都市整備委員会速記録第四号

令和五年三月十五日(水曜日)
第六委員会室
午後一時開議
出席委員 十三名
委員長藤井とものり君
副委員長小宮あんり君
副委員長尾崎あや子君
理事磯山  亮君
理事関野たかなり君
理事谷村 孝彦君
吉住はるお君
松田りゅうすけ君
平けいしょう君
かつまたさとし君
森口つかさ君
原田あきら君
中村ひろし君

欠席委員 一名

出席説明員
都市整備局局長福田  至君
次長小沼 博靖君
技監安部 文洋君
技監小野 幹雄君
理事谷崎 馨一君
総務部長打田 武彦君
都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務山崎 弘人君
都市基盤部長朝山  勉君
市街地整備部長三宮  隆君
市街地建築部長飯泉  洋君
基地対策部長金子 光博君
企画担当部長長尾 肇太君
まちづくり推進担当部長吉野 敏郎君
築地まちづくり推進担当部長飯塚 佳史君
まちづくり調整担当部長澤井 正明君
交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務三木  健君
航空政策担当部長物流担当部長外かく環状道路担当部長兼務土橋 秀規君
地域公共交通担当部長江端 治朗君
防災都市づくり担当部長池内 光介君
多摩ニュータウン事業担当部長泉水  一君
担当部長末元  清君
耐震化推進担当部長青木 成昭君

本日の会議に付した事件
都市整備局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和五年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為
都市整備局所管分
・第十五号議案 令和五年度東京都都市開発資金会計予算
・第十八号議案 令和五年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
・第二十一号議案 令和五年度東京都都市再開発事業会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第四十七号議案 東京都日影による中高層建築物の高さの制限に関する条例の一部を改正する条例
・第四十八号議案 東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
・第四十九号議案 高齢者、障害者等が利用しやすい建築物の整備に関する条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・東京高速道路(KK線)再生の事業化に向けた方針(案)について
・東京都耐震改修促進計画の改定について

○藤井委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局関係の予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 これより都市整備局関係に入ります。
 予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、令和五年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、都市整備局所管分、第十五号議案、第十八号議案、第二十一号議案、第四十七号議案から第四十九号議案まで及び報告事項、東京高速道路(KK線)再生の事業化に向けた方針(案)について外一件を一括して議題といたします。
 本案及び本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布をしております。
 資料について理事者の説明を求めます。

○打田総務部長 去る二月十四日の当委員会で要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元に配布しております資料1、都市整備委員会資料(二月十四日要求分)の表紙をおめくりいただきまして、目次をご覧ください。資料は七件ございます。
 一ページをお開き願います。1、首都高速道路に対する出資金の推移(過去十年間)でございます。
 平成二十四年度から令和三年度までの出資金について、年度別に記載してございます。
 二ページをご覧ください。2、東京における航空機能に関する調査テーマ一覧(過去五年間)でございます。
 (1)、東京における航空機能に関する調査及び(2)、横田基地軍民共用化に関する調査について、平成二十九年度から令和三年度までの調査テーマを年度別に記載してございます。
 三ページをお開き願います。3、特定整備路線の進捗状況及び事業施行期間(都市整備局施行)でございます。
 路線別に境界立会い率及び用地取得率の進捗状況並びに事業施行期間について記載してございます。
 四ページをご覧ください。4、特定整備路線の予算・決算額の推移(都市整備局施行)(平成二十五年度から令和五年度まで)でございます。
 平成二十五年度から令和五年度までの予算額及び決算額について、年度別に記載してございます。
 五ページをお開きください。5、都及び区市町村が実施している耐震診断、耐震改修の助成一覧でございます。
 (1)、耐震診断につきましては、五ページから九ページにかけまして、対象となる建築物、補助限度額、補助率を記載してございます。
 一〇ページをお開き願います。(2)、耐震改修につきましては、一〇ページから二〇ページにかけまして、対象となる建築物、補助限度額または融資限度額、補助率または利子補給率を記載してございます。
 恐れ入ります、二一ページをお開き願います。6、生産緑地地区の区市別面積(過去五年間)でございます。
 平成三十年度から令和四年度までの区市別の面積を記載してございます。
 二二ページをご覧ください。7、都内の米軍施設返還に関する要請・申入れ(過去十年間)でございます。
 平成二十五年度から令和四年度までの要請、申入れ先及び件名を年度別に記載してございます。
 以上で資料説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○藤井委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
 ご発言を願います。

○磯山委員 高齢者、障害者等が利用しやすい建築物の整備に関する条例の改正について伺います。
 今回の条例改正で、一般客室の基準を見直すとのことですが、前回の平成三十一年の改正では、既にバリアフリー法で基準が定められている車椅子使用者用客室とは別に、一般客室についても基準を定めていますが、その意義について伺います。

○飯泉市街地建築部長 バリアフリー法では、宿泊施設の全客室のうち一%以上を車椅子使用者用客室としなければならないものの、障害者団体からは、車椅子使用者用客室の数が少なく、重度の障害を有さない車椅子使用者が安価に宿泊できるよう、一般客室にもバリアフリー基準を設けてほしいとの意見をいただいておりました。
 将来の超高齢社会の進展も見据え、誰もが利用しやすい宿泊環境を整えるため、都は、平成三十一年に建築物バリアフリー条例を改正し、全国で初めて、法ではバリアフリー基準が定められていない一般客室を対象に、段差の解消や出入口の幅などに関する基準を規定いたしました。

○磯山委員 将来を見据え、都が率先して、誰もが利用しやすい宿泊環境を誘導していくことは重要であります。
 平成三十一年の改正では、附則において、改正後の施行状況等を勘案し、所要の措置を講ずることが定められていますが、平成三十一年の改正以降、今回の見直しに向けて、都はどのような調査を行ったのか伺います。

○飯泉市街地建築部長 平成三十一年に改正した条例の施行後に着工した延べ床面積千平米以上の宿泊施設のうち、事業者から設計図の提供を受けた二十九の施設について一般客室の寸法を確認した結果、おおむね三割の客室で浴室などの出入口についての努力義務基準である七十五センチメートル以上が満たされていることを確認いたしました。
 また、浴室などの前面通路幅につきましては、設計図で寸法が確認できた客室のうち、明らかに通路幅が確保できていると想定されるものを除いた約千四百室に対して、おおむね半数が車椅子でも十分通行できる百センチメートル以上であることが明らかになりました。
 こうした調査に加えまして、障害者団体やユニットバスメーカーにヒアリングを行い、より多くの人々が施設を快適に利用するために必要な寸法や車椅子でも利用しやすいユニットバスの開発状況などについて確認を行いました。

○磯山委員 詳細な調査を行っていることは分かりました。
 次に、今回の改正の内容とそれによる効果について伺います。

○飯泉市街地建築部長 今回の条例改正では、床面積十五平米以上の一般客室について、便所や浴室などの出入口幅を七十五センチメートル以上、その出入口に接する通路幅を百センチメートル以上とすることを義務づけるものでございます。
 このことによりまして、一般的に手動式の車椅子と比べて広い可動範囲が必要となる電動車椅子でも、より円滑に便所や浴室などを利用することが可能となります。

○磯山委員 昨今、電動車椅子の需要は高まっていると聞いております。高齢者や障害者の社会参加や活動の幅を広げるためにも、電動車椅子で利用可能な施設を増やしていくことは重要であります。
 今回、面積十五平米以上の一般客室について、浴室等の出入口幅を七十五センチに、その出入口に接する通路の幅を百センチに基準を強化するとのことでありますけれども、十五平米としたことについての理由について伺います。

○飯泉市街地建築部長 今回の規定見直しに当たりましては、ビジネスホテルで多く使用されているユニットバスよりも一回り大きく、車椅子使用者にとってよりスムーズに利用しやすい一四一八サイズのユニットバス--この一四一八サイズとは、平面の縦横寸法が百四十センチと百八十センチのユニットバスのことでございますが、この一四一八サイズのユニットバスを前提に、客室内での必要な通路幅や回転スペースを確保できる空間を検証し、客室面積として最低十五平米の広さが必要であると判断をいたしました。

○磯山委員 障害者団体やホテル業界の意見を聞きながら基準を設定したとのことでありますけれども、都は、今回の改正に向けて、これまで障害者団体や事業者団体との調整をどのように行ってきたのか伺います。

○飯泉市街地建築部長 今回の規定の見直しに当たりまして、四つの障害者団体、三つのホテル業界の団体それぞれと定期的に意見交換を行い、丁寧に検討を進めてまいりました。
 例えば、複数の障害者団体からは、一般客室全般について規定を強化してほしいとの要望をいただいており、ホテル業界など施設運営者側の事情も勘案し、規定見直しの対象を床面積十五平米以上とし、できる限り多くの客室を対象とすることで理解を得ました。
 また、あるホテル業界の団体からは、便所や浴室などの出入口幅の規定を七十五センチメートル以上とした場合、ユニットバスが特注品となるため難色が示されましたが、その後、二つのメーカーから出入口幅七十五センチメートルのユニットバスが標準品として開発されたことを説明し、規定見直しの内容に理解を得ました。

○磯山委員 障害者やホテル、旅館業を営む関係者と丁寧に調整が行われたことが分かりました。評価できるかなと思っております。この条例改正により、ユニバーサルデザインのまちづくりが一層進んでいくことを期待いたします。
 条例改正後、事業者の理解と協力が不可欠であります。改正内容の周知を徹底するとともに、既存施設の改修などについて、新型コロナウイルス感染症の拡大により、本当に疲弊しているホテル業界へのサポートを引き続き行うことも重要であると考えます。
 今後どのように事業者の理解と協力を得ていくのかお伺いをいたします。

○飯泉市街地建築部長 今回の条例改正後、速やかにパンフレットを作成するとともに、宿泊施設や建築の関係者を対象とした事業者説明会の場などを活用して、条例の趣旨や基準の考え方などを丁寧に説明するとともに、技術的な相談に応じてまいります。
 あわせて、客室改修などに対する補助やゆとりある浴室等の誘導に向けた容積率緩和といった支援策について、関係局とも連携し、事業者説明会やホームページなどで積極的に周知を行うことにより、誰もが利用しやすい宿泊環境の整備に取り組んでまいります。

○磯山委員 ぜひ関係する業界に対しても、バリアフリーを後押しするため、行政として適切な対応をお願いいたします。
 また、ホテル業界--関連する産業労働局関係でも、観光の観点からもですね、いろんな補助等も持っていると思います。何のためにホテルがあるかというところも考えると、所管も超えて、今のご答弁にもあったとおり、しっかりと連携していっていただければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 次に、ブロック塀の耐震化について伺います。
 昨年十一月の都市整備委員会の事務事業質疑において、ブロック塀の安全対策について、補助実績が頭打ちとなっており、ブロック塀の危険性について都民の認識が弱まってきているのではないかと指摘をさせていただきました。
 都からは、市区町村との連絡会議を新たに設け、安全対策に向けた取組を促していくとの答弁がありましたが、その後の状況について伺います。

○飯泉市街地建築部長 ブロック塀などの安全対策を促進していくためには、より多くの自治体でブロック塀などの所有者に対する啓発等の取組を行うとともに、所有者が除却や建て替えに対して助成を受けられるようにすることが重要でございます。
 このため、ブロック塀などに係る区市町村との連絡会議を新たに設置、開催し、積極的に取り組んでいる自治体の事例紹介や補助制度がない自治体に対する制度創設の働きかけを行うことにより、安全対策の取組を促しております。
 引き続き、連絡会議の場を有効に活用し、ブロック塀などの安全対策を促進することにより、都市の防災力向上に努めてまいります。

○磯山委員 連絡会議を新たに設けていただいたということで、引き続き、市区町村との連携を深めていただいて、実績、強靱化につながっていけるように、ブロック塀の改修が進むことを私も要望をさせていただきたいと思います。
 それでは、また次の質問に移ります。次に、多摩のまちづくりについて伺います。
 多摩地域は、大学や企業の集積や観光文化資源など、活力や魅力のあふれる地域であります。その一方で、産業構造の変化や人口減少が進むことが予想されるなど、まちづくりを取り巻く環境が変化してきております。
 こうした中、多摩地域をさらに発展させていくためには、例えば、企業の集積や交通のネットワークを生かした多摩地域ならではの特徴を生かしたまちづくりにより、新たな魅力や価値を引き出していくことが必要であると考えます。
 都は、多摩のまちづくり戦略の策定に向けて検討を進めていると聞いておりますが、これまでどのように取り組んできたのか伺います。

○澤井まちづくり調整担当部長 多摩地域におきましては、都心部へのアクセスのよさ、豊かな自然などを生かしながら、コロナ禍やDXなどの社会情勢の変化も踏まえて、まちづくりを進めることが重要でございます。変貌する課題に対応し、ハード、ソフト両面からまちづくりを進めるために、本戦略の検討に当たり、関係局による検討会を設置し、意見交換を行ってまいりました。
 また、都及び多摩二十八市町から成る多摩まちづくり推進連絡会議の場などを活用し、市町の取組などについて意見交換を実施するとともに、新たなまちづくりの方向性について、有識者の意見を聴取しております。
 これらで得られました知見を多摩のまちづくり戦略の策定に活用してまいります。

○磯山委員 現在、多摩地域では、多摩モノレール延伸や道路整備など、新たな交通基盤の充実に向けた取組が進んでいますが、こうした交通基盤の整備により、多摩地域のポテンシャルは大きく向上すると思います。
 多摩のまちづくりにおいては、こうした交通基盤の整備と連携して進めることが必要と考えますが、見解を伺います。

○澤井まちづくり調整担当部長 新たな交通基盤の整備と併せた沿線まちづくりを進めることで、交流や連携を促進し、多摩地域の魅力や活力の増進を図ることが必要でございます。
 まちづくり戦略では、多摩都市モノレールや南多摩尾根幹線道路を地域の魅力と成長を支える交通ネットワークに加えるなど、沿線及び周辺のまちづくりを促進してまいります。
 来年度、都は、これらの地域のまちづくりを加速するため、市町が取り組む先進的なまちづくりの検討に対しまして、調査費の補助を実施することとしております。

○磯山委員 都では令和二年から、多摩イノベーション創出まちづくり検討支援モデル事業を実施し、昨年五月にその成果を公表、まちづくりにおいては、公民学の連携やハード、ソフト両面からの取組が重要であるとしております。昨年、都市整備委員会でこの件を質問した際に、都はこの成果を踏まえ、新たな多摩のまちづくり計画を策定するとの答弁がありました。
 そこで、モデル事業の成果を踏まえ、多摩のまちづくり戦略において、どのように取り組んでいくのか伺います。

○澤井まちづくり調整担当部長 社会情勢や価値観の変化などにより、まちの抱える課題は多様化しておりまして、その解決のためには、大学や企業、NPOなど、地域のまちづくりに関わる多様な主体と連携を図ることが重要でございます。
 そのため、ハード面の取組に加え、公民学が連携してまちづくりを促進する仕組みとして、プラットフォームを都が新たに構築し、様々な主体が持つ専門性を生かしてまちづくりを支える仕組みを確保し、ソフト面からも地元自治体の取組を支援してまいります。

○磯山委員 多摩のまちづくり戦略では、地元市等が取り組むまちづくりへの支援について、様々な観点から検討を行っていることがよく分かりました。
 まちづくり戦略の策定に向けた今後の取組について伺います。

○澤井まちづくり調整担当部長 多摩のまちづくり戦略の策定に向けましては、検討の方向性を示した多摩のまちづくり戦略の基本的な考え方を今月中に公表してまいります。
 その後、将来のまちづくりを担う子供たちの意見を聴取するとともに、有識者などの意見も踏まえて素案を作成し、パブリックコメントにより都民の意見などを聞いた後に、本年内に成案を取りまとめてまいります。
 引き続き、成長と成熟が両立した魅力あふれる多摩地域の実現に向け、多摩のまちづくり戦略の策定に取り組んでまいります。

○磯山委員 私の地元である小平市を含めた北多摩地域は、都心に近く、良好な住環境と多数の企業が集積したポテンシャルの高い地域でもあります。北多摩地域は、新都市生活創造域にふさわしく、最近は子育て支援に力を入れ、出生率では、都内市区町村の中でも、コロナ前ですけれども、上位に入っている状況であります。
 子育てという概念は、まちづくりの大切なコンセプトになっているという自治体も多く、今やソフト事業の柱になっているわけであります。今後、子育て支援や教育といった事業への取組が都市の魅力としてますます評価されるのではないかと思っております。
 都市マスにおける位置づけでは、中核的な拠点や枢要な拠点は北多摩地域にはありません。今後、多摩のまちづくり戦略の策定に当たっては、ハード事業とともに、北多摩地域の特性に合ったソフト事業も併せて検討していただくことを要望いたします。
 さらには、ひいてはその取組が、多摩全体のまちづくりを大きく進めることに寄与すると私自身も思っておりますし、そのことを願いまして、次の質問に移ります。
 次に、北多摩地域における地域公共交通について伺います。
 地域の公共交通は、住民の日常の移動に欠かせないものでありますが、私の地元小平市でも、花小金井駅から武蔵境駅に行く昼の時間帯のバスがなくなるなど、移動を取り巻く環境が変化してきております。
 交通が不便な地域では、自治体がコミュニティバスなどを運行しています。住民は日々行政界を意識することなく活動しているものの、その自治体の中を走るケースが多く、移動の実態を踏まえた対応が求められております。
 一方で、多くの自治体では、限られた財源の中で、どこまで移動手段を確保、維持すべきかなど、共通した悩みを抱えております。地域公共交通は、市区町村が主体的に取り組むべきものでありますが、こうした課題に対しては、自治体間の連携や都の広域的な立場からの支援が必要であると考えます。
 令和四年三月に公表した東京における地域公共交通の基本方針では、都と市区町村が共同して進める先行事例の取組が挙げられております。そこで、先行事例の取組の狙いと、今年度はどこの地域を対象としているのか伺います。

○江端地域公共交通担当部長 基本方針では、先行事例の取組として、都と地元自治体で共同して実施することに意義のあるラストワンマイル移動手段の導入、広域連携バスの導入など、八つの検討課題を設定しております。その課題解決に向けて、地域ごとに、都が地元自治体等の関係者から成る検討の場を設け、具体的方策について検討するとともに、そこで得られた知見を広く共有してまいります。
 今年度は、北多摩エリア、青梅市、大島町の三地域において取組を行っております。

○磯山委員 北多摩地域も先行事例の取組の一つとなっていることをうれしく思います。北多摩地域における今年度の実施内容と次年度の予定について伺います。

○江端地域公共交通担当部長 北多摩地域におきましては、検討課題の一つであります広域連携バスの導入について検討を行っております。
 今年度は、関係市と勉強会を立ち上げまして、自治体間で連携することが必要である行政界に着目し、住民の移動実態や移動ニーズなどを把握するための調査を実施いたしました。
 来年度は、その調査結果を踏まえ、複数の自治体が連携して運営する移動サービスの導入に向けた仕組みや制度などについて検討してまいります。

