都市整備委員会速記録第十四号

令和六年十一月二十七日(水曜日)
第六委員会室
午後一時開議
出席委員 十三名
委員長西沢けいた君
副委員長本橋たくみ君
副委員長尾崎あや子君
理事石島 秀起君
理事加藤 雅之君
理事森口つかさ君
松田りゅうすけ君
銀川ゆい子君
平けいしょう君
原田あきら君
斉藤やすひろ君
ほっち易隆君
あかねがくぼかよ子君

欠席委員 なし

出席説明委員
都市整備局東京都技監都市整備局長技監兼務谷崎 馨一君
次長小平 基晴君
技監小野 幹雄君
理事三宮  隆君
理事都市づくり政策部長事務取扱山崎 弘人君
総務部長山崎 太朗君
都市基盤部長特命担当部長兼務長尾 肇太君
市街地整備部長井川 武史君
市街地建築部長飯泉  洋君
多摩まちづくり政策部長澤井 正明君
基地対策部長志村 公久君
連携・連絡調整担当部長調整担当部長事業調整担当部長兼務宮崎  成君
企画担当部長藤原 新君
先端技術調整担当部長DX推進担当部長兼務安東 季之君
まちづくり推進担当部長谷内加寿子君
築地まちづくり推進担当部長高橋竜太郎君
景観・プロジェクト担当部長飯塚 佳史君
まちづくり調整担当部長多摩まちづくり担当部長兼務新良 京子君
まちづくり調整担当部長青木 成昭君
交通政策担当部長物流担当部長兼務佐々木啓文君
航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務土橋 秀規君
地域公共交通担当部長村上 清徳君
防災都市づくり担当部長池内 光介君
耐震化推進担当部長谷井  隆君
多摩ニュータウン事業担当部長今井 徳彦君
局務担当部長安間三千雄君
横田基地共用化推進担当部長土屋 太郎君

本日の会議に付した事件
都市整備局関係
 事務事業について(質疑)

○西沢委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより都市整備局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動及び過日の委員会で紹介できませんでした幹部職員について、東京都技監から紹介があります。

○谷崎東京都技監 十月十五日付の人事異動により、当局の幹部職員に異動がございましたので、紹介させていただきます。
 都市づくり政策担当理事で都市づくり政策担当部長事務取扱の山崎弘人でございます。
 また、去る十月十日に開催されました当委員会におきまして欠席いたしました幹部職員をご紹介させていただきます。
 企画担当部長の藤原新でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
   〔理事者挨拶〕

○西沢委員長 紹介は終わりました。

○西沢委員長 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○山崎総務部長 十月十日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 資料1、都市整備委員会資料の目次をご覧ください。資料は一件でございます。
 一ページをご覧ください。1、横田基地におけるパラシュート訓練の通告状況及びパラシュート訓練に伴う事故の状況(過去五年間)でございます。
 (1)、パラシュート訓練の通告状況及び(2)、パラシュート訓練に伴う事故の状況について、一ページから二ページにかけて記載してございます。
 以上で資料説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○西沢委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○石島委員 それでは、初めに築地まちづくりについてお伺いします。
 築地まちづくりについては、本年四月に事業予定者が決定し、現在は関係機関との協議や、中央区が主催する築地地区のまちづくり協議会での調整、事業予定者選定時に審査委員より付された意見への対応など、関係者が連携を図りながら、基本協定の締結に向けた検討が進められています。
 一方、まちづくり計画を具体化していくためには、まちづくりに関係する都市基盤の整備についても併せて検討を進めていく必要があります。
 そこで、都心と臨海部との連携強化などに資する高速晴海線について、早期事業化に向けた検討状況についてお伺いします。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 都は、二〇三〇年代前半までの早期事業着手を目指し、今後、周辺まちづくりと連携し、高速晴海線の都市計画を変更する予定でありまして、国などの関係機関と連携した取組を推進してまいります。

○石島委員 築地まちづくりでは、二〇三二年に大半の建物が完成する事業者提案となっています。
 まち開き後は、高速晴海線や臨海地域地下鉄の工事期間中であっても、歩行者や車両などの動線がきちんと確保されるとともに、都有地と場外市場が一体となったにぎわいを継続できることが非常に重要であります。この点、地元が安心して生活を送り、事業を営むためにも、ぜひ確認させていただきたいと思います。
 今後、高速晴海線などの工事期間中であっても、円滑な交通を確保しながらまちのにぎわいを維持できるよう、都はどのように取り組んでいくのか伺います。

○高橋築地まちづくり推進担当部長 都は、都有地と場外市場が一体となった継続的なにぎわいの形成が図られるよう、築地まちづくりや高速晴海線などの整備において、地元の意見も踏まえ、工事期間中も必要な動線や空間を確保するよう事業予定者に求めるなど、関係者と連携しながら適切に対応してまいります。

○石島委員 特に高速晴海線の早期事業化が重要であり、整備が遅れることにより深刻な影響が懸念されます。高速晴海線の整備遅延は、都心と臨海部を結ぶ交通網の強化を妨げ、築地地区の経済活性化や、区民、来訪者の利便性向上に悪影響を及ぼす可能性があります。
 さらに、開通と築地市場跡地の開発時期がずれることで、まちが物理的に分断され、住民の移動や物流が困難になり、生活や商業活動に大きな支障を来すおそれがあります。
 また、これにより周辺地域のまちづくりにも影響が生じ、計画的な発展が阻害される危険性があります。
 このため、行政機関と関係者が連携し、円滑な交通確保と持続的なにぎわいの維持を図りながら、持続可能で魅力的なまちづくりを進めていくことが重要です。
 今後も引き続き関係者と連携を図り、しっかりと進めていただくことを要望させていただきます。
 次に、被災建物応急危険度判定について伺います。
 本年一月に能登半島地震が発生しましたが、東京でも首都直下地震が発生する可能性が高いといわれており、二次被害防止のための観点からも早急に応急危険度判定を行うことが重要であります。
 応急危険度判定を実施することで建物やインフラの安全性を確認し、必要に応じて補強や修理を行うことにより、迅速な復旧につなげることが可能になります。
 そこで、二次被害防止の観点からも早急に応急危険度判定を行う必要があると考えますが、判定の実施に関わる目標と、実施体制の取組状況について伺います。

○谷井耐震化推進担当部長 東京都地域防災計画では、民間住宅の応急危険度判定を震災後十日以内で終了することを目標としておりまして、都は、関係団体や実施主体である区市町村と連携し訓練を重ねるなど、円滑な実施体制の構築に取り組んでおります。

○石島委員 一昨年に公表された東京の被害想定では、首都直下地震発生時の建物被害が約十九万四千棟に及ぶ可能性が示されており、このうち民間住宅が相当数を占めると見込まれています。このような深刻な被害に対応するためには、一人でも多くの判定員を確保することが重要です。
 そこで、現在の応急危険度判定員の人数と、その確保に向けた取組状況について伺います。

○谷井耐震化推進担当部長 都に登録されている判定員は、令和六年三月末現在で約一万三千名でございます。
 都は、建築士を対象に養成講習会を開催しておりまして、今年度から建築施工管理技士にも対象を広げるなど、判定員のさらなる確保に向けて取り組んでおります。

○石島委員 一定程度の人数は確保されているようですが、判定員自身も被災者となる可能性があり、都に登録された判定員だけでの対応では限界があると考えられます。
 このため、発災時に実際に活動できる判定員を確保するための具体的な対応策について見解をお伺いします。

○谷井耐震化推進担当部長 被災後も被害状況に応じて必要な判定員を速やかに確保するため、被災していない都内の自治体に支援要請を行うとともに、判定員が不足する場合は、協定等に基づき、近県や国に判定員の派遣要請を行うこととしております。

○石島委員 応急危険度判定は、被災建築物の余震等による倒壊や落下物の危険性を判定し、使用に当たっての危険性を情報提供することにより、被災後の人命に関わる二次的被害を防止することを目的とした制度であり、災害時の都民の安心の確保には非常に有用な制度であります。
 東京は、国内他都市に比べ広範な市街地を形成しており、被害棟数が甚大となることが想定されるほか、多くの高層建築物が存在するなど、東京ならではの特有な課題も抱えています。
 このような状況に対応するため、地震発生時、速やかな判定の実施に向けて、一層の取組を推進していただくことを要望いたします。
 次に、つくばエクスプレス関係についてお伺いをいたします。
 つくばエクスプレスは、国の交通政策審議会の答申において、東京駅の延伸が国際競争力の強化に資するプロジェクトとして位置づけられるなど、首都圏の鉄道ネットワークにおいて、今後極めて重要な役割を担うことになります。将来的な延伸等の実現に向け、経営基盤の強化や利用者サービスの向上等を図っていくことが必要であります。
 そこでまず、コロナ禍を経た現在の経営状況について伺います。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 輸送人員の回復基調が継続し、首都圏新都市鉄道株式会社の令和五年度の一日当たりの輸送人員は前年度から九・七%増の約三十八万三千人、営業収益は一〇・七%増の約四百五十二億円となっております。コロナ前の令和元年度と比較して、いずれも約九七%の水準まで回復しております。

○石島委員 コロナ禍を経て順調に需要が回復しているとのことであり、健全な経営状況であることは評価できます。
 このような状況を踏まえ、以前からの課題であった混雑対策についても、着実にスピード感を持って進めていく必要があります。
 つくばエクスプレスでは、現在、混雑を緩和するとともに、利用者に対して便利で質の高い輸送サービスを提供していくために八両編成化を進めているとのことですが、現在の進捗状況について伺います。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 首都圏新都市鉄道株式会社では、利用者の快適性向上を図るため、二〇三〇年代前半の供用開始を目指し、車両を八両化する長編成化事業を進めております。
 令和五年度末時点で六駅のホーム延伸工事が終了しており、今年度は北千住駅の工事に着手しております。

○石島委員 現在、全二十駅のうち、七駅目のホーム延伸工事に着手しているとのことであります。建築資材の高騰や人手不足等、事業者を取り巻く環境の変化に留意しつつ、着実かつ早期の実現に向けて、引き続き取り組んでいくことが重要です。
 今後も、二〇三〇年代前半の供用開始に向け、遅滞なく事業を推進していくべきと考えますが、見解を伺います。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 首都圏新都市鉄道株式会社からは、車両の長編成化事業について、二〇三〇年代前半の供用開始に向け、計画的に工事を実施していくと聞いております。
 都としては、会社に対し、事業が着実に進捗するよう、状況を適宜確認してまいります。

○石島委員 今後も収益の安定確保と効率的な運営を進め、混雑緩和の対策とサービスの品質向上を計画的に進めていくことが重要です。また、資材調達の効率化や建築資材高騰への対応を講じることも欠かせません。
 こうした中、つくばエクスプレスの東京駅延伸を実現しようと、茨城、千葉、埼玉の沿線七つの市が都心部・臨海地域地下鉄の接続事業化促進期成同盟をこの十二月に設立することが明らかになりました。
 東京駅の延伸を早期に実現するためにはTXの健全な経営が求められますので、今後も都をはじめとする関係者の協力と支援、積極的な取組を要望させていただきます。
 次に、東京BRTについてお伺いします。
 都は、開発が進む臨海地域の交通需要への対応や交通利便性の向上などを目的として、東京BRTを導入しました。
 本年二月には選手村ルートが開通し、事業計画の全てのルートがそろったことにより、都心部と臨海地域を結ぶ交通ネットワークが強化されました。
 利用者の交通利便性のさらなる向上を目指し、速達性や定時性の確保など、BRTの持つ特性を十分に発揮させることが重要です。
 そこで、利用者の交通利便性の向上のためにどのような取組を行ってきたのか伺います。

○佐々木交通政策担当部長物流担当部長兼務 東京BRTは、環状二号線や選手村地区の整備状況に応じ段階的に運行ルートを拡大することで、都心部と臨海地域との移動時間を大幅に短縮させてきました。
 BRTの運行に当たりましては、速達性や定時性について、従来のバスよりも高度な性能を発揮するよう、交差点でBRTの通過を優先して信号を制御するシステムを導入しております。

○石島委員 様々な取組により、臨海地域の交通利便性の向上性につながっていることは分かりました。
 一方、本年五月には、選手村跡地である晴海五丁目西地区のまち開きが行われ、居住者が大幅に増えてきています。来年秋には晴海フラッグのタワー棟の入居が開始するなど、臨海地域の交通需要の増加が見込まれることから、BRTの輸送力はますます重要になってきます。
 そこで、臨海地域におけるさらなる需要増加に対しどのように対応していくのか、見解を伺います。

○佐々木交通政策担当部長物流担当部長兼務 選手村ルートをはじめ、BRT沿線の利用者の増加に合わせ、本年七月と十月には、ピーク時間帯の運行本数を充実させるため、ダイヤ改正を実施しました。
 今後の交通需要が増加する見込みに対して、事業者と連携し、運行便数を検討するなど、必要に応じて輸送力を強化してまいります。

○石島委員 都が東京BRTの導入や、ルート拡大、信号制御システムの導入などにより臨海地域の交通利便性の向上に取り組んでいることは理解できました。
 晴海地区のまち開きやタワー棟の入居に伴い、さらなる交通需要の増加が予想されるため、輸送力の強化が求められます。利用者のニーズに応じた柔軟な運行計画やリアルタイムの運行情報提供、地域住民からの意見や要望を積極的に取り入れることが重要であります。
 都と事業者が連携し、持続可能な都市交通の実現に向けた取組を推進することを強く要望させていただきます。
 次に、舟運についてお伺いします。
 東京には、川、海、運河などすばらしい水辺空間があり、都は水の都の再生に向けて舟運の活性化に取り組んでいます。
 その一環として、都は、船を身近な交通手段として使う取組を推進するため、立ち上げ期の運航を支援する補助制度を創設しています。
 この補助制度を活用し、令和五年十月より、日本橋—豊洲間、五月より晴海—日の出間の二つの航路が運航されています。航路の運航情報はホームページなどでも周知がされており、利用者は一定程度いるものの、最近は空席が目立つ便もあると聞いています。
 この二つの航路の利用者を増やすため、どのような認知度向上の取組を行っているのか伺います。

○佐々木交通政策担当部長物流担当部長兼務 認知度向上のため、都と事業者が協力して、船着場周辺の企業や居住者へのチラシの配布、公共施設へのポスター掲示を行うとともに、約四万五千社が登録するスムーズビズのメールマガジンなどを通じて運航情報等を発信するなど、PR活動に取り組んでおります。

○石島委員 多くの都民に知ってもらうよう、都が認知度向上に積極的に取り組んでいることは理解できました。
 一方で、新しい通勤スタイル、ライフスタイルの一つとして、船による移動という新たな選択肢を増やすためには、舟運の将来的なネットワーク化を念頭に、まずは船着場へのアクセスや周辺の開発状況などについて、現況をしっかり把握することが必要であるというふうに考えます。
 このような現状把握などの調査を進めていくべきと考えますが、見解をお伺いします。

○佐々木交通政策担当部長物流担当部長兼務 今後、日常の交通手段として舟運をより充実させるため、国内外の事例を収集するとともに、都内の各船着場について、鉄道駅など他の交通機関との接続性や周辺の土地利用の状況などを調査してまいります。

○石島委員 多くの都民に舟運を知ってもらい、その利用を促進するために都が認知度向上に取り組むことは重要です。
 舟運を新しい通勤、ライフスタイルとして根づかせるためには、現状の把握と調査が不可欠です。各船着場へのアクセスや周辺の開発状況を調査し、利用者のニーズを把握した上でのサービスの改善、舟運のネットワーク化と他の交通手段との接続性を高めることで利便性の向上が期待できます。環境に配慮した運航方法の導入や地域イベントとの連携も有効です。
 これらの取組を通じて、持続可能な都市交通として舟運の利用促進が図られるよう、引き続き着実な取組を推進するよう要望させていただきます。
 次に、荷さばきスペースの確保について伺います。
 都心部においては、交通量などの問題から、路上の荷さばきスペースを十分に確保することが困難で、物流事業者の円滑な集配送業務に支障を来しています。
 今年七月から、東京物流ビズの取組の一環として、物流事業者が無償で使える荷さばきスペースの提供が開始されました。これは、物流事業者の円滑な集配送につながる取組であります。
 一方、現在の設置場所は住宅地が中心となっており、都心部には設置されていません。都心部には設置できる場所が少なく、様々な課題があることは承知していますが、ぜひ積極的な取組をお願いしたい。物流事業者などからも切実な要望が寄せられています。
 そこで、貨物車駐車スペース提供事業について、都心部において拡充すべきと考えますが、見解を伺います。

○佐々木交通政策担当部長物流担当部長兼務 円滑な物流の確保に向け、集配送の効率化を推進することは重要でございます。
 今後の設置箇所につきましては、利用状況等を踏まえ、都心部においても公共駐車場の管理者と連携して適地を探すなど、検討、調整を行ってまいります。

○石島委員 道路での荷さばきスペース不足が物流事業者の業務に深刻な支障をもたらしています。
 今年七月から、東京物流ビズの一環として無償で提供されている荷さばきスペースは、評価はされていますが、現状では都心部以外にしか設置されていません。今後、都心部でも荷さばきスペースを確保するために、公共駐車場の管理者との連携を強化することに加え、空きスペースや未利用地の活用、一時的な荷さばきエリアの設置など、新たなアプローチも検討すべきです。
 物流の効率化と円滑化は、都市の経済活動にとって不可欠であり、関係者が協力し合って取組を進め、住民と事業者双方の利便性を向上させることが求められます。引き続きの積極的な取組をお願いいたします。
 一方、タワーマンションなどの大規模な共同住宅では、近年、宅配需要が増加しているにもかかわらず十分な荷さばきスペースがないことから、路上もしくは近隣の駐車場から配送されるケースが多くなっています。
 また、国においても現在、駐車場政策の在り方を広く検討しており、共同住宅の荷さばき駐車施設についても議論がされていると聞いています。
 都においても駐車場条例の改正が必要ではないかと考えますが、そこで、共同住宅における荷さばき駐車施設についてどのように考えているのか、見解を伺います。

○飯泉市街地建築部長 共同住宅での荷さばき駐車施設の設置に向けまして、都は現在、実態調査や業界団体へのヒアリング等を実施しております。
 今後、国の検討結果も参考に、課題を整理した上で、具体的な対応を検討してまいります。

○石島委員 今後の国の動向を踏まえ、共同住宅の荷さばき駐車施設の設置に向けて適切な対応を進めることが重要であります。
 こうしたことを踏まえ、広域的かつ持続性のある駐車場政策を進め、共同住宅における荷さばき駐車施設の設置を推進するとともに、地元住民や事業者との協力を強化し、安全で効率的な配送環境の整備に努めることを要望させていただきます。
 最後に、外堀の水辺再生に関する取組についてお伺いさせていただきます。
 現在、再開発が進められている日本橋では、首都高の地下工事が進められ、部分的ではありますが、日本橋川から青空を眺めることができるようになりました。
 二〇四〇年には、同区間の高架部分が全て撤去され、親水護岸や船着場など、水辺に近づける魅力ある都市景観が形成されますが、そのためには日本橋川の水質浄化が重要であります。
 水質の改善は、上流にある神田川や外堀などと一体に取組を進めていく必要があります。外堀では、アオコの発生による景観の悪化や異臭などの問題が生じていることから、東京都では外堀の水質改善に向けて取組を進めています。
 そこで、外堀浄化に向けた取組の進捗状況についてお伺いします。

○新良まちづくり調整担当部長多摩まちづくり担当部長兼務 都は、外堀の水質改善に向け、下水再生水と荒川河川水を玉川上水路などを経由して導水する概略ルートなどを定めた基本計画を令和四年度に公表しました。
 現在、この計画に基づき、関係局が連携の上、導水路などの基本設計を進めております。

○石島委員 水はつながっているため、上流での水質改善の取組は重要です。事業完了まで長期間となりますが、早期の整備完了を目指していただきたいと思います。
 下流の日本橋川周辺では、まちづくりと連動した水辺の再生が求められており、水辺の再生には良好な水環境が必要であると考えます。
 そこで、日本橋川の水質状況と外堀浄化の取組との関係について、都の認識を伺います。

○新良まちづくり調整担当部長多摩まちづくり担当部長兼務 日本橋川は、潮の満ち引きの影響を受ける感潮河川であり、想定される川底に堆積した汚泥と海水の反応などにより悪臭が発生している箇所も見られます。
 都は、首都高日本橋区間の地下化に合わせ、日本橋川沿いの水辺に顔を向けたまちづくりに取り組んでおり、にぎわいのある親水空間の創出に向け、日本橋川の水質改善への取組は重要と認識しております。
 外堀浄化の取組により、日本橋川などの水質改善にも一定の効果が期待されます。

○石島委員 日本橋川の水質改善への取組は重要であるとの答弁がありましたが、地元の中央区や千代田区でも、まちづくり団体などと連携して、環境改善機能がある石炭灰を日本橋川の河道内に設置するなどの取組が活発化しています。しかしながら、区やまちづくり団体の対策では、その効果が限定的となることが想定されます。
 そこで、日本橋川の水質改善に向けて、都は地元とどのように連携を図っていくのか、見解を伺います。

○新良まちづくり調整担当部長多摩まちづくり担当部長兼務 今年度は、日本橋川を対象に、河川環境の改善や親水空間づくりなどに向けて、日本橋川の賑わい創出に向けた検討会を立ち上げました。
 この検討会には、地元の中央区と千代田区も参加しており、日本橋川周辺の地域の歴史や文化、緑を生かした水辺のにぎわい創出に向け、有識者や庁内関係各局、地元区などと連携しながら検討を推進してまいります。

○石島委員 外堀と日本橋川の水質改善に率先して検討を進めていることは分かりました。
 外堀の水質改善はもちろん、日本橋川の水質改善も必要であり、首都高の地下化によるまちのにぎわいには極めて重要であります。
 日本橋川の水質改善を効果的に進めるためには、先進的な技術や環境保護の最新知見を活用することが求められます。また、地元住民や事業者との協力を強化し、定期的な情報共有や意見交換の場を設けることで、地域全体で一体となった取組を推進することが大切であります。
 外堀浄化に加えて、広域的かつ連続性のある水域に対し、外堀と日本橋川の水質浄化が一体的に進められるよう要望しまして、質問を終わります。

○森口委員 東京は世界の都市間競争に打ち勝ち、国際競争力が低下を続ける日本全体を牽引していく重要な役割を担っています。
 本年令和六年は東京五輪から三年がたち、大会レガシーである持続可能性や多様性、包摂性にあふれた活力とゆとりある高度成熟都市の実現に向けた取組が本格化しています。
 東京が将来にわたり世界から選ばれる都市であり続けるため、どのようなまちづくりが計画をされているか、東京の将来を象徴する再開発の取組について確認をしていきたいと思います。
 過去を振り返りますと、アジアで初めてオリンピックが開催された一九六四年の東京大会では、国立代々木競技場や日本武道館といった競技会場の整備に加え、首都高速道路、東海道新幹線、東京モノレール、地下鉄網の整備、環状七号線の建設など、交通インフラの大規模な整備が行われました。
 また、米軍施設であったワシントンハイツ跡地は選手村として活用がされ、その後、代々木公園として整備がされ、現在では都心の緑のオアシスとして多くの人々に親しまれているなど、象徴的な五輪レガシーであります。
 一九六四年の東京大会は、高度経済成長期の人口急増とともに、新宿副都心の再開発や高層ビル群の建設など、東京の近代化、国際化を大きく推進をすることになりました。
 その後、グローバル化が急速に進み、人、物、資本が国境を越えて自由に移動を続ける現代において、国家だけではなく、都市間の競争がますます激化をしており、今後も東京が世界から選ばれる成熟した都市であり続けるためには、引き続き、人、物、資本を世界から引きつけ、発展を続ける必要があります。
 二〇二一年に二度目の五輪を経験した東京において、その五輪レガシーを踏まえ、東京の将来のまちづくりにおいて、これらの成果をどのように活用し、新たな進化を遂げようと考えているのか、都の認識と具体的な取組についてお伺いします。

○山崎理事 都は、東京二〇二〇大会を契機として、宿泊施設や競技会場周辺の鉄道駅や道路のバリアフリー化、選手村跡地における水素エネルギーの先導的な導入、BRTなどの交通基盤の整備などに取り組んでまいりました。
 こうした取組を大会のレガシーとして今後の都市づくりに生かし、東京のさらなる発展へとつなげ、活力とゆとりのある成熟都市を目指してまいります。

○森口委員 世界に目を向けますと、二〇一二年のロンドン大会においては、メインスタジアムや選手村が開設されたストラトフォード地区など、東部の低所得者の多い旧工業地域の再開発を掲げ、五輪後はアフォーダブル住宅を含む二千五百戸の住宅や大型の商業施設、また汚染され荒廃していた河川や緑が再生をされています。
 そのような東部地域とロンドンの中心部やヒースロー空港など西側をつなぐ全長百キロメートルを超える高速鉄道エリザベスラインも二〇二二年に完成するなど、五輪を契機とし、都市が発展をしてきました。
 このエリザベスラインについては、運営業務を来年五月から東京メトロが担っていくと先日発表がされており、安全性や利便性のさらなる向上が期待されます。
 本年開催されたパリ五輪におきましても、移民の多いパリ北部のサンドニ地区の再開発が掲げられ、アクアティクスセンターやサンドニプレイエル駅の新設、選手村が開設をされました。
 大会後、選手村は、社会住宅を含む二千八百戸の住宅、十二万平米のオフィスや学校など公共施設、また商業施設が生まれ、六千人の雇用が創出される計画となります。
 隈研吾氏が設計をしましたサンドニプレイエル駅は、パリ中心部と郊外をつなぎ、今後、十五号線から十八号線まで新たに四本の地下鉄の延伸が二〇三〇年に向け整備が進められております。
 このように、パリが広域都市圏として発展を遂げるグラン・パリ計画は、五輪を契機に大変加速を今しております。
 東京は五輪を経て、車から人中心のまちづくりの転換やバリアフリーの推進、緑の創出、水辺のにぎわいの創出、鉄道など公共交通のさらなる延伸や整備、デジタル化、スマートシティ化など、世界から選ばれる成熟した都市へと取組を進めています。
 まずは、五輪を契機とした新たなまちづくりとして、選手村や有明アリーナ、アーバンスポーツパークなど、五輪関連施設が整備された東京ベイエリアの未来都市構想について伺います。
 都は令和四年三月、東京ベイエリアについて、未来の東京の都市づくりを強力に推進するべく、東京ベイeSGまちづくり戦略を策定しています。
 ベイエリアにおいて最新のデジタルと先端技術の実装を掲げており、例えば自動運転や空飛ぶクルマなど、新技術が検討をされています。世界の諸都市においても、既にこのような分野について社会実験やまちへの実装が進むなど熾烈な競争が進んでおり、世界に遅れることなく、早急に取組を進めなければなりません。
 そこで改めて、まちづくり戦略に位置づけたデジタルと先端技術について、どのような取組がいつ頃実現するのか伺います。

○新良まちづくり調整担当部長多摩まちづくり担当部長兼務 まちづくり戦略では、自動運転サービスや空飛ぶクルマなどの実装、5Gネットワークやデータプラットフォームの整備などを二〇三〇年度までに、一〇〇%クリーンエネルギーで賄うまちづくりなどを二〇四〇年度までに実現することを目指しております。

○森口委員 ベイエリアにおける新たなまちづくりが実現をすることで都民生活がどのように変わるのか伺います。

○新良まちづくり調整担当部長多摩まちづくり担当部長兼務 デジタル、先端技術の実装により、例えば、ゼロエミッション化された都市での暮らしの下、XRイベントなど新たなエンタメや、次世代モビリティーによる利用者目線のスムーズな移動の実現などが見込まれております。

