都市・環境委員会速記録第五号

平成十二年三月二十一日(火曜日)
   午後一時五分開議
 出席委員 十四名
委員長尾崎 正一君
副委員長清水ひで子君
副委員長吉野 利明君
理事大西由紀子君
理事森田 安孝君
理事たぞえ民夫君
真鍋よしゆき君
竹下 友康君
かち佳代子君
谷口 卓三君
新藤 義彦君
立石 晴康君
内田  茂君
田中 晃三君

 欠席委員 なし

 出席説明員
環境保全局局長齋藤 哲哉君
環境管理部長高橋 徳八君
環境影響評価担当部長長谷川 猛君
参事梶原 康二君
自然保護部長江渡順一郎君
大気保全部長松葉 邦雄君
参事吉野  昇君
水質保全部長岡田順一郎君
助成指導部長井出 勝也君
環境科学研究所次長萩本 秋彦君

本日の会議に付した事件
 環境保全局関係
  予算の調査(質疑)
  ・第一号議案 平成十二年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 環境保全局所管分
  付託議案の審査(質疑)
  ・第七十七号議案 東京都公害紛争処理条例の一部を改正する条例
  ・第七十八号議案 高圧ガス保安法関係手数料条例
  ・第七十九号議案 液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律関係手数料条例
  ・第八十号議案 火薬類取締法関係手数料条例
  ・第八十一号議案 武器等製造法関係手数料条例
  ・第八十二号議案 電気工事士法関係手数料条例
  ・第八十三号議案 電気工事業の業務の適正化に関する法律関係手数料条例
  ・第八十四号議案 東京都環境保全事務所設置条例の一部を改正する条例

○尾崎委員長 ただいまから都市・環境委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり環境保全局関係の平成十二年度予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 これより環境保全局関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、平成十二年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、環境保全局所管分及び第七十七号議案から第八十四号議案までを一括して議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○高橋環境管理部長 去る二月二十二日の当委員会におきましてご要求のございました資料につきまして、ご説明させていただきます。
 お手元配布の資料10の一ページをお開きいただきたいと存じます。東京都総合環境アセスメント制度、検討の経緯と今後の予定でございます。
 これまでの都における総合環境アセスメント制度についての検討の経緯と、今後の予定について記載してございます。
 二ページをごらんいただきたいと存じます。環境影響評価の実施状況についてでございます。
 上段の(1)は、環境影響評価書案の提出件数でございまして、平成七年度から平成十一年度までの提出件数を記載してございます。下段の(2)は、意見書数の多い案件の上位十件を記載してございます。
 三ページをごらんいただきたいと存じます。平成十年度における二酸化窒素濃度の高い測定局及びその周辺の道路状況についてでございます。
 平成十年度における二酸化窒素濃度の高い測定局上位五位までにつきまして、その設置場所、周辺の道路状況を記載してございます。
 以上、大変雑駁ではございますが、説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○尾崎委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○田中委員 私は、地球温暖化防止対策について二、三の意見を申しながら、質問させていただきたいと思います。
 ご承知のように、平成九年、一九九七年十二月、地球温暖化防止京都会議、通称COP3において、日本は世界に公約として、二〇一〇年度のCO2 の削減量、正式には二〇〇八年から二〇一二年、この間に一九九〇年のCO2 の排出量の六%レス、これを世界に公約をしたわけです。それを受けて東京都は、平成十年三月に地球環境保全東京アクションプラン、これを策定いたしまして、平成二年度と比較して平成二十二年度、二〇一〇年度に二酸化炭素の排出量を六%削減することを決めました。いわゆる公約をしたわけですね。また、それをさらにしっかりと進めるということもございまして、昨年三月に、東京エネルギービジョン、省エネルギー型都市の形成を目指してということで作成をいたしました。
 これは、ご承知のように、東京の望ましいエネルギー需給構造を示し、省エネルギー、新エネルギー導入の数値目標とその実現に向けたエネルギー策の体系と方向を示したわけです。
 そこで私は、現在、これがどういう形で具体的に進められているのか。確かにこの二つは、温暖化防止対策につきまして多種多様なメニューというものが用意してございます。そして、それぞれにわたって積極的にその施策を進めているということになっているわけでございますが、現実はどうなんだろうと実は懸念をしております。
 ご承知のように、この中では、例えば地球環境保全東京アクションプラン、この八〇ページに二酸化炭素排出量の削減目標というものがございまして、この図表の中で、現状のまま推移したら二〇一〇年度のCO2 は二四%増加をする。その時点でさらに六%レスということになりますと、何とエネルギーは、二〇一〇年、今使っているエネルギーに新しいエネルギーを導入しても三割強のエネルギーの削減をしなければならない。この図表を見ておりますと、現状のまま推移した場合、二〇〇〇年では一九九〇年に比べてもう既に一三%のエネルギーが使われている、CO2 が排出をされている、そういうことになる。しかし、地球環境保全東京アクションプランあるいは東京エネルギービジョン、こういったものを積極的に進めれば、今の時点で既に一九九〇年のCO2 に比べてわずかに二%が排出されている、そういうことになる。しかし現状はどうなんだろうか、そういったことについての検証がなされているのか。ご承知のように、二〇〇〇年、ミレニアムというんですか、私は今環境というものが、二十一世紀に向かって本当に我々人類が百年、二百年後、この地球に存在することができるのかと、そういう危惧の念を抱いているわけです。
 確かに地球環境保全に向けての行動、東京都の計画の中で、都民、事業者の行動あるいは都の行動、いろいろと出されています。現状でこれが確実に実行されれば、こういう形で二〇一〇年のCO2 の削減というものが期待できるんですが、具体的な誘導策というものが、メニューは多いけれども本当になされているのか、大変心配の余り、現在どのような取り組みを行っているのか、今後の課題について、まず教えてもらいたいと思います。

○梶原参事 地球温暖化防止対策についてでございますが、エネルギーの有効利用の推進、省資源や廃棄物対策の推進を初めといたしまして、さまざまな視点から取り組んでいるところでございます。
 具体的な誘導策についてということでお話でございますが、地球温暖化は、日常の生活や業務に密接にかかわる側面を持っていることから、事業者の自主的な環境配慮行動を登録する事業活動エコ・アップ事業を本年度創設したところでございます。
 また、大規模な事業所につきましては、エネルギーの使用量が多いことから、二酸化炭素の排出抑制策を含む環境負荷の低減の計画書、こういったものの作成を求めることにつきまして、公害防止条例の改正について審議中の環境審議会において検討をいただいているというところでございます。

○田中委員 私は、計画についても、また、ただいまのご答弁のように、環境負荷の低減計画書、こういったものをまたさらに政府と一体となって進めようと、そういう計画また考え方、これは大切でありますけれども、毎年毎年適切な進行管理、これはやっぱりやっていかないと、やがて二〇一〇年になったそのときに、東京の公約というものが全く実現できない、そういうふうに思って心配をしております。
 続きまして、太陽光発電の普及策について二、三お尋ねしたいと思います。
 三月の十日、東京の六大紙に、エネルギー政策の見直しと。深谷通商産業相が、電力、石油などのエネルギー政策について閣僚懇談会を持たれました。それは原発立地というものが先行き極めて厳しいと、したがって、これからはこういう原発立地の見直しも含めて新エネルギーの導入、また、全国的な省エネルギー機運の盛り上げなどの幅広い見地から、エネルギー政策というものを見直す必要がある、新聞にこういう閣僚懇談会の内容が出されていたわけです。
 私は、地球温暖化を防止するためには、抑止するためには、温室効果がその九割を占める二酸化炭素の削減を図ることが最も重要だと思っております。そして、そのためには、原子力発電というものの増設を期待していたわけでございますが、どうも先行き、原発というものが地球温暖化の防止についての切り札にはならなくなってきているのではないか。だとすればどうするのかといいますと、石油や石炭などから発生する化石燃料の使用をできるだけ抑制するということになると、日本のエネルギー、東京のエネルギーは先行き行き詰まってしまうわけですね。そこで今日、改めて新エネルギーの開発というものが必要ではないか。特に東京は全国の自治体の中で最も電力の自給率が少ないわけですね。六%、こういう中で東京がとり得るこの新しいエネルギー対策、これはもう積極的に進めなければいけないわけです。その一例として、二酸化炭素を排出しない太陽光発電の普及、これが何よりも急がれているのではないかというふうに思っているわけです。
 そこで、昨年から太陽光発電の普及のために新しい東京都の制度としての融資というのが行われたわけです。現在の実績はどうなっているのかお伺いします。

○梶原参事 太陽光発電の普及に向けまして、国ではシステムの設置費用のおよそ三分の一を上限といたしました補助制度を設けております。都におきましても、住宅用太陽光発電システム設置資金、この制度を創設いたしまして、最高三百万円までの融資あっせんと利子補給を行っております。その結果、都内の太陽光発電の発電容量は、平成十年度末でおよそ四千五百キロワットと見積もっております。これは、都内電力消費の〇・〇一%に相当する量でございます。

○田中委員 東京エネルギービジョンの六九ページに、新エネルギーの導入活用ということで新エネルギーの導入目標が掲載をされている。そうしますと、その中に太陽光発電は、二〇一〇年の達成目標五十万キロワット、二〇一〇年に五十万キロワット、毎年五万キロワット、これを東京都はやらなければいけないわけです。もちろんこの太陽光発電というものが、ただいまの助成を受けても三百万ということでありますので、その三分の一、あるいは利子補給ということで二百万前後の高い価格の太陽光発電、なかなか普及できないというふうに思います。いずれにしても、先行きまたこれが安くなるという見通しもあるいはつくられていくんだろうと思いますけれども、毎年五万キロという中で、過去の実績が四千五百キロワットですか、そこで、私が先ほど申し上げましたように、毎年毎年検証しながらいかにあるべきかということを、しっかりと私はやらなければいけないんではないか。全国的にも実は太陽光発電の普及というのは極めて遅いわけです。
 全国の自治体で四十三自治体、東京に例を挙げますと、二十三区で板橋区、文京区、葛飾区、幸いに板橋区は国の三分の一に対して最高限度額三十万まで直接助成をするということになっておりますが、いずれにしろ、一番東京がやらなければならない状況の中で、東京二十三区、三多摩を通じてわずかに三自治体しか太陽光発電の普及のための助成努力をしていないということは極めて残念だというふうに思っているわけです。どうかひとつ、しっかりと将来を見据えた対策を太陽光発電の普及のために努力してもらいたいというふうに思います。
 しかし、それ以上にやらなければいけないのは、最も効果的な対策として、東京エネルギービジョンによりますと、二酸化炭素の六%の削減を実現するためには、このデータにございますように、六五%をエネルギーの有効利用、効率化に頼る、そういうことをはっきりと指し示しているわけであります。省エネはイの一番に取り組むべき対策でございます。これまで取り組んできた省エネ対策についてお伺いいたします。

○梶原参事 省エネルギー対策といたしましては、これまでも都内六十一カ所で地域冷暖房を実施する一方、コージェネレーションシステムや省エネルギー機器の導入等に対し低利融資等のあっせんの支援を行ってまいりました。しかしながら、省エネルギーの推進を図るには、こうしたエネルギーの供給構造や施設システムの整備をするとともに、ライフスタイルの変更を図ることも重要であると考えております。
 こうした観点から、一人一人の省エネルギー行動が社会全体では大きな省エネルギーを生む、こういった認識を持ちまして、グリーン購入の推進、エネルギーダイエットノートの使用による家庭における省エネルギー行動の普及のほか、啓発活動に努め、環境への負荷の少ないライフスタイルへの変更について理解を呼びかけているところでございます。

○田中委員 たびたびこの地球環境保全東京アクションプランを取り上げさせてもらいますが、この第四章に、地球環境保全に向けての行動、これは一七ページに出ているんですが、その中には、都民の行動、事業者の行動、合わせて十一分類、二十八項目にわたって本当にきめの細かい行動というものを東京都が望む、そういう形で出されています。これを見ますと、都民、事業者の行動のランク分けの目安、強い規制とかそういうんじゃなくてあくまでも目安なんですね。そして、こうあってほしいという行動、意識啓発というんでしょうか、そういう形でこの東京アクションプランには出されている。ですから、いわゆる一つの目安とか方向を指し示しても、これだけの、一千二百万の都民のそれぞれの人たちに、これをしっかりと進めてもらうということはなかなかできないと思うんですね。この文章を見ますと、ぜひ実行してほしい行動、できるだけ実行してほしい行動、できれば実行してほしい行動と。私は、このままでいってしまいますと、二〇一〇年の六%レスはもちろん不可能でございますし、毎日毎日エネルギーというものが消費されている、何らかの網をかぶせる形で、都民の意識啓発というものをしっかりと一千二百万のそれぞれの人たちの胸に刻んでいただく、そういう形をつくる必要があるんではないか。
 それは、ライフスタイルを変える、そういう仕組みを都民に持ってもらうためにはサマータイムだと私は思うんですね。このサマータイムは、人によりますと、実施してもたかだか福井県一年分の消費量に匹敵する、原油換算で五十万キロだと、しかし、この五十万キロが実は大切なんですね。そして同時に、サマータイムを実施することによって余暇の時間がふえるとともに、地球環境についての意識というものをそれぞれが持って、これがまた省エネへのきっかけになるというふうに思っているんです。
 世界の先進諸国、これはほとんどすべてサマータイムを実施しております。七十カ国、そしてOECDの先進諸国でこれをやっていないのは日本と韓国とアイスランド--アイスランドはご承知のように、地図を見ますと北極圈がごく近いところにございます。白夜の国なんですね。やる必要がない。そうすると、先進諸国でやっていないのは日本と韓国だけなんだ。今まさに国際化、グローバル化の進展の中で日本経済の振興発展のためにもーー今日本経済が落ち込んでいる。これは世界の市場経済の中でこういったものが大きなハンディになっている。今まさに、省エネの見地からも、ライフスタイルを変えるためにもサマータイムを私はやるべきだというふうに思っております。
 幸いに、今月の九日に、環境庁、経済企画庁及び通商産業省が発表した地球環境とライフスタイルに関する世論調査では、一年前に比べて賛成と、今は六%上がりまして賛成が六〇%、反対が二〇%、わからない二〇%、過半数が賛成をしておりまして、国民の機運が高まっているわけです。
 そこで、これは要望でございますが、石原知事は、制度変革に向けて東京都からの挑戦だといっているわけですから、全国に向けて、東京発の社会変革の一つとしてサマータイムの導入を私は提案する。これはご答弁要りません、ぜひ、きょうのこの委員会の私の発言を知事にお伝えすれば結構ですから、知事がこの話を聞いて喜んで、導入に踏み切る、また、そういう運動を展開していただこうというふうに思います。
 大分長くなりましたけれども、今度はヒートアイランド対策について申し上げたいと思います。
 これは、都市環境問題の解決なくして地球環境問題の解決はない、いわゆる東京のヒートアイランドの解決なくして地球環境問題の解決はないと、いつも常に私は思っております。いろいろデータがありまして、東京都の方から教えてもらったこのデータでは、この百年間東京都心部の年平均気温は二度以上も上昇して、これは地球温暖化の三倍というテンポだと、こういうデータもいただきました。東北大学の齋藤教授、これはヒートアイランドの権威でございますが、齋藤教授の資料によりますと、東京の冬季、冬の日の最低気温は百年間で七・一度の割合で上昇している。地球温暖化による気温上昇率は百年につき〇・六度でありますから、東京の都市温暖化は十倍以上のスピードで進行している。こういうデータを私に提示してくださいました。二〇三一年七月の三十一日午後六時、シミュレーションで大手町四十三度、新宿四十度、渋谷三十八度、こういうデータを出しております。これが健康にどういう影響を及ぼすか、データでは、皆さん方もご経験があると思うんですが、気温が三十度から三十五度の間、脈拍が不安定になる。三十五度から四十度、こういう気温になりますと、人はヒートショックの危険が増加する。四十度から四十五度、血液の循環が不良になって体温が調節できなくなってしまう。もう人は住めないんです。ですから、ある権威者、石原知事も含めて、二百年後の地球に日本人は、人類は住めるのか、非常に懸念をしているというご発言もございます。しかしその前に、東京は、五十年後、少なくともこの新宿は、今のエネルギーの使用状況あるいは都市活動の今の状態が続けば、東京は間違いなく五十年先には人が住めない、そういう状況になってくるだろうというふうに思うんですね。
 今年度の予算を見ておりますと、温暖化についての予算と総合的な対策というのが出ているんですが、もちろん個々についてのヒートアイランド現象というものに対する対策はそれなりにとられておりますけれども、残念ながら総合的な対策というのがこの予算の中には出ていないんですね。しかし、ヒートアイランドの個々の対策はとられているわけでございますので、改めて、都は、ヒートアイランド対策に対しどのように取り組んでいるのかお尋ねしたいと思います。

○梶原参事 都のヒートアイランド対策でございますが、地域冷暖房や道路の透水性舗装等に取り組むとともに、緑の熱蒸散機能に着目し、ビル緑化の指導を本年四月から開始するところでございます。さらに、ただいま公害防止条例の改正を審議しております環境審議会においては、建築物の建設に際しまして、省エネルギー等への配慮に自主的に取り組んでいただくための環境配慮計画書を建設者に提出していただく、こういった制度検討のお願いをしているところでございます。今後とも、これらの施策を総合的に組み合わせまして、ヒートアイランド対策に取り組んでまいります。

○田中委員 これで質問を終わらせていただきますが、再度局長のご見解と決意を伺うに当たりまして、私は、今回のこの予算の中にヒートアイランド対策の総合対策、そういったものがありませんので、改めてヒートアイランド対策を中心に据えた施策体系の構築を期待いたします。
 もちろん地球温暖化対策の中に包含をされているわけでございますが、また同時に、地球温暖化防止対策というものはそれぞれの総合、それぞれの施策をきめ細かくやっていく中で対策がなされているわけでございますが、私がこれまで提案しました太陽光発電、省エネルギー、サマータイムの導入など、どれ一つをとっても地球温暖化防止対策にもなりますし、しかし同時に、それは総合的にやらなければならない、さまざまに組み合わせなければならないというふうに思っておりますので、どうぞひとつ、そういう観点に立って地球温暖化あるいはヒートアイランド対策をやってもらいたい。
 終わりに、過日齋藤教授と懇談をしましたときに、アメリカは日本に比べればはるかに資源というものを豊富に持っているわけですね。石油もそうでございます。そういう面ではアメリカは、省資源、省エネルギーは、日本と比べて、そういう面では歩みは本来ならば遅くあってもしかるべきだと思うんですけれども、アメリカの方が省資源、省エネルギー対策ははるかに進んでいる。その一つといたしまして、太陽光発電というものを進めるに当たりまして、アメリカは、米国再生エネルギー研究所、いわゆるナショナルリニューアブルエネルギーラボラトリー、従業員が八百人おりまして、再生エネルギー、太陽光、熱、風力、バイオガス、ビルデイング等の省エネルギーなどを含むそういう研究をやっておりまして、当面、百万屋根計画、こういうものを進めている。百万戸にできるだけ早く太陽光を据えつけようと、そして、三百万キロワットの太陽電池パネルを設置しよう。ミリオン・ルーフ・イニシアチブというんですか、MRI、これを進言し、大統領も承認した。ドイツも州政府と一緒になって、太陽光発電を据えつけるときには七割の助成をする、残りの三割については無税だと、こういうことをやっているんですね。日本はまさしく資源小国、そういう中で、私の今までの質問に対して、ぜひ局長のご見解、決意ですか、お伺いしたいと思います。
 これで終わります。

○齋藤環境保全局長 ただいま地球温暖化対策並びに東京におけるヒートアイランド現象の克服といいますか、解決に向けて具体的に警鐘を鳴らすという形でのお話をいただきました。全くそのとおりだと思っております。今もお話になりましたように、このまま何もしなければ、非常に大きな問題が生み出されるということがいろいろいわれているわけでございまして、東京都といたしましても、これまで、東京アクションプランあるいは、前にもいっていただきました、エネルギービジョンなどで具体的な方策についてのメニューを掲げ、それについて企業、事業者あるいは都民に、その改革に向けた参加を呼びかけるという形で努力をしてまいったところでございます。
 ただ、具体的な目標年次あるいは目標数値というものを達成するにはまだまだ努力が必要だということを認識しておりまして、本年四月にも環境局ができるわけですが、トータルに環境政策を展開するということが新たな形で求められてくるわけでございます。そういう中で、地球温暖化対策あるいはヒートアイランド現象に対する対策についても重要な課題と位置づけまして、さまざまな環境保全施策と連携を図って積極的に対応してまいりたい、このように考えております。

○清水委員 これまで本定例会の中で、本会議そして予算特別委員会で取り上げてまいりましたが、臨海副都心開発の有明北地区の埋め立てについては、自然を破壊する問題、臨海の目的が破綻している問題や、都財政への負担という問題などの点から、今日の時点で立ちどまって再検討することが求められている公共事業の一つであるということを指摘してまいりました。
 そこで私も、東京都環境保全局が東京湾についていろいろな調査をしてまいりました、そういうことも踏まえながら、東京湾の水質と自然保全の点で何点かお伺いをしたいというふうに思います。
 さてこの間、東京湾の富栄養化対策に取り組んでいるようですけれども、近年の東京湾の水質の状況というのはどのようになっているのかお伺いしたいと思います。

