都市整備委員会速記録第六号

令和四年五月二十七日(金曜日)
第五委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長宮瀬 英治君
副委員長鈴木 錦治君
副委員長尾崎あや子君
理事林あきひろ君
理事平けいしょう君
理事中山 信行君
松田りゅうすけ君
古城まさお君
渋谷のぶゆき君
原田あきら君
竹井ようこ君
本橋ひろたか君
柴崎 幹男君
山田ひろし君

欠席委員 なし

出席説明員
都市整備局都市整備局長福田  至君
次長小沼 博靖君
技監安部 文洋君
技監小野 幹雄君
理事谷崎 馨一君
総務部長打田 武彦君
都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務山崎 弘人君
都市基盤部長朝山  勉君
市街地整備部長三宮  隆君
市街地建築部長飯泉  洋君
連携・連絡調整担当部長住野 英進君
企画担当部長長尾 肇太君
まちづくり推進担当部長吉野 敏郎君
築地まちづくり推進担当部長飯塚 佳史君
まちづくり調整担当部長澤井 正明君
交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務三木  健君
防災都市づくり担当部長池内 光介君
多摩ニュータウン事業担当部長泉水  一君
担当部長末元  清君
横田基地共用化推進担当部長山田 裕之君
住宅政策本部本部長山口  真君
技監久保田浩二君
住宅企画部長越  秀幸君
民間住宅部長鈴木 誠司君
都営住宅経営部長青柳 一彦君
連絡調整担当部長今井 徳彦君
住宅政策担当部長浦口 恭直君
企画担当部長土屋 太郎君
技術企画担当部長中山  衛君
民間住宅施策推進担当部長越智 英明君
経営改革担当部長都築 裕樹君
都営住宅企画担当部長宮島 正次君
建設推進担当部長栗谷川哲雄君
営繕担当部長小林 秀行君
再編利活用推進担当部長木村 宣代君

本日の会議に付した事件
住宅政策本部関係
第二回定例会提出予定案件について(説明)
・令和四年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出 住宅政策本部所管分
・東京都営住宅条例の一部を改正する条例
・東京都福祉住宅条例の一部を改正する条例
・東京都小笠原住宅条例の一部を改正する条例
・東京都地域特別賃貸住宅条例の一部を改正する条例
・東京都特定公共賃貸住宅条例の一部を改正する条例
・都営住宅三H−一一五西(村山)工事その二請負契約
・都営住宅四H−一〇八西(多摩市諏訪四丁目)工事請負契約
報告事項(説明・質疑)
・令和三年度東京都一般会計予算(住宅政策本部所管分)の繰越しについて
・令和三年度東京都都営住宅等事業会計予算の繰越しについて
都市整備局関係
第二回定例会提出予定案件について(説明)
・令和四年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、債務負担行為 都市整備局所管分
・東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
・東京都建築安全条例の一部を改正する条例
陳情の審査
(1)四第一〇号 神宮外苑の歴史的景観と環境の保全に関する陳情
(2)四第一二号 旧築地市場跡地再開発に関する陳情
報告事項(説明・質疑)
・令和三年度東京都一般会計予算(都市整備局所管分)の繰越しについて
・令和三年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算の繰越しについて
・令和三年度東京都都市再開発事業会計予算の繰越しについて
・第二百三十八回東京都都市計画審議会付議予定案件について

○宮瀬委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 初めに、本委員会の担当書記に交代がありましたので、紹介いたします。
 議案法制課の担当書記の高橋純子さんです。
 よろしくお願いいたします。
   〔書記挨拶〕

○宮瀬委員長 次に、本委員会の会期中の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、住宅政策本部及び都市整備局関係の第二回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取、都市整備局関係の陳情審査並びに住宅政策本部及び都市整備局関係の報告事項の聴取を行います。
 なお、本日は、報告事項につきましては、説明聴取の後、質疑をそれぞれ終了まで行い、提出予定案件につきましては、説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いますので、ご了承願います。
 これより住宅政策本部関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、住宅政策本部長に山口真君が就任されました。
 山口本部長から挨拶並びに交代のあった幹部職員の紹介があります。
 山口真君を紹介いたします。

○山口住宅政策本部長 去る四月一日付で住宅政策本部長に就任をいたしました山口真でございます。
 私ども住宅政策本部職員一同、成長と成熟が両立した未来の東京の実現を目指し、新たな住宅政策を展開してまいりますので、宮瀬委員長をはじめ委員の皆様方には、ご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
 それでは、先般の人事異動に伴い就任いたしました当本部の幹部職員を紹介させていただきます。
 民間住宅部長の鈴木誠司でございます。連絡調整担当部長の今井徳彦でございます。住宅政策担当部長の浦口恭直でございます。企画担当部長の土屋太郎でございます。技術企画担当部長の中山衛でございます。民間住宅施策推進担当部長の越智英明でございます。都営住宅企画担当部長の宮島正次でございます。建設推進担当部長の栗谷川哲雄でございます。再編利活用推進担当部長の木村宣代でございます。当委員会との連絡に当たらせていただきます総務課長の土田文紹でございます。
 どうぞよろしくお願いいたします。
   〔理事者挨拶〕

○宮瀬委員長 挨拶並びに紹介は終わりました。

○宮瀬委員長 次に、第二回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○山口住宅政策本部長 令和四年第二回東京都議会定例会に提出を予定しております住宅政策本部関係の案件をご説明いたします。
 提出予定案件は、予算案が一件、条例案が五件、契約案が二件でございます。
 初めに、令和四年度補正予算案についてご説明申し上げます。
 お手元の資料1、令和四年度補正予算説明書をご覧ください。
 この補正予算案は、都営住宅等におけますウクライナ避難民等への光熱水費等の支援を行うため、必要な補正を行うものでございます。
 次に、条例案についてご説明申し上げます。
 お手元の資料2、令和四年第二回東京都議会定例会提出予定条例案説明資料の表紙をおめくりいただき、目次をご覧いただきたく思います。
 ご審議をお願いいたします条例案は、全部で五件でございます。
 一件目は、東京都営住宅条例の一部を改正する条例案でございます。
 二件目は、東京都福祉住宅条例の一部を改正する条例案でございます。
 三件目は、東京都小笠原住宅条例の一部を改正する条例案でございます。
 四件目は、東京都地域特別賃貸住宅条例の一部を改正する条例案でございます。
 五件目は、東京都特定公共賃貸住宅条例の一部を改正する条例案でございます。
 最後に、契約案についてご説明申し上げます。
 お手元の資料3、令和四年第二回東京都議会定例会提出予定工事請負契約議案の概要についてをご覧ください。
 武蔵村山市緑が丘などにおける都営住宅の工事請負契約議案が二件でございます。
 私からの説明は以上でございます。
 詳細には、住宅企画部長からご説明申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○越住宅企画部長 それでは、令和四年第二回東京都議会定例会提出予定案件の詳細につきましてご説明申し上げます。
 まず、令和四年度補正予算案につきまして、お手元の資料1、令和四年度補正予算説明書によりご説明申し上げます。
 一ページをお開き願います。住宅政策本部補正予算総括表でございます。
 この補正予算案は、ウクライナから避難された方々へ支援を行うもので、一般会計において四千八百万余円を計上してございます。
 二ページをお開き願います。一般会計の総括表でございます。
 上から順に、1、歳入予算及び2、歳出予算の科目別内訳並びに歳出から歳入を差し引いた3、一般財源充当額を記載してございます。
 五ページの歳出予算補正概要をお開き願います。第五項、住宅政策費でございます。
 補正予算額は表の上段、住宅政策費、歳出計の欄の中ほどにありますとおり、四千八百万余円を計上してございます。
 内容は右側、概要欄に記載しておりますが、これは、都営住宅等におけるウクライナ避難民等への光熱水費等の支援を行うものでございます。
 具体的には、ウクライナ避難民等の困窮状況を踏まえ、日常生活に必要不可欠なライフラインである電気、ガス、水道、下水道料金等に対して支援を実施するものでございます。
 次に、条例案につきましてご説明申し上げます。
 お手元の資料2、令和四年第二回東京都議会定例会提出予定条例案説明資料をご覧ください。
 三ページをお開き願います。東京都営住宅条例の一部を改正する条例案の概要につきましてご説明申し上げます。
 1、改正の理由でございますが、東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例の改正を踏まえ、東京都パートナーシップ宣誓制度等の証明を受けたパートナーシップ関係の相手方と同居していることや同居しようとすることを東京都営住宅の使用者の資格に加えるほか、所要の改正を行うものでございます。
 2、条例案の概要でございますが、使用者の資格に係る規定等を改めるほか、所要の改正を行うものでございます。
 四ページから五ページには条例案文等を、六ページから七ページには新旧対照表を記載してございます。
 次に、一一ページをお開き願います。東京都福祉住宅条例の一部を改正する条例案の概要につきましてご説明申し上げます。
 1、改正の理由でございますが、東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例の改正を踏まえ、東京都福祉住宅の使用名義者の変更の承認に係る規定に東京都パートナーシップ宣誓制度等の証明を受けた使用者のパートナーシップ関係の相手方を加えるほか、所要の改正を行うものでございます。
 2、条例案の概要でございますが、使用名義者の変更の承認に係る規定を改めるほか、所要の改正を行うものでございます。
 一二ページから一三ページには条例案文等を、一四ページから一五ページには新旧対照表を記載してございます。
 次に、一九ページをお開き願います。東京都小笠原住宅条例の一部を改正する条例案の概要につきましてご説明申し上げます。
 1、改正の理由でございますが、東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例の改正を踏まえ、東京都小笠原住宅の使用権の承継に係る規定に東京都パートナーシップ宣誓制度等の証明を受けたパートナーシップ関係の相手方を加えるほか、所要の改正を行うものでございます。
 2、条例案の概要でございますが、使用権の承継に係る規定を改めるほか、所要の改正を行うものでございます。
 二〇ページから二一ページには条例案文等を、二二ページから二三ページには新旧対照表を記載してございます。
 次に、二七ページをお開き願います。東京都地域特別賃貸住宅条例の一部を改正する条例案の概要につきましてご説明申し上げます。
 1、改正の理由でございますが、東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例の改正を踏まえ、東京都パートナーシップ宣誓制度等の証明を受けたパートナーシップ関係の相手方と同居していることや同居しようとすることを地域特別賃貸住宅の申込者の資格に加えるほか、規定を整備するものでございます。
 2、条例案の概要でございますが、申込者の資格に係る規定等を改めるほか、規定を整備するものでございます。
 二八ページから二九ページには条例案文等を、三〇ページから三一ページには新旧対照表を記載してございます。
 次に、三五ページをお開き願います。東京都特定公共賃貸住宅条例の一部を改正する条例案の概要につきましてご説明申し上げます。
 1、改正の理由でございますが、東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例の改正を踏まえ、東京都パートナーシップ宣誓制度等の証明を受けたパートナーシップ関係の相手方と同居していることや同居しようとすることを特定公共賃貸住宅の申込者の資格に加えるほか、規定を整備するものでございます。
 2、条例案の概要でございますが、申込者の資格に係る規定等を改めるほか、規定を整備するものでございます。
 三六ページから三七ページには条例案文等を、三八ページから三九ページには新旧対照表を記載してございます。
 最後に、契約案につきましてご説明申し上げます。
 お手元の資料3、令和四年第二回東京都議会定例会提出予定工事請負契約議案の概要についてをご覧ください。
 一ページには、件名、工事場所、契約の相手方、契約金額、工期、契約の方法、工事概要、提案理由をそれぞれ記載してございます。
 三ページをお開き願います。都営住宅三H−一一五西(村山)工事その二の概要でございます。
 中段に記載のとおり、住宅の総戸数は百三十戸、構造等は鉄筋コンクリート造、地上十階建てが一棟でございます。
 契約の相手方は株式会社コバ建設、契約金額は十二億六千六百三十二万円、工期は令和六年一月二十九日までとなっております。
 四ページに案内図と配置図を、五ページに平面図と断面図を添付してございます。
 七ページをお開き願います。都営住宅四H−一〇八西(多摩市諏訪四丁目)工事の概要でございます。
 中段に記載のとおり、住宅の総戸数は九十三戸、構造等は鉄筋コンクリート造、地上十二階建てが一棟でございます。
 契約の相手方は株式会社田中建設、契約金額は十一億三十九万六千円、工期は令和六年八月七日までとなっております。
 八ページに案内図と配置図を、九ページに平面図と断面図を添付してございます。
 以上で令和四年第二回東京都議会定例会に提出を予定しております案件の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○宮瀬委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○宮瀬委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。

○宮瀬委員長 次に、理事者から報告の申出がありますので、これを聴取いたします。

○越住宅企画部長 お手元の資料4、令和三年度繰越説明書によりましてご説明いたします。
 今回のご報告は、令和三年度予算の繰越明許費繰越及び事故繰越について、地方自治法施行令第百四十六条第二項及び第百五十条第三項の規定によりまして、議会にご報告するものでございます。
 資料の一ページをお開き願います。
 初めに、1、令和三年度繰越明許費繰越総括表でございます。
 一般会計及び特別会計の各会計別に、予算現額、繰越明許費予算議決額、翌年度繰越額及びその財源内訳を記載してございます。
 合計欄をご覧ください。
 予算現額の欄の右側の欄、繰越明許費予算議決額を記載してございますが、これが百九十五億五千六百万円であるのに対して、翌年度繰越額は九十八億八千九百万余円となってございます。
 財源といたしましては、その右に記載のとおり、国庫支出金、都債及び繰越金などを充当してございます。
 次に、2、令和三年度事故繰越総括表でございます。
 一般会計及び特別会計の各会計別に、支出負担行為額、翌年度繰越額及びその財源内訳を記載しております。
 合計欄をご覧ください。
 支出負担行為額が五億六千二百万余円であるのに対して、翌年度繰越額は四億五千八百万余円となっております。
 財源は、その右に記載のとおりでございます。
 ページをおめくりいただき、三ページ以降は事業別の内訳となっております。
 まず、一般会計でございます。
 五ページをお開き願います。繰越明許費繰越の番号1、住宅建設事業でございます。
 繰越理由は、都営住宅等事業会計における住宅建設事業の繰越しに伴い、その財源として繰越しをするものでございます。
 続きまして、七ページをお開き願います。事故繰越の番号1、住宅管理事業でございます。
 繰越理由は、都営住宅等事業会計における住宅管理事業の繰越しに伴い、その財源として繰越しをするものでございます。
 次に、都営住宅等事業会計でございます。
 一一ページをお開き願います。繰越明許費繰越の番号1、住宅建設事業でございます。
 繰越理由は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響等により、工事の調整等に日時を要したことによるものでございます。
 最後になりますが、一三ページをお開き願います。事故繰越の番号1、住宅管理事業でございます。
 繰越理由は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響等により、営繕工事において部品の調達等に日時を要したことによるものでございます。
 以上をもちまして、令和三年度東京都一般会計予算住宅政策本部所管分の繰越しについて外一件のご報告を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○宮瀬委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を一括して行います。
 発言を願います。

○竹井委員 よろしくお願いします。
 一点お伺いをいたします。
 都営住宅等事業会計の繰越しについては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響等によるものというご説明でした。
 長引くコロナ禍の中で、建設の現場では、感染拡大状況によっては一時的な中止を余儀なくされたこともあったと思いますし、資材についても、昨年来の品薄が今も続いているという報道も目にするところです。
 こういった遅れにつきまして、入居者や入居希望者など、都民への影響があったのかについて伺います。

○栗谷川建設推進担当部長 今回の繰越しにつきましては、コロナウイルス感染症の感染拡大の影響による工期延伸が主な理由でございます。
 まず、繰越明許費のうち公営住宅建設事業は、令和二年度以降、国土交通省の通知を受けて、事業所や建設現場における感染拡大防止の観点から、受注者からの申出に応じ、設計業務や工事を一時中止してまいりました。そのため、事業の一部に工期延伸が発生したものでございますが、居住者の移転時期の変更以外に影響はございません。
 また、小笠原住宅建設事業については、全体工程は変わらず、建て替え事業に伴い道路拡幅等を行う地域開発整備事業につきましても、都民生活に特段の影響はないものと考えてございます。
 事故繰越につきましては、計画修繕で取り替えている給湯器の供給に遅れが出ておりますが、居住者の生活に支障はございません。

○竹井委員 ありがとうございます。大きな支障は発生していないものと理解をいたしました。
 この長引くコロナ禍で、半導体不足などの課題もありますけれども、今後とも適切な対処をよろしくお願いいたします。
 終わります。

○宮瀬委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○宮瀬委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で住宅政策本部関係を終わります。

○宮瀬委員長 これより都市整備局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、都市整備局長に福田至君が就任されました。
 福田局長から挨拶並びに交代のあった幹部職員の紹介があります。
 福田至君を紹介いたします。

○福田都市整備局長 都市整備局長の福田至でございます。
 宮瀬委員長をはじめ委員の皆様方のお力添えをいただきながら、局事務事業の適切かつ円滑な運営を図るとともに、安全で快適な都市づくりを進めるため、一層の努力をいたす所存でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、去る四月一日付で異動のございました当局の幹部職員を紹介させていただきます。
 次長の小沼博靖でございます。技監の安部文洋でございます。同じく技監の小野幹雄でございます。航空政策・交通基盤整備・交通政策担当理事の谷崎馨一でございます。総務部長の打田武彦でございます。都市づくり政策部長で景観・プロジェクト担当部長を兼務しております山崎弘人でございます。都市基盤部長の朝山勉でございます。市街地整備部長の三宮隆でございます。市街地建築部長の飯泉洋でございます。連携・連絡調整担当部長の住野英進でございます。企画担当部長の長尾肇太でございます。築地まちづくり推進担当部長の飯塚佳史でございます。まちづくり調整担当部長の澤井正明でございます。交通政策担当部長で先端技術調整担当部長を兼務しております三木健でございます。防災都市づくり担当部長の池内光介でございます。多摩ニュータウン事業担当部長の泉水一でございます。担当部長の末元清でございます。横田基地共用化推進担当部長の山田裕之でございます。
 なお、基地対策部長の金子光博は公務のため、本日の委員会を欠席させていただいております。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○宮瀬委員長 挨拶並びに紹介は終わりました。