○森口委員 世界の諸都市においては、デジタルや先端技術の先行した取組が進められております。私も視察をしましたが、サンフランシスコやソウルでは、自動運転タクシーや自動運転バスなどレベル4の取組が既に実現をしています。そのほか、北京やシンガポール、中東ドバイにおいても自動運転の取組が進んでいるようです。
 本年の都のSusHi Techイベントにおいて初めてお披露目がされた空飛ぶクルマについても、中国の深センや広州においては既に実証実験をする区域が設けられるなど取組が進んでおり、予算化も進んでいるというふうに聞いております。
 二〇四〇年度を見据えた東京ベイeSGの未来都市構想において、こういった世界の諸都市に遅れることなく、デジタルや先端技術の実装されたモデル都市を実現していただきたいと要望をいたします。
 そこで、デジタルと先端技術の実装に向けた今後の取組について伺います。

○新良まちづくり調整担当部長多摩まちづくり担当部長兼務 現在、SusHi Tech Tokyoなど、未来のまちをショーケース化する取組が進められております。
 今後もこうした取組をいち早く体験していただきながら、デジタルと先端技術を実装し、世界のモデルとなる未来の都市づくりを進めてまいります。

○森口委員 次に、将来の東京の象徴的なまちづくりの一つとして、ベイエリアと都心をつなぐ接点である築地のまちづくりについて伺います。
 本年四月に事業予定者が決定をし、今後七十年間にわたる定期借地として十九ヘクタールの大規模な再開発が行われていきます。
 まずは現在、どのような施設が建てられる計画になっているのか伺います。

○高橋築地まちづくり推進担当部長 本年四月に選定した事業予定者の提案では、水辺を生かした景観や緑あふれる広場空間に加え、多機能型の大規模集客、交流施設、陸海空のモビリティーが乗り入れる広域交通結節点、世界に誇る日本の食を堪能できるフードホールなど幅広い施設等が計画されてございます。

○森口委員 大規模集客施設など、にぎわい施設や文化施設の整備のほか、新たな臨海地下鉄の新駅や、隅田川や築地川の舟運の整備、空飛ぶクルマのポートの整備など、人々が憩い集う広場や水辺空間をつくり、東京のウオーターフロントの新たな顔を形成していく計画とされています。
 そこで、新たな築地のまちづくりにより都民にどのような価値を生み出すのか伺います。

○高橋築地まちづくり推進担当部長 事業予定者の提案では、国際的なスポーツ大会や大規模コンベンションの開催などを通じて国際的な交流拠点を形成するほか、ベイエリアの活性化に寄与する新たな舟運ネットワークの構築や、世界に向けた日本の食文化の発信などに取り組むこととしてございます。
 今後、事業予定者などと計画の具体化を図り、周辺地域との相乗効果をもたらしながら、東京全体の魅力と付加価値の向上につなげてまいります。

○森口委員 水と緑に囲まれ、銀座から徒歩圏の十九ヘクタールといった大規模な都有地であり、東京全体の魅力を高めるまちづくりが行われることを期待いたします。
 事業予定者として、計十一者の様々な業態の事業者が関わり、民間の力を最大限生かした再開発が進められていきますが、今後の取組について伺います。

○高橋築地まちづくり推進担当部長 都は、本年六月に有識者、都、事業予定者から成るマネジメント会議を設置しており、今後、会議に参加する委員の知見を踏まえ、事業予定者が計画をブラッシュアップしてまいります。
 その上で、今年度末を目途に都と事業予定者等で基本協定を締結し、その後、定期借地権設定契約を締結した上で事業に着手、二〇三二年度には大規模集客、交流施設等の第一期建築工事が完了する予定となってございます。

○森口委員 八年後、二〇三二年度には大部分が完成をし、その後、二〇三八年度に第二期工事が完了する予定であります。都有地として大規模な土地であり、その歴史的、文化的な資源などのポテンシャルを最大限に生かしながら、世界を引きつける魅力的なまちづくりを行っていただきたいと思います。
 次に、築地とともに都心の一等地であるこどもの城や青山病院、国連大学、コスモス青山など、神宮前五丁目地区の四・五ヘクタールの都有地の再開発について伺います。
 令和四年の有識者会議において、令和十一年以内に神宮前五丁目地区のこどもの城を解体し、周辺の都有地と一体活用することを検討してきました。
 その後、昨年令和五年二月から新たなまちづくり案について検討する有識者の会議として、神宮前五丁目地区まちづくり検討会が行われておりますが、現在、神宮前五丁目地区はどのようなまちづくりが検討されているのか伺います。

○谷内まちづくり推進担当部長 旧こどもの城と周辺都有地において、有識者と地元区から成る神宮前五丁目地区まちづくり検討会を令和四年度に設置し、当地区や周辺の状況等についての整理及びまちづくりの基本的方向性などの検討を進めております。

○森口委員 検討会では、有識者の下、神宮前五丁目地区のまちづくりのコンセプトとして、ウエルビーイング、そしてオープン・アンド・フレキシブル、バーチャル・アンド・リアル、この大きく三つのテーマが掲げられております。
 まずはウエルビーイングのフラッグシップエリアとして、緑や歴史や文化、アート、スポーツを体験でき、子供の創造性や社会性を育む公共施設などの意見が上がっております。
 オープン・アンド・フレキシブルとしては、子供や若者、高齢者など、多様な主体にとって、将来の不確実性や様々な社会ニーズを受け止められるような施設や仕組みが検討されております。
 三つ目のバーチャル・アンド・リアルとして、この地域の風土、歴史、文化を生かし、グリーンや環境とデジタル、アートとデジタル、子供や子育てとデジタルなど、デジタルを活用した体験や、世界へ発信する施設、アクティビティーなどが検討されております。
 また、このエリアは五輪においてヘリテッジゾーンに位置づけられて、大会関連施設の周辺地域でもあり、渋谷区においてもこの地域はスポーツや運動を中心としたまちづくりを目指していることからも、スポーツの振興やオリンピックレガシーを引き継ぐ視点も重要とされているようです。
 さらに、オープン・アンド・フレキシブルの視点にもつながる点として、都有地として、経済合理性だけではなく、多様性を大切にするといった観点から、低廉な価格で借りることのできるオフィスやアフォーダブル住宅などの提案も上がっており、小池知事の三期目の公約にも通じる重要な取組であると期待がされます。
 そこで、令和五年二月からまちづくりの検討が続けられていますが、今後の取組について伺います。

○谷内まちづくり推進担当部長 引き続き、神宮前五丁目地区における都有地の一体活用に向け、検討会を運営するとともに、旧こどもの城と周辺都有地の将来像を整理し、具体化に向けた検討を進めまして、まちづくりの方針の策定に係る調査に取り組んでまいります。

○森口委員 まちづくり方針策定に向けては、今年度はこれから検討会を開催されることになります。前回検討会は昨年の六月三十日ですが、議事要旨が公開されておらず、進捗が把握できないため、議事要旨の公開など、都民に開かれた形で方針の策定を進めていただきたいと要望いたしておきます。
 様々な手続を経て、五年後の令和十一年度に事業を始める計画となりますが、都心の一等地の大規模な都有地であり、民間の力を生かしながらも、都がしっかりと関与した形で東京の未来を象徴するまちづくりを行っていただきたいと思います。
 検討会の案には上がってはおりませんが、二〇三〇年カーボンハーフ、二〇五〇年ゼロエミなど、東京の環境施策を世界に強力に打ち出す取組として、都のCO2排出量の約七割が建物由来であることからも、世界に注目される日本の技術を総動員した高層木造建築物を建てるなど、先進的な取組も期待をいたします。
 次に、東京五輪にとって象徴的な地域である神宮外苑の再開発について伺います。
 神宮外苑地区は、五輪のメインスタジアムである国立競技場や東京体育館、神宮球場、秩父宮ラグビー場などスポーツ施設が集積するとともに、聖徳記念絵画館やイチョウ並木、園内の樹木など、緑豊かな都市景観として親しまれております。
 明治神宮外苑は、今から百年前に、国民からの献金、献木などにより創建がされ、現在にわたっても都民、国民から愛される緑豊かな景観であり、その歴史や環境を大切にするべきであります。
 本年九月、都の度重なる要請も踏まえまして、事業者は樹木保全の見直し案を公表しましたが、樹木のさらなる保全や新たな緑の創出にどのように取り組むのか伺います。

○山崎理事 事業者は、施設計画の工夫などにより、樹木の伐採本数を削減する一方、新植する本数を増やし、エリア全体で見直し前よりも樹木の本数を三百本以上増加させるとしております。
 また、四列のイチョウ並木を確実に保全するため、新野球場棟のセットバック幅を大幅に拡大するとしております。

○森口委員 神宮外苑に当たっては、都や事業者が都民、国民の意思に反して一方的に緑の伐採や再開発を進めているとの懸念の声も少なからず上がっておりますが、これまで都は、法令に基づき事業認可の手続を行っており、今回事業者からの公表された見直し案についても、専門家から成る十月の環境影響評価審議会において適切であると確認がされており、環境に著しい影響を及ぼすおそれがあるとは認められず、神宮外苑の緑豊かな環境を大切に承継、継承していく上で、丁寧に配慮がされた見直し案と考えます。
 現在、樹木の移植、伐採作業が進められ、新宿区においては、区道の一部廃止について事業者と協定を締結するなど、事業が動き始めております。
 そこで、今後の取組について伺います。

○山崎理事 事業者からは今後、区道の廃止手続や、ラグビー場の移転整備に伴う独立行政法人日本スポーツ振興センターの財産処分に関わる大臣認可手続などに引き続き、都市再開発法に基づく権利変換計画の認可申請等の手続を進めていく予定と聞いております。

○森口委員 今後、様々な行政手続が進められていく予定でありますが、事業者には引き続き都民の理解と共感を得ながら進めることを求めるとともに、東京二〇二〇大会の重要なレガシーとして、次の世代に引き継がれる東京の象徴的なまちづくりを神宮外苑地区で進めていただきたいと思います。
 最後に、新宿駅と西新宿地区について伺っていきます。
 二〇四〇年代を見据えたまちづくりとして、現在、新宿駅直近地区において、新宿グランドターミナルの実現へ向けたまちづくりが進んでおります。
 まずは、二〇四〇年代へ向けた新宿グランドターミナルの再編に向け、新宿駅直近地区ではどのような公共空間としていくのか伺います。

○井川市街地整備部長 誰もが利用しやすい機能的なターミナルへの再編を目指し、駅の機能更新や民間ビルの建て替えとの連携の下、土地区画整理事業を推進いたしまして、まちの東西をつなぐ人中心のゆとりある空間を創出してまいります。

○森口委員 世界一のターミナル駅である新宿駅とその周辺一帯が再開発をされることで東西の回遊性が高まり、緑とにぎわいある国際交流拠点として、東京全体の発展を牽引するまちづくりが進むことが期待されております。
 新宿では、新宿駅直近地区の再編を機に、駅周辺の民間開発事業も進められていますが、現在の進捗状況を伺います。

○井川市街地整備部長 新宿駅西口地区では、小田急百貨店本館跡地での複合ビルの新築工事や西口広場地下での鉄道事業者による駅改良工事などが進められております。
 また、新宿駅西南口地区では、甲州街道南側で既存ビルの解体工事が進められております。

○森口委員 現在、小田急百貨店が解体をされ、西口から東口のルミネエストやビックカメラなどの建物が直接見通せるようになるなど、目に見える形で工事が進められております。
 そこで、新宿駅直近地区の土地区画整理事業について、現在の状況と今後の取組を伺います。

○井川市街地整備部長 現在、西口駅前広場中央にある地下駐車場の出入口を移設する工事を進めております。また、歩行者の回遊性を高める駅東西を結ぶ線路上空デッキの整備に向けた準備工事を実施しているところでございます。
 引き続き、二〇三五年度の東西デッキと西口駅前広場の一部完成に向けまして、関係機関との連携の下、デッキの製作や架設、広場地下躯体の再整備を着実に進めてまいります。

○森口委員 西口の駅前広場では、東西をつなぐ線路上空の歩行者デッキの仮設に向けた工事が進められているとともに、地上と西口地下をつなぐらせん状の車道が来年一月より閉鎖をされ、また地下駐車場の出入口も閉鎖されるなど、西口駅前広場に流入する車両が抑制され、人中心の緑豊かな駅前広場へと整備が進められていきます。
 この新たな新宿グランドターミナルの再編を軸に、西側の新宿中央公園から東の新宿御苑まで車の流入を抑制し、人中心の緑豊かなにぎわい空間として連続的につながるよう、それぞれの拠点の整備を都としても促していただきたいと思います。
 この新宿駅直近地区とともに、都庁のある西新宿地区の新たなまちづくりも進められております。
 西新宿地区はこれまで、一九六四年の東京五輪の後、高度経済成長期を象徴するビジネス街として発展をしてきましたが、新宿副都心建設から半世紀が経過をし、築三十年から五十年経過した高層ビルが数多くあり、改修などの更新期を迎えております。
 都と新宿区は昨年三月に西新宿地区再整備方針を策定していますが、この再整備方針ではどのような方針が定められているのか伺います。

○新良まちづくり調整担当部長多摩まちづくり担当部長兼務 再整備方針では、二〇四〇年代に向け、新しいライフスタイルの創造、実現を将来像としており、多様な機能の交流、融合を促進する場等を充実させるとともに、ウオーカブルな都市空間の構築などを方針として定めております。

○森口委員 二〇四〇年代に向け、新宿グランドターミナルの再編とともに、駅と新宿中央公園をつなぐ四号街路、公開空地や建物の低層部とともに一体的に再編をすることで、歩行者中心の大規模なにぎわい空間を創出していくことになります。
 この西新宿地区を再整備することにより、都民にとってどのようなメリットや利便性があるのか伺います。

○新良まちづくり調整担当部長多摩まちづくり担当部長兼務 西新宿地区の再整備を行うことで、訪れる多様な人々の交流の促進、新しいビジネスや体験の創出、人が憩い、誰もが安心して楽しく歩ける歩行空間の形成、新しい働き方や過ごし方の実現などが図られると認識しております。

○森口委員 西新宿地区の再整備を先導するため、都議会と都庁の間に広がる都民広場の一部が芝生化されるとともに、将来像を仮想的に体験できるイベントが四号街路周辺や新宿中央公園で実施がされるなど、取組が進められています。
 今後、西新宿再整備方針に基づき具体的にどのように取り組んでいくのか伺います。

○新良まちづくり調整担当部長多摩まちづくり担当部長兼務 学識経験者や行政などの関係者による検討委員会において、道路と街区が一体となった歩行空間の創出などの検討を進めております。
 引き続き、社会情勢の変化や多様な主体のニーズに対応しながらまちづくりに取り組んでまいります。

○森口委員 現在、二〇四〇年度に向け、西新宿グランドモールの道路空間や公開空地、建物低層部に関わる空間の再整備について検討がされるとともに、自動運転バスやパーソナルモビリティーなど、都市基盤の再整備についても検討がされております。
 検討会では、西新宿アーバンロビーや西新宿テラス、ラボといった、多様な人々が滞在し、交流を実現する開かれたにぎわい空間を整備するとともに、現在の四号街路を車両通行不可として歩行空間を広げ、新宿駅西口地下から低速走行の自動運転バスを周遊させることで、道路、公開空地、建物低層部等が一体となった歩きたくなるまちの検討が進められており、東京の新たなライフスタイルを創造する西新宿の再編が大変期待をされます。
 本日は、東京の将来を象徴する再開発計画についてそれぞれ伺ってきましたが、車から人中心のまちづくりへの転換や、緑や水辺のにぎわいの創出、DXやスマートシティ化など、取組をさらに加速をしていただき、世界から人、物、資本を引きつけ、将来にわたって世界から選ばれる都市東京を実現していただけるよう、都市整備局の皆様に改めてお願いをし、質問を終わります。

○斉藤委員 よろしくお願いします。
 私からは初めに、踏切対策について伺いたいと思います。
 平成十六年度、二〇〇四年度ですが、に策定されました東京都の踏切対策基本方針は、鉄道立体化の検討対象区間を抽出いたしまして連続立体交差事業を進めているわけですけれども、策定からちょうど二十年が経過しております。この策定当時、私は国土交通大臣の秘書官でしたが、目黒区の自由が丘駅を視察する大臣に随行したことが懐かしく思われます。
 都は、基本方針の検証のため、昨年度から今年度にかけまして踏切の調査を行ってきたと聞いておりますけれども、まずその結果を伺いたいと思います。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 昨年度から、都内約千四十か所の踏切の現地調査等を行い、ほぼ全ての重点踏切で踏切道拡幅や障害物検知装置の高度化など、早期に実施可能な対策を行っていることを確認した一方、新たな課題が生じている踏切の存在も確認をしているところでございます。

○斉藤委員 今日は、今ご答弁いただきましたが、その新たな課題につきまして議論を深めたいと思っております。
 現方針の策定から二十年が経過し、新たな課題が生じている踏切が存在しているということですけれども、今月十一月に、まさに今月ですね、新たに立ち上がった踏切対策の推進に関する検討会におけるその内容の議論、またその内容、ポイントを伺いたいと思います。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 今回の調査により、歩行者交通遮断量の大幅な増加など、都内踏切の状況の変化が確認されました。
 本検討会では、こうした調査結果や社会情勢の変化を踏まえ、学識経験者の参画も得て、踏切対策の目指すべき将来像や今後の踏切対策の在り方などについて議論を行うとともに、二〇二五年度に目標時期を迎える現行の基本方針について改定していくことを確認いたしました。

○斉藤委員 改定していくということを確認したということです。
 そして、今、ご答弁の中にございましたが、この検討会で、社会情勢の変化を踏まえた今後の踏切対策の在り方について議論があったということですけれども、特に私はウオーカブルなまちづくり、先ほどの東京都における様々なまちの再開発においてもこのウオーカブル、人が中心で歩きやすいというか、回遊を楽しむというか、そういったウオーカブルなまちづくりを推進する国の動向も含めまして、踏切を取り巻く環境はこの二十年間の間に大きく変わってきていると認識しております。
 私の地元であります自由が丘においても、歩行者が安心して歩きやすい環境にしてほしい、また商店街を南北にこの踏切が、こう、線路が路線を分断していますので、この分断する踏切を改善してほしいという声が大きく広がってきております。
 このような地域こそ、鉄道立体化などの踏切対策を進めていくべきと私は考えておりますが、令和五年の第一回定例会の予算特別委員会での質疑や、本年の第一回定例会の本会議での一般質問などで、私もこの道路と鉄道の立体化事業においては、まちづくりと一体となって進めていくべきだと、自由が丘駅周辺の鉄道立体化早期事業化を訴えてきたところでございます。
 そこで、今後、この踏切対策の在り方につきまして、検討会での議論ではどのような意見があったのかを伺いたいと思います。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 検討会におきましては、今後の踏切対策の在り方について、ご指摘のとおり、ウオーカブルの観点を意識した内容を盛り込むことも考えられるといった意見のほか、高齢者、障害者の通行など安全性の観点を踏まえて対策を検討すべきとの意見がございました。

○斉藤委員 私が重視しているウオーカブルの視点についても、また、バリアフリー、まちの高齢者の方や障害の方が安全面などでも歩きやすいというか、安全なまちづくり、そういったことも踏まえて対策すべきだというお声もあることが今分かったわけでございます。
 まさに人中心のまちづくりが重視される時代になったことから、これは車中心から人中心というイメージを私も強く持っているんですけれども、ぜひ検討を進めて、早期に新しい方向に踏み出していくべきであると思います。
 この質問の最後ですけれども、検討会の中で、踏切対策基本方針の改定を行うことについても確認を行っているということですが、今後のスケジュールについて伺いたいと思います。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 今後は検討会において議論を深め、鉄道事業者や地元自治体にも丁寧に意見を聞きながら、現方針の目標時期なども勘案し、検討を進めてまいります。

○斉藤委員 ぜひとも、東京都は、鉄道立体化事業につきましては、まちづくりの方向性が人中心に変化してきている潮流を踏まえまして、車両渋滞の解消よりも、ウオーカブルなまちづくりや地域分断の解消によるまちの活性化、こういった観点をより評価していただきまして、私の地元目黒、自由が丘駅周辺のまちづくりと一体となったこの事業を早期に事業化することを強く要望しておきたいと思っております。
 次に、自転車の利活用について質問したいと思います。
 私は、平成二十一年の初当選以来、一貫してこの自転車の利活用を推進してきた一人でございます。
 自転車には五つのKの特徴があると考えていますが、一つ目のKは、公共交通を補完する移動手段であるKですね。これに加えまして、非常に、お金を払って乗るものじゃありませんから、経済性に優れているK。それから、環境に優しい。そして、健康増進に役立ち、観光振興にも資する。語呂を合わせることが大事なんじゃないんですけれども、そういった観点から、その利活用推進は都民の利益に直結すると考えてきたからであります。
 一方で、この自転車は、歩道という空間では、高齢者や障害者にとっては非常に危険な存在になりがちであることから、自転車は原則車道走行であること、また車道における自転車の通行空間の整備を我が党が繰り返し訴えてきた結果、今では自転車通行空間整備推進計画、こういった計画、しっかりございますが、こうした計画により整備が進みまして、自転車の安全利用条例などの策定もありました。また、改正もございましたが、今では保険の加入義務化やヘルメット着用の義務化などが進んできたことを高く評価するものであります。
 東京都は、令和三年五月に東京都自転車活用推進計画を改定いたしまして、区市町村による計画策定の促進など、着実に取り組んでいると認識しています。
 その一方で、自転車関連事故数は増加してきておりまして、より一層、取組を進めていくことも必要であると考えます。
 自転車事故については、今年の十一月に施行された改正道路交通法で、飲酒運転などの危険な自転車運転に対する罰則規定が強化されたところでもございます。
 このように多岐にわたる施策を都と区市町村、都庁でも様々な部署が連携をしながら取組を継続していくことが重要と考えております。
 そこで、都と区市町村が連携しながら、東京都の自転車活用推進計画の各施策の実効性を高めていくべきだと考えます。都の見解を伺います。

○佐々木交通政策担当部長物流担当部長兼務 計画を着実に推進するため、令和三年度に区市町村や関係機関と協議会を設置し、自転車通行空間の整備などの各施策について、所管部署の取組状況を確認し、情報共有を行いながら、年度ごとにフォローアップをしてございます。

○斉藤委員 かつてこの自転車の政策は、なかなか要となる部局がはっきりしていなかった時期もあると思います。それが今、都市整備局がしっかりと担当の課もありまして、要となっていただいているわけですが、ネットワークは都市整備局、そして道路がつくられるのは建設局が一生懸命整備していく、また安全面については生活文化スポーツ局都民安全推進部など、多岐にわたっている関係部署とこの区市町村等が連携をしっかり進めていただきまして、積極的に自転車の利活用を進めていただきたいと思います。
 また、近年は、通称モペットという、例のペダルつきなんですけれども、これは原付バイクに近いようなものでございますが、まちで最近多く見かけるようになりました。こうした新たなモビリティーがまちにたくさん出てまいります。
 私はいいことだと思いますが、その反面、やっぱり人中心のまちづくりを考えた場合には、歩行者が大変危険な思いをすることも多くなってきておりますので、そうしたモビリティーの活用の在り方も今後必要となるために、この交通安全の観点も踏まえまして、警視庁や生活文化スポーツ局などとも連携しながら、人中心のまちづくりに配慮して検討していただきたいと要望しておきます。
 続きまして、これからは東京の強靱化に関しまして何点か質問したいと思います。
 まず、特定緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化についてであります。
 地元の目黒区にあります環状七号線や目黒通りなど、特定緊急輸送道路につきましては、平成二十三年四月に沿道建築物の耐震化を推進する条例が施行され、翌年の計画改定で沿道建築物における平成二十四年二月末時点での耐震化率が公表されております。
 私も東日本大震災発災後、当時この都市整備委員会の委員でございましたけれども、この耐震化の議論について様々質問させていただきました。
 その後、都でも様々な議論を経ながら、施策を東京都も展開してまいりましたが、そこでまず、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化への現在の取組状況について伺いたいと思います。
 また、この耐震化率が平成二十四年からどの程度上昇したのかを伺いたいと思います。

○谷井耐震化推進担当部長 これまで都は、区市町村等と連携し、耐震改修費用に対して最大九割を助成するなど所有者の取組を促してきておりまして、耐震化率は平成二十四年二月末から一〇ポイント近く上昇し、令和六年六月末は八八・五%でございます。

○斉藤委員 この長年の取組の成果等によりまして、耐震化率が九割近くまで上昇してきたことを評価いたします。大変なご努力だったと思います。
 都は現在、震災時の道路の通行機能の指標である総合到達率というのがございますが、これを九九%以上にするという目標を掲げておりまして、耐震化が進むことでこの総合到達率も上昇してきたと聞いておりますが、この目標達成にはさらなる取組が必要でございます。
 都は、都議会公明党の本年第一回定例会での代表質問も踏まえましてこの改修されていない全棟を対象に、今年の五月から個別訪問を実施していると聞いておりますけれども、取組状況と成果について伺いたいと思います。

○谷井耐震化推進担当部長 地元自治体と連携し、耐震性不足などの約二千百棟を対象に個別訪問を実施し、耐震化の必要性やアドバイザー派遣制度等を改めて周知した結果、耐震化の相談等が多数寄せられ、設計着手につながるなどの一定の成果が得られました。

○斉藤委員 ただいまのご答弁で、個別訪問を行った結果、耐震改修への設計着手につながった事例があるなど、評価したいと思いますが、まだまだ倒壊する危険性のある沿道建築物があることも事実でございます。
 その中でも、区分所有者が多いマンションであれば合意形成が困難であるといった課題があると思いますけれども、耐震化をさらに促進するために、このマンション施策を所管する住宅政策本部とも連携することが効果的であり、その必要があると考えますが、都の見解を伺いたいと思います。

○谷井耐震化推進担当部長 区分所有者の合意形成を支援するため、検討初期から工事まで一貫して対応する専属アドバイザーの活用を促すとともに、住宅政策本部と連携してマンション改修成功事例見学会を実施しておりまして、今後とも連携して取り組んでまいります。

○斉藤委員 私は非常に他局との連携というのはこの事業、とても大事だと思っているんです。いろんなことを取組されております。そういったことをつなぎ合わせながら、ぜひともこの特定緊急輸送道路の沿道の建築物について、一〇〇%を目指して頑張っていただきたいと思います。
 その建物の用途などによって課題も様々異なっておりますので、特にマンションにつきましては、今お話ししました住宅政策本部がその知見やノウハウを有していると考えます。今後、より一層連携を深めていただきまして、建物ごとの課題に応じて効果的に耐震化を進めていただくことを要望しておきたいと思います。
 次いで、強靭化について質問を簡単に、無電柱化について伺います。特に私道の無電柱化についてです。
 地震などの災害時に倒れた電柱や切断した電線が避難や救援の活動、救急活動の妨げとならないよう、特に木密地域におきましては、この無電柱化の推進が重要であると思います。
 地元目黒区におきましても、一部の公道は、東京都の施策なども連携していまして、無電柱化が進んでおりますけれども、私はこの公道に接続する私道も無電柱化をし、面的にその取組を広げていくことが必要であると思います。
 都は、このような私道の無電柱化を支援するための費用助成制度を立ち上げておりますけれども、私道は権利関係が複雑であることから、地権者が無電柱化に合意することも大変困難を伴っていると認識しております。
 そうした観点から、助成制度をつくるのみならず、土地所有者などの理解を深めて、無電柱化の機運を高めていく取組も重要だと思います。
 そこで、この木密地域、とりわけ防災都市づくり推進計画に定める整備地域におきましては、助成制度を活用して私道の無電柱化を推進するべきと考えます。
 都の認識と、目黒区内の取組について伺いたいと思います。