○岡田水質保全部長 東京湾の水質の状況はどうかというお尋ねでございます。
 まず、東京湾の内湾におきます人の健康の保護に関する項目、これ、例えば水銀、カドミウム、PCB等の項目でございますが、これらについては環境基準を達成いたしております。
 次に、同じく生活環境の保全に関する項目についてみますと、海域における代表的な指標でございます化学的酸素要求量、CODといっておりますが、これで見ますと、平成十年度につきましては、湾の奥、一番陸地に近いところでございますが、ここに位置しておりますC類型の区域ではこれを達成いたしてございます。また、沖合の三つの水域、これはB類型に指定しているわけでございますが、これについては一水域で達成をしておる。東京都内湾全体についてみますと、環境基準の達成率は五〇%ということになっております。この状況は平成八年度から同じでございまして、CODの年度平均値も昭和五十五年度までは年々改善されてきたわけでございますが、近年ほぼ横ばいの状況ということになっております。また、富栄養化の原因になります栄養塩類であります全窒素、全燐についてみますと、平成十年度も環境基準は達成をしていないということでございまして、経年的に見ますと、全窒素、全燐ともに、昭和五十七年度の測定開始以来多少のばらつきはございますけれども、ほぼ横ばいの状況ということでございます。

○清水委員 横ばいということですけれども、基準の達成は五〇%ということで、私が幾つかの資料を見ますと、七三%の達成、または環境庁の資料なんか見ると六〇%の達成、まあそれぞれ年度が違うわけですけれども、そういうことからするとーー半分、五〇%の達成で横ばいというふうに今ご報告がありました。それでは、いろいろな対策をとってきているんですけれども、環境基準が現在達成されていないという原因をどのように認識しておられるんでしょうか。

○岡田水質保全部長 東京湾の特性といたしまして、閉鎖性水域であるということで、海水が入れかわりにくいという特徴がございます。また、東京湾に流入する河川の流域というのは非常に広いわけでございまして、しかも活発な生産活動が行われる、都市活動が行われるという地域が大半でありますために、東京湾には膨大な汚濁負荷がかかっておるということがございます。さらに、富栄養化によりまして、植物プランクトンの過剰な増殖や、また、長年にわたり堆積いたしましたヘドロからの溶出、溶け出すというようなこともあるわけでございます。このようなことから、工場の排水規制でございますとか、あるいはCODの総量規制などの発生源対策、生活排水対策、下水道整備などの施策を進めているところでございますが、その効果がなかなかあらわれにくいということだというふうに考えてございます。

○清水委員 東京湾に面している地域というのはそう多くないわけなんですけれども、しかし水の到着点というか、それが東京湾ということになっているんですけれども、都民全体にとって、現在の東京湾の環境基準が達成されていないという状況は、どのような影響があるというふうに考えられるんでしょうか。

○岡田水質保全部長 生活環境にかかわります環境基準でございますけれども、これは水域ごとに行政上の目標として定められているものでございます。この基準が達成されないということになりますと、環境基準を設定いたします前提となっております水域の利用目的に支障が出てくるという場合があるほか、水辺の快適性という面でも望ましいことではないわけでございまして、都民の共通の財産でございます東京湾から、都民の関心を遠ざけてしまうということも懸念されるところでございます。

○清水委員 ただいま答弁の中で、都民共通の財産である東京湾から都民の関心を遠ざける懸念があるというふうにいわれましたけれども、環境庁の企画調整局編集で、八九年に、東京湾その保全と創造に向けて、東京湾地域の開発と環境保全に関する基本的方策についての中間の取りまとめが行われている中で、東京湾の水質は、ここでは六三%といっているわけなんですけれども、CODの水質環境基準の達成率は六三%と、依然として低い状況である、そして、一般の人々が自由に立ち入ることのできる海岸は極めてわずかであり、水質も、人々が水と親しむという観点から見れば不十分な状況であるというふうにいわれております。
 また、同じくその中では、どのように都民の生活に影響があるかということから、環境資源の保全、創造の方向ということでまとめられているんですけれども、東京湾には、流入河川を通じて流域で生活する二千万人の人々の生活排水が流入しているほか、廃棄物を処分するための埋め立ても行われている。今後身近な海である東京湾の恵みを享受するためには、安易に汚水を流入したりごみ捨て場とすることなく、東京湾に不必要な負担をかけないような、東京湾と共生型ライフスタイルを広める必要があるというふうに指摘をされております。
 先ほどもエネルギーの問題でお話がありましたけれども、私たちのこれからのライフスタイルというのが、例えば、水に対してはどういうふうに私たちはしたらいいのか、都がまとめられました、この水環境保全計画を見ますと、食べ終わった食事のお皿をふいてから水を使うとか、そういう毎日の暮らしの中で水に対して私たちがどういう姿勢をとっていくのかということが、そもそもの出発点であるということでここに書かれているわけです。そういうことになるとーー例えば、多摩の人々が、東京湾自身は遠くて、目の前で見るのは河川なんですけれども、遠い東京湾の到着点でも私たちの毎日の生活と海が大変深くかかわっているということがここでも述べられていますし、都の水環境保全計画の中でもいわれているわけです。
 そこで、環境庁が幾つかまとめられているこの間の水質保全についての企画、また会合などに参加をしてまいりましたけれども、また、この水環境保全計画などで取り組んでいるわけですけれども、取り組みの具体化、都として水質保全についてどのような取り組みがなされてきたのか、お伺いしたいと思います。

○岡田水質保全部長 東京都といたしましての東京湾の水質保全にかかわります取り組みでございますけれども、これまで、例えば窒素、燐にかかわります上乗せ排水基準の設定でございますとか、あるいはCODの総量規制の実施、こういうふうな工場等の発生源の規制をまず行っております。
 それから、生活関係の排水への対策といたしましては、良好な処理水が得られるような合併式の浄化槽の普及などの生活排水対策、さらに、高度処理の導入でございますとか、合流式の下水道の改善、こういうものを含みます下水道の整備、さらに、広域的な取り組みが必要であるという観点から、七都県市首脳会議等の関係自治体と連携した施策の共同実施といった多様な取り組みを進めているところでございます。

○清水委員 幾つかの対策について今述べられましたけれども、それでは、東京都の環境科学研究所の、九八年六月に出されました、東京都内湾に残る浅瀬が水環境の保全に果たす役割についてという科学研究所のニュースがここにまとめられているんですけれども、この研究、調査というのは、どのような内容の調査を行って、結果はどうだったんでしょうかお伺いいたします。

○萩本環境科学研究所次長 お尋ねの調査は、平成八年度に東京都内湾の浅瀬や干潟における多様な生物の生息状況と水質浄化の作用や効果について把握するために、多摩川河口浅瀬と森ヶ崎鼻干潟、それから大井中央海浜公園及びつばさ公園干潟の四カ所で調査を実施したものでございます。この四カ所の調査結果でございますが、まず、河口部に自然に形成された多摩川河口浅瀬につきましては、底質の有機汚濁が少なく、底生生物の出現種類数は少ないのですが、水質浄化能力の高いアサリだとかシオフキガイ、これらの二枚貝が多量に生息しておりました。また、底生生物の現存量から試算しました有機汚濁物質の年間浄化量は、一平方メートル当たり三百五十グラムと、四カ所の中では最も高い値を示しておりました。
 次に、自然形成された森ヶ崎鼻干潟は、底質の有機汚濁はやや多く、底生生物の種類数及び現存量とも最少でございましたが、底質の有機物を浄化するゴカイ類が多く生息いたしておりました。また、人工的に浅瀬を造成しました大井中央海浜公園につきましては、底質は有機汚濁が少なく、底生生物の種類は最も多かったわけですけれども、アサリ等の二枚貝の種類数及び現存量もいずれも多かったという結果が出ております。
 なお、有機汚濁物質の年間浄化量は、多摩川河口浅瀬に匹敵する浄化能力を示しておりました。
 最後に、埋立地の地先水域に土砂が堆積して形成されましたつばさ公園干潟につきましては、底質は有機汚濁が少ないという状況でございました。また、底生生物の種類数はやや多目でございましたが、現存量では少ないというような結果が出ております。
 これら四カ所の調査結果から見ますと、自然に形成された浅瀬かまたは人工的に造成した浅瀬かにかかわらず、海底が緩やかに勾配を有しておりまして、底質が砂質に富んで有機汚濁が少なく、酸素の供給が十分行われている浅瀬であれば、多種多様な底生生物が生息し、豊かな食物連鎖が形成され、すぐれた自然の浄化機能を有しているということがわかりました。

○清水委員 貴重な研究がされ、そして結果が報告されたというふうに思います。東京湾の浅瀬はほとんど消失してきたけれども、私たちの生活にも大きな影響を与えている浅瀬というのは、水環境の浄化の場の機能を有しているなどということで、そのことが今ご報告をされたというふうに思います。
 それではもう一つ、今度は環境保全局の水質保全部が調査をいたしました水生生物調査結果報告書、九年度の報告書の中で、一八八ページにあります水深と生物、底質の関係というのでご報告がされております。これを見ますと、干潟四地点、浅い海五地点、運河一地点、内湾部六地点について五月と九月に調査をされておりますよね。これを見ますと、水の深さ、水深がどのくらいで、出現種類数が平均幾つで、出現個体数が平均幾つでというようなことが書かれているんですけれども、例えば出現個体数を見ますと、五月の時点で、浅瀬が三百七十で、内湾部が九十四出現個体数になっているんですが、九月になりますと、出現個体数を同じところで比べてみますと、浅瀬の部分は六百三十四・八、それが内湾部になりますと〇・五ということになっておりますね。これについては別に何のコメントもされていないんですけれども、この調査の結果からどのようなことがいえるのかお伺いしたいというふうに思います。

○岡田水質保全部長 平成九年度の水生生物調査でございますけれども、この調査につきましては、先生ただいまご指摘ございましたように、底生動物、これは貝でありますとかゴカイでありますとか、こういうものが代表的なものでございますが、こういうものの生息状況を五月と九月の二回、底の泥をとりまして調べたものでございまして、先生のご指摘のあったような場所で、箇所数で調査を行っております。これで見ますと、五月にはすべての地点の下層に酸素が存在して底生動物が見られたということでございますが、水温の上昇しました九月には水深十メートル以上の内湾部では下層が無酸素状態になったというようなことが原因になりまして、底生動物がほとんど見られなかったというような結果になってございます。
 この原因でございますけれども、東京湾のような閉鎖性水域の特徴といたしまして、夏場になりますと、上層と下層の水の循環が起きにくいということになりまして、水中や底質の中で有機物が分解するということになって、酸素が消費されますと、下層部では貧酸素状態になるというような現象になります。一方、冬になりますと、酸素が全体に行き渡る、水が循環するというような状況になるわけでございまして、こういう季節的な変動が起こるということでございます。先ほどの調査結果につきましても、このような季節変動にあわせて生じているものというふうに考えております。

○清水委員 今、浅瀬の調査と水生生物の調査結果についてご報告ありましたが、これは一般的な調査ではありますけれども、総じて見ると、浅瀬における、多種多様な生物が豊富に生息し、食物連鎖による水環境の自然浄化の場が、そこには有しているというふうに、結果としていえるというふうに考えるわけです。
 そこで、港湾局が有明北旧貯木場の埋立事業について行った環境影響評価について何点かお伺いをしたいというふうに思います。
 ただいまもご説明がありましたように、水深の深いところと浅瀬というところでは、機能とか植物の、生物の状態というのは大きな違いがあるというふうにも感じるんですけれども、東京湾内の港内の水域というのは、大型の船舶が航行し接岸するために、水深が十メートル前後と深くなっているわけです。そうした中で有明の貯木場跡地は水深が三メートルから五メートルということで、先ほどあったように、夏場には貧酸素化しても多くの生物が生息しているという貴重な水域であると思います。埋立予定地では、この間の議論の中でハゼの産卵が観察されているということも紹介されてまいりました。ハゼの絶好の釣り場であるということも紹介をされてまいりましたし、先日も屋形船東京都協同組合などを含めた埋め立て反対の海上デモが行われましたし、続けて江戸前のハゼと自然と文化を守ろうというシンポジウムが行われて、専門家の皆さんがご報告いたしましたところに私もそのお話を伺いに行く機会がありました。そういう点から、この環境影響評価書からは、東京港内に残された貴重な浅瀬を埋めることが、いかに自然を破壊するかという認識が私は見られないというふうに、この港湾局が行った評価書では思います。
 それで、三つだけ伺いますけれども、一つは、鳥類についてです。この評価書の中には、危急種になっておりますカンムリカイツブリ、それから危急種のチョウサギ、コアジサシ、チョウゲンボウが確認をされております。この中に書いてあります。先日都の自然保護でいただきましたこのレッドデータブックには、コアジサシが環境庁の絶滅危惧のⅢ類、都の調査ではBランクですね。それでもう一つのチョウゲンボウについてもBランクということになっているわけです。環境影響評価書では、工事の施行により鳥類の生息環境に影響を及ぼすが、工事の影響の及ばない周辺水域へ一時的に退避するため影響は少ない、工事の完了後における埋立地の出現に伴い、鳥類の生息域の一部は減少するが、埋立地の水際部に緑地などを備えた海浜公園を整備し、干潟機能を持つなどすることにより、鳥類の生息環境への影響は少ないというふうにしています。この鳥類に対する実証とか検証とかがされた上で、これはこのように結論をつけているのでしょうか。

○長谷川環境影響評価担当部長 有明北地区埋立事業の環境影響の予測、評価につきましては、東京都環境影響評価技術指針に基づきまして、現地調査及び既存資料の整理解析、これによって行われたものであります。環境影響の予測、評価におきましては、参考事例として広島市五日市埋め立てに伴う人工干潟の造成例を示しておりますが、現在時点、この事業における予測、評価結果の実証、検証というものは、今後の事後調査手続の中で事業者により行われることになります。
 仮にですけれども、事後調査におきまして調査結果が予測、評価結果と大幅に違った場合には、その原因を検討して、必要に応じまして、東京都環境影響評価審議会の意見を聞きました上で、事業者に対しまして環境保全のための措置を講じるように求めることになります。

○清水委員 今の説明ですと、実証と検証というのは事前にはされていないというふうに伺いました。それで、今事例として挙げられた広島湾の五日市埋め立ての人工干潟のことをこの環境評価書の中には書いてあるんですけれども、ここは前面が開けた海になっているわけです。埋め立てが行われたとしても、開けていて、鳥類がそこから離れる場所というのを有しているわけですね。人から離れた場所に鳥類が集まっているということで、ここの旧貯木場の場所というのはもう離れる場所というのがないんですね、鳥類にとって。この付近に生息していた鳥類の大部分は他の水域に移動してしまうのではないかというふうに専門家からもいわれていて、事後調査で実証、検証されたって、移動してしまったらもう遅いわけですから、こういう点で、重要な、評価書については検証がされていない結果が報告されているというふうに思います。
 水生生物の評価書では、覆土による水生生物の生育環境の復元について、工事の実施までにあらかじめ確認することだけ知事の意見書が出されています。工事の完了後における埋立地の出現に伴い、水生生物の生育環境への影響を軽減するためとして、近自然型ブロック、緩傾斜型護岸、水生生物の生育環境の創出に配慮するというふうに書かれており、その結果、水生生物に及ぼす影響は少ないと考えるというふうにしております。
 この検証方法は実証されていることなんでしょうか。水生生物にこういう形で軽減のための対策をとれば効果があるというふうにお考えでしょうか、お伺いいたします。

○長谷川環境影響評価担当部長 環境影響評価書によりますと、緩傾斜護岸につきましては、大阪府貝塚市阪南六区埋立地の緩傾斜護岸の調査結果を引用しております。結果として、生物の多様化に緩傾斜護岸は寄与していると書いてございます。近自然型ブロックの取りつけにつきましても、計画地に隣接するお台場海浜公園の調査や神奈川県逗子市の田越川の感潮域の護岸形態と生物の生息状況の調査結果をもとに、直立護岸にすき間を設けることにより水生生物の生息が可能になるとしております。これらの護岸に水生生物がどの程度回復を示すかにつきましては、先ほど述べましたように、事後調査手続の中で鳥類と同様な対応をすることになります。

○清水委員 評価書でもこうした工法について、詳細な形状などについては今後検討していくというふうになっています。コンクリートで固め穴をあけるというものですが、砂の間を海水が自由に通過できるものでなくてはならないというふうにいわれますし、専門家は、今幾つかの場所を挙げましたけれども、今回出されているこの評価書も、この対策は見たことも聞いたこともないというふうにいっているんですね。それで、今もご説明がありましたように、水生生物に及ぼす影響がないというのは、本当に確証があるのかどうなのかということがいえるというふうに思います。
 それは、傾斜型護岸における泥だまりの問題も同じで、同じ答えになると思うんですけれども、事後の調査によって検証するということで、実証されていないものが、しかし結果は、影響が少ないというふうにいわれている、そういう評価書は皆さんにとって確証できるものでも、本当にこれ納得できるものでもないというふうに思います。水生生物の生息というのは、また、面積でも規定をされるというふうにいわれております。今回は三分の二を埋め立てればそれに匹敵する生物は消滅をするというふうにもいわれているわけですね。
 そこで、最後にお伺いいたしますけれども、マハゼの産卵のアセスでも科学性に疑いを持つような調査結果であったということは、予算特別委員会でも指摘をしてまいりましたが、今二つほど触れました調査、対策でも事後調査を行うというふうにいっていますけれども、それでは復活することができないわけなんですね。この地域というのは見上げれば都心のビルが林立している。都会の真ん中に、マハゼを初めとして貴重な水生生物や鳥類が生息している海を二十一世紀に引き継ぐということは、私たちの責任だというふうに思うんですね。特に環境保全局がこういう問題に対してもっと主体的に取り組みをしてほしいと思うんです。この問題を繰り返し特集している釣りの雑誌であります「つり人」の中の言葉の中に、こんな小さな自然も守れないのだろうかというふうに書かれておりました。これは本当に私たちに深く問われるものだというふうに思うわけですね。
 繰り返しこれもいってまいりましたけれども、ここの埋め立ての場所は、ほかにも遊休地があるんじゃないかと、まだほかにも未利用地があるのに、どうしてここを埋め立てなければいけないんだということは、先ほど紹介した環境庁の、かけがえのない東京湾を次世代に引き継ぐためにという主題でまとめられている中に、これを本会議でも予算特別委員会でも紹介してきたわけですけれども、東京湾沿岸では現在各種の開発が計画されている。しかし、東京湾内湾はその二割以上が既に埋め立てられた結果、東京湾の持つ自然浄化機能の環境維持機能や親水機能などが損なわれてきている。一方、東京湾沿岸の既存埋立地には、未利用の土地や工場移転跡地など広大な未利用地が存在している。東京湾が限られた貴重なオープンスペースであり、かけがえのない自然環境であることにかんがみ、今後臨海部における新たな空間需要に対しては、この未利用地の有効利用により対応し、これはいい悪いは別としても、開発空間確保のための埋め立ては抑止することを基本とすべきである。既存の埋立地に広大な未利用地が存在する現状では、新たな空間需要を満たすための埋め立ての必要性は極めて低いと考えられるというふうに書いてあります。
 それで、先日の予算特別委員会の港湾局長の自民党議員の質問に対する答弁の中に、水質についても、夏場に海底付近で酸素が欠乏した状態となり、底質は夏冬を通じて富栄養な状況となっているなど、他の東京港の奥の部分と同様の傾向を示しておりますというふうに答弁しております。これは評価書を見るとそういうふうに書いてあるんですよね。しかし、先ほどから、環境保全局が調査してきたことを見ると、浅瀬というのは奥の部分のところと水質という点、生物がすむという状況については、自然環境はどうだということを聞いているときに、こういう答えというのはーー私はもっと、水質を研究している環境保全局がいってほしいというふうに思うんですよね。
 先ほども紹介しました水環境保全計画を見ると、本当にどうしてこういうことに取り組んでいる東京都が、例えば、質の高い釣りをするには質の高い水環境が必要という観点から、漁協や釣り人との情報公開に努めるとか、一つ一つ見ると、例えば生き物同士の複雑な相互関係、こうなるはずだと理屈で決めないで自然から学ぼうということでーーこうなるはずだという環境評価書をつくって、それを事後にならないとわからないというような、そういうことをやって埋め立てを進めようとしているわけですね。環境保全局は本当に埋立問題でも環境を守る立場を貫いていただきたいというふうに思うんですけれども、事業者ではありませんということになるわけなんです。
 この質問の最後にお伺いいたしますけれども、研究所の調査や水生生物調査の結果をあわせてみると、浅瀬は重要だと私は思うというふうに先ほど述べました。有明北の貯木場の跡というのは水深が三メートルから五メートルであって、広さが四十一ヘクタール、東京湾に残された貴重な浅瀬、そして、水生生物のいる本当に自然豊かな最後に残された自然の浄化を持つ浅瀬だというふうに考えますけれども、どのようにお考えか、この点の質問を最後にお伺いいたします。

○岡田水質保全部長 私ども水質保全の観点から一般的に申しますと、東京湾に入ってまいりますさまざまな負荷をできる限り抑制するということとあわせまして、開発が行われる場合にも緩傾斜護岸の導入や干潟、浅場等の保全や創出を図る、また、内湾の生き物の生息環境に配慮するということが必要だというふうに考えております。
 ご指摘の土地の事業につきましてでございますが、環境影響評価制度の中で手続が行われているところでございます。

