都市整備委員会速記録第四号

令和六年三月十八日(月曜日)
第六委員会室
午後一時開議
出席委員 十三名
委員長竹井ようこ君
副委員長土屋 みわ君
副委員長尾崎あや子君
理事加藤 雅之君
理事森口つかさ君
理事田村 利光君
松田りゅうすけ君
関野たかなり君
松田 康将君
原田あきら君
中山 信行君
後藤 なみ君
西沢けいた君

欠席委員 なし

出席説明員
住宅政策本部本部長山口  真君
技監青柳 一彦君
住宅企画部長松崎伸一郎君
民間住宅部長鈴木 誠司君
都営住宅経営部長栗谷川哲雄君
連絡調整担当部長今井 徳彦君
住宅政策担当部長浦口 恭直君
企画担当部長住宅市場担当部長兼務都築 裕樹君
技術企画担当部長DX推進担当部長兼務相羽 芳隆君
民間住宅施策推進担当部長三宅 雅崇君
経営改革担当部長小町 高幹君
都営住宅企画担当部長平松 紀晴君
建設推進担当部長青木 成昭君
営繕担当部長小久保信一君
再編利活用推進担当部長木村 宣代君

本日の会議に付した事件
住宅政策本部関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和六年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為 住宅政策本部所管分
・第十三号議案 令和六年度東京都都営住宅等事業会計予算
・第十四号議案 令和六年度東京都都営住宅等保証金会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第六十五号議案 東京都営住宅条例の一部を改正する条例
・第六十六号議案 東京都福祉住宅条例の一部を改正する条例

○竹井委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、住宅政策本部関係の予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 これより住宅政策本部関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、令和六年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、住宅政策本部所管分、第十三号議案、第十四号議案、第六十五号議案及び第六十六号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○松崎住宅企画部長 去る二月十五日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の資料1、都市整備委員会資料をご覧ください。
 表紙をおめくりいただき、目次をご覧ください。資料は全部で六件でございます。
 まず、一ページをお開きください。1、公社住宅の十年間の建設実績でございます。
 平成二十五年度から令和四年度までの公社住宅の建設戸数について、年度別に記載してございます。
 二ページをお開きください。2、都営住宅における居室内単身死亡者数(過去十年間)でございます。
 平成二十五年度から令和四年度までの人数について、年度別に記載してございます。
 三ページをご覧ください。3、都営住宅の共用部等におけるLED設置状況、設置率(過去五年間)でございます。
 平成三十年度から令和四年度までの設置戸数、設置率について、年度別に記載してございます。
 四ページをお開きください。4、都営住宅における太陽光発電設備の設置状況(過去五年間)でございます。
 平成三十年度から令和四年度までの設置住棟数について、年度別に記載してございます。
 五ページをご覧ください。5、区市町村住宅供給助成費の予算と実績の推移(過去五年間)でございます。
 平成三十年度から令和四年度までの当初予算額、決算額について、年度別に記載してございます。
 六ページをお開きください。6、マンションに対する耐震診断及び耐震改修の助成実績(過去五年間)でございます。
 耐震診断、耐震改修、合計の別に、平成三十年度から令和四年度までの当初予算額、執行戸数、執行額について、年度別に記載してございます。
 以上で資料説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○竹井委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○土屋委員 初めに、災害時の応急仮設住宅についてお伺いいたします。
 今年一月一日に発生した能登半島地震では、住宅への被害も大きく、今なお避難所で暮らしている方々もおられます。このような災害が東京で発生した際には、より大きな被害も想定され、都民が少しでも安心して生活できるようにするには、生活再建の第一歩となる住まいの確保が重要であり、そのためには応急仮設住宅が大きな役割を果たすと思われます。
 そこで、災害時の応急仮設住宅については、日頃からの備えも重要であると考えますが、都では平時の訓練など、どのような取組を行っているのか伺います。

○浦口住宅政策担当部長 災害発生時には、被災者の方が速やかに住まいを確保できることが重要でございます。
 都では、応急仮設住宅等を迅速に提供するため、公的住宅や民間賃貸住宅の空き住戸のストックを活用するほか、必要に応じて、大規模災害の発生時には、建設型の応急仮設住宅を提供することとしております。
 災害時の賃貸型応急住宅の迅速な提供のため、宅地建物取引業団体等との協定の締結や、区市及び関係団体による事務手続に係る訓練のほか、応急仮設住宅を建設する事業者団体との協定の締結、公的住宅の提供に係る訓練などに取り組んでおります。

○土屋委員 関連団体との協定締結や訓練に取り組んでいるとのことですが、具体的にはどのような訓練を実施しているのか教えてください。

○浦口住宅政策担当部長 賃貸型応急住宅に関しましては、区市及び宅地建物取引業団体等の関係団体と、民間賃貸住宅の空き住戸を被災者の方へ提供するための情報連絡や契約事務手続の流れをロールプレーにより確認する訓練を実施しております。今年度は十二月に四つの関係団体及び二十区市が参加して実施をしております。
 加えて、公的住宅の提供に関しましては、都営住宅等の空き住戸を活用して、円滑に提供するための情報連絡訓練を区市及び東京都住宅供給公社と連携して実施してきております。今年度は一月に実施予定でございましたが、能登半島地震を受けて訓練を見送り、実際に被災された方を都営住宅で受け入れているところでございます。

○土屋委員 今年度は一部訓練を見送ったとのことでありますが、実際に広域避難で都内に避難されてきた方々を受け入れているということで、訓練では得られないものもあるのではないかと思います。平時からの訓練はとても重要なことだと考えますが、このような訓練は毎年しっかりと継続していくことが大切であり、内容の改善を重ねていくことも必要と考えます。
 そこで、今後の訓練実施に向け、どのようなことを検討しているのかお伺いいたします。

○浦口住宅政策担当部長 これまでの訓練参加者からの意見を踏まえて、被災者への窓口での対応について、より具体的な演習を追加するなど、今後の訓練内容の充実を図ってまいります。
 また、これまで訓練に参加されていない区市町村への働きかけを行い、訓練への区市町村の参加数を増やしてまいります。
 今後も、首都直下地震や近年頻発する風水害等の発生に備えるため、関係団体や区市町村と一体となって、平時からの取組について不断の改善を進めてまいります。

○土屋委員 いつ起こるか分からない大規模災害、その復旧復興の過程において、迅速な被災者の住まいの確保は重要な課題であります。対応力強化を図るため、関係機関が連携し、支援体制の構築など、平時の取組をしっかりと進めていただきますようお願いいたします。
 次に、一定の代表質問で、地震や水害の後もマンションでの在宅避難を継続しやすくするため、非常用電源の設置や浸水対策などハード面の防災対策に対する補助制度を創設するとの答弁がありました。
 そこでまず、非常用電源について、どのようなマンションを想定し、どのような効果を期待して整備を促進していくのかお伺いいたします。

○三宅民間住宅施策推進担当部長 都は来年度、東京とどまるマンションに対して、停電時にエレベーターや給水ポンプを動かせる非常用電源の設置に新たに補助を行います。
 具体的には、停電時に一基以上のエレベーターと給水ポンプを少なくとも交互に動かすことができる非常用電源が対象で、発電機の場合は補助率二分の一、上限千五百万円、蓄電池の場合は補助率四分の三、上限一キロワットアワー当たり約十九万円の支援を行います。
 これにより、停電時でも高層階への移動がしやすく、水道も利用できるマンションを増やしてまいります。

○土屋委員 停電時でも非常用電源が整備されていれば、生活継続に必要な電力が供給できて、在宅避難の可能性を高めることが期待できます。しかし、こうした電気設備を備えていても、当たり前ではありますが、設備が水につかってしまっては、それらは機能しなくなります。
 そこで、都は、浸水対策についても支援を行っていくとのことですが、その考え方についてお伺いいたします。

○三宅民間住宅施策推進担当部長 都は来年度から、水害時にも非常用電源が稼働できるように、電源確保のための止水板や防水扉の設置に対して補助を行います。登録マンションが浸水想定区域に位置し、ハード面の登録基準を満たす非常用電源を備えている場合、玄関に止水板を設置する費用や、電気室の扉を防水扉に変更する費用に対して補助率二分の一、上限七十五万円の支援を行います。
 こうした取組により、水害による停電にも対応できるマンションを増やしてまいります。

○土屋委員 私の地元世田谷区では、二〇一九年の十月に台風十九号の影響で、多摩川が氾濫しましたが、都内でも豪雨の際にマンションが水につかる被害が散見されます。
 浸水の被害が想定される地域では、地震だけでなく、水害が起きたときにも在宅避難ができるように備えることが大変重要であります。
 浸水対策についても、非常用電源の設置と併せて導入が進むよう、普及に力を入れる必要があると考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○三宅民間住宅施策推進担当部長 登録マンションにおきまして、災害時の生活継続の可能性を高めるには、地域の浸水リスクも考慮した適切な対策が必要でございます。
 そのため、親しみやすいPRキャラクター、トドまるくんを使った動画や四こま漫画を載せたパンフレットを今月中に作成し、活用することによりまして、在宅避難のための電源確保の重要性などを管理組合に効果的に伝えてまいります。
 さらには、来年度から新たに行う実態調査で調べる浸水リスク等の情報も活用しながら、区市町村をはじめ、関係団体とも連携し、非常用電源や浸水対策の補助制度の利用を促してまいります。

○土屋委員 浸水リスクの高い地域のマンションの安全性を高めるためには、そうした地域を熟知している地元区市の協力が欠かせません。ぜひとも区市町村と連携して取り組んでいただきますようお願いいたします。
 次に、空き家対策について伺います。
 都は今年度から、地域資源としての空き家の利活用を促進する事業として、政策課題解決型空き家活用支援事業を開始しました。空き家を改修して、東京ささエール住宅や居場所づくりなど、住宅政策課題の解決につながる用途に活用する民間事業者等を支援する事業で、今年度は私の地元の世田谷区内の空き家を活用した取組が選定されました。
 そこで、まず初めに、令和五年度の政策課題解決型空き家活用支援事業の選定実績と選定した取組の概要についてお伺いいたします。

○都築企画担当部長住宅市場担当部長兼務 令和五年度の政策課題解決型空き家活用支援事業では、応募のあった事業提案について、実現可能性や波及性等の観点から審査を行い、民間事業者等が創意工夫を凝らした二件の取組を選定しております。
 具体的には、世田谷区内の広い戸建て住宅の空き家を改修して、単身高齢者と低所得の若者がリビング等を共用しながら共に暮らす、共同居住型の東京ささエール住宅として活用する取組と、あきる野市内の古民家を改修して、地域住民の方が集い交流できるオープンスペースのある居場所として活用する取組を選定しております。

○土屋委員 戸建ての空き家を東京ささエール住宅として活用することや、古民家を有効活用するなど、いずれも空き家活用のモデルとなるような民間ノウハウを生かした取組が選定されていると思います。
 本事業はこうした民間事業者の取組に対して都が直接財政支援を行い誘導するという大変意義のある事業であり、多くの事業者に活用されることが期待されます。
 今後この事業がさらに活用され、都で増え続けている空き家が様々な用途に有効活用されていくためには、本事業によるモデル的な好事例をほかの多くの民間事業者に横展開するとともに、民間事業者と実際に空き家を所有して困られている方をつなぐよう工夫を凝らしていくべきと考えますが、見解を伺います。

○都築企画担当部長住宅市場担当部長兼務 都は今年度から、空き家活用シンポジウムを開催し、事業者に対して取組事例の紹介や情報交換の場を提供し、参入を促しております。
 来年度は、こうした取組に加え、空き家の有効活用には、地域の特色を踏まえる必要があることから、新たに地域別のセミナーを四回実施し、この中で空き家所有者と事業者のマッチングも促進してまいります。
 あわせて、本事業を民間事業者等にとってより利用しやすい制度とするため、通年で申請を受け付けるなど、運用改善を図るとともに、ホームページやSNS等に加え、業界団体と連携を図りながら、その会員向けのセミナー等を活用するなど、本事業の周知や取組事例の情報発信を強化してまいります。

○土屋委員 来月からは、これまで任意だった不動産の相続登記が義務化されますが、そういったことも併せて周知しながら、空き家は活用できる有効な資源として、空き家の利活用促進をさらに図っていただくようお願いいたしまして、私の質問を終わります。

○後藤委員 よろしくお願いいたします。私からは、高齢者いきいき住宅について、何点か質問をしていきたいというふうに思います。
 来年度の予算では、高齢者いきいき住宅整備事業ということで、予算案に八千万円が計上されていまして、自立した高齢者の皆さんが生き生きと地域社会で暮らしていけるための認定をつくるための先導事業が行われるというふうに認識をしております。
 私自身、介護や高齢者政策がライフワークということもありますので、伺っていければと思いますけれども、まずは、この高齢者いきいき住宅を伺うに当たりまして、これまでの高齢者の住宅政策について、どのような取組を行ってきたのか伺いたいと思います。

○鈴木民間住宅部長 都はこれまで、高齢者の居住の安定確保のため、国の制度に基づきまして、バリアフリー構造を有し、生活相談サービス等が提供されるサービス付高齢者向け住宅や、高齢者など住宅確保要配慮者の入居を拒まないセーフティーネット住宅でございます、東京ささエール住宅の供給を促進するため、財政支援等を行ってまいりました。
 こうした取組などにより、都内で登録されているサービス付高齢者向け住宅は、令和四年度末時点で一万七千六百九十戸、同様に、東京ささエール住宅の専用住宅につきましては、本年二月末時点で七百六十四戸となっております。

○後藤委員 ありがとうございました。先ほどのご答弁ではサ高住、サービス付高齢者住宅やささエール住宅について、政策を進めてきたということで、サービス付高齢者住宅については、これはもともと二〇三〇年までの目標が三万三千戸ということですので、一万七千六百九十戸ということで、順調に推移をしているということ。また同様に、ささエール住宅の専用住宅もなかなか大変高い目標だなというふうに思っておりましたけれども、二月末の時点で、これもまた二〇三〇年までに三千五百戸が目標値ということで、バックキャストで考えれば、おおむね順調に進んでいるのかなというふうに思います。
 こうしたことからも、これまでの都の取組ということにつきましては、一定の評価ができるものかなというふうに思っています。
 そこで、来年度、この生き生きと暮らしていくための認定制度の構築、この高齢者いきいき住宅ということを進めるに当たって、どのような事業の意義で進めていきたいと考えているのか伺いたいと思います。

○鈴木民間住宅部長 今後、都におきましては、高齢者のみの世帯は増加傾向が続き、とりわけ一般世帯に占める高齢者単独世帯の割合が大幅に増えると予測されており、見守り等に対するニーズの高まりや地域とのつながりの希薄化など、高齢者を取り巻く様々な課題が先鋭化することが見込まれております。
 その一方で、七十歳代までの高齢者の約九割が自立状態にあり、こうした元気な高齢者に対する住まいの選択肢の充実を図ることも必要でございます。
 そのため、都独自に高齢者に適した住宅の新たな認定制度の構築に向けた取組を開始することといたしました。