○池内防災都市づくり担当部長 都は、整備地域などにおきまして、私道の無電柱化に取り組む区や土地所有者などに対する費用の助成制度を導入しておりまして、この制度を活用していくためには土地所有者間の合意形成が必要でございます。
 このため、目黒区内の補助第四六号線に接続する私道におきまして、無電柱化の機運醸成や理解促進に向けて個別に土地所有者を訪問し、事業効果の説明などを行っているところでございます。

○斉藤委員 この補助四六号線に接続する私道の周辺というのは、大変目黒の中でも古いまち並みのあるところなんです。西小山駅という駅に接続する商店街や、細い私道が多いところでございますが、都の職員が地元に赴いて直接働きかけていることはとても重要であると思います。引き続きこの取組を頑張っていただきたいと思っております。
 続きまして、都市づくり政策に関連して何点か質問したいと思います。
 デジタルマップの活用についてであります。
 デジタル技術は、東京が抱える様々な都市課題を解決する鍵となります。例えば、都市における風、私は特にビル風に非常に注目しているんですけれども、こういったビル風の問題や災害時の延焼、こうしたものなどは都が構築を進めている3Dデジタルマップを活用して詳細なシミュレーションを行うことで、安全・安心な都市生活の実現に大きく貢献することが期待されるものであります。
 3Dデジタルマップは、都が実現を目指すデジタルツインの基盤となるものでありまして、都市の調査や分析、政策検討のツールとしての活用はもとより、AIなどの技術革新や各種ビッグデータとの連携によりまして、防災対策、まちづくりの推進、環境や観光など、多様な分野でも、誰もが快適な生活を送ることができる新たなツールとして期待されるものであります。
 この3Dデジタルマップの構築と活用は都民生活のさらなる質の向上につながるものでありまして、行政だけでなく、民間事業者や大学など、こういった学術の場面などとの連携によりまして、先端技術も取り込みながら構築を進めていくことが重要であります。
 そこでまず、この3Dデジタルマップの構築についての現在の状況を伺いたいと思います。

○新良まちづくり調整担当部長多摩まちづくり担当部長兼務 都は、令和二年度に学識経験者などから成る産学官ワーキンググループを設置し、3Dデジタルマップの仕様などについて取りまとめ、令和五年度までに区部と多摩部を構築しました。
 令和七年度の都内全域での公開に向け、現在、島しょ部の構築を進めております。

○斉藤委員 都内全域は令和七年度中を目指すということでございます。
 都市の建物、道路、地形などは変化していくものであります。私は地下なんかも注目しているんですけれどもね。3Dデジタルマップが、都が実現を目指すデジタルツインの基盤としての役割を果たし続けるには、データを効果的かつ効率的に更新を行っていくことも重要と考えますが、都の見解を伺いたいと思います。

○新良まちづくり調整担当部長多摩まちづくり担当部長兼務 3Dデジタルマップは適切な更新も重要であり、産学官ワーキンググループにおいて、都による初期整備や更新のほか、民間活力も視野に入れた今後の更新の考え方について取りまとめております。
 引き続き、産学官が連携して取り組んでまいります。

○斉藤委員 この3Dデジタルマップは、構築の先には活用があります。
 将来にわたり、私たちの暮らしを大きく発展させるためには、先ほど申し上げましたビル風対策、災害時の延焼シミュレーションなどはもとより、防災対策やまちづくりの推進など、様々な場面で行政、企業、都民がこの3Dデジタルマップを活用し、東京都全体にデジタルツインを浸透させていくことが必要だと考えます。
 今後は、多様な主体が自由にデータを活用できるよう、オープンデータとしての公開を続けていくとともに、都庁内の組織や、分野を横断したさらなる協力体制を築いていくことを期待しております。
 また、これは本会議の一般質問、代表質問でも取り上げておりますけれども、地下の埋設物、これは東京都というのは地下に様々なインフラがあるわけですが、それを、道路の中に埋まっているものをデジタル化して分かりやすくしておけば、いろんな方が、例えば技能を新しく身につけるような方が、開かなくても、そのデジタルの情報を見ながら技術を磨くこともできたりするということで、また強靱な都市の事前復興の計画をつくる上でも、こういった地下のデジタル化なんかも大変重要だと私は考えております。
 国の方も、経済産業省などが音頭を取って、資源エネルギー庁が中心となっているようですが、通信のいろんなものですとか、あるいは上下水道のものとか、様々なものが地下にありますけれども、こういったことは国と連携してしっかり進めていくことも大事だと思っておりますが、さらなる連携を期待して、次の質問に移りたいと思います。
 次に、脱炭素の問題であります。
 東京が世界から選ばれる都市として持続的に発展、成長していくためには、都市の魅力や活力を高めるため、都市開発を推進していくことは非常に重要であります。
 一方で、人口減少や気候変動危機という局面で、将来に向かって持続可能なまちづくりを進めていくことも重要であります。
 現在、東京における大規模な開発に当たっては、この脱炭素化の取組が求められております。
 都議会公明党では、これまでも、都民の安全・安心を確保しながら、東京が持続的に成長し、国際競争力を高めていくためには、良質な都市再生プロジェクトを誘導し、地球環境への配慮と便利で豊かな社会生活の両立を確立していくことが必要だということを主張してまいりました。加藤理事がこれは審議会でも発言をしておるところであります。
 都市の魅力や活力をさらに高めるまちづくりとこの脱炭素化の取組を両立させていく必要があると考えますけれども、都の見解を伺いたいと思います。

○飯塚景観・プロジェクト担当部長 安全で快適な都市の実現には、環境に配慮しながら、活力やにぎわいの創出、防災性の向上、緑の創出等を進める優良な都市開発が必要でございます。
 都は、都市全体の環境負荷の低減を目指し、再生可能エネルギーの利用拡大や先駆的な技術の普及促進にもつながるよう、今後とも民間の都市開発における積極的な脱炭素化の取組を誘導してまいります。

○斉藤委員 地球環境と便利で豊かな社会生活の両立を目指して、優良な都市開発を進めながら、脱炭素化の取組を誘導していくというご答弁でございました。
 大規模な都市開発に当たりましては、最先端の技術等を導入した先駆的な取組を促すことは、それらの技術を社会に広く普及させていくためにも効果的だと考えます。
 そこで、都市開発の中でも、トップランナーとしての役割が期待される都市再生プロジェクトなどの大規模な開発におけるこれまでの具体的な取組について伺いたいと思います。

○飯塚景観・プロジェクト担当部長 都市再生特別地区では、これまで高効率の設備機器や地域冷暖房の導入等により総合的な環境性能の向上を促してまいりました。
 また、可能な限り再生可能エネルギー由来の電力を利用するよう促しておりまして、今月都市計画決定をした池袋駅西口地区では、事業者は、計画建物において使用する電気を原則一〇〇%再生可能エネルギー由来とするといたしております。

○斉藤委員 これまでも最新の環境技術を活用した脱炭素化への取組を求めてまいりましたし、直近のこの池袋駅西口地区ですね、再生可能エネルギー由来の電気を一〇〇%使用する取組をしているという協議をしてきたということでございます。RE一〇〇というふうにいわれるものですね。
 再生可能エネルギー由来の電気を使用することは、脱炭素化に向けて有効であると考えます。
 今後の都市再生プロジェクトにおいても、使用する電気を全て再生可能エネルギーとして調達するよう求めることは、再生可能エネルギー由来の電力を広く普及させていくためにも効果的であると思います。
 今後の都市再生プロジェクトでも、電気につきまして再生可能エネルギー由来一〇〇%を求めていくべきと考えますけれども、都の見解を伺いたいと思います。

○飯塚景観・プロジェクト担当部長 今後の都市再生特別地区につきましては、使用する電気を原則一〇〇%再生可能エネルギー由来とするとともに、その調達方法など実現に向けた取組も含めまして、都市計画提案に反映するよう事業者へ求めてまいります。
 さらに、運用開始後は、提案に当たって協議した取組の履行状況につきまして、毎年報告書の提出を求め、再生可能エネルギーの調達状況を確認してまいります。

○斉藤委員 都市計画提案に反映するって、大変これ重要なことでございます。電気については再生可能エネルギー一〇〇%とするよう協議をして、そして話合いだけじゃなくて実際に都市計画の提案書に記載していく。竣工後は、電力の契約などの履行状況の報告を毎年求めていくことができるわけですが、それで一〇〇%本当に達成されているのかどうかをしっかりと確認できると考えます。
 また、再生可能エネルギーの活用をさらに普及させていくためには、大規模開発プロジェクトにおいて、敷地内での地産地消型の再生可能エネルギー設備の導入に加えまして、適切に設置された敷地外の発電設備で生み出された再エネを積極的に利用することも必要でありまして、この場合でも、先ほどご答弁いただきましたが、取り組むのであれば、適切な方法で調達されていることが事後確認できるというふうに考えます。しっかりと実効性のある取組であることを広くPRしていくべきだと思っております。
 CO2の削減は、再生可能エネルギーの利用によって抑制は可能ですが、大規模開発が環境に与える影響を考えますと、持続可能性の観点から、使用するエネルギーの量自体を抑制していくことも重要な視点だと思います。
 大規模な都市開発によって建設される建物の使用エネルギー量を可能な限り抑制する必要があると考えますが、都の見解を伺います。

○飯塚景観・プロジェクト担当部長 都は、都市再生特別地区において整備する建物の事務所用途部分における使用エネルギーを基準値から五〇%削減するZEBレディーの基準を達成するよう事業者に求めております。
 また、AI技術による機器の制御や次世代型ソーラーセルの導入等、今後の技術革新の積極的な採用や地域冷暖房など、エネルギーの面的な利用による周辺の建物も含めた使用エネルギー量の削減等について協議をしております。

○斉藤委員 ありがとうございました。
 都市再生プロジェクトなどの大規模な都市開発におきましては、そのスケールメリットを生かすことによって、日進月歩の最新環境技術の採用による脱炭素化への取組も求めながら、必要な市街地の更新を進めていることが今の質問のやり取りで分かりました。
 大規模な都市開発が先導役となって高水準の脱炭素化の取組を積極的に導入していくことによりまして、一般的な建物にもそれが波及していく、高い環境技術や再生可能なエネルギー利用が普及拡大していくことが期待されるわけであります。
 かつては高額だったLED照明につきましても、都市再生プロジェクトなどが先駆的に取り入れたことで今では大変社会に普及しておりまして、価格も下がっております。今では一般家庭でも使えるなんていうことは皆様よくご承知のことでございます。
 今回確認できました再生可能エネルギー調達やエネルギー使用量そのものの抑制、最新の環境技術に加えまして、私は、今後対応が求められる新たな方向性としては、例えば建設資材ですね、どういった資材を使っていくのか、またつくるときに、つくる責任という中に、施工方法による脱炭素化についても民間事業者から先駆的な取組が提案されるよう、都が積極的に政策誘導していくことを要望して、最後のテーマに移りたいと思います。
 最後のテーマは、外堀の水辺再生プロジェクトについてであります。
 都議会公明党は、水の都東京の再生を目指して、外堀や、その下流に当たる日本橋川、先ほど石島理事からもお話ございました日本橋川の水質改善に向けて、下水再生水の供給余力や、荒川の河川水を玉川上水などの活用により導水することをいち早く提言してまいりました。
 外堀の水辺再生事業は、今や水の都である東京の観光政策の柱として、大事な政策となっているところでもあります。
 この水質改善に向けましては、都心に位置する外堀まで荒川や玉川上水などからの導水施設を整備するといった、大変これは長期にわたる難度の高い工事だと思いますけれども、こうした工事が必要となると推察されますが、事業を円滑に推進していくためには、そういったハードだけじゃなくてソフトも含めた、この両面の対策が不可欠だと考えます。
 まずソフト対策といたしましては、大変息の長い事業に対しまして、事業の対象となる外堀を身近に感じてもらう取組が有効であると思います。
 そこで、都民や地元住民に対して外堀を身近に感じてもらうため、どのような取組を行っているのかを伺いたいと思います。

○新良まちづくり調整担当部長多摩まちづくり担当部長兼務 令和四年度より、地域の小学生を対象に子供向け勉強会を開催し、外堀の歴史的価値や維持管理の大切さを伝える授業や現地見学を実施しております。
 令和六年度は、スタートアップとの協働により、外堀の魅力を体感できるイベントを現地で四日間開催し、延べ七千人を上回る来場がございました。

○斉藤委員 スタートアップ企業との協働といった新たな情報発信手法を取り入れたことを評価したいと思います。私も見させていただきました。大変ライトアップ、きれいで、私、近くに住んでいたこともあるんですけれども、隔世の感がございました。
 今後も多くの方に外堀を身近に感じてもらえる効果的な取組を続けていただきたいと思います。特に大変息の長い事業ですので、子供たちに関心を持ってもらって、そして、自分が子供の頃、確かに始まったんだけど、今度大人になったあなたが子供にそういうことを語るみたいな、そういう息の長い事業だと思いますけれども、今の小学生、大変に勉強していますので、地球のことを思っている小学生が大変増えていますので、そうした子たちにも小学校などを舞台にぜひ進めていただきたいと思うわけであります。
 次に、ハード対策でありますが、ハード対策としてこの水質改善に向けた導水施設の整備に関しては、地下埋設物のふくそうなど多くの課題が懸念されるため、関係者との協議は不可欠でございます。
 そこで、導水施設の整備について、現在の取組状況と今後の取組について伺いたいと思います。

○新良まちづくり調整担当部長多摩まちづくり担当部長兼務 現在、導水施設の配置に関する管理者協議を進めるとともに、将来の維持管理の在り方について検討しております。
 今後、施設整備計画を具体化し、庁内関係局や国、地元区とも連携の下、人々が憩う外堀の水辺再生を着実に推進してまいります。

○斉藤委員 都心部において新たに施設を整備していくことは課題も多いと思いますけれども、これまで各局で培ってきた都市インフラ整備の技術力を大いに発揮していただきたいと思っております。
 今後も、ソフト面とハード面のその両面から着実に外堀の水辺再生事業を推進していくことを要望いたしまして、私の質問を終えたいと思います。

○西沢委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後二時三十七分休憩

   午後二時五十五分開議

○西沢委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○原田委員 本日は、事務事業質疑に当たり、善福寺川地下調節池計画がどのようにしてつくられたのか、そして、さきの議会で検討開始が表明された第五次事業化計画について、最後に神宮外苑再開発における行政と三井不動産との不透明なやり取りについて質問させていただきます。
 まず、善福寺川地下調節池計画です。
 冒頭申し上げますが、この計画は、そのずさんな計画策定及び強引な進め方により、むしろ善福寺川の水害対策が絶望的に進まなくなってしまう問題について、質疑の中で明らかにしていきたいと思っています。
 二三年八月、都市整備局から原寺分橋付近二十五軒が突然の立ち退きをいい渡され、西荻の関根文化公園や成田西の通称ロケット公園では、今まで緑豊かな公園だったものが、工事中は工事ヤード、事業後は大きな事務所棟となり、自然も景観も破壊されるという計画が持ち上がりました。
 反対運動というより、一体何が始まろうとしているのか知りたいといった説明会を求める運動がそこから始まり、地域にこの計画が知れ渡るようになったのは、八月の公表から二か月ぐらいたった十月ぐらいでした。十一月には都市整備委員会に報告が行われ、素案が案となることを知った地域住民は署名活動を始め、二週間で一万人分の署名が集まり、その後、短期間に一万数千筆と膨れ上がりました。
 そうした声も無視し、計画発表からほんの半年、二月には都市計画審議会で都市計画決定が一気に行われてしまったわけです。たった半年で、人生設計が狂わされたといって過言でない。住民の怒り、分かりますか。
 都市整備局は、まるで建設局のやっていることといいたげですけれども、都市計画決定前に丁寧な住民合意を取り付けなかった責任は極めて重いということを指摘せねばなりません。
 そこでお聞きします。
 二三年八月の素案説明会の通知からこの方、十一月の都市整備委員会への報告を機に素案から計画案に進め、二月には都市計画決定という強引な進め方に多くの都民から、区民から怒りの声を受け取っていると思いますが、都市整備局は今回の事業に対する住民合意は得られたと思っているのか。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 計画に対して様々なご意見があることは承知しております。
 本調節池の都市計画手続に当たりましては、都市計画素案説明会後、計画案を策定し、杉並区の意見を聞いた上で、都市計画案の公告縦覧、意見書の提出を経て、都市計画審議会で審議され、その上で三月に都市計画決定をされております。
 また、令和二年五月に、浸水被害軽減のため、杉並区から都に調節池の早期整備の要望をいただいているところでございます。

○原田委員 様々な意見があることを、都市整備局も認識しているということは分かりました。
 それこそ、どんな反対があってもおおむねの理解を得ているといってはばからない都市整備局にしては、耳を傾けざるを得ないほど大きな住民の声が届いているんだなと答弁から分かりました。その上で、区からは合意を取り付けているといったような答弁がありましたが、そこは見過ごせません。
 杉並区は、二年前に落選した区長が、それまで都と共に計画を水面下で進めてきてしまった経緯と、これまでつくってきた上位計画があるために進める立場を変えるには至りませんでしたが、新しい区長の下で異例の意見書を都市整備局も受けているはずです。
 そこには、こう書いてあるわけです。都市計画に際しては、本計画を知らない人が数多くいる。都市計画素案の公表から都市計画決定まで半年ほどしかなく、都は拙速に進めているという意見も多く届いている。地域住民への周知は必ずしも十分でないという住民意見に留意してほしいと、この住民意見に留意して都市計画決定の判断を知事に求めているわけです。
 こうした杉並区長からの、まあ異例の意見ですよね、これを重く受け止めているんですか。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 都市計画手続の中で、区からは都市計画案に対して異議がないとの回答をいただいております。
 そのほか、要望といたしまして、杉並区からの意見書には、住民意見に十分配慮してもらいたい、公園や緑地の利用への影響に配慮していただきたい、グリーンインフラの活用による治水対策を進めていただきたい、代替公園の確保に向け協力していただきたいという要望をいただいているところでございます。

○原田委員 さっきもいったように、上位計画もあるし、これまで前の区長が進めてきてしまったという経緯もありますから、計画をやめろというところまで方針変更はできなかったものの、ほぼこのまま進めてもらっちゃ困るというような意見がついたわけですよね。
 区長のこの意見には、都市計画決定された場合の進め方についても細かく意見がなされており、立ち退きに遭う人たちに取水施設の必要性について理解を得られるよう求めていますし、ちゃんと丁寧な説明をして理解を得られるまで尽くせと。
 湧水の保全まで求めています。今の計画について、都は住民とろくに話し合う姿勢もなく、湧水の保全なんて今の計画では不可能じゃありませんか。
 関根文化公園の代替地整備への協力を求められていますけれども、何かしているんでしょうか。極めて、区長からは、このまま進めてもらっちゃ困ると、かなり強い注文や意見がついたというふうに見るべきだと思うんです。
 代替地の協力については、答弁にもありましたけど、検討しているんですか。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 当局所管外の質問のため当局としてはお答えする立場にございませんが、事業局である建設局からは、現在、杉並区と協力して、公園の利用状況を踏まえ、代替機能の確保などを検討していると聞いているところでございます。

○原田委員 区長が示したこれらの意見や要望は、かなり厳しいものが並んでいるわけです。その受け止めもいいかげんに、まるで区の合意を取り付けたような答弁がありましたが、これは許されない。
 住民と杉並区長は、計画の詳細も決まらない中で、計画推進だけが決まっていくことのおかしさを指摘しています。
 この事業は、立て坑を三つ掘り、いわゆる大深度地下でのシールドマシン工法となります。途方もない建設費用がかかることが予想されています。
 九月にオープンハウスが開催され、やっとシールドマシンの発進基地や、その工事ヤードの大きさ、五日市街道からの大型トラックの入退場ルートなどが明らかとなりました。工事ヤードは、今のせきれい橋からセンター前広場まで延びる超巨大施設となることが分かりました。
 センター前広場には百名近い人たちが訪れるラジオ体操が行われており、その人たちは広場がなくなるのではと心配していましたが、広場は残れど、工事ヤードと車両通路に囲まれた殺伐とした広場にされてしまうことが分かりました。
 また、発表当初、現場の職員が十年ほどといって回っていた工事期間ですが、オープンハウスでは何と十六年だったことが明らかとなりました。すんなりと工事が進んだとして十六年です。
 しかし、オープンハウスでは、立ち退きによる用地買収だけでなく区分地上権の設定が多数あることも分かりました。区分地上権の設定とは、要は、土地は買収しないけれども、地下にトンネルが掘られるので、幾らかの支払いで地下に行政が所有する構造物がつくられることをお互いで確認するものです。これ、二十五件ほどになるんじゃないかということも話が聞こえてまいりました。
 そこでお聞きします。
 工期は十六年とのことですが、用地買収や区分地上権の設定が遅れた場合、その年月が十六年の工期にさらに上乗せになるということで間違いないか。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 これまでも申し上げておりますが、事業者である建設局からは、区分地上権の設定など用地交渉を進めながら、治水効果の早期発現のため事業を着実に進めていくものと聞いております。
 今後とも、事業の各段階において、事業者が地域住民に対し丁寧な説明を行い、住民の理解促進に努めていくこととしております。

○原田委員 工期について明確に語らなかったわけですが、今答弁に区分地上権の設定など、用地折衝を進めながら事業を着実に進めるとありました。つまり、区分地上権の設定が進められないと事業を着実に進められないという答弁にも聞こえるわけです。
 西武線の中井—野方間の地下化事業が行われていますが、もう数年前に終わっているはずのシールドマシンによる工事が、まだ一ミリも動いていません。シールドマシンは、一度走り始めたら止まりませんから、用地買収の見通しが立たないとシールドマシンを動かせないというわけなんです。
 そこで突っ込んでお聞きしますが、用地買収が終わらないのにシールドマシンが掘削開始することはあるのか。区分地上権の取得が終わらないのに、シールドマシンが掘削開始することはあるのか。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 事業の実施工事に関しては、事業者である建設局が所管しているものであり、建設局が判断するものと考えております。

○原田委員 建設局が判断するんで、どうなるか分からないという答弁でしたけど、建設局もそういう答弁だということですか。建設局も分からないんだっていっているんですか。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 繰り返しになりますが、事業者である建設局からは、区分地上権の設定など用地折衝を進めながら、治水効果の早期発現のため事業を着実に進めていくものと聞いております。
 今後とも、事業の各段階において、事業者が地域住民に対し丁寧な説明を行い、住民の理解促進に努めていくこととしております。

○原田委員 だから、今の答弁が全く丁寧な説明じゃないでしょう。
 用地買収とか区分地上権設定が終わらなかったらシールドマシンは走らないんだよねという当たり前のことを聞いているのに、繰り返しになりますがと。その後、丁寧な説明を行っていくって、全然丁寧じゃないわけですよ。
 先ほどと同じ答弁が返ってきましたが、不思議なのは、用地買収についても聞いたのに、答弁は区分地上権の設定がなされないと事業が着実に進まないという答弁だったことです。これはつまり、用地買収が進まなくてもシールドマシンは走るが、区分地上権が設定できないときは事業が進まないといっているようなものなんではないのかなと。
 まさに、地下にシールドマシンが通る土地は、さすがに勝手に掘れないわけです。ここは事前に区分地上権を設定し終えないといけないと。
 そこで気になるのが、シールドマシンを地下に入れるための立て坑の工事です。これは、シールドマシンが動くか動かないかにかかわらず掘ることができるので、その工事だけ先にやってしまうということもできるわけです。そして、その工事ヤードは、もしその後、用地折衝が終わらずシールドマシンが動かないということになっても、その巨大な工事ヤードはそのまま公園に放置されることになるわけです。
 以前に委員会で質問したとき、都はその危険性を否定していません。つまりは、用地折衝が終わらない限り、数十年にわたってロケット公園も関根文化公園も工事ヤードが置かれ続けることになる可能性があるわけです。
 これは建設局に対しての注文になるわけですけれども、用地折衝のめどが立たないまま立て坑建設のための工事ヤード設置は、絶対に行ってはならないと厳しく指摘するものであります。
 住民運動も、今後、この問題に大きく注目が集まっていくと私は思っています。来年の都議会議員選挙はもちろん、国費が入ることが見込まれる事業であり、参議院選挙でも杉並区での大きな争点になるということは加えて指摘しておきたいと思います。
 この計画は、三十万立米の、三十万立方メートルの水を飲み込む計画なんですが、その地域で最も利用の多い公園に取水口を設定したり、近くに売出しを決めていた大きな駐車場があったのに、水面下で進めていたため住民からの情報を得られずに用地取得のチャンスを棒に振るなど、隠蔽体質かつ強引な計画により全く住民合意を得られていません。
 こうした東京都の姿勢も重大に影響し、調節池は数十年にわたって完成する見込みはないといって過言ではありません。これはつまり、善福寺川の水害対策が数十年進まないことを意味します。そうした実態が見えてきた以上、確認しておきたいと思います。
 用地買収や区分地上権の設定が終わらなければ、この地域の水害対策は数十年と進まないことになります。
 都市整備局は、豪雨対策基本方針を持ち、流域対策を推進する責任ある局となりますが、本事業と同時に、武蔵野市の善福寺川排水区や杉並区上流部での流域対策を進めるつもりがあるか。それとも、善福寺川の流域対策は、この地下調節池だけが唯一の対応策となってしまうのかお答えください。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 この地域の流域対策についてでございますが、各主体がそれぞれ、下水道、また河川、それから流域対策、それぞれを併せて進めていくということを考えているところでございます。

○原田委員 ほぼ絶望的にこの地下調節池計画は緊急を要する善福寺川上流域の水害対策にならないことが分かってきた中で、さらに絶望的なのは、東京都がこの計画に固執し、ほかの水害対策を行わなくなることでしたが、今の答弁は、一応、同時に様々な流域対策を各局連携して行っていくという答弁であり、ここにこの問題の解決の糸口があるんじゃないかと考えています。
 その点で確認しておきたいことがあります。
 豪雨時、武蔵野市の合流式下水から善福寺川に雨と下水の合流水が流出していることを都は把握しているか。また、その規模は善福寺川の流量に対し、どれほどの規模と認識しているかお示しください。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 一定の降雨時に、善福寺川の流域である武蔵野市の合流式下水道管から善福寺川に相当量の下水が放流されていることは承知しております。
 善福寺川への放流量は降雨状況により異なるものでございます。