○宮瀬委員長 次に、第二回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○福田都市整備局長 本日は、令和四年第二回東京都議会定例会に提出を予定しております都市整備局関係の案件をご説明いたします。
 提出予定案件は、予算案が一件、条例案が二件でございます。
 初めに、令和四年度補正予算案についてご説明申し上げます。
 お手元の資料1、令和四年度補正予算説明書をご覧ください。
 この補正予算案は、東京都豪雨対策基本方針の早期改定に向けて、調査業務委託の債務負担行為として二千九百万円を計上するものでございます。
 続きまして、条例案についてご説明申し上げます。
 お手元の資料2、令和四年第二回東京都議会定例会提出予定条例案説明資料をご覧ください。
 まず、東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例案でございます。
 次に、東京都建築安全条例の一部を改正する条例案でございます。
 いずれも、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律の施行による建築基準法の改正に伴い、規定を整備するものでございます。
 私の説明は以上でございます。
 引き続き、詳細な内容につきまして、総務部長よりご説明いたします。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○打田総務部長 令和四年度補正予算案につきましてご説明申し上げます。
 お手元の資料1、令和四年度補正予算説明書をご覧ください。
 お手数ですが、一ページをお開き願います。令和四年度都市整備局補正予算総括表でございます。
 表の下段、合計の欄の中ほど、補正予算額の欄にありますとおり、今回補正予算額の計上はございません。
 二ページをお開き願います。一般会計の令和四年度都市整備局補正予算総括表でございます。
 今回の補正予算額につきまして、歳入予算及び歳出予算の科目別内訳並びに歳出から歳入を差し引いた一般財源充当額を記載していますが、いずれも計上はございません。
 続きまして、五ページをお開き願います。今回計上いたしました債務負担行為につきまして、期間、限度額、対象、理由を記載してございます。
 東京都豪雨対策基本方針改定調査業務委託につきましては、東京都豪雨対策基本方針の早期改定に向けて、二か年度にわたる調査委託業務を行うため、新たに債務負担行為として二千九百万円を計上するものでございます。
 以上で令和四年度補正予算案の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
 続きまして、条例案二件についてご説明申し上げます。
 お手元の資料2、令和四年第二回東京都議会定例会提出予定条例案説明資料をご覧ください。
 三ページをお開き願います。東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例案の概要につきましてご説明申し上げます。
 1、改正の理由及び2、条例案の概要でございますが、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律の施行による建築基準法の改正に伴い、規定を整備するものでございます。
 四ページには条例案文等を、五ページには新旧対照表を記載してございます。
 一一ページをお開き願います。東京都建築安全条例の一部を改正する条例案の概要につきましてご説明申し上げます。
 1、改正の理由及び2、条例案の概要でございますが、こちらも同じく建築基準法の改正に伴い、規定を整備するものでございます。
 一二ページには条例案文等を、一三ページには新旧対照表を記載してございます。
 以上で令和四年第二回東京都議会定例会に提出を予定しております案件の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○宮瀬委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○宮瀬委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。

○宮瀬委員長 次に、陳情の審査を行います。
 初めに、陳情四第一〇号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 整理番号1、陳情四第一〇号、神宮外苑の歴史的景観と環境の保全に関する陳情についてご説明申し上げます。
 お手元の資料、陳情審査説明表の一ページをご覧ください。
 陳情者は、千代田区の西川直子さん外三千九百六人でございます。
 陳情の要旨は、都において、歴史的意義と文化的景観を有する神宮外苑における樹木をはじめとした環境を守っていただきたいというものでございます。
 現在の状況でございますが、神宮外苑は、国民や競技者がスポーツに親しむ一大拠点であり、聖徳記念絵画館、イチョウ並木を中心として、緑豊かな風格ある都市景観が形成されています。
 一方で、スポーツ施設の老朽化、人々が立ち入れる緑を楽しめる空間の不足、歩行者空間の不足による混雑や連続的なバリアフリー経路の不足など、まちづくり上の課題を抱えています。
 都は、東京二〇二〇大会招致への動きなどを踏まえ、神宮外苑地区を世界に誇れるスポーツの拠点として再整備するため、長期計画に位置づけ、地区一帯のまちづくりに取り組むこととし、平成二十五年六月に地区計画の決定等を行いました。
 地区計画に定める目標の実現に向けて、都は、東京二〇二〇大会後を見据え、民間が事業主体となって進めるまちづくりを適切に誘導するため、学識経験者等から成る検討会を設置し、パブリックコメントも行った上で、平成三十年十一月に東京二〇二〇大会後の神宮外苑地区のまちづくり指針を策定いたしました。
 指針では、まちづくりの目標や誘導方針を示すとともに、民間による都市開発の機会を捉えたまちづくりと公園及び緑地の整備とを両立させ、早期の公園機能の発現とにぎわいの創出等を図る公園まちづくり制度の活用を想定し、活用要件等を示しました。
 民間事業者は、指針を踏まえ、公園まちづくり制度を活用した具体的な開発計画の検討を進め、令和二年二月に公園まちづくり計画を都に提出いたしました。都は、学識経験者の意見を聴取してこれを審査し、指針で示した活用要件に適合する優良な計画であると認め、令和三年七月に公園まちづくり制度を適用する旨を事業者に通知いたしました。
 民間事業者は、開発計画の説明会を実施した上で、令和三年七月に地区計画の変更の企画提案書を都に提出いたしました。
 都は、これを踏まえ、都市計画案を作成して縦覧し、広く都民の意見を聴取した上で、令和四年二月に都市計画審議会の議を経て、同年三月に地区計画及び都市計画公園の変更を行いました。
 今回の開発計画では、競技等の継続に配慮して、大規模スポーツ施設を連鎖的に建て替え、競技環境と観戦環境の向上を図るとともに、広場などのオープンスペースやバリアフリーの歩行者ネットワークを確保し、防災機能の向上を図ることとしています。
 また、歴史的、文化的価値を適切に継承するため、四列のイチョウ並木を保存し、絵画館の前庭部分は創建時の芝生の姿を基調として再整備するとともに、前庭に連なる中央広場等から成る緑空間を整備するなど、実質の緑の割合を増加させながら、開かれた庭として再生していくこととしています。
 既存の樹木については、樹木医の意見を聞きながら、樹木の状態などの詳細な調査を行い、極力保存または移植することとしており、民間事業者における今後の事業化や管理運営などの過程を通じて、都は、定期的な報告も受けながら、取組状況の確認などを行ってまいります。
 都は、こうした神宮外苑地区のまちづくりの経緯や概要について、都市整備局のホームページに掲載するなど、広く都民に情報提供を行っています。また、民間事業者においても、事業のホームページを立ち上げ、必要な情報発信を始めたところでございます。
 説明表三ページには、現況図と再整備イメージをおつけしております。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願いいたします。

○宮瀬委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○渋谷委員 神宮外苑のまちづくりについて伺います。
 昨今の報道では、樹木に偏重した取り上げられ方をされていますが、創建から百年近くがたち、施設の老朽化が進むなど課題がある中で、神宮外苑の魅力をさらに高め、次世代に継承していくためには、幅広い観点からまちづくりについて考える必要があります。
 まず、神宮外苑地区のまちづくり上の課題について、都はどのように認識しているか、改めて伺います。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 都は、民間によるまちづくりを適切に誘導するため、平成三十年十一月にまちづくり指針を策定しておりまして、その中で神宮外苑地区のまちづくり上の課題についても整理をしております。
 例えば、スポーツ施設等の老朽化や、競技環境、観戦環境の陳腐化、気軽にスポーツ等を楽しんだり人々が立ち入って緑を楽しめる空間の不足、歩行者空間の不足による混雑や連続的なバリアフリー経路の不足などの課題を示しております。
 なお、まちづくり指針の検討に当たりましては、有識者による検討会を設置いたしますとともに、パブリックコメントも実施し、広く都民の意見を聴取した上で策定しております。
 また、指針につきましては都市整備のホームページで公表も行っております。

○渋谷委員 まちづくりに当たっては、そうした課題解決を図りながら、神宮外苑地区をにぎわいあふれる緑豊かなスポーツの拠点として、さらに発展させていくことが重要です。
 今回のまちづくりによって、スポーツの環境はどのようによくなるのかを伺います。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 今回のまちづくりでは、老朽化した大規模スポーツ施設を競技の継続性に配慮して連鎖的に建て替え、競技空間の拡張などによる競技環境の向上と、バリアフリー動線の確保やゆとりある観客席の整備などによる観戦環境の向上を図ってまいります。
 また、地区全体で誰もが様々なスポーツなどに親しめる機会を創出していくこととしておりまして、例えば、中央広場では、誰もが参加できるスポーツイベントの開催等を実施することとしております。
 複合棟Bには室内球技場を整備し、多様なスポーツ交流を図るとともに、ラグビー場は全天候型の施設として、他の競技やイベントの開催など多目的な利用を図ることとしております。

○渋谷委員 オープンスペースやバリアフリーについては、どのようになるのか伺います。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 スポーツ施設の周辺には、人だまり空間の確保に配慮した広場状のオープンスペースを配置するとともに、野球場とラグビー場の間には、多目的に利用でき、広域避難場所としての防災性向上にも寄与する約一・五ヘクタールの中央広場を整備いたします。
 また、絵画館の前庭部分は、創建時の芝生の姿を基調とし、憩いの広場として再整備いたします。
 さらに、地下鉄駅と地区内のスポーツ施設や広場とを連絡するバリアフリー動線を確保するとともに、憩い、歩きたくなる質の高い歩行者空間を整備してまいります。

○渋谷委員 緑が減るように受け取っている人が多いようですが、緑の計画はどのようになっているのかを伺います。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 まず、既存樹木につきましては、事業者において本年四月から調査を開始しておりまして、樹木の状態など詳細な調査を行い、樹木医の意見も聞きながら、設計の工夫などにより、極力保存または移植することとしております。
 中央広場や各スポーツ施設の周辺に配置されますオープンスペースには、芝生や高木等による新たな緑を創出するとともに、適切に維持管理しながら樹木を育成し、神宮外苑の緑空間の充実を図る計画となっております。
 これらによりまして、事業者の検討案では樹木の本数は従前よりも増加することとなっております。また、事業者が提案した公園まちづくり計画では、緑の割合は二五%から三〇%に増加することとなっております。

○渋谷委員 既存樹木をできる限り保存、移植していただきたいと考えていますが、一方で、老木化による枝折れ、倒木など、安全性に課題があるとも聞いています。
 樹木や緑の保全の明治神宮のこれまでの取組を伺います。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 神宮外苑の樹木や緑は、その大半が明治神宮の所有地にございまして、樹齢の経過とともに樹勢が弱くなってきている樹木も少なくございません。
 明治神宮は、来街者の安全を第一に考え、定期的な剪定作業のほか、倒木や枝折れ、落下対策の対応など、必要に応じて、これまでも樹木の伐採を行い、新たな植樹を行うなど、適切に管理を行っていると聞いております。

○渋谷委員 明治神宮によって、長年、安全に維持管理をされてきたことが分かりました。
 都市の中の樹木は、人の手によって適切に管理する必要があると考えます。樹木の伐採に注目が集まっていますが、次の五十年、百年先を見据えて、新たな緑を育てることも重要であると考えます。
 そうした中ではありますが、神宮外苑の象徴である四列のイチョウ並木は大切に守っていかなければならないと考えます。
 四列のイチョウ並木について、野球場整備によりイチョウの根が傷められ、生育に支障が出ることを懸念する意見もあったようですが、イチョウ並木の保全に向けた対応についてを伺います。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 四列のイチョウ並木は、神宮外苑の象徴であり、その保全には万全を期すよう、昨日、知事名の文書で事業者に要請をいたしました。
 現在、環境影響評価の手続が進められており、その結果等も踏まえ、今後、事業者において、複数の樹木医の意見も聞きながら詳細な調査を実施するとともに、日影の影響なども考慮し、野球場の設計において、イチョウ並木への影響を及ぼさないように求めてまいります。

○渋谷委員 まちづくりによって、誰もが利用しやすく、安全・安心、快適で魅力的なまちに生まれ変わることが確認できました。
 こうしたまちづくりの魅力などについて、積極的に情報発信を行っていくことが都民の理解を得ることにつながっていくと考えますが、今後の取組を伺います。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 都はこれまでも、都市整備局のホームページに神宮外苑地区のまちづくりのサイトを開設し、経緯や概要について掲載するなど、広く都民に随時、情報提供を行っております。
 また、事業者においては、先日、ホームページを新設し、情報発信を開始したところでありまして、都は、まちづくりに対する都民の共感が得られるよう、具体的な整備計画や都民参画の取組などの詳細な情報を分かりやすく発信することを、昨日、文書により事業者に要請したところでございます。
 今後も、積極的、効果的な情報発信を行うよう、引き続き事業者に求めていくとともに、都といたしましても、まちづくりの魅力を発信するなど、都民の理解が深まるよう取り組んでまいります。

○渋谷委員 本日の質疑を通じて、まちづくりの意義が改めて確認できました。
 神宮外苑は、スポーツと緑の一大拠点として多くの都民に親しまれてきた場所であり、広く都民の理解を得ながら、まちづくりを推進してほしいと考えます。
 以上で質問を終わります。

○平委員 私からは、陳情四第一〇号に関する意見を述べさせていただきます。
 私ども会派は、かねてより自然と共生する東京の実現を強く訴えてまいりました。その観点からは、再開発では緑の総量が多くなり、そのエリアが育んできた様々な価値が適切に継承されるよう取り組むことが極めて重要です。
 先般行われた予算特別委員会において、我が会派は都に対し、神宮外苑地区の再開発においても、緑の総量が増加し、また、神宮外苑地区がこれまで育んできた歴史的、文化的価値が適切に継承されていくよう、都として民間事業者から定期的に報告を受けながら確認していくべきであると訴えました。
 それに対し、都からは、神宮外苑地区の歴史的、文化的価値を適切に継承することができるよう、民間事業者において緑空間を整備するなど、実質の緑の割合を増加させていくと同時に、都として、事業者から、今後の事業化や管理運営などの過程を通じて、定期的な報告も受けながら取組状況の確認などをしていくと答弁がございました。
 先週、五月十九日に公表された神宮外苑地区の開発事業者による報道発表によれば、首都東京の象徴となる四列のイチョウ並木の景観の保全や樹木については、状態等の詳細な調査を行い、極力保存、移植に努めること、また、新たな植栽に当たっては市民参加の植樹を実施するなど、良質な公園的空間を実現するための具体的な取組が示されました。
 都として、こういった事業者の取組状況を丁寧に確認していくこと、適切に情報を公開することを改めて求めるものであります。
 かつて、神宮外苑は、民間有志で結成された明治神宮奉賛会が整備主体となり、多くの人々の協力を得て造営され、都民が共感や親しみを抱いてきました。そういう外苑地区であるからこそ、再整備そのものの中で、広く都民、国民と共に新しい神宮外苑をつくっていくという観点が重要です。
 創建時の趣旨を踏まえて、都民の共感を得ながら、将来につなげていく取組を都としても行っていくべきであることを申し上げ、私の意見といたします。
 以上です。

○古城委員 陳情四第一〇号、神宮外苑の歴史的景観と環境の保全に関する陳情に関連して質問をさせていただきます。
 私は、神宮外苑に近接するところが地元でございますので、大番町跨線橋、大番町通跨線道路橋を渡りまして、JR、それから首都高を越えて明治神宮外苑の敷地内に至って、都道の四谷角筈線に沿いまして、国立競技場を右手に見ながら、聖徳記念絵画館、そして、昨晩はプロ野球の交流戦が延長戦までもつれ込みました神宮球場の熱量を感じながらイチョウ並木を散策する、そういう一人でございます。まさに神宮の森、こうしたことを日常的に実感をしているわけであります。
 昨年十二月十三日の本委員会で報告されました第二百三十六回東京都都市計画審議会付議予定案件のうち、これに関する神宮外苑地区地区計画及び明治公園に対する質疑におきましても、こうした視点、立場に立ちまして、都市整備局の皆様に見解を求めたところでありますので、本日は補足的に質問をさせていただきたいと思います。
 本日の陳情審査に当たり、陳情者の皆様が求めておられるのは、樹木をはじめとした環境を守る、こうした趣旨に関して、まずは樹木の保存について、これまでどのような経過を経て検討を進めてきたのか、お尋ねいたします。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 都は、平成三十年十一月に、民間によるまちづくりを適切に誘導するため、パブリックコメントを実施し、広く都民の意見を聞いた上で、東京二〇二〇大会後の神宮外苑地区のまちづくりの指針を策定いたしまして、四列のイチョウ並木の保全や、地区として一体感のある緑の景観と、質、量ともに優れた緑の整備などの方針を示しております。
 事業者は、この指針等を踏まえまして、実質の緑の割合を増加させる開発計画を具体化し、説明会を実施した上で、令和二年二月に公園まちづくり計画を都に提出いたしました。また、令和三年七月には、地区計画の企画提案書を都に提出し、併せて環境影響評価書案を作成し、提出をいたしました。
 同年八月には、事業者が環境影響評価書案の縦覧及び説明会を実施しておりまして、その中で、樹木の保存、伐採等の計画を示し、この環境影響評価書案については、環境局のホームページにおいて公表もされております。
 都は、事業者から提出されました企画提案書を踏まえまして、都市計画の案を作成し、同年十二月には、都市計画の案の縦覧に加え、説明会を実施し、広く都民の意見を聴取した上で、令和四年二月に都市計画審議会の議を経て、同年三月、地区計画等の変更を行っております。
 このように、複数回にわたり説明会を行い、意見を聞く機会を設けるなど、関係法令等に基づき適切に手続を進めてまいりました。

○古城委員 ただいまのご答弁では、時系列でご答弁いただきましたけれども、それぞれの出来事の主体が都であるケースと事業者であるケースが混在をしております。
 なので、ちょっとすみません、整理というか、確認のために幾つか質問させていただきたいんですけれども、陳情の理由の中に、精査、検証を行い、都民や国民に対して十分な説明を行った上で、再開発事業を検討する必要がある、このように挙げておられます。この点について、念のためでありますけれども、再開発事業の内容を具体的に検討するのは誰なのか、お答えください。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 再開発事業の内容を検討するということでございますので、再開発を実施する事業者が検討することになります。

○古城委員 続けて確認させていただきたいんですが、東京都は今回の再開発において事業主体なのでしょうか。お答えください。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 今回の再開発の事業主体は、明治神宮、日本スポーツ振興センター、伊藤忠商事、三井不動産でございます。

