委員長 | 寺山 智雄君 |
副委員長 | 真鍋よしゆき君 |
副委員長 | かち佳代子君 |
理事 | 大西由紀子君 |
理事 | 吉田 信夫君 |
理事 | 森田 安孝君 |
中嶋 義雄君 | |
馬場 裕子君 | |
吉野 利明君 | |
立石 晴康君 | |
内田 茂君 | |
田中 晃三君 |
欠席委員 二名
出席説明員都市計画局 | 局長 | 山下 保博君 |
次長 | 石山 伸彦君 | |
技監 | 勝田 三良君 | |
理事 | 塩野 忠弘君 | |
総務部長 | 野田 一雄君 | |
総合計画部長 | 中島 守君 | |
開発企画担当部長 | 田中 亨君 | |
地域計画部長 | 小林 崇男君 | |
施設計画部長 | 杉浦 浩君 | |
航空政策担当部長 | 山内 一良君 | |
外かく環状道路担当部長 | 成田 隆一君 | |
開発計画部長 | 只腰 憲久君 | |
防災都市づくり推進担当部長 | 福島 七郎君 | |
建築指導部長 | 森下 尚治君 | |
参事 | 河島 均君 |
本日の会議に付した事件
請願陳情の取り下げについて
都市計画局関係
事務事業について(質疑)
○寺山委員長 ただいまから都市・環境委員会を開会いたします。
初めに、請願の一部取り下げ及び陳情の取り下げについて申し上げます。
お手元に配布いたしております一二第四〇号、北区堀船の印刷関連施設建設事業に関する請願の第一項並びに一二第三五号、仮称「クレストフォルム日本橋人形町」(中央区日本橋二丁目)の建築に関する陳情については、取り下げを許可した旨、議長から通知がありましたので、ご了承ください。
○寺山委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市計画局関係の事務事業に対する質疑を行います。
これより都市計画局関係に入ります。
初めに、過日の委員会で紹介できませんでした幹部職員について都市計画局長から紹介がございます。
○山下都市計画局長 公務出張により、去る十月十三日の委員会を欠席させていただきました幹部職員を紹介いたします。
参事で、東京圏都市づくり調査担当の河島均君でございます。
どうぞよろしくお願いいたします。
〔理事者あいさつ〕
○寺山委員長 紹介は終わりました。
○寺山委員長 これより事務事業に対する質疑を行います。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してございます。
資料につきまして理事者の説明を求めます。
○野田総務部長 去る十月十三日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元に配布しております当局の都市・環境委員会資料をごらんください。
まず目次の次の一ページをお開きいただきたいと思います。一ページから三ページまでに、二十三区で事業化されている市街地再開発事業、土地区画整理事業及び特定街区の一覧を記載しております。
一ページは市街地再開発事業の一覧でございます。地区ごとに施行者、面積、延べ床面積、就業人口及び自動車発生集中交通量を記載しております。
二ページをごらんください。土地区画整理事業について地区ごとに施行者、面積を記載しております。
三ページをお開き願います。特定街区の一覧でございます。街区ごとに、面積、延べ床面積、就業人口及び自動車発生集中交通量を記載しております。
次に、四ページをごらんください。地区計画等の地区数の推移でございます。
年度別、種類別に記載しておりまして、平成十二年十月末現在、合計で四百七件となっております。
五ページをお開きください。都内における主要道路の整備と自動車保有台数及び走行距離の推移を記載しております。
昭和五十五年度から平成十一年度まで、二十年間の主要道路延長、主要道路面積、自動車保有台数、走行距離の四つの指標についてその推移を記載しております。
六ページをごらんください。事業未着手の都市計画公園緑地で、十ヘクタール以上のものについて、それぞれ所在、計画面積及び現況を記載しております。
七ページをお開きください。公園の外国都市との比較でございます。
パリ、ニューヨーク、東京二十三区につきまして、それぞれ面積、人口、公園面積、公園面積率及び一人当たりの面積を記載しております。
八ページをごらんください。秋留台地域の整備の経緯と現状でございます。
計画策定の経緯を平成二年から記載しております。現状は事業完了及び事業中の地区名、面積等を記載してございます。
九ページをお開き願います。生産緑地の推移でございます。
平成四年度から年度別に、区部及び市部ごとに地区数及び面積を記載しております。
一〇ページをごらんください。自転車道のネットワークの整備状況でございます。自転車道の整備状況と現在の取り組みについて記載してございます。
次に、一一ページでございます。都所管分に係る建築紛争調整の実績と紛争内容でございます。
平成二年度から十一年度までの紛争調整の実績とその内容別件数を記載しております。
一二ページをごらんください。東京の新しい都市づくりビジョンと現在策定中の主な計画との関連でございます。
東京構想二〇〇〇、これは現在仮称でございますが、東京の新しい都市づくりビジョン及びそれらを踏まえて、現在策定中の主な分野別計画や地域別計画などの関連について説明してございます。
一三ページをお開き願います。公共建築物耐震診断の実施状況でございます。
平成七年度から平成十一年度までに診断しました公共建築物の棟数を記載しております。
一四ページをごらんください。窓ガラス等の落下防止調査の結果とその後の改修状況でございます。
調査内容、調査結果と平成十一年二月末現在の改修状況につきまして記載しております。
大変雑駁ではございますが、以上で要求のございました資料の説明とさせていただきます。どうぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○寺山委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○かち委員 空港問題について何点かお聞きします。
羽田空港はことしの三月に新B滑走路の供用開始によって沖合展開が完了しました。沖合展開終了とともに、これまで基本的には行わないとしてきた新A滑走路からの北風時の左旋回離陸がこの七月から早朝五便ということで運用されることになりました。九月に入り、北風時の内陸部への飛行便がふえ始めると、空港周辺の住民の皆さんから、食事をしようと思っていると、ゴー、テレビニュースを見ようとすると、ゴー、画面がぎざぎざに揺れるなどの苦情が寄せられています。
私は、九月二十三日に、朝七時から八時半まで、当区議団や地域の皆さんとともに、騒音測定を行いました。この日の気象条件は、北の風十ノット、曇りでした。左旋回航路の六地点で測定したところ、場所によってはピークレベルで八四・三デシベル、ないし八四・九デシベルを示し、住民の皆さんの訴えを裏づけるものとなっています。
都としては、この運用状況と騒音実態を把握しているのでしょうか。
○山内航空政策担当部長 左旋回については、本年三月の羽田空港移転問題協議会、俗に三者協と呼んでおりますが、この協議会において合意され、本年七月から早朝の五便に限って運用されているところでございます。
また、騒音の実態としては、特定日時、機材、地点等によりましてさまざまであり、七〇から八〇デシベルと聞いております。
○かち委員 大田区としても、九月二十一日から二十七日まで空港航空機騒音影響調査というのを行いました。これを見ますと、この近くにあります大森第一中学校では、二十三便中十一便が八〇デシベルを超えています。もう一つ、羽田中学や羽田図書館でも相当数の八〇デシベル超えが出ています。これは定点観測地の値ですけれども、最高記録では八七デシベルという記録も出ています。これは、会話が途切れる、電話が聞こえない、こういう状態です。しかし、航空機による環境基準では、全体に希釈されてしまいますので、数字としてはなかなかあらわれにくいのですけれども、毎日このように、早朝からこういう状態が続いてはたまらないというのが、住民の皆さんの怒りの声なんです。
もともと羽田空港の沖合移転は、長年の間、空港騒音に苦しめられてきた周辺住民と関係区との粘り強い運動の中で実現してきたものなんですね。こうした経過からしても、一日五便だから我慢せよというのは成り立たないのではないでしょうか。今後、五十便程度に増便したいという動きもあります。
今後、予想される増便などについては、周辺住民の声に耳を傾け、国に対しても意見を上げるべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○山内航空政策担当部長 先ほど、かち副委員長の方から今後五十便に増便するという動きもあるというふうにお話がありましたが、その話は、私ども、全く承知しておりません。これまでも左旋回とかを行うに際しては、国からは環境や安全に十分配慮するというふうに聞いておるところでございます。今後、当然、環境や安全に配慮しながら、空港の運営をしていくものと考えておりますので、今後の動きについては、必要があれば、都としても適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
○かち委員 何か新しいことを行おうとすれば、住民の意見を聞くというのは当たり前のことなんですけれども、必ず、配慮するとか、大丈夫だというふうにいわれるんですけれども、実際に左旋回がことしの七月から始まったわけですけれども、当初は、このAラインから、すぐにカーブして曲がってしまうから、内陸部には影響がないというふうな説明だったんです。しかし、この軌跡図を見れば、かなり内陸部まで入ってきているというのが実態なんですね。それは風の状況とか、気象条件とか、いろいろあるでしょう。
当初は朝の五便だけというお話だったんですけれども、羽田空港の周辺には大きなエプロンなどがありまして、非常に乱気流が発生しやすい。そういうことで、一度着陸しようとしても、おり切れなくて、また上がって、もう一回左旋回して戻ってくる。こういうことも、結構日中でもあるということなんです。左旋回が始まってから、既に三十六回、そういうことがあるという地元からの状況でもあります。
そういう意味からしますと、国がそういっているから大丈夫というふうには到底ならないと思うんですね。現実に出ている問題について、本当に東京都が親身になって、その声を国にぜひ反映させていただきたいと思います。
さて、ことし九月に、運輸省は、首都圏第三空港調査検討会を立ち上げて、羽田、成田に次ぐ、国際化も含めての新しい第三空港建設の構想を検討し、年明けから候補地の絞り込みに入るというふうに新聞報道では聞いております。ところが、最近にわかに羽田空港の桟橋方式による拡張案が浮上してきて、そうかと思ったら、来年度局予算の中にそれに関連して調査費まで計上されています。非常に急テンポな展開の中で、この羽田空港の国際化、拡張化問題がどういう状況になっているのかという点でお聞きしたいと思います。
都としては、羽田空港の国際化に向けてどのような条件整備が必要と考えているのでしょうか。そしてまた、今日までどのような検討がされてきたのでしょうか。
○山内航空政策担当部長 これまで東京都としては、国に対しまして、夜間、早朝の国際化を強く要請してきたところでございます。国においても、深夜、早朝の国際化というのを検討し始めているというふうに承知しております。
次に、国際化のためにどのような条件整備が必要かという点でございますが、羽田空港を本格的に国際化するということになりますと、必要となる発着枠の確保のほかに、現在の国際線ターミナルや入国審査等の体制では対応できないというふうに考えられますので、施設整備とか、体制の整備というものが必要になるというふうに考えております。
本年度から国に対しまして羽田空港の国際化を提案要求しているところでございますが、その中でも国際化に当たっての体制整備や条件整備をあわせて提案、要求しているところでございます。
○かち委員 狭い日本で、しかも、狭い東京湾の中にある羽田空港なんですけれども、そこを拡張するということになりますと、いろいろ環境面、あるいは安全面からも問題があると思うんです。しかも、東京の羽田空港の空域、横田基地などとの関係でもこれ以上の増便が果たして可能なのかどうか、そういう問題もあると思います。また、千葉や近県との関係をどうするのか、そうした需要との関係でどうなのかという問題と、近県や環境、安全、そういう面からの対応策、検討策というのもぜひ必要なのではないかと思いますけれども、そういうことはなかなか検討されてこなかったのかなというふうに、今のお話を聞いて思いました。
新聞報道によれば、知事が十月二十七日に、亀井政調会長に羽田空港の桟橋方式による滑走路の再拡張を要請し、亀井氏もそれを了承し、運輸省に羽田を再拡張して国際化を進める方向で、年内に結論を出すよう指示したとあります。
このことについて、局としては、この一連の動きの中でどのような立場にあったのでしょうか。桟橋方式は局からの提案だったのでしょうか。また、このような桟橋方式は他に例があるのでしょうか。お聞きします。
○山内航空政策担当部長 局としては、国において首都圏第三空港の議論が始まるということに関連いたしまして、民間から提案されているさまざまな首都圏第三空港の案に加えまして、かねてから検討を指示されていた羽田空港の再拡張に関する考え方を知事に説明した、こういうことでございます。
再拡張の方式としては、桟橋、メガロフロート、埋め立ての三つがありまして、それぞれの特徴を説明いたしました。知事はこの中から桟橋方式による再拡張案を最良の案として今回提案したものでございます。
次に、桟橋方式による事例といたしましては、一九六七年に完成したニューヨーク・ラガーディア空港の滑走路拡張工事において桟橋方式が採用されているところでございます。
○かち委員 私たちにはなかなかそういう過程、経過がよく見えないわけです。メガロフロートなども検討しているというお話は聞き及んでおりますけれども、桟橋方式にするというのは、まさに突然出てきたような感もあるわけですけれども、そういう中で、あるいは第三空港調査検討会の中で、確かに東京の羽田空港の再拡張案もその一つの候補としては挙がっていたようにも思いますけれども、こういう方式が突然出されてきて、しかも、そこであたかも決まっていくような流れができてしまうというのでは、プロセスの上で問題があるのではないかというふうに思います。きちんと下からの意見をくみ上げて、練り上げて、公表していただきたいとぜひ思うところです。
今、類似例としてラガーディア空港の例を紹介されましたけれども、こちらは滑走路の延長部の一部を海上に突き出しているものであって、今度の羽田の案というのは、三千五百メートルの橋型の滑走路を一・三キロメートルの桟橋で結んで使うというものでありまして、これが果たしてラガーディア空港に相当するものなのかどうか、全く新しいやり方になるのではないか。そういう点では、安全性とか、環境負荷などへの影響も未知数だというふうに思います。
なぜ今、第三空港なのか、羽田空港の拡張なのかといえば、国内線、国際線の需要予測からその必要性が検討されてきたと思いますけれども、その需要予測自身が本当にどうしようもなく足りないんだ、一つつくらなくちゃならないんだということなのかどうか、そういう点では大変疑問もあるわけです。
今、調査委員会の中で検討されている資料として出されてきたものが、羽田空港の国内空港旅客機の実績及び将来予測というものなんですけれども、これを見ても、折れ線グラフは飛行機が飛ぶ便数に対して満杯度というのをあらわしていると思うんですね。大体これは六、七〇%です。当然時間帯によって集中するところと、早朝とか深夜とかは少なくなるでしょうし、そういうものは羽田空港の拡張とは余り関係なく、大体一定しているものですね。現に、拡張をどんどんしてきたにもかかわらず、この折れ線グラフ自身は同じような状況を呈している。にもかかわらず、将来予測になると、急に上がっていくというのも、何か解せない。どうしてこうなるのかなという点では、非常に根拠性が薄いのではないかというふうに思います。
