都市・環境委員会速記録第六号

平成十二年三月二十二日(水曜日)
   午後一時四分開議
 出席委員 十四名
委員長尾崎 正一君
副委員長清水ひで子君
副委員長吉野 利明君
理事大西由紀子君
理事森田 安孝君
理事たぞえ民夫君
真鍋よしゆき君
竹下 友康君
かち佳代子君
谷口 卓三君
新藤 義彦君
立石 晴康君
内田  茂君
田中 晃三君

 欠席委員 なし

 出席説明員
都市計画局東京都技監都市計画局長兼務成戸 寿彦君
次長安間 謙臣君
技監山下 保博君
理事塩野 忠弘君
総務部長本多 靖男君
総合計画部長高田 茂穗君
開発企画担当部長山崎 俊一君
地域計画部長勝田 三良君
地区計画担当部長森下 尚治君
施設計画部長杉浦  浩君
航空政策担当部長山内 一良君
開発計画部長林 孝二郎君
建築指導部長小林 崇男君
参事河島  均君
参事只腰 憲久君

本日の会議に付した事件
 都市計画局関係
  予算の調査(質疑)
  ・第一号議案 平成十二年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 都市計画局所管分
  ・第十三号議案 平成十二年度東京都都市開発資金会計予算
  付託議案の審査(質疑)
  ・第七十五号議案 東京都都市計画局関係手数料条例
  ・第七十六号議案 東京都屋外広告物条例の一部を改正する条例

○尾崎委員長 ただいまから都市・環境委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市計画局関係の平成十二年度予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 これより都市計画局関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、平成十二年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、都市計画局所管分、第十三号議案及び第七十五号議案から第七十六号議案までを一括して議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○本多総務部長 去る平成十二年二月二十二日の当委員会におきまして要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元に配布してございます都市・環境委員会資料の一ページをお開き願います。都心三区におけるオフィスビル棟数・床面積及び駐車台数でございます。
 千代田区、中央区、港区のオフィスビルの棟数、床面積及び駐車台数の状況を記載してございます。
 次に、二ページをお開き願います。都市づくり調査特別委員会委員名簿でございます。
 各委員の現職、専門分野、主な委員歴等を記載してございます。
 次に、三ページをごらん願います。都市づくりにかかわる諸計画の策定でございます。
 当局で策定を予定しております都市づくりにかかわる計画等の策定の目的及び目標等について記載してございます。
 次に、四ページをお開き願います。区部の都市計画道路の前期事業化予定路線の現況、残事業費及び第三次事業化計画の検討状況でございます。
 第二次事業化計画前期事業化予定路線の現況及び残事業費と第三次事業化計画の検討状況を記載してございます。
 次に、五ページをごらん願います。東京都市計画における都市再開発方針の一号市街地及び二号地区の面積と地区数の推移でございます。
 計画的な再開発が必要な市街地、いわゆる一号市街地及び再開発促進地区、いわゆる二号地区の面積と地区数の推移を告示年月日ごとに記載してございます。
 大変雑駁ではございますが、以上で要求のございました資料につきましてのご説明とさせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○尾崎委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○吉野委員 日本の首都の東京にあって、都市計画局が担うべき役割というのは大変大きなものがあるというふうに思っておりますし、いろいろな課題に果敢に挑戦をされているというふうに見させていただいて、高く評価をしているところでございますけれども、都市計画局が行っていく計画と、それを具現化していくといいますか、具体化をしていくいろいろなセクションがあるわけですけれども、そこのところの乖離といいますか、ちょっと疑問に思うことがありまして、少しお話をさせていただきたいと思うのです。
 調布基地跡地の利用計画が、六者協を通じてずっと審議をされてきて結論を見てきた。そうした中で、例えば調布の飛行場が都営になってくる、あるいは競技場が建設をされて、その工事も今着々と進んでいる、そうした中で、そのアクセス道路、例えばあの周りですと、甲州街道を拡幅したり、あるいは天文台道路を広げて、近隣の人たちの生活に支障のないように都の施設へのアクセスを図っていくというふうな計画が立てられてきました。
 ところが、実際には、予算の絡みもあって、この十二年度の予算になってきますと、天文台の中の遺跡調査の費用がつかなかったり、あるいは天文台道路そのものの整備の費用がつかなかったりということで、全く計画がおくれてしまうという現実があります。
 こうしたことを考えてみますと、計画を立てている段階では予想がつかなかった事態ということもあるのかもしれませんけれども、都市計画局は、東京の中の都市計画をつくっていくのとあわせて、その実現についてどうしていくかという見通しもある程度立てた上でやっていくべきだと思っております。当然そういうことも含んでされているのだろうと思いますけれども、どうもやはり計画と実現との間に乖離があるというふうなことがあります。
 地元の三市があの跡地利用計画を受け入れるに当たっては、そうしたもろもろのことがきちっと整備をされるという前提条件のもとに進んできたわけですけれども、十二年度は実際にそういう状況の中で、地元自治体としても、その計画に対して白紙に戻せみたいな意見も議会の中で出てきている状況があります。
 こうしたことを考えますと、都市計画局と他の関係局との連携や何かを含めて、今後どうしていったらいいのかなというふうなことを私もちょっと悩むところなんですけれども、これは都技監に、こういう状況についてどういうふうなご感想を持たれるか、お伺いをしたいと思います。

○成戸東京都技監 今、調布基地跡地の整備を例にとりまして、計画と実現と申しますか、計画どおり事が運ばなかったときの対応と申しますか、それについてのご質問をいただいたわけでありますけれども、確かに調布基地跡地につきましては、いろいろな地元の要望、あるいは東京都の整備をしていきたい方向、そういったようなものとのバランスの中で現在の計画というものができ上がっているというわけでありまして、それに基づいて事業を進めているわけでありますけれども、昨今の財政状況の影響で、平成十二年度の予算につきましても、ご案内のような状況になっているわけであります。
 私どもといたしましても、こういった計画を計画どおり進めていくというのが一番望ましいわけでありまして、ご協力いただいている地元の市等に対しましても、それが一番報いる道だとは承知をしておりますが、昨今の経済状況の中で、多少おくれざるを得ないというような状況が出てまいりました。
 ただ、東京スタジアムのオープン自身は目標を立ててやっていることでありますので、これについてはおくれる要素はないと思いますが、その周辺整備につきまして多少おくれているのは事実でございます。オープンになりますれば、当然交通問題をどうするかということはすぐに起こってまいりますので、私どもも当初の計画どおり実行していきたいと思っておりますが、現在、周辺整備が多少おくれておりますので、オープンに当たっての交通問題への対処、車あるいは人の流れ、そういったようなものを最小限支障のないようにやっていくにはどうすればいいかということにつきまして、前々から庁内に調整会議を持っておりますので、そういった場を通じて調整をしていきたいというふうに考えております。

○吉野委員 ありがとうございました。地元の自治体としても、都の財政状況はよく承知をしているわけですから、そこら辺のところについて、よく意思の疎通を図っていって理解を求めるということの努力も東京都として必要だろうというふうに思っておりますので、そんなことの取り組みをぜひお願いをしたいというふうに思っております。
 都市計画局のさまざまな課題の中から、緑について、都市の緑化についてお伺いをしたいと思います。
 今回の定例会で我が党の三宅議員が都市緑化の推進に関して質問をいたしましたが、そこで知事は、緑は、ヒートアイランド現象の緩和、防災機能の強化、潤いと風格のある都市を実現するためには不可欠なものであるとの答弁をいたしております。これは知事の緑に対する認識を示したものでありまして、我が党の考え方とも同じ方向であるというふうに思っております。
 つい先日、井の頭公園の西園の中に、仮称ですけれども、三鷹の森ジブリ美術館というのが起工式を行いました。宮崎駿さんがかいたさまざまなアニメをそこに展示をしようというアニメの美術館なんですけれども、宮崎駿さんがあそこを選んだ最大の理由は、やはり森の中にあると。そういう緑の中で子どもたちがアニメに親しんでほしいという思いで、当初武蔵野の方にあった話が、あの森を見た途端に、どうしてもここだということで決まってきたという経緯もありますので、そういう意味で、緑というものは大変貴重な都市の財産というか資産というか、構成要素であるというふうに思っております。
 緑には、森林や公園、緑地を初め、川や農地などさまざまな形態のものがあるとともに、それぞれに安らぎや防災など多くの効用があることはご承知のとおりであります。その中で、風格のある都市づくりを推進するに当たって、都市内に豊かな緑を備えた公園や街路樹が不可欠であると考えますけれども、こうした風格ある都市づくりへの緑のかかわりについて、都市計画的にはどのようにとらえているのか、まずそのお考えを伺いたいと思います。

○勝田地域計画部長 都市づくりにおきまして、副委員長ご指摘のとおり、緑の果たす役割は非常に大きなものがございます。東京が国際的にも誇れる風格のあるまちとなるためには、都市の顔ともなります建築物や道路、河川、鉄道などの公共施設により個性ある町並みが形成され、にぎわいを持つとともに、お話にございましたとおり、公園や街路樹などの豊かな緑や巨木、巨樹などは都市に安らぎや落ちつきを持たせ、歴史や重みを感じさせるものとして欠かせない存在であるというふうに認識しているところでございます。

○吉野委員 国際的に誇れる風格のある東京にするためには、緑は欠かせないというお話でしたけれども、緑は生き物でありまして、一朝一夕に育つものではないというふうに思います。
 先日こういう話を聞きました。日本の杉というのは五十年たてば材木としても使える。ですから、親が植樹をすると子がそれを使えるという状況ですけれども、ドイツのモミやトウヒなんかは百五十年でほぼ一人前になる。こういうことからしてかどうかわかりませんけれども、ドイツというのは大変木を大事にする。まさに森の中に都市をつくっていくというふうな考え方、とらえ方で進めてきているというふうな話も伺いました。
 東京において風格のあるまちづくりの一つとして緑をとらえていくためには、これを計画的に都市内に配置して効果的に育てていくことが重要であるというふうに考えます。今後、この風格という観点から都市内の緑化の推進をどのように進めようとしているのか、お伺いをいたします。

○勝田地域計画部長 都市緑化の推進でございますが、これまでも、街路樹の整備、公園、緑地の整備拡充や、水際の重要性に着目いたしましてスーパー堤防の整備など、さまざまな施策の展開を図ってまいりました。また、道を歩いている人に見える緑の量を確保するため、開発等の際には道路に面した部分に緑地を配置するなどの指導なども行ってきたところでございます。
 今後は、こうしたことに加えまして、今ご指摘いただきましたように、風格のあるまちづくりを進めていくことが重要な課題と考えておりまして、このため、東京都の緑の総合計画でございます緑の東京計画を年内にまとめ、その計画に基づいて緑化の推進を進めてまいります。
 都市の緑化を進めていくのは、今お話ございましたが、行政だけでなく、欧米の先進例などからもわかりますように、住民の方々が生け垣や窓辺を花で飾ることや企業による屋上緑化なども大事なことでございまして、これからは、行政と住民との一層の連携のもとに緑化を進めていくことが重要であると認識しております。
 このようなことからも、緑の東京計画を策定するに当たりましては、中間案を発表いたしまして、広く都民の方々のご意見を伺う機会を持っていきたいというふうに考えておるところでございます。

○吉野委員 年内に計画をつくられて、また、その中間案を発表して都民の意見を聞くというお話ですけれども、ぜひ都民の意見を参考にしながら、緑化の推進について都の重点課題として取り上げて施策を続けていくことを要望したいというふうに思います。
 きのうの環境保全局に対する質疑でも、我が党の田中委員より、ヒートアイランド対策についての質問がありました。屋上緑化等のヒートアイランド対策としての取り組みも今まさに大事な施策であるというふうに思います。
 それとあわせて、もっとスピードを上げた緑化を進めるためには、公共の緑化事業だけではなくて、民間の事業の中にあっても、容積率の緩和等のメリットを提供するなどして、一層の緑化促進に取り組むべきであるというふうに思っています。今回の都民の意見を参考にするという手法は大変大事であると思いますが、ビルを建てて申しわけ程度の木を植えるというような意識ではなくて、もっと積極的に緑をつくり出していくということを都民の中でしっかり意識づけをしていく必要があるというふうに思います。今後も都市の緑化については注目をしてまいりますので、ぜひ確かな取り組みをお願いをして、質問を終わります。

○たぞえ委員 今定例会で石原知事が、我が党の代表質問で、都市計画のあり方についての指摘について、首都東京を引き続きアジアを代表するグローバルプレーヤーたる都市としていく、このように答弁されました。
 そこで、私は、ここの質疑では、都市づくりのあり方について何点か伺いたいと思います。
 初めに、全国総合計画からの東京の都市計画の流れを簡単に紹介をしてほしいと思います。

○高田総合計画部長 全国総合開発計画は、国土総合開発法に基づきまして国が作成をしておるものでございます。国土の利用、開発及び保全に関する総合的かつ基本的な計画である、こういうものでございます。
 これまでに、昭和三十七年の全国総合開発計画から平成十年の二十一世紀の国土のグランドデザインというところまで五次にわたって作成をされてございます。いずれも、おおむね十年ないし十五年を目標にしたものということでございます。
 これらの基本的な課題といたしましては、国土の均衡ある発展を図るというふうなことでございまして、これに対応するために、その流れを追ってまいりますと、昭和三十七年に策定されました全国総合開発計画では、工場の分散立地を進める拠点開発構想を打ち出しております。それから昭和四十四年、新全国総合開発計画では、新幹線あるいは高速道路等のネットワーク整備による大規模プロジェクト構想、それから昭和五十二年の第三次全国総合開発計画では、地方を振興し、居住環境の総合的整備を図る定住構想、それから昭和六十二年の第四次全国総合開発計画では、地域間で相互に補完し、触発し合いながら交流している国土を形成するということで、多極分散型の国土の構築を図る。
 それから平成十年の二十一世紀の国土のグランドデザインでは、地球環境問題とか大競争、アジア諸国との交流、そして人口の減少とか高齢化、さらには高度情報化の時代を背景といたしまして、地域の自立の促進と美しい国土の創造を目標として多軸型国土構造形成を図る、その基礎づくりといたしまして四つの戦略を展開するとしているところでございます。この中で、大都市におきましては、豊かな生活空間の再生や経済活力の維持を図るため、大都市空間を修復、更新し、有効に活用する大都市のリノベーションを進めるというふうにしているわけでございます。

○たぞえ委員 今述べられましたけれども、東京都は、これまで一極集中や集積によっていろいろ弊害が生まれたから、多極分散、集中の是正だということを盛んにいわれてきました。
 最近開かれましたシンポジウムで、都市計画局の山下技監がこれに出席をされて、このように発言をされています。東京のまちづくりの基本的な考え方は、戦後一貫して集中に対するアンチテーゼとしての分散策をとってきた、ところが、そろそろこの辺で見直していく必要がある時期に来ているというのが率直な実感です、このように発言されております。また、財界からも、集積は歓迎であるという旨の発言が最近たくさん出ておりますけれども、それら東京の一極集中の是正によるさまざまな弊害は解決をされたんでしょうか。

○高田総合計画部長 今お話にございましたように、これまで、多心型の都市構造をつくって職と住のバランスのとれた都市づくりを目指してやっていくというふうなことで東京の都市づくりを進めてきたわけでございますけれども、副都心の形成ですとか多摩の心の形成ですとか、新しい心の骨格が見え始めているところもございますし、また、いわば副都心として位置づけてこなかった地域においても新しい拠点としての形成が進んでいるというふうなことで、今まで進めてきた政策、都市づくりにつきまして、この辺で基本的なところを見直していく必要があるのではないかというふうな認識を持っているところでございます。
 具体的には、職と住のバランスのとれた都市づくり、これをいかに展開するかというふうなところにあるんだろうと思います。例えば都心部におきましては、業務あるいは商業機能、そういうふうなものに特化するだけではなくて、文化ですとか交流ですとか、それから一番大切な居住というふうなものを進めていかなければならないというふうなところから来ているわけでございます。
 なぜ、こういった認識に立つかということになりますと、いわば、先ほど申し上げましたように、これまでは右肩上がりの時代ということで、人口もふえていきます、産業も集中しますというふうなことであったわけですけれども、ややそういった傾向に変化が見え始めてきているという認識を持っているところでございます。
 それともう一つは、厳しい財政というふうなところもございまして、今まで投資をしてきたさまざまなものをいわば再構築しながら都心を築いていく、都市をつくっていく、こういった都市づくりがこれから求められているというふうに考えているところでございます。