○清水委員 それでは弱いので、開発が行われる場合にはなんていうことではなくて、開発もしないという選択肢もとる、そういう姿勢をぜひ今後とっていただきたいというふうに要望しておきます。
 次の質問を聞いてください。
 都は、昭和四十九年以来四十カ所を超える保全地域を指定してまいりました。市街地の中に大変貴重に残っているというふうに感じます。八王子市では四十一カ所中十一カ所を指定していただいて、消えいこうとしていた貴重な樹林地が保全をされているということで、大変私たちは高く評価をし、先日も幾つかの場所を見てまいりました。
 そこで、今日都民にとって保全地域の意義について、都としてどのように考えているかをお伺いしたいと思います。

○江渡自然保護部長 都の保全地域は、良好な自然地や歴史的遺産と一体となった樹林などを、都民の大切な財産として後世に末永く残していくという意味を持っているというふうに考えております。

○清水委員 二十年を超えて指定して管理をしてきたわけですけれども、主に多摩環境保全事務所が管理を行っていると思うんですね。その保全地域の管理の内容についてお伺いしたいというふうに思います。

○江渡自然保護部長 現在、保全地域の管理は主として多摩環境保全事務所が行っております。その多摩環境保全事務所が行っている保全地域の管理の内容でございますが、樹林地の草刈り、それから倒木の除去等の植生管理、それから標識の設置などでございます。また、クヌギ、コナラ等の樹林を若返らせるための伐採更新、いわゆる萌芽更新と申しておりますが、この一部を保全地域で行っております。さらに、桧原南部自然環境保全地域におきまして、杉などの植林地を一部伐採して、クヌギ、コナラ等の落葉広葉樹を植えます複層林化事業を行っております。

○清水委員 その管理に要しております予算の、この十年間の推移の状況についてお伺いをしたいと思います。

○江渡自然保護部長 保全地域の管理に要します予算でございますが、平成二年度と平成十一年度、この十年の間で比較してみますと、それぞれの年度、単年度で比較しますと、平成二年度が六千万円、平成十一年度が八千六百万円でございまして、大きな変化はございません。しかし、平成七年度から九年度にかけての三カ年は、萌芽更新作業や複層林化事業が新規事業として加わりまして、さらに標識の更新の事業費が新たに予算化されたため、大きく予算が伸びております。また、その後、平成十年度以降の予算は、これは事業が終了したことと、それから単価の見直しを行ったことなどによりまして減少に転じております。

○清水委員 指定する箇所はふえていっている一方で、今最後にご答弁がありました、減少になっているということなんですけれども、予算の減少の中でこの保全地域の良好な管理というのはできていくんでしょうか。

○江渡自然保護部長 平成十二年度の予算は、こういう財政状況を反映いたしましてかなり減少しております。都民の自然に対する関心の高まりを受けまして、我々も保全地域の管理について、緑地の現状保存を中心とする閉鎖型の管理から、都民の参加と協力を得ながら管理と活用を進めるいわば開放型へと方針を転換するなど、執行上の工夫を重ねながら管理水準の維持に努めてまいりたいと考えております。

○清水委員 管理の後退にならないように、その点では要望しておきたいというふうに思うんですが、先日、町田市の図師小野路歴史環境保全地域をご案内いただきました。ここの管理は他の保全地域と異なった管理をされているようなんですけれども、その大きな違いというのはどこにあるのかお伺いいたします。

○江渡自然保護部長 保全地域の管理は、一般には草刈りや倒木の除去などの植生管理が中心でございます。これを市を通じて業者委託によって行っております。図師小野路歴史環境保全地域では平成八年度から地元の農家の方々が、町田歴史館管理組合という組合を結成いたしまして、その知識と経験を生かしまして谷戸田の復元や周辺の雑木林の手入れ等を、都の委託をーーこれは直接委託しておりますが、これを受けて実施しているところでございます。

○清水委員 現地のご説明によりますと、そうした、これまで長くその地域で畑をやってこられた農家の方々が管理をされているということで、その地域に合った管理の内容があるというので、そういうまた独自の苦労があるんだなということに感心したんですけれども、その方法で里山が復元したというふうに伺ったんですが、復活した生物がいるというんですけれども、それはどのくらいいるのかお伺いしたいと思います。

○江渡自然保護部長 ご指摘のように、この地域では大変多くの生物が復活しております。ここ図師小野路で里山を復元したことに伴って復活した生物でございますが、まず植物については、隣接する谷戸の放棄水田との比較で見ますと、そこで確認された約二十種に対しまして、復元した里山では約六倍の百二十六種が確認されております。その中には東京都版レッドデータブックのAランクに位置づけられておりますミズニラやミズオオバコも確認されております。
 また動物についてみますと、やはり同じく東京都版レッドデータブックのAランクでございますメダカ、Bランクのホトケドジョウ等が確認されております。そのほかカエルは八種、トンボは十九種が復元後に確認され、着実に多様な生物相が回復しております。

○清水委員 このような管理をしているのはこの場所だけというふうに伺っているんですけれども、四十一カ所指定をされていて、委託で業者の方にやっていただくのはそれなりのまた意味があるとして、このように地元の方が協力してくださるというところもそう幾つもないと思うんですけれども、このような管理はここだけだというんですが、他の地域ではこういうふうにしているところというのはないんでしょうか。

○江渡自然保護部長 大変残念でございますけれども、現状では図師小野路歴史環境保全地域のような管理を行っている保全地域はございませんで、通常の樹林地管理を行っております。

○清水委員 今後の問題としてーー今ご説明のありましたように、閉鎖枠、枠を取り除いて、管理枠をとって開放的にしていくんだと。予算も減っているので地元の方に協力いただくというのは、そういう形になっていった方がいいかと思うんですね。先日八王子のある場所に行ったときに、そこは管理さくがしてあったんですけれとも、管理さくをしないときは近所の方がいろいろ草を刈ったりですとか落ち葉を集めたりですとか、そういう多少の手入れをしていたようなんですが、そこにさくをしたために、それは入れますけれども、皆さん、ここは私たちの地域、ここは東京都ということで、多少親密度が減少したというふうなことをいわれたので、ああ、そういうさくだけでもそんな感じになるのかなというふうに思ったんですね。今そういう場所で自分たちがいろいろノウハウを持って、多少でも自然の保全に力を出したいという方もまたふえてきていると思うんですね。
 予算を減らしたからそのかわりとかいうことではなくて、そういう方々の力もかりて、貴重な保全地域を保全していくということで、今回八王子の戸吹地区を購入していただいたわけですけれども、そこも含めて、すべて一斉でなくてもいいんですけれども、先ほど町田の復元された植物が六倍にもなったということで、本当にすばらしく整備をされていて、私も本当に心が洗われるような場所だったんですけれども、そういう管理に取り組んでいくような予定というのはあるんでしょうか。

○江渡自然保護部長 まず基本的に、管理の方向というかあり方でございますけれども、地域の方々と一緒になって地域の方の意見も取り入れ、また、お力もかりながら管理していくのが将来の方向であろうというように考えております。それで、図師小野路のような管理が可能かというご質問もあったように思いますが、図師小野路は大変特殊な例と申しますか、非常に里山の復元としては望ましい例ではございますが、まず、あのような管理は実は地元で農業の経験を持っていらっしゃる方々のお知恵と、それから何よりも熱意が大変必要だというように考えてございます。あそこの農家の方々がつくった組合のような組織ができれば、それはすばらしい管理が可能になると思います。私どもも本当に敬服するような管理をしていただいていますので、これからはあのような管理をいろんな方面で行っていけるような人材の育成、発掘もあるのかもしれませんが、そういう努力をいたしますとともに、できるだけ谷戸の指定、保全地域としての谷戸の指定にも力を入れてまいりたいというように考えてございます。
 また、先生の地元の戸吹北の保全地域のことだと存じますが、里山は今申し上げましたように生物相豊かな環境でございまして、都としてもその復元が大変重要であると考えております。しかし、そのためには、繰り返しになりますが、地元農家の方々の協力が不可欠でございますので、八王子戸吹北緑地保全地域につきましても地域の協力を得ることができますれば、このような管理に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

○清水委員 それと、四十一カ所、三多摩に多くある、ほとんどなんですけれども、公園のように、人々が多数で入っていくということはできない地域だというふうに思うんです。あのような貴重な場所、そして、先ほど整備をして生物がよみがってくるというような、そういう過程というのは、大変教育的な場所としては私は最高の場所だというふうに感じたわけなんですね。
 それで、確かに百人も二百人もの生徒が一遍にあの場所に入るということはとても難しいことかもしれませんが、今後の教育の内容の変遷とか、それから環境教育とか理科教育とかで本当に最適な場所だというふうに思うんですね。今はそういう形では学校教育に十分に利用するという形にはなっていないと思うんですけれども、また、連れていっても、説明できる先生と、講習を受けないとそういうことが十分に説明できない場合と得手不得手というのはあるわけなんですけれども、まあできればそういうところでも説明をしていただく方がいて、先生も生徒もそういうところで学ぶ、都の貴重な保全地域をそういうふうに活用するということがとても私は大事だというふうに、あそこをご案内していただいて感じたわけなんですね。そういう点では、今後、教育的な体験の場としての保全地域の活用ということでは、どのように考えておられるんでしょうか。

○江渡自然保護部長 ただいま清水副委員長ご指摘のとおりだというふうに考えます。都の保全地域は都内に残された雑木林を中心とする貴重な緑地でございます。そして、多様な生物をはぐぐむ豊かな自然に恵まれた地域でございます。未来を担う児童生徒が保全地域を訪れて自然と触れ合うことによりまして、豊かな感性や生き物を慈しむ心を育てる場としては絶好の場と考えます。また、理科の勉強の場としてもというご指摘がございましたが、私どもとしては徳育の場としても大変適した場ではないかというように考えてございます。西暦二〇〇二年度から小中学校で導入することになっております総合学習の場として、こうした保全地域を活用することができるように、現在教育庁と調整中でございます。
 なお、蛇足でございますが、石原知事が掲げております心の東京革命にも相通ずる施策としてぜひ実現したいと考えております。

○清水委員 最後ですけれども、今後の保全地域の指定の問題なんですが、今開発ということがいろいろな場所からまた出てきて、本当に早く保全地域を指定していただきたいということが、この委員会にも出されている横沢入とか、それから八王子の川口リサーチパーク計画地であるとか、そういう大きなところから、多摩市などからも幾つかこの間出されてきたんですけれども、この保全地域に指定してほしいという、今でも地元の住民からの要望もあるんですけれども、今後の保全地域の新たな指定の拡大という計画について最後にお伺いをいたします。

○江渡自然保護部長 保全地域を今後どのように指定していくかというお尋ねでございますが、私どもといたしましては、平成十二年中に策定を予定しております緑の東京計画、これは知事の施政方針の中で明らかにいたしましたけれども、この中で記述してまいりたいというように考えてございます。特に、現在建設残土の埋め立てによりまして壊滅の危機にある丘陵地の谷戸の保全とか、それから林業の停滞によって放棄され荒廃が進んでおります奥多摩の森林の保全が急務と考えております。このような考え方に立ちまして、現在、東京都自然環境保全審議会においてご審議をいただいているところでございます。

○谷口委員 今の清水副委員長のご発言に関連しまして、図師小野路歴史環境保全地域につきまして意見だけ申し述べさせていただきたいと思います。
 この地域は三十三ヘクタールという非常に広大な地域でございまして、現場へ参りますと、本当に豊穰な自然といいますかそういったものが残され、ただ残っているだけではなくて、その自然を育てているという実感が伝わってくるようなエリアでございます。その中心者になっている理事長さんが本当に熱心に、しかも、自然保護というのは単なる保護ではだめでございまして、やはり昔からの農耕法だとか、一切コンクリートなんかは使わないで昔ながらの手法でもって里山を残すということに熱心に取り組んでいらっしゃる。日本国じゅうどこにも例を見ないようなすばらしい自然の保護の姿であろうかというふうに思うわけでございますけれども、そういった自然保護のあり方というのは、一つには、やっぱり緑の団塊をかなり大きく残さなければ、これはちょっと同じようなことはできないんじゃないかなというふうに思います。
 ご答弁の中にも、業者さんに委託をしてというお話がございましたけれども、木が倒れたら取り除くとか、道路が壊れたからそこだけ直すとかというふうな、そういうやり方では自然は戻ってこないわけでございまして、自然というのはほうっておきますとどんどんササ山みたいなものが、ササのような地面を覆うものが密生してまいりまして、樹木がどんどん衰退していくというふうな状況になっていくわけでございます。
 もう一つは、緑に親しむとかという形で林間にどんどん人が入っていってしまいますと、これもまた生態系を壊してしまう、そういう問題もございまして、ボランティアの皆さんをどんどんそこに入れて下草を刈ればいいじゃないかと、刈ればそれで保護なのかというふうにはいかない面もある、自然を大切にしようという心の人を排除するというのも、これも問題があるわけでございますが、本当に自然に親しみ、そこにずっと住みついて守っていこうという方がいらっしゃらない限り、本当の意味での里山の復活というのは目指せないんじゃないかなというふうに思っております。
 海外に参りますと、レンジャーという制度がございまして、日本の自然保護と海外のレンジャーの活動の仕方というのはちょっと形態は違うかと思うんですけれども、都市近郊に残された緑を守るために本当に自然保護の指導者というか、そういうものをこれから考えていかないと、本当の意味での自然というのを残すことができない。二次自然というふうにもいわれておりますけれども、二次自然が、そこに人々が入り込んで楽しむという存在ではなくって、そこにある貴重な自然なんだと、その貴重な自然が意義深い自然として残されるということがあれば、この自然は本当に貴重な存在になるし、荒れ山を残してみてもしようがないというふうにも思います。その辺これから、自然保護員とか自然保護の専門員が、それだけでご飯を食べている人がいるような、そういう制度化を目指していただきたいなというふうに、私は個人的見解としてそのように思うわけでございます。そういう意見を述べさせていただきます。

○森田委員 私は、東京の大気汚染、この問題について少し伺いたいなというふうに思っております。
 ここのところ本会議、予算特別委員会等でDPFの問題が何人かの委員によって取り上げられましたけれども、石原知事が就任して、この東京の大気汚染を何とかしよう、この意気込みは大したものだなというふうに思っています。ほうっておいてはこれは大変なことになりますし、今の東京の大気というのは、もう今さらいうまでもありませんけれども、工場等の固定発生源よりは圧倒的に車による汚染の方が多いというふうに思うわけです。そういう意味で、ディーゼル車規制、これはぜひ私たちも一緒に取り組んでいきたいというふうに思っておりますし、こういうきっかけがなければなかなか車の規制までということには進まないんじゃないかな、そういう意味では、今取り組んでいる知事及び環境保全局の皆さん大変だと思いますが、ぜひこの実現に向けて進めていただきたいというふうに思います。
 ただ、これに関連してさまざまな課題がありますので、今まで尾崎委員長なんかも予算委員会で取り上げておりましたけれども、取り上げられなかった課題について幾つかきょう伺いたいと思うんです。
 まず最初にお伺いしたいのは、東京の大気の汚染状況です。もう一度ちょっと報告していただきたいんですが、浮遊粒子状物質による状況、それからNOx 、窒素酸化物等の状況、東京には環境基準というのがありますけれども、これ連続して測定していると思いますが、その基準の達成状況だけで結構ですから、今どのようになっているか報告をしてください。

○松葉大気保全部長 浮遊粒子状物質の環境基準の達成状況でございますが、平成十年度でございます。一般の住宅地等の一般大気汚染測定局でございますが、一四・九%の達成率、それから沿道等の自動車排出ガス測定局ではゼロ%でございます。それから二酸化窒素の環境基準の達成状況でございますが、それにつきましては、一般局が五六・八%、自動車排出ガスの測定局が二〇%でございます。

○森田委員 聞き違いじゃありませんよね、浮遊粒子状物質というのはゼロ%。

○松葉大気保全部長 自動車排出ガス、いわゆる沿道でございますが、達成されておりません。ゼロ%でございます。

○森田委員 住宅街でも一四・九%、沿道ではゼロ%しか達成していない。窒素酸化物の場合でも、沿道の場合二〇%しか達成されていない。これは本当に深刻な状況で、今これから取り組もうとする車の規制、ディーゼル車規制は非常に重要なことだなというふうに思うんです。これは環境保全局の方でお答えできるかどうかわかりませんが、知事の本会議あるいは予算特別委員会等での答弁を聞いていますと、東京都は、二〇〇五年からですか、導入したいと、七年にはこれはもう必ずディーゼル車にはDPFをつけるということを決めているように伺っていますが、それと同時に、国への期待感が大変に多いわけですね。本来これは国がやるべきだというようなことを知事はよくいっているわけですけれども、仮に東京都が二〇〇五年、二〇〇七年にやろうとしている、しかし国が、例えばその二年後なり三年後なりにやろうといった場合には、東京都は国の足並みにそろえるのか、東京都独自で先にやるのか、この辺はどうでしょう。

○松葉大気保全部長 国の規制のそのものについてはまだ具体的になっておりません。したがいまして、私どもとしては東京都として独自の条例制定を目指していきたいと、このように考えております。

○森田委員 じゃ、東京都独自の規制は行っていくということですね。それで、東京都独自の規制というのは、今聞いているのはディーゼル車にDPFをつけるという規制というふうに考えてよろしいですね。

○松葉大気保全部長 先般、二月十八日でございましたが、ディーゼル車の規制の検討案という考え方を公表したところでございます。その内容では、ディーゼル車の微粒子除去装置の装着などを目指していきたいと、このような内容になっているわけでございます。現段階ではそのような考え方で進んでおるわけでございます。
 なお、これにつきましては、現在、東京都の環境審議会で公害防止条例の改正について審議をいただいているところでございます。その検討結果、答申等を踏まえまして今後検討していきたいというふうに考えています。

○森田委員 DPFをつけることはいいんですけれども、DPFについて、今までも何度も議論されていますけれども、価格の問題、それから性能の問題というふうにいわれているんですが、価格の方はこれから量産していけば安くなることはよくわかるわけですが、性能の方についてどういうふうに考えているのか、例えばヨーロッパではユーロ三とかユーロ四とかいう目標値を持っていますよね。そういうのに比較して、東京都のこのDPFをつけるための目標値、DPFの性能、こういうものだったらいいぞというような考え方はあるんですか。

○松葉大気保全部長 先般、自動車工業会、石油連盟などが低硫黄の軽油を近いうちに供給すると、それに合わせまして新しい排出ガスの、適合した車の販売が可能になってくるだろう。こういうものにつきましては、相当程度の粒子状物質の除去された、そういう新しい車になってくるかというふうに考えています。一方、現在問題になっておりますのは、現在使われている車に対しての除去ということになりますので、そういう観点でいけば、将来ヨーロッパで厳しい規制がかかるようなレベルで装置をつけたとしても、除去はできないというふうに現在考えております。

○森田委員 具体的に、こういうのをやる場合には目標値を持たなくちゃならない。それはどういう形をとるか、例えば車の排出ガスのところではかったらどれだけ以下でなくちゃいけないのか、あるいは、さっき報告がありましたように、沿道では環境基準を達成しているところはゼロ、沿道における環境基準の達成度はどこまでいくとか、こういう目標を持っていないと都民に対する説得は非常に弱いんじゃないかな、そういう目標を持っているかどうかということを伺っているんです。

○松葉大気保全部長 粒子状物質の削減につきましては、私どもとしては平成六年度を基準とした排出量を、平成十七年度につきまして、そこら辺までに約六割ぐらいの削減を図っていきたいと、このような目標を考えております。したがいまして、先ほどのお話のDPFの認定みたいな基準、いわゆるそういうものについても、将来一定の装置または排ガスとしての基準みたいなものを検討しているところでございまして、そういうものを定めていきたいというふうに考えています。

○森田委員 私が今聞いていると、今までの議論を聞いていても、DPFさえつければいいのかなという感じを受けるわけですよ。しかし、DPFといってもいろんな性能がこれから出てくると思うんです。そういう、どこまでの性能のものを認めるのか、現実に粒子状物質、浮遊物質といってもいろんな大きさがあるわけですよね。衛生局でもこの十二年度には、子ども三千六百人ですか、対象にして、粒子状物質の健康に与える影響というのを調査するそうです。それは二・五ミクロン以下、二・五ミクロン以下の粒子状物質が肺の奥まで入っていろんな障害の原因になっている。例えばアレルギーの原因になっているとかいうことがアメリカなんかでもいわれているので、東京都の衛生局もこれを調べようということで十二年度やるわけですけれども、そういう例えば粒子の大きさ、一〇ミクロンでは何%取れる、五ミクロンでは何%取れる、二・五ミクロン以下では何%取れる、こういうDPFだったらいいですよとかいう基準がないと、DPFさえつければいいというんでは、これはちょっと余りにもいいかげんというか、取りつけろ取りつけろといいながらも、その性能をしっかりと押さえていないというのはまずいんではないかなと思うんですが、その辺はいかがでしょう。

○松葉大気保全部長 将来出てくる車につきましては、排ガスの一定のレベルをクリアした装置、こういうものでいきますと、相当程度の微粒子も除去できるようなDPFが普及してくるだろう、そういう排ガス性能に対してのDPFの基準が考えられます。今現在使われていますディーゼル車につきましては、例えば規制年次がそれぞれ違っております。例えば排ガスが規制年次された元年規制であるとか、それから平成の六年規制、あるいは九年規制と幾つかの段階がございます。それぞれに応じまして排気ガスから出てくる粒子状物質の濃度も違いますので、そのあたりを考慮しますと、一律に除去率だけではなかなかいかない面もございます。そういう面では、装置をつけることによって一定量の率、割合を除去していく、こういうような形で今考えておるところでございます。

