都市整備委員会速記録第十八号

令和四年十二月十二日(月曜日)
第六委員会室
午後一時開議
出席委員 十三名
委員長藤井とものり君
副委員長尾崎あや子君
理事関野たかなり君
理事谷村 孝彦君
理事小宮あんり君
吉住はるお君
松田りゅうすけ君
平けいしょう君
かつまたさとし君
磯山  亮君
森口つかさ君
原田あきら君
中村ひろし君

欠席委員 一名

出席説明員
都市整備局局長福田  至君
次長小沼 博靖君
技監安部 文洋君
技監小野 幹雄君
理事谷崎 馨一君
総務部長打田 武彦君
都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務山崎 弘人君
都市基盤部長朝山  勉君
市街地建築部長飯泉  洋君
企画担当部長長尾 肇太君
まちづくり推進担当部長吉野 敏郎君
まちづくり調整担当部長澤井 正明君
住宅政策本部本部長山口  真君
技監久保田浩二君
住宅企画部長越  秀幸君
民間住宅部長鈴木 誠司君
都営住宅経営部長青柳 一彦君
民間住宅施策推進担当部長越智 英明君
建設推進担当部長栗谷川哲雄君

本日の会議に付した事件
都市整備局関係
付託議案の審査(質疑)
・第二百六号議案 令和四年度東京都一般会計補正予算(第五号)中、債務負担行為 
都市整備局所管分
・第二百二十号議案 東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
住宅政策本部関係
契約議案の調査
・第二百二十四号議案 都営住宅四H−一〇二東(江戸川区平井三丁目第二)工事請負契約
・第二百二十五号議案 都営住宅四CH−一〇一西(練馬区石神井台四丁目・練馬区施設)工事請負契約
・第二百二十六号議案 都営住宅四H−一二四東(江戸川区下篠崎町)工事請負契約
付託議案の審査(質疑)
・第二百六号議案 令和四年度東京都一般会計補正予算(第五号)中、債務負担行為 
住宅政策本部所管分

○藤井委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 初めに、契約議案について申し上げます。
 契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
 本件につきましては、調査結果を財政委員長に報告することとなっております。
 公文の写しはお手元に配布しております。
 朗読は省略いたします。
     
令和四年十二月八日
東京都議会議長 三宅しげき
(公印省略)
都市整備委員長 藤井とものり殿
   契約議案の調査について(依頼)
 左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
     記
1 調査議案
 第二百二十四号議案 都営住宅四H−一〇二東(江戸川区平井三丁目第二)工事請負契約
 第二百二十五号議案 都営住宅四CH−一〇一西(練馬区石神井台四丁目・練馬区施設)工事請負契約
 第二百二十六号議案 都営住宅四H−一二四東(江戸川区下篠崎町)工事請負契約
2 提出期限 令和四年十二月十二日(月)

○藤井委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、住宅政策本部関係の契約議案の調査並びに都市整備局及び住宅政策本部関係の付託議案の審査を行います。
 これより都市整備局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第二百六号議案、令和四年度東京都一般会計補正予算(第五号)中、債務負担行為、都市整備局所管分及び第二百二十号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 ご発言を願います。

○平委員 私からは、補正予算概要に示されました補正事項、東京高速道路(KK線)再生に向けた情報発信等業務委託、債務負担行為額一億八千万円につきまして質疑を行わせていただきます。
 銀座のまち並みをコの字型に囲むように走る自動車専用道路、東京高速道路、通称KK線は、一九六六年、戦後の銀座復興や周辺の道路の渋滞緩和を目的に開通いたしました。首都高につながり、千代田区、中央区、港区の境界を縫うように走り、首都高と接続しており、交通量は一日約三万台で、道路建設費と運営費をビル賃貸収益で回収しているため通行料が無料の高速道路として利用され、全長は約二キロ、およそ十万平方メートルの高架下スペースには、銀座コリドーなど四百余りの店舗、オフィス、駐車場などがあります。
 小池知事は、二〇二〇年六月二日の都議会本会議でKK線の今後について、歩行者系機能の施設として活用する方向であると検討することを表明いたしました。
 その後、日本橋周辺の首都高速道路地下化の検討をきっかけに、KK線の既存施設の有効活用策を議論する有識者検討会を設置し、既存施設の在り方について検討を開始いたしました。
 そして、今定例会の知事所信表明において、歴史や文化に裏打ちされた品格あるまち並みの顔、日本橋、その姿をさんさんと輝く太陽の下に開放する首都高地下化の取組も着実に進める、銀座を走る東京高速道路を人中心の空間に再生するKK線プロジェクトでは、この夏に視察いたしましたニューヨークのハイラインのように、訪れるたびにわくわくするような緑あふれる空中回廊としてよみがえらせる、来年の春には、KK線を歩いて楽しめるイベントを実施し、多くの方にウオーカブルな都市空間の魅力を体感いただきたいと述べられました。
 イベント開催に当たっては、事業者である東京高速道路株式会社や地元区などとの調整が必要となります。今回のイベント実施に当たり、関係者とどのような調整を行っていくのかお伺いをいたします。

