委員長 | 尾崎 正一君 |
副委員長 | 清水ひで子君 |
副委員長 | 吉野 利明君 |
理事 | 大西由紀子君 |
理事 | 森田 安孝君 |
理事 | たぞえ民夫君 |
真鍋よしゆき君 | |
竹下 友康君 | |
かち佳代子君 | |
谷口 卓三君 | |
新藤 義彦君 | |
立石 晴康君 | |
内田 茂君 | |
田中 晃三君 |
欠席委員 なし
出席説明員都市計画局 | 局長 | 山下 保博君 |
次長 | 石山 伸彦君 | |
技監 | 勝田 三良君 | |
理事 | 塩野 忠弘君 | |
総務部長 | 野田 一雄君 | |
総合計画部長 | 中島 守君 | |
開発企画担当部長 | 田中 亨君 | |
地域計画部長 | 小林 崇男君 | |
施設計画部長 | 杉浦 浩君 | |
航空政策担当部長 | 山内 一良君 | |
外かく環状道路担当部長 | 成田 隆一君 | |
開発計画部長 | 只腰 憲久君 | |
防災都市づくり推進担当部長 | 福島 七郎君 | |
建築指導部長 | 森下 尚治君 | |
参事 | 河島 均君 | |
環境局 | 局長 | 中野 英則君 |
総務部長 | 平井 健一君 | |
企画担当部長 | 梶原 康二君 | |
技術担当部長 | 関 寿彰君 | |
移管事業調整室長 | 西野 和雄君 | |
環境改善部長 | 長谷川 猛君 | |
参事 | 小島 高志君 | |
自動車公害対策部長 | 松葉 邦雄君 | |
自動車公害対策推進担当部長 | 山本 憲一君 | |
自然環境部長 | 高田 茂穗君 | |
廃棄物対策部長 | 薄 厚一君 | |
環境評価部長 | 町 格君 | |
環境科学研究所次長 | 萩本 秋彦君 |
本日の会議に付した事件
請願の取り下げについて
意見書、決議について
環境局関係
付託議案の審査(質疑)
・第二百四十六号議案 東京都環境基本条例の一部を改正する条例
・第二百四十七号議案 東京都廃棄物条例の一部を改正する条例
・第二百四十八号議案 東京都自動車排出窒素酸化物総量削減計画策定協議会条例等の一部を改正する条例
・第二百四十九号議案 東京都公害防止条例及び東京都環境事務所設置条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・「緑の東京計画」中間のまとめについて
都市計画局関係
付託議案の審査(質疑)
・第二百四十三号議案 東京都建築指導事務所設置条例の一部を改正する条例
・第二百四十四号議案 東京都建築安全条例の一部を改正する条例
・第二百四十五号議案 東京都都市計画局関係手数料条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・東京ベイエリア21(中間のまとめ)について
・秋葉原地区まちづくりガイドライン-中間のまとめ-について
・震災復興グランドデザイン(中間のまとめ)について
○尾崎委員長 ただいまから都市・環境委員会を開会いたします。
初めに、請願の取り下げについて申し上げます。
お手元配布の請願一一第四四号につきましては、議長から、取り下げを許可した旨、通知がありましたので、ご了承願います。
○尾崎委員長 この際、意見書、決議について申し上げます。
委員から、お手元配布のとおり、意見書二件、決議一件を提出したい旨の申し出がありました。
お諮りいたします。
本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○尾崎委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○尾崎委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、環境局並びに都市計画局関係の付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
これより環境局関係に入ります。
初めに、付託議案の審査を行います。
第二百四十六号議案から第二百四十九号議案までを一括して議題といたします。
本案については、既に説明を聴取しております。
その際、資料要求はいたしておりませんので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○尾崎委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○尾崎委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
○尾崎委員長 次に、「緑の東京計画」中間のまとめについて、報告事項に対する質疑を行います。
なお、本件は、環境局のほかに都市計画局所管分がありますので、本日は都市計画局の地域計画部長にも出席していただいております。ご了承を願います。
本件は、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○高田自然環境部長 去る九月十四日の当委員会におきまして、ご要求のございました資料につきまして、ご説明をさせていただきます。
お手元配布の資料一ページをお開きいただきたいと存じます。東京都緑の倍増計画の長期目標と年度別の進捗状況でございます。昭和五十九年度に策定いたしました東京都緑の倍増計画におきまして、長期目標といたしました、都民一人当たりの公園面積と、既成の市街地における樹木本数につきまして、基準年であります昭和五十八年度から平成十二年度までの進捗状況をお示ししてございます。
二ページをお開きいただきたいと存じます。東京の二酸化炭素排出量でございます。平成二年度から八年度にかけての二酸化炭素の排出量の推移をお示ししてございます。
三ページをごらんください。平成十年度の東京都の緑率でございます。樹林地、農地・草地、宅地の緑、公園・街路樹、水面の内訳によりお示ししてございます。
四ページをお開きいただきたいと存じます。屋上緑化の例と整備・維持管理費用の概算でございます。既存の建物の屋上を緑化いたしましたAビル、それから新築のBビル、それから新築のC共同住宅の三つのタイプの屋上緑化の例につきまして、緑化時期、緑化面積、整備費用、維持管理費用をご紹介してございます。
五ページをごらんください。生産緑地地区の地区数・面積の推移でございます。平成七年度から十一年度までの五年間の地区数と面積の推移を区部と多摩の別にお示ししてございます。
最後になりますが、六ページでございます。主な公共施設の数でございます。国公立学校、国公立病院、清掃工場、警察署、消防署につきまして、区部と多摩の別に数をお示ししてございます。
以上、大変雑駁でございますが、説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○尾崎委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○田中委員 資料の提出、ありがとうございます。
この資料、緑の倍増計画ということで、長期の目標を立て、一つは、一人当たりの公園面積を平成十二年度までに六平米、それから、樹木の本数は二十一世紀の初頭に二億本と、こういう目標を掲げて努力をしてきたわけでございます。平成十二年度、既に公園面積が今ここに挙げられているわけですが、皆さん方の額に汗をした努力はわかりますけれども、私が見る限り六平米には達していないと。
また、本会議場での答弁では、二十一世紀初頭に樹木本数二億本というものに対してのご答弁の中で、ほぼ達成しているかのようなご答弁があったんですが、私が見る限りでは目標を達成していないのではないかというふうに思うんですが、この達成状況のとらえ方、そしてまた、この緑の現状を、現況ですか、これをどうとらえているのか、まずお尋ねをしたいと思います。
○高田自然環境部長 緑の倍増計画のこれまでの実績でございますが、計画の基準年度でございます昭和五十八年度末と平成十一年度を比較するということでお答えさせていただきますと、既成の市街地の樹木本数でございますけれども、計画に定める増加本数一億本に対しまして七千本の増加で、約七割の達成状況でございます。
また、一人当たりの公園面積でございますが、同じく三平米に対しまして二・三平米の増加ということで、約八割の達成率ということでございます。
私どもといたしましては、したがいまして、一定の成果を上げることができたんではないかというふうに考えている次第でございます。
それから、緑の現状でございますが、しかしながら、中間まとめにもございますように、緑の総量としては、区部、多摩とも減少しているということがございますので、これに対応していく必要があるというふうに考えているところでございます。
○田中委員 今回設けられました緑の東京計画、このことにつきまして、各党の代表質問、また一般質問で、この緑の倍増計画というものから緑の東京計画というものに変えた意義、目的ということについて質問があったわけです。
私は、八四年に緑の倍増計画というものが設定され、そして九一年に、地球環境の保全を取り入れながら施策の一層の充実を図るということで、緑の倍増計画が新たに改定をされた。しかし、今回また緑の東京計画というものが、改めて新しい内容で設けられたんですが、九一の緑の倍増計画、これにもっともっと私はその時点で取り組むべき必要性があったのではないかというふうに思うんです。しかし、緑の倍増計画と緑の東京計画、改めて新しく設けられた、この意義、目的、両者の違い、これは何なのか教えてもらいたい。
○高田自然環境部長 緑の倍増計画と緑の東京計画の意義、目的、違いということでございますが、緑の倍増計画は、都市地域における身近な緑の倍増などを目標として、快適な東京を実現するという計画でございました。
これに対して、緑の東京計画は、都市環境の改善、それから防災、潤い、安らぎ、風格、生物の生存基盤といった緑の持つ機能に着目いたしまして、水と緑がネットワークされた風格都市・東京を実現するという計画でございます。
今申し上げましたように、緑の東京計画では、緑の倍増計画にはなかった、例えば近年大きな社会問題となっておりますヒートアイランド現象への対応ですとか、生物の生存基盤である多様な生態系の保全などの新たな課題に対応していくという計画にしてございます。
また、緑の東京計画では、緑づくりにおける都、それから都民、区市町村、企業の役割分担をお示しするとともに、都民に東京の緑づくりへ積極的にかかわっていただく、そのための仕組みづくりを新たな柱としている。
それから、もう一点、計画の実現に向けて、都市づくりなどとの連携を図るというふうなところに特徴がございます。
したがいまして、私どもとしては、緑の東京計画は、東京の緑を取り巻く状況の変化に適切に対応していくための新たな計画であるというふうにとらえております。
○田中委員 今回、緑というものを広範なとらえ方をしておるわけです。そして、その中に河川、水路、湖沼、こういったものを取り上げて、これが大きな効果を上げていくだろうと、そういうことで取り上げてきたんだろうと思うんですが、この河川、水路、湖沼、先ほどのご答弁にありますように、これはヒートアイランド現象を抑止するのに極めて私は効果が大きいというふうに思います。
恐らく、後ほどまたご質問があるようでございますが、樹林地、農地あるいは宅地の緑、公園、街路樹、これに比べれば、蒸発潜熱、これは二十四時間三百六十五日間、常に空気を冷やすのに大きな役割を担う、そういう河川、水路、湖沼であるわけでございますので、これから、こういったものに常に緑以上に高く価値を見出して水辺をつくり出していく、この努力をしなければいけないと思うんですが、この水辺をつくり出していくことは、都市の環境改善や、また潤い、豊かさ、そういう面からも極めて重要だと私は思っております。
したがいまして、緑の東京計画では、この水辺ですね、河川、水路、湖沼、これをどのように考え、どのようにとらえているのかお尋ねします。
○高田自然環境部長 ただいまご指摘がございましたように、水辺につきましては、ヒートアイランド現象への効果もございますほかに、生物の生存基盤として、またお話がございましたように、都市生活に潤いや安らぎ、風格を与えるものとして、東京を安全で快適な都市としていくために不可欠なものでございます。
緑の東京計画では、こうした考えから、身近な生き物が生息し、魅力あふれる水辺空間の創出に向けて、さまざまな施策に取り組んでいくということにしてございます。このため、今回の中間まとめでは、河川と公園とが一体となった潤いのある水辺空間の創出、生き物の生息環境に配慮した河川や護岸の整備、それからビオトープの設置などの施策の方向をお示ししているところでございます。
また、ヒートアイランド現象への対応ということになりますけれども、ヒートアイランド現象の緩和には水辺の拡大が重要でございます。このため、現在、覆蓋されている中小河川の水面や水路を復活していくというふうなことが考えられると思います。
こうしたことを直ちに実施することは、費用の面などから困難な問題も多うございますけれども、覆蓋された河川の上部に水面をつくるための工夫を図るなど、長期的な視点から取り組んでいく必要があるというふうに考えているところでございます。
○田中委員 九一の緑の倍増計画では、このヒートアイランド現象という文言はどこにもなかったわけです。今回初めて、緑の東京計画に、都市を暑くするヒートアイランド現象、これが取り上げられました。実は、平成二年七月五日、これは一九九〇年でございますが、私は第二回定例会で一般質問をいたしまして、ヒートアイランド現象を取り上げ、事細かに東京の危機の大きな一つはヒートアイランド現象だと、そういう質問をいたしました。そして、その年の第三回定例会の委員会でも、再度、ヒートアイランド現象を取り上げました。
そして、その中で、早稲田大学の尾島教授、あるいは東北大学の齋藤教授の資料を取り上げまして、早稲田の尾島教授は、緑地や河川は都市の温度を下げる顕著な効果があると。そしてまた、ヒートアイランド現象こそ諸悪の根源と指摘し、この現象をなくすには、ビル群の間に運河やグリーンベルトをつくるしかない、こう示唆して、次の時代の都市設計にはダイナミックな設計の必要性を指摘をいたしました。
また、東北大学の齋藤教授は、東京のいわゆるこの都市気候というのは、地球温暖化の十倍のスピードで進んでいる、こういう指摘をいたしまして、都市が暑くなることが、都市の危機をさらに深刻なものにすると。これは、一九九〇年、私が質問をした。
しかし、あの緑の倍増計画の改定版は九一年につくられている。私があえてこの委員会で質問をしようとした動機は、我々都議会の意見というものを積極的に採用しないと、今日のこの都市のヒートアイランドというのは救えない。
二〇三〇年には、ある資料によりますと、大手町は四十三・五度になります、そして、この新宿は四十度だ、気温がですよ。ですから、地べたは六十度。今の若いひ弱な青年たちが、そのときにこの都市に住めるのかと。そういうことを考えますと、私は緑の東京計画、今さら何かという思いはありますけれども、今度は真剣に、今までもやってきたんだろうと思うけれども、単に環境局だけでなくて、都市計画局も含めて、すべての局が挙げて東京の都市気候について積極的な努力をしなければいけないのではないかというふうに思うわけです。
最初のこの質問の中に、緑の状況であるけれども、中間のまとめにもあるとおり、緑の総量としては区部、多摩とも減少している、緑の倍増計画を立てながら、理事者の皆さん方が額に汗をして働いても、目標を立てても、残念ながら緑が減ってきていると、こういう状況を考えますと、今度こそ、この緑の東京計画というものが、しっかりと、それぞれの事業の中に生かされて、資料にもございますように、緑率、ぜひひとつ後退しないようにしてもらいたい。
宮城のお堀、これは三十七ヘクタール、有明北地区の埋立事業予定地は三十五ヘクタール。宮城のお堀の三十七ヘクタールの空冷効果というのは、資料によりますと、クーラーの五万台分だと。先ほども私が指摘したように、二十四時間三百六十五日、空冷効果というものを発揮しているわけです。
私は、いろいろなことでストックホルムを二回訪問した。ここは、ウオーターチャンネル都市。とにかく水路が縦横無尽に張りめぐらされておりますので、あそこにはヒートアイランドはないと、こういうふうにいわれているんですね。
ですから、私は、この水辺の効果ということについて、どうぞひとつ、我々も、皆さん方も十分認識していただいて、先ほどご答弁がありました、とにかくダイナミックな都市計画を進める中で、今費用の点もあろうかと思うんですが、現在覆蓋されている中小河川の水面や水路、ぜひひとつ復活していただくような努力をしてもらいたい。
まだ若い皆さん方は、あるいは生まれていないんじゃないかと思うんだけれども、昔、数寄屋橋の下に外堀川というのがあった。私は、子どものころ、余り行ったことはありませんけれども、とにかく水を満々とたたえていた。今、既に埋められてしまっている。今後、やはり都市計画を進めるに当たっては、そういう視点から物をとらえる必要があるのではないかというふうに思う。
次いで、もう時間もありませんから、緑率、これがここに出されてきたわけです。今回、緑の倍増計画で、各区も、東京都の指導と、またお互いに協力もしながら、それぞれの区のいわゆる緑の倍増計画というものを目標を立ててやったわけですね。
ですから、私はできれば、この区部の、あるいは多摩の緑率、それはやはり地方分権が進んでいるわけですから、各区の緑率は一体どれくらいなのかと。それから、多摩は南北あるでしょうから、多摩も分けてどれぐらいか。
そして、やはり五十年後の東京の将来像というのを高らかにうたっているわけですから、じゃあ、十五年後の緑率、これをどのように設定し、ふやそうとしているのか。
そして、緑の種類、後ほどまたご質問があろうと思うんですが、この五種類について計画を立てると。そして、再び後退を許さないと、こういうことをやってもらいたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○高田自然環境部長 緑率についてのご質問でございますけれども、計画期間の十五年間にどのようにふやすかということにつきまして、緑率につきましては、今回の中間のまとめでは、平成二十七年度までの十五年間に取り組むべき緑づくりの目標として、設定の考え方をお示ししてございます。都民の皆様方の意見を反映させまして、本計画では政策指標として示していきたいというふうに考えてございます。
現在、計画の策定に向けて、施策の内容、実施方法などについて検討している段階でございますが、今ある緑の保全はもとより、公共施設や民間施設への緑化、道路や河川の整備にあわせた緑の創出、身近な生物の生息場所であるビオトープの設置などによりまして、緑率の向上を図っていきたいというふうに考えております。
○田中委員 最後は、意見、要望として、質問はいたしません。
先ほども申し上げましたように、緑の倍増計画、よくやってくれたというふうに思いますが、しかし、緑の現況というものは、残念ながら総量としては減っていると。これは何なのかということになりますと、やはり緑を削減するとか、公園を削減するとか、そういうことがあったときには、当然、建設省の都市公園法というものに準拠してやっているわけですが、東京都の公園条例には、こういう削減に対しての具体的な規制というのはないんじゃないかと思うんですね。私、読ませていただきますと、公園審議会に諮って、公園の縮小、廃止というものが決められるということになる。建設省の都市公園法は、ご承知のように、「公園管理者は、都市公園の区域内において都市計画法の規定により公園及び緑地以外の施設に係る都市計画事業が施行される場合その他公益上特別の必要がある場合又は廃止される都市公園に代るべき都市公園が設置される場合のほか、みだりに都市公園の区域の全部又は一部について都市公園を廃止してはならない。」と、はっきりうたっているわけですが、東京都の建設局等には、これを条例としてはっきりとうたっていないことが、今日のまた、緑の総量の縮小に私はつながっているんではないかというふうに思うんですね。
したがいまして、この緑の東京計画を進めるに当たっては、こういった規制もこれからは私どもはやらないと、次の世代に東京に人が住めないような都市になっていくのではないかと、そういうふうに思いますので、どうぞひとつ緑の東京計画が実りのある形になりますように、条例等においても十分に心してやってもらいたい。
以上でございます。
○清水委員 私からも、緑の東京計画中間まとめについて質問させていただきます。
ただいまの委員が、緑の必要性については、かなり詳しく述べられましたので、私からは繰り返し、そのことを述べるつもりはありませんけれども、本会議質問におきましても繰り返し述べられてきた、東京の環境や自然の環境の危機、これに対してどう保護、保全していくか、それを実効性のあるものにどう進めていくかということが求められていると思います。
しかし、緑地保護の姿勢とか具体策は、この間の緑の対策などを見ますと、現状を打開するための有効な実行策がとられているのかというと、必ずしもそういうふうになっていないと思います。
そして、今回の中間まとめの中には、積極的な部分が大変多く含まれていますけれども、役割の分担とか、それから民間への誘導、都民の協力、確かにそれは十分重要な意味があるというふうには思いますけれども、そのことがこれまで東京都が行ってきた緑地保全などの対策などに、財源中心として後退ともいえる内容が含まれているというふうに、私はこの間の審議、それから条例改正を目標に自然保護審議会などで取り組み、論議がされてきたわけですけれども、それらを見て実感をしています。
東京の緑の計画というのは、今お話がありましたように、深刻な状況を真に打開をする、そういう方策というものが求められていると思います。その点で何点か質問いたしますが、ただいまもお話がありましたように、今度の考え方の中には、緑率を五つの視点にわたって考えるというふうにいわれ、先日の本会議での答弁などもありました。
そこで、お伺いいたしますが、この緑率というような考え方は、国の計画の中にもあるのでしょうか、お伺いいたします。
○高田自然環境部長 緑率は、都市環境の改善、防災、潤い、安らぎ、風格、生物の生存基盤などの機能を持つ、水と緑を一体として総合的にとらえたものでございます。このような指標は、国の計画では用いられておりません。
○清水委員 そうすると、東京都独自の考え方だというふうに考えるんですけれども、そこで、これまで緑被率とか緑地率、それからまた緑視率とかいわれていると思うんですが、そういう中で、これまで計算してきた方法では、緑に覆われている部分、緑被率--水面というのは、今お話がありましたように、私も効果というのはあると思いますが、今度の代表質問、本会議質問の中で、公園の広場などを緑率に含めるというふうにもいわれていたと思うんですけれども、緑に覆われていない部分、水面は別としても、それを加えるというのはどういう理由に基づくものですか。
○高田自然環境部長 公園を考えますと、緑に覆われている部分だけではなくて、公園全体で潤い、触れ合い、風格あるいは防災などの機能を発揮しているというふうに考えてございまして、これらは一体としてとらえるべきであるというふうに思います。このような考え方から、公園の広場を緑率に加えたということでございます。
○清水委員 緑、緑地、樹林に潤いや安らぎがあるということは、理解できると思いますけれども、しかし、率という問題を、数値目標という問題を考えるときに、潤いとか安らぎというのは主観的で、一人一人の感じ方によって違うと思うんですよね。抽象的なあいまいなものが、この緑率に取り込まれる、そのことが、先ほどの委員が質問されましたように、これから東京の環境の瓦解、自然保護の危機を救っていく上で、そのことが効果を発揮してくるのかということを考えると、大変疑問に感じるわけです。
