委員長 | 尾崎 正一君 |
副委員長 | 清水ひで子君 |
副委員長 | 吉野 利明君 |
理事 | 大西由紀子君 |
理事 | 森田 安孝君 |
理事 | たぞえ民夫君 |
真鍋よしゆき君 | |
竹下 友康君 | |
かち佳代子君 | |
谷口 卓三君 | |
新藤 義彦君 | |
立石 晴康君 | |
内田 茂君 | |
田中 晃三君 |
欠席委員 なし
出席説明員都市計画局 | 東京都技監都市計画局長兼務 | 成戸 寿彦君 |
次長 | 安間 謙臣君 | |
技監 | 山下 保博君 | |
理事 | 塩野 忠弘君 | |
総務部長 | 本多 靖男君 | |
総合計画部長 | 高田 茂穗君 | |
開発企画担当部長 | 山崎 俊一君 | |
地域計画部長 | 勝田 三良君 | |
地区計画担当部長 | 森下 尚治君 | |
施設計画部長 | 杉浦 浩君 | |
航空政策担当部長 | 山内 一良君 | |
開発計画部長 | 林 孝二郎君 | |
建築指導部長 | 小林 崇男君 | |
参事 | 河島 均君 | |
参事 | 只腰 憲久君 | |
環境局 | 局長 | 齋藤 哲哉君 |
理事 | 安樂 進君 | |
総務部長 | 平井 健一君 | |
特命担当部長 | 野田 一雄君 | |
企画担当部長 | 梶原 康二君 | |
技術担当部長 | 関 寿彰君 | |
移管事業調整室長 | 志村 啓文君 | |
環境改善部長 | 長谷川 猛君 | |
参事 | 小島 高志君 | |
自動車公害対策部長 | 松葉 邦雄君 | |
自然環境部長 | 江渡順一郎君 | |
廃棄物対策部長 | 薄 厚一君 | |
環境評価部長 | 町 格君 | |
環境科学研究所次長 | 萩本 秋彦君 |
本日の会議に付した事件
請願陳情の取り下げについて
都市計画局関係
請願の審査
・一一第一三九号 千代田区一番町の超高層マンション建設反対に関する請願
・一一第一六四号 (仮称)「中央区月島一丁目地区開発計画」の抜本的計画見直しに関する請願
環境局関係
請願の審査
・一一第一七五号 都の公共施設で塩素を含まない商品を使うことに関する請願
報告事項(説明)
・東京都環境白書二〇〇〇について
報告事項(質疑)
・東京都公害防止条例の改正について(東京都環境審議会の答申)
・東京における自然の保護と回復に関する条例の改正について(東京都自然環境保全審議会の中間のまとめ)
・杉並中継所周辺環境問題調査委員会報告について
○尾崎委員長 ただいまから都市・環境委員会を開会いたします。
初めに、第二回定例会及び今後の委員会日程について申し上げます。
先ほどの理事会におきまして、お手元配布の日程表のとおり申し合わせをいたしましたので、ご了承を願います。
次に、請願陳情の取り下げについて申し上げます。
お手元配布の請願陳情取り下げ件名表に記載してございます請願陳情につきましては、議長から取り下げを許可した旨の通知がありましたので、ご了承を願います。
なお、件名表の朗読は省略いたします。
請願・陳情取下げ件名表
1 請願一一第一二六号 板橋区若木三丁目の(仮称)「若木壱番館マンション」建築計画に関する請願
2 請願一二第四号 板橋区徳丸三丁目マンションの建設に関する請願
3 陳情一一第一五二号 (仮称)「コスモ大島一丁目」建設計画に関する陳情
○尾崎委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市計画局及び環境局関係の請願の審査並びに環境局関係の報告事項の聴取を行います。
これより都市計画局関係に入ります。
請願の審査を行います。
初めに、一一第一三九号、千代田区一番町の超高層マンション建設反対に関する請願を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○小林建築指導部長 整理番号1、一一第一三九号、千代田区一番町の超高層マンション建設反対に関する請願につきましてご説明いたします。
お手元説明表の一ページ並びに二ページをお開きいただきたいと存じます。
本請願は、千代田区にお住まいの、クラブ関東超高層マンション対策協議会代表、深川安明さん外一千四名の方から提出されたものでございます。
請願の要旨でございますが、千代田区一番町二十一番地、クラブ関東の敷地に三菱地所が計画している二十六階建て超高層マンションの建設については、反対であるので、建築確認をしないでいただきたいというものでございます。
現在の状況でございますが、東京都中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例に基づきます建築計画を周知する標識は未設置でございます。また、建築確認につきましてもまだ申請されておりません。建築主に対しましては、近隣関係住民と誠意を持って話し合いを行うよう指導するとともに、適宜、報告を求めているところでございます。
なお、建築計画の概要でございますが、建築主が住民説明会で配布いたしました資料によりますと、用途地域は商業地域及び第二種住居地域、敷地面積は三千八百七十一・四六平方メートル、延べ面積は二万九千七百八十三平方メートル、建物用途は会議室、共同住宅、百四十一戸でございます。建物階数は地上二十六階、地下三階でございます。
○尾崎委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
○たぞえ委員 千代田区一番町のマンションにかかわって、一点だけ伺いたいと思います。
このマンションは、高さ八十九・二七メートル、二十六階建てで、工期は四年半、こういう計画が出ています。マンション問題、さまざまな問題がありますけれども、私は、今度の一番町のマンション建設に象徴的に、東京の高層マンションの乱立によって、周辺の住環境への、改変ですとか、日照阻害、景観影響、こういう周辺住民との矛盾が引き起こる大変な事態が都内各地に頻発をしているというふうに思っています。
東京都の調査によりますと、十年度だけでも、建築紛争は都内で百四十九件に及んでいます。このような開発行為は、どのようなものであっても、その影響は地域の実情によって一つ一つ異なっているわけですが、これまでの実例では、東京都が事前に相互協議を行うために仲介という機会をつくっています。しかし、法には抵触してないということで、実質的には建築計画がほぼ申請どおりの中身で建ってしまう。
住民サイドから見てみますと、現行の建築基準法のもとで、この住民の疑問や異議について幾ら唱えても、結局は、住民が法社会に具体的に参加する手だて、道筋には限度があるということがよく指摘されます。その行政側も調停以上は、その先には入り込めない、こういうのが実態ではないでしょうか。
そもそも都市の進め方というのは、住民にとって生活にかかわる非常に大事な仕事だと思います。この仕事はできるだけまとまった生活圏の中で、まちをつくる、それにはやはり日常的に住民参加で、どういうまちが一番望ましいのか、このことを常に蓄積をしていかなければならないというふうに思うんです。
ですから、突如ビルができ上がるということでのいろいろな摩擦が起こるわけですから、ビル側も、そして既存の住民側も、どういうまちをつくるかということに常に知恵を出し合っていないと摩擦が起こってくると思います。
用途変更が八年度に行われましたが、次の用途変更の時期と内容をきっかけにして、どういうまちを形成するのか、また、区市町村のマスタープランへの積み上げなども、これを契機に考えていく必要があると思います。そういう歯どめをつくらない限り、またそういうことを行政が提起をしない限り、これからも建築紛争はおさまらないのではないかと思います。
そこで、建築指導部長に伺うんですが、これからの都政においては、紛争のないまちづくり、これはどのように都としては進めていこうと考えていらっしゃるのか。お願いいたします。
○小林建築指導部長 確かに、マンション等の建設に伴いまして、一部の地域ではさまざまな問題が生じていることも事実でございます。日照ですとか工事の騒音ですとか、そういった建築紛争もその一例だというふうに思っております。こうした建築紛争を防止していくためには、建築主も近隣の住民の方々も、お互いに相手の立場を十分に理解して、互譲の精神を持って十分に話し合いでもって解決していくことがまず必要だというふうに思っております。
また、これまで以上に、先生がご指摘のように、地域のまちづくりと申しますか、地域のまちづくりのルール化といったものを、常日ごろから行政と住民の方々で十分に煮詰めながら、そういったルール化を図っていくことも重要であるというふうに思っております。
東京都といたしましては、よりよい地域づくりという観点から、今後とも、紛争の未然防止に努めるとともに、区市町村が主体になって進めることになると思いますけれども、地域のまちづくりを都市計画行政と建築行政がよく連携を図りながら支援をしてまいりたいというふうに考えております。
○たぞえ委員 とかく、どういうまちをつくるかという場合に、行政がつくったプランに従いなさいというケースが、これまでかかわった紛争を見てみますと大変多いです。後から住民がついてくる。その住民も、なぜこのビルが、建物が建つのか、その根拠がはっきりつかめないままに物が建っていってしまう。ですから、自分たちが生まれ、育ち、住んでいるまちがどうあるべきかということについて住民がかかわれないままに改変が行われていくということに、大変住民は今危惧をしているんではないかというふうに思うわけですね。
私は、やはりプランやビジョンをつくる上で、行政のリーダーシップというのは大事なんですけれども、そこにどう住民の知恵、力を参加させるか、そういう仕組みづくりをつくるかということを、それは当然行政にあると思うんですけれども、しかしそのことが前提であるということが大変これから貴重になるんではないかなというふうに思うんです。
きのう新聞を見ていましたら、人々がまちをつくるんだというちょっとした記事がありまして、では人々とは一体、後から来たことをいうのか、前に来た人たちのことをいっているのか、その区分けというのはないわけです。しかし、今の東京全体でのこういう建設では、人々というのは、新しいビルをつくる人たちのことを指していて、既存の人たちは除外をされてしまいかねない。
例えば駐車場のところに高層のマンションが建った場合に、隣接する平家住宅はほとんど、法的にはクリアしているからというので、排除されてしまう。これまで与えられた日照などもすべてとられてしまう。これになにもいえない、法律があるからどうにも太刀打ちできない、これでは共存というのはあり得ないだろうというふうに思います。
そういう点でも、今回の一番町のマンションの問題については、まだ建築申請が出ておりませんが、申請の段階では、やはり一番町のまちをどうするかということについて行政としてのリーダーシップがないと、法の壁のもとで住民の異議とかいろいろな気持ちは途絶えてしまいかねないというふうに思いますので、そういう点では、行政としての対応も今までの枠を超えて住民側の支援ということも考えていただきたいというふうに思います。
以上です。
○尾崎委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本件は、保留とすることにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○尾崎委員長 異議なしと認めます。よって、請願一一第一三九号は保留と決定いたしました。
○尾崎委員長 次に、一一第一六四号、(仮称)「中央区月島一丁目地区開発計画」の抜本的計画見直しに関する請願を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○小林建築指導部長 整理番号2、一一第一六四号、(仮称)「中央区月島一丁目地区開発計画」の抜本的計画見直しに関する請願につきましてご説明をいたします。
お手元説明表の三ページ並びに四ページをお開きいただきたいと存じます。
本請願は、中央区にお住まいの、小久保誠也さん外一万四十五名の方から提出されたものでございます。
請願の要旨でございますが、日本新都市開発株式会社及び株式会社大林組東京本社が、中央区月島一丁目六、七、八番地に計画している仮称月島一丁目地区開発計画による共同住宅の建設計画について、いつまでも住み続けられるような地域の良好な環境を守るため、抜本的な見直しを行っていただきたいというものでございます。
現在の状況でございますが、建築計画の概要は、用途地域は商業地域、敷地面積は四千百六十・五七平方メートル、延べ面積は四万一千六百七十三・一九平方メートル、建物用途は共同住宅、店舗、事務所、建物階数は地上三十二階、地下二階でございます。
総合設計の許可申請は、平成十二年一月二十一日に受理をいたしまして、東京都総合設計許可要綱実施細目に基づきます公聴会を、三月二十三日に開催したところでございます。
開発行為の許可についてでございますが、中央区が平成十二年一月七日に許可をしておりますが、請願者らは、開発許可処分について東京都開発審査会に審査請求を行っております。
また、総合設計許可申請による本件建築計画につきましては、四月十七日に開催いたしました東京都建築審査会に付議をいたしまして、同意をいただきまして、平成十二年六月十四日に許可をしたところでございます。
なお、許可後も引き続き当事者間の話し合いを継続するよう指導をしておりまして、その経過等につきまして適宜報告を求めているところでございます。
○尾崎委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
○清水委員 今回出されている請願の署名をされた方々は、今ご説明がありましたように、一万人を超える、中央区としては大変多数の方が請願を出されていると思うんですが、特に今回の建物で一番懸念をされている問題として、直近にあります月島幼稚園の児童への影響ということがいえると思うんです。それを含めて何点かお伺いするんですけれども、この月島幼稚園への日照の影響というのはどのようになっているんでしょうか、お伺いいたします。
○小林建築指導部長 月島幼稚園の日照の影響でございますけれども、本件建築計画による冬至における朝八時から夕方四時までに生じる日影のうち、月島幼稚園にかかる日影はおおむね朝八時から十時三十分ぐらいまででございます。
また、既存の建築物による日影の影響もございますので、増加する日影というのは一時間程度というふうに考えております。
○清水委員 幼児にとって午前中の日照というのは非常に重要だと思うんです。一日何時間日照があるかということももちろんですけれども、特に区内などでは午前中に十分な日照を浴びて向上していくということは重要なことだと思うんですけれども、今話がありましたように、今までも一時間ほどの影響があった、これからまた一時間日照時間に影響があるということでは、やはり午前中のこの時間というのは大変大きいということで、この幼稚園の父母の方々が大変心配されるということは当然だと思うんですね。
それで、工期も三年ほどになるんでしょうか、そういうことになりますと、交通とか、工事の騒音とかということでは大変心配されるというのは当然だと思うんです。前にも触れたことがあるんですけれども、中央区では、昨年の四月に教育環境に関する基本条例というのを制定をされています。ここには、子どもの心身の健全な成長にとって極めて重要なもので環境や自然があるということを認識して、教育的な見地からその維持向上に努めなければならないとして、騒音や日照阻害の防止に努めるとするということで、第五条に日照阻害などの防止に努めるとするというふうになっているんですけれども、この条例に、この計画というのはどういうふうに考えられているのかお伺いしたいと思います。
○小林建築指導部長 中央区の教育環境に関する条例に関するお尋ねでございますけれども、事業者は、同条例に基づきまして中央区の教育委員会からの協力要請を受けまして、計画の内容について、父母の方を含めて月島幼稚園に何回か説明を行っているというふうに聞いております。
また、日照の影響につきましては、今回の建物は超高層の建物ということで、一般の建築物に比べますと、塔状の建物ということで、直近に及ぼす影響は通常の建て方をするよりも少なくなる、そういった日照上の配慮はされているというふうに考えております。
また、先生お話の同条例に基づきます五条の中には、子どもと自然との触れ合いが保たれるよう緑地、水辺等の整備に努めるということが二項に入っておりまして、この計画の中では、公開空地を積極的に緑化をし、子どもたちが自然と触れ合える環境整備を行いまして、そういった場を提供するというようなことから、同条例の趣旨にも配慮した計画になっているというふうに考えております。
○清水委員 そういう内容などについては、当然これまでの説明会などでも、幼稚園の保護者なども受けていると思うのですよね。しかし、この間のそうした事業者の、今いわれたような、子どもが自然と触れ合える公開空地を緑化するんだというような中身なんかも、日照や騒音などと比べた場合に、やはり子どもたちへの影響が多いのだということで、幼稚園の保護者などの方が心配されているというのは、いわゆる今説明された内容というのは、まだ説得力があるものではないというふうに予想できるわけです。
