都市整備委員会速記録第十五号

令和四年十一月十一日(金曜日)
第六委員会室
午前零時五分開議
出席委員 十四名
委員長藤井とものり君
副委員長鈴木 錦治君
副委員長尾崎あや子君
理事関野たかなり君
理事谷村 孝彦君
理事小宮あんり君
吉住はるお君
松田りゅうすけ君
かつまたさとし君
磯山  亮君
原田あきら君
平けいしょう君
森口つかさ君
中村ひろし君

欠席委員 なし

出席説明員
都市整備局局長福田  至君
次長小沼 博靖君
技監安部 文洋君
技監小野 幹雄君
理事谷崎 馨一君
総務部長打田 武彦君
都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務山崎 弘人君
都市基盤部長朝山  勉君
市街地整備部長三宮  隆君
市街地建築部長飯泉  洋君
基地対策部長金子 光博君
連携・連絡調整担当部長調整担当部長兼務住野 英進君
企画担当部長長尾 肇太君
まちづくり推進担当部長吉野 敏郎君
築地まちづくり推進担当部長飯塚 佳史君
まちづくり調整担当部長澤井 正明君
交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務三木  健君
航空政策担当部長物流担当部長外かく環状道路担当部長兼務土橋 秀規君
地域公共交通担当部長江端 治朗君
防災都市づくり担当部長池内 光介君
多摩ニュータウン事業担当部長泉水  一君
担当部長末元  清君
耐震化推進担当部長青木 成昭君
横田基地共用化推進担当部長山田 裕之君

本日の会議に付した事件
都市整備局関係
事務事業について(質疑)

○藤井委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 お手元に配布しております会議日程の十一月十日とあるのは、十一月十一日に読み替えることをご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより都市整備局関係に入ります。
 昨日に引き続き、事務事業に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○原田委員 今日は、高輪築堤、そして、外苑問題、有楽町線の延伸計画について、三本質問させていただきます。
 二〇二〇年十月上旬、東京新聞の記者が高輪ゲートウェイ工事中に貝塚のようなものを発見しました。この貝塚のようなものは、後に築堤内部の裏込め石と分かりました。同記者がJR東日本に確認したところ、貝塚ではないが、昔のものが出てきて調査中だと手記にありました。
 JR東日本自らの公表は行われなかったため、東京新聞が専門家の高い評価を基に二年前の十一月の下旬に報道、JR東日本は、その十日後に発表したという経緯がありました。実際にJR東日本が最初に高輪築堤の石組みを発見したのは、その前の年の二〇一九年三月だったといいます。最初の発見から、実に一年八か月たっての公表でした。
 日本初の鉄道でありながら、世界的に貴重な海上築堤として知られる高輪築堤は、その美しさが当時の錦絵に描かれたほどということですよね。本当に美しかったです、私も見に行きましたけれども。国史跡旧新橋停車場に一連と連なる高輪築堤は、何と全長八百メートルの発掘に及び、しかも、復元、補修したのかと思うほど良好な状態で発掘されまして、その光景は圧巻の一言に尽きました。
 高輪築堤調査・保存等検討委員会は、西洋の土木技術と日本の江戸時代以来の土木技術が融合されたものであり、その発見は、日本近代化土木遺産として鉄道史のみならず、近代史上、土木史上、産業史上、重要な位置を占めると指摘し、産業遺産学会、日本考古学協会、鉄道史学会、都市史学会が次々と全面保存を求める声明を発表。今日の質疑も、高輪築堤の保存を求める方々が傍聴に早い時間帯いらっしゃるなど注目をしていただきました。
 先日は、港区議会建設常任委員会で、保存を求める地元町会長十名も賛同する請願が継続審議になる事態も起こりました。そのような中、お聞きします。
 一昨年発見され、大きな注目を浴びた高輪築堤が、この都市整備委員会でも質疑をされました品川駅周辺地区地区計画における再開発事業によって、事実上破壊されている実態に対し、今年一月二十八日、パリに本部を置く国際記念物遺跡会議、ICOMOSから、遺産危機警告、ヘリテージアラートが出されております。
 ヘリテージアラートとは一体どのような警告であるのか当局の認識を伺うとともに、また、東京都においてヘリテージアラートが発せられた例はほかにあるのか伺います。

○澤井まちづくり調整担当部長 ヘリテージアラートとは、ICOMOSが専門家の評価により、危機にあると判断した文化遺産について注意喚起し、保護や解決方法を提示するための文書であり、東京都においてヘリテージアラートが発せられた他の例はないと聞いております。

○原田委員 都として初の事態であります。しかも、不名誉といって過言ではありません。
 高輪築堤は、一部現地保存あるいは移設保存とされたものの、そのほとんどが記録保存となりました。これは調査、記録をすれば保存しなくても済んでしまう。事実上、文化財の破壊を容認するものです。
 私が視察に伺った際には、大量の石垣がばらばらにされて置かれ、出土した木材などが並べられていましたが、こうした高輪築堤の遺物、その後一体どうなってしまったのかお示しください。

○澤井まちづくり調整担当部長 品川開発プロジェクトにおける高輪築堤の調査、保存については、有識者や文化庁などの関係者により構成される高輪築堤調査・保存等検討委員会において保存方法を、現地保存、移築保存、記録保存に整理しております。
 このうち、記録保存の部分につきましては、調査記録により取り出される築堤石などをまちづくりの中で修景などに活用し、高輪築堤の記憶を次世代へ継承するよう検討を進めていると事業者であるJR東日本から聞いております。

○原田委員 軍備増強を求める西郷隆盛の反対を押し切り、軍部の用地を避け、海上築堤の建設に踏み切ってでも、鉄道建設に尽力した大隈重信のふるさと佐賀県は、解体された石材の相当数を譲り受け、県立博物館の敷地に石張りの堤を造ったそうです。ばらばらに破壊されても、なお価値を持つ高輪築堤です。国際ICOMOSがヘリテージアラートを発出したということは、逆にいえば、世界遺産級の価値があるということを物語ってもいるわけです。
 今年は鉄道百五十周年に当たり、その直前に発掘された、まさにJRのルーツである高輪築堤を守る仕組みはないのかと。あるいは守ろうとする行政側の気概がなぜ発揮されないのかと不思議で仕方がありません。しかし、行政の側にこうした貴重な文化財を守る方針がないのかといったら、そうではありません。
 そこでお聞きします。まちづくりの上位計画である都市づくりのグランドデザインとは、東京のまちづくりにおいて、どのような位置を占める行政計画なのか、お示しください。

○澤井まちづくり調整担当部長 都市づくりのグランドデザインは、二〇四〇年代の目指すべき東京の都市の姿と、その実現に向けた都市づくりの基本的な方針と具体的な方策を示す行政計画でございます。

○原田委員 都市づくりの基本的な方針と具体的な方策を示す行政計画なのだと。そこでグランドデザインを読んでみますと、単に都心開発一辺倒、スクラップ・アンド・ビルドを前面に出すだけでない大事なことも書いてありました。
 都市づくりのグランドデザインの政策方針27、都市の歴史に支えられた伝統、文化が新たな魅力を生み出すにおいて、都市の発展とともに歴史の中で築かれてきた伝統や文化や、個性のあるまちが多く存在する特性を生かし、伝統と先進が融合する東京らしさを感じられる都市空間を未来に継承しますとあります。もう耳が痛いですよね。
 その取組1、二つ目のポチでは、江戸、明治、大正、昭和など、それぞれの時代の雰囲気を感じられるまち並みの保全、再生や、ものづくりなどの伝統的な地場産業や生活文化の価値を高めるまちづくりを誘導しますとありますが、こうした都市づくりのグランドデザインから見た高輪築堤の価値について、都の見解を伺います。

○澤井まちづくり調整担当部長 高輪築堤の文化的価値につきましては、高輪築堤調査・保存等検討委員会において、日本の近代化土木遺産を代表する遺跡である、あるいは鉄道史、地域史における貴重な遺跡であるなどとされており、委員会の評価を都としても受け止めております。

○原田委員 地域史にとっても貴重という答弁がありましたが、つまり、東京の歴史にとって重要な文化財だという東京都の認識が示されたわけです。
 さらに、同じく取組1、三つ目のポチでは、開発の機会を捉え、歴史的建造物や土木遺産、江戸文化などの保全を図るとともに、質の高い建築デザインを誘導しますとあるわけですね。
 現在、第一街区から第四街区までの高輪築堤は、その多くが崩されてしまいましたが、このことは、開発の機会を捉え、歴史的建造物や土木遺産、江戸文化などの保全を図るという、この都市づくりのグランドデザインの当該政策方針に背くものなんじゃありませんか。

○澤井まちづくり調整担当部長 一街区から四街区までの高輪築堤の調査、保存等につきましては、先ほど来申し上げております検討委員会の方で議論し、検討が行われまして、令和三年四月に調査、保存方針が取りまとめられております。
 その後、現地保存することになった箇所につきましては、国の文化審議会の答申を受け、同年九月に国において史跡指定が告示されました。
 また、同年十一月に決定がされた一街区から四街区までの現在の都市計画は、保存方針や史跡指定を踏まえたものとなっており、まちづくりと高輪築堤保存の両立が図られております。