○たぞえ委員 長かったから何をおっしゃったのかよくわからないのですが、集中是正を叫んでこられていろいろやってきた。副都心も業務核都市もつくって分散してきた。しかし、そればかりではいけない、さまざまな見直しをしなければいけない、こういうことだろうと思います。
 近ごろは、いろいろな場で都市間の競争ということが叫ばれるようになりまして、知事も都市計画局も挙げてこのことは主張されています。
 具体的な数字でお伺いしますが、区部で再開発が必要な地区の数と面積、これはどのような規模でしょうか。

○林開発計画部長 お手元の委員会資料の五ページにもあるとおりでございますが、都市再開発方針におきまして、計画的な再開発が必要な市街地、いわゆる一号市街地として定められている市街地の面積は、現在約五万八千百三十三ヘクタールであります。

○たぞえ委員 東京二十三区の全区、全面積が再開発を指定されているということであります。その中でも、再開発を促進する計画になっている二号地区の地区数と面積はどうでしょうか。

○林開発計画部長 先ほどの一号市街地のうち、一体的かつ総合的に市街地の再開発を促進すべき相当規模の地区、いわゆる二号地区でございますが、現在三百十四地区、面積で申しますと約九千九百四ヘクタールであります。

○たぞえ委員 二十三区の総面積のうち再開発を促進するのは一七%の面積だというわけです。既に八五年以降ことしの二月までに八十六地区の再開発が行われまして、そのうち都心三区だけでも十一地区であります。これ以外に、丸の内など十一の街区が容積率の緩和などのボーナスが与えられまして、特定街区に指定されました。ここから見える住友三角ビルもその一つであります。この三百十四地区のうち、千代田、港、中央の都心三区の現在の再開発促進地区数と面積、これは臨海副都心などを含めまして四十地区、八百二十七・八ヘクタールという広さです。六十一年の当初は、この地区数と面積はどうだったでしょうか。

○林開発計画部長 都心三区の昭和六十一年当初指定の二号地区の地区数と面積でございますが、地区数で八地区、面積は約百三十七ヘクタールでございます。

○たぞえ委員 今の面積は品川区、江東区の臨海副都心部分を除いた数字です。相当の数が都心に集中して新たな開発が行われるということが明らかです。
 こうした中で、前にも触れましたが、オフィスはこれから三区でバブル並みにふえていく勢いだということであります。現在、丸の内、大手町、有楽町には我が国を代表する実に四千百もの企業、団体の本社機能が集中しておりますけれども、毎日二十四万人のビジネスマンたちが約百棟のビルに勤務をしていますが、十年以内に建てかえる割合はどのぐらいでしょうか。

○山崎開発企画担当部長 大手町・丸の内・有楽町地区内で現在建設中または東京都が事前に相談を受けている建物については九件でございます。このうち、計画がおおむね固まっているものは八件でございます。

○たぞえ委員 現時点で、約十棟に一棟がこの十年以内に建てかえを行うという見込みであります。
 業界新聞によりますと、さらに踏み込んでおりまして、この十年のうち四棟に一棟は建てかえられる見込みだというふうにいわれております。いずれにしても、この十年間に、今答弁のあったような数が既に実施されているわけです。その建てかえの理由には、二十一世紀のグローバルな都市間競争を勝ち抜いて、名実ともに世界に誇る日本の顔をつくるというふうにいわれています。
 今計画している業務ビル建てかえによる床面積は、建てかえ前と建てかえ後、どのような推移になるのでしょうか。

○山崎開発企画担当部長 ただいま申し上げました八件についてでございますが、建てかえ前の延べ床面積は約五十五・五ヘクタール、建てかえ後は百二十二・六ヘクタールでございます。

○たぞえ委員 約五十五万平米から百二十二万平米に、この九つの建物で面積が変わるという話でした。まさに倍以上ふえるんですね。地面の面積は変わらないんだけれども、上に延びていく面積はふえていく。前回の委員会でも議論になりましたが、丸の内一丁目の日本工業倶楽部ビル、これは五万三千三百平米から九万一千五百平米に、二丁目の明治生命ビルは十万二千平米から十七万百平米に、この二つのビル計画を合わせただけでも一・五七倍の床面積がふえてしまいました。
 現在建てかえが計画もしくは進んでいる旧国鉄本社跡地、新サンケイビル、日本工業倶楽部、栄楽ビル、三菱商事丸の内本社ビルなど、八つのビルの整備によって新たに生じる駐車台数の推移はどうでしょうか。

○山崎開発企画担当部長 旧国鉄本社跡地など、先ほどから申しております八件についてでございますけれども、計画の駐車台数は約二千八百台でございます。このうち大半でございますが、いわゆる法で義務づけられております附置義務駐車場でございます。

○たぞえ委員 丸の内・大手町・有楽町地区で、現在ある駐車台数は四千二百九十六台です。これに新たに今いわれた二千八百台がふえるわけですから、合わせて七千台の車を保有するまちになるわけです。実に一・六倍です。これでは車が都心に押し寄せて、集中と過密が促進することになるんじゃないでしょうか。
 ここに、東京都市圏交通計画協議会というのがあります。これは東京都の都市計画局も参加されている協議会ですが、平成十年にパーソントリップ調査というのが行われました。どういうふうに人と車が動いているか、こういう調査なんです。慌ててつくってきましたので、見えないかもしれませんが、東京周辺の県、そこから都心に車がどう動いているかという表がこの中に出ているんです。それを拡大したものですが、神奈川県、東京多摩部、埼玉県南部、千葉東北部、いずれも業務核都市が配置されている地域です。そこから都心に動く、トリップですね、これは太い赤線で示されていますように、大変都心に集中をしています。ごらんになられると思うんですが、依然として東京区部に出発点または到着点を持つトリップが多い、こういうふうに調査で示されているわけです。
 これでもわかりますように、都心に自動車が真っすぐ入ってくる数が大変多い。それに加えて、先ほど答弁がありましたように、都心への車がさらに二千八百台迎え入れられようとしている。これでは集積のデメリットが大きくなるばかりではないでしょうか。社団法人不動産協会がこの二月に発表した新たな都市・住宅ビジョンというのがありまして、今都がビジョンを検討しておりますが、それに先立ってつくられたものです。
 この中で述べられていることをちょっと紹介しますと、都市で活躍する主力産業が持つ都市の強みとは何か、それは、マーケットとしての人口や事務所、人材、企業が集積をしていることだと述べているのです。一方、都市の弱みとは何か、企業の機能の集積と変化に比べて、交通などの都市インフラの整備が的確に対処されてない、その結果、通信費や物流費などのコストが割高になっている、そのために、都市における産業として克服すべきことは都市活動を支えるインフラ整備であると、この協会は将来について語っているわけです。結局、都心のオフィスをふやして車を増大させる。そうしておいて、インフラが足らない、新たな道路をつくる。結局、都心と都心を結ぶ道路の計画は、まさにここでいっている根拠がぴったり的確に示しているんじゃないでしょうか。
 業務ビルの建設の拡大は、結局呼び込んだ自動車の新たな道路の拡幅をしなければいけないことや、また鉄道への公共交通の混雑が激化したり、都市のエネルギー消費による温暖化、大気汚染への環境負荷、また職住の崩壊など、深刻な都市問題を引き起こすことになるんじゃないでしょうか。都が今度新しいビジョンをつくるというならば、これまでの都市のあり方を深いところからもう一度見直すことが大変必要だというふうに思います。
 そこで、東京都が今後五十年先を目標年次にして、ハード面からの都市構想あるいはマクロ的なまちづくりを反映した都市づくりビジョンを策定しておりますけれども、財界は、この都市づくりビジョンについてどのような見解を持っているんでしょうか。

○河島参事 ただいま、いろいろな団体の方から、東京を将来的にどういうまちにすべきかということの検討結果としていろいろな提言が出されたり、あるいは構想が出されたりしているところでございます。私ども、それらにつきましても、私どもが現在作業をしております都市づくりビジョンの策定作業には大変参考になる部分もございますので、その情報について集めているところでございます。
 実際には、現在、都市計画審議会の方に、社会経済情勢の変化を踏まえた、東京の新しい都市づくりのあり方についてという諮問をしてご検討をいただいておりますので、そういった検討の中に、そういったさまざまなご意見につきましてもいろいろと参考としていただく、このような考え方で進めているところでございます。

○たぞえ委員 先ほど紹介しましたこの新聞報道、先月二十五日に日本工業新聞が主催した首都再生特別シンポジウムという催し物がありました。ここでもまちづくり計画について活発な議論が行われました。
 この中で、三菱地所の専務取締役の方は、丸の内を日本の玄関として、東京の顔として再生していくことが最大の課題だというふうに述べられています。これはどこかで見たような言葉なんですね。どこだろうなとずっと思い出しましたら、実はこの議会にありまして、昨年十一月に出された都の危機突破・戦略プランでありました。探し求めてすぐ見つかっちゃったというのがこの例なんですが、このように述べています。大手町・丸の内・有楽町地区の開発は都心の再生にとって急務であり、民間投資を誘発して多様な都市機能を導入しながら再開発を促進する。この基本方針の部分とちょうど重なって同じなんですね。
 そこで、さらにこのシンポジウムの発言をずっと見てみますと、不動産協会の理事長は、国際競争力を高める条件は都市構造を変えることですと、まちづくりのあり方に言及をされているだけではなくて、今やっと首都大改造の最後のチャンスが訪れようとしていると期待と抱負まで語られています。同時に、東京都の都市づくりビジョンの策定についても言及をされておりまして、三菱地所の専務は、官のありようは私たちが変えられる時期に来ていると、この中で述べられています。まるで自治体を自分たちの目下の組織だと思うような発言であります。官を変えるというのは、官というのは公的自治体ですよね、東京都を変えられる時期に来たと。すごいことを発言されるなと思いました。
 丸の内・大手町・有楽町のまちづくり懇談会がありますが、この再開発計画の基本方針となっているガイドラインの取りまとめが行われました。地権者の有力企業だけではなくて、これには東京都も参加されておりますか。

○山崎開発企画担当部長 懇談会は平成八年の九月に発足しておりますけれども、地元区とともに東京都も参画しております。

○たぞえ委員 結局、東京都も加わってーーこの記事によりますと、直接東京都が日本の首都東京の再開発にかかわっているわけです。財界が主役になっているはずなのに、そこに都が組み込まれている。財界主導の方向で進められる流れに都もすっかりそこに乗っている、そういうことではないでしょうか。
 東京の新しい都市ビジョンの具体化を図るために、昨年の百四十一回東京都市計画審議会で、都市づくり調査特別委員会が設置されまして、調査、審議が既に二回行われています。この席上で成戸都技監は、幅広い調査、ご審議をいただきたいと冒頭にあいさつをされております。幅広いご議論というのはどういうことなんでしょうか。

○河島参事 都市づくりをめぐります社会経済状況というのは大変大きく変化しておりまして、こうした変化を十分に踏まえた検討が必要でございます。また、都市づくりの分野というものは非常に多岐にわたるものでございまして、ハード分野のみならず、産業や文化などのソフト分野との連携もこれからはますます重要になると考えられるわけでございます。
 こうしたことを踏まえまして、このような観点から、都技監のあいさつの中で、幅広い調査、審議を都市づくり調査特別委員会にお願いしたものでございます。

○たぞえ委員 この間二回の特別委員会の議事録をいただいておりまして、それを詳細に読んでみますと、さまざまな意見が出されています。決して一つの方向にまとまっているという印象はありません。緑の問題、健康の問題、まちづくりの問題、さまざまな角度から議論がされています。私は、その議事録を読み、局の方から説明を伺いましても、いろいろ勉強する中で、いろいろな人がいろいろな意見を述べているなというのが強い印象です。
 例えば第二回目の特別委員会の議論の中で、シナリオ手法ということがいわれています。幾つかのケースに分けて想定を行うというわけですが、いずれのケースも、きちんと読みこなすと、いわゆる三環状はでき上がったという前提で、その先どうするかという議論があるんですね。しかし、一方で、例えばきょう持ってまいりました「現代の交通経済学」という中央経済社という出版社が出している本ですとか、それから寺前さんという方が出している「新世紀交通課題」を読んでみますと、僕の気持ちと違うことが書かれています。こちらの方はこちらの方とは違う考え方を述べられている。道路一つとってもいろいろな考えがこういう文章で出てくるんですね。お金はある、できるだろう、だけど、なかなかできないのはなぜだろうかというふうにこの中でも問いかけています。結局、人々が暮らしているまちに道路をつくるのはお金があってもなかなかたやすくない、こういうふうに率直に投げかけているわけです。ですから、本当にいろいろな方の考えがあって当然だと思いますし、そういう意味で特別委員会の議論は大事にしなければいけないと思うんです。
 最近いろいろな見解でも、東京の人口は大体どこでも今後ふえるとは見込んでいない。それからお年寄りがふえるというのも大体共通をしています。そういう今の都市の規模を基準にして将来を見ると、過大な計画になりかねない。そういう点では、議論を深く広くやっていかなければならないというふうに思うんです。
 せっかく五十年先の都市のあり方を議論しているわけですから、少なくとも地方分権の立場に立って、実際に住民とともにまちづくりを進めている区市町村などの基礎的自治体ですとか、まちづくり協議会やまちの核になっている町会とか、また、戦前戦後まちづくりを主役になって進めてきた老人クラブ、こういう方からもぜひ意見を聞いてもらいたいというふうに思うんです。それから、五十年先の東京の主役である今の中学、高校生、こういう子どもたちの声もぜひ聞いてほしいというふうに思うんですね。
 一昨年、東京都議会が主宰した中学生議会報告書が発表されています。きょう委員にいらっしゃる田中議員が当時の議長で、冒頭にごあいさつされています。新藤議員も当時警察・消防委員長で、私も文教委員長で、子どもたちの質問に答弁をしました。この中で、「私たちが提案する『明日の東京』」という大変貴重な意見が中学生から出されているんです。南からは大島の子どもたちも来ましたし、奥多摩からも江戸川からもたくさんの子どもが参加して、そしてこの議会では特別決議まで上げました。その決議の中でこういうふうにいっています。二十一世紀の東京を快適で美しく、安全で暮らしやすい、世界に誇れる都市としていきたいといって、子どもなりに、産業の問題とかいろいろな問題を提起されているんですよ。
 しかし、今のビジョンの、特別委員会の方の、きょう提出されている資料を見ますと、どこどこ大学の教授さんとか、国のどこどこ審議会の委員さんとか、大変専門家が多くて、確かに議事録を見てみましても、本当に専門的な分野で分析をされています。しかし、実際に五十年以降に、また、それまで住む都民の実際の実感を取り入れていくということは大変必要だと思いますが、この点で、参事、いかがでしょうか。

○河島参事 今ご指摘がございましたが、都市づくりビジョンの策定に当たりまして、都民の皆さんの意見を広くお伺いするということは、大変重要なことであるというふうに認識しているところでございます。
 こうした考え方を受けまして、既に、都市づくり調査特別委員会では、会議の公開あるいは東京都ホームページへの議事要旨等の掲載を行いまして、情報を公開して、広く都民の意見を受ける、そういう体制を整えているところでございます。
 今後、調査特別委員会として中間のまとめを出したり、あるいは都市計画審議会の答申が出されるというような時点では、「広報東京都」などによりまして広く都民からの意見を募りまして、都市づくり調査特別委員会の調査、審議やあるいは都市づくりビジョンの策定作業に十分反映させていく、そういう考え方でおるところでございます。

○たぞえ委員 ぜひ、この中学生議会の報告書を特別委員会で使ってください。せっかく子どもたちが東京の未来を語っているのですから、ぜひ、子どもたちの今の思いを審議会の審議に反映してほしいと思います。できれば小学生議会も開きたいという声もあるのですけれども、とりあえず、これはできているのですから、活用してほしいと思っています。
 また、東京の五十年後のビジョンの決定に当たっては、国の首都圏整備計画のいろいろな縛りがあるのですが、独立した地方自治体でありますので、東京都としてどうするかという方向を、これまでの流れに縛られないで、また今までの開発という方向に、そこに寄り添っていくだけでなくて、ぜひそういう方向から脱却して議論もして、方向も都民的に出していただきたいというふうに思います。
 最後に、地元問題で大変恐縮でありますが、私どもの世田谷区には東急世田谷線という路面電車が走っています。一年間の乗降客は一千七百九十六万人で、一日平均約五万人が乗降されています。今でもぼろ市などが年二回開かれまして、大変庶民的な電車として利用されておりますが、庶民的であって結構なんですけれども、非常に問題も痛感をしています。
 それというのも、下高井戸から世田谷線に乗りまして、三軒茶屋、終点でおりて、そこから東急新玉線に乗りかえる場合に二つの定期券が必要です。東急電鉄という一つの会社が運行している電車なんですが、料金も別々払いであるし、定期券も二つ持たなければ乗れません。もちろん運賃の割引もありません。通勤通学でこの二線を乗り継ぐ場合に、現状でこういう様子なんですが、これを一枚でも対応できる、定期券一枚で通しで電車に乗れるようにするべきだと思うんですが、東京都はどのようにお考えなんでしょうか。