○原田委員 そうなんですよね。善福寺川には、豪雨時、答弁にもあったように相当量の武蔵野市の下水放流があるわけです。合流水放流があるわけです。
 この認識が大事になるのは、善福寺川上流部の水害対策は、何も杉並区内だけで行わなくてはならないのではなく、武蔵野市の広大な区域で行っても効果があるということなんです。
 その点で、善福寺川への放流量について具体的にお聞きしたところ、ちょっと私答弁驚いたんですけど、こんなパネルまで持ってきたのに——雨の降り方で流量は違うなんていう答弁がありました。これはあり得ない答弁です。
 ここに建設局が作成した今年一月二十日付の説明資料がありますが、ここには流量配分図って書いてあるわけですよ。流量配分図って書いてあるんです。一定の量の豪雨が起きたときにどのぐらいの流量が、善福寺川で、局所、ポイントポイントであるかをちゃんと示しているんですよね、建設局はね。こういうのがあって、そこから武蔵野市の下水がどれだけ入っているかって簡単に類推できるんです。
 時間最大七十五ミリの豪雨の際に、どのように地下調節池が機能するかを示しているわけです。これを見ると、武蔵野市から善福寺川への放流量が大変な規模であることが分かりました。
 今回、取水口建設のために二十五軒の立ち退きを迫られる原寺分橋付近までは、毎秒二十トンという、そんなにひどい流量じゃないわけです。その少し下流の、もう一つの取水口である関根文化公園までに何と毎秒百六トンに激増しているわけです。毎秒二十トンだったのが、ちょっと下流に行ったところで百六トンまで激増していると。しかも、その後は、そこまで急激に流量があるポイントはどこにもありません。まさに、原寺分橋付近は武蔵野市からの合流下水の放出口がある場所であり、この流量激増の正体が分かるわけです。
 実は、こうした武蔵野市からの合流水の放流については、何とかしないといけないと自治体間で協議が行われたことがあったのを、都市整備局はご存じでしょうか。
 先ほどの答弁で、河川や下水道の整備と流域対策による総合治水対策の役割を定め——みたいなことをいっていましたよね。下水と建設と都市整が共同して、関係局が連携して推進するみたいな答弁があったと思うんですけれども、そういうのでお聞きしますが、かつて杉並区と武蔵野市の間に下水道局が入り、武蔵野市から善福寺川への下水の流出対策について協議を行っていたことを都市整備局は知っているか。知っていれば、どのような協議だったかお示しください。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 当局は、武蔵野市と下水道局が行った個別協議の内容については把握しておりません。

○原田委員 個別の協議とおっしゃいますけど、善福寺川の水害にとってかなり重大な協議なわけです。先ほど答弁で、下水道局や建設局など、関係局とも連携して総合治水を行うっていっていたので期待していたのに、今の答弁はあまりにも無責任です。
 武蔵野市では、五日市街道の地下に放流幹線を敷設する計画でしたが、その計画が動いていない状況です。一部には、予算上とも、あるいは道路整備が進んでいないことが原因ともいろいろいわれておりますが、真偽のほどは分かりません。
 しかしながら、こうして武蔵野市内を通る五日市街道の下を利用すれば、それなりの対策が打てることが分かってきた。そういう話合いも現実に行われていたと。都市整備局がこの協議を認識されていない以上、恐らく建設局も認識しているか微妙なわけです。
 こうした動きや検討、協議というものを、全く認識しないまま善福寺川地下調節池計画がつくられているのは大変なことなんじゃないですか。それこそ、地下調節池にかけるお金を武蔵野市側の下水対策に充てれば、極めて安い費用で間に合うことだって考えられます。
 そこでお聞きしますが、大まかな数字でも構いませんので、善福寺地下調節池の建設費、幾らと想定されているのか。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 事業者である建設局からは、現在建設費を算定中と聞いております。

○原田委員 もう都市計画決定もされて、オープンハウスもやって、工事ヤードもこれだけ大きなものだ、区分地上権はこれぐらいだ、立ち退きはこれぐらいだ、全部出てきていると。シールドマシンだって、今どきどんなものかぐらいは分かります。ところが、現在、いまだ算定中と。
 これでもう、それぞれの三か所の地域で住んでいる人たち、人生、本当に削られるような、そんな状況にあるわけです。人生設計、狂うような状況にあるわけです。それを、いまだにこんな基本的なことも見えてこないと。
 じゃあこの建設費用が、ちなみに——まあいいや。
 石神井川地下調節池が当初一千億円ほどといわれていたものが、現在、一千三百億円ほどに大幅値上がりしました。同じ三十万立米ですから、恐らく同様の費用がかかるんじゃないかなと。それだけの予算があれば、どれだけの流域対策が展開できるかと。ちなみに、都が流域対策として市区町の取組を補助する制度は一億円に満たないありさまです。
 もっと抜本的に、透水性舗装だったり何だったり拡充して、自治体が行うそうした事業に自治体負担なく都が全額補助するなど、千数百億円のお金をかけるくらいなら、できることたくさんあるわけですよ、水害対策っていうのは意外に。
 それこそ、私の住む成田東地域の水害地域、常襲地域でしたけれども、巨大団地の建て替えの際に地下に五千立米の貯水槽をつくらせました。五千立米ですから、そこまで大きいわけじゃありません。さらに、豪雨時、内水氾濫でマンホールからあふれた下水をグレーチングで一旦地面に飲み込み、それをまだ満杯になっていない川に流すバイパス工事を行ったところ、水害が起きにくくなったわけです。
 これ、この間も例として示しましたが、この水害地域は、水害が起きる箇所よりも高いところの下水がマンホールから湧いてきちゃうわけです。川のようになって、高いところから低い水害地域に水が流れ込んできて水害になっていくんです。つまり、水害地域よりも高いところで下水が湧くというのは下水道に問題があり、配管に問題があって、その問題を解決すれば、これまたかなりのリスク軽減になると思われるわけです。こういう細かい水害の原因が、浸水常襲地域というのには必ずあるんです。それの把握が本当に必要なんです。
 お聞きしますけれども、善福寺川の水害の地域ごとの原因調査、都市整備でも建設局でもしたことあるんでしょうか。委託調査、出したことあるんでしょうか。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 当局においては、そういった調査は行っておりません。
 事業者である建設局からは、区の協力を得て、水害被害について実態を調査していると聞いているところでございます。

○原田委員 本当は、流域対策をつかさどる、豪雨対策基本方針をつかさどる都市整備局こそ、私はそういう細やかな仕事をやらないと駄目だろうと。あるいは、それを自治体にお任せして委託をするとか、そういう話が何でやってこなかったのかなと。でかい計画ばっかりがぼんぼんと出てくると。
 今答弁にあった建設局の水害被害についての実態調査は、被害の実態調査であって水害の原因調査ではありませんよね。
 下水道局は、実は、どの地域でどのくらいの雨だとどれほどの水害が発生するのか、流出解析シミュレーションという調査を委託しています。下水道局です。これを使って細やかに水害常襲地域を調べれば、その区域の対策量を適切に計画することが、把握することができると思います。
 都市整備局は、下水道局の流出解析シミュレーション、知っていますか。善福寺川地下調節池計画は、そうしたシミュレーションなどを最新の技術を生かして計画されていますか。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 下水道局の浸水対策においては、地区単位の流出解析シミュレーションを使用していることは承知しております。
 河川においても、建設局が河川流域単位で解析を行って計画していると聞いております。
 いずれにしましても、それぞれ河川、下水、流域対策と特徴がございまして、それぞれの主体が役割を担いながら、しっかりと連携をしながら対策を施していると、そういう状況でございます。

○原田委員 この流出解析シミュレーション、非常に優れものでして、様々なデータを集めることができると。地区ごとみたいな大きな、そんなシミュレーションではなくて、細やかなことだって行おうと思えばできるわけです。そうしたら、さっきの私の成田東地域の水害対策のように、そんな何億とかなんてかけない、あれは一千万かかっていないんじゃないですか、やったことなんて。
 そういう、今、あと答弁にあった建設局の河川流域単位の解析というのも、これも物すごく大きな範囲の解析ですよね。それだから、今回のような環境負荷や財政負荷の大きい雑な計画が出てきてしまうんです。
 都市整備局は豪雨対策基本方針を策定し、時間八十五ミリの豪雨対策を示した局でもあります。善福寺川地下調節池計画を三十万立米規模の貯留量とした理由や根拠はあるのか、伺います。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 事業者である建設局からは、貯留容量は、年超過確率二十分の一の規模の降雨による流出量から、流域対策や河道による分担を除いた流出量を基に必要な貯留量を算出していると聞いております。

○原田委員 大分難しい答弁だったと思うんですけれども、年超過確率二十分の一の規模の雨というのは分かりやすくいうと、一年間に五%の確率で降るくらいの豪雨のことをいいます。それを河川全体で見て、これだけの水を飲ませれば足りるだろうという計算で考えた計画だということなんですね、今回の地下調節池計画というのは。
 その地域を歩き、その地域の水害がなぜ起こるのか、どうしたら対応できるのかを考えずに、ただ巨額のお金をかけて、そこに住む人々の暮らしも考えずに計画するから環境負荷が異常に大きくなってしまうわけです。民主主義の時代にあって進むはずのない計画です。
 本日の質疑で分かった最大の問題は、善福寺川地下調節池計画は、実は数十年にわたって水害対策が滞り、立て坑を掘り始めてしまえば、東京都が誇る善福寺川緑地の価値を数十年にわたって毀損するばかりの計画だということであります。
 また、各局の連携が全く取れておらず、ずさんで大ざっぱな計画がつくられていたことも分かりました。武蔵野市と杉並区の協議の内容でさえ把握もされていない。それぞれが勝手にこういう計画をどんどんと大きくつくっていくわけです。
 今、環境対策の観点を取り入れたまちづくりを進める専門家、都市計画の大家たる学者の方々がこの計画に注目し、それぞれ問題の指摘や提言を行い、あるべき計画の提案を作成中です。
 立て坑の工事ヤード建設は、いつになるか分からない用地折衝が終わるまで、絶対にこの立て坑の工事ヤード建設、やってはいけないということを重ねて訴えますし、都市整備局が各局をまとめて都市計画を見詰め直す機会を持つことを求めて、次の質疑に移ります。
   〔長尾都市基盤部長特命担当部長兼務「委員長、補足です」と呼ぶ〕

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 都市整備局は、豪雨対策に関わる基本方針を定める立場でございます。この方針に基づき、河川や下水道、流域対策等を所管する関係部局が計画を策定し、総合的な治水対策を進めてまいります。
 それぞれの特徴としては、河川は短時間に大量の雨水を貯留、また下水は汚水の排出とともに降雨量に一定量の雨水を貯留、また流域対策は、河川、下水への雨水の流出を抑えるが、豪雨の対応には限界があるという側面もございます。
 こういったものを組み合わせながら、しっかりと対策を進めてまいりたい、そういうことでございます。

○原田委員 何の補足にもなっていない補足でした。
 改めて、水害というものは——私の質問、聞いていましたか。水害というのは、そんな大きな見地からどおんとつくればいいというものじゃないですよと。特に上流域というのは、どこの河川でもこういう環境負荷が大きくなってしまうわけです。ですから、水害ごとのシミュレーション、そういう機器もあるわけですから、そういうのを丁寧にやれば、もっと安く、そして数十年なんかかからず水害対策ができるじゃないかということをいっているわけです。
 あくまでも一千億円級のこういう工事にこだわる、そういう姿勢を改めていただきたいということを改めて指摘したいと思います。
 次に、都市計画道路第五次事業化計画について質問します。
 都市計画道路とは、都市計画法に基づいて都市計画決定された道路を指し、東京だけでなく全国にあります。その都市の基盤をなす施設としてつくられる道路ですが、その多くが戦後の混乱期に決定されたもので、決定から七十年たつというのに何も進んでいない道路も少なくありません。つまりは、しばらく時間がたって、現実や有効性に乏しい道路が多いというわけなんです。
 見直しも必要といわれていた折、一九八一年に、東京都が全国で初めて都市計画道路の整備において計画期間と目標を明確にした第一次事業化計画を発表しました。これがきっかけになって全国で都市計画道路の建設が喚起をされたわけです。それこそ、選択と集中で道路建設を進める方向にかじが切られてしまったわけです。
 バブル崩壊後も事業化計画は発表され続け、強引な計画の押しつけには全国各地で批判が沸き起こりました。東京都も、第四次事業化計画策定に際して、必要性の検証を表明せざるを得なくなりましたが、発表された結果はひどいものでした。見直し区間は九区間の四・九キロ分、これだけにすぎず、当時千二百キロぐらいまだ都市計画道路、まあ今もそのぐらいのありますよね、そのうち四・九キロ分ぐらいしか見直しにならない。全計画の僅か〇・四%、つまり九九・六%は存続となったと東京都はしたわけです。
 しかし、第四次事業化計画が発表されてからも、道路整備には根本的な矛盾が広がっています。その最大は、そもそも車の利用が減っていることです。
 交通量の実態を東京都環境局資料に基づいて見てみると、自動車走行量の単位である台キロメートルで表わすと、二〇〇二年、約五百五十三億台キロメートルが、二〇一二年には、十年後には三百七十二億台キロメートル、二〇二一年度は約三百四十八億台キロメートルであり、ほんの二十年間で五百五十三億から三百四十八億へと、三八%減少していたことが分かっています。
 都市整備局は、自動車の走行量が一貫して減っているという認識、あるんですか。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 ご指摘の環境局資料は、都の測定データ等に基づき、区市町村道以上の車種別の走行量を推計したものでございます。
 国が公表している道路交通センサスは一般都道府県道以上を対象としており、都内においては小型と大型の自動車で、平成十七年度では約六千九百万台キロ、平成二十二年度では約六千六百万台キロであったものが、コロナ禍であった令和三年度では約六千万台キロとなっております。

○原田委員 減っている認識あるんですかって聞いて、減っているとはいいませんでしたが、わざわざ違う調査データを示していただき、そのデータでも減っていることを教えていただきました。
 私が示した環境局の数字は、区市町村道を含む調査で、要は、細かい道を通る車もデータとなっているのに対して、今、部長がお示しになった交通センサスは、都道府県道とか国道など大きな道路に絞った数字なわけです。それを見てもやはり、二〇〇五年の六千九百万台キロから二〇二一年、六千万台キロへと、十六年間に九百万台キロも減っていることが分かりました。様々なデータで見ても減っているということですよね。
 そこでお聞きします。
 人口減少社会と車離れで車両交通は年を追うごとに減っていますが、車両交通量が減少する中でも道路をつくり続けたがるのは一体なぜなんですか。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 先ほどのご答弁においてでございますけれども、道路交通センサスでも一定程度減っていると。これは、コロナ禍であった令和三年度では約一割程度減っているということをお示ししたものでございます。
 今のご答弁ですけれども、人口減少の時代にあっても活力とゆとりのある高度成熟都市を実現させるには、広域的な交流、連携や災害に強い都市づくり、個性を生かした魅力あるまちづくりなどを支える道路ネットワークの充実が不可欠でございます。

○原田委員 まず、補足で出た答弁についてですけど、部長は自ら二〇〇五年から教えてくれているわけですよ。コロナ禍の前までも愕然と減っているわけです。
 何の答弁だったのかちょっとよく分かりませんけれども、コロナ禍であろうが減っていると。コロナ禍ではますます減ったということです。
 驚くべき回答だと思います。人口減少社会で幾ら車が減っても道路をつくり続けるんだと。人口減少の時代にあっても、活力とゆとりのある高度成熟都市を実現するため、まあ目のくらむような答弁ですよ。
 道路づくりが成熟社会とか答弁しましたけど、活気のあるアーケード商店街が寸断されたり、ハッピーロード大山、閑静な住宅街や、あるいは国分寺崖線のはけなど、豊かな自然が、住環境が破壊されたりと、まさに活力とゆとりのある成熟してきた都市が、都市計画道路の整備で破壊されているんじゃありませんか。
 知事は、これまで我が党の質問に対し、都市計画道路の整備について見直すべきは見直すと答えてきましたが、その答弁は実現されたのか。だとすれば、その根拠を示していただきたい。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 都は、これまでおおむね十年ごとに事業化計画を策定し、その中で都市計画道路の必要性の検証を行い、適宜計画の見直しを行ってきております。
 また、令和元年に策定した都市計画道路の在り方に関する基本方針では、概成道路における拡幅整備の有効性や立体交差計画の必要性等の検証を行いました。

○原田委員 今、答弁で見直しを実施とかいっていましたけど、必要のない隅切りなどを計画から外したり、ちょっとだけ太くする計画を、その部分をやめたぐらいなもので、大した見直しになっていないわけです。これで見直しを行ったというのは、もう逆にほかの道路は全部つくるっていっているようなものなんです。
 全国の事業化計画では、多くの道府県が独自の検証項目をつくって、その基準に合致しない道路を見直しの対象にしたり、あるいは基準を満たした道路を集中してつくるなどしてきました。その基準は自治体ごとに様々ですが、総じて全国では都市計画道路の大幅な見直しが行われています。
 北海道では、基準となる一万二千台の都市計画道路の基準というのは、大体十二時間で一万二千台って決まっているわけですよね。それが計画交通量だと。その一万二千台の交通量のさらに一二五%を基準として、それを下回った道路は見直す、そういう基準を決めました。
 ちなみに東京都は、一日六千台通れば、これを合格ってしちゃっている基準をつくっていましたよね。がらがらですよ。すかすかの道路ですよ。
 それに対して、私が以前、あれは都だったかな、区議会だったかな、聞いたときに答弁に立った人は、スムーズに車が走れるいい道路って答えまして、そんな道路づくりがあるかと思ったわけですけど、大阪では、ピークと予想されていた交通量から将来は七割に減るという予測から、まずその分の計画を削るという方針を固めました。
 京都では、成熟した市街地でのコミュニティの維持など地域特性を生かしたまちづくりに背く都市計画道路の見直しを表明しています。成熟した市街地でのコミュニティの維持など地域特性を生かした、そういうまちづくりを破壊する道路は見直しちゃうと。東京都と真逆です。
 東京都も、住民の側に立った検証項目を今後設けていかなければならないんじゃありませんか。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 都市計画道路は、交通、物流機能の向上による経済の活性化のみならず、都民の日々の生活を支え、現在切迫しているといわれる災害時には救急救援活動を担う重要な都市基盤でございます。
 先日、学識経験者による委員会や都と区市町による検討会を設置したところでございます。今後、検討会等で必要な対応を議論してまいります。

○原田委員 その東京都が用意した学識経験者による委員会での検討というのが、これまで見当違いの結果を引き出してきたわけです、東京都は。
 第四次事業化計画の策定に当たっては、都は四つの基本目標と十五の必要性の検証項目、そして六つの選定項目に基づき優先整備路線を決める根拠にしてきましたが、第五次事業化計画でも同じやり方で選定していくことになるのか。
 そうであるなら、都民や専門家など、広く基本目標と必要性の検証項目、選定項目に対して意見を集めるべきではないか、お答えください。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 平成二十八年に策定した都市計画道路の整備方針の計画期間が令和七年度末までであることから、今回新たな整備方針の検討に着手いたしました。
 先月、学識経験者による委員会や都と区市町による検討会を設置したところでございます。
 今後、検討会等で必要な対応を議論してまいります。

○原田委員 だから、何でその検討会に都民の意見を反映させようとしないのかと。
 今の答弁、都民意見を集めるつもりはないという答弁ですか。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 今回開始した検討会等の議論の中で、必要な手続を検討していくということになろうかと考えております。

○原田委員 その道路がそのまちを破壊したりして、物すごく住民から批判を浴びていたりする。何でこんな道路をつくるんだ、お金の無駄だという声が東京都中でわあっと沸き起こっている。もっと東京都は住民の声を聞いて、必要性の検証をすべきなんじゃないか。当たり前の話でしょう。
 それを今、部長は、都民の声は聞くつもりありませんと。学識経験者の声だけを聞いて検証項目はつくるといいましたが、局長、それでいいんですね。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 現在、検討会は始まったところでありまして、この中で様々な意見の採取の方法等については議論がなされていくものと考えております。

○原田委員 いささか答弁は緩和されたのでよかったですけれども、しっかりと住民の声を聞いて、民主的な検証項目というものをつくっていかないと、本当に持続不可能なまちづくりに成り下がっていきます。
 区民の意見や監視の目を光らせないと、とんでもない計画が出来上がるわけです。例えば、私の住む成田東を通る都市計画道路補助百三十三号線の計画がでたらめです。たった八百九十メートルの道路に百億円以上ともいわれるお金がかかる道路で、閑静な住宅街や旧五日市街道の難所といわれた坂、江戸時代の坂とかがそのまま残っているんです。その岐路に立つ庚申堂、何百年級です。それを守る巨木を根こそぎ削る道路計画に、沿道地権者のみならず、地域住民や町会もノーを突きつけています。
 そこでお聞きしますが、杉並区内の都市計画道路補助百三十三号線を優先整備路線にする際、この道路建設の基本目標はどの項目に該当するとされたのか。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 優先整備路線は、東京が目指すべき将来像の実現に向け、都市の活力や防災性の強化、安全で快適な都市空間の創出などの観点から、重要性、緊急性が高い路線として選定をしております。
 本路線は、住宅街への通過交通の流入が抑制されるなど、地域の安全性の向上が図られることから優先整備路線に選定をしているところでございます。

○原田委員 いろいろご説明いただきましたが、優先整備路線に認定されたのは地域の安全性の向上が図られるからだということでした。
 そこで、この資料をご覧になっていただきたいと思うんです。(パネルを示す)これは、この都市計画道路百三十三号線の測量説明会のときに事業者がパワーポイントで示された資料なんです。そのとき紙の資料も渡されたんですけれども、なぜかこの資料は含まれていなかった、紙の中には。パワーポイントだけだったんです。それをいただきましたが、今回。
 要は、これは何かというと、交通事故が多いので、ここに道路を通すことの必要性をデータで示す資料なんですが、確かに交通事故があったことを示すマークがたくさんついているように見えます。このぽちぽちというのがそうです。このぽちぽち、点々が、よく見てみると、そのぽちぽち、マークの多くが、五日市街道や青梅街道に集中しているわけです。集中しているといって過言ではないと。
 主要生活道路にも事故はたくさんあるかのようにいっているんですけど、視覚的に明らかに少ないわけです、私たちの生活道路のところは、事故が、どう見ても。
 それはそのはずでして、生活道路というのは幹線道路と違ってたくさんあるわけなんです。その中で起きている事故の件数より、幹線道路などの事故の方が膨大に多いわけですから、危ないのは、実は幹線道路、準幹線道路、太い道なんだと。そこで事故が起きるんだということが、逆にこの資料で明らかになるんですね。
 よくもまあこの図を示しながら百三十三号線をつくった方が安全になるなどと説明したものだなと思って、そのときも会場からは苦笑が漏れていたりしていたんですけど、そこでお聞きしますが、事業化計画策定に当たっては、地元自治体の——失礼しました。
 都市計画道路について、杉並区では、住民合意のない都市計画道路に反対を掲げた区長が二年前に誕生しました。この間の杉並区とのやり取りで、都市整備としても、これは一筋縄ではいかないなという印象を持たれていると思います。
 そこでお聞きしますが、事業化計画策定に当たっては地元自治体の意向を聞くことになっておりますが、住民や首長が優先整備路線化に反対したり、既に優先整備路線に含まれているものをリストから抜けと市長がいってきた場合、都は応じるんですか。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 都市計画道路は、交通、物流機能の向上による経済の活性化のみならず、日々の生活を支え、災害時には救急救援活動を担う重要な都市基盤であります。
 新たな都市計画道路の整備方針の策定に当たっては、都と区市町が連携し、協働して進めてまいります。

○原田委員 都と区市町が連携して、協力して進めていくという答弁だったんですが、私が聞いたのは、都市計画道路の整備に際し、住民合意のないものには連携協力しないと自治体からいわれたとき、どうするのかって聞いたわけです。ですが、それにはお答えになりませんでした。ただし、新整備方針の策定に当たっては区市町の意見を聞くということなのだと思います。
 ここに第四次事業化計画における優先整備路線についてという資料があるはずだったんですが、手元にないなと。
 この文書なんですけど、日付、二〇一五年九月となっているんです。ここでは、どの路線がどの選定項目に当てはまるか、その理由を書くことを通知した文書です。この次の年に第四次事業化計画が発表されました。まさに、こうした通知に自治体が返信する際に住民の意見を聞くべきだと思うんです。
 そこでちょっとお聞きしたいんですけれども、前回までは全くそうした都と区市町との協議があったことを住民は知らされていなかったんですが、今後は、都と区市町の協議があったことを、地元行政が何を都と確認したのかなど、私たち住民が知ることは許されるのか。何か法にでも触れるのか、教えてください。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 先ほどもご答弁したとおり、検討会、また学識経験者による委員会等を立ち上げたところでございまして、今後とも都と区市町で設置する検討会等において、今後の手続等については必要な議論をしていきたいというふうに考えているところでございます。

○原田委員 事前の都と行政の協議について明らかにせよといった質問に対して、今後検討という答弁をいただきました。重く受け止めたいと思います。
 この都と区の事前の協議というのは、本当に都民が知らないところで勝手に進められていくんです。
 今回、杉並区の場合は、都市計画道路に待ったをかける区長が誕生したということで、こうした情報がしっかりと住民にシェアされて、東京都から、この間の、十年前の文書のように、この道路、どういうふうに必要だと思っているのかというアンケートを出すわけですよね。出すんですよね。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 繰り返しになって大変恐縮ですが、検討会の中でそういったことについても議論してまいりたいというふうに考えております。

○原田委員 そうしたやり取りが水面下にならないように、ちゃんと明瞭になって、誰からも歓迎される都市計画道路になっていかなきゃ、計画になっていかなきゃいけないと私は思いますし、そういうことができない以上、私は事業化計画なんていうのはやめるべきだと、つくるべきじゃないということを指摘したいと思います。
 最後、事業認可された都市計画道路についても少しだけ教えてください。
 事業認可された都市計画道路でも用地買収がほとんど進まない計画地が幾つもあります。そうした道路計画において、事業認可の際に定めた認可期限内に事業が完了しないことがよくあります。
 この認可期限が来たとき、期限延長を行わなかったとき、その道路計画は一般的にどうなるのか。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 事業認可にかかわらず、決定した都市計画は存続することになります。
 どのような事業手法で進めるかは、施行者が判断するものでございます。

○原田委員 都市計画が存続することは分かりますが、もう一つの答弁はよく分かりませんでした。どのような事業手法で進めるか、あるいは進めないかは施行者が判断するんだということですかね。
 もうちょっと突っ込んでお聞きします。第四次事業化計画の期間である平成二十八年度、二〇一六年からこれまでの間で、認可期限の延長を行わなかった都市計画道路の例が都内にあったか伺います。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 都市計画事業認可の事業施行期間の延長を行わなかった事例はございますが、その後の事業の進め方は施行者が個別に判断しているものでございます。

○原田委員 期限延長しなかった自治体があったと私も幾つか聞いたことがありますけれども、教えてほしいんですが、その期限延長しなかった自治体には、それまで買収した土地の賠償を都は求めるんですか。それとも、つくるつもりはあるんだったら、今までの買収にかかった費用は求めない立場か、教えてください。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 ちょっと趣旨が明確ではない部分はありますけど、用地買収を行った主体が地元自治体である場合は、その責任は自治体がしっかりと取っていくものだというふうに判断しております。

○原田委員 事業認可をされたんだけど、途中で認可期限が来たのに更新をしなかったと。凍結ということになったら、一般的には、それまで都が肩代わりして買っていってあげたわけですよね、その分のお金を、支払いをお願いするのかなと思うんですけれども、今のところ複数あった自治体に支払いの請求していませんよね。どうなんでしょう。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 個別の事例については把握をしておりません。