○磯山委員 具体的な成果が都民に還元されるような提案の実現に向けて、都の支援を要望し、またこの取組に期待して、次の質問に移ります。
 続きまして、生産緑地公園補助制度の成果について伺います。
 生産緑地の二〇二二年問題を見据え、農業継続が見込めない生産緑地の緑を公園として保全していくため、都は、平成三十年度に生産緑地公園補助制度を創設し、市区が都市計画公園緑地内の生産緑地を買い取る事業に対し、補助を行っていると伺っております。
 本来、都市農業の継続が望ましいところではありますが、様々な事情から営農継続が難しく、市区に生産緑地の買取り請求が出た場合の対策としても、こうした補助制度は大変重要であると考えます。本補助制度は延べ二十五公園の用地取得に実績があり、九市五区に対して補助を行ってきたと伺っております。
 そこで、生産緑地公園補助制度は、これまでどのような場所で、どのような公園を整備してきたのかと、来年度の補助制度の拡充について伺います。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 練馬区や世田谷区では、例えば指定した農の風景育成地区内に農業公園が整備され、子供たちへの環境学習の機会の提供や収穫体験イベントの開催など農と触れ合う活動拠点となっております。また、立川市や国立市などでは、もともとの農地を生かした公園整備を行っておりまして、足立区などでは遊具のある公園など、地域の特性やニーズに応じた魅力ある公園が整備されております。
 こうした取組をさらに進めるため、来年度は、予算額を二十億円に倍増するほか、従来一自治体当たりの補助件数が一件であったものを三件までに引き上げるとともに、国費充当がない場合の都の補助率を三分の一から二分の一に引き上げるなど、制度を改善いたしました。

○磯山委員 本補助制度が農を生かし、農に触れる魅力的な公園整備に活用されていることが分かりました。
 そこで、市区町村がおのおのの地域の特性を踏まえ、農を生かしたまちづくりに積極的に取り組むことができるように、都は率先して支援を行っていくべきと考えますが、来年度、都はどのように取り組むのか伺います。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 都はこれまで、都市の貴重な農地や樹林地を保全していくため、地域住民や自治体が意識を共有し、農のある風景を次世代に引き継ぐ農の風景育成地区を都内五か所で指定してまいりました。
 二〇三〇年までの指定目標をこれまでの十か所から十五か所に引き上げておりまして、来年度は、市区町に対して農の風景育成地区に関する補助の活用を促し、指定を増やしてまいります。
 また、緑や都市農地の持つ多様な機能を活用し、地域の価値向上等を図る緑農住まちづくりを進めるため、令和三年度にガイドラインを作成し、今年度、シンポジウムを開催するなど、普及啓発を図ってまいりました。
 来年度は、区市町や民間事業者、JA、大学などとの意見交換や交流の場を設けることなどにより、緑農住まちづくりを推進してまいります。

○磯山委員 来年度は、各自治体が都の補助制度を有効に活用しながら、地域課題を踏まえて、魅力ある農を生かしたまちづくりや公園整備を進められるように、市区町村との連携をより一層深め、生産緑地が少しでも残っていくように、取組を推進していただくことを要望し、私の質問を終わります。

○平委員 私からは、都が令和五年度、一億円の予算要求を行っております舟運活性化に関する調査に関連して、まず質疑を行います。
 我が会派は、かねてより、舟運を観光だけでなく日常の交通手段として活用すべきと要望を行ってまいりました。要望等を受け、都は、舟運が身近な観光、交通手段として定着することを目指し、二〇一六年度から新規航路の開拓、認知度の向上、魅力の向上、また利便性の向上の取組を展開してまいりました。
 新規航路の開拓は、二〇一六年度から二年間、観光等を目的とした八航路の社会実験を実施し、それを踏まえ、二〇一八年度から三航路で舟運事業者による運航が開始されました。二〇一九年度は、船の通勤等への活用の可能性の検証を目的に、らくらく舟旅通勤を実施。今年度は、らくらく舟旅通勤の第二弾も実施をされ、舟運を交通手段として活用する可能性を調査したと伺いました。
 二〇一九年度に実施した、らくらく舟旅通勤第一弾と今年度実施の第二弾の違いについて、まずお伺いをいたします。

○三木交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務 らくらく舟旅通勤の第一弾は、二〇一九年の夏の平日に八日間、日本橋と晴海地区の間の一航路で乗船料は無料として、朝の時間帯に運航を行いました。
 今回の第二弾は、二〇二二年の秋の平日に十四日間実施いたしまして、隅田川や運河などを活用いたしまして計六航路で五百円を中心とした料金を設定いたしまして、朝と夕方の時間帯に運航を行っております。
 これは実装化に向けました検証を行うため、実際の利用を想定いたしまして料金を設定するとともに、複数の航路で実証実験を実施したところでございます。

○平委員 第一弾は二〇一九年夏、一航路で乗船料は無料。第二弾は二〇二二年秋に、六航路で五百円を中心とした料金を設定ということでありました。大きな違いがあります。
 らくらく舟旅通勤第二弾の調査結果について伺います。

○三木交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務 らくらく舟旅通勤第二弾におきましては、延べ二千八百名を超える方々にご利用いただきまして、アンケート調査の回答者の約六割が通勤等で利用いたしております。
 そのほか、利用する上で重視する点といたしまして、上位から運航頻度、運賃、所要時間、船着場へのアクセスがございまして、また、適切と思う運賃に関しましては五百円以下が九割、今後も利用したいという意見も七割を占めております。
 今回の乗船実績ですとかアンケート結果によりまして、船で通勤することに対しての一定のニーズを確認いたしました。

○平委員 ありがとうございます。アンケート結果によって、船で通勤することに対しての一定のニーズを確認したという答弁でございました。
 都が舟運の取組を活性化させていることを多くの都民に知ってもらうことは重要であります。そこで、舟運の認知度の向上に向けた取組と、らくらく舟旅通勤の周知の方法について伺います。

○三木交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務 都は、舟運活性化に向けました認知度の向上といたしまして、東京舟旅のホームページの開設、PR動画の配信、情報誌への掲載などを行ってまいりました。
 らくらく舟旅通勤におけます周知に関しましては、区報への掲載ですとか、船着場周辺の企業へのPR、駅や船着場の周辺におけますポスターの掲示ですとか、パンフレットの配布など、積極的にPR活動に取り組んでまいりました。
 さらに、らくらく舟旅通勤におきましては、マスコミにも乗船していただくなど、テレビ、新聞等の各種メディアに周知を図ってまいりました。

○平委員 私が周知で知った舟運の取組について紹介をしたいと思います。東海大学静岡キャンパスでは、二〇二二年四月より、JR清水駅前から本キャンパス前まで、東海大学の学生専用の通学船の運航を開始し、既に多くの学生が通学に利用されているということです。
 通学船の運航を通じて、学生の利便性の向上と清水港周辺の地域活性化につなげていく考えで、利用した生徒からは、アルバイト先へのアクセスがよくなった、船での通学が可能になり居住地の選択肢が広がったなどの声が上がっているということです。また、バスでの通学に比べ、通学時間が十分短縮されたそうです。
 こうしたことも踏まえて、またらくらく舟旅通勤の実施結果も生かして、実装につなげていくことが重要と考えます。交通手段としての航路の実装に向けた取組が必要と考えますが、見解を伺います。

○三木交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務 らくらく舟旅通勤の実施におきましては、バリアフリー化に対応している船が少ないということですとか、一部には屋根のない船がございまして、雨天時に欠航が生じるということもございました。
 また、舟運事業者からは、航路が認知され、利用者が増加するまでの事業性の確保に関する意見等がございました。
 これらの課題を踏まえまして、来年度から船のバリアフリー化などの設備への支援ですとか、需要創出までの立ち上げ期での運航の支援等を実施いたしまして、新規航路の実装につなげてまいります。

○平委員 ありがとうございます。船のバリアフリー化などの設備への支援ということがありました。
 船旅通勤が当たり前になるには、その答弁、バリアフリー化の設備への支援に加えて、船着場の整備や船着場の乗換えを便利にするなど、アクセス性を向上させ、需要創出につなげていくことが重要と考えます。
 例えば、シェアサイクルのポートを船着場に設置をしたり、都営バスや地域で運行するコミュニティバスの発着地点にするなど、船着場のアクセス向上に向けた整備を進めていくべきと考えます。見解をお伺いいたします。

○三木交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務 らくらく舟旅通勤第二弾におきましては、船の運航だけでなく、船着場からの移動手段といたしまして、シャトルバスの運行とシェアサイクルへの乗り継ぎサービスを実施いたしまして、どちらも一定の利用がございました。また、アンケートでは、下船後に利用を望む交通手段といたしまして、バス交通、シェアサイクルがそれぞれ四割の回答でございました。
 こうしたことなども踏まえまして、来年度は他の交通機関との乗換えなど、各船着場のアクセス性向上に向けた調査を実施してまいります。

○平委員 ありがとうございます。船着場のアクセス性向上に向けた調査を実施していくということでございました。
 最後に、舟運の実装に向け、今後、各区とどのような連携、調整を行っていくのかお伺いをいたします。

○三木交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務 都はこれまで、地元区をはじめ、学識経験者や舟運事業者などから成ります水辺空間活用のワーキンググループを設置いたしまして、各主体と連携を図りながら、舟運の活性化に取り組んでまいりました。
 今後、航路の実装に向けまして、区が管理する船着場の有効な活用や船着場周辺の地域への広報活動などに協働して取り組むことによりまして、需要創出を図ってまいります。
 引き続き、航路の実装に向けまして、関係区等とも連携しながら、舟運が身近な交通手段として定着するよう積極的に取り組んでまいります。

○平委員 ありがとうございます。舟運が身近な交通手段として定着するよう積極的に取り組んでいくとのご答弁、ぜひよろしくお願いいたします。
 次に、飯田橋駅周辺基盤整備事業についてお尋ねをいたします。
 飯田橋駅のJR東口は、高架下や地下鉄の出入口の歩道が狭く、駅を出入りする人とまちを行き交う人が交差している、混雑していること、また、ホームの改良工事によって、東口の動線が遠くなったことに加え、駅前でありながら滞留空間がないなど、様々な課題を抱えております。
 こうした課題解決に向けた取組について、昨年十一月の都市整備委員会で質問を行い、都は、千代田区、新宿区、文京区と共に設置した検討会において、協議、調整を深め、駅周辺のまちづくりと連携して、歩行者空間の拡充などを図っていくとの答弁でございました。
 その後の進捗について確認をしたいと思います。まず、現在の取組状況についてお尋ねをいたします。

○朝山都市基盤部長 都は、飯田橋駅周辺の歩行者空間の不足や駅とまち、まちとまちのつながりの強化等の課題の解決に向けまして、関係する三区や鉄道事業者と共に協議、調整を進めてまいりました。
 このたび、駅周辺まちづくりと連携した基盤整備の在り方を示す飯田橋駅周辺基盤整備方針の案を取りまとめ、本年二月七日に公表し、約一か月間、意見募集を行っております。

○平委員 パブコメを行ったということでございました。
 千代田区内では東地区や富士見地区など、隣接する文京区、新宿区においても、再開発プロジェクトが動き出そうとしております。
 このタイミングで行政側が基盤整備方針を策定する意図は何か、改めてお伺いをいたします。

○朝山都市基盤部長 飯田橋駅周辺のエリアは、幹線道路と河川で分断されており、駅とまちや、まちとまちをつなぐためには、駅周辺の再開発事業と連携して、必要な動線やゆとりある広場空間などを確保することが合理的かつ効果的でございます。
 再開発の機運が高まっているこの機会を捉え、駅とまちが一体となった基盤整備の方向性を示す基盤整備方針を策定するものでございます。

○平委員 基盤整備に取り組むに当たって、駅周辺がよりいい空間となるよう、地域の人たちの意見もよく聞いていただきたいというふうに思います。
 基盤整備方針案に対して、どのような意見があったのかお伺いをいたします。

○朝山都市基盤部長 基盤整備方針の案に対し、個人及び団体より、合計六十八件のご意見をいただいております。
 主な意見といたしましては、バリアフリー対策や明るい広場空間の整備を進めてほしいなど、基盤整備方針に示された施策の推進に関する意見や、スピード感を持って一日も早く実現してほしいなど、今後の進め方に関する意見が多く寄せられております。

○平委員 バリアフリー対策や広場空間の整備を進めてほしい、スピード感を持って一日も早く実現してほしいとの声でございました。
 そういった意見をどのように反映して、今後、取組を進めていくのかお伺いをいたします。

○朝山都市基盤部長 今回いただいた意見も参考に、駅を中心とした分かりやすく快適な移動空間の形成など、基盤整備を迅速かつ着実に進めるため、来年度は新しい会議体を設置し、基盤整備方針の具体化などの検討を加速してまいります。

○平委員 ありがとうございます。
 飯田橋のさらなる発展に向けて、駅とまちの一体的な再整備計画の具体化を早急に進めるとともに、今後立ち上がってくるまちづくりプロジェクトとしっかりと連携をし、着実に取組を進めていただきますよう要望いたしまして、続いての質問に移ります。
 KK線についてです。
 KK線を活用した空中回廊、Tokyo Sky Corridorについて、早期に都民が利用できるよう、部分開放などの工夫も含めて早期実現に取り組むべきと要望を会派として行ってまいりました。かつてのニューヨークのハイラインの整備事例を基に、提案をしてまいりました。
 また、有楽町、八重洲などの周辺において、都市再生が必要な地区が複数あることから、Tokyo Sky Corridorの整備に合わせ、周辺のまちづくりを早期に取り組むよう要望も行ってまいりました。
 そこでまず、KK線を活用した空中回廊、Tokyo Sky Corridorについて、部分開放も含めた早期実現や、駅、都市開発の促進など総合的に取り組むべきと考えます。見解をお伺いいたします。

○吉野まちづくり推進担当部長 KK線上部空間の整備につきましては、首都高八重洲線通行止め後にKK線の自動車道を廃止して、二〇二〇年代中頃に着手することとしております。
 整備に当たりましては、民間の活力や創意工夫を生かしながら、周辺まちづくりと連携して段階的整備を行うこととしており、その第一弾として、本年一月に京橋三丁目東地区の都市再生特別地区と併せて、再開発等促進区の地区計画を決定したところでございます。整備時期につきましては、整備主体である東京高速道路株式会社等関係者と検討、調整し、一部区間の早期開放を図ってまいります。
 今後、東京の新たな価値や魅力のさらなる創出に向け、周辺まちづくりとの一層の連携を図りながら、KK線再生を推進してまいります。

○平委員 周辺のまちづくりとの一層の連携を図っていくということでございました。
 KK線自動車道の廃止に伴った道路上、沿道の屋外広告物の規制緩和への危惧の声も上がっていると伺っております。銀座エリアの魅力を損なわずに、むしろ新たな魅力につながるよう、屋外広告物の規制や誘導を遅延なく行うようにすべきと考えます。
 KK線について、屋外広告物の取扱いなど、ソフト面での取組についても工夫して取り組むべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○吉野まちづくり推進担当部長 現在、KK線の道路上及び沿道の一定の範囲では、東京都屋外広告物条例により、屋外広告物の表示、掲出が禁止されております。
 今後、KK線の自動車道が廃止されることに伴い、屋外広告物の規制がかからなくなるため、KK線上部空間及び沿道の良好な景観形成の観点から、屋外広告物の規制の在り方や手法等について、関係者間で早期に検討、調整してまいります。

○平委員 ありがとうございます。
 KK線の廃止に伴う諸問題に対しては、早期に検討するとともに、Tokyo Sky Corridorの早期実現に向け、周辺地区のまちづくりとも連携をして取組を進めていただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○かつまた委員 私からも、東京高速道路、KK線の再生事業化に向けた方針案について質問をさせていただきます。
 初めに、改めて、このKK線再生と活用の目標についてお伺いをいたします。

○吉野まちづくり推進担当部長 KK線につきましては、東京の新たな価値や魅力を創出するため、KK線上部空間を歩行者中心の公共的空間として再生、活用することを目標としてございます。
 再生に当たりましては、植栽、アート等の導入、まちを眺めることができる場所の工夫や、日本の文化、有楽町、銀座、新橋など沿道地域の個性をアピールすることなどにより、世界から注目される観光拠点を目指してまいります。

○かつまた委員 今のご答弁で、観光拠点を目指すとのお答えがありました。このKK線は、築地、汐留、新橋、日比谷、有楽町、八重洲、そして銀座と隣接をしています。答弁にありましたとおり、世界から注目される観光拠点を目指す取組をぜひよろしくお願いをいたします。
 次に、KK線再生の目標に向け、どのような整備内容となるのか、取組をお伺いいたします。

○吉野まちづくり推進担当部長 KK線の再生に当たりましては、広場空間や憩い、滞留空間を連絡する歩行者系ネットワークを形成し、周辺エリアのまとまった緑や緑豊かな通りと一体となった重層的な緑のネットワークを形成するなど、緑豊かな歩行者空間に整備する方針としてございます。
 例えば、高架施設の異なる幅員を生かしためり張りのある空間形成に向け、幅員が約十六メートル以上の区間は、歩行者の通行空間に加え、にぎわいのための広場などの滞留空間を確保するとともに、晴海通り等主要な道路との交差部付近にまちを眺めることができる場所を整備してまいります。
 さらに、誰もが楽しめる居心地のいい空間形成に向け、植栽や各種サービス機能を適宜整備するとともに、アート等の導入も検討してまいります。

○かつまた委員 KK線の再生の整備及び管理主体はどちらになるのか伺います。また、昨年、都は強靱化プロジェクトを発表いたしましたが、災害に強い東京都の観点から、災害時の安全性の確保が重要であるというふうに考えますが、避難経路の確保や、加えて、歩行者空間が屋外となることから、熱中症対策も大変重要であるというふうに考えます。どのような対応を行うのかお伺いをいたします。

○吉野まちづくり推進担当部長 KK線上部空間の整備につきましては、現在の施設所有者である東京高速道路株式会社が整備することを基本とし、一部区間につきましては、KK線周辺におけるまちづくりと連携し、開発事業主体が整備することも可能としてございます。
 管理につきましては、再生後においても、建物の賃貸収入を維持管理運営に充当する現行の管理運営スキームを継承することとし、同社が管理することを基本としてございます。
 災害時の安全性の確保につきましては、同社において、避難経路及び避難空間の確保とともに、適切な避難誘導を行うよう計画してまいります。
 熱中症対策も重要であると認識しており、今後、同社において、整備内容やサービス機能の具体化に合わせて検討してまいります。

○かつまた委員 このKK線のもともとの土地は、東京都の土地というふうにも聞いておりますので、都としても、事業者としっかりと関わりを持ちながら、災害対策を推進していただきたいと思います。
 また、このKK線が走る地元の中央区の洪水ハザードマップを拝見いたしました。KK線沿線に五メートル未満の浸水深がありました。KK線完成時には、垂直避難との観点から、いざというときこのKK線が避難所となるよう、都としても、事業主体であったり、また地元の中央区に働きかけるべきというふうに考えます。要望させていただきます。
 次に、整備主体は東京高速道路株式会社とのことでありますけれども、今後、東京都はKK線の再生にどのように関わっていくのか、見解を求めます。

○吉野まちづくり推進担当部長 KK線の事業化に向けた方針は、Tokyo Sky Corridorの実現に向け、東京都や東京高速道路株式会社、連携するまちづくり等の関係者の取組の基本的な考え方を示すものでございます。
 都としましては、KK線再生方針及び本方針に基づき、同社をはじめとした関係者と調整しながら、引き続き、KK線の再生に向け取り組んでまいります。あわせて、イベントを活用するなど、計画段階から幅広く情報発信を行ってまいります。