ですから、その点についても、引き続き、それが計画されているから子どもの教育環境はクリアしているのだというふうに考えないでいただきたいと思うのです。
それからもう一つ、同じく中央区がつくっている条例の中で、これは平成二年から審議されてできた、住宅及び住環境に関する基本条例というのもこの区ではつくっておられまして、調和のとれた生活環境の形成とか、区民が安心して住み続けられる条件を確保する健全なコミュニティというような趣旨でつくられているわけです。
そういう点から、この地域は昔ながらの町並み、それから路地、これらはほかに類を見ないような最大の観光資源で、住民や訪れる人々に潤いや憩いを与えているということで、この月島の町並みに三十二階の建物がそぐわないのではないかということも、反対されている多くの住民の方の意見だと思うのですけれども、そういう内容についてはどのように考えておられるのか、お伺いいたします。
○小林建築指導部長 周辺の町並みとの整合というようなお話でございますけれども、当計画地には月島一丁目地区地区計画が決定されておりまして、当該地は、その中で一般街区に位置づけられております。その中で、土地の有効利用を図り、定住性の高い住宅の立地誘導により、都心居住を推進するとともに地域の防災性の向上を図ることが求められている地域でございます。
本計画では、三百七十戸の住宅を供給することにより都心居住に貢献するとともに、敷地外周部に、先ほども申し上げましたけれども、公開空地を確保することにより、地域環境の改善や防災性の向上を図っていくこととしております。
また、本計画では、一階の北側に月島西仲通り商店街と連続した店舗、六店舗でございますが、配置をし、公開空地をパーゴラのある広場として整備をして、下町らしいにぎわいのある空間として整備するとともに、既存の商店街との調和を図り、地下鉄有楽町線、直近にございます月島駅の出入り口と西仲商店街とを結ぶ動線として誘導するなど、歩行者の安全性と快適性を高める計画となっておりまして、先生お話しの中央区の住宅及び住環境に関する基本条例の理念にも沿っているというふうに考えております。
○清水委員 もし、そういう内容のものとして住環境に関する条例にもクリアしているというふうに思われるのでしたら、三百七十戸の住宅がどうしても必要なのか、三十二階の高さがどうしても必要なのかという点では、もっと事業者が住民とか・・たくさんの住宅を供給すれば人口がふえるというのはわかりますけれども、しかし目的が、そういう形でも今までの町並みを残したいという意見もあるわけですから、その高さは変えない、戸数は変えないというような事業者の姿勢というのはいいのかなという点では疑問がありますが、事業者は住民などに対してどのように対応してきたのか、それから、現在どのように対応されているのか、お伺いしたいと思います。
○小林建築指導部長 事業者の住民対応の経過等につきましてでございますけれども、事業者は、平成九年二月より街区内の、街区内というのは現在の計画地でございますが、勉強会を数度にわたり実施いたしまして、その計画内容を、平成十一年八月ごろより町会等に対しまして十数回にわたり説明会を実施し、住民の理解を得られるよう努力してきたというふうに聞いております。
現在は、近隣住民の方々と工事協定の締結に向け、準備を進めているというふうに聞いているところでございますけれども、今後とも引き続き当事者間の話し合いを継続するよう指導しておりまして、その経過等につきましては適宜報告を求めているところでございます。
○清水委員 今、工事協定の締結に向けということでいわれましたが、中には判を押されている方ももちろんあると思うのです。しかし、今までの説明で納得できないという方もあると思うのです。最後の一人までというかどうかは別にしても、意見がある間は事業者の話し合いの継続というのは必要だと思うのですけれども、一番最近の話で、事業者が話し合いに応じていただけないという話も伺いました。そういう点では、今ご説明がありましたが、話し合いを継続するよう指導しているといわれましたので、きょう伺ったところによりますと、話し合いに応じてもらえてないということでしたので、その点では指導を強めていただきたいというふうに思います。
そして、最初からお話がありましたように、子どもたちへの環境にも配慮したいのだ、町並みにも配慮したいのだという事業者の気持ちがあるのであれば、もっとよく話し合っていっていただきたいというふうに要望して終わります。
○尾崎委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件は、保留とすることにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○尾崎委員長 異議なしと認め、よって、請願一一第一六四号は保留と決定いたしました。
以上で請願の審査を終わります。
以上で都市計画局関係を終わります。
○尾崎委員長 これより環境局関係に入ります。
請願の審査を行います。
一一第一七五号、都の公共施設で塩素を含まない商品を扱うことに関する請願を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○梶原企画担当部長 一一第一七五号、都の公共施設で塩素を含まない商品を使うことに関する請願についてご説明申し上げます。
請願の趣旨は、都民の暮らしと健康を守るために、都みずから塩素を含む商品の使用を抑制し、代替商品を使っていただきたいというものでございます。
ダイオキシン類の発生のメカニズムは、いまだその全容が解明されている状況ではございませんが、野焼きなど、適切な燃焼管理が行われていない場合には、塩化ビニール等塩素を含む廃棄物を焼却することによって、ダイオキシン類濃度が高くなるおそれがあると指摘されております。ダイオキシン類対策の推進に当たっては、こうした指摘について考慮することも必要であります。
危機突破・戦略プランにおいては、燃焼方法によりダイオキシンが発生するおそれのある塩素含有プラスチックについて、都みずから消費の抑制を図るとしております。
本年三月には、都における環境に配慮した物品調達推進方針を取りまとめました。この中では、物品購入等の際、製造、使用、廃棄等の各段階で有害物質を使用し、または排出しないものを選択することとしております。
塩素含有プラスチックは、日用品等に幅広く使用されており、今後、新たな製品の開発や流通の状況を見ながら、より環境に配慮したものを求めていくこととなります。
説明は以上でございます。よろしくご審査いただきますようお願いをいたします。
○尾崎委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
〔「なし」と呼ぶものあり〕
○尾崎委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本件は、趣旨採択とすることにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○尾崎委員長 異議なしと認めます。よって、請願一一第一七五号は趣旨採択と決定いたしました。
以上で請願の審査を終わります。
○尾崎委員長 次に、理事者から、東京都環境白書二〇〇〇について報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
なお、本件につきましては、本日は説明を聴取した後、資料要求を行うことにとどめ、質疑は後日の委員会で行いたいと思いますので、ご了承願います。
○梶原企画担当部長 東京都環境白書二〇〇〇についてご説明申し上げます。
お手元に、資料2といたしまして、「東京都環境白書二〇〇〇」についてと表題のついた二枚つづりの資料、また、資料3、資料4といたしまして、白書の本体と資料集をお届けしてございます。白書本体はかなりボリュームがございますので、ここでは資料2の方でご説明をさせていただきます。
では、一ページ上段の概要をごらんください。
右枠内の条文に記載のとおり、東京都環境白書は、東京都環境基本条例の規定に基づき、都民に環境の状況、環境の保全に関する施策の実施状況等を明らかにするために作成されているものでございます。
今回の白書の特色は、東京の環境の危機をテーマとするとともに、特に自動車と都市環境の危機を特集した点にございます。また、白書の発表に当たりましては、より多くの皆さんに内容をごらんいただけるよう、環境局のホームページに、図表も含め全文を掲載しております。
それでは、白書の主な内容についてご説明申し上げます。
第1部は、環境の危機でございます。ここでは、1、都民の健康と環境、2、都市における生活の質の低下、3、他地域への依存の高まりと環境負荷という三点で、今日の東京における環境の危機の特徴を描くとともに、4、環境と都市の活力で、環境をよくすることが都市の活力を高めることにもつながるという視点を提起しております。さらに、5では、今日の環境の危機が見えにくい、原因がとらえにくく対処が困難という特徴を持っていることを指摘しております。
右側に二つのグラフを載せております。上の方のグラフは、ヒートアイランド化によって生じているといわれる東京における熱帯夜の増加傾向を示したものでございます。一九六〇年代には熱帯夜の日数は年に十五日前後でしたが、今日では三十日近くと、ほぼ倍増しております。
下のグラフは、他地域への依存の例として、東京から排出される産業廃棄物の最終処分地の割合を示したものでございます。東京都内で最終処分されるのは約二割であり、残りの八割は、関東近県を初め他の地域での処分に依存していることを示しております。
二ページをごらんください。第2部は、今回特集いたしました自動車と都市環境の危機でございます。
まず、1といたしまして、ディーゼル車の増加とその原因を示すとともに、欧米各国や我が国で行われているディーゼル車排出ガスの健康影響に関する調査の内容を紹介しております。
右側の一番上のグラフをごらんください。棒グラフは、東京の貨物車に占めるディーゼル車の割合を示すものですが、一九七〇年代には二割台であったものが、八〇年代に急上昇し、今日では東京の貨物車の六割がディーゼル車になっております。折れ線グラフは、ガソリンと軽油の価格の差を見たものです。目盛りは右側になっておりますが、七〇年代の初めまでは、軽油はガソリンよりも一リットル当たり二十円程度安いだけでしたが、この価格差は七〇年代後半から急に拡大し、九〇年代初めまでは五十円程度の差でございました。棒グラフと折れ線グラフをあわせて見ますと、燃料価格差の拡大がディーゼル車増加の背景にあったことがうかがわれます。
2は、自動車公害対策の問題点でございます。
まず、排出ガス規制に関してですが、今回の白書では、国の排出ガス規制の内容を欧米との比較を中心に分析し、粒子状物質への規制の実施がおくれたこと、欧米よりも規制値が緩やかなものになっていること等の問題点があることを指摘しております。
右側真ん中のグラフは、粒子状物質の排出ガス規制値を日本、EU、アメリカの三者について比較したものです。今日についても、また将来についても、我が国の規制値が最も緩いことが明らかでございます。
次は、自動車交通の集中でございます。東京の大気汚染が深刻な状態にある大きな原因の一つは、今申し上げましたように、一台一台の自動車の規制、すなわち単体規制が緩いことにありますが、もう一つの原因として、自動車交通の量が多いということもございます。
一番下のグラフは、パーソントリップ調査のデータにより、地域別に一平方キロメートル当たりの発生集中交通量を比較したものですが、東京区部は右側から二番目の棒グラフでございまして、東京圏の各地域の中でも最も高くなっております。区部にはこのように交通が集中しておりますが、過去十年で見ますと区部の交通量は八%程度減少していることもあわせて指摘しております。
三ページをごらんください。3、自動車公害問題の解決に向けてでございます。
東京の大気汚染を改善するためには、さまざまな施策を総合的に展開する必要があるわけでございますが、今回の白書では、当局が所管しております自動車単体の排出ガス規制と交通量対策の二点を取り上げました。この二つの課題につきましては、ディーゼル車NO作戦の中で、あるいは交通需要マネジメント施策の検討の中で、それぞれ具体的な政策の内容が議論されておりますので、今後の方針の詳細はそれらの検討に譲り、この白書では、これらのテーマに関する国内外の新たな動向を紹介することを中心としております。
まず、排出ガス浄化装置の導入についてでございます。イギリスでは、排出ガス浄化装置を装着した自動車には自動車税を還付する制度が導入されていること、また、スウェーデンでは、市の中心部に環境ゾーンという地域を設定しまして、古い車両については排出ガス浄化装置をつけなければ乗り入れできないという政策が実施されていることを紹介しております。
また、ディーゼル車にかわるものとして、LPG車、CNG車の導入を目指す動きも国の内外で強まっておりまして、白書では、ヨーロッパでの動きとともに、国内の先進的な事例として、グラフに示しますように、全国の生協が進めているLPGトラックの導入の例を紹介いたしました。
さらに、今回の白書では、イギリス、フランス、アメリカの三カ国におきまして九〇年代に展開されてきた新たな都市交通政策の概要についても紹介をいたしております。欧米各国の状況は、我が国とは都市基盤の整備や社会経済環境などの点で違いがございますが、いずれの国におきましても、公共交通の一層の重視、また交通需要マネジメントの重視という方向が強まっていることを紹介しております。
以上が、第2部、自動車と都市環境の危機の概要でございます。
続きまして第3部でございますが、環境行政の現状と課題でございまして、記載のとおり、騒音・振動、水、緑、地球環境、廃棄物など、十の分野別に東京都の環境行政の現状と課題を紹介しております。個々の内容の説明は割愛させていただきます。
最後に、第4部、環境行政の展開・過去から未来へでございます。
今回の白書は、二〇〇〇年という節目の年に発行されるものでありますので、戦後の環境行政の歴史を概括的に振り返ることといたしました。東京都公害防止条例や東京における自然の保護と回復に関する条例が制定された昭和四十年代を中心に記述をしてございます。
2は、環境革命の展開と題しまして、今後の環境行政の展開に当たっての視点を幾つか提示しております。都民の健康問題を原点とすること、環境情報の公開と提供を積極的に進めること、条例制定権を活用すること、ISO一四〇〇一の認証取得を契機に、都政のあらゆる分野で環境配慮を徹底していくべきことを指摘しております。
以上が東京都環境白書二〇〇〇の概要でございます。
○尾崎委員長 説明は終わりました。
この際、資料要求のある方は発言を願います。・・それでは、資料要求はなしといたします。
○尾崎委員長 次に、東京都公害防止条例の改正について、東京における自然の保護と回復に関する条例の改正について及び杉並中継所周辺環境問題調査委員会報告についての三件の報告事項に対する質疑を行います。
本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求されました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○平井総務部長 去る四月十八日の当委員会におきましてご要求のございました資料についてご説明させていただきます。
お手元の資料5、都市・環境委員会資料をごらんいただきたいと思います。
まず、一ページをお開き願いたいと思います。都内におけるディーゼル車の保有状況についてでございます。
自家用、運送事業用のディーゼル車につきまして、用途別に保有台数を示してございます。
次に、二ページをごらんください。都内の事業所における化学物質取扱状況についてでございます。
この資料は、平成十一年度に、当時の環境保全局、現環境局でございますが、現環境局が都内の化学物質使用量などを調査した結果をまとめたものでございます。
(1)は、調査対象とした事業所と化学物質を、(2)、(3)は、化学物質を取り扱っている事業所の数、取扱量の多い化学物質とその主な用途について、業種別に記載してあります。
次に、三ページをごらんいただきたいと思います。みどりの推進委員についてでございます。
(1)は、みどりの推進委員の謝金について、(2)は、みどりの推進委員の地区会活動費及び活動状況について、平成七年度から平成十一年度までの五年間を記載してございます。
続きまして、四ページをごらんいただきたいと思います。みどりの推進委員制度と類似した区市町村の制度についてでございます。
区部では十三区、多摩部では九市、島しょ部では一村、計二十三の区市村に類似の制度がございます。