○森田委員 じゃ、例えば道路沿いに住んでいる人に対して、この東京都がやる施策が実現すれば、今は環境基準を達成している箇所はゼロだけれども、八〇%いきますよとか、その辺はいえないんですか。

○松葉大気保全部長 今現在自動車から出ています大気汚染物質のうちの粒子状物質でございますが、環境中でございますと五割ぐらいの、沿道などで濃度になっているわけでございます。したがいまして、今現在考えています対策が進めば六割ぐらいの汚染物質がカットできる、そういう面では、ストレートにそれが環境基準の達成にいかないというのが、一つはこの粒子状物質がございます。それは大気中に放出されました硫黄酸化物であるとか窒素酸化物が、また空気中で細かい粒子になっていく、いわゆる二次生成というような問題がありまして、その辺の解明がまだ進んでおりませんので、排出量と環境基準の達成の状況が一部不明確な点がございます。しかし、このDPF等の対策を進めることによって、環境についてはかなり改善がされていくのではないかというふうに考えています。
 なお、これの対策の効果などにつきましては、現在検討を進めておりまして、いろいろ課題はありますが、できるだけ明らかにしていくというふうに考えております。

○森田委員 僕がちょっと頭が悪いのか余りよくわからないんだけれども、ここまで東京都として一生懸命やろうとしているわけでしょう。DPFをつける、そうするとーー今都民の支持も得ているわけですよ、東京の環境をよくするためにぜひそういうのをやってほしいと。反対しているバスだとかトラック業者とかそういうのもありますけれども、もう少し説得力のある話ができないと、なかなか推進するのも難しいなという感じがするんです。保全局として、こういうふうになるからやるんだという、一言でいうとどういうことですか、もう少しわかりやすくいってください。

○齋藤環境保全局長 お尋ねの内容は二つあると思うんですけれども、一つは、いろいろDPFが出てくるけれども何でもいいのかと、こういうものについて都としてどういうふうに対応するかというお尋ねがあると思います。これにつきましては、おっしゃるとおり、いろいろな動きの中で新しい技術を応用したDPFというのが多種出てくるという可能性がありますので、東京都としても、こういうものであればいいですよと、あるいは、こういうものは水準としては認めませんよと、そういう認定基準というものを考えておりますが、それ自体をはっきりつくって内外に表明して、その基準をクリアするようなものについては装着の対象にしていこうという考え方でございます。
 もう一つのご質問の中で、じゃ、最終的な目標をどこに置くかということだろうと思いますが、DPFを例にとりますと、そのこと自体で環境基準を大幅にクリアするということには直ちにはならないのではないかと思います。というのは、DPF、つまり浮遊粒子状物質というのは、車もかなり大きな比重を占めておりますが、それだけではもちろんありませんで、全体で、先ほど部長が申し上げましたように、大体五割ぐらいになりますし、それに対してどの程度達成するかという問題もございますので、我々としては、その環境基準の達成に近づけていくということは当然のことでございますけれども、それ自体が何%かということは、なかなか今のところいいにくいというふうに考えております。

○森田委員 そうすると、確認しますけれども、一つは、その認定基準というのはこれから定めるというふうに、これから定めるというのなら待つしかないんですけれども、もう一つ、DPFを装着した場合に、知事はよくペットボトルに入れて持ち歩いていますよね。我々も都民もDPFをつけたらあれが出なくなるんだろう、環境はすごくよくなるんだなと認識をしていると思うんです。今局長の話だと、さほど環境はよくならないというような感じを受けたんだけれども、それだと、これは大変なお金がかかるわけですね。私もバス協会、トラック協会、そういう人たちに会いました。彼らにとってもすごい負担になる、普通でいったら仕事ができなくなってしまうかもしれない。これだけの負担がーー負担の問題はちょっと後で聞きますけれども、それだけのことをやるのに、もっと環境はここまでよくなるんだというのがないと、なかなか厳しいなと思うんだけれども、その辺はいかがでしょうか。

○齋藤環境保全局長 ちょっと説明の仕方が悪かったのかもしれませんが、もちろん、現在ディーゼル車から排出されている微粒子、浮遊粒子状物質といいますか、これを最大限カットするということが最大のねらいです。新車についてはいろいろ規制も強まっていくと思いますが、それだけではなくて、我々が問題視しているのは、現在走っている車、これが実は七割ぐらい占めているということもありますので、これをどうするかということが最大の課題なわけですが、その点でDPFという新しい技術を応用して排出をできるだけ減らす、最大でも八割ぐらい減らせるのではないかというふうに考えているわけですが、その結果は、もちろん当然のことながら成果としてあらわれてまいります。その点は十分に我々も踏まえて対策を立てているということでございます。

○森田委員 確かにこの東京都の動きがきっかけになって、大分業界の動きも早くなってきたような感じがします。環境保全局がDPFの説明会を、あしたですか、やるのが、ちょうど通知が来ましたけれども、見たら、二百名ぐらいの予定が八百名ぐらい来て、急遽会場を変更したというぐらいに大変な反響があって、技術的にもその分進むんではないかなと、しかし、これだけのことをやるんですから、東京の環境はここまでよくなるんだということを、都民にもわかりやすく、ぜひ説明していってもらいたいなというふうに思います。
 それともう一点、さっき伺うと、窒素酸化物、NOx 等について東京はもう一つ大きな課題があるわけですが、NOx にはDPFはどんな効果がありますか。

○松葉大気保全部長 DPFは粒子状物質を除去することが可能なものでございまして、それ自体では窒素酸化物の除去には期待ができません。しかし、今後DPFとほかの排ガス処理技術などを組み合わせることによりまして、粒子状物質と窒素酸化物を両方同時に低減できるような技術の開発が可能になるというふうに考えています。

○森田委員 これからの期待ですよね。現時点では、DPFはNOx には全く効果なしということですね。しかし、NOx も東京の環境の中では大変な問題になっているわけです。DPFは浮遊粒子状物質は、さっきの議論で八割方減る、NOx は何も変わらない。こうなると不十分じゃないかなというふうに思うんです。東京の環境を改善するためにこのディーゼル車規制をやろうと、ディーゼル車NO作戦をやってここまで進んできたわけですが、NOx に関しては全く今のところ手が打たれていない。この辺はどういうふうに考えているんですか。

○松葉大気保全部長 今回のディーゼル車対策を進めることによりまして、主として粒子状物質の削減になるわけでございますが、例えばディーゼル車をガソリン車などへ転換するとか、あるいはほかのLPG、天然ガスなどに車の転換などを図れることによりまして、窒素酸化物もあわせて削減についてはできていくというふうに考えています。

○森田委員 それは、ディーゼル車をガソリン車に変えることによってということで実現するということですか。

○松葉大気保全部長 今回のディーゼル車規制では、ガソリン車などへの転換ということでございます。また、窒素酸化物対策については、従来からさまざまな対策を講じてきているところでございますが、今回のTDM施策の推進あるいは事業所に対する指導の強化、今後そういうものを一層充実していきたいというふうに考えています。

○森田委員 さっき、これからDPFの認定基準を決めるわけでしょう。きのうかおとといの新聞を読んだら、アメリカである触媒を使うとNOx も減るというようなものが出ていたんですけれども、この東京都の環境基準にこの浮遊粒子状物質、黒煙を取るだけじゃなくてNOx も減らすというような基準を入れるわけにはいかないんですか。

○松葉大気保全部長 窒素酸化物につきましては、現在のところ、大型ディーゼル車を初めといたしまして国による排気ガス規制による低減が主となります。したがいまして、現段階では東京都のディーゼル車の規制については、窒素酸化物についてはまだ考慮してございません。

○森田委員 だから、規制をつくるとき、認定基準をつくるときに認定基準の中にNOx も低減するようなDPF、そういうことを入れるということは考えられないかということなんです。

○松葉大気保全部長 DPF等のいろんな排ガス処理装置につきましては、低硫黄化の進展に伴いましてさまざまな技術開発ができてくると思います。例えば、今のお話ですと、DPFにつきましても新しいものについてはさらに一層効率がよくなりますし、将来、窒素酸化物につきましても、現在ガソリン車では窒素酸化物が除去されているような装置があるわけですが、そういうものについても開発がされつつあります。したがいまして、将来そういうものが両方セットで排ガスとして、装置が開発されてくることが可能となると思います。現段階では必ずしもそこまでのレベルに至っていませんが、将来的には両方の基準として考えることも可能というふうに考えています。

○森田委員 東京都の例のディーゼル車の台数六十五万台、東京を通過するものを入れると二百万台ぐらいになる。そこに全部、今の東京都の案ではDPFをつけなくちゃいけない、これは業界にとっては大変な仕事になるわけですね。そんなんで、あしたの説明会でも八百人から来られると思うんですけれども、DPFは、今現在は環境保全局とメーカーのやっている一種類が商品化されているようですけれども、それがだんだん今ふえてきつつある。それは何かというと、東京都が装着義務を決めるということからそういうものが出てきているわけでしょう。そこに、要するに浮遊粒子状物質だけじゃなくて、NOx も減らすことが必要なんだよというのを入れれば、これは、必要は発明の母というけれども、そういうものができてくるんじゃないかな。今までの議論を聞いていると、今ここにできたこの商品を使わなくちゃいけないというところじゃなくて、今この辺からスタートして、こういうものができるだろうという想定のもとで今やっているわけでしょう。そうすると、ここのところに窒素酸化物、NOx の規制も入るものが必要だよということを決めれば、そういうものをつくる側も一生懸命考えるんじゃないかなというように思うんですが、その辺はどうでしょう。

○齋藤環境保全局長 おっしゃるとおりで、浮遊粒子状物質だけじゃなくて、NOx もあわせて排除ができるような装置ができれば、それは一番望ましいということはよくわかります。ただ、今先生おっしゃったように、まだその技術、その両方の機能を兼ね備えた技術というのは現実化はしていないわけですね。これから促していって開発を促進するということはもちろん我々も期待をしていますし、大事なことだと思うんですが、一方で規制の期限といいますか、現実的にとろうとしている規制の期限との見合いで、現実可能性、開発現実可能性もあわせて考慮しなければいけないという問題がありますので、その両方から考えまして、今のところは浮遊粒子状物質を優先した対策ということで考えております。ただ今後、もちろんこういうアピールをしておりますので、両方対処できる技術ができたよということになれば、おのずと事は変わってくるというふうに思っています。

○森田委員 東京都もそういう両方ができるものがあれば、そっちを優先したい、採用するよというぐらいのことをいったら、さらに拍車がかかるんじゃないかなというふうに思うんで、その辺は、東京の環境というのは浮遊粒子状物質だけじゃなくて、窒素酸化物も深刻な問題なんだと、当然、保全局がそう思っていると思いますけれども、その辺の課題もぜひ提起して、開発者の方にもそういう刺激を与えていただければというふうに思うんです。
 それからもう一つ、誘導策ですね。この商品は、DPFは現在四百万とかいわれていますけれども、環境保全局に聞いたら、最終的に六十万ぐらいになるんじゃないか、しかし六十万でもすごい高いわけです、つける側にすれば。そういう意味ではこの誘導策というのは非常に大事で、予特でも、これはトラック業者あるいはバス業者、そういう人たちだけの負担ではなくて、メーカーも負担すべきだ、あるいは環境がよくなる、空気を吸う都民も負担すべきだ、そういう提案があって、知事も、おっしゃるとおりですというふうにいっていましたけれども、基本的に、このDPFをつけるとなったときの負担というのは、どこがどう負担をすべきかというのは今何か考えていますか。

○松葉大気保全部長 DPFにつきましては、新しい技術の進展などによりまして普及が始まれば、コストダウンそれから新しい価格のものが普及してくるわけです。例えば従来型のいすゞタイプのものですと六十万程度というふうに私ども聞いているわけですが、外国のDPF連続再生式でございますと、小型のものですと十数万円ぐらいになると。こんなようなことでいきますと、こういうものが普及してくれば事業者の負担も軽減してくるというふうに考えています。
 一方、先ほどお話ございました、全体でどういうふうな負担をしていくかということでございますが、私どもとしては、現在も、こういう問題を考えるに当たりまして、さまざまな段階でどういうふうな負担をすべきかという議論もしているところでございます。こういう中で、対策を進める中で、費用負担のあり方を議論するということがまず重要だというふうに考えています。今後とも、こういう問題につきましては、さまざまな場を通じまして費用負担などについても検討していきたいというふうに考えています。

○森田委員 これはすごく重要な問題で、例えば、経営的なバックがしっかりしているといわれる東京都の都バス、交通局でもすごい負担になるというふうにいっています。そういうんでは、このコスト負担についてしっかりと検討していただきたいし、これは環境審議会で検討する内容ですか。

○松葉大気保全部長 費用負担そのものについては、環境審議会の中では、特にだれが負担すべきということについては、現段階では議論されておりません。

○森田委員 ぜひそれは、それぞれ一つの業者だけに偏るような負担じゃなくて、その辺よく検討していただきたいというふうに思います。
 それから、この東京都の動きによって国、環境庁の動き、そして三、四日前ですか、自動車工業会、石油連盟こういうものも動き出したわけです。これは東京都の力は大変なものだなというふうに、改めて私も感じたわけですけれども、自動車工業会、石油連盟はどういう動きでーー彼らの行おうとしていた考え方が早まるという話を聞いているんですが、具体的にどんな動きになりそうなんでしょうか。

○松葉大気保全部長 自動車工業会とそれから石油連盟は、十六日に東京都とか環境庁の要請にこたえる形で、粒子状物質の削減を図るための方針を明らかにしたところでございます。その中身といたしましては、新車における排出ガス対策を行った車の販売ということが一点ございます。
 その内容でございますが、新長期排出ガス規制の前倒し実施への対応と、これは平成十九年ぐらいに国の方で新しい排ガス規制の強化が予定されております。そういうものに対応した車をそれより早く前倒しで実施して販売したいと、これは、聞くところによりますと、二年程度早く対応したいということでございます。その前提といたしましては、先ほど来申し上げていますように、石油業界での軽油の低硫黄化、これは現在の基準の十分の一程度ぐらいまでの厳しい基準をクリアするようなレベルということでございます。そういうものによって低硫黄化が図れることによりまして、新しい排ガスの基準に適合したものの車が販売可能になると、こういうものが一つあります。
 それから、もう一つは、それより粒子状物質の対策をさらに進めた車を、この規制の実施より前倒し、さらに前に販売したい、こういうことでございます。これは、平成十五年ぐらいから新しい軽油、いわゆる低硫黄化の軽油でございますが、そういうものを販売することによって、先ほど来申し上げました連続式の新しいDPFの装着が可能になる、こういうことでございます。これにつきましては、十七年ごろの新長期規制の前倒しにさらに十五年ぐらいあたりから、そういう車を販売できるんではないかと、こんなような見通しを明らかにしています。一方、現在使っています使用過程車の排ガス対策としましては、大都市部におきますDPFの装着とかあるいはガソリン車への代替のーーそういう代替促進について協力するというような考え方も表明しています。これは東京都などが打ち出した対策についての協力を示したものというふうに理解してございます。
 なお、さらに技術開発の一層の促進を行っていく、こういう考え方でございまして、我々東京都といたしましては、従前から関連業界、いわゆる自動車工業会それから石油連盟に対して、こういう対策を早く行ってほしいと、こういう要望を行ってきたところでございますが、この第一歩というふうに受けとめております。

○森田委員 ちょっとよくわからないんですけれども、東京都の働き、動きによってそういうことが行われて、自動車工業会、石油連盟の動きがあるんですが、そういう低硫黄化あるいは新しい機種の開発に取り組むということですが、それができたら東京都がいっているDPFは、例えば新車に対してはつける必要がないというふうに考えていいですか。

○松葉大気保全部長 新しい排ガス規制に対応した車というのは、多分新型のDPFなどの装着をした車になると思いますので、そういう意味では、東京都が望んでいた状況と同じということになります。

○森田委員 DPFが要らないということ。

○松葉大気保全部長 ついているということです。

○森田委員 それと、石油連盟の話によると、低硫黄化というのは物すごい大変なことで、何か報道なんかでは五千億円ぐらいの経費がかかるということで、石油連盟、自工会もそうですけれども、政府に対して、補助金あるいは税制上の優遇策をつくってほしいという要望が出されているようですけれども、東京都に関しては、その自工会あるいは石油連盟と何らかの接触があったのか、あったとすれば何かしらの要望があったのか、この辺はいかがでしょうか。

○松葉大気保全部長 私ども東京都からといたしましては、ディーゼル車メーカー七社に対しまして、昨年十一月に知事から技術開発などの要請を行っております。また、あわせまして、石油連盟につきましては、十二月に軽油中の硫黄濃度の早期低減というようなことを要望してございます。それから一月には、環境庁、通産省に、通産大臣あてにも同じように、軽油中の硫黄濃度の早期低減について要請してきた経緯がございます。こういうようなこともあわせて、石油業界、自動車工業会としては今回のような対応になったというふうに考えております。

○森田委員 私が聞いているのは、今回の自工会もしくは石油連盟は、今回の発表に当たって東京都の方に何かしらの接触があったのか、あったとすれば何かしら条件というかな、国へは補助金とか税制上の優遇策といっていますけれども、東京都に対して何かしらの要望があったのか、これを聞いているんです。

○松葉大気保全部長 この発表に先立ちましては、私どもも、こういうことになるという情報は聞いております。また、従来からいろんな対応技術についての情報交換なども行っておりまして、優遇税制または優遇制度の充実などについては、自動車工業会等から話は受けております。

○森田委員 まだまだいろいろ課題があるわけですが、約束の時間ですからこの辺でやめますけれども、これからこのDPFとかディーゼル車規制、いろんな課題が出てくると思うんですけれども、これは環境保全局だけで何かやろうと思ってもなかなか難しいし、これは都民の支援がなければなかなか難しい、そういう面で、都民の理解を得るためにも、これからも情報提供を都民の方にして、そして東京都がこういうことをこのためにこういうふうにしたいんだと、都民の皆さんにもこれだけの負担をかけるけれども、その分東京の環境はよくなるんだというようなことをしっかりと周知しPRをして、そして進めていっていただきたいなと、私たちもこの問題については、東京の環境をよくするためには我々も大賛成ですし、できる限りの支援をしたいと思いますので、このDPF及び東京の大気汚染がよくなるようにぜひ頑張っていただきたい、このことを申し述べて質問を終わります。

○尾崎委員長 この際、議事の都合により、五分間休憩いたします。
   午後三時二十五分休憩

   午後三時三十四分開議

○尾崎委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○大西委員 質問いたします。
 東京で働き生活する都民にとりまして緑は本当に重要なことなんですけれども、緑の問題について三点ほどお聞きしたいと思います。
 都民に安らぎや潤いを与え、都市の空間を美しく飾るほか、空気をきれいにし気象を緩和するなど、都市に生活するものにとってかけがえのない大切なものが緑です。改めて緑の大切な機能をしっかりと認識するとともに、都内に残された貴重な緑を守り、市街地の緑を積極的に創出していく必要があるといつも考えているわけなんですけれども、現在、東京の緑に関する長期総合計画として緑の倍増計画がありました。この計画に基づいて各種施策の展開や市街地の樹木や公園の増加など、一定の成果があったと聞いておりますが、暮らしている中で必ずしも緑がふえたという実感が沸きません。緑の倍増計画は平成十二年度で終了すると聞いております。今後とも多岐にわたる緑の施策を体系的に展開するために、緑に関する新総合計画を策定し、都民とともに一丸となって取り組んでいくべきと思いますけれども、その新しい総合計画の策定についてどのようになっているのか伺います。

○江渡自然保護部長 現在東京都では、長期的な視点に立ちまして緑に関する統一目標のもとに、総合行政を進める必要があるということと、もう一点、法令上も組織上も大変複雑多岐にわたっている緑行政でございますので、各局で進めている緑に関する事業相互間の調整を図りまして、効果的な施策を展開する必要がございます。
 この二点などから、緑の総合計画といたしまして緑の東京計画というものを策定いたしまして、東京の緑の望ましい将来像を描くとともに、取り組むべき方針や対応策を明らかにしてまいりたいと考えております。新計画は本年中に策定いたしまして、緑の倍増計画終了後の平成十三年度からスタートする予定でございます。

○大西委員 今まで緑づくりは主に行政が進めてきました。しかし、近年市民やボランティアグループなどが地域の緑づくりに取り組む例がふえております。しかし、それだけではだめだというようなことが、先ほどもご指摘がありましたし、それもそうだと思います。しかし、地域にとって必要な緑を守り育てていくのは市民の役割、地域の緑づくりは市民が主体となって進め、それを行政が強く支援していくという考え方は、やはりこれからの主流になっていくものだと考えております。その上で行政と市民が明確な役割分担のもとに連携し、協力し合い、東京の緑づくりを進めていく必要があります。今後の東京の望ましい緑を実現するためには、市民の力を結集し、行政との連携のもとに取り組んでいくべきであると重ねて強調しておきます。そのためには緑の東京計画に市民の意見を反映するとともに、新しい連携の仕組みをつくっていかなければ、行政ができないから市民と一緒にやろうよという呼びかけに終わってしまうんじゃないかというふうに思うんですけれども、その辺はどうでしょうか。