それから、拡張に伴っての需要予測、これだけの人数、現在、一年五千二百二十七万人というふうに羽田ではなっておりますけれども、これが単にまっすぐ伸びていくだけ、これから羽田がどんどん拡張していく要素は少ないにもかかわらず、いってみれば、非常に短絡的で、しかも不明瞭な予測図になっていると思うんです。これをもとにして需要が足りない、だから、つくるんだという点では、余りにも甘い予測ではないかというふうに調査委員の中からも声が出ているという状況を伺っております。そういう意味では、本当にこの第三空港、あるいは東京の羽田空港の拡張については、もっと科学的な根拠を持った予測に立っての検討、調査が必要ではないかというふうに思います。
先ほどの桟橋問題ですけれども、埋め立てではない、だから、環境には影響がないんだというふうないい方もあるかと思いますけれども、羽田空港の沖合に、一・三キロ離れたところに四百五十メートル幅の三千五百メートル、千五百七十五平方キロメートルの障害物が海の中に出っ張るわけですね。そういうふうになりますと、今でさえ、東京湾の航路は非常に手狭になっています。大型船は航路内を通るからまだいいかもしれませんけれども、そして、今回の案でも、その航路を避けるような形で考えられているとも思いますけれども、そのほかの五百トン以下の小さな船舶は、その間を自由に往来しているわけですね。これが運輸省の調査によりましても、年間二十万回往来している。そういう中にあって、これだけの出っ張りが出てくるということになれば、当然、船舶の障害にもなるのではないかという懸念がされるわけです。
そして、埋め立てではなくても、潮の流れとの関係はどうなるのか、生態系との関係ではどうなるのか、また、新たな航空機騒音の被害の発生、こういうものも十分に検討されなければならない課題だと思います。
そういう意味で、環境保全や安全性との関係で、どのように検討されているのでしょうか。
○山内航空政策担当部長 航路の安全性とか、環境保全の関係でございますが、桟橋の高さを高くいたしまして、また、滑走路の位置を調整したことによりまして、航路に与える影響は少なくなっているというふうに考えております。
また、桟橋方式でございますので、潮の流れを阻害せず、環境に与える影響は少なくできるというふうに考えております。
今後、この案が採用されることになれば、国において、さらに詳細な検討がなされることになるというふうに考えております。
○かち委員 理論上は大丈夫でしょうということなのかもしれませんけれども、全く新しい方式でもありますし、ぜひ十分な事実に基づく検討をしていただきたいというふうに思います。
もう一つの問題は、近県、千葉県との関係です。千葉県議会では、十月十日に、運輸省など関係当局が羽田空港の国際化をなし崩し的に強行するなら、羽田離着陸機の千葉県上空飛行をあらゆる方法で阻止をするなどというかなり激しい表現で羽田空港の国際化に反対する決議を上げております。これでもう三回目の決議なんです。また、県知事も、国益というならば、これまでの千葉の苦労をやっぱり実らせるべきだということで、一歩も引かない状況にも現在あるわけです。
運輸省のこれまでの航空政策、方針としては、国際便は成田、国内線は羽田というすみ分けをしてきたはずです。にもかかわらず、運輸省は、ことし三月には、深夜・早朝に限定しての羽田国際化の動きを示したり、十月二十日には東京商工会議所大田支部による羽田-グアム間のチャーター便を認めたり、二〇〇二年のワールドカップでは韓国からの羽田-ソウル間のシャトル便への就航希望が強いなどの動きの中で、なし崩し的に国際化に向けて動き出している。こういうことに対して千葉県側が過敏になるのも当然だと思うんです。
この千葉県との調整をどのようにやっていくつもりなのでしょうか。
○山内航空政策担当部長 千葉県との関係ということでご質問でございますが、今回の件は、都は、羽田空港の再拡張案を国に対して提案したものでございまして、羽田空港をどのように国内線または国際線で使うかというような問題とか、また、その飛行ルートをどうするかというような問題とかは、本来、国の問題でございます。したがいまして、国において、千葉県を含め、関係者との調整がなされるというふうに考えております。
都としても、今のところ千葉県と調整することは考えておりません。
○かち委員 決めるのは運輸省だから、そういうことはしないんだというふうなお話でしたけれども、これまでの決まりというのは重々皆さんもご存じだと思うんですね。しかしながら、東京都があえて国際化をしたいんだという以上は、千葉県との調整というのも当然必要なんじゃないでしょうか。そういうものを避けるべきではない。必要ならば、ちゃんと話し合いをすべきではないかというふうに思いますけれども、このまま突っ張り通していて、本当に円満な国際化が実現できるのかどうか。そういう点でも、私は、大変疑問を感じます。
次に、羽田空港は拡張によって増便を進め、現在年間二十五万回を将来は四十二万回にするということですけれども、そうなりますと、一日の増便数はどのぐらいになるんでしょうか。そして、旅客数はどれぐらいになるんでしょうか。
○山内航空政策担当部長 現在、年間二十五万回余り、一日約三百五十便が就航しております。再拡張された場合には、年間約四十一万回、一日当たり五百六十便程度まで増便が可能になるというふうに考えております。また、その場合の一日当たりの旅客数がどのくらいにふえるかというご質問ですが、国内線や国際線の就航路線がどのようになるのかとか、また、使用機材がどのようになるのかというような点がまだ不明でございますので、現時点では想定できないというのが実情でございます。
○かち委員 どのぐらいの増便をするかというのと、人の動き、利用状況がどうなるかというのは当然予測すべきではないんでしょうか。それはいろいろな条件つきというのもあるでしょうけれども、そういうことをしないで、ただ増便、増便というのは、本当にいかがなものかというふうに思います。
先ほどの予測図の中でもありますように、現時点では、一日十四万七千人使っているわけですね。そういうことからしますと、単純計算でも一・六倍というふうになるわけですから、約二十三万七千人以上の方がこの空港を使うわけです。そうなりますと、羽田に着いてから、あるいは羽田に来るアクセス、交通手段、そういうものも問題になってくるわけです。モノレールや電車、車、バスを使って、集中したり、分散していくわけですけれども、当然そうなりますと、これらの交通量の増大による周辺地域への在来線、京浜急行の騒音問題も今既に出ている問題です。また、自動車による大気汚染の問題も、空港周辺は非常に汚れているというのも実態としてあるわけですけれども、これがさらに負荷がかかっていく。こういう問題について同時的に解決してもらわなければ、国際化するんだから、増量するんだから、周辺住民は我慢しろということではとてもいかない話だと思うんです。
国際都市東京を目指す、東京都が空の玄関として羽田空港を再拡張し、国際化と増便を進めようとする上においては、全国的に見ても、これだけ人口が密集した都心の近くにこれ以上の巨大空港が本当に必要なのかどうか、また、周辺環境の保全と安全を本当に守ることができるのかどうか、そういうことも含めて、羽田再拡張については慎重に再検討されることを求めて、私の質問を終わります。
○中嶋委員 大きな空港は必要だと私は思いますので、逆の立場から、ぜひ検討を進めていただきたいと私は思います。これはひとり言ですから。
事務事業概要への質疑ですので、基本的な点を確認の意味で質問したいと思います。
過日、高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律、いわゆる交通バリアフリー法が五月十七日に公布されて、今月の十五日に施行されました。この法律は、駅、バスターミナル、旅客船ターミナル、航空旅客ターミナル、あるいは鉄道車両、バス、旅客船、航空機などのバリアフリー化を進めること。それとまた、駅などの旅客施設を中心とした一定の地区において、市町村が作成する基本構想に基づいて、旅客施設、周辺の道路、駅前広場あるいは信号機等のバリアフリー化を重点的かつ一体的に推進すること、これが目的とされております。
この交通バリアフリー法、自民・公明・保守連立政権で政策合意をして実現された法律でございます。従来このバリアフリーに国はなかなか重い腰を上げなかった。その国がようやく腰を上げてバリアフリーに取り組むことを明らかにした。こういう点で期待が持てると私は思っております。昨夜も大騒ぎがありまして、評判が悪いといわれている森政権ですが、つぶさに点検してみると、いい仕事も結構やっていると私は思っておりますし、この交通バリアフリー法なんかもヒットの一つだろうというふうに思っております。
それはともかくとして、交通バリアフリー法が六日前に施行されました。そこで、まずお聞きしたいのは、都内の交通機関のバリアフリー化の現状についてご説明をいただきたいと思います。
○杉浦施設計画部長 都内交通機関のバリアフリーの現状でございますが、重立ったものを申しますと、ことしの三月時点でございますが、例えば都内の鉄道駅につきましては、エレベーターの設置率は約二四%、エスカレーターは五五%となってございます。また、バスにつきましては、いわゆるノンステップバス、あるいはリフトつきの低床バスなどの導入率は、やはり都内では約一三%という数字になってございます。
○中嶋委員 この現状をどう評価するかというのは意見が分かれるんでしょうが……。そこで、これからさらに先に進んでいかなくちゃいけないということが法によって義務づけられた。そこで、都は、法の施行を受けて、今後どのようにバリアフリー化の推進に対応されていくのか、基本的な方向をお示し願いたいと思います。
○杉浦施設計画部長 東京都としましては、これまで関係局とも連携をとりながら、地下鉄、民鉄など鉄道駅のエレベーター、エスカレーター整備に対しまして補助を行ってまいったところでございますが、今後、この交通バリアフリー法に基づきまして、駅などの旅客施設を新設する場合、あるいは大規模改良する場合には、バリアフリー化が義務づけられることになります。この義務づけに対しまして、都といたしましても、交通事業者あるいは区市町村など関係機関と連携をとりまして、交通バリアフリーを積極的に進めていきたいと考えております。
○中嶋委員 交通事業者、区市町村など関係機関と連携をとりながら進めていく、こういう話ですが、まだよく見えないんですが、具体的にどのような連携をとって、どのような事業を進めようとしているのか、もうちょっとわかりやすく説明して、教えてください。
○杉浦施設計画部長 例えば、事業の計画段階あるいは事業段階におきまして、区市町村と交通事業者が協議を行うわけでございますが、それに対しまして都としては適切な支援を行ってまいりたいということでございます。例を申しますと、今後、法律に基づきまして地元区市町村が重点地区を設定いたしまして、その地区におけますバリアフリー化の基本構想を策定することとなっております。その際、私どもとしましては、まちづくりとの整合を図ったり、あるいは交通事業者または関係の施設管理者などとの調整が必要となりますが、私どもとしても、こうした協議調整に対しまして、必要な技術助言あるいは情報提供なども含めまして、区市町村への支援を行っていきたいと考えているところでございます。
また、区市町村の策定します基本構想の策定は、私どもの所管でありますまちづくりと密接な関係がございます。そういうことから、都市計画局としては構想の策定に対しまして、技術支援のみならず財政的な支援の仕組みづくりについても引き続き努力してまいりたいと考えております。
○中嶋委員 区市町村、恐らく鉄道事業者とさまざまな折衝をするにしても、経験も乏しいでしょうから、ぜひ東京都として応援していただきたいということと、法の趣旨にも書いてありますけれども、駅等を中心とした一定地域をかなり広範囲に整備するという話ですから、まちづくりと必ず連動してくる。そうすると、区市町村の基本構想の策定には財政支援がまた不可欠だろう。こういう点もぜひとも今のうちからしっかりと予算措置等を検討しておいていただきたい。お願いしたいと思います。
それで、これに関連しまして、ユニバーサルデザインという概念が五、六年前からアメリカで提唱されて、最近、経団連も都市構想の中に使っておるようでございます。これは釈迦に説法なんでしょうが、バリアフリーは一部特定の人、あるいは特定の障害に対する特殊解を求める行き方であるのに対して、ユニバーサルデザインはすべての人々を対象にした一般解を求める、そういう概念だと、こういわれております。わかりやすい例がウォシュレットでございまして、私も最近買ったばかりで、便利だと思っているんですが、もともと手の不自由な方のために開発された。ところが、結果的にすべての人々の生活の快適さを高める道具として大変重宝されている。結果的にユニバーサルデザインになった好事例だ、こういうふうにいわれているんですね。
そうしたユニバーサルデザイン、最近、都も一部で着目して、さまざまな条例とか、構想の中でちらほらこの言葉を目にすることもございますが、ぜひとも今後、都市構想あるいは具体的なまちづくりに、バリアフリーを一歩進めた概念としてのユニバーサルデザインの考え方を取り入れていっていただきたい、そう思っております。
そこで関連しまして、事業概要の二二〇ページに、人にやさしいまちづくりとございます。これも広い意味で関連してまいります。その中で、ハートビル法に基づく計画の認定及び人にやさしいまちづくり事業という項目がございまして、わずか七行ですけれども、大事なことが書いてありまして、平成十二年三月三十一日現在、ハートビル法に基づく計画の認定が六十三件ある、こう記述されております。これだけじゃ中身がわかりませんので、内容をお教え願いたいと思います。
○森下建築指導部長 いわゆるハートビル法で定めます誘導的基準に建築物が適合している場合に、建築主の申請に基づきまして、知事が優良であると認定しております。認定した建物の用途でございますけれども、スーパーマーケット等の店舗が三十五件、店舗と映画館などの複合施設が十一件、病院百件、その他文化施設などが九件でございます。この認定を受けましたものの中で、集会所とか病院などの公益的施設を有します建築物四件につきまして、人にやさしいまちづくり補助事業を行っております。
この補助事業の内容でございますけれども、道路から建物の出入り口に至ります経路を円滑に移動できるように整備する費用の一部を補助するものでございまして、国及び都がそれぞれ経費の三分の一を負担しております。
○中嶋委員 千二百万人の東京都で、六十三件、しかも現実に補助をやっているのは四件という数が、これもまたどう評価していいかなかなか微妙なところでありますが、もうちょっとご努力を願いたいと思います。平成十三年度版の事業概要には違った数字が載ることを期待して、また来年もしっかり読もうと思っております。
その下の欄に、同じく関連して、東京都福祉のまちづくり条例に基づく建築物に関する施策の推進という項目があります。これも十一行ですね。短いですが、大変重要な点でございまして、こう書いてありますね。不特定かつ多数の者が利用する部分を有する建築物を所有または管理する者は、高齢者、障害者が円滑に利用できるような措置を講ずるように努めることとし、一般都市施設のうち一定の規模を超える建築物を新設または改修しようとする者に対しては、工事着手前に届け出を義務づけている。届け出件数は、平成十一年現在、二千四百十二件、こうなっています。これも内容が具体的にわかりませんので、内容を教えてください。
○森下建築指導部長 今、お話がございましたように、福祉のまちづくり条例は、不特定多数の人が利用します建築物を対象として、幅広くバリアフリー化を進めることを目的としております。条例の仕組みとしましては、建築確認申請に先立ちまして、区市町村長に届け出をしていただきまして、バリアフリー化のための基準に基づきまして、建築物の出入り口、廊下、階段などの構造につきましてチェックしているものでございます。これまでの届け出件数につきましては、病院が六百三十四件、物販・飲食・サービス店舗が四百五十六件、福祉施設二百二十九件、その他で、合計二千四百十二件でございます。