○古城委員 事業主体は、あくまで今挙げた四者であるということであるということでございましたけれども、先日のテレビ番組にご出演なされていた千葉商科大学の原科幸彦学長は、手続上の瑕疵はない、このように番組内で評価をされておりましたけれども、そうしたこと以外に、都が事業主体に対して関与する余地があるのかという点なんですが、そうした課題の認識の中で、原科先生は情報提供の質の問題を挙げておられます。
 こうしたお話を伺いますと、都が果たす役割と責任の一つには、事業者に対して情報発信や説明などを求める声があるんだと、そうした声に応えるべきであると、都が事業者に強く求めていくことが考えられる、そのように思うわけであります。
 今回の都市計画審議会の議の前に報道等で、神宮外苑、それから樹木伐採、そして高層ビル建設、こうした報道がまずなされました。単に見出しであるとか、一部の情報であるとかだけを見たり聞いたりいたしますと、神宮外苑、やはり思い浮かべるのはイチョウ並木であります。イチョウ並木が伐採をされて、そこにビルが建てられるのではないか、こういうふうに、私の下にもご不安、ご心配の声をお寄せいただいた方々がたくさんいらっしゃいます。
 そこで、繰り返しで恐縮ですけれども、イチョウ並木について、私の思いも含めてお聞きいただければと思います。
 このイチョウ並木は、神宮外苑から青山通りに出るまでの約三百メートルの車道の両側に幅広い歩道があり、白亜の絵画館をバックに、四列に整然と巨木が連なる見事なイチョウ並木であります。
 天をついて真っすぐ伸びる木々は、四季折々に違った顔を見せてくれております。今は風薫る五月でありまして、みずみずしい、命がみなぎる、そうした、青空へと勇んで伸びていく目の覚めるような緑色から、この後、もえぎ色、さらには秋には輝くばかりの黄金、金色に染め上げられて、冬にはそれが黄金のじゅうたんとして敷き詰められるわけであります。
 昨日も、このイチョウ並木を通りまして、ランニングをする人であるとか、手をつなぎながら家族で団らんをする人、また、ベンチも設けられておりますので、そこで読書にふける方、また、恐らくこれから挙式を挙げられるであろう方々が写真をお撮りになっている、そうした場所であるわけであります。
 したがって、ここは都会の喧騒というものは感じられる場所ということではなくて、四季折々の顔を持つわけでありますから、それぞれ一人一人、イチョウ並木、また、神宮外苑に対して思い入れがある方々にとって、イチョウ並木は忘れ得ぬ道であって、また、それぞれの歴史の道であるというふうに私は感じております。
 そして、このイチョウ並木を造成するために指揮を取られたのが、日本近代造園の師とうたわれる、当時、外苑庭園主任技師だった折下吉延博士であります。木々の高さが道の勾配に合わせて絶妙に整えられて、遠近法を用いたその景観は世界に誇るべきものであります。
 これまでも申し上げてまいりましたように、白亜の絵画館をバックにする、いわゆるビスタ景、これも大変重要でありますけれども、私は地元が新宿でございます、新宿から参りますと、絵画館を背に青山通りに向かって見るイチョウ並木も、これまた、少しばかり見下ろす形になりますけれども、大変美しい趣のあるものであります。
 したがいまして、四列のイチョウ並木は神宮外苑の中でとても大切で守るべきものであり、将来においても保全していくべきであると考え、十二月の都市整備委員会、そして二月の都市計画審議会においても、この点を当時の都市づくり政策部長に答弁をいただいたわけであります。
 そして、今般、野球場とこのイチョウ並木との間隔が少なく、イチョウ並木が維持保全できないのではないかであるとか、イチョウ並木をバックとする野球場のフェンスが、その景観に多大な影響を及ぼすのではないかなどの懸念される声も聞かれております。
 こうしたイチョウ並木への影響に対しても適切に対応すべきと考えます。保全の点と併せて見解を求めます。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 四列のイチョウ並木につきましては、神宮外苑の象徴であり、その保存には万全を期すよう、昨日、事業者に対して知事名の文書で要請したところでございます。
 現在、環境影響評価の手続が進められており、その結果を踏まえまして、今後、事業者において、複数の樹木医の意見も聞きながら詳細な調査を実施し、野球場の設計において、イチョウ並木への影響を及ぼさないような検討を求めております。
 野球場のフェンスにつきましては、今後の設計において、フェンスの形態や色彩、素材などについて、イチョウ並木と調和したものとなるよう、事業者に検討を求めております。

○古城委員 環境影響評価の手続においてもという答弁も今ございました。
 先ほど来申し上げておりますとおり、東京都として事業主体に対してしっかりと強く求めていく、こうした方針を堅持していただきたいというふうに思います。
 そして、イチョウの原産地はお隣中国であるともいわれております。このイチョウは、漢字では公の孫の樹木の樹、公孫樹と書かれる場合もあります。これは一説には、イチョウが二億年の時を超える長寿の木であり、そうしたことから、自らが植えたイチョウの実を収穫するのは孫の代になる、こういう伝承によるものだそうでございます。
 先ほどの折下吉延博士をはじめ、イチョウの木を植えられ、手入れをし、大切に守り抜いてこられた先人たちに、やはり敬意を表さなければならないと思います。
 野球場ができるとして、四列のイチョウ並木の西側には、現在、港区道と都道の接道部分に二列、八本のイチョウを植えられるスペースがあります。現在の秩父宮ラグビー場の東側、かつての旧女子学習院正門前のこの区道沿いにある二列、十八本のイチョウ並木は、野球場の計画地と重なることから、今申し上げましたスペースに移植をすることも一案として考えられるのではないか、こうした声も伺っております。
 こうした点も、ぜひとも先人たちに敬意を表する観点から、都として事業者に検討を求めていただきたいと要望をさせていただきます。
 関連して、既存樹木についてであります。
 今、一般的に樹木はいつまで残せるのか、それから、自然環境において望ましい樹齢は一体どれほどなのか、さらには、伐採されるとされるエリアの樹木の移植は物理的に可能なのか、こうした点の調査や、また、その情報提供が求められている、このように感じます。
 そこで、既存樹木の保存についてお答えいただきたいと思います。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 既存樹木につきましては、複数の樹木医の意見も聞きながら、樹木の状態などを詳細に調査、公表し、設計の工夫などにより、極力保存または移植するよう求めております。

○古城委員 先ほど渋谷委員の方からもお話があった点に重なりますが、老木化による枝折れであるとか倒木などから、来街者、また、都民の方、国民の方、皆様の安全を図るために、守るために、明治神宮さんの方で様々な取組をされていると。剪定作業であったり、また、これまでも伐採、植樹をされている、こういったお話もありましたけれども、例えば、いわゆる雑木林の代表例として考えられるのは、皇居東御苑が挙げられるというふうに思います。
 大変、生物多様性にも富み、自然豊かな場所でありますけれども、この雑木林というのは、決して雑然とそこに生えている木々をいうのではなくて、長い時間をかけて丁寧に、専門家、また、知見のある方々、思い入れのある方々が、どういった木々を植えていけばいいのか、また、光の関係であるとか、水の関係であるとか、土の関係であるとか、そうしたことを丁寧に研究を重ねながら、まさに次の世代へ受け継いでいくために、この雑木林を守り抜かれているわけであります。
 そうした意味においても、明治神宮の皆様においても、これまで百年間、こうしたお取組をされてきたのだろうというふうに推察をするわけでありますけれども、それとともに、新たな緑の創出によって、緑や環境の拡充を図ることも喫緊の課題であると考えます。
 三月の予算特別委員会では、森林について、成長期であるとか成熟期であるとか、そうしたことについての認識も示されていたなというふうに記憶をしておるんですけれども、今もその認識についてお変わりがないのかということも含めて、取組内容についてお尋ねをいたします。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 中央広場や各スポーツ施設の周辺に配置されるオープンスペースには、芝生や高木等による新たな緑を創出するとともに、適切に維持管理しながら樹木を育成することで、地区全体のCO2の吸収量も向上させていくなど、神宮外苑の緑空間と環境の充実を図る計画となっております。
 既存樹木の保存、移植と併せ、新たな緑を創出することで、事業者の検討案では樹木の本数は従前よりも増加することとなっております。また、事業者が提案しました公園まちづくり計画では、緑の割合は二五%から三〇%に増加することとなっております。
 なお、林野庁によればということですけれども、成長期の若い森林ではCO2をどんどん吸収する一方、成熟した森林になると全体として吸収能力は低下していくとのことでございます。

○古城委員 今のご答弁を伺いますと、環境影響評価の手続に関わる部分、それから、今後の大きく次の百年、新しい百年を目指していく中での取組の部分、様々重なる部分があろうかと思うんですが、既存樹木をしっかりと調査をしていく、また、その情報を発信する、提供していく、これはやはり先ほど来申し上げておりますとおり、都において、事業主体、事業者に対して強く強く求めていくことが大変大事であるというふうに思います。ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 次に、今般の再開発の事業スキームについてであります。
 報道によりますと、野球場の修繕に多額の費用がかかることから、それを民間事業者が助ける、そうした見返りに高層ビルが建てられるとのことでありました。
 ほかでは講じていないような都市計画上の工夫を図ったのか、もし仮にそうであるとするならば利益誘導になりかねない、そういう懸念もあるわけでありますけれども、そうしたことはこれまでにもあったのか、また、今後同様のケースがあった場合には認められるのか、様々な論点が湧いてまいりますけれども、やはり便宜供与、そういう印象を与えないように、そう思われないように、また、計画に水を差すかもしれない、そうした点を十分に留意をしていくべきであるというふうに考えます。
 これはやはり、都においても事業者主体にとっても同様であると思うわけでありますが、今回の開発では、公園まちづくり制度や容積の適正配分が活用されているわけですけれども、これらはこの神宮外苑地区にのみ適用できる特別なものなのか、また、今後も公園まちづくり制度の活用は想定されるのか、これらの点について説明を求めます。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 まず、公園まちづくり制度でございますが、この制度は、センター・コア・エリア内にある長期未供用区域を含む都市計画公園、緑地において、民間開発の機会を捉え、まちづくりと公園、緑地の整備を両立させながら、地域の課題解決を図り、公園的な空間を創出、確保するものでございます。
 この制度の対象は、今回の明治公園を含め三十九の公園がございまして、今後も、地域の課題やまちづくりの動向を踏まえ、民間事業者の提案は予想されているところでございます。
 また、本地区で適用しております容積の適正配分の特例は、再開発等促進区を定める運用基準に基づき、市街地環境の向上に貢献する優良な計画において適用できる制度でございまして、これまでも複数の地区で適用されております。

○古城委員 今後も、この公園まちづくり制度の活用は想定されるのでしょうか。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 公園まちづくり制度につきましては、今後も、地域の課題やまちづくりの動向を踏まえ、民間事業者の提案は想定をされております。

○古城委員 先ほどこの質問の冒頭に当たりまして申し上げました印象や、また、便宜供与でないかと思われる、そうしたことがないように、しっかりと説明を果たしていく、これは大事な責務、責任だろうというふうに思います。ぜひとも、すみません、同じ表現になってしまいますが、十分に留意をして、今ご答弁いただきましたけれども、今後の想定される部分についても、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 次のテーマでございますが、この計画地内に今ございます、草野球の聖地であります軟式野球場についてです。
 皆様よくご承知のとおり、ダイヤモンドが六面も取れまして、六面もありますから試合を同時進行できることから、各種大会に大いにこれまで活用されてきましたし、また、南側になりますけれども、隣接する室内球技場で練習する東京ヤクルトスワローズ、プロ野球選手が間近に望めたり、時には、この六面の一つの人工芝のコブシ球場でヤクルトの選手がアップをしている、こうしたこともある。中には、選手から声をかけられたということで、喜びの声をお聞かせいただいたことも私もございますけれども、野球人にとってこれは本当に垂涎の環境でありまして、他に例のない運動施設であります。
 しかし、再整備の計画によりこうした環境が失われてしまう、こういうことが懸念されることから、機能の存続を求める声が数多く寄せられております。
 今後は、できれば数面でも残すような形で整備をしたりであるとか、また、せめてこの工期の中で、可能な限り今の軟式野球場を利用ができるように工事の工夫はできないか、そうした取組も検討していくべきと考えますけれども、いかがでしょうか。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 都民からの軟式野球場に関する声につきましては、事業者にもお伝えをしているところでございます。
 都といたしましては、ただいま委員の方からもお話ありましたように、絵画館前の広場の整備に際しまして、可能な限り長い期間、軟式野球場の利用が可能となるような工事工程の検討を事業者に求めてまいります。
 また、野球場の閉鎖後は、周辺の軟式野球場の情報を提供するなど、軟式野球場の利用者に対して丁寧な対応を行っていくよう、事業者に求めてまいります。

○古城委員 ぜひともこの工事工程の検討を事業者に対して求めていただくということ。また、情報提供ということも今答弁をいただいたところでありますが、例えば、事業者において、工夫をしながら近接地でそうした場所を確保していく。今あるものの情報提供ということでなしに、そうした声を受け止めた事業者側の何か知恵であるとか、思いであるとか、そうしたものが具体化するようなことも期待をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 最後に、新しい百年に向けた都民、国民の参画の在り方についてもお尋ねしてまいりたいというふうに思います。
 これまでの報道では、有識者の方々から、行政が公金で支援をすることを求める主張も見られております。例えば、先ほどもご紹介した原科先生は、この場所が公共性が高いことから、公的サポートをして、国民、みんなボランティアすることをおっしゃっておられましたし、また、元東京農業大学学長で福井県立大学の進士五十八前学長は明治神宮の総代でもあられますけれども、国や都で外苑の開発権を買い上げるであるとか、また、国や都による神宮の森保全基金の造成を提案しておられます。
 こうした点については、かなり実現可能性が−−それを見通していくことは困難ではないかなと、憲法上、法律上のクリアしていかなければいけない点もあるのかなと思うわけでございますけれども、やはり今回の陳情も含めまして、広く都民の方々、また、地域住民の方々、そして、冒頭にも確認をさせていただきましたけれども、権利者、事業者、事業主体の方々がこの新しい百年を展望していくビジョンを共有するなど、広く都民の参画を得て、神宮外苑地区のまちづくりを進めることが重要であると考えますけれども、見解を求めます。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 神宮外苑は、国民からの献金、献木などによって、都民に開かれた庭として造営されたものでございます。今後のまちづくりにおきましても、こうした歴史を踏まえ、多くの都民の参画を得ながらまちづくりを進めていくことが重要と考えております。
 このため、都は昨日、知事名の文書によりまして、外苑の成り立ちを踏まえ、再整備に当たっても幅広い都民参画に取り組むよう事業者に要請いたしました。
 また、事業者においては、先日、ホームページを新設し、情報発信を始めたところであります。都は、まちづくりに対する都民の共感が得られるよう、具体的な整備計画や都民参画の取組などの詳細な情報を分かりやすく発信することを併せて要請いたしました。
 今後も、積極的、効果的に情報発信を行うよう引き続き事業者に求めていくとともに、都としても、まちづくりの魅力を発信するなど、都民の理解が深まるよう取り組んでまいります。

○古城委員 広くエンゲージメント、いわゆる参画感を醸成していく大変大事な視点であるというふうに思います。様々なご意見、ご要望が寄せられている中で、そうしたご意見、ご要望をしっかりとお聞きをして、事業を捉え直していく。そうした視点を事業者が持つ。しっかり事業者が責任を持って、そうした声を受け止めていく。これは、やはり都として事業者に強く強くいっていくべきだと思います。
 今回の再整備の完了は二〇三五年から二〇三六年にかけてが予定をされておりまして、大変長期にわたる計画です。したがって、都においては、この次の百年とうたわれる計画だからこそ、広く都民にこの期間待ち望まれて、誇りを感じることができる、東京の象徴である、未来の東京を開く、そうした場所なんだ。そうした場所とすべく、事業者に対して申し入れていくべきであるということを付言いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○原田委員 ほんの半年前の十二月十四日、忘れもしない極寒の青山高校の体育館で、暖房もないまま三時間に及んだ神宮外苑地区地区計画の住民説明会。百五十人ほどの人々が次々と再開発に対する懸念を表明しました。説明会が終わってからも、がたがた震える体を押して何人もの人たちが集まり、連絡先の交換をしていました。そのつながりから、神宮外苑を守る有志ネットが発足し、私は都市計画審議会委員ですけれども、その有志ネットの皆さんから丁寧な書簡を受け取りました。神宮外苑の歴史的な経緯、そして、その価値に私も深く傾倒し、この間勉強させていただきました。
 外苑の運動は、有志ネットの活動を皮切りに様々な方々がそれぞれ個性的に展開され、日本在住アメリカ人のロッシェル・カップさんという方が集めたネット署名は六万筆の段階で小池都知事に提出されましたが、そのほか、地元の高校生が集めた署名も六千筆という規模で提出されています。
 多くの新聞や週刊誌が千本の樹木伐採について取り上げ、最近では都市再開発そのものの在り方について議論が発展し始めています。
 五月二十日にはNHKの番組、首都圏情報ネタドリ!で神宮外苑再開発が報道され、また大きな世論が形成され、この数日、保守論客の方々もネットで拡散し、ロッシェルさんのネット署名はここに来て新たに、数日で二万筆近くの方が署名しています。
 本陳情に賛同する署名も短期間の間に三千九百筆を超えています。その署名は、多くが都内はもちろんのこと全国から郵送されてきたものということでして、全ての会派の議員がその束を見せていただいたと思いますが、私も見て本当に驚きました。封筒に入れて送付するという手間もお金もかかる作業であるにもかかわらず、これだけの署名が短期間に集まっているわけです。
 まさに神宮外苑創建当初の全国からの献木運動を想起させるような動きだと思います。神宮外苑は都民の宝であると同時に、もはや国民的な文化財だといって過言ではないと思います。
 そして、昨日、環境影響評価審議会において、環境破壊への対策の議論も情報提供も不十分とし、当初予定していた総括を行わず、継続審議となる前代未聞の事態が発生しています。
 こうした都民の外苑再開発に対する批判の声は非常に強いものがあると思いますが、都は現在どのように受け止めているのか。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 今回の神宮外苑のまちづくりは、創建の趣旨や歴史を踏まえ、にぎわいあふれる緑豊かなスポーツの拠点としてさらに発展させていくものであります。
 既存の樹木については、一本一本を大切に扱い、樹木の状態など詳細な調査を行って、極力移植または保存するよう事業者に求めております。
 また、まちづくりに対する多くの都民の共感が得られるよう、具体的な整備計画などの詳細な情報を分かりやすく発信するよう事業者に求めております。

○原田委員 先ほど他の委員から、絵画館から青山通りを望む景観もすばらしいという発言がありましたが、まさにその景観も実は創建当初重視されて造園されたと指摘する専門家の方がいらっしゃいます。
 まさに今回の計画で、それこそ絵画館の方から青山通りに向かうイチョウ並木、その右に超高層ビルや球場の防球ネット、巨大パネル、球場ホテルが視界を汚していくわけです。
 都市整備局の皆さん、よく聞いていただきたいと思うんですけれども、外苑は、その歴史的経緯とともに、全国からの献木と勤労奉仕、百年以上を見据えた壮大な造園計画に基づいてつくられており、一掃して新しいものを植えればそれでいいという話ではありません。一部の企業や明治神宮だけで勝手に改変していい土地ではありません。都民や有識者の皆さんが強く発している良識の声に、いま一度耳を傾けるべきだということを冒頭申し上げるものであります。
 日本共産党都議団は、四月二十六日に記者会見を行い、情報開示請求によって入手した幾つかの重要な資料を公開しました。その中の一つ、地区計画企画提案書という資料が出てまいりました。
 そこでお聞きします。四月二十五日に情報開示された地区計画企画提案書には、樹木の面積や新植に関する詳細な記載がありましたが、都は、これを昨年七月に入手し、把握していました。住民説明会でも都市計画審議会でも、この資料に基づく説明をしなかったのはなぜですか。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 お話の資料は地区計画企画提案書の一部でございまして、事業者が行う緑化計画について東京都再開発等促進区を定める地区計画運用基準等のうち、緑化面積の基準に適合するか否かを確認するためのものでありまして、伐採や移植の本数を示したものではございません。

