都市整備委員会速記録第六号

令和六年五月二十八日(火曜日)
第五委員会室
午後一時開議
出席委員 十三名
委員長竹井ようこ君
副委員長土屋 みわ君
副委員長尾崎あや子君
理事加藤 雅之君
理事森口つかさ君
理事田村 利光君
松田りゅうすけ君
関野たかなり君
松田 康将君
原田あきら君
中山 信行君
後藤 なみ君
西沢けいた君

欠席委員 なし

出席説明員
都市整備局東京都技監都市整備局長技監兼務谷崎 馨一君
次長小平 基晴君
技監小野 幹雄君
理事三宮  隆君
総務部長山崎 太朗君
都市づくり政策部長山崎 弘人君
都市基盤部長特命担当部長兼務長尾 肇太君
市街地整備部長井川 武史君
市街地建築部長飯泉  洋君
多摩まちづくり政策部長澤井 正明君
基地対策部長志村 公久君
連携・連絡調整担当部長調整担当部長兼務宮崎  成君
企画担当部長藤原  新君
築地まちづくり推進担当部長高橋竜太郎君
まちづくり調整担当部長多摩まちづくり担当部長兼務新良 京子君
まちづくり調整担当部長青木 成昭君
景観・プロジェクト担当部長飯塚 佳史君
交通政策担当部長物流担当部長兼務佐々木啓文君
地域公共交通担当部長村上 清徳君
多摩ニュータウン事業担当部長今井 徳彦君
局務担当部長安間三千雄君
住宅政策本部本部長小笠原雄一君
技監青柳 一彦君
住宅企画部長松崎伸一郎君
都営住宅経営部長栗谷川哲雄君
連絡調整担当部長大和田隆夫君
経営改革担当部長小町 高幹君
都営住宅企画担当部長平松 紀晴君
建設推進担当部長小久保信一君
営繕担当部長小野寺弘樹君
再編利活用推進担当部長木村 宣代君

本日の会議に付した事件
住宅政策本部関係
第二回定例会提出予定案件について(説明)
・都営住宅六H−一三四東(葛飾区新宿四丁目)工事請負契約
・都営住宅六H−一〇四西(清瀬市野塩二丁目)工事請負契約
・都営住宅六H−一〇三西及び六M−一〇三西(練馬区田柄二丁目)工事請負契約
陳情の審査
(1)六第二号 都営住宅への優先入居の特例に関する陳情
(2)六第三号 都営辰巳一丁目アパート内の診療所・郵便局・歯科医院の早期移設に関する陳情
報告事項(説明・質疑)
・令和五年度東京都一般会計予算(住宅政策本部所管分)の繰越しについて
・令和五年度東京都都営住宅等事業会計予算の繰越しについて
都市整備局関係
請願の審査
(1)六第二号 晴海選手村用地の不当に廉価な譲渡価格の是正を求めることに関する請願
報告事項
・築地地区まちづくり事業について(説明)
・東京都建築安全条例の見直しの考え方について(説明)
・令和五年度東京都一般会計予算(都市整備局所管分)の繰越しについて(説明・質疑)
・令和五年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算の繰越しについて(説明・質疑)
・令和五年度東京都都市再開発事業会計予算の繰越しについて(説明・質疑)
・第二百四十六回東京都都市計画審議会付議予定案件について(説明・質疑)

○竹井委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 初めに、本委員会の担当書記に交代がありましたので、紹介いたします。
 議事課担当書記の土志田寛也さんです。
 議案法制課担当書記の吉澤まどかさんです。
 よろしくお願いいたします。
   〔書記挨拶〕

○竹井委員長 次に、本委員会の会期中の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、住宅政策本部関係の第二回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取、住宅政策本部及び都市整備局関係の請願陳情の審査並びに報告事項の聴取を行います。
 なお、本日は、提出予定案件及び報告事項の築地地区まちづくり事業について外一件については、いずれも説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行うこととし、その他の報告事項については、いずれも説明を聴取した後、質疑を終了まで行いますので、ご了承願います。
 これより住宅政策本部関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、住宅政策本部長に小笠原雄一さんが就任されました。
 小笠原本部長から挨拶並びに交代のあった幹部職員の紹介があります。
 小笠原雄一さんをご紹介いたします。

○小笠原住宅政策本部長 去る四月一日付で住宅政策本部長に就任いたしました小笠原雄一でございます。
 私ども住宅政策本部職員一同、住生活を取り巻く社会状況の変化を的確に捉え、成長と成熟が両立した未来の東京の実現を目指し、着実に住宅政策を展開してまいります。
 竹井委員長をはじめ委員の皆様方には、ご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
 それでは、先般の人事異動に伴い就任いたしました当本部の幹部職員を紹介させていただきます。
 連絡調整担当部長の大和田隆夫でございます。建設推進担当部長の小久保信一でございます。営繕担当部長の小野寺弘樹でございます。当委員会との連絡に当たらせていただきます総務課長の石賀裕でございます。
 どうぞよろしくお願いいたします。
   〔理事者挨拶〕

○竹井委員長 挨拶並びに紹介は終わりました。

○竹井委員長 次に、第二回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○小笠原住宅政策本部長 本日は、令和六年第二回東京都議会定例会に提出を予定しております住宅政策本部関係の案件をご説明いたします。
 提出予定案件は、契約案が三件でございます。
 資料1、令和六年第二回東京都議会定例会提出予定工事請負契約議案の概要についてをご覧ください。
 葛飾区新宿四丁目工事などにおける都営住宅の工事請負契約議案が三件でございます。
 私からの説明は以上でございます。
 引き続き、詳細な内容につきまして、住宅企画部長からご説明をいたします。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○松崎住宅企画部長 令和六年第二回東京都議会定例会提出予定案件の詳細につきまして、契約案のご説明を申し上げます。
 資料1、令和六年第二回東京都議会定例会提出予定工事請負契約議案の概要についてをご覧ください。
 一ページから二ページには、件名、工事場所、契約の相手方、契約金額、工期、契約の方法、工事概要、提案理由をそれぞれ記載してございます。
 三ページ、ご覧ください。都営住宅六H−一三四東(葛飾区新宿四丁目)工事の概要でございます。
 中段に記載のとおり、住宅の総戸数は百十二戸でございます。
 下段に記載のとおり、契約の相手方は立花建設株式会社、契約金額は十五億六千二百万円、工期は令和八年十二月十七日までとなっております。
 四ページに案内図と配置図を、五ページに平面図と断面図を添付してございます。
 六ページをご覧ください。都営住宅六H−一〇四西(清瀬市野塩二丁目)工事の概要でございます。
 住宅の総戸数は百一戸でございます。
 契約の相手方は株式会社今西組、契約金額は十三億八千六百万円、工期は令和八年十月五日までとなっております。
 七ページに案内図と配置図を、八ページに平面図と断面図を添付してございます。
 九ページをご覧ください。都営住宅六H−一〇三西及び六M−一〇三西(練馬区田柄二丁目)工事の概要でございます。
 住宅の総戸数は八十四戸でございます。
 契約の相手方は佐藤建業株式会社、契約金額は十一億六千九百二万五千円、工期は令和八年八月十九日までとなっております。
 一〇ページに案内図と配置図を、一一ページから一二ページに平面図と断面図を添付してございます。
 以上で、令和六年第二回東京都議会定例会に提出を予定しております案件の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○竹井委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○竹井委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。

○竹井委員長 次に、陳情の審査を行います。
 初めに、陳情六第二号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○平松都営住宅企画担当部長 整理番号1、陳情六第二号についてご説明いたします。
 それでは、資料2、請願・陳情審査説明表の一ページをご覧ください。
 整理番号1、陳情六第二号、都営住宅への優先入居の特例に関する陳情についてご説明申し上げます。
 陳情者は、足立区の平林薫さんでございます。
 陳情の要旨は、都において、都営住宅の名義人の配偶者が、障害者であるため安定した居住の確保を必要としているにもかかわらず、離婚によって住居から退去させられた場合、日本国憲法第十一条の基本的人権は、侵すことのできない永久の権利に沿って、相手方に離婚の原因がある証拠に基づいた審査を通過すれば、希望する地区のバリアフリー仕様の都営住宅に優先入居できることを特例で認めていただきたいというものでございます。
 現在の状況でございますが、都営住宅の入居資格は、公営住宅法や東京都営住宅条例に、住宅困窮、収入、世帯、居住地などの要件が定められております。
 都営住宅の募集は公募が原則であり、募集に当たりましては、住宅名ごとに申込地区番号を付して、当該住宅の募集戸数、間取り、専用面積、建設年度、エレベーターの有無、使用料等の情報のほか、バリアフリー仕様である場合にはその旨を明記して、都民に公募しており、申込者は、それらの情報を基に申込地区番号を一つ選択して、申し込むこととなってございます。
 申込み後、定期募集では抽せん方式やポイント方式により、毎月募集では抽せん方式により、随時募集では先着順方式により資格審査対象者が決まり、その後、申込み時点を基準として入居資格を満たしているかを審査いたします。また、申込者が選択した住宅は変更できません。
 なお、都営住宅では、抽せん倍率の優遇や住宅困窮度に応じたポイント方式等による優先入居を実施しており、その対象世帯につきましては、国の通知に示されている高齢者世帯、障害者世帯等のほか、都においてこれらに準じた世帯を加えております。
 都営住宅に居住していても、多摩地域や随時募集の住宅であれば申し込むことができます。
 また、居室内の段差が日常生活に著しい支障を来す場合、住宅困窮とみなし、申し込むことができます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願いいたします。

○竹井委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○後藤委員 よろしくお願いいたします。
 私からは、陳情六第二号、都営住宅への優先入居の特例に関する陳情について、意見表明をいたします。
 本陳情につきましては、私の地元でもございます足立区にお住まいの方からのものでありまして、趣旨としては、都営住宅の名義人の配偶者の方が、障害者であるために安定した居住の確保を必要としているにもかかわらず、離婚によって、この住居から退去をさせられてしまった場合においては、希望する地区のバリアフリー住宅に、都営住宅のバリアフリー住宅ですね、こちらに優先入居することを特例で認めてほしいという趣旨のものだというふうに理解をしております。
 恐らくこの陳情の書類を見てみますと、ご家族が、障害がある中で、現在はバリアフリーではない都営住宅にご入居されていて、落選が続いているということもありまして、ご不便な生活が続いているということと同時に、早急な対応が必要だということが背景にあるのかなというふうに推察をしているところであります。
 では、その解決方法として、翻ってこの現在の都の都営住宅の入居要件というものを見ていきますと、先ほどご説明もいただいたとおり、国の通知に示されている高齢者や障害者の方々、こうした世帯の皆様につきましては、優先入居の対象というふうになっているということでございまして、この本陳情者の方が求めておられているところについては、既に優先入居の対象になっているというご説明もございました。ぜひ陳情として求められている趣旨のものについては、制度でカバーされているというようなこともございますので、まずはこの制度をご活用いただきたいなというふうに思います。
 加えて、この優先入居以外の選択肢としても、随時入居という手段もあるということだというふうに理解をしています。空き住戸から先着順でバリアフリーの入居募集を受け付けているということでございまして、直近のこの募集についても確認をさせていただきましたけれども、お住まいの周辺でも、こうしたバリアフリー住宅の空き住戸を先着順で申し込めるようなものが募集をされておりました。ぜひこうしたものもご活用をいただきたいというふうに思います。と同時に、本日これから質疑される委員の皆様もいらっしゃると思いますが、こうした審議の議事録が陳情者の方の下に届くことを祈りたいというふうに思います。
 また、恐らくこの陳情の内容を見ていきますと、なかなか現在の都営住宅の制度そのものが、都民の方に、この陳情者の方に理解がしにくいというところもあるのではないかなというふうに思います。既に東京都住宅供給公社の方とも電話でやり取りをしていただいているということでありますけれども、これ実際に相談窓口ですね、よくいただく冊子のところの冒頭に相談窓口などもございます。ぜひこうしたことをご活用いただきたいと同時に、都の皆様におかれましても、JKKの皆様などを通じて、丁寧に寄り添った相談体制の支援を行っていただきたいというふうに思います。
 やはり一般都民からすれば、こうした都営住宅の募集要件というのは、多岐にわたって、さらになかなか要件も細かいというところもあって、理解しにくいというところもあるのではないかなというふうに思います。ぜひ理事者の皆様におかれましても、分かりやすい募集要件の周知なども含めまして対応をいただくことを求めまして、私の意見表明といたします。