○中嶋委員 ぜひこの事業も積極的に推進していただきたいと思います。
これも、福祉のまちづくり条例というと福祉局になるんですけれども、しかし、具体的なこの種のチェックなどはやはり都市計画局が絡まないと進まないという点がありますので、その辺の整理をきちんとどこかでしておかないと、なかなか難しいかもしれませんね。ぜひお願いしたいと思います。
ユニバーサルデザインでございますが、十一月十八日付の日本経済新聞の夕刊の一面トップに出ました。これは「広がる『ユニバーサルデザイン』高齢者・障害者に配慮」「マンション・駅使いやすく」「階段色分けなど」新聞らしく、ちょっと乱暴な見出しですけれども、出ております。民間のマンションや商業施設が相次いでユニバーサルデザインを取り入れているという記事です。夕刊とはいえ、日経のトップ一面に載るというのはかなりの注目度が、このユニバーサルデザインにはあるというふうに判断して差し支えないと思いますので、都としても速やかに手を打っていただきたいと思っているんです。
一つは、民間建築物も含めて、例えば丸の内なんかもこれからどんどんビルの更新時期に入ってくるといわれています。都内にはあちこちに民間プロジェクト、先日、この委員会でも品川の駅の再開発の視察に行ってきましたけれども、そういうプロジェクトがどんどん出てまいります。そういうものを傍観しているわけにはいかないわけでありまして、一つには、そういうときに都市施設の更新とかビルの更新時期に合わせてユニバーサルデザインという概念をさらに広めていくべきだというふうに思うんですけれども、都としては、どのように今後対応なさっていくおつもりか、お答えいただきたいと思います。
○森下建築指導部長 建築物のバリアフリー化を進めるに当たりまして、だれもが利用しやすいというユニバーサルデザインの考え方を取り入れた建築物やまちづくりを行うことは大変重要であると認識してございます。
このため、都では、例えば、車いす対応トイレというものを高齢者、妊婦、乳幼児を連れた人など、だれもが使いやすいという意味で、だれでもトイレとするなど、福祉のまちづくり条例の整備基準を改正してまいりました。平成十三年一月からユニバーサルデザインを考慮した建築物への誘導を図っているところでございます。
○中嶋委員 福祉のまちづくり条例整備基準を改正して来年一月一日から誘導を図る、こういうご答弁ですね。だれでもトイレというのは、ドラえもんのどこでもドアでしたっけ、に似ていて、なかなかいいネーミングじゃないですか。これはいいですね。だから、トイレしかないのは寂しい話で、さっきのウォシュレットみたいな、あざやかにユニバーサルデザインの概念が多くの方々にわかるような、何か知恵と工夫を局にお願いしたいと思います。
単体の建築物のバリアフリー化あるいはユニバーサルデザイン化というのは大事なんですが、同時に単体の建築物だけではなくて、道路、それから公園、さっきの交通バリアフリー法でもありましたけれども、一定の地域的な、面的な整備においてユニバーサルデザインに基づくまちづくりをぜひ進めていただきたいと思っているんですが、都の見解をお聞きしたいと思います。
○森下建築指導部長 面的、地域的な広がりを持ちますユニバーサルデザインに基づくまちづくりを進めることも、これからの東京のまちづくりにとって大変重要であると認識しております。このため、都では、地域バリアフリー化を進める手引書としまして、地域バリアフリー化のためのガイドラインを平成十二年一月に作成しております。この中で、現状のまちの状況把握から整備方法など、都民、事業者、行政が共同で行うまちづくりの方法を提案してございます。
また、総合設計などで公開空地の整備を行う建築計画につきましては、公共的通路のバリアフリー化を義務づけているところでもございます。今後もユニバーサルデザインの考え方に基づきましてだれもが利用しやすいまちづくりを進めてまいります。
○中嶋委員 これもぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。
面的な整備については基礎的自治体がやる、こういうことになると思うんですが、これも先ほどの交通バリアフリー法と同じく、区市町村単独では限界がございまして、財政支援も含めた都の支援の体制が不可欠でありますので、ぜひとも考えていただきたいというふうに思います。
恐らくこれからはこういう福祉的な配慮--福祉的な配慮という言葉自体がもう古いんでしょうけれども、その種の配慮が通奏低音のように都市計画局のまちづくりの事業に流れていく、こういう時代に入ってくるような気がするんですね。ですから、こういう概念によるまちづくりは、他の部局でも多分重要になると思いますので、ぜひ意識して取り組んでいただきたいというふうに思います。
最後に防災対策で、震災復興グランドデザインも確かに概要の中に載っていました。これも実は注目しております。震災復興グランドデザイン、中間まとめが九月に発表された段階なんですが、最終的な結論、まとめはいつになるのか。それまでのスケジュール等、お教え願いたいと思います。
○福島防災都市づくり推進担当部長 震災復興グランドデザインの作成スケジュールにつきましては、この九月に中間のまとめを公表しまして、都民等から意見をいただいたところでございまして、今後、寄せられました意見を参考にしつつ、学識経験委員などから成る都市復興基本計画検討委員会におきまして引き続き審議を行っていくことにしております。その内容といたしましては、幹線道路などの都市の骨格的な基盤整備や、宅地と建物から成ります市街地の整備の二つの内容を含みます広域復興計画や、法制度の整備などの実現方策を盛り込みまして、十二年度末までに最終案を策定いたしまして、再度、都民等の意見をお伺いした後、取りまとめる予定にいたしてございます。
○中嶋委員 年度末までに最終案ができて、都民の意見を取り入れて、行政計画として、今の答弁ですと、平成十三年度の早い時期には明らかになるのではと思っておりますから、期待しております。
なぜ期待しているかといいますと、私は世田谷なんですが、木造密集地帯の不燃化とか、全然進んでないんですね。二十年、三十年、進んでない。権利関係の複雑な問題があって、無理もないといえば無理もないんですが、なかなか進まない。一つは、被災後に都市を再生するに当たって、こういうまちを今後はつくっていくんだということをあらかじめ提示する。復興グランドデザインをあらかじめ提示することによって、むしろ逆に震災前の、事前のまちづくりの機運を盛り上げる引き金あるいは起爆剤になるんじゃないか。そちらの役割の方がむしろ大きいのではないかという気がいたします。神戸の震災で、真野地区は、震災復興で大変有名になりましたけれども、あれもたしか住民のまちづくり組織ができていて、事前にまちづくりのグランドデザインを考えている真っ最中に地震が起きた。したがって、被災後も大変に立ち上がりが早かったというふうに現地に行って聞いてきましたけれども、この震災復興グランドデザインも、むしろ実際に被害があった後に機能するのではなくて、これを発表することによるまちづくりへの機運を盛り上げる起爆剤的な役割が極めて大事だろうと思っております。
そういう意味を含めての最終まとめにしてもらいたいと思っているんですが、いかがですか。
○福島防災都市づくり推進担当部長 震災復興グランドデザインは、震災を受けたこと、また、法制度など、新たなまちづくりの仕組みを前提といたしまして、震災後のまちづくりのあり方を提案するものでございます。これに対しまして、現在行っている防災都市づくりは、現状のまちや現行の法制度に基づくまちづくりへの取り組みでございまして、この二つの点が異なるものでございます。
このように、震災復興グランドデザインは、震災に強い都市構造を目指しまして、理想的な市街地の形成などを提示するものでございますが、ご指摘のとおり、これを契機といたしまして、住民の防災都市づくりに対する理解や認識など、その取り組みへの機運が高まりまして、現在の防災都市づくりが一層推進されることが期待されると考えているところでございます。
○中嶋委員 確かに現状のまちを前提にした、修復型まちづくりとか何とかいうらしいんですけれども、そうではない、大胆なグランドデザインが描けるわけですから、すべての地域が大胆なグランドデザインが必要かどうかはまた別な問題でしょうけれども、必要な箇所に関しては、大胆なグランドデザインを描いて、そこに向けて住民の皆さんとともに事業を展開できるよう、ぜひ努力していただきたいというふうに思っております。
それから、これは要望ですけれども、先ほどのユニバーサルデザイン、都市構想二〇〇〇、ばっと見ているんですけれども、余りこの種の角度の考え方が出てこないんですね。バリアフリーは一部とか、障害者に優しいまちづくり程度のことは書いてあるんですが、もうちょっと都市構想二〇〇〇にもこうした概念を強く取り入れてもらいたいことを要望して、質問を終わります。
○馬場委員 まず、質問に先立ちまして、今、中嶋委員さんの方から初めに触れられた交通バリアフリー法について、与党のみでなく、民主党も全国民へ向けてパブリックコメントを求めたり、いろいろな意見を集約して賛成をし、これからのバリアフリー法の施行については大変関心を持ち、東京でも取り組んでいくべきだというふうに考えておりますので、この辺もお忘れいただかないようにということで、触れさせていただいて質問に入らせていただきます。
私は、きょう三点について質問をさせていただきたいというふうに思います。
まず一点目は、電波受信障害についてお尋ねいたします。
電波障害、初めの対策というのは、東京タワーとの間に大きな建物等が建って、その後ろ側へ電波が届かない障害が起こるということで、そのような単純な電波障害から始まったというふうに思いますが、きょう資料提供もありました、ちょうど一一ページの平成二年の資料からおわかりのように、このころから電波障害も複合の電波障害ということが大変注目されるようになりました。私もこのころから、実は品川区でこの対策に取り組んできたものですから、まず初めに、このことについて少し触れさせていただきたいというふうに思います。
このころから高い建物、いろいろな形の大型の建物が建ってきたということもありますし、また、工事中のクレーンが大変電波の妨害をするとかいうようなことだったんですが、一番これで困ったのは、NHK等も、調査を依頼されても、費用もかかるし、いろいろ大変ということもありました。また、地域の電気屋さんも、テレビが故障したというようなことで行ってみると、そうではないというようなことで、何でしょうというようなことで、実は出てきた問題ですが、こうした原因者が特定できない複合の電波障害が東京都ではたくさん起こっている、こういうことに対して、区ではなかなか処理ができないということで、都として私は対策をとるべきだというふうにずっと思ってきたんですが、今回、事務事業を読ませていただいて、大変残念と思ったのは、ほんの少し対策が触れられているだけということで、大きく対策、東京都としての電波障害対策というものが取り上げられてないということについてちょっと残念に思いました。
そういうわけで、複合の障害、原因が特定できない電波障害の対策について、今回の事務事業の中で、中野と足立の二区が、今対応ができて、完了するということになっているようですが、まず、今後の事業の展開、予定について、どんなふうになっているのか、お尋ねいたします。
○森下建築指導部長 電波受信複合障害対策としましては、都市受信障害解消事業というものを行ってございます。この事業は、複合障害の解消と情報通信基盤の整備促進を図るために、区市町村が主体となります都市型CATV施設事業者に対しまして、国と都が補助しているものでございます。都市型CATVは、基本的には一定地域を基盤としますメディアでございますので、区市町村を主体として行う事業となってございます。現在のところは、中野区と足立区のほかで新たに事業着手を予定しております区市町村はございません。
○馬場委員 最後のお答えのように、新たな事業着手を区市町村が予定していないと。問題はありながら、なぜ予定できないかというところが本当の問題ではないかというふうに思うんです。
品川でも、その後ケーブルテレビ敷設をしました。多少おくれたことによって、双方向ということで、今、ある意味ではIT化に対しての基盤整備ということになったということがありますが、以前にケーブルテレビをつくった区等は双方向ということにならない、電波障害対策だけにしか使われていないような、そういう状況もありますし、今後、電波のさまざまな技術革新やいろいろな情報のあり方等の中で、大規模なこうした事業を区市町村が行っていく、費用対効果も含めての事業としてはなかなか区市町村でCATV事業を立ち上げていくということは難しい状況にあるのではないかなというふうに思います。
複合障害がなかなか出てこないというのは、前にもお話ししましたように、原因者がわかる場合は、大きな大型工事があれば、ここの都庁舎もそうですが、庁舎を建てるときに、建設が行われるときにはその障害というのはある程度予測でき、対策もできるんですが、それが複合して出てくるというものについては、だれも、結果が起きて、複合だということを想定するのも難しいですし、複合のときに原因者を探すということは不可能に近いというような状況ですので、そういう中で、原因者がこの対策をするという形のものだけでは解決にはならない。もう少し広域的なもので取り上げていかなければならないというふうに思いますし、もう一方では、障害だけでない対策としての電波通信技術等の利用も含めての双方からの検討が必要だというように思いますので、その辺はぜひ都市計画局が中心になって、こうした大きな対策をぜひつくっていっていただきたいというふうに思います。
もう一つ、実は心配なことがあります。その昔、この対策として、マンションができるときに、近隣の皆さんに共同受信アンテナをつくってきた歴史があるんですが、この共同受信アンテナというのは大体十年ぐらいの耐用年数で設置をされてきて、その建てかえの時期が順番に来ているというふうに思います。それで、責任者というのも、建てたときの、建物の今の所有者もあるんですが、一人所有者である場合は割と簡単に話し合いも進んでいるんですが、分譲等で持ち主が多数の方になった場合に、この建てかえやその後のメンテナンスについてどういうふうに責任があるのかということについては、なかなか話し合いがうまくいってないところもある。建てたときに、組合をつくって管理をするという約束になっていたという、そこまでできていたのですが、組合も、また新しい住民が入ってきたり、住民がかわったり、世代がわりをしたりということで、その後の地域、被害者の方の組合の対策というのもなかなか継続的にできてないというような状況もあります。
そういう中で、この辺のメンテナンス、リニューアル等の問題について東京都としては何か考えられるのかどうか、それをお伺いしたいと思います。
○森下建築指導部長 今お話がございました設置済みの共同受信アンテナのメンテナンスなどについては、大変多くの問題があるということについては認識しているところでございますけれども、基本的には受信障害発生の原因となってございます建築主の責任において処理すべきものであると考えておるところでございます。
電波受信障害の抜本的な対策につきましては、昨今の情報通信技術の著しい発展状況もございますので、今後の技術開発の動向とか、国の取り組み状況などを十分に見てまいりたいと考えております。
○馬場委員 ありがとうございます。