○原田委員 今後、第五次事業化計画の策定に向けて内部の検討がどんどんと進むと思われますが、改めて、基本目標や必要性の検証項目、優先整備路線の選定理由については、これまでの在り方を抜本的に改め、住民の声や道路行政に批判的な専門家の指摘もしっかりと反映させることを求めます。
 さもなくば、道路計画を見直すのではなくて、全ての都市計画道路をつくるための事業計画に成り下がるわけで、そんな計画は即刻検討中止することを厳しく指摘し、最後の質問に移ります。
 事務事業質疑の最後に、神宮外苑再開発について質問させていただきます。
 新ラグビー場建設に伴い樹木の伐採が始まり、都民の中に深い悲しみとともに、より強く再開発を止めなければいけないという思いが沸き起こっています。
 見直し案で、さらに増えた苦し紛れの移植数の増加も、実は大きな問題を引き起こすことが分かってまいりました。
 先日、私は千葉大学名誉教授の藤井英二郎先生と共に、樹木の移植先となった御観兵榎の森を視察しました。藤井先生は、この森を見て、既に樹木が過密状態にあり、地面の下には隙間がないほど根が生えているはずだ、ここに違う樹木をさらに移植すれば、移植された木の育成もさることながら、既存樹木の根を傷つけることは間違いないと厳しく断じました。つまり、移植すればするほど神宮の自然環境は破壊されてしまうと、かなり厳しい指摘だと思います。
 三井不動産や伊藤忠商事など、大企業の社会的責任が今強く問われるようになりました。都知事選中、伊藤忠商事は声明を出しましたが、そこではこういっています。当社が単独で建て替えをする場合は、現法令の様々な規制のため、現本社ビルよりも低いビルしか建設できないところを、一体開発に参画することで、より大きなビルを建設することが可能となり、東京本社ビル敷地の資産価値が増加します。あけすけに語りました。その利潤が再開発に拠出されることで神宮の緑が守られるかのように語っていますが、本当に再開発事業者を担う大企業の声明なのかと驚きましたよ、私は。
 都市計画法第一条、その目的には、都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もって国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的とすると書かれているわけです。
 超高層ビルを都市計画公園に建てる時点で、もう都市の健全な発展とか秩序ある整備に矛盾する計画だと私は思っていますけれども、間違っても一大企業の資産価値の増加とか宗教法人の懐事情を勘案して、都市計画公園の削除や容積の移転が行われたわけではありません。
 都が示したまちづくりの方針や地区計画決定の際の理由も、にぎわいの創出など貧しいものではありますが、さりとて、それでも公共性が説明できなければ地区計画は策定されず、今回のような第一種市街地再開発も行えないわけです。公共性がないと駄目なんです。
 本来、地区計画は、そのまちの将来を考え行政が作成するものです。ところが、今、外苑再開発は大企業や政治家主導で事が運んできたんじゃないか。私たち日本共産党都議団は、そのことを外苑再開発が社会問題化したそのときから追及してきました。
 改めてお聞きします。地区計画案は行政が作成するものであり、ディベロッパーの利潤追求のために作成されるものではないという認識で間違いありませんよね。それを支える法的根拠は何かもお示しください。

○山崎理事 地区計画などの都市計画につきましては、都市計画法等に基づき適切に対応しております。

○原田委員 何ですかね、ディベロッパーの利潤追求のためじゃないという簡単な答えも口にできないという、何を恐れての答弁なのかなと。多くは語りたくないということでしょう。
 答弁は都市計画法に基づいているというものでした。都市計画法第十五条には、都市計画は都道府県、あるいは市町村が定めると書いてあるわけですよね。もちろん、その都市計画は、第一条の目的にある、都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、国土の均衡ある発展を目指さねばならないわけですが、都市計画公園に超高層ビルが建ってしまいました。景観もまちづくりの秩序も台なしです。
 公共の福祉の増進に寄与するはずが、伊藤忠商事は、本社ビル敷地の資産価値の増加とか、明治神宮の懐事情とかをいい出してしまっているわけです。こうした側面からも、神宮外苑地区地区計画が、三井不動産ら大企業に引きずられてつくらされたものなのではないかと疑われてしまうわけです。
 そんな中、今年四月のNHK首都圏情報ネタドリ!という番組に初めて三井不動産の幹部が登場し、驚くべき証言をしたんです。さらには、NHKが入手したという資料も新事実が書き込まれていました。
 私たちはこの放送を受けて記者会見を開きましたが、今日はその一部分ではありますけれども、初めて突っ込んだ質疑をこの記者会見に基づいて行いたいと思います。
 NHKの情報番組ネタドリ!では、外苑再開発に関わる二〇一三年の資料が映し出され、そこには容積移転、容積評価という文字が記載されていました。
 番組は、超高層ビルをどこに建てられるか検討した資料だと説明していましたが、そんな無邪気な資料ではありません。外苑のどこにビルが建てられるかななんていうものではなくて、容積移転が書かれているとすれば、これは既に二〇一三年の段階で都市計画公園内に超高層ビルを建てることを決めていた資料です。
 いいですか。二〇一三年の地区計画、二〇一三年というのは地区計画ができた年です。できる年。そのときには、もう超高層ビル建てるぞって決めていた。
 この二〇一三年の地区計画は、国立競技場周辺の整備が主となる地区計画でした。それが、不自然に、今回の計画地も包み込むような外苑全体の範囲に区域が広げられていたわけです。まさに、地区計画が民間による都市計画公園への超高層ビル建設をタイミングよくサポートしているように見えるわけです。
 都はこれまで、関係者と都がまちづくりの協議を始めたのは二〇一五年、覚書のときからといってきました。二〇一五年以降なんだと。
 そこでお聞きしますけれども、NHKの情報番組ネタドリ!では、外苑再開発に係る二〇一三年の資料が映し出され、そこには容積移転と容積評価という文字が記載され、さらに、初めてテレビに登場した三井不動産幹部は、当時、三井不動産が地権者らを取りまとめ、超高層ビルを建てることを決めたと、そのテレビの中で証言しているわけです。
 二〇一五年以前に、三井不動産らが超高層ビルを神宮外苑内に建てることを話し合っていたのは事実ですか。改めて伺います。
 そうでないというなら、三井不動産が地権者らを取りまとめ、超高層ビルを建てることを決めたのはいつの話なのか。

○谷内まちづくり推進担当部長 二〇一三年、平成二十五年一月に関係地権者による再整備の検討がスタートしたことは承知しておりますが、その検討会に都は参画しておらず、内容については承知しておりません。

○原田委員 二〇一三年一月にスタートしたっていうのも、私たちが開示した資料から分かったわけですよね。
 二〇一五年以前に外苑の中に超高層ビルを建てることを話していたのかっていう質問には答えませんでした。その代わり、二〇一三年一月から関係地権者による再整備の検討が始まったことは知っているというんですね。
 関係地権者の検討に都は参画していないので内容は分からないとのことでしたが、その地権者の動きに呼応するように、五か月後には神宮外苑地区地区計画がつくられ、驚くべきことに、容積評価や容積移転を行うことができる再開発等促進区を定める地区計画が外苑地区全体に適用されます。
 私が何度かこの委員会で質疑をしていますけれども、二〇一一年までは、都市整備局は、この外苑地区に再開発等促進区を定める地区計画なんていう、まちを根こそぎ変えるような地区計画は導入できないといっていたんですよね。それが二〇一三年には、いともやすやすと、この外苑地区にこの巨大な地区計画を設定してしまいました。
 そして、NHKが入手した資料には、また同じく二〇一三年には、もう容積移転という言葉が記載されていたと。明らかに、都と地権者や三井不動産は連携しているんじゃありませんか。お答えください。

○谷内まちづくり推進担当部長 平成二十五年、二〇一三年六月の神宮外苑地区地区計画の決定を踏まえて、関係地権者等との個別の調整を行っております。
 先ほどのNHKの番組の内容でございますが、私も六月二十七日の記者会見の内容は映像で拝聴させていただきましたけれども、記者からの原田委員へのご質問の中で、この資料、二〇一三年、ただし、取りまとめて超高層ビルを建てたというのが何年か、決めた年は何年かっていうことは、三井不動産は番組の中でいっていませんと、ここは不明だというところは原田委員からお話しいただいたことは確認しておりますので、この場でちょっとご報告させていただきます。

○原田委員 よく見ていましたね。
 そうしたら、もう一度お聞きします。
 二二年八月に都市整備局が作成した神宮外苑におけるまちづくりファクトシートという冊子には、まちづくりの経緯というページがあり、その始まりは二〇一五年の都と関係者によるまちづくりの協議とされ、具体的な内容として、神宮外苑地区まちづくりに係る基本覚書の締結が記載されています。
 これ以前に、都は、事業者と外苑再開発について協議したことはないとはっきりいえるのかお答えください。

○谷内まちづくり推進担当部長 以前からの繰り返しの答弁になろうかと思いますが、平成二十五年六月の神宮外苑地区地区計画の決定を踏まえて、関係地権者等との個別の調整を行っております。
 三井不動産と調整を行った記録は見当たらないというものでございまして、なお、お話しいただきましたファクトシートでございますけれども、これは神宮外苑地区のまちづくりに係る関係権利者との基本覚書を締結した平成二十七年四月以降の経緯を示したものでございます。

○原田委員 今まで、三井不動産が正式に出てきたのは、この二〇一五年だったと思いますけれども、それ以外に皆さんの資料にはほとんど出てこないわけですね、三井不動産は。あるいは、白塗り箇所がいっぱいありますから、その中にいっぱい入っているのかもしれないですけど、二〇一五年というのがまちづくりの始まりなんだっていうふうに、ファクトシート、皆さんがつくったファクトシートっていうのの、始まりは二〇一五年と書いてあるんです。
 これに対して、割とこの質疑っていうのは、かなり押し問答をして、やっと出てきていたんですけど、今日はあっさり答えました。二〇一五年以前に、協議をしたことはないといえるんですかという質疑に対して、関係地権者と二〇一三年六月から調整を行っていたというふうに答えました。
 少なくとも、ファクトシートに書かれた都と関係者によるまちづくりの協議は、ファクトではなくフェイクなんじゃありませんか。

○谷内まちづくり推進担当部長 平成二十五年六月の神宮外苑地区地区計画の決定を踏まえて、関係地権者等との個別の調整を行ってきたことにつきましては、これまでもご答弁を過去にもしてございます。ファクトシートにつきましては、平成二十七年からの経緯を書いたものでございまして、それ以上でも以下でもございません。

○原田委員 うそついちゃ駄目でしょう、局長。ファクトシートっていって、東京都が大企業と一緒に神宮外苑のまちづくりを進めたのは二〇一五年からっていうふうにいって、まさか、よもや二〇一三年の地区計画は、実はほとんどこの計画ではなくて、国立競技場周辺の開発といわれていたのに、まさかそのときから、三井不動産も含めてみんなで超高層ビルを建てる計画を行っていたなんてのは知られたらまずいということで、二〇一五年からってしていたんでしょう。
 ところが、私たちの追及でやっと、実は二〇一三年から地権者とは個別にいろいろ調整をしてきたと、もう認めざるを得なくなってきたと、もうファクトシート変えるべきじゃないですか、局長。
   〔谷内まちづくり推進担当部長発言を求む〕

○西沢委員長 部長、答えますか。

○谷内まちづくり推進担当部長 委員からご指摘の平成二十五年六月の地区計画決定を踏まえて関係地権者等との個別の調整を行ってきたことについては、ファクトシート公表以前からもご答弁申し上げているものでございます。
 ファクトシートにつきましては、まちづくりを分かりやすくご説明するためのものでございます。

○原田委員 分かりやすく説明したんじゃなくて、分からないように加工を施したってことでしょう。フェイクニュースですよ、これは。フェイクシートですよ、完全な。
 私は、都が明らかに、三井不動産らと共に超高層ビル建設を二人三脚でつくっていたと思われる資料を情報公開で入手しています。
 私、二〇二二年九月十五日の質疑で、二〇一四年七月十日に——二〇一四年七月十日、この地区計画がつくられた次の年ですね、都市整備局が作成した神宮外苑地区にサブトラックの設置が困難な理由という外苑再開発のイメージ図が書かれた公文書を、私、議会で示し、現在の計画で三井不動産のビルがある場所に、イメージ図の中で、地図に事務所ビル等って書かれた建物が現れることを指摘しました。
 二〇一五年以前に、都と三井不動産が外苑再開発についてやり取りをしていたのではないかと、私は、その資料を示して質問をしたんです。二〇一五年のときから始まっているんだっていうのに、二〇一四年に地図見たら、イメージ図見たら、三井不動産のビルが、そのマークがあるのが出てくるんで、イメージ図が出てくるんで、これ三井不動産とやり取りしていたんだろうと聞いた。
 そうしたら、そのときの答弁、こういっています。今ご指摘の資料でございますけれども、神宮外苑地区に恒久サブトラック設置が困難な理由を副知事に説明するため、大規模なスポーツ施設だけでなく、ほかの施設も含めて施設の大まかな配置を示したものと認識しております。この資料でご指摘の内容について——つまり三井不動産のビルだというふうについて——判断することはできませんという答弁だったんです。
 この答弁は、三井不動産とのやり取りはない状態で、将来の外苑地区のイメージ図を都が大まかに作成して副知事に説明したということでよろしいでしょうか。十年後、偶然、同じところに三井不動産のビルが建ったと、そういうことですか。

○谷内まちづくり推進担当部長 平成二十六年七月の資料は、神宮外苑地区の恒久サブトラック設置が困難な理由を副知事に説明するために、施設の大まかな配置を示したものであり、具体的なまちづくりの計画をしていたものではありません。平成二十七年四月以前に三井不動産と協議等を行った記録は見当たりません。

○原田委員 つまり、都が作成したものだといい張るわけですよね。大まかにまちのイメージを描いただけで、三井不動産と考えてつくった資料じゃないっていうことですね。そういう答弁ね。

○谷内まちづくり推進担当部長 繰り返しになりますが、平成二十六年七月の資料につきましては、神宮外苑地区の恒久サブトラック設置が困難な理由を副知事に説明するために施設の大まかな配置を示したもので、具体的なまちづくりの計画をしたものではありません。

○原田委員 ごまかしたって駄目ですよ。二〇一五年以前は、地権者等といろいろやってきたと。ただし、三井不動産と都が協議をした資料は見当たらないと。まさかそんな、三井不動産と、ディベロッパーと水面下の協議を行って、地区計画がどんどんとつくられていったなんていう話には絶対に思われたくないから、そんな資料は見当たらないんだっていうんですけど、もう当初、私たちが勝手に、東京都が大まかにイメージを描いた図だっていって、これを示していたんですけれども、今回の三井不動産のネタドリ!の証言で二〇一三年の資料が出てきて、もう容積移転とか考えていたと、超高層ビルを都市計画公園内につくることをほぼ決めていたと、あとはどこに建てるかだと話していたのを最後取りまとめて、超高層ビルを建てることは三井不動産が取りまとめました。それがいつ取りまとめたのか、確かに分からなかったわけです。
 ところがですよ、この資料は二〇一四年の段階で突如、二〇一二年のときにはなかったイメージ図に事務所棟ビルが、三井不動産の今ビルが建つところに突如現れたと。
 三井不動産とのやり取りは一切ないんだと、見当たらないんだっていいますけど、この資料には、物すごく肝腎要のところに全部白塗りが付されているわけです。
 情報公開を行っても出さないの一点張りですけれども、これ本当に一企業の利益をおもんぱかって、それで開示をしていないなんていう話にはならないでしょうね。大変な問題なんですよ。
 今までの短いやり取りの中でだって、二〇一三年一月には地権者らが再開発の協議を始めていて、その半年後には再開発等促進区が外苑に適用され、外苑の都市計画公園内の使っていない容積率を、何と三井不動産や伊藤忠の超高層ビルに移転してあげる手はずが整えられていて、同時にそれを裏づける再開発関係者の資料がつくられていたことがNHKの報道で期せずして発覚してしまいます。
 そして、三井不動産の証言では、三井不動産が取りまとめて超高層ビルを建てることを決めたと、あけすけに語っていると。
 そして、二〇一四年の資料にはビルのイメージ図が突如現れ、陸上競技場には絶対なくてはならないサブトラックが、このビルが現れると同時に消滅するわけです。
 スポーツのメッカがこの地区計画を押し通す最大の錦の御旗じゃないですか。それが超高層ビルのためにサブトラックがなくなったとなれば、大変なスキャンダルなわけです。
 改めてお聞きしますけど、二〇一四年の資料をつくる上で三井不動産とのやり取り、あったんじゃないですか。都だけでつくったわけじゃないでしょう。お答えください。

○谷内まちづくり推進担当部長 繰り返しの答弁でございますけれども、ご指摘の資料につきましては、平成二十六年七月に都が副知事に対して恒久サブトラックが設置困難な理由を説明した際の資料でございます。平成二十七年四月以前に三井不動産と協議等を行った記録は見当たりません。
 それと、最後に一個だけ、もう一個確認というかご報告でございますが、番組の方も、私ももう一度、ご質問もあるということで拝聴しましたけれども、二〇一三年の資料は当初、番組の冒頭出てまいりましたが、アナウンサーのご説明では、当初一棟しか建たないことが課題だったということで、二〇一三年時点で二棟の高層が建てられることが計画されたことは分からないっていう原田委員の会見でのご説明の補足として、ちょっとここで補足させていただきました。

○西沢委員長 理事会で申し合わせた時間が過ぎておりますので、一応配慮していただいた上でご発言ください。

○原田委員 いろいろと答弁、余計にしていただいたんで、最後一言いって終わります。
 二〇一三年の資料があって、その後いつ取りまとめたのかは分からなかったんですけれども、東京都が作成した二〇一四年の資料には、明確にその超高層ビルのイメージ図が描かれていたと。つまり、二〇一五年以前に、この二〇一四年の段階で、その取りまとめはあったんだろうなということが分かるではないかということを指摘したわけです。
 ぼやっと考えて、東京都がこんな感じってつくったイメージ図ではなく、三井不動産とのやり取りの中でできた資料ではないんですかと聞きましたが、答弁はまともなものがありませんでした。
 改めて、大企業と行政の不透明なやり取りについて、今後もこの再開発の問題で、外苑再開発では追及をしてまいりたいと思います。外苑再開発の問題は、壊されているのは自然だけではなく民主主義だということを厳しく指摘して、質疑を終わります。

○銀川委員 私は四つのテーマで質問させていただきます。
 まず最初に、私からも荷さばきスペースの確保について伺いたいと思います。
 東京都は、物流を支える幹線道路の整備やまちづくりに合わせた荷さばきスペースの確保に取り組むとともに、物流二〇二四年問題に対応して、消費者の行動変容を促すための都民等に向けて積極的な広報を行うなど、物流対策の推進に取り組んでいきますと計画しています。
 そこで伺います。まず一つ目、国土交通省が発表している宅配便・メール便取扱実績によりますと、インターネットの普及やコロナ禍を経て年々増加し、令和五年は五十億を超えています。特に、駐車スペースの少ない都市部においては、駐車場所に苦慮する事業者から、駐車スペースの設置要望の声が届いています。
 生産性の向上や集配ドライバーの負担軽減のためにも荷さばきスペースの確保を早急に進めてほしいと考えますが、見解を伺います。

○佐々木交通政策担当部長物流担当部長兼務 都は、総合的な駐車対策の在り方を令和四年に策定し、荷さばき用駐車スペースの確保について、区市町村等に周知するなど、取組を推進しております。
 また、今年度から、物流の二〇二四年問題への対応として、荷さばきを目的とした貨物車駐車スペース提供事業を実施しております。

○銀川委員 前向きな調査や検討を進めていただいていることを認識いたしまして、安心しました。
 もう一つ、オフィスビルなど建物内の荷さばきスペースについてなんですけれども、東京都駐車場条例については、荷さばき駐車施設の附置義務基準はあるんですけれども、事務所用途の基準が五千五百平方メートルに一台と、荷物実態とはかけ離れたものとなっています。設置台数についても、建物竣工後の実態は荷さばきスペースの十分な確保には至っておりません。
 そこで、荷さばきスペース確保のため、東京都駐車場条例や施行規則を改正し、事務所用途の基準床面積を引き下げ、併せて荷さばきスペースの場所表示の義務化や空き状況などの表示についても検討すべきと考えますが、見解を伺います。

○飯泉市街地建築部長 荷さばき駐車施設を含む駐車施設につきまして、都は既に実態調査を実施しており、今後、課題を整理した上で対応を検討してまいります。

○銀川委員 集配を行っているドライバーは、時間に間に合わせるという効率性を考えて集配を行うと同時に、駐車違反のリスクも含めた時間的な制約など、常に大きな負担の中、業務を行っています。今を契機としまして、荷さばき所の整備を促進し、集配業者が働きやすい環境を整えていただければと思います。
 次に、JRの北千住駅の乗換えについて伺います。
 まず、北千住駅のバリアフリー経路について伺います。
 東京都は、誰もが分かりやすく使いやすいターミナル駅の実現に向けて、東京二〇二〇年大会までに、新宿駅等の主要ターミナル九駅において、案内サインの統一や乗換え経路を対象にしたバリアフリーの整備などを促進しました。
 令和四年度には、案内サインの基本ルールの手引を作成しており、引き続きこれらを活用しながら、ほかのターミナル駅に展開をしていくこととなっています。
 今後、ターミナル駅のさらなる利便性の向上を期待しますが、一方で、ターミナル駅である北千住駅常磐線緩行線では、乗換え不便や乗車料金の上乗せなどの問題が生じ、署名活動も行われています。
 そこで伺います。まず一つ目、常磐線緩行線、千代田線のホームから常磐線快速線への乗換えの不便改善策について、千代田線の改札階から常磐線快速線下りホーム、上りホームのエレベーターに直結できるよう、地下道の整備をすることを提案します。
 北千住駅の乗換えの不便改善策については、現在、足立区、葛飾区、JR、東京メトロ四者の勉強会において議論がされていると聞いています。今後、この勉強会に都も参加すべきと考えますがどうか伺います。

○村上地域公共交通担当部長 JR北千住駅のバリアフリー経路につきましては、足立区が葛飾区、JR東日本、東京メトロと勉強会を設置し、課題の共有や整備推進方策の検討を行っていると聞いています。地元区の要望があれば、必要に応じて対応を検討します。

○銀川委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 国の鉄道駅バリアフリー料金制度の創設により、鉄道事業者は昨年の三月十八日から、普通運賃一律十円、通勤定期も料金に上乗せをしています。当然、鉄道利用者に負担させる以上、鉄道事業者には乗換えの不便を解消させる責任があると思いますが、見解を求めます。

○村上地域公共交通担当部長 バリアフリー料金制度は、各鉄道事業者が国に届け出て、独自に設定するものでございます。鉄道事業者が利用者から収受した料金の使途は、国への届出の際に整備等計画として公表されています。

○銀川委員 あわせて、バリアフリー化の推進は行政としての責任も当然生じているものと理解をしています。東京都も早急に課題解決に取り組むべきと思いますが、見解を伺います。

○村上地域公共交通担当部長 駅のバリアフリー化や乗換え利便性の向上には、鉄道事業者の積極的な取組が不可欠であります。都は、鉄道事業者のバリアフリー施設整備に対する補助制度を定め、必要に応じて区市町に補助や助言を行っております。

○銀川委員 不便を感じている都民の状況を理解していただいて、都としても、鉄道事業者や区と積極的に連携をして、早急に不便解消に努めていただくよう要望をいたします。
 次に、常磐線緩行線からの北千住駅の乗換えの不便回避のために、西日暮里乗換えを余儀なくされて割高運賃を払わなければならないことと、昨年三月十八日からのバリアフリー料金が本来十円の上乗せになるところ、西日暮里乗換えの場合、三倍に上乗せされることに不満の声が高まっています。
 JR東日本と東京メトロが運輸協定を締結し、北千住駅から西日暮里間の路線をJR東日本に貸与する、いわゆるJR東日本の第二種鉄道事業への要望の署名活動も、令和五年の十一月、足立区第十八地区町会自治会連絡協議会で行われました。
 足立区住民、葛飾区住民の要望が集まり、条件整備が整った際には、割高な運賃の解消などについて、都も積極的に取り組むべきと思いますがどうか伺います。

○村上地域公共交通担当部長 鉄道の運賃につきましては、各鉄道事業者が国土交通大臣の認可を受けて、独自に設定するものでございます。

○銀川委員 鉄道運賃は、鉄道事業者が国の許可を受けて独自に設定しているものとのことなんですけれども、割高な運賃について、今申し上げたとおり、地域住民からは解消を求める声がたくさん届いています。
 事業者に運賃の決定権はあるものの、東京都としても、現状を放置、静観するのではなく、条件がそろった際には割高運賃解消に向けて、鉄道事業者に対しても働きかけを行っていただくなどの姿勢を期待しています。
 次の質問に参ります。
 地下鉄の八号線について伺います。
 地下鉄八号線の延伸、豊洲駅から東陽町駅を経由して住吉駅に至る区間が、二〇三〇年代半ばの開業を目指し、十一月五日に工事の着手がされました。江東区のみならず、城東地区においてもとても期待をしているところです。しかし、ここまでも長い年月がかかったことも事実です。
 そこで、住吉駅から地下鉄半蔵門線に乗り入れ、押上駅までの運行スケジュールについてなんですけれども、豊洲駅から住吉駅の完成と同時に運行開始になると理解をしてよろしいでしょうか。これについて東京都として何か行うことなどはありますか、状況を伺います。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 地下鉄八号線の延伸に伴う有楽町線から半蔵門線への乗り入れにつきましては、東京メトロより、延伸後の運行計画については現段階で未定と聞いております。
 都としては、豊洲から住吉駅間について、引き続き関係者と連携し、二〇三〇年代半ばの開業を目指して取り組んでまいります。

○銀川委員 承知いたしました。
 次の質問なんですけれども、豊洲から住吉間を見ても工事着手まで相当な時間がかかりました。その先の八号線のさらなる延伸については、国の答申において、押上駅から野田市までが位置づけられていますが、仮に亀有駅までの区間を先に進めるとしても、押上駅から亀有駅間の整備に関して、今から動き始めてほしいと地域住民からの声があるのですが、いかがでしょうか。
 まだ、調査や課題などが多くあって、何も進んでいないようなら、都としても関連機関と議論を進めてほしいけれども、その辺りを伺いたいと思います。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 地下鉄八号線の押上から野田市までの延伸につきましては、国の答申におきまして、事業性などの課題が示されているところでございます。
 沿線区市で構成する促進連絡協議会におきまして、押上から亀有区間を対象に様々な検討がなされており、都は同協議会に参加し、豊洲から住吉間の事業や沿線での取組等を参考に、引き続き技術的な助言を実施してまいります。

○銀川委員 承知いたしました。
 足立区においても、毎年、予定沿線地域の町会、自治会の方々を中心に促進大会を開催し、機運醸成に努めています。新たな鉄道の敷設は、数十年単位の長い時間を要する事業でもあるので、その時々の状況に応じて、関係自治体や住民の声を酌み取った計画を策定し、ぜひ計画に反映をいただきますようよろしくお願いをいたします。
 それでは、最後の質問に参ります。
 臨海地下鉄のつくばエクスプレスからの乗り入れについて伺います。
 十一月十八日に、都心部・臨海地域地下鉄構想の推進大会が都内で開かれました。臨海地下鉄は、二〇四〇年までの開業を目指しておりまして、大会では、関係者がつくばエクスプレスの延伸と臨海地下鉄開業の相互実現に向けて機運を高めました。
 東京駅から有明の国際展示場まで臨海地下鉄を通す計画の検討が行われていますが、それに際し、臨海地下鉄とつくばエクスプレス延伸との接続について、積極的な働きかけを行ってほしいがどうか伺います。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 つくばエクスプレスの東京延伸につきましては、国の答申において、関係者間でルートや導入空間の確保、事業費等の課題を踏まえつつ、事業計画の十分な検討が必要とされており、都は国も含めた関係者間で連携を図りながら適切に対応してまいります。
 まずは、臨海地下鉄の東京から有明までの区間について検討を進めてまいります。