○杉浦施設計画部長 おっしゃいますとおり、現状、東急世田谷線と新玉川線を乗り継ぐ場合は定期券が二枚必要となってございますが、これを一枚にまとめるためには、現在の定期券の発売機や自動改札機を改良するという設備投資が必要になってまいります。東急電鉄に問い合わせましたところ、東急電鉄としては、現時点ではそういった共通化の予定はないとのお話でございます。
 都といたしましても、公共交通におきます乗り継ぎ利便性の向上などのサービスを図っていくことは重要な課題であると考えておりますので、今後、地元要望の把握に努めるなど、機会をとらえまして鉄道事業者に働きかけを行ってまいりたいと考えております。

○たぞえ委員 ぜひ、よろしくお願いしたいと思います。これは、年間約一千八百万人の方が利用されている貴重な公共交通でありますし、かつては子ども運賃がなくて子どもも大人運賃を払っていた電車でした。最近サザエさん号という電車、超低床式の電車になりまして、戦後初めて冷房が電車につくようになりました。また、車両と車両の連結部分が通行できるようになって、大変便宜が図られました。これも私鉄の大きな努力の結果だと思います。しかし、朝忙しい通勤通学の利用者にとって、二つの定期券を間違って出して、そこで自動的にロックされて歩けないということがたびたびある状況の中で、ぜひ都としても働きかけていただきたいということをお願いして、終わります。

○森田委員 今、都市づくりについていろいろ議論がありましたけれども、私も少し、都市づくりについて基本的なお話を議論したいと思っています。
 都市計画、これは住民にとって非常に重要なものだというふうに思っています。現実に、用途地域が変更になったり、あるいは今私の杉並には一つの大きな安売り店ができる、こんなようなことが起こると、まちの様相が全く変わってしまう、こういうようなことが起こる、これも都市づくりの一つではないかなというふうに思っています。
 都市というのは、今さらいうまでもありませんけれども、都市の中には道路もある、電車も走っている、ビルもある、会社もある、そんなようなことがありますけれども、そのまちで人が生活をしやすい、人が住みやすい、これがやはり都市づくりの基本ではないかなというふうに思っています。ただ、よくいわれるように、一人の反対があって道路ができない、橋ができない、これはあってはならないわけですが、そういうことではなくて、本当に東京のまちを人が住みやすいまちにしていく、これが都市づくりの基本ではないか。
 ここのところ、いろいろ話を聞いたり、あるいは都市計画のことを少し読んでみたりすると、大変に難しくて、専門家じゃないとわからないことが多いわけですけれども、現実にまちというのは人が住む、先ほどちょっとありましたけれども、小学生や中学生も住んでいる、こういうまちですので、まちづくりについて、ぜひ、わかりやすい言葉できょうも話していただければというふうに思います。
 その基本になる都市計画法が今回三十数年ぶりで改正になるというような状況ですけれども、この都市計画法がまちづくりの憲法ともいわれているようですが、この都市計画法が改正される趣旨について、まずお伺いしたいなというふうに思います。

○勝田地域計画部長 現行の都市計画法制定後、約三十年経過しておりまして、この間、少子高齢化の急速な進展、都市への人口集中の鎮静化を初め、交通通信網の整備とモータリゼーションの進展など、都市をめぐります経済社会環境が大きく変化しております。
 今回の改正は、こうした状況を踏まえまして、都市計画制度が、今日の安定、成熟した社会に対応して、地域が主体となって地域ごとの課題に的確に対応し得る柔軟性と透明性を備えた制度となるように、全般にわたって見直しが行われたものでございます。

○森田委員 確かに都市計画法がまちづくりの基本になっているとするならば、この三十年間の変化というのは大変な変化があったわけですね。三十年間逆に変わらなかったのが不思議だなというふうに思うわけですけれども、今お話があったように、都市の環境、モータリゼーションなんというのは古い言葉ですけれども、交通とか通信とかさまざまなインフラが変わってきている、こういう中で都市づくりというのは変わってくるのは当然ですし、変わらなくちゃいけない。
 では、今回の法律によって、例えば東京はどういうふうに変わり得る可能性があるんでしょうか。

○勝田地域計画部長 今回の改正は、大きく分けまして、東京のような既成市街地の再編整備、それからもう一方は郊外地、地方都市でございますが、そうしたところに力点を置きました開発関係の改正といいますか、こういったものに代表されております。
 そういった意味では、東京に関する影響といいますか関係といたしましては、例えば変更の内容の中に一つ、特例容積率適用区域制度の導入、こういうのがございます。これは、都心部等の商業地域内で道路、下水道、そうした都市基盤が十分に整備されているような地域で、いわば一種の容積移転の制度でございますが、こういった制度が導入されます。こういったものによりまして、現在も都市開発諸制度等々たくさんございますが、またさらにそうした活用の幅が広がるという点が一つあろうかというふうに思います。
 またもう一つは、都市計画区域の整備、開発及び保全の方針、これが新たに法定化されることになります。いわゆる都市計画のマスタープランの充実でございます。こうしたことによりまして、これまでもいわゆる都市計画マスタープランという機能のものはございましたが、より一層充実するということによりまして、各種の都市計画の施策が、また体系化といいますか、あるいは相互の連携化といいますか、そうしたことが充実するというようなことが、東京にとって、今回の改正による影響の大きい点かなというふうに思っております。

○森田委員 大変にわかりにくい話なんですけれども、もう少し易しい言葉で話してほしいんです。今回の法改正によって、三十数年間変わらなかった法律が変わるわけですね。それによって、東京の都市計画を行っていく上において、やりやすくなるんですか、やりにくくなるのか、あるいは、やりやすくなるとすれば何がやりやすくなるのか、その辺のところについてはどうですか。

○勝田地域計画部長 都市計画にはさまざまな課題があるわけでございまして、例えば東京を例にとりますと、一つは都心居住の問題があろうかと思います。また、先ほど来若干議論が出ておりますが、分散型の都市構造づくり、こういった課題もあろうかというふうに思います。また一方、商業の活性化といったところも東京の課題の一つというふうにいえようかと思います。その他、郊外の住宅開発も課題の一つということでございまして、こうした課題が、それぞれの時代で少しずつ、そのニーズといいますか、あるいは住民の方々の意向などの強弱もございまして、その都度そうした課題があるわけでございますが、それに対応した形で、都市計画の制度としては、いろいろ整備がその時代時代でできてきております。例えば地区計画なども、その途中で、都市計画法の一部改正の部分としてはできているわけでございまして、そうした制度はこれまで充実をしてきているわけでございます。
 今回の都市計画法の改正も、いわば抜本的な改正という意味では三十数年ぶりということでございますが、その途中経過では、今申し上げましたような制度改正がその都度行われておりまして、時代のニーズに沿ったような課題に対応する法律、制度あるいはその手法、こういったものがつくられてきているわけでございます。今回のものにつきましても、そうした流れの一つということでございますので、当然いろいろな選択肢が広がるということから、使いやすくなるということは事実でございます。

○森田委員 先ほど部長、説明していただきましたけれども、今回の法改正の一つのポイントは、都市づくりビジョンですか、都市計画マスタープランですか、をつくっていこうということが一つのポイントではないかなというふうに思うんですが、まず、これは聞くのも失礼かもしれないけれども、都市計画というのは物すごくかたくなってコンクリートのまちという感じを受けるんですけれども、まちづくりというと東京にはちょっと
ーー東京はちょっと大き過ぎるので都市づくりというんですか、都市づくりのポイントというのはこれから何だと考えられますか。

○勝田地域計画部長 私ども、都市計画あるいはまちづくり、こういう用語を使っておりますが、都市計画、まちづくりは同じ意味でございますが、いわば重層的な構造がございます。一つは、国、都、区あるいはその地域、そういったものが重層的にいろいろそのまちづくりにかかわっているという面があろうかと思います。
 今お話の、都市計画におけるポイントでございますが、これも基本的にその都市に住む方々のニーズといいますか、意向といいますか、こういったものを的確にとらえていくことかというふうに、一言でいえばそういうことだというふうに認識しております。
 そのために、基本的には都市の安全といったものがなければなりませんので、防災的な、あるいは不燃化的な措置が必要でありますし、都市活動の利便性といった意味では、鉄道、道路、そういったものが必要でございますし、一方、自然、緑、水、こういった人の潤いといいますか、そういったものをつくり出すという意味では、公園の整備でありますとか緑地の整備でありますとか、そういったものが必要ということになってまいります。
 ただ、都市計画の場合、それぞれが、最初に申し上げたとおり、重層的な構造で仕事をやっているということがあるものですから、一人オールマイティーの方がいて、すべてその人がつかさどっている、こういうふうな構造でないという面もございまして、若干外からはわかりにくい点はあろうかと思いますけれども、都市計画にかかわる仕組みはそういう仕組みになっておりまして、ポイントは今申し上げたような点かなというふうに考えております。

○森田委員 私も、今部長がおっしゃったように、まちづくりというのはやはり合意形成、これが一番のポイントではないかなと。住民の合意形成ができないまちづくりというのは、それはまちに住んでいる人たちのニーズに合ってないと思います。
 さっき部長がおっしゃいましたけれども、僕も、アメリカの都市づくりの一つの例として、ポートランドのをだあっと見てみたら、やはり市民の声を一番反映させるようなシステムをとっているんですね。市民のアンケートをまとめまして、そこから目標の設定をしていく。その中には、先ほどお話ししたように、安全と安定した近隣とか、調和のとれた交通手段の選択、自然との触れ合い、きれいな空気と水云々と七項目ぐらいあるわけですけれども、こういう合意形成をまずする。それまではいろいろな意見が出てくる。これは民族性もあるのかもしれませんけれども、そういう合意形成に至る過程は物すごい議論になるけれども、一たん決まった場合には、これをお互いに守っていくということでまちづくりが行われて、そして数十年先のまちづくりを目指してやっていっている。東京というのは余りにも大き過ぎて、アメリカのこの例でいうと百数十万の町ですから、ちょっとすべてを比較するわけにはいかないのですが、手法としてはこういう方法が必要なんではないかなというふうに思うわけです。
 そんなことで、これからの東京のまちづくり、こういうところで合意形成というのをどういうような形でつくっていこうとされているのか。まちづくりというのは、言葉は悪いけれども、上からの、あるいはお上からの決定でやっていくのではまずい。さっきあったように、審議会があるようですけれども、そういう専門家だけでも、これはやはり片落ちになるのではないか。一千二百万都民の声を全部聞くわけにはいきませんけれども、この合意形成の手法というのはすごくこれから大事になってくるのではないか。この辺についてはどういうふうにお考えでしょう。

○河島参事 ただいまのご質問の、これからの都市づくりにおけます合意形成のあり方、これは大変重要なポイントだろうと思います。私ども、今、都市計画審議会の調査特別委員会に都市づくりのあり方についてご検討をいただいておるわけでございますが、その中の一つの大きな論点として、都市づくりの実現方策をどういうふうにしてこれから組み立てていけばいいのかということをご議論いただいております。その方式の具体的なものというのは、これから調査、審議をいただくわけでございますが、いろいろな情報の提供をどのようにやっていけばいいのか、また、今ご指摘のような都民の中の議論というものをどのように進めていけばいいのか、そして、計画を決めるときにはどのような決定の仕方をすればいいのか、そういったことを少し総合的にご検討いただきながら、本当に都市づくりに前向きに進めるような実現の方策というもののあり方ということをご検討いただき、それを新たに組み立てていく、そのようなことを、ぜひ、この都市づくりビジョンの検討の中で考えていきたいというふうに考えておるところでございます。

○森田委員 今合意形成の必要性をおっしゃっているんだけれども、合意形成を具体的にどうやっていくかということについては、これからの検討ということなんですか。

○勝田地域計画部長 合意形成のありようといいますか、そういったものでは今参事からお答えしたようなことで、またいろいろな課題がございますので、一定の議論をしていくという点が必要かというふうに思っておりますが、今ご指摘の、いわば市民の声を正しく吸収するといいますか、まちづくりに投影していく方法といったことについてはどうかというお話につきましては、先ほども申し上げましたとおり、大変広域的な、東京都がやります例えば用途地域の一斉見直しのような、二十三区あるいは多摩も含めました全域を対象とするような都市計画もございますし、それから駅前の再開発をするような地区の都市計画、こういったものもございます。それらは同じ方法で、なかなか一つではやれないのかなというふうに思っております。
 特に、地区単位のまちづくり、再開発とかそういったものにつきましては、相当綿密に、長い期間を使いまして、地元の方々と意見交換をし、先ほど先生からご指摘があったように、徹底的な議論をし、いろいろな賛成、反対の意見を出していただき、最終的には、まとめたらそれを守る、そういう方法が必要であろうというふうに思っております。
 都市計画の手続の中の市民の声の反映システムといたしましては、公告、縦覧でありますとか公聴会でありますとか、そういったものがございますが、これは先生ご指摘のとおり、大変かた苦しい手続になってまいりますが、ポイントは、むしろその前に、今申し上げたような地元での合意形成の協議の機会をたくさん持つといいますか、そういったことにあるんだろうというふうに思っておりまして、これは既に区役所レベルなどでは相当実践をされております。
 東京都の都市計画ということになると少し感じが違っておりまして、広域的な観点が広がってまいりますので、若干地元への入り方というのは弱まってまいりますけれども、市民の声の聴取の仕方あるいはあるべき方法論といったものについては、これもやはり都市計画としてのそういった各レベルといいますか、そういったところでその適当なありようが決まってくるのかなというふうに考えているところでございます。

○森田委員 なかなか難しい問題ではあると思うんです。合意形成というのはどこで意見を集約するのか、どういう方向で集約するのかというのはなかなか難しいのですけれども、最近私が経験した例でいうと、一つの大きな安売り店ができる、そうすると、周辺住民は生活環境が全然変わっちゃうから反対なわけですよ。その反対する理由もようくわかるんです。ところが現実には、建築基準法に合致していれば建物はできちゃう。しかも、今度は建物ができてしまえば、営業は営業でまた別の形で許可が出ちゃう。そうすると、まちづくりって何なんだろう、住民の意見というのはどこへ反映するんだろう、こんなような疑問を持ったわけですね。
 ですから、今の法体系のもとではそういう形でしようがないのかもしれないけれども、これから新しい東京をつくっていこう、東京構想をつくっていこう、こういうときには、そういう住民の声を反映できるようなシステムをつくらないと、本当に住民の意見を入れたような合意形成というのはできないことになっちゃうんじゃないか。したがって、今も東京のまちづくりは進んでいるわけですね、今の形でこれからも進んでいくのか、あるいはどこかでまちづくりのシステムを変えていこうとしているのか、この辺は都としてはいかがなんでしょう。

○勝田地域計画部長 大型店を例に出しまして今ご質問いただきました。この対応については、大変難しい問題だというふうに認識しております。お話の中にありましたとおり、法規的にはきちっとした手続を経てまいりますので、これ以上、基本的にはとまらないといいますか、方法論はないわけでございまして、基本的には、事業者である建て主側と近隣の住民の方々との話し合いの結果になるわけでございますけれども、その間に、極力、最終的な結論として大方の方が納得できないまでもまあやむを得ないかなというところまでそういった話し合いを尽くすというのは、必要であろうというふうに考えているところでございます。
 大きい都市計画から、今お話ございましたような、スポット的な一つずつの建物、これもやはりまちづくりの一つでございまして、そういった意味では、先ほど申し上げたとおり、住民の声の聴取の仕方、それからそれに対する対応の仕方、そして最終的な結論の出し方、それぞれ、そのテーマによってやはり違うのかなというふうに思っておりますが、いずれにしましても、ご指摘のように、極力住民の声を聞くようなシステムづくりというのは、これからも私ども心がけて工夫を凝らしていかないといけないのかなというふうに感じているところでございます。

○森田委員 確かに、大きい話から小さい話になって申しわけないのですが、最終的にはやはり自分たちのまちということが一番ポイントになってくるのではないかなというふうに思いますので、取り上げました。
 それと、法律に戻りますけれども、今回、都市計画マスタープランを策定するということが改正法では義務づけられるようなんですが、この都市計画マスタープランというのはどんな位置づけになるんでしょうか。