それでは、緑の機能が幾つかあるというふうにいわれたんですけれども、この機能の中で、今、最も東京で緊急に必要だというふうに考えられているのは、緑のどういう機能だというふうに考えますか。
○高田自然環境部長 緑の東京計画では、緑の持つ機能といたしまして、都市環境の改善、それから防災、潤い、安らぎ、風格、生物の生存基盤の四つを挙げているわけでございます。私どもといたしましては、いずれも都民が安全で快適な生活をしていく上で重要であるということで、その間には差はないというふうに認識しているところでございます。
○清水委員 先ほどの委員もお話がありましたように、都民のだれもがことしの異常な気象の状況、それから集中豪雨の状況などについて、どういう理由かというのは、ほとんど都民の共通の認識になってきていると思うんですよね。ですから、今度の緑のこれからの対策の中に、ヒートアイランド対策ということで入れられてきたというふうに思うんです。それが安らぎや潤いがなくてもいいということをいっているのではなくて、最も今、東京都が力を入れてとっていかなければならないものを進めていかない限り、進んでいかないと思うんですけれども、その中に安らぎや潤いという、先ほど述べましたような主観によって異なる、つまり公園の広場、それから河川も--河川は水面の部分は緑率に入れるけれども、また河川敷の緑地の部分は入れるけれども、その他の部分は入れられないというふうに、これまで伺っている中でいわれました。
そういう中で、公園の広場を入れて、そしてそれを緑率で示すということが本当にふさわしいのかという点では、やはり今後、さらに議論を重ねていかなければいけないというふうに思います。
そこで、私は都市環境の改善、つまりヒートアイランド現象、集中豪雨などをもたらしている都市の保水機能の弱体というものを、本当に一刻も早く、特に区部などに回復しなければいけないと考えているわけですけれども、対策の中で、大規模公園、公園の整備、先ほどもお話がありましたように、公園の整備について述べられているところがあります。その中で、都市部における公園整備、大規模公園の配置を三キロメートル以内に計画をしています、十ヘクタール以上の公園の配置を計画しているわけですけれども、現在、十ヘクタール以上の公園の配置の現状というのは、どういうふうになっているんでしょうか。
○小林都市計画局地域計画部長 区部におきます都市計画公園、緑地のうち、十ヘクタール以上の開園されている公園等は、五十一カ所でございます。面積にしますと、総面積で約千五百三十ヘクタールでございます。
○清水委員 今、十ヘクタール以上は五十一カ所というふうにいわれました。そうすると、区部の全域で三キロメートル以内に公園がある、計算上は、面積上はそういうふうになっているのかと思いますが、実際は地権の重なりなどから、三キロメートル以内に公園がない地域が生じているというふうに思うんです。そうした大規模公園の空白地域というのは、どのような地区にあるのか伺います。
○小林都市計画局地域計画部長 三キロメートル以内に十ヘクタール以上の公園がない地域でございますけれども、世田谷区の北部から杉並区、中野区を通りまして、北区、足立区に至るベルト状の地域。このほかには、葛飾区と江戸川区の区境の地域、それから江戸川区の中央部、それから大田区の南部の一部などの地域でございます。
○清水委員 今お話があったところだと、五カ所ほど、そういう計算だけでは成り立たないと思うんですけれども、五カ所ほどということになると、十ヘクタールとして五十ヘクタールぐらい、そういう数値がはっきりと出るわけではないけれども、最低必要かなというふうに思うんですね。
もう一つ伺っておきます。じゃあ、近隣公園整備というのは、ここに書いてありますように、二百五十メートル以内に公園のない地域を解消するというふうにいっています。このような公園のない地域が区部ではどのぐらいあるのか。例えば、それぞれの区で基本計画がつくられているというふうに伺って、何区か見せていただいたんですけれども、例えば大田区の基本計画では、これについてはどのように述べられているのでしょうか。
○小林都市計画局地域計画部長 二百五十メートル以内に公園がない地域につきましては、区部の面積の約三〇%に当たる地域でございます。
また、大田区では公園がない地域は、区部の面積の約二四%というふうになっておりまして、大田区の緑の基本計画では、目標年次、これは平成三十二年度でございますけれども、住民一人当たり六平方メートルの公園緑地の整備を進めるといたしまして、そのため町丁目に最低一カ所の公園があるようにするということと、不足している地域には、用地の確保ができ次第、優先的につくるなどとなっております。
○清水委員 区部の緑地をどうやって回復するかということの問題として伺っているんですけれども、この後少し伺う屋上緑化の問題などもお話ししながら--区部には地上部で緑地を回復する、そういう余力、余地というのはほとんどないというふうにいわれました。この屋上緑化を進めていく、そういう協議会などが調査をして、そんな方向が出されているということで、特に今のヒートアイランド現象などの解消のために、区部での緑地の回復というのは非常に重要なことだというふうに思うんですね。
その中でも、この公園の整備という点では、公園の中に緑地を回復していく、そういう点で、今、緊急に求められているというふうに思うんです。このまとめでも、三キロメートル以内につくる、二百五十メートル以内につくると。現在でも、今いわれたように不足をしているということになりますと、それぞれ、大規模公園についても、それから近隣公園についても、区部における公園の開園、公園の整備というのが一刻も早く求められているというふうに思うんですね。
この計画で、空白の地域の解消、具体的にはどのように考えているのですか。
○小林都市計画局地域計画部長 先生ご指摘のように、公園のない区域の解消というのは大変重要な課題だというふうに私どもも認識をしております。
先ほど申し上げました三キロメートル以内の配置をいたします、十ヘクタール以上の大規模公園のない地域につきましては、都と区が連携をいたしまして、規定の都市計画公園あるいは緑地の整備を着実に進めていく必要があるというふうに思っております。
また、身近な公園のない地域につきましては、主として公園の整備に向けて、区が主体的に取り組んでいく必要があるというふうに思っておりまして、都としても必要な支援を行っていきたいというふうに考えております。
○清水委員 全然具体性がないと思うんですけれども、先ほど建設局の公園整備の話がありましたけれども、公園整備には、だれが考えても用地を確保するという重要な仕事が出てくるんですけれども、この間、やはり区内における公園の整備費の削減などがずっと進められてきている中で、一体これをどうやって整備するのかということが、どうしてもそこに行き着くと思うんですよね。
現在、地面には緑を回復する余地がないということになれば、公園を回復する以外にないということでは、やはりそこには重要な財源問題、財政の確保というものが求められているので、やはりそれは計画を立てた側が、これの実効性のために努力をする必要があるというふうに考えます。
代表質問でも触れましたけれども、今ここでいわれた数値だけでなくて、知事が繰り返しニューヨークとの比較を、空港の数とか観光客の数とか、いろいろ比較をされるわけですけれども、先日も触れたように、行政面積でいえば、公園面積というのはニューヨークでは二三・六%で、東京は三・七%という点では、こういう数字こそ比較をして、そしてこのおくれをどうやって取り戻すかということが求められているというふうに考えます。
次に、先ほど触れてきました屋上緑化について、地上部での余地がないということで、昨今は屋上緑化という問題が、これを進めることが今、唯一の方策だというふうにいわれているわけなんですね。確かに、これ自身に対して、私たちは否定するものではありませんし、ヨーロッパなどでも壁面や屋上に大変緑豊かな緑化がされているというのは、いろいろな写真などを見てもわかります。
そしてまた、先日も、立川にあります農業試験場に、この緑化の樹木ですとか、それから土壌ですとか、そういう研究をされているというので、伺ってまいりました。それで、結構長い期間、農業試験場では、どうやって軽い土をつくるのか、どうやって乾燥に耐える品種にするのかということでは、大変熱心に研究されているということを伺いました。
そして、効果などについても、いろいろな本が出されているように思います。研究されていることとは思いますが、これをどう具体化していくかということが重要な問題だと思うんですけれども、都としては、現在この具体策というのはどのように考えておられるのか伺います。
○高田自然環境部長 屋上等の緑化は、ことしの四月から開始したものでございます。開始に当たりましては、「広報東京都」において周知を図るとともに、事業者向けの緑化計画策定の手引を作成し、その普及に努めているところでございます。
今後、建築物の設計業者や建設業者向けに説明会を開催し、普及に努めるとともに、屋上等緑化を推進するための会議を設置して、普及拡大を図っていきたいというふうに思っております。
○清水委員 先ほど、資料が提出をされて、何カ所か、この間、民間、それから公団などが屋上緑化に取り組んだ--具体的には建物名は書いていませんけれども、そういうところの整備費用、維持管理費用だと思うんですね。
それで、やはり先日の農業試験場のまとめた、この屋上緑化のまとめがあるんですけれども、この中を見ましても、この安全性に関しても、屋上は地上より不利といえるという点で、安全性も大変ですし、それから緊急事態への対応も必要。それから、土の飛散を防がなければいけない。それから、落下という問題とか、それから先日、都心でその見本を行うということで、ちょうどトラックに土を運ぶところだったんですけれども、土をエレベーターで上に運んでいく、乾燥しやすいから、いつも散水の機能も必要、今いったように安全機能も必要と、そういうことで、やはり大変整備費用がかかると思うんですね。そして、そこに書いてあるように維持管理費用もかかると思うんです。
そういう点では、非常に重要だということは、だれも否定するものではないんですけれども、実際にこれを、こういう困難な問題を今、企業なんかも不況の時代に行っていくということになると、困難な問題をクリアしていかなければ、屋上緑化がいいぞ、いいぞというふうにいっても進んでいかないというふうに考えるんですけれども、そういう点はどのように考えているんですか。
○高田自然環境部長 お話にございましたように、また資料でもお示ししてございますように、整備費用、それから維持管理費用が当然かかるわけでございますけれども、屋上緑化、屋上等の緑化を行いますと、快適な屋上空間が創出されるとか、空調に関する省エネルギー効果というものもございますし、また屋上等の劣化を防止する等のメリットがございます。
また、こういうふうなことから、建築の使用開始から、その建設物を廃止するまでの長い期間で考えますと、総体としてのコストはそれほどの負担にならないというふうな調査結果もございますので、私どもとしては、理解を深めていくことによって、普及を図っていきたいというふうに考えているところでございます。
○清水委員 実際には、ビルの建てかえ時に届け出義務を課するということで、これを整備する義務というのは非常に弱いかなとも思うんですが、それらをクリアして、都民の世論が高まっていけば、民間なども、そうした問題、エコビルとかいうことで進めていくという可能性はあるかと思うんですけれども、しかし、現実的な費用の問題のクリア。
それから、建てかえ時のこれの整備ということでは、例えば都庁では都の公共施設の、ここに資料も出していただいておりますけれども、どれだけ都の公共施設で整備されたかという数字もいただきましたし、きょう質問しませんけれども、都庁の整備では、設計者がそういう設計はしていないということで、余り積極的でないというようなことが本にも書かれておりました。
そういう意味では、既存のビル、それは公共施設も民間のビルも進んでいくという保証というのはないわけですよね。じゃあ、東京都の公共施設は新築するのかなというと、今、新しいものを新築するわけじゃないから、それも進んでいかないとなると、実際には、机上ではそういう効果とか数値が成り立つかもしれませんけれども、これを今の環境の悪化を防ぐ最大の手段だというふうにするということは、やはり問題があるというふうに思うんですよね。このこと自身に問題があるわけじゃなくて、先ほど触れましたように、都心、区部の緑化をどうやって進めるのかという、それにはどうしても財源がつきものなわけなんです。ですから、それはやはり真剣に考えていく必要があるんじゃないかというふうに思います。
さて、丘陵地の方の保全について伺います。
先日、新聞では、あきる野市の横沢入の計画が、市が断念をしたと、市の計画として断念したというふうなことが報道されていました。
それから、この間、この委員会でも、八王子の川口リサーチパークの丘陵地に公団が計画している研究施設でなくて、都の保全用地にしてほしいというような請願も出されました。
それから、自然保護審議会に出された答申の中では、圏央道が開通した後の圏央道周辺の緑地地域というものの開発というのが心配をされているというふうな記載もありました。
それから、何日か前に、多摩丘陵自然公園内に墓地の開発をやめてほしいというようなことで、請願も出されているというふうに思います。
それからまた、フィンガープランは、いただきました前の資料では三割が開発をされ、フィンガープランの保全地域指定の計画のうち、実績が一六%程度であるというふうに、ちょっと前の資料ですけれども、いただいてきました。
こういう、実際には、現在もこれまでも開発が進んでまいりましたし、それから今後も--開発計画というのは、例えば圏央道の周辺なんかは、もう多くの民間が持っているわけですね、自然保護審議会で述べましたけれども。そういう意味では、それらを本当に守っていけるかどうか。区部で回復してほしいといったんですけれども、もし区部でもうちょっと時間がかかるんだったら、せめて今ある多摩の緑、三多摩の緑を、これ以上、本当に一本の木でも減らさないという姿勢というのが重要だというふうに思うんですけれども、どのように取り組んでいくのか。
そして、例えば横沢入の計画というのが、凍結というか、中止になったわけですけれども、それらはどのように考えていくのか伺います。
○高田自然環境部長 里山でございますとか丘陵地の雑木林、これらはこれまで人の手が加わることによって維持されてきた自然でございます。このため、その保全に当たりましては、都民と協力して守っていく仕組みが必要であると。今後の保全地域の指定に当たりましては、こうした仕組みづくりを行うとともに、指定の考え方や優先順位を検討して、計画的な保全地域指定を行っていくというふうに思っております。
横沢入というお話もございましたけれども、今申し上げましたような中でやってまいりたいというふうに思っております。
○清水委員 私が今求めた保全対策という質問に対して、本当に全面的に答えていただいたものというふうには考えていません。ここには、都民との協力とか、都民が主役とか書かれているわけですけれども、もちろん、前に町田市の保全地域の問題も取り上げさせていただいて、管理だけではなくて、人の手が入るということがどれだけ重要かということは述べたので、それを否定するものではありません。
しかし、今まだ具体化されていない。その問題が整って保全地域に指定するという考え方は、今までの自然保護条例の保全地域に指定する条件の中には入っていないと思うんですよね。もちろん、それが好ましいことを否定するものではありませんが、その地域の自然が豊かで大事であれば、そこを保全するんだというのが自然保護条例の緑地保全の考え方だったと思うんですよ。それで、これで本当に進んでいくのかなというのは、非常に疑問です。
その点では、この間の自然保護審議会なども、里山保全地域を加えるということを入れるということは、非常に重要なことなんですけれども、しかし、それをこれまでの保護条例のように、重要な緑の地域であれば指定をする、そういうふうに今はなっていないお答えだったというふうに思うんで、この対策が具体的に進展するのかどうかということは疑問です。
それにかかわって、これまではこの自然保護条例に基づいて、昭和四十九年から東京都内の保全地域の指定がずっとされてきました。四十カ所以上、六百五十ヘクタールに及んでいると思うんですけれども、これは自然保護条例の、東京都が行ってきた非常に重要な施策であったというふうに、この間もお答えされておりますし、私もそう思っています。
そこで、この間、このまとめにも書いてありますように、これまでは緑地保全地域は市街地も保全地域にしています。つまり、台地部なども保全地域にしているんですけれども、今後、丘陵部、それから台地部、これまでのように指定を拡大をしていく考え方について--そうでなければ、この中間まとめの具体化というのにはならないと思うんですけれども、それはどのようにお考えですか。
○高田自然環境部長 台地部の市街地の周辺にある樹林地は、比較的小規模のものが多く、身近な緑として都民の日常生活に安らぎや潤いをもらたすもので、基本的には市町村がこれを保全する役割を担っているというふうに認識してございます。
保全に当たりましては、こうした認識のもとに、区市町村と連携しながら進めていきたいと思っております。
○清水委員 それが役割分担という考え方だと思うんですけれども、これまでは、例えば国立市、立川市、東久留米市、清瀬市、保谷市、小金井市など、ずっと今いわれる台地部だというふうに思うんです。丘陵部とはいわない、里山ともいわないと思うんですけれども、そういう市街地の残っている地域の保全をしてきたと思うんですね。そこの重要な自然の内容を把握してやってきたと思うんです。
しかし、今のお答えは、区市町村に役割分担ということで、この間、都市緑地保全法ですか、そういうすみ分けでそちらでやっていくんだというようなことも聞いています。しかし、実際は、この六年から行われた、その法律での制定も、ほとんど区市町村の財源の状況の中ではされていないというのも、現状なんですね。
それで、やはり今、都心部で、区部で公園を整備して緑地を開発していくのも、繰り返しいいますけれども、必要ですけれども、今すぐ、それが樹林地になるには時間がかかるわけなので、三多摩地域の台地部も、区市町村の役割ですよと、安らぎがあるから、潤いがあるからということでは、私は緑の考え方の後退だというふうに思うんですね。
これまでの自然保護条例では、知事は、あらゆる施策を用いて、自然の保護と回復に努める努力を払わなければならないというふうに書いてあるんですよね。この部分が、今後の自然保護条例の改正でどうなるかわかりませんけれども、あらゆる施策を通じてということは、そこには財源の問題ももちろん、保全地域を指定すれば、その後に財源の問題もかかってくるということはわかるんですけれども、しかし、一番重要な緑地の確保について後退をさせる姿勢を、これには感じます。
財源の問題でいえば、海を埋め立てる予算があるんだったら、森を買う予算がないといえるのかというふうにも思うんですね。今度のまとめでは、これからまとめられると思うんですけれども、今回求めてまいりました内容を盛り込んで、自然の後退で今後に悔いを残すような事態を決して招かないということを強く要求しておきたいと思います。
○谷口委員 私は、この東京計画の中で、いろいろと不信に思う点がたくさんありまして、幾つかお尋ねしたいと思うんですが、まず最初に、緑の中に川だとか湖沼だとかいうのが入る理由をちょっと教えていただきたい。
○高田自然環境部長 今回の東京計画における緑についての考え方でございますけれども、本来の緑といいますか、緑は都市環境の改善とか防災とか、潤い、安らぎとか風格、生物の生存基盤というふうな緑の特徴があるわけでございます。
水について考えてみますと、水は潤い、安らぎというふうなものもございますし、基本的には生物の生存基盤としての機能というふうなものがございます。それから、空間、空地としての防災機能、それから、例えばヒートアイランド現象ということを例にとりますと、その効果は緑よりも大きいくらいあるというふうなことでございます。
また、水と緑というのは、一体となることによって、今申し上げました共通する効果をさらに効率的に発揮するようなことができるというふうな考え方のもとに、水と緑を一体的、総合的にとらえて、緑というふうな考え方をとっているところでございます。
○谷口委員 この考え方というのは、全世界共通の考え方でございますか。
○高田自然環境部長 緑についての考え方というのは、いろいろございまして、計画をつくるときに、その計画の考え方で、ある意味では非常に特定の緑を指して緑という場合もございますし、緑一般を指していう場合もございます。それから、今ご説明申し上げましたように、水と緑をあわせて、一応、緑というふうな概念で考える考え方もございます。
東京都におきまして、例えば緑の倍増計画の緑の考え方でございますけれども、これは単に水と緑というものだけではなくて、生き物とか、それから潤い、安らぎを与えるような概念、そういったものをあわせた、今よりはある意味ではもっと広い緑という概念を持って計画を構成しておりました。
ですから、その計画、あるいは緑というものに対して、どういうふうなスタンスをとるかということによりまして、いろいろな考え方があるのが実情でございます。
○谷口委員 五十年後、東京はすばらしい東京に生まれ変わるということが書かれております。東京の緑は樹林や川の流れで豊かにつながり、まち全体も緑のベールで優しく包み込まれている、こうなっております。どんな状況でございましょうか。
○高田自然環境部長 今申し上げましたように、水と緑を一体的にとらえまして、政策指標としての緑率というものを設定して、これから緑率の向上に向けて努力していくわけでございます。その努力は、東京都のみならず区市町村、都民、それから企業、一体となって、それぞれの役割分担に基づいてやっていくということでございます。
そうした中で、五十年後というものを展望しますと、かなり、例えばその中間のまとめでお示ししたイラストがございますけれども、そうしたイラストに近いような形での市街地あるいはまちの形成などができていくのではないか。そういったところにおけるまちのイメージは、今お読み上げいただいたような形でのまちになっている、あるいはそうしていかなければならないと、こういうふうなことでございます。
○谷口委員 都市計画のことも聞いていいんですね。--いいですね。
東京は今、都心といわず、いろいろなところで住宅なども高層化いたしておりまして、私の住んでおります町田も二階建ての住宅が並んでいる、甍を並べている、そのすぐそばに十階とか十五階建てのマンションがあちこちにょきにょきと建ってきつつあるわけでございますが、そういう中で、今度は、ほとんどの建築物の屋上は緑化され、東京の特徴的景観となっておりますと、五十年後ですね。これ、本当にこういうことになるためには、例えば条例をもって附置義務を課すとか、そういう緑化努力をすれば助成制度を設けるとか、そういうふうなことを考えなければいけない。
もう一つは、屋上緑化で、みんな屋上を緑にしちゃったら、クリーンエネルギーの太陽光発電はどうするのかというふうな問題もございまして、この辺についてのお考えをお聞きしたいと思います。
○小林都市計画局地域計画部長 都市づくりと屋上緑化との関連についてのお尋ねでございますけれども、五十年後と申しますと、建物の更新がかなり進んでくるということを想定しております。建築物につきましては、昭和五十六年に新耐震基準ができまして、それ以前の建物については耐震上、問題があるというようなこともございまして、恐らく五十年後には都市の建物のかなりの部分が建てかわってくると。