○原田委員 だから、まちづくりと高輪築堤保存の両立が図られていないから、国際ICOMOSからヘリテージアラートを出されているわけですよ。
 今のような一部現地保存では史跡指定止まりですよ、率直にいって。ICOMOSや多くの都民、専門家の声を聞いて保存をすれば、世界遺産となっていくかもしれないわけですよ。どこにでもある超高層ビルを建てて世界遺産を壊すということが、どれだけまちの価値をおとしめることになっているか、分からないのが不思議なわけです。
 高輪築堤を守れば、都市づくりのグランドデザインが掲げるような歴史的文化遺産を生かした真に美しいまちづくりを行うことができるんじゃないでしょうか。
 築堤発見直後、実は、東京都教育庁地域教育支援部管理課埋蔵文化財係は、即座に港区教育委員会に保護方と、保存の意向を伝えていたことが分かっています。教育庁としては、全面保存か一部保存か示してはいないものの、一定の仕事はしてきているわけです。
 ところが、こういう都市づくりのグランドデザインの方針も持っている都市整備局は、この開発と深く関わるにもかかわらず、保存について要望したことすらなかったことが分かっています。
 都知事や都市整備局は、国際都市東京を語る前に、海外の来訪者に対して語るだけの歴史や文化を残していかなきゃいけないんじゃないですか。一街区から四街区は、八百メートルの発掘中、八十メートルと四十メートルの現地保存、三十メートル移設保存で、それ以外の多くは破壊の憂き目に遭っています。しかし、五街区と六街区はまだ土の中に保存されています。
 そこでお聞きします。五街区、六街区の開発についてJR東日本は現在どのように検討を進めているのか。

○澤井まちづくり調整担当部長 JR東日本社内において、五街区、六街区の開発について検討しているとは聞いておりますが、内容は承知してございません。

○原田委員 五街区、六街区の開発について住民や専門家が加わることもなく、検討が始まっているということが分かりました。しかし、都市整備局としては積極的に働きかけるでもなく、内容は承知していないとのことでした。
 都市整備局は、グランドデザインの政策方針27、あらゆる行政計画を前面に掲げて今からでもぜひ頑張っていただきたいなと思うわけですよ。
 JR東日本に対し、開発計画には住民意見を取り入れるなど都市整備局としてアドバイスをすべきではないかなと思うんですが、どうでしょう。

○澤井まちづくり調整担当部長 品川駅周辺地区では、都市再生特別地区の都市計画に当たりまして、手続に入る前に事業者が地元で開発計画の説明会を開催し、地域の意見聴取に努めております。
 加えて、都が、都市計画法に基づき地区計画に関わる説明会を開催し、住民の意見を聞いた上で都市計画を定めており、今後も適切に対応してまいります。

○原田委員 法定の説明会を話されたわけですけど、それも大事ですけれども、広く都民、国民に開かれた学びと国民との合意形成の場を用意させていかなければなりません。
 実は高輪築堤には、五、六街区で終わらない幻の第七街区とでもいうべき区域が残されていると指摘されています。一五〇年前当時、品川駅は現在の場所でなく、北品川駅方面へ南に数百メートルほど行った場所にあったという研究が報告されています。そのことを都は認識していますか。

○澤井まちづくり調整担当部長 旧品川停車場につきましては、港区教育委員会が発行いたしました概説高輪築堤において、現在の品川駅より南側に図示されていることは承知しております。

○原田委員 本当に港区、頑張っていますよね。知っていたということですけれども、この北品川駅も実は開発の動きがあるわけなんですね。その際、当時の品川駅駅舎跡の発掘もあり得るってことですよね。しかも、そこから伸びる高輪築堤を全面保存できれば、これはもう本当に世界に誇る文化遺産を手にして、それこそ観光資源という点でも力を発揮することは間違いありません。
 再開発に伴う法定説明会をただ待つのではなく、世界遺産指定にも関わる重要な土木遺産の存在が分かっているんですから、地域住民から、まず愛着を持ってもらうためにも、高輪築堤についてJR東日本は住民説明会を住民と共に開いていくよう、都としても求めるべきじゃないかなと思うんですけど、いかがでしょう。

○澤井まちづくり調整担当部長 先ほども答弁申し上げましたけれども、品川駅周辺地区では、都市再生特別地区の都市計画に当たりまして、手続に入る前に事業者が開発計画について地元説明会を開催し、地域の意見聴取に努めております。
 加えて、都が、都市計画法に基づき地区計画に関わる説明会を開催し、住民の意見を聞いた上で都市計画を定めており、今後も適切に対応してまいります。
 このように、開発計画について地元への説明を行っておりまして、事業者に対しまして高輪築堤についての説明会を開くよう求める予定はございません。

○原田委員 今日も時間どおり高輪の住民の人が何人か来てくれたんですけど、その人たちが、見せてもくれなかったと、五街区、六街区だけはこの目でばっちり見たいといっていましたよ。
 東京都は、国際都市東京と自称し、観光資源の掘り起こしに躍起になっているのにもかかわらず、本当に掘り起こされた世界遺産は踏みつけていると。国際社会から理解のできない道を歩んでいます。これでは、まちづくりというより、まち壊しです。
 高輪築堤同様の重要な埋蔵文化財が東京からは出てくる可能性は十分にあります。私の知っているところでは、例えば、築地市場跡地の地下に眠る松平定信公の幻の名庭園、浴恩園、こういうものが挙げられるわけですよね。
 現在、日本の埋蔵文化財は、基本的に調査から保存まで土地の所有者に義務があり、国が責任を持ちません。その点では、高輪築堤破壊の問題というのは単にJR東日本だけの問題とはいえないと思います。
 東京都の地域史に重要な意味を持つと先ほど答弁ありましたけれども、そういう高輪築堤であれば、東京都の支援があったっていいじゃないかと。国指定史跡になるような文化財であれば、調査から保存に至るまで国の責務を明確にすることも重要じゃないかと。その点では、高輪築堤においては、いよいよ残されたチャンスを失うことなく、東京都の支援も視野に入れ、何よりも国の支援を都として求めることを要望して、次の質疑に移ります。
 事務事業概要質疑に当たり、市街地再開発事業に関わって神宮外苑再開発についてお聞きします。
 事務事業概要九五ページを見ますれば、市街地再開発事業とは、こう書いてあるんです。木造密集市街地や住宅、店舗、工場等が混在して環境の悪化した市街地において、土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新を図ることを目的としているとあるわけです。
 神宮外苑再開発は、この出だしの地点で疑問が湧くわけですよね。市街地再開発事業における土地の高度利用は、環境破壊にもつながるとしてでも、それでも解消したいほどの--高度利用ですから超高層ビルを建てたりとかするわけですよ、高層ビルを。そうしたら環境に悪いんだけれども、それを押してでも改修したい悪化した市街地がある場合、こういうときに市街地再開発事業が行われるわけですよ。
 現在、外苑のどこを見れば木造密集市街地や住宅、工場等が混在する環境の悪化した地域と見ることができるのかと。
 ここに、二〇一一年九月十五日付の都市整備局資料、国立霞ヶ丘競技場建替えに関する都有地を活用した手法検討についてという資料を持ってまいりました。これ、情報公開請求でかつて得た資料ですけれども、ここには、神宮外苑地区で再開発等促進区を定める地区計画を適用する場合は、国において都市計画運用指針の改定等が必要となり、ハードルは高い、そう記されているんですね。
 今回、神宮外苑地区における再開発でも手法として用いられている再開発等促進区を定める地区計画は、地区内の既存施設を取り払って、土地の高度利用や容積の移転を行うことが可能となる再開発手法ですが、この都市計画手法が適用される悪化した市街地の例というものが示されているんですね。それはこれです。工場、倉庫、鉄道操車場または港湾施設の跡地等の相当規模の低未利用地、次が、埋立地等、次が、住宅専用地域内の農地、低未利用地、あるいは老朽化した住宅団地、木造密集市街地、この五つが例示されているわけです。
 つまり、この事例のどこにも外苑地区は当たりません。そのため、この資料が作られました二〇一一年九月の段階では、国において都市計画運用指針の改定が必要になっていると。この五つの例だけだったら、外苑は再開発等促進区、定められないといっているわけですね。
 ところが、こうした国における指針の改定が行われることもなく、今年三月十六日の本委員会における質疑でこういったわけです、都市整備局は。先ほど委員から挙げられた五つの事例というのはあくまで事例でございましてと強弁し、外苑再開発に再開発等促進区を適用しても都市計画上、何ら問題はないと考えておりますと一八〇度法解釈を変化させたわけです。
 そこで、三月のときとは聞き方を変えてお聞きします。
 二〇一一年九月十五日付の都市整備局資料、国立霞ヶ丘競技場建替えに関する都有地を活用した手法検討についてで、再開発等促進区を定める地区計画を適用する場合は、国において都市計画運用指針の改定等が必要となり、ハードルは高いと判断していた都市整備局が、五つの事例というのはあくまで事例でございまして、都市計画上、何ら問題はないと考えておりますという判断に変化し、外苑地区に再開発等促進区を定める地区計画を適用したのは、どのような経緯をたどったのか。できれば何年頃、どのようなやり取りが誰とあったのかお示しください。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 都市計画運用指針によれば、再開発等促進区を定める地区計画の目的は、まとまった低未利用地などにおける土地利用転換を円滑に推進するため、都市の良好な資産の形成に資するプロジェクト等を誘導することにより、都市環境の整備、改善などに寄与しつつ、土地の高度利用と都市機能の増進を図ることでございます。
 指針に示されております五つの場合はあくまでも例示でありまして、二〇一三年の神宮外苑地区地区計画の決定に当たり、都として改めてこの趣旨を踏まえて再開発等促進区の指定について判断したものでございます。