○吉野まちづくり推進担当部長 今回のイベントは、現在車が通行しているKK線上を多くの方に歩いていただくことで、ウオーカブルな都市空間の魅力を体感していただくため都が行うものであり、役割分担や内容などについて施設所有者である東京高速道路株式会社と協議、調整を行ってまいります。
 また、イベントの開催には地元区や地域団体との連携が重要であることから、地元の声も聞きながら必要な調整を図ってまいります。

○平委員 イベントを開催し、整備の方向性や課題を確認することは重要です。メディアへのプレスリリースはもちろんのこと、SNSを活用し、効果的、有効的な広報を展開することが必要と考えます。また、地上七から八メートルある危険性も考慮しなければなりません。
 そこで、イベントの内容、イベント開催に当たっての広報の仕方、安全対策についてお伺いをいたします。

○吉野まちづくり推進担当部長 今回のイベントは、KK線再生の取組について計画段階から幅広く都民に知っていただき、この事業の重要性や将来のKK線の姿を理解していただくことなどを目的としており、KK線の上部空間を歩いて楽しめるウオーキングガイドツアーや、再生後の上部空間を感じられる交流体験イベント、PRパネルの展示などによる情報発信などを予定してございます。
 イベント開催に当たっては、様々な媒体やSNSを活用した周知を行うなど地元区や地域団体とも連携しながら、より効果的な広報を行っていきます。
 また、現在KK線は自動車専用道路であり、人が歩くことを前提としていないことから、イベントの開催に当たり、落下防止対策やスタッフによる案内誘導など万全な安全対策を講じてまいります。

○平委員 ありがとうございます。
 小池知事は、二〇二〇年八月にKK線を視察した際には、緑化して歩けるような通りにしていく考えを示すとともに、車から人中心の空間にしていくことをベースにし、誰もが楽しめる新しいまちの在り方を象徴するような形になればと思うとも述べておられます。
 KK線の方向性については、地元の方々も大いに関心を持って、都の方向性に期待していると伺いました。KK線を戦後から目の当たりにしてこられた方々や、Z世代にも親しまれるサステーナブルな観点を持って、都を代表する観光地としてKK線を発展させていくべきと考えます。
 今後のKK線について、イベント開催での経験を生かし、どのように事業を推進していくのかお伺いをいたします。

○吉野まちづくり推進担当部長 今回のイベントでは、KK線を再生する取組を幅広くアピールするほか、参加者や地域団体などの意見や要望などを聴取することも重要だと認識してございます。
 また、歩行者の流れや管理上の課題などイベントを通じて得られる実証的な情報の収集、分析を行い、関係者と調整しながら上部空間の整備や管理運営の検討などに生かしてまいります。

○平委員 都民に愛される施設としてKK線が親しまれることを願いまして、私の質疑を終わります。ありがとうございました。

○中村委員 それでは、補正予算に計上された東京高速道路、いわゆるKK線について伺います。
 今回の補正予算では、新型コロナウイルス感染症対策等の項目に事業執行の迅速化に向けた取組などとして、KK線再生に向けた情報発信等業務委託について債務負担行為一億八千万円が計上されました。
 小池知事の所信表明演説でも、夏にニューヨークのハイラインを視察したことを述べていましたので、都として注力しているようです。とはいえ、予算の原則は年度予算ですから、債務負担行為とはいえ補正予算で提出をされたのです。また、都の予算全体からすれば一部とはいえ、単発のイベントで一億八千万円というのは、かなり大きな金額でもあります。
 まず、補正予算として来年の春に実施予定のKK線上部空間でのイベントの内容について伺います。

