都市整備委員会速記録第三号

令和五年三月十三日(月曜日)
第六委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長藤井とものり君
副委員長小宮あんり君
副委員長尾崎あや子君
理事磯山  亮君
理事関野たかなり君
理事谷村 孝彦君
吉住はるお君
松田りゅうすけ君
平けいしょう君
かつまたさとし君
森口つかさ君
鈴木 錦治君
原田あきら君
中村ひろし君

欠席委員 なし

出席説明員
住宅政策本部本部長山口  真君
技監久保田浩二君
住宅企画部長越  秀幸君
民間住宅部長鈴木 誠司君
都営住宅経営部長青柳 一彦君
連絡調整担当部長今井 徳彦君
住宅政策担当部長浦口 恭直君
企画担当部長住宅市場担当部長兼務土屋 太郎君
技術企画担当部長中山  衛君
民間住宅施策推進担当部長越智 英明君
経営改革担当部長都築 裕樹君
都営住宅企画担当部長宮島 正次君
建設推進担当部長栗谷川哲雄君
営繕担当部長小林 秀行君
再編利活用推進担当部長木村 宣代君

本日の会議に付した事件
意見書について
住宅政策本部関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和五年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為
住宅政策本部所管分
・第十三号議案 令和五年度東京都都営住宅等事業会計予算
・第十四号議案 令和五年度東京都都営住宅等保証金会計予算
報告事項(質疑)
・「東京における空き家施策実施方針」の策定について

○藤井委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 初めに、意見書、決議について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申出がございました。
 お諮りをいたします。
 本件につきましては、取扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○藤井委員長 次に、予算の調査について申し上げます。
 令和五年度予算につきましては、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

令和五年三月九日
東京都議会議長 三宅しげき
(公印省略)
都市整備委員長 藤井とものり殿
   予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、三月九日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
     記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月十六日(木)午後五時

(別紙1)
都市整備委員会
 第一号議案 令和五年度東京都一般会計予算中
        歳出
        繰越明許費
        債務負担行為 都市整備委員会所管分
 第十三号議案 令和五年度東京都都営住宅等事業会計予算
 第十四号議案 令和五年度東京都都営住宅等保証金会計予算
 第十五号議案 令和五年度東京都都市開発資金会計予算
 第十八号議案 令和五年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
 第二十一号議案 令和五年度東京都都市再開発事業会計予算

(別紙2省略)

○藤井委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、住宅政策本部関係の予算の調査及び報告事項に対する質疑を行います。
 これより住宅政策本部関係に入ります。
 予算の調査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、令和五年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、住宅政策本部所管分、第十三号議案、第十四号議案及び報告事項、東京における空き家施策実施方針の策定についてを一括して議題といたします。
 本案及び本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布をしております。
 資料について理事者の説明を求めます。

○越住宅企画部長 二月十四日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 資料1、都市整備委員会資料をご覧ください。
 資料をおめくりいただき、目次をご覧ください。資料は全部で六件でございます。
 一ページをお開き願います。1、公社住宅の十年間の建設実績でございます。
 平成二十四年度から令和三年度までの公社住宅の建設戸数について、年度別に記載してございます。
 二ページをお開き願います。2、都営住宅における居室内単身死亡者数(過去十年間)でございます。
 平成二十四年度から令和三年度までの人数について、年度別に記載してございます。
 三ページをご覧ください。3、都営住宅の共用部等におけるLED設置状況、設置率(過去五年間)でございます。
 平成二十九年度から令和三年度までの戸数、設置率について、年度別に記載してございます。
 四ページをお開き願います。4、都営住宅における太陽光発電設備の設置状況(過去五年間)でございます。
 平成二十九年度から令和三年度までの棟数について、年度別に記載してございます。
 五ページをご覧ください。5、区市町村住宅供給助成費の予算と実績の推移(過去五年間)でございます。
 平成二十九年度から令和三年度までの当初予算額、決算額について、年度別に記載してございます。
 六ページをお開き願います。6、マンションに対する耐震診断及び耐震改修の助成実績(過去五年間)でございます。
 平成二十九年度から令和三年度までの当初予算額、執行戸数、執行額について、年度別に記載してございます。
 説明は以上でございます。ご審議のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。

○藤井委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○吉住委員 東京ささエール住宅について質問します。
 私は、昨年の事務事業質疑において、専用住宅の登録を増やしていくためには、貸主の不安やリスクに対して現場の声もしっかりと聞きながら、一層の支援を行っていくべきと主張しました。
 住宅政策本部からは、空室リスクなど貸主の様々な不安を軽減するためには、居住支援法人による住宅確保要配慮者へ迅速な物件の提供や支援活動をさらに後押ししていくことが効果的であり、居住支援法人に対する支援を強化していくとの答弁がありました。
 そこで、どのように予算に反映されたのか確認の意味も込めて、都は来年度予算案において、居住支援法人に対して、どのような支援策を盛り込んでいるのか伺います。

○鈴木民間住宅部長 居住支援法人の中には、サブリースした住宅を運営しながら要配慮者へ迅速に住宅を提供し、入居後の支援も行う団体がありますが、運営当初は空室等により、家賃収入が十分に見込めないなど活動費の負担が課題となっております。
 そのため、来年度から開始する東京ささエール住宅居住支援法人等応援事業では、サブリース方式による専用住宅の提供と定期的な見守りなどの支援に係る人件費等に加え、住宅の管理運営費に対して補助を行ってまいります。
 こうした支援を二年間にわたり実施し、一年目は補助率を三分の二、一戸当たり三十七万三千円を補助上限に百五十戸分を計上するとともに、二年目は補助率を二分の一とすることで、居住支援法人が経営的に自立し、安定した支援体制を確立することを促してまいります。

○吉住委員 居住支援法人への支援を通じて、貸主の空室リスクや入居者管理の負担を軽減するだけでなく、新たな環境で生活を始める要配慮者に対し、入居前から入居後まで切れ目なく支援を行う内容であることが確認できました。
 一方で、住宅セーフティーネット制度に係る国や都の補助制度は数多くあり、不動産業界団体からは分かりにくいとの声があります。
 賃貸住宅の経営者でもある貸主にとって、分かりやすく魅力的な制度とし、より専用住宅に登録してくれることが期待できるような支援策の構築が必要と考えますが、どのように取り組んでいくのか伺います。

○鈴木民間住宅部長 貸主にとって、住宅確保要配慮者ごとに入居に伴う課題は異なるほか、所有する住宅の状況も多様であり、専用住宅の登録を促進するには、貸主一人一人の実情に応じて、幅広く選択できる包括的な補助制度の構築が効果的でございます。
 来年度から実施する東京ささエール住宅貸主応援事業では、補助メニューとして今年度開始した住宅設備改善費補助のほか、耐震改修費補助の新設や見守り機器設置費の補助率の引上げなどを盛り込んでまいります。
 加えて、これらの補助メニューをパッケージ化することで、補助制度の全体像をつかみやすくし、貸主が一回の申請で様々な補助メニューを活用できるようにすることにより、貸主への支援を強化してまいります。

○吉住委員 東京ささエール住宅に登録意欲のある貸主が登録基準の耐震性を満たすことができず、登録を断念する場合もあると聞いています。そういった点では、耐震改修補助を新設することは評価しますが、貸主にとって耐震改修は多額の費用負担が発生します。
 貸主に実際に活用されるためには手厚い支援が必要となりますが、具体的な取組について伺います。

○鈴木民間住宅部長 貸主応援事業の耐震改修費補助では、専用住宅に登録するため、耐震改修を行う貸主に対して補助率六分の五、一戸当たり二百五十万円を上限に補助し、四十戸分を計上しております。
 なお、貸主が経営的な判断等から耐震改修によらず建て替える場合は、既存住宅の除却費も補助対象としております。
 こうした支援により、貸主の費用負担を大幅に引き下げ、耐震性が不十分な住宅であっても登録が進むよう、取組を後押ししてまいります。

○吉住委員 東京ささエール住宅の登録制度は、住宅セーフティーネット制度の大きな柱ですが、登録は貸主の理解と協力があって初めて行われるものです。
 今後とも、現場の声を聞きながら、貸主の支援を充実していただくことを要望して、質問を終わります。

○森口委員 空き家施策実施方針について伺います。
 平成三十年住宅・土地統計調査によりますと、都内の空き家数は約八十一万戸であり、全住宅ストックの一割を超えているとともに、管理が行き届かない可能性が高い長期不在等のその他空き家も増加を続けております。
 また、団塊世代が後期高齢者となる二〇二五年には大量相続時代が本格化し、この先多くの住宅ストックが空き家となる可能性が懸念をされております。
 そのため、都は東京都住宅マスタープランにおいて、二〇三〇年度末までに全区市町村が空き家等対策計画を策定することを目標の一つに掲げるなど、地域の実情を把握している区市町村を支援し、空き家の適正管理、有効活用、発生抑制、普及啓発、相談体制の整備などの観点から空き家対策に取り組んできました。
 そこで、今月策定される東京における空き家施策実施方針について、その背景と目的について伺います。

○土屋企画担当部長住宅市場担当部長兼務 空き家対策は、これまで空家特措法等に基づき、地域の実情を把握している区市町村が主体となって進められ、都は技術的、財政的支援を行ってまいりました。
 しかしながら、少子高齢化の一層の進展や人口、世帯数の減少が見込まれる中、都内には依然として八十万戸を超える空き家が存在していることに加え、空き家予備軍の存在などにより、今後、空き家のさらなる増加が懸念されております。
 このため、効果的な空き家対策が都内全域で着実に展開されるよう、中長期的な視点からの、都の空き家対策の考え方や、具体的な取組の方針を区市町村や民間事業者などに分かりやすくお示しするため、本実施方針を策定いたします。

○森口委員 本実施方針は、区市町村との適切な役割分担の下、民間事業者とも連携をし、既存住宅市場での流通の促進、地域資源としての空き家の利活用、利活用見込みがない空き家の除去等といった三つの視点に基づき施策を展開していくとされております。
 既存住宅の流通に関しては、日本は欧米など諸外国と比べて極めて低く、中古住宅に対し、消費者が抱く設備や品質への不安や売買後のトラブルなどが課題とされております。
 そこで、今後の空き家対策の基本的考え方にある三つの視点のうち、既存住宅市場での流通促進にどのように取り組むのか伺います。

○土屋企画担当部長住宅市場担当部長兼務 既存住宅の流通促進に向けては、不安、汚い、分からないといった従来の既存住宅のマイナスイメージが払拭され、適切な維持管理やリフォームによる質の向上が取引時に適正に評価されるなど、消費者が安心して既存住宅を売買できる市場環境を整備することが重要でございます。
 そのため、都は新たな実施方針の下、不動産事業者等が建物状況調査等を行い、良質な住宅に改修し、適正に評価して販売する取組に対して、改修費等を補助する新たな支援事業などを通じまして、既存住宅の流通促進に取り組んでまいります。

○森口委員 不動産事業者等民間事業者と連携をし、消費者が安心して既存住宅を売買できる環境整備が重要です。
 都は、これまでの取組も鑑み、良質な住宅に改修する改修費を補助する新たな支援を来年度スタートさせるとのことであります。
 既存住宅の流通促進施策を進めていくには、不動産事業者など民間企業等との協力連携が欠かせないと考えますが、既存住宅流通促進の取組を進めていく上で、どのように関係事業者に周知し、働きかけていくのか伺います。

○土屋企画担当部長住宅市場担当部長兼務 既存住宅流通市場の活性化を図る上で、安心な既存住宅取引に向けた関係事業者による取組が広く普及していくことが重要でございます。
 都は、新たな支援事業の実施によって得られる安心して既存住宅を売買するための一連の仕組みづくりや効果などの取組成果につきまして、関係団体を通じ広く情報発信を行い、同様の取組が多くの事業者において実施されるような環境を整備してまいります。

○森口委員 空き家対策において民間事業者との連携とともに、地域特性に応じた対策を展開する上で、区市町村への支援や連携も重要であります。空家特措法の下、区市町村が主体的な役割を担っており、区市町村は空き家等対策計画を策定し、計画的に取組を進める必要がありますが、空き家等対策計画の策定状況について伺います。
 あわせて、計画策定をしていない自治体が、なぜ策定をしないのか、その理由を伺います。

○土屋企画担当部長住宅市場担当部長兼務 空き家等対策計画につきましては、令和三年度末までに都内六十二区市町村のうち、六三%の三十九区市町村が策定済みでございます。
 令和四年四月に実施いたしました計画を策定していない区市町村に対するアンケートで、策定予定がない理由について聞いたところ、空き家問題が顕在化しておらず、緊急性が低いことや計画を策定するための人員の不足、財政的な問題などが挙げられております。

○森口委員 空き家には、特定空き家のように除去すべきものから管理が十分でなく、周囲に迷惑を及ぼす可能性があるもの、また多少の改修等を行えば利活用が見込めるもの、資産価値があって市場に流通できるものなど、その実態は様々であります。
 区市町村が空き家対策を進めていくためには、まずは計画策定の前段として、その地域ごとの実態調査が必要不可欠になります。
 令和元年度の決算質疑において、当時、二割の区市町村が空き家対策の前提ともいえる実態調査を行っておらず、区市町村ごとの空き家率や実態調査の取組状況を分かりやすく見える化して示していくなど、都は調査の実施を強く区市町村に働きかけていく必要があると提案をしてまいりました。
 そこで、区市町村の実態調査の現在の実施状況と、都のこれまでの取組を伺います。

○土屋企画担当部長住宅市場担当部長兼務 令和三年度末現在、全六十二区市町村のうち約八割、五十三区市町村で実態調査を実施済みでございます。区市町村が空き家対策を効果的かつ効率的に実施するためには、まず各区市町村の区域内における空き家の所在や、その状態などの実態を把握することが重要でございます。
 そのため、都は区市町村が行う空き家の実態調査に対して補助を実施するとともに、空き家対策連絡協議会などにおいて必要な情報を提供するなど、技術的な支援を行っております。

○森口委員 空き家が増加を続け、防災、防犯、景観など生活環境に影響を及ぼす課題が顕在化することが懸念される中、いまだ空き家の実態調査を進めていない区市町村が二割とのことで、前回の質疑から二年半たち、状況が全く変わっていないのであれば、それは問題であります。
 都として、区市町村ごとの空き家率や、実態の調査の取組状況を分かりやすく都民に見える化するとともに、空き家対策連絡協議会などの機会に、常に各自治体の取組状況を星取り表などで共有し、取組を促すなど改めて改善を求めたいと思います。
 これまで、民間事業者との連携や区市町村への支援といった側面から、今後の個別の取組について伺ってきました。空き家問題を解決していくためには、関係する各主体が連携協力し、取り組んでいく必要があります。
 そこで、今回策定される空き家施策実施方針の下、今後どのような考えに基づき、各主体との連携の下で、都内全域の空き家対策を推進していくのか伺います。

○土屋企画担当部長住宅市場担当部長兼務 空き家対策を効果的に進めていくには、空き家対策の主体的な役割を担う区市町村や空き家対策に関わる民間事業者など、各主体がそれぞれの役割や専門性を生かし、相互に連携することが重要でございます。
 都には、区市町村の空き家対策を技術的、財政的に支援するとともに、民間事業者等との連携や都民への普及啓発を通じて、都内における空き家対策を牽引する役割を果たしていくことが求められております。
 こうした考え方に基づき、今回策定する空き家施策実施方針に掲げた施策を着実に進め、空き家問題の解決に向けて取り組んでまいります。

○森口委員 都は、空き家対策を進める上で、まずは二〇三〇年度末までに全区市町村が空き家等対策計画を策定することを政策目標と定めており、引き続き取組が進んでいない自治体の取組を促すとともに、中古住宅市場の活性化や循環型住宅市場の形成に向けて、民間事業者等とも、さらなる連携を進めていただくことを要望し、質問を終わります。

○谷村委員 初めに、報告事項の東京における空き家施策実施方針案と関連する予算案について質問します。
 今後の空き家対策の基本的な考え方、三つの視点と、その視点に基づく具体的な施策展開が三点にわたり示されております。
 一つが既存住宅市場を活性化させ流通を促進させる、二つ目に市場での流通に乗らない空き家を地域資源として活用することを模索、これは所有者の意向もありますが、そして三つ目に管理不全となり利活用が困難な空き家は除却等を進めていくという、理想的な順番に方針が描かれているわけですが、一つ目、二つ目で進めているうちに、最後に三番目になってしまうという状況が、この三番目の空き家になると思いますが、最も深刻なのが、三番目の利活用が見込めない空き家を除却、跡地活用をしていくという、腐朽、破損のある空き家という表現になっておりますが、そうならないために一つ目、二つ目の対策が重要になるわけであります。
 この二つが予防的な施策となるわけですが、ゆえに空き家施策で最も重要なのは、また最も対策が急がれるのは、既に腐朽、破損している空き家となるわけでして、実施方針案では、都内の空き家八十一万戸のうち、腐朽、破損の空き家が、つまり壊れた空き家が十二万戸あり、その中には空家特措法に基づく特定空き家等が含まれていることから、修繕や除却等の適切な管理が求められると述べられております。
 壊れた空き家は、地域に悪影響を及ぼすことのないように対策が必要ですが、本来、除却すべきものが除却されないことにこそ問題があると思います。
 空き家の除却では、空き家対策の実施主体である市区町村の役割が重要でありますが、現在、除却すべきものが除却されないということは、市区町村の実施体制にも課題があると考えられますが、都の見解をお伺いいたします。

