都市整備委員会速記録第十六号

令和四年十一月二十二日(火曜日)
第六委員会室
午後一時開議
出席委員 十三名
委員長藤井とものり君
副委員長鈴木 錦治君
副委員長尾崎あや子君
理事関野たかなり君
理事小宮あんり君
吉住はるお君
松田りゅうすけ君
かつまたさとし君
磯山  亮君
原田あきら君
平けいしょう君
森口つかさ君
中村ひろし君

欠席委員 一名

出席説明員
住宅政策本部本部長山口  真君
技監久保田浩二君
住宅企画部長越  秀幸君
民間住宅部長鈴木 誠司君
都営住宅経営部長青柳 一彦君
連絡調整担当部長今井 徳彦君
住宅政策担当部長浦口 恭直君
企画担当部長住宅市場担当部長兼務土屋 太郎君
技術企画担当部長中山  衛君
民間住宅施策推進担当部長越智 英明君
経営改革担当部長都築 裕樹君
都営住宅企画担当部長宮島 正次君
建設推進担当部長栗谷川哲雄君
営繕担当部長小林 秀行君

本日の会議に付した事件
住宅政策本部関係
事務事業について(質疑)

○藤井委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、住宅政策本部関係の事務事業に対する質疑を行いたいと思います。
 これより住宅政策本部関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 ご発言を願います。

○鈴木委員 私から、都営住宅等におけるウクライナ避難民の方の受入れに関しての質問をいたします。
 ロシアによるウクライナへの侵攻が今年の二月に開始されて以降、約九か月になる今でもなお、国際情勢は不安定な状況にあります。ウクライナからの避難民は日本全体で二千人を超え、東京でも五百人を超えています。
 住宅政策本部は、三月からウクライナ避難民の方に都営住宅等を提供していますが、避難生活は長期化することが予想され、現在も新たに入居される避難民の方がいることと思います。
 そこで、初めに、ウクライナ避難民の方の都営住宅等への受入れ状況と、今後受入れのために確保する住戸の見込みについて伺います。

○都築経営改革担当部長 都営住宅等に入居しているウクライナ避難民の方は、令和四年十一月二十一日時点で百九十組、三百二十一人でございます。
 ウクライナ避難民の方を受け入れる住戸については、事業用空き住戸のうち、当面の使用予定がなく、住戸内の補修、点検等に時間がかからないものを活用しております。
 受入れ住戸は七百戸まで提供可能と見込んでおり、今後の状況に応じて適切に対応してまいります。

○鈴木委員 ご答弁によりますと、都営住宅等での受入れ人数は既に三百人を超えており、多くの避難民の方が都内各地の都営住宅で暮らしていることが分かりました。
 都は、避難民の方に対して全庁を挙げて生活、教育、就労など各分野の支援を行っていますが、住宅政策本部が行っている住まいの支援は生活の基盤となるもので、大変重要であります。
 そこで、住宅政策本部が避難民に提供している都営住宅等の住戸に設置している備品などの支援の状況と、交流会などソフト面での支援について、具体的内容を伺います。

○都築経営改革担当部長 都は、都営住宅等の住戸を無償で提供しており、入居後の生活に困らないよう、照明器具やエアコン、冷蔵庫、洗濯機、ベッド、Wi-Fiホームルーター等の備品をあらかじめ用意しているほか、光熱水費等の支援も行っております。
 あわせて、都営住宅等の住まい方の留意点や自治会活動等を記載した住まいのしおりのウクライナ語及びロシア語版を作成し、配布しております。
 また、避難民の方と団地居住者や近隣住民の方との良好なコミュニケーションを図るため、東京文化会館と連携して、これまでに台東区、昭島市、足立区の都営住宅の集会所で東京みんなでサロンを開催し、地域での交流の機会を提供しております。

○鈴木委員 住居だけでなく、電化製品などの提供や光熱水費などの支援もされているとのことでございました。非常に厳しい状況から避難されている方々に、でき得る限りの支援をお願いしたいと思います。
 私の地元府中市の都営住宅にも避難民の方が入居しており、府中市をはじめ団地の自治会の方や地域の方も支援を協力いただいています。
 先日も、地元の都営住宅に入居した避難民の方が、ウクライナでの爆撃により音に対して非常に敏感になって、生活上の不安を訴えた方がいました。団地自治会長はじめ近隣の方たちが大変心配されて、都の対応を要請されたところ、住宅政策本部が迅速な対応をされ、自治会長はじめ皆さん方も大変喜んでいます。また、避難民の方も、地域の皆さんの温かい真心と、また、迅速な対応に感謝して、笑顔を取り戻すまでになりました。
 このように、避難民の方からは住まいについて様々な要望があると思いますが、受入れに当たって主にどのような要望があり、都はどのように対応しているのか、また、受入れ後の対応について、併せて伺います。

○都築経営改革担当部長 都内の避難民の方の多くは知人等の支援者を頼りながら生活しており、支援者の住まいの近くの都営住宅等への入居希望が多く寄せられております。このため、都は、避難民の方が置かれている個別の事情や要望等を踏まえ、住戸を確保して対応しております。
 また、受入れ後も関係各局や地元市区町と連携し、情報共有を図りながら、避難民の方が抱える生活上の不安などを丁寧に聞き取り、暮らしに寄り添った支援に努めております。

○鈴木委員 答弁にございましたとおり、住宅政策本部は、都営住宅等の受入れの際だけではなくて、受入れ後も関係各局や地元自治体等と連携を図りながら、避難民に寄り添った丁寧な対応をしていただき、感謝をいたします。
 今後も、とてつもない状況のウクライナから東京に避難してきた方々が少しでも安心して避難生活を送れるように、引き続きの対応を私からもお願いをして、質疑を終わります。ありがとうございました。

○森口委員 今日、都内の約四分の一の世帯が分譲マンションに住み暮らす一方、高度成長期以降、数多く建設されてきた築四十年を超えるような建物が今後十年間で急増するなど、高経年マンションの増加が指摘をされています。
 建物の老朽化とともに、都内に一万二千棟ある昭和五十六年以前の旧耐震基準のマンションでは、世帯主の半数以上が既に六十五歳を超えているなど、居住者の高齢化も併せて進んでおります。
 首都直下地震等の発生が懸念される中、耐震性不十分の高経年マンションは、災害時の落下事故や道路の閉塞などリスクにつながるとともに、マンションの管理不全による防犯上の問題、衛生上の問題、景観への影響など、地域の生活環境にも悪影響を与えることが懸念されており、東京におけるマンションの適正管理や再生は、大変重要な課題であります。
 そこで、都のマンション管理条例に基づき一昨年四月から始まった、都道府県としては初となる管理状況の届出制度でありますが、改めて、その概要や目的、対象となる都内のマンションについて伺います。

○越智民間住宅施策推進担当部長 マンション管理条例は、管理不全を予防し、適正な管理を促進すること等により、良質なマンションストックの形成等を図り、都民生活の安定向上及び市街地環境の向上に寄与することを目的としております。
 管理状況届出制度は、このマンション管理条例の目的の実現に向け、昭和五十八年以前に建築された戸数六戸以上のマンションに対し管理状況の届出を義務づけ、届出により把握した管理状況に応じた助言や支援等を行い、適正な管理の促進を図るもので、令和二年度から開始しております。
 届出内容は、管理組合や管理規約の有無、総会の開催状況、管理費や修繕積立金の有無等でございます。

○森口委員 昭和五十八年は、区分所有法により管理組合が法的に整備された年であり、その二年前の昭和五十六年には耐震基準が改正をされ、建築物の新耐震基準の適用が始まっております。
 都は、届出制度により、管理組合が法的に整備されておらず、旧耐震基準で建てられた管理不全の懸念がある都内のマンションについて、管理費及び修繕積立金の設定や計画的な修繕の実施の有無など管理状況のほか、耐震化状況などに関する把握を進めています。
 管理不全の兆候のある場合には、調査を行った上で必要な助言、支援等を実施し、耐震化が図られていない場合には、耐震助成制度の案内やアドバイザーの派遣等の助言、支援等を実施するなど、マンションの適正管理や円滑な再生の促進につなげる取組であります。
 そこで、現在の届出状況と、未届けのマンションに対してどのような対応を行っているのか、伺います。

○越智民間住宅施策推進担当部長 現在の届出状況についてでございますが、本年三月末時点において、届出対象一万一千七百四十三棟に対し、届出数は九千七百六十九件、届出の割合は約八三%となっております。
 届出義務のあるマンション管理組合は、マンション管理条例及び同施行規則に基づき、届出制度を開始した令和二年四月一日から六月を経過する日までに届出を行わなければならないとされており、都は、届出がない管理組合に対し、区市町と連携し、文書等により届出を求めているところであります。
 その上で、正当な理由なく届出がない管理組合につきましては、マンション管理士等を活用して個別訪問調査を実施することにより、届出書の提出を求めております。

○森口委員 二千棟ほどの未届けのマンションに関しては、区市町村とも連携をしながら、専門家の訪問などを通じて届出を促す必要があります。
 次に、既に届出されているマンションについて、その届出情報から、都内のマンションの管理不全の状況について、どのような把握をしているか伺います。

○越智民間住宅施策推進担当部長 管理状況届出制度では、管理不全を予防するための必須事項として、管理組合の有無、管理者等の選任状況、管理規約の有無、総会の開催状況、管理費の有無、修繕積立金の有無、修繕の計画的な実施状況、以上七つの項目を挙げております。七つの項目のうち、いずれかがない、またはいないとなっている状況を、管理不全の兆候ありと定義しております。
 本年三月末時点で届出がなされたマンションのうち約一六%、約千六百棟のマンションにおいて管理不全の兆候が見られました。
 なお、管理不全の兆候の原因で最も多いものは、修繕の計画的な実施がない、であり、管理不全の兆候のあるマンションの約六三%が、実施がない、となっております。

○森口委員 管理不全の兆候のあるマンションは、管理組合や管理規約がない、そもそも管理者がいない、また、年一回以上の総会を開催していない、管理費や修繕積立金を積み立てていない、また、計画的に修繕工事を行っていないなど、様々な個別の管理不全の状況があることが今の答弁でも分かりました。
 適正管理に当たっては、区分所有者や管理組合が自らの責任で行うことが基本ではありますが、専門的な知識やノウハウを有するマンション管理士や建築士など専門家の助言や支援が必要であります。
 そこで、都は、届出されたマンションのうち管理不全の兆候の見られるマンションに対して適正管理に必要な支援を行っていますが、その取組について伺います。

○越智民間住宅施策推進担当部長 都は、管理状況の届出を行った管理組合のうち、管理不全の兆候がある場合には、最大五回まで、管理の適正化に向けマンション管理士等の専門家を無料で派遣しております。
 また、マンション管理ガイドブックを活用し、管理組合や関連事業者に向け、管理適正化に取り組むための具体的手順や手法等を紹介しているほか、分譲マンション総合相談窓口を設置し、広く区分所有者等からの相談対応を行っております。

○森口委員 届出された情報を、助言や支援等につなげていくことが重要です。
 また、マンションの適正管理と再生に当たっては、耐震化も重要な課題となっています。届出制度では、管理状況のほか耐震化の状況の事項も設けられており、都内のマンションの耐震診断や耐震改修の状況について、その届出内容から、都としてどのように実態を把握しているか、また、その実態に対する認識を伺います。

○越智民間住宅施策推進担当部長 本年三月末時点の管理状況届出制度によって把握した情報によりますと、旧耐震基準のマンションで耐震診断が未実施であると回答したマンションは、届出があったマンションの約五六%でありました。
 また、耐震診断を実施したマンションのうち、耐震性がないと判定されたマンションは約五二%となっており、このうち、耐震改修を実施しているものは約二六%でありました。
 旧耐震基準のマンションの耐震化はまだ十分とはいえず、引き続き着実な取組が必要と考えております。

○森口委員 届出制度により把握できた実態として、今回対象となっている昭和五十八年以前のマンションの多くが、耐震性不十分、もしくは、そもそも診断や届出をしておらず、耐震性が不明であることが分かります。
 都は、耐震改修促進計画において、令和七年度末までに耐震性が不十分なマンションをおおむね解消することを目標としていますが、マンション耐震化のこれまでの実績と今後の取組について伺います。

○越智民間住宅施策推進担当部長 東京都耐震改修促進計画では、マンションの令和元年度末の耐震化率は九四・四%であります。
 都はこれまで、旧耐震基準のマンションの耐震化促進に向けた取組として、セミナー開催などの普及啓発に加え、耐震化サポーターの派遣など技術的な側面から支援するとともに、区市と連携したマンション耐震化促進事業による補助を行うなど、財政的にも支援してまいりました。
 今後、令和七年度末に耐震性が不十分なマンションをおおむね解消するとの目標の実現に向けて、アウトリーチ型の普及啓発を図る必要があると認識しており、届出制度等によって把握した情報に応じたきめ細かな助言を行うなど、管理組合等に対し効果的、効率的な働きかけを行ってまいります。

○森口委員 耐震化率として公表している九四・四%といった数値ですが、これは戸数ベースの推定値であり、今回、届出制度によって新たに把握ができた耐震化状況から鑑みますと、マンションの耐震化は十分とはいえず、一層の支援が必要だと思われます。
 届出義務対象であるマンションに対しては、行政が引き続き届出を促し、普及啓発や管理状況に応じた助言、支援など、適正な管理に向けた取組を進めていくことになります。
 一方で、築四十年を超えるような建物が今後十年間で急増するとされている中、届出対象となっていないマンションについても年々高経年化が進んでおり、今後、適正管理に支障が生じないよう、今の段階から行政による対応が必要と考えます。
 そこで、届出義務の対象となっていない昭和五十九年以降のマンションについても、現状の把握を進めるなど届出制度を拡充することが必要と考えますが、取組を伺います。

○越智民間住宅施策推進担当部長 今後、東京では高経年マンションが急激に増加し、高齢化や合意形成の困難性などにより、管理不全に陥るマンションが出てくるおそれがあります。
 こうしたマンションは、居住環境や地域の生活環境などにも悪影響を及ぼすことが懸念されるため、管理組合に対し、行政がより積極的に関わり、マンションの管理不全を予防し、適正な管理を促進することが必要と考えます。
 現行の管理状況届出制度では、昭和五十九年以降に建築されたマンションは任意の届出が可能となっておりますが、令和四年三月改定の東京マンション管理・再生促進計画では、令和七年度に予定されている届出の更新時期に向け、届出対象の順次拡大等の見直しについて検討するとしており、今後、届出制度の拡充について検討してまいります。

○森口委員 要届出マンションの管理組合は五年ごとに届出内容の更新が必要と、条例及び同施行規則で規定がされております。東京マンション管理・再生促進計画において、令和三年度から令和十二年度までの十年間の計画として取組が進められており、届出状況や施策の進捗を鑑みながら、対象範囲を広げるなど検討を進めていただきたいと要望いたします。
 最後の質問になります。
 ここまで、マンションの管理を中心に質問を行ってきましたが、マンションの適正管理とともに、個々の建物や管理の状況に応じた改修や建て替えなど、マンション再生の支援も大変重要です。
 建物老朽化に伴い、建て替えなどを検討しなければならない時期を迎えているマンションが数多くある一方、マンションは多くの人が区分して所有する共有の財産であることから、マンション再生に当たっては、住民間の合意形成が大きな課題であります。
 そこで、マンション再生に向けた取組について伺います。

○越智民間住宅施策推進担当部長 マンションの再生には、一人一人の区分所有者が早い段階から将来の再生に向けた意識を持つとともに、初期の検討段階から事業の実施段階に至る全てのプロセスにわたって円滑な合意形成が図られることが重要でございます。
 そのため、都は、合意形成を円滑に進めるために留意すべき点や、改修、建て替え、敷地売却などの再生手法などを分かりやすく解説したマンション再生ガイドブックを作成し、区分所有者の意識を啓発するとともに、管理組合の自主的な取組を後押ししております。
 また、マンションポータルサイトやセミナー等を通じた情報発信のほか、区市町と連携したアドバイザー派遣や耐震診断助成、耐震改修助成などを実施しております。
 専門家や関係団体とも連携して、普及啓発や支援策の充実強化に取り組み、マンションの状況に応じた適切な再生手法を選択できる環境を整備してまいります。

○森口委員 実際にマンションの再生を進めようと思っても、住民に専門的な知識が不足をしていたり、また、建築規制による既存不適格といった問題、容積率や駐車場の附置義務による事業採算性の課題など、解決しなければならない課題が多く、円滑に再生が進まないのは現状であります。
 マンション再生の窓口となっている区市によっても、再生のノウハウや経験にばらつきがあると理解をしています。区市との連絡会議等を定期的に開催をし、有効なマンション再生の取組については他の区市町村での展開を促すなど、都内全域でマンション再生の施策を推進していくことが重要です。
 今後も、マンションの適正管理と再生に向けて、区市町村や関係団体、専門家と連携をしながら、それぞれのマンションに合わせたきめ細やかな支援を進めていただきたいと要望し、質問を終わります。

○かつまた委員 私からは、都営住宅の省エネルギー対策について、初めに、都営住宅の照明器具のLED化についてお伺いをいたします。
 都は現在、都営住宅においては、省エネルギー対策として共用部の照明器具のLED化を実施しており、二〇三〇年、令和十二年度までに都営住宅の共用部のLED化一〇〇%を目標として取り組んでおりますが、全ての住棟がLED化となるには、あと八年以上かかります。
 都営住宅の共用部のLED化は、省エネルギー対策はもとより電気代の削減にもつながることから、自治会からは早期に実施してほしいとの声が聞こえてまいります。
 こうした状況から、我が公明党は、今年の第二回定例会の代表質問において都営住宅のLED化の早期の実施を求めたところ、都は、二〇三〇年までのLED化一〇〇%の目標について、コスト低減などにより全体計画の前倒しを図る旨の答弁をしたところであります。
 また、昨今、世界的な半導体不足によりLED照明の納入の遅れが懸念をされております。
 そこで、都営住宅における共用部照明のLED化について、これまでの取組についてお伺いいたします。
 また、大量のストックがある既存住棟のLED化について、ロシア、ウクライナ情勢によるさらなる電力供給の逼迫状況に対応し、前倒しなどを考慮すべきと考えますが、今年度の取組についてお伺いをいたします。

○小林営繕担当部長 都営住宅の共用部照明のLED化につきましては、建て替え工事では平成二十七年度から、既存住棟の電気設備の改修工事では平成二十九年度から実施しております。
 今年度の既存住棟のLED化につきましては、照明器具の納入遅延が生じないよう発注時期を早め、目標戸数である約二万戸での改修工事の契約を締結しております。また、約二万戸のうち六千戸につきましては、この冬の電力危機に備え、前倒しで年内の設置完了を目指しております。

