委員長 | 竹井ようこ君 |
副委員長 | 土屋 みわ君 |
副委員長 | 尾崎あや子君 |
理事 | 森口つかさ君 |
理事 | 加藤 雅之君 |
理事 | 田村 利光君 |
松田りゅうすけ君 | |
松田 康将君 | |
関野たかなり君 | |
原田あきら君 | |
中山 信行君 | |
後藤 なみ君 | |
西沢けいた君 |
欠席委員 なし
出席説明員住宅政策本部 | 本部長 | 山口 真君 |
技監 | 青柳 一彦君 | |
住宅企画部長 | 松崎伸一郎君 | |
民間住宅部長 | 鈴木 誠司君 | |
都営住宅経営部長 | 栗谷川哲雄君 | |
連絡調整担当部長 | 今井 徳彦君 | |
住宅政策担当部長 | 浦口 恭直君 | |
企画担当部長住宅市場担当部長兼務 | 都築 裕樹君 | |
技術企画担当部長DX推進担当部長兼務 | 相羽 芳隆君 | |
民間住宅施策推進担当部長 | 三宅 雅崇君 | |
経営改革担当部長 | 小町 高幹君 | |
都営住宅企画担当部長 | 平松 紀晴君 | |
建設推進担当部長 | 青木 成昭君 | |
営繕担当部長 | 小久保信一君 | |
再編利活用推進担当部長 | 木村 宣代君 |
本日の会議に付した事件
住宅政策本部関係
事務事業について(質疑)
○竹井委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、住宅政策本部関係の事務事業に対する質疑を行います。
これより住宅政策本部関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○松崎住宅企画部長 去る十月二十六日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元に配布しております資料1、都市整備委員会資料をご覧ください。
資料をおめくりいただき、目次をご覧ください。
資料は全部で二件ございます。
それではまず、一ページ、ご覧ください。1、住宅政策本部所管の附属機関の委員報酬額及び開催状況でございます。
(1)では、委員報酬額を、(2)では、過去三年間の開催状況を記載してございます。
二ページ、お開きください。2、政策連携団体・事業協力団体の職員構成でございます。
過去五年分の職員構成を団体別に記載してございます。
以上で資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○竹井委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○森口委員 マンションの適正管理について伺います。
いつ起こるか分からない首都直下地震等の発生が懸念される中、築四十年を超えるような高経年マンションの耐震化や防災対策、適正管理の推進が急務となっております。都は、令和二年より、昭和五十八年以前に建築された六戸以上のマンションを対象に管理状況の届出を義務化し、その適正な管理を促しております。
昨年度の私の質疑で、令和四年三月末時点において、届出対象一万一千七百四十三棟に対し、届出数は九千七百六十九件、届出の割合は約八三%、約二千棟が未届けであり、未届けのマンションに対しては、区市町と連携をし、管理組合に対して届出を促すよう都に求めてきましたが、その取組と現在の届出状況について伺います。
○三宅民間住宅施策推進担当部長 都は、届出がない管理組合に対し、区市町と連携し、文書等により届出を求めるとともに、正当な理由がない場合は、マンション管理士等を活用して個別訪問調査を実施し、届出書の提出を求めてまいりました。
令和四年度以降も同様の取組を着実に実施しておりまして、現在の届出状況は、本年三月末時点において、届出対象一万一千四百五十九棟に対し、届出数は一万四百四十棟、届出の割合は約九一%となり、未届出のマンションは約一千棟まで減少してございます。
○森口委員 この一年半で、未届けが二千棟から一千棟ほどに減っているということで、区市町と連携し、届出を促していただいているものと思われます。
既に届出されているマンションについて、その届出情報から、都内のマンションの管理不全の状況についてどのような把握をしているか伺います。
○三宅民間住宅施策推進担当部長 管理状況届出制度では、管理不全を予防するための必須事項として、管理規約の有無、管理者等の選任状況、管理組合の有無、総会の開催状況、管理費の有無、修繕積立金の有無、修繕の計画的な実施、以上の七項目を挙げてございます。
七つの項目のうち、いずれかがない、またはいないとなっている状況を管理不全の兆候ありと定義してございます。本年三月末時点で、届出がなされたマンションのうち約一七%、約千八百棟のマンションにおきまして管理不全の兆候が見られました。
なお、管理不全の兆候の原因で最も多いものは、修繕の計画的な実施がないであり、管理不全の兆候のあるマンションの約六四%が、実施がないとなってございます。
○森口委員 管理不全の兆候のある千八百棟のマンションに対して、適正管理を促す必要があるとのことです。
地元新宿区においては、共同住宅の割合が八六%と非常に高く、また、三割のマンションは、四十年以上経過した高経年マンションであり、老朽化も進んでいる上、長期修繕計画を策定していない、また、旧耐震基準の建物で耐震診断や耐震改修を実施していないマンションが数多く存在をしており、大きな問題となっております。
今年度、新宿区もマンション管理適正化推進計画の策定に向け取組を進めており、適正管理の推進に当たっては、都の届出制度や支援事業との連携が不可欠であります。
そこで、都条例の下で届出されたマンションのうち、管理不全の兆候の見られるマンションに対して、マンション管理士や建築士など、適正管理に必要な支援を求めてきましたが、新宿区におけるその取組について伺います。
○三宅民間住宅施策推進担当部長 都は、マンション管理ガイドブックを活用した普及啓発や、分譲マンション総合相談窓口による相談対応のほか、管理不全の兆候があるマンションに対し、最大五回まで、管理の適正化に向けてマンション管理士等の専門家を無料で派遣してございます。令和四年度の管理不全の兆候の見られるマンションへの派遣実績は、都全体で三十四回でございます。
新宿区におきましては、築四十年を超えるマンションの管理組合から、雨漏りなどをきっかけに大規模修繕のご相談を受け、令和三年度から令和四年度にかけて複数回の派遣を行い、管理規約を改定し、総会の定期的な開催や決算、予算報告書の作成を規定することなどを支援した事例がございます。
○森口委員 引き続き、区市町と連携をして取組を進めていただければと思います。
適正管理に向けた専門家派遣の支援とともに、昭和五十六年以前は旧耐震基準であり、マンションの高経年化に伴う耐震化など、防災対策も重要な課題であります。
届出制度では、管理状況のほか、耐震化の状況の事項も設けられており、都内のマンションの耐震診断や耐震改修の状況について、その届出内容から、都としてどのように実態を把握しているか伺います。
○三宅民間住宅施策推進担当部長 令和四年度末時点の管理状況届出制度によって把握した情報によりますと、旧耐震基準のマンションで耐震診断が未実施であると回答したマンションは、届出があったマンションの約五七%でございました。
また、耐震診断を実施したマンションのうち、耐震性がないと判定されたマンションは約五二%となっており、このうち耐震改修を実施しているものは約二六%でございました。
○森口委員 都条例の下、届出対象となっている旧耐震基準のマンションについて、約七〇%がいまだ届出をしていないか、耐震診断を行っておらず、耐震性や安全性が不明、また、一五%が耐震改修の必要があるが、何らかの事情で耐震工事を行っていないことが分かります。
都は、耐震改修促進計画において、令和七年度末までに、耐震性が不十分なマンションをおおむね解消することを目標としており、届出情報を活用し、区市町と連携をし、マンション耐震化を着実に進めていると承知をしていますが、新宿区における取組を伺います。
○三宅民間住宅施策推進担当部長 都はこれまで、管理状況届出制度により得た情報を活用し、耐震診断が未実施のマンションに対してはマンション耐震化通信を、耐震診断実施済みのマンションに対しては専門家を繰り返し派遣する耐震化推進サポート事業の案内を送付し、耐震化を促してございます。
これらの働きかけ等により、区市と連携した令和四年度の助成実績は、耐震アドバイザー派遣助成については三十七件、耐震診断助成については七十一棟、三千九百九十三戸、耐震改修助成につきましては五十棟、千七百八十一戸でございます。
新宿区におけるこれらの助成の利用状況を見ますと、耐震診断助成において、詳細診断のみならず簡易診断も対象とすることにより、取り組みやすくしていることなどから、利用件数が多くなっていることが特徴的でございます。
○森口委員 新宿区においては、令和四年度に耐震アドバイザー派遣助成二件、耐震診断助成十二棟、五百七十六戸、耐震改修助成一棟、二十五戸の実績があると伺っており、耐震化についても区市町と連携して取組を進めていただいていると分かりました。
一方で、届出により把握できた実態として、高経年マンションにおいては、耐震診断を行っていない、また、診断をしても耐震改修を行っていないマンションが多く、震災時の建物倒壊や道路の閉塞、壁面等の落下による事故など懸念がされます。
築四十年を超えるようなマンションが、今後十年間でさらに急増すると懸念されている中、届出対象となっていないマンションについても年々高経年化が進んでおり、今後、適正管理に支障が生じないよう、今の段階から対策が必要不可欠です。
昨年の私の質疑において、要届出マンションの管理組合は五年ごとに届出内容の更新が必要と条例及び同施行規則で規定がされており、令和七年度に予定されている次の届出の更新時期に合わせて、届出義務の対象となっていない昭和五十九年以降のマンションについても届出の対象とするなど見直しを求め、都は、それに対し、検討するとの答弁がありましたが、令和七年度の届出の更新に向けて、その方針を打ち出す必要があると思われますが、見解を伺います。
○三宅民間住宅施策推進担当部長 今後の適正な管理の促進策を検討するため、十月に有識者等を委員として、マンションの適正管理促進に関する検討会を開催いたしました。第一回検討会では、管理状況届出制度の運用状況等を詳しく説明した後、長期修繕計画、修繕積立金や防災コミュニティなどについて、委員から幅広くご意見をいただいたところでございます。今後、検討会での意見等を踏まえまして、管理不全の抑制に向けて検討を進めてまいります。
○森口委員 都は、令和七年度末までに、耐震性が不十分なマンションをおおむね解消し、また、二〇三〇年、令和十二年度までに、管理状況の届出が一〇〇%かつ、三十年以上の長期修繕計画に基づき修繕積立金を設定している分譲マンションの割合を八割にすることを政策目標としております。
都の管理状況届出制度により、これまで分からなかった高経年マンションの実態がようやく明らかになりつつあり、今後、この実態を踏まえた有識者による検討などにより、届出の対象や届出の項目を広げるなど、より有効な制度に拡充をしていただき、都のマンションストックの適正管理や再生の取組を推進していただきたいと要望いたします。
次に、マンションにおける省エネ、再エネについて伺います。
気候危機が一層深刻化する中、都は、二〇三〇年カーボンハーフの実現に向け、取組を加速させております。都内CO2排出量の七割は建物由来であり、家庭部門、すなわち、住宅のCO2排出量が全体の約三割であることから、ゼロエミッション東京の実現には、住宅部門での省エネ、再エネの取組が大変重要であります。都内における既存マンションは、分譲、賃貸を合わせて約十四万棟、都民のおよそ半分の世帯がマンションにお住まいであり、既存マンションにおける省エネ、再エネの推進は不可欠であります。
昨年度来、二〇三〇年のカーボンハーフ実現に向けた環境局の条例改正に加え、既存マンションにおける省エネ、再エネを進めるための施策を推進するとのことでありました。その取組について確認をしていきたいと思いますが、改めて、都内の既存マンションの省エネ、再エネの現状に関する認識を伺います。
○三宅民間住宅施策推進担当部長 平成十一年の法改正により建築物の断熱性能が強化された省エネ基準が導入される以前に建築された分譲及び賃貸マンションでは、二重サッシや複層ガラスの窓が使われていないなど、断熱性能が低いものも多くなってございます。特に、管理状況届出制度によって把握している情報では、届出のあった分譲マンションのうち、二重サッシ等を設置したものは約一割にとどまってございます。
また、平成三十年住宅・土地統計調査によりますと、全ての住宅のうち太陽光発電設備を設置しているのは一・四%であるのに対し、既存分譲マンションでは一・一%とさらに少ない状況となってございます。
○森口委員 ご答弁のように、既存マンションにおいて省エネ、再エネの取組は進んでいないことが分かります。特に、昭和五十八年以前に建築されたマンションでは、取組が進んでおらず厳しい状況です。
そこで、既存マンションの省エネ、再エネの支援内容について伺います。
○三宅民間住宅施策推進担当部長 都はこれまで、省エネ対策、再エネ活用について解説したマンション省エネ・再エネガイドブックや、太陽光発電設備の導入事例や費用対効果を示したマンション太陽光発電導入ガイドを作成し、広く管理組合等へ周知しております。
また、昨年度より、省エネ、再エネ導入に興味を持った管理組合等に対し、建築士等の専門家を無料で派遣し、個別具体的なアドバイスや提案を行っております。
加えて、本年五月より、既存マンション省エネ・再エネ促進事業として、個々のマンションの実態に即して、省エネ、再エネ導入による費用対効果を専門家に算定してもらう経費補助を開始してございます。
○森口委員 既存マンションの省エネ、再エネの促進に向け、住宅政策本部の取組とともに、断熱改修や再エネ設備の補助事業を実施している環境局とも連携を行い、管理組合の合意形成を後押しする補助制度の周知や支援が必要不可欠であると求めてきました。
都の行う支援メニューの周知として、本年五月から六月に、今後数年のうちに大規模修繕工事を迎えるだろうマンションを対象とし、省エネ・再エネガイドブックのほか、太陽光発電設備の設置促進に向けた都の支援制度や相談窓口等を記載したリーフレットを配布する予定だったかと思われますが、実際に省エネ、再エネの取組や太陽光設備設置がどのように進んだのか伺います。
○三宅民間住宅施策推進担当部長 今年度当初に、太陽光発電設備導入に向けた費用対効果等を算定するための専門家活用の紹介や、環境局の設備導入の補助金のほか、相談窓口等を記載したリーフレット等を、マンションの管理組合での総会などでの議論に間に合うよう、分譲、賃貸合わせて二万五千棟に送付してございます。
現在、太陽光発電設備導入に関心を持った管理組合等から相談窓口に問合せをいただいておりまして、建築士事務所協会と連携し、建築士などの専門家を紹介するなど、丁寧な対応を行っているところでございます。
○森口委員 既存マンションの省エネ、再エネ促進に向け、建築士等専門家による費用対効果の助言、長期修繕計画の作成支援など、都の省エネ、再エネの支援事業について、きめ細やかな周知や活用につながる、より一層の働きかけが必要と考えますが、見解を伺います。
○三宅民間住宅施策推進担当部長 マンションにおける省エネ、再エネを推進するためには、管理組合等の所有者に対し、都の支援事業を周知するとともに、個別に働きかけていくことが効果的でございます。このため、都主催のセミナーやイベントのほか、関係団体や区市町村とも連携して、都の省エネ、再エネ支援事業を広く周知してございます。
また、関心を持った管理組合等に対しては、専門家を活用して導入のメリットや費用対効果の説明を行うことなどにより、個々のマンションでの具体的な省エネ、再エネの導入につなげてございます。今後とも、関係団体や区市町村とも連携しながら、省エネ、再エネの導入に一層取り組んでまいります。
○森口委員 令和十二年、二〇三〇年カーボンハーフの実現に向け、合意形成が難しい既存マンションの省エネ、再エネの取組は大変重要であり、アドバイザーや専門家を活用した導入支援や修繕計画の策定など、支援制度の活用につながるよう工夫が必要と考えます。
支援制度の拡充とともに、実際の省エネ、再エネの導入事例や、導入した管理組合のポジティブな声などを集め、意義やメリットを周知をすることも有効と考えますので、関係団体や区市町とのさらなる連携の下、着実に実績を積み上げていただくことを要望し、質問を終わります。
○松田(康)委員 私からも、民間マンション施策、それから、東京こどもすくすく住宅認定制度、それから、地元の板橋区の都営住宅の課題についてそれぞれ質問をしていきたいと思います。
まず、地元の都営住宅についての質問から参ります。
板橋区で実施されている都営住宅の建て替え事業なんですけれども、今、新河岸二丁目アパートについて、令和元年度から始まった第一期の工事が完成をしたところであります。事業が少し遅れたとも聞いておりますが、居住者からは、次の建て替え工事の早期着工を期待する声があります。
そこで、新河岸二丁目アパートの現在の状況と、今後の事業スケジュールについて伺います。
○青木建設推進担当部長 新河岸二丁目アパートの建て替え事業は、第一期として四棟、二百五十五戸の建設が令和四年度末に完了しました。本年十月から、第二期の事業区域に当たる五号棟、六号棟、七号棟と、現行の耐震基準を満たしていない十号棟を対象に、第一期の新築住棟への居住者の移転を開始したところです。
移転完了後は、第二期の事業区域内の住棟の除却を行い、令和六年度に建て替え工事に着手する予定であり、以降、順次建設、移転、除却を繰り返し、建て替えを進めてまいります。
○松田(康)委員 建て替え事業では、居住者に引っ越しなどの多大な負担を強いるものでありますので、特に第一期の建て替え事業では、団地内にあった郵便局が団地外に移転をせざるを得なかったという状況があります。都営団地は新規で建て替えをすると、後は店舗が今あっても入れないという決まりがあるためでありまして、何年か前に郵便局の方からご相談いただいて、葛飾とこの新河岸と二局、何とかならないかというお話で、葛飾の方は区有地を使ってうまく郵便局、建て替えられたんですが、この新河岸に関しては、結局出ていかざるを得ない状況になってしまったということがありました。
先日の都市整備局の質疑でもちょっとお話ししたんですけど、新河岸というのは、荒川があって新河岸川に挟まれている場所で、ここから歩いていくと三田線の高島平駅まで橋を渡っていかなきゃいけなくて、ここは非常に新河岸団地、高齢化が進んでいるところなので、金融機関が郵便局しかなかったんですね。そこがなくなってしまうと、やはり高齢者が多いところだとキャッシュレス、全部使えるわけではありませんので、今後、都営住宅全体として、この金融機関についてどうしていくのかという取扱い、郵便局は民営化されていますので民間だという考えはあると思うんですけれども、金融機関として都営住宅の中でどう取り扱っていくかということも今後検討していただければなというふうに思っております。
次に、板橋富士見町アパートと板橋富士見町第三アパートについて伺います。
当該団地においては、現在建て替え事業が進められておりますが、居住者から空き住戸が多いのではないかという声、また居住者以外からも、あそこ空いているんだからちょっと入れてくださいよという声を、募集しないんですかという声をよく聞きます。
そこで、板橋富士見町アパートと板橋富士見町第三アパートの空き住戸数と、その用途についてお伺いします。
○青木建設推進担当部長 令和五年三月末時点におきまして、板橋富士見町アパートでは、管理戸数五百八戸のうち、公募用として準備中の四十二戸、建て替えの際に居住者の移転先となる事業用として二十八戸、合計七十戸が空き住戸となっています。
同じく板橋富士見町第三アパートでは、管理戸数百四十六戸のうち、公募用が二十六戸、事業用が三十二戸、合計五十八戸が空き住戸となっています。
なお、事業用の空き住戸につきましては、近隣団地の今後の建て替え計画を見据えて必要性を精査し、活用する可能性が低い住戸は公募用等に切り替えてまいります。
○松田(康)委員 今、富士見町アパートが五百八戸のうち七十戸、大体一四%、第三アパートは百四十六戸のうち五十八戸、約四〇%が空いていると。やっぱり多いなという印象を客観的に受けるものであります。空き住戸が多いと、団地を自主管理している自治会活動にも悪影響が出てしまいます。事業用住戸の必要性は理解をしておりますが、だからといって過大に確保し続けてしまうことのないように、必要戸数の見極めを的確に行い、余剰分はなるべく早期に公募に回すように求めておきます。
また、こういった活用をしているよとか、このぐらい、こういう理由で今空いているといったことを広報してもらうことによって、透明性を高めて、都民の理解を得るように努力をしていただきたいと思います。
また、都営で申し上げまして、今、都営成増団地が建て替えをしたところなんですが、空いた土地を今、練馬区の大泉特別支援学校にこれから貸し出して、令和十三年までかかる。非常に長い期間でありまして、ちなみにこの大泉特別支援学校って、板橋区の人は一人も通っていないんですね。
なので、成増団地の人からすると練馬区の子供たちをどうして板橋区でという思いがやはり少しありますので、これは教育庁に貸したからうちは違うよというのではなくて、ぜひ、住宅政策本部として持っている土地でもありますので、住民理解というところで、こういうことで今、練馬の大泉特別支援学校に貸しているんだよということをうまく地元とも理解を進めていっていただければなと思いますので、お願いをさせていただきます。
次に、東京こどもすくすく住宅認定制度について伺います。
本制度は、住宅事業者が制度を活用することで、民間住宅市場において子育てに配慮された住宅の供給が促進されることを目的とした制度でありますが、業界からは、そのようなメリットがある制度なのか疑問といった声も聞いております。
そこで、東京こどもすくすく住宅認定制度は、住宅事業者にとってどのようなメリットがあるのかを伺います。
○鈴木民間住宅部長 東京こどもすくすく住宅認定制度は、子供の安全が確保され、快適な子育てが可能となる間取りや設備など、子育てのための工夫が凝らされた集合住宅を都が認定する仕組みでございます。
住宅事業者や賃貸住宅のオーナーにとりましては、認定を取得することにより、物件の広告や紹介をする場面におきまして他物件との差別化を図るメリットがあり、住宅の付加価値の向上も期待できると考えております。
○松田(康)委員 認定を取得して差別化が図られることで、子育て世代、世帯に選ばれやすくなるということでありますが、業界にはそのような認識がまだまだ広まっておらず、制度の認知度の一層の向上が必要であると考えます。お客さんも、こっちの方がこんなにいいから多少高くてもここに住みたいなとならないのは、やはり認知度が足りないからであるというふうに思います。
都は、第三回定例会における我が党の質問にも答弁したように、認定制度の普及促進において、業界団体との連携や、新たな認定マークを活用した普及啓発に取り組んでいくということでありましたが、さらなる普及促進のために、具体的にどのような取組を進めていくのか伺います。
○鈴木民間住宅部長 今後、不動産開発、住宅管理、リフォームなど、関係団体との連携を強化しながら、認定住宅の竣工の機会を捉えた事業者向けの見学会を開催し、そのよさを実感できる機会を設けるほか、団体の広報誌等を活用して制度の周知を強化してまいります。
あわせて、新たな認定マークを作成し、住宅事業者や賃貸住宅のオーナーによる認定住宅の広告のほか、宅地建物取引業者や住宅情報サイトによる物件紹介に活用することなどによりまして、一層の認知度の向上を図ってまいります。
○松田(康)委員 ちょっと先に聞いておけばよかったんですけど、新たな認定マークってもう既に決まっているんでしょうか、すみません。
○鈴木民間住宅部長 現在、新たな認定マークを制作中でございます。
○松田(康)委員 失礼しました。新たな認定マーク、目に見えるというのは非常に分かりやすいと思いますので、ぜひ分かりやすい、親しみやすいデザインにしていただくことをお願いさせていただきます。
四月からこの制度が始まっているということなんですが、現在までの認定の推移はどうなっているのでしょうか。お伺いいたします。
○鈴木民間住宅部長 本制度を開始した令和五年四月から十月末までで十三件、八百三十三戸の認定を行っており、これらはおおむね二年後に竣工し、市場に供給される見込みでございます。
これは、本制度を創設する前に平成二十八年度から令和四年度まで実施していた東京都子育て支援住宅認定制度の認定ペースが年平均約五件、三百戸程度であったことに比べると、大きく伸びているところでございます。
○松田(康)委員 まだ始まって半年ですが、四月以降、認定実績が順調に伸びてきたということを今確認させていただきましたが、これ、じゃあ、なぜ実績が伸びているのかを伺います。
○鈴木民間住宅部長 本制度は、子育てに適した優良な集合住宅の供給を一層促進するため、従前制度を抜本的に見直し、認定基準の適合度合いに応じて認定モデルを三段階に拡大して、柔軟性の高い仕組みに再構築したこと、また、認定住宅の供給を都内全域で推進するため、住宅事業者等に対し、整備費の一部を都が直接支援する制度を創設したことなどによりまして、住宅事業者等の取組が拡大し始めているものと考えられるところでございます。
○松田(康)委員 認定モデルの三段階拡大ですとか、整備費の一部を都が直接補助ということで、こういったことが認知をされるとどんどん広がっていくと思います。
また、さらに一層の周知等が必要でありますから、業界団体としっかり連携をして、認定制度の内容や補助制度を含む事業者に有用な情報の周知、これに積極的に取り組んでいただきたいと思います。
次に、マンション対策、今度はマンションの防災対策について伺います。
第三回定例会の都議会自民党の代表質問では、都の災害対策ということで、近年頻発する水害に対する対策について議論をしてまいりました。そこでは、河川、下水の整備のみならず、個々の取組は小さいながら、みんなで取り組むことで大きな力を発揮する流域対策を一層強化する重要性について明らかにいたしました。
しかし、対策を進めても、水害が全く発生しないとはいい切れません。都内には数多くのマンションが立地をしており、こうしたマンションについても浸水対策が必要であります。一方、都では、マンションにおける防災対策を推進するために、東京とどまるマンションを推進しております。
そこでまず、この制度の趣旨について確認をさせていただきます。
○三宅民間住宅施策推進担当部長 都は、平成二十四年度より、災害による停電時でも住み慣れた自宅にとどまることができ、生活が継続しやすいマンションを東京LCP住宅として登録、公表する制度を開始し、令和四年度には、より都民に伝わりやすくなるよう、東京とどまるマンションへと名称を変更してございます。
本制度では、停電時でもエレベーター、給水ポンプが動かせる非常用電源を確保していることや、防災訓練を定期的に行うなど、ソフト対策を実施していることを登録要件としてございます。
○松田(康)委員 とどまるマンションは、災害時、停電が発生しても在宅避難をしやすいというような、非常用電源などを備えたマンションであるということですが、過去の水害においては、非常用電源などを備えた超高層マンションで浸水被害があり、長時間にわたる停電が発生した案件もあります。たとえ非常用電源を備えていても、電気室に水が入って電気設備が動かなくなってしまっては意味がありません。
そこで、都は、とどまるマンションの制度において、浸水被害についてどのように対策を推進しているのか伺います。
○三宅民間住宅施策推進担当部長 災害時に電源を確保するためには、非常用電源の確保とともに、電気室等に浸水対策がなされていることも重要でございます。
都は、令和二年度に、洪水等の発生時にマンション等の居住に支障を生じさせないことを目的として策定された国の浸水対策ガイドラインを踏まえまして、登録基準について一部見直しを実施いたしました。
