都市・環境委員会速記録第十一号

平成十二年七月十日(月曜日)
   午後一時七分開議
 出席委員 十四名
委員長尾崎 正一君
副委員長清水ひで子君
副委員長吉野 利明君
理事大西由紀子君
理事森田 安孝君
理事たぞえ民夫君
真鍋よしゆき君
竹下 友康君
かち佳代子君
谷口 卓三君
新藤 義彦君
立石 晴康君
内田  茂君
田中 晃三君

 欠席委員 なし

 出席説明員
都市計画局東京都技監都市計画局長兼務成戸 寿彦君
次長安間 謙臣君
技監山下 保博君
理事塩野 忠弘君
総務部長本多 靖男君
総合計画部長高田 茂穗君
開発企画担当部長山崎 俊一君
地域計画部長勝田 三良君
地区計画担当部長森下 尚治君
施設計画部長杉浦  浩君
航空政策担当部長山内 一良君
開発計画部長林 孝二郎君
建築指導部長小林 崇男君
参事河島  均君
参事只腰 憲久君
環境局局長齋藤 哲哉君
理事安樂  進君
総務部長平井 健一君
特命担当部長野田 一雄君
企画担当部長梶原 康二君
技術担当部長関  寿彰君
移管事業調整室長志村 啓文君
環境改善部長長谷川 猛君
参事小島 高志君
自動車公害対策部長松葉 邦雄君
自然環境部長江渡順一郎君
廃棄物対策部長薄  厚一君
環境評価部長町   格君
環境科学研究所次長萩本 秋彦君

本日の会議に付した事件
 環境局関係
  報告事項
  ・三宅島火山活動及び神津島近海での地震に対する環境局の対応について(説明・質疑)
  ・東京都環境白書二〇〇〇について(質疑)
 都市計画局関係
  報告事項(説明・質疑)
  ・三宅島火山活動及び神津島近海での地震による被災家屋の調査等について
  ・第百四十五回東京都都市計画審議会の付議案件について
 請願陳情の継続審査について
 特定事件の継続調査について

○尾崎委員長 ただいまから都市・環境委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、環境局並びに都市計画局関係の報告事項を聴取した後、請願陳情並びに特定事件の閉会中の継続審査及び調査の申し出の決定を行います。
 これより環境局関係に入ります。
 理事者から、三宅島火山活動及び神津島近海での地震に対する環境局の対応について、報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○平井総務部長 今回の三宅島火山活動及び神津島近海地震に関する環境局の対応につきまして、ご報告申し上げます。
 環境局では、LPガス、一般的にはプロパンガスといっておりますものですが、これによる事故の防止及び廃棄物処理体制の確保という観点から対処してまいりました。
 まず、LPガスの漏えいによる火災事故等の防止についてでございます。環境局で所管いたします液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律、この法律に関連いたす事業として、安全確保等に必要な措置をとってまいりました。
 お手元資料の一ぺージをごらんいただきたいと存じます。
 三宅島におきましては、LPガス販売事業者が三事業者、約二千世帯の利用者がおります。また、神津島におきましては、二事業者、六百六十世帯が利用しておるところでございます。
 三宅島に災害対策基本法に基づく避難勧告が発せられた六月二十六日、直ちに現地の事業者と連絡をとりまして、LPガス貯蔵施設の状況把握を行い、安全確認をいたしました。
 また、避難勧告発令中は、消費者の各家庭におけるLPガスボンベと配管等の安全確保、並びに避難勧告発令地域以外へのLPガスの安定供給等について、現地事業者の指導を行ってまいったところでございます。
 さらに、避難勧告の解除の際に、社団法人東京都エルピーガス協会と協力いたしまして、住民の帰宅時のLPガス事故防止のため、チラシの配布と島内放送を行いまして、事故防止の徹底を図ったところでございます。
 神津島近海地震に際しましても、神津島、新島、式根島に対して、事故防止のための措置をとったところでございます。
 今後とも、余震や地崩れ等に備えまして、引き続き、現地事業者、エルピーガス協会の協力のもと、被害の未然防止に努めてまいります。
 次に、廃棄物の処理状況についてでございます。これにつきましても、災害発生後から関係機関と連絡をとり、情報収集と必要な対応に努めてまいりました。
 資料二ぺージをごらんいただきたいと存じます。
 三宅島では、村が避難勧告発令の翌々日、六月二十八日から避難場所等のごみの収集を行い、続いて六月三十日、一部地域の一般家庭のごみの収集を再開いたしました。七月三日から平常の収集作業が回復いたしております。
 焼却施設につきましても、七月四日から通常運転を再開いたしております。その際、施設の十分な安全点検の指導をしたところでございます。
 なお、東京都の派遣職員及び支援物資などから発生したごみの処理につきまして、村に問い合わせたところ、現地処理が可能である旨、三宅村から回答をいただいております。
 神津島では、七月一日の震度六弱の地震により、焼却施設への道路が、図のとおりでございますが、寸断されておりまして、焼却施設に駐車していた清掃車三台が動けない状態となりました。このままではごみの収集に支障を来すということから、七月四日、神津島村から収集車二台の貸与の要請がございました。
 環境局では、特別区に協力を要請し、世田谷区、大田区から清掃車二台を、要請のございました当日、七月四日の夜でございますが、有明ふ頭から神津島に輸送する手はずを整えたところでございます。清掃車は七月五日、村に到着し、村では、六日からごみの収集を再開、収集したごみを空港付近に仮保管しているところでございます。
 ごみの焼却施設への搬入作業が平常に復帰する見通しについては、余震が続いており、焼却施設へ向かう道路が立ち入り困難という現在の状況のため、現段階では不明でございます。
 新島、式根島では、焼却施設の煙突に一部損傷が見られますが、施設の稼働に影響しない外側の軽微なものであるため、収集作業及び焼却処理につきましては、平常どおり実施しております。
 なお、昨日早朝四時に発生いたしました震度六弱の地震に伴う当局関係への新たな支援要請は、現在のところ来てございません。
 今後とも、関係機関などから迅速に情報を収集するとともに、必要な対応をとってまいります。
 以上で説明を終わらせていただきます。

○尾崎委員長 説明は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○清水委員 三宅島、神津島の環境局の対応につきましては、大変な中で本当にご苦労さまでございます。
 少しだけ質問させてください。廃棄物の処理対策ですけれども、今、ご説明ありました神津島の方では、まだごみの焼却場に搬入できないということで、収集した後は仮保管をしているというふうに伺っているんですけれども、その廃棄物の仮の保管場所がどこかということと、それから、保管の状況についてお伺いしたいと思います。

○薄廃棄物対策部長 今、お手元にお配りさせていただきました資料の下に地図がございますが、神津島の地図でございまして、一番下のところに、バツ印がついてございます。ここが、ごみの仮の保管場所でございます。具体的には神津島の空港のすぐそばでございます。
 先ほど総務部長からご説明いたしましたように、焼却施設への道路が、今寸断されておりまして、焼却処理ができないという状況から、この廃棄物の保管場所につきましては、空港の近くの道路わきに切り土してある場所がございまして、大体二百平米ぐらいなんですけれども、そこに、ごみ袋に密閉した上で、ごみが飛散しないようにシートで覆って仮保管をしている状況でございます。

○清水委員 焼却施設への道路の復旧の見通しというのは、どのような状況なんでしょうか。

○薄廃棄物対策部長 これも先ほどご説明申し上げましたけれども、地震が継続している間は工事に着手できない状況にございますので、今のところ、いつ復旧するかというのは未定でございますが、仮定でございますが、工事に着手できるようになりますれば、大体一週間程度で回復できると聞いております。

○清水委員 島の災害ということで、いろいろな悪条件が重なると思うんですけれども、地震が長期化して焼却処分ができないということになった場合に、ごみの衛生的な管理なども問題になってくるんですけれども、その焼却処分を、仮保管でずっと置いといていいのかということ、焼却処分をどうするのかということでは、島外での処理なども含めて、早期の焼却処分の検討をする必要があると思うんですけれども、そこら辺はどのようにお考えでしょうか。

○薄廃棄物対策部長 今、ご指摘ございましたように、生ごみなどがございまして、衛生的に処理するためには、どうしても清掃工場で焼却処分をすることが必要でございます。長期的に焼却処分できない場合も現在想定できますので、東京都は現在のところ、近隣の島しょ町村で処理することを含めまして、神津島を初めとしまして、関係町村との間で調整を行っているところでございます。

○清水委員 なかなか大変なことだと思うんですけれども、やはり災害が継続して、とても都民の方は不安だとか、それから、心が暗くなっているということでは、せめてそうした処理などに迅速に対応されるということが求められていると思いますので、大変ですけれども、ぜひとも早期の対策をよろしくお願いしたいと思います。

○尾崎委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○尾崎委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。

○尾崎委員長 次に、報告事項、東京都環境白書二〇〇〇について質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際資料要求はいたしておりませんので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○大西委員 今回の環境白書は、環境の危機をテーマとして、大気や水の汚染が深刻な状況にあること、また、緑の減少や生物多様性の危機が続いていること、さらに、ヒートアイランド化の進行によって都市の気象の変化が進んでいることなど、東京が直面しているさまざまな環境問題を取り上げており、興味深く読みました。
 特に、最近の環境の危機には、有害化学物質問題やフロンのような地球環境問題に代表されるように、見えにくい、原因がとらえにくい、そして対処が困難という特徴があります。私どもは、こうした特徴を踏まえ、都民の健康への影響や不安解消のためには、やはり何よりも未然防止を優先させることを強く求めていたわけですが、今回の白書の第1部、四ぺージのところに、「東京の環境問題と都民の健康との関係を見つめなおし、環境政策を考える際の原点とすべきである。」として、都市環境の悪化を未然に防止するため、因果関係が完全に明らかになるまで対策の実施を待つのではなく、予防原則を前提として、都民の健康を守ることをまず第一に考えなければならないということを、ちゃんとこの白書の中に取り上げていることを評価したいと思っております。
 さて、きょうは、東京の自然の水循環と、特集としてあります自動車と都市環境の危機、この二点について伺いたいと思います。
 最初に、水循環について。東京に降る雨は、一日当たり六百八十五万トン、そのうち地下に涵養されるのは約四分の一ほどで、残りは蒸発したり、直接河川などに流れ去ってしまうなど、涵養の割合は減少の傾向にあるわけで、このような状況は水循環を損なうだけでなく、ヒートアイランド化の一因ともなっております。この改善のためには、雨水、地下水、河川水といった自然の水循環の回復が、とにもかくにも重要と思っております。東京における自然の水循環とそのかなめである地下水について、どのような現状認識を持っておられるのか、最初にお聞きします。

○長谷川環境改善部長 自然の水循環にとりましては、地下水の大きな貯留量とその緩やかな流動は重要な構成要素の一つと考えております。
 そこで、東京の地下水の現状を見てみますと、地下水位はほぼ安定した状態にあり、かつてのような著しい地盤沈下は起こっておりません。しかしながら、自然の水循環という視点で見てみますと、多摩地域を中心に住宅の建設等が進んで、雨水の浸透面積が増大しておりまして、地下水の涵養量の減少は懸念される状況にあります。
 一方、地下水の揚水について見てみますと、条例によりまして、地下水使用の合理化などの規制指導を行ってまいりましたけれども、施設の改善等はほぼ完了した段階にありまして、これ以上の揚水量の削減は困難な状況にあります。このような傾向が今後も続くようだったら、将来地下水位が低下するおそれもあると考えております。

○大西委員 東京の自然の水循環の維持、回復という点では、多摩の丘陵地帯における地下水の保全が重要なかぎを握っております。私としましては、この地域で湧水の枯渇を防ぎ、中小河川の流量の復活を図り、水循環を再生することが、やがては東京における水循環の再生につながると考えております。このためには、地下水の保全対策の強化が急がれるわけですが、今回の公害防止条例改正の中で、どう取り組むおつもりなんでしょうか。

○長谷川環境改善部長 多摩台地部の水循環の改善は、地下水の流れを通して考えてみますと、東京全体の水循環の改善に役立つ重要なことと認識しております。このため、本年予定しております公害防止条例の改正の中で、東京都環境審議会の答申を踏まえまして、地下水保全のために、揚水規制の強化及び地下水の涵養の推進について、現在検討しているところであります。