○かつまた委員 電力危機への対応として、年内までに少しでも多くの設置を目指すことは評価ができます。
 また、都営住宅のLED化の全体計画を前倒しすることにより、外壁改修など他の計画修繕に遅れが生じないようにすべきと考えます。
 そこで、都営住宅における共用部照明のLED化について、今後、全体計画の前倒しを行うに当たって、既存住棟の改修工事内容の簡素化によるコスト縮減を図るとのことでありますが、具体的にどのような予定なのか、見解をお伺いいたします。

○小林営繕担当部長 都営住宅では、廊下や階段、屋外の照明器具、分電盤などの電気設備の改修に合わせて共用部照明のLED化を実施しております。
 全体計画の前倒しに当たっては、改修に先立ち分電盤を点検し、劣化が見られない場合には分電盤の更新を延期することでコスト縮減を図り、LED化の費用に充当していきます。
 こうした取組により、各年度の電気設備の改修予定費を変えずに年間の設置戸数を増やすことで全体計画の前倒しを図り、早期完了を目指してまいります。

○かつまた委員 LED化により蛍光管よりも球切れが少なくなることから、高齢化している自治会にとっては管の交換の負担が軽減をされます。都営住宅は都内に約五千六百棟もあることから、LED化により都における省エネルギー対策の一助になりますので、早期の実施を強く要望をいたします。
 次に、都営住宅の断熱性能向上について質問をいたします。
 東京のゼロエミッション化を進めていくためには、省エネ性能に優れた住宅の普及を促進することが重要であり、都営住宅においても率先して断熱性能の強化に取り組んでいく必要があります。
 このため、我が党の谷村都議から本年六月の第二回定例会の代表質問にて質問し、今後、都営住宅の基準設計を見直し、断熱性能をゼロ・エネルギー・ハウス、いわゆるZEH水準に引き上げていく旨の答弁をいただいたところであります。
 そこで、都営住宅の断熱性能向上の検討状況についてお伺いをいたします。

○中山技術企画担当部長 都では、令和四年四月の国の公営住宅等整備基準の改正及び本年十月の建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の省令改正を踏まえ、複層ガラスの窓の採用や外壁の断熱材の増強などにより、都営住宅の断熱性能をこれまでより約三割高いZEH水準に引き上げる検討を進めております。
 具体的には、基準設計の見直しの中で、建物の断熱性能がZEH水準の基準を満たすよう、窓サッシの材質や複層ガラスの性能、外壁の断熱材の種類や厚さなどについて、建築物エネルギー消費性能の計算プログラムなどにより検証しています。

○かつまた委員 今のご答弁で、断熱性能向上の検討が進んでいることが分かりました。
 次に、ZEH水準の断熱性能はいつから建て替え工事に適用されるのか、今後の予定をお伺いいたします。

○中山技術企画担当部長 基準設計につきましては、引き続き見直しに向けた検討を進め、具体的な図面や仕様書として取りまとめ、東京都営住宅条例に基づく都営住宅の整備基準として令和五年七月頃に定める予定でございます。
 その後、建て替え工事の基本設計に順次反映させてまいります。

○かつまた委員 今後、都営住宅がZEH水準の断熱性能になると、脱炭素化に貢献するだけではなく、居住性も高まり、健康にも配慮した住宅になります。ぜひ検討を進め、実際の整備を期待し、次の質問に移ります。
 私は、十月二十六日の各会計決算特別委員会の各局質疑において、高優賃という制度について議論を行いました。二十年以上にわたって国の制度に基づき整備が進められてきた高齢者向け優良賃貸住宅、いわゆる高優賃については、現在、都内で千戸を超える住宅が供給されており、高齢者の住まいとして重要なものとなっております。
 しかし、その一方で、平成二十三年の高齢者の居住の安定確保に関する法律の改正により、法の立てつけ上はサービス付高齢者向け住宅の制度に一本化されるとともに、近年では新たな供給もないことなどから、先日の質疑においては、住宅政策本部からは、今後は東京ささエール住宅に移行していくとのお話がありました。
 これに対し、移行に当たって、入居者の居住の安定への配慮と地元区市との緊密な連携について要望したところでありますが、本日は、この点についてさらに掘り下げて質問をさせていただきます。
 まず、改めて、高優賃から東京ささエール住宅に移行するに当たっての都の基本的な考えをお伺いいたします。

○鈴木民間住宅部長 高齢者向け優良賃貸住宅は、バリアフリー化され、緊急時対応や安否確認などのサービスの利用を可能とする民間賃貸住宅でございまして、平成十年度の国の補助制度の創設を受け、平成十一年度に都が補助事業を開始し、その後、平成十三年度には、高齢者の居住の安定確保に関する法律に基づく制度として位置づけられました。
 これまで都は、事業者に対し整備費補助などを行ってきましたが、平成二十九年度以降、新規供給がないことなどを踏まえ、令和四年度以降、新規供給を行わないことといたしました。
 一方で、都内のほとんどの高齢者向け優良賃貸住宅では管理期間が二十年であり、今後管理期間を満了する住宅が順次発生してくることから、バリアフリー化された良質な住宅ストックとして引き続き有効活用していくことが重要であると認識しております。
 そのため、住宅セーフティーネット制度に基づく東京ささエール住宅の専用住宅への移行を促し、あわせて、家賃低廉化補助制度を活用し、入居者の負担軽減を図る方向で地元区市と協議を進めることといたしました。

○かつまた委員 ただいまのご答弁にあった高優賃のこれまでの経緯や、一方で、サ高住が着実に増えている状況を考えると、都の基本的な方針は了とすることができます。
 しかしながら、住宅セーフティーネット制度に移行し、家賃低廉化補助を活用していくに当たっては、両制度の目的や対象の違いに起因する要件の違いがあります。今後、円滑な移行を目指して地元自治体と調整を進めていくためにも、どのような課題があるのか明らかにしておくことは大変重要であります。
 そこで、高優賃制度から住宅セーフティーネット制度に移行するに当たってどのような課題があるのかお伺いをいたします。

○鈴木民間住宅部長 住宅セーフティーネット制度に基づく家賃低廉化補助の活用に当たっては、国の要綱に基づき入居者等に関する要件がございます。
 入居者の要件といたしましては、公営住宅の入居者資格等を勘案し、月収が十五万八千円以下であることなどが定められております。また、入居者の選定方法に関わる要件としましては、他の要配慮者との公平性の観点から、原則として入居者を公募することとされております。
 こうした住宅セーフティーネット制度の要件が、現在、高齢者向け優良賃貸住宅にお住まいの方が東京ささエール住宅に移行するに当たりまして課題になることが想定されます。

○かつまた委員 現在、高優賃にお住まいの方の中には、所得が月収十五万八千円を超える方などもおります。
 また、住宅セーフティーネット制度では入居者を公募しなければいけないという話がありましたが、今、高優賃にお住まいの方がその住宅に住み続けられることが当然求められますが、都はどのように対応していくのかお伺いをいたします。

○鈴木民間住宅部長 高齢者向け優良賃貸住宅から東京ささエール住宅への移行に当たりましては、現在の居住者の方に対して不安を与えず、安心して暮らせるようにすることが重要でございます。
 そのため、公募原則のように高齢者向け優良賃貸住宅から東京ささエール住宅への円滑な移行に当たって支障となることが想定される要件につきましては、支障を取り除くべく、今後、国としっかり調整してまいります。
 また、月収が十五万八千円を超える方のように、現行の住宅セーフティーネット制度の家賃低廉化補助の対象にならなくなる方につきましては、管理期間の二十年が経過した後についても、一定の期間、高齢者向け優良賃貸住宅の補助制度が利用できるような経過措置についても検討してまいります。
 こうした取組により、現在、高齢者向け優良賃貸住宅にお住まいの方に対して、きめ細かな配慮をしてまいります。

○かつまた委員 両制度の要件の違いなどに起因する課題は制度を設けている国が動かないと解決に向かわないため、都においては、国に対ししっかりと働きかけをしていただきたいと思います。
 また、現在、住宅セーフティーネット制度に基づく家賃低廉化補助を行っている区市がまだ少ないようですが、今回の移行に着実に取り組んでもらうことにより、今後、住宅セーフティーネット制度自体が幅広く普及していくことにもつながるものと思います。
 高優賃制度から住宅セーフティーネット制度に円滑に移行していくためには、区市が着実に取り組むことができるよう十分な準備期間が必要だと思いますが、所見をお伺いいたします。

○鈴木民間住宅部長 高齢者向け優良賃貸住宅が存する区市におきましては、予算措置などの庁内調整や住宅セーフティーネット制度の要綱の策定のほか、事業者や居住者との調整など、準備にかかる相当の期間が必要になると考えられます。
 そのため、これらの手続や調整に要する期間を考慮して、当面、二十年の管理期間を迎える高齢者向け優良賃貸住宅につきましては家賃減額補助を令和六年度末まで延長し、区市が余裕を持って準備できるように進めてまいります。
 また、令和七年度以降に管理期間の終了を迎える高齢者向け優良賃貸住宅につきましても、今後、円滑に東京ささエール住宅への移行に向けた準備がなされるよう、区市に対して働きかけを行ってまいります。
 こうした取組を通じまして、現在、高齢者向け優良賃貸住宅にお住まいの方々が今後とも安心して住み続けられるよう、区市との緊密な連携を図ってまいります。

○かつまた委員 本日の答弁で、移行に当たっては、現在の居住者が住み続けられるようきめ細やかな配慮を行うとともに、区市に対しても余裕を持った準備期間を確保する考えであることが確認ができました。
 住宅確保は生活の三大要素の一つであり、大変重要であります。都におきましても様々な課題を解決し、施策を前に進めていただくことを強く要望し、質問を終わります。

○尾崎委員 私の方からは、最初に、セーフティーネット住宅について幾つか質問をしたいと思います。
 今年三月に改定された東京都住宅マスタープランの中で、主として中堅所得者向けとしての性格が強かった公社住宅は、今後、住宅確保要配慮者向けとしての性格を重視すると、施策展開の方向性を示しました。
 住宅セーフティーネット制度における公社住宅の活用についての認識を伺います。

○今井連絡調整担当部長 公社住宅は、重層的な住宅セーフティーネット機能の一翼を担っておりまして、令和四年三月に策定した東京都住宅マスタープランでは、公社住宅について、住宅確保要配慮者向けの性格を重視するとともに、ストックを最大限に活用していくこととしてございます。
 こうした考えの下、公社において、空き住戸の状況や地元自治体の意向を踏まえながら検討を行っています。

○尾崎委員 今年十月五日、JKK東京は足立区との連携協定を結び、ひとり親家庭や児童養護施設等退所者の入居支援を実施すると公表しました。
 足立区の児童養護施設等退所者の入居支援は重要だと思います。なぜ児童養護施設等退所者の入居を受け入れることにしたのか、その理由について伺います。

○今井連絡調整担当部長 公社住宅を東京ささエール住宅の専用住宅として活用するに当たりましては、地元自治体の住宅確保要配慮者に対する支援策を踏まえる必要がございます。
 足立区との取組におきましては、住宅確保要配慮者のうち、区の意向を踏まえ、ひとり親世帯や児童養護施設等退所者を入居対象としたものでございます。

○尾崎委員 私は、足立区の担当者に話を聞きました。足立区では、二〇一七年二月から区営住宅で児童養護施設の退所者が入居できるように五戸確保しているということでした。区営住宅は、都営住宅の規模の小さいものを借り上げているもので、単身者用の住戸が少ないために五戸ということになっており、区議会では、増やしてほしい、増やすべきだと要望されてきたとのことです。
 日本共産党都議団は、この間、児童養護施設の退所者への支援が必要だと求めてきました。児童養護施設は十八歳になると退所になり、自立し、一人で暮らそうと思うと、保証人の問題が大きな障害となっています。
 足立区では、JKKがセーフティーネットに取り組むことを知り、児童養護施設の退所者も入居できるように協定を結んだということです。大変重要です。
 このような取組を、私は広げていきたいというふうに思いました。足立区との取組のほか、今後、ほかの市区にも波及、拡大させていくことが重要だと考えますが、都の見解を伺います。

○今井連絡調整担当部長 今後も、公社において他の自治体の意向等を確認しながら協議を行い、公社住宅の専用住宅としての活用を進めていくこととしております。

○尾崎委員 公社住宅での住宅セーフティーネット制度を活用した取組をもっと増やすべきだと思います。
 私は、都民が住宅に困っている状況をなくし、誰もが安心して暮らせるため、都営住宅の入居対象の見直しが必要だと思います。
 神奈川県営住宅では、二年前、規則を改正し、一部の住戸で入居対象の六十歳以上を外しているということを聞きました。非正規雇用で働いている人に収入が低い人もいて、県営住宅に入りたいという希望があること、さらに、団地の自治会からも、役員の担い手がいないので若い人を入居させてほしいという強い要望があったからだということを聞いています。
 そこで伺います。都営住宅でも、児童養護施設等退所者の入居支援を検討すべきですが、いかがですか。

○都築経営改革担当部長 都営住宅は、原則として、市場で適切な住宅を確保することが困難な同居親族のある世帯を入居対象としており、単身者は、特に居住の安定を図る必要のある高齢者世帯や障害者世帯等に限り入居の対象としております。
 若い世代の単身者については、福祉施策や雇用就業施策とともに、民間事業者等の多様な連携によって、市場において居住の確保が図られるべきと考えております。

○尾崎委員 都営住宅は、そもそも住宅に困っている人が安心して暮らせるようにするための住宅です。現在は、若い世代の単身者は都営住宅の入居対象にはなっていません。
 しかし、長引くコロナ禍と物価高騰の影響で、家賃が払えない人や住宅に困っている人たちが増えています。しかも、若者の中で深刻な状況になっているんです。
 渋谷区のバス停前でホームレスの女性が殺害されて二年が経過しました。痛ましい事件で、映画にもなり上映されていますが、あのような事件を繰り返さないためにも、住まいを失った方々への手厚い支援は待ったなしの状況です。今後ますます住宅に困っている方々が増えるのではないかと心配しています。
 都営住宅の役割は、今後ますます重要となります。都民の意見や自治会の要望などを聞き、入居対象者についての見直しなど検討することを強く求めるものです。
 次に、都営住宅の毎月募集について質問します。
 日本共産党都議団は昨年、毎月募集を増やすよう求め、都もこの間増やしてきたことは重要です。今年度の毎月募集の規模は一か月二百戸となっていますが、応募人数と当せん者数の実績について伺います。

○宮島都営住宅企画担当部長 令和四年度における九月までの毎月募集の実績は、応募人数が三千四百五十七人、当せん者数が八百十五人であります。

○尾崎委員 一か月二百戸の応募に対して、九月までの六か月、ですから規模は千二百戸になるというふうに思います。今ご答弁いただいたように、応募人数は三千四百五十七人ということですから、希望者が多いということが分かります。
 それでは、毎月募集のうち、二十三区内と多摩地域のそれぞれの二〇二二年度の募集戸数の実績について伺います。

○宮島都営住宅企画担当部長 令和四年度の毎月募集の募集戸数は、九月までの実績として、区部が二百七十七戸、多摩地域が九百二十三戸であります。

○尾崎委員 毎月募集は、募集しても空いている住戸が対象になります。いわゆる駅から少し離れた場所やエレベーターが設置されていないところなどが多いのだと思いますが、やはり多摩地域が区部の三・三倍以上の募集戸数になっていることが分かります。
 第三回定例会の代表質問で、我が党は、都営住宅の空き住戸が約三万戸、全体の一二%に及ぶということを示し、建て替えにより一棟丸ごと一年以上空いている実態も明らかにし、新規募集の拡大を求めました。都は、今後とも募集戸数の増加を図っていくと前向きの答弁を行ったことは重要です。そうであるならば、毎月募集も増やすことを強く求めるものです。
 次に、都営住宅と大学との連携協定について伺います。
 都営住宅の入居者の高齢化が大きな問題となり、自治会の役員の成り手がいない、お祭りや草むしりなど自治会の活動に参加できる人が減っているなどの課題が明らかになっています。同時に、高齢の単身者が孤独死をする事例もあり、見守り活動が大事になっています。
 私は、この間、都営住宅に若者が入居できるように要望し、神奈川県横須賀市にある市営住宅、浦賀団地の取組を紹介し、若者の入居、大学との連携で学生の入居を求めてきました。私は、神奈川県の取組を通じて学生が変化したことがとても印象に残り、多くの人に知ってほしいと思っていますので、改めて紹介したいと思います。
 浦賀団地では、二〇一六年に住宅供給公社と神奈川県立保健福祉大学が連携協定を締結し、同大学の学生が団地活性サポーターとして入居し、地域の活性化をサポートする取組が始まっているんです。
 大学の学長は、今の若者は、人が生まれてくる瞬間とか死ぬ瞬間を知りません、お年寄りと一緒に生活したことがないから、お年寄りがどう行動して、何を考えて、例えば認知症になったお年寄りはどういう行動が起こってくるのか分からない、だから、地域に住んでいる人たちの中に入り込んでいって、一緒に生活をして、いろんな会話をするということは非常にいい学習になると思っていますと述べているんです。
 学生にとっても団地の入居者にとっても重要な取組であり、すばらしい成果があるということが、この事例からも分かります。東京都でも広げていただきたいと改めて痛感をしています。
 都は、今年度から大学との連携協定を結び、大学の学生が入居し、自治会や地域コミュニティ活動を支援することに取り組み始めました。大変重要な取組です。
 そこで、都営住宅と大学との連携について、現在、五大学と連携協定を締結していますが、大学からはどのような声がありますか。

○都築経営改革担当部長 都は、都内の大学と協定を結び、学生が都営住宅に居住して団地の自治会が行う活動に協力するなど、都営住宅や地域のコミュニティ活動を支援する取組を実施しております。
 協定を締結した大学からは、学生にとって、よい社会経験になるといった声や、大学としても地域に貢献できるといった声などを聞いております。

○尾崎委員 大学との連携協定締結によって、学生が入居することになる都営住宅の自治会の役員、入居者の方たちとはどのような話し合いが行われてきたのか、自治会の役員からはどんな声があるのか、伺います。

○都築経営改革担当部長 都は、学生が入居する予定の都営住宅の自治会役員の方などに対して、事前にコミュニティ活動支援の取組の趣旨や方法などを説明するとともに、学生が参加する自治会活動の具体的な内容などについて意見交換を行っております。
 自治会役員の方からは、高齢の居住者が多い中で、学生が自治会の資源回収活動に参加してくれると助かるといった声などを聞いております。

○尾崎委員 今年三月に協定を締結した情報経営イノベーション専門職大学の学生十人が都営住宅に入居したことが公表されています。
 今年度、学生の入居は何人まで行う予定なのか伺います。

○都築経営改革担当部長 都は、大学の近隣の都営住宅において、目的外使用許可により活用可能な空き住戸を確保した上で、その戸数に応じて、入居を希望する学生の募集を行うこととしております。