そういった建物の更新にあわせまして、例えば総合設計制度ですとか、特定街区ですとか、インセンティブ指標を用いながら、壁面の後退ですとか、屋上緑化といったものをあわせて推進していきたいというふうに考えております。
そのためには、そういうまちづくりのためのガイドラインなり何なり、その地域地域のまちのありようを決めていく必要があるというふうに思っておりまして、この緑の東京計画を受けまして、私どももそういった都市計画諸制度の中でいろいろと検討を進めていく。先ほど先生がおっしゃったような、そういった緑豊かなまちが形成されるように、都市計画の面からも支援していきたいというふうに考えております。
○谷口委員 そのインセンティブを与えるというお話でございますけれども、そうすると、それはいつごろまでにおやりになるご予定ですか。
○小林都市計画局地域計画部長 現在、緑の東京計画の中間のまとめを発表いたしまして、都民の皆様方のご意見を聞いている段階でございます。
今後、本年中を目途に本計画をつくるということでございますから、その考え方を踏まえた上で、私どもの都市計画制度の中で、そういった必要性があれば、そういった問題について検討を進めていきたいというふうに考えております。
○谷口委員 これをまとめて、具体的に五十年以内に、ここに書いてあるような、緑のベールに包まれたまちができたり、屋上がすべて緑化されるというふうな状況をつくるには、よほど本格的な都市計画の変更から、いろいろなことをやらなければいけないだろうというふうに私は思っておりまして、この後もずっと、道路の構造の問題だとか考えますと、東京大改造をやらなければ、この東京計画は実現しないんじゃないかというふうに考えます。
そこで、次に聞きますけれども、公園や街路の巨樹は、巨樹ですよ、町並みに潤いと風格を与え云々と、こういうふうになっておりまして、一六ページに参りますと、東京に風格を与える緑をつくりますということで、風格ある首都の景観を形成するため、地域特性を配慮して街路樹を選定し、巨樹を育てていくとともに云々と、こういうふうになっています。
例えば、巨樹のある街路というのは、具体的に東京都内に今、どんなところにあるんでしょうか。
○小林都市計画局地域計画部長 都内にも、巨樹といいますか、風格のある緑がある通りというのはかなりあると思いますけれども、例えば表参道のケヤキ並木、あんなものを想定しております。
○谷口委員 表参道の道路は、確かに木が大きいですね。府中に参りますと、ケヤキ並木がありますけれども、邪魔っけになるような状況になっております。例えば、府中のケヤキ並木を守るためには--あそこのところはもっとゆとりを持ってつくった、さらに外に歩道だとか車道だとかいうものを考えなければ、あのケヤキのすばらしい並木を守ることはできない。かなりの都市計画の変更をやらなければいけないというふうに思うんですね。
そんな二つだけじゃしようがないわけでございまして、東京のまちが緑でつながっていくというわけですから、書いてありますね、つながっていくということは、要はあちこちの道路にかなりの巨樹が育つような道路計画を考えなければいけない。今の都市計画道路の計画を全面的に見直して、都市計画をやり直さなければ、この計画は絵にかいたもちになるんじゃないかということを思うんですが、自信ございますか、ここに書いてある、この緑のベール。
○小林都市計画局地域計画部長 大変難しいご質問でございますけれども、確かに街路と、それから街路樹の関係、巨樹がどこにでもあればいいという話ではないと思います。その地域特性に合った、その樹木の選定ですとか、そういったものも必要だというふうに思っておりますし、確かに広幅員道路の中に巨樹があると、非常に風格があるような、そんな町並みもできますけれども、先生がおっしゃるように、建物がかなり街路に迫っているようなところについては、それがかえって周辺の地域環境にある一定の影響を与えるといったようなこともあろうかと思います。
したがいまして、地域地域の特性に合わせ、例えば道路整備に合わせて、周辺の地区計画等によりまして、壁面の位置の後退をあわせて行うことによって、公共空間と民間の地域の中での緑化を図ることによって、その地域に合った道路、それから地域環境、そういったものを地域に合った形で創出をしていくということが大変重要だというふうに思っております。
現在、地区計画の都市計画区域の中の八%程度きり、決めておりませんけれども、できるだけ多くの地区計画を地域地域に合った形で策定をして、そういった緑づくりの中の一定の貢献ができるような形で、私どもとしても支援をしていきたいというふうに考えております。
○谷口委員 例えば、パリの凱旋門通りというのは、随分木がたくさん植わっておりまして、広い通り、すばらしい通りだと思うんですよ。ああいう通りを東京で二、三本でもつくってもらいたいと思うんですよね。本当に風格のある、潤いのある東京をつくるというんだったら、少なくともここからここまでを本格的に都市計画を変更して、これだけのものをつくりますよというふうなものを見せてくれないと、この緑の東京計画は絵にかいたもちではないかということを私は心配をいたします。
そういう意味で、これからもう一度、よくここのところをお考えをいただいて、今ここで結論なんて出ませんから、ひとつよろしくお願いをしたいと思うんです。ぜひ、そのような風格のあるまちづくり、そして、そこに緑が豊かにあるというまちをつくっていただきたいと思うんです。
今、調布保谷線というのが三十六メートルで、随分反対されている方もいらっしゃるわけでございますけれども、こういうところではどのようにこの風格あるまちを考えていらっしゃいますか。
○小林都市計画局地域計画部長 調布保谷線につきましては、多摩地域の南北方向を結ぶ、大変重要な路線だというふうに私ども位置づけておりまして、三十六メートルの幅員の中に、たしか両側に十メートルの環境施設帯を設置をするということにしております。この地域の住民の方々との話し合いを進めながら、地域の環境施設帯が十分、道路機能と周辺の環境を改善する形で生かされるような、そういった調整をしていきたいというふうに考えております。
○谷口委員 これは、風格あるまちづくりとは関係ないですか。
○小林都市計画局地域計画部長 その地域に合った形で、例えばその環境施設帯が十分に生かされて、それに適した街路樹が植えられるということであれば、その地域に合った、風格のある町並みというものが形成されていくというふうに考えております。
○谷口委員 計画されてから、まだまともにできていないんですけれども、どれぐらいたっていますか。
○小林都市計画局地域計画部長 ちょっと今、データを持っておりませんので、その計画してから何年たったかということは、定かには私、わかりませんけれども、先般、都市計画審議会に調布保谷線の一部の区間が都市計画案件として提出されたという状況で、ほぼ当初計画した計画については--当初というか、計画変更については、ほぼ全線について計画が成り立ったというふうに承知をしております。
○谷口委員 わずかあれだけのものをつくるのに、相当の時間を要するわけです。先ほどのご答弁ですと、五十年たったら、東京がもう大幅に変わっているというご答弁がございました。とても無理じゃないかというふうに私、思うんですよ。だから、やめなさいというわけじゃありませんよ。大いにやっていただきたいと思うんですが、都市計画を変更したり、風格ある道路をつくったりする事業というのは、お金があるないの問題にかかわらず、非常に時間のかかる問題でございまして、五十年後のあれが、計画が目指す文章が、まち全体も緑のベールと、こういうことですから、本当に信用していいのかなと、こういうふうに私、思えてならないわけです。
次に、丘陵地の里山、市街地、これは一〇ページの、里山や市街地に点在する雑木林なども、ボランティアリーダーを中心に、緑地トラストなどによって保全・活用されておりますと。これは、どんな状況をいっているんでしょうか。
○高田自然環境部長 緑地トラストということを考えますと、イギリスのナショナルトラストというふうなことがございます。トラストにつきましては、一つは多くの寄附金を集める、その受け皿となる基金というふうなものがございます。その基金を原資として、民間の方たちが自然環境を保全する活動をすると、そういった仕組みがトラストかと思います。
ここで考えておりますのは、東京の自然、特にお話がございました丘陵地など、これは人の手が加わることによって守られていく緑というふうなことでもございますので、そういった仕組みづくりを中間のまとめにもお出ししてございますが、これから考えて、都民の参加による緑づくり、そういうふうなものを進めていきたい。そういうふうな活動が、やがては活発に行われていくであろうと、そういうふうなことを描いてございます。
○谷口委員 これ、丘陵地の里山というのと、いわゆる市街地の中に点在する雑木林というのは、随分と扱いが違うんじゃないかというふうに思います。さらに、奥多摩のような、いわゆる林業を中心にしたような、そういうところの緑と、やり方もすべて違うんじゃないかと思うんですけれども、こういうふうに丘陵地の里山などの保存については、さらにまた林業についても、ただ単にボランティアというふうな感じで守れるものではないというふうに私は考えております。
このことについて、多く質問をするつもりはございませんので、次に移りたいと思いますけれども、生産緑地制度の問題が一四ページにございます。生産緑地地区制度の活用に加え、新たに都市農業を活性化する地域を指定することにより、農地の減少を抑制していくとおっしゃっておりますが、生産緑地化した、その農家が、後継者難で、営農者がお亡くなりになりますと、この生産緑地を保存できないような、その生産緑地を継続できないような状況がたくさん生まれてくることが考えられます。
きょうは、都市計といっても、この生産緑地の担当の方、お見えになっていませんね。--いますか。この生産緑地の現況と、この生産緑地地区の活用に加えて、都市農業を活性化する地域の指定というのは、どういうことをいっておられるんですか。どういうことを考えていらっしゃるんですか。
○小林都市計画局地域計画部長 生産緑地地区の現況でございますけれども、平成十一年度の数字で申し上げますと、区部で二千四百九十六カ所、先ほどの資料要求の中にもございましたが、面積として五百四十・五八ヘクタール、多摩部では三千三百八十四・九三ヘクタールでございます。
生産緑地地区に限らず、農業につきましては、確かに相続が、こういった地区が減っている大きな原因になっておりまして、そういった相続についての税制面の問題ですとか、いろいろクリアしなければいけない問題がございますので、私ども、区市ともよく連携しながら、そういった問題の解決に向けて努力していきたいというふうに考えております。
○谷口委員 そこで、下の方へ行きますと、活力ある企業的農業経営を促進するとなっていますけれども、企業的農業経営とは、どんな農業ということでしょうか。
○高田自然環境部長 農地を保全していくためには、その経営を安定していく必要があるというふうなことを考えてございます。ここで考えてございますのは、農業はただつくって市場に出すというふうなことではなくて、生産者であると同時に、例えばそれを直接売って現金収入を取る。で、直販場とか、そういったものを設ける。
近年、東京、特に大都市にお住まいの方には、農業に対してのさまざまな期待、それからニーズもございます。例えば、新鮮なものを安く欲しいとか、あるいは無農薬のものを欲しいとか、多少なりとも農業の体験をしてみたいとかというふうなものもございます。
そうしたニーズにこたえた、例えば体験型の農園を取り入れて農業経営に当たっていくとか、今申し上げましたような直販場を設けるとか、あるいは観光農園的な経営をしていくとか、そういった経営を取り入れることによって、農業の新しい展開が開けてくるのではないかというふうなことで検討しているところでございます。
○谷口委員 私は、企業的農業経営、大変賛成なんですよ。ぜひやりたいんです。私もやりたいぐらい。やりたいんだけれども、例えばハウス栽培をやりまして、棚をつくりまして、地べたに何かを植えているうちは生産緑地。棚をつくって、その上で栽培すると、これは生産緑地じゃなくなってしまう。違いますか。(「そうです」と呼ぶ者あり)なくなっちゃう。そうすると、相続のときにだっとさかのぼって、延滞利子から取られちゃって、もう破産するしかなくなっちゃう。
そこで、農業法人を立ち上げて、寄附行為をやって、三人以上の方が集まって農業法人をつくる、そういうふうにして企業的農業経営を考えると。そうすれば、法人ですから、法人には相続はないですから、というふうな考え方は現実にはあるんですけれども、みんなそうしなさいということを強制することはできない。
私は、企業的農業、まさに大消費地を抱える東京の優位性を生かして、そういうことをやるべきだと。そして、農家の皆さんが本当に農業で飯が食っていけるというふうな状況ができれば、そこのところはハウス栽培でやるかもしれませんけれども、全体の今持っている森林だとか緑の地域をなくさなくてもやっていけるという状況をつくっていくことが非常に大事だというふうに考えているんですけれども、みんながみんな、農業法人になれるかというと、この事業が失敗したときには大変悲惨な状況になるという、それこそ血で血を洗うような状況になるというふうなことを私、ちょっと伺っておりまして、まだちょっと調査が不十分でございますけれども。
例えば、農家が一軒で独立してでも、こういう企業的農業経営ができるという状況ができてまいらないと、ここに書いてあることは、まさに絵にかいたもちなんです。しかも、これをやらない限り、農地はどんどん減っていく。
そういう中で、この文章は本当に責任を持って書かれてあるのかどうか、私は大変に疑問に思うんですけれども、いかがですか。だれがお答えくださるのか知らないけれども、部長、本当に責任を持って答えられますか。(「五十年後だから」と呼ぶ者あり)五十年先じゃないんですよ。五十年先にこんなことになったって、だめなんですよ。今やっている営農者がいなくなったら後継者がいない。いないということは、生産緑地を外して、まず市に買ってくれませんか、東京都に買ってくれませんか、だれも買ってくれなかったら市街化するしかないわけですから。そういう状況を十分踏まえた上で、この文章を書かれているのかどうかということを、私ちょっと疑問に思う。ちょっとお答えください。
○高田自然環境部長 委員ご指摘の一四ページに書かれている内容でございますが、これは今後十五年間に取り組んでいくべき施策の方向を示しているということでございまして、ここに掲げられている内容、先ほどちょっと私の説明、つたなかったかもわかりませんけれども、そういった内容が現に進んでいるところもございますし、これからもそういった企業的な経営が促進されるような施策づくりをしていくということで検討しているということでございます。
○谷口委員 これ以上いっても始まらないと思いますので、その程度にとどめますけれども、本当に税制を変えない限り、ここに書かれてあることは実現しないというふうにいわざるを得ない。
先ほどもご指摘がありました十ヘクタール以上の大規模公園を、三キロメートル以内を標準として配置するということで、世田谷を初めとして、ずっと環状的な各区がそういう状況にあるということがいわれました。一番最初に取り上げられた祖師谷公園も、ちゃんと都市計画の中に位置づけられておるんですけれども、これはやはり将来とも整備することを大前提とされているんでしょうか。
○小林都市計画局地域計画部長 お話がございました祖師谷公園でございますけれども、先ほど申し上げました十ヘクタール以上の公園、三キロメートル以内の十ヘクタール公園、公園が不足している地域の中にございます。世田谷区の北部ということでございますので、やはり将来計画として、この公園はぜひ必要だというふうに考えておりますし、今後とも、地域の理解を得ながら、着実に整備を進めていく必要があるというふうに考えております。
○谷口委員 既に都市計画で位置づけられている公園が整備できなくて、ここに書いてあることがこれまた実現できるかというと、これから十ヘクタール以上の大規模公園をどことどことどこに配置するのか、この都市計画はいつごろ確定されるご予定ですか。
○小林都市計画局地域計画部長 先ほど、公園が不足している地域につきまして、既に開園をしている十ヘクタール以上の公園でございまして、ですから不足している地域というのは、多くは計画公園があるにもかかわらず、祖師谷公園と同じように、まだ事業化に至っていないと。そういったところについて、重点的に整備を進めていく必要があるというふうに考えておるところでございます。
○谷口委員 私、文章を読みながら、本当につまみ食いで、大変勝手なことを申し上げたわけでございますけれども、確かに緑の東京計画、東京が風格のある緑の豊かなまちに変わっていくためには、これから五十年といわず、百年、二百年にもかけて、いいまちをつくるための努力をしなきゃいけないと思うんですけれども、この中間のまとめを見る限り、余りにも、これが本当に実現できる夢の計画かというと、現実を踏まえた場合に非常に厳しいものがあるなというふうなことを、実感を持って読ませていただいた次第でございます。
大いに頑張って、具体性があり、実現性のある計画を練っていただきたいと要望させていただきます。
○大西委員 初めに、この緑の東京計画をおつくりになった都市計画局と環境局が、一緒にこうやって委員会で審議できることというか、そういう場があることを評価したいと思っております。
これまでの施策でありました緑の倍増計画も、今回と同様、都市計画局と環境局でおつくりになった計画なんでしょうか。
そして、その計画がほぼ達成できたということですけれども、私たちが暮らす中では、どこでどう達成されたのか、全然実感として感じることができませんので、それをちょっと、いろいろなところでお聞きになっておりますので、中心だけでいいんですが、その反省と今回の緑の東京計画の新しい施策、そのポイントをお願いいたします。
○高田自然環境部長 緑の倍増計画は、もちろん全庁的な協力、連携をいただきながらつくったものでございます。これは、所管は一応、環境局というふうな形でつくってございます。
今回は、いうならば都市計画局と共管というふうな形でつくりましたのは、一つには、今後の緑づくりを進めていくためには、やはり都市づくり等の連携が必要だろう。都市づくりだけではございません。産業、農林業などのさまざまな分野との連携が必要である。これは、今までにもあったわけでございますけれども、計画づくりの中で、両局が共管するということで、はっきりとそういったものを打ち出したというところに、今回の計画の一つの特徴があると思います。
なぜ、そういうふうなことをやらなければならなかったかということでございますが、緑づくりというのは都市づくりといろいろかかわっているということもございます。また、都市が、東京が抱えている課題を解決するためには、緑から見た面でいろいろ考えていくわけでございますけれども、都市環境の改善を図るにしても、それから防災の面にしても、新たな視点というふうな形でそういったものを取り入れて取り組むとともに、いろいろな政策と連携を図っていくというふうなところに、今回の計画の特徴があると思います。
それから、緑についていえば、水と緑を一体として総合的にとらえて、それらについて政策目標をつくりまして、いうならば緑の総量をふやしていくというふうな考え方のもとに、計画を総合的、一体的に推進できるようなことにする。
いろいろ特徴がございますけれども、そんなふうなところが挙げられると思います。
○大西委員 ありがとうございました。
ちょっと読みまして、これまでは非常に樹木を保存、残していこうという、そういうことがかなりメーンにあったように思うんですけれども、今回の緑の東京計画は、そういう意味では、もっともっと緑をふやすということで広くとらえることで、屋上緑化、このことが強く打ち出されております。
確かに、屋上緑化も必要ですし、これからのまちづくりには欠かせないものですけれども、やはり木が持つ意義、木は、その地下には水というものの保水能力とか、そういうものを考えたときに、やはり樹木を残す、保全、この視点をしっかりと残していかなきゃいけないということがあると思うんです。だから、屋上緑化でよしとするんではなくて、やはり樹木の保存、この部分にもしっかりと力を入れていってもらいたいなと思います。
先日の新聞でも、高知県だったと思うんですが、森や木を保存するのに、市民はそれに対する環境税、そういうものを払うこともいとわないというような結果も出ていましたし、それからちゃんと行政がそれを指導、そして話すことによって、住民の協力度というのが非常に得られると思います。
小金井の雨水浸透ます事業、これもお金はかけなくて、みんなで、市の職員の方がそういう市民に一人一人、建築確認申請を取りに来るときに説得していき、今や新築の住宅を建てる人たちは一〇〇%、雨水浸透ますをつけるとか、そういうことが行われているわけですから、市、区、都の役割分担はありますが、ぜひそういう意味でも、金がないというだけではなくて、そこには知恵が必要になるわけで、その辺の視点も含めて取り組んでいただければなと思っております。
インターネットで、いろいろな市民の案というのがいっぱいありまして、その中に環境教育、そういうもの、それからマンションの建築確認申請時に緑の指導とか、それから道路の計画の中で、車中心の道をつくるのではなく、LRT、歩行者、自転車中心の道路づくり、それから現在ある電車の軌道にも緑を植えていく。そうすると、新しい道路づくりにおいては、そういうLRTを採用した場合は、その軌道にも緑を植えることによって緑の道ができる。そして、駐車場にも緑を植えていくこと。それから、浸透性の舗装とか、いろいろなアイデアが出ていました。
また、モデル地区を指定して、その中でやはり緑を大切にすることによって、自分たちの空気とか水、そういうものの環境の状況をデータによって示して、そしてそれが励みになって、やはりそれについて頑張ろう、協力度も増していこうとか、そういう動きもあるわけですから、ぜひ--こういうインターネットの市民案というのはおもしろいなと思って見ました。
その中の取り組みといたしまして、やはり都市計画局だけ、環境局だけではなくて、こういう市民案を取り入れていくには、他局ともいろいろな審議をしながらやっていくものがいっぱいあったんですけれども、この市民案を実現あるものとして最終案に生かすために、そういう二局だけではなく、他局との審議もあるのでしょうか。
○高田自然環境部長 緑の東京計画の策定に当たりましては、都市計画局と私どもが幹事という役割を負いながら、関連する庁内の局との検討組織の場を設けておりまして、これまでも中間のまとめに当たりましては、そういった場を通じて各局、緑の東京計画における、例えば目標づくりですとか施策の内容、方向、そういったものの検討に当たってきたところでございます。
○大西委員 じゃあ、そういう場が設けられるというふうに受け取っていいんですか。
今回、やはり中心となって、この緑といった場合、環境局、そして、それをより具体的にするために都市計画局。そして、さらに実効あるものとしていくためには、建設局とか、そういう協力度が要るんじゃないかなと。それを緑率に例えれば、環境局を緑率一〇〇%とすれば、だんだんとその緑率が低下していく、局を緑率に例えれば。そういうものがあるわけですから、やはり一番緑率が低い、そういう建設局あたりもしっかりこれに巻き込んでいかないと、なかなか五十年後の、谷口委員がいっていらっしゃいましたように、緑のベールに包まれた東京ということにはほど遠いんじゃないかなと考えております。
今回の緑の東京計画ですが、先ほどもいいましたが、やはり緑の下には水がある。この水と緑というのは、いつも一体となって考えていかなければいけないわけですので、この名前も、私は緑の東京計画よりも水と緑の東京計画の方が、いつも忘れずに、見えない水のことも忘れずに取り組めるんじゃないかと思うんですが、このことはいかがでしょうか。