具体的には、登録マンションの非常用電源の設置状況を公表する際に、電気室等の浸水対策の実施の有無についても併せて公表対象とすることといたしました。
○松田(康)委員 現在のとどまるマンションの制度においても、浸水対策の考え方が入っているということは理解させていただきました。
しかし、登録制度で電気室の浸水対策の有無を表示するだけではなくて、さらなる取組をする必要があると考えますが、見解を伺います。
○三宅民間住宅施策推進担当部長 既存マンションにおいて、電気室等の浸水対策の実効性をより高めるためには、個々のマンションの浸水リスクに応じた対策を検討することが必要でございます。そのため、想定される浸水高に応じた止水板や防水扉の設置など、ハード対策について、技術的課題を含め、現在、調査を行ってございます。
今後、調査結果を踏まえながら、水害時にも生活継続しやすい東京とどまるマンションの普及を促進してまいります。
○松田(康)委員 マンションの防災対策として浸水対策、そして、検討はこれから進めていくということも確認させていただきました。大規模な地震と豪雨が重なるなどの複合災害が発生するときにも、自宅での生活が継続しやすいマンションであるよう、ぜひ具体的な施策を検討して進めていただきたいと思います。
一方、既存マンションでは、建設時に非常用電源を設置していないマンションも多々あるのが現状であります。あるマンションで試算をしてもらったそうであります。五百戸ぐらいのマンションで、新築時でつけると大体非常用電源七千万円で、後づけをする、今住んでいるんだけれども、後でつけようとすると約一億円かかるそうであります。これを全額マンションの管理費でというのは、ちょっと不可能なお話であります。
震災時、とどまるマンションなので、とどまろうとしたときに、水道管、下水道管は、新耐震基準なので大丈夫だけれども、非常用電源がないことによってとどまれないという状況になってしまう。そういった場合もありますので、ぜひこちらの方も検討していただきたいというふうに思っております。既存マンションにおける非常用電源の設置支援、この検討を要望して、この質問を終わります。
次に、マンションの居住者における認知症対策についてお伺いをさせていただきます。
国の調査によると、二〇二五年には、六十五歳以上の五人に一人が認知症を発症し、累計七百三十万人にまで認知症患者が増加をする見込みと聞いております。当然ながら、マンションに居住する方の中にも認知症居住者が増えてくるわけで、このことは適正な管理にとって非常に大きな課題となってまいります。実際に、認知症居住者への対応に苦慮している管理組合の声も聞くところであります。オートロックで帰ってこられなくなってしまう、入れなくなってしまう、こんな人もいらっしゃるそうであります。
都は、この認知症対策などに取り組む管理組合を支援するために、新たにマンション管理士の派遣を開始したと伺っておりますが、この事業の概要と目的についてお伺いをいたします。
○三宅民間住宅施策推進担当部長 マンションにおける認知症居住者の増加により、管理費等の滞納のほか、総会での円滑な意思決定が難しくなるなど、マンションの管理運営上、多くの支障が生じ得るため、管理組合に対する適切な支援は重要でございます。このため、都は今年度から、認知症対応等に関する専門講習を受けたマンション管理士を管理組合に派遣することとし、十月から派遣申込みの受付を開始してございます。
本事業は、居住者間での認知症に対する理解を促すとともに、認知症居住者の実態に即した居住ルールの見直しや、地域包括支援センターとの連携方法など、認知症対応に係る実践的なアドバイスを管理組合に提供することによりまして、マンションの適正管理を図ることを目的としてございます。
○松田(康)委員 適切な認知症対策を行うためには、認知症の症状や行動様式などを十分に理解した上で対応していく必要があると考えます。
そこで、本事業では、例えばどのようなアドバイスが具体的になされるのかをお伺いいたします。
○三宅民間住宅施策推進担当部長 マンションの認知症居住者に適切に対応していくためには、個々の症状やマンションの設備等に応じ、ハード、ソフト両面から管理規約や細則の見直しを行うことが重要でございます。
そのため、例えばソフト面では、認知症居住者のための送迎車を駐車場に止められるよう駐車場使用細則を改正することや、管理人が郵便受けを解錠し、認知症居住者に郵便物を渡すことができるよう、メールボックス運用細則を改正することのアドバイスなどが考えられます。
ハード面では、鍵を忘れても顔認証で建物内に戻ることができるよう、オートロック扉を改修することなど、認知症居住者が安心して生活できる改修工事等をアドバイスすることが考えられます。
○松田(康)委員 本事業については、福祉局から講師を招いて講習会を行ったと聞いております。ここで得た結果をぜひフィードバックをしていただき、住宅政策本部とマンション管理士、さらには福祉局と指導いただいた永生会本部の鈴木先生など専門家にも入っていただき、実際にやってみた結果を今後にも生かしていただきたいと思います。
また、認知症の拠点病院でもある健康長寿医療センターとも、連携できるところはしていただきたいなと思っています。健康長寿医療センターは、今、板橋区と連携をして、高島平団地というのがあるんですが、この間もちょっとお話ししたんですが、ここは六十五歳以上の高齢化率が四五%を超えていて、板橋区内の平均が二三%、倍なんですね。なので、ここを認知症の研究対象としてやったところ、一番顕著に出たのが、認知症だと分かっていない、診断をされていない認知症患者があまりにも多いということが分かったということが結果として出ております。これから高齢化が進んでまいりますので、こういった知見を生かして、応用してやっていただければと思っております。
次に、マンションのコミュニティ支援について伺います。
マンション防災という面でも、隣に誰が住んでいるのか分からないという状況と比べ、住民同士が顔見知りで日常的な交流がある方がはるかに効果的な取組を進められるのではないかと思います。こうした観点から、例えば地元板橋区の管理計画認定基準には、コミュニティの形成に関する独自要件があり、区内のマンションで積極的に挨拶運動に取り組んでいる事例も承知しております。
都は、適切な維持管理を図る上でのコミュニティの重要性について、普及啓発を図るとともに、良好な取組事例の発信にも積極的に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
○三宅民間住宅施策推進担当部長 良好なコミュニティの維持、形成は、日常的なトラブルの防止や防災、防犯、大規模修繕工事の円滑な実施など、マンションの適正な管理を確保する上で重要でございます。
このため、都は、マンション管理ガイドブックにおきまして、良好なコミュニティ醸成に向けて管理組合が実施すべき具体的な取組等について紹介するほか、昨年度には、優れた居住者の交流活動を行っているマンションを取材し、ポータルサイトに掲載いたしました。
今後、このポータルサイトにおける事例をさらに充実させることによりまして、良好なコミュニティの醸成を一層促進し、マンションの適正な管理を支援してまいります。
○松田(康)委員 良好な先行事例を紹介していく、ポータルサイトなどでも発信をしていくということでありましたが、ぜひ局同士の横連携をしていただきたいなというふうに私はすごく思っています。なかなか住宅政策本部だけでやれる事業というのは限られていますし、予算もそれほど多いわけではないと思いますので、限りがありますので、ぜひ連携をしていただきたい。
先ほどの福祉局との連携もそうですし、その前にいった非常用電源に関しては総務局とも連携をしていただきたいなとも思いますし、今、コミュニティの話をさせていただきましたが、例えば地元のJKKで自主防災組織を立ち上げても、町会、自治会対象の生活文化スポーツ局の助成金は使えないということがあるというふうに聞いております。
住宅政策本部が横連携をしっかり果たしていくことによって、マンション対策には取り組んでいただきたいと思います。この横連携に向けて本部長の決意をといいたいところでありますが、今日は通告しておりませんので、要望して、質問を終わります。
○中山委員 コロナ禍、ウクライナ危機、さらには円安も重なりました今回の物価高では、住宅政策本部でも、都営住宅の建て替えや改修などの工事契約が影響を受けております。都議会公明党は、これまで実勢価格変動に応じた見直しなどを求め、都も対応してきたところであり、住宅供給公社も真摯に対応してきたものと思います。
しかし、この十月に至りまして、十一月以降の都営住宅の空き家改修工事の発注を大幅に絞る旨が、都内十六か所の東京都住宅供給公社の窓口センターから工事店に口頭で伝えられ、一部は書面化もされたところであります。空き家工事の遅れは、入居を希望する都民の期待に背くものであるとともに、多くの都民が働く都内の工事店に、倒産や解雇などの深刻な影響を与えかねません。
昨年末から今年にかけて実施されました都による物価高対応などの緊急措置が、年度後半の工事発注の大幅な削減を初めから念頭に置いたものであったとしたら、とんでもないことであります。仮に、住宅政策本部内の努力だけでは深刻な事態を回避できないのであれば、財務局と交渉し、補正予算でも予備費の流用でも何でも対策を講じるべきであります。
たとえ一部に誤解があったのだとしても、悲観的に受け止めざるを得ないような発信の仕方をしたのは事実であります。改めて、そうした事態を招き、不安を増大化させたことに強く抗議するとともに、今回、この問題をどう迅速に対処していくのか、そして来年度にどう備えるのか、見解を求めます。
○小久保営繕担当部長 都営住宅の空き家補修は、従前居住者の退去後、新規入居者に新たな生活を快適に始めていただくために重要な業務でございます。住戸ごとに劣化状況が異なることから、現地調査に基づくきめ細かな対応が必要であり、工事店の皆様にご協力をいただきながら適切な実施に努めているところでございます。
今年度は、新規入居者の募集拡大に伴い、年度前半に例年よりも多くの空き家補修を実施したため、年度後半からは、発注に当たり年間を通じた調整を図っているところでございます。
具体的には、今年度十一月から三月に補修工事を実施する案件、令和六年度早期に実施する案件、それ以降に実施する案件などに都が速やかに振り分けを行い、補修工事を着実に実施いたします。
○中山委員 来年度に備えまして、今回の出来事で得ました教訓をぜひ都庁全体で共有し、今後とも都民の期待に応える住宅政策を推進していただきたいと思います。
次に、賃貸住宅のサブリース契約問題について質問します。
借地借家人の権利を手厚く保護する法の優遇措置を悪用するサブリース会社や、優遇措置の内容を正しく理解しないまま締結してしまったサブリース会社との賃貸借契約を解約できずに、家賃の収入減や資産価値の目減りに苦しむ声を私たちは直接伺い、不動産業課にもお願いし対処を求めてきました。
しかし、二〇一八年には、スマートデイズ社によるかぼちゃの馬車事件を機に、借地借家法の規定の実質的な改正に当たりますサブリース新法、賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律が二〇二〇年十二月十五日に施行されました。その第三章には、詳細は省きますけれども、誇大広告の禁止、不当な勧誘等の禁止、重要事項説明の義務化などが制限事項として加わったところであります。
しかし、問題は、平成三年、一九九一年以前の旧法で契約された借地契約につきましては、更新されても旧法が適用されますし、先ほどの三つの禁止事項も遡っては適用されません。
そこで、住宅政策本部は、今後、悪質なサブリース契約を安易に締結することによって後々から後悔するような都民が発生しないよう、サブリース新法などの周知に積極的に取り組むべきと考えます。見解を求めます。
○鈴木民間住宅部長 サブリース契約に関し、ただいま委員からお話があったように、都の相談窓口にも物件の所有者から、解約が困難である、更新時に一方的に賃料が減額されてしまうなどの相談が寄せられており、都としましても、様々なトラブルが発生していると認識しております。
都は、こうしたトラブルにつきまして、賃貸住宅管理業法を所管する国と情報共有を図るとともに、弁護士相談等で個別に対応しております。
また、昨年度には、都のホームページにサブリース契約の注意点を掲載したほか、宅地建物取引業者や都民向けに分かりやすく説明した動画を作成するなど、積極的に周知を行いました。
今後、高齢者を念頭に、投資用不動産やサブリース契約のリスクに関する注意事項を盛り込んだチラシを新たに作成しまして、一層の普及啓発に取り組んでまいります。
○中山委員 これまで私から都へ、旧法などの下でサブリース会社等の契約を解約できずに苦しむ都民の実情を訴え、都が真摯に相談や普及啓発に速やかに取り組んできたことは高く評価します。さらに、より一層の普及啓発を希望します。
その一方で、下請被害や労働トラブルなどでは、あっせんが法律で定められておりまして、東京都も、強制力は持たないものの都民からの相談に本人に代わって相手方に対処して、かなりの成果を上げております。今後、ぜひ法制度の改善を国に求めてもらいたいというふうに思います。
続きまして、東京こどもすくすく住宅認定制度について質問いたします。
まずは、その実績でございますが、先ほどの質問と重複しますので割愛いたします。
東京こどもすくすく住宅認定制度によりまして、子育てしやすい住宅環境が大きく整っていくためには、助成制度に合わせて都自らの率先行動、すなわち都営住宅や公社住宅での実践が重要でございます。
そこで、我が党は十月十日、積極的に東京こどもすくすく住宅認定制度に取り組んでおります新築の公社住宅である杉並区松ノ木のカーメスト新高円寺を、地元のまつば政調会長と共に本委員会の加藤理事、そして私中山の三名で視察をいたしました。この公社住宅での取組につきまして、改めて説明を求めたいと思います。
○今井連絡調整担当部長 東京都住宅供給公社は、子育てしやすい環境を整備するため、これまで、こどもすくすく住宅の認定を六住宅、九百二十九戸で取得してございます。
本年八月に竣工しましたカーメスト新高円寺では、住戸内では、指挟みを防止するドアや、感電事故を防ぐシャッター付コンセントを備え付けたほか、コミュニティ形成のきっかけづくりとして入居者同士が交流できる集会室や、保護者が見守りながら子供を遊ばせられるキッズスペースを共用部に整備したところでございます。
こうした取組により、カーメスト新高円寺の全住戸の約三割に当たる六十五戸がアドバンストモデルの認定を受けたところでございます。
○中山委員 子育て支援の点を含めまして、すばらしいスペックを持った住宅であります。まつば都議によれば、入居を念願されていた地元の方が、その念願かなったということでございまして、大変喜んでいたとのことでございます。
公社住宅での子育て環境の整備への取組は、都営住宅でも実践されるべきであると考えます。低所得のファミリー世帯が多く生活する都営住宅でも、子育て支援に優しい環境を整えることが必要でございまして、まずは、セーフティーモデル、子供の安全の確保に特化したモデルだけでも認定取得を目指すべきであります。
認定の取得を含めて、都営住宅でも子育て環境の整備について積極的な対応を図るべきと考えますが、見解を求めます。
○相羽技術企画担当部長DX推進担当部長兼務 都営住宅は、現状において、室外機置場が足がかりとならないようベランダ手すりとの距離を確保するなど、東京こどもすくすく住宅認定制度のセーフティーモデルとほぼ同等の仕様となっております。加えて、一定規模以上の団地では、セレクトモデル以上で要件としている子供が遊べる広場を整備しています。
今後も、子供の安全の確保にも有効な都営住宅の整備に努めていきます。
○中山委員 ほぼ同等ではなくて、建て替え後の都営住宅では、一つ一つの団地ごとに認定の取得をぜひ目指していただきたいと思います。
カーメスト新高円寺を視察しまして感銘を受けた点は、ほかにもございます。ベランダに面した部屋の窓近くに、天井から物干しざおの設置器具が取り付けられていた点でございます。最近、都営住宅が建て替わりますと、ベランダの天井に物干しざおを受け止める器具が設置されておらず、従前居住者の方が入居して苦情を頂戴することがあります。年金暮らしの年寄りにホームセンターまで行って購入させ、重たいものを持って、据置き台から買ってこなければならない場合がありますから、あるいは高いところに金具を自分で取り付けろというのかと憤慨の声をお伺いすることがあります。ベランダの柵の内側に設置されている物干しざおを受け止める器具の高さでは、とても丈の長い洗濯物を干せないとお困りの声もあります。
先ほど紹介した公社住宅の対応は、カーメスト新高円寺が初めてとのことですが、カーメスト新高円寺で新しい対応に至るまでのこれまでの経緯や、今後の対応について見解を求めたいと思います。
○今井連絡調整担当部長 これまで、公社住宅では、景観への配慮のため、平成二十年度以降に竣工した住宅において、物干し金物をバルコニーの手すりの内側に取り付け、道路等から見えにくい位置に設置してございます。カーメスト新高円寺では、共働き若年世帯を主なターゲットにしたことから、これまで同様バルコニーに加え、新たに室内用の物干し金物を設置したところでございます。
今後も、景観に配慮し、物干し金物をバルコニーに設置するとともに、住宅ごとに入居者のターゲット層やニーズを踏まえ、室内への設置を検討してまいります。
○中山委員 ニーズを踏まえて室内への設置を検討していくということで、そのご答弁に感謝したいと思います。
その上で、景観に配慮しながらも、生活の不便を来すことがないようにするための必需品でもありますので、普及を図る意味からも、都営住宅から率先して導入を図るように希望しておくものでございます。
今は、子育て支援環境の整備を話題としましたが、当然のことながら、高齢者が暮らしやすい住宅環境整備も大事な取組でありまして、例えば、東京こどもすくすく住宅認定制度の高齢者支援版を、今後、都として整えていくことを提案しておきます。これは、公営、民間の別を問わず、しかも集合、戸建ての別も問わず、賃貸も分譲も問わないことを前提とした提案でございます。
私の念願として、高齢者の方々、障害者の方々に優しい住環境の一つとして、スロープの設置促進と、その勾配基準の見直しということがございます。
当然、全ての段差をスロープに変える必要はなく、健康増進のためにも階段とスロープの両方が設置され、選択できることを今後強く標準としていくことを想定したものでございます。
また、エレベーターなどによる代替措置も、当然、可とする前提の上での話でございます。当然、スロープやエレベーター等は、後づけするのは困難な場合もありまして、集合住宅だけではなく、個人住宅も、今後の長寿命化、中古流通市場の活発化等にも備えて、新築時からの対応が望ましいものと考えます。
私は、この点を先日の都市整備局の質疑でも取り上げました。現在の都条例は、国が対象としていない集合住宅をも義務づけとする優れたものでありますが、私は戸建て住宅も対象に加えるとともに、二千平米以上の床面積という都の面積要件につきましても撤廃を求めたところでございます。
現行の国の勾配基準につきましても、老老介護で自力走行の車椅子を押す利用者の方々からは、とても一階に住んでいてもスロープが上れなくて大変だというお声を頂戴することがございます。都独自に見直すことも、その際求めました。
都市整備局が条例で規定していない戸建て住宅などの建築物につきましては、個人住宅の所管局であります住宅政策本部等とも連携して検討するとの旨の答弁をしてくれましたが、同じ質問内容を住宅政策本部に対しても重ねておきたいと思います。見解を求めます。
○鈴木民間住宅部長 都は、令和四年三月に改定した住宅マスタープランにおきまして、住宅のバリアフリー化を広く促進し、居住環境の向上を図っていくとしており、共同住宅における管理組合等への支援や、都営住宅や公社住宅の建て替えによるバリアフリー化の促進のほか、高齢者や障害者のいる世帯に対して住宅改修の助成を行う区市町村と連携して、住宅のバリアフリー化を促進しております。
こうした取組を二〇三〇年度に向けて施策展開しながら、戸建住宅などの建築物のバリアフリー化の促進につきましても、都市整備局とも連携して取り組んでまいります。
○中山委員 ぜひ関係局と連携の上、積極的な見直しを求めたいと思います。
高齢者支援という点では、買物支援のための移動販売も重要な視点でございます。移動販売車が団地を訪れましたら、ふだん閉じ籠もりがちであったご高齢の居住者の方も部屋を出るきっかけになりますし、移動販売車を中心に団らんの輪が広がり、コミュニティが復活します。
私は、かねてからこの点の推進を求めてきましたが、これまでの広がりの実績と、直近の足立区での動きなどにつきまして見解を求めたいと思います。
○平松都営住宅企画担当部長 平成二十九年十二月から開始しております都営住宅における移動販売サービスは、これまで順調に実施箇所数を伸ばしてございます。
本日十一月十六日現在では、足立区内では二十二の移動販売を行っております。今月十一日から始まりました青井五丁目アパートでは、個人農家が週一回野菜を販売しております。また、十三日から始まりました青井三丁目第二アパートでは、二つの民間事業者が取り組んでございまして、一方の事業者は週一回食料品を、もう一方は月一回食料品、生鮮品、日用品を販売しております。
○中山委員 足立区では二十二か所目ということで、ぜひ都内全体で、希望に応じてさらに増やし、買物不便地域の解消を目指していただきたいと思います。
ちなみに、買物可能な距離感というのは、車や自転車の使用の有無などによっても異なりますし、個々人ばらばらでございます。高齢者の方や障害者の方などの感覚に寄り添って、道路や公共交通が発達している都内であっても不便地域というのがあるんだという前提で、今後とも取り組んでいただきたいと思います。
続きまして、都営住宅では、通常は家主が担うべき管理業務のかなりの部分を自治会に依存しております。居住者だけではなく、役員本人も高齢化が進む都営団地の自治会にとりましては、居住者間のトラブルが居住者と自治会役員との間のトラブルに発展し、苦慮しております。そのことが自治会役員の引受手不足の一因ともなっております。
そこで、我が党は、自治会役員が弁護士に相談できる制度を設けるよう提案し、そのスタート時には大きな期待と感謝が寄せられました。
しかし、実際に蓋を開けてみますと、スタート前から多少懸念しておりました点が的中しておりまして、相談の予約が取れない、いつになったら実際に相談できるのかなどの苦情や問合せが相次いでおります。
そこで、これまでの実績と今後の改善につきまして見解を求めますとともに、共通した相談内容の都営住宅全体へのフィードバックを図るべきだと考えますが、見解を求めます。
○平松都営住宅企画担当部長 都は、居住者間トラブルなどの自治会等による自主的な解決支援を目的に、令和四年九月から、東京都住宅供給公社による無料弁護士相談を開始いたしました。四年度は月に一度、予約枠を四件といたしまして、二十八件実施いたしました。この申込み状況を踏まえまして、五年度には予約枠を六件に増やしております。
今後、さらに自治会役員の方が相談しやすいよう、実施体制の強化を図ってまいります。また、個人情報などの取扱いに注意をしながら、可能な範囲で相談内容を自治会等へ提供できるように検討してまいります。
○中山委員 今、ご答弁いただきました内容の推進をよろしくお願い申し上げたいと思います。
もともと都営住宅に限らず、町会、自治会は、法的には任意団体とされておりまして、家主であります東京都といえども、居住者の方々に加入を強制する権限はないとされております。本来任意団体であります都営住宅の自治会に対し、都営住宅の維持管理機能の重要な役割を依存していること自体に無理が生じる淵源があります。
したがって、我が党は、自治会が存在していても機能していない、あるいは、存在すらしていない団地での東京都の役割の強化を求め、改善を促してまいりました。まず、この点、本年三月の我が党の質問以降の東京都の取組の成果につきまして、見解を求めたいと思います。
○平松都営住宅企画担当部長 都は、自治会活動の負担軽減のため、都営住宅の共用部分について、居住者が自ら行っている草刈り等の作業を都が代わって行い、その費用を居住者から徴収する仕組みを平成二十九年度から導入してまいりました。さらなる負担軽減のため、全約二千の自治会等に対しまして、この仕組みに追加する作業の項目や、排水管清掃の実施状況等のアンケート調査を行っており、現在集計中でございます。
今後、この結果を基に、自治会支援の仕組みのさらなる充実を検討してまいります。
○中山委員 しっかりと調査して、自治会支援だけでなく、自治会をつくりやすくなる工夫や自治会が機能するまでの役割の代替についてもさらに検討していただきたいと、そういうふうに思いますので、よろしくお願いします。
都営団地の自治会が高い志を持つ入居者の方々の善意によって円滑に機能し、トラブルの発生などにも前向きに対処していけるだけの環境を整えるためには、入居者の自治会活動への積極的な協力を醸成することが必要であります。その努力を東京都自身が、まず労を惜しまず取り組むべきであります。
その点、自治会役員からは、まず入居時に都として、入居後の円滑な団地生活に必要な予備知識や、自治会活動への望ましい協力の在り方などを徹底してもらいたいとの要望を多数頂戴しております。円滑な団地生活のために、自治会役員や現入居者がどのように協力し合って取り組んでいるのかを理解して入居するのと、ほとんど知らないまま入居するのとでは、大きな差があります。
そこで、都は、新規の入居者に対し、みんなで力を合わせ、都営住宅の維持と管理に努めていく必要があることを書面での周知はもとより、基本的には対面を原則にしっかりと説明するように求めるものです。年齢を重ねた新規の入居者の方もいらっしゃいますことから、なるべく最寄りの場所で、共通の映像やリモートなどの手法なども用いまして効果を上げるべきと考えますが、見解を求めます。
○平松都営住宅企画担当部長 現在、都営住宅におけます住まい方のルールにつきましては、入居の手続に際しまして、冊子やルールを記載した書面を送付し、周知していますとともに、この書面にルールを遵守することを署名していただき、提出を求めております。また、自治会の役割や活動内容等について解説したリーフレットを配布し、理解と協力を求めているところでございます。
委員ご指摘の点も踏まえまして、自治会活動への積極的な参加、協力が住みよい環境をつくっていくことを新規入居者に理解していただけますよう、今後、DX化の流れも注視しつつ、周知方法を幅広く検討してまいります。
○中山委員 幅広く検討していただいて、よろしくお願いしたいと思います。
同様の取組の必要性は、現居住者の間でも、やはり定期的に実施されていくことが望ましいと考えます。しかし、自治会の総会などを開催しても、仕事や家事、さらには通院や介護などもありまして、なかなか数多くの出席は望めない現状と伺っております。
そこで、多くの世代から喜ばれるような楽しい企画や、多くの居住者が関心を抱かれる情報の提供などと併せて、そうした団地生活を円満に営んでいくために必要な、基本的な生活ルールの再確認などの機会を、東京都として確保するよう提案したいと思います。見解を求めます。
○平松都営住宅企画担当部長 都営住宅では、居住者が住まい方のルールを守り、自治会等に協力しながらコミュニティの維持を図っていくことが必要でございますので、これまで、「すまいのひろば」等を活用してルール等の周知に努めてまいりました。
今後、団地内で開催するイベントなどの機会を捉えまして、住まい方のルールについても再確認していただく取組の実施を検討してまいります。
○中山委員 ぜひ、参加したくなりますような工夫を凝らして、実施していただきたいと思います。
次いで、防災対策、中でも水害対策を取り上げたいと思います。
先日の都市整備局への質疑の中で、私は、首都高速道路の高架部を活用した、逃げ遅れた周辺の住民の方々の緊急避難につきまして質問しました。都は、令和二年に改定したマンション管理ガイドブックに風水害対策の解説を記載し、管理組合に周知しております。今後は、我が党などの提案でスタートしましたマンション適正管理啓発隊など、マンション管理の専門家を派遣する制度を活用して、個別のマンションごとに防災の取組の進展を促していただきたいと思います。