○尾崎委員 今後も含め、今年度は幾つの大学との協定締結を目指すのでしょうか。

○都築経営改革担当部長 都は、地域への貢献に関心のある大学などと協議が調い次第、協定を締結することとしております。

○尾崎委員 今後については、なかなか具体的に分からない状況ですけれども、今後も力を入れていただきたいと強く要望するものです。
 次に、都営狛江団地の漏水について質問をしたいと思います。
 私は、都営狛江団地の店舗の漏水について、二〇二二年三月十四日の都市整備委員会の住宅政策本部の質疑でも質問しました。そのとき、漏水の原因は店舗用の給水管の著しい老朽化だということも分かりました。
 しかし、この漏水の問題は解決していません。商店会の皆さんからは、漏水から一年以上経過しているのに、都はようやく六月二十三日、東京都住宅政策本部として、業者の方が現場調査に来たといっていました。しかも、一年以上漏水が放置されていると、商店会の皆さんたちは怒りの声が強まっています。
 都は、四月から四回の説明会を開きましたが、説明会を開くことになった経過について伺います。

○宮島都営住宅企画担当部長 令和三年五月、都営狛江アパート一階に併設された分譲店舗において、店舗用の給水管から漏水が発生いたしました。都営住宅に併設された分譲店舗用の給水管は店舗所有者の財産であり、店舗所有者が全員で共同して維持管理する必要がありますが、都としても漏水が続いていることは好ましくないため、令和四年四月と五月に店舗所有者を対象とした説明会を開き、給水管の改修方法と概算費用等について提案いたしました。
 その後、六月に店舗部分の詳細な現地調査を行い、その結果や店舗所有者の要望等を踏まえ、九月の説明会において給水管の改修工事案を提案し、十月の説明会において工事の工程等の説明を行いました。

○尾崎委員 説明会は、今年の四月にやっと一回目を行ったとのことです。漏水は、昨年の五月からのことです。住民の方たちからは、ようやく現地に来たのは一年もたってからだったというように、困っている方々がいるのに対応が遅いのではないでしょうか。
 それでは、説明会に参加した方々からはどのような質問、意見が出ていますか。

○宮島都営住宅企画担当部長 説明会におきましては、店舗所有者から、工事費は都が負担してほしいとの意見や、早く漏水を止めたいのでそのための工事を進めたいとの意見が出ました。
 また、工事に伴う断水の具体的な日程に関する質問や、店舗の営業に影響するため年末の工事は避けてほしいなどの要望が出ました。

○尾崎委員 私も現場にお話をお聞きしに行ってきました。店舗の中、しかも土壌の中での漏水です。当事者の不安はいかばかりか、想像もつかないほど不安な思いをこの間続けてきたのです。その状況が既に一年半経過している。
 当事者の一番の要望は、都の責任を明確にしてほしいということです。都は、今回漏水したのは分譲店舗用の給水管であり、その責任は店舗にあるといいます。
 そこで伺います。首都圏不燃建築公社が、併存店舗の入居時に共用部分や共同施設の維持管理に関する情報を提供したのはいつですか。

○宮島都営住宅企画担当部長 併存店舗を分譲した首都圏不燃建築公社におきまして、店舗の共用施設の保守管理の約束事等について解説した併存店舗入居のしおりを、分譲時に店舗譲受人へ配布しております。
 このしおりには、店舗の共用施設として、上下水道等店舗に必要な共用管等が設備されていること、これらの管は店舗専用のもので、店舗所有者の財産であること、維持管理は店舗所有者が行うこと等が記載されております。

○尾崎委員 つまり、半世紀前の契約時に一度、しおりを渡したきりだということです。契約書については、店舗のある二十四号棟のものについては公文書保存期間終了で廃棄されているため、現存していないことも商店会の皆さんは確認をしています。また、狛江団地販売時に配布した併存店舗入居のしおりも現存していないため、確認することが不可能です。
 当時と今では店舗の所有者も変わっています。店舗所有者の皆さんが、半世紀も前の見たこともない、聞いたこともないしおりをいきなり見せられても、高額の修理代を請求されるのは余りにも理不尽ではありませんか。
 では、都には、この半世紀の間、併存店舗の皆さんに水道管の改修について情報提供するチャンスは一度もなかったのでしょうか。一般に、都営住宅の給水管の点検や修繕、交換はどのような間隔で行われていますか、また、その費用はどこが負担するのでしょうか。

○小林営繕担当部長 都営住宅の給水管の点検については、都が、建築基準法に基づき、目視により配管の腐食や漏水の状況などの確認を毎年実施することとしていますが、その対象からは、隠蔽部分及び埋設部分は除かれています。
 都営住宅の給水管の修繕についても、都が、漏水が発生した際、漏水箇所を特定して対応しておりまして、広範囲にわたって経年劣化している場合には、大規模な更新を行うこととしております。

○尾崎委員 狛江団地の給水管の点検や修繕、交換は、これまでにいつ行われたのか、また、店舗のある二十四号棟につながる給水管についてはどうですか。

○小林営繕担当部長 都営狛江アパートの給水管の点検については、これまで目視により配管の腐食や漏水の状況などの確認を適宜実施しており、平成十九年度からは、改正された建築基準法に基づきまして毎年実施しています。
 また、給水管の更新については、昭和六十年度から六十三年度及び平成四年度に実施しており、その際、二十四号棟に給水する管もおおむね更新しています。
 なお、小規模な修繕については、漏水が発生した際にその都度実施しております。

○尾崎委員 ただいまのご答弁で、都営狛江団地の給水管の更新は、つまり共用部分まではということですけれども、昭和六十年及び平成四年度に実施しているということです。
 しかし、店舗専用の給水管の更新は、この時期、行っていないんです。同じ時期に更新が必要だったということではないんでしょうか。それなのに、店舗については店舗所有者の責任だと、点検も修繕についても何も手だてをしてこなかった、何も指摘してこなかったということになります。私は、やはり都の働きかけが必要だったと思います。
 こうしたことになるのは、私は、都が、今や併存店舗を都の都営住宅政策に沿わない存在として見ているということが背景にあるのではないかと思います。
 そこで、併存店舗について、都営住宅における位置づけを伺います。

○宮島都営住宅企画担当部長 併存店舗は、都営住宅の建設時に居住者の利便施設として低層階に店舗を建設し、借地権付で分譲したものであります。

○尾崎委員 居住者の利便施設としての役割は、今も昔も変わることは何もありません。この狛江団地商店会も、団地の居住者の皆さんの日常生活と一体の存在として、これまでやってこられたんです。そこに都が何か線引きを持ち込むようなことをして、それで果たしてよいのでしょうか。
 商店会の皆さんは、六月二十八日に小池知事と住宅政策本部長宛てに出した公開質問状への、にべもない答弁に対し、住民福祉に反する、水道代も払っていると述べています。
 そこでお聞きしますが、都は、給水管には共有の部分と店舗専用管があるとしていますが、都営狛江アパート商店会の公開質問状への回答にある、都営住宅の足洗い場用の給水管とは、管のどこまでを指すのですか。

○小林営繕担当部長 都営狛江アパートの給水管は、団地東側道路の水道管から敷地内に引き込まれ、二十四号棟の一階部分への給水管は、住棟の南側で足洗い場用の給水管と店舗専用の給水管に分岐しております。
 ご質問の足洗い場用の給水管は、その分岐部分から足洗い場の水栓までを指しております。

○尾崎委員 それでは、給水管の分岐が店舗専用管と足洗い場用の給水管の区切りであるというのは、何に定められているのか伺います。

○小林営繕担当部長 店舗専用の給水管と都営住宅の足洗い場用の給水管については、東京都住宅局設計基準を踏まえまして、店舗所有者と都のそれぞれが適切に維持管理できるよう、分岐させて整備したものでございます。

○尾崎委員 ただいまのご答弁で明らかですが、要するに住宅政策本部が区分を決めているということです。都の判断で、根拠になるものはないということが明らかになりました。つまり、どこまでが共有管で、どこまでが専用管かは、都の判断次第で決められるということです。
 都は、これまでの経過に照らして、今回の漏水管は共有管と判断し、都の責任で修理を行い、店舗所有者に無理な負担を押しつけるべきではないと私は考えます。事実の問題として、これまでに都や公社は、店舗につながる給水管の修理について、都や公社の判断で負担したケースがあります。
 私の活動地域である武蔵村山市にある村山団地の商店会の役員さんに話を聞きました。武蔵村山の団地の問題も新聞報道されています。
 ちょうど二〇〇三年から二〇〇四年に、団地の中の中央商店会の水道管を交換しました。エレベーターの建設時のことですが、道路の部分に新たな水道管を造りました。この管については都の財政負担で行い、敷地内の店舗への引込み管については一店舗ごと十万円の負担をしたということでした。商店会の役員さんは、この時点で既に管は老朽化していて、漏水もあったんだと話しています。
 調布市のくすのき団地の商店街でも、六、七年前に漏水があった際、都が無料で修理したとの新聞報道がありました。私たちが確認したところ、三年前だということも分かりました。
 今回の狛江団地の件でも、実は公社の現地判断で修理を行った店舗もあります。都営狛江団地の店舗給水管漏水修繕工事のため、二〇二一年八月十八日の午前八時から午前九時までの断水工事のお知らせが皆さんのところに配布されました。この店舗、一〇四号室です。給水管漏水修繕工事は誰の責任で行ったのですか、費用については誰が負担したのか、伺います。

○宮島都営住宅企画担当部長 都営住宅に併設された分譲店舗用の給水管は、店舗所有者の財産であり、店舗所有者が全員で共同して維持管理する必要があります。
 お話の修繕工事につきましては、狛江アパートの併存店舗の水道メーター交換の際、作業員から漏水しているとの情報提供を受けた公社が、応急的に公社負担で実施したものであります。
 修繕したのは店舗専用の給水管であり、修繕費用の請求方法等について、現在、公社で検討中と聞いております。

○尾崎委員 二〇二一年十月七日には、一〇九号の店舗付近で漏水の修繕工事が行われました。一〇九号の店舗付近で漏水した原因は、一〇四号の漏水している給水管を特定しないまま修繕を実施した影響が、影響しているんだということです。これは、商店会の公開質問状に対する都の回答で明らかです。一〇四号室は、先ほどご答弁がありましたが、応急的に公社負担で実施したとのことです。
 こうしたことに照らせば、やはり都や公社の判断で、店舗に負担を押しつけずに給水管の修繕を行うことは可能なのではないでしょうか。
 都営狛江アパート商店会の公開質問状への回答にある、都としても、漏水が続いていることは好ましくないとはどういうことなのか伺います。

○宮島都営住宅企画担当部長 今回、漏水のありました併存店舗は、都営住宅の一階部分に併設されており、地中探査の結果、空洞もしくは地盤の緩みは確認できませんでしたが、漏水が続くことによる都営住宅の土地、建物への影響も考えられることから、好ましくないと認識しております。

○尾崎委員 冒頭にも指摘したように、都が店舗に無理な負担を押しつけ、一年半も事態を放置したことで、結局、自ら都営住宅の土地、建物への影響も否定できない事態を招いているということです。
 問題になっている一〇五号室での漏水は、公社から工事事業者を紹介してもらい、二〇二一年六月一日に、穴の空いたところにテープを巻いて、その上に土のうを積んだだけで工事は完了できずに帰っていってしまいました。このように、修繕工事は完了しない状況で現在も放置されたままなんです。
 商店主からは、漏水が止まっていない状況、穴の空いた給水管にテープを巻き、その上に土のうを積み上げている状況で、もし地震などが起こればどうなるのか不安、給水管が折れて水が噴き上げて被害に遭ったら誰が責任を取ってくれるのかと、不安の声が寄せられています。
 住民の方からは、今も漏水していて、その水はどこに行っているのか、地盤に影響はないのか不安しかない、このようにもいっています。
 都は、当事者のこの声を正面から受け止めて、当事者の方が納得できる説明を行うべきです。待ったなしの状況だと厳しく指摘をしておきます。
 一〇四号室、一〇九号室の修繕工事の費用については、都は検討中だという答弁です。一〇五号室の修繕も含めて修繕費用を負担するよう、いま一度検討すべきです。
 都は、このまま都営住宅の建て替え工事を進め、併存店舗の皆さんには、どこかに移転してもらおうなどということは絶対にあってはならないことだと、厳しく指摘しておきます。商店の方々は、このまま放置されることだけはあってはならないと考えています。都は、誠意を持って対応するようお願いするものです。
 次に、コロナ対策協力金の都営住宅家賃算定について質問をしたいと思います。
 長引くコロナ禍で、都民も中小業者も大変な状況になっています。昨年度は、飲食店などを中心に営業自粛、営業時間短縮要請が何度も出され、協力した事業者に、都は協力金を支給しました。飲食店の事業主からは、協力金があって助かったの声がたくさん寄せられました。
 しかし、一方で、協力金が収入とみなされ課税対象となったため、税金や国民健康保険料、国民健康保険税の負担が重くなり大変、都営住宅に住んでいる事業者からは、家賃が上がって払えなくなるのではないかと不安も、私たち日本共産党に寄せられました。
 都民からの要望に基づいて、四月六日に厚労省と国土交通省から聞き取りを行い、コロナ対策の協力金などは一時的な収入であり、国保の減免のときには除外をして行うこと、公営住宅の家賃の算定から除外できることが明らかになりました。
 日本共産党都議団は、四月七日、都営住宅の家賃の収入算定から新型コロナウイルス感染症の協力金等の受給額を除外することを要望しました。都は、この申入れを受けてどのように検討してきたのか伺います。

○宮島都営住宅企画担当部長 感染拡大防止協力金等を収入に含めることについて、国会の質問主意書に対する答弁書や国からの通知等を参考に、法的な面について専門家等への確認を行いました。

○尾崎委員 都として、国会の日本共産党、山添拓参議院議員の質問主意書の答弁書や国からの通知などを参考に検討したということです。
 それでは、公営住宅法施行令第一条第三号の収入の認定の特例について、昭和三十六年三月六日、第五十六号建設省住宅局長通知には、どのようなことが書かれていますか。

○宮島都営住宅企画担当部長 公営住宅の使用料は、公営住宅法等に基づき、入居者の収入等に応じて定められる応能応益家賃制度が適用されております。収入の算定方法についても法令等で定められており、住民税課税証明書等に記載されている過去一年間における所得金額によることとされています。
 お話の通知には、過去一年間に収入がないこととなった場合、過去一年間に収入のない期間があった場合、過去一年間にあった一時的な収入などについての収入認定上の取扱いが記載されてございます。
 なお、この通知は、給与所得者が就職後一年を経過しない場合等、課税証明書等に記載された金額をその者の継続的収入とすることが著しく不適当である場合の取扱いであるとされております。

○尾崎委員 私たちが国土交通省の住宅局の担当者から聞き取りをしたときには、一九六一年、昭和三十六年三月六日の通知書そのものを示して、協力金などは一時的な収入である、継続的収入とすることが著しく不適当であれば、家賃算定の収入から除外できる、事業主体の判断でできると説明しました。
 質問主意書の答弁書でも、公営住宅の事業主体の判断により、公営住宅の入居者及び同居者が受給した持続化給付金等を、公営住宅法施行令第一条第三号の収入の認定の特例についてにおける退職所得、譲渡所得、一時所得、雑所得その他の所得のうち一時的な収入に該当するものと取り扱い、所得金額の認定に当たって、当該持続化給付金等の額を除くこととすることは可能であると明確に答弁しています。
 つまり、東京都が判断すれば、都営住宅の家賃算定からコロナ対策の協力金などは除外できるということです。
 ところが都は、協力金などは収入とみなして家賃算定に加えるという判断です。
 産業労働局が国に対し、税務上における特例的な取扱いを要望していたことはご存じでしょうか。また、その理由についてどう受け止めるのか伺います。

○宮島都営住宅企画担当部長 産業労働局が、感染拡大防止協力金の税務上の取扱いについて国に要望したことは承知しております。
 その要望理由は、住宅政策本部としてお答えする立場にないと考えます。

○尾崎委員 住宅政策本部としては答える立場ではないということですが、産労局は国に対して、感染拡大防止に向けた協力金を非課税所得とするとともに、新型コロナウイルス関連の補助金や助成金等については、事業効果を損なわぬよう、税務上における特例的な取扱いを要望したということなんです。これ、大変大事な見解なんです。
 都が、コロナ禍で営業時間の自粛、短縮を要請し、協力してくれた事業者に対し支給した協力金について、都営住宅の家賃算定の収入とすると決めた根拠は何ですか。

○宮島都営住宅企画担当部長 都営住宅の使用料は、公営住宅法等に基づき、入居者の収入及び都営住宅の立地条件、規模、建設時からの経過年数等に応じて定められる応能応益家賃制度が適用されます。その際、入居者の収入の算定方法についても法令等により定められており、住民税課税証明書等に記載されている過去一年間における所得金額によることとされております。
 感染拡大防止協力金は、営業時間短縮等の要請に応じた事業者を対象に、売上高または売上高減少額に応じて支給されており、使用料算定に際し、事業収入と見ることが適当と認識しております。

○尾崎委員 ただいまのご答弁で、協力金の目的と仕組みについて間違った認識をしていると指摘をさせていただきます。
 その一つは、協力金がそもそもどういうものなのかということです。産労局は、営業時間の短縮要請等の実効性を確保するため、要請にご協力いただいた事業者を対象として協力金を支給したということです。
 二つ目に、協力金等は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のために支給するものであり、損失に対して補填する補償とは目的が異なると、明確に産労局は答えています。これは、先日行われた各会計決算特別委員会での私の質問に産労局が答えたものです。
 これらのことから、住宅政策本部は、売上高または売上高減少額に応じて支給されており、使用料算定に際し、事業収入と見ることが適切と認識していると答弁されましたが、協力金は売上げ減少への補填ではないということであり、住宅政策本部の認識が違うということになります。
 大事なことなので確認します。東京都のコロナ対策の協力金の性質、効果等についての認識について伺います。

○宮島都営住宅企画担当部長 感染拡大防止協力金は、営業時間の短縮要請等の実効性を確保するため、要請にご協力いただいた事業者を対象として支給されていると理解しております。
 協力金は、営業時間短縮等の要請に応じた事業者を対象に、売上高または売上高減少額に応じて支給されており、使用料算定に際し、事業収入と見ることが適当と認識しております。

○尾崎委員 住宅政策本部と国土交通省の担当者とのやりとりについて、日本共産党都議団は情報開示請求し、手元に持っています。五月二十七日のメールでのやりとりです。
 パネルをご覧ください。ここには、国は、一時的な収入について−−ここ大きくしてあります、ここに注目をしてください。国は、一時的な収入については、支給回数ではなく、収入の性格、効果等により判断すべきと考えると書いています。そして最後に、国は、持続化給付金については、所得税法上課税対象とされており、施行令第一条第三号に定める収入の算定に当たって所得金額に含めて差し支えないが、継続的収入と取り扱うことが著しく不適当でないと判断することに当たっては、給付金の性質、効果等により判断されたいと、ここに書いてあるんです。
 もう一度このパネルをよく見ていただきたいと思います。ここの字はちょっと小さいんですけれども、私は、最後のここの部分がとても大事な部分だというふうに思いました。
 この国の担当者の指摘をきちんと検討するなら、都が支給した協力金などは、都営住宅の家賃の算定から除外するべきものだとはっきりしているのではありませんか。
 都の協力金について、産業労働局とはどのような協議を行ったのか伺います。