○原田委員 その資料がまさに必要だったんじゃありませんか。見てくださいよ。これは、今回の新施設の周りにどういう既存の樹木が残っているのか、新しい樹木はどういうふうに植えるのか、面積ベースで全部書いてあるじゃありませんか。これ去年の七月にあなたたち持っていたんですよ。住民説明会でも、私が都市計画審議会で求めても、こういう資料を出してこなかったんでしょう。
 改めて指摘しますが、この資料には、どの樹木が残るのか、そして、新しく植える樹木や芝生などの位置や面積などが、新ラグビー場や野球場、軟式野球場跡に建てられるテニスコートなど、施設ごとに詳細に記されています。翻ってどこの樹木がどれだけ伐採されるのか分かるわけですよ。
 事実、その後事業者は新宿区の都計審に、伐採する樹木の本数まで正確に分かる資料を提出しています。その基になった資料でしょう。ここまで詳細な計画図が東京都や事業者から出てきたのは初めてのことでした。
 樹木千本の伐採が行われることを告発した中央大研究機構の石川幹子教授は今年一月、自分の足で、計画にさらされる外苑の全ての樹木を調査し、大量の伐採を突き止めました。ところが、都や事業者は、そのことをより容易に把握できる資料を昨年七月には入手していたのに、誰にも見せてこなかったわけです。そういう姿勢が計画への都民の信頼をいまだに勝ち得ていない原因になっているんじゃありませんか。
 都及び事業者は、盛んにイチョウ並木の景観は保存するといってきましたが、実際には、現秩父宮ラグビー場に向かう十八本のイチョウ並木については、計画による重大な被害を隠してきました。
 これまでイチョウ並木は保存するといってきましたが、秩父宮ラグビー場に向かうイチョウ並木、いわゆる兄弟木については伐採されることになります。都はこのことについて都民に対してしっかりと説明をしていませんが、それはなぜでしょうか。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 都といたしましては、これまで四列のイチョウ並木については保存することを説明しております。お話のイチョウ並木を含め既存樹木については、今後、詳細な調査を実施し、極力保存または移植するよう事業者に求めております。

○原田委員 この期に及んでも、まだそんなことをいっているんですか。兄弟木についても、まるで移植、保存される可能性があるかのようにほのめかしましたが、これも我が党の情報公開請求で出てきた資料なんですけれども、公園まちづくり制度に基づく神宮外苑地区まちづくり計画、公園まちづくり計画提案書というものなんですけど、ここに何て書いてあるか。こう書いてあります。
 適切な根鉢確保が難しいため、港区道一一〇七号線沿いのイチョウ並木、イチョウの移植は困難であると考えられる。
 兄弟木のイチョウ並木について移植は困難とはっきり書いてあるじゃないですか。でたらめな答弁やめていただきたいんですね。何が今後の調査を実施し、極力保存または移植だと。
 都はこの資料を持っていたんですよ。移植は困難と書いてあることを知らなかったんですか。お答えください。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 お話のイチョウ並木につきましては、今後、詳細な調査を事業者において実施し、極力保存または移植に努めるよう求めておるところでございます。

○原田委員 質問に答えていません。皆さんが極力保存、移植を求めていくというふうに答弁しているんですが、実際には事業者は移植は困難とはっきり書いていると。そして、この資料は、皆さんはもうずっと前から持っているんです。
 どうなんですか。この資料を持っていたけど知らなかったんですか、書いてあることを。それとも、知っていながら、まるで移植が可能かのような答弁をしていたということですか。はっきり答えてください。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 繰り返しの答弁になりますが、お話のイチョウ並木につきましては、今後、詳細に調査を実施し、極力移植するよう事業者に求めております。
   〔発言する者あり〕

○原田委員 ただいま、自民党の委員の方が後ろから、東京都は事業主体じゃないからしようがないんだという発言がありましたが、違うんです。東京都は、その事業者からこの資料を得て、移植は困難だと事業者がいっていることを知っていたんです。ところが、都民に対して十八本のイチョウ並木、兄弟木については、これから調査をして、極力保存ができるように努めていくようにいってみるというふうに−−これ虚偽答弁じゃありませんか。
 どうするんですか、これ。今、先ほど皆さんが行った答弁が、実はこの資料によって、まるで虚偽のような答弁だったということが分かりました。局長、どうするんですか、これ。知っていたんですか。このイチョウ並木十八本は、兄弟木は切られるということを知っていたんですか、局長は。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 お話のイチョウ並木の取扱いにつきましては、この事業者の計画によることになりますが、都におきましては、今後、詳細な調査を実施し、極力移植をするよう求めているところでございます。

○原田委員 知っていたんでしょう。移植は困難と書いてあったこと。
 都民や議会に情報を提供しない不誠実な事業者。都民が情報を持っていないことをいいことに、まるで移植が可能であるかのような答弁をする東京都。そういう姿勢こそ本陳情は改善を求めているんじゃありませんか。
 保存するとしているイチョウ並木についても全く安心できません。報道によれば、昨日の環境影響評価審議会でも、専門家の委員からのイチョウ並木に与える影響について評価できているのかとの質問に、事業者は、今の時点で影響がないともいえないし、あるとも回答しかねるなどと答えたと。不安しかありませんよ。
 東京都環境審議会では、イチョウ並木と新神宮球場の距離について、根茎の保全上、非常に不足している、日照の影響なども懸念されると指摘されるなど、多くの専門家から、イチョウ並木への影響を危惧する声が上がっています。都としてどのように認識しているか。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 四列のイチョウ並木は神宮外苑の象徴であり、その保全には万全を期すよう、昨日、知事名の文書で事業者に要請したところでございます。
 現在、環境影響評価の手続が進められておりまして、その結果等も踏まえ、今後、事業者においてイチョウ並木への影響を考慮して野球場の設計を行うよう求めております。

○原田委員 部長ね、今自分が何を答弁しているか分かっていますか。イチョウ並木から八メートルほどしか離れていないところに新球場の壁が建ち、その下には大変な量のくいが打たれるわけでしょう。本気で並木への影響を考慮して設計をしろって、木の根っこをよけて建ててほしいと、くいを打ってほしいと事業者に求めるつもりがあるということですか。
 事業者にしても都にしても終始そのような調子だから、昨日の審議会の委員から、このままでは評価書の内容を担保できないと、厳しい指摘がなされるわけですよ。
 日当たりの問題についても、西日がほぼ当たらなくなり、木の育成に重大な影響があるということは、樹木の権威、藤井英二郎千葉大名誉教授が指摘をしております。
 本気でイチョウ並木を守るというなら、建築物がもっとイチョウ並木から離れるしかないんです。
 四月二十五日の記者会見では、都が、実に十年前の二〇一二年、平成二十四年に森喜朗衆議院議員を訪ね、ラグビー場と神宮球場を入れ替える案を示したことを私たちは明らかにしました。その際、森喜朗氏に見せていたイメージ図がこれまでは黒塗りで提示されてきましたが、今回、私たち都議団の議会追及によって、ついにその黒塗りが外れ、当時の東京都が森喜朗氏に見せていたイメージ図が明らかにされました。
 それを見ると、現計画で大問題となっている超高層ビルはおろか、商業施設も実はこのイメージ図にはなかったんです。その分、神宮球場は明らかにイチョウ並木から離れた位置に建設される予定だったということが見てとれます。ところが、別の開示資料を合わせると、イメージ図が現計画に近づいていく様子が分かるようになりました。
 二〇一四年、森さんに都が会ってから二年後、平成二十六年七月十日の資料が開示請求で出てきましたが、これを見ると、二〇一二年に森氏に見せたイメージ図にはなかった事務所ビルが出現するわけです。そして、そのビルから逃げるようにして神宮球場はイチョウ並木に近づくことが分かりました。
 ここで、そのことを確認したいと思います。地権者等との協議が始まった翌年の二〇一四年七月十日には、神宮外苑地区に恒久サブトラック設置が困難な理由という資料が作成され、ここで初めて、事務所ビル等という施設がイメージ図に登場します。その位置から考えて、現在の百八十五メートル、三井不動産のビルの場所に出てくる事務所ビルです。これによって、新神宮球場がイチョウ並木に近づきます。間違いありませんね。

○吉野まちづくり推進担当部長 平成二十六年七月十日の資料ですけれども、神宮外苑地区に恒久サブトラック設置が困難な理由を副知事に説明するために、関係地権者等と調整中の施設の大まかな配置を示したものでございまして、この資料でご指摘の内容について判断することはできません。

○原田委員 判断できないとの答弁でしたが、違いますなどとは否定できませんでしたね。判断できないと。
 曇りなき眼で見れば明らかなんです。事務所ビルが出現したことによって、神宮球場がイチョウ並木にぐっと近づいているわけです。そして、この事務所ビルが百八十五メートルの超高層ビルに計画変更されるときが来るんでしょう。そのとき、神宮球場がぴったりとイチョウ並木に横づけされることになるわけなんですね。
 二〇一四年のイメージ図には、テニス場等のスポーツ関連施設がつくられる予定ですが、現在の計画では、これが軟式野球場の広場に移され、大量の樹木伐採を引き起こすことにつながっています。
 スポーツ関連施設は、なぜ軟式野球場に移ったのか、また、いつ移る計画になったのかお聞きしたいと思います。
 分かりますかね。要は、二〇一四年、その事務所等が出てくるときに、そのときはスポーツ関連施設、小さくないテニス場等というのが書いてあるんですね。それが新神宮球場の上辺りにあったんです。それが、ところが現計画では、そこは広場になってしまって、スポーツ関連施設テニス場等は、軟式野球場を潰すことになる、あっちの広場の方に持っていかれちゃうんです。
 なぜ、このスポーツ関連施設は軟式野球場に移ったのか、また、いつ移る計画になったのか教えてくださいという質問です。

○吉野まちづくり推進担当部長 東京二〇二〇大会後の神宮外苑地区のまちづくり検討会におきまして、憩いやレクリエーションなど様々な目的で利用できる広場空間が十分に確保できていないなどの課題を整理いたしました。
 こうした検討会での議論を踏まえ、平成三十年に策定したまちづくり指針において、スポーツ環境及び緑とオープンスペースの方針図を示しております。
 このまちづくり指針の内容を踏まえ、事業者において具体的な検討が行われ、令和二年二月に事業者が提案した公園まちづくり計画の中に施設の配置が示されました。

○原田委員 二〇一八年のまちづくり検討会において課題を整理したとのことですが、まだなぜスポーツ関連施設が軟式野球場の広場に持っていかれたのか、よく分かりませんでした。軟式野球場の方にこのスポーツ関連施設が行くことによって、あの広場の周りの樹木、大量に伐採されるわけですよ。もう少しお聞きしたい。
 二〇一四年イメージ図のスポーツ関連施設の計画はなくなり、現計画では、そこには広場7号、8号と緑地6号ができることになります。この広場や緑地は超高層ビルを建設する上で、制度上どのような役割を果たすのか。また、この広場や緑地がないと、現計画上の超高層ビル建設は成り立たないといえるかどうか。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 神宮外苑地区は、大規模スポーツ施設等に多くの人々が訪れる一方、来訪者が気軽にスポーツ等を楽しんだり、緑に親しめる空間や機能が不足しているなどの課題がございます。
 このため、都が策定いたしましたまちづくり指針では、絵画館やイチョウ並木の眺望や風致を保全しつつ、地区の中心となるまとまった広場空間の確保や、青山通り沿道等における土地の高度利用によるにぎわい創出を図ることなどを誘導方針として示しております。
 今回の計画はこの指針を踏まえ、東京都再開発等促進区を定める地区計画運用基準に基づき、地区の中央広場である広場7号等を主要な公共施設等に位置づけ、容積の適正配分の特例を適用して、野球場やラグビー場、事務所棟などの施設整備を行うものでございます。
 これによりまして、地区の特性に応じた景観形成や機能導入、建築物の高さ、規模の誘導等が図られ、当地区の望ましい将来像の実現が可能となるものでございます。

○原田委員 私は、スポーツ関連施設をどかした後にできる広場や緑地は、超高層ビル建設にとって、より高く建てるための制度上不可欠な施設だったのではないですかと聞いたわけですよね。すると答弁として、にぎわいのためにつくるんだみたいな答弁をいった後、こういいましたよね。東京都再開発等促進区を定める地区計画運用基準に基づく、容積の適正配分の特例を適用と。こういう答弁が出てきたと。
 つまり、今、部長も明確におっしゃいましたけど、容積緩和をしてあげる特例は、より高いものを建てるための特例は、この広場がつくられないと適用できないんだと答えたわけです。
 要するに、民間企業の極端な利益の追求が、より多くの樹木伐採を引き起こす計画に動いていったことが分かるわけですが、都としてはこうした計画の変遷や結果を全部知っていたわけで、これらを見て、どの点が創建の趣旨にかなう計画であると認識したのかお答えください。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 まず、先ほどのご質問の、ご指摘の中、お話の中で、広場がないと容積の適正配分の特例が適用できないというご説明でございましたけれども、再開発等促進区を定める地区計画運用基準では、広場や緑地を設ける以外にも、良好な環境を創出するなど周辺の市街地環境への配慮や区域内環境の向上に、より貢献した建築計画の実現に資することにより、容積の適正配分の特例を適用することができることとなっておりまして、開発計画全体の考え方により、適切に運用するものでございます。
 創建の趣旨にかなう計画であるかとの認識についてでございますけれども、神宮外苑の歴史的、文化的価値は、創建時に聖徳記念絵画館を中心として西洋的な庭園や緑地等が整備され、多くの人々に開かれた庭として機能してきたことなどにございます。
 今回の計画では、神宮外苑地区の歴史的、文化的価値を適切に継承することができるよう、民間事業者において、四列のイチョウ並木を保存し、眺望保全に係る絵画館の前庭部分は創建時の芝生の姿を基調として再整備するとともに、前庭に連なる中央広場等から成る緑空間を整備するなど、実質の緑の割合を増加させながら、開かれた庭として再生していくものでございます。
 また、既存の樹木については、一本一本を大切に扱い、樹木の状態など詳細な調査を行って、極力保存または移植することとしております。

○原田委員 事業者が認めているだけでも八百九十二本が伐採されるわけですよ。それこそイチョウ並木の兄弟木は全部伐採ですよ。移植は困難と書いてある。適切に保存するとしてきたイチョウ並木も今や風前のともしびであります。
 大体、移植も百数十本に及ぶんですよ。移植というのはすごく大変な手間が必要で、時間もお金も技術もかかるわけです。
 なので、お聞きしますけれども、本計画では大量の移植を行うとありますが、国立競技場で移植された樹木の多くが立ち枯れなど深刻な影響を受けていることが報道されています。そのことを都は認識していますか。移植については、どのようなやり取りを事業者と行っているのですか。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 報道については承知をしております。
 国立競技場を管理運営するJSCは、樹木医による点検を行う中で、一部の樹木に生育状態が良好でないという指摘を受けていることから、改めて調査を行うことにより、その要因を把握し、適切な対応を行うと聞いております。
 本計画では、国立競技場周辺におけるJSCが改めて実施する調査結果も踏まえつつ、樹木医の意見も聞きながら樹木の状態などを詳細に調査し、移植が可能な樹木については適切に移植するよう事業者に求めております。

○原田委員 国立競技場のときだって、適切に移植するっていっていたんですよ皆さんは。そして、とんでもない事態になっているわけです。樹木を枯らさないように、元気に復活させようと思ったら、百数十本も移植なんて、正直できるはずがないんじゃありませんか。
 国立競技場のときも、JSCの数字によれば、千五百四十五本が伐採、百三十本が移植されましたが、良好な状態で移植が成功している樹木は、たった三本といわれています。そうした実態を脇に置いて、よくも適切に移植するよう事業者に求めるなどと軽々しくいえたものであります。態度が軽いだけではありません。もはや、都民の目を欺く計画にもなっていることを指摘します。
 外苑再開発では、東京都自ら考案した公園まちづくり制度という制度を適用し、都市計画公園区域を、外苑からですよ、三・四ヘクタールも削除し、その削除した土地に超高層ビルや商業施設を建てることになっています。さすがに、手放しで認めれば公園の用地を使った乱開発といわれてしまうので、公園まちづくり制度では削除する公園区域の六〇%は緑地等を設置することになっているわけです。
 私はこれまで、この緑地等というのが、実は緑地だけでなく、歩道だったりエレベーターだったり、緑でも何でもないものまで含まれているということを指摘してきました。この緑地等で、さらにおかしな実態が見えてきました。お聞きします。
 外苑には建国記念文庫という施設があり、その周りは大きな木々で囲まれていますが、今回、新ラグビー場建設で、この建国記念文庫の森が三分の二伐採されることが分かっています。
 ところが、残る三分の一の森が、なぜか公園まちづくり制度で新たに設置する緑地等に含まれていることが分かったわけです。大量に伐採されて、残った樹木を新たに設置する緑地等に含むのは、明らかに間違いではありませんか。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 平成二十五年十二月に策定いたしました東京都公園まちづくり制度実施要綱において、緑地等は、地区施設または主要な公共施設のうち、緑地、広場その他の公共空地をいい、人工地盤上のものを含み、屋内の部分を除くと定義しており、既存の樹木も、新たに植栽する緑も同様に評価しております。

○原田委員 一体何と答弁しているんですか、もう。
 つまり、超高層ビルなどの開発を認める条件として新たに緑地がつくられるわけですが、その緑地はですよ、建国記念文庫の森を三分の二伐採してつくられる緑地だというわけです。信じられますか。不誠実を通り越して、都民を欺く行為じゃありませんか。
 最後に、この計画は、環境問題の角度から見ても全く考慮を欠いているといわざるを得ません。
 樹冠やその影によって地面が覆われる面積が高いほど温度を下げ、ヒートアイランド現象を軽減する効果がある。したがって、この樹冠に覆われる率を都市で上げていこうという考え方が国際社会でも、この東京都でも、そういう考え方があります。
 本計画では、百年の大木も、芝生も、植え込みも同じ面積で数えられてしまっているわけです。しかし、現在欧米では、この樹冠被覆率を都市で上げていこうという、引き上げていこうという声が高まっています。都としても、樹冠被覆率についてどのような認識を持っているのか。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 お話の樹冠被覆率は、地面の面積に対する枝や葉が茂っている樹冠の投影面積の割合を示したものでございます。
 都においては、必要に応じて、街路樹の樹冠拡大による夏の暑さ対策として、樹形を大きく仕立てる計画的な剪定方法を行うなどの事業を実施しております。
 一方で、公園緑地の整備におきましては、暑さ対策以外にも広場や樹林、散策路といった空間の特性と利用状況、防犯等を考慮しながら、場所に合わせて高木、低木、芝生など植栽を行う必要があると認識しております。

