委員長 | 寺山 智雄君 |
副委員長 | 真鍋よしゆき君 |
副委員長 | かち佳代子君 |
理事 | 大西由紀子君 |
理事 | 吉田 信夫君 |
理事 | 森田 安孝君 |
中嶋 義雄君 | |
清水ひで子君 | |
馬場 裕子君 | |
吉野 利明君 | |
立石 晴康君 | |
内田 茂君 | |
田中 晃三君 | |
奥山 則男君 |
欠席委員 なし
出席説明員環境局 | 局長 | 中野 英則君 |
総務部長 | 平井 健一君 | |
企画担当部長 | 梶原 康二君 | |
技術担当部長 | 関 寿彰君 | |
移管事業調整室長 | 西野 和雄君 | |
環境改善部長 | 長谷川 猛君 | |
参事 | 小島 高志君 | |
自動車公害対策部長 | 松葉 邦雄君 | |
自動車公害対策推進担当部長 | 山本 憲一君 | |
自然環境部長 | 高田 茂穗君 | |
廃棄物対策部長 | 薄 厚一君 | |
環境評価部長 | 町 格君 | |
環境科学研究所次長 | 萩本 秋彦君 |
本日の会議に付した事件
環境局関係
付託議案の審査(質疑)
・第二百八十七号議案 都民の健康と安全を確保する環境に関する条例
・第二百八十八号議案 東京における自然の保護と回復に関する条例
・第二百八十九号議案 火薬類取締法関係手数料条例の一部を改正する条例
○寺山委員長 ただいまから都市・環境委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、環境局関係の付託議案の審査を行います。
これより環境局関係に入ります。
付託議案の審査を行います。
第二百八十七号議案から第二百八十九号議案までを一括して議題といたします。
本案につきましては、既に説明を聴取いたしております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してございます。
資料について理事者の説明を求めます。
○平井総務部長 それでは、去る十一月二十九日の当委員会でご要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元の都市・環境委員会資料、一枚めくっていただきまして、目次にございますように、ご要求いただきました資料は三十二項目にわたってございます。
それでは一ページをお開きいただきたいと存じます。
都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(案)に係る指針について検討中の項目でございます。地球温暖化対策指針など条例案に係る六項目の指針につきまして、規定する主な内容をお示ししてございます。
二ページをごらんいただきたいと存じます。
都内の二酸化炭素排出量の部門別推移及び予測でございます。産業部門など各部門別に炭素換算した数値の平成二年度から八年度までの実績と、十二年度、十七年度及び二十二年度の予測値を一表にまとめさせていただきました。
三ページをお開きいただきたいと存じます。
都内の運輸部門に占める自動車の二酸化炭素排出量の推移でございます。平成二年度から八年度までの実績を記載してございます。
四ページをごらんいただきたいと存じます。
上段の4は、都の二酸化炭素削減目標の試算でございます。平成二十二年度の二酸化炭素排出量を、平成二年度対比で六%削減する目標値の試算と削減努力の内訳を記載してございます。
下段の5は、一万平方メートルを超える新築着工建築物の数と述べ床面積及びその全体に占める割合でございます。平成五年から九年までの年平均値を記載してございます。
五ページをお開きいただきたいと存じます。
上の6は、想定される地球温暖化対策計画書の作成対象事業所の部門別内訳でございます。部門別に推計した事業所数を記載してございます。
中段の7は、フルオロカーボンの使用機器別ストック量でございます。一九九九年末時点での推計量でございます。
下段の8は、適正管理化学物質を取り扱う事業所数でございます。年間の使用量等が百キログラム以上の事業所数の推計を記載させていただきました。
六ページをごらんいただきたいと存じます。
9、都内地域別自動車走行量及び他都市との比較でございます。上段の表1は都内、下段の表2は他都市について、それぞれ乗用車・乗合車と貨物車の主要幹線道路での走行量を記載してございます。
七ページをお開きいただきたいと存じます。
都内における低公害車の普及状況でございます。低公害車の種類別に、平成二年度から十一年度までの登録台数を記載してございます。
八ページをごらんいただきたいと存じます。
平成十二年度における低公害車の主な導入促進施策でございます。表1は国の施策、表2は都の施策について、それぞれ助成策と税制に分けて、対象とその内容を記載してございます。
九ページは、ディーゼル車の車種別登録台数の推移でございます。平成二年度から十一年度までの登録台数の推移を記載してございます。
一〇ページをごらんいただきたいと存じます。
13は、ディーゼル車の車種別予測台数でございます。都条例の規制対象となるディーゼル車と、規制対象とならないディーゼル車に分けて、平成十五年度当初の登録予測台数を記載してございます。
下段の14は、自動車からの粒子状物質排出量でございます。車種別に、平成六年度の実績と平成十五年度、十七年度の予測を記載してございます。
一一ページをお開きいただきたいと存じます。
上段の15は、ディーゼル車から排出される粒子状物質に対する国の規制と都の規制でございます。車両総重量二・五トンを超える場合の国の新車に対する規制基準と都の規制基準を、横軸に年次をとったグラフにして記載してございます。
下段の16は、欧米でのディーゼル車へのPM規制基準でございます。アメリカ、EU及び日本、それぞれの現在及び将来のPM規制値を記載してございます。
一二ページをごらんいただきたいと存じます。
二酸化窒素及び浮遊粒子状物質測定結果ワーストテン及びその地域の自動車交通量でございます。表1は二酸化窒素、表2は浮遊粒子状物質につきまして、それぞれ都内の自動車排出ガス測定局の測定値の高かった十局とその測定結果及びその地点の自動車交通量をまとめたものでございます。
一三ページをお開きいただきたいと存じます。
浮遊粒子状物質の一日平均値が〇・一五九ミリグラム・パー・立方メートルを超えた都内測定局でございます。この数値は、名古屋南部大気汚染公害訴訟判決で、差しとめを認める基準として示された濃度でございまして、平成十年度はこれを超えた都内の測定局が八カ所ございました。この八カ所の測定局名、所在地及び一日平均値を表にまとめてございます。
なお、十一年度は該当する測定局はございませんでした。
一四ページをごらんいただきたいと存じます。
自然保護行政に関する予算の推移でございます。平成三年度から十二年度までの環境局予算のうち、自然保護対策費を計上してございます。
一五ページをお開きいただきたいと存じます。
保存樹林地等公有化資金の貸付実績でございます。平成元年度から十一年度までの予算額及び実績を、件数、対象面積及び貸付金額についてまとめたものでございます。
一六ページは、自然保護条例第五十一条に基づく規制対象行為の許可件数と審議会等開催回数でございます。平成七年度から十一年度までの許可件数、審議会等開催回数及び対象となる行為を記載したものでございます。
一七ページをお開きいただきたいと存じます。
自然公園内の市街化区域の面積と自然保護条例第五十一条に基づき許可した面積でございます。都内の自然公園を、国立公園、国定公園及び都立自然公園に分類しまして、それぞれの面積、そのうちの市街化区域の面積及び平成七年度から十一年度までの条例第五十一条の許可面積を記載したものでございます。
一八ページは、緑化地区の指定状況と取り組み内容でございます。
1は指定状況でございます。指定地区別の名称、指定年月日、計画期間を記載してございます。2は取り組み内容の概要でございます。
一九ページをお開きいただきたいと存じます。
24といたしまして、民間施設の屋上緑化の例と特徴でございます。用途別に例を挙げまして、それぞれの緑化面積と屋上緑化の特徴を記載したものでございます。
25は、都施設の主な屋上緑化の例でございます。東京国際フォーラムなど四つの施設の屋上緑化につきまして記載してございます。
二〇ページをごらんいただきたいと存じます。
屋上緑化の普及に係る国等の施策についてでございます。上段の1は、建設省の環境共生住宅市街地モデル事業につきまして、助成対象と補助率を記載してございます。2は、日本政策投資銀行の融資制度、エコビル整備事業につきまして、対象と融資条件を記載したものでございます。
二一ページをお開きいただきたいと存じます。
区市町村における緑の基本計画策定状況でございます。平成七年度から十二年度までの区部、多摩及び島しょ別の策定状況を記載してございます。
なお、十二年度は見込み数を記載してございます。
二二ページをごらんいただきたいと存じます。
みどりの推進委員制度と類似した区市町村の制度でございます。平成十二年四月一日現在、類似の制度を設けている区市町村及びそれぞれの制度の名称を記載したものでございます。
二三ページをお開きいただきたいと存じます。
レッドデータブック策定の経緯でございます。上の表1は東京都版レッドデータブック、下の表2は国のレッドデータブックの策定の現在までの経緯をそれぞれ記載してございます。
二四ページは、都内の湧水地の数でございます。区部と多摩部に分けて、平成二年度及び七年度の湧水地の箇所数を記載したものでございます。
二五ページをお開きいただきたいと存じます。
環境関連条例の罰則の事例でございます。1として、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例関係、2としましては、東京における自然の保護と回復に関する条例関係の違反行為に対する罰則につきまして、それぞれ都の条例の罰則の内容と、他府県の条例における罰則の内容を記載したものでございます。
二六ページをごらんいただきたいと存じます。
東京都庁舎におけるISO一四〇〇一の取り組み事例でございます。1は環境改善への積極的な努力につきまして、2は事業活動における環境配慮の徹底につきまして、3は自律的な行動を起こす環境づくりの推進につきまして、それぞれ代表的な取り組み事例につきまして、目的、目標及び内容を記載したものでございます。
以上で説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○寺山委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○真鍋委員 今定例会に提案されました、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例は、公害防止条例の実に三十年ぶりの全面改正であります。本来ならば、その全容についてお尋ねしたいところでありますが、本日は、その中でも、都民、事業者の関心の最も高いディーゼル車に対する排ガス規制を取り上げ、その意義をいま一度問い直すとともに、環境の世紀ともいわれる二十一世紀を迎えるに当たり、環境政策のあるべき姿について改めて議論したいと思います。
まず冒頭で申し上げたいのが、今日の自動車公害がもたらした原因の一つは、行政の不作為にあるということであります。長年にわたる道路基盤整備のおくれが渋滞などの問題を引き起し、結果、沿道の住民の健康をも脅かしてきたのでありまして、そればかりか、物流を支える運送業界も、不十分な道路網の中で慢性的な渋滞に巻き込まれ、非効率的な運行を強いられてきた被害者であると私は考えています。したがって、こうした反省に立ち、外環道の凍結解除を働きかけ、整備促進に着手した知事の英断は大いに賛意を表するところであり、今後とも、その着実な推進を強く求めたいと思います。
しかしながら、基盤整備は幾多の年月を要するものであり、今現実に健康を脅かされている都民の暮らしを守る観点から、我が東京都議会自由民主党も、環境対策としてのディーゼル車規制の必要性は十分に認めているところであります。
さて、昨年八月に始まったディーゼル車NO作戦は、東京の大気汚染を改善するための大胆な提案として世間の注目を集めました。とりわけ画期的だったのは、環境対策を、よりよい環境をつくるといった抽象的な目標にとどめることなく、都民の健康を守ることを明確に行政の責務として位置づけ、その緊急性と重要性を内外に訴えた点であると私は思います。
我が国において、環境対策が、水俣病のような悲惨な過去の教訓を生かし切れず、どちらかというと経済的な合理性が優先され、予防的観点から取り組まれてこなかったのは、残念ながら事実として受けとめざるを得ません。環境対策は、COP6を持ち出すまでもなく、今や全人類の切実な問題として受けとめられている喫緊の課題であります。
とはいうものの、人の健康が何にも増して優先されるべきことはいうまでもありませんが、私たちは現実の社会に生きています。社会的な存在として、都民、事業者が日々の暮らしに豊かさを求め、経済活動を生き生きと営めるような社会を確保していくことも行政の役割であります。すなわち、今回のディーゼル車対策を通して行政に求められているのは、究極的には、安全で健康な生活と豊かな生活を両立させて、都民に提供していくことにあります。
そこで、まずお尋ねしたいことは、今回のディーゼル車対策を条例化して、あえて全国でも最も厳しい規制に乗り出す目的について改めて伺います。
○松葉自動車公害対策部長 自動車排出ガス対策についてでありますが、国が新車に対する規制に加えまして、自動車NOX法により使用過程車に対する規制も行っているわけでございます。しかしながら、車両数の増加、とりわけディーゼル車の増加によりまして、二酸化窒素であるとか、あるいは浮遊粒子状物質とともに環境基準が達成されていません。
こうした実効性の上がらない国の規制を待つことなく、先ほどお話ございましたように、健康被害が大きく危惧されていますPMの削減が緊急かつ重要な課題というふうに認識しているところでございます。このような観点から、ディーゼル車規制について今回条例化をすることといたしたところでございます。
○真鍋委員 私も先ほど述べましたけれども、東京都のディーゼル車NO作戦を通して徹底した世論喚起を展開する中で、都の断固たる姿勢は産業界だけではなくて国も動かしたといえると思います。中央環境審議会では、本年四月より自動車NOX法の改正等によるディーゼル車排出ガス対策の強化について検討を行ってきました。年内に最終答申を出され、来年には自動車NOX法を改正して、PMについても国が規制を始めると聞いています。国を動かして法改正にまで至らしめたのは、都の功績として高く評価できます。
国が規制するとなると、都の規制は法と抵触するのではないかという声も聞かれるわけでありますが、そこで改めて、ディーゼル車に対する規制について、都と国の違いは何なのか、まずこの点をお尋ねしたいと思います。
○松葉自動車公害対策部長 十一月に明らかになりました中央環境審議会の最終報告案でございます。その内容と都の比較でございますが、規制の猶予期間についてでございますが、東京都では、短縮することが必要と考えてございまして、一律に七年間と設定しているわけでございます。答申案では、現行と同じく車の車種別に、八年から十二年程度となることが予想されるわけでございます。
なお、DPFの装着につきましては、東京都では義務化すべきと従来から主張してきたところでございます。答申案では装着を促進するというような形になっているわけですが、義務化は見送られていると考えております。
それから、使用過程車に対する排出基準についての考え方でございますが、東京都では、新車の規制と連動した排出基準を設定していく必要があるというところでございますが、答申案では、段階的に強化することについては見送っているというふうに考えてございます。東京都では、バスとかトラックなどを規制対象としているわけでございますが、答申案では、乗用車は対象にしてございます。このような点が主な違いというふうに考えてございます。
○真鍋委員 今お答えをいただきまして、ディーゼル車から排出されるPMを削減するという目的を同じくしながらも、規制に関する都と国の考え方には大きな隔たりがあるということがわかりましたけれども、一般的に、国もやろうとしているんだからということで、業界からは戸惑いの声があります。国と地方の政策の整合性を求めるという意味なんですけれども、今の隔たりはわかるんですが、国が規制をしようとしているのになぜ都は単独の規制にこだわるのか、こだわるというのはちょっと語弊があるかもしれませんが、そのように思われているのか、お尋ねします。
○松葉自動車公害対策部長 国が取り組もうとしておりますディーゼル車規制の方向でございますが、使用過程車に対する規制の猶予期間というものを短縮しないということでございます。またDPFなどのPM減少装置の装着義務化も見送っているなど、私どもとしては、国の取り組みの姿勢は弱いというふうに考えておりまして、短期的に効果を上げることは期待できないというふうに考えてございます。
そういう観点から、都は、PMの早急な削減を実現いたしまして、都民の健康を守るという立場で本定例会に提案した条例改正の中で、みずからディーゼル車への規制を実施することといたしております。
○真鍋委員 今回都が提案した規制案の特徴は、先ほども答弁がありましたとおり、独自に粒子状物質の排出基準を設定したことと、一律七年の猶予期間を設けたことであります。都はこの考え方について、中央環境審議会において本年六月に提案した使用過程車対策と主張しているけれども、議会に対してその内容が詳しく報告されたのは今回が初めてです。
そこで、この規制案の考え方について何点か質問したいと思います。
まず粒子状物質排出基準について、新車と連動した排出基準としたと説明がありましたが、自動車に対する排出ガス規制は、世界的には新車に対するものが大半であり、適法に販売された車に対して強制的に使用制限を設けることは、普遍的なものと受けとめられているわけではありません。新車として登録された際には、当時の規制値を満たしていたにもかかわらず、登録後何年かたって規制を受ける、しかも、規制を満たす義務者が、その自動車を開発したメーカーではなくてユーザーにあるという仕組みは、なかなかやはり理解を得られるものじゃないと思うんですね。またこの考え方に立つと、現時点では最新規制に適合した自動車も、将来的には都の排出基準に適合しなくなる可能性があり、より低公害な車を選択して購入したユーザーの努力を踏みにじるといえなくもありません。
そこで、新車の規制値と連動させて粒子状物質排出基準を設定した理由を、確認の意味も含めてお尋ねをいたします。
○松葉自動車公害対策部長 今回の条例案では、新車に対する規制値と連動させまして、使用過程車に対する規制値を変動させることを基本としてございます。新車の一段階前の排出基準ということを、粒子状物質の排出基準としているわけでございます。これは、新車と連動いたしまして排出基準を下げる措置をとりませんと、これまでの規制と同様に、走行量や車種構成の変更によりまして十分な効果が期待できないおそれがあるということでございます。
○真鍋委員 先ほどいいました、もう一点の一律七年という猶予期間についてでありますけれども、国の自動車NOX法では、車種ごとの平均使用年数から一年を引いた年数をもって猶予期間としています。ご案内のとおりです。これは、車種ごとに使用年数が異なることを前提にしており、ユーザーが受け入れやすい考え方だともいえます。しかし、その都の規制案は、こうした自動車の使用実態を無視し、車種に関係なく一律に七年という期間を設定している。トラックについては九年から十年、バスに至っては十四年以上という平均使用年数を考えると、トラック輸送業界やバス業界がある意味で反発するのは理解できないともいえない、理解できるわけです。そうすると、トラック輸送業界は、長引く今の不況の中にあって、ぎりぎりの経営を余儀なくされているわけでありまして、やむを得ず十年以上使用しているという実態もあるんです。法は平均使用年数という実態を踏まえた猶予期間を設定しているのだから、都もこれに準じた規制をすべきとの意見もあって当然だと思うんですけれども、猶予期間を車種ごとに設定せず一律に七年という短い期間に設定した理由は何なのか、お尋ねをいたします。
○松葉自動車公害対策部長 国の自動車NOX法は、新車登録から使用できなくなるまでの年限でございますが、猶予期間として定めているわけでございます。この年限は、車種ごとの平均使用年数から、先ほどお話ございましたように、一年を減じた年数でございます。使用者の負担は軽くなるわけでございますが、一方、PMの削減を早期に図るという目的は達成できないわけでございます。
東京都は、PM対策は急務であるという考えのもとに、使用中のディーゼル車から排出されるPMを削減することを重点に置きまして、買いかえかまたは装置の装着を選択する規制の仕組みを構築したわけでございます。どちらかを選択するための年限として、実は七年という猶予期間を設定いたしました。七年という猶予期間につきましては、この考え方でございますが、PM排出量の早期削減を図る、あるいは、新車の排出ガス規制強化のスケジュールを考慮する、それから、使用可能年数をめぐります車の使用者間の不公平の解消などを考慮いたしまして設定したものでございます。
○真鍋委員 事業者に対し、やはりかなりきつい規制との印象はぬぐえません。しかしながら、そこが本当に考えどころだと思うんですけれども、今の状況、都民の健康を守るという観点からして、ここはどういう判断、決断をすべきなのかということを、我々議会としても厳粛に受けとめていきたいと思います。
それで、環境対策と経済活動ということで先ほど水俣病の話も若干触れましたが、かつてのようにどちらかが優先されるのではなくて、事業活動において両者が共存し、補完し合い、持続可能な発展を実現しなければならないというのがこれからであります。こうした時代にあっては、環境に配慮した経済活動に対する努力を怠った企業は淘汰される運命にあるといってもいいのかなと思います。
そこで、東京に事業の拠点を置く事業者の方々は、当然こうした認識を持っておられて事業を営んでいると私は確信しています。したがって事業者としても、東京の大気汚染を改善して次の世代に引き継ぐ役割が自分にあるものということは十分自覚されて、むしろ今回の都の提案の趣旨に対し、協力しようという積極的な意見も聞こえてきます。
しかし、問題は、環境対策と経済活動を共存させる責任がすべて事業者の責任だといわんばかりの論調が少なからず聞こえるわけであります。もとより自動車を運行しているユーザーが、排ガスの責任を担うべきことはいうまでもありません。しかし、そもそもPM等の汚染物質を多く含んだ排ガスを出す自動車を生産したのはメーカーであります。燃料である軽油もPM発生原因の一つとなれば、燃料業界にも一端の責任があります。さらに、自動車の恩恵を受けているのは、私たち自身であることを忘れてはなりません。東京の物流を支えるトラック業、輸送業界や公共交通機関のかなめであるバス業界は、都民生活の豊かさや利便性を支える社会基盤でもあります。
こうした点を考えるならば、よりよい環境を次の世代に引き継ぐのは、今を生きている我々すべてに課された責務であるということを思い起こさなければならないと思います。DPFの装着や車の買いかえといった規制に伴う経費についても、事業者にばかり押しつけるといった考え方はとらない、やっぱりとるべきではない、こう思うわけであります。
そこで、規制案をまとめるに当たって、負担を負うことになる事業者の意見は聞いているのか、またどのような意見が寄せられているのか、お尋ねをいたします。