○中山委員 私からも、都営住宅の優先入居に関する陳情について質疑をさせていただきたいと思います。重なる部分もあるかもしれませんが、短い時間ですのでよろしくお願いいたします。
 お寄せいただきました陳情の内容から、陳情者におかれましては、お困りの状況があることは十分理解できるところでございます。
 しかし、抽せんなどの公式に認められた方針を経ずして、特定のどなたかだけを都営住宅に優先的に入居させることは、随時募集の住戸が対象でもない限り困難なことといえます。
 そこで、陳情者の詳細な応募の事実経過は陳情文からうかがい知れませんので、あくまで一般論となりますが、基本的なことを確認しておきたいと思います。
 資料に、多摩地域や随時募集のバリアフリー住宅に応募できるとありますが、現在ご入居中の都営住宅に段差があり、車椅子などで足が不自由などのご事情で、そうした段差がある状態での生活が困難な場合には、区部、二十三区ですね、区部内の年四回の定期募集においてもバリアフリー住宅に応募できると理解しておりますが、この点についての見解を求めたいと思います。

○平松都営住宅企画担当部長 都営住宅の入居資格は、公営住宅法や東京都営住宅条例等におきまして、住宅困窮等の要件が定められております。
 都営住宅に居住している場合は、基本的には住宅困窮には該当しませんが、お住まいの居室内に段差があり、日常生活に著しい支障を来す場合等については住宅困窮とみなし、都内全域のバリアフリー仕様等の都営住宅に応募できることとしてございます。

○中山委員 今ご答弁で、日常生活に著しい支障を来す場合等は住宅困窮とみなし、都内全域のバリアフリー仕様等の都営住宅に応募が可能とございました。
 都営住宅に世帯で生活されていて、離婚により都営住宅から退去しなければならなくなった場合には、年四回の定期募集においてもバリアフリー住宅に応募できると理解しているところでございますが、本件につきまして、改めてこの点も確認しておきたいと思います。

○平松都営住宅企画担当部長 名義人の配偶者で離婚予定のある方は、ご応募することができます。ただし、入居資格審査のときに離婚の成立を証明できることが必要となっております。

○中山委員 名義人の配偶者で離婚予定のある方は応募が可能、ただし、入居資格審査のときに離婚の成立を証明できることが必要との答弁でございました。至極真っ当な対応であると考えます。
 もちろん人間がつくる制度でありますから、完全無欠ということはあり得ないともいえますし、何か課題が明らかになれば、これからも引き続き改善を目指し、よりよい制度を目指していきたいと考えているところでございます。
 その上で、こうした様々な状況を想定して、都営住宅に入居しての生活を必要としている都民のため、運用の措置が整えられていることがあまり知られていないために、十分に活用できていない人たちがいらっしゃるとすれば、大変残念なことでございます。都は、あらゆる機会、手段を通じて積極的な周知を図るべきと要望しておくものでございます。
 また、募集に関する問合せにつきましては、先ほどもございましたけれども、募集期間中の専用ダイヤルや募集期間以外でも受け付け可能なダイヤルなどで、本日の質疑で確認できた内容の点も含め、丁寧に詳細なご説明をいただきたいと思います。
 さらに、今後同様の内容の陳情の意向があった場合におきましては、当然のことではありますが、陳情者のご連絡先が都として分かるのであれば、十分に制度や運用をご説明していただきたいと要望申し上げて、私の質問を終えます。
 以上です。

○尾崎委員 私の方からも、陳情六第二号、都営住宅への優先入居の特例に関する陳情について、幾つか質問していきたいと思います。
 先ほどもご説明ありましたが、今回の陳情は、都営住宅に住んでいる名義人の配偶者、妻は、障害があり、高齢者の身体障害手帳二級が交付されているために、バリアフリー仕様の住戸に入居していたということです。
 ところが、夫の暴力などが原因で離婚ということになってしまいました。結果として、名義人は夫であるため、離婚した妻は退去したということになります。陳情は、退去した母親と同居している息子さんからのものです。
 願意には、離婚によって退去させられた場合、日本国憲法第十一条の基本的人権は、侵すことのできない永久の権利に沿って、相手方に離婚の原因がある証拠に基づいた審査を通過すれば、希望する地区のバリアフリー仕様の都営住宅に優先入居できることを特例で認めてほしいというものです。
 私は、住まいは人権という立場での対応を東京都に求めたいと思います。一般的には、入居者が離婚する場合、名義人以外は都営住宅を退去しなければならなくなります。このような内容について、事前の相談などがあった場合の対応はどうなっていますか。

○平松都営住宅企画担当部長 一般的には、離婚に伴う退去の相談の際に都営住宅への入居希望があれば、相談者の置かれている具体的な状況などを伺いながら、都営住宅の申込み案内を行うなど、相談者に寄り添い、丁寧に対応することとしてございます。

○尾崎委員 相談があった場合には、都営住宅の入居希望があれば、相談者の具体的な状況などを伺いながら都営住宅の申込み案内を行うなど、相談者に寄り添って対応を丁寧にしていくというご答弁でした。これ、とても重要だと思います。
 今回の場合、配偶者である名義人の妻に障害があるため、バリアフリー仕様の住戸に入居していたわけです。離婚時、配偶者の年齢も六十歳を超えていました。このような場合、離婚するに当たり住宅に困窮することも考えられますが、どのような対応をするのか、認識を伺います。

○平松都営住宅企画担当部長 離婚に伴う退去の相談の際に都営住宅への入居希望があれば、障害者や高齢者などに関わりなく、相談者の置かれている状況などを伺いながら、相談者に寄り添い、丁寧に対応することとしております。

○尾崎委員 障害者や高齢者などに関わりなく、丁寧に対応ということもご答弁でありましたけれども、今回の陳情者のように、離婚調停を開始する時点で、妻が高齢単身者として都営住宅に応募できる資格があることなどは、都としてどのような助言をするのか伺います。

○平松都営住宅企画担当部長 離婚に伴う退去の相談の際に都営住宅への入居希望があれば、名義人の配偶者で離婚予定のある方でも都営住宅に応募できること、その際には、入居資格審査のときに離婚の成立を証明できることが必要であることを助言することとしております。

○尾崎委員 名義人の配偶者で離婚予定のある方でも、条件があれば都営住宅に応募できるということです。
 しかし、当せんして入居できるとなった際には、離婚の成立を証明することが必要だということもご答弁ありました。
 都営住宅は、そもそも住宅に困窮している人を支援するものです。そして、都営住宅に入居している人たちにとって、都営住宅に入居できているからこそ安心して暮らすことができるという状況があり、もし都営住宅を出なければならなくなれば、一気に生活が成り立たなくなってしまいます。
 今回の事例のように、高齢で障害のある人にとってはなおさらです。夫のDVもあり、夫との同居を一日でも早く解消したかったのだと思います。もし夫のDVがなければ、離婚を考えた時点で妻自身が都営住宅に申し込み、当せんできるまで同居し、バリアフリー仕様の住戸に入居できた可能性は十分にあったということが今回の質疑で明らかになりました。相談があれば丁寧に対応するということも分かりました。
 ただ、相談しないで離婚してしまう場合には、的確な情報や助言が得られないということになります。困ったことや疑問があった場合に気軽に相談できる窓口があるということを入居者の皆さんに強く周知していただきたいと要望します。
 また、Q&Aのような形で、入居している家族が離婚することで住居に困ってしまう場合の対応なども広く知らせていただきたいと思います。また、離婚によって住宅に困窮する可能性のある人には、今回の事態を繰り返さないためにも、何らかの支援を検討していただくよう要望して、質問を終わります。

○西沢委員 私からも、こちらの都営住宅への優先入居の特例に関する陳情について、一問だけちょっと確認をした上で、意見を述べさせていただきたいというように思います。
 この陳情の願意、先ほどのご説明聞きますと、確かにこの方、気の毒だなというように感じる次第でありますが、現在の状況ということでご説明を聞きますと、やはり特例ということで認めるというのもなかなか難しい話なのかなというようにも感じます。
 ただ、現状では、元夫の方がバリアフリー仕様で、バリアフリー仕様が必要な陳情者のお母様がバリアフリー仕様ではないというところに住んでいるということから、やはり対応は必要なのかと思っています。
 私の方からは、バリアフリーの都営住宅というのはそもそも幾つあるのかと。また、昨年度の五月、十一月、この世帯向け定期募集では、全体の抽せん倍率に対し、バリアフリー仕様の住宅の倍率はどのくらいだったのかお伺いしたいというふうに思います。

○平松都営住宅企画担当部長 都営住宅において、おおむね平成三年度以降に建設した住宅は、室内の段差を解消したバリアフリー仕様となっておりまして、その戸数は約十万戸でございます。
 五月と十一月の定期募集における世帯向け住戸の応募倍率ですが、昨年五月では、全体で約八倍、バリアフリー仕様住宅のみでは約十・七倍、十一月では、全体で約八・二倍、バリアフリー仕様住宅のみでは約十三・八倍でございます。

○西沢委員 平成三年度以降に建造した都営住宅は、基本的にバリアフリーということですから、築三十三年を超えないものに関しては、基本的にはバリアフリーになっているということですが、古いものもたくさんありますよね。
 今の答弁でも、昨年の段階で五月と十一月で、バリアフリーじゃないものとバリアフリーで八倍と十・七倍、それから十一月では八・二倍と十三・八倍ということで、一・三倍ぐらいから一・五倍ぐらい、やっぱりバリアフリー仕様の住宅の方が可能性はちょっと低いというような状況になっていると。これから建て替えが進んでいけば、また変わっていくんだというふうには思いますけれども、これを待っていると、やはり大変なことになります。
 制度として難しいかもしれませんが、今日もちょっと議論ありましたけれども、できるだけこうした方々、この当該者に限らずですけれども、寄り添っていただきますよう要望しまして、質問を終わらせていただきます。

○竹井委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○竹井委員長 起立少数と認めます。よって、陳情六第二号は不採択と決定いたしました。

○竹井委員長 次に、陳情六第三号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○木村再編利活用推進担当部長 整理番号2、陳情六第三号についてご説明いたします。
 それでは、資料2、請願・陳情審査説明表の二ページをご覧ください。整理番号2、陳情六第三号、都営辰巳一丁目アパート内の診療所・郵便局・歯科医院の早期移設に関する陳情についてご説明申し上げます。
 陳情者は、辰巳中央診療所等を新設促進の会代表、堀禎子さん外四百八十人でございます。
 陳情の要旨は、都において、都営辰巳一丁目アパートの建て替えに伴う辰巳中央診療所、江東辰巳郵便局及び山根歯科医院の移設について、次のことを早期に実現していただきたい。
 1、辰巳中央診療所は、住民の高齢化が進んでいることを考慮し、車椅子等の利用が可能な広い場所に移設すること。
 2、江東辰巳郵便局は、地域で唯一の金融機関であるため、ATM設置場所等も含めて、より一層便利な場所に移設すること。
 3、山根歯科医院は、高齢者の口腔管理が重要な社会的課題になっているため、新棟へ早急に移設することというものでございます。
 現在の状況でございますが、都営辰巳一丁目アパートは、平成二十五年度から全体を四期に分け、順次建て替えを行っており、現在、第三−一期の建て替え工事に着手したところでございます。
 辰巳中央診療所、辰巳郵便局及び山根歯科医院は、都営住宅の建設時に、居住者の利便施設として低層部に建設し、分譲した併存店舗です。
 併存店舗は、建て替えや維持管理に当たり、区分所有建物特有の権利関係の複雑さなどが課題となる場合も多いことから、建て替えに際し、権利を買い取ることとしております。
 都営辰巳一丁目アパート内の併存店舗についても、今後、権利を買い取り、除却する予定でございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願いいたします。

