での今回の条例改正ということで評価をさせていただきますが、きちんとこの条例が実行されるためには、私はそれぞれの公害を発生する可能性というか、いろいろな今回の条例が対象になっているそれぞれの事業所等について、ここがきちんとみずからの環境についての対応がなされなければ、やはりこの条例がざる条例になってしまうのではないかなというふうに思っておりますので、こうした意味から、この公害防止管理者を置くということが大変大事なことだと思っています。
 今回、この条例では、公害が発生する可能性が高い工場に対して公害防止管理者を置くということを義務づけていらっしゃいます。これまでは公害防止管理者の資格を取得する方法として、試験に合格をする方法と講習を修了する方法があったというふうに聞いています。改正案では、この試験を廃止をし、講習による方法のみとなっていますが、このことによって公害防止管理者の資質がダウンをするということにならないのでしょうか。

○長谷川環境改善部長 公害防止管理者制度ですけれども、これまでは講習により資格を取得する際は、例えばボイラータービン主任技術者の資格など、原則として一定の資格を持つことが要件になっておりまして、そのような資格を持たない人が試験を受ける必要があった、こういう状況でございました。今回の講習を受講する要件に、工場に勤務し、現に公害防止の業務に従事していること等、こういう要件を加えて、本当に公害防止管理者の資格が必要な人は漏れなく講習を受講できるようにしますので、試験の存続の必要はなくなると考えております。なお、講習におきましても、修了試験を実施しまして、合格者にのみ資格を与えることにしますので、これまでの試験合格者と遜色のない資質が確保できるものと考えております。

○馬場委員 わかりました。何でも試験をすればいいということではないというふうに思いますので、これからのこの制度が講習をきちんと受け、そして、その講習が身につくような、ぜひそうした制度にしていただけるようにお願いをいたします。
 改正案では有害な化学物質の適正管理を推進することが新たに盛り込まれました。多様な化学物質が使用されている今日の状況に適切な対応だというふうに思いますが、公害防止管理者にも化学物質の適正な取り扱いについての知識の習得が望まれます。このことについてどのように対応なさるのか、お伺いいたします。

○長谷川環境改善部長 委員ご指摘のように、工場ではさまざまな化学物質が使用されており、この管理を適正に行うことが化学物質の環境への排出を防止する際の基本と考えております。このため、先ほど申し上げました資格取得のための講習の内容に、化学物質の適正な取り扱いに関する科目、これらの科目を加えるとともに、既に資格を持っている公害防止管理者に対しても、化学物質の適正な取り扱いに関する講習を受講する機会を設けることによりまして、化学物質の取り扱いに関する知識を持つ公害防止管理者の育成を図っていくよう考えております。

○馬場委員 この条例案では、公害防止管理者を置くことが義務づけられている事業所は特定の工場に限られています。有害化学物質を取り扱う事業所であっても、必ずしも公害防止管理者が設置されないことになるのではないでしょうか。有害化学物質は、わずかな量であっても健康に悪影響を及ぼすおそれがあるため、このような事業所には化学物質を適切に管理し、環境へ影響のある、そういうことを防止するため、従業員一人一人に十分な教育を行う。つまり仕事として、この取り扱いをする従業員、関連者には必ず教育をしていただきたい。さらに、公害防止管理者のような責任者を置くことを義務づける必要があるというふうに思いますが、この点、いかがでしょうか。

○長谷川環境改善部長 化学物質の取り扱いが適切に行われるためには、従業員の方が化学物質の性状や排出抑制技術などに関する十分な知識を持つとともに、それを支える組織体制の整備が必要と考えます。このため、改正条例では、知事は化学物質を取り扱う事業者が守るべき指針を定めることとしております。この指針の中で、管理体制の整備の一環として、化学物質管理の責任者の設置あるいは従業員教育の実施についても規定することとしています。今後は、この指針に基づきまして化学物質を取り扱う事業者に対し適切な指導を行うよう努めてまいります。

○馬場委員 条例の百十四条、百十六条で、工場または指定作業場を設置する有害物質取扱事業者に対して土壌汚染対策に関する規定を設けています。この有害物質取扱事業者にはどのようなものが含まれるのでしょうか。例えば大学や研究所、病院なども含まれるのか、お尋ねをします。
 実は、一昨年、目黒にありました国立予防研、この跡地利用について、大変地域の皆さんから心配、不安なご意見を聞きながら跡地利用の問題を取り扱った経験があります。国がこんなにずさんな管理でよかったのかという--悪かったんですが--こんなずさんな管理というふうにびっくりした思いがあります。今回、そういう意味では、あまねくこの有害物質を取り扱うところにきちんと適用されるということで確認をさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○長谷川環境改善部長 委員ご指摘のとおり、大学あるいは研究所、それから病院、こういうところでも有害物質を取り扱っておりまして、移転した場合は跡地で土壌汚染が問題になる例、これは非常に多い事例でございます。今回の条例では、有害物質対策などのために病床数三百人以上の病院、科学技術に関する研究、試験、検査を行う事業所、これらを新たに指定作業場として定めることを予定しております。
 したがいまして、今おっしゃられました病院、そのほかの研究所等に関しましては、いわゆる廃止だとか、建物の除却の際は土壌の調査だとか、あるいは汚染があった場合の拡散防止の措置、こういうことが義務づけられることになります。

○馬場委員 ありがとうございました。
 今回の条例も、公害防止条例から都民の環境を守るというような、広く、そして深くといっていいんでしょうか、きちんとした規制も含めてできるわけですが、何といっても、特に事業者みずからが自分の仕事、自分の作業の内容をきちんと知り、その確認を、特にこうした有害物質、公害を発生させるような仕事に携わっているみずからが確認をしながらこの作業をする、そのことが安全の基本であるというふうに考えますので、そういう意味で、ぜひ都の役割として、今後ともこの条例の有効な施行についてご尽力をいただきたいというふうに思って、次の質問に移ります。
 次に、今回、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例と、東京における自然の保護と回復に関する条例、この二つの条例が同時に提案をされています。両方の条例を比べてみますと、言葉は違うものの、快適な生活を営むことのできる環境を確保するという意味では、同じ目的を掲げているのではないでしょうか。このような目的からすれば、両者がそれぞれの立場から相互に作用することによって、都民の本来の意味の健康と安全を確保する、そういうことが可能になるのではないかというふうに思います。
 それで、まず基本的な考え方を整理する意味で、この二つの条例について伺います。まず、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例と、それから自然保護条例との特徴的な違いはどういうところにあるのでしょうか。次に、自然保護条例を単独の条例としている理由を伺います。

○高田自然環境部長 二つの条例につきましては、基本的にはその条例の対象とするもの、それから、そういったものに対する施策内容が異なっているというふうに考えてございます。
 まず、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例でございますけれども、これは主に生活環境を対象にしてございまして、大気、水質、土壌、騒音、振動、それから地盤沈下などについて、環境への負荷を低減するための措置、それから自動車公害対策などの公害の発生源についての必要な規制、さらに緊急時の措置、こういったものを定めているものでございます。これに対しまして、東京における自然の保護と回復に関する条例、いわゆる自然保護条例では、大気、水、土壌及び動植物などを一体として総合的にとらえて、そうした自然環境を対象として、開発の規制にとどまらず、保護、そして回復策も定めている。このように、その主な対象に自然の要素としての生き物を含んでいることが自然保護条例の大きな特徴だというふうに考えてございます。
 こうした点から、生き物の保護を含む豊かな自然の確保に関する施策を体系化した独自の条例として自然保護条例を制定することによって、その効果的、効率的な展開を図る、こういう必要があると考えております。

○馬場委員 今ご答弁いただきましたように、この二つの条例、一方は都民のというふうに、どちらかというと人間を中心にした環境というふうに私は受け取れたんですが、一方、この自然保護条例の方ではきちんと人間のこうした都市という環境の中で、人間だけの環境を守るのではない、ある意味では自然と人がきちんと共存、共生ができるような、そういうことを守っていく条例であるというふうに、私もそうであるべきだというふうにも思います。ただ、この二つの条例がきちんと両方で作用することによって、本来の都を中心とした環境が守られていくと思います。ただ、今まで三十年の間、これまでどのように自然保護がされてきたのかということの検証が、やはり本来はされなければいけないと思います。
 今回はそれは置いておきまして、現状で実は伺いたいんですが、この自然保護条例の特徴が、生物を含めた自然環境を対象としているということ、また、そういう意味では新しく野生動植物に関する条文が入っている等、生物の現状がどうであるということをきちんと踏まえた上で、これからの自然の保護なり、回復なりということが図られるのではないかなというふうに思います。
 まず、現状を起点として考えていく、環境のバランスシートというんでしょうか、そういう意味では、減ってくるものがあれば片一方で必ずふやしていくという、そういうものでなければならないと思います。そういう点で、現在、東京都における生物の状況を、それではどんなような方法で把握していらっしゃるのか伺います。