○松葉自動車公害対策部長 今回の規制案をまとめるに当たりまして、多くの都民、事業者の方から、いろんな意見が寄せられたわけでございます。業界としてトラック協会あるいはバス協会などの業界団体からも、意見、要望も聞いているところでございます。東京都が進めますディーゼル車対策の必要につきましては、こうした業界の方々も一定の理解を示していただいているというふうに私どもは考えているわけでございます。しかしながら、一方では経済的な支援策の充実などについて強い要望も受けているところでございます。
○真鍋委員 ただいま答弁にあったように、事業者は社会的責任をしっかり受け持とうとするがゆえに、経済的な負担に対する支援策を求めていらっしゃると思います。東京都トラック協会の調べによりますと、この協会が保有する営業用ディーゼルトラックのうち、平成十五年の規制開始時点で、最初の登録から七年を超える車両は七万五千台に上るといわれています。これは業界が保有するディーゼルトラックの七割近くに相当しまして、買いかえに要する費用は約七千億円というすさまじい額に上っていると聞いています。しかも、こうしたトラック輸送業界の多くは、一社当たりの保有台数が数台の中小事業者の方が多くあります。こうした経営基盤の脆弱な事業者の手に負える負担ではないということは明らかであると思います。
都は、買いかえだけではなくて、知事が指定するPM減少装置の装着という選択肢もあると先ほどから主張していますが、DPFと呼ばれる装置の中には百万円近いものもあり、コスト削減のために整備に整備を重ねて長くトラックを使おうという事業者にとっては、死活問題となりかねません。買いかえやDPFの装着など規制に伴う経費について、事業者のみに負担を押しつけるべきではなくて、輸送業界に依存している荷主にも応分の負担をさせたい、公的な支援策を講ずるべきだと考えますけれども、ご見解はいかがでしょうか。
○松葉自動車公害対策部長 自動車公害は、都民が被害者であると同時に加害者の立場にあると、こういう側面もあるわけでございます。規制に伴います経費につきましては、排出者でございます事業者だけでなく、社会全体で負担する仕組みを構築する必要があるということでございます。こうした観点に立ちまして、荷主も含めまして、社会全体に協力を求める一方で、助成金も含めまして、事業者に対する支援策についても今後検討してまいります。
○真鍋委員 今ご答弁いただきましたが、かなり概括的ですね。支援策の必要性を認めていらっしゃると思うんですが、今承りますと、都が示している予算要求案では、DPFの装置に対する補助しか考えておられないようであります。それで、買いかえという選択肢もあるといっておきながら、買いかえに対する支援策を示してもいません。
さきの事務事業質疑において、吉野委員が指摘したとおり、買いかえ対象車両の中でも、低公害で規制の対象にならないCNG車は大変高額な車です。経営環境の厳しさから、同じ車をより長く使おうと考える事業者にとっては、CNG車は魅力ある車のはずでもあります。
まして都は、六月の中央環境審議会においても、ディーゼル車対策の最優先施策は、ディーゼル車からより低公害な車への転換だと主張されています。政策の優先順位は、当然に支援策の優先順位ともなるべきであります。また一口にバスといっても、観光バスもあれば路線バスもあります。さらに福祉バスのような公共交通機関というだけではなく、社会福祉サービスとして運行されている事例もあります。それぞれの性格に応じた配慮もなされるべきだと思います。
過日の一般質問で、我が党の中西議員もただしたように、事業者の立場に立って、柔軟できめ細かな支援策をどれだけ用意できるかがこのディーゼル車対策の分岐点であるといっても過言ではないと思います。そこで、選択の幅を広める工夫をどのように図っていこうとお考えなのか、お尋ねをいたします。
○松葉自動車公害対策部長 規制の実効性を高める上でも、多くの都民または事業者の協力が得られるようにするということは不可欠でございます。また、バスの事例でご指摘ございました、規制の対象となる事業者が置かれている状況はさまざまでございます。必要となる支援策も、柔軟に対応していく必要があるというふうに認識してございます。したがいまして、こうした点にも十分配慮しながら、事業者の皆さんの声を十分に聞きながら支援策を検討していきたいと考えてございます。
○真鍋委員 今そういう広く柔軟な対応策ということを一方で質問しましたけれども、もう一つ、支援策の継続性というところも大きなテーマだと思います。例えば昨年の低公害車導入に対するリース料の新規補助打ち切りのように、財政上の理由によって助成を打ち切られるようなことがあっては、都の施策に協力しようとした事業者に冷水を浴びせるようなものであると思います。
そこで、より低公害な車への転換をディーゼル車対策の最優先施策だという以上は、長期にわたる助成策を用意することも極めて重要であると思いますけれども、所見を伺います。
○松葉自動車公害対策部長 ディーゼル車対策を円滑に進めるために、制度の立ち上げ時はもとより、将来にわたりまして、着実に効果を上げていくということでございます。長期的視点に立った支援策につきましても、講じていかなければならないというふうに考えてございます。したがいまして、助成策につきましても、その効果を検証しながら、多くの都民の理解と協力が得られるものとなるように検討してまいります。
○真鍋委員 またもう一点、経済的負担とともに事業者の肩に重くのしかかっているのが、買いかえを選択しない場合に課されるPM減少装置の装着のことであります。先ほども申しましたが、現在トラック協会も、DPFの装着試験を行っているようでございますが、装着本体のふぐあいや装着の関連した車両のふぐあいが発生しているとの情報が私にも寄せられています。都の規制をまじめに守って装置の装着をしたにもかかわらず、万が一装置が壊れたり、車両が故障したりといった事態になれば、厳しい経営状況の中でコストを切り詰め、一台の車をより長く使おうとしている事業者は窮地に立たされることになります。本格的な商品化に向けて試験段階にあることを差し引いても、この装置の可能性について悲観的な声が聞こえてきては、都の規制は絵にかいたもちといわれかねません。
そこでお尋ねをしたいことは、このDPF、今までもここの委員会でもいろいろやりとりがありましたが、間に合うのか、大丈夫なのかという意味でありますが、DPFの開発状況と都の指定の見込みについて改めて確認の意味を含めて伺いたいと思います。
○松葉自動車公害対策部長 都がこれまで行いました実証試験におきましても、複数の装置について一定以上のPM減少性能が確認されたわけでございます。現在も耐久性などにつきまして、路上走行試験で確認しているところでございます。規制開始までには、使用可能な装置を事業者などに示すことができるというふうに現在考えてございます。また、メーカーのヒアリングなどにおきましても、規制開始までに二年余あるわけでございますが、その準備期間中に技術水準の向上であるとか、あるいは生産供給体制の整備などが図られるというふうに聞いてございます。規制に先立ちまして、周知や装着の時間など十分にとることができるように、できるだけ早く装置の指定を行ってまいります。
○真鍋委員 一つ一つお答えをいただき、都の、この改正、また規制に伴う取り組み方というものの考え方がわかってまいりましたけれども、いずれにしても今回のディーゼル車規制は、冒頭で述べたように、都にとっては、安全で健康な生活と豊かな生活をどちらとも都民に保障する、壮大な挑戦といえると思います。この挑戦が成功するかどうかのかぎは、いみじくも昨年都が策定した自動車使用に関する東京ルールにあると思います。すなわち、東京ルールの中では、都民、事業者及び行政は、自動車使用に伴う環境負荷を低減するために必要な費用をそれぞれが負担することを基本理念の一つに掲げ、都民、事業者、行政が相互にパートナーシップを形成し、相互の理解と協力のもとで、環境負荷の少ない自動車使用を実現する、こうあるわけであります。
そこで、この理念を机上の空論としないためにも、環境コストを公平に負担する仕組みをつくるとともに、都民に理解を求めるなど、都の積極的かつ果敢な取り組みが求められておりますけれども、今、私がるる述べてまいりました、これを都民に理解を求めて、そしてソフトランディングさせる、そして実現するんだということで、大変なテーマだと思いますが、最後に局長の決意を伺って、私の質問を終わります。
○中野環境局長 ただいま真鍋副委員長から、環境政策のあり方、あるいは規制に伴う費用負担のあり方等、大変ご示唆に富んだご意見をいただきました。ただいま所管部長からるるご答弁申し上げましたが、私ども、これを真摯に受けとめ、適切に対応を図ってまいりたいと考えています。
お話のように、東京が直面する環境問題を解決するためには、本会議の代表質問でもご指摘いただきましたとおり、公害規制の強化に加えまして、環境産業の発展を図ることや、あるいはまちづくり、事業活動での環境配慮を進めることなど、総合的な取り組みを進めることが必要であります。とりわけ自動車排出ガス対策は、大気汚染を改善しまして、都民の健康と命を守り、都民の生活環境を確保するため推し進めているところでございますが、この自動車公害対策は、冒頭お話のように、単に車一台一台の単体規制を強化するだけではなく、交通需要マネジメントの推進、あるいは道路構造の改善などのインフラの整備、これらさまざまな総合的な取り組みが必要だというふうに考えております。今後とも、大気汚染を改善し、都民の健康を守るため、都民、事業者の理解と協力を得ながら、国をも先導する環境政策に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○かち委員 本委員会には三本の条例改正案が出ております。私の方からは、火薬取締法関係手数料の改正案と公害防止条例についてお聞きしたいと思います。
まず、火薬取り締まりの条例についてですけれども、国の規制緩和や分権一括法などに伴って今回の条例改正として出されてきました。保安検査を民間開放し、有料化するという内容になっておりますけれども、対象になる総事業所数、職種というのはどういう数になるでしょうか。
○長谷川環境改善部長 都内で保安検査の対象となります火薬庫は、九月末時点で、三十八事業者が四十七カ所に百三十七棟設置しております。保安検査は、火薬庫の箇所別に行うことになります。主な業種ですけども、採石業が十二業者、花火等の火薬類販売業が八業者、土木関係が七業者、警察、道路公団五事業者、その他六事業者となっております。
○かち委員 こういう事業所に対して、これまではどのように検査を行われてきたのでしょうか。また、検査を受ける側の義務規定などはどうなっているのでしょうか。
○長谷川環境改善部長 これまでというか、現在の東京都の検査の方法ですけども、現地での検査は都の職員が二名で実施しております。保安検査の方法は、火薬類取締法施行規則に基づきまして、一年に一回、火薬庫が規則で定める構造や設備などの技術上の基準に適合しているかどうかを検査しております。検査に当たりましては、事業所の職員の方に立ち会ってもらってやっております。
○かち委員 今回、手数料の改正案として、四万一千円ということで出されておりますけれども、この算出根拠というのはどうなっているのか。また、民間開放ということですけれども、それに伴って資格要件というのはあるのかどうか。
○長谷川環境改善部長 手数料ですけれども、地方自治法に基づきます地方公共団体の手数料の標準に関する政令では、手数料の標準額として、火薬庫等の保安検査手数料四万一千円と規定しております。標準額の算出の根拠につきましては、公式には明らかにされておりませんが、国によりますと、手数料構成要素として人件費と旅費等から構成されていると聞いております。都としても、現在行っている保安検査をもとに積算したところ、標準額は妥当な額であったことから、標準額をもって条例の手数料額として提案させていただきました。
また、民間業者が保安検査に参入するための条件ですけども、保安検査機関となるためには検査業務を的確に行うのに必要な経理的な基礎を有しますとともに、知識、経験を有する検査員の数、必要とする検査器具など、一定の要件に適合することが必要となります。
○かち委員 今お聞きしてきたところですけれども、特別な資格要件というのはないわけですね。火薬を取り扱うというごく限られた業種、しかも、四十七件、こういう数であるので、都としてやってできないことはないと思うんです。私は、規制緩和や民間開放、すべてが悪いという立場ではありませんけれども、このような一歩間違えば大変な被害につながりかねない危険物を取り扱う業種の保安検査を民間にゆだねてしまっていいのかという大きな疑問が残ります。現に最近でも爆発事故はあっちこっちで起きていますし、東海村での臨界事故など、あってはならないずさんな検査実態なども出ているわけです。なぜあのようになるかといえば、結局、市場原理の中で、安全が限りなく軽視されてきた結果でもあります。
また、民間開放するから、行政側も有料に、しかも、それよりも少し高目にということでは、行政がこうした保安検査から手を引いていくということにほかなりません。同じ民間開放でも、建築確認審査は、行政は無料、民間は有料です。必ずしも有料にしなければならないという根拠も薄い話です。本条例については、民間でもできる機会を開くことはやぶさかではありませんけれども、行政が行う分を有料にする必要性は見当たらないということを申し上げておきます。
続きまして、公害防止条例についてです。
本条例案については、環境審議会において一年をかけて議論を重ね、ことし三月末に答申を受け、この間にもさまざまな形で都民の皆さんからも意見を伺いながら、かなり積極的な内容も取り入れられて、本定例会にほぼ全面的な改正案として提案されました。環境局の皆さんを初め、関係されたすべての皆さんに心から敬意を表したいと思います。
条例案の構成は、今日の深刻な大気汚染の主要要因となっている自動車排ガス公害への対策と、その他化学物質やフロンなど、新たな課題に含まれての項目になっております。時間の関係もありますので、私からは自動車関係以外の条例について何点かお聞きします。条例が現在と未来の環境改善にとって有効に機能されることを期待して、その立場からお聞きしたいと思います。
まず、フロン対策についてです。
オゾン層の破壊や地球温暖化に結びつくフロンは、東京都という地域的な問題にとどまらず、地球全体に対して大きな影響を及ぼし、その大気中での寿命は数十年ともいわれています。ですから、フロンをこのまま放置すれば、私たちの次の世代が被害をこうむるということになるわけです。既に九五年には特定フロンが製造禁止となり、代替フロンも二〇二〇年には禁止されます。今日では、フロンにかわる冷媒や断熱材の開発も進んでいるようにも聞いております。しかし、現在、フロンのストック量は、きょういただいた資料の五ページにもありますが、全国推計で二十一万八千トンという大量の量になっております。フロンなど三種の温室効果は、CO2の一万一千七百倍から二万三千九百倍と、物すごい威力を持っているわけです。人口が集中する都内から大量に使用済みの冷蔵庫やエアコンなどが排出される中で、その対策に取り組むことが火急の課題となっていると思います。その意味で、フロン対策を条例に位置づけられたことは大変評価したいと思います。
そこで、条例第二章第二節のフルオロカーボンの管理について、六ページになっておりますが、規制対象機器がカーエアコンから業務用冷凍空調機器まで、広範囲にわたっています。条例では回収事業者と随所に出てきますけれども、これはどのような事業者が規制の対象になるのでしょうか。そして、その数はどのぐらいになるのでしょうか。
○梶原企画担当部長 対象となる業種でございますが、自動車販売業者、自動車解体業者、自動車整備業者、冷凍空調設備業者、産業廃棄物処理業者などが考えられます。対象となる適切な回収、破壊を求める事業者数でございますが、フルオロカーボン使用機器を取り扱う業界の団体に加盟している事業者では、約一万一千事業所でございます。
○かち委員 一万一千事業所、大変大きな数になっておりますが、これを進めていく上では関係者の理解と協力がなければできないと思うんです。しかも、頭でわかっていても、現実的にやれるかどうか、そういう状況がなければ進まないと思うんですね。そういう意味で、都としてこれまで、これを進める上で、どのような取り組み、努力をされてきたのでしょうか。
○梶原企画担当部長 都では、既に平成九年に関係事業者団体や消費者団体などで構成する東京都フロン等回収処理推進協議会を立ち上げております。この場におきまして、規制の内容やフルオロカーボン回収の、これからつくります具体的な仕組みについて説明をし、了解を得てまいりました。
○かち委員 消費者団体や業界団体との話し合いを積み上げられてこられたということですけれども、実際にフロンを扱う業者、事業者というのは、先ほどいわれた一万一千事業所に入らない人たちもあると思うんです。業界といっても、大きなディーラーや空調業者などは自力でそういう設備を整えることもできるでしょうけれども、どの業界にも入っていないような、例えば町の自動車整備工場、一人二人でやっているようなところ、年に十台ぐらいしかカーエアコンを扱わない、こういう工場で、実際、四十数万円もするフロン回収機を購入し、また、集めたフロンをボンベに入れて、それを処理施設まで運ぶというようなことは、現実的には難しいと思うんです。一律に規制するだけではなくて、例えば零細な修理工場などは、ディーラーに持ち込んで回収できるようにする仕組みだとか、また、共同利用できるような仕組みだとか、あるいはフロン回収機設備費用の貸し付けなどなど具体的な条件整備をしないと、これは進まないのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○梶原企画担当部長 現在考えておりますフルオロカーボンの回収から破壊に至るまでの仕組みについて、多くの事業者とも今後とも打ち合わせをしてまいります。こうした中で、お話のような細かな事情についてもできる限り配慮を考えていきたいと存じますが、何分にもこの仕組み自体が既に世に出てしまっていたものでございますので、どのような部分が負担するのか、そういった面では、これから全く新しい仕組みをつくるということはなかなか難しいと思います。現実の事業の中でどのように運営していくことが円滑に進むのか、そういった観点から検討してまいりたいと思います。
○かち委員 具体的に実効性の上がる内容でぜひ検討していただきたいと思います。
それから、今回の条例は冷媒フロンだけが対象になっていますが、冷蔵庫や断熱建材などにも使われている断熱フロンは、冷媒フロンの三ないし四倍の量に当たるといわれています。そればかりか、断熱材フロンの温暖化係数は大変高く、冷蔵庫一台分の断熱フロンを大気中に放出すると、四人家族が一年間で排出するCO2に匹敵するともいわれています。この断熱フロンの対策も欠かせない課題だと思いますけれども、東京都としてはどのようにお考えでしょうか。
○梶原企画担当部長 断熱材フロンにつきましては、お話のように、冷媒用フロンよりもかなり多いフロンが使われていることは承知しております。したがいまして、こうしたものに対しても対策を講ずることが必要でございますが、例えば、家庭用冷蔵庫の場合では、フルオロカーボンが大気中に排出されるのは、製品が廃棄されて、実際に破砕処理される、その段階でございます。来年四月から施行される家電リサイクル法では、専用のプラントで、一貫した製品リサイクルシステムができるということになりますので、こうした仕組みの中で実効を上げていくことが適当だと考えております。
○かち委員 家電リサイクル法というお話がありましたけれども、家庭用冷蔵庫とエアコンは、本条例においてフロン回収の対象から外されているわけですね。家電リサイクル法ではそれぞれ冷媒フロンの回収対象にはなっていますけれども、冷蔵庫の断熱フロンについては見送られている。結局、どこも断熱フロンについては手つかずという状況のようですけれども、なぜ回収が義務づけられなかったのでしょうか。
○関技術担当部長 家電リサイクル法で冷蔵庫の断熱材フロンの回収が義務づけられなかったことについてでございますけれども、来年の四月でございますが、法律の施行時までに断熱材フロンの回収設備が全国的に整備されることは不可能であるというふうに判断されまして、義務づけが見送られたというふうに聞いております。
○かち委員 全国的に整備が難しいということで見送られたようですけれども、しかし、今、家電メーカーなどはかなり積極的に断熱フロン回収についても取り組んでいるという状況もあるわけですね。こういう「日経エコロジー」という雑誌などでも、メーカーが積極的に環境対策に取り組んでいる状況が出ております。昨年九月時点で、全国七カ所に家電リサイクルプラントがありまして、そのうち三カ所では断熱フロンの回収もしているという事実もあるわけです。来年四月から家電リサイクル法がスタートするわけですけれども、首都圏における断熱フロンの回収が可能なプラントの立地、整備状況、これはどのようになっているか、おわかりでしょうか。
○関技術担当部長 首都圏におきます家電リサイクルプラントは、現在のところ、江東区、市川市、川崎市、それから埼玉県の加須市に設置される予定であると聞いております。このうち三つのプラントにつきましては新設プラントでございまして、断熱材フロンの回収設備も備えるというふうに思われますが、既存設備を活用したプラントにつきましては、現在の時点では、回収設備は備わっていないというふうに思っております。
○かち委員 お話のように、来年四月からは四カ所のうち三カ所の家電リサイクルプラントでの断熱フロンの回収は可能になるわけですね。この家電リサイクル法実施に向けて、家電リサイクル研究会が報告書を出しておりますけれども、この中でも、都は、断熱フロンの回収に積極的に取り組む家電リサイクルプラントに対する財政的な援助などの支援を検討すべきであり、家電四品目が広域的に処理されることを考慮され、国や他の自治体に対して積極的に協働を働きかけるべきだというふうに答申されています。条例化はされませんでしたけれども、都として、家電の断熱フロン回収の実現に向けて何らかの対策を示す必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。
○関技術担当部長 断熱材フロンにつきましても、冷媒フロン同様、回収されるということが非常に望ましいことですので、都といたしましても、家電メーカー等に対しまして、早期に断熱材フロンの自主的な回収を行うよう要望してまいりたいというふうに考えております。
○かち委員 要望するだけではなく、ぜひ財政的な支援などを含めて検討していただきたいと思います。
この項の最後に、このほかにも、町にあふれるように設置されている清涼飲料水の自動販売機、そのものが発生するエネルギーも温暖化との関係がありますけれども、この自動販売機を廃棄するときの冷媒、断熱フロンの処理はどうするのか。あるいは、難しいといわれている断熱建材のフロン処理など、未知数の課題はありますけれども、都として、今後のフロン根絶に向けての指針をぜひ明らかにしていっていただきたい。これは要望です。
次に、第四章の工場公害対策等についてお聞きします。
二〇ページの七十二条、有害ガス取扱施設の構造基準等についてですが、前条例にはなかったものが新たに挿入されたという点では評価したいと思います。一〇〇ページの有害ガス別表三というのがありますが、ここに旧条例にはあった硫化水素が削除されているんですけれども、これはどうして削ったのでしょうか。