○竹井委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○関野委員 それでは、陳情六第三号、都営辰巳一丁目アパート内の診療所・郵便局・歯科医院の早期移設に関する陳情について、質疑をさせていただきます。
 まず、この可否の判断のため、ちょっと二点ほど現状の確認をしたいと思っているんですが、陳情者の趣旨は、この三つの施設を新棟に移設を求めているというふうに判断するものですが、現在の都営住宅の建て替えに関して、以前の議事録を見る限り、住居棟低層部への店舗併用は行わない旨の答弁がありますが、この辰巳一丁目アパートについても同様の考えなのか、この点について、まずはお伺いをいたします。

○木村再編利活用推進担当部長 併存店舗は、建て替えや維持管理に当たり、区分所有建物特有の権利関係の複雑さなどが課題となる場合も多いことから、建て替えに際し、再整備は行わず、権利を買い取ることにより事業を進めるという考え方でございます。

○関野委員 ありがとうございます。以前の答弁同様、また今後の都営住宅の建て替えについても同様の考えだということは理解いたしました。
 次に、今の既存店についてというところなんですけれども、建て替えに際して、分譲したこの既存店舗の権利の買取りを行うということですが、その場合の補償というのはどういったものがあるのか、この点についてお伺いいたします。

○小久保建設推進担当部長 併存店舗の権利の買取りに際しましては、借地権及び建物の補償、動産の移転補償などを行っております。

○関野委員 ありがとうございます。
 陳情者の意見は、都営住宅の居住者が今まで利用していた店舗がなくなることへの不安だというような陳情と考えます。例えば、もし都営住宅内に移転可能だとしても、工事終了までには数年かかり、その間、仮設移転場所がなければ利用できない状態になるのかなというふうに、同様なことも考えられます。
 総体的に考えると、都営住宅内に移転するよりも、近隣の店舗に移転することの方が継続的に利用ができるのではないかと。また、そちらの方が休む期間が短いので安心できるのではないかなというふうにも考えられます。
 先ほどの答弁でも、買取りを行い、移転の補償なども行うということでしたので、その部分を丁寧に行うことが陳情者の不安解消につながるのではないかと考えます。もちろん、三店舗のオーナーの意向がどういったものなのかなどもあると思いますので、この点について、しっかりと丁寧な対応を要望して、質問を終わります。

○尾崎委員 私の方からも、陳情六第三号、都営辰巳一丁目アパート内の診療所・郵便局・歯科医院の早期移設に関する陳情について、幾つか質問していきたいと思います。
 今回の陳情は、都営辰巳一丁目アパートの建て替えに伴う辰巳中央診療所、江東辰巳郵便局及び山根歯科医院の移設について、早期に実現をしてほしいというものです。
 今回の陳情に、辰巳中央診療所、辰巳郵便局及び山根歯科医院は、分譲の併存店舗だということですけれども、都営辰巳一丁目アパートの分譲の併存店舗の区画は幾つありますか。

○木村再編利活用推進担当部長 都営辰巳一丁目アパートの併存店舗は、三十九区画でございます。

○尾崎委員 大事なことなので、改めて伺いたいんですけれども、都営住宅の建て替え時の併存店舗の扱いはどのようになっていますか。

○小久保建設推進担当部長 併存店舗では、建て替えや維持管理に当たり、区分所有建物特有の権利関係の複雑さなどが課題となる場合も多いことから、都は建て替えに際し、再整備は行わず、権利を買い取ることにより事業を進めております。

○尾崎委員 ただいまの答弁ですと、建て替えに際して再整備は行わず、権利を買い取るという内容ですけれども、そうなると、都営辰巳アパートに関しては、併存店舗の方たちは、この再整備は行わず、権利を都が買い取ることを理解しているということでいいんでしょうか。
 それでは、併存店舗のある住棟の建て替えはいつごろになるのでしょうか。また、併存店舗の代替地の可能性があるところはあるのかどうか伺います。

○木村再編利活用推進担当部長 診療所などの併存店舗のある住棟につきましては、今後、店舗の権利を買い取った上で、除却する予定でございます。
 また、辰巳一丁目アパートは建て替え事業中でございまして、代替地として用地を創出できるか未定でございます。

○尾崎委員 代替地として用地を創出できるか未定だということですが、都営住宅を高層化することによって生み出される新たな土地は全くないとは考えられません。
 そこで伺いますが、併存店舗を買い取ることについて、所有者に説明を行っているのか伺います。

○木村再編利活用推進担当部長 併存店舗の所有者には、団地全体の建て替えを始める際などに、店舗の権利を買い取ると説明しており、今後、建て替えの進捗に合わせて、権利の買取り手続など、具体的に説明していく予定でございます。

○尾崎委員 都営住宅の自治会の役員さんからは、建て替え問題について、この間、口頭で何回も要望しているんだということも聞いています。
 都営住宅の入居者は、診療所や歯科医院、郵便局だけでなく、今ある店舗はそのまま残してほしいという要望なんです。高齢になればなるほど、住んでいる近くで、歩いて行ける場所で買物や用事を済ませたいと思うのは当然だと思います。橋を渡って買物やお医者さんに行くのは大変なことだという声も届いています。
 今後の都営辰巳団地についての都のビジョン、今後の計画などはどうなっていますか。

○木村再編利活用推進担当部長 都は、地域の特性や都営住宅の老朽化の度合い等を勘案しながら建て替えを実施してございます。
 辰巳一丁目アパートにつきましても、平成二十五年度から順次建て替えを進めております。
 建て替えに当たりましては、住棟を高層化するなどにより用地を創出し、地元自治体と連携して、都の政策目的の実現や地域特性に応じたまちづくりなどに活用することとしてございます。

○尾崎委員 住棟を高層化することによって生み出される創出地には、高齢者施設をつくるということを聞いていますが、具体的にはどうなっていますか。

○木村再編利活用推進担当部長 特別養護老人ホームなどの高齢者施設の整備につきまして、地元区と協議しておりまして、今後、区が事業者公募を実施すると聞いてございます。

○尾崎委員 高齢者施設の整備について、地元江東区と協議しているということでしたけれども、住民の強い要望もあり、高齢者施設を整備することは大変重要だと思います。
 同時に、都営住宅の入居者にとって、診療所や歯科医院、郵便局、商店などは、住んでいるところから歩いて行けるところ、近くに欲しいという強い要望もあります。高齢になればなるほど、切実な要望になっていきます。
 都営住宅の建て替えで高層化になれば、これまでの住環境が変わってしまいます。そんな中で、近所の人たちや商店の方などとのコミュニティは、それまで以上に重要になります。特に高齢の一人暮らしの方にとっては、スーパーでの買物ではなく、個人商店だからこそできる対話を楽しめる、愚痴や悩みも話せる関係があります。高齢者などを孤立させないためにも、これまでのコミュニティを継続、維持させることが求められていると思います。
 先ほどの答弁で、併存店舗の代替地については未定だというご答弁でしたけれども、例えばこの高齢者施設をつくるところに、住民が要望している診療所や歯科医院、郵便局や商店なども入れるような総合施設に見直していくことも含めて、住民の要望、併存店舗の方たちの要望もよく聞いて、今後の施設整備を進めていくよう強く要望して、質問を終わります。

○竹井委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○竹井委員長 起立少数と認めます。よって、陳情六第三号は不採択と決定いたしました。
 陳情の審査を終わります。

○竹井委員長 次に、理事者から報告の申出がありますので、これを聴取いたします。

○松崎住宅企画部長 資料3、令和五年度繰越説明書によりましてご説明いたします。
 今回のご報告は、令和五年度予算の繰越明許費繰越につきまして、地方自治法施行令第百四十六条第二項の規定によりまして、議会にご報告するものでございます。
 資料の一ページをご覧ください。
 初めに、1、令和五年度繰越明許費繰越総括表でございます。一般会計及び特別会計の各会計別に、予算現額、繰越明許費予算議決額、翌年度繰越額及びその財源内訳を記載してございます。
 合計欄をご覧ください。繰越明許費予算議決額百七十四億一千九百万円に対して、翌年度繰越額は八十六億一千八百万余円となってございます。財源といたしましては、その右に記載のとおり、国庫支出金や都債などを充当してございます。
 続きまして、三ページ以降は事業別の内訳となっております。
 まず、一般会計でございます。
 五ページをご覧ください。繰越明許費繰越の番号1、住宅管理事業でございます。
 繰越理由は、都営住宅等事業会計における住宅管理事業の繰越しに伴い、その財源として繰越しをするものでございます。
 番号2、住宅建設事業でございます。
 繰越理由は、都営住宅等事業会計における住宅建設事業の繰越しに伴い、その財源として繰越しをするものでございます。
 七ページをご覧ください。都営住宅等事業会計でございます。
 九ページをご覧ください。繰越明許費繰越の番号1、住宅管理事業でございます。
 繰越理由は、営繕工事に伴う関係機関との調整に日時を要したことによるものでございます。
 番号2、住宅建設事業でございます。
 繰越理由は、住宅建設工事に伴う関係機関等との調整などに日時を要したことによるものでございます。
 以上をもちまして、令和五年度東京都一般会計予算、住宅政策本部所管分の繰越しについて外一件のご報告を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○竹井委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を一括して行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○竹井委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○竹井委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で住宅政策本部関係を終わります。

○竹井委員長 これより都市整備局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、東京都技監に谷崎馨一さんが就任されました。
 谷崎都技監から挨拶並びに交代のあった幹部職員の紹介があります。
 谷崎馨一さんを紹介いたします。

○谷崎東京都技監 東京都技監の谷崎馨一でございます。
 竹井委員長をはじめ委員の皆様方のお力添えをいただきながら、局事務事業の適切かつ円滑な運営を図るとともに、安全で快適な都市づくりを進めるため、一層の努力をいたす所存でございます。何とぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、去る四月一日付で異動のございました当局の幹部職員を紹介させていただきます。
 理事の三宮隆でございます。総務部長の山崎太朗でございます。都市基盤部長で特命担当部長を兼務しております長尾肇太でございます。市街地整備部長の井川武史でございます。多摩まちづくり政策部長の澤井正明でございます。基地対策部長の志村公久でございます。連携・連絡調整担当部長で調整担当部長を兼務しております宮崎成でございます。企画担当部長の藤原新でございます。築地まちづくり推進担当部長の高橋竜太郎でございます。まちづくり調整担当部長で多摩まちづくり担当部長を兼務しております新良京子でございます。まちづくり調整担当部長の青木成昭でございます。景観・プロジェクト担当部長の飯塚佳史でございます。交通政策担当部長で物流担当部長を兼務しております佐々木啓文でございます。地域公共交通担当部長の村上清徳でございます。多摩ニュータウン事業担当部長の今井徳彦でございます。局務担当部長の安間三千雄でございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○竹井委員長 挨拶並びに紹介は終わりました。
 理事者が一部退席をされますが、引き続き議事進行いたします。