○原田委員 なるほど、都としては、この樹冠被覆率については認識をし、樹冠の拡大に取り組もうとしているわけですね。
 今回の計画はですよ、その点でいうと、百年の大木を伐採して−−これ物すごい樹冠被覆率です、百年の大木を伐採して、三メートルの木に植え替えちゃうわけですよ。今のような樹冠被覆率を持とうと思ったら、また数十年後とか百年後とか、そういう世界と。
 それにしては、まあ、だから東京都としては樹冠の拡大に取り組もうとしているわけなんですけれども、この間、外苑再開発の資料からは全くそういったものが見えてこなかったわけですよね、いろんな資料に。そうですよね。東京都が大事にしている樹冠被覆率。
 でも、今回の計画では、そんなことは一切考慮されずに、百年の大木も、三メートルの細い木を何本か植えればそれでいいんだという観点に立っているわけですよね。
 これもちょっと聞いてみましょうか。事業者は樹冠被覆率というのを何か大事にしている記載とか、どっかにあるんですか。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 先ほどご答弁申し上げましたのは、街路樹におきまして、そういう樹冠の拡大による夏の暑さ対策などの事業を実施しているというものがある一方で、公園緑地の整備におきましては、その暑さ対策以外にも、広場や樹林、散策路といった空間の特性と利用状況、防犯等を考慮しながら、場所に合わせて、高木だけでなく、低木、芝生などを組み合わせまして植栽を行う必要があるとの認識をお答えしたものでございます。

○原田委員 まさに、八百九十二本木を伐採して、移植とは名ばかりの、ほぼ伐採ですよね。百数十本の移植が行われて、代わりに植えられるのは三メートルの低木、それから三メートルぐらいの木、それから植栽、芝生。全く、この樹冠被覆率という、今、国際社会では公園をつくっていく、自然環境を都市の中につくり出していくというときに非常に大事にされている感覚はゼロだと、この計画は。そういうことを示していると思います。
 改めて、本日の質疑で、事業者及び東京都が神宮外苑の百年を見据えた壮大な計画に対する尊敬の念を持ち合わせていないことが明らかとなりました。緑や環境を守るという点でも、情報公開という点でも、改めなければならない点が幾つもあることが浮き彫りになりました。三千九百人の陳情賛同者が求めていることは、極めて私は当然のことと考えます。
 しかしながら、本陳情は決してさきの都市計画決定を否定してはおらず、再開発を否定しているわけでもありません。あくまでも、都市計画決定の中での樹木など環境への配慮を求めているにすぎない陳情です。再開発に賛成の立場でも十分賛同できる陳情なんじゃないでしょうか。
 本日の陳情審議は、神宮外苑再開発に対する各党会派として初めて賛否を表明する場ともいうことができると思いますけれども、何よりも、今回の陳情に関していえば、まずは緑を何とかしてもらいたい、そういう陳情なわけですから、ぜひその各党会派の姿勢は重要だと思っています。
 全国的にも注目されていると思います。ここにいる委員各位の賢明なるご判断を呼びかけ、質疑を終わります。

○宮瀬委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時四分休憩

   午後三時二十分開議
○宮瀬委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○竹井委員 では、よろしくお願いします。
 私からも、何点かお伺いをしたいと思います。
 今回の陳情の願意ですけれども、都において、歴史的意義と文化的景観を有する神宮外苑における樹木をはじめとした環境を守っていただきたいというものです。私たちの下にも多くの同様のご意見をいただいております。都議会立憲民主党としても、昨日、神宮外苑地区再開発計画事業に関する要請書を東京都知事宛て提出させていただきました。また、二月九日の東京都都市計画審議会においては、委員から次のように意見を申し述べたところです。
 環境の面からは、再開発計画においては環境への配慮を最大限行うべきであり、二〇三〇年のカーボンハーフ、二〇五〇年までのカーボンニュートラルの達成のためにも、温室効果ガスの排出量の削減並びに吸収作用のある樹木の保全及び強化を行う必要があり、吸収作用の保全及び強化の面からしても、樹木の伐採数は可能な限り削減すべきである。また、歴史的な意義からも、伐採ではなく、歴史ある樹木の移植を行うという選択肢を取るべきと提案したところです。
 このコロナ禍におきましては、樹木がもたらす恩恵を都民が享受し、その大切さを改めて認識したものと思います。
 先ほども樹冠被覆率に関して質問がありましたけれども、ニューヨーク市では、二〇〇七年から始めたミリオンツリーズNYC、百万本の木を植えるプロジェクトを予定より二年早く、二〇一五年に達成をしたと。樹木の数は二〇%増えたといわれているところでございます。
 質問いたしますけれども、先ほど来、いろんな数字が出てきているわけですけれども、もう一度お聞きをいたします。伐採の報道がいろいろされていますけれども、今、伐採予定の木の本数、どのように把握をしていらっしゃるのかお聞きをいたします。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 伐採樹木の本数ですが、事業者が作成し、本年一月の新宿区の都市計画審議会に提出をされました資料によりますと八百九十二本となっておりますが、事業者におきましては既存樹木について本年四月から改めて調査を開始しておりまして、今後、樹木医の意見も聞きながら、設計の工夫などにより、極力保存または移植することとしております。

○竹井委員 今現在、樹木の調査を事業者が行っているとのことです。どのような調査が行われていて、その終了目途はいつでしょうか。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 本年四月から実施しております調査につきましては、樹木医の意見も聞きながら樹木の状態などを一本一本丁寧に調査を実施していると聞いております。

○竹井委員 終了目途についてお聞きをしたんですけれども、終了目途についてはいかがでしょうか。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 一本一本を丁寧に調査をしているということで、一定の時間はかかるものと考えております。終了、現時点では事業者の方では明らかにはされておりませんけれども、一定の時間はかかるというふうに認識しております。

○竹井委員 そうしましたら、調査が終了した際には、事業者からその調査結果をきちんと明らかにしていただきたいというふうに思いますし、また、樹木の移植に当たっては、その適切な時期や具体的な方法等についてもしっかりと明らかにしていただきたいと思うのですけれども、そのことを事業者へと働きかけていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 既存樹木については、複数の樹木医の意見も聞きながら樹木の状態などを詳細に調査、公表し、設計の工夫などにより、極力保存または移植するよう、昨日、文書により事業者に要請したところでございます。
 移植の適切な時期や具体的な方法等につきましては、現時点では明らかではございませんけれども、事業者におきましては、今後、具体的な整備計画を検討し、詳細については新しく立ち上げましたプロジェクトサイトで順次公表をしていくとしております。

○竹井委員 時期は分からないけれども、しっかりと都民に明らかにしていくというご答弁だったというふうに理解をいたします。
 昨日要請をされたということで、たった今なんですけれども、休憩で席に戻りましたら、机上に昨日要請をしましたという文書が置いてありまして、もうちょっと早くいただけたらうれしかったなと思うところですけれども、要請先として事業者四者に対しまして東京都知事名で、この神宮外苑地区におけるまちづくりに関する要請についてということで、先ほど来ご答弁に出てきている内容も要請をされているということだというふうに理解をいたしました。
 それで、先ほど来出ていますけれども、昨日、環境影響評価審議会の部会が行われまして、外苑の森が守られるか不透明として、異例の持ち越しとなったというふうに聞いています。その中で、事業者と都民の間に不信感があるとか、都民参加の機会が必要とも指摘をされておりまして、これについては事業者のみならず、都としても真摯に受け止めていただきたいというふうに考えています。
 そもそもなんですけれども、環境問題に大変熱心な都知事の下で、樹齢百年の木を含む千本近い木を伐採する案がこのまま認められていくということは、都知事が先日答弁でおっしゃったような、SDGsに沿ったまちづくりとなっているのか非常に疑問です。
 先ほど申し上げたように、世界では、ニューヨークでは百万本の木を積極的に増やしていこう、そんな大都市がある一方で、東京においては、むしろ都心の木を伐採していくというのは、SDGsに沿ったまちづくりと考えられるのかどうか、お考えを伺いたいと思います。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 まず、度々ご答弁申し上げておりますとおり、既存の樹木につきましては、樹木医の意見も聞きながら樹木の状態などを詳細に調査し、設計の工夫などにより、極力保存または移植することとしてございます。加えまして、新たな緑も創出いたしまして、適切に維持管理しながら樹木を育成し、神宮外苑の緑化空間の充実を図る計画となっております。
 事業者の検討案におきましては樹木の本数は従前よりも増加することとなっており、また、事業者が提案いたしました公園まちづくり計画では、緑の割合は二五%から三〇%に増加することとなっております。

○竹井委員 先ほども質疑がありましたけれども、木を切って、そして緑地を入れれば緑の割合は上がっているということかもしれませんけれども、そういう意味合いで都知事はSDGsに沿ったまちづくりをしていくというご答弁をされたんでしょうか。これは本当にSDGsに沿ったものだというふうにお考えでしょうか。もう一度お聞きします。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 既存樹木について極力保存、移植することで伐採の本数を減らすとともに、新たな緑を創出し、適切に維持管理しながら樹木を育成し、緑化空間の充実を図っていく計画は、SDGsの考え方にも沿ったものと考えております。

○竹井委員 小池都知事は、とても象徴的なイチョウの木は残すとおっしゃっておられました。しかし、昨日の環境影響評価審議会の部会では、神宮球場が接近するため樹木の根の部分に影響が及び、生育が阻害されるのではないかという専門家からの疑問の声が相次いだということです。それに対して事業者は、調査をするという答弁にとどまったというふうに聞いております。
 そこでお聞きしたいんですけれども、先ほどの、昨日事業者に出されたという、この要請の中にも、とりわけ神宮外苑の象徴である四列のイチョウ並木の保全には万全を期すことということで書いていただいています。都知事のお話のとおりに象徴的なイチョウの木は守るということでしたら、悪影響が心配されるという場合は計画を変更するということも考えるということでよろしいんでしょうか、お考えを伺います。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 イチョウ並木の保全につきましては今後調査をしていくことになりますので、ご質問のように、仮定のお話についてはちょっとお答えがしにくいところでございます。
 事業者に対しましては、しっかりと調査をして、適切な対応を求めてまいります。

○竹井委員 仮定のお話ということでありましたけれども、先ほどご答弁では、もちろん影響を及ぼさないようにするんだということをおっしゃっていました。ただ、計画が影響を及ぼすということになれば、これは変更は余儀なくされるものだというふうに思います。そういった面も含めて、今後は考えていただけるのかなというふうに思っておりますけれども、今回、この陳情につきまして内容をしっかりと受け止めていただきたいと思っています。
 私どもも、昨日の要請書でも申し述べていますけれども、再開発計画事業者に対して、例えばですが、今、一般社団法人日本イコモス国内委員会からの代替案も出ているところであります。そういった案の一部の採用も検討して、樹木の伐採を最大限行わないように配慮をしていただきたい、そういったことを働きかけていただきたいと思っておりますけれども、これについてはいかがでしょうか。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 繰り返しの答弁になってしまいますが、既存樹木については、複数の樹木医の意見も聞きながら樹木の状態などを詳細に調査、公表し、設計の工夫などにより、極力保存または移植するよう、昨日、知事名の文書により事業者に要請したところでございます。
 なお、日本イコモスの提案についてですけれども、スポーツ施設の現地建て替えを前提としたご提案となっておりまして、競技の継続性の問題など課題も多いものと思われます。

○竹井委員 そういった面も含めて、ぜひ話合いをしていただきたいと思いますし、都民の皆さんのお声をしっかりと聞いていただきたいというふうに思います。
 この案ありきではなくて、そういった民間からの案を取り入れるなどして、広く検討を進めていただきたいというふうに思います。
 先ほどSDGsの話をいたしましたけれども、SDGs(発言する者あり)はい、賛成はいたしました。賛成はしています。ですから、これ別に再開発云々の話ではなく、都計審で賛成をしたこととはちょっと置いて−−違います、違いますので、これは願意をしっかりと読めば、都において歴史的意義と文化的景観を有する神宮外苑における樹木をはじめとした環境を守っていただきたいということです。ですから、それに沿った計画を行っていただきたいということでございます。
 私たちは、先ほど申し上げたとおり、SDGsに沿ったまちづくりを小池都知事がおっしゃっておられますので、しっかりとそのことを進めていただきたいというふうに思っております。ぜひ検討を進めていただきたいと思いますし、この陳情をしっかりと受け止めていただきたいということをお願いいたしまして、終わりにします。ありがとうございます。

○松田委員 陳情四第一〇号、神宮外苑の歴史的景観と環境の保全に関する陳情につき、質疑をさせていただきます。
 前提といたしまして、神宮外苑地区の再開発そのものを否定するわけではありません。時代に合わせて、まちをアップデートしていくことは必要であり、また、都市の成長において再開発は必要不可欠です。ただ、再開発の方法については、時代に合わせて、この方法を変えていく。これも一つ、今の時代に求められている、社会に求められていることだと思っています。
 陳情提出者の方ともお話をさせていただきましたが、陳情の趣旨も決して再開発そのものに反対をするわけではなく、歴史的意義と文化景観を有する神宮外苑における樹木をはじめとした環境を守った中で再開発をしてほしいという思いだと思っています。歴史的資産を継承するために慎重な対応を求める、樹木をはじめとした環境を守っていく、都民や国民に対して十分な説明を求めるというものだと思っています。
 今回の陳情を受けるに当たり、私自身も現地を複数回訪問させていただきました。そして、今回の陳情者の方、提出者の方以外からも、神宮外苑の再開発の懸念については電話やメールも含めて多くの意見をいただきました。
 最大の懸念は、陳情にもあるように、樹木の保全をはじめとした環境保全を再開発で壊さないことです。事業者の計画では九百本近い樹木の伐採を行う東京、明治神宮外苑地区の再開発計画ともされており、都民だけではなく多くの国民が、樹木の伐採ありきの再開発、歴史的景観が損なわれることを心配しています。
 東京都からは、これまでの質疑でも、このように多くの伐採があるという説明はほとんどされておらず、極力保存または移植と説明をしています。
 小池都知事も第一回定例会では、一本一本の樹木を大切に扱い、樹木の状態などの詳細な調査を行い、極力保存または移植をし、事業を進めていくというふうに発言をしており、まさかこのような多くの樹木が伐採されるということは都民の認識にはなかった。だからこそ、これだけ大きなニュースになっていると感じています。
 改めてお伺いいたしますが、この既存の樹木については、樹木医の意見を聞きながら樹木の状態などの詳細な調査を行い、極力保存または移植という方針に変わりがないか、お伺いいたします。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 お話のとおり、既存樹木につきましては、事業者において樹木医の意見も聞きながら樹木の状態など詳細な調査を行い、極力保存または移植することとしております。
 都からも、設計の工夫などにより、極力保存または移植するよう、昨日、文書にて事業者に要請したところでございます。

○松田委員 樹木については、極力保存または移植ということですが、報道によりますと、都の環境影響評価審議会の部会でも専門家から多くの現実性に懸念が出ており、東京都の説明のとおり外苑の森を守ることはできるのか現段階では極めて不透明だ、このような声もあり、結果は持ち越しになったと聞いております。
 都としても、民間事業者からは、事業が進んでいく中で極力伐採を行わなくて済むような計画に誘導、そして、要請を行うとともに、事業が進んでいく段階で、結果的に九百本、千本と伐採されたということにならないように、ぜひ取組状況などをしっかりと確認を行っていくことを強く求めます。
 次に、都民の参加するスポーツクラスターについてお伺いいたします。
 今回、樹木等をはじめとした環境を守ってほしいという陳情には、軟式野球場を含む、都民のスポーツを参画する環境を守るということもあると提出者の方からもお伺いをいたしました。
 十二月の都市整備委員会では質疑で、神宮外苑地区計画では、従前あった神宮第二球場、軟式野球場、バッティングドーム、フットサルコートがなくなり、テニスコートの数も減るが、都民のスポーツの参画への機会創出について、事業者はどのように考えていますかという私の質疑に対して、都は、事業者は、中央広場などにおいて、誰もが様々なスポーツなどを楽しめる、親しめる機会を創出していることとしている、さらに、新たに整備する野球場やラグビー場、文化交流施設、中央広場などにおいて、同様にスポーツの機会の創出を検討することとしていると答弁がありました。
 ただ、再開発後には現実問題として、現在の軟式野球場を含むスポーツ施設利用者のニーズを代替できる施設は残念ながらなくなっています。その後、報道等で知った軟式野球の関係者から、球場がなくなるのは非常に残念だ、都内でも有数の軟式野球場として、先ほど他の委員の答弁もありましたが、草野球の聖地として長年栄えてきた軟式球場がなくなるのは非常に残念だと、多くの声をいただきました。
 改めて、東京都として、今回の陳情内容はもちろんのことながら、事業者に軟式野球場の創出という都民の声を伝えていく必要があると思いますが、どのようにお考えなのかお伺いいたします。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 軟式野球場につきまして、そうした都民の声があることは都としても承知しておりますし、既に事業者にもお伝えをしているところでございます。
 都といたしましては、絵画館前の広場の整備に際しまして、可能な限り長い期間、軟式野球場の利用が可能となるような工事工程の検討などを事業者に求めてまいります。

○松田委員 平成三十年に作成されました東京二〇二〇大会後の神宮外苑地区のまちづくり指針においても、魅力的な大規模スポーツ施設の集積と誰もがスポーツに楽しめる環境を備えたスポーツ拠点の形成に向けてスポーツの環境の形成を図るとの記載がありましたが、軟式野球場、ゴルフ練習場、フットサルコート、バッティングセンターなど、都民が利用できる公益性の高い施設が廃止をされるというのは、やはりこの指針と現実の事業計画と大きな乖離があると感じています。ぜひこの軟式野球場の声、利用者の方の声を聞いていただければと思います。
 私自身もこの陳情を受けるに当たり、野球場を訪問して様々なチームの方の声を聞かせていただきました。ここに持ってきているのは、二〇一一年、最初、九月五日なんですけれども、あるチームの方は毎月毎月野球をして、これは本当に趣味のサークルなんですけれども、それでもこのように新聞形式にして、これだけみんなの思い入れが詰まった軟式野球場だと思っています。
 民間主導の開発というのは重々承知をしておりますが、誰もがスポーツに親しめる環境を備えた拠点と大きくかけ離れており、都として指針に基づいた開発を再度、事業者に要請を求めるように要望いたします。
 最後に、情報公開について一点述べさせていただきます。
 今回の陳情にも、都民や国民に対して十分な説明を行っているとの記載もございます。情報公開が十分でない、情報量が不足をしているという声も数多くあります。東京都としても、そして事業者にしても、都民が納得、そして共感ができる再開発となるように情報提供を引き続き行っていただくことを求め、質疑を終えさせていただきます。ありがとうございました。

○宮瀬委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○宮瀬委員長 起立少数と認めます。よって、陳情四第一〇号は不採択と決定いたしました。