○吉野まちづくり推進担当部長 今回のイベントは、KK線再生の取組について計画段階から幅広く都民に知っていただき、この事業の重要性や将来のKK線の姿を理解していただくことなどを目的としており、KK線の上部空間を歩いて楽しめるウオーキングガイドツアーや、再生後の上部空間を感じられる交流体験イベント、PRパネルの展示などによる情報発信などを予定してございます。

○中村委員 将来のKK線の姿を理解していただくとのことですが、必要な関係道路が整備されてからの上部空間の利用ですから実際にはかなり先のようですので、補正を組んで、このタイミングでの実施については若干疑問が残らなくもありません。少なくとも、まだKK線は自動車専用道路として利用されているので、それを止めてまでイベントを行うとすると、交通に影響がある可能性があります。
 KK線の通行止めにより、KK線を利用していた交通が首都高へ転換することが予測されます。首都高への交通影響について伺います。

○吉野まちづくり推進担当部長 イベントの開催につきましては、首都高の交通量が少ない休日など、影響が少ない日程で検討してございます。
 現在、首都高などの関係者と開催日程や交通対策などの協議を進めており、今後こうした取組を踏まえて適切に対応してまいります。

○中村委員 影響が少ないとのことではありましたが、日々利用するドライバーへの周知が必要であり、予算のうちの一定の金額が広報のために計上されているようです。少ないとはいえ、利用されている方々に漏れのないように周知していただきたいと思います。
 金額も大きくて交通にも少なからず影響があるわけですから、ただ単にイベントだけをやって終わらせてはならないとは思います。
 既に昨年三月に再生方針を策定していますが、あくまでまだ机上の計画でしかありません。ふだんは車両しか通行できないのですから誰も歩いたことはないわけですし、そういう意味では、貴重な機会にはなります。実際に都民が歩いてみたら、再生方針とは違った反応を示すかもしれませんし、新たな課題も見つかるかもしれません。
 せっかくイベントを開催するのですから、イベントだけで終わらせず、このイベントの実施によって得られた経験を今後にどう役立てていくのか伺います。

○吉野まちづくり推進担当部長 今回のイベントでは、KK線を再生する取組を幅広くアピールするほか、参加者や地域団体などの意見や要望などを聴取することも重要だと認識してございます。
 また、歩行者の流れや管理上の課題などイベントを通じて得られる実証的な情報の収集、分析を行い、関係者と調整しながら上部空間の整備や管理運営の検討などに生かしてまいります。

○中村委員 KK線は、周辺のまちを歩いていてもかなり上の方にあるので、現時点では、普通にまちを歩いていればあそこに道路があることはなかなか分からず、それゆえに歩いてみたいと思うこともありません。
 予算の原則は年度の予算であり、金額からも交通状況からも頻繁にできるイベントでもありません。交通を止めてしか得られない貴重な情報を収集して、今後のまちづくりに生きるようにすることが必要です。
 以上を述べて、質問を終わります。

○藤井委員長 発言がなければ、お諮りをいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市整備局関係を終わります。

○藤井委員長 これより住宅政策本部関係に入ります。
 初めに、契約議案の調査を行います。
 第二百二十四号議案から第二百二十六号議案までを一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 ご発言を願います。

○尾崎委員 私の方からは、第二百二十四号、第二百二十五号、第二百二十六号の契約案について意見を述べさせていただきたいと思います。
 都営住宅の建て替え工事については反対するものではありません。今、長引く新型コロナ感染症の拡大と物価高騰の影響で住宅に困っている都民が増えています。さらに今後も増える状況だと心配しているところです。
 今回、建て替え前の住戸数と建て替え後の住戸数を比較し、減少するものではないということも説明を受けていますが、やはり、都営住宅は住宅セーフティーネットとしての役割を果たす上で、建て替え時に住戸を増やすことが求められると思っています。
 さらにいえば、新規建設が求められています。日本共産党都議団は、建て替えによって入居する人数で部屋の大きさが決まる型別供給には反対をしてきました。私も、都市整備委員になってから毎回見直しを要望しています。型別供給では、例えば、二人で二DKに住んでいる人が退去しても、そこには高齢の単身者が入りたいと思っても申し込むことができません。逆に、一DKが多いとファミリー世帯は入居できない状況になります。
 改めて、型別供給は見直すべきだと要望して、意見とします。