○土屋企画担当部長住宅市場担当部長兼務 空家特措法に基づく代執行を例に挙げますと、法の施行以降、令和三年度末までの七年間で実施した自治体が、都内で八自治体にとどまっております。
 その一因として、空き家所有者の特定や法に基づく指導、助言、勧告、命令などの一連の措置を実施するために必要なノウハウや、マンパワーの確保に課題を抱える市区町村があると認識しております。
 あわせて、代執行に係る経費を所有者から回収できなかった場合は、市区町村の負担になるほか、所有者への除却費補助の負担なども含め、財政的な課題を抱える市区町村もあると考えております。

○谷村委員 ただいまのご答弁で二つの課題、市区町村にはノウハウやマンパワーの不足、そして財政的な課題を抱える自治体があるということであります。
 そこで、まず市区町村による管理不全の空き家の修繕や除却を促進するために、都による財政支援の強化が必要だと思いますが、見解をお伺いいたします。

○土屋企画担当部長住宅市場担当部長兼務 都は、市区町村が空き家等対策計画などに基づき、適切に管理されていない老朽空き家の除却等を行う場合や所有者等に除却費用の補助を行う場合などに、市区町村に対し補助を行っております。
 これまで、跡地を公的に活用する際の老朽空き家等の除却にかかる費用に対して二分の一の補助を行ってまいりましたが、来年度は、跡地要件のない老朽空き家等の除却にも対象を拡大し、補助率を三分の二に拡充いたします。
 あわせて、崖地や狭小敷地等に立地し、割高となる工事費につきまして、補助金を増額できるようにするなど、より活用しやすい制度に見直してまいります。

○谷村委員 方針案を読むだけでは、東京都のやる気度というのが正直いってあまり感じられなかったわけですが、こうして具体的にご答弁をいただきますと、この対策強化に対して期待感というものが湧いてまいりますが、この補助金の上限額というのは、もう決まっているのでしょうか。

○土屋企画担当部長住宅市場担当部長兼務 上限額につきましても、除却に係る経費の額の五分の二、四〇%から十五分の八、五三%に拡充をいたします。

○谷村委員 財政的な支援をしっかりとお願いしたいと思いますが、もう一つの課題であるノウハウやマンパワーが不足している市区町村に対して、技術的な面からも支援することが重要と考えますが、そちらの方はどういった支援になるでしょうか。

○土屋企画担当部長住宅市場担当部長兼務 マンパワーの不足につきましては、調査等の外部委託や専門家の支援を受ける費用などを支援する補助制度の活用を促してまいります。
 また、都内の全市区町村が参加する東京都空き家対策連絡協議会を定期的に開催し、先進的な取組等について情報共有を図るとともに、ワーキンググループなどで、空家特措法の措置の円滑な実施などの課題解決に向けて、共同で検討できる場を設けておりまして、こうした取組を強化し、市区町村のノウハウのさらなる向上を図ってまいります。

○谷村委員 修繕や除却がなされず、長期間放置されて管理されていない空き家は、強風による屋根の落下、あるいは放火等による火災、ごみの不法投棄など防災、防犯等の面で地域住民の生活環境に様々な問題を引き起こす、あるいは引き起こしている懸念があります。
 空き家は本来、所有者の責任において適切に管理されるべきではありますが、地域にこうした空き家が一軒でもあると、近隣住民の方々は不安に感じられております。
 こうした不安を解消していくために、都としても、空き家の所有者に対して市区町村と連携した普及啓発が必要だと思いますが、見解を求めます。

○土屋企画担当部長住宅市場担当部長兼務 都は、民間事業者が行う空き家の適切な管理に係るセミナーや個別相談会への支援を行っているほか、東京空き家ガイドブックを発行し、市区町村の窓口で配布するなどの普及啓発に取り組んでおります。
 来年度は、新たに空き家管理のコストやリスク、残置物の処分など除却に関する留意点等を整理した住まいの片づけガイドブックを作成し、市区町村等と連携して空き家の所有者等に向けて普及啓発を行い、空き家の除却等を促すことにより、近隣住民の不安軽減につなげてまいります。

○谷村委員 近隣住民をも対象に相談対応をしている自治体もあります。こうした取組が広がるよう協議会を通じ、市区町村に情報共有を図っていただきたいと思います。
 十日前の三月三日には、空家対策特別措置法の改正案が閣議決定されました。空家等管理活用支援法人については、市区町村長は空き家等の管理や活用に取り組むNPO法人、社団法人等を空家等管理活用支援法人として指定をする。そして、空き家等の管理の確保については、市区町村長は、放置すれば特定空き家等になるおそれがある空き家等を管理不全空き家等として指導、勧告をする。そして、勧告を受けた管理不全空き家等の敷地は、固定資産税の住宅用地特例を解除する。そして、特定空き家等の除却については、市区町村長に特定空き家等の所有者等に対する報告徴収権を付与。そして、特定空き家等に対する命令等の事前手続を経るいとまがないときの緊急代執行制度を創設する。そして、所有者不明時の略式代執行、緊急代執行の費用徴収を円滑化。そして、市区町村長に財産管理人の選任請求権を付与すると。
 こうした法改正も、これからになるんだと思いますけれども、よく見定めていただき、空き家対策に全力で取り組んでいただきたいと思います。
 次に、EVの普及についてであります。
 EV元年になるといわれた昨年は、国内でも軽自動車EVが販売開始となるなど様々なEVが開発されました。電気自動車ですね。一つは、日産自動車と三菱自動車が共同開発した軽EVを春に発売、ベース車種の価格は、補助金込みで二百万円を切る水準に設定され、事実、日産のサクラは、先行受注が想定をはるかに上回る一万一千四百台を超えていて、日産の他のEVに比べても好調な滑り出しをしたとしています。
 また、三菱自動車のeKクロスEVもおよそ三千四百台と目標にしていた四倍近い受注を獲得したということでした。これが一つ。
 そしてもう一つは、トヨタ自動車が本格的にEV市場に参入したということであります。トヨタは、スバルと共同開発したEV専用のbZシリーズの新型車をはじめ、十六の車を発表しています。第一弾のSUV、bZ4Xをはじめ、SUV三種類とセダン一種類のデザインも公開しました。二〇三〇年までに三十種類のEVを展開し、ラインナップを充実させていくとしております。何はともあれ、世界最大メーカーのEV本格参入が大きいとされています。
 しかし、その一方で、二〇二二年は年初にEV普及元年と盛んに叫ばれたが、消費者心理としては九割弱がEV購入予定にはないとされ、駐車場予約アプリを運営するakippaが昨年七月、同アプリのユーザー千七十九人を対象にEVに関するアンケートを実施し、その結果が十一月に発表されました。それによると、回答者の八六・三%が今後のEV購入について購入予定はないとして、衝撃的な数字とされました。
 EVを欲しいかという質問に対して欲しい、あるいはとても欲しいと回答したユーザーの合計は僅か一八%にとどまったと。
 一方、今は欲しくないが将来的には欲しいというのが四七・四%と約半数を占めたといわれております。
 将来的には欲しい、あるいは欲しいと思わないと答えた人たちに、その理由を尋ねたところ、一番高かったのが車を買い換える予定がない、二五・七%、その次に来るのが、自宅駐車場、これ月ぎめの駐車場も含めて、自宅駐車場で充電できないというのが一九・七%、出かけた先で充電できる場所が少ない、一九・三%、EV車の価格が高いというのが一六%というふうになっておりまして、実際に都内集合住宅への充電器設置数は、令和三年度末、これはEV元年の前年になりますけれども、その時点で累計三百九十三基にとどまっております。
 都の環境局は、二〇三〇年までのカーボンハーフ実現を目指し、都民の約七割が居住する集合住宅への充電器設置に向け、今年度から自動車メーカーや充電事業者などが参加するマンション連絡協議会の立ち上げやオーナー向け相談会の開催などに取り組んでおります。
 EVの普及と充電器の設置が進まない中で、約七万戸の一般賃貸住宅と、それに附帯する二万二千区画の駐車場を管理する東京都住宅供給公社が来年度、率先して駐車場に充電器を設置するとのことであり、政策連携団体としての積極的な取組として評価するものであります。
 来年度予算案で、既存の公社住宅の駐車場に普通充電器を設置する経費四千五百万円を都として計上しておりますが、幾つか質問させていただきたいと思います。
 まず、これまでの公社住宅でのEV用の普通充電器の設置状況についてお伺いをいたします。

○今井連絡調整担当部長 東京都住宅供給公社は、平成二十五年度から環境負荷低減の取組といたしまして、一般賃貸住宅の駐車場においてEV用の普通充電器を設置してきておりまして、設置数は令和三年度末時点で二十五団地、五十基となってございます。
 このうち、新築の際に設置したものは四団地、八基、既存の住宅に設置したものは二十一団地、四十二基でございます。

○谷村委員 来年度は、こうした公社の頑張りだけに依存するのではなく、この費用負担については都が負担をしていく、普通充電器を設置していくとのことですけれども、都としての具体的な取組についてお伺いいたします。

○今井連絡調整担当部長 民間の賃貸住宅での充電器設置におきましては、居住者の利用ニーズの把握や設置費、維持管理費のコストなど様々な課題がございます。
 そのため、来年度は公社の既存住宅の駐車場におきまして、都が設置費用を負担して電気ケーブルを通す配管のみの整備を含め、二百区画に集中的に充電設備を設置することにより、民間集合住宅への設置拡大に向けた機運醸成を図っております。
 さらに、居住者に加え、団地周辺住民も対象にEV需要喚起に向けた広報や啓発イベントなどを開催し、メリットなどを広く伝えまして、EV利用の普及を行ってまいります。

○谷村委員 来年度設置するこの二百区画ですけれども、充電器を配置する区画と、それから配管のみを整備する区画があるということですけれども、なぜこの配管のみを整備するのか、その方法を取るのかお伺いをいたします。

○今井連絡調整担当部長 充電設備の設置に当たりましては、配管の設計、工事に比較的時間を要することから、充電器の設置場所と電気室など等を結ぶ配管をあらかじめ敷設しておくことにより、今後、利用ニーズの拡大に応じて充電器を設置する際には、この配管に電気ケーブルを通すことで、迅速に充電器を利用できるようにしてまいります。

○谷村委員 既存団地にも設置するということですけれども、どの住宅に設置していくのか、その選定方法についてお伺いをいたします。

○今井連絡調整担当部長 各団地の居住者からのこれまでの設置要望の状況に加えまして、最新の利用ニーズを把握するため、先月、全居住者を対象にEVの利用意向に関するウェブアンケートを実施しておりまして、現在、集計分析中でございます。これらにより得られた利用ニーズを踏まえまして、各団地の電気容量や配管の経路なども勘案の上、設置する団地を順次決定してまいります。

○谷村委員 充電器の設置とともに、このEV等の普及促進に向けた居住者の方々への働きかけ、先ほども申し上げましたけど、消費者マインドはそんなに熱くなっていないという状況もあります。
 そこで、しっかりと働きかけをして、環境対策に資するようにしていかなければいけないと思いますが、どのような取組をされますか。見解を求めます。

○今井連絡調整担当部長 公社は、居住者のEVやFCVへの買換えや購入を後押しするため、EVなどを保有する居住者を対象に、本年二月から令和十年一月末まで最長で五年間、駐車場の月額使用料を二〇%減額する普及促進策を開始したところでございます。
 こうした取組などを居住者向け広報紙やホームページで広く周知しまして、EVなどを利用しやすい環境づくりを積極的に進めてまいります。

○谷村委員 最長五年間、駐車場の月額使用料を二〇%減額するという思い切った取組に敬意を表します。しっかりと、この点もご理解いただいて促進いただけますように、よろしくお願いいたします。
 続きまして、宅建業者免許等の申請手続のデジタル化について質問します。
 住宅政策本部においては、昨年三月に策定した東京都住宅マスタープランにおいて、宅地建物取引業免許や宅地建物取引士資格登録などの申請等手続について、申請者等の事務負担の軽減、利便性の向上と行政事務の効率化を図るため、国等との調整を図りながら、デジタル化を推進すると明記しております。
 宅建業の手続のデジタル化において、申請する宅建業者の方々の手続を代行し、ユーザーである宅建業者の方々の実情にも精通しておられる行政書士の方々のご意見も、お聞きすることは大変に重要であります。
 一方、宅建業法に基づくものであるため、国がデジタル化に踏み出さない限り、都としてもデジタル化を進めるということは大変困難であると思います。
 行政書士会の方々のご意見を踏まえた宅建業関連の手続のデジタル化について、現在の状況、取組状況についてお伺いをいたします。

○鈴木民間住宅部長 これまで都は、宅地建物取引業免許等の電子申請化を進めるに当たりまして、行政書士の団体及びその会員に対して意見聴取等を実施し、大臣免許、知事免許、宅建士登録の手続は密接に関連し合うものであり、免許の種類や都道府県により電子申請の方法が違うと利便性が低くなる、また、電子申請においても代理申請を可能とするようなシステムを設計してほしいなどの要望もいただいております。
 行政書士は、宅地建物取引業に関する数多くの申請に関与しており、その中で培われた経験に基づくご意見は、非常に有用であると認識しております。
 こうした要望などを踏まえ、都は、大臣免許、知事免許、宅建士登録の申請手続につきまして、全国共通で誰もが使用しやすいシステムを構築するよう国に要望しております。

○谷村委員 大臣免許のところだけ国が電子化をして、後の知事免許はどうぞ都道府県でやってくださいという、こういうスタンスについては大変問題があると思います。
 東京で申請する場合は東京のIDを取得しなきゃいけない、埼玉でやる場合は、また神奈川でやる場合は、そして国でやる場合と別々のIDを取得するというだけでも結構金額的にもかかるようですので、これはしっかりと国にも働きかけていただきたいと思います。
 宅建業免許等の申請手続の電子化の推進において、国と都道府県とで一本化するとともに、引き続き行政書士の方々が代理人として申請手続できるよう、強く要望いたしておきます。
 この行政書士の方々は官公署に提出する書類の作成、申請等をなりわいとしておられ、様々なノウハウを有しておられます。電子申請システムの設計に当たっても、行政書士の方々の知見、経験を生かし、活用することは宅建業者と都の双方にとって、より合理的なシステム構築のため必要なことであります。
 引き続き、現場のご意見をお聞きしながら、誰もが使いやすいシステムの構築を進めるべきだと思いますが、令和五年度の取組についてお伺いをいたします。

○鈴木民間住宅部長 都は、令和五年度予算案におきまして、宅建士登録申請等手続の電子化分析及び要件定義書作成について計上しており、国の動向を踏まえつつ、申請手数料のオンライン収納や国とのデータ連携に関する調査、分析等を行うことを予定しております。安全・安心で利便性の高いシステムの構築に向け、行政書士の団体をはじめとした関係団体の意見をしっかりとお聞きし、それが反映されるよう国と密接に連携して取り組んでまいります。

○谷村委員 ありがとうございます。既に国では、GビズIDが先行して使われておりますので、これ以外にいっぱい持たなきゃいけないとなると大変な作業になります。宅建業に関連しても、このGビズIDで対応できるようにしていただくよう、国に要望していただくことを要望いたしておきます。
 続いて、都営住宅における手続のオンライン化について質問します。
 東京都の申請手続のオンライン化を進めている中で、当初、都営住宅の応募手続のオンライン化は非常に難しいとされてきました。その理由は、既に都営住宅管理総合システムというのがあって、それを運用しているので、そのシステムに新たに組み込むことが難しいというご説明でした。
 おっしゃるとおりだなと思いましたけれども、大変なところから手をつけていただきたいという趣旨で、一昨年の都議会予算特別委員会の締めくくり総括質疑において、早期の申込手続のオンライン化を改めて要請をさせていただきました。
 その際の榎本住宅政策本部長は、令和三年度、二〇二一年度に都営住宅の募集オンラインシステムを開発し、システム開発後、令和四年、二〇二二年一月頃を目途に毎月募集で先行実施をし、その後、抽せん方式による募集やポイント方式による募集などについて、順次オンライン化をしていくとのご答弁でありました。
 都はその後、前後は多少ありましたけれども、都営住宅については原則全ての募集でオンライン申請を可能としました。大変なご苦労があったことと思いますので、改めて御礼を申し上げます。
 また、募集した側の方でもオンライン化によって、かなりの業務改善が進むのではないかと思っております。行政手続のデジタル化は喫緊の課題であり、募集の申込みだけでなく、入居後の申請や届出の手続においても、対象を広げていっていただきたいと思っております。
 都営住宅では、入居後も毎年の収入報告など多くの手続があり、課税証明書などの公的書類の添付が必要となってまいります。こうした毎年の収入報告をはじめとした申請や届出の手続については、マイナンバーを活用した添付書類の省略なども含め、入居者サービスの向上と負担軽減を図るため、オンライン化を進めていくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○都築経営改革担当部長 都は、都営住宅に係る手続について、東京デジタルファースト推進計画において重点的にデジタル化を図るべきものとしており、都営住宅管理総合システム再構築と併せたオンライン化を令和八年度に予定しております。
 入居者が行う手続では、住民票や住民税課税証明書など公的書類の添付を必要とするものが多く、公的書類を取得する負担軽減が重要でございます。
 今後、マイナンバーの活用により、公的書類の添付を省略可能とすることなども視野に検討を進め、オンライン化に向けて取り組んでまいります。
 また、令和五年度早期に口座振替依頼書の請求などの申請等については、東京都行政手続クラウド申請を活用し、先行してオンライン化してまいります。