○大西委員 毎年夏になれば、水不足が心配になってくるわけですが、東京が使っている水はダムからの水がほとんどで日量四百九十万トン、使用をした後は下水として流されます。東京の毎年毎年の水不足を考えれば、本当に大きな問題があるんじゃないかと思っております。また、東京に降る雨は、日量六百八十五万トン、先ほど申しましたが、そのうちの地下に涵養されるのは四分の一、地下水として利用されるのはさらに少なく、川や海などどこかへ消えていってしまいます。このようなことから、自然の水循環の回復ということと同時に、下水の高度処理水とか雨水を活用した都市内の水循環の創出をぜひ進めていただきたいと思います。
 そして、水施策というものを総合化することが必要で、それには今回の白書にある水全体に対する分析、この資料が前回ちょっと調べたときとほとんど変わってないということでは、やはり古いんじゃないかと思っております。降雨量、地下浸透量、それから河川流入量を把握し、どれだけの水が使えるかというような総合的な収支計算が不十分ですので、ぜひ基礎データとして、このようなものはしっかりと環境局で把握しておきたい、そして新しいデータの調査を要望したいと思っております。
 次に、特集でありました自動車と都市環境の危機について伺います。
 今回の白書は、環境危機の中でも自動車のもたらす都市環境の危機を特集として取り上げておりました。特に交通量対策に関しては、イギリス、フランス、アメリカという三つの国の新たな都市交通施策を取り上げ、これらの国々が実施している交通需要の抑制策を紹介しておりました。環境白書が、こうした交通需要抑制策を取り上げているのは、新しい道路をつくるよりも既存の道路を整備充実させ、車の需要抑制策をするべきだということをこの中に含んで、そのことを強調したいのかなと思っていますが、いかがでしょうか。

○梶原企画担当部長 今回の環境白書は、一九九〇年代に欧米の三つの国で開始されました都市交通政策の新たな試みを紹介しております。これらの国々では、いずれも自動車交通への過度の依存を減らし、公共交通や自転車利用の促進を図るなど、交通需要マネジメントの施策が重視されてきております。
 環境白書では、自動車交通の増加に対して、道路整備だけで対応するのではなく、自動車交通需要の抑制や調整のための政策を一層重視する事例として、これらを紹介したのでございまして、ボトルネックの解消や有効な道路ネットワークの形成のために必要となる道路整備を否定するといった趣旨ではございません。

○大西委員 四九ぺージから五〇ぺージにかけて、この辺が私は非常に興味があったんですけれども、イギリス政府の諮問委員会が作成した幹線道路と交通の創出という報告書を取り上げてあります。この報告書では、イギリスの道路建設を検討した結果、新たな道路の建設が交通量を増加させているという結論に至り、道路建設がもたらす新たな交通を誘発交通と名づけたということが紹介されてあります。
 このようなことは、過去、東京でも、道路をつくっては車がふえるということを経験しているのではないかと思っております。今後、東京では外郭環状道路の建設等が行われようとしておりますし、首都高の中央環状の建設も行われております。こうした新たな道路の建設が、今は眠っている東京の自動車を動かすことになるのではないかということが懸念されます。このことは、前回のTDMのときにも私質問したんですが、その中で、この環境白書から見ますと、三七ぺージの、飽和状態にある東京区部の自動車交通という報告を見れば、区部の交通量は今、横ばいか、むしろ減少する傾向にあるとあります。その理由として、区部の道路混雑が激しいことが自動車利用をあきらめさせるという選択につながっているとあります。
 そこで、お聞きしたいんですが、自動車の保有台数、資料編の二ぺージにも、外国と比べてありましたけれども、この中にロンドンがないのが不服だったんですけれども、自動車保有台数が載っております。東京の中では、ラッシュ時にそのうちの何割ぐらいが使われているのか、さらにまた、日本で保有率が一番高い県はどこなのか教えてください。

○松葉自動車公害対策部長 ラッシュ時における交通量の状況でございます。保有台数との割合で、直接的に示すデータというのはございませんが、平成九年度の道路交通センサスなどによります交通量の状況で見てみますと、都内の一日当たりの自動車交通の全トリップ数というのは、約九百万トリップでございます。そのうち、例えば朝九時から十時ぐらいの間の走行状況を見てみますと、そのうちの約七%ぐらいでございまして、これをラッシュ時の交通量だと推計すれば、その程度でございます。
 また、人口当たり自動車の保有状況でございますが、十一年三月時点で見ますと、東京は、ただいまお話がございましたように、総保有台数では約四百六十二万台ほどで、全国第一位でございます。しかしながら、人口一人当たりの自動車保有台数で見ますと、約〇・四台で、全国最下位でございます。
 なお、一人当たりの保有台数がトップなのは群馬県でございまして、約〇・八台で、東京の約二倍となってございます。

○大西委員 そういうことを考えれば、東京は、現在最下位でこんなにも車があふれているということ、所得水準も東京はもちろん高いわけですし、購入力もある東京です。新しい道路が建設され、一時的にも混雑が解消されれば、じゃ、新しく車を購入しようかとか、これまで都心に行くのは込むからやめていたけれども、行ってみようかということで、ガレージに眠っていた車が起き出してくるんじゃないかと思うんですけれども、そういう予測を、どういうふうに考えていらっしゃるのか。

○松葉自動車公害対策部長 道路などが整備されたり渋滞が少なくなれば、自動車の所有とかあるいは利用が増加することも考えられます。しかし、なかなかそういう予測というのも難しいところがございます。東京の場合は、地下鉄とかバスなどの公共交通機関が発達してございまして、必ずしも地方都市などと比べて、交通の状況が悪いという状況ではないというふうに考えています。したがいまして、自動車に頼らない交通の行動というものが比較的可能であるというふうに考えています。
 東京都では、交通渋滞とか、あるいは大気汚染などの改善を目指しまして、交通需要マネジメントに取り組んでおりまして、今後とも対策を強化していくこととしております。不要な自動車の利用を控えるとか、自動車交通量の抑制に努めていきます。

○大西委員 東京が、ほかの公共交通網がよそよりも発達しているということは、今後の救いだと私も考えているわけですが、四九ぺージのところに、交通需要の増大に道路の整備だけで対応する時代は、世界的に見ても終わりつつある、都市交通政策のこうした変化は、我が国の施策転換を見ているだけでは実感することはできないが、欧米の多くの国においては、自動車利用から公共交通や自転車、歩行への明確なシフトを図る新しい政策が開始されているとあります。
 そういう意味で、ことし二月における交通改善の基本的な考え方やその仕組みを総合的に示すTDM東京行動プランがあるわけですが、このTDMのことは、ロードプライシングばかりが注目されております。その一方で、渋滞解消のために新たな道路の建設が予定されているわけですから、これをただそのまま進めていけば、単に新しい道路は車中心に建設されるんじゃないかと、そういう懸念をぬぐい去ることができないわけなんです。ぜひとも、そういう意味ではこの道路づくりで、LRTとか自転車や歩行者中心の道路づくりへしっかりと方向変換を都でも図ってほしいという思いが非常に強くあります。そのためには、今回のこの報告書にありますイギリスの政策などをしっかりと都でも受けとめて、新たな道路を建設すれば自動車交通を誘発するおそれがあるということを十分に踏まえ、さらには、そのことに関する、先ほど私がちょっと質問したものに関してのシミュレーションとかをしっかりとやっていくことも検討すべき時期じゃないかと思っているんですが、そのことはどうでしょうか。

○梶原企画担当部長 今回の環境白書で取り扱いました誘発交通に関しましては、先日、環境庁が発行した環境への負荷の少ない交通に関する報告書の中でも、より詳しく紹介されております。我が国でも誘発交通の問題に対する関心が高まってきております。
 今後の政策展開の中では、必要となる道路整備を十分環境に配慮しながら進めていくとともに、自動車に過度に依存した現在の都市交通のあり方を改め、公共交通や自転車の利用を促進することも非常に重要でございます。こうした観点から、交通需要マネジメントの推進を図ることがさらに重要になってくると考えております。

○大西委員 ロードプライシングだけでなく、もう一つの部分の交通需要マネジメントの推進、この辺もしっかりお願いしたいと思います。
 特集の自動車公害に関する分析は、そういう意味で、私にとっては非常に参考になりました。特に政策に関する分析は、白書本来の役割を果たすものといえるわけで、この辺も興味深く読ませていただきました。
 しかし、同時に、記述されている多くが、アメリカや英国、欧米の外国の政策であり、我が国のそれについては国の行う排ガス規制が諸外国のそれと比べて不十分として取り上げられているだけで、肝心の東京都の自動車公害対策に関する分析というものが、ある意味ではなかったと思っております。先ほどもいいましたように、白書が政策評価という側面を持っているということを考えれば、これは東京都の環境白書としては大きな欠陥があるんじゃないかなとも考えております。
 そこで、次のことを伺いたいと思います。自動車公害に対して、都はこれまでどのような政策を実施してきたんでしょうか。

○松葉自動車公害対策部長 自動車公害対策は、排出ガス規制など国の権限に属することが多いわけでございます。東京都は、これまでも対策の強化を国に対して強く要請してきたところでございますが、東京都としても、自動車公害防止計画などに基づきまして、発生源対策であるとか、あるいは交通量対策など各種の対策を進めてきたところでございます。具体的に申し上げますと、低公害車の指定制度を設け、低公害車の普及促進を図ってまいりました。また、自動車から排出される窒素酸化物を抑制するための事業所指導などにも取り組むほか、大気汚染濃度が高くなる冬期における自動車交通量の抑制対策などにも取り組んできたところでございます。

○大西委員 私もぱっと考えてすぐ、これは冬期自動車交通量の抑制対策の一つかもしれませんが、水曜日のノーカーデーとか、そういうものが頭に浮かんできましたけれども、これらの政策の成果、どのようなものだったのか教えてください。

○松葉自動車公害対策部長 大気汚染を改善するため、都としては、これまでも対策に積極的に取り組んでまいりました。しかしながら、自動車排出ガスが主な原因である窒素酸化物などによる大気汚染の改善は進まず、厳しい状況にあると認識してございます。

○大西委員 自動車公害問題が解決されない以上、過去の都の政策も不十分ではなかったのかなと、どうしても考えてしまうんですけれども、なぜ不十分だったかご説明いただけますか。

○松葉自動車公害対策部長 大気汚染が改善されない主な原因でございますが、都内の自動車保有台数の増加あるいはディーゼル車の増加、自動車交通量の増大などが原因でございます。窒素酸化物や粒子状物質はディーゼル車からの排出が多く、このディーゼル車に対する排出ガス規制などが十分でなかったため、大気汚染が減少せず、横ばいの状況になっているというふうに考えてございます。

○大西委員 国との関係、いろいろあるわけですが、都に十分な権限が与えられなかったので、やりたくてもできなかったということもいえますか。

○松葉自動車公害対策部長 自動車公害問題は、自動車が都の区域以外、都県境を越えて移動するわけでございます。そういうことから、本来、国が全国的な立場から排出ガス規制などの単体規制に取り組むことが最も効果的であるというふうに考えています。
 しかし、都は都民の健康を守るという立場から、これまでも都独自に、できることについては工夫を凝らして進めてきたところでございます。都の対策のみでは解決にも限界があるわけでございまして、今後とも国や都などが協力して、ディーゼル車対策などについて強化していかなければならないというふうに考えています。

○大西委員 そういう過程を経て、今回、ディーゼル車対策というものが打ち出されてきたんだと思います。このような都独自の環境政策の分析が白書には必要じゃないかと思います。繰り返しますが、諸外国の例は非常にそういう意味でも参考になりましたが、やはり日本の、肝心な東京都のものがなければ何かむなしいなという気がいたします。
 この白書では、NOx やSPMなど自動車公害問題にもっと積極的に取り組んでいくことの重要性が強調されております。都として、国と一緒に行える政策、さらに独自で行える政策をどのように理解して役割分担をどういうふうに考えていらっしゃるのか、お伺いします。