○勝田地域計画部長 新たに都市計画のマスタープランの策定が義務づけられるわけでございますが、その概要でございますが、まず一点目といたしまして、都市づくりに対する合意形成の促進とわかりやすい都市計画体系の実現を図るために、目指すべき都市像を明確化しようとするものでございます。二点目は、都市計画区域ごとに策定するものでございまして、例えば区部におきましては、二十三区一体化したマスタープランとして策定していくということになります。三点目といたしまして、都市計画のマスタープランの内容でございます。どういったものを記載するかという点でございますが、これは、都市計画の目標、区域区分の方針、土地利用、都市施設の整備及び市街地開発事業に関する主要な都市計画の決定の方針、こういったものを定めることになります。四点目といたしまして、法制化されることによりまして、都市計画区域について定められます各種の都市計画は、東京都あるいは区市町村決定の都市計画に関する事項かを問わず、この都市計画のマスタープランに即したものでなければならないことになるといったものでございます。

○森田委員 東京都には、このきょうの資料をちょっと見ただけでも、東京の新しい都市づくりビジョン、二番目に東京圏メガロポリス構想、東京臨海云々、それから緑の東京計画、震災復興グランドデザイン、まだこれ以外にもいろいろ計画がありますよね。こういうものとこのマスタープランとはどういう関係になるんですか。

○勝田地域計画部長 一言でなかなか説明しづらいんですが、先ほどお答え申し上げました都市計画のマスタープランにつきましては、都市計画の、文字どおりマスタープランでございまして、今お話ございました東京の新しい都市づくりビジョンあるいはメガロポリス構想、こうしたものも、これもまた違った側面から東京のまちをどういうふうにつくっていくかというふうに議論している中身でございます。
 どこが違うかと申し上げますと、都市計画のマスタープランにつきましては、都市計画法に法定化されまして、根拠として都市計画法で規定されているという点、それからマスタープランは、東京都の上位計画でございます各種のーー今申し上げました都市づくりビジョンとかメガロポリス構想とか、こういったところの内容そのものは、都市計画の、今回制定いたしますマスタープランの中に投影はされていくという関係になるものでございまして、ちょっとわかりにくいかと思いますけれども、そうしたそれぞれの、例えば緑の東京計画ということになりますと、数ある都市計画のジャンルの中の緑の部分を特化した計画という面がございます。そうしたものの緑の部分は、今回制定しようとしております都市計画のマスタープランの緑の部分として、緑の東京計画の総論的なものといいますか、総体的なものをこちらへ入れ込むという形になっておりまして、それぞれ目的は目的としてありますが、相互に補完関係になって、全体として東京のまちをつくっていくという形になっております。
 ちょっとお答えになっていないかと存じますが……。

○森田委員 もう一度伺います。中学生に、おじさん、東京の二十年後のまちはどうなるのと聞かれたら、どうやって答えるんですか。

○河島参事 きょうご説明申し上げました要求資料の各種計画と、それから法改正に基づきます都市計画マスタープランの関係ということで、私の方の、都市づくりビジョンを担当させていただいております立場から、ちょっとご説明を補足させていただきたいと思うんですが、東京の新しい都市づくりビジョンというのは、都市づくりにかかわります各種の分野を総合的に検討いたしまして、これからの東京の都市計画をどう進めていくかという基本的考え方を取りまとめようとするものでございます。ですから、その基本的考え方に基づいて、法律に基づきます都市計画マスタープランを制定する際には、それを踏まえた内容を整理して都市計画の決定をしていく、都市計画に位置づけられたマスタープランとしていくということが必要になるというふうに考えております。
 その他いろいろ分野別の計画がございますが、この分野別の計画は、当然のことながら、新しい都市づくりビジョンを策定する際に十分整合を持ちながら、新しい都市づくりビジョンの各分野の考え方を整理する際に整合を図っていく。ただ、新しい都市づくりビジョンをつくっていくまですべての分野の計画をストップする、こういうようなことは全く非効率でございます。並行的に進められるものは進めて、整合をとりながら、都市計画の体系として取りまとめる。それは行政的にまず取りまとめるわけでございますが、行政的に取りまとめたものを法律的に位置づけていくということによって、その先の各種の都市計画などを決定する際にそれをベースにした前進ができるようになる、そんなような構造で考えているところでございます。

○森田委員 ますますわからないんですが。(笑声)中学生じゃなくて私たちでもいいんですけれども、要するに、東京のまちづくりの基本になるのは何なんですか、いろいろ計画がありますけれども。

○河島参事 これからの東京の都市づくりの基本となる考え方を示すのは、やはり都市づくりビジョンであるというふうに考えております。この都市づくりビジョンをベースにしながら、さまざまな分野別の具体的な都市づくりを体系的に整合のとれたものに転換していこう、そういう趣旨のものでございます。

○森田委員 ということは、都市づくりビジョンがあれば、この法律でいっているマスタープランはなくてもいいだろうと。マスタープランは法律にあるからつくらざるを得ないので、都市づくりビジョンがあれば東京のまちづくりはできるんだというふうに思っていていいんですか。

○河島参事 都市計画のマスタープランは、先ほど勝田部長の方から説明がございましたように、決めるべき内容というものが法律的に具体的に決められております。そういう面では、総合的に都市づくりの考え方を示していくときに必ずしも十分に記述できない、総合性を保ち得ない、そういう部分もあろうかと思います。
 これに対して、行政的に策定をいたします都市づくりビジョンにつきましては、もう少し幅広く、全体的に構図を描き、それを都民の皆さんにお示しすることができる。そういう面では、より法律の枠に縛られない総合的な記述というものが可能であり、ある面で、それがわかりやすく説明できる道にもなろうかと思います。
 都市計画に決めることの意味というのは、私が理解しておりますのは、都市計画決定をすることによって、都市計画マスタープランというものの法律的な意味が、そこに生じてきます。その法律的な意味というのは、そこをベースに、それ以後の各種の土地利用の計画であるとかインフラ整備の計画であるとか、そういうものを都市計画で進めていくときに、十分な整合を保ちながらやっていくということでのベースになるものでございますから、都市計画で決めるということの意味が、またそこに生じてくるだろうと思います。公に決められて意味を持つものという位置づけを、都市計画で決めるということで持たせることができるというふうに考えております。
   〔「頭いいんだな」と呼ぶ者あり〕

○森田委員 今隣でつぶやいていますけれども、頭が違うんです、レベルが。僕らではちょっと理解できないんですけれども、我々が理解できないということは、都民の皆さんも理解しにくいんじゃないかな。こういうような難しい中での合意形成というのは本当に不可能に近いんじゃないか。それは、東京というまちが重層的なまちだからこれだけ難しくなってしまっているのか、あるいは、まちづくりというのはそういうふうにして、どんな小さなまちでもこれだけ複雑なものが必要なのか、その辺がちょっと疑問を持ちますけれども、では、一つだけ答えてください。
 東京構想がありますね。これからつくりますね。それから、新しい都市づくりビジョン、マスタープラン、この順位はどうなるんですか、重みづけというのは。

○勝田地域計画部長 順位というのは単純にはつけにくいんですが、あえて申し上げますれば、東京構想二〇〇〇は、今後東京が目指すべき中長期的な都市像、生活像を明らかにして、その実現に向けた施策展開を総合的、体系的に示すもので、ソフト、ハード含まっております。したがって、これが上位というふうに、あえてつければこれが第一というふうに認識しております。さらに、今お話の都市づくりビジョンでございますが、そのうち都市づくりの分野のハード部分に特化した、東京の都市づくりを目的や目標をより明確にした政策誘導型に転換していくため、社会経済情勢の変化を踏まえた東京の新しい都市づくりのあり方を示していくということでございますので、あえて申し上げますれば、これが東京構想に次ぐものというふうにみなせると思います。
 都市計画のマスタープランでございますが、これが最下位というわけでは決してないわけでございますが、位置づけ的に、上位計画を踏まえてつくるという意味では、これがそれに次ぐものというふうに認識しているところでございますが、この都市計画のマスタープランは、先ほど河島参事からも申し上げましたとおり、都市計画法に法定化されるという面で、そうした法的な根拠を持つという意味での性格の違いがあるということでございます。

○森田委員 この議論をやっていると時間がたっちゃいますので終わりますけれども、要望だけ申し上げますと、都市計画というのは、まちづくりというのは非常に重要なことです。都民が住むまちをどうしていこうか、将来どのようになるのか、これはやはり住んでいる以上都民も知る権利もあるし、また、その都市づくりに参加する権利も持っている。そういう都民の皆さんが、今の議論ではなかなか入り込む余地がないんじゃないかな。さっき中学生も参加したらいいというけれども、中学生だって今の話を聞いたら混乱して帰るだけになっちゃうんじゃないかなというふうに思います。
 そういうのでは、もう少しわかりやすく、都民の皆さんが東京のまちをどうしていくのか、どうなっていくのか、それには自分たちがどういう参加ができるのか、こういうことをもっとわかりやすく説明するような資料をつくって、ぜひ都民の皆さんに、どういう形でそれを周知するかはともかくとして、東京のまちづくりというのはこういうものだということがわかりやすいものをぜひつくっていただきたい。それによって初めて都民も議論の輪に加われるんじゃないか。今の形だと、これも読まなくちゃいけない、これもやらなくちゃいけない、これもやらなくちゃいけない、しかもその関係性はどうなっているのかよくわからない。これでは本当に議論にならないのではないか。
 最初に申し上げましたように、まちづくりというのは、これはもちろん都庁なりあるいは区役所なり、そういうところがリードしていくものであると思いますが、都民参加、区民参加がやはり原則ではないか、そういう参加しやすい環境をつくっていくのが、やはり役所としての役割ではないかなというふうに思いますので、その辺をぜひ進めていただきたいというふうに思います。最後に局長にご答弁いただいて、終わります。

○成戸東京都技監 いろいろと都民参加のあり方等をめぐりましてお話を聞かせていただきまして、まさしく理事のおっしゃるとおりだろうというふうに思います。私どももやはり都民にわかりやすく説明をして、それでまちづくりの中に入ってきていただく、そういう態度が必要だろうと思います。
 今のお話の中で比較的わかりづらかったのが、都市計画のマスタープランと、私どもがこれからつくっていくもう一つの新しい都市づくりビジョン、この二つの関係がどうもわかりづらいというような点に端を発しているのではないかと思いますが、私なりに両部長がお答えしたことをもう少しーー中学生にもわかるようにというお話でしたので、中学生にもわかるような形で申し上げますと、現行制度を中心にして、そういった範囲の中で主要な都市計画の方針、方向を示していくもの、これが都市計画マスタープランのあるべき姿だろう。これは都市計画に位置づけますから、早期の実現ということを前提にした計画でございます。これに対しまして、新しい都市づくりビジョンは五十年後を見据えた形でつくっておりまして、今の体制ではなかなかそこまでいかない、しかしながら、現行体制をこういうふうに変えればこういうような新しいまちづくりの姿も求められるのではないか、こういうような形で、ある意味では制度改正なんかも視野に入れながら幅広く検討していく、こういうようなものが新しい都市づくりビジョンの方向ではないかなというふうに考えております。
 そういった形で、多少視点は変わりますけれども、これは二つとも必要な計画でございますので、これからも私どもつくってまいりたいと思います。そういった、つくる過程において、都民にわかりやすいような形で説明をし、最近ではインターネットなども使いますので、そういう中でもわかりやすい形で説明して、皆さん方の意見を取り入れながら、また若い方々の意見も取り入れながら、こういうようなものをつくってまいりたいというふうに考えております。

○竹下委員 簡単に、すぐ終わりますので。
 先ほどからいろいろ都市計画行政のお話が出ているようですが、私は、ヨーロッパとかアメリカのような都市計画行政というのは、過密都市の東京では非常に難しいところがある、至難のわざだと思います。都市計画局初めとして、大変ご努力はわかりますが、一点だけちょっとお伺いをさせていただきます。
 難しくいうとあれですから、簡単にお話しさせていただきますが、昔、線引きして、四十年とか五十年、財政面もあるでしょうけれども、なかなか事業が進んでいない都市計画道路、その上に建築物が林立しておりますね。先ほど都市計画法で云々という話がありましたが、都市計画法の五十三条で、都市計画道路の上部に建つ建築物、商業系に対しては三階まで、住居系に対しては二階まで、そういう規制を都市計画法五十三条でかけておりますね。それはなぜですか。

○杉浦施設計画部長 都市計画道路におけます建築制限でございますが、基本的には、商業系あるいは住居系問わず、一定の規模あるいは構造の建築物については制限をしているところですが、ある特定条件を満たすところにつきまして、商業系あるいは近隣商業系の土地利用のところについては、その制限を緩和をしている、そういう実情がございます。これは申すまでもございませんが、五十三条の建築制限というのは、都市計画の基本理念と申しますか、適正な制限のもとに土地の合理的利用が図られるべきという考えから成り立っているものと思っております。

○竹下委員 答えは要りませんが、今部長が合理的な土地利用とーーとは決して思いませんね。なぜならば、もう一度繰り返しますが、四十年も五十年もほったらかしの状態ですね、はっきりいって。特に住居系の都市計画道路の上部に建つ建築物、ほとんど十何坪とか狭隘な土地がいっぱいありますね。片方で、都の施策の中で、先ほども部長さんがおっしゃいました、時代に合ったとか、それから地域住民のニーズに合った都市計画を進めなければいけない。そういう観点からいきましても、どうして住居系は都市計画道路の上部に二階建ての建築物しかできないか。理事者の方にも、多くの方がいらっしゃいますから、そういう地域から通っている方もいらっしゃいますが、現に都市計画道路の上部に乗っているお宅があるんじゃないですか。そういう話も私も聞いています。そこで、今度年とってきて、子どもさんと住みたいといっても、狭隘な土地に三階建てはできないんですよ。片方で、人口をふやしなさいとか二世帯住宅にしなさいとか、そういう政策を打ち出しているじゃないですか。なぜこういうーー先ほどの繰り返しになりますが、時代に合った、都市計画法五十三条を改正するぐらいの、これは国の関係でしょうけれども、そのぐらいのやはり時代に来ていますよ。
 それからもう一点、特に、商業地域は三階までというのがありますね。防災、防災といわれていますけれども、商業地域で、商業系で三階建ての建物しか建てられないところは、十何メートルの道路がありますよね。そこで、特に防災、きょうご列席ですけれども、防災関係でバッファーゾーン、延焼遮断帯ですね、そういう規制のところで、三階でバッファーゾーンになりますか。ならないと私は思いますね。都市計画行政、大変難しいと思いますけれども、やはり時代に合ったーー法律は人間がつくったんですから。もう一つ憎まれ口をいいますと、建築基準法なり都市計画法なんかざる法といわれていますよ、はっきりいって。
 今後、本当に真剣に、細かいことは余りいいたくありませんけれども、まちづくり、やはりコンセンサスが昔と違っていますからね、都市計画行政を初めこういう地域のまちづくりからーー非常に地域の方が、今、一つ都市計画道路の話をしましたけれども、そういう多くの悩みを持っています。二階建てしか建てられないで四十年、五十年ほったらかしですよ。それで何の補償もないじゃないですか。どなたが責任持つんですか、その財産に。どんどん皆さんは変わる。何年かすれば、技監も変わるし、ほかの担当の方もどんどん変わっていくじゃないですか。線引きした人はもういない。町に住んでいる人はどこへも行けませんよ。
 そういうことも考えて、ぜひ、今後のまちづくりでございますが、慎重にという言葉はおかしいですけれども、もっと真剣に取り組んでいただきたいと思います。
 以上でございます。

○大西委員 私は、TDMの東京行動計画に関連してお聞きしたいと思います。
 日本では、高度成長とともに交通需要が年々増加しておりまして、日本の自動車密度、国土面積当たり保有台数は欧米の水準を上回っているといわれております。東京都内の自動車の保有台数はふえ続け、平成十年、四百十九万台、うちディーゼル車は六十五万台とちょっと減っておりますけれども、乗用車のディーゼル車は、平成二年比で一・四倍、十九万台とふえております。
 その結果、東京の大気汚染はますます深刻化しておりますし、気管支ぜんそく等の患者も増加の一途をたどっております。
 そういうことを考えますと、やはり環境への影響ができるだけ少ない形で人や物が移動し、しかも、大気汚染、騒音等を削減しながら移動することが、これからの交通政策の目標となるべきと考えておりますが、いかがでしょうか。

○杉浦施設計画部長 従来も、私どもは、東京あるいは東京圏の都市活動を担う交通施設として、道路ネットワークの整備や鉄道網の整備など、環境への影響に配慮しつつも積極的に取り組んできたところでございます。これからの成熟社会におきましても、おっしゃいますとおり、環境への影響ができるだけ少ない形で人や物が移動できるということは、重要な視点の一つであると考えております。
 具体的には、東京が持続可能な都市であり続けていくための交通施策として、環境負荷の一層の軽減のために、道路整備などの容量の拡大を推進するとともに、自動車の効率的な利用や公共交通への利用転換など、交通需要マネジメントを推進していく必要があると考えております。