○谷村委員 ありがとうございます。どんどんお願いをしたいと思います。
 人口減少にはAI、人工知能の活用で対応し、超高齢社会にはDX、デジタルトランスフォーメーションで対応していく、この人類の進化、直面する課題に適切に対応するための科学技術の進展であり、活用であります。ぜひとも、時代の要請に応じた取組を引き続きよろしくお願いいたします。
 とはいうものの、超高齢社会の到来の速度に、このDXのスピードが追いついていないことも事実であります。
 ある都営住宅の敷地の中にあるクリニックのドクターの方がおっしゃっていた言葉が忘れられません。それは、都営住宅での超高齢化の実態が、そのまま十年後、十五年後の東京都の姿ですよというものです。都営住宅での超高齢化対策が、そのまま地域社会の超高齢化対策につながってまいります。
 そこでまず、都営住宅における移動販売、これは画期的なことでありましたけれども、この移動販売について質問させていただきます。
 都営住宅において、買物弱者対策として都営住宅の敷地内での移動販売を実施していただいておりますけれども、現在の実施状況と拡大に向けた都の取組についてお伺いをいたします。

○宮島都営住宅企画担当部長 都は、買物弱者支援に取り組む市区町と協力し、民間事業者による定期的な食料品や日用品等の移動販売サービスを実施しております。平成二十九年の開始以来、毎年度拡大しており、現在は十市十一区一町で七十一の移動販売が行われています。
 本事業は、居住者の利便性を向上させるとともに、居住者や近隣の方々が顔を合わせるため、地域コミュニティの活性化にも寄与すると考えております。
 今後もホームページやSNS等を活用し、都民や民間事業者へ本事業を効果的に周知するとともに、市区町に対し積極的に働きかけ、導入の相談に丁寧に対応するなどして、移動販売の拡大を推進してまいります。

○谷村委員 本事業は、居住者の方々の利便性を向上させるとともに、地域コミュニティの活性化にも寄与するものであります。今ご指摘のとおりでございます。
 現在、十市十一区一町の七十一団地で行われているというご答弁でしたけれども、そのうち東村山市では、多摩湖町四丁目住宅、萩山町三丁目住宅、諏訪町一丁目住宅、富士見町五丁目住宅と拡大をしていただいておりまして、これに加えて、東村山市では公園などの敷地内で七か所、合計市だけで十二か所の移動販売が行われております。
 市区町村が実施主体となって行われているわけですけれども、都営住宅内の敷地でも、今後とも必要に応じて随時拡大をお願いしたいと思います。
 そして、都営住宅の建て替えによって創出された用地において、東大和市の東京街道団地では、新たなプロジェクトが進められております。そのコンセプトとなるのが医療、介護、食料、この食料には日用品も含まれますけれども、これを訪問、配達、配送型に大きく変えていく。そして、それによって都営住宅の建物、あるいは敷地がそのままあたかも社会福祉施設であるかのような取組、そういうプロジェクトが進められております。
 建て替え事業の中で、新たに完成する公園、広場の整備と併せ、このプロジェクトの概要と現在の進捗状況についてお伺いします。

○木村再編利活用推進担当部長 東京街道団地地区では、建て替えにより創出した約一・三ヘクタールの用地を活用し、地域の身近な生活やコミュニティを支えることを目的に民間活用事業を進めております。
 宅配サービスなどを実施する商業施設や在宅医療を行う診療所、訪問介護施設などを設置予定であり、来年度着工に向け設計が進められており、令和六年度開業を目指してございます。
 また、本事業エリアからの人の流れにも配慮し、広々とした芝生がある公園やサッカーもできる多目的広場も来年度着工に向け設計を進めており、令和六年度に竣工予定でございます。

○谷村委員 都の事業として、令和六年に大きく生まれ変わる東京街道団地の建て替え事業によって、まちが変わっていくという、またこれからのニーズに合ったまちづくりをしていただくということで、大いに期待をいたしております。
 尾崎都議のご主人が東大和の市会議員をやっておられて、何かあたかもその方がこのサッカー場をつくったかのような宣伝をされているんですけれども、あくまでも都の事業として進めさせていただいていることですので、はっきりと申し上げておきます。
 次に、都営住宅の運営……(発言する者あり)だから、尾崎さんがやったんじゃないということもはっきり申し上げておきます。
 次に、都営住宅の運営という角度から超高齢化を踏まえて、抜本的な対応が必要であるという視点から質問させていただきます。
 まずは、都営住宅の自治会支援の拡充についてであります。
 現実的に、高齢化により管理業務の実施が困難になっている団地が多数あり、その放置は許されず、対応が必要となっております。
 その例として、廊下や自転車置場、敷地内の緑地など共用部分の清掃があります。自治会によっては、体力や体調、仕事など様々な事情から清掃活動への参加が難しい居住者の方からは、負担金を徴収している事例も見られますけれども、そもそも実際に従事してくださる居住者の協力を得られなくては、この清掃活動の継続は困難な状況にあります。
 現在、自治会から住宅供給公社に対し、共益費の徴収と併せ、管理業務の一部を委託できる制度がありますが、都議会公明党には、そうした事情を抱える自治会の皆様から、そのメニューの中に清掃業務を追加して、住宅供給公社に委託できるよう整えてもらいたいというお声が寄せられております。
 そこで都は、都営住宅自治会の負担軽減のために、エントランスホールや共用廊下、ごみ置場等の清掃も直接徴収事業の対象に追加すべきであると考えます。見解を求めます。

○宮島都営住宅企画担当部長 都営住宅の管理に当たっては、社会情勢の変化や居住者ニーズに的確に対応していくことが必要でございます。
 都は、高齢化の進展を受け、都営住宅の共用部分について居住者が自ら行っている草刈り等の作業の負担を軽減するため、都が代わって作業を行い、その費用を居住者から共益費として徴収する仕組みを平成二十九年度から導入しております。
 今後、居住者の高齢化を踏まえ、自治会等の意向を確認した上で、エントランスホールや共用廊下等の清掃も本事業の対象に追加することを検討してまいります。

○谷村委員 ぜひともよろしくお願いをいたします。自治会が存在しないと運営できないというのが都営住宅の現状であります。それが今高齢化によって、なかなか自治会としての活動にも限界が来ているという状況、そこを今ここでバックアップをしておかないと、都営住宅の運営の仕方、在り方そのものを根本から見直さなければいけない状況に、既になっているかもしれませんけど、今後なっていくと思います。
 私は平成十三年に初当選させていただきまして、その直後には、ある都営住宅の自治会長さんからいわれました。この頃から既に高齢化は進んでおりまして、自治会による運営業務には限界が来ているというお声でした。十三年です、平成十三年。共用部分の電気代などの回収を自治会が行っていますが、役員の高齢化と協力しない人が増えて大変です。公社住宅のように、都が家賃とともに居住者から共益費を徴収するよう求めたわけですけれども、当時の住宅局のご説明では、このシステムに変更するには何億円もかかるので難しいということでありました。
 その自治会長がおっしゃるには、そもそも東京電力と自治会が共用部分の電気代についての契約を交わしていないと。しかし、滞納すると請求が自治会宛てに来ると。おかしいじゃないかというものであります。
 それから十年かかりましたけれども、平成二十三年から電気代について、共益費を東京都が徴収して支払うというモデル事業が三つの都営住宅で始まりました。私が強く求めましたので、先ほど申し上げました東大和市の東京街道団地、町田市の金森団地、中央区の勝どき団地であります。
 現在は、東京都が徴収する共益費の範囲が拡大され、水道料金、共用灯、街路灯の電管球の交換作業、草刈り、中低木の刈り込み、剪定、落ち葉の清掃、落葉時期のみでしょうけれども、ただ、ここで申し上げたいのは、東京都が徴収する際の手数料が高過ぎると。先ほども申し上げたとおり、これは普通に東京都が管理費を徴収するぐらいでいないと、必ず行き詰まってしまうと思います。山口本部長、もうぜひとも理解をしていただきたいと思います。
 その次の課題に入りますが、管理業務を住宅供給公社に委託できる自治会は、運営力という点では、まだ良好な状態が維持されているといえるかもしれませんが、中には自治会すら結成されていない、あるいはかつては結成されているけれども、現在では機能していない状態にある自治会も存在しております。
 それらの団地では、辛うじて会計だけを担っていただける居住者の方々が共益費を居住者から徴収し、支払いだけを続けているという状況にあります。
 先日、都議会公明党に、自治会の会長以下役員の方の年齢が八十歳代から九十歳代という団地の方からご相談をいただきました。ウクライナから避難されてきた多くの方々も受け入れてくださっております。できる限りのご対応に努めていただいておりますが、どの役員も年齢がかさみ、来年度の任期継続は不可能と実感されているようであります。しかし、役員の成り手がおらず、限界に達しているというものであります。
 都は、住宅政策として民間の分譲マンションに対しては、管理状況の届出制度を整え、管理組合による適切な維持管理に向けて支援に努めているところでありますが、改めて都営住宅の自治会が抱える様々な困難の内容を把握し、その負担軽減に向けた取組を強化するべきであります。
 そこで都は、団地内の管理が適切に行われるよう、例えば管理会社のような総合的な組織をつくり、その組織が該当団地の居住者をサポートしていくといった体制を構築するべきと考えますが、見解を求めます。

○宮島都営住宅企画担当部長 都営住宅の自治会等は団地のコミュニティの中核を担い、共用部分の管理を行うなど重要な役割を果たしております。しかし、近年、居住者の高齢化等により担い手が減少し、運営に様々な影響が生じています。
 そのため、都は、平成二十九年度に共益費を居住者から徴収する仕組みを開始するなど、自治会等の活動を支援してまいりました。
 今後、自治会等が抱える課題について調査を実施し、団地の管理運営が著しく困難な状況になっている場合等には、現場の声を直接聞いて解決策を検討するなど居住者に寄り添った対応を行ってまいります。

○谷村委員 ぜひともよろしくお願いいたします。団地内の管理業務において、台所などからの排水管清掃は、圧をかけて管内を清掃する必要があるため、この自治会等が清掃事業者に委託しなければならない状況です。
 しかし、自治会が適切に運営されていない場合には、こうした排水管清掃が実施されず、その状態が積み重なることで排水管が詰まったり、それによって住戸内が水浸しになる事故にもつながりかねない状況にあります。
 そこで都は、自治会などで実施しているこの排水管清掃、これが適切に行われているかどうかを把握し、対策を検討するべきと考えます。見解をお願いいたします。

○小林営繕担当部長 排水管清掃につきましては、多くの自治会等が居住者から費用を徴収し、事業者に委託を行い実施していますが、都が費用を共益費として徴収し、清掃を代行する制度を利用している自治会等もあります。
 しかしながら、自治会等の中には居住者の高齢化等により、その運営が困難となり、代行制度も利用できず、排水管清掃の実施に苦慮する状況もあると聞いております。
 このため、今後、自治会等に対して排水管清掃の実施状況を調査し、現状を把握した上で対応を検討してまいります。

○谷村委員 自治会の大変な状況、自治会あっての都営住宅の管理運営ができている、それを本当に今こそバックアップをして、超高齢社会に備えていただきたいと思います。これは都営住宅の運営の根幹の一つ。
 そしてもう一つ、この根本的な課題について質問をさせていただきます。
 それは、型別供給基準の問題であります。都営住宅は世帯人数に応じた間取りや面積の住宅を提供する型別供給基準を行っております。これ自体は、私はそのとおりだと思います。やるべきだと思います。
 入居後に世帯人数が増えても、居住部分の一人当たりの面積規定に該当しなければ住宅変更が認められないと、ここに問題があると私は思っております。
 多摩地域の都営住宅では、通常の募集、年間の公募、あるいはポイント募集の四回を募集しても応募がなかったという住戸がいっぱい出てまいりまして、そうした住戸は毎月募集に回されて、毎月募集でも希望者がいなかったら随時募集に回されるという。随時募集というのは、もう届ければ入れるという都営住宅であります。要するに、こうした状況が多摩地域に増えておりまして、私の地元、まずは東村山でもそういう状況が起こっております。
 要するに、既に都営住宅の型別供給基準の面積規定、型別供給基準という考え方、理念は分かりますけれども、そこで示されている面積規定というものが都民ニーズに合っていないということを、山口本部長をはじめ、都営住宅経営部の皆様、また住宅政策本部の皆様によくよくご理解をいただきたいと思っております。
 これはさっきの自治会の問題の根本的な課題と、もう一つの都営住宅の根本的な課題であります。
 私どもの度重なる要望を受けて、都は一部の団地であっせん基準の緩和が始まります。どうやっても入らないんで、じゃあ緩和しようということで、二人の世帯でも四DKに入れるようになったり、三人でも四DKに入るようになったという状況があります。
 しかし、その結果として、既に五人で三DKに住んでいらっしゃるのに、その四DKの部屋に移りたい、いや、それは型別供給基準の問題があるから駄目ですよ、でも、四DKに二人で入った世帯が二世帯あって、三人家族で入った世帯が一世帯、目の前で入っていらっしゃる方がいらっしゃるわけです。なぜこれ入れたんですかって聞いても、自治会長はその感想をおっしゃっていました。今回入居された方は荷物が多いので四DKになったのかなとか、うちはラッキーだったとか、そうすると三DKで五人でお住まいの方も、荷物があるんで四DKに移りたいと二回希望されたんですけれども、駄目でしたって。これは面積規定の問題であります。
 これすぐに改善していただきたいと思いますけれども、都営住宅の居住者で世帯人数が増えた場合、例えば、取り急ぎ他の都営住宅であれば申込みができるように、都営住宅に住んでいる場合は、新たな別の都営住宅に申込みできないというルールになっておりますけれども、今の面積規定で動けない場合は、この広い住宅でお申込みができるというような対策を講じるべきと考えますが、見解を求めます。

○宮島都営住宅企画担当部長 住宅変更は、都営住宅の居住者が入居後の世帯構成の変化や加齢等に伴い階段昇降が困難になるなど、現在の住戸に継続して居住することが難しい場合に、公募の例外として許可しております。
 一方、新規入居の際のあっせん基準の緩和は、募集における住戸あっせん基準の弾力的な運用として多摩地域で実施しており、これまで応募なしとなった比較的広い住戸にも応募があるなど、都営住宅ストックの有効活用に一定の効果が出ております。
 こうした状況も踏まえ、現在、都営住宅の居住者は原則として都営住宅の募集に応募できませんが、令和五年四月からは、多摩地域の住宅に限り応募を可能にいたします。住宅変更につきましては、都内全体の居住状況等を考慮しつつ適切に対応できるよう、制度の見直しを検討してまいります。