○高田自然環境部長 先ほどの庁内の検討組織の話をまず答弁させていただきますが、私の方の答弁の仕方がまずかったのかもわかりませんけれども、都市計画局と私どもが幹事局になって、七局、具体的に申し上げますと、政策報道室、それから労働経済局、それからお話がございましたように建設局、港湾局、水道局の部長級で構成する緑の東京計画検討委員会というものをつくっておりまして、これまでも計画づくりについて検討してきております。
引き続き、中間まとめ、都民の方々のご意見をいただいて、本計画をつくるということになるわけですけれども、こういった検討委員会の場を活用して、計画づくりに当たっていきたいと思っております。
それから、水と緑の計画ということでございますが、今回、水と緑を一体として総合的にとらえて、緑というふうな形での考え方をとってございまして、緑の東京計画ということで、そういった考え方をご理解いただいて、都民、企業の方々の協力をいただき、区市町村と連携しながら、東京のこれからの緑づくりに当たっていきたいというふうに考えております。
○大西委員 ぜひ、この計画、実効あるものとして取り組んでいただきたいという要望にして終わります。
○吉野委員 緑の東京計画について、もうたくさんの質問が出されてまいりましたけれども、私も少しだけお聞きをしたいというふうに思います。
今回緑を、ふやすという施策と、もう一方では減らさないという、この二本立てで緑のベールに包んでいくということになるんだろうと思いますけれども、一つ、例えば三鷹の例、卑近な例なんですが、公園を借地で、借りて公園にしている。ところが、やはりこれが相続が近づいてくると返還要求が出てきたりして、結局はそれが公園でなく住宅地に変わってしまうというふうな現状があります。
借地による公園を、相続のときにも公園として存続できるようにしていかなければならないというふうに思うんですけれども、現行の相続税の税制で、このことについてどういうふうになっているのか。あわせまして、こうした借地公園について、相続税の納税猶予ということが受けられれば、あるいは継続をされていくんではないかなというふうな気もいたしますので、このことについてお考えを伺いたいというふうに思います。
○小林都市計画局地域計画部長 借地公園についてのお尋ねでございますけれども、公園の整備に当たりましては、用地取得方式とあわせまして、特に地価が高く、用地取得が困難な場合などには、借地方式による公園整備も有効な手法の一つだというふうに考えております。
借地公園につきましては、二十年以上の貸借契約を締結した五百平方メートル以上の都市公園であることなどの一定の要件を満たす場合は、平成四年から相続税の評価上、四〇%の評価減を受けることができることになっております。
しかしながら、土地の所有者にとりましては、契約期間が長いということ、契約期間中に原則として契約の解除ができないということなどから、都内ではこれまで評価減の適用対象となる契約による借地公園の事例というものはほとんどございません。また、相続が発生したときには、相続税の支払いの必要から、自治体に買い取り要望が出されましても、財政状況等から、やむなく借地公園の契約解除となることも少なくないといった状況にございます。
こうした現状から、借地公園を相続後も継続できるようにするためには、相続税上の評価減が受けられる公園の要件の緩和や、あるいは評価減の率の引き上げのほかに、ご指摘のありましたような相続税の納税猶予などのさまざまな手法が考えられておるところでございます。
今後、借地公園が相続後も存続できるような相続税制のあり方などにつきまして、区市町村とも連携をとりながら調査、検討し、適切に対応してまいりたいと考えております。
○吉野委員 もう一点、農地のことについて、先ほど農地の質問がございましたけれども、伺いたいと思います。生産緑地の資料も出されておりますけれども、農地というのは宅地化農地と生産緑地という二つの種類があるわけです。現行の生産緑地法による指定が平成四年に行われましたけれども、当時の農地の面積と比較しまして、最近の、これは生産緑地だけ十一年度、出ておりますけれども、現時点での農地の面積がどの程度減少してきているのか。また、その原因について、どういうふうに考えていらっしゃるのか伺いたいと思います。
○小林都市計画局地域計画部長 市街化区域内における農地面積につきましては、平成五年の約七千百三十ヘクタールから、平成十一年には約五千九百七十ヘクタールと、この間、約千百六十ヘクタールほど減少しております。
この減少した農地面積のうち、いわゆる宅地化農地が約千十ヘクタールと、大半を占めておりますけれども、生産緑地につきましても約百五十ヘクタールほど減少しております。
農地が減少しました原因でございますけれども、後継者不足といったような側面もあろうかと思いますが、主として相続によるものが大きいというふうに考えております。
○吉野委員 まさに、そのとおりだというふうに私も思っておりまして、相続ということに関して、今の税制が大変大きなネックになっているというふうに思っております。
先ほど、谷口委員からのお話もありましたけれども、生産緑地地区制度の活用に加え、新たに都市農業を活性化する地域を指定することにより、農地の減少を抑制していきますというふうに書かれておりますけれども、現実には、今お話がありました、宅地化農地というのは、生産緑地制度ができた時点で、もう相続のときには宅地化をするんだという、あらかじめ予定をされた農地であって、相続が発生すれば、当然、こうして大きな数値として出てくるわけですが、あわせて、やはり生産緑地に指定をされたところも、ある程度の数字がやはり減少してきてしまうというふうな現実があるわけです。
私は、もう東京における農地というのは、所有権というのは農家に所属をしておりますけれども、空閑地としての位置づけというのは、やはり都民共通の財産という形で、みんなで守っていくということを考えていかないと、なかなか守り切れないというふうに思っております。
私ども中学校のころに、隣にタヌキ山という平地林、クヌギ林が大変大きなものがありまして、お昼になりますと学校を抜け出して、その林の中でお弁当を食べたりというふうなことができたんですけれども、それも相続の時点で農地として見られないということで、全部切られて、今、一たんは農地になりましたけれども、それからまた宅地化がされてきてしまったというふうな状況で、もう復元は恐らく不可能だというふうに思います。
ですから、農地の減少を抑制をしていくためには、農地だけではないんですけれども、相続税、東京における、大都市における相続税というものをもうちょっと考えていかないと、これは歯どめがかけられないだろうというふうに思いますと、ぜひ東京都としても、そうしたことの要請を国の方にしていっていただきたいというふうにお願いをさせていただきます。
それから、もう一点、これも三鷹の例なんですが、市内十五ある小学校のうち、十四校で学校農園、学校に隣接した農地を借りて学校農園というのをやっております。これも、農地というのはみずから耕作をするという前提があるわけですので、そこのところをクリアをしながら、子どもたちが学校の隣にある畑で農業体験をしていくというふうな勉強を行っておりますし、これは、実はある小学校の学校農園では、農業をやる人がいない、いないけれども、学校に接しているということで、地域の農協青年部のメンバーが、その農地を所有者の手伝いをするという形で耕作をして、例えばサツマイモを植える、マルチを引く、そこまでやって、子どもたちが苗を植えて、草を取って、秋に収穫をする。
その収穫をされたものを買い取るという形で、農家に一定のお金が出るというふうな形に農地が維持をされているわけです。今回の東京計画の中でも、学童農園というふうな言葉が出てきますけれども、こういう形、みずから耕作をするという、このクリアがなかなか難しいんですが、こういう形で農地を確保していくということにも取り組んでいく必要があるというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○高田自然環境部長 お話がございました学校農園についてでございますが、三鷹市などで取り組まれております。市の教育委員会が農家と契約を結びまして、小学生の農業体験の場として活用されていると。
平成十四年度に導入されます総合的な学習の時間が実施されることに伴いまして、この学校農園事業への期待が高まっているというふうに考えております。
そこで、お話がございましたように、緑の東京計画では、子どもたちの健全な心を養うため、米づくりや野菜づくりなどの農業体験ができる学童農園事業を推進するとしているところでございまして、施策の方向に打ち出しました内容を、本計画では具体的に打ち出していきたいと、こういうふうに考えております。
○吉野委員 私ごとになりますけれども、六十アールほどの畑を持っている農家でございまして、八十一になるおやじが一人で農業をやっております。そのおやじが仕事ができなくなりますと、私が議員をやめて畑をやるか、畑をやめるかのどちらかの選択を迫られることになります。
そのときに、例えば市民農園として、一定の期間、十年とか二十年、私が議員をやめるか落ちるかして畑に戻るまでの間、農地として維持されるというふうな方法ができてくれば、まだまだ農地を残せる道というのはあるというふうに思いますので、ぜひそこいら辺のことも、計画を進める上に当たって、よくご検討いただきたいというふうにお願いをして終わります。
○尾崎委員長 お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○尾崎委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で環境局関係を終わります。
この際、議事の都合により十分間休憩いたします。
午後三時四分休憩
午後三時十五分開議
○尾崎委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
これより都市計画局関係に入ります。
初めに、付託議案の審査を行います。
第二百四十三号議案から第二百四十五号議案までを一括して議題といたします。
本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
その際、資料要求はいたしておりませんので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○吉野委員 東京都建築安全条例の一部を改正する条例について、何点かお聞きをいたします。
今回の条例の改正は、建築基準法の抜本的な改正に伴う性能規定化への対応、あるいは高齢者、障害者に配慮を要する建築物に駅舎等を拡大する福祉規定への対応など、今日の社会情勢の変化に対応するものとのことであります。
また、性能規定は、多様な計画の実現や、新しい技術、材料の活用を可能とするものというふうに伺っております。
そこで、初めに、性能規定の導入に伴う効果についてお伺いをいたします。
○森下建築指導部長 性能規定の効果についてのお尋ねでございますけれども、その効果としましては、設計の自由度の拡大や、技術開発によります低コスト化などが図られまして、民間の活発で創意あふれる建築活動の促進や、海外の住宅建築資材の輸入の促進などが考えられます。
今回の条例改正におきましても、このような性能規定の考え方を取り入れまして、条文の追加を行ってございます。これによりまして、例えば建物の中のある階にいる全員が安全に避難できるという性能を確保すれば、壁や天井の仕上げをより自由な材料とすることや、コストの低減化を図ることもできるということになります。
○吉野委員 話を伺っていますと、何か、いい住宅ができてくるような、そんな気がしますけれども、もう一点、福祉関連規定の改正の考え方についてお伺いをしたいというふうに思います。
これからの東京は、高齢社会を迎えまして、高齢者などにとって、安全でバリアフリー化された建築物としていくことが極めて重要であるというふうに考えております。
そこで、福祉関連規定の改正の基本的な考え方についてお伺いいたします。
○森下建築指導部長 ご指摘のありましたように、高齢者を初めとして、だれもが自由に移動して、円滑に施設の利用ができるようなまちづくりを進めることがますます重要になってきております。
このために、幅広く施設のあり方について点検いたしまして、都民や事業者の皆様にとっても、わかりやすい基準となるように本条例を改正したものでございます。
具体的に申し上げますと、移動の安全の確保を図るために、駅舎等の旅客施設を本条例の対象施設に加えた上で、エレベーターやスロープを設置することなどを定めてございます。
また、東京都の福祉のまちづくり条例の整備基準との整合も図りまして、廊下や浴室の手すりなどについて、規定の見直しを行ったものでございます。
○吉野委員 性能規定については、今までにない新しい考え方でありますし、その導入効果として、設計の自由度の拡大ですとか、技術開発による低コスト化が期待できるものというふうに思います。
また、福祉関連規定の改正は、都民の共通の願いである高齢者、障害者等を含む、東京で生活をするすべての人々が、自由に行動し、社会参加できる優しいまち東京の実現を目指すための着実な一歩になるというふうにも考えられます。
そこで、ぜひ、条例の実効性を確保していくためには、都民、事業者、行政が一体となって進めていく必要がありますので、そのためにも条例を広く周知をする取り組みを行うように要望して、私の質問を終わります。
○かち委員 私からも、第二百四十四号の東京都建築安全条例の一部を改正する条例について、二、三、お聞きいたします。
今、本条例改正の理由の一つとして挙げられたのが、性能規定化ということに基づくということでありましたけれども、繰り返しになるかもしれませんけれども、この性能規定化ということは、一体どういうことなのでしょうか。
○森下建築指導部長 性能規定化でございますけれども、改正の前につきましては、建築物の安全を確保するための技術基準としまして、例えば防火戸の鉄板の厚さを一・五ミリメートルと定めるというような仕様規定を適用してございました。
これに対しまして、近年の新しい建築材料の開発などを踏まえまして、防火戸は、火災の際に炎を遮る性能を確保できれば、例えば木造の防火戸でも可能となるような制度となったわけでございます。
このように、求められております一定の性能を満たすものであれば、建築材料とか構造とか設備等の中身を問わないという基準の考え方を性能規定と呼んでございます。
○かち委員 ただいまご説明がありましたように、建築技術の進歩とか、新しい建設建材、こういうものの開発によって、耐火だとか耐震だとか遮音だとか、さまざまな効果を生み出す用法、工法が出てきているということなんですね。そういうものをクリアしていれば、これまでの仕様規定、建築基準法上の仕様規定による技術や工法でなくても構わない。先ほどからご説明がありましたように、それを性能規定ということでクリアできるということで、設計の自由度が広がったというふうにおっしゃったわけですけれども、そういう意味で、これを導入することによって、どういうメリットが生まれるのか、またどういうものが対象になるのか。二、三、今、例は出されましたけれども、ほかにどんなものがあるのかを説明してください。
○森下建築指導部長 今、ご質問のございましたように、性能規定化によりまして、一定の性能があれば、いろいろな工法ができるということになったわけでございます。その結果として、選択肢が拡大して、良質で低コスト化が図れるということでございます。
そのほかに、新たにつくられました型式適合認定制度というもので、その性能が保証されますようなプレハブ住宅とかエレベーターなどについては、建築審査の簡略化そのものも図られるようになったということもございます。
なお、その防火戸のほかの性能規定の例としましては、例えば耐火性能であるとか、不燃性能であるとか、遮音性能などがございます。
○かち委員 構造物、今、お話がありましたように、エレベーターだとかドアだとか、部分によってもこういう認定が適用されるようですけれども、そのほかにも住宅そのものが認定される仕組みにもなっているわけですね。いわゆるツーバイフォーとか、新しい外国製の新建築法でつくることができるというようなものだと思うんですが。
今までは、こうしたものは特別に建設大臣の許可、認定を受けなければならなかったものですよね。この許可を受けるためには、その都度、実験、検証をして、確かに大丈夫だという手続をとらなければいけないということで、時間も非常に、手間も暇も要したということですけれども、これをもし取ってしまえば、エレベーターだとか、量産をするもの、あるいは住宅なんかについても、規格住宅みたいなものについては、繰り返し、この認定を使用することができる。いわばマル適マークみたいなもので、これはもう大臣の認定を取ったものと同じく認められて、一々、一件一件を認定されなくても、継続的に繰り返し使用することができるということなんですね。
そして、規格化された設備や住宅などの場合には、建築確認や検査を省略することもできるということなんですけれども、これが認定制度の合理化、効率化ということだとすると、本当にこれで安全が確保できるのかなという一抹の不安を覚えざるを得ません。
ことしの夏に大変問題になりました雪印乳業のHACCP制度の問題が、ちょっと例は違うんですけれども、ありました。これは、総合衛生管理製造過程ということで、厚生大臣の認証を受ければ、それぞれの事前の行政のチェックがなくても、自主的にその事業者が全体を自主管理をする、それが認められたということでやってきたわけですね。
ところが、経過をする中で、いろいろ手抜きがあったり、やるべきことがやられてこなかったという実態があって、ああいう大問題が起きたわけです。これは、いわゆる効率化とか低コスト化ということが背景にあって、規制緩和の一種といえると思うんですけれども、そういうことが安全の確保でてんびんにかけられてくる。そうしたときに、企業としてはどちらを選ぶかという点では、やはり安全性よりも低コスト、効率化の方を選ぶことに走りがちだというのが、今の現状の社会だと思うんですね。
こういう中で、本当に安全な住宅を確保していくものにしていかなければならないのではないかと思うんですけれども、この指定認定機関、これは大変重要だと思うんですが、今までは大臣が認めていたわけですけれども、これは一体どういうふうになるのでしょうか。
○森下建築指導部長 認定機関につきましては、高度な技術審査能力と公正、中立な審査体制を有する国内外の民間機関で、例えば大学教授等の高度な技術力を有する者が認定委員として入っているなど、国の省令で定めます要件に該当する機関が指定の対象となります。
この認定機関の指定につきましては、建設大臣が行うこととなっております。
○かち委員 ただいまの説明で、国の内外の民間機関で、要件がそろえば指定認定の対象機関となる、できるという説明だったと思うんですね。
国内の場合というのはわかるんですけれども、どういうことかと思いますと、ある企業が外国に研究所だとか、そういうものを開発する部門を持っていて、そこでいろいろ、新工法だとか建材を開発をして、外国で建設大臣の許可を得た認定機関を通してくれば、そのまま輸入をして、建築確認も取らずに建てることができるという方向に道を開いたということになるわけですね。
現在あるかどうかは別ですよ。現在は、まだできたばかりですし、国内にまだ六つの指定機関しかないようですけれども、しかし、二年前に建築基準法が改正されたときに、確認申請が民間でできるということになってから、ぱあっと民間でのそういう指定機関がふえてきていますよね。そういう意味では、そういうことに道を開くことになるということなんです。
本来なら、公正、中立な厳格な指定機関でなくてはならない、そういう機関なんですけれども、そういうふうに国の目が届きにくいところでも取れてしまう方向に道を開いたということ。
それから、この指定認定機関の指定基準の考え方なんですけれども、それは、この解説書の中に書いてあるんですけれども、設計とか施工等を業務とする者が兼務ですることや、単独で設立することはできない。ある企業が自分のところで自前で、その認定機関としての承認を単独で取ることはできない。しかし、それをその企業も参加して、共同で設立することはできる。そこに出資の割合がどうのこうのという問題はありますけれども。
ですから、力のあるところは自前でそういう認定機関の資格を取ることもできるシステムにも道が開かれたということなんです。これがどんどん進んでいくと、どういうことになるかということも非常に危惧されるところなんです。
確かに、建築工法の自由度が広がる側面もありますけれども、こうやって大手メーカーなどがみずからも参加をして、指定認定機関の資格が取れるシステムということでは、建築業者との癒着や欠陥建築を生み出しかねない、そういう危惧もぬぐえないものです。(「そんなことないよ。検査を徹底すればいいんだ」と呼ぶ者あり)それができていないのが、さっきのHACCPのような状況が生み出されるという状況に道を開くということなんですね。
建築基準法改正の際に、参議院の附帯決議の中に、国民の健康を保護することが法律の重要な目的であることにかんがみ、いわゆるシックハウス問題に関して積極的に取り組み、関連業界の自主的対応を促進するなどの対策を講じるとともに、必要に応じ、法令上の措置についても検討することということが、二年前の建築基準法改正のときに附帯決議をされていますけれども、その後、国の検討状況、進捗状況はどうなっているんでしょうか。
○森下建築指導部長 国でのシックハウス対策でございますけれども、厚生省、建設省、通産省、農水省、労働省の五省におきまして、相互に協力して対策に取り組んでいるところでございます。
建設省などにおきましては、設計、施工のガイドライン、ユーザーズマニュアルを作成するなどの取り組みを行っているところでございます。
今後は、建築基準法によります建築基準の検討を含めた取り組みを行っていくと聞いております。
○かち委員 建築基準法も改正されて、既に二年が経過しているんですね。当初は、ことしの春ごろまでに、このシックハウス問題についても基準化をするというふうな動きもあったわけですけれども、今お話しのようにいまだに基準化ができていない、こういう状況なんですが、シックハウス症候群のために、せっかく新築したマイホームにもかかわらずそこに暮らすことができなくなってしまったとか、また、耐燃建材など新建材によって火災時に有毒ガスを発生して、それを吸い込んで死亡したという事例なども出ています。耐燃などの性能を規定する際に、それによって起こるリスク、そういう面についても厳しい規定が必要なのではないか。両方この規定書に載っていなければ、私はまずいのではないかと思うんです。その意味では、大変、今度の規定基準は不十分だといわざるを得ません。
もう一つ、今回の条例改正の条文中、例えば第十二条の二号の規定の中で、現行では「不燃材料、準不燃材料又は難燃材料」という表現があるんですが、その改正案では、すべてが--この三つが並んでいるというのは、燃えるまでに二十分かかるもの、十分かかるもの、五分かかるものを、それぞれに不燃材料、準不燃材料、難燃材料といっているわけですけれども、それを全部、燃えるまでに五分かかるものでよい、五分かかるものにしなさいというふうに指定されているんですね。これは非常に国語上から見てもおかしなことではないのかな。建築計画をする際に、非常に規格そのものが緩和されてしまう、甘くなってしまったということになるのではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○森下建築指導部長 不燃材料、準不燃材料、難燃材料という言葉でございますけれども、先ほど先生ご指摘のように、通常の火災の火であぶって五分以上燃えないもの、これが難燃でございます。十分以上燃えないものが準不燃で、二十分以上火であぶっても燃えないものが不燃材料でございます。それで、それを「又は」で結んであるわけですけれども、二十分以上燃えないもの、または十分以上燃えないもの、または五分以上燃えないものということは、当然五分以上燃えないものということでくくれるわけでございます。そこで、五分以上燃えないものという難燃材料という言葉で表現しているものでございまして、性能規定化に伴う当然の変更であると思ってございます。したがいまして、条例におきましても、法令の改正に伴って同様の整備をしたものでございます。