○原田委員 なるほど、もう二〇一一年の九月の段階でハードルは高いと、この開発手法を取り入れるのはといっていたのが、二〇一三年の頃には、そうですよね、地区計画が決定されますから、がらっと変わっていったと。
 国が動かない限り、再開発等促進区は外苑には難しいと考えていた二〇一一年の九月から、二年後の二〇一三年、神宮外苑地区地区計画では、再開発等促進区を定める地区計画が再開発手法として採用されています。この二年間に何があったのか。既に様々な場で紹介させていただいておりますが、森喜朗当時衆議院議員と佐藤副知事と安井技監がやり取りする様子が生々しいメモとして残されるなど、都が国会議員や国の職員と活発にやり取りしていた様子がうかがえる二年間でした。
 この一二年五月の森喜朗氏とのやり取りのメモは、秩父宮ラグビー場と神宮球場の土地の入替えなどが示された最後に、森喜朗氏が佐藤副知事に、あと十五年長生きしないとなと語る資料です。
 このメモですが、実は神宮外苑の再整備についてという資料名なんです。岸記念体育会館の裏話かと思っている人多いんですけれども、これ神宮外苑の再整備についてのメモなんです。
 そして、気になる言葉が、このメモの中で飛び出します。都営住宅の廃止など強引な計画を進めるため、佐藤副知事は森氏に対し、国策として計画を進めていくことが必要と訴えているんです。国策として進めてほしいと。さらに副知事は、隣接する都立明治公園も敷地に使い、高さ等の規制緩和が必要とも述べ、国の協力を仰ぎ、都有地の再開発への活用を勝手に話しているわけです。
 また、これに先立つ一二年二月には、当時の安井技監が都議会自民党の控室で、萩生田当時元衆議院議員と接触し、萩生田氏から、当時は国の特殊法人だったNAASH、現在JSC、その理事の藤原氏を紹介された際、都市計画決定まで継続的に調整できるか、調整できる技術職員はいないかというふうに述べています。
 本来、無理なはずだった外苑への再開発等促進区を定める地区計画の適用、特殊計画公園内の超高層ビルの建設が、東京都と政治家、そして国のどのような協力関係で築かれてきたのか、こうしたメモの数々からも早急に解明が求められるわけです。
 こうした、神宮外苑再開発にあからさまに登場する政治家、約千本の樹木の伐採などへの国民や専門家の批判を受け、東京都は八月十八日、ファクトシートなる文書を公表しました。
 まずお聞きしますが、このファクトシートなんですけど、前書きが一切ないんですね。東京都が公表したファクトシートには、なぜこのシートが必要なのかは示されていないので、東京都がこのファクトシートを作成し、公表した意図を教えてください。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 お尋ねのファクトシートは、神宮外苑地区のまちづくりの経緯や民間事業者による計画の概要、環境影響評価審議会答申の主な内容などを分かりやすくメディア等に説明し、都民などにも広く情報提供するために作成、公表したものでございます。

○原田委員 今、外苑のまちづくりの経緯を分かりやすく説明するためという答弁がありました。
 それではお聞きします。ファクトシートに示された神宮外苑地区におけるまちづくりの経緯、これは二〇一五年から協議が始まったかのように記載されていますが、今も指摘しましたし、我が党都議団の情報公開請求によって、二〇一五年以前から森喜朗氏や三井不動産とのやり取りがあったことが分かっています。
 これらは、なぜまちづくりの経緯に含まれていないんですか。ファクトシートで示されていないんですか。
 なお、答弁は分かりやすくするため、今後は全て西暦でお願いします。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 ファクトシートでは、都と関係者によるまちづくりの協議において節目となりました二〇一五年四月の基本覚書の締結、二〇一六年八月の合意書の締結、二〇一八年三月の確認書の取り交わしについて掲載したものでございます。
 なお、都はこれまでも、都市整備局のホームページに、より詳細な経緯についても掲載し、広く都民に情報提供を行っております。

○原田委員 先ほどお示ししたような、森喜朗氏に佐藤副知事が会いに行ったときのメモの資料名、神宮外苑の再整備についてですよ。これ二〇一二年です。この資料は、そもそも現在、岸記念体育会館の移転等に関する主な経緯についてという都市整備局が公表している資料群に掲載されているわけなんですね。
 公文書で、二〇一五年よりもっと前から外苑のまちづくりの話は始まっているんじゃないですか。まあ、それを答えてもらおうかな。
 二〇一五年より前にまちづくりは始まっているじゃないですか。話が始まっちゃっているじゃないですか。それについてどうされるんですか。どう思っているんですか。まちづくりの経緯じゃないんですか、これは。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 神宮外苑地区のまちづくりにつきましては、二〇一〇年だったと記憶していますけれども、その当時の長期計画に、神宮外苑地区を世界に誇れるスポーツクラスターにしていくというような位置づけの下に、都として、まちづくりの検討を始めていったという経緯はございます。

○原田委員 この神宮外苑の経緯でいったら、本当にいろんな--一五年から説明が始まるファクトシートおかしいと思うんですよね。今も部長自ら二〇一〇年にはもう始まっているという答弁もあったのに、何で一五年にしなきゃいけないのかと。外苑まちづくりの経緯にとって、一番大事な再開発の議論のスタートラインが記されていない。これをファクトと呼べるのかと甚だ疑問です。
 確かに、二〇一五年以前にいろいろあったと書きたくない気持ちは分かります。この神宮外苑再開発事業は、都市計画公園を削除したい。都市計画公園の削除です。建物高さを十五メートルから百八十五メートル、百九十メートルと緩和するもので、そこに行政だけでなく、政治家や大企業が加わって都市計画をゆがめていたとしたら、これは重大問題です。
 あくまでも、一部の利権のためでなく、極めて高い公共性が求められている再開発なわけですから、そこでお聞きします。森喜朗氏もさることながら、この再開発で直接利害関係を有する三井不動産が、いつからこの計画の議論に加わっていたのか、これ重大です。二〇一五年の覚書以前に三井不動産と東京都は話合いの場は持っていないということか、はっきりお答えください。

○吉野まちづくり推進担当部長 都は二〇一五年四月に、三井不動産を含む関係権利者と神宮外苑地区まちづくりに係る基本覚書を締結しております。
 二〇一五年四月以前に関係権利者である三井不動産と協議等を行った記録は見当たりません。

○原田委員 物すごく微妙な答弁をしたと思っています。二〇一五年覚書協定と。この覚書によって、こういう極めて公共性の高い神宮外苑再開発に企業が入ってきても、いろいろとあれこれいわれなくて済むと。
 ところが、私がいっているのは、その覚書以前から、もっと前から森喜朗氏も三井不動産も関わっていたんじゃないですかって聞いたところ、二〇一五年以前に三井不動産と協議は行っていないときっぱりいうのではなく、協議を行ったという記録は見当たらないと。まるで偽証を恐れるかのようないい方ですよね。
 都が外苑再開発のイメージ図を森喜朗氏に説明した次の年の二〇一三年、神宮外苑地区地区計画が決定されています。今年三月九日の予算特別委員会では、そのときから、二〇一三年から、地権者等と調整を進めてきたと答弁しました。さらに、ここでいう地権者等の等には何が含まれているんですかと当時聞いたところ、地元自治体等という回答をいただいています。
 なので、今日はその先を聞いてみたいと思うんですけれども、それではお聞きしますが、地元自治体等の等には何が含まれているんですか。三井不動産は含まれていないといえますか。

○吉野まちづくり推進担当部長 一般的に関係地権者等といった場合には、地元区、地権者などのほか、今回の三井不動産ですが、青山OM-SQUAREビルの権利を有する関係者として三井不動産も含まれます。
 ご質問の二〇一三年に地区計画を決定した後、当時の関係地権者等との調整において三井不動産が含まれるかについては、記録が見当たらないということでございます。

○原田委員 さっき、二〇一五年より前に三井不動産と話し合ったことはないという答弁があったのに、二〇一三年、地元自治体等の等に三井不動産は含まれていないといえますかといったら、入っていますと。
 記録は見当たらないといいながらも、結局、少なくとも二〇一三年の時点でちゃんと三井不動産も再開発の関係者に入っているんじゃないですか。そのことを初めて認める答弁なんです、これ。むちゃくちゃ大事な答弁です。
 この次の年には、三井が関係地権者等に入った次の年には、サブトラック設置方針がなくなり、現在の百八十五メートルの超高層ビルが建っている場所に事務所棟を建設する方針が決まるわけです。
 そうしたまちづくりの調整の場に三井不動産がいたというわけですよね。これ、とんでもないことなんですけれども、答弁はいじましくも、地権者等との調整において三井不動産がいたかは記録が見当たらないと。確かにその場に三井不動産はいたけれども、調整までしていたかどうかは記録がない。すごい疑念が膨らみます。
 さらにお聞きしますが、三井不動産は、二〇一三年の神宮外苑地区地区計画決定のもっと以前からまちづくり携わっていたんじゃありませんか。

○吉野まちづくり推進担当部長 繰り返しになりますけれども、関係地権者等といった場合には、そのエリアの中に建物があるとすると、それに関する権利を有する関係者というのが一般的に含まれると考えております。
 ただ、その以前に当時、関係地権者等と調整したというような記録はないということでございます。
   〔原田委員「二〇一三年よりももっと前に三井不動産は関係していたということはないんですか」と呼ぶ〕

○藤井委員長 原田委員、挙手の上、ご発言ください。

○原田委員 もう一度聞きます。
 二〇一三年に三井が関わっていたことが今分かりました。もっと前から関わっていたということはありませんか。--ないといえますか。

○吉野まちづくり推進担当部長 先ほども答弁しましたけれども、二〇一三年に地区計画を決定した当時の調整、また、それ以前においても、三井不動産と調整したという記録は見当たらないということでございます。

○原田委員 ここに当都議団が情報公開請求で得た資料があります。この資料には、地区計画決定の前の年の--前の年ですよ、地区計画の。二〇一二年、森喜朗氏に副知事らが会って長生きしなよといわれる、さらに四か月前、一月、地権者等による再整備の検討会をスタートと書いてあります。
 地権者による再整備の検討会をスタート。この地権者は何て書いてあるかというと、明治神宮、日本スポーツ振興センター、オラクル、伊藤忠商事、TEPIAまで分かりますけど、三井不動産、書いてあるんです。どういうことでしょうか。
 ここには地元自治体の名前も入っていません。情報公開請求で何度も何度もやって、やっと出てきた資料の一枚です。
 神宮外苑の都市計画公園を、区域を削っちゃうわけですよ、もう一度いいますけど。そこに超高層ビルを建てて、しかもその超高層ビルに都市計画公園内の余った容積を移転するなんていう前代未聞の再開発計画を地区計画決定の前から、もしかして企業まで入り込んで画策していたとすれば、大問題なわけですよ。
 この資料に出てくる三井不動産、何を話し合っていたんですか。