○後藤委員 今のご答弁では、七十歳代までの高齢者の九割が自立状態にあるということで、これは大変重要なデータであるというふうに思っています。
 私自身も様々、高齢者の施策を見ていると、要介護度に入ってからの住まいの選択肢というのはすごく多くて、サ高住があったり、特別養護老人ホームがあったり、有料老人ホームがあったりとか、グループホームがあったりということで、様々な制度があるわけですけれども、九割が元気高齢者ということでいえば、その要介護状態にある一割の住宅政策は、非常に介護、福祉施策ともいえますけれども、非常に充実している状態に比較をして、アクティブシニアに向けての住宅政策が非常に少ないというところでいえば、こうしたいきいき住宅という認定制度をつくって、まさにこうした九割を占める元気高齢者の皆さんが介護状態にならないためにとか、あるいは、生き生きとというふうにありましたけれども、楽しく幸せに生活していただくための様々な住宅の施策というものを取り組んでいただくというものは、こうしたデータからいっても非常に重要だというふうに考えますし、また、東京においては、単身高齢者がやはり、先ほどもご答弁にありましたけれども、非常に多いということもあります。
 国勢調査とかを見ると、単身高齢者の全国の平均は三八%で、東京都は五〇%ということで、非常に全国と比べても、あるいは埼玉とか神奈川と比較しても、実は東京って突出してお一人様、単身世帯の方々が非常に多いというデータもございます。こうした意味からも、まさにこの東京独自のお一人様が多いという課題であったりとか、あるいは元気高齢者が非常に多い、ここにしっかりとフィットするような制度、認定制度にしていただきたいなというふうに思っています。
 今回、こうした住宅の認定制度をつくるに当たりまして、元気高齢者のまさにこの自立に関わる、この住居の課題というものをどのように捉えているのか伺います。

○鈴木民間住宅部長 高齢者が健康に快適な住まいに住み続けられるには、様々な課題がございます。例えばハード面では、バリアフリー化はもとより、住宅の断熱性能が高齢者の健康に影響を与えることから、その向上を図っていく必要がございます。
 また、ソフト面でも、将来的な介護ニーズの高まりへの対応のみならず、今後、単身高齢者が増えていくことを考えると、日常の安否確認等のサービスに対するニーズの高まりも見込まれるなど、適切な医療、介護、予防、生活支援、住まいが一体的に提供されることが重要でございます。
 健康寿命が延びていく中、元気な高齢者の住まいに対するニーズはますます多様化していくことが予想され、そうしたニーズに応じた住宅の供給が求められていると考えております。

○後藤委員 ありがとうございました。まさにバリアフリー化や見守り、そして、医療や介護、予防、生活支援、住まいの一体的な提供などに関わる課題認識があるということでありました。
 こうした元気高齢者の住まいというところでいえば、海外を中心に様々な事例がありまして、例えばアメリカなんかではCCRCというような形で、日本でも一時期、このCCRC構想というのがいわれて、何かちょっと最近は立ち消えてしまっているところもありますけれども、元気な段階で住宅に入居して、そして、医療や介護、最後までついの住みかとして一体的にサービスが受けられるというような高齢者住宅というものが広く普及をしているというところがあります。
 日本ですと、千葉県にスマートコミュニティという、皆様もご存じかと思いますけれども、まさにアクティブシニアの方々をターゲットにした高齢者住宅というものが先駆けてありまして、私自身も何度か視察に伺ったことがあるんですけれども、そのときに、その視察先で伺った話でいえば、やはり元気な高齢者の住まいの整備というところでいえば、単にバリアフリーを充実させたりとか、見守りがあるだけでは駄目で、何がソフトのサービスとして重要かといえば、やっぱりコミュニティが大事なんだというようなお話を聞いています。
 実際にその視察をさせていただいた、スマートコミュニティという大型の高齢者の共同住宅ですけれども、そちらでは多くの割合で単身の世帯の方が入居されていて、やはりその平常時から、様々なサークル活動とか、年間行事みたいなものが設定をされていて、そこに参加をして、やはり一人で住んでいくには、暮らしていくには、人とのつながりを大事にしたいというようなニーズもあるんだというふうに聞いています。
 そうしたところからも、こうした高齢者いきいき住宅認定制度をつくっていただくに当たっては、ぜひコミュニティづくり、こうした取組についても力を入れていただきたいというふうに思います。事業の進め方を伺います。

○鈴木民間住宅部長 来年度は、多様な事業者がおのおのの強みを生かし、高齢期に適した住まいを供給できるよう、住宅の整備に係る費用につきまして、新築は補助率五分の一、改修は二分の一、一戸当たり二百万円を限度に支援いたします。
 事業の実施に当たりましては、IoTを活用した見守りやバリアフリー機能のほか、コミュニティスペースの整備や多世代入居など、交流機会の創出に資する民間の先導的な取組を支援していく考えでございまして、交流施設の整備に係る費用につきましては、一棟当たり五百万円を限度として補助いたします。
 これらの取組により得た知見を生かして、新たな認定制度を構築し、高齢者が人々のつながりの中で居場所を見いだし、安心して自分らしく暮らし続けることができる住環境をつくってまいります。

○後藤委員 ありがとうございます。コミュニティの取組、コミュニティスペースだったり、多世代入居、こうした取組に対しては、五百万円を限度として補助していくということで、しっかりと対応されるということを確認させていただきました。
 また、先ほどの答弁の中では、IoTを活用した見守りなども行っていきますというようなご答弁がありましたけれども、既にIoTの見守り事業等に関しましては、福祉局所管で健康長寿医療センターが板橋のところにありますけれども、ウエアラブルの端末を活用して、見守りをしたり、健康観察をしたりとか、ちょっとさっきまでつけてたんですけど、持ってくるのをちょっと忘れちゃって、ウエアラブルしてなくて大変恐縮なんですけれども、こういう事業が既にもう先行事業が始まっていまして、令和六年度に本格実施というふうに聞いています。
 ぜひ、こうした各局の連携をしていただいて、特にそのIoTを活用して見守りをしたりするということは、そのデータがしっかり取れていくということは、非常に住宅政策本部の皆さんだけではなくて、東京都全体で、高齢者施策を考えていくに当たって、まさにこのパーソナルヘルスデータというふうなところでありますけれども、このデータがすごく有益だというふうに思います。
 こうした連携を次の政策につなげていくという意味でも大きな意義があるというふうに思っておりますけれども、このIoTを活用した健康管理システムや見守りというところを行っていただく際には、ぜひ各局の事業とも連携をしていくべきと考えますが、見解を伺います。

○鈴木民間住宅部長 現在、様々な事業者が先端技術を活用した健康管理や人と人とのつながりを通じた見守りなど、創意工夫を凝らしながら、高齢期に適した住まいの供給に向けて取組を始めております。
 また、都におきましても、関係各局におきまして、例えば、デジタル技術を活用した健康づくりや、次世代技術を導入した再エネ導入など、人々の暮らしをより快適にする施策に取り組んでおります。新たな認定制度を構築するに当たりましては、こうした民間事業者や庁内各局の取組の動向を十分に踏まえますとともに、来年度予定しております先導事業の実施を通じて得た知見を生かしながら取り組んでまいります。

○後藤委員 各局の動向もしっかり踏まえていただけるというお話もありましたし、先導事業自体がこれからなので、こうした取組が進んで、その先の本制度だというふうに思っておりますので、ぜひとも制度構築の際には、そうした各局の連携をぜひお願いをしたいというふうに思います。
 また、ソフト面という意味でいえば、先ほどの課題のところに、医療や介護、予防、生活支援、住まいが一体的に提供されることが重要というような課題認識などがありました。そうした意味では、ぜひ住まいの中で、定期的に医療などとの連携というところもぜひお願いをしたいというふうに思っています。
 今回の先導事業の中にも入っていませんけれども、例えば検診を定期的に事業者と連携して、希望者が受けられるようにするとか、そうした医療的なもの、こうしたものもぜひというふうに思いますし、あとはぜひお願いをしたいのは、今単身の高齢者でお一人暮らしをされている方の課題として、食に関する課題という、孤食とか栄養面での課題というところが非常にフレイルとか介護状態につながるのではないかというような話もあります。一人分しかつくらないので、どうしてもお総菜、スーパーのお総菜とかそういうのばっかり食べていて栄養が偏っているとか、あるいは、高齢者の方々の日本人の調査を取ると、結局、すごく痩せている人が多いんだそうなんです。痩せている人が多くて、ちょっとつまずいて、転倒、骨折して入院したことで、一気にフレイルが進んで介護状態になってしまうとか、介護、入院して帰ってきても、それでまた誤嚥性肺炎とか、すごく食べるというのは人間が生きていく上で非常に重要な基幹的な機能ということでありますので、しっかり食べてもらうということで、ぜひ、例えばですけれども、管理栄養士の方々が定期的に栄養の指導などをやっていただくと、そういうこともフレイルの予防という意味でいえば、重要なのかなというふうに考えています。
 高齢者いきいき住宅認定制度に向けた先導事業においては、この提案する事業者に対しまして、例えば定期的な検診だったり、栄養指導だったり、こうした住居者のニーズに合わせたソフトサービスの充実に向けた取組につきましても、例えば事例を示して、こういうのどうですかということで周知をするようなことも行っていただきたいと思います。見解を伺います。

○鈴木民間住宅部長 高齢者が安心して住み続けるためには、健康づくりや介護予防、フレイル予防にも有効なサービスを受けられることは重要な一つの視点でございます。
 そのため、新たな認定制度構築に向けて、来年度実施を予定している先導事業の募集に当たりましては、高齢者に適した住宅に期待される、こうしたサービスの提供の事例やイメージを、募集要項に示すとともに、居住支援協議会や関係団体等を通じて広く周知を図ってまいります。
 こうしたことによりまして、民間事業者からの幅広い提案をいただきたいと考えております。

○後藤委員 周知をしていきますということで、前向きなご答弁をいただきましてありがとうございました。
 これ自体も行く行くは認定住宅、認定制度になるということでありますけれども、例えば、今年度から始まったこのすくすく住宅、これは子育て向けのものですけれども、こちらの認定制度については、設備だけではなくて、コミュニティ形成とか、こうしたソフト面についても手厚い整備補助というのが加算されるということになっておりまして、やはり住宅政策と、こうしたソフト面、コミュニティ等も含めてですけれども、ソフト面の支援というのは表裏一体で非常に重要なものだというふうに考えますので、ぜひ、同じ住宅政策本部の同じ局の事業でもありますので、こうしたものも参考にしていただきながら、ソフト面の充実にぜひ取り組んでいただきたいというふうに思います。
 また、次に、高齢者いきいき住宅先導事業の進め方についてちょっと気になったところをお聞きしたいんですけれども、冒頭に、これまでの取組について伺いましたけれども、よくいわれるのが、サ高住があったりいろいろな制度が、あとはささエールがあったりとか、今回、高齢者いきいき住宅です。都民からすると、もしくは事業者からしても、何かよく分からないというところがあって、特にささエールも高齢者の居住支援法人への支援があったりとか、結構似てるなというふうに思っておりまして、我々でも分からないものは都民や事業者もなかなか分かりにくいんじゃないかなというふうに思います。
 サービス付高齢者住宅、さっきありましたけれども、あと東京ささエール住宅、あと今回の高齢者いきいき住宅、それぞれ何が違うのでしょうか。教えていただければと思います。

○鈴木民間住宅部長 サービス付高齢者向け住宅は、高齢者住まい法に基づき、高齢者の安否確認や生活相談などの一定の共通するニーズに対応する住宅の供給を図る制度であり、国の調査によれば、要支援、要介護の入居者が多い実態がございます。
 また、東京ささエール住宅は、住宅セーフティーネット法に基づき、高齢者を含む、住宅確保要配慮者の円滑な入居の促進を図ることを目的とした制度でございまして、その主な要件は、耐震性と各住戸の床面積となっております。
 一方、高齢者いきいき住宅、これはまだ仮称でございますが、今後増えていく元気な高齢者が、多様化するライフスタイルや住まいに対するニーズに対応した住宅を選択できるよう、新たな認定制度の構築を目指すものでございます。

○後藤委員 それぞれご説明をいただきまして、いわゆるサ高住は、要支援、要介護の入居者が多いですということで、ささエールに関しましては、円滑な入居の促進とおっしゃっていただいたんですけれども、もともと始まった根っことしては、高齢者であるとか、障害者であるということを理由に入居を拒まない家ですよというようなことだと思います。また、要件は耐震性と床面積ですということで、一方で、高齢者いきいき住宅は、多様化するライフスタイルや住まいのニーズに対応した住宅を選択できるような認証制度にするということで、どうでしょう、分か……(「分かりづらい」と呼ぶ者あり)分かりづらい、そういうやっぱり、なかなかやっぱり分かりにくいということですよね。
 そういう意味でいえば、そういう違いも分かりやすく、しっかりと様々な関係者、これは不動産団体とかだけではなくて、都民も含めて、高齢者もいざとなったときにどういう住まいの選択肢があるのかということで、しっかり周知をしていくことも重要だというふうに思います。
 こうした違いも含めて、様々な関係者に周知啓発していくべきと考えますが見解を伺います。

○鈴木民間住宅部長 新たな認定制度を構築する上で、住宅事業者に加えまして、居住支援法人、不動産団体、介護、医療関係者など、様々な関係者の理解を得ながら進めていくことが重要でございます。
 来年度予定している先導事業の実施に当たりましては、都が目指す取組のイメージや、既存の高齢者向け住宅施策との違いなどを明確に示しながら、関係者への周知を図ってまいります。
 加えまして、事業実施によって得られた知見を、これらの関係者の間で共有し、議論を重ねることにより、元気な高齢者の実態に即した認定制度の構築を目指してまいります。

○後藤委員 ありがとうございました。しっかりと周知を、違いを明確に示しながら周知しますということで、どうぞよろしくお願いをいたします。
 また、認定制度をつくるに当たっては、やはり事業者の皆さんがしっかりと進むようなインセンティブの設計というところも非常に重要だというふうに思います。
 ささエール住宅もすごくインセンティブのメニューを増やして、やっと進んでいるというところもありますし、サ高住の方はもともとその制度設計がかなり事業者にとってのメリットが多いので、順調に進んでいるということもあると思います。
 対象となる高齢者、単身高齢者の都民の方からも聞いていただきたいですし、事業者の皆さんとも、いろいろと話をしていただきながら、ぜひいい認定制度にしていただければというふうに思います。
 ここまで、事業の内容であったり、あるいは進め方につきまして、確認をさせていただきました。まさにこの東京は、日本で最も高齢者人口が多いということで、さらにお一人様も多く、そして元気な高齢者も多いということでありますので、まさに東京のシニアに対する住宅政策が変われば、この東京でももっともっと元気な高齢者を増やすことができるのではないかなというふうに思っています。高齢者の居住の安定に関わる施策の強化に向けまして、最後に住宅政策本部長の決意を伺います。

○山口住宅政策本部長 東京の活力の源泉、これはまさに人でございまして、誰もが生き生きと活躍できる東京、これを実現することが重要でございます。
 現在、都は、住宅マスタープランに基づきまして、高齢者につきましては、住み慣れた地域で多様の世代から構成されるコミュニティの中で安心して住み続けることができるよう、高齢者の多様化するニーズに応じた住宅の供給を促進しております。公共の住宅におきましては、都営住宅の提供や建て替え等に合わせた高齢者福祉施設等の整備や、東京みんなでサロンなどの居場所づくり、これを進めております。
 また、民間住宅におきましても、これまでのサービス付高齢者向け住宅や、東京ささエール住宅の供給促進に加えまして、来年度からは元気な高齢者の自立した生活を支える住まいの在り方の検証を通じまして、新たな住宅の認定制度の構築へ向けた取組を進めてまいります。
 今後、高齢者の居住の安定に向け、本部職員一丸となって全力で取り組んでまいります。

○後藤委員 一丸となって全力で取り組むという力強い答弁がありました。ぜひとも各局で連携をしていただいて、この施策がいいものになるように、認証制度、いいものができるように取り組んでいただくことをお願い申し上げまして、質疑を終わります。