○かつまた委員 今ご答弁いただきました今後のKK線再生に大いに期待をいたしまして、次の質問に移りたいと思います。
 続いて、東京都ブロック塀等安全対策促進事業について質問させていただきます。こちらも他の委員も先ほど取り上げておりましたが、ちょっと視点を変えて質問をさせていただきたいと思います。
 先月、トルコ、シリアにおいて大きな地震が発生をいたしました。五万人以上の方の尊い命が失われる大惨事となっております。亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、一日も早い復興をお祈りいたします。
 日本も地震大国であり、南関東におけるマグニチュード七程度の大地震の発生確率は、今後三十年以内に七〇%程度との予測もございます。大地震に対する備えの一つとして、都では、地震時に倒壊する危険性のあるブロック塀等に対する支援事業を平成三十年の大阪北部地震以降実施をしております。
 まず、都のブロック塀等に対する支援事業の目的と実績についてお伺いをいたします。

○飯泉市街地建築部長 都は、平成三十年六月に発生した大阪府北部地震でのブロック塀の倒壊被害を踏まえ、地震時のブロック塀などの倒壊による人的被害を防ぐため、同年十二月に補助制度を創設し、民間所有のブロック塀などの除却や建て替え等に対し、区市町を通じ、助成を行っております。
 また、実績についてでございますが、ブロック塀などの除却や生け垣の造成を含めた建て替え等への補助実績は、平成三十年度が百三十七件、令和元年度が五百三十八件、令和二年度が四百二十六件、令和三年度が三百九十二件となっております。

○かつまた委員 今ご答弁いただきました。令和元年度が五百三十八件ということで、ここがピークで、残念ながら、現在この補助制度の実績が下降傾向にあるということが分かりました。
 都の支援を受け、各市区町村で実施されているブロック塀等の安全対策に関する補助制度の内容を拝見いたしますと、ブロック塀の除却と新たな塀の新設の双方を行っている自治体がある一方、中には、塀の除去のみの補助にとどまっている自治体もあります。安全対策としての効果を高めるには、やはり除去の部分の助成と新設の部分の助成、これをセットで行う必要があるというふうに私は考えます。
 都としても、危険なブロック塀の除去と新たな塀への補助がセットでできるように、各自治体へ働きかけを行うことが重要であると考えますが、見解を求めます。

○飯泉市街地建築部長 危険なブロック塀などの除却を促進するためには、除却と併せて実施される新設に対しても、所有者の負担軽減を図り、取り組みやすい環境を整備することが重要でございます。
 現在、四十五の自治体がブロック塀などの除却に対して助成を行っておりますが、そのうち、生け垣やネットフェンスなどを含め、新設に対しても助成を行っている自治体は約七割の三十二の自治体にとどまっております。
 このため、新設への助成を行っていない十三の自治体に対して、除却とセットで助成を行うよう働きかけを行うこととしておりまして、引き続き、地元自治体と連携し、ブロック塀などの安全対策を推進してまいります。

○かつまた委員 都は昨年、TOKYO強靱化プロジェクトを発表いたしました。災害に強い東京を目指し、地元自治体との連携強化を要望いたしまして、私の質問を終わります。

○原田委員 私からは、都市整備局分、来年度予算審議に当たりまして、都政全体の大問題となっております神宮外苑についてお聞きします。
 東京都は、神宮外苑再開発において、過日施行認可を行いました。とうとう施行者が決まり、今後、施行者から権利変換計画申請が行われますが、外苑再開発は、二〇一二年の都と森喜朗氏との秘密の懇談が行われて以来、一貫して都民参画を拒み続けて行われてきました。知事は都民参画を都市計画決定の意見として付しましたが、その後も施行認可申請さえ、都民に知らせずひっそりと行われてきました。
 それが、港区の共産党区議や私によって暴露され、一般紙でもニュースとして取り上げられ、大変な非難の中、施行認可を都が行うなど、徹底した隠蔽ぶり、都民参画を拒否するかのような進め方となっています。権利変換計画という最終手続を前に無数の不明点が残っておりますので、その点で二、三点お聞きしたいと思います。
 本計画では、新宿区道の付け替えが行われていますが、その面積が減っています。減った面積はどこに行ったのか、面積自体が減っている場合、何らかの補償的措置があるのか、お答えください。

○池内防災都市づくり担当部長 新宿区によりますと、区有財産の取扱いに関する事項を含む整備の詳細について、今後、施行者と協議すると聞いてございます。
 なお、都市再開発法によりますと、新たな公共施設の用に供する土地は、公共施設を管理すべき者に引き続き帰属する一方、廃道などによって宅地となる土地につきましては、施行者による権利変換の処分を受け、権利床を取得するか、あるいは権利変換を希望せずに金銭の給付を受けることが可能となってございます。

○原田委員 つまり、新宿区道の面積が減った分、この再開発計画に利用されるということになるわけなんですね。そうしたことが新宿区民に全く公表されないまま、ここまで来てしまう、私が質問しなければ、こうした重大なことが分からないまま進んでいく、これが、この神宮外苑再開発計画の特徴ともいえます。
 港区道は緑地に置き換えられていますが、従前従後の面積はどう変化しているか、また、何らかの補償等など行われるのか、お聞かせください。

○池内防災都市づくり担当部長 港区によりますと、公共施設については従前の港区道の面積が約二千五百二十平方メートル、従後の港区緑地の面積が五千八百六十平米となってございます。
 港区からは、市街地再開発事業によります公共施設の再編に伴い、公共施設用地が増加し、新たな公共用地は施行者から港区に無償で帰属され、補償等はないというふうに聞いてございます。

○原田委員 港区の場合は、区道がなくなる分、面積は緑地として増えるんだという答弁なんですけれども、市街地再開発により、公共施設の用地の面積が減ったり、再編されたりしているというわけです。この今の新宿区道と港区道の二つの質問だけ行っても、様々な疑問が湧き起こってまいります。
 一つには、都市計画決定の際、各区において、このような事実はどのように説明されてきたのか。恐らくされていない。公共用地の面積が減る、すなわち、区民の財産が大きな変更を受けるということについて、区民の了解もないまま再開発計画が認可され、権利変換については事後に明らかになるというのでは、都民の参画など得られるはずがありません。
 いいですか、この特に港区の区道、これは面積が緑地に置き換わって増えるんだっていいますけどね、この区道は、まさに秩父宮ラグビー場に向かうあの道ですよ。その道の廃道というのは、両脇の兄弟木を移植検討する、すなわち伐採するという計画と一体の話なんです。面積が増えるなんてとんでもない話でして、イチョウ並木を一部伐採することになるということが、都民、港区民は納得しているのかといわれたら、まず納得はしていないし、知らされていないと思いますよ。
 移植といっても、これも我が党都議団の情報公開資料で、移植は不可能と書いてあることが分かっています。今、移植検討なんていって、またいい出しましたけど、そもそも彼らの内部文書で、移植は不可能と書いてあるわけですよ。そういうことも、私たちがこうやって証明しないと表に出てこないと。
 こうした問題、特に、この区道の土地の権利変換計画がこれから、申請がまだない、されていないということですけれども、今後行われるかもしれないという点では、まさにこれからですね、この質疑をネットでも聞いている方もたくさんいらっしゃると思いますので、都民と共にこの問題、しっかりと追及していきたいし、声を上げていきたいなということを表明するものです。
 知事は、何か人ごとのように、神宮外苑は明治神宮の土地であり、民間の事業であると度々口にしますが、そこには大きな欺瞞があります。二〇一二年、都は都民には知らせず、森喜朗氏と水面下での折衝を行っていることは、我が党都議団の情報公開請求資料によってよく知られるようになってまいりましたが、この水面下交渉とほぼ同時となる二〇一三年、都が整備し、程なく外苑再開発に適用される方針が決まったのが公園まちづくり制度です。神宮外苑再開発は、この公園まちづくり制度がなければできない開発です。
 公園まちづくり制度は、表向き、長い間公園化されていない区域を相当程度残した都市計画公園において、公園の整備を進めさせる一方で、一定の環境対策を求めた上で、一部の区域を再開発に使ってもいいですよという制度です。それまで住宅密集地であったり、工場跡地であったりする場所が、一部は高層ビルなどが建ちますが、大半の都市計画公園区域が緑とオープンスペースを備えた快適な都市空間になるんだと主張している制度です。
 しかし、この制度によって、神宮外苑で起きていることは、既にほぼ公園化された区域に、自然と景観を破壊して、超高層ビルを建てるという最悪の再開発です。
 知事は、以前から公園大改革を口にしてきましたが、公園まちづくり制度はまさにそれを担保する制度なのではないか、我が党都議団の情報公開請求で、公園まちづくり制度を他の公園にも適用しようとしていたことが明らかとなっていますが、この制度の本質は、都がどこでこの制度を適用しようとしているかを見ると明瞭になります。
 そこでお聞きしますが、公園まちづくり制度の対象となる公園のうち、都がこれまでに資料を作成した対象となる公園名、挙げてください。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 都が公園まちづくり制度の適用を決定し、都市計画変更に関する図書を作成した公園は、神宮外苑の明治公園のみでございます。
 このほか、制度の適用について検討した公園は、芝公園と青山公園であり、芝公園については令和二年二月にまちづくり構想を公表しております。

○原田委員 今の答弁は、その地域にとって重大な答弁となります。神宮外苑のありさまを見れば、芝公園と青山公園も同じような開発が狙われているのかという話になるわけです。芝公園は既にまちづくり提案が始まっていると。こういうことを、都はなぜ都民の前に明らかにせずに水面下で事を進めるんでしょうか。なぜ検討しているよという段階から、情報公開しないと出てこないような資料に書いているんでしょうか。
 いよいよ広大な敷地が再開発し尽くされてきた今、まるで都市計画公園が最後の巨大開発の種地にでも見えているかのようです。広く都民にこのことを知らせるとともに、今後もこの委員会で注目していきたいと思います。
 さて、予算特別委員会の和泉なおみ都議の総括質疑において、神宮外苑の風致地区の指定を地区計画が組まれさえすれば開発が可能となるS地区への変更を依頼していたことが明らかになりました。東京都が自治体に対して、風致地区をいつでも開発できるS地区に変えてくれよと依頼をしていたというんですね。
 そこで、率直にお聞きします。新宿区の風致地区条例の基準の変更を東京都が依頼したのはなぜですか。

○吉野まちづくり推進担当部長 風致地区条例に基づく許可に関する権限については、平成二十六年四月より、従来、都で許可していたものを含む全ての許可権限が区市に移譲されております。
 都は、東京二〇二〇大会後の神宮外苑地区のまちづくり指針に沿って、スポーツクラスターの形成等を推進するに当たり、風致地区の区域が複数の区にまたがっていることから、条例に基づく許可の審査に関する基準等の統一的な運用を図るため、地域区分のS地域への変更等を新宿区及び港区に依頼したものでございます。
 なお、このまちづくり指針は、有識者や地元新宿区、港区等の関係者から成る検討会での検討を踏まえて策定したものでございます。

○原田委員 まちづくり指針に基づいてという答弁がありましたが、幾らでも高く建てられるようになるS地区への変更を都が依頼したと認めました。
 しかし、そもそもそのまちづくり指針には、にぎわいとは書いてありますが、超高層ビルとは書いていないわけですよ。風致地区のまま、にぎわいは幾らでもつくれるでしょう。大体、今だって神宮外苑は既ににぎわっているじゃないですか。その季節になったら、テレビ局からマスコミからいっぱい集まって、人も集まってにぎわっているじゃないですか。
 風致地区のまま、それこそにぎわいはつくれるにもかかわらず、東京都はあえてS地区に変更させて、超高層ビルも建てられるような、可能になるようなまちづくりを、公園まちづくり制度とセットで手続を水面下で進めていたということなんですね。
 S地区に変更することを区に依頼したのは、都が既に超高層ビル建設、あるいは六十メートル高層野球場、五十五メートル多目的ラグビー場を念頭に置いていたからなんじゃないかと。
 さらに問題なのは、こうした計画が公共性の観点でなく、企業等のもうけのために計画されているのかもしれないという点なわけです。あくまでも神宮外苑地区地区計画の提出者は東京都なわけです。この地区計画がよもや企業主導でつくられていたとしたら、大変なスキャンダルなわけですよ。
 しかし、この風致地区について、都が地元自治体に対し、風致地区のS地区への変更を依頼していたという事実は、大変な疑念の声が住民や専門家から上がっているということを指摘しておきたいと思います。まさに外苑だけでなく、ベイエリア開発など、都のまちづくり全体が、この神宮外苑再開発から問われているということを指摘して、質疑を終えます。

○中村委員 最初に、報告事項である東京都耐震改修促進計画の改定について伺います。
 地震が多い日本において、ハード、ソフト両面から様々な対策をする必要がありますが、発生した瞬間に建物が倒壊して命を失うことを避けるには、建物の耐震化を図るしかありません。都では、阪神・淡路大震災で、幹線道路沿道の建築物が倒壊して道路が塞がれ、緊急車両が通れなかったことを教訓として、緊急輸送道路の沿道建築物について耐震診断を義務化し、耐震改修を努力義務化する条例が制定されました。
 今でも覚えていますが、二〇一一年三月十一日に条例が可決をし、石原都知事が四選目の出馬を宣言して二時二十一分に本会議が閉会した直後の二時四十六分に東日本大震災が発生し、都議会も大きく揺れたものです。
 当時は条例を基に、平成二十七年度末、二〇一五年度末に耐震化率一〇〇%の目標達成を目指していたのですが、達成をできず、当時委員長をしていましたが、平成二十八年、二〇一六年の三月のこの都市整備委員会で、計画の改定の報告への質疑が行われ、いまだに一〇〇%の耐震化の完了はしていません。その後、総合到達率への指標が変わりましたが、まずは早期に目標を達成するよう求めてきました。
 改めて、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化について、早期に目標を達成するべく、取組を進めるべきだと考えます。ただ、建物の老朽化とともに居住者の高齢化により、もともと困難であった合意形成がますます困難な状況になっています。
 そこで、耐震化をする上での課題となっている区分所有権等の合意形成をどのように進めるのか、見解を伺います。

○青木耐震化推進担当部長 都はこれまで、あらかじめ登録したアドバイザーを所有者の求めに応じて派遣してきました。これに加えまして、来年度から、建物の管理会社などの民間事業者を新たにアドバイザーとして承認し、区分所有建物における合意形成等の課題解決をサポートしてもらうなどの取組により、耐震化を促進してまいります。

○中村委員 耐震化の助成は市区町村と共に行っているため、先月質問した今年度の最終補正予算で、当初予算の四十二億円から二十七億円へと約三分の二へと減額しましたが、所有者から市区町村への申請が見込みより少なかったとの答弁でした。すなわち、都の事業でもありますが、窓口になる市区町村の役割が大変大きい事業でもあります。
 沿道建築物への耐震化助成は、市区町村によって所有者に対する助成額等が異なっています。それぞれの自治体での選択でもあり、まさしく自治なんですが、財政力の差などによって取組の状況が異なることも考えられます。緊急輸送道路は広域的な道路ですから、どこか一か所が塞がっても意味をなさなくなってしまうので、広域自治体である都が積極的に支援していく必要があります。
 地域によって進捗の差を生じさせないように、どのように耐震化に取り組んでいくのか、見解を伺います。

○青木耐震化推進担当部長 建物所有者に対して費用助成を行うことは、耐震化の取組を促す上で効果的です。
 このため、助成制度を有していない自治体や、制度を有していても都が設定している助成率や上限額よりも低い自治体に対し、所有者が都の助成制度を最大限活用できるよう、引き続き、制度の創設や見直しを働きかけてまいります。

○中村委員 ぜひ市区町村との連携を強化して、取組を早期に進めていただきたいと思います。
 さて、住宅の耐震化は、昭和五十六年、一九八一年以前の旧耐震基準の建物への対策が中心です。しかし、二〇一六年の熊本地震で、新耐震基準の建物でも二〇〇〇年に基準が変更する以前の建物は、それ以後の建物よりも倒壊する事例が多く見られたことから、この期間に建てられた住宅の耐震化助成が行われるようになりました。
 しかし、制度はあっても、こうした問題がどのくらい広まっているのでしょうか。多くの方は新耐震基準だから大丈夫だとも思うものです。同じ新耐震基準の建物といっても、基準が違うのですから、まずは認識してもらうことが大切で、注意喚起という意味では違う名称をつけるぐらいしてもよいかと思います。
 改めて、新耐震基準の木造住宅への耐震化支援について、耐震化の必要性をどのように都民に周知していくのか、見解を伺います。

○青木耐震化推進担当部長 地震による倒壊被害の軽減に加え、倒壊を免れた場合に継続的な居住を実現するためにも、新耐震基準の木造住宅の耐震化を進めることが重要です。
 このような耐震化の必要性について、耐震キャンペーンや区市町村等による所有者への個別訪問などにより、都民への周知を図ってまいります。

○中村委員 せっかく制度をつくっても、使われなければ意味をなさないので、ぜひ積極的にPRもしていただけるようお願いをいたします。
 次に、築地のまちづくりについて伺います。
 築地市場の移転の問題は、東京都のみならず、首都圏三千万人の台所の移転として、都政を大きく揺るがす事件となっていました。その跡地のまちづくりが注目されましたが、オリンピック・パラリンピックの延期に伴い、それまで公表していた計画を見直すなどの経緯もあり、昨年十一月に築地地区まちづくり事業の事業者募集要項が示されました。
 そこでまず、築地まちづくりについて、今後のスケジュールを伺います。

○飯塚築地まちづくり推進担当部長 築地地区まちづくり事業につきましては、令和五年八月末に応募者からの提案を受け付け、令和六年三月頃、事業予定者を決定する予定でございます。
 まちづくりの具体的なスケジュールは、事業者の提案によりますが、昨年十一月に公表した事業者募集要項では、事業者に対して、主要な施設整備等に先立つにぎわいの創出や、令和十一年度に舟運利便施設等の供用を開始することなどを求めております。

○中村委員 市場移転までの経過では、今後のまちづくりで守られなければならない幾つかの約束事があります。その一つが、都が平成二十四年、二〇一二年二月七日に中央区と締結した築地のまちづくりに関する合意があります。
 そこでは、食文化の拠点として築地が育んできた活気とにぎわいの継承や、場外市場など周辺との関わりを引き継いでいくことなどを検討することで、移転が合意されました。
 その後の三月二十七日の都議会の予算特別委員会で決定した中央卸売市場会計予算に対する付帯決議には、築地のまちづくりについては、中央区との合意を踏まえ、築地での食文化の拠点が継承されるよう最大限協力することとされています。
 その後、知事が短期間で次々と変わり、二〇一六年、小池知事は選挙公約で、築地は守る、豊洲は生かすをスローガンに掲げ、築地市場の跡地は食のテーマパーク機能を有する新たな市場として、東京を牽引する一大拠点にするという基本方針を明らかにしました。
 しかし、その後、食のテーマパークについては一つの考え方と述べて、トーンダウンをしました。しかし、先ほどの合意や付帯決議は、築地市場移転という都政における大きな問題の中で生まれた約束事であり、移転後の築地のまちづくりは、これに沿ったものでなければなりません。
 そこで、都と中央区が締結した合意にある食文化や場外市場とのつながりについては、募集要項にはどのように位置づけられたのか伺います。