○宮島都営住宅企画担当部長 感染拡大防止協力金に係る要望等を受けた際に、産業労働局とは、参考として情報を共有しております。

○尾崎委員 先ほどもいいましたけれども、国は、給付金の性質、効果等により判断されたいと、こういうことをいっているわけです。国とこのようなやりとりを東京都は行ったのであれば、まず、住宅政策本部が行わなければならないことは、コロナ対策の協力金の担当部署である産労局と一緒になって検討すること。
 そもそも産労局が、コロナの中で感染拡大を止めるために、営業自粛や営業時間短縮を要請する目的、協力してくれた事業者に協力金を支給する目的、事業の効果について、正確に認識を共有することだったのではないでしょうか。今からでも、産労局と検討することを強く求めるものです。
 そして、都営住宅の家賃算定について改めて検討すること。事業主体の判断でできることですから、都営住宅の家賃算定からコロナ対策の協力金を除外するよう強く求めて、質問を終わります。

○中村委員 それでは、住宅政策本部の事務事業について質問します。
 二〇一九年四月から、都市整備局から住宅政策本部が分かれました。ハード整備の局から独立した意義として、ハードとソフトを融合した役割を担ったと考えています。
 衣食住の中で、住が金額的には大きく、住宅政策は最大の福祉政策でもあります。大がかりな組織改正をして三年半が経過しますが、都市整備局にあったときとは違う組織の意義があってしかるべきと考えますが、見解を伺います。

○越住宅企画部長 住宅政策本部は、世帯の単身化や住宅ストックの老朽化が進む中で、老朽マンションや空き家への対策、住宅セーフティーネットの構築など、住宅政策を機動的に展開するために、都市整備局の本部組織として平成三十一年四月に設置されたものでございます。
 本年三月には、成長と成熟が両立した未来の東京の実現に向け、住宅施策を総合的かつ計画的に推進するため、新たな住宅マスタープランを策定するとともに、四月には民間住宅部を設置し、良質な住宅を安心して選択できる市場環境の実現や民間住宅の脱炭素化、重層的な住宅セーフティーネット機能の強化などに向けた取組を推進しているところでございます。
 今後とも、住宅政策本部が設置された趣旨を十分に生かし、福祉、環境、まちづくり、産業、消費者など、関係する政策分野や、民間事業者、NPO等の多様な主体との連携を強化し、ハード、ソフトの両面から時代に即した住宅政策を展開してまいります。

○中村委員 以前の都市整備局はかなり大きな組織で、都市の基盤整備が中心です。住まいは生活と密着しているので、ソフトに、より寄った体制にすべく切り離したと理解しています。少子高齢化時代になる中で、より一層福祉部門との連携を強め、安心して住み慣れた地域に住み続けることができる社会を目指していただきたいと思います。
 東京は地価が高く、欧米に比べて住宅が狭いといえます。新型コロナ感染症が始まって三年近くになります。テレワークが増えるなど、家にいる時間が増えると狭さも実感します。
 よく、経済的な指標で家計に占める食費がエンゲル係数として示されますが、民営借家の世帯において、住居費が家計に占める割合はどのくらいでしょうか。住居費の家計に占める割合を下げるような方向づけが重要ですが、見解を伺います。

○浦口住宅政策担当部長 令和三年の東京都生計分析調査によれば、単身者等の世帯を除く世帯の消費支出に占める住居費の割合は八・二%となっており、このうち、民営借家の世帯における住居費の割合は二六・九%となっております。
 都としては、住宅セーフティーネットの中心的役割を担う都営住宅をはじめとする公共住宅の積極的な活用に加え、民間賃貸住宅を活用した施策を実施することにより、住宅の確保に配慮を要する都民の安定した居住の確保を図ってまいります。

○中村委員 都では、単身者世帯を除く調査結果しかないようです。恐らく、単身者世帯の調査があれば、もっと住居費の割合が高くなるのではないかと思います。
 今、単身者世帯が急増しています。国民年金で暮らしている方々には、満額でも七万円ですから、都営住宅に入れず民間住宅に住むと、年金はほとんど家賃の支払いに充てられることになります。これは大変生活も厳しくなるので、改めて社会情勢の変化に対応して、住宅政策本部として単身者世帯を含めた家計に占める住居費の割合を調査し、データに基づいて対策を立てることが必要と考えます。
 もとより賃金が上がることが必要ですが、一方では、家賃が高くならないか、または公的な支援を行うことが必要になります。
 低所得者の住宅政策としては、家賃補助が必要として度々議会でも主張してきました。住宅確保要配慮者の入居を拒まない民間賃貸住宅として、ささエール住宅での家賃低廉化に期待をしたのですが、まだまだ十分な確保は少ないといえます。
 生活保護を受給しないと家賃を補助する制度は現在はなく、都営住宅は何回申し込んでも当せんしない人もいます。私は、改めて家賃補助制度を創設すべきと考えますが、見解を伺います。

○浦口住宅政策担当部長 家賃補助制度につきましては、対象世帯の範囲、民間家賃への影響、財政負担の問題のほか、生活保護制度との関係など、多くの課題があると認識しております。
 住宅に困窮する都民の居住の安定の確保については、都営住宅を住宅セーフティーネットの中核として、既存ストックを最大限に活用し、的確に供給していくとともに、住宅確保要配慮者の入居を拒まない民間賃貸住宅の供給促進に向けて取り組み、重層的な住宅セーフティーネット機能を強化してまいります。

○中村委員 都営住宅は、住み慣れた地域への入居を望んでも倍率が高くて入れず、場所を選ばなければ入れますといわれても、高齢になると交通が不便な地域への転居は困難です。
 ささエール住宅の家賃低廉化への取組は、今後に期待はしているのですが、現状はまだ十分とはいえません。都営住宅は、民間賃貸住宅への入居が困難な事例もあるため必要とは考えますが、都は、これ以上戸数を増やさないという方針のようですから、空き家なども多くあるため、家賃補助制度の導入が現実的と考えます。
 今回も、残念ながら家賃補助については前向きな答弁は得られませんでしたが、継続的に主張していきますので、ぜひご検討をお願いします。
 さて、空き家問題の解決策でもあり、住宅費を下げることにもつながると期待される中古流通市場について伺います。
 新築を購入することを希望するのは当然ですが、一方で、より安い値段で中古住宅を希望される方もいます。しかし、実際にはそれほど流通は進んでいません。都は、現状と課題をどう認識し、どのように対応するのか、伺います。

○土屋企画担当部長住宅市場担当部長兼務 平成三十年度におきます都内の既存住宅の流通シェアは一二・八%であり、新築住宅に比べて低い割合となっております。
 都は、既存住宅流通市場を活性化するため、これまで、空き家のワンストップ相談窓口の開設や、東京空き家ガイドブックを用いた普及啓発、事業者グループによる既存住宅の売買に係る相談体制の整備などに取り組んでまいりました。
 引き続き既存住宅の流通の促進を図ってまいります。

○中村委員 既存住宅を購入される方は僅か一割強とのことです。税制などの仕組みがあるにせよ、大変低く、まだまだ課題があります。
 新築の方が建設業界にはよいのですが、もちろん中古市場が育てばリフォームの需要などもできてきます。環境的に見ても、まだ住める家を壊して造り直すことが必ずしもよいわけではありません。民間がメインになる話だとは思いながらも、行政として中古住宅流通市場の育成に取り組んでいただくことを要望します。
 さて、都営住宅は低所得者対策でもあり、民間賃貸住宅に入りにくい方々が入居します。現在、都は、老朽化した都営住宅は建て替えますが、新築はしない方針です。
 一方、東京都住宅供給公社が公社住宅を運営しています。民間住宅も空き家もある中で、現在の公社住宅の意義は何でしょうか、伺います。

○今井連絡調整担当部長 公社は、都の住宅政策を推進する上での重要なパートナーとして、少子高齢化社会や脱炭素化への対応、災害時における避難者の公社住宅への受入れなど、採算面において民間事業者にはなじまない取組を実施しており、都の政策に大きく貢献してございます。
 このように、公社は住宅事業を通じて広く地域社会に貢献しており、今後もこうした公的役割を果たしていくことが必要であると考えております。

○中村委員 都営住宅が二十六万戸に対して、公社住宅も七万戸あります。公社の自主運営とはいえ、公社は都の一〇〇%子会社ですから、取組には当然公共性が求められます。住宅難のときには、都営住宅の所得階層よりも、もう少し上の所得階層のために必要だと思いますが、今は民間住宅も多くあるため必要ではないということではなくて、民間も含めて選択肢の一つにはなると思います。
 もちろん、公がやっているという安心感があることが住む方にとっての魅力の一つではあるかと思いますが、都として、都営住宅と公社を含めて、どこに力を注ぐのかの選択だと思います。
 公社住宅の役割が時代とともに変わると、将来的には建て替え時に都営住宅に転換することもあり得るかと考えますが、見解を伺います。

○今井連絡調整担当部長 公社住宅については、住宅確保要配慮者向けとしての性格を重視するとともに、現在のストックを最大限に活用し、重層的な住宅セーフティーネット機能の一翼を担っていくこととしておりまして、引き続きこうした役割を果たしてまいります。

○中村委員 住宅確保要配慮者向けなどは、よい事例だと思います。住んでいる方がいる以上は、すぐに都営住宅になることはできないとは思いますが、その時代その時代で、民間ではできないところを補っていくことが重要だと思います。都庁グループという点では、公社に任せきりではなく、都営住宅、公社住宅を含めた都の住宅政策として政策立案していただきたいと思います。
 さて、超高齢社会に向けた住宅対策は大変重要です。民間賃貸アパートを借りようとしても、七十歳を超えると、収入が幾らあっても、孤独死すると事故物件になってしまうことへの懸念もあり、なかなか契約してもらえません。
 民間の保証会社の活用を支援するなど、高齢者が賃貸住宅を借りやすくすべきと考えますが、見解を伺います。

○鈴木民間住宅部長 区市町村居住支援協議会は、不動産関係団体や居住支援法人、福祉関係団体など多様な主体が参加しており、高齢者など住宅確保要配慮者が賃貸住宅に円滑に入居できるよう、住まい探しの相談や入居のあっせん、家賃債務保証料一部助成などの取組を行っております。
 都は、東京都居住支援協議会を設置し、居住支援の先進的な取組事例や協議会の設立事例の紹介等により、区市町村居住支援協議会の設立を促進するとともに、協議会活動の活性化に向けた支援を行っております。
 引き続き、こうした活動を通じまして、高齢者など要配慮者の居住の安定確保に取り組んでまいります。

○中村委員 居住支援協議会は、まだ設置をされていない自治体もあります。しかし、住まいの問題は市区町村だけの範囲ではないので、都として設置を強制できないものの、できれば全市区町村に設置していただけるよう支援策を講ずることで促していただきたいと思います。
 さらには、保証会社の活用も、どの自治体に住んでいてもできるよう、自治体を通じての支援に取り組んでいただきたいと思います。
 介護施設ではなく、住み慣れた地域に住み続けることができる住宅として、サービス付高齢者向け住宅、いわゆるサ高住の登場には期待されました。ただ、家賃が高いものも多く、誰でも入れるというわけでもないともいわれています。このサ高住について、期待されたとおりの成果が出されているのか伺います。

○鈴木民間住宅部長 都は、国が行っております整備費補助に加え、地域密着型サービス事業所等との連携を行う事業者に対し、東京都サービス付き高齢者向け住宅整備事業により上乗せ補助を行っております。
 補助金を利用していない住宅も含め、令和三年度末時点の登録実績は、都内で累計一万七千二百三十戸となっており、高齢者の居住の安定の確保に寄与しております。
 なお、国のサービス付き高齢者向け住宅整備事業交付申請要領では、入居者の家賃が近傍同種の住宅の家賃と均衡を失しないよう定められるものであることなどが要件として定められております。

○中村委員 住宅数は増えて、一定の寄与はしているということでした。しかしながら、住宅マスタープランの計画では、二〇三〇年度末までにサ高住などを三万三千戸に増やすという目標になっていますので、引き続き促進していただきたいと思います。
 サ高住は、本来、健康状態に問題の少ない人が住み、生活を見守ることが想定されましたが、実際には要介護者の受皿になっているという状況もあるようです。
 充実したサービスが求められる一方、費用も上がってしまいます。見守りの重要性から、安易な緩和もすべきではありません。サ高住本来の見守りサービスの質が維持されるようなサ高住の供給を促進すべきと考えますが、都の見解を伺います。

○鈴木民間住宅部長 サービス付高齢者向け住宅は、国の高齢者の居住の安定確保に関する法律に基づき、バリアフリー構造を有し、生活支援サービス、安否確認サービスが提供されることになっておりますが、都では、緊急時対応サービス等を要件として追加することにより、居住者に対する見守り機能を強化しております。
 引き続き、IoTなど新技術の活用状況を踏まえながら、これらのサービスの提供を支援してまいります。

○中村委員 サ高住は介護施設ではなく、あくまで住居なので、生活支援や見守りなどの取組を強化することで、いつまでも元気で暮らせるようにすることが重要です。引き続き福祉部門との連携を強化していただくことを求めます。
 都営住宅の高齢者対策としてシルバーピアがあります。東京都住宅マスタープランにも、高齢者の居住の安定として、区市町村と連携し、シルバーピア事業を実施と記載されています。
 都営住宅においてサ高住のような機能を果たしており、設置促進すべきと考えます。現状、どのくらいの戸数があり、今後市区町村と連携して増やせないのか、見解を伺います。

○栗谷川建設推進担当部長 都営住宅におけるシルバーピアの供給戸数は、令和四年三月末現在で四千四百三十八戸でございます。
 シルバーピア事業につきましては、高齢者福祉施策の担い手である地元自治体と連携し実施するものであり、地元自治体の意向を踏まえながら、都営住宅の建て替えに合わせて供給を行ってまいります。

○中村委員 シルバーピアとしてサービスが受けられるところと分けているのですが、都営住宅に住む方のうち高齢者の割合は高いため、一定の要件が合って申出があればサービスを受けられるようにすることは必要だと思います。市区町村とも連携して積極的に取り組むことを求めます。
 さて、都営住宅は自治会に管理が任されていますが、一方では、菜園ができないという矛盾もあります。民間のマンションであれば用途は住民が決められますが、都営住宅は管理だけ任され、自由に使えません。
 それであれば、地元自治体を通じて敷地を農地として貸し出すとか、近隣の人と一緒になってガーデニングを楽しむとか、地域との交流という点から見ても有効な活用法があると考えますが、見解を伺います。

○栗谷川建設推進担当部長 高齢化や世帯の単身化が進む中で、都営住宅や周辺地域に住む人々がつながりを保ち、支え合いながら暮らしていくことができる様々な形での居場所の創出を実現していくことは重要でございます。
 このため、都営住宅の集会所を活用した東京みんなでサロンと同様に、今年度から、公有地の適正な管理や公平性の確保などを図りながら都営住宅用地の一部を活用し、様々な人が集える花壇や菜園などの管理を通じて地域コミュニティの活性化に資する取組を行うことにいたしました。
 具体的には、先行的に二団地で花壇の整備等を行い、取組の課題整理や実施マニュアル案などの検討を行ってまいります。

○中村委員 これまでは、菜園どころか花を植えてもいけないといわれていましたので、先行的に二団地での花壇の整備を行うとのことですが、花壇をつくりたい方も多いと思いますし、それは、近隣の方でもガーデニングをやりたい方はいます。自治会の高齢化もあり、また、業者を使ったりせずとも団地の希望者と近隣の希望者で募れば、お金もかからず、近隣との親睦も広がり、一石二鳥だと思います。発想を変えて取り組んでいただくことを求めます。
 都営住宅の住民が地域と連携することも重要です。都営住宅の自治会内での交流も重要ですが、さらに地域との交流も重要です。都が集会所を使ったイベントとして東京みんなでサロンを行ったことは評価しますが、日常的な交流が重要です。
 都営住宅の集会所は、地域にとっても貴重な資源ですが、イベントの実施だけではなく、日常的に地域に利用を開放することで自主的な交流も深まるため、地域開放を一層進めるべきと考えますが、見解を伺います。

○宮島都営住宅企画担当部長 都では、都営住宅の居住者と地域住民との間に良好なコミュニティを形成するため、自治会、町会等の協議が調った集会所については、地域に開放することに取り組んでおります。この地域開放の集会所は、令和四年三月末時点では二百五十六か所であります。
 引き続き、居住者に配布している住まいのしおりや自治会代表者と公社の窓口センターとの意見交換の場などで、地域への開放についての周知を図ってまいります。

○中村委員 都営住宅には自治会がありますが、自治体全体としても地域との距離が空いてしまっている感じがします。もちろん、民間のマンションでも同様のことがあるんですが、もう少し広い目で見ての地域という点でいうと、地域の町内会の中に自治会が島のように浮かんでいるのではなく、地域との連携が必要です。
 集会所の開放は、一つのきっかけだと思います。都営住宅の中だけで完結したコミュニティだと若い人も入れたいとなりますが、もう少し地域全体を広い目で見て、地域での支え合いの社会ができるような取組を求めます。
 さて次に、都営住宅における太陽光発電設備設置について質問します。
 第四回定例会では、知事から太陽光パネルの設置を義務化する条例案が提案される予定として話題を呼んでいますが、それに先立ち、都は都有施設への設置を進めています。
 これまで都営住宅では、建て替え住棟を中心に太陽光発電設備の設置が進められ、一棟当たり約五キロワットの発電能力を持つ太陽光発電設備が設置されてきました。脱炭素社会の実現に向け、都内に多くの団地を持つ都営住宅においては、その屋上を活用して太陽光発電設備の設置を積極的に進めるべきです。
 そこで、都営住宅における太陽光発電設備の設置の取組状況について伺います。

○小林営繕担当部長 都営住宅における太陽光発電設備につきましては、平成十六年度から原則全ての建て替え住棟に、平成二十五年度からは耐用年数等を勘案して既存住棟にも設置を進めています。
 この結果、令和三年度末時点で約五百二十棟に太陽光発電設備を設置し、発電能力の合計は約二千六百キロワットとなっています。
 現在、既存住棟については、一棟当たりの平均の発電能力をこれまでの四倍となる約二十キロワットに拡大し、年度内完成を目指して約百棟への設置工事を進めています。
 また、建て替え住棟については、可能な限り太陽光発電設備を設置できるよう、基準設計の見直しを進めています。

○中村委員 今年度は、既存住棟約百棟に設置するとのことで、既存の都営住宅についても取組が前進していることが分かりました。
 今回、都が民間住宅への設置を義務化するのは、あくまで新築住宅です。しかし、圧倒的に戸数としては既存住宅の方が多くあります。
 都営住宅も同様ですが、既存住棟への設置は、建設時の設置に比べて多くの手間がかかると考えます。既存住棟への太陽光発電設備の設置を進めるに当たって、どのような課題があるのか伺います。