○大西委員 そのような観点から、都内の交通と環境の関係で、どこでどのような問題があると把握していらっしゃるのでしょうか。

○杉浦施設計画部長 交通と環境との関係を例えば道路でとらえますと、道路ネットワークの不足に加えまして、都市機能の膨大な集積や大規模な流入人口のため、その交通容量以上に自動車の利用が集中しまして、渋滞等が大きな経済損失をもたらすとともに、NOxやSPMなどの大気汚染や騒音など、生活環境への影響を生じさせていると考えております。
 これらの弊害を改善するため、公共交通への転換の促進が望まれるわけですが、公共交通におきましても、混雑解消のおくれや、あるいは乗りかえ利便性が不十分であることなどにより、公共交通への転換がなかなかスムーズにいかないということも問題であると認識しております。

○大西委員 東京の現状として、SPM、NOx、騒音等で環境基準値に達していない地域があるんですけれども、そのことに関してはどのようにお考えでしょうか。

○杉浦施設計画部長 ただいま申しましたとおり、公共交通への転換をなるべく促進するとともに、道路整備の事業に当たっては、環境アセスメント、環境に配慮した措置をできる限り講ずる手法をとっていくべきだと考えております。

○大西委員 まだまだ先はほど遠いということだと今の答弁から感じるんですけれども、これらの問題に対処するために都はどのような施策体系で臨んでいるか、重ねて伺います。

○杉浦施設計画部長 従来も、私どもは、多心型都市構造におきます機能分散、あるいは職住近接における効率的な移動の実現を目指すとともに、環境に配慮しました道路及び公共交通の整備などに努めてきたところでございます。
 引き続き、環境対策上も有効であります環状道路の整備などによる道路ネットワークの構築、あるいはボトルネックの解消、鉄道の乗りかえ利便性の向上等に取り組んでまいります。
 また、東京都環境管理基本計画に基づきまして、自動車対策の基本であります発生源対策を推進しますとともに、先般公表いたしましたTDM東京行動プランで、自動車の効率的利用、公共交通への利用転換など、交通需要の調整を図ることによりまして、都市レベルあるいは地域レベルの道路交通混雑の緩和に取り組むことといたしております。

○大西委員 それでは、今回示されたTDM東京行動プランの基本的な考え方としては、今までとっていらっしゃった環境と交通の面での政策がなかなかうまくいかない、自動車依存の生活を見直した新しい交通システムのあり方を総合的に見直そうというような意味で出された計画だととらえていいでしょうか。

○杉浦施設計画部長 ただいま申しました施策体系というのは、東京都環境基本計画や東京都自動車公害防止計画に位置づけられておりまして、おのおのの環境影響にかかわる削減目標が示されておりまして、こうした目標に基づきまして施策を実施しているところでございます。
 その限りにおいては、環境面で総合的に取り組んでいるものだと理解しております。

○大西委員 しかしながら、まだまだ、先ほどのお答えにありましたように、SPMとかNOxの環境基準値に達していないところがたくさんある、そして、渋滞するから道路をつくろうというようなことでやってきた、そういう交通政策が行き詰まって、その打開策としてTDMという構想が出てきたというふうにとらえてもいいんですね。

○杉浦施設計画部長 交通政策の面においては、やはり道路のネットワークの整備あるいは公共交通機関の利便性の向上、そういったような施策を進めることによりまして交通容量の拡大を目指すというのが、一つの大きな柱でございますが、ご案内のとおり、大変時間のかかる話もございます。現状の環境悪化等にやはり即効的な効果を期待するという面で、TDMという施策がそういう背景のもとで浮上したと私どもは考えております。

○大西委員 その点、どこまで環境基準値をこれによって達成できるかということが、これからの問題になってくると思います。
 このTDM施策につきましては、政策報道室が事務局となりまして、環境保全局、都市計画局、そういう各局が役割を担って進んでいるということですけれども、都市計画局としては、このTDM施策について、先ほどお話しになりましたけれども、具体的にどのような取り組みをされるのでしょうか。

○杉浦施設計画部長 TDMの東京行動プランの中では、重点的に取り組む施策として、駐車マネジメントの推進、あるいは自動車使用に関する東京ルールの展開、パーク・アンド・ライドの検討、ロードプライシングの導入など、合わせて九つの施策を挙げてございます。
 これらにつきまして、都市計画局としても、各施策に関係局とともに取り組んでまいりますが、とりわけ駐車マネジメントの推進と、それにかかわります端末物流対策につきましては、私ども都市計画局が主体となりまして、施策の有効性の検証や住民の方々への意識啓発などを目標としまして、来年度、渋谷駅周辺地区におきまして、駐車車両の駐車場への案内・誘導、あるいは既存の駐車場や道路の一部を利用しました荷さばきスペースの設置などの社会実験を、建設省、警視庁の協力のもとに実施していくこととしております。

○大西委員 今、ことしの取り組みとして渋谷区での駐車マネジメントに取り組むと。これは、交通渋滞の原因の一つとしての違法駐車や、それから、トラック等の荷さばき場の不足によって、違法駐車してそこでおろすとかいうようないろいろな弊害があったわけです。私どもも、この荷さばき場につきましては、ぜひ取り組んでほしいということを求めていたこともあり、これについては評価するわけなんですけれども、TDMを導入することによって、必ず、道路の整備をする一方で、ロードプライシング等で都内に入る車を規制していくということが挙げられているわけなんですけれども、これによって車の総量規制になり得るかどうかということについては、疑問がたくさんあるわけです。その辺については、ずばり、この施策は車の総量規制になるのかどうか、お聞きしたいと思います。

○杉浦施設計画部長 TDMの各種施策を効果的に組み合わせますと、自動車交通量の抑制あるいは調整がなされ、それによります都市環境の改善が期待できるわけでございます。
 これらが確実に実施されるためには、都民、事業者などと私ども行政のパートナーシップが不可欠でございまして、都民、事業者の方にもTDM施策の推進に積極的な役割を果たしていただくことによりまして、自動車交通需要の総量規制的な効果も期待できるものと、現時点では考えております。

○大西委員 総量規制に向けて、これからいろいろなシミュレーションがなされていくのだと思うんですけれども、TDMで、ここの効果として挙げられている目標の中に、経済的な損失をカバーしたいということで時速を上げることとか挙げられております。
 それを考えると、これまで、渋滞や、それから駐車場の整備がないために、我慢して公共交通を使っていた人たちが、改めてまたそれを利用するのじゃないかという問題も新たに起こるのではないかという意味では、たくさんの疑問もあるんですけれども、それはちょっと置いておきまして、先ほどもいいましたように、最近のデータからも自家用車のディーゼル車保有台数がふえております。
 ディーゼル車による大気汚染を抑制するためには、やはり軽油に対する環境保全の観点からの課税等が必要であるのではないかなと考えております。こういうものも、環境保全局と協力しながら、地方自治体としてこの面で何ができるのか検討すべき時代じゃないかと思うんですけれども、それについて、都市計画局としてはお答えにくいかもしれませんけれども、大枠どういうふうに考えていらっしゃるのか。

○杉浦施設計画部長 軽油に係ります税金のお話で、直接の所管ではございませんが、ディーゼル車の増加がとりわけSPMなどの大気汚染の大きな要因となっているということの一つの大きな理由として、軽油とガソリンの価格差、とりわけ税額の差がその要因である、そういった認識は私どもも持っております。

○大西委員 それに関連しまして、揮発油税等の道路特定財源を、道路整備のみならず、IT基盤の整備とか、公共交通整備に振り向けるべき時代が来たのではないかと、これもそういうふうに思っているんですけれども、この面につきましても、地方自治体としてできることを都市計画局としては検討していらっしゃるのかどうか。

○杉浦施設計画部長 道路の計画あるいは整備を推進しております私の立場といたしましては、何回も申し上げているとおり、都市計画道路の整備率というのは、まだ東京におきましては約半分でございます。あとの半分をいかに早く効率的にやらなければいけないかということを考える立場でございますので、そういった意味で、道路特定財源の制度につきましては、当面、現状を維持していく必要があると考えておりますが、将来的には、ご指摘のようなことも今後考えていかなければならないと思っております。

○大西委員 自動車王国といわれておりますアメリカでは、これまでの反省から、環境基準値に達していない都市圏では、新規の道路整備を抑制するというようなことも行われている、そして、先ほどの燃料税、揮発油税の一部を道路整備以外に使うというようなことも着々と行われているわけで、やはり東京でもぜひそれを真剣に考えていただきたいなと思っております。
 そういう中で、今回のTDMというものは、ある意味では、私たち都民も含めて、いろいろな需要を抑制しようというような立場から出された、そういうものを喚起しながらやっていこうということでとられている施策ですけれども、今度は反対に、交通関連施設の供給側としての立場といたしましてはーーTDMで一応、そういう意味では、都内に入る車を制限するわけですよね。そうすると、では何か受け皿をつくらなければいけない。それがLRTであるのか、自転車道を整備するとか、いろいろなことがあると思うんですけれども、そういう交通関連施設の供給側としての取り組み、それはどういうふうに考えていらっしゃるのでしょうか。

○杉浦施設計画部長 交通施設を計画し、つくっていく立場といたしましては、TDM施策との連携を積極的に図りながらも、都市活動を支えるために、環境改善、安全、快適性の向上に対応すべく、例えばユニバーサルデザインの考え方も取り入れ、高齢者、身障者を含めたすべての人々の多様な活動に寄与する施設をつくることも重要であると考えております。
 また、単に道路整備だけでなく、既存道路の有効利用、あるいは公共交通や自転車道の整備といった代替的な交通手段の確保、あるいは結節点の強化、空港の整備など、すべての交通関連施策を総合的にとらえまして、環境への負荷軽減の観点などを加え、施策を推進していくことが重要と考えております。

○大西委員 その場合、環境保全が最優先されるべきと考えておりますが、いかがでしょうか。都が行う道路整備では、総合環境アセスメントなど総合的な事業評価が望ましいと考えていますが、いかがでしょうか。

○杉浦施設計画部長 都市におきます交通機能は、都市の活力を支える一方、生活環境への影響をもたらしていることも事実であります。今後も、交通政策を進めるに当たりましては、環境の保全に十分配慮した展開が重要性を増していくと考えているところでございます。
 また、お尋ねの道路整備では、新たな方法として、計画の早い段階から環境に配慮していくため、総合アセスメント制度について、現在、放射五号線あるいは三鷹三・二・二号線を、この新制度の試行対象路線と選定し、試行を行っていくことといたしております。この試行の中で、今後の道路整備におきます環境影響評価のあり方を模索していくこととなりますが、今後とも、道路整備に当たっては、沿道環境の保全に留意しながら進めていきたいと思っております。

○大西委員 総合環境アセスメントは、これまでのアセス条例に早く一本化して、ぜひとも条例化して、都市計画の関連事業について、いろいろな代替案を出しながら比較検討を進めていく、そのためにもぜひこれを使っていってもらいたいと思っております。
 さらに、少子高齢化、そして人口減少社会の到来を迎えているというふうにいわれております。そして、既に都市計画決定済みの計画を含め、最新のデータで需要予測をしながら、必要性の吟味とか計画の再検討をこれまで以上に、これからもこのTDMに関連していろいろなものが出てくるわけなんですけれども、進めていかなければいけないと思うんですけれども、その辺はどうでしょうか。

○杉浦施設計画部長 TDMやら、あるいは総合アセスメントやらということで、やはり環境が都市活動においても非常に重要な要素であるということは、十分私どもも承知してございまして、その点に留意しながら交通施策を進めてまいります。

○大西委員 先ほどから、これからの東京のまちはどうなるのだということがいろいろいわれておりますけれども、やはり、そこに住む人たちが健康であることが一番だと考えております。そういう意味では、これからは環境保全がますます重要となる時代であります。交通、まちづくり等においても、その観点からの取り組みが必要であるということを、ぜひお願いしておきたいと思います。
 今回の交通においても、道路整備などは、交通施設の供給、そしてTDMの両面を、環境保全型交通体系のあり方という観点で総合的にやっていくことをお願いしたいと思います。
 そして、先ほどちょっとお答えいただきましたけれども、従来の財源の枠にこだわらない道路整備の目的税を、LRTとか公共交通、そして自転車、歩行者専用道、代替の手段としての情報通信整備への運用、そういう面にどんどん広げていってほしいなと思っております。
 今、このTDMでは、ロードプライシングが非常に脚光を浴びているわけなんですけれども、これはあくまでも手段の一つだと考えております。その手段が目的とならないように、環境改善を中心に据えた交通政策、そういう観点でぜひこれに取り組んでいただきたいと思っております。
 以上です。

○尾崎委員長 この際、議事の都合により、十分間休憩いたします。
   午後三時十二分休憩

   午後三時二十五分開議

○尾崎委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○真鍋委員 意見をまず申し上げたいと思うんですけれども、先ほどからいろいろ道路のお話が出ていまして、私ごとですけれども、私、環八のすぐそばに住んでおりまして、慢性渋滞なんですね。外回りも内回りも全く動かないという状況がずっと続いておりまして、そこにロードプライシングなんていって、都心なり都内に入ったら今度お金を取りますよという話がありまして、通る方々も、だれも通りたくて通っているんじゃない、東名高速から中央高速に行くときには、また関越自動車道に行くときにはどうするんですかという話ですね。
 環七もそうですけれども、結局、つくる計画である道路をつくらなくて、都心に、また都内に入らざるを得ない、こういう状況がずっと続いているわけですね。昭和四十四年に凍結されて、その後また、予定地内の方は、先ほどもお話がありましたが、私権の制限をされまして、建築制限を受けていますね。親子で住みたい、三世代で住みたいといっても、土地が活用できない。一方、都の方も、税金をいろいろ減免されているといっているわけですけれども、じゃ減免の額を何十年間で割り返したら、一体どれぐらいの額の、入るべき税金が入ってないのかなということも考えてしまうわけであります。
 渋滞するから道路をつくるということよりも、道路をつくらないから渋滞しているんじゃないか、こういうような声がたくさんありまして、やるべきことをやらないで、それで税金を、またお金を取るとは何事かという、いろいろな意見を聞きまして、なるほど一理あるなと私も感じます。
 外郭環状に関して、これまでの凍結から、話し合って一歩進めようということで、都の姿勢は大きく評価するものでありますけれども、ぜひとも、計画をしてつくろうといったものであるならつくってもらいたい。また、逆に、この間の時間というのをむだにしないためにも、例えば地下にしてーードイツでもそうですね。先ほど先進諸国の先進事例を見てということがありましたが、本当にドイツの高速道路の上に自然と共生したすばらしい公園ができていますよね。
 そういうところをどんどん参考にしてもらって、自然と、また環境と調和した道路づくり、それによって、都内、都心の渋滞の緩和というのをぜひとも図ってもらいたいと思います。
 私がきょう質問させてもらいたいのは、屋外広告物条例の一部改正ということで今回出ているわけですけれども、これは、東京都の広告物審議会の中間答申を受けまして、規制の見直しによって提案されているわけですけれども、この内容、中身ですね、中申が出されて見直しをされるわけですけれども、昭和四十二年以来の大幅な見直しをされるということであります。
 私もこれまで、これだけ自由主義経済社会の中で、どうして東京都は非常にそういう広告物に対して、後ろ向きといったら言葉が悪いですけれども、厳しいのかなというのを漠然と思っていましたけれども、今回、見直しをされるということであります。
 これに至った経緯というのは、いろいろな理由、また背景があると思うんですけれども、まず、今回の見直しは、どういう背景で、どういう理由で行われるのか、確認の意味も込めてお尋ねしたいと思います。

○小林建築指導部長 車体利用広告規制につきましては、委員お話しのように、昭和四十二年に大幅な見直しが行われました。その後、昭和五十一年と昭和六十二年に一部見直しが行われましたが、基本的には、昭和四十二年の規制の枠組みが維持され、今日に至っております。
 また、昨今の長引く不況の中で、新たな広告媒体としての車体利用広告への期待が高まる一方、これを取り巻く環境が大きく変化をしております。
 まず第一に、技術革新により、デザイン性のすぐれた新しい広告技法が開発をされたこと、第二に、第三者広告を表示した他県市の車両の流入により、規制の実効性が薄れていること、第三に、規制内容が、時の経過とともに車体区分ごとに細分化し、複雑でわかりにくいものになっていることなど、現行の規制が実態にそぐわない面があらわれております。
 今回の条例等の改正は、こうした時代状況の変化に適切に対応するため、車体利用広告規制のあり方を見直すものでございます。