○谷村委員 制度の見直しを検討していただくということで、令和五年度から、四月一日から他の都営住宅にお申込みできるということで今ご答弁をいただきました。
 この問題の大きなネックとなっているのは、繰り返しになりますけれども、型別供給基準の面積規定でありまして、それが何かというと、一人当たり畳二・四畳という、これがある限り、三DKで五人になっても、二・四畳で割るとまだ、平均で割ると一人当たり二・四畳以上あるから、二・五畳、六畳あるから、五人でも三DKのまま、四DKには行けませんよというこの二・四畳なんですけれども、この二・四畳がおかしいと思いませんか。今の住宅状況で。
 だから、募集をしても応募がなかったり、毎月募集に回しても入りたいという人が出てこなかったり、随時募集にしても余っているわけです。二十三区の方は信じられないかもしれませんが、そういう状況に多摩地域はなっております。
 今からちょうど五十年前の一九七三年、これ九月だそうですけれども、南こうせつとかぐや姫の神田川という曲、これは作詞家の喜多條忠さんが、早稲田大学の在学中に恋人と神田川近くのアパートで暮らした思い出を歌詞にして、その青春の悲しみが当時の若者の共感を呼んで大ヒットした曲とされております。
 ここに出てくる有名な歌詞、大体、世代的にはお分かりだと思いますけど、ここに出てくる有名な歌詞が、三畳一間の小さな下宿、あなたは私の指先見詰め悲しいかいって聞いたのよという有名なくだりがあるわけですけれども、五十年前の大学生の下宿の間取りで三畳一間なんです。
 今五十年たって、何で二・四畳で一人分で、そういう二DK、三DKとか一DKという計算になるのか。
 山口本部長、これだけ繰り返しお名前を呼んで恐縮ですが、都営住宅をこれから維持していくために、自治会をしっかり守り支えていくことと、そして、こういう都民の皆様の住宅ニーズに合わせていくこと。
 公明党は、戦後復興期には住宅政策として、一世帯一住宅というものを掲げます。それぐらい一つの住宅に、何世帯もの人が一つの住宅に住んでいるという時代がありました。それ以降、高度経済成長期に当たって、一人一室が提供されるべきだという住宅政策を進めてまいりましたけれども、数の上ではそうなったんですね、五〇年代、六〇年代に入って。
 今、民間の住宅が余っているから、二十六万戸の都営住宅は増やせませんよと数の上ではそうなのかもしれませんけれども、この多摩地域における都営住宅のニーズというものは、この二・四畳というところだったら入らない。もう応募がないというところまで来ているということをぜひ受け止めていただきたいと思います。
 この二・四畳のお話を踏まえて、畳の話を続けさせていただきますけれども、この畳というものがいかに日本文化を代表しているのかというのが、先ほど神田川の曲でも一節出てまいりますが、近年、民間事業者によって新築されるマンションや戸建て住宅では、洋室のみ、特にフローリングですね、洋室のみというものがほとんどで、和室のある物件が急激に減少しているように見受けられます。多くの方が、都内の中でもマンションにお住まいという時代に入りました。
 畳が敷かれた和室は、ある意味で多目的に使えるほか、畳にはリラックス効果、あるいはふすまや障子などとともに、室内の湿度を一定に保つ機能があるなど様々なよい面が評価されております。
 先日、東村山市茶道華道睦会の創立五十周年の記念の式典にお招きをいただきました。茶道、お茶ですね、華道はお花ですけれども、こうした日本文化、茶道、華道においても、畳という存在があって、この日本文化というのが承継されているわけであります。
 そこで、都営住宅の建て替え工事における畳の使用、どういう状況になっておりますか、お伺いをいたします。

○中山技術企画担当部長 都は、都営住宅の標準的な間取り、仕様などを定めた基準設計に基づき、全ての住戸において、居室のうち一室を畳敷きの和室とすることとしております。畳については、畳床は稲わら、畳表はイグサを使用しています。
 建て替え工事における令和四年度の畳の使用実績は、三十七棟二千五百五十二戸で、一畳もの一万五千三百十二枚でございます。

○谷村委員 都営住宅の整備においては、全ての住戸について一部屋を必ず和室にしていただいている。今、初めてお伺いしましたけれども、年間一畳単位で一万五千三百十二枚、半畳じゃなくて一畳で一万五千三百十二枚、これ令和四年度の実績として今お答えをいただきました。
 これはご存じない方も多いかと思いますけれども、この多くの畳を毎年継続して、都営住宅の建て替えで一万五千枚使い続けていただいているということが、実は日本文化を継承していく意味においても、何よりも重要な取組になっているわけでして、住宅を提供していくという大きな使命でもありますけれども、そこに一室必ず畳を入れていただいているということが、この日本文化の支えにもなっているわけであります。
 死ぬときは畳の上で死にたいとかという言葉がありますけど、逆で、畳の上では死ねないぞという、その人の生きている間の生きざまによっては畳の上で死ねないということは、イコール不幸という意味合いで使われていた時代があるようですけれども、この畳の使用を今後も継続していただいて、そのよさを生かした日本の住宅文化を守っていただきたいと思います。
 そこで最後になります。都営住宅の建て替え事業に関してでありますが、二十六万戸の都営住宅等は東京都最大の公共財産といっても過言ではありません。
 都は毎年度、三千八百戸を目標に都営住宅の建て替えを実施しております。
 その建て替えに当たっては、先ほど来申し上げてまいりましたが、単に更新するのではなく、時代の要請に応じた住宅、例えば、最近では地球環境対策が極めて重要であり、省エネルギー性能を高めたり、あるいは再生可能エネルギー設備の利用を促進したりするなど民間に率先して取り組んでいただくことが必要であります。
 また、先ほどの畳、この文化を守っていただくための畳工事の発注など、公共工事として小規模事業者などの方々に対して、広く受注の機会を設けていただくことも必要であります。だから間取りも考え方も先駆して、変えていただくことが日本の住宅事情を変えていくことにもなります。
 大規模団地等での建て替えは、まさに都営住宅が建て替わるというときには、周辺のまち並みがごろっと変わるような、そういう貢献もしていただくことが必要であります。
 東京街道団地のプロジェクトは令和六年度に完成をする、もうこの超高齢社会における住宅の在り方というものが、そこに創出されるわけであります。
 都営住宅の建て替え事業の果たすべき役割について、長年、住宅行政に、主に技術の面から携わってこられた久保田技監のご答弁を求め、私の質問を終わらせていただきます。

○久保田技監 都営住宅は都民共有の貴重な財産でございまして、地域の特性や老朽化の度合いなどを勘案しながら、良質なストックとなるよう計画的に建て替えを推進するとともに、都民全体のニーズを踏まえ、総合的な施策に活用していくことが重要でございます。
 建て替えに当たりましては、これまでのバリアフリー化等の取組に加えまして、脱炭素社会の実現に向けて、今後、複層ガラス窓の採用、壁の断熱材増強による断熱性能のZEH水準化や太陽光発電設備の設置拡大など省エネ化、再エネ導入の率先的な取組を実施してまいります。
 また、建て替え工事の分離分割発注を可能な限り行うことで、中小企業、小規模事業者の受注機会を確保してまいります。あわせて、工事関係書類の削減や簡素化により、受注者負担の軽減にも取り組んでまいります。
 加えて、住棟の高層集約化等により用地を創出し、地元自治体と連携して地域に必要な子育て、高齢者施設等の整備や民間活用事業による商業、医療、福祉等の生活支援機能が整った生活の中心地の形成など、地域特性を踏まえたまちづくりを誘導することとしております。
 現在、まちづくりプロジェクトを実施しております東京街道団地では、公募により選定された民間事業者が来年度工事に着手する予定でございます。
 こうした考えに基づき、地域の課題解決などにも貢献しながら、建て替え事業を着実に推進し、都営住宅が今後とも都民の住宅セーフティーネットの中核としての機能を果たすよう、積極的に取り組んでまいります。

○尾崎委員 私の方からも、都営住宅について質問していきたいと思います。
 都営住宅の入居者の皆さんから様々な要望が寄せられます。中でも、都営住宅の入居者が高齢化していることに関わる問題が最近特に増えています。
 そこで、都営住宅の入居者の年齢構成は、二〇二一年度と十年前の二〇一一年度の比較をしてどうなっていますか。

○宮島都営住宅企画担当部長 都営住宅の名義人の年齢構成につきましては、平成二十三年度末時点で六十五歳以上が五九・六%、六十四歳以下が四〇・四%でございます。
 令和三年度末時点では六十五歳以上が六九・一%、六十四歳以下が三〇・九%であり、高齢化が進んでおります。

○尾崎委員 やはりこの十年で六十五歳以上の入居者が約一〇%増えているということが分かりました。
 都は、入居者の高齢化が進む状況をどのように捉え、具体的にどのような取組を進めているのか伺います。

○青柳都営住宅経営部長 都営住宅におきましては、居住者の高齢化、単身化が急速に進展しており、高齢者世帯が安心して暮らすことができる環境整備が重要でございます。
 このため、令和元年五月の東京都住宅政策審議会答申等における提言を踏まえ、巡回管理人による見守り機能の強化、移動販売の拡大などを実施するとともに、集会所等を地域交流の場として活用する東京みんなでサロンや、入居した学生が自治会の活動を支援する仕組みを新たに創設するなどして、高齢者への生活支援サービスの充実を図っております。
 加えて、建て替えによりバリアフリー化を促進するとともに、既存の住宅においてもエレベーターの設置に加え、住戸内の手すりの設置等を進めております。
 引き続き、ソフト、ハードの両面から高齢者が安心して暮らせる環境の整備に取り組んでいくこととしております。

○尾崎委員 都として、居住者の高齢化、単身化が急速に進展していると認識して、具体的な対応を行っているということが分かりましたけれども、今回資料をお願いしたもので、都営住宅における居住内単身死亡者数の推移でも、二〇一二年度には三百四十九人でしたが、二〇二一年度には六百七十五人となっており、約二倍近くになっています。二〇二〇年度には七百五十五人と、この間最も多くなっています。
 死亡の原因や近隣の皆さんとの付き合いなどについても検証を行い、孤独死をなくすための対策を強化する必要があります。
 特に、高齢者で一人暮らしをしていれば、いつ何が起こるか分からない状況で、本人も自治会役員も不安が多くなっていると思います。巡回管理人機能の強化と東京みんなでサロンなど日常的につながりを進め、見守り活動など、もっと工夫が求められていると思います。
 自治会役員からは、具体的な相談もたくさん寄せられます。その中でも、多いのが入居者の役割と位置づけられている取組が困難になってきているということです。都営住宅は入居者の高齢化により、共用部分の掃除や草むしりが大変困難になっています。
 ある都営住宅では、九十世帯の都営住宅でシルバー人材にお願いしたとのことですが、僅か三日間で十二万五千円かかったとのことです。
 都は、このような実態についてどう認識していますか。

○宮島都営住宅企画担当部長 都営住宅の自治会は、居住者の高齢化などにより、その担い手が減少し、活動に影響が生じている実態があることは認識しております。
 また、都営住宅団地の規模や立地、共用部分の状況は様々であることから、管理費用につきましても団地により異なるものと考えます。

○尾崎委員 困難な状況は認識しているということですけれども、自治会では様々な工夫をしているということも、私もこの間聞いてきました。
 ある自治会は、元気な人たちを募って草むしり隊のようなものをつくり、その方たちを中心に月二回、草刈りをお願いしていると話を聞きました。それでも、いつまでお願いできるか不安だといっていました。
 シルバー人材にお願いしている自治会も増えていますが、先ほど紹介したように三日間で十二万五千円の負担はやはり重い負担だと思います。
 そこで、都として、草むしりの費用負担問題は放置できない問題だと思いますが、どのような対策を講じるのでしょうか。

○宮島都営住宅企画担当部長 都営住宅の自治会は居住者の高齢化などにより、その担い手が減少し、活動に影響が生じていることから、都は平成二十八年度に草刈り等の費用を共益費として徴収し、都が適正な費用で作業を代行する共益費徴収事業を創設して、自治会の負担軽減に努めております。

○尾崎委員 都は、共益費を徴収する作業などを代行し、自治会等の負担軽減に努めているということです。
 二〇一七年度から始めて、今、大体約五百自治会の代行を行っているということもお聞きをしています。代行だけでなく、草刈り費用についても都の役割として分担することも必要ではないでしょうか。
 この間、度重なる電気代の値上がりが都民の暮らしを直撃していますが、都営住宅の自治会にも影響が大きくなっています。自治会の役員の方からは、物価高騰の影響で共用部分の電気代が二割も増えて、支払いが困難になっているという声をたくさん聞きます。
 共用部分の電気代への支援を都として行うべきだと思いますが、いかがですか。

○宮島都営住宅企画担当部長 都営住宅の共用部分の電気料金は、居住者が負担することとしております。
 都は、居住者の負担軽減のため、空き住戸が一割を超える場合に共用部分の電気料金を補助する制度を設けております。また、廊下や階段、屋外の照明器具、分電盤などの電気設備の改修に合わせまして、共用部照明のLED化を実施しております。

○尾崎委員 資料でまとめていただきました都営住宅の共用部等におけるLED設置状況、設置率について五年間の推移を見てみますと、二〇二一年度でLED設置は二万二千七十二戸数、設置率は二七・四%となっています。
 LED化について、東京都住宅マスタープランの中でも、二〇三〇年までに都営住宅の全棟に設置という目標になっています。実現までのテンポをもっと早めていくことが必要です。しかし、現在の電気代高騰への対策には間に合いません。
 そこで、この間の電気代高騰分については、せめて値上がり分の半分は都が負担するなど思い切った支援を検討してほしいと要望するものです。
 次に、自治会の役員の成り手がいないことが深刻な問題になっています。自治会の現状について実態調査を行うべきですが、どうですか。

○宮島都営住宅企画担当部長 都営住宅の自治会は、居住者の高齢化などにより、その担い手が減少し、活動に影響が生じている事態があることは認識しております。
 今後、自治会等が抱える課題について調査を実施していくこととしております。

○尾崎委員 今後とも必要に応じて現状等を調査していくというご答弁でしたけれども、自治会の役員の方に話を伺うと、多くの方が高齢化で担い手がなくて本当に困っているんだと悲鳴が上がっているわけです。自分もいつまで役員ができるか不安だと、こういうこともおっしゃっています。
 そんな中で、都営住宅の近隣大学と協定を結び、学生が入居し、自治会活動を共に行うというのは、今後の大きな希望になると考えています。
 そこで、都営住宅の近隣大学と協定を結び、学生が入居できるように取組を進めていますが、実績について伺います。また、新年度ではどのように進めるのか伺います。

○都築経営改革担当部長 都は、都内の大学と連携し、学生が都営住宅に入居して自治会活動を支援する取組を進めております。令和五年三月一日時点で、六つの大学と協定を結んでおり、このうち、三つの大学の学生が三団地に計十七人入居しております。
 来年度、この取組について地元自治体とも連携を図りながら、さらなる大学の参加を働きかけ他の都営住宅においても推進していくこととしております。

○尾崎委員 この事業は、まだ始まったばかりですが、多くのところで期待の声が寄せられています。
 しかし、残念ながら、私の活動地域などでは市の中に大学がありません。この事業をもっと広げてほしい、そして近隣に大学がなくても学生が入居できるように対応してほしい、こういう声も寄せられています。ただ、学生としての本業に支障のないよう配慮することを要望するものです。
 都営住宅の自治会役員の方たちからは、東京都の使用承継を見直して、名義人の方が亡くなっても同居している子供たちが名義承継できたら自治会活動も展望が見えると、こういう話もしています。
 日本共産党都議団が行った公営住宅の使用承継についての全国調査の結果から、私は多くのことを学びました。
 大阪府では、入居者の高齢化が深刻な問題となっており、議会でも議員からの提案があって一年くらい議論したそうです。そして二〇二〇年に、一回に限ってではありますが、子や孫が入居承継の要件に入ると改正されました。
 東京都でも、使用承継の見直しなど積極的に行っていく必要があると強く要望するものです。
 次に、コロナ協力金の都営住宅の認定所得の算定について伺いたいと思います。
 都営住宅の家賃について、通知が入居者に届き始めています。家賃が上がった、コロナ対策協力金が収入と認定され、払えない家賃の通知が来て困っていると相談が寄せられています。
 コロナ協力金の支給目的はコロナ対策として自粛を要請し、それに協力してくれた事業者に支払うということです。売上げ減少への補償ではありません。事業収入と見ることは適当ではありません。
 国土交通省は、給付金の性質、効果等によって判断されたいといっているわけですから、収入認定から除外すべきですが、いかがですか。

○宮島都営住宅企画担当部長 都営住宅の使用料は、公営住宅法等に基づき、居住者の収入や建設時からの経過年数等に応じて定められる応能応益家賃制度が適用されます。その際、居住者の収入の算定方法についても法令等により定められており、住民税課税証明書等に記載されている過去一年間における所得金額によることとされております。
 感染拡大防止協力金は、営業時間短縮等の要請に応じた事業者を対象に、売上高または売上高減少額に応じて支給されており、使用料算定に際し、事業収入と見ることが適当と認識しております。

○尾崎委員 私はこの間、情報開示請求も行い、東京都が国土交通省とどのようなやり取りを行ってきたのかも明らかにし、昨年の決算特別委員会でも取り上げてきました。大事なことなので改めて紹介したいと思います。
 国土交通省は、コロナ対策協力金などについて、一時的な収入とするか否かは事業主体の判断だとしています。しかし、コロナ対策協力金を収入の算定に当たって、所得金額に含めて差し支えないが、給付金の性質、効果等により判断されたいと書いてあります。
 東京都のコロナ対策協力金は、営業時間短縮要請に応えてくれた中小企業、小規模企業に対して支給したものです。
 先ほど答弁がありましたけれども、売上高または売上げ減少額に応じて全て支給されているわけではありません。
 協力金等に対するほかの道府県の取扱い状況について、都が確認した内容について伺います。