○小林営繕担当部長 既存住棟への太陽光発電設備の設置に当たっては、建物の構造上の安全性や日影規制への適合性を確保できるよう、当該設備の荷重や設置高さを抑える必要があります。
 また、発電能力の拡大に伴い設置費用が増大することから、コスト縮減等を図る必要があります。

○中村委員 設置棟数や発電能力が増え、事業規模が大きくなっていくと、経済性の工夫は重要と考えます。
 都営住宅は古い住宅も多く、近い将来、建て替えが検討されるような住棟に設置することは経済性を考えると適切ではないかとも考えます。太陽光発電設備の設置対象とする住棟について、どのように考えているか伺います。

○小林営繕担当部長 太陽光パネルにつきましては、その製品寿命が二十五年から三十年程度とされておりまして、事業収支を考えますと製品寿命まで使い続けることが経済的であり、また、廃棄物の発生の抑制にもつながります。
 このため、一定の耐用年数がある住棟につきまして、屋上の設置スペースや法規制への適合等を調査し、太陽光発電設備の設置対象を選定していきます。

○中村委員 設置に当たっては、新たな技術革新による工法の導入や費用面での工夫などもぜひ行っていただき、設置をさらに推し進めていただくことを要望して、質問を終わります。

○松田委員 それでは、住宅政策本部の事務事業質疑を始めさせていただければと思います。
 本日は、都営住宅に焦点を当て、質疑をさせていただければと思います。
 少し前、全国紙にも載りましたが、大田区にあります都営団地、東糀谷六丁目アパートのある東糀谷六丁目は東京二十三区の中で最も高齢化が進む、まあ、その新聞等では限界集落ともキーワードは使われていますが、二〇年に実施された国勢調査では六十五歳以上の割合が六四%と、約三千ある二十三区の町内の中では一番高い数字だったといわれています。
 ほかの地域を見ていても、やはり都営住宅が多くの地域を占める町では高齢化率が高くなっている傾向がありますが、都営住宅の六十五歳以上の入居者の割合をお伺いいたします。

○宮島都営住宅企画担当部長 令和四年三月末現在、都営住宅の入居者のうち、名義人が六十五歳以上の割合は六九・一%となっております。

○松田委員 ありがとうございます。六十五歳以上の名義人の割合ですので、実際には、入居者だけを考えますと、もう少し低い数字というのは推測をされます。
 総務省の人口統計を見てみますと、二〇二一年九月十五日時点では、日本の六十五歳以上の割合については約二九・一%と、三〇%程度だといわれていますので、大体、実社会の倍近い高齢化率、六九・一%というところで、非常にゆがんだ年齢割合、都営住宅の今の実態だと思っています。
 なぜこれだけ都営住宅の高齢化率が高くなってしまうのか、都の見解をお伺いいたします。

○宮島都営住宅企画担当部長 都営住宅の高齢化率が高い要因として、少子高齢化の進展に伴い、若年世代の申込者数の減少により、申込者に占める高齢者の割合が増加していることや、高度成長期に都営住宅へ大量に入居した世代が一斉に高齢化していることなどが考えられます。

○松田委員 高度経済成長期の都営住宅への大量一斉入居で高齢化率が増えている。あとは、少子高齢化の進展に伴いということだと思うんですけれども、このまま恐らくその少子高齢化のパーセンテージ、実社会の割合よりも、今後さらに高齢化率が進んでいくと都営住宅では推察をされますが、都営住宅の高齢化率を下げる施策、どのようなものがあるのかお伺いいたします。

○宮島都営住宅企画担当部長 都営住宅では、居住者の高齢化が進む中で、定期使用住宅の募集や毎月募集により、若年夫婦や子育て世帯の入居を促進しています。
 具体的には、五月と十一月の定期募集において、若年夫婦、子育て世帯向けに定期使用住宅の募集を実施し、ひとり親世帯も対象としております。さらに、毎月募集においても若年夫婦、子育て世帯向けの専用枠を設けており、令和四年四月からは専用枠の戸数を二十戸から四十戸に拡大しております。
 今後も、このような取組により、若年夫婦や子育て世帯の入居を促進してまいります。

○松田委員 住宅政策本部といたしましても、様々な施策を講じていただいているとは思うんですけれども、ほかの委員の質問でもあったとおり、都営住宅自体が、自力では最低水準の住宅を確保できない真に住宅に困窮する低額所得者に、安価な家賃で賃貸をする住宅というような話があるところで、若年夫婦であったりとか、子育て、ひとり親世帯等の取組はされていると思うんですけれども、構造的になかなか増やせないというのも一つだと思います。
 やはり都営住宅の高齢化の問題については、あまりにも実社会とかけ離れてしまうこの高齢化率というのが、今後さらに大きな問題が生じてくると思いますので、引き続き、都営住宅だけだとなかなか解決はできない問題だと思いますが、民間住宅への支援も含めて、総合的にその問題については取り組んでいっていただければと思います。
 ただ、実際この先、高齢化率が増えていくという中で、都営住宅にお住まいの高齢者の方の生活のサポートという部分も、しっかりと充実をさせていかなければいけないと思っています。
 その中で、都営住宅における買物弱者支援については、多くのお住まいの方から助かるとの声もいただいておりますが、これまでの進捗についてお伺いいたします。

○宮島都営住宅企画担当部長 都は、日常の買物が困難な都営住宅居住者等への支援策として、区市町が実施する買物弱者支援事業と協力し、都営住宅の敷地内で民間事業者による定期的な食料品や日用品等の移動販売サービスを実施しております。
 平成二十九年十二月の事業開始以来、実施団地を毎年度拡大し、現在、十区十市一町で七十一の移動販売が行われております。

○松田委員 買物支援については、基本的には市区町村の要望でされていると思いますが、東京都といたしましても、都営団地の場所の提供であったりとか、積極的に進めていただければと思います。
 あとまた、入っている事業者についても、民間のマンション等であれば様々な業態が入っているふうな話も聞きますので、そういう業態についても幅広く入居者の需要を聞きながら対応していただければと思います。
 次に、都営住宅の太陽光発電設備についてお伺いできればと思います。
 東京都も温室効果ガスの排出削減に向け、二〇二二年度から三〇年度まで九年間をかけて、都営住宅や交番、消防署など二千か所以上の都営施設に太陽光パネルを設置、そして予算もつけております。
 先ほど他の委員の方からもありましたけれども、都営住宅の太陽光発電設備について、令和三年度で設置をした都営住宅の太陽光発電設備の発電能力及びかかった費用についてお伺いできればと思います。

○栗谷川建設推進担当部長 令和三年度において都営住宅に設置した太陽光発電設備の発電能力は約百二十キロワットであり、設置に要した支出額は約一億一千万円でございます。

○松田委員 それでは、現在の都営住宅の発電能力、また、令和三年度の都営住宅全ての売電収入は幾らになっているか、お伺いいたします。

○栗谷川建設推進担当部長 令和三年度末までに都営住宅に設置した太陽光発電設備の発電能力の合計は約二千六百キロワットであり、令和三年度において共用部で利用した電力以外の余剰電力の売電収入は約六千五百万円でございます。

○松田委員 ありがとうございます。
 東京都としては、都営住宅以外も、交番であったりとか消防署の設置等、どこのディベロッパーよりも、そういう意味でいうと太陽光パネルについて知見というのは深くお持ちになっていると考えています。
 民間企業でも、事業所の改築であったりとか新築のときに、果たして採算性はとれるかどうか、そういう部分で、なかなかまだ太陽光発電設備について取組が進んでいないところもございますので、これまでの知見を民間企業にもぜひオープンにしていただいて、民間企業が経済合理性の中で太陽光発電パネルの設置を進められるかどうかの判断材料という意味では、東京都のこれまでの試みについては、非常にノウハウがたまっていると思いますので、ぜひそのあたりも民間事業者にも分かりやすくオープンにしていただけると、より民間事業者の太陽光パネル発電の設置が進むんじゃないかと思っています。
 次に、ウクライナからの避難民の受入れについてですが、鈴木副委員長とほとんど答弁がかぶってしまっておりますので、質問は割愛をさせていただきますので、意見のみ述べさせていただければと思います。
 私自身も、日本に避難されたウクライナ難民の方、また、隣国のポーランドに避難をされているウクライナ難民の方と親交がありまして、お話を聞く機会があります。
 また、その中で、避難をされてきている方たちも、それほど戦渦が長引くとは予想していなくて、三か月、半年ぐらい、それぐらいのつもりで隣国のポーランドに避難をしてきた。
 特に日本の場合は、もう少し長期的な目線を見て避難をされている方もいるとは思うんですけれども、日本に長くなれば生活に慣れるというよりは、やはり長くなればなるほど、心の不安という部分も数多く、不安であったりとか心配が避難民の方にもあると思いますので、ぜひ、ハード面もソフト面も含めてしっかりと、日本に避難をされた方が日本に避難してよかったなと思えるような体制づくりを引き続き、住宅政策本部ですと都営住宅での受入れになると思うんですけれども、進めていっていただければと思います。
 以上となります。

○藤井委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩といたしたいと思います。
   午後三時九分休憩

   午後三時二十九分開議
○藤井委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 ご発言を願います。

○吉住委員 私は、東京ささエール住宅について、特に専用住宅の方についてお伺いしたいと思います。
 高齢化の進行に伴い、都内の高齢世帯は今後も増加する見込みとなっていますが、高齢者は孤独死などの不安があることから、賃貸住宅市場において入居制限を受けやすい現状があります。
 そうした高齢者など住宅の確保に配慮が必要な方々が円滑に賃貸住宅へ入居できるようにするため、住宅確保要配慮者の入居を拒まないセーフティーネット住宅、いわゆる東京ささエール住宅の登録制度がありますが、特に住宅確保要配慮者のみ入居可能な専用住宅の登録は思うように進んでいるようには思えません。
 そこで、専用住宅の登録促進に向けたこれまでの取組と現状について伺います。

○鈴木民間住宅部長 都はこれまで、貸主に対して改修費補助や家賃低廉化補助などを行う区市へ財政支援を行うとともに、都独自の取組として、専用住宅の登録等を条件とした登録協力補助を実施するなど、貸主への直接支援を行ってまいりました。
 加えて、令和三年度から二か年のモデル事業として安心居住パッケージ事業を行い、例えば、居住支援法人が貸主から物件を借り上げて住宅確保要配慮者に専用住宅を提供するなど、貸主の不安の解消と、入居する要配慮者へのきめ細かい居住支援の充実に取り組んでまいりました。
 こうした取組などにより、令和三年度末の登録戸数は六百四十二戸となっております。

○吉住委員 六百四十二戸ということでございます。専用住宅の登録を増やしていくためには貸主の視点が重要です。貸主においては、限られた財産を様々なトラブルなどが心配される高齢者などに貸すということで、貸主の懸念を払拭し、貸主のリスクに対する一層の支援が必要だと考えます。
 不動産業団体からも、専用住宅の登録促進に当たっては貸主が協力できる環境整備が必要であると聞いています。
 専用住宅の登録促進に向けて、今後の貸主への支援策について伺います。

○鈴木民間住宅部長 本年三月に策定しました東京都住宅マスタープランでは、令和十二年度末までに三千五百戸が登録されることを新たに目標に掲げたところであり、今後、専用住宅の登録を一層促進していく必要がございます。
 目標の実現に向けては、入居中の事故やトラブルに加え、空室リスクなど貸主の様々な不安の軽減が必要であり、そのためには、居住支援法人による要配慮者の属性に応じた迅速な物件の提供のほか、定期的な見守りなど、入居中のきめ細かな支援活動をさらに後押ししていくことが効果的でございます。
 都としましては、こうした居住支援法人の活動に対する支援の強化を通じまして、専用住宅の供給を促進してまいります。

○吉住委員 現状からすると、この三千五百戸というのは高い目標のように感じます。今後、高齢化が急速に進む中、高齢者をはじめとした住宅確保要配慮者の居住の安定確保を図るためには、セーフティーネット住宅の中でも特に専用住宅の登録の一層の促進が必要だと考えております。
 引き続き、不動産業界団体など現場の声もしっかりと聞きながら、来年度に向け、効果的な事業の構築を図っていただくよう要望して、質問を終わります。

○関野委員 それでは、住宅政策本部の事務事業質疑をさせていただきます。
 まずは、公社住宅について質問をさせていただきます。
 まず初めに、公社住宅の区部及び多摩地域の空き住戸数と、区部及び多摩地域のそれぞれの申込状況、この点についてお伺いをいたします。

○今井連絡調整担当部長 令和四年三月末時点の空き住戸でございますけれども、区部が千百三十九戸、多摩地域が千九百八十戸となってございます。
 また、令和三年度の申込状況ですけれども、区部では、延べ募集戸数六千七百九十七件に対しまして、延べ申込件数は五千百八十九件でございます。多摩地域では、延べ募集戸数七千四十四件に対しまして、延べ申込件数は二千八百十七件となっております。

○関野委員 ありがとうございます。
 以前の事務事業でも質疑した案件ではありますが、令和三年度末の延べ募集戸数に対する区部の申込状況は、多摩地域の約二倍に今なっていると。区部の方がある意味人気が高い傾向にあるというふうにも考えております。
 多摩地域の空き住居を減らすため、公社はどのような取組を行っているのか、この点についてお伺いをいたします。

○今井連絡調整担当部長 多摩地域における空き住戸への入居を促進するため、一定の条件の下、家賃を一定期間割り引く制度として、若年世帯向けに三十五歳以下の世帯を対象としたステップ三十五割や、四十歳代までの新婚、夫婦世帯向けのペアさぽ制度を導入してございます。加えて、親族以外の成人二名で一つの部屋に入居できるルームシェア制度など、新しい住まい方に対応した取組も行っております。
 また、多摩地域の活性化に向け、地域の大学と連携協定を締結し、自治会活動への参加を条件に、大学生が多摩地域の団地に入居できる取組も進めております。

○関野委員 ありがとうございます。割引制度やルームシェア、大学生の入居への取組など、新しい入居促進を行っているということは評価いたします。
 大学生については、自治会活動への参加を条件というようになっておりますが、その他についてはどうなのか疑問ではありますが、正直、自治会加入などコミュニティに参加できるような形も促進することが必要ではないかというふうに思っていますので、地域自治会や専門家などとも協議しながら、この点については進めていただきたいということを要望しておきます。
 次に、外国人の対応についてです。
 公社には、日本人だけでなく外国人も住んでおります。以前の事務事業でも指摘しましたが、現在の公社住宅におけるごみの出し方をはじめ、住まいのルールなどについて外国人入居者に対してどのような取組を行っているのか、この点についてお伺いいたします。

○今井連絡調整担当部長 公社住宅では、外国人を含む入居者に共同住宅でのルールなどを守っていただくことを目的として、生活上の様々なルール等を記した住まいのしおりを日本語、英語、中国語及び韓国語の四か国語で作成しておりまして、入居契約時において配布するとともに、公社のホームページに掲載することなどにより、周知、案内に努めているところでございます。
 加えまして、特に注意喚起等が必要なごみ捨てのルールや生活音に対する配慮などにつきましては、別途、快適な生活のためにを四か国語で作成し、配布を行っております。
 なお、公社住宅においては、住宅内に常駐しております管理員であるフロントスタッフが日々敷地内を巡回点検しており、ごみ置場の状況確認等を含め、トラブルの原因となり得る事案等の早期発見に努めるとともに、必要に応じて管轄の公社窓口センターと連携しながら、住環境の維持向上に取り組んでおります。
 今後も、こうした取組を通じまして、公社住宅の外国人入居者に適切に対応してまいります。

○関野委員 ありがとうございます。
 では、公社住宅における外国人の入居について、定期的な在留資格の確認、こういったものはどのように行っているのか、この点についてお伺いをいたします。

○今井連絡調整担当部長 入居審査時において、外国人に対して在留資格を確認しておりますが、定期的な在留資格の確認は行っておりません。
 なお、入居後に居住実態が明らかに異なる場合などの不正入居等の疑いがある場合には実態調査を行い、必要に応じ、是正指導を実施しております。

○関野委員 定期的な確認は行っていないと。また、入居後に居住実態が明らかに異なる場合など、不正入居の疑いがある場合には実態調査を行い、必要に応じて是正指導を実施しているということですけれども、疑いがあるときだけではなく、定期的な把握は必要ではないかなというふうにも感じております。この点についてはしっかり検討をし、対応を求めておきます。
 次に、都営住宅について質問をいたします。
 都営住宅の空き戸数については、九月議会が始まる前からですが、我が会派として、各団地の公募用、事業用、この数について把握すべきというふうに伝えさせていただいておりました。
 先月でしたか、戸数把握が完了した後に、昨年度末時点での公募用、事業用の各空き戸数の情報が住宅政策本部のホームページにアップされております。このことについては評価をいたしますが、その上で、現在都営住宅は、区部十六万一千百三十七戸、市部八万九千九百三十戸ですが、都営住宅の区部及び多摩地域の募集用空き住戸数と、区部及び多摩地域それぞれの応募倍率についてお伺いをいたします。

○宮島都営住宅企画担当部長 令和三年度末時点の募集用空き住戸数は、区部が一万一千七百八十一戸、多摩地域が九千六百二十一戸であります。
 応募倍率は、令和四年五月募集において、区部の平均が十四・〇倍、多摩地域の平均は五・八倍であります。

○関野委員 先ほどの公社住宅同様、都営住宅も区部の応募倍率は多摩の二倍以上になっていると。都営住宅の管理戸数に対する空き住戸の割合は多摩地域の方が高いというふうには聞いておりますが、このような応募倍率の差が原因ではないかというふうにも考えます。
 多摩地域の空き住戸割合を下げるためにどのような取組を行っているのか、この点についてお伺いをいたします。

○宮島都営住宅企画担当部長 多摩地域におきましては、定期募集に加えて、常時申込みが可能な随時募集を実施しているほか、毎月募集において区部より多くの住宅を募集する等の取組を実施しております。

○関野委員 ありがとうございます。
 次に、先ほど質問の中にも出ましたが、事業用の空き住戸、これはどういうものなのか、また、どのように活用されているのか、この点についてまずお伺いをいたします。

○栗谷川建設推進担当部長 都営住宅の事業用空き住戸は、主に建て替え対象住棟の居住者のために、移転先または一時的な仮移転先として確保している住戸でございます。建て替えで新築した住戸は、仮移転先から戻る居住者に提供するほか、次の建て替え対象住棟の居住者に移転先として提供しております。
 既存住棟の空き住戸につきましても、一部を事業用として確保し、居住者の移転先についての様々な要望に応え、建て替え事業の計画的な推進を図っております。

○関野委員 ありがとうございます。
 二十三区内、特に千代田区、港区など中心部における都営住宅設置についてですが、この必要性についてどのように考えているのか、また、これまでの建設の経緯も含めて、この点についてお伺いをいたします。