○高田自然環境部長 東京の自然環境を、いうならば調査し、その現状を分析し、保全していくための基礎資料といたしまして、まず植物の群落の具体的な広がりを示す、そういったものとして現存植生図というものを作成してございます。植物の生育している場所は、基本的には生物の生存基盤となってございますので、今申し上げました植生図によりまして、植物ばかりでなく動物を含めた生物のおおよその分布状況を知ることができます。
 また、都におきましては、確認のできる野生動植物の現状を明らかにするために、東京都の野生生物種目録というのを文献情報によりましてまとめてございます。さらに、この目録の掲載種について、国の評価基準を参考にしてランクづけを行いまして、東京都における保護上重要な野生生物種、いわゆる東京都版レッドデータブックを作成し、こういったことによりまして野生動植物の置かれた状況に関する情報を収集し、提供しているわけでございます。

○馬場委員 今申し上げましたように、今現在どうなっているかということをまず基本に考えて、それで、その資料をもとにして回復、それから保護ということを考えていくべきだと思います。今ご答弁いただきましたように、大変な資料、膨大な資料、それから情報を必要としています。そういう意味では、都の担当職員だけではこれは不可能だと私も思います。そういう点から、こういう自然保護、この条例をきちんと守っていくためには都民との連携、つまり都民の力をおかりする、こういうことが必要だと思います。都民の緑地保全等に関する自発的活動を高め、自然の保護と回復に関する知識、技術等を有する、そうした皆さんの指導性、これを高めていただき、指導者としての認定を行うなど、都民の皆さんが指導者となり、その指導者自身がさらに自主的活動に取り組んでいかれるような、そうした仕組みを考えていくべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○高田自然環境部長 お話がございましたように、都民との連携を進めていく上で、都民の方たちの意識あるいは行動について、いろいろ対策を考えていく必要がございます。緑に関するボランティア活動を行いたいとする都民が、それでは、自然についてどれほどの知識とか経験をお持ちかというと、必ずしも十分ではないといったようなことが現状にございます。また、ボランティア活動を活発にしていくためにも、そうした人々に対して助言、指導を行うことのできるような形にしていかなければならない。そういったことのできる人材を養成していく必要があるというふうに考えているところでございます。
 お話がございました、今回条例改正において提案申し上げております認定された指導者自身、この人たちは、いうならば指導助言に当たるという役割を持っているわけでございますが、自主的活動にも取り組んでいただいてボランティア活動を盛んにしていく、こういったことも重要であると思っております。そのために、指導者を育成する講習の中にボランティア活動のリーダーとしての必要な知識などの内容を盛り込む考えでございます。

○馬場委員 ありがとうございます。
 とにかくこの東京という多面的なところ、自然の考え方もいろいろあると思いますが、そうした皆さんがやはり一堂に会してこの自然を守ろうという機運になっていかなければならないと思いますので、あらゆる意味で、今インターネット等もあります、共有できる情報は共有をして、この自然を守る条例がきちんと実行されるようにお願いをしておきます。
 ちょっと細かくなるんですが、二点ほど気になったところがありますので、これを伺わせていただきます。
 まず、土砂による埋め立て等の規制がありました。新条例で新たに規制するということのようですが、これはどのような実効性を上げるということを考えて規制をされるのか伺います。

○高田自然環境部長 丘陵地の谷戸などにおきましては、土砂の埋立場にするために樹木の伐採などの自然破壊が行われている。それにより動植物の生息生育地の消滅、こういった問題が生じたり、あるいは災害発生のおそれになる、こういったことが問題となってございます。このため、土砂による埋め立てや盛り土は、産業廃棄物には含まれない建設発生土、いわゆる建設残土、条例上では土砂と規定してございますが、それを対象に開発行為として規制をしていく、こういう考えでございます。
 その規制の実効性を上げるために、方法でございますけれども、産業廃棄物規制担当部署との共同パトロールといったようなものを考えておりまして、効果的な監視に努めてまいりたいと思います。

○馬場委員 この廃棄物、いわゆる建設残土等が捨てられるという行為は、わかりにくいところ、見えにくいところ、それからわかりにくい時間等にされるから、結果的にはこうしたことが起きるのではないかと思います。今ご答弁いただきましたパトロール等、一般的な形ではとても効果的な監視にはならないと思います。この残土等がどこから運ばれてどうなったかということも、なぜそこに捨てられるようなことになったかということも含めて、もう少し対策をきちんととるべきだというふうに思いますので、その点についてご検討ください。
 もう一つ、駐車場や資材置き場の建設の規制があります。これはやはり自然の保護という点で設けられたというふうに思いますが、この駐車場や資材置き場の規制、建設の規制ということについて、どのように考えていらっしゃるのか伺います。

○高田自然環境部長 駐車場や資材置き場等の建設、これは、実際に建設されますと自然が損なわれるという問題だけではなくて、駐車場や資材置き場などとして、仮に利用した後に宅地の造成などを行うというふうなことが行われて、いわゆる規制逃れに使われているということがございます。そこで、こうした駐車場や資材置き場等の建設につきましても、開発規制の対象に加えることとしたものでございます。

○馬場委員 ありがとうございます。最後にします。
 今の二つ、ちょうどいい例になったというふうに思いますが、一方ではなかなか見えにくい、わかりにくいもの、これが投棄された後の方法、後追いというんでしょうか、そんなようなことになりますし、駐車場等は、これはもう動かないところですから、ある意味ではきちんと整備をすることによって対応が図れるのではないかと思います。こうしたいろんな点で、自然保護の対策というのはさまざまにあると思いますが、あらゆる点でこの条例が有効に施行されるように、ぜひご尽力をいただきたいと思います。
 最後に一点だけ、持論なんですが、私はかねてから、この自然保護の中に、東京港といいますか、川とか海、海の部分が、臨海ということが含まれていないということが大変残念でなりません。ある意味で、これは東京の管轄ではないというお答えだというふうに思いますが、東京ということを考え、東京が東京湾に面した位置にあり、自然という全体の体系の中、伊豆諸島、小笠原というふうに離れた部分の自然だけでなく、海に面した部分での自然の回復ということは、これはやはり都がきちんとやらなければならない問題だと私は思っておりますので、今後、この東京の海--海というか、臨海部についての自然に対して、ぜひ何らかの対応ができるような方向を持っていただきたいと思いますので、その点、強くお願いをして私の質問を終わります。

○寺山委員長 この際、議事の都合により暫時休憩いたします。
   午後三時六分休憩

   午後三時十八分開議

○寺山委員長 休憩前に引き続き質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○清水委員 ヒートアイランド現象や熱帯夜、集中豪雨、野生動植物の絶滅の危機など、東京の自然環境の悪化が、都民の命や健康、快適に生活する環境を異常なまでに脅かしていることについては、共通した認識になっていると思います。具体的な数字で見ても、緑の状態では、この二十五年間で東京都全体で四ポイント、約七十平方キロメートルと、山手線の内側に当たる面積、東京ドーム四個分を超える緑が失われたといわれています。区部では、公園は多少増加しましたが、農地や草地は減少、多摩では農林、樹林など六ポイント低下し、区部隣接の北多摩地域では、農地の減少が最も多い一二ポイント減少などと報告されています。東京湾の水質の悪化も繰り返し伝えられ、湧水量の減少によって全国一級河川の水質ワーストファイブのうち二カ所が含まれ、河川の水循環への悪化ももたらしています。動植物の生息にも大きな影響をしています。東京がこれからも安心して住み続けられる都市であるために、自然環境行政の果たす役割はこれまでにも増して重要となっています。
 今回、自然保護条例の全面改定の条例案が提出されました。この条例の改定に当たっては、こうした状況を踏まえて、何よりも都民の命と健康のためにどうあるべきかから見直さなければならないものだと思います。そういう立場から、以下質問いたします。
 まず最初に、今回の条例改正の中で条文を削除した部分、考え方をこれまでとは変えた部分、私たちは自然保護行政の後退だと考えていますが、その部分について伺います。
 まず、緑化地区を決めてこれまで取り組んできていますけれども、その結果をどう評価しているのか、お伺いいたします。