○宮島都営住宅企画担当部長 都は、他の道府県営住宅の使用料算定における感染拡大防止協力金等の取扱いについて確認いたしました。収入から除外しているのは十七、除外していないのは二十九でありました。

○尾崎委員 昨年の決算特別委員会のときには、収入から除外している県について私も調査をしましたが、そのときは北海道、神奈川県、愛知県、兵庫県の四県だけでした。
 ところがその後、除外する県が増えて、現在では十七県が収入から除外しているという状況になっているわけです。
 この問題についても、日本共産党都議団は、全国の都道府県と政令市の調査を行いました。神奈川県、北海道、新潟県、福井県、長野県、岐阜県、愛知県、三重県、滋賀県、兵庫県、奈良県、鳥取県、香川県、長崎県、大分県、宮崎県、鹿児島県の十七県です。政令市では、相模原市、新潟市、岡山市、広島市の四市でした。
 今回、家賃の金額が決まったと通知が来た中には、飲食店を経営している方、都営住宅に入居している方は、コロナの前よりも今度の家賃が三倍にも増えてしまっている、本当に払えるのだろうか、不安だという声も寄せられているんです。
 コロナ対策協力金を都営住宅の認定所得の算定から除外するか、それとも算入するかは、国土交通省は事業主体の判断、都営住宅ですから東京都の判断だとしています。
 法的判断はどちらもあり得るわけですが、中小事業者の実態や東京都のコロナ感染対策の協力金の目的から判断するならば、コロナ対策協力金等は認定所得の算定から除外すべきだと考えます。改めて検討することを強く求めて、質問を終わります。

○中村委員 それでは、住宅政策本部の来年度予算案と報告事項について質問します。
 初めに、災害対策について伺います。
 昨年、都市整備委員会の委員になって以降、第四回定例会と今回の第一回定例会においての契約案件として、江東五区内における都営住宅の建て替えについて二回連続して質問しました。
 大規模水害が発生すると、江東五区の全域が浸水すると予想されるため、原則は域外避難とはいえ、二百五十万人もの人が他県を含めて域外に避難するのは、私は現実的だとは思えず、垂直避難ができる体制を求めてきました。
 特に、都営住宅を建て替える機会に垂直避難できるよう、上層階への集会所の整備などを求めてきましたが、十分な回答は得られませんでした。
 一度建て替えると、次の機会は半世紀後なので、この機を逃してはならないとの趣旨で質問しました。
 そこで、個々の建物ではなく、改めて来年度予算を審査するこの場において、来年度の都営住宅の整備の方針について伺いたいと思います。
 知事は常に隗より始めよといっているわけですから、都の施設である都営住宅こそ、居住する住民の安全確保は当然のこと、近隣の住民の避難先にもなるようにすることが必要です。
 そこで、江東五区に限らず、都営住宅全体の方針として建て替えに合わせて、近隣の方々や居住者も含めて避難先として活用できるようにするなど、水害対策を考えるべきですが、見解を伺います。

○栗谷川建設推進担当部長 都営住宅の建て替えに当たり、浸水被害を軽減するため、敷地内において雨水浸透ますの設置や透水性舗装などを行っております。平成二十七年度の建て替え住棟からは、原則として三層ごとの共用廊下に防災備蓄物資の保管スペースを確保しております。
 また、団地計画の策定に当たりまして、地元自治体の要望に応じて、団地自治会とも調整の上で、集会室を上層階に設置する協議を行うこととしております。
 なお、地元自治体の意向を踏まえ、大規模水害が発生した際に、上層階の共用部分や空き住戸を緊急避難先とする覚書等を締結しております。

○中村委員 地元自治体の意向を踏まえということでございましたので、ぜひこれ、しっかりと話していただいて、住民の安全を守るために取り組んでいただきたいと思います。
 また、江東五区ということはいいましたが、全域が浸水するのが江東五区ということで、ほかの自治体でも浸水するところがあるだろうと思いますから、一度これは都営住宅について調べていただいて、浸水するおそれのあるところは対応していただきたいというふうに思っています。
 次に、マンションの耐震化について質問します。
 先日、三・一一東日本大震災から十二年目を迎えました。今年は関東大震災から百年目にも当たりますが、改めて大地震への対応が必要です。
 さきの代表質問で、立憲民主党からは大地震発生時に備えた旧耐震マンションの震災対策への取組を拡充すべきと質問したところ、専門家派遣の回数等を拡充して合意形成を促進するほか、倒壊等の危険性が高いピロティーを有するマンションの補強等に対する補助を開始し耐震化を促進するとのことでした。
 そこで改めて、来年度の新規事業であるマンションのピロティー階等緊急対策助成について、改めて事業の目的について伺います。

○越智民間住宅施策推進担当部長 都は、耐震化促進事業により分譲マンションの耐震化に取り組んでいますが、費用や合意形成等が課題となり、耐震改修の実施が困難なマンションも存在しています。
 こうした中、切迫性が指摘される首都直下地震による建物の倒壊から人命を守ることは急務であることから、倒壊の危険性が高いピロティー階の改修等に対する支援を、緊急的に来年度から開始いたします。

○中村委員 マンションの老朽化とともに、居住者も高齢化するとますます合意形成が難しくなります。
 新規事業により緊急的に倒壊を防ぐというのは理解できなくはありません。とはいえ、もともと耐震化や建て替えの合意形成が取れないのですから、ピロティーの改修でも合意形成が取れるのかという心配がありますし、一方では、せめてピロティーだけでもと合意をすると、本来行うべき耐震化や建て替えをせずに、これで対応が終わってしまうのではないかと懸念されます。
 改めて伺いますが、全体の耐震化をせずにピロティーだけで終わってしまうのではないかとの懸念がありますが、見解を伺います。

○越智民間住宅施策推進担当部長 建物全体の耐震化は重要であることから、本事業を利用されたマンションにつきましても、引き続き耐震化への取組を促してまいります。

○中村委員 なかなか相手が民間なので都が思うとおりにいかないところもあると思うんですが、まず大事なことなのでピロティーの改修はしていただくんですが、その後の建物全体の耐震化についても、ぜひ取り組んでいただきたいということを要望いたします。
 次に、超高齢社会への対応として、都営住宅における課題について伺います。
 都営住宅は、低所得者の住宅政策なのですが、昨今では高齢化率が高まっています。都営住宅の自治会は、団地にとって重要な役割を果たしているにもかかわらず、居住者の高齢化もあり、自治会の役員の成り手が少なくなっています。
 昔と異なり、多くの自治会が共用部分の維持管理を行うことが困難になっている状況について、都の認識を伺います。

○宮島都営住宅企画担当部長 都営住宅の自治会は、居住者が共同で使用する施設の運営や団地内の管理に大きな役割を果たしております。しかしながら、居住者の高齢化などにより自治会の担い手が減少し、その活動に影響が生じている実態があることは認識しております。

○中村委員 自治会の役割は重要であり、高齢化が進行する中でも活動が続けていけるように支援していただきたいと思います。
 都営住宅の共用部分の清掃や草刈りなどは自治会が行うことになっていますが、高齢化に伴いそうした活動に参加する居住者が少なくなっているのも現状です。
 こうした役割を自治会に担っていただくには、もう限界だという自治会も出始めています。少なくとも、自治会が機能しないような団地については、共用部分の管理を都の負担で直接行うべきと考えますが、見解を伺います。

○宮島都営住宅企画担当部長 都営住宅の自治会は居住者の高齢化などにより、その担い手が減少し、活動に影響が生じていることから、都は平成二十八年度に草刈り等の費用を共益費として徴収し、都が適正な費用で作業を代行する共益費徴収事業を創設して、自治会等の負担軽減に努めております。

○中村委員 自治会による運営が原則だというのは十分分かりますし、またいろいろと議論を経て、都の方でやっていただいているという部分があるのも分かります。
 ただ、本当にそれを超えてもう本当に限界だという声も来ていますし、特にやはりあまりにも高齢化してしまって、例えば九十歳になったらその団地の役員はもういいですよということになると同じ人ばかり回ってくるとか、いろんな限界があるという声も聞こえてきますので、やれる限りはもちろんやっていただきたいし、また、お金を払ってやってもらうということもあるんですが、さらにもうその先まで来ているようなときも近づいているのやもしれませんから、その先の管理運営についてどのようにしていくのかということを検討していただきたいというふうに思います。
 さて、東京では高齢化が進行し一人暮らしの高齢者も増える中で、介護施設への入所ではなく住み慣れた地域で暮らし続けるためにも、単身高齢者同士が支え合って暮らすグループリビングのような住まい方への対応も必要であると思います。
 また、都営住宅を希望しても単身者向けの募集が少ないため、なかなか入居できないという実態もあります。
 都は昨年から、高齢者等ふれあい同居募集という都営住宅の新たな入居募集を行っていますが、残念ながらまだ入居実績がないと聞いています。この高齢者等ふれあい同居募集については、こうした住まい方を希望する高齢者に募集の情報を適切に届け、入居が進むよう取り組んでいくべきですが、見解を伺います。

○都築経営改革担当部長 都は、都営住宅への入居を希望する単身高齢者等の入居機会の確保を図るため、親族でない高齢者の方同士などが共に暮らすことができる高齢者等ふれあい同居募集を令和四年十二月に実施いたしました。令和五年三月一日からは、随時募集として常時申込みを受け付けております。
 専用の募集パンフレットを作成し、住宅政策本部及び東京都住宅供給公社での配布やホームページへの掲載を行うとともに、市区町や居住支援法人等にも協力を求め、さらなる周知を図り、入居者募集に取り組んでまいります。

○中村委員 今、都営住宅の間取りの問題もあって、単身者の方の倍率が本当に高くなっています。そういった中で、一つ工夫してこうやって住むという形はあるんだろうと思いますし、場合によっては他人同士でもこうしてお互いに世話をするということもあるんだろうとは思います。
 ただ、なかなかやはり、こんな介護の問題とか医療の問題とか考えると、それだけでは解決する問題ではないかなという難しさもあるとは思っています。
 建て替えの度に単身向けを増やしているという状況も事情も分かることは分かりますので、それはそれで進めていただきながら、こうした単身者向けの住まいの対応ということも検討していただければというふうに思います。
 さて、高齢者の居場所が必要であり、様々なサロン事業が行われています。そうした中で、都営住宅の集会所などを活用した東京みんなでサロンについては、昨年の予算特別委員会でも質問しました。コロナ禍では主催者の確保など、開催することが難しいこともあったと思いますが、地域における居場所づくりは高齢者の孤立、孤独の防止という観点からも重要であり、さらに推進を図るべきだと考えます。
 そこで、この東京みんなでサロンの現在の進捗状況と、来年度以降どのように展開していくのか伺います。

○都築経営改革担当部長 都は、都営住宅の集会所等を活用し、様々な人々の交流の場として地域の居場所づくりを進めるため、令和三年度から東京みんなでサロンを実施しております。
 令和五年二月末までに十区八市の二十二か所で実施しており、具体的なプログラムとしては、高齢者の健康体操教室や子供食堂などが定期的に開催され、団地居住者や地域住民の方が参加し、交流の機会となっております。
 二〇三〇年度までの目標数を百か所としており、来年度以降も、市区町等への周知や、プログラム運営に関心のある団体への働きかけなどを行い、都内各地で東京みんなでサロンを展開できるよう取り組んでまいります。

○中村委員 団地の集会室は貴重な地域の資源だと思っています。いろいろ活動したいと思っても場所がないという声もありましたから、都営住宅のこういった集会所が活用できるのはすごくいいことだと思っています。
 また、百か所ということなんですが、都営住宅の集会所の数からすると目標設定をもう少し高めに設定できるかなというふうに思いますので、ぜひとも積極的に取り組んでいただいて、地域における高齢者の居場所づくりに努めていただきたいと思います。
 次に、空き家対策について伺います。
 都は現在策定を進めている東京における空き家施策実施方針の下で、市区町村だけではなく、民間事業者の協力も得て空き家対策の取組を強化することは重要です。
 空き家については、戸数としては集合住宅が多いと思いますが、地域を歩いていると戸建ての空き家も目立ちます。
 空き家は地域の方からは地域資源として活用できないかとの声もいただきます。高齢者の居場所づくりが重要として、先ほどは都営住宅の集会所を利用した東京みんなでサロンについても質問しましたが、空き家を利用した居場所づくりも地域から求められています。
 施策を進める上で、空き家が地域の居場所として活用されるよう積極的に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。

○土屋企画担当部長住宅市場担当部長兼務 交流スペースの整備など、地域のニーズ等を踏まえながら空き家を地域資源として利活用していくことは重要でございます。
 来年度から、民間事業者による空き家を改修して都の政策課題解決に活用する取組や、市区町村と連携しながら地域の課題を解決する取組を支援してまいります。

○中村委員 先ほども都営住宅の集会所を活用しての居場所の話もさせていただきましたが、やはり地域の方々、そういった場所の必要性を強く望んでいるところがあります。
 また、よく空き家があるから何とかしてくださいと話をされるんですが、当然所有者もある話ですから、お金がかかってくるところだと思いますので、新たな制度の枠組みができる中で、地元自治体とも協力していただきながら、居場所をつくることを取り組んでいただきたいと思います。
 さて、空き家は誰も住まなければ傷んでしまいますし、長期間放置されて老朽化すると地域の治安にとっても見過ごせない問題になってしまいます。そもそも、まだ住める住宅が活用されていないのはもったいないと思います。
 地震が多いとか、木造住宅が多いとか、新築への志向が強いことなど、住宅事情が国によっては異なるとはいえ、他の国と比べて中古の住宅を購入するという選択をなかなかしない傾向にあるようです。
 空き家をサロンのように活用することも大切だとは思いますが、貴重な資源でもある既存住宅を本来の目的である居住のためにこそ生かしていくことが重要だと思います。既存住宅の流通が他の国ほどうまくいかないなど、既存住宅の流通には課題があると考えます。
 この既存住宅の流通の活性化に向け、どのように取り組むのか伺います。

○土屋企画担当部長住宅市場担当部長兼務 来年度から、既存住宅を良質な住宅に改修し、適正な評価の下で販売する一体的な取組等を行う民間事業者への支援を行い、既存住宅の取引に対する消費者の不安を払拭していくことなどにより、住宅流通市場の活性化を図ってまいります。

○中村委員 どうしても都市部は地価が高くて、住宅費はお金がかかってしまうというところがあります。
 リフォームも一定程度お金がかかるんですが、新築に比べればそうでもないんだろうと思いますから、ぜひこういった既存住宅の活用ということを通じて、なるべく住居費が低く抑えられるようにするということも都民生活にとっては大事なことだと思いますので、ぜひ積極的な取組をお願いしたいと思います。
 さて、改めて既存住宅についてですが、貴重な資源だと思います。まだ住める家を壊したり、人口を上回る戸数がある中で、住宅が不足しているわけではないのに自然を壊して開発するのはどこかおかしいのではないかと考えてしまいます。個人的には、今後の開発は規制を厳しくしてもよいかと思いますが、法的に困難なことも分かります。
 となると、高額なお金をかけて開発行為を行うよりも、既存住宅を活用する方がビジネスとして成り立つようになれば、自然に開発が抑制されるとも思います。もちろん、欧米のように石ではなく木でできているので、長く住めるようにするにはリフォームするなど手を加えなければなりません。
 住める家には長く住めるよう、リフォームの促進に向けて、補助金や相談窓口の情報を都民に周知すべきと考えますが、見解を伺います。

○土屋企画担当部長住宅市場担当部長兼務 都は先般、リフォームの促進に向けて補助金や相談窓口などの有益な情報を盛り込んだリフォームガイドを全面改定したところでございます。市区町村等とも連携して、ガイドの活用などにより都民への普及啓発を進めてまいります。

○中村委員 地域の資源として、こういった居場所として活用しても、また本来の住まいとして活用しても、いずれにしても貴重な資源ですから、有効活用されるようさらなる取組をお願いします。
 さて次に、住宅確保要配慮者への対応について伺います。
 高齢化という話は先ほどもしていましたが、一つにはサービス付高齢者向け住宅というものがありますが、制度開始後十年少々経過し、高齢者を取り巻く環境も変わってきています。
 高齢者の状況も様々な中、都はサービス付高齢者向け住宅の供給に向け、どのように取り組んでいるのか伺います。

○鈴木民間住宅部長 サービス付高齢者向け住宅の供給促進に向け、都は国が行っている整備費補助に加えまして、地域密着型サービス事業所等との連携を行う事業者に対し上乗せ補助を行っております。令和三年度末時点の登録実績は、都内で累計一万七千二百三十戸となっております。
 高齢者の幅広いニーズに対応するよう、この補助事業におきまして医療及び介護事業所が原則として併設された住宅に対する加算や、夫婦世帯入居支援加算など加算メニューを設け、多様なサービス付高齢者向け住宅の供給を促進しております。