○飯塚築地まちづくり推進担当部長 募集要項では、土地利用等の条件といたしまして、浜離宮恩賜庭園や隅田川などの地域資源、食文化など歴史的、文化的ストックを十分に生かし、築地ならではの新たなにぎわい、交流、魅力を創造し、新たな文化を発信する機能を導入することや、その際、食文化の拠点として築地が育んできた活気とにぎわいに鑑みることを求めております。
 また、築地場外市場などとのつながりにも配慮しながら、周辺地域などとの相乗効果をもたらすことにより、当地区にふさわしいにぎわいを創出することとしております。

○中村委員 いろいろな経過があって今の要項になっているんだと思いますが、食のテーマパークということもそうですし、食の文化の継承ということも、言葉ではいろいろあるんですが、私自身も具体的にどういうものかというのは、なかなかすぐこれだということは、いえるものでもありません。
 いろんな方にいろんなイメージがありますから、事業者がどんなものを応募してくるかということも、ある意味で楽しみなところもありますが、それを選定する際には、やはりこれまで中央区、地元との合意も踏まえてということになりますから、ぜひ、地元とも連携しながら、意見交換しながら、よりよいものを選んでいただければというふうに思っています。
 さて、現在の豊洲市場の場所から以前発見されたほどの土壌汚染ではないとはいうものの、築地市場跡地も土壌汚染が見つかっています。当然、新たなまちづくりの前には、法に基づいて適切に対応されなければなりません。
 築地地区の土壌汚染の状況とそれに対する対策について伺います。

○飯塚築地まちづくり推進担当部長 旧築地市場跡地における土壌汚染調査につきましては、令和四年度までに千七百三十九地点で調査を行っており、令和三年度までに実施した千百八十地点の調査結果では、五百四十七地点で土壌汚染対策法などに基づく基準値を超過しております。これらの区域は、地下水を飲用に利用することがないことから、直ちに汚染除去等の措置を講ずる必要はない区域でございます。
 募集要項では、事業者が土地の改変等を行う範囲内において、土壌汚染対策が必要となった場合には、事業者が土壌汚染対策法等を踏まえ、適切に対策を行うこととしております。
 引き続き、旧築地市場跡地における土壌汚染調査を実施し、結果を適宜公表してまいります。

○中村委員 この土壌汚染に関しては、移転のことについても大きく注目された地点でありましたから、築地の方についてもしっかりやっていただきたい。ある意味で、事業者がきちんとやっているかどうかを適切にしっかりと監視もしていただき、また情報公開も積極的に行っていただきたいというふうに思います。
 次に、多摩振興について伺います。来年度予算で策定するとしている多摩のまちづくり戦略に関しての質問です。
 東京都は、多摩・島しょと一くくりにして表現しますが、多摩と島しょは全く状況が違います。この言葉遣いは二十三区とそれ以外という、何となく差別的なニュアンスという、そういうニュアンスでしか伝わってきません。しかも、多摩というと豊かな自然環境と観光といわれますが、それもごく一部を表しているにすぎません。
 本質は都道府県にすれば第八位という、四百万の人口が住まう住宅地であり、今は産業が都外に移転する一方、大学などが都心回帰し、都心部に比べて高齢化が早く進展するなど、課題は山積をしています。だからこそ、小池知事が多摩格差ゼロといったのには期待はしたんですが、残念ながら格差は縮まるどころか、私は開くばかりではないかと思います。
 多摩地域は、区部と比べてまちづくりにおいても格差があると考えています。あるからゼロにするといっていたわけですから、あるんだと思っています。
 この格差解消のために、多摩の魅力を生かしたまちづくりを促進していくことが必要と考えていますが、都はどのように考えているのか伺います。

○澤井まちづくり調整担当部長 平成二十九年に策定いたしました都市づくりのグランドデザインにおきましては、広域的な視点に立って、交流、連携、挑戦の都市構造の実現を目指しており、多摩地域を含めた東京全体において、交通ネットワークの充実を図るとともに、それぞれの地域特性に応じた拠点などの育成を適切に進めることとしております。
 多摩地域のまちづくりでは、豊かな自然や大学、研究機関の集積など、地域の特徴を生かして、にぎわいや活力に満ちた拠点の形成に向けて取り組んでおります。一方、コロナ禍やDXなど、社会情勢の変化や新しい働き方や暮らし方など、価値観の多様化により、まちづくりの課題も変貌しております。
 このような状況を踏まえて、現在、多摩のまちづくり戦略の検討を進めております。

○中村委員 いろいろ取組はしていただいているんですけれども、都は、かつての道路や上下水道のような社会インフラの整備率の差が縮まったとして、昨今では格差そのものの存在すら認めようとはしていません。むしろ財政力の差から、社会インフラよりもむしろ行政サービスの方で差も出てきています。格差があるという認識がなければ、適切な対応はできません。事実を見据えながら、多摩地域の振興を図っていただきたいと思います。
 そこで、そのための施策として、これまでの取組と今後の取組を伺いたいと思います。都は平成二十一年、二〇〇九年八月に、多摩の拠点整備基本計画を策定して以降、多摩のまちづくりにどのように取り組んできたのか伺います。

○澤井まちづくり調整担当部長 多摩の拠点整備基本計画の策定後、道路などの基盤整備を進めるとともに、基地跡地の開発の促進やニュータウン再生などに取り組み、八王子、立川、多摩ニュータウン、青梅、町田の五つの核都市の機能強化を図るとともに、鉄道駅などの公共交通の結節点などに形成される生活拠点において、市街地開発事業への支援など、地域の特性を生かしたまちづくりの推進を図ってまいりました。
 加えて、多摩全域の魅力、活力の向上に向けて、イノベーションの創出や大規模団地のリノベーション、緑を生かした住宅地の形成、都市農業の育成など、各局と連携しながら、様々な施策を進めております。

○中村委員 先ほどは築地のまちづくりについても質問しましたけれども、築地だけじゃなくて、昨今では都心部で、新宿や渋谷の変化が著しくて、国際的にも魅力を高めるためとはいえ、より一層都心の開発に注力しているようにも見て取れます。一方、注力されているところ以外はどうなっていくのかという不安があり、多摩地域に住む一人としては心配にもなります。
 都は、先ほどの拠点整備基本計画を踏まえて、今回、多摩のまちづくり戦略の策定に取り組んでいるとのことですが、市や町のまちづくりをどのように促進させていくのか伺います。

○澤井まちづくり調整担当部長 まちの抱える課題は多様化、複雑化しており、解決に向けては、大学や企業、NPOなど地域のまちづくりに関わる多様な主体と連携を図ることが重要でございます。
 そのため、公民学が連携して、まちづくりを促進する仕組みとして、プラットフォームを都が新たに構築し、様々な主体が持つ専門性を生かしてまちづくりを支える仕組みを確保し、地元自治体の取組を支援してまいります。

○中村委員 これからこの戦略を策定するわけでしょうし、またプラットフォームを新たに構築するということなので、そこに期待をしていきたいと思っていますが、それぞれの地元自治体等の取組といっても、また、財政的にも、なかなか区に比べれば厳しいところもありますので、ぜひ都の方にも積極的にご支援いただきまして、多摩格差があるかどうかという議論はいろいろあるかもしれませんけれども、しっかりと多摩振興について、努めていただきたいというふうに思っています。
 さて、次に、来年度新規事業として予算が計上された多摩地域の交通ネットワークについても伺います。
 先ほど交通ネットワークが大切だとの答弁がありましたが、拠点を整備するだけではなく、拠点にどうアクセスするかも重要であり、さらには拠点と拠点をいかに結ぶかが大切です。多摩地域の発展のためには、多摩地域と都心部のつながりを一層高めることが重要です。
 しかし、多摩地域は都心に向かう東西の交通は発達していますが、南北の移動は本当に不便な状況です。今回、多摩モノレールが延伸されますが、大江戸線と武蔵野線の間は鉄道路線が十分とはいえません。例えば、新たに整備された都道である調布保谷線を活用してLRTを整備すると多摩南北の交通軸が一層強化されるとの議論が、地元の三鷹市議会でも行われています。
 多摩地域に住む人々にとって、利便性を向上させるような鉄道網の充実は、地域の活性化に大きく寄与するものといえます。
 そこで、多摩地域を支える交通ネットワークについて、都として検討を行うべきと考えますが、見解を伺います。

○朝山都市基盤部長 来年度、都は、多摩地域の交通基盤について基礎的な調査を行い、地域内や都市間の鉄道ネットワーク等交通基盤について現状を把握するとともに、その在り方について検討してまいります。

○中村委員 まずは基礎的な調査だということだと思いますが、住んでいる実感としては、もうこれ不便だということは分かっているわけなので、改めて基礎的な調査の中でデータを取っていただいて、そのことをさらに次で、交通ネットワークが便利になるように生かしていただければというふうに思いますので、よろしくお願いします。
 次に、鉄道駅のバリアフリー化について伺います。
 多くの方が使う鉄道駅において、バリアフリー化は急務です。特に、安全に関わるホームドアの整備は緊急の課題です。景気が悪く、社会が不安になると、自殺、事件、事故も起きます。電車が止まると多くの方に影響が出てしまいます。都営地下鉄は一〇〇%設置になったので、当然のことながら転落事故はなくなりました。
 来年度予算では、ホームドア整備までの当面の措置として、先端技術を活用した対策に関する調査費も計上されています。センサーなどで線路に落下した場合に電車を止めるシステムを設置すれば、何もないよりはいいとは思いますが、そもそも安全が標準と考えるべきで、幾ら経営上の判断といっても、ホームに柵も何もないのに無人であることは危険であり、私は人の配置をすべきだと思います。
 鉄道事業者には、何より大切なのは乗客の方々の安全を守ることだという認識を持っていただきたいと思っています。さきの代表質問でも、ホームドアの一〇〇%設置を目指した取組を求めたところ、整備の一層の推進を働きかけていくとの答弁がありました。
 そこで、JRや私鉄駅のホームドアの整備に関わる補助事業について、令和五年度はどのぐらいの規模及び予算額を見込んでいるのか伺います。

○江端地域公共交通担当部長 JR及び私鉄駅を対象とした鉄道駅総合バリアフリー推進事業のうち、ホームドア等整備促進事業については、令和五年度は計十二駅、六億九百万円を計上しております。

○中村委員 来年度十二駅ということですが、着実に進めていただきたいと思っています。
 とはいえ、私が利用しているJRの中央線は、残念ながらなかなかホームドアの設置がされていません。よく特急があって、停車位置が違うというふうにいいますが、特急が止まるのは、東京から新宿、立川、八王子と主要駅だけで、あとは停車しないので、本来影響はないはずです。
 特に、以前、連続立体交差事業で、武蔵境駅から国立駅までの駅では、工事と同時に駅が新しくなったので、その際に設置されなかったのは、今思えば残念です。今後、他の路線での連続立体交差事業等であると思いますが、駅を造り直すときには、必ずホームドアの設置を求めていただきたいと思います。
 改めて伺いますが、JR中央線はホームドア整備が進んでいません。JR中央線におけるホームドア整備に向けて、鉄道事業者の方針及び検討状況について伺います。

○江端地域公共交通担当部長 ホームドアの整備促進につきましては、鉄道事業者の積極的な取組が不可欠でございます。
 JR東日本によれば、中央快速線におけるホームドアの整備については、扉位置の異なる列車が混在する等の課題に対する検討を行っており、また、グリーン車導入に伴う駅改良工事の後の工事になることから、令和十三年度末頃までに整備される予定と聞いております。

○中村委員 いろいろ計画はあるんだと思うんですが、本当に安全の問題なので、一刻も早く取り組んでいただけるように、JRに対して求めていただきたいというふうに思っています。
 今回、いろいろと駅に関するバリアフリーの予算もついていますけれども、ホームドアだけではなくて、バリアフリールートの複数化の要否などを調査するというものも入っています。これ、車椅子を使う方がワンルートが確保されればということなんですけれども、できるだけ水平移動しなくてもいいように、距離が短くなるようにすることは大切だと思っています。
 特に、駅を新しくする場合は、移動困難な方が移動しやすくなる、そういったルートの確保が必要だと思いますから、そういったことも、ぜひ併せて検討していただきたいと思っています。
 さて、今回質問の最後のテーマとして、高齢者、障害者等が利用しやすい建築物の整備に関する条例、いわゆる建築物バリアフリー条例の改正案について質問します。
 今回の改正は、宿泊施設の一般客室で車椅子の方が利用しやすいようにという基準を定めるものです。車椅子の方が移動しやすくなる改正であり、高く評価したいとは思っています。もちろん、様々な障害の方やいろいろな考え方があるので、障害当事者の声を聞き、それを反映させることが何より重要です。
 まず、今回の改正に当たり、障害者団体からどのような意見があり、どのように調整をしてきたのか伺います。

○飯泉市街地建築部長 今回の規定の見直しに当たりまして、四つの障害者団体と定期的に意見交換を行い、丁寧に検討を進めてまいりました。こうした中、全ての団体から、電動車椅子の利用者がより容易に利用できるよう、一般客室のバリアフリー化をさらに進めてほしいとの意見をいただいており、新たな規定を便所や浴室などの出入口幅については七十五センチメートル以上、その出入口に接する通路幅につきましては百センチメートル以上とすることで理解を得ました。
 また、複数の団体から、一般客室全般について規定を強化してほしいとの要望をいただいており、規定見直しの対象を床面積十五平米以上とし、できる限り多くの客室を対象とすることで理解を得ました。

○中村委員 いろんな団体の意見を聞いていただいたのはよかったと思っています。前回、平成三十一年の改正のときには、幅を七十センチ以上にするということの意見を聞いていたと思うので、多分そこから始まっての意見だったんじゃないかというふうに思っていますので、個々にいろんな障害の方もいらっしゃるし、聞けばいろんな意見は出てきたのではないかというふうには思っています。
 今回は車椅子対応でバリアフリーということではありますけれども、いろんな障害の方もいらっしゃいます。バリアフリーをやるというと、どうしても車椅子のことが想定されがちなんですけれども、例えば、それにさらに手も不自由な方とかもいらっしゃいますし、いろんな方々がいらっしゃいますから、ぜひ今後とも、様々な意見を聞いていただきたいと思っています。
 さて、今回の改正により、障害者の方からは、宿泊施設の浴室などが使いやすくなってありがたいという声を聞いていますが、ホテルの浴室に手すりがない場合や床が滑りやすい場合もあり、こういったことへの改善を求める声も聞いています。
 改正がなされれば、移動しやすくなって、浴室にも行きやすくもなるということだと思いますけれども、そこまで行けたとしても、じゃあ、使いやすいかどうかというと、またさらなる問題があり、手すりをつけるなどの対応も必要になってきます。
 改めて、今後の対応について都の見解を伺いたいと思います。

○飯泉市街地建築部長 今回の条例改正後、具体的な規定の内容を記載したパンフレットを作成する予定でございますが、その内容に加えまして、国が発行しているバリアフリー設計のガイドラインを参考に、一般客室における手すりの設置や床の仕様などに関する設計上の留意事項についても記載する予定でございます。
 このパンフレットをホテル事業者や建築関係者などに周知し、誰もが利用しやすい宿泊環境の整備に努めてまいります。

○中村委員 ご答弁ありがとうございます。
 建築する方々は、これが都市整備局とか、これが福祉保健局というふうにいろいろ見るわけではないので、一つにして、そういったパンフレットの中に、幅の問題だけじゃなくて手すりをつけるとか、そういうことも盛り込んでいただけるのはよかったと思っています。
 今回、条例改正の質問をするに当たって、何人かの車椅子利用者の方からお話を伺いました。条例改正は歓迎されているものですし、さらに手すりなどをつけてほしいというご意見もいただきました。
 さらにいわれたのは、これまでも不便なことはあったそうなんですが、例えばそういったことについて、対応をきちんとしてくれる人もいれば、不快感を示す従業員もいたりして困ったこともあったり、一方では、快く支えてくれる従業員もいれば、不十分だとしても随分楽になったとも聞きました。大切なのは何よりも人の気持ちなんだなということも実感しました。
 今回、都市整備局の建物の構造を少し飛び越えて、福祉保健局の範囲になる手すりなどのバリアフリーのことまで質問しましたが、意図をよく酌んでいただき、縦割りで終わらせずに、組織の壁を超えた答弁をしていただいたことには感謝します。
 建物や手すりは必要ですが、さらに大切なのは心のバリアフリーであり、その気持ちで今後とも政策に取り組んでいただければ、今後もっとよい、よりよい政策が生まれ、誰にとっても移動しやすい、暮らしやすいまちになることになると思いますので、そのことを願い、また取組に期待をして、質問を終わります。

○松田委員 令和五年度都市整備局関係の関連予算についてご質問させていただければと思います。
 まず最初は、鉄道新交通システムの整備についてお伺いいたします。
 国の審議会の答申において、事業化に向けて検討などを進めるべきとされていました大田区蒲田を通ります新空港線につきましては、昨年六月に構想から約三十年が経過をして、ようやく都区の財政負担の合意が行われました。
 事業化に向けて進むこととなりましたが、地元大田区では、念願の事業化ということで、期待の声が大半でありますが、路線をつくればまちが潤い、そして都市が発展をするという時代も終わっているというのも現実だと思っています。
 地元大田区、そして東京都として、今後どのようにこの新空港線を活用していくのか、今後、問われていくのかなと感じております。新空港線は、都心の中でも国際競争力の強化のプロジェクトに位置づけられており、大田区はもとより、東京都としても、予算を投下するからには、いかに新空港線建設を国際競争力の強化につなげていくか考えていかなければいけません。
 まずは東京都として、新空港線を整備することで生まれる広域的なメリットを都としてどのように考えているのかお伺いいたします。

○朝山都市基盤部長 新空港線は、国の答申におきまして、東急東横線、東京メトロ副都心線、東武東上線、西武池袋線との相互直通運転を通じて、国際競争力強化の拠点でございます新宿、渋谷、池袋等や東京都北西部、埼玉県南西部と羽田空港とのアクセス利便性が向上するとの効果が示されております。
 都といたしましても、答申に示された効果について、同様の認識でございます。

○松田委員 都区の費用負担割合については、都が三割、区が七割となった根拠につきましては、大田区のホームページ等では、新空港線の利用者のうち、区は空港アクセスを除く大田区発着に関する旅客分を、都は空港アクセスに関する旅客等その他の旅客分をそれぞれ負担することとしたためと記載があります。性質的には、都区負担を見る限りにおいても、基礎自治体の恩恵が高い事業ともいえますが、ぜひ広域自治体として、東京都として、今後どのように関わっていくのか、そして、費用負担してよかったといえるような事業をしていくよう、サポートいただければと思います。
 新空港線について、大田区が主体的に実施をしていくとしておりますが、東京都として今後どのようにサポートを想定しているのかお伺いいたします。

○朝山都市基盤部長 昨年十月、本路線の整備主体となる第三セクターが大田区と鉄道事業者により設立され、都市鉄道利便増進事業の採択に向けた調整など、事業化に向けた取組が進められております。
 都といたしましては、技術的観点から適宜助言を行うなど、引き続き、事業化に向けた関係者による協議、調整を支援してまいります。