○小島参事 硫化水素は代表的な悪臭物質ですが、昭和四十五年の条例制定時には臭気の測定、評価方法が確立していなかったため、これまで有害ガスとして排出規制を行ってきました。その後、条例による臭気濃度の規制が規定されたことから、今回の条例改正の機会をとらえて、硫化水素を有害ガスから悪臭の規制対象に変更します。硫化水素を臭気濃度規制に変更することにより、排出基準はより厳しくなります。
○かち委員 私、別表を見ていてよくわからないんですけれども、悪臭の規制基準についても全く同じ表が掲載されているんですね。そういう中で、有害ガスが外されたという点で、旧条例との基準が変わったということになるんでしょうか。基準が変わったということなんですか。
○小島参事 基準が変わったということですと、物質は若干出入りがありますけれども、臭気濃度の規制については変わっておりません。物質が変わったということです。
○かち委員 結局、臭気濃度というのは、住宅街ではこういうレベルですよということで、臭気濃度に入る項目は何なのかというのはこの表だけではよくわからないんですね。それでは杉並中継所での問題解決の教訓が生かされていないのではないかなというふうに思うんです。発生する汚水などから、当然硫化水素--不燃物を集めて圧縮するということですから、当然汚水なども出るわけで、硫化水素の発生が出て不思議はないという状況があったわけですけれども、あのときはビルピットにおける排水槽の構造上の欠陥があったわけですけれども、異臭や悪臭が発生しても、硫化水素を的確に測定していなかったことで原因究明がおくれたということも事態を悪化させた要因だと思うんです。悪臭の原因が何のにおいなのか、何が原因なのかわからなければ、同じことが繰り返されるのではないかなというふうに思うんですけれども、あえて硫化水素を外すべきではないというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○小島参事 先ほどもお答えしましたように、すべての物質は悪臭濃度規制に含まれますので、悪臭を規制することによりまして、硫化水素単独で規制したことよりも、結果的には規制基準が強くなる、規制が厳しくなるというふうに理解しております。
○かち委員 幾ら悪臭を規制しても、悪臭の原因がわからなければ、これの対策はとれないわけですから、結局、前のときも、硫化水素についてのガスの測定はしていなかったということがありまして、事態がおくれたと思うんですね。そういう意味では、硫化水素、その悪臭の原因が何かということを調査できる、そういう状況というのは、私は残しておくべきだと思います。
今回、新たに加えられた項目の中で、二八、二九ページですけれども、九十四条、ばい煙濃度の測定とか、九十五条の水質の測定等は、事業者が測定し、記録することになっていますが、これは必要なことだと思います。しかし、これを公開ないしはチェック機能がなければ、その規制の意味をなさないのではないかと思います。また、九十六条の測定の指示で、知事が必要と認めたとき、事業者によって測定し、報告を求めることができるというふうにあるんですけれども、これだけでは客観的なチェックができない、実効性が弱いのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○長谷川環境改善部長 ばい煙及び水質の測定等に係る規定でございますけれども、この規定をつくった目的は、公害対策のためには、事業者がみずからばい煙や汚水の排出状況を測定し、規制基準の遵守状況などを確認する、こういうところが自主管理を行っていく上で重要なことから、その促進を図るために、今回の改正で新たに義務化を図ったものであります。今後、都及び区市の立入検査などの際には、その測定結果を確認し、規制指導に役立てる、こういう形でチェック機能を果たしていきたいというふうに思っております。
また、測定の指示に係る規定でございますけれども、規制基準を超過するおそれがある場合等に、事業者に測定や報告を行わせるためにこの規定を定めたものでございます。都及び区市は、その報告をもとに規制指導を行うとともに、必要があれば、みずから測定を行い、確認をすることになりますので、実効性の確保は担保できるというふうに考えております。
○かち委員 たびたび杉並の例を出して恐縮ですが、あのときも住民からの苦情に対して、事業者、当時は清掃局でしたけれども、検査を何回か行っているわけですね。そして、異常ない、異常ないというふうにいってきたわけです。ですから、行政の指示に従って測定するにしても、当事者本人が行うのでは、異常検出をおくらせかねない。だからこそ、そういう場合には行政も含めた第三者機関が行うべきだと思うんです。規制基準を超えているものを指導するのは当たり前です。客観的に調査して、異常かどうかを確認することがまず必要なのではないでしょうか。この条例上ではそこが読み取れません。規則か何かに補強されるのでしょうか。
○長谷川環境改善部長 私どもとしては、公害の規制、公害対策というのは、私どもが立ち入って規制指導するとともに、事業者が自主管理する、その二つが相まって公害対策が進むというふうに思っております。具体的には、この規定に基づきまして測定した結果、特に大気と汚水に関しましては、三年間、結果を記録、保存することになっておりますので、その二つの、私どもの指導と業者の自主的な管理が相まって、所期の目的が果たされるものと考えております。
○かち委員 私が申し上げました趣旨がなかなかご理解というか、得られないというふうに思うんですけれども、異常があった後の指導というのは十分わかるわけですけれども、異常なのかどうなのかというところを客観的にチェックできる、そういうシステムができない限りは、問題解決が非常におくれる可能性があるということをいいたいわけです。ですから、疑わしいとき、客観的な調査、チェックができるようなシステムをぜひ考えていただきたいと思います。
次に、第二節の化学物質の適正管理についてです。
PRTR法では、化学物質の排出量、移動量を把握するために、従業員二十一人以上、化学物質取扱量一トン、千キログラムとなっていますけれども、本条例においては、百八条で従業員数規定を外し、年間取扱量百キログラムとなっています。これまでは国の法律と同種のものはことごとく条例から外すというルールで書かれてきましたけれども、ここではなぜPRTR法を上回る厳しい条例になっているのでしょうか。化学物質自体の管理を徹底するという点で、全国一律に基準を当てはめるのではなく、東京のように中小零細企業が密集している地域特性も考慮すべきだと思いますが、その辺の判断をどのようにされたのか、お聞きします。
○小島参事 都内には、ご指摘のとおり、中小の事業所が多いという実態を踏まえまして、条例改正に当たりましては、化学物質の使用量等の報告を求める対象としまして、従業員の規模にかかわらず、年間の取扱量が百キログラム以上の事業所とするよう、検討を進めています。この量は、国のPRTR法、すなわち特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律が排出量の報告を求める事業所の規模の十分の一に当たります。これによりまして、中小事業者を初めとする都内の化学物質の使用実態を把握することができると思っております。
○かち委員 東京都の特性を生かして厳しい基準にしているということはよくわかるんですけれども、普通、法律があると、その法律と同じような内容については、それを超えることはしないというふうに、この間、ほかの項目についても聞いてきたわけですけれども、今回、PRTR法を上回って厳しくしたという根拠、できるという状況というのはどういうことなんでしょうか。
○小島参事 今回の条例は、いわゆるPRTR法そのものを引き写して、そのミニチュア版をつくるというような、そういうことではなくて、もともと東京都の公害防止条例では排出ガスの規制などがありまして、それとリンクする形で排出量の届け出などもとろう、そういうことにしております。そういうことですので、目的とかその方法が国の法律とはかなり異なっておりまして、そういう面で、特に先ほど申しましたように、今回も都内の中小の事業者が多いという実態も踏まえまして、厳しい規制とすることにしております。
○かち委員 国における同じような法律があっても、趣旨や目的を変えれば、都独自としての条例化をすることはできるんだというふうに受けとめました。
百八条の化学物質の適正管理の対象には清掃工場なども含まれるのでしょうか。また、毎年の化学物質取扱量が百キログラム以上というと、どういう事業所が入るのか。小さな町のクリーニング屋さんなども対象になるのかどうか。対象数などについてお聞きします。
○小島参事 清掃工場は、条例に定めます工場に該当します。清掃工場では、焼却灰の冷却水や排ガスの洗浄水に含まれる物質を除去するため排水処理設備を設置し、硫酸などの薬剤を用いておりますが、これらの薬剤が条例で決めてあります適正管理化学物質に該当することから、年間の取扱量が百キログラム以上になると報告の対象となる予定としております。
化学物質を百キロ以上取り扱う事業所としましては、例えば、電気製品の部品の製造加工の工程で有機溶剤による洗浄を行う事業所や、メッキなどを行う事業所の多くがこれに該当します。ご指摘のドライクリーニング業につきましては、テトラクロロエチレンという物質を使いますけれども、テトラクロロエチレンを使う事業所は、ほとんどの事業所がこれに該当するというふうに考えております。
○かち委員 対象事業所は、資料にも出ておりますけれども、百キログラム以上の事業所は六千件、うち二十一人以上の事業所が千七百件ということで、お聞きしてみますと、非常に小さな町工場の事業所もすべて該当するというような感じですけれども、一人二人の町工場から従業員千人単位の大工場まで、かなり膨大な数になりますけれども、毎年、管理使用量の報告と、従業員二十一人以上では管理方法書というのが報告義務ということになるわけですけれども、これを徹底するということはなかなか大変なことだと思います。実務の簡素化も含め、労経局などともタイアップしながら、中小零細企業への過度の負担になることを避けるような工夫もぜひ配慮していただきたいと思います。
次に、三節の土壌及び地下水の汚染の防止関連です。
三六ページ、百十七条、土地の改変時における改変者の義務のところですけれども、三千平米以上の開発を行う者は、土壌調査をして、知事への報告義務が課せられていますけれども、三千平方メートル未満の場合は免除されることになってしまいますが、果たしてそれでよいのでしょうか。また、百十八条の記録の保管及び承継の義務はあるけれども、知事への報告はしなくてもよいのかどうか。いかがでしょうか。
○長谷川環境改善部長 汚染土壌の調査とか、拡散防止の措置は、土地の改変者にとって相当な負担となる可能性があります。一方、土地の改変者は、いわゆる有害物質による汚染の原因者ではないので、今の段階で、小規模の土地の改変者に対しても汚染土壌の調査等を義務づけるのは難しいのではないか、このように考えております。このため、今回の条例の改正では、他の条例等を参考に、比較的大きな事業者が行うであろう土地の改変行為、三千平方メートル以上を予定しておりますが、これらを対象とすることとしました。
なお、三千平方メートル未満の土地の改変の場合には、条例上、この規定は適用されませんが、改変行為により周辺住民の健康とか、環境に重大な影響を及ぼすおそれがある場合には、区市とも連携しながら条例に準じた指導を行っていきたいというふうに考えております。
次に、記録の保管及び承継の報告についてでございますが、土壌汚染の調査あるいは処理に関する事項につきましては、都や区市に届け出書等が提出されますので、行政側に記録が残ることになります。このため、必要に応じ、指導等ができることから、特に知事への報告は求めないことといたしました。
○かち委員 確かに土壌改良するという点では莫大なお金がかかるわけですけれども、だからといって、三千平方メートル以下の場合はそれをしなくてもいいということにはならないと思うんです。また、区市とも協力しながら指導するということですけれども、それでもできない事業者の場合が出てくると思うんですね。そうした場合にはどうするのか。これまでの、過去の地歴などからいろいろ土壌の問題も深刻になってきていると思うんです。今後、こういうものを速やかに改良していくシステム、新しいシステムなどもぜひ検討していくべきではないかなと。何もかも税金でやればいいということではありません。そういうところで、基金などの工夫もぜひ必要ではないかなというふうに思います。
今は、汚染土壌が出た場合にはあちこちにコンクリートで閉じ込められているという状況になっていますけれども、二十年、三十年後、一体それがどうなるかというと、また新たな問題になると思うんです。新たな土地の改変をしようとするとき、どうするのか。将来にわたって土壌管理をどうしていくのか。今後の検討課題にしていただきたいと思います。
その他のことですけれども、有害物質であるダイオキシン類に対する規制が、小型焼却炉の規制以外に見当たらないというのは非常に残念に思います。ダイオキシン類については、原因物質の製造や使用から規制すべきではないでしょうか。また、都が本年三月に発表した環境大気中へのダイオキシン類の排出量を見ましても、排出量の最も多いとされる大規模な廃棄物焼却炉は、施設周辺の土壌調査とか、健康調査なども実態に即した調査を行っていく、対策を位置づけるべきだと思いますけれども、その辺のお考えをお聞きします。
○小島参事 ダイオキシン類につきましては、本年一月にダイオキシン類対策特別措置法が施行され、現在、法に基づき規制指導を行っているところです。このため、今回の条例改正では、ダイオキシン類対策として、小規模の廃棄物焼却炉を用いた焼却行為等を原則的に禁止することにより、ダイオキシン類の一層の排出抑制を図ることとしました。
また、大規模な施設の周辺の土壌調査については、ダイオキシン類対策特別措置法に基づく土壌の常時監視の中で、一般環境の把握調査とともに、発生源周辺の状況の把握調査を行うこととしています。都では、本年度に三つの発生源の周辺の合計十五地点につきまして、土壌中のダイオキシン類の調査を行うこととしており、その結果を踏まえまして、来年度以降も、法の趣旨に基づき、適切に対処していきたいと考えております。
なお、焼却に伴うダイオキシンの発生につきましては、塩化ビニール等塩素を含むプラスチック類が寄与しているとの指摘もあります。このため、都としては、国に対してプラスチック製品の素材の表示の義務づけや、より環境負荷の少ない素材の利用促進を提案要求するとともに、都庁で率先して塩素を含むプラスチック製消耗品の使用抑制を進めているところです。
○かち委員 ダイオキシン特別措置法が施行されて、その法律に抜けた部分として小型焼却炉を今回の条例に位置づけられたということではありますけれども、東京都には全国的に見ても、大量の一般廃棄物処理施設があるわけですね。十八カ所ですか、今あるわけです。そういうものが集中して、そこから出るダイオキシン量が非常に多いという現状なども踏まえれば、東京都独自の対策というのがぜひ必要ではないかと思うんです。先ほどPRTR法では、柔軟な対応で都独自の考え方を示したというふうにもいわれましたけれども、ダイオキシンの問題こそ、現在、非常に社会問題にもなっておりますし、将来も次世代に大きな影響を及ぼす問題ですから、都としても積極的な独自対策があってもよいのではないかと思いますけれども、こういうことに対して、ダイオキシンに対する何らかの対応策を考えてないのかどうか。いかがでしょうか。
○薄廃棄物対策部長 ただいまお話のありましたような一般廃棄物の焼却施設、または産業廃棄物の焼却施設から出るダイオキシン類につきましては、既に平成十年十二月と平成十四年十二月に向けて段階的な排ガス規制が適用されることになっておりまして、十年十二月につきましては、既にすべて基準に適合している状況でございます。十四年十二月の最終的な適用に向けまして、ただいま強力に指導しておりまして、今後とも排ガス基準、削減基準は徹底するような形にしたいと思って、ただいますべての焼却施設に立ち入りして、その指導をしているところでございます。
○かち委員 もちろん出さないことが一番ですので、出さない対策はきちんとやっていただかなければいけないんですけれども、その後、その地域から出ていないということを確かめなければいけませんので、ぜひ土壌調査とか健康調査をすべきだと思うんです。三カ所などという少ない数ではなくて、すべての施設周辺について調べるべきだと思います。それから、国ではまだ規制になっていない原因物質の製造や使用禁止、そういうことも都独自としての考え方をぜひ示していただきたい。今後に期待したいと思います。
今条例の中で、条例化には盛られなかったものとして低周波公害についてお聞きします。
長年にわたって低周波公害に苦しむ方々にとって、国の方でもマニュアルがようやくできまして、前進の兆しが見え始めました。今回、条例に盛り込まれませんでしたけれども、都としての今後の対応策を伺います。
○長谷川環境改善部長 低周波騒音につきましては、その実態や影響が未解明な状況にありますことから、副委員長ご指摘のように、国におきましても、本年十月、低周波音の測定方法に関するマニュアルを作成し、これに基づきまして、今後五年間にわたり全国的なデータの蓄積を図っていく、こういうことを予定しております。
東京都としても、引き続き低周波音に対するデータの収集を図るとともに、国の業務に積極的に協力するなどして、低周波音問題に対する施策を進めていく予定であります。
○かち委員 国の方からは二台の低周波測定機が貸し出されたということですけれども、これで全部で六台になるわけですね。こういうものを使いまして、市区町村でも簡易に測定ができるように、今まではいろいろ技術が難しいというようなことで、訴えがあってもなかなか対応ができなかったわけですけれども、こうした訴えに対しては積極的に調査をして、ぜひデータを収集し、基準化されるように努力されることを希望しておきます。
自動車関連については吉田議員に譲りますけれども、一言どうしてもこのことだけは確認しておきたいんですけれども、自動車公害対策での局地汚染対策についてです。自動車公害対策については単体規制に重点が大きく置かれていて、環境対策が後景に追いやられているという感が否めません。資料の一二、一三ページにありますけれども、全国の中で自動車排ガス測定局の結果ワースト一、二、三を争っているのが板橋の大和町交差点、大田区の松原橋交差点、目黒の大坂橋交差点付近です。今回の資料には出ておりませんけれども、前回の委員会の中で示されましたように、これは一時ではなくて、数年にわたり、十年近くにわたってこういう状態が続いているのが実態です。
今回、名古屋判決ではSPM〇・一五九以上の汚染については差しとめという判決も出ているわけです。松原橋などは数年に及んで〇・一五九以上という事態が続いています。昨年はたまたま〇・一三幾つで、それでもトップなんですね。昨年は全体に低かったという状況がありまして、昨年だけでは判断できない。経年的に見れば、常時基準を超えているという事態が続いているわけですが、条例の一六ページの五十一条、大気汚染地域の指定等が明記されております。松原橋などは、つとにその対象になるのではないかと思われますけれども、なぜいまだに対象にされないのでしょうか。
○松葉自動車公害対策部長 現行の公害防止条例で、第七十二条というものがございます。その条例の規定でございますが、大気汚染の著しい地域がある場合に、その地域を指定いたしまして、都市施設の抜本的改造や通過交通を抑制していく、こういうような規定でございます。しかしながら、この指定を行う場合に、通過交通の分散とか、または新たな局地汚染の発生、他の地域への影響、こういうようなことも一方では懸念されるところでございます。したがいまして、現段階で、こういうような都内の実態から、この指定について、慎重な判断が必要であるというふうにも考えてございます。
一方、こういう指定を行わずに、こういう大気汚染対策について条例の規定をするしないにかかわらず、個別の大気汚染対策を私どもとしては積極的に進めなければいけないというふうに考えています。局地汚染対策というのは、現状では対策が困難な面がございますが、大和町の実験結果、土壌施設なんかも考慮いたしまして、この局地汚染をできるだけ緩和していきたいというふうに考えてございます。
○かち委員 条例の中で、旧条例にこの項目があって、今回の条例で、それが消えずにちゃんと位置づけられたという点では大変私も評価したいと思うんですけれども、条例があってもそれが履行されない、不履行ではないんでしょうか。事実、客観的にはそこは著しい汚染地域ということになるのではないでしょうか。ならないということではないと思うんですね。もし著しい基準に入らないんだとすれば、その基準は一体何なんでしょうか。
○松葉自動車公害対策部長 大気汚染が著しい地域というケースでございますが、ご承知のように、大気汚染濃度が高い地域というのは、自動車交通量が多い、あるいは、道路構造が複雑である。このようなことによって大気汚染が生じているわけでございます。環境基準を大幅に上回るようなケースにつきましては、著しいというふうな考え方ができるのではないか。また、その汚染が常時続くというようなことも考えられると思います。条例上、現在の時点で汚染が著しいと明確に決めてあるわけではございませんが、例えば、先ほどお話がございましたような名古屋の南部公害訴訟判決では、SPMの濃度が環境基準の一・五倍というようなことも示されているわけでございます。こういうことについても検討をしていく必要があるというふうに考えています。
○かち委員 汚染指定地域にすると、波及する問題がいろいろあるから、今はしないんだと。いろいろなことはやっているよとおっしゃいますけれども、条例は条例でしか読み取れないわけです。条例以外のことはないわけですね。客観的な条件というのも、既に名古屋判決で出ております。その判決以上を数年にわたって超えている、こういう状態が続いている以上は、これは著しい汚染地域として、当然指定されるべきだと思うんです。今、周りの環境云々、条件が云々といっている場合ではない。それだけ深刻で、実際に苦しんでいらっしゃる皆様のことを思えば、そのことを早急に対策をとるべきだし、その地域を指定して、速やかに条例に沿った対策をとるのが本来の行政の責任であり、立場だと思いますので、ぜひそのことは具体的に進めていただきたい。そのことを要望しておきます。
最後に、本条例の名称についてですけれども、改正案では、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例ということで、公害という文字が消えましたけれども、第一章、総則、目的の中では、その考え方として、環境負荷を低減するための措置を定めるとともに、公害の発生源について必要な規制云々と書いてあるわけです。この条例によって公害の概念がなくなったわけではなく、実態として今日なお歴然として存在するわけですから、私はこの二文字は、この条例の中に残すべきだという意見を申し上げて、私の質問を終わります。
○中嶋委員 私は、条例をよく理解するために、条例の運用面等、具体的な点を確認の意味で何点か質問したいと思います。今、条例の名称の件が出ましたが、公害防止から環境確保に名前を変えたと。公害防止というのは、いってみれば、あえていえば、受け身の対策の色合いが強い。それに比べて環境確保、局として環境を確保するために一歩踏み込んだ、そういう意味で、私は、名称を評価したいというふうに思っております。
最初に、環境確保条例に関して質問いたします。ディーゼル車規制、大事なことは、条例をつくっても、その規制どおりに規制が守られているかどうか、この確認、チェックが重要だと思います。燃料等については、主税局のGメンが抜き取り検査をやったと、何度か聞いておりますが、条例施行後、条例の定めているところを遵守されているのかどうか。どのように確認し、検査するつもりなのか、その体制について。