○高田自然環境部長 緑化地区につきましては、昭和四十九年度以来、二十二地区の指定を行ってまいりました。緑化地区につきましては、公共施設の緑化や敷地面積三千平方メートル以上の民間施設の緑化の目標、方針を定めた緑化計画を策定してやってまいってきております。これまで指定した地区につきましては、おおむねその目標が達成されていると考えております。

○清水委員 今お話がありましたように、指定されたところは成果を上げてきたといわれている制度ですけれども、現在まだ二十二区市しか指定していません。このように成果を上げてきているならば、まだ継続をさせていくべきだと思いますが、今回の条例改正でなぜ規定を削除し廃止をするのか、お伺いいたします。

○高田自然環境部長 都市緑地保全法が平成六年に改正されました。区市町村は、都市における緑地の適正な保全及び緑化の推進に関する措置を総合的、計画的に推進するために、いわゆる緑の基本計画を策定するということになりました。現行条例に基づきます緑化地区及び緑化計画の制度は、今申し上げました緑の基本計画と内容的に重複いたしますので、削除するものでございます。

○清水委員 今ご説明のあった都市緑地保全法は、都市計画で定められている法律です。しかも、緑の基本計画を策定できるというふうになっています。ですから、策定をする区市もあれば、策定をしていない区市もあるということは、既に提出をいただいております資料の中でも明らかになっていて、今日の状況に照らして見れば必ずしも進んでいるとはいえないと思います。
 この制度は、東京都が緑化地区を指定し、先ほど述べられた公共施設の緑化、民間施設の緑化を初め、東京都独自の事業であります苗木の供給事業を行ってきたと思います。それは、毎年約五万本を供給、その苗木の生産は労働経済局とタイアップして、農家と提携し、農地の保全にも役立ててきたものです。これは東京都として行ってきたからできる事業の特徴だったと思います。これをなくしていくということになれば、結局、この労働経済局の苗木の生産供給事業のうち、経過措置が終わっていけば確実に五万本余りの生産供給が削減されていくことにつながると思います。
 現に労働経済局の資料によりますと、十二年度には四十四万本の苗木の配布が、来年度の予想は三十万本に減少するというふうに伝えられています。私は毎年、農業委員の方から、苗木の生産、苗木の供給、購入数を減らさないでほしいという要望書をいただいておりますが、各議員も各地域の農業委員からそういう要望もいただいていると思います。この緑化地区の指定というのは、そういう東京都が全体としてやってきた事業です。しかも、二十二地区ということですけれども、この緑の倍増計画の事業を見ますと、十二年度までには緑化地区は三十地区余りが計画されたと思うんです。それさえ棚上げして区市に役割分担としてしまう。確かに区市でも緑の基本計画を策定することができるというふうに都市緑地保全法は改正されましたけれども、これだけ立ちおくれているのですから、区市もやる、そして東京都も、そんなに大きな事業費ではなかったと思います、資料をいただいて繰り返しませんが、重層的に区も市も進める、そういうことが必要だというふうに私は考えます。
 次に質問いたしますが、こうした考えの基本になっているのが区市町村の連携の考え方を見直しています。それでは、これまで果たしてきた役割も含めてどのように考えているのか、お伺いいたします。

○高田自然環境部長 区市町村は、先ほど申し上げましたように、主に都市緑地保全法などに基づきまして、身近な地域における緑地の保全、あるいは緑化の推進に当たる。東京都は、こういった法制の変化等を踏まえまして、区市町村と密接に連携しながら東京都全体の自然の保護と回復に当たっていく。いうならば、都道府県としての広域行政、そういった立場で展開していく必要がある、こういうふうに考えております。

○清水委員 区市町村の連携事業として、今いわれたように、長く取り組んできた事業の一つに区市町村保存樹林地等への公有化資金貸付事業などがあったと思います。これは既に十一年度に廃止をされていますよね、十一年度までで、ここに貸付実績が既に資料として提出をされています。この区市町村の事業の支援の中の一つとしてやられてきたわけですけれども、じゃ、区市町村との連携というならば、一体、今区市町村が何を願っているのかということが重要だと思うんです。この保存樹林地等の公有化資金の貸し付けというのが、区市町村の緑地を保全するのに非常に重要な役割を果たしてきたわけです。ここの資料にもありますように、多い年では東京都は六十四億という予算措置をして、区市町村の身近な緑地保全の支援をしてきました。しかし、その後、この資料を見てわかるように、十一年度は十一億。この間、実績は十七万平米公有化しています。
 八王子市の緑地関係の職員が、市役所から見える目の前の身近な樹林地が本当に開発されそうなときに、緑地の関係の職員ですから本当に胸が痛んだというふうにいわれていましたが、この東京都の制度によって貸し付けを受けて守ることができたといわれています。そういう緑地が八王子市内にもたくさんあります。そういう言葉を聞いたときに、東京都がこういう重要な役割を果たしてきたんだなということを実感しました。
 この間、区市からの借り入れが少なくなってきたというようなことで廃止をしていくという経過になってきています。これについては制度の改善などを求めてきていましたので、廃止については反対して、要望してきたわけです。私は、区市町村がもう財政措置ができないのかな、保存樹林を買い上げることなんかできないのかなと思っていたんです。そういうふうに局から聞いていましたからね。ところが、十三年度の、来年度の東京都の予算要望の市長会の要望書の中に、この保存樹林の公有化の制度の改善の要求が出ているんですよ。私はこれを見たときに、区市町村は本当はこういう貸し付けを要請して行っていきたいんだなということを実感しました。
 なぜこれが区市町村の期待にこたえられなかったかといえば、もう皆さんご存じだと思うんですけれども、三%で十年の償還ですか、それはこの間、当初はよかったんですけれども、平成七年度ぐらいから市中金利の方が利子が低くなってきた。だから、各区市の財務局なんかは、何で高い東京都の貸し付けを受けるんだということでは、樹林の貸付制度の東京都からの三%の利子というのが非常に重くなってしまったわけです。ですから、毎年こういう--今回の要望には無利子と書いてあるんです。今までは市長会は利子を下げてくれといっていましたよね。ところが、今回、来年度予算は貸付利率を無利子としてください、二十年の償還期限にしてください、こういうふうにいわれて、できれば身近な緑地を守っていきたいと。
 こういうことが区市町村との連携ということで行われてきたにもかかわらず、区市町村の連携の考え方が見直され、区市町村への具体的な支援という中が包括したということで、この制度は区市町村の樹林または樹林地の保全のための制度だったわけですが、その項が削られているわけでしょう。そして、包括的に区市町村に必要なときには支援するということで、結局この制度はなくなっている。こういう要望にこたえてきていないというのが現状だと思います。そういう意味では、区市町村の連携というのは一体何なのかということを改めて考えていただきたいと思います。
 次に、条例の中で新しく規定をされた言葉として、これまでなかった言葉として自然地というふうになっています。その自然地というのは一体どこをいうのですか、伺います。

○高田自然環境部長 自然地につきましては、樹林地、草地、農地、それから池や沼、そういったものから成る土地の区域をいうと。今回の条例改正におきましては、具体的には開発規制の対象地、これを明記すべきであるという観点から条文に記載してございます。

○清水委員 自然地という定義は、今のお答えですと開発規制の対象地を明記するんだというんですけれども、この定義というのは開発規制の適用だけの考え方なんですか。

○高田自然環境部長 先ほどご答弁申し上げましたように、具体的には開発規制の対象地を明記するというところで、その条文に記載してございますが、自然地の保護と回復を図るものといたしましては、開発規制のみならず、保全地域の指定、あるいは湧水等の保全、こういったものも施策として条例に掲げてございます。

○清水委員 今のお答えだと、自然地の施策が保全地域の指定や湧水などの保全というふうにお答えされたんですけれども、これまでは自然地も含めて都内全域が対象に行われてきたと思うんです。そうすると、市街地の施策というのは、今のお答えからするとどういうふうに考えられるんですか。