○松田委員 ありがとうございます。
 私も大田区選出の東京都議会議員の一人として、ぜひ引き続き、都市整備局の皆様にはサポートをいただければと思います。
 次に、羽田空港の機能強化と国際化の推進についてお伺いいたします。
 羽田空港のさらなる機能強化と国際化は、国際都市東京を目指す上で、羽田空港の増便は必要不可欠なことだと思っていました。現状としては、羽田空港、成田空港に分散をしていることが、空港としてアジアの中で残念ながら空港競争の中で負けている一つの理由だとも思っています。もちろん、どちらかに統一するということは現実的ではなく、うまくすみ分けていかなければいけません。
 かくいう大阪も関空、伊丹、経営は統合されましたが、同じ行政体の中で、二つ空港を持っているゆえのジレンマがあるとも聞いています。
 コロナ禍で大きく減退いたしました航空需要もようやく少しずつではありますが、戻ってはきております。国は、二〇二〇年三月から新飛行ルートの運用を開始し、羽田空港において国際線を年間約三・九万回増便をいたしました。新飛行ルートの運用が開始をされ、三年近くが経過をいたしました。新飛行ルートの意義や騒音問題、そして安全性については、周辺自治体で議論があるのは確かです。
 大田区では過去から、羽田空港の到着であったり、発着の飛行機が通っていることもあり、そこまで議論にはなっていませんが、新たに通過をするようになった周辺自治体では、例えば、大田区のお隣の品川区でも、昨年、区長選挙の一つのテーマとなりました。
 東京都として、新飛行ルートの運用について、どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。

○土橋航空政策担当部長物流担当部長外かく環状道路担当部長兼務 将来にわたり東京が国際競争力を持ちながら持続的な発展を続けていくためには、国内外に豊富なネットワークを有する羽田空港の機能強化を図ることが不可欠でございます。
 羽田新飛行経路につきましては、都民の皆様から騒音や落下物に対する不安など、様々なご意見があることは承知しております。これまで都は、国に対し、丁寧な情報提供や騒音影響の軽減、安全管理の徹底を求めるとともに、羽田空港の機能強化に関する連絡会を設けまして、新飛行経路の運用に関して、関係区と情報共有や意見交換を行ってまいりました。
 都は、都民のご理解がさらに深まるよう、引き続き、国に対して丁寧な情報提供や様々な対策の実施を求めてまいります。

○松田委員 ありがとうございます。
 新飛行ルートについては、周辺自治体で新たな運用というところで、様々議論があるのは確かだと思います。引き続き、都民に対して丁寧な説明を求めるとともに、騒音の影響の軽減や安全徹底を国に要望をお願いできればと思います。
 東京都としても、今後、成田空港と羽田空港、どのように共存していくかは、これから先も東京都としての一つの論点になってくるかとも思います。東京都として、羽田空港へのアクセスの利便性の議論はよくしておりますが、本来、本当であれば、羽田と成田が共存していく上で、しっかりと羽田と成田の相互アクセスについても、今後議論していかなければいけないかなと思っております。
 引き続き、東京都として戦略的な航空政策を持ち、進んでいっていただければとお願いを申し上げまして、私の質疑を終わります。ありがとうございました。

○藤井委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩をいたします。
   午後二時五十三分休憩

   午後三時十五分開議

○藤井委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 ご発言を願います。

○吉住委員 初めに、新宿駅直近地区、西新宿地区のまちづくりについて伺います。
 新宿グランドターミナルへの再編に向けては、これから長期間にわたって工事が進められることから、駅の機能や利用者、周辺商業への影響をできるだけ小さくする必要があります。このため、工事の進捗や工事に伴う影響が少なくなるように、関係者間でしっかりと調整し、着実に事業を進めることが重要です。
 そこでまず、新宿駅直近地区などにおける整備について、現在の状況と今後の取組を伺います。

○三宮市街地整備部長 新宿駅直近地区では、昨年度末から、都施行の土地区画整理事業により、西口広場内について、道路切替え工事や地下駐車場の出入口スロープ整備工事などを行っており、来年度は、引き続き工事用仮設道路などの整備を行うこととしております。
 民間開発事業のうち、新宿駅西口地区においては、現在、小田急百貨店本館のビル解体工事が行われており、来年度は本体工事に着手となります。新宿駅西南口地区では、甲州街道南側に位置する街区の解体工事に着手すると聞いております。
 こうした工事を安全かつ円滑に推進するため、都が民間開発事業者などと共に設置した工事連絡会議の中で、工事間の情報共有を図りながら、安全な歩行者動線を確保するなど、安全対策を徹底し、着実に事業を進めてまいります。

○吉住委員 新宿駅直近地区の工事が進む中で、閉館した小田急百貨店を見ると各シャッターが下ろされた状態となっており、地域の人々からは、まちが暗くなったとの声が私のところにも届いています。これに対して、都はいち早く、工事用の仮囲いなどを活用したライトアップなどの対応を行ったことは、地元の都議会議員としてもありがたいと感じています。今後とも、こうした取組を続け、工事期間中も新宿にふさわしいまち並みが維持できるよう配慮して、工事を進めていただくよう要望します。
 また、新宿駅周辺が、駅、駅前、駅ビルなどが一体化した次世代のターミナルとして再編を進め、周辺まちづくりとの連携を図りながら、新宿全体を一層魅力的なものとすることも必要です。その中で、都庁がある西新宿地区においても、都民に親しまれ、人が憩えるようなしつらえにすることが重要です。
 現在、都は、西新宿地区の再整備方針の策定に向けて取り組んでいますが、新しい西新宿の実現に向けてどのような方針を柱に据えて、まちづくりを進めていくのか伺います。

○澤井まちづくり調整担当部長 西新宿地区では、新宿グランドターミナルと連動して、多様な人々が交流し憩える、人中心のまちへの再編などを目指して、再整備方針の策定を進めており、昨年十二月に素案を公表し、都民からの意見を募集したところでございます。
 再整備方針の素案では、東京の新しいライフスタイルを創造、実現するまちを将来像として掲げ、都庁周辺などにおける多様な機能の交流、融合の促進や、ウオーカブルな都市空間の構築など、再整備に向けた五つの方針を示してございます。今月中に再整備方針を策定しまして、将来像の実現に向けた取組を進めてまいります。

○吉住委員 西新宿地区では、人が歩きたくなる、にぎわいある道路空間づくりをまず進めていくことが重要と考えます。現在、新宿中央公園と新宿駅をつなぐ四号街路は、超高層ビル群への通勤通学のために使うだけの味気ない道路となっていることに加え、沿道街区との空間的な連続性が十分でないことなどから、にぎわいが感じられにくく、周辺の街区などとの歩行者の回遊性が乏しい状況にあります。
 そこで、再整備方針を踏まえて、四号街路をどのような空間に再編しようとしているのか伺います。

○朝山都市基盤部長 再整備方針の素案において、四号街路は象徴的なパブリック空間として、沿道街区と一体的に西新宿グランドモールを形成し、誰もが安心して楽しく歩ける歩行空間に再編することとしております。
 具体的には、車道と歩道を再配分し、一般部は公開空地や建物低層部等と一体となったウオーカブルな都市環境の形成を図り、トンネル部は開放的な歩行空間に再編し、その沿道街区において、地上とのつながりが感じられる空間形成を図ります。また、横断歩道の新設を検討するなど、歩行者の回遊性を高める取組を進めることとしております。

○吉住委員 四号街路が新宿中央公園に接続する交差点は、現在平面で通行できる横断歩道がなく、歩道デッキを渡って移動するしかありません。かねてから私は、この交差点の平面横断の必要性を訴えてきました。再整備方針の大きな目標は、ウオーカブルな都市空間の構築、人中心のまちづくりであると理解しています。四号街路の再編に当たっては、この交差点を平面で渡ることができるようにしていただき、四号街路と都庁、公園を一体的に活用されるまちづくりを進めていただきますよう要望して、次の質問に移ります。
 次に、飯田橋駅周辺基盤整備事業について伺います。先ほど、他の会派の方からも質問ありましたが、違った視点で質問させていただきたいと思います。
 飯田橋駅東口のエリアは、千代田区、新宿区、文京区の三つの区にまたがっておりますが、新宿区側から見ますと、JR駅とは幹線道路で分断されており、文京区エリアとは河川で分断されています。
 このため、まちを行き交う人の多くが三区にまたがる飯田橋交差点の上空に架けられた横断歩道橋を利用していますが、幅員が狭く、朝夕は混雑しており、老朽化も進んでいると聞いています。
 こうした飯田橋駅周辺の都市基盤が抱える課題については、それぞれの区でばらばらに検討するのではなく、都がリーダーシップを発揮して、駅周辺エリア全体を対象に検討を進めるべきと考えます。
 来年度の予算案に、都は飯田橋駅周辺の基盤整備に関する費用を計上していますが、その目的について伺います。

○朝山都市基盤部長 都はこれまで、飯田橋駅周辺の様々な課題に対し、関係する三区と共に検討を進めてまいりましたが、現在、その検討結果を取りまとめた飯田橋駅周辺基盤整備方針の策定手続を進めております。
 来年度は、この基盤整備方針を基に、駅前広場、歩行者デッキなどの都市基盤の整備計画を作成するなど、整備内容を具体化していくための予算を計上しているところでございます。

○吉住委員 新宿区側でも、下宮比地区で再開発準備組合が設立されるなど、まちづくりの機運が高まっています。歩道橋の架け替えや歩道橋に上がる縦方向の動線強化などの計画が早く具体化されるよう期待しています。
 都は今後、飯田橋駅周辺の基盤整備の実現に向けてどう取り組んでいくのか伺います。

○朝山都市基盤部長 都はこれまでも、民間再開発の動向を注視しながら、それと連携した基盤整備の在り方を検討してまいりました。
 来年度は、新たな会議体を設置し、基盤整備方針の具体化と整備に向けた仕組みを構築するなど、検討を加速してまいります。

○吉住委員 新宿区側は、横断歩道橋のある飯田橋交差点付近の標高が一番低く、北に向かって上っていく地形となっています。まちづくりと連携することで、架け替えが横断歩道橋の道路の上空部分の高さで、高低差のある地形をフラットにつなぎ、文京区側にもスムーズにつながる広域的な歩行者ネットワークが形成できると考えます。引き続き、都は全体の推進役となって、飯田橋駅周辺の基盤整備の早期実現に積極的に取り組むよう要望して、次の質問に移ります。
 次に、駐車場附置義務について伺います。
 東京都では、我が党の主張を踏まえ、平成十四年に地域ルール制度を設け、駐車場の附置義務の緩和を行ってきたところですが、その後の交通量や交通手段の変化、荷さばき場の不足など、近年の地域課題を踏まえ、昨年三月に駐車場条例を改正し、都内のほぼ全域において、駐車場附置に係る地域ルール制度の適用を可能としました。
 今後、より多くの地区で地域ルールが策定されるよう、区市とも連携して取組を進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。

○飯泉市街地建築部長 昨今、一部の鉄道駅周辺の駐車施設においては、需要を超えた供給が見られることなどから、都は、昨年三月に駐車場条例を改正し、区市が策定する駐車場整備計画に定められた地区に加え、鉄道駅周辺などにも地域ルール制度を適用できるようにいたしました。
 昨年六月には、区市に技術的支援等を行う促進事業を創設し、現在、目黒区の自由が丘駅周辺と世田谷区の下北沢駅周辺の二地区で事業が進められております。また、地域ルールを策定するための手引を作成し、都内の各自治体に周知しており、より多くの地区において地域ルールが策定されるよう、引き続き区市への働きかけや支援を実施してまいります。

○吉住委員 地域ルールの取組については分かりました。
 次に、条例で全般的に規定している駐車場の附置台数について伺いますが、都市部での生活実態を見ると、公共交通の発達などから若年層の車離れや高齢者が車を手放すなど、車を持たない世帯が増加しています。こうした社会状況の変化を捉え、建物の駐車場の利用実態を把握し、駐車場の附置義務基準を見直すべきと考えますが、都の見解を伺います。

○飯泉市街地建築部長 都は、昭和三十三年の駐車場条例制定以降、社会経済情勢の変化を捉え、附置義務駐車場の利用実態と路上駐車の状況について調査を行い、駐車需要の変動に応じた附置義務基準の見直しを適宜行ってまいりました。
 昨今、カーシェアリング市場が拡大していることや、駐車施設が十分利用されていないとの相談を多く受けている一方で、宅配需要は増大していることから、附置義務基準について検証する必要がございます。
 このため、来年度、条例で義務づけている建物用途を対象に、駐車場の利用実態調査を行い、有識者や関係団体の意見も聞きながら、駐車場の附置義務基準の見直しを視野に入れ、検討を行ってまいります。

○吉住委員 しっかりと取り組んでいただければと思います。
 次に、人々が憩う外堀の水辺再生事業について伺います。
 外堀は、都心に位置する重要な歴史的財産ですが、毎年夏場にアオコが発生しており、魅力を十分に生かせていない状況にあります。
 こうした中、都は、長期的には本来の玉川上水の姿をよみがえらせる可能性を展望し、当面は外堀への必要な導水量を確保し、人々が憩う外堀の水辺を再生するため、導水に向け、必要となる施設の基本設計に今年度から着手しました。
 外堀が都心で働く人々に身近な憩いの場を提供するとともに、魅力あるまちづくりへとつなげていくためには、地元の理解と協力を得ながら、水辺再生事業を着実に進めていくべきと考えますが、そこで、外堀の水辺再生事業について、今後の取組について伺います。

○澤井まちづくり調整担当部長 都は、外堀の浄化に向けまして、下水の再生水と荒川の河川水を玉川上水路を経由して導水する概略ルートなどを定めた基本計画を昨年五月に公表し、この計画を踏まえ、二〇三〇年代半ばの整備完了を目指し、今年度より施設の基本設計を行うなど、具体的な取組に着手してございます。
 来年度は、引き続き導水に必要な施設の基本設計や玉川上水の構造物健全度調査を行うとともに、デジタルを活用した情報発信を実施いたします。加えまして、地元区と連携しながら、導水に向けて必要な調査や、地元の小学生を対象とした子供向け勉強会を実施いたします。
 今後もこのような取組を通しまして、地元区とも連携を図りながら、人々が憩い、地域に親しまれるよう、外堀の水辺再生を着実に進めてまいります。

○吉住委員 地元区とも連携を図りながらというご答弁をいただきました。しっかりと取り組んでいただきますよう要望いたしまして、私の質問を終わります。

○森口委員 まずは、先端技術を活用したまちづくりの検討について伺います。
 将来にわたり私たちの暮らしを大きく発展させるものが、AIやIoTなど最先端デジタルテクノロジーの活用であります。都は、将来の東京の全ての人と物がデジタルテクノロジーでつながり、世界で最も便利で生活満足度の高い都市へと進化をするべく、スマート東京実施戦略を策定しています。
 令和五年度、スマート東京の実現に向けて、一千百二十六億円の予算が計上されており、都市整備局におきましては、先端技術を活用したまちづくりの検討として、都市の3Dデジタルマップ化に向けた基礎調査が予定をされております。
 都市の3Dデジタルマップ化は、令和二年度からデジタルツインの取組の一つとして取り組まれてきましたが、これまでの実績と成果及び来年度の整備予定について伺います。

○澤井まちづくり調整担当部長 令和二年度に学識経験者などから成る都市の3Dデジタルマップの実装に向けた産官学ワーキンググループを設置して、今後、都が整備していくべき3Dデジタルマップの仕様などについて取りまとめを行いました。
 これに基づき、令和三年度、西新宿など四地区をモデルエリアとして、3Dデジタルマップの先行整備を行うとともに、これらにより得られた知見や課題なども踏まえ、ワーキンググループにおいて、想定されるユースケースなどを視野に入れて、仕様などのバージョンアップを行っております。
 今年度に引き続き、令和五年度は、区部で点群データを取得するとともに、区部及び多摩部を対象に3Dデジタルマップを構築するなど、エリアを拡大してまいります。
 なお、これまでに整備した3Dデジタルマップについては、デジタルサービス局が開設した東京都デジタルツイン3Dビューアにおいて公開しております。

○森口委員 3Dデジタルマップは、地図の進化により、都市の調査や分析、政策検討ツールとしての活用はもとより、人工知能、IoT、自動運転、環境技術など、技術革新や各種ビッグデータとの連携により、移動や物流の円滑化、防災対策、まちづくりの推進、ウエルネスやエネルギーなど、多様な分野で誰もが快適な生活を送ることのできる、都民のQOLを高める新たなツールとなることが期待をされています。
 そこで、スマート東京実施戦略の先行実施エリアとして位置づけられている西新宿エリアにおいて、デジタルツインの社会実装へ向けてどのようなユースケースを想定し、3Dデジタルマップの仕様を検討されたのか伺います。

○澤井まちづくり調整担当部長 昨年一月のワーキンググループにおいて、西新宿エリアでは、多くのオフィスが立地し、地上、地下の空間が利用されていることなど、地域特性を踏まえ、災害発生時における地上、地下空間の混雑状況の可視化や避難のシミュレーション、またウオーカブルなまちづくりなどの検討に寄与するまちの将来像の可視化といったユースケースを想定しました。
 こうしたユースケースに対応できるよう、新宿駅西口駅前広場と新宿中央公園をつなぐ四号街路において、道路の照明施設や歩道の段差などの可視化に向けてデータの精緻化を図るなど、3Dデジタルマップの仕様のバージョンアップを行っております。

○森口委員 西新宿エリアは、今月中に再整備方針が策定をされ、道路、公園、街区が一体となった誰もが安心して楽しく歩ける歩行空間を形成するなど、新たな都市空間の利活用や将来像の検討が進められており、都市計画や防災対策において、3Dデジタルマップが活用されていることが分かりました。都民生活の質の向上につながるよう、3Dデジタルマップの早期構築を求め、次の質問に移ります。
 新宿は、新宿グランドターミナルの再編を契機に、西新宿地区など駅周辺一帯が、二〇四〇年代に向けて再開発がされていくことになります。車から人中心へのまちづくりが進み、世界中から人材、資本、情報が集まる国際交流拠点として再整備が進みます。
 そこで、新宿駅直近地区の再編について、民間開発や周辺まちづくりの状況も含め、今年度及び来年度の取組について伺います。

○三宮市街地整備部長 新宿駅直近地区では、今年度、都施行の土地区画整理事業により、西口広場内について、道路切替え工事や地下駐車場の出入口スロープ整備工事などを行っており、民間開発事業では、新宿駅西口地区において、小田急百貨店本館のビル解体工事が行われております。
 来年度は、引き続き、西口広場内の工事用仮設道路などの整備を行います。民間開発事業においては、新宿駅西口地区では、本体工事に着手し、新宿駅西南口地区では、甲州街道南側に位置する街区の解体工事に着手すると聞いております。
 また、超高層ビル群や新宿中央公園なども含む西新宿地区では、今月中に再整備方針を策定し、来年度よりこの方針に基づき、多様な人々の交流促進や、人が憩い、楽しく歩ける都市空間への再編を目指して、人中心のまちづくりの実現に向けた取組を進めてまいります。

○森口委員 西の新宿中央公園から東の新宿御苑まで、駅周辺一帯がにぎわいと緑あふれる人中心の新たなまちづくりが進むよう、都としても再編を推進していただきたいと要望いたします。
 次に、鉄道駅のバリアフリーについて伺います。
 これまで鉄道駅ホームドア整備に当たっては、利用者数だけではなく、駅ごとに異なる課題を精査し優先整備を行う必要性や、またエレベーターの整備についても、高齢者、障害者、ベビーカーなど、多様な利用者の視点に立った複数ルートの整備の必要性を求めてまいりました。
 こうした要望に応え、都は令和元年に、鉄道駅バリアフリーに関する優先整備の考え方をまとめ、鉄道事業者に整備計画の作成を求めるとともに、補助制度を充実し、整備を促進してきたことと思います。
 バリアフリー化に当たっては、障害のある方、高齢者、子育てのベビーカー、旅行者のキャリー等、利用者がより利用しやすい環境をつくるとともに、今般のデジタル化の進展に合わせて、スマートフォンのアプリやスマート白杖など、様々なデバイスとの連携を加速することで、利便性や安全性の向上を効果的に実現すべきと考えますが、見解を伺います。