一階部分の止水板の配備や電源装置の水没回避、マンション内やマンション周辺からの垂直避難体制の要請に対する対応など、対処すべき課題が明らかになっております。東京都は、こうした点で改訂版が配布される予定であります「東京防災」等の活用を含め、周知や相談の体制を整えるべきと考えますが、見解を求めます。
○三宅民間住宅施策推進担当部長 都は、令和元年度のマンション管理ガイドブックの改定時に、策定中であった国の浸水対策ガイドラインを踏まえて風水害対策の解説を記載し、広く管理組合に浸水対策についての周知を図ってまいりました。
加えまして、マンション適正管理啓発隊など専門家をマンション管理組合に派遣いたしまして、浸水対策の周知を行ってございます。
また、関係各局と連携しまして、東京防災学習セミナーや、リニューアルして全世帯に配布する防災ブックの活用などを通じまして、マンションの水害対策について取り組んでまいります。
○中山委員 積極的な取組を期待したいと思います。
同様の取組は、都営住宅や公社住宅でも重要であります。加えて、今後、都庁の関係局とも連携しまして、講師派遣や、魅力的な防災、減災講座の開催や、訓練の実施など、家主が都庁であるというメリットを生かして、工夫を凝らして実施すべきと考えます。そうすれば居住者の方々の自治会活動などへの協力度というものが一段と増すきっかけになるものと考えます。見解を求めます。
○平松都営住宅企画担当部長 団地の防災力向上に向けまして、都営住宅及び公社住宅におきましては、居住者等による自衛消防訓練や、居住者の状況や地域の属性に応じまして周辺の町会等とも連携した防災訓練を実施しております。
今後、こうした取組に加えまして、総務局とも連携し、専門家の派遣も受けられる東京防災学習セミナーや、首都直下地震や豪雨などの大きな災害に備えた東京防災ホリデーセミナー等の周知を図りまして、居住者等に参加を働きかけることで、各団地の防災力を一層高めてまいります。
○中山委員 他の局からうるさいと思われるぐらい、積極的に連携の強化を発揮していただきたいと思います。
都営住宅の空き家を活用しました垂直避難の実施に期待が高まっております。足立区内の自治会長からは、建物の棟ごとに一室、毎年避難場所の確保をお願いしたいとの要望を承っております。それだけ車椅子や寝たきりに近い、一階、二階の居住者の方々が多いということを自治会として把握していらっしゃって、近くの小中学校や団地内のどこかの建物の中に避難するんではなくて、自分、その方が住んでいる棟の中で避難できた方が、それを助けて避難させる自治会役員としても助かるということだそうでございます。
都は、現在、建て替えなどの機会を活用して、団地内の中高層階への集会所や備蓄品倉庫機能の確保を進め始めておりますが、多くの既存住宅では、まだ当面そうした効果を期待できません。毎年、垂直避難用に確保する住戸に備蓄品を備えておく方が現実的、効果は高まるものと考えます。見解をお伺いいたします。
○小町経営改革担当部長 都営住宅等の空き住戸を緊急避難先として活用するに当たりましては、区市に団地名や希望階数などを確認した上で、公募や建て替え事業での入居時期を考慮しつつ、可能な戸数の確保に努めております。住戸が確定し次第、鍵の受渡しとともに緊急避難に必要な非常食等をあらかじめ配置できるよう、今年度、さらなる運用改善を図ったところでございます。
来年度からは、空き住戸の情報をさらに精査し、可能な限り各棟で一戸提供できるように取り組んでまいります。
○中山委員 可能な限り各棟で一戸ということで、大変期待したいと思いますので、よろしくお願いします。
政策連携団体であります東京都住宅供給公社における避難場所確保の取組についても見解を求めたいと思います。
○今井連絡調整担当部長 東京都住宅供給公社では、水害など災害発生時にはコミュニティサロンや空き住戸を居住者の一時避難場所として提供し、空き住戸が十分に確保できない場合には近隣の公社住宅も活用し、居住者の安全確保に努めてございます。
また、都民の安全・安心の確保に資するよう、足立区、墨田区、江東区、大田区、北区、荒川区、葛飾区及び江戸川区の八区と、公社住宅の共用部分を緊急避難先とする覚書を締結しておりまして、近隣住民の方にも共用部の廊下等を開放することとしてございます。
○中山委員 今後の前進を期待したいと思います。
我が党は、災害発生後の建築物の被害認定や、応急危険度判定の効率化を強く求めてまいりました。都営住宅の応急危険度判定につきましては、最新の技術を用いるなどして一層の改善を図るべきでございますが、現在までの成果と今後の取組について見解を求めます。
○小久保営繕担当部長 都営住宅の応急危険度判定は、震災後の建物の倒壊の危険性などを速やかに判定し、人命に係る二次的災害を防止することを目的に実施するものです。
都はこれまで、発災時の実施体制の構築、講習会の開催による判定員の能力向上などに取り組んでまいりました。
今後は、タブレットなどで操作可能な判定アプリの導入を検討し、判定実施地域の選定及び判定員の配置を最適化するとともに、判定員の負担軽減や本部への結果報告及び集計の自動化を行うことで、判定業務の省力化と迅速かつ正確な判定の実施を図ってまいります。
○中山委員 アプリの導入によります集計の自動化を進めて、判定の迅速化を平時の今からよろしくご準備願いたいと思います。
私は、かつて都営住宅の間取り図面の管理がいまだ手処理で行われており、同一の間取りの図面は同じ寸尺であるべきところ、行政側の担当者によって異なる図面を引き継いでおり、空き家補修等の工事発注のたびごとに、工事受注者が現場に赴いて図面を書き起こす必要があることなどの事例を指摘して、DX化に向けた改善を求めたことがございます。DX化は、働き方改革の本格適用を目前に控え、発注者も受注者も共に就労時間の短縮化につながる効果を期待できます。
そこで、都営住宅での間取り図面のDX化の進展状況と、今後の見込みにつきまして見解を求めます。
○小久保営繕担当部長 都営住宅の住戸平面図などのDX化につきましては、計画的な維持保全や、工事受注者の作業の効率化などのために重要でございます。
都は、平成十五年十月に、都営住宅建築工事特記仕様書を改定し、新築工事の完成図面を電子納品とすることといたしました。また、それ以前に建設された住宅につきましても、一部の主要な図面の電子化を行っております。
修繕工事等に必要な図面は、東京都住宅供給公社から工事受注者へ提供しておりますことから、公社と連携の上、改めて工事受注者に具体的なヒアリングなどを行い、作業の効率化に向け、どのような方策が効果的か検討してまいります。
○中山委員 DX化の進展には費用も伴いますので、委託費で適正に見積もることを検討してもらいたいと思います。費用対効果は十分に備わると思われますので、しっかりとした対応をお願いします。
住宅政策本部は、我が党が求めてきた空き住戸の見える化につきまして、これを実現するとともに、公募に回しても埋まらない住戸の毎月募集や随時募集化などの改善についても積極的に実施しております。
しかし、都営住宅事務は、そもそも空き住戸の詳細な情報について、現在の管理システムでは全ての情報は把握できず、住戸の基本情報と空き住戸の修繕の情報などが別々に管理されており、これを突き合わせて募集住戸の選定事務を行っていると聞いております。このことが使用料の増収や募集に回せる空き住戸数の拡大の足かせになっておりまして、空き住戸の抜本的な改善に向けては、DX化をこの点でも推進していくことが急務であります。
まず、令和四年度の空き住戸の現状を尋ねるとともに、今後の都営住宅の管理システムの改善など、DX化による空き住戸の縮減に向けた取組について見解を求めたいと思います。
○小町経営改革担当部長 令和四年度末の空き住戸につきましては、約二十五万戸の管理戸数に対し、事業用空き住戸が約八千戸、募集用の空き住戸が約二万二千戸となっており、その割合は約一二%でございます。
都では、都営住宅管理業務の効率化等を目的として、令和八年度に、都営住宅管理総合システムを再構築することを予定しております。現在、現行のシステムにおいて管理項目となっていない空き住戸の修繕の状況や、募集中の住戸の状況などを一元的に管理できるよう、次期システムの機能について精査を進めております。
このほか、令和六年度から、AIを活用した空き住戸発生予測の導入などにより、退去から入居までの期間短縮を図り、空き住戸の縮減に努めてまいります。
○中山委員 DX化と並びまして、都営住宅が求められている社会的ニーズの一つに、省エネ対応がございます。その点では、まず、住宅政策本部が環境局と連携して取り組んでおります民間住宅での省エネ改修の促進についてお伺いしたいと思います。
補助金などの支援により、呼び水効果を発揮して既存住宅の省エネ化を進めることが大事でございまして、それで、既存住宅への省エネ補助金の実績と、今後の取組について見解を求めます。
○三宅民間住宅施策推進担当部長 二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けまして、既存住宅の省エネ化を推進することは重要でございまして、都では、令和四年度より、良好な既存ストックの形成に向け、東京都既存住宅省エネ改修促進事業を開始し、省エネ改修の促進を図ってございます。本事業の令和四年度の実績は、省エネ診断一件、省エネ改修四件でございます。
今後とも、東京都省エネ・再エネ住宅推進プラットフォームなどを通じて、住宅関係団体との連携を図りながら、既存住宅の省エネ改修を促進してまいります。
○中山委員 省エネ化の取組は、都営住宅や公社住宅でも進捗させていく必要がございます。当然、建て替え時の方が省エネ化しやすいですので、そのことはしっかりやっていただくとして、ただ、大多数の住宅は建て替え前の都営団地ですから、そこで効果を発揮しないと省エネ化の効果が発揮できませんので、居住者が生活を続けながら行う省エネ改修につきましても含めて見解を求めたいと思います。
○小久保営繕担当部長 都営住宅では、現在、いわゆる住宅の品質確保法で定める断熱等性能等級における等級四の基準を満たす仕様で建て替えを行っておりますが、今後の建て替え工事のための基本設計には、断熱性能を向上させた新しい基準の適用を進めているところでございます。
既存住棟につきましては、屋上防水の改修工事において屋根の断熱性を高める仕様とし、脱炭素化と室内の熱環境の向上を図っております。生活を続けながら改修が可能な断熱工法として、建物の外壁に断熱材を貼る工法がございます。この工法は、建物の両端にある住戸への断熱効果は高いものの、コストに加え、他の住戸部分への効果が少ないなどの課題がございます。
引き続き、建設材料などの技術開発動向を注視するとともに、省エネ改修について検証を行ってまいります。
○中山委員 省エネ対応ということで、都営団地には太陽光発電装置が設置されておりますが、都営団地の方は恵まれているなとあらぬ誤解を受ける場合がございます。
一般会計で既存住宅への設置を進めておりますので、売電益は一般会計に入る。建て替えの場合は都住会計から支出していますので、都住会計に売電益が入る。基本的に、住んでいる方々に経済的メリットというものは保証するものではございません。
そうした点をきちっと理解していただいて、都民から支持される、そういう取組とすべきだと思いますけれども、積極的なアピールというものを、大事だと思いますが、見解を求めたいと思います。
○青木建設推進担当部長 都営住宅に設置した太陽光発電設備の電力は、一部をエレベーターの籠内照明等、住棟の共用部に利用しているほか、全量を売電しており、こうした再生可能エネルギー導入促進の取組により、東京における脱炭素化に貢献しています。
都営住宅における太陽光発電設備設置の取組について、都民の理解を得ていくため、様々な機会を捉えて事業の目的や実績等を広く発信してまいります。
○中山委員 環境対応ということをきちっとやっていきながら、そのためには費用がかかりますので、その費用というものは、原則的には都営住宅の使用料という賃料から賄っていくというのが原則だと思いますけれども、いろいろな課題がありまして、大変な、その使用料収入だけでは難しいという側面もあるのではないかと思います。
まずは、使用料につきましては減免制度というのが整えられておりますけれども、それが現状どのくらいの金額なのか、過去の実績でお答えいただきたいと思います。
○平松都営住宅企画担当部長 都営住宅使用料減免の制度は、生活困窮者、母子、父子、高齢者、心身障害者等の世帯からの申請に基づきまして、収入等に応じて決定いたしました使用料を減額、免除するものでございます。
直近三年間の減免額は、令和二年度は約百五十六億円、令和三年度は約百五十六億円、令和四年度は約百五十七億円となってございます。
○中山委員 それだけの金額の収入減というものがありながら、しっかりと制度を維持しているということでございまして、今後も大変な中でやりくりをしている住宅政策本部の方々には感謝をしつつ、次の質問に移りたいと思うんですが、独自の収入を上げていくという面で、コインパーキングの取組というのはどのぐらいの収入を上げているのか、その点についてお伺いしたいと思います。
○木村再編利活用推進担当部長 コインパーキング事業は、都営住宅における迷惑駐車の防止及び来訪者等の利便性向上を図ることなどを目的として平成二十六年度から開始し、昨年度末時点で八十二団地、八十三か所で実施しておりまして、昨年度の収入額は約一億二千万円でございます。
今後とも、駐車場の空き区画を有効活用し、順次コインパーキングの設置を進めてまいります。
○中山委員 コインパーキングによる収入アップということと併せて、都営住宅の本来の目的を損なわない中で、地域が望む再開発、そうしたものへもきちっと対応していくということがとても大事かと思います。その場合には、底地を手放さないで安定した収入の源として確保して、そこで得た利益をきちっと都営住宅の設備改善等に生かしていくということが大事かと思います。
私の地元足立区に青井の地域がございまして、つくばエクスプレスの青井駅があるんですけど、周りが都営団地しかないと。青井団地はまだ建て替えの時期じゃないんですけれども、そうした建て替えが来るときには、待っているんじゃなくて東京都の方から積極的に、ある程度の中高層化を図りながらにぎやかな商業施設などを呼び込んでいただけるような、そういう計画を例えば地元であれば足立区と協議してとか、そういうことを展開していくべきだと思いますけれども、見解をお伺いいたします。
○木村再編利活用推進担当部長 都営住宅の建て替え等による創出用地は、都民共有の貴重な財産であり、まちづくりに効果的に活用し、都の政策目的の実現や、地域の課題解決を図ることが重要でございます。
例えば、桐ケ丘団地の創出用地において、商業、医療、福祉等の生活支援機能が整った生活の中心地の形成を図る事業として、令和五年三月に、北区桐ケ丘一丁目地区まちづくりプロジェクト事業実施方針を公表いたしました。
今後とも、地元区市町と積極的に調整を図りながら、建て替えに際して、敷地の有効利用により用地を創出し、地域特性に応じたまちづくりなどに活用してまいります。
○中山委員 ぜひ、よろしくお願い申し上げたいと思います。これは要望になりますが、そうしたご努力をしていただいた上で、それでもなおかつ、住宅政策本部だけの努力だけでは、都営住宅の社会的期待に応えるだけの維持管理費用というのを捻出するのが難しいというときには、積極的に財務局に交渉していただいて、一般会計からの繰入金等もちゃんと根拠を示して迫っていただいて、交渉していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
その上で、空き家対策について質問させていただきます。
一つは、実績をお伺いしますとともに、社会的な課題に貢献する空き家対策なんですけれども、都内にもたくさんの数がある。けれども、なかなか進んでいないという状況もございますので、その打開策の一つとして、例えば住宅供給公社といった都政の政策関連団体などに委託をして、不動産業上の仲介とかそういうことじゃなくて、委託をしてコーディネートをしていただいて、都が絡むことで安心感を持って大家さん等に積極的に対応していただく。そうしたことも一つの手ではないかと思いますけれども、見解をお伺いしたいと思います。
○都築企画担当部長住宅市場担当部長兼務 初めに、東京都の空き家対策の取組と実績でございますが、都は、区市町村が取り組む空き家対策の支援を行っておりまして、令和四年度は、四十一自治体に対して財政支援を実施しております。また、令和二年度から四年度まで、民間事業者が行う空き家対策の取組に対して都が直接財政支援を行う事業を実施し、三年間で十六件の事業を採択しております。
続いて、空き家対策を進める上で、空き家所有者と利用希望者をマッチングする取組につきましては、空き家の有効活用に効果的でございます。
都は、ワンストップ相談窓口におきまして、空き家所有者と利用希望者の双方からの相談を通じてマッチングを図るとともに、区市町村が行うマッチングの取組に対して財政支援を行っております。
空き家対策におきます政策連携団体の活用につきましては、東京都住宅供給公社が都の住宅政策のパートナーであることから、地方住宅供給公社法に規定されている業務との関係などを踏まえまして、公社との意見交換を行ってまいります。
○中山委員 よろしくお願いします。
続きまして、東京ささエール住宅について質問させていただきます。
その重要性は何度も指摘してまいりましたので割愛させていただきますが、さらなる進展を期待する意味で、実績と今後の展開について見解を求めたいと思います。
○鈴木民間住宅部長 東京ささエール住宅の令和五年十月末時点の登録戸数は、登録住宅が五万二千百三十八戸、うち専用住宅が七百十三戸でございます。
専用住宅の登録促進に向け、今年度より新たに貸主に対する包括的な補助制度である貸主応援事業や、サブリースを行う居住支援法人に活動費等を支援する居住支援法人等応援事業を開始し、両事業とも現時点で正式な申込みはいただいておりませんが、事前相談を複数受けております。
今後、さらなる登録促進のため、補助金を活用して、既存住宅を専用住宅に登録した事例集の作成による普及啓発の強化のほか、入居支援等を行う居住支援法人と区市町村の連携が進むよう、関係者が参画する意見交換の場の提供などを実施してまいります。
○中山委員 続きまして、マンション対策でございますが、とどまるマンションと銘打って大幅に登録が増えていると先ほどもお伺いさせていただきました。
しかし、こうした事柄をさらに進めまして、マンションの対策を、とどまるマンションを適切に進めていくためには、中長期的な課題を常時収集して、把握して、施策に生かす取組の充実が必要でございます。見解を求めたいと思います。
○三宅民間住宅施策推進担当部長 東京マンション管理・再生促進計画で掲げる東京が目指すマンション居住の将来像の実現に向けまして、中長期的な課題を把握し、施策の展開を図っていくことは重要でございます。
今年度、頻発する風水害へのマンションの対応力強化のため、止水板等のハード対策を含む浸水対策についての調査を実施してございまして、調査結果を踏まえ、水害時でも生活を継続しやすい東京とどまるマンションを普及促進してまいります。
こうした取組をはじめ、今後、区市町村や関係業界団体等との連携を強化しながら、マンションが置かれている実態の把握に努め、より効果的なマンション施策の充実に取り組んでまいります。
○中山委員 ここまでいろいろ質問をさせていただきました。実は、指定管理の問題と管理業務委託の問題につきましてもご担当の方とやり取りをさせていただきましたが、私の質問の組立てがまずくて、ちょっと時間が足りなくなりまして申し訳ございません。
ただ、私が強調したいのは、対人的スキルというものが非常に大事だと、指定管理業務におきまして。それからまた、管理業務委託におきましては、東京都全体にそれぞれの地域ごとの事業者に協力いただかなくてはいけませんので、そうした良好な関係をちゃんと築いていることが大事だということを強調させていただきたいというふうに思いますので、今後の参考にしていただきたいと思います。
住宅政策のそれぞれのテーマについて質問させていただいてまいりましたが、いずれの施策も、都民生活の質に大きな影響を及ぼす大変重要なものでございます。住宅の問題にとどまらず、都政全体の課題解決とも深く関係しておりまして、住宅政策の役割の大きさを改めて実感することできました。
住宅政策本部におきましては、住宅政策の水準を向上させることが、都民生活の質の向上や様々な都政課題の解決に役立つ極めて重要なものであるという強い矜持を持っていただいて、引き続き、山口本部長のリーダーシップの下、様々な知恵を出しながら、必要な予算をしっかりと獲得し、それぞれの施策を前へと進めていただきたいと思います。この点につきまして、最後に、山口本部長の見解と決意をお伺いして、終わりにさせていただきます。よろしくお願いします。
○山口住宅政策本部長 住宅は、生活の基盤であると同時に、都市を形づくる基本的な要素でございます。また、住宅のありようは、都民生活の質はもとより、都市の活力や地域社会の維持形成とも密接に関連をしております。このため、居住の場としての東京の魅力を高めていくことが、都市社会に活力と安定をもたらし、東京の持続的な発展に寄与するものでございまして、委員ご指摘のとおり、住宅政策が果たすべき役割は極めて重要でございます。
こうした認識の下、現在、都は、昨年三月に策定した住宅マスタープランを羅針盤としまして、少子高齢化のさらなる進行などを見据えながら、住宅セーフティーネットの充実や住宅ストックの再生などに取り組んでおります。
今後とも、こうした取組を着実に前へと進めるべく、事業運営に必要な予算や体制を確保しますとともに、区市町村や民間事業者などの多様な主体や、関係する政策分野との連携を強化しながら、都民の豊かな住生活の実現に向けまして、本部職員が一丸となり、全力で取り組んでまいります。
○尾崎委員 私の方からは、最初に、都営住宅の駐車場の利用料金の減免制度について質問したいと思います。
障害のある方々が病院や役所、買物などに出かけるとき、自分の車があることで、より自由に移動ができる。車が必要だとよくいわれます。そのとき、駐車場の利用料金の減免制度は、なくてはならないものです。都営住宅における駐車場利用料金の減免制度の内容はどうなっていますか。また、減免制度を受けている人数について伺います。
○平松都営住宅企画担当部長 公営住宅法施行令及び東京都営住宅条例に定められております公営住宅の入居者資格を踏まえまして、世帯の所得月額が十五万八千円以下の場合、免除としております。また、世帯の所得月額が十五万八千円を超えまして、高額所得者基準であります三十一万三千円以下の場合には、月額利用料金をその二分の一に減額をしているところでございます。令和四年度末時点におけます駐車場利用料金免除対象者は三千四百九十人、減額の対象者は二百八十八人となっております。
○尾崎委員 一九九二年、平成四年四月一日から、都営住宅の駐車場使用料金減免制度が始まったということも聞いております。しかし、インターネットで検索しても出てきません。駐車場利用料の減免制度について、どのように周知を行っているのか伺います。
○平松都営住宅企画担当部長 都営住宅への入居時や、三年ごとの駐車場利用許可の更新時におきまして配布しております利用案内において、制度を周知してございます。引き続き、丁寧な周知を図ってまいります。
○尾崎委員 引き続き、丁寧に周知を行うということでしたが、私は、インターネットで検索できるかどうかはとても重要なことだと思っています。ほかの県では、ホームページにも掲載されているところもありました。ぜひ、ホームページにも掲載していただけるよう要望しておきます。
次に、都営住宅の省エネ、再エネについて伺います。
今年の猛暑は、これまでにないもので、大変深刻なものでした。まさに、気候危機対策は待ったなしだということの表れだったのではないでしょうか。昨年度と今年度は、既存の都営住宅への太陽光パネル設置の予算は、環境局の予算ではありましたけれども、既存の都営住宅への太陽光パネル設置について、二〇二二年度の目標と実績、今年度の目標について伺います。
○小久保営繕担当部長 既存の都営住宅への太陽光発電設備の設置におきましては、令和四年度、百棟に設置することを目標とし、計画どおりに完了いたしました。
今年度につきましても、百棟に設置することを目標としており、年度内完成を目指して工事を進めております。
○尾崎委員 既存の都営住宅への太陽光パネル発電設備の設置は、この二年間で二百棟まで進んだというような状況のご報告でしたが、大変これは重要だと思います。今後も、引き続き、積極的に位置づけて、さらなる設置を進めていただきたいと要望します。
日本の断熱などの省エネが世界と比較すると大分遅れている状況です。建て替え時に実施する断熱対策について、国の新しい基準で対応するのは、何年何月の建て替え建設から対応できるのか伺います。
○青木建設推進担当部長 断熱性能の新しい基準については、順次、建て替え工事の基本設計に反映させているところであり、現時点において詳細な建設時期は未定です。
○尾崎委員 基本設計には反映されているということですが、建設時期は未定だということです。これは、国の新しい基準に対応するという方向が定まってから大分たっているわけで、ぜひ、建設時期が一日でも早く実現できるようにお願いしたいと思います。
今年の夏は大変な猛暑でした。先ほどもいいましたけれども、その中で、電気代の度重なる値上げで、来月の電気代が心配でクーラーをつけられないという高齢者の声がたくさん寄せられました。高齢者や所得の少ない人たちの健康と命を守る立場で、断熱対策を行うことが大事だと思いますが、見解を伺います。
○青木建設推進担当部長 都営住宅の断熱性能を高めていくことは、脱炭素化に加えて、居住者の健康確保の観点からも重要です。
○尾崎委員 断熱性能を高めることは、脱炭素化はもちろんですけれども、ただいまご答弁あったように、高齢者や所得の少ない方たちにとっては健康を守るためにも大きな役割があります。二つの重要な観点からも、既存の都営住宅での断熱性能を高めることは、待ったなしの状況です。
それでは、既存の都営住宅でも、二重窓の設置や、建物の外壁に断熱材を貼るなど対策が求められますが、どう進めていくのですか。また、どのような検証が行われているのか伺います。
○小久保営繕担当部長 既存住棟におきましては、建設材料などの技術開発動向を注視するとともに、外壁に断熱材を貼る工法と、窓を複層ガラスなどに改修した場合の効果やコストを引き続き検証しております。
○尾崎委員 引き続き検証ということですが、日本の中小企業の技術を生かし、新たな技術開発にも支援するなどして、実現に向けて積極的に取り組んでいっていただきたいと要望します。
次に、単身女性の住宅問題です。
日本では、戦後一貫して、夫が働き、妻は家事、育児を担い、子供は二人という標準世帯モデルで、雇用、税制、社会保障制度がつくられてきました。こうした枠から外れるシングル女性が、あたかも社会にいないかのように扱われている実態と声を政治、社会に届けるために行われたのが中高年シングル女性の実態調査でした。
この実態調査では、生活が苦しいと答えた方が約七割に及び、働いている人の半数以上が非正規雇用、または自営業の方々でした。心身の健康状態がよくないと回答したのは、四割を超えていました。六十五歳以上の高齢者では、年金月額十万円未満の人が五四%もいました。大変深刻な実態が明らかになった調査です。
そして、この調査では、暮らし、住まいの問題など、中高年シングル女性の実態について、単身女性団体わくわくシニアシングルズが実態調査を実施しましたけれども、その結果、雇用は不安定、低賃金で劣悪、そして、追い打ちをかけているのが重い住居費負担であることが明らかになりました。
東京都は、全国の中でも賃貸の住宅費、特に家賃負担が重い状況があります。都の認識を伺います。
○浦口住宅政策担当部長 国が令和元年に実施した全国家計構造調査によれば、都内の民営借家に居住する単身世帯の消費支出に占める家賃、地代の割合は、平均三四・八%となっておりまして、全国平均の三〇・二%よりも高くなっております。