初めの原因者等のことも含めて、新しい再開発や建物が建つときの電波障害対策費というのは相当な額になっているというふうに私は思うんですね、積算したことはありませんが。例えばこの都庁舎のときにもどのぐらい電波対策費がかかったのかなと思うと、そうした費用がもっと集積されて有効に使われていれば、現在、東京都はそういう意味では、全体、大都市として電波障害というようなことがどこにも起こらないようなことができたのではないかなと大変残念に思っています。後追いにはなりますが、この辺の対策について、国に要望していただくのは、当然法的なところの改正は必要と思いますが、大都市の東京として対策をお願いしたいと思います。
次に、二点目の質問に移らせていただきます。建築紛争についてお伺いします。
建築紛争、内容についてはまだまだこれから問題があるというふうに思いますが、きょう、私は、内容ではなくて、実は、建物をつくるときに、最近、業者の代理をする、どう呼んでいいのかわからないんですが、そういう方がふえているような感じがいたしますので、この点について質問させていただきます。
先日も、実は、紛争のあったところの皆さんから、建築主、建主さん、設計や施工者さんではなくて、話し合いの場に代理業者の方がいらっしゃって話を進めていく。そういうときに、代理業者ですというふうにおっしゃりながら、その場では答えが出せないということで持ち帰りになる。そうした話し合いを進めていくうちに時間がたって、紛争が終わるというか、確認が出て、建築に移っていくという、そんなような、こういう業者はどのような立場なんだろうかというふうな質問を受けました。
私も、ほかにもそういうことを経験していましたので、きょうはその辺について都の見解をお伺いしたいというふうに思います。
まず、平成十一年度でよろしいですが、都が扱った中高層建築物に関する紛争についてのあっせん件数のうち、あっせん合意件数がどのくらいあるのか、打ち切り件数がどのぐらいになるのか。今の質問に関連して、そのうち近隣対策を担当する代理業者が関与している件数というのはどのくらいおありなのか、まず伺います。
○森下建築指導部長 平成十一年度において東京都があっせんを行いました四十一件のうち、合意に至りましたのが二十九件、打ち切り件数は十二件でございます。そのうち、建築主、設計者、施工業者以外の者が代理として住民との対応を行っている例は、およそ三分の一ぐらいかと推定しております。
○馬場委員 三分の一ぐらい。こうした代理業者は、どういう関係ですかということでお聞きすると、建主さんから業務委託を受けている、契約を結んで建築確認申請等、全部といったらいいんでしょうか、建物を建てる全部を委託されている場合から、ある一部分、あえて住民対策といったらいいんでしょうか、その部分を委託されているというような、いろいろな場合があるというふうに聞いています。今の数字で、合意が二十九件で、打ち切りが十二件で、両方の中の関与している部分が三分の一程度ということで、どういうふうにということは私もわかりかねるんですが、専門といっていいんでしょうか、専門家としての代理業者、こうした業者は法的には問題がないんでしょうか。また、マンション建設やいろいろな建物を建てる建築主、一軒だけを建てるというところでないと思うんですが、こうした専門の建築業者等がなぜこうした代理業者に近隣対策を任せるというような状況になっているのか、その点、おわかりでしたらお答えください。
○森下建築指導部長 マンション業者、あるいは建築会社におきましては、現在さまざまな部門でアウトソーシングが進められておりまして、そうした一環で、ご指摘のような代理の仕組みというものが生まれているものだと思っております。
こうした住民対応に関する業務を委託することにつきましては、特に法的には問題がないものと考えております。
○馬場委員 今の法律では問題になっていないということと理解しているんですが、こうした専門的な代理業者が建主側から代金を受け取って、建主側の代理をするという状況を見ますと、住民の立場からすると、ちょっと建主側の方が有利ではないのかなというふうに映ると思います。こうしたことから、特に紛争等になった場合には、住民等から不信感が、専門家であればこそ、何で話し合いのときにそういう人に、専門家に任せるんだろうかという、そういうところが、不信感が出てくるというふうに思うんですが、そのような状況でよいのでしょうか。
○森下建築指導部長 確かに代理人による住民対応がいいかどうかということは、いろいろな場合がありまして、住民との合意が円滑に進むか否かというのは、ケース・バイ・ケースであろうかと思っております。都としましては、建築主に対しまして住民との実質的な話し合いが行われる体制の確保を指導しておりますけれども、特にあっせん、調停を行うような際には、建主側の責任ある者の出席を求めているところでございます。
○馬場委員 私の聞くところでは、あっせん、調停の場でも建主さんも一緒に出るんですが、さっきお話ししたように、業務委託をしているということで、建主さんも、今度は委託してしまっているので、代理人の方が発言権が強いというようなこともあり得るのではないかなというふうに思っています。
こうしたことが、一万平米以上は都の担当というふうに伺っていますが、ある意味で、大規模なところは会社も制度上も割といい業者が多いのではないか、こんなふうにいってはいけないのかもしれませんが--というふうに思うんです。それでも三分の一ぐらいこうした状況があるということは、中規模、小規模のマンション業者、特にバブル崩壊後、さまざまな地域で、ちょっと強引な建て方をしているというような話も耳にするんですが、そうした小規模な業者の間でも、逆に、たくさんこういう例はあるのではないかなというふうに思うんですが、その辺、都はどのように、資料等お持ちでしょうか、もし数字等わかれば、教えていただきたいと思います。
○森下建築指導部長 規模の小さいものにつきましては、区市が扱うものが多いということもございまして、現在そのような資料というものは残念ながら持ってございません。実態の把握は大変難しい問題でございますので、実情をデータとして整えるということは困難かと思っております。その点ご理解いただきたいと思います。
○馬場委員 この代理業者、どんどん専門化していく傾向にあるというふうに思います。確かに専門家であるがゆえにお話し合いもうまくいく場合もたくさんあるというふうに思いますが、建主側であること、法を住民よりも熟知しているということで、法に反しない範囲というのもある意味で上手に知っていらっしゃるということで、手続もうまくいくというのが、ある意味で住民を上手にリードしてしまう。結果的には住民は不満が残るというか、そういうようなところが往々にしてあり得るのではないかなというふうに思っております。
今後、区市の方でもこうした実態が問題にならないように、都としてぜひ注意をしていただいて、これからも、ある意味でさらに紛争が少なく、住民の方との問題が起きないようにぜひ配慮をいただきたいというふうに思います。要望して、次の質問に移ります。
三点目は、土地区画整理をすべき区域という規定がありますが、このことについてお伺いをいたします。
これも先日、実は質問があったんですが、土地区画整理をすべき区域、いわゆる旧緑地地域について、今までの経緯も含めて、該当する区の方から質問がありました。このすべき区域というのは、区部の外側といったらいいんでしょうか、九つの区にわたり、十八地区、約九千ヘクタールが都市計画決定されている。この方からの要望を聞かせていただいたんですが、区画整理事業をやっているというふうに、進んでいるというふうに全く思えないんだけれど、都市計画決定がされているために建築の規制を受ける。建ぺい率なども、今の時代からすると、ここは四〇、八〇というふうにいっていらっしゃいましたが、ちょっと時代的には、有効活用も含めてそぐわないのではないか。また、ここで家を建てかえたりする場合には、確認申請のほかに都市計画法五十三条の許可を得なければならない。しかも、道路計画にかかっていると建築の制限を受ける。そんなような不自由というか、この地域がどうなっているんだろうかというような質問を、相談を受けました。
そこで、まず一点目として、そもそもこの土地区画整理事業をすべき区域とはどういう経緯で指定されたのか。指定の目的や指定による規制がどうなっているのか。また、現在どういう整備状況になっているのか、お答えください。
○只腰開発計画部長 土地区画整理事業を施行すべき区域でございますが、昭和二十三年でございますけれども、特別都市計画法に基づきまして指定されました緑地地域が解除されまして、これに伴います、無秩序な市街化を防止して、緑地地域の理念を継承しました緑豊かな住宅地として整備していこう、こういう趣旨から、昭和四十年から四十四年にかけまして九千ヘクタール、ご指摘のように、外周九区にまたがりまして指定されたものでございます。
この区域の指定によります規制でございますが、都市計画法第五十三条に基づきます建築の制限が適用されております。また、同地域につきましては、一般的でございますけれども、他の地区に比べまして低目の建ぺい率、容積率が指定されている傾向にございます。
現在、事業の進捗状況といたしましては、事業が完了している面積が千八百七十ヘクタール、事業施行中の面積が約八百三十ヘクタールでございます。両者合わせまして、指定された面積の約三割におきまして土地区画整理事業が実施されているという状況でございます。
○馬場委員 全体の三〇%で土地区画整理事業が行われているということです。緑地から市街地へということで、そういう意味では、有効な緑地を残しながら区画整理をしていくのは大変難しいことだというふうに思うんですが、逆に、三〇%の逆で見ると、事業化されずに残っている区域が七〇%、六千三百ヘクタールもある、もといわせていただきますが、あるということになります。
それでは、残っているこれらの区域で区画整理事業が進まなかったのはどういう理由でしょうか。
○只腰開発計画部長 土地区画整理事業を施行すべき区域のうち、ご指摘の七割の整備が進まなかった地域でございますけれども、なぜ進まなかったかということにつきましては幾つかの要因が考えられるわけでございます。これらの地域の中には、戦後非常に急速な市街化が進展しまして、いわゆる建て詰まるということで、区画整理事業の施行が事実上困難になったような地区、逆に、郊外部で、農地としての活用がなされてきたために、道路、公園等の基盤整備の必要性が比較的低かった地域、これらの地域があるわけでございます。また、このほか、計画決定の経緯などから、住民の合意形成がなかなか進まなかった。それから、整備に必要な執行体制あるいは財政的な要因などが挙げられるのではないかというふうに考えております。
○馬場委員 住民の合意形成が進まないとか、整備に必要なマンパワーや財政的要因、本当にもうこれだけの区画整理をやるというのは大変なことだというふうに思うんですが、だからといってこのままというか、地域住民のためには何か進めていく計画をつくっていかなければならないというふうに思うんですが、都として計画を進めているんですよということはずっといわれてきたというふうに思うんですが、その辺で、見直しというのが現在どのような状況になっているのか、もう一度お伺いいたします。
○只腰開発計画部長 土地区画整理事業を施行すべき区域でございますけれども、本来ですと、土地区画整理事業という手法によりまして基盤の整備を進めることが重要であり、必要なことかと思いますけれども、その事業がなかなか進まないということから、都では、関係の九区と協力いたしまして、昭和六十年代から既に、すべき区域全体の整備計画を見直そうということで努力してまいりました。しかしながら、それぞれの地域あるいはそれぞれの区の置かれた状況が異なっておりまして、なかなか調整が整わないという状況が続いてまいりました。こうした地域の現状に即しました基盤整備の水準等が反映できますよう、必要な見直しの指針等の検討を現在進めておるところでございます。
○馬場委員 見直し、--土地区画整理事業というのは難しいということで、それぞれの地域で対応するということでさらに進めていきたいというふうなことだったというふうに思いますが、既に十年以上が経過し、この間、都市計画を取り巻く状況も随分と変化してきているというふうに思います。公共事業等では、計画決定から一定の期間がたっても事業化されない場合は、事業の実施そのものを見直すということが当然のこととされるようになったということです。その意味から、すべき区域についても見直さざるを得ない状況であるというふうに思います。
もう一つの大きな変化は、まちづくりは住民や地元の自治体が中心となって行うという方向に大きく動いてきているということだと思います。区画整理についても、平成十年からは面積が五十ヘクタール以下の場合は区市町村が都市計画決定することになっているということです。
こうした中で、国が、今までこの事業に対して、建設省が見解を持ってこられたということが強く影響しているというふうに実は聞いております。建設省の過去の協議に対する考え方として、九区が一体で整備する必要があるとか、ほかの手法で整備する地域を引き続き計画区域のままにすることは都市計画論と矛盾するとか、一定の水準に達している地区を廃止するなら、これまでの都市計画制度の意味が問われるとか、他府県にも事業未着手区域があり、事業ができないから廃止または他の手法で整備することは計画論として好ましくない、全国的に及ぼす影響が大きいというような国の見解が大変大きく影響しているというふうに思います。
そういう意味では、まず、国に対して、これからの都市計画地域、すべき区域の見直しに当たって、地元住民や自治体の発想を十分に取り入れて考えられるような仕組み、そうしたことができるように建設省の見解を変えていっていただかなければならないのではないかというふうに思っていますが、その点、いかがでしょうか。
○只腰開発計画部長 いわゆるすべき区域の見直しでございますが、ご指摘のように、それぞれの地域の整備計画を策定する必要があるわけでございますけれども、その検討を行う際には、地域に身近な地元自治体が地域住民の方々の意見をくみながら進める必要があるというふうに考えております。
このため、都といたしましては、関係九区と相互に協力しながら、見直しに向けての検討を、先ほど申し上げたように進めているわけでございます。一方、国に対しても、分権の流れ等もございますので、そういう流れに沿った協力を求めながら、地域に即した整備ができるよう理解を求めてまいる所存でございます。
○馬場委員 今、地域ごとに即した整備ができるようというようなお答えをいただきました。今まで難しかったことをやっていくということは、実効性のある別の手法というのをつくっていかなければならないというふうに思います。
この質問を、相談をいただいた区でも、この土地区画整理にかわる手段として地区計画制度を利用すればいいんじゃないかという意見が出ているということでありますが、今まで土地区画整理事業というのを区が実施してきたという区は少ないというふうに伺っています。今、区民と一緒に地域計画を立てられている、検討に入っている区もありますが、まだ、こういう意識を持って地区計画等が立てられるという状況になっていない区もたくさんあるというふうに思います。この区も、マスタープランまでは何とか考えたんだけれど、地区計画制度ということまで踏み込んでまだ立てられていない現状にあるということでありました。
これから、それぞれの地域の特性を生かして、緑を残しながら、どのような方法でこうしたすべき区域の開発というか、整備をしていくかということについては、区とその地域住民が話し合い、力を出し合ってやっていかなければいけないということは十分わかっておりますが、それについてはぜひ、このことをよく知っているアドバイザーが必要であるというふうに思います。都がそのアドバイザーとして率先して相談、対応に乗っていっていただく。また、民間でこういう機関や人の育成、派遣等を含めて、これからどんどん図っていかなければ、都市計画がどこも絵にかいたもちになってしまうということがあると思いますので、この辺、これからの都市計画局の取り組みに期待させていただきまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○寺山委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕
○寺山委員長 速記を開始してください。
それでは、議事の都合により十分間休憩いたします。
午後二時三十八分休憩
午後二時五十一分開議
○寺山委員長 休憩前に引き続き質疑を続行いたします。
○大西委員 冒頭に、私もお断りしておきたいんですが、四項目にわたり質問をしたいんですが、時間の関係上、最後の都心居住まで行き着かないときには省かせていただきます。
まず最初に、建築紛争からやりたいと思います。
資料一一ページに、建築紛争調整の実績と紛争内容というものをいただきました。これを見ますと、建築紛争の原因、内容は、日照障害、プライバシー、圧迫感に関するものが多いということが出ております。しかし、最近では、いわゆる町並み、景観、環境権といった、もっと公的な原因での紛争が各地で発生していることがあるんですけれども、そのことについて認識していらっしゃいますでしょうか。
○森下建築指導部長 建築紛争につきましては、ご指摘のとおり、日照障害等が一番多いわけでございますけれども、町並み、景観等に関する紛争についても最近はよく起こっていることについては承知してございます。
○大西委員 昭和五十三年七月、二十二年前に制定された東京都中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例を見ますと、事務事業の本の中にも書いてありますけれども、都は、建築主と近隣関係住民が相互の立場を尊重し、誠意を持って話し合うことを指導するとともに、あっせん及び調停により、迅速かつ適正な紛争の調停に努めているというふうに書いてあります。これを見て、現在発生している建築紛争に対して、果たして迅速かつ適正な解決を図っているのかという部分で、私は非常に疑問に思っているんですが、その点についていかがでしょうか。
○森下建築指導部長 先ほどの資料にもございましたように、東京都が扱います建築物につきましての紛争につきまして、相当数の件数を処理しているところでございます。都としましては、建築主と近隣関係住民が相互の立場を尊重して、誠意を持って話し合いをすることを指導しておりまして、あっせん及び調停によりまして迅速かつ適正な紛争の調整に努めているところでございます。
○大西委員 これは、二十二年前に制定された条例ということを再度強調しておきたいと思います。
現行では、建築基準法さえクリアしていれば、たとえ住民の反対があっても、業者有利のまま建築許可はおりてしまいます。住民との話し合いに応じるか応じないかは、業者の気持ち次第。こじれにこじれて、一つのマンション紛争で四つの裁判を抱えている悲劇的な市民、市もありますが、業者の気持ち一つで、住民との話し合いの中で地域に合ったマンション建設に成功し、地域の人たちに歓迎されながら完成した谷中のマンションなど、非常にまれなケースですが、そういうケースもあります。この谷中のマンションを建てた事業者は、住民との話し合いで非常に自信を得て、これからは住民の意見を一二〇%聞きながらマンション計画をやっていきますということをいっておりました。そして、今回そこの事業者は不動産学会賞を受賞するということも聞いております。
こういうこともあるんですけれども、今や行政のあっせん、調停は何の機能もなし得ていないと私は実感としてあるわけですが、そのことについてはいかがでしょうか。
○森下建築指導部長 紛争予防条例に基づきまして、建築主は近隣の関係住民からの申し出があった場合には、説明会などの方法によりまして計画の内容について説明する義務がございます。都としても、そのような話し合いに応じるよう指導しているところでございます。
行政のあっせん実績としましては、先ほども申し上げましたけれども、平成十一年度にあっせんを行った四十一件のうち約七割の二十九件が合意に達しております。これは、建築主と周辺住民の方々のお互いに譲り合った話し合いの結果ではございますけれども、このように紛争予防条例の仕組みは一定の機能を果たしているものと理解しております。
○大西委員 平成十一年度の都があっせんを行った四十一件のうち七割の二十九件が合意に達しているということですが、具体的にはどういう合意に達しているんでしょうか。その合意の中に建築設計というものも含まれるのか。それとも、金銭的解決というものが果たして多いのか。どういう状況なんでしょうか。
○森下建築指導部長 合意内容にはさまざまなものがございますけれども、建物の高さを一部下げるとか、あるいは壁面を後退させるもの、あるいは駐車場の位置を変えるようなもの、あるいはもちろん金銭的解決の内容も含めておりますけれども、そのような合意に達しているものでございます。
○大西委員 金銭的解決という部分では、その割合はざっとどのくらいなんでしょうか。
○森下建築指導部長 データ的に直接的な把握はございませんけれども、建物等の階数を下げるようなことが困難な場合には、金銭的なもので解決するということも相当数ございます。データとしては、数字としては把握しておりません。
○大西委員 事業者は、建築確認申請などの一連の手続を進めれば着工できます。こうした手続の中では、その結果、合法的に建築される建築物に対しても住民から着工差しとめなど、建築反対の声が当然上がるわけですが、これらの事例について、都では、住民が理不尽であると把握しているのか、それとも、住民にも理はあるなと、あるものも多く、制度に不備があるのではないかと感じていらっしゃるのかどうか、伺います。
○森下建築指導部長 建築基準法に適合する建築物について建築紛争が起きるわけでございますけれども、その建築物によります影響をどう受けとめるかというのはさまざまな考え方があろうかと思います。建築主にも周辺住民の方にも、それぞれ理由があるわけでございます。そこで、建築主と住民がそれぞれの立場を尊重し、両者で話し合い、解決するための仕組みとして紛争予防条例に基づく制度をつくっているわけでございます。
○大西委員 ということは、もう少し具体的にお答えいただくとすれば、物によっては、ケース・バイ・ケースですけれども、住民に理があって、制度に不備があるということを感じる場合もあるということで受け取っていいんでしょうか。
○森下建築指導部長 現在の法制度の仕組みとしましては、用途地域などの都市計画に定められた枠の中で、建築基準法の基準を満足するような設計を行いまして、確認を受ければ建物はできるということになっているわけでございます。ところが、現実には、その土地利用につきまして、土地所有者などの建主側の考え方と周辺住民の方々の考え方で利害が対立するということが起きるわけでございます。したがいまして、それぞれに意見を持つということについては合理的な理由があろうかと思っております。そこで、対応策として、適法なものの建築物をめぐる両者の立場を調整するような仕組みが必要ではないかということを考えているわけでございます。
○大西委員 今おっしゃったように、事業者と、建物が建つことによって直接的に被害を受ける個人の利害対立だけじゃなく、この中には公的な価値を守るという場合の対立もあるということを私は感じるんですけど、その点についてはいかがでしょうか。
○森下建築指導部長 今の都市計画法とか、建築基準法の法律の枠の中で、それぞれ合っているわけですけれども、そのよって来る結果の受けとめ方が、建主側と住民側とでそれぞれとらえ方が違うということでございます。したがいまして、法的には同等の立場の方々でございますので、行政としては、両者の立場をともに尊重しながら調整していくという仕組みにならざるを得ない、こういうことを申し上げたわけでございます。
○大西委員 具体的なということで、例えば国立市の場合は、市の景観形成計画や指導要綱、都市景観形成条例の規定による手続を業者側は一切無視して確認申請を強行し、都においては、市及び住民の要望があったにもかかわらず、通達に基づき、確認通知を出しております。今後、民間確認等が規制緩和でいろいろなところで進行していきますけれども、そういうことの流れの中で、こういう問題がますます出てくるんじゃないかということを心配するんですが、その点はいかがでしょうか。
○森下建築指導部長 現在の紛争が起きております国立市の場合でございますけれども、これは東京都の建築主事が建築基準法令に基づきまして審査を行いまして適法に確認を行ったものでございます。今後、民間の確認機関がそういうことをする場合もございますけれども、建築主事と同様に、法に適合する場合には確認していくという仕組みになってございます。
それで、民間の建築確認にかかわります建築物につきまして、近隣紛争が発生した場合についても、東京都は事業者に対して、行政の確認の場合と同様に誠意を持って解決するように指導する考え方でございます。
○大西委員 さらに、国立市の場合でいえば、都市計画法第十二条の地区計画の手続が先行していたにもかかわらず、業者側がその後に強行した確認申請の方が早く手続を完了し、その後に地区計画が決定したという手続上の期間というんですか、そういうものがありました。このことは、確認と地区計画の法的手続の期間によるものであったわけですけれども、いわゆる駆け込み申請や駆け込み着工を法的に許容していることになるんじゃないかと私は思っております。このことは建築行政と都市計画行政の連携によって進めるまちづくりの行政の趣旨に反していたんじゃないか、自治体行政の一体性ということでは、大きくその辺が損なわれていたんじゃないかと考えるんですけれども、その辺はいかがでしょうか。
○森下建築指導部長 国立市の場合には、建築確認時点ではまだ地区計画の建築条例が施行されておりませんので、当然、厳密にいえば、基準法には適法であるということで判断したものでございまして、特に問題があるとは考えてございません。今後、先生のご指摘のように、まちづくり行政を一体的に進めていくためには、市町村が事前に地区の景観等につきまして住民のコンセンサスを得ながら、地区計画などを先行して整備していくことが必要であると考えております。
○大西委員 一連の建築紛争を見ていますと、建築紛争は民事上の問題という見解がよく出ております。幾つかの事例では、単に相隣の関係にあるわけですけれども、それだけにとどまらず、景観など、いわば公的な価値が問われているものもあります。今例に挙げました国立では、既に当該敷地を含む地域で高さ制限を盛り込んだ地区計画を定めています。地区計画は手続を経て公的に決められました。そして、結果としてマンションが竣工すれば、既存不適格の建物ができる可能性があるという問題があります。今、現に国立でそういう中で進んでいるんですけれども、こうした混乱というものを許してしまっているのが今の制度ではないかと思っております。そういう意味で、やはり制度に不備があるといえるんじゃないかと考えるんですけど、その点についてはどうでしょうか。
○森下建築指導部長 確かに国立市の事例は、一つの制度の運用の難しさを示しているのだと思います。それで、建築紛争は、適法な建築物につきましての争いでございますので、両当事者の公平な立場からの紛争を調整していくという仕組みと、もう一つは、地域ごとに土地利用のあり方などについてきめ細かく話し合って、先ほどいいましたような地区計画を決めていく、そういうようなまちづくりを進めることと、そういう二つの仕組みがどうしても大切だと思っております。
○大西委員 そういう本当にすき間をねらった形でこういう難しいことになってしまいました。現にそのマンションは建てられているわけですけれども、今、建築基準法の改正によって中間検査というものが義務づけられたと聞いておりますが、中間検査のことについてちょっと教えていただけますか。
○森下建築指導部長 中間検査でございますけれども、建築規制の実効性を保つために、東京都でいいますと、木造の三階建ての建物とか、五百平米以上の建物につきまして、一定の時期に中間的に検査をするということでございます。それによりまして、施工不良等の建築物を防止していくというものでございます。
○大西委員 そういう場合、既存不適格の建物というのは、中間検査においてどのような決断が下されるんでしょうか。
○森下建築指導部長 建築確認時点におきまして適法とされたものをその図面どおりに施工するものでございますので、中間検査につきましては確認をおろした図面どおりに施工されているかどうかということを確認するものでございまして、地区計画の高さの制限等については事後に決まったものでございますので、関係ございません。
○大西委員 関係ないということですね。
住宅品質表示にそのことが記載されるとか、そういうことはないんでしょうか。
○森下建築指導部長 住宅性能表示につきましては、いわゆる品確法という法律で決められているものでございますけれども、建築基準法が基準としての最低限のものを定めてございまして、品確法はある程度のレベル以上のものを定める仕組みでございます。品確法は、ただいま施行されてございますけれども、優良な建築物について特に認定するものでございまして、その制度が運用される前のマンションでございますので、今回の国立市の場合には関係ございません。
○大西委員 非常に何もかも関係ないということで、大きな建物だけがどんどん高さを高く上げております。それを見るにつけましても、現在は確かに地区計画の手続前ということで施工されておりますけれども、これは今回、新たに建て直すということができない、いわゆる既存不適格の建物ということだけはいえると思います。これは買う人にとって、しっかりと明示すべきだと私は思っております。住居というものは本当に一生に一度の大切な買い物であるわけですから、消費者が知る権利、そして、消費者の選択する権利の中にもこれをしっかりと明記していく必要が、私はあると思っております。この問題、ちょっとここへ置きまして、次に進みたいと思います。
各自治体には指導要綱や紛争予防条例等の形で、大規模建築物に対して近隣住民の説明会等があります。先ほど馬場委員からも指摘がありましたけれども、代理が出てきたり、一般的には住民の要請に基づいた説明会といわれておりますけれども、本来的な意味での話し合いの場が確保されていないと、いろいろな話し合いの場所に行ったときに私はどうしても感じてしまいます。形骸化しているんじゃないかと考えるんですが、その点はいかがでしょうか。
○森下建築指導部長 現在、ほとんどの特別区と建築主事を設置しております市におきまして、紛争予防条例を制定し、紛争の予防と調整を行ってございます。その中で、区市も都と同様に建築主に対しまして、近隣住民の申し出に基づきます説明会等の開催を義務づけておりまして、紛争解決に向けた実質的な話し合いが行われているものと考えております。
○大西委員 マンションというものは本当に大きな建物です。計画内容の是非はともかくとして、周辺環境への大きな影響というものは避けられないものがあります。自治体のまちづくりの方針との整合性や周辺住民の理解と納得が、そういう意味では不可欠だともいえるわけです。しかしながら、確認行政の簡素化やスピード化を急ぐばかりに、住民参加や住民同意のための法制度の整備こそが必要である--今、私とのやりとりの中でも、本当に見事にそのすき間を縫って、そして、そこに何ともいえないものができているという現状を考えたときに、そういう法制度の不備、そういうものを国へ要望するとともに、都においても何か対策を考えるべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○森下建築指導部長 先ほどから同じことの繰り返しで恐縮でございますけれども、適法な建築物をめぐる紛争であるために、建築主とか、近隣関係住民相互の話し合いによる解決が基本ということで考えておりまして、その一方の当事者でございます住民の同意というものを前提とするような制度については、困難ではなかろうかと考えております。
○大西委員 この問題だけではなく、請願陳情の説明の中にも、ほとんどがマンション紛争の問題が出ておりました。都として、今後もこういう紛争はたくさん出てくると思うんですけれども、建築紛争の解決に向けた今後の取り組みというものをどういうふうに考えていらっしゃるんでしょうか。