○中山委員 それでは、サブリース事業者との賃貸契約などのトラブル解消についてから質問させていただきます。
 サブリース契約は、サブリース事業者が賃貸住宅をオーナーから一旦借り上げた上で、事業者と入居者が転貸借契約を締結するものであります。空室になった場合でも事業者と合意した賃料により一定の収入が見込めることや、入居者管理の手間がかからないことなどから、サブリースを利用する物件オーナーも多いと聞いております。
 しかし反面で、サブリース事業者からの一方的な家賃減額要求による収入減や原状回復費用等の負担がオーナーに転嫁される場合などがあり、こうしたトラブルを抱えて苦しむオーナーの声を私は直接お伺いしているところでございます。
 サブリース事業者を規制する賃貸住宅管理業法を所管する国が指導権限を有していることは承知しておりますけれども、都民から直接相談を受ける窓口を持つ東京都も、こうしたサブリース契約において生じるトラブルの解決に向けまして、国に対して働きかけながら取組を強化すべきと考えますが、見解を求めます。

○鈴木民間住宅部長 都にはサブリース契約に関しまして、解約ができない、業者からの賃料を一方的に減額された等の貸主からの相談が寄せられており、様々なトラブルがあると認識しております。
 国では、サブリース業者の違法な業務行為に係る申出制度を設けまして、監督処分等により厳正に対応しているほか、個別事案に対し、弁護士等の団体では、裁判と比べ、解決に要する時間が短く、費用を抑えることができる裁判外紛争解決手続によりまして、調停等を行っております。
 都としても、弁護士相談できめ細かく対応し、必要に応じて紛争解決手続を紹介するなど、トラブル解決を促すほか、現場の実態を国に伝えるなど、連携を強化してまいります。
 また、注意事項等を記したリーフレットを今月末に作成するほか、様々な媒体やイベントなどで広く周知してまいります。

○中山委員 お調べいただいて、私も情報を共有させていただきましたが、ADRの着手金は、弁護士会、司法書士会ともに一万一千円から一万二千円前後と、もう比較的お手頃ということでございます。成功報酬も訴訟の申立人が得ます解決額利得が廉価の場合でも一〇%未満でございまして、金額が増すごとに掛け率は減少していくという制度になっております。
 最高の区分でも数パーセントと、確かに比較的安いようでございます。そのほかに行政書士会によるADR等もございます。
 都はこうした早見表などを随時更新していただいて、ご相談の方に提示できるよう、ADRの積極的利用を進めていただきたいと思います。
 また、国における法改正は重要でございまして、東京都が労使間交渉や下請相談などと同様に、あっせんに乗り出せるよう、しっかりと求めていただきますこともお願いしたいと思います。
 続きまして、空き家ワンストップ相談窓口について質問します。
 現在、空き家ワンストップ相談窓口では、空き家に関する相談対応や利活用のマッチングなどが行われております。こうした相談窓口を通じた空き家活用のマッチングの促進には、都が絡むことで空き家所有者等に安心感を持って積極的に対応してもらうことが重要であります。現状でも努力を重ねていただいていることは十分に認識しておりますけれども、空き家の有効活用が、都内のあちらこちらで進展しているという実感をなかなか抱けないというのも事実でございます。
 来年度のワンストップ相談窓口の運営につきましては、より効果を期待できます対応を目指して、さらなる改善を期していただきたいと考えますが、見解を求めます。

○都築企画担当部長住宅市場担当部長兼務 都は、現在、無料のワンストップ相談窓口を運営する民間事業者等に対する補助金による支援を通じて、空き家に関する様々な相談対応を行っております。
 来年度からは、窓口の運営を都が直接、民間事業者等に委託する方法に切り替えることにより、都が本事業を実施する目的、委託内容、履行体制などを仕様に明確に規定するとともに、着実に履行されるよう指導監督することで、都が主体的に窓口の運営を行ってまいります。
 そうした取組の中で、空き家の利活用や相続等の相談対応はもとより、相談窓口を通じて、空き家所有者のニーズを的確に捉え、情報を蓄積するとともに、都の政策的な課題や地域的な課題も十分に踏まえながら、空き家の活用方法を提案するなど、事業者とのマッチングを積極的に進めてまいります。

○中山委員 これまでの補助金制度でも、相手方に結果報告などを求めることは可能でございますけれども、実施主体はあくまで補助金を受ける側でございまして、取組の詳細を把握できるわけではございません。委託に切り替えることで、よりグリップが効くとのことであり、期待しております。
 一方で把握する方法を書類だけに頼っていたのでは、グリップの効果を上げるのも困難になってしまいます。うまくいくことを前提にして臨むのではなくて、うまく結果が出ないことも前提に入れながら、必要に応じて、何度でも立入りで確認をし、改善を提案できるよう仕様書に盛り込んでおくことも大事だと思いますので、要望しておきます。
 せっかくこうした空き家のワンストップ窓口の改善を図るのでありましたならば、空き家を所有することになるかもしれない、また、今の持ち物件が空き家になるかもしれない方々にきちんと伝えていただいて、相談窓口へ誘導する取組を強化することが重要と考えます。
 例えば、公社は老朽化した家屋に居住する相談者に、公社住宅への入居を選択肢の一つとできますよう、住み替え制度を整えて推進しております。その結果、公社住宅に住み替えることで、持家が空き家となる場合もあります。特に、高齢者が住み替えた場合、空き家の可能性は高まるものと考えます。
 そこで、公社では高齢者の公社住宅への住み替えを支援する中で、空き家に関し、現在どのような未然防止策を講じているのか。また、今後は一層都との連携を深めた対応を図るべきと考えますが、見解を求めます。

○今井連絡調整担当部長 東京都住宅供給公社は、高齢者が公社住宅に円滑に住み替えができるよう、一般の方よりも優先して申込みができる高齢者等優先申込制度などの支援制度を設けてございます。
 この支援制度を利用する方から、これまで居住してきた持家が空き家となり、その処分について、公社が相談を受けた場合には、都が支援する空き家ワンストップ相談窓口を紹介することとしてございます。
 今後、公社では、この取組に加えまして、公社住宅への住み替えによる空き家の発生を極力少なくするため、公社のホームページに、空き家の未然防止に関する情報を新たに掲載するとともに、SNSにおいても情報発信を行ってまいります。

○中山委員 空き家対策は未然防止が効果的でございまして、今ご答弁にありましたような取組が重要と考えております。
 先ほどのご答弁の中でも触れていただきました、相続を交えた対応もしっかりとしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 続きまして、東京ささエール住宅について質問させていただきます。
 都議会公明党は東京ささエール住宅制度の進展、活用の普及を応援してまいりました。都営住宅は一旦新築しますと、五十年も六十年も維持しなければなりません。
 一方で、夕張市などでは、炭鉱の衰退後、大量の空き公営住宅を抱えて、その後の市の財政の立て直しで大変苦労されました。そうした実例がある中で、簡単に公営住宅の増築に踏み出せる状況ではないこともよく分かっているところでございます。
 東京ささエール住宅は、人口減少時代への突入が確実視される中で、そのほかの制度と併せまして、民間の未活用空き家という既存住宅の活用を通して、公営住宅が果たすべき役割の補完的な役割を担うことを期待されているものであります。
 ご担当の方は、持続的可能性の高い住宅政策の道を開く意義深い取組でありますだけに、黎明期の現在は大変苦労されていらっしゃるんではないかというふうに思います。けれども、今後も粘り強く制度の改善を目指して臨んでいただきたいと切望するものでございます。
 住宅確保要配慮者の居住の安定のためには、東京ささエール住宅での専用住宅の供給の拡大が必要でありまして、とりわけ家賃低廉化補助を導入する自治体の拡大が必要でございます。拡大に当たりましては、区部、市部に広く立地している東京都住宅供給公社の一般賃貸住宅を活用することも効果的であります。そうした観点から我が党は、令和四年第一回定例会の代表質問でその実施を求め、都からは、公社住宅の専用住宅としての活用の検討とともに、区市等に家賃低廉化補助の導入の働きかけを一層強化するとの答弁を得ていたところであります。
 令和四年度には、足立区、世田谷区、八王子市において、公社住宅の専用住宅としての活用が開始されたと伺っております。
 そこでまず、この間、都の働きかけなどにより、どれだけ家賃低廉化補助を導入した区市町村が増えたのか、見解を求めます。

○鈴木民間住宅部長 令和四年度末時点で、東京ささエール住宅の専用住宅に適用される家賃低廉化補助を導入している区市は六区市であり、令和四年度の補助実績は、公社住宅の六戸を含め合計で六十七戸でございました。
 今年度は、公社住宅を専用住宅として活用する取組の拡大などによりまして、新たに六区市で導入され、累計で十二区市に増加しております。

○中山委員 導入自治体が確実に増えていくということ、そしてまた、家賃減額補助の実績が出始めているということを歓迎したいと思います。
 今後、家賃低廉化補助の活用を一層促進するべきと考えますが、見解を求めます。

○鈴木民間住宅部長 本年二月末時点で、専用住宅の登録戸数は、公社住宅三十七戸を含め、七百六十四戸でございまして、これらの専用住宅を住宅確保要配慮者がより利用しやすくしていくためには、家賃低廉化補助制度の導入自治体を一層増やす必要がございます。
 そのため、制度を新たに導入した区市の取組の紹介や、補助要綱制定等のサポートなど、自治体への働きかけを強化するほか、入居者の属性や状況に合わせた弾力的な運用など、より使いやすい制度となるよう国に提案要求いたします。
 家賃低廉化補助が幅広く活用されるよう取り組むことによりまして、要配慮者の居住の安定を図ってまいります。

○中山委員 今、ご答弁ありました入居者の属性に合わせた弾力的な運用、これを具体的に国に提案要求していただいて、ぜひ導いていただきたいと思います。
 先日は都市開発諸制度を活用した東京ささエール住宅の設置促進を求めまして、都市整備局に質疑いたしました。今後とも局間連携などを進めていただいて、子育て支援策はもちろんのこと、高齢者支援、ゼロエミッションへの貢献、防災対策の推進など、様々な分野で複合的な効果の発揮を期待できる住宅政策を推進していただきますよう期待申し上げております。よろしくお願いいたします。
 続きまして、マンションの防災対策について質問します。
 先日の我が党の斉藤都議が、本会議一般質問におきまして、災害時のマンションでのトイレ対策について質疑しました。その際、防災ブックやガイドライン等によります普及や、とどまるマンションを対象にした防災備蓄資器材補助や、排水管の点検についての答弁がございました。
 そこでまず、マンションでの防災対策を推進するには、とどまるマンションの普及を通じて、都内の分譲、賃貸を含むあらゆるマンションでの対策が不可欠であると考えますが、これまでの普及の取組と現在の登録件数について、見解を求めたいと思います。

○三宅民間住宅施策推進担当部長 都は今年度から、東京とどまるマンションの普及促進のため、登録マンションを対象にした防災備蓄資器材の補助制度を開始するとともに、関係団体等と連携し、管理組合等に制度の活用を働きかけてまいりました。
 こうした取組等によりまして、今年度は、本年二月末現在、分譲百六十三件、賃貸四十九件、計二百十二件のマンションを新たに登録しておりまして、約五万戸が災害時でも生活を継続しやすい住宅となってございます。

○中山委員 居住者の間で、まだ防災活動に対する意識が不十分である場合、また、知見が足りなかったり、マンパワーが足りなかったりする場合、防災の取組が進まないマンションもございます。こうしたマンションこそ、とどまるマンションへの登録が進みますよう取組をしていただいて、防災力を高めていくべきと考えますが、見解を求めます。

○三宅民間住宅施策推進担当部長 来年度は、今年度の専門家派遣で得られた知見を集約し、専門家等で共有するなど、管理組合に対する専門家派遣の実効性をより高めていくとともに、この取組をさらに賃貸マンションにも広げてまいります。
 加えまして、来年度から新たに行う実態調査等の結果を活用することによりまして、分譲、賃貸の別を問わず、実情に応じた防災活動を促し、とどまるマンションへの登録を進めてまいります。
 こうした取組によりまして、都内のあらゆるマンションの防災力向上を図ってまいります。

○中山委員 都議会公明党では、なかなかそう簡単にはとどまるマンションになりそうもないマンションでの防災力の強化こそ大事だという認識が今深まっておりまして、ぜひ支援の検討をしていただきたいと思います。
 実態調査等の結果を活用しまして、今後の支援の充実を期していただけますよう要望して、次の質問に移ります。
 続きまして、都営住宅での移動販売について取り上げさせていただきたいと思います。
 都営住宅にお住まいの方々の中に、地域的に買物が困難である地域がございまして、その対策として私も進展を求めてまいりました。昨年の事務事業質疑におきまして、移動販売の実績について質問させていただきました。その後も着実に実施箇所数が増えておりまして、高く評価しているところでございます。
 移動販売は、都営住宅の居住者の利便性向上とコミュニティ活性化のために非常に重要な取組と考えております。
 引き続き、本事業を推進していくとともに、今後はカフェスペースや相談コーナーを併設するなど、にぎわい空間の創出とセットで、さらなるコミュニティの活性化に取り組むべきではないかと考えますが、見解を求めます。

○平松都営住宅企画担当部長 平成二十九年十二月から開始しております移動販売サービスは、買物弱者支援に取り組む区市町と連携して進めており、これまで順調に実施箇所数を伸ばし、本日現在、百六の移動販売を行っております。
 移動販売サービスを実施している都営住宅の中には、自治会が移動販売の日時に合わせ、集会所前に椅子を並べ、居住者等が談話や休憩できるよう工夫している事例もございます。今後は、このような取組事例を集め、同様の取組が拡大するよう、自治会等に働きかけ、さらなるコミュニティの活性化を図ってまいります。

○中山委員 全くゼロでありました状態から、一緒に取り組ませていただいてまいりまして、百六ということで、隔世の感がございます。ご努力ありがとうございました。
 なかなかこの話題は東京以外の地域で必要なんじゃないかみたいな話ばっかりが多くて、でも、都内の方にとっても高齢者の方は本当にちょっとした距離でも大変な問題がございますので、ぜひ、これからもよろしくお願いしたいと思います。
 移動販売は高齢者が住む都営住宅におきまして、コミュニティの活性化に加えて、今後の高齢者支援という観点から重要な取組でございます。
 例えば、東京都からお知らせや移動販売を実施するに当たっての注意事項を事業者の方々に情報提供する一方で、移動販売に携わる事業者の方々から、移動販売を実施している最中で気づいた点や工夫した取組、居住者の方々に喜ばれたような事例などをご紹介していただいて集めていけば、東京都と事業者が密に連絡、協力をして、より一層、都営住宅の居住者等の方々にとって利用しやすいサービス提供につながるものと考えます。
 そこで、今後、東京都と事業者との間で情報共有や意見交換ができる仕組みを構築すべきと考えますが、見解を求めます。

○平松都営住宅企画担当部長 移動販売サービスを都営住宅の居住者等に一層寄り添ったものにしていくためには、取組で得られた知見を今後の工夫改善に生かしていくことが重要でございます。
 そこで、都と事業者等との情報共有や意見交換のための連絡会の設置や、その運営方法等について検討してまいります。

○中山委員 移動販売に取り組む事業者の方々の中には、居住者の方々とじかに接して、様々なご意見やご感想を頂戴して、それを自分の中にしっかりとため込んでいらっしゃる方もいらっしゃると思います。本来であれば、私がそうしたところをお伺いしてまいりたいところでございますけれども、そうしたわけにもいきませんし、そうした情報は非常に宝の山みたいなものですから、決して誰かが一人占めするわけではなくて、執行機関も議会も皆で共有した方が可視的だと思いますので、よろしくお願いいたします。
 ぜひ移動販売に取り組む事業者の方々からのお声を次の施策の立案に生かされますとともに、都営住宅でのQOLを高める上で、大事なサポーター役として、移動販売の方々との連携を醸成していただくようお願いしまして、次の質問に移ります。
 東京都におきます空き家補修における写真添付のDX化について質問したいと思います。
 私は、建設業界の働き方改革に資するため、東京都の財務局や住宅政策本部などに対しまして、工事契約の履行確認に要する書類などの省力化を求めてまいりました。
 間もなく四月から罰則つきの超過勤務の上限規制が本格的に適用されます。
 都営住宅の空き家補修におきまして、東京都住宅供給公社から工事受注者の負担軽減のために、工事の写真添付のDX化を進めていくと聞いているところでございますが、その取組の状況について、見解を求めたいと思います。