○松葉自動車公害対策部長 国の役割といたしましては、排出ガス規制を初めとする単体規制などが基本になるものと考えています。国と東京都が一緒に行える対策といたしまして、例えば、低公害車普及のためのスタンドの設置などに対する助成の実施、あるいは街頭におけるディーゼル車の黒煙検査の実施、交通量抑制のためのTDMの推進、あるいは自動車公害対策に関する各種の調査研究などが挙げられます。
 その一方で、都民、事業者の関係でございますが、こういうことから考えていった場合、先般、自動車に関する東京ルールというものを定めましたが、そういうものの推進、あるいはCNG車などを普及させるための会議の設置などが、東京都の特性を生かして進められる対策というふうに考えています。
 いずれの場合でも、自動車公害が広域的な問題であるということから、国や他の自治体とも連携して実効性ある対策を講じていくということが必要であると。今後ともディーゼル車対策など各種の対策を積極的に進めていきたいというふうに考えています。

○大西委員 今の道路状況をそのままほうっておくことはできないというのはみんなわかっているわけですが、ただ、このまま道路建設をすれば自動車交通を誘発するおそれがあるということも十分に踏まえた、そういう対策を立てていってほしいと思っております。
 最後に、せっかくですから局長にお聞きしたいと思います。
 今回の東京都環境白書二〇〇〇、これまでの東京の都市づくりの中で、ともすれば経済的な発展を求めることに大きな関心が向けられて、生活の質や環境への配慮がおろそかであったのではないかという指摘を行い、ヒートアイライド化の進行など都市環境の悪化が続いているとしっかりと述べてあります。
 東京都は、今、東京の再生ということを最大のテーマとしております。この東京の再生というのは、やはり経済復興を進めようとしていることは否定できないわけですが、それがメーンだと思いますが、こうしたテーマは、東京という大都市が抱える環境負荷を抑制しなければいけないという環境局としての課題、これとある意味では相入れないものがあるんじゃないかなというところで気になるわけです。確かに知事はディーゼル車問題ではリーダーシップを発揮なさって、国に対してもいろいろと頑張っていらっしゃることは認めますが、環境の問題はこれだけではありません。エネルギーの問題もごみ問題もいろいろあるわけですから、そういうことを考えて、今回の白書の指摘を踏まえた場合、今後、都の行政にとってどういう政策が重要になるのかお聞きして、質問を終わりたいと思います。

○齋藤環境局長 今、環境白書をもとにいろいろご質問いただいたわけですけれども、東京がこれから少子高齢化を迎えていく、あるいは非常に激しい国際競争力に勝ち抜いて都民の福祉の向上を果たしていくと、こういうある意味では厳しい環境にあると思いますが、そういう中で活力と魅力に富む都市であり続けるためには、いわゆる東京の再生ということがどうしても必要だということは間違いないと思っております。
 経済の活性化とか都市づくりに当たっても、環境への負荷を抑制することを同時に追求する、また同時に追求しなければならないことは当然のことだと考えておりまして、それが東京の環境の危機を克服する道でもあるというふうに思っております。
 人間社会が利便性とかあるいは経済的な効率というものを追い求める限り、環境への負荷というのは常に避けられない問題であるというふうに思っていますが、これを可能な限り抑制して環境への視点を貫徹させる、そういう考え方に立って、これを両立させていく努力が必要であろうというふうに思いますし、これこそが二十一世紀を迎えた我々のテーマ、重要な課題であるというふうに思います。
 環境白書も、こういう観点、こういう視点に立って書かれているわけでございますけれども、環境局としても、都民の健康と安全な生活環境を守ることを第一に踏まえ、さまざまな施策を通じて東京の環境の危機を克服して、魅力ある東京づくりに努めていきたい、このように思います。

○大西委員 国際都市東京の魅力を高めることということが非常に大きな課題となっておりますけれども、それはとりもなおさず、環境問題にしっかり取り組んでいくことが一番の近道だと私は考えておりますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

○かち委員 まず、地球温暖化と環境配慮を優先した都市づくりに関連してお聞きします。
 昨年の夏、二度にわたって集中豪雨があり、私の住む大田区でも浸水地域が多発しました。ことしも先日の集中豪雨で渋谷区とか港区など都心部で浸水事態が発生しています。先日、集中豪雨で港区のある保育園では、一階の床上七十センチまで浸水し、保母さんと園児が二階に上がって、一時身動きがとれなかったと聞いています。また、浸水した小学校では、翌日給食室が使えなかったりと思わぬ被害に見舞われています。
 新聞報道によると、ところによっては八〇ミリから一〇〇ミリの降雨量だったということですが、白書にもありますけれども、九〇年以降、一時間に五〇ミリを超える降水量が都心部に増加している、これがヒートアイランド現象と関係があるのではとも指摘されているようですけれども、最近の都心部での集中豪雨とヒートアイランド現象との関係を局としてどのように見ておられるのでしょうか。

○梶原企画担当部長 お話のように、白書では、最近の集中豪雨を例に取りまして、東京大学気候システム研究センターの研究報告を紹介しております。これは都市が高温化することによりまして、上昇気流が起きやすくなっているためとも考えられます。しかし、こうした、都市における降水量の増減に関する報告はまだ少なくて、確実な議論を行うためには、今後一層の気象観測データの蓄積が必要な段階であると考えております。

○かち委員 データとしては出ているけれども、それを確定していくためには、まだ研究が必要だというようなことですね。日本の平均気温が百年で二・九度上昇し、中でも東京の上昇が最も高いと指摘されています。それが、さらに近年は加速しているようにも思われます。
 白書では、建築や都市施設などの人為的環境も含めた都市づくりのあり方は、東京の環境の質を構成する大きな要素であり、いかに環境に配慮し、環境への負荷を減らせるかが周辺環境への負荷はもちろん、ヒートアイランド現象など東京全体の環境や地球温暖化の防止に対しても、大きな意味を持つと記されています。
 一般的に、臨海面の埋め立ても環境への負荷を促進し、ヒートアイランド現象を加速させるものではないかというふうに思えるんですけれども、いかがでしょうか。

○梶原企画担当部長 お話の件に関しましては、まだ事例研究の蓄積がございませんけれども、環境庁が行いました東京湾の大規模埋め立てによる環境影響の数値シミュレーションによりますと、東京湾埋め立て、開発が行われた場合、夏の最高気温が都心部で一・二度から一・六度上昇し、ヒートアイランド化が顕著になると報告されております。しかし、これは東京湾全域を埋め立てるなど、大規模な埋め立てを行った場合についてのシミュレーションでございまして、部分的な埋め立てに対します気象影響調査は承知しておりません。

○かち委員 ヒートアイランド現象といえば、大量のエネルギー消費によるCO2 の排出により、地球環境全体の温暖化の大問題であるわけですが、抑制のためには、緑化対策や水辺の保護や人工排熱の低減などが有効だといわれているわけですけれども、内湾の確保というのも非常に重要ではないかと私は考えるわけです。
 既に東京湾のさまざまな埋立計画は、環境庁の湾岸プロジェクト動向調査によっても、湾岸で構想、計画、実施されている臨海プロジェクトの総面積、これ九〇年のデータですけれども、六千六百九十五ヘクタールに及ぶといわれています。それからさらに進んでいるわけでして、内湾部では既に二割も埋め立てられている状況です。
 今後も、第三空港の計画などを初め、大型の埋立計画構想が進められようとしているわけですが、今紹介がありましたけれども、つくば市にある気象庁気象研究所では、東京臨海部を対象に、今後、埋立が進んでいった場合の気温や風速の変化について予測結果を出しています。それによると、埋立規模が大きくなると、気温の上昇及びその影響範囲がふえることが明らかになっています。そして、気温が二度上昇すれば、これを緩和するためにクーラーを使うと百万キロワット級の発電所一つが必要になる。それがまた大気汚染の増加につながる。また、海からの風が弱まると風速が衰える。そうすると体感温度が一度上がる。温度が上がれば、CO2 の大気汚染は二〇%上昇するという悪循環に見舞われると予測されています。
 これ以上の環境負荷は、都市部の異常気象や温暖化をさらに加速させ、深刻な事態を招くことになると思うのですが、今の行政のもとでは、このような環境負荷と経済性の整合性を対等に判断する役割を持つところがない、そこが問題だと思うのです。今問われているのは、将来予測も含めて行き過ぎた開発や埋め立てに対し、自然と生態系をいかに守るか、そういう破壊を抑止する力を行政の中にシステム化していくことではないかなというふうに思います。
 次に、白書では、生物多様性の維持、保全が重要だと述べています。基本的なことですが、ここでいう生物多様性というのは、どういうことでしょうか。

○江渡自然環境部長 生物多様性の定義についてのお尋ねだと存じます。定義は、生物多様性条約がございまして、国家条約の関係で定義を申し上げると非常に難しい定義になっておりまして、実は環境庁の生物多様性国家戦略というものがございまして、そこで多少易しく解説してございますので、それをご披露申し上げますと、生物多様性とは、生物の間に見られる変異性を総合的に指す言葉であり、生態系、種、遺伝子の三つのレベルの多様性によりとらえられている、こうした生物多様性は、人類の生存基盤をなすとともに、さまざまな価値を有しており、地球上に生息、生育する生物は、それぞれ皆大切なので守っていく必要があるということである、こういうような解説が記述されてございます。

○かち委員 今の生物多様性をどう守っていくかという点では、残された自然の保全とビオトープ、生息や生育場所の創設などで自然回復を図るということだと思うんですが、先日、本会議で我が党の曽根議員が代表質問をしましたけれども、有明北旧貯木場の埋立予定地から、環境庁や都のレッドデータブックに掲載されている絶滅のおそれのある種、Aランクに上がっているエドハゼが発見されたということで、計画の見直しを求めましたけれども、港湾局が葛西沖人工干潟やお台場公園、城南大橋などで千単位の規模で観測されているから問題ないとの答弁でしたけれども、これは平成十年度の調査結果です。その前年の平成九年度の結果では、いずれも一けたから二けたの数字になっているのですね。このように年によって非常に違うという状況も出ているんですけれども、一般的に魚のような自由に移動する生物の固体数の確定というのは大変難しいと思うんですけれども、レッドデータブックに掲載する基準というのは、どういうことになっているんでしょうか。

○江渡自然環境部長 レッドデータブックにおきます種のランク分けでございますけれども、既存の文献情報をもとに、次の四つの項目を基準にしながら、複数の専門家が定性的に評価して行いました。一つが、もともと固体数が少ない。二番目が、固体数が減っている。三番目が、特殊な環境に生息、生育する。四番目が、生育環境が減っているというものでございます。

○かち委員 そうすると、毎年、生物の測定数値が報告されておりますけれども、そういう数値に一喜一憂するということではなく、この四つの要素から判断をしているものだということですね。ハゼ類のように、干潟のある汽水域で生息する淡水魚などは、全体的に埋め立てなどで干潟が喪失されている状況の中で生育していくことが困難になっている。こういう事実なども勘案して、総合的に判断しているんだと思います。レッドデータブックの中でも、国の基準が二十二種から七十六種にふえた中で、その半数をハゼ類が占めているということでも、そういう背景がわかると思うんです。
 ところで、エドハゼの繁殖生態というものはどういうふうになっているのか、今わかっているのでしょうか。

○江渡自然環境部長 エドハゼの繁殖生態についての文献は大変少のうございまして、私どもが入手しております文献で申し上げますと、千葉県での調査事例でございますが、産卵期は三月から四月ごろ、これは二月から三月という説もございます。大体二月から四月ぐらいと見ていいのではないかと思います。アナジャコ等の他の動物のつくった穴を産卵の巣として利用すると考えられているようでございます。大部分のエドハゼは、生後満一年で産卵いたしまして、すぐへい死するというパターンのようでございますが、さらに一年生き延びるものも中にはあるというように報告されております。