○宮瀬委員長 次に、陳情四第一二号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○飯塚築地まちづくり推進担当部長 整理番号2、陳情四第一二号につきましてご説明いたします。
 陳情審査説明表の五ページをお開き願います。
 旧築地市場跡地再開発に関する陳情につきましてご説明申し上げます。
 陳情者は、中央区の築地浜離宮地区自治会会長、関口敏幸さんでございます。
 陳情の要旨は、都において、旧築地市場跡地再開発に関する地元独自の意見、要望等を、築地まちづくりの事業実施方針等に反映していただきたいというものでございます。
 六ページの配置図をご覧ください。
 本陳情の対象となる築地地区まちづくり事業事業実施方針の範囲は、赤枠で囲われた旧築地市場跡地でございます。
 五ページにお戻りください。
 現在の状況でございますが、都は、築地地区において、都心の大規模な土地、歴史、文化資源などのポテンシャルを生かしながら、民間の力を最大限に活用して、東京の持続的な成長につながるまちづくりを進めていくこととしております。
 平成三十一年三月に築地のまちづくりの将来像や方向性、進め方を示した築地まちづくり方針を策定しており、同方針の策定に当たっては、地元の中央区及び港区の参画も得て築地まちづくり検討委員会を設置し、同委員会と連携して原案の検討を行うとともに、平成三十一年一月には築地まちづくり方針素案を公表し、都民意見の募集を行っております。
 令和四年三月には、築地まちづくり方針を踏まえ、まちづくりを行う事業者募集に向けた具体的な条件等を示すよう、築地地区まちづくり事業事業実施方針を策定いたしました。同方針には、都市基盤整備、土地利用、景観形成、環境配慮の方針等を定めており、今回の陳情における意見、要望につきましても、対象区域外であるなど事業の条件とすることが困難な一部の要望を除いて、その多くは既に同方針に盛り込まれております。
 本年秋頃には、この実施方針に基づいた事業者募集要項を策定、公表することとしておりまして、築地まちづくりの具体的な計画内容等については、募集要項に基づいて、民間事業者から提案を受け、具体化していくこととしております。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願いいたします。

○宮瀬委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○尾崎委員 陳情四第一二号、旧築地市場跡地再開発に関する陳情について、幾つか質問をしていきたいと思います。
 今回陳情を出されたのは、今ご説明もありましたが、築地浜離宮地区自治会です。陳情書の中にも書かれていますが、地元の中央区に相談しながら検討を重ね、昨年八月に小池都知事宛てに、旧築地市場跡地再開発に関する陳情書を提出しているということも分かっています。
 そこで伺いたいと思いますが、旧築地市場跡地再開発に関する陳情では、具体的に十項目の意見、要望があります。都の現在の状況の説明では、築地地区まちづくり事業の区域外であるなど、事業の条件とすることが困難として説明もありました。
 それでは、陳情にある十項目のうち、事業の条件とするのが困難なものはどの要望に当たるのか伺います。

○飯塚築地まちづくり推進担当部長 今回の陳情における意見、要望のうち、築地場外市場等を含めた地区全体を総合的に再開発することが基本的な方針であるべきという意見や、敷地内に河川浄化装置を設置することという意見、築地川河口付近の連絡橋を復元することという意見、晴海通りの中央分離帯を利用した動く歩道を設置するなど代替交通システムが必要であるという意見につきましては、築地地区まちづくり事業の対象区域外であることなどから、本年三月に公表した事業実施方針では事業の条件とはしておりません。

○尾崎委員 築地場外市場は築地地区まちづくり事業の区域外であるなど、事業の条件とすることが困難なものだと、ただいまご答弁がありました。
 しかし、築地といえば、以前は築地市場や築地の場外市場が代表的なもので、世界でもよく知られているものです。築地市場が豊洲市場に移転し、場外市場の利用者はこれまでとさま変わりをしています。しかも、長引くコロナ禍で場外市場は海外からのお客さんもほとんど来なくなり、商売も大変になっています。
 地元住民の皆さんから、築地地区まちづくり事業は場外市場の人たちとの連携でまちの活性化につなげたい、築地地区まちづくり事業を場外市場の皆さんが一緒にできる事業にしてほしいなどの意見が私たちにも届いています。
 事業実施方針の六ページの中には、築地場外などとのつながりにも配慮しながら周辺地域などとの相乗効果をもたらすことにより、当地区にふさわしいにぎわいを創出すると書かれています。
 場外市場とのつながりにも配慮するにとどまらない築地地区のまちづくり事業の中心に据えて、にぎわいの創出を進めるべきだと思います。
 築地の歴史、文化の問題では、浴恩園は歴史的文化遺産です。都は、埋蔵文化財の調査を教育庁と協議して行うことになっています。埋蔵文化財の調査にとどまらず、陳情者の願いは、浴恩園を復元し、今後の築地のまちづくりに活用してほしいというものです。新たな築地の魅力としてどんなことが考えられるのか。突っ込んだ議論が求められると思います。
 それでは、陳情にある要望で、築地地区まちづくり事業事業実施方針に盛り込まれている要望とはどのようなものなのか、主なものを教えてください。

○飯塚築地まちづくり推進担当部長 今回の陳情における意見、要望のうち、築地の食文化を継承、発展させて、築地場外市場と一体となる世界的な観光名所とすることという意見や、自由に水辺空間を歩くことができる憩いの遊歩道を造ること、環状第二号線によって当該敷地は南北に分断されるため、同路線の横断路は車両だけではなく人の流れにも配慮すること、水陸の交通結節点として機能させることといった意見につきましては、事業実施方針にも同様の趣旨が盛り込まれてございます。

○尾崎委員 陳情には十項目の要望がありますが、ただいまご答弁ありましたように、おおむね半分くらいは事業実施方針に盛り込まれているということになることが分かりました。
 私は、都有地を活用したまちづくりは都民の意見や要望を積極的に聞き取る必要があると思います。築地市場跡地の再開発について、都民の意見を聞くパブコメはいつ行われたのか、具体的にどの場面で行ったのか、伺います。

○飯塚築地まちづくり推進担当部長 平成三十一年三月に、築地のまちづくりの将来像や方向性、進め方を示した築地まちづくり方針を策定しておりまして、同方針の策定に当たって素案に対するパブリックコメントを実施しております。

○尾崎委員 築地まちづくり方針素案に対するパブコメを実施したのは、二〇一九年一月二十三日から二月二十一日までの三十日間取り組まれたものだということです。このときの意見の総数は二百二通、個人が百五十七通、法人が三十六通、不明は九通という内訳です。
 二百二通の中には、築地市場跡地にマグロ塚を移設していただきたい、ゾーンごとの導入機能イメージの図を見ると水辺の顔づくりゾーンがありますが、築地市場の記憶を残し、新たな東京発展の起点となると信じますという意見や、広場や緑地にマグロ塚を設置してくださいなどの意見が幾つかあり、この意見に対し、都の考えは、現在、夢の島公園内に設置している築地市場に入荷した被爆マグロの石碑については、移設するか否かを含め検討を行う必要があると考えますと、当時書かれていました。
 また、築地エリアには、国立がんセンター中央病院、聖路加国際病院があり、築地エリアの地域の特性として、医療に注目した連携、活用すべきであるとして、築地まちづくり方針素案の価値を高めるために、入院や通院で高度先進医療や終末期医療を受ける病児と家族が滞在できる施設を計画に盛り込んでいただきたいなどの意見も何件か寄せられています。この意見に対する都の考えは、築地地区における導入機能については、周辺の資源等とも連携した取組を重視することとしていますと書かれています。
 都民の皆さんから寄せられた意見の中には、重要な意見や提案がたくさんあったと思っています。これらの意見がこの間、どれほど検討されてきたのか、このときの都民の意見、要望が三月三十日に公表された築地地区まちづくり事業事業実施方針を策定するものにどれだけ反映されたのか、今の段階で一つ一つチェックすることを求めるものです。
 築地市場跡地は都有地です。都民のために活用すべきだと思っています。そのためには、地元自治体や都民の意見、要望をきちんと聞くことが必要です。
 そこで、今後、どこかで都民の意見を聞くパブコメなどは予定しているのかどうか伺います。

○飯塚築地まちづくり推進担当部長 築地まちづくり方針の策定に当たってパブリックコメントを実施しており、本年三月には、まちづくり方針を踏まえ、事業者募集に向けた具体的な条件等を示す築地地区まちづくり事業の事業実施方針を策定し、公表いたしました。
 本年秋頃には詳細な応募手続等を示す事業者募集要項を公表することとしており、改めてパブリックコメントを行うことは予定してございません。

○尾崎委員 今のご答弁ですと、今後、パブコメなどは予定していないということですけれども、秋頃には募集要項等の公表が行われるわけです。来年の二〇二三年夏頃には提案書受付、提案審査が行われ、二〇二三年度内に事業予定者が決定する予定だということが今回の事業実施方針にも書かれているわけです。本来なら、今回、事業実施方針を議会に報告して質疑を行う、パブコメも行うべきだったのではないかと指摘をしておきたいと思います。
 東京五輪二〇二〇大会が終わって、築地市場跡地は今酸素ステーションになっていますが、ほぼ更地になっているわけです。地元自治体や地元住民の皆さんは、築地まちづくり方針がより具体的に実施に向けて動いている今だからこそ、関心が前よりも高まってきているのだと思います。今後どこかで都民の声、要望を聞くパブコメを実施するよう強く求めておきたいと思います。
 次に、築地地区都有地活用事業の実施方針の方向性についてが昨年十一月に公表されました。都市整備委員会で報告されて質疑も行ったわけですけれども、具体的なことは民間事業者が決めるという答弁が終始行われたわけです。三月三十日に公表された築地地区まちづくり事業の事業実施方針では、例えば土地の貸付期間は七十年であることなどを示しています。
 事業実施方針の方向性について公表した後、今回の事業実施方針を公表するまで、どこでどんな議論が行われたのでしょうか。また、民間事業者などとの話合いはどのようにあったのか、伺います。

○飯塚築地まちづくり推進担当部長 事業実施方針の方向性について公表した以降、民間の優れた提案を引き出していくため民間ヒアリングを行うとともに、都市基盤整備に関する事項などについて関係部局と具体的な条件等の検討を行い、事業実施方針を策定いたしました。

○尾崎委員 事業実施方針の方向性について公表した以降、民間ヒアリングを行っているという答弁ですよね。つまり、開発事業者から意見聴取を行ってきたということが今の答弁で明らかになりました。そのような開発事業者からの民間ヒアリングをしながら事業実施方針を策定したことになるわけです。築地地区は、何度もいいますが都有地です。都民の意見、要望をもっと聞くべきだと思います。
 私は、長引くコロナ禍を経験し、国際会議場の建設やインバウンド頼みのまちづくり、一部の民間企業の利益につながるまちづくりではなく、地域住民の暮らしや地域経済活性化につながるまちづくりへと転換が必要だと痛感しています。そのために、都民の意見、要望をよく聞いて、都民の意見、要望を優先することを求めて、質問を終わります。

○竹井委員 旧築地市場跡地再開発に関する陳情につきまして、理由欄に十項目にわたり個別具体的な要望が記載をされています。
 時系列でいえば、築地地区まちづくり事業の事業実施方針が公開される前に本陳情が提出されたということだというふうに理解しておりまして、今回の実施方針に既に盛り込まれている要望もあるように思います。
 ということで、質問をさせていただこうと思ったのですけれども、尾崎副委員長の質問と同じになりましたので、意見にとどめさせていただきたいと思います。
 今回の陳情については、地元の法人、住民の皆さんが会員となっている自治会から出されているということで理解をしております。いろいろと実施が難しいものもあるということでありますけれども、ぜひその理由も含めて、今後もぜひこの会の皆様と意見交換、そして連携をしていただきたい。そして、都民参加でまちづくりを進めていただきたいと要望して、終わります。
 以上です。

○宮瀬委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○宮瀬委員長 起立少数と認めます。よって、陳情四第一二号は不採択と決定いたしました。
 陳情の審査を終わります。

○宮瀬委員長 次に、理事者から報告の申出がありますので、これを聴取いたします。
 初めに、令和三年度東京都一般会計予算、都市整備局所管分の繰越しについて外二件の報告を聴取いたします。

○打田総務部長 お手元の資料4、令和三年度繰越説明書によりましてご説明いたします。
 今回のご報告は、令和三年度予算の繰越明許費繰越及び建設改良費繰越について、地方自治法施行令第百四十六条第二項及び地方公営企業法第二十六条第三項の規定によりまして、議会にご報告するものでございます。
 お手数ですが、資料の一ページをお開き願います。初めに、1、令和三年度繰越明許費繰越総括表でございます。
 一般会計及び特別会計の各会計別に、予算現額、繰越明許費予算議決額、翌年度繰越額及びその財源内訳を記載してございます。
 合計欄をご覧ください。予算現額の右側の欄、繰越明許費予算議決額でございますが、これが三十六億四千六百万余円であるのに対し、その右側の欄、翌年度繰越額は十五億五千六百万余円となってございます。財源といたしましては、その右に記載がありますとおり、分担金及び負担金、国庫支出金、繰入金並びに繰越金を充当してございます。
 次に、2、令和三年度建設改良費繰越総括表でございます。
 公営企業会計である都市再開発事業会計につきまして、予算計上額、支払い義務発生額、翌年度繰越額、その財源である繰越資金及び不用額を記載してございます。
 予算計上額が三十八億七千八百万余円であるのに対しまして、支払い義務発生額が八億九百万余円、翌年度繰越額が一億五千二百万余円となってございます。
 ページをおめくりいただきまして、三ページ以降は事業別の内訳となってございます。
 まず、一般会計でございます。
 五ページをお開き願います。番号1、施設計画に関する調査でございます。
 繰越理由は、道路改良工事に伴う関係機関との調整に日時を要したことによるものでございます。
 六ページをお開き願います。番号2、臨海都市基盤関連街路整備でございます。
 繰越理由は、晴海大橋補修工事に伴う関係機関との調整に日時を要したことによるものでございます。
 七ページをお開き願います。番号3、都市改造でございます。
 繰越理由は、街路整備工事に伴う関係機関との調整及び物件移転補償に伴う関係人の移転等に日時を要したことによるものでございます。
 九ページ以降は、臨海都市基盤整備事業会計でございます。
 一一ページをお開き願います。番号1、臨海都市基盤整備でございます。
 繰越理由は、街路整備工事に伴う関係機関との調整等に日時を要したことによるものでございます。
 最後になりますが、ページをおめくりいただきまして、一三ページ以降は、公営企業会計である都市再開発事業会計でございます。
 一五ページをお開き願います。番号1、市街地再開発事業でございます。
 繰越理由は、建物除却工事に伴う関係機関との調整に日時を要したことによるものでございます。
 以上をもちまして、令和三年度東京都一般会計予算、都市整備局所管分の繰越しについて外二件につきまして、ご報告を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○宮瀬委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を一括して行います。
 発言を願います。−−発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○宮瀬委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。

○宮瀬委員長 次に、第二百三十八回東京都都市計画審議会付議予定案件についての報告を聴取いたします。

○福田都市整備局長 来る九月二日に開催予定の第二百三十八回東京都都市計画審議会に付議を予定しております案件につきましてご説明いたします。
 今回、都市計画の決定・変更予定案件が、区部で十二件、市町村部で十九件ございます。
 本日は、これらのうち主な案件といたしまして、都市再生特別地区の日本橋一丁目一・二番地区及び新宿駅西南口地区につきましてご説明申し上げます。
 それでは、引き続き担当部長からご説明いたしますので、よろしくお願いいたします。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 まず、付議予定案件ナンバー1、東京都市計画都市再生特別地区日本橋一丁目一・二番地区についてご説明いたします。
 資料は、お手元の資料6、白色表紙、提案事項概要五ページから三一ページまで、資料7、薄茶色表紙、事前説明資料五ページから五三ページまででございます。併せて資料8、薄緑色表紙、都市計画(素案)日本橋一丁目一・二番地区もご参照ください。
 今回の変更は、国家戦略特別区域法に基づき、国家戦略特別区域会議から東京都都市計画審議会に付議が予定されているもので、事業主体は日本橋一丁目一・二番地区再開発準備組合でございます。
 資料7、事前説明資料五ページの位置図と併せてスクリーンをご覧ください。
 本地区は、東京メトロ東西線及び銀座線日本橋駅の北西側に位置し、重要文化財である日本橋に近接した約〇・八ヘクタールの区域です。また、都市再生緊急整備地域及び特定都市再生緊急整備地域である東京都心・臨海地域内に位置しております。
 資料7、事前説明資料九ページの参考図1と併せてスクリーンをご覧ください。
 本計画は、日本橋川沿いの連続的な水辺空間と歩行者基盤の整備、都心型複合MICE拠点形成を支える都市機能の導入、環境負荷低減と防災対応力強化に取り組むもので、当該緊急整備地域の地域整備方針に沿うものであり、かつ都市再生の効果が高いものとなっております。
 具体的な都市再生への貢献につきましては、主なものとして、エリアの回遊性を高める重層的な歩行者ネットワークや、日本橋川沿いのにぎわいある水辺空間と交流空間を整備するとともに、首都高地下化の実現に向けた協力を行います。
 さらに、都心型複合MICE拠点形成を支える日本橋の伝統と先進性を融合した文化体験施設約七百平方メートルのほか、名橋日本橋に面する立地を生かした情報発信、交流施設約三百平方メートルを整備いたします。
 資料6、提案事項概要の五ページから七ページまで、資料7、事前説明資料の七ページの計画図2と併せてスクリーンをご覧ください。
 都市再生特別地区の都市計画変更の内容についてご説明いたします。
 容積率については、本計画の都市再生への貢献内容を適切に評価した上で、最高限度を地区全体で一六三〇%といたします。また、街区ごとにも最高限度を定め、A街区においては一八八〇%とし、一部を都市の魅力創造に資する施設といたします。
 高さの最高限度は、A街区においては、高層部を百四十五メートル、低層部を三十一メートルなどといたします。
 資料7、事前説明資料の一〇ページと併せてスクリーンをご覧ください。完成予想図でございます。
 参考といたしまして、国家戦略特別区域法に基づき、国家戦略特別区域会議から中央区都市計画審議会へ別途付議が予定されております都市計画についてご説明いたします。
 まず、日本橋・東京駅前地区地区計画の変更についてでございます。
 資料7、事前説明資料の一一ページから四九ページまでと併せてスクリーンをご覧ください。
 地区施設として、広場や歩行者通路、歩道状空地などを位置づけます。
 また、本計画地の地下に首都高速道路が整備されることを踏まえ、道路の上下の空間に建築物等を建築できるようにするため、重複利用区域を定めます。
 次に、日本橋一丁目一・二番地区第一種市街地再開発事業の決定についてでございます。
 資料7、事前説明資料の五〇ページから五三ページまでと併せてスクリーンをご覧ください。
 都市再生特別地区を定める地区において、土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新を図るため、市街地再開発事業を決定いたします。
 付議予定案件ナンバー1の説明は以上です。
 続いて、付議予定案件ナンバー2、東京都市計画都市再生特別地区新宿駅西南口地区についてご説明いたします。
 資料は、お手元の資料6、白色表紙、提案事項概要三三ページから四六ページまで、資料7、薄茶色表紙、事前説明資料五五ページから七三ページまででございます。併せて資料9、オレンジ色表紙、都市計画(素案)新宿駅西南口地区もご参照ください。
 今回の変更は、国家戦略特別区域法に基づき、国家戦略特別区域会議から東京都都市計画審議会に付議が予定されているもので、事業主体は京王電鉄株式会社及び東日本旅客鉄道株式会社でございます。
 資料7、事前説明資料五五ページの位置図と併せてスクリーンをご覧ください。
 本地区は、昨年三月に都市再生特別地区の決定をいたしました新宿駅西口地区に隣接し、甲州街道を挟んで南北の二つの街区で構成される約一・九ヘクタールの区域です。
 また、都市再生緊急整備地域及び特定都市再生緊急整備地域である新宿駅周辺地域内に位置しております。
 資料7、事前説明資料五九ページの参考図1と併せてスクリーンをご覧ください。
 本計画は、新宿グランドターミナルの実現に向けた基盤整備、国際競争力を高める都市機能の導入及び環境負荷低減と防災対応力強化に取り組むもので、当該緊急整備地域の地域整備方針に沿うものであり、かつ都市再生の効果が高いものとなっております。
 具体的な都市再生への貢献につきましては、主なものとして、既に事業中の新宿駅直近地区土地区画整理事業などと連携した重層的な歩行者動線の整備により、駅とまち、まちとまちをつなぐ東西南北の歩行者中心のネットワークを構築いたします。
 また、新宿駅西口地区と連携した南北四百メートルにわたる開放感あふれる滞留空間の整備などにより、新宿グランドターミナルのにぎわいと交流を創出いたします。
 さらに、新宿駅の交通結節点としての強みを生かし、にぎわい形成に資する観光産業拠点約三千平方メートル、多様な過ごし方を提供する二つの宿泊施設約二万三千三百平方メートルを整備いたします。
 資料6、提案事項概要の三三ページから三五ページまで、資料7、事前説明資料の五七ページの計画図2と併せてスクリーンをご覧ください。
 都市再生特別地区の都市計画変更の内容についてご説明いたします。
 容積率については、本計画の都市再生への貢献内容を適切に評価した上で、最高限度を地区全体で一五四〇%といたします。また、街区ごとにも最高限度を定め、南街区においては二〇〇〇%とし、一部を居住、滞在施設、都市の魅力創造に資する施設といたします。
 高さの最高限度は、南街区においては、高層部を二百三十メートル、低層部を八十メートルなどといたします。
 資料7、事前説明資料の六〇ページと併せてスクリーンをご覧ください。完成予想図でございます。
 参考といたしまして、国家戦略特別区域法に基づき、国家戦略特別区域会議から新宿区都市計画審議会と渋谷区都市計画審議会へ別途付議が予定されております都市計画についてご説明いたします。
 まず、新宿駅直近地区地区計画の変更についてでございます。
 資料7、事前説明資料の六一ページから七二ページまでと併せてスクリーンをご覧ください。
 地区施設として、新宿駅西口地区などと連携し、立体広場や歩行者デッキ、通路などを位置づけます。
 次に、第二十四号新宿駅南口駐車場の変更についてでございます。
 資料7、事前説明資料の七三ページと併せてスクリーンをご覧ください。
 新宿駅周辺の基盤整備の一環として、区域を変更し、スクリーン上、黄色で示す範囲を廃止いたします。
 付議予定案件ナンバー2の説明は以上でございます。