○小久保営繕担当部長 東京都住宅供給公社は、都営住宅の空き家補修の工事写真について、受注者の皆様の意見等を踏まえ、来年度から紙面による提出を省略し、電子データによる提出を可能とすることといたしました。
 具体的には、工事後の写真をアルバム状に編集したデータと、工事前と工事中の写真データをDVDなどで提出するよう簡素化いたします。こうした取組により、受注者の負担を軽減し、就労時間の短縮を図ることで、都営住宅の空き家補修を支える受注者の皆様の働き方改革を後押ししてまいります。

○中山委員 工事店の方々は中小でございますので、本当に事業の承継、技術者の不足ということで苦労されていらっしゃいます。
 働き方改革につきましては、どの局もやりますやりますという言葉だけはすばらしかったんですけれども、実際に本当に本格適用に間に合う形でこうした改善を遂げていただいたことは非常に評価したいというふうに思います。今後とも積極的な対応を求めて、次の質問に移りたいと思います。
 次は都営住宅におけます新たな間取りの拡大についてでございます。
 都議会公明党は、都営住宅の間取りを適切に改変するよう求める質問を、令和五年の第二回定例会の代表質問で行い、山口住宅政策本部長から大変前向きな答弁を得ていたところでございます。
 住民、特に単身高齢者の方々はどういった間取りを希望しているのかのアンケートの実施につきましても、同じ代表質問の機会に求めまして、どちらの点も現在実施されております足立区辰沼町アパートの建て替えで試行的に実現をしていただいているところでございます。
 この二点の質問につきまして、住宅政策本部との間で意見交換を担ったのが私でもございまして、大事な転換点を職員の皆様と一緒に刻んだということをひそかに誇りに感じているところでございます。
 間取りの改善では、特に、単身高齢者の方々が狭い現行の間取りのままでよいのか、新たに試行的に開発されました、やや広い二部屋型式の間取りのどちらを選ぶのかという点がアンケートの趣旨でございました。
 アンケートの結果につきまして、介護で泊まりに来る家族のためや、車椅子を利用するようになった際の移動スペースの確保や、多くの家族と居住していた時代からの家具がまだたくさん残って処分できないといった方々のお声もあることから、私はかなり高い確率で、新しく開発された、一人でも二人でも住める二部屋型式の広い間取りの方が選ばれるのだろうなと予想しておりましたけれども、アンケート結果はどうなったのか、この点についてお伺いしたいと思います。

○青木建設推進担当部長 都営辰沼町アパートで実施した居住者アンケートでは、二つの居室を備えた新たな間取りに対して、七割の方が希望し、介護者や親族が滞在しやすくなるとの意見があるなど、施策の考え方に一定の評価が得られました。
 こうした結果を受けまして、今後、新たな間取りの導入に向けて居住者ニーズのさらなる検証、建て替え団地の計画戸数や建設コストへの影響などを把握するため、アンケートの実施を含めた他団地での試行を検討してまいります。

○中山委員 ありがとうございました。他団地にも検討していくということで、よろしくお願いいたします。当然、自治会の方々のご了解なくしては進みませんので、そうした事柄を前提に取り組んでいただければと思います。
 七割の方−−三割の方が狭い方の部屋を選んでいるということは、私個人としては非常に意外でした。それだけ逆にいえば少しでも使用料が少ない方がいいという方もいらっしゃるし、また、建て替えを機に家具を大変処分したいということで、前向きに捉えていらっしゃる方もいらっしゃるということだろうと思います。そうした変化も今後ありますので、そういうものを踏まえて対応していっていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、次に、都営住宅を活用しました若者の生活支援につきまして取り上げたいと思います。
 先日の本会議代表質問で我が党は、単身の若者などに、応募割れの都営住宅の空き住戸を活用して、住宅と就労の支援などがセットである施策を講じるべきと提案を行わせていただきました。これに対して、東京都は来年度から、低所得の単身の若者などの就労自立モデルの構築に向けまして、都営住宅の空き住戸を試行的に期限付で提供し、入居者には就労支援や家計改善相談等のフォローを実施すると答弁しています。このモデル構築事業の基本的な考え方は、我が党の提案に沿うものでありまして、その成功を期待しております。
 応募の少ない都営住宅の空き住戸とはいえ、貴重な都民の財産を使用するものであり、数にも限りがあります。さらに、都の施策として、就労支援等の支援もセットで提供するわけでございますから、不安定就労から安定就労へのステップアップを誘導する取組として、住まいの安定を担保する取組との組合せという新しい支援の試みを、今後も継続させていくことにつながりますよう、また、拡大できますよう、結果としても成功事例を積み重ねていける取組としてスタートさせることが何よりも肝要と考えております。
 入居者の決定に当たりましては、募集の段階から、就労支援を実際に担う社会福祉法人等が実務的に関与していただいて、本事業の目的であります低所得の単身の若者などの就労自立モデルにふさわしい募集の工夫や適正な審査を行うべきと考えます。見解を求めます。

○小町経営改革担当部長 都営住宅を活用した若年、中年単身者の就労自立モデルの構築に当たりまして、入居者の募集や審査の在り方は重要でございます。
 本事業では、区市町と連携した上で、社会福祉法人等が入居者の募集や審査を丁寧に行ってまいります。
 入居者の決定に当たりましては、抽せん方式ではなく、現在の就労状況の改善に向けた転職活動、職業訓練などへの積極的な取組状況や、収入に対する家賃負担の割合など、申込者が置かれている生活状況をポイントに換算して審査するなど、本事業の目的を果たせるよう検討してまいります。

○中山委員 入居者の方々の募集や審査の大事な部分につきましては、社会福祉法人等が実施に携わっていただけるとのことでございました。
 従前から就労あっせん等について当事者に寄り添った取組を積み重ねてきた経験のある社会福祉法人等の知見をぜひ積極的に生かしていただいて、効果を上げる取組としていただきたいと思います。期限付の入居という制度の中で、一定期間内に就労自立のめどにつながらないケースもあるかと思いますので、きめ細かいケアが必要でございます。
 住宅と就労の支援等が有機的に連動して機能していくためには、本事業によります入居者が多様なサービスによりまして、次の段階に進めるよう仕組みを構築すべきと考えますが、見解を求めます。

○小町経営改革担当部長 本事業の開始に当たりましては、関係局、区市町、社会福祉法人等と共に、詳細な事業内容の検討、調整を行ってまいります。
 事業開始後は、入居者の状況などを情報共有し、就労支援、家計改善相談等のフォロー、就労自立による円滑な転居など、出口まで寄り添って支援してまいります。
 あわせて、外部有識者も交えて、本事業の運営状況や、発生した課題等を共有した上で、様々なケースに対応した就労自立モデルの構築に向けて検討してまいります。

○中山委員 成功事例が重なってこそ、喜びや感謝の声も高まってくるものと考えます。多くの都民の方々のご理解と税金を頂戴して行う事業でございますので、トランポリン政策の一つとして、そうした喜びの声が寄せられる取組としていただくことを要望としまして、次の質問に移ります。
 続きまして、都営住宅の募集時の団地情報の積極的な提供について質問させていただきます。
 都営住宅の募集事業では、せっかく当せんされても、入居前に外観を下見に行った際とかに入居者が抱いていらっしゃったイメージと現実の間に食い違いがありまして、入居を辞退してしまうところがあるというふうに聞いております。
 例えば、最寄り駅やスーパーまでの距離などを事前の段階で、積極的に情報提供していただければ、このような事態を少しでも避けられるのではないかと考えております。
 都営住宅への入居を希望する都民が入居直前の段階で辞退するようなことがあまり起きませんように、都営住宅の募集の段階でしっかりと情報提供すべきと考えますが、見解を求めます。

○平松都営住宅企画担当部長 都営住宅の募集では、申込者が希望する団地の周辺環境等の情報提供を行い、入居希望者に入居後の生活イメージを持っていただくことが重要でございます。
 都は、現在、都営住宅の室内や団地の魅力を紹介する動画を公開しておりますほか、定期的に見学会を開催するなど、積極的にPRに取り組んでおります。
 また、オンラインマップ上で、都営住宅の位置や駅、スーパー等の周辺環境を確認できるシステムを作成中であり、本年四月から公開を予定しております。
 今後も、都営住宅の入居希望者等が、応募の際に参考となる情報に、より容易にアクセスできるよう工夫してまいります。

○中山委員 第一弾として評価できる内容だと思っております。
 ただ、今後は、団地ごとに番号を振っておいていただくなどすれば、番号をホームページに入力すると、自動的に駅までの距離だとか、加えて、バス停がどのぐらいのところにあるかとか、バスに乗ればどのぐらいで駅に着くとか、そのバスがどのぐらいの頻度で通勤、通学時間帯に出ているとか、そういったことなども載せていただいたりすると、より一層分かりやすくなると思いますので、よろしくお願いいたします。
 決め手となる情報というのがあると思いますので、その点を漏らさないよう、よろしくお願いしたいと思います。
 最後の質問に入りたいと思います。
 最近、都営住宅の自治会長さんから、近頃、新しく入居されてくる人たちがより一層、お名前も分からなくなってきてしまったと。また、引っ越しをしてきても挨拶に来ない。あるいは自治会に協力する、まあ入る義務はないにしても協力するということすら認識していない。共用部の清掃や草むしりに、入居時から出ない人がいると。これは入居してから、しばらくたってからだんだんそういうものに慣れてきてしまって、出ないようにしても大丈夫かもしれないみたいなことが分かってくることは今までもあったわけですけれども、入居する段階から全く出ないというようなことというのは、あまり昔はなかったという意味で、以前よりひどくなっているがどうなっているのかと、お声を頂戴することが増えております。
 むしろ、そうしたお声があまり出ないように、私どもとしては重ねて自治会支援のための様々な提案を行ってまいりましたが、事態が後戻りしているというのはちょっと驚きと思える状況でございます。
 なぜこんな事態を迎えたのかと思って、住宅政策本部の方に尋ねましたところ、最近はコロナの流行などもありまして、生活ルールの徹底につきまして、対面での説明会は行われておらず、入居時に住まいのしおりとかそういう資料を郵送でお届けするということになっているとお伺いしました。正直いって二度驚いてしまった状況でございます。
 都営住宅での生活ルールの徹底は入居時に行うのが一番効果的でありまして、その唯一のタイミングをわざわざ逃したままで、入居自体は皆様のご努力によってどんどん新しく回転して入居数が増えていますけれども、それをしますと、かえって自治会の方々にとりましては負担が増えるということになってしまうことになりかねません。
 都営住宅の新規入居者は、入居した旨を書面により自治会長さん等に届け出ることとなっておりますけれども、その書面には、住まいのルールを守ることについて記載がありますが、読まないで入居される方も多いです。自治会活動への参加を法的に義務づけることは困難でありますが、だからこそ唯一のチャンスであります入居時での対面での説明会のチャンスを逃しておいて、カバーする手も打たないということであっては何たることだと、非常に憤る次第でございます。
 加入義務もない自治会であるにもかかわらず、自治会長さんたちは、あれでもかこれでもかといろいろなことを、東京都からも地域からもお願いされております。協力しない入居者を増やすことになっている現状をしっかりと、都営住宅経営部だけじゃなくて、住宅政策本部全体として反省していただきたいと思っております。
 自治会長さんをはじめ役員の方々は、職員の皆さんからすれば、お父さんやお母さんみたいな年代の方が非常に増えております。そうした年代の方々のご負担を減らすための、手だてが打てないようであるならば、団地に居住している人じゃなくても、都営住宅の自治会長さんとして職員の方々に役割を果たしてもらいたいと思うぐらいでございます。
 例えば、引っ越し等の際に使用しますエレベーターの電気料金も、引っ越しに利用する車両の駐車スペースも、居住者の方々が日頃から拠出し合う資金や、あるいは身体的な作業負担の手間などによって担われているものでございまして、資料にそうした内容なんですよということを追加していただくとともに、入居前に口頭できちっと説明をしていただくべきだと思っております。
 引っ越しの際、引っ越し用の車両の駐車や共用部廊下で荷物運びを長時間やること、あるいは長時間エレベーターの独占的な使用が必要であること、それは引っ越し上やむを得ないことなんですけれども、そうした事柄も、ちゃんと普通なら、引っ越しますのでご理解くださいということでご挨拶に行かれるのが普通だと思うんですけれども、そうした事柄がなかなか行われていませんので、入居の際には、自治会の会長さんや、建物ごとに棟長さんという方がいらっしゃる場合もありますので、棟長さんに必ずご理解をいただける、ご了解いただけるためのご挨拶をしていただきながら入居してくださいということを徹底していただくだけで、私は大事なことかなと思っております。
 そんな当たり前のことさえきちっと実施されていけば、誰がいつ引っ越してきたのかということが分からないとか、表札があるなしにかかわらず、新しい入居者の名前さえも分からないということなどが発生するはずがないというふうに思います。
 現在は休止中であります入居説明会なども対面で復活させるべきだと考えております。やむを得ずリモート参加を認めざるを得ない場合につきましては、しっかりと認識してもらっていることや、引っ越し時の自治会長さんなどへの挨拶の履行をお約束していただけることなどを担保していただいて、それを条件として入居を認めていくべきだというふうに思います。
 都営住宅では、民間の集合住宅とは異なりまして、自治会が居住者のために活動しております。そのため、居住者が住まい方のルールなどを守り、自治会等に協力しながらコミュニティの維持を図っていくことが非常に重要であります。
 こうした観点から、新規入居者に対しまして、住まい方のルールの徹底をしっかりと行っていただきますよう、東京都が主体的に取り組んでいくべきと考えますが、本部長の見解を求めたいと思います。

○山口住宅政策本部長 都営住宅において、居住者が快適に生活するためには、委員ご指摘のとおり、住まい方のルールを守り、積極的に自治会活動に参加していただくことが重要でございます。
 現在、都は、新規入居者に対しまして、住まい方のルールとその遵守を記載した書面であります入居のお知らせを確認の上、署名し、自治会等の役員に提出するよう求めております。
 また、自治会の役割や活動内容について解説したリーフレットを配布し、理解と協力を得るよう努めております。
 今後、新規入居者の理解をより深めるため、対面やDXの活用による新規入居者の利便性を考慮した説明方法等を検討してまいります。
 加えまして、書面の入居のお知らせに、共用部分の維持管理などについて新たに追記をすることで、新規入居者の自治会活動への参加を促してまいります。
 この点につきまして、まずは新規入居者が引っ越しの際に自治会等の役員を訪問していただくよう促してまいります。
 都はこうした取組を通じまして、良好なコミュニティの下で、都営住宅の居住者が快適に過ごしていただけるよう支援をしてまいります。