○かち委員 今報告されましたけれども、エドハゼ自体の生態系というのは、なかなかまだはっきりとしたものは確定していないというふうに聞いております。東京都の環境科学研究所ニュースNo.18には、東京湾内に残る浅瀬が水環境の保全に果たす役割について載っていましたけれども、かつて東京湾には干潟や海浜などの浅瀬が豊かに広がっていました。一九三六年当時、干潟が百三十六平方キロ、浅瀬が三百八十一平方キロと、湾水域面積の四〇%を占めていたようです。それが九〇年には、干潟が十三分の一に、浅瀬が半分以下に減り、平成十年までにさらに埋め立てられて、浅瀬はほとんど消失したと書かれています。
 そういう中で、有明北の旧貯木場は、湾奥の中で唯一江戸時代からの浅瀬が残された貴重な魚たちの生育環境がはぐくまれている場所ではないかと思うのです。この間、NHKのテレビでも特集をされていましたけれども、その海底の映像も見ました。水深が非常に浅いところで一メートル、深くても五メートルぐらいの遠浅の浅瀬は、海底にゴカイ柱が無数に立って、それが海水の浄化にも役立っているということで、海水がとてもきれいでした。ハゼやシギやチドリなどのえさになる、食物連鎖がうまく保たれている状況がわかりました。クロダイやフグやマハゼの稚魚も実際にそこにいるということがわかり、魚たちの生育環境に大変適しているということがよくわかったわけですけれども、これは今どんどん東京湾が埋め立てられて、魚がすめる状況が少なくなっている中で、江戸時代からずっと残されている貴重な魚の生育場所ではないかなというふうに思うんです。
 都の環境局がことし三月に、東京都野生生物保護育成指針を出しました。絶滅のおそれのある野生生物の実態調査は、その生態などわからない面も多く、保全対策は不十分だ、情報収集のために調査研究は可能な限り広い範囲で実施していかなければならないと記されています。さらに、生態に関する知見は、分布、動態などよりもさらに不明な点が多い。今後は行政と民間の連携により、調査や情報の収集、共有が課題だとも書かれています。
 絶滅のおそれがあり、しかも生態系がまだ余りよくわかっていない、保護すべきエドハゼが、この水域で見つかったということは貴重な情報ではないかと思うのです。見つけた、江戸前十六万坪の海を守る会の安田会長が、六月七日に都庁内で記者会見も行っているんですが、環境局としては、このような都民の情報に耳を傾け、同時に、その調査をするということが指針の精神に立つものだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○江渡自然環境部長 環境局といたしましては、昭和六十一年度から、当局で実施いたしております水生生物調査というものがございまして、その結果によりますと、エドハゼの稚魚が東京港内の葛西沖人工なぎさ、お台場海浜公園、城南大橋の三カ所でかなりの数、年によって、場所によってばらつきがございますけれども、かなりの固体数が確認されておりますことから、有明北地区でも生息しているものと推測いたしております。
 したがいまして、こういう推測結果から、事業実施主体でございます港湾局に対しまして、しゅんせつ工事の実施等に際しては、エドハゼの産卵時期等を避けるように要請しているものでございます。

○かち委員 絶滅の危機が問われている、そういう生物がいることが発見されたということは、それで非常に重要な意味を持つわけでありまして、そういうものを保全していく立場に立つなら、どうすべきかということなんですけれども、今回の白書の中では、今までは経済効率や生活優先ということでやってきたけれども、今はもうそういう段階ではないと。環境を中心にした行政に変えていかなければいけないんだといっておられるわけですけれども、今の答弁ではなかなかまだそういう立場に立っていないというふうに思えるんですね。
 ここの埋立計画というのは、一部の人の反対というだけではなくて、一定や予算特別委員会の中でも、東京湾の内湾の貴重な自然を残すことを含めて、他会派の皆さんからも計画の再考を求める議論がされてきた経過があるわけです。今の、この事業を進めていくのは港湾局の仕事だということでアドバイスをするということだけでは、本当に自然を守る、環境を守るということにはならないと思うんです。白書でいっておりますように、かつての条例制定の再現を目指し、東京から環境革命を起こすとうたっているわけですから、環境局のサイドから、絶滅を危惧されている種を守るべく条例をつくるなどの姿勢をぜひ持っていただきたいと思います。
 白書の中で、今日の環境の悪化に対する危機感は、昭和四十年代のころと比べ、強くないように思えるなどという記述もありますけれども、私はそうではないと思うのです。確かに、かつてのように直接的には見えにくく、被害も直接的ではなくなってきています。しかし、このまま車依存と開発優先の政治、行政が繰り返されていけば、着実に地球環境は破壊されていく、生態系の破壊により、人間の生存をも脅かすものになるということが国民的な認識になってきているのではないでしょうか。だからこそ、一たん決まった計画でも、いたずらに自然を壊し、不必要な計画には住民投票でノーという審判が下されたり、愛知万博や三番瀬の埋立計画などのように、計画の見直しや縮小、変更が実現できる時代の流れにもなっているんだと思うのです。この際、既成の枠にとらわれることなく、都民の健康を第一に、環境を中心にした都政運営に切りかえるために、環境局の責任とその役割は大変大きく期待されていると思います。ぜひ都民の信頼にこたえるべく、環境行政のリーダーシップを発揮していただきたい。
 ぜひこの白書を、ただ白書で終わらせることなく、今後の環境行政の上で、実効性のあるものにしていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。

○清水委員 騒音問題について、三点ほど伺いたいと思います。
 環境白書の資料集の六一ぺージには、在来鉄道の騒音レベルというのが記載をされていますが、ここで見ますと、日野市で七四デシベル、足立区で七一デシベル、小平市で七一デシベル、東久留米市で七二デシベルなど大変高い騒音の数値が示されているんですけれども、全体として、この在来鉄道の騒音の状況というのは、環境基準から見てどのように評価がされるのでしょうか。

○長谷川環境改善部長 鉄道のうち、いわゆるJR線とか私鉄、新幹線とかモノレールを除きます一般の鉄道、これを在来線といっていますけれども、在来線の鉄道に関する騒音の基準としては、平成七年に環境庁が策定した指針がございます。しかしながら、この指針は、鉄道の新設または大規模改良の場合のみに適用が限定されております。このため、いわゆるこの指針を用いて、既存の鉄道の騒音を評価することは、必ずしも適当ではないんですけれども、仮に平成十年度の在来線の鉄道の騒音レベルの調査結果、これは昼間の測定値ですけれども、この指針で定める方法で評価してみますと、調査した二十五地点中十七地点が、昼間の指針値である等価騒音レベル六〇デシベルを超えております。

○清水委員 今、私が例に挙げた地区というのは、第一種低層住居専用地区とか第一種住居地区とか、大変閑静な地域ではかられた地点での騒音レベルですので、大変高い数値を示しておりますが、今ご答弁がありましたように、既設の在来鉄道には適用となっていないということで、その環境庁の指針自身が問題にされなければいけないということでは、今回この資料の中に、こういう形で騒音レベルを記載されて、じゃ、今後どうするかという問題では、国への要望も含めて、そうした地域での騒音に対する被害というのは予想できるわけで、ぜひとも考えていただきたいという要望をまずしておきたいと思います。
 それで、この在来線だけでなくて、ことし全線開通しました多摩モノレールでも、騒音の問題が起きているというふうに思うんですね。それで、直接の所管局は都市計画局ですけれども、騒音という環境の立場から、内容及び会社側の対応状況というのがどうなっているのか、そして、多摩モノレールに対して適用となっている騒音の基準というのは、どういうふうになっているのか、わかるところについて教えていただきたいと思います。

○長谷川環境改善部長 八王子市の柚木ケ丘団地内で、モノレールの走行音がうるさいという苦情がありました。会社側では、自治会に対しまして、車両の運行速度を減速するという提案をしましたが、了解を得られず、現在、対策を再検討している状況にあります。
 なお、多摩モノレールのような軌道方式の交通機関に適用となる騒音の基準は、現在定められておりません。

○清水委員 この問題は、私が耳にしたのは、ことしの六月ですけれども、昨年の十一月から会社側に対しても、また、環境局にはどの時期に耳に入ったかわかりませんけれども、騒音の問題で要望があったかのように伺っております。この区間は、五七・五%の急勾配を、速度約六十キロでモノレールが通過する地点です。皆さん、試乗されたり、ふだんも乗られていて、余り騒音などでは問題がないというふうに私自身も考えていたわけなんですけれども、この区間で、私も実際二度行って、直接その場所で聞いてみましたけれども、滑りどめ対策として設置した、けたの溝とタイヤとの摩擦音が騒音の原因だというふうに会社側もいっているわけです。それで会社側は、ことしの一月に、近隣の何件かの騒音を測定したところ、七一から七四デシベルあったということで、この地域というのは、前から道路があったわけではなくて、道路もつくってモノレールもつくったというところですから、本当に谷間のところを通って、そして急勾配のところですから、やはり音が発生するんだなということを改めて私も認識したわけです。
 会社側としては、五月に減速運転をされて、再度騒音を測定したところ、四デシベル程度減ったということで伺っておりますけれども、実際には、直接要望を出されている方から伺うと、七十六歳の方が要望を出されたようなんですけれども、八十歳まで自分は生きられないというふうに、このモルレールができてから、騒音の被害を感じて、受けとめているんですね。私も本当にそのように深刻に受けとめているということを知りませんでしたから、便利になって、眺めがよくて、いい環境の中を通っているというふうに、全体的にはそういう評価になっていますけれども、実際には近隣の方が、そんなふうに深刻に思っているということを知りまして、これは行政としてそのままにしておいていいのかなという私実感がありまして、今回取り上げたわけなんです。
 そこで伺うのは、現在、多摩モノレールのような新交通システムの騒音について、環境基準が決められていないということなんですけれども、今新しい環境への対応ということを、有害物質などでもいわれておりますし、さまざまな点からいわれているわけですけれども、この交通の問題でも、新交通システムに対する騒音の基準というものを定めるということも大事だと思うんです。それで都として、今後、個々の問題についての対応、それから、騒音の基準という問題に対して、どのように対応されていくおつもりか、お伺いしたいと思います。

○長谷川環境改善部長 新交通システムにつきましては、先生もご指摘のように、我々もその構造上、在来線に比べて騒音の問題は少ないものと考えておりました。
 しかしながら、今ご指摘があったように、多摩モノレールで苦情がありましたことから、現在、あそこは東京都環境影響評価条例に基づきます事後調査を行っていますので、私どもも、その事後調査を検証する中で、その実態の把握に努めていきたいと思っております。
 なお、在来鉄道の問題につきましては、従前からその騒音問題の重要性はよく認識しておりまして、今現在騒音の実態の把握に努めております。そして、その測定結果に基づきまして、鉄道事業者に対して、改善を要請しているところであります。しかしながら、既設の鉄道の騒音の改善につきましても、それを直ちに実施することは、技術的に非常に難しいのも事実であります。このため、都としても鉄道事業者に要請するほか、国に対してもその防止対策の確立をすること、そういうことを提案、要求しているところであります。

○清水委員 直接要望を出された方は、改善されない場合は、お年なんですけれども、転居も考えているというふうな言葉も伺ったんですね。そういう意味では、直接の対応は会社と都市計画局ですけれども、やはり都としての誠意ある対応を、直接自治会と住民には行っていただきたいということと、この新たな騒音基準というものについても、在来鉄道も含めて何らかの対応策とか基準とかということについても考えていただきたいと思います。
 それから、白書の関係でいいますと、直接環境局にこの情報が入っていたかどうかということを確認しないでいうのもあれなんですけれども、昨年の十一月に苦情が出されたということでは、この白書の中には、直接新しい環境への問題として掲載されていないんですよね。ですから、私もたまたま聞く機会がなければ、これを見逃していったというふうに思うんです。それで、深刻にそれを受けとめている都民の方のそれを聞かずに過ぎてしまっていたという点では、本当にたまたま得た情報なんですけれども、環境白書の中に、そういう問題、確かに少数かもしれませんが、仕組みとしては新しい問題ですから、記載ができたらよかったなというふうに、これは今後の問題として要望しておきたいと思います。
 この問題は終わりまして、最後に、環境白書に対する全体の評価について述べておきたいと思います。
 今度の環境白書は、資料集も今例に挙げさせていただいたんですけれども、大変豊富でありますし、それから、先ほども質問ありましたように、さまざまな諸外国の交通施策なども紹介しながら取り上げられて、全体として評価する部分は大変多くあるというふうに思います。しかし、一番の根本の部分が避けられているという点と、それから、先ほど委員もいわれましたように、実効性がどのように保障されるかという点、問題が二つあるということを指摘したいと思います。
 特に、自動車公害問題の解決を、特集を組んで取り上げております。イギリスなどの都市交通政策の変化を紹介しています。道路建設がかえって自動車交通を増加させているという点や、交通需要に対して道路建設だけで対応することは不可能であるということなど、こういう点について教訓として導き出しているという点は評価をしたいと思うんです。しかし、実際には、先ほどの委員もいわれましたように、都政全体として、環状道路の建設の促進ということが、交通需要対策が具体化される前に強調され、推進をされていっているというのが実際だというふうに思うんですね。
 そして、現実には、現在の財政事情の中で、道路建設も環状道路に重点化が置かれています。しかし、財政の好転などという事情によっては、現在計画されている都市計画道路、これ区部も多摩もまだ多く残っているというふうに出されているわけなんですけれども、そういう状況の中では、環状道路だけではなくて、都市計画道路の建設が全都的に同時多発的に進められていくということが非常に予測されるわけです。そういう意味では、自動車の誘発とか、先ほどご説明ありましたけれども、全体量を減らさなければ、環境への負荷はふえるだけであるということは、イギリスの例などにも、環状道路だけつくったけれども、実際の予測量から交通量が多くふえているなど例がありますけれども、そういう点では、実際にはふえていくということがいえると思うんです。そして、環境局が、TDMの問題にしても、政策報道室と同じ立場に、もちろんそれは都庁の中ですから、立つというのはわかるんですけれども、独自の環境保全の立場に立って、私は、道路の建設もあるかもしれないけれども、その前に、交通需要抑制政策というものを本当に具体化して減らしていって、それでも足りない場合に道路を建設する必要があるのかなという共通の合意が必要だと思うんですけれども、現在は先に、ということで思っています。
 白書では、そういう点で、白書の評価ですけれども、評価する部分は多いけれども、都民の環境保全の立場に、根本的な部分で立ち切れない部分が含まれているということを指摘をして、質問を終わりたいと思います。