○江渡自然保護部長 今後の東京の緑づくりに、市民参加といいますか、市民と行政との連携が必要だというお尋ねでございますが、東京都、区市町村、都民、それからNPO、また企業、こういう各主体がそれぞれの役割分担のもとに、連携、協力して進めていく必要があることは、ご指摘のとおりでございます。
 中でも、市民が主体的に行動し、それを行政が支援していくことが重要であるということも、またご指摘のとおりでございます。こうした考え方や、各主体間の具体的な連携の仕組みづくりにつきましても、緑の東京計画の中に取り入れていきたいと考えております。また、策定に当たりましては、中間案の段階で、広く都民の意見を取り入れて計画に反映していきたいというふうに考えてございます。

○大西委員 東京の緑が失われてきた大きな原因の一つに相続税の問題があります。だれもが、できるならば残しておきたいと思っているわけですが、相続が発生したときに、東京の高い地価を反映し、負担し切れないほどの相続税が課税されるという現状の中、やむなく売却する例が多いわけです。それを防ぐためには、やはり区市等が保存樹林に指定してーー貴重な緑が失われていくことを防ぐためには、何か手立てをしなきゃいけないと思っておるんですけれども、都は真剣になって、農地と同様の相続税の納税猶予制度を国に要求していくべきだと思っているんですけれども、その点はいかがでしょうか。

○江渡自然保護部長 緑、緑地の保全にとって大変重要なご指摘であろうと思います。現行の相続税制度が樹林地等の保全にとって大きな障害となっておりますのは、ご指摘のとおりでございます。
 現在、生産緑地に指定されました農地では、相続税が免除されます納税猶予制度がございまして、農地の存続に効果を発揮いたしております。しかし、樹林地にはこうした制度がないために、相続税支払いのために売却するケースが多いわけでございます。
 東京都は、これまで都単独で、もしくは都県市共同で相続税制度の改正を国に要望してまいりました。今後とも、関係自治体との連携を強めながら、引き続き、より強力な要望活動を展開してまいりたいと考えております。

○大西委員 ぜひ、都単独及び七都県市共同でその対策に積極的にかかわっていただきたいと思っております。
 次に、土壌汚染についてお聞きいたします。
 先ごろ、八王子で農薬工場跡地での土壌処理にかかわって、住民から水銀などによる健康被害の疑いがあるのではないかとの事件がマスコミでも報道されました。都としては、事業者による土壌処理の開始に至る経過についてどのように把握しているのか、伺います。

○岡田水質保全部長 ご指摘のございました案件でございますけれども、八王子市の市内にあります農薬製造会社が、同社の工場跡地を利用いたしますために土壌調査を行ったところ、水銀による土壌汚染が発見されたということでございます。
 この会社は、みずからこの汚染土壌を処理するということにしたわけでございまして、水銀を熱で蒸発させまして除去した後に、この除去した水銀を回収するというプラントを工場跡地に建設いたしまして、平成十年四月から処理を実施しておるところでございます。

○大西委員 この事業者が土壌の汚染を除去するため、プラントを稼働させてきたとのことですし、事業者としては、排水溝での検査や環境中の調査などを公表してきたとのことです。しかし、現地の住民にとりましては、不安を解消するための健康調査など要望があると聞いております。こうした不安には行政としてこたえていくべきだと考えておりますが、そもそも事業者によって開始された土壌処理については、これをどのように規制する仕組みがあるのか、伺います。

○岡田水質保全部長 土壌汚染につきましての処理を義務づける仕組み、制度でございますけれども、現在、土壌につきましては、水銀など汚染物質の環境基準については定められておるわけでございますが、田畑や放牧地など、いわゆる農用地の土壌を汚染防止するための仕組みといたしまして、農用地の土壌の汚染防止等に関する法律というものがあるわけでございますが、こういう農用地関係以外につきましては、環境基準を実現するための法制度はまだ整備されていないということでございます。

○大西委員 問題とされた水銀は、水系のみの排出基準であり、土壌汚染に対応する仕組みがないということだと思うんですけれども、公害防止条例の改定を検討していると聞きますが、こうした仕組みづくりを行うべきだと考えますが、それについてはどうでしょうか。

○岡田水質保全部長 公害防止条例の改正につきましては、現在、環境審議会でご審議をいただいておるところでございます。昨年十月に環境審議会から中間のまとめという形で出されているわけでございますけれども、この中では、ご指摘の水銀など有害物質による土壌汚染の未然防止、また、その汚染土壌の処理についても盛り込むという提案がなされておるところでございます。

○大西委員 汚染の原因者についての処理責任は当然であるとしても、欧米に見られるように、所有者や関連企業などへの拡大、そして特定できない場合の処理など、条例改正の論議の中で検討すべきものがあると考えますが、いかがでしょうか。

○岡田水質保全部長 先ほどご答弁申し上げました環境審議会による公害防止条例の改正についての中間のまとめでございますけれども、この中では、土壌汚染の対策といたしまして、一つは、有害物質を取り扱う事業者に対しまして汚染の処理等を求めるということとあわせまして、土地を開発する者に対して、汚染の拡散防止等の措置を求めるという新たな仕組みを設けるという考え方が示されておるところでございます。現在、環境審議会で最終答申に向けましてご議論をいただいておるということでございます。

○大西委員 次に、TDM東京行動プランについて伺います。
 先ほどから大気汚染の問題が出ておりましたけど、今日、自動車は、改善の進まない大都市におけるNOx やSPM、浮遊粒子状物質などによる大気汚染や、道路、交通、騒音など都市の環境問題の大きな原因となっております。また、都内で排出されるCO2 も、およそ四分の一が自動車から排出されており、地球的規模の環境保全に深いかかわりがあります。さらに、交通渋滞も非常に大きな問題があるわけです。
 こうした多岐にわたる自動車問題を解決するために必要な対策はどのようなものがあるのか、環境保全局の視点からお願いいたします。

○吉野参事 自動車公害を改善するためには、一つとして、排出ガス規制、それから低公害車の開発普及など、自動車自体を低公害化する施策、それから二つ目としまして、交通規制とかロードプライシング、パーク・アンド・ライド等の交通量を抑制する施策、それから三つ目としまして交差点の立体化、バイパス道路の建設等、交通流の円滑化や道路構造を改善する施策等がございまして、これらを総合的に実施するということが必要であるというふうに考えております。

○大西委員 自動車問題を解決するためには、自動車自体の低公害化や交通量を抑制する施策など、多様な取り組みを総合的に進めることが必要ということで、今回、都市交通の新たな展開のためにということで、TDM、交通需要マネジメント東京行動プランというものが示されております。このTDMが果たす役割、目的は何なのか。またTDMの施策の中でも、ロードプライシングはどのような効果が期待できるのか、伺います。

○吉野参事 TDMは、交通渋滞により引き起こされます都市機能や都市環境などへの悪影響を軽減するために、道路や公共交通機関の整備を進める一方で、都民や事業者などがライフスタイルや社会経済システムを変革し、自動車の効率的な利用や使用の抑制、さらに公共交通への転換などを推進し、自動車交通需要を抑制していくことでございます。
 それから、ロードプライシングは、経済的なインセンティブを利用しました自動車交通量の抑制手法でありまして、具体的には、一定区域に進入いたします自動車に課金することにより、区域内の交通量はもちろん、その周辺交通量もあわせて抑制することで、交通流の円滑化や大気汚染等の改善を目指している施策でございます。

○大西委員 ロードプライシングは、既に海外で、シンガポールやノルウェーで実施されているということは聞いております。しかし、東京で今これを実施するとなるとーー先進国などでは規模が小さいですよね、シンガポールもノルウェーも東京に比べれば非常に小さい規模で行われるわけで、特にシンガポールなど考えると、ロードプライシングというのはやりやすい地形だなと思うわけです。それが東京で本当に実施できるのかという心配もあるわけですけれども、海外と東京都の問題とか、海外の現状を踏まえて東京都でのロードプライシングはどういうものを考えていらっしゃるのか、その辺をお願いします。

○吉野参事 ご指摘のとおり、ロードプライシングは、シンガポールを初めとしてノルウェーのオスロやオルセンなどの都市で実施され、効果を上げていると聞いております。しかし、例えば実施効果が上がっているといたしますシンガポールでのロードプライシングの実施区域は、約七百二十五ヘクタールと大変狭い地域であり、また日本とは道路事情も相当異なっているということで、そのままの手法を東京に採用するということは大変困難であるというのが実情でございます。
 このため東京都は、これまで行ってきましたロードプライシングの検討におきましては、外国でのこれらの実施例を参考にしながらも、東京の道路事情などの実態に合わせたロードプライシングの導入を検討する必要があるということで、検討を進めてきたということでございます。

○大西委員 そういう場合、いろんなデータとか使って検討なさったと思うんですけれども、検討していろんな問題が浮かび上がったとかあるんじゃないかなと思うんですけれども、その辺はどうでしょうか。

○吉野参事 先ほどもちょっと申し上げましたとおり、外国での実施例が大変狭いということから、東京で実施するとしますと、先般ちょっと知事も申し上げましたとおり、環六あるいは山手線を中心とした地域などを想定いたしますと、大変な交通量を対象としたロードプライシングになるということで、具体的に実施して効果を上げるためには、都民の十分な理解と、特に技術的に見ますと、要するに電子機器で、入域するか、あるいは通ったか通らないかをチェックいたしますので、その辺の、自動車へのそういう機器類の装着を徹底するということなど、多くの課題があるというふうに考えてございます。

○大西委員 確かに、そういう意識調査とか、具体的にここをとめてというような調査もあると思うんですけれども、今やシミュレーションを画面上で行うということも可能だと思うんです。特に、今回は本当に規模が全然違いますし、東京という特殊な事情を考えたときに、いろんなデータもそれぞれ使うものが必要になってくると思うんで、そういうシミュレーションはなさったことはあるんですか。

○吉野参事 現在、このロードプライシングによる効果を判定する、評価するといいましょうか、そういうシミュレーションモデルがございませんので、これまであります一定の条件を設定したシミュレーションを実施しております。

○大西委員 このシミュレーションは非常に大事だと思います。その場合、基本となるデータというものは、どれを入力するかというのがそこへいって問題になると思うんですけれども、このロードプライシングをすることによって、このTDMの目標というのは、現在の走行距離を少し上げて快適に走れるようなことというのは基本にありますよね。そうすると、ある意味じゃ抑制をするためのTDMであったにもかかわらず、このロードプライシングや道路をもっと拡張しようとか、そういうことを考えたときに、普通の都民にとっては、今までの渋滞だった道路が少し解消されることによって、走ることが快適になる、そういう意味では、抑制しようという目的だったにもかかわらず、これまで渋滞するから都心に車で行くのをよそうと思っていた人たちが、いわゆる冬眠していた車がどんどん都心の中へ入ってくるんじゃないかなということも考えられるわけなんですけれども、それはどうでしょうか。

○吉野参事 先生おっしゃるとおり、これまでの事例から見ますと、道路を整備し、交通流を円滑化することは、潜在的な交通量を呼び起こすという側面があることは、ご指摘のとおりだろうと思います。しかしながら、このたび発表しておりますTDM東京行動プランでは、道路整備をする一方で、ロードプライシングの導入とかさまざまな交通需要の抑制策を講じることで、都内の交通流の円滑化をより一層進めるということを目指してございます。
 今後、この行動プランに沿った都内の交通対策を展開していき、自動車交通総量の増加の抑制を配慮いたしました道路整備に努めることが必要であるというふうに考えております。

○大西委員 道路整備ということも出てきたんですけれども、もともとこの道路整備は無理なので、需要を抑制しようということでTDMが出てきたというふうにも考えていいんでしょうか。それですよね、目的としては。

○吉野参事 確かに、TDMという制度は、アメリカを中心に確立してきた過程におきましては、そういう理念のもとに推進してきたということは、おっしゃるとおりだと思います。
 ただ、今回の東京都で発表しております行動プランでは、東京都が海外の大都市に比べ、都心外周を迂回する環状道路等の整備など、幹線道路のネットワーク化がおくれているため、通過交通が都心に流入するという特徴がございます。これらを改善するためには、環状道路や放射道路による幹線道路の整備、これによる交通量の分散が必要であり、このことによりまして、都心地域の交通流の円滑化を図り、環境対策にも貢献するということでございます。
 TDM行動プランが掲げております道路整備は、こうした東京の実情を配慮した施策の方向を示したものであり、交通流の円滑化を目指すTDMの目的に沿うものというふうに考えてございます。

○大西委員 TDMは、これまで私どもが推し進めていた交通政策に関するいろんな思いが入っているということで、基本的には私は大変いい方向だと思っているんですけれども、そこはいつも、つまりTDMは需要を規制すること、そしてその一方では道路を整備しようというようなあいまいなところがあるんです。その道路の整備の仕方が今後の課題になってくるんじゃないかなと思っているわけですけれども、今回のこれだけで本当に交通量の総量が規制できるのかということには、ちょっとやっぱり疑問を持っているということをいっておきます。
 環境保全局といたしまして、このTDM東京行動プランを実施することで、NOx やCO2 、SPM等を具体的にどの程度削減されるんでしょうか。

○吉野参事 TDM東京行動プランにおきましては、いろいろな施策を実施することによりまして、区部の旅行速度を、平成十五年度までに時速二十キロ以上、それから平成二十二年度までに二十五キロ以上に高めるという目標を立ててございます。そしてさらに、区部内の交通量を二十二年度までに平成九年度の水準に維持抑制するということを前提としまして効果を算定しておるわけですが、この場合に見込まれます削減量は、平成二十二年時点で、窒素酸化物がおおむね二千トン、二酸化窒素がおおむね二十万トンというふうに見込んでございます。

○大西委員 ありがとうございます。
 それで、先ほどちょっと触れましたけれども、本格的に交通量の総量を抑制する施策になり得るかどうかということで、もう一度確認させていただきたいんですけれども、TDMの東京行動プランはこうした施策になるのかどうか、環境保全局の視点からどのように考えていらっしゃるのか、お答えください。

○吉野参事 TDM行動プランは、都市交通の新たな展開のあり方を視野に置きながら、東京における交通改善の基本的な考え方や、その仕組みを総合的、体系的に示したものでございます。自動車交通渋滞が及ぼしている経済損失や交通安全、都市環境などへの影響を改善するため、自動車に過度に依存しております社会を見直し、都市交通システムの総合的な整備などに取り組む基本的な考え方を示しております。その中では、都市交通の利便性や効率性を高め、環境への負荷を少なくするための施策といたしまして、幾つかの施策を掲げております。
 主なものといたしましては、既存道路の容量を回復するという施策として、駐車マネジメントの推進、それから道路交通システムの高度化、それから自動車利用の転換策といたしまして、自転車の活用対策、公共交通機関などへの乗りかえの利便性の向上、それからパーク・アンド・ライドの検討、さらに自動車使用の自粛策といたしまして、自動車使用に関する東京ルールの展開、それから自動車交通量抑制策といたしまして、先ほど申しましたロードプライシングの導入、それから自宅持ち帰り車の自粛、物流対策、さらに、道路容量の拡大策といたしまして、道路、公共交通機関等の整備策で環状道路の整備、それから地下鉄などの交通機関の整備等を掲げておりまして、これらの施策のうち、都を挙げて推進していく施策が幾つもございますので、環境保全局としてそれらを積極的に進めていきたいというふうに考えております。

○大西委員 TDMということは、先ほどからいっていますように、道路整備の一方でTDMを実施するということがどうも腑に落ちない。これまで歴史的に振り返っても、道路整備をすることによって一層の自動車交通の増加を導いてきたように考えているわけで、その意味では、今現時点ではTDMの発想と対立する面が多々あるんじゃないかなと思うわけです。でも、先ほどのお答えの中に、今後の道路整備の中には、自転車道の整備とか、それから、LRTは書いてなかったーーそういういわゆる自動車中心ではなく、ほかの公共交通の乗り物、そういうものも含めた広い広い公共交通のあり方をぜひこの中に入れていってもらいたいなと考えております。
 都では、現在ディーゼル車対策に取り組んでいるわけですけれども、自動車単体の対策だけではなく、TDM施策によってもディーゼル車の排出ガスを減らす対策を講じていらっしゃるわけですが、窒素酸化物や浮遊粒子状物質についてはディーゼル車からの排出が多いわけですけれども、その対策として、ディーゼル車を多く使用している物流面からの抜本的な取り組みが不可欠だと考えております。TDMのこの施策の中にも、物流関係というところで出てはおりますけれども、読んでもイメージとしてなかなかわからないんですけれども、その辺をお願いいたします。

○吉野参事 都内の物流は、その約九〇%を自動車が担っております。そのうちの多くがNOx や粒子状物質の主要な発生源となっておりますディーゼル車によっているというのが現状でございます。
 TDM東京行動プランでは、物流対策といたしまして、要するに路上での荷さばきをなくしていくという面から、路外荷さばき場の整備、物流拠点の整備、再編、それから自動車以外の物流手段、鉄道とか船を利用しますモーダルシフトの推進などを掲げてございます。
 これらは、いずれも交通流の円滑化を目指す施策でございますが、この円滑化が図られますと、特にディーゼル車からの汚染物質の排出量が旅行速度の上昇とともに低減するという特性があります。例えば、自動車からのNOx の平均排出量で見ますと、旅行速度が二十キロから例えば五キロ増加いたしますと、排出量が約一〇%減る、こういうような特性がございます。したがいまして、TDMの施策が着実に実施されて、旅行速度が増加いたしますれば、ディーゼル車対策としての大きな効果が期待できるというふうに考えております。

○大西委員 ディーゼル車対策で効果が上がるということなんですけれども、やはり日本の場合、軽油の質に問題があるんじゃないかなと常日ごろいわれているんですけれども、それで環境改善効果が上がらないと聞いております。現在、市販されている軽油の質にはどのような問題があって、どのような取り組みがなされているのか、伺います。

○吉野参事 軽油は多くの物質から構成されておるわけですが、その中で特に硫黄が含まれておりますと、微粒子の排出を増加させたり、それから前の答弁にもございましたとおり、いろいろ排出ガス減少装置の性能を劣化させるというような作用をいたしますので、環境対策上、大変不要な物質というふうに考えられます。
 現在、市販されております軽油中には三〇〇ないし四〇〇ppm程度の硫黄が含まれておりますが、今の予定ですと、平成十九年ごろをめどに、その濃度の大幅な引き下げが予定されております。
 しかし、現在東京都が進めておりますディーゼル車対策において、この硫黄濃度が最新の微粒子除去装置を導入するに当たっての障害となっております。このため、昨年十二月、その引き下げを石油業界等に要請したところでありますが、その後、環境庁などからの要請もございまして、去る三月十六日に、石油連盟から、軽油中の硫黄分の低減の方針が示されたところでございます。
 この発表によりますと、軽油中の硫黄分を現状の約十分の一程度まで低減する時期が、これまでの予定より約二年程度早まる見通しでございます。こうすれば、都の現在進めておりますディーゼル車対策の実施効果を高める効果があるというふうに期待しているわけでございます。

○大西委員 これまでもたびたび指摘されたと思うんですけれども、軽油の税率の問題があると思うんですが、軽油の税率はどれくらいなんでしょうか。ガソリンに比べて低い、低過ぎるのではないかというふうにいわれておりますが、税率を引き上げるために、隣接県等とも協調して、軽油に対する税率を高めることが必要だと思っているんですけれども、そのようなことを都では考えていらっしゃるのか。

○吉野参事 現在日本では、軽油に係る税は、一リットル当たり三十二円十銭でございます。それと比較しまして、ガソリンは一リットル当たり五十三円八十銭でございまして、軽油の方が約四〇%安くなっているという実情でございます。
 軽油引取税につきましては、地方税ではありますが、全国一律の税であり、都独自で税率を引き上げることなどはできないのが現状でございます。しかし、両者のこの金額の差がディーゼル車の増加をもたらしている主要な原因になっているということは明らかでございますので、東京都といたしましては、その是正方を毎年政府に要望しているところでございます。
 ご提案の周辺県等も含めての政府への要望ということにつきましても、今後積極的に進めていきたいというふうに思っています。

○大西委員 外形標準課税だけでなく、環境に関する税金の新たな都独自の道、それも探ることをぜひ要望しておきたいと思っております。ちょっとこのTDMを横に置いておきまして、これにも関連いたしますので、東京都総合環境アセスメント制度について伺います。
 今、東京都にはアセス条例というのがあるわけですけれども、もっともっと計画の早い段階で市民が立案に参加できるということで、東京の総合環境アセスメント制度というものが今検討されていると聞いております。現在、放射第五号線、三鷹三・二・二号線--東八道路等や秋留台地域の総合整備事業を対象に、その制度の試行が行われていると聞いております。制度の導入に向けた試行の進捗状況をお聞かせください。

○長谷川環境影響評価担当部長 総合環境アセスメントにつきましては、現在、本格実施に向けて、広域開発計画、個別計画を対象に試行を実施することとしております。
 このうち、個別計画につきましては、先生ご指摘のように、放射第五号線、三鷹三・二・二号線、いわゆる東八道路ですけれども、これを対象に試行を行うことを決定しておりまして、現在、関係局により具体的な手続の準備が進められております。
 現在の予定では、今月末に、複数の計画案とその環境影響評価の比較評価結果等を記した環境配慮書が環境保全局に提出されることとなっておりまして、その後、所定の関係手続が進められることになると思います。
 なお、秋留台総合整備事業につきましては、計画自体を社会経済情勢の変化に応じて見直すこととなっておりますので、現在、その進捗状況を見守っている状況でございます。