○尾崎委員 全国平均よりも都内の民営の借家に居住する単身世帯の家賃、地代の割合が四・六%高いということです。
例えば、月の消費支出、経費合計が十五万円だとすると、東京の平均家賃は五万二千二百円、全国の平均は四万五千三百円になるわけです。東京が六千九百円多くなるということになります。月の消費支出が二十万円なら、東京の平均家賃は六万九千六百円、全国の平均家賃は六万四百円となり、東京が九千二百円も高い家賃になります。東京で暮らすことが本当に大変であって、非正規雇用やパートで働いている単身者は暮らせないという状況が広がっているということが、この数字からも分かってきます。
横浜市男女共同参画推進協会が、現役世代を含む単身女性の住居の現状について調査を実施しました。二〇二一年度に取り組んだヒアリング調査で、居住負担率の平均が三七%で、中には八〇%を超えている人もいました。三〇%を超えると過重といわれます。住まいは、生きるための基盤であり、安全・安心は、女性にとってとても重要であることが明らかになり、神奈川県では、このヒアリング調査を踏まえて、本格的な単身女性の住まい調査を実施することになったということを聞いています。
東京都としての住宅政策を考える上で、若者や単身女性の住まいに関する実態調査を行うことが必要だと思いますが、いかがですか。
○浦口住宅政策担当部長 都はこれまでも、国の住宅・土地統計調査をはじめとした各種統計データを活用し、若年単身者等を含めた都民の居住の実態等を適切に把握しながら施策の立案に当たっており、引き続き適切に対応してまいります。
○尾崎委員 国の各種統計データに若者、単身女性も含まれており、国のデータで捕捉できないものがあれば、都として適切に対応するということも聞いております。ぜひ、横浜市男女共同参画推進協会の取組に学んで、都内に多く住んでいる若者や単身女性の住まいに関する実態調査を東京都として行うことを強く要望しておきます。
賃貸住宅に居住する単身女性のサポートとして利用したいことのトップは、四四・三%で国や自治体からの家賃補助です。単身女性が安心して安全な賃貸住宅を確保するには、東京都の家賃補助が必要ですが、いかがですか。
○浦口住宅政策担当部長 家賃補助制度につきましては、対象世帯の範囲、民間家賃への影響、財政負担の問題のほか、生活保護制度との関係など、多くの課題があると認識しております。
○尾崎委員 家賃補助制度について、多くの課題があると認識しているということでしたけれども、先ほどのご答弁で、都内の民営借家に居住する単身世帯の消費支出に占める家賃、地代の割合は平均三四・八%となっており、全国平均の三〇・二%より高いということがはっきりしたわけです。少なくとも、全国平均との差を埋めるための支援は、すぐにでも行うべきだと要望しておきます。
賃貸住宅に居住する単身女性のサポートとして利用したいことの二番目は、四二・六%で単身でも入居しやすい公営住宅を挙げています。都営住宅を増やして、現役世代の単身者も都営住宅に入居できるようにすることが求められていますが、いかがですか。
○浦口住宅政策担当部長 住宅ストック全体が量的に充足している中で、今後、人口が減少する見込みであることから、都営住宅は、現在のストックを最大限に活用し、住宅セーフティーネットの中核としての機能を果たしてまいります。
若年単身者を含めた低所得者等の要配慮者に対しては、民間賃貸住宅ストックを活用した東京ささエール住宅の供給促進等、住宅セーフティーネットの機能強化を進めているところでございます。
○尾崎委員 兵庫県営住宅では、二〇二二年四月から単身世帯の年齢制限を緩和し、これまでは高齢者と障害者に限っていたものを、収入要件に合致する就職氷河期世代の中年や若者世代も受け入れる、予期せぬ妊娠をした女性の入居もできるようになったとのことです。兵庫県の担当者に直接聞き取りをすると、二〇一二年施行された公営住宅法上、同居親族要件が廃止されたことを受けて変更したということでした。
公営住宅法が改正されたとき、東京都は、同居親族要件を廃止していません。当時、二〇一二年九月二十七日の都市整備委員会の質疑で、我が党は、東京都としても入居資格要件を緩和し、若者単身者とか離職単身者に拡大していくべきだと要望していました。私もいろいろ調べましたけれども、兵庫県のほかに、大阪府や鳥取県、福岡県など、多くの自治体で廃止していることも分かりました。
神奈川県営住宅では、二〇二〇年から単身入居者の条例を緩和し、これまでは六十歳以上という年齢条件を外したということでした。神奈川県の担当者にも直接聞き取りを行いましたが、単身入居者の年齢条件を外した理由は、エレベーターのない上階の部屋が空き住戸になっていること、駅から遠いなどであまり人気がない空き住戸をなくすための空き家対策として行ったんだということでした。
神奈川県では、住宅困窮理由として、八項目のいずれかに該当する人が入居資格があると考えられています。八項目の中には、ほかの世帯と炊事場、便所、浴室のいずれかを共同している、住宅が狭い、居住部分が一人当たり四畳以下である、家賃が高い、居住部分が一畳当たり三千円以上である、通勤に片道二時間以上かかる、住宅がないために、親族、婚約者も含んで同居ができないなどの理由の項目もありました。
都営住宅は、セーフティーネット住宅として重要な役割を持っています。非正規雇用の若者や女性の単身者、長引くコロナの影響や物価高騰の影響によって、家賃が払えなくなっている人も増えているわけです。安心して暮らすためには、安心して住める住宅が必要です。東京都も、神奈川県や兵庫県などの取組を参考に、住宅に困窮している若者や単身女性が入居できる都営住宅にすること、都営住宅の新規建設を決断し、同居親族の廃止についても改めて検討することを求めます。
そして、新規建設の検討はもちろん必要ですが、何度募集をしても埋まらない空き住戸への入居も早急に検討して、困っていらっしゃる方たちが入れるような対象へと広げていただくことを強く要望するものです。
次に、セーフティーネット住宅について質問していきます。
国では、住宅確保要配慮者に対する居住支援機能等のあり方に関する検討会が、二〇二三年七月三日に一回目を開催し、その後、三回開催されました。そして、これまでの議論の整理として、中間取りまとめ素案を九月二十一日に出し、年内には第五回検討会を開催し、中間取りまとめ案をまとめる予定になっているということです。
中間の取りまとめ素案で、住宅確保要配慮者の状況について、現在登録されているセーフティーネット登録住宅は全国で八十六万戸を超えていますが、すぐに入居できる住宅や、住宅確保要配慮者の住宅、専用住宅が少ないこと、低家賃の住宅が少ないことなどが課題であることを明らかにしています。
具体的には、二〇二二年十二月末時点ですけれども、空き室率は二・三%と少ないこと、二〇二三年六月末時点ですが、専用住宅は五千三百五十七戸で、登録住宅の〇・六%であること、二〇二二年十二月末時点ですけれども、家賃が五万円未満の住宅の割合は全国で約二割であることなどが示されています。
そこで、東京都のセーフティーネットの登録住宅戸数は現在どうなっていますか。そのうち、登録住宅戸数は何戸ですか。また、その家賃はどのくらいになっているでしょうか、お聞きします。
○鈴木民間住宅部長 令和四年度末時点の東京ささエール住宅の登録戸数は、都が登録事務を行っていない中核市である八王子市分を除くと約四万六千五百戸となっております。
現在、セーフティーネット住宅情報提供システムにおきましては、住宅をお探しの方の利便性のために、物件の立地、間取り、家賃などの情報を掲載しておりますが、空き状況や事業者の意向などによりまして、物件によっては公開していない事項もあるため、価格帯等について今お示しすることは困難でございます。
○尾崎委員 ただいまのご答弁で、登録戸数の九三・五%が一つの事業者であることが分かりました。東京で登録戸数が増えているということですけれども、この状況は異常な状況だといわざるを得ません。
国の検討会で、現行のセーフティーネット制度の現状、課題の一つとして、先ほども紹介しましたけれども、家賃が五万円未満の住宅の割合は全国で約二割ということですが、東京では、五万円未満はたった一%しかないということも書かれています。家賃が高ければ、住宅に困っている人は入れません。これでセーフティーネット登録住宅といえるんでしょうか。
セーフティーネット専用住宅の家賃低廉化補助を実施している自治体は、幾つあるでしょうか。また、実績について伺います。
○鈴木民間住宅部長 令和四年度末時点で、東京ささエール住宅の家賃低廉化補助制度を実施している自治体は六市区でございまして、令和四年度の補助実績は計六十七戸でございます。
○尾崎委員 家賃低廉化補助制度を実施している自治体を増やして、補助実績も大幅に増やす必要があると考えています。先ほどもいいましたけれども、住まいに困窮している人たちが安心して住まいを確保できるセーフティーネット登録住宅になっていません。制度の抜本的改善が求められています。都として、国に要望することが求められていますが、どうですか。
○鈴木民間住宅部長 都は、国に対しまして、制度の認知度を向上させるための取組の強化や、住宅確保要配慮者や貸主の実情等を踏まえた補助制度となるよう補助要件を見直すことなど、住宅セーフティーネット制度の改善につきまして、既に要望しているところでございます。
○尾崎委員 要望しているということですが、例えば、家賃低廉化補助に国と自治体以外に東京都も補助ができるように、制度を変えることも要望すべきだと思っています。ぜひその点も検討していただき、国に要望をしていただきたいと思います。
住宅確保要配慮者に対する居住支援機能等のあり方に関する検討会での委員の発言には、現在のセーフティーネット登録住宅は、面積が大きいものや、家賃が一定額以上のものが多く、いま一度仕切り直して考えるべきだ、公的賃貸住宅についても検討が必要ではないかなどの意見も出ています。また、検討会の中間取りまとめ素案では、今後の方向性について、福祉施策と住宅施策が連携し、行政も積極的に関与しつつ、相談に始まる一貫した支援体制を構築するなど、三点について提案されています。
私は、住宅に困っている人たちへの支援は、まず、相談できる場所をもっと増やすことが必要であり、家賃補助制度を実施することだと思います。関係する福祉局との連携した施策の検討も含めて、東京都として早急に行うよう強く要望したいと思います。
次に、マンションについてです。
マンションの管理組合が自主的に管理できないところが増えています。大規模な改修、改築や建て替え、耐震診断や補強、劣化診断、バリアフリー化、省エネ化、アスベストの除去など、建物の健全な維持管理や、防災訓練の定期化や、備蓄などにも取り組めないところがあります。都として、どう支援していくのか伺います。
○三宅民間住宅施策推進担当部長 東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例に基づきまして、個々のマンションの管理状況を把握し、適正な管理につなげていくため、管理状況届出制度を運用するとともに、東京マンション管理・再生促進計画により、管理組合に対する各種支援や、耐震化、改修、建て替えに関する補助事業を実施するなど、マンション施策の推進に総合的に取り組んでおります。
○尾崎委員 マンションの現状がどうなっているのか、あらゆる角度から把握することが必要です。状況を把握しながら問題や課題を明らかにし、検討ができると思います。都内全てのマンションの現状把握を急ぐことを求めますが、いかがですか。
○三宅民間住宅施策推進担当部長 都は、引き続き、管理状況届出制度によりマンションの管理状況等を把握し、施策を推進してまいります。
○尾崎委員 引き続き、マンションの状況等を把握して、施策を推進していくという重要なご答弁です。東京都内は、他県と比較してもマンションが多く、老朽化したマンションも増えており、大規模改修や改築などが必要なものがたくさんあります。東京都として、都内の全てのマンションの現状について、あらゆる角度で把握することを早急に実施するよう求めるものです。
次に、既存マンション省エネ・再エネ促進事業について、進捗状況について伺います。
○三宅民間住宅施策推進担当部長 既存マンション省エネ・再エネ促進事業については、本年五月に事業を開始いたしました。関係団体と連携しながら、管理組合等に向け、周知に取り組んでおります。
○尾崎委員 住宅政策本部の所管で省エネ、再エネの推進をすることは、とても重要です。都営住宅はもちろんですが、公社住宅での促進のための支援、賃貸住宅、特にマンションでの促進のため、今年度から既存マンション省エネ・再エネ促進事業が開始しているということは重要です。ぜひ、取組の中で明らかになった課題についても積極的に議論し、進めていただくようお願いします。
次に、連帯保証人を代行する家賃保証業者について質問します。
連帯保証人をお願いできる人がいなくて、不動産屋さんに相談したら保証会社を勧められたという話は、これまでも聞いていますし、私も知り合いの人と一緒に不動産屋さんに行ったときに、保証会社の方に保証していただいたこともあります。
そこで、家賃保証業者はどういう役割がありますか。また、都内には何社あるのか伺います。
○鈴木民間住宅部長 国土交通省告示の家賃債務保証業者登録規程によれば、家賃債務保証業者は、賃貸住宅の賃借人の委託を受けて、当該賃借人の家賃の支払いに係る債務を保証することを業として営む者をいいます。
国土交通省が公開している登録家賃債務保証業者一覧によると、令和五年十月十九日時点で、都内で営業を行っている事業者数は七十社でございます。
○尾崎委員 家賃保証業者被害の実態を全国借地借家組合がこの間まとめています。驚いたことに、賃貸契約の際に、約半数の賃貸人が連帯保証人のほかに保証会社の保証を求められて、つけているということが分かりました。賃貸契約の約九四%に保証会社の契約がついているんです。保証会社の契約の必要性や保証内容の説明は特になく、当たり前のものとして行われていることや、保証会社の契約は必須であるかのように勧められていることが分かります。しかも、保証会社は自分で選ぶことができない状況になっているということまではっきりしました。
また、家賃保証業者や賃貸物件を管理している管理会社やサブリース会社が、賃借人及び連帯保証人が勤務している会社まで、滞納家賃や保証委託更新料、撤去時の原状回復費用等の不当な取立てや追い出し行為が横行している事例が増えています。
東京都として、都内の保証会社がどのようなことをしているのか実態調査を行うべきですが、いかがですか。
○鈴木民間住宅部長 家賃債務保証業者登録制度を所管する国が、家賃債務保証業の適正化や、住宅確保要配慮者等の居住安定化の推進を図ることを目的として、家賃債務保証の利用状況や保証料等の調査を実施しているところでございます。
○尾崎委員 国が調査をしているということですけれども、保証会社については、審査で落とされてしまった、滞納や督促時に手数料等を請求されたなど、本来あってはならないことが横行しています。被害に遭っている人たちはたくさんいるんです。
都として、この現実を正面から受け止めるべきなんです。家賃保証業者などの行き過ぎた行為について、東京都に相談窓口をつくる必要があると思いますが、いかがですか。
○鈴木民間住宅部長 都の賃貸住宅の相談窓口において、家賃債務保証業者に係る相談があった場合には、相談者へ、家賃債務保証業者登録制度を所管する国や、都や各市区町村に設置されている消費生活センターをご案内しております。
○尾崎委員 家賃保証業者によって被害を受けている人たちの救済が、今求められているんです。そもそも家賃保証会社は、高齢者や障害者、低所得者の方にも住まいを保障するための制度として始まったものです。
ところが、今の家賃保証は、まさにもうけるためのビジネスになっているんです。保証会社が事前に審査して、審査に落とされてしまう状況などあってはならないことであり、当初の制度の目的から大きくゆがんでしまっているわけです。そして、連帯保証人がいても保証会社、保証事業者を必要とすることも、本来あってはならないことだと思います。行き過ぎた行為はやめ、本来の制度に立ち返るよう、直ちに国に指導を求めていただきたいと思います。
私は、誰もが安心して賃貸住宅を借りられるように、連帯保証人を必要としない公的な保証人制度を創設すべきだと思います。また、保証業者は、任意の登録制ではなく許可制にして、全ての業者を国や自治体が指導できるようにすべきであり、東京都から国に要望していただくことを強く求めるものです。弱い者を食い物にしてもうけるような家賃保証業者を野放しにしてはならないと思います。
そして、住宅に困っている都民を支援するのが、東京都の住宅政策本部の重要な仕事です。セーフティーネットの役割を持つ都営住宅の新規建設が二十四年間もストップしていることで、様々な問題を生じています。今こそ、都営住宅の新規建設を決断し、住宅に困窮している若者や単身女性も入居できるよう、改善を強く求めて、質問を終わります。
○西沢委員 私から、最初に、都営住宅の受入れについてお伺いをしていきたいというように思います。
都営住宅、今日も議論ありましたけれども、様々な、もちろん住宅に困っている人、それから生活に困窮している人ということを対象に都営住宅の活用があるわけでありますが、加えて、東日本大震災のときにも避難者の受入れを行ったり、今でもウクライナの方々が利用いただいたりというような形で活用されているというようなことになります。
そうした中で、私の方からは、外国の方で都営住宅を利用するということについて少しお聞きしたいというふうに思います。
イスラエル、ガザの報道を見ていると、世界的にも住まいを追われるというような方がこれからも増えていくというようなことを感じているわけであります。
その中で、日本で、既に在留資格のない方が住まわれている方もいらっしゃいますし、適法に入国をしたんだけれども、様々な事情から本国に帰国するということが難しいというような方で、やむなく在留期限を超えて日本に在留した結果、在留資格がなくなったという方もいらっしゃいます。
そうした方々は、出入国管理及び難民認定法違反の疑いで強制退去手続中に、本来であれば出入国在留管理庁の収容施設に収容されるべきところ、健康上の理由などによって一時的に収容を解かれる場合があります。これを仮放免というわけでありますが、この仮放免者への住居の支援が必要なのではないかというように私は考えております。
まず最初に、都営住宅の外国人の入居資格がどのような法的根拠により定められているのかお伺いしたいと思います。
○小町経営改革担当部長 都営住宅の管理運営の根拠法令である公営住宅法と東京都営住宅条例には、外国人の入居に関する規定はなく、出入国管理及び難民認定法に定める永住許可者と中長期在留者、日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法に定める特別永住者について、可能な限り地域住民と同様の入居申込資格を認めるように求める国土交通省からの通知文書に基づき、都営住宅への外国人の入居資格を定めております。
○西沢委員 今、法的根拠、外国人が入居するに当たってどういう根拠があるのかということでございましたが、国土交通省の通知があるよという話でございました。ここには、永住許可者、それから中長期の在留者と、それから特別永住者というような方々であると。
私がちょっと申し上げているのは、仮放免者というのは、先ほどもいいましたが在留資格がないというような方々になっています。国の出入国管理庁にいわせれば、本来、国に帰らなければいけない人たち、国に帰れというような、そういった方々なわけでありますね。
ところが、実際、様々な事情でそもそも帰れない、何十年も日本にいるけれども、帰国すれば命の危険、命を取られるというようなことからどうしても帰れないという方々もいらっしゃるわけであります。そうした方々は、じゃあどうやって生活をしているのかといえば、民間の方々がボランティアで応援をされているというような方、仮放免者の方々は就労することができませんので、働くこともできないというようなことから、どうしても生活に困窮をして、犯罪に至るというような方々もいらっしゃるやに聞きます。
そうした方々、本来、これは国の方でやるべきことではあろうかというようにも思いますけれども、東日本大震災とかウクライナの話もいいましたが、公営住宅には、本来の入居対象者を阻害しない範囲に限り、緊急避難的に災害被害者などへ住まいを提供する制度があるということから、仮放免中の外国人に対しても緊急避難的な住まいとして都営住宅を活用するべきじゃないかというふうに考えますが、見解を伺います。
○小町経営改革担当部長 仮放免中の外国人の住まいにつきましては、難民認定や在留資格の付与等が国の役割であることから、国において対応されるものでございます。
○西沢委員 もちろん冷たいなとは思うんですけれども、ただ、それは事務方として、国の通知文書にそういうふうに書いていないわけですから、進んでそれをやるというような判断をしないというのもうなずけることかというふうに思います。政治的判断でそういったことが私はあってもいいと思いますし、法的根拠として、先ほどのお伺いに対して、公営住宅法と、それから都営住宅条例には、規定は基本的には書いていないというご答弁でもございました。
なので、東京都自身が強い意思を持ってやっていただければ、私は、そういった犯罪であったりとかそういったことも減りますし、人命的な、また世界に対しても貢献できることにもなると思います。
また、東京都としては、国に対しても働きかけをぜひして、こうした仮放免の方々に対しても都営住宅を活用できるように促していただきたいということを、これは要望として申し上げておきたいというように思います。
この都営住宅についての質問、もう一つは、エアコンと網戸の設置について伺います。
都営住宅は、標準ではエアコンであったりとか網戸はついていません。細かい質問かというふうに思われる方もいらっしゃるかもしれませんけれども、これは人命に関わる私は問題だというように思っています。
先ほどもちょっと議論ありましたが、今年の夏は猛暑も猛暑でありまして、東京消防庁では逼迫アラートということで、一一九番の使い方でまさに逼迫した状態であることから呼びかけたり、小池知事もインドより暑いというふうなご発言をされたりということで、猛暑がかなり厳しいというようなことでありました。
恐らく都営住宅に入居されている方の中でも、この猛暑で、異常な暑さで熱中症の患者、発生した方がいらっしゃると思うんですね。今年の夏、猛暑も続きましたが、熱中症患者が発生したことがあったか、お伺いをいたします。
○平松都営住宅企画担当部長 東京都住宅供給公社によりますと、熱中症にかかった方がいらしたというふうに聞いております。
○西沢委員 いらっしゃると思います。今、民間の住宅は、ほとんどがエアコンはついています。特にワンルームに関しては、エアコンがつかないと入居者が入らないぐらいになります。標準で最初からついている、自分でつけてではなくて。ファミリー向けに関しても、全部屋ついているということはワンルームほどではないかもしれませんが、どこかの部屋には必ずやはりついている。そうでなければ賃貸に出せないというような状態になります。
その一方で、都営住宅は、別に役割があるとはいうものの、都営住宅の役割は住宅に困窮している方々に対して住まいを提供するということですから、私は、エアコンや網戸が設置されていないというのは違和感を感じます。
改めて、なぜ都営住宅にはエアコンや網戸が設置されていないんでしょうか。お伺いいたします。
○相羽技術企画担当部長DX推進担当部長兼務 都営住宅の整備に当たっては、国が定める公営住宅等整備基準にのっとり、都営住宅条例施行規則において、都営住宅等の整備に関する基準を定めています。
附帯設備については、各住戸に台所、水洗便所、洗面設備及び浴室並びにテレビジョン受信の設備及び電話配線を設けるものとするとしており、エアコン並びに網戸を設置する規定はありません。
○西沢委員 国の基準で、エアコンと網戸は設置する規定はないのでということです。先ほどの質問でも、国の方でそういうことをやっているからというようなことだと思うんですね。
全国的に見ても、確かに公営住宅の中で標準でエアコンや網戸をつけているというところが多数を占めているわけではないというようなことかとは思います。自分でつけろということなんだと思いますけれども、これは国の基準がそうだからといって、私は、都が独自にエアコンを標準でつけるというようなことに踏み切っていいんじゃないかというふうに思います。
国の基準にかかわらず、東京都が独自に、独自の判断でエアコンや網戸を設置することは、法令上可能なんでしょうか。お伺いいたします。
○相羽技術企画担当部長DX推進担当部長兼務 国の整備基準にかかわらず、エアコンや網戸を設置することは妨げられてはいません。
○西沢委員 法令上、国の整備基準にかかわらず、エアコンや網戸を設置することは妨げられていないというようなことですから、東京都が独自につけても別に構わないよというようなことだということが確認できました。東京都の意思、東京都の考えで設置することができるというようなことであります。
猛暑は、これからも続くと思います。歴史的に公営住宅の中でも、台所、水洗の便所であったりとか洗面設備、それからお風呂ですよね、浴室と給湯。時代に合わせてだんだん設備というものも変わってきているというように思います。昔は、お風呂がいわゆる沸かすことができるとか、できないとかという話もありましたが、今、だんだん変わってきていますよね。
そうした状況の中において、エアコンとさらに網戸、特にエアコンがなくて一階で、網戸もない人は悲惨ですよね。外、開けられないですから、開けたら虫が入ってくるという中に考えれば、家の中にいる人からすれば、どっちかだけでもいいとも思う。まあ本当は両方というかエアコンですね、やっぱりエアコンをつけた方がいいと思いますが、少なくとも、網戸とかだけでもというふうにも思います。
今年の熱中症のことは話題になりましたし、来年以降どうなのかも分かりませんが、やはりこういった気候変動の問題が続いていくことから考えれば、私は、エアコンや網戸は東京都独自の判断で設置をしていくということが必要なんじゃないかと思いますが、見解をお伺いいたします。
○相羽技術企画担当部長DX推進担当部長兼務 お尋ねのエアコン、網戸については、居住者それぞれの生活様式に応じて各自で選択し、設置するものと考えております。
都営住宅の整備においては、各住戸に居住者がエアコンや網戸を設置しやすいよう、取付け金物や配管設置スペース、網戸用のレールを設けるなどの配慮をしております。
○西沢委員 居住者それぞれの生活様式に応じて各自で選択するということですけれども、猛暑でいろんな報道の中で、エアコン要らないという人は減ってきていると思います。エアコンを設置しないとか、夏は別の方法で乗り切るという方は確かにいらっしゃると思います。また、物価高、燃料費の高騰ということから、できるだけ我慢するという方もいらっしゃると思います。ただ、人命に関わるぐらいのことまで来ているというふうに思います。
私の地元中野の不動産会社さんとこの前ちょっとお話しして、エアコンがついていないという話をしましたが、その方が入居を仲介をしている知り合いの方が、都営住宅に入居するに当たって、もう子供が死んでしまうと、何とかしてほしいけど、お金がないということで相談に乗って、出入りの業者さんと相談をし、月々三千円でエアコンをつけてもらうように手配したと、それで何とか乗り切れて、すごく感謝されたという話を聞きました。
なかなかエアコンがぜいたく品だとか、そういうようなことがいわれてきたのかもしれませんが、今や生活する一つの必需品になっているかというふうに思います。生活様式にかかわらず、設置が予算的なことなんかもあれば、それこそいろいろと考えてやったり、網戸からやるとかいろいろとあろうかと思います。ぜひ、難しいかもしれませんが、今後、検討をしていただきたいというふうに要望しておきたいというふうに思います。
最後に、ちょっと地元の話で恐縮でございますけれども、公社住宅の建て替えについてお伺いしたいというふうに思います。