○栗谷川建設推進担当部長 都は、戦後の深刻な住宅難や高度成長期の人口集中に対応するため、都有地のほかにも、旧軍用地や国有地、民有地等を建設用地として取得し、都営住宅の建設を推進してまいりました。
 現在は、新規の建設は行わず、老朽化したストックの適切な更新や居住者の高齢化に対応したバリアフリー化などを図るため、それまでに建設した住宅の建て替えを行っております。その際、従前居住者の生活環境に著しい影響を及ぼさないよう、元の土地または隣接か近接する土地に従前居住世帯数の住戸を確保することで、建て替え事業を円滑に進めていくことが重要でございます。
 区部中心におきましても、こうした考えに基づき建て替え事業を展開し、都営住宅が住宅セーフティーネットの中核としての機能を的確に果たせるよう取り組んでまいります。

○関野委員 ありがとうございます。
 幾つか質問をさせていただきました。区部においては、定期募集、毎月募集にとどまり、市部においては定期募集、毎月募集に加えて常時募集を実施しているという状況から見ると、先ほど来お話ししているように、やはり区部の方が人気があるというふうに判断はできます。
 もちろん、東京都は二十三区二十六市などがありますので、都内において都民のための住居確保が必要なのは重々承知しております。
 以前の住宅政策本部の事務事業でも意見、要望させていただいた件ではありますが、千代田区や港区など、都内の区部でも中心地であり地価の高い区部については、都営住宅としてよりも、定期借地権など民間に貸し出す方が全体的な収支という部分で考えるとよいというふうにもいえます。ぜひこの点についてはしっかりと検討していただきたいというふうに要望をしておきます。
 では、次の質問に入らせていただきます。
 この質問でも、以前事務事業でも、先ほど公社に対して質疑した内容ですが、今回は都営住宅に対して質疑となります。外国人入居者についてです。
 都は、都営住宅におけるごみの出し方をはじめ、住まいのルールについて外国人入居者に対してどのような取組を行っているかお伺いをいたします。

○宮島都営住宅企画担当部長 都営住宅では、外国人を含む入居者が、住まい方のルールなどを守り、自治会等に協力しながらコミュニティを維持していくことが必要であります。
 このため、都では、指定管理者である東京都住宅供給公社を通じて、外国人入居者向けに住まい方のルールや自治会活動等について英語、韓国語、中国語で記載した住まいのしおりやチラシ等を配布するとともに、公社のホームページにも掲載し、周知徹底を図っております。
 また、各窓口センターに通訳端末を配備し、丁寧な相談対応に努めているほか、自治会等とも連携しながら、巡回管理人等が現地で対応しています。
 今後も、こうした取組を通じて、都営住宅における外国人入居者への対応を適切に実施してまいります。

○関野委員 ありがとうございます。各窓口の通訳端末や巡回管理人が自治会等と連携しながら、チラシの配布などの取組については理解をいたしました。
 私も、都営でなく公社だったんですけれども、公社の方に住みまして、自治会などの役も行ってきた経緯もあります。思い出すと、階段や団地内の掲示板のチラシ等に関しては、実際行っていても、自治会のイベントとかが実施されているとき、外国人が遠くから催物を見ているんですね。多分、何やっているんだろうというような形で見ている状況なんですが、やはり自治会の役員の方、高齢の方とかも気づいてはいるんですけど声をかけないというような状況がずっと見られました。でしたので私が声をかけて、例えば餅つきとか、そういったものに参加をしていただいた経緯もあります。コミュニティに溶け込んでいるかといえば、溶け込んでいないのではないかというふうに感じました。
 そういう意味では、どの程度外国人入居者がこのチラシを理解しているのか、また、その地域のコミュニティに加われているのかなどについては、その都度その都度、把握する必要があるというふうに考えておりますので、今は都営住宅についての質問でもありますが、都営住宅、公社住宅も同様に今後もブラッシュアップをしながら、現状確認、そして、改善に努めていただきたいということを要望しておきます。
 では、次の質問ですが、都営住宅における入居者の定期的な収入確認や外国人の入居についての定期的な在留資格、この確認をどう行っているのか、お伺いをいたします。

○宮島都営住宅企画担当部長 都営住宅では、毎年六月、翌年度の使用料を決定するため、住民税課税証明書等を添付した収入報告書の提出を入居者に求めております。
 また、外国人入居者に対し、入居資格審査以降においては定期的な在留資格の確認は行っておりませんが、収入報告書を提出しない場合などについては実態調査を行い、不正入居等の把握に努め、必要に応じて是正指導を実施しております。

○関野委員 ありがとうございます。
 収入情報などを行っているということですが、私個人的に聞いた話なんですけれども、どこの国とはいわないですが、ある意味、日本で在留資格取って生活保護になって都営住宅に住むということになると、自国にいるよりも安心して生活できるんだというようなことをいっていた、ある国の方がおります。
 私は、諸外国で日本人が受けられる福祉サービス、こういったものを勘案した上で公営住宅のサービスレベルを検討した方がよいのではないかというふうには考えております。この点についても質疑をしたいなというふうにも考えていたんですが、最終的な部分が国の法律ということで、法律が変わらなければ変更できない点ということだったので質疑はいたしませんが、今、日本は正直、まあ、私の見解ですけれど、他国の国民の生活を支えるより自国民を支えることが私は重要であるというふうにも考えております。
 また、国の予算においては自国の国民より、例えば、学生の支援だったり、ひとり親への支援だったり、弱者への支援だったりについての予算額は、他国への支援の予算の方が多いような気もしております。
 最低でも、働いて税金を納めてくれる外国人の居住と同時に、都営住宅の入居資格要件以上に働いて収入が得られる外国人、こういった方が在留資格を取って日本に来ていただきたいなというふうには私の中では思っております。
 では次に、「未来の東京」戦略について質問をいたします。
 「未来の東京」戦略では、人が輝く東京の一環として、戦略7、住まいと地域を大切にする戦略を定めているところです。この戦略の中の良質な住まい誘導プロジェクトでは、時代のニーズを踏まえた良質な住まいの実現に向けた各施策を掲げております。
 各施策は、毎年度目標を達成できたのか、達成できなかったのであれば見直しを行うなど、対策を考えていくことが重要と考えております。
 そこで、良質な住まい誘導プロジェクトにおける各種施策について、どのように取り組んでいるのか、この点についてお伺いをいたします。

○土屋企画担当部長住宅市場担当部長兼務 良質な住まい誘導プロジェクトでは、市区町村や民間事業者等との連携により、良質な住まいを誘導していくプロジェクトとして、東京ささエール住宅の登録促進や、子育て世帯に配慮した住宅の普及促進などの施策を掲げ、それぞれ三か年のアクションプランにおきまして年次計画を定めております。
 令和四年二月に「未来の東京」戦略をバージョンアップした際、良質な住まい誘導プロジェクトにつきまして、それまで推進してきた中で生じた新たな課題や社会状況の変化を踏まえ、新規事業の創設や既存事業の拡充を図りました。
 具体的には、脱炭素社会の実現などの政策課題を踏まえ、省エネ・再エネ住宅推進プラットフォームの設置や、既存住宅の省エネ性能向上の促進を新規施策に盛り込むなどプロジェクトの充実を図り、新たな三か年のアクションプランに基づく年次計画の下で取組を進めております。

○関野委員 プロジェクトを推進する中で生じた新たな課題や社会状況の変化を踏まえ、対策を講じているということであります。
 また、先ほどの答弁では、「未来の東京」戦略、良質な住まい誘導プロジェクトについての答弁で、東京ささエール住宅や、子育て世帯に配慮した住宅の普及促進など、こういった答弁がありましたが、以前から実施している、この東京ささエール住宅登録促進に向けた取組の状況と課題についてもお伺いをいたします。

○鈴木民間住宅部長 都はこれまで、住宅確保要配慮者の入居を拒まない東京ささエール住宅の供給を促進するため、家賃低廉化補助などを実施する市区へ財政支援を行っているほか、都独自の取組として専用住宅の登録等を条件とした登録協力補助を実施するなど、貸主を直接支援する取組を行ってまいりました。
 令和三年度末の専用住宅の登録戸数は六百四十二戸でありますが、本年三月に策定した東京都住宅マスタープランでは、令和十二年度末までに三千五百戸の登録を目標に掲げており、この目標実現のためには、財政支援に加え、貸主や借主双方の認知度向上を図るなど、住宅セーフティーネット制度の一層の普及啓発が必要でございます。

○関野委員 目標を持ち、進めることは大切です。十二年までに三千五百戸となると、まあ正直、ここ数年見てきた私としては、ちょっと難しいのかなというふうには感じております。
 理由としては、この制度は登録住宅、専用住宅とありますが、両方とも空き状態などについては、民間の賃貸サイトのように、知らない、認識されていない方が、情報提供しているサイトなどにたどり着かないというようなことが挙げられます。
 そこで、広報などについての質問になりますが、貸主や住宅確保要配慮者である借主に対する普及啓発、これについてどのように取り組んでいるのか、まずはお伺いをいたします。

○鈴木民間住宅部長 都は、不動産業団体と連携し、貸主に対して住宅セーフティーネット制度の周知を行っているほか、不動産専門誌や賃貸住宅関連のイベントにおいて貸主へ直接紹介も行うなど、様々な機会を捉えて普及啓発に取り組んでおります。
 また、市区町村の福祉関係者等が集まる会議や広報誌などを通じまして、住宅確保要配慮者の身近なところで活動している福祉事務所や民生児童委員等へ情報提供を行うことにより、要配慮者への周知も図っているところでございます。
 今後も、不動産業団体や市区町村と一層の連携強化を図るとともに、貸主と借主をつなぐ役割を果たしている居住支援法人との連携も強化しながら、貸主と借主双方へ必要な情報は確実に届くよう、きめ細かく普及啓発に取り組んでまいります。

○関野委員 身近な福祉事務所や、民生委員または居住支援法人など、連携、情報提供との答弁でした。
 住宅確保要配慮者のような方は、日々の生活が、まあ手いっぱいな方も多いです。そういう方の多くは、そこまで考える時間や余地もないことが多いので、区市町村の福祉課や保険課などにあるこういった情報を基に、直接情報提供される、こういった仕組みが有効だとも考えております。関係各所に協力要請をしながら、必要な方へ情報がしっかりと届くような仕組み、この構築を要望しておきます。
 次に、子育て世帯に配慮した質の高い住宅の供給促進に向けて取り組んでいる子育て支援住宅認定制度について、取組の状況と課題についてお伺いをいたします。

○鈴木民間住宅部長 都では、住まいにおける子育て環境の向上を推進するため、適切な広さを確保しつつ、安全性や家事のしやすさなどが配慮され、子育て支援設備などが提供されている住宅を認定いたします東京都子育て支援住宅認定制度を平成二十七年度から実施しております。
 都はこれまで、事業者に対する市区町村を通じた整備費に関わる補助や、容積緩和を可能とする都市開発諸制度の活用などにより、認定住宅の供給を促進し、令和三年度末の認定実績は千六百七十八戸となっております。
 本年三月に策定しました東京都住宅マスタープランでは、令和十二年度末までに認定住宅を一万戸供給することとしており、さらなる供給促進に向け、本制度の住宅市場における魅力向上や認知度の向上のための普及啓発が必要でございます。

○関野委員 ありがとうございます。
 では、今後、認定住宅の普及を進めていくために都はどのように取り組んでいくのか、この点についての見解をお伺いいたします。

○鈴木民間住宅部長 認定住宅の供給を促進していくためには事業者の理解と協力が必要であり、業界団体などと連携してきめ細かい情報提供を進めていくほか、事業者向けに住宅見学会を開催し、認定住宅の実物を確認できる機会を設けることなどにより、普及啓発の取組を進めてまいります。
 また、市区町村との連携を図りながら、リーフレットやホームページを通じて、住まい手である子育て世帯向けの情報提供にも取り組んでまいります。
 なお、東京都住宅マスタープランでは、住宅の整備や管理等において子育て視点で配慮すべき事項を取りまとめた子育てに配慮した住宅のガイドラインにつきまして、社会状況の変化に対応して見直すこととしておりますが、その見直しを踏まえ、子育て支援住宅認定制度につきましても、子育てに適した良質なストックの充実が図られるよう見直すこととされております。
 こうした取組などにより、住宅マスタープランに掲げる目標を実現してまいります。

○関野委員 ありがとうございます。事業者の理解と協力が必要であるという答弁もありましたが、現状の認定基準、これを見る限り、必要事項は全て、選択項目は一定の数、この基準を満たさなければ多分認定マークが出ない状況になっているのかなというふうに感じます。
 例えば、認定基準の三分の一、または二分の一のこの基準の達成をした場合、ある意味また違う認定マーク、こういったものの発行など、全ての基準を満たしていないが発行できるようになると、利用率であったり周知、こういったものも増えるのではないかというふうに思っております。
 子育てに配慮した住宅のガイドラインの見直しを踏まえとの答弁もありましたので、見直し時にどのような方法にすることで普及啓発がしやすいものになるのか、こういった部分も検討しながら、よい見直しになることをお願いいたしまして、私の質疑を終了させていただきます。

○原田委員 事務事業質疑に当たり、住宅供給公社法第一条に示されました、居住環境の良好な集団住宅及びその用に供する宅地を供給し、もって住民の生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とするに基づいて質疑をさせていただきます。
 昨今、都営住宅にしても、公社住宅にしても、高齢化した居住者の住環境、住宅環境の安定、社会福祉の増進、これが待ったなしといって過言でない状況が進んでいます。
 長く公社住宅をご利用いただき、公社住宅内のみならず、地域コミュニティに貢献されてきた方々が、高齢化に伴う収入の減少、昨今においては物価高で公社住宅を退去せざるを得なくなる事態が見られるようになってまいりました。
 公社住宅の話だけではなく、一般的に、高齢になってからの転居は孤立化、認知症の進行、ストレスなどから精神を病むなど、様々な病理の発症が危惧されます。
 これは、行くは介護制度や医療制度にも影響を与える問題であり、お金が払えなくなったら出ていけといわんばかりのシステムでは、住宅供給公社法に示された社会福祉の増進の目的が脅かされるのではと危惧しています。
 平成十五年、二〇〇三年、小泉改革の中で改悪された公社住宅の在り方は、いよいよ公社住宅本来の責務である居住の安定、良好な住環境の提供という使命を失い始めているのではないでしょうか。
 長らく公社住宅にお住まいになり、団地内のみならず地域のコミュニティを形成してこられた高齢者が、収入の減少や貯蓄の欠乏など経済的な理由により公社住宅を去らねばならない事態が報告されていますが、高齢者の経済的困窮による公社住宅の退去は、その高齢者を孤独にし、医療や介護のリスクを高めることになると思いますが、住宅政策本部は高齢化した住民の公社住宅退去についてどのような認識を持っているか、お答えください。

○今井連絡調整担当部長 公社は、高齢者が家賃負担の軽減を図りつつ、住み慣れた公社住宅で引き続き居住できるよう、一定の条件の下、他の公社住宅に住み替えることができる制度を導入してございます。
 また、入居から三年ごとの家賃改定に当たっては、家賃が引上げとなる場合は、入居者の居住の安定に配慮する観点から現行家賃と改定後の家賃との差額の二分の一を現行家賃に加えて算出するなど、急激な家賃上昇を抑制するための激変緩和措置を講じてございます。
 さらに、一定の所得要件や世帯要件等を満たす高齢者世帯やひとり親世帯、生活保護受給者世帯等を対象に、改定後の家賃を減額する措置も講じてございます。
 公社においては、このような取組を通じまして、高齢者の居住の安定に配慮していると考えております。

○原田委員 家賃負担の軽減を図りつつ、高齢者が住み慣れた公社住宅で引き続き居住できるようにすることは大事だと認識を示したことは、これは重要です。
 しかし、どんな負担軽減が行われているのかというと、先ほどたくさん述べていただきましたが、今、つまりは、もう生活保護並みとなるような、かなり逼迫した家計状態に陥るまでは助けないし、せいぜい家賃が上がるときに引き上げないという程度で、安くするというシステム、ないわけですよね。
 そのような折、公社住宅の自治会同士が横につながりつくられております東京都公社住宅自治会協議会は、二〇二〇年十一月に住まいと暮らしアンケートを行いました。都は、このアンケートの内容を認識していますか。

○今井連絡調整担当部長 お話のアンケートは、公社に提出されたものでございまして、都は直接受け取っておりません。

○原田委員 都としても実態を把握してもらいたいと思うんですね。
 同アンケートでは、居住者の年間世帯総収入は平均二百七十二万円で、二百万円以下の世帯が何と四二・八%であることが分かりましたが、都として、こうした状況を把握、分析していますか。

○今井連絡調整担当部長 お話のアンケートは、公社に提出されたものでございまして、都は直接受け取ってございません。
 アンケート結果については、公社が必要に応じ適切に対応するものと考えております。

○原田委員 公社というと、もうちょっと一定所得の安定した方々というイメージあるかもしれませんけれども、実際は二百万円以下の世帯、何と四二・八%まで達している、こういう状況なんです。こういうアンケートも受け取っていない、公社が見ればいいという、そんな他人ごとでは困るわけですよ。
 一体何のためにこうした質疑の機会があるのかと。公社住宅施策に対する都の責任があるからこそ、委員会で私たちの質疑の対象になるわけでしょう。他人ごとじゃ困るんです。
 公社住宅は決して安くないですよね。だから、居住者も一定の収入はあるかと思いきや、もう一度いいますけれども、年間世帯総収入は平均二百七十二万円で、二百万円以下の世帯が四二・八%以下なわけです。
 多少細かく聞いてまいります。
 公社住宅の家賃は近傍同種家賃とされ、改定が繰り返されてきましたが、近傍同種家賃調査は、住宅の経年劣化、内装、設備などの評価が小さく見積もられているため、市場家賃を上回る結果も出ていると公社住宅自治会協議会から指摘をされています。
 このような指摘を、住宅政策本部はどのように受け止めているか。

○今井連絡調整担当部長 公社住宅の家賃につきましては、地方住宅供給公社法施行規則により、近傍同種の家賃と均衡を失わないよう公社が定めることとされております。
 このため、東京都住宅供給公社は毎年度、不動産鑑定士に住宅ごとの市場家賃調査を委託し、近傍同種の家賃を把握してございます。
 この調査では、住宅の設備の状況や住宅の周辺環境等の個別要因に応じて不動産鑑定士による専門的見地から賃料の補正を行い、適正な市場家賃を算出していると聞いてございます。

○原田委員 近傍の家賃と均衡を失っていないか見ていると。適正な市場家賃が算出されているのかと。されているんだということですけど、それがまさに問われ始めているわけだということなんです。
 差し当たって都は問題があると認識していないことが分かりました。この点、さらに少し細かくお聞きしますが、住宅の経年劣化、内装、設備などの評価はどのように行われているのか。

○今井連絡調整担当部長 市場家賃調査においては、調査対象となる公社住宅と近傍の賃貸事例を比較し、経年劣化、設備、交通利便性等の個別要因について総合的に評価し、調査対象住宅の市場家賃を算出してございます。