○高田自然環境部長 条例改正案の第三章に、市街地等の緑化の施策を掲げてございます。そこにおきましては、施設等の緑化義務、緑化計画書の届け出義務等、さらには苗木の供給及び農地の保存についての規定をしてございます。東京における自然の保護と回復は、現行の条例でもそうでございますし、ご提案申し上げております改正条例においてもそうでございますが、第一条にあるとおり、他の法令と相まって図られるものであるということでございまして、都といたしましては、公園の整備、道路の緑化などをあわせて都民や区市町村と連携して農地や樹林地等の緑地の保全に努めるほか、敷地や建築物の屋上等の緑化を進めることによりまして、市街地における緑地の保全と緑化の推進を総合的に展開していく、こういう考えでございます。

○清水委員 そうすると、市街地というのは具体的にどこを指すんですか。

○高田自然環境部長 この条例におきます市街地といいますのは、先ほど申し上げました樹林地、草地、農地、それから池や沼などから成ります自然地以外の土地の区域を基本的に指すものでございます。

○清水委員 そうすると、今のお答えですと、樹林地、草地、農地、沼地などから成る自然地以外の土地の区域といわれましたが、具体的に区とか市でいうと、どこが自然地で、どこが市街地というんですか。大体ここら辺までがそうだと。八王子はどっちに入るんですか。

○高田自然環境部長 提案申し上げております改正の条例案におきましては、施策の違いから、市街地、自然地というふうな分け方をしてございます。実際の東京都の版図をもとにして、では、ご質問にございましたように、どこを市街地、どこを自然地というのかというお尋ねでございますけれども、市街地は一般にいえば都市計画区域。ただ、市街地の中にも樹林地とか草地とか農地、あるいは池、沼、こういったものの自然地はあるわけでございまして、ご提案申し上げております条例では、そういった市街地にある自然地についても、自然地としての規制の対象とか保全地域の指定、あるいは湧水等の保全、こういったものを今までもやってまいりましたし、今後とも都民あるいは区市町村と連携しながらやっていく、こういう考えでございます。

○清水委員 そうすると、具体的に伺いますが、市街地においても歴史環境保全地域指定というのがこの保全地域指定の中にあるんですけれども、市街地においてもできるんですか。

○高田自然環境部長 ご提案申し上げております改正案におきましては、歴史環境保全地域の定義は基本的には変わっていないわけでございます。したがいまして、指定は可能でございます。しかしながら、市街地における身近な緑地の保全は基本的に区市町村が行うものという考え方がございます。都は、原則といたしまして丘陵地等の良好な緑地を対象に指定していく、こういう考えでございます。

○清水委員 今、緑地のいい方で二ついいましたよね。身近な緑地というのと良好な緑地といったんですけれども、どういうふうに違うんですか。

○高田自然環境部長 身近な緑地と申しますのは、都市緑地保全法などで定めております都市計画区域内における、いうならば日常的に生活しておるような場、これが相当するかと思います。そういった中にも、先ほど来申し上げております自然地はございます。そういった自然地、役割分担の考えからすれば、東京都はこれから丘陵地等の良好な緑地を対象に指定していくとご答弁申し上げたわけでございますが、もともと緑地の保全は、良好な状態を保護していく、こういうふうな考え方に立ってやってきているものでございまして、いうならば保全地域の指定の対象としていく、そういった自然の状態を称して良好なというふうに申し上げた次第でございます。

○清水委員 そうすると、今回改正で、歴史環境保全地域と次に伺う緑地保全地域に「良好」という言葉を両方とも新たに盛り込んだんですけれども、今の考え方で盛り込まれたんですか。

○高田自然環境部長 保全地域の指定は、先ほども申し上げましたように、もともと今ある良好な自然を保護するために行うというものでございまして、改正案ではそういった考え方で改めて「良好な」という文言を入れさせていただいた、こういうことでございます。

○清水委員 そのことについてはまた後で伺いますが、そうすると、緑地保全地域ですけれども、今回は緑地保全地域について定義を変えたわけですけれども、その定義を変えた理由は何でしょうか。

○高田自然環境部長 繰り返しになりますけれども、市街地における身近な緑地の保全は、基本的には区市町村が行うものという考え方がございます。都は今後、丘陵地等の良好な緑地について保全をしていく、こういう考えから、現行では「市街地及びその周辺地」となっているのを、緑地保全地域の定義につきまして変更したものでございます。

○清水委員 そうすると、この緑地保全地域の中の定義には、今回文言を変えましたよね、「市街地の近郊の地域」、これまでは「市街地及びその周辺」ですか、そこを対象としていたのが、具体的には「市街地の近郊の地域」というふうに今のご説明の定義によって改正されたわけですけれども、「市街地の近郊の地域」というのはどこを指すんですか。

○高田自然環境部長 緑地保全地域の定義にございます「市街地の近郊の地域」といたしましては、多摩の丘陵地及びその周辺の山地を想定してございます。

○清水委員 そうすると、確認をしたいんですけれども、緑地保全地域の定義をこれまでの「市街地及びその周辺」から「市街地の近郊の地域」というふうに定義を変えていったんですけれども、その対象としては、例えば三鷹とか杉並とかそういうところにある自然地、市街地にも自然があると、そういうところは対象になるんですか。

○高田自然環境部長 緑地保全地域の対象といたしましては、先ほど申し上げましたように、「市街地の近郊の地域」という形にこのほど定義を変えさせていただくということでご提案申し上げておるところでございますが、そういった考え方からすれば、今委員がお話しになりました地域は対象にはなってこないということでございます。

○清水委員 じゃ、残っている自然地というのは、さっき保全していくといったんですけれども、どういう方法で自然地を保全するんですか。

○高田自然環境部長 繰り返しになりますけれども、身近な緑地というとらえ方をいたしまして、その保全につきましては基本的には区市町村が行うという考え方で、東京都はそういった区市町村と連携をして東京における自然の保護と回復を図っていく、こういう考え方でございます。

○清水委員 区市町村が買うために今まで貸し付けを行ってきた、その制度もなくなったわけですよね。じゃ、区市町村はどうやって買うんですか。区市町村が買う手段というのは、どういう手段で買うんですか。

○高田自然環境部長 お話がございます保存樹林地等公有化資金貸付制度でございますけれども、これはバブル期における高地価、高金利に対して区市町村の緑地保全を支援する、こういう目的で始めた事業でございまして、制度の当初の目的は既に達成されたという判断で、平成十一年度で廃止したものでございます。
 お話のような区市町村においての緑地の保存のあり方は、それぞれの区市町村個々においてどういうふうな形で取り組んでいくか、いろいろお考えがあると思います。東京都としても、今申し上げました制度の経緯、あるいは広域的自治体としての立場から、新しい条例案でも包括的にというふうに規定させていただいておりますけれども、そういった条項を活用しながら必要な支援は行っていく、こういう考えでございます。

○清水委員 今回のような考え方になれば、これまで東京都が都内全域を対象として、歴史環境保全地域も緑地保全地域も今日まで指定をしてきて、少なくとも六百五十ヘクタール余りにわたって指定をしてきたわけですけれども、こういうやり方は基本的に変えるということでいいわけですね。
 確かに三鷹ですとか杉並ですとかは、私たち八王子から見ると自然地はあるのかなと思いますが、先ほどの委員の話の中で大変貴重な自然地も残っているんじゃないかという実感もしましたし、そういうところは確保していく、保全していく手だてが、今のお話だとないわけですよ。今まで貸してきた、そうした制度もなくなってしまう。
 都が一番最初に保全地域を指定したところは、昭和四十九年、野火止用水歴史環境保全地域ですよね。そして、今日まで、十二年度は玉川上水と八王子市内の戸吹緑地保全地域ですけれども、四十三地区にわたって指定をしてまいりました。それで、六百五十四ヘクタール余り。これは、なぜ東京都が自然保護条例に基づいて保全地域を指定してきたかといえば、先ほどのお話にもありましたように、今から二十年も前から東京の自然環境の危機が叫ばれている中で、東京都が独自の条例を持って--この地図をいただいているんですけれども、保全地域指定、地図の中からすると本当に虫眼鏡でしか見えないような地域ですけれども、でも、四十三地域のうち八王子は十一地区指定していただいています。それで、貴重な緑を残していただいています。
 それは、その地域の住民ではなくて、都民全体にとって--緑というのは、身近だからとその方たちだけが享受するわけではないですよ、都民全体が緑の恩恵を受けてきているわけで、区部に近い市の緑地も守ってきています。区部の中ではほとんど指定できていませんけれども、玉川上水に関連する地域などは区も入っています。こういう制度がなかったら、東京の自然緑地というのは全く残っていかなかったと思います。住宅地に近い樹林が残っているわけですけれども、今の時期というのは本当に紅葉が一番きれいなところで、本会議でもどなたかがいやしを与える場所だというふうにいわれましたけれども、本当にそういう貴重な--都庁の中にいるとなかなかわからないかもしれませんが、私なんか、ここ一日二日、京王線で立ってきて朝通勤しますと、とても紅葉がきれいです。本当にちょこっと残ったところ、そういうところを東京都の力で残してきたわけです。
 これを考え方を変えて、今いったように、三鷹ですとか、杉並ですとか、もうそういうところは区の仕事ですよということで、東京都は仕事をしないということになる考えだそうです。緑の倍増計画で、当初、緑地保全地域指定目標というのがありましたよね。これは九一年から十年間、二十一世紀初頭までの目標ということでやってきたのに、いつの間にか環境局は緑の倍増計画なんていわないようになってしまいました。
 この当時、平成十二年度までのこの保全地域の指定目標値というのは二千二百六十二ヘクタールだったんですよね。今はまだ指定するのが六百五十四ヘクタール。これから見ても、わずか三分の一しか達成されていないと思うんですが、少なくとも東京都自身が掲げたこういう目標を達成していくということが必要なんじゃないですか。少なくともそれはできるということで最初は目標を立てたんじゃないんですか。