○宮瀬委員長 報告は終わりました。
 本件については、関連のある住宅政策本部の理事者にもご出席していただいております。ご了承願います。
 これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○古城委員 報告事項、第二百三十八回東京都都市計画審議会付議予定案件のうち、東京都市計画都市再生特別地区の変更となるナンバー1及びナンバー2に関連して質問をさせていただきます。
 私の地元新宿区の淵源は、江戸時代に誕生し、繁栄した五街道の起点である日本橋を出発し、甲州街道最初の宿場町となった内藤新宿であります。くしくも、本日の二つの案件にこれらのまちが関係をしておりますけれども、初めに、五街道の起点でもありますので、日本橋一丁目一・二番地区についてお尋ねいたします。
 首都高速道路の地下化を契機として、それと連携して進められている日本橋周辺のまちづくりは、国際都市にふさわしい品格のある都市景観の形成、歴史や文化を踏まえた日本橋の顔づくり、舟運など様々な効果が期待されます。昨年十月の日本橋一丁目東地区に関する質疑でも答弁を得てきた点を、本地区においても確認したいと思います。
 当時を振り返りますと、第一に、駅と川との歩行者動線の確保など、周辺から水辺に人々を呼び込む魅力のある通りづくり、第二に、川沿いのにぎわいのあるオープンスペースの形成、第三に、にぎわいのある広場空間や地区内建築物の低層部でのにぎわい機能の整備、これらを重点的に整備するとともに、積極的な機能連携が重要であると訴えたところであります。
 そこで、本地区における歩行者空間の形成に関して、整備の方向性について答弁を求めます。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 日本橋周辺のまちづくりにおきましては、中央区の日本橋川沿いエリアのまちづくりビジョン二〇二一に基づき、水辺の回遊やまちと水辺のネットワーク形成を図ることとしております。
 本地区では、西側で隣接する八重洲一丁目北地区と地下通路、上空通路でつなぎ、東京駅方面から重要文化財である日本橋へ至るアクセス性を向上させるとともに、地区東側の日本橋中地区と地下通路で連続させ、東西のまちのつながりを強化するなど、地区一帯の回遊性の向上を図ります。
 さらに、周辺開発や隣接敷地と協調し、日本橋川沿いの歩行者ネットワークを整備するとともに、花の広場、西河岸橋橋詰めを日本橋川が身近に感じられるバリアフリーで開放性の高い広場空間となるよう再整備することで、様々な交流やにぎわいが生まれる水辺空間を創出いたします。
 こうした取組により、水辺を生かした回遊性の高い歩行者空間を形成してまいります。

○古城委員 水辺を生かした回遊性の高い歩行者空間が形成された暁には、良質な水辺空間が求められることは必定でありまして、日本橋周辺のまちづくりでは、日本橋川の水質改善も重要な課題の一つであります。
 そこで、この水質改善に貢献することが期待されるのが、毎度毎度申し上げておりますが、「未来の東京」戦略に示される外濠浄化プロジェクト、そして、それを具現化する外濠浄化に向けた基本計画であります。
 この基本計画は、私の予算特別委員会での総括質疑を通じまして取りまとめる方針が示され、今週二十四日の都市整備局からの公表まで待ち望んできたものでございます。
 外堀は、玉川上水系の水循環を構成する日本橋川の上流に当たり、日本橋周辺のまちづくりとも密接に関連する事業であることから、ぜひとも福田局長のリーダーシップの下、着実に取組を進めていただきたいと求めるものであります。
 そして、ただいまは日本橋一丁目一・二番地区について、先行する他地区と連携して整備が進められる旨を答弁していただきましたけれども、これら五地区のプロジェクトが実現することにより、面的に歩行者ネットワークが広がり、水辺のにぎわいが湧出されることを期待しております。
 さて、日本橋は、慶長年間に江戸幕府により架設されて以来、五街道の起点として発展し、交通の要衝としての活況を示してまいりました。橋の南詰めの西側、現在の花の広場には、高札の形を模した日本橋の由来を書いた日本橋由来記の碑がありますが、ここは、かつての高札場の跡に当たります。法度やおきて書きなどが掲示され、情報発信の拠点といえる場所でもありました。
 さらに、日本橋から銀座にかけての中央通りは現在も日本経済の中心地でありますけれども、本地区の歴史と役割を踏まえた都市再生への貢献について説明を求めます。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 日本橋川沿いエリアまちづくりビジョンでは、日本橋川沿いにおいては、業務、商業、観光、文化交流などの機能をエリア全体で適正に配置し、日本橋川交流拠点の段階的な形成、相互に連携したMICEイベントの誘致などを目指しております。
 本地区は、日本橋のたもとに位置し、周辺には老舗店舗や歴史的建造物が立地しております。
 こうした背景を踏まえ、本地区では、日本橋の伝統と先進性を融合した文化体験施設約七百平方メートルと、立地を生かした情報発信、交流施設約三百平方メートルを整備することとしております。
 先行する地区で計画されておりますカンファレンスやビジネス交流施設などと連携し、日本橋川沿いエリアのMICE開催地としての機能充実を図り、東京の国際競争力を高めてまいります。

○古城委員 今なお様々な課題を抱える都市の再生は、コロナ禍の先に顕著になる重要政策課題でもあろうと思います。
 都では、世界を勝ち抜く国際的なビジネス拠点の形成に向けて国家戦略特区の活用を推進しておりまして、私もかねてより、都民生活ににぎわいと活力をもたらし、また、その向上に資する取組を訴えてきたところであります。
 日本橋一丁目一・二番地区においても、ただいま答弁にあったように、先行する周辺地区と連携することが肝要であり、改めて積極的な取組を求めるところでございます。
 続きまして、新宿駅西南口地区についてお尋ねいたします。
 先ほども申し上げました内藤新宿の開設を淵源とする新宿区は、本年三月十五日に、旧四谷、牛込、淀橋の三区の統合により成立してから七十五年の節目を迎えました。明治期の鉄道の開業以来、特に戦後から現在に至るまちの発展は、駅と共にあります。
 私は、コロナ禍の先に東京の未来を開くためには、応戦の一つとして、持続可能なまちづくりが重要であることを、さきの予算特別委員会でも訴えさせていただきました。その代表的なプロジェクトが、新宿グランドターミナルへの再編であります。
 その際、駅周辺では、都市再生を推進するため、国家戦略特区制度が新宿住友ビルや歌舞伎町一丁目地区、新宿駅西口地区で活用され、さらに、新宿駅西南口地区でも、京王、JR東日本の駅ビルの建て替えに活用が予定されている旨の答弁を得ました。
 この予算特別委員会では、隣接する新宿駅西口地区で都市再生特別地区を活用する意義を確認するとともに、駅周辺の課題を解決する歩行者空間の創出について明快に答弁をいただきました。
 本地区におきましても、誰もが安心して心軽やかに移動できる整備が重要と考えますけれども、歩行者に配慮した取組について説明を求めます。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 新宿駅西南口周辺は、鉄道の乗換え動線や駅からまちに至る動線が複雑に交錯し混雑しているとともに、各所に段差によるバリアが存在するなどの課題も多いことから、官民が連携してバリアフリー等に配慮し、誰にも優しい利用しやすい歩行者空間を整備いたします。
 具体的には、新宿駅西口地区の開発事業や土地区画整理事業と連携し、東西南北方向のバリアフリー化された歩行者ネットワークを整備いたします。
 また、甲州街道では、上空のデッキ整備や地下の広場拡充、地下から地上へ続くエレベーターやエスカレーターの整備により、甲州街道の南北の移動を円滑にいたします。
 さらに、本地区に隣接する地下駐車場について、土地区画整理事業による出入口の移設に合わせ荷さばき車両も利用できるよう改修することで、現在の都道に面した荷さばき車両の出入口の利用の大幅な抑制を実現し、歩行者環境を向上させます。
 こうした複数の事業間での連携した取組により、駅とまち、まちとまちをつなぐ東西南北に重層的に広がる快適で安全な歩行者ネットワークを構築いたします。

○古城委員 コロナ禍を乗り越えたまちのにぎわいや活気を、ここ新宿から発信をしていくことが待ち望まれる、このことも繰り返し訴えてまいりましたところであります。
 こうした様々なプロジェクト、長期にわたります。したがいまして、にぎわいや活気を絶やすことなく進めることが重要でありまして、本地区においても、こうした点に配慮がなされるべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 グランドターミナルの実現に向けましては、昨年度末、土地区画整理事業の工事に着手し、本年秋には新宿駅西口地区が着工予定であり、今後、複数の事業の工事が進んでいくことが想定されております。
 本計画では、まず南街区から着工し、南街区竣工後に北街区の工事に着手することとしており、先行して工事が進められる新宿駅西口地区も含め、全ての大型店舗が一斉に工事中になることを避けた工程としております。
 さらに、今後設立予定のエリアマネジメント協議会は、官民連携の下、まちづくりの機運を高めるイベント等や、ウェブ媒体や工事仮囲い、建物壁面等を活用した新宿の魅力のPRを工事期間中から行うなど、まちのにぎわいの維持にも配慮した取組を進めていくとしております。

○古城委員 新宿グランドターミナルへの再編の構想が明らかになってから、地元の方、また、新宿にお買物だったり遊びに来られる方々から、例えば、小田急デパート、京王デパート、一気に閉店しちゃうのと、それから、建て替えまでどれぐらい時間かかるのと、当初のこの新宿グランドターミナルへの再編のその目途となる年限は二〇四〇年代でありましたので、発表の二〇一九年から計算をいたしますと二〇四〇年代、いわゆる二〇四九年まで三十年間あって、その頃まだ元気でいられるかしらと、そうしたお問合せについては、ぜひとも未来の新宿の絵姿を思い描いていただくとともに、三十年間、三十年先までお元気でいただきたい、こういうことを申し上げてきたわけであります。
 ただいま答弁いただいたことによりまして、西口のエリアにおいて、先ほども言及いたしました二つの百貨店が同時に工事中となって、この二つの百貨店の本館を合わせますと数百メートルに及ぶ区間が、いわゆる灯が、ともしびが消える状況になるんじゃないか、そういう不安があったわけですけれども、そうしたことではなくて、閉鎖空間に、そこがずっと工事中になる、そういうわけではないということも確認をさせていただきました。
 また、小田急さん、京王さん、JRさんとの協議の中で、地元の西新宿一丁目町会、商店街の皆様であったり、エリマネの方々、環境改善委員会の方々、様々ご尽力いただいているということを私も伺っておりますけれども、このまちの明かり、まちのともしびをともし続けるために奮闘されている関係者の皆様のご尽力に敬意を表するものであります。
 予算特別委員会でも求めましたが、まちの過去から未来への変遷や生まれ変わっていく明るい将来像などを可視化すること、中でも、工事の各段階において新宿駅周辺が変わっていく絵姿を示していく工夫、こうしたことは、ぜひとも都市整備局の皆様に音頭を取っていただいて進めていただきたいと、改めて要望をさせていただきます。
 そして、いよいよ新宿駅直近地区、都施行の土地区画整理事業の西口駅前広場道路切替え工事と、西口駐車場出入口工事が始まっております。十月二日には、新宿駅西口地区の着工に向けて小田急百貨店新宿店本館が最終営業日を迎えますけれども、新宿西口ハルクにおいて営業が継続されると伺っております。そして、年が明けて一月には、来年四月に開業予定の東急歌舞伎町タワーが竣工いたします。
 令和四年度、今年度、二〇二二年度は、新宿のまちづくりにおいて節目の一年といえます。私は、初当選以来、折あるごとに歴代の都市整備局長の方々に、新宿グランドターミナルへの再編を契機として、駅の東西南北の一体的な活用を図り、新宿全体のまちづくりを推進すべきであるとお訴えをいたしまして、議論、意見を交わす機会に恵まれてまいりました。
 この点につきまして、ぜひとも本日の質問の最後に、この節目であります今年度の四月に着任をされました福田局長の決意をお尋ねさせていただきます。

○福田都市整備局長 新宿は、駅を中心に、業務、商業、観光など多様な機能が集積する中核的な拠点でございまして、新宿グランドターミナルから周辺地域全体へ、交流、連携、挑戦を展開させ、まち全体の機能更新を促進することが重要でございます。
 そのため、西新宿地区におきましては、新宿グランドターミナルと連動し、人中心の空間へと再編するため、現在、再整備方針の策定を進めております。地域内の段差を解消するバリアフリー動線の確保や新たな交流やにぎわいを生み出す機能の導入、次世代モビリティーなど先端技術の実装に向け取り組んでいるところでございます。
 加えて、東口地区においても、百貨店や老舗などから成る国内有数の商業集積地という特性を踏まえまして、都が策定した街並み再生方針に基づき、地元関係者が国際集客都市の形成や歩行者優先で回遊性の高いまちづくりなどに取り組んでおります。
 駅の直近につきましては、西口地区に続きまして、今般、西南口地区の開発も事業化に向けてスタートしてまいります。
 こうしたそれぞれの個性を生かしたまちづくりを進めて、新宿グランドターミナルへの再編を契機として地域全体をつなぎ、東京の発展を先導する国際的な交流拠点の形成を目指してまいります。

○古城委員 新宿におきまして、ただいま東京の発展を先導する国際的な交流拠点の形成を目指すと、大変力強い方針をお示しいただきました。私も、この応戦、戦いに応じる気概がみなぎる思いでいっぱいでございます。
 福田局長を中心とされます都市整備局の皆様には、新宿から未来の東京を展望した強靱な、そしてレジリエントな取組を牽引していただきたいと申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○尾崎委員 私の方からは、住宅市街地の開発整備の方針について、基本的なことも含めて幾つか伺っていきたいと思います。
 最初に、都市計画に住宅市街地の開発整備の方針を定める目的について伺います。

○浦口住宅政策担当部長 住宅市街地の開発整備の方針は、大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法、いわゆる大都市法及び都市計画法に基づき都市計画に定めるものでございまして、良好な住宅市街地の開発整備を図るための長期的かつ総合的なマスタープランとして、都市計画区域内の住宅市街地の開発整備の構想の明確な位置づけを行うものでございます。
 あわせて、住宅市街地に係る土地利用、市街地開発事業及び都市施設等の計画を一体的に行うことにより、住宅市街地の開発整備に関する個々の事業を効果的に実施すること、民間の建築活動等を適切に誘導すること等を目的として定めるものでございます。

○尾崎委員 それでは、今回、住宅市街地の開発整備の方針を変更する理由について伺います。

○浦口住宅政策担当部長 都では、平成二年の大都市法の改正を踏まえ、平成五年に初めて都市計画に住宅市街地の開発整備の方針を定め、その後、社会情勢の変化や都市計画区域マスタープラン、東京都住宅マスタープランの見直しなどを踏まえながら適宜変更を行ってまいりました。
 今回、昨年三月に変更された都市計画区域マスタープランや、本年三月に改定された東京都住宅マスタープランなどの内容を踏まえ、本方針を変更するものでございます。