○尾崎委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○尾崎委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で環境局関係を終わります。

○尾崎委員長 これより都市計画局関係に入ります。
 理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○成戸東京都技監 本日は、三宅島火山活動及び神津島近海での地震による被災家屋等への対応につきまして、並びに九月六日に開催を予定いたしております第百四十五回東京都都市計画審議会に付議を予定しております案件について、ご報告をさせていただきます。
 まず、今回の地震災害における都市計画局の対応についてでございますが、七月二日に三宅村から、また、五日には神津島村から、被災家屋の状況を調査し、住民からの相談に対応するための専門職員を派遣してほしいとの要請がございました。
 このため、当局では、三宅村には七月三日に、神津島村には五日に、それぞれ建築技術職員を派遣し、被災家屋等への対応を行ったところでございます。
 次に、第百四十五回東京都都市計画審議会に付議を予定しております案件について、ご説明申し上げます。
 今回付議を予定しております案件でございますが、東京都の決定にかかわるものが全部で十四件ございまして、その内訳は区部で二件、市町村部で十二件でございます。また、区の決定案件でございますが、法定の都市計画審議会が設置されていないことから、知事が同意するに当たり、都市計画法第十九条第五項に基づき付議する案件が五件ございます。その他の付議予定案件といたしまして、土地区画整理事業の事業計画の変更に伴う意見書の審査が二件、廃棄物処理施設の用途に供する特殊建築物の許可が二件でございます。
 それでは、引き続き、それぞれの担当部長からご説明いたしますので、よろしくお願いいたします。

○小林建築指導部長 三宅島火山活動及び神津島近海での地震による被災家屋への都市計画局の対応についてご報告いたします。
 資料1をごらんいただきたいと存じます。A4一枚のこういった資料でございます。
 初めに、去る六月二十六日の夕刻から始まりました三宅島の火山活動への対応でございますが、この火山活動は、溶岩の流出という最悪の事態は免れましたが、七月二日に三宅村から、阿古地区の被災家屋十八棟の調査と相談業務を行うための専門職員の派遣要請がございました。
 このため、翌三日に、建築技術職員二名を派遣いたしまして、要請のございました被災家屋十八棟を初め、被災家屋周辺の建築物十一棟を含めまして、合計二十九棟の建築物につきまして、基礎部分のひび割れや柱など主要構造部のゆがみ等を実査いたしまして、被災状況の調査と相談等の対応を行いました。
 調査の結果の概要でございますが、危険と判断されたものが一棟、要注意と判断されたものが三棟でございまして、残り二十五棟の判断は、いずれも支障がないというものでございました。
 次に、七月一日十六時二分に神津島近海で発生いたしました地震への対応についてでございますが、この地震の震源の位置は、神津島東方約五キロメートル、地震の規模はマグニチュード六・四、神津島の震度は六弱というものでございました。
 その後、震度三から四の地震が継続して発生しておりましたが、七月五日に神津島村から、この地震による被災家屋約五十棟の調査と相談業務を行うための専門職員の派遣要請がございました。
 このため、同日、五日の夜に、建築技術職員六名を派遣いたしまして、七月六日及び七日の両日に調査等を実施いたしました。
 調査の結果でございますが、調査を実施した建築物は六十棟でございまして、このうち、危険と判断されたものが三棟、要注意と判断されたものが二十一棟でございまして、残り三十六棟の判断はいずれも支障がないというものでございました。
 その後、七月八日の未明には、台風三号が神津島付近を通過いたしまして、この台風三号により、がけ崩れ等の被害が発生をいたしました。現地におきましては、神津島村からの要請を受けまして、七月八日に、新たに七棟を加えた被災家屋の調査を再度実施をいたしました。
 七月八日の再調査の結果でございますが、調査を実施した建築物は六十七棟でございまして、このうち、危険と判断されたものは六棟、要注意と判断されたものは二十三棟でございまして、残り三十八棟の判断はいずれも支障がないというものでございました。
 さらに、昨日のことでございますが、七月九日午前三時五十七分に再びマグニチュード六・〇、神津島の震度は六弱を記録するという大きな地震が発生をいたしました。現地では、神津島村からの再度の要請を受けまして、七月九日、昨日でございますが、新たに一棟を加えた被災家屋六十八棟すべての調査を改めて実施をいたしました。
 七月九日の再々調査の結果でございますが、調査を実施した建築物は六十八棟でございまして、このうち、危険と判断されたものは七棟、要注意と判断されたものは二十一棟でございまして、残り四十棟につきましては、いずれも支障がないというものでございました。
 これらご報告した内容は、いずれも現地との連絡によりまして、現在判明しているものでございます。
 以上でございます。

○杉浦施設計画部長 第百四十五回の都市計画審議会に付議します主要案件でございます都市計画道路調布保谷線の変更について、ご説明申し上げます。
 お手元配布資料、主要案件説明資料の二ぺージ及び主要案件図面集の一ぺージをお開きいただきたいと存じます。
 本案件は、三鷹都市計画道路三・二・六号線及び武蔵野都市計画道路三・三・六号線、すなわち調布保谷線を変更するもので、東京都環境影響評価条例の対象事業であり、今回はいわゆる後合わせ案件でございます。
 調布保谷線は、多摩川にかかります多摩川原橋の調布市側を起点としまして、調布市、三鷹市及び武蔵野市を経由しまして、保谷市の埼玉県境に至る全線約十四・二キロの路線でございます。
 今回、三鷹市の東八道路から武蔵野市の井の頭通りまでの約三・一キロの区間につきまして、沿道環境の保全、都市防災の強化などの観点から幅員を変更するものでございます。
 経緯でございますが、当該路線は、平成九年二月に都市の骨格を形成する幹線道路として都の重点事業に位置づけられまして、平成九年四月に、調布-三鷹区間を、平成十一年二月には、保谷区間を順次都市計画変更してございます。
 今回の三鷹-武蔵野区間につきましては、平成十年二月に、都市計画変更素案の地元説明会を行い、平成十一年五月に、都市計画変更案の公告、縦覧を行ったところでございます。
 変更内容でございますが、主要案件図面集の二ぺージをお開きいただきたいと存じます。
 下段の横断図に示してございますように、本線四車線の両側に、沿道環境の保全を図るため、幅員十メートルの環境施設帯を設置いたします。これによりまして、現在の計画幅員二十五メートルを三十六メートルに拡幅変更するものでございます。この環境施設帯は、歩道、植栽帯、副道等で構成することとしておりますが、事業実施の段階で、関係機関や地元住民などの意見を聞きながら、詳細を決定する予定でございます。
 施行予定期間は、平成十三年度から平成二十二年度とし、東京都建設局が施行いたします。総事業費は、約六百五十億円を予定してございます。
 この調布保谷線の拡幅変更に伴いまして、関連案件といたしまして、三鷹都市計画道路三・四・八号連雀中央通り線など五路線の起点及び終点の位置、あるいは延長等を変更いたします。
 続きまして、環境影響評価についてご説明いたします。
 お手元の主要案件説明資料の三ぺージ以降に要約を記載しておりますので、ごらんいただきたいと存じます。
 平成十年十二月に、評価書案を提出いたしましたが、この提出いたしました評価書案に対しまして、本年三月三十日、知事より審査意見書を受けたところでございます。その内容は、五ぺージの左側の欄に要約してございます。
 この中で、本事業の評価書案における予測、調査及び評価は、おおむね東京都環境影響評価技術指針に従って行われたものと認めておりますが、評価書を作成するに当たり、留意すべきとされた主な事項につきましては、供用後における自動車から排出される粒子状物質についても予測すること、さらには、供用後における道路交通騒音については、等価騒音レベルについても予測すること、などでございます。
 これらの事項に対しまして、参考として、自動車の排気管から直接排出される浮遊粒子状物質の試算結果を追加すること、また、等価騒音レベルによる試算結果を追加するなど、現在、環境影響評価書を作成しているところでございます。
 環境に及ぼす影響の評価の結論につきましては、説明資料の四ぺージに記載してございますが、評価の基準を下回ると予測されていますことから、本事業の実施が周辺環境に与える影響については、都市計画を変更する上で支障ないものと判断してございます。

○尾崎委員長 説明は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 まず、三宅島火山活動及び神津島近海での地震による被災家屋の調査等について発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○尾崎委員長 発言がなければ、次に、第百四十五回東京都都市計画審議会の付議案件について発言を願います。

○吉野委員 今回の定例会の中でも、首都移転の問題が話題になりました。東京が首都としての地位を確たるものとするためには、都市基盤の整備を一層進めて、魅力的で活力のある都市に発展をさせることが必要であるというふうに思っております。幹線道路の整備も、その重要な柱の一つであります。
 そこで、現在、東京都が整備に力を注いでいる多摩地域の南北道路のうち、ただいま説明もありました調布保谷線について伺いたいと思います。
 調布市から保谷市までつながっている調布保谷線は、ここ数年の間に調布-三鷹区間や保谷区間において拡幅する都市計画変更を行っておりますけれども、それらの変更区間は、現在どのような進捗状況になっているのでしょうか。

○杉浦施設計画部長 調布保谷線の多摩川から埼玉県境十四・二キロのうち、中央道から東八道路までの、調布-三鷹区間と呼んでございますが、二・二キロございますが、この区間につきましては、平成九年四月に都市計画変更を行い、十一年六月に事業認可を取得しまして、用地買収に着手したところでございます。
 また、青梅街道から埼玉県境までの保谷区間は三・九キロでございますが、平成十一年二月に都市計画変更を行い、現在、測量作業を進めており、今年度中にも一部事業認可を取得する予定でございます。

○吉野委員 今伺いましたところでは、これまで計画変更をしたところについては、順調に進んでいるようであります。ぜひ今後もスムーズに事業が進んでいってほしいというふうに願っております。
 そこで、あと、最後に残っております今回計画変更する三鷹-武蔵野区間について、今後スケジュールはどういうふうになっているのか、お伺いをいたします。

○杉浦施設計画部長 本日ただいまご説明申し上げました三鷹-武蔵野区間につきましては、本年秋の都市計画変更を経まして、来年度から測量調査及び事業化を予定してございます。事業の完成は、平成二十二年度と想定してございます。

○吉野委員 何度もいいますけれども、調布保谷線の整備をぜひ積極的に進めていってもらいたいというふうに考えております。
 一方で、多摩地域全体を見ますと、都市計画道路が順次整備されてきておりますけれども、いまだ不十分であるといわざるを得ません。三鷹市においても、この数年間目に見えて整備が進み始めたとの認識は持っておりますけれども、近隣市と比べて、まだおくれているというのが市民の実感であります。
 そこで伺いますけれども、三鷹市における都市計画道路は、どの程度完成をしているのでしょうか。

○杉浦施設計画部長 三鷹市におけます都市計画道路の完成率でございますが、平成十一年三月末現在で、二九・三%となってございまして、これは、都内全域における都市計画道路の完成率五〇・九%はもとより、多摩地域の完成率四五・六%に比べても、大幅に下回っているという状況でございます。