○大西委員 試行の結果を踏まえて、要綱を制定し、東京都の策定する計画を対象に本格実施する予定ということですけれども、早期の本格導入を確実にお願いしたいと思います。
 また、こうした制度は、今後、民間事業等への対象の拡大とともに、条例化を図るべきだと考えているんですが、いかがでしょうか。

○長谷川環境影響評価担当部長 総合環境アセスメント制度につきましては、現在、東京都の策定する計画を対象に平成十二年度中に本格実施することを目途といたしまして、先ほど申し上げました試行の実施など諸準備を進めているところであります。本格実施が開始されましたら、その実績を積み重ねた上で、今後の課題として、民間事業への適用などを含めて、制度の一層の充実について検討していきたいと考えております。
 その場合には、現行の環境影響評価条例との一体化、こういうことも念頭に置いて検討する必要があると考えております。

○大西委員 ぜひ検討を進めていただきたいんです。
 今後のまちづくりには、こうした総合環境アセスメントの考え方が重要であると思っております。TDM東京行動プランでは、現在、約五〇%の都市計画道路の整備を進めるとしていますけれども、今後のこうした道路建設に当たっては、ぜひ総合環境アセスメント制度を適用すべきだと考えておりますが、その点はいかがでしょうか。

○長谷川環境影響評価担当部長 先ほどご答弁申し上げましたように、今後、試行の結果等を踏まえながら、本格実施に向けて、制度の適用対象事業等について検討を行うこととなりますが、適用対象事業は、恐らく計画の種類、規模等により規定することになると思います。この中で道路についても適用対象として検討することを予定しております。
 したがいまして、適用対象となりました事業につきましては、本格実施が始まったら、現行の条例アセスに先立ち総合アセスメントを行うことになりますが、適用対象事業につきましては、当面、東京都が策定する計画を考えておりますので、例えば、東京外郭環状道路など国が行う事業については対象にならない、こういうような形で整理されると思います。

○大西委員 最後に、要望として、二十一世紀は環境保全がますます重要となる時代です。交通、まちづくり等においても、この観点からの取り組みが必要であると考えています。特に、交通においては、道路整備など交通施設の供給とTDMの両面から、環境保全型の交通体系のあり方という観点で総合的にやっていく必要があると思っております。
 そして、今回のこのTDMでは、ロードプライシングのみが何だか先走りしておりますけれども、ロードプライシングはあくまでも手段であって目的ではないということだと思います。道路をつくるときには環境に配慮した道路をつくりますと、よく答弁があるんですけれども、刺身のつま的な環境配慮じゃなくて、環境配慮を主に持ってきたような道路づくりを望みます。
 そして、道路の供給という面からは、いわゆる自動車だけを通す道路を頭に置くんではなくて、LRTそれから自転車とか歩行者を中心に据えた道路づくり、そして、道路だけではなく情報通信基盤の整備、そういうものへも広く広く視野を向けていく必要があると思います。そのための財源として、先ほど軽油税のことをちょっと触れましたけれども、こういうものを単なる自動車道路整備だけでなく、ソフト面の道路整備というんですか、そういう面にも使っていく、一つの方向として軽油税の問題も真剣に取り組んでいただきたいなと思っております。
 以上です。

○たぞえ委員 先ほど、我が党の清水議員から水辺環境について指摘をさせてもらいました。私は、これに関連して、来年度予算の中で局が計上している水環境保全計画について、何点か伺いたいと思うんです。
 先日、私は、世田谷の西の外れを流れる野川、全長二十キロあるんですが、多摩川の合流地点から国分寺まで約五時間かかりまして歩いてみました。川の中を歩いたわけですが、上れば上るほど川幅が狭くなって水がなくなるという大変変わった川。どこでも大変水量が少ないというのが実感でありました。かつて、野川は、上流は湧水がわき出て、どこでも河川に注がれていましたが、都市化によってその数がすっかり急減をしてしまっています。ですから、今では川底はからからという状況なんです。
 そこで、もう一つ、付近を流れています多摩川、和泉多摩川から稲城大橋まで十キロを歩いてみました。ここは大変に豊富な水の量が確保されておりまして、一体なぜこの河川は両方違いがあるのかというのを考えてみましたら、多摩川は確かに上流部に注がれてくる河川がある、しかし野川には河川ではなくて湧水という唯一の供給源しかない、この違いが改めてわかりました。
 その一方で、JR東京駅の総武線と横須賀線が発着する地下五階のホーム、ここでは地下水が年間三十センチも上昇し続けておりまして、現在、三階付近まで水没して、ホームが浮き上がるまであと七十センチまでに迫っている。一方では、水圧によって地下水が噴き出ているというわけです。
 たしか平成三年にも、秋の大雨と地下式トンネルのために、地下水の流動が阻害された武蔵野線の新小平駅、ここでも地下水が上昇して、一メートルこれが盛り上がって二カ月間電車がとまる、こういう事故もありました。平成七年には新幹線上野駅で、やはり地下ホーム、新幹線ホームが浮き上がる、こういう可能性が出たために、ホーム下に三万三千トンの鉄の板を敷いたというわけです。一方で水がからから、湧水、地下水が保たれない、一方で地下水が噴き出ている。一体なぜこういうことが起こっているのかなと。これは、地下水そのものが、その行き場というんでしょうか、生存権を主張し合っているかのような感じが大変するわけです。
 そこで、初めに伺いますのは、東京で雨水が地下に供給される一日当たりの量と、それからその地下水が使われていく収支バランス、これは一体どのようになっているんでしょうか。

○岡田水質保全部長 東京におきます、いわゆる地下水の収支バランスでございますけれども、年間平均いたしまして、東京にはおおむね一四〇〇ミリぐらいの雨が降っておるわけでございますが、そのうちの二六%程度が地下に浸透して地下水になるというふうにされておるところでございます。
 この地下に浸透した水につきまして、これが湧水として地上にわき出してきたり、あるいは揚水という形でくみ上げられる、こういう使い方がされるわけでございますが、降雨によって地面にしみ込んだ分をプラスといたしまして、揚水等によっていわば減らす分、これをマイナスというふうにして考えますと、多摩の山間部を除きました地下水の収支、これは昭和四十三年の調査では、一日当たり百万トンのプラスというようなことになっておったわけでございますが、平成六年から八年の平均値という形で見ますと、一日当たり四十万トン弱のプラスということで、プラスの幅が半分以下になっているというような状況が推定されておるところでございます。

○たぞえ委員 その今いわれたプラスの幅が小さくなっている原因ですね。これはどういうふうに考えていらっしゃるのか。

○岡田水質保全部長 地下水収支のプラスの幅が小さくなっている原因というのは、これはいろいろ複雑な要素が絡んでおるわけでございますけれども、主な原因として考えられることでございますが、都市の開発によりまして、例えば、従来雨水がそのまま浸透しておりましたような原野でありますとか、田畑でありますとか、森林でありますとか、こういうものが改変されまして建築物等によって覆われる、いってみれば、水が浸透しなくなるというような面積がふえてきておる、これを被覆率という言葉で呼ぶといたしますと、この割合が、若干データが古くなりますが、四十三年にはこの被覆率は二九・六%というような数字だったわけでございますが、これが平成三年には五二・五%という形になっておりまして、水が浸透しない割合が非常に高くなっておるということがいえようかと思います。

○たぞえ委員 多摩だけでももう既に五割を切って地下水が浸透しないと。地表の上を流れて下水に吸い取られていくわけですね。こういう事態を改善しようということで、東京都が平成二年度から国分寺市で雨水浸透ます設置のモデル事業を始めました。八年度から野川の流域にもこの湧水保全事業が展開されておりますが、この浸透ますの設置によってどのぐらいの雨水が地下に浸透しているんでしょうか。

○岡田水質保全部長 ちょっと訂正させていただきたいんですが、先ほど被覆率の数字を、四十三年二九・六から平成三年五二・五という数字を申し上げましたけれども、これは多摩地域についてということでございますので、つけ加えさせていただきたいと思います。
 それから、今のお尋ねでございますが、どのくらい雨水浸透ますを設置することによって地下浸透があったのかというお尋ねでございます。雨水浸透ますを設置する基準といたしまして、基本的に、屋根面積五十平米につきまして一基というような計算で設けておるわけでございますが、このことによります浸透能力につきましては、設置しておる場所の地質等によりまして影響があるわけでございますが、降雨の強度等も勘案いたしました上で浸透量を計算いたしますと、一基当たり年間おおむね六十立米程度の雨水が浸透するという計算になります。平成二年から十一年度までの雨水浸透ますの設置基数の累計でございますが、これが一万二千五百基ということでございますので、これから計算いたしますと、年間で七十五万立米程度の地下水が涵養されたことになるというふうに計算しております。

○たぞえ委員 浸透ますの有効性が確認できるわけですか。

○岡田水質保全部長 先ほど申し上げましたようなことで、浸透ますの設置によりまして、確実に雨水が浸透しておるわけでございますので、これが地下水を涵養して、ひいては河川の流量等にも寄与しているということはいえるかと思うんです。

○たぞえ委員 国分寺市と三鷹市で、モデル期間で毎年ふやして四千基雨水ますが設置されました。本格実施になってからの四年間では四千五百基を設置したわけですから、大変ますの役割というのが実証されてきているし、大きな威力が発揮されておると思います。
 私どもの世田谷区の調査でも、国分寺崖線の見える地上の町の約半分近くにこのますが設置されまして、成城みつ池にこの地下水が湧水として注がれていると、大変高く評価されているところです。ところが、今この国分寺崖線が大変な危機にさらされておりまして、二子玉川での再開発計画や崖線そのものに入り込んでくる道路計画、まさに自然への挑戦だというふうに思わざるを得ません。
 私は、先日、環境保全局が行っている水循環再生事業補助金を活用している成城の民家を訪ねました。この方の家では、家から十五センチ離れたところに、直径で五十センチ程度のますが二カ所庭に埋められていまして、中をのぞいてみましたら、屋根からおりてきた水が雨どいを伝わってそのますに入ってきます。で、ますの一番の底に敷いてある砂利を通して地下に浸透する。また、コンクリートのますの周りにたくさんの穴があいておりまして、そこからも水が地下に出ていく、こういうもので、このお宅で二個ついていたわけですね。
 また、別の方のところにもお訪ねをしたら、ふたをあけたらカエルがちょうど中に入っておりまして、カエルにとっては大変居心地のいい場所だとその方はいっておりましたが、自然への壮大な貢献ができるということで、この方は大変貴重な経験をされておるということでありました。
 こうしたますを設置する場合に、一基六万円程度かかるわけですが、この水環境保全事業に対して、国の補助制度というのはどのような基準を持っているのでしょうか。

○岡田水質保全部長 環境庁でございますが、環境保全施設整備費補助金交付要綱というのを作成しておりまして、これは市区町村ということになりますが、公共団体が実施する事業につきまして、三分の一の補助を実施しているというふうに承知しております。

○たぞえ委員 きょう審議しております環境局予算というんでしょうか、これで見てみますと、水環境保全事業は、財源の裏づけとなっています特定財源である国庫支出金、これがことしに比べまして約三〇%、額で千百七十三万円の収入見込みの減額になっています。これは何を意図しているんでしょうか。

○岡田水質保全部長 平成十二年度ということでございますが、予算におきましてのこの雨水設置ますの関係の補助金でございますけれども、予算額は二千二百九十三万四千円ということでございまして、平成十一年度の予算額四千四百万円に比べまして、およそ二千百万円ほどの減ということになってございます。この減につきましては、この間の市区町村におきます設置の実績等も踏まえまして算定したものでございます。

○たぞえ委員 東京都では、モデル事業から本格実施になって、二区五市ですか、環境保全局としては設置の促進をしていると。で、設置ますの数はふえているのに、市町村の実績と今おっしゃいましたがーーどういうことなんですか、減っているわけではないんでしょう、ふえているのになぜ国が減らすんですか。

○岡田水質保全部長 お尋ねの国の補助金でございますけれども、この制度につきましては、実は都が直接国から受け入れて市町村に配分しているというものではございませんで、区市町村が国の方に補助金の要望をしておるということでございます。これに対しまして、いってみれば、都の方でも応援するという形で補助金を出しておるというような仕組みになっているわけでございます。
 この間のこの制度の実績を見てみますと、各区市町村におきまして、最近の財政状況等を踏まえまして、要望する基数等が減少しておるという実態もあるわけでございまして、そうした中でこの事業の実績となっておるということでございます。

○たぞえ委員 区市町村はもっと設置してほしいということをいっているんじゃないですか。今月発表された世田谷区の緑の基本計画では、この雨水浸透ますについて、地下水を涵養する施設の設置を促進しますというふうに掲げておりますし、世田谷区では、十年度以前の数を見てみましても、既に二百五十基程度ずっと設置を続けてきている。都市計画局の実施している事業でも、この設置ます数は減少していないんです。
 今、部長は、区市町村が直接申請をするとおっしゃいましたが、書類は東京都を通っていくんでしょう。東京都が環境庁に、こういうふうに市町村が求めておるから予算をつけてほしいと、こういうふうにいって東京都を経過していくわけでしょう。だから、国が減らす理由がどこかにあるんではないかなと。これだけ東京都も区市町村も頑張っているのに、この予算では一千百七十三万円減るわけですから、やっぱり減らされては困るよということをきちんと常々いってこなきゃいけない。ことしはどうされたんですか。

○岡田水質保全部長 この補助金の仕組みでございますけれども、先ほど先生もおっしゃいましたように、区市町村からの要望につきましては、都の方で取りまとめまして、そういう意味では、取りまとめという形で国の方にお伝えするという形になっております。
 そういう形で、平成十一年につきましても、実は当初の区の要望を取りまとめました段階では、三千基ぐらいの要望があったわけでございますが、これが実際に予算化されまして区市町村で具体化されるという中では、実は十一年度の見込みといたしましては、二千基弱というような状況になっておるということでございます。
 いずれにいたしましても、この制度、できるだけ区の前向きの要望を生かしまして、積極的に進めていくということは非常に大事なことだと思っておりますので、そういうことで事あるたびに国の方には、使いやすい制度になるようにというお願いをいたしておるということでございます。

○たぞえ委員 ぜひ削減のないように要望してほしいと思うんです。
 で、もう一つの問題は、都のそれ自身の対応の問題なんです。局の今年度予算はどうですか。それに比べて大幅にふやしたんですか。

○岡田水質保全部長 先ほども若干申し上げたことでございますが、十二年度の予算におきましては、予算額といたしまして二千二百九十三万四千円ということで計上しているわけでございまして、これは、十一年度の予算額四千四百万円に比べますと、おおむね二千百万円ほどの減少という形になってございます。

○たぞえ委員 二千百万円も急減をする。国もいろいろ減らすけれども、都も、そういって、せっかく区市が頑張って取りつけてほしいといっているのに、果たしてそうやすやすと割り引いていいんでしょうか。今年度は三千基とさっきいわれましたが予算をつけた、来年は千六百基だと。先ほど成城の町を伺ったときは、そのお宅には二つつけたというんですね、一つのお家に。ですから、これで単純に割り算をしても、八百戸の家にしかーー三つ、四つつけていただけるところがあれば、もっと少ない戸数になるわけです。こういう予算というのは、本格実施になって下から二番目ですよ。
 この来年度予算の規模でいえば、八年度が二千二百万円でしたから、大体その程度の規模。そうすると八年度は千三百九十九基なんです。千六百基の予算をつけたといったけれども、実績はその八年度は千三百九十九基しかない。だから、そういう予算を切り詰めれば、区市だって補助金を受けようということで東京都の方をにらんで予算編成しているわけですから、どうしても区市の設置個数もぐっと狭まって少なくなってしまう。そういうブレーキを踏むことになるんじゃないんですか、部長。

○岡田水質保全部長 先ほど申し上げましたように、十二年度の予算につきましては、十一年度の実績等も踏まえまして千六百基に対応いたします金額という形になったわけでございますけれども、さらにこの制度を充実してまいるためには、一つは公共団体の意欲をさらに高めていただくように私どもも働きかけていくということと、それから地元の実際にこの浸透ますを設置していただく方々に対して、雨水浸透ますへの理解を深めていただくということが非常に大事なことだと思っております。
 あわせまして、先ほど申し上げましたように、国の方にも、この制度ができるだけ使いやすいものになるようにということで働きかけてまいりたいというふうに考えております。

○たぞえ委員 この雨水ます設置の東京都の水循環再生事業補助金交付要綱というのがありますが、ここでは補助金の交付についてどのように定めているんでしょうか。

○岡田水質保全部長 現在、この雨水浸透ますに関しましての補助制度について、東京都として定められておりますものといたしましては、平成十年度に定めている最新のものでございますが、東京都水循環再生事業補助金交付要綱というものになっております。
 この中で、都は、区市町村が野川流域など健全な水循環を回復する必要があると認めた地域において実施する事業に対しまして、予算の範囲内で補助金を交付するということをうたっておるところでございます。

○たぞえ委員 結局、補助の枠は、予算の範囲内でしか貸さないよということなんですよ。ですから、都が予算を減らせば、それだけ、申請をしてももう無理だろうと初めから区市はブレーキかけるんです。来年度は都の予算もこの程度だから、じゃうちの区も設置はこの程度にしておこうと、結局ブレーキ役になっているんですよ、こういう要綱の定めが。
 先ほど部長は、下からどんどん声があるから、もっと幅広く実現できるように図っていきたいとおっしゃったけれども、こういうガイドラインができているようじゃふえていかないんですよ。国も減らす、都も減らす、要綱で補助金は予算の枠内ですと、こういうことでは全然ふえていかない、そのことを強く指摘しておきたいと思います。
 で、都市計画局も浸透施設の助成補助事業をやっておりますが、来年度というと、もう四月一日というのはあと十日余りですよ。ゼロですよ、都市計画局の予算は。石原知事がゼロに設定したんです。もうやらなくていいと。
 私の世田谷区で調べてみましたら、六十三年以降、都市計画局の浸透補助を使った家が五千七十四基ありました。東京全体で見てみますと、昨年度の十年度一年間で四千六百十三基つけているんですね。ですから、世田谷区や他の市合わせて二十六の区市から、ぜひ十二年度雨水ますを設置してほしい、自分たちで九千六百三十七万円の予算を計上してあるから、ぜひ都の補助金もそれに見合う二分の一つけてほしい、こういうふうに要望書が知事に出ているわけです。ところが知事はこれを切ってしまえと。だから、生き残ったのはあと環保しかないんですよ。環保もこれで予算を削った。これじゃ本当に雨水ますの浸透設置なんというのはかけ声で終わっちゃうんじゃないですか、どうなんでしょうか。

○岡田水質保全部長 先ほど先生からご指摘のございました都市計の方で行っている事業でございますけれども、これにつきましては、総合治水事業の一環という形で、雨水の急激な河川への負荷を軽減するという目的で行っている事業でございますので、結果的に雨水の浸透ということでの効果というのはあるわけでございますが、直接この制度と重なるものではないということでございます。
 先ほどもご説明申し上げましたように、実は十一年度にも三千個程度の補助の枠、設置基数の枠というのは確保しておったところでございますけれども、区市町村の方での財政状況等から、実際には千九百個弱というような水準にとどまったところでございまして、さらにことしの予算についても、こういう実績をある程度踏まえざるを得なかったというところもあるわけでございますが、今後、さらに区市町村からのご理解を得ながら、この実効が上がるような施策を考えていくということで取り組んでまいりたいというふうに考えております。

○たぞえ委員 ぜひ、予算がゼロなんですから、ほかから流用してでも、やっぱり都市計と環境局が両輪になって地下水や湧水の保全に頑張る、こういうあらゆる努力をしていかなきゃいけないと思いますね。これはそういうことで述べておきたいと思うんです。
 次に、先ほど冒頭で述べましたが、JR武蔵野線のトンネルの壁がつくられたことによりまして、地下水が遮断をされ流動被害が発生しました。この事故から既に八年が経過しようとしていますが、どれだけの水が今下水に捨てられているんでしょうか。

○岡田水質保全部長 武蔵野線のトンネルで湧出しておる水量でございますけれども、毎年の降水量によりまして実は大変な変動があるわけでございまして、必ずしも何トンということにならないわけでございますが、下水道に放流されておる実績等を見てみますと、平成四年から十年までの平均で約四十七万立米というような量になってございます。
 また、今年度ということになりますが、昨年四月から十二月までの累計、これは比較的雨が多かったということで、九カ月で六十八万立米というような数字になってございます。

○たぞえ委員 この八年間で下水に捨てられた地下水は約四百万トン、本当に貴重な水が民間会社の身勝手な工事で八年間も放置されて捨てられてくる。国分寺市は下水道料金が入ってくるわけですから、それは一方ではいいこともあるんでしょうけれども、だけれども、都民にとってみたら、その水は本来野川に流れる水だったんですよ。これが捨てられた。だから私たち世田谷の区民にとってみれば、先ほどいいましたように、コイが背中を出してあっぷあっぷで今生活をーー生活というんでしょうか、生息しているわけで、地下水を放流するんじゃなくて、一日も早く河川に引き戻してほしいというのが区民の願いです。
 で、この水量確保のために、有効な活用ということで、私もそのトンネルの中に入って調査もいたしまして、本当に早く対策が講じられるべきだと思ってまいりました。その結果、国分寺市が姿見の池を復元しました。ここにその放流している地下水を流し込んで野川に流す、こういう計画であるようですが、現在、JRとの交渉についてはどのような状態になっているんでしょうか。