以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどをお願い申し上げます。
○尾崎委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより質疑を一括して行います。
発言を願います。
○森田委員 私は、杉並中継所の環境問題の調査委員会報告書に関連して伺いたいと思います。
この三月三十一日に発表になった報告書に関して、知事は記者会見で概要こんなふうにいっているんですね。いった中の一部ですけれども、硫化水素による影響を受けた人の特定と現在の健康状態の確認を行い、個別の因果関係が確立すれば必要な措置を講ずる、また、地下排水槽の総点検や化学物質過敏症に対する調査を実施する、移管後も杉並中継所周辺の環境問題については責任を持って対応していく、こういうふうに記者会見で知事はおっしゃっているわけです。
私も、この調査委員会が、環境局、また石原知事の推進によって、専門家でできて、過去のデータ等を分析をして、この三十一日の報告書になった、こういう取り組みについては評価をしたいと思いますし、結論についても、自分の経験でいっても、ちょうど平成八年ですか、あそこがオープンしたときに、周辺の人から私のところにも連絡が来て、すぐ飛んでいってみました。そうしたら、二軒の家に行きましたけれども、二軒の家でおふろ場の浴槽が、黄色いというか、茶色っぽい色に何か噴出したもので汚れていた。それから、すごく嫌なにおいがして、ガスが漏れたんじゃないかということで、その家の人は東京ガスに連絡をして来てもらったり、パトカーにも来てもらった。こんなようなことがあって、この報告書に出ている硫化水素原因説というのは、当時からいわれていたことですけれども、それは当たっているのではないかな。
もう一つ、これは私は現場で話を聞いただけで、確認はしていないんですけれども、あそこは井草森公園という公園があって、サッカー場ができています。サッカー場をつくるために、そこに芝生を植える。普通は芝の場合は、芝生の苗を持ってきて植えるらしいんですが、あそこは種からやった。芝生を種から育成するには、すごく農薬が必要らしい。農薬をすごくまいたときに、やはりその公園に隣接している一軒の家の方が、そのせいかどうかわかりませんけれども、農薬をまいた直後に倒れて救急車で運ばれた、こんな話も聞きました。
そんなのでいうと、今回の調査委員会の報告というのは、硫化水素と消毒薬・・クレオソートですか、そういうようなものを特定しているわけで、ある部分では平成八年の出来事を認めて、そしてそれに対する問題提起をしたことで、これからこの問題についての対応をしっかりしていかなくちゃいけないというふうに思います。
その具体的な内容については後ほど聞きますけれども、もう一ついわれているのが、化学物質過敏症といわれている、まだ医学的にも余りはっきりしていない、化学物質に対して非常に敏感に反応する体質を持った方たちがいらっしゃって、そういう方たちにあの中継所から出る排気ガスが影響しているんじゃないか、これもいわれているわけです。
知事は、両面いわれているわけですけれども、まず最初に、化学物質過敏症に対しては今後どのように取り組んでいくのか、伺います。
○野田特命担当部長 化学物質過敏症といわれる病態でございますが、これにつきましては、今お尋ねのように、今までさまざまな議論がございました。例えば国におきましては、本態性多種化学物質過敏状態に関する研究ということで、本年二月に報告がなされているというようなこともございまして、さまざまな議論がなされてきたところでございます。
都におきましては、今後、専門家の意見を聞きながら、国内外の研究成果や知見を整理するなど、新たな調査を検討することとしております。
現在都におきましては、衛生局におきまして、専門家による検討を計画しているという状況でございます。
○森田委員 化学物質過敏症についても、これは環境局になるのか衛生局になるのかわかりませんけれども、ぜひ今後とも取り組んでいっていただきたい。これはもしかすると杉並中継所だけの問題ではないかもしれませんけれども、ぜひ取り組んでいただきたい。
中継所に関しては、一応今研究会等で認めたのは、硫化水素もしくは消毒用のクレオソートですか、ということなんですが、これについて知事は、個別の因果関係が確定すれば必要な措置を講ずるということをいっているわけですけれども、必要な措置というのは、具体的にどういうことなのか。それから、被害者に対しての一つは認定方法、こういう症状があった、あるいはこういうことがあった人たちは認定して、その人たちにどういう必要な措置を講ずるのか、これについてはどのように考えていらっしゃいますか。
○野田特命担当部長 必要な措置の内容でございますが、四月十八日の委員会でご説明いたしました都の今後の対応の基本的方向の中で、必要な措置を講ずるということで検討を進めております。
その内容でございますが、現在、健康被害者の認定方法や損害賠償の範囲につきまして具体的に検討を進めているという状況でございます。
認定のやり方でございますが、被害者の認定の方法につきましては、症状が発生したと認められる期間、それから硫化水素が健康被害を及ぼしたと推定される地域、あるいは硫化水素により生ずる症状に関しまして、どのような基準を策定するか、こういう点で具体的に検討を進めております。
なお、健康被害者の認定につきましては、専門家の力も必要でございますので、医者、弁護士等で認定審査会で審査していくことも考えております。
また、損害賠償でございますが、この範囲につきましては、健康被害者と認定される人に対する治療費であるとか休業損失等々について検討を加えている、そういう状況でございます。
○森田委員 これは平成八年からずっと続いていることで、いろいろな被害を受けた人はいらっしゃる。そういうのでは、東京都がその方針を決めたのであれば、一日も早くしっかりと対応をし、やっていかなくちゃいけないのですが、損害賠償等の具体的な対応については、いつごろから始める予定でしょうか。
○野田特命担当部長 健康被害を受けた方に対する具体的な対応でございますが、現在健康被害者の認定方法だとか損害賠償につきまして検討しておりまして、この基本的内容につきましては、七月中には明らかにしてまいりたい、このように考えております。
また、今お話しのように、事態が発生いたしましてからかなり時間がたっておりますので、できるだけ早く住民の方に対する具体的な手続に入りたいと考えておりまして、基本的な内容に基づきまして実施に向けて細目を定めまして、九月中には手続が開始できるように準備を鋭意進めてまいりたい、このように考えております。
○森田委員 ちょっと立ち入ったことですけれども、被害を受けたといわれる住民の皆さんに対して、具体的にこうやって東京都は損害賠償をしますよ、また調査をした上で認定して損害賠償をする、このようなことの住民の皆さんへの周知というのは、どのような方法で、いつごろやろうと考えていらっしゃいますか。
○野田特命担当部長 住民に対する周知につきましては、地元の杉並区とも今後相談いたしまして、例えば個別に被害を訴えられている方については保健所の協力を求める。それから、一般的にその時期に症状を発生されていて、区に訴えていない方もいらっしゃる。そういう方につきましては、例えば広報であるとか、そういう媒体を活用して周知を図ってまいりたい、このように考えております。
○森田委員 せっかく東京都がそうやって今回の問題について前向きに解決していこうという姿勢があるわけですので、漏れのないようにしていただきたい。あの地域の皆さんが、本当に、東京都がこうやってやってくれるんだということを理解できるようにしていただきたいというふうに思います。
もう一つ、東京都が今、都の責任といっているのは、硫化水素の方ではないかな。ところが、もう一つ消毒薬、クレオソートですか、確かにあそこに大量にまいた。これによる被害者もいるわけですね。これは区立公園を日ごろから維持管理するためにまいた。ただし、被害者は、それは硫化水素なのか消毒薬なのか、よくわからないけれども、体調を崩して病院にかかったり健康被害を受けた。この場合に、都と区の関係、あるいは都が加害者となった硫化水素と、それから区が加害者となった消毒薬、この関係の賠償責任というのはどういう形でやっていかれるのでしょうか。
○野田特命担当部長 調査委員会の報告の中では、健康不調の原因として、今お話しございましたように、区立井草森公園の添え木に含まれている防腐剤・・クレオソートでございますが、この成分の揮発による影響も否定できない、こういうことになっております。したがいまして、硫化水素とともにクレオソートによって健康被害を生じた方も想定されます。損害賠償が行われる場合は、責任は共同で負うということになります。しかしながら、健康被害者への賠償につきましては、都が一義的に責任を持って対応してまいりたい、このように考えております。
なお、今後健康被害者との手続などにつきましては区と相談してまいります。区民の方にご迷惑がかからないように、窓口等は一元化するなりして対応してまいりたい。損害賠償に対する、支払った後の問題が出てこようかと思います。それは区と都の間で十分共同責任ということで話し合いをするということで対応してまいりたいと思っております。
○森田委員 くどいようですけれども、確認すると、被害を受けた人の窓口は、東京都が一本化をして行うというふうに考えてよろしいんですね。
○野田特命担当部長 現在、基本的にはその方向で考えております。
ただ、場所だとか、そういうものにつきましては区の協力も必要になろうかと思いますので、その辺はよく区と相談してまいりたい、このように考えております。
○森田委員 もう一つ、しきりに前から知事もいわれていたし、当時の清掃局もいわれていたんですけれども、国の公害等調整委員会に住民は提訴をしているわけです。ここでの結論が出た場合にはそれに従うということをいっておりましたし、ぜひそのようにしてほしいわけですけれども、この公害等調整委員会との関係、これも今進んでいると思うのですけれども、これと今回の東京都が行おうとしている損害賠償との関係というのはどのようになるんでしょうか。
○野田特命担当部長 中継所の排水中の硫化水素が原因で健康影響を受けた方々に対しましては、都の責任において、一刻も早く対応すべきという考え方に立っております。公害等調整委員会の原因裁定結果が示される前でも、都として早期に賠償手続を行ってまいりたい、このように考えております。
今後、公害等調整委員会から原因裁定結果が示された場合には、それに沿った対応をしていくということは、従前と変わっておりません。
○森田委員 この調査報告書によると、被害を受けたといわれている人が百二十名少しいて、もう全快していらっしゃる方もいるし、引き続き症状を訴えている方もいらっしゃる。この井草森の中継所周辺、杉並病というので、一時はパニック状態になりましたけれども、今少し鎮静化しているわけですけれども、東京都がこうやって調査を行い、そして賠償を早急にすることによって、住民の皆さんが安心して井草の地域にも住んでいられるようにぜひしていただきたいし、住民の皆さんから、東京都がしっかりやってくれたといわれるような対策をこれからもしっかりとやっていただきたい、このことを要望いたしまして、質問を終わります。
○大西委員 東京における自然の保護と回復に関する条例の改正について、ちょっと質問いたします。
まず、三ページから、条例改正の基本的な考え方について書いてあるんですけれども、この中に、水辺の環境の保全が抜け落ちているんじゃないかと考えております。河川や東京湾など水辺の自然、水生生物の保全についても明記するべきじゃないかと考えるんですが、その辺はいかがお考えでしょうか。
○江渡自然環境部長 河川とか港湾の水辺環境の保全につきましては、平成九年度に河川法が、また平成十一年度に港湾法と海岸法の抜本的な法改正が行われました。そこで環境の整備や保全に対する考え方が新たに盛り込まれてございます。この改正によりまして、それぞれの管理者が水辺環境の保全に積極的に取り組むことになっておりますので、今後、その取り組みの推移を見守ってまいりたいと考えております。
なお、これらの法律の対象となっていない湧水の保全につきましては、今回の自然保護条例の改正の中に織り込んでまいりたいという方向で検討いたしてございます。
○大西委員 道路や建物によって地表が覆われて、土壌の保水能力が低下しております。そして、下水道の普及によって、河川は下水処理場の水路と化している場合もあって、さまざまな生物を運び込み、市民の心を和ませる、そういう水辺の空間が失われ、その結果、ヒートアイランド現象にも拍車をかけていると考えております。
自然の保護と回復に水循環という視点は欠かせないと思っておりますので、ぜひこの辺よく検討していただきたい、盛り込むということも書いてありますが、ぜひお願いいたします。
次に、開発規制の強化という部分で、八ページから触れてあるんですけれども、建設残土の埋め立てによる谷戸の自然破壊を回避するためには、やはり産業廃棄物、特に建設の廃棄物の適正処理施策と十分にリンクし、規制及び監視をもっともっと強化する必要があるんじゃないかと考えるんですが、その辺はいかがでしょうか。
○江渡自然環境部長 建設残土の埋め立てによります谷戸の自然破壊を回避してまいりますためには、ご指摘のように、産業廃棄物行政と連携しながら、規制、監視の実効性を確保してまいりたいと考えております。
○大西委員 今、本当に建設残土のことについては、処理業者と排出者のみならず発注者の責任を確立しという、そういう制度も進んでいると思いますけれども、産業廃棄物のパトロール等も強化しながら、そしてさらに、これはあんまりこちらだけでやると、他県への残土にもまた飛び火したりして、それがまだまだ片づいてないと思います。そのためにやっぱり最初にごみを出す処理、これを強化するとともに、その辺もお願いしたいと思います。
開発規制の強化については、この中にも触れてありまして、一応評価はしております。しかし、規制逃れのために分割して開発するといった抜け道をつくらないように監視をさらに強めることが望まれます。そして、開発規制の対象の規模を見直して面積要件を引き上げるのは、市街地における貴重な自然をできるだけ保全するという観点から見れば後退ではないかなとも考えているんですけれども、その辺はどうなんでしょうか。
○江渡自然環境部長 ご指摘のように、規制逃れの抜け道を防止いたしますことは、条例の公平性確保という見地から極めて重要な課題であると考えております。その具体的手法については、現在、自然環境保全審議会に慎重なご検討をいただいているところでございます。
また、一千平方メートル以上三千平方メートル未満の小規模開発行為についてのご指摘がございましたが、この小規模開発行為につきましては、指導によって確保されました緑地のほとんどが植栽緑地、木を後で植えたというような緑地でございます。そういう実態がございまして、実は条例五十一条の開発規制から第二十五条の緑化指導に切りかえていきたいというように考えてございます。ご理解をいただきたいと思います。
○大西委員 残留緑地の確保という点で、やはり私たち、地域で暮らしておりますと、どうしても身近な屋敷林というものの保護をついつい考えたくなるんですけれども、屋敷林などの民間宅地の緑が、相続などの理由で売買されておりますが、それを回避するためにどのようなことを考えていらっしゃるのか、ここに触れている部分もあるんですけれども、その辺も触れていただきながら、ちょっとお答えいただけますか。
○江渡自然環境部長 中間のまとめでは、屋敷林などの民間宅地が売買されまして、土地の造成が行われる場合、その土地に一定割合以上の自然状態の緑地がある場合、それを残す割合といいますか、残留緑地率というようなものになりますが、これを設定いたしまして、できるだけ自然を残す制度をとることが望ましいという提案をいただいてございます。
○大西委員 今そういう土地の売買は、更地にして売買するというのがよくされているわけですけれども、その中で、本当に百年も何十年もたったような木がばっさりと切られていく現状を目の当たりに見ていると、何とかならないかなという思いがいつもあります。そういう小さな宅地においても、これは今後の課題というところでもあるんですけれども、切らないでも売買するというようなことが、そしてさらにはそういうものを残しながらまちづくりをする、そして建築家もそういうことであらわれるというような方向に持っていければ理想じゃないかなと思うんです。この地価が高騰していく中には、夢物語といわれるかもしれませんが、やはりそういう情報を流すようなことも、あそこを見れば、建物の売買があったり、そういうものに取り組んでいる人たちの動きが見れるというような情報が流せるようなことを行政でも考えてみたらどうかなというふうにも思います。