○竹井委員長 次に、請願の審査を行います。
 請願六第二号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○井川市街地整備部長 整理番号1、請願六第二号、晴海選手村用地の不当に廉価な譲渡価格の是正を求めることに関する請願についてご説明いたします。
 お手元の請願審査説明表の一ページをご覧ください。
 本請願でございますが、江東区の晴海選手村土地投げ売りを正す会代表の中野幸則さんから提出されたものでございます。
 請願の要旨でございますが、都において、平成二十八年十二月に特定建築者との間で締結した、都議会や財産価格審議会にも諮らず、相場の十分の一という超廉価な算定をした譲渡価格について、是正措置を講じていただきたいというものでございます。
 選手村の案内図、配置図につきましては、三ページをご覧ください。
 一ページにお戻りください。
 現在の状況でございますが、選手村につきましては、東京二〇二〇大会の立候補ファイルを踏まえ、大会中に選手の宿泊施設として使用し、その後、改修を行った上で住宅として分譲または賃貸しています。
 整備に当たりましては、大会までの限られた期間の中で、施行者としての都が責任を持って一元的な工程管理を行い、都市基盤と建築物とを同時並行で一体的に整備することができる事業手法として市街地再開発事業を選定し、民間の資金やノウハウを活用できる特定建築者制度を採用しています。
 都は、平成二十八年四月に、晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業の事業認可を取得し、都市再開発法に基づき定めた規準により、学識経験者などから構成される晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業保留床等処分運営委員会において適正に審査し、特定施設建築物敷地の敷地処分予定価格を決定いたしました。
 この敷地処分予定価格につきましては、不動産鑑定士が、高いバリアフリー性能など選手村の仕様に対応した住宅棟を整備することや、事業の完了までに長期間を要することなど事業の特殊要因を踏まえ、国土交通省が定めた不動産鑑定評価基準などに基づき算定しています。
 二ページをご覧ください。平成二十八年五月、この価格を特定建築者募集要領における敷地譲受け希望価格の最低価格として、都市再開発法に基づき特定建築者の公募を行い、同年七月に学識経験者などから構成される晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業特定建築者選考委員会において、提案内容などを適正に審査し、その結果を踏まえて、同年九月に特定建築者を決定し、敷地譲渡価格が確定いたしました。
 平成二十九年に特定建築者が建築工事に着手し、令和元年には選手村の整備が完成しました。
 大会終了後には改修工事を実施し、令和五年に、住宅棟二十一棟及び商業棟の建築工事が完了いたしました。
 令和六年三月、本請願と同様の趣旨で、平成二十九年八月に都知事に対し提訴された訴訟については、上告の棄却により控訴審判決が確定しています。
 この控訴審判決においては、本件土地の価格などの調査においては、鑑定評価基準にのっとらない価格等調査を行うことができる場合に当たるとして、開発法のみを用いて本件土地の価格の査定がされたものであって、同価格等調査における開発法の具体的な適用方法は、選手村要因を反映した適正なものであり、その評価額にも特段不相当な点を認めることができないことからすれば、これを踏まえて決定された譲渡価格も相当といえる。本件土地の譲渡契約締結に当たる手続などは、都市再開発法などにのっとって行われたものと解され、特段違法、不当な点は認められないと判示されています。
 訴訟の経過は記載のとおりです。
 説明は以上です。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○竹井委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○森口委員 晴海選手村用地の不当に廉価な譲渡価格の是正を求める本請願について、一言申し上げたいと思います。
 先日、日曜日、この選手村跡地である晴海五丁目西地区まちびらき記念式典に参列をしてまいりました。当日は天気も大変恵まれまして、多くの家族連れや子供たち、また、外国の方々が、緑あふれるまち中やふ頭公園で楽しげに過ごす姿がありまして、多様な世代や文化が交流をする、水と緑に囲まれた新たな環境先進都市が実現をされていると、大変感銘を受けました。
 振り返ると、限られた期間で東京二〇二〇大会の選手村を整備し、大会を無事に終え、大会後も予定どおり改修工事を行い、レガシーとなるまちづくりが実現をされ、本事業が集大成を迎えています。
 一月から住民の入居が始まり、二月には、新橋と約十一分で結ぶ東京BRTや路線バス、コミュニティサイクルを導入したマルチモビリティーステーションが動き出しています。また、三月には、商業施設ららテラス HARUMI FLAGや、パイプラインで住宅に水素を供給する機能を持った水素ステーションがオープンをし、また、四月には小中学校が開校するなど、まちの施設が次々とオープンをし、人々がこの新たなまちで生活を営み始めたところであります。
 式典でも、既に五千名の方々がこの新たなまちで生活を始めている、そういったお話もありました。多くの方々を受け入れているこのまちの姿を目の当たりにし、選手村がレガシーとなるまちとして見事に生まれ変わり、この事業が大きな成果を上げたのだと感じました。
 今後、臨海地下鉄の計画も相まって、この新たなまちはさらに発展していくだろう、そういった期待感が大きく膨らんでおります。
 一方、このようなすばらしいまちを整備していく中で、分譲されたマンションの抽せん倍率が極めて高倍率となりました。都はこれに対し、民間事業者に配慮を求めたところ、タワー棟の販売からは、一名義につき申込みは二戸までといった対応が取られました。この結果、一定の効果があったと伺っております。
 また、本請願では、民間事業者への都有地の譲渡価格が相場に比べて低過ぎるという指摘がなされております。この件につきましては、これまで都議会で幾度となく議論をされており、都は、選手村要因を反映した適切な土地価格を算定し、都市再開発法に定める手続を経て設定した適正な価格であることを説明してきました。
 こうした都の主張は、その後、起こされました住民訴訟においても、最高裁の判決で全面的に認められております。
 本請願では、財産価格審議会に諮らなかったことについて、あたかも手続に瑕疵があったかのような取上げをしておりますが、本土地の譲渡契約に当たる手続等は、都市再開発法にのっとって行われたものと解され、特段違法、不当な点は認められない、そのように判示がされております。
 本請願は、既に判決が確定した住民訴訟と同じ内容でありまして、訴訟において審議が尽くされた結果、都側の勝訴が確定をしているものであります。このため、本委員会において改めて質疑の必要性があるものとは考えられません。
 以上、意見表明とさせていただきます。以上です。

○原田委員 今、オリンピックをめぐる負のレガシーが問題となっています。相次ぐ談合疑惑に逮捕、真相の見えない幕引きを図ろうとする国や東京都、今ではオリンピックの熱狂もどこかに吹き飛び、大阪万博の開催是非も含め、行政主導の国際的な大規模イベントっていうのは、住民のためではなく、大企業のぼろもうけに悪用されているんじゃないかという国民の不信が高まっています。
 中でも、選手村が建設された十三ヘクタールを超える都有地を、三井不動産レジデンシャルなど十一社に平米当たり九万六千円、市価の十分の一ともいわれる破格の百二十九億円で売り渡す契約に至っては、これが知られれば都民の重大な関心事となることは間違いありません。
 しかも、この都有地の譲渡は、地方自治法二百三十七条二項に規定された議会の議決がなされていません。財産価格審議会にもかけられず、特定建築者十一社への譲渡が決まっています。
 本請願では、都議会にも財産価格審議会にも諮らずに、これだけ大規模な都有地の財産処分が、しかも廉価で行われたことに疑問を持ち、その譲渡価格の是正措置を講ずるよう求められています。
 一体、事業者の建設費は総額幾らであり、総売上げは幾らを見込んでいるのか。一方で、東京都の負担は幾らになるのか。これまでも選手村都有地売却問題については、日本共産党都議団も多くの質疑を行ってきましたが、事業の途中だ、あるいは事業の継続性を理由に、都有地売却の是非について必要不可欠な情報が開示されずに、ここまで来ました。
 いよいよ全棟の販売が行われた段階となり、改めてお聞きしますが、まず、晴海フラッグは、一般住宅、賃貸、高齢者サービス付住宅、シェアハウスなど様々な住環境が整備されるとのことですが、それぞれの戸数と総戸数を示してください。

○井川市街地整備部長 市街地再開発事業におきましては、総戸数五千六百三十二戸の住宅が建設されます。
 その内訳といたしまして、分譲住宅は四千百四十五戸、賃貸住宅は千四百八十七戸でございます。
 賃貸住宅の内訳は、特定建築者の公表資料によれば、一般賃貸が千二百五十八戸、シニアレジデンスが百五十八戸、シェアハウスが七十一戸でございます。

○原田委員 様々といっても、大体やっぱり分譲に寄っていて、まさに前代未聞の販売戸数となります。
 都内では、空き家対策が長年取り沙汰され、少子高齢化に伴い、ますますその傾向は強まる可能性が高いというのは、共産党ばかりがいっている話じゃありません。その解消には、都税まで投入されています。そのような中で、なぜ海の上に、わざわざ行政が手伝ってまで巨大なまちを建設しなければならないのか。
 例えばですよ、晴海フラッグに新しくできた小学校は、何と一年生のクラスが八クラスですよ。実は隣接する既存の小学校が、無計画なまちづくりによってマンションの乱立を呼び起こし、そもそも満杯状態だったわけで、その学区域の児童生徒も新設小学校に来ることになっているわけです。今後、晴海フラッグの入居が本格化すれば、さらなる増加が決定的であり、もう一つ新校舎が建てられる予定になっていると。こうした社会インフラの不足が、あらゆる分野に出てくるわけです。
 交通インフラの不足も心配されています。当初、一度に百人を運ぶことができる連節バスBRTが、専用レーンで晴海フラッグから新橋まで高速で結ぶ夢の新交通システムとうたわれていたわけですが、結局、蓋を開けてみると専用レーンもできず、連節バスの運用も思ったようにいかず、一時間に二千人の輸送規模が確保できるのか、怪しい状況となってきています。
 このように社会インフラの不足を引き起こしてまで、なぜ晴海ふ頭という本来住宅を建てられなかった地域にまちをつくりたかったのか。
 そこで、東京二〇二〇大会のレガシーとなるまちづくりという選手村跡地再開発の冊子を見てみますと、こう書いてある。選手村を、誰もがあこがれ住んでみたいと思えるまちにという大見出しが出てくるわけです。多様な人々を受け入れる最先端のまちにするんだという構想が描かれているんですね。これが、都有地を廉価で差し出してでも晴海フラッグをつくる意義なんだと、ふ頭を埋め立ててもつくる意義なんだというわけです。
 ところが、今、様々な媒体で批判されているのが晴海フラッグの転売問題、投機用の購入が目立っていることです。NHKでも取り上げられるなどし、社会問題化してきましたが、大規模な都有地を使って多様性に満ちたまちをつくるはずが、法人や投資家があの手この手で応募して、値がつり上がるのを待つ行為が横行しているというんですね。実は、もう既に法外な値段で中古物件に売りに出されているものもあります。
 その陰で、それこそ、ここまで気に入った物件はなかったので応募したが、個人の力ではどうしようもないと嘆く人がいるっていうんですね。
 マンションの売れ方にも、バズらせ方があるんだといいます。本当に住みたい人だけに売れるの待つのは時間がかかるし、まるで人気がない物件みたいに見えてしまうんだと。投機目的でも、人が群がっている方が人気のある物件なんだということになり、応募が応募を呼ぶと。でも、そうなれば、道路等を含めて十八ヘクタールの都有地を差し出す意味がずれてきます。
 そこでお聞きしますが、東京二〇二〇大会のレガシーとなるまちづくりとして、子育てファミリー、高齢者、外国人など多世代で多様性に満ちた交流が図られるまちが再開発の社会貢献として位置づけられていますが、既に晴海フラッグの住宅の幾つかが中古物件として高額に引き上げられ、転売されようとしています。
 なぜ晴海フラッグは、転売禁止などの規定を盛り込まなかったんですか。

○井川市街地整備部長 本物件につきましては、最寄り駅から徒歩二十分という立地特性、東京大会を挟んで契約から入居までに長い期間を要すること、ベイエリアで主流であるタワー形状ではなく、選手村として利用目的にかなう板状の建物計画となっていることなどにより、販売当初は、供給戸数に対し申込み戸数が下回る状況でございました。
 販売が進むにつれ、購入申込みが極めて高倍率となり、これにより一般世帯が購入しづらくなることを懸念し、販売方法の改善や不公平感を是正する必要があると考え、民間事業者に対して配慮を求め、民間事業者が対策を強化した結果、倍率の低下など一定の効果があったものでございます。

○原田委員 今の答弁、面白いですよね。最寄り駅から徒歩二十分ある立地特性、遠いんだと。新たな交通機関もつくらなきゃいけないようなところで、大丈夫なのかいなって。だったら、何でそんなところにまちをつくるのかという話で、つくって、ここに誰もが住みたいまちをっていっていた東京二〇二〇大会レガシーの冊子と全く違うことを答弁したんで驚いたんですけど、投機目的の購入を是正したかったのなら、なぜ転売禁止事項をつくらなかったのかと。
 例えば、二〇〇八年に都営住宅の跡地に建てたマンションを販売したことがあります。その際は、都の求めに応じて事業者が五年間の転売禁止をしました。この措置をなぜ取らなかったのかが問われているわけですよ。
 また、不思議なのは、転売目的の購入が問題となってからの対処方法です。すなわち、地上五十階建ての二棟のタワマンについては、応募は一人二部屋までという募集の取り方をしたわけです。まさに、これが全く意味をなしていないことがNHKでも取り上げられたわけですが、マンション投資家が、自分が持つ複数の法人名や親族らの名前で一人二部屋申し込んでいたわけです。その番組には、六物件も当たったという人が登場していました。
 大体、家を二部屋買う人いますか。ちょっと聞いてみたいと思うんですけど、都技監クラスになると、やっぱり一人で二部屋ぐらい買うんですか。