○岡田水質保全部長 現在、武蔵野線から出ている水につきまして、国分寺市の下水道に流しておる水を野川に導水するということにつきましては、平成八年度から、東京都、それから国分寺市、JR東日本、三者で協議を重ねておるところでございまして、現在も引き続き協議をいたしているところでございます。

○たぞえ委員 協議がもう四年間も行われている。検討検討とよくいわれて、ここは後楽園のボクシング場ではないんだ、早く結論を出せというのが、やっぱりこの野川の問題でもいえるというふうに思うんですね。ぜひ一刻も早く事業に入れるよう、民間待ちでなくて、都として公的な関与を行使してほしいというふうに強く要求しておきたいと思います。
 同時に、かれ続けている野川の水質の監視も大変大事です。東京都が調布市調布ヶ丘三丁目に設置している水質自動測定室、これは野川にたったそこにしかない測定室なんです。せんだって歩いてみましたら、草に囲まれて本当にその存在感が見えなかったわけで、その時点でも稼働しておりませんでした。ということは水質の測定が行われてなかったということでありますが、これでは宝の持ちぐされです。この測定室は自動採水器ーー自動的に水を取る計量器も入っているわけですから、来年度は直ちにこれを再開するべきだと思いますが、いかがですか。

○岡田水質保全部長 今お尋ねのございました野川の自動測定についてでございますが、野川につきましては、昭和四十六年に測定室を設置いたしまして、自動測定による測定を行ってきたところでございますが、冬期の流量が少ないというようなこともございまして、平成十年度に測定を休止いたしたところでございます。
 しかしながら、住民の関心も高い、またその水質の情報に対するニーズも高いというようなこともございますので、十二年度中に測定を再開するという予定にしてございます。

○たぞえ委員 そのほかにも、東京の河川で環境保全局が測定をしております地点は現在二十一あります。これが来年度からは十二カ所に大幅に削減となるわけです。野川につけて稼働していただくのは結構なんですけれども、ほかが減っちゃったとなると困るんですね。水が多くとも、しかし水質が、大腸菌等でその心配が拡大されているわけでありますので、こうした測定も大いにふやす方向で十三年度予算では検討していただきたいというふうに思っています。
 いろいろ水について伺ってまいりましたが、かつて横田基地の燃料が漏れて地下水汚染が起こるとか、また最近では厚木基地でもそういう事故がありました。都民の貴重な水源が汚染されて、そしてそれが河川に流れ込めば、当然水辺の潤いというんでしょうか、都民の憩いの場も奪われてしまいかねない。そういう点でも、水の問題は単なる量と質の問題じゃなくて心の問題として、先ほど自然保護部長が心の東京革命とおっしゃったんですが、ぜひ新しい環境局として、こういう水辺で遊べるゆとりある心をもっと都民に提供していただきたいということを求めて、質問を終わります。

○かち委員 自動車公害対策についてお聞きしたいんですが、いろいろ今までも質疑があってダブるところは省きたいと思います。
 本年一月三十一日の尼崎公害裁判の判決は、自動車排ガスによる健康被害を放置した国、公団の責任を厳しく指弾するものとなりました。大気汚染物質の排出抑制を命じた判決は史上初めてであり、大阪西淀川、川崎訴訟の一審勝訴を上回るものとなりました。また、ディーゼル排気微粒子、この有害性を特に重視し、一日平均一立方メートル当たり〇・一五ミリグラム以下にするように命じたことも初めてのことでした。この判決は、車社会からの変換、道路づくり中心の公共事業、流通コストや輸送効率優先の社会から、環境、健康により配慮した社会への転換、見直しが必要だと新聞各紙も報道しております。
 それでは、そのSPM、浮遊粒子状物質、これは現況ではどうなっているかということなんですが、環境庁の九八年の調査結果の発表では、東京首都圏中心に百一カ所で尼崎判決基準の〇・一五ミリグラムをオーバーしている、ワーストワンは文京区の春日通り小石川の〇・三五〇ミリグラム、そのほかワーストファイブに東京の各四カ所も入っているという結果が出ました。依然というよりもさらに悪化しているとさえいえる現状ではないでしょうか。
 そこで、東京の現況、測定結果などをお聞きしたかったんですけれども、先ほど聞かれましたので、これは省きます。
 東京都も七〇年代から五年ごとに排気ガスの総量規制の目標を定めて取り組んできているわけですけれども、それが一向に到達していない、未達成だということです。二〇〇〇年にはこの目標の見直しという時期にも来ているわけですけれども、この大気汚染が改善されない理由、これをどのように認識し、そしてどう改善しようとしているのか、お聞きします。

○松葉大気保全部長 大気汚染が改善されない主な理由でございますが、都内における自動車保有台数の増加あるいはディーゼル車保有台数の増加、こんなことがございまして、また加えまして、ディーゼル車に対する自動車排出ガス規制の効果の不足などが考えられます。
 こうした理由に加えまして、これまでディーゼル車に対する対策の取り組みのおくれ、こういうものもございました。こういうことから、ディーゼル車については、これまでも窒素酸化物等粒子状物質の排出が非常に多いわけでございました。しかし一方で、物流を支えるという面でディーゼル車が果たしてきた役割もあるわけです。そういうことから、これまで効果的な対策は十分とられてこなかったというふうに認識してございます。
 今後は、こうした点を踏まえまして、現在進めていますディーゼル車対策の実施、それから事業者に対する総量抑制指導の充実あるいは交通需要マネジメントの推進などを図り、自動車公害対策を一層強化していきたいというふうに考えてございます。

○かち委員 いろいろ原因はあるけれども、その中でも最も大きな要素としてディーゼル車の排気ガスというふうにいわれているわけですが、そこで、ディーゼル車について何点かお聞きしようと思ったんですけれども、先ほど森田理事の方から詳しくお聞きになって、そこで私も改めて認識を新たにしたわけですけれども、知事のディーゼル車NO作戦とか、検討委員会から条例化提案などが出されてくる中で、国も、それから日本自動車工業会も石油連盟も動き出したという点では、一定の評価ができると思うんですけれども、一方でその実態は、じゃそれが準備できる実態というのは、本当にまだまだ未知数だなという状況ですよね。コストの面でもそうですし、性能や耐久性、また費用対効果という点でも、一つ何百万円もかけて使って本当に採算性があるのかどうかという点も含めて、まだまだ本当にこれからという状況だと思うんですが、ただ規制だとか、義務化だとかばかりが声高にひとり歩きをしているというふうに思えます。そういう意味では、条例化をするという動きがまだ時期尚早ではないかとさえ思えます。
 先日、私もトラック業界の方からお話を聞いたんですけれども、トラック協会というのは、都内の自動車保有台数が約四百六十万台、そのうち八十から九十万台がトラックで、そのうち八万六千台が営業用、残りは自家用トラックだというんです。八万六千台に今かかわっている方々はほとんどが中小企業なわけですよね。そういう方がトラックに、要するにDPFをつけるということは大変なことになるわけです。
 DPFをつけなくてじゃどうするかといったら、ガソリン車への代替とか低公害車への代替とか、そういう方法もあるわけですけれども、それは二トン車以下の小さな車ですよね。四トン車以上になると、そういうトラックはDPFをつけるしかないのかなと、今の段階ではそういう状況になっているわけです。そうするともう二者択一、本当に死活問題にもなりかねない、こういう状況なわけですよね。
 そういう意味では、そういう条例ができても、トラック業を営む方々がみずから進んで選択できる条件をそろえる必要があると思うんです。それから、検討に値する情報がそろってなければならないと思うんですが、その辺が全く今の段階では不十分なまま、義務化とか規制だとか、そういうことだけが走っている。これについては本当に検討を要すると思うんです。本当にこれを実現していくためにも、十分に切りかえ可能な状況をつくっていくこと、コストの面でも補助金等の援助が必要だと思いますので、その辺を今後この問題を検討して進めていく上で十分に考慮していただきたいと思います。
 それで、この自動車公害を防止していく上では、もう一つの発生源対策としては、低公害車の普及ということなんですけれども、現在、都内の低公害車の普及状況はどうなっているのでしょうか。また、普及に向けてどのような課題があるのでしょうか。

○松葉大気保全部長 都内の低公害車の普及状況でございますが、平成十一年の三月現在で申し上げますと、天然ガスの自動車が七百八十台、それからハイブリッド自動車が千七百六十台、電気自動車が二百八十八台、メターノル自動車が百五十九台、合わせまして約三千台でございます。
 低公害車の普及についての課題でございますが、ディーゼル車やガソリン車と比較した場合、価格が高い。例えば、天然ガス車ですと、一・六倍か二倍程度ございます。それから、やはり一充てん当たりの走行距離が短いことなどがございます。また、あわせまして、スタンド等の燃料供給施設の整備が十分行われてないなどの課題がございます。

○かち委員 現在三千台、二〇〇〇年度の到達目標は七万七千三百台、そういう点からしても非常にかけ離れているわけですけれども、今ご説明があったように、コストの面、性能の面、それからインフラ整備という点でも、いずれもまだ遅々として進んでいないという状況です。その中でも、ディーゼル車に比べてNOx が三分の一、SPMがゼロ、NO2 が五分の四といわれている天然ガスの自動車は、価格的にも一・六倍ーー安くはないんですけれども、比較的代替用に成り得ると思うんですが、何せ燃料供給施設の整備が不足しています。現状がどうなっているのか、今後の整備計画はどういうふうになっているのでしょうか。

○松葉大気保全部長 天然ガスのスタンドでございますが、ことしの三月末現在で、都内のスタンドの件数は二十カ所になるというふうに見込んでおります。
 また今後、天然ガススタンドの整備の目標でございますが、都内の半径三キロメートル以内で、天然ガスのスタンドがあるように、既存の施設に加えまして、平成十四年度までに十五基程度を整備していきたいというふうに考えてございます。そういう方向の中で平成十二年度は、新たに民間での燃料施設の五カ所の整備を行う方向で助成策を講じているところでございます。今後とも、国あるいは関係機関と連携いたしまして、低公害車の燃料供給施設の整備を図ってまいりたいというふうに考えています。

○かち委員 トラック業界の方もおっしゃっていたんですが、天然ガスの車を使いたいと思うけれども、やはり供給施設が足りないということで使えないんだといっておりました。そういう意味で、今現在二十カ所ということですけれども、そのうち一般用に利用できるのはたったの十一カ所しかないわけですね。あとは既存の都バスの車庫だとか、自営のものしかないということなんですけれども、本当にこれを普及させていくという立場に立つならば、今後十五カ所ぐらいふやすということですけれども、当面、普及が達成するまで、期限つきでも一般に都バスなどの車庫を開放する、こういうような対応も柔軟に考えるべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○松葉大気保全部長 都バスの車庫にあるスタンド、またはそういうところの設置についてのことをお尋ねだと思います。都バス専用のCNGのスタンド、こういうのは都バス用に整備したものでございまして、能力に一定の限界があるわけでございます。また、東京都の交通局が一般の事業者の方などにガスを販売するという課題もございます。一方で、敷地内に一般の車両が乗り入れる、こういうもろもろの課題がございますが、ご指摘のような点につきましては、検討は可能かどうか、交通局には話をしてみたいというふうに考えています。

○かち委員 ぜひ働きかけていただきたいと思います。
 最後になりますけれども、自動車公害対策の一つとして、道路構造、沿道対策というものがあると思うんですね。局所対策です。資料もいただきましたけれども、九七年から始められた大和町交差点での実験調査が終了したようですが、その結果を踏まえて実施に移すというようなことが公害防止計画では出ているわけですけれども、いつこれが公表され実施されるのでしょうか。

○松葉大気保全部長 大和町については、平成九年来、検討委員会を設けましていろんな対策案を検討してきたところでございます。また、平成九年度からは現場におきましてさまざまな実験を開始し、また続けてきました。この結果につきましては、近いうちに取りまとめが行われる予定でございます。
 東京都といたしましては、これまでも関係局あるいは関係機関等、こういう局地汚染対策をどうして続けていけるのか、または有効な対策が行えるのか、こういうこともやってきたわけですが、その一つとしては、今後、建設局が大和町交差点で実用規模の土壌脱硝について実験を行うということを聞いてございます。

○かち委員 この局地対策については、もう数年来、前からいろいろ実験、検証をされてきているわけですけれども、一向に遅々として進んでいない。そして局所の悪いところは依然として非常に悪い状態が続いているという点でも、もっと真剣に積極的に考えていただきたいと思います。
 いただきましたこの資料を見てもわかるように、道路構造上から非常に環境が悪くなっている、汚染濃度が高くなっているというのが一目瞭然だと思うんです。松原橋ーー私の住む松原橋、一位ですけれども、ここも環状七号線と国道一号線の二層構造になっているわけです。それから目黒の大坂橋、ここも三層構造ですね。その下も三層、三層構造。こういうことが環境悪化の非常に大きな原因となっているということが明らかになっているわけです。
 尼崎裁判においての判決は、国道四三号線と阪神高速の二階建て道路の排ガスが汚染を形成しており、国と公団は道路の供用によって健康被害をもたらしたものであり、道路の設置、管理に瑕疵があったと裁かれているんです。西淀川や川崎公害裁判では、国に具体的沿道の環境整備をとらせることで和解が成立しています。沿道管理の整備が始まっています。そういう意味からしても、実験結果を待つまでもなく、局所対策を本格的に実施すべきだと思うのですが、保全局としてのお考えはいかがでしょうか。

○松葉大気保全部長 大気汚染の状況につきましては、大変厳しい状況にあるわけでございます。局所的ないろんな交差点などの汚染というのは、特にその中でもひどい状況でございます。
 都としては、こういう中で、できるだけ、今までもやってきましたが、さらに対策できることについては、積極的に対応してまいりたいというふうに考えています。
 また一方で、こういう地域における原因と申しますのは、ディーゼル車に主として原因があるわけです。このような観点も含めて、ディーゼル車対策を積極的に進める、こういう考えで今後とも対策を進めていきたいというふうに考えています。

○かち委員 もちろん、発生源対策としての根治療法というか、そういうディーゼル車対策も必要ですが、今現に苦しんでいる住民がいる、その住民の健康をどう守っていくかというのも、私は行政の責任だと思うんです。そういう意味では、根治療法と対症療法はセットで行うべきだと思います。
 尼崎裁判の結果は、依然として改善が見られないまま推移している沿道環境の行政責任も明らかにしたものです。長年にわたってそこに住む住民の健康が侵されている沿道対策こそ焦眉の課題です。四日市、川崎、尼崎の公害裁判の結果は、時代の趨勢でもあります。環境保全の立場に立つ当局として、ぜひ早急に局所対策に取り組まれるよう強く求めて、質問を終わります。

○谷口委員 大分疲れてまいりましたけれども、もう少しおつき合いをいただきたいと思います。
 二十一世紀は生命の世紀というふうにもいわれておりますが、いろいろの背景があろうかと思いますけれども、本当に生命を直撃するような環境の悪化というものも一つの大きな要因になろうかと思うわけでございます。ことしは二〇〇〇年という新しい千年紀の初めの年でもございますし、二十一世紀を迎える最後の一年でもございます。
 そういう中で、環境論議というものが沸騰してまいりました。それなりの背景があってのことというふうに考えますけれども、知事が、あの排気ガスを吐きながら走っている車も一種の殺人行為じゃないかというふうなことをいわれたように伺っておりますけれども、近年のそういったいろいろの環境負荷というものは、我慢の限界を超えてきたということも一つの背景ではないかなというふうに私は思っている次第でございます。私の勝手な意見でございます。
 日本は、かねてより山紫水明の国というふうにいわれております。海外などから日本に帰ってまいりまして、日本列島が近づいてくると、本当に大変な緑の塊のような島でございまして、アメリカとか中国だとか、割合と砂漠化が進んでいるような、そういう国から見ますと、豊かな緑の国という実感が見えるわけでございます。
 しかし、現実にこうして私たちが住んでいる現場というのは大変な公害がある。東京の上空はスモッグがいつもかかっているというふうな現実もあるわけです。私自身、小さいころは、山から流れてくる水を取水した、そしてそれを飲み水に使っておった。隣の家では井戸水を使っておったというふうな状況でございまして、空気はいっぱいございました。おいしい空気がたくさんございまして、水だとか空気だとかというのはただだというのが実感であったわけですね。
 川の方も、とにかく汚いものがあったらどんどん川に流しちゃえばきれいになるんだという、もうまさにそういうふうな実感そのものであったわけです。それが、じゃ何十年前かというと、百年、二百年前の話じゃなくて、本当に四十年とかそれくらい前まではそんな実感だったわけですね。ところが、この三、四十年の間に日本の状況というものが大きく変わってしまった。水に流すという言葉がございます。いろいろなことがあったけれどもチャラにしようよ、こういう考え方。これも、ちょっと困った問題は川に捨ててしまえばきれいになっちゃうからというふうなことの、そういう意味も含まれているのかなというふうに思いますけれども、とにかくそういう水に流せるような状況が今やなくなってしまったというのが、日本の国の現状ではないかなというふうに思います。
 したがいまして、本当に私たちの環境を、私たちのためにも、また子孫のためにもどう残していくか、どう守っていくかということが大変大事になった、そういう二十一世紀を今迎えようとしているわけでございまして、そういう意味で、今、国の方では環境庁が環境省になる、東京都の方でも、清掃局が縮小されるということもあるーーあるのかもしれませんけれども、環境保全局という、ある今の状態を保全していくという局が、積極的に総合的に点検し環境を守っていく、単なる受け身の行政ではなくて、攻めの行政といいますか、そういったものをやるために環境局になるんじゃないかというふうに、私はこれまた勝手に考えたわけでございます。そういった時代背景と命名の変更、そして担当される皆さんは同じ顔をした同じ人がやるんですけれども、名前も変わり、背景も変わっているわけですから、行政の魂というものも大きく変貌していく必要があるんじゃないか、いろいろこう考えるわけでございます。そういった点について、局長のご意見を伺いたいと思います。

○齋藤環境保全局長 ことしの四月一日から、お話しのように、環境局というのが誕生いたします。それに向けてどういう考えでやるのかというお尋ねだと思いますが、これまでも環境保全局として、環境への影響を最小限にする、あるいはよくするということで私ども努力をしてまいりましたが、いよいよ清掃局と環境保全局が統合して環境局になるということになりますと、大きな発展の契機になるんではないかというふうに思っております。
 とりわけ、持続的な発展が可能な東京を実現していくというためには、これまでの考え方である大量生産、大量消費、大量廃棄という現在の社会経済システムの限界、これを乗り越えて、環境の負荷の少ないものに転換をしていくという大きな役割を担うというふうに思います。そのためには、生産、流通、消費、廃棄の各段階におきまして、環境への配慮を徹底することがますます必要になってまいります。
 こうした視点に立ちまして、環境保全局と清掃局の組織を再編して、四月から環境局が設置されるわけでございますが、今先生から、生命の世紀というお話もありましたが、二十一世紀はまた環境の世紀でもあるという言葉もありますけれども、来るべき世紀に向けて、今後、廃棄物対策も環境施策の一環として積極的に位置づけ、両局の統合によりまして一層緊密な連携が図られるというふうに思いますので、都民の健康を守るため、廃棄物、リサイクルも含めた総合的な環境施策に環境局として全力で取り組んでまいりたいと思っております。

○谷口委員 先ほどからいろいろの議論がございました。いずれにしても、東京都がディーゼル排気ガスのSPMの排除を積極的に行う、条例をつくるというふうな打ち出しをなさいまして、本当に世の中がそれにつれて動き始めているわけでございますけれども、いわゆる技術開発というものについて、ある大企業のそういうところを担当していらっしゃる方にたまたま会ったものですから、NOx の話だとか、ディーゼルの超微粒子の話が話題になりました。
 大企業の中で今働いておりますと、単なる思いつきではなかなか金を出してくれない。ベンチャーの方が動きはーー一つのアイデアが生まれたら、そのアイデアを何とかしようというふうに、社長が勝手にやるわけですから、やりやすいんですよと。大企業での研究室というのは、ある程度の目安が立って、それが経済効果を生むであろうというふうなものがないとなかなか動きにくいというんですね。したがって、大企業はいろいろな設備があるし、金もあるし、できるだろうというふうに思うかもしれないけれども、そこにいる社員としては、巨大な組織の中に組み込まれてなかなか自分の思いを具体化するのは難しいんですというふうにおっしゃっていました。
 一方、ベンチャーの方は夢がある。自分の夢だとかアイデアを何とかしたいと思うんだけれども金がない、そういう現実があるわけですね。行政の方は社会的ニーズがありますから、何とか規制をして、こういうふうにしてもらわなきゃ困るという条例をつくれば、恐らくだれかが技術開発をやって、そのうちいいものが出てくるんじゃないかという期待感があるというふうに勝手に判断をしているんですけれども、そんなに簡単に技術開発が東京都の条例を素直に追いかけてきてくれるとは思えないんですけれども、そのあたりについてまずどんなご感想でしょうか。

○梶原参事 環境問題を考え、改善する上で、革新的な技術が果たす役割は極めて大きいと思います。今日、環境技術が次代の産業の担い手であるというような指摘もあるところかと認識しております。
 今後、私どもがディーゼル車規制を初め、規制にせよ誘導にせよ、さまざまな施策を打ち出すときに、ご指摘のような技術革新をにらみ、いやむしろ促進させるような動き、それによって施策を有効なものとしていく、そういった努力は大変重要なものだというふうに認識しております。