そういう小さなところもそうなんですが、もう一つは、今不況ですので、大きな企業の社宅跡とか、それからグラウンド等、そういうものが売りに出されますよね。これを本当は都なりが緻密な都市計画の中で確保していくことが考えられれば、それは理想ですが、現状お金がない中で、非常にそれは無理ということがあると思います。そういう意味では、大きな広い敷地に緑が残っているというような場合は、それをいかに残すべきかということを考えていく、そんなのは緑化協定とかそういうところでもいろいろされているんではないかと思うんですけれども、それはもう一つ、やっぱり税の問題でも、優遇策をとっていくとか、そういうところを積極的に進めていただきたい。でなければ、単なる更地にして、それで何割かの緑地をつくりなさいという植栽的なもので、新しくそこにツツジが植えられたりする程度にしか残らない。もっともっとこれまでの自然を残すという形で、一歩も二歩も進んだやり方をこれに盛り込めるようなことがありそうじゃないかなと思っているので、そういうこともお願いしたいとともに、さらに、いつもいわれておりますが、相続税の問題も、国に対して減免するよう要望していくことも必要ですが、都として独自の取り組みも考えていただきたいと、大きな要望をしておきたいと思います。
それとともに、もう一つ意見としましては、今回、山間部に残された比較的大規模な自然の保全ということがうたわれておりますが、その間にあります市街地、中間地にわずかに残された雑木林などの自然も、きめ細かく保全できるようにしなければならないんじゃないかなと思っております。
この地域は、市区町村にゆだねるという形でこの中には書いてあると思うんですけれども、今の現状は、それも市区町村にそのまま考えろということでは、その取り組みもばらばらで、なかなか実効性がないんじゃないかなと思っておりますので、その辺も、市区町村との協議、さらに、市民がやっております市民の緑地制度の活用とか、多面的なものをやっぱり都も把握しながら一緒に進めていただければありがたいと思っています。
それから、さらに保全事業の実施に関しましては、都民参加については規定を整備し、NPOや市民団体が活動しやすくするとともに、組織されていない市民への啓発、周知に力を入れ、幅広い市民の参加を図るべきじゃないかと考えております。
そして、自然の保護に反する行為を防止するためにも、その中には、住民監視、通報を活用すべきとも考えるんですが、その辺はいかがでしょうか。
○江渡自然環境部長 緑地の保全についてさまざまなご意見をちょうだいいたしました。我々も、非常に参考になりますので、これからいろいろ勉強させていただきたいと考えております。
また、委員ご指摘の相続税の問題等につきましても、大変重要な問題と認識してございます。都は、これまでにも保存樹林等の保全のために、相続税の納税猶予措置を国に要求してまいっておりますが、今後、この要望を引き続き行うとともに、区市町村と連携しながら現行相続税制度に内在する課題、これはさまざまな課題があると考えてございますので、これの解決を国に求めてまいりたいというように考えております。
また、今ご指摘のございました保全事業の実施についての区市町村との役割分担みたいなものでございますけれども、都と区市町村との役割分担というのは当然にあるわけでございまして、この役割分担を考える上で、区市町村という立場は、基礎的自治体として住民に身近な自然を保全することが期待されます。また、逆に東京都の方は、広域的な緑の保全というような役割を担うのではないかと考えておりまして、市街地に残された小規模樹林地ということになりますと、区市町村が市民と協力しながら保全していくことが望まれるわけでございます。
○大西委員 たくさんお答えいただきまして、ありがとうございます。
NPOの参加なんですけれども、やはり行政だけでは緑の保全はできなくなったんで、そこに都民参加、NPOやそういう人たちへの幅広い参加というものが盛り込まれております。ぜひこれを活用していただきたいとともに、先ほど、やはり規制の合間を縫って、いろんな業者が法の抜け道から開発を進めていくということもあるわけですから、そういう自然破壊行為を都民が監視して、通報制度というんですか、そういうことも必要じゃないかと思うんですけれども、それはどうでしょうか。
○江渡自然環境部長 大変失礼いたしました。答弁が抜けておりました。
ご指摘のように、これからの保全地域における保全事業は、行政だけが取り組むのではなくて、都民、企業それからNPO、これと行政が連携して進めていく必要があると考えております。ご指摘の件につきましては、中間のまとめの中で、都民が参加した保全事業を展開していく規定の整備を図ること、また、自然破壊行為を都民が監視して、知事に通報し、その処理の経過と結果を知事が公表する仕組みを導入することが提案されてございます。これらの保全地域への都民参加と自然破壊行為に対する住民の監視機能を高めるためには、広範な都民に参加していただく必要がございます。これらに工夫を凝らした効果的なPRをしてまいりたいと考えてございます。
○大西委員 みどりの推進委員制度は、その役目をほぼ果たしたということで、今回残していくということは考えないというふうに書いてあるんですけれども、やはり各自治体の自然保護施策として連携し、緑のオンブズマン的な役割として再構築した形で残していくこと、このことは今後も必要じゃないかと考えているんですけれども、それはどうでしょうか。
○江渡自然環境部長 みどりの推進委員制度は、制度の趣旨や活動内容に照らしまして、本来、住民の生活に最も身近で、地域の実情を的確に把握しております区市町村が設置すべき制度であると考えております。都としては、これまで区市町村を先導するという立場でこの制度を運営してまいりました。しかし、現在では、約三分の一の区市町村で都と類似の制度を導入しておりますことから、中間のまとめでは、都の制度は、ほぼその目的を達成したものと判断いたしまして、制度の廃止を提言しているものでございます。したがいまして、都としても本制度を残していくということは現在考えてございません。
○大西委員 先導的な役割は終わったといえると、私も考えます。しかし、手法の共有化や、自然や生物の現況など広域的な調査など、広域的に活動することが必要な事項もあると思われますので、みどりの推進委員を残せとはいいませんが、類似の制度に移行させた形で設けていくことも必要じゃないかと思います。そして、確かに先ほどの資料要求にもありましたけれども、各市町村で類似のものも、自治体でいろいろ実行しているところもありますが、まだ半数に達していない段階ですので、そのことも必要じゃないかと思っております。
また、先ほど監視体制のことも触れてくださいましたけれども、やはりそういう意味では、情報の交換の場、それから環境評価の基準設定や環境に関するオンブズ制度、大規模開発をチェックすること、そういうことも、まだまだ役割がその中に盛り込めるんじゃないかと思いますので、そういう新しい形の、みどりの推進委員に似たようなものも考えていただければと思います。
次に、その中には、環境教育というものがまた必要になってくるんじゃないかと思うんですけれども、本当に自然と触れ合う機会が得にくくなっているのが今の子どもたちの現状だと思います。自然の保護と回復のための活動の実践を通して、自然の循環の仕組みや生命のたっとさを学ぶ機会、これは毎日の暮らしの中では得られないわけですから、改めて、そういう場というものをしっかりと子どもたちに与えなきゃいけないんじゃないかと思いますけれども、その辺はいかがでしょうか。
○江渡自然環境部長 ご指摘のように、成長期の子どもたちが、土や水、植物や生き物などの自然と触れ合うことによりまして、自然とはどういうものか、また、生命が大切なのだということを学ぶことは大変重要なことであると考えております。
そこで、保全地域を、子どもたちが自然と触れ合ったり、自然について学ぶことのできる場としてどのように活用できるかということを、現在、教育庁などと相談し、準備を進めているところでございます。
○大西委員 野生動物が非常に危機に瀕しているということで、東京都もレッドブック等をつくったりして、それを知らせているわけですけれども、やはりそういう野生動物の保護のためには、アセス制度が非常に重要になってくるわけです。このアセス制度は、開発ありきではなく、自然を保護し、生物の生存を保障するという原則に立って行うこと、これをもう一度確認していただいて、そして、その中では、どうしてもこの開発が無理であるという場合は、ある意味では勇気ある撤退ということも必要じゃないかとも考えるんですけれども、その辺を、アセスのことでお願いいたします。
○町環境評価部長 東京都の環境影響評価制度は、環境に著しい影響を及ぼすおそれのある事業を実施する際、事業が環境に与える影響について事前に調査、予測、評価を行いまして、都民や関係自治体の意見を聞きながら、事業者に対し、環境に対する適切な配慮を求めることによりまして、環境影響をできるだけ少なくしていこうということを目的にした制度でございます。
ご指摘の野生生物の保護を初めといたします自然環境につきましても、保全上問題がある場合は、事業者に対しまして最大限の配慮を求めるとともに、当該事業にかかわる許認可権者に対しまして十分な配慮を要請しているところでございます。
今後とも、適切に対処してまいります。
○大西委員 昭和四十七年に東京における自然の保護と回復に関する条例が制定されて、そして二十五年たった今、東京の自然の環境が、人にも野生生物にとっても悪化しているという現状を強く認識しなければならないと思います。そして、平成六年に制定された環境基本条例と環境基本計画を環境政策の柱にし、東京における自然の保護と回復に関する条例ほか、環境に関連する条例を強化し、そして改正し、早急に、しかも実効性をもってそれを施行してほしいと思っております。
東京の自然は、回復どころか、現状を維持することすら、今のところできていないというふうに私は思っておりますので、そのためには、社会に大きな影響を持つ公共事業の計画のあり方を初め、すべての行為が自然への負荷を最低限にするものということも、しっかりとしていただきたい。そして、特に民間の開発行為などは、経済活動に・・国の法律で許されていることでも、都としてさらに強い制限をかけ、協力をして、食いとめてほしいと思っております。
絶滅が危惧されているレッドデータブックのAランクには、四百種類もの動植物がリストされているわけですから、ぜひその辺もしっかりと考えていただいて、環境優先主義でやっていってほしいと思っております。
この中間のまとめについては、以上で終わります。
もう一つ、杉並の、先ほど森田理事からも質問がありましたけれども、ちょっと重なる部分もあるかもしれませんが、お答えいただきたいと思います。
杉並中継所周辺の健康不調は、先ほどおっしゃっていましたけれども、硫化水素とクレオソートの防腐剤が原因とされました。これによって、患者とされている人には、どのような補償がされるのか。例えば、移転せざるを得なかった方々への補償や、それから、現在、症状が持続している人への補償はどう考えていらっしゃるのか、お聞きします。
○野田特命担当部長 平成八年の三月から八月に発症した方に対しましては、硫化水素による影響を受けた人の特定と現在の健康状態の確認等を行いまして、個別の被害の因果関係が確定すれば、健康被害に対して損害賠償に応じていくという考え方でございます。現在、硫化水素によります健康被害者の認定方法であるとか、損害賠償の内容を検討しているところでございます。
お尋ねの、具体的な、例えば移転に伴う費用であるとか、現在も症状が持続している方への対応でございますが、これらの方につきまして、硫化水素に、そういう、例えば移転あるいは現在の症状が起因するものであるのか否か、これは因果関係が確定できるのか、その辺を精査することが必要なものと、このように考えております。
○大西委員 クレオソートによる健康被害も、それから硫化水素による健康被害も、どちらも都が一つの窓口となって一義的に対応しますという、区民にとっては一〇〇%対応しますという答えが先ほどあったかと思いますけれども、その後、都と区の負担割合というのですか、そういうものはどういうふうになっているでしょうか。
○野田特命担当部長 調査委員会の報告では、今お話がございましたように、防腐剤の成分の揮発による影響も否定できないということにされております。したがいまして、硫化水素とともに、クレオソートによる健康被害を生じた人も想定されますので、損害賠償を行う場合は、法的には共同で責任を負うという形になります。
したがって、現在考えておりますのは、東京都が一義的に窓口になりまして、損害賠償に、まず住民の方に対して応じた上で、その内容を見て、杉並区のクレオソート、区立公園に原因があるというようなことも、その中で考えられるというものについては、やはり共同で責任を負うという法の建前がございますので、求償していくという考え方に立って対応してまいりたいというふうに考えております。
○大西委員 その後の都と区の負担割合というのは……。
○野田特命担当部長 それで、現在、考え方としてはそういうことでございまして、したがって、事前にどういう負担割合にするかということは、非常に因果関係を確定するのは難しい問題でございますので、まずは、そういう意味で、一義的には都が対応するということでございます。
したがって、都が対応した上で、その結果を見て、区に求償すべきものは求償していく、こういう立場で対応したいというふうに考えております。
○大西委員 今回の調査委員会の報告により原因が判明したことで、現在は、井草地域は安全といえるのでしょうか。
○野田特命担当部長 調査委員会におきましては、井草地域で平成八年の春から夏にかけて集中した健康不調の訴えにつきまして、中継所の排水に含まれていた硫化水素が主な原因であり、井草森公園の添え木に含まれていた防腐剤の成分の揮発による影響も否定できないというふうに結論づけております。
しかしながら、その後、中継所の排水は、排水処理後に下水に放流されております。添え木の防腐剤含有量も低下したことから、現在、これらの原因による健康不調の新たな発生はない、このように判断されます。
また、本年二月に杉並区が住民を対象に実施いたしました健康相談での専門医による診断からは、現在、井草地域に特異的な健康不調は見出されておりません。
したがいまして、中継所を直接の原因とする健康不調は、現在起きていないというふうに考えております。
○大西委員 特異的な健康不調は見出されていないということですけれども、数は以前のように多くないかもしれませんが、移転をしてきた方に同様の健康被害が生じるという訴えがあるということも聞いております。
中継所を直接の原因とする健康不調は現在起きていないとおっしゃっておりますが、たまたま二月の調査にかからなかったのではないかということも考えられるわけですので、その辺も慎重にしていただきたいなと思っております。
今後の環境調査、中継所内部の調査の費用は、だれが責任を持つのでしょうか。
○野田特命担当部長 杉並中継所につきましては、平成十二年四月一日に杉並区に移管されました。そのことに伴いまして、杉並中継所周辺の環境調査及び中継所内部の調査につきましては、杉並区が責任を持って現在対応しております。
杉並区では、五月から六月にかけて、不燃ごみの組成調査を実施しております。また、六月から七月にかけまして、中継所の排気系統からの化学物質の調査を実施するというふうに聞いております。
○大西委員 公害等調整委員会の結論の予定はどうなっているのか。それが出たときは、どのように対応なさるのでしょうか。
○野田特命担当部長 公害等調整委員会でございますが、現在、専門委員によります調査が進められていると聞いております。いつ、原因裁定結果が示されるかということにつきましては、現在の段階では明らかになっておりません。
都といたしましては、公害等調整委員会から原因裁定結果が示された場合は、それに沿った対応をしてまいります。
○大西委員 ありがとうございました。
○かち委員 今の杉並の中継所の問題についてですけれども、専門委員の調査委員会の一つの結論として、硫化水素が原因であったということが明らかになったわけですが、この問題が発生してから、足かけ五年かかったわけで、この間の周辺住民の皆さんの肉体的、精神的苦痛、不安、そういうものは非常に大きな負荷を得てきたと思うんですね。なぜこういうふうになってしまったのか。一つの原因が硫化水素だったよ、だから、それに対する補償をするよという、それだけでは済まない問題が私は含まれていると思うんです。
二月のこの委員会の質疑でも、私も申し上げましたけれども、なぜ硫化水素が発生してしまったのかというところについて、東京都がきちんとやるべきことをやってきたのにもかかわらず、こういうことがあったんだというのであれば、それはいたし方のないことだと思うんですけれども、実際には、ビルピット指導要綱に基づいて、きちっと小さいものにしなければいけなかったのに、普通の流量よりもかなり大きな槽をつくってしまった。そのまま直接、放流をしていたということ、それから、センサーも当初はなかったとか、一カ月間にわたって日報記録用紙がなかったとか、あらゆる不備があったことから始まっているということを、きちんと東京都として、その責任をやっぱり受けとめなければならないんじゃないかというふうに思うんです。その辺はいかがでしょうか。