○高田自然環境部長 緑の倍増計画におきましては、確かにご指摘の数値となってございます。しかしながら、平成三年の計画策定当時とは、都内の自然環境も、それから、その自然保護行政を取り巻く状況も大きく変化してきているということがございます。私どもといたしましては、こうした状況を踏まえまして、新たに追加する里山保全地域、あるいは森林環境保全地域の二類型も含めて、保全地域制度の適切な運営を図りながら東京における自然の保護と回復を図っていく、こういう考え方でございます。

○清水委員 自然環境が変わってきたというのはだれもがいわれていることですけれども、自然保護行政が何が変わったんですか。自然保護行政というのは、時々には変わってはいけないことではないんですか。長い計画で--どなたか本会議でも質問していましたよね。一本木を植えたら百年先にその木が大きくなるんだ、百年のスパンで自然というのは見なきゃいけないんだという質問をしておられましたけれども、まだわずか十年ですよ。十年しかたっていない。やっとやり始めたところなんじゃないんですか。平成三年から何が自然保護行政が変わったというんですか。変わったのは、自然が変わったのではなくて、東京都の中の環境局、東京都自身の姿勢が、自然保護行政に対する姿勢が変わったというしかないと思います。これは、やはり後退はさせてはいけない、変わってはいけないところだというふうに思います。
 そこで、緑地保全、歴史環境保全、保全地域の指定の考え方、取り組み方の東京都の姿勢が明らかになったと思うんですが、自然環境保全審議会が八月に開かれました。この審議会の中で審議委員の--私も審議委員の一人ですけれども--他の方々は区市町村がこういう地域を指定していくんだということを知っていたんですか。私は、東京グリーントラストの問題も新聞に出ていますけれども、十一年度から東京グリーントラストを設立しようということで準備をしてきているわけですけれども、審議会が行われている八月の時点ではまだその審議は進んでいたと思うんです。保全地域は基金で、トラストでやっていくのかなという予想が委員の方々の中にはあったのではないかなという気がするんです。
 その自然環境保全審議会の答申には、私と、かち議員は、こういう後退の中身だということで反対をいたしましたけれども、他の委員の方が、保全地域の指定は、東京都は丘陵地や山地だよ、区部の方はもうしないよということを承知していたんですか。

○高田自然環境部長 委員ご指摘の八月の自然環境保全審議会におきまして、今回ご提案申し上げております条例案の改正についての考え方を取りまとめていただいたわけですが、この中におきまして、条例改正の基本的な考え方の中に、丘陵地、山地の緑地の保全、こういったものについて東京都が重点的に取り組む必要があるというふうな考え方が打ち出されております。

○清水委員 それは書いてあるのはわかるんですけれども、だから、今いったように、そのほかのところはグリーントラストの制度で買っていけるんじゃないかというのが、このグリーントラストを審議している懇談会の報告書、これは三月に出ています。この懇談会のこの報告書の中には、例えば、区部でも荒川区の工場跡地とか、そういうところに湿地を取り戻そうとか、区部の取り組みも屋上緑化だけではなくて、今残っているところに区部でも取り戻そう、それを買い上げていこうというようなことをいっているんです。だから、こういう意識の中で皆さんが、東京都の事業はもう丘陵地、山地、そちらに行くんですよということを承知したとは、私は、自然をやっている方だったら到底納得できないんじゃないかなという予測がされるわけなんです。
 ですから、東京都がこういう審議会の中でもきちんとした情報、きちんとしたものを伝えていただきたいと思うんです。きょう、こういう委員会の中で一つ一つ聞いていくうちに、東京都がそういう中身を変えてきたんだなということをわかった部分もあったかと思うんです。それを、今まで何十年も続いてきた条例を改正するのにきちんとした説明もしないで行っていくということに対してはとても疑問に思います。
 そこで次の質問は、市街地で現在保全指定されていますけれども、じゃ、その保全地域は今後どういう考え方になるんですか。

○高田自然環境部長 市街地において既に指定されております保全地域につきましては、区市町村や都民と連携しながら、今後とも良好な状態で維持できるよう、その保全に努めてまいります。

○清水委員 いっていることはそのとおりなんですけれども、区市町村との連携というような言葉がとても都合いいように使えるときもあるので、やはり東京都自身が保全事業を行っていく、都が責任を持って行っていく。この考え方だと、新しい条例になってしまうと、そういうところは--だって管理も区市が行うんじゃないですか、こうなってしまうと。そういうふうになってしまわないように、管理費用を削減することなく、先ほど都民との協力などもいわれましたけれども、それはもちろん進めていかなければいけないことなので、東京都自身が責任を持った保全事業はきちんと行っていくべきだというふうに思います。
 次に、廃止をする条項として、みどりの推進委員制度があります。この制度はどのような役割を果たしてきたのか、そして、これにかかわってきた人数は総数どのぐらいいらっしゃるのか伺います。

○高田自然環境部長 みどりの推進委員は、地域の都民を対象といたしました自然観察会などを開催し、環境保全の普及啓発活動を行うとともに、都や区市町村の関連行事への積極的な協力や都への意見の提出などをその役割としておりました。その人数でございますけれども、昭和四十八年度発足時のみどりの監視員を含めますと、おおむね延べ人員で一万四千人、実人員では六千人程度ということになります。

○清水委員 この制度を廃止する理由として、これまでいわれてきているように、同じ制度が区市町村にもあるということなんですけれども、これも資料に出していただいてありますし、自然環境保全審議会から繰り返し質問をしてきましたように、まだわずか総計で二十三区市町村、約三分の一の区市町村しか制度ができ上がっていませんし、東京都全体の委員として、今いわれましたように重要な役割を果たしてきたと思うんです。新しい条例でこれまでどおりとはいわないですけれども、その新しい条例にふさわしい内容としながらも、これを廃止する理由というのはないと思うんです。もっと充実させながらこのみどりの推進委員制度を残すべきだと思うんですけれども、どのようにお考えでしょうか。

○高田自然環境部長 みどりの推進委員制度は、都が広域行政として先導的に実施してきたものでございます。しかしながら、平成六年の都市緑地保全法の改正がございました。身近な地域の緑化及び緑地保全の推進は、原則として区市町村の役割とされた。現在では、お話がございましたように、約三分の一の区市町村でこの制度と類似の制度が取り組まれている。こうした背景から、今回みどりの推進委員制度は廃止し、都民の自発的な活動を促進する新たな施策を実施する予定にしてございます。