このような表現の変更につきましては、設計者の皆さんにもこれまでも周知しているところでございますけれども、今後とも、講習会やパンフレットの配布などを通じまして、さらに周知に努めてまいります。
○かち委員 ご説明いただきましたけれども、この条例文そのものを見ますと、それでは、五分以上燃えないものを全部あらわすんだといいますけれども、この条文では難燃材にしなさいと書いてあるんですよ。難燃材以上であればよいと書いてはいない。「難燃材料で」というふうに書いてあるんですよ。これはこの条文を見る限りは、それ以外は指してはいないんです。そういうものを、誤解を招かないようにいろいろパンフレットなどもつくって周知徹底をしているところだといいますけれども、そういうことをしなければわからないというような条例は、やはりおかしいのではないか、不合理ではないかというふうに思います。ですから、今回の改正はやはり道理に合っていないなということを申し上げて、質問を終わります。
○尾崎委員長 お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○尾崎委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
○尾崎委員長 次に、東京ベイエリア21(中間のまとめ)及び秋葉原地区まちづくりガイドライン-中間のまとめ-、並びに震災復興グランドデザイン(中間のまとめ)について、三件の報告事項に対する質疑を一括して行います。
本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○野田総務部長 去る九月十四日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元に配布しております当局の都市・環境委員会資料をごらんいただきたいと思います。二枚めくっていただきまして、一ページをお開きいただきたいと思います。
秋葉原地区の土地区画整理事業につきまして、1といたしまして、事業の経緯を、2に地元要望を記載させていただいております。
次に、右側でございますが、二ページをごらんいただきたいと思います。阪神・淡路都市復興基本計画についてでございます。
1といたしまして、計画の位置づけを、2に概要を記載しております。
大変雑駁ではございますが、以上で要求のございました資料の説明とさせていただきます。どうぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○尾崎委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○森田委員 私は、この報告書の中の震災復興グランドデザインについて、何点か伺いたいと思います。
震災復興計画、これは非常に重要なもので、私も数年前から予算特別委員会等を通して、東京都は復興計画をつくるべきだということを何回となく主張してまいりました。今回それらしきものができたのは、遅きに失したというよりも、幸い今まで地震がなかったのでよかったわけですけれども、この復興計画は非常に重要なものだというふうに位置づけています。
東京のまち、いろいろ変わってきていますけれども、東京のまちの基本形態は、私の知っている範囲でいうと、関東大震災が基本になっているんじゃないか。その後の関東大震災以降は、東京のまちというのはほとんど変わってない。高速道路ができたぐらいである。たしか青山副知事の書いた本だと思うんですが、関東大震災のときに復興計画らしきものがあったのは、地震を想定しないで東京都が--当時東京市ですね、渋沢栄一氏のもとで東京の計画を練っていた、それがあったので、関東大震災後、その計画を活用して東京のまちづくりをしたというようなことを書いてあったと思います。
そのように、やっぱり復興計画があるかないかによって、復興後のまちづくり、これは全然違うんじゃないか。私も阪神・淡路大震災以降、昨年ですか、神戸市へ行って現地を見てきました。神戸のまちも、再開発計画が既にあった地域と全く再開発計画がない地域とでは、復興の状況がもう本当に違っていますから。再開発計画、それは地震を想定してなかったんですけれども、まちづくりの再開発計画ができていた地域というのは、復興が大変に進んでいた。しかし、ないところは前と同じように--前以下ですけれども、バラックのような、自分の敷地内に建物が建っちゃっている。本当にまちのつくりが、こんなに、計画があるのとないのでは違うのかなということを実感してきた次第です。
それで、このグランドデザインの中間報告を見させていただいたんですけれども、これを見ても、東京の復興後のまちづくりというのが全然イメージがわいてこないんですよ。このグランドデザインというのは、どういう位置づけになっているのか、まず、それを教えていただきたいと思うんです。
○福島防災都市づくり推進担当部長 震災復興グランドデザインの位置づけでございますけれども、東京都都市復興基本計画の骨子案に当たるものでございまして、具体的には、震災の約一カ月後を目途に、それまでの被害状況を調査し、復興対象地区を決定して策定をしていくもの、このように考えてございます。
○森田委員 神戸と、兵庫県と比較するわけにはいかないと思いますが、この資料によると、兵庫県では復興基本計画があって、その概要で、(5)の中に幾つか出ていますけれども、これ全部をこのグランドデザインというのはやるんですか。ではなくて、この計画内容の幾つかのポチポチの後に出ていますけれども、この中でいうとどれになるんでしょうか。
○福島防災都市づくり推進担当部長 骨子に当たる部分ということで申し上げますと、この計画よりもかなり前の、概念的には前の部分になるわけでありまして、この都市復興基本計画までよりも前でありますので、(5)のそれぞれ書いてある内容でまいりますと、計画策定の趣旨、それから震災の教訓と課題、都市復興の基本方針、このあたりの理念的なものを取り込んでいるものが、今回私どもが示しているグランドデザインに当たるのではないかと考えてございます。
○森田委員 そうすると、このグランドデザインは、あってほしくないんですけれども、もし震災が起こって、先ほど一カ月後といいましたけれども、一カ月後にどういう活用方法をするんでしょう。
○福島防災都市づくり推進担当部長 このグランドデザインにつきましては、この後、おおむね発災後から、先ほど一カ月後を目途につくるものというふうに申し上げましたが、二カ月後を目指しまして、広域的な復興基本計画というものをつくってまいる考えでございまして、それのもとになるものでございますが、さらにそれを受けまして、区並びに市町がそれぞれの地域の復興基本計画を立てていく、このようにつながっていくものと考えてございます。
○森田委員 そうすると、今のお答えでいうと、これが一カ月後に生きてくる。その一カ月後に具体的な案をつくるということですか。地震が起きてから二カ月後に具体案が出てくると。
○福島防災都市づくり推進担当部長 具体的なと申し上げますのは、グランドデザインという、これは考え方をモデルプランとしてお示しをしておりますので、おおむね一カ月後にその考え方をまとめてお出しをしていく、こういう考え方でございまして、具体のものといいますのは、それより少しずつ時間とともに下った部分、もう少し後になって出てくるものでございます。あくまで基本的な考え方を示して、それをモデルプランとしてお示しをする、こういう位置づけのものでございます。
○森田委員 そうすると、震災前はこれしかないと。これを中心でやって、震災後一カ月たったら、これを基本にして何か別の計画をつくるということですか。
○福島防災都市づくり推進担当部長 今お示しをしておりますものにつきましては、中間のまとめということでございまして、この具体化のことに関しましては、最終のまとめとして、もう少し計画的なものを盛り込みましてお出しをしていくことになるわけでございます。
ちょっと私は質問を取り違えたかと思います。失礼しました。
○森田委員 私がいいたいのは、東京に震災が来た、まちが壊れた、このときに、まちづくりで基本になってくるのは、例えば幹線道路がどこに引かれるのか、今のままでいいのか、あるいはその幹線道路の車幅も今のままでいいのか、もっと広げるのか、幹線の鉄道はどこにつくるのか、あるいは公園の緑地帯はどこにつくるのか、こういうのが決まらないと、復興計画というのは何も進まないんじゃないかと思うんです。それがこういうものに出てこないと、なかなかまちづくりというのはできないで、結局、震災後それぞれの個人が、今までの自分たちの土地にまた別の建物を建ててしまうということになるわけでしょう。そのための震災復興のグランドデザインをつくっているんじゃないかなと思っているんですけれども、そういうものは必要と思わないですか。
○福島防災都市づくり推進担当部長 ただいまご指摘のありました、道路であるとか鉄道であるとか公園等、そういったものを基本的な考え方として盛り込んでいくものを、このグランドデザインの中で取り上げていくということで考えてございます。
○森田委員 そうすると、最終報告ではそういうものが出てくると考えていてよろしいんですね。
○福島防災都市づくり推進担当部長 できるだけそのような基盤施設などを取り込んで、その方向づけ、考え方を示してまいりたいと考えております。
○森田委員 そうすると、このグランドデザインの最終報告では、幹線道路とか幹線の鉄道とか公園の場所とか、重要施設についてはどこにどうするということが出てくるというふうにお答えしていただいたと思うんです。それが出て初めて復興計画の基本ができるんじゃないかなというふうに思います。そして、やがては、自分のまちがどうなるのか、ここまでいかないと、本当の復興計画にはならないというふうに思うんです。
それで、そこまで出しちゃうと、これは都民が大変な、自分のところはどうなんだというような疑心暗鬼になりますから、それはいいんですけれども、一つ、この復興計画と現在ある再開発等の都市計画、これとの関係はどうなるんでしょう。
○福島防災都市づくり推進担当部長 現在進めております再開発事業といいますのを、取り組みを開始しているという場面でとらえますと、その取り組みが、仮に発災をした場面で想定いたしますと、地元での取り組み、協議、住民の合意形成、そういうものを事前になされているということから考えますと、そのまちづくりをしているものが十分生かされて、この後の、このグランドデザインに生かされた、復興計画のまちづくりにも十分生かされていく、このように考えてございます。
○森田委員 この復興計画に七つの、何とかいいましたよね、七つのプロジェクト、プロジェクト1は被災市街地の再開発構想、プロジェクト2、大グリーンネットワーク構想、多分東京のまちを、この地図でいうと、七つのある大きな目的に沿って分けていくということだと思うんですが、今の再開発あるいはこれから行われる都市計画、都市開発というのは、このプロジェクトに合った形で実施--震災前ですよ、されているのか。もしこのプロジェクトの中身と違うものがあれば、何らかの規制をするとかいうことは考えていますか。
○福島防災都市づくり推進担当部長 ただいま取り組んでおります再開発事業等につきましては、もちろん、その土地が持っている問題を解決するというその問題が--駅前で必ずしも高度利用されてない、あるいは木造密集地、あるいは基盤整備、道路などの基盤が弱い、こういうような目標を持って行われている再開発事業でございますので、その再開発事業は当然その形で進めていくことになるわけでございまして、この復興グランドデザインで考えております再開発事業といいますのは、その主要な事業として考えておりますのは、やはり被災を受ける区域での再開発事業というものが主に取り組まれていくものと、このように考えてございます。
○森田委員 被災を受ける地域の事業。この大震災、どの程度--ここでは地震の規模を想定していますけれども、この復興計画というのは、仮に大震災があったときに、これを契機にして東京全体を改造しようという計画ではないんですか。
○福島防災都市づくり推進担当部長 このグランドデザインで想定しておりますものは、今、知見で求められている地震を想定してこのような被害を受けるという前提に立ったもので、その震後のまちづくりの立ち上がり方、まちの姿などをモデルプランとしてお示しをしているわけでございまして、実際に大改造ということになりますと、これにつきましては、実際の発災、地震の規模、その状況などとの関連で決まってくるものでございますが、この想定の部分でいきますと、被災市街地は大幅な改造をしていかなければならない。これは、また新しく防災に弱いまちづくりをしていってしまうことは困るわけでございますので、そういう意味で被災市街地などは大幅な改造をしていく必要がある、このように考えているものでございます。
○森田委員 この議論をしてもしようがないんですけれども、僕は、最初にいったように、いい方は悪いかもしれないけれども、東京のこのまちを新たなまちにつくり変えるには、一つのチャンスというのは大震災のとき。このときのためにこういう計画をつくることは非常に大事なことなんですけれども、本当に東京のまちをつくるためには、もっと細かい、中身のあるものを考えなければならないし、しかし、これは公にすると大変なことになる。したがって、表に出さなくてもいいけれども、東京都として、都市計画局としては、東京のまちを、これは表のやつ、もう一つの計画を進めるぐらいの思いでやっていただきたいなというふうに思います。
それから、ちょっと話を変えますけれども、こういう計画を進める上においては、いろんな形での制限、規制をしないとまちづくりができないんじゃないか。被災後、それぞれの、自分の持ち物、自分の土地は自分のものだということでいくと、全く今と同じようなまちになってしまう。今、知事も私権の制限ということをいっておりますけれども、そういう私権の制限とか、あるいは都市計画上の規制を新たにつくるとか条例をつくるとかいうことが必要だと思うんですけれども、最終案には、私権の制限とか都市計画上の新たな規制とかいうものは載せる考えはあるんでしょうか。
○福島防災都市づくり推進担当部長 この震災復興グランドデザインは、復興後のまちの姿やまちづくりのあり方を広域復興計画のモデルプランとして示したものでございますけれども、確かに現在の法制度は、この震後を考えまして、震災時の状況、また課題等に応じた弾力的な取り扱いがなされておりませんで、震災後のまちづくりを行う上では非常に不十分な内容となっているものでございます。
私権の制限につきましては、既に現在の法律の中でも、建築基準法による建築制限や震後にご自分の土地に建物を建てるといったような制限につきましては、被災市街地復興特別措置法などによりまして、二年間の建築制限というものが設けられているわけでありますが、これも対象とする敷地面積が三百平米以上の土地に限るなどと、東京の被災を受けるであろうというところを考えますと、相当、条件といいますか、その状況にかけ離れた部分がありまして、このようなことを考えますと、震後のまちの状況など、課題に弾力的に対応していけるような現在の法律の改正なり、それから新しい制度なり、このようなものがそろって、今ここでお示しをしているようなグランドデザインもセットになって実現をしていくもの、このように認識をしてございます。現在、その法律的な課題というものにつきましても検討をいたしてございまして、これらは、成案をまとめて国に、あるいは関係機関に働きかけていくことになりますけれども、そのような意味で、この最終報告のグランドデザインには、個々具体のここをこう直すというようなものを直接的な条文や何かで表現できるかどうかわかりませんが、その趣旨、骨子などは盛り込んでいきたいと考えてございます。
○森田委員 ちょっとよくわからなかったんですけれども、最終的にこのグランドデザインには、そういう私権の制限とか必要な条例改正の中身とか、そういうものは一応明示するというふうにとらえていいんですか。
○福島防災都市づくり推進担当部長 大変申しわけございませんでした。基本的にそのような方向で取り組んでまいりたいと考えております。
○森田委員 それから、これもなかなか難しいと思うんですけれども、これだけの復興をするということになると、大変にお金がかかるわけです。財源について、あるいはお金がどのくらいかかるという予算について、この最終案では取り上げる考えはありますか。
○福島防災都市づくり推進担当部長 この事業に要する費用等につきましても、あらあらのものは積み上げてまいりたいと思いますし、また、当然復興に要する費用等というものにつきましても、どのようにして調達をするか、基本的には国に要請をしていくということになるわけでありますが、そのような実現方策というものも最終報告には盛り込んでまいりたいと考えております。
○森田委員 それだけの中身をこの十二年度中に発表するのでは、大変な作業かと思いますけれども、ぜひ頑張って、すばらしいグランドデザインをつくっていただきたいなというふうに思うんです。
ただ、一つだけ、これは今、こういうパンフレットで都民の声を聞くというふうになっていますね。都民の声を聞く方法というのは、この裏側に、手紙・はがきの場合、ファクスの場合、インターネットの場合等出ています。そして、ご意見の、何でもいいんでしょうけれども、特にここに六項目、結構専門家じゃないと書けないような問いが書いてありますけれども、こういう中間のまとめについて、現時点ではどのくらいの意見が来ていますか。
○福島防災都市づくり推進担当部長 ただいままで四件でございますけれども、ファクシミリあるいは直接お持ちをいただくというようなことで、この私どもが用意いたしました裏の部分にお書きいただくなり、その白地の部分に自由なご意見をいただくなりしてちょうだいをしてございます。今後とも積極的に意見を聞く工夫を考えてまいりたいと思っております。
○森田委員 こういう計画について都民の声を聞くというのは大変に重要なことなんで、ぜひ努力していっていただきたいなと思います。たった四、五件の意見では、なかなか都民の声というふうにまいりませんし、また、これを見ただけでは、ある部分では何だかわからないんですね。これで東京は復興してどうなるかというのがわかる人がいたら、これはすごいなというふうに思うんです。
それで、先ほど、最終報告では、幹線道路とか幹線鉄道とか公園の位置とか、主たるそういう東京の中心になるところは一応出すということですので、そういう具体的になったときに都民の声をもう一度聞くべきだと思うんですけれども、この辺についてはいかがでしょう。
○福島防災都市づくり推進担当部長 この計画につきましては、今ご指摘をいただきましたように、取りまとめをいたしましたら、改めて都民の声を広く聞いてまいりたいと考えてございまして、そのような取り組みをしてまいります。
○森田委員 以上で終わります。
復興計画については、最初に申し上げましたように、私も非常に重要なものだと思っていますし、これは東京には来ない方がいいんですけれども、いつ大地震が来るかわからない。けさも少し揺れました。そんなんで、非常に大変だと思いますけれども、ぜひ、すばらしい復興グランドデザインをつくっていただくことを要望いたしまして、質問を終わります。
○竹下委員 震災復興グランドデザインに関連しまして、質問をさせていただきます。
今の森田さんと重複すると困りますが、お許しをいただきたいと思います。
都市を復興させる際に、抜本的な都市改造をやはり将来に先送りしてきたことが大きな原因であると私は考えます。関東大震災級の地震が東京に来た場合、それを復興するということは、東京の過密都市、財源の問題もそうでしょうけれども、過密都市の中で容易なことじゃないと考えます。それは私だけじゃないと思いますが。
それから、先ほどお話が出ました、やはり最大のネックとなります震災後の対策ですが、都市計画法、建築基準法、現在でもいろいろな矛盾がある中において、これも先ほど部長さんがお話ありましたように、現在は中間報告でありますから、最後にはまとめてお出しになるという考えでしょうけれども、これはやはり慎重にやらないと、震災後の都市計画法、基準法、それから現在の都市計画法、基準法の中にいろいろ問題が出てくると思いますので、慎重に検討をしていただきたいと思います。
先般、都が、大震災に襲われた場合の復興に際しての抜本的な都市改造とする震災復興グランドデザインを発表しました。私は、まだこれは中間報告でございますので、都市の問題からしても、やはり極めて有意義であると考えます。
そこで、ちょっとお尋ねいたしますが、重点整備地区など、防災都市づくりに実際取り組んでいる地区には、それなりに積み上げた実績があると考えます。しかしながら、震災復興グランドデザインは、それらの積み上げを、言葉は悪いんですが、ほごにして新しいまちづくりを提案されたのか、お尋ねをしたいんですが、いかがなものでしょうか。
○福島防災都市づくり推進担当部長 現在、防災都市づくり推進計画に基づきまして、重点整備地区を中心に、防災都市づくり事業を促進しているところでございます。特に道路、公園などのほか、建物の不燃化も同時に進めているところでございます。
この震災復興グランドデザインは、震災後のまちづくりの姿というか、ありようをモデルプランとして示しているものでございますが、復興に当たりましては、これまでに整備をしてきた道路であるとか公園であるとか、また不燃化された建物、こういうような貴重なストックを生かしながら進めていくことを基本としているわけでございまして、したがいまして、現在の防災都市づくりの基本的な考え方も、この震災復興グランドデザインに継承されていくものと考えているものでございます。
○竹下委員 今回発表されました中間のまとめにおきましては、七つの戦略プロジェクトの中で、住宅復興を中心に、早期にかつ大規模な復興に取り組む必要があると考えますが、被災市街地再開発構想で想定する具体的な事業手法は何でしょうか、お尋ねいたします。
○福島防災都市づくり推進担当部長 被災市街地再開発構想に関しましては、大きな被害を受けると想定した市街地に展開することになりますので、主に土地区画整理事業、また市街地再開発事業などにより整備をしていく考えでございます。
なお、整備手法につきましては、地区特性などの状況、被害の状況なども踏まえまして、地区計画制度やそのほか地区に合った、柔軟に対応できる手法なども含めて検討していく考えでございます。
○竹下委員 市街地の再開発構想とか、こういう中で、地区計画制度という言葉がよく出てきます。答弁は要りません。しかしながら、整備された地域に、たまにございますね、ほかの地域で。地区計画制度の網をかけると、整備されてから。それはいかがなものかと思いますし、もう少しやはり地区計画制度のあり方を周知徹底し、都市計画の中における地区計画制度というものをもう少し考える必要があると私は思っております。
以上でございます。終わります。
○大西委員 東京ベイエリア21からお聞きしたいと思います。
この東京ベイエリア21の位置づけについてお聞きしたいと思います。この地域には、これまでどのような計画があったのかなかったのか、そして国でもあったのかどうなのか。
それから、この地域は、神奈川県や千葉県も東京湾に面しているわけですが、これらの県及び関係市など、東京湾岸地域に対しどのような計画を持っているということを承知していらっしゃるのか。そして、これらの市との連携とか調整とか、どのように行われているのか、お聞きしたいと思います。