○井川市街地整備部長 特定建築者に確認したところ、二世帯で、やはりそこに住まわれたいということで、二世帯で購入されるということで、二戸購入される方もいらっしゃるというふうに伺っております。

○原田委員 今の本当に正式答弁ですか。
 二世帯で二部屋買いたいって、それもすごいことだと思いますけど、それで二部屋買いたいっていうのが、一人二部屋までっていう根拠になったんですか。もう一度、正式答弁を。

○井川市街地整備部長 購入戸数に制限を設けましたのは、極めて高倍率となった、その倍率低下というところが目的でございます。

○原田委員 一人二部屋までの応募を決めたのは、投資目的の購入を都や事業者が認めているようなものなわけです。ただでさえ住宅ストックがだぶついてきている中で、大量の住戸数を売り尽くすために、バズらせるために、あえて転売禁止事項を盛り込まなかったんじゃないんですか。そういうことでしょう。
 東京都は、既に転売禁止事項をつくった経験があるんですよ。何で今回やらなかったのかってお聞きしたい。

○井川市街地整備部長 先ほどもご答弁申し上げましたけれども、販売当初は、供給戸数に対し申込み戸数が下回る状況でございました。販売が進むにつれて、購入申込みが極めて高倍率となり、これにより一般世帯が購入しづらくなることを懸念し、民間事業者に対して配慮を求め、民間事業者が対策を強化した結果、倍率の低下など一定の効果があったものでございます。

○原田委員 やっぱりあんまり売れなかった状況を危惧して、売れるようにするために、転売禁止事項をかつてはやったことがあったのにもかかわらず、今回はしなかったと。
 しかし、多世代で多様な方々が住む住宅のまちをつくるっていっていたにもかかわらず、その売り方については、ディベロッパーがどれだけバズらせて売り尽くすことができるかということが重視されたと。私は重大なことだと思うんですね、それ。問題だと思います。
 そこでお聞きします。もうほとんどの分譲住宅の販売が始まっているわけで、大体の分譲住宅売上げ総額や家賃総額が見えてきたんではないでしょうか。事前にお伝えしてあるので事業者にも聞いてくれていると思うんですけれども、現在分譲されている住宅の総売出し額は幾らとなっているか。

○井川市街地整備部長 全ての分譲住宅の引渡しが完了した時点で、特定施設建築物の建築や販売を担う特定建築者と販売価格の総額を確認することとしてございます。

○原田委員 本請願理由である譲渡価格の是正措置とも密接に関わる情報です。これだけ大規模な都有地が差し出されている以上、都民は、すべからくその情報を手にしなければならないはずですが、こんな事実もいまだに分からない、公表できないの一点張りが通され続けていると。
 近傍同種の住宅価格で見れば、およそ千三百億円ともいわれる土地が百二十九億円にならねば、もうけが出ないという仕組みが分からないという声が高まる中、都と事業者は突如として、当初計画のもうけ分を一%以上超えたら、収益増から経費等を除いて都と特定建築者とで折半すると発表したわけです。これがいわゆる景気スライド条項です。
 そこでお聞きしますが、景気スライド条項が盛り込まれることとなった経緯をお示しください。

○井川市街地整備部長 本事業におきましては、整備の途中で大会期間中に選手村として使用するため、事業の期間が長期にわたることから、都市整備局のホームページでもお示ししているとおり、将来の景気動向リスクに対応する必要があるため、当初資金計画に比べ著しく収益増となることが明らかとなった場合には、特定建築者と協議する条項を定めてございます。

○原田委員 答弁は、景気スライドが定められた理由を述べたものでしたが、私は、なぜ二〇一九年になって景気スライド条項が具体化されたのかをお聞きしたかったんですね。
 ただ、恐らくは廉価売却に不信を抱く世論に押されて、そうした景気スライドの具体案を出さねばならなくなったと、押し込まれたと思うわけです。それでもまだ、一体幾ら事業者がもうかるのかが分からないわけです。
 さて、都民は高額な都有財産を手放すだけではありません。そもそもこの晴海五丁目西地区は晴海ふ頭であり、宅地として利用はできない土地でした。これを大規模に盛土したのが東京都です。その上で差し出すんですね。
 それだけじゃありません。道路をつくり、上下水道などインフラを整備したのも、事業者ではなく、何と東京都です。これを聞いたら、多くの都民は驚くと思うんですよ。
 さらにさらに驚くべきは、都市計画税等を回避させてあげるために、土地はいまだに東京都が持っているわけです。
 そこでお聞きしますけれども、東京都がこれまでに選手村及び晴海フラッグ整備のためにかけてきた総額は、盛土、宅地造成、道路整備、公園や船着場、モビリティーステーションの整備、上下水道整備、さらには選手村として使用したときの家賃、内装費、選手村から晴海フラッグへの改修費を含め、その額幾らとなったのか。

○井川市街地整備部長 晴海五丁目西地区再開発の事業費は、令和四年度末時点で約二百九十五億円となってございます。

○原田委員 ひどい答弁だと思うんですよ。皆さんのつくった東京二〇二〇大会のレガシーとなるまちづくりという冊子に、総事業費五百四十億円と書いてあるんですけど、今の二百九十五億円って何の数字ですか。

○井川市街地整備部長 令和四年度末時点の事業費でございます。(原田委員「どこの」と呼ぶ)失礼しました。晴海五丁目西地区再開発の事業費、令和四年度末で約二百九十五億円でございます。
   〔原田委員「都市整備局ってこと」と呼ぶ〕

○竹井委員長 質問されますか。

○原田委員 きっとどこかの局とかね、区切ってやったんでしょうけど、私の質問に全く答えていないわけですよね。
 私が聞いたのは、晴海五丁目西地区の土台づくりのハードな事業費、皆さんの冊子に書いてある。事業費五百四十億円に加えて、土地は、わざわざ全ての工事が終了するまで東京都が持っていることになっているので、税金が事業者にかからないようにしてあげているわけですよ。
 でもなぜか、でもなぜかですよ、選手村の賃料三十四億円を都は事業者に払っていると。どういうことですか、これ。選手村から晴海フラッグに内装改修するためのお金が四百四十五億円、これを東京都が出さなきゃいけないっていうんですよ。
 ほかにも何かあるか分からないから、総額幾らなのかと聞いたわけなんですけど、今私が示した額だけでも、ざっと計算して一千億円じゃないですか。百二十九億円で廉価で売却したっていうところに不信が上がるばかりじゃない。一千億円、税金出して、あのまちはできているんですよ。ただ土地を差し出すだけじゃないと。
 東京が一千億円もの税金を拠出してあげて、この晴海フラッグは、今、大企業らによって分譲され、予定収益が幾らになるのか公開もされず、しかもそれを上回るかもしれなくて、そのさらにもうけた分は、さすがに都民に渡されるのかと思ったら、それも折半だという話になっているわけですね。どこまでがめついんですか。どこまで東京都は大企業に従属的なんですか。それこそ、都営住宅だってつくれたわけですよ。
 日本共産党の本村伸子衆議院議員が、二〇一六年、ロンドンの現地で聞いた話によると、ロンドン・オリンピックでは、跡地の三五%が低所得者用に手頃な価格帯で提供されていたと。なぜ東京五輪では、大企業と投資家がぼろもうけする分譲マンションだらけになってしまうのかと。東京二〇二〇大会のレガシーが根本的に問われるわけです。
 さて、当然こうした状況を知った都民は黙っていません。住民監査請求、そして訴訟が提起されました。ここから、判決で問われたことなどについて、ちょっと質疑をしたいと思います。
 高裁判決を経て、今年四月、最高裁は、原告団の上告を棄却しました。その判決の中で気になる点が幾つかあったのでお聞きしたいと思います。
 いわゆる選手村裁判の判決において、原告は、晴海五丁目西地区の十三ヘクタールを超える都有地の譲渡が都議会の議決案件にならなかったことや、東京都財産価格審議会に諮問されなかったことを問題としていますが、東京都はどう反論し、判決はどのように判断しているか。

○井川市街地整備部長 都は、地権者たる東京都、施行者たる東京都のそれぞれの立場から、地方自治法や都市再開発法などの関連法令に照らして、いずれも適法であると主張してまいりました。
 控訴審判決においては、都の主張のとおり、本件譲渡契約の締結が、財務会計法規上、違法であるとは認められないと判示されており、今年三月に上告が棄却され、判決が確定してございます。

○原田委員 私は、原告の主張にどう反論したのか聞いたんですが、具体的な答弁はありませんでした。
 しかし、今の答弁で大事だった点があります。それは、地権者たる東京都と施行者たる東京都が、それぞれの立場を持っていると答弁したところです。地権者が東京都というのは分かりやすい話ですが、施行者が東京都というのはどういう意味かというと、選手村の開発は、第一種市街地再開発の個人施行という手法を取っているんですが、その施行者が東京都というわけです。
 この計画は、地権者である東京都が、その都有地を施行者である東京都に預け、特定建築者十一社に建物をつくらせ、最後に、その敷地を十一社に譲渡する計画になっているわけです。
 原告からは、大規模な都有地を晴海フラッグに変えてしまう行為は財産の処分に当たり、その際は、地方自治法二百三十七条二項に照らして議会にかけ、さらに東京都財産価格審議会に諮らねばならないはずだと指摘をされたわけですが、この当たり前過ぎる主張に、地権者東京都と施行者東京都が、それぞれの立場から法的な瑕疵はないと主張したっていう答弁だったわけです。
 そして、裁判所も財務会計法規上、違法であるとは認められないと判断したわけですが、何でこのような計画が、公有財産の処分は議会に諮らなければならないと定めた地方自治法に違反しないのかと、普通の都民なら思うわけです。
 そこで、選手村裁判で重要になる法律が再開発法第百八条二項です。この二項には、施行者が地方公共団体である場合には、つまり施行者が東京都である場合は、財産の管理処分に関する法令の規定は適用しない、そう書いてあるわけですね。適用しないかのように書いてあるわけです。これを基に、選手村再開発は議会にもかけられず、財価審にも諮られず、裁判所も違法はないと判断したわけです。
 こんな話があっていいのかって思いますけれども、再開発法は、とにもかくにも開発側の視点に立った法律で、これまでも幾多の改悪が行われ、どんどんと開発者視点の改悪が行われてきましたので、さもありなんという結果です。
 ただし、私はここに、そもそも地方自治法を踏みにじるような法律が存在していいのかと根本的に問いたいと思うわけなんですね。
 地方自治法とは、日本国憲法第九十二条、地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定めるという憲法の条文に基づき、一九四七年、日本国憲法と同時に施行されました。
 日本国憲法の大原則である国民主権、基本的人権の尊重、平和主義に並び、地方自治を定めた地方自治の憲法ともいえる法律です。
 その第一条は、地方自治の本旨に基いて、地方公共団体の区分並びに地方公共団体の組織及び運営に関する事項の大綱を定め、併せて国と地方公共団体との間の基本的関係を確立するとともに、地方公共団体における民主的にして能率的な行政の確保を図るとともに、地方公共団体の健全な発達を保障することを目的とすると、第一条にうたっています。
 この地方自治法にうたわれた公共財産の処分の適正管理の規定が、再開発法という財界ディベロッパーの要求を強く受けたような法律にゆがめられていいのかと、そういうことが根本的に問われているんだということを指摘したいと思うんです。
 以下、そうした観点からの判決と都の姿勢に対する質疑となりますが、傍聴されている原告の方々でなければ分かりづらい、極めて難解な質疑になることをお許しください。
 改めて再開発法百八条を読むと、条文の前に括弧書きで施行者が取得した施設建築物の一部等の管理処分と前置きしてあります。これはつまり、保留床のことを意味しています。市街地再開発事業によって新たに創出される床部分を保留床といいますが、そのことについての条文だとわざわざ前書きされているわけです。
 つまり再開発法百八条は、一項、二項にわたり、主に保留床の処分、管理について書かれたものであり、都有地の処分そのものは、議会での議決を免除する百八条二項の適用を受けないのではないかという議論があるわけです。
 そこでお聞きします。再開発法第百八条は、そもそも施行者が取得した施設建築物の一部等の管理処分と題されており、一項においても二項においても、保留床の管理処分に関する条文なのではありませんか。