○中村委員 それでは、契約議案について伺います。
 今回、三件の都営住宅の建て替えが提案されていますが、そのうちの二件は江戸川区に所在しています。私は、十一月のこの委員会で都市整備局への質問で、江戸川区を含む、いわゆる江東五区といわれる東部低地帯についての水害対策を質問しました。水害が発生すると、最悪の想定で二百五十万人の居住地が浸水すると予想されます。
 以前は、二百五十万人がこの五区から外へ避難するという不可能に近い方針が示されましたが、最近になって垂直避難という現実的な方法に変わってきました。既にある多くの住宅をすぐに高層化するのは困難ですが、少なくとも、当該地域にある都営住宅を建て替える機会を生かして、より垂直避難ができるような構造にしていくことは都が率先して取り組むべきことだと思います。
 そこで、最初に伺いますが、議案にある江戸川区の平井三丁目第二団地と下篠崎町団地は、ハザードマップで何メートル浸水すると予想されているのでしょうか、伺います。

○栗谷川建設推進担当部長 江戸川区水害ハザードマップによりますと、想定最大規模の洪水や高潮が発生した場合、平井三丁目第二団地は、地表面より三メートルから五メートル未満の深さで浸水するとされております。
 また、下篠崎町団地では、地表面より〇・五メートルから三メートル未満の深さで浸水するとされております。

○中村委員 全域が浸水するということなので両方とも浸水はするのですが、とりわけ平井三丁目第二団地は三メートルから五メートル未満で浸水ということがあらかじめ予想されているわけです。建て替える機会に対策を立てるのは、私は当然だと思います。
 この江戸川の二つの団地について、二階以上に避難スペースとして集会室を設置する考え方はなかったのか伺います。

○栗谷川建設推進担当部長 集会所は、居住者及び周辺住民の利用に便利な位置に、原則として独立して設けることとしております。上層階への集会室の設置については、規模の制約や隣接住戸への騒音等の課題もありますが、地元自治体からの要望に応じ、団地自治会とも調整の上、協議を行うこととしております。
 平井三丁目第二団地及び下篠崎町団地では、計画策定に当たりこうした要望はなく、集会所については、議案のとおり敷地内に平屋建て独立棟として整備する計画としております。
 なお、地元区とは、大規模な水害が発生した際に住棟の廊下などの共用部分を緊急避難先とする覚書を締結しております。

○中村委員 私も、普通の団地であれば集会所は便利な場所に設置をした方がよいとは思いますし、上層階に設置をした場合の課題も想定はできます。ただ、何より命が大切ですから、何を優先するかだと思います。
 また、大規模な水害発生の際には廊下などを緊急避難先にするとのことですが、まずは命が助かるためにというのはそうなんですが、どのくらいの期間で水が引くか分かりませんが、それなりの期間を廊下で過ごすには限界があります。廊下のコンクリートの上にそのまま眠ることもできません。
 そもそも、低層階の住民がまずは上に逃げてくるので、さらに周辺住民も受け入れるとすれば、廊下などのような狭い場所だけでは足りなくなります。
 今回、地元自治体の要望がなかったとのことですが、逆にいえば、要望があればできるということでもあります。今後、水害のおそれがある地域については積極的に集会室を上層階に設置すべきと考えるのですが、いかがでしょうか。

○栗谷川建設推進担当部長 水害のおそれがある地域における都営住宅の建て替えに当たっては、上層階への集会室の設置について、規模の制約や隣接住戸への騒音等の課題もありますが、地元自治体からの要望に応じ、団地自治会とも調整の上、協議を行ってまいります。

○中村委員 団地の自治会からすれば、住民ではない方々が避難してくる前提になるので調整が難航するとも予想されます。最悪の事態において、対策の必要性を丁寧に説明していただきたいと思います。
 改めて述べますが、何を優先して整備するかですから、私は命を守ることを最優先にしていただきたいと思います。
 今回の契約議案については、既に設計が終わった議案として賛成しますが、今後、江東五区に整備する場合については水害対策を踏まえた整備を検討することを求めて、質問を終わります。

○藤井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 異議なしと認め、契約議案に対する質疑は終了いたしました。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも異議のない旨、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。
     
○藤井委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第二百六号議案、令和四年度東京都一般会計補正予算(第五号)中、債務負担行為、住宅政策本部所管分を議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行いたいと思います。
 ご発言を願います。