また、あわせて、個人所有の車両については大変扱いが難しかろうと思いますが、個人所有の車両についてはどう扱われるおつもりなのか。
あわせてもう一点、三点目ですが、立入検査の規定がございます。立入検査、どのような形で、何を基準に立入検査を行おうとされているのか。この三点をまず教えていただきたいと思います。
○松葉自動車公害対策部長 ディーゼル車規制の遵守の状況をどういうふうに確認するかということでございます。
PMの排出規制についてでございますが、来年度新たに設置する自動車公害観察員、いわゆる今お話のありました自動車Gメンを中心にでございますが、事業所とか、市場など、こういう自動車が多く集まる拠点への立入検査、あるいは主要幹線道路における路上検査などによって規制を実施してまいりたいというふうに考えています。
それから、燃料規制についてでございますが、自動車Gメンによる取り締まりのほか、現在、全庁を挙げて不正軽油の撲滅作戦というものを実施しているところでございます。関係局とも連携して実施してまいります。
また、個人であっても、ディーゼル車の規制はかかるわけでございます。そういう面では遵守していただく必要がございます。このため、規制内容などにつきまして、普及啓発に努めてまいりたいと考えていますが、関係団体のご協力なども得ながら、条例の規定が守られるように努めてまいります。
○中嶋委員 周知徹底方と協力をいただくと。これはぜひ全力を挙げてやっていただきたいというふうに思います。
事業者の方ばかりに焦点が当たっていますけれども、最近走っていますと、個人所有のディーゼル車、すさまじい黒煙を上げて走っている車がいまだに存在いたしますので、難しいかもしれませんが、その辺もよく検討していただきたいと思います。
自動車に関する規制ですけれども、一定台数以上の自動車を使用する事業者--三十台と聞いていますが--に対して自動車環境管理計画書の作成がきちんと義務づけられました。この内容と都の取り扱いについて説明をいただきたいと思います。
○松葉自動車公害対策部長 自動車から排出されます排ガスの低減方策でございますが、これにつきましては、低公害車の導入であるとか、DPFの装着だけではなくて、アイドリングのストップとか、あるいは物流の共同輸配送の実施など、数多くさまざまな方法があるわけでございます。これらの方策に総合的に取り組むことも一方では重要というふうに考えています。そういう観点から、この自動車管理計画書の提出をしていただくわけでございますが、事業者の創意工夫も生かしまして、こうした取り組みを具体的に記載していただこうというふうに考えてございます。
また、都といたしましては、助言などを通じまして、事業者の自主的な取り組みが促されるようにしてまいります。
○中嶋委員 関連して、フォーマットみたいなものはもうできているんですか。
○松葉自動車公害対策部長 現在検討中でございまして、様式などに記載することを今検討してございます。その中では、公害対策の基本的な考え方であるとか、あるいは事業所の持つ自動車公害にかかわる基礎的なデータ、それから自動車の更新計画、あるいは低公害車の導入、自動車の使用の合理化などについて、こういうような内容を中心に記載していただくように、現在、鋭意検討中でございます。
○中嶋委員 ぜひ、書き込みやすいというか、理解しやすいフォーマットができるように知恵を絞っていただきたいと思います。これに書き込むことによって、かなりモチーフが高まるといいますか、これをつくることだけでもかなり、一つには効果があるような気がしますので、フォーマットを期待していますので、いいものをつくってほしいと思います。
自動車環境管理計画書だけじゃないんですが、罰則規定がございますね。例えば自動車管理計画書に関してどんな場合に罰則が適用されるのか、そういう想定はなさっていますか。
○松葉自動車公害対策部長 自動車管理計画書に記載された事項でございます。事業者が自主的な取り組みを進めていただくということを期待しているわけでございまして、しかしながら、一方で、この計画書、または実績の報告を求める規定がございます。こういうものの提出がない場合につきましては、提出などの指導を行ってまいりたいというふうに考えています。
なお、こういう提出がいただけないケースにつきましては、条例上では、勧告を行いまして、これに従わないときはその旨を公表するという規定を設けてございます。
○中嶋委員 要するに、権力的に強制するものではないというふうに理解していいですか。--そうですね。わかりました。罰則規定はあるんですけれども、事業者の意欲を高めるような計画書づくりができるように考えてもらいたいと思います。したがって、事前の助言とか指導、今部長はおっしゃいましたけれども、これは極めて大事だろう。事前の助言あるいは指導の取り組みについてどのようなお考えでいるか。
○松葉自動車公害対策部長 この自動車管理計画書を作成していただきまして、提出の義務づけでございますが、先ほどご答弁申し上げましたように、事業者みずからが目標を設定することなどによりまして、自発的な環境配慮行動を促すものでございます。このため、事前指導が非常に重要であるというふうに考えてございます。東京都といたしましても、この規定の趣旨とか、あるいは目的を十分理解していただくように考えていきたいと思います。このため、パンフレットの作成とか、あるいは説明会の開催なども行いまして、事業者の協力が得られるように努めてまいります。
○中嶋委員 ぜひ努めていただきたいと思います。自発的な環境配慮行動とおっしゃいましたので、まさに条例の意味は自発的な環境配慮行動を促すことが最大の目的なわけですから、そこに局としては最大限の重点を置いて取り組んでいただきたいと思います。
自発的な環境配慮行動を促すわけですけれども、促すだけでは行動は現実化しない。何らかのインセンティブが必要です。先ほども真鍋副委員長からありましたけれども、DPFの装着促進、それから低公害車の普及促進、具体的にいってしまえば、補助するとか、助成を出すとか、具体的な支援策、誘導策が必要になるはずです。それは先ほどの答弁でお認めになりました。そこで、支援策に関する予算要求を出していると伺っていますが、支援策に関する予算要求の中身の説明をいただきたい点と、先ほどの支援策、誘導策の答弁では、社会全体で負担する仕組みが大事なんだと、二度ほど答弁がありました。じゃ、社会全体で負担する仕組みというのは、一体どんなイメージなのか。この二点、お答え願いたいと思います。
○松葉自動車公害対策部長 まず最初に、予算要求の状況でございます。現在、予算要求をしているところでございますが、DPFの装着補助といたしまして、価格の三分の一を補助する。規模でございますが、現在、六千四百台ぐらいを中心にして十億円余の補助経費を予算要求してございます。また、CNGスタンドの設置補助につきましては十五基ほどの予算要求をしてございまして、一基当たり二千五百万円程度の補助を考えてございます。これにつきましては三億円余になります。あと、バスのCNG化の、天然ガス自動車の差額補助でございます。これにつきましては一億円余というようなことで、直接的な助成策としては合計で十九億円余の予算を要求しているところでございます。
もう一つございました、社会全体でということでございます。これは、先ほどもご答弁申し上げてございますが、一方的に自動車を使うユーザーだけではなくて、それの恩恵をこうむる方々、あるいは車を提供する方、こういうことで、この問題を解決していくということが基本的な考え方であろう。しかし、一方、直接的に、具体的にどうするかということになりますと、運賃の値上げとか、それから、宅配などにつきましては配送料の値上げ、こういう形になるわけです。しかしながら、現在の厳しい経営環境のもとでは、直ちに値上げができない、こういうことも一方でございます。そういう中で、社会全体でという一つの例示としましては、公的な補助などを通じてやるということもございましょうし、将来この補助の仕組みについて、さらに公的な負担のあり方もいろいろと議論が出てくると思います。そういう中で、今後、さらに負担のあり方について、私どもとしては議論したり、検討してまいりたいというふうに考えております。
○中嶋委員 今、二点ですけれども、直接的な補助で十九億円余と。それぞれCNG、十五基、二千五百万円とか、六千四百台で十億と。この数をはじき出した根拠はあるんですか。つまり、条例施行、あるいは猶予期間等も考慮してこの数字は出したのかどうか。
○松葉自動車公害対策部長 条例施行時に何らかの対応が必要となる大型の車などを中心にして、四万台程度をまず対象にして考えました。その中で、十三年度につきましては、対象とするものの割合を、それぞれトラックとか、バスとか、そういうものの基礎的な考え方を検討しました。トータルとして先ほど申し上げました六千四百台という数値でございます。
○中嶋委員 じゃ、この予算、経年的に予算を要求して、これから条例施行までに積み上げていくと、そう理解していいんですね。
もう一点、社会全体で負担する仕組みづくり。おっしゃることはよくわかるんですね。コストにはね返って価格が上がるとか、いろいろな問題が出てくるんでしょうが、しかし、おっしゃるとおりで、相互の負担が大事だと。条例の理解力が足りないのかもしれないけれども、社会全体で負担する仕組みづくりみたいな問題意識は、条例のどこに反映されていますか。
○松葉自動車公害対策部長 条例に直接では、なかなかずばり規定はしてございませんが、私ども、ディーゼル車対策を考える中で、ディーゼル車NO作戦というものを展開してございます。その中で、このコスト負担のあり方について十分議論して、どういうふうな負担をしていったらいいか、こういう提案をしたところでございます。
○中嶋委員 それで、先ほど直接的な補助でスタンドの補助もやるというお話があったので、低公害車の燃料スタンドを初めとしたインフラ整備についての質問は割愛いたします。これもぜひ進めてください。毎年ふやしていかないと話にならない。ぜひやって、低公害車のためのインフラ整備、お願いしたいと思います。
もう一点、先ほども真鍋副委員長からありましたが、都民、事業者からさまざまな意見が寄せられていると。事前にもさまざまな意見を聴取、話を聞いたと、こういう話がございました。具体的にこれまで主な、そして、強い注文、要望、意見等にはどんなものがあったのか。また、それを受けて、バス事業者、運輸・流通事業者などの皆さんとどんな協議を行ってきたのかをご報告いただきたいと思います。
○松葉自動車公害対策部長 ディーゼル車対策を進める中で、インターネットの意見なども募集した中では、これは、さまざまな意見がございました。反対意見もございましたし、それから、賛成と。これは東京都に対する課題の問題提起などもございました。そういう中で、基本的には東京都のディーゼル車対策というのは、多くの都民からは支持が寄せられたというところでございます。
また、事業者の方についても、この大気汚染を改善するということにつきましては理解をいただいていると私どもも認識してございます。しかしながら、先ほど来、議論、それから、ご意見がございますように、この猶予期間をどうするんだとか、あるいは経済的な負担、支援をどうするんだ、こういう強い意見も出てございます。こういう中で、バス、あるいはトラックの協会に対しまして、私どもとしても、従前から意見交換などを行ってきたところでございます。私を含めまして、局長も一緒に行っていただきまして、トラック協会の方、あるいはバス協会の方々と意見交換なども行いましたし、それから、率直なところの協力要請も実はお願いしてきたところでございます。
○中嶋委員 ぜひやっていただきたいと思います。実は、全議員かどうか知りませんが、トラック協会の皆さんからも直接的にしっかりとした要望書を届けていただきまして、読むと、それはそれで、おっしゃっていることはよくわかるわけでございますから、今後も継続的に話し合っていただきたい。
局長ももちろんそうですけれども、ディーゼル車規制、石原知事のイニシアチブでやっているわけですから、もうちょっと知事が、最大の説得者とか何とか議会でいっていましたから、その能力を生かして業者の皆さんとも話し合うべきだと私は思っておりますので、知事とも話していただいて、理解と協力を得られるよう、今度はこっちの面で知事のリーダーシップを発揮してもらいたいと思っております。これはここじゃなくて、本会議でいうべきでしょうね。また後でいいます。
それから、関連して質問しますけれども、これも社会全体で負担する仕組みづくりにかかわるかどうか知りませんが、都の税調から、大型ディーゼル車への首都高速道路料金の上乗せ案などが出ましたね。これについて、ディーゼル規制をやろうとしている環境局として、その効果についてどう判断していらっしゃるのか。答えづらいかもしれません。私は世田谷なので、これをもしもやったら、用賀の手前でみんなおりて、環八に流れ込む。世田谷区内はたまったものじゃないので、環八、環七、あふれ出しちゃうということが心配の種なんですが、それはさておいて、都税調の新税案、とりわけ大型ディーゼル車への高速料金上乗せ案についての効果、それから、実現可能性、局として見解をお聞かせ願いたいと思います。
○山本自動車公害対策推進担当部長 大型ディーゼル車高速道路利用税でございますが、この税は、大型ディーゼル車による首都高速道路の利用者を課税対象とするもので、その税収を環境対策経費に充てる法定外目的税として提案されております。この新税を実施した場合の環境改善効果や迂回交通の影響につきましては、予測の条件により結果が大きく異なってまいります。したがいまして、都では、今後、あらゆる角度から十分検討していくということにしておりますので、その中で対処していきたいというふうに考えております。
○中嶋委員 そういうふうにいうしかないんでしょうね。外環とか圏央道の問題とも絡んできますしね。よく検証してください。今後の取り組みを期待します。
関連しまして、ロードプライシング。条例には直接的には関係しませんが、しかし、東京構想二〇〇〇の中間まとめでも盛んにロードプライシングを取り上げているし、あちこちで東京都はやるやると打ち上げているわけですね。だから、そういう意味ではこの条例とも関係してくる。これは、実行する場合にどのような形を考えておられるのか。ロードプライシングという名前は先行していますけれども、じゃ、具体的にどこをどうするんだというイメージはなかなか伝わってきてないんですね。判断しようがない。
ある人からいわれたんですけれども、都庁に来ようと思った場合に、例えば山手線の内側を対象地域にしますと、車で都庁に来るのは間違いだといってしまえば話はおしまいなんだけども、葛飾や足立区から都庁に来る人が金を取られる。迂回すれば別ですよ。世田谷とか、中野や杉並の人は全然金を払う必要はない。同じ都民で、都庁に行くのにこんなに違いが出ておかしくないのかという話を聞きました。ロードプライシング、これほどぶち上げていますけれども、いざやるとしたらどんな形を想定しているのか、その実現可能性についてどのように判断されているのか、もしも見解があればお教え願いたいと思います。
○山本自動車公害対策推進担当部長 ロードプライシングにつきましては、本年八月、学識経験者や国等の委員から成る検討委員会を設置し、これまで対象地域や対象車種、課金時期などの個別課題について検討してきております。対象地域といたしましては、環状二号線の内側、JR山手線の内側、環状六号線の内側及び環状七号線の内側の四つの地域を検討対象とし、また、対象車種といたしましては、一部の除外車両を除き、原則としてすべての車を対象とすることを検討いたしております。今後引き続き、課金額設定の考え方や課金方式、法的根拠などについて検討を行い、実施可能な具体案を取りまとめることとしております。
ロードプライシングの実現に向けては、自動車の使用者を初めといたしまして、都民、事業者の方々の理解と協力が得られるよう、精いっぱい努めてまいりたいと考えております。
○中嶋委員 今いった検討委員会、いつごろ具体案を提示できますか。
○山本自動車公害対策推進担当部長 検討委員会の検討スケジュールによりますと、今年度末を目途に一定の取りまとめをしていきたいということになっております。
○中嶋委員 来年春ということですね。期待しております。ロードプライシングを頭から否定しているわけじゃ決してございません。都民が納得して合理的に実施できるのであるならば、検討する価値は十分にあると思っておりますので、来春の原案を期待したいと思います。
同じく、通行規制、車両規制で、ナンバープレートの末尾の数が偶数の車はきょうはだめだとか、そういう都心部への通行規制、これもロードプライシングの一環ですね。海外ではどんな事例があって、それぞれの事例について、局としてその効果に何らかの判断を持っているのかどうか、お聞かせ願いたいと思います。
○山本自動車公害対策推進担当部長 自動車交通の規制に関する海外事例でございますけれども、ロードプライシングにつきましては、シンガポール、オスロ、ソウルなどにおいて実施されており、ロンドンでは二〇〇三年の実施を目指した検討が進められております。走行規制につきましては、パリにおいて貨物車の規制時間内の通行が禁止されているほか、ローマでは大気の汚染が基準を超えた翌日に特定車両の通行が禁止されております。また、ただいまお話しございました走行規制のうち車両ナンバー規制につきましては、アテネ、マニラ都市圏、メキシコシティーなどにおいて実施されております。こうした事例は、導入の背景とか地域特性などが東京と異なっておりますけれども、東京における交通量抑制を検討する上では参考になるというふうに考えております。
○中嶋委員 首都高速に入ってくる大型ディーゼルに料金を上乗せするとか、ロードプライシングということばかり、これは僕の気のせいかもしれませんが、目立っていますけれども、全体の交通量抑制策に関しては、幅広い事例の研究を進めながら、ぜひやっていただきたいというふうに思います。ローマに行ったときも、現地の情勢を、これは都議になる前ですが、聞いたことがありますし、ソウルでもそういう議論があったときに話を聞いたことがあります。参考になります。もちろん、これは釈迦に説法でしょうが、ぜひ幅広く研究して検討をお願いしたいと思います。
もう一点、これも海外関連ですが、ディーゼルが一方的に悪者になっておりますけれども、ヨーロッパでは若干評価が違っていると。皆さん、これもご存じだと思うんですが、ヨーロッパにおけるディーゼルエンジンに関する評価について、都はどう考えているのか。それから、CO2の削減とディーゼルの関係についてちょっとご説明を……。
○松葉自動車公害対策部長 ヨーロッパで、自動車から排出されますCO2の発生量を減らすわけでございます。そういう意味では全体としては増加傾向にあるというふうに承知しております。しかし、ディーゼル車の評価は、ヨーロッパの中でも国によって違ってございます。そういう面では、乗用車の販売に占めるディーゼル車の割合が四〇から五〇%台から一けたの台数の国もございます。例えばオーストリア、ベルギー、フランスなどでは四、五〇%ぐらい。それから、イギリス、ドイツ、スウェーデンでは一〇%台、こういう評価が分かれています。それから、デンマーク、スイス、ギリシャなどは一けた台、こういうことで、先ほど申し上げましたような状況でございます。
一方、税制につきましても、ディーゼル車にガソリン車よりも多い自動車税を課しているところもございます。ヨーロッパでも、健康への懸念から、ディーゼル車の排ガス規制というのは強化が予定されています。
東京都といたしましては、大気汚染が厳しい状況にありますので、現在使われています比較的古いディーゼル車につきましては規制して、PMとか、窒素酸化物の削減を行うという考え方でございます。しかしながら、今後、ディーゼル車にも排ガス浄化装置などが備えられた車が出てくるということも計画化されているわけでございまして、排ガスが現在より相当クリーンになれば、評価が変わってくるのではないかというふうに考えております。
また、東京におきまして、CO2の削減も、窒素酸化物やPMの削減と並んで重要な課題であるというふうに認識してございます。このため、都としては、CO2の削減にも留意しつつ、自動車交通量の削減とか、燃料使用量の抑制、こういうものについては指導してまいりたいというふうに考えています。
○中嶋委員 いろいろな評価があるということですが、これもよく、ディーゼルエンジンの開発の動向をにらみながら取り組んでいただきたいと思います。
あわせて、低硫黄軽油の普及もぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。国も審議会で答申が出ていると聞いておりますので、これについてもぜひ積極的に取り組んでいただきたい、こう思います。
次に、同じ環境確保条例で、有害物質の適正管理に関係しまして、質問をしたいと思います。
昨年の第二回定例会で、私は、学校と病院にPCB使用機器が、すべての小中学校、高校、病院に保管されている、分散管理されていると、こういう質問をしたことがございます。対応を求めたんですが、清掃局で、分散管理を集中管理に改めるという答弁があっただけで、その他の局に関しては、あるいは民間保管のPCB機器に関しては答弁がございませんでした。
先日も八王子で事故があったばっかりです。具体的に条例をつくって施行するに当たって、現状、保管されているPCB機器についてどのように対応されているのか、現況をお教え願いたいと思います。
○薄廃棄物対策部長 PCBの長期保管とか、使用中機器の使用中止後の不明、紛失などによりまして、環境リスクの拡大が懸念されているところでございます。東京都といたしましては、これまでPCB保管者に対しまして、立入検査とか、具体的な保管方法などの保管基準の遵守、このような適正管理の指導を行ってきているところでございます。また、先般の八王子市の事故に対しましては、事故のあった教室の環境測定の実施とか、その実施方法、また、破損した安定器の密封保管の方法などについて指導したところでございます。
さらに、PCBによる環境リスクの未然防止に向けた適正処理を促進させるために、この六月に東京都におきまして適正処理の検討委員会を設置いたしまして、これまで鋭意検討しているところでございます。今月中にはその取りまとめをしていただいて、都への提言を受ける予定になっております。この検討委員会におきましても、PCBの問題につきまして都民の理解を十分に得るための取り組みとか、さらに処理施設の整備を促進するための取り組みなど、適正処理のために必要な都の具体的な施策について検討されているところでございます。東京都は、この検討結果を踏まえまして、今後、適正処理の促進に努めてまいりたいと思っております。
○中嶋委員 今月には最終報告が出てくると。その最終報告に従って適正処理を進めていく、こういうことですね。とにかく学校とか病院に、一つか二つという学校もあるらしいですけれども、PCB機器をずっと長年、国の通達で置きっ放しなんですね。かといって分散管理はまずいから集中管理するとなると、今度はどこに集めるんだと。集めた場所の周辺がまた反対運動が起きたりして、大変難しい問題ですが、適正処理、早急に進めるしかないと思います。
関連して、二つ、PCBの処理技術の開発の現状。化学処理がかなり進んできたという話を聞いています。どうなっているか。もう一つは、民間事業者ですね。公共施設とか学校、病院の保管状況はわかるらしいんですが、民間事業者の保管状況、また、民間事業者の適正処理についてはどのように取り組んでおられるのか。