公社鷺宮西住宅の建て替えの問題ですが、先般の都市整備局への事務事業質疑においてもこの問題を取り上げましたが、建て替えの部分については、住宅政策本部の見解をお伺いしておきたいというふうに思います。
西住宅は、昭和三十六年に建設された築六十年を超える団地でありまして、これは地元の悲願で建て替えが望まれております。これまで耐震や設備更新の工事は行われているものの、建物の老朽化が進んでおります。
そんな中で、築六十年といっています。四十年ぐらいから建て替えの要望も出ていたわけでありますが、一向になかなか進んでこなかったわけでありますが、今年の三月に、公社と中野区とで鷺ノ宮駅周辺まちづくりに関する覚書を締結したというふうに聞いております。これは大きな一歩だと思っています。
居住者の高齢化も進む中、早急な建て替えが必要であると考えますが、公社鷺宮西住宅の建て替えに向けた取組についてお伺いいたします。
○今井連絡調整担当部長 東京都住宅供給公社の鷺宮西住宅は、都市計画上の一団地の住宅施設に指定されておりまして、建て替えに際しては、地区計画への移行が必要となります。
団地周辺では、西武新宿線連続立体交差事業をはじめ、様々な都市計画事業が進められておりまして、また、中野区が鷺宮西住宅を含む鷺ノ宮駅周辺地区のまちづくりを計画しておりまして、公社は区や都と連携し建て替えに向けた検討を進めてまいりました。
委員からご説明ありました本年三月、公社は区との連携を強化するため、鷺ノ宮駅周辺まちづくりに関する覚書を締結しておりまして、今後も地区計画の策定等に向け、区と積極的に協議を行い、建て替えに向けた検討を加速してまいります。
○西沢委員 積極的に協議を行い、建て替えに向けた検討を加速ということでご答弁をいただきました。都市整備のときも話しましたけど、中野区の人があまり−−悪口じゃないですよ、中野区の人と話すと都が動かないんですよというし、都に話せば中野区だとか、公社ですからそれはとか、長年そういうようなことを、私はそうは思っていませんよ、私はそう思っていませんけれども、そういうことをいっている人がいるというようなことがありました。
そんな中で、東京都からは積極的に協議を行っていきますよということで、加速していくという答弁をもらいましたし、そもそも覚書というものが今まで結ばれていなかったのも結ばれました。答弁にもありましたが、この地域はいろいろあります。西武新宿線の連続立体交差事業をはじめ、様々な都市計画、都市計画道路もあれば川もありますし、そういうようなことから考えてなかなか難しいというところですが、ようやく進んできているのかなというふうに思いました。
引き続き、東京都も積極的にリーダーシップを取って、率先して動いていただくようお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
○竹井委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時四十三分休憩
午後四時開議
○竹井委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○松田(り)委員 遡ること五年前になりますが、都議会の定例会四定にて、今の、その当時はですね、維新・あたらしい・無所属の会を代表して、現参議院議員の音喜多駿元都議がしました討論の内容、ご紹介をさせていただければと思います。
本条例案は、都営住宅等の指定管理者を引き続き都の監理団体である住宅供給公社に特命随意契約するものであり、到底納得することは、賛成することはできません。都は、随意契約にする理由として、高齢者や障害者ら、障害者への配慮が必要な人たちへの対応を挙げておりますが、住宅管理は民間事業者も得意とする分野であり、住宅供給公社に決め打ちする合理的な理由にはなりません。加えて、住宅供給公社は、都庁職員が多数再就職している、いわゆる天下り先であることも深刻な問題です。以上の理由から、本条例案には強く反対するとともに、都営住宅についても、時代に合わせた大胆な見直しが行われると要望しますと、その当時、音喜多駿元都議が討論をさせていただきました。
あれから五年、予定どおりだとこの第四回定例会にて、都営住宅の指定管理者の選定について、条例案が上がってくるものと思われますので、本日は住宅政策本部所管の東京都住宅供給公社について、事務事業質疑を行わさせていただければと思います。
ここで整理も兼ねてにはなりますが、契約内容についてお伺いいたします。
都営住宅の指定管理業務について、現在、公社を特命により選定をしておりますが、いつまでの契約なのか、またこの五年間において、都からの管理委託費についてお伺いいたします。
○小町経営改革担当部長 現在、東京都住宅供給公社との間で締結している都営住宅の指定管理業務委託については、平成三十一年四月一日から令和六年三月三十一日までの五年間でございます。
また、令和元年度から令和四年度末までの四年間の決算額では、指定管理業務に対して、都が公社に支出した管理委託費の合計は約三百九十九億円でございます。今年度の予算額は約百八億円でございます。
○松田(り)委員 ただいま答弁いただいたとおり、年間約百億円、この指定管理業務についてはお支払いを、東京都から公社の方に委託をしているという状況だと思います。
今、東京都住宅供給公社経営改革プラン二〇二三改訂版というのを見させていただくと、住宅供給公社の年間の収益は約一千二百億円程度、そのうち東京都からは、管理委託業務と指定管理者業務というものがありまして、合わせると六百億円程度、毎年、東京都の方から業務として発注をしているような状況になっていると思います。
公社における東京、都営住宅の指定管理業務の売上げ比率についてお伺いさせていただきます。
○小町経営改革担当部長 令和四年度決算額では、事業収益全体が約一千二百六十六億円に対して、指定管理業務に係る事業収益は約九十四億円であり、売上げ比率は約七・五%でございます。
○松田(り)委員 ちょっとすみません、私の説明が前後してしまったんですけれども、この数字だけ見ると年間百億円、東京都から、管理業務委託も含めますと六百億円、公社のもともとの賃貸所得が約六百億円の一千二百億円、こういうふうに公社の売上げが成り立っていると分かります。
冒頭でも述べたとおり、東京都から指定管理者業務については、毎年約百億円ほどの委託をなされていると思っております。
都市整備委員会でも、過去、何名もの委員が指摘をしておりますが、この指定管理業務の選定についてはどのように行われているのか、次回の選定についてはどのように予定をしているのかお伺いできればと思います。
○小町経営改革担当部長 都営住宅は、住宅セーフティーネットとしての中心的役割を担っております。指定管理者には、適正かつ公平に入居者管理を行うことのできる実績や能力とともに、高齢者や障害者への福祉的な対応、団地コミュニティの活性化、大規模災害発災時の迅速な対応など、社会状況の変化に伴う新たな課題への対応が求められております。
こうした視点を踏まえ、次期指定管理者候補者を決定し、本年第四回都議会定例会に付議した上で審議、議決していただく予定でございます。
○松田(り)委員 ありがとうございます。
都営住宅の管理業務は、遡ってみますと、公社の前身となります財団法人都営住宅サービス公社が昭和四十六年から業務を開始をいたしまして、平成元年に公社に統合され、一部地域で公募を行った時期もありましたが、結果的には五十年以上の間、公社がこの指定管理業務については受注をしているわけとなっております。
まだ、条例案は上がってきておりませんが、ぜひ、都民のためになる指定管理者の候補者の決定の仕組みを、住宅政策本部として、一歩踏み出して進めていただければと思います。
なぜ、五十年以上もの間、続いているのか、果たして指定管理業務は公社でしか実施をできないのか。五年前の平成三十年だけでなく、これまで議論はされてきていますが、改めてお伺いいたします。公社以外には指定管理業務が履行できないという理由をどのように考えているのか、東京都の見解を伺います。
○小町経営改革担当部長 現在の指定管理期間における指定管理者につきましては、都営住宅は、管理運営の特殊性及び都の政策との連動性があること、公社は確実な家賃収入や高額所得者への対応などの実績、能力、安定した財政基盤を有し、指定管理者管理運営状況評価における高い評価を得ていること、災害対応力の強化などの新たな提案をしていることなどを踏まえ、公社を特命で選定いたしました。
○松田(り)委員 あくまでも都営住宅の管理運営の特殊性や都の政策との連動性があると、特殊性があるから、特命で公社を選定をしており、民間に任せられない業務だと、答弁のとおりだと思います。この議論は、平成三十年の都市整備の事務事業でも議論がなされていました。
では、果たして都営住宅の管理運営は特殊性があり、民間に任せられないのか、別の視点で質問させていただければと思います。
公社の業務においては、全てが公社内で完結しているものではなく、外部委託も行っていると思います。都営住宅管理業務において、公社が再委託している事業などもあるが、どのような事業があるのか伺います。
また、再委託費は、都営住宅指定管理業務のどの程度の割合があるのかお伺いさせていただきます。
○小町経営改革担当部長 主な再委託業務としましては、設備保守点検業務、入居者等からの問合せ対応を行うコールセンター業務、各種帳票や入居者向け広報紙などの印刷業務がございます。
令和四年度決算における各業務の再委託費の割合は、それぞれ五八・五%、一・三%、〇・三%となっております。
○松田(り)委員 公社が東京都から特命により委託を受けている都営住宅指定管理業務においては、約六〇%ほどが再委託をしているということで間違いないか、再度お伺いいたします。
○小町経営改革担当部長 ただいま答弁いたしました主な再委託業務のほかに、通知書類の封入、封緘業務やデータ入力業務などを加えた令和四年度決算における再委託費の割合の総計は六一・二%でございます。
○松田(り)委員 先ほどの質問に戻りますと、都営住宅の管理運営の特殊性や都の政策との連動性がある、特殊性があるから、特命で公社を選定していると答弁をされていますが、今のご答弁を反映させると、指定管理業務の約六〇%、令和四年度でいうと六一・二%については、再委託、実質丸投げをしているんじゃないかと今回の質問で感じております。
質問するまでは、私自身も再委託している業務がこれほど多いとは実際には思っていませんでした。先ほどの、この公社が発表している経営改革プランを見ますと、この都営住宅管理業務受託事業については、全てを合わせると、この六百億円の数字については一二%、大体年間を見ていても一〇%前後を再委託費と書いてありますので、指定管理業務もこれぐらいの割合なのかなと思っていたんですけれども、先ほど最初の答弁にあった年間百億円ほどのこの指定管理料については約六割を丸投げをしている、外部、再委託をしているということで、これまでの特殊性があるから民間には任せられないという議論は難しいんじゃないかなと感じております。
都営住宅等の指定管理料については、過去の答弁を見ていますと、単価を積み上げをした積算なので、この単価についても、指定管理料についても適切だと答弁をされています。
ただ、それでも、平成十八年に民間企業を入れて公募すると、実際には公社よりも安い金額が提示をされていました。最終的には公社が受注をしましたが、本来、東京都からの委託、指定管理料については、この民間の公募を含めると、もっと安い金額でできる可能性があるにもかかわらず、特殊性ということを盾に、指定管理業務を特命にすることで、残念ながら競争原理が働かず、高い指定管理料を払っているんじゃないかと私自身は危惧をしています。そして、最終的には六割もの業務を外注しているという状況になっております。
この理解、ここで、住宅供給公社の特命随意契約について、一点だけご質問させていただきます。
今回の質疑の調査の際に、令和二年度に行われました住宅供給公社の包括外部監査を調べておりますと、その中には、これまでは東京都と公社の関係、お話をさせていただいておりましたが、公社とその先の契約先でも特命随意契約が存在をしており、その包括外部監査で指摘を受けておりました。
例えば外部書庫文書管理業務においても、業務内容を見る限りでは、必ずしも現在の委託先に限定をされるのではなく、他の倉庫業者でも対応が可能と思われるというような指摘もありました。
令和二年度の包括外部監査において、公社の一部契約先との特命での随意契約について指摘をされておりますが、指摘について、都の見解をお伺いいたします。
○今井連絡調整担当部長 令和二年度に実施されました包括外部監査において、東京都住宅供給公社は、公社住宅事業における特命随意契約に関し、外部書庫文書管理業務委託では他の倉庫業者との違いを明確にするなど、理由を具体的に説明すること、また、明日見らいふ南大沢管理運営業務委託では、他の事業者の委託先も検討することと指摘を受けました。
この指摘、意見に対しまして、公社は、外部書庫文書管理業務委託では、保管倉庫の立地条件、管理体制や安全対策など他の倉庫業者との違いの検証や、委託料等について経済合理性の確認を行い、また、明日見らいふ南大沢管理運営業務委託では、事業者選定方法を公募に見直したことで、いずれも改善済みとなりました。
都は、こうした公社の措置を適切な対応と認識してございます。
○松田(り)委員 ありがとうございます。
監査の指摘を受けて、公社の事業の特命随意契約については見直しが進んでいることだと思っています。ただ、実際には東京都から公社の関係性について、次の四定に上がってくるとは思うんですけれども、私自身は見直しが必要だと思っています。
ほかの自治体を見ましても、東京都の住宅供給公社のような公社という仕組み自体は、各自治体でも持っているような状況だとは思いますが、例えば大阪府であったりとか、横浜市は、この今の管理委託業務については公募をスタートして、民間の競争原理が働くような仕組みづくりも現状していると聞いております。
ただ、この指定管理じゃなければ競争原理が働くかというと、横浜市等の実績を見ていても、なかなか公募業者が集まらなかったりとか、一社のみ、二社のみとか、こういう状況もあるので、もちろん、その先にも課題はあると思うんですけれども、まずはしっかりと東京都としても、このような他の道府県であったり、自治体の取組を見ていただければと思います。
現在、他の道府県において、公営住宅の指定管理業務の選定状況について、東京都のように全てを特命で行っている道府県等はあるのかお伺いいたします。
○小町経営改革担当部長 他の道府県における公営住宅の指定管理者の選定状況につきましては把握しておりません。
○松田(り)委員 ありがとうございます。
今ご答弁をいただき、把握をしていませんということだと思いますが、これまで、この都市整備委員会であったりとか、あとは本会議においても、他との自治体の選定状況について、それぞれの委員が質疑をさせていただいています。
ぜひ、東京都も他の自治体に遅れることなく、しっかりと他の自治体についても、もちろん先ほどもいったとおり、特命じゃなければ、全て問題解決できるのかという、そういうわけではないと思いますけれども、ぜひ、ほかの自治体についても把握をしていただきまして、この指定管理について、特命随意契約等の見直しを行っていただくようお願いを申し上げます。
公社の収益、先ほどもお話をしましたが、賃貸住宅の収益も含めますと約一千二百億円ございます。指定管理業務に関わる事業収益は九十億円というところで、一部公募にして事業収益が減ったとしても、全体の一千二百億円に対すると、まだまだ少ない金額だと思いますので、ぜひ、東京都の税金が入っている、東京都から公社にお金を払っていることもありますので、ぜひ競争原理を持った仕組みづくりを、他の自治体を参考にもしながら進めていただけるようお願いを申し上げまして、質疑を終わります。ありがとうございました。
○後藤委員 よろしくお願いいたします。
私からは、東京ささエール住宅と東京とどまるマンション制度について質疑をさせていただきたいと思います。
まず、東京ささエール住宅についてですけれども、先ほど他の委員からも質疑がありましたので、重なる部分は割愛をいたしたいと思いますけれども、私自身も初めて都議会議員になって所属をしたのが都市整備でございまして、当時から住宅セーフティーネット制度、そして東京ささエール住宅について、様々やり取りをさせていただきました。
当時は、登録戸数が三万戸の目標があって、それになかなか達するのかという議論であったりとか、あるいは居住支援法人が非常に重要な役割を果たすのではないかと、そういった機能の拡充などなど、様々なこの間議論をさせていただきまして、その後、都市整備は六年ぶりでありますけれども、小まめに情報提供していただいたりですとか、また支援も拡充をされてきたということで、今はもう五万戸を超える総登録数があるということで、着実に制度自体は拡充をしているのかなというふうに思います。
一方で、やはり課題となってくるのが専用住宅の部分かなというふうに思っていまして、去年、マスタープランも改定をされましたけれども、この中でも新たに専用住宅の目標ということで、三千五百戸をやりましょうということで目標を掲げられているところではありますけれども、まだ六百戸程度というところで、ここの対策がやはり急務であるというふうに思っています。
そこでまずは、ささエール住宅の専用住宅登録促進に関わる課題認識について伺いたいと思います。
○鈴木民間住宅部長 住宅確保要配慮者のみ入居できる専用住宅は、入居中の事故やトラブルのほか、空室リスクなど、貸主に様々な不安があるとの不動産業団体からの意見がございます。
また、国の補助制度は、例えば家賃低廉化補助の収入基準や補助限度額といった補助要件等が貸主にとって活用の妨げとなっており、制度が十分に活用されない状況に陥っている面がございます。
このほか、貸主等に住宅セーフティーネット制度が十分に浸透していないといった課題もあり、これらのことが専用住宅の登録が進まない要因となっていると考えております。
○後藤委員 ありがとうございました。
三点の課題をご説明いただいたかと思います。
順次、こちらに対して質疑を行っていきたいと思うんですが、一つ目は、貸主側の不安ということで、これもずっと議論をされているところでもあると思います。
高齢者の皆さんが入ることで、孤独死のリスクがあるとか、死亡後の残置の物品の処理をどうするという不安があるとか、あるいは障害の方の受入れであれば、近隣住民の方とのトラブルがあるんじゃないかという不安があったりと、いまだに貸主の七割が高齢者や障害者の方々の受入れに対して、拒否感を示しているというデータもありまして、まだまだ貸主側の不安感が強いのかなというのが現実かなというふうに思います。
そこで、専用住宅の登録促進に向け、貸主側の様々なトラブルなど、心理的負担を軽減する、さらなる支援強化というものが求められていると思いますが、見解を伺います。
○鈴木民間住宅部長 今年度から貸主の不安軽減に資する事業として、住宅確保要配慮者向けのサブリース物件として新たに専用住宅に登録し、住宅の迅速な提供と入居後のきめ細かい生活支援等を行う居住支援法人等に対し、二年間、運営費等を補助する事業を開始いたしました。
居住支援法人の中には、サブリース物件をシェアハウスの専用住宅として貸している法人もあり、こうした取組にも活用が可能となるものと考えております。今後、本事業がより活用されるよう、居住支援法人に対しさらなる働きかけを行ってまいります。
○後藤委員 ありがとうございました。
サブリースの件についてもご答弁をいただいたかと思いますけれども、私も平成三十年の都市整備委員会でサブリースの件も取り上げさせていただきました。特に私も実際にその現地を、実際にサブリース契約をしている社会福祉法人の下に視察に行きましたけれども、地域の高齢者を見る特養が、地域の高齢者の方々の要配慮者の支援ということで、住宅を実際に借りて、そして高齢者施設を運営している法人が、そうした地域の高齢者支援を行うということで、まさに福祉部門と不動産部門が連携をして取組を進めているということで、当時そうした提案もさせていただきまして、今年度事業化されていることも感謝を申し上げたいというふうに思いますけれども、そしてまた、シェアハウスのご答弁の中にお話がありましたが、こちらも町田にある法人さんで、シングルマザー向けのシェアハウスというのも、今、一昨年の国交省の議論の中で、そうしたシングルマザー向けのシェアハウスというのも、こうしたささエール住宅含めた登録住宅として、要件として認められますよというような答弁もあって、しっかりと認められているということだと思います。
こうした様々な配慮者の方々に対しての支援というものを実現していくためには、やはり福祉部門との連携というのが非常に重要であるというふうに思います。特に地域では様々な、まあ社会福祉法人なんかはですね、その要件として、地域の社会貢献事業を行うことというのが、社会福祉法人である一つの根拠となっているわけでありますから、例えばそういう高齢者、障害者、そしてひとり親支援などをやっている各種団体にもしっかりと働きかけをぜひ強化をしていただいて、こうした取組がしっかりと進むように取組をお願いしたいというふうに思います。
また、最初の課題認識の中の二つ目にあったのが、国の補助制度がなかなか実際の貸主や大家に対して、少し十分に活用されない制度となっているという話があって、その中に家賃低廉化制度の話もいただいたわけでありますけれども、やはり、今、他の委員からもありましたけれども、この制度の今、現時点の重要なポイントというのは、家賃低廉化の補助をしっかりと充実させるということであるというふうに思います。
特に高齢者もそうですし、今、要配慮者のささエール住宅に登録をされている住宅、高齢者の中の八割は三百万円以下の年収ということもあります。なかなか家賃的な負担が大きい、あるいはひとり親、そして障害者、やはり低収入というところが重なる部分があると思います。
そうした意味では、東京都は、都営住宅の新設というのはしない方向性ということもありますし、やはり民間住宅でしっかりとこうした支援を拡充していくというのは非常に重要であると思います。特にやはり民間住宅の活用でいえば、借りる側が実際に住宅を選べるという意味からも、利便性が非常に高いという部分もあると思います。
他国では住宅バウチャーの制度などですね、民間を活用したこうした住宅支援の取組というのが非常に広まっているということもありますので、それが東京ささエール住宅が非常に期待をされている役割でもありますから、こうした支援、しっかりと行っていただきたいと思います。
ただ、一方で、先ほどご答弁の中にもありましたけれども、家賃の低廉化補助を実施している自治体が、いまだに六区市で、去年の実績は六十七戸ということで、非常に限定的ですよね。都内の住宅の供給量に比べると、まだまだ家賃低廉化補助の実施をしている区市町村は僅かということで、やはりなかなか低廉化補助が進まない理由の一つが、区市町村の裏負担があるということが一つ。
あとは、国の制度が、ささエール住宅の家賃低廉化補助を、国と都道府県単位で費用を負担するわけですけれども、総額が二百四十万円、十年間ということで、上限年数が決められている制度なんですよね。十年間しか補助がない制度だと、区市町村や家主も、この制度を活用し続けられるかというところで、なかなかちゅうちょしてしまう部分もあるのかなというふうに思います。
しっかりとですね、こうした制度、本来あるべき姿についても見直すタイミングに来ているのかなというふうに思います。家賃低廉化補助に向け、区市町村への働きかけを強化するとともに、さらなる対策を講じるべきと考えますが、見解を伺います。
○鈴木民間住宅部長 家賃低廉化補助制度を設けていない区市町村に対しましては、個別訪問して意見交換等を行うなど、制度の導入を働きかけており、今後、要綱の策定に係る技術的支援などの取組により、導入に向けた支援を進めてまいります。
また、区市町村と各地域で活動する居住支援法人が一堂に会し、意見交換を行う場を設け、各地域における課題認識の共有などを通じ、区市町村と法人の連携を強化することにより、地域の実情を踏まえながら、家賃低廉化補助の導入を含め、ささエール住宅の登録が一層促進されるよう取り組んでまいります。
○後藤委員 ありがとうございました。
まずは区市町村との意見交換等もしっかり行うという答弁でありましたけれども、今、私の地元の足立区でも、幾つか家賃低廉化補助を使って、児童養護施設の対象者に向けての住宅補助という形で、ささエール住宅を活用しているわけでありますけれども、自分の足立区でいえば、その裏側に児童養護施設の対象者だけではなくて、民間住宅を活用して、低廉な安い家賃で住める民間住宅を欲している区民というのは、もっともっとたくさんいるわけで、そこで何で進まないのと足立区に聞くと、低廉化補助の裏負担がやはりなかなか重いと、かつやっぱり十年間って、いつ終わってしまうか分からないので、なかなか限られた財源の中でいえば、こうした制度がニーズが高いのは分かっているけれども、踏み出すことが難しいというような話もあるわけであります。
なかなかですね、既に都は、この制度が始まってから、本当にいろいろな制度を重層的に取り組んでいただいていると思います。特に登録のインセンティブを設けるだったりとか、あるいは貸主側の負担軽減ということで、様々家財の残置処理の補助をするとか、一個一個対策は講じていただいているんだというふうに思いますけれども、やはり国の制度の部分の限界も含めて、まだまだ課題は山積をしているのかなというふうに思います。こうした課題の整理も含めて、しっかりと今後の対応、前に進めていくことをお願いしたいというふうに思います。
次に、東京とどまるマンションについて取り上げたいというふうに思います。
私たちは、都民の都内住宅の七割が集合住宅であるという現状から、マンション防災の重要性についてもかねてより求めてまいりました。特に、令和五年度の予算要望におきましては、我が会派の最重点の要望の一つにマンション防災というのを取り上げさせていただきまして、特にもともとLCP住宅という制度があったんですが、なかなか活用がされていないということで、名前が分かりにくいですねということで、名称の変更ということと、マンション防災というのは、住んでいる都民の数の多さの割に、なかなか防災施策の中での位置づけが少ないんじゃないかということで、例えば防災資器材の助成ということも求めさせていただきまして、今年度ですね、東京とどまるマンションということで、大きくリニューアルをされたということで、こうした取組については大変ありがたく思っております、評価をしたいというふうに思います。
まず、現状についてお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、東京とどまるマンションの本年度の登録状況について伺いたいと思います。
○三宅民間住宅施策推進担当部長 東京とどまるマンションに名称変更する前の東京都LCP住宅は、平成二十四年度から昨年度末までに七件が登録されておりました。今年度、東京とどまるマンションは、十月末までに六十四件の新規登録があり、これまでに比べて大きく伸びてございます。
○後藤委員 ありがとうございます。
これまで平成二十四年から七件だったものが、この半期ということですかね、半年間で六十四件の新規の登録があったということで、これまでの登録状況に比べると、本当に件数自体は進捗を伸長しているのかなというふうに思います。
一方で、じゃあこの六十四件でいいのかというところでいえば、都内の集合住宅の戸数は約四百八十万戸あるということですから、まだまだ登録促進に向けた働きかけの強化というのは必要なのかなというふうに思っています。
そこで、他局の防災施策とも連携し、本制度のさらなる周知啓発を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
○三宅民間住宅施策推進担当部長 都は、本年六月からの防災備蓄資器材の購入の補助制度の開始に合わせて、マンション管理関係団体や区市町村を通じた管理組合等への周知を実施してまいりました。また、総務局とも連携し、マンションを含む全ての世帯に配布されるリニューアルした防災ブックや、マンション防災のリーフレットにも掲載するなど、周知を実施しております。