○森下建築指導部長 建築紛争を防止していくためには、建築主も近隣住民の方々も、お互いに相手の立場を理解し、十分な話し合いによりまして、問題の解決に努めると同時に、地域におきますまちづくりのルール化を図っていくことも大変重要であると思っております。都としましては、よりよい地域づくりという観点から、今後とも紛争の未然防止に努めますとともに、区市町村が主体となって進めますまちづくりを支援してまいりたいと思っております。
○大西委員 都としては、よりよい地域づくりの観点から、今後とも紛争の未然防止に努めるとともに、市区町村が主体となって進めるまちづくりを支援していくというお言葉、しっかりいただきました。本当に分権の視点で、単に法とか、国の通達だけで、それをそのまま実行するのではなく、都としての自主的な運用、法令の解釈、そこを考えながら、分権のまちづくりに取り組んでいただきたいと本当に思います。
そして、答弁の中で、建築紛争といえば、あたかも私人間といいますか、個人と個人、そういうものの利害対立であるかのようなお答えがかなりありました。しかし、現実は違うと思います。景観、町並みは確かに個々の建築物によって構成されておりますが、全体として一つの公的な価値というものをつくり出しております。それを守ることは決して私的利害の追求ではなく、長期にわたり多くの人が共有する公的な価値にかかわることだと思っております。開発行為の許可、建築確認事務に当たって、ただ紛争を個人的な私人間の争いとみなして、行政手続を処理する感覚でいることが、町並みや景観の破壊に結果的には手をかしているということになっていると、私は地元を考えるときにどうしても思ってしまいます。
今回の国立の事例は、そういう市民の思いが非常に多く、本当にたくさんの署名が集まりました。反対の署名。反対だけじゃないんです。いわゆる今の都市計画法に対する何らかのすべがあるのではないかということの署名でしたけれども……。
それから、部長とか、局長はこの大学通りの今紛争中のマンションをごらんになったことはございますか。
○山下都市計画局長 私はまだ見ておりません。
○森下建築指導部長 以前、地区計画の担当部長をやっておりまして、そのときに一回と、紛争が起きて今の状況になって一度、二度見ております。(大西委員「何階ぐらいの建物になっているときにごらんになったんですか」と呼ぶ)まだ最初の工事中の基礎をやっている段階でございます。
○大西委員 今、いわゆる住民が求めております並木の高さというものを超えて高さが積み上げられていこうとしております。
今、国立は、市民の財産であり、市民が誇りとしております大学通りの桜とイチョウの並木、これが黄葉してとても美しい時期です。ぜひこの時期にいらして、そして、マンション建築紛争のあだ花といいましょうか、そういうものが現にしっかりと一番住民が大切にしている町の通りの中に建っているということを確認していただきたいと思っております。
市が景観条例の審議、地区計画の制定等に積極的にかかわってきたことでもあり、そして、その意思を十分に尊重して、都として、そういう建築確認の事務、そういうものに対処すべきであったのではないかということを、私は改めて強く指摘して、次の質問に移りたいと思います。
次に、生産緑地のことで伺います。
生産緑地は、都市に残された貴重な緑、単に農業をするだけではなく、住民のいやしの部分、そして、水循環の視点においても、大切な空間であると思います。最近、生産緑地への追加指定を望む市街化区域内農家がふえているという報道がありますが、東京都において、その実態はどうなんでしょうか。
○小林地域計画部長 生産緑地地区の追加指定要望でございますけれども、労働経済局が平成十年七月に、区市の市街化区域内農家を対象に行いました都市農業実態調査によりますと、個々の農志望といったものは不明でございますけれども、全体で約百八十ヘクタールの農地を追加希望しているということでございます。
○大西委員 生産緑地の指定は、将来公共用地として利用できるなど、限定的な要件があると承知していますが、その点はどうでしょうか。
○小林地域計画部長 生産緑地地区の指定要件につきましては、ご案内のとおり、生産緑地法の第三条に規定されておりまして、市街化区域内にある農地等で、一つは、公害または災害の防止、農林漁業と調和した都市環境の保全等、良好な生活環境の確保に相当の効果があり、かつ、公共施設等の敷地の用に供する土地として適しているものであること。二つ目として、五百平方メートル以上の規模の区域であること。三つ目といたしまして、用排水その他の状況を勘案して、農林漁業の継続が可能な条件を備えていると認められるものであること。以上の三つの要件に該当した一団の区域について生産緑地として定めることができるとされております。
○大西委員 一部の道府県では、当初の指定漏れという解釈で、対象農家に一般的に生産緑地指定の希望を聞き、厳しい要件抜きに追加指定をしているようですが、都ではいかがでしょうか。
○小林地域計画部長 生産緑地地区につきましては、生産緑地法が、政府の総合的な都市政策に基づきまして、市街化区域内の農地につきまして宅地化すべきものと保全すべきものに明確に区分するために、平成三年四月に改正され、現在の生産緑地地区については、平成四年の改正法に基づいて指定を行ったものでございます。指定に当たりましては、営農の継続を前提とする制度の性格から、農地所有者等の意向を踏まえつつ、都市計画決定権者が総合的な判断のもとに一括的に行ったものでございます。
この指定は、平成四年の指定で基本的には完了しているということでございますけれども、平成五年には約百二十ヘクタールを、それ以降も例外的措置として可能な例を示しました建設省通達に基づきまして追加指定を行っているところでございます。
○大西委員 将来の人口減少を見通し、農地のオープンスペース機能への評価の高まりなどで、市街化区域内農地にむしろ積極的にそれを保全しようという声が強まっております。市区町村の都市マスタープラン等でも、こうしたアンケート調査での記述が目立つんですけれども、それをどう承知していらっしゃるんでしょうか。
○小林地域計画部長 現在までに策定されました区市町村の都市計画マスタープランでは、農地の緑地としての多面的機能を評価しておりまして、生産緑地地区につきましては保全、活用を図るとともに、生産緑地以外の農地につきましても、計画的な宅地化のほか、市民農園や学校農園、ふれあい農園としてできるだけ活用を図るということになっております。
○大西委員 生産緑地については、その解除に当たって、公共用地として買い取り、農地としての農業者による買い取り等が優先されると承知しておりますが、都において、解除された後というものは、その行方は余りつかめてないというお答えがありました。そして、そのほとんどが宅地等になってしまっているということを聞いております。そういう経過を踏まえて、市街化区域内の農地を都市内のオープンスペースとしてより積極的に位置づけてほしいというふうに思っているわけなんですが、その場合、考えられる制度は何なのか、最後にお答えください。
○小林地域計画部長 都市におきます農地につきましては、生産活動を通じまして地下水の涵養とか、防災上の観点などからも公園を補完する貴重な緑の空間であるというふうに認識をしております。生産緑地地区の追加指定につきましては、地域の実情を踏まえた都市計画決定権者の判断でも可能でございます。決定権者の判断と申しますのは、地域の実情に応じまして都市計画の地域地区の一つとして都市環境の向上を図るために、都市計画的な見地から生産緑地地区を改めて判断することでございます。
具体的には、各区市の緑の基本計画とか、都市計画マスタープランなどの上位計画に位置づけられたものや、既に指定された生産緑地の整形化が図られるものが対象になるものというふうに考えております。
このため、区市の都市計画マスタープランや緑の基本計画に位置づけられた農地等につきましては生産緑地地区制度を活用いたしまして、都市環境の向上の観点から、都市計画決定権者でございます区市の判断を尊重しながら、適切に対応していきたいと考えております。
○大西委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
では、次の項目、自転車道の整備について伺いたいと思います。
いわゆる自転車は、地球温暖化防止の、いろいろなところでいわれておりますけれども、車にかわる交通手段として自転車の活用というものが非常に認められております。日本でも外国の例でも、いろいろなところに自転車というものが交通手段として認められているわけですが、自転車道の整備実績について初めに伺います。
○杉浦施設計画部長 今回、ご要求のあった資料の一〇ページにもお出ししましたが、自転車道の整備実績につきまして、平成十二年現在、専用の自転車道という形では、車道内に自転車専用通行帯を指定したものが約五キロ、それから、自転車と歩行者をあわせた専用道路としては、時点が十一年四月現在ではございますが、江戸川自転車道等五十四キロ、さらに、一般の都道、区市町村道の歩道部で自転車・歩行者道としての道路構造令の基準を満たす歩道は、同様に十一年四月現在、約千二百十キロございます。
○大西委員 ことしの七月に出されました東京都市圏の望ましい総合都市交通体系のあり方策定に向けてという冊子の中に、このような記述があります。歩行者や自転車が安全で快適に移動でき、景観、町並みとしても充実した質の高い道路空間、都市空間の形成を目指すために、交通事故の危険性の少ない交通環境の実現を目指していく。こうした考えからすれば、都として、今後の交通施策整備計画において歩行者専用道や自転車専用道を飛躍的に強化するつもりなのかなというふうに考えてしまいますが、その点は大丈夫でしょうか。
○杉浦施設計画部長 ご指摘の冊子の記述と同様、私どもも、だれもが安全で快適に移動可能な交通環境をつくることが必要だと思っておりまして、そのためには自動車のみならず、自転車・歩行者道にも配慮しました都市計画道路のネットワーク整備を進めなければならないと考えてございますが、その際、道路を整備する際の基準でございます道路構造令におきましても、今後は自転車利用の観点を強化するという方向であると聞いてございます。このような認識をもとに、都としても、今後、都市計画道路の整備を進める中で、自転車・歩行者道の整備を充実していきたいと考えている次第でございます。
また、建設局が主体となって行っております千代田、中央地区を初めとした七つのモデル地区の検討などを踏まえ、既存の道路空間を利用した自転車・歩行者道の空間整備も促進し、これらもあわせて自転車道ネットワークの整備を図っていきたいと考えてございます。
○大西委員 そういう意味で、私も自転車というものは非常に注目しているんですが、地元で自転車交通について市民の意見を聞きますと、歩行者と混在している場合には、歩行時に危険を感じるという意見が本当に強くあります。さらには駐輪場の問題とかあるわけですけれども、交通事故やそういう不満など、この点に関する問題をどのように把握し、施策に生かしていこうとなさっているんでしょうか。
○杉浦施設計画部長 自転車の安全な利用を図るために、今申しましたようなハードの施策を推進しまして、自転車利用に対する空間の十分な確保が必要であるということはもちろんでございますが、より大きな問題としましては、私どもとしましては、あわせてソフトの対策として、自転車利用の交通ルールの確立やマナーの向上が不可欠だと考えてございます。この観点から、都では、現在、自転車利用に対する啓発用チラシなどを作成しまして、区市町村等と連携しながら、関係局ともども自転車の安全利用について普及啓発を図っていくことといたしております。
○大西委員 これは私がいつもいっているんですが、これからの道路計画において、単に車のための道路づくりじゃなく、歩行者、そして自転車を中心に据えた道路づくりをぜひ目指していただきたいと思います。
ちょっと時間が大丈夫のようなので、都心の居住ということでもたくさん資料要求させていただきました。その中で、最後の質問、今後の都心居住政策についての方針を伺いたいと思います。
○中島総合計画部長 職住近接により、ゆとりのある多様なライフスタイルを実現する上で、また、道路、鉄道を初めとする基礎的な都市基盤や各種公共公益施設など、既存の充実した都市基盤を生かす上でも、都心への居住機能の誘導は重要なものであると考えております。そのために、都心居住を進めていくための各種都市計画、都市開発諸制度の果たす役割は、今後とも大きいものと考えておりまして、これらを引き続き活用していく所存でございます。
さらに、都心居住を推進していくためには、民間活力を適切に生かしていくということが、今後ともより一層重要になってくると考えておりまして、このために現行制度や仕組みをより使いやすいものに改善していくことも重要であると考えておりまして、そのための検討も進めていくことが必要だと考えております。
具体的内容につきましては、現在策定中の東京構想二〇〇〇や社会経済情勢の変化を踏まえた東京の新しい都市づくりのあり方の中で明らかにしたいというふうに考えております。
○大西委員 最後です。どうもありがとうございました。
先ほどの建築紛争なんですけれども、本当に二十二年前につくられた建築紛争の予防と調整に関する条例によって進められているということ自体が、今の時代にそぐわなくなっていると私は思っています。先ほど部長と局長だけに伺いましたけれども、都市計画局の皆さん、ぜひ国立にいらして、現在行われている現状というものをしっかりと見ていただきたい。そして、本当にこのことは市民、市、大きな痛みを伴って、今それが進んでおります。そのことを十分に目で見て、そして、しっかりとした都独自の法制度の運用や、そういうものに生かしていただきたいと思います。
そのことを要望して私の質問を終わります。
○吉田委員 じゃ、私が最後のようですので、ひとつよろしくお願いいたします。
私は、都市計画、都市づくりの基礎的なことをきょうは質疑をさせていただきたいと思います。
東京都は、九月に、東京構想二〇〇〇の中間案を発表いたしました。その中で、環状メガロポリス構造という新しい構想が打ち出されましたし、都市計画局は、今年度までにこの環状メガロポリス構想を策定するということで準備をしているというふうに聞いております。しかし、私は、この構想については、全容は明らかになっていませんけれども、かなり基本的なところで幾つか疑問を感ぜざるを得ません。そこで、せっかくの事務事業の質疑という機会でありますので、東京の都市構造の現状や都市計画のあり方について、局のお考えや今後の対応について基礎的なことをお聞きしたいということです。
初めに、東京メガロポリス構想という言葉自身でいうと驚くようなネーミングですし、また、中身も従来の都心という概念を首都高速中央環状線全体をセンターコアとするという、かなりこれまでと違う、さまざまなものが基本的に盛り込まれている印象を受けるわけですが、このメガロポリス構想というものは、一体何をルーツに生まれてきたのか、若干説明をお願いいたします。
○河島参事 ルーツということでございますけれど、経緯というような理解で答弁させていただきたいと思います。
首都移転の問題に絡みまして、昨年の九月に衆議院の特別委員会で、石原知事が参考人として知事の首都移転に対する考え方を述べる機会がございました。この中で石原知事は、東京で引き続き首都機能を担っていくべきである、これは東京圏全体で担っていくべきであると。そのためには、東京圏において従来必ずしも十分でなかったいろいろな都市づくりの整備の不十分な部分を、一層それをやることによって、わざわざ首都を移転しなくても、東京圏でしっかりと首都機能を担っていける。このような趣旨の知事の意見を述べた機会がございました。
そのときに、石原知事の方から、東京圏の将来のあり方として、仮称で、東京圏メガロポリス構想といったような、そういう東京圏づくりをやっていくことによって首都を引き続き担い続ける東京圏ができる。そのあたりが一番の出発点であったというふうに認識しております。