○吉野委員 今回のこの調布保谷線は、完成しますと、三鷹市に限らず、多摩地域全体に大きなメリットがあるものと期待をしております。特に今回の道路のありようが、両側に環境施設帯を配することによって、周辺環境に対する負荷を軽減するばかりでなく、都市の風格をも醸し出す景観が創出されてくるのではないかというふうに考えております。
 本日説明のありました三鷹-武蔵野区間が完成すると、どのような効果があると考えているのか、改めてお伺いをいたします。

○杉浦施設計画部長 本路線の三鷹-武蔵野区間の完成によりまして、多摩川原橋から埼玉県境までの延長約十四・二キロが、一部を除きまして、ほぼ四車線化されるわけでございます。これによりまして、不足しております多摩の南北道路として、機能的で安全快適な都市活動に寄与する役割を果たすものと期待できるところでございます。
 具体的には、所要時間の短縮はもちろん、歩行者の安全の確保、あるいは住宅地に入り込む通過車両の排除による住環境の改善、あるいは延焼遮断帯としての防災性の向上など、沿道のみならず多摩地域の発展に大きな効果があると考えてございます。
 さらに、ご指摘のとおり、環境施設帯を整備することによりまして、沿道の生活環境の大幅な向上が図れるものと思ってございます。

○吉野委員 私は、先ほどの答弁の数値にもありましたように、多摩地域の都市計画道路の整備は、いまだ不十分であるというふうに、何度も申し上げますけれども、考えております。また、今後、区部とは違った独自性や個性を明確にして、多摩の魅力ある都市づくりを進めていくためには、都市計画道路の整備が不可欠であるとも考えております。
 調布保谷線を初めとして、多摩地域の都市計画道路の整備を今後どのように進めていくのか、東京都技監の所見をお伺いをして、質問を終わります。

○成戸東京都技監 多摩地域におきましては、自立都市圏の形成を目指す道路ネットワークの整備が不可欠でありまして、とりわけ南北方向の道路は、機能的な都市活動と安全で快適な都市生活の実現を目指し交通機能の確保を図る、こういう点で非常に重要な路線でございます。
 今回変更いたします調布保谷線は、南北方向の骨格道路の一つでございまして、車道の両側に十メートルずつ環境施設帯を設けることによりまして、沿道環境を保全しつつ交通渋滞の解消を図るという、二十一世紀にふさわしいモデル的な道づくりを目指すものでございます。また、東京圏全体で見ましても、魅力と活力のある国際都市東京を実現するためには、環状方向の地域連携を図ることが重要でありまして、東京圏全体を視野に入れた環状メガロポリス構造とも呼ぶべき、新しい東京の都市構造を目指した都市づくりを進める必要があると考えております。
 多摩地域は、こうした東京圏の都市構造の一翼を担って自立都市圏を形成していくためにも、圏央道でありますとか、外環、南北方向の道路など骨格となる道路を初めといたしまして、おくれている都市計画道路を整備していくことは、大変重要なことだと考えております。今後策定いたします都市づくりビジョンにおきましても、改めてこれらの道路の重要性について、位置づけていきたいというふうに考えております。

○たぞえ委員 それでは、付議予定案件のうち、二つに限ってきょうは質問をしたいと思います。
 初めに、今、若干議論がありました調布保谷線であります。現道の全くない住宅市街地、車が一台ようやく通る車線、四メートル程度の一方通行の現道が、この説明でも、一万六千メートルも続いている、そういう地域のほかにも片側一車線、幅員十メートル程度の現道が全線の半分以下、そういうところに拡幅の計画が今回提案をされているわけです。この道は、一九六二年に二十五メートルに拡幅をする、こういう都市計画変更が、今から三十八年前に行われました。当初は住民の間からも、歩道の整備や、また朝の渋滞の解消など効果的な方法であるということで、一定の合意もされてきている道路です。
 しかし、今回は、当初の計画変更案が棚上げにされて、今度は一気に三十六メートル、現在の計画よりも四割以上も幅が広がる、これが今回の提案の中心点です。この三十六メートルの計画をそのまま進めますと、都市計画局が発表している数字だけでも、現在の交通量は一日昼間十二時間で五千八百台ですか、これが平成三十七年には一日三万五千八百台、約六倍にも膨れ上がって車が誘発される、こういう内容であります。
 拡幅による立ち退きが予定されている建築物の戸数も、現在の二十五メートルの計画では二百三十戸ですが、三十六メートルになりますと三百八十戸、約七割立ち退き戸数がふえる、こういう内容です。
 建設費ですけれども、当初の二十五メートルの段階では、どのぐらいの事業費だったのか。今回、三十六メートルの幅の場合は、事業費は幾らと見ているのでしょうか。

○杉浦施設計画部長 今回の三鷹-武蔵野区間三・一キロを、例えば現計画幅員二十五メートルで整備した場合、大まかな試算でございますが、約五百億円程度と想定されます。また、今回の区間を変更いたしますと、そのときの事業費は、六百五十億円と推定してございます。

○たぞえ委員 今度の変更は、多摩の重要な骨格をなす道路だということで、位置づけが直りますと途端にお金がふえてくる。百五十億円も膨らんでいるわけです。そのために、国と都の財政負担ーーもう一枚の全線の地図を出してほしいんですが、この赤い全区間の路線で千八百億円、こういう計画であります。三十六メートルへの計画の変更こそ、多摩の域内交通を緩和できる、こういうふうに先ほどの説明もありましたが、では、二十五メートルの計画の場合でも、同じ片側二車線なのに、なぜ二十五メートルは緩和の性格を持ってなかったのか、なぜ同じ二車線で三十六メートルになると、緩和の効果が生まれるのか、大変疑問です。
 こういうことを考えてみますと、今度の路線は、単に多摩の域内交通の緩和ではなくて、どうやら、この地図でも出てきていますように、中央道や東八道路、また井の頭通り、新青梅、そしてその先の関越自動車道などと、どうしても接続が将来見込まれてしまう、そういう意味からの重要性が国の業務核都市構想の中で位置づけられてきたというふうに、意味が浮かんでくるわけです。ですから、市民の方からは、何とずさんで場当たり的な計画だと、こういうお話が私の方にも届いています。
 その一方で、東京都は財政危機だ、危機だといって大変騒いでいるわけですが、老人医療費助成制度、この七月から段階的な廃止、老人福祉手当もこの八月から段階的な廃止に入ります。そして、特別養護老人ホームへの都の加算も廃止で、合わせて一千億円に及ぶ福祉と医療費の削減が、都政史上かつてない規模で一方で行われる。しかし幹線道路だけは、きょう提案されている区間だけでも百五十億円のプラスになって、全体が千八百億円、こういう計画になっているわけです。ですから、幹線道路は削減対象にならない。福祉はしっかり削減対象になる。まさにこういう計画の中でのことですから、調布や武蔵野市、三鷹市、保谷市の市民の皆さんからは、今でもこの計画に対する見直し要求が出ているのは、私は当然だというふうに思います。
 この道路計画の道路部分ですけれども、三鷹市で二・七ヘクタール、武蔵野市で二・三ヘクタール、合わせて五・〇ヘクタールです。
 伺いますけれども、今回の計画幅員を広げた場合、道路の境界線、一番端から、現在の用途になっております第一種低層住宅や商業住宅がありますけれども、そういう今の用途地域の人々は、変更されることが基本だと私は思っていますが、用途が変更されるんでしょうか。

○勝田地域計画部長 調布保谷線に関連をいたします用途地域等のお尋ねでございます。現在の都市計画の用途地域の指定状況でございますが、今回、幅員を変更しようといたします区間のおおむね中間地点から南側、三鷹市側につきましては、路線二十メートル幅で第二種中高層住居専用地域、それから中間地点から北側のちょうど三鷹市と武蔵野市の市境が、都市計画道路の幅員の中心線になりますが、この部分には第一種低層住居専用地域が面的に指定されております。また、この間に、その他一部路線敷に近隣商業地域などが指定されておる、こういう状況のところでございます。これらの用途指定につきましては、現在、この用途地域の指定基準によりまして、道路整備事業の進捗状況あるいは整備の見通し等を踏まえて実施する、こういうことになっておりまして、既に決定済みの調布区間につきましては、事業認可が平成十一年六月になされたことなどを勘案いたしまして、平成十年三月に用途地域等の変更をいたしました。
 今回の区間につきましても、こうした経緯を参考にいたしまして、用途地域等の変更を検討する必要があるというふうに考えておりまして、特に今回の提案区間につきましては、今ご指摘ございましたが、北側のほぼ半分区間につきましては、現道がほとんどないという状況もございまして、第一種低層住居専用地域が面的に指定されているという現況にございます。都市計画道路整備をきっかけといたしまして、地元市が沿道にふさわしい新たな用途地域をどのように指定すべきか検討中ということでございますので、都といたしましても、地元市と協議を続けるとともに、道路の事業認可の時期等を念頭に置きまして、今後適切に対処していきたいというふうに考えております。

○たぞえ委員 用途を変更されるということですが、それでは、その用途が変更される区域は、道路境界線から何メートルまで奥に区域が広がるのか。また、それに伴う宅地内の用途変更の面積はどうなるんでしょうか。

○勝田地域計画部長 現段階では、用途地域変更につきましては、変更いたします内容、時期等未定でございますが、仮に、前回変更いたしております調布市区間と同様に、計画幅員変更後の道路境界線から、路線敷に二十メートルの幅で変更するということが有力かなと考えておりますが、この場合、合計で約十一・四ヘクタールになります。このうち、道路予定部分を除きます宅地部分のみでは約六・四ヘクタールでございます。

○たぞえ委員 現道十メートルに面した人々にとっては、道路用地として新たに二十六メートル提供するわけです。三十六にするんですから、現道十で、二十六提供ですね。その方々は、さらに道路の境界線から奥二十メートルを道路の建設に伴って用途変更せざるを得ない。こっち側も二十ですよ。ですから、真ん中の二十六ですね、それから両端の二十、二十で四十、合計で六十六メートルの新たな部分が道路用地と新しい用途の指定の対象区域に編入されていく。今まで道路に全く影響のなかったずっと奥の人たちも、間接的な影響を受ける、こういうことになるわけです。
 三鷹市の、今図面で出ている、現道のないところの人たちはどうかということですが、三十六メートルの幅員にするわけですから、一方通行の四メートルのところが部分的にあるんです。その人たちをちょっと考えてみますと、新たに土地を道路として提供するのは、三十二メートルの区域の部分の人、そして、それぞれまた二十、二十ですから、七十二メートルがこの計画によって直接的な影響を受けるわけです。道路の面積は五・〇ヘクタール、しかし、用途は別に六・四ヘクタール、合わせて十一・四ですからね。こんなに広域な影響を、この調布保谷線というのは都民に与えざるを得ない。ですから、いとも簡単に拡幅拡幅といいますけれども、道路用地にかかる人だけの問題じゃないということなんです。そういう意味で、住宅環境が改変する大変大きな問題だといわざるを得ません。
 こんな大事な問題なんですが、先ほどの説明ではーーじゃ、この用途どうするのかという問題については、今回提案しているんですか。

○勝田地域計画部長 先ほどもご答弁申し上げましたが、現在は用途地域等の変更につきまして、地元市で検討中でございまして、その内容等は明確となっておりませんので、今回ご提案を申し上げていないという状況でございます。