○銀川委員 臨海地下鉄とつくばエクスプレスの東京延伸は、慎重な検討が必要だとは思うんですけれども、交通政策審議会の答申において、国際競争力の強化に貢献するプロジェクトとしても位置づけられているので、東京都としても、大胆に、前向きに都市戦略をご検討いただけることを要望し、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○松田委員 東京都は、建設資源循環の仕組みを構築するため、公共と民間を合わせた計画である東京都建設リサイクル推進計画、また、計画に定める施策の詳細事項を規定するものとして、東京都建設リサイクルガイドラインを定めています。加えて、公共事業で環境負荷の低減に役立つ資材等を使用するため、公共事業における東京都環境物品等調達方針を定めています。
 都内では、今後もインフラ設備の更新など継続的に実施をされる中で、環境負荷をいかに軽減し、持続可能な発展を遂げていくかは重要であり、建設資源循環は持続可能なまちづくりを進める上で必要不可欠です。
 今回の質問に当たりまして、大田区の城南島にあります再生骨材コンクリート、再生骨材を扱っている企業とも意見交換をしてまいりましたが、やはりなかなかこの建設資材のリサイクルの部分について、進展がないというふうな話も聞きましたので、その観点から東京都環境物品等調達方針について取り上げたいと思います。
 東京都環境物品等調達方針は、公共事業における資材、建設機械、工法、目的物などにおいて、環境影響物品等の使用の抑制を行うことにより、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築を図り、現在及び将来の都民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的として定められております。
 東京都環境物品等調達方針の中で、環境負荷の少ない建築資材、いわゆる環境物品等の要件について、まずはお伺いいたします。

○新良まちづくり調整担当部長多摩まちづくり担当部長兼務 東京都環境物品等調達方針では、都及び政策連携団体が施工する工事のうち、起工額が五百万円以上の建設工事などを対象に、工事の種類、必要とされる機能、強度、耐久性、供給状況、コスト等を踏まえ、環境物品などを調達することとしております。

○松田委員 五百万円以上のというところで、多くの、一定規模以上の工事に対して、環境配慮を徹底するというところで、大変意義のあるものだとは考えますが、さらに東京都だけでなく、区市町村であったりとか、そういう関連自治体についても同じような形で環境物品等を調達していくことが、同様の基準を設けることが市場の拡大にもつながると思いますので、そして、市場の拡大が新規参入のメリットにもつながってくると思いますので、引き続き取り組んでいただければと思います。
 次に、公共工事で調達方針が適用された場合、施工業者が東京都環境物品等調達方針を厳守しているかをどのように確認をしているのかお伺いいたします。

○新良まちづくり調整担当部長多摩まちづくり担当部長兼務 環境物品等調達方針では、工事監督員は、工事契約後、受注者から施工計画書とともに提出された環境物品等使用予定チェックリストを確認することとなっております。
 また、環境物品等の調達が完了した際には、受注者から提出された環境物品等使用実績チェックリストを確認することとなっております。

○松田委員 次に、公共工事における環境物品等の利用促進についてお伺いいたします。
 例えば、利用率の基準をより高く設定をする、また入札における環境配慮型企業の優遇措置を強化するなどの施策を検討しているのかお伺いいたします。
 特に、コンクリートやアスファルトにおける再生材の利用拡大について、どのような目標を持って進めているのかお伺いいたします。

○新良まちづくり調整担当部長多摩まちづくり担当部長兼務 環境物品等調達方針では、最大限に環境物品等の調達を行うことを目標としております。引き続き、都の発注工事における使用実績を積み重ねてまいります。

○松田委員 ありがとうございます。恐らく、コンクリートにおいては地理的要因等もあるので、最大限というふうに答弁をいただいているとは思いますが、再生材の利用率、何%の達成であったり、年次目標、二〇三〇年カーボンハーフに向けて、どれだけ都内の環境物品を採用していくのか、こういう数字的な目標もぜひ検討していただくことで、その施策の実効性を高めていくことができるとも考えています。
 建設廃棄物のうち、建築物やインフラ設備等の更新により発生するコンクリート塊は、そのほとんどが再生砕石として再資源化され、主に路盤材などの道路の舗装に既に活用はされているということですが、路盤材については東京都内も需要が減少していると聞いています。
 都市部では再生砕石の滞留が顕在化してきており、今後もコンクリート塊の発生量の増大が見込まれております。ぜひ、この次においては路盤材以外の需要をいかにして開拓をしていくのか、こういう観点が必要だとも聞いております。
 環境物品等の利用を拡大するために、質の高い環境物品等を安定的に供給できる市場環境の整備が必要です。特に、中小企業が環境物品等の開発や供給に積極的に取り組めるようにすべきと考えますが、この点についてお伺いいたします。

○新良まちづくり調整担当部長多摩まちづくり担当部長兼務 建設資源循環を推進するためには、建設副産物のそれぞれの品目に応じた発生抑制、分別解体、再使用、再資源化等に関する技術開発を推進することが重要であることから、都は、国や関係業界などと協力しつつ、これらの再資源化技術の検討や各種調査を進め、技術開発などを促進していくこととしております。
 引き続き、庁内関係局と連携し、建設リサイクルを推進してまいります。

○松田委員 東京都環境物品等調達方針についてお伺いいたしましたが、環境負荷の低減を行っていくことは、資源循環型社会の構築には必要不可欠です。再生骨材コンクリートについては現在、都として民間工事の発注者に利用拡大の可能性についてヒアリングを行い、利用促進に向けての課題の把握と整理を行っていると聞いておりますが、東京都としてぜひこの分野でリーダーシップを発揮して、公共工事だけでなく、民間の工事にも循環型の社会というふうな形でリーダーシップを発揮して、循環モデルの構築を進めることを期待しまして、質疑を終わります。

○本橋委員 初めに、泉岳寺駅地区第二種市街地再開発事業について、何点かお伺いいたします。
 品川駅周辺エリアにつきましては、約五十年ぶりに山手線新駅となった高輪ゲートウェイ駅の開業をはじめ、環状第四号線の整備、京浜急行の連続立体交差事業や高輪ゲートウェイシティなどの開発が進展しています。
 こうした地域におきまして、将来の泉岳寺駅利用者の増加に対応するため、駅の改良事業と一体となって、都が再開発事業を行うことは、大変意義があることと考えています。
 都は、これまでも様々な重要施策を推進する上で、第二種市街地再開発事業に取り組み、東京のまちづくりを着実に進めてきたと思います。
 そこで、改めて、都施行による第二種市街地再開発事業の意義を伺います。

○井川市街地整備部長 都は、これまで泉岳寺駅地区はもとより、青梅街道のバイパスとなる放射第六号線の整備と併せまして沿道のまちづくりを行ってまいりました北新宿地区や、都心部と臨海部を結ぶ環状第二号線の整備と併せて立体道路制度を活用したまちづくりを実現した環状第二号線新橋・虎ノ門地区などにおきまして、第二種市街地再開発事業に取り組んでまいりました。
 これらは、いずれも極めて公共的意義の高い根幹的な都市基盤の整備を目的としてございまして、制度的、技術的に複雑で難易度が高いことから、都が自ら事業主体となって再開発事業を実施してきたものでございます。

○本橋委員 答弁にもあったように、これまでも、都が施行する第二種市街地再開発事業が東京のまちづくりに大きく貢献してきたと思います。
 私は、第二種市街地再開発事業は、都市基盤の整備のために、権利者が転出のみでなく、地区内で住み続けたいという希望や商売を継続したいという要望、いわゆる生活再建に関する要望に応えていけることから、権利者にとって選択肢が広がるというメリットを持っていると考えています。
 泉岳寺駅地区周辺は品川駅、田町駅周辺地区の開発も進み、これからのさらなる発展が期待される地域です。そのため、ここでの生活再建を望む権利者も多いのではないかと考えます。
 そこで、この再開発の地区内での生活再建を希望している権利者の方がどの程度いるのか伺います。

○井川市街地整備部長 従前権利者数百二十六名のうち、約六割である七十五名が本地区内での生活再建を希望していらっしゃいます。

○本橋委員 多くの権利者がまさに日本の玄関口となる、ほかにはないこの地域で生活再建することを可能としており、第二種市街地再開発事業によるメリットを十分に享受できていると考えます。
 これだけ多くの権利者が地区内で生活再建を希望されるということは、円滑に事業を進めるために、権利者へのきめ細やかな対応、合意形成が必要だと思います。
 そこで、泉岳寺駅地区の権利者対応について確認していきたいと思います。
 泉岳寺駅地区において、これまで権利者との合意形成はどのように図られてきたのか伺います。

○井川市街地整備部長 本事業は、平成三十一年二月に事業計画決定を行った後、権利者と十分話合いを重ねるなど丁寧な対応を行い、円滑な合意形成に努めてまいりました。
 その結果、令和二年一月に権利者が取得する再開発ビルの権利を定めた管理処分計画を、全員同意の下、決定いたしました。

○本橋委員 泉岳寺駅地区の再開発事業では、しっかりと権利者全員の同意を得ながら事業を進めていることが確認をできました。引き続き権利者の方々に寄り添いながら事業を進めていただきたいと思います。
 合意形成を進める中で、権利者の方々にとっては、将来自分たちが生活再建する再開発ビルの床の価格、いわゆる権利床価格が最も気になるのではないかと思います。先日の公営企業会計決算特別委員会の分科会の議論では、この再開発事業では権利者が再開発ビルで取得する床面積が小さなものになり、権利者にとって不利になるといった主張があったと認識しています。
 そこで確認ですが、泉岳寺駅地区においては、どのような考え方でこの権利床価格を設定しているのか伺います。

○井川市街地整備部長 本地区において権利者が取得することとなる床の価格は、権利者の生活再建に配慮し、用地取得費と再開発ビルの整備費に基づく価格、いわゆる原価で設定してございまして、再開発ビル完成後の市場取引価格よりも低廉な価格としていることから、権利者に不利益が生じることはございません。

○本橋委員 今の答弁で明確になったように、権利床の価格が再開発ビル完成後の市場取引価格よりも低廉な価格で設定されており、権利者が取得する床の面積は必ずしも小さくなるわけではないことが確認できました。まさに権利者の生活再建に配慮され、権利者に寄り添った形になっていると思います。
 本日の質疑を通して、都が施行する第二種市街地再開発事業が権利者に配慮しながら東京のまちづくりに大きく貢献してきて、極めて公共性が高いものであり、決して大企業の利益を優先したまちづくりではないことを改めて認識をさせていただきました。
 周辺の再開発事業との連携の下、国際都市東京にふさわしいまちづくりを進めるとともに、国際交流拠点としての一翼を担うよう、引き続きご努力をいただくことを要望しておきます。
 次の質問に移らせていただきます。
 調布基地跡地について伺います。
 第三回定例会において、下水道の整備計画に関する我が会派の代表質問に対し、野川処理区に予定していた水再生センターを廃止し、既設の水再生センターの増強などを検討しているとの答弁がありました。
 野川処理区の水再生センターは、調布基地跡地に設置予定であったと聞いており、計画廃止は調布基地跡地の土地利用に影響を及ぼすものと考えます。
 そこでまず、現在の調布基地跡地の利用計画がどのように決まったのか伺います。

○澤井多摩まちづくり政策部長 調布基地跡地の利用計画につきましては、昭和四十九年の基地全面返還等を踏まえ、これまで地元の三鷹市、府中市及び調布市と協議を重ねまして、現在の下水処理場などに利用する計画としております。

○本橋委員 現在の利用計画が、地元三市との長年にわたる協議により決まってきたことが確認できました。
 野川処理区の水再生センターの計画廃止に伴い、調布基地跡地の利用計画を改めて検討していく必要があると考えられます。
 そこで、都はどのように利用計画の検討を進めていくのか伺います。

○澤井多摩まちづくり政策部長 土地利用計画の検討に当たりましては、地元三市の理解と協力が必要であり、今後、既存の会議体を活用しながら、地元三市と調整を図り、取組を進めてまいります。

○本橋委員 これまでも地元三市と共に長年協議を続けてきたところでありますが、検討を進めるに当たっては、今後も地元三市と丁寧に調整するようお願いをいたします。
 続いて、JR南武線の連立について伺います。JR南武線谷保駅から立川間の鉄道立体化について、沿線住民から、滝の院踏切と坂下第一踏切の二か所が廃止となり、利便性が低下するのではないかという声が届いています。
 一方、国立市では、廃止踏切の対応として、JR南武線南側地域における東西方向の交通環境の改善など、まちづくりの検討を進めているところです。
 そうした地元市が進めるまちづくりとも連携して取り組むことが重要であると考えます。
 そこで、JR南武線の鉄道立体化について、現在の状況及び今後の取組について伺います。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 都は現在、都市計画決定に向けた手続を進めており、昨年八月に都市計画素案説明会を開催し、今後、都市計画案及び環境影響評価書案の説明会を開催する予定でございます。
 引き続き、地元市が検討している駅前広場計画や周辺地域の交通動線などのまちづくりとも連携し、地元住民の理解をいただきながら、鉄道立体化を着実に進めてまいります。

○本橋委員 ぜひ地元市と丁寧に連携をしながら進めていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 続いて、まちづくりマッチングシステムについて伺います。
 本年第一回定例会において、多摩のまちづくり戦略に関する我が会派の代表質問に対し、拠点の形成に向け、多様な主体が連携し、課題解決を図るまちづくりマッチングシステムを構築するとの答弁がありました。
 こうした中、都は、まちづくりマッチングシステムを今月構築したところでありますが、改めてまちづくりマッチングシステムを構築した目的について伺います。

○澤井多摩まちづくり政策部長 社会情勢や価値観の変化等、まちの抱える課題は多様化しておりまして、大学や企業、NPOなど様々な主体が持つ専門性や強みを生かして、課題解決を図っていくことを目的としております。

○本橋委員 このシステムを用いて、地元自治体と専門家等をどのようにマッチングさせるのか伺います。

○澤井多摩まちづくり政策部長 地元自治体がシステムに登録した課題に対し、技術やノウハウ、知見を有する専門家や団体が解決策を提案し、双方で解決の方向性を確認した上でマッチングさせてまいります。

○本橋委員 マッチングシステムの目的と具体的な仕組みについて確認ができました。各自治体がまちづくりに主体的に取り組み、課題を明確にして本システムを活用することが重要であると考えます。
 そこで、どのように地元自治体に対して、この新しいシステムの活用を促していくのか伺います。

○澤井多摩まちづくり政策部長 多摩まちづくり推進連絡会議など既存の会議体を活用し、地元自治体や専門家などに本システムを周知するとともに、マッチングの事例を紹介し、具体的な課題解決の道筋を示すことで活用を促してまいります。

○本橋委員 ぜひ道筋を示していただければと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 地元の自治体は技術職員が少ない市町村も多く、本システムに期待するところも多いと考えます。ぜひ積極的なシステムの活用を促すとともに、丁寧に意見交換をして地元自治体のまちづくりに促進をしていただきたいと思います。
 昨年の第三回定例会において、我が会派の伊藤しょうこう議員からも、本システムを使いやすいものにすることが重要ではないかと提案をしてまいりました。
 まちづくりにおける有効なシステムであり、より使い勝手のよいものとなるよう要望して、質問を終わります。

○西沢委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後五時六分休憩

   午後五時二十五分開議

○西沢委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○あかねがくぼ委員 初めに、鉄道立体化について伺います。
 都内にはいまだに数多くの踏切が残されておりまして、地域の分断や踏切事故の危険性など多くの課題を抱えております。これらの課題を抜本的に解決していくのが鉄道立体化であり、都は平成十六年に踏切対策基本方針を策定し、鉄道立体化の検討対象区間として二十区間を位置づけ、その取組を進めているところです。
 その中で、私の地元の杉並区では複数の区間が鉄道立体化の対象に選ばれております。そのうち、西武新宿線井荻駅から西武柳沢駅間が昨年度に連続立体交差事業に着手をしたところであります。
 そこでまず、この西武新宿線井荻駅から西武柳沢駅間について、鉄道立体化の都市計画決定に至るまでの経緯について伺います。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 当該区間は、平成十六年の踏切対策基本方針における鉄道立体化の検討対象区間に位置づけられて以降、関連する道路整備事業やまちづくりの取組の熟度等を踏まえ、平成二十年に事業候補区間として位置づけられております。その後、鉄道立体化の調査の実施とともに周辺まちづくりの動向も踏まえ、平成三十一年に都市計画素案説明会を開催し、令和三年に都市計画決定をいたしております。

○あかねがくぼ委員 杉並区では、主に上井草駅が対象となっておりますけれども、地元の方からも踏切問題の深刻さ、その早期解決を望むような声、私も地域からいただいておりました。そのように地元からの強い要望、これがあったとしても、検討対象区間に位置づけられてから都市計画決定まで十五年という時間を要したということでございます。
 一方で、杉並区における別の対象区間であります京王井の頭線の永福町から高井戸駅付近については、同時期に踏切対策基本方針、この検討対象区間に位置づけられたものの、その後の進捗というのは全く見えてこないわけでございます。特にその区間内にある浜田山駅は京王井の頭線の中で一日の平均乗降者数が二万六千八百五十三人でありまして、住宅地としては乗降者が大変多い駅でもありますが、改札口から出ていく出口が北側にしかないという状態で、浜田山駅を利用する全ての人が一か所の出入口に集中をしてしまう、そういう構造になっております。朝晩の通勤通学時間には相当な混雑をしておりまして、地下に改札があるわけですが、下りていく階段とかその付近というのは、芋洗いのような状態になっております。
 また、浜田山駅の南側に住んでいらっしゃる方というのは、駅の周りにあります踏切を必ず渡らないと駅には到達できないわけです。浜田山駅周辺に四か所あるわけですけれども、その踏切の実態としては、ピーク遮断時間、一時間の中で何分閉まっているのかというものですが、四十三分以上、実に閉まっている、開かずの踏切という認定を受けております。
 一瞬開くわけなんですが、すぐまた閉まりますので、結局、浜田山駅の南側には踏切の前に歩行者の渋滞ができている。そして、ピークのときでは、三回、四回、踏切が開いて閉まって、開いて閉まってと、三、四回待った状態でようやく渡れると、こういったお話も最近のお話で伺っております。
 ここまでひどい交通事情になっているというこの理由は、南北で自由に通れる通路が確保されていないということにあるわけです。改札や出口が仮に一か所だとしても、歩道橋だとか、地下道だとか、そういった自由通路をつくることによって、このような事態というのは改善されるわけなんですけれども、残念ながら浜田山駅は杉並区内で自由通路が未整備である唯一の駅というふうになってしまっています。
 そのため、日常的に危険な出来事というのが起こっています。例えば、通学路でもありますので、遮断機が下がっているところで、お子さんとか、特に中学生とか男の子なんかは無理に渡ってしまって、くぐって渡ってしまうということもありますし、また、先ほども紹介しましたけど、遮断機は一回上がってもすぐまた閉まりますから、非常に短時間なので高齢の方は渡り切れなくて、その中に取り残されてしまったというような事態が最近でも起こっているんです。
 これは、一義的には杉並区政における課題でありますが、都としても、踏切対策基本方針における連続立体化の検討対象区間に位置づけられていることですから、何らか解決に向けて尽力していただきたいというふうに思います。
 そこで、京王井の頭線の永福町から高井戸駅付近の鉄道立体化に向けての取組を進めていくべきと考えますが、都の見解を伺います。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 本区間は、十五か所の踏切が存在し、三か所の都市計画道路と交差するなど、交通阻害や地域分断が課題であり、踏切対策基本方針において鉄道立体化の検討対象区間に位置づけております。
 鉄道の立体化は地域のまちづくりと大きく連動することから、地元区が主体となり、まちづくりの方針や道路整備計画を具体化することが必要であり、都としてはこれらの状況を十分に踏まえ、適切に対応してまいります。

○あかねがくぼ委員 鉄道立体化というのは先ほどの例もありましたけれども、実現する、完成するまでには何十年も要するような事業であります。まずは地元区の主体的な取組が必要不可欠であるということが答弁により分かりました。鉄道立体化を見据えつつも、その間、数十年にわたって、先ほどのような危険な状態を放置すべきではないと思いますので、杉並区政として、せめて南北の自由通路を開設できるよう取り組んでいただきたいとは思っております。
 浜田山駅の特徴としては、駅周辺の土地の確保というのは極めて難しくて、地権者の協力がないと、南口の出口はおろか、自由通路の設置すら実現ができないという、そういった地域事情があります。
 鉄道立体化による抜本的な対策を解決の糸口にもしつつも、その必要な時間というのを考慮して、早期に踏切による問題が解決されるよう、都としても、地元区や鉄道事業者等と連携をし、安全なまちの実現に向けて取り組んでいただくことを強く要望しまして、次の質問に移ります。
 今年は全国各地での台風や線状降水帯に伴う豪雨により河川が氾濫し、甚大な被害が報道され、都内でも七月から九月初旬にかけまして浸水被害が各地で生じました。自然災害で最も発生頻度の高い風水害への対応は、都民の生命、財産を守る上でも急務であります。
 都が昨年十二月に改定しました豪雨対策基本方針の中でも、将来の気候変動リスクを踏まえた豪雨に対し、都内全域で目標降雨を十ミリ引き上げ、そして取組を強化することとしています。都は、激甚化する風水害に対し、気候変動も踏まえた長期的な視野で取り組み、強靱で持続可能な首都東京を実現することとしております。
 そこで改めて、豪雨対策基本方針における基本的な考え方を伺います。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 豪雨対策基本方針は、二〇四〇年代に目指す東京の姿として、気候変動により激甚化、頻発化する豪雨に対して安全・安心なまちを掲げ、実現に向けた基本的な考え方と対策を示しております。目標降雨は気候変動による降雨量が一・一倍に増加する可能性を踏まえて、都内全域で十ミリ引き上げました。
 今後は新たな目標降雨に対して、河川や下水道整備、流域対策などの施策を強化、加速することで、強靱で持続可能な首都東京を実現してまいります。

○あかねがくぼ委員 今のご答弁で、豪雨対策基本方針が二〇四〇年代、未来に目指す東京の姿でありまして、新たな目標降雨に対して、河川や下水道の整備、流域対策を含めた総合的な治水対策の施策を強化、加速していく、そういうものであるということが確認できました。
 一たび水害が起こりますと、家屋の水災の補償というのは上限がありまして、自己負担がかなり必要になります。被災後の住宅改修中の日常生活への影響も大きいです。抜本的な水害対策となる調節池整備は重要であると考えます。
 私の地元である杉並区においても、善福寺川上流地下調節池整備に係る都市計画決定を経て、現在は早期事業化に向けまして、建設局が地域からの要望に応じて説明会を複数回行うなど、地元との調整、住民理解の促進を図っているというふうに伺っています。
 そこで、既に都市計画決定されています善福寺川上流の地下調節池について、改めて都市計画決定されるまでの経緯について伺います。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 善福寺川地下調節池の都市計画手続に当たりましては、都市計画法に基づいた都市計画素案説明会を行った後、計画案を作成し、杉並区の意見を聞いた上で、都市計画案の公告縦覧、意見書の提出を経て、都市計画審議会で審議され、本年三月に都市計画決定されております。
 今後とも、事業の各段階におきまして、事業者である建設局が地域住民に対し丁寧な説明を行い、住民の理解促進に努めていくこととしております。

○あかねがくぼ委員 善福寺川上流の地下調節池について、正式に都市計画決定がなされて、既に建設局により事業実施の段階に入っているということが分かりました。住民の方からの同意は私の方にも幾つもいただきまして、様々最初は当初、不安であったとかありましたが、丁寧にご理解を進めていただく上で、納得していただいている方に変わっていくというのは私も実感をしております。地域住民の理解を一層深めていただきながら、早期に事業着手につなげていただきたいと思います。
 スペインの東部で十月の洪水によって河川が氾濫をして、二百人以上の方が亡くなるという事態が起きました。これ気候変動による影響で、激甚化、頻発化する豪雨と、これに対して、今までスペインの方、行政として必要な対策をできてこなかった、してこなかった、こういったことが大惨事につながったということで、スペイン国内でも批判の声というのが上がっているところです。
 このような事例を反面教師とし、都としては二〇四〇年の新たな目標降雨に対して、河川や下水道の整備、流域対策を含めました総合的な治水対策の施策を強化、加速していただくことを改めて要望しておきます。
 次に、我が会派が進めるグリーンインフラについて質問いたします。
 都市整備局は、河川や下水道の負担を軽減する、雨水の流出抑制に資するグリーンインフラについて検討しておりまして、五月に開催されました雨水しみこみプロジェクト、バッジをつくっていただいて、今日、ごめんなさい、忘れてしまったんですけれども、しみこみプロジェクトのシンポジウムというものが、地元自治体に加えましてディベロッパーや工務店など約二百人が参加をした中で、グリーンインフラを紹介したと聞いています。
 こうした機会を活用して、グリーンインフラの普及啓発を行っていただくということは効果的でありますし、今後参画する事業者というのが増えることが期待されます。さらに、今年度からグリーンインフラが新たに流域対策の補助事業となっております。
 そこで、新たに流域対策補助事業の対象となったグリーンインフラにおける具体的な取組について伺います。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 雨水流出抑制に資するグリーンインフラは、豪雨対策にも効果的であり、今年度から補助制度の対象施設といたしました。また、グリーンインフラを含む流域対策等に関する機運醸成の取組についても補助対象としております。具体的には、都民が参加するグリーンインフラを学ぶ会などの取組に補助を行うことで、都民の認知度向上につなげてまいります。

○あかねがくぼ委員 私の地元である杉並区においても、みんなで知ろうグリーンインフラという区民参加型の勉強会が補助対象になりまして、河川や下水道整備と併せ、流域対策として取り組んでいるところであります。
 今後も多くの都民がグリーンインフラについて学び、導入方法を体験することで、主体的に取り組んでいけるように、引き続き、東京都が支援していただくことをお願いしまして、私の質問を終わります。

○加藤委員 最初に、ベイエリアについて質問をいたします。
 ベイエリアは既にある市街地を時代に即して再整備していく都心とは異なり、都が目指す様々なコンセプトの下、一から大型開発ができる、残された最後の場所だというふうに思っております。
 現在、ベイエリアでは社会実験やSusHi Tech Tokyoなど様々な取組がなされておりますけれども、その将来像が都民にとってはまだまだ分かりにくいというふうに思っております。
 都は令和四年三月に東京ベイeSGまちづくり戦略を策定しておりまして、この中で、ベイエリアを世界から人と投資を呼び込み、成長と成熟が両立した持続可能な都市東京を先導すると位置づけております。
 そこで、こうした都市を実現するため、まちづくり戦略では、ベイエリアの将来像をどのように描いているか伺います。

○新良まちづくり調整担当部長多摩まちづくり担当部長兼務 まちづくり戦略では、ベイエリアの将来像として、水辺と緑を生かした東京らしさを感じられる都市、気候危機への対応がスマートに埋め込まれている都市、常にイノベーションを生み出す世界から選ばれる都市の三つを示しております。

○加藤委員 まちづくり戦略におけるベイエリアの将来像について説明をいただきましたが、このまちづくり戦略では、全体の将来像に加えまして、戦略の実行によって実現を目指す個別の拠点の将来像も掲げられております。例えば、臨海副都心エリアでは、スポーツ、エンタメ、エキシビション、ホテル機能などの融合した交流拠点や東京二〇二〇大会のレガシーの形成などが提示されております。
 そこで、こうした個別の拠点のまちづくりをどのように進めているのか、東京二〇二〇大会の競技施設が立地している有明の場合について伺います。

○新良まちづくり調整担当部長多摩まちづくり担当部長兼務 有明では、アーバンスポーツパークの開業や商業施設、ホールなどの機能集積が進むとともに、交通アクセス向上や回遊性の創出が図られております。こうした各拠点の取組により、ベイエリア全体の魅力や活力を向上させてまいります。