○薄廃棄物対策部長 PCBの無害化処理につきましては、これまでは唯一焼却処理という方式だけでございましたが、処理技術の開発によりまして、平成九年以降、廃棄物処理法施行令の改正がございまして、その中で化学的な処理、十二種類の処理方法が追加されております。現在では十三種類の処理方法が認められている状況でございます。このうち既に三つの化学的な処理方式を採用した処理施設が、県知事の許可を得まして、自社で保管しているPCBの処理を行っているというような状況でございます。
また、ご質問のありました民間事業者のPCBの保管状況でございますが、先般、平成十年に国のPCBの保管状況の調査がございました。これによりますと、PCBの七割を占めるといわれています高圧トランス・コンデンサーを例にとりますと、大体都内では五千五百の事業所で約一万五千台が保管されているという状況でございます。そのうち民間の事業者の保管状況でございますが、事業者数にして約八割、保管機器にして七割が民間で保管されているという状況でございます。民間を含めまして保管事業者に対しましては、毎年、私どもの方で保管状況の報告を求めます。これと同時に、立ち入り指導などによりまして、適正な保管の指導を行っておりますが、今後とも保管場所の表示とか、飛散流出の防止措置など、保管基準の遵守等の指導の徹底に努めてまいります。
○中嶋委員 事業所数では八割が民間、個数では一万五千台の七割が民間事業所。前回質問したときも、実態がなかなかわからないと、大変難しい、紛失とかいろいろなことがあるのかもしれないという話も聞いていますので、今月中旬に出てくる審議会の結論ですか、提言をもとに、しっかり取り組んでいただきたいというふうに思います。
それから、この条例関連で一つ質問したいことがございます。地球温暖化対策関連で、温室効果ガスの排出抑制を目的として地球温暖化対策計画書、それと、建築物環境計画書の作成と公表が義務づけられています。それもそれぞれどのような内容か、また、この計画書、提出義務の対象となる事業所はどのようなものか、この二点について説明をお願いしたいと思います。
○梶原企画担当部長 地球温暖化対策計画書では、その内容といたしまして、温室効果ガスの排出状況、排出抑制の目標、さらに、省エネルギー対策など、具体的な対策の中身を記載していただきます。また、建築物の環境計画書では、新たに建築されます建築物に採用する省エネルギーと資源の適正利用、緑化などの措置について記載していただきます。
それぞれの対象でございますが、地球温暖化対策計画書では、エネルギーを相当程度多く使用するもの、百貨店、大学、事業所、もろもろでございますが、おおむね七百程度ではなかろうかと思っております。いま一つ、建築物の環境計画書の対象は、建築延べ床面積一万平米を超えるものを考えております。
○中嶋委員 これに関連してもう一つ、この両計画書を作成する際に、例えば数値目標の設定等に都はどのように関与するのかという点と、計画書が出された後の都の対応について教えていただきたいと思います。
○梶原企画担当部長 事業者が地球温暖化対策計画書を作成するに当たりましては、知事があらかじめ定める地球温暖化対策指針に基づくこととしております。この指針におきまして、定量的な目標設定のための考え方や目安なども示していく予定でございます。
また、建築物環境計画書においては、環境配慮指針を作成することとしておりまして、この中に数値目標なども設定することを考えております。
計画書が提出された後の対応でございますが、地球温暖化対策計画書では、事業者みずからが都に提出した計画書を公表するとともに、その対策の実施結果について、計画期間終了後三カ月以内に都に報告することとしております。また、建築物環境計画書では、提出を受けた後、都がその概要を公表することとしております。また、計画書の内容について、必要な場合には事業者への指導、助言を行ってまいります。
○中嶋委員 これも先ほどの自動車環境管理計画書と同じだと思いますので、運用を適切にぜひやっていただきたいというふうに思います。
もう一本、緑の保全の条例、東京における自然の保護と回復に関する条例に関連して、これも何点か質問したいと思います。
都心部の緑化、市街地の緑化、かつて、昭和三十年、四十年代に我が公明党の大先輩の神田学忠都議、局長クラスならご存じ。都議会の地震男といわれて、非常にこだわりの強い方でして、私、その当時、よくお会いしたんですよ。震災対策と緑化対策。パリへ行って街路樹を見て、これだとひらめいて、あわてて視察を中止して帰ってきた。それから東京の街路樹はよみがえったなんていう話も聞いたことがありますけれども、その当時も、大変、東京都政で緑化というのは大きな位置を占めていた。ヒートアイランド現象などがあるからでしょうけれども、最近また改めて環境局を中心に緑化が脚光を浴びてきました。改めて市街地における緑化についての基本的な考え方、局の考え方、簡単で結構ですから、ご説明ください。
○高田自然環境部長 都心部を含みます市街地の身近な緑の確保は、都市緑地保全法に基づきまして、基本的には区市町村の役割となってございます。しかしながら、緑の減少に伴い、今お話がございましたようなヒートアイランド現象が進行し、都市気候への影響が著しくなってきているというふうなことがございまして、その対応が急がれているところでございます。そこで、市街地の緑化を推進するため、屋上等の緑化指導を、都はこの四月から広域自治体として先導的に開始したところでございます。
今回の条例改正におきましても、緑化計画書等の提出を事業者に義務づけるなどの取り組みを一層強化しているところでございます。屋上等の緑化につきましては、今後とも積極的に推進するとともに、指導の実績と効果などを踏まえ、区市町村に屋上等の緑化指導の取り組みを促していく考えでございます。
○中嶋委員 わかりました。特に区市町村との役割分担をしっかりやってほしいと思うんですね。私は世田谷ですけれども、世田谷では、建設省の環境共生住宅の多分第一号になると思うんですが、区移管の都営住宅を建てかえる際に環境共生住宅をつくりまして、屋上緑化もやりました。中水道の利用も行いました。壁面緑化ももうやっているんですね。したがって、先進的な自治体では、もう既にかなり取り組んでおりますので、そういう区市町村と都の役割分担の明確化、今、取り組みを促していく、指導していくといいましたけれども、もう一歩踏み込んで、区市町村がやりやすい、さまざまな意味での環境づくりもぜひやってもらいたいというふうに思います。
今度は都民ですが、第六条で都民の責務に、都民は樹木及び樹林を保護し、その所有し、または管理する建築物及びその敷地の緑化を行いとあるんですね。義務として、自分のところの敷地と建物を緑化しなさいと、こういっているんですが、これも同じです。さっきのディーゼル規制と一緒。何らかのインセンティブがなければ、とても進まない。実効性がない。だから、条例で義務規定、責務規定を幾ら書いたところで、実効性は担保できません。したがって、何を考えていらっしゃるのか。支援策とか、助成策とか、いろいろあると思いますけれども、お考えがあれば、お聞かせ願いたいと思います。
○高田自然環境部長 改正案では、都市の緑化は行政だけではなく、都民、企業もみずから取り組む必要があるとの観点から、都民は所有する建築物や敷地などの緑化を行う責務を規定しておるところでございます。都民の所有する敷地の緑化に対しましては、多くの区市町村で生け垣緑化の助成などを行っております。今後、都は、個人の住宅でも屋上等の緑化に関する技術情報の提供などに努め、区市町村を支援していく考えでございます。
具体的な支援策ということでございますが、この四月から実施してまいりました指導の実績、それから、今後、条例を改正することによる効果、こういったことを踏まえまして、区市町村とも相談しながらいろいろ検討をしてまいりたいと思っております。
○中嶋委員 毎日新聞の一面トップに載っちゃいましたからね。これをちゃんとやらないと、都としてこけんにかかわりますから、頑張ってください。
それから、緑化緑化といっても、いろいろと限界が、僕はあると思うんですね。一つは、都市計画における諸制度との連携が必要だと。例えば地域地区の考え方、あるいは地区計画ってありますね。そうしたものとの連携を図っていかないと、建築物や敷地の緑化というのはなかなか進まないんじゃないかと思います。まして、中心市街地でオープンスペースを確保して緑化しようと思ったらば、再開発をやるしかない。そういう都市計画の手法と緑化との連携みたいなことも考えていくべきだろうと思いますが、その辺、いかがでしょうか。
○高田自然環境部長 地区計画などの都市計画諸制度は、緑のオープンスペースなどの公共空間を創出して、緑化空間を広げ、また、建築物の屋上等、緑化の導入の機会となるなどの効果がございます。ご指摘のように、これら都市計画諸制度との連携は、建築物や敷地などの緑化を進めていく上で大変有効であると考えております。現在策定中の緑の東京計画におきましても、都市計画諸制度との連携について検討を行っているところでございます。また、市街地での緑の回復策といたしまして、お話にございましたように、再開発によって生み出されるオープンスペースの活用、これは限られた中でも大変重要な方法でございます。現行の条例、規則におきましても、再開発促進地域に適用される特定街区につきましては、一般よりも高い緑地基準を定め、指導してきている、こういうところがございます。
○中嶋委員 ぜひ新しいアイデア、緑の東京計画で明らかにするとおっしゃっているんですから、期待していますが、かつて地区計画をつくったときも、中央集権的な都市計画を地域に引き戻すとか、あるいは自治体のまちづくり条例というのができて、これもかなり、住民参加の都市計画の新しい手法が始まったので評価されました。この辺で東京都から新しい都心部の緑化についての新しい手法、都市計画の制度と融合した手法を一つぐらい開拓してみてもらいたい、こんな期待を持っていますので、ぜひお力を発揮してもらいたいと思います。
最後の質問です。条例でさまざまな理念、目標が述べられています。しかし、残念ながら、一般の住民にしてみると、条例というのはなじみが薄い。読んでもなかなかいっていることがよくわからない。そこで、ベンチマークス、東京政策指標で、条例の目指すもの、条例の目的をわかりやすく都民に提示すべきじゃないかということをご提案申し上げたいと思います。
東京構想二〇〇〇の中間まとめに、もはや政策指標の例示があるわけですね。例えば、中間まとめの一二三ページには、都市環境の改善の政策指標として、ディーゼル排出ガスによる肺がんリスクと露骨に出している。それから、一二五ページには、有害化学物質対策の政策指標として、ダイオキシン類が人の体に摂取された量、暴露量というのをちゃんと出しています。さらに、一二八ページには、地球規模のテーマとして、CO2の排出量をベンチマークの一例として挙げている。さらに、一二九ページには、一年間における熱帯夜の日数なんていうのも挙げています。さらに、緑率も挙げている。これは中間まとめだから、数値目標なり、目標年次は入っておりません。しかし、今いったこれらに数値目標と目標年次を入れれば、アメリカのオレゴン州で有名な立派なベンチマークスになるわけです。東京都でもそういう政策指標をつくると、こう宣言しているわけですから、せっかく大胆な全面改正を行ったわけですから、条例の目指すものをベンチマークスとして表現して、都民にわかりやすく提示できないかと思うんですが、局長、いかがですか。
○中野環境局長 ただいまお話の東京構想二〇〇〇中間のまとめでは、政策指標については東京都の取り組みだけではなく、都民、事業者、国とともに達成を目指していくものであり、都は条例などの仕組みづくりとともに、みずからも事業を行い、必要な働きかけ、誘導などを通じて目標の実現を目指していくものというふうにされております。
こうした位置づけを踏まえますと、条例の効果についても、個別のものではなく、東京構想二〇〇〇において他の施策と合わせて的確な位置づけがなされることが重要ではないかというふうに考えております。ご指摘の点は、こうした措置も含めまして、今後とも環境行政のわかりやすく、かつ、確実な推進に努めてまいりたいと思います。
○中嶋委員 わかりました。非常に抽象的で難しい、行間の意味をよく読み取らないと理解が難しいという答弁でございましたが、わかります。ベンチマークスは政策報道ですからね。しかし、政策報道も環境局もへったくれもないわけであって、こんな条例をつくったんですから、東京都はこんなことを今考えているということをわかりやすく、東京政策指標で表現すべきですよ。ぜひそういうご努力をお願いして質問を終わります。ありがとうございました。
○寺山委員長 この際、議事の都合により暫時休憩いたします。
午後三時三十分休憩
午後三時四十三分開議
○寺山委員長 休憩前に引き続き質疑を続行いたします。
発言を願います。
○大西委員 今、私たちが直面している環境問題は、これまでその原因が工場等からが主な原因だったわけですが、それが今や私たちの暮らしと深くかかわっている。そういうことで、今回の条例の改正が行われたわけですが、中間のまとめ発表後、市民との意見交換会を二回設置し、広くパブリックコメントを求めたことを、私は今回の条例改正に向けての取り組みとして非常に評価しております。
環境問題に取り組む市民団体や市民のレベルは、本当にレベルが高く、今や一般市民も世界中の情報をインターネットで引き出せます。そういう意味では、特に環境問題は、その原因が市民生活にあるわけで、専門家だけで議論するやり方や、情報が一部の専門家の特権という時代では、もうないと考えております。市民には専門性や肩書こそありませんが、あらゆる職種や技能、生活体験、生活実感を持っています。私は、そうした市民感覚を持った人を入れた審議会こそこれから必要であり、そして、そういう市民感覚を持った人が入った審議会がバランスのとれた審議会へとつながり、さらには市民を巻き込んだ、そういう広がりを持たせることができるんだと考えております。そういう意味では、今回の条例にもこういう市民参加というものをもっと大きく打ち出す一項が入ってもよかったんじゃないかなとも考えております。
そこで、今後、さらに市民意見の反映や市民参加の仕組みを広げる必要があると思うのですが、その点についていかがでしょうか。
○梶原企画担当部長 今回の条例改正に当たりまして、環境審議会での一年有余にわたる審議におきまして、都民からの意見を聞き、その反映に努めたところでございます。今後、お話の趣旨を踏まえまして、環境審議会の審議の検討の過程において、より一層都民の意見を幅広く聞き、反映されるよう、さらに工夫を重ねてまいりたいと存じます。
○大西委員 ぜひその点をよろしくお願いしたいと思います。
次に、地球温暖化対策、フロンについて伺っていきたいと思います。
最近の新聞報道によりますと、二酸化炭素の国内排出量が、一九九九年度は前年度比四・〇%増加したとの推計結果を発表してありました。この記事の中で、増加の主な原因は、景気の緩やかな回復に伴って、生産、消費活動が活発化したため、電力の需要増加やガソリンなどの消費が伸びたことを指摘しております。このままエネルギーを使っていくことは、本当に地球温暖化という意味で、私たち人類にとっての大きな問題になってくるわけですが、なかなか地球温暖化というものが、都市生活をしている中で、危機として伝わらないということが、これが問題だと思っております。しかし、ある日突然、しっぺ返しが来るんじゃないかという、そういう、どこかでおそれながらも暮らしているというのがこの温暖化対策だと思っております。
今回、この条例の改正案で、企業の地球温暖化対策を誘導していく仕組みを入れたということは、そういう意味で本当に評価したいと思います。先ほどの質問で、条例で一定規模以上の事業所に温暖化対策の計画を立てさせて、それに基づく二酸化炭素の排出抑制を進めることが骨子となって、事業者の中身とか、実効性のあるものがどうなのかということもお聞きになりました。そこで、事業者が計画でよい目標を立て、定めたとしても、それを実行するときにおざなりにされる心配もあるわけですが、都としては、その点、どのような対応を考えているのか、お聞きします。
○梶原企画担当部長 地球温暖化対策が確実に実行されるために、条例改正案では、計画に基づく地球温暖化対策の推進、事業者みずからの公表、実施結果の知事への提出、さらにその結果の公表の規定を定めております。この手続を確実に実施するよう、対象事業者に対して指導してまいります。
さらに、公表、提出を行った場合は、勧告し、その勧告に従わない場合は、制裁措置としてその旨を公表することとなっております。
○大西委員 なかなか効果というものがわかりにくい対策だと思いますが、ぜひしっかりと取り組んでいただきたいと考えております。
次に、フロンについて伺います。
フルオロカーボンの管理についてですが、オゾン層破壊物質であるCFCやHCFCに加え、地球温暖化物質であるHFC、ハイドロフルオロカーボンについても規制対象としたことは、他県の条例と比較して一歩進んだ内容であり、高く評価しております。さらに、CFCの原則再利用禁止は全国に先駆けて実施する対策であり、生産が全廃された後も使用され続けているCFCの使用の全廃に向けて、大きく前進するものと期待しています。ことしの三月の予算特別委員会において、同僚議員の質問に対して、フロン回収システムの構築に当たっては、拡大生産者責任の考え方も取り入れ、メーカー、消費者など関係者それぞれにふさわしい役割を求めていきたいと考えているとのお答えをいただいております。このフルオロカーボンの規制をより実効のあるものとするために、フロンを使った機器に関係する事業者が広く参加するフルオロカーボンの回収破壊システムを構築する必要があると思っております。
そこで、フロン回収システムの仕組み、これはどのようになっているのか、伺います。
○梶原企画担当部長 フロン回収システムの構築に当たりましては、現在、関係業界で取り組みが行われている自主的な回収システムを活用しながら、回収事業者、消費者、メーカーなどの関係者が広く関与するシステムとして構築を進めております。具体的には、回収事業者へは適正な回収と回収実績の記録と報告、消費者に対しては適正にフロンを回収する事業者への委託を求めてまいります。さらに、メーカーに対しましても、制度の普及への協力など、一定の役割を求めていきたいと考えております。
○大西委員 条例の規制を実効あるものとするために、フロン回収の仕組みが有効に機能することがとりもなおさず必要です。フロン回収の実績を上げるために、この仕組みの普及が必要ですし、また、本当に回収したかどうかを確認する方法についても考える必要があります。どのような対策をお考えになっているんでしょうか。
○梶原企画担当部長 このフロン回収の仕組みにつきましては、ユーザーである事業者団体への個別の説明や、この仕組みに参加する事業所を公表することを通じて、多くの消費者の利用を促進していきたいと考えております。また、回収したフルオロカーボンの量の確認については、現在使用されている産業廃棄物のマニフェスト等を有効に活用してまいります。
○大西委員 この部分が一つ上乗せで取り組みが進んでいる部分だと思うんですけど、これをもう一つ制度化していくという意味では--もっと展望というものをお聞かせいただきたいんですが、ある意味で、期間とか、そういう展望をお願いいたします。
○梶原企画担当部長 事業者を中心とした仕組みにつきましては、現在、事業所を登録するような仕組みとして考えております。その取り組みの促進を現在進めているところでございまして、条例の施行に合わせまして、この仕組みも動き出すというふうに考えております。
○大西委員 これまで手がつけられなかった部分もあり、国等も動き出したということで、ある意味では、今、混乱もあるのかもしれませんが、ぜひ有効的な制度化をしていくためにも、国に対して要望するものを要望していってもらいたいと思います。フロンもそうなんですが、直接には害がない、そこで放出しても無味無臭でわからないということがあり、私たち都民がチェックしていくということはなかなか難しい問題ですけども、欧米ではもっとこれに対しては神経質な取り組みが行われていると思います。私どもも、その期間も悠長に考えずに、ぜひ早急にやっていただきたいものだと思っております。
次に、建築物の環境配慮関係について二、三伺います。
東京のエネルギー消費のうち、約半分は住宅やオフィスなど、いわゆる日常の活動が占めております。この分野での省エネルギーを進めることが大切であり、この点で、公害防止条例改正案に盛り込まれた建築物にかかわる環境配慮の措置は、新たにつくられるオフィスなどを省エネ、省資源型に誘導することをねらったものであり、東京のエネルギー消費抑制にとって重要なものと考えたいと思います。
しかしながら、今回の改正案が予定しておりますのは、先ほども触れられましたが、床面積が一万平方メートル以上の建物に限定されており、委員会に提出された資料によれば、すべての新築建築物に占めるシェアでも二割弱にとどまっています。省エネルギー施策としての実効性を高めるためには、建築物の省エネルギー化がこの条例の直接の対象建築物を超えてもっともっと広がるようにすべきだと考えるんですが、その点はいかがでしょうか。
○梶原企画担当部長 この制度では、届け出のあった計画書の概要を公表することとしております。新たに建設される建築物において、どのような環境配慮が行われているのか、広く明らかになるようになります。こうした仕組みをつくることを通じて、制度が対象とする大規模ビルで行われる省資源、省エネなどの環境配慮が、その後、新たに建築されるものについても、標準的な仕様ともなっていくように誘導してまいりたいと存じます。
○大西委員 建築物にかかわる環境配慮として重要な問題には、省エネルギーとともに、建築資材のリサイクルがあると思います。これから東京の多くの建物が建てかえをするというときでもありますし、そういう意味でリサイクルの視点が必要なんですが、ことし制定された建設資材リサイクル法では、建築物の解体などによって発生した廃棄物の分別と再利用を義務づけたものの、新たに建設される建物への再生資源の利用を義務づけておりません。再生資源の利用が進まなければ、せっかく苦労して分別し、リサイクルしても、その努力が実を結ばないことですし、市場というものが活性化しなければ、リサイクルは成り立たないわけですが、本年度において、こうした観点からリサイクル資材の利用を積極的に進めるべきと思いますが、どうでしょうか。
○梶原企画担当部長 この制度では、一定規模以上の建築主に提出を求める環境配慮計画書の指針を作成いたしますが、その中で、建築主が配慮すべき環境配慮事項の一つとして、再生資源の利用など、リサイクル資材の利用を掲げております。これを事業者が自主的に選択していくことによって、リサイクル資材の利用もさらに進むものと考えております。
○大西委員 この制度の実効性を確保するために、計画書の提出期限を建築確認の前に規定したことを評価します。制度全体を有効に機能させるためには、それだけでは十分だと思えません。どのような方法で実効性を高めるのか、最後に伺いたいと思います。
○梶原企画担当部長 計画策定のガイドラインといたしまして、環境配慮指針を作成いたしますが、この中で、具体的な対策のメニューが示されます。したがいまして、この指針の内容を広く普及することで、設計の早い段階から、環境配慮が盛り込まれるようにしてまいります。
○大西委員 では、次に、自動車公害対策に移りたいんですが、これはいろいろな方が聞かれましたので、重なる部分は省きたいと思います。