今後、PRキャラクターであるトドまるくんを活用した親しみやすいパンフレットや動画を新たに作成し、さらなる周知啓発に努めてまいります。
○後藤委員 ありがとうございました。
今年、この半年間の中で、マンション防災という言葉自体が都の防災施策の中にも多く盛り込まれておりまして、そうした意味からの連携も強化されてきたのかなというふうに思います。
今、防災ブックの話がありましたけれども、これは「東京防災」ですよね、これにもマンション防災の記載が非常に多く記載をしていただきましたし、あるいは、これは会派が、私たちが今年の予算特別委員会で提案をさせていただいて、マンション防災のリーフレット、これも合わせて全戸に配布をしていただきましたけれども、こうした取組の一つ一つの積み重ねも含めて、マンション防災の周知自体は、少し進んできているのかなというふうに思います。
ただ、一方で、じゃあ周知が進めば、この登録件数が増えてくるのかというところでいくと、やはりマンション特有の防災課題を一つ一つ解決していかなければいけない部分もあるのかなというふうに思います。
例えば、都内のマンションにおける災害時の備えの状況というのを見てみると、防災マニュアルを整備しているのが約三〇%、定期的な防火訓練をしている割合が四五%、半数を切っていて、さらに防災用品を備蓄しているのも約四〇%ということで、こうしたマンションにおける防災というところの取組としては、道半ばなのかなというふうに思います。
さらには、先ほど他の委員からもありましたけれども、都内のタワーマンション等では、停電してエレベーターが使えなくなったり、あと水が使えないというような課題もありまして、非常用電源の確保という課題、あるいは備蓄用のトイレの課題など、こうしたとどまるマンションの制度も使いながら、個別具体の課題に対応するような施策も重層的に行っていく必要があるのかなというふうに思っています。
今年五月には、足立区内の先進的なマンション防災をされているマンションにですね、小池知事にも見ていただきまして、後ほど住宅政策本部の方にも取組、見ていただきましたけれども、例えばハードの対策でいえば、電源室に止水板を入れたりとか、あるいは防災倉庫を一階にあったものを、かさ上げして五階に上げたりとか、あるいはソフトの取組では、マンションタイムラインをつくったりとか、あるいは階層ごとに住民避難の状況を把握したりとか、またコミュニティの取組では、顔の見える関係性ということで、様々なイベントを企画したりとか、そうした様々な取組を見ていただいたところかというふうに思います。
こうした好事例もぜひ参考にしていただきながら、周知啓発、今後は、周知啓発の強化というところに加えまして、各局とも連携をして、マンション特有の課題に対応した施策というものも、ぜひ今後は強化をしていただきたいというふうに考えますけれども、住宅政策本部長の見解を伺いたいと思います。
○山口住宅政策本部長 マンション等の共同住宅は、都内における主要な居住形態として広く普及しておりまして、総世帯の三分の二が居住している都民に不可欠な生活の基盤、また地域社会を構成する重要な要素となっております。
一方、首都直下地震の切迫性が指摘されておりますほか、風水害も頻発するなど、マンションの防災力を高めていくことは重要な課題でございます。
マンションにおきましては、在宅避難が継続できるよう、居住者による自助の取組を進めることに加えまして、地域との連携による共助の取組を進めることが求められております。エレベーター、トイレなど、マンション特有の課題に適切に対応していくことは不可欠でございまして、また、地域コミュニティと一体となった防災対策も含めて、多岐にわたる取組が必要でございます。
こうした課題に対応するため、庁内横断的に取組を進めますとともに、関係団体とも連携しながら、地域防災計画に掲げております施策を着実に進め、マンション、ひいては東京の防災力向上に向けて全力で取り組んでまいります。
○後藤委員 ありがとうございました。
力強いご答弁をいただいたかというふうに思います。
マンション防災の施策については、先ほど本部長もおっしゃいましたけれども、都民の三分の二が居住をしているということで、まさに東京都特有の課題ですよね。集合住宅の居住率は圧倒的に東京都が全国でもナンバーワンでありますから、やはり施策的にも、日本で一番マンション防災の取組を、先進的なものが東京でなければいけないというふうに思います。
そうした意味からも、これまで進めてきた防災対策に加えて、マンションというところを、今回の東京とどまるマンションのこうした制度の発展的なものを契機として一層進めていただきますことをお願い申し上げまして、私の質疑を終わります。ありがとうございました。
○土屋委員 私からは、マンション政策から始めさせていただきます。
都内には分譲マンションがおよそ百九十七万戸あり、総世帯数のおよそ四分の一、東京の主要な居住形態として普及し、都民にとっては不可欠な生活の基盤となっており、その居住環境を適切に維持することは大変重要であります。
そのためには、管理不全の兆候が見られるマンションを支援するとともに、管理状態の良好なマンションのモチベーションの維持向上を図ることが必要です。
本日は、まず、この二つの視点から、マンション管理の適正化に向けた取組について質問してまいります。
管理不全を予防するためには、管理不全の兆候に気づき、早めに対策を行うことが大切であります。行政として、これまでよりも踏み込んで管理組合を支援するため、都は、令和二年度から管理状況届出制度を運用し、管理不全の兆候の把握に努めているところでありますが、この管理状況届出制度の概要と運用状況について、改めてお伺いいたします。
○三宅民間住宅施策推進担当部長 管理状況届出制度は、マンションの管理不全を予防し、適正管理を促進すること等を目的に、昭和五十八年以前に建築された戸数六戸以上のマンションを対象としまして、管理状況について届出を義務づけた制度でございまして、令和二年四月から運用を開始してございます。
管理組合の設立や修繕の計画的な実施など、七つの項目を管理不全を予防するための必須事項としておりまして、このうち、いずれかがない、またはいないとなっている状況を管理不全の兆候ありと定義してございます。
令和五年三月末時点で、対象マンションの九割を超える一万四百四十棟が届出済みであり、そのうち約一七%で管理不全の兆候がございました。
○土屋委員 管理状況届出制度をしっかりと運用し、管理不全の兆候のあるマンションを把握しているとのことですが、この管理不全の兆候について、どのような傾向が見られるのか、また、そうしたマンションに対してどのような支援を行っているのかお伺いいたします。
○三宅民間住宅施策推進担当部長 管理不全の兆候として最も多い項目は、修繕の計画的な実施がないでありまして、届出がなされたマンションのうちの一一・一%、次に多い項目は年一回以上の総会の開催がないで七・三%、三番目は修繕積立金がないで五・四%となっておりまして、修繕工事に関わる項目で管理不全の兆候が顕著でございます。
こうしたマンションには、最大五回まで管理アドバイザーを無料で派遣し、管理の基本を解説する講義や、相談に対するアドバイスを実施してまいりました。
こうした取組に加えまして、さらに今年度からは、アドバイザーが管理規約や長期修繕計画の見直し案を作成して管理組合に提供するなど、一歩踏み込んだ支援を新たに開始し、その派遣費用の一部を助成しております。
○土屋委員 管理状況届出制度を活用し、管理不全の兆候が見られるマンションを特定した上で、アドバイザーを派遣し、丁寧に支援を行っていることは理解いたしました。
都では、十月から有識者等による検討会を開催し、管理状況届出制度の運用状況を踏まえて、適正な管理の促進策を検討していると聞いております。有識者や関係団体などの意見をよく聞きながら検討を深めていただきたいと思います。
ここまではマンションの管理レベルの底上げの話でしたが、管理不全の兆候のない大部分のマンションについては、良好な管理状況を適正に評価したり、管理適正化のインセンティブを設けたりして、居住環境の維持向上を図るべきと考えます。
そうしたことを後押しする制度として、都はかねてより、東京都優良マンション登録表示制度を実施してきましたが、最近になって、国の管理計画認定制度やマンション管理業協会のマンション管理適正評価制度など、様々な制度がスタートしています。
そこで、東京都優良マンション登録表示制度の概要と実績についてお伺いいたします。
○三宅民間住宅施策推進担当部長 東京都優良マンション登録表示制度は、既存マンションの流通市場の活性化を目的としまして、建物の構造と管理の両面から、一定の水準を確保しているマンションを認定、登録するものでございまして、平成十五年度に創設されました。
登録したマンションでは、建物や設備の経年劣化や修繕積立金の状況等も変化することから、一定期間ごとに更新を求めてございます。これまで登録したことのあるマンションは二百二十件でございますが、新規登録や登録更新の減少によりまして、令和五年十月末現在の登録は十八件となってございます。
○土屋委員 ありがとうございます。
この制度は、ある程度までは普及したものの、現在は低迷しているとのことですが、東京都優良マンション登録表示制度の認定、登録数が減少した要因について、都としてどのように捉えているのかお伺いいたします。
○三宅民間住宅施策推進担当部長 本制度の開始後、五年ほどたって起きたリーマンショックを機に、新規マンションの供給戸数は大きく落ち込んだ後、多少持ち直したものの、制度創設当時の半分程度まで減少してきたこと、また、平成二十七年以降は、日本マンション管理士会連合会のマンション管理適正化診断サービスや、国のマンション管理計画認定制度などの評価制度ができたことなどによりまして、新規登録が減少したものと思料されます。
また、制度の運用状況について、適宜、管理組合にヒアリングを行ってまいりましたが、登録のメリットが感じられず、更新の合意形成がなされなかったという声も聞いております。こうした理由によりまして、登録の更新がされず、登録件数が少なくなっております。
○土屋委員 登録の更新や新規登録が減少する中で、今後、この制度をどのように扱っていくのかお伺いいたします。
○三宅民間住宅施策推進担当部長 優良マンション登録表示制度は、マンションの管理水準の向上に一定の役割を果たしてまいりましたが、取り巻く環境の変化により、登録が大きく減ってございます。
昨年度から国の管理計画認定制度が始まり、区市が主体となって普及に取り組んでおりますが、本制度には、住宅金融支援機構の住宅ローンの金利引下げのほか、今年度からは一定の要件の下で長寿命化に資する大規模修繕工事を実施した場合は、固定資産税が減額されるなど、優遇策が拡充されてございます。
管理計画認定制度は広く普及が見込まれるため、優良マンション登録表示制度は新規登録、更新の受付を停止するとともに、認定マンションを管理計画認定制度へ誘導しまして、管理の良好なマンションが評価される環境を整備してまいります。
○土屋委員 より登録のメリットが感じられるほかの制度が整ってきており、優良マンション登録表示制度はその役割を終えたということかもしれません。
しかしながら、残っている十八件の認定マンションについては、管理適正化の意欲をそぐことのないよう、管理計画認定制度への移行を希望する組合に対して支援を行うなど、都にはしっかりとしたフォローをお願いいたします。
また、管理の良好なマンションが市場で適正に評価されるようになれば、管理組合の活動にもますます熱が入るのではないかと思います。管理状況を客観的に示すものとして、管理計画認定制度はいい制度だと思いますし、私も一般質問などで取り上げさせていただいておりますが、制度は普及しなければ効果は薄いというところで、管理計画認定制度の普及の状況についてお伺いいたします。
○三宅民間住宅施策推進担当部長 都は、管理が良好なマンションが市場で適正に評価されるよう、実施主体である区市の制度導入を支援するとともに、都民向けのセミナーの開催等により普及啓発を行っております。
こうした取組によりまして、今年度に入って、世田谷区や練馬区など十七区と立川市や武蔵野市など十六市が新たに制度を導入した結果、十月末現在、十九区十八市で導入済みとなり、都内の認定マンションは七十二件となってございます。
年度内には、二十三区全てと市部の約八割に当たる二十一市で制度が開始される見込みでございまして、引き続き、区市の導入を支援してまいります。
○土屋委員 管理計画認定制度を導入する区市が広がりつつあることは分かりましたが、まだ普及途上にあると思います。
そこで、認定の取得を加速していく上での課題と今後の取組についてお伺いいたします。
○三宅民間住宅施策推進担当部長 管理計画の認定を取得するマンションをさらに増やしていくためには、管理組合に直接働きかけるだけでなく、管理会社から管理組合に対しても認定申請の働きかけを促進することが効果的でございます。
そのため、今年度から、区市が管理会社に向けて、認定制度に関する講座を開催するなど、管理会社の制度への理解を深めることを目的とした取組を実施する場合、当該経費の二分の一を補助することとしておりまして、複数の自治体から実施に向けた相談を受けてございます。こうした取組によりまして、区市や管理会社との連携を深めながら、認定の取得を促進してまいります。
○土屋委員 優良マンション登録表示制度の運用で得た教訓を生かしながら、管理計画認定制度の普及に全力で取り組んでいただきたいと思います。
それぞれのマンション管理での取組が見える形で評価、そして多くの方に認知されることによりまして、管理活動に熱心に取り組む管理組合がより一層増えていくことを期待し、次の質問に移ります。
私からも、ささエール住宅について質問をいたします。
このささエール住宅ですが、高齢者やひとり親家庭など住宅にお困りの方に、民間の賃貸住宅を供給する大変いい制度であり、オーナーさんなどと話す機会があれば、勧めているという状況でありますが、なかなか難しい部分もあると感じており、そして実際に専用住宅の戸数は大きく増えていない状況であります。
登録の促進を図るため、都は補助制度など独自の取組を積極的に進めてきており、先ほど他の委員の質問のご答弁にもありましたように、今年度からはオーナー向けに貸主応援事業という制度を新たに始めたということですが、この貸主応援事業について、改めてその事業内容をお伺いいたします。
○鈴木民間住宅部長 貸主応援事業は、賃貸住宅の経営者でもある貸主にとって分かりやすく魅力的な制度とするよう、貸主一人一人の実情に応じて、幅広く選択できる包括的な補助制度として、今年度から開始したものでございます。
具体的には、令和四年度に開始した住宅設備改善費補助のほか、耐震改修費補助を新たに加えるとともに、見守り機器設置費の補助率を引き上げるなど、支援内容の充実を図っております。
あわせて、これらの補助メニューをパッケージ化することで、補助制度の全体像をつかみやすくし、貸主が一回の申請で様々な補助メニューを活用できるようにしております。
○土屋委員 耐震改修費補助を新たに追加したということでありますが、ささエール住宅に登録するためには、耐震性を満たしていることが一つの要件となっておりまして、特に古い建物で耐震性を満たしていないために、ささエールに登録できない物件のオーナーにとっては、大きな支援になるのではないかと思います。
そこで、この耐震改修費補助の具体的な内容についてお伺いいたします。
○鈴木民間住宅部長 旧耐震基準の建物をささエール住宅に登録するに当たっては、耐震診断を受けることにより、耐震性の確認をすることが必要でございます。耐震診断の結果、耐震性が不足する場合には、耐震改修設計を行った上で、耐震改修工事を行うこととなり、おのおのについて貸主の負担が生じることとなります。
そのため、耐震改修費補助におきましては、耐震改修工事のみならず、耐震診断や耐震改修設計の費用についても補助対象としております。また、貸主が経営的な判断等から、耐震改修によらず、建て替える場合には、既存住宅の除却費も補助対象としており、貸主の選択の幅を広げております。
○土屋委員 耐震改修工事を行ったり、これを機に建て替えを行うなど、オーナーの選択の幅を広げるようにしていることは評価いたしますが、それではこの耐震改修費補助について、現在の利用状況はどうなっているのかお伺いいたします。
○鈴木民間住宅部長 現時点でまだ正式な申請はいただいておりませんが、事前相談を複数受けております。事前相談に来た貸主の方に対しましては、耐震診断から耐震改修設計、耐震改修工事に至る一連の流れをご説明するとともに、耐震診断に係る区市町村の相談先や、都に登録されております木造住宅耐震診断事務所のご案内をするなど、貸主が円滑に本補助金を利用できるよう配慮しております。
なお、耐震診断から耐震改修工事までを実施するには、相応の期間や費用を要するため、判断に時間を要している面もあるものと考えております。
○土屋委員 事前相談は受けているとのことですので、補助事業としての必要性はあるものと考えます。また、貸主にとってなじみのない耐震改修工事の手続を進めていくわけですから、補助申請を決断するまでに時間を要することも当然であると考えます。
しかしながら、今お尋ねした耐震改修費補助を含め、貸主応援事業自体がまだあまり知られていないと感じております。不動産事業者や貸主に広く普及して知ってもらえれば、旧耐震の建物を所有するオーナーなど、潜在的な利用者を掘り起こすことが可能になると考えます。
そこで、不動産事業者や管理会社、貸主に対する普及啓発として今後どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
○鈴木民間住宅部長 貸主応援事業をより多く活用いただくためには、オーナーに補助制度を知ってもらうことが重要であることから、賃貸住宅に関わる様々な団体との連携を強化し、各会員企業等に対する補助制度の普及啓発の取組を加速いたします。
具体的には、オーナーや管理会社の所属する団体に対しては、オーナーに直接、または管理会社から働きかけることにより、効果的に補助制度の活用を促すため、今年度、新たにセミナー実施を委託いたします。
また、不動産事業者の団体に対しましては、オーナーに対する働きかけを行っていただくため、各支部の研修会等の機会を捉えまして、都職員が直接、補助制度等を説明してまいります。
○土屋委員 都としてもさらに普及啓発に関して強化していくということでありますので、今後とも貸主の相談に丁寧に対応し、実績の確保に努めてもらいたいと思います。
あわせまして、私からも、オーナーさん、貸主側の不安の解消の重要性についても言及したいと思います。
ささエールの専用住宅は、要配慮者のみが入居するものであり、入居中のトラブルを敬遠して登録は進んでいない部分もあるのではないかと感じますが、賃貸住宅のオーナーからの相談としましても、高齢者が亡くなった後の家財引取りや火葬対応、そして外国人など転居の際に勝手に物を残す、壊すなど、オーナーが苦労することも多いと聞きます。
貸主がささエール住宅として、要配慮者に安心して賃貸できるよう、都はどのような支援を行っているのかお伺いいたします。
○鈴木民間住宅部長 住宅確保要配慮者の受入れに対して、貸主が抱える不安を軽減するため、ささエール住宅の専用住宅に新たに登録する貸主に対しまして、残存家財の整理費用や、居室内修繕費用などの損害の補償を目的とした少額短期保険等保険料への補助を行っております。
また、高齢者や外国人など要配慮者の各属性に応じて効果的な生活支援等を実施する体制を整備するため、多様な居住支援法人の指定を推進しております。こうした取組などにより、貸主の不安を解消し、安心して要配慮者に賃貸できる環境を整備しております。
○土屋委員 貸主の不安、負担を軽減し、専用住宅のさらなる登録促進が図られるようしっかり取り組んでいただくことを要望し、次の質問に移ります。
都営住宅についてです。
都営住宅では、居住者の高齢化が進んでおり、団地自治会の活動の低下が懸念されています。こうした中、都と協定を締結した大学の学生が都営住宅に入居し、自治会活動に参加する取組を行っているとのことで、本取組は団地コミュニティの活性化に意義のある取組であると感じております。
そこでまず、これまでの大学との協定締結実績と、学生の都営住宅への入居実績についてお伺いいたします。
○小町経営改革担当部長 令和五年十月末時点で九つの大学と協定を締結し、このうち昨年度までに協定を締結した六つの大学の学生が六団地に三十二人入居しております。
○土屋委員 大学との協定締結が着実に進んでいることが分かりました。
次に、入居した学生はどのような自治会活動に参加しているのかお伺いいたします。
○小町経営改革担当部長 入居した学生は、共用部分の清掃に加え、資源回収運動やお祭りの手伝いなどに参加するなど、自治会活動の活性化に貢献しております。
ある団地の自治会は、団地居住者の小学生を対象とした夏休み学習教室を開催し、学生が子供たちの夏休みの宿題などを教える活動も行いました。
○土屋委員 学生が自治会活動に参加することで、世代間の交流など高齢者の皆さんも大変うれしいと思いますし、学生も学業だけでなく、こういった機会を捉え、社会性などが身についていくこととも思います。
また、団地ごとに特色ある活動をしていることは大変いいことであり、この取組をさらに推進していくには、大学と団地双方の理解をいかに得ていくかが鍵となります。
そこで、大学にはどのようにアプローチし、団地を選定しているのかをお伺いいたします。
○小町経営改革担当部長 昨年度は、地域への貢献に関心のある大学に働きかけるなどして協定を締結するとともに、大学の近隣で団地自治会等が学生の入居を希望する団地を選定いたしました。
今年度は、地元自治体とも連携を図りながら、さらなる大学の参加を働きかけるとともに、本事業の趣旨を大学及び自治会の双方に理解していただき、大学と団地が近隣にあるなどの立地にとらわれず、協定を締結していただけるように取り組んでおります。
○土屋委員 地元自治体と連携をしながら、大学にアプローチをする工夫をし、さらには、必ずしも都営住宅の近隣にある大学だけにとらわれず、幅広く大学と団地のマッチングに取り組んでいることが分かりました。今後とも、都営住宅のコミュニティの活性化につながるこの取組が広がりを持つよう積極的に進めていただくことを要望し、次に移ります。
次に、都営住宅における移動販売について伺います。
私の地元世田谷区でも、今年度も、桜一丁目アパートや下馬二丁目アパートなど、世田谷区内の幾つかの都営住宅におきまして、新たに移動販売が開始され、多くの方が活用して便利になっていると感じております。
一方で、近隣のスーパー、特に駅から離れている地区のスーパーの店舗が次々に閉店し、世田谷区でも少しずつ買物難民の話が出始めているところでありますが、高齢者などは遠方までの移動が難しく、買物に不便な思いをしているという声を多々聞く中で、日常の買物が困難な状況に置かれている人々、いわゆる買物弱者への支援は継続、充実していく必要があると考えます。
そこで、現在、行われている支援策である都営住宅における移動販売サービスの意義と都の役割をお伺いいたします。
○平松都営住宅企画担当部長 移動販売サービスは、居住者の日常生活の利便性を向上させますとともに、サービスを利用する居住者のみならず、周辺にお住まいの方々との交流を促し、地域コミュニティの活性化を図るものでございます。
都は、日常の買物が困難な方々への支援策といたしまして、区市町が実施する買物弱者支援事業と協力して、区市町が選定した民間事業者へ、食料品や日用品等の移動販売サービスを実施する場所として、都営住宅の敷地の一部を提供しております。
○土屋委員 次に、現在の取組状況についてお伺いいたします。
○平松都営住宅企画担当部長 本日現在、世田谷区を含む十一区十一市一町で九十三の移動販売が行われており、平成二十九年十二月の事業開始以来、着実に実施箇所数を増やしております。
今後も引き続き、都民や民間事業者などへホームページやSNS等を活用して、本事業を周知していくことに加えまして、地元自治体へ事業協力に向けた働きかけを行うなどによりまして、一層の拡大を図ってまいります。
○土屋委員 都営住宅の居住者や周辺住民のニーズを把握し、必要な支援を講じていくことは大変重要であります。今後も区市町と連携をしながら、移動販売サービスの拡充に向けて取組を推進していただきますようよろしくお願いいたします。
次に、小笠原諸島で実施している小笠原住宅の建て替え事業について質問をいたします。
都は、小笠原へ帰島を希望する旧島民の定住促進のため、小笠原住宅を建設、それら昭和四十年代に建てられた住宅が、これから建て替えの時期を迎えています。
そこで、小笠原住宅の設置目的と現状について、改めてお伺いいたします。
○青木建設推進担当部長 小笠原住宅は、通常の公営住宅とは異なり、東京都小笠原住宅条例に基づき、帰島を希望する旧島民の帰島促進などを目的に、都が国の補助を受けて建設したもので、現在の管理戸数は三百九十三戸となっています。
このうち、老朽化が進んだ父島清瀬アパートの一部及び母島沖村アパートについて、居住環境の向上及び自然環境に配慮した住まいづくりを目指し、建て替えに向けて取り組んでおります。
○土屋委員 建て替える小笠原住宅は、地域優良賃貸住宅制度による住宅になると聞いております。制度を大きく変更した理由をお伺いいたします。
○青木建設推進担当部長 小笠原諸島が昭和四十三年に日本に復帰し、五十五年が経過しています。平成二十六年の小笠原諸島振興開発特別措置法の改正の際に、小笠原諸島への帰島者が減少してきたことなどを踏まえ、法の目的に定住の促進が盛り込まれました。
これを受け、国と協議を行い、居住の安定に特に配慮が必要な世帯のための賃貸住宅であります地域優良賃貸住宅制度を活用し、小笠原住宅を建て替えることといたしました。
○土屋委員 入居制度が大きく変わるということで、住民への影響も大きいと考えます。
そこで、住民に対して丁寧に説明していく必要があると思いますが、都の対応をお伺いいたします。
○青木建設推進担当部長 地域優良賃貸住宅は所得制限が設定されており、今回建て替え対象となる住宅の居住者には、所得制限を上回る世帯が一部存在しています。
そこで、地域優良賃貸住宅または所得制限のない既存の小笠原住宅のいずれの住宅に移転を希望するかの調査や、住民の不安の解消を目的として、令和三年度から居住者を対象に相談会を実施しています。この相談会は、住宅が完成するまでの間、毎年度実施することとしており、きめ細かく丁寧に対応してまいります。
○土屋委員 住民の意見をしっかりと聞いていただき事業を進めていただきたいと思います。
そして、この小笠原住宅の建て替えについては、住民から建て替え工事の早期着工が期待されていますが、スケジュールが遅れていると聞いております。現在の工事の状況をお伺いいたします。
○青木建設推進担当部長 父島清瀬アパートについては、令和四年度から敷地造成工事を施工しています。新築住棟の建築工事は、令和五年二月に入札不調となったため、不調原因の分析を行い、改めて令和五年度中の契約に向けて手続を進めています。
母島沖村アパートについては、これまでに集会所等の除却工事を完了しています。敷地造成工事は、令和五年十月に入札不調となったため、改めて年度内の契約に向けて手続を進めております。
○土屋委員 島しょ地域では、工事業者が限られており、工事発注のタイミングによっては入札不調になる可能性も高く、やむを得ない側面もあるとは思いますが、住民への影響を最小限にとどめるよう、事業を進めていく必要があると思います。
そこで、今後の事業の見通しについてお伺いいたします。
○青木建設推進担当部長 父島清瀬アパートについては、第一期事業の建築工事を令和五年度末までに契約し、令和八年度の住棟完成及び入居を目指しております。
母島沖村アパートにつきましては、第一期事業の敷地造成工事を令和五年度末までに契約、令和七年度には建築工事に着手し、令和九年度の住棟完成及び入居を目指しています。
小笠原住宅の建て替え事業を着実に推進することで、小笠原村の良好な居住環境の確保に努めてまいります。
○土屋委員 島民にとって、この事業の期待は非常に大きく、住宅の老朽化が進んでいることから、早期建て替えを強く要望し、次の質問に移ります。