○野田特命担当部長 東京都といたしましては、事態が発生してから五年、足かけ四年ですか、たっているということでございまして、三月三十一日に委員会から報告を受けたと。都知事、石原知事が、住民の方に対して、健康影響を受けた方々についてはおわびをするということで謝罪されました。
我々は、その基本的な姿勢を踏まえまして、現在、それに対する対応を検討しているという状況でございます。
○かち委員 いずれ、公害等調整委員会の方からの指導というか、あるとは思うんですけれども、その以前に対しても、私は、東京都の責任というものは、十分にそこに存在していると思うんです。
問題調査委員会の報告書を見ますと、一〇〇ページに当時働いていた方々からのヒアリングが載っているんですけれども、これを見てみますと、排水は二週間程度たまっていたと思うとか、平成八年五月ごろから、下水に問題があると気づいていたため、制御用電極の位置を下げたとか、それから、ほうろうが変色したという家に二回ほど呼ばれて行ったけれども、すごいにおいがしていた、ふろ場のにおいが家じゅうに充満していたとか、変なにおいを公園でかいだことが何回かあったとか、それから、現場の職員は臭気が出ていることを知っていたけれども、清掃局では説明会等は行わなかったと。
こういう対応が、住民に対しては、当初から硫化水素が問題じゃないかと指摘をされていたにもかかわらず、十六回も検査したけれども、何も原因らしきものは見つからないんだ、そうじゃないといってきたわけですよね。こういうことが、住民の皆さんの、東京都に対する不信を増幅させてきたというふうに私は思うんです。なぜ、住民からのいろんな訴えがあったときに、それに率直に耳を傾けて、悪臭が出ているのであれば、その原因を調べようとしなかったのかと思うんです。
七月の半ばから排水槽の工事に入るわけですけれども、その直前、七月九日に排水の調査をしているわけですね。その調査をしたところ、pHが三・七ということで、非常に酸性の強い水の性状になっている。そういうことから考えれば、清掃局などは汚水を扱っているわけですから、どういう状態になっているかというのは、およそ想像がつくと思うんです。かなりこれは、硫化水素が溶けていないで液化していて、それで、何か気象の条件によって、わっと出てくるという状況が繰り返し出てきたんだと思うんですね。そういうことについて、全然考えも及ばなかったのかどうかということなんですよ。
そういうことはあり得ないというふうに考えていらしたのか、その辺はどうでしょうか。
○安樂理事 今の事実関係、私、ちょっと確認をしたいと思いますけれども、その現場の職員がそういう証言をしたということですか。
○かち委員 これは記録です。
〇安樂理事 その記録ですか。我々も、過去にさかのぼって、当時の職員で残っている者がおりましたので、そういう調査を全部しました。
当時、先ほどの森田委員の質問にもございましたけれども、硫化水素も原因ではないかという、当然そういう説もあったわけです。その中で、何も調査していないと、先ほどご指摘がありましたけれども、これは、私ちょっと今資料を持っていませんけれども、すぐに確認できることですが、都と区で二回にわたって調査をしております。そのときには、下水溝から硫化水素が発生しているということは、当然、においをかいで、そういうふうに思っておりましたので、この調査もやっております。その中で、実際にやっても、そういうことが確認できなかったわけです。
事態を冷静に考えてみた場合、どこかの家でにおいがしていると。必ずしもそれが、それじゃ杉並の中継所の汚水から出ているというふうには、だれかが思いつくわけではないんですよね。どこかでいろんなにおいがしているというときに、それはわからないと。だから、いろんなところが疑われる中で、中継所は中継所としての調査をしたけれども、どうもわからなかったと。
今回の調査委員会の中で、私たちもちょっと、ああそうかというふうに思ったのは、東京都の職員の中に、あそこに毎日八時間勤務している者から、だれもこういう症状が出ていないわけですね。じゃあ一体どうしてそういうことになっていたのかと、非常に我々も疑問に思っていたわけです。周辺ではいろいろ症状が出ているというのに、なぜ毎日勤務している者にそういうのが出ないか、また、同様の施設でも、そういうものが報告されていないということで、当然疑問に思うわけです。
この中で、下水道なんかの協力を得て、今回の委員会の中で一つ明らかになったのは、汚水槽から出たものが、こういう形で直角に曲がっていく、そこで、空気とまざり合う中で初めて、沈殿していた中に含まれていた硫化水素が外に出たんだという、そういう事実がわかったわけです。
そういう点でいきますと、確かに結果論から見ますと、汚水の中のいろんなpHをはかったり、硫化水素をはかっていたということだけでは足りなかったのかという、そういうことは反省があります。そういう点には、私たちの方からも知事に詳細な説明をして、そういう点には抜かりがあったということは、我々東京都として、やっぱり謝罪すべきだというお話もして、記者会見の中でも、知事はそういうことをおっしゃったというふうに思います。
ですので、何か全く、こういうことを隠していたとか、先ほどの、私は現場の職員がそういうことをいっているというのは非常に疑問に思います。それだったら、そういう事実を知っていたとすれば、何で我々の方にいってこないのかと不思議に思いますけれども、調査の限りではそういう事実は出ておりませんし、また、調査結果に、確かに今から見れば、不十分だったかなというふうには思います。そういう点の反省はありますけれども、科学的な知見がやっぱりはっきりしない部分があったのかなというふうに思っております。
そういうことも含めて謝罪を申し上げるとともに、この問題については、当時の被害を受けた人を賠償するということで東京都の責任を果たしたいというのが、先ほど担当部長からも申し上げた内容でございます。
○かち委員 私が今申し上げたのは、この調査報告で、専門委員の方がヒアリングをした中に書いてあるものなんです。
実際、やっぱり施設内よりも道路の方で、汚水槽の方からにおいが出ていたという事実はありました。職員の中に健康被害を受けた者はいない、確かにそういう事実はあったわけですけれども、でもビルピット指導要綱というのをつくっていらっしゃるわけで、これ以上のものを貯留させたら、二週間もためていたら、当然腐敗して、硫化水素を発生させる状況というのは考えられるわけでしょう。そういうところに、なぜ思いやらなかったのか。
私なんかも、前回質問したときには、そういうことも防止するために小さくしましたみたいないい方をされていますけれども、本来そこに原因があったわけですからね。そのことを率直に認めていただきたいと思うんですよ。
○安樂理事 現に当時、ビルピット要綱がありまして、そこから見ると、確かに非常に大きいものをつくり過ぎているわけですね。その点については、確かに構造上も問題があって、そういう下水道の立場からの、もっと庁内でこの問題が・・これはこういう調査そのものを、東京都全体としての調査がおくれてしまったということも関連があるんですけれども、やっぱり欠けた面があったとは思います。
それと、どうしても清掃局としては、ここから何か有害な物質が出ているのじゃないかということをいわれていて、そういう調査については非常にいろんなことをやったんですけれども、どうしてもわからないと。まさか自分らがつくった汚水槽の構造に問題があるということを思いつかなかったということだったというふうに思います。そういう点では、ご指摘のとおり、そこに問題があったことは認めざるを得ないと思います。
○かち委員 確かに、この中継所の稼働開始時期と公園の開園時期と、それから井荻トンネルが供用開始した一年後とか、いろんなことが重なっていますね。排ガス、大気調査なんかしても、有害物質も出ている。閾値以下ではあるけれども、いろいろ出ているというものもありますよね。
それから、硫化水素の影響も、恒常的でないにしても、一時的にすごく浴びただろうということも考えられますね。実験結果の報告を見ますと、ほうろうが茶色になったというおうちの状況を推計すると、三四〇ppmということなんですよね。それぐらい出ているだろうと。これはもう生命にも危険を及ぼすぐらいの状況ですよね、毒性という観点から見ると。
そういう刺激を、どういう状況で浴びているかわからないけれども、浴びていた人たちもいるだろう、非常に複合的になってしまっているということでは、先ほどから原因がはっきりした分については補償しますといいますけれども、単にそういう原因を、ここまでよ、ここまでよというふうに、明確に原因を分け切れないような状況が、今混在しているのではないかなというふうに思うんです。そういう点をやはり考慮して対応されないと、原因がわかったから、それを賠償して、それで事足れりというふうになかなかならないのだと思うんですね。
四十五名の方から、ちょうど始動期から九月ぐらいまでに有訴状況があったわけですけれども、この方々の原因説というものをどういうふうにとらえていらっしゃるでしょうか。
○野田特命担当部長 調査委員会では、平成八年春から夏にかけて集中した健康不調の訴えについて、疫学調査に基づきまして、中継所の排水に含まれた硫化水素と健康不調の因果関係が見られると判断をしております。しかし、公園の防腐剤の揮発による影響も否定できないとされております。また、その後に、今お尋ねのように発症を訴えた方につきましては、調査委員会では、中継所の排水や排気との間で、疫学的な因果関係があるとは認められず、これらの原因については言及はしていないということでございます。
○かち委員 私がいいたいのは、化学物質過敏症と診断された方も中にはいらっしゃるわけですよね。今現在、そういう症状が出ている人たちはいないにしても、当時そういう刺激を受けた方が、こういう過敏症になっている体質に変わってしまっているということも考えられないではないわけで、その辺はまだ未解明の状況だと思うんですね。
その辺の疫学的な調査研究というのは、都としてきちんとやっていかなければならない問題ではないかなと。この人たちへの賠償を振り分けるだけではなくて、まさに疫学的にこの地域の、この経過の中での関係をあわせて調査研究していく必要があるのではないかというふうに思うんですけれども、この辺いかがでしょうか。
○野田特命担当部長 本年二月に、杉並区の方で健康相談を実施しておりまして、それまでに健康不調を訴えた方に受診を呼びかけました。今でも症状が続くとする方が、三十四人のうち十八人が受診されております。それらの方々につきましては、心疾患であるとかアレルギーなど、おおむね一般的な健康異常であると診断されております。地域に特異的な健康異常は見出されていないということでございます。
杉並区では、現在も症状が引き続いている人を初めといたしまして、健康不調者を対象に健康相談による健康診断を今後も予定しておりまして、都としても必要に応じ、これに協力するということとしております。
○かち委員 区が健康相談をやるから、それに協力するということではありますけれども、こういう問題が発生した主な原因者の一人として、やはりきちんと、今の社会であり、いろんな化学物質が出てきている状況の中で、非常に典型的な例としてあそこの場所があるわけですから、中継所だけの問題ではなくて、周辺環境も含めて、健康調査というものをみずから積極的にやっていただきたいというふうに思います。(「井草の森は解決したんだよ、変なものが出ているようなことをいわないでよ」と呼ぶ者あり)いえ、そういうことではありません。
それで、今、公害等調整委員会の中で結論が出たらということでしたけれども、実態は、昨年六月から全然開かれていないようですけれども、今現在はどういうふうに、現状なっているんでしょうか。
○野田特命担当部長 公害等調整委員会の審議状況でございますが、専門委員が選任されまして、三名でございますが、それらの方によって調査が進められていると聞いております。事務的でございますが、最近でも、事務局から当局に対しまして、いろいろ資料要求が参っております。
例えば、清掃局が実施した環境調査の測定はどうだったのかとか、測定場所はどこだったのかとか、それから、中継所のファンの稼働時間はどうなのかとか、そういうふうにいろいろ専門委員からの要望に基づいて、事務局の方から資料要求が参っております。
しかし、原因裁定結果がいつ示されるかについては、先ほどお答えしたように明らかになっておりません。都といたしましては、再三申し上げますように、公害等調整委員会から原因裁定結果が示された場合には、それに沿った対応をしてまいりたい、このように考えております。
○かち委員 中継所というのはほかにも幾つかあるわけですけれども、杉並の区長さんが、この間は暫定的に対応して、あの中継所そのものを将来的にはなくしていきたいというふうにおっしゃっていましたけれども、いろいろな化学物質が、ああいうものを扱うというところから出てくる可能性というのは十分考えられるわけですから、根本的な解決という点では、ごみの対策そのものにかかってくると思うんです。
そういうことも想定しながら、この問題を、賠償すれば済むということではなくて、東京都としても、ごみ問題の解決のためにどうしていくべきかということも大きくとらえて、今後対応していただきたいと思います。
それから、東京における自然の保護と回復に関する条例の改正についての中間のまとめについて一言お聞きしたいんですけれども、資料で出していただきました、これに基づいてやりますが、昭和四十七年に制定されて、その基本的な理念や目的は、今なお生きているということですが、いろいろな環境の変化、行政を取り巻く状況が変化してきているということで、今回、見直しをされるということになっているわけですが、その中で、先ほどもありましたけれども、都民の余暇を利用しての緑の保全運動へのかかわり、NPOなどの育成、こういうものが新たな課題として求められている、そういうことにどう取り組んでいくかという課題があるというふうにいわれているわけです。そういう中で、みどりの推進委員を廃止する・・暫定的に廃止するということが望ましいと書かれているわけですけれども、このみどりの推進委員というものの目的と具体的な活動というものを、もう一度確認したいと思うんですが、いかがでしょうか。
○江渡自然環境部長 みどりの推進委員制度は、この制度を通じて、身近な地域の緑化の推進及び緑地の保全に関する普及啓発、実践等の自主的活動を推進することなどを目的に、先導的に設けられたものでございます。具体的には、講演会や自然観察会など、さまざまな活動を地域において行っております。
○かち委員 講演会とか自然観察会などを通して、啓蒙啓発活動をやられてきたわけで、東京都としては千人の方を配置、委嘱してやってきたわけですよね。そういうふうにして、都民意識を高めていく、本当に緑を守っていこうという活動を広げていく活動というのは、非常に大きな意義があるし、その役割を果たしてきたと思うんです。
ところが、地方分権等の改正もありまして、これは身近な市区町村がやることが望ましいということですけれども、先ほどもありましたけれども、三分の一の市区町村で都と類似した制度を導入しているというふうなことをいわれていますけれども、実際に区と市町村に分けると、どういう実施状況になっているんでしょうか。
○江渡自然環境部長 委員会資料でお示ししてございますように、都内の区市町村の導入状況でございますが、二十七市中九市、二十三区中十三区、十三町村中一村という内訳になってございます。
○かち委員 パーセンテージで聞きたかったんですけれども、区部においては五割ちょっとですね。市部では三割ちょっと、町村では八%ということで、区部では半分ちょっと達成していますけれども、市町村についてはまだまだこれからという状況があると思うんです。
みどりの推進委員の活動運営費みたいなものが計上されているわけですけれども、東京都の場合、五年間を見てみますと、七百八十七万九千円が平成七年度でしたけれども、予算額で平成十一年度では五百四十万、ざっと三〇%減。予算でも決算でも、だんだん縮小しているんですね。で、事業数を見ると、それほど減っていない。だから、一生懸命努力はしているけれども、十分な予算が計上されていないんじゃないかと思うんですけれども、こういう中で、これを市区町村で独自にやりなさいというふうにいったときに、財政力の弱い町村については、こういうことを独自にやるということは、まだまだ困難な状況にあるんじゃないかと思うんですよ。
全域に達成した、だからやめましょうというんだったら、わかるんだけれども、三割も、それから一〇%もいっていないような状況の中で、これを達成したというふうに見るのは、私はちょっと理解に苦しむんですけれども、その辺はいかがでしょうか。