○中村委員 これ十年前、住まいとして隙間のあったニーズのところに新たな制度をつくってきたと思うんですけれども、やはり年がたつとそこに住んでいる方も高齢化をしていきます。そのまま住み慣れたところでずっと住みたいという思いもあるんだろうと思いますが、今後医療や介護も必要になってくるところもあります。
 いろいろと制度等も組合せをしていただく中で、ずっと地域の中で住み続けられるようにしていただければと思います。
 さて、先日の都市整備委員会で、今年度の最終補正予算について質問しましたが、住宅確保要配慮者への施策として期待される東京ささエール住宅について、残念ながら当初見込みが達せられず、三億四千万円から二億一千万円を減額修正したものでした。ご答弁では、貸主の不安があり専用住宅の登録が伸び悩んでいるとのことでした。その際、今後の対応も伺いましたが、支援策を拡充するとのお答えもありました。
 そこで、新年度予算を審議する今回の委員会で改めて伺います。東京ささエール住宅の新年度予算が増えるとのことですが、新規事業の東京ささエール住宅貸主応援事業の内容を伺います。

○鈴木民間住宅部長 貸主応援事業は、補助メニューとして耐震改修費補助を新設するとともに、既存の補助事業と併せてパッケージ化することで、貸主による補助制度の活用を図り、専用住宅の登録を促進していく事業でございます。
 来年度は、補助メニューのうち、耐震改修費補助につきましては一戸当たりの補助上限額を二百五十万円として四十戸分、住宅設備改善費補助につきましては上限額を五十万円として二百戸分などを計上しております。

○中村委員 新規事業である貸主への支援について伺いましたが、新年度においてはもう一つの新規事業として、居住支援法人への支援も拡充するとのことです。
 続いて、新規事業の東京ささエール住宅居住支援法人等応援事業の内容についても伺います。

○鈴木民間住宅部長 居住支援法人等応援事業は、居住支援法人等が民間住宅を借り上げ、住宅確保要配慮者のために住宅提供や支援を行う取組に対して補助を実施し、専用住宅の登録を増やしながら居住支援の充実を図っていく事業でございます。
 来年度は、一戸当たりの補助上限額を三十七万三千円として、百五十戸分を計上しております。

○中村委員 新規事業について質問しました。住宅確保要配慮者への対応として期待したいと思います。
 ただ、この東京ささエール住宅の目標戸数は、東京都住宅マスタープランによると二〇三〇年度までに専用住宅を三千五百戸なので、これ目標達成したとしても、都内全ての住宅確保要配慮者を救えないのではないかと考えます。
 そもそも、施策を検討するのに必要となる基礎的なデータとして、どのぐらいの方が住宅に困っているのかをどう把握しているのでしょうか。
 例えば、直近の都営住宅の応募状況で、昨年十一月の世帯向けの募集では、二千六百戸の募集戸数に対して二万九千七百九十七人が申し込み、実に倍率十一・五倍、単純計算で二万七千百九十七人が当せんしていないことになります。
 昨年八月の単身向けでは僅か二百六十六人の募集戸数に対して一万三千二十人が応募、倍率は四十八・九倍で、これも単純計算ですが一万二千七百五十四人が当せんしていないことになります。
 もちろん当たったら入ろうという方もいるとは思いますが、これだけの方が都営住宅を希望しながら入れなかったことになります。
 これは例えでもあるんですけれども、そこで改めて、都内の住宅に困窮する住宅確保要配慮者の方の人数をどのように考えているか伺います。

○浦口住宅政策担当部長 都では、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律に定める低額所得者、高齢者、障害者等のほか、住宅確保要配慮者賃貸住宅供給促進計画において定めた新婚世帯やLGBT等を住宅確保要配慮者として設定しております。
 これらの要配慮者の中には、その人数の把握が困難な者がおり、また、それぞれの住宅困窮度の把握は困難であることから、住宅に困窮する住宅確保要配慮者の人数は把握しておりません。

○中村委員 先ほどは都営住宅の申込みということで聞いただけなので、これが直接的に要配慮者でないということは分かるんですけれども、しかし、政策を立てるに関して何らかの指標は必要だと思いますので、ぜひこれ研究していただきたいというふうに思います。
 都においては、住宅費がやはり生活費に占める割合が大変高いともいえます。
 これもあくまで数字上のことだけですが、来年度の住宅政策本部の予算で、都営住宅等事業会計の規模は一千六百七十八億円です。その中には、住民が払う家賃や募集のための費用も入っているとは思いますが、当せんしなかった方々には、これだけの予算がほとんど関係がなく、税金を払っていてもくじに外れただけで全く恩恵を受けていないことになります。
 都営住宅はもちろん困窮した方々のために必要ですが、都に伝えても都営住宅に申し込んでくださいと答えがあるのみです。多くの困窮した方々を支援する必要があります。
 そこで改めて、住宅政策として本当に困窮した方々を救うためにも、公平な家賃補助制度の構築が必要ではないかと考えますが、見解を伺います。

○浦口住宅政策担当部長 家賃補助制度につきましては、対象世帯の範囲、民間家賃への影響、財政負担の問題のほか、生活保護制度との関係など、多くの課題があります。
 都民の居住の安定の確保については、都営住宅を住宅セーフティーネットの中核として的確に供給していくとともに、住宅確保要配慮者の入居を拒まない民間賃貸住宅の供給促進に向けて取り組み、重層的な住宅セーフティーネットの強化を図ってまいります。

○中村委員 重層的なということで、確かに答えは一つだけではないので、いろいろあっていいとは思っています。
 ただ、都営住宅が現状倍率が高くて当たらない人もいるということも事実ですし、先ほどのささエール住宅も期待はしたいんですが、やっぱり戸数が足りないということがあります。
 なかなか住宅確保要配慮者の数が分かっていないということなんでしょうけれども、恐らくこの都営住宅の新規募集分とささエール住宅を足しても、困っている方については足りないことは確かだと思っています。
 どうしても、その隙間の部分を埋めていくためには、私たちとしてはこれは家賃補助制度、先ほど空き家の話もしましたけれども、そういったことを活用してでも入れるようにしていくことが大切だと思っていますので、ぜひ課題があるということを私たちも認識はしていますが、検討を始めないことに変わっていかないところがありますから、ぜひこの家賃補助制度についての検討もしていただくことを要望いたしまして、質問を終わります。

○藤井委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時三分休憩

   午後三時二十五分開議

○藤井委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 ご発言を願います。

○松田委員 令和五年度住宅政策本部関係予算についてお伺いできればと思います。
 都の令和四年度の最終補正予算においても、一千四百億円規模の、仮称ですが、新築建築物再生可能エネルギー設備設置等推進基金が計上され、また、令和五年度予算においても太陽光発電設備設置に向けた様々な予算が組まれています。
 今の社会情勢の中、太陽光発電設備の推進に、これだけ基金そして予算が組めるのも、ある意味、東京都の財源力があるぜいたくな予算の組み方だと素直に感じました。
 私、環境確保条例等反対をさせていただきましたが、基本的にはグリーンエネルギーの可能性については、地球温暖化、二〇三〇年のカーボンハーフに向けた取組であったりとか、やはりこの日本は、これだけエネルギーという意味でも、石油、天然ガス等多くの部分を輸入に頼っている中では、エネルギーの分散をさせていくというものは必要不可欠だとは思っています。
 ただ、東京都としても、小池都知事就任後にはなりますが、都有施設についても積極的に税金を投入してのですね、太陽光発電設備設置は二〇三〇年に向けて進めていますが、やはり新築住宅の方も含めて盲目的に進めているんじゃないのか、そういう部分については感じざるを得ない部分がございます。
 本日の質疑においては、都が税金を投入をする太陽光発電設備の設置の一つであります公社住宅における太陽光発電設置設備についてお伺いできればと思います。
 令和四年度予算、今年度予算で公社住宅における太陽光発電設備設置に関する費用として、十四億六千万円を計上していましたが、設置した棟数などの実績をお伺いできればと思います。

○今井連絡調整担当部長 今年度は、公社の既存住宅二十五棟におきまして、太陽光パネルや蓄電池など発電設備の設置工事とともに、屋上防水工事など関連工事を着実に進めておりまして、今年度末までに計画どおり完了する見込みでございます。

○松田委員 令和四年度予算については当初の見通しどおり進んでいること、分かりました。
 それでは次に、令和五年度予算、来年度予算では、公社住宅の太陽光発電設備設置に関する費用として、約二十二億五千万円を予算案として計上していますが、設置棟数など内容についてお伺いできればと思います。

○今井連絡調整担当部長 来年度は、既存住宅三十棟に太陽光発電設備を設置するとともに、屋上防水工事などを実施いたします。また、今年度に設置が完了する発電設備については、整備費や売電収入などを踏まえ、階層や戸数など住棟の形態に応じた収支見込みなどを分析する調査を実施いたします。

○松田委員 公社住宅だけでも令和四年度、令和五年度合わせると、太陽光発電設備設置に四十億円近い予算が計上されているとなっております。
 東京都の事業としては、公社住宅以外にも都の都有施設においても様々な形で太陽光発電設備の設置を進めているので、全て確認はできていないのでどれだけ予算が今年度計上されているか分かりませんが、二〇三〇年カーボンハーフに向けてこれからまた加速度的に予算が投下されていくのだと思っています。
 決算の都合上、令和四年度の実績というものはまだ上がってはいないとは思いますが、ぜひ昨年度の事業を参考にしながら、この令和五年度の二十二億五千万円の予算の使い道もしっかりと精査をして進めていっていただければと思います。
 昨年の事務事業等の質疑でもありましたが、既存の民間住宅、今回の公社住宅への太陽光発電設置については、既存の民間住宅が太陽光発電設備の導入に取り組みやすい環境のケーススタディーとして想定していると聞いておりますが、ケーススタディーとなったのかお伺いできればと思います。

○今井連絡調整担当部長 公社住宅の設置事例をケーススタディーとしますのは、既存の民間集合住宅での太陽光発電設備の設置を加速する上で、公社の取組をモデルに機運醸成を図るためでございます。
 来年度は、今年度設置しました発電設備が一年を通して稼働することから、整備費のほか、季節や天候、設置条件の違いなどによる発電状況などについて分析を行います。これらの分析により、発電効率のよい設置モデルを選定の上、東京都省エネ・再エネ住宅推進プラットフォームを通じまして、広く民間に情報提供することで、発電設備を導入しやすい環境づくりを進めてまいります。

○松田委員 これだけの予算をかけて、大規模的にケーススタディーというか、事例、データを取れるのは、行政、東京都がやっているからこそだとは思っています。ぜひ、これだけ予算を投入をしている事業でもありますので、民間の判断材料となるようなしっかりとデータを取っていただければと思います。
 あとまた、情報開示の際、データの公開については、いいとこ取りをした、編集したデータではなくて、やはりしっかりと全てのデータを民間が使いやすいように開示をしていただければと思っています。
 私自身、昨年、東京都主催のオープンデータハッカソンの参加もさせていただきまして、様々な方と意見を交換させていただいた中で私自身もまだまだ理解が追いついていないんですけれども、我々が想定している以上に、その数字の価値というのは、今後オープンデータ、ビッグデータの中で、非常に価値のある数字だと思っています。
 そして、その何が有用で何が有用でないかというのは、やはり専門家でしか分からない部分がありますので、それ、しっかりとデータを取っていただいて、そのローデータ、生のデータをしっかりと公開をして、民間のデベロッパーであり、そして事業者が効果的に使えるような形を取っていただければと思います。
 次に、事業者の選定についてお伺いいたします。
 今年度設置する太陽光発電設備については、事業者をどのように選定をしているのかお伺いいたします。

○今井連絡調整担当部長 公社は、入札参加登録業者の中から競争入札により選定してございます。

○松田委員 入札により業者を決定をしているということですが、第四回定例会で環境確保条例が改正案、議決をされまして、その際にも各会派、新築住宅の設置義務化については一つの懸念材料として、ジェノサイドの問題も挙げられました。
 今年度設置分の太陽光パネルについては、中国ウイグル自治区が関与する製品がないのか、どのように確認をしているのか、お伺いできればと思います。

○今井連絡調整担当部長 公社との間で発電設備の設置契約を締結した業者を通じて、パネルメーカーへのヒアリングを行い、関与がないことを確認している旨、公社から報告を受けてございます。
 今後もこうした確認を行うとともに、設置事業者などには、国のガイドラインや太陽光発電に関連する事業者団体が来年度に策定予定と聞いてございます独自基準を遵守するよう求めてまいります。

○松田委員 しっかりと公社との間でヒアリングを実施をしていただいていることだと思います。
 もちろんヒアリングで確認をしていただくことも大事なんですけれども、後々になって東京都の税金、この住宅政策本部の予算がジェノサイドに加担をしていたといわれないように、しっかりとヒアリングをするとともに、公社住宅については恐らく住宅供給公社が入札を行っていると思うんですけれども、その入札の入札条件への追加等も含めて、しっかりと住宅政策本部が確認をできるような体制を取っていただければと思います。
 ここまで公社住宅の太陽光パネルの設置の是非についてご質問させていただきましたが、しっかりあるものは活用していかなければいけないと思っております。浸水であったりとか、首都直下型地震、様々な形でこの首都東京が停電のリスクというものはあるとは思いますが、停電時の公社住宅の対応についてお伺いできればと思います。

○今井連絡調整担当部長 太陽光発電設備で発電した電力については、平時には共用部の電灯などに使用するほか、蓄電も行い、余剰分を売電してまいります。
 災害時の停電の際には、共用部の非常用照明に使用するほか、非常用コンセントからスマートフォンへの充電などが可能となります。

○松田委員 緊急時には非常用のコンセントから充電等が可能ということをお伺いいたしました。
 都営住宅でいいますと、近隣の住民の方への避難場所等も議論されております。ただ、公社住宅の場合は、なかなかそういう議論にはなってはいないと思いますが、東京都の予算で、震災時であったりとか、停電時の予算を投下をしているということなので、ぜひ都民の方が、なかなか難しい部分はあるとは思うんですけれども、停電時にこういう公社住宅の太陽光発電の電源を活用できるような仕組みもあってもいいんじゃないかなと思いました。
 質問は以上になります。

○磯山委員 それでは、質問させていただきます。
 東京における空き家施策実施方針について伺います。
 空き家対策は全国的な課題でありますが、東京と全国では空き家が置かれた状況が大きく異なっていると考えております。その違いを把握した上で、都の実情に応じた空き家対策を講じることが必要であります。
 予算特別委員会における我が党の空き家対策についての質問に対し、都は、既存住宅市場での流通促進や空き家の利活用などにより、空き家対策を総合的に推進すると答弁をされていました。
 そこで、空き家施策実施方針において、なぜ既存住宅市場での流通促進を視点の一つに取り上げたのか、理由と課題について確認をさせていただきたいと思います。

○土屋企画担当部長住宅市場担当部長兼務 東京は全国に比べて市場流通用の空き家の割合が多いことが特徴であり、既存住宅市場の活性化対策が空き家問題の抜本的な解決を目指していく上で重要であることから、空き家施策における視点の一つといたしました。
 既存住宅を購入する場合、新築と比べ、建物、設備の品質や物件価格の妥当性等について不安を感じる人が多いため、既存住宅に対する消費者の不安の払拭が課題として考えられます。加えまして、一定の品質を有する既存住宅であっても、新築と比べ取得時の税制優遇措置が見劣りすることなどもあり、都内の既存住宅の流通シェアは一二・八%と低い状況でございます。

○磯山委員 既存住宅の流通は主に民間事業者が担っていると思いますが、都として、具体的にどのように既存住宅市場の活性化に取り組むのかについて伺います。

○土屋企画担当部長住宅市場担当部長兼務 来年度、新たに取り組む既存住宅流通促進民間支援事業では、取引において建物状況調査や瑕疵保険などを活用し、適切な建物評価を行う取引モデルを構築するための経費や、構築した取引モデルを適用して行うリフォーム工事費に対して補助を行います。
 具体的には、取引モデルの構築経費に対し上限額五百万円、補助率三分の二とする補助を行います。また、リフォーム工事費に対しては、一事業者当たり最大三戸を上限に、一戸当たり上限額百万円、補助率三分の二とする補助を行います。さらに、省エネ改修など性能の高いリフォームには加算を行います。
 これらを通じまして、良質な既存住宅が適切に評価、選択されるための取組を支援し、既存住宅市場の活性化につなげてまいります。