○江端地域公共交通担当部長 駅利用者の安全性や利便性の向上を図るには、先進技術を活用した取組も有効でございます。都は今年度、スマホアプリを活用した案内誘導などの技術につきまして、駅で利用者の安全性や利便性などを検証する社会実験を行いました。
 令和五年度は、この結果も踏まえまして、ホームドアが整備されるまでの間の安全対策など、各事業者による先進技術の実装に向けた取組や駅ごとにバリアフリールートなどの状況を調査いたします。
 都は、こうした調査結果などを鉄道事業者と共有いたしまして、事業者の積極的な取組を促すことで、誰もが使いやすい駅づくりを推進してまいります。

○森口委員 様々な利用者にとって安全でより利便性が高まるよう、デジタル化の取組を推進していただきたいと思います。また、今週三月十八日から、JR東日本や東京メトロなど鉄道各社は、さらなるバリアフリーの整備促進に向け、国の制度を活用し、利用者から駅のバリアフリー整備に充てる十円程度の運賃負担の上乗せを開始することになります。
 都はこの機を捉え、ホームドア整備においては、二〇二五年度に地下鉄駅で一〇〇%、二〇三〇年度にJR、私鉄駅で約六割といった整備目標の達成に向けて、鉄道事業者の整備を加速させ、早期に駅ホームの安全確保に努めるべきと考えますが、これまでの整備実績と今後の都の取組を伺います。

○江端地域公共交通担当部長 ホームドアの整備促進には、鉄道事業者の積極的な取組が不可欠でございます。令和五年一月末時点の整備実績でございますけれども、JR、私鉄では百六十九駅、整備率は三五%、地下鉄駅では二百二駅、整備率が約八八%となってございます。
 国は、都市部では利用者の負担も得まして、駅のバリアフリー化を加速するため、令和三年に新たな料金制度を創設しておりまして、都内ではJR東日本など五つの事業者がこの制度の活用を公表してございます。
 都はこの機も捉えまして、さらなる整備の加速を図るために補助制度を継続するとともに、鉄道事業者に整備計画の充実、前倒しを求めるなど、ホームドアの早期整備を働きかけてまいります。

○森口委員 利用者の新たな負担が適切にバリアフリー整備に充てられ、整備計画が加速され、早期に駅ホームの安全確保が実現するよう、都として働きかけていただきたいと思います。
 最後に、耐震改修促進計画の改定について伺います。
 巨大地震の発生が年々懸念される中、発災直後から避難や救急、消火活動、緊急物資の輸送などを円滑に行うため、緊急車両の通行確保が必要不可欠であります。都はこれまでも、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震改修に関わる補助要件を緩和し補助内容を拡充するなど、取組を進めてきました。
 一方、緊急輸送道路の通行機能確保に向けては、耐震化が義務づけられている特定緊急輸送道路にかかわらず、都県境や広域防災拠点から都内各地に開設される避難所など、地域の防災拠点へ緊急物資や緊急車両の通行が滞ることのないよう、一連の道路閉塞を防ぐことが重要であります。
 そこで、いまだ一割程度しか耐震診断が進んでいない一般沿道建築物についても、診断を着実に進めるとともに、緊急輸送道路全体の通行機能確保を早期に実現すべきと考えますが、今回改定する耐震改修促進計画に基づきどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。

○青木耐震化推進担当部長 一般緊急輸送道路沿道建築物については、助成制度を有していない自治体もあり、制度を有していても、都が設定している助成率や上限額よりも低い場合があります。
 このため、昨年から区市町村に制度の創設や見直しを働きかけてきており、所有者が都の助成制度を最大限活用できるよう、連絡協議会や個別の意見交換などを通じて、さらなる取組を促してまいります。
 また、来年度から、建物の管理会社などの民間事業者を新たにアドバイザーとして承認し、例えば、区分所有建物における合意形成等の課題解決をサポートしてもらうなどの取組を進めてまいります。
 こうしたことを今回改定する耐震改修促進計画に位置づけ、緊急輸送道路全体のネットワークの形成に向けて取り組んでまいります。

○森口委員 今回の改定で、一般緊急輸送道路についても、新たに総合到達率の政策目標を定める方針を示すとともに、東京全体の防災力をレベルアップするためには、特定緊急輸送道路沿道の取組に加え、一般緊急輸送道路沿道建築物の耐震化の取組を強化する必要があると明確に今回の計画に位置づけられたことを評価いたします。
 引き続き、緊急輸送道路全体の通行機能確保に向けて、取組を加速させていただきたいと要望し、質問を終わります。

○谷村委員 初めに、多摩都市モノレールの延伸に関連して質問します。
 まず、二月十四日に本委員会で行われた請願審査に関連して申し上げます。都議会公明党の小磯善彦議員が紹介議員となり、町田商工会議所の澤井宏行会頭をはじめ、三万二千六百九十二名の方々から提出された多摩都市モノレールの町田方面への延伸に関する請願について、共産党だけが採択に反対しました。
 その際にも申し上げましたが、そもそも共産党は、かつて多摩都市モノレール株式会社が資金ショート寸前の危機に立たされたとき、都が追加出資することにも大反対をしていますので、多摩都市モノレールの箱根ケ崎への延伸についても、恐らく本音では反対をされているのではないかと推察いたしますと申し上げました。尾崎委員は恐ろしい形相で否定をされておりましたが、その後に請願審査の質疑に立った原田……(発言する者あり)うるさいな。いいか、ばらすよ、原田さん。
   〔発言する者あり〕

○藤井委員長 ご静粛にお願いいたします。

○谷村委員 質問と答弁を一〇〇%調整して質問をしている原田あきらさん、ばらしますよ。その後に請願審査の質疑に立った原田あきら委員の町田方面への延伸の請願に反対する理由なるものを聞いて、やはり共産党は多摩都市モノレールの延伸に、いや、多摩都市モノレールの整備それ自体に反対しているのだということを理解しました。
 原田委員が町田方面への延伸に対する請願に反対した理由として挙げたのは、まず、立ち退き地権者が三百八十名にも上る、この三百八十名というのは何を根拠にされているのか不明ですけれども、そして二つ目には、残された人々も、太く高い高架による景観破壊や圧迫感、日照時間減少、これはモノレールのレールや橋脚、他の鉄軌道と比べて、モノレールはその影響は比較的に少ないわけですけれども、こうした、随分と聞こえはいいですが、反対理由として述べられました。
 これらは、都の事業、都市整備局さんや建設局さんの事業では、必ず直面する課題であります。こうした事業にそもそも共産党は必ず反対をしています。しかし、多摩都市モノレールの箱根ケ崎への延伸とか、東村山駅周辺の連続立体交差事業だけは、不思議にも賛成をしています。表立った反対者が少ないと判断されているのかもしれません。
 共産党はこれまでも、都市計画道路や高速道路、鉄軌道の建設時には反対していますが、開通式などには出席して、完成したら平然として利用している。東村山駅の東口から東に延びるさくら通りの先の都市計画道路が開通したときにも、それまでさんざん反対していた共産党市議が開通式に出席をしていて、当時の市議会の議長さんがとても驚いておられたことが忘れられません。
 さらに、原田委員は、多摩都市モノレール株式会社について、驚くべきことに、まあ共産党はいつも驚くことが多いんですけれども、驚くべきことに直近の事業報告でかなり厳しい経営状況を見込んでいると発言しています。このモノレール株式会社が事業報告でかなり厳しい経営状況を見込んでいると発言して、それを反対の理由の一つとしています。
 それならば、なぜ箱根ケ崎への延伸には賛成するのでしょうか。これはまやかしだとかご都合主義というしかありません。原田委員は現在開業している(発言する者あり)株式会社の話ね。

○藤井委員長 静粛に。双方共に静粛によろしくお願いします。

○谷村委員 原田委員、いつもあなたの質問は、答弁者と一〇〇%、質問と答弁を調整してやっているということを私、いつも隣で見ているから分かっています。ばらしますよ、それ以上続けるんであれば。尾崎あや子議員もそうです。
 原田委員は、現在開業している立川北から上北台までの区間、あるいは多摩センターから立川北までの区間の認可から開業までの期間を確認して、原田委員はこう述べています。認可から開業までそれぞれ八年間、九年間、ただし、都市計画原案の説明会というところから始めれば、さらに数年延びて十一年、十三年と、やっぱり十数年の歳月がかかることになると批判しています。
 前定例会で小池都知事が箱根ケ崎への延伸の開業見込みを二〇三〇年代半ばと表明しております。残念ながら、箱根ケ崎への延伸の開業時期はまだ先であります。原田委員がいうとおり、こちらでさえも十年ちょっとはかかる見積りになっています。この箱根ケ崎への延伸になぜ共産党は反対しないのか。
 さらに原田委員は、町田方面への延伸に反対する理由として、早急かつモノレールよりも格安で提供することのできるバス交通網の整備をしろ、コミュニティバスの運行に都が支援しろと発言しています。こうした発言をしながら、なぜ箱根ケ崎への延伸には反対しないのでしょうか。
 先月十三日に開業以来--町田も三万人の署名ですからね、先月十三日に開業以来、多摩都市モノレールの利用者が累計十億人に達したという発表がありました。原田委員が反対意見を述べた前日の話です。延伸を求めておられる大変多くの多摩都民の皆様は、みんなでモノレールを利用しよう、そしてモノレールを応援しようということで取り組んでこられております。
 町田方面への延伸には反対で、箱根ケ崎への延伸にはなぜ賛成なのか、共産党の見解を明確にしていただきたいということを申し上げておきます。
 さて、多摩都市モノレールの箱根ケ崎への延伸部沿線のまちづくりについてであります。(発言する者あり)ようやくあなた静かになったと思ってね、ようやくあなたの質問が短くなったと思ったら、やじの方がうるさいんだね、全部、あなたのやじ聞かれますよ。(「質問じゃなかったんですか」と呼ぶ者あり)

○藤井委員長 ご静粛に願います。

○谷村委員 質問ですよ。そんなにばらされたのが困るんですか。あなたは答弁持って質問しているんです。そのばれたのがそんなにつらいんですか。
 さて、多摩モノレールの箱根ケ崎への延伸部沿線のまちづくりについてであります。
 都市計画素案の説明会が昨年開かれて以降、現在、都市計画の手続が進められており、沿線のまちづくりが並行して行われていくことが重要であります。これから開業までの延伸部沿線の二市一町のまちづくりを東京都が引き続き支援していただきたい、この地元二市一町に任せるのではなく、東京都としても支援をしていただきたいと思いますが、都の見解を求めます。
   〔発言する者あり〕

○藤井委員長 ご静粛にお願いいたします。どうぞ、答弁願います。

○澤井まちづくり調整担当部長 沿線の二市一町においては、モノレールの延伸後を見据え、地域のポテンシャルを最大限に発揮するためのまちづくりの方向性を示すモノレール沿線まちづくり構想を平成三十年に策定しており、都はこれまでも、構想の具体化に向けて技術的に支援をしてまいりました。
 今後、多摩都市モノレール延伸部の開業を見据え、延伸部地域において、各駅の地区ごとの特徴を生かすとともに、地域が魅力ある一体的なまちとなるよう、今後策定する多摩のまちづくり戦略も踏まえ、二市一町と共に新たな暮らし方や働き方のモデルとなるまちづくりに向けた取組を進めてまいります。

○谷村委員 先ほどの原田委員の反対理由の中に、この開発で、町田市民が大変な負担になるという発言もありました。反対意見もありました。理由として述べていました。
 今ご答弁いただきましたけれども、この東京都の事業としてのモノレールの箱根ケ崎への延伸だけでなく、これからできる七つの駅の地区ごとの特徴を生かして、地域が魅力あふれる一体的なまちづくりに取り組んでいただく、大変すばらしいご答弁をいただいております。
 そして、さらにもう一つ、今後策定される多摩のまちづくり戦略も踏まえた新たな暮らし方や働き方のモデルとなるまちづくりに取り組んでいただく、新たな暮らし方、あるいは働き方のモデルになるようなこの二市一町の沿線まちづくりを一緒に地元と取り組んでいただく、本当にすばらしいご答弁を今していただいたと思っております。
 東京都がモノレールの延伸によって、交通機関の整備にとどまらず、まさにまちづくりの整備、都市整備の光というものをこの武蔵村山市、東大和市、瑞穂町の二市一町に対して当てていただけるという、こうした二点を取り組んでいただくことは本当にありがたいことだと思います。ぜひともよろしくお願いいたします。
 さて、次に、都市計画の区域に関連して質問をさせていただきます。
 地方分権一括法の施行により、平成二十四年に用途地域に関する都市計画決定の権限が市町村に移譲され十年以上が経過しますが、権限移譲されたからといって、市町村におけるまちづくりが大きく進んだとはいえないように思います。
 そこでまず、市町村が用途地域などの都市計画を決定する際の都の関与についてお伺いをいたします。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 都市計画法では、市町村は都が広域的な観点から策定する都市計画区域マスタープランに即し、当該市町村の都市計画に関する基本的な方針を都市計画マスタープランとして定め、これに基づき用途地域などの個別の都市計画を定めることとなっております。
 また、市町村が用途地域などを決定、変更する場合は、都市計画法に基づき都と協議を行うこととなっており、都は、広域的見地からの調整及び都が定める都市計画との適合を図る観点から協議を行っております。

○谷村委員 権限移譲後も、都と市の役割分担が微妙に関連しているということかと思います。いろいろな状況下で、市も苦労しながら、頑張ってまちづくりに取り組んでおられますが、さらに積極的に、権限移譲したわけですから、大胆にまちづくりに取り組んでいただきたいと思っております。
 私の地元の東大和市と武蔵村山市は、立川市と一緒に立川都市計画区域に位置づけられておりますが、これは八十年以上前に定められたものであり、どのような経緯でこの三市が一つの都市計画区域とされたのかお伺いをいたします。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 旧都市計画法では、市または主務大臣の指定する町村の区域を都市計画区域とすることとなっておりました。
 立川都市計画区域は、昭和十四年に立川町及び立川町と産業や鉄道、道路などで密接な関係にあった十町村を対象として当初決定されました。その後、昭島市、国分寺市、国立市などの市制施行等に伴い、立川都市計画区域から分離し、各市町ごとに都市計画区域が決定された結果、昭和四十二年に立川都市計画区域が現在の三市の区域となったものでございます。
 昭和四十三年に制定された新都市計画法では、都市計画区域は行政区域にとらわれず、土地利用の状況及び見通し、主要な交通施設の設置状況、社会的、経済的な区域の一体性等から総合的に判断し定めることとなりましたが、既に多摩地域全体にわたり、幹線道路に沿って市街地が連担し、市街地の形状からは都市計画区域の区分が困難なことなどから、新法施行後は、行政区域の変更等があった場合を除き、都市計画区域の見直しは行われておりません。

○谷村委員 まちの成り立ちから都市計画区域が決定されたと。もう八十年以上も前のお話ですけれども、今ご説明をいただきました。しかし、この都市計画区域を決定してから八十年となりますと、戦前も入るわけですけれど、社会状況等も変化をしております。
 東大和市のまちづくりなのに、関野さん、東大和市のまちづくりなのに、立川都市計画区域という呼び方で、東大和市都市計画審議会の委員の方から、まるで立川市の属国扱いだと、こういう意見をいただきました--元東大和の市議を務めておられましたのでね。東大和市のまちづくりを審議するのに、立川都市計画区域というふうな扱いで、いつも審議をしていると。
 先ほどのご説明ですと、東大和市と武蔵村山市が立川市から独立するのがちょっとだけ遅かったということになるのかもしれませんけれども、この立川都市計画区域という呼び方は、市民の方々にとっても大変に分かりづらいと思います。いまだに都市計画決定権限が東京都にあるままだと思っておられる方も多くいらっしゃいます。
 例えばこの都市計画区域というものを見直すことで、市がしっかりとまちづくりを考え、まちづくりに取り組む、そういう機会になるのではないでしょうか。また、市民の皆様にとっても分かりやすいまちづくりになるのではないかと思いますが、都の見解を求めます。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 地域に密着し、住民に近い立場にある市町村が主体となって、その創意工夫の下に、住民の意見を反映しながらまちづくりを進めていくことは重要でございます。現在、複数の市町で構成されている都市計画区域は六つございまして、十三市二町が対象となっております。
 今後、こうした市町と意見交換の場を設け、ご指摘も踏まえ、まずは都市計画区域を見直した場合における影響など、課題の把握に取り組んでまいります。

○谷村委員 ありがとうございます。
 前向きに受け止めていただきましたので、名は体を表すといいますので、この東大和市の都市計画審議会の委員の方のおっしゃるとおりだと思います。権限移譲されて十一年となりますが、各地区の状況も見合わせながら、市町村へのバックアップもよろしくお願いいたします。
 最後に、屋外広告物、とりわけ広告宣伝車について質問をします。
 昨年十一月の事務事業質疑でも質問させていただきましたが、この広告宣伝車の規制について、その後の検討、あるいは対応状況についてお尋ねをします。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 屋外広告物は、屋外広告物法に基づく各自治体の条例により規制されておりますが、その多くは、国の屋外広告物条例ガイドラインに準拠して制定されており、自動車の車体利用広告については、自動車の走行地ではなく、登録地の条例が適用されることになっております。
 しかし、多くの広告宣伝車は都県境を越えて行き来しており、都市の良好な景観形成や公衆に対する危害を防止するためには、一部の自治体だけでなく広域的に対策を講じる必要がございます。
 このため、局といたしましては、近隣県市との検討会の立ち上げに向け、九都県市首脳会議などでの議題提案を視野に検討を行っているところでございます。
 検討会では、各県市の規制の状況や走行実態等を共有するとともに、自治体間の統一的なルールの策定など、規制の在り方や有効な対策について検討したいと考えております。

○谷村委員 条例の目的は、良好なまち並みや景観の形成、風致の維持、公衆に対する危害の防止を図るということでありますが、新宿などの繁華街では、ホストクラブ等の広告を載せた巨大なトラックが、派手な色使いや過度な発光を伴って低速で周回走行しております。
 車を運転しているときなどは、派手な広告は非常に圧迫感を感じるときもありますし、その広告宣伝車が止まっていることによって、二重駐車、三重駐車になったり、あるいは二重停車、三重停車の原因にもなっております。景観や青少年の健全な育成上もよくない状況が依然として見受けられます。これで東京都における良好なまち並みや景観の形成が守られていると思われますでしょうか。
 都は、昨年の事務事業質疑を踏まえて、都内の繁華街を走行する広告宣伝車の実態について、どのように把握されたのかお伺いをいたします。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 都は、都内を走行する広告宣伝車について、本年二月に新宿と渋谷でそれぞれ六日間、走行状況の調査を実施いたしました。
 調査期間中に確認できた広告宣伝車は約七十台でございまして、全てが都外ナンバーであり、広告分類別では風俗営業関係が約七割を占めておりました。