○江渡自然環境部長 みどりの推進委員制度は、先ほども申し上げましたように、普及啓発活動や実践活動を通じて、地域における緑化の推進等に一定の役割を果たしてきたというように評価してございます。
しかしながら、この制度は、制度の趣旨とか活動内容に照らして、本来、住民の生活に最も身近で、地域の実情を的確に把握している区市町村が設置すべき制度であると、原則やはり区市町村設置が筋であるというように考えてございます。
都としては、これまで、区市町村を先導する立場で、この制度を運営してきましたけれども、先ほどの資料でもご説明いたしましたように、三分の一の区市町村で類似の制度を導入した、このことが、まだ足らないじゃないかというご指摘もございますが、我々といたしましては、都の先導的役割という意味では、ほぼその目的を達成したものと判断してございます。
○かち委員 私は、このまま区市町村に移管していくということになると、むしろ、緑の推進活動が後退していきかねない、こういうふうに思えるわけです。
しかも、やり方についてなんですが、中間報告では経過措置を設けて廃止することが望ましいというふうに書かれていて、まだ保護条例そのものは生きているわけですよね。現行どおりなのにもかかわらず、謝金を一人年間一万二千円払っていたものを、今年度からもう予算は切ってしまった。こういうことで、段取りをとってやるというよりも、最初からもうはしごを外してしまうみたいな、こういうやり方はちょっと本末転倒ではないかと思うんです。
実際、今後、この中間報告に基づいて条例制定されて、実施されるまでは、どういうスケジュールになっているんでしょうか。
○江渡自然環境部長 東京における自然の保護と回復に関する条例は、今年中、この十二月の第四回定例会に上程いたす予定でございます。ということは、つまり、みどりの推進委員の規定は従来どおり、そこの時点まで生きているということになり、また、自然保護条例の施行の予定日は来年の四月を予定してございますので、当然にそこまでは制度は現行のままでございます。
今後の条例改正のスケジュールでございますが、八月下旬に自然環境保全審議会を開催して、最終答申をいただき、その後、今申し上げましたように、ことしの第四回定例会に上程して、条例の施行は来年の四月以降というようなこと、繰り返しになりますが、そういうスケジュールを予定してございます。
○かち委員 私は、東京都が置いてきた、みどりの推進委員の役割というのは、やはり広域的な役割として、非常に重要な意味を持っていると思うんです。そういうものを通して、また新たな展開もあるかとは思いますけれども、それにしても、条例がまだある段階で、一年も前から予算を切ってしまうというのは、やはりやり方としておかしいのではないか。そういうものを市区町村が本当にスムーズに受け継いでやっていけるような状況まで、東京都としてきちんと責任を持つべきではないか、そのことを指摘して、質問を終わります。
○尾崎委員長 この際、議事の都合により十分間休憩いたします。
午後三時七分休憩
午後三時二十分開議
○尾崎委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○谷口委員 三月に環境審議会から答申がありまして以降、公害防止条例の改正に向けまして詳細な検討がなされていると聞いておりますので、ここでは、条例改正の総括的な事柄、考え方などについてお伺いしておきたいと思います。
今回の答申の中身を見てみますと、工場等に対する規制、あるいは自動車公害対策、有害化学物質対策など今日的な課題を含めまして、多くの仕組みが盛り込まれております。
実際問題として、最近の公害状況というものをいろいろと考えてみますと、非常に複雑多岐にわたっておりますので、都民の健康を保持する、確保するというふうな観点から物事を考えていくならば、当然、条例の改正もそういうところに着目をすべきだというふうに私も考えておる次第でございまして、答申には、新しい条例の名称として、都民の健康と安全な環境の確保に関する条例、このような名前にすることが適当ではないかというふうなことがいわれております。これは、条例の考え方というものを一言で表現したというふうに私は理解するわけですが、この条例名の変更といいますか、それについてはどんなお考えでございましょうか。
○梶原企画担当部長 今回の改正におきましては、これまでの工場等を対象といたします公害規制の強化に加えまして、自動車公害対策を初めとして、新たに先駆的な仕組みを幾つも盛り込んでおります。これらを総合的に幅広くとらえまして、都民の健康を守ること、都民の安全な環境を確保すること、こういった最も根本的な視点を重視しております。
このことからは、都民の健康と安全な環境の確保を条例名とすることは、内容を適切に表現しており、また、都民の皆様にもわかりやすい名称になるのではないかと考えております。
答申の趣旨を十分踏まえた検討をしてまいりたいと考えております。
○谷口委員 確かに、都民の健康と安全な環境を確保する、そういう視点が大変大事でございまして、今までの、何となく公害がある、これを防止するというふうな受け身の考え方から、積極的に環境を確保するというふうに立ち向かっていく、その姿勢というのはとっても大事であろうというふうに考えております。
具体的な事項としては、具体的には今詳細な検討中ということでございますが、新たな仕組み等について、改めてこの内容を、こういうものだということをお示しいただきたいと思います。
○梶原企画担当部長 答申を踏まえまして現在検討しております新たに導入する仕組みの主なものでございますが、第一には、都内で使用される排出基準に満たないディーゼル車の規制など、自動車公害対策の仕組みでございます。
第二には、化学物質を取り扱う事業者に対しまして、その内容を考慮しながら、小規模な事業者にも届け出を求めるほか、化学物質の適正な管理方法その他、組織体制の整備を記した書面の作成を求める、こういった仕組みでございます。
第三に、新たに事業者が行うべき環境配慮の仕組みといたしまして、二点ございます。一点は、施設建設の際に、省資源、省エネルギー、緑化などの環境配慮を重視した計画を求めること。二点目に、例えば、エネルギー使用の多い事業者に対しまして、事業活動に伴って発生する二酸化炭素など地球温暖化の原因となる温室効果ガスの抑制などを内容といたしまして、環境への負荷を低減するための計画書を求めていく、こういった仕組みが挙げられると存じます。
それぞれ具体的な内容については、お話しのとおり、現在検討を進めているところでございます。
○谷口委員 環境を守るに際しまして、役所の方から規制があるから、その規制の範囲内で云々という、そういう物事の考え方ではなくて、事業者そのものが自分の環境に対する配慮というものを積極的に考えていくような仕組みづくりということが非常に大事であろうと考えます。
そういった意味で、環境配慮の計画書を事業者に求めるということは、時宜を得た考え方であろうかなと思うんですが、実際、その計画書を出せというふうになりますと、やはり計画書を出さなきゃ何もできないんだとか、受動的に事業者が考えるのが通常であろうかと思うわけですね。それをもっと積極的に、能動的に、私のところではこういう環境対策、環境配慮対策をいたしますよという、都からいわれたからやるのではなくて、自分のところがこういう環境配慮をやっているという積極的なものを引き出していく、そういうことが非常に大事であろうと。規制されるからだめだとするんじゃないという発想を、どう生かし込んでいくかということが、今回の条例制定の中で生かされなければいけないんじゃないか。ちょっと理想論かもしれませんけれども、そんなような思いがするわけでございます。
例えば、今お話のありました、節電など省エネルギーの努力とか、廃棄物の減量、緑化対策等々ございます。この前、国会で我が党が提案いたしまして、ごみゼロ社会を目指すというふうなことで、この条例には直接関係はないかもしれませんけれども、循環型社会を推進していくための基本法というものが制定されましたけれども、そういった基本的な公害に対する考え方を、東京都と、また区市町村と、事業者と、一緒になって考えていく、そういう仕組みづくりを考えていったらどうかというふうに考えるんですが、いかがでございましょうか。
○梶原企画担当部長 一般的に、事業者に環境配慮を求めるような仕組みにおきましては、ご指摘のように、一義的に規制の枠をはめてしまうというようなことではなくて、事業者の自主的な取り組みを促すような仕組みがむしろ有効かと考えております。
実際、事業者に求める計画書などについては、具体的に環境に配慮すべき事項のメニューなどを記した指針をお示しした上で、個々の事業者の創意工夫が十分生かせるような形に持っていきたいと考えております。
また、こういった環境配慮行動であればあるほど、東京都が唯一規制あるいは誘導していくだけではなく、区市町村とも十分に連携をとりながら、幅広く、より有効適切な仕組みを考えていくことが大切かと思います。
○谷口委員 条例をつくって規制をする、あるいは協力をしてもらうという場合に、何といっても公害対策には金がかかるということが非常にネックになるというふうに思うわけですけれども、東京都がディーゼルエンジンに、排気ガス関係で厳しい態度を打ち出した、それに対して、技術開発が最近かなり進みつつあるというふうに伺っているわけでございますが、行政がそういう厳しい姿勢を示すことによって、新たな技術開発への努力が傾けられるというふうなことが起こってくることは大変にいいことでありますけれども、どうしてもそれは金がかかると。費用が非常にかかり過ぎると、なかなかその規制に追随することは難しいという問題もあります。
いわゆる実効性というものをどう確保していくかということが大事でありまして、先ほどのご説明の中にも、資料の中にもございましたけれども、やはり何らかの努力をした者に対しては、具体的に何らかのメリットを与えるという行政側の努力というものも必要であろうというふうに思いますし、例えばISOを取った企業に対しては具体的にどういうメリットを与えるのかというふうなことも大事であろうと思う。また、そうした企業努力を行っている者に対して、都民全体がそれを評価するという、これも大事であろうというふうなことで、そのための・・企業ランキングをつけることがいいかどうかは知りませんけれども、ある程度ランキングを考えるとか、グループ別に、AグループからEグループぐらいまで考えてみるとか、そういう努力も行うことによって、この条例を本当に実効性のあるものにすべきじゃないかというふうに考えておりますけれども、この点はいかがでございましょう。
○梶原企画担当部長 事業者の自主的な取り組みとしての環境配慮活動を求めていく場合には、特に、ご指摘のように、個別的な事項に応じまして、いろいろなインセンティブを考えていくことが重要かと思います。
環境配慮行動の事業者の、あるいは施設建設時の取り組みについては、都としても、それを明らかにしていくような、そういった仕組みを考えてまいりたいと思います。
○谷口委員 きょうは二十七日でございますけれども、この二十四日の新聞記事によりますと、「ディーゼル車の排ガス対策に取り組んでいる東京都は二十三日、国に対し、欧州並みの厳しい排ガス規制を実行することなどを求める異例の提言をまとめた。」そして、「二十六日に開かれる国の中央環境審議会で、都の環境局長が主張する。」というふうになっておりますが、どんなご主張をなさったのか、ちょっと教えてください。
○松葉自動車公害対策部長 昨日でございますが、国の中央環境審議会で、大気汚染対策を検討しております、いわゆる自動車排出ガス総合対策小委員会というものが開催されました。東京都の自動車対策について意見を求められたということで、昨日、東京都、大阪府、愛知県が意見を述べたところでございます。東京都といたしましては、ディーゼル車対策についてどうあるべきかという提案を局長からお話しをさせていただいたところでございます。
これは、従来東京都が進めておりますディーゼル車対策の考え方に沿っての提案を取りまとめてご報告したということでございますが、その中で、大きく分けますと二つございまして、より低公害な車の普及拡大のお話と硫黄分の低い軽油の早期供給というようなことを柱としてございます。
なお、低公害車の普及等につきましては、いわゆる新車対策、それから使用過程車対策としてそれぞれ幾つかの柱について言及してございます。
○谷口委員 二十四日の新聞によりますと、東京都は単独のディーゼル車へのDPFの装着義務づけについて、単独では規制が困難という判断に立ったというふうな記事が出ております。この審議会で発表された東京都の提案においては、DPFの装着義務づけについてはどのようなことになっているんでしょうか。
○松葉自動車公害対策部長 東京都は、今回のディーゼル車に関する規制の提案という形で昨日お話し申し上げました。その中では、提案した内容でございますが、一つは、排ガス基準を満たさないような使用過程車については、第一義的にはより低公害な車への買いかえ促進を図る、第二には、いわゆる粒子状物質、PM除去装置の装着というようなことを掲げまして、これを車を使うユーザーが選択をするということを提案してございます。
この中では、DPFについては、一定の条件ではございますが、装着などの義務づけを念頭に置いてこの考え方を提案したということでございます。
○谷口委員 条例の中身と直接関係するといえばするし、あれなんですけれども、特に今回は新しい項目の中にこのディーゼル車の排気ガス問題がありますので、お尋ねをしているんですけれども、先般の委員会におきまして私、車検制度というものが余り信頼に値するものじゃないということを申し述べました。ところが、結局、車検制度によってディーゼルの排ガス規制が守られた車であるかどうかということをチェックする以外に方法がないというお考えに変わってきているというふうな記事が出ているんですが、このとおりでしょうか。
○松葉自動車公害対策部長 ディーゼル車の規制につきましては、従前も車検時にチェックをしていくというようなことが重要であるという認識でございます。今回改めて、国の対策について、東京都の考え方としましては、車検時に、特に粒子状物質のチェックをしたらどうかということを申し述べたところでございます。
現在、ディーゼル車に対する車検時の排ガスの検査というのは、窒素酸化物であるとか粒子状物質の簡易な測定が困難なことでございまして、簡単な黒煙の検査が行われているということでございます。しかしながら、今後PM対策等が進めば、このPMを除去する装置なども含めまして、車検時におけるチェックが重要であるという認識のもとにそのような提案をしたところでございます。
○谷口委員 排ガス規制に適合車であるかどうかということを検査をしてもらうのに大変時間がかかるというふうにいわれているんですけれども、車検場でそんなに簡単にチェックができるのかどうかという点ではどうですか。
○松葉自動車公害対策部長 ご指摘のように、車検場でチェックするというのはなかなか困難なことというふうに考えております。現在は、簡単なテストで、例えば整備工場などでチェックをしているわけでございます。そういうような簡易な方法であるとか、または、町中を走っている車について、抜き打ち的な検査というんですか、そういうものを行うなど、方法は幾つか考えられるのではないかと。ぜひとも、この使用中の車について排ガスがきちっと守られているということを確認する上からも、国に対してこういう内容を要望したところでございます。
○谷口委員 きょうはこのことを議論をする委員会ではないと思いますので、テーマがちょっと違いますので、余り突っ込んだお話はいたしませんけれども、車検の際にディーゼル車の排ガス規制が守られているかどうかをチェックするというふうに・・後退したんじゃないかというふうに私は直観的に考えたわけです。
というのは、東京都は、都内に入ってくる車すべてについてチェックをして、厳正に守らせるというのが最初のスタートであったかと思うんですね。それが、国でやっている車検制度にお任せしなきゃやはり無理じゃないかというふうな考え方に立たれたとすれば、要は、本当に都民を守るという立場から、都民の健康を守れるような車検制度になっているかどうかという、その車検のあり方についてまで、かなり突っ込んだ議論がなされ、そういう体制整備が行われない限り、私は信用し切れないんじゃないかというふうに思っているわけでございます。簡単に車検制度におんぶにだっこにならざるを得ないなというふうに、新聞記事ですから、これが正解かどうかは、考え方が正しいかどうかわかりませんけれども。
でも、そういうふうに簡単にいっちゃうということは非常に弱腰ではないかと。私は、このディーゼル排ガス対策というものを、東京都が、石原知事が先頭に立ってやるんだというふうにいわれたときに、都民が拍手喝采をし、そしてぜひやってもらいたいと、外形標準課税と同じようなものですけれども、そういうふうな気持ちが都民の中にあったというふうに理解をいたしているわけです。