○吉野まちづくり推進担当部長 今お話の地権者等による検討会ということは、そういう検討会が民間で検討されるチームとして結成されたということだと思います。

○原田委員 まさにこの時期ですよ、皆さんの態度ががらっと変わったのは。その前の年までは、外苑に再開発等促進区なんて入れるのはハードルが高いよね、そういっていたのが、二年後の二〇一三年にはがらっと変わって、ほいほいと入れて、何か法に触れていますかという態度に変わる。
 そのときに、まさに二〇一二年に、森さんと会ったり、あるいは地権者等という名の企業が、あるいは国の独立行政法人ですけれども、日本スポーツ振興センター、JSCなどが入って、神宮外苑について話合いが始まる。
 その次の年には、もう再開発等促進区なんて何だって適用したって構いはしない。そういう強気に変わっているわけですね、東京都が。
 (資料を示す)これ、まあ我々も資料請求してからこんなに、最近見つけたといいますかね。局長、この二〇一二年一月の再整備の検討会スタート、これどういう資料なのか、さらに、何が話されていたのか、示していただきたいと思うんですけど、どうですか。

○吉野まちづくり推進担当部長 その資料については、民間地権者による検討をしていたということは東京都としても把握していたと思うんですが、そのときの資料は、東京都としては把握しておりません。どのような検討がなされていたかというのは把握しておりません。

○原田委員 これ以上聞いても、確かに部長も分からないと思いますし、局長には、ちょっと調査するぐらいいってほしかったですけれども、ぜひこの後、この二年、大事な二年ですから、皆さんの態度が豹変する、再開発に対する。ですので、この資料は引き続き注目をしていきたいなというふうに思っています。
 この話合い、日本スポーツ振興センター、JSCも入っているんですよね。資料が見当たらないというのであれば、二〇一二年一月の再整備の検討会の内容について、JSCに資料の提供を都としても求めてもいいんじゃないかなと思いますけれども、今後の課題としたいと思います。
 都のファクトシートは--これ聞いておこうかな、JSCに資料の提供を求めてみたらどうですか、部長。

○吉野まちづくり推進担当部長 現段階で、当時のJSCに、当時の資料を求める必要性が分かりませんので、そのような考えはございません。

○原田委員 ますますこれから追及をしていきたいと思っています。
 都のファクトシートは、こうしたまちづくりの経緯については一切語らないわけです。これで本当に何を分かりやすく都民に伝えたかったのかが、もう見えてこないわけですよね。
 神宮外苑再開発をめぐる世論は日増しに高まりを見せています。アメリカ人実業家のロッシェル・カップさんが始めたチェンジオルグでのネット署名、十万七千筆に達し、国会でも真正面からこの開発の在り方を問う質疑が出始めました。
 十月二十六日、何と自民党の船田元衆議院議員がイチョウ並木の文化財指定についてただしました。独自の資料を作られまして、私も見させていただきましたが、非常に立派なモンタージュ写真を、画像を作られまして、これ皆さんに見せたいぐらいです。神宮外苑がどのように変貌してしまうのかというのを、これを使って私たちに教えてくれました。立憲民主党の牧義夫衆議院議員も同様に質疑するなど機運が国会でも高まっています。
 やっと都議会から国会に場が移ったなという感じがしていますけれども、都のファクトシートでは、こうした世論の高まりに対し様々に言い訳を行っています。
 緑とオープンスペースの方針として、創建当初の趣旨を踏まえ、イチョウ並木から聖徳記念絵画館を望むビスタ景に配慮するため、絵画館の前庭部分は創建時の芝生の姿を基調とし、憩いの広場として再整備というふうに示されています。
 しかし、創建当初の絵画館の前庭部分と比べれば、テニス場や屋内テニス場の施設が今回の計画で建設されるため、広さ三分の一に減っちゃうんですね。樹木も大量に伐採されるんで、創建当初の趣旨を踏みにじる計画となっているのが実態なんです。
 さらに、ファクトシートでは、再開発前のオープンスペース二一%が、再開発後四四%に増えるとあるんですけれども、再開発後のオープンスペースって、巨大施設の脇の通路までオープンスペースとされていましてね、まさに市民が利用してきたような軟式野球場とか第二球場とか、オープンスペースに数えられていないんですよ、そもそも現状のは。
 再開発の従前、従後のまちづくりを正確に、このオープンスペースの表というのは表せていません。市民が利用してきた第二球場や軟式野球場、テニス場、バッティングセンターなどを市民活用スペースとして面積で算出した場合、再開発従前、従後の比率は、こんな、再開発前が二一%で再開発後が四四%なんていう数字にはなりません。むしろ現在の方が、もっと住民が使える場所が広大にあったといえるような状況が出てくる。
 中でも指摘しなければいけない記載があります。ファクトシートで緑の割合という指標が登場しますが、これは昨年十二月の私の質疑で答弁がありましたが、緑の割合というのは、分かりやすいように、今回の計画の従前、従後の屋外における樹木や芝生等の占める割合を参考として示したものとのことでしたが、実はこの緑の割合という指標は、これまで都市計画の説明で使用されたことありませんでした。初登場の指標なんです。
 緑の割合は、樹齢百年の大木の樹冠、枝の広がりですね、樹冠も、芝生や屋上の植栽みたいなものも、同じ面積で表すものです。全く緑の量が、体積が測られない指標なんですね、面積だけで見て。
 改めてお聞きしますが、緑の体積という指標で見れば、今回の計画で緑の体積、減ること間違いありませんね。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 緑の体積につきましては、昨年七月に事業者が都に提出した環境影響評価書案において、工事完了時点では現況を下回るが、適切に管理育成を行う計画としており、緑の量の変化の内容及び程度は小さいと示されております。

○原田委員 要は現況を下回るわけです。そのことをファクトシートに書いていないじゃないですか。適切に管理育成を行うといいますけれども、三メートルの新植樹木が樹齢百年の大木並みに樹冠を広げるまでどれだけの歳月がかかるというんですか。
 ファクトシートも紹介している環境影響評価審議会答申というのにはこう書いているんです。緑の質の観点も含めた具体的な環境保全のための措置を徹底し、影響の低減に努めることと。緑の質について、はっきりと答申は言及しているわけです。にもかかわらず、緑の割合という、外苑でしか使ったことのない指標を持ち出して、緑の質を全く無視した指標をつくり出して、あたかも緑が増えるかのように示しているわけです。
 もう一度いいますけど、緑の質は変化することを隠して、あたかも緑の量が低減しないかのようにファクトシートには記載されているということが今の質疑で分かったわけです。
 多くの都民が気にされているイチョウ並木についてもお聞きします。
 本日、イチョウ並木が危機に瀕していると日本イコモス国内委員会が記者会見を行ったというふうに聞いておりましたけど、どうなったでしょうか。
 巨大建築群がイチョウ並木に迫り、その存亡を脅かすことは目に見えていますが、そうした危機感がこのファクトシートに一切記載されていません。まるで、東京都ではなく、事業者が作ったかのようになっているわけですね。それどころか、怪しい記載やイメージ図がたくさんあるんですね。
 まず、改めて確認したいと思いますけど、これまでイチョウ並木から八メートルのところに新球場の壁面が造られるといわれてきたんですが、ファクトシートにあるように、よくよく見ると、それイチョウ並木の道路境界線からと書いてありまして、四列のイチョウ並木の一番西の幹からは何メートルですか。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 四列のイチョウ並木の幹から新野球場の壁面までの距離は、六・五メートル程度であると事業者からは聞いております。

○原田委員 今まで八メートルといっていましたけど、少し細かったりずれているやつは六メートルぐらいと、六メートルから六メートル五十センチと。そうなんですよね。さらに深刻な影響を受けるということが分かってまいります。予想されます。景観被害も甚大と思っています。
 ファクトシートでは、ビスタ景の保全及び風致地区の配慮を踏まえ、イチョウ並木沿道の建築物においては、視点場から見たときにイチョウの高さを突出しないように配慮とあるんですけれども、つまり、イチョウ並木の途中から見たら、新神宮球場の壁やフェンス、さらには巨大なパネル、地上六十五メートルに位置する球場ホテルや超高層ビルも全て目の当たりにすることになるということなんですよね。と思うんですけど、どうでしょう。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 お話のイチョウ並木の途中というのが、どの位置を指しているのかは分かりませんけれども、イチョウ並木からの見え方につきましては、見る位置によって様々であると思います。

○原田委員 イチョウ並木からの見え方は見る位置によって様々ということなんですけど、当たり前ですよね。ただし、眺望点以外の景色には、必ずといっていいほど巨大建築群が目に飛び込んでくることになるんです。
 逆にいえば、眺望点に立って絵画館の前を向く、右も左もちょっとも首を動かしちゃいけないと。このときでない限り、神宮外苑の再開発後は、目に必ず巨大建築群が入ってきちゃうんですよ。そういうことなんです。
 船田元衆議院議員が出してくれたモンタージュ写真、こうやってばっと見せたいですけど、見せられないんですけど、すさまじいものです。イチョウ並木の横から球場を見ると、もう壁でイチョウ並木が押し潰されそうになって、見上げるようなモニター、スクリーンがそびえると。こういうイチョウ並木で誰が喜ぶんだろうなと本当思うんですよね。
 あと、これだけどうしてもいいたかったんですけれども、ファクトシートの二三ページ、パネルで見せられればよかったんですけど、言葉でいいますね。四列イチョウ並木の保全に向けた取組例のイメージ図では、球場の上に立つ人物が施設からして巨大に描かれておりまして、イチョウ並木の中を歩く人物が異様に小さく描かれているんですね。
 これ、ファクトシートとして問題がないのか、また、どのような効果を狙って、人間がこんな大きく描かれ、同じ絵の中で、巨人と小人みたいに描かれたイメージ図になっているのかお示しください。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 お尋ねのイメージ図につきましては、四別のイチョウ並木の保全に向けた取組例について、事業者が環境影響評価審議会に示した資料を基に、具体的な取組を分かりやすく説明するために作成したものでございます。