○森口委員 気候危機が深刻化する中、都は、二〇三〇年カーボンハーフの実現に向け、取組を加速させています。
 都内CO2排出量の七割以上は建物由来であり、家庭部門、すなわち住宅のCO2排出量が全体の約三割であることから、ゼロエミッション東京の実現には、住宅部門での省エネ、再エネの取組が重要です。また、都内における既存マンションは、分譲、賃貸合わせて約十四万棟、都民のおよそ半分の世帯がお住まいであり、既存マンションにおける省エネ、再エネの推進は不可欠と考えます。
 そこでまず、都内の既存マンションの省エネ、再エネの現状を都としてどのように捉えているのか伺います。

○越智民間住宅施策推進担当部長 平成十一年、エネルギーの使用の合理化等に関する法律の改正により、建築物の断熱性能が強化された省エネ基準が導入される以前に建築された分譲及び賃貸マンションでは、二重サッシや複層ガラスの窓が使われていないなど、断熱性能が低いものも多ございます。特に、昭和五十八年以前に建築された分譲マンションを対象とした管理状況届出制度によって把握している情報では、届出のあったマンションのうち、二重サッシ等を設置したものは約一割にとどまっております。
 また、平成三十年住宅・土地統計調査によると、全ての住宅のうち、太陽光発電設備を設置しているのは一・四%であるのに対し、既存分譲マンションでは一・一%とさらに少ない状況でございます。

○森口委員 本定例会では、新築住宅に対する太陽光発電設備の義務化の条例改正案が議論されています。
 ただいまの答弁にあったような状況に照らしてみますと、ゼロエミッション東京の実現に向けては、既存マンションでの省エネ、再エネの取組を推進することが重要と考えますが、既存マンションに対する太陽光発電設備設置が進んでいない現状の課題は、どのように認識しているか伺います。

○越智民間住宅施策推進担当部長 既存マンションに対する太陽光発電設備の設置に当たりましては、工事費などの初期費用の負担、自家消費や売電等により初期費用等を回収するまでの期間などの課題が挙げられます。
 これに加え、特に分譲マンションにおいては、共用部分の変更は、区分所有法により区分所有者及び議決権の四分の三以上の賛成が必要であり、太陽光発電設備の設置はこれに該当するとされているため、合意形成が大きな課題であると考えております。

○森口委員 お話のように費用面の懸念とともに、既存分譲マンションは価値観や経済状況が異なる人が共有する建物でありまして、戸建て住宅とは異なり、合意形成が大きな課題であることは理解ができます。
 太陽光発電設備の導入に当たり、既存分譲マンションの管理組合が必要な情報を把握することが合意形成の前提であると考えますが、都の認識について伺います。

○越智民間住宅施策推進担当部長 太陽光発電設備の導入を進めるためには、管理組合への適切な情報提供により、区分所有者間の合意形成を支援していくことが必要でございます。
 都はこれまで、マンションの共用部分の省エネ対策、再エネ活用について解説した東京都マンション省エネ・再エネガイドブックを作成し、広く管理組合へ周知しております。また、省エネ、再エネ導入に興味を持った管理組合に対しては、建築士等の専門家を無料で派遣し、太陽光発電設備の設置の可能性など個別具体的なアドバイスや提案を行っております。
 こうした取組に加え、太陽光発電設備を実際に設置していくためには、個々のマンションの実態に即して、工事費及び自家消費による光熱費の削減等の費用対効果を分かりやすく示すなど、管理組合の導入意欲や検討の熟度等の段階に応じた情報提供を進めていくことが重要であると考えております。

○森口委員 今回の四定補正案であります大規模修繕工事の機会を捉えたマンション管理組合等への省エネ・再エネの普及啓発事業も、合意形成等を支援するための予算と聞いていますが、なぜ大規模修繕工事の機会なのか、また、補正予算で対応する理由について伺います。

○越智民間住宅施策推進担当部長 大規模修繕工事を迎えるマンションに的を絞っている理由といたしまして、太陽光発電設備設置工事との同時施工による低コスト化が図られることや、特に分譲マンションでは、大規模修繕工事に向けて管理組合内の話合いが活発になる中、総会等において省エネ、再エネを議題に上げやすいことなどが挙げられます。
 そのため、数年のうちに大規模修繕工事を迎えるであろうマンションに向けて、省エネ・再エネガイドブックのほか、太陽光発電設備の設置促進に向けた都の支援制度や相談窓口等を記載したリーフレット等を届ける予定でございます。
 こうした取組を行うに当たり、都は届け先のマンションの住所や竣工年などの情報を持ち合わせていないため、今回、分譲及び賃貸マンションのデータを調査、収集することとしたものです。
 その上で、通常総会の開催が集中するといわれている五月から六月頃までに、該当するマンションの管理組合やオーナーに届けるため、今回の補正予算の提案となっております。