○原田委員 空き家改修で内装も設備も整った物件と同じような家賃設定に−−空き家改修をやって内装も設備も整った物件があると。それと、そういう設備がちゃんと整っていないところが同じような家賃設定になっていませんか。

○今井連絡調整担当部長 空き家補修において新たな設備を付加した住戸につきましては、設備の有無を考慮した市場家賃に基づき家賃を設定してございます。

○原田委員 設備などの有無で家賃を決めているということでしたけれども、公社住宅は昨年度の空き家募集から浴室のカビ対策として浴室換気扇設置工事を開始していますが、というかついていなかったのかと。制度開始してからの実績や、まだ換気扇が設置されていない住戸にお住まいの方々からはどのような声があるのか、お示しください。

○今井連絡調整担当部長 公社住宅では、令和二年度以降、住宅設備水準の向上を目的としまして、居住者退去後の空き住戸に対しまして浴室換気扇の設置を順次進めてございます。
 空き住戸への浴室換気扇設置の実績につきましては、令和四年十月末時点で四十九団地、千二百九十九戸となってございます。
 なお、公社が実施しておりますお客様アンケートを通じまして、設備の劣化や使いにくさに関する意見を把握しておりますが、換気扇未設置住戸の居住者からの個別のご意見に対しましては把握していないと聞いてございます。

○原田委員 まさか、換気扇がついていない居住者からの意見は、公社は把握していないという答弁が出てくるとは思いませんでしたので驚きました。
 早速、本日この質疑をネットでも聞いていただいているということですので、そうした公社住宅居住者の方々は、そうした声を公社や都に届けた方がいいと思うんですよね。
 そういう声が上がった場合に、ちょっと確認しておきたいんですけれども、ちゃんと公社も、東京都も聞いてくれるんですか。

○今井連絡調整担当部長 公社では、入居者を対象としたアンケート調査を実施しているほか、コールセンターやメールフォームへのご意見の受付など、入居者の方々の意見把握に努めておりまして、状況の把握に努めていると認識してございます。

○原田委員 私の下には、いまだに浴室に換気扇がついていない部屋が普通の部屋といえるのかと苦情が寄せられています。しかも、浴室換気扇がついている部屋と、ついていない部屋で家賃の差がほとんどないという声も届いています。
 私も聞いてみましたけれども、換気扇がついているところと、ついていないところで数百円ぐらいですかね。四つぐらいの設備がついていて二千円ぐらい上がるぐらいなのかな。二千数百円上がるのかな。だから、換気扇がついても数百円ぐらいとかの計算になるんですかね。どうなのか分かりませんけれども、そんなレベルなんです。
 しかし、二年前から空き家、空き室改修の際に換気扇を設置することとしたことは改善に向けた第一歩です。
 しかし、従前居住者の住戸には換気扇を設置しないし、住民自らの設置も認めないという理不尽さと。家賃の算定に設備が考慮されていなさ過ぎるという指摘もありますし、そもそも、良好な住環境の供給という観点から、全くもって浴室換気扇がないのは問題です。
 公社住宅の入居者へ向けたしおりを読むと、浴室は窓を開けて常に換気するようにと書いてあるわけですね。浴室というのは昭和の時代と違いまして、極めてプライバシー性の高い居住スペースです。廊下から我が家の浴室内がちらりと見えてしまうというのは気持ちのいい話じゃありません。女性居住者なら、なおさら恐ろしくもあるのではないでしょうか。
 公社に対し、都としての指導監督が必要だし、国はURに設備の補助をすることもありますから、必要があれば都としての補助もやるべきだということを指摘しておきたいと思います。
 設備の要望として多いのは、エレベーターでしょう。
 公的な住宅として、三階以上の建物でエレベーターが設置されていないというのは問題です。都は、階層を下の階に転居させてあげるというのですけれども、下の階はそもそもなかなか高齢化の中で空いておらず、狭き門だということなんですね。
 その点でお聞きしますが、国はUR中層住宅へのエレベーター設置に対し補助をしています。しかし、公社住宅には都からの補助がなく、階層変更制度があるのみです。高齢化が進み、一階、二階の空きが少ないため、希望してから住み替えまでに長期間を要します。
 こうした現状を、住宅政策本部はどのように考えているか。

○今井連絡調整担当部長 先ほどの換気扇のお話ですけれども、換気扇設置工事は、現在、空き家で順次進めておりまして、居住者が住み続けながらの設置工事をする場合は、機器の取付けに加え、間仕切りやダクトの設置など技術的に難易度が高く、工事も長期間にわたるため、実施が難しいと判断してございます。
 また、浴室に居住者が直接換気扇を設置する場合には、建物躯体に直接影響を与える工事となるため、居住者自らの設置をお断りしているところでございます。
 ご質問にありましたエレベーターの関係ですけれども、既存公社住宅の階段室型の住棟へのエレベーター設置に関しては、構造上の問題や建築基準法等の技術的課題がございます。
 考えられる設置法といたしましては、階段室の踊り場にエレベーターの床をつける工法がございますけれども、当該部分が建物のはりとなっている場合には撤去できないなど課題がございます。
 このため、高齢者などの入居者がより円滑に生活し続けられるよう、住宅階層の変更ができるほか、エレベーターが設置済みの他の公社住宅への住み替えが可能な制度も設けてございます。
 公社においては、これらの取組を通じまして、高齢者への低層階への居住に配慮していると考えてございます。

○原田委員 換気扇の実施は難しいんだという話もありましたけど、空き住戸になったらやっているわけですから、それこそ、空いている部屋を順繰りに回していって換気扇の工事をさせてあげると。それぐらいだったら、家の中のものだって同じ居住棟だったら取りに行くこともできますし、そうした配慮もすれば、換気扇というのは現居住者でも工事できるはずでしょうといいたいわけです。
 エレベーターですけれども、技術的課題を克服できる住棟については、エレベーター設置もやぶさかでないという答弁なんでしょうか。
 答弁の中に、引っ越す制度があるというのは、転居先の家賃や引っ越しに係る経費を度外視していますし、そもそも、引っ越せばいいという考え方というのは、居住は、住まいは権利という意味が本当に分かっていない答弁なんじゃないかなと私は思うんです。
 エレベーター問題だけでなく、家賃問題で退去せざるを得ない方々もそうですけれども、長年お住まいになられた方々は、自治会活動や地域の老人会やサークル活動、お茶飲み友達など、その地域にかけがえのない存在なんです。安定した居住環境の提供は、その地域に良好なコミュニティや経済を発達させる力があると。だからこそ住まいは権利として、一人一人に確立してきたわけです。
 公社住宅に長らくお住まいの居住者、地域のコミュニティや経済にとっても、お互いになくてはならない存在です。それをいとも簡単に引っ越せばいいというのは、曲がりなりにも住宅供給公社法が定めた社会福祉の増進に反する姿勢であり、公社住宅はただの民間アパートと変わりませんといっているようなものじゃないかと厳しく指摘したいと思います。
 エレベーターの設置くらいで、このかけがえのない地域コミュニティや居住者の人権を守れるのであれば、何をためらう必要があるのかと。ましてや浴室換気扇。国でさえURへの補助を様々にやっているんですよ。階層変更制度とともに、都としても、公社へのエレベーター設置の指導、あるいは補助が必要だということを指摘しておきます。
 SDGsの目標十一は、住み続けられるまちづくりをとうたっています。持続可能な都市及び人間居住を実現するとはっきりいっているわけです。その点で、今の公社住宅がこの目標にかなっているのかが問われるわけです。
 さらにお聞きします。公社住宅建て替え後の家賃高額化が大きな問題となっておりますが、UR住宅では現在も国から従前居住者への家賃対策補助金が支出されていますが、東京都は二〇〇〇年でやめてしまっています。その理由はなぜですか。

○今井連絡調整担当部長 公社は、都の補助制度終了以降も都の支援を受けずに、建て替えにおける従前居住者に対する移転費用や戻り入居後の激変緩和家賃、高齢低所得世帯等への家賃減額措置を講じております。

○原田委員 家賃減額措置を講じているということなんですけれども、URが建て替え後の家賃対策を行っているのに、自治体である東京都が行っていないのはおかしいんじゃないんですか。どうでしょう。

○今井連絡調整担当部長 先ほどの答弁のとおり、都としては、公社において必要な措置が講じられているものと認識してございます。

○原田委員 二割も家賃が負担増するということなんですね。今までと比べると、五か月ごとにもう一月分家賃を払うような負担増になるわけですね。この家賃減額制度というのが最近導入されたんですかね。物すごく重いわけですよ、二割負担増にとどめるっていわれても、二割負担が。
 現に、そうした建て替え後の負担増で住み続けられないという人が続出しているわけですね。あるいは、もう爪に火をともすようにして暮らさざるを得なくなる居住者がたくさんいるわけです。
 二割程度負担が増えるだけで済むという従前居住者家賃減額措置は、高齢化による収入の減少、物価高の中で家賃を二割も増やすものであって、減らすものじゃありません。死活問題です。その認識はあるんですか。

○今井連絡調整担当部長 公社の建て替えに伴う家賃負担の減額制度についてですけれども、世帯構成や収入の状況に応じたきめ細かな配慮がなされており、特に高齢者世帯など居住の安定に配慮する世帯に対しても、相応の家賃負担軽減が図られているものと認識してございます。

○原田委員 相応の家賃負担軽減が図られているという答弁でした。どんどんと上がる家賃を止めるだけで、現状から見れば減額でも何でもありません。しかも、その措置でさえ、受けられるのはかなり生活が逼迫した人です。
 本当は、困窮者には、高齢化した方々とか、ひとり親家庭とかも、そこまで家賃が逼迫する前の段階から、現状家賃からの減額が私は必要だなと思うんです。
 また、一言要求しておきますけれども、家賃減額措置の年齢条件で、世帯主が死亡した場合の特例として、世帯主の死亡時点で配偶者が六十五歳以上であった場合、家賃減額措置の四五%減額を取り消さないように、減額措置を継続できるよう公社を指導していただきたいなということも伝えておきたいと思います。
 そこでお聞きしたいんですけれども、東京都住宅供給公社の二〇二一年度決算についてお聞きしますが、公社住宅の一般賃貸住宅事業、ケア付高齢者住宅事業、都営住宅管理事業、それぞれ黒字か赤字か、金額を示してお答えください。

○今井連絡調整担当部長 公社の令和三年度決算における事業別の損益についてですけれども、一般賃貸住宅事業が百三億円の黒字、ケア付高齢者住宅事業が三億円の赤字、都営住宅等管理事業が九億円の赤字となっております。

○原田委員 つまり、公社の事業は様々あるわけですが、いわゆる公社住宅の賃貸住宅事業は百三億円もの黒字を出しており、それ以外の事業は赤字だというわけなんですね。
 もちろん、公社住宅を運営していく上で元手というものがかかっていますから、特に東京都への借入金の返済もあります。しかし、この返済額をこの間前倒しで返しているというのを聞きますと、それは安定的な運営といえるのかなと。現在の居住者の過度な負担によって返済を強化していないかと指摘するものであります。
 なぜなら、行政上の債務の返済というものは世代間の公平性という観点がありまして、それは公的住宅供給の一翼を担う公社住宅も同じ任務を持っていると私は考えます。物価高やコロナ不況、相次ぐ公的保険料の高騰などの影響を勘案すれば、世代間の公平性の担保は、現居住者に対し、平時の減免制度に加えて家賃助成制度が必要な社会状況といえると思います。
 借入金の過度な前倒しは、公社住宅を利用する都民の世代間の公平性を損ない、現居住者に過度な負担を及ぼすことになっているのではないのか。もっと、前倒しで借入金を返すよりも、安定した返済にとどめておいて、その分を現居住者で本当に苦しんでいる公社の居住者にもっと充てるべきなんじゃないかと、一つ疑問を呈しておきたいと思います。
 そこでお聞きします。高齢化し、低所得化している公社住宅の住人の生活実態を見れば深刻です。百三億円利益を上げている公社住宅家賃は、低所得者に対して一割ほどを減免してほしいと、住民からまとまった声が寄せられています。住宅政策本部は、こうした声にどう応えるのか。

○今井連絡調整担当部長 先ほどお話ありました各三事業の損益は、管理会計上、区分経理したものであり、各事業における赤字については公社全体の収益で賄っていると考えてございます。
 公社住宅においては、家賃を近傍同種とする公社法施行規則の趣旨や、民間賃貸住宅にお住まいの方との公平性を踏まえますと、都としても、現行の措置以上の家賃減額については困難と考えてございます。
 また、公社には多額の借入金がございまして、借入金を着実に返済しながら、都の財政支援に頼らない強固な財政基盤を構築する必要があると考えてございます。
 公社が長期かつ安定的に事業を続けるためにも、借入金を早期返済することは有効であると考えてございます。

○原田委員 だから、私の話を聞いていなかったと思うんですけれども。過度な行政上の借入金の返済というのは、世代間の公平性というのを損なう危険性があるわけです。今の時期にばあっと返すと、今の人たちがそのときの収入の享受を受けずに、後の世代の人たちの負担が異様に軽くなるということもあり得るわけですね。あるわけです。
 だから、建設債にしても何にしても、借入金というのは安定して返すというのが大事になってくるわけですね。早く返せばそれでいいという話にはならないわけなんです。その点で、私が一つ先ほど指摘をしたわけですね。
 何をもって、一割減額、負担困難といったのか全く不明であります。収入が減り、高齢化による医療、介護などの支出が増えた方など、これだけ黒字を出している公社住宅がなぜ手を差し伸べることができないのかと。民間住宅にお住まいの都民だって行政施策として理解しますよ。勝手に不平等が生じるなどといって都民同士を争わせないでいただきたいと思います。
 二〇〇三年、賃貸住宅管理問題調査会が開催されてから十八年がたちました。賃貸住宅管理問題調査会が開催された際の意義についてお示しください。

○今井連絡調整担当部長 公社は、平成十五年に賃貸住宅管理問題調査会を開催しまして、将来を含めた家賃改定のルールでございます公社一般賃貸住宅の募集家賃の設定及び継続家賃の改定に係る実施方針を取りまとめたところでございます。
 家賃改定については、この方針に規定された手続にのっとりまして、近傍同種の家賃と均衡を失しないよう、これまで適切に実施されていると都は判断してございます。

○原田委員 適切な家賃の改定とかルールをまとめる会なんでしょう。それは十八年たって常に変わってきていますよ。現に公社の家賃の改定というのは三年置きにやられていると。しかし、住民の声だけは聞こうとしない。そういう話になっちゃっているわけでしょう。
 この同調査会が開かれていないの、問題じゃありませんか。改定ごとにちゃんと開くべきでしょう。あるいは、日常的に聞くべきでしょう、居住者の声を。速やかに開催するとともに、定期的な開催をすべきと考えますが、いかがか。

○今井連絡調整担当部長 お話の調査会の開催については、公社が判断すべきものと考えてございます。

○原田委員 まさに近傍同種家賃が強引に導入されるとき、住民の声も取り入れるという建前でこの賃貸住宅管理問題調査会が開催されました。
 しかし、あれから十八年、時代はどんどん動いています。浴室に換気扇さえつけないような公社が、時代にずれていることは一目瞭然です。
 東京都政策連携団体の指導監督等に関する要綱では、都が掲げる政策の実現を図るため、政策連携団体への東京都の指導監督権があるということを定めているじゃありませんか。何でもかんでも公社が決めることといって、他人ごとのままではいてはいけないんです。指導監督権があるんです。今こそ賃貸住宅管理問題調査会を開催して、居住者の声や財政上の指摘を受け入れ、真に公社住宅が、ハビタットⅢやSDGsなど国際的に認め合った住まいに関する認識や目標を実現する方向に足を踏み出すよう求めて、この項の質疑を終わります。
 この間、都営住宅の草むしりについて相談が相次ぎました。都営住宅の緑地の管理は基本的に住民の責務となっており、高木については都が管理することとなっております。
 しかし、都営住宅ごとに、樹木や草地の面積、住宅戸数や空き住戸の状態等によって、緑地の管理、すなわち草むしりの負担が団地ごとに違う実態があります。
 まずお聞きしますが、都営住宅における緑地の管理について、近年多く住宅政策本部に苦情や相談が寄せられていると思いますが、そうした現状の認識を伺います。そうした相談や苦情はどうして増えていると分析しているか。

○宮島都営住宅企画担当部長 都営住宅における緑地の管理について苦情等が増えているという具体的な数値の根拠はございませんが、都営住宅居住者の高齢化の進行に伴い、樹木の剪定や草刈りなどを担ってきた自治会活動に参加する人が減少し、緑地の管理が行き届かなくなるなどの影響が生じており、これが相談などに結びついているものと認識しております。

○原田委員 やはり高齢化が自治会運営に深刻な影響を与えているわけですね。それを認めたことは大事です。
 都営住宅の緑地は一般住宅と同じように居住者で管理というと、もっともらしく聞こえるわけですが、都営住宅内の樹木や草地は一般住宅の緑とはその量が比べ物にならず、果たして同じ理屈で草むしりを強請できるようなものなんでしょうか。
 お聞きしますが、都営住宅内の緑地について、団地住民のみならず、地域環境の一つとしてその価値をどのように都は評価しているか。

○栗谷川建設推進担当部長 都営住宅の緑地は、都営住宅団地及び近隣地域の良好な住環境の確保、良質な緑の自然環境及び景観の形成などに寄与していると考えております。

○原田委員 大事な答弁です。都営住宅内の緑地は、居住者のみならず近隣地域の良好な住環境の確保に寄与しているという都の認識が示された重要な答弁となりました。
 その点で違う角度からお聞きしますが、都営住宅内の緑地については、一般的な認識として、むやみに樹木の伐採、除草剤の散布などを行ってはならないこととなっていると思いますが、それはどのような理由からか。

○小林営繕担当部長 都営住宅団地では、都や区市の緑化に関する条例などに基づきまして、緑地を整備し、適切に維持管理していく必要がございます。
 むやみに樹木の伐採や除草剤の散布を行うことは、緑地の維持管理に支障が生じる可能性があるため、こうした行為を行わないよう居住者に求めております。

○原田委員 つまり、都営住宅内の緑地の確保は、完全に自治会や居住者の判断に任されるものではない、公共的な責務が課せられているわけですね。
 こうした都営住宅内の緑地をめぐる規定を考えると、一定の行政の補助や調整があってしかるべきと考えます。というのも、この草むしりという自治会の作業ですが、ちょっと公平性に欠ける実態が浮き彫りとなってきました。
 そこでお示しいただきたいのですが、都営住宅において直接徴収という制度をつくり、共用部の水光熱費や緑地の管理−−草むしりですね、これを自治会に代わって都が行っている団地があります。例えば、私の住んでいる杉並区で直接徴収を行っている団地は七団地あると聞いておりますが、そのうち、緑地の管理に要する費用で一番安い団地が幾らで、一番高い団地が幾らになるか、お示しください。