○谷口委員 ここにちょっと新聞記事がございまして、東京都が期待をしていらっしゃるいすゞのDPFですね。「いすゞ製品は『現状で最もよくできたDPF』だ。しかし、当のいすゞ自身が『より低コストでできるCRTの勉強もしている。だから現在のDPF事業にどこまで投資するかは非常に難しい』(松林努常務)」、こういうふうなコメントがここに載っております。これからもっといいシステムが出てくるかもしれない。いすゞセラミックもこれが最高のものだとは考えていないわけですよ。恐らくもっといいものが出てくるんじゃないかというふうな恐怖心というかそういうようなものがある。
 そういうふうなことからすると、東京都はDPFの装着を何年までにしろと、こういうふうにいっているわけですけれども、なかなかそれはこっちが思っているようには進まないんじゃないかということを危惧するわけでございまして、やはり東京都がいい出して、東京の環境をよくするためにこういうふうにしたいというのであれば、東京都として、具体的に助成の制度、融資の制度等をもっと拡大をして、開発をしようとする意欲のある人たちに、激励の意味ででもそういう応援をする必要があるんじゃないか、こういうふうに思うんです。この点はいかがでしょうか。

○松葉大気保全部長 いろんな技術開発を行う人に対しての助成というようなお話でございます。ご指摘のように、中小企業の開発などについて直接助成する制度というのはないものですが、都としては、労働経済局などの中小企業向けの施策、こういうものはあるわけです。しかしながら、こういうもののアイデアが生かされるという場面がなかなかないもので、私どもも苦慮しているところでございます。国等ともいろんな連携を図りながら、このアイデアが実る方法については、さらに私どもとしても工夫の余地があるんではないか、このような認識をしているところでございます。

○谷口委員 環境保全局が一局で何かができるというふうには私も思っておりません。ただ、こういった問題は全庁的な取り組みをしないと、環境局長がいっているわけじゃありませんで、知事がいっているわけですから、知事のいっていることを具体的に実現をする、具現化していくというふうなことになりますと、それぐらいの、攻めの行政ということを私がいうのは、そういうことを申し上げているわけでございます。果報は寝て待てといって待っていたら、条例をつくってここまでだよ、ここまでにDPFをつけるんだよというふうにいったとしても、これはなかなか難しい。
 バス協会に行きました。バス協会では、まず、いすゞセラミックのDPFを装着するのに十日かかる、毎日営業しているバスを十日間もとられたら営業になりません、値段が決まっていない、値段が決まっていなくて幾らかかるかわからない、そんなものつけられませんよ、バス業界はもうかっておりませんと、こういうわけなんです。
 トラック協会へ行きました。トラック協会は、今までNOx だNOx だといって、NOx の適合車を一生懸命購入をしてきた。ここへ来たら途端にDPFだという。このDPFはどうかといいますと、またこの新聞にございまして、「いすゞの実験ではPM排出量を八割削減でき、セラミック繊維の熱疲労特性で決まるフィルター寿命は三年、十五万キロメートル」だ、こう書いてあります。大体営業車というのは六十万キロ以上走るそうでございます。トラックを購入して三年間に一遍ずつこれをつけていったんじゃとても私たちは耐えられません、しかも、十日間かかる装着時間をもっと短縮できるとしても、営業車をそこに何日間もほうり込んでつけてもらわなきゃいけないというふうなことではとてもついていけません、行政はくるくる変わって私たちは困っています、いいものがあればつけたいですよ、世の中から一番の悪人はトラック野郎だといわれているような気がしてなりませんよ、こういうふうにもおっしゃっておりました。
 それで、これはセラミックの布でございます。ちょっと重量がありますけれども、これを使って、これに黒煙を吸着させて、そしてこれを焼いていくというふうなことになっているわけでございますけれども、これの熱疲労特性というか、要するに、吸着させたものを焼く、焼いてまた吸着させるというふうにやっていくわけですけれども、やっぱりこの寿命が短いということが、恐らく致命的な欠点じゃないかなというふうに思われます。
 そういった意味で、私の今の見解についてのご意見を伺いたいと思います。

○松葉大気保全部長 ご指摘のように、バス協会、トラック協会、私ども同じような意見を聞いてございます。それから、いすゞのDPF、現在開発されてございますが、先ほど来ご答弁申し上げてますように、軽油の低硫黄化を進める中で、新たなDPFの開発、こういうようなものも促進されてくるというふうに考えています。したがいまして、私どもとしては、こういうもの全体を含めまして、低廉で高性能なものが早く普及をできるように、東京都としても最大限努力いたしますし、国あるいはメーカー、ユーザーなどの協力も踏まえて対策を進めていく必要があるというふうに考えてございます。

○谷口委員 そうすると、いすゞさんにはお気の毒な話になるんですよね。もっといいのができてくるだろうというのが松葉部長のご見解でございますね。

○松葉大気保全部長 いすゞそのものが悪いということではないんですが、現段階で実用レベルにあると。特に使用過程車に対しての対策としては、いすゞのDPFが実現可能性が高い。この場合は、今申し上げましたのは、将来、低硫黄化などが進むとすれば、さらに性能のよい、価格の安いものが普及してくるだろう、こういう認識を、考えているところでございます。

○谷口委員 私、悪いといっているわけじゃございませんで、そうなってくれなければ困るわけでございますが、現実問題として、そういう状況の中で二〇〇三年、二〇〇五年、二〇〇七年と、こう区切ってDPFをつけようということ、この発想そのものにーーこれを後退してもらっちゃ困るんです、私も。後退してもらいたくはないんですが、現在の状況でこれをつけようという話はかなり無理があるんじゃないかというふうに思われてならないわけです。
 ある自動車メーカーさんに行って伺ってまいりました。私どもは、DPFについても既に二十年近くの歴史がありまして、いまだかつてDPF成功例はございませんと。これよりもっと別のものであったかと思いますけれども、吸着をさせて焼きますと、必ず硫黄分が歯につく歯石のようにこれについて、それが塊になって、また焼くと、硫黄分ですからそこがより高温を発して、そこが焼けただれて、そこが黒く塊になって、それがどんどんどんどん大きくなっていっちゃってだめになっていくんですよ、だから、いすゞさんのやっているのも、そんなに長持ちするとは思えませんねと、こういうふうにおっしゃっておりまして、そうかなと思って帰ってきたわけでございます。清水長官が辻自動車工業会の会長さんに会いまして、今回の排気ガス規制について要請をされた。それに対して辻会長が、それならNOx 規制に対する強化のスピードを緩めてほしいというふうにお答えになったようでございます。ディーゼル排ガス対策において、NOx とPMは実は二律背反の関係にある。NOx の低減はPMの上昇につながり、PMの低減はNOx の上昇を招くということで、SPMを取ろうというふうなことに力を入れるとなると、NOx 規制は甘くせざるを得ないというふうなご意見のようでございますけれども、東京都はどうされるんですか。

○松葉大気保全部長 ご指摘のように、エンジン単体でPMとNOx を同時に減らすというのはなかなか困難な面がございます。先ほどお話しございましたように、やっぱりトレードオフの関係にございます。したがいまして、どうしても排気管の後ろのところに浄化装置ーーDPFであるとか、ほかの装置もあるわけでございますが、そういうものをセットしながら、窒素酸化物あるいはPMにつきまして、同時に除去をするようなシステムの開発が必要となっております。
 その前提としては、軽油の低硫黄化が前提になるわけでございますが、将来的には、設計段階からそういう装置を組み入れて、それで窒素酸化物あるいはPMを減らす、こういうようなシステムが構築されるものというふうに考えてございます。したがいまして、現段階では直ちに窒素酸化物とPMを同時に規制をしていくというのが困難な状況でございますので、今回、東京都としては、PM対策を主体に対策を講じ、その副次的な効果と申しますか、あわせて窒素酸化物についても効果が出てくるような対策も考えているところでございます。

○谷口委員 だから、お考えになるのは結構なんですよ。お考えになるのは結構なんですけれども、具体的にそれじゃ行政側として何をおやりになるんですか。

○松葉大気保全部長 現在の大気汚染の状況、厳しいという状況が一方でございます。それから今、先生ご指摘のように、一方で事業者の負担、こういうものも現実として私どもの目の前にあるわけでございます。
 そういう中で、都としてはできる限り、先ほど来、業界などに要望して、幾らか兆しは見えてきたわけでございますが、こういうものをさらに具体的に進めることによりまして、低公害な、またかつ低廉な技術開発を促進していくというようなことが重要かと考えてます。こういう面では、知事を初め、私ども携わる者としても、積極的にこれからも国なりメーカーなどに協力を求めて、ぜひともこの効果ある対策を進めていきたいという認識でございます。

○谷口委員 だから、果報は寝て待てになってしまうんじゃないかと私はいっているんです。やはり二十一世紀の環境対策を考える場合に、今までと同じように、ここまでおいでというふうにやるーーNOx なんかもっとひどいんですけれども。そういうふうなやり方で環境をよくする、よくするためには企業がやってくれるだろうというふうに考えている段階では、できるだけ企業の方は、悪くいえば抜け道を探した方が早いということになるわけで、そういうことをいうと業界の皆さん怒るだろうから、余り大きな声でいわないで小さい声でいいますけれども。そこで、NOx 規制というのは大体二十年ぐらいの歴史があると思うんですが、この歴史を振り返りますと、どんな歴史であったのかということをちょっとお答えいただきたい。

○松葉大気保全部長 日本における窒素酸化物の対策でございますが、今お話しございましたように、自動車ですと、昭和四十九年とか五十年ぐらいから規制が始まるわけでございます。それから、同じく工場についても、その少し前から規制が開始される。その間、何度かにわたり、窒素酸化物の削減計画、こういうものも行政として目標を掲げ対策を進めてきたわけですが、いまだかつてこの目標の達成ができなかった、こういう反省の歴史にあるわけでございます。そういう立場に立つ中で、今後ともこの対策を、ぜひ問題を解決していかなければならない、このように認識してございます。

○谷口委員 これ、ちょうだいした資料を見ますと、環境基準達成率の経年変化というのがございまして、大体四十年代の後半、昭和五十年ごろからちっとも変わっていないですね。何で変わらないんですか。

○松葉大気保全部長 昭和四十年代から五十年代にかけましては、工場、事業場から出る対策が必ずしも進んでなかった。その後、自動車の普及によりまして、その結果、窒素酸化物などの排出量がふえてきた。工場、事業場における対策は進んできたわけですが、自動車の増大、そういうものによって対策の効果が相殺されていく、こういうことから排出量等が横ばいな状況がございまして、そういうことから窒素酸化物の大気汚染濃度というのも横ばいの状況にあるというふうな状況でございます。

○谷口委員 バブルが崩壊してから今日までの自動車台数の増加はどういうふうになっていますか。

○松葉大気保全部長 昭和六十三年からこの十年ぐらいまでの間ですと、自動車全体の伸びというのは相当保有台数が伸びてございます。しかしながら、最近の状況ということになりますと、トラックなどにつきましては、むしろ小型のトラックなどは登録台数が減少しているというふうなことを承知しております。

○谷口委員 ところが、この環境基準の経年変化では、平成十年までございますけれども、何にも変わっておりませんね。車はふえたか減ったか知りませんけれども、何も変わらない。何でなんですかねーーいや答えられないでしょう、それは。答えろといったって無理だと思うんです。
 それで、東京都の環境科学研究所、長年にわたってご活躍をいただいて、そこで、今まで過去にいろいろの検体を検査されたと思うんですけれども、NOx を排除する装置について、幾つの検体を調査されて、効果のほどはどうであったのかを教えてください。

○萩本環境科学研究所次長 環境科学研究所では、NOx 低減に関する研究につきまして、昭和六十二年度に黒煙除去装置とEGR、これは、排出ガス再循環装置といっておりますけれども、これを装着したディーゼル乗用車によるNOx 、黒煙削減効果の有効性の確認というのをやっております。効果は、東京都の実走行パターンでの比較でございますけれども、NOx は二〇から八〇%、黒煙が九〇から九六%低減したということになっております。
 また、平成三年から六年度までに、軽油と水エマルジョン燃料によりますNOx 削減可能性の検討というのを行っております。水添加率二〇%におきまして、NOx 低減率は七から六三%でございました。しかし、一酸化炭素は、逆に一から六倍、炭化水素が二から六倍増加したという結果になっております。
 それから、本年度から、先ほど大気保全部長の方からも話が出ておりましたけれども、複合脱硝システムの研究を始めておりまして、これは、先ほどのEGRと脱硝触媒システムの研究でございまして、産業創造研究所というところと共同で開始をいたしたところでございます。

○谷口委員 その効果のあったシステムは、今一般に普及されておりますか。

○萩本環境科学研究所次長 ガソリン車につきましては、ご存じのとおり、三元触媒ということで普及されておりますけれども、ディーゼルについては、現在のところ普及は進んでおりません。

○谷口委員 効果のあるシステムもなかったわけではないけれども、それは普及していないと。ところが、車検場ではちゃんとパスしているんですよ。一台パスしますと十台がオーケーなんです。どういうふうにしているかというと、あるそういうシステムをつけた写真を撮って、この車、この車、この車、九台これと同じものをつけてますという証拠写真があれば、一台がパスすれば全部オーケーなんです。その装置が果たしてNOx を落とす力があるのかないのかというのはーーここが問題なんですね。
 質問してもいいんですけれども、質問すると非常に専門的な答えになってよくわからないから、端的にいえば、ディーゼルの発火をさせるときに、圧縮をして着火をして出力が出るわけですね。ところが、それを最高限度に圧縮するとNOx がたくさん出ちゃう。ここは私、技術者じゃないからよくわかりませんけれども。ところが発火のポイントをもう少し圧力が低いうちに発火させてしまうと、NOx が落ちるということのようなんです。
 それで、そういう関係者からお話をちらっと聞きましたところ、車検を取るときには、発火ポイントを少しずらして、NOx が出ないポイントで発火をさせる。何か知らないけれども器具をつけておいて、この器具の効果があったから低減したんだというふうに考えるようになっているらしいんです、これ。確証はありませんので、また東京都がそれを調査しに行くわけにもまいりませんから、それ以上のことはいえませんけれども。だからと私はいいたいわけですけれども、だから車は多くなっても少なくなっても環境は変わらない、NOx 環境は変わらないんだという結果に終わっているんじゃないかなあと、こう思っている。つまり、技術は、いわゆるシステムの技術が進歩していないのに、規制値は規制されていることになっている。ところが現実は、幾ら規制しても変わらないからくりがあると考えざるを得ないような状況がそこにあるということなんです。
 このことを東京都がどうこうしようといってもしようがないんですが、やはりそういうふうなものであった場合には、そういうことであったとしたら、これは重大な犯罪行為にもなりそうな、そういう気がしてならないわけでございます。したがいまして、東京都が規制をすれば、果報は寝て待てで待っていたら、だれかがやってくれるだろうというふうに思って待っていたら、環境がよくなるかどうかということについては、私は余り期待が持てないんじゃないか。東京都がここまで厳しく規制をするというんであれば、都が本気になってそういうシステムを学際的あるいは行政も加わって開発をするぐらいの意欲がなければ、これ、できないんじゃないかというふうに思うわけでございます。
 先ほどから議論がございましたように、石原知事が投げた一石というものは、今までのところ効果がありました。日本自動車工業会も環境庁も石油連盟も何となくゆらゆらと動きました。ゆらゆらと揺らいだだけです。まだ本当に何も物事の改善が始まったわけではございません。環境庁長官が出かけていって話をしたとかというふうな程度のことでございます。ここで東京都が緩めてしまうと、揺らいだだけで終わっちゃうだろう。大山は鳴動していませんけれども、本当に一過性の出来事で終わってしまうんではないかなというふうに思えてならないわけでございます。
 しかし、私たちとしては、知事がいうように、東京から日本を変えるんだという決意に立つならば、そんな弱腰ではどうしようもない、こう思っている。だから、四月一日以降、環境局が本気になってこの問題に取り組んでいただきたいというふうに希望せざるを得ないわけでございまして、局長、どうですか、その辺は。

○齋藤環境保全局長 DPFの装着を含めたディーゼル車規制について、いろいろ不十分な点もあるんじゃないかと心配もされていらっしゃるということはよくわかりますし、私たちは、その具体的な技術が確定して具体的な規制に入るというやり方ももちろんあると思いますが、このディーゼル車規制でとった対応というのは、むしろ規制というものを明確にする、つまり、目標を明らかにすることによって、技術開発を促していくという手法をとっております。
 幸い、今までのところ、その考え方は間違ってなかったというふうに思っておりますが、今後、この考え方に立って、単なる果報は寝て待てではなくて、積極的に取り組む中で、きちっとディーゼル車規制あるいはDPFの装着も含めた対策がとれることによって、一番の大きな目標は都民の健康を守っていく、浮遊粒子状物質という野放しの状態を何とかきちっとした体制をつくることによって、都民の健康を守るということが最終的な目標でございますので、そのためにとにかく全力を尽くして頑張っていきたいというふうに思っております。

○谷口委員 まさに今局長がいわれたように、技術革新、技術の開発がこの水準までいったからNOx の規制もここまでいこうよというふうに、技術の進歩に追随した形での規制をやってきたのがNOx の歴史であったというふうに伺っております。そんなことではショックを与えられない。何がなんでもやらせるんだというふうな強腰の行政、これも一つの攻めの行政。しかし、攻めの行政は口先だけの攻めであって、本当にもっといいものをつくらせるというそっちの攻めもやってもらいたいというのが私の意見なんでございます。
 もう一つ伺います。ライフサイクルアセスメント、LCAということにつきまして、これはもうご存じのように、製品だとかサービス、それから事業活動全体についての環境負荷の評価手法ということになっております。
 LCA実施に当たっての基本的なルールがISOの一四〇四〇で、環境マメジメント、ライフサイクルアセスメントの一般原則というふうに決められたのが一九九七年六月でございます。このLCAについて、今日本の現状というのはどういうふうになっておりますか。

○梶原参事 一例でございますが、来年施行されることになっております家電リサイクル法、この中では、我が国で初めて製品のライフサイクルをしっかりと意識いたしまして、使用後の段階にまで生産者の責任を拡大したということで、このLCAの考え方が法の形で具現されたものというふうに認識してございます。

○谷口委員 このLCAについて、国だとか東京都がかかわるのは、どんなかかわり方がございますか。

○梶原参事 現在のところ、直接の施策の中で形となったものを申し上げるものを今手元に用意してございませんけれども、例えば、公害防止条例の改正において、現在さまざまな形での環境負荷の低減について検討してございます。こうしたご審議の中でも、環境負荷の低減を考える上で、LCAの観点はぜひとも必要だというふうに私どもも考えてございますし、また今後、都庁がグリーン購入と申しましょうか、環境の負荷の低減を図るために、より環境負荷が低い商品、こういったものを購入したりサービスを受けたりする、そういう選択の過程において、このLCAの考え方、重要な視点だというふうに認識しております。

○谷口委員 ISOの一四〇二〇とISOの一四〇二一というのは、どんな内容ですか。

○梶原参事 大変申しわけございませんが、先ほど先生からご解説をちょうだいいたしました一四〇四〇の解説以上のものは、私の知識にございませんで、申しわけございません。

○谷口委員 私は、これから環境負荷を低減するというふうな場合に、このISOの考え方、いわゆるLCAですね、今は企業の努力に頼っているという状況があると思うんですけれども、日本は公害対策の先進国になっていくということであるならば、本当に企業努力をしている企業を専用したり、いろいろの手法をもって環境負荷を取り除く。ある大企業は、自分の工場からは一切ごみを出さない努力をしているというふうなことが新聞に報道されておりますけれども、そういった努力のしがいのある社会というふうなことをこれから考えていかなきゃいけないと思うんですけれども、改めて、局長にこのことについても一言ご意見を伺って、私の質問を終わりたいと思います。

○齋藤環境保全局長 ライフサイクルアセスメント、LCAについてでございますけれども、これは、今までは、例えば廃棄物のところで環境に対する負荷をできるだけ少なくする、いわゆるポイントといいますか、段階で評価をする、それが企業活動なり人間の活動でどうかという評価が行われたわけですが、それでは不十分だ、いわば事業活動全般を見ると、原料を手に入れてそれを加工し、製品をつくり、運搬し、販売し、そして廃棄に至る、いわば全段階を総合的に評価するという仕組み、これがLCAというふうに理解をしているところでございます。
 いわば、揺りかごから墓場までということになるんだと思いますが、大事なことは、これは企業の先進性の中でそれを取り入れている企業もあるということですが、これをさらに普及させていくということが大事なわけですが、いってみれば、その環境に対する負荷を最小限にするということを市場メカニズムの中に取り込んでしまうというんでしょうか、つまり、それが当たり前の社会をつくっていくということになるんではなかろうかと思います。しかも、それに対するコストというものが、むしろ企業の、何といいますか、収益性というものに当然メリットを与えていくというようなところまで評価されるという意味で、これからこのLCAの考え方というものが環境負荷の低減にとって非常に大きな考え方、柱になっていくんではないかというふうに思っております。
 そういう意味で、先ほど担当の部長から申し上げましたように、私どもも公害防止条例の中でもそういう考え方に立った工夫をしていくつもりでございますが、それ以上に、環境局になることでもございますし、全体として総合的に環境の負荷の低減を図っていくという考え方をより一層徹底させて、この問題に取り組んでいきたいというふうに思います。

○尾崎委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○尾崎委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で環境保全局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後六時一分散会