○井川市街地整備部長 判決におきましては、本件再開発事業の施行者たる東京都が事業により取得した施設建築敷地である土地を処分する譲渡契約の締結については、再開発法の百八条二項の規定が適用されるため、地方自治法その他の都の財産処分に関する法令の規定は適用されないと判示されてございます。

○原田委員 今、答弁では、土地を処分する譲渡契約の締結についてと、判決を引用しましたが、果たして百八条二項は、土地の処分について言及した条文なのかが問われているわけです。
 再開発法逐条解説を読んでみました。すると、百八条二項について、こう書いてある。権利変換計画に基づいて地方公共団体が行う、ここ大事ですよ、保留床の管理処分については、地方自治法あるいは条例等の地方公共団体の財産の管理処分に関する法令の規定を適用しないものとされている、こう書かれているわけです。
 条文の前書きにも、施行者が取得した施設建築物の一部等の管理処分、つまり保留床の管理処分と書かれており、保留床の管理処分に関する条文だといわんばかりのように前書きがされており、逐条解説にも、百八条第二項の管理処分とは、土地の処分とは書かれておらず、保留床の管理処分と書かれていると。保留床の管理処分は、地方自治法の適用は受けないと書かれているわけです。
 つまり選手村の都有地の処分は、地方自治法の適用を受けるということなんではありませんか。選手村の都有地売却に再開発法百八条二項の適用は、不当といえるんではありませんか。

○井川市街地整備部長 先ほどもご答弁申し上げましたが、土地を処分する譲渡契約の締結については、再開発法百八条二項の規定が適用されるため、地方自治法その他の都の財産処分に関する法令の規定は適用されないというのが裁判所の判断でございまして、そのように判示されてございます。

○原田委員 裁判所はそういったんですけどっていう話を今私はしたんですね。逐条解説にも法の前書きにも、この条文は保留床の処分について書かれたものですよと書いてあるように読めるわけです。
 実はこの指摘は、原告団が公判の最終盤に追加の資料として提出したものの、判決では、しっかりと読み取られたように見えません。ですから、私から聞かれても、判決にはそう書いてあるんだといってもかみ合わないわけです。判決はこういっていると答弁しても、判決自体がこの根本問題についてちゃんと判断していないのですから、いずれにしても都としては、判決を受けてもなお、明白な抗弁はできていないように感じます。
 大規模な都有地がディベロッパーに譲渡されるのに議会の議決がなされていない問題は、都民からすれば、誰がどう見たって納得のいく話じゃないんです。ところが、不可解なロジックで地方自治法が闇に葬られているという、私は大きな問題があるんだということを、改めて、今後の運動にとっても大事な問題ですので、指摘しておきたいと思います。
 さて判決は、再開発法百八条二項がなぜ存在するのかの見解も述べています。判決において、こういっています。再開発法百八条二項が、施行者が地方公共団体である場合に、再開発事業により取得した保留床の管理処分について当該地方公共団体の財産の管理処分に関する法令の規定の適用を除外しているのは、権利変換計画においてあらかじめその管理処分の方法が定められている保留床について、上記のような財産の管理処分に関する法令の規定による制限を受けることとなれば、地方自治法の制限を受けることとなれば、権利変換計画に定められたとおりの管理処分が困難となるおそれがあるためであると解されると指摘しているわけです。
 権利変換が計画どおりに進むように、地方自治法の定めた議会での議決を適用させないようにしてあげるんだと、あけすけに語っている点で本当に解せませんけれども、まさにそのとおりなんだと思います。百八条二項はそういうふうに存在しているんだと。
 であるならば、あらかじめその管理処分の方法が定められるそのときこそが、財産処分の事実上の決定に当たるのであり、そこで議会に諮ることが地方自治法の趣旨に基づくんじゃありませんか。お答えください。

○井川市街地整備部長 判決におきましては、本件権利変動を生じさせる各行為は、いずれも地方自治法が規定する譲渡または処分に当たらないと判示されてございます。

○原田委員 今の答弁は、極めて難解です。
 判決は、そもそも地権者は東京都で施行者も東京都だから、これは譲渡や処分に当たらないので、だから地方自治法二百三十七条二項の定める財産の処分は、議会の議決、あるいは財産価格審議会への諮問が必要という規定を適用する必要はないんだといっていると東京都が答弁したものであると。分かりますかね。
 判決は、地権者は東京都で施行者も東京都だから、この土地の譲渡や処分は、事実上の譲渡や処分に当たらないんだっていう判断を下しているんですね、判決の中で。
 しかしですよ、さっきの答弁では、都は、地権者東京都と施行者東京都がそれぞれの立場を持つと答弁していたんじゃありませんか。これは、地権者東京都がそのまま三井不動産レジデンシャルなど十一社に都有地を譲渡すると、議会の議決及び財産価格審議会にかけなければならなくなります。財価審では都独自の鑑定が行われることとなり、様々な情報を公開しなきゃいけなくなる。当然、それに基づいて議会は議決を迫られることになります。
 その手続を第一種市街地再開発事業個人施行という手法を採用して、地権者東京都と施行者東京都に分けて、地権者東京都から施行者東京都に都有地を差し出すと。こうすると再開発法百八条二項が作動し、地方自治法から逃れられるようになるという理屈なんですね。だからさっきは、地権者東京都と施行者東京都は別個に存在するんですっていっていたわけです。
 ですから、地権者東京都と施行者東京都が明確になることは、東京都にとっても必要なわけなんです。
 そこで、私が、じゃあ、再開発法に基づく権利変換に委ねる前に、地権者東京都から施行者東京都に差し出すことを決める時点、それを定めて、財産の処分に当たるんではないんですかっていうふうに聞いたら、先ほどの答弁は、判決文を用いて、同じ東京都だから財産の譲渡や処分には当たらないというダブルスタンダードを取るわけです。
 その点で、また難解な質問をさせていただきますが、判決において、こういっています。土地の所有権を失うのも、これを新たに取得するのも、いずれも東京都であり、その前後を通じて本件土地に係る所有権の帰属主体に変動が生じるものではないと判決はしており、さっきの答弁にもあった言葉です、本件権利変換自体により、東京都に多大の損失が生じ、あるいは特定の者の利益のために財政の運営がゆがめられることとなる事態は想定されない、そういってですね、判決は、地方自治法九十六条一項の六号、八号が規定する譲渡、処分には当たらないと指摘するわけです。
 しかし、地権者である東京都と施行者である東京都は、改めてお聞きしますけど、明確に法的に別個の存在だったんじゃないんですか。

○井川市街地整備部長 判決におきましては、経済実体的な側面から捉えてみれば、いずれも東京都であり、その前後を通じて本件土地に係る所有権の帰属主体に変動が生じるものではなく、本件権利変動を生じさせる各行為は、譲渡または処分に当たらないと判示されてございます。

○原田委員 さっきまでは、地権者東京都、施行者東京都は明確に分かれているっていっていたのに、突然、私がこういうふうに聞くと、同じ東京都なんだといい出すと。
 再開発法百八条二項を適用して議会の議決を避けるときは別個の法的存在と判断し、それでは、地権者東京都から施行者東京都に都有地を差し出す行為は、土地の譲渡や処分に当たるんじゃないんですかと聞くと、同じ東京都じゃないですかというわけです。実態として同じ東京都だっていうんでしたら、第一種市街地再開発事業個人施行なんていう手法を取らずに、堂々と地権者東京都が、都民の目の前でディベロッパーたちに土地の譲渡、売却を行えばいいじゃないですか。そして、議会の議決、財価審にかければいいじゃないですか。それを隠すための特殊な手法を取った都に対する判決がひどいわけですよね。
 事もあろうに、本件権利変換自体により東京都に多大の損失が生じ、あるいは特定の者の利益のために財政の運営がゆがめられることとなる事態は想定されないなどといってのけるわけです。ダブスタじゃありませんか。
 今までの、私たちが一千億円もかけてあの土地をつくってあげて、そして今、まさに私たちの目の前で投機的な資本も投下されて、ぼろもうけをするようにして晴海フラッグが売られていく。しかし、その情報が私たちにもたらされることはない。判決も、それを法的には認められているといってしまうと。
 最高裁たればですよ、私は、これじゃ地方自治法の精神からすれば、都民財産の処分が見えにくくなる点で、原告の指摘はもっともだくらいいうべきだといってしかるべきだと私は思うんですよ。
 なお、特定建築者十一社と施行者東京都は譲渡契約を結んでいますが、その譲渡は、市街地再開発事業の権利変換行為に含まれ、百八条二項がもろに作動するというあんばいで、議会の議決を必要としないこととされるわけです。
 しかし、何としてもやっぱり地方自治の憲法です。地方自治法の観点から、東京のまちづくりの民主的改革の突破口を開きたい。
 そこで権利変換の時系列を追ってみたいと思うんです。
 権利変換計画の策定は、二〇一六年五月でした。権利変換が行われる期日が十二月です。この七か月間に行われる全ての譲渡や処分、あるいは地権者東京都から施行者東京都との都有地のやり取りなどは、百八条二項が適用されて私たち議会にかけられることはありません。
 しかし、この権利変換の動きが始まる一か月前、つまり二〇一六年四月に、晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業事業計画の認可申請が都に提出されております。これは晴海五丁目西地区、つまりは都有地たる選手村の施設計画や道路など公共施設を定める計画で、事実上、都の財産を処分することを十分に決定づける認可申請です。
 これは、選手村のイメージを描くような単純なものではなく、その計画区域での建築制限がかかる強力な法的手続です。そして、権利変換行為の一環とは到底いえません。私は、この事業計画の認可申請は、明らかに地方自治法二百三十七条二項が作動しなければならない瞬間だと思うんです。
 今日は、これについては事前に質問通告を行っていませんのでお聞きしませんけれども、今後の……(発言する者あり)した方がいいと、今、自民党の委員からもやじが飛びましたので、じゃあ、お聞きしたいと思います。
 事業計画の認可申請時こそ、地方自治法二百三十七条第二項を適用できる、その瞬間なんじゃありませんか。

○井川市街地整備部長 事業計画に定める内容につきましては、施行地区、設計の概要、事業施行期間などでございます。したがって、事業計画は、権利を処分する行為ではなくて、施設計画や公共施設の計画を定めたものであって、財産の変動などについては、権利変換計画で定めるものでございます。
 さらに、判決においては、繰り返しになりますけれども、本件権利変動を生じさせる各行為は、いずれも地方自治法が規定する譲渡または処分に当たらないと判示されてございます。

○原田委員 あのですね、百八条の二項っていうのは、さっきも指摘しましたけれども、保留床の管理処分について、百八条の二項は適用になるんだというふうに、保留床の管理処分については、地方自治法の定めが及ばないっていうふうにいっているんですけど、その他のところで、自治体が独自にね、やはり地方自治法二百三十七条の定めは大事だから、どこかの折で、やっぱり議会の議決に諮ろう、財価審にかけようと思ったら、それを拒否してはいないわけです。
 そもそも、法にかかわらず極めて大規模な都有地であり、しかも整備費に莫大な税金が投入されることにもつながる案件であるため、都は、積極的に議会や財価審に諮るべきだったのではないか。見解を伺います。

○井川市街地整備部長 都は、選手村の特殊要因を踏まえて、土地の価格を定められた基準に基づいて算定し、不動産鑑定士や弁護士など外部の専門家を含む委員会で審議を行うなど、法令に基づいて適正、公正に価格を決定してございます。また、これまで議会に対しましても、予算審議などの機会を捉えて説明を行ってまいりました。
 判決におきましても都の主張が全面的に認められ、本件譲渡契約の締結が財務会計法規上違法であるとは認められないから棄却すべきとされてございます。