自動車排出ガスによる大気汚染、特に粒子状物質や窒素酸化物による大気汚染は、多くの子どもたちをぜんそく認定患者へと追いやり、胎児にまで影響を及ぼしているといわれております。そこで、特に車を使用する事業者というところへ、今回、自動車の環境管理計画書を作成したり、提出を義務づけたりしたこと、そういう取り組みが進んだことをある意味では評価しております。
そこで、今回の粒子状物質排出対策では、もう一つ、DPFの装着が第一の目的ではなく、低公害車の導入を優先する施策でもありますが、この条例に規定されている低公害車導入義務づけは、対象者や導入規模が極めて限られたものであり、聞くところによりますと、二百台超の自動車を使用する大規模事業者に対して、その導入目標は、車両のうち、わずか五%にすぎないそうです。低公害車の大量普及による大気汚染の防止はある意味では有効な方法でもあり、低公害車の導入の義務づけを条例に盛ったことを評価します。大量普及にはほど遠い水準を目標にしていることは、そういう意味で極めて残念なんですが、そこで、条例で低公害車の導入を義務づける意義というのを伺いたいと思います。
○松葉自動車公害対策部長 低公害車の導入に当たりまして、車種にもよりますが、高い車両価格、それから、スタンドなど、インフラの未整備があるわけです。こういう幾多の障害があることも事実でございます。したがいまして、経営基盤の比較的強い大規模な事業者による先行導入という形を考えておりまして、低公害車の市場拡大に取り組みながら、多くの事業者に低公害車を大量に普及させる契機としていきたいということでございます。
○大西委員 そのほか低公害車を使うに当たって、スタンドの問題とか、低公害車が売れないから多くをつくらないとか、そういう消極的な取り組みがあるわけですから、その辺をしっかりとこちらが一歩リードしていくことによって、都民一人一人が低公害車の導入に向けて支持する、そういう支援をぜひ求めていきたいと思っております。
今回のディーゼル車対策は、これまでより一歩踏み込んだものとして評価しております。しかし、自動車公害対策は、車単体だけの改良では済みません。自動車需要を抑制するための都市計画や交通計画からのアプローチが必要だと思います。例えば、町の中に宅配便や自販機の詰めかえで貨物車が行き来するのが目につきます。物流にメスを入れ、貨物車からの排ガスを減らすことは、大きなこれからの課題だと考えております。また、公共交通や自転車、徒歩によって快適なまちにしていく、利用を促すことも必要だと考えております。新たな道路建設が新たな車の走行を誘発していき、決して渋滞解消にはならないと、イギリスでも報告されております。そして、この環境白書によりますと、フランスやアメリカでも、一九九〇年代に大気汚染と自動車というところから、大きな交通施策の変換というものが行われているという報告もありました。
私は、これは大気汚染だけじゃないんですけれども、地球温暖化も含めて、これからまた東京都ではいろいろな道路計画が行われようとしておりますが、車中心じゃない、人、それから、公共交通へというところで、車社会がこのような交通政策を変換しているわけですから、これを謙虚に受けとめながら、今後、環境局としても道路建設にはしっかりと物をいっていく、そういう姿勢が大事だと思っております。
そういう意味で、今回の条例は、車による規制だけということでは、非常に不十分だったんじゃないかと思います。そういう道路づくりに対する提言もこの条例の中に盛り込むべきだったと考えております。ということで、今回の条例を評価するんですが、規制だけでは不十分で、今後の総合的な対策というものをひとつ伺いたいと思います。
○山本自動車公害対策推進担当部長 自動車公害対策は規制だけでは不十分とのご質問でございますけれども、大気汚染を改善するためには、ご指摘のとおり、自動車単体の規制強化だけでなく、使用抑制のための総合的な取り組みが必要と考えております。このため、本年二月に策定したTDM東京行動プランに基づき、自動車交通量の抑制を目指して、パーク・アンド・ライドの試行や公共交通機関の乗りかえ利便性の向上、代替交通機関としての自転車道網の整備など、さまざまな取り組みを進めているところでございます。今後もそのような総合性の視点から、TDM東京行動プランを推進するなど、自動車公害対策に努めてまいります。
○大西委員 ぜひお願いしたいと思います。
それから、有害化学物質に移りたいと思います。
多種多様な化学物質がいろいろな製品に含まれ、生活の隅々まであふれています。有害化学物質が人の健康や生態系に深刻な影響を及ぼすと専門家からも指摘されていますが、今回の条例改正では、新しく化学物質の適正管理を規定しています。その中で、事業者に対し、指定した化学物質の使用量等の報告を義務づける、こういう取り組みが進んだことを評価しております。先ほどの質問の中にも、一年間に取り扱う量が百キログラム以上の事業者に対するものが行われるわけですが、私が心配だったのは、この取扱量では小さなクリーニング店などが除かれるんじゃないかと思っていたんですが、先ほどの答えの中で、クリーニング業ではほぼ一〇〇%捕捉できている、カバーできているというようなことを伺いましたので、この辺は省きまして、この四月から、国のPRTR法が施行されております。国では三百五十四物質を有害化学物質として対象にしております。条例では、取扱量を国よりも十分の一に下げたことを評価したいと思います。そしてさらに、東京都の条例では五十七物質を対象としておりますが、五十七物質を選んだ理由、都内で取り扱われている使用頻度が高いものから選んだのかどうか、その辺を詳しくお願いします。
○小島参事 五十七物質を選定した理由でございますけども、確かにPRTR法の方は三百五十四物質ということになっております。都内には中小の事業者が多くありますけれども、中小の事業者にも過大な負担を与えることなく、化学物質の管理をきめ細かく行っていただき、排出基準を確実に遵守して、都内で使用される化学物質の排出量を着実に削減するためには、先ほど申しました、都内でたくさん使われている化学物質をその対象とすることが必要だと考えております。例えば、メタノールとか、ホルムアルデヒド、トルエンなど、主要な化学物質をこの中に含んでおります。
○大西委員 国と同じにしろということは、重なるわけですし、五十七物質を選んで、これだけはしっかりと取りこぼしのないように取り組んでいきたいという都の姿勢、これはわかりましたので、ぜひこの部分もしっかり進めていただきたいと思います。
次に、土壌関係に移ります。
今回の条例改正では一定規模以上の土地の改変に対し、土壌及び地下水の汚染防止の規定が盛り込まれております。土壌汚染対策に関しては、そういう意味では一歩前進と考えているんですが、しかし、こうした土地の中には、先ほども指摘がありましたが、汚染原因者が特定できないものもあります。汚染原因者でない土地の改変者に汚染拡散防止措置を義務づける理由を伺います。
○長谷川環境改善部長 土壌が有害物質により汚染されている場合、土地の改変行為によって汚染が周囲に拡散するおそれが非常に大きいです。こうした拡散による環境汚染を防止するため、条例では一定規模以上の土地の改変の際には、現に土地を改変する者に対して汚染の拡散防止の措置を義務づけることとしております。
○大西委員 土壌汚染処理には多くの費用がかかることから、処理に要する費用は汚染原因者が負担すべきである。今回の条例の場合、汚染処理の費用負担、これはどのようになっているんでしょうか。
○長谷川環境改善部長 先ほどご答弁いたしましたように、条例では土地の改変者に対して、改変に伴う汚染の拡散を防止するための措置をとることを義務づけることを予定しております。しかし、費用につきましては、原則として、汚染原因者が負担すべきものであることから、その費用を汚染原因者が負担することを妨げない旨、同じ条例の百二十一条で規定することとしております。
○大西委員 有害物質を取り扱う工場または指定作業場が廃止または除去しようとするときは、汚染状況の調査を行い、届け出なければならないと定めていますが、廃止または除去の時点をどのように市とか区は把握するんでしょうか。
○長谷川環境改善部長 条例では、工場、指定作業場の廃止あるいは建物の除却をする際には、廃止届け、あるいは変更認可申請書等を区市に提出することとなっております。したがいまして、そのような時点をとらえて土壌調査の指導等を行うこととしております。
○大西委員 廃止届け等は区市へ提出とのことですが、そうすると、条例に基づく土壌汚染の規定は区や市が行うんですか。
○長谷川環境改善部長 都では、従前から工場、指定作業場にかかわる認可とか届け出書類の審査、あるいは規制基準の遵守の指導等につきましては、区市に委任してきておりました。そのような経過から、今回の工場、指定作業場の廃止または建物除却時の土壌汚染対策の規定である百十六条につきましても、区市に移譲する考えでありまして、現在、移譲に向けて区市と協議中であります。
○大西委員 工場または指定作業場の廃止、除去時に関する土壌汚染対策は区市に移譲する予定とのことですが、土壌汚染対策は専門性が要求されます。区や市によっては専門家や技術というものが不足しているということもあり、荷が重いのではないかと考えます。また、二つ以上の区や市にまたがっている工場等や汚染の範囲が広い場合、区市単独では責任が負えなくなるおそれがありますが、そのような場合、都はどのように対応するんでしょうか。
○長谷川環境改善部長 東京都といたしましては、区市への移譲を円滑に行うため、条例で、例えば策定が義務づけられております土壌汚染の調査とか、あるいは対策に係る方法を示しました土壌汚染対策指針の作成に関しましては、区市職員の参加を得るとともに、この指針に基づきまして区市の担当職員に対する研修も行うことを予定しております。また、二つ以上の区や市にまたがっている工場等の廃止、あるいは建物除却時、もしくは汚染が広域的で、二つ以上の区市にまたがる場合などは、都も必要に応じて指導、助言を行うなど、調整を図っていきたい、このように考えております。
○大西委員 今回の条例で、土地の改変者がいろいろな原因の、汚染を防ぐための責任をとっていくというこの方針は、ある意味では効果的なものだと考えております。
次に、地下水の問題について伺います。
地下水は水道水の水源として利用されているだけでなく、非常災害時には水道水のかわりにもなる貴重な水源です。この地下水を涵養するには、雨水浸透が有効な手段の一つでありますが、今回の改正で定める雨水浸透指針でどれだけそれが推進できるのか、お聞きします。
○長谷川環境改善部長 雨水浸透指針は、雨水浸透の目的とか、対象地域、あるいは浸透の方法、施設の設置方法等、これらを主な内容とするもので、学識経験者等の意見を聞きながら作成することを予定しております。策定後は、インターネット等を通じてその内容を広く公開し、都民に積極的にPRするとともに、区市とも協力しまして、この指針に基づき雨水浸透施設の設置を推進するよう努めてまいります。
○大西委員 地下水揚水規制で定める一定規模以上の地下水揚水者に対しては、雨水浸透施設の設置を義務づけるべきじゃないかと考えるんですが、その辺はどうでしょうか。
○長谷川環境改善部長 雨水浸透施設の設置の義務づけですけれども、地下水の揚水者によっては、敷地の形状あるいはがけ地等に面しているとか、あるいは水の利用形態等から見て、雨水浸透施設の設置よりも雨水の利用など、地下水の合理化を求めることも望ましい場合が多いと思います。このため、今回の条例では、一定規模以上の揚水施設を設置する者に雨水浸透施設の設置を努力するような、いわゆる義務規定にとどめることにしました。
○大西委員 もちろん、雨水浸透ますが効果があったり、雨水の利用の方が効果があったりというのは、東京都が広いことを考えれば当然であるわけですが、今回、努力義務ということですけれども、この辺ももっと取り組みが進んでいいんじゃないかと私は思っております。
地下水保全計画についてですが、これをさらに発展させ、水循環の視点を取り入れた総合的な計画にしていくことが必要であると常々考えております。その点はいかがでしょうか。
○長谷川環境改善部長 地下水保全計画につきましては、地下水保全地域内の土地の利用の変化がどうなるか、こういうことから地下水の収支の将来動向を把握して、その結果に基づき作成することになります。したがいまして、作成の過程で必要がありましたら、当然のことながら、水循環の視点を取り入れることになると考えられます。
○大西委員 地下水のかわりの水としまして、雨水の利用をすることが適当であるときは勧告できるとしてあります。実際にはどのようなケースが考えられ、どれだけ実効性が担保できるのか、伺います。
○長谷川環境改善部長 最近、雨水の利用が各区市でも進められて、都においても、この都庁舎とか、有楽町の国際フォーラム、そういうところで雨水を貯留して中水に利用するなど、いわゆる技術的には確立されているというふうに考えております。したがいまして、私どもとしては、地下水を庭の散水あるいは池の水等の雑用水として利用している、こういうような地下水の揚水者に対しては、雨水に代替することが可能と考えられたら、雨水の貯留と利用を促して、地下水の過剰な揚水を抑制したいと考えております。
今ご指摘の実効性の確保ですけれども、今回の条例改正では、小規模な地下水揚水者に対しても揚水量の報告が義務づけられるなど、揚水量報告の対象範囲が広がることになりますので、報告内容に基づきまして雨水への転換が可能と考えられる地下水揚水者に対しては、都及び区市にも協力を頼みまして、転換を指導するなどして、実効性の確保を図ってまいりたい、このように考えております。
○大西委員 地下水保全地域指定につきましては、これまで私ども生活者ネットワークが一貫して提案してきたことであり、今回の条例によって制度化されたことを評価したいと思います。地下水は土地所有者の私水という位置づけであるため、工業用水などで涵養量を超えるくみ上げの結果、地盤沈下を引き起こしましたが、東京都の揚水規制により鎮静化してきております。多摩地域においては、平均して水道水源の三割を地下水に依存しており、私どもは、今後もこのおいしい地下水を飲み続けたいと考えております。それで、地下水を貴重な水源として飲料水用に位置づけ、それ以外の使用にはある程度の制限が必要だと考えております。市民共有の貴重な水源である地下水を保全し、飲料水用、水道水用を最優先に活用していくための施策が必要であるということを主張しておきたいと思います。
続いて、東京における自然の保護と回復に関する条例の改正について、水を中心に伺いたいと思います。
今回の条例改正では、湧水等の保護と回復に関する指針を策定していますが、どのような内容を具体的に考えているのでしょうか。
○高田自然環境部長 湧水保全の指針につきましては、都と区市町村との役割分担を踏まえながら、湧水と水路について策定する予定でございます。このうち、湧水につきましては、都市における河川の貴重な水源であるとともに、豊かな自然が残り、水路と一体となって人々が楽しむことができる大切な水辺となってございます。そのため、指針におきましては、湧水を涵養し、湧水地点を保全していくための方策を盛り込んでいく考えでございます。
また、水路につきましては、湧水と河川とを結び、水循環に寄与するとともに、歴史的あるいは文化的な遺産でもあるということがございますので、その保全の考え方などについても指針で定めていくという考えでございます。
○大西委員 聞き漏らしたかもしれません。指針の策定はいつを予定していて、その指針より湧水の保護と回復を図っていくんだと思うんですが、指針の策定に合わせて計画の策定が必要なんですが、その辺はいかがでしょうか。
○高田自然環境部長 指針の策定の時期でございますけれども、ただいまのところ、十三年度中の策定を予定してございます。また、指針におきましては、区市町村との役割分担を明確にした上で、湧水保全の基本的な考え方などを定めるということでございますが、東京都は、この方針に基づきまして、広域的な観点から区市町村に対し必要な支援を行うなどして、湧水などの保全に努めてまいりたいと考えております。また、指針に基づく計画の策定につきましては区市町村の役割になるという考えでございまして、都は計画の円滑な策定が図られるよう助言などを行っていく、こういう考えでございます。
○大西委員 では、第二章の都民及び市区町村との連携等において、指導者の育成と認定についてですが、指導者の認定の目的と方法はどのように考えていらっしゃいますか。
○高田自然環境部長 都民の緑に対する関心あるいは保全活動意識が高まる中で、学習活動やボランティア活動の機会をふやしていくことが必要でございます。そのためには、自然観察や緑化推進、あるいは緑地の保全についての専門的な知識と経験を有する人の指導、助言が欠かせないものと考えております。
お話がございました条例改正案第九条では、こうした人材を育成することを目的にしてございます。育成した指導者の活動場所といたしましては、保全地域などを予定しているところでございます。また、指導者の認定は、都が行う自然の保護と回復に関する講習会を修了した者が、都内での一定年数以上の活動経験を有する場合に、学識経験者等から成る認定委員会で選考し、初級、中級、上級の三段階で行うことを考えております。
○大西委員 それでは、現在地域活動を担っている環境学習リーダーと認定された指導者とはどのような違いがあるのか、お聞きします。
○高田自然環境部長 現在行っております環境学習リーダーでございますが、地球環境、都市型公害、自然環境などの環境問題につきまして、幅広く学習した方たちがなってございます。環境学習を中心にして地域における活動を率先して行うというものでございます。これに対しまして、今回、条例改正で提案しております認定された指導者というのは、保全地域などの緑地で学習活動やボランティア活動を行う都民に対し専門的な知識や技術の指導、助言を行う、こういうものでございます。環境学習リーダーになられた方が、この指導者認定を希望する場合には、それまでの知識と経験が生かされる認定方法を考えてございます。
○大西委員 今回の改正において、水関係施策では、湧水のみ条例化されています。担当所管が違うことはよく承知しています。しかし、本来は、望ましい水循環の形成を東京における基本施策の一つとして明確に位置づけ、都民、事業者とのパートナーシップに基づく永続的な取り組みにより、その実現を図ることのためには条例が必要である、水循環マスタープランではそう明記されているんですが、そのことが実行されるべきだと考えております。これまで水循環は、総合的、体系的、効果的な施策が必要で、独自の一本化された水循環に関する条例が必要であると、私どもは主張してきましたが、ぜひ総合的な水循環の条例、このことをしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
つけ加えて、ダイオキシンなんですけれども、今回、小型焼却炉が全面的に禁止ということになっているんですが、その実態調査を行うということで、この三月でしたか、実態調査が行われてまいりました。その結果、個人や事業者、学校等ではほとんど使われていないということですが、あと、お寺とか、前からやっていたとか、そういうところが、なかなか規制に乗りおくれている現状があるという不満が聞こえております。そういうところも、しっかり取り組めるような方法を考えていただきたいと思います。
それから、四六ページの大気汚染の予報というところで、緊急時の注意報なんですが、光化学スモッグが出たときの取り組み、光化学スモッグ、この夏にも何度か注意報として出ておりましたけれども、そのときどういう取り組みが行われているのか、余り把握しておりませんでしたので、そのことを説明していただきたいと思います。
○町環境評価部長 光化学関係の注意報、警報等の発令時点の取り組みについて答弁いたします。
光化学スモッグ注意報につきましては、オキシダント濃度が〇・一二ppm以上になった場合に発令をしております。この場合、協力工場等に対しまして、使用燃料の削減の要請、光化学スモッグ注意報では二〇%程度の削減の要請をお願いしております。そのほか、都民の方に対しましては、屋外になるべく出ないように注意していただく。屋外運動は差し控えるようにしていただく。光化学スモッグの被害を受けた人は、最寄りの保健所に連絡をしていただくという、こういう一般の方の健康影響に対する注意も周知しております。
光化学スモッグ警報につきましては、〇・二四ppm以上になった場合に発令をしておりまして、これは使用燃料の四〇%程度の削減をお願いする形で進めております。健康影響につきましては注意報と同様の措置を講じております。それから、自動車使用者につきましては、当該地域を通過しないよう協力を求めるという形になってございます。
○大西委員 最初、光化学スモッグというものが注目されたときは、本当に私たち都民も神経質になっていたと思うんですが、今は、ああ、またかという思いがしているんですけど、環境基準、警報のときは〇・二四ppm、注意報が〇・一二ppmの基準は何を基準として出しているのか。
○町環境評価部長 光化学スモッグ注意報につきましては、オキシダントの環境基準が〇・〇六ppmでございまして、これの二倍の値になったときに発令しております。
○大西委員 それで、今、注意報と警報のとき、工場とか、事業者のところへの四〇%、二〇%の基準、そして、自動車の走行に関しては避けるようにという指導等が行われておりますが、その効果のほどというものは出ているんでしょうか。
○町環境評価部長 光化学スモッグ注意報が発令されて、それが解除になるまでの時間ということが一つの目安になってこようかと思いますけれども、これにつきましても、発令した当日の気象状況等によりまして、かなり大きな影響を受けるような実情がございます。それで、協力工場につきましては、私どもの方に協力いただいている状況が、コンピューターで報告をいただけるようになっておりまして、それによって確認をしております。
○大西委員 ありがとうございました。今回、日本での光化学スモッグ注意報が出たりしたときには、工場とかそういうところしか、ある意味で規制というものがないわけですが、この原因をつくっているものも自動車ということも考えられます。フランス等では、二酸化硫黄や二酸化窒素、オゾン、つまり、光化学スモッグに対し、どれか一つでも基準をオーバーするようなときには交通規制を行って、そして、それに伴って、パリなんかでは、ここに書いてあるんですけれども、バスや地下鉄が無料になるというような、本当に大幅な交通施策の転換というもの、車依存でない施策への転換というものが進められていると思います。今回の条例はいろいろなところにわたりまして、これまでよりも進んだ取り組みというものが評価できるわけですが、最後、この目玉でありました交通施策に関しましては、単に車の規制でなく、もっと都市交通のあり方全般からもそれを条例の中に盛り込むことが必要だったのではないかなと、その点が少し残念だと思っております。
質問を終わります。
○吉田委員 長時間になりますが、どうぞよろしくお願いいたします。
公害防止条例にしても、自然保護条例にしても、全面的な改正で大変なご苦労があったと思いますし、また、きょうの委員会に向けて、詳細な資料を準備してくださいまして、ありがとうございました。私は、公害防止条例の全面改正のうち、先ほど、かち副委員長が行いましたが、地球温暖化対策と自動車公害対策を中心に、しかも、この間既に議論がされておりますので、できる限りダブらないように、簡潔な質疑をしたいと思います。
公害防止条例の目玉は何といってもディーゼル車に対する新たな規制問題であります。我が党も以前から繰り返しこの問題は要望してきた経過もありますし、貴重な前進をつくり出すものだと思っております。ただ、やはり二十一世紀にわたる公害防止あるいは環境保全の施策ということから見ても、また、東京の深刻な現状から見ても、現状よりましということではなくて、本当に深刻な現状を打開するにふさわしい目標を持ち、かつ、先ほどからも議論がありますが、真に実効性があるものにしていくことが求められているのではないかなと思います。