○田中開発企画担当部長 東京ベイエリア21につきましての国におきます上位計画はございません。
なお、関係市と関係する周辺県との計画の調整でございますが、今後、関係県との調整の場を利用して、必要な調整はしていかなければいけないものと思っております。
○大西委員 港湾局の何か六次港湾計画とかいうのがあるんですけれども、そういう部分と、このベイエリア21というのは全く関係ないと考えていいんですか。ちょっと位置づけがはっきりわからない。
○田中開発企画担当部長 港湾局におきます港湾計画との整合を図って、港湾局と連携の上、このベイエリア21をまとめてまいりました。
○大西委員 臨海副都心開発について少しお聞きしたいと思います。
このまとめをいただきましてしばらくして、知事が十四日に、臨海副都心は当初の見込みが狂って物すごい借金があり大変な足かせである、引くも地獄、進むも地獄だということで日経とか新聞報道されていたわけですけれども、知事がこのような発言をなさったということは事実なんでしょうか。
○田中開発企画担当部長 知事の発言は事実でございます。
○大西委員 では、この計画も知事と同じ認識の上に立っていると考えてもいいんでしょうか。
○田中開発企画担当部長 直接知事に伺ったわけではございませんが、先般の知事の発言は、都政における財政運営の大変厳しい状況につきまして言及されたものと推察しております。その意味におきまして、このたびの計画も同じ認識のもとで立案したと考えております。
○大西委員 四一ページに、臨海副都心には現在二万五千人の人が働き、三千八百人が住むとありますが、これは臨海副都心開発計画の第二回目の見直し、一九九七年に行われていますが、によって策定された現計画が想定した開発スケジュールに沿っているのか、それとも下回っているのか、どういう状況なんでしょうか。
○田中開発企画担当部長 委員からご質問がありましたとおり、臨海副都心まちづくり推進計画では、平成二十七年度におきます開発フレームを、就業人口七万人、居住人口四万二千人と見込んでおります。
ところで、現在までの開発の状況でございますが、臨海副都心は、既に道路、公園等の地域内都市基盤の整備が約八割ほど完成しております。さらに、有償処分面積の約四割の土地処分が進んでおりまして、現在二万五千人の人が働き、三千八百人が住む現在の開発状況は、順調に進んでいると認識しております。
○大西委員 では、この計画が認識しております臨海副都心開発の財務状況について、臨海副都心開発事業計画及び都が関係している第三セクターの臨海副都心関係の状況はどのようなものなのか、これは直接的には財務局とかいろいろあるかもしれませんけれども、都市計画局としても認識していなければいけない部分なので、お聞きいたします。
○田中開発企画担当部長 このたびのベイエリア21におきましては、この地域の総合的な、一体的な整備を進めていくために、ただいまご指摘のありましたような会計上の諸問題につきましては、新しい会計の仕組みをつくるということとしておりまして、今後関係局とも連携し、最終取りまとめに向けてこれらの問題を解決していきたい、このように思っております。
○大西委員 いろいろ問題もあるわけですけれども、そういう意味でも、引くも地獄、進むも地獄と知事が表明した背景、もう少し具体的にお話しいただけますか。
○田中開発企画担当部長 先ほどもご説明させていただきましたが、現在の都財政における厳しい財政運営の状況につきまして、知事が言及したものと推察しております。
○大西委員 臨海副都心の土地利用、土地処分の状況についてお聞きしたいと思います。
臨海副都心の土地売却方式を民間事業者に拡大すると四九ページでも述べてあります。そして新聞報道でも、さらに開発予定地の百三十九ヘクタールのうち今後二十八ヘクタール売却できるとか、地区を通る臨海高速鉄道の延伸工事が二〇〇二年に終わるので、それを待って売却を始めたい意向とか、この計画には記載してない計画がそのときの新聞に報道されているわけなんですけれども、新聞報道にあるような具体的なことを決めるのであれば、中間報告にも当然示されるべきではないかと考えるんですが、その辺はどうでしょうか。
○田中開発企画担当部長 新聞報道に記載された中身につきましては、当局では具体的には取材を受けておりませんでして、その間の報道の事実経過につきましては、承知しておりません。
○大西委員 一般論としまして、私も、ホテルやオフィスビルになる土地を都が持ち続ける必要はなく、売却もあり得るんじゃないかとも考えます。しかし、臨海副都心の土地処分方式にはいろいろな経緯があって今日に至っているわけですし、特に売却することになれば、その時点で少なくともその土地については収支が確定することになります。これは、つまり従来の臨海副都心開発計画で、当初は新土地利用方式によって一定の率で借地料が上昇するという前提でつくられていたわけですから、現計画でも、将来の借地料の収入の状況によってその収支を償うことになっていますよね。ですから、売却すれば、そこで収支が確定することになって、売却を織り込んだ収支が確定することになってしまうわけです。その辺が非常に、その後どうなるんだろうと不安になるわけですが、売却を織り込んだ収支見通しについてお示しになれますでしょうか、示していただければと思います。
○田中開発企画担当部長 このベイエリア21につきましては、ご指摘の点も含めまして、この地域の開発が円滑に進むために、会計システム等を今後最終報告に向けて見直すこととしております。最終報告に向けまして、関係局とも連携の上、これからの事業執行上の会計システムのあり方について検討してまいることとしております。
○大西委員 そういう意味では、先ほども、今回の知事の発言も含めまして、ここの臨海開発の一番のネックであります、これまでの上昇するという前提で開発されていたもの、それが、今回売却することによって、そこで収支が一時的にも決まってしまうわけですよね。その辺の穴をどう埋めるのかということが今後の課題になってくるんじゃないかなと思います。そういう意味で、収支計画をもう一度見直すべきですし、それに伴って事業計画の見直しも不可欠だと思っております。
ベイエリアはまだまだ、今回いろいろなことをちょっとお尋ねしましたけれども、財務局と港湾局、いろいろ分かれていてなかなかお答えがしにくいという部分もあったんです。ぜひ、この計画を立てた関係者の方は、せめてこの委員会でお答えできるような形で臨んでいただければなと思っております。
それから、最後の方の植栽の奨励というところで、臨海地域には都民が何を求めるかと尋ねれば、恐らく親水性のある空間づくりと森の育成というのではないかと思うんですけれども、親水空間については幾つか記述があるので、その方向で進むことを期待したいと思います。
森についてはどうなのか。中央防波堤の埋立地については、まず植林を徹底し、将来広大な森を育てるということを考えてもいいのではないでしょうか。四五ページにある中央防波堤内側、外側について、特に、今後この観点からも検討して進めていただきたいと思うんですが、二つお答えいただきたいと思います。
○田中開発企画担当部長 臨海部に緑をつくるべきだというご意見だと思いますが、これまでも海上公園を中心に多くの緑を整備してまいりました。今後とも、緑の整備につきましては、積極的に取り組む所存でございます。
また、大きな森の整備ということのご指摘がございましたが、臨海副都心まちづくり推進計画におきまして、中央防波堤内側地区に大規模な海の森を整備することとしております。
○大西委員 外側地区については。
○田中開発企画担当部長 中央防波堤外側地区につきましても、長期的な土地利用の検討の中で、緑地の確保に努めてまいりたいと思っております。
○大西委員 これ、ずっと読ませていただきまして、二七ページの港湾サービスの拡充という部分につきまして、私たち、暮らしの中で、やはり東京を暮らしやすい、そしてある意味ではゆとりのある暮らしというものを今後求めていたはずですが、将来、三百六十五日二十四時間フルオープン化に向けて、港湾に関する団体に働きかけていくとか、非常に何か、読んでいてしんどいな、窮屈だなという思いがどうしてもこの中にあるんですね。何で東京だけが競争力を持つために、いろいろなものは必要ですけれども、世界的なものから考えたときに、東京だけがここで突出してそういうものを担っていく必要もないわけで、香港やそれこそシンガポールなんかでも適当にその部分を担っていくことは別に悪いことじゃないと思うんですけれども、その辺はどうでしょうか。
○田中開発企画担当部長 東京がこれからも引き続き発展していくためには、港湾機能も含めまして、積極的な基盤の整備とサービスの拡充をしていくことが必要であると考えております。
なお、周辺の港湾機能の連携ということもあわせて検討していかなければいけない課題だというふうに考えております。
○大西委員 もちろん、経済の発展、そしてそういうことが必要ということは重々わかりますが、そのために普通の生活が犠牲になるということではいけないんじゃないかなと思っております。
次に、震災復興グランドデザインの中間まとめについて、ちょっとお聞きしたいと思います。
先ほど森田委員もいっていらっしゃいましたが、私も、率直にいって、このような計画をつくる発想が理解できません。まず、その観点から少しお聞きしたいと思います。(発言する者あり)あっ、ちょっと違いましたね。必要だけど、私はちょっと……。今のは失言ですね。(笑声)思いが少しあるところもあるので、これから離れていくかなと思いますが。
一ページ目に、震災復興グランドデザインは震災後の広域復興計画のモデルプランとなるとあります。これは、つまり震災が起こってから発動するものであって、震災によって大被害が一たん発生することを前提にしている、この辺が私はどうも腑に落ちないところなんですね。この復興計画を実現できれば、次の次の震災に対しては被害が軽減できるというものであれば、なぜ、次の次じゃなくて、次の災害に備える防災計画として今から実現に向けて努力しようとしないのか、そういう意味で、この計画の姿勢に根本的な疑問を感じているわけなんです。
それと、阪神大震災の災害でも、復興過程でいち早く動き出した東部新都市などの事業はありました。先ほどもおっしゃっていました。これも実は、もともとの目的は防災対策というわけではなかったんですけれども、再開発の動きの中で、合意形成というものがずっと以前から進んでいた、そのことが大切だと思うんですね。たまたまこれはその途中で大地震があったから、震災前の実績を生かして、復興過程で事業が本当にいい方向へ進んでいったという結果があります。こうしたことからも、やはり私は、防災計画ではなく復興計画を立てるという発想に疑問があるわけです。
そこで、お聞きしますが、復興グランドデザインとして計画する場合と、防災計画として計画する場合の違いは何なんでしょうか。
○福島防災都市づくり推進担当部長 震災に強いまちづくりを目指すという観点で、都市づくりの理念といいますのは基本的に共通でございまして、現在の防災都市づくりといいますのは、既存のまちと生活の場、建物、こういうものをひっくるめて、そこに現存をしているという、それを前提にしてまちづくりを考えているということになるわけでございます。
これに対しまして、このグランドデザインは、震災復興としての計画で、震災が前提になるわけでございまして、そこには、被害地域が発生をいたします。そして、現在の既存のまちが存在する現状とは、状況が多分に異なります。また、広範囲にわたる復興まちづくりが必要となるということも特性として違ってまいりますし、また、迅速に生活を復興させるというようなことも変わってございます。さらに加えまして、緊急性といいますか、迅速と緊急性は同じでございますけれども、そういうことが要求されるわけでございまして、まちづくりを必要とする状況に大きな差がある、このように認識をしているところでございます。
○大西委員 スタート点をどこにとるかということなんですけれども、私はやっぱりあくまでも現在いるこの時点からスタートすべきじゃないかなと、どう考えても思うんですね。
そういうことを思うといいますのは、つまり、先日の九月三日に行われました防災訓練、その中で、銀座に戦車を走らせて威圧的に行われた訓練を考えると、どうしても、災害時の混乱に乗じて、自衛隊を使ってでもまちを制圧し、問答無用に改造しようとするんじゃないかという、ちょっと過激にいわせていただければ、どうしてもそういう感じと切り離すことができなくなるんです。災害時には頼りになると思っております自治体の職員の方が、まあそうじゃないと思っているわけですけれども、ぜひ、私は、今回の復興グランドデザインというものは、やっぱり防災まちづくりグランドデザインとして出発し直した方がいいんじゃないかと思うんですけれども、その辺はいかがでしょうか。
○福島防災都市づくり推進担当部長 この震災復興グランドデザインは、震災後のまちの姿やまちづくりのあり方につきまして、あらかじめ示すものでございます。震災を受ける、被害の未然防止の観点から、災害が発生する前からでございますが、地域の安全性を高めるいわば事前復興ともいうべき現在取り組んでいる防災都市づくり推進計画と、その理念は共通するものでございまして、この変更というご提案につきましては、ご提案として受けとめさせていただきたいと考えております。
○大西委員 本来、東京の防災性を高めるためには、地震による被害を軽減するための防災計画、あるいは特にまちづくりに関する防災まちづくり計画があります。それを直ちにやっぱり今進めていくべきではないか。そして、不幸にしてその途中に地震災害が発生したら、その災害経験をもとに必要な計画変更を行い、さらに計画実現を目指すべきではないかと、どうしても考えてしまいます。
そういう意味では、復興計画というのは、災害復旧や防災計画の見直しや、その間の建築等を制限する手続を定めることが基本だと思うんですけれども、その辺はいかがでしょうか。
○福島防災都市づくり推進担当部長 防災まちづくりとして、現在、防災都市づくり推進計画を鋭意推進しているところでございまして、この防災性向上のまちづくりが被害の未然防止、軽減に役に立つと考えているところでございます。
震災復興グランドデザインの目指すべき都市の姿は、防災性の向上など、現在進めている防災都市づくりと基本的な理念が異なるものではないと考えてございまして、防災都市づくりの効果として、被害を受けなかったそれまでのまちづくりとの継承を保つことを基本にしているわけでございます。
しかし、震災復興には、震災が前提となるために、その施策には、被害地域の存在や広範な地域にわたる、また緊急性などの特性がございまして、このために、大きな被害を受けた地域におきましては、現在防災都市づくりとして木造密集地域の各地域で進めている修復型の防災都市づくりとは異なる抜本的な都市の改造が必要になるなど、具体的な施策に違いが生じると考えてございます。
そこで、復興後のまちの姿やまちづくりを、理念、考え方を都民にあらかじめ示すことによって共有をしていく、そして迅速な復興を図るものであると考えてございます。
○大西委員 地域でもそれこそ、現在、地域での防災計画、そして都市マスタープランの取り組み等が各地で行われているわけですけれども、そういう意味で、今回のグランドデザインが頭からぽんとくるというようなことをどうやって整合を図るのかなという疑問もあります。それは先ほどのお答えにもありましたので、私もその辺非常に疑問に思っているということだけを述べさせていただきます。
それから、一四ページ-一六ページの中に、プロジェクト1というところで書かれておりますけれども、プロジェクト1は、現在の市街地をある意味では否定し、新たな住宅市街地を提案しているようですけれども、指定される市街地はどのようなものなんでしょうか。ただ倒壊や延焼に見舞われた市街地を解消するという結果主義というか、結果こういうものがグランドデザインとして描かれているんでしょうか。
○福島防災都市づくり推進担当部長 被災市街地の再開発構想プロジェクトとして提案している地域につきましては、基本的には、この地区は倒壊や焼失によりまして大きな被害を受けることになる、このような想定のもとに、こうした都市改造といいますか、このような市街地をつくっていく必要があるという認識で、ご提案をしているものでございます。
○大西委員 プロジェクト2は、大グリーンネットワークの構想ということがここに書かれているわけですが、これは本当に今でも必要なことだと思います。しかし、現実には所有権が細分化されたり地権者が承知しなかったりということで、地価が高く購入できなかったりして実現されておりません。大地震後といえどもこれらの状況が存在しているのですが、何か大幅な権利制限、強制的な手段によって実現しようとなさるんじゃないかなと思うんですけれども、もしそうであるならば、どのような手段を講じてしようとしているのか、再度聞かせてください。
○福島防災都市づくり推進担当部長 この震災復興グランドデザインは、復興後のまちの姿やまちづくりをモデルプランとして提案をしているものでございまして、これを実現するためには、現行制度ではなし得ない課題がございます。そのため、このグランドデザインの実現を目指しまして、必要な私権制限を含む法的課題の検討を行っているところでございまして、成案を取りまとめまして、国に働きかけていく考えでございます。
○大西委員 不幸にして大震災が起こるかもしれません。その場合には、被災者は家族や知人の介護、そして生活の復旧などで大変な思いをすることになります。そのときに、先ほどの話だと二カ月、一カ月のそういう期間で行われるようですけれども、いわばどさくさに紛れて強権が発動されたりすることがないようにしていただきたいと思うわけですよね。そういう意味では、そういうことが防災計画の中であらかじめ提示されるべきだと思いますし、復興の内容についても、今からやっぱり合意形成、これに着手されるべきではないかと思います。その点、改めて伺いたいと思います。
○福島防災都市づくり推進担当部長 現在の法制度は、必ずしも震災時の地域の状況に応じた、また、その課題に弾力的な取り扱いがなされるというふうになっておりませんで、大変不十分な規定でございます。既に、現行法におきましても、建築基準法による建築制限など私権制限の規定があるわけでございますが、先ほども、被災市街地復興特別措置法で規定をしている、その制限をする対象とする建築物の敷地面積が三百平米以上に限定されるなど、その状況に応じた弾力性、柔軟性の点で大変課題がございます。
そこで、私どもが検討しておりますものは、強権発動そのものを目的としているわけではございませんで、震災復興グランドデザインの実現方策といたしまして、震災復興に弾力的に、機動的に対応できるよう、私権制限を含む法制度の改正を強く国に働きかけていくほか、特別な整備手法の創設なども要望していきたいと考えているところでございます。
○大西委員 最後にしますが、本当に、もちろん震災後のグランドデザインというものは必要ということはあるかもしれません。しかし、その出発点は、あくまでも、がらがらどんと来た震災後からスタートするのではなく、やっぱり今の時点、防災、そこが出発点だというところをどうしても私は外すことはできないんじゃないかと考えております。
そういう意味では、次の次の震災に対しての対策じゃなくて、次の震災でどれだけの人が命が助かり、そしてまちが崩れないか、強いまちづくりをする、そのことに立ち返って、やっぱり復興グランドデザインというよりも防災まちづくりグランドデザイン的な発想、名前でもってやっていただきたいと要望しておきたいと思います。
○吉野委員 私も東京ベイエリア21の中間のまとめについて何点かお伺いをいたします。
私は多摩選出ですので、メーンは多摩格差の解消なんですけれども、臨海地域の整備というのは、東京のみならず、日本の浮沈にかかわる問題であるというふうな思いで、我が党の考え方に沿いまして、何点か伺いたいというふうに思います。
石原知事は、かねてより、東京臨海地域を東京再生のための起爆剤とすると発言をしてきております。私もこの地域は、羽田空港ですとか東京港の存在など、国際都市としての東京の魅力と活力を高めるための重要な地域と認識をしておりまして、工場跡地の開発など、地域の持つ可能性を生かした総合的な再編整備を進めるべきであるというふうに考えておりますけれども、改めまして、その策定の意義をお伺いをしたいと思います。
○田中開発企画担当部長 東京臨海地域は、委員からご指摘のありましたとおり、羽田空港と東京港を擁しておりまして、人、物、情報の結節点として、国際都市東京が世界に羽ばたく重要な拠点であると考えています。また、当地区には、産業構造の転換に伴い、都市的な土地への転換や都心居住の受け皿となるなど、多くの潜在力を持ったウオーターフロントであります。
東京ベイエリア21は、こうした東京臨海地域の持つ潜在的可能性を生かし、総合的な再編整備によりまして、世界に向けて、東京の魅力と活力を創造していこうとするものでございます。
この計画の策定によりまして、二十一世紀に向けた東京臨海地域の役割や目指すべき方向を明らかにするとともに、土地利用や基盤整備などの方針を示しまして、計画的な再編整備を進めていこうとするものでございます。
○吉野委員 確かに、この地域は、国際化に向けて検討が進んでおります羽田空港があるとか、国際都市東京の玄関口であるとともに、かつて日本経済の発展を支えてきた工場などが社会経済状況の変化に伴って移転をして、跡地においてさまざまな拠点開発プロジェクトが進められてきております。また、道路や鉄道などの基盤整備も着々と進められており、東京ひいては日本、二十一世紀の新しい日本の発展の原動力としての役割を担いつつあるというふうな印象を受けます。こうしたことから、我が党も、東京臨海地域が日本新生に果たす役割の重要性を強く認識をしているところでございます。
そこで、お伺いをいたしますけれども、この地域において進められようとしている民間主体による開発事業をどのように誘導していくのか、お伺いをいたします。
○田中開発企画担当部長 東京臨海地域におきます民間の開発をどのように誘導するかでございますが、当地区は、水際線の連続性や臨海部に適した産業立地、さらにはライフスタイルの多様化に対応した新しい居住空間の形成など、この地域の持つ特性に合わせた土地利用を計画的に誘導していくことが大切であると考えております。例えば大規模な跡地開発を適切に誘導いたしまして、業務、商業、住宅などがバランスよく配置された複合市街地の整備を進めるなど、民間プロジェクトの適切な誘導が不可欠と認識しております。このため、良好な民間開発を誘導していくための新たなインセンティブ施策や市街地整備の手法等の検討を進めてまいります。
○吉野委員 二十一世紀を目前に控えながら、日本はバブル崩壊以降十年にも及ぶ不況に苦しんできております。景気回復の兆しが見えてきているというふうにいわれますけれども、都民の間にもいまだに閉塞感が広がっているという状況にあります。こうした中で、東京の再生へ向けて、東京臨海地域の将来像を明らかにして、地域の再編を進めていく指針が明らかに今回なりましたことは、大変重要なことであるというふうに考えております。
そこで最後に、局長に、羽田空港の国際化や臨海副都心の開発など、重要なプロジェクトの推進を含め、今後の臨海地域の再編に向けた決意をお伺いして、私の質問を終わります。
○山下都市計画局長 東京は、先生ご指摘のとおり、今、国際都市として活力あるいは牽引力が失われつつある、あるいは都市機能にも危機が迫っているというような状況にございます。こうした危機を突破して、グローバルプレーヤーにふさわしい都市生活あるいは都市活動を実現していくために、今東京の再生が求められているところでございます。今後、この東京ベイエリア21に基づきまして、いわば可能性と機会に恵まれた東京臨海地域の再編整備を積極的に進めまして、東京をよみがえらせる起爆剤としたいというふうに考えております。