○原田委員 何かもっともらしく答弁しているんですが、定められた基準で不動産鑑定士を交えた外部の専門家委員会が開かれたといいますが、まさにその委員会こそが情報を隠蔽し、百二十九億円という破格の安値をつけた人たちじゃありませんか。
 予算審議をもって議会に諮ったかのようにいいますが、まともな情報もなく、議決事項にもしていないのに、よくも議会に機会を捉えて説明などと答弁できたなと。本来であれば、都自らが、地方自治法という日本国憲法に匹敵する法を守る立場に立ち、どこで財価審にかけるか、財産処分の議決を図るべきかを考えなければならないものと私は考えます。
 その点では、先ほど指摘した、まさに十八ヘクタールの都有地が晴海フラッグに変わってしまうという事業計画ですから、それが財産処分に当たらないなんてことをいえるはずがないわけです。いや、むしろそう見ることもできるわけです。財産処分の決定的な瞬間と見て、そこで議決に諮るということもできるわけです。
 しかし、都がそうなっていない以上、このことは、議会の側からすれば、議決権が奪われているに等しいのであって、都議会から議決権を守るために動かねばならないときだと私は思うわけです。
 実は、他の市街地再開発事業で、都営住宅や都有地を再開発に組み込んでいることを私は指摘してきましたが、そうした財産の処分がことごとく議会の議決にも財価審にも諮られていない。これは、さらに別の再開発法のスキームでそれを免れていることがだんだん分かってまいりました。
 その再開発に賛成なのか反対なのかは関係なく、議会の議決をくぐり抜けようとする行政の姿勢は、議会人たる者、厳しくこれを指摘しなければならない。民主主義国家の地方議員としての務めだということを呼びかけるものであります。
 これまでの質疑で、選手村都有地売却問題は、ここに来てもまともな情報が開示されておらず、今後も隠される危険性がある点で、注視が必要です。また、あの手この手で地方自治法の精神をゆがめ、水面下で都とディベロッパーが計画を進める様子が明らかになったと思います。
 このような状況を都民の側に立って想見すれば、本請願の趣旨である譲渡価格の是正措置を講ずる必要があることは、今後の事業者や都の財産管理の在り方を監視する上でも、採択するしかないということを主張し、質疑を終えます。

○竹井委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○竹井委員長 起立少数と認めます。よって、請願六第二号は不採択と決定いたしました。
 請願の審査を終わります。

○竹井委員長 次に、理事者から報告の申出がありますので、これを聴取いたします。
 初めに、築地地区まちづくり事業について外一件の報告を聴取いたします。

○高橋築地まちづくり推進担当部長 私からは、築地地区まちづくり事業についてご説明いたします。
 お手元の資料2をご覧ください。
 築地地区まちづくり事業については、令和四年十一月に事業者募集要項等を公表し、昨年八月に応募者からの提案を受け付けました。その後、外部有識者により構成される築地地区まちづくり事業審査委員会において審査を実施し、本年四月に事業予定者を公表しました。
 事業場所につきましては、1に記載のとおりでございます。
 また、2の都有地活用面積は約十九ヘクタールとなってございます。
 次に、3の事業予定者はONE PARK×ONE TOWNという民間企業グループで、三井不動産株式会社を代表企業とし、構成員は記載のとおりとなってございます。
 4の提案概要等をご覧ください。提案の主なポイントとして、五点を記載してございます。
 一点目は、広場や水辺空間をつくり、東京のウオーターフロントの新しい顔を形成。二点目は、陸、海、空の広域交通結節点を形成。三点目は、大規模集客、交流施設やMICE施設等を水辺に整備し、東京の魅力を世界に発信するというものでございます。四点目は、歴史ある食や文化、芸術を堪能できるフードホールやシアターホールなどにより、にぎわいの空間を創出し、築地ブランドを発信。五点目は、最先端技術等によるCO2排出実質ゼロなどを実現するというものでございます。
 なお、事業予定者の選定に当たりまして、審査委員より附帯意見が出されており、その例として、世界に対して日本の食文化の魅力が十分に発信されるよう取り組むこと、日本や東京らしさを感じさせる新たなアイコンとして認知され、愛され続けるデザインとしていくことなど、四点を記載してございます。
 5は、今後の予定でございます。附帯意見を踏まえながら、今後、都、外部有識者、事業予定者で協議を行い、事業予定者が提案した計画をよりよいものとしていく予定でございます。
 その上で、令和六年度末に、まちづくりの計画及び整備、運営等の条件等を定める基本協定を都と事業予定者等との間で締結する予定でございます。
 その後、令和七年度に、まちづくりの効果発現を促進し、価値を高めるための先行にぎわい施設の着工を予定してございます。
 さらに、令和八年度末に定期借地権設定契約の締結、令和十四年度に第一期建築工事の完了、令和二十年度に第二期建築工事の完了を予定してございます。
 続いて、資料の裏面をご覧ください。
 施設等の概要でございます。上段の図は、計画地を南側上空から見たイメージパースでございます。敷地中央に大規模集客、交流施設を、南東の隅田川沿いには広場や水辺空間のほか、MICE施設、広域交通結節点、フードホール、シアターホールなどを整備する計画となってございます。また、敷地の北西のエリアには、ライフサイエンス分野のイノベーションを生み出す拠点などを整備することとしてございます。
 下段には、隅田川沿いの広場や築地場外市場とも連携したにぎわいの空間、大規模集客、交流施設の利用シーンなどのイメージを記載してございます。
 私からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

○飯泉市街地建築部長 私からは、東京都建築安全条例の見直しの考え方について報告いたします。
 資料3をご覧ください。
 初めに、1、経緯・背景についてです。
 都内では、大規模プロジェクトにより魅力あふれる拠点の形成が進む一方、周辺地区では機能更新が進んでおらず、まち並みの維持やにぎわい創出のための新たな取組が求められております。
 このため、既存建築物のリノベーション促進に向けて、「未来の東京」戦略 version up 二〇二三に条例の見直しを位置づけた上で、令和五年三月に検討委員会を設置し、有識者等の意見を聞きながら検討を重ね、条例見直しの考え方(案)を取りまとめました。
 次に、2、条例見直しの考え方(案)についてですが、主な事項として二点ご説明いたします。
 一点目は、用途変更の円滑化への対応です。
 条例では、一階など避難階の避難経路の安全性確保のため、防火区画を求めております。現行では、イメージ図のとおり、例えば避難階の事務所の一部を飲食店に変更する部分的な用途変更であっても、黄色で示す経路全体を防火区画するため、用途変更しない事務所側も改修が必要となります。このため、工事費やテナント調整など事業者の負担が大きく、用途変更が進まない要因となっております。
 そこで、安全性に配慮した上で、見直しにより防火区画が必要な範囲を、用途変更部分に限定します。
 次に、二点目、建築技術の進展等への対応です。
 条例では、共同住宅等を建築する場合、採光や通風、避難路としての機能を確保するため、窓先空地の設置を求めています。現行では、イメージ図のとおり、窓先空地を避難経路に使わない場合であっても、避難上有効な空地とする必要があり、植栽等の利用を不可としていましたが、昨今の建物の高層化や用途の複合化に対応するため、見直しにより植栽等の利用を可能といたします。
 このほか、近年の建築基準法改正に対応するために規定の見直しを行います。
 最後に、3、今後の予定ですが、資料4、東京都建築安全条例の見直しの考え方(案)について、本日から六月二十八日までパブリックコメントを実施し、都民からの意見なども参考に条例の改正案を取りまとめ、令和七年第一回定例会に提案する予定です。
 説明は以上です。

○竹井委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○竹井委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。

○竹井委員長 次に、令和五年度東京都一般会計予算、都市整備局所管分の繰越しについて外二件の報告を聴取いたします。

○山崎総務部長 お手元の資料5、令和五年度繰越説明書によりましてご説明をいたします。
 今回のご報告は、令和五年度予算の繰越明許費繰越及び建設改良費繰越について、地方自治法施行令第百四十六条第二項及び地方公営企業法第二十六条第三項の規定によりまして、議会にご報告するものでございます。
 資料の一ページをお開き願います。初めに、番号1、令和五年度繰越明許費繰越総括表でございます。
 一般会計及び特別会計の各会計別に、予算現額、繰越明許費予算議決額、翌年度繰越額及びその財源内訳を記載してございます。
 合計欄をご覧ください。予算現額の右側の欄、繰越明許費予算議決額でございますが、これが五十二億八千五百万余円であるのに対し、その右側の欄、翌年度繰越額は二十六億四千百万余円となってございます。
 次に、番号2、令和五年度建設改良費繰越総括表でございます。
 公営企業会計でございます都市再開発事業会計につきまして、予算計上額が二十九億三千八百万余円であるのに対し、支払い義務発生額が十八億八千万余円、翌年度繰越額が五千百万余円となってございます。
 ページをおめくりいただきまして、三ページ以降は事業別の内訳となってございます。
 まず、一般会計でございます。
 五ページをお開き願います。番号1、施設計画に関する調査でございます。
 繰越理由は、停留施設上屋建築工事等に伴う関係機関との調整に日時を要したことによるものでございます。
 六ページをお開き願います。番号2、都市防災施設整備事業でございます。
 繰越理由は、先行工事の遅延によるものでございます。
 七ページをお開き願います。番号3、土地区画整理助成でございます。
 繰越理由は、土地区画整理事業に係る工事に伴い、事業者が関係機関との調整に日時を要したことによるものでございます。
 八ページをお開き願います。番号4、臨海都市基盤関連街路整備でございます。
 繰越理由は、富士見橋補修工事に伴う関係機関との調整に日時を要したことによるものでございます。
 九ページをお開き願います。番号5、都市改造でございます。
 繰越理由は、街路整備工事に伴う関係機関との調整及び物件移転補償に伴う関係人の移転等に日時を要したことによるものでございます。
 一一ページ以降は、臨海都市基盤整備事業会計でございます。
 一三ページをお開き願います。番号1、臨海都市基盤整備でございます。
 繰越理由は、街路整備工事に伴う関係機関との調整に日時を要したことによるものでございます。
 最後になりますが、ページをおめくりいただきまして、一五ページ以降は、公営企業会計である都市再開発事業会計でございます。
 一七ページをお開き願います。番号1、市街地再開発事業でございます。
 繰越理由は、建物除却工事に伴う関係機関との調整に日時を要したことによるものでございます。
 以上をもちまして、令和五年度東京都一般会計予算、都市整備局所管分の繰越しについて外二件につきまして、ご報告を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○竹井委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を一括して行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○竹井委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○竹井委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。

○竹井委員長 次に、第二百四十六回東京都都市計画審議会付議予定案件についての報告を聴取いたします。

○谷崎東京都技監 来る九月十日に開催予定の第二百四十六回東京都都市計画審議会等に付議を予定しております案件につきましてご説明いたします。
 今回、都市計画の変更予定案件が区部で七件、市町村部で二件でございます。
 本日は、これらのうち主な案件といたしまして、東京都市計画都市再生特別地区池袋駅西口地区とその関連案件につきましてご説明申し上げます。
 それでは、引き続き担当部長からご説明いたしますので、よろしくお願いいたします。