○加藤委員 東京ベイeSGまちづくり戦略の対象エリアは将来が期待されている地域だけありまして、マンションの売買、開発も活発に行われております。
 芝浦エリア、汐留、浜松町エリア、品川、港南エリア、豊洲エリア、有明、台場エリア、東雲エリア、月島エリア、勝どきエリア、晴海エリアとゾーンが分かれますけれども、どこを取っても取引価格は右肩上がり、例えば勝どきエリアは十年前から比べて三倍の坪単価、今では平均約七百三十万円、一坪です。六坪のワンルームマンションでも四千三百八十万円の計算になります。それでも魅力があるから買う人がいて成り立っているので、まさに投資を呼び込んでいる一例だと思います。
 なかなか庶民には手が届かない側面もありますけれども、未来の東京を引っ張る存在として、まちづくりに取り組んでいってもらいたいと、そのように思います。
 次に、都心部・臨海地域地下鉄について伺います。
 これまで我が党は、ベイエリアの発展に欠かすことができない基幹的な交通基盤として、度々本路線の重要性と早期実現を訴えてきました。都は本年一月に、整備主体として独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構、営業主体として東京臨海高速鉄道株式会社が本事業に参画することを予定し、三者で事業計画の検討を行うことに合意をいたしました。これによりまして、整備主体、営業主体、それぞれの観点から、事業計画の精査を行うことが可能になったと認識をしております。
 そこでまず、現在の取組状況について伺います。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 都は現在、令和四年十一月に公表した事業計画案のルート沿線において四か所で地質調査を実施中でございます。
 また、今年度に入り、国の参画も得た事業計画検討会を七月及び十一月に計二回開催し、鉄道・運輸機構及び東京臨海高速鉄道と共に検討を深度化しているところでございます。

○加藤委員 現地で地質調査が開始されたことは地元にとっても大きな期待要素の一つとなっております。去る十一月十八日には早期事業化を目的に、都心・臨海地下鉄新線推進大会二〇二四が盛大に開催されました。私も出席をさせていただきました。この地元からも早期実現が期待されている路線でありますけれども、事業計画の深度化に向けた今後の取組について伺います。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 今後は関係者と連携し、地質調査結果を基に、駅部の構造などについての施工面や運行面の計画を詳細に検討するなど、事業化に向け、着実に取り組んでまいります。
 また、新駅周辺など沿線の基盤整備や事業性の向上にも資するまちづくりとの連携について、中央区や江東区などの沿線区と共に検討を進めてまいります。

○加藤委員 先ほど申し上げました都心・臨海地下鉄新線推進大会二〇二四では、このベイエリアのマンションラッシュによる人口増、そして豊洲の千客万来施設、有明アリーナや東京ビッグサイトなどの集客施設による来客増、さらには、築地まちづくりやベイエリアの新たな開発によりまして、人の往来がますます激しくなり、鉄道の早期着工、早期完成はとにかく急がなければならないとの認識で一致をいたしておりました。
 また、地下鉄八号線の延伸では、豊洲と都心・臨海地下鉄新線との接続が必要であり、さらには、新線が羽田だけではなく、リニアの発着となる品川へのアクセスも必要だとの指摘も専門家から出されております。八月には、沿線区等も参画したまちづくりに関する検討の場が設置されたと聞いております。議論が開始されたばかりと思いますが、今後、事業計画とまちづくり、両方の視点で検討の深度化が図られていることを期待しております。
 次に、高台のまちづくりについて質問したいと思います。水害対策としてですね。
 ここ数年、異常ともいうべき気候変動によって全国各地で水害が頻発しており、ここ東京においても、いつ大規模水害が発生してもおかしくありません。また、東京の東部低地帯には、いわゆるゼロメートル地帯が広範囲に広がっておりまして、特に、私の地元墨田区の鐘ケ淵駅周辺地区では、水害時の浸水深が十メートル程度となり、二週間以上水がはけない状況が続くことが想定されております。
 地元区では、鐘ヶ淵駅周辺地区まちづくり計画の改定作業が進められておりまして、荒川と墨田区に囲まれた鐘ヶ淵地区では水害対策が急務であり、万が一、洪水氾濫が発生し、大規模水害が発生した場合に備えて、高台まちづくりを進めていくことは重要であります。
 一方で、高台まちづくりについては、全て高規格堤防整備を伴うものであると誤解されているところもあります。実際、墨田区議会で鐘ヶ淵駅周辺地区まちづくり計画の改定の考え方を示すため、事前の資料に昔考えられておりました高規格堤防の範囲を示す図が入っていたため、ある政党が殊さらこれを問題視しまして、あたかも区として方針を決めたかのような誤解を与える説明を地域住民に行っておりました。
 水害対策には高規格堤防だけでなく、地域特性に応じた様々な取組方策があると理解をしておりますけれども、改めて、高台まちづくりを進めるためにどのような方策があるのか伺います。

○井川市街地整備部長 高台まちづくりの方策といたしましては、建築物の上層階での避難スペースの確保や公園などの公共施設の高台化、高規格堤防の上面活用などがございます。これらの取組によりまして、水害に対して安全なまちづくりを推進することとしております。

○加藤委員 高台まちづくりの方策について高規格堤防整備以外にも建築物の上層階での避難スペースの確保や、公園等公共施設の高台化といったメニューがあることが分かりました。これらのメニューの中から、地域の実情やまちづくりの機会を捉えて、最適な方策を選択し、効果的に高台を整備することが重要であります。
 公明党としては、時間と空間とまちの活性化を急ぐという観点から、駅前再開発に合わせた中高層建築物を利用した避難スペースの確保が現実的であると考えております。また、取組の加速化に向けては、地元区に対して、国や都の支援が必要となると考えます。
 そこで、高台まちづくりの取組に対して、都はどういった支援を行っているのか伺います。

○井川市街地整備部長 都では、令和二年度に都市開発諸制度の改定を行いまして、民間開発に際して、水害時の一時避難施設整備を公共貢献として評価し、容積率緩和を実施してございます。また、令和四年度から、災害に対応した特定避難支援施設などの整備に当たりまして、その計画策定費に対して補助を行ってございます。

○加藤委員 各区の高台まちづくりの取組に対して、これまで補助制度の創設や都市開発諸制度の改定を行うなどにより用意された支援策を活用し、実際に各区が目に見える形で取り組んでいくことが大切であると思います。既にこうした支援策を活用し、まちづくりに取り組み出しているということも聞いております。
 そこで、都の支援を活用し、具体的にどのような高台まちづくりが進められているのか伺います。

○井川市街地整備部長 板橋区舟渡地区では、改定した都市開発諸制度を活用し、緊急一時避難スペースを有する物流施設が九月に竣工いたしてございます。また、江戸川区船堀地区では、国や都の補助制度を活用いたしまして、建物間を結ぶデッキなどの設計に着手しております。

○加藤委員 都の補助制度等の支援により、着実に実績が上がっていることが分かりました。今後は各区が使いやすい補助制度となるよう、適宜要件の見直し等を検討するとともに、これらの取組を水平展開し、都内全体に広げていくことが重要であります。
 墨田区においても、このような各区で行われている様々な事例を参考にし、国、都、区が一体となって、地域に合った方策を検討し、水害に対して安全なまちづくりを推進していただきたいと思います。
 続きまして、令和六年度の豪雨対策に関する取組について質問をいたします。
 この夏、都内の各地で集中豪雨や台風による浸水被害が多く発生をいたしました。私の地元の墨田区は東部低地帯でありますので、一たび河川や下水道があふれた場合に、広範囲で浸水被害が生じるおそれがあることに加えまして、地下水位が高く雨がしみ込みにくい土地となっております。
 このため墨田区は、河川や下水道への負荷を減らす雨水流出抑制にもつながる雨水タンクの普及に力を入れるとともに、ためた水を災害時に使用するなど、水循環の取組を推進しております。令和五年度末で、約八百の施設で総量二万七千トンの雨水貯留量があり、スカイツリーは地下に約二千六百トンもの雨水をためる貯水槽があり、集中豪雨などによる洪水防止や屋上や敷地の緑化散水にも活用しております。したがいまして、スカイツリーは高さだけでなく、地面の下の地下空間も誇れる施設であります。
 都市型洪水に悩まされてきた墨田区は、この雨水の利活用の先駆者であり、SDGsの観点からも大変重要な取組といえます。
 しかしながら、これまで墨田区は豪雨対策基本方針における対策強化流域外であったことから、流域対策の補助対象ではありませんでしたけれども、都は今年度より補助対象範囲を拡大したと、そのように聞いております。そこで、拡大した流域対策の補助対象の内容について伺います。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 都は激甚化する豪雨災害に対応していくため、今年度より、対策強化流域に限定していた流域対策の補助事業を都内全域に拡大いたしました。これにより、地下水位の高い東部低地においても雨水タンクなどの設置が補助対象となり、一層の取組促進を図ってまいります。

○加藤委員 今年度より、墨田区を含め都内の全ての地域が流域対策に関する補助事業の対象となったとのことであります。これにより、さらに河川や下水道整備、流域対策による総合治水対策が推進できる環境となったことを評価したいと思います。
 一方、都内全域が補助対象となることで、流域対策を行う関係者が増えることが考えられ、これまで以上に流域対策を都民に知ってもらい、取組の理解を深めていくことが重要です。
 そこで、流域対策を進めるために、あらゆる関係者の機運醸成を図る取組も補助対象とすべきと考えますが、見解を伺います。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 今年度より、流域対策等・強化推進事業補助を拡充し、新たに広報活動、防災学習など機運醸成を図る取組を補助対象といたしました。この拡充により、八月に墨田区で開催された第十四回雨水ネットワーク全国大会二〇二四の運営費などを補助しております。

○加藤委員 今の答弁で、当該流域対策における機運醸成を図る取組も補助対象とすることが分かりました。私も八月三日に雨水ネットワーク全国大会を見に行きまして、運営者から子供も含め、約二千人もの参加者が雨水について学ぶことができるよい機会であったと、そのように思いました。そういうこともいろいろ後からも聞かせていただいております。
 行政に加えまして、企業やNPO等の団体が協力し、大会を通じて、多くの都民に雨水に関する様々な普及啓発を行うことは効果的であり、さきの第三回定例会代表質問で我が会派が質問しました雨水しみこみアンバサダーが力を発揮したものと考えます。
 そこで、雨水しみこみアンバサダーの取組をさらに進めるため、アンバサダー同士が情報交換する機会を設けるなどの取組が必要と考えますが、見解を伺います。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 現在、雨水しみこみアンバサダーとして五十六の事業者を認定しており、日常業務を通じて豪雨対策への備え等を都民に普及啓発しております。今年度は事業者の活動を活性化するため、認定したアンバサダーの中から優れた取組を表彰するとともに、事業者間で流域対策に協働して取り組める場を設置し、意見交換を行ってまいります。

○加藤委員 アンバサダーが交流できる環境整備をしていくとの答弁でありました。こうした取組を進めることで、一層の官民連携が推進し、流域対策が進むことに期待をしております。引き続き、河川、下水道、流域対策による総合治水対策で豪雨へ対応していただくことを要望しておきます。
 次に、地下街の対策について質問をいたします。
 昨年、豪雨対策基本方針が改定され、目標降雨量が十ミリ引き上げられました。浸水すると大きな被害が予測される地下街などでは、管理者が災害時に行う対応を利用者に理解してもらうとともに、時間百ミリを超える降雨による浸水の被害想定を踏まえるなど、浸水対策を見直すことも必要と考えます。
 そこで、今年度の地下街等における浸水対策の取組について伺います。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 今年度は七月に実施した都民等を対象とした実動避難訓練の中で、地下街管理者や警視庁協力の下、浸水防止に使用される土のうづくりを体験する機会を設けました。
 また、十二の地下街等の地域において、外水及び内水氾濫による浸水予測を基に実態調査に着手したところであり、結果を今後の取組に反映してまいります。

○加藤委員 水害リスクの高い地下街での具体的な対応策として、実際の土のうづくりを体験することは、都民にとっても大変よい機会になったと思われます。また、地下街を取り巻く浸水リスクの実態調査を実施しているとの答弁でありました。
 今年八月には、東京メトロ市ケ谷駅で浸水被害が発生したこともあり、激甚化、頻発化する豪雨災害への対応は急務であり、今後もスピード感を持って取り組んでいただくよう求めておきます。
 最後に、東京都建設発生土再利用センターについて質問をいたします。
 九月十三日に、過去三十年以上にわたって建設発生土の不適切な処分を防止し、区部における公共工事の建設発生土の有効利用の一端を担ってきた都市整備局が運営する東京都建設発生土再利用センターを段階的に縮小、終了することが発表されました。また、今後は民間施設を活用していくとの方針も示されました。
 そこで、今まで東京都建設発生土再利用センターで受けていた建設発生土が民間施設へ運ばれることとなりますが、その土が不法な盛土等へ利用されるなどの心配があります。見解を求めます。

○新良まちづくり調整担当部長多摩まちづくり担当部長兼務 国は、不法盛土を防止する目的で、資源有効利用促進法省令の改正やストックヤード運営事業者登録制度の創設などを行い、建設発生土の最終搬出先までの確認を義務づけました。都においては、省令を遵守するために、令和六年四月に東京都建設リサイクルガイドラインを改定し、国に登録されたストックヤードを活用することといたしました。同センター終了後も引き続き、不法な盛土を防ぐよう適切に対応してまいります。

○加藤委員 国の省令改正等による不法な盛土等を防ぐための制度を東京都が率先して活用することをガイドラインに定めたということでありますが、それを確実に履行するための都としての管理方法について伺います。

○新良まちづくり調整担当部長多摩まちづくり担当部長兼務 公共工事の発注部局においては、これまでも、発注時、施工計画時、工事完了時の各段階で適切な搬出先が選定されていることを確認しております。引き続き、こうした各段階での確認を徹底し、発生土の適切な管理を行ってまいります。

○加藤委員 発注時から工事完了時の全ての工程において、建設発生土が適切な搬出先へ搬出されていることを確認し、発生土を適切に管理しているということが分かりました。
 東京都建設発生土再利用センターは、都内では大規模な施設であり、東京都の建設発生土のリサイクルの一角を担っていた施設であります。同センターがなくなることで、令和八年度末以降の建設発生土のリサイクルの停滞は避けなければなりません。今まで同センターで扱っていた建設発生土が民間施設等で受け入れられることになります。
 例えば、足立区の下水道局の施設である土づくりの里における建設発生土も、長期にわたって受入先が必要となると聞いております。都の再利用センターが閉鎖された後、民間施設で適切に処理されるのかが気になるところであります。
 そこで、令和八年度末以降の東京都での建設発生土対策について伺います。

○新良まちづくり調整担当部長多摩まちづくり担当部長兼務 令和五年五月のストックヤード運営事業者登録制度の申請開始以降、都及び都周辺の国に登録されたストックヤードは、十月末現在で二百か所を超えております。
 都としては、受入れ状況などを把握しながら、引き続き関係局や区市町村、民間と連携して建設発生土の適正処理及びリサイクルに取り組んでまいります。

○加藤委員 都の公共工事においては、適切な管理と処理がされており、今後も引き続き対応がなされると受け止めました。引き続き、都として建設発生土の適切な管理と処理に努めていただきたいと申し上げまして、質問を終わります。

○尾崎委員 日本共産党の尾崎あや子です。
 最初に、公共交通について伺っていきたいと思います。運転士不足などについて、まず質問していきます。
 地元住民の皆さんからの要望で非常に多いのが、年を取って車の免許を返却したら、病院や役所に行くのが不便になった、家から出なくなったなどの声が寄せられ、民間バスの路線も以前より減って困っていると、深刻な状況が広がっています。
 民間バスの減便で市民の暮らしは大変になっています。都として、民間バスの減便の理由などについては調査をしているのですか。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 バス事業者等からは、コロナ禍における生活様式の変化による需要の減少や、令和六年の改善基準告示の改正などに起因する運転士不足が減便や廃止の要因と聞いております。

○尾崎委員 都として、民間バスなどの減便の背景に何があるのか、実態調査はしていないということだと思います。
 国土交通省の国土交通白書の中では、二〇二三年中に減便、廃止した路線バス会社は九十八社、七七%であること。また、二〇二四年以降に減便、廃止を計画しているのは五社で四%。一方、路線維持、増発等は二十四社で一九%であるということが分かります。また、路線バスの赤字は九割を超えていること。二〇三〇年には、ドライバーが三万人以上足りなくなることが分かります。これは全国の状況です。
 都として、東京の実態を詳しくつかみ、対策を講じることが求められていると思います。民間バスが運転士不足になっている状況について、都の認識を伺います。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 バス事業者等からは、コロナ禍における運転士採用の抑制や、二〇二四年問題等に起因する労働時間の制約などにより、運転士不足が生じていると聞いております。

○尾崎委員 私は民間バスの運転士の方から話を聞きました。その人は、二〇二四年問題だけが運転士不足の原因ではないといいます。大本には、二〇〇二年に路線バス事業への参入、撤退を自由化する規制緩和を行った結果、事業者間の競争が激しくなり、バス部門を分社化し、運転士の賃金が上がらなくなったからだと話してくれました。そして、少しでも賃金が高い都バスに移る人も多いということでした。政府に対し、規制緩和の見直しを東京都として求めるべきだと考えます。
 厚生労働省によると、二〇二二年のバス運転士の平均所得は三百九十九万円で、全産業平均の四百九十七万円と比べ、約百万円低いことが分かります。一方で、平均年間労働時間は長く、全産業平均が二千百二十四時間なのに対して、約二百時間も長い二千三百十六時間であることが分かります。しかも高齢化していることも明らかになっています。特に急がれるのは、運転士不足への対策と賃金の低さへの対策だと思います。
 葛飾区は、区独自に運転士の賃金引上げへの補助、借り上げ住宅への支援に踏み出しました。大変重要です。葛飾区のような自治体の支援事業に対し、都の財政支援があれば支援の拡充につながると思います。都として、民間バス運転士の賃金を都バスの運転士と同じ水準に引き上げるための支援を行うべきだと要望するものです。
 東京都は二〇二二年三月に、東京都における地域公共交通の基本方針をつくったことは一歩前進ですが、都の役割は、区市町村が地域交通計画をつくる際の支援にとどまっています。日本では、地域公共交通の多くが民間事業者任せにされ、運賃収入で採算を取るのが当然とされています。しかし、フランスやドイツでは、地域公共交通の事業費に対する運賃収入はおおむね四割程度で、差額は国や自治体が補填しています。
 地域公共交通は民営であれ、都営であれ、不採算でも支えることが必要な公共サービスだという立場に立って、支援策を講じるべきだと強く要望するものです。
 次に、横田基地に関わる問題について伺います。最初に、米兵の性犯罪についてです。
 米兵による性犯罪について、東京都でも発生していることがマスコミの報道や、国会質疑で明らかになりました。読売新聞では七月二十日付で、過去十年間で十四件ある、このことを警視庁も認めています。また、朝日新聞七月二十四日付では、二〇二一年から二〇二三年の三年間で三件発生していることが報道されています。
 日本共産党の国会議員への警視庁資料で、米軍人、軍属その他の家族による刑法犯の摘発件数は増加傾向にあり、二〇二三年は東京で十件もあったこと。あわせて、東京で米兵による性犯罪の件数は二〇二一年に一件、二〇二二年に一件であることが示されました。
 日本共産党都議団の警視庁への聞き取りで、過去十年間の米軍構成員等、軍人、軍属及び家族による不同意性交等及び不同意わいせつの検挙件数は平成二十六年、二〇一四年から令和五年、二〇二三年までに十四件あることが分かりました。
 そこで伺います。過去の東京における米兵の性犯罪について報道がありましたが、国から東京都に説明はありましたか。

○志村基地対策部長 国からは、関係省庁から防衛省に対して情報提供がなされた場合には、全て北関東防衛局から地元自治体に対して伝達してきていると聞いております。
 また、国からは、性犯罪のような事案に係る事件の公表や他機関への情報提供の判断に当たっては、捜査当局において公益上の必要性とともに、関係者の名誉、プライバシーへの影響、捜査、公判への影響の有無、程度等を判断した上で、個別の事案ごとに公表等をするか否かや、公表する場合には公表する情報の範囲や方法を判断しており、このような運用は米軍関係者が関係する事案に限ったものではなく、一般的な運用であると聞いております。

○尾崎委員 ただいまのご答弁ですと、国からは説明なかったということになるわけですね。被害者をはじめ、関係者の人権に配慮することは当然です。その上で指摘しますが、性暴力、性犯罪について、これを許さないという社会の意識は昔に比べて格段に高まっています。昨年、刑法も改正され、性犯罪は刑法上の位置づけも厳しくなっています。そういう背景もあって、今統計資料は手持ち、持ち合わせていませんけれども、事件の公表、報道も増えていることは皆さんも実感されているのではないでしょうか。そういう状況に照らしても、米軍の性犯罪については一切隠されている、特別扱いされているのではないですか。
 日米政府は、一九九七年三月の日米合同委員会で、在日米軍による事件、事故の通報手続を合意しているわけですから、この合意に基づいて行うべきです。東京における米兵の性犯罪について、大事なことなので局長の受け止めについて伺いたいと思います。
   〔志村基地対策部長発言を求む〕

○西沢委員長 局長は答えないですね。

○志村基地対策部長 加害者が誰であるかを問わず、性犯罪、性暴力は重大な人権侵害であります。

○尾崎委員 今のご答弁大変重要なので、局長からご答弁いただきたかったんです。加害者が誰であるか否かを問わず、性犯罪、性暴力は重大な人権問題です。あってはならないことなんです。今後、米兵の性犯罪が二度と起こらないよう、政府防衛省の対応を厳しく追及していただきたいとお願いすると同時に、東京都として米軍、米国に直接厳しく対策を講じるよう求めていただきたいと強く要望するものです。
 次に、オスプレイについてです。
 横田基地に配備されているCV22オスプレイが七月二日、無通告で飛行を再開しました。昨年十一月二十九日に、同基地のCV22オスプレイが鹿児島県屋久島沖で墜落し、十二月六日に米軍が全てのオスプレイの飛行停止措置を取っていました。その後、米空軍は八月一日、事故に関する調査報告を公表しました。墜落の主な原因は、エンジンからの動力をプロペラに伝達するギアボックス内でギアが破損したこと、警告灯が五回表示されても、操縦士が無視して飛行を継続したことの二つだと説明しました。
 しかし、ギアが破損した理由は明らかになっておらず、今後の再発防止策も示されていないにもかかわらず、オスプレイは飛行を再開しています。都は、米軍のこの説明に納得しているのですか。横田基地に関する東京都と周辺市町連絡協議会が求めている要請にも応えていない状況だと思いますが、いかがですか。

○志村基地対策部長 国からの説明資料などによりますと、一連の事故の状況や原因については明らかとなっており、原因に対応した各種の安全対策の措置を講じることにより、同種の不具合による事故を予防、対処することができるとされております。

○尾崎委員 米側はなぜギアが破損したのか、一番大事な部分については何も解決していないんです。それにもかかわらず、東京都はこれで原因が明らかになったと思っているんでしょうか。国は米軍の説明をうのみにし、東京都は国の説明をうのみにしているだけでは、また大きな事故を起こしかねません。
 陸上自衛隊のオスプレイも十月二十七日に、沖縄の与那国駐屯地、機体の一部が損傷し飛行を中止していました。ところが、操縦士の人為的ミスが原因だといって十一月十五日にも飛行再開しています。オスプレイの飛行は中止するよう求めるべきですが、いかがですか。

○志村基地対策部長 安全保障に関することは、国の専管事項でございます。都はこれまでも地元自治体と共に、安全対策の徹底等について、国や米軍に繰り返し要請を行っております。

○尾崎委員 横田の周辺の住民の皆さんたちは、また事故が起こるんじゃないかと、いつ墜落するか怖くて生活なんてできないんだという声まで上がっているんです。オスプレイは、ただでさえ欠陥機であるのに、安全対策があまりにもお粗末です。オスプレイ飛行を中止するよう強く求めるべきです。
 次に、PFAS汚染について伺います。
 発がん性のあるPFAS汚染問題では、多摩地域の住民が自主的に血液検査や地下水、井戸などの調査を行っています。その結果から、横田基地の泡消火薬剤の漏出がPFAS汚染の原因の可能性が高いということが明らかになっています。
 私はこの間、繰り返し横田基地のPFASを含む泡消火薬剤の量、保管場所、また処分の仕方と処分した量についてただしてきました。地元住民にとってはとても重要なことだからです。
 東京都と周辺市町連絡協議会は今年七月十七日、横田飛行場内における泡消火薬剤の漏出への対応について口頭要請しています。その中で、横田基地内でPFOS等を含む泡消火薬剤の現在の保有量、保管場所、保管方法及び使用の実態について、速やかに情報提供することを求めており、大変重要です。このことについて国から説明はあったのですか。

○志村基地対策部長 国からは、横田飛行場においては米側から、本年五月末までにPFOSを含む旧式の泡消火薬剤の廃棄を完了しており、また、置き換えられた新式組成の泡消火薬剤については、原料にPFOS、PFOA及びPFHxSのいずれも含まれていない旨、説明を受けていると聞いております。

○尾崎委員 PFOS等が含まれる泡消火薬剤の廃棄を完了したということですが、置き換えられた泡消火薬剤には三つのPFASは含まれていないというだけのことです。PFOS等が含まれないものに換えたからといって、都が求めている保管場所、保管方法及び使用の実態について、何の情報提供がないことは到底許されないと思います。
 特に、PFOS等が含まれる泡消火薬剤はどのように、どこで処分したのか、引き続き情報提供を求めるべきです。専門家によれば、処分方法について、米本国では焼却は許可されていないといい、実際の処分方法は示されていません。環境省も米国内では、焼却場で有害物質が発生することなどが問題となり、焼却処分が二〇二〇年から禁じられているということです。
 都として米軍に、交換は終了した、これで終わりにせずに、PFOS等が含まれる泡消火薬剤の残量、処分の仕方、場所について明らかにするよう引き続き求めるようお願いするものです。
 PFOS等を含む泡消火薬剤は廃棄したという答弁でしたけれども、北関東防衛局から十月三日、米側からの情報として、八月三十日、短時間に降った豪雨により、横田基地の消火訓練エリアから、PFOS等を含む泡消火薬剤の残留が含む約四万七千リットルの水が恐らくアスファルト上にあふれ出し、数量不明の分量の水が地上から雨水排水溝に流入し、施設外へ出た蓋然性が高い、本事案について再発防止計画を講じるとの情報が東京都にありました。
 PFAS汚染水の漏出について、米側から初めての通報だと思います。都の受け止めを伺います。

○志村基地対策部長 都と地元自治体は、国に対し、詳細かつ迅速な情報提供、国の責任における調査等について要請を行っております。

○尾崎委員 私は都の受け止めを聞いたんです。それではきちんと答弁がありません。何を要請したのかと聞いたわけではないんです。横田基地内でのPFAS汚染水の漏出について米側が自ら通報してきた。しかも、施設外に出た蓋然性、可能性があると認めたとても重要な内容です。このことについて、都の受け止めを聞いたんです。
 東京都と周辺市町連絡協議会は、十月四日に口頭要請を行いました。横田飛行場におけるPFOS等を含む水の漏出についての口頭要請の中で、極めて遺憾ですと述べていますが、何に対して遺憾だといっているのか伺います。

○志村基地対策部長 要請では、情報提供のあった漏出は、発生から一月以上の時間が経過しており、速やかに情報提供がなされなかったことは遺憾であるとしております。

○尾崎委員 私は、極めて遺憾ですと口頭要請の中で述べたことは重要だと思います。速やかに情報提供がなされなかったことに対して、遺憾だといったことも大事だと思います。
 しかし、私は、横田基地内でのPFAS汚染水の漏出に対して、しかも施設外に出た蓋然性があることにこそ、怒りを込めて遺憾であるというべきではないかと厳しく指摘しておきます。地元住民の思いとはかけ離れていることも厳しく指摘しておきます。今回の漏出に関わっては疑問だらけです。
 そこで伺います。米側からは、約四万七千リットルの水があふれたとなっていますが、どうして量が分かったのですか。また、貯水池はどのくらいの大きさで、何リットル入るのか聞いていますか。