○尾崎委員 都市計画区域マスタープランや東京都住宅マスタープランの改正を踏まえて、住宅市街地の開発整備の方針の変更になるということがよく分かりました。
 日本共産党都議団は、この間、都市計画区域マスタープランに問題があると厳しく指摘をしてきました。昨年の都市計画審議会でも、今回の改定で環七内側において、従来の三十二か所から八十五か所に拠点数が増えることが明らかになって、大変な開発拡大路線であるということを指摘しました。
 そして、問題があると指摘したのは、国際ビジネス交流ゾーンにして、高級ホテルや高額なオフィスフロアに高級マンションを集積するまちづくりをうたっていることだと指摘しました。そうなると、誰もが安心して暮らせるまちではなくなってしまうのではないかと厳しく指摘し、反対をしてきました。
 したがって、この都市計画区域マスタープランを踏まえて変更される住宅市街地の開発方針についても同様の問題が反映していないか、しっかり見ていく必要があります。
 そこで、住宅市街地の開発整備の方針で重点地区に位置づけられた地区で、今後どのようにまちづくりが進められるのか伺います。

○浦口住宅政策担当部長 住宅市街地の開発整備の方針では、住宅市街地のうち一体的かつ総合的に整備し、または開発すべき地区を重点地区として選定し、地区ごとに整備または開発の目標や整備方針等を定めてございます。
 今後、本方針を踏まえ、それぞれの地区において、その特性に応じて地権者等の合意形成を図りながら、各種の面的整備事業などが検討された上で、地区ごとに当該事業等の都市計画決定などのプロセスを経て、事業が実施されることとなります。

○尾崎委員 地区ごとに地権者等の合意形成を図りながらという大事な答弁でした。
 私たちのところに、住宅市街地の開発整備の方針で重点地区に位置づけられた地元からは、反対であり計画は見直すべきだと求める意見が寄せられています。幾つか紹介をしたいと思います。
 品川区の地元からは、新たに加わる国際ビジネス交流ゾーンでは、国際水準の住宅やサービスアパートメント、医療、教育、子育て施設などの整備を誘導するとあり、外国人富裕層のための土地利用を進める方針で、さらなる住民の権利や生活を壊すものになるのではないかと、反対ですという意見が届いています。
 足立区では、千住旭町、日ノ出町地区、西新井駅東口周辺地区などは、地権者の一部が反対していること、西新井本町や本木、興野の周辺地区や西新井駅東口周辺地区では、特定整備路線もあり、立ち退きを迫られる住民もいて反対ですなどの意見が寄せられています。
 また、多摩地域からも、あきる野市の武蔵引田駅北口区画整理事業について、現在、置き換え地の基本を無視した申出換地が行われ、一部住民から反対があったが、起工承諾として道路工事などを進めてしまった、元農地の減税対策として区画整理区域で九・六ヘクタール、百十一件を生産緑地指定するも、数年でほぼ全てを解除、宅地とすることになりました、こうしたやり方が公平性に反すると考えており、反対だという意見です。
 日の出町の尾崎原地区についてです。地主の方たちは区画整理事業に反対しており、地主の方たちの意向が最重要だと考えます。現状で宅地が不足しているわけではないので、急いで開発等をする必要はないと考えるという意見などが、私たちのところに寄せられています。
 大事なことなので確認したいと思いますが、住民の皆さんなどから、開発に対して反対の声などがある場合は見直しをする必要があると思いますが、どのように考えていますか。

○浦口住宅政策担当部長 先ほどと繰り返しになりますけれども、具体的な事業等の計画については、今後、地権者等の合意形成を図りながら検討された上で、地区ごとに当該事業等の都市計画決定などのプロセスを経て、事業が実施されることとなるものと考えております。

○尾崎委員 それぞれの地域には歴史があり、そこに住んでいる人たちによって、地域の特徴を持ったまちづくりがつくられると思います。
 東京都の作成した住宅市街地の開発整備の方針を、東京都が決めた重点地区全てで実施できるものではないと考えます。先ほどのご答弁にあったように、最優先されるべきものは地権者との合意形成です。合意が取れないまま推進することのないように、お願いしたいと思います。
 地権者との合意が取れない場合、住民の反対の声がある場合には積極的に見直しを行うことを要望して、質問を終わります。

○原田委員 それでは、特区二つ、それから地区計画三つについて聞いていきたいと思います。
 本地区、日本橋一丁目一・二番地区についてお聞きします。
 本地区は、この間、周辺の大型開発が進められてきました。それは、自前の土地の広さに応じた開発などではなく、主には行政による容積率の緩和が打ち出の小づちとなって推進、促進されてきました。
 歴史ある日本橋川の風情を取り戻すとし、首都高の地下化に数千億円の巨費を投じながら、同時に二百メートル級の超高層ビルが建ち並び、沿道はきれいに整備されるものの、その巨大な壁で日の当たらない日本橋川となります。
 縁もゆかりもない画一的な都市空間が出来上がるだけで、風情も何もあったものではありません。本計画でも、周辺ビルと比べれば比較的低層といえど、そうはいっても百四十五メートルの高層ビルが建ちます。この区域の土地面積からすれば到底建つことのない高さです。
 そこでお聞きします。本計画では、地区全体で容積率は何%から何%に緩和されるのか。また、A街区の容積率は何%から何%に緩和されるのか。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 区域全体の従前の容積率は、加重平均で約七〇五%であり、変更後の容積率は一六三〇%としております。
 A街区の従前の容積率は、加重平均で約七〇二%であり、変更後の容積率は一八八〇%としております。

○原田委員 約七〇〇%の容積率の土地が超高層のA街区では、大手町スタンダードとか日本橋スタンダードというんでしょうか、もう一八〇〇%を超えて緩和されるのが当たり前になってきていると。容積率というのは、以前にも指摘しましたが、人口のコントロール機能ともいわれておりまして、まさにその緩和は、この地域の人口のコントロール、これを狂わせることに直結します。
 インフラが追いつかないなどの環境負荷は地域の不便性を引き起こし、その対策には税金の出動も覚悟しなければならない事態だって考えられます。やみくもな容積率の緩和による負の側面をしっかりと見据えることこそ、都市計画の肝ではないでしょうか。
 そもそも、補助金という形で膨大な額の税金がディベロッパーのもうけに直結する計画に注ぎ込まれるわけで、その点一つ取っても、都民の理解は本当に得られるのかと疑わしいところがあるのではないでしょうか。
 環境面の負荷についても確認します。本計画の従前及び従後の建築物CO2排出量はどのようになるのか伺います。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 当地区の開発前の建築物からのCO2排出量は、エネルギー実績等が把握できないため、地区全体のCO2排出量を算定できません。
 当地区の開発後のCO2排出量につきましては、環境面での先進的な取組により、最高水準の環境性能を確保し、目標としたCO2排出原単位以下とするなど、一定の仮定条件を基に試算すると、年間約四千四百八十トン以下となります。
 さらに、今後の建物供用開始までに事業者が最大限に努力しながら、再生可能エネルギー由来の電力利用に取り組むことなどにより、実際のCO2排出量は大幅に削減いたします。
 加えて、ゼロエミッション東京の実現を目指して、今後の社会状況の変化や技術革新の状況を踏まえ、さらに効果的な取組を継続して検討するとしております。

○原田委員 この地域、今までは報告義務のない程度のCO2排出だったわけですが、これが超高層ビルなど建つはずのない狭小な土地から、この計画によって約四千五百トンのCO2が年間に排出されることになっていくと。
 環境局の方から教えていただいたエネルギー換算で計算しますと、CO2一万トン排出するのに要するエネルギー消費量は、大体二千四百万キロワットアワーといわれていますから、大体このビルだけで年間一千万キロワットアワーほどのエネルギー消費となります。
 東京都全体のエネルギー消費量が八百億キロワットアワー弱といわれていますから、大体このビル一棟で八千分の一ほどですね。そうすると少ないように感じるかもしれませんけれども、この東京都全体の消費エネルギーの八千分の一をこの百四十五メートルのビル一棟で担ってしまうと。
 ゼロエミッション東京戦略では、これからあと八年でエネルギー消費量は五〇%削減しないといけないんだというのに、逆にCO2もエネルギー消費量も増やしてしまうことになるわけですね。そういうことも頭に入れておかないといけないというのも、また本来の都市計画の肝であると指摘します。
 最後に、同意率について。本件の都市再生特別地区の権利者の人数と同意の状況について伺います。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 事業者からの都市計画素案の提出時における当地区の権利者数は十五人であり、同意率は約八七%となっております。

○原田委員 最近、七十何%とか八〇%という同意率が散見される中で、八七%というのはちょっと高いようにも感じますけれども、それでも反対している地権者もいるということなんですね。
 自分の土地が跳ね上がるような価値を生み出す計画にもかかわらず、反対される方がいらっしゃると。なぜなのかと。実際には、地権者等価交換の原則があるため、超高層ビル建設後の膨大な権利床の利潤を受け取れるわけではありません。
 事業協力者としてディベロッパーが総取りしていくわけですよね。最大限に容積率を緩和されて建ててしまうために、次の改築費用の捻出もその際にストックしておかない限り、数十年後に破綻する再開発ビルも出てくるということは容易に予想できます。そうした財産の将来というものもしっかりと考えれば、反対する地権者も出てくるのは当然のことなのかなと思うわけです。
 また、日の当たらなくなる日本橋川の環境破壊に心を痛める方もいるやに聞いております。ディベロッパーや大企業の声を聞くのではなく、都市計画は住民の声に耳を傾けてこそだということを指摘するものであります。
 次に、新宿駅西南口開発についてお聞きします。
 東京の顔ともいうべき新宿であり、その利用者の規模に見合った一定の開発が行われることは、やぶさかではないと考えます。南北や東西の通路の整備は、利用者のニーズから離れているとはいえないでしょう。しかし、それでも、無秩序な開発が行われていいわけではありません。
 そこで確認します。本計画では、地区全体で容積率は何%から何%に緩和されるのか。また、南街区の容積率は何%から何%に緩和されるのか。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 区域全体の従前の容積率は、加重平均で約九二四%であり、変更後の容積率は一五四〇%としております。
 南街区の従前の容積率は、加重平均で約六四四%であり、変更後の容積率は二〇〇〇%としております。

○原田委員 約九〇〇%ほどの容積率が一五〇〇%ほどに緩和されると。そして、何より驚くべきは、南街区、この容積率は約六五〇%ほど、ちょっと栄えた駅の駅前みたいな感じの場所ですかね。そこから、何と二〇〇〇%に引き上げられるのだというわけですね。
 そもそも、京王の土地から離れて、JRも地権者に入っているということですけれども、甲州街道の向こうの土地です。角に吉野家があるあの一角ですけれども、あの土地に二百三十メートルの超高層ビルが建つわけです。二百三十メートルのビルが建つにはあまりにも狭小な土地であります。
 甲州街道を挟んでこの南街区を計画区域に入れ、そっちに巨大な容積率を集積するわけですね。その圧迫感は相当のものと思われます。果たして、優れた都市空間として称賛される計画になるのか。狭い土地に強欲なまでに目いっぱいの建物を建てる計画と見られることもあるのではないかと指摘しなければいけません。
 環境面を確認いたします。本計画の従前及び従後の建築物CO2排出量は、北街区、南街区、それぞれどのようになるのか、伺います。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 北街区の開発前のCO2排出量は、二〇一九年度の実績値によると年間約一万五千八百九十トンとなっております。
 南街区の開発前のCO2排出量は、エネルギー実績等が把握できないため算定ができません。
 当地区の開発後のCO2排出量につきましては、環境面での先進的な取組により、最高水準の環境性能を確保し、目標としたCO2排出原単位以下とするなど、一定の仮定条件を基に試算すると、北街区で年間約一万六千六百四十トン以下、南街区で年間約一万四千六百五十トン以下となります。
 さらに、今後の建物供用開始時までに事業者が最大限に努力しながら、再生可能エネルギー由来の電力利用に取り組むことなどにより、実際のCO2排出量は大幅に削減いたします。
 加えて、ゼロエミッション東京の実現を目指し、事業者の自営発電所の低、脱炭素化を進めるとともに、今後の社会状況の変化や技術革新の進展も踏まえた省エネ技術の積極的な導入などを一層推進するとしております。

○原田委員 やっぱり振り返ってみると、この二〇〇〇%の容積率というのは、出てきたのは二例目ですかね。それでも、連続した土地の中で、一定の場所に低層階だったり広場だったりをつくって二〇〇〇%というのが主だと思いますけど、ここの土地の場合は本当に甲州街道を挟んだその一区画に、いきなり建つわけですよね。どこにもその周辺にばっと大きな広場がつくられるわけでもなく、本当にこういう建て方がどこまで許されていいのかというのは、本当に心配になります。
 もともと一万六千トン弱のCO2排出量が、三万一千トンほどに跳ね上がります。南街区でいえば、報告義務のない程度の排出量の区域だったのに、突然一万五千トンほどの排出量、エネルギー消費で年間三千六百万キロワットアワーの、これは一般家庭に直すと八千世帯分の熱量が排出される土地にさま変わりすることになるわけですね。
 今、成熟した都市たる東京が、どのような秩序に基づいてまちを建設すべきなのか考えねばならないときが来ていると指摘し、意見とします。
 それでは、各地区計画の変更について、ざっとお聞きしたいと思います。
 北青山三丁目地区、品川駅西口地区及び飯田橋駅西口地区それぞれについて、容積率の従前と従後の変化、CO2従前と従後の変化、市街地再開発事業の権利者の同意率について伺います。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 三地区ございますが、地区ごとに申し上げます。
 まず、北青山三丁目地区でございますが、容積率は、従前が四〇〇%、六〇〇%及び七〇〇%でございます。従後がB−1地区で七七〇%、B−2地区が二〇〇%でございます。
 開発前のCO2排出量については、エネルギー実績等が把握できないため算定できません。
 開発後のCO2の排出量については、一定の仮定条件を基に試算いたしますと、年間約一万六千百八十トンとなります。
 合意率につきましては、再開発事業の検討を進めることに同意する権利者の割合は約九〇%と港区からは聞いてございます。
 次に、品川駅西口地区についてでございます。
 容積率は、従前が三〇〇%、四〇〇%及び六〇〇%、従後がA地区で一〇〇〇%、C−1地区が九九〇%、C−2地区が五〇%でございます。
 開発前のCO2排出量については、A地区が年間約一万三千トン、C−1、C−2地区については、エネルギー実績等が把握できないため算定できません。
 開発後のCO2排出量につきましては、一定の仮定条件を基に試算いたしますと、A地区は年間約二万八百トン、C−1、C−2地区は、合わせて年間約一万一千二百トンとなります。
 合意率につきましては、再開発事業の検討を進めることに同意する権利者の割合は約八〇%と港区からは聞いてございます。
 最後に、飯田橋駅西口地区でございます。
 容積率は、従前が四〇〇%及び五〇〇%、従後がB−1地区八五〇%、B−2地区五〇〇%でございます。
 開発前のCO2排出量については、エネルギー実績等が把握できないため算定できません。
 開発後のCO2の排出量については、一定の仮定条件を基に試算いたしますと、年間約二千三百二十トンとなります。
 合意率については、再開発事業の検討を進めることに同意する権利者は約八〇%と千代田区から聞いてございます。
 なお、CO2排出量につきましては、事業者が最大限に努力しながら、再生可能エネルギー由来の電力利用に取り組むことなどにより、実際のCO2排出量は、この試算よりも減少する見込みでございます。
 また、合意形成については、地権者等との協議を重ね、今後も合意形成を図っていくこととなります。

○原田委員 まとめてお聞きしました。
 北青山三丁目は、都営住宅の跡地を使った再開発となります。従来、五百八十六戸の比較的規模の大きな都営住宅でしたが、その面積が広く、ゆったりとした空間が形成されていました。商業都市として名だたる青山の地域にあって、住民にとって落ち着いた雰囲気をこの地域に与えてくれる空間でした。
 今回、このゆったりした都営住宅は二十階建てのビルに集約され、戸数はそれでも三百二戸と縮小されます。そして、空いた土地を民間開発に差し出すというとんでもない計画です。
 A−2地区で完成した超高級マンションと超高級サービス付高齢者住宅は、マンションの家賃が何と安くて三十万円、高くて二百万円、サービス付高齢者住宅は月額使用料が何と九十万円ほどと。庶民とはかけ離れた値段設定の民間開発に、なぜ都営住宅の土地が差し出され、逆に都営住宅の戸数は減らされねばならないのかと、都民の理解は到底得られません。
 次に、品川駅西口地区について、例えばC−1地区の同意率ですけれども、居住者が少ないにもかかわらず、五人のうち二人しか賛成していません。反対している地権者一つには四十一世帯が住むマンションもあり、ここが反対しています。
 このような状況で、全体の同意率は八〇%だとし、強引に開発が進められていいのか問われています。全ての居住者が納得のいく計画となるよう、見直しを求めてまいります。
 飯田橋ですが、地区計画が変更されるB−1地区には、この地域に比較的大きな面積を有する区有地があります。地元からは、区有地を再開発に組み込むのにもかかわらず、土地の評価、取得する面積、その使途などが不明朗との声が上がっています。
 この地域では、大神宮通り沿道まちづくり推進協議会が大神宮通り沿道まちなみガイドラインを作成しておりまして、その際、寄せられた意見には、一定の開発に賛同する声もあるものの、大神宮の高さと調和した開発を求める声が多く、決して超高層に及ぶ開発を求めているわけではないようです。地権者のみならず、近隣住民や大神宮を愛する人々との合意形成が必要であると指摘するものであります。
 最後に、今回、都計審に付議される三つの地区計画の変更による温暖化ガスの排出について意見を述べます。
 三つ合わせた計画の従前、従後のCO2排出量は、従前一万三千トンから従後は実に五万トン超となります。現在、東京都の年間CO2排出量、六千万トンほどといわれています。ゼロエミ戦略の前から、もともとあった環境基本計画における削減目標は、二年前ですけど、二〇二〇年までに二〇〇〇年比二五%を削減するという目標でした。しかし、減らすどころか、二年前、二〇二〇年になってみたら、都は二〇〇〇年比四%排出量を増やしてしまっていたわけです。
 そして、現在のゼロエミ戦略の目標は、十年先延ばしになりましたけれども、二〇三〇年までに五〇%削減です。二年前までに、二〇〇〇年比で四%増やしちゃったのに、これから五〇%削減していかなきゃいけないと。
 今年度予算でも、このCO2削減のために、環境局などは何百億円もの莫大な税金を、この温暖化ガス削減のためにつぎ込んでいるわけです。
 そんなとき、本日示された特区と地区計画合わせて、計画前より五万七千トン、ワット数でいえば一億四千万キロワットアワー増えることになるわけですね。CO2、六千万トン、毎年東京都が出しているうちの五万七千トン増やしちゃう、今度出てきたやつだけで。東京都は、七百八十億キロワットアワー、八百億キロワットアワーぐらい年間エネルギーを消費するわけですけど、そのうち一億四千キロワットアワー増やしちゃうわけです。このたった一日に示された都市計画だけで。
 まさに、私は都市無計画なんじゃないですかと。再開発の基準というのが、もうどれだけ金が稼げるかと、それが据わってしまっていると。住民や未来を見据えて都市計画は行われるよう求めて、意見とします。

○宮瀬委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○宮瀬委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市整備局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時十六分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る