○磯山委員 都内には、住宅の流通が活発な地域もあれば、地域におけるつながりの希薄化が課題となっている地域もあり、課題は様々であると思います。二十三区と多摩地域、私住んでいます多摩地域でも、それぞれ住宅の資産価値というんですかね、大きな違いがあると思っております。また、都内での民間の空き家の活用実績というか事例については、まだまだ耳にすることは少ない状況なんじゃないのかなと思っています。
 だからこそ都が民間事業者と連携し、先導的に空き家を活用する事業を展開し、取組事例やノウハウを関係者間で情報共有し、空き家を活用して地域課題の解決に取り組む環境を整備していく必要があると考えます。
 そこで、実施方針では、視点として地域資源としての空き家の利活用がありますが、地域が抱える課題に空き家を使ってどのように対応していくのかについて伺います。

○土屋企画担当部長住宅市場担当部長兼務 都は、来年度から空き家を地域資源として活用し、若年ファミリー向け住宅や地域交流スペースの提供など、市区町村と連携しながら地域課題の解決を図る民間事業者の取組に対し、最大五年間支援を行ってまいります。
 具体的には、対象となる空き家の掘り起こしに要する人件費等に対し、上限五百万円の補助を行います。補助率は一年目を四分の三とし、二年目以降は収益が見込まれること等を考慮して低減させてまいります。
 また、改修費の補助は、一事業者当たり二戸までとし、補助率三分の二、戸当たり上限額を二百五十万円とし、耐震改修が必要な場合は戸当たり二百万円まで加算を行います。

○磯山委員 都が今回、実施方針を策定して空き家対策を総合的に推進していくことについては評価をいたします。あとは市区町村が主体的に動くことが空き家問題の解決の鍵だと思っております。
 そこで、空き家施策の実施主体である市区町村の取組強化が必要であると考えますが、市区町村への支援についてどう取り組んでいくのか伺います。

○土屋企画担当部長住宅市場担当部長兼務 空き家対策を進めるためには、地域の実情を把握している市区町村の主体的な取組が重要であり、都は市区町村が行う空き家の実態調査や計画策定などに対して支援を行っております。
 来年度はさらに老朽空き家の除却や移住、定住を目的とした改修などについて、市区町村への財政支援を拡充してまいります。
 加えて、都内の全市区町村が参加する空き家対策連絡協議会を通じた先進的な取組や支援制度の紹介などにより、地域特性に応じた空き家対策を展開できるよう、市区町村の取組を支援してまいります。

○磯山委員 今後とも全国と違う都の特徴や都内の各地域の実情、二十三区、多摩との違い、また多摩の中でも東部、西部、かなり空き家に対する、何ていうのかな、実情は違うと思うんですね。そういったことをしっかりと踏まえていただいて、実施方針に示された施策を着実に、また市区町村としっかりと連携をして展開していただくことを要望して、次の質問に移ります。
 続いて、マンションの管理についてお伺いをいたします。
 令和二年一月に滋賀県内のとある分譲マンションが行政代執行によって解体工事に着手したとの報道がありました。報道では、分譲マンションを代執行で解体するのは全国的にも珍しいのではないかという所管する市の担当者のコメントが紹介されていました。
 こうした例はごくまれではあるものの、管理を適切に行わなければ、鉄骨造の建物でも、ここまで老朽化してしまうんだなという、私も写真で見ましたけれども、事例があり、どこでも起こり得ることと認識しなければいけないのかなと思っております。
 また、将来そうした状況に陥るおそれのあるマンションが潜在的に存在していると思われます。
 都内に目を向けると、都内には五万棟を超える分譲マンションがあるといわれておりますが、こうした管理が適正に行われていない、もしくは将来的に適切に行われなくなるおそれのあるマンションが都内にどれくらいあるのか、都はどのように把握しているのかについて伺います。

○越智民間住宅施策推進担当部長 東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例に基づく管理状況届出制度では、管理不全を予防するための必須事項として、管理組合や管理規約の有無、総会の開催状況、修繕の計画的な実施状況など、七つの項目を挙げています。七つの項目のうち、いずれかがない、またはいないとなっている状況を管理不全の兆候ありとしています。
 昨年十二月末時点の届出率は約八九%となっており、届出がなされた約一万棟のうち、管理不全の兆候が見られたのは約一七%でありました。

○磯山委員 届出率は約八九%ということで、比較的高い数字であるとは思いますが、まだ提出されていないマンションに対しては、提出を促すように今後も引き続き取り組んでいっていただきたいと思います。
 この管理状況届出制度が対象とするマンションの範囲内で得られた情報を基にしている約一万棟のうち−−これ、八九%のことです、約一七%のマンションにおいて、管理不全の兆候が見られたとのことでありまして、これは決して少なくはない数であると思っております。先ほど申し上げましたが、まだ届出がされていないマンションも含めて管理の適正化に向けたアプローチが必要であると考えます。
 私の知人は先日、築後約五十年のマンションを購入したところ、管理面で多くの問題を抱えていることが判明したとのことであり、私に相談を持ちかけられました。お話を聞けば、管理規約や長期修繕計画などに問題があり積立金も不足するような状況で、役員となった知人は対応に追われているということであります。
 マンションは私有財産ということではありますものの、多くの区分所有者が一つの建物を共同で管理するという特性がありまして、個人の努力には限界があり、行政からの適切な支援が必要ではないかと考えます。
 これまで管理不全の兆候にあるマンションに対して、どのような支援を行ってきたのか伺います。

○越智民間住宅施策推進担当部長 管理不全の兆候があるマンションの管理組合に対し、最大五回までマンション管理アドバイザーを無料で派遣し、マンション管理の基本を解説する講義や相談に対するアドバイスを行っています。
 このほかに、マンションポータルサイト等を通じて、マンション管理ガイドブックに記載している管理適正化に取り組むための具体的手順や手法等を広く紹介し、啓発を行っているほか、分譲マンション総合相談窓口を設置し、管理適正化に向けた相談にも対応しています。

○磯山委員 アドバイザーの派遣や相談対応などによって管理組合を支援してきたとの答弁がありました。管理不全の兆候にあるマンションには最大五回まで無料でアドバイザーを派遣するという取組は、適切に管理を行うためにどのように取り組めばよいか分からない管理組合にとっては本当に有効だと思います。
 こうしたよい制度がありますので、より多くの管理組合に利用していただくことで問題解決につながることが期待できるのではないかと考えます。ぜひ広く制度の周知を図っていただきたいと思います。
 とはいえ、マンションの管理に関して専門家ではない居住者の皆さんが、管理規則や長期修繕計画の作成、見直しといった難解な作業を五回の相談でアドバイスをもらったからといって、スムーズに進められることには多分ならないんだろうなと思っております。
 そのため、マンションの管理に不慣れな管理組合に対して、今後一層丁寧な支援が必要と考えますが、見解を伺います。

○越智民間住宅施策推進担当部長 マンションの管理不全の予防や改善を促進するためには、個々のマンションの状況に合わせて寄り添ったきめ細やかな支援が必要であります。このため、管理に関する知識やノウハウが十分ではない管理組合に対して、アドバイザーが管理規約の案や長期修繕計画の見直し案を作成し説明するなど、個々のマンションが直面する課題に即した支援を行うコースを来年度から新たに設置し、派遣に係る費用の一部を助成します。
 こうした取組などにより、マンションの状況に応じた適切な支援を実施し、管理不全の予防や改善につなげてまいります。

○磯山委員 これまでの管理アドバイザー制度に新しいコースを設定するということであります。アドバイザーが管理規約の案や長期修繕計画の見直し案の作成まで行うとのことで、管理組合の負担が大幅に軽減されることが期待されます。この新しいコースが多くの管理組合で利用されるよう、都は制度を周知していく必要があると思います。
 そこで、管理不全の兆候のあるマンションに対して新たに設置するコースが活用されるために、都はどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。

○越智民間住宅施策推進担当部長 都は、届出制度によって把握した管理状況に関する情報などを活用し、管理不全の兆候のあるマンションに対して、関係団体等と連携し、メールマガジンやセミナー等を通じ、新たに設置されるコースを積極的にご案内し、利用を促してまいります。

○磯山委員 冒頭の滋賀県の例では、壁面や階段が崩落していたと聞いております。私も写真を見ましたけど、本当に廃墟のような写真であります。ああいう状況のものが今の都内にどれくらいあるのか分からないんですけれども、マンションの管理不全はそこに住まう住居者への影響にとどまらず、周辺環境にも深刻な影響を及ぼすおそれがあると思います。
 まずは様々な支援も行っていただくことももちろん大事なんですけれども、届出制度でまだ把握していない部分に関しては、しっかりと東京都の方でもまずは把握していただく、そしてその後、個に応じた支援につなげていただくように、積極的に取り組んでいただくことを要望させていただき、私の質問を終わります。

○関野委員 それでは、私からも東京における空き家対策方針と関連する予算案についてお伺いをさせていただきます。
 東京における空き家施策実施方針では、空き家対策の実効性を高める観点から、対策の障壁となっている法令などの見直しを国に働きかけるとしております。
 昨年の予算委員会でも私が指摘したとおり、空き家対策では税制面での働きかけが有効であると主張してきたところであります。
 こうした中、都は本年一月に国に対して空き家対策についての要望を行ったところでありますが、この要望の内容についてまずはお伺いをいたします。

○土屋企画担当部長住宅市場担当部長兼務 国の空き家対策小委員会におきまして、空き家対策の取組の強化の検討が進められていることを踏まえ、本年一月、都として国に要望を行いました。
 その内容は、空家特措法に基づく措置の対象を特定空き家等になる前段階の適切な管理が行われていない空き家等にまで拡大すること、特定空き家等と同様に勧告に基づく固定資産税等の住宅用地特例の適用除外対象にすること、管理不全の状態を解消するために必要最小限な修繕等に対する財政支援の仕組みを構築して所有者自身による自発的な改善等を促すこと、市区町村が円滑に制度を運用できるようガイドラインを示すことでございます。

○関野委員 国では、空家特措法の一部を改正する法律案が閣議決定をされました。これによれば、放置すれば特定空き家になるおそれがある管理不全空き家に対し、区市町村長が指導、勧告できるとされ、勧告を受けた管理不全空き家は固定資産税の住宅用地特例が解除され、税額が高くなるということだというふうに考えています。
 この法改正により、空き家対策が進むことを期待するところではありますが、先ほどの答弁でも、都は区市町村が円滑に制度を運用できるようガイドラインを示すことを国に要望しているようでありますが、今後、都において区市町村が円滑に制度を運用できるよう、引き続き国に働きかけるとともに、区市町村への技術的な支援、こういったものを行うことを要望しておきます。
 次に、空き家利活用等区市町村支援事業についてお伺いをいたします。
 私は、令和元年の事務事業質疑で空き家利活用等区市町村支援事業において、区市町村が地域の特性を踏まえ独自に実施する事業を支援する企画提案型について質疑をしたところであります。
 そこで、企画提案型の取組状況と課題について、この点についてお伺いをいたします。

○土屋企画担当部長住宅市場担当部長兼務 空き家利活用等区市町村支援事業の企画提案型とは、基本型には用意されていない事業であっても、市区町村から提案を受けた空き家対策事業に対して財政支援を行うものであり、今年度は、移住、定住を目的とした改修など二十二市区町村、四十四件の補助金の交付を決定しております。
 課題としましては、交付決定の判断基準として、空き家等対策計画などへの位置づけを必須としているため、計画を策定していない市区町村は利用が難しいこと、計画に事業に関する記載がない場合には、空き家等対策計画の改定などを要することや、提案書を作成する際の手間があることなどがあると聞いております。

○関野委員 ありがとうございます。企画提案型の取組は地域の実情を踏まえた補助制度として効果的であるというふうに考えますが、課題も多くあるということが分かりました。こういった課題を受けて、どのように制度の改善を図っていくのか、この点についてお伺いをいたします。

○土屋企画担当部長住宅市場担当部長兼務 今年度から、企画提案型で補助対象とした事業のうち、複数の市区町村で実施されるようになった事業について、基本型に移行することで、より活用しやすくなるよう見直しを図っております。
 具体的には、空き家所有者等の調査など管理不全空き家等への対応についての事業を企画提案型から基本型に移行しており、さらに来年度は、移住、定住を目的とした改修等も移行を予定しております。
 こうした改善を通じまして、企画提案型の事業で得られた成果を全市区町村と共有しながら、取組の底上げを図ってまいります。

○関野委員 企画提案型で得られた成果を踏まえ、基本型に移行することで、その他の自治体でも支援メニューをより活用しやすくしていることが理解をできました。今後とも地域の様々なニーズに応えた支援メニューを拡充していただくことを要望をして、次の質問に移ります。
 次に、東京ささエール住宅についてです。
 東京ささエール住宅では、貸主の経済的支援策として補助制度が用意されておりますが、専用住宅の登録を促進していくためには、補助金の活用について、貸主などにもっと前向きになってもらうよう取り組んでいくことが重要です。
 さきの本会議の質疑では、登録協力補助の要件である専用住宅の登録期間について、十年から二年まで短縮可能とするとの答弁がありましたが、年数を短縮した理由、これについてお伺いをいたします。

○鈴木民間住宅部長 登録協力補助は、空き室等を住宅確保要配慮者のみ入居できる専用住宅として登録した貸主へ補助金を交付することで、登録意欲の向上を図ることを目的とした制度でございます。
 この補助を活用すると、専用住宅として十年間登録を維持する必要があり、その登録に不安を感じている貸主が活用に踏み切れない場合がございます。
 そのため、登録協力補助が資産の形成につながる改修費補助とは異なり、登録に協力した貸主への報奨金という性格であることを踏まえ、補助要綱を見直し、令和五年度から登録期間の短縮を可能といたします。

○関野委員 今、答弁がありましたように、補助制度を活用していく上で補助要件を緩和していくことは大事な取組でありますが、それと同時に、現行の枠組みの中で補助制度を最大限に活用してもらうという視点も重要です。
 しかしながら、補助金の活用に関しては私も以前、住宅セーフティーネット制度の補助を活用して部屋を改修しても高齢者など住宅確保要配慮者しか入居できないため、なかなか利用する方がいない状況である旨を都の担当者とも話したことがあります。
 専用住宅の空室リスクを避けるために、例えばアパートの空き部屋を改修して、隣に住んでいる高齢者などが引っ越せば、貸主にとっては住宅の稼働率の向上につながると考えます。
 このように、同じアパート内に入居している人が改修した専用住宅に転居することを前提に、国の改修費補助や入居者にもメリットの大きい家賃低廉化補助を活用できるか、この点について確認をいたします。

○鈴木民間住宅部長 国の改修費補助のうち、市区町村を通じて貸主へ補助する方式の要件には、入居世帯の収入が原則として月収三十八万七千円以下であることなどが定められておりますが、理事お尋ねの事例についての活用は妨げられておりません。国が貸主へ直接補助する方式も、補助要件が異なるものの同様でございます。
 なお、家賃低廉化補助につきましては、入居世帯の収入が原則として月収十五万八千円以下であることのほか、貸主が原則として入居者を公募し、抽せんその他公正な方法により選定することなどが補助要件に定められており、活用できない可能性がございます。

○関野委員 ありがとうございます。改修費補助については、活用が可能とのことでした。
 しかしながら、こうした活用方法については、パンフレットなどには書かれていないところで、十年間の補助要件の厳しさだけが独り歩きして、貸主に活用されない状況にあるというふうに考えております。
 今後はさきの方法を含め、補助制度の効果的な活用方法などについても、区市町村はもとより、不動産管理会社や貸主への周知徹底を行う必要があると思いますが、来年度どのような対策を行っていくのか、この点についてお伺いをいたします。

○鈴木民間住宅部長 専用住宅の登録を促進していくためには、補助制度の充実に加えまして貸主や不動産事業者に必要な情報を着実に届け、活用してもらうことが重要でございます。
 都は、不動産専門誌や賃貸住宅関連のイベントにおきまして、貸主へ直接制度を紹介するとともに、不動産業団体を通じ情報提供に取り組んでおります。
 こうした取組に加えまして、来年度は都の普及啓発の体制を強化し、貸主と緊密な関係のある不動産事業者等に対しまして個別訪問等を実施し、補助制度の要件や活用事例等を丁寧に説明するなど、きめ細かな情報提供を行ってまいります。

○関野委員 ありがとうございます。貸主や不動産事業者へしっかりと情報を届けるとともに、活用事例なども伝わる方法という形で情報提供を実施することと、使いやすい制度などへの検討をするためにも、そこでの情報収集、こういったものをしっかりとやっていただくことを要望して、私の質問を終わります。

○かつまた委員 私からは、東京における空き家施策実施方針と関連する予算についてお伺いをいたします。
 全国で空き家問題はますます深刻化しております。東京においても放置された空き家が迷惑空き家となっており、倒壊の危険や犯罪、放火を誘発するおそれを招きかねない状況であります。
 一方で、空き家はうまく活用すればまちの活力向上など、地域課題や東京ささエール住宅など政策課題の解決に役立つことが予想をされております。空き家を地域資源として利活用する視点は大切であります。
 空き家施策実施方針の地域資源としての空き家の利活用では、具体的な施策展開として、民間空き家対策東京モデル支援事業の成果等を踏まえ、住宅政策課題の解決につながる事業に重点化を行うと記載をされております。
 そこで、この民間空き家対策東京モデル支援事業について、これまでの取組についてお伺いをいたします。