その強い姿勢というものが国の対応をかなり変えさせることにもなったと思いますし、しかしまだまだそれで排ガス規制が行われるということが担保されたというふうにはとてもいえない状況の中で、国の車検制度にお願いしますというのは、ちょっと話が違うんじゃないかというふうに思えてならないわけでございます。実際問題として、規制が厳しければ厳しいほどいいというふうにはいい切れないですけれども、しかし、この排ガスに、微粒子等によって受けている健康被害というのは、知事自身がこれは殺人行為であるというぐらいにいっていることでありますから、やはり都民の健康を守るんだと、この一番冒頭にありましたように、都民の健康と安全な環境を確保するという条例であるならば、その条例を施行した結果として、やはりこういった問題も本当に東京ならではのやり方でもってやっていこうというふうな迫力がなければ意味がないなというふうに思っているわけでございます。
そういった意味で、局長、いかがでございましょう、もう一度ご決意のほどを伺いたいと思います。
○齋藤環境局長 今、谷口委員からいろいろお話がございまして、どうも車検についての活用ということを都が提案したことは、東京都の今までの姿勢が後退したんではないかというお話でございますが、私どもはそういうふうに考えているわけではありません。環境審議会からご答申をいただいた趣旨を踏まえて、今条例化の検討を進めているところでございますが、それとあわせて、その後のいろいろな動きがございました。特にこのディーゼル問題は、東京都が提案をして、多くの賛同を得たといいますか、共鳴を得て、国の方でも真剣にこの問題に取り組むという動きが出てきております。
そういう中で、中央環境審議会も相応の再検討をするという動きがございまして、その中でこのPM対策、浮遊粒子状物質対策をどうするかという検討を始めるという状況がございまして、そういう動きの中で、それなら東京都として積極的にこの機会を利用して、具体的なPM対策といいますか、ディーゼル車対策を実現させる道はないかということも考えたわけでございます。
そういう現在の法を変えることを前提にして、もしこれが実現するならば、それはもともと、このディーゼル車対策というのは単に東京だけの問題ではない、全国的な問題であるということは、つとに知事からも表明しているわけでございますので、この機会を利用して、NOx法の改正などによって具体的な実効性を伴ったディーゼル車対策というものを施行するというのは、決して後退をしたというふうにとらえているわけではございません。
また、今、委員がご指摘があったように、現在の車検制度にいろいろ不十分な点があるとすれば、あわせてそのことについても改善を求めるという形で意見を述べております。私たちは、このディーゼル車対策を本当に実現するためには、いろいろなことを変えていかなければいけないし、そういう努力が必要だと思っておりますが、今回の国に対する提案もその努力の一つというふうに考えております。
○谷口委員 要望でございますけれども、車検の体制が整備されるという担保がないこの時点で、東京都の車検制度にというふうな考え方は、私はちょっと後退だというふうに思うんです。国がどうであろうとも都は断固としてやっていくという姿勢の中から、そういう車検制度の改定とか、そういったものが確保できるわけでありまして、余りにもちょっとこの考え方は弱腰じゃないか、ないしは、東京都はそんなにお金を使ってまでやる必要はないと考えていらっしゃるのか、お金がないから、そういうふうな断固としてやるという姿勢が打ち出せないのか、その辺は私よくわかりませんけれども、まだまだこんなことで国にお任せするという段階ではないんではないかというのが私の考え方でございまして、一応意見として聞いておいていただきたいと思います。
○たぞえ委員 私は、自然環境保全審議会の中間のまとめにかかわって伺いたいと思いますが、現行条例が自然を保護して、自然破壊を最小限にとどめる役割を担ってきたと、このように冒頭で述べています。保全地域についても、この条例が制定されてから、四十九年に野火止用水の歴史環境保全地域が制定されて以降四十三地域、最近では玉川上水の歴史環境保全地域が指定されて、こういう大変重要な一歩一歩を築いてきた条例だというふうに思います。
一方で、東京は小さな都市でありますけれども、先ほど説明のありました環境白書によりますと、開発許可件数が、八三年から八九年の七年間で東京で五千九百二十五件、九〇年から九八年までの九年間で四千三百二十八件、合わせて、十六年間で一万二百五十三件の開発が行われてきました。面積でも、五千二百二十八万二千平方メートルと、大変大きな行為が行われてきているわけです。
この白書をさらに見てみますと、緑地面積がその開発面積のうち三三・八%確保された、こういうふうに書かれておりますが、とはいっても、残留緑地はその緑地面積の五六%で、残りは植栽緑地、人工的につくった緑地になるわけですね。ですから、一方で保全地域を指定して、一方で開発で何とか緑を植えてはいるんだけれども、スピードが速いものですから、この対策について、私は中間のまとめで大事な問題が提起されていると思いますので、具体的に伺いたいと思います。
今回の開発行為規制の対象ですが、現行は一千平米以上ということになっているわけです。今回規制する事項の中では、その対象面積を三千平米以上が望ましいというふうにまとめで書かれています。実際に変更をして三千平米以上にした場合に、十六年間での開発許可件数実績で置きかえてみますと、どのぐらいの割合になるんでしょうか。
○江渡自然環境部長 ただいまご指摘の環境白書に記載されております昭和四十八年以来の規制対象千平方メートル以上の件数一万二百五十三件でございます。このうち三千平方メートル以上の件数は、現在すべての年度にわたる正確な資料がございませんで、このため、数値の把握が可能な平成八年から十年までの資料で推計いたしますと、千平方メートル以上の開発案件に占める三千平方メートル以上の案件の比率は、おおよそ二割でございます。
○たぞえ委員 そうですね。平成十年度で見ると、開発許可が三百五十七件ありまして、三千平米以上が七十件、以下は二百八十七件、ですから大体八割が三千以下、十年度だけでも実証されているわけです。今回、このまとめで三千平米以上ということに規制対象を引き上げますと、三千以下は規制対象にかからない、こういうふうになるわけですか。どうでしょうか。
○江渡自然環境部長 正確に申し上げますと、条例の第五十一条の開発規制の対象からは外れますが、条例の第二十五条の緑化の義務は負うわけでございまして、この二十五条の届け出は必要になってまいります。
○たぞえ委員 その八割が今度のまとめでいえば、規制対象にかからなくなってしまうということになるわけで、そうしますと、緑化指導はあったとしても、規制がかからないということは、その分緑化の責任が非常にあいまいにされかねない。行政の指導が及ばない範囲の区域が広がるということだと思うんです。
こういうのというのは、規制の緩和なんですよね、結局。ですから、保全地域を指定して緑をしっかり守ろうという方向と、もう一方では、こちらは千から三千に緩和すると。そうしますと、三千以下の部分の小規模宅地の開発などについては、規制の網がかからないということですから、事業者の自由な判断でその緑化率は決定されてしまう。延々と土地が残っているわけじゃありませんから、残りの残地の中で今後そういう引き上げを行っていきますと、やはり緑の保全そのものが相当、維持が困難にならざるを得ないというふうに思います。
次に、引き続き検討するとしている開発規制行為の適用除外のことなんですが、現行条例で、規則で対象行為としているものはどんなものがあるのか、それから、除外をしているものはどのような行為が挙げられているのでしょうか。
○江渡自然環境部長 お答えの前に、先ほどの答弁の中でちょっと抜けておった部分がございますので、補足させていただきます。
先ほど、千平米から三千平米に基準を引き上げた場合に全部が対象外になるのじゃないかというお話でしたが、実際には三千平米というのは甲地域という、どちらかというと自然状態としてはランクの低いところでございまして、乙地域といわれます非常に自然の価値の高いところは、当然にこれは除外してございませんので、これは五十一条の開発許可の対象になってまいります。ですから、そこのところで甲地域と乙地域という地域分けで自然地の保全についての救済は行っているつもりでございます。
それで、ただいまのご質問でございます。まず第一点目が、条例の施行規則の中で対象行為として掲げられているものがどういうものがあるのかというご質問でございますが、条例の別表第二にございますが、申し上げますと、建築物その他の工作物の建築の用に供するために行うものが一つ、それから、ゴルフ場、運動場その他これらに類する野外運動競技施設の建設の用に供するために行うもの、三つ目が、遊園地その他これに類する屋外娯楽施設の建設の用に供するために行うもの、四番目が、道路の建設の用に供するために行うもの、五番目が、墓地の建設の用に供するために行うもの、六番目が、土石の採取または鉱物の掘採により行うものでございます。
また、適用除外のものでございますが、これが十一項目ほどございますが、主なものについて申し上げますと、別表第三にございまして、自然環境保全法、それから自然公園法、都市緑地保全法、森林法、自然環境保全法等々に基づいて行う行為が挙げられてございます。また、自然公園法または東京都立自然公園条例等に基づいて行う行為も掲げられてございます。それから、都市計画法による都市計画事業の施行として行う行為と、土地区画整理法による土地区画整理事業の施行として行う行為も含まれてございます。
以上でございます。
○たぞえ委員 先ほど一九八三年以降一万二百五十三件開発許可といいましたが、この中で適用除外の扱いにしている件数の推移というのはどのぐらいあるのでしょうか。
○江渡自然環境部長 環境白書に記載されました、ただいまご指摘の一万二百五十三件は開発行為の許可件数を記載したものでございまして、適用除外とされた行為の件数は実際には含まれてございません。
○たぞえ委員 先ほど部長から、都市計画法による都市計画事業や土地区画整理法による土地区画整理事業などなど十一項目は、その開発許可の一万二百五十三件の中に含まれていない、こういうことですよね。
そうすると、私たちが目にしたこの白書、きょうは白書の質疑をやっているわけじゃないのですけれども、この白書の全体を活用させていただくと、東京の開発行為というのは一万二百五十三だというふうになっているわけですが、そのほかのこういった都市計画や区画整理とか道路ですとかは、要するに除外されているわけですね。ですから、都民が、今一体どのぐらい開発が行われているか、件数や規模がどうなっているかというのは、この白書からはなかなか見ることができないわけです。
そうしますと、現行条例のもとで開発行為が行われる場合に、一体どう緑が残るかという問題について、適用除外だからといって目をふさぐというわけにはいかないだろうと思うのですよ。都としては、現行条例で全く規制できない立場に置かれているのかどうか、そこら辺は実際どういうふうに……。
○江渡自然環境部長 実際には条例施行規則の別表の適用除外の行為でありましても、お話のございました例えば都市計画事業なんかでございましても、自然の改変が著しい行為につきましては、事業者が私どもの方に協議をいたしまして、自然の改変を最小限にとどめることといたしてございます。
○たぞえ委員 庁内でそういう努力が行われてきているというのは評価をしたいと思うのです。今回、このまとめで適用除外になっている開発行為に対して、審議会でどういう議論がされているのでしょうか。
○江渡自然環境部長 現在行われております議論でございますが、開発規制の適用を除外しております行為のうち、自然の改変が著しい行為については、これらの行為を開発規制の対象行為として追加することにより、自然の保全に一層努力していくべきであるというような方向で議論がなされてございます。
○たぞえ委員 追加することを検討していると。これは大変前向きの一歩だというふうに思います。具体的には、この十一項目のうち、どういう項目を追加するという議論がされているのか。
○江渡自然環境部長 今、まだ結論を得ておりませんので、ここで具体的にどの項目ということはちょっと差し控えさせていただきたいと存じますが、審議会の方で慎重にご議論いただいているところでございます。
○たぞえ委員 今まで十一項目にわたる適用除外の開発行為に対して、それを今度の条例が手のひらに乗せて、条例がすべての行為に対してきちんと目配りをすると。このことは一定の努力もされているわけだから、やっぱり思い切って努力をするというのが大事だというふうに思うのですね。しかし、答申は八月下旬に出てくると。八月下旬というと、あと二カ月足らずで、今の答弁だと議論されているというお話なんですが、果たして最終答申で適用除外について結論を見出せるのかなと、非常に不安なんです。もしかしたら息切れして詰め切れずに終わった、結局今までと同じと。
条例というのは法ですから、非常に縛りが、国との関係でもあって、思いと実際とは違う結論が出やすいケースがあると思うのですよ。局としては、この適用除外の十一項目に対して盛り込むと。部長は、どのように審議会で努力を、これから二カ月間されていくのでしょうか。
○江渡自然環境部長 条例上の取り扱いを公平にしていくということが一番のねらいでございますので、私といたしましては、取り扱いを許可と同等の扱いに、例えば都市計画事業であれ、再開発事業であれ、そういう方向に持っていきたいという希望は持っております。そういうことを審議会にもお話ししてございます。ただ、都庁内の調整等、まだこれからいろいろ短時間で片づけていかなければならない問題は横たわっているというように認識してございます。
○たぞえ委員 圧力もあるでしょうし、風も吹くでしょうし、しかし、今度の条例改正というのは、制定以来、東京の自然を回復する、維持するという点で画期的な条例であったと思います。これをさらに一歩前進させる上で、今まで大きな壁になっていた、その適用除外の十一項目の事業について、そこにしっかりと光を当てて東京の緑を保全する、この一歩を築くわけですから、部長一人だけのご奮闘では大変だと思って、私ども応援したいと思いますが、問題は、本当にすべての事業に環境が負荷にならないように、目配り、気配り、そしてそれを精神にも盛り込んでいくという点で努力をしていただきたいなというふうに考えます。
○清水委員 公害防止条例の改正の問題で、何点かお伺いいたします。
まず、今日の危機的な東京の環境という問題の根本的な考え方の一つの例として、フロン対策について伺いたいと思うのです。フロン対策については、主な先駆的な都独自の仕組みの四つの中の一つにも盛り込まれておりますので、先駆的におやりになっていただけるというふうに思うのですけれども、そこでお伺いしたいと思うのです。
もう繰り返す必要もありませんが、フロンはオゾン層破壊の原因である、そしてオゾン層を破壊された場合に、皮膚がんの増加や農作物の収穫量減少が懸念されるということで、地球環境保全の上で重要な問題ということは指摘をされているところです。国の規制は、段階的な生産の禁止とか、排出抑制については努力義務にとどまっているところがありますが、この問題は国際的に早くから指摘されてきたと思うのですね。その対策というのが、やはり日本の場合、ずっとおくれてきたということも指摘せざるを得ないと思うのですが、そこでフロンの問題のきっかけと、その後、国内外の規制の経緯を簡単に示していただきたいと思います。
○梶原企画担当部長 オゾン層に対するフロンの影響が初めて指摘されましたのは、一九七四年、アメリカの学者によってとされております。その後、観測結果の充実とともに、オゾン層破壊の事実が確認されまして、一九八五年にオゾン層保護のためのウィーン条約を採択、一九八七年にはモントリオール議定書が採択されております。
我が国におきましては、この議定書を受けて一九八八年に、いわゆるオゾン層保護法を成立させて規制を開始しておりまして、CFCについては一九九五年で生産が中止となっております。また、HCFCについては段階的に生産を制限しておりまして、二〇二〇年には認めないこととなります。
○清水委員 一番早い段階で問題が指摘されたのが一九七四年ということなんですけれども、日本の場合、一九九五年にCFCが生産中止となっているのですけれども、オゾン層保護法は一九八八年に成立されているわけですよね。で、規制が開始されたわけです。
そこで、じゃCFCがどれだけ生産されたのでしょうかということで資料をお願いしたところ、生産量は把握できないということで、出荷量を、推移ということでいただいたわけです。これを見ますと、一九八八年にオゾン層保護法が成立されて、その年に出荷されたのが十五万九千二百二十トン、そして生産を中止するまで八年間で、これをプラスしてみますと六十九万トン余りが出荷されているのですね。ですから、九五年に生産が中止になるまで一体どれだけ生産されたかというのは、わからないということですよね。で、九六年にも、九七年にも、量は減っておりますが、出荷されています。生産中止された後も出荷されているわけです。