○森口委員 今回の補正予算を実行に移し、分譲及び賃貸マンションの太陽光発電設備の設置を推進していくには、住宅行政部門の取組のみならず、環境局など関係局とも連携していくことが必要であるとともに、マンション管理に関わる団体や事業者の理解と協力も不可欠であると考えますが、見解を伺います。

○越智民間住宅施策推進担当部長 分譲及び賃貸マンションの太陽光発電設備設置を促進するため、太陽光発電設備に対する補助事業を実施している環境局や、建築関連法規を所管している都市整備局等、関係局との連携をさらに強化してまいります。また、東京都省エネ・再エネ住宅推進プラットフォームの活用による、関係団体等と連携した情報提供や相談体制の一層の強化を図ってまいります。
 こうした取組により、既存マンションへの太陽光発電設備の設置を促進してまいります。

○森口委員 多くのマンションに省エネ、再エネの普及啓発を行うこの機会に、効果的な取組になるような工夫が必要です。
 管理組合に届けるリーフレットには、環境局とも連携した補助制度のメニューの紹介や、具体的なマンションへの導入事例や費用対効果が分かるような内容にするとともに、リーフレット送付の際には、今後、都とマンション管理組合及びマンション所有者で、双方向のやり取りができるような工夫をするべきと要望させていただき、質問を終わります。

○中村委員 それでは、補正予算について質問します。
 今回、大規模修繕工事の機会を捉えたマンション管理組合等への省エネ・再エネの普及啓発事業として二千万円の債務負担行為が計上されました。今定例会では、環境局から新築の住宅に太陽光パネルの設置を義務化する条例が提案され注目されています。地球温暖化を防ぐための取組は既存のマンションにおいても必要です。
 今回の補正予算案を執行するに当たり、既存マンションにおけるCO2削減の目標値を設定し、目標に向けて取り組むべきと考えますが、見解を伺います。

○越智民間住宅施策推進担当部長 今定例会では、大手住宅供給事業者等に新築住宅への太陽光パネルの設置等を義務づける条例改正案が提出されており、波及効果等も含めると、都内の住宅に二〇三〇年までに新たに百万キロワット程度の導入が期待できるとしております。この発電量は、家庭部門の電力消費量の約六%に相当し、そのCO2削減効果は、二〇三〇年カーボンハーフの実現に必要な家庭部門の削減量の約五%に貢献するものであります。
 今回の補正予算に基づく既存マンションに対する太陽光発電設備の設置促進の取組は、こうしたCO2削減に寄与する取組の一つであると認識しております。

○中村委員 家庭部門におけるCO2削減の貢献についてご答弁がありましたが、既存マンションの貢献もその内数だとは思いますが、細かく目標設置を行い、達成に向けて取り組むことが重要だと思っています。
 今回の取組を既存マンションの太陽光発電設備の設置に着実につなげていくことが重要であると考えますが、所見を伺います。

○越智民間住宅施策推進担当部長 今回の取組では、数年のうちに大規模修繕工事を迎えるであろうマンションに向けて、省エネ・再エネガイドブックのほか、太陽光発電設備の設置促進に向けた都の支援制度等を記載したリーフレット等を届ける予定でございます。
 関心を示した管理組合等には専門家を派遣し、アドバイス等を行うほか、太陽光発電設備に対する補助事業を実施している環境局など関係局とも連携し、設置を後押ししてまいります。

○中村委員 今年、二〇二二年三月に改定された東京マンション管理・再生促進計画において、このマンションの省エネ化、再エネ利用の促進に向けた支援策の構築として、今年度は支援策検討とあり、二〇二三年度からは支援策構築とあります。
 しかし、具体的な政策目標が定められているかどうかを見てみると、例えば、全部または一部の窓に二重サッシ以上または複層ガラスの窓を使用しているマンションストックの比率として、二〇一八年度末二九・五〇%との数字が観測実況指標に挙げられているのみです。
 観測実況指標は、行政が要因分析や対応策の検討に必要なものとして継続的な把握が必要になる指標にすぎず、行政が達成すべき政策の指標ではありません。
 今後、既存マンションにおけるCO2削減において、適切な政策指標を設定するなど都としても具体的に取り組んでいただくよう求めて、質問を終わります。

○藤井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で住宅政策本部関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時三十五分散会