特に、国際都市として重要な施設でございます羽田空港の国際化に積極的に取り組んでいるところでございますが、この空港の機能強化、これらにあわせまして、港湾だとか道路などの都市基盤整備を進めていく必要もございます。また、多くの低未利用地の土地利用転換を適切に誘導し、国際都市にふさわしいまちづくりを進める必要がございます。とりわけ臨海地域の中核を担います臨海副都心につきましては、国際的な人、文化、情報の交流によるにぎわいのあるまちづくりが必要でございます。このため、民間への土地売却などさまざまな工夫により、臨海副都心開発事業の財政基盤の強化に努めていくということにしておるわけでございます。
また、臨海地域全体といたしましては、一般会計のほかに、埋立事業会計あるいは羽田沖埋立事業会計など三会計を設置いたしまして、その開発を進めてきたところでございますけれども、東京臨海地域全体に対して、より広域的、大局的な観点から、効率的な仕組みになっているかどうかということについて検討する必要があるというふうに考えておりまして、この東京ベイエリア21に基づいて、今後総合的、一体的な整備を進めていくに当たりましては、社会経済情勢の変化などにも応じた事業手法の再構築、あるいは事業費の縮減などにも努めるとともに、広域的な観点から、事業を進めるための事業組織あるいは会計組織の新たなシステムづくりを図っていく必要があるというふうに考えているところでございます。
○たぞえ委員 私は、震災復興グランドデザインについて質問いたします。
質問に先立って、三宅島噴火と神津島近海地震の災害によって犠牲になられた方々に哀悼の意を表するとともに、被災された皆さんに心からお見舞いを申し上げたいと思います。
さて、北海道の有珠山では、三月三十一日噴火以来、実に半年がたって、なお多くの方々が避難生活を余儀なくされています。三宅島では全島民避難ということになりまして、避難生活が強いられているわけです。こういう山積みした危機的な状況をどう解決して、どういう形で二十一世紀を迎えるのか、また被害者の支援でも、できるだけ、支援ではなくてやるべきことをきちんとやる、これが今都民の共通の思いになってきていると思います。
そこで、今回の中間のまとめでは、東京を襲う地震はどういうものだと想定をされているんでしょうか。
○福島防災都市づくり推進担当部長 東京直下地震を想定してございまして、東京都防災会議が平成九年八月に発表いたしました東京における東京直下地震の被害想定に関する調査で明らかにした内容を用いているものでございます。
○たぞえ委員 今現実に起こっている三宅島、伊豆諸島の地震ですね、これは群発地震です。ところが、これをまとめられたのは九月ですね。伊豆諸島の地震が起こったのは六月ですよ。三カ月も経過しているのに、この委員会に配られた資料では伊豆諸島が出てこない。絵にも出てこない。何で伊豆諸島を除くんですか、東京から。お答えください。
○福島防災都市づくり推進担当部長 このグランドデザインは、いわゆる大震災、大きな地震のもとに、その被害が倒壊あるいは焼失、このような大きな被害を受けるということを前提に、その後のまちづくりの考え方をモデルプランとして示したわけでございまして、そのようなことの考え方から、伊豆諸島の部分を含んだグランドデザインとなっていないものでございます。
○たぞえ委員 今四千人近くの方がこの東京に避難されてきて、自分たちの島が本当に沈んでしまうんじゃないかと、見る見るうちに自分の島が形が変わっていく、そういう思いで今生活されているわけですよ。その伊豆諸島は東京都の所轄の島でしょう。そういう伊豆諸島の思いの人たちに対して、復興計画に入らないというのは、何て冷たいことじゃないですか。今度の最終のまとめで、伊豆諸島も含めて、東京の震災の際にはどういうまちを復興していくかということに伊豆諸島も含めるべきであるし、また直下型地震だけでなくて、群発地震などあらゆる地震も検討の余地に入れた、そういう選択枠を持つべきだと思うんですが、いかがですか。
○福島防災都市づくり推進担当部長 今、伊豆諸島で発生をしております地震につきましては、まだ完全にその地震というもの、あるいは被害というもの、その被害が出るという過程ではございますが、まだ完全におさまった、そういうような宣言をまだ出していないわけでありまして、その結果によりまして、大きな被災を、ここで想定をいたしますような焼失、倒壊というようなことが過程で生じまするならば、今ご指摘のような視野も入ってこようかと考えてございますが、いずれにしましても、そのようなご指摘があったということを踏まえさせていただきたいと思います。
○たぞえ委員 伊豆の三宅の人たちは一日も早く島に帰りたい、こう思っているわけですから、その伊豆の島を本当に復興させる、私はそのことが今最優先の課題だというふうに思いますよ。この最終のまとめは来年の三月までに作成するわけでしょう。あと六カ月ありますよ。時間あるんだから、大いに、三宅や伊豆諸島をどうするのか、こういう復興のプランもぜひこの中に加えていただきたい、このことを強く要求しておきたいと思います。
さて、阪神大震災以降、東京都は、首都高速道路公団に耐震補強など震災対策緊急補強費を約四百十億円投入してきました。これによって五千百二十九基の橋脚が補強されましたが、この補強は関東大震災にもはるかにたえられるような補強となっているんでしょうか。
○杉浦施設計画部長 首都高速道路の橋脚は、従前は、ご案内かと思いますが、関東大震災級の地震を想定いたしまして設計、整備をされておりましたが、平成七年の阪神大震災の教訓を生かしまして、その後国が定めました復旧に係ります仕様を適用し、すべての橋脚につきまして、阪神大震災級の地震にたえられるよう、補強を既に実施しております。したがいまして、関東大震災を上回る地震に対しましてもたえられると我々は思っております。
また、念のために、その後つくられました橋脚、また今後つくられます橋脚につきましても、設計時から同様な措置がなされてございます。
○たぞえ委員 そうですね。どんな地震が来てもたえられるように我々の税金は投入された。しかし、今度のグランドデザインを見ますと、そういう積み上げてきた震災に強いまちづくりの基礎が評価されずに、とにかく焼け野原になって、新しい広大な野原といいましょうか、土地をどう使うかということが主力になっていて、都民が運動し、また要求を積み重ねて、都が税金をつぎ込んできた、防災に強いという、目指してきた取り組みが評価されてない。最終のまとめではそういう東京都の取り組みも大いに都民に知らせるべきじゃないでしょうか。どうですか。
○福島防災都市づくり推進担当部長 この最終報告のまとめに当たりましては、当然、これまで取り組んでまいりました震災に強いまちづくりへの取り組みにつきましては記載をして、そのような内容をより充実させてまいりたいと考えております。
○たぞえ委員 それでは、具体的な点で伺いたいと思いますが、戦略プロジェクトという部分がありますが、この中で、基幹交通ネットワーク構想が出されています。予想される火災による焼失面積は東京の全面積の一四%で、全建築物の全壊などのものが五・四%、合わせて約二割が東京のまちの上から消えていく、こういう予想のもとです。そういう被害予想のもとに、環状方向の道路網の整備を促進するといっておりますが、仮に直下型が襲ってきた場合に、環状方向道路網の予定地に既存の建築物が、壊れもしない、ひび割れもしない、びくともしない、こういう状態で残っていた場合、この環状道路網の整備は、道路をつくるために建物をかき分けて整備を促進されるというプランなんでしょうか。
○福島防災都市づくり推進担当部長 環状方向の道路に関しまして、基本的な考え方といたしましては、私どもといたしましては、必要なものは整備していく方向で取りまとめるということを基本にいたしてございますけれども、実際に整備することになるかどうかということに関しますと、被害等の状況を踏まえまして決定をしていくことになる、このように考えてございます。
○たぞえ委員 それでは、現在まちに予定されている道路計画、生活道路も含めまして。この計画は、震災が発生した場合に発令される復興グランドデザインでは、計画を凍結するのか廃止をするのか、どういう前提に立っているんでしょうか。
○福島防災都市づくり推進担当部長 幹線道路などの広域インフラにつきましては、都が策定をいたします広域復興計画に盛り込まれる内容でございまして、また、身近な生活道路などの整備につきましては、今後区市町が策定をいたします地域復興計画において定められることになりますので、そのような分担で策定をしてまいる考えでございます。
○たぞえ委員 これまで住民がつくり上げてきた生活道路の計画案とか、こうして合意が得られてきているものについては、最終のまとめにぜひ載せてほしいと思います。何もなくなっちゃうというんじゃなくて、既存でつくり上げてきている制度ですとかは継承するということを明確に打ち出さないと、とにかくこの広大な東京がすべて、どこを見ても建物がないというような想定であるかのような発想のグランドデザインでは、都民の参加はあり得ないというふうに思っています。ぜひ載せていただきたいと思っています。
次に、区市町村での都市復興マニュアルの策定状況はどういう状況でしょうか。
○福島防災都市づくり推進担当部長 区市町での復興マニュアルの策定状況でございますが、既に策定済みという区市町村はございません。ただ、港区、世田谷区、杉並区、板橋区、足立区などでは、今年度中に策定をしたいということを聞いてございます。
○たぞえ委員 今の段階で区市町村の計画というのはどこもないということなんですね。ただ唯一あるのは、この東京都のグランドデザイン中間のまとめの水準までで、そういうふうに考えてみますと、まちを再建するというのは、私は区市町村の仕事だというふうに思うんですよ。ところが、区市町村の計画がないままに、いわば住民との、どんな復興をするかという形成が図られてない区市町村にこのような計画を振りかざせば、当然これに沿った計画にせざるを得なくなってくる。
先ほど生活道路のお話を聞きましたけれども、本当に区市がつくろうとしている道路に、まじめに区が、市がそれに取り組めるという保証は、今のところ、残念ながらないんですよ。ですから、こういう計画が先行してデザインをつくってしまうと、結局これを区市町村に押しつける形になってくる。私は、いつ地震が起こるかわからぬと思いますけれども、やはり区市町村で本格的な防災に強いまちづくりの計画を積み重ねてきた結果として、こういうグランドデザインはつくらなければならないというふうに思います。確かに、阪神大震災のときも行政からの機械的な区画整理事業の押しつけで、土地を取り上げられたり、減歩率が高かったり、今でも数多く裁判が闘われています。問題は、この最終のデザインまでに住民の積み上げ方式が保証されるかどうかということだと思います。
実際に、この中間のまとめの段階では、都民の声はどういうふうに集約をされてきているんですか。
○福島防災都市づくり推進担当部長 都民の声をお聞きするに当たりましても、形をなしたものがないとなかなかお聞きできないものでございますから、このように取りまとめをいたしまして、ただいまお聞きをしているところでございます。
○たぞえ委員 まだ都民の声を聞いてつくったという水準じゃないわけですね。あくまでも行政の思いが込められた将来構想図であって、今本当に都民が苦しんでいるさまざまなまちづくりの問題、道路の問題、河川の問題、そういうものが要約されて東京都としての第一次案ではないと。こうなりますと、区市町村がつくろうとするこれからのマスタープランも、もしかしたらそういう方向になりかねない。非常に心配をします。
もう一つ具体的な点で聞きますのは、お金の問題なんです。先ほども質問がありましたが、東京構想二〇〇〇では、二〇一五年の段階で、六十五歳以上の人口は九五年度に比べて二倍以上の三百万人になるだろうと。四分の一だというわけです。そして区部の人口は現在の五十万減の七百四十万、東京全体でも四十万減という数字をはじいています。今度のグランドデザイン中間のまとめでは、集中的、効率的な復興体制を築くといっているんですが、その十五年後には働く人口が減って、私も含めて年金などの収入者がふえて、今の税収は大きく影響を受けざるを得ないと考えられます。これだけの復興を行うための財源措置、これをどのように見ているのか。また、この計画の策定の流れの中で、国の特別交付金は現実に引き出すという保証があってこの計画が描かれているのかどうか、この点ではいかがですか。
○福島防災都市づくり推進担当部長 このような事業をする財源をどう確保するのかということでございますけれども、この事業の展開の中には、早急に事業を起こすもの、また時間をかけながら事業を展開していくもの、いろいろ考えられるわけでございます。しかし、東京は首都であるということを考え合わせましても、やはり国は、震災が東京を襲う場合には、当然のことながら国としての責務がございます。したがいまして、国においてそういう措置をしていただくことは当然でありますし、都といたしましても、必要な財源は国に確保をしていただくよう求めてまいるわけであります。
ただ、交付金ということに関しますと、現在東京都は全く交付金という形のものを受けておらないわけでありますから、ここいらは、その税の異動の部分、復興財源の関係というものは、今後の大きな検討課題になると考えてございます。
○たぞえ委員 きょうは、中間のまとめですから、いろいろな角度で聞いているわけで、いろいろお答えいただきたいと思います。
次に、破壊された生活基盤の再建の問題です。個々人の努力では解決できない問題がたくさんあります。ところが、我が国では、個人の自助努力が原則ということで、個人への災害被害の補償は、現在は政府はかたくなにこれを拒否しています。
石原知事は、今度の所信表明でこういうふうにいっていますね。住民にとって求められているのは、自助を基本とすることの自覚だというふうに。ですから、住宅などの崩壊は自助努力で解決するというわけです。
この中間のまとめでは、公園や基幹交通ネットワークですとか地盤再生とか国際ビジネスセンターとか、行政は幾らでもプランを打ち上げることはできるんですけれども、都民個人の復興については、このプランの中にはどこにも入り込んでこれない。この中間のまとめの二ページで、都民生活の安定を図るといっていますけれども、とても都民の暮らしをどうするのかというところまで、まとめでは述べられていません。そういう点では、新しい東京の再生、改造というプランだけであって、都民の心を大事にして、それをどう再構築するかという点では、大きな問題を残したままのまとめであるというふうに指摘したいと思います。
そこで、知事がせんだっての所信表明で、新たな私権の制限ができるように法的課題の検討を国に働きかけるというふうに述べられました。私権の制限というのはどういうときに起こるんでしょうか。
○福島防災都市づくり推進担当部長 現行の法規の中では、発災の日から二カ月間に限りまして、これは建築基準法が規定をしております規定でありますが、用途、規模などの一定の制限を課すことになってございます。また、阪神・淡路大震災の後にできた法律で、被災市街地復興特別措置法によりますと、起点は発災の日からでございまして、そこから二年間、一定の建築制限を課すことというふうになってございます。
○たぞえ委員 それは一般的な私権の制限でしょう。知事は新たなというふうにいっているんですよ。そういう新たな私権の制限が、この中間のまとめにも一切出てこない。今までの私権の制限も出てこない。それで都民に意見を求めたって、真実が伝わらずに意見を寄せるというのは無理なんじゃないですか。最後のまとめで私権の制限が出てくる。この中間のまとめで出された意見の人たちに対して、どういうふうに、事業費の問題や私権の制限について伝えることができるんでしょうか。そういう新たな発言が飛び出してきた中で、これはもう過去のものなんですよ、その時点では。ですから、もっとそういう点で丁寧に、こういうまとめでは、財政の問題や路線の選定や、また私権の制限などについては、きちんと正確に都民にその事実を伝えるということを通さないと、本当に都民からの意見は寄せられてこないというふうに指摘をしておきたいと思います。
十一年の二月に第七次震災予防計画が決まりましたけれども、この計画の目的では、目的はどのように述べているんでしょうか。
○福島防災都市づくり推進担当部長 震災予防計画の目的でございますが、震災予防計画は、東京都震災予防条例に基づき策定するもので、都民の生命・身体及び財産を守ることを目的としてとございます。
○たぞえ委員 そうですね。財産を守ることと書いてあるんですよ。ですから、知事が述べている私権の制限などとんでもないんですよ。今の私権の制限、先ほど二カ月といったけれども、新たな私権の制限というのはさらに、それがどうなるかわかりませんけれども、拡大することは間違いないですよ。都民の財産を守るといっている予防条例と全く逆方向のグランドデザインが、国に要求されて出てきてしまう。これでは、とても都民に歓迎された内容にはならないというふうに思います。
それで、ちょっと最後にお伺いしたいのは、今度の阪神の震災でも、復興に約十億円の国費が投入されて高速道路や鉄道がいち早く再建されましたけれども、肝心の被害者の生活と営業の再建が大変立ちおくれて、今なおもとの町に、家に戻れずに、二重のローンですとか災害融資の返済に多くの被害者が苦しんでいるのが実態です。個人の力では解決できない、そういう困難に直面した人に温かい支援の手を差し伸べる、そういう目線でデザインを書くというのが私は大事だと思います。
そこで、この復興デザインの中に、住宅や店舗を含む公共住宅、数万ともいえる災害避難者が出るといっていますので、中間のまとめでは人数も出て--建物の数が出ていますね、区部直下型では十四万二千戸の家屋が被害を受けるということなんです。ですから、最低この十四万人が緊急に避難できるような公共住宅を、戦略プロジェクトの八番目に構想として都民に伝える必要があるんじゃないでしょうか。どうでしょうか。
○福島防災都市づくり推進担当部長 住宅の復興に関しましては、東京都地域防災計画に基づきまして、住宅復興に関する分野で内容を定めるということになってございます。今ご提案の、復興住宅を公共住宅で建設し、これをプロジェクトの八に位置づけるというご提案でございますけれども、私どもといたしましては、この住宅復興計画との関係もございますが、本日ご提案として承りたいと考えております。
○たぞえ委員 最後の二番目なんですけれども、今回都民の意見を十月末までに聞くということであります。問題は、計画の段階から都民の声や参画がどう保障されているかというのが大事だと思うんです。したがって、今年度中に震災後の東京の絵を描くというのは、余りにも拙速じゃないかなと思います。東京構想二〇〇〇でも東京のエリアを九つに分けているわけですから、最低九つのブロックに東京をとりあえずちょっと分けてみて、それぞれのブロックから声を聞くという必要性があるんじゃないですか。それから、無人化した三宅島の人たちが今こっちにいますけれども、そういう伊豆の人々の声も、特に三宅の方々の声ですね、それから現地にいる神津島や大島、式根島、こういうところにも出かけていって、伊豆の再建、そして東京本土の復興にどんな意見を持っていらっしゃるのか、こういう立場で声を聞く機会を設けるべきだと思うんですが、どうでしょうか。
○福島防災都市づくり推進担当部長 都民の方々の意見を広くお聞きしていくという意味から、住民の生の声を聞くことは大切なことであると認識してございまして、現在、ホームページを開設しまして、そのほかの広報、広聴媒体なども用いて意見を聞く体制をとってございます。ご指摘のありました方法につきましては、区市町のご意見も伺ってみませんと、そのようなことが実際に可能かどうかということも含めまして、お聞きをした上で、そのような機会を設けることが必要かと考えてございます。
○たぞえ委員 首長の判断に任せておいたら、やらないというところが出てきたら、その行政区の声は一切、インターネットとかホームページとかはがき以外は届かないんですよ、仕組みづくりとしては。将来の東京をどうするかという大事な提案なんですから、やはりもっと都民からきちんと声を聞くという、場合によっては部長のセクションの職員だけでなくて、都市計画局全体がそういう構えで現地に飛んでいって聞いてくる。一人が一つの行政区から声を聞いてくるぐらい、そのぐらい頑張って、本当にデザインというのはでき上がるんじゃないですか。だって、区市町村は計画ないんでしょう、全然。復興のマニュアルが。だから、そういう地元に出かけていって丁寧に聞くということによってこそ、区市町村も、復興マニュアルもつくられていくし、住民もそういう危機に対する備えの心構えもできていくんじゃないでしょうか。
将来についてはいろいろ時間がかかる問題ですけれども、やはり今やるべきは、三宅などの教訓を生かして、どう今のうちに壊れないまちをつくるか、こういうことだと思います。そういう立場で、このグランドデザインについては、行政の思いだけじゃなくて、都民の思いを大いに取り入れる、そういう内容で東京のまちづくりの方向を示していただきたいというふうに思います。
○真鍋委員 私も震災復興グランドデザインについてお尋ねをし、またご意見を申し上げたいと思います。貴重な時間なので、なるべく短くしたいと思います。
今お話、いろいろやりとり聞いておりまして、復興グランドデザインがあって、いざ震災が起きた後に、一カ月後、二カ月後ですね、復興基本計画が立てられて、それから復興の計画が具体的に策定されるという流れがよくわかりました。この復興グランドデザインの意義というか意味というのは、先ほど質問もありましたけれども、いざ起きた場合に、そこから考えるという行き当たりばったりじゃなくて、今のうちから基本方針を考えていく、これは大事なことでありまして、これをつくっている必要性、大変私も強く感じます。また、いつ起きるかわかりませんし、いろいろな意見を聞きながらというのももちろん大事ですし、なるべく速やかに考え方をまとめておくということも大事なことであると、一方で思います。
そこで、これまでのやりとりで大体確認ができたんですけれども、この中間のまとめの中に七つの戦略プロジェクトということで、絵になって一目瞭然わかる形になっているんですけれども、これはこういうイメージですよということを示すためにつくられたと思うんですが、ともすれば、こういう形がどんどんひとり歩きして、絶対これでがんじがらめなんだなという意味にもとられかねないものですから、これは、先ほどのやりとりで、そのときの状況でケース・バイ・ケースであるというふうに私も理解しましたが、もう一度改めて、この七つの戦略プロジェクトというものについて、いざ起きたときにどういう形で扱っていくのか、もう一度確認をしたいと思います。
○福島防災都市づくり推進担当部長 今回提案いたしております戦略プロジェクトは、被害が大きく発生すると見込まれる地域や交通上のボトルネックなど、都市構造上の課題を抱える地域におきまして展開をする広域のモデルプランとして示したものでございまして、ご指摘のとおり、戦略プロジェクトを踏まえた実際の復興計画につきましては、被災の状況や地域の実情を踏まえながら柔軟に策定され、実施していくものであると考えてございます。