○原田委員 だから、全く分かりやすくないんですよ。人の縮尺とかイチョウ並木の大きさとか、もうめちゃくちゃじゃないですか。球場の上の人なんて、球場の下のショッピングモールの天井に頭がつくくらい大きく描かれているんですよね。球場がその分小さく見えますね。
 一方で、イチョウ並木を歩く人は、並木の高さに対して恐ろしいほど小さく描かれておりまして、イチョウ並木と野球場との距離の切迫感を和らげる印象があります。そういうイメージ図なんですけれども。
 さて、日本イコモス国内委員会が、この間、重要な調査や提言を繰り返し発表するなど頼もしい存在、活躍を示してくれていると同時に、どれだけ外苑が破壊される危険性が迫っているのかを感じさせてくれるわけです。
 そこでお聞きしますけれども、日本イコモス国内委員会について、その存在意義や社会的権威について都市整備局の見解を伺います。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 日本イコモス国内委員会は、文化遺産に関する調査研究や世界文化遺産の価値評価及び保存、活用に関する支援などを行う団体と承知しております。

○原田委員 まさに、日本イコモスの提言というのは、文化遺産に対する専門性と重大な権威があり、その推薦がやがて世界遺産の指定につながるというものでもあります。
 その日本イコモス国内委員会が、絵画館前の広場を抜いた市街地再開発事業において、外苑創建時に献木、植樹され、今もその地にそびえている歴史的樹木についての調査を行いました。その結果、何と二百九十九本の外苑創建時の歴史的樹木が今も生育していることが確認されましたが、同時に、その歴史的樹木の二百九十九本のうち、何と百七十本が伐採されるということが分かったわけです。
 新神宮球場の建設や移植により衰退を余儀なくされる樹木を合わせると、実に歴史的樹木の八一%が、伐採もしくは衰退、枯損の危機に瀕していることが明らかにされました。
 東京都は、三メートル以上の植樹は伐採数より多く行うから環境は保全されるといってきましたが、明らかに外苑の歴史的景観を脅かす開発といえます。
 また、日本イコモスの指摘に驚きました。
 二〇一二年六月、文化庁が行った全国的調査により、近代の庭園・公園等に関する調査研究報告書が公表されました。そこには、名勝指定または登録記念物、名勝地関係の候補となり得る重要事例に、神宮外苑のイチョウ並木が今後特に保護措置を充実させる必要が高いと認められるものとして挙げられていたんです。
 また、さらなる価値評価及び保護に向けた調査の実施を積極的に行い、そのような調査の結果に基づき、国または地方公共団体による指定登録の作業を速やかに進めることが必要であると書かれていたわけです。
 その後、十年たちましたが、東京都はそうした指定、登録の作業どころか、価値評価及び保護に向けた調査の実施も行っていません。外苑再開発計画が進行する中、文化庁から速やかな実施が必要と指摘されてきた外苑やイチョウ並木の価値評価及び保護に向けた調査を未実施であるのは、今、外苑が再開発されようとしている中で、この調査が未実施という状況自体が大問題です。
 都市整備委員会ですので質問は別の場所に譲りますけれども、本来は都市整備局からも文化財指定を促すべきであって、これまで指摘してきたように、一部の政治家や企業と共に、この文化遺産の破壊の道をひた走るなどというのは本当に許されないと指摘するものです。
 事業者は、環境影響評価審議会において、伐採本数九百七十一本のうち四割を減らして五百五十六本に樹木伐採数を減らしたと公表したわけですけれども、日本イコモスは記者会見を開き、事業者が伐採数から抜いた三百十一本の枯損木について、日本イコモスは全くデータが示されていないと当時指摘をしました。
 この指摘を受けて、事業者は、ようやく十月二十八日にホームページに、枯損木の内訳というものについて説明を掲載しました。
 事業者は、神宮外苑地区のみどりについての中で、枯損木三百十一本の説明として、樹勢不良とされた活力度C及びDの保存、移植樹木全てと、樹勢良好な活力度A及びBの保存、移植樹木の約三割を合計して算出したと、この枯損木三百十一本について述べています。
 それは、それぞれ何本になるのか教えてください。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 枯損木三百十一本の内訳につきましては、環境影響評価審議会の部会に提出された補足資料から算出することができまして、活力度Aが五十五本、活力度Bが百三十七本、活力度Cが百五本、活力度Dが十四本でございます。

○原田委員 ということですが、これはホームページを見ても、一体これらの枯損木が市街地再開発事業の区域内の樹木のことなのか、それとも外苑全体の樹木も対象としたものなのか分かりません。
 結論からいうと、市街地再開発事業の区域内の樹木だということなんですね。枯損木三百十一本というのは、この市街地再開発のこの区域、みどり・交流ゾーンは含まれていない。絵画館前芝生広場は含まれていないということが分かってくると。
 そこでお聞きしますが、三百十一本の枯損木は、第一種市街地再開発敷地内において、いつ伐採数に計上されたんですか。(発言する者あり)ちょっと委員長、ちょっと少し計測を止めていただいて、理事、集まってもらえませんか。
   〔発言する者あり〕

○藤井委員長 ご静粛にお願いいたします。質疑を続けてください。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 昨年七月に事業者から提出された環境影響評価書案において、伐採が九百七十一本計上されております。
 本年四月の環境影響評価審議会の際に事業者から提出された補足資料において、九百七十一本の内訳に枯損木三百十一本が含まれていることが示されたと環境局から聞いております。

○原田委員 伐採の全体像が全く見えないということでデータを求めたところ、枯損木という存在が浮き彫りになったと。示されたのは今年四月だというんですね。
 しかし、もともとこれは伐採数には含まれていたということなんです。ずっと不思議だったんですよね。環境影響評価書案の対象は第一種市街地再開発の範囲に限られる。つまり絵画館前の芝生広場は含まれていないにもかかわらず、九百七十一本の伐採数。しかし、絵画館前広場を含む地区全体の区域では八百九十二本と、逆に少ない伐採数が報告されてまいりました。
 絵画館前芝生広場を含めたこの地区計画全体の伐採数には、三百十一本の枯損木は含まれていないのではありませんか。だとすれば、それはなぜでしょうか。
   〔発言する者あり〕

○藤井委員長 ご静粛にお願いいたします。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 絵画館前広場を含む地区全体の伐採本数八百九十二本には枯損木は含まれておりません。
 地区全体の伐採本数を八百九十二本とした資料は、本年一月に開催された新宿区都市計画審議会に提出されたもので、枯損木を含めなかったことは事業者の判断によるものと承知しております。

○原田委員 八百九十二本という伐採数は、新宿区の都市計画審議会に出された数字で、ここにはやはり枯損木は含まれていなかったわけですね。でも、なぜ枯損木を含めなかったのかというのについては答えになりませんでした。事業者の判断だと。
 事業者は、地区計画区域の伐採数は枯損木を入れて千二百三本だったと考えていたということか。こういう聞き方だったらどうでしょう。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 地区全体の枯損木を含めた伐採本数については、算出していないと事業者から聞いております。

○原田委員 不思議なんですよね。事業者は、市街地再開発地域の伐採には枯損木を見込んでいる。でも、外苑エリア全体で伐採数を足し算するときには、この枯損木をわざわざ抜く。
 市街地再開発地域と絵画館前芝生広場で何が違うかというと、これ、環境アセスが作動するかしないかです。アセスのある市街地再開発では、伐採数をごまかすわけにいかない。環境影響評価書に書いてあることと違う事業を行った場合、最悪、環境アセスのやり直しだって考えられるわけですよね。
 しかし、都市計画審議会では樹木の伐採本数まで厳密に問われるわけではないから、石川教授の調査に基づく約千本伐採の指摘に対して、少しでも数を少なく見せようとして、枯損木三百十一本の数を抜いたエリア全体で八百九十二本を報告したというのが、事の真相なんじゃないのかなと思ったりもすると。
 事業者の実に不誠実な対応だと思うんですね。枯損木をアセスの場では見込んでみたり、アセスが適用されない市街地再開発から抜けた絵画館前芝生広場では枯損木は考慮しなかったり。問題なのは事業者だけではありません。事業者は結局、神宮外苑地区のみどりについてを公表して、二〇一九年にエリア全体で八百九十二本を伐採対象としていたものを、追加調査により百四十九本を保存、移植とし、エリア全体の伐採数を七百四十三本としました。
 この文書は、今年八月十八日に公表されたんですけれども、同じ日に東京都が公表した先ほどのファクトシートでは、枯損木を含めた九百七十一本から、事業者による伐採数の見直しで五百五十六本まで伐採数を減少させたというふうに発表しているわけです。
 神宮外苑地区のまちづくりと書いたファクトシートが、なぜエリア全体の伐採数を示さずに再開発エリアの伐採数だけを示したのか教えてください。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 ファクトシートにおける樹木の伐採本数については、環境影響評価審議会の内容を説明したものでございます。
 絵画館前広場の整備を含むエリア全体の伐採本数につきましては、事業者のホームページにおいて公表されております。

○原田委員 お聞きしますけど、都がいう神宮外苑地区というのは、どのことを指すんですか、じゃあ。神宮外苑地区といったら、芝生広場入るんでしょう。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 神宮外苑地区につきましては、まあお話の絵画館前広場も含むエリア全体でございますけれども、ファクトシートにおける樹木の伐採本数につきましては、環境影響評価審議会の内容を説明したものであるということでございます。