それで、そこで何をいいたいかというと、私たちは既に九二年の段階で、国の方の地球サミットが開かれるときに、環境問題について党として指摘をしてきたのですけれども、九二年の段階でフロンガスを製造しているのは、アメリカと日本とドイツの三つの国の大企業だけだったわけですね。それで八八年にオゾン層保護法が制定されて、その後、生産が中止されるまでに、日本の企業は生産を、駆け込み生産をしたというふうに私たちは分析をしています。それで、オゾン層保護法が制定されてから生産中止するまで八年間もあったわけですよね。その間に削減目標の決定、生産中止をおくらせる、九二年には三国しか生産をしていないという、この間の日本の政府と大企業の、もう七四年に影響があるということはわかっている後から、法律の制定がおくれ、生産中止がおくれる、その段階で生産を駆け込み生産する、そしていまだに出荷が続いているというのが、まず現状なわけですね。
そして、HCFCも、今お答えありましたように、二〇二〇年に生産が中止になるということですが、まだ二十年間生産をすると。そうすると、その生産中止以降も出荷というのはまた続くというふうに予想されるわけです。そうすると、HCFCの影響というのも、この答申の中に書いてありますけれども、温暖化物質であるということで、中止になるということは影響があるということですから、どちらもオゾン層破壊の原因になるという物質が、中止になっても出荷される、中止になる時期もおくれているということでは、日本の全体の責任というのは非常に重要だと思うのですね。そこに、やはり今の大きな根本的な原因、その大きなオゾン層破壊がいまだに日を追って、年を追って広がっているということの、まず根本的な原因があるということが、これは過去の話ではなくて、今現在その影響が大きく出ているわけですから、その問題を本当に認識するということが大事だというふうに考えているわけです。
そういう点で、基本的な考え方の中に、例えば将来世代の危機という中で地球温暖化、ヒートアイランド現象を進行させる原因が前文に書いてあるわけですけれども、エネルギーの大量消費などによる環境負荷の著しい増大ということで、根本的に今指摘したような内容というのは、日本の政府の責任とか、それから企業が、他の国ではもう中止をしているものを日本がつくり続けてきたという、そういう責任というものが見えなくなっている部分が・・これは間違いだといっているわけではないのですけれども、見えなくなっている部分が、こういう表現では出てきてしまうというふうに考えているわけです。
そこで、次に伺いますけれども、外国、アメリカやイギリスなどでは、フロンの回収についても規制をして、積極的になくす努力をしているわけですけれども、日本は業界の自主的な回収システムに任されている。そういうことで東京都が先駆的な取り組みとして、今回対策をとるということになっている、この点は評価するわけですけれども、条例による規制を行って、回収、破壊に向けた実効性のあるシステムを構築すべきということで、答申の中には具体的な対策が幾つか書かれているわけですね。
で、回収などにかかる費用なんですけれども、明確にはなっていませんけれども、このニュアンスでいくと、危機の原因のニュアンスから結論を導き出していくと、消費者に責任を大きく負わせるような形になってしまうのではないかなという危惧をするわけですけれども、そういう点についてはどのようにお考えになっているでしょうか。
○梶原企画担当部長 現在、条例改正に際しまして検討しておりますフロンの回収システムは、各業界で既に取り組まれている回収ルートを有効に活用しながら処理を確実なものにしようというものでございます。この枠組みを検討する中で、排出者、メーカーなどそれぞれにフロンの破壊に至るルートの中で必要な役割を求めていきたい、このように考えております。
○清水委員 前段で、現在日本に存在しているフロンの原因について指摘して、もう繰り返し述べませんけれども、今いわれた中に、実際に具体化になったときにそれぞれの排出者とかメーカーなどがどのような役割になるかということがまだ明確ではないんですけれども、やはり回収、処理で不可欠なことは、拡大製造者責任の導入だというふうに思うのです。やはりその視点というのが、この答申でも、それからこれから東京都が進めていこうという方向でも、やはり不十分だというふうに内容で伺えるわけです。
東京都が今の危機を何とか食いとめていきたいという気持ちは非常によくわかるのですけれども、そこに、やはりつくった者の責任ですよね、わかっていながらつくったということもあるわけですから。だれがつくったかわかりません、他の都市に行っているとか、いろいろあるというふうなことも伺っているわけですけれども、しかしどこのメーカーかということだってわかることもあると思うのです。そういう意味では、条例化に当たっては、拡大製造者責任の導入という問題も検討していっていただきたいというふうに要求をいたします。
次に、先ほど、提出していただきました化学物質の使用量の実態調査が報告されましたけれども、この目的についてお伺いしたいと思います。
○小島参事 この調査の目的ですけれども、都内における化学物質の使用実態を把握しまして、この結果に基づきまして今後の都としての化学物質対策を検討する上での基礎資料にするために調査を実施しました。
○清水委員 資料の中で、取扱事業所において何種類ほどの化学物質がどのくらい使用されているのか、お伺いをしたいと思います。
○小島参事 本日の資料5のところに掲げてあります事業所で四百四十一あるんですけれども、この事業所は、今回の調査で化学物質を使用していると回答したものでして、この事業所におきまして百九十種類の化学物質を使用しております。その使用量は合計で九万三千トンでございました。
○清水委員 そうすると、この調査の結果から推計をしていくと、PRTR法対象事業所における化学物質の使用量は、全体としてどの程度のものか、予想されているでしょうか。
○小島参事 今回の調査から、PRTRの対象事業業種である、これは製造業とか、そのほかいろいろな業種がありますけれども、二十三業種ありますが、その業種に属する十三万ほどの事業所があります。小規模も含めまして、この事業所で使っておりますPRTR対象物質は、約十三万トンになるものと推計されています。
なお、この化学物質の詳細な使用実態につきましては、ことしから施行されています、特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律、いわゆるPRTR法に基づいて今後把握していくことになります。
○清水委員 今いわれたPRTR法の対象となる事業所は、具体的にはどのような事業所なんでしょうか。
○小島参事 PRTR法の対象となる事業所ですけれども、業種的には、先ほども申しましたように、製造業、燃料小売業、洗濯業等二十三業種ですけれども、これの常用雇用者が二十一人以上の事業者でして、法律で定めております第一種指定化学物質、三百五十四物質ありますけれども、そのいずれかの年間取扱量が事業所単位で一トン以上のものでございます。
○清水委員 この答申の中には、都内には小規模な事業所が多いということで触れられているんですけれども、今度の調査で化学物質を使用していると回答した四百四十一の事業者のうち、従業員が十人未満の事業所はどのくらいあるのでしょうか。
○小島参事 四百四十一事業所のうち、従業員数が十人未満の事業所は八十一事業所で、約二割を占めております。
○清水委員 二割の小規模事業所があるということですが、法律に制定されたわけですけれども、東京における地域の特性として、ここでも触れられていますように、中小企業、それから住宅過密都市構造、その中に化学物質を所有している事業所がある。それについては配慮していく必要があるということで、都として、対象以下の事業所について対策をとろうということでいわれていると思うのですけれども、そうした事業所についてどう指導していくのか、お伺いしたいと思います。
○小島参事 今副委員長から都内の実態についてご指摘がございましたけれども、こういうような都内の実態でございますので、今回の条例改正におきましても、化学物質の管理に関する規定を設けて指導することも検討しております。
指導内容といたしましては、化学物質の適正管理、排出の抑制、使用量、排出量等の報告、それから化学物質の安全管理の計画の提出を事業者に求めることなどでありますけれども、詳細については現在検討中でございます。
○清水委員 燃料小売業の方とか洗濯業、クリーニング業者とか、本当に中小の事業所が今まで必要なかった対策をとらなければいけないということで、それは、先ほどお金がかかるということをいわれましたけれども、実際には、化学物質を外に出しているということでは、何らかの対策を、それぞれが責任とっていくということも、今の環境を守る流れの中では最低限必要になってくることですけれども、そうした場合にも、やはり業者がそうした装置をつけやすいような仕組みというか、お金の面での対策も今後とも考えていただきたいというふうに思います。それは要望していきたいと思います。
それで、化学物質による環境汚染については、米軍基地の問題も最近では話題になっていることもあるわけです。横田基地の化学物質の使用実態というのはわかっているのでしょうか。
○長谷川環境改善部長 米軍基地につきましては、日米安保条約に基づきます日米地位協定によって、国内法は適用されておりません。したがいまして、横田基地の化学物質の使用実態についても私ども把握できておりません。
○清水委員 事故などが起きた場合、どう対応されるのか。横田基地については、九三年に、基地内にある貯油タンクから航空燃料が約一万八千漏れ出した、そういう事故があったわけですけれども、このときはどのようにしてわかったのか、そして、その後どのような措置経過にあったのか、伺いたいと思います。
○長谷川環境改善部長 国から事故の連絡がありましてわかりました。事故後は、米軍によって漏出燃料の除去作業・・地下水の揚水とか曝気方法によって除去作業が行われました。その内容につきましては、外務省から報告書を入手しております。
東京都では、この報告書に基づきまして、周辺の地下水への影響を把握するために、現在基地周辺の井戸の水質調査を継続しております。
調査結果によりますと、航空機燃料の漏出の事故による影響をうかがわせるような水質結果は得られておりません。
○清水委員 先日、日本の米軍施設からPCBの廃棄物入りコンテナが、アメリカからまた日本に再び搬入されるというような問題も起こったわけですけれども、今のご報告ですと、国の方から連絡があって初めて事故の発生を知るということで、化学物質による環境汚染の重大なことを考えると、今企業には、十人以下の事業所にまで、対策をとるんだということでやっている中では、一体どういうものが米軍横田基地の中に保管されているのか、使用されているのか、それが全くわからない。どうなっているのかわからないということは、やはり今のいろいろな世論の中から、不十分な部分もあるのではないかなと思うわけですけれども、環境審議会の中の幾つかの意見などを見ますと、横田基地、米軍基地の環境問題ももっと触れていく必要があるんじゃないかなというのが、皆さんの意見の一つか二つくらいの中にたしかあったことを記憶しているんですけれども、東京都として、国に対し、米軍基地の化学物質の使用実態など環境情報の公開を求めていくべきだというふうに考えますけれども、その点ではどうでしょうか。
○長谷川環境改善部長 東京都といたしましても、米軍基地の環境問題の重要性、これは非常によく認識しておりまして、現在国に対しまして、日米地位協定の適切な見直しを行って生活環境の保全を図ること、このことを提案、要求しているところであります。
今後とも東京都独自としても、基地周辺の住民の生活環境の保全を図る観点から、必要な環境情報の入手に極力努めていきたい、このように思っております。
○清水委員 それではなかなか変わらないと思うんですよね。では条例の中に書いたからどうかということをいわれると、条例の中に書いて、米軍基地が従うというふうにはならないわけですけれども、在日米軍には日米環境管理基準というのがあるらしいんですね。九五年に作成をしているということで、つまり米軍基地の中の軍人や家族、基地従業員の健康と安全を保護する目的で環境基準がありまして、大気排出物、飲料水、有害廃棄物、医療廃棄物、騒音、殺虫剤、全二十章にわたって事細かに規定をしているようです。それは基地の中の健康と安全のために作成をされるということで、基地の外の産業廃棄物施設が煙を基地の中に持ってくれば、日本の政府にその産業廃棄物施設を変えさせるとか、そういうことをしたり、自分たちの健康に影響があれば基地の中の問題に対策をとっていくことですけれども、しかし、一歩基地を出た日本の国民に対しては、環境被害をなくすという視点は、この環境管理基準にはないんです。
しかし、私たち、国の段階でも、在日米軍が持っている環境管理基準というものを使って、やはり今アメリカ軍も家族も日本の国民も日本の住民も同じだということで、それを利用して迫っていこうという取り組みを今やっているわけなんです。どういう形で条例の中に盛り込めるかというのはなかなか難しいことなんですけれども、やはり今ご説明があったように、要求している、要望しているということで、努力をされていることはわかりました。最近も国への要望の中に入っているということもわかりました。しかし、やはり重要な問題として、日本の企業や事業所には規制をする、しかし一方、米軍には、何が使われているのか、何が廃棄されているのかわからないというのは、日本の国民の環境影響にとって非常に重要だということでは、引き続き対策を強化をしていただきたいというふうに要望しておきます。
そして、きょうは時間が限られておりますので、条例の中にもまだ要望したい点がありますけれども、一、二、意見だけ述べさせていただきたいと思います。
やはり条例の中に、都民の環境権、健康な生活環境を都民に保障する都の責務などを、前文の中に盛り込んでいただきたいというふうに要望いたします。
それから、ダイオキシン類対策については、小型焼却炉対策については盛り込まれていますけれども、これは今まで繰り返し要望してまいりましたので、早急にしていただきたいというふうに思いますが、ダイオキシン類対策はそれだけでは不十分だというふうに思います。もっと根本的なダイオキシン類対策を条例の中に盛り込んでいただきたいと思いますし、廃棄物、資源の循環などについての視点も、もっときちんと盛り込んでいただきたいというふうに思います。
先ほど名称の問題がありました。確かに総合的なとらえ方という点では、ここでいわれている名称はそのとおりだと思いますし、今までの規制を後退させる意図は全く持ち得ていないということで、今までの規制はきちんと規制をして、都民の安全な環境の確保ということでは行うということをいわれているんですけれども、一番最初に指摘をしましたように、今東京が至っている環境危機の根本的な原因というものが、この名称だけでは理解でき切れない、根本的な原因が隠されてしまう面があるのではないかと危惧する都民の声もあるわけですね。
環境審議会でも、我が党の議員が要望しましたけれども、公害という名称を、今日ここで削除するということが適当かどうかという点で意見を述べたと思うんですけれども、私も、今その点では、一生懸命考えているところなんですよ。本当に実をとっていけばいいということがあるかもしれません。しかし、今いわれたような流れの中で、日本の政府自身も、みずからの責任をなくしてしまおうというようなことで、環境基本法という名前に、公害という名前をなくしていったという過去の例などもある中で、やはり公害という問題の名称というのはどうなのかということを、もっと幅広い都民と中身を議論しながら名称は決定していっていただきたいというふうに要望いたしまして、質問を終わります。
○尾崎委員長 お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○尾崎委員長 異議なしと認め、報告に対する質疑は終了いたしました。
以上で環境局関係を終わります。
なお、本日審査いたしました請願中、採択と決定いたしました分で、執行機関に送付することを適当と認めるものについては、これを送付し、その処理の経過及び結果について報告を請求することといたしますので、ご了承を願います。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後四時三十七分散会
Copyright © 1999
Tokyo Metropolitan Assembly All Rights Reserved.