○吉田委員 都市計画の基本的な、かなり骨格的あり方ということになれば、相当この間の都市計画の現状とか、解決すべき問題点だとか、総合的な検討を経ないと、たとえ骨格であったとしても、打ち出すことはかなり不適切といいますか、慎重を要することだと思うんですが、この首都移転の国会での特別委員会での発言で打ち出すに当たっては、具体的には都市計画局はその作成に関与されているんですか。また、どのようにこれは作成されたものなんですか。
○河島参事 都市計画局といたしましては、知事が先ほど申し上げました衆議院の特別委員会での意見を述べるに当たりまして、その考え方の整理をするために、その具体化と申しますか、考え方についての整理を図るべく、作業の下命を受けた。そういう作業の中で、まだ非常にラフなものであったわけでございますが、それを知事にお出しして、知事が参考人の意見を述べた、そういう経過でございます。
○吉田委員 中身の話にこれから入りますけれども、私、率直に疑問に思うのは、ある程度骨格的なものを出すにしても、先ほどもいいましたけど、この間の東京における都市構造の問題点や、あるいは経過や、解決すべき問題や、相当緻密な検討なしに骨格そのものを出すのは極めて困難ではないのかという印象を受けます。それがこういう形で出されたことと、しかも、これは片や国の首都機能移転というものに対する対案として、首都機能のいわばあり方という形で出た、つくられたというふうに理解するわけですけれども、そういう発想が果たして東京の都市づくりのあり方の検討の仕方として適切なのか否かという疑問を感じます。
もう一つ疑問なのは、たしかこれと同時期に、私も都市計画審議会の委員をしているわけですが、東京の都市づくりの長期的な方向について、わざわざ都市計画審議会に諮問しているわけですね。しかも、あくまでも白紙からぜひ考えていただきたいということをいいながら、片方では、現実にメガロポリス構想というのが打ち出され、そして、この九月に出た東京構想の中間まとめの中では具体的にそれが既に着実に進行している。それだったら、都市計画審議会に諮問を行ったということがどういう意味を持つのかということが手続的に疑問を感じます。
次に、中身について入らせていただきますが、東京の都市構造の問題をめぐって、メガロポリス構想の中でも強調されているのが三環状の建設促進、これは東京構想二〇〇〇の中間まとめの中でも、同様に繰り返し繰り返し三環状ということが打ち出されていて、東京の都市構造の中で環状道路の建設のおくれが最大の問題だというような位置づけだと思うんですが、もちろん私も道路が一〇〇%できているというふうなことはいいませんが、しかし、例えば都市白書の二〇〇〇で出したような環状道路、それも高速の環状道路だけをとって、二〇%しか到達していないということを取り出して強調することは、かなり一面的な強調になるのではないかなという印象を受けます。それで、まず、そのことから話を進めたいわけですが、例えば放射線の高速道路というのはどれだけできているんでしょうか。
○杉浦施設計画部長 東京圏を取り巻く高速道路のネットワークは、三環状九放射といういい方をしておりまして、今委員ご指摘の三環状はまだ整備が途上である。九放射につきましては、正確な数字ではございませんが、おおむね九割が完成していると認識しております。
○吉田委員 放射線の高速道路は九割が完成している。しかも、これはもともとルーツはどうも建設省の資料のようですけれども、二〇%、二〇%ということが盛んに強調されていますが、分母である計画道路の計画面積や計画の延長線が長ければ長いほど、おのずとその率は低くなるわけで、例えば分母の数を見れば、東京の環状道路の場合には首都圏全体ですから、五百キロを超えている。他の、例えばロンドンなんかの場合でも、ベルリンなどの場合でも、二百キロ台を分母にしてその達成率を見ているわけですから、おのずとこれが低くなるのは明らかなわけですね。
さらに質問をしたいわけですが、この過程の中で、メトロポリスの都市交通という文献を皆さん方に紹介していただいて、私も、こういう文献があるのかということで大変勉強になったんですが、その文献の中で、これも高速道路ですが、ロンドン、そして、ニューヨーク、パリ、東京ごとに、それぞれの圏域ごとの高速道路の延長距離を示していると思うんですが、これを紹介していただけませんか。
○杉浦施設計画部長 それぞれの都市のゾーンの中での高速道路の延長距離でございますが、例えばゾーン一、これは一番都市の中心(吉田委員「一番広いところでよろしいですよ」と呼ぶ)広いところでよろしゅうございますか。広いところですと、ゾーン四ということで、厳密に、例えばロンドン、ニューヨーク、パリの(吉田委員「トータルでいってください」と呼ぶ)ご指摘の文献によりますゾーン四、一番外側のエリアでいいますと、ロンドン六百五十八キロ、ニューヨーク千六百五十三キロ、東京は六百八十七キロでございます。
○吉田委員 ちょっと私が希望していたのと違っていたんですけれども(笑声)延長距離の全体を見れば、ロンドンはたしか七百二十、パリは七百八十二、東京は九百十一キロ、総延長では。したがって、その実数の距離で見ても、そんなに極端に東京の道路づくりがおくれていてという状況じゃないんですね。
しかも、私、これを面積で比べてみたんです。それぞれの面積ごとにどれだけの延長距離、行政ごとの総面積を延長距離で割ると、どのぐらいの数になるのか。そういうふうにしますと、例えば東京は〇・〇六九、ロンドンは〇・〇二九、パリは〇・〇六五なんですよ。もちろん延長距離だけを比較すれば、それぞれの地域的な面積の広さがありますから、いろいろな評価があるかと思いますが、この文献の中で出されているゾーンの面積の中の高速道路の延長距離の比率を比べると、逆に、パリやロンドンよりも東京の延長距離の方が面積に対する比率は長いということが現実の一つの側面--もちろんこれだけを見てすべてだというふうにはいえないかもしれませんが、これが現実の、恣意的なものじゃなくて、あなた方が紹介してくれた文献の中で、こういう計算ができるじゃないかというのが、私が具体的にお示ししておきたいことなんです。
しかも、結局、東京の渋滞や過密という問題を考える上で、道路の建設のおくれという問題じゃなくて、最大の問題は、都心部を中心とする、今それが区部全体に広がっていますが、業務機能の集中というところに、私は、構造的な大きな問題があるのではないかなというふうに思っております。
そこで質問するわけですが、区部の自動車交通総量に占める、ほとんどは通過交通だよというようなことがよく簡単にいわれるわけですけれども、通過交通というのはどれだけその中で比重を占めているのか、お示しください。
○杉浦施設計画部長 区部の総交通量は、台数にしますと、約六百六十万台ございますが、そのうちの通過交通というのは三十五万台でございます。ただし、六百六十万台には区部の内々交通、区部だけで完結する交通がございますので、区部と区部の境界をまたぐ交通百六十五万台のうちの、先ほどの三十五万台につきましては二割強というような感じです。そんな数字になっております。
○吉田委員 ちょっとわかりにくいお話のような感じもするんですが、いずれにしても、区部の中だけを走っている車、それだけじゃなくて、外から中、中から外へ出入りをする車も含めまして、すべて、今のお話だと、区部で走る車の台数というのは、六百六十万台である。そのうち純粋に区部に直接かかわらない、発生も到達もかかわらない通過交通は三十五万台であるということは、約五%ということなんですね。結局、区部の業務機能を初めとするさまざまな集積的な意味合いが、もっぱら区部における自動車発生の主な原因であるということが客観的にいえると思うんです。
しかも、首都圏で見ても、区部の自動車交通のトリップ数というものを川崎や千葉などと比べてみれば、際立って高いということも示されていると思うんです。
次に、東京におけるそうした集中問題について若干確かめていきたいわけですが、ニューヨークなどと比べてみても、東京の場合には昼間人口が非常に多い。業務機能が非常に集中しているという問題があって、これが僕は、東京の都市構造の大きなゆがみの一つではないかなというふうに思うんですが、そこで、ご質問させていただきますが、昼間人口を見た場合、ニューヨーク市と東京都区部の人口密度はどのようになっているのか、ご説明をお願いいたします。
○河島参事 東京都区部とニューヨークの昼間人口の密度の比較ということでございます。ニューヨーク市市域全体でとらえたときに、一ヘクタール当たり昼間人口は約百五人でございます。それから、東京都区部は一ヘクタール当たり約百八十人でございます。
○吉田委員 ですから、昼間人口の密度を見ても、東京の方が、あれだけ業務が発達しているニューヨークに比べて、今のご説明だと、約一・八倍、二倍近い高い比率を持っている。これは業務床、業務機能の集中と密接な関係があると思うんです。そこで、ニューヨーク市と東京区部のオフィス床面積、業務床の面積はどんなふうになっているのでしょうか。
○河島参事 若干データ的には古いものになりますが、都市白書の九一年の版で調べますと、東京のオフィス床面積が都心三区で約三千ヘクタール。これはニューヨークにおけますマンハッタンの南半分、これが中心業務地区ととらえられておりますが、こちらと同じぐらいで、こちらも約三千ヘクタール。都心三区とニューヨークのマンハッタンの南半分のCBDがほぼ同じ大きさで三千ヘクタールずつという形になります。
ちなみに、区部全体で見ますと、五千百ヘクタール。ニューヨーク市全体で見ますと、約三千百ヘクタールというふうになります。
○吉田委員 ですから、ニューヨークの場合にはCBDに非常に集中しているという独特の構造があると思うんですが、少なくとも二十三区全体とニューヨーク市全体、もちろん面積的にはニューヨーク市の方が二十三区の総面積よりも一・二倍ぐらい、多分大きいかと思うんですが、面積の大きいニューヨーク市の方が三千ヘクタール強ですか、そして、東京二十三区の方が五千ヘクタール強と。これで見ても、一・五倍以上のオフィス床の集中が東京二十三区の方に、ニューヨークと比べても進んでいる。こういう事態をどう解決していくかということが、私は、東京の都市問題、さまざまな問題を解決する上で大きな課題として浮かび上がってくるのではないかなというふうに思っております。
ところが、現実には、私も都市計画審議会の委員として何度か具体的な再開発計画、あるいは特定街区の計画について質疑をさせてもらいましたけれども、私が知っている限りでも、相当そういう事態にさらに加速するような傾向が強まっていると思うんです。
それで、きょうの委員会に資料を出していただきましたけれども、例えば一ページに、二十三区で事業化されている、今進行中ですね、市街地再開発事業、その中で、右端に、それぞれこの事業が進んだ場合に、自動車発生集中交通量が一日何台ぐらいになるのかというものを示していただきました。
さらに、次に、三ページのところで、特定街区、この事業が進んだ場合に、自動車発生集中交通量が一日何台に伸びるのか。もちろん、ゼロじゃなくて、主な場合には、例えば丸の内の特定街区は丸ビルの建てかえですから、ゼロから一気に七千とか四千という数がふえるわけじゃないでしょうけれども、しかし、この一ページ目の数を足しただけでも、私の計算だと十万台が集中発生交通量として伸びる。特定街区の方はわずか四つの特定街区だけで二万台の自動車交通量の発生が予測されるという事態なんですね。
しかも、ここに書いてあることがすべてかというと、決してそうではありません。汐留は区画整理事業として進められていると思うんですが、この汐留一カ所のビル等がすべて完成した場合に発生する交通量というのはどの程度が見込まれているんでしょうか。
○小林地域計画部長 現在の段階では、すべての計画が実現しておりませんので、区画整理事業者の想定によりますと、たしか三万台を予定しています。
○吉田委員 そうしますと、資料に港区に関する計画が二カ所、さらに汐留のもう一カ所、三カ所を加えただけで、港区での自動車の発生量は五万台、港区の六本木二つで二万台を超え、さらに汐留一カ所で三万台を超えるということになれば、三つのプロジェクトで五万台の交通量が発生するということになります。ちみなに、五万台というと、大体幹線道路でどの程度の道路一本に匹敵するか、ちょっとお答え願えませんでしょうか、一日交通量五万台というと。
○杉浦施設計画部長 お問い合わせの答えに的確なのかどうか自信がありませんが、純技術的に過去のデータなんかから、私どもが道路をつくって、そこに流し得る交通量というのは、大体一車線一万台ぐらいを目途といたしております。したがいまして、五万台といいますと五車線分ぐらいの容量になるかと。
○吉田委員 私の杉並の地元でいきますと、青梅街道が二十四時間で四万台ちょっとなんですね、これは阿佐谷部分ですけれども。例えば、環七の和田の地域でいきますと、これもやっぱりたしか四万台強ぐらいかなという事態ですから、この場合、港区の六本木に関する二つの再開発事業、そして、汐留の区画整理事業という三つの事業で、青梅街道一本分を超えるだけの、純数字的に、それだけの新たな交通容量の負荷が課されるというほどに、都心及び都心周辺部における業務ビルづくりというものは発生するんだと。そういうものに大きな行政の力でどうコントロールするのかということが、私は、今、ただ道路、道路というだけじゃなくて、求められているのではないのかなという気がいたします。そうしませんと、幾ら、例えばTDMとか、ロードプライシングとか、さまざまな策をしてても、その一方では、次から次へと車が必要とし、車が発生するような都市づくりが促進されていけば、TDMやロードプライシングをやっても、乱暴ないい方かもしれませんが、ざるみたいな事態になりかねないのではないかというのが、私の印象です。
そこで、メガロポリス構想についてご質問させていただきたいんですけれども、このメガロポリス構想では、首都高中央環状線内側はすべてセンターコアである。従来の港区、中央区、千代田区の三都心じゃなくて、もっと広く都心とする。その中に業務・商業、あるいは文化的なものも含めてということになるわけですが、これでは、私の印象では、区部、とりわけ中央環状線内側の業務機能がさらに促進される方向に進むのではないかという印象を受けるわけですが、どういうお考えなんでしょうか。
○河島参事 センターコアという環状メガロポリス構造におけます東京圏における中心核の位置づけ、これを、これからそのエリアにおける整備というものをやったときに、業務機能が非常に集中してしまって、都市機能を損なうことになるのではないか、そんなようなご趣旨のご質問かと思います。
先ほど来、いろいろとデータのご質問がございましたが、パーソントリップ調査で、この十年間、昭和六十三年から平成十年までの十年間の推移を見ますと、東京都区部におけます自動車の交通量というものはむしろ減っております。今ご指摘のように、いろいろな開発が積み重なるといっても、開発部分だけを取り上げてみれば、機能が集約化されるわけですから、発生集中交通量がふえるということは、その部分だけ取り上げればあったにしても、全体の都市構造が変わっていって、再編されて、機能更新される中で都市全体としてどうなのか、こういうことを見ていかなければいけないのではないかというふうに考えております。
この環状メガロポリス構造におけますセンターコアの考え方というのは、そういう東京におけます都心とか副都心とか、これまで位置づけのあった拠点、それから現にいろいろな清算事業団跡地などで行われております計画的な複合開発のプロジェクト、そういったものをうまく組み合わせて、東京の国際競争力とか、魅力を高めていく。全体としてそういう活力をアップしながら、土地利用のバランスにつきましても、都心居住とのバランスのとれた都市づくりを進めていく。そういうことを大きな目標として進めようとしているものでございます。ですから、決して、理事ご指摘のように、センターコアの中でいたずらに業務機能ばかり肥大化して、東京がアンバランスな都市になってしまう、そういうことを目指そうというものでは全くないということを申し上げたいと思います。