○原田委員 だから、それじゃファクトシートにならないじゃないですか。一体、樹木の伐採は何本なんですかってみんな気になっているところに、芝生広場で二百三十数本、軟式野球場のところで二百三十数本切られるわけですよ。それをわざわざ抜いて五百五十六本だといって一部の地域だけの伐採数だけ示すなんて、ファクトシートじゃないじゃないですか、これ。これ見て五百五十六本に伐採数が減ったと報道しちゃったテレビ番組もあるんですよ。とんでもないことですよ。ミスリードというより、私はもうこれに至っては、虚偽に近いなというふうに指摘をしたいと思います。
 東京都は、三百十一本の枯損木を伐採数から抜いた事業者の計画修正を、再開発における伐採本数を減らしたとして評価しているんですか。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 環境影響評価書案では、事業期間中に立ち枯れ等により危険となった枯損木について、道路通行車両や歩行者の安全管理のために除去する可能性があることから、事業者の判断で過去の実績を参考に一定割合を伐採本数に計上していたとのことでございます。
 しかしながら、枯損木の除去措置は開発による伐採とは異なるものであることから、改めて本数の精査を行ったものであると環境局から聞いております。
 なお、事業者は、枯損木三百十一本に加えまして、ラグビー場に向かうイチョウ並木十九本も移植を検討するとともに、本年四月から新たに実施した樹木の詳細調査の結果を反映し、伐採するとしていた樹木八十五本も移植することとしておりまして、伐採本数を九百七十一本から五百五十六本に削減したものでございます。

○原田委員 改めてお聞きしたいんですけど、そうすると、枯損木というのは今回伐採数から抜かれましたけれども、今後十五年の工事期間中に伐採を免れたわけじゃないということは、そういうことですね。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 枯損木につきましては、いわゆる再開発の影響で伐採をする、再開発により伐採をすると、開発による伐採とは異なるということでございます。

○原田委員 一事が万事、これまで本当に不誠実な態度であった事業者ですが、この枯損木の問題も含めて、さすがに日本イコモスも十月初めの記者会見で憤りを隠しませんでした。
 毎木調査など必要なデータが公表されておらず、日本イコモス国内委員会から社会的責務に反する重大な事項が含まれているとまで指摘されたことについて、都市整備局としてはどのように受け止めていますか。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 事業者は、神宮外苑地区におけるまちづくりのコンセプトや既存樹木の取扱い等につきまして、ホームページを通じて情報発信を行っております。
 お話の毎木調査のデータにつきましても、既に事業者のホームページで公表されております。

○原田委員 ですから、まさにイコモスから社会的な責務に反するとまでいわれて、やっと十月末に毎木調査を出したわけですよね。そういうところがまさに社会的責務に反するといわれてしまうわけです。これは事業者だけでなく、都民の見えないところで暗躍して前代未聞の都市計画を進めてきた東京都にも向けられた言葉なんじゃないでしょうか。
 しかも、都が八月に出したファクトシートは、意図的に伐採本数が少なく見えるように構成されていたことも明らかになった。外苑再開発に関心のある都民の間では、もはやフェイクシートと呼ばれているありさまです。
 いま一度立ち止まって、本当にこの巨大開発は明治神宮にとって必要不可欠な事業なのか、東京都の支援や、それこそ一〇〇年前の創建時のように国民みんなの支援で回避するということも考えられないのかとか、そういうことをいま一度問わねばならないと思ってお聞きするんですけれども、神宮外苑再開発は、神宮球場と秩父宮ラグビー場の位置を移設することと、超高層ビル群を建設することによって、大量の樹木伐採など環境破壊が引き起こされます。これらが本当にやむを得ない開発なのか、利潤の最大化を目的とした再開発なのかは、都民や専門家の関心事でもあるわけですね。
 都は、積極的かつ早急に、事業者間の土地の交換、返還や容積率の移転に伴う資金計画について把握する必要があるんじゃないかと考えますし、できる限り市民に公表するよう求める責務が生じていると考えますが、いかがでしょうか。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 神宮外苑地区では、都が定めたまちづくり指針等を踏まえ、大規模スポーツ施設の連鎖的な建て替えに合わせて中央広場の整備やバリアフリーの歩行者ネットワークの形成を図るとともに、既存樹木の保全に加え、新たな緑も創出し、それらを適切に維持管理しながら樹木を育成することで、従来よりも緑の量を増加させ、緑空間の充実を図ることとしております。
 絵画館やイチョウ並木の周辺では眺望景観や風致を保全しつつ、青山通り沿道等におきましては土地の高度利用やにぎわいの創出等を図ることとしておりまして、こうした地域の将来像を実現するため、容積の適正配分を行う計画としております。
 資金計画などにつきましては、都市再開発法に基づき、事業者が適切に対応することでございます。

○原田委員 都市再開発法に基づき、資金計画などは出すとおっしゃいますが、そのときはもう手遅れなんですね。建物の解体が始まり、行くも地獄戻るも地獄という状態になっちゃっています。そうなる前に、何とか事業者や明治神宮と協議すべきときなんじゃないですかっていっているんですね。
 今後、外苑再開発と東京都との関係でいうと、資金計画など示さなければならない事業認可申請があります。そしてその後は、権利変換計画認可と続きます。このときにはもう手遅れです。
 本来、その手続は今頃済んでいたはずでしたが、広範な都民の運動、日本イコモスや環境影響評価審議会の委員の皆さんなど専門家の方々の奮闘で、議会では日本共産党先頭を切って、この問題で頑張りまして、今はそうした手続が遅れてきているところですけれども、世界に誇る神宮外苑の景観を守る重大な岐路だなと。そのことを都市整備局並びに各会派、委員の皆さん、そして広く都民の皆さんに、これ呼びかけさせていただきたいなと。何とかして国民みんなの力で、東京都も頑張って、一部の企業が最大限に環境を破壊して外苑を破壊するんじゃなくて、本当にみんなが求めている外苑づくりに、今度こそ東京都が頑張ってもらいたいなというふうに思って、最後の質問を手短に終わらせていただきたいと思います。
 有楽町線の延伸計画について。
 東京メトロ有楽町線の延伸計画についてなんですが、地下鉄のトンネル、よく単線シールドトンネルか複線シールドトンネルかというので話題に上がるわけですね。単線シールドトンネルの場合は、上下線に一本ずつトンネルを掘るわけです。複線の場合は、一つのトンネルの中に上下線が入るわけです。
 東京メトロ有楽町線の延伸計画豊洲-住吉間では、なぜ複線シールド工法を採用したのか、単線シールド工法は考えなかったのか、それはなぜかお答えください。

○朝山都市基盤部長 工法の選択につきましては、現場の条件などによって判断することになります。
 本計画では、可能な限り公共用地を活用すること、橋梁などの既設構造物や上下水道など埋設物の位置や深さを考慮して、事業者である東京メトロが、豊洲駅から仮称千石駅間において単線シールド工法ではなく、複線シールド工法を採用いたしました。
 なお、住吉駅は発着ホームが上下に分離している構造のため、仮称千石駅から住吉駅にかけては単線シールド工法を採用しております。

○原田委員 計画では、豊洲-仮称千石駅間が複線シールド工法となっているわけです。用地買収の面から見た場合、この路線で複線シールド工法が採用された理由、あるのかどうか。
 それから、続けてちょっとそのままお聞きしたいんですけれども、豊洲-住吉間、運河や川を渡ることとなって、さらには水道管など地下埋設物があると聞くので、この路線で、そういう点でも複線シールド工法が選ばれたという理由をちょっと連続で示していただければと思います。

○朝山都市基盤部長 工法の選択につきましては、用地買収などの面だけではなく、現場の条件など複数の要素によって判断するものでございます。
 本計画では、可能な限り公共用地を活用すること、橋梁などの既設構造物や上下水道などの埋設物の位置や深さを考慮して、事業者である東京メトロが、豊洲駅から仮称千石駅間において複線シールド工法を採用したものでございます。

○原田委員 橋梁など、今の答弁でいくとあれですよね、可能な限り公共用地を活用すると。用地買収の面でどうなのかと聞いて、可能な限り公共用地を活用するという答弁が入っていますから、裏を返せば、なるべく用地買収がないようにという判断が働いているんだということだと思うんですね。
 用地買収の面とか、それから既設地下構造物との離隔を取ることなどが考慮されて、複線シールドか単線シールドが決まるというわけなんですけれども、豊洲-住吉間では、比較検討をしっかりするまでもなく、用地買収の点でも技術的な面でも、複線シールド工法が選ばれたということだと思うんです。
 それと全く違うことが行われたのが西武新宿線井荻-柳沢間の連続立体交差事業でした。高架方式に決定されたんですが、高架と比較検討したのは、地下方式は単線か複線かじゃなくて単線シールド工法だけだったんですね。単線シールドでのシミュレーションは、線路から上下線一個ずつトンネルを掘りますから、線路の用地からシールドマシンの幅が飛び出してしまって、大量の用地買収が必要になるわけです。これが複線シールドだったら、本当は線路内にトンネルが収まって、用地買収はより少なくなって、地下化か高架化でいったら地下がよかったんじゃないかというふうに、有利に働いたんじゃないかという声もあるわけなんです。
 豊洲-住吉間では、複線シールドの方が既設地下埋設物と離隔が取りやすいというんですから、技術的にも複線シールドっていうのは有利なときがあるんだと。
 そこでお聞きしますけれども、西武新宿線井荻-柳沢間連続立体交差事業では、どうして単線シールドだけを比較して、複線シールドを比較検討に入れなかったのか教えてください。

○朝山都市基盤部長 事業予定者である建設局からは、単線シールド工法は断面が小さく合理的であるため、支障物との離隔の確保や縦断的に狭い空間を通過する場合に有利であると聞いております。
 当該区間は、石神井川や水道幹線などがあり、これらとの離隔の確保や限られた空間での施工が必要であるため、当該区間での地下方式の検討は単線シールド工法で行ったと聞いております。