○中山委員 ただいま僣越ながら、本部長に代表していただきまして、私の小言めいた話を受け止めていただきまして、ありがとうございました。ご答弁いただきました。
 まずは引っ越しの際に、自治会等の役員を訪問するよう促していくとの趣旨のご答弁がございまして、評価したいと思います。うまくいかないこと、そういうことは早め早めに情報を提供していただいて、ご相談いただきたいと思います。
 その際には、職員の皆様だけにご苦労をおかけすることはしないで、私どもも一緒に知恵を絞って、打開策を必ず見つけ、自ら汗をかいて、解決に努めていくことをお約束したいと思います。
 私どもの主義主張とか利害のためではなくて、最も大変な人のために、人知れずご苦労いただいている人を私は一番尊敬したいと。その意味で、都営住宅を支えていただけることは大変苦労があると思いますけれども、ぜひよろしくお願いを申し上げたいとお伝えさせていただきまして、質問を終えさせていただきます。
 以上です。

○尾崎委員 私の方からは、最初にマンションについてお聞きしていきたいと思います。
 一月一日に能登半島地震があり、多くの方々がお亡くなりになりました。そして今年は、東日本大震災から十三年目となります。都民の命を守るためには、防災対策がいかに重要なのかということを考えさせられました。
 また都民の方たちからは、首都直下地震があればどうなるのか、対策の強化が必要だと要望が寄せられ、防災への関心が非常に高まっていると痛感をしています。東京はマンションが多く、マンションの耐震化、防災対策について幾つか質問したいと思います。
 不動産業界のホームページなどを見ると、少し前の数字ですけれども、集合住宅は五百万戸となっています。集合住宅には、もちろん都営住宅などの公営住宅、アパートなどが入っているものですけれども、都内はやはり戸建てではなく、圧倒的に集合住宅が多いということになるわけです。
 都内のマンションは増えていますが、都内のマンションの戸数は幾つになるのか伺います。

○三宅民間住宅施策推進担当部長 住宅着工統計等を基にした推計によりますと、都内の分譲マンションにつきましてでございますけれども、その戸数は、令和四年末現在、約百九十七万戸でございます。

○尾崎委員 マンションは分譲と賃貸とがあるわけですが、戸数が分かるのは、ただいまご答弁あったように、分譲マンションの戸数で約百九十七万戸ということです。
 不動産経済研究所の調べでは、東京圏における二〇二一年、令和三年度ですけれども、新築分譲マンションの発売戸数は三万二千八百七十二戸で、前年度比で一三・二%の増加になっているということも報じられています。一方、人口減少の時代になっていることから、中古マンションでの空き家の発生が目立っています。
 そこで、マンションの空き家状況などは把握していますか。

○三宅民間住宅施策推進担当部長 昭和五十八年以前の六戸以上の分譲マンションを対象としましたマンション管理状況届出制度の届出情報によりますと、空き住戸が一戸以上あると回答したマンションは、届出のあったもののうち約三割でございます。

○尾崎委員 昭和五十八年以前のマンションということですから、築四十年もしくは四十一年で、空き室は三割ということです。住宅の専門家の方は、全国でということをいっていますが、二〇二一年度現在で、築四十年以上のマンションの戸数は約百十六万戸、十年後には約二百四十九万戸、そして二十年後には約四百二十五万戸と予想されていると話しています。
 割合で見ると、二〇二一年度現在で、築四十年以上が一六・七%、十年後には三五・八%、二十年後には六一・二%になるということです。そうなると当然、マンションの空き室の状況は、十年後には倍になる可能性があります。しかも、古いマンションに入居している方の年齢も高齢になっています。
 そこで伺いますが、旧耐震基準のマンションのうち、耐震性を満たしていないマンションは都内にどのくらいありますか。

○三宅民間住宅施策推進担当部長 令和五年三月に策定しました東京都耐震改修促進計画の推計値によりますと、耐震性を満たしていない分譲マンションは約七万三千二百戸でございます。

○尾崎委員 耐震性を満たしていない分譲マンションが、ただいまご答弁ありましたけれども、約七万三千二百戸あるということです。
 その前の答弁の関係で見ますと、都内には百九十七万戸の分譲マンションがあるということですから、約三・七%の分譲マンションが耐震性を満たしていないという状況になるということだと思います。住宅の専門家によると、マンション居住者の年齢構成は、全体で七十歳以上が占める割合が二二・二%といいます。
 一九七九年以前、四十五年前ですけれども、建設されたマンションでは七四・七%となっているということも話しています。マンションの居住者の永住意識は次第に増加しており、六二・八%を占めており、さらに増加することが予想されているということも話しています。このことからも、今マンションに住んでいる方々は、ずっと住み続けたいと思っている高齢者の入居者が多いということです。
 マンションが古くなり、耐震工事や建て替えが必要になってきていますけれども、積立金が少なく、積立金や融資だけでは対応できず、入居者にかなりの負担をしてもらわないとできない。しかし、入居者が高齢化しており、出せるお金がないという状況で、耐震工事や改修、改築の見通しが持てないという悲鳴も聞いています。
 新年度予算案では、耐震診断助成事業、五千戸、耐震改修助成事業、三千二百五十戸、耐震アドバイザー派遣事業などがありますが、この間の実績を伺います。
 また、首都直下地震などを考えると、もっと規模を増やすべきではないかと思いますが、いかがですか。

○三宅民間住宅施策推進担当部長 令和四年度の助成実績でございますが、耐震アドバイザー派遣助成につきましては、三十七件、耐震診断助成につきましては、七十一棟、三千九百九十三戸、耐震改修助成につきましては、五十棟、千七百八十一戸でございました。
 都は引き続き、区市と連携して取り組んでまいります。

○尾崎委員 先ほどのご答弁で、分譲マンションだけで、耐震性を満たしていない分譲マンションは約七万三千二百戸ということでした。令和四年度、二〇二二年度の実績で、耐震改修助成は五十棟で千七百八十一戸ですから、新年度予算案で三千二百戸の耐震助成事業を実施しても、まだ六万八千戸が耐震性を満たしていないということになります。安心して住み続けられるマンションにするため、二〇二四年度の取組を拡充することと、スピード感を持って取り組んでいただくよう強く要望するものです。
 災害時も生活を継続しやすいマンション、とどまるマンションの普及促進をしていくというのが、住宅政策本部のマンション政策の目玉だと思います。
 突然起こる災害時は、避難所ではなく住んでいるマンションにとどまることができるとなると、高層になればなるほど、エレベーターが動かなくなってからどのくらいで復旧ができるのか、水や食料品などの備蓄をどれだけ日常的に確保しているかなどが重要になってくると思います。
 二〇二四年度予算案に、都内全てのマンション実態調査が盛り込まれたことは重要です。災害時などの対策の現状把握も同時に行うことが必要と考えますが、いかがですか。
 そこで、マンション実態調査の目的と具体的に何を調べるのか伺います。

○三宅民間住宅施策推進担当部長 良質なマンションストックの形成のため、分譲、賃貸マンションの戸数、階数等の規模、立地等の調査を行い、浸水リスクや備蓄状況等も把握してまいります。

○尾崎委員 東京都が分譲、賃貸マンションの戸数、階数等の規模、立地等を調査、浸水リスクや、備蓄なども含めて調査することは大変重要です。
 私は、せっかく都が全てのマンションの実態を調べるのであれば、マンションに住んでいる方々が何で困っているのか、ぜひ調べてほしいと思います。
 そして、実態調査の分析を基に、マンションへの都の支援策を抜本的に強化してほしいと要望するものです。
 また、古くなったマンションは、建て替え推進だけでなく、SDGsの立場で住み続けられるマンションにすること、長寿命化の方向を目指して、都は何ができるかなど検討をお願いしたいと思います。
 次に、都営住宅について質問していきます。
 都営住宅は、令和七年、二〇二五年までに耐震化率一〇〇%にしていくという目標を掲げています。
 都営住宅の耐震化率について伺います。
 現在、耐震改修工事が完了していない住棟は幾つですか。そのうち、併存店舗付住棟はどのくらいあるのか伺います。

○小久保営繕担当部長 都営住宅の令和四年度末時点の耐震化率は九八%でございます。同時点で耐震改修工事が完了していない住棟は三十六棟あり、全て併存店舗付住棟となっております。

○尾崎委員 耐震改修工事が完了していないのは全て併存店舗付住棟で三十六棟ということです。
 それでは、併存店舗所有者に対する対応について幾つか質問したいと思います。
 都営住宅の併存店舗は、現在、何区画になりますか。そのうち建て替え計画がある都営住宅の店舗は何区画か伺います。

○青木建設推進担当部長 令和四年度末時点で都営住宅の分譲店舗の区画数は八百六十六区画です。そのうち、建て替え計画がある団地の分譲店舗の区画数は三百十六区画です。

○尾崎委員 私の活動地域である武蔵村山市、村山団地も今建て替え建設中ですが、併存店舗所有者がいます。何区画あるのか伺います。
 また、村山団地中央商店街には郵便局などの公共施設がありますが、併存店舗と同様の扱いになるのかどうかも伺います。

○木村再編利活用推進担当部長 村山団地の併存店舗は六十区画です。この村山団地中央商店街は、郵便局も含めて、全て併存店舗でございます。

○尾崎委員 村山団地中央商店街は、団地の住民だけでなく、近所の住民からも、とても愛されている商店街です。高齢者の方に優しく、私も大好きな商店街の一つです。
 村山団地中央商店街は、団地の建て替えが始まる前は、団地のちょうど真ん中に位置していました。団地の建て替えに伴い、真ん中にあった商店街は、今や団地の端っこの方になってしまっています。
 団地が高層化し、高齢化が進み、商店街が遠くなったことなどから、商店街は二〇〇七年に宅配サービスを始めました。そんな中、頻繁に宅配依頼をしていたおばあちゃんが、タクシーで商店街に買物に来て、美容院や薬局などを回り、衣料品店で買物し、お茶を飲んでおしゃべりをして、またタクシーを呼んで帰る姿に、商店街の役員がもったいないからと車椅子で送ってあげたそうです。
 高齢のお客さんは、自分の目で見て、触って、自分で確認して商品を買うのが楽しいといわれたことがきっかけで送迎自転車まいどを始めたのが、二〇〇九年十月からです。送迎自転車まいどは、自転車に荷物や人を乗せるための椅子などをつけ、特別につくった屋根つきのユニークな送迎自転車です。全国でも話題になりました。団地の入居者、高齢者から、助かる、楽しく買物ができると喜ばれています。
 商店街には郵便局も包括支援センターもあり、高齢者の居場所として重要な役割を果たしています。私はこのような商店街こそ大型スーパーではできない地域住民とのコミュニティを形成するのに欠かせないものだと痛感しています。
 商店街の方たちからは、都営住宅の建て替えで、店舗は診療所であっても入れなくなり、高齢者の高齢化の問題や、買物難民などが社会問題になっているので、建て替え後も商店街を残してほしいと都に要望していました。村山団地の建て替え工事も後半になってきています。団地の入居者や商店街からはどうなってしまうのかと不安の声も出ています。
 そんな中、都営村山団地の併存店舗所有者向けアンケート調査を実施していますが、アンケートの目的について伺います。
 また、アンケート調査の回答期限は、昨年八月十日だったと思いますが、結果についてはまとめているのか伺います。

○木村再編利活用推進担当部長 併存店舗につきましては、建て替えに際し、再整備を行わず権利を買い取ることとしており、今後の買取りに向け、現時点の店舗所有者の意向を把握するため、調査を実施したものでございます。調査により、所有者それぞれの意向を個別に把握するものでございます。

○尾崎委員 アンケート調査の添付資料に、代替地の提供の可能性のある位置の地図もありましたが、併存店舗について、今後のスケジュールについて伺います。

○木村再編利活用推進担当部長 村山団地の併存店舗につきまして、今後買取りを行う予定でありますが、時期は未定でございます。

○尾崎委員 代替地の提供可能な場所も提案されていることは、私は重要だと思います。商店街がどこに位置するかは、商売を継続できるかどうかにつながる大事な問題であると同時に、これまでのお客さんが継続して買物ができる範囲のところにならなければならないと思うからです。適切な代替地の提案を要望するものです。
 多摩都市モノレールの延伸により、村山団地の新たな創出用地に新しい駅ができる計画もあります。併存店舗については、所有者それぞれの意向を個別に把握するということですけれども、団地の入居者や近隣の住民にとっても、今後どうなるのかはとても重要な問題です。決まってから知らせるのではなく、情報は速やかに公開するよう強く求めるものです。
 次に、引っ越し費用、移転料について質問します。
 都営住宅の建て替えに伴う移転料は現在幾らでしょうか。

○青木建設推進担当部長 都営住宅の建て替えに伴う移転料は、現在、一回の移転につき十七万一千円です。

○尾崎委員 一回につき十七万一千円ということのご答弁でしたので、一度仮移転をした人には、このときに一回支払っていく。そして、戻ってくるときにまた支払われるということだと思います。
 それでは、国土交通省の公営住宅等整備事業対象要綱で定めている移転料の上限は幾らですか。また、移転料について改定された推移と改定した理由について伺います。

○青木建設推進担当部長 現在の公営住宅等整備事業対象要綱では、移転件数一件につき十七万九千円を限度としています。
 この額は、令和元年十月一日に、消費税及び地方消費税の税率が八%から一〇%に引き上げられたことを契機に、上限額をそれまでの十七万六千円から改定したというふうに聞いております。

○尾崎委員 国土交通省の公営住宅等整備事業対象要綱で定めている移転料の上限は、この間、消費税の増税に伴ってその都度引き上げているということです。
 つまり、消費税が五%のときは移転料の上限は十七万一千円で、八%に増税になったときは十七万六千円、そして一〇%に増税になったときは十七万九千円になったということです。国土交通省が定める移転料の上限が引き上がれば、都も移転料の引上げを検討すべきだと思います。
 コロナ禍の影響や物価高騰の影響で、引っ越しなどにかかる費用も引き上がっているわけですから、ぜひ検討を早急に行い、移転料の引上げを実施していただきたいと強く要望するものです。
 引っ越しを控えている入居者の皆さんからは、都営住宅の建て替えに伴い、エアコンなどの家電の取り外しや粗大ごみを出すなどの費用がかかるため、せめて引っ越し費用を事前に支給してほしいとの要望が強くありますが、いかがですか。

○青木建設推進担当部長 移転料につきましては、居住者が移転を完了させ、その事実を都が確認した後に支払うことを原則としておりますが、生活困窮者などで必要であると認められる場合には、移転料の前払いができることとしております。

○尾崎委員 生活困窮者等で必要であると認められる場合には、前払いできるという重要な答弁です。相談があった場合にはぜひ丁寧に対応していただき、一部前払いも含めて、柔軟な対応をお願いしたいと思います。
 次に、都営住宅の階段手すりについて伺います。
 都営住宅の建て替えでは、いつ頃から階段の手すりを両側に設置しているのか伺います。

○相羽技術企画担当部長DX推進担当部長兼務 都営住宅の階段の手すりにつきましては、およそ昭和五十年代から平成十二年度までの基準設計において、主に昇降部分の両側に設置することとしていました。
 その後の基準設計では、片側設置としていましたが、平成三十年度改定の基準設計から、踊り場も含めて、階段の両側に設置する仕様に変更し、令和五年度竣工の一部の住棟から反映しています。

○尾崎委員 ただいまのご答弁ですと、平成十三年度の基準設計から平成二十九年度の基準設計まで、約十五年間だと思うんですけれども、基準設計で、階段手すりは片側設置だったということが分かります。
 住民の方からは、エレベーターが設置されていない都営住宅で、高齢者の方や足腰が不自由になっている方々から、階段の手すりが右側にしかついていないため不安であり、危険だ、階段の両側に手すりをつけてほしいという要望が出ています。
 今後、高齢化に伴い、階段への手すりなど十分な対策が必要だと思いますが、いかがですか。

○小久保営繕担当部長 階段の手すりにつきましては、エレベーターが設置されていない都営住宅において、自治会から、手すりを両側につけてほしいと要望が寄せられた際は、現地調査を行い、建物の構造や建築基準法等への適合、住棟の建て替え時期等を考慮し、対応が可能な場合に設置しております。