○たぞえ委員 私、先日、東八道路から三鷹駅まで歩いてみました。そのずっと前は、調布駅から東八まで歩いて、今回歩きましたので、これで大体全線歩いてみたわけですが、歩いて現地の人に飛び込みで意見を聞いてみました。特に選挙が終わったばかりでしたので、ポスターのはがしがされていないお宅がありましたので、私どもの党と違う方のポスターのところを主に歩いてみたわけです。
 伺った意見は、これは無差別で入っていますので、お店の方もあるし、普通の住居の方もいらっしゃるし、いろんなケースで入ってみました。共通していますのは、細かいことは後で紹介しますけれども、多くの方が、将来のまちのあり方が見えないということを皆さんいっているんですね。ただ、道路が広がることはよく知っている。だけれども、そのことによって、自分が今住んでいる家とか、そこにある公園とかお墓とか畑とか、一体どうなるのかと、これは全く教えてくれない。今、部長が、まだ合意がーー合意というんですか、協議が進んでいないとおっしゃったけれども、既に説明会が何度も開かれたけれども、その住民が一番知りたいことは一切語られていないんですよ。ですから、今まで第一種低層の住宅だった人が急に商業になったりしたら、これ税金、どうするんだと、こういう不安にかられるのは当然じゃないでしょうか。そういう点で市民の皆さんがずさんな計画だというようにおっしゃっているわけですよ。
 都市計画局の皆さんは、今度のこの道路計画について、都市の空間を確保できるというふうにいろんな場所でおっしゃっていますけれども、確保というのは道路の確保であって、都民の暮らしを確保する空間じゃないです。道路面積の確保で、車はスムーズに通れるけれども、そこに暮らす人たちの大事な空間というのは、なくなってしまうんですよ。
 しかも説明の中でも、地域の健全な発展に寄与するということをおっしゃっていますが、そのお訪ねした六十五歳の女性の方がこういっていました。家はすっぽり道路の中に入ってしまいます、環境どころか家を立ち退かなければならない、もう生活の張り合いも、生きる張り合いもありません。こういって白旗を上げているんです、もうどうにもならないと。年配の男性はこういっていました。土地を借りているが、できればもっと長く住んでいたかった、自分の持ち家ならいいたいことがたくさんあるが、計画部分は借地なので物がいえる立場ではない。こういって、ラーメン屋さんでしたが、ついにこの道路によってラーメンのスープの火を消さなきゃいけない。将来の生活もかかっているわけです。
 こういう意見を述べている方は、この二軒の紹介した意見だけじゃないと思います。こんなに不安を抱かせておいて、説明もしない、用途も方向も示さない、これでどうして住民の健全な気分と暮らしに寄与することができるんですか。

○勝田地域計画部長 調布保谷線は、多摩地域の南北方向の骨格道路でございまして、交通の円滑化を図るとともに、住宅地から通過車両を排除することによりまして、住環境の改善、防災性の向上等を実現する道路として計画されるものでございます。このような性格を持つ道路に関連をいたします地域の用途地域等の変更につきましては、現状の用途地域の指定状況、地域特性、また道路事業の条件等を考慮して行うべきと考えております。
 今後、計画道路の整備の進捗状況、地元のまちづくりの動向などを勘案するなどいたしまして、さらに地元市が今後住民の方々への説明を十分に行う予定と聞いておりまして、これらを踏まえまながら、市と十分連携をとりながら、用途地域等の変更の方向を定めていきたいというふうに考えております。

○たぞえ委員 きょうは九月の都計審に提案するということで議会に報告をしているわけですが、まだ地元に説明がされていないわけでしょう。九月まで一体説明もできるかどうか、今の答弁では住民への説明を十分に行うと聞いているけれども、これを踏まえて方向を決めたいと。だけれども、保障はないですよ。結局住民は聞かないうちに道路だけは決まってしまう。こんな、合意もない、しかも都民の税金が都民を追い出してしまうような、これでは都民はとても納得は得られないんじゃないでしょうか。
 これまで道路構造と用途というのは一体で、まちのあり方を提案していたのが都市行政の基本だというふうに私は思っていました。今回のように道路の構造と建物の配置や用途が切り離されて、全く別のテーマになっていることに大変驚いています。
 東京都技監にお尋ねをしたいと思いますが、まちづくりというのは、道路という路線だけの固有の土地の問題だけではないというふうに思います。そこにはまちの歴史と人々の暮らしもあり、そのために建物の用途のあり方や必要な公共施設の配置など、いろんなのが複雑に絡み合ってまちというのは生まれて、つくられています。大型幹線道路である今度の調布保谷線だけは、このまちづくりの理念とは切り離されている手法がまかり通る認識で、都市計画の手続を行って進むというのが、東京都の道路計画のスタンスなんでしょうか。

○成戸東京都技監 お尋ねございましたように、重要な都市施設としての道路計画と土地利用計画としての用途地域の関係でございますけれども、これはまちづくりを進めるに当たりまして、相互に非常に密接な関係にあるというふうに考えております。したがいまして、従来から都市計画道路とこれに関連いたします用途地域の変更に際しては、具体的なケースに応じて行ってきているというのが実態でありまして、具体的に申し上げますと、三つほどのケースがあるというふうに思います。
 一つには、道路が完成もしくは完成がほぼ見込まれた時点で変更するケースでございます。用途地域等の指定基準におきましても、道路整備事業の進捗状況や整備の見通し等を踏まえて実施するとございますように、これが最も一般的な方法であるわけであります。
 二つ目は、道路の整備スケジュールを示しながら、できるだけ早期に用途変更を目指すというケースでございます。区部の都市構造再編プログラムでありますとか、多摩地域におきます都市基盤整備プログラムというものがこれに当たるわけでありまして、これは道路などの整備によります地域の都市構造再編に向けた道筋を前もって示して、おおむね五年以内に完成する予定の路線で、沿道の用途地域に変更が必要な場合には、こういうようなケースで、沿道の土地利用を喚起するという目的で行うものであります。
 三つ目が、都市計画道路の都市計画決定でありますとか、変更と同時に用途地域の変更を実施するというケースでありまして、これは一定幅員の現道がある場合など新たに用途地域に見合った建物の建築が可能で、その利用にも支障がない場合に行うことになります。
 こういったケースがあるわけでありますが、これからのまちづくりに当たりましても、地域が目指すまちの実現に向けて、地元自治体と密接な連携を図って、具体的なケースに応じて適切な時期に用途地域の変更を行っていくと。同時に内容につきましても、地域の特性、地域住民の意向を勘案するなどして、地域にふさわしい用途地域にしていくことが必要であるというように考えています。

○たぞえ委員 具体的なケースがあるというお話でしたけれども、住民の感覚はどのケースとかという問題じゃないんですよね。自分たちの目の前に大きい道が出現をすることによって、まちがどう変わるかということについて、市側からの適切な説明がないと、だから不安を感じているんですよ。ですから、このケース、あのケース、どのケース、こういう選択の問題じゃないんです。やっぱり事業を進める行政が、それに対応するきちんとした説明の手続などが不安なままに道路だけが先行して決まっていくというところに、今回の住民の疑問があるんじゃないでしょうか。
 先ほど他の委員からは推進するべきという声がありましたが、私はそういう今の実情の中では、財政規模も考えて、この計画は急ぐべきではないし、もっと住民合意がされている現都市計画道路二十五メートル、これを急いでやるべきである、このことを改めて申し上げておきたいと思います。
 次に、能ケ谷の区画整理事業についてです。
 町田市は、東京都が業務核都市として構想を発表して以来、業務・商業の集中が加速をしてきました。そのために広大なベッドタウンが必要だとして、今日、宅地開発が急速に進んでいます。町田市にお尋ねをしましたら、今後の町田市の人口推移は、現在、二〇〇〇年六月時点で三十七万五千人であります。二〇〇五年三十七万七千九百三十一人、二〇一〇年三十七万八千七百六十人、二〇一五年三十七万七千二百六十二名と、大変細かな数字が推測されているようですが、ほとんど人口は横ばいである、東京都総務局統計部にも確認しましたら、このようにいっていました。
 そのため、能ケ谷東地区区画整理事業の隣にあります鶴川第二土地区画整理事業、これは都市基盤整備公団が大規模な造成を行いましたけれども、一昨年三百八十戸ぐらいの集合住宅の開発の見通しが立たなかったために、これを現在中止をしました。そのため削られた山林は、今地肌がさらけ出されて鳥がわびしく飛んでいるという状況です。市の当初のもくろみが外れて、ツケは自然の改変だけでした。
 数年前の夏に大ヒットしましたアニメーション映画の「平成狸合戦ぽんぽこ」という場面で、年をとったタヌキがこういっています。山はすべての生き物のものじゃ、勝手になくさんでほしい、こうタヌキは語っていた。このタヌキたちは、多摩ニュータウン建設のブルドーザーにすみかを追われたタヌキたちでした。このタヌキは隣接する町田市の雑木林に逃げ込んできたというのがこの映画の内容です。しかしその町田市も、雑木林、緑地も安住の地ではなくなったということが大変印象で残っています。
 このような事態にもかかわらず、宅地造成の方針の見直しは行われていませんで、東京都は、この隣接する今回の能ケ谷東地区の区画整理事業に三十八億円税金を投入すると、こういうことを発表しています。社会経済の急激な変化のもとで、都市で急速にこのように進展する丘陵地における宅地開発に対して、行政がどう自然の保全と回復を図って、次の我々の世代に自然の環境をどう引き継いでいくか、このことが今、私は行政にとっても大変大事な課題だというふうに思います。
 そこで、いろいろ調べてみました。町田市内では、事業中と計画中の区画整理事業は全部で四十九地区、二千百三ヘクタールにも及んでいます。この能ケ谷の東地区のお隣でも民間開発が行われておりまして、住宅団地が三カ所で三十三・七ヘクタール、七百四戸の計画です。これとは別に集合住宅、ちょっと外れたところですが、六十八戸の住宅が昭和四十年代以降建ち並びました。ですから、もうこの能ケ谷地区の山肌は、本当に地面だらけという形に姿を変えています。私は都市における緑化、緑地というのは、人間生活にとっても、生態系にとっても非常に重要なものだというふうに思っていますけれども、技監はどのようにお考えでしょうか。

○成戸東京都技監 緑は人間にとって非常に重要な意味を持っておりますけれども、特に都市におきましては、緑によって季節感や潤い、安らぎを感じるなど、人間の生活にとって大切であるとともに、野鳥、小動物など一連の生態系の維持にとっても大切なものであるというふうに認識をしております。このような認識から、これまでも都市計画に当たりましては、緑の保全と回復を図るために、都市内に公園や緑地などを適切に配置するよう努めてまいりました。また、個別の開発に当たりましても、今ある緑を極力残し、また回復するように努めてきたところであります。
 今後策定いたします都市づくりビジョンでありますとか、緑の東京計画におきましても、こうした考え方を十分反映させてまいりたいというふうに考えております。

○たぞえ委員 能ケ谷東地区は、これまで植林、森林の植生が四七・六八%、草地が一八・六三%、農地が三一・一一%、合わせて九七%という自然が大変豊かなところで、多摩丘陵の自然が奇跡的に残っていたところです。この丘陵地で新たに生まれる道路、今回割合として、二一・三七%、住宅が七百二十区画、計画人口は二千五百二十人、こういう新興住宅がこの地に生まれるわけです。
 図表によりますと、公園などが配置されるということでありますけれども、これまであった残留緑地は、どういうふうに確保されるのでしょうか。

○森下地区計画担当部長 委員ご指摘のように、この地区内には、公園緑地として約二一%程度は確保する予定でございますけれども、その中で従来からの残留緑地としましては、約一・二ヘクタールでございまして、その割合は、地区全体としては約四・七%となります。今、後ろの図面にお示ししてありますけれども、赤い部分、緑が緑地、その部分の中に赤く残っておりますのが残留緑地でございます。

○たぞえ委員 本当に驚く数字ですね。今までほとんど全部、一〇〇%が緑に覆われた山だったのが、たった四・七%しか残らない。
 そこで私は、先日、町田市と東京都とこの区画整理組合の方にご案内をしていただきまして、現地を見てまいりました。視察をしたのは私一人なんですが、同行した方が十何人という、何かぞろぞろ歩かせていただいたわけですが、現地を歩いて、今、図面が出ているちょうど真ん中の地点で全体を見てみましたら、三百六十度全部よく見えるわけです。しかし、山の樹木は、今出ている図面の白い部分は、木が一本も生えていないです。そして、全体がなだらかな丘に、平地になっているわけです。
 東の谷、済みません、棒で指していただきたいんですが、図面では一番上の方です、赤い枠のある近く。その道路のところなんですけれども、この地域、平地にしたために、谷に土を埋め立てたんです。向こうに家があるんですけれども、そのお宅の二階までが土で盛られてきているんですね。だから、目の前に谷が見えていたのが、急に大きな土の壁が出現をしたところでありました。この区画整理中心地の最高標高が八十五・四メートルです。ずっと下にあります鶴川街道は三十六・九メートルですから、標高差が四十八・五メートルも、こんなにあるんです。そのために、先ほど部長がおっしゃいましたように、緑と赤というところが、いわゆるがけの地域になるわけです。特に赤色はがけなんです。
 そこを見てみましたら、目の下、急斜面になっておりまして、いろんな木が生えていました。これは住宅には適しない部分なんです。ノネズミとかアリとかは住めるけれども、人間には全く使用価値のない谷なんです。これが今度の残留緑地なんです。ですから、何か緑が二一%、残留緑地が四・七%とおっしゃるけれども、要するに端っこです、みんな宅地としては使いものにならないところですよ。それがわずかに残されたという話だけであって、政策的に、計画的に残留緑地を確保したということではないんです、ということが現地へ行ってよくわかりました。
 こういう状況ですから、平成七年に地域の方々、三万八千百六十三名が、自然と人間の共生を願って公立の自然公園にぜひしてもらいたい、こういう請願を都議会に出してまいりまして、私もそのときの請願の審査にかかわりましたし、きょうでこの能ケ谷問題、三回目なりますけれども、やはり多く方が、がけや谷を今のままで残してほしいというのが共通した声です。
 都としては、緑地のこうした今までの水準をとどめるために、どのような努力をされてきているんでしょうか。