まず、地球温暖化対策についてであります。COP6が結果的に不成功に終わったということが大きな社会問題になっておりますけれども、本当にこの地球温暖化対策は、私たちが真剣な努力を傾けなきゃならない分野ですし、とりわけ日本の場合には、先進国で見れば、アメリカに次いで第二のCO2の排出量を持つ国である。また、東京都の資料でもありますが、東京だけで見ても、他の国々と並ぶだけの生産量を持つわけですから、東京自身のCO2の排出量をいかに抑制するかということは、国際的にも大きな比重を持つ分野ではないかなと思います。
私がこの分野で述べたいことは二点あります。一つは、本当に深刻な実態、そして、それを真に削減するにふさわしいような指針や計画書の作成にすべきであるということが一点目です。二つ目には、CO2を真に抑制するにふさわしいような対象事業所の枠組みになっているのかどうかという角度から質問させていただきます。
まず、質問の第一点目ですが、これはいうまでもないことなんですが、指針や計画書を作成する前提として、ローカルアジェンダともいわれる地球環境保全東京アクションプランが示した、一九九〇年比六%削減という目標達成が、指針や計画書作成の前提であるというのは当然のことだと思うんですが、まず、これをちょっと確認させてください。
○梶原企画担当部長 東京都におきます地球環境保全対策の東京アクションプラン、一九九八年、平成十年に作成してございます。これに基づきまして、都における地球環境保全対策を行っているところでございますが、今回の条例に関しましては環境審議会の審議を踏まえまして、温室効果ガスの削減対策として事業活動をどのように改善してもらうのか、その仕組みとして考えたものでございます。
○吉田委員 説明がありましたけれども、大もとは六%削減をいかに達成するのかというのが土台であることは間違いないんでしょう。
○梶原企画担当部長 アクションプランの内容としてご紹介いたしましたとおり、六%削減を東京都の目標としてございます。
○吉田委員 したがって、そういう六%削減を真に実行する立場から、私は、指針も計画書もつくられるような内容にならなきゃならないと思うんですね。しかしながら、先ほども話がありましたが、最近の通産省の発表を見ても、昨年のエネルギー消費は過去最大だった。そして、CO2の排出も前年比で三%を超える増加であったということになっているわけですが、厳密に中間的な今の評価というものは下すことができないかもしれませんが、現状では、この資料で出されている数字を見ても、減らないどころか、残念ながら、増加傾向は否めないというふうに見ざるを得ないんですが、現時点での目標に対して、六%削減のめどといいますか、見通しというものは、その方向に進んでいるのか、相当頑張らなきゃいけないのか。もし予定どおり進んでいないとしたら、どんなことが問題点として挙げられるのか、ご答弁をお願いいたします。
○梶原企画担当部長 国におきましては、新聞報道等もございましたとおり、一九九七年、九八年、両年度の二年間は減少でございましたが、一九九九年度におきまして増加に転じております。都独自のデータはただいまございませんが、現時点では、都の中でも六%目標の達成は大変厳しい状況にあると認識しております。その理由といたしましては、都のデータはございませんので、確たるものは申し上げられませんが、一般的報道でいわれているような、景気の回復等があって増加に転じたのではないかと。また、総合的に申せば、一層強い対策が必要だろうというふうに考えております。
○吉田委員 したがいまして、先ほどからの質疑を聞いておりますと、私が心配していた指針あるいは計画書の中では、CO2の削減について明確な目標を持たせるという旨のご答弁だったというふうに受けとめたんですね、もし違っていたら後で訂正してほしいんですが。目標を持たせることは私どうしても必要だと思うんです。その際、目標の設定が、自分たちの営業活動なりそれぞれあるわけですから、その枠内でというんじゃなくて、先ほどもお話があった、全体として六%削減にそれぞれの事業所がどう努力をするのかという立場に立った目標が誘導される。また、そういう努力が促されるような指針なり計画書にすべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
○梶原企画担当部長 事業所に求めます地球温暖化対策計画書の内容でございますが、当然のことながら、温室効果ガスの抑制を目標として定めていただきます。しかしながら、お話にもございましたように、企業そのものは、さまざまな事業分野、さまざまな特性を持っております。その特性に応じた形で、さまざまなメニューの中から具体的な省エネルギー、省資源の取り組みをしていただくことが、最も結果として確実な成果を得るものであると思います。機械的に六%削減目標というシーリングを設けることは、例えば事業活動そのものが事業所によりまして大きく拡大するものもございます。そういった状況を勘案すれば、機械的なシーリングというのは無理だろうというふうに考えております。
○吉田委員 私は、別にすべて一律、機械的というふうにならないことはもちろんあり得ると思うんですよ。しかし、現実に、六%の目標を掲げたにもかかわらず、現時点では、その見通しがついたといえる状況じゃないと。そういう点では、本当にそれぞれ、いろいろな営業的な状況があると思うんですが、大きくいえば、全体としていかに六%削減にそれぞれの事業所ごとに努力をするのかという枠組みをどれだけ東京都が率先してつくり上げ、誘導していくのかという努力というのは、当然のことだと思うんですね。
次に、計画書の作成対象に話を進めますけれども、やはり全体としてCO2の削減を抑制しようとすれば、計画書の作成を義務づける対象が真にそうしたCO2排出全体をカバーできる対象となっているのかということが検討の対象になると思うんですね。事前の説明では、原油換算で年間千五百キロリットル、あるいは電力量で六百万キロワットを対象とするということで、具体的な事業所数がどれだけになるかということが資料の中に出されております。率直に疑問に思うのは、これが事業者じゃなくて、事業所というふうに条例で規定していることなんですね。よくよく聞いてみましたら、企業全体に対してではなくて、一つ一つの施設、箱物を対象にして、この計画書の提出を義務づけるということになっている問題です。
例えば、資料によりますと、運輸は、CO2の排出に占める割合が非常に高い分野だと思うんですが、その中で、十二事業所というふうに内訳が資料で書かれております。この十二の中には、いわゆる大手の運送業者というものは入るんでしょうか。また、十二というのは、具体的に今の段階で説明できるとしたら、どういうところが対象になっているんでしょうか。
○梶原企画担当部長 運輸業の中身でございますが、いわゆる運送業者はほとんど入らないものと考えております。(吉田委員「じゃ、十二って何なのかということ。いえる範囲でいいです」と呼ぶ)施設に着目して、数えてございます。
○吉田委員 ですから、全体のCO2の排出量の中で、運輸という分野は非常に高いんですね。四割近い比率を占めていると思います。その中で、さらに見れば、鉄道もあるでしょうが、やはり自動車輸送がさらにその中で大きな比重を占めている。当然、その中には大手の運送事業者も入ると思うんですが、しかし、今回の計画書の対象には入らない。十二について具体的説明がありませんでしたけれども、多分、運送業にかかわるオフィスビルというようなところが対象になると思うんです。しかし、現実には、運輸部門というものが、今もいったように、大きな比重を占めていると思うんですが、これは違いますでしょうか。
○梶原企画担当部長 統計によりますと、運輸部門が全体のCO2排出に占める割合は四割弱でございます。
○吉田委員 そうすると、一番肝心な部門が、この計画書の策定では対象にならないということになるんですが、これはなぜこういうことでよしというご判断をされたんでしょうか。それとも、別途別な方策があるんでしょうか。
○梶原企画担当部長 審議会からご答申をいただきました今回の仕組みの対象は、固定発生源と申しましょうか、事業所、施設に着目して、その事業所の活動の中で、どのように環境への負荷低減を進めるかという考え方に立ってございます。したがいまして、運輸部門のような移動発生源についてはその範囲に入ってございませんけれども、本条例の中全体といたしまして、運輸部門については自動車環境管理計画書の作成を通じまして、別途対象とするというふうな構成をとっております。
○吉田委員 自動車は自動車で計画書を出すことは、私ももちろん承知していますが、ただ、その中は、先ほどから話がありますが、例えばCO2の抑制目標みたいなものは、担当部長さん、かわるかもしれませんが、自動車の方の計画書、あるいは指針の中では、CO2の抑制などについて目標明記を求めるということは入るんですか。
○梶原企画担当部長 自動車環境管理計画書の内容はまだ検討段階でございますけれども、一例といたしまして、自動車の走行の抑制などの項目も入ってございます。こういったものを通じまして全体として二酸化炭素の排出抑制についても留意していくという考え方でございます。
○吉田委員 もちろん、全体はそういう方向に向かうことは明らかでしょうが、そういう一般論じゃなくて、きちんとしたCO2削減の目標を持たせるというぐらいの拘束性が担保されていれば、私もあれこれいう必要はないんですが、どうですか、担当の方としては。
○松葉自動車公害対策部長 自動車から排出されます物質には、今、ご指摘のように、CO2、窒素酸化物などがあるわけです。その中で一律的にぴたっと何%削減というのはなかなか困難な状況にありますが、燃料使用量とか、そういうものを可能な限り減らすような方策、あるいは低公害車の導入の目標などを示すことによって、全体としてCO2を減らすような効果が期待できるというふうに考えております。
○吉田委員 地球温暖化対策としての計画書の方は、移動発生源でなくて、あくまでも固定発生源に限ったものだというご説明なんですけれども、それにしても、今、私は、運輸部門、大手運送業者だけを例に挙げましたけれども、本当に六%削減という目標が全体としてカバーされるような方向で、もし他の計画等でカバーするならば、それはそれで、大いに、今これで確定している話じゃなくて、今後、努力にゆだねる部分もあると思いますから、本当に東京の温暖化を抑制するという責任を持って検討し、努力をしていただきたいということを述べまして、次の建築物について若干質疑をさせていただきます。
それで、これもいわば指針と計画書という関係の話になるわけですが、資料によりますと、建築物については、どのような指針が準備をされているかという大まかな項目が資料の一ページに書かれております。自然エネルギーの利用、省エネルギー、水の有効利用、再生資源の利用等、建物敷地内の自然環境の保全・回復と。ただ、この点で、例えば市民案という公害防止条例の独自案をつくったり、研究している団体である環境ウオッチ東京というところから、例えば、計画書が、○○の対策をとったというふうなことだけにとどまらないで、これは温暖化対策、CO2とつながる話ですけれども、○○の措置により、例えば何%削減いたしますというような、かなり踏み込んだところまで誘導するような指針あるいはそういう計画書にすべきではないかという意見が寄せられているんですが、この点ではいかがでしょうか。
○梶原企画担当部長 計画書の中身は、さまざまな形での環境配慮項目のメニューをお示しいたしますが、単に項目だけではなく、その項目ごとに必要な削減量が計算できるものについては、そういったものについてもあわせてお示しをしたいと考えております。
○吉田委員 ぜひ積極的な誘導促進効果の上がるようなものにしていくべきだと思うんです。
次に、先ほども議論になっておりました対象、すなわち特定建築物ですか、これは床面積で一万平米ということなんですが、私もどうしてもこの点は、なぜ一万平米なのか。例えば三千平米あるいは五千平米というふうなことは検討された上でこういう結論になったのか。なったとしたらなぜなのかということをご説明をお願いいたします。
○梶原企画担当部長 これからの環境配慮、建築物の中にどのように取り入れていくかと考えた場合に、最先端の技術、そういったものについて一層進めていく、それを誘導していくことが重要なポイントだろうと思っております。そういった意味で、一万平米を超える床面積を持つ建築物は、これからも建築物としては最先端をいくものであるという認識がございます。そういった意味で、一つのモデルとして、環境配慮項目をこういった建築物で示していただくということは非常に影響が大きいだろうというふうに考えております。また、あわせまして、建築物に対する環境配慮については、既に区市におきましても独自にさまざまな制度を工夫し始めております。こういった中で、東京都が上から細かい規制を一斉にかぶせるのではなく、一万平米という規模でこの制度をスタートさせるということは適切だろうというふうに考えました。
○吉田委員 モデル的、あるいは誘導的な意味合いがあるんだということかもしれませんけれども、例えば、大規模なオフィスのごみのリサイクルということが何年か前に大きな問題になったときに、この東京都として直接大規模なオフィスビルに対しては立入調査なり、指導するということが始まりましたね。この床面積は、最終的には、たしか一千平米以上というところまで下げられたと思うんですね。片や、現実的に東京都が直接的に大規模な建築物に対する誘導指導という点では、そういう事例もあるんですから、私は、東京都は最新の大きなものだけで、あとは区市町村等ということではなくて、これはまだまだ検討の余地があるのではないのかというふうに思います。
同時に、たしかこれは住宅局の施策だと思うんですが、循環型社会住宅というような整備指針をつくって、そういう方向に住宅を誘導するというふうな施策だってあるわけですね。こういうものは、現実的に一万平米のような大規模のものじゃなくて、もっと小さいものもあると思うんですが、そういう一万以下のものをどういうふうに誘導していこうとされるのか、もし何かお考えがあったら。
○梶原企画担当部長 お話がございましたように、環境行政は、関係局のみではなく、都政全般でさまざまな角度から取り組むべきかと存じます。そういった意味で、住宅局の指針もございましょうし、私どものこの制度もあるというふうに考えております。したがいまして、建築物すべてを直ちに対象とするのではなく、まず、先ほどの繰り返しになりますが、一万平米の対象のものについて実質的な取り組みをお示しいただき、それを公表することによって広く世の中にさまざまな取り組みをならっていただくというふうに考えております。
○吉田委員 あと、この問題の関連で、二十四条で、具体的な指導の基準といいますか、書かれているわけですが、必要があると認めるときという極めて抽象的な文言になるわけですね。二十五条の勧告で、必要があると認めるとき、必要な指導及び助言ということになっていますが、ケース・バイ・ケースですから、一概にご答弁できないかもしれませんが、必要があると認めるときというのはどういうようなケースを想定されるのか。必要な指導及び助言とはどういうものが考えられるのか。また、二十五条、勧告の必要な措置を講ずることができるというものは、例えば、その建築確認を認めないというふうなことまで踏み込むことができるのか、それ以前なのか、この点についてご説明をお願いいたします。
○梶原企画担当部長 この制度の考え方は、従来の工場公害規制と異なりまして、規制基準を設けてそれに違反したものを摘発するという形ではございません。あくまでも、環境負荷低減の仕組みは、事業者が関係の諸法規をクリアした上でも、さらに高い水準の環境配慮の自主的な取り組みを求めるものでございます。そういった意味で、個々の取り組み内容の選択が事業者に任されておりますが、その任せ方も、単にメニューのどれでも選んでいいということではなくて、それぞれのメニューにつきましても重みがございます。そういったものもお示ししながら、的確に実効性のあるような取り組みをお願いするものでございます。
したがいまして、その取り組みの内容が、例えば都の方で指導しているような内容にもとるようなもの、そういったものがあれば、ここで記載しております指導、助言の対象となります。しかしながら、既に諸法規をクリアした上での建築行為でございますので、建築確認ができないというようなことはございません。
○吉田委員 じゃ、この事項の最後に、また一万平米の話に戻るみたいで恐縮ですけれども、例えば、一団地で複数の建物を建てて、一団地の住宅をつくる。あるいはまた、特定街区のような形で、まとまった形で何棟かのオフィスビルをつくるというときに、合わせれば、はるかに一万平米を超えるんだけれども、例えば八千と八千、二棟だったということになれば、両方とも対象からは外れる。しかし、事実上一体の計画であるというふうな場合にも、計画書の策定が求められるような、むやみに拡大はできないかもしれませんが、明らかに一体のものであることについては対象とするような工夫というのはできないものなんですか。また、そういうことは検討されなかったんでしょうか。
○梶原企画担当部長 先ほど来申し上げておりますように、建築物に対する環境配慮は、大変技術面で専門的な部分がございまして、その建築物の規模によりましてその配慮についてもかなり異なってまいります。そういった意味で、一万平米超ということで定めました対象について、例えば五千平米、五千一平米というようなことを対象にいたしましても、いささか配慮項目が異なってくるのではないかと思います。他の開発行為の規制等と異なりまして、この制度を逃れるために平米数を落とすとか、そういったことは恐らくなかろうと私どもも予想しております。
○吉田委員 私は、明らかに一体の連担した開発等の場合には、そういうところまで及ぶようにする方が、現実に東京の環境保全を促進する上では、より現実的であるべき姿ではないかということを改めて問題提起として述べさせていただきます。
次に、自動車公害対策の一つの柱であります低公害車の問題について質問させていただきます。
地球温暖化対策等から考えてみれば、低公害車の導入というものは、これまで以上に重視をされなければなりませんし、こうした条例改定で、改めて低公害車対策を盛り込むからには、その導入しようとする目標が適切なのか否かとか、あるいはまた、そういう低公害車を真に導入を促進するような方策になり得ているのかどうかということが検討課題になるかと思うんですが、まず最初に、たしか義務づけ対象は二百台以上の自動車を使用する者に対して、その五%を低公害車にすることを、何年間かけて促すというものだと思うんですが、具体的には、これでどのぐらいの低公害車の導入が図られるというふうに予測されているんでしょうか。
○松葉自動車公害対策部長 二百台以上使用する事業者、百五十程度、今予想しています。ここで所有している車は大体十万台で、そういうことでいけば、五千台ぐらいかというふうに考えております。
○吉田委員 もちろん、この義務化だけで、すべて低公害車の導入促進を図るというものではなくて、全体の低公害車導入促進策の中の、あくまでも一部分だと思うんですね。一部分であるんだけども、非常に大きな比重を持つ一部分だと思うんです。そこで、先ほども話がありましたが、五%で約五千台ということが適切なのか、もうちょっとふやせなかったのかというふうに私たちは思うわけです。しかも、資料でも出されておりますが、いわゆる四大低公害車というふうに見れば、いまだに導入状況というのは、約四千七百台ですか、五千台弱になりますね、資料を見ますと。合わせても、一万台になるかならないかという単純計算をするわけですね。なぜ五%という設定をしたのか。もともと大きな低公害車導入目標というものがあって、それを達成するために何%にするんだというふうにあると思うんですが、なぜ五%ということにしたのか、あるいはそれは全体の低公害車導入目標をどれだけ見据えてしたのかお答えください。
○松葉自動車公害対策部長 五%につきましては、現在考えている状況を五%程度にしたいということでございます。その根拠といたしましては、現在、二百台以上使用している事業者の低公害車の導入率が一%程度、これを平成十七年度中に五%まで引き上げていきたい、こういう考え方でございます。これは義務化でございますので、最低限こういう数字を確保してほしい、こういう内容でございまして、いま少し指導なりの目標としては、私どもとしては考えていきたい。
また、この検討に当たりまして、低公害車をどのくらい普及できるのか、こういうところが実は悩ましいところでございます。そういう意味では、現在検討している私どもの頭の中では、大体十七年度に、CNG車、LPG車等の低公害車を四万台ぐらい普及したい。そういう方法として、この大量導入の義務づけも位置づけますし、また、先般、低公害車を普及するための新市場創造の戦略会議、こういうところでも二百社程度の事業者が大体一万台ぐらい導入を図ってもいい。こういういろいろな施策を講じる中で、四万台というものも一つの可能性があるのではないかというふうに現在考えているところでございます。(吉田委員「四万台というのは十七年ですか」と呼ぶ)はい。
○吉田委員 二つ疑問に感ずるわけですけれども、四万台を何とか全体としては目指したいという中で、今回、五%で、五千台という点では、果たしてそれで四万台が大丈夫なのかなというのが一点の疑問です。
もう一つは、高ければいいということを、もちろん、そんなに単純にいえないことだと思うんですが、そもそも東京都がこの間明らかにしている、例えば、平成九年の自動車公害防止計画で見れば、本来でいえば、十二年度、今年度中に四大低公害車八万台と、その他LPGなどを含めると三十一万台という計画なわけですね。先ほど、地球温暖化の議論をさせていただきましたけれども、地球環境保全アクションプランの中では、そもそも低公害車は、従前のそういう十二年度三十一万台、十七年度、その他含めて七十万台ということを想定してCO2の削減というものをちゃんと織り込んでいるわけですよ。そうしますと、現時点では、平成九年の自動車公害防止計画で出された十二年度四大低公害車八万台、十七年度十三万台という計画は、見直しをするということなんですか。
○松葉自動車公害対策部長 ご指摘のように、平成九年の自動車公害防止計画では、そのような目標を当時設定したわけでございます。しかしながら、その後の状況を見ますと、ご指摘のように、十分な数とは私どもも思ってございません。そういう中で、今回、全国初めてでございますが、低公害車の導入を義務づけしたのも、このような状況を勘案して、ぜひとも何とか普及をしていきたい、こういうことの思いが一方ではあるわけでございます。そういう中で、この目標の設定と、今まで、先ほどお話ししました、中小事業者の方へもこういう目標を示しまして、義務づけではございませんが、努力義務を課す中で、低公害車の普及にも努力していただきたいというお願いをするつもりです。そういう中で、どの程度の普及が図れるのかという観点から、先ほど申し上げた数字が出てきたということでございます。
したがいまして、現段階では(吉田委員「要するに、見直したんですか」と呼ぶ)まだ見直してという、正式ではございませんが、内部的にそういうレベルを確保できるのではないかということで、お話の、計画どおりにいかないというのは事実でございます。