○真鍋委員 この戦略プロジェクト、具体的にはこういうイメージでやっていこうということはわかるんですけれども、それを示すことによって、今後の基本方針とし、一朝有事の際といいますか、具体的な基本的な復興計画に入っていくわけですけれども、このグランドデザインを立てたことによって、阪神・淡路大震災という大変貴重な経験、体験もあるわけですけれども、こういうグランドデザインを立てました、そしてこの七つのプロジェクトをやっていくに際して、例えば具体的な事業として、先ほど土地区画整理事業であるとか市街地再開発であるとか地区計画であるとかありましたね。では、具体的な話として、土地区画整理事業をやっていくよというときに、先ほどの質問もありましたけれども、減歩の問題であるとかさまざまなテーマがあると。では、こういう緊急時、またこういう復興時に何が必要なのか、今からわかるわけですね。そうすると、現行の土地区画整理事業というやり方、減歩のあり方、これが単に私権の制限という部分だけではなくて、もう一方、地権者に理解をしやすい、理解をしてもらいやすい、またこういう制度というか、方法にしていかなきゃならないというのがあるわけです。それは、今からでもそういう準備を国に働きかけていく等々できるはずなんですね。ぜひともそういうことをやってもらいたいと思いますが、いかがですか。
○福島防災都市づくり推進担当部長 阪神・淡路大震災の際にも、土地区画整理事業がなかなか進捗をしなかったという事業地域もあると聞いてございます。大地震後の都市の復興につきましては、広範囲に、また緊急性が要求されることなどから、現行の制度では限界があるということの認識も持っているところでございまして、阪神・淡路大震災後、若干の法改正、制定などの措置がとられたところでございますが、いまだ不十分と考えてございます。
ご指摘の点は大変重要でございまして、そのために、国に対しまして、復興に当たって区画整理事業を円滑に進めるなどの法律改正や制度の新設等の要請もしてまいる考えでございます。
○真鍋委員 今のお答えでも国の方に働きかけていくということでありますけれども、この震災復興グランドデザインを立てて、東京都はこういう基本的な考え方を持っていますよということはいいことだと思います。ただ、都だけの問題ではなくて、今お答えがあった国に対して、都はこういう考え方を持っていますよと、区市町村に対してもありますね。また、近隣の県市に対しても理解を求めるということも必要だと思うんです。ということで、先ほどからもそういう話題、質問が出ておりますが、再度、これをそういう、それぞれの、国であるとか自治体に対して、どんなふうに実現に当たって働きかけていくのか、お尋ねします。
○福島防災都市づくり推進担当部長 震災復興グランドデザインを実現していくに当たって、どのように働きかけをしていくかというお尋ねでございますけれども、復興におきましても、平時の場合と同様に、国を含めて、あるいは首都圏全体の中で都市計画を検討していくという必要がございます。国に対しましては、特に復興まちづくりを進めていくための法制度の整備を働きかけるとともに、復興財源の確保方について強く要請をしてまいります。
近隣県市に対しましては、復興計画の調整や応援体制のあり方などにつきまして、検討、協議をしていく考えでございます。また、区市町に対しましては、この震災復興グランドデザインに基づきまして、地域復興計画を早期に策定するよう働きかけてまいる考えでございます。
○真鍋委員 最後に、私の意見といいますか、要望をいわせていただきます。
震災復興グランドデザインを立てられることは、先ほどもありましたけれども、遅いぐらいじゃないかというほど必要なものだと思います。これを認めた上で、ただ、復興というのは大震災が起きた後のことですけれども、では、現状はどうなのかというのにやっぱり思いをはせてしまうんですね、先ほどからお話がありましたとおり。
都市計画道路があります。これが整備されていたら、歩道が確保されています。では、いざ震災が起きたときにどれだけとうとい生命が救われるか、こういう問題にやはり思いをはせるわけです。二十三区の平均が五十数%ですよね。まだまだこれは時間がかかっていきますよ。でも、これが一〇〇%だったら、もっともっとみんな助かるんじゃないかな、こういう気持ちがあります。現実の行政というのはそういうものだと思います。また、一番卑近な例では、四メートル未満の狭隘道路がまだ東京の中にいっぱいあります。四十二条二項道路って何なんですかということを本当に疑問に思います。そういう一つ一つ、四メートル道路が確保されていく、都市計画道路が整備されていく、毎日毎日、電柱の陰に親子連れの方々が命からがら生きている生活がこの東京にあるわけです。それをきちっと整備をするというのが重要であります。
皆さんは計画を立てていくわけですけれども、その計画の実行自体が、まだまだ、先ほどいいました二十三区で五十数%、多摩にいけばもっと低い、これが今の実態でありますので、計画プラスそれを実践する、そして少しでもいいまちをつくっておく、そして緊急の際にはこの復興グランドデザインは必要である、こういう流れがあると思います。そのことを申し上げて、私の質問を終わります。
○かち委員 東京ベイエリア21についてお聞きします。
先ほど環境局との議論の中で、東京の五十年後を見通して水と緑の豊かな東京都を回復していくのかということで議論が詰められたわけですけれども、私は、このベイエリアの中間のまとめを読ませていただいて、そういう方向とはちょっと逆の方向を向いているのではないかなという印象を強く受けました。
本来、臨海開発というのは、港湾局の担当、所管ということだったわけですけれども、今回は、海に面した埋立地域を対象として、臨海副都心の十五倍以上の七千ヘクタールにも拡大をして、東京湾の臨海部を東京再生の起爆剤として位置づけた再整備、整備指針ということなんですけれども、この計画を進めていく上で、この臨海開発、臨海副都心開発そのもの、今までやってきたこの計画など、こうした既存の計画や、それから、この臨海部には七区ですか、関係区があるわけですけれども、こうした区の計画との整合をどう図ってきたのか、そしてこれから図っていくのかという点ではどうでしょうか。
○田中開発企画担当部長 このたびのベイエリア21の計画の策定に対しまして、まず一点目として、地元との調整の話がございましたが、この計画策定に当たりまして、関係する六区、江戸川区、江東区、中央区、港区、品川区、大田区との間で連絡協議会をつくりまして、区との意見調整を踏まえた上で、このたびの中間のまとめをまとめております。
またもう一つ、先生からは、臨海副都心まちづくり推進計画につきまして、臨海副都心の計画の見直しの話もあったかと思うんですけれども、臨海副都心計画につきましては、おおむね五年ごとに必要に応じて開発の見直しを行うということとしておりまして、現在のところ、見直すこととはしておりません。今後、見直しにつきましては、このたびのベイエリア21の考え方に基づきまして、見直しの必要性を含めまして、慎重に検討してまいる所存であります。
○かち委員 臨海副都心開発については、来年、本来なら見直しの時期になるんだろうと思いますけれども、その前にこうした、それを含んだ広大な計画が出てきたわけですけれども、先ほどの質疑にありましたけれども、臨海開発については、財政破綻なども大変な状況になっているわけですね。あそこにあります関連の第三セクター十社で、そのほとんどが累積赤字を抱えて、その合計は一千二百五十二億円に上っているということ、それから、国際貿易センターの経営する有明パークビルのオフィス棟の入居率、今月一日現在でもまだ六%などという実態です。収支が毎年三百五十億円赤字になるなど、本当に行き詰まっているこの臨海開発の総括もしないまま、それを抱え込んで、新しい財政運営のあり方を検討しながらということで開発地域をさらに広げるということは、その矛盾と都民の負担をさらに拡大させるのではないかという、大変大きな危惧を抱かざるを得ません。
そして、区とは協議をしてきてまとめているというふうなことをおっしゃいました。けれども、この中間のまとめの中を見ますと、空と海の結節点、とりわけ羽田空港というのはかなり重要視をされて、国際化を重点に据えているという姿勢がよくあらわれています。
その羽田空港は大田区が抱えているわけですけれども、その大田区は、羽田空港沖合移転した暁には、沖合移転後の跡地利用の問題というのはずっと懸案になってきたわけです。区としても、こういう、その跡の利用計画というのを立ててきたわけですけれども、都として、この跡地利用についてどのように考えているのでしょうか。
○山内航空政策担当部長 羽田空港の沖合移転跡地についてでありますが、羽田空港の将来における機能の拡充を視野に入れまして、その立地特性を生かした地域整備を図ることが必要であると考えておりまして、この東京べイエリア21(中間のまとめ)の中におきましても、沖合展開跡地を含む羽田空港周辺地区整備のあり方について、羽田空港の機能拡充を踏まえ、空港に隣接した地区としての特性にふさわしい機能の集積を図ることとしております。
○かち委員 沖合展開後の跡地というものは、既に一九九九年度に移転が終了しておりますので、本来なら二〇〇〇年度から新たな土地利用計画が進んでいるはず、しかも、そこはおおむね二百ヘクタールということも都としても確認してきている経過があるわけです。にもかかわらず、今のような抽象的な表現でずっと来ているというのは、やはりとても理解しがたいものがあるわけです。
少し、この羽田空港の跡地についての歴史的な経過を振り返ってみたいと思うんですが、これは、空港ができてからずっと町に隣接している空港ということで、地元住民や大田区、品川区から再三にわたって、騒音問題を何とかしてほしいという運動があったわけです。一九八一年にようやく空港移転工事が始まり、その直前に、跡地利用については地元の要望を十分配慮するという確認書を、運輸省と東京都と大田区と品川区の間で取り交わされてきたわけですね。九七年の三月に羽田空港を二十四時間運用したいという運輸省からの要請を受け入れるときにも、跡地利用については地元の意向を十分配慮することということを条件につけ加えて合意をされてきたものです。一方、東京都は、八八年に広域防災機能、科学研究機能とか、産業技術研究機能を備えた水と緑の未来都市としての羽田整備を図るという跡地利用の調査中間報告も発表しています。
そしてその二年後に、東京都のこの構想や区民の意向を踏まえて、大田区は独自に羽田エアフロントシティ21という構想を発表しています。このことは、大田区がことしまとめた区の緑の基本計画の中にもはっきりと位置づけられているのです。
ところが、ことしの八月の初めに、三者協の場で、運輸省から一方的に、当面の跡地利用の範囲は七十七ヘクタール、まさに三分の一だということで提示をされてきたわけです。これまでの経過からしても、少なくとも地元区は納得のいくものではありません。都としては、跡地面積が縮小したことについてどのように考えていらっしゃいますか。
○山内航空政策担当部長 今回の国からの提示案は、旧整備場地区にある施設を当面利用することですとか、将来の空港施設展開用地を確保することを考慮して定められておりまして、都が主張し、国に働きかけております国際化との関連は、明らかにされておりません。
都としては、羽田空港の国際化に支障がないのか、国の考え方を明確にさせた上で、この貴重な大規模空間につきまして、国や大田区と十分話し合いながら、地域にとって望ましい土地利用が早期になされるよう検討していきたいと考えております。
○かち委員 東京都としては、まず国際化をしたい、その思いが強いんだと思います。私も国際化について反対するものではないんですけれども、しかし、これまでの歴史的な経過からして、その国際化とは別として、跡地利用、そして、先ほどの環境局との話し合いの中でも、緑が大変少なくなっている大田区の南部地域では、とりわけあのような広大な羽田空港を持っている区としては、あの辺に緑が本当に少ないというのも事実なんです。十ヘクタールの緑地帯をつくろうと思えば十分にできる、そういう状況にあるにもかかわらず、そういうことに対して、東京都は何ら積極的な姿勢が見られないと思うんですね。
青山副知事が連載をしたこういう、ビジネス発想の大ヒント集ということで「東京計画地図」、これは九七年、三年前に書かれたんですけれども、中身はいろいろありますけれども、この青山副知事が三年前に羽田空港のことに触れているんですね。ここには何と書いてあるかといいますと、羽田空港は、敗戦直後の四五年九月、連合国駐留軍に明け渡され、米軍による拡張工事が行われた、このとき空港周辺の羽田江戸見町など三つの町が接収され、四十八時間以内の強制立ち退き命令によって二千八百名余の住民が追い出されている、このような過去の悲惨な歴史を忘れずに、周辺の既成市街地の環境改善にも大きく貢献できるように跡地を利用しなければならないというふうに書かれているんです。こういう姿勢に立ってほしいと思うんです。この姿勢に立つならば、二百へクタールという、そういう約束があったにもかかわらず、いきなり七十七ヘクタールというふうに運輸省からいわれてきたときには、東京都としてきっぱりと、やはりそれは違うのではないかという意思表示をすべきだと思うんですけれども、そういうことを本当にやられているのか、今大田区としてはとても認められないという状況にあるわけですけれども、一体都としてはどういう立場をとられているのでしょうか。
○山内航空政策担当部長 跡地の範囲を決めるに際しまして、羽田空港の国際化を現在国にも強く要望しているところでございますので、羽田空港の国際化に支障のない範囲で確定させるべきであるというふうに考えている次第でございます。このような観点から、早期に国と大田区が相互に理解できるよう、三者協議会や実務者レベルの打合会の場を通じまして、妥当な結論が得られるように調整を進めてまいりたいというふうに考えております。
○かち委員 東京都には買い戻すお金もない、国際化もしたい、そういう背景から、なかなか本腰を入れてこれを買い戻すという姿勢に立ち切れない状況にあるなというのが本当に思い浮ぶんですけれども、東京都には羽田埋立会計というのがあるわけです。それを活用して買い戻すべきだと思います。臨海の赤字の穴埋めなどに流用するのではなくて、本来の会計運用に戻すべきだということを強く申し上げておきたいと思います。
次に、環境保全との関係で二、三お伺いします。
このまとめを読んでいると、臨海地域は海と空の結節点であり、人や物流や情報が集中し、二十四時間三百六十五日眠らないエネルギッシュな、そして大量エネルギー消費のまちづくりというふうに見えてくるわけですけれども、一体この計画、この構想を進めていくと、どれくらい都市が膨張するのか。そういう点で、幹線道路の交通量だとか飛行機の便数だとか船の取扱貨物量、こんなものはどういうふうに想定されているんでしょうか。
○田中開発企画担当部長 まず、幹線道路の交通量でございますが、平成五年に実施しましたアセスメント調査の結果によりますと、例えば国道三五七号線の現地調査の結果は、十二時間で一万五千台となっております。これが将来予測値として二十二年度で、こちらは一日で三万八千台という予測値となっております。
次に、東京港の取扱貨物量でございますが、十年度の実績は八千八百万トンとなっております。将来値でございますが、東京港港湾計画によりますと、平成十七年度における取扱貨物量の計画目標値は一億トンとなっております。
次に、羽田空港の国内定期便の年間発着枠でございますが、平成十二年七月から約二十五万六千回となっておりまして、平成十四年七月からは約二十七万五千回となる予定でございます。
○かち委員 この臨海地域、現在、国道、湾岸道路だけで平成二十二年に三万八千台ということですけれども、ここには二つの幹線道路の計画がありますね、環状二号線と放射三四号線。三四号線の方の予測では五万三千台、環二の方はまだアセスが出ていないのですけれども、港区虎ノ門の間のアセスだけでも一日三万数千台ということです。こういうものが一気に臨海副都心のところに集中するわけですから、一日十万台以上の車が走るだろうというふうに予測されるわけです。
あそこの今の環境はどうかといいますと、毎年NPOの皆さんではかっているんですけれども、二酸化炭素・窒素測定運動というのがありまして、これを見ますと、昨年の六月の時点で、ちょうど国道の上あたり、有明北のあたりを中心にして、〇・一二ppm、通常の二倍以上の汚染が現在あるということですね。東京都の一般測定局の結果でも、全都でワーストツー、それが昨年の結果です。こういう状況の中にさらに十万台以上の車が入ったら、環境汚染はもう火を見るよりも明らか、非常に悪化するだろうということは予想されるわけです。そして、空と海から、船も飛行機も最大限入ってくるということですよね。
海のことで一言いいますと、この二五ページのところには、ビジネスのチャンスで、本当に活発な企業活動とともに、人間の住めるまちということで、心をいやす水辺空間を創造するだとか、国際都市東京の魅力と活力を形づくる水辺の都の創造というようなことが書かれています。そして、何と書いてあるかといいますと、水質の改善や生物多様性の増進、沿岸域における生態系の保全に努めるとともに、大気・水循環への貢献や大気汚染の改善など良好な都市環境をつくっていくんだとか、だれもが安心して快適に生活できる、魅力と活力にあふれた都市空間、水辺の都をつくっていくといっておりますけれども、そういう海、水辺をつくっていくという点からすると、もう埋め立てがどんどん進んで、東京湾自身が瀕死の状況にあるわけです。それをまた、大型船を接岸するために大井ふ頭の地先のところをさらに十五メートル以上掘り下げる。海を掘り下げることがいかに赤潮、青潮の影響をもたらすかということは、これまでに委員の論議の中でも明らかになっているわけです。そして、生態系を守るといいながら、有明北の海を埋め立てていく。一つ一つをとっても、みんな緑と自然を再生、回復していこうという方向性とはやはり逆の方向にこの計画書は向いているのではないかなというのをつくづく感じたわけです。
今回、中間のまとめということですので、これから大いに都民や各界の意見を聞くという状況にあるだろうと思いますけれども、とりわけ、地元の区、地域に存在している区の皆さんの意見を十分に反映して生かしていただきますことをお伝えして、終わります。
○清水委員 秋葉原地区まちづくりガイドラインの中間まとめについて、三点だけ伺います。
地元の住民は、この地域の活性化を期待して区画整理や再開発を要望しているということは聞いているんですけれども、今日の都財政の状況の中で、都は、都心の各地域で同時的に再開発や区画整理が進められる、それぞれが本当に推進できる状況なのか、現状なのかという点では非常に疑問も残るものですし、また、この地域の、先ほどいただきました資料の中でも、区画整理の事業費は約三百八十五億円となっております。これ自身実際に可能なのかという疑問もわいているわけです。
そういう点では、確かに長い間の地元の住民の要望ではありますが、慎重に対応をする必要があるというふうに考えるわけですが、今回ここに具体的な形で再開発の計画が出されておりますので、三点だけ伺いたいと思います。
十年以上にわたって、この地域の皆さんは、地元のまちづくりについていろいろと議論をしたり、さまざま案を出されているというふうに伺うわけです。また平成十年には、知事に対して要請書も出されているというふうに伺っているわけですけれども、このまとめは、こうした長い間の経過をどのように踏まえ、地元の要望にどのようにこたえてきているのか、お伺いいたします。
○田中開発企画担当部長 秋葉原のまちづくりの今までの地元要望への対応と、それの私どもの取り組みの経過でございますが、地元からは、平成十年に、跡地の開発が秋葉原の一つの地域だけににぎわいと活気をもたらすだけでなく、千代田区全体の発展と活性化につながるようにすることの要望が出されております。また、それを実現するために、地元意見の反映の機会やテーブルの設置を要望してきております。
こういう地元の要望を受けまして、私ども、このたびの中間の取りまとめを作成するに当たりましては、関係機関から成ります検討会を設置して検討を進めてきたわけでございますが、千代田区にも参加をお願いし、地元の意見の反映に努めてきたところでございます。
○清水委員 地元意見の反映をしたということですけれども、住民の方から、要請書の中身は、電気街や各関係団体、千代田区などと同じテーブルに着き、密接な協議の上で、地域の意向が反映されたまちづくりということを要望されているんですけれども、今のご説明だと、こうした形で同じテーブルに着いて、協議また密接な話し合いがなされたというふうにはうかがえなかったわけですね。
それで、今回のこの中間まとめの内容も、幾つかの電気街の方に伺うと、初めてごらんになったという方もおられました。そういう点では、今までの長い間の経過が踏まえられていないのではないかという危惧を持ちます。
それで、もう時間もありませんから、次に移りますが、地元の方の実際の要望というのは、現在の電気街の活性化、商店街の活性化なども要望されるわけですけれども、回遊性の確保とか、それから滞留時間の長時間化とかいうことを特に、その他のものも求めますけれども、求めているわけです。それによって、現在の電気街の活性化をもっと進めたいというようなことを思っておられるわけですけれども、この再開発によって、既存の電器店などを圧迫するような業種のものが進出してくることは望んでいないということなんですけれども、そういう内容についてはどのような内容に、これはなっているのでしょうか。
○田中開発企画担当部長 今回提案しておりますまちづくりのコンセプトは、未来型のIT関連産業の創造、育成を図ることによりまして、既存産業との相乗効果を目指しているものでございます。具体的には、コンピューターサービス関連の研究開発機能であるとか教育機能、あるいは展示機能等の集積を目指しております。このように、このたびの開発の計画は、既存商店街のさらなる繁栄をもたらすものと考えております。
○清水委員 しかし、土地は民間が販売していくわけですから、それが確実にその内容が担保できるかというと、どのようにお考えですか。
○田中開発企画担当部長 このたびのガイドラインに沿ったまちづくりを実現していくために、幾つかの手法を適用し、それを実現に向けていくよう努力していきたいと思っております。
一つ目には、地区計画等の都市計画手法によりまして、計画の実現を図っていきたいと思っております。
二点目は、統一等の土地処分に際しまして、ガイドラインに沿った建物の用途や公共空間の設置を条件とすることが考えられます。
さらに、労働経済局の所管する産業振興政策とも十分連携をとりまして、産業政策の面からもガイドラインのコンセプトの実現を図っていくようにしてまいりたいと思います。
○清水委員 今ご説明いただいた内容では、担保されるというふうには考えられません。民間に販売された場合に、その民間の事業者が営利が成り立つようにそこを使っていくわけですから、本当にこれまでの既存の商店街を圧迫しないようになるかという保証は何にもないわけですね。
それで、最近、知事も局長もこの地域に行かれたようですけれども、新聞報道にもありましたけれども、本当に多くの方々の要望を聞いたのかなと思うと、都の職員と住民の数がそう余り違わないんじゃないかなというようなうわさも流れていたり、これまでの長い経過の積み重ねの上にまちづくりというのは行われなければならないのに、東京都がこのIT関連産業を誘致して秋葉原で大きな事業をしていくという、東京都の意思が大きく働いて、地元のこれまでの積み重ねが生かされないというような予測をされるわけで、財源の問題や、それからまちづくりの問題では、そういう視点に立って進めていただきたいというふうに要望いたします。
○尾崎委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○尾崎委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で都市計画局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後五時五十九分散会
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