○原田委員 驚くわけですよね。先ほど豊洲-住吉間で複線シールドを採用した理由と、西武新宿線では単線シールドだけを比較検討対象にした理由が一緒なわけです。
 実際には、やはり単線シールドの方がトンネルを線路幅に抑えられて横幅が少ない分、既設地下埋設物との離隔が取りやすかったりもするわけですね。
 そもそも、豊洲-住吉間のように地下深くに水道管があるわけでも西武線の場合はないわけですから、地下埋設物から離隔を取りたいなら、少し深くすればいいだけなんですね。
 今から二年ほど前、我が家に封筒が届きまして、中を見ると送り主は、練馬の線路沿いにあるマンションの管理組合。西武線の高架化によって、用地買収で建物を削られてしまうマンションの管理組合でした。
 このマンションは、設計上一棟の建物として登録されており、マンションの共有地分割及び建物の一部の解体には区分所有者全員の合意が必要なんです。事業を受け入れるとすると、百四十二戸の半数の居住者が移住を余儀なくされて、残った住民はこれまでの二倍の修繕費、管理費の負担となってしまうため、合意形成は極めて困難と。
 高架化を選んだ西武新宿線井荻-柳沢間の連立事業は、これを進めれば進めるほど、連続立体交差事業が進まなくなるんじゃないかといわれる事態に陥っています。
 このマンション、もう動けないですよ。これでもう十年、二十年とほったらかしになったらたまったもんじゃないんですね。いま一度、地下単線シールドで考えるんじゃなくて、複線シールドトンネルを採用した場合のシミュレーションを行っても罰は当たらないんじゃないかなと。用地買収の面でも、工期短縮の面でも、地上部の利活用の面でも、やっぱり地下方式というのは、今まででは考えられないような利点を未来に対して持っていますよ。
 西武新宿線井荻-柳沢間の地下方式について、もう一度複線シールドでシミュレーションしていただけるよう強く求めて、質疑を終わります。

○小宮委員 割愛して、私からは、都市整備局が行うまちづくりの中でも、都有地を生かして行うまちづくりについて伺いたいと思います。
 その中には、東京都が自ら行うもの、また、都有地を民間に売却をして、民間の開発を都が誘導するもの、それから、都有地を民間に貸し付けて、民間に施設の整備や運用を任せるものなど、三つくらいのパターンがあると思います。
 今後、事業者募集を行う予定にしている築地地区につきましても、今申し上げたうちの三つ目のパターン、都有地を民間に貸し付けて、民間に施設の整備や運用を任せるものと。
 定期借地権による貸付けを予定しているというものでありますけれども、築地の跡地につきましては、土地を都が所有しまして有効活用していくということでありますけれども、東京都が土地を持ち続けると判断した理由と、土地を持ち続けてどういうまちづくりを目指すのか、伺います。

○飯塚築地まちづくり推進担当部長 築地の再開発では、都心のまたとない広大な土地と地域のポテンシャルを生かして、民間の力を最大限に活用しながら、東京の持続的な成長につながるまちづくりを進めていくこととしております。
 長期的なまちづくりの観点から、土地を都が所有し、有効活用することにより、地下鉄などのインフラの整備状況も勘案しつつ、周辺への波及効果ももたらしながら、東京全体としての価値の最大化を図ることが可能になると考えております。
 公共性、公益性にも留意しながら、都としての収益性を勘案しつつ、中長期的に東京及び都民にとっての価値の向上を図ってまいります。

○小宮委員 今おっしゃっていましたが、民間事業者に対して公共性や公益性といった制約を課しながら収益性というものを求めるということで、東京都の重視するポテンシャルを最大限に生かせるまちに果たしてそれでなるのかということは、従前から都議会自民党としても疑問を呈してまいったところですけれども、既に築地まちづくりにつきましては、本年三月に事業実施方針が示されまして、一万人程度を収容する大規模集客機能や千人以上のボールルームを備えた国際会議場の機能の導入を核とするという要件を盛り込んでおります。
 なぜ、こうした機能を導入することが東京全体の価値の最大化につながると考えるのか伺います。

○飯塚築地まちづくり推進担当部長 本年三月に公表した事業実施方針では、事業のコンセプトといたしまして、水と緑に囲まれ、世界中から多様な人々を出迎え、交流により、新しい文化を創造、発信する拠点を掲げておりまして、この形成に向け、大規模集客交流機能や国際的な交流拠点にふさわしい会議や催しができる機能を導入することとしております。
 高い経済波及効果をもたらし、ビジネスやイノベーションの機会の創造や文化の発信等につながるコンベンション機能と文化、芸術、スポーツなど、発信力の高いイベントも行える大規模集客交流機能とを核として複合型の開発とすることで、導入する機能、相互の相乗効果が期待できると考えております。
 また、築地場外市場などの周辺地域との連携や、都心エリアや臨海部のコンベンション機能、エキシビション機能との連携などによる相乗効果により、東京の魅力と付加価値の向上に大きく資するものと考えております。

○小宮委員 当時、小池知事は築地は守るといった公約があって、そこから始まったこの築地のまちづくりであるというふうに思いますが、食文化という言葉を残して、核となるものは大規模集客機能を有する複合型開発ということで、かつて都民の抱いていた築地を守るというイメージと大分かけ離れた、いわゆる都市開発だなというふうに感じますけれども、もう実施方針も決まったところであります。
 東京都が土地を持ち続けて定期借地権を活用して、大規模集客機能や国際会議の機能などを導入していくというわけですけれども、ただ東京都が土地を貸し付けるというだけでは、皆さんのおっしゃる、都民に対して、七十年にわたって築地の土地、ポテンシャルが高いという、その築地の土地の価値の最大化を七十年にわたって図るということを担保できるのか、甚だ疑問であります。
 東京都は、今後七十年にわたりまして、この築地のまちづくりに責任を負うということになるわけですけれども、長期にわたるプロジェクトとなります。ここにいる皆、誰も七十年先残っておりません。東京都はどのように民間事業者の取組に今後関与して、東京都としての責任を果たしていくのか確認をしたいと思います。

○飯塚築地まちづくり推進担当部長 事業実施方針では、築地地域の特性やポテンシャルを生かし、新しい文化の創造、発信拠点の形成に資する取組が継続的に行われるよう、民間事業者が必要なマネジメントに取り組むことを事業の実施条件としております。
 また、築地場外市場などとのつながりに配慮することや、大・丸・有地区や臨海部などの周辺地域における様々な機能とも相乗効果を生み出せるように取り組むことを事業の条件としております。
 今後は、これらを踏まえまして事業者募集要項を作成、公表し、民間事業者の創意工夫を生かした提案を受け、事業実施方針の内容を実現してまいります。
 また、提案に基づく新しい文化の創造、発信のための施設等が、将来の変化にも柔軟に対応しながら的確に管理運営されるよう、継続して民間事業者との協議等を行ってまいります。

○小宮委員 次に、旧こどもの城を含みます神宮前五丁目地区のまちづくり、これについては、今後どのような都有地活用のまちづくりとなるかは、まだもちろん分からないわけですけれども、そのまちづくりに向けて有識者会議があって、提言集がまとめられました。
 その中に、ポストコロナのまちづくりという言葉がちりばめられている、度々出てくるわけですけれども、そうした視点、ポストコロナのまちづくり、これをいわゆる四敷地一体活用の今後の取組の中で生かしていくわけですけれども、まずは、その四敷地一体活用の今後の取組について確認します。

○吉野まちづくり推進担当部長 旧こどもの城及び周辺都有地の一体活用につきましては、今後、有識者に都や地元区も加わり、新たにまちづくりの検討会を設置いたします。
 検討会におきましては、新型コロナウイルス感染症の世界的流行も踏まえ、将来の不確実性を受け止められるようなしつらえや空間の可変性の確保など、有識者会議で提言された新たな視点も取り入れながら、具体的なまちづくりについて検討してまいります。

○小宮委員 旧こどもの城については、青山劇場ですとか児童厚生施設など、国の施設として長期間にわたり利用されてきたという歴史があります。その後、令和元年に東京都が国から購入しまして、都民の学習、スポーツ、企業の創業、人材育成などの場となる複合拠点を創出する改修計画を当時、これ財務局ですかね、立てたわけです。
 我々、我が会派としては、六年だか八年のことに百三十六億円かけて改修するのは反対だと、費用対効果の面でも当時意見を再三申し上げてきたところですけれども、その後、新型コロナウイルス感染症の流行など紆余曲折を経まして、この複合施設への改修の計画の実施が見送られるということになりました。
 こうした経緯があったものの、行政として今後、そのこれまでの取組というものをどう生かしていくのか確認しておきたいと思います。

○吉野まちづくり推進担当部長 都が令和二年に策定した仮称都民の城の改修基本計画においては、旧こどもの城が担ってきた役割を十分に踏まえ、遊び、学び、仕事を柱とし、子供をはじめとした都民が交流、成長できる施設を目指すことを整備方針としております。
 この改修基本計画は、庁内検討組織における検討や、都議会での議論、また、パブリックコメントを実施し、いただいたご意見などを踏まえ策定したものでございます。
 こうした経緯を踏まえ、仮称都民の城が目指す理念を生かしつつ、今後、都有地の一体的な活用に向け具体的なまちづくりについて検討してまいります。