○吉田委員 計画どおりいかないということを僕は指摘したわけじゃなくて、地球温暖化等をやろうとすれば、このぐらいの低公害車が必要だということで、多分計画を出されたと思うんですね。それを、最終決定じゃなくて、内部的に検討しているけれども、四万台ということになると、もともとは平成十七年、十三万台ですから、相当大幅に目標を下げるわけですね。それで、CO2六%削減を初めとする一連の東京都の計画なり、目標と本当に整合性がとれるのか--実情は実情としてですよ--という疑問が、率直にあるわけですから、これはぜひもっと具体的に検討すべき課題ではないのかなと。同時に、五%ということではなくて、全体の何万台かの低公害車導入計画作成の中では、この義務化というのは非常に大きなウエートを占めるわけですから、もっと努力していただけないものかということを思います。
この低公害車の最後に、欧米等の中では、もっと低公害車の導入が促進されている国なり、諸都市があると思うんですよ。例えば、カリフォルニアなどの場合には、合衆国全体と同時に、独自のさまざまな規制なり促進策をつくって努力をしているというふうに、部分的ですが、聞きました。その中では、例えば、カリフォルニアの場合には、製造メーカーに対してまで、製造する自動車台数のうち、低公害車をどれだけ、少なくともつくりなさいというぐらいの枠組みまで決めていると。それがすぐ東京でできるかどうかはわかりませんけれども、それぐらいの思い切った措置をしないと、なかなか促進しないのもまた事実なのかもしれません。
そこで、例えば販売会社に対して、販売する自動車の中で、少なくとも低公害車、一割ぐらい販売すべきだとかいうふうな誘導策といいますか、そういうふうなことは踏み込んで検討できないものなんでしょうか。
○松葉自動車公害対策部長 ご指摘のように、カリフォルニア州では低公害車の販売を州法で義務づけを行っております。今回、低公害車の普及策を検討する中で、販売会社に対する義務化、こういうものをどうするかという議論もございました。その中で、一つは、低公害車を買う人がいて、それで販売が成り立っているという現状もございます。そういう中では、第一義的には使用するユーザーへの義務づけを行う中で、販売が促進されるような形の考え方を今回はとったということでございます。
しかしながら、販売会社に対して全くそういう低公害車についての導入促進というものが何もなくていいのか、こういう形では考えてございません。そういう中では、今回、低公害車の販売の状況について報告を求めることにいたしました。また、低公害車そのものが開発であるとか、またはメーカーとしての役割というものも十分あると思いますので、そういう点につきましては、メーカーに対しても強く低公害車の普及促進策を求めていきたいというふうに考えております。
○吉田委員 いずれにせよ、今年度当初目標で八万台というのが現実的には五千台未満という、この間の現実の経過があるわけですから、皆さん方もさまざまなご努力は、東京都を挙げてしているんでしょうけれども、その一環として、今回、条例の改定の中で、こうした条項も盛り込んだんでしょうけれども、かなり思い切った誘導策あるいは支援策ということをさらに拡充して取り組んでいただきたいということを述べまして、次に、排ガス規制の問題に移らせていただきます。
これまで見過ごされてきたディーゼル車のいわば使用過程車に対して、新たな基準を設けて、それが未達成な車に対しては、DPFの装着を義務づけるということで、浮遊粒子状物質に対する本格的な規制に乗り出すということは当然重要なことだと思うんです。しかし、東京の置かれている、全国と比べてみても最も最悪な事態を解決するためには、本会議の私どもの一般質問で提起しましたけれども、浮遊粒子状物質の国と都の基準値がこれでいいのか。また、乗用車が対象から外されておりますけれども、これでいいのか。さらに、浮遊粒子状物質が中心的な施策になっていますが、窒素酸化物についても引き続き深刻な事態であることは変わらないわけですが、そういう点はどう対策をとろうとするのか。また、先ほどから話がありましたトータルでの自動車交通量、総量規制をどう進めていくのかという立場に立って、何点か質問させていただきます。
初めに、最近の名古屋での公害裁判の判決、さらにその後、尼崎判決での和解が成立するという事態が相次いで起きました。いずれにしても、道路管理者としての国の責任を厳しく問い、しかも、排出の差しとめ、あるいは交通量の規制まで踏み込むという画期的な内容になっているわけですが、これは単に国の責任が問われるだけではなく、同じように道路管理者あるいは環境行政を進める東京都としても、従来のこれまでの行政のあり方そのものが問われているということがあると思うんですが、初めに、そうした最近の一連の公害裁判の判決あるいは和解ということを、どのように東京都として受けとめられているのか、基本的な見解をお伺いしたいと思うんです。
○松葉自動車公害対策部長 最近、相次いで二つの公害訴訟関係の判決あるいは和解がなされたわけです。これは、自動車排出ガス対策における国や自治体の取り組みについて、厳しい行政責任を問うものというふうに認識してございます。東京も裁判の当事者としてあるわけでございますが、東京の大気汚染も非常に厳しい状況にございます。こういう観点で、都民の健康を守る立場にある東京都といたしましても、大気汚染を改善するために、自動車排出ガスに積極的に取り組み、ぜひ大気汚染を解決していきたいというふうに考えてございます。
○吉田委員 やはり一連の裁判の結果というのは、どうしても道路行政が優先される。経済との調和という話もありますけれども、結果的には調和の名のもとに、経済的な利益が優先されて、沿道住民の健康が二の次三の次にされてきたという、そういう行政のあり方そのものを根本的に転換を図る。とりわけ沿道の環境、住民の命と健康というものを第一義的に据えてかからなければならないということが、私は、問われているのではないのかなというふうに思います。
しかも、資料にもありますけれども、例えば浮遊粒子状物質の差しとめが出された値で見ると、平成十年度の場合には東京でも八カ所もあったということがあるわけですから、本当にそういう意味で東京都自身が真剣に、一連の公害裁判の判決、あるいは和解を受けて取り組むことが求められていると思うんです。
それで、具体的に、公害防止条例のメーンは自動車公害対策だと思うんですね。それが、この間の条例制定以降の大きな変化だというふうに受けとめていると思うんですが、対策を立てるからには、原因をどう見ているのかということがまず前提として確認されなければならないわけですが、東京における窒素酸化物にしても、浮遊粒子状物質にしても、長期にわたってなかなか環境基準が達成されていないと。全国的にも非常に異常な事態にあると思うんですが、その主な原因というものをどうとらえているのか、ちょっと基礎的な点になりますが、ご答弁をお願いいたします。
○松葉自動車公害対策部長 大気汚染が改善されない理由でございますが、その主な理由と申しますか、原因はディーゼル車を初めとする自動車保有台数の増加、それから、自動車走行量の増大、それからディーゼル車に対する排ガス規制の効果の不足、こういうようなことが考えられます。
○吉田委員 私は、原因をどういうふうにつかむかという点で、非常に印象深かったのは、東京都環境白書の中で、さまざまな問題があるわけですけれども、日本の排ガス規制が余りにも欧米諸国と比べて甘過ぎるというのが第一に挙げられております。したがって、当然、この対策をとるときには--これは石原知事名で出されている文章ですが、本当にそういう、日本が欧米と比べて余りにも規制が甘過ぎる、とりわけ粒子状物質については、そもそも長年にわたって本格的な規制がされなかった。規制が始まったけれども、欧米と比べたら非常に甘い。そういうことが第一に原因として書かれているんですが、それならば、今回の公害防止条例の改定に当たっては、その甘い規制を真に欧米並みのきちんとしたものに確立するということが当然の課題だというふうに思います。
しかし、資料の一一ページに、欧米でのディーゼル車へのPM規制基準というのがあります。現在というものを比べてみますと、日本が、長期規制ですか、〇・二五に対して、既にEUは現時点で〇・一、アメリカは〇・一三四。現時点で二倍以上の日本の場合には緩さがある。さらに、将来はどうなるかというと、これが埋まるのかというと、残念ながら埋まらないわけですね。日本の場合には、〇・一八というのは新短期ですか、新短期〇・一八に対して、EUの方は〇・〇二、一けた違うという感じなわけですね。アメリカの場合も、〇・〇一三と、十倍以上、既に将来については開きが生まれる。
したがって、本当に私は、もちろん東京都だけの努力では、なかなか実現が難しいのかもしれませんが、環境白書が、自動車公害対策の排ガス規制の大きな問題として、欧米よりも甘い日本の規制値というふうに分析するからには、対策を立てる。しかも、それも二十一世紀の将来にわたる対策を立てるならば、当然欧米並みの規制値を目指すというのが本来の姿勢ではないのかなというふうに思うわけです。
しかも、今回の場合には、わざわざ条例の施行まで二年間の猶予期間があります。さらに、直接的猶予期間としては、新車登録から七年間の猶予期間があります。その上、基準値は欧米等から比べてみても十倍あるいはそれ以上に緩い規制をかけると。なぜこういう規制にならざるを得ないのかというのが素朴な疑問なんですが、ご答弁をお願いします。
○松葉自動車公害対策部長 今、ご指摘のございましたヨーロッパあるいはアメリカの排ガス規制の数値でございます。これは製造するときの新車にかかる基準でございまして、したがいまして、ヨーロッパのユーロ法といわれているものについては、二〇〇五年ぐらいからそういう数値がかかるわけでございます。現在は〇・一という、二〇〇〇年からの数値だと思いますが、そういう中で、東京都といたしましては、国に対して新車の排ガス規制について、かねがね強化について要請してございます。そういう中で、一つは、ユーロ法並みにPMの基準を新車について設定してほしい、こういう強い要請を行っております。また、そういう中で、東京都がディーゼル車対策を行う、またはやりたい、こう表明した以降、国は平成十九年から強化する予定の排ガス規制を十七年に二年前倒しにする、こういう強い対策を求めてきたところでございます。
一方、使用過程車、現在走っている車につきましては、こういうPMとか、窒素酸化物の基準というのは適用されてございません。こういう基準を適用するというのも、東京都が国内では初めてでございます。そういう観点からいけば、新車の基準と使用過程車の基準というものは、当然、同じものにできない。したがいまして、例えば五、六年前に買った車というのは短期規制の車でございます。そういうものについて同じような新車並みの基準を課すというのはなかなか困難なところがございまして、こういう使用過程車に対する考え方をとったわけでございます。
○吉田委員 欧米は、使用過程車に対する規制がないというようなご答弁でしたけれども、私の認識では、そう単純に割り切れないんじゃないか。使用過程車に対しても、さまざまな形で規制措置がとられているというのが少なくとも私の認識です。それが直接的に、DPFの義務づけといういろいろな形があるかもしれませんが、少なくとも使用過程車については抜き打ち的な検査が行われているのは、僕はあると思うんです。これは間違いないと思うんです。しかも、先ほどもいいましたけれども、現在の段階で既にEUにしても、アメリカにしても、日本の新短期という次の段階を超えるだけの厳しい措置がとられているんですよ。ですから、ある面でいえば、使用過程車措置をとらなくたって、欧米の使用過程車というものは、日本の基準以上の水準というものが、一〇〇%とはいえませんけれども、多くの場合は保持されるわけですね。
改めて、環境白書ではどういうふうに書いてあるかというと、皆さんがつくられたものだから、私がいうのもおかしな話なんですけれども、環境白書の二五ページにこういうふうに書いてあるんですね。今後、日本、欧米でそれぞれ導入が予定あるいは検討されている将来規制値で比較しても、日本の規制が最も緩く、その格差はむしろ拡大する傾向にある、このような大きな差が存在することは、日本の大気汚染を改善するためには見逃せない重大な問題といわざるを得ないというのが環境白書の記述なわけです。
ですから、もちろんさまざまな困難さはあるかもしれませんが、こういう国基準を前提にする。しかも、国基準じゃなくて、その一つ前の段階でいいよというふうに一歩緩めるわけですね。そういうふうにすることで、本当に抜本的な大気汚染の改善が見込まれるのか、浮遊粒子状物質の大幅な激減が見込まれるのかということを問いたいんですが、いかがでしょうか。
○松葉自動車公害対策部長 今ご指摘いただいた点につきまして、使用過程車と改めて申し上げることもないんですが、日本の自動車の新車に対する排ガス規制の強化については、国にPM、NOXについて強く働きかけてまいりたいと考えています。
それで、今回、東京都で、PM削減対策につきましては検討している中で、平成六年度の四千二百トンぐらいの、自動車から排出されるPMを、平成十七年度に千六百トンぐらいにしたい、こういうことで、計画化をしているものでございます。今回、検討した対策メニューの中で、こういうものが実現に向けて図られるものというふうに考えてございます。
○吉田委員 そういう説明をすればするほど、環境白書のこの指摘と相矛盾するという結果になってしまうんですね、これでも大幅な削減はできますよ、大丈夫ですよということになれば。これ以上議論しても平行線だと思いますが、改めて、大もとは国ですけれども、国に引き続き欧米並みの水準を目指して、努力を求めていく。そのためにも、本来ならば東京都が、もちろん使用過程車に新たに規制を導入したことは、それ自身非常に新しい前進でありますけれども、それを単に国基準の前段階ということでとどめることなく、努力を図るべきだと思います。
というのは、例えば、平成十七年になりますと、今の予定では、国は新長期の規制になりますね。そうすると、使用過程車はその段階から新短期ということになりますが、そうすると、この新短期は前段階ですから、ずっと新短期のレベルでいいということになるわけですか。
○松葉自動車公害対策部長 この排ガス規制について、今ご指摘の平成十七年ぐらいから始まる新長期規制の排ガス規制が今後どのくらい続くかということにもよるわけでございます。今、欧米の動向などを見ますと、一回十七年につくったものが、必ずしもずっと将来続いていくということでなくて、途中から強化されるのではないかというふうな考え方もあるわけでございます。そういうことでいけば、その段階からまた別の基準というふうなものになってくるわけでございます。
○吉田委員 いずれにしても、結局、国基準の後をついていくみたいな形になっちゃうわけですね。そういうと、形の上ではみっともないみたいなことに見えますが、私はそういう意味でいっているわけじゃありませんけれども、それだけにもっと努力をしていただきたい、国に対する働きかけを含めて。
次に、乗用車、七年間の猶予期間も、もともとは五年間ということから七年に延ばされた経過があって、これ自身が疑問視されていますが、もう一つ、なぜ乗用車を規制対象から外したのかということも、いろいろ疑問が都民の皆さんから出されているんですが、これはどうなんですか。
○松葉自動車公害対策部長 ディーゼル車を規制するということで、対象をどうするかというさまざまな議論がございました。ディーゼル乗用車は、ご指摘のとおり、台数はディーゼル車の中で三分の一ほどを占めまして、多いわけでございます。しかしながら、トラックとかバスに比べれば、一台当たりの排出量は少ない。また、一般的に営業者なんかのトラックなどに比べますと、走行も比較的少ない。こんなようなことを考慮いたしまして、したがいまして、この中では、検討から外してございます。
この理由の大きな柱というのは、現在、国で、自動車NOX法の改正などを予定している中で、国としては、新たにディーゼル乗用車の規制を行う。その中で、東京とか、こういうNOX法の適用地域については、一定の期間を過ぎた後は、乗用車の車検登録が不可能になってくるという見通しが立ったものですから、そういうもろもろのことを考慮して対象から外したというのが理由でございます。
○吉田委員 私、国の自動車NOX法の改定に向けての答申がされておりまして、途中の文書しか見ておりませんから、不正確かもしれませんが、少なくとも小委員会の報告書を見させてもらった限りでは、乗用車について、ディーゼル車からの粒子状物質の排出は少なくない状況にあり、また、これまでの分析結果から、規制対象に追加することによって高い効果が得られると。一台当たりで見れば、窒素酸化物の排出量も少なくない。こうしたことから、ディーゼル乗用車を規制対象に追加する必要があるという方向を国はNOX法の開発に向けた答申の中では入れているわけですね。
排出量は一台当たり少ないということになれば、少ないんだったら、別に規制を強めても、その規制対象になるものはそう多くないということになるわけですから、逆のいい方をすれば。それだったら、大いに規制を強めるべきじゃないかということにもなりますし、実は、青森保健大学の嵯峨井先生という有名な方ですけれども、その方にも直接連絡をとってお聞きしましたが、生活道路に入ってくるのはディーゼル車の中でも、主に乗用車。とりわけ最近、非常に流行しているRV車というものが生活道路に入り込むわけだから、直接的な住民の影響ということから見れば、さらに先ほどの国自身のNOX法改正に向けての見直しから見ても、乗用車を入れるべきだというご意見を教えてくださいました。これは一定の学識経験者の方の意見として、改めていわせていただきます。
さらに、これは先ほどからDPFの装着に対するトラック運送業者等の方々に対する支援策について議論がありましたから、ダブらない聞き方をさせていただきますが、私が疑問に思ったのは二点なんですね。一つは、来年度の局要求の中では三分の一支援ということが盛り込まれていて、先ほどどのくらいの台数かということがいわれました。かつ、これは単に来年度だけではなくて、今後、継続的に行っていくんだということがいわれました。しかし、どうしても新規事業の場合は、三年間で見直しとか、サンセットだとか、さまざまなオール都庁的には枠組みがあるわけですけれども、改めてこれは継続的な措置として進めていくんだというご意思なのかどうかというのを確認したいのが一点目。
二つ目は、運送業の中でも、それこそ大手の、例えば、名前は出しませんけれども、有名な大手運送業者と、本当に町場の二台、三台ぐらいしか持っていないような運送業者が同じ値で補助を受けるというものはちょっといかがなものかなと。零細なら零細にきめ細かい手厚い補助率なり、補助のあり方なりというものが、画一的な形ではなくて、より零細に厚く対応する必要があるんじゃないかというふうに思うんですが、この二点、いかがでしょうか。
○松葉自動車公害対策部長 助成制度につきまして、現在考えているのは、二年間ぐらいのインセンティブをまずやっていきたい。しかし、その後の状況によりまして、先ほどご答弁したような考え方を持っているということでございます。
それから、助成制度の補助率の違い、こういうご指摘のような考え方は私どもも一部考えたわけでございます。今回、いずれにしても、車から出る量をどうしても削減したいということで、助成対象に特に企業の大小には現段階ではこだわらずに、同一でいきたいというふうな予算要求になってございます。
○吉田委員 私は、促進したいということは当然のことですが、経済力といいますか、そこはちゃんと見てするのが当たり前のことじゃないかということで、ぜひ検討していただければという意見をいわせていただきます。
最後に、自動車交通総量の抑制に関してなんですけれども、関係者の間から、ぜひ条例改正に当たって、自動車交通総量そのものの抑制に関する条文を入れてほしかったという声があるわけですけれども、そういうことは検討されたんでしょうか。なぜそういうことが入らなかったのか、ご答弁をお願いいたします。
○山本自動車公害対策推進担当部長 改正条例におきまして直接的に交通量を規制する規定をなぜ置かなかったのかというようなご質問でございますけれども、まず、その理由といたしましては、私どもといたしましては、自動車交通のそういった総量規制そのものが基本的には道路交通量に基づく措置、つまり、手だてとしては公安委員会の権限となっているということから、今回見合わせたという経過がございます。このため、改正条例におきましては第四十三条の第一項におきまして、自動車等の使用者に対し、使用抑制の努力義務を課しておりまして、これを根拠といたしまして、今後対策を進めていくということにしております。
○吉田委員 ただ、今回の公害防止条例の改定というものは、自動車公害の一層の深刻化ということが、最大といいますか、大きな動機であることははっきりしていると思うんですね。そういう自動車公害をめぐる状況の変化の中では、自動車排気ガスという個々の問題だけではなくて、総量としての自動車総量の増大あるいは自動車交通の増大がある。これは先ほど部長が、原因は何なのかといったときに、自動車保有台数と自動車交通総数についても触れられましたから、あると思うんですが、大きな東京の自動車公害をめぐる変化の中では、自動車の総量の増大ということが大きな変化としてあると思うんですが、そこの状況変化というのはどうなんですか、そういう認識はないんですか。
○山本自動車公害対策推進担当部長 自動車交通量の抑制を図り、大気の状況を改善していくためには、今お話がございましたような自動車総量の抑制を図っていくということが必要だということで、これにつきましては従前からもいろいろと検討してございまして、本年二月に策定いたしましたTDM東京行動プランの中でも、そういった観点からさまざまな施策を講じているところでございます。
○吉田委員 先ほどのご答弁で、公安委員会というお話がありましたけれども、私は、直接条例の中に、例えば自動車総量をこれだけ抑えるだとか、あるいは別途そういうものを定めるだとかということが、役割分担からしてなかなか難しいということがあるかもしれません。しかし、単に自動車総量の抑制ということは、交通量を何か定めて抑えるというだけじゃなくて、これからの都心等のビル建設などにおいて、自動車交通量を発生するような建築行為なり、市街地の開発なりをできる限り抑制するような指導をすることは、公安委員会の仕事じゃなくて、東京都の仕事なわけですよ。そういう広い意味で自動車総量そのものを抑制する努力をするということ、これを何らかの形で、僕は、条例の中に書き込むと。一般的に自動車使用者に対して、自動車使用を抑制するということを義務づけるだけではなくて、東京都知事として自動車総量抑制のための努力を明記するということは、当然、不可能なことではありませんし、せっかく公害防止条例を今日的に事態に即応して改めるならば、たとえ抽象的であったとしても、そのことをきちんと知事の責務として明記することがあり得ることではないかということを改めて意見として申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきます。
○寺山委員長 この際、お諮りいたします。
議事の都合上、本日の質疑はこの程度にとどめ、あすの委員会において質疑を続行したいと思いますが、これにご異議ございませんでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○寺山委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
以上で環境局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会は閉会いたします。
午後五時四十分散会
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