○尾崎委員 困っている人がいて、階段の両側に手すりをつけてほしいという要望があれば、ぜひ早急に対応をお願いしたいと思います。
 次に、都営住宅のEV充電設備の設置について伺います。
 今年度、都営住宅のEV充電設備が設置される区市町と区画は幾つですか。また、設置場所を決めた根拠について、併せて伺います。

○木村再編利活用推進担当部長 今年度のEV充電設備の設置は、三十区市町におきまして、配管のみを整備する区画も含めて約二百七十区画でございます。
 都は、東京都環境基本計画などにおいて、EV充電器の設置を推進するとしていることから、都営住宅の駐車場にも、EV充電設備の設置を進めており、空き区画の状況や電気の引込みの可否などのほか、建て替え計画も考慮しながら、順次設置しております。

○尾崎委員 二〇二三年度の設置は、三十区市町で約二百七十区画ということです。
 私の活動地域である東村山市の都営住宅本町アパートにもEV充電設備が設置されています。しかし、都営住宅の入居者からは、あれは何ですかと、使っている人を見たことがないけど、何ですかっていうような声が届いています。単純に考えると、高齢化が進んでいる都営住宅では、そもそも駐車場を解約し、空いているのがとりわけ多摩地域かとは思いますが、目立っています。しかもまだまだEV自動車の価格が高く、購入している人が少ない状況だと思われます。
 そこで、利用の実績について伺います。

○木村再編利活用推進担当部長 継続的な利用を前提として、月ぎめ駐車区画に設置した充電設備につきましては、現時点では利用実績はない状況でございます。
 不特定多数の方が随時利用できるよう設置した充電設備につきましては、継続的に利用されてございます。

○尾崎委員 月ぎめ駐車区画での利用実績は残念ながらないということです。
 気候対策の視点からEV自動車は重要だと思っています。私の知り合いもリースでEV自動車に乗っていますけれども、充電設備の関係で長距離を走ることはまだ経験がないといっていました。費用は増えると思いますけれども、誰でも使える、随時利用できる充電設備を思い切って増やすべきだと提案します。
 都営住宅のEV充電設備の設置について、二〇二四年度予算案に三千三百万円、五十一区画ということが盛り込まれていますが、設置する場所はどこを想定していますか。

○木村再編利活用推進担当部長 設置場所につきましては、空き区画の状況や電気の引込みの可否などを考慮して決めていくものでございます。

○尾崎委員 具体的な場所はこれからだということですけれども、二〇二四年度で新たに五十一区画にEV充電設備を設置することは、私は重要だと思っています。ぜひ、さらなる太陽光パネルの設置と連動して進めていただきたいと思います。
 また、ほかの局の所管ではありますが、購入するときの支援の拡充、一般の駐車場への充電設備の設置の推進、車に乗る人がCO2排出削減や気候危機対策の意識を高めることも重要だと思いますので、都庁が一体となって取り組むことを要望いたします。
 次に、都営住宅のLED化についてです。資料もまとめていただきまして、ありがとうございます。私はこの間、電気代の値上げが繰り返される中で、自治会から、みんなから集めている共益費だけでは電気代が払えなくなっていると相談があり、物価高騰対策として、都営住宅のLED化は重要であると求めてきました。
 そこで、都営住宅の既存住宅も含め、共用部分のLED化は、二〇三〇年度までに全棟設置を目指しているわけですけれども、どこまで進んでいるのか伺います。

○小久保営繕担当部長 都営住宅の共用部のLED化につきましては、建て替え工事では平成二十七年度から、既存住棟の改修では平成二十九年度から実施しており、計画的に進めております。
 設置率につきましては、戸数ベースで算出しており、令和四年度には約二万三千五百戸に設置し、令和四年度末時点の累計は約九万三千二百戸、設置率は約三六%となっております。

○尾崎委員 二〇二四年度予算案では三十六億二千六百万円が計上されていますが、二〇二四年度までにLED化をどこまで到達させる目標ですか。

○小久保営繕担当部長 令和六年度につきましては、予算案に基づき、既存住棟は約二万三千戸を対象とし、建て替え事業と併せて実施することで、設置率向上に努めてまいります。

○尾崎委員 共用部分のLED化を推進しながら、各部屋でのLED化の推進の対策を要望するものです。
 入居者が高齢化している中で、電球の交換も自分でできない状況が増えています。LED化することで電球の交換も心配なく、電気代も安くなり、安心して暮らせるようになります。ぜひ検討をお願いいたします。
 最後に、この間要望してきた、住まいに困っている若者、就職氷河期世代の支援として、新年度予算案に、若者、中年単身者住居確保支援事業について質問したいと思います。
 二〇二四年度予算案に、若者や就職氷河期世代に対し、都営住宅を提供すると同時に就労支援を行う予算が新規で盛り込まれたことは大変重要です。戸数などについては未定と聞いていますけれども、困っている若者、非正規雇用の単身女性などが安心して暮らせる状況になるよう、支援する立場で思い切った戸数、例えば五百戸とか、ぜひ積極的な提案をお願いしたいと思います。
 また、二十三区内の都営住宅の提供も積極的に行うよう要望いたしますが、どうですか。

○小町経営改革担当部長 本事業は、都営住宅の空き住戸を試行的に提供するもので、戸数は未定であり、多摩地域などを中心に提供してまいります。

○尾崎委員 住まいは誰もが安心して仕事をし、生活する上で一番大事なものであり、生活の基盤です。
 私は、さらに戸数を増やしていただきたいということと、あとは住宅に困っている若者や就職氷河期の皆さんにこの事業を知らせるということがとても重要だと思っています。都営地下鉄や都バスなどを活用した広報に力を入れることや、電話やメールで相談できるようにすべきですが、いかがですか。

○小町経営改革担当部長 本事業に必要な周知や相談への対応につきましては、適切に実施してまいります。

○尾崎委員 都営住宅はセーフティーネット住宅としての役割が重大です。この間、都も努力していただき、ウクライナ避難民の方や能登半島の被災者の方々に都営住宅を提供しています。さらに、大学連携も推進していただいており重要です。しかし、給料も上がらず、年金も上がらず、暮らしが大変な中、住宅に困っている人が増えています。
 ところが、都営住宅の新規建設は、新年度予算案にも盛り込まれておらず、石原都政以降、連続二十五年間もゼロという状況です。今の都民の暮らしの実態を踏まえ、新規建設に足を踏み出し、そして高い家賃が払えない方たちへの家賃補助なども検討していただくことを強く求めて、質問を終わります。

○竹井委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時三分休憩

   午後三時二十分開議

○竹井委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○西沢委員 私から、昨年の事務事業の質疑でも取り上げましたけど、まず最初に仮放免者へのですね、都営住宅で支援すべきだという話をさせていただきたいというふうに思っております。
 昨年、事務事業質疑で仮放免者、仮放免者というのは、基本的には日本から退去を命ぜられている方で在留資格がないという方だから、当然国の話といえば国の話、言葉を悪くいえば、国に帰れというような方々がいらっしゃるというような方々に対して支援をするのはいかがなものかというような話は当然あるんだとは思いますが、ただ、現実的に昨年も申し上げましたけれども、NPO団体、支援団体の方が住まいを確保するというようなことでなければ生きていくことができないと。理由があって、母国に帰れば殺されてしまうというような方もいらっしゃるという中において、そうした方々を支援する、せざるを得ないと。じゃなければ生きていけないというような方々、犯罪に手を染めるというような方々もいらっしゃるということから、私は都営住宅を利用して支援する必要があるんじゃないかと、こういう話をさせていただきましたが、昨年の質疑の中で、国の方がやるべきことなんだからということに加えて、国土交通省の住宅局長から、都道府県宛てに外国人登録制度の廃止に伴う公営住宅の賃貸における外国人の取扱いについてというようなもので、ある程度、外国人の要件というものを出しているというようなこと、その中で読み解けば、仮放免者の方々への支援というのは、国の方の方針でなかなか難しいというようなことで、東京都もそういうふうにしているというような話だったかと、簡単にいえば、そういうような質疑をさせていただきました。
 その後に、そういった団体の方々が国土交通省、あと東京都にもですけれども、要請書を出しています。要請書は、簡単にいえば都営住宅、まあ公営住宅を使わせてもらえないかというような、ほかにもいろいろ要望はされていますけれども、そういった内容がありました。
 そこで回答は、前提としてですけど、基本的には公営住宅への入居が想定されるものではないと考えておりますというふうなことが国土交通省からの回答の中では、前提としてあった上で、他方、公営住宅は住宅に困窮する低額所得者等の居住の安定を確保するために供給されている、こうした本来目的に支障がない範囲において、地方公共団体による個別の判断により、個人の住まい探しを支援する取組に対して、空き室を目的外使用することを否定されているものではないと考えておりますが、被仮放免者ご本人自らの資産や身元保証人、ご家族などの支援による住まいを確保することが想定される方であり、また地域により実情が異なるため、国があらかじめ要請するようなものではなく、地方公共団体において個別に判断されるものと考えておりますと、こういう回答をされました。
 改めてですけど、まずこの回答、民間の支援団体ですから、国土交通省に出したわけでありますけれども、これを認識されているのかどうか確認したいと思います。

○小町経営改革担当部長 国において、そのように回答したことは認識しております。

○西沢委員 つまり、地方公共団体で個別に判断されたというようなことは、東京都としては承知しているよというようなこと、まあ当然だと思います、それは。
 改めてですけど、ということは、地方公共団体が個別に判断されるとの考えで、何となくもう国がいっているんであれば、それはもうできないというようなことなのかと思っていましたが、法的には、仮放免者の方に都営住宅を供給するということは可能であると考えてよろしいんでしょうか。お伺いします。

○小町経営改革担当部長 仮放免中の外国人の日本国内における法的地位につきましては、難民認定や在留資格の付与、それに伴う公営住宅への入居を認める旨の国の通知の発出も国の役割であることから、まずは国において対応されるものと考えております。

○西沢委員 国において対応されるべきものという、昨年からそれは聞いている話ですが、私が聞いているのはこの回答、都も認識しているこの回答では、地方公共団体で個別に判断されるものと考えているということから、例えば東京都で、じゃあ住宅を用意しましょうと、ウクライナの方も入って、能登半島の地震の方でも、個別にそれを判断することはあると思います。同じようにですね、仮放免者の方々に対しても、同じようにやること自体が可能なのか、不可能なのか聞いています。可能なんでしょうか。お伺いします。

○小町経営改革担当部長 国の回答におきましても、仮放免者は基本的には在留資格がなく、日本から退去を命ぜられた方であることから、仮放免の許可に当たりましては、ご本人自らの資産や身元保証人、ご家族等の支援により住まいを確保することが想定されているとのことでありまして、まずは国において対応されるものと考えております。

○西沢委員 都の判断で入れると、そういう人に入っていただくということ自体は、ということは法的にできない、違法になってしまうということなんでしょうか。不可能なんでしょうか。お伺いします。

○小町経営改革担当部長 国の回答にもございますように、仮放免者は基本的には在留資格がなく、日本から退去を命ぜられた方であることから、仮放免の許可に当たりましては、ご本人自らの資産や身元保証人、ご家族等の支援により、住まいを確保することが想定されております。
 同じ国の回答では、地方自治体の判断で、目的外使用許可の対象とすることは可能とのことではありますが、仮放免中の外国人の日本国内における法的な地位につきましては、難民認定や在留資格の付与、それに伴う公営住宅への入居を認める旨の国の通知の発出も国の役割であることから、まずは国において対応されるものと考えております。

○西沢委員 国において対応されるものというのは、それは分かります。東京都の主張として国の判断をということは分かりますが、可能と考えるとのことだが、都としては国において判断するとかということを聞いているんではなくて、都として判断すればできるのかどうかということを聞いているんですね。
 これ以上聞いても出てこないんだと思いますが、少なくとも否定はしなかったというふうに私は思っています。これ国と、もしあれだったら、国がそういうふうにいっているんであれば、国と私は協議するべきだと思いますが、どうでしょうか。国と協議するべきだと考えますが、見解をお伺いいたします。

○小町経営改革担当部長 繰り返しの答弁となりますが、国の回答におきましても仮放免者は基本的には在留資格がなく、日本から退去を命ぜられた方であることから、仮放免の許可に当たりましては、ご本人自らの資産や身元保証人、ご家族等の支援により住まいを確保することが想定されているとのことでありまして、まずは国において対応されるものと考えております。

○西沢委員 じゃ、この質問はもうこれで終わりにいたしますけれども、基本的に国が自治体の判断でどうぞといったものですから、その先に対して東京都としては、いややらないんですと、国の方針がありますからと、国が対応すべきだというような話であれば、まあ分かりますけれども、その前の時点でできるか、できないかも答弁しないというようなことは、ちょっと対応として冷たいんじゃないかなと、冷たいというか、おかしいんじゃないかなと思います。そのことは強く申し上げておきたいと思いますが、改めて私自身は門戸を開くべきだということは申し上げておきたいというように思います。
 続いて、家賃補助についてお伺いをしていきたいというように思います。
 先ほど、この家賃補助についていろいろ議論もありましたが、まず来年度予算で(仮称)高齢者いきいき住宅に関する予算が計上されているというようなことでございます。ちょっと議論がありましたので、深く議論するわけじゃありませんが、家賃補助政策を考えるに当たって、来年度予算が八千万円計上されている、ここをですね、改めてつながるんじゃないかということを確認したいと思いますが、これはどういった取組なのか改めて確認させてください。

○鈴木民間住宅部長 高齢者の住まいに関するニーズが多様化する中、都が新たな住まいの在り方を発信するため、民間の先導的な取組を支援する事業でございまして、事業者が高齢者に適した住宅の整備を行う際、都が整備費の一部を補助いたします。

○西沢委員 いわゆるそういう施設に対して補助をするというような政策と、私たちが申し上げている家賃補助は、住民の方々に対して直接補助をしてはどうかというような、こういったものでありますが、私たちのいっているものとはやっぱり違うということは確認できました。
 これまで東京都も様々な住宅政策、住居政策というものを、まあささエール住宅の話もありました。これはこれで、もちろん高齢者住宅施策というものは重要ですから、進めていただきたいと思いますが、私たちが主張している家賃補助というものについては、先日、予算特別委員会の代表質問でもいろいろお伺いしました。
 そこで回答いただいたものを、さらに深掘りしたいというふうに思いまして、何点か質問したいというふうに思います。
 そもそもの考えとしては、都営住宅に入れた人はいいんですけれども、入れなかった人というのが多くいらっしゃいます。なので、入れた人と入れなかった人、もちろん抽せんというものがあろうかと思いますけれども、やっぱり百対ゼロの政策になっているのかなというように感じるんですね。
 知事が課題として挙げた対象世帯の範囲というようなもの、家賃補助に課題があると。その中の一つ、対象世帯の課題でありますけれども、これについてでありますが、公的な家賃補助制度においては、幅広い観点から対象世帯を公平に選定する必要があるというふうな答弁がありました。
 私自身は今申し上げたように、都営住宅に入りたくても入れなかった方々への家賃補助というのは、そういった意味では、ある意味、今不公平になっているんじゃないかと、入れた人と入れなかった人と。そう考えると、ひとしく支援するというものが公平であり、妥当性があるんじゃないかというように考えますが、見解をお伺いいたします。