○志村基地対策部長 基地内における漏出の状況などは示されておらず、都と地元自治体は国に対し、詳細な情報の提供等を繰り返し要請しております。

○尾崎委員 それでは、米側の説明では、アスファルト上にあふれ出しとなっていますが、貯水池の周りは芝生になっているんです。芝生の先がアスファルトになっているんです。芝生から土壌にしみ込んだと思いますが、都は認識していますか。

○志村基地対策部長 基地内における漏出の状況などは示されておらず、都と地元自治体は国に対し、詳細な情報の提供等を繰り返し要請しております。

○尾崎委員 それでは、都は、貯水池の周りが芝生なのか、アスファルトなのか知っているのですか。

○志村基地対策部長 国からは、横田基地の貯水池及び火災訓練用機材そのものを含む消火訓練エリアから、PFOS等を含む泡消火薬剤の残留を含む水が、恐らくアスファルト上にあふれ出したとの情報提供が米側からあったと聞いております。基地内における漏出の状況などは示されておらず、都と地元自治体は国に対し、詳細な情報の提供等を繰り返し要請しております。

○尾崎委員 国に対し、詳細な情報の提供等を繰り返し要請しているというだけで、何も分からない状況だということです。素人の私が考えてももう疑問だらけなんです。
 それでは、防衛省は十月十六日、十月三日通報以降、米側から得られた追加情報が東京都にも来ていますが、貯水池のPFOS等の濃度は、二〇二三年十一月の測定値によると、PFOS及びPFOAの合計で千六百二十ナノグラム・パー・リットルとありますが、現在の濃度は幾つか分かりますか。

○志村基地対策部長 貯水池の現在の状況などは示されておらず、都と地元自治体は国に対し、詳細な情報の提供等を繰り返し要請しております。

○尾崎委員 それでは、貯水池の濃度測定の頻度はどうなっているのか分かりますか。過去にこのような事態はなかったのか聞いていますか。

○志村基地対策部長 貯水池の状況などは示されておらず、都と地元自治体は国に対し、詳細な情報の提供等を繰り返し要請しております。

○尾崎委員 何を聞いてもはっきりしないという状況ですよね。
 それでは、今回の漏出事故は、環境補足協定の環境に影響を及ぼす事故、すなわち漏出が現に発生した場合に当たるのか。横田基地への立入調査の要件に当たると認識しているのか伺います。

○志村基地対策部長 基地内における漏出の状況などは示されておらず、都と地元自治体は国に対し、詳細な情報の提供等を繰り返し要請しております。

○尾崎委員 ただいまの答弁では、私の質問に答えていません。私は、立入調査の要件に当たる認識はあるのかと聞いたんです。
 日米地位協定の環境補足協定は第四条で、環境に影響を及ぼす事故、すなわち漏出が現に発生した場合に、施設及び区域への適切な立入りを行うことができるよう、合同委員会が手続を定め、及び維持することを合意するとしています。そして、その手続を定めた日米合同委員会の合意では、環境に影響を及ぼす事故、すなわち漏出について通報が行われたとき、日本国政府、都道府県または市町村の関係当局は、現地視察を行うことを認めるよう申請することができる。サンプルを採取することを申請することもできるとしています。
 今回、米側が初めて漏出の事実を認め、米側から初めて通報があったわけです。しかも、これまでと異なり、初めて基地の施設外に出た可能性があると認めているわけです。国も都も曖昧にしてはいけないと思います。都は、米軍に対しPFAS流出事故について、横田基地への立入調査とサンプル採取を正式に申請すべきですが、いかがですか。

○志村基地対策部長 これまでの国からの回答において、基地内における漏出の状況が詳細に示されていなかったことなどから、都と地元自治体は現地で直接説明するよう、国と米軍に要請しております。

○尾崎委員 ただいまのご答弁で、現地で直接説明するよう国と米軍に要請しているということでした。この内容は、十一月二十日付での要請の項目の中に入っているものです。大事なことなので伺いたいと思います。
 現地でということは、横田基地に入ってということになると思います。先ほど、環境補足協定の第四条について説明しましたけれども、横田基地に入っての調査、立入調査という認識でいいのかお答えください。

○志村基地対策部長 都と地元自治体は、現地で直接説明するよう国と米軍に要請しております。

○尾崎委員 大事な答弁なんですよね。要するに、横田基地に立ち入るという、横田基地に入ってということは重要です。これは横田基地に立入調査を行うことを求めているということだと私は思います。
 大変重要な要請であり、実現できるよう小池都知事を先頭に国と米軍に働きかけていただきたいと強く強く要望するものです。
 防衛省は、公共用水域への影響について調査をしたということですが、何か所で調査を実施したのですか。また、公共用水域の調査だけでは不十分であり、地下水調査と土壌調査を要望するものですけれども、どうですか。

○志村基地対策部長 国からは、横田飛行場南西部の排水口付近一か所において採水を行い、水環境中の暫定の指針値を下回る数値だったと聞いております。
 また、国の責任において地下水等への影響について調査、分析、評価を行い、その結果を公表するとともに、必要な対応を行うことを国に要請いたしました。

○尾崎委員 国は排水口付近一か所で採水したということです。漏出があったのは八月三十日です。二か月以上経過した十一月五日に採水しても、国の暫定指針値を下回るのは当然だと思います。
 先ほど、ご答弁で、国の責任において地下水等への影響について調査、分析、評価を行い、その結果を公表するとともに、必要な対応を行うことを国に要請しているというご答弁もありました。この地下水等の等ですが、この中には、土壌調査なども入るのかどうか、大事なことなので教えていただきたいと思います。

○志村基地対策部長 地下水等の等につきましては、地下水のほか、その他環境に影響を与えるものについてでございまして、国の責任において地下水等への影響について調査、分析、評価を行い、その結果を公表するとともに、必要な対応を行うことを国に要請いたしております。

○尾崎委員 今、大事なご答弁いただきました。等の中には、環境に影響を及ぼすものということですから、当然土壌調査も入ると思います。
 そこで、国に要請しているのは大事なことなんですが、日にちがたってしまえば正しい数値が出ない可能性もあるわけです。ですから私は、国がやらないのであれば、東京都として横田基地周辺の土壌調査を行うべきだと思います。いかがですか。

○志村基地対策部長 繰り返しになりますが、国の責任において地下水等への影響について調査、分析、評価を行い、その結果を公表するとともに、必要な対応を行うことを国に要請いたしました。

○尾崎委員 国の責任で調査、分析、評価を求めることは大変重要です。でもこのままでは進まないんじゃないでしょうか。進まないのであれば、国がやらないのであれば、東京都としてやるべきだと思います。せめて、横田基地周辺の土壌調査は今すぐにでもやれることだと思いますので、早急に行うことを求め、関係局との連携を行って、検討を始めてほしいと思います。
 地元住民の不安や怒りに寄り添って、改めて今回の漏出事故について、横田基地への立入調査を求めるべきだと強く要望して、質問を終わります。

○ほっち委員 よろしくお願いいたします。
 まず初めに、物流の効率化についてお伺いをさせていただきます。トラックドライバーの時間外労働規制の適用により、人材不足などにより物流の停滞が懸念される物流の二〇二四年問題に対し、都においても様々な取組が行われております。
 今年六月の第二回定例会において、物流の効率化に関する私の代表質問に対し、集配送の効率化に向け、七月上旬から公共駐車場の駐車ますを確保し、事業者に荷さばきスペースとして無償で提供する取組を開始するとの答弁がありました。
 そこでまず、貨物車駐車スペース提供事業について、これまでの取組状況をお伺いいたします。

○佐々木交通政策担当部長物流担当部長兼務 貨物車駐車スペース提供事業につきましては、本年七月十日から五か所で運用開始し、その後、順次拡充を進め、現在は足立区や練馬区、小平市、町田市など、区部及び多摩部の住宅地等において十七か所を開設しております。

○ほっち委員 定例会での答弁のとおり、順次拡大されているとのことであります。また一方、せっかくこのような取組を行っていても、利用者である物流事業者が知らなければ物流の効率化にはつながりません。
 そこで貨物車駐車スペース提供事業について、物流事業者に対し、どのような周知を行っているのかお伺いをいたします。

○佐々木交通政策担当部長物流担当部長兼務 物流事業者への周知を図るため、東京物流ビズの特設サイトに掲載するとともに、約三千三百部発行されている東京都トラック協会の会報や、約四万五千社が登録するスムーズビズのメールマガジンなどを通じて発信を行っております。

○ほっち委員 様々な方法で周知をしていただいているということは分かりました。引き続き、集配送の効率化に向けて、物流事業者への周知をしっかりとお願いをしたいというふうに思っています。
 また最後に、トラック協会など、利用者である物流事業者やトラックドライバーの意見をよく聞いて、設置場所や運営方法などの改善を行い、来年度にしっかりとつなげていただきたいという旨を要望して、次の質問に移ります。
 次に、高台まちづくりについてです。
 近年の気候変動により、水害が激甚化、頻発化しており、この九月には能登半島において記録的大雨が襲い、今年一月の震災からの復興を目指す被災地に追い打ちをかけるような甚大な被害を与えました。
 都内においても記録的な大雨が観測されるなどしており、大規模水害の発生リスクは今後一層高まっていくというふうに予想をされております。特に、東京の東部低地帯は標高の低い地域が広がっており、足立区の私の住まいも荒川や中川に囲まれた地区にあり、一たび大水害が発生すると、広範囲で三メートル以上の浸水が想定をされております。
 都においては、これらの水害リスクを軽減させるため、水利施設の整備や堤防、排水機場等の耐震、耐水化を進めるとともに、国及び地元区と連携して高台まちづくりに取り組んでおりますが、改めてこの高台まちづくりの目的についてお伺いいたします。

○井川市街地整備部長 治水施設では防ぎ切れない大洪水や大規模氾濫が発生いたしましても、命の安全、最低限の避難生活水準が確保され、さらには社会経済活動が一定程度継続することができるよう、高台まちづくりを推進していくこととしてございます。

○ほっち委員 大規模水害時は、直下地震と違い、数日前から避難準備等ができるため、区外への広域避難を基本とした対応になると考えますが、令和元年東日本台風では、移動手段となる公共交通機関の計画運休など、広域避難を実施する際の課題が明確になりました。
 私の地元である足立区のように大規模な水害が想定されているエリアにおいては、引き続き広域避難の実効性を高めるとともに、万が一、逃げ遅れた場合にも、一人でも多くの命を救うために、緊急的な避難場所となる高台を確保していくことが重要であります。
 そこで、足立区内における高台まちづくりの現在の状況と今後の取組についてお伺いをいたします。

○井川市街地整備部長 現在、足立区内では、新田一丁目の都営住宅の建て替えに合わせて高規格堤防整備を行うとともに、下水道局による関連施設の覆蓋化と併せた上部公園整備などを進めております。さらに、今後は、強靱化プロジェクトに位置づけた新田地区におきまして、河川防災ステーションなどの整備と併せた高規格堤防整備に向けまして、国や区と連携し検討を進めてまいります。

○ほっち委員 着実に進めていただきたいというふうに思います。
 過去には、明治四十三年の大洪水で、当時の荒川や綾瀬川の堤防が決壊したことにより東京が水没をしました。この災害をきっかけに、多くの人々の苦労の末に荒川放水路が誕生し、今年は荒川放水路に水を通してちょうど百年目の年であります。先人がこの東京をつくってきたように、この高台まちづくりも将来の子供たちに安全なまちを残していくという使命感を持って取り組むべき事業であると考えます。引き続き、国、都、区で連携して取組を加速することを強く求めて、次の質問に移ります。
 続いて、液状化対策コンソーシアムについてです。
 液状化については、私の地元の足立区においても、首都直下地震による被害が多く見込まれており、対策が重要であります。しかし、現状では調査や工事に係る費用が高く、対策も必要では必須ではないということもあり、都民の認知度が低い状況にあります。
 こうした課題を乗り越えていく必要があり、都は、第一回定例会の我が会派の代表質問に対し、ハウスメーカーや地盤調査会社等の業界団体等と協議会を立ち上げると答弁がありました。
 今般、建築物液状化対策促進東京コンソーシアムを設立しました。そこで、改めてコンソーシアムを立ち上げた目的についてお伺いいたします。

○谷井耐震化推進担当部長 液状化対策の推進には、先進的に取り組んでいる事業者等の知見を生かすことが必要であり、ハウスメーカーや業界団体等と協力体制を構築するためコンソーシアムを設立し、今月二十一日に第一回の会議を開催しております。

○ほっち委員 都と行政が連携して取り組むことは非常に重要であり、都が尽力してコンソーシアムを設立した点は評価をいたします。
 そこで、コンソーシアムの第一回会議が先週開催されたとのことでありますが、どのような内容で行ったのかお伺いをいたします。

○谷井耐震化推進担当部長 第一回の会議では十三社と六団体が参加し、各構成員の取組について情報共有を行った後、都民への普及啓発等について一体となって取り組んでいくことを確認しております。

○ほっち委員 液状化対策を前に進めるために、非常によい取組だというふうに思いますので、これからもしっかりと取り組んでいただきたいという期待をして、質問を終わります。

○平委員 本日最後です。プレッシャーを感じています。簡潔に質問したいと思います。
 東京都と地元三区、千代田、中央、港の行政と有識者や専門家、さらに都民や民間企業も加わって、東京高速道路、KK線を、ニューヨークの高架鉄道跡地を利用したハイライン等をモデルに、歩行者中心の公共的空間にし、都心のど真ん中の立地を生かし、国内外から観光客を引き寄せ、ひと、まち、環境をつなぎ、東京に新しい価値や魅力を加えるシンボルを目指す歩行者中心の空中回廊へと再生するプロジェクトが進んでおります。昨年五月に都主催、本年五月には都及び東京高速道路株式会社の共催で、GINZA SKY WALKを開催、にぎわいを創出できることを確信したと伺っております。
 今月の十五日には、東京高速道路株式会社主催によって、KK線再生プロジェクト・カンファレンスが開催をなされました。このカンファレンスの目的について、まずお伺いをいたします。

○谷内まちづくり推進担当部長 このカンファレンスは、来年四月にKK線が廃止されることを控え、東京高速道路株式会社が、周辺地域の地元関係者や各分野の専門家などを招き、一堂に会してKK線の将来像やまちづくりの進め方などについて広く意見交換をすることを目的として実施したものでございます。

○平委員 ありがとうございます。このカンファレンスではどのような議論が行われ、また、今後の取組について話がなされたのかお伺いをいたします。

○谷内まちづくり推進担当部長 地域の方々からは、KK線再生を機に地域同士の交流が生まれることを期待する声などがあり、専門家からは、多様な主体と共につくり上げていく体制づくりが重要といった意見が出されるなど、活発な議論が行われました。
 今後は、都民などにも広く参加の機会を設けるなど、共につくり上げていく取組を東京高速道路株式会社と連携して進め、東京の新たな価値や魅力の創出に向け、KK線の再生を推進してまいります。

○平委員 ありがとうございます。昨年三月十五日のこちらの都市整備委員会において、私の方からKK線自動車道廃止後の道路上屋外広告物の規制についてお尋ねをし、当時の担当部長より、KK線上部空間及び沿道の良好な景観形成の観点から、屋外広告物の規制の在り方や手法等について、関係者間で早期に検討、調整していくとのご答弁をいただいております。
 その後どのような検討や調整をされたのか、現在のKK線沿線における屋外広告物規制の在り方等に関する状況についてお伺いをいたします。

○谷内まちづくり推進担当部長 現在KK線の道路上及び沿道の一定の範囲では、東京都屋外広告物条例により屋外広告物の表示、掲出が禁止されております。
 今後、魅力的な空間の形成に向け、屋外広告物の新たなルールを検討していくこととしておりますが、来年四月のKK線の廃止後に現在の規制が外れるため、新たなルールが整備されるまでの間、現在と同等の規制を継続することについて広告物審議会の意見を聴くなど、手続を進めております。

○平委員 意見を聞くなど手続中ということでございました。引き続き、取り組んでいただきたいと思います。
 次です。かつて旧江戸城外堀には、多摩川の水が玉川上水や江戸市中を通って流れ込んでおり、美しい水の都を形成しておりました。現在では導水が停止しており、大雨が降ると下水が流出して水質が悪化している状況、外堀は私の地元である千代田区に位置しておりますが、夏場にはそういった状況がありまして、アオコが大量発生し、景観への悪影響だけでなく、異臭が発生をしている。都心の貴重な水辺空間の魅力が低下しておりまして、早期の対策が望まれるところであります。
 そこで、都では、外堀浄化の推進を契機として、水の都東京をよみがえらせる取組を行っております。アオコの発生を抑制するための施設整備の完了予定は二〇三〇年代半ばと、約十年と長期間となります。対策が完了するまでの間も、地域住民やまちに訪れる方々の癒やしの場としていくためには、こういった取組は不可欠であります。
 そこで、外堀浄化に向けた施設整備が完了するまでの間の水質改善対策について現在と今後の取組についてお伺いをいたします。

○新良まちづくり調整担当部長多摩まちづくり担当部長兼務 都は、地元の千代田区と連携し、水質改善処理剤の散布や汚濁拡散防止フェンスの設置など、夏季にアオコに対する暫定対策を実施しております。
 引き続き、良好な水辺空間の維持に向けて対策を実施してまいります。

○平委員 恒久的な対策が完了するまでの暫定的な対策は、夏季においても多くの方に外堀に足を運んでもらい、癒やしの場としていくためには不可欠であります。
 失礼、外堀の水質改善についての取組状況と、地元区と連携しながら機運醸成を図り、事業を進めていくのかお伺いをいたします。

○新良まちづくり調整担当部長多摩まちづくり担当部長兼務 都は令和四年度から、地域の小学生を対象に、地元区と連携して子供向け勉強会を開催し、座学での歴史授業や水質実験、現地見学を実施しております。
 子供たちからは、外堀の水辺環境を大切にしていくためにできることを家族などに伝え、広めていきたいといった率直な意見が多く出されるなど、外堀の歴史的価値や維持管理の大切さが着実に伝わっていると認識しております。(平委員「ちょっと重複があったんで省いたんですよね」と呼ぶ)申し訳ありません。(平委員「いえいえ、申し訳ない、簡潔にしたかったから。よろしいですか」と呼ぶ)大変失礼いたしました。外堀の水質改善に向けては、導水に向け必要な施設の早期完成を目指して、関係局が連携の上、導水施設の基本設計などに取り組んでおります。
 今後、より一層地元区と連携し、地元の理解と協力を得ながら、子供向け勉強会などの場を通じて機運醸成を図り、円滑に事業を進めてまいります。

○平委員 二〇三〇年代半ばに向け、外堀がどのように変わっていくのか、事業の必要性を伝えていくことは重要であります。今年度は、千代田区主催でボートに乗船して外堀を体感できる外堀水質改善見学会が開催をなされたと、多様な方法で外堀の魅力を伝えていくことが効果的なPRにつながるため、区との連携については引き続き検討いただきたいと、そしてまちづくりを含めて、地域と一体となった事業が推進されること、地元に寄り添った対応していただくことなど、来年度の予算もしっかり確保していくことも含めまして、要望をいたします。
 続いて、放射第九号線についてです。放射第九号線は、千代田区大手町一丁目を起点とし、文京区、豊島区を通り、板橋区の舟渡三丁目を終点とする延長十四・九キロメートルの都市計画道路で、都心部から埼玉県に至る骨格幹線道路です。千代田区内の白山通りは放射第九号線として都市計画決定されており、平成二十八年に策定された第四次事業化計画で優先整備路線に選定、計画策定から来年で十年目に当たります。
 いまだ事業に着手がなされておられず、地権者の方や地元の方々から、漏水や耐震化のために建て替えたいけれども、近いうちに事業に着手し用地買収をされてしまうと二度手間になると、なかなか建て替えに踏み切れずに大変困っているという声を、私受けております。
 そこで、放射第九号線の計画の概要について、まずお伺いをいたします。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 放射第九号線は、昭和二十一年に千代田区竹平町から豊島区巣鴨二丁目までの延長約十五キロメートルで都市計画決定されております。
 都市の骨格を形成する区部の放射方向の幹線街路として重要な役割を担う道路でございます。

○平委員 事業化計画は第四次事業化計画以前から策定をされていると思いますが、千代田区内の放射第九号線が、これまでどのように事業化計画に位置づけられてきたのかお伺いをいたします。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 本路線は、平成十六年に策定した第三次事業化計画では、神保町交差点付近の約二百七十メートルを優先整備路線に位置づけております。
 平成二十八年に策定した第四次事業化計画では、神保町交差点を含む補助第百二十四号線付近から環状二号線付近までの約千三百メートルを優先整備路線に位置づけております。

○平委員 現行の第四次事業化計画では、交差点だけでなく一定の区間として位置づけられているということでございましたが、優先整備路線に選定されている理由についてもお伺いをいたします。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 本路線は、人や物の流れを円滑にするとともに、広域的な防災性の向上などが期待される骨格幹線道路網を形成することから、優先整備路線に選定しております。

○平委員 選定理由である骨格幹線道路網を形成することで、東京の特徴的な持続的な発展に寄与するため重要であり、放射第九号線の早期整備が望まれるということです。
 しかし、千代田区内の放射第九号線は、第四次事業化計画策定後、事業に着手しておらず、さらに都内にはほかにも同様の状況があるというふうに伺っております。
 そこで、第四次事業化計画における優先整備路線の着手率をお伺いいたします。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 第四次事業化計画の優先整備路線の着手率は、令和五年度末時点で約三割でございます。

○平委員 着手率が約三割にとどまっているということです。事業に着手できていない都市計画区域内の建物は建築制限がかかる上、特にこの地域は非常に地価の高い地域であるため、高い固定資産税も払い続けなければならないという悩みも伺っております。
 地権者の負担を軽減する措置があるのかお伺いいたします。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 ご指摘のとおり、都市計画道路内の区域の土地は建築制限を受けるため、周辺の土地と比較して、固定資産税などの税負担を軽減する措置が講じられております。

○平委員 一定の対応を取られているということですが、事業に関連をして再建ができずに困っている権利者が多いというふうに聞いております。来年度には、現計画の期限が迫っていることから、現計画の後の進め方についても質問をさせていただきたいと思います。
 計画の策定においては、先月から新たな整備方針の策定に向け、検討会が立ち上がったというふうに伺っております。検討内容について教えてください。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 先月、学識経験者による委員会や都と区市町による検討会を設置したところでございます。検討会等では、都市計画道路ネットワークの検証や優先整備路線の検討などを行ってまいります。

○平委員 第一回目の検討会において専門家や区市町村からどのような意見が出されたのかお伺いをいたします。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 第四次事業化計画の進捗状況を把握し、課題を分析していくことが必要であるなどの意見がございました。

○平委員 課題を分析した上で整備を進めるというご意見、まさに重要だと思います。次の整備方針では、分析した結果を活用するとともに、現行計画も踏まえながら検討していくことが重要と考えます。
 そこで、優先整備路線の検討に当たって、今後の取組についてお伺いをいたします。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 現行計画では、放射第九号線などの骨格幹線道路については、人や物の流れを円滑にするとともに、広域的な防災性の向上や良好な市街地環境の形成などが期待できるとしております。検討会等において、こういった現行計画の考え方も踏まえた上で課題を分析し、今後の進め方を議論してまいります。

○平委員 現行計画の考え方を踏まえながら進めていくということでございました。地元には様々なご意見がございます。こうした意見をよく聞きながら、丁寧に検討を進めていただきたいというふうに考えますが、都の見解を伺います。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 今後、区市町と連携し、幅広く都民意見の把握に努めながら、新たな整備方針の策定に向け検討を進めてまいります。

○平委員 ありがとうございました。
 優先整備路線の検討に当たっては、地元の様々な声を踏まえながら進めていってほしいというふうに思います。その結果、優先整備路線に選定されたのであれば、計画期限内に整備に着手することをしっかりと守っていただきたいというふうに思います。
 東京の発展につながっていくということも視野に入れて、特に、この放射第九号線は骨格幹線道路網を形成するだけでなく、広い歩道が確保され、電柱もなくなるなど、まちづくりにとっても大切であるため、着実に整備が進むよう、しっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。
 また、地権者にとっても、用地買収や再建といった人生を左右する出来事となるため、計画的に事業に着手することで人生設計を立てることが可能となってきます。
 第四次事業化計画においては、進捗状況を把握して、課題を分析していくということでありましたが、検証をしっかり行った上で、次の事業化計画は先をしっかりと見据えて、実効性のある計画となるようにしていただくことを要望いたします。
 最後の質問になってまいります。
 神田神保町地区について、今年三月の予算特別委員会で、私から神田神保町などにおける今後のまちづくりについて質問を行い、都は古書店街として地域の魅力を将来にわたって継承すると、区を支援していくというご答弁をいただいたところです。
 神田神保町ですね、明治維新後、周辺に多くの大学などの立地に合わせて、古書店街が集積をし、ロンドンのチャリングクロスなんかを超えて、世界最大級の古書店として魅力的なまち並みを形成し、国内外から観光客も訪れる東京の魅力の一つとなっています。
 こうした神田神保町地区のまちづくりの重要性を踏まえて、区議会では、都と区が連携をし、検討する必要があるというスタンスから、先週質問がなされました。
 まず確認のためです。今年度、千代田区は神田神保町地区でどのようなまちづくりの検討を行っているのかお伺いをいたします。

○飯塚景観・プロジェクト担当部長 千代田区は今年度、神田神保町地区におきまして、老朽化や利用状況などの建物現況調査、地元へのヒアリング、まちの特性や課題の分析などを実施してございます。区はこうした調査や地元の意向を踏まえながら、地域の将来像のほか、建て替えや既存ビルのリノベーション等、将来像を実現する手法など、まちづくり方針の検討を行うこととしてございます。

○平委員 ありがとうございます。
 区は調査や地元の意向を踏まえながら、まちづくり方針の検討を行っていくということです。都が検討に加わることで、よりよいまちづくりが実現できるというふうに期待できます。
 千代田区によるまちづくりの検討に対して、今年度、都はどのような支援を行っているのかお伺いをいたします。

○飯塚景観・プロジェクト担当部長 都は今年度、千代田区が実施している建物現況調査などの費用のほか、これらを踏まえたまちづくり方針の検討費用の一部を補助しております。
 また、学識経験者、区などとリノベーション等によるまちづくりについての意見交換を行うとともに、まちづくり方針の策定に関して、技術的な助言を行っております。

○平委員 地域の方々からは、古書店を続けたいけれども、老朽化した建物を機能更新して稼業を続けていくまでの体力がないというような課題も寄せられていると聞いております。都はこうした課題も踏まえつつ、古書店街のまち並みや魅力の保全につながるまちづくり方針などの取りまとめに向け、区と連携をしていただきたいというふうに思います。
 都は今後の神田神保町地区のまちづくりの検討を区と連携してどのように進めていくのかお伺いをいたします。

○飯塚景観・プロジェクト担当部長 千代田区によるまちづくり方針の策定に当たりましては、地元の関係者の意見を聞きながら、地域の将来像などについて合意形成を図っていく必要がございます。
 今後、区は、地元町会や地権者等とまちの課題や将来像について広く意見交換を行うこととしておりまして、都もこれに参画するなど、まちづくり方針の策定に向けた区の取組を支援してまいります。

○平委員 先日、小池知事も訪れていただきました第六十四回東京名物神田古本まつりをはじめ、神田神保町の古書店街があるから行える事業というものもございます。歴史ある観光資源であって、東京の大きな魅力の一つです。そうした魅力あふれる古書店街を守るために、区と連携をしながら、神田神保町のまちづくりを積極的に推し進めていただくことを要望いたしまして、私の質疑を終わります。ありがとうございました。

○西沢委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○西沢委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市整備局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後七時十五分散会