○清水委員 新たな施策といいますが、それはこれからのことですよね。それがまだできてもいないのに、先に廃止をする。みどりの推進委員の方々の活動が載っている「みどりの推進委員だより」というのも図書館にありましたので、この間の活動を見せていただいて、時間がないから紹介しませんけれども、ことしの九月に足立区の方がみどりの推進委員になったそうです。足立区の方ですよ。それで、足立区のたくさんの植物を荒川河川敷から見つけて、そしてそれを調査しているということで、荒川区のことだけでなくて、東京都の自然ということで取り組んで出発した方です。この中には継続ということで二年間の経過措置なども設けていますけれども、しかし、ことしからなりましたということでこの方が書いているということは、皆さん新たな制度といわれますけれども、これまで一万四千人がかかわってきたわけです。こういう制度を新しい緑地保護に取り組もうというときに廃止するというのは納得できません。
 今までの制度を変えて考え方を変えてきたこと、後退だと考えていることについて、緑化地区の指定、保全指定の考え方、そしてみどりの推進委員、区市町村とのかかわり、こういう四点について、今度の条例で私たちは後退をするというふうに考えています。東京が独自で取り組んできた自然保護行政の重大な後退であるというふうに考えます。九一年に緑の倍増計画ができたのは、九〇年代初頭というのは今よりももっと国際的に地球の環境、熱帯林とかさまざまな問題が重大問題として、東京都も他の環境保護行政とともに自治体の責務として自然保護行政に取り組むということでやってきたわけです。それで、一人当たりの樹木本数と公園面積が、これもニューヨークなどと比べても非常に少ないということは指摘してきましたけれども、達成できたということで、総括もなくその他の取り組みを放棄してしまったというのが現実です。
 先ほど紹介した市長会の要望書の中には、緑化事業に対する補助は、平成七年度に突然廃止されたということで指摘をされております。そして、市長会の環境部会の要望書の中には、何ページにもわたって東京都の支援を求める要請がされています。市長会などにも事前のそうした相談もなく了解も行われてきていると思います。緑化地区、区市町村支援にかかわる具体的な事項、みどりの推進委員制度、緑地保全などのこれまで考え方の継続を要望しておきたいと思います。
 さて、それでは、新しく設けた内容について伺います。
 森林保全地域指定、それから里山保全地域指定などがまず新たな指定ということで盛り込まれました。これは、自然保護団体からも、これまで自分たちが必死で守ってきた部分が取り込まれるのかなということで期待をされています。例えば、この委員会にも請願陳情が出されています横沢入、それから八王子市内の研究開発団地、天合峰、川口リサーチパーク計画など、この里山保全地域指定で前進が期待されているんですけれども、こうした期待にこの規定というのはこたえていけるのでしょうか、伺います。

○高田自然環境部長 山地、丘陵地の保全につきましては、それぞれの特性に見合う形での保全地域指定ができるように、お話がございました森林環境保全地域、それから里山保全地域、この二つの新しい類型を設けたところでございます。
 現在、多摩の丘陵地を対象にいたしまして、自然環境の状況や都民の協力等について調査をしているところでございます。

○清水委員 自然環境の調査といいますけれども、この二つ、もう請願が何年も前から出されていて、それで自然保護部長も、局長も、それぞれどちらか現地も訪問されていますし、それから非常に豊かな自然のあるところだというふうなお答えもいただいているわけです。先ほどお答えのあった都民の協力などということですけれども、これは一体どういうことをいうんですか。

○高田自然環境部長 保全地域の指定の対象となります地区におきまして、自然の回復や保護に関して協力の可能性のある自然保護団体があるかないか、あるいは、あったといたしまして、その意向などがどうか、こういったことを調査しております。

○清水委員 協力の可能性って何でしょうか、具体的に伺います。

○高田自然環境部長 具体的に申し上げますと、お話がございました森林環境保全地域、それから里山保全地域、これをまず良好な自然の状態に回復していく必要がある、あるいは良好な自然の状態に回復したものを保護していく必要があるということがございます。これら二つの地域は、いうならば人の手が加えられてつくられてきた自然でもございます。回復し、あるいは保護していくためには、そういった仕組みを考えていく必要があるというふうに考えてございまして、パートナーとしての都民あるいは自然保護団体、こういったものの有無あるいは意向について調査をしているところでございます。

○清水委員 そうすると、自然保護団体の方々などがその管理を受け持つということですか。

○高田自然環境部長 保全地域についてどういった形で自然を回復し保護していくかということにつきましては、基本的には都がまとめていくことになろうかと思いますが、そういったことを実現するに当たって具体的に協力をいただく、こういったことを考えてございます。

○清水委員 そうすると、先ほど紹介した二つの場所ですけれども、陳情請願が出されているように、自然保護団体が開発から守ろうということの目的ですけれども、活発にその地域を調査したり、それから、いろいろな取り組みをどちらも行っているのはご承知だと思うんです。それは調査も引き続きしてもいいんですけれども、そういう団体もありますし、そういう取り組みもしていますし、自然環境の調査なんかもかなり進んでいるわけなので、この地域はこの条例ができれば、非常にスピーディーに保全していけるというふうに考えていいんですか。

○高田自然環境部長 お話は、横沢入とか川口リサーチパークが挙げられているわけでございます。例えば、横沢入について今の状況を見ますと、かなり前に、例えば田んぼについて見ますと、田んぼの手入れが行われなくなって、いわば放棄されたような状態になって草がぼうぼうに生えている、そういった草について何とかしなければならないという、自然保護団体の方が、所有者であるJR東日本に対して立ち入りを認めてほしいとか、そういった話があったかと思います。里山保全地域として保全をしていくということになりますと、今の状況は、いうならば良好な自然の状態にあるというふうにはいいがたいと思います。

○清水委員 現在良好な状態のところを指定していくということですか。それで、そこは今良好ではないということですか。

○高田自然環境部長 自然保護団体の方たちとか、いろいろな方が現地にお入りになっているのは承知してございますけれども、今の状態が保全をしていくに当たっての良好な状態とはいえない。といいますのは、それは里山として回復していく必要があるという考え方でございまして、今お入りになっている方たちの活動だけでは、現状から判断するだけで失礼かと思いますけれども、私どもの方でこれから回復し、あるいは保護していくというふうな形にはなっていない、こういうふうに申し上げた次第でございます。

○清水委員 そうしたら、現在、例えば自然環境も、それから都民の協力などについても、可能性があるというような目安はどういうところを考えているんですか。

○高田自然環境部長 先ほど申し上げましたように、そういったところが実際どうかということにつきまして現在調査をしている、こういうことでございます。

○清水委員 そうすると、里山、森林保全地域指定というのを設けていただいているわけですけれども、そちらが東京都の役目だというふうにいっている割には、具体性も、それから見通しもまだまだできていないというのが実情だと思うんです。私は、やはり自然環境の状態をよくしようといって自然保護団体などが入っているわけですから、そういうのを今のようなお答えでいうというのは大変疑問だなと思いますし、まずそこを指定してほしいということがずうっと出ているわけですから、そういうところを考えないで、一体どこを考えているのかなということを疑問に思います。
 さて次に、湧水の保全について伺います。
 これも新しく設けたということで説明をされております。ここに資料にも出されていますように、二年から七年になった時点でふえている数は、世田谷区が一気に六十何カ所ふえたから、全体の数が増加したというふうにいわれています。つまり、世田谷区で六十何カ所も、調査したら出てきたというふうに、区部においてもこの湧水というのは非常に重要なんだなということを思います。多摩地域ではもちろん多摩丘陵、狭山丘陵、国分寺崖線、立川段丘崖線に多数残って、都民の貴重な憩いの場所になっていますが、資料にもありますように、世田谷を加えなければ減少してくるということで、渇水の危機にもさらされている。水脈というのは自治体を超えた広域的なものと考えられています。したがって、東京都は、保全モデル事業、保全事業、雨水浸透ますの補助などを実施し、条例に盛り込むということが重要なことだと思うんです。さらに地域を広げ、雨水の浸透策の推進、水源保全策の公有化、水脈の確保など、確保施策を一層拡充することが求められていると思うんです。さらには、広範な渇水の原因調査の検討の要望も出されています。
 この間、各戸貯留浸透施設への助成金の廃止の方向には、同じく市長会からも批判が出されています。事業予定の増加している各市から、廃止、縮小の中止も出されていると思います。条例では、先ほどご説明がありましたように、指針だけをつくる。必要な支援をするといっていますが、今まで区とか市がずうっとやってきているわけですから、指針をつくりますよ、こういう形で区や市が保全していきなさいというふうにいったら、今までそのために東京都に要望していることを聞かないで、指針をつくって出したといったら、本当にそれが受け入れられるのかなということさえ感じます。やはりこの条項には具体的な支援を設けるべきだと思いますが、どのようにお考えでしょうか。