○浦口住宅政策担当部長 都営住宅の申込書において記載された所得や住宅困窮に関する事項は、本人の申告のみに基づく、資格審査における確認を経ていない情報のため、正確性に欠けるものであり、全ての申込み世帯が都営住宅の入居資格を満たしているとは限りません。
 また、公的な家賃補助制度においては、対象世帯の条件は幅広い視点から公平である必要がありますが、本来別の制度である都営住宅への申込みを家賃補助の前提条件とすることは、例えば都営住宅への入居は希望せず、単に家賃補助を希望する世帯にとってみれば合理性を欠くものとなるなど、客観的な公平性が不十分になると考えております。
 こうしたことから、都営住宅の募集において当せん等に該当しなかった世帯を一概に家賃補助の対象とすることは、公平性の観点から課題があると考えております。

○西沢委員 確かに都営住宅に外れた人を支援しましょうというような制度になれば、都営住宅に申し込む人めちゃめちゃ増えると思います。これはそのとおりだと思います。もしくは、都営住宅に入居する必要がないんだけれども、申込みをすれば家賃補助を受けられるんだったらやるという方々が当然増えると思います。
 ただ、まあ工夫次第で、そうした方々がある程度増えるかもしれないけど、条件としてやる、書類なんかが多くなって煩雑になるというような話があるかもしれませんけれども、真に必要な方々に対して、やるというようなことは、私は工夫次第ではできるんじゃないかなというように考えております。
 同じく、知事が家賃補助の課題に民間家賃の影響というものを掲げました。私たちは、公営住宅や生活保護の住宅扶助、区市が行っている家賃補助などが民間家賃にどの程度影響していると分析しているのかというものをただしました。
 これに対して、都は、民間賃貸住宅の家賃決定には市場における需給バランスや建設費などを含め、様々な経済情勢などが影響していると答弁をしました。つまり個別の制度などの影響を定量的に把握することは難しいということなんだと思います。ある意味、そのとおりだと思います。
 では、家賃補助を行うと、具体的にどのようにして民間家賃に影響すると懸念をしているのかお伺いしたいと思います。

○浦口住宅政策担当部長 新たに家賃補助制度を実施した場合の影響として、特に東京のような需要の多い住宅市場におきましては、入居者に補助金が給付されることを所与の前提として、あらかじめ補助金額を織り込んで、家賃額が高く設定される可能性があることは十分に想定されるところでございます。
 このため、国も指摘するように、市場家賃の上昇を招く懸念があると考えております。

○西沢委員 確かに東京の特殊事情も、私もあると思います。今、熊本でTSMCとか、台湾の半導体でかなり需給が上がったり、住宅もかなり上がると。何かの要因で住居費だったりとかが上がるというようなことが明らかに分かる場合と、そうでない場合があるんだというふうに思います。東京の場合で、東京都が家賃補助したらどれくらい家賃が上がるのかとか、便乗値上げみたいな話がありましたけれども、こうした懸念は当然あると思います。
 ただ、福祉局とかでも福祉施設について、いわば今、区市も借り上げをしたりとか、家賃補助制度をやっています。事業者向けについて、そういうような制度をやっています。私も相談を受けたことがありますけれども、家賃補助制度があるけど、便乗値上げしていいんだろうかみたいな、とんでもない相談があって、そんなこと駄目だよというような話をしましたけれども、それもやっぱり近傍同種ですよ。地域の相場がこれくらいだから、これくらいというようなものを提出して、だからこの額が妥当なんだよというようなことを民間の家賃と同じような形でやるというような制度になっています。
 そうしたことから、これも工夫をすれば乗り越えられるものになるんじゃないかなと、民間家賃に影響を与えない形で、家賃補助を実施することもできるんじゃないかなというふうに思いますので、検討すべきであるということを申し上げておきたいというように思います。
 次に、同じく知事が家賃補助の課題に挙げた生活保護制度との関係について、具体的にどういう問題があるのかを予特ではただしたわけです。生活保護と異なる政策的な必要性があるのか、幅広い都民にとって公平な制度となるのかなど大きな課題があるというような答弁をされました。
 私たちは、住まいの確保は最もベーシックな生活保障であるという立場から、必要とする全ての人に家賃補助というものを最終的には求めていくべきだというふうに思います。抽せんに外れれば入居できないというような、都営住宅と比べての家賃補助という方が当然公平な仕組みになるんだというようには思います。当たり前ですけれどもね。
 ここでいう生活保護制度との関係で、幅広い都民にとって公平な制度となるのかとは、具体的にどういうことなのかお伺いしたいと思います。

○浦口住宅政策担当部長 住宅扶助等の生活保護は、生活に困窮する方が資産等あらゆるものを活用することを要件に、最低限度の生活を保障するものとして行われているものと承知しております。
 この生活保護の枠組みを超えて、さらに生活保障として家賃補助を行うのであれば、補助の対象とならない世帯を含めて、幅広い都民にとって納得感のある、給付と負担のバランスも考慮して公平性を確保したものとなり得るのか、大きな課題があると考えております。

○西沢委員 生活保護制度があるから、それに枠組みを超えて支援することは、不公平に逆になるんじゃないかなということでありますが、枠組みを超えて支援する施策はたくさんありますよね、それは。〇一八サポートも、それをいったら何でゼロ歳から十八歳までなんだというような、四十五歳の私にもくれよというような、そういうですね、もちろん対象を絞るということは、ある程度そこについて政策誘導だったり、政策そのものになるんじゃないかなというように思っています。
 そう考えると、住宅をプラスするということが不公平になるというと、厳密にいうと、そういう考えがあるかもしれませんが、政策的には十分あり得るというようなことなのかなと思っています。
 生活保障としての住まいの確保は人権に関わる問題であり、国任せにするのではなく、都として家賃補助に踏み出すべきだと思うと、そのことを申し上げて、次の質問に移りたいと思います。
 エアコンと網戸の設置について、最後にちょっと確認をしておきたいと思いますが、これも昨年取り上げましたが、都営住宅のエアコン、網戸をちょっと設置しないときついですよと。特に、夏の暑い時期に質問して、今、時期が変わりましたけど、そこで忘れてはならないのかなと思いまして、来年度予算ではどのように反映されているのかお伺いしたいと思います。

○青木建設推進担当部長 エアコンや網戸は居住者が設置するものと考えており、来年度の都営住宅の整備に関する予算には、エアコン、網戸の設置費用は含まれておりません。

○西沢委員 少なくとも私、検討していただいたんじゃないかというように思うんですが、都営住宅の建て替えでエアコンと網戸を設置するよう、この意見表明を行いました。どのような検討を行ったのか。いろんな課題があるという話は聞きましたが、どのような検討を行ったのかお伺いしたいと思います。

○相羽技術企画担当部長DX推進担当部長兼務 エアコン、網戸につきましては、エアコンの電気代や日常の清掃、点検及び修理の際の手間なども含め、居住者が各自で判断し、それぞれの生活様式に応じて設置するものと考えております。

○西沢委員 なかなか難しいことなんだというふうに改めて実感します。
 もう一つ、生活保護受給者の方々は、生活保護費でエアコンがつけられるというようなことを聞いているわけであります。都営住宅に居住している全世帯のうち、生活保護を受給している世帯の割合はどのくらいなんでしょうか。お伺いいたします。

○平松都営住宅企画担当部長 令和四年度末の時点で、都営住宅に居住している世帯のうち、都が把握している生活保護受給世帯は約一六%でございます。

○西沢委員 生活保護費でエアコン設置をしている、一六%全員がしているかどうか分かりませんけれども、少なくともそういう制度があるという割合があります。さっきと違って、生活保護を受けられている方に上乗せするのができないという話でありましたが、そう考えると、生活保護を受けている方がエアコンをつけられて、そうじゃない方はつけていない方もいらっしゃるというような形になってしまうわけであります。
 改めて私は、エアコン、網戸の設置を含めて、まず先ほど生活保護世帯一六%という話がありましたが、この是非を検討していただきたいわけです。そのためには、居住者の設置に対する意向調査というものも必要なんじゃないかと思います。まず、そこぐらいはやっていただきたいと思いますが、見解をお伺いいたします。

○相羽技術企画担当部長DX推進担当部長兼務 エアコンや網戸の設置につきましては、テレビや洗濯機などの家電や家具などと同様に、各自の生活様式に合わせ、居住者が判断するものと考えております。

○西沢委員 ちょっと今エアコン、網戸についていろいろ質問いたしましたけれども、どれもいい答弁はいただくことができませんでした。ちょっと先ほど仮放免の話もしましたが、冷たいとはいわないけれども、いっているけど、もっと優しくしてもいいんじゃないかなというふうに思います。改めてご検討をお願いして、質問を終わります。

○松田(り)委員 昨年の事務事業質疑においても、都営住宅等の指定管理者の選定について質問させていただきました。
 維新の会として反対いたしましたが、残念ながら、昨年、令和四年第四回定例会において、賛成多数で都営住宅等の指定管理者には、東京都住宅供給公社が特命にて選定をされました。
 指定管理業務においては、管理委託費の予算額は年間約百億円、毎年約百億円を特命選定において、都から東京都住宅供給公社に支出をしております。それ以外にも修繕費等を含めますと、住宅供給公社の約半分程度が都からの支出で成り立っているという現状がございます。
 本日の予算質疑においては、令和四年度から実施をしております公社住宅における太陽光発電設備設置について、果たして東京都の予算でやるべき事業なのか、やる必要があるのかの観点から、幾つか質問させていただければと思います。
 まず最初に、令和六年度、来年度予算において公社住宅における太陽光発電設備設置及び公社住宅におけるEV充電設備設置で約二十億円が予算組みをされていますが、それぞれの事業の内訳についてお伺いいたします。

○今井連絡調整担当部長 東京都住宅供給公社の住宅における太陽光発電設備の設置は、脱炭素社会の実現に向け、既存の公社住宅にモデルとして太陽光パネルや蓄電池などの設置と屋上防水工事などの関連工事を行うものでございまして、令和四年度から取り組んでございます。
 また、公社住宅におけるEV充電設備の設置も同様に、脱炭素社会の実現に向けまして、既存の公社住宅の駐車場にモデルとしてEV充電器等を設置するもので、今年度から取り組んでございます。

○松田(り)委員 公社住宅における太陽光発電設備設置については、令和六年度予算では約十九億円計上されておりますが、令和四年度、令和五年度でのそれぞれの予算の計上額をお伺いいたします。
 また、それぞれの年度での設置棟数、令和六年度の設置予定棟数と令和六年度末の進捗率をお伺いいたします。

○今井連絡調整担当部長 既存の公社住宅をモデルとした太陽光発電設備の設置につきましては、令和四年度から四年間で百棟を設置することとしており、令和四年度予算では十四億六千万円を計上し、既存住宅二十五棟に設置いたしました。令和五年度予算では約二十二億五千万円を計上し、既存住宅三十棟に設置する計画で進めておりまして、今月末までに設置完了となる見込みでございます。
 令和六年度は、既存住宅三十棟に設置することとしておりまして、これにより令和六年度末の進捗率は八五%となる予定でございます。

○松田(り)委員 設置目標は百棟というところで、三月末までに五十五棟の設置が完了して、ほぼ現時点で約半分が進捗しているという状況だと思います。
 今年度予算、来年度予算では追加で三十棟で八十五棟と、このままいけば、令和七年度残り十五棟に設置をして、この設置目標を達成するのだと思っております。
 次に、設置が完了した際、一年間稼働しております令和四年度の設備についてお伺いいたします。
 令和四年度予算では十四億六千万円を計上し、公社住宅における太陽光発電設備を設置しておりますが、設置をした公社住宅の年間での発電量についてお伺いいたします。

○今井連絡調整担当部長 令和四年度は、既存住宅二十五棟に発電容量で合計約五百三十キロワットの発電設備を設置いたしました。お尋ねの年間の発電量につきましては、これら設備の稼働開始から一年が経過していないこと、季節や天候、周辺建物などの影響を受けることから、来年度、東京都省エネ・再エネ住宅推進プラットフォームを通じましてお示しする民間へのモデルケースにおいて、それらの環境要因に加え、蓄電容量や売電状況などとの関係も精緻に分析の上、情報提供をしていく予定でございます。

○松田(り)委員 私、令和四年度の事務事業質疑でも、この公社住宅の太陽光発電設備、ご質問をさせていただきましたが、その際は令和三年度において都営住宅に設置した太陽光発電設備の能力は約百二十キロワット、設置に要した支出額は一億一千万円ということでした。
 もちろん、この一年間、令和四年度の公社住宅についてはフルで発電をしていないということもありますが、令和三年度の都営住宅では一億一千万円、あと新規と多分既存の違いも少しあるとは思うんですけれども、一億一千万円の予算で百二十キロワット設置できているにもかかわらず、今の答弁ですと、令和四年度については十四億六千万円で、五百三十キロワットしか発電容量を確保できていない状況もございます。
 もちろん地域によって、建物の状況によっても変わってくるとは思うんですけれども、予算額については令和三年度の都営住宅と令和四年度の公社住宅、十三・二倍変わっているにもかかわらず、発電能力は四・四倍しか確保できていない状況でもございます。
 なぜここまで違うのか、今後明らかになってくるとは思うんですけれども、ぜひこの辺りもしっかりと検証していただきまして、都民の税金を使っている事業でもございますので、しっかりと次に生かしていただければと思います。
 少し前提に戻るんですけれども、なぜ東京都住宅供給公社が自ら設置をせず、東京都が公社住宅の太陽光発電設備設置の費用の予算組みをしているのかお伺いいたします。
 東京都住宅供給公社負担金等に予算組みされているもののうち、義務的な経費を除き、太陽光発電設備設置、EV充電設備設置以外に、来年度公社住宅において東京都の予算を支出することはあるのかお伺いいたします。

○今井連絡調整担当部長 政策連携団体である東京都住宅供給公社の住宅を活用して、民間への普及啓発や政策誘導などにつなげていくことにより、都の政策を実現していく取組において、都議会の議決を得まして、都が費用負担する場合がございます。
 こうした考えの下、脱炭素社会の実現に向け、既存の民間集合住宅では工事費等のコストや売電により収受などが明らかにされることが難しく、また設置に係るノウハウや実例が十分でないことから、都が設置を負担し、収益モデルの検証を行い、それを広く情報発信することで、民間の発電設備の設置の機運を醸成してまいります。
 また、来年度公社に対しまして都が費用負担を予定している事業は、ご指摘の太陽光発電設備設置事業及びEV充電設備設置事業のほか、小笠原住宅建設事業がございます。

○松田(り)委員 ありがとうございます。ここ数年の予算案を見ていても、公社住宅における予算については、ほとんどが太陽光発電設備設置の費用になっていると思います。これまでの答弁においても、収益モデルを広く発信をして、民間の設置機運が醸成するという答弁、昨年、一昨年からいただいていると思いますが、既に東京都は、都営住宅においても過去五年間で二百八十五棟設置をしていると。それ以外にも、令和四年度から警察署や交番、消防署、消防出張所、都立学校、都営施設において多くの場所で、この先も二〇三〇年に向けて太陽光発電設備の設置をしていくと発表もされております。
 果たしてこれだけの棟数で実験をしている中で、公社住宅について東京都の予算でやっていく必要があるのかという部分については、私自身も少し疑問に残る部分がございます。
 都営施設であれば、売電した電力については東京都に入ってくると思いますが、公社住宅の場合は、これまでの答弁を聞いていますと、基本的には東京都が設置をした後の売電収入等は、公社住宅の方に入ってくるという話も聞いております。
 公社住宅においては、毎年二十億円近く太陽光設備をこれまで設置をしておりますが、東京都には一切入らず、公社は設置費用を一円も払わずに、正確な数字は確認はできませんが、設置実績からすると、今後、毎年数千万円以上の売電収入が住宅供給公社に入るのかなと認識をしております。
 最後に改めまして、公社住宅における太陽光発電設備設置に係る費用負担においては、令和六年度予算まで含めますと、約五十六億円計上しておりますが、東京都がこれだけの予算を投入する意義について伺うとともに、公社住宅における太陽光発電設備設置、残り十五棟ありますが、今後も東京都が負担をして進めるのかについてお伺いできればと思います。