○森下地区計画担当部長 東京における自然の保護と回復に関する条例がございまして、それによりますと、緑地の面積は開発区域面積の三%以上が必要でございます。また、土地区画整理法では、三%以上の公園が必要となってございまして、したがいまして、公園及び緑地の合計で、事業区域面積の六%以上が必要となります。これは一般的な考え方でございます。
 本地区におきましては、生態系や良好な緑地環境の配慮も求めまして、公園緑地を積極的に確保していくよう調整を図ってまいりまして、その結果、六%を大幅に上回る地区全体で約二〇・六%の公園緑地を設けることとなったわけでございます。
 こうしたことから、駅に至近であるというような市街地の区画整理事業としては、緑の水準としては相当に高い水準のものは確保できたという認識を持ってございまして、今回の地区計画の決定などとあわせまして、引き続き、市とともにその緑豊かな市街地形成のために努力していきたいと考えているところでございます。

○たぞえ委員 緑地の確保は当然だと思うんですよ。しかし、どう見たって、あの画面から見ても、緑といわれる部分は本当に少ないなという気がします。では、なぜ二一%なのか。これから街路樹を植えるからですよ。二一%とか四・七%とか一・二ヘクタールとか、数字だけが躍っていますけれども、もともとあったこの山林がなくなるわけですから、本当に自然喪失だということを改めて申し上げておきたいと思います。
 こういう状況で市街化が進んでいる中で、九五年に都市緑地保全法が改正されて市民緑地制度が取り入れられました。この制度は、樹林地を持つ土地の所有者と自治体が提携することによって、市民が緑地を利用できる、そういう制度です。これを使えば、固定資産税非課税の措置もあって、今後、有効な制度として注目をされています。同時に、自治省が認可しております公共用地先行取得等事業債、この活用も公有化にとっては大変重要な手法です。このことは、私が平成八年のこの都市計画決定の際にも、局に強く要求をした内容です。こういう内容も含めて、自然を極力残す仕組みづくり、これに行政が最大限の努力を払うべきだと思いますが、これからどのようにやっていかれるのでしょうか。

○森下地区計画担当部長 緑を残す手法ということでございますけれども、もちろん一番確実でありますのは、都や区市町村などの公共団体などが、緑地として買い取るようなことであるかと思いますけれども、残念ながら財源的にも限りがある状況でございます。
 このほかにも、今、委員ご指摘のように、地権者の理解が得られるという前提でございますけれども、都市緑地保全法に基づく、今の緑地保全地区に指定する方法であるとか、あるいは市民緑地の契約を結び良好な状況に保全する制度など、自然地を自然樹林のままに保全する制度がございます。また、今回のような土地区画整理事業の中でも、一定割合の確保を義務づけるなど、極力自然のまま残すような協議、調整を図っていくということが重要ではないかと思っております。こういったさまざまな手法を組み合わせながら、都市内に自然地を残すように努力していきたいと考えているところでございます。

○たぞえ委員 今日の国土利用が、環境に及ぼす影響という点から考えてみると、環境への負荷の増大と自然地の減少、劣化、これ大きく、深くかかわっているというふうに思います。その点で、きょう、前半の環境白書の問題でも指摘がありましたけれども、ごく普通の経済活動や日常生活を生み出す活動が、総体として許容範囲を超えてしまうことがしばしばあるわけです。数字上、緑をこれだけ確保しなきゃいけないということが決まっていますが、それは守られて当然という考え方を全部平行移動しますと、結局緑の総体数というのは大変少ない数字に置きかえられてしまいかねないです。ですから、法律や条例があるといって、そのことだけを固守していると、どうしても環境対策には限界が生じやすい。そのことによる摩擦がどうしても起きやすいということがあるんじゃないでしょうか。
 都市における土地利用のあり方を今後検討するに当たっては、その土地が持っている多様な機能、もともとの更地とか、山とか畑とか谷とか、そのもともとの持っている土地の役割、形状、こういうものに改変を行う場合には、特に規模の大きい場合には、影響が大きいということを、開発行政を行う場合には、極めて慎重に判断を下さなくてはならないと思います。
 この計画地のところを歩いてみまして、それまで電車で見ていた大きな森が、もうはげ山になってしまった、はげただけじゃなくて、なくなっちゃたわけですから、こんな大きな規模の開発をやる場合には、そのことが将来どういう影響を及ぼすかということも相当慎重に対応を、今、部長が答弁されましたような、いろんな公共的な緑地の買い取りの方法も含めて、手だてを下さなきゃいけないと思います。
 最後にお伺いしますのは、こういった土地の開発を、転換を行う場合に、開発を回避する検討ですとか、開発がやむを得ない場合でも、代償措置を講ずる手法を取り入れる検討をするべきであるかと思いますが、いかがでしょうか。

○森下地区計画担当部長 先ほど来申し上げてございますけれども、大規模な土地利用転換を伴う開発の場合には、極力緑地や公園の確保を図ることとしてございますけれども、やむを得ない場合、それを行うという場合に、代替措置として宅地内の緑化を促進することが考えられると思います。
 例えば、今回もそうでございますが、地区計画によって、敷地面積の最少面積を定めることによりまして、宅地内に植栽されることが期待できますとともに、例えば、境界のさくは生け垣とするということを定めることも可能でございます。また、地権者の全員の同意によりまして、区域内の緑のあり方について定め、都市緑地保全法に基づく緑地協定を締結する手法もございます。そういったいろんな手法を織りまぜまして、自然環境との調和のとれたまちづくりを進めていくことは大切であると考えております。

○たぞえ委員 きょうは能ケ谷の問題だけでありますが、多摩地域各所で、今計画されているさまざまな地区計画や区画整理事業、再開発、どれをとってもそこに暮らす人々や自然への影響は避けられません。残されたわずかな東京のこうした空間を、行政の力がこれを守ることが一番の使命でありますし、そのことに本当に努力をしなければならないというふうに思います。このことを求めておきたいと思います。
 最後に、きょう、委員会で成戸東京都技監が最後だというようなお話もお聞きしましたので、一言だけ申し上げておきたいと思いますが、実は成戸技監が局の業務にかかわっていらっしゃるときに、二子玉川の駅にエスカレーター、エレベーターをつけてほしいという請願が審査されまして、私が質問をいたしました。私が質問に先立って、また現地に行きましていろいろ調べたら、階段が四十三段で本当に大変だというのを実感をしましたら、現局長、早速現地に行かれて、前の晩だったでしょうか、調査をされてきました。調査をした人間と、した者同士が、その問題点をきちんとえぐって、そしてとうとうこのエスカレーターが、上り下りとも四基、この三月につけられまして、多くの方々が喜んでいらっしゃいます。この点でも技監には、議会での論戦もいろいろありましたけれども、改めて、世田谷区民を代表して、お礼を申し上げておきたいと思います。
 しかし、いろんな問題がありまして、全部頭を下げるわけにはいかないということを申し上げておきたいと思います。
 以上です。

○大西委員 確認させてください。先ほど環境白書の二〇〇〇というものが出されました。その中で特集として、自動車と都市環境の危機というものが出されておりました。その中に交通需要の増大に道路の整備だけで対応する時代は、世界的に見ても終わりつつある、都市交通政策のこうした変化は、我が国の施策展開を見ているだけでは実感することができないが、欧米の多くの国においては、自動車利用から公共交通や自転車、歩行への明確なシフトを図る新しい政策が展開されているということが記されておりまして、私は非常に納得したわけですが、今回の調布保谷線のこの横断図、環境施設帯として十メートルとってあります。この図を見ますと、副道があるわけですが、歩行者ーー一番右の小さいのが歩行者かな、一番左の奥が自転車をあらわしているのかなと思っているんですけれども、前も私は自動車にかわる交通手段として、自転車というものが非常にこれからは重要になると、CO2 の削減にも日本はちゃんと削減をするということを宣言しているわけですから、そういうことで、自転車道の整備が重要になるということをいってきたわけですけれども、これは歩行者と自転車は相変わらず一緒に走るということなんでしょうか。

○杉浦施設計画部長 車道四車線の外側に十メートルずつの環境施設帯を、という基本的概念は決めてございますが、環境施設帯をどういうふうにつくっていく、それでどういうふうに使っていく、これはまず第一に、やはり地域の皆様方とご相談をしながら、あるいはその要望を聞きながら、どんなものができるかということを決めていきたいと思ってございます。

○大西委員 これまでも歩行者と自転車は、歩道を自転車が走れば歩行者にとって非常に脅威ですし、自転車が車道を走れば自転車は車がすごく怖い存在になるわけですよね。だから、そういう意味でも、やはり自転車道というものをしっかりと位置づけていくことが必要じゃないかということを私は機会あるごとにいっているんですけれども、これからの道路づくりということもちゃんと盛り込んでありますので、その辺をーーどう見てもこれは自転車も歩行者も一緒よというような意味にしかとれないんで、その辺を新しい道路づくりにはしっかりと入れていってもらいたいと思うんです。
 というのは、この環境白書の中にありましたけれども、イギリスの政府の諮問委員が作成して、幹線道路と交通の創出という報告書がありました。その中にはイギリスが、車が混雑するから、結局新しい道路をつくる。それは解決したとはいえないで、新しくまた新たな交通を誘発するーー誘発交通と名づけたということを紹介していて、本当にこれの繰り返しだと思うわけなんです。
 だから、今後、都市計画局では、外環の道路、中央環状、それから南北道路、いろんな道路計画があるわけですけれども、やはりこの辺をしっかりと、この誘発交通の部分を踏まえないと、なかなか次の道路づくりが、新たな公共施設とか自転車へのというような、そこまで広がっていかないと思うので、この辺を十分に踏まえた道路建設、これが必要じゃないかと思っていますが、その辺はいかがでしょうか。

○杉浦施設計画部長 環境白書にございました誘発交通というものが、イギリスの例と同じように、例えば東京にも、どの程度あるのかというのは今の段階ではわかりませんが、これからつくります道路計画の中で、やはり公共交通への転換、その中でも、とりわけ委員おっしゃいました自転車に交通機関としての市民権を与えていくというような、そんな観点も多分必要だろうと思っております。
 例えば、この横断図で一番端っこに自転車が入るのかというようなことに対しましては、例えば豊島区の放射三六号線という道路がございますが、それは環境施設帯の中に副道をつくっておりまして、自転車の走行は主に副道を通りまして、部分的に交差点や何かの近くではこの歩道の方に戻ってくるという、そんな使い方もしてございます。いろいろそれらのことは、今後の課題でもございますし、工夫の余地があるところでございますが、自転車対策も重要な施策の一つと十分認識しているところでございます。

○大西委員 せっかくの環境白書、いいことを盛り込んでありますので、ぜひ生かした道路づくりをしてほしいと思います。

○尾崎委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○尾崎委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市計画局関係を終わります。

○尾崎委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
 本日まで決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○尾崎委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○尾崎委員長 この際、所管局を代表して成戸東京都技監から発言を求められておりますので、これを許します。

○成戸東京都技監 環境局及び都市計画局の二局を代表いたしまして、一言御礼のごあいさつを申し上げます。
 都市・環境委員会におきましては、委員長を初め委員の先生方には熱心なご質疑を賜りまして、まことにありがとうございました。
 ご質疑の過程でいただきましたご意見、ご指摘等につきましては、今後の事務事業の執行に十分反映させ、万全を期してまいりたいと存じます。
 今後とも一層のご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして、大変簡単ではございますが、御礼のごあいさつとさせていただきます。
 まことにありがとうございました。

○尾崎委員長 発言は終わりました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時四十分散会