○高田自然環境部長 東京都は湧水保全につきましては指針を策定しているというふうな予定にしてございますが、この指針におきましては、区市町村との役割分担を明確にした上で、その保全の基本的な考え方を定めていきたいと考えております。東京都は、広域的な視点から区市町村と連携していく、必要な支援を行うなどの湧水の保全に努めていく考えでございます。

○清水委員 そうしたら、具体的に条項に盛り込んだっていいんじゃないんですか。それを盛り込むということだってできるんじゃないんですか、一、二の二にして。どうですか。

○高田自然環境部長 区市町村の緑地保全、あるいは緑化の推進に対する施策の支援でございますけれども、今回、従来の考え方と視点は若干変えてございますが、いわば包括的な意味で広域自治体として支援をしていく、こういう規定を設けてございます。したがいまして、先ほどご答弁申し上げましたように、湧水の保全につきましては、その基本的な考え方を東京都としてまとめ、保全に当たっての必要な支援を行うなど湧水の保全に努めていく、こういう考え方でございます。

○清水委員 具体的にその条項を盛り込んで支援していく、それが包括的な条項と決して重なったりしないわけですから、それを盛り込んで積極的な姿勢を示していったらどうかと要望しておきます。
 さて、新しい規定を盛り込んだ次の条例ですけれども、都立自然公園の普通地域が開発にさらされてきた問題について、今回その開発に歯どめをかける規定を盛り込みました。これについては、これまでも具体的な各市町村からの要望などを出されて、この委員会でも何回か私自身も取り上げてきたことです。そこに保全指定できるという仕組みを入れろということは私も要求をしてきたことですけれども、また、これで開発に歯どめがかけられるのかなということで、特に多摩丘陵の地域は歓迎をされているんですけれども、具体的にどう取り組んでいくのかということがないと、先ほども質問がありましたように、残土投棄、資材置き場というのは、この数年間、本当に目の前で、悔しい思いをして--そういうことが私たちは繰り返されてきました。ですから、この項が設けられて、これで本当に歯どめがかけられるのかなということを期待しているわけなんですけれども、どうでしょうか。

○高田自然環境部長 今回ご提案を申し上げております改正案におきましては、自然環境保全地域を除く保全地域については指定できるようにというふうな形でのご審議をお願いしているわけでございますが、その具体的な指定につきましては今後検討していきたいと思っております。

○清水委員 保全地域に指定できるということになったわけなんですけれども、つまり、保全地域に指定しなければ同じことですよね。それで、国立自然公園、国定自然公園、都立自然公園、それぞれその公園内の市街化区域がどれだけあるのかという資料も出していただきました。その中で多摩丘陵自然公園というのは、千九百ヘクタール余りのうち千六百ヘクタールが市街化区域なんです。高尾自然公園も百九十ヘクタールもありますけれども、八割以上が市街化区域です。ですから、この間、建設残土投棄の問題も、資材置き場などもそういう中で起こってきて、多摩丘陵の自然が守れないでいるわけです。
 それで、今回もう墓地の開発申請が出されて、これに反対する署名がこの委員会にも、まだ審議されていませんけれども出されています。所有者の意思によっては、この丘陵地域でもオーケーを出せば開発が進んでいく状況が強いわけですよね。先ほどの署名の現地も私ももう既に行っているんですけれども、下には湧水がわいてトウキョウサンショウウオなどが生息する丘陵地なんです。保全指定という具体的な動きがなければ、もう既にそこは開発が進んでいってしまうところなんです。保全課長さんの話なんかを聞けば、ヘリコプターが飛行機を追っているようなものだなんていって、本当に追いついていけない、そういう開発のスピードに追いついていけないということで、本当にこれを具体的にするには、今いわれた保全指定ということでしょう。そうすると、保全指定には先ほどの考え方が入るんですよね。この自然公園内の保全指定も先ほどの考え方が入るわけですか、それをお聞きします。

○高田自然環境部長 保全地域の定義づけにつきましては、ご提案も申し上げている条項の中に盛ってあるわけでございますが、基本的に山地あるいは丘陵地、こういったところを中心に都として保全の対象を考えていく、この考え方でやってまいりたいと思っております。

○清水委員 そうなると、やはりこの地域が東京都の広域的な仕事の中に入るかどうかということは改めて確認しませんけれども、実際には市街化区域だから、先ほどほかの委員の質問もあったように、相続が発生すれば、もう皆さん売却というか、墓地にでも何でも売っていくわけですよ。だから、東京のもう本当にわずかに残されたあの地域が残していけないということでは、先ほど質問がありましたように、相続税の問題もあると思うんです。
 国に要望されるということもいっておられました。農地と同じような仕組みで要望されているということも伺いましたが、そこで、先ほどの答弁ですと、都が保全指定をしたその地域の、その地区の相続税猶予の要求をしているということですよね。都が保全指定したその地区の相続税猶予を行っているということですが、今そうした丘陵地を所有している農家の方が、相続が発生をして売却をするんだったら、東京都から保全指定されなくても、東京都とか寺院に寄附をしたいと。寄附をしたら、それは相続税猶予、免除というふうな仕組みができれば、むざむざ自分たちが持ってきた丘陵地を目の前で開発されるよりは、相続のために売るよりは、寄附をして相続税猶予に、そんな仕組みができないかということを強く要望されたわけなんです。そうした問題についても要望したり、仕組みづくりというのを行ってほしいと思うんですけれども、東京都が保全指定した相続税の問題、優遇税制の問題なんかの見通しなどについてはどうですか。それから、新たなそうした問題についても要望していただきたいということについてはどうですか。

○高田自然環境部長 都道府県、東京都におきまして指定した保全地域等の相続税につきまして、生産緑地と同等の制度を新設してほしい、こういう要望をかねてからしてございます。その要望を強く行っているわけですが、現実としては残念ながら国の壁は非常に厚いというところでもございます。
 私どもといたしましては、そういったことはございますけれども、まず保全地域等の相続税についてというふうなところをターゲットにして、引き続き国に対して強く要望していく、こういったことで臨んでまいりたいと考えております。

○清水委員 引き続き要望していただくのはいいんですけれども、本当にスピードに勝つことができないという状況の中では、結局、最後は東京都の役割が非常に重要だと思うんです。国にもちろん要望していくことも大事だし、それから、寄附をしたら本当にそこは相続猶予になるんだったら残ると思うんですけれども、そういう仕組みなんかをもっと国で検討していただきたいと思うし、そういうものを要望していただきたいんです。東京都の役割は非常に重要なんだから、これまで進めてきた施策を充実させない限り前に進まないと思うんです。自然保護を進めることはできないと思うんです。
 そこで、今回、市街化の緑化の中心として屋上緑化というものを打ち出されています。確かに屋上緑化も緑化事業の一つだと思います。九一年の緑の倍増計画の中から屋上緑化とか壁面緑化とか、そういうのはもう十年も前からいわれてきているわけです。しかし、先日、本会議で都市計画局長が、屋上緑化を行うビルに対して容積率を緩和する検討ということを答弁されていました。これは東京構想二〇〇〇で打ち出されている都市化を促進するということとも相まって、規制緩和の方向として、環境局は緑化を屋上にして、そしてヒートアイランドなどの温暖化防止に役立てようという気持ちでいらっしゃるかもしれないけれども、結局、都市計画サイドからはそのための容積率を緩和するというようなことをいってきて、東京構想の進展とも相まって進められようとしているわけですが、容積率緩和によって失われるものの方が大きいと私は思うんです。ヒートアイランドの解決につながっていくことになるか、大きな疑問が残ると思います。
 ずっと先ほどから後退の部分を質問してきましたけれども、緑地保全はやはり今まで以上にやらなければいけないものなのに大きな後退をするということでは、東京の自然環境というのはどうなるのかということが大変疑問に思います。
 あと幾つかあるんですけれども、時間も過ぎておりますので幾つか飛ばして、野生動植物の保護対策について伺います。
 これまで野生動植物については、オオタカ保護などを中心に独自の条例を持つべきだというふうなことも要求してまいりました。条例改正についての審議会の答申がありますよね。この野生動植物について、基本的な考え方の中で次のような面からの対策を求めています。地球上には五百万種から一千万種を超える多くの生物種が存在しているといわれるが、近年、歴史上かつてないスピードで種の絶滅が進行している。地域によっては生態系のバランスが崩れている。種の減少の要因が自然のプロセスではなくて、人間の行動に起因するものであることが問題となっている。生物種は一度絶滅すれば二度と復元できず、その種が持つ固有の価値を永久に喪失する。どの生物種も、その種固有の価値が存在している。それら多くの種が深くかかわり合って生物の多様性が維持されているというふうに続いています。
 そこで、野生動植物保護や保全に取り組んでいる自然保護団体や都民の方々から、この野生動植物の保護に対してこれまでも東京都の対策を強く求めてきたと思うんです。オオタカだけでなくて、これまでも委員会でも紹介しているクロムヨウランだけでなくて、メダカとか、アヤメとか、カタクリ、オニヤンマ、マツムシ、これはほんの一部ですけれども、当たり前のこととして存在していた動植物が絶滅寸前だということですよね。私たちは子どもたちにメダカも引き継いでいけないというような状態に東京の状況がなっているという点では、非常に責任が重大だと思うんです。ですから、確かにこの条項を中に入れたことは重要ですけれども、現時点に立って本当に実効性のある、本当に今の状況にこたえられる内容にするということが大事だと思うんです。先ほど他の委員の質問に答えて、レッドデータブックで絶滅Aランクの指定がされているというふうにいわれましたけれども、それは約四百種といわれています。
 そこで、今回の条例を見ますと、条例文の中に「特に」という文言を入れて、この希少動植物からさらに本当にごくわずかを特定し、対策をとっていくものになっています。確かに、一遍に指定できないということはよくわかります。しかし、今自然保全を求めている方々の要望というのは四百種一遍でなくて、早急に行っていけばできることなので、この「特に」という文言を削除して、そして、他県にあっても、東京にあるものでも、東京の状況が非常に危機的な状態である種を明確にするために、一項目からの種の規定の中に「都内において」という言葉を挿入して、東京の中で減っていく種を保全していこうということを明確にする、そういうことを要望したいのですが、そのことについてどのように考えますか。