○谷村委員 今日の質問に間に合わせていただけるように実態調査をしていただいたことを評価したいと思います。
 自動車の車体利用広告については、現状では自動車登録された都道府県等の屋外広告物条例に従うことになっておりますので、せっかく東京都で広告宣伝車を規制する条例があったとしても、都外ナンバーは対象外となっております。
 なぜこれを今日まで放置してきたのか、答弁は求めませんが、昨年の事務事業質疑で、近隣自治体と緊密に連携し、効果を出すための対策が必要ではないかと質問をいたしました。これに対して都は、国への提案要求や九都県市首脳会議などの場を使って、より有効な対策が講じられるよう積極的に対応するとの答弁でしたが、その状況について、もう一回改めて伺います。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 繰り返しの部分もございますが、多くの広告宣伝車につきましては都県境を越えて行き来しておりまして、都市の良好な景観形成や公衆に対する危害の防止を図るためには、一部の自治体だけでなく広域的な対策を講じる必要があると考えております。
 このため、局といたしましては、近隣県市との検討会の立ち上げに向け、九都県市首脳会議などでの議題提案を視野に検討を行っている、そういう状況でございます。
 検討会では、各県市の規制の状況や走行実態等を共有するとともに、自治体間の統一的なルール策定など、規制の在り方や有効な対策について検討したいと考えております。

○谷村委員 九都県市首脳会議などでの検討や、国へのガイドラインの見直し要望などを行うということでありました。
 そもそも他県ナンバーに都条例が適用されないというのは、東京都屋外広告物条例第十四条で、電車または自動車の外面を利用する広告物のうち、規則で定める基準に適合するものについては、禁止区域等に許可を受けずに表示できると。この基準は同条例施行規則第十三条に定められており、自動車の登録場所が他の道府県等で当該道府県等の広告物条例の規定に従って表示するものというふうになっております。でも、これは東京都の条例であり、施行規則でありますので、この条例を改正すれば対応できる話であると思います。
 先月行われました、先ほどご答弁いただきました都の実態調査の結果について、資料を拝見いたしました。新宿と渋谷で、広告宣伝車交通量調査ということで、先ほどもご答弁ありましたけれども、全て都外の車であることや都外ナンバーの車であること、そして、そのうち七割がホスト、キャバクラ、風俗系のものであり、地域別でいくと、横浜三十台、野田ナンバー十五台だけで、これでもう六割、六五・二%にいくと。
 もう少し詳細にいきますと、ホスト三九・一%、キャバクラ二〇・三%、他の風俗系が八・七%、合計して六八%がこの風俗系だという、こうした状況をなぜ放置をしてきたのか、放置をしているのか。東京都でこれを規制する条例をつくっておきながら、いや、それは他県なので取り締まれませんというのは、私は間違っているのではないかと思います。
 結果的に他県ナンバーの広告宣伝車が入ってきて、都議会の前も、大手を振って歩くとはいいませんけど、もう何回も往復している広告宣伝車、ホスト系のが多いと思います、都庁の第一本庁舎と第二本庁舎の前も走行しています。青少年の健全育成上、問題のある広告宣伝車が都内を自由に動き回っているわけでございまして、都条例が効果あるもの、実効性のあるものにしていく必要があると思います。
 都の規則で定められているのであれば、打合せでお伺いしたんですけど、国交省が屋外広告物条例ガイドラインというのをつくっていて、これがあるからなかなかというふうなお話もありましたけど、このガイドラインというのは、屋外広告物法は屋外広告物行政における規制の基準を定めた法律であり、実際の屋外広告物規制は、地方公共団体が屋外広告物法に基づく条例、規則等を定めて、独自に行っています。
 だから、東京都と神奈川と千葉と埼玉が異なっても、それは仕方ないということを前提で認めているわけですね。なおかつ、このガイドラインは、屋外広告物法に基づく制度の的確な運用を支援していく趣旨から、地方公共団体の参考に供するために、屋外広告物法の運用に関する技術的助言として地方公共団体に送付されているものですから、例示を出しているものにすぎないわけです。
 そこで、この例示を踏まえて、東京都で条例をつくっているわけですから、それによって、東京都で取り締まっている広告宣伝車が、他県のナンバーで入ってくるといえば、他県から入ってくる、その広告宣伝車を規制していけば済む話ではないのかということで、今日、質問に立たせていただいているわけでございます。
 屋外広告物条例ガイドラインについて、ガイドラインも含めてどうされるのか、答弁を求めたいと思います。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 お話のとおり、屋外広告物条例ガイドラインは技術的助言でございまして、都は、東京都屋外広告物条例施行規則を改正し、都内を走行する他県ナンバーの広告宣伝車に都条例を適用するということは可能であると考えております。
 都におきましては、屋外広告物条例に基づく許可の権限や違反広告物対策は、事務処理特例条例により各区に移譲しておりまして、区との連携や区における執行体制等の検討も必要になりますことなどから、先ほどご答弁申し上げました九都県市首脳会議などでの検討と並行いたしまして、規則改正に向けて区とも調整を始めてまいります。

○谷村委員 規則改正に向けて区とも調整をしていただく、そして九都県市首脳会議でもというこの二方向、都の条例、あるいは施行規則の変更と、それから周辺が同様な条例を持つことによって、他県から入ってこない--でも、お伺いしますと、福島とか大宮とか所沢、所沢は埼玉ですね、埼玉、千葉だけで終わらない、名古屋、松本、尾張小牧とありますので、やはり九都県市でやるのと同時に、東京都の施行規則も変更して、同時に対応していただければと思います。
 法律だとか条例だとかというのは、本来性善説でつくられているわけですので、こういうことがよもや起こらないだろうという前提での都条例の制定だったわけですけれども、しかし、入ってきているのはほとんど、ほとんどというか、六十九台、七十台、調査していただいた限り、全てが他県のナンバーのものでありますので、東京都では規制があるけど、じゃ、神奈川で車検登録しよう、埼玉で登録しよう、千葉で登録したら、その車は東京都に入れるんですよという、こういう脱法行為をすることによって、規制というのが厳しくなっていくというのを、ばか基準というそうであります。
 そういう最低のレベルの人間が出ても、失敗をしないように定める基準にしなければ、やりたい放題にされている、東京都の景観も壊されている、青少年健全育成にも影響を与えているというのが今の実態でありますので、この実態にぜひとも合わせていただくように、施行規則を変更していただきたいと思います。
 できましたら、福田局長の在任中に、答弁求めていません、ぜひとも解決をしていただきたい、あるいは解決に向けた道筋をつけていただきたいと強く要請をいたしまして、質問を終わらせていただきます。ぜひよろしくお願いします。

○尾崎委員 質問の前にですけれども、先ほどの谷村理事の発言に、一言意見を述べさせていただきたいと思います。
 都議会の常任委員会は、都の提案する予算案や事業について、そしてまた報告事項について、都民の立場から、どうよりよいものにしていくのか、都民が困っていることや反対している事案であるならば、その声を紹介し、質疑を行うのは当然のことだと思います。都民にとっていいものは、もっと前に進めるために質疑を行うのが、私は都議の役割だと自覚をして、この間取り組んできました。
 そして、会派を超えて、いいものは一緒に前に進めていく、これこそが求められている仕事だと思っています。そもそも、会派によって意見が違うことは当たり前のことです。それなのに、そのことを名指しして批判することは、到底認めることができません。意見の違いを認めて、他会派へのリスペクトがあってもいいのではないかと私は考えている、このことを述べて、質問に移りたいと思います。
 多摩地域を支える交通ネットワークに関する基礎調査について、まず伺います。
 これまでの多摩地域の交通ネットワークは、多摩地域から都心に向かって、通学、通勤に鉄道などを利用するということが最も重要視されてきました。私は多摩地域の交通ネットワークの課題と改善に向けて、この間、議会でも取り上げてきました。
 新年度予算案に新規事業として、多摩地域を支える交通ネットワークに関する基礎調査が盛り込まれましたけれども、この目的について伺います。

○朝山都市基盤部長 来年度の多摩地域の交通基盤についての基礎調査では、地域内や都市間の鉄道ネットワーク等交通基盤について現状を把握するとともに、その在り方を検討いたします。

○尾崎委員 二〇二三年度予算案に五千万円の基礎調査が盛り込まれたことは、大変重要だと思います。都バスについても、私の活動地域では梅70があるだけです。しかも本数については、この間減少しています。また、民間バスについても、この間、多摩都市モノレールの開通や利用者数の減少も理由にはなっていると思うんですけれども、本数が減少している地域もあります。
 このような状況の中、特に多摩地域では、コミュニティバスやデマンド交通はなくてはならない役割を果たしています。そこで、今回の基礎調査には、コミュニティバスとデマンド交通は入るのかどうか伺います。
   〔発言する者あり〕

○藤井委員長 ご静粛に、答弁中ですから。(発言する者あり)ご静粛にお願いいたします。答弁中ですから。

○朝山都市基盤部長 本調査は、鉄道ネットワークや道路ネットワークを対象としております。
 なお、コミュニティバスやデマンド交通といった地域の公共交通については、基本的に本調査の対象とはしていないものの、昨年度末に都が策定した地域公共交通の基本方針に基づき、現在、地域公共交通を主体的に担う市区町村への支援を行っております。

○尾崎委員 コミュニティバスやデマンド交通について、区市町村が主体的に取り組むものではありますけれども、住民の交通問題であり、都として調査することが求められていると考えます。
 日本共産党都議団は、昨年六月にコミュニティバスについて全都調査を行い、十一月二日に調査の結果をまとめて記者会見を行いました。調査の結果は、コミュニティバスは、二十四市町村が実施し、運行実態としてコミュニティバスを含むのが、あともう一つの村がありました。住民の足を支えるコミュニティバス事業は不採算となっていますが、自治体が頑張って運行していることが、この実態調査の結果からよく分かりました。
 二〇二三年度の町村会の予算要望には、コミュニティバスの運行は不採算事業であるが、住民の利便性の向上には必須事業と述べています。今年度予算案の多摩地域を支える交通ネットワークに関する基礎調査には、コミュニティバスやデマンド交通は入らないとのことですが、そうであるならば、都として、コミュニティバスやデマンド交通について、現状と課題などについて、独自の調査を行うことを強く求めるものです。
 次に、東京から痴漢ゼロを実現するために都市整備局も大きな役割があると思いますので、意見を述べたいと思います。
 日本共産党都議団は、東京から痴漢をゼロにしようと呼びかけ、都の交通局、生活文化局などで質疑し、痴漢被害や加害者をなくすための取組が前に進んできました。この問題は、都が一丸となって取り組む必要があります。都市整備局には、地域公共交通担当もあります。ホームドア設置などハード面などだけではなく、利用者が安全・安心で使えるようにする観点からも、女性専用車両の運行の時間を増やしたり、駅構内でのアナウンスなど大事なことだと思います。
 東京メトロや民間鉄道会社、民間バス事業者などに対して、痴漢防止対策を強め、被害者も加害者も出さない取組を強化するよう働きかけることは、重要な都の役割だと考えます。日本共産党都議団は、この間、JRや京王電鉄、東武鉄道、東京メトロにも申入れを行ってきました。痴漢防止対策は所管ではないというご認識だと思いますけれども、地域交通に関わって、この問題について現状をつかむこと、連携していくことが大事だということを要望するものです。
 次に、横田基地のオスプレイについて伺います。
 CV22オスプレイについては、昨年の八月十七日、クラッチの不具合が短期間に頻回に起きたことを受けて、米空軍はCV22オスプレイの全機、五十二機を地上待機としました。その後、九月二日には解除しましたが、クラッチの不具合が解消されたわけではありませんでした。
 昨年の事務事業質疑の中で、私は、都として、米国、米軍に直接オスプレイ配備を撤去すること、今後の増配備を中止することを求めるべきだとただすと、都は、国からはCV22オスプレイの機体自体の安全性に問題がなく、教育訓練や機体点検等を継続的に行うことで、飛行の安全が確保できると確認したと聞いていると答弁されました。
 当時、米空軍の報道官ヘイズ中佐は、不具合が起きると機体を制御できなくなり、墜落する可能性がある、不具合が起きる原因は分かっていないとコメントし、機体に欠陥があることを認めています。ところが、訓練でパイロットの技量を高めることで問題は回避できるとして、九月二日に早くも飛行が再開されたのでした。
 オスプレイのクラッチの不具合をめぐり、米軍は二月三日、一定の使用時間を経過した部品の交換を発表しましたが、都にはどのような説明があったでしょうか。

○金子基地対策部長 国からは、米側からオスプレイのクラッチを原因とする特有の現象の発生を予防するための措置の一環として、全てのオスプレイについて、一定の使用時間を経過した一部の部品を交換することとしたとの説明があったと聞いております。
 また、国からは、今回米側が発表した部品交換の措置はあくまで予防的な措置であり、オスプレイの機体自体の安全性に問題はないということに変わりはないと聞いております。

○尾崎委員 国から説明があったということですけれども、ところがここに来て、まだあくまで予防的な措置であり、機体自体の安全性に問題はないという国の説明をうのみにしているということです。
 それでは、一定の使用時間を経過した部品の交換ということですけれども、具体的にどのくらい使用したものが、交換するようになるのでしょうか。

○金子基地対策部長 国から提供された米軍の公表資料によれば、交換する必要が生じる具体的な飛行時間等については、運用上の安全に関する懸念により、公表されないとのことでございます。

○尾崎委員 一番肝腎なこの問題で、具体的な飛行時間等については公表されていないということです。
 しかし、運用上の安全に関する懸念により、公表されないということは、大変問題があります。安全性には問題ないと国がいうのであれば、具体的なことも含めて、全て情報を都民に公表すべきものではないでしょうか。
 大事なことなので伺いますけれども、東京都は、国にきちんと公表するよう求めているのかどうか、お答えください。

○金子基地対策部長 都は、今回の部品交換を行うという情報提供を受けたことを踏まえまして、国に対して、基地周辺住民の不安が解消されるよう、安全確保の徹底や適切な説明がなされるよう米軍に申し入れることを求めたところでございます。

○尾崎委員 求めているということでいいわけですね。
 米軍が機体を製造しているベル・ボーイング社に対して、関係部品の再設計を発注したのが二月二十六日までに分かりました。要するに、部品交換だけでなく、再設計するということになったわけです。部品交換は暫定的な措置で、不具合の解決に抜本的な設計変更が必要となる深刻な欠陥であることも明らかになりました。
 オスプレイの飛行は中止すべきだと考えますが、いかがですか。

○金子基地対策部長 安全保障に関することは国の専管事項であり、オスプレイを含む米軍機の安全確保は国が責任を持って行うべきでございます。国からは、今回米側が発表した部品交換の措置はあくまで予防的な措置であり、オスプレイの機体自体の安全性に問題はないということに変わりはないと聞いております。
 また、先ほども申し上げましたが、都は、部品交換を行うとの情報提供を受けたことを踏まえまして、改めて国に対して、基地周辺住民の不安が解消されるよう、安全確保の徹底や適切な説明がなされるよう米軍に申し入れることを求めたところでございます。
 今後も、都民の生命、安全・安心を守る立場から、必要なことを申し入れてまいります。

○尾崎委員 設計変更が必要だという深刻な欠陥が明らかになっても、なお都は、オスプレイの機体自体の安全性に問題はないということに変わりはないという認識なんでしょうか。
 大事なことなので、もう一度伺いますけれども、昨年の九月にはパイロットの技量を高めて対応するから安全だと答え、今回は二月に一定の使用時間を経過した部品の交換をするからとなっても、あくまで予防的な措置であり安全性に問題はないといい、部品交換だけでなく部品の設計変更が必要だとなっても、機体自体の安全性に問題はないということなのでしょうか。
 これまで説明してきたことが安全性に問題があるからこそ、関係部品の設計を変えるわけです。本当に安全性に問題がないといえるのか、お答えください。
   〔発言する者あり〕

○藤井委員長 静粛にお願いいたします。答弁中でございますので、お願いいたします。どうぞ、答弁。

○金子基地対策部長 安全保障に関することは国の専管事項であり、オスプレイを含む米軍機の安全確保は国が責任を持って行うべきものでございます。国からは、今回米側が発表した部品交換の措置はあくまで予防的な措置であり、オスプレイの機体自体の安全性に問題はないということに変わりはないというふうに聞いております。
 今後も、都民の生命、安全・安心を守る立場から、必要なことを申し入れてまいります。

○尾崎委員 オスプレイは、飛行中、クラッチが離れて滑るなどローターに動力を伝える駆動系統に衝撃が生じて破損する危険がある不具合が多発しています。
 再設計の対象は、専門的な説明ですけれども、オスプレイの垂直離着陸用の回転翼兼推進用のプロペラのギアボックス内のエンジンの動力を伝達する入力クイルとクラッチの二つの部品だということが説明をされています。
 そして、米海軍は昨年十二月に再設計の業者の募集を開始し、結局オスプレイの開発を進めてきたベル・ボーイング社が再設計することとなり、二〇二七会計年度までの事業期間に約一億七千六百万円で受注したということもはっきりしています。要するに、部品交換は暫定的な措置であって、安全性に問題があり部品の再設計を行うことになったということなんです。
 オスプレイの機体に問題があることがはっきりしているわけです。こんな状況では、いつクラッチの不具合が起こるか分かりません。オスプレイが都民の頭上を飛ぶことは直ちに中止させるよう、都が直接、米軍、米国に申し入れることを強く求めて、質問を終わります。

○小宮委員 私からは、築地の土地、まちづくりについて伺いたいと思います。
 築地から、結局市場がなくなりまして、ほぼ更地になったのが、令和二年二月だったと思います。その後、令和三年には、延期されていた東京二〇二〇大会の車両基地として活用されましたし、予期しなかったコロナ禍があって、酸素・医療ステーションとしても活用されました。
 この間、段階的整備といわれていたものが、結果としては一体的整備へと変更されたと。そんな変遷を追ってまいった築地の土地、今どんな状況かを確認していきたいと思いますが、令和元年から実施してきた土壌汚染や埋蔵文化財に関する調査は、現在どのような状況であり、いつまでに、どのような調査を東京都として行う予定なのか、これまでの調査結果と併せて伺います。

○飯塚築地まちづくり推進担当部長 旧築地市場跡地における土壌汚染調査につきましては、事業予定者の決定を予定しておる令和五年度を完了目途といたしまして実施をしております。
 令和四年度までに、対象区域全体の約九割に当たる千七百三十九地点で調査を行っており、令和三年度までに実施をした千百八十地点の調査結果について、これまで適宜公表してまいりました。
 令和三年度までの調査箇所のうち、五百四十七地点で土壌汚染対策法などに基づく基準値を超過しておりますが、これらの区域は地下水を飲用に利用することがないことから、直ちに汚染の除去等の措置を講ずる必要はない区域でございます。
 文化財保護法等に基づく埋蔵文化財試掘調査につきましては、都はこれまで、浴恩園跡地付近の試掘調査を実施しておりまして、令和四年度まででこの区域の調査を完了いたしました。この試掘調査では、旧築地市場の基礎等で破損している近世の石積みの一部などが出土しております。
 今後は、浴恩園跡地以外の範囲で引き続き試掘調査を実施していくこととしており、調査結果を見ながら、関係機関と協議をして進めてまいります。
 昨年十一月に公表した事業者募集要項では、これまでの試掘調査の結果について示すとともに、引き続き、都が土壌汚染調査や埋蔵文化財試掘調査を実施することとしており、各調査の結果につきましては、適宜公表してまいります。