○飯塚景観・プロジェクト担当部長 それでは、付議予定案件ナンバー1、東京都市計画都市再生特別地区池袋駅西口地区及びナンバー2からナンバー4、東京都市計画都市高速鉄道第四号線本線、第八号線本線、第十三号線は、関連する案件のため、一括してご説明を申し上げます。
 資料は、お手元の資料7、白色表紙、提案事項概要五ページから三一ページまで、資料8、薄茶色表紙、事前説明資料五ページから五〇ページまでとなります。あわせまして、資料9、薄緑色表紙、都市計画(素案)池袋駅西口地区もご参照ください。
 まず、都市再生特別地区の変更についてご説明いたします。
 今回の変更は、国家戦略特別区域法に基づき、国家戦略特別区域会議から東京都都市計画審議会に付議が予定されているもので、事業主体は、池袋駅西口地区市街地再開発準備組合及び東武鉄道株式会社でございます。
 事前説明資料五ページの位置図と併せて、スクリーンをご覧ください。
 本地区は、池袋駅西口地区に位置し、池袋西口公園や東武鉄道の鉄道施設の一部を含み、東京芸術劇場に接した約六・一ヘクタールの区域でございます。
 また、本地区は、都市再生緊急整備地域及び特定都市再生緊急整備地域である池袋駅周辺地域内に位置しております。
 事前説明資料九ページの参考図1と併せまして、スクリーンをご覧ください。
 本計画は、新たな都市の顔となりウオーカブルなまちづくりを推進する都市基盤の整備、国際アートカルチャー都市として世界から人々を呼び込む都市機能の導入、防災対応力強化と環境負荷低減に取り組むもので、当該緊急整備地域の地域整備方針に沿うものであり、かつ都市再生の効果が高いものとなってございます。
 具体的な都市再生への貢献内容につきましては、主なものといたしまして、駅まち結節空間の整備と駅東西のネットワーク強化、駅前交通機能の強化と連続的な歩行者空間の整備、アートカルチャー活動を支える歩行者空間の創出を行います。
 また、国際アートカルチャー都市の実現に向けまして、駅からまちに人を送り出す情報発信施設、アートカルチャー人材の育成、活動支援の場となる育成支援施設、国内外の新たな来街者の創出やアーティストの受皿として機能する宿泊施設の整備を行います。
 提案事項概要の五ページから八ページまで、事前説明資料七ページの計画図2と併せまして、スクリーンをご覧ください。
 都市再生特別地区の都市計画変更の内容についてご説明いたします。
 容積率につきましては、本計画の都市再生への貢献内容を適正に評価した上で、区域全体の最高限度を一四三〇%といたします。また、区域をA、B、C、Dの四街区に区分し、AからC街区にも最高限度を定め、一部を都市の魅力創造に資する情報発信施設などといたします。
 高さの最高限度は、高層部Bで二百七十メートル、低層部Aを四十五メートルなどといたします。
 事前説明資料の一〇ページと併せて、スクリーンをご覧ください。完成予想図でございます。
 続きまして、付議予定案件ナンバー2からナンバー4、東京都市計画都市高速鉄道第四号線本線、第八号線本線、第十三号線の変更についてご説明いたします。
 事前説明資料一一ページ、一五ページ、一九ページの位置図と併せ、スクリーンをご覧ください。
 本件につきましても、国家戦略特別区域法に基づき、東京都の都市計画審議会に付議が予定されているものでございます。いずれも東京圏の鉄道ネットワークを構成する重要な路線の一つとなってございます。
 本案件は、市街地再開発事業の事業計画におきまして、都市高速鉄道が存するように定め、その機能を保全するため、施設建築敷地内の都市高速鉄道の区域について、立体的な範囲を都市計画として定めるものでございます。
 このほか、国家戦略特別区域会議から豊島区都市計画審議会へ、池袋駅西口B地区地区計画の変更、池袋駅西口地区及び池袋駅直上西地区第一種市街地再開発事業の決定、第八・二・一八号池袋西口公園の変更等、計十二件につきまして、別途付議が予定されてございます。
 参考といたしまして、市街地再開発事業の決定及び都市計画公園の変更についてご説明いたします。
 事前説明資料の三一ページから四二ページまでと併せて、スクリーンをご覧ください。
 まず、市街地再開発事業のうち、組合施行予定の池袋駅西口地区について、池袋西口公園を含め、土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新を図るため、約四・五ヘクタールの区域に市街地再開発事業を決定いたします。
 次に、東武鉄道による個人施行予定の池袋駅直上西地区について、鉄道施設を含め、土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新を図るため、約一・六ヘクタールの区域に市街地再開発事業を決定いたします。
 また、第八・二・一八号池袋西口公園につきましては、区域を〇・四ヘクタールから約〇・五ヘクタールに拡大、再編し、アートカルチャー活動の拠点としての機能を強化するため、都市計画公園を変更いたします。
 付議予定案件ナンバー1からナンバー4の説明は、以上でございます。

○竹井委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○中山委員 私からは、第二百四十六回都市計画審議会案件の都市再生特別地区池袋駅西口地区について質問します。
 西口では、新しく交通広場が開設されるということでございます。我が党の豊島区選出の長橋桂一都議会議員は地元でありまして、詳細に本件の内容を把握されておりますけれども、私は不案内のため、確認をさせていただきたいと思います。
 バス、タクシーの乗車位置についてでございます。
 提案書九四ページには、バス、タクシーの乗降場所を交通広場の中に集約する旨の記載がありますが、詳細は現在計画中とのことでございます。
 私は、かつて雨降りの日に、駅までバスでお越しになられたご通勤の方の中に、車椅子の方がいらっしゃって、その方がバスからスロープを設置してもらって降りられて、傘を差さずに駅まで急がれていた様子を何度か拝見することがございました。その方は、両手で車輪を動かし、自走されておりました。とても傘など差しては、日頃から通勤を含め移動されていなかったのだと思います。
 したがって、屋根などがない状態では、雨にぬれることなど何でもないかのように毅然とされ、ご移動されていたんだと思いますけれども、私は、バス停自体はもちろんのこと、バス停から駅までの間は、できれば屋内と同じように屋根が設置されていることの方が望ましいのだということを、その方のお姿を通じて強く実感した次第です。
 以来、私は、バスやタクシーから乗り降りする車椅子などの障害者の方が、雨にぬれずに乗降して駅まで行けるような屋根つきの環境を整えること、すなわち、そうした空間を屋外ではなく屋内として捉えていくということの方が、バリアフリーの取組の一つであるべきだと考えるようになりまして、できる限り機会を捉えて主張してきたところであります。
 もちろん、ご自宅から最寄りのバス停までの間は屋根などついていない場合が多いでありましょうし、駅前などの空間だけ整備しても意味が薄いという見方は確かにあるかもしれません。
 しかし、比較的に多くの方がご利用になる駅前空間などを整備する際には、スロープや傾斜の在り方や、いわゆるアンブレラフリーの視点なども、それぞれのお立場でお困りを抱えていらっしゃる方の視点から見て、合理的な配慮を心がけることが標準的になっていく社会を目指すべきだと考えております。
 こうした意味から、都内の様々な都市計画や再開発におきましては、アンブレラフリーの環境を確保していくべきと考えます。本計画ではどうなっているのか、また、乗降場所から駅の出入口まではアンブレラフリーの視点に立つとともに、距離的にも可能な限り短くあるべきと考えますが、見解を求めます。

○飯塚景観・プロジェクト担当部長 現在、池袋駅の西口では、バスの乗り降り場が分散して設置されており、乗り場には屋根はあるものの、屋根のない歩道を通り、車道を横断してアクセスしなければならないなどの課題がございます。
 このため、本計画で新たに整備する交通広場は、バスやタクシーの乗り場を集約して歩車分離を図り、今お話のございました障害のある方も含めて、誰もが安全に移動しやすい環境を整備することといたしております。
 また、駅出口からの歩行距離を短くするよう工夫するとともに、乗り場まで連続した屋根を設置し、アンブレラフリーの移動経路を整備する予定と聞いてございます。

○中山委員 ご答弁、ありがとうございました。
 ぜひ今後とも、様々な都市計画案件におきましても、立案時からバリアフリーの取組、様々ございますけれども、その一環として、できる限りアンブレラフリーの視点も取り入れていただくことをお願いして、質問を終わります。
 以上です。

○原田委員 私からも、池袋駅西口についてお聞きしたいと思います。
 まず、池袋駅西口地区における従前、従後の容積率の変化を教えてください。

○飯塚景観・プロジェクト担当部長 従前の容積率は、加重平均で約八七三%でございます。従後の容積率は、街区再編による駅前交通結節機能の強化や、連続的な歩行者空間の整備等を評価し、一四三〇%としてございます。

○原田委員 加重平均で一四三〇%ということですが、三棟の超高層ビルが建つと。百八十五メートル、二百二十メートル、二百七十メートルという超巨大な再開発となります。実は、一棟は二〇〇〇%の容積率をいよいよ超えてくるビルとなると。たしか、二百二十メートルのビルが二〇〇〇%を超えるんだったんじゃないかと思うんですけど、五、六千平米のところに二百二十メートルの超高層ビルが建つっていった場合に、もう本当、マッチ棒みたいな建物ですよね。
 私は、今、長期振動とかがすごくいわれ、問題が指摘されている中で、実はしかも二回震度七が来る、震度六強が来るとかっていうのが相次いでまして、そういうときに、そこまで耐震構造を考えられてつくられているのかっていうのがすごく心配になるなと思って、今後ちょっと聞いていかなきゃいけないなと思っています。
 池袋西口地区における従前、従後のCO2排出量の変化を教えてください。

○飯塚景観・プロジェクト担当部長 当地区の従前の建築物は、七割以上が築三十年以上を経過した古い基準で設計された建物であり、CO2排出量は、エネルギー消費実績が把握できないため算定できません。
 当地区の開発におきましては、環境面での先進的な取組によって、最高水準の環境性能を確保することを求めておりまして、従後の建築物のCO2排出量は、一定の仮定条件の下に試算すると、年間約二万二千二百トン程度となります。
 なお、事業者は、使用する電力を原則一〇〇%再生可能エネルギー由来とすることを提案しておりまして、この提案を実現することにより、電気によるCO2排出量は実質ゼロとなるものでございます。

○原田委員 電気によるCO2排出量は実質ゼロになるんだということですけど、東京都でさえ、一〇〇%再生可能エネルギー、足りなくてできていないっていうのに、あちらこちらの再開発がみんな、うちは再生可能エネルギーでやるっていっても、足りないんじゃないですかっていうことが問われているわけで、絵に描いた餅といいますか、二万二千トン出すわけですよ、CO2を。大変な規模だなということが分かります。
 もうただじゃないですからね、CO2の排出は。今年度の新年度予算で、気候変動対策っていうのを総ざらいすると千九百九十億円、約二千億円と。本当にいつまでたっても、CO2出すのはただっていうわけにはもういかないんじゃないんですかね。そういうことを都市整備局もちゃんと考えていかないといけないだろうと思っています。
 最後に、都市再生特別地区の地権者は何人か。また、現在の同意率は何%か、教えてください。

○飯塚景観・プロジェクト担当部長 現在、当地区の地権者は百一名であり、同意率は、人数割合で約七四%、面積割合で約八七%でございます。

○原田委員 同意率が低いプロジェクトが増えてきた印象があります。約百名で同意率が七四%っていうことは、二十六人ぐらいが反対していると。これは、百名のうち、あと八名反対する人が現れたら、本組合の設立ができないっていうことですからね。
 私の下に、先日、とある都心再開発の地権者が相談に訪れたんですけど、最近増えているんですが、話を聞いて驚きました。その方は、計画地に約千二百平米の床を持つビルを持っているんですけれども、再開発に加わったときに提案される権利変換後の床面積、千二百平米、現状持っているんですけど、何と二百九十メートルです。再開発ビルに入るっていうのは、そういうことなんですね。等価交換もへったくれもないわけですよ。
 ただ、今の縦に高いビルの総面積千二百平米のその一平米を新しい再開発ビルに直すと、二百九十メートルぐらいの価値なんだといわれてしまって、まあ、分かります……(「分からない」と呼ぶ者あり)分からないですか。だから、等価交換しなきゃいけないわけですよ。
 だから今、千二百平米のビルを持っているんだけど、その人が再開発ビルに組合に入って入居して、再開発ビルが建った後に、はい、同じ価値の床をあげましょうっていって渡されたら、二百九十メートルしかないっていうんですね。(「平方メートル」と呼ぶ者あり)二百九十平方メートルしか……(「ちゃんといわなきゃ」と呼ぶ者あり)あ、平方メートルが分からなかった……。(「違うよ、メートル」「平米」と呼ぶ者あり)ああ、メートルといっていたのか、ごめん。平米、平方メートルだけだっていうわけですよ。
 だから、もう等価交換もへったくれもなくて、これまでも部屋貸しをしていたビルのオーナーから複数、市街地再開発事業で財産が猛烈に減るという話を聞いています。様々な行政手続や移転費用など必要経費を算出すれば、等価交換なんて全く行ってもらえないっていう話も、一軒家の方々からも聞きます。
 今日の私のこの質疑をどれだけの人が聞いてくれているか分かりませんけれども、この池袋西地区の同意率や回転率のよさそうな中小ビルが、池袋西地区、歩いてみるとやっぱり回転率のよさそうな中小ビルたくさんある中にあって、もう一筋縄には行かないのじゃないのかと、一方的に進めさせちゃいけないんじゃないかということも意見として付しまして、報告事項に対する質疑を終わります。

○竹井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○竹井委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市整備局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時二十七分散会