○宮島都営住宅企画担当部長 都営住宅居住者の高齢化の進行に伴い自治会活動に影響が生じていることから、平成二十八年度に都は、緑地の管理費用等を共益費として徴収し、作業を代行する共益費徴収事業を創設いたしました。
 令和四年四月一日現在、杉並区では七団地が共益費徴収事業を利用して緑地の管理を行っています。その中で、緑地の管理に関する一世帯当たりの月額費用は、一番低い団地は約三百円、一番高い団地が約千七百円であります。

○原田委員 ちょっと驚くべき費用の差だと思うんです。月に十万、二十万で暮らしているわけではありません。たまたま当たった都営住宅で、緑の量が大きかったり居住者が少なかったりして、杉並区内だけでも三百円、草むしり代が。それと、千七百円の草むしり代という差が出てしまうんだと。私は、これは本当に深刻であるといって過言ではないと思うんです。
 お聞きしますけれども、武蔵野市のように市の方針として樹木を増やす方針がある自治体では、都営住宅敷地内にはかなりの緑地がつくられています。都営住宅内の緑地は団地ごとに様々であり、かつ団地内の居住者数の多寡によって緑地の整備管理費は大きく変わってしまいます。
 こうした緑地の管理費の大きな違いについて、都として一定の是正が必要だと考えますが、いかがか。
 それから、緑地の増進は都の重要な責務であり、その点で、都営住宅内の緑地の整備増進は都民的な課題であると考えます。その管理は自治会に全て負わせることなく、緑地の保全、増進の観点から、都の管理区域を高木樹木だけでなく、一定の範囲に広げると考えるべきと思いますが、お答えください。
 都が一定の条件を補助するべきと指摘して、質疑を終わります。

○藤井委員長 原田委員に申し上げます。
 持ち時間を終了していますので、時間内に質疑をお願いしたいと思います。

○原田委員 はい、じゃあ答弁だけ
○藤井委員長 じゃあ答弁だけ。

○宮島都営住宅企画担当部長 都営住宅団地の規模や立地は様々であり、緑地の状況も団地ごとに異なっていることから、自治会が共益費徴収事業を選択した場合、緑地の管理費用については、団地の実情に応じた金額をお支払いいただくことが適当であると考えます。
 また、都営住宅では高木の剪定等を都が行っていますが、共益費徴収事業を利用する団地においては、居住者の費用負担の下、中低木の剪定や草刈り等の緑地の管理も都が行っております。

○藤井委員長 以上で終了いたします。

○磯山委員 それでは、まず初めに、都営住宅に関する今後の施策展開について伺います。
 本年三月に策定された東京都住宅マスタープランでは、都営住宅に関する今後の具体的な施策展開の一つとして、親族でない者同士が都営住宅で共に暮らす仕組みの具体化ということが示されています。現在、都営住宅では、原則、親族と同居することを入居要件としていますが、国は、公営住宅法を改正し、平成二十四年度以降、この同居親族要件を廃止しています。
 そこで、まず確認ですが、都がこの同居親族要件を廃止しない理由について伺います。

○都築経営改革担当部長 都営住宅においては、原則として、同居親族のある世帯を入居対象とする、いわゆる同居親族要件を設けており、単身者については、特に居住の安定を図る必要のある高齢者世帯や障害者世帯等に限り入居の対象としております。
 高齢者世帯等を対象とした単身者向けの募集の応募倍率は、これまでも高い水準で推移しており、都内では今後、単身の高齢者世帯の増加も予測されます。
 同居親族要件を廃止して入居資格を拡大した場合、真に住宅に困窮する単身の高齢者世帯等の入居に大きな影響を与えることから、同居親族要件を維持しております。

○磯山委員 単身の高齢者世帯等に大きな影響があるということで廃止しないということであります。
 近年、都営住宅では、高齢者等の単身者向けの平均応募倍率は五十倍弱もあり、入居が困難な状況にある一方、地域によっては家族向けの広い住戸で応募割れも生じていると伺っております。
 こうした状況も踏まえ、東京都住宅政策審議会は、令和元年五月の答申で、都営住宅の応募割れしている住戸を活用したシェア居住の試行導入を検討するなど、単身者の新たな住まい方等の検討も必要との提言をしております。
 そして、昨年十一月の答申では、近年進む高齢化、世帯の単身化等を考慮し、世帯構成や住まい方の変化への対応のため、親族でない者同士が都営住宅で共に暮らす仕組みの具体化に向けて取り組むべきとの提言がなされております。
 今後、単身の高齢者が大幅に増えていくことが予想される中で、都営住宅ストックについては様々な運用の工夫を図って有効活用していくことが必要であります。
 この点に関して、本年六月の本委員会において、我が会派の林議員の質問に対し、既存ストックの有効活用を図るためにも、単身高齢者等、親族でない者同士の入居に向けて検討するとの答弁がありましたが、具体的にどのような取組を検討しているのか伺います。

○都築経営改革担当部長 単身高齢者等が支え合いながら暮らすことは、孤立や孤独の防止などにも寄与するものと考えております。
 そこで、都は、都営住宅への入居を希望する単身高齢者等の入居機会の確保を図るため、家族向けの募集で応募割れした広い住戸を有効活用し、親族でない単身高齢者等同士が同居できる仕組みについて検討を進めております。
 また、単身の高齢者や障害者の方が、親族でない介護者との同居も可能とすることを考えております。

○磯山委員 今後、具体的な内容を詰めていくことになると思いますけれども、速やかに検討していただきたいと思います。
 この取組は単身の高齢者等を対象にしており、入居を希望する方に仕組みの内容を丁寧に周知していく必要があります。入居者の募集に当たっては、具体的にどのような周知方法を考えているのか伺います。

○都築経営改革担当部長 単身高齢者等が共に暮らす仕組みについては、現在、入居者募集や入居後の運用方法など、制度の詳細を検討しております。
 募集に当たっては、専用の募集パンフレットを作成し、住宅政策本部及び東京都住宅供給公社で配布するとともに、ホームページにも掲載いたします。また、市区町の住宅部門や高齢者福祉部門に配布の協力を求め、周知を図ってまいります。
 さらに、募集期間中は電話による専用の相談窓口を設置し、具体的な内容を丁寧に説明していくことを考えております。

○磯山委員 入居を希望される単身の高齢者等の方々に丁寧に周知を図っていただきたいと思います。
 今後も、都民共有の財産である都営住宅ストックについては、こうした取組にとどまらず様々な観点から幅広い検討を行い、有効活用を進めていただきたいと思います。
 それでは、次の質問に移ります。
 孤独死について伺います。
 孤独死は、高齢化の進展や家族形態の変化など、地域社会において広く生じている問題であります。都営住宅でも、いわゆる事故住宅として居室内で病死等があった住宅を募集していますが、十一月の募集パンフレットを見ますと、事故住宅の募集戸数三百五十三戸のうち百五十七戸は、死後三日以上経過して発見された住宅であります。中には百日以上経過して死後発見されているという住宅も見られ、高齢者を様々な角度から支援していくことが重要になっていると思います。
 都営住宅は、令和三年度末時点で約二十二万世帯が入居しており、そのうち六十五歳以上の単身世帯が約八万世帯、これは約三六%であります。
 そこでまず、都営住宅において、誰にもみとられずに亡くなった単身入居者の過去三年間の件数について伺います。

○宮島都営住宅企画担当部長 都営住宅におきまして、居室内で誰にもみとられずに亡くなった単身入居者数は、令和元年度は五百人、令和二年度は五百七十二人、令和三年度は四百八十八人であります。

○磯山委員 年間五百人前後とのことでありますけれども、孤独死の場合は、遺品の管理の問題や住居の補修等、様々な課題が発生してしまうのではないかと思っております。
 そこで、単身の高齢者世帯が多いという状況の中、都営住宅の管理者としてどのような対策を講じているのかお伺いをいたします。

○宮島都営住宅企画担当部長 都では、入居者の高齢化等に伴い、高齢者、障害者世帯に対する支援策として、平成十四年度から巡回管理人制度を導入し、希望する世帯を定期的に訪問して、手続等に関する相談や取次ぎを実施しています。
 また、指定管理者である東京都住宅供給公社において、二十四時間三百六十五日の緊急連絡体制を整備しているほか、緊急時対応における相互の情報提供等を盛り込んだ地元市区町との安否確認に関する協定を二十四市十五区一町と締結しております。

○磯山委員 それでは、地元市区町村との安否確認に関する協定を締結することでどのような効果が生まれているのかお伺いをいたします。

○宮島都営住宅企画担当部長 地元市区町との安否確認に関する協定により、市区町のケースワーカーなどに緊急時の連絡先が公社のお客さまセンターであることが浸透したほか、緊急時にケースワーカーなどから入居者の入院等の情報を速やかに入手し、入居者の在宅状況等を的確に把握することが可能となりました。
 その結果、緊急性が認められる場合に、警察官の立会いの下、公社職員の迅速な室内への立入りにつなげることができ、令和三年度に立入りをして対応した件数四百八十六件のうち百一件で救出に結びつけることができました。
 引き続き、地元市区町との連携協力を推進しながら、都営住宅入居者の安全・安心の確保を図ってまいります。

○磯山委員 実際に百一件救出されたということであります。
 私も、小平の市議会議員を務めていたときに地元の方でJKKさんとしっかり協定結んでやっていきたいみたいな話をして、今協定を結んでやらせていただいていると思います。引き続き、地元の市区町村としっかり連携協力をしながら、この問題に取り組んでいっていただきたいと思います。
 孤独死を防ぐということは、人間の尊厳を守るためにも大変重要なことであります。亡くなった方を一日でも早く発見することは、社会に残されているまあ我々だって、行政の役目であると私は思うわけであります。孤独死防止の取組を複層化していただいて、一件でも少なくしていくために、今後とも引き続き取り組んでいただくことを要望し、次の質問に移ります。
 次は、建て替えの際の地域貢献について、最後一問、お伺いをします。
 現在、年間三千八百戸を目標に都営住宅の建て替え事業が都内各所で進められていますが、年間予算額が約七百億円と大きな事業となっています。単に居住者のためだけでなく、地域貢献にも配慮して進めていく必要があると考えますが、その取組について伺います。

○栗谷川建設推進担当部長 都営住宅は、都民共有の財産であり、建て替えに当たっては、ストックの更新はもとより、地域の課題解決に資するよう事業を展開していくことが重要でございます。
 これまで都は、住棟の高層化や集約化により用地を創出し、地元自治体と連携して、地域の生活環境向上に資する道路、公園等の整備や緑化の推進、地域の福祉ニーズに対応した保育所等の子育て支援施設や高齢者施設の導入などに取り組んでまいりました。
 さらに、大規模団地などでは、創出用地を活用し、地元自治体や関係局と連携して、福祉インフラ整備事業や民間活用事業による商業、医療、福祉施設等の生活支援機能が整った生活中心地の形成などを進めております。
 今後とも、こうした取組を推進し、良好な市街地の形成や地域の生活環境及び福祉の向上に貢献する建て替え事業を展開してまいります。

○磯山委員 地元の小平市内でも多くの公共施設等が併設をされておりまして、非常に助かっているわけであります。建て替えの際には地元自治体としっかりと協議をしていただいて、地域貢献を十分に果たすことができるよう取り組んでいただくことを改めて要望させていただきまして、私の質問を終わります。

○小宮委員 磯山委員からや、ほかの委員からも、都営住宅における高齢化への対応について質疑がございました。
 最近、都営住宅におきましては、高齢化によって自治会が解散をして、今までのような交流がなくなり、コミュニティが希薄化をして、個々の高齢者が善意で高齢者を支えているという話も伺うようになりました。
 そんな中、都営住宅を含む地域におきまして、地域の方が気軽に立ち寄れる居場所がつくりたいですとか、近所の都営住宅の集会所を使ってみたいという声があり、東京都は昨年度から東京みんなでサロンを開始しております。
 まず、この目的と効果、また、現在までの実績及び実施内容について伺います。

○都築経営改革担当部長 都は、都営住宅の集会所等を活用し、様々な人々の交流の場として地域の居場所づくりを進めるため、区市町や自治会、NPO等の地域の様々な主体と連携し、多彩なプログラムを通して参加者が交流できる東京みんなでサロンを令和三年度から実施しております。
 この取組は、地域の運営主催者がプログラムを定期的に開催することで、団地居住者や地域住民の方々が集い、交流の機会となるため、地域コミュニティの活性化に寄与するものと考えております。
 令和四年十月末までに九区五市の十六か所で計二百三十六回、東京みんなでサロンを実施しております。
 具体的なプログラムとしては、高齢者のフレイル予防のための十の筋トレという健康体操教室や、子供たちに食事や学習の支援を行う子供食堂などが定期的に開催されており、多くの団地居住者や地域住民の方が参加し、交流の機会となっております。

○小宮委員 都営住宅も地域の中の住宅の一つですから、こうした取組によって、周辺地域の皆さんと一緒に顔の見える関係づくりに資すればお互いにとって有益というふうに思いますけれども、このサロンを東京都は二〇三〇年までに百か所という数値目標を掲げておりまして、今、九区五市、十六か所ということですが、今後、先ほども申し上げたような、自治会がないような都営住宅ももちろん含めて、この東京みんなでサロンの開催というのを都内全域で展開をしていってほしいと思いますが、見解を伺います。

○都築経営改革担当部長 都は現在、定期的にプログラム運営主催者の募集を実施しているほか、ホームページやSNS等を通じて事業の周知を行っております。
 また、プログラム運営主催者でもある区市町や東京都社会福祉協議会に本事業の紹介を行うとともに、それぞれの関係団体への周知を依頼し、認知度の向上を図っております。
 今後は、こうした取組に加え、地元区市町と連携して地域のニーズを把握し、プログラム運営に関心のあるNPO等の団体に対して都が直接働きかけを行い、都営住宅が所在する四十九区市町で東京みんなでサロンを展開できるよう取り組んでまいります。

○小宮委員 それから、同じように都営住宅の集会所を活用しまして高齢の居住者を対象に、デジタルサービス局の事業を活用して無料でスマホ教室を今年度から実施しておりまして、とても盛況であると聞いています。
 この事業は自治会が主体となって開催するそうなんですけれども、都内千六百の団地の中には、やはり自治会のない団地もあるということで、そうした団地の居住者に対しても参加の機会を確保すべく対応をお願いしたいと思います。見解を伺います。

○都築経営改革担当部長 都営住宅の集会所を活用して行っております本事業におきましては、スマホ教室の参加者の募集や開催日程の調整などを、自治会や取りまとめ役となる居住者が主体となって行っており、こうした役割を担う主体がいない団地での開催が課題となっております。
 このため、現在、こうした団地で参加を希望する居住者に対しては、近隣の都営住宅で開催するスマホ教室への参加の案内や、地元の自治体が開催するスマホ教室の紹介を行っております。
 さらに、今後は、自治会等がない団地居住者の参加機会を確保するため、地元自治体のスマホ教室の情報を団地掲示板に案内するなど、積極的な情報提供を図るとともに、当該団地の集会所で開催できるよう、参加者を募るチラシの作成などについて都が支援をしてまいります。

○小宮委員 次に、空き家対策について伺います。
 空き家対策は、住宅政策本部が設置されるに当たりまして重要な役割としてスタートいたしました。当時、小池知事も、不動産業界の会合などにいらっしゃいますと、都内八十万戸の空き家を活用しない手はないと述べられていらっしゃいましたが、大事なのは、その八十万戸の内訳でありまして、行政が支援をして活用できる空き家がどれだけあるのか、選別や選択をして集中して取り組むことが重要であると思います。
 まず、都の空き家の現状についてどう認識しているか伺います。

○土屋企画担当部長住宅市場担当部長兼務 平成三十年の総務省の住宅・土地統計調査によりますと、都内の空き家総数は約八十一万戸ありまして、内訳は、賃貸用の住宅五十七万九千戸、売却用の住宅四万二千戸、管理が行き届かない長期不在等のその他の住宅が十八万戸となっております。
 五年前と比べて空き家数は若干減少しているものの、その他の住宅は約二万八千戸増加しております。さらに、その他の住宅のうち、活用が難しい腐朽、破損ありにつきましては約三万九千戸存在してございます。
 今後、人口や世帯数の減少が見込まれる中、空き家の増加が懸念されており、また、空き家は放置しておくと防災、防犯などの面で地域住民の生活環境に様々な問題を引き起こすことから、空き家対策を一層強化していく必要があると考えております。

○小宮委員 市場に流通すべき住宅が六十二万戸あって、それから、管理が行き届いていない住宅から活用が無理だよというものを除くと十四万戸くらいが活用できる空き家と捉えられるのかとは、簡単に、数字でありますが思いますが、東京都はこれまで、空き家の調査をして把握をして、検討して、活用に向けた事業を実施してこられておりますけれども、どう取り組んできたか。本部が設置をされました令和元年度から令和三年度までの取組実績について確認します。

○土屋企画担当部長住宅市場担当部長兼務 都は、区市町村が行う空き家の実態調査や計画策定、除却、改修などを対象に支援しており、令和元年度から三年度までに四十二区市町村に対し、累計約二億一千万円の補助を実施しております。
 先駆的かつ高度なノウハウを要する課題の解決に取り組む区市町村を支援する先駆的空き家対策東京モデル支援事業につきましては、令和元年度から三年度までに八件の事業を採択し、実施されております。
 また、区市町村のまちづくりの方向性を踏まえ、特定のエリアで集中的、連鎖的に空き家を様々な用途に活用、再生するエリアリノベーション推進支援事業につきましては、令和元年度から三年度までに五件の事業を採択し、実施されております。
 さらに、令和二年度から開始した、民間事業者等が行う空き家対策の取組に対し、都が直接財政支援を行う民間空き家対策東京モデル支援事業について、令和三年度までに十一件の事業を採択し、実施されております。

○小宮委員 今ご紹介のあったような事業に参加した方などをはじめとしまして、先月、空き家活用の事例報告会があったというふうに伺いました。民間の事業者への支援事業の中には、空き家を改修して、ひとり親や子育て世帯向けに改修をし、先ほども議論がありましたけれども、東京ささエール住宅として供給することにつながりましたよという事例であるとか、それから、障害児の放課後デイサービスに活用されるようになったというような成果が具体的に上がっているということを確認させていただきました。
 空き家対策というのは、調査や分類や計画策定に始まりまして、発生抑制のための普及啓発や既存住宅流通の活性化や、どう活用するか、どう活用できるか、また、活用困難なものは除却しなければならないなど、それら一連の流れに行政や民間が関わる大変画一的でない、とても多様な事業になるものであるというふうに思います。
 ただ、東京の中でこの良好な住環境をどうつくり出していくかということを考えますと、手間や調整や時間がかかっても、住宅政策本部として、これは重要な政策課題と捉えていただいて、使えるものをどう生かすか。使えるものを生かすまちづくりというものを今後も積極的に取り組んでいただくようにお願いいたしまして、質問を終わります。

○藤井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で住宅政策本部関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時十四分散会

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