○真鍋委員 今、大きく分けて三点ほどの理由を受けたわけですけれども、規制の実効性が薄らいでいるということでありますけれども、確かに、ほかの県のナンバーの広告の車がよく東京の中を走っていまして、あれ、東京都はそれはいいのかなと思えば、大体みんな他県からの流入ということで、これはみんなもう続いていますのでね、そういうことで規制というか実効性が薄れているというのはよくわかるんです。そこで、これもまた確認の意味でお尋ねしたいんですけれども、東京都の周りの近県の規制というのは一体どういうふうになっているのか、お尋ねします。

○小林建築指導部長 近隣県市の規制の状況でございますけれども、都の規制状況を近隣県市と比較をいたしますと、都では、路面電車及び路面バスを除き、第三者広告を認めておりませんが、近隣県市の場合、表示面積に一定の上限を設けまして、第三者広告を認めているのが一般的でございます。
 例えば、神奈川県の場合、表示面積四・二平方メートルを上限に、すべての車体区分に第三者広告が可能となっております。また、路面電車及び路線バスにつきましても、国が通達で示します屋外広告物標準条例案の規格を基本といたしますが、全面的に車体利用広告を認めている県市もございます。
 このように、現在の都の規制は、周辺県市に比べまして総体的に厳しく、第三者広告を表示した他県市の車両が流入するという現状にございます。

○真鍋委員 今、他県市の規制の状況を教えていただきまして、この審議会の中間答申の中にも、いろいろな電車であるとか自動車であるとか、さまざまな種類にどういう規制、または規制をしていないというところが一目瞭然で表になっているわけでありますけれども、こういっては何ですけれども、実効性も薄れてきている、東京都もひとりかたくなに規制、規制ではなくて、そういう状況も踏まえて、この際見直しをするんだということだと思います。
 中身を伺いますと、これまで路線バスと路面電車については一定の広告が認められてきたんですが、それを十倍ぐらいですか、まで認めるよということで、そういう意味では、大きく緩和されるなということを感じるわけですけれども、この中間答申の中に、路面バス及び路面電車から段階的に実施するという位置づけがされていまして、この段階的実施、これはどういうものを指しているのか、意義みたいなものですね。
 それから、今後、他の車体区分については、見直しも当然行っていくのかなと思うんですけれども、これを受けて最終答申というのはいつごろ出るのか、お尋ねします。

○小林建築指導部長 昨年十一月に出されました広告物審議会の中間答申では、委員お話しのとおり、車体利用広告の見直しを路線バス及び路面電車から段階的に実施することが提言をされております。
 これは、今回の見直しによる新たな車体利用広告規制を路線バスと路面電車から実施をし、交通安全面や都市景観面に対する影響等を十分に検証しようとするものでございます。
 今後、鉄道、地下鉄等の他の車体区分の見直しに当たりましては、四月から実施されます新しい車体利用広告規制の影響等を十分に踏まえ、広告物審議会で検討をいただくことになりますが、他の車体区分につきましても順次検討を進め、最終答申を平成十三年中にいただきたいというふうに考えております。

○真鍋委員 最終答申、十三年中ということでありますけれども、路面電車と路線バスということは、お話を伺いますと、昔からというか戦前から、広告を規制しながらも認めてきているという経緯があって、じゃそこからということのようでありますけれども、さっき、交通安全の面であるとか都市環境ということもありましたけれども、それも大変大事なことだと思います。
 交通安全の面だったら、むしろ路線バスより軌道敷を走っている電車の方がということをぱっと思いつくんですね。車だといろいろ交錯しますしね。ですから、この電車という部分もできなかったのかと思いつつ、これから実施をしていきながら、十三年には結論を出すよということでありますので、その推移を見ていきたいと思うんですけれども、ちょうど昨年の十二月からことしの一月ですか、一カ月間、京浜東北線に「エコ・トレイン」を走らせたんですね。きれいですね。子どもたちが、ちょうど綱引きというか、よく電車で、輪をつくって、ここに子どもが入って、一番先頭に運転手で後ろの車両が一番最後というもので、なかなかこういうきれいなデザインで、しかも、環境のことで、非常にいいというか、時代に合った、地球環境の大切さを訴えたこういう電車が、お話を聞くと、特例許可によって運行されたというふうに聞いています。
 そういうこともあるのであるならば、これから、十三年に結論を出していくよということであるならば、都の電車や地下鉄も商業広告を表示して
ーーこれは検証という意味でね。それで、他の車体区分の検討等を行っていくべきだと思うんですよ。
 既にこういう「エコ・トレイン」をやった実績もあるわけですけれども、本格導入に向けというか、最終答申のためのデータづくりのためにも、やはり、ただ単にこのまま、十三年まで待つよということではなくて、私は、やってみる価値はあるんじゃないかなという気がします。
 今回の提案に、ちょうどここで審査できるものですから、そういう提案をさせていただいて、都の方でそのデータを集めて、今後に生かしてもらいたい、こういうふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

○小林建築指導部長 委員お話しのとおり、「エコ・トレイン」につきましては、特例許可ということで、昨年の十二月から一月にかけて京浜東北線で走ったわけですけれども、そういったデータも、今後の審議の中には活用していきたいというふうに思っております。
 また、車体利用広告につきましては、移動体であることから、ダイナミックな広告媒体として、都市景観面や交通安全面に与える影響は大変大きいというふうに考えております。
 委員のご提案につきましては、これらの影響についてのデータを収集することができることなど、貴重なご提案というふうに考えております。
 しかしながら、電車に広告を掲載して走らせる場合、実験的であっても、条例上の取り扱いはもとより、鉄道事業者等の全面的な協力が必要でございます。したがいまして、交通安全や都市景観への影響の検証方法等につきましては、今後、ご提案の趣旨も踏まえまして、関係機関と協議の上、広告物審議会での審議の過程の中で具体的に検討をいただきたいと考えております。

○真鍋委員 今、前向きなご答弁をいただきました。ぜひとも、審議会の中でいろいろ話し合っていただきたいと思います。
 それで、二つの点があると思うんですが、一つは、交通安全の問題と環境への配慮ということで、何でもいいというわけじゃないと思いますが、ですから、そういう、ある一定のルールといったらちょっと重いんですけれども、ヨーロッパであるとか、伺いますと、非常に町と一体化しているというか、逆に広告をつけた乗り物を見ると、ああ、この町に来たんだなあなんていう気持ちがするんですけれども、そういう点でも、ぜひとも、その実験をしていただいて検証してもらいたいですし、その辺の都のチェックというのは必要だと思います。ただし、これは都が余りお金をかけることじゃないと思いますから、協力をいただくということが大事だと思いますので、その辺も知恵を絞ってもらいたいと思います。
 経済の活性化というんですかね、どんどん多岐にわたっていろいろな活動をしていこうということに対して、行政というのは、一定のルールはある中で、やはり協力してあげてほしいんですね。何となく閉塞感がある今、日本の経済の中で、こういう明るい話題であるとか、その中に商業ベースが入っていけば、そこで一つの経済活動が生まれる。もう一つは、それの波及効果として、都も交通を持っているわけですから、そこに対して、都の財政という面でもこれは生かせると思います。
 ですから、もちろん私がいっているのは、何でもかんでも広げてしまえということではなくて、ここまで積み重ねてきた審議会の中身であります。いよいよここから一歩踏み出すわけですので、その辺をきちっと見据えながら、また実験的にデータを取りながら、一つの方向、また、他県がこれだけの緩和をしている中で、もう大都市圏なんていわれて東京一つで物を考える時代じゃありませんので、そういう点も含めて、ぜひとも実行していただきたい、このことを申し上げまして、私の質問を終わります。

○かち委員 私からも、広告物条例の一部改正についてと、営団地下鉄の関連で質問させていただきます。
 最初に、広告物条例の改正についてですけれども、車体広告の見直しと手数料の見直しというのがありますので、まず手数料の方から伺います。
 今回の広告物手数料の値上げ幅がゼロ%から五〇%と、かなりのばらつきがあるんですけれども、その算定基準というのはどうなっているんでしょうか。

○小林建築指導部長 手数料の算定基準でございますが、許可申請手数料は、申請されました広告物の審査に要します経費、すなわち人件費と電話代や印刷費などの物件費を基準に算定をしたものでございます。
 また、ゼロ%から五〇%まで差があるというお話でございますけれども、これは、継続ものが多い広告塔あるいは広告板などは相対的に値上げ幅が小さく、ほとんど新規ものが占めます張り紙、張り札、店頭装飾などは値上げ幅が大きくなっているということでございます。

○かち委員 継続ものの多い広告塔、広告板というのはほとんど値上げゼロぐらいになっていますね。新規の店頭装飾、こういうものが五〇%ぐらいでかなり高いんですけれども、こういうもののそれぞれの届け出件数というのはどういう状況になっているんでしょうか。

○小林建築指導部長 届け出件数でございますけれども、平成十年度の実績ベースで、広告板につきましては、これは東京都で受けつけるものと特別区で受けつけるものと市で受けつけるものがございますけれども、すべてトータルをいたしますと、五千五百七十六件でございます。それから、店頭装飾でございますけれども、これもすべてトータルしてお答えいたしますと、二十九件でございます。

○かち委員 そうしますと、非常に件数の多い広告塔、広告板というようなものについてはほとんど値上げがない。店頭装飾というような、デパートなどで大きなツリーとか一時的なイベント的なものについて、件数はかなり少ないんですけれども、これが今回値上げの幅が高かったということになります。
 それでは、今度のこの広告料の値上げで、小売店や商店街にかかわるものはどういうものがあるんでしょうか。

○小林建築指導部長 小売店舗や商店街にかかわる広告物でございますけれども、屋外広告物のうち、小売店舗や商店街にかかわりますものは、ほとんどが広告板が対象となるというふうに考えております。
 広告板は、住宅地等、住居専用地域などですけれども、これにつきましては五平方メートル以下、また商業地等では十平方メートル以下の自家用の広告物は適用除外というふうになっておりまして、小売店舗や商店街におきましては、許可の対象になるものは少ないというふうに理解をしております。

○かち委員 今度、値上げが直接小売店や商店街にかかる影響は少ないというふうに確認しました。
 広告物について、今、質疑がございましたけれども、ちょっと重複するかもしれませんが、もう一度、今回の車体広告の見直しでは、何がどのように変わるのか、具体的にお聞かせください。

○小林建築指導部長 車体利用広告の見直しについてでございますけれども、昨年十一月に出されました広告物審議会の中間答申では、規制の見直しについて、一つとして、段階的な実施、二点目として都市景観への配慮、三点目として交通安全面への配慮、四点目として広告表示面積の上限の設定、五点目として簡素でわかりやすい規制の五項目の提言がなされております。
 今回の見直しは、この提言の趣旨を踏まえて条例、規則の改正を行うものでございます。具体的には、路線バス及び路面電車から段階的に見直しを実施することとし、車体に掲出できる一台当たりの広告表示面積の上限を、現行の約三平方メートル程度から、車体の全表面積の十分の三または三十平方メートルのいずれか小さい面積まで拡大するものでございます。
 この表示面積の拡大に伴いまして、交通安全面や都市景観面への影響を考慮いたしまして、道路交通の安全を阻害するおそれのある広告物等を禁止するほか、色彩、意匠、その他表示の方法が周囲の景観に調和したものであることなど、所要の規定の整備を図るものでございます。

○かち委員 面積が今の十倍になると、大体、バスの片面、窓から下全面が使えるということで、かなり大きなインパクトを与えることができるものになるのだと思います。路線バスと路面電車ということですけれども、実際にその対象になる台数というのはそれぞれどのぐらいあるんでしょうか。

○小林建築指導部長 今回の見直しの対象の車種と総量でございますけれども、路線バスにつきましては、都内の保有台数が約五千三百台でございます。それから路面電車につきましては、約六十両でございます。

○かち委員 審議会の中間答申の中に、バス会社に対するアンケートがありまして、現行の許可手数料は他県に比べても高いという回答が五八%というふうに出ておりましたけれども、今回、さらにこれを値上げするという根拠、他県に比べて高いのかどうかという点はどうでしょうか。

○小林建築指導部長 車体利用広告に関します都の許可手数料でございますけれども、周辺県市と比べましても、決して高いというふうに考えてはおりません。
 例えば、今回、路線バス及び路面電車における改定後の都の許可手数料は、一台につき千三百円、一枚につき四百四十円でございますが、横浜市の場合は、一台につき千五百円、千葉市の場合は、一枚につき七百五十円などとなっております。
 今回の見直しにつきましては、車体利用広告にかかわります広告物の種類を改正するとともに、負担の適正化を図ったものでございます。

○かち委員 今、高くはないというお話がありましたけれども、安いところでは、大阪市のように二百円というところがあるわけですので、その辺は考慮していただきたいと思います。
 いろいろ他県の状況、動向などから見ても、こういうことが規制緩和されていくことについては異議はないわけですけれども、動く広告塔ということで、非常に大きな全面を使っての絵というのは、非常にインパクトも強いし、影響力も大きいと思うんです。
 皆さんもごらんになった思いますが、この中間報告の中に外国の例が出ておりますけれども、これを見てどういうふうに思われるでしょうか。すごくどぎついなとか、それから顔とか動物の絵がかいてあったりして、非常に危ないなというふうに、気をとられてしまう、運転手さんの注意を散漫にさせるとか、そういう感じも受けるわけです。
 しかし、こういう絵というのは、非常に主観的な要素が強いので、どこまでが環境によくて、どこまでが安全のラインになるのかという判断基準が難しいものですね。そういう意味では、こういうことが緩和されると、どんどんこういうものを使っていきたいということで、市場が開放されますといろいろな会社がそういうものを利用しようとする。町にそういうものが行き交ってくると、よりインパクトの強いものをということで、より刺激的なものをというふうにエスカレートしていく可能性は十分出てくると思うんですね。
 それが非常に危険性を伴う、また町の景観を損なうということにつながりかねないので、その辺をどういうふうにコントロールしていくというふうに考えていらっしゃるのでしょうか。

○小林建築指導部長 委員のお話しのとおり、海外の事例では全面ラッピングしたようなバスが、中間答申の資料としても掲示をしておりますけれども、今回の改正の中では、車体の表面積の十分の三という規定を設けておりますので、全面ラッピングということはできないことになっております。
 しかしながら、車体利用広告が緩和されることによって、都市景観面あるいは交通安全面に影響があることは否めないわけでございまして、影響について配慮しなければいけないということについては、そのとおりだというふうに考えております。
 広告物審議会の中間答申におきましても、周辺環境との調和の確保を図るとともに、良好な都市景観の形成に資するため、景観、デザインなど関係分野の専門家を積極的に活用すべきである、そのため、広告物審議会の下部組織としての小委員会や、業界内または事業者に広告物適正化委員会などの設置を提言をしております。
 都といたしましても、この提言の趣旨を踏まえまして、小委員会の活用を図っていくとともに、関係業界を適切に指導し、車体利用広告の健全な普及に努めてまいりたいと考えております。

○かち委員 何事も最初が肝心ということで、その点はきちんとやっていただけるのだろうと思いますけれども、業界内とか事業者なりというのは、どうしてもそこに利益というものが入ってきますので、やっていくうちにだんだん基準が崩れてくるという可能性も出てきやすいので、ぜひその辺は行政としての健全な育成、普及活動ということをきちんとやっていただきたいと思います。
 続きまして、営団地下鉄の問題に移ります。
 今月の八日の朝九時ごろに、中目黒駅付近で営団地下鉄日比谷線の脱線・衝突事故というものがありまして、五名の方が亡くなり、きのうの新聞報道では、合計四十二名の死傷者を出すという大惨事になりました。
 なぜこういったことが起きたのか、その原因の徹底究明と再発防止のために、営団はもとより国、都を挙げて取り組まなければならない課題だと思います。
 帝都高速度交通営団、略称営団地下鉄は、一九四一年の開業で、ことしで六十年の歴史を持つわけですが、東京都の区部の地下鉄、高速鉄道事業を営むことを業となし、その資本金は五百八十一億円で、国と東京都がそれぞれ五三%、四七%の出資をして成り立つ特殊法人です。
 現在の利用状況は、一日約五百七十万人、相当の数の利用者がいるわけで、その圧倒的多数は都民であるわけです。また、都心に働く勤労者が利用している交通手段であり、その設置目的からしても、出資状況からしても、東京都が深くかかわりを持ち、利用者の安全確保に努めなければならない事業だと考えています。
 東京都が、この間、営団地下鉄とどうかかわってきたのか、また、今回の事故を通してどのように考え、今後どうしようとしているのか、そんな点について何点かお聞きしたいと思います。
 まず、営団地下鉄と国と東京都との法律的な関係はどういうふうになっているのでしょうか。