○吉田委員 私も、先ほどの交通量の発生も、新たに全部それが生まれるなんていうふうにいったわけじゃ決してありません。それと、業務機能も、センターコアはすべて業務機能だというふうに理解しているわけでは決してありません。ただ、現実に、これは首都圏計画地図、さらに都心何とかというものを現副知事さんが出されておりますけれども、すごいプロジェクトがたくさんあるわけですね。例えば東京駅の周辺一つをとってみても、あっちでもこっちでも巨大な高層ビルづくりが乱立しているということが、現実に今進んでいるときに、そういうことをうまくコントロールし、抑制する方向に皆さん方が持っていこうとするのか、どうなのかということが具体的に問われているし、しかし、東京構想二〇〇〇の文言を読みますと、こういうふうに書いてあるんですね。将来像として、国際ビジネスセンター--これはセンターコアについてですよ。国際ビジネスセンター機能を初め、業務・商業、文化、居住等多様な機能が高密度に集積していると。土地の有効高度利用を図るということで、これはもう、ますますこうした業務的な機能を強化していく方向をとるのかなという印象を受けるのは、決して曲解をしているつもりはありません。
そこで、質問するわけですが、具体的に、それでは、センターコアの中の、例えばオフィス床はどの程度に保つことを政策的な目標としているんでしょうか。少なくともこれまでの都市計画は需要対応型であったけれども、これからは政策誘導型なんだということが盛んに強調されていますが、それはどうでしょうか。
○河島参事 オフィス床のコントロールというようなことで、どのくらいの量にしようとしているのかというお尋ねでございます。この点につきましては大変難しいテーマであるかなと。と申しますのは、最近の事務所、オフィス床面積の動向とそこで働くオフィスワーカーの数の関係を見てみますと、一九九〇年から一九九五年の五年間で、事務所の床面積、区部におきましては、約二千ヘクタールふえております。しかし、オフィスワーカーは全くの横ばいでございます。これは一人当たりのオフィス床面積というものが、最近のいろいろなITの進展とか、そういったことなどに伴いまして、従来に比べてゆとりある、そういう状態になっています。ですから、原単位で一人当たりオフィス床面積何平米というものがずっと固定的に安定的に存続して、それが全体のコントロールする数値になり得るというようなことは必ずしも今いえない状態になっています。そんなようなことがございまして、一概にオフィス床というものについて、ある量を設定することが本当に妥当なのか。
もう一つは、都市機能がこれからいろいろ変化を遂げていく中で、安定の構図というものも、必ずしも一義的に決まるものでもない。ただ、全体として職と住のバランスをとるというようなことからいたしますと、それにしても、一定のレベルというものを考えていくべきではないのかというような、そういう意見、考え方もございます。この辺につきましては、現在、都市計画審議会の都市づくり調査特別委員会におきまして諮問された、社会経済情勢の変化を踏まえた東京の新しい都市づくりのあり方のご検討をいただいております。
そういった中でも、果たしてどういうふうに人口とか、あるいは業務機能のフレームといいますか、そういったものについて考えていけばいいのかというご議論もいただいているところでございます。今の段階ではその議論の最中ということでございますので、今後、議論が一定の方向性が出ましたら、それをまた答申の中に書き込んでいただくなり、あるいはいろいろ議会の方からもご意見をいただくなりして、今後の新しい都市づくりビジョンの策定に向けて、それを生かしていきたいというふうに考えているところでございます。
○吉田委員 数字的なことをどういうふうに明確にするかというのは困難さはあるかもしれませんが、私は、明確にきちんとした誘導型の方向に持っていかなければ、しかも、逆に、国際金融センターづくりというかけ声で、さらに、単なる都心だけじゃなくて、首都高速環状線の内側でのそうした業務ビルづくりを促進する役割を、このメガロポリス構想が果たすのではないかという危惧の念がありますから、そのことをいったわけです。
次に、関連して質問したいのは、三環状、三環状ということが盛んに強調されておりますけれども、これが財政的にどう東京都にはね返ってくるのかということをただしておきたいと思うんですが、一番はっきりしていることで、首都高速中央環状線については、貸付金、出資金ということで、東京都の役割分担が非常にはっきりしていると思うんですね。総事業費も推計されていると思うんですが、来年度予算での局要求も含めまして、今後、東京都の負担はどの程度、中央環状線だけに限って発生というか、負担がはね返ってくるんでしょうか。
○杉浦施設計画部長 首都高速中央環状線、これは板橋足立線と新宿線がございますが、合わせまして、来年度以降の事業費予測を集計しますと、六千二百億余の事業費が予測されております。その中で、私ども東京都は、一二・五%の出資率、あるいは無利子貸付は五分の二を負担します。それらを合わせまして、千九百億弱の都負担が想定されます。
○吉田委員 今後、推計で千九百億の負担が生ずると。
次に、圏央道なんですけれども、これは直轄部分の都負担という負担割合が明確にされているかと思うんですが、その負担割合はどうなっているのか。もしおよその推計が出れば、東京都の負担は、総事業費の直轄分との関係でどのぐらいになるのか。
○杉浦施設計画部長 圏央道につきましては、日本道路公団の有料事業と直轄国道事業の合併事業でやっておりまして、おっしゃいますとおり、国道事業につきましては、地方負担が三分の一ございますが、有料事業につきましては基本的には地方負担が現制度ではないということで、残事業費やなんかも明らかになってございませんので、今後の都負担については今のところ私ども把握してございません。
○吉田委員 じゃ、次に外環道路について質問させていただきますが、外環道路の都負担というのはどうなんでしょうか。
○成田外かく環状道路担当部長 ただいま杉浦部長がご答弁申し上げましたように、現制度におきましては、まだ事業者が決まっておりませんけれども、建設省が現在事業予定者として位置づけられておりますけれども、実際の事業に関しましては、建設省になるか、道路公団になるか、まだ決まっておりませんので、その制度の当てはめによりまして、その事業費の負担が変わってくるというふうなことで、現時点では(吉田委員「その事業費の負担、教えてくれませんか。建設省になった場合、どうだというのは」と呼ぶ)圏央道と同様に、国が直轄でやりますと、三分の一の負担になります。日本道路公団が行いますと、現制度の中では有料道路でございますので、日本道路公団が負担というようなことで、東京都の負担はございません。
○吉田委員 そうすると、国の直轄、公団じゃなくて、建設省の直接的な事業ということになれば、外環道路の場合でも東京都の三分の一負担というのが自動的に出てくるということですね。
もう一つ、私、外環の場合に、以前も別な委員会で質問させていただいたことがあるんですが、今、外環道路は、外環は地下に通して、地上部分は例えばバス交通に利用できるようにするとか、まちづくりに生かすとか、そういう二重の道路構造、ないしは道路だけじゃないかもしれませんが、出ていますね。そうすると、例えば、外環は地下を通って、地上部分は都道になるというふうなことも全くないとはいえないわけですね。
○成田外かく環状道路担当部長 外環に関しましては、昭和四十一年に都市計画決定されまして、四十五年にいわゆる凍結状態になってございます。私ども、今、地元の皆様方といろいろお話し合いをしながら、都及び国はこれをつくる立場で、何とか整備をしたい。ただ、外郭反対連盟の方は、これをつくらせない立場で、今お話し合いをさせていただいておりますので、現在、第二回のお話し合いをさせていただいておる中で、この外環の必要性等につきまして、地元の皆様方と今話し合いに入っている中でございますので、地元情勢上、非常に微妙なところもございますので、答弁は以上とさせていただきます。
○吉田委員 以前、都市計画局の方に聞いたときには、都道になることも想定していると。都道になった場合には、当然、国だけじゃなくて、用地買収費も含めた東京都負担というものが発生することは全くないとはいいがたいというお話がありましたから、単に直轄事業の三分の一負担だけじゃないこともあり得るかなということで、今質問させていただきましたけれども、もともとは凍結が解除されていない道路に関してですから、具体的なことを答弁できないということで、非常に慎重な態度をとられたかと思うんです。
いずれにしても、金額的に今明確に示されたのは、首都高速の中央環状線、約二千億弱と。しかし、それ以外についても、相当な負担が発生するということは明らかなわけですね。今後の東京都の新たな建設工事だけじゃなくて、従来の基盤整備をいかに更新事業をしていくかということに相当な財政負担が考えられるときに、こうしたことは東京都の財政を新たに圧迫することになるのではないかなということを指摘させていただきます。
最後に、盛んに国際金融都市ということが東京構想二〇〇〇の中でもメガロポリスの中でも強調されていますが、私は、東京の都市づくりを考えるときには、例えば都民の暮らしとか、あるいは過密、そして通勤ラッシュの解消とか、住宅問題の解決とか、そして、オープンスペースの緑の確保とかいうこととの関係で、どのように都市構造をつくっていったらいいのかということが第一義に検討されなければならないと思うんですね。
例えば、国際金融都市でないと、まちは滅びるかのようなことが盛んにこの文言でうたわれているんですけれども、パリにしても、ローマにしても、国際金融取引上では一位、二位、三位にランクされないにしたって、あれだけのまちとして発展しているわけですから、その角度だけでとらえることは、東京の都市計画をゆがめると思うんですね。
例えば、その一つとして、極めて異常なおくれがあるのが東京の緑、オープンスペース、公園だと思うんですよ。もう予定の時間になってきていますけれども、資料七ページで示していただきましたから、あえて答弁は求めませんが、こういう異常な、それこそ都市公園の格差といいますか、おくれをどう本当に解決するのかというところにこそ、もっと知恵と努力を発揮していただきたいものだというふうに思うんですけど、こういうことはどのようにお考えなんですか。
○河島参事 理事ご指摘のように、都市づくりを進めていく上で、業務機能と--業務機能の中に金融というものも入るかと思いますが、それだけでやるということは到底考えられるわけもなく、非常に多様な機能をいかに都市の中でうまくそれぞれが関連づけながら、都市の活力とか、魅力を増していかせるようにするかというのが課題だと考えております。このような認識は、都計審の方でご議論いただいた東京の新しい都市づくりのあり方の中間まとめにおきましても当然出ているわけでありまして、基本的な考え方として、都市活力を高めることは重要。環境と共生すること、それから文化を高めていくこと、さらには生活環境を暮らしやすいものにする。そういったことを皆ないまぜながら、どれが欠けてもいいということではなくて、都市づくりを進めていく。これが基本であると思います。
従来の多心型都市構造の考え方は、必ずしも単一機能とはいい切れない部分がございますが、その出発点が、東京への業務機能の集中に対していかにこたえていくか、対応していくかということが中心であったために、どうしても業務機能中心の議論になりがちであった面がございます。そういった面もありまして、今回提起しております環状メガロポリス構造というのが、業務機能だけに限らず、居住、物流、産業、文化、環境、いろいろな機能をいかに都市として整合的にうまくやっていくのか、こういったところを基本にしております。
しかも、業務機能が、ずっと戦後集中したというのは、まさに右肩上がりの時代の現象でございまして、これから二十一世紀に入るに当たりまして、人口減少の時代が到来する。そうすると、集中の構図というものも大きく変わってきてしまう。そういう中にあって、いかに政策誘導型の都市づくりを目指すかという観点に立って、一連の都市構造の考え方の問題提起を行っていくというようなことでございますので、決して生活環境とか、あるいは緑という、そういうようなものをないがしろにするものではなく、そういったものも大切にしながら全体として都市をうまく運営していく、こういう観点に立って都市づくりを進めていく必要があるというふうに考えております。
○吉田委員 最後は、河島教授の学説を聞いたような印象なんですが、(笑声)いずれにしても、都民の暮らし、環境、そして、健康ということが本当に都市計画の中で、僕は出発点として位置づけられていただきたいし、世論調査などでも、都民がどういう地域と都市づくりを望むかということだって、さまざまな形であらわれているわけですが、残念ながら、皆さん方がつくられた中で、どうもそういう視点が、ちょっと見受けられないなという印象を受けるわけですが、ここは最後、ひとつ局長にぜひご答弁というか、ご発言をお願いしたいんですが。
○山下都市計画局長 東京圏メガロポリス構想に関連いたしまして、幅広い都市づくりのご議論をいただきました。私ども、五十年という大きな、長期的な立場から戦後何をやってきたんだろうということをしっかりと見据えたわけでございます。その中で、一番落ちていたのは、業務機能その他の分散政策ということの裏に居住機能がおざなりにされていたのではないかというようなことを十分考えたわけでございます。
今回お示ししたメガロポリス構造におきましても、都心においては居住機能をどうやって再生しながら、まちをつくっていくかということが主体、最も重要な課題になっているわけでございますし、その周辺の都市環境整備ゾーンといいますか、外環を含めた地域につきましては、自動車交通が今生活道路に非常に進入しているというような、いわゆる自動車交通からの課題がいろいろとこの地域においては出現している。それを外環を整備することによって、そういうようなものを通過交通として排除しながら、生活環境地域には通過交通を入れないような方策をどうやってとっていくかということで、まちづくり、居住環境をどうやってやっていくかと。また、業務機能を核都市連携でやっていまして、さらに外の部分につきましても、ITその他いろいろな産業が立地している中で、居住環境が忘れられているのではないかというような観点から、秩序ある核都市の開発が必要だというようなことで、今回のまちづくりをとらえているわけでございます。かつ、人口がこれからそれほどふえない、あるいはもしかしたら減少する。そういう中では、それが一番大きな課題になっていくということは明白でございます。
そういう意味で、業務機能は確かに中心都市の中においても、今は魅力が失われつつありますので、都心の活力あるいは東京の活力、もしかしたら日本の活力を回復するためには必要なんですが、いろいろな面でのバランスをとりながらやっていくというのが今回のテーマになっております。その辺、よくご理解をいただきたいというふうに、私どもこれから努めてまいりたいと思いますが、なお今後、今年度末に向けて都市計画審議会の中でいろいろと意見をいただくことになっておりますので、十分先生方のご意見も踏まえながら、答申に反映していただくよう、私ども事務局としても努力していきたいというふうに考えております。よろしくお願いいたします。
○寺山委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○寺山委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で都市計画局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後四時二十一分散会
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