次に、東京都住宅供給公社も小笠原村で賃貸住宅を建設していますが、公社が小笠原村で賃貸住宅を建設する目的についてお伺いいたします。
○今井連絡調整担当部長 民間ファミリー向け賃貸住宅が不足する小笠原村父島で良質な賃貸住宅が供給されることは、定住だけでなく、移住の促進にもつながり、重要でございます。
父島では、住宅用地の取得が難しく、建設コストもかさむことから、東京都住宅供給公社は都及び小笠原村と連携し、村有地を活用するなど、コストを抑えながら、モデル事業として賃貸住宅を建設することといたしまして、現在建設工事中でございます。
○土屋委員 父島の住宅事情等を踏まえ、様々な課題がある中、関係者が協力して、モデル事業ということで進めていることが分かりました。
では、なぜ東京都住宅供給公社が建設しているのかをお伺いいたします。
○今井連絡調整担当部長 公社は、東京都の住宅政策を担う政策連携団体であり、これまで本土でファミリー世帯向けを中心に賃貸住宅の建設及び管理を行っていることから、豊富な実績とノウハウを保有していること、地元自治体と連携した住宅整備の実績があること、公的主体として公平な入居者募集や管理業務が行えることなどが理由として挙げられます。
○土屋委員 公社が本土で培ってきた住宅経営のノウハウが島しょ部でも有効に活用されることを望むところでありますが、なぜモデル事業なのかをお伺いいたします。
○今井連絡調整担当部長 公社は、本モデル事業が初めての島しょ部での賃貸住宅の建設及び管理であることから、建設コストや管理方法など、住宅経営に関する様々な検証が必要であるためでございます。
○土屋委員 モデル事業とはいえ、島しょ部で初めて住宅経営に果敢にチャレンジする公社には感謝を申し上げたいというふうに思います。
そこで、これまでの進捗と今後の対応についてお伺いいたします。
○今井連絡調整担当部長 公社が建設しておりますカーメスト小笠原父島は、令和四年十二月に着工し、当初令和五年十二月に竣工する予定でしたが、作業員不足による建設工事の遅れから、竣工時期は令和六年十月、入居開始は令和七年三月の予定となってございます。今後、作業員の確保に取り組むとともに、着実に建設工事を進めてまいります。
○土屋委員 住宅戸数は、僅かではありますが、父島で移住と定住を促進するためにも、島民の期待は非常に大きいところであります。
よって、今後は工事が遅れることなく、計画どおり建物の竣工と入居ができるよう、関係者の一層の協力を強く要望して、私の質問を終わります。
○加藤委員 初めに、分譲マンションの老朽化問題について質問をします。
都内のマンションでは、建物の老朽化と居住者の高齢化という二つの老いが進んでおり、適切な修繕をしなければ危険な状況に陥るほか、組合の担い手不足で管理不全に陥るおそれがあります。
そこでまず、建物の老いについてですが、着工から四十年以上経過した分譲マンションの現在の戸数、それから今後どのぐらい増えていくのか伺います。
○三宅民間住宅施策推進担当部長 着工から四十年以上経過した都内の分譲マンションの戸数は、平成三十年時点で約二十四万六千戸となってございます。
建て替えが進まなければ、二十年後の令和二十年には約三・五倍の約八十六万九千戸にまで急増する見込みとなってございます。
○加藤委員 では、もう一つであります居住者の老いの方ですね、都内のマンションの居住者の高齢化の状況はどうなっているのか伺います。
○三宅民間住宅施策推進担当部長 都内の分譲マンションにおきましては、築年数が古いものほど区分所有者の高齢化が進んでおりまして、平成二年以前に建築されたマンションでは、世帯主が六十五歳以上の世帯の割合が、平成三十年時点で五割を超えてございます。
○加藤委員 東京では、五年前の平成三十年の時点で、築二十八年以上経過しているマンションに、六十五歳以上の世帯が半数以上占めているということですから、このまま進んでいった場合、現在でも既に築三十三年以上ということとなりまして、マンションの二つの老いが急速に進んでいるということが分かりました。
では、この二つの老いがさらに進んでいくと今後どうなっていくのか、どういった問題が起こりやすくなるのか伺います。
○三宅民間住宅施策推進担当部長 築四十年以上の高経年マンションでは、外壁等の剥落、鉄筋の露出、腐食や給排水管の老朽化といった生命、身体、財産に影響する問題を抱えるものが多くなってございます。
区分所有者の高齢化が進み、管理組合の担い手不足や総会運営、集会の議決が困難になるといった課題も懸念されてございます。
○加藤委員 この高経年マンションにつきましては、管理不全の予防が特に大切になります。私も昨年十一月の各会計決算特別委員会で、先ほども話が出ておりましたけれども、管理状況届出制度の届出状況などについて取り上げました。
もう先ほどやり取りがありましたので、この部分はちょっと割愛をさせていただきますけれども、そうした中で管理不全を予防するための必要事項に関する情報を活用して、先ほども専門家、最大五回まで無料派遣すると、こういうお話も答弁でありました。
そうした派遣制度以外にも、この届出制度を通して情報が得られていると思うんですけれども、どういった情報をどういうふうに活用しているのか、このことについて伺います。
○三宅民間住宅施策推進担当部長 管理状況届出制度では、管理不全を予防するための必須事項のほか、適正な維持管理に関する事項や、マンションの社会的機能の向上に資する取組に関する事項について届出を求めております。
例えば耐震化の状況として、耐震診断や耐震改修の実施の有無などを把握しておりまして、耐震診断を未実施のマンションに対して、支援制度のご案内をするなど耐震化を促しておるところでございます。
また、区分所有者等名簿等の有無や、空き住戸の割合等を把握しておりまして、今年度から区分所有者等名簿のないマンションや空き住戸の多いマンションに対しても、都及び区市町の職員がマンション管理士と連携して個別訪問を行う適正管理啓発隊を派遣することによりまして、管理不全の予防の一層の強化に取り組んでございます。
○加藤委員 この適正管理啓発隊の取組ですね、期待をしております。
管理状況届出制度は、高経年マンションの管理状況を把握するツールとして優れた制度だと思いますが、この制度がよりよいものになるよう検証を行い、充実を図るべきだと考えます。
都では、十月から有識者等による検討会を開催して、管理状況届出制度の運用状況を踏まえて、届出項目の追加の検討、こうしたこともぜひ考えていただいて、適正な管理の促進策を検討していっていただきたいなというふうに思います。今後も、有識者や関係団体などの意見をよく聞きながら、ぜひ検討を深めてほしいと要望をしておきます。
次に、民間賃貸住宅についてです。中でも高齢者向け優良賃貸住宅、いわゆる高優賃、これについて伺います。
実は十三年前に、地元墨田の区議会議員から要望がありまして、当委員会で高優賃の供給促進に向けまして、区市などの負担を軽減すべきだと、このように都に求めまして、そのときには区の負担を三二・五%から二七・五%へ五%を軽減しましたという、こういう答弁を得た経緯があったものですから、私にとりまして、思い入れの深いこの政策なんですね。
現在、都内にも相当数が供給されていると思います。昨年には我が会派の事務事業質疑で、この高優賃が今後、管理開始から二十年の管理期間を満了する住宅が順次発生することから、東京ささエール住宅に移行していくという方針が明らかになったわけですけれども、その後のこの一年の進捗について確認したいと思います。
まず、高優賃から東京ささエール住宅に移行するに当たっての都の基本的な考え方、改めて確認をいたします。
○鈴木民間住宅部長 今後、管理期間を満了する東京都高齢者向け優良賃貸住宅が順次発生してくることから、バリアフリー化された良質な住宅ストックとして、引き続き有効活用していくことが重要であると認識しております。そのため、東京ささエール住宅の専用住宅への移行を促し、併せて家賃低廉化補助制度を活用し、入居者の負担軽減を図る考えでございます。
管理期間の満了年度は、住宅により異なるため、令和六年度末までに満了する住宅につきましては、令和七年度から移行が可能となるよう、また、令和七年度以降に管理期間が満了する住宅につきましては、管理期間の満了に合わせて移行が可能となるよう、区市と協議を進めてまいります。
○加藤委員 まずは令和六年度末までに管理期間を迎える住宅を優先して、東京ささエール住宅への移行を行っていくということでありますが、現在、都内には高優賃がどれだけあって、そのうち令和六年度末までに管理期間を満了する高優賃はどのくらいあるのか教えてください。
○鈴木民間住宅部長 東京都高齢者向け優良賃貸住宅は、令和五年十一月一日現在、十三区市において、四十八棟、千百十六戸となっております。そのうち、令和六年度末までに管理期間を満了するものは、五区市におきまして、十一棟、二百五十戸となっております。
○加藤委員 住宅セーフティーネット制度に基づく家賃低廉化補助の活用に当たっては、昨年度の質疑で幾つか課題があることが明らかになりましたけれども、この間、これらの課題の解決のためにどのように対応してきたか伺いたいと思います。
まず、現在高優賃にお住まいの方の中には、所得が月収十五万八千円を超える方もいまして、住宅セーフティーネット制度では補助の対象外となるとのことでありましたが、それらの方に対して都はどう対応するのか伺います。
○鈴木民間住宅部長 月収が十五万八千円を超える方など、現行の住宅セーフティーネット制度の家賃低廉化補助の入居者の要件に該当しない方につきましては、原則二十年間の管理期間が経過した後におきましても、令和十三年度末までの間、高齢者向け優良賃貸住宅の補助制度が引き続き利用できるよう経過措置を講じる考えでございます。
○加藤委員 経過措置があるということで、まずは安心できますけれども、次に、住宅セーフティーネット制度では、原則として入居者を公募することが必要という課題もありました。これに対する都の対応についても伺います。
○鈴木民間住宅部長 住宅セーフティーネット制度では、入居機会の公平性を確保する観点から、国の補助金交付要綱におきまして、家賃低廉化補助を行うに当たり、入居者を公募することを原則としております。
しかしながら、国の通知では、地方公共団体が策定する賃貸住宅供給促進計画等に位置づけることや、同様の公的住宅等の応募状況など一定の要件を満たした場合には、公募を行わなくてもよいとされており、その要件の適応につきまして、国と調整を図ったところでございます。
○加藤委員 昨年の我が会派の質疑を受けて、都はセーフティーネット住宅への移行における課題に対し、しっかり取組を進めていることが確認できました。
では、令和七年度からの東京ささエール住宅への移行に向けて、引き続き、区市との丁寧な調整を進めるとともに、オーナーに対してもきめ細かな対応が必要となってくると考えますが、見解を伺います。
○鈴木民間住宅部長 都は、令和七年度以降、順次、東京ささエール住宅に円滑に移行できるよう、各区市における家賃低廉化補助の要綱の策定等に対する技術的支援や、関係機関との調整のサポートなどを行ってまいります。
また、オーナーの個別の事情等により、速やかに移行が難しい場合には、オーナーの意向等を踏まえながら、地元区市とも連携しまして、適切に対応していく考えでございます。
こうした取組を通じまして、高齢者向け優良賃貸住宅から東京ささエール住宅への移行を円滑に進め、今後とも高齢者の居住の安定を確保してまいります。
○加藤委員 オーナーは、これまで長きにわたって高齢者向け優良賃貸住宅を管理し、都や区市の施策にご協力をいただいた立場であります。そのため、答弁にもありましたが、オーナーの個別事情を踏まえて、きめ細かい配慮をお願いいたします。
住宅セーフティーネットの充実や、東京ささエール住宅の登録促進については、かねてから我が会派が要望を重ねてきた部分であります。高優賃から東京ささエール住宅に移行し、さらに住宅セーフティーネット制度が進むことを期待して、次に移ります。
次は、公営住宅について質問をいたします。
まず、都営住宅の管理システムについてなんですけれども、都では都営住宅等の入居者が行う手続のオンライン化について、令和八年度に予定している都営住宅の管理システムの再構築と併せて取り組んでいるとのことですが、システム再構築の現在の進捗状況について伺います。
○小町経営改革担当部長 都は、都営住宅に係る手続につきまして、東京デジタルファースト推進計画において、重点的にデジタル化を図るべきものとしており、その実現に向けて必要となる都営住宅管理総合システムの再構築を令和八年度に予定しております。現在、次期システムの機能について精査しており、来年度からは基本設計に着手する予定でございます。
なお、口座振替依頼書の請求などの一部の申請等につきましては、今年度より東京都行政手続クラウド申請を活用し、先行しオンライン化してございます。
○加藤委員 手続のオンライン化については、今年度より東京都行政手続クラウド申請を活用した取組を開始しているとのことですが、ではこれまでの状況と今後の展開、これについて伺います。
○小町経営改革担当部長 東京都行政手続クラウド申請を活用したオンライン申請につきましては、本年十月末までに十四種の申請や届出等について公開しており、これまでに約四百件の申請等を受け付けております。
また、申請フォームの公開に合わせて、入居者向け広報紙「すまいのひろば」への記事掲載やチラシ配布などにより、入居者へのPRに努め、利用促進を図っております。
今後、再構築が完了するまでの間、その他の手続につきましても、申請内容が簡易なものからオンライン申請できるよう取り組んでまいります。
○加藤委員 住宅政策本部では、デジタルサービス局と協力して、自治会室等を利用してスマホ教室を開催していると思うんですけれども、こうしたオンラインサービスの使い方も併せて行ってもらえれば、理解が進んで利用が増えると思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと存じます。
次に、住宅設備関係に移ります。
先日、中山委員と一緒に建材メーカーのショールームを見学しまして、断熱仕様の窓について性能の違いを体験してきました。住宅の開口部の中でも、特に熱の出入りが多い窓に対し、複層ガラスなどの断熱窓を設置することで、断熱性能を向上させることが有効であると改めて認識しました。
そこで、公社住宅において、新築住宅だけでなく、既存住宅でも断熱窓を導入すべきと考えますが、都の見解を求めます。
○今井連絡調整担当部長 脱炭素化に加えて、居住者の健康確保の観点からも、東京都住宅供給公社の住宅の断熱性能を高めていくことは重要でございます。
公社はこれまで、建て替え住宅では平成十八年度から複層ガラスの断熱窓を採用しており、これまで十七団地、四千五十二戸に導入してございます。既存住宅では一部の空き住戸において複層ガラスの窓を試験的に設置することとしておりまして、現在施工の準備を進めてございます。
今後、試験施工した住戸において、断熱性の効果やコスト、採算性等の検証を進めてまいります。
○加藤委員 ぜひ導入を急ぐよう要望いたします。
光熱費高騰の時期でもあり、国や都などの断熱窓導入に対する補助制度の影響もありまして、お聞きしたところによると、製造はフル回転しているというふうに伺いました。工事が手軽で効果の得やすい内容ですので、よろしくお願いしたいと思います。
次に、都営住宅においては、今年の第一回定例会における公明党の代表質問でも取り上げましたが、同様に既存住宅への断熱窓を導入すべきと考えますが、改めて都の見解を伺います。
○小久保営繕担当部長 都営住宅におきましては、脱炭素化に加えて、居住者の健康確保の観点からも、住宅の断熱性能を高めていくことは重要でございます。都営住宅の既存住棟では、窓を複層ガラス等に改修した場合の効果やコストを検証しているところでございます。
窓を複層ガラス等にすることは、断熱効果が高いと考えておりますが、改修コストに加え、居ながら工事による居住者への負担などの課題がございます。引き続き、複層ガラスなどへの改修について検証を行ってまいります。
○加藤委員 今答弁で、居ながら工事による居住者の負担等の課題というふうにありましたけれども、先ほど申し上げましたショールームでお話を聞いたところ、二重窓にする方法と窓ごと取り替える方法があるんですけれども、二重窓の設置工事は三十分ほどでできますと、非常に簡単ですと。それから、既存の窓を複層ガラスに交換する場合でも、ユニット化っていうんですか、もうされていまして、それをぱしっとはめる、そういうような形になっているということもあって、複数の業者が昔は入れ替わり立ち替わりで、居住者に非常に不安といいますか、負担をかけていたんですけれども、今はユニット化されているので、一事業者、作業員も二人ぐらいで交換できますと、半日もかかりませんと、このようにいっておられました。
これなら、家族の健康や光熱費の削減、地球環境のことを考えたら、居住者の負担なんかないと、そのように思います。一度ショールームにぜひ行っていただいて、見てきていただきたいと、そのように思いますので、まあ考えをですね、見直していただきたいと強く求めておきます。
次に、建て替え後の間取りの改善について質問をいたします。
都営住宅での単身世帯の増加は、データで明らかだと思います。また、今は家族がいても、長年住み続けた結果、単身高齢者となり、介護が必要な状態になるのではないかとの不安は計り知れないものがあります。
したがって、介護者の滞在を考慮した間取りが必要となってきます。さらには、たとえ介護状態にならなかったとしても、親族が来訪する際には、単身者向け一DKでは手狭であります。
こうした問題意識の下、高齢者の生活の質の向上や孤立防止、子育て支援や居住者の多世代化への貢献という観点から、我が会派では本年の第一回定例会本会議では中山都議から、第二回定例会本会議では斉藤都議から質問をしたところ、高齢居住者の介護者が滞在でき、小さな子供がいるひとり親世帯等も入居できる広さと二つの居室を備えるとともに、将来は隣接住戸と合わせてファミリー向け住戸に改修可能な新たな間取りの導入について検討中であり、新たに建て替え計画を策定する団地で、間取りの改善について試行を行っていくと都側から答弁がありました。
そこで、新たな間取りについて、試行を行っていくとのことでありますが、現在の検討状況を教えていただきたいと思います。
○青木建設推進担当部長 都営住宅の単身者向けの新たな間取りについては、今後、建て替えに着手する足立区の辰沼町アパートで試行することとしています。ここで本年七月に実施した居住者アンケートでは、二つの居室を備える間取りの希望が多数あったことを踏まえ、新たな間取りの基本設計に着手したところです。この新たな間取りにおいても、隣接住戸と合わせてファミリー向け住戸に改修可能な構造とする予定でございます。
○加藤委員 答弁にあったとおり、都において辰沼町アパートを対象とした試行を開始したということであります。ぜひ居住者の意向をよく聞いて、今後の都営住宅の新たな方向性を指し示すような建て替え計画となるよう進めてほしいと要望します。
一方、私の地元墨田区には、文花一丁目アパートという区内最大規模の都営住宅が存在をしております。この団地でも高齢化が進み、将来を不安に感じている居住者が少なくありません。
また、数年前に当団地の一部が建て替えられまして、その際に、戻り入居した住民から、間取りがもう狭くて使い勝手が悪いというお声が多く寄せられました。
今回、この団地も新たに建て替えが決まっておりまして、居住者との話の中で、新たな間取りの住居を導入してほしいとの強い思いと期待感をお持ちでありました。辰沼町での試行を、ぜひ文花一丁目アパートも含め、広く他の団地へも展開していただくことを強く要望しておきます。
次に、自治会支援についてであります。
都営住宅では高齢化が著しく進み、自治会の担い手不足、自治会活動への参加者減少など、地域としてのつながりが希薄になり、コミュニティ活動が停滞してきています。こうした状況を踏まえて、私は、令和四年第一回定例会の一般質問において、都が大学と協定を結び、都営住宅に学生が入居し、自治会と学生が協力してコミュニティ活動に取り組むことを提案いたしました。
これを受けて、都は、大学と連携した学生入居による地域コミュニティ支援事業を開始しました。先ほどもやり取りがありました。その第一号、墨田区のiU、専門職大学に入りましたけれども、先ほどの答弁でも今九つの大学と提携したということで大変うれしく思っています。
そうした意味で、ちょっと一番目は先ほどもう出ましたので、飛ばさせていただいて、私も学生の方とか、団地の居住者とお話をしていますけれども、やっぱり声を聞くと、本当に助かっていると。また異世代交流というんですか、そうした意味で非常に活気も出ている、本当に自治会活動に役立ってうれしいというお声をいただいております。そうした声が上がっているということで、コミュニティの活性化を目指す本事業の趣旨からは大変喜ばしいということであります。
次に、この学生が学業に取り組みながら、自治会活動に円滑に参加できるようにするためには、都はどういった支援を行っているのか、ここについて教えてください。
○小町経営改革担当部長 都は、入居前には、入居希望学生と自治会との懇談会を開催し、自治会から入居予定団地の自治会活動について説明してもらい、本事業の趣旨を十分に理解してもらうように努めております。
また、入居後には、自治会と学生との円滑なコミュニケーションを図るため、定例的な懇談の場を設け、双方への必要なサポートを行っております。
○加藤委員 都営住宅のコミュニティ活性化のためには、本事業をより充実させていくことが必要で、そのためには学生と自治会をつなぐきめ細やかな都の支援が欠かせません。
そこで今後、都は、リモート形式でも一堂に会する形式でもいいんですけれども、各団地の学生たちがそれぞれの自治会活動への参加内容について情報交換をして、お互いのよい取組を相互に取り入れるきっかけづくりをして、コミュニティ活動の活性化に取り組んでいくべきと考えますが、都の見解を伺います。
○小町経営改革担当部長 各団地の学生同士による情報交換の場を設けることは、それぞれの取組状況や創意工夫等を知ることで、今後の自治会活動への参加に生かすことのできる貴重な機会になると考えられます。
自治会活動への学生の参加実績が蓄積された段階で、大学と学生に働きかけて実施に向けた調整を行ってまいります。
○加藤委員 すばらしい成功事例が生まれていると思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
次に、ウクライナの避難者支援ですけれども、都議会公明党は、昨年五月十八日に都知事宛てに緊急要望を行いまして、既存居住者等との円滑なコミュニケーションが図れるよう、通訳、翻訳機などの必要なツールを提供することや、公営住宅へのウクライナ避難民の方々に孤立や生活不安が生じないよう、避難民と地域住民とのコミュニケーションの機会を豊かに保てるよう、都営住宅の集会所等を活用しての交流の場、サロン等を開催すること、加えて、そうした取組の継続的実施に向けて人員や資金の支援を行い、自治会や地元区市町村等の負担軽減に努めることなどを求めてまいりました。
この二つの要望は、ウクライナ避難民を歓迎する自治会への支援として重要でありまして、都は率先して企画立案と実施に取り組み、自治会の負担軽減を図るべきと考えます。都の見解と取組状況について伺います。
○小町経営改革担当部長 自治会の方と避難民の方の双方が円滑にコミュニケーションを図るために、通訳端末は重要なツールとなるものでございます。
昨年度から、避難民の方が居住する都営住宅の自治会に無償で貸与しており、今後も継続してまいります。
また、避難民の方と居住者等との交流の機会を提供することも重要であり、都は昨年度、三つの都営住宅の集会所で、東京文化会館と連携して、音楽を通じたワークショッププログラムを内容とする東京みんなでサロンを開催いたしました。
今年度は、現在までに三つの団地で日本の書道体験プログラムを内容として開催し、年度末までに、さらに二つの団地で開催してまいります。
○加藤委員 残念ながら、ロシアとウクライナの戦争も終結が見えず、長期化しそうでありますので、都のサポートをよろしくお願いしたいと思います。
次に、増加している外国人入居者への対応についてであります。
本年の第一回定例会予算特別委員会におきまして、我が党から、住まいのしおりの対応言語数、これを増やすように求めまして、現行の四か国語以外の言語を用いる居住者への住まい方のルールの周知について対応を検討していくと、こういう答弁がありました。
そこで、多言語化による住まい方のルールの周知について、その後の検討状況について伺います。
○平松都営住宅企画担当部長 都では、指定管理者である東京都住宅供給公社を通じまして、外国人入居者向けに住まい方のルールや自治会活動等について、英語、中国語、韓国語で記載した住まいのしおりやチラシ等を配布するとともに、公社のホームページにも掲載し、周知徹底を図ってまいりました。
また、住まい方のルール等について記載したチラシにつきましては、既存の言語のほか、ベトナム語、タガログ語、ネパール語、スペイン語に加えまして、台湾などで使われております繁体字による中国語で記載したものを新たに作成し、本年十月、公社の窓口センターでの配布及び公社ホームページに掲載を行っているところでございます。
○加藤委員 快適な居住環境の維持には、外国人を含めた居住者の皆さんお一人お一人の協力が不可欠であります。ぜひ今後とも、住まい方のルール周知を徹底し、ご協力いただくよう働きかけをお願いいたします。
次に、同じく本年の第一回定例会において、我が党から、住まい方のルールの周知や居住者間トラブルで苦労が重なっていることから、通訳端末を自治会に配布して、自治会運営がより円滑にできるような新たな支援について求めました。これは中山委員の方からお話があったところです。都からは、自治会の意向を確認し、貸与を検討するとの回答を得ました。
そこで、自治会への通訳端末貸与に向けての対応状況について伺います。
○平松都営住宅企画担当部長 都営住宅では、外国人を含め、居住者が住まい方のルールを守り、自治会等に協力しながらコミュニティの維持を図っていくことが必要でございます。
令和五年八月に、都は、自治会が外国人居住者に対応する際の手段である通訳端末などの利用に対する意向を確認するため、約二千全ての自治会等を対象にアンケート調査を実施いたしました。現在集計中でございます。
今後、このアンケート結果を基に、自治会への適切な通訳端末の貸与方法等について検討してまいります。
○加藤委員 自治会運営が円滑に行えるよう、一日も早い貸与を要望いたします。
次に、都営住宅自治会における新規入居者の個人情報の取扱いについて質問いたします。
自治会等は、入居者相互の親睦や良好な環境づくり、防火防災活動など、入居されている皆さんが快適に過ごすために重要な役割を果たしていますが、一部の新規入居者などについての情報が分からない場合もあり、不安に思っているというお声を多く聞いております。
現在、都は、自治会等に新規入居者の情報をどのように伝えるようにしているのか、その現状について伺います。
○平松都営住宅企画担当部長 新たに入居される方々に対しまして、氏名や部屋番号、世帯人数などを記載した入居のお知らせを、自治会長などの役員の方に提出するよう求めております。
○加藤委員 今のお話の方式では、入居時にこの自治会等へ用紙をその方が届けなければ、ずっと自治会等へ関与しないということも想定されるわけですね。災害時の安否確認や要配慮者への対応など、都営住宅は民間住宅と異なり、居住者が自分たちで共用部の維持管理をすることから、自治会等に入居者情報が入らないことで活動に支障が生じると考えます。
個人情報保護との兼ね合いもあると思いますが、自治会等の皆さんが活動しやすいよう、これからもちょっといろいろ検討をぜひしていただいて、都からのサポートをお願いしたいと、そのように思います。
次に、併用店舗の活用についてです。
私の地元の都営白鬚東アパートには、市街地再開発事業等により立ち退くことになった従前居住者の生活再建のために、都が設置した併用店舗付住宅があります。
このうち、店舗部分と住宅部分とが独立している、いわゆる独立型の併用店舗付住宅の店舗部分は、高齢化等のため使われなくなりまして、空いているものが結構多くあります。