○杉浦施設計画部長 営団は、帝都高速度交通営団法という法律に基づきまして設立された特殊法人でございまして、この法律においては、営団に対します監督権限は、主務大臣すなわち運輸大臣とされております。
 また、今回のような事故の報告や、あるいは工事施行認可などにつきましても、鉄道事業法に基づきまして、運輸大臣が行うこととされております。
 一方、都としての立場は、営団法では、出資者として営団から収支予算、事業計画、資金計画及び収支決算に関する書類については報告を受けることができるとの定めになっているにすぎず、法的な指導監督権限は与えられてないのが実態でございます。

○かち委員 五〇%近くも出資をしているにもかかわらず、口は出せない、いろいろな報告はすべて国に上げる、都へは報告する義務はない、年間の収支報告なども、一方的に、受けることができるというだけしか、権限というか、権利がないというか、これは本当にこれでいいのだろうかというふうな疑問を抱かざるを得ません。
 しかしながら、この委員会で、前の委員会のときに質疑がありまして、この営団地下鉄と東京都とのかかわり方については、法律上の権利はないけれども、五〇%近くの出資をしているということで、東京都としては大きな影響力を持つというふうなご答弁があったと思うんですけれども、それについては違いありませんよね、いかがでしょうか。

○杉浦施設計画部長 おっしゃいますとおり、営団の総出資金の四七%を出資しているのと、それから、毎年、地下鉄建設に対しまして、国とともに補助金を交付してございます。
 法的な権限はないとはいえ、社会通念上やはり、財政支援をするからには発言する権限も、ある程度はあると考えてございまして、都としての必要な発言はしていきたいと考えております。

○かち委員 していきたいということですけれども、してきたのかなというふうな疑問を抱きます。
 今回の事故発生後、東京都としてはどのような対応をされたんでしょうか。

○杉浦施設計画部長 今回の事故のようなものに対します、いわゆる運行管理に対する指導監督権限は、今申しましたとおり、国でございますが、今回の事故は、地下鉄の安全性に対する都民の信頼を著しく失墜させたこと、それから、先ほど申しましたとおり、営団に対する財政支援を都としてはしていることなどを踏まえまして、三月十日付でございますが、営団総裁に対しまして、安全管理の徹底と事故の再発防止について万全を期すよう、東京都技監都市計画局長名の要請文を出しております。
 また、これは蛇足ですが、当局の所管であります臨海高速鉄道及び多摩モノレール株式会社の両社長に対しましても、注意喚起の意味合いからの文書を同様に都市計画局長名で出してございます。

○かち委員 所管局として、その事業者に注意を喚起するということは当然必要なことだと思いますけれども、指導監督権がないということで、運行については何も行っていないということですけれども、五人の方が命を奪われている、このことを本当に重大に受けとめるべきだと思うんですね。そのことが出資者としての責任の一端を示すことではないかと思うんです。
 今回の事故後、都バスを出したり、それから都立病院へ負傷者を搬入したりとか、いろいろ東京都としてのかかわりもあったと思うんですけれども、こうした一連の経過について、所管委員会で私たち委員も全然その全体を把握できていないんですね。報告がどこからもない、こういうことでいいのだろうかと思うんですが、こういう公共交通、特に東京都が半分を出資している営団地下鉄などで、何か事故がある、災害とか地震とかそういうことではなく、その鉄道に何か事故が起きたようなときに、東京都としてどうかかわっていくのかというような基準というか、システムというか、そういうものはできていないんでしょうか。

○杉浦施設計画部長 一概に鉄道と申しましても、JRから、あるいは各私鉄、それから営団のように私どもが財政支援で関与をしているところ、それから多摩都市モノレール、臨海高速のように最大の出資者として事実上経営に関与をしているようなところと、それぞれ違うと思いますが、こういった事故に対します応急対策的な危機管理というものについての一般的な対応、ルールというのは、特に現時点では定めていないということでございます。
 ただ、もちろん、営団あるいは臨海高速、多摩モノレールにつきましては、当然のことながら、事故等社会的に影響の大きい事柄のあったときには、必ず報告を求めている、そういうことでございます。

○かち委員 それぞれ事業体によって所管局が違うわけですけれども、そういうところで何かあったときに、都としてどういう対応をするか、それぞれの担当局が中心になってのそういうシステム、危機管理システムみたいなものはぜひ必要だと思いますので、今後、ぜひ検討していただきたいと思います。
 営団ではこれまでも、同じような車輪のせり上がりというような事故があったように聞いているんですけれども、その辺は把握されておりますでしょうか。

○杉浦施設計画部長 同様なせり上がり脱線の事故の有無でございますが、営団に確認した限りでは、これまで、せり上がり脱線による事故はないということでございます。ただし、原因が、せり上がり等の単一的な原因ではないと想定されて、特定できないと思われる脱線事故としまして、平成四年十月及び十二月に、川崎の鷺沼車庫で発生したものが二件あると聞いてございます。

○かち委員 脱線ということで、今回が初めてではなかったというのは事実なんですよね。それがどういうものであったか、原因が特定できないというふうに、他県へお聞きになっていますけれども、都としてもーーこの鷺沼の事故については、営業時間帯ではなかった、営業路線ではなかった、車庫内であったということで、国に報告する義務がないということで、都にもなかったように聞いているんですけれども、やはりそういうものを一つ一つ、そのときに原因究明をはっきりさせてこなかったことが、今回の事故にもつながったのではないかなというふうにも思うんです。
 私も現場の方からお話を聞いたところ、非常に今回の脱線の状況と似通った要素を含んでいるなというふうに感じたんです。というのは、ちょうど一日の運行が終了して車庫に入れるときに、だから、非常にゆっくり走っていたということと、やはり引き込み線付近で起きている。それから、台車が、今回と同じボルタレス方式といって、車輪が非常に浮き上がりやすいものを使っていたというようなこともいわれているんですね。そういうことからしても、一つ一つの、そのときは小さい、問題がないように見えても、そういうものの検証が非常に大事ではないかなというふうに思うんです。
 それからまた、九三年に交流モーター式という新しい電車が導入されて、三年後に日比谷線の車両を検査したところ、台車、この台車というのは、都営地下鉄で亀裂が起きたという、あの同じ住友金属がつくった台車なんですけれども、そのモーター取りつけ部分に大きな亀裂が発見されたということです。
 ということで、全線で点検をしたところ、日比谷線では、十六編成中十三本に見られた。東西線では、六両編成中全部にあった。有楽町線では二本に亀裂が発見されたということです。特に、日比谷線と東西線では、モーター取りつけ部分の三十センチ、その七割に長い、ひどい亀裂ができていたということなんです。
 もしこれが高速度での走行中にモーターが落ちるというようなことになったら、一体どういう惨事が起きたかと思うとぞっとします。もちろん、これについては応急処置をされているようですけれども、原因究明はいまだはっきりしていないということです。
 こういうのも、軽量化、軽量化ということで、そういうことが追求されてくる中で、強度の不足が指摘をされているところなんですね。
 こういうことがあったということについても、都には報告はなかったのではないかと思いますけれども、何か聞いていらっしゃいますか。

○杉浦施設計画部長 営団の鉄道事業あるいは運行管理に対します私どもの立場というのは、先ほど申しましたとおり、出資者であるのと同時に、路線の整備をするに当たっての補助、助成を行うということでございまして、そういう限りにおいては、その運行管理に対しまして、事詳細に検査あるいは指導監督、干渉をするような立場ではございません。
 そういう中で、私どもとしましては、もし営団の行ういろいろな事業が、都民生活にじかにかかわってくる、社会的な影響を及ぼすというところを確認した時点では、もちろん営団に対してそれなりの指導、勧告等をいたすわけですが、事細かな日常の運転管理に関しましては、報告も受けておりませんし、そこまでし得る立場ではございません。

○かち委員 五人もの方が命を失ってからでなければ動けないというのが都の立場ですか。そうではなくて、やはり事故を未然に防ぐために何をなすべきかという、そういう立場に立って営団とも対応すべきではないでしょうか。
 それでは、営団における車両、工務の職員数及び保有車両数の過去五年間の推移というのはどうなっているでしょうか。

○杉浦施設計画部長 職員数の件でございますが、車両、工務を合わせまして、平成七年度が二千百七十六人、平成八年度は二千九十六人、九年度が二千四十七人、十年度が千九百八十五人、十一年度は千九百九人となってございまして、この五年間で二百六十七人減少している、これは営団に確認してございます。

○かち委員 保有車両数について。

○杉浦施設計画部長 失礼しました。保有車両数につきましても、平成七年度二千三百五十五両、平成八年度及び九年度が二千四百一両、十年度及び十一年度は二千四百十九両となっており、この五年間で六十四両、増加をいたしております。

○かち委員 車両は六十四両もふえているのに、従業員数は二百六十七名、この五年間だけでも削減されているという実態があるわけです。
 より早く、より軽く、省エネルギー、低コスト、効率アップ、こういうことが限りなく追求され、技術革新が進められてきたこと、そのことを否定するものではありませんけれども、裏を返せば、リストラ、合理化でいかに利潤を上げるか、そのことが経営第一主義で追求されてきた結果ではないかと思うんです。その裏で肝心の安全性が限りなく切り縮められてきたその一端が、今度の事故にあらわれたのではないかと疑問を持たざるを得ません。
 それでは、保有車両数が増加しているのに、車両、工務担当の人員が減少している、そのことが、コスト削減や人員削減によって検査周期が延期していくことになるのではないかと思うんですけれども、検査周期について、どういうふうに変遷してきているか。

○杉浦施設計画部長 列車の検査周期につきましては、鉄道営業法に基づき、運輸省令であります鉄道運転規則によって定められてございまして、この規則に沿いまして、営団では、昭和二十八年九月からは毎日行っております。また、昭和四十六年六月からは二日あるいは走行距離の千六百キロごとに、また、昭和六十三年六月からは三日ごとに検査を行っているということでございます。

○かち委員 では、なぜそういうふうに延期をされてきているのか、その辺の根拠。

○杉浦施設計画部長 車両検査におきましては、技術革新や、あるいは機械化の進展、また、検査項目において、メンテナンスフリー化によります検査項目の減少などによりまして、検査周期を延長しても安全性の担保がなされるとの判断だと思われます。

○かち委員 今、毎日行っていた車両検査が、二日になり、そして三日ごとに、現在、変わってきているということがありました。
 車両の検査というのは、これだけではなくて、重要検査だとか、全体検査だとか、さまざまな検査項目があるわけで、そういう大きなものについては省令で定めているようですけれども、日々の点検にかかわるような検査基準、周期については、営団の単独判断、裁量でできるというふうに聞いております。
 こういう事故があったわけですけれども、ことしの二月七日に、会社側から組合に対して、七十六名削減のため、三日ごとの検査を六日に延長したい旨の提案がされているということですけれども、それについてはご存じでしょうか。

○杉浦施設計画部長 今回の事故に伴います経過あるいは事故の原因等の究明の状況、そういったもののやりとりの中で、今おっしゃるようなことは営団から伺っております。

○かち委員 大惨事が起きる一カ月前にそういう方針は決めたものの、今回のような事故があったということからすれば、本当にこういう検査の合理化が果たして安全を保つことにつながるのか、安全を確保することができるのかどうかというのを、今、立ちどまって考えるべきではないかと思うんです。
 そういう点では、都の立場としても、ぜひ、その点検周期の延長については考慮すべきだ、もう少し状況を見据えてからすべきだというふうに提言、要請すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

○杉浦施設計画部長 今回の事故の原因につきましては、いろいろな推測がなされてございますが、運輸省の事故調査検討会あるいは警察の捜査も入ってございまして、まだ完全に究明されたわけではございません。
 事故原因が究明されましたら、それを踏まえまして、東京都として必要な措置をとってまいります。

○かち委員 すべてについて、国の動きの後からついていくというような、そういう状況になるわけですけれども、事は都民に起こっている問題ですので、都としても積極的にそういうことにかかわっていくという姿勢をやはり持っていただきたいと思うんです。必要なことは要請していくというふうに先ほどおっしゃったわけですが、やはり、今、安全を守るべきだという判断をされたら、当然向こうにも働きかけていくべきだと思うんですが、ぜひ検討していただきたいと思います。
 今回の浮き上がりやすいという車輪について、いろいろなところで検証されてきましたけれども、カーブのところでやはり浮き上がってしまうということでありました。今、主な私鉄、東急や小田急や京王線での脱線防止レールの設置基準というのはどういうふうになっているんでしょうか。

○杉浦施設計画部長 お尋ねの各社に確認をしましたが、東急は曲線半径四百五十メートル以下、小田急では四百メートル以下、京王では三百メートル以下を基準として、脱線防止レールの設置を行っているとのことでございました。

○かち委員 私も、このほか、首都圏の二十数社について調べてみましたけれども、ほとんどが二百メートル以下についての設置基準になっているわけですね。
 営団地下鉄の場合は、とりわけ、首都の中心部の地下を、いろいろな道路が交錯する中をえぐって走っているということもあって、それから狭い中を急カーブがいっぱいある、そういうところからしても危険性は非常に高いわけですから、そういう設置基準というのはやはり、より安全なラインに引くべきだと思うんですけれども、営団については、脱線防止レール基準、どういうふうに考えているのか、考え方を変えてきているのかどうか、今回の事故後、基準の考え方に変化が見られたのかどうか、その辺どうでしょうか。

○杉浦施設計画部長 今回の事故発生前までは、営団におきましては、曲線半径百四十メートル以下の箇所に脱線防止レールの設置をする基準になってございましたが、事故後、これは三月の十三日ですが、事故発生箇所と同程度の曲線半径百六十メートル以下の箇所すべてに、緊急対策として、一カ月内に脱線防止レールを設置することとし、既に工事に入っていると聞いてございます。
 また、去る十七日には、関東運輸局長から、日比谷線脱線・衝突事故を踏まえた緊急措置の実施についての文書が通知されましたが、この中で、曲線半径二百メートル以下の箇所についても脱線防止レールの設置の実施が通知されましたことから、今後、この内容に沿いました対応をしていくと聞いてございます。

○かち委員 国から三月十七日に通達があったということで、今後は、それに対応していくだろうとは思いますけれども、営団が事故後に記者会見をしたり、テレビ報道などを見ていますと、百六十メートルの基準で緊急対策をとったというものの、今の基準、百四十メートルの基準を変更するという意思はないようなこともおっしゃっておられました。そういう意味では、本当に安全優先という概念が欠如しているのではないかとさえ思われます。
 さまざま伺ってきたわけですけれども、伺った中でも、東京都は、営団とのかかわりでは、非常に受け身的というか、国の動きを見てからというような状況なんですけれども、それではやはり都民の安全は守れないと思うんですね。本当に都民の安全を守るために、営団とのかかわり、ぜひ積極的に踏み込んでいただきたいと思うんですけれども、今後どう対応されていくか、その辺の決意をお聞かせください。

○杉浦施設計画部長 細かい鉄道運行上の安全確保に関しまして、私どもがどれだけ関与できるかは別といたしまして、都民の安全を守る、あるいは公共交通への信頼性を回復するという観点からは、やはり営団に対しては必要なことは今後もいっていく、こういう姿勢は持ち続けたいと思っております。
 繰り返しになりますが、まだ事故原因が特定されたわけではございませんので、事故原因の究明の結果を待ちまして、必要と思われる措置を講じたいと思っております。

○かち委員 今後は、都民の安全回復のために積極的にかかわっていきたいというようなご答弁だったと思うんですけれども、ぜひそれをやっていただきたいと思います。
 今後、営団は民営化される方向にあるようですけれども、少なくとも今は特殊法人ということで、高い公共性を持つ鉄道事業なわけです。公共鉄道としての営団が、利益優先、合理化第一の経営方針から安全第一に切り変えるように、都としてもぜひ積極的に声を出していく、上げていくということをお願いいたしまして、私の質問を終わります。