○高田自然環境部長 まず一点目の、特に保護する必要があると認める種についてご提案申し上げている条項におきましては、保護種、保護区の指定、あるいは保護増殖事業を行っていくということにしてあるわけですが、これについてお答え申し上げます。
 お話がございましたように、東京都の保護上重要な野生生物種、いわゆる東京都版レッドデータブックには約二千二百種が記載されてございます。これらの種すべてにわたって個々に計画を策定して対策を講じていくためには、相当な時間と労力、資金が必要となってくるわけでございまして、東京都といたしましては、そのレッドデータブックに記載されている種のうち緊急性の高いものなど、特に保護を必要とする種についてまず対策を行っていく、こういう考え方の方が現実的であると考えているところでございます。
 それから、その野生動植物の種の指定についての条項でございます第三十九条一項では、冒頭に、都内に生息し、または生育する種で一号から五号に該当するもののうち、知事が特に保護する必要があると認める種を東京都希少野生動植物種として指定できる旨、こういう規定をしているところでございまして、都外にのみ生息生育する種類は対象としない、こういう考え方でございます。

○清水委員 今、なぜ「特に」を入れたかの理由に、対策を講じていくためには労力と資金が必要だから、現実的な対策として今回そういうふうにしたといわれています。しかし、それは種を保護していくという立場からの都の姿勢というふうには全く受け取ることはできません。一遍に四百種を指定して、その対策を講じてほしいといっているわけではなくて、緊急に指定した、小笠原のものを指定した、確かにそういうことも重要なんですけれども、それと同時に、どれだけ東京の動植物が危機の状況にあるのかということを都民に理解してもらうためにも、東京都の姿勢、種を指定するというんだったら、一体何を指定するのか。こういう中身だけでは、野生動植物の保護の一定の意欲は認めるけれども、しかし、やはり現実的な対応としての内容しかないということになります。
 それから、都内にというのは、都外にのみ生息生育する種ということではなくて、そういうことをいったのではなくて、都外にもある、都内にもある種、しかし、都外にはあるけれども、都内で非常に危機的な状況にあるものもより対象にするんだということで、私は「都内において」というのを入れてほしいということをいいました。
 さて、保護増殖事業というのが条例文の中にあります。絶滅種などを保護する事業の言葉として、保護回復というふうにいわれるんですよね。確かに増殖というのもあるんですけれども、しかし、その増殖というのは、保護回復事業の中の一つの仕事。増殖、ふやすということです。ふやせばいい--もとに戻すということが必要なんです、ふやすだけではなくて。だから、保護増殖事業だけではなくて、絶滅種などに取り組んでいる自然保護が普通に使っている言葉は、保護と回復という言葉なんです。ですから、都が入れた増殖ということを入れて、保護回復増殖事業というふうにそこをすべきだと考えますが、その点についてお伺いいたします。

○高田自然環境部長 私どもの方で提案してございます保護増殖事業でございますが、これは自然の状態では安定的に繁殖が難しい種について、人工飼育などを行うことによって、まずは個体数を維持する。それから、その種が生息生育していた地域の環境の改善を図る。そして、維持された個体数をもとの生息生育地に戻して、そこで自然の状態で安定的な繁殖が行われるようにしていく、こういうふうな考え方のもとに進める事業でございまして、委員ご指摘の内容はこの中に十分入っているというふうに考えてございます。

○清水委員 それならば、保護回復増殖事業という言葉で、より広い意味で使う。増殖という言葉を辞書で引くと、ふやすという意味なんです。回復というのは、もとに戻すという意味なんです。今なぜ保護増殖事業と、こういうふうな規定にしたかというと、緊急に必要な特定のものだけが頭の中にあるから、保護増殖という言葉になっているんだと私は思います。動植物の保護の活動の言葉は、保護回復ということを明確に打ち出すということが必要だと思います。
 環境局がまとめた「野生生物との共生をめざして」というものがありますよね。そこには本当に重要なことが書いてあって、ご自分たちがつくられたのですから紹介しません。これを読むと、本当に今回のこの条例の内容がもっと積極的なものになるのかなというような、とても積極的な内容の記述が野生生物との共生を目指してというふうに書いてあります。そういう意味で、条文を設けたことは評価できますが、今の状況から見ると、やはりまだまだ今の緊急事態に対応できるような状況になっていないということを感じます。
 あと修正案を提案している内容も幾つかほかにもありますが、時間も経過していますので、質問を予定していましたけれども、基本方針の問題も、環境基本条例と重複しているからということではなくて、ぜひ考えていただきたいと思います。
 八月に自然環境保全審議会でこの条例の改正に関する考え方についてを決めた以降、私は約四カ月間にわたって自然保護団体の方や専門家の方から本当に貴重な意見を伺ってまいりました。そして、本当に目の前に、私のインターネットの中には残土が捨てられたという写真なども、きのうもおとといも送られてきて、多摩丘陵自然公園内に不法に残土が捨てられてきた写真なんかが送られてきているのを見ると、東京の自然保護行政の果たす役割というのは本当に重要だなということを思います。
 緑は都民共通の財産だと思うんです。ですから、それは後退させてはいけない。財政難だからといって、削ってよいものと後退してはならないものがあると思います。自然保護事業費が、出していただきました資料によりますと、この十年余りで五分の一に減っていますよね。百七十億余りあったものが、十二年で三十六億。先ほど、自然保護行政は労力とお金をかけないとできないといわれましたけれども、こんな五分の一になっていて、どうして保全指定が拡大できるんでしょうか。
 そういう点では、知事は、東京の再生のためには財政難だからといっても重点的に予算をつけるんだといっている。東京の再生というのは一体何なのかという考え方だと思うんですけれども、東京にまだ残っているもの、それはやはり最低保全する。屋上とか、あいているところにも植えていくというのもそれは大事なことです。しかし、まだ残っている。自然の反対の言葉は人工だと思うんです。自然と人工の違いの自然を、自然のままを残すということのためには、自然行政の予算だって大事だと思うんです。二十一世紀に向けて都政の重大な仕事であると思います。
 条例で幾つか指摘をさせていただきましたけれども、都として幾つかの部分の修正を行うことを求めて、さらに自然保護行政の前進を求めて、質問を終わります。

○寺山委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○寺山委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑はこれをもって終了いたしました。
 以上で環境局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時四十六分散会

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