私は、このような都営住宅の併用店舗の空き区画について有効活用を進めるよう、以前から求めてきました。
そうした中、本年四月から、アトリエ等を確保することが難しい若手アーティストに創作場所を提供し、活動を支援する都の事業に活用されることになりました。
併用店舗の空き区画を都の政策のために有効に活用することは大変有意義であり、こうした取組をさらに進めていくべきと考えます。
そこで、併用店舗の空き区画について有効活用をさらに促進すべきと考えますが、見解を伺います。
○平松都営住宅企画担当部長 都営住宅の建物や敷地は、都民共有の貴重な財産であり、その空きスペースを都の政策目的の実現や地域課題の解決のために活用することは重要でございます。
都営住宅の建物や敷地は、公営住宅の用途に使用する行政財産でございますが、住宅を管理する上で支障がなく、関係局や地元自治体等が公用または公共用に使う場合には貸付け等が可能となっております。このため、関係局や地元自治体からの利用希望に対しましては、可能な限り協力をしてまいります。
○加藤委員 第三回定例会の一般質問でも言及したんですけれども、演劇関係の若手の方が結構稽古場の確保、これが難しいという話をお聞きして質問したんですけれども、稽古場の確保、こうしたものに使えるように、引き続き有効利用を進めることを要望したいと、そのように思っております。
最後に、地元墨田区内の防災拠点であります都営白鬚東アパートについて質問をいたします。
この白鬚東アパートは、二十四時間の監視室、避難者への給水のための約三千立方メートルの貯水施設、非常用発電機等、総合的な防災機能を有する防災拠点であります。
住棟内には七基の防災エレベーターが設置されておりまして、これは停電時においても非常用発電機により使用が可能と聞いております。また、この地域では、地域住民による自主防災組織があり、災害時行動マニュアルを策定、改定を行い、防災機関とも連携しながら地域の防災力強化に尽力しているところであります。
そこで、都営住宅において、停電時にも使用可能なエレベーターが設置されている例は、白鬚東地区のほかにあるのかどうか、これについて伺います。
○小久保営繕担当部長 都営住宅におきましては、消防活動等を目的にした非常用エレベーターを法令に基づき必要となる高層住宅棟に設置しており、停電時にも使用可能でございます。
白鬚東地区は昭和五十年代に都施行の市街地再開発事業により、防災拠点として高層住宅、公園などが一体的に整備された地区でございます。この地区の住宅に設置した防災エレベーターは、法令に基づく非常用エレベーターではございませんが、停電時に平時と同様に居住者が使用できるようになっております。このような防災エレベーターが設置されている都営住宅は、防災拠点として整備された白鬚東地区のみでございます。
○加藤委員 この防災エレベーターには地震時の安全確保のため、地震時管制運転の機能があり、震度四以上の地震発生時は、再稼働のためにエレベーター会社による点検が必要であると聞いております。だから、動くことは動いてもやはり点検が必要だと、こういう課題があるんですね。
そこで、いざというときは、この避難者、要するに防災拠点ですから多くの方々が避難をしてくると。そうした避難者の方々に、この自治会の人たちが給水活動や災害トイレの設置など、地域住民による自主防災活動を支援するため、地震発生時においても、この防災エレベーターを安全かつ早急に使用できるよう、点検を実施する必要があると考えますが、見解を伺います。
○小久保営繕担当部長 白鬚東地区は、住棟内に三か所の監視室を有しており、二十四時間体制で防災設備を監視しております。
地震発生時には、監視室に常駐している技術者が、迅速に防災設備の被災状況を確認し、エレベーターの管理会社に速やかに連絡することで、早期に点検を実施することとしております。
○加藤委員 速やかな連携体制の構築をお願いしたいと思います。
さらに住棟内には三か所に区立の保育所が合築されておりまして、地域住民からはこれらの保育所について、発災時に妊娠されている方や小さな子供連れの方等が安心して避難できる場所として活用することができるよう要望が出ております。
そこで、これらの保育所を避難所として利用する場合、停電時においても電源が確保できるのかどうか伺います。
○小久保営繕担当部長 白鬚東地区は、住棟の地下に非常用発電設備を八基設置しており、連続して七日間、防災設備を稼働させることができます。
この非常用発電機は、団地内の保育所に送電できる機能を有しており、監視室と保育所の双方で操作することで送電を開始することができます。このため、区が保育所を避難所として活用する場合には、停電時においても電源の確保が可能でございます。
○加藤委員 保育園の子供たちが一時的に避難していても、震災等が収まれば、やがて親の方が救出に来て、お子さんと自宅等に帰る場合もあると思います。
そうしますと、その保育園の場所が今度は一般の避難所としても活用が図れることになります。いざというときの有効活用が可能となるよう、区とも連携を図るように要望をしたいと思います。
ちょっと補足ですけれども、先ほどエレベーターの話をしましたが、やはり今、大分高齢化してきまして、中には住宅の中で、例えば、家具の転倒等でけがをされるっていう方も発生すると思うんです。そうした人を、自治会としては、まずそこの住民の方を搬送するといいますか、そのためにもやはりエレベーターを使うということが必要になってくると思うんです。
その団地の中の人をまずはしっかりと救出した上で、次は、今度は避難をしてくる人たちの救出に向かうっていうことがやっぱり段階としてあると思いますので、そうした意味では、このエレベーターの活用というのは物すごい大事なことになるということでございますので、最後にその点を強調させていただいて、お願いをして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○関野委員 私からは、外国人の居住という部分で質問をさせていただければと思っております。まずは、分譲マンションの管理に関する都の取組についてです。先ほど来ありますが、お願いします。
東京には、約百九十七万戸の分譲マンションが存在し、適切な維持管理がなされなければ、居住者や近隣住民の生命、身体に危険が及ぶなど、広範な地域で外部不経済が発生いたします。都民の居住の安定を確保するためには、マンションの管理不全の基調を早期に把握し、適切な支援によって管理不全を予防することが重要と考えています。
このため、都は、令和二年度から開始した管理状況届出制度を通じ、分譲マンションについて、どのような管理状況を把握しているのか、まずはお伺いをいたします。
○三宅民間住宅施策推進担当部長 都は、昭和五十八年以前に建築された六戸以上のマンションを対象に管理状況届出制度を運用しておりまして、管理組合や管理者等の選任の有無など、七項目について管理不全を予防するための必須事項として届出を義務化してございます。
この七項目のうち、いずれかがない、またはいないとなっている状況を管理不全の兆候ありとしておりまして、令和五年三月末時点で届出のあった一万四百四十棟のうち、約一七%に当たる約千八百棟で管理不全の兆候がございました。
あわせて、適正な維持管理に関する事項としまして、滞納対応に関するルールの有無など、マンションの社会的機能の向上に資する取組に関する事項として、防災への取組などに関する情報も把握してございます。
○関野委員 ありがとうございます。
届出制度では、滞納対応に関するルールの有無を含む情報を広範に収集しているということでありましたが、管理費や修繕積立金は、共用部分の清掃など日常管理や大規模修繕工事のために使うお金であり、滞納が増えるとマンションの適正管理ができなくなるおそれがあります。特に最近では、投資用マンションを購入した外国人が、管理費や修繕積立金を払わないことにより、管理組合が機能不全を起こしているといった例も聞いております。
そこで、都は、外国人による管理費等の滞納についてどのように把握しているのか、お伺いするとともに、あわせて、その状況についてどのような課題認識を持っているのか、この点についてお伺いをいたします。
○三宅民間住宅施策推進担当部長 都は、分譲マンション総合相談窓口におきまして、管理や建て替え等に係る相談を一元的に受け付けてございます。
外国人による管理費の滞納に関する相談について、詳細に把握はしてございませんが、昨年度の相談実績約千二百件のうち、管理費や修繕積立金の滞納に悩む管理組合からの相談は十六件ございました。相談例の中には、外国人を含む区分所有者が住戸を賃貸しているケースで、滞納者が多く対応に困っている事例などがあると聞いてございます。
今後、外国人居住者の増加等に伴いまして、こうした相談も増えていく可能性がありますので、マンションの適正管理にとって重要な課題と認識してございます。
○関野委員 外国人の滞納に関する相談が実際に発生しているということでした。また、都としても重要な課題として認識しているということが確認をできました。
管理組合としても滞納を放置せず、早期に対応することが求められているところですが、個別に管理組合として対応するにはやはりハードルが高いのかなというようにも感じております。
ある意味、こういったものは今後、大きな社会問題になっていくというふうにも考えられますが、そのため外国人の滞納防止や滞納処理について、管理組合が適切な知識やノウハウを持つことができるよう、都としてしっかり普及啓発を行っていくべきというふうに考えておりますが、見解をお伺いいたします。
○三宅民間住宅施策推進担当部長 都はこれまで、マンション管理ガイドブックによりまして、滞納への対応方法について、管理組合が事前に定めておくべき手順や支払い督促等の簡便な法的手続を紹介するなど、管理組合に対し分かりやすく解説し、普及啓発してまいりました。
引き続き、こうした取組を進めるとともに、分譲マンション総合相談窓口や管理アドバイザーの派遣等を通じて得られた相談事例について、今後、対策方法や留意点を取りまとめ、ポータルサイトに掲載するなど、広く周知を進めてまいります。
これらの取組によりまして、外国人を含む区分所有者による管理費等の滞納に対し、管理組合が適切に対応できるよう支援してまいります。
○関野委員 マンション管理ガイドブックの記載を分かりやすく工夫するとともに、先ほど答弁のあった留意点の部分の周知にも積極的に取り組んでいただくなど、今後、管理組合への普及啓発を一層充実させていただくよう要望をするとともに、先ほど我が会派の森口理事の方の質疑にもあったように、昭和五十九年以降のマンションについても届出の対象とするなど、検討も同時に要望をして、次の質問に移らせていただきます。
今までは分譲購入に関するマンションの対応について質疑をしましたが、次は、賃貸契約について質問をいたします。
これまでの都の民間賃貸マンションへの外国人入居に伴う管理上のトラブルの防止に関する取組状況、この点についてお伺いをいたします。
○鈴木民間住宅部長 都はこれまで、外国人の賃貸住宅に係るトラブルを防止するため、退去時の原状回復や敷金の精算など、主に契約上の注意事項を記載したリーフレットを英語、中国語、韓国語版で作成し、在日外国人を支援する団体や大使館等に配布しております。
こうした取組に加え、国籍の多様化に対応するため、居住実態に合わせ、ベトナム語、タガログ語、ネパール語版を令和四年度に新たに作成したほか、今年度からは、市区町村の相談担当者に対しまして、賃貸住宅に関するトラブル対応事例を紹介するなど、普及啓発や支援を強化しております。
○関野委員 都のこれまでの取組については理解をいたしました。
しかし、その一方で、台所のシンクに長期にわたり油を流すことでマンションの排水管を詰まらせてしまい、他の入居者にも迷惑をかけるなど、日本の生活様式を理解していないために発生しているトラブルもあると聞いております。こうしたトラブルを未然に防ぐためにも、一層の効果的な周知が必要と考えております。
外国人に対する周知の効果を高めるには、例えば、在日外国人のコミュニティや訪日歴が比較的浅い外国人、こういった人たちが通う日本語学校とか、こういったところに周知するなど、これまで以上に発信方法を工夫したり、内容について分かりやすく充実させる、こういったことが必要であります。
外国人に対する、より一層の周知に向けた取組、これについて再度お伺いいたします。
○鈴木民間住宅部長 近年、外国人居住者の生活習慣上のトラブルが増加していると業界団体から聞いており、ごみ出しルールや油を流しに捨てないなど、日本での一般的な生活ルール等を分かりやすく取りまとめて、新たに都のホームページで発信してまいります。
また、外国人居住者に対して、より直接的な周知を展開していくため、ただいま委員お話しの在日外国人のコミュニティなどのほか、留学生を多く受け入れている大学や外国人の在留を支援する公的機関等に対して、外国語版のリーフレットを配布してまいります。
こうした取組により、外国人の入居に伴うトラブル防止の啓発を強化してまいります。
○関野委員 ありがとうございます。
ぜひ在日外国人のコミュニティとか、また、日本に来て間もないであろう日本語学校の方への周知徹底を行っていただきたいと思っております。
何となく私が認識している外国人コミュニティというと、江戸川だとインド人、ミャンマー人は高田馬場の入り口の大きなビルというような形で、案外外国人の方って、いろんなところでコミュニティをつくっております。
そういう意味では、しっかりとした、そういったコミュニティをつくっている人たちに対して、しっかり持っていっていただければなと。在留資格がない方で逃げている方というところもあったりもするんで、そういったところはまた別でしっかりと対応していかなければいけないかなとも思っております。
また、実際に外国人だったり、そういったところも必要ではありますが、賃貸住宅の地主の方、また、あと実際管理をする不動産屋、こういったところもやはり周知をしていただきたいなと。不動産屋については以前からやられていると思いますけど、地主の方とか、そういったところも必要かなと思っております。
先ほどまた質疑させていただきました分譲マンション管理組合においても、相談待ちをするのではなく、できればこういった問題提起が外国人であったよ、また日本人でもあったよというものを常時情報提供すると、こういったことも必要なのではないかなということはありますので、この点について要望をしておきます。
あと、契約上の注意事項を記載したリーフレット、先ほどベトナム語、タガログ語、ネパール語等々も追加されたと。ちょうど私も、たしか二年前ぐらいにこの件についてお話をさせていただいた後に、こういった形でやっていただくので、これについては私も感謝をしておりますが、中身を見ると、実際に一般的な退去時のお金の割合というか、どちらが払うのかだったりとか、そういったことがちょっと多く見られるかなと思っております。
正直、私も外国に行って、外国の住み方がすぐ分かるかといえば、なかなか分からない部分もありますので、なるべく事前に周知をしていただくということが必要かなと。もし、そのときに不動産屋が、英語で、タガログ語でしゃべれるかっていうと、なかなか難しいかなというふうにも感じます。そういう意味では、せっかくネットに載っているのであれば、そういったところの一項目一項目を、例えば承諾みたいな感じでチェックをしていって、その全部チェックしたものを不動産屋に持っていってQRコードを読むとその書類が出てくるような、そういうようなIT化とか、そういうことも、実際やる不動産屋側とも協議をしていただきたいなというふうに思っておりますし、そうすることで、多分業務の効率化という形にもなっておりますので、この点も、そういった団体の方と協議をしながら進めていただきたいということを要望しまして、私の質疑を終わらせていただきます。
○田村委員 私からは、空き家対策について伺います。
人口減少社会が到来する中で、都内でも住宅ストック数が世帯数を上回り、空き家の増加が課題となっています。
都議会自民党は、これまでも空き家対策について、既存住宅市場の活性化に向けたさらなる取組の推進や、空き家の利活用推進に向けた市区町村の取組への支援の充実などを主張してきました。
都はこれらを受け、本年三月、東京における空き家施策実施方針を公表し、市区町村の空き家対策への技術的、財政的支援を強化するとともに、具体的な取組の方針を示し、空き家対策を牽引していくとしています。
そこで、まず初めに、この実施方針を策定する背景となった都内における空き家の状況や今後の見通しと、都はどのような視点の下で空き家施策に取り組んでいるのか伺います。
○都築企画担当部長住宅市場担当部長兼務 平成三十年の総務省の住宅・土地統計調査によれば、都内の空き家総数は約八十一万戸であり、このうち、管理が行き届かない長期不在等のその他の住宅が約十八万戸となっております。五年前と比べて空き家数は若干減少しているものの、その他の住宅は約二万八千戸増加しており、今後、少子高齢化の一層の進展や人口、世帯数の減少が見込まれることなどにより、空き家のさらなる増加が懸念されます。
このため、都は、空き家対策の考え方や具体的な取組の方針を取りまとめ、既存住宅市場での流通促進、地域資源としての空き家の利活用、利活用見込みがない空き家の除却等の三つを基本的な視点として、空き家施策に取り組んでおります。
○田村委員 空き家対策は、市区町村が主体的な役割を担い、都は市区町村への支援を行うことが空家特措法に定められています。
しかし、今般、都が自ら実施方針を策定し、三つの視点に基づき、具体的な取組を進めていくことは大変意義のあることです。
この視点の中でも、既存住宅市場での流通促進は、我が会派が昨年第四回定例会でも主張してきた重要な視点であり、循環型住宅市場の形成による空き家問題の抜本的な解決につながるとともに、業界団体からの期待も高いものです。
都は、実施方針に基づき、今年度から新たに既存住宅市場での流通促進に向けて、民間事業者への支援事業を実施していますが、具体的にどのような取組の事業提案を選定しているのか伺います。
○都築企画担当部長住宅市場担当部長兼務 都は、今年度から、既存住宅を良質な住宅に改修して適正な評価の下で流通させる取組や、建物状況調査や瑕疵保険の普及の取組を行う民間事業者を支援する事業を実施しております。
本年度の第一回目の事業者募集では、応募があった事業提案について実現可能性や発展性等の観点から審査を行い、二件の取組を選定しております。
具体的には、民間事業者が既存住宅の買取り再販事業において、建物状況調査の結果やリノベーションによる省エネルギー性能の向上内容について、購入予定者に分かりやすく解説することなどにより、適正な評価の下で安心できる既存住宅売買の促進を図っていく取組などを選定しております。
○田村委員 東京は全国に比べて市場流通用の空き家の割合が多いという特徴があると聞いており、既存住宅市場の活性化対策は空き家問題の解決にとって重要です。こうした東京の実情に合った既存住宅流通の促進に向けて取組を推進することを要望します。
また、空き家対策を進める上では、空き家を活用した移住、定住の促進など、地域課題を解決するために空き家を活用する取組が有効であることはいうまでもありません。
こうした空き家を地域資源として活用する取組について、都は、今年度から、新たに民間事業者が市区町村と連携し、空き家の利活用を通じて地域課題を解決する取組を支援していますが、具体的にどのような取組の事業提案を選定しているのか伺います。
○都築企画担当部長住宅市場担当部長兼務 都は、今年度から、民間事業者が、市区町村が抱える地域課題を踏まえて事業を構想し、空き家の掘り起こしと改修を行うことにより、市区町村と連携しながら地域の活性化や移住、定住の促進など、地域課題の解決を目指す取組に対して支援する事業を実施しております。
本年度の第一回目の事業者募集では、応募があった事業提案について地域貢献度や実現可能性等の観点から審査を行い、二件の取組を選定しております。
具体的には、民間事業者が地域課題を踏まえ、地元の市等と連携して空き家を掘り起こし、アトリエや店舗併用の住宅に改修して、小さな個人商店の出店や職住近接の環境を求める若い世代を呼び込むことで、移住、定住の促進につながる利活用を行う取組などを選定しております。
○田村委員 地域の課題を解決するために、空き家を活用する多くの取組が提案されることを期待します。
都が新たに開始した支援事業については、民間事業者が創意工夫を凝らした事業提案がなされていることが分かりましたが、申請件数はまだ少ない状況にあると思われます。これらの事業は、民間事業者の先導的な取組に対して、都が直接財政支援を行い誘導するという意義のある事業であり、多くの事業者に活用されることが望まれます。
そこで、関係する民間事業者への一層の事業の周知や運用の工夫などが必要であると考えますが、都は、事業者からの申請を促進するために、具体的にどのような対応を行っているのか伺います。
○都築企画担当部長住宅市場担当部長兼務 都は、ホームページでの周知に加え、不動産取引や住宅リフォーム関係などの業界団体に協力を依頼し、メールマガジン等により会員事業者への情報提供を図っているほか、業界紙などへの掲載も行い、事業の周知に努めております。
また、業界団体や事業者からの意見を踏まえ、本年度の第二回目以降の事業者募集に当たりましては、応募時に必要な書類の簡素化や審査期間を短縮するなどの見直しを行った上で、現在十一月末まで事業者の募集を実施しております。
今後とも、業界団体と連携を取りながら、事業をさらに周知していくとともに、事業者がより利用しやすい制度となるよう、運用改善を行い、申請の促進を図ってまいります。
○田村委員 新たな制度が民間事業者に一層活用されるよう、取組を進めてもらいたいと思います。また、こうした民間事業者の活力や創意工夫を生かした先導的な取組事例については、都内の多くの事業者による取組につなげ、広めていくことが鍵になります。
令和五年第二回定例会で、我が党の代表質問に対し、都は、新たにシンポジウムを開催し、民間事業者の取組を誘導していくとの答弁がありましたが、取組状況について伺います。
○都築企画担当部長住宅市場担当部長兼務 空き家問題を解決していく上で、空き家対策に取り組む民間事業者の裾野を広げていくことは重要でございます。
都は、新たな事業により蓄積した取組事例をホームページで発信するほか、都として初めて、東京都空き家活用シンポジウム二〇二三を、明日、都民ホールにおいて開催いたします。空き家対策に関心のある不動産取引や住宅リフォームなどに携わる事業者のほか、空き家対策に取り組む市区町村の参加の下、先導的な取組事例の紹介に加え、情報交換や交流する場を提供し、事業者の参入を促します。今後もこうした取組の充実を図ってまいります。
○田村委員 まさに明日、初めて空き家シンポジウムが開催されるとのことであり、ぜひ有意義なものにしてもらいたいと思います。こうした民間事業者との連携を図る施策が重要であるとともに、もとより空き家対策の主体である市区町村の取組への後押しも肝腎です。
都はこれまでも、市区町村が取り組む空き家対策への財政支援を行っており、令和五年度は、移住、定住関連の補助の拡充を図っているとのことですが、拡充内容と、現時点で市区町村から移住、定住関連ではどのような取組の補助申請がなされているのか伺います。
○都築企画担当部長住宅市場担当部長兼務 空き家対策を進めるためには、地域の実情を把握している市区町村の主体的な取組が重要であり、都は、市区町村が行う空き家の実態調査や計画策定などに対して財政支援を行っております。
令和五年度から、移住、定住を目的とした改修等を基本型のメニューに移行し、より活用しやすくするよう見直しているほか、補助率を二分の一から三分の二に引き上げるとともに、補助上限額の拡充も図っております。
今年度、移住、定住関連では、現時点で奥多摩町や檜原村など四市町村から補助金交付申請があり、具体的には、空き家を除却し、跡地を移住、定住に関する施策に活用する取組や、空き家を定住対策用住宅として登録し、活用する取組などでございます。
○田村委員 地元の奥多摩町や檜原村から、移住、定住関連の申請が出てきているとのことであり、引き続き、空き家を活用した移住、定住の促進をはじめ、市区町村に対して空き家対策の積極的な取組を促してもらいたいと思います。
また、国においては、今後の空き家対策を強化するため、空家等対策の推進に関する特別措置法が一部改正され、本年十二月に施行が予定されています。今回の法改正により、管理不全空き家等に関する制度や空家等管理活用支援法人制度などが新たに創設されており、今後、区市町村による空き家対策の一層の取組が必要です。
中でも、管理不全空き家等に関する制度は、特定空家等となることを未然に防止するため、市区町村が空き家所有者に対して、管理指針に即した措置を指導、勧告する仕組みです。こうした管理不全空き家等に関する制度は、これまで放置されていた空き家の所有者が賃貸や売却などの処分を考えるきっかけにもなり、既存住宅の流通促進にも効果的です。
今後、市区町村による適切な運用が図られるよう、都としても積極的に働きかけていくべきと考えますが、見解を伺います。
○都築企画担当部長住宅市場担当部長兼務 新たに創設された管理不全空き家等に関する制度の活用が進むことは、空き家の適切な管理とともに、利活用を促す上で有効であることから、都は今後、市区町村が適切に運用できるよう、空き家の実態調査や空家特措法に基づく対策計画の作成等の促進を図ってまいります。
さらに、都内の全市区町村が参加する東京都空き家対策連絡協議会を通じて、取組事例や課題等の情報を共有するとともに、協議会の下に設けたワーキンググループなどの共同で検討できる場を活用して、市区町村のノウハウの向上を図るなど、技術的な支援に取り組んでまいります。
○田村委員 ぜひとも、都の積極的な支援を期待したいと思います。
市区町村の中には、マンパワーやノウハウの不足を懸念する自治体もあると聞いています。空き家問題は、空き家の調査、活用、除却、相談対応や普及啓発など、多様な対策が必要であり、市区町村のみで解決することは困難です。民間事業者などと連携協力して取り組んでいく必要があります。
そこで最後に、都は、新たに策定した東京における空き家施策実施方針に基づき、今後、どのような考え方で都内全域における空き家対策を推進していくのか、山口本部長の決意を伺います。
○山口住宅政策本部長 今後、人口や世帯数の減少が見込まれる中で、増加する空き家への対策は、良質な住宅ストックの形成や住宅セーフティーネットの構築、地域のまちづくりなどと密接な関連性を有しておりまして、東京の住宅政策を推進していく上で重要な課題でございます。
空き家対策を効果的に進めていくためには、空き家対策の主体的な役割を担う市区町村や空き家対策に関わる民間事業者など、それぞれの主体がそれぞれの役割や専門性を生かし、相互に連携することが必要でございます。
都には、市区町村の空き家対策を技術的、財政的に支援するとともに、民間事業者などとの連携や都民への普及啓発を通じて、都内における空き家対策を牽引する役割を果たしていくことが求められております。
こうした考え方に基づきまして、今後、東京における空き家施策実施方針に掲げた施策を着実に進め、都内全体として市区町村との適切な役割分担の下、地域特性に応じた空き家施策を誘導、展開し、空き家問題の解決に全力で取り組んでまいります。
○田村委員 空き家はあっても空き家がない。空き家はあるけれども貸してくれる空き家がない。これは私の地元の西多摩での声です。そして、西多摩には、今、本当に移住、定住を必要としています。ぜひ、都の施策で推進をしていただくことをお願い申し上げて、質問を終わります。
○竹井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○竹井委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で住宅政策本部関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後六時三十四分散会
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