○清水委員 先ほど、都市づくりにかかわる諸計画の策定の議論や、それから、現在開かれています国会において都市計画法の改正や建築基準法の改正案が出されている議論が行われました。
 私もこの機会に、特に農地の保全のあり方について、東京都としてのこれまで以上の取り組みの強化を要望していきたいと思います。何点か質問をいたしたいと思います。
 先ほど、都市計画法の改正案が上程をされているということで、何点かの質疑が行われました。そして、この都市計画制度の見直しの背景について先ほどご説明があったわけですけれども、法制定後三十年経過をして、社会経済環境が変化をしているという問題や、少子高齢化の進行の中でのさまざまな変化が起こっている問題などがご説明ありましたけれども、もう一つ、触れられなかった中に、第二次、都市計画中央審議会の答申が、この法案の提出に先立って二月に行われたんですけれども、その中で、この都市計画制度見直しの背景について触れられている文の中に、今いわれた部分に加えて、さらに、世界的に環境保全の意識が高まる中、地域における緑地などの自然的環境や景観の保全に加え、地球温暖化の防止などの地球環境の保全が重要な政策課題となっており、都市計画上も積極的な対応が求められる状況となっているというふうに答申では触れられているわけです。
 先ほど、東京の課題ということで何点かご答弁がありました。都心の居住とか分散型都市とか商業の活性化ということがご説明ありましたけれども、今、都市計画制度の見直しの背景の中で触れました緑地の確保とか自然的環境の保全などについては、当然認識をされているというふうに思いますが、触れられなかったわけですけれども、特に農地の確保については、国では中心的に農林省、東京都では労働経済局で行ってきていました。今日、実情は後で報告させていただきますけれども、大変な限界になっているわけですね。
 そういう中で、今回の諸制度の改定や、また法案の改定などに伴って、これを真剣にもう一度改めて問い直して、方向性を示し、具体化をしていくことが求められておりますが、具体的に、都市計画中央審議会の第二次答申の見直しの中で、農地の保全のあり方についての方向性というのは示されているんでしょうか。

○勝田地域計画部長 都市計画中央審議会の答申の中では、農地に関する方向性は特に示されておりません。また、直接農地にかかわるものではございませんが、答申の中には、既成市街地の再構築、再整備と並んで、市街地や郊外部に残された緑地等に関して、その保全、創出を図り、質の高い都市環境を確保することが重要な課題とされております。
 このため、自然的環境や景観など都市環境を保全するための総合的取り組み、とする項目の中で、都市における良好な都市環境を保全していくために、風致地区制度の改正を初め、現行の緑地等の保全に関する諸制度の活用などを積極的かつ総合的に運用していく必要があることが、今後の方向性として示されているという状況にございます。

○清水委員 ご承知だと思うんですけれども、農地の現状というのは、一九九一年に生産緑地法と地方税法が改正をされて以来、市街化区域内の農地、農家は大変厳しい事態に直面されています。その後、東京の農地は確実に減少してきています。
 耕地面積で見ますと、平成四年に一万一千ヘクタールだったものが、平成十年には九千三百四十ヘクタールにまで後退し、六年間で千六百八十六ヘクタール減少しました。市街化区域内の農地面積は、平成元年七千九百二十五ヘクタールが、平成十年に六千六十四ヘクタールと、十年間で千九百ヘクタール余り減少しました。
 しかし、東京の農家は、十年余りたった今でも、この厳しい中で必死の頑張りで支えています。それが東京の農業の大きな特徴だといわれておりますが、この都市化の中での厳しい条件の中で、生鮮野菜の供給、緑の保全、防災、教育など、かけがえのない役割を果たしている農家、農地をどう保全し、振興を図るかということが求められていると思います。都としての、都市計画局としての積極的な振興姿勢というのが必要であるというふうに考えます。
 先ほど、新たにマスタープランの策定も求められるというふうにお答えがありました。それでは、そのマスタープランの中で、農地の数値目標の記載、農地についての都市計画とのかかわりについて記載をする考えがあるのかどうか、お伺いしたいと思います。

○勝田地域計画部長 現在、事実上のマスタープランの役割を果たしております現行の市街化区域及び市街化調整区域の整備、開発または保全の方針では、農地は環境保全系統の緑地に含めておりまして、位置づけといたしましては、河川、用水等の水系、丘陵地、崖線に残存する斜面緑地及び伝統的、文化的遺産のほか、農地等で構成するなどとしているところでございます。
 今回、改正されます新たな都市計画のマスタープランの内容につきましては、現在、国会に上程されております都市計画改正法案や、検討中の政令の内容等を踏まえるとともに、策定中の都市づくりビジョンの考え方を受けまして、詳細については今後詰めていくことになります。

○清水委員 昨年の七月に、これもご承知だと思うんですけれども、新農業基本法が策定されました。全体として、私たちは、この新農業基本法は、農業を国の基幹産業に据えて振興するという姿勢は十分に貫かれているというふうには考えておりませんが、しかし、その中で、都心農業の振興が初めて位置づけられたという面もあります。このように書かれております。国は、都市及びその周辺における農業について、消費地に近い特性を生かし、都市住民の需要に即した農業生産の振興を図るために必要な施策を講ずるものとする。
 これまで、都市農業の振興ということが農業基本法の中では触れられてこなかったわけですけれども、東京など三大都市圏の農家の方々が、繰り返し農林省などに要請をする、陳情をする、そういう中で、全体としてはそういう方向にあるものの、都市農業の振興が位置づけられたというふうに聞いております。これは、特に東京の農家の皆さんの必死の頑張りの結果だったというふうに思うわけです。
 さらに、先日、都の農対審の答申で、東京に農業があることのすばらしさを都民とともに共有するためにという中間まとめが出されたようです。
 既に九三年の東京都の農対審の答申では、都市化が進行する中で、地価高騰による固定資産税や相続税などの税負担の増加、生産環境の悪化、耕作地の増加など農業継続のための諸条件が悪化し、農業者の努力だけでは農地を保全することは困難な状況になっている、農地の持つ多面的な機能についての都民の理解を得ながら、農業者、農業関係団体はもとより、行政はもとより、行政や都民が役割を分担し、農業、農地を保全していくことが求められると、厳しい環境を指摘しながら、今後行政に求める方向というのも既に九三年で打ち出しているわけですね。
 先ほどご答弁がありましたように、現行の線引きの中における整開保の方針の中では、農地は緑地として位置づけられているということですね。そのほか農地などでということで、大変位置づけが不十分ということも、先ほどのご説明からもわかるわけです。
 それで、先ほどの東京の課題というご答弁の中にも、注視してお聞きしていたところ、含まれなかったということもあるわけなんですけれども、知事は、先日の本会議初日の施政方針演説の中で、他の委員も先ほど触れられましたが、緑地や農地の減少がヒートアイランドなどの影響ということで、その減少について述べられました。
 都市計画局として、現在の緑や農地の減少について、どのように認識をされているのか、お伺いをしたいと思います。

○勝田地域計画部長 知事は、ご指摘のありましたとおり、今議会の施政方針の中で、緑地や農地の減少、森林の荒廃など、東京の緑は著しく失われつつあると述べております。東京は、かつて豊かな緑を保有しておりましたが、こうした緑は、都市として発展が続く中、各種の緑化施策等の展開によりまして歯どめをかけているものの、減少が続いている状況でございます。都市の農地においても、相続等により、依然、減少傾向にございます。
 都市における農地は、宅地供給という性格を一方で持つとともに、都民に新鮮で安全な農産物を供給する場としても、また、貴重なオープンスペースとしても、防災や良好な都市環境の向上に寄与するものと認識しております。したがって、その維持保全は重要な課題と考えております。

○清水委員 東京の課題として、深く認識をして、今後の都市づくりに生かしていただきたいというふうに考えるわけですが、そこで、具体的に、現在の制度の中で、生産緑地の追加指定ということもあるわけですけれども、平成十二年の八王子市の農業委員会では、昨年十一月に農業振興計画の建議の提出をされました。その中で、たまたまこれは八王子ですから、これを紹介するわけですけれども、八王子農業の振興対策の一つとして、保全された農地にある生産緑地の追加指定を積極的に行うことという要望が市長の方に出されています。
 現在、生産緑地の追加指定についての都市計画局の考えはどのようになっているでしょうか。

○勝田地域計画部長 生産緑地地区の都市計画としての指定は、平成三年の生産緑地法改正によりまして、平成四年に行ったものでございます。
 この新生産緑地法、いわゆる新法でございますが、市街化区域内農地を保全するものと宅地化するものに明確に区分するためのものでございまして、生産緑地地区の指定は、この平成四年までの指定で基本的に完了していると考えております。
 平成五年以降の追加指定につきましては、例外的措置としての可能な例を示した建設省の通達に基づきまして運用を図ってきているところでございます。
 例えば、土地に関する係争中で権利者が確定しなかった場合、平成四年時点では市街化調整区域であって、後日、市街化区域への編入によりまして市街化区域農地等になった場合等でございます。その他として、地域の実情を踏まえた都市計画決定権者の判断により、必要があれば指定ができることとなっており、この場合の具体例としては、都市環境の向上の観点から、将来的に公園緑地等として計画的に確保すべき農地等で、各区市の緑の基本計画や都市計画マスタープランなど上位計画に位置づけられたものや、既に指定された生産緑地の整形化が図られるためのものが対象となると考えております。

○清水委員 先ほど紹介しましたように、今日の時点でも、追加指定の要望があるわけですね。当時、この改正が行われたときに、大変短い期間でこの申請を行わなくてはいけない、三十年間農業が継続できるのかどうなのかということを農家の方は判断し切れなかった方もたくさんいるわけですね。そして、今日、さまざまな条件の中、また、経済状況の変化などから、今いわれました幾つかの運用にかかわらない部分で追加指定の要望も出されているんですよね。ある区では、三十件ぐらいの方が要望して五件が指定をされたとか、八王子では、この間、毎年七件とか八件とか、これにかかわったものでも指定をされているわけですね。
 それで、後段でいわれました運用の中で、このほか地域の実情を踏まえたというふうに局長の通達には書かれているんですけれども、これが、各市で十分に認識されているのかなという疑問もあるわけですね。ある市の、これは助役さんの答弁なんですけれども、前段でご説明があった部分についての追加指定の説明はしているんです。しかし、このほかという、地域の実情という点では全然触れていないで、この市では、ここの議事録で見ますと、追加指定が一件もないとされているようなんですね。
 ですから、建設省の、局長の運用というものをどういうふうに各市にご説明とか、各市のこれを判断をするそれぞれがまちまちであったのかなというふうにも伺うわけですけれども、現在、今後の追加指定についての取り組みはどのような考え方で進められているのでしょうか。

○勝田地域計画部長 生産緑地地区の追加指定についての今後の取り組みの方向でございますが、従来どおりの方針で対応していきたいと考えております。
 現在、生産緑地地区の今後のあり方、保全、活用について、緑の基本計画に基づき、具体的に検討している区市がございます。都といたしましては、これらの区市との追加指定等の協議に当たりましては、区市の緑の基本計画での位置づけや生産緑地地区の指定理由等を勘案しながら、原則的には区市の案を尊重し、都市環境の向上につながるような方向で調整を図ってまいりたいと考えております。

○清水委員 現行の通達の範囲の中で追加指定を希望されている営農の意思のある農家の方が指定されないという問題もありますし、この解釈上でされないということもあるわけです。ですから、今のように、現行、従来どおりの対応では、先ほどからいわれているように、題目としては緑や農地を守っていくとか位置づけるといっても、現実にはそうなっていないわけですから、やはり都として取り組みをどういうふうにするのかということを真剣に考えなければいけないときだというふうに思うんですね。
 市長会からは、生産緑地の買い取りに対する財政援助の要望も出されているというふうに思うんです。十二年度の要望書の中にも、都市計画局に対して、農業の問題で一点だけ要望が出されていました。
 生産緑地指定後三十年を経過しなくても、農業の主たる従事者の状況により生産緑地地区の買い取りの申し出が多く出ている、しかし、申し出があった土地を時価で買い取ることは市財政にとって容易なことではない、良好な都市環境の形成、保全を図るため、生産緑地の買い取り申し出があった場合、市が積極的に買い取ることができるよう財政面での補助について考慮されたい、という要望が出されているんですね。
 これを見ますと、買い取りの申し出というのが、各市にはかなりあるんだろうというふうにも伺えます。つまり、生産緑地を継続できなかったということですよね。都として、この実績については把握をされているのでしょうか、お伺いいたします。

○勝田地域計画部長 新法開始時から昨年、平成十一年の四月までの数字でございますが、買い取りの実績につきまして申し上げますと、買い取り申し出件数が千四百四十六件、面積では二百一万五千七百二十平方メートルございました。そのうち、買い取った件数でございますが、七十八件、面積で十万九千二百八十平方メートル、面積比で約五・四%となっております。

○清水委員 そうすると、九五%余りの農地が、結局、生産緑地解除ということになって宅地化していくということになるわけですね。この実態についてどのように認識をされていますか。

○勝田地域計画部長 生産緑地地区の実態でございますが、これらは、農業者の生活実態といいますか、生活の変化、こういった点が一つあろうかと思っております。それから、時代の流れとしまして、都市化の波、そういったものがひたひたとこうした生産緑地地区に及んでいる、こういった点があろうかというふうに認識しておりまして、先ほど数字を申し上げた点につきましても、細かい分析は尽くせておりませんが、買い取り申し出があった件数そのものがすべて生産緑地が解除されたということでは必ずしもございませんで、申し出があって、そういったものに対応できれば、生産緑地を解除していきたい、こういう件数も多数あろうというふうに認識しております。
 いずれにいたしましても、都市の農業そのものが大変厳しい状況にあるというふうに考えておりますが、一方、都市計画的なサイドから考えますと、生産緑地そのものは、貴重な都市の自然資源といいますか、そういった、よりよいストックでもあるということがございまして、こうしたものを両者をうまく調和をさせていく必要があるのではないかというふうに考えているところでございます。

○清水委員 先ほど、市長会の要望を紹介しましたけれども、現行制度の中では、市長会が要望している財政支援についても、ぜひ今後検討していただきたいというふうに思うんですね。
 根本的な問題は、やはり、都市計画区域に農地を含めているということだと思うんです。これは、国の段階の問題でもありますけれども、もともと宅地を供給するということのために、市街化区域ですとか市街化調整区域ですとかいうことでされてきたわけです。この仕組みがある限り、相続税の問題、それから、今のように従事者の問題まで含めて、確実に農地というのは生き残っていくことができない環境になっているわけですよね。
 先ほどご説明があったことでもあるんですけれども、では、これから農地を宅地にして住宅をつくっていくという経済環境にあるのかというと、それは、この生産緑地法ができたときと変化をしているというふうに思うんですね。変化をして、成熟社会になって、人々は環境を求める、先ほどもあったように景観を求める、そういう社会になっているときにも、農地がそういう仕組みの中にある限り、そうであっても生き残れないという状況があるならば、やはり根本的に農地の位置づけを変えていかなければいけないというふうに思うんです。
 例えば、農地を白地区にするとか、そういう都市化の中で開発の対象にならない確実な仕組みをつくるということが、東京都だけでできるかどうかは別としても、そういう位置づけとしてやっていくことが、農地の役割としては、防災とか教育とか、先ほどもいいましたように、意義を持っていると思うんです。
 消防団の集まりなどに皆さん行かれると思うんですけれども、その席で私も強くいわれたことがあるんですね、防災の何かの会長さんか何かから。清水さんが都議会で発言する機会があったら、その方は防災をやっている方だから、農地というのは防災地としても絶対に必要なんだ、そのことをぜひ都議会でいってくれというふうに私はいわれていたんですね。もちろん、野菜の供給とか緑地としても必要ですけれども、防災の場所として、どうしてもやはりこれからは減少させてはいけない場所だというふうに思います。
 そういう方向をぜひ東京都としても持っていただきたいことを要望して、この質問を終わります。
 最後に、別の件で要望ですけれども、八王子市が今進めております、都市計画局でも環境保全局でも進めました川口リサーチパーク計画については、新しい市長は、計画を見直すということを市議会でも表明をされました。それから、業務核都市計画の中核施設として推進されてきた八王子南口再開発計画のための地下の駐車場の計画も凍結をするというふうに市議会で答弁をされました。そして、再開発と一緒にするんだといっていた八王子駅南口の駅のエスカレーターを独自にでもやっていきたいという答弁もされました。六月には何らかの予算を提起したいというふうにもいわれました。また、西八王子駅、ここも再開発の地域でありましたが、これは既に中止になっています。ここも、住民の多くの署名などがありまして、駅エスカレーターの設置の要望について、前向きの答弁がされました。新しい八王子市長がそういう問題についてされたわけです。それから、市内の交通渋滞解消策の一つとして、踏切の単独交差化事業の促進ということも、市長の所信演説で行われていたようです。
 これらに対する支援策は、どこでどのようにやるか、今お聞きすることではありませんが、ぜひ何らかの方向で、八王子市のこうした取り組みが進められていった場合には、都としての支援を進めていただきたいことを要望いたしまして、質問を終わります。

○尾崎委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○尾崎委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市計画局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時五十四分散会

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