○今井連絡調整担当部長 繰り返しになりますけれども、脱炭素社会の実現に向けまして、既存の民間集合住宅では、工事費等のコストや売電による収入などを明らかにすることが難しく、また設置に係るノウハウや実例が十分でないことから、都が設置費用を負担し、収益モデルの検証を行い、それを広く情報発信することで、民間の発電設備の設置の機運を醸成していくものでございます。
 また、令和七年度以降の都の費用負担につきましては、今後検討してまいります。

○松田(り)委員 さきの答弁で、公社住宅において令和四年度からは百棟設置という目標があるということで、残り十五棟になると思います。これまでの予算感覚で見ますと、恐らくこのままいけば、令和七年度予算には十億円程度の予算をつけて残り十五棟の設置をすると思いますが、ぜひこの費用負担については、今、検討という言葉をいただきましたが、果たして適切なものなのか、ぜひ見直しも含めて検討していただくことをお願い申し上げまして、質問を終わります。

○森口委員 私からは、マンション実態調査について伺いたいと思います。
 令和六年度予算案には、マンション実態調査委託に係る費用として、令和六年度から令和七年度分の債務負担行為として約一億六千五百万円が計上されております。都内全てのマンションを対象として、二年間かけてその実態調査を行い、防災施策等の強化に活用していくとのことでありますが、実態調査を実施しようとするに至った経緯について伺います。

○三宅民間住宅施策推進担当部長 都は、東日本大震災を踏まえ、マンションの耐震化施策の推進に向けて実態を把握する必要から、平成二十三年八月一日を調査時点としまして、実態調査を行いました。
 前回調査から十年以上が経過し、切迫する首都直下地震や気候変動対策、修繕工事費の高騰など、マンションを取り巻く社会状況は大きく変化しておりまして、データ更新の必要性が高まってございます。
 そこで、防災や環境性能等の現状を適切に把握し、効果的なマンション施策を講ずるため、今回新たに実態調査の実施を予定しているものでございます。

○森口委員 都民の約七割の世帯が集合住宅に居住をしており、会派としても、新年度予算編成への要望を含め、これまでマンション防災の強化や省エネ、再エネ導入支援を強く求めてまいりました。
 前回の実態調査から十年がたち、この間、地震や風水害など激甚化する自然災害の脅威や老朽マンションの増加、建物由来のCO2排出削減の社会的な要請など、マンションを取り巻く状況が変化をしており、防災性や環境性能の向上の施策の推進には、改めての実態調査が重要であります。
 そこで、前回平成二十三年の実態調査では、どのようなマンションを対象として調査を行い、調査結果をどのように活用してきたのか伺います。

○三宅民間住宅施策推進担当部長 前回調査では、三階建て以上の都内の全ての分譲及び賃貸マンションを対象としてございます。
 分譲マンション約五万棟及び賃貸マンション約八万棟につきまして、所在地や規模のほか、築年数や管理、耐震化の状況などの実態を把握いたしました。
 これをデータベース化して、区市町村との情報共有を図るとともに、耐震化の働きかけのほか、管理が不十分なマンションへの指導など、管理の適正化に係る施策を展開するためのツールとしても活用し、都と区市町村との連携を強化してきたところでございます。

○森口委員 では、今回、令和六年度に実施する調査について、その調査項目及び手法を伺います。

○三宅民間住宅施策推進担当部長 今回の調査におきましては、まず令和六年度に登記情報や民間の保有する分譲マンションのデータベース等を活用し、二階建て以下も含む都内全ての分譲及び賃貸マンションの戸数、階数等の規模、立地等の基礎情報を調査する予定でございます。
 この基礎情報を基に、令和七年度には抽出したマンションへのアンケートによりまして、太陽光発電の有無等の省エネ、再エネに関する項目のほか、非常用電源の有無等の防災に関する項目、修繕積立金の状況等の管理に関する項目などを調査することとしてございます。

○森口委員 実態調査のアンケートを令和七年度に行うとのことでありますが、都は令和二年より管理状況届出制度の下、昭和五十八年以前の分譲マンションに対し、その管理状況や防災対策の実態など五年ごとの届出を義務化しており、令和七年度はちょうどその更新時期でもあります。
 そこで、新年度の実態調査は、これまでに管理状況届出制度で把握している情報とも適切に連携を図るなど、より効果的なマンション施策につなげることが重要と考えますが、見解を伺います。

○三宅民間住宅施策推進担当部長 管理状況届出制度では、昭和五十八年以前の六戸以上の分譲マンションを対象に、管理不全に関する必須の七項目のほか、任意の項目として耐震や防災、環境など、様々な項目の調査を行い、令和四年度末で約一万四百の管理組合から届出をいただいております。
 来年度の調査では、この届出制度のデータを活用し、一部調査項目を代替するなど効率的に実施するほか、この調査で得られる分譲や賃貸のマンションの情報と届出制度で、これまで蓄積したデータを比較検証することなどによりまして、耐震化や管理の適正化も含め、今後の新たな施策立案に役立ててまいります。

○森口委員 都はこれまでも、マンション防災として耐震化の推進や防災機材整備の支援とともに、省エネ改修支援としては太陽光発電設備の設置、高断熱窓、ドアへの改修など取組を行ってきました。
 来年度から二年間のマンション実態調査におきましては、届出制度とも連携をし、さらなるマンション防災の強化や環境性能の向上、適正管理の推進にしっかりとつなげていただくことを要望し、質問を終わります。

○加藤委員 初めに、東京とどまるマンションにつきまして質問をいたします。
 地元、墨田区では、すみだ良質な集合住宅認定制度というものがありまして、より高い耐震性や防災上配慮された設備や管理運営など防災に優れた住宅を認定するとともに、その供給について支援も行っています。
 また、墨田区の住宅マスタープランでは、とどまるマンションの前身であるLCP住宅と墨田区の認定制度との連携を図り、施策の推進を図るとあります。実はこのLCP住宅時代の認定第一号が二〇一四年十二月に認定されました墨田区のトミンハイム横川一丁目であります。およそ十年前となります。非常用発電により、エレベーターとトイレの給水を災害時でも継続して利用できるということで注目されました。
 しかも、当時は今のように個々の家庭が電気契約を自由に契約できる時代ではなかったため、団地で電力契約を一括して契約、いわゆる高圧一括受電ですね、このメリットを生かして非常用発電機を住民負担なしに設置するということができました。導入に当たって、住民の防災意識も高まり、自主防災組織が結成された成果もありました。
 現在、都は、LCP住宅の名称等も変更して、東京とどまるマンションの普及促進に努めているところでありますが、まず区と都の制度の特徴について伺います。

○三宅民間住宅施策推進担当部長 東京とどまるマンションは耐震性があり、備蓄や防災訓練などのソフト面や非常用電源設備などのハード面での防災対策に取り組み、災害時に生活継続しやすいマンションを、都内全域のマンションについて都が登録、公表する制度でございます。
 一方、墨田区の防災マンションに関する制度は、区内のマンションにつきまして耐震性や備蓄、非常用電源設備のほか、地域自治会との防災訓練や居住者以外の一時避難等に関する区との防災協定などを認定の要件とするなど、地域の実情を踏まえた制度となってございます。

○加藤委員 制度の特徴は分かりましたが、地域の防災力向上のためにはマンション、自治体、町会など様々な主体が連携して取組を進めていく必要があります。
 そのためには、区のマンション防災力向上のための制度と、とどまるマンションが効果的に活用されるように取組を進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。

○三宅民間住宅施策推進担当部長 地域の防災力向上のためには、マンションと町会等の連携を図る必要があり、そのためには、都と地元自治体の連携を一層強化することが重要でございます。
 都と地元自治体の連携強化には、東京とどまるマンションをはじめ、都の防災関連の施策と各自治体独自の施策を共有するとともに、おのおのが広報や専門家派遣等の事業実施に当たりまして、これらの情報を一元的にマンションや町会等に提供していくことが効果的でございます。
 こうした取組を通じて、都内の各地域において合同防災訓練の実施など、マンションと町会等のつながりを強化してまいります。

○加藤委員 都内の非木造共同住宅は、古いデータですけど四百六十八万戸ぐらいありまして、分譲マンションだけでもストック数は約二百万戸といわれていますので、マンション防災に対する政策を進めることは非常に重要です。
 都の新年度予算案では、マンション防災に関するものとして住宅政策本部をはじめ、生活文化スポーツ局、総務局、消防庁等も盛り込んでいます。したがって、都庁内での連携をしっかりと行っていただきながら、基礎自治体並びに町会、自治会との連携を図っていただくよう要望して、次に移ります。
 都営住宅の耐震化です。
 都は、都営住宅耐震化整備プログラムに基づき、令和七年度末の耐震化完了に向けて取り組んでいます。
 こうした中で課題となるのが、一つの建物を都営住宅と民間店舗が区分所有する併存店舗付住棟の耐震改修工事は、工事内容と費用負担について、店舗権利者全員との合意形成が必要となる困難な案件です。先ほどもやり取りがあったと思います。
 都は、都議会公明党の提案を受けまして、平成三十年度から併存店舗を買い取る制度等を導入し、転出希望の権利者から店舗を買い取りつつ、営業継続希望の権利者との合意形成を図ることで、重点的に取組を進めてきたと承知をしております。
 そこで、耐震改修の対象となっている併存店舗付住棟の店舗の買取りと、耐震改修の進捗状況について伺います。

○小久保営繕担当部長 都は、耐震改修対象の全四十三棟、三百七十三区画の店舗権利者に対して、改修工事の内容や費用負担、買取り制度の説明を行い、転出希望者から店舗の買取りを実施しており、これまでに百四十一区画の方と契約を締結いたしました。
 また、棟全体の店舗権利者と耐震改修工事の合意が得られた住棟は、改修工事が完了した住棟も含め、二十三棟でございます。

○加藤委員 耐震改修対象で合意が得られたのは、およそ半分くらいの状況ということで、併存店舗付住棟の店舗の買取りと、実際の耐震改修に向けた合意形成を進めている状況を確認させていただきました。
 一方で、店舗権利者との耐震改修の合意形成がどうしても困難な場合も出てきていると思いますが、そうしたところに都は今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。

○小久保営繕担当部長 店舗権利者との耐震改修の合意形成が困難な場合は、都営住宅の耐震化を推進するため、住棟の建て替えや撤去も視野に手法の見直しをすることとしております。建て替えや撤去に見直した場合は、都営住宅の居住者の皆様に対し、周辺地域にある都営住宅への移転について丁寧に説明してまいります。
 また、店舗権利者の皆様につきましては、令和六年度から店舗買取りの業務委託を拡充し、買取りを進めることで、早期に住棟の建て替えや撤去を図ってまいります。

○加藤委員 いざというときのために、都としては命を守り、また居住生活の継続に支障を来さないために、居住者の移転を進めるということは理屈では理解できますけれども、特に、現在居住している高齢者にとっては、なかなかご理解が得られないというのが私の実感であります。
 店舗買取りの業務委託で強力に買取りを進めていただいて、その成果が目に見えてこないと、居住者の理解はなかなか得られないと、そのように思います。あらゆる方法を使って店舗の移転を促した上で、居住者のご理解を得ていくことが大事です。
 そして、居住者のご理解を得る取組も、決して期限を切って強制的に移転させるというようなことにならないように求めておきたいというふうに思います。
 続きまして、事務事業質疑でも取り上げました併用店舗の空き区画の活用について、改めて質問をいたします。
 地元の都営白鬚東アパートには、市街地再開発事業等により立ち退くことになった従前居住者の生活再建のために、都が設置した併用店舗付住宅があります。このうち、店舗部分と住宅部分とが独立している、いわゆる独立型の併用店舗付住宅の店舗部分は、高齢化等のために使われなくなり、空いているものが数多くあります。
 そこでまず、都営住宅における併用店舗の空き区画は現在どのくらいあるのか伺います。

○平松都営住宅企画担当部長 独立型併用店舗のうち、店舗部分を用途廃止した数は、令和四年度末現在で七十八区画、そのうち都や地元自治体が使用しているものが二十六区画ございまして、空き区画は五十二区画となっております。

○加藤委員 私は、このような都営住宅の併用店舗の空き区画について、有効活用を進めるよう以前から求めてきました。空き区画の有効利用として、若手アーティストに創作場所を提供し、活動を支援する都の事業や、地元自治体での活用を行っていることは評価をいたします。
 その上で、併用店舗の空き区画について、地域の交流スペースとしての利用など有効活用をさらに促進すべきと考えますが、都の見解を伺います。

○平松都営住宅企画担当部長 都営住宅の建物や敷地の空きスペースを居住者や地域の住民が利用できる地域の交流スペースとして活用することは、コミュニティの活性化を図る上で有効でございます。都営住宅の建物や敷地は、公営住宅の用途に使用する行政財産でございますが、住宅を管理する上で支障がなく、関係局や地元自治体等が公用または公共用に使う場合には貸付け等が可能でございます。
 このため、併用店舗の空き区画について、地元自治体等からの地域交流やコミュニティ形成の場としての活用希望に対しては、可能な限り協力をしてまいります。

○加藤委員 併用店舗の空き区画については、居住者や近隣住民等から、なぜ使用できないのかといった相談を多く受けています。公有財産のため、都としても自由に使えないということは理解をいたしますが、なかなか活用が進んでいない現状を踏まえ、都に対しては柔軟な運用を求めておきたいと思います。
 最後に、都営住宅における増加している外国人入居者への対応について伺います。
 現在、都営住宅で外国人居住者の方々も増えており、自治会対応への支援が大事になっています。
 令和五年第一回定例会において、我が党の中山都議から、住まい方のルールの周知や居住者間トラブルで苦労が重なっていることから、通訳端末を自治会に配布して、自治会運営がより円滑にできるような新たな支援を求めたところ、都から自治会の意向を確認し、貸与を検討するとの回答がありました。
 その後、昨年十一月の事務事業質疑におきまして、私から、その提案に対してどのような対応状況かを質問したところ、都からは通訳端末の利用意向を確認するアンケート結果を基に、自治会への適切な通訳端末の貸与方法等について検討していくとの答弁がありました。
 そこで、都は、アンケート結果を基に、どのようにして自治会に通訳端末を貸与していくのか伺います。

○平松都営住宅企画担当部長 昨年八月に全自治会を対象に実施いたしました通訳端末などの利用意向に関するアンケート調査におきまして、常時利用ではなく月に一回または年に数回程度、通訳端末の利用を望んでいる自治会が多くあることなどが分かりました。
 この結果を基に、今月から都内十六か所の東京都住宅供給公社の窓口センターへ通訳端末を各一台、さらに基幹十か所の窓口センターには、もう一台を配備いたしまして、自治会等からの申出に応じて二週間以内の貸与を予定しております。
 今後、自治会等の利用状況や意見などを参考にしながら、貸与に関する円滑な運用を図ってまいります。

○加藤委員 多文化共生がますます進む東京になってまいります。多文化を理解することは大事ですが、それには基本となる会話ができないと前に進みません。また、多文化理解の前提として、郷に入れば郷に従えということわざがあるように、新規居住者がその地域のルールをしっかり守るということが基本です。それをご理解いただいた上で、文化の違いを互いに理解しながら、円滑な共同生活が送れるようなサポートが必要です。
 先ほど中山都議から訴えがあったように、引き続き自治会運営が円滑に行えるよう、様々な自治会サポートを行うよう都に要望しまして、質問を終わります。

○竹井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○竹井委員長 異議なしと認め、予算案及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で住宅政策本部関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時二十分散会