○小宮委員 昨年十一月に公表された事業者募集要項によりますと、築地のまちづくりのコンセプトは、新しい文化を創造し、発信する拠点とのことで、築地は守るということから転じた食文化は、新たな文化の中で一くくりにされてしまっておりますけれども、都民にとりましても、この築地のまちがどんなまちになるのかというところは、しっかりと私たちも説明をしていかなければならないと思っております。
 まず、この築地地区のまちづくり事業について、今後どのように取組を進めていくのか伺います。

○飯塚築地まちづくり推進担当部長 築地地区まちづくり事業につきましては、昨年十一月に事業者募集要項を公表いたしまして、事業予定者の公募手続を開始したところであり、本年一月中旬には募集要項に対する質問を受け付け、年度内を目途に回答を公表することといたしております。
 令和五年度は、八月末に応募者からの提案を受け付け、その後、提案に対する審査を実施し、令和六年三月頃、事業予定者を決定する予定でございます。

○小宮委員 十一月の募集要項公表後、十二月七日から九日にかけて応募参加希望表明を受け付けております。その件数については、選定に関わるので明らかにできないということであります。
 ただ、事業を望む方、検討する方々からは、この間いろいろな質問などが出ていると思うんですけれども、その質問や回答については、今のご答弁にありましたが、今月中には公表されるということなので、築地のまちがどんな--結局は都市開発だと思いますが、まちとなるのか、少しはそれでイメージができるのかなと思います。
 来年の今頃には事業者が決定するということですので、事業者から八月に応募を受け付けて、提案に対する審査を行うということですけれども、その審査はどのように行うのかということと、あわせて、事業予定者決定後はどのように事業を進めていくのか、事業予定者の提案が公表される時期を含めて伺います。

○飯塚築地まちづくり推進担当部長 まず、応募者からの提案につきましては、まちづくりや交通、文化など外部の有識者九名で構成されました築地地区まちづくり事業審査委員会を開催いたしまして、審査基準に基づいて、各分野の専門家が応募者の参加資格を確認するとともに、事業計画や貸付料等の提案内容の審査を実施することといたしております。
 都は、審査の結果を踏まえまして、令和六年三月頃、最も優れた提案を行った応募者を事業予定者として決定することとしているものでございます。
 また、事業予定者の提案内容の公表時期についてでございますけれども、事業予定者の提案内容につきましては、令和六年三月頃を予定しております事業予定者の決定に合わせて、公表することといたしております。
 その後、まちづくりの具体的な内容や定期借地契約に関する条件等について、都と事業予定者で協議を行いまして、令和六年度には、それらについて定めた基本協定を都と事業者の間で締結する予定でございます。
 まちづくりの具体的な内容やスケジュールは事業者の提案によりますけれども、地区内の主要な施設等が順次竣工されるのは、二〇三〇年代前半に当たりますおおむね令和十二年から十六年頃を想定しておりまして、それまでの間、令和十一年度には都が行う防災船着場の整備に合わせて、事業者が舟運利便施設等の供用を開始することといたしております。
 また、主要な施設等の竣工まで時間を要しますことから、それまでの間、先行的ににぎわいを創出するよう、暫定的な整備等を事業者に対して求めております。
 応募者からの優れた提案を適切に評価して事業予定者を選定するとともに、基本協定の締結に向けて適切に調整を図るなど、築地地区のまちづくりの着実な実施に向けて取り組んでまいります。

○小宮委員 次に、旧こどもの城を含む神宮前のまちづくりについて伺います。
 昨年五月に神宮前五丁目地区まちづくりに向けた有識者会議が終了しておりまして、今年の二月には神宮前五丁目地区まちづくり検討会が開催されましたが、改めて検討会の設置目的と、第一回の検討会ではどのような議論がされたか確認します。

○吉野まちづくり推進担当部長 神宮前五丁目地区まちづくり検討会でございますが、有識者会議において整理された提言集を考慮し、ポストコロナのまちづくりのモデルケースとするため、将来的な都有地の一体活用に向けたまちづくりについて検討を行うことを目的として設置しております。
 第一回検討会では、有識者会議の振り返りや計画地周辺の地域特性等について意見が交わされ、委員からは、空間の利用者等、様々な関係主体と連携する仕組みを考えていくことが重要との意見や、敷地全体を一つの機能で捉えるのではなく、多様な機能の組み合わせで捉えて考えていくことが有効などの意見がございました。

○小宮委員 神宮前五丁目地区の都有地は、青山通りに面した大変立地がいい場所にありますけれども、現在利用されている土地や更地となっている土地、その状況は様々であるということで、これは四敷地と考えるんだと私は思っております。
 旧こどもの城や国連大学やコスモス青山や病院の跡地ということで、その土地の状況は様々でありますが、将来的な都有地の一体活用に向けて、まちづくりとしてどのような検討を行っていくのか伺います。

○吉野まちづくり推進担当部長 神宮前五丁目地区の都有地は、都心部に残された東京の成長を支える重要な場所でございます。将来的な都有地の一体活用に向け、地区の将来像の検討を行うとともに、その実現のための導入機能や空間形成等について検討してまいります。
 検討に当たりましては、渋谷、青山に近接する地域の特性や都市をめぐる環境の変化等に加え、将来の不確実性を受け止められるようなしつらえや空間の可変性の確保など、有識者会議で整理されたポストコロナのまちづくりの視点なども考慮してまいります。

○小宮委員 都有地である先ほど申し上げた四つの敷地の状況は、それぞれ異なるわけですけれども、今二つの答弁の中に、将来的な都有地の一体活用という表現で、四敷地というようないわれ方は前回の事務事業のときもされていないが、四敷地としてこの地区のまちづくりを考えているということで、都市整備局としてはよろしいんですか。確認します。

○吉野まちづくり推進担当部長 その敷地についてでございますが、今後、検討会の中でも関係者からの聞き取りとか、そういうことを踏まえまして、最終的にどういう範囲での一体活用になるかということが決まっていくものだというふうに考えております。

○小宮委員 四敷地で活用するかどうかによって、可能性が高いとはいえ、このまちづくりは全くスタートラインが変わってくるというふうに私は思っております。
 やはり、一体で考えなければ価値が下がるというふうに思いますし、できるまちづくりもできなくなってしまいますから、この辺の整理は財務局がやらなきゃいけないということで、本日の財政委員会の方では、うちの自民党からも質疑はさせていただきましたけれども、やはりまちづくりを検討していくに当たって、スタートラインが決まっていないのでは、大変不明確になると思いますから、都市整備局さんとしても、この四敷地を一体的に考えていくという姿勢は、強く意思を示していっていただきたいということをお願い申し上げまして、質疑を終わります。

○関野委員 それでは、私の方から質疑をします。
 今年度、都市整備委員会において、生産緑地公園補助制度並びに緑あふれる公園緑地等整備事業について、さらなる拡充と区市町村への活用促進を要望しておりました。そこで、この二つの補助制度に関してお聞きをいたします。
 まずは、生産緑地公園補助制度についてですが、令和五年度予算では十億円から二十億円に拡充されているところです。これは平成三十年からの補助実績を踏まえた拡充であるというふうに考えますが、あえてお伺いをしますが、なぜ予算や補助要件を拡充するのか、この件についてお伺いをいたします。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 都は、生産緑地公園補助制度を平成三十年度に開始し、当初は五〇%程度の執行率でございましたが、その後、執行率が上昇し、令和二年度から四年度は、ほぼ一〇〇%の執行となっており、現在も多くの要望を受けていることから、改めて市区の状況を把握し、来年度予算額を二十億円に増額いたしました。
 また、これまでに市区からいただいた意見等を踏まえ、市区がより活用しやすい制度とするため、従来、一自治体当たりの補助件数が一件であったものを来年度からは三件までに引き上げるとともに、国費充当がない場合の都の補助率を三分の一から二分の一に引き上げるなど、制度を改善いたしました。

○関野委員 ありがとうございます。
 本年度に実施した区市町村から、年一回ではなく、もっと実施してほしいというような要望があったと。そういった意見により、補助件数を引き上げたというふうに理解をいたしました。そういう意味では、委員会での要望がうまくいったのかなというふうにも思っております。
 今後は、使っていないところもおりますので、区市町村に対して、こういったものをしっかりと説明をしていただければと思います。
 次に、緑あふれる公園緑地等整備事業についてです。
 都は令和三年度から、地域に残る貴重な屋敷林の保全や公園が不足する地域での公園整備において、区市町村を支援する緑あふれる公園緑地等整備事業を開始しているところですが、さらに実績を増やすため、来年度はどのように区市町村への活用を促進していくのか、この点についてお伺いをいたします。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 緑あふれる公園緑地等整備事業補助制度については、来年度は用地取得と整備費の補助率を四分の一から一定の面積以上の場合には三分の一に引き上げ、従来、一自治体当たりの補助件数が一件であったものを来年度からは三件までに引き上げるなど、市区町が活用しやすい補助制度に改善いたします。
 さらに、来年度の補助の執行に向けまして、市区町の公園や緑地保全、都市計画などの関連部署との情報連絡会等の機会を捉えまして、本補助制度の拡充について説明を行い、周知を図っております。
 これらによりまして、市区町に対して補助制度のさらなる活用を促してまいります。

○関野委員 ありがとうございます。
 こちらも同じように、年一回ではなく、もっとやりたいという声があったと。まだ実施していない区市町村、先ほどもお話ししましたが、逆にこれをなぜ実施しないのかというところも、来年度は情報収集をしていただくとともに、実施していない区市町村に対して、こういった制度、緑あふれる公園緑地等整備事業があるよということも、利用促進を促していくことが大切ですので、この点についての対応をよろしくお願いをいたします。
 次に、多摩都市モノレールについてです。
 今年度、私たちの提案を受け、都が多摩都市モノレールにおける子育て応援事業として、小児特別運賃の試行実施を、早速ゴールデンウイークから開始をしておりました。当日、私も行ったんですが、課長とかが一生懸命プラカードを持っていたというところに感銘を受けたところですので、今後もしっかりやっていただければというふうにも思っています。
 こういった部分では、しっかりとやっていたというところで高く評価をいたしますが、今年度は、ゴールデンウイークや夏休み等において期間的に実施することで、早期実現に結びついたのかなと理解しております。
 今年度の結果を踏まえ、来年度も継続して多摩都市モノレールの小児特別運賃の適用に向けて取り組むべきというふうにも考えておりますが、見解を伺います。

○朝山都市基盤部長 多摩都市モノレールにおいて、今年度、小学校が長期休暇となる期間を中心に、小児一日乗車券を百円で販売いたしました。冬休み期間の実施では、先着一万五千万枚のところ、好評につき追加販売を行い、合計約二万枚が購入されました。
 今年度のアンケート調査や利用実態に関する集計結果等を基に、来年度も一日乗車券を活用した小児特別運賃の取組を期間を設けて実施いたします。まずは、ゴールデンウイーク期間に合わせて取組を開始することとしておりまして、今年度の同時期に比べまして販売期間を拡大して実施いたします。
 これらの取組を踏まえながら、政策効果等を分析し、将来の小児運賃の在り方などについて、運営会社等と協議をしてまいります。

○関野委員 ありがとうございます。
 通年実施には、まだまだ時間がかかるというふうにも聞いておりますが、五月にはコロナが二類から五類に変わることもあり、子供や子育て世代の大人たちがより一層、お出かけしやすくなるのかなというふうにも考えています。
 今年度の結果も踏まえつつ、地元自治体や民間事業者などによる小児特別運賃の実施に合わせたイベントなど、利用者にとって沿線地域の様々な外出の機会の創出につながるように、来年度もゴールデンウイーク、夏休み、冬休みに実施するなど、可能な限り早期に試行時期の見込みを公表していただき、来年度もしっかり取り組んでいただくことを求め、まずはこの質問を終わります。
 次に、南大沢の都有地再開発についてお伺いをいたします。
 八王子の南大沢駅北口では、都有地を三井不動産が定期借地で借り入れ、二〇〇〇年からアウトレットを開業しています。今般、二〇二五年に定期借地の二度目の期限を迎えるに当たり、今後の事業を担う事業者の選定をしていくことから、それに先駆けて駅周辺まちづくりの方針が議論されております。
 再整備に当たって、大型商業機能は不可欠との地元意見が大勢ですが、二〇一九年には、南大沢アウトレットモールの約二倍の店舗数を有する南町田グランベリーパークが南町田にオープンするなど広域の商業環境やネット販売の普及など、二〇〇〇年の開業当時からは状況が大きく変わっており、規模の拡充や魅力と特色のある場所づくりは不可欠でございます。また、景観や周辺環境には十分配慮しつつも、民間の創意工夫を十分に引き出す、こういったことも必要であります。
 加えて、隣接地には東京都立大学が立地し、都としてスマートシティの先行実施エリアに位置づけ取組を行っていることからも、テクノロジーやデジタルスタートアップなど、新たな力を生かせる場所づくりを都有地の再開発地でも推進すべきです。
 また、何よりも暮らしている市民が望むのは、シニアや子育ての居場所や地域の横連携といった南大沢の抱えるまちづくり、課題解決につなげていくことが大切です。
 都は令和二年から、地元八王子市や東京都立大学などから成る南大沢スマートシティ協議会を設置し、先進技術を活用した実証事業を実施してきていますが、今年度どのように事業に取り組んできたのか、内容と現在の状況についてお伺いをいたします。

○末元担当部長 南大沢地区につきましては、高齢者などの丘陵地での移動負担の軽減や、まちのにぎわい創出等の地域の課題解決のため、産学公から成る協議会を設置し、効果等を検証しながら、様々な先端技術を活用した実践的なまちづくりを推進しております。
 今年度の実証プロジェクトとして、例えば電動キックボードシェアサービスについて、南大沢駅周辺やURやJKK等の住宅団地内、公園などに複数のポートを設置して開始しており、駅と団地の間など高低差のある区間での利用が多く見られています。
 また、スマートフォンの画面を通して駅前から商業施設などへの最適なバリアフリールート等を道案内するARナビについては、体験していただいた車椅子の方にも好評をいただいているところです。

○関野委員 ありがとうございます。
 電動キックボードのシェアリングなどを活用して、将来的にシニアにも乗りやすい三輪や四輪のモビリティーを実装するなど、若い世代だけでなく、シニアも含めた皆がテクノロジーの恩恵を受けられるような新たな取組、こういったものの拡充を求めておきます。
 また、子育てやシニアの居場所づくりなど、地域コミュニティの連携といった南大沢の抱える課題解決、これにも先端技術の活用を検討すべきというふうに考えますが、この点についての見解をお伺いいたします。

○末元担当部長 地域住民等からは、ワークショップなどで住民の交流場所や高齢者のためのコミュニティ施設に関する要望が出されていたことから、都は、昨年五月に公表した南大沢スマートシティ実施計画バージョンツーにおいて、基本方針の一つとして、地域コミュニティの形成、支援を位置づけました。
 これを踏まえ、現在、協議会において、コミュニティスペースの提供やSNSによるコンテンツの充実等、地域コミュニティの形成、活性化の仕組みについて検討しており、多様な交流や連携を促進する機会や場の創出に向けて取り組んでまいります。

○関野委員 オンラインのプラットフォームだけじゃなく、リアルの場づくりと組み合わせて実施していくという答弁だというふうに理解をいたしました。そのようですので、ぜひ地域の声を聞きながら検討を加速し、早期実現に取り組んでいただきたいというふうにも思っております。
 さて、南大沢スマートシティ協議会での検討内容や実証事業について、これまで初期ニーズの把握から資産のロードマップの作成など、バージョンアップを重ね、今般取りまとめる実施計画バージョンスリーを一旦の区切りとするというふうに聞いております。
 今後、取組を具体的に実現していくフェーズとなっていくと理解をしておりますが、南大沢スマートシティにおいて、地元に密着したまちづくり、これをどのように行っていくのか、この点についてお伺いをいたします。

○末元担当部長 南大沢地区は、スマート東京実施戦略で、最先端の研究とICT活用による地域住民の生活向上が融合した持続可能なスマートなまちを目指すこととしております。
 令和五年度より、協議会事務局業務を都の政策連携団体であり、地元に所在する株式会社多摩ニュータウン開発センターが実施することで、地元に密着した実践的なまちづくりを推進できる体制を整えます。
 都としても、事務局を支援しながら、引き続き、都民生活の向上を目指し、地元市、大学、民間企業と連携の上、先端技術の社会実装に向けた取組等を展開してまいります。

○関野委員 今後の取組において、事務局機能を多摩ニュータウン開発センターに移管するということでしたが、知見があり、地元で粘り強く汗をかくことのできる人材をしっかり配置するなど、都の後押しをしっかり継続、強化するよう強く求めておきます。
 次に、現在アウトレットとなっている都有地は、駅前のにぎわいと利便性を支える大規模商業施設でもあることから、今後どのような再整備がされるかは市民の生活に大きな影響を与えるところです。
 しかしながら、コロナ禍の影響もあり、これまでの方針の議論においては、市民への告知や情報提供、議論への巻き込みが足りていないというふうに、残念ながら地元市民からは聞いております。
 南大沢駅北口の都有地の活用について、今後、市民をいかにして巻き込み、検討を進めていくのか、この件についてお伺いをいたします。

○泉水多摩ニュータウン事業担当部長 都は、令和元年に設置しました学識経験者、行政から成る検討委員会において、都有地活用の方向性等を定めるまちづくり方針案について検討を重ねてまいりました。昨年八月にはパブリックコメント、十一月には主に小中学生向けのアンケートを実施しており、それらの結果を反映したまちづくり方針を今月中に策定いたします。
 今後は、八王子市と連携いたしまして、ワークショップ等、地域住民から直接意見を聞く機会を設けるなど、地元の意向を十分踏まえ、引き続き事業を推進してまいります。

○関野委員 まさにコロナの状況も大きく変わってまいりますので、これからぜひ市民を巻き込み、情報提供だけでなく双方向に議論をして、意見を取り入れるよう取組をお願いをいたします。
 また、さきの我が会派の代表質問では、まちづくり組織の形成について、特に多摩地域での支援を求め、新たにプラットフォームづくりに取り組む旨の答弁がありました。大きな前進ですが、ぜひこの南大沢における都有地開発及びスマートシティの取組を通じて、まちづくりの組織の組成と都の支援を求めておきます。
 今後、事業者選定などの検討に当たり、民間事業者における創意工夫や、まちづくりの主体的な参画などを引き出せるよう取り組むべき、こういうふうに考えておりますが、この点についての見解をお伺いいたします。

○泉水多摩ニュータウン事業担当部長 南大沢駅周辺地区まちづくり方針案においては、エリアマネジメントの方針として、当地区において、より活発なアクティビティーや交流が創出されるよう、民間事業者、地元企業、東京都立大学、住民、行政等、各主体が連携し、組織の活性化について検討することとしております。
 そのため、次期事業者がこれらの各主体を牽引する役割を担い、当地区の産学公民連携によるまちづくりがより一層推進されるよう、事業者選定等について検討を進めてまいります。

○関野委員 ありがとうございます。
 千葉県柏市の柏の葉地域や、最近では墨田区などでUDC、アーバンデザインセンターと呼ばれる産学公民が連携したまちづくり組織がつくられ、地域のまちづくりを牽引しているところです。
 地域課題解決を含むまちづくりに事業者が中核的な役割を果たせるよう、事業者選定などの検討段階から取り組まれること、こういったことを要望しておきます。
 また、ぜひ南大沢においても、そうしたまちづくり組織の多摩地域におけるモデルを形成できるよう取り組まれることをここで要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

○藤井委員長 発言がなければ、お諮りをいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市整備局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時四分散会

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