○土屋企画担当部長住宅市場担当部長兼務 本事業では、令和二年度の開始以来、民間の力や知見を空き家対策に活用する施策を展開しておりまして、現在、先端技術を活用した空き家対策や、空き家の発生抑制に資する取組、空き家を活用した東京ささエール住宅への改修、新たな働き方支援、コミュニティ支援の五つのメニューに対し支援を行っております。
 具体的には、今年度採択しているAI等を活用して将来の空き家発生予測を可視化する事業や、葬儀社や高齢者施設の事業者などと連携し、空き家の所有者等に対して個別に終活相談会を開催する事業などを含め、三年間で十六件の採択を行っております。

○かつまた委員 それでは、今後、対象事業を重点化して、民間事業者等に支援を行うとのことでありますけれども、具体的にどのような支援を行っていくのかお伺いをいたします。

○土屋企画担当部長住宅市場担当部長兼務 来年度、新たに取り組む政策課題解決型空き家活用支援事業では、住宅政策課題の解決につながる事業に重点化を行います。具体的には、空き家を改修して、東京ささエール住宅や子育て世帯向け住宅、地域交流スペースなどに活用する民間事業者を支援してまいります。
 支援の内容としましては、改修費につきまして一事業者当たり上限額二百五十万円、補助率三分の二とする補助を行います。さらに、耐震改修が必要な場合は、一事業者当たり二百万円まで加算を行います。

○かつまた委員 ぜひ積極的に進めていただければと思います。都の政策課題解決に向けての取組を進めていくことは理解をさせていただきました。
 ところで、私の地元大田区では都のエリアリノベーション推進支援事業による補助を受け、池上地区で空き家を活用した公民連携のエリアリノベーションを行い、地域に開かれたギャラリーや探求学習塾を軸とした地域拠点などが実現をいたしました。このエリアリノベーション推進支援事業の成果等を踏まえ、都は今後、区市町村と連携しつつ、地域課題の解決に取り組む民間事業者に対する支援に取り組んでいくことと思います。
 この取組では各区市町村と民間事業者と協働して、空き家を活用した地域課題の解決に取り組む環境づくりを狙いとしているようでありますけれども、そもそも都内各地域にそうした取組の担い手となる民間事業者は不足していないのでしょうか。
 また、そうした民間事業者がいたとしても、地元区市町村と交流がないと自律的な協働といっても難しいのではないかというふうに考えます。
 そこで、民間事業者の育成や民間事業者と区市町村が交流する機会の提供などに、都として取り組む必要があると考えますが、都の見解を求めます。

○土屋企画担当部長住宅市場担当部長兼務 空き家対策を効果的に展開する上で、区市町村と民間事業者との連携協力は重要でございますが、地域によっては空き家対策に取り組む民間事業者が不足していたり、民間事業者の間でもノウハウの蓄積等に濃淡がございます。
 そこで来年度、空き家対策に取り組む民間事業者と区市町村を対象にシンポジウムを開催し、講演や交流会等を通じまして、先進的な空き家対策の取組を行う民間事業者のノウハウを他の事業者に還元する場を設け、民間事業者の底上げを図ってまいります。あわせて、区市町村が各事業者の活動内容等を知り、協力して空き家対策に取り組むきっかけづくりを行ってまいります。

○かつまた委員 ぜひこの空き家対策について、都が都のこれまでの知見を全力で生かしていっていただければというふうに考えます。
 新たな実施方針に基づき、地域資源としての空き家の利活用が都内の様々な地域で展開することで、様々な地域課題を解決することと期待をしております。ぜひよろしくお願いします。
 以上で質問を終わります。

○原田委員 二〇二三年度予算審議に当たりまして、私からは、都営北青山三丁目アパートの建て替えについて、都の住宅政策及びまちづくりの在り方において重大な問題をはらんでいるという観点から質疑をさせていただきます。
 神宮外苑から青山通りを南西に進むと程なくして、もう本当、すぐ近くです、都営北青山三丁目アパートが目に入ってきます。ほぼ青山通り沿いに、敷地面積四万平米を誇る都営住宅でしたが、都営住宅を高層化して一か所にぎゅっとまとめるとともに、そのほかの跡地を民間活用する方針が打ち出され、現在進行中です。
 二十三区ではどこでも都営住宅の高い倍率に悲鳴が上がっている今、青山通り沿いの比較的高い容積率を生かして都営住宅の戸数を増やすことこそ求められていますが、百歩譲って都営住宅の戸数をそのままに他の余った土地を何か行政需要に充てるというならまだあり得ますけれども、本計画では民間企業にこの都営住宅跡地の大半を明け渡し、事もあろうに都営住宅の住戸戸数を大規模に減らす計画となっています。
 そこでお聞きします。都営北青山三丁目アパートの建て替えについて、建て替え前の青山北町アパートは約五百八十戸の団地でありましたが、建て替え後の戸数は約三百戸となっています。残りの約二百八十戸分はどこに行ったのか。

○木村再編利活用推進担当部長 都営住宅の建て替え事業においては、居住者の世帯数等を踏まえるとともに、居住者の移転先の確保の状況、地域のまちづくりとの連携などを勘案し、地元区等と協議の上、建設戸数を決定してございます。
 北青山三丁目アパートの建て替えに当たりましては、居住者の円滑な移転に配慮しながら、周辺地域の都営住宅の建て替えの状況等も踏まえ、建て替え後の戸数を決定してございます。

○原田委員 今の答弁聞くと分かりますように、というか、分からないですけれども、つまり二百八十戸もの都営住宅戸数削減を行ったものの、具体的にどこでカバーするということにしていないというわけです。港区で失われた戸数がもしかしたら多摩地域で補われているという可能性も否定できない制度の立てつけになっているわけですね。
 そこでお聞きしますが、都営住宅の設置や配置についてエリアごとの計画や基準というのはあるのか伺います。

○栗谷川建設推進担当部長 都は、戦後の深刻な住宅難や高度成長期の人口集中に対応するため、都有地のほか取得した旧軍用地や国有地等において、都営住宅の建設を推進してまいりました。平成に入ってからも、公共公益施設との合築や臨海部での建設などを進めてきたことにより、都営住宅の立地は形成されております。
 平成十二年度以降、新規建設を行わず、現在は既存ストックを最大限に活用する観点から、昭和四十年代以前に建設された住棟を中心に、原則として、計画戸数が百戸以上であるものや、老朽化が著しいもの、団地の利用計画が適正に図られるものなどを基準に団地を選定し、建て替え事業に取り組んでおります。

○原田委員 今の答弁は、つまりエリアごとの計画や基準はないということを物語っているわけです。港区で減らした戸数が港区でしっかり確保されるのかどうか分からないというのが実態なんじゃないでしょうか。答弁では、戦後の深刻な住宅難や高度成長期の人口集中に対応するなどの答弁がありましたが、現在は住宅困窮者対策として都営住宅は存在しています。ですから、本来どの自治体でもしっかりと居住の権利を確保する都営住宅が整備をされなければならないわけです。
 二〇一六年に開催された国連人間居住会議、ハビタットⅢは、人間居住に関わる課題解決のために、各国政府、地方公共団体、NGO、国際機関等の代表者が一堂に会しました。日本からは国土交通省国土交通審議官を代表団長として、外務省、国土交通省、JICAが出席しましたが、そこで採択されたニュー・アーバン・アジェンダでは、こう書いています。
 様々な貧困の持続、不平等の進展、環境の悪化は依然として世界規模での持続可能な開発にとって重大な障害であり−−ここ大事ですよ、社会的、経済的な排除や空間的隔絶は、しばしば都市と人間居住において否定できない現実となっていると。
 都市の居住における問題点を指摘をしているわけです。
 そして、このニュー・アーバン・アジェンダの各国、各自治体の約束として、我々は取り残されたコミュニティ、ホームレス、弱い立場の人々の社会経済的、文化的な統合を考慮に入れて隔離を防ぎつつ、所得の異なる社会集団のメンバーにとって安全で安価な、アクセス可能で適切な住宅の多様な選択肢の供給を促進することにコミットする、こううたっているわけです。
 時の権力者やお金持ちの思惑だけで貧困層と富裕層をゾーニングしたりするのは、持続不可能な社会をつくっちゃいますよと警鐘を鳴らしているわけですね。
 住まいは人権という認識、これはもう国際的な認識であり、それぞれの国の国際公約ともなっており、その人の住宅の有無や質をあたかも自己責任としている日本や東京の在り方が問われています。その点で都は現在、都心を国際交流ゾーンなどと称して大規模な開発による住民の追い出しや、今回のような都心の都営住宅削減の免罪符を切ってしまっています。
 まるで大金持ちやグローバル人材を都心に集中させる一方で、住宅困窮者は国際交流ゾーンから追い出すかのような差別的なまちづくりの最たる例なのではないか。私はこの計画に強い危機感を感じています。
 そこで、こうした都のまちづくりと住宅困窮者対策が都営住宅行政にどう影響しているのか具体的にお聞きしますが、都営住宅全体の最近の管理戸数の推移についてお示しください。

○宮島都営住宅企画担当部長 平成二十九年度から令和三年度までの最近五年間の都営住宅の管理戸数は、約二十五万一千戸から約二十五万二千戸で推移しております。

○原田委員 二十五万一千戸から二十五万二千戸で推移という回答がありました。
 そこで住宅政策本部の事務事業概要を拝見いたしますと、都営住宅二十六万戸のストックという言葉を見ることができます。対外的に、東京都は都営住宅は二十六万戸ありますよと公表しているわけですね。
 しかし、実際は二十五万一千から二千戸ぐらいしか都民に提供できていないということなわけです。需要量と供給量に一万戸弱の不足が、いっている需要量と供給量に一万戸弱の不足があるように見えるわけですから、かなりの供給不足といって過言ではないと思います。
 その中で行われる二百八十戸の削減というのは、住宅政策本部もかなり神経をとがらせてしかるべき数字なのではないかなと。これだけ戸数を減らしてでも跡地の民活ってどんな推進力が働いたんだろうかと、不思議だなって思うわけですよね。
 都営住宅の高い応募倍率を見れば、そもそも二十六万戸という数字自体が明らかに住宅困窮者の数に見合っていないといわざるを得ませんが、一体この二十六万戸はどこから算定された数なのか。当然住宅困窮者の人数を想定し、算定してその住戸総数を決めるのが筋です。先ほども他の委員からもそういう質疑がありました。
 そこで、都営住宅の新規建設が突如止まった、止まってしまった石原都知事時代の住宅マスタープランを見ますと、そこには約二十六万戸のストックという言葉が出てくるわけです。今後はこの既存ストックの範疇でやりくりしますという文書ですね。
 そこでお聞きしますが、住宅政策本部令和四年度事務事業概要に示されている都営住宅二十六万戸という記載は、平成十三年度に策定された住宅マスタープランにおいて有効に活用するとされた約二十六万戸のストックと同義か伺います。
   〔発言する者あり〕

○浦口住宅政策担当部長 令和四年度の事業概要に示されている都営住宅等二十六万戸には、改良住宅等を含む都営住宅のほか、都施行都民住宅等も含まれており、平成十三年度に策定されました東京都住宅マスタープランにいう都営住宅の約二十六万戸のストックは、これらの住宅から都施行都民住宅等を除いたものでございます。
   〔発言する者あり〕

○原田委員 他の委員からもちゃんと答えた方がいいよというやじが飛んでいますけれども、答えになっていないわけなんですね。都営住宅二十六万戸の根拠はどこなのか。石原都知事が新規建設をやめたときの住戸数が現在の都営住宅二十六万戸の根拠になっているんですかと聞いたわけです。そこへの明確な答弁はありませんでしたが、私の推測を否定はしませんでした。つまり何のことはない、都営住宅の総数は、現在の総数二十六万戸というのは、住宅困窮者の人権を守るために何らかの試算をして割り出した数というのではなく、石原都知事が新規建設をやめたときの住戸数ということなんです。それまで順調に右肩上がりに都民のニーズに合わせて増えてきた都営住宅ですが、まだまだ応募倍率物すごい高い状況だったにもかかわらず、突如新規建設が打ち切られてしまったと。
 それでも、住まいは人権ですから、住宅困窮者対策はしっかりしなければいけないと、そこでもっともらしく事の経緯や根拠も示さずに、都営住宅二十六万戸といってきたわけです。今、都営住宅の定期募集の結果を見れば本当に倍率が高く狭き門です。都心に至っては数戸の募集に数百人が応募するような異常な倍率の部屋もあります。どの自治体であってもひとしく住宅困窮者に適切なサービスが提供されねばなりません。
 そこで、率直にお聞きしますが、都内の自治体ごとに見た場合、人口比で都営住宅の戸数が少ない自治体は都営住宅の供給において不公平が生じているのではないか。この問いにお答えください。

○栗谷川建設推進担当部長 都は、戦後の深刻な住宅難や高度成長の人口集中期から平成初期に至るまで用地の確保を図り、都営住宅の建設を推進してまいりました。
 現在は、既存ストックを最大限に活用する観点から建て替え事業に取り組んでおり、建て替え団地ごとに居住者の世帯数や立地条件、建築規制等について検討し、地元自治体と協議の上で建て替え戸数を決定しております。

○原田委員 既存ストックを最大限活用するという答弁ですけれども、五百八十戸あった北青山三丁目アパートの戸数は二百八十戸減らし、結果どこに行ったか分からなくなり、全体として見ても十年以上にわたって二十六万戸を一万戸弱足りない状況が続いているわけです。しかも、十年前の住戸数と直近の住戸数を比べると減ってきているわけです。これは重大な問題なんではないでしょうか。
 もう一つ、この計画の問題点があります。それは都営住宅の跡地を使った民間活用です。
 四万平米に及ぶ土地を三つに区切った真ん中の土地で、現在、青山共創という企業体がその土地を使っています。この青山共創の構成員を見ますと、やはり神宮外苑で問題となっている三井不動産の名前が出てまいります。
 ここには九十メートルの民活ビルが既に建っており、一階に商業施設があり、中層階にサービス付高齢者住宅、その上は賃貸マンションとなっています。
 そこでお聞きしますが、民間のサービス付高齢者向け住宅へ入居することによってかかる月々の住居費は、通常どれくらいか。

○鈴木民間住宅部長 サービス付高齢者向け住宅に関する普及活動等を行っております一般社団法人高齢者住宅協会が運営しております、サービス付高齢者向け住宅情報提供システムにおきまして、令和五年一月末時点で公表されております都内全域のサービス付高齢者向け住宅の家賃から建築物ごとに平均家賃を算出し、その平均家賃を合計して建築物数で割って算出すると、月額約十一万円となっております。
 また、共益費につきましては、同様に算出しますと、月額約二万六千円となっております。なお、このほかにサービス付高齢者向け住宅で提供される安否確認や生活相談などのサービス費がかかります。

○原田委員 家賃と共益費で大体十四万円と、そこに答弁の最後に出てきた安否確認などのサービス費が数万円のしかかって大体二十万円ぐらいから三十万円ぐらい。私が聞いてきたサ高住の家賃って確かにそんな感じだと思うんです。安くはありません。
 しかし、この民活サ高住の月額費は驚きます。何と一月九十万円です。これは住宅困窮者や家族の手厚い支援がない高齢者が入るような場所ではありません。富裕層向けのサ高住ですね。二百八十戸も戸数を削った都営住宅の跡地を使って、超高級サ高住を造るなんて。しかも、その上の賃貸マンションは高い部屋で何と一月二百万円、残りの三分の一ぐらいの土地はこれから高さ百八十メートルの超高層オフィスビルが建つわけです。一体どんな悪い冗談なのかと。
 先ほど紹介したハビタットⅢのニュー・アーバン・アジェンダの中には、こういうコミットメントもあるんです。土地投機を防止し、安全な土地所有を促進し、必要に応じて都市の収縮へ対応することにより、持続可能で包摂的な都市経済を確保すると。
 こういう宣言に全く逆行するような計画になっているんじゃないのかなと。しかも、この土地は都が青山共創に貸し出しているわけですが、平米当たり月二千五百二十一円とも聞いています。
 都民にとって安全な土地所有を促進するどころか、それこそディベロッパーにとって安全な土地所有を促進するような計画なんじゃありませんか。こんなまちづくりを都が主導していて、どうして誰にでも開かれた持続可能な居住環境がつくられるでしょうか。
 時代に逆行する住宅行政を今すぐ方向転換するよう強く指摘し、質問を終わります。

○藤井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 異議なしと認め、予算案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で住宅政策本部関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時三十三分散会

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