○小宮委員 とにかく中途半端な箱物を造るのはやめてくださいということを、当時、財務局にも都議会自民党として申し上げてきたところでありますが、行政の継続性という意味で、特にまちづくりの部隊であります都市整備局さんとしては、実際現場に入ってこれからまちを開発していかなければならないという中で、既にこの間行ってきた地元の自治体さんとか民間、そういったところとの関係性というのは今後のまちづくりにとって、とても大事なことになってこようかと思いますので、そこは理解しなければならないというふうに思っています。
 ただ、それに加えまして、ポストコロナのまちづくりという話が出ているわけですが、ちょうどたまたまですが百年に一度といわれるコロナ禍で、あの施設がたまたま酸素・医療提供ステーションとして生かされたということもございました。
 そうした新たに生まれた役割でありましたけれども、このポストコロナのまちづくり、これ全体で捉えると、その間口は広いわけですけれども、そうした歴史や経験が生かされるまちをつくっていってほしいということを申し上げておきたいと思います。
 次に、小池知事は東京から電柱をなくすと掲げまして、無電柱化に取り組んでいらっしゃいます。
 令和三年六月に策定しました東京都無電柱化計画に示されている施策では、都道や臨港道路、島しょ地域の無電柱化や区市町村への支援強化というのは主に建設局や港湾局が行うものでありますが、都市整備局さんは、まちづくりの上での面的な無電柱化の取組、これを中心になって進めているわけです。
 そこでまず、都市整備局が進めている面的な無電柱化のうち、大規模なまちづくりの無電柱化の取組と実績について伺います。

○三宮市街地整備部長 都では、無電柱化計画において、まちづくりでの無電柱化の面的展開を施策の一つに位置づけ、都市再生特別地区では、開発区域を越えた周辺道路での無電柱化を公共貢献として評価し、赤坂二・六丁目地区での事例がございます。
 また、都市開発諸制度では、平成三十年度より開発区域内での無電柱化を義務づけるとともに、区域外の無電柱化を公共貢献として評価できることとしております。その事例としては愛宕地区がございます。
 さらに、土地区画整理事業においても、平成三十年度から補助制度を拡充し、無電柱化を推進しております。令和三年度には、区市町村が新たに施行する事業で都の補助を受けるものについては原則として地区内全ての無電柱化を義務化しており、江戸川区の南小岩七丁目地区において事業を進めております。

○小宮委員 民間事業者などが都市の開発に当たって、容積率の緩和など、東京都として無電柱化の推進を後押しするような要件の設定がなされているということですけれども、再開発とはいえ、既にそういったところは、先ほどもお話のあった赤坂や愛宕や大変都心部でありますから、既に無電柱化が進んでいるような地域ということも多くて、大規模な開発におけるそうしたこの事業の効果というのは、どうしても限定的になるところがあるというふうに思います。
 一方で、東京都では民間事業者による宅地開発、これも多数行われておりまして、これに伴い電柱が新設される場合も多いと思いますが、東京都は宅地開発の無電柱化について全国に先駆けて取組を行っていますが、その取組の内容と実績について伺います。

○池内防災都市づくり担当部長 都は、宅地開発における無電柱化について技術面、制度面の課題の把握と普及に向けた方策の検討を進めることを目的に、令和二年度にパイロット事業として設計費、工事費の補助制度を開始しまして、令和二年度は二件、三年度は三件の実績がございました。
 今年度からは、開発事業者の意欲を高めるため、国が新たに創設した補助制度を活用しながら、補助対象の上限額を一千万から二千万円に引き上げておりまして、現時点で申請一件、事前相談中が六件となってございます。
 今後も、実施事例を分かりやすく示しながら補助制度の周知を行うなど、宅地開発時に電柱が新たに設置されない取組を進めてまいります。

○小宮委員 都市整備局としての無電柱化の役割、面的なところを担っていただくんですから、よろしくお願いをしたいと思います。
 最後に、地震に関する地域危険度測定調査についてですけれども、これは東京都の震災対策条例に基づいて昭和五十年からおおむね五年ごとに実施されていまして、今回は去る九月に公表を第九回目がされていると。
 その評価結果の中では、建物倒壊危険量というのは、耐震化の推進、再開発などによって平均して二割減少していて、火災の危険量というのは、不燃化建て替えや道路を広くしたり、公園を造ったことによって平均して約五割減少していると。
 特に危険度ランクが高い地域で、それぞれの危険量が大きく減っているということが今回確認をされたわけです。
 都民や区市町村にとりましても、前回の危険度から耐震化や不燃化などの様々な、皆さんが一緒になってまちづくりの努力をしてくださっているわけですけれども、どれだけ自分の地域の危険度が改善したか、これがやはり気になるところだと思うんですが、その辺が、今回の調査内容の発表の中では、その改善度というものが、皆さん工夫されて色づけによって可視化をされると。
 改善したよということが分かるような取組、工夫をなさっているということはとても評価したいなというふうに思いますけれども、もともと五十年からの調査の中で、最終的に調査の評価の方法がランクを一から五の危険度に分けるというふうになっておりまして、これを町丁目ごとに相対的に比較するという方法になっているものですから、もともと危険度が高かったところ、杉並--私も杉並ですけれども、どうしても燃えやすいところというのはありまして、そういうところが改善はしたものの、ランク評価になると、ほかと比較して、やはり地域危険度のランクが相変わらず五のままという、数字的な相対評価だと結果が出てしまうということになっています。
 これは昭和五十年から調査を継続しているわけですが、この評価の方法について改善が必要ではないかと考えますけれども、見解を伺います。

○池内防災都市づくり担当部長 地域危険度は、都民に自分の住んでいる地域の危険性に対する認識を深めていただき、防災意識の高揚を図ることを目的として実施しております。
 今回の調査では、防災の専門家などの意見を踏まえまして、相対的な危険度の評価に加え、お話のありました危険量の変動についてもお示ししたところでございます。
 今後も、地域の危険性について分かりやすく都民に伝えられる評価の方法も含めまして、調査の在り方について専門家の意見も聞きながら検討してまいります。

○平委員 飯田橋の基盤整備について、簡潔に伺います。
 飯田橋駅東口の南側、JR線路沿いには大きな鯨の絵が描かれた壁があります。これは、殺風景だったコンクリートの壁を壁画で飾ろうと地元の皆さんが力を合わせて作成したものであり、いいだべえの名称で飯田橋のシンボルとして地元の方々に親しまれております。
 現在、飯田橋駅周辺では新たなまちづくりの機運が高まっており、都は令和元年に飯田橋駅周辺基盤整備方針検討会を設置して、都市基盤の再整備の検討を進めておられます。
 いいだべえの今後の在り方についての考えをお伺いいたします。

○朝山都市基盤部長 いいだべえにつきましては、制作から三十年余りが経過し、塗装の劣化などが見受けられます。
 現在、都は検討会を設置し、駅東口の混雑を課題の一つに挙げており、いいだべえの一部の区間を含めたJR駅構内の空間を広げることを検討しております。
 また、周辺では再開発の動きもあり、いいだべえは、これらの状況を踏まえ、関係者の中でその在り方を検討してまいります。

○平委員 地元に親しまれるいいだべえですから、地元の声も聞きながら検討いただくことを要望いたします。
 また、ご答弁いただきました飯田橋駅の東口は歩道が狭く、駅を出入りする人とまちを行き交う人が錯綜して混雑しており、とても快適とはいえない状況であります。また、駅前でありながら南側には待ち合わせをするスペースもないなど、様々な課題を抱えております。
 飯田橋駅東口のこうした課題について、現在どのような検討を行っているのかお伺いをいたします。

○朝山都市基盤部長 駅東口が抱える駅周辺の歩行者混雑対策及び不足している駅前空間といった課題について、飯田橋駅周辺の現況の歩行者交通量を調査するとともに、将来の都市開発などに伴う増加分も考慮し、駅周辺において必要な空間の規模や位置を検討しております。

○平委員 必要な空間の規模や位置を検討しているということでした。不足する歩行者空間の拡大を目指していただくよう要望いたします。
 基盤整備が必要な飯田橋駅東口の今後の方向性についてもお伺いをいたします。

○朝山都市基盤部長 歩行者の混雑や駅前空間の不足といった課題に対しまして、駅周辺のまちづくりと連携することで歩行者空間の充実を図り、駅と駅とのつながり、駅とまちとのつながりを強化し、安全でゆとりある駅前空間を創出してまいります。

○平委員 飯田橋駅周辺のまちづくりについては、千代田区、新宿区、文京区のそれぞれで動きがあり、千代田区側では東地区で再開発組合が設立され、富士見地区においても再開発の都市計画決定がなされるなど、ほかの区に先行して再開発プロジェクトが動き出そうとしております。
 こうした機会を捉えて、都市基盤の再整備に向けた取組を早急に進めるべきと考えますが、今後、千代田区側でどのように取組を進めていくのか、お尋ねをいたします。

○朝山都市基盤部長 千代田区側では再開発の準備が進められておりまして、例えば東地区の再開発では、検討会での協議、調整を踏まえ、開発区域内に歩行者のたまり空間の創出やバリアフリー機能を備えた視認性の高い地下鉄出入口を整備するよう関係者間で調整を進めております。
 都は、検討会での協議、調整をさらに進め、引き続き再開発の動向に注視し、関係者と連携を図りながら、飯田橋駅とまちが一体となった便利でにぎわいのある交通結節点の整備に取り組んでまいります。

○平委員 飯田橋駅東口には、JRのホームが西に約二百メートル移動したこともあって、まちの重心も西に移ってしまわないかという危機意識もあります。
 今後、複数の再開発事業や基盤整備が実施される際に、工事期間中の人や車の安全や動線の確保はもとより、まちが工事現場の仮囲いに覆われて殺風景になり、にぎわいが失われてしまうことにもならないように、計画段階から対策を考えておくことも重要と考えます。
 飯田橋のさらなる発展に向けて、駅とまちの一体的な再整備計画の具体化を早急に進めるとともに、地域特性に応じた駅周辺の整備を今後立ち上がってくる再開発事業としっかりと連携し、誰もが安全・安心、快適に利用できるまちづくりを着実に進めていただくよう要望をいたしまして、私の質疑を終わります。ありがとうございました。

○藤井